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96回国会参議院1982/06/29

予算委員会 第22号

発言数
367
登壇者
32
会派数
4
開催日
1982/06/29

会議録

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。  予算の執行状況に関する調査を議題といたします。     ―――――――――――――

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 昨日の矢田部君の減税問題についての質疑に対する大蔵大臣の答弁は、さきの本委員会の昭和五十七年度総予算審査の際における所得税、住民税減税について政府側も十分な検討を進めるようにとの委員長見解及び決議の趣旨に必ずしも沿わない点がありまし化。  今後、政府においては、減税問題について委員長見解及び決議の趣旨を尊重し、対処せられるよう希望いたします。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) かねて政府の見解を申し上げておるところでございますが、ただいまの委員長の御発言も十分にこれを尊重し、所得税、住民税減税問題についての十分な検討は進めてまいりたいと考えております。     ―――――――――――――

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) それでは、昨日に引き続き質疑を行います。三木忠雄君。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は、当面する課題の何点かについて総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  何といってもいま最大の課題は、やはり政治倫理の確立をどうするかということが私はいま最大の焦点になっていると思います。この問題と行財政改革、そして外交、防衛問題の三点にしぼりまして集中的に質疑を行いたいと、こう思っております。  まず最初に、私は総理に伺っておきたいわけでありますけれども、衆議院、参議院でいろいろ論議を進めてまいりました。しかしながらどうも総理の答弁がもう少しはっきりしないと、こういう声、率直な国民の声です。そういう意味で、具体的にやはり総理総裁としてのリーダーシップを発揮していただきたい、私はこのことを強く願うわけです。特に今回のロッキード判決というものは、昭和五十一年に起こって以来やはり五年間あるいは六年間、裁判中だ裁判中だということで国会でいろいろ論議をしたけれども結論に至らなかった。しかし、判決が出たわけでありますから、この判決の問題に対して、司法当局は非常に賢明な判断をした、やはり日本の司法は大したものだといういろんな国民の声があるわけです。それに比べて国会の自浄作用はどうなんだろうか、こういう声を私は接する国民の一人一人から、実は私もきょう電車で通ってきました、そのときにもやはりそういう声が、会った人から言われた。確かにこういう問題は、私は与党、野党を問わず政治家としての倫理を確立していかなきゃならない。こういう点で、私は実は具体的な問題を何点か取り上げて質問をしたいと思うわけであります。  まず最初に総理の感想を伺っておきたいわけでありますけれども、このロッキード全日空ルートの判決が行われたわけでありますけれども、この判決の意味というものは私は非常に重大なものがあろうと思うのです。総理は具体的にこの問題についてどのように感じていらっしゃるのか、まず最初に伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 六月八日の判決は、司法当局におきまして裁判所に多くの証人を呼び、またあらゆる資料を活用し、慎重に審議をされ、時間をかけて審議された結果出された判決でございまして、私はこの判決を非常に重く見ておるわけでございます。その判決の内容につきまして、行政府の責任者である私が三権分立の立場からコメントをする立場にはございませんけれども、これを厳粛に受けとめまして今後に対処していきたい、二度とこのような事件が起こらないようにというこの国民的な世論にこたえていきたいと、このように考えておるところでございます。  また、これに関連いたしまして政治家の政治的、道義的責任、これは議会制民主主義が政治に対する信頼があって初めて守られることでございますので、そういう点につきましても国会の御協力、御努力をいただきながら政界の刷新に努力をしてまいりたいと、このように考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 政治的、道義的な責任を、こういういろんな総理の言葉でありますけれども、具体的に総理としてこの政治家の道義的問題等についてどのような形で解決をしようとなさっていらっしゃるんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これはいろんな角度から検討をしなければならないことであろうかと思います。いつも私は申し上げることでございますが、結局は政治家個人個人が選良として国民の負託にこたえる、常に身を正し自粛自戒をしていく、これがやはり私は根本であろうと、こう思っております。  しかし、制度的な面からもいろいろ改善すべき点は改善する必要があると、このように考えるわけでございまして、そのまず出発点として、いま世論並びに国会におきましても強く求められておりますのが証人喚問の問題でございます。これはその関係者を証人として喚問をし、そして政治的、道義的な観点かち真実を究明していく、真相を明らかにしていく、そういう反省の上に立って今後政治道義の確立を図ろう、これも一つの私は大事な方法である、これをまた強く求められておると、このように受けとめておるところでございます。  それから第二の問題につきましては、この問題が起こりましてから、行政の分野とそれから政界の分野とにわたりまして再発防止につきまして協議会からの答申がございました。これを政府におきましては、昭和五十四年でございましたか、いろいろこの協議会の答申を受けて、許認可の問題等につきましても改善すべき点は改善をするということで、国会にそれを取りまとめて法案を提出をし御審議をいただいておる。また、この行政が襟を正していくという面から、各省庁における指導監督等につきましても強化をいたしておるところでございます。国会におきましてもいろいろの角度から御論議が進んでおるわけでございまして、政治資金規正法の改正の問題、あるいは金のかからない選挙制度をいかにして実現をするか、あるいはまた政治家の個人財産の公表の問題等々、いろいろの問題につきまして御検討が進んでおるということも承知をいたしております。こういう点を総合的に私は進めまして政官界の刷新、浄化を図っていかなければならない、このように考えるわけでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 総論で私はそういう問題だと思うんです。確かに今回の判決を通して、これはロッキードの全日空ルートでありますから、私は航空行政にかかわる問題としてやはり分析をしなきゃならない問題点があろう、これは航空行政に限らず今回の問題は行政当局に対する私は厳しい問題だと思うのです。これとやはり政治不信の問題を解決するためにも証人喚問あるいは議員辞職の問題等に対するけじめを私はつけなきゃならない、こう思うのです。このロッキードの判決の中にも「被告人両名の本件各所為が航空行政の公正とこれに携わる者の廉潔性に対する国民の信頼を著しく失墜させたものであることは、検察官が論告において指摘するとおりであり、同時に国民に政治不信の念を抱かせた点もまた看過し得ないところである。」私は、この問題はやはり私たちが真剣に考え、今後のいろんな問題点を解明していかなきゃならないと思うわけでありますけれども、この証人喚問あるいは辞職の問題等については私は後で論ずることにいたしまして、航空行政の問題に対してまず最初に伺っておきたいと思うのですけれども、航空行政に対する国民の信頼を失墜させたことは非常に重大である、こう指摘をされているわけでありますけれども、これは当時は運輸大臣じゃなかったわけでありますけれども、現在運輸大臣としてのこの判決に対する感想をまず伺っておきたいと思います。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 裁判所の所見、見解に対しまして直接私がいまここで申し上げることは避けたいと思いますが、航空行政の持つ非常に高い公共性というものを踏まえて考えるならば、今後のわれわれといたしましては全力を挙げて公正でありかつまた厳粛な行政態度をとって、公共性の高い航空行政に努力をしなければならないということを強く感じ、また、そのような方針で現在努力をいたしておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 これは具体的に、昭和四十五年から四十七、八年の航空行政についていろんな観点から私も国会で、また四十八年の三月、本予算委員会でこの問題点について具体的に航空行政はゆがめられているんじゃないか、こういう点を指摘した議事録を私ここへ持ってきておりますけれども、具体的に指摘をしました。この問題の点について、蒸し返すようでありますけれども、航空局の方で結構ですから、具体的に航空行政としてどういう点が指摘をされたと感じていらっしゃるか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) お答え申し上げます。  判決が出ました今日のことでございますので、できるだけ判決に即してお答えするのが至当かと思います。  私ども判決を読みまして、特に今回の判決で問題になっております大型機の導入問題あるいは四十七年の通達の作成過程等が非常に詳細に判決の中で述べられておりますけれども、これを私ども読みまして、ただいま先生、航空行政がゆがめられたとおっしゃいましたけれども、私どもといたしまして決して航空行政がゆがめられたというそしりを受けることはないというふうに考えておる次第でございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 これはそういう答弁をされると、まさしく開き直らなきゃならない問題があるわけです。このいきさつを具体的に言えと言ってもあなたの方がおっしゃらないかもしれないけれども、私はいきさつを簡単に申し上げますと、御存じだと思いますけれども、聞いていらっしゃる皆さんわからぬと思いますので。昭和四十五年に「航空企業の運営体制について」ということで閣議了解が行われたわけです。これがやはり一つの基本になっているわけです。この中に「国内航空」として「航空機のジェット化・大型化を推進する。」ということを閣議で了解をしたわけです。総理、いいですね、閣議で了解をしたわけです。そうしてそれに基づいて日本航空は何とか航空需要を賄うために、万博とかいろんな問題がありました。東京からたとえば八丈島へ飛行機を増便しろと言っても、航空需要が多過ぎて羽田から発着できないんだと言って、一時は厚木から発着をさせたこともあるんです。こういう非常に航空需要があったときです。そのときに日本航空は大型機を導入するということで大蔵省の認可も得たわけですよ、航空機を購入するために。これはちゃんと予算委員会でずっと私も指摘をしております。こういう中にあって、何とか四十七年に大型機を導入したいというこの問題を、「行政指導」の冒頭の項目にあるように、「被告人橋本が運輸省事務当局をして、若狭の請託の趣旨に沿う行政指導を行わせたこと」、こういうふうにやったわけですね。だから四十七年に大型機を導入しなきゃならない、国内需要から考えても。それを、全日空がそれの態勢に間に合わないから四十九年でなければ大型機の導入は社内機構上できない、こういう中にあった問題を、何とか日本航空を四十七年を四十九年に引きずりおろさなければならない、そして四十九年にしなきゃならない、これをそろえたところに航空行政のゆがみがあったわけです。確かに航空局長の、事務当局の答弁としては私うなずける問題があるのです。なぜかと言えば、この中に、事務当局はいろいろ幹部から命ぜられたけれども、これは運輸大臣から命ぜられたわけです。しかしながら、数値の面から、需要の面から納得できないと言って、これでは日本航空を納得させられないのだと、そう言って突っ返したわけです。そして、残念ながら航空局の方はそこで押し切ればよかったわけでありますけれども、全日空を呼んで、全日空は拒否されたと、行政がそこでゆがめられて、四十九年で結構ですと、こういうふうな行政に変わったわけです。したがって事務当局が具体的な数値を示して、そしてこれは無理なんだということを指摘をしたことは私は正しい問題だと、こう思っているんです。これはもう四十七年に日本航空の大型機を導入しなきゃならない、当然だという事務当局の計算措置は、あるいは対応措置は正しかった。それをわざわざ運輸大臣、そして運輸政務次官がいろいろここに、よく事情を私はつまびらかに読んでみました。このときにDC9の東亜国内航空の導入の問題も絡んでいるわけです。それも四十九年にわざわざそろえたわけなんです。こういう実は行政指導が行われた。したがって、私は事務当局の声を一応そんたくすれば、確かに数字的に正しかった問題があろうと思うんですね。しかし、それを押し切れなかったところに、その上に大臣、政務次官がゆがめたというところに、私は今回の航空行政のゆがみがあると思うんです。どうですか、航空局長。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) お答え申し上げます。  判決を読みますと、運輸省といたしまして四十五年の十月下旬ごろ日航並びに全日空両社に対し大型機導入について両社の相互協調を期待するというくだりがございます。私どもあくまでも先ほどの先生御引用になりました四十五年の閣議了解というものは、航空輸送の需要の増大に対処して機材の大型化、ジェット化を図るということは当然の方向でございますけれども、しかしながら、航空各社の相互協調あるいは相互の何と申しますか、秩序を守った上での大型化ということが必ずついておったわけでございまして、そのことは、たとえば四十五年の先生の御指摘になりました日航機の取得認可の時期におきましては、これまた判決を読みますと、その時点におきましては、全日空もこれまた四十七年に大型ジェット機を入れるということが計画されておったわけでございまして、その限りにおいては両社の協調が図られるという判断をしておったということが読み取れるわけでございます。ところが判決によりますと、四十六年に入りまして一月に全日空から正式に自分の会社は四十七年の導入は困難である、こういう申し出があって、そこで日航と全日空の話し合いを進めたというくだりがございます。  そこで、先ほどの橋本大臣からの御指示のところになってくるわけでございますが、その際に、事務当局といたしまして、大臣の御指示ではございますけれども、それは反対でございますと言ったのに、大臣の御意向でそれが違った方向に行ったということであるならば、これはあるいはゆがめられたという御指摘が当たるのかもしれませんが、そこの判決のくだりを見てまいりましても、大臣からそういうお話がございましたときに、全日空が四十七年度の導入が困難になった、したがって日航が導入する大型機を両社で共同運航することができないかというようなことをいろいろやってみたけれども、そういう過当競争を防ぐ条件が整備されていない、こういう状況下で入れるのはまずいということで、事務当局も四十六年二月時点で、大型機導入を四十七年に一社のみ入れるということはまずいという判断を示しておるわけでございまして、その限りにおいて事務当局の考え方というのは、終始一貫両社が協調の上で大型機を導入すると、こういう方針は貫かれているというふうに考えております。(「それなら請託も賄賂も要らぬということですか。」と呼ぶ者あり)

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 いま外からいろいろ意見が言われておる。私は、それであれば、請託として運輸大臣が賄賂を受け取ったというこの判断にはならないじゃないですか。おかしい話じゃないですか、そんなことは。それを主張し続ければ問題なかったはずですよ。日本航空はもうかんかんになって怒っておるわけですよ。その証拠に、私、こんな人の名前出したくないですけれども、この全日空の社長まで予定された住田さんがやめさせられているじゃないですか、当時証言したことによって。これは事実じゃないですか。確かに行政当局を責めても、私は行政当局はある程度まで、限界があろうと思う。そこをねじ曲げた政治家が非常に私は悪かったと思う。行政当局は徹底的に守り切ればよかったんですよ、一歩。しかしながらそれを押し切られてしまって、やはり運輸大臣、運輸政務次官にこの大臣通達を出させるような細工をしてしまったことに黙認をしたという。じゃ、それを反対しておるのであれば、行政指導したそのデータがあるかということを私は国会で何回も追及した、あるいは聞いてみた。しかし、それは何の証拠もないからどうしようもないわけですよ。後からの結論なんです。したがって、私は後で再発防止のことで伺いたいけれども、そういう行政指導、大きな変更のところに対しては、だれから見てもうなずけるような行政指導というものがはっきりしてなきゃならない。それがなしに運輸大臣や政務次官にゆがめられたというところに、私は今回のこの大きな問題点があるのじゃないか。だから五百万円なり二百万円なり、そしてこれは政務次官が自民党の航空機対策特別委員会にも持ち込んでいろいろ議論をした。その背景の人たちが、やはり灰色と言われるような形になってきているわけですね。こういう問題、行政と政治とのこの癒着の関係、あるいはねじ曲げられたというこの問題を私はもう少し明確にしなければならないと、こう思うわけでありますけれども、運輸大臣、いかがですか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) この問題につきましては、かねがね私、昨年の十二月に就任以来いろいろと事務当局からも話を聞こうと思って、また聞いてまいりましたが、残念なことに、ほとんどの資料並びに参考になるべきものは検察庁の方で引き揚げておりまして、具体的なものは一つもない。また、当時の関係者もほとんど退官をしてしまっておりまして、そうした方々からもいろいろと聞いてみるというような形での情報の収集に終わったわけでありまして、しかし、先ほど来申し上げておるように、検察並びに裁判所の判断に対しまして、いま私がそれがいい、うそだ、そうでないというようなことを申し上げることは差し控えたいと思っておるということも御理解いただきたいと思いますが、繰り返して申し上げますが、そのような少なくとも裁判所の判断が示されたということに対しまして、今後は非常にそれは重要な、重大なことと受けとめて、公正に業務の執行をするということに全省を挙げて今後努力をしていくということを、繰り返して御答弁させていただきたいと思います。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 まあ、謙虚な私は運輸大臣の答弁だと思うんです。もうここまで来たわけですから、裁判で請託でちゃんと五百万受け取ったということで一審有罪になっているわけですから、確かに航空局からしてみれば私はその主張は認めるわけです。そこをねじ曲げられたというところに対しては、やっぱり航空局ももう一歩認識を深めてもらいたいという点を私はつけ加えておきたいと思うんです。その証拠に、四十五年から四十七年ぐらいの間に私はこういう指摘をしているんです。安全第一というような問題がいろいろうごめいておるけれども、結局は機種の導入についていろんな商社がうごめいていることを私は具体的に知っているということで、ここで具体的に指摘をしているんです、この四十七年当時に。したがって、私は航空機輸入調査特別委員会等はもっと議論をしなきゃいけない。防衛庁のPXL等の問題等についても専門家会議等をつくった、私はこのいきさつもちょっと納得できないなということで、いろいろこの当時に指摘をしているわけです。したがって、私は運輸大臣の答弁を了とするわけでありますけれども、本当に航空行政を正していく、特に大臣、政務次官の立場というものがまじめにやっている行政当局のこの意向を無視してしまうというようなやり方、あるいは権力でゆがめてしまうというようなやり方、これは私は大いに反省をしなきゃならない問題点がこの教訓の一つではないかと、こう思うわけでありますけれども、総理いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま運輸大臣からも御答弁がございましたように、航空行政の面で当時、背後でどのようなことがあったかは把握ができませんが、しかしああいう裁判所の判決が出されたと、厳粛に私どもはこれを受けとめるところでございますし、航空行政に携わった当時の事務当局の諸君も最善の努力を払ったということもまた事実でございます。したがって、今日わが国の航空行政、運輸行政がゆがめられた姿になっておるというようなぐあいには私は見ておりませんし、しかし私どもは過去にいろいろのそういう問題で世間の疑惑、疑問を受けたということにつきまして深く反省をして、一層行政運営に姿勢を正していかなければいけないと、このように考えておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私はこの当時の問題を、たとえば運輸省が導入したフライトチェッカーの問題でも、これは当時ダグラスから輸入をするというような考え方で四十七年に補正予算を組んでいるわけですね。それをロッキードにかえた。この問題も私は国会で指摘をしたことがあるわけです。こういう点で私はいろいろこの当時は非常に問題があるなと、こういろいろ指摘をしてきたわけでありますけれども、この判決を見まして、私は長年これをずっと見てきた目として、事務当局や大臣は年じゅうかわっているんです。毎回かわっていますから、その場その場で逃げておりますけれども、私はずっと一貫して、四十五年、四十七年――いま現在がそうだとは申しませんけれども、この当時は相当ゆがめられたということだけは私は明確に指摘をしておきたいと思うのです。  それで、こういう行政指導の問題が一つの大きな問題点になっているわけでございますので、やはりこの行政指導に対する具体的な改革の問題がいろいろ提言をされているわけです。これは大平総理が航空機疑惑問題等防止対策協議会の中でいろいろ提言を受けているわけです。その中の私は四点だけ。行政の公正確保の対策ということがこの問題を通していろいろ提言が出てきたわけです。したがって、この行政の公正確保の対策ということについて、具体的に鈴木内閣になってどういうふうなことをやってきたのか、この点についてまず伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 昭和五十四年、大平内閣のときに防止のための協議会からの提言がございまして、それを受けて大平内閣は、行政の分野におきましては商法の改正、これを取り上げて国会の御承認をいただいた。それから鈴木内閣になりましてからは許認可事務の公正かつ簡素合理化、これを図る必要を感じまして、臨調の方にもこの点をお願いをいたしまして、臨調の答申を受け、そしてそれを総合的に許認可事務の簡素合理化、その行政指導等において、いやしくも情実とか不公正とか、そういうことが入らないようにチェックできるような仕組み、そういうものにつきまして案をまとめて国会の御審議をお願いをしておると、こういうこと等をいたしておるわけでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 それは広義な十四の提言の中の問題でありまして、この行政指導の問題に対する、たとえば行政監察機能の充実だとか行政指導の根拠、手続及び責任の所在を明確にし、適正の確保を期すると、こういういろんな提言が行われているわけです。こういう具体的な問題を当時やっておけば、この参加した人たちの、日本の見識者と言われる方々の忠告としまして、もしこれを守って行政指導のいろんな指導の根拠とかそういう所在を明確にしておけば、ことし起こった建設など談合問題なんかは解決しておっただろうと、こう指摘をしているわけです。したがって私は、こういう問題が具体的になおざりにされてきたということで、過去は過去として、やはり総理は、いま再発防止のためにもこの行政指導に対するしっかりした歯どめを私はなすべきじゃないかと、こう思うのですけれども、もう一度。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 航空疑惑等に関する問題に限定をして私先ほど御答弁を申し上げましたが、行政全般についての公正の確保、また国民に信頼をされる行政の運営、そういう広範な立場からの御指摘でございますれば、ただいま三木さんからいろいろ御叱正があった点、私どもも今後十分肝に銘じまして努力宿してまいる所存でございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は、これはもう全般の問題としまして、やはりしっかり行政指導の根拠等の問題について明確にしておいてもらいたい、こういう点を申し上げておきたいと思うのです。  もう一つ、これは各大臣、政務次官から、いろんな問題があろうかと思いますけれども、私は、大臣あるいは政務次官が担当している企業との関係を大臣や政務次官の間はやはり明確にしておくべきじゃないか、こう思うんです。したがって、大臣あるいは政務次官の在任中はこういう企業との関係、特に企業献金等はその期間だけ廃止をしたらどうか。私は個人的には、党としても個人献金に限るべきだと、こうしているわけでありますけれども、せめてその期間中は個人献金だけにしたらどうだと、特に閣僚になれば代表取締役は兼業をやめるということで申し合わせをしているわけですね。そういう点から考えて、やはりこういう企業との関係をいかがわしいものは断つべきだと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、総理いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 新しく内閣ができますと、その都度閣僚の兼職禁止等々につきましては総理大臣が話をされ、閣議で申し合わせをいたすわけでございますが、鈴木内閣におきましては二度、最初の成立、改造、二回の機会におきまして鈴木総理大臣から特に各閣僚に対して厳しくそういう点を注意をされた経緯がございます。  ただいまの御指摘は、関係閣僚がすべて閣僚である間は企業からの献金を受けないようにすべきではないかというこういう御指摘であったと思いますが、私といたしましては、これは各閣僚一人一人のモラルの問題であるというふうに考えておりますので、申し合わせをいたすとなりますと非常に厳密にいろんなことを決めていかなければなりませんが、むしろ個人個人のモラルとして考えるべきじゃないかと思っております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 今回のこの判決の一つの判断としまして、やはりそういう申し合わせをするなり、あるいはそういう疑惑を招かれるようなことになっては、私は閣僚としても議会制民主主義を守る立場からも非常に不幸なことだと思うのです。やはり大臣であれば陳情も受けられるだろうし、いろんな要請が来ると思うのです。そういう問題でいろんないかがわしいような姿を報道されたりなんかされるたびに、やはり政治に対する不信感が増大するという点については、閣僚の皆さん方も私は大変だと思うのです。  したがって、改めて私は総理に伺いたいんですけれども、政治資金規正法ですね、これはあの五十一年のを一つの教訓にして五年後には見直そうと、こういうふうな考え方に立っておったわけでありますけれども、総理、特に個人献金を中心にやっていこうと、こういう考え方に立っておったのですけれども、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 政治資金規正法の改正の問題につきましては、いま御指摘がございましたように、一定年限の経過の中で抜本的な見直しをする、こういう規定がございます。鈴木内閣になりましてから国会の皆さんの御協力を得ましてやったことは、いままで政治団体に対する献金につきましては、年に一遍必ず報告書としてまとめて、これを自治省等に報告をする、そして一般国民がいつでもそれを検討できる、目を通すことができるというようなことになっておるのでありますが、個人に対する献金等につきましてはその報告が必ずしも政治団体の場合のように明確になっていないというような御批判等もございまして、この点も平仄を合わせるように、個人になされた献金についても報告を必ずしなければならない、こういうような改善をいたしたところでございます。  その他いろいろ問題がございます。特にいま三木さんから御指摘がございましたように、企業献金をだんだんやめて、そして個人献金に移行しようではないか、こういう世論があることも承知をいたしております。  私はいつも申し上げるのでありますが、企業といえども社会の構成員の一部でございますから、企業献金はすべて悪である、こういうようなぐあいには私はきめつけるわけにはいかない。やはり企業も政治活動ができる、こういうことであるわけでございますから、私はそこまではいかないにしても、しかし大勢として企業献金から個人献金への移行というこの方向というものは誤っていない、尊重されてしかるべきだと、これは私も同感でございます。そういう意味合いからだんだん個人献金がふえてきております。特に最近では、何々君を励ます会とか、そういうものが非常に頻繁に開かれておる、こういうことも一種の、個人の政治家をひとつ励ますという形で、浄財を持ち寄って献金をしておる、こういうぐあいに私は理解をいたしておるわけでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 政治資金の問題については異論はありますけれども、こういう限られた時間でございますので、別な機会に取り上げたいと思います。  行政の問題と、もう一つの問題であります政治倫理の、政治家の道義の問題ですね。特に総理は就任当初に、記者団にもあるいは国会の所信表明でも政治倫理の確立ということについてはまず真っ先に言われた。御記憶あろうと思うんです。その政治倫理の確立ということについて、総理は今日まで具体的にどういう形で政治倫理の確立というものを考え、実行されてきたのですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私が自由民主党の総裁に選ばれた最初の記者会見で、いま三木さんから御指摘がございましたように記者会見で申し上げました。政治倫理を確立する、政界の浄化と刷新を図ることが議会制民主主義を擁護する原点である。そこで自分としては、自由民主党がいろいろ御批判を受けておるところの過去におけるところの過ち、そういう御指摘がある、そういうようなことを二度と繰り返さないように今後党員の指導と党の運営について努力をしていきたい、こういうことを申し上げたところでございます。  そういう気持ちの上に立ちまして、御承知のように自由民主党におきましては、自民党の党則の中に倫理憲章というものを全党一致でこれを決定いたしまして、この倫理憲章のもとに党員がお互いに自粛自戒をし、批判を受けるようなことがないようにということで今日まで努力をいたしておるところでございます。  また、金のかからない選挙制度、こういう問題も、これはやはり政治にはお金がかかる、特に選挙には大きな金がかかるというところに政治と金のくされ縁というようなものが生じかねない、そういうような観点から、金のかからない選挙制度の確立というような面につきましても私は努力をしてまいりましたし、これからもぜひそういう方向で努力をしたい、こう思っております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 政治倫理委員会の設置の問題については、総理は何か推進するような話をずいぶんされてきたんですね。ところが、政治倫理委員会の設置の問題は、総理はどういう考え方で政治倫理委員会をつくろうとお考えになっていらっしゃるのですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私が就任をいたしました当時、航特委の存廃の問題が各党間で相当論議をされ、そして結局これは廃止をされました。しかし、これは最終的に決着がついたわけではございませんで、今後引き続き各党間で協議をしていく、こういうことになっておると私は承知をいたしております。  そういうような背景のもとに、私は、航空疑惑の問題はもう司直の手に移り、いま裁判にもなっているというようなこと等もございますので、そういうものに限定をしないで、政治倫理確立の面から国会がそういう倫理委員会のようなものを設置して、常に国会のそういう面に対する努力と姿勢というものを明らかにしていくということがいいのではないか、このように考えまして、党総裁として就任当時そのことを申し上げた、議院証書法の改正の問題とあわせましてその点を提唱した、こういうことでございます。  この点につきましては、衆議院の議長の諮問機関である議会制度協議会等においても論議をされておるわけでございますが、この倫理委員会の倫理憲章をどうするか、こういう問題につきまして各党でそれぞれ倫理綱領のようなものを御提出になっておるということを伺っておりますが、これがなかなか各党それぞれの主義主張、理念等がございまして、いまだかみ合っていない、こういうことも私聞いておるわけでございます。しかし私は、今後ぜひ倫理委員会のようなものを設置してもらいたいという就任当時からの信念には変わりはございません。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 そうしますと、当面の問題としまして、総理が就任して真っ先に取り消したのは衆参の航空機輸入調査特別委員会です。私も当時議運の委員をやっておりまして、なぜこれをということで、衆議院よりも一国会参議院は長く続けたのですよ。しかし、自民党の絶対多数でこの調査特別委員会は、倫理委員会を設置するからとかいろんな言いわけをしながら廃止をしたわけです。  今回のこの証人喚問、いま精力的に議院証言法の改正論が行われている。この問題を詰めても、総理はあちらでやっているからという程度だろうと思いますが、この議院証言法が与野党がたとえば歩み寄って一致をする、これができ上がったときに倫理委員会が設置されていなくても、予算委員会なりあるいは特別な委員会でこの証人喚問をやるということは総理の腹としてはあるのですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは原則的には、基本的には国会がお決めになる問題であろうかと、こう思います。しかし私は、倫理委員会が仮に設置をされなくとも、各党各会派の合意がなされて、適当な委員会におきまして、新しく改正された証言法、静かな環境の中で証言ができるようなそういう改正がなされた場合においては、これは各党の合意の上に立って私は証人喚問がなされても結構ではないか、こう思っております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 こういう静かな予算委員会のここで証人喚問を、具体的に証言法を改正して、私はもう今国会でこの問題、証人喚問をやらないのだ、やるのだとかいう問題を、この灰色高官の問題は決着をつけるべきだと思うんです。後で論議したい財政問題が非常に大変な問題を控えているわけですね。したがって、やはり議院証言法ができた、たとえば議会制度協議会でいろいろ決まった、自民党の政調会に持って帰り、党の総務会に持って帰って、そして引き延ばしし、あるいは倫理委員会なり特別な委員会等の問題でワンパッケージにしながら、何か揺さぶりながら引き延ばしていこうというようなこういう考え方に対して、総理どうですか、リーダーシップを発揮して、九十四日も延長したのですから、必ずやるのだ。私は、これをやらなければ、確かに総理の九十四日延ばしてやりたいのは何かというと、金のかからない憲法違反の選挙法だけやりたい。それをごり押しして、金権腐敗を全然隠して、選挙法だけを強行採決して、そしてこの証人喚問をないがしろにされるというようなことになれば、これは国民の政治不信というものは大変なものだと思うのです。それに対する総理の見解を聞いておきたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、衆議院の予算委員会におきましてもまた参議院の当委員会におきましても繰り返し申し上げておりますように、自由民主党は、この証人喚問の前提になる議院証言法の改正、この問題を引き延ばすなどというそういう考え方は持っておりません。二十五日に議会制度協議会に自民党案を出しまして、そしてこの問題についても竹下委員長は各党と十分話し合いをし、各党の御意見等も伺いながら柔軟にこれを早くまとめる方向で努力をしておる、そういう姿勢はこの間のNHKの放送討論会でも御承知のことだと思うわけでございます。決して引き延ばしなどということは私は考えておりません。  それからもう一つの問題は、倫理委員会と議院証言法はワンセットでなければいけないかという問題につきましても、私は、先ほども申し上げたように議院証言法の改正、これは各党の国対委員長会談で合意がなされて、また各党もその方向で努力をしておるところでございますから、私は議院証言法の改正ができれば、これを倫理委員会とセパレートしてもこの国会で早くやったらいいのではないかという考えも持っておりますし、そういうことは竹下委員長ともよく話し合いをいたしておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 総理が海外へ行く前からも、あるいは会期を延長してからも、総理はいろんな問題は党に任してあるような感じなんです。ところが選挙法になると、リーダーシップを発揮して何としても通さなくちゃと、これはやっぱり再選をかけているから、その問題は党利党略的に一生懸命やるけれども、証人喚問とかあるいは議院証言法の改正等の問題になりますと、どうも任してあるからこうだと、先送りに問題を処理しようという、こういう考え方は私は国民が見たって納得しないと思うのです。新聞の論調も最近は変わってきておりますよ。条件つきであの改悪法に一部賛成しておった世論も、今回の問題でこの選挙制度改悪法を強行採決で通すようであればとんでもない話だと。そして議院証言法を、あるいは証人喚問を行わないということになれば大変な問題だと、私はいろいろ国民の声はこれは大変なものだと思うのです。総理、そういう考え方はないですね。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、議院証言法の改正の問題は、これは各党の国対委員長間の合意に基づきまして、また衆議院議長のお立ち会いのもとで議会制度協議会の小委員会で取り上げられ、熱心に審議が進められておる、こういうことでございますので、これを引き延ばしてどうこうという考えは毛頭ない、誠意を持って努力をしておるということをはっきり申し上げておきます。  選挙法の問題は、いま各党で御審議をいただいておるところでございます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。田代富士男君。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 同僚議員に関連して質問いたしますが、ただいま全国区制の選挙法の問題が出されましたが、各紙の報道によりますれば、七月上旬のXデーというような言葉が使われておりますが、このXデーに強行採決されるということが言われておりますが、Xデーなどということが言われ始めるということは、世間にも、火のないところに煙は立たないということが言われますが、これらの報道は自民党の強行採決をはっきり示唆したものと思われるような感じがしてならないのですが、総理はただいま全国区制の法案は各党で審議中でありますということでございますが、総理は総理であると同時に総裁でありますが、強行採決を許されるのかどうか、はっきりしていただきたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、何か、田代さんのお話を伺っておりますと、非常に緊迫した状況のように伺うわけでございますが、私が承知しておる限りでは、参考人の意見聴取並びに公聴会等も日程も決まっておる、こういうようなことで非常にこの審議が各党協調のもとに参議院において進められておる、このような報告を受けておりまして、いま田代さんおっしゃるような、そんな緊迫した状況は私承知いたしておりません。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 総理は、私が申し上げたことは、そういう緊迫した空気はないということでございます。ひとつ突然変異をされないようによろしくお願いをしたいと思います。  今回の法案につきましては、私が改めて申し上げるまでもありませんが、各所に憲法違反の疑いのある個所がございます。第一には、国民は一人では立候補できなくなる。また、立候補者個人の名前を書けば無効になるのが今度の選挙改悪法であります。政党への投票を強要される。だから有権者はだれに投票したことになるのかわからなくなるのであります。また、候補者の当落というものは名簿の順位を決める政党が事実上決めることになり、国民は決められなくなるのでございます。そういうところから個人、政党の選挙運動がほとんどできなくなってくるという、細かくはまだいろいろございますが、このような憲法違反の疑いが各所に見られるような、また民主主義とはおよそ逆行の選挙制度でありますし、まことに不合理、不公平であります。国民の皆様から見るならば納得のできない選挙制度である、このようにいろいろな声を私も耳にしているのであります。  いま総理は、各党が協調して審議をされているということを申されましたが、総理自身は、三木委員が指摘しましたとおりに、サミットに出かける前に国会の会期を九十四日間も延長を認めまして、サミットあるいは国連総会に外遊中にもあらゆる機会を通じまして公選法の成立を強く主張しておいでになりました。総理のこのような主張とあわせて、委員会におきましては、ただいま総理が申されたとおりに、この公選法の改正に当たりまして審議すべき項目というものが公特委の理事会におきまして五つのテーマが決められておりまして、現在その五つのテーマのうち、与野党が慎重審議という合意を見まして、二つ目のテーマが審議された段階であります。そういう意味から、総理は現在そのような緊迫した空気はないということでございますが、強行採決の道をとるのか論議を尽くされるのか、私はまだまだ不安でなりません。私のところに国民の一人から手紙が参りまして、今度の予算委員会で私にかわって総理に質問してくださいというそういう手紙もありましたから、もう一度、強行採決の道をとるのか慎重審議の道をとるのか、お答えいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この法案は、参議院制度、全国区の問題は、多年いろいろ問題点が指摘され、また改正をしたらどうかという御意見のある問題の改革でございます。しかし、各党によりましていろいろ、基本的には御賛成の政党もあり、そうでない反対の政党もおありになることは私承知をいたしております。そして、いま田代さんが御指摘になった何点かの問題についても、やはり解明をするということも必要でございます。そういうようなことから思い切った会期の長期延長をやりまして、審議時間を十分とって、そして審議を進めておる。これがもう何でもかんでも十分な審議も尽くさないでしゃにむに成立を図ろうと、こういうことであればああいう長期の会期延長はすべきでない。これはやはり十分審議を尽くしたいという趣旨からであるわけでございます。  したがいまして、ただ反対のための反対でなしに、十分各党各会派それぞれ案を持ち寄って、そして論議を尽くしていただきたい。そして最終的にはやはり民主主義のルールというものもあるわけでございますから、その辺は私がどうこう申し上げる問題でない、これは国会の運営の問題であろうかと思いますが、私が申し上げたいのは、要するに相当大幅な会期延長をしてまで十分な審議を尽くしたいという趣旨、この点は御理解を賜りたい。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 いま大幅な会期延長をしたのは慎重審議をする、それが目的であるということでございます。このような選挙制度というのは、総理がおっしゃるとおりに慎重審議しなくちゃなりません。そういう意味で、選挙制度のこういう改正については選挙制度審議会という機関があります。そういう意味から第三者機関による公平な審議をすべきでありますが、それを無視してみずからの選挙のルールを改正するというのはアンフェアではないか。そういう意味から有権者の政治離れを一層助長するのではないか。これは政治家として一番心配しなくてはなりませんが、こういう心配があるのです。  証言法については、アメリカに視察に行ったり、ヨーロッパから資料を集めたりしていろいろやっていらっしゃる。しかし、この選挙法はどうですか。世界でどこの国にもない選挙法ですよ、世界最悪の選挙法。かつてワイマール憲法下、ドイツにおいてこの選挙法がなされたときに投票率が低下しまして、直ちにこの選挙法は取りやめになりました。このような選挙法によってナチの台頭を招いたという、こういう歴史があります。こういう改悪の選挙法をなぜ日本の国が実現しなくちゃならないのか。私はそれをあえて総理に訴えたい。  いま国民の声はどうです。ただいまも同僚の三木委員が申すとおり、ロッキード裁判において政治家被告に有罪判決が下された。そういう意味から、政治家など関係者の証人喚問を実現せよというのが国民の声ではありませんか。一方、全国区制の改悪につきまして、国民はどういう中身であるかわからないというのが実態であります。国民から直ちにこれを改正してもらいたいという声はありません。だから、総理は国民の声を酌むと言いますけれども、酌むべき声と――何の要求もない声を酌んで選挙法を強行するのですか。議院証言法はなかなかやろうとしないじゃないですか、国民の声は。ここに総理自身の政治姿勢の不可解な点がありますが、この点どうでございますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御質問というよりも御叱正と伺うわけでございますが、参議院の全国区制の問題を含めまして選挙制度の問題は、これは過去におきましても、第一次、第二次、第三次の選挙制度審議会等におきまして相当掘り下げた審議検討がなされた問題でございます。そういう問題を含めて、私どもは金のかからない選挙制度というようなこと等からこれを御提案申し上げておる。現に各党会派でもそれぞれの案をお持ちになって前向きで審議がいま進められておると、こういうことでございます。私は国会の皆さんの妥当な結論がこの国会中に出されることを期待いたしております。と同時に、先ほども申し上げましたように、議院証言法の改正につきましても、各党の国対委員、長会談でも合意されておることであり、現に議会制度協議会でも各党の案を持ち寄って協議が進んでおりますので、これが早急に成立を見て、この国会中に何とか証人の喚問ができるようにということで私も最善を尽くしておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 それでは具体的に、有罪となった佐藤代議士の問題について、私は政治的、道義的な責任をとってみずから職を辞すべきじゃないか、こう考えるわけでありますけれども、総理はどのようにこの問題について考えていますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは本来、私はそういう立場に立たれた議員本人の自主的な御判断によって進退が決せられるべきだと、このように考えるものでございます。しかし、いろいろいま御本人も思い悩み、いろいろ考えておられるようでございますが、ああいう野党の皆さんの方から勧告決議案が出ておるということにつきましては、非常にこれを重く受けとめておるということも聞いておりますし、また地元の函館市でございますか、でも、そういう決議がなされたというようなこと等もございまして、御本人としても大変この点につきましては深刻に受けとめ、苦悩し考えておられるということも承知をいたしております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 総理の腹の中を聞きたいのですね。たとえば函館の市議会、よく御存じだったと思うのですね。それから東京では三鷹市議会で、自民党も含めて超党派でこれは辞職をすべきだ、そして政界浄化をやるべきだという決議を出しているわけです。あるいは富山の県議会でも、やっぱり政界浄化の問題について、政治倫理の確立というものについて与野党一致でやっているわけですね。これは各地方議会、ずっと恐らく出てくるでしょう。こういうふうな姿というのは、国会は自浄作用がないのだ、国会はやる気はないのだという一つの私は証拠じゃないかと思う。この点についてやはり総理が断を下すべきじゃないかと思うのです。  私は朝日新聞に投稿されておりました自民党の早川代議士の記事を読みまして、やはり私は党派を超えた本当の意見だなと。これは浜田さんの問題も言っているわけですね。潔く辞職したじゃないか、したがって「望むべくは、潔く責任をとって、議員を辞職し、いずれ他日、潔白になった暁に、国民の納得の上で、国会への復帰を期することが、議会政治の権威を守り、日本人の良き伝統的な精神を生かす由縁ではなかろうか」ということを、これはおたくの党の顧問ですよ。私はこれは非常に党派を超えて良識だと思うのです。やはりそういう考え方に立つべきじゃないかと、こう思うわけでありますけれども、これは同僚議員と言ったらおかしいですけれども、先輩議員として中川大臣、北海道のかなめになっている大臣だそうでございますので、ひとつ御意見はいかがですか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 佐藤議員は私の同期の桜でもあり友人でございまして、心中大変だろうなと同情も申し上げながら本人の行動を見守っておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 まあ本当の友情を示して、やっぱりこの早川代議士のような処置をしてあげるべきじゃないか。総理、いかがですか、この自民党の代議士の声。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま早川崇議員の朝日新聞への投稿、これをお読みになりました。その趣旨は、私は、先ほど述べた、本人がみずから御判断をされるということに重点を置いた早川氏の意見であると、このように考えるものでございます。私は、その点については御本人も非常にいまいろいろ思い悩み、また、国会の野党の勧告決議案等の提出についても深刻に受けとめておる、また御友人の方々もいろいろ相談に乗っておるということも聞いておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は一日も早く、辞職決議案が上程されるより前に、やはりこういう問題は御本人が判断をできるように周囲もしっかり激励をしてあげるべきだと思うのですよ。  もう一つ、灰色高官の証人喚問の問題でありますけれども、私は、加藤さんの方は証人喚問に、現行法のままでもいいからとにかく早くやりたいと、こういうふうに聞こえているわけですね。これについて総理判断したらどうですか。本人も身の潔白を証言したいと言っているわけですから、私は真っ先にやってあげるべきじゃないか、こう思うのですけれども、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましては、先ほど私申し上げたように、各党の国対委員長の会談での合意に基づいていま議院証言法の改正という問題が衆議院の段階において取り組まれておる、前向きでこれが検討が進められておる、こういう状況の中でございます。党の方としては、そういう観点から加藤君ともいろいろ話し合いもされておるということでございますが、せっかく各党でそういう合意がなされて証言法の改正が前向きで検討が進められておるということでございますから、そういう点もよく考えながら、加藤君が党の方針とどのようにしていくかということについて、十分党内で話し合いがいまなされておるということを申し上げておきます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は出たいと言って、身の潔白を証明したいとおっしゃっているわけですから、素直に聞いてあげるべきだと思うのです。  それからもう一つ、この二階堂幹事長の問題でありますけれども、実際に衆議院の議院運営委員会に提出された上申書と今回の判決とは、いままでおっしゃっておったことは、国民の目から見て、ずいぶん違っているなという感じがあるわけです。やはり御本人のためにも、身の潔白を証明するためにも、潔くこれは早く証人喚問をした方がいいと、こう思うわけでありますけれども、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 二階堂幹事長も、議院証言法の改正がなされて、そして十分-上申書の自分の心境にはいまだに変化はない、議院証言法の改正がなされた段階においては進んででも証人として出席をして自分の信念を表明したいと、こう申しております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は、これは早くやるべきだと思うのです。本当にやる気だったら法廷でもやれたわけですね。昭和五十三年の四月の、あの丸紅の伊藤を相手取った名誉棄損の問題で告訴を取り下げた、あるいは五十五年の七月の、橋本弁護団から二階堂氏に証人として立ってもらいたいと、こう言われたときにいろいろ争えば、そこではっきりと私は、身の潔白の問題であれば証明できたんじゃないかと思う。それを取り下げたりしたいきさつ、あるいは今回の上申書と判決の食い違い、こういう問題から考えても、やはり私は今国会でこの問題は解決しなけりゃならない。私は自民党とかどこの党ではなしに、やはりこういう問題をはっきりと国民の前に明確にしておくべきだと、こう思うわけでありますけれども、最後にこの問題を伺っておきたいと思うんです。総理。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 三木さんの御所見はよく承知をいたしております。したがいまして、一日も早く議院証言法の改正がなされて、そして二階堂氏もあの上申書の気持ち、述べたところ、これを国会の公式の場で所信を表明したいとこう言っているわけでございますから、三木さんの御趣旨に沿うものと考えます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 時間が限られておりますので次の問題に移りますけれども、やはり私は、この再発防止の問題等については、もっと各党が知恵をしぼって早く歯どめをかけるべきじゃないかという点を強く提言をしておきたい。そのためにわが党も、再発防止のための提言を今日まで行っているわけです。自民党の方もしっかりした態度でこの再発防止のために、二度と繰り返さないためにも、総理のリーダーシップを発揮していただきたいということを強く要請をしておきたいと思うのです。  それでは次に、財政問題に移りたいと思うのです。  特に五十六年度の税収欠陥の問題、あるいは五十七年の予想される税収欠陥の問題、あるいは五十八年度の予算編成の問題、また、七月に行われるであろう臨調の答申を受けての五十八年度予算編成をどうするかとか、あるいはこの不況をどう打開をしていくのか、また、円安の問題をどうするのか、国債の増発の問題に対してどうするのだろうかといって、政府の財政運営の問題について非常に国民は疑問を持っているわけです。特に、中小企業や消費者の人たちは、政府の路線はどういう方向にいくのだろうかということを私は非常に心配をしていると思うのです。特に、戦後最大の財政危機だと言われているこの五十七年の九月から十月前後、ここまでにはっきりした、明確な路線を示さなけりゃならないと、私はいろいろ勉強しておって強く感ずるわけです。  そういう点で順次にいろいろ問題点を取り上げてみたいと思うのですけれども、まず五十六年度の税収欠陥、これはもう具体的な数字は聞いております。どこに原因があったのか、大蔵大臣、端的に説明してください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 税収の歳入不足の見積もり違いの原因はどこにあるか、これはもうかねて再三当委員会においてもお答えをいたしておりますが、いろいろあろうかと存じます。御承知のとおり、五十六年度の予算編成はいまから一年数カ月前に決めるわけでございますから、一年半ぐらい先を見越して予測を立てます。まず、経済見通しというものを立てますが、非常に世界経済が激動しておるというような中にあって、特に昨年後半における世界経済の停滞、したがって貿易  の激減、こういう問題もございますし、それから国内景気の停滞、こういうようなものから需要が減る。一方、国民のエネルギー等を初めとした消費節約運動、省エネルギー、省資源運動、これがかなりの実は効果を上げております。したがって、石油の輸入等についても過去二年間で結局約二〇%近い輸入減、つまり、これは消費節約運動の効果。その結果は石油のコストアップにもかかわらず国内で石油がだぶついて、便乗値上げどころかダンピングというようなことになっておって、一方、石油メーカーその他苦しい企業もありますが、物価の安定には逆に大変役に立ったというような面もございます。そして、ことに卸売物価、これらについてはずっと平均四.一%で推移すると考えておったところが、それが一・四%。名目GNP九・一と思ったところが五・二というようなことになりまして、いろいろなそういうような累積の結果が税収の見積もりに、当初予算比おおよそ一〇%余の見積もり違いができたということでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 この税収欠陥の問題のいろんな点については衆議院でも指摘をされて、私たちもよく理解をし、大蔵大臣がいろいろ強弁を張ってみても問題点はいろんな点があったわけです。特に、二月の補正予算のときに、あるいは三月の本予算を審議しているときに、くどいほどこの五十六年度の税収欠陥の問題がわが党の委員からも指摘をされているわけですよ。ところがその段階で大蔵大臣や主税局長は、二月、三月の状況判断と現在ではどういう点が変わったかというようなことをいろいろ私はいま聞きたいのですけれども、そこまでやっていると時間がありませんので余り聞きませんけれども、二月、三月にここで審議をやっているときに大丈夫ですと言っていたのです。まだ二カ月か三カ月しかたっていないわけです。それが二兆五千億も六千億もの税収欠陥になるというのは、どこか狂っていたのではないかと思う、端的に言って。どうですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、ともかく当初予算の段階では、税収の見積もりが足らぬではないか、財源隠しをしているのじゃないか、もっと税収は取れるはずであるという議論があったのも事実、速記録を見れば明らかでございます。しかしながら、去年の後半に至ってそういうようなかげりが出てきたのだから、その段階でもっと直すべきじゃなかったかというような御質問がございます。われわれといたしましても、それにつきましては心配がなかったわけではございません。そこで、はっきりしている数字はどれぐらいあるかということで、それは毎月の月報が出る物品税とか源泉の徴収とか酒税とか、そういうようなものについてはほぼ見当がつくということで、それで明らかなものについて四千五百億円の税収を補正をして減少の見積もりを、税収の減を立てたわけであります。ところが、それが四千五百億円ばかりでなくてもっと大きな数字になるということ、実際はそれが二兆円を超えるというようなことに何で気がつかなかったんだと。このことにつきましては、これは御承知のとおり、十二月のは二月の八日発表、それから一月の税収は三月八日発表というようなものでございますが、われわれとしては、九月の法人税というものが、少しの企業ではあるけれども、それが意外と高い数字が実は出た。ところが、大部分の法人は、昔は年二回決算やって、九月の決算をやると十一月あるいは十二月になるとほぼ見当がつく。ところが商法の改正等があって年一回の決算になってしまったというようなことで、ごく少数の法人だけれども非常にいい結果が出ておるということで、これはうまくいくのかなというような感じも持ったことは実は事実でございます。それから十二月の税収に見ても一三・八%、一月が一二%と比較的高い伸びを示しておりましたし、先ほど言った法人税のうち大法人の十一月税収九月決算については二〇%程度の実は伸びを示しており、物品税も十二月は二〇多の高い伸びを実は示しておったのです。そんなこともあって、やはりどうしても欲目で見ますからね、これは。悪くなるというよりも、これだけなればうまく続くかなというように感じて、うまくいけるのじゃないか、そう思ったことは事実でございます。それがともかく今度は二月、三月にかけますと非常に急落をいたしてまいりまして、それが四月発表、五月発表と、こうなってくるわけでありますが、そこのところに見込みの違いがあったということは事実でございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 やっぱりそういう問題について大蔵大臣も、私は予算審議のときに、去年の十月ごろには二兆四千億ぐらい税収欠陥するぞというような話を新聞にも報道されているわけですよ。大体もう予感もしておったのですよ。だからやはり去年の十二月に補正を組むなら四千五百億ではなしに、やはりもう少し歳出カットをするとか、いろんな手当てをするべきであったわけです。ところが五十六年の赤字国債の大増発であるとか、あるいは税収が落ち込むと五十七年度の予算の組み替えをやらなければいけないからとか、あるいはまた決算調整資金があるからという、そういうふりな甘い考え方に逃げ込んできたことは事実だと思うのですね。その点についてはどうお考えですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 決してそういうことを予見したわけではありません。三月の末になりましてから大変心配になりまして、そこで、たとえば三月二十三日も社会党の鈴木和美さんの御質問等については実は非常に心配をしているのですということも私お答えをいたしておりますし、二十九日には公明党の中野さん等に対しましても、多いときは二〇%も上下に違ったことがございます、実は非常に心配をしているのですと。しかしながら法人の申告も出ていないのではっきりしたことは申し上げられないということも言っております。四月六日のときも、これは衆議院ですか、大蔵委員会で、戸田さんという方についても、これはもう数%。七日の日も、大体数%、第六感だけれども数%の高い方になる危険性がどうも出てきたということは正直に、私はもうわかればうそは申しませんから、正直に、数字でわかったものについてその都度、事務当局からすればちょっと先走ってしゃべり過ぎじゃないかなんて御注意も受けましたが、しかし大勢としてどうもそういう心配があるなというようなときには、私は案外よくしゃべっているのです、実際は。ですから、そういう点を見ましても決して、私がひた隠しに隠しておった、そういうものがあるから心配ないんだと言って隠して、そこへ逃げ込んでいくためにまっしぐらにいったようなことはございませんから御了解を願います。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 一言多いという点については、これはもう大蔵大臣が、悪い意味じゃなしに、率直なこともあると思うのですよ。大蔵大臣が財政運営に一生懸命やっていることは私もわかりますけれども、余りにも当初予算に比べて二〇%違ったとかなんとか言って、小手先で本会議では答弁しているわけですよ。しかし、補正後で三千億円以上の税収見込み狂った例はないんですよ。本会議のとき二〇%以上狂っています狂っていますよと、こう言ってわれわれに納得さしているわけです。よくわれわれ知っている人間から考えてみれば、これはおかしいじゃないですか、補正後は違うぞと。補正後で三千億以上の税収見込みが違ったことはないんですよ。こういう点について大蔵大臣は当時責任を持って、二月ですか、衆議院の予算委員会等で、私は責任をとりますと、こう言ったのです。私はここでやめろとは言いませんけれども、どういうふうな――余り軽率なことを言っちゃいかぬと思うのだよ。それから、これは私、言葉じりをとらえて恐縮ですけれども、この間、五十九年度までにこういう公約は実行できるのかといってある議員が聞いたんです。そのころおれは大蔵大臣やめているよと、こう言うのだ。これは新聞に出ているんだよ。だから、これはまあ言ったか言わないか、私はこんなことで子供みたいに言いませんけれどもね、こういう軽はずみなことを言って財政運営をしていると思ったら私もやっぱり心配なので、だから、まあ正直な、言ったのかもしれません、善意にとってね。大蔵大臣正直だから。やっぱりこういう点で、財政運営の問題が軽はずみにされるようなことになっちゃ私はいかぬというんで、やっぱり真剣な対応をしていただかなければならない。この点は大蔵大臣どうお考えですか。責任の問題も含めて。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それは真剣に対処しなければならないと私は考えております。確かに、補正後においてそんな二兆円以上も、三兆近く違うということは例がないじゃないか、全く私はそのとおりだと思っております。そういうことがわかれば、結局十二月の段階で二兆円赤字公債を増発するということで補正を組むということになるのでしょう。それがわからなかったために、後から何らかの処理宿しなきゃならぬということになってきたわけであります。しかし、そういうような事態が万一の場合に発生することも皆無だということは考えられないために、国の制度として、ともかくぎりぎりになってそういう問題が起きた場合には、法律によって決算調整資金、国債整理基金からの借り入れという制度がございまして、それによって対処をする以外には方法がないと、そう思っておるわけでございます。私どもといたしましては、いずれにいたしましてもこれは専門的にいろいろ見積もってもらった結果が当たらなかったということは事実でございまして、われわれその責任は十分に感じておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 だから責任を感じてしっかりした対応をしてもらいたいですね。  それで経企庁長官、こんなに税収欠陥が出たということも、やはり当初から予定をされておったように成長率を高く見過ぎた、成長率を高く見たんだという、ここに一つの問題があったのじゃないか。あるいは景気落ち込みの原因というものはどのように分析をされているのか、その点についてお伺いしたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 五十六年度のGNP実績見込み二百五十五兆強と想定をしておったわけですが、最終的には二百五十一兆強になりまして、若干の落ち込みをいたしました。その結果、四・一%成長が二・七%成長と、こういうことになったわけでありますが、経済の動きをずっと分析をしてみますと、昨年の五、六月ごろからは私は相当勢いがよくなったとこう思っております。事実、生産も増加しておりますし出荷もふえております。その結果、昨年の秋ごろには在庫調整はほとんど終わったと、このように判断をしておったのでございます。ところが、十一月ごろから深刻な世界不況の影響が出てまいりまして輸出が落ち始める、こういうことになりまして、御案内のように昨年の第三・四半期は年率約三%見当のマイナス成長に落ち込んだのでございます。幸いに第四・四半期になりまして、一-三月は三・三%成長、年率に直しまして三%強の成長に回復をしております。こういう激動期でございますので、マイナス成長に落ち込んだりプラス成長になったり、非常に大きな動きがございますが、昨年からことしへかけての経済の動きの一番大きな特徴は、昨年は実質可処分所得がずっとマイナスでございました。それは非常に消費、中小企業等に大きな影響を及ぼしておりますが、幸いにことしになりましてからプラス成長になって実質可処分所得はプラスになってまいりました。また、貿易の方も輸出は現在ずっと落ち込んでおりますが、後半は世界経済もある程度回復するのではなかろうかと、こういう見通しもいろいろ出ておりますので、貿易もいずれ近く回復するであろうと、このように考えております。何しろ世界経済がいまは戦後最悪の状態である、こういう激動期でございますので、経済政策はなかなかむずかしいのでございますけれども、やはり現状が続きますと雇用にも問題が出てまいります、税収にももちろん問題が出てまいります、貿易摩擦も拡大をいたしますので、何とかわが国が以上申し上げましたような問題が起こらないような安定成長路線に一刻も早く定着させるような、そういう政策を展開してまいりたいと、このように考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 これは質問をちょっと変更しまして、日銀総裁済みません、お持たせしまして。時間が限られているようでございますので、日銀総裁に集中的に、ちょっと問題の節々でいろいろ日銀総裁の見解を聞きたいと思ったのですけれども、非常にお忙しい立場でございますので、まとめて質問をさせていただきたいと思います。  特に税収欠陥、あるいは五十八年度の今後の予算あるいは五十七年度の問題等を見まして、日銀総裁として、この政府の経済見通しの問題が余りにも高過ぎるのじゃないかというような発言をちょっとされたことがあると思うのですけれども、この点についてはどうお考えですか。五十六年度も含めて。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 基本的に私は経済成長は高い方がいいというふうに思っております。しかも経済成長の中身でございますが、内需と外需と均衡のとれた成長が続くことが望ましいというふうに思います。もちろんその間物価が上がるということは厳に避けなければならないわけでございまするけれども、物価安定のもとにおける内外需の均衡のとれた高い成長があることが望ましいというふうに思います。いま、先ほど来お話のございましたように、世界経済が非常に大きな変動期にある、しかも二度にわたる石油危機を経まして世界経済全体が停滞傾向に陥っておる、どちらかと申しますると構造上の問題であろうかというふうに思っております。そういうふうな中で、日本だけ高い成長を実現することはなかなか困難であろうかという感想を持っております。しかし、基本的にそういう物価が安定するという範囲内で高い成長が実現するということは望ましいことであるというふうに考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 それではもう一点、国債の問題でちょっと伺っておきたいと思うのですけれども、税収欠陥等で、あるいは決算調整資金あるいは国債整理基金等をいろいろ政府が使うようになってきますと、資金運用部の国債までやはり日銀に抱かしてくれというような意向もあると、こういうふうなことが報道をされているわけでありますけれども、この赤字国債の増発ということがやはり市中の銀行、証券会社等シンジケート団が拒否をしているという中にあって、この国債増発の問題に対する総裁の見解を伺っておきたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 予想以上の歳入欠陥が出ておるわけでございまするが、それにはいろいろ、先ほど来御答弁のございましたように、景気が思ったように伸びなかったという、あるいは物価が安定したということがあろうと思います。これの補てんの問題につきましていろいろ政府部内で考えておられるわけでございまするが、運用部の国債を日本銀行が引き取るといういまのお話につきまして、政府としてそういうことをお考えであるということは私どもは全く聞いておりません。ただ、仮にそういう問題が起こったというふうに考えますると、運用部の国債を私どもが買いまして日本銀行の信用を供与する、それが歳入欠陥の補てんに充てられるということは、赤字国債を日本銀行の信用によって消化するということに実質的にはなるわけでございます。財政法にも日本銀行は国債の引き受けを禁止せられておるという趣旨にも反すると思いまするので、運用部の国債につきましては、日本銀行はこれを買い取るということは考えておりません。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 もう一つ、円安対策ですね、これについて、非常にいろんなむずかしい問題があろうと思うのです。サミット等でもいろいろ通貨の問題で議論をされたと思うのですけれども、日銀総裁としてこの円安対策に対する歯どめといいますか、対策はどのようにお考えでございますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 円安が物価面あるいは貿易摩擦の面並びに企業の収益を圧迫するということから、企業の景況観、全体の企業マインドにも悪い影響が出てくるということでございまするので、円安は何とかしてとめたいというふうに考えております。  ただ、いまの円安の大きな原因は海外の金利高にあります。内外金利差が非常に大きいということから資本の流出が起きておるわけでございまして、これは日本ばかりでございません、ドイツも同様の状況にございます。資本流出に悩んでおる、したがってドイツマルクが安いという点は日本と変わらないわけでございます。そういう状態に対しまして、私ども第一には、やはり内外金利差がこれ以上拡大しないようにするということが基本であろうというふうに思います。為替は市場において、毎日市場を開いておりまするので、いろいろな要素で為替相場は動くわけでございますが、投機的に、円の先安感ということから円が極端に売られるというような状態に対しましては、私どもは随時為替市場に介入いたしまして、不当なる変動というものをならしていくという考え方をとっておるわけでございます。しかし、基本的には内外金利差が拡大しないということが第一でございます。円安は、現在のところ、なかなか市場の空気がドル高一辺倒というふうになっておりまするので、むずかしい状態でございまするけれども、もしこういう円安がさらに続くということ、あるいは進展するということでありますならば、私どもといたしましても、この円安をとめるためにあらゆる手段を講じてそれをとめるつもりでおります。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 恐縮ですが、最後の一問ちょっと伺っておきたいんですけれども、資本の流出の問題ですね、やはりいまの東京証券市場の上場企業等のいろいろな財務運用をいろいろ考えてみますと、設備投資とか物をつくるという方向も確かにあるでしょうけれども、それ以上に財務運用の面が非常に重要視されてきているというのが最近の傾向じゃないかと思うんですね。これでやはり内外の金利差とあわせて資本の流出という問題が私は非常に大きな問題ではないかと、こう思っておるのですけれども、この問題についてのお考えは……。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 企業の財務内容が高度成長期とは全く変わりまして、企業の手元資金が潤沢になってきた、これの運用ということが財務当局の、企業の財務として、非常に大きな問題になっておることは御指摘のとおりでございます。そういうことから、とかく資本が全体としての流動性が高まっておるということは言えると思います。そういうことで資本が対外的にも流出する素地があるということでございます。これはやはり日本の経済の国際化と申しまするか、内外市場の流動性が高まってくる、しかも為替管理でこれをとめるわけにいかないということでございまするから、私どもは、そういう事態に対応してこれからの金融政策あるいは為替政策、そういうものを考えてまいらなければならない時代に来ておるというふうに思います。ただ、前のように為替管理で一遍とめればいいじゃないかということではなかなか進まない、そういう時代になってきておりまするので、これからの金融政策、為替政策全部そういう面から考えてまいらなければいけないというふうに考えております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、三木忠雄君の質疑を行います。三木君。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 時間が限られておりますので、財政の問題であと数点伺っておきたいと思うのです。  午前中の質疑を通して五十六年度の税収欠陥が二兆九千億程度と、こういうことでございますが、五十七年度を見た場合に五十六年度の税収欠陥、つまり発射台が下がったわけですから、五十七年度に大きなやはり税収欠陥が出てくるだろう。それに加えて、後で論議をしたいと思っておりますけれども、景気の、成長率の見通しを非常に高く見積もっている。この両方で相当な税収欠陥が生じるのではないか、こう考えるわけでありますが、大蔵大臣の税収に対する考え方、それから景気問題について経企庁長官から伺っておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 一般論といたしますと、ただいま三木委員から御指摘のように、当年度の発射台が低くなれば、その次の年度がその分低くなるのではないかという議論があることは私も承知をいたしております。しかしながら、問題は景気の動向との絡みもございます。一概に断定はできませんが、そういう説があることも事実。しかし、私どもといたしましては、いずれにせよまだ予算が出発して二カ月というような状態であって、今後どういうような世界の景気動向になるか、また日本もそれに合わしてどういうような策をとって景気を持続させていくかというような問題もございますので、いま直ちに幾ら幾ら当初の予算から不足分が出るということを申し上げられる段階にないと存じます。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 午前中の答弁で五十七年一-三月の実質経済成長、年率に直しまして三・三%見当の成長になる、こういうことを申し上げましたが、このままの情勢が続きますと、これは五・二%成長はできませんので、そこで金融政策は御案内のような状態で、アメリカの高金利のために発動できませんので、さしあたっては予算に盛られました公共事業並びに地方の関係の公共事業、これを最大限の前倒しをしていこう。これは相当な大規模な前倒しでございますから、ある程度の効果は軌道に乗れば私は出てくるであろう、こう思っております。  後半の経済につきましては、まだ第一・四半期の指標が全然出ておりませんし、はっきりした動向がつかめませんので、もう少し様子を見た上で、九月の初めごろになりますと大体のいろんな指標が出てくるのではないか、こう思っておりますが、その段階で後半の景気が落ち込まないようにこれは十分な配慮をしていかなければならぬ、このように考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 公共事業の前倒し、これだけで果たして景気が――当初成長率五・二%ですね、可能なのかどうか、この点について公共事業の前倒しだけでやっていけるかどうか、その誘因効果はどの程度考えていらっしゃるのか。どうです。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 公共事業、中央と地方通じまして、土地代を除いてことしは大体二十四兆と想定をしておりますので、計画どおりの前倒しが実現をいたしますと、上半期に十九兆、下半期に五兆と、こういうことになりまして、上半期には相当な効果が出てくることは確実であると、こう思っております。要は、一時的によくなりましても、後半民間経済を含めました全体としての経済の力が出てまいりませんと、これはまた落ち込んでしまいますので、そういうことのないように、息切れがしないように、断層が生じないように、景気が継続するということを工夫するということが非常に大事な点だと、こう思っております。  いまの段階でそれじゃ何かほかの政策があるかといいますと、ほかに取り得る政策はないわけです。さしあたっては公共事業の思い切った前倒し、これしかありませんので、これに全力を挙げたいと、このように考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 建設大臣に伺いますけれども、この公共事業の前倒し八O%、これは執行状況はどうですか、前倒しの効果はいかがですか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) 今回の公共事業執行の前倒しは実に七七%、八O%近い前例のない大がかりなものでございまして、その効果と申しますか、前倒しの発注は大体非常に順調に進んでおるようでございますから、景気の回復等に相当な効果があろうと考えております。もっともこれは私どもの申し上げることじゃないかもしれませんが、景気、内需回復のための緊急の措置として、これがいまの場合には動員できる唯一の手段であるからということでやったと思うのでございまして、だからこれで十分だとかなんとか、そういうような考え方に出ているのではないのではないか、そういうことでございまして、影響には限度があると思いますけれども、その限りにおきましては相当な効果を挙げつつある、挙げ得るものと、かように存じております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 余りはっきりわからぬですけれどもね。そうすると公共事業、たとえば前倒し八〇%やると十月以降息切れしますね。建設省としては、公共事業の実態から考えれば平均的にこう流れていった方が企業の方もやりやすいわけですよね。しかし、上半期に政府の景気刺激策として、内需拡大策として前倒しをやるわけです。下半期どうですか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) とにかく前例のないような八O%近い前倒しでございますから、業界初め各方面では、これは下期には何かまた別に手が打たれるなと、こういうふうに理解をし、そういう期待を持っても私は別に不思議はないというふうに考えておるのでございまして、私といたしましてもその点についてはかねてから非常な関心を持ちまして、いろいろな機会に政府部内でもお願いをしておるところでございます。  その意味では、私は三つあると思うのでございまして、とにかく景気の動向、まあ外国の景気と国内の影響等いろいろお考えになるということでございまして、まあそういう点もあろうかと思いますが、八〇%を前倒しでやるわけでございますから、その施行は下半期にもずれると思いますけれども、とにかく下期におきましては受注の量が相当減少になるということはもう否定のできない事実だろうと思います。また、下期のことがはっきりいたしませんと、せっかく前倒しで受注をいたしましても、いまおっしゃるとおり、企業としては年間をならして事業をやるということが合理的経営の基礎でございますから、様子を見て進捗のテンポを緩めるとか、そういう前倒し発注が効果を上げないというようなことにもなりかねない。さらにまた、前倒し発注を仮にやるといたしますと、やっぱり年度内に竣工と申しますか、年度内にその工事が実際に行われるということが要件であると思いますので、私はその公共事業の執行面を担当する一部局を担当しておるわけでございまして、全体の調整ということを考える立場ではございませんから、そういう立場で言えば、もう立場は非常に単純でございまして、何とか時期に合うように、おくれないようにひとつこのことを決めていただきたいというのが私のかねてからお願いしておるところでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 かねてからお願いしていますじゃなしに、建設大臣、実際に、大体たとえば下期の公共事業の発注という点から考えた場合に、予算を組んだり明確にしなければならないタイムリミットはいつまでですか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) その点が私ども一番心配している点でもあるわけでございますが、やはり年度内に執行が済まなきゃいかぬという要請もございますから、できるだけ早い方がいい。それからまた、下期の方は別に何とか手当てができるということがわかることが安心して前倒しの工事を進める一つの理由と申しますか、にもなるわけでございますから、そういう意味で言えばできるだけ早い方がいい。  なお、私の申し上げることではございませんが、もし国会を開く関係等で実際に予算の補正をやることが遅くなるというようなことであれば、何らかの形でそういう政府の方針をなるべく早い機会に明示していただくということも一つの考え方ではなかろうかと思いますが、これは財政、経済政策の全般について責任を持っておられる、調整の責任の立場にあられる政府部内におきまして、そういう事情を十分御承知の上でただいまいろいろと御苦労願っていると思っておりますので、そういう方面の善処に期待したいと、かように考えておる次第でございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 まあ建設大臣一余り言葉を濁さないで、実際に、たとえば純粋的な公共事業の実態からいきまして、十二月に補正予算を組んで景気刺激できるのですか、後半の仕事のつなぎできるのですか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) いろいろと機微な問題に触れておられまして、私の立場ではお答えしにくいのでございますが、十二月、まあ二〇%まだ発注の済まない部分が残っておりますから、前後を勘案して考えますと、十二月になるということでしたら私がさっき申し上げましたように、何らかの形で下期はこうするぞという政府の方針のようなものを決めていただいて、それを発表していただければ、二〇%のものが残っておりますから、まあ、おくれることは歓迎いたしませんけれども、何とかなるかと思いますけれども、黙ったままでずっといって、十二月になって発注、補正を決めていただいても効果は少ないんじゃないかと、率直に申しましてそんなふうに考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 はっきり言えばいいんですよ。十二月じゃもう遅くて間に合わないということをはっきり言えばいいんです、閣内で。そんな言葉を濁していまやっている段階じゃないですよ、建設大臣。いま中小企業やこの公共事業に携わっている大ぜいの人たち、これは大変な苦しみをしなきゃならない、これから。こんな建設大臣の考え方でいったら、建設行政はおくれて困る。だから、やはりこういう点は早く決めなきゃならないというんならはっきり決めなきゃいけない。内需拡大策をサミットでも総理が約束してきたのだから、これは公共事業に集中するのだ。余り調子に乗って福祉も教育も全部切っちゃえというんじゃだめですよ、あなたそんなことを言っているけれども。そういうふうないろいろの具体的な景気対策をどうするかということを真剣に、私はまあきょうは建設大臣そこまでは言えない話だろうと思うけれども、経企庁長官どうですか、間に合いますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) さっきも申し上げましたように、上半期に八〇%近いものを契約し、ある程度は実行に移すわけでありますから、下半期も全体としての最終需要が減るということでは困るわけです。  そこで私どもの考えておりますのは、昭和五十四年の経済のことをきのうもちょっと申し上げましたが、昭和五十四年は民間の力が非常に強くなりまして、それで公共事業の量は前年と同じであったのですけれども、後半になりまして、これはもう翌年度に、五十五年度に繰り延べてよろしい、そこまでやらなくても民間の力が強くなった、こういうことで繰り延べたことがございます。そこで、いまの段階は上半期八〇%を実施することによりまして、これを誘い水にいたしまして民間経済の力を引き出したいと、このように考えておるわけです。  午前中も申し上げましたが、実質可処分所得もようやくプラスになってまいりましたし、それから貿易の方も後半はある程度期待できる、こういうことでもございますので、もう少し様子を見なければ民間の力がどこまで出てくるかは判断できませんけれども、もし出てこないということでありますと、これは何のために前倒しをやったかわかりませんので、その場合には当然最終需要が落ち込まないような全体としての景気対策というものをしっかり進めていかなければならぬと、こう思っておるのです。その点につきましてはすでに政府部内でも合意をしておりまして、衆議院の段階でも総理から御答弁になっておりますけれども、いまの段階はこういう激動期に指標がはっきりわかりませんので、もう少しここ一、二カ月様子を見た上で最終の判断をすると、こういう考え方でございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 そうしますと、具体的に九月の十日前後ですね、経済指標が出ますね、四半期の分。その段階で相当な景気対策をしっかりやるという、こういう考え方でございますか。あるいは大蔵大臣、補正予算を九月に組んでもこの景気対策をしっかりするという考え方ですか、両者に……。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 要するに、全体としての景気の動きを見まして、そして下半期の最終需要が落ち込まないような、そういう判断をすると同時に対策を立てなければならぬということをこれまで繰り返し申し上げておるところでございます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) その結論をお話しする前にちょっと前提をお前提さしてもらいます。  公共事業をふやせという御議論がございます、景気対策のために。じゃ景気が軌道に乗ったらば公共事業は減らしてようございますかという問題が一つ出てまいります。ところが、いままでは公共事業を減らせと、景気が出ても一遍ふやした公共事業が減らない。なぜか。いろいろの問題点がございます。中には、政府が公共事業をふやすと言ったから、だから機械も買った、人も雇った。再来年になったら、今度は景気が出たからといって公共事業を減らしたら、私は土木しかやってないんだ、どこへ行くんだね、失業ができる、減らされちゃ困るというものの繰り返しをいままでやってきておるわけであります。その結果は、結局、借金がどんどんたまってにっちもさっちもいかなくなるという状態もあるわけでございますから、景気対策に公共事業を使うという場合は、どうしてもそれをやらなければこの難局は突破できないという決意があって、臨時の措置としてそれはあらゆる犠牲をおいてもふやすと、そのかわり順調になったときには直ちに減らすと。失業がそこで出てもこれは仕方がない。ほかの産業に景気を転換してもらうという決意がないと、公共事業を景気対策にただ採用するということに問題点が一つございます。これは財政の問題を抜きにいたしましてもそういう問題がございます。  それから一つは、景気全体のことを私は言っておるわけでございますが、世界的に前半が落ち込んで悪い、後半がよくなるという見通しなんですね。それは公共事業だけで世界経済が動いているわけではありません。要するに、日本のような場合は、特に個人消費支出というものが全体のGNPの六割近いシェアを占めておる、公共事業は九多のシェアだと、それから民間設備投資は一五だということになりますと、景気が出てきて民間設備投資、住宅着工等がふえれば何も公共事業をふやさなくとも同じ建築――土木の力はちょっと問題がありますよ、土木の方は。民間で土木というのは余りありませんから、発電の開発とかなんかございますが。しかし、建築その他については、何も公共事業と言わなくたって建築の方がふえるんじゃないか。設備投資がふえればその方に労働者の地域別な移動というものが行われるでしょうけれども、失業がなくてそれはそのまま継続されるということもございます。したがって、われわれといたしましては、まずその落ち込みの多い前半を落ち込まないために前倒しをやってきておるわけですから、その結果、後半が物価の安定に伴って実質消費支出が去年と違ってことしは三%、四%ふえておるわけですね、去年はゼロだとかマイナスとか言われたものが。そういうものが、実質的な消費支出がふえることは、六〇近いGNPの中で持つ消費支出のシェアという点から考えて、景気に大きな影響があると、これは通説なんですね。したがって、それらの動向も見ながら、九月に経済のいろんな諸指標を照らし合わしてみて、それでさらに公共事業その他をやらなければ日本経済がもっと非常に困る状態になるという場合には、これは優先順位の問題ですから何を優先するかと。限りある財政の中でやるわけですから、そのときはもう政策の優先度をどれにとるかというと傾斜的にやらなきゃならない。したがって、そういうような問題も含めて考えていくことでございますので、いまの段階でともかく九月にすぐ臨時国会を開いて云々ということまでは私は考えていない、もう少し様子を見さしてもらって、いずれにしても優先順位を決めて適切に対処していくということが賢明であると思っております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は、いまの大蔵大臣の答弁、全面的に否定するわけじゃないんです、前提はね。しかし、ことしは内需拡大をしなきゃならないということで公共事業の八〇%の前倒しをやったわけですね。後どうなるんだろうという不安があるわけです。それに対する対応は九月に明確にしなきゃならないという点だけは、これは御理解いただけるでしょう。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それもいま私が申し上げましたように、建設業者というのは公共事業だけで生活をしているわけじゃないんですね。仮に少なくとも民間の設備投資が工場とか住宅とかなんとか、そういうものがふえれば仕事はあるわけですから、お国の仕事でなければ仕事じゃない、何も、民間の仕事でも仕事ならいいわけですね。したがって、その方がふえるかふえないかが問題なわけですから、ですから仮に民間の仕事はふえないんだ、景気はもう盛り上がらないんだという前提に立って、その方はもうだめなんだと、だから公共事業しかないんだという前提に立てば、私は先生のような意見があるかと思います。しかし、私は必ずしもそういうような前提にいま立っておらないわけです。ことに、この公共事業の前倒しといいましても、それは九月までに契約を七七%するということでございますから、契約が終わって仕事がなくなっちゃったという話じゃありません。それから数カ月分の仕事をたとえば八月とか九月、九月になって契約したものは、一カ月ぐらいでできる公共事業というのはないわけですから、四カ月とかあるいはものによっては五カ月とか三カ月とかかかるわけでして、仕事はずっと続くわけですね。じゃ、前半に公共事業は何ができるかといっても、夏の間、梅雨時期、水の出るときというようなときには河川工事といったってなかなかこれはむずかしい。水田の圃場整備事業といったって、これはたんぼに水がかかっていて、これはごく少数なもの以外はむずかしい。非常に制約があるわけです。大水が出たのじゃ皆流されちゃう。したがって、どうしても七七契約しても、実際にそれではできる仕事は何ぼあるんだということになりますと限られてくるわけですね、限られてくる。事業量というものは九月、十月、十一月と続くわけですから、したがって九月になったのでは遅過ぎるということには私はならないんじゃないか。そこらのところをよく見きわめて政策の優先順位を決めてやりますから、どこかは抑えられるということになるわけですから、したがってそういう点を慎重にやって、しかも時期を失しないように経済企画庁などと相談をしながらやってまいりたいということを申し上げているわけでございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は、たとえばいまよく報道されているように、総裁選に絡めて十一月あるいは十二月に補正予算を組もうとか、こういう問題で経済を左右させちゃいけないと思うんですね。たとえば、十二月に補正予算を組むとしますね、仮定ですよ。この場合に、国債の消化は恐らく困るんじゃないかと思うのですよ、国債消化が。それから、五十七年度の歳出カットをやろうとしたって十二月以降じゃ間に合わぬでしょう。それから、十二月に実際に補正予算を組んだところで、たとえば景気刺激をやろう、公共事業をやろうとしても、これはなかなか効果は出ないじゃないんですか。こういう点を考えたときに、はて私は選択できる範囲――確かに経済指標は出ていないということはいろんな問題があるでしょう。しかし、九月というときは一番大事なときであります。あるいは十月というのは一番大事な――本年度の景気刺激あるいは今後の税収の問題を考えたときも財政再建から言っても非常に大変な問題じゃないか、この九月を逃してはならないんじゃないかというのが私の意見なんです。総理、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は外遊から帰ってまいりまして、早速経企庁長官、大蔵大臣、官房長官を交えまして財政、経済の問題全般につきましていろいろ意見の交換をいたしたわけでございます。それはサミット等でいろいろ各国の経済情勢等もある程度承知する機会もございましたので、その際に、とにかく五十七年度予算の執行に当たっては景気の動向、経済の動き、こういうものを十分注意深く見ながらこれを進めていこう、特に公共事業の思い切った前倒し等もやっていく、住宅の問題にも力を入れていくと。そして一番大事なことはやはり何といっても物価の低位安定であるというようなことで、そういう方向で意見の一致を見たわけでありますが、それから先の、いま三木さんからお話のございました、九月にはいろんな経済指標がそろいます。そういうものも十分見て、そしてその時点でまたひとつ経済政策等の問題をこのままの状況を押していっていいのか、その際に公共事業を初めいろいろの新たな必要な措置を、手を打たなければいけないのか、それはその時点でひとつ十分協議をしながら進めていこう、こういう考え方でございまして、その点は十分注意深く経済や景気の動向を踏まえながら機動的に、機を失せずに措置をしていく、こういう方針で取り組んでまいりたい、こう思っております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 九月の大事なときを、時を逸しないように、私はもう補正予算を組むなり、あるいは内閣宣言するなり、いろんな手を打って国民に不安のない財政運営、経済の指標を示していただきたいと思うんです。  経企庁長官に伺いますけれども、「新経済社会七ヵ年計画」をフォローアップされたわけですけれども、この五十六年から六十年までの平均の成長率、名目九・五、そして実質五・一というのは、これは余りにも高過ぎるのじゃないか、これを見積もって税収を立てていますから、非常に狂いが出てくるのじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 現在の七カ年計画は五十四年の八月に正式に決定をいたしまして、五十年代後半のわが国の経済社会の発展をどう考えるか、この指針をつくったわけでございますが、いま御指摘のように、毎年実情に合わせましてフォローアップをいたしております。御案内のように、当初は六十年度のGNPを約四百二十兆と想定をしておりました。そして、実質成長七年間平均五・七%成長、このように考えておりましたが、五十四年度は、御承知のように経済の状態が比較的よくて、公共事業を繰り延べいたしましても四十五年基準で六・一%成長を達成した年でございましたので、その時点での七カ年計画のスタートであったということから、こういう数字も出てきたのだと思いますが、その後何回かフォローアップをいたしました結果、この一月のフォローアップでは名目GNPを約五十兆縮小しております。約三百七十兆、このように想定をしております。また成長率も、五カ年間平均五・一%、このように修正をしておりますが、この点が一番大きな違いであった、こう思っております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 これは五十四年からスタートしてフォローアップしたけれども、これはちょっと高過ぎる、こういう点で中期経済計画を改定するという考え方になっているのですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) これは、実は昨年の五月に経済審議会にこれから約二十年後、二十一世紀を展望して世界がどのように変化をするのかまた日本がどのように変化をするのか、あらゆる角度から作業をしてみよう、こういうことで百二十八人の専門家を委嘱いたしまして一年余り熱心に議論をしていただきました。ようやく議論がまとまりまして、つい先ごろ正式の報告を出していただきましたが、それによりますとやはり相当な変化がある、こういう指摘があらゆる分野でございましたので、それを受けまして五十八年度を初年度とし、昭和六十二年度を最終年度とする新五カ年計画を世界の実情、日本の実情に合わせてつくりたいということで七月から作業に入りたい、このように考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 そうしますと、それはいつごろできる予定ですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) これは先ほど申し上げました長期展望委員会の答申等も参考にできますので、大体アウトラインは十二月にできようかと、こう思っておりますが、何分にも膨大な作業でございますから、最終の仕上げは来年の三、四月ごろまでかかろうかと、こう思います。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私は、五十六年あるいはこれはまだ進行中でありますけれども、五十七年と経済見通しが大きく違ったということは、二年連続大きく――経済ですから、動いておりますから一〇〇%当たるということはないと思いますけれども、余りにも違い過ぎるとやはり国民が信頼をしなくなってくるという点、それからやっぱり税収に大きな影響が出てくるという点を、これはわが党の試算でも、五十八、五十九、六十、弾性値をいろいろ計算しましても非常にむずかしい問題があるわけですよ。だから、総理の言っている増税なき財政再建なんかというのは、もういつまでも公約守っていること自体が私はおかしいのじゃないか、何を狂ったことを言っているのだろうという、国民の方が理解していると思うんですよ。こういう点をやはり明快にするということは、私は生きた経済を動かす立場からいって非常に大事な問題じゃないか、問題を何でも先送り先送りしていくというやり方は私は許せないと思うんです。  もう一つ、これとは別に、行革の問題で一点伺っておきます。  これは五十八年度の予算にこの行革の臨調の答申を生かすのかどうか、この点についてお伺いします。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 五十八年度予算はこれから概算要求そのほかで編成が進むわけでございますけれども、もちろん昨年七月十日の第一次答申及びその後いろいろつくられました答申等につきましては、五十八年度予算におきましても生かされるものと考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 臨調答申が、七月に答申を受けるというのはこれは何か最初からのルールだったのですか、それとも政府からの要請ですか。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会のスケジュールは、臨時行政調査会が独自におつくりになりまして、そのスケジュールに沿って七月に基本答申を行うということになっておるのであります。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 私の思い違いかもしれません、言い過ぎかもしれませんけれども、この臨調の答申を八月の二十一日の国会が終わった後に答申を受けようというようないろいろな動きがあるということも新聞で報道されているわけです。また行革の問題を持ち出さないようにということで、そしてこの答申をおくらそうというような考え方があるそうでありますけれども、これに対しての長官の意見はどうですか。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 別にそういうことはございません。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 まあ聞けばそういう公式答弁よりかできないと思いますけれども、これはやはり行革を推進し、財政再建をやるという立場あるいは五年十年かかるかもしれませんけれども、やはり大改革をやるというその決心を私は忘れちゃならないと思うんです。そのためにいまの委員が昼夜なしにやっているわけですから、これも大事にしなければいけないということを私は強く申し上げておきたいと思うのです。  それから運輸大臣、郵政大臣に伺いますけれども、臨調の部会報告に対する見解がずいぶんあちらこちらでいろいろ反対をされているわけでありますけれども、この点についてはいかがですか。

箕輪登自由民主党郵政大臣

○国務大臣(箕輪登君) 第四部会の報告書がまとまりまして、いま第二臨調は部会報告を受けて鋭意検討中であると承知をいたしております。したがって、政府の一員である私から申し上げますと、審議を見守りたいと、こう考えておりますが、いまなお郵政省の考え方を臨調の求めに応じ、あるいは機会を見て臨調といま話し合いをいたしているところでございます。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 第四部会の報告は現有臨調の本委員会で慎重に検討しておられると伺っております。したがいまして私、現在この本委員会の御審議を見守っておるところでありまして、結論が出まして政府に答申がありました場合には、十分にそれを吟味し、また内閣全般で十分協議をして対応してまいりたいというふうに考えております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 時間がないので、なかなかこれは詰められませんので残念ですけれども、あと残された時間二分でございますので、防衛問題を一点だけ伺っておきたいと思うのです。  昨年の日米共同声明等によりまして、シーレーンの問題がなかなか理解できないような問題があるわけです。防衛庁はこのシーレーン構想についてどういうふうな考え方を持っているのか、この際明確にしておいてもらいたい。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 基本的な考え方を申し述べます。  わが国の潮上交通の安全にとって脅威となり得るものは、一般的には潜水艦、水上艦艇及び航空機であると考えております。したがいまして、自衛隊は有事において、これらの脅威からわが国の輸送船舶の航行の安全を確保するため行動することになるものでございます。  その海上交通を保護する方法としては、水上艦艇や対潜哨戒機等による船団護衛のように直接的に船舶を防護する方法と、対潜哨戒機によりまして広域哨戒や、水上艦艇等による対潜掃討により脅威を少なくし、あるいは少ないことを確認した上で航路帯を独航させることによって間接的に船舶を防護する方法があることは、従来からしばしば申し上げておるとおりでございます。この場合、船団護衛のような直接的な船舶の防護の方法によるかどうかということにつきましては、脅威の状況等によって判断することとなります。いずれにいたしましても、「日米防衛協力のための指針」において自衛隊と米軍は海上交通保護を含む海上作戦を共同して実施することとしております。この場合、「米海軍部隊は、海上自衛隊の行う作戦を支援し、及び機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、侵攻兵力を撃退するための作戦を実施する。」こととなっております。  以上が基本的な考え方でございます。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 このシーレーンの問題については、アメリカ側のいろんな情報、ワシントンからの情報をいろいろ分析しますと、日本がいわゆる一千海里海域の防衛強化に一歩を踏み出した新しい夜明けだとアメリカは見ているわけです、このシーレーンの問題については。五六中業でシーレーン防衛は完成すると、こう見ていいですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま御指摘の中に、アメリカ側が最近わが国が一千海里の防衛ということについて一歩踏み出したといったような評価をしておるという御趣旨の御発言がございましたが、先生よく御存じのように、この点はむしろわれわれは従来から言っておることでございまして、特段新しくそういうことで一歩踏み出したというわけではございません。  なお、五六中業でどうなるのかということでございますが、五六中業は、すでに昨年の国防会議の御決定にもありますように、防衛計画の大綱の水準に到達することをめどにするということで現在作業をやっておりますが、この作業ができまして、防衛計画の大綱の水準に到達することができるということになりますれば、私どもはシーレーンの防衛につきまして、現状に比しまして格段に能力がアップされるものと期待いたしております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 そうしますと、五六中業の達成で、アメリカも要望している、あるいは日本が考えているこのシーレーンは一致するわけですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) アメリカはこの点につきましては、いろいろ日本の海上防衛力の整備につきまして、もちろん海上防衛力だけではございませんけれども、海上防衛力の整備につきましてもいろいろ見解を持っておりまして、われわれに対していろいろ期待を言っておりますけれども、われわれといたしましては、防衛計画の大綱の線に到達することを目下やっておるのだということで終始一貫をしております。  そういう点で、私どもは防衛計画の大綱の線に到達し、それによって相当の能力アップを図っておるということでございますけれども、アメリカの方では、一千海里の防衛あるいは日本が言っております周辺数百海里の海上防衛ということだけでも、さらに相当の努力が要るのではないかというようなことは言っております。そういう意味では必ずしも両者の見解が一致しておるわけではございませんけれども、私どもとしては、そういった内容につきましては、今後とも日米協議の場でいろいろ話し合いを続けていく必要があると思っておりますけれども、私どもの目標につきましては、先ほど来申し上げておるとおり、防衛計画の大綱の線になるべく早く到達したいということを終始一貫して申しておるわけであります。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 これはやはり日本側の千海里に対する防衛力、シーレーンに対する考え方も明確にしておくということが私は大事だと思う。いつも引きずられて、そして言うがままに拡大してそれでだめだと、こういうふうな感覚ではだめだと思うんです。たとえば三海峡封鎖なんか現実的にできるんですか、どうですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 三海峡の封鎖の問題につきましては、かねてから、わが国の自衛上やむを得ない場合に必要最小限度の措置として封鎖することもあり得るということは申し上げてきておりますが、その際に、いまのお尋ねの一体できるのかという点でございますけれども、これはまず前提にぜひ御理解いただきたいのは、仮に海峡の封鎖をするということになりましても、封鎖の態様はいろいろあるわけでございます。潜水艦、水上艦艇、航空機、ヘリコプター、いろんなものによる封鎖があり得るわけであります。その中の一つとしてもちろん機雷封鎖ということもあり得ます。いずれの封鎖をとるのか、あるいはその場合、その封鎖しようとする場合の状況、特に相手方との間の制海権、制空権の把握している状況、そういうようなことによって、あるいは封鎖する目的、どの程度の度合いの封鎖をするのかということによって一々状況が異なりますから、わが国の自衛隊の能力で封鎖ができるとかできないとかということは、なかなか一概に言えるものではないというふうに私どもは思っておりますが、そういうことをひっくるめて総じて言えば、現在のわが国の自衛隊の能力だけをもってすれば十分ではないということが言えるかと思います。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 それを増強するためにいろいろアメリカから言われている。  もう一つは、この千海里の防衛に関して洋上防衛はどういう考え方に立っているのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま洋上防衛と言われましたが、洋上防空のことだと思いますが、洋上防空、特にシーレーン上の洋上防空につきまして、かねてからアメリカもいろんな期待を表明いたしておりますし、国会等でもいろいろ御議論をいただいておりますが、私どもが現在の時点で言えますことは、わが国の航空自衛隊のエアカバーのできる範囲までについては、当然航空自衛隊の戦闘機部隊の防空ということを期待できますし、また現に考えていく必要がある。ただ、航空自衛隊のエアカバーの範囲というのはおのずから限度がございますから、それから先の洋上防空につきましては、私どもは海上艦艇部隊の対空能力を充実するということによって現在のところ対処するということを考えておるわけであります。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 三木君、時間が来ております。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 あともう一問で終わりますから。  日本列島から南西諸島にかけて三カ所程度の基地をつくってフィリピンに至るまでの海域の制空及び偵察能力を高めると、こういうふうな考え方に立っておるわけですね。アメリカ側の要請あるいは防衛庁との話し合い、こういう点を考えますと、この千海里防衛というのは、非常にシーレーンの問題は歯どめがない。私は必要最小限の自衛力は必要だと思う。しかし、歯どめのないこの軍拡というものは、やはり防衛庁としてシーレーンに対するはっきりした歯どめをつくっておくべきだ。この点を強く主張したいわけでありますけれども、これに対する答弁を伺って私の質問を終わります。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) いま最初に、ちょっとよく聞こえなかったのですが、三カ所の基地というふうに聞こえましたが、どういう個所を具体的に指しておられるのかちょっとわかりませんけれども、私どもいまのところ別に新しい基地を考えておるわけではございません。  いずれにしましても、歯どめがないではないかという御趣旨でございますけれども、それは先ほど来何回も申し上げておりますように、私どものシーレーンの防衛に関する防衛力の整備につきましても、防衛計画の大綱の水準をめどとして整備を図っておる、その場合、航路帯にあっては一千海里程度の防衛ができることを目標に防衛力の整備をしておりますということをかねてから申し上げておりまして、その点で私どもは、いまのような歯どめがないではないかという御心配に対しては、従来からそういうお答えをしてきておるわけであります。

三木忠雄公明党・国民会議

○三木忠雄君 まあ異論はありますが、時間ですから。どうもありがとうございました。(拍手)

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で三木忠雄君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、寺田熊雄君の質疑を行います。寺田君。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理にお伺いいたします。  先般、三木元総理が総理に対して、現在の日本の政治は田中角榮君によって支配されておる、憂慮にたえないという趣旨のお話があったというふうに新聞紙上報道せられておりますが、こういう事実があったのでしょうか。また、それに対して総理はどのようにお答えになったのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、サミットや国連総会、ペルー、ブラジルの外遊の報告に上がったわけであります。一連の報告が終わりました段階で三木さんから、六・八判決も出ておる、政界の倫理を正していくということは非常に民主政治擁護の上からきわめて大事なことだ、世間ではいろいろ自由民主党が一部の政治家によって大きな影響を受けておるというような批判もあるが、その点はお互いに気をつけなければいかぬなと、こういう御趣旨のお話がございました。私は、三木さんが愛党の立場から、しかも高い立場からそういう御意見を述べておられるわけでございますから、非常に大事に受けとめておりますし、三木さんに対しては、そういう御心配あるかもしれませんが、私は党内各方面の意見を聞きながら全党的な立場で党の運営に当たっておりますから、何かお気づきの具体的な点がございますればその都度御注意をいただきたい、これが三木さんとのそのときのお話でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま総理は、一部の政治家と三木さんが言ったとおっしゃいましたね。それは田中角榮という具体的な名前は三木さんはおっしゃらなかったのでしょうか。また、おっしゃらなかったとしても、やはりそういう趣旨のお話だったのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そういうニュアンスのお話であったと私は受けておりますが、私はそれに対して、いま申し上げたように、私は党総裁として全党の意見を十分聞きながら党の運営に当たっておりますから、何かさらに具体的な問題について御注意をいただくようなことがあればお話をいただきたい、こう言っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま二階堂幹事長の問題が証人喚問に関連して非常にやかましいわけですが、橋本登美三郎、佐藤孝行両氏の判決が、二階堂氏に五百万円の賄賂性の金員を配付したかどうか、その点を明確にしておるかどうかという点で解釈の相違があるようですね。ここで事実を明らかにするために法務省の刑事局長に、伊藤宏は二階堂氏に対して五百万円を提供した、交付したということを法廷で宣誓の上証言しておるかどうか、まずこの点を伺いたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの点でございますが、そのことはこれまでにも新聞報道等でも出ておりますし、また国会でもお答えしたことがあるわけでございますが、お尋ねに即して申しますと、伊藤宏証人はお尋ねの事実につきまして証書をしているところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理、よくお聞き願いたいのですが、判決は伊藤証言を十分信用に値するとはっきり書いているんですよ。その信用に値する理由の中に、「被告人橋本のほか、自己が金員の配付方を分担した二階堂についても、その交付状況等を具体的に供述していること」ということを挙げているのですっぽり二階堂氏に金員を交付したと、自己の分担に応じて。そのことを明確に証言しておることも、伊藤証言を十分信用に値するということの一つの理由にしているのです。ですから、判決が二階堂氏が金員を受け取ったということを認定しておることは文面上明らかなんですよ。いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 三権分立のもとで、行政府の責任者である私が判決の内容についてあれこれ批判めいたことを申し上げるということは遠慮をしなければならない、このように考えます。(「どう書いてあるかということを……」と呼ぶ者あり)どう書いてあるかという問題は刑事局長に説明いたさせます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どう書いてあるかということを刑事局長に聞く必要はないんです、いまお読みしたとおりですから。私どもが判断すればいいことですよ。そして私は総理にそれを、批判を伺っているんじゃないんです。総理は、この判決を厳粛に受けとめるとおっしゃったでしょう、すでに。厳粛に受けとめるならば、その判決が、裁判所が認定しておる事実を厳粛に受け取るべきじゃありませんか。判決そのものを受け取るということは、判決の内容を厳粛に受けとめるということでしょう。いかがです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は大分、刑事局長といままで各委員との間にやりとりのあった問題で、私も注意深く聞いてまいりました。そういう伊藤氏の証書を非常に信用し、それに基づいてあのような判決文になっていると、こういうことも述べられております。しかし、一面において二階堂氏その他にはっきり渡した、受け取ったというところまではきめつけていない、明らかにしていないというような説明も、刑事局長からも説明があったと、このように私は記憶をいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この判決は二階堂氏に関する判決じゃありませんから、そんなことを判決に書くことこそ余事記載なんですよ。そうじゃなくて、橋本に渡したということを詳細に述べておる、そのことも伊藤証言を信用するに足る一つの理由であるということを言っているわけです。これで、言外に二階堂氏に渡したということは明らかではありませんか。ですから、そういう何か顧みて他を言うようなことでこの問題をはぐらかしていただきたくないんですが、私はこういう判決がはっきり認めておるのを、ことさら天地神明に誓って私は受け取ってないという、その不正直さに耐えられないわけですよ。  かつてイギリスでプロヒューモ事件というのがありました。プロヒューモ陸相が議会でうそを言った。マクミラン首相は、そのキーラーというコールガールを抱いたとか抱かないとかいうことは問題じゃないんだと、議会でうそを言うことが問題なんだということを言ったでしょう。そうじゃないですか。こういう裁判所の認定と真っ向から対立するそういう疑惑、うそつきの人、そういう人を幹事長に現に総理が任命して国政の枢機に参画させているということこそ問題なんでしょう、政治倫理の立場から。私は、これを幹事長は自民党内部の問題だと言って逃げようとせられる総理のおっしゃる弁明には承服しかねるのですが、いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま寺田さんはうそをついているとかというようなことを言っておられますが、まさにその点が証人喚問として証言を求めておられると、早く各党の国対委員長の合意に基づいて、そして議院証言法の改正をやって、そしてその上で証人の喚問をする、また本人もああいう上申書まで議長さんあてに出しておるわけでございますから、そういう際には進んで証言をしたい、明らかにしたいと、こういうことを言っておるのでございますから、それがいまわれわれが努力しておる問題でございまして、あなたと私が、いやその真相はどうとかこうとかここで論争をしても結論の出る問題ではない、こう思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 しかし、総理御自身が厳粛に受けとめると言った司法の中の裁判所の判決がはっきり認定しているんですからね、私はうそをついているということをはっきり申し上げるのですよ。ともかく、そういう裁判所の判決でそこまで認定されておる人、これはやっぱり国民から大変な疑惑を受けることは間違いないでしょう。そういう疑惑を受けている人を国政の枢機に参画させるということ、これはわれわれにとって耐えがたいことなんですよ、ですから私は申し上げておる。総理は当然こういう疑惑を国民から受けておる人、これは政治に対する国民の信頼を傷つけるものですから、私はこういう人はかえるべきだと思いますよ。いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) その問題は六・八判決が出る前、すでに二階堂氏を党総務会長に選任をされたそのときから出ておる問題でございます。党三役という重要な立場に……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 しかし、判決はありませんでしたよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ええ。しかし、いま申し上げるように判決につきましては、本人は上申書まですでに出して身の潔白を主張しておる、そしてその問題については議院証言法さえ各党の合意に基づいてでき上がれば自分は進んで証人として出席をすると、こういうことも言っておるわけでございます。  それから、そういう二階堂氏を私が党の総務会長なりあるいは幹事長なりに据えたことについての、任命したことについての私の心境について寺田さんはお尋ねでございましたが、私は、二階堂氏はこの問題については自分としては身の潔白を天地神明に誓って信じておるけれども、世論の批判なり疑惑を受けておるということはきわめて残念である、そういうことをよく謙虚に受けとめて身を正し、そして精進努力をしていま国政に当たっておる、その後選挙におきましても二回も選挙の洗礼も受けておる、こういうことでございまして、私は、二階堂氏は党内からも強い信頼を受けておる、またその真摯な努力に対しては党員の諸君もよくそれを評価をしているということでございますから、私は二階堂氏を幹事長からあなたの御発言があったからといってやめさせるわけにはまいりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなたは二階堂氏が選挙によって洗礼を受けたとおっしゃるけれども、選挙で当選したからその人の悪業が消え去るものではないでしょう。これはお認めになるでしょう。選挙で選ばれたからといってどうしてその人の人格なりその人の性格なりが変わるんでしょう。そんなことはあり得ないですよ。また、過去に犯した過失がそれによって解消されるというものでもないですよ、そうでしょう。  それから、三木元総理のおっしゃったように、二階堂氏が田中さんの分身だということがいろんなことからわかります。ですから、結局二階堂氏を幹事長に据えておくことが、一番刑事被告人である田中氏が結局自民党に大きな影響力を及ぼしておるということの証憑みたいなものですよ。ですから私は、やめさせた方がいいと申し上げておる。これはやはり田中と二階堂というものの二人の非常に唇歯輔車の緊密な関係というのは総理もお認めになりましたね、三月十六日の私の質問に対して。その後やはりそれを証明する事実が幾らでもあります。ですから、私はかえるべきだと主張しているわけなんですが、その点、事柄はお認めになりませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 寺田さんは、二階堂氏は悪いことをしたと、こういうことをいま言われましたが、その点がいまこの政治的、道義的な問題として国会で証人喚問して明らかにしようと、そういうことがあなたがおっしゃるようにもう悪いことをしたということで決まっておるのであれば、これは国会で証人喚問までやる必要を待たずに明らかである、こういうことになろうかと思いますが、その政治的、道義的な点をただすために証人として喚問してやろうというのがいまの時点の国会の問題としていろいろ与野党で話し合いがなされておると、私はそのように承知をいたしておるところでございます。  それから、三木さんがどう言ったとかこう言ったとかいうことは、これはあなたが三木さんとお会いになってその点は確認されればいいことであって、私に対してその問題をどうこう言われても、私はそういうことで私の判断をどうこうというわけにはまいりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 二階堂氏の言動は不審なことばかりなんですよ。二階堂氏は自分は潔白だと言われた。確かに総理、証人に出なくても五十一年の十一月四日のロッキード委員会で長々と自分は潔白だということを弁明しておられるんです。そのときに、どうしても自分は耐えがたいから伊藤に対して「名誉棄損による民事上、刑事上の責任を追及する所存であります。」「それ以外に私の立場を救済する方法はありません。」と言っている。それで民事訴訟を提起した。ところがそれを取り下げてしまった。取り下げの理由たるや何人も理解しがたいですね。公人が私人に対して訴えを起こすなんというのはどうも大人げないという全く理屈にならないことを言って、それ以外に方法がないと言ったその訴訟を取り下げておるのですよ。不審きわまるじゃありませんか。何で、これしかないというなら続行しないんですか。不審きわまるでしょう。  それからまた、証言法を改正しなければ出れないというのがおかしい。すでに中曽根さんも証言しておられる、証人として堂々と。そして人権を侵害するかどうかと思われたときは敢然と異議を申し立てておる。  中曽根さんにお伺いする。  一体あなたは証人にお立ちになったときに人権を侵害されたのですか。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) やる前から、またやっている最中から刑事訴訟法や民事訴訟法に比べて著しく法的欠陥がある制度である、そう思っておりました。それで私が証言した最後のときにこれをもって最後にしてもらいたいと、私をもって最後にしてもらいたい、新しく証言をやる人がいる場合には改正して、その新しい法律によってやるようにしてもらいたいと、そう申し上げまして、原さんが委員長でしたけれども、委員長がこううなずいて、ほかの野党の委員の皆さんも黙って黙示の承認を与えたものと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっとよく問いに答えてください。  あなたは人権を侵害されたかどうか伺っておる。もし侵害されて、どこがいけなかったのです、法のどこがいけなかったのです。それをおっしゃってください。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 私みたいな心臓の強い男なら何でも切り抜けますけれども、心臓の弱い人であったらとても耐えられないような制度のもとにあると思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 答えてないですよ。人権を侵害されたかどうかを伺っているのです。(「強い人と弱い人と二つ法律をつくらなければいけないじゃないか」と呼ぶ者あり)

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本国民は憲法によりまして法のもとに平等でありますから、一つの法律のもとに、そしてやはり刑事訴訟法や民事訴訟法と均衡を得た方法で法律が行われることが望ましい。私は実際やっておりまして、そして実はメモもないわけです、ノートも置けないわけです。しかし、聞く方はメモを持ち、ノートを持ってやっておるわけです。そういう意味において非常に記憶を戻すのに苦労いたしました。そういう意味におきましても非常に法の不備があり、ある意味においては刑事訴訟法や民事訴訟法における証人よりも人権が侵害された状態で行われたと、そう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どこがです、具体的におっしゃってください。どこを、どういうふうに人権が侵害されたのです。あなたはメモを持っておられないと言ったけれども、裁判所でもメモを持って証言しちゃいかぬことになっているのですよ。その点同じですよ。大変な誤解があります。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 資料という意味です。  質問する方はあらゆる資料を持ってやっておるわけです。しかし、われわれの方は何ら資料を持てない。また普通の場合なら弁護士がおりますけれども、もちろん弁護士もいない。私はそういう点はよく注意して応答をいたしましたからよかったと思いますが、しかし、やはり刑事訴訟法や民事訴訟法と同じように弁護士というものを置いておく必要はあるのではないかと思っております。私、自分の経験からそういうことを感じたわけです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは全然でたらめです。裁判所でも証人の場合は傍らに弁護士なんか置かないですよ。またメモを持って証言なんかしてはいかぬことになっているのですよ。裁判長が特別に許可を与えた場合だけに限りそういうことが許される。だからいま中曽根さんのおっしゃったことは、全く法律と違ったことを言っていまの自民党の態度を弁明せんとしておる。いかがです、これ。まるっきり違うじゃないか。  ちょっとそれでは刑事局長に伺った方がいいかもしれない。  一体証人は、いま現行法で、そばに弁護士を置いて尋問を受けておるかどうか。またメモを持って、資料を持って証言することが原則になっているかどうか。全く違うと思うが、はっきり言ってください、あなたはどうもいままではっきり言わないから。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 裁判所におきまして証人尋問が行われる場合に、証人につきましては寺田委員の仰せになるとおりでございます。  ただ恐らくおっしゃいましたことは、証人と被告人との関係のような、その辺に問題があるということではなかろうかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま総理お聞きになったでしょう。大体証人に弁護士をつけたとか、それから資料を持って答弁するなんということはないんですよ。  それから、いまいろいろと自民党が言っておることですね、これは刑事訴訟法にもないんです。これは刑事訴訟規則にあるんです。その規則でもやはり誘導尋問が許される場合があるんです。それから意見を聞かなければならぬ場合もあるんです。それから時には何といいますか、議論にわたる場合もあるんです。これは私の言うことが本当だということを証明するために、ちょっとそういう点に関する刑事訴訟規則の条文を刑事局長に読んでいただきましょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの条文のことでございますが、刑事訴訟規則に証人尋問をする場合の遵守事項と申しますか、そういうことが規定されてございます。恐らく刑事訴訟規則の百九十九条の三の規定、さらに百九十九条の四の規定をお指しになってのことであろうと思います。  そして、まず内容を概略申し上げますと、百九十九条の三におきましては、三項で、主尋問においては、原則として誘導尋問をしてはならない。ただし、ということで、七項目にわたりまして誘導尋問をすることができるということが書かれております。また、百九十九条の四におきましては、反対尋問においては、誘導尋問をすることができると、こういうふうになっておるわけでございますけれども、この主尋問、反対尋問といいますのは、御案内のとおり、刑事訴訟におきましては原告、被告と申しますか、検察官と被告人、弁護人と、こういう両当事者がいる場合のことでございまして、国会における証人尋問とは前提が違うのではないかというふうに思うわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは刑事局長がとかく政府側に有利にしよう、しようと言って、よけいなことを言ったり、隠したりするのは大変みっともない話で、私は司法部の先輩としてちょっと申し上げるが、あなたはそういう政治的なものを持たぬでもいいのです。ありのままを答弁すればいいんです。全くそれは司法官としてはみっともないですよ、あなた。  もう一つは、百九十九条の十三の第二項、これは重複尋問を認める場合がある、それから議論を許す場合もあるというふうなことの規定があります。これをちょっとあなた説明してください。もうよけいなこと言わぬでいいから。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 私は決して政治的な御答弁をしているつもりはございません。結局、先ほど申しましたように、百九十九条の三と百九十九条の四の規定を申し上げただけでは、それがまさに刑事訴訟法の問題であって、議院証言法の問題のようにまた誤解されてはいけないと、こういう意味でつけ加えただけでございます。  さらに、お尋ねの百九十九条の十三、これは御指摘のように、威嚇的あるいは侮辱的な尋問であるとか、あるいは重複尋問であるとか、そういうものを原則として禁止しております。これも訴訟関係人が尋問する場合ということであることを条文に書いてありますので、事務的に申し上げます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 結局、こういう誘導尋問をしてはいかぬとか、重複尋問をしてはいかぬとか、それから議論をしてはいかぬとか、まあテレビの問題は、これは運営でいいと言っているそうですが、そういう問題を法律に響くのは適当でないんですよ。いまお話ししたように、厳格を要する訴訟の場合、ことに裁判長はプロです。それで法廷秩序維持権なんていうのを持っていまして、退廷させる権利もある。それから監置処分といって、長に侮辱を加えた場合には監置処分を命ずる権限もある。そういうプロでさえも、いろいろなことを異議を言った場合に、快刀乱麻に異議を断つというようなことはなかなか困難なんですよ。ですから、法律に素人の委員長が、プロの弁護士の補佐人について、異議を連発したような場合は、その都度理事が委員長のもとに集まって協議するなんということになったら証人尋問になりませんわ、それは。そういうことはやはりこれは何か運営規則なり運営の方針でおやりになるほかないんですよ。いかがでしょう、そういうふうにお考えになりませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) まず野田さんは、現行の議院証書法でやったらどうだと……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 でもやれると言っているのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) やれると、こうおっしゃった。この問題については、各党の国対委員長会談で共産党はどうも反対をされたそうですけれども、各党の国対委員長会談でいろいろ御意見の交換がなされて、民社党の永末委員長がメモをとられて、それを整理をされて、そして確認し合った。それは議院証言法を改正して、そして証人の喚問をするように進めようと。それに対して証人喚問もできるという言葉で締めくくったそうでありますけれども、いずれにしても重要なことは、各党を代表する責任ある国対委員長会談で議院証言法を改正して、そしてその上で証人の喚問をしようと、これが各党間の合意でございます。私はそのような報告を受けておる。そういうことでございますから、あなたの御意見としては、いまの証言法でもやれるじゃないかと、それはあなたの御意見として拝聴いたしますけれども、そうなっておることをひとつお認めをいただきたい、こう思います。  それから、司法の先輩としていろいろ専門的な乙とをうんちくを傾けられてお話がございましたが、この問題は、議会制度協議会というものが設置されて、その小委員会であらゆる角度から各党で証言法の改正の問題として審議されることでございますから、先生のそういう御意見はその方へひとつ、反映させるようにお願いをいたしたいと、こう思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、それは自民党が証言法を改正しなければだめだとおっしゃるから、それはやはり一応それを前提にわれわれは態度を決めておるわけです。いずれにせよ、これはやはり二階堂氏を守ろうとする田中派が策を設けて、そして必死に防衛しているというふうに私どもは見ているんです。ですから、まあいいです、それは各党が議院証言法を改正してやろうというならそれでもいいんですよ、ないよりはましだ。ただ、それがやはり実現するかしないかということは、田中派がこれは実際無理を言って、それが自民党で通るか、総理の政治倫理を守ろうとするその御所信が通るかという、ちょうどそれを卜するバロメーターになりますよ。ですから、私は総理の言うことが重きをなして、ぜひとも指導力を発揮なさって、これだけはもう必ず実現するという、それこそ不退転の気持ちで党をリードしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは昨日も矢田部委員の御発言に対しても、誠意を持って努力をするというお答えを申し上げております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、実は誠意を持って御努力になっておられることは私も認めるにやぶさかじゃないんです。ただ、総理のおっしゃることと、それから党のやることとが食い違うでしょう。だから、グリーンカードの問題でも、総理は、既定方針どおりやるということを私の質問に対しお答えになりました。すぐまた党の方は、総務会であるいは税制調査会ですか、それですぐ延期であるとかこれを廃止することを決めたというような報道がなされるわけですよ。総理の誠意は信頼するとしても、指導力に対して私どもは疑義を挟まざるを得ないんですよ。倫理委員会でもきのう岩崎議員のお尋ねがありました。自民党の中でもあんなに正論を吐かれる方がいらっしゃると思って私はびっくりして敬意を表したのですが、総理は倫理委員会をやると言って二年たっているんですよ。あなたは倫理憲章が先だとおっしゃるが、倫理委員会をつくって倫理憲章やみんなで考えるべきじゃないでしょうか。いまの問題、指導力の問題、いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) グリーンカードの問題を例にとってのお話がございました。  グリーンカードにつきましては、政府としてはあのように所得税法の改正、これは各党の一致の御決定でなされておりますから、これを法律どおり実施するということで進めております。後ほど大蔵大臣からその進行状況を説明いたさせますが、政府の方針は変わっておりません。  それから党の方の問題についてお話がございましたが、党の正式機関では取り上げておりません。議員の一部にいろいろの御意見がある、これは各党ともおありになろうかと思いますが、党の正式機関では取り上げておりません。党の正式機関で審議をするということになれば政府の意見も十分徴すと、こういうことに相なっておりますが、正式機関ではそれはいま取り上げられておりません。このことは明らかにいたしておきます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 倫理委員会はどうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 倫理委員会の問題につきましては、私が就任以来申し上げておるところでございますが、この点については竹下幹事長代理が今度の議院証言法の改正の委員長をやってくれておりますが、竹下君の報告によりますと、総理のお話があり、その方向でわれわれも取り組んできておるのであるが、その際に、一体倫理委員会を設けてもその規範になる倫理綱領というか憲章というか、そういう問題をどうするかというような問題等があって、その入り口でいろいろ議論がなされて進んでいないという報告がございました。  そこで倫理委員会が設置をされなければ、一体議院証言法と、これは一緒になれば一番いいわけでございますが、されない場合はどうするかという問題が次に起こってくるわけでありますが、その点についてはこの一体論とそれから議院証言法の改正がなされれば、これはセパレートしてその改正された議院証言法でしかるべき場において証人喚問をするということも、これはこの議会制度協議会の場等で各党と相談をしてみたいと、こういうことを言っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 財政再建が鈴木内閣の公約第一号であること。それからそのメルクマールとして五十九年度までに赤字公債から脱却するということを挙げていらっしゃること。これは間違いないですね、総理。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 間違いございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その目標は、私は正しかったと思います。それから努力もなさったのだろうと思いますけれども、いまその目標達成が非常に危ぶまれていることも事実だと思うんです。五十六年度歳入欠陥を決算調整資金と国債整理基金の活用で埋められるということ、これもやむを得ないと思うんですが、その歳入見込みの誤りですね、これでいろいろ渡辺大蔵大臣が弁明していらっしゃるのですけれども、これはしかし予想しがたいというのじゃなくて、やはり成長率の過大見積もりという人為的なものから生まれたのだという指摘が強いんですけれども、これはお認めにならぬのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、先ほどから繰り返し説明をしておるわけでございますが、人為的ではなくてやはり九月の法人税の収入が非常によかったということも見当違いの一つなんです。ところが、それが実際は法人数の中で少しなものしがなかった。しかしながらほかのやつもいいんだろうと思ったところが、それは三月決算と、大部分のものが、商法の改正で変わりましたから、そこで非常に見通しがしづらいという問題もあったことは事実でございます。それから十二月当時は、一時的だけれども予算編成がその直後にかけて非常にいい数字が先ほど言ったようにぼっと幾つか出てきた。ところがそれが最終的には線香花火に終わって、下にどんと落ちちゃって、三月の末ごろになってから二月の数字等が出てまいりますと、これはちょっと非常に危ないなということになったのが実際でございまして、故意にしたわけじゃないわけでございます。  要するに、あらかじめわかれば、それはその段階、歳出の切り詰めといってもなかなか実際問題できない。したがって、赤字国債の増発という形で仮に二兆円とか二兆五千億とか赤字国債をその段階で増発をしておけば、四千五百億ではなくて追加をしておけば、それは最初から発行しちゃうわけですから、補正後は心配ないという形にはなります。しかしながらそうしなくて済むのじゃないかというように思った数字があった。それは専門家が見まして――私は素人ですから詳しいことはわかりませんけれども、専門家がいろんなデータを調べた結果それでいけるのじゃないかということでございますし、私もその数字を見る限りにおいてはまさしくそうなので、故意にやったというわけではないということだけは御了承を願いたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その弁明は弁明としてお聞きしておくわけですが、当たっていないように思うんですがね、問題は五十七年度と五十八年度ですから、一応そういうふうにお聞きしておいて。  政府は五十七年度の税収を三十六兆六千億と見込んでおられますね。これは五十六年度の税収見込みを基礎として、それに五十七年度の成長率八・四%を考え合わせて算出されたということは間違いないんでしょう。これはお認めになるんでしょう。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 五十七年度の税収の見積もりでございますが、五十七年度の予算を編成いたしました時点での五十六年度税収見積額を土台にいたしまして、政府の経済見通し等参考にいたしまして、各税目ごとに積み上げ計算で見込みを立てたものでございまして、トータルの税収額が名目成長率とダイレクトに計算関係で結びついているという関係にはございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ダイレクトに結ばれておらなくても、いまの主税局長のお答えを伺うと、大体五十六年度の税収見込み、それと成長率とを考え合わせて計算したということ、これはお認めのようですがね。ところが、安倍通産大臣は先般の記者会見で、今年度の成長率は実質三・二%程度にとどまってしまうと思うとおっしゃっておられるようですが、これはそのとおりでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 五十六年度の経済の成長率は、御案内のように四・一から二・七というところに下がったと、そうした見通しどおりいかなかったということ。五十六年度の経済の動向から技術的に算定をすれば、五十七年度は五・二ということじゃなくて三・三%程度になるんじゃないだろうか、技術的に計算をすればそういうふうになるんじゃないかと、こういうことを言ったわけです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私どもも、五十七年度、五十八年度の財政はどうなるのだろうというやはり私どもなりの試算というものをやってみたわけです。これはお配りしておりますが、一応五十七年度の税収というのは、五十六年度のいま大体はっきりしてまいりました二十九兆円というものを前提にして、政府の見通しによる成長率を前提にいたしました場合は、五十七年度が三十二兆九千億、その他収入が二兆六千億、したがって歳出四十九兆との差額が十四兆円になる。五十八年度は同じような計算で十三兆に達する。したがって、政府見通しの特例債五十七年度が三兆九千億、五十八年度が一兆九千億というものではとうていない。五十七年度はそれよりはるかに多い七兆六千億になる、五十八年度は六兆七千億にならざるを得ないという試算の結果になるのですが、これがさらにGNPを日経のニーズモデルに準拠いたしますと、さらに特例債の発行がふえてまいる計算になるのですが、これはどういうふうにお考えになりますか。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) ここに書いてありますような諸前提に基づいて計算いたしますとこうなるということでございますが、こういう前提をいま採用できるかどうか、そこは議論が多いところかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どこがですか。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) まず前提の第一、五十八年歳出は五十七年度の五%増という前提がございます。それはどういう根拠でそう前提されているのかよくわからないわけでございまして、たとえば歳出の中の交付税の取り扱いはどうしているのか、あるいは国債整理基金への返済をいつやるというふうにお考えなのか、その辺がわかりません。それから、租税弾性値を一・六一と置いておられますが、果たしてそういう見込みでいいのか、あるいは名目GNPの伸び率をケースA、ケースBそれぞれ立てておられますが、こういうことでいいのかどうか等でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 交付税は現行の国税三税の三二%をこのまま維持するという考え方なんですが、それから国債整理基金からの借り受けというものはこれにさらにまたプラスされるのです、歳出が。だから、それを考えるともっとふえる。しかし、あなた方がいろいろ外為会計から借りるとか繰り入れるとか、あるいは補助貨幣回収準備金から繰り入れるとか、いろいろ歳入増の手だてを講じられますから、それに見合うものとしてとってあるわけです。ですから、成長率はあなた方政府が五十七年度八・四%としておられますから、それを前提にして一応ケースAとして出しているわけです。そんなには実際は成長率は達しないでしょう。これは民間は皆、いま安倍通産大臣がおっしゃったように、実質三・三形とおっしゃいました、恐らく名目でも五、六%であろう。ですから、政府のおっしゃることを前提に、恐らく実際あるであろうよりも多目に見積もってもなおかつこれだけの赤字が出、特例公債がふえるということになるわけなんです。  ですから、これはどうでしょうかね、主計局長としても歳出をうんと削るというようなことにいま頭が向いているようですが、歳出を思い切って削るか大増税をするかしなければ、この歳入と歳出の乖離はとうてい埋められないでしょう、どうでしょうか。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) 先ほど申しましたように、経済の見方、これは一つの前提に立っておられます。果たしてこれでいいかどうか。あるいは租税弾性値も一つの前提に立っておられます、これでいいかどうか。したがって、税収がこういう見積もり方でいいかどうかという点については、私どもはこれでいいというふうには思わないわけでございます。しかし、いま、おまえたちはそれじゃ一つの案を持っているのかとおっしゃられれば、いまの段階で税収を見直すデータがない、持ち合わせていない、年度始まったばかりでございますから、ということを申し上げざるを得ない。  それで、歳出の見方はどうかという点は、いま寺田委員おっしゃった前提で考えますと、地方交付税は三二%の前提でございますが、五十六年分の精算、それから五十七年分の税収を少なく見積もりますから、それへのはね返りをどうお考えになっているのかという点がございまして、仮にそれを両方とも五十八年で精算減に立てている、それが普通のルールなんでございますけれども、そうだといたしますと、一般歳出の増は七%程度になるようでございます。かなり歳出の増は強く見ておられるなというふうに思います。  それから、お話がございました税外収入につきましては中期財政展望、政府が二月にお出しいたしましたこれによっておられますが、これはすでにいろいろのチャンスにお話し申し上げておりますとおり、税外収入につきましては新たな観点に立って、発想を新たにして広く見直してまいりたい、こう考えているわけでございますので、この数字が直ちにどうかと申されてもちょっと申し上げかねるわけでございますが、ただ中期財政展望で出しておりますような状況よりは非常にむずかしい情勢に税収欠陥の結果なっているということは、数字はともかくといたしまして事実としてはそうであろうかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 主計局長いま租税弾性値のお話がありましたが、これはいままで大体一・二と見るのがポピュラーなものでしたね。だからそれを一・六一と見ているということは、政府の考えよりももっと歳入があるということを、あなた方に有利に私どもは計算してもなおかつこうだということなんです。それからもう一つは、予算規模がなぜ五彩になるかということになるのは、これは一般歳出をゼロシーリングにして六・二%になったんでしょう、五十七年度が。今度はマイナスシーリングだというからそれよりは減るに違いない、だから五%というふうにしたわけですよ。だから、できるだけあなた方に有利に有利に考えて、それでなおかつこれだけのやはりマイナスが出てくるわけなんです。これは大蔵大臣、容易ならぬことじゃないでしょうかね。あなた一生懸命に何というかその他の税外収入ですか、それをふやすんだとおっしゃる、その手だてもお伺いしなきゃいけませんけれども、容易ならぬ事態だということだけはお認めになるでしょう。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) よく認めております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それで総理、これは容易ならぬ事態ですよ。あなたのおっしゃる五十九年度赤字公債ゼロというそういう公約、これは達成が絶対ということはないでしょう、だけれども非常に困難になったということだけはお認めになると思いますが、いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 内外の経済情勢非常に厳しい環境に相なっております。したがいましてこの税収等が当初考えておったよりも不振であると、これも事実でございます。そういうぐあいに非常に厳しくなっておりますが、私としては、したがいまして歳出の削減等をさらに厳しくやらなければならないし、税外収入等についても一層あらゆる面を見直しをする等あらゆる工夫をこらしまして五十八年、五十九年を通じまして、五十九年度中には特例公債依存の体質から脱却する、この大目標は不退転の決意でこれを実現する、こういう考えには変わりございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 困難かどうかと言っているんですよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 非常に厳しくなっておるということを申し上げましたが、寺田さんのおっしゃることはよく承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ただ、非常に厳しいということをお認めになったのですが、これは総理が、これが達成できなければ政治責任をとるというふうにおっしゃったから一層私どもは心配するわけなんですが、公約をなさる、公約を達成しようとする、そうしたらこういう非常に厳しい状態が出てきた。ですから、それを達成するためには増税か思い切った歳出削減かしかいまはないと思うのですが、増税はやはり絶対臨調のたてまえがあるからなさらぬわけですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私はいまも御答弁申し上げましたように、一層厳しく歳出の削減それから税外収入、そういうようなものをいろんな角度から検討して対処していきたいということでございまして、一般消費税のような大型新税は私ども念頭にはございません。これだけははっきり申し上げておきます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大型新税でなくても、新たな税目を起こすという増税はしないというふうに伺っていいのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のように国民生活を守るために予算を組むわけでございます。したがいまして、まずわれわれはどうしても必要な予算は確保しなければならない。しかしどこまで、どうしても必要なのか。ただ、いままではまだ高度経済成長時代の惰性で政府に依存をする、政府の方は長い間高度経済成長が続いて、減税してもまた自然増収、また自然増収という長い時代がございました。そのためにかなり政府が負担をするというようなものが多くなっておることも事実でございます。しかしこういう制度をそのまま持続をするのか、それともそういうような高度成長期じゃなくて世界全体が第二次石油ショック後はむしろ低成長時代に入るというのは世界全体の認識ですね。したがってそういうような中長期的に見てもなかなか高度成長というものはこれだけ水準が高くなっちゃうとむずかしい、特殊な新技術とか新発明でも行われれば別だが、ということになれば、その時代に即応したやはり政府依存度というものをしなきゃならぬじゃないかということになると、私はかなり発想の転換をここで行わなければならない。その一つのあらわれが私は臨調の発想だと思うのです。臨調の答申によっていままでの考え方と変わった考え方で行政にメスを入れていこうということでございますから、そういうようなものの意見を聞きながら発想の転換を図る、それでもう切れるものはどんどん切っていく、極端な話が。しかしそれは困る、もっと残しておかにゃ困るということになれば、じゃ負担をどうするんでしょうかと、負担を。歳出がどうしても必要ならばその負担はだれかがしなきゃならぬわけですから、だれがするのかという問題が一つございます。そのときに臨時的にそれじゃ借金だということの負担もあるでしょう。しかしその借金はいつ、だれが返すんだという議論がその次、当然出てまいります。そういうものの兼ね合いの問題でございますから、一概に断定的にいまどうだと決めることはなかなかできない。できないけれども、まずわれわれがやらなければならないことは歳出を抑制してもっと節減、合理化を図れというのは国民大多数の声だとわれわれは認識しているわけです。したがってそういうときに当たって別に財源を、大型増税というようなものをそろえちゃって、することになればそんな必要はないじゃないか、増税ができるのなら何で歳出切るんだと。切られる人にとっては月給の値下げぐらい、これはやっぱりつらいことですから、いままでもらっているものが少なくなる、だれかがもらっているわけですから、何らかの恩恵を。ですから大変なことではある。あるけれども、まずそれをやってみようと、その上において不足分があれば、それは不公正の是正とかどうとかという話も出ているわけですから、いまの時代になればこんなのはもう免税制度とかなんとかはやめたらいいじゃないかという声もこれは出てきますわね。ということになれば、もう一切の税目は手をつけないのだと言われましても、それは困る。財政当局としては困る話でございますから、少なくとも不公正の是正とか、いまどきはそれはもう減税対象から外したらいいじゃないかと、もっと切られて困っている人もあるんだということなら、やっぱりそれは増税ということになるのかどうか。私はやっぱり是正は是正で、それはそういう税制までもいじっちゃいかぬというのが臨調答申であるとは私は思っておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 新しい税目について伺っているんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、新しい税目といいましても、総理の言っているのは一般消費税、いわゆる大平内閣のときに言われた要するに消費ベースに着目をした、でかい、大型の消費税というものは考えておりませんということを総理はおっしゃっておるわけです。  したがって、新しい税目でちょっと名前が変わるかあるいはいままでの税法の中か、そこらのところは詰められませんが、一切の税を新しくも何ともそういうことも考えてもいかぬと言われましては、とても大蔵大臣は私は務まらないと思いますよ、実際の話が。ですから、私はいまのところ考えておりませんが、もう一切新しくても小さな税制でも何でもいけないと言われたのでは、そこまで縛られたのではとても私はできない。ですからそこは御容赦を願いたいと思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それで、主計局長にお伺いしたいのは、税外収入をもっとふやすんだと、その手法を、いまお考えのところをちょっと。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) 先般衆議院の予算委員会に「財政運営についての対処方針と検討の方向」というペーパーをお出しいたしました。当委員会にもすでに配付になっているかと思います。  その中で申し上げておりますのは、税外収入において増収が図れないかどうか、今後次のような事項について幅広く検討対象とするということでございまして、四項目挙げております。  第一点は、補助貨幣回収準備資金の取り崩し。それから第二点が、国及び特殊法人の資産処分。第三点が、特別会計からの一般会計納付。第四点が、特殊法人からの国庫納付でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大体政府の方針がわかりましたがね、私はまあ、総理が不退転の決意で厳しいが努力するとおっしゃる、その公約達成にがんばるであろうと、ことにできなけりゃ政治責任をとるとおっしゃっている以上は、相当無理をなさるんじゃないかということが心配なわけですね。それに配するに、アシスタントが実行力抜群の渡辺大蔵大臣でしょう。まあ、天は恐れていらっしゃるんだろうけれども人は恐れないということで、大変抜群の実行力を持っていらっしゃる。そういう立場だとどうしてもやっぱり無理に歳出を削減するんじゃないだろうかと。私は自民党の財政通にそう大したことはできないだろうとと言って聞きましたら、いや法律を改正すればできると、こう言うのですね。法律を改正するというと一体どんなものがあるんだろうか。交付税に手をつけるのか、あるいは補助金がいろいろ決まっております、それに手をつけるのか、あるいは年金とか教育費の国庫負担とかいうものに手をつけるのか。一体、そういう荒療治をやられると結局また以前のように弱者に負担がかぶさるんじゃないだろうか、地方自治体を困らすんじゃないだろうかということが心配なんですが、この点はどうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう歳出を抑える、あるいは削減するというからには何かを切らなければできないわけですから、切ることは切るが、ふえていくものはもう仕方がない。税金はよけい取るな、借金はするなと言われて、それはだれがやったって私はできっこないと思うのですね。したがってそこはその事態に合った、どうするのがいいかというコンセンサスを求めなければなりませんので、皆さんからも御理解の得られるようなぎりぎりのものをやはりつくっていかな春やならぬじゃないかと、そう思っておるわけでございます。しかしそれは本当に困っている人はやっぱりできるだけもう最優先で見るというようなことは十分に配慮していかなきゃならぬ、そう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはまあ法律を改正しても、たとえば教育費を減らすとかあるいは社会保障費を減らすとかいうことになりますと、これはなかなか国会通過が容易じゃないことはおわかりいただけると思うのですがね。それでまた防衛費はふやすんだと、経済協力費もふやさざるを得ないでしょう、公債費はふえますね。これはもう容易ならざることで、先ほど総理は、厳しいことは認めると、しかし不退転でやるとおっしゃったけれども、公約にまさに赤ランプがともったということは間違いないと思いますがね、御無理なさらぬようにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) お互いに国民の前に国政を預かっておるわけでございますから、国民の皆さんの理解と協力を得なければ私は現実の政治は動いていかないと、このように考えておるわけでございます。したがいまして、この厳しい現状というものを国民の皆さんにも御理解をいただきながら、いま大蔵大臣も申し上げたように、真に経済的に社会的にお困りになっておられる方々に対しては十分な配慮をしながら、国民的御理解と御支持の上に立って、私は、困難ではあるけれどもこの仕事をやっていかなければいけないと、このように考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 日銀総裁いらっしゃいますので、午前中も大体同じような問題で三木さんからお尋ねがあったらしくて大変恐縮なんですけれども、この円安の原因はどこにあるのか、私どもよく知りたいわけですね。中にはグリーンカード制に仮託するような変な議論まで出たりしますので、総裁として円安の上原因はどこにあると見ておるのか、日銀としては今後どうなるというようなお見通しを持ち、またどのような対策を講じようとしていらっしゃるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 最近の円安の一番大きな要因は、アメリカの金利高であろうと思います。それ以外に、中近東問題でありまするとか、その他政治的にやや国際政治面でも不安な状態にあるということが、そういう場合にはえてしてドルを買っておれば安心だというような空気が市場に生まれるわけでございまして、最近の円安は円ばかりではなくて、ドイツマルク、スイスフランともいずれも安い。したがって、ドル周の反映であるというふうに見るべきではないかというふうに考えます。  アメリカの金利が高いことはアメリカのインフレ抑制ということから始まったわけでございまするけれども、アメリカのインフレ率と申しますか、消費者物価の率は現在のところは六%台まで下がってきておる。去年のいまごろはまだ二けたであったと思いますが、最近は六%台まで下がってきておりまするので、そういう点から考えますると、金利のいわゆる実質金利というのは非常に高くなっている。したがいまして、この物価の鎮静状況とともにアメリカの金利は、経済的に申しますれば、当然下がるべき筋合いにあるというふうに考えます。しかし、経済的な要因以外に――経済的要因の中の一つでございますが財政の赤字が大きいとか、あるいはいま申し上げましたような国際政治面の不安があるとかいうようなことで、なかなかそういうふうにならないのが現状でございます。  これから先の見通しにつきましては、なかなか経済要因だけでは説明できない環境にございまするので、私どもも余り予想するとか、あるいは予断を持つということはしないつもりでおるわけでございますが、これから私ども、円相場がこういうふうに安くなって、さらに安くなるというようなことは、国内の物価あるいは経済摩擦また企業マインド、企業収益に非常に大きな影響がございますので、いまのような事態は極力避けなければいけない。それに対する対策といたしましては、もちろん、時に市場が大きく円安に振れるようなときには介入をいたしまするけれども、介入で為替水準、相場水準空変えるということはなかなかできないわけでございまするので、現在私どもといたしましては、内外金利差がこれ以上拡大しないようにするということが最小限度必要であろうというふうに考えておりまして、金融政策面でもそういうことを主眼に対応を図っておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 世上、日銀は短期金利を高目に誘導していると言われておりますね。これはやはり本当なんでしょうね。これがひいて国債の値下がりをもたらしておるとか、長期金利の全面改定につながりかねないと、それは景気にマイナスではないかというような批判が行われておるようですが、これはいかがでしょうか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 短期金利につきまして、やや技術的になりまするけれども、ことしの三月ぐらいから大幅な財政の支払い超過期、これは季節的に毎年そうなるわけでございまするが、そういう時期に当たりましたので、金利の先安感がマーケットに出てきておるということは適当でない。特に六月以降、今月七月と、ずっと今度は逆に資金が不足期になりますので、また金利が上がるということもございまして、そういう金利の金融面の調節をいたしまするために、ややきつ目の調節をいたしました。その結果、短期の金利がやや商い状態に推移しておるわけでございます。それは、いま申し上げました金融の時期的、季節的な調節のほかに、さっき申し上げました内外金利差が余り拡大しない方がいいという見地から、滞日の誘導をしてきたわけでございます。それが、そういう状態が長期債、債券市場に影響しておる点は、これは否定できません。ある程度の影響があったというふうに思います。  ただ、最近の、このところの債券市況の低落は、もちろんいまの短期金利の問題もございまするけれども、それよりもむしろ歳入欠陥ということがだんだんはっきりしてまいりまして、そのために相当の赤字国債が出るのではないかという予想が市場に出てまいりましたことが一番大きな原則ではないかというふうに思います。と申しますのは、国債の価格低落が始まりましたのは五月の半ばくらいからでございまして、私ども短期の金利の高目誘導というのは、実は三月からやっておるわけでございます。四月ぐらいは国債はまだ下がっておりませんでした。むしろ上がったりしておったわけでございますが、その後五月以降こういう状態になりましたので、責任を回避するつもりはもちろんございませんけれども、大きな原因はやはり財政面の歳入欠陥による国債の多量発行ということが大きな背景ではなかったかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 もう日銀総裁、結構です。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 前川参考人にはお忙しいところありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 今度は外交、防衛の問題でお尋ねをしたいのですが、総理、ベルサイユ・サミットでは大変御苦労さまでございました。ただ、このアメリカの高金利という世界の経済に一番悪い影響を与えている問題について、何かやはりこれを是正させる手だてができなかったかという点で非常に残念なんですが、何かカナダのトルドー首相が大変激しい言葉でレーガン氏を難詰したということも報道をせられておるのですが、この点はやはり頑としてレーガン氏が聞かなかったわけでしょうか、どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) サミットにおきまして、アメリカの高金利が各国の経済運営に大きな影響を与えておる、また、為替相場にも悪影響を及ぼしておると、こういうようなことから、このアメリカの高金利の是正という問題につきまして、各国の首脳からいろいろ米政府――レーガン大統領を初め財務長官等に強い要求が出たことは事実でございます。その結果、あの共同宣言にも出ておりますように、各国の財政当局、その責任者は今後緊密に、いままでより以上に連絡を密にしながら、この是正のために努力をしていこうと、こういうことで合意をいたしたわけでございます。  しかし、その後におきまして、前川総裁からもいろいろお話があったように、いろいろな国際的な大きな問題が続発をしたりいたしまして、そういうものがアメリカの金利にも反映をする、反動的に円やマルクやスイスフラン等にもそれが影響する。こういう結果が皮肉なような現象として出てきておることは残念な結果でございますが、ベルサイユ・サミットにおきましては、これは大きな重要な問題として取り上げられ、共同宣言にあるような合意がなされたということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に核の問題をお尋ねしたいのですが、日本は非核三原則を不動の国是にしておりますね。その一方でアメリカの核の傘に依存をしておる。これが防衛の一つの基本方針になっておる。  この間、ロストウ軍備管理局長が六月二十日のテレビ会見で、アメリカはソ連の通常兵力による攻撃があった場合でも、核の使用を辞さないと言っておるようでありますが、ことに、これは外務省からいただいたあれでありますが、前の海軍作戦部長ですか、これは第七艦隊の司令官であったこともあるようですが、ハロウェイ提督、これがこの間アメリカ上院の外務委員会で証言をしておる中で、結局、欧州で米ソが戦うと、NATOとワルソー条約機構とが戦うと、この場合も当然に日本も戦争に巻き込まれざるを得ないと、これがわれわれのやはり戦略であるという趣旨の証言があるようですが、これはまことに容易ならぬことで、ことにそのときに、ヨーロッパに戦線が起きたときに、三海峡を封鎖してもらうんだと、日本軍によって。それはウラジオストクのソ連艦隊が太平洋に出ることを防ぐのだと。それから、ソ連の航空機が日本を飛び越して出ていくことも、日本の空軍によってやってもらうのだという趣旨の証言をしておるのですね。ですから、日本は、日本を守るために三海峡封鎖とか、シーレーンとか言って、総理が盛んに善意でおっしゃっておられるんですが、アメリカの戦略というものは、ハロウェイのこの証言で見ますと、ヨーロッパで戦線が起きたときに、どうしたって三海峡を封鎖してもらわなければいかぬのだ、それは日本の協力が不可避なんだと、こう言っておるわけですね。これはアメリカのための三海峡封鎖、アメリカのためのシーレーンということにならざるを得ないのですよ。これは総理よほどお考えいただかなければいかぬのですが、いかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 第一には、ハロウェイ証言というのは、元海軍作戦部長という立場で証言をされておりますね。ですから、私どもの受けとめ方としては、これは現職の海軍作戦部長であれば、おっしゃるように重要視しなきゃなりませんが、そういう多少立場が軽い立場でいろいろ証言をされておる。  それから、証言の全文をずっと見ていきますと、いま欧州で問題が起きたときに、太平洋の関係はどうかということでございますが、これは日本の立場というものが、アメリカにとっても重要であるという、そういう枠組みの中で言われておるのではないか。仮に米ソ間の全面的紛争が生ずるとした場合、えてしてNATO、ワルシャワ軍間の衝突というシナリオのみが想定されがちであるが、ソ連は欧州大陸パワーであるとともに、太平洋パワーであることも忘れてはならないとした上で、日本が米国にとって有する戦略的価値を強調しておった。そういう証言が中にあると思うのであります。  それから、お尋ねの三海峡の封鎖の問題でございますが、これはきょうも先ほど防衛庁の方から御答弁がございましたが、この種の問題については、わが国が自衛権の行使として行う場合以外には、さようなことは考えられないということは、わが国の立場としてはっきり申し上げておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いつも政府の答弁は、これは現職でない、元の人である、前の人であるということでかわされるわけですが、しかし、第七艦隊の前の司令官で、海軍のトップにあった人、これは武官です。その人がやはりこういうはっきりと、ヨーロッパで事態が起きたら日本の三海峡封鎖というものはどうしてもやってもらわなければだめなんだと、だからアメリカにとっても、安保条約という日本との関係は必要なんだということを強調しているわけですね。  これは、北米局長は英語に御堪能でいらっしゃるから、ちょっと三ページのところを初めから読んでいただけませんか、訳して。三ページから四ぺ-ジの真ん中のところ。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 私が持っているのは抜粋でございまして、いま委員がお尋ねのページとちょっと違うかと思いますけれども、恐らくさっき大臣が御引用になった個所を指してのお尋ねではないかと思いますので。  ここで言っているのは、ソ連の東部、すなわちアジアだと思いますが、そこに配置されているソ連の軍事力というもの、それと、それからアメリカといいますか、西欧が太平洋において展開している軍事力、それとの関係から始まっておりまして、NATO、ワルソー条約がヨーロッパで紛争を起こした場合には、同様にアメリカとソ連との間の戦いというものが太平洋にも及び得る。そして、そのためにアメリカとソ連は、双方とも両面、両海洋、すなわち大西洋、太平洋において相当な海軍力を保持している。  それから、アメリカの海軍の約半数、それは太平洋に展開されている。  それから、アメリカの太平洋戦域における戦略、ソ連との戦略というものは、ソ連の太平洋艦隊が太平洋において広く展開されることを防ぐというのに目的がある。  それから、太平洋及びインド洋におけるアメリカの海軍の任務あるいは施設、区域というものは、その意味において非常に広大なものがある。  それから、アメリカ自体の防衛あるいはその同盟国の防衛、それを成功裏に終わらせるためには、日本海の出口、それをブロックすることであって、そのことはウラジオストクに根拠地のあるソ連艦隊の太平洋への進出というものを妨げるのが一つの目標になっている。さらに、ソ連の長距離の飛行機がウラジオストク等から太平洋に展開していくのに対して、日本にある空軍基地というものがその際には利用されるであろう。そういうのが大体の要旨でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その次、四ページのちょっと。四ページの赤い……

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 赤いところですか。  その次は、日本の援助によってのみこの日本海峡を有効裏に、ソ連の恐らくこれは艦隊と思いますけれども、ソ連軍が日本海、日本の海峡の外に出るということを防ぎ得るであろうし、また同様に日本列島の上にソ連の長距離の爆撃機が行動するということも制約し得るであろうということを述べているわけでございます。  その後は若干手元に訳を持っておりますので、ちょっと意訳になりますけれども、若干繰り返しになりますけれども――いままでで大体申し上げたことに尽きているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理ね、いま北米局長が読んだとおり、アメリカは三海峡の封鎖とかシーレーンとかいうものを日本が侵略を受けた場合にどうこうというような、そういう戦略じゃないんですよ。このハロウェー海軍作戦部長の証言によりますと、ヨーロッパで米ソが、つまりNATOとワルソー条約の軍とが衝突を起こした場合に当然に太平洋にもそれが飛び火しますよと、そのときにはソ連のウラジオに根拠地を持っておる海軍、艦隊が日本海から出ないように三海峡を日本軍によって封鎖してもらうのですと、これはもう大変な、つまり米軍にとっての大変価値のあるものだということを言っておるわけですね。それからソ連のウラジオ付近の航空兵力が太平洋に出てこないように日本の航空ベースというものが働くということを言っておるわけで、ですから、アメリカは盛んにそういう見地から日本に海軍力、航空力を増強しろと言ってきておる。何かそれを日本が自分のために必要だというような考え方で一生懸命に防衛力を増強するということはこれは大変な筋違いで、これは日本をかえって危うくするというのが私どもの考え方なんですよ。それがいみじくも  ハロウェー証言によって証明されたわけなんですが、総理、これはやっぱり軽く見ていただいちゃ因りますよ。これは元の人だから、いま現職じゃないからというようなことだけで片づけられちゃ困ります。国会における証書であり、元の海軍作戦部長という要職にあった人の話なのですから、証言なのですから、いかがでしょう。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 寺田さんに申し上げますが、これはもう一つ全文を見てもらわなきゃいけないんです。それはハロウェーの証言は、その前提は日米安保体制上利益を享受しているのは日本であるにもかかわらず日本は十分な貢献を行っていないとの感触が米議会で示されている。そういう状況の中で今度は現行の日米安保体制をハロウェーは評価して、それで日米安保体制は日本のみならず米国にもひとしく大きな利益をもたらしているのであって日本に短兵急に防衛努力の増強を迫ってはならないと強調しておる、その中のいまの証言なんですよ。だから、日本に短兵急に防衛努力の増強を追ってはいかぬと、こういうことをハロウェーはまず言っておるのですね。だから、そういう点もこの証言の中から評価してもらわないと、いまあなたの方は、この証言は非常に日本に対していろいろ影響がある、大変だと。ところが、われわれの見た目ではそうでなくて、これは短兵急に日本にいろいろやるというよりも現に効果があるのだと、こういう証書だと私は思うのですけれども。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それは櫻内さんのおっしゃるとおりなんですよ。これは安保条約という、日本軍の協力というものはアメリカにとって大変価値のあるものなんだ、だから最後通告のようなぱしゃんと日本をやっつけるようなことはしちゃいかぬ、大事なんだということを言っていることは事実です。しかし、その中でいま北米局長がお読みになったような、なぜ米軍にとって幸せなのか、価値があるのか。それはヨーロッパで戦闘が起きた場合にソ連のウラジオストクの太平洋艦隊が出ないように日本軍がやってくれるんだ、それが非常に価値があるし、ソ連の航空機が日本をまたいで太平洋に出ることに対しても、日本の航空ベースというものがやるんだ、そこに価値があるんだということを言っているのですよ。それを没却しちゃいけませんわ。それを私が総理に考えてほしいということを言っているのです。ですから、総理の御意見を伺います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、櫻内外務大臣が御答弁申し上げた趣旨がハロウェーさんが言われた本旨であると、このように見ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、日本は憲法並びに基本的防衛政策に基づきまして自衛のための防衛力の整備、また自衛隊は自衛のためにやるわけでございまして、集団自衛権というものは憲法上認められておりませんから、その点ははっきり私もわきまえておりますし、国会の皆さんもわきまえていらっしゃる、国民もそのように御理解を願っておる、こういうことでございますから、決して日本は自衛のための戦いを忘れて、それを乗り越えて集団自衛権等のような行動をするということは、これは憲法上絶対に認められないことでございます。私は、自衛隊の最高責任者として身をもってそういうことは絶対にしないようにやりますから、御安心願いたい。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まさにそうあってほしいことなんですがね。ただ、アメリカが日本に海空の増強を迫るその底意というものをやっぱり見通した七で考えていただかなきゃいけない。ここがやはりお考えをいただきたいと思うのです。  それからもう一つ、核の傘に頼るということを総理おっしゃるんだが、日本は非核三原則ですね。アメリカの核というのは一体どこにあると思っていらっしゃるのですか。本土にあると考えていらっしゃるのか、グアムにあると考えていらっしゃるのか、ハワイにあると考えていらっしゃるのか、それともそんなことはおれは知らぬよ、ともかくアメリカ一辺倒だよとおっしゃるのか、その辺どうでしょう。――いやいや、これは総理の認識を伺っているんです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) たびたびこの委員会でも御答弁しておりますように、アメリカは核がどこにあるかないか、否定も肯定もしないわけでございますが、私たちの知る限りにおいて、アメリカの核戦力というのは戦略核部隊、戦術核部隊等総合的なものから成り立っているというふうに理解しているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理ね、一体アメリカの核戦力はどこにあると思っているのですか。そしたら、いまのあれは潜水艦隊を含む、原潜を含むという意味で言っているんでしょうね。あるいは飛行機を意味しているのか。どこにあると思っていらっしゃるのです、総理は。総理の御認識を伺いたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 核の抑止力という見地からその存在を明らかにするということは、アメリカはこれを拒んでおることは御承知のとおりでございます。しかし私どもは、日米安保条約の規定並びに運用上の申し合わせによりまして、日本の領土、領海、領空の中に潜水艦が核を搭載して核兵器を持ち込むということは、これは事前協議の対象であり、また米側からそういう協議があった場合におきましては、日本としてはいつの場合におきましてもこれを拒否するという方針には変わりはございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはわかっているんですよ。どこにあると認識していらっしゃるかと伺っているのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) それは北米局長からも申し上げ、いま私もお答えしたように、核がどこに存在するかということをこれは米政府は明らかにしない、これは抑止力という観点から明らかにしないという方針のように受けとめております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理は御存じない、知らないというわけですね。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 向こうが発表いたしませんからね。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 全く他人任せで日本の防衛を考えていらっしゃるということで、私どもは非常に不満なわけですよね。  きょうは警察庁長官がいらっしゃっておられるので、右翼の問題でお伺いしたいのですが、昨日も総理初め皆さんにお伺いしたのですが、この右翼の暴状というのが非常に最近激しいのですが、地方によっては暴力団と右翼とは一体のような事実もある。右翼と暴力団との関係というのはどうなのか、まず、この点から御説明をいただきたいと思います。

中平和水警察庁刑事局長

○政府委員(中平和水君) 最近、暴力団が極端な国家主義的な主張を掲げまして街頭宣伝等のいわゆる右翼的な活動を行う傾向が強まってきていることは、これは事実でございます。これは暴力団の取り締まりが強化されたということの反面、暴力団が取り締まりを免れるために右翼を仮装し活動する傾向が強まってきているということが一つあろうと思います。  もう一つは、ことしの十月から御案内のように商法の一部改正がございまして、この辺の取り締まりが強化されるわけでございまして、したがって総会屋といろいろ関連を持っておった暴力団、そういうものが資金活動の場として企業等に食い込んでいく手段として右翼的な活動を仮装していると、こういう傾向が出てまいっておるわけでございまして、そうしたことで全体的に、右翼と右翼を仮装する暴力団でございますが、この数がふえておりまして、現在私どもの方で把握しております数は、五十七年の五月現在、全国で百四十団体、二千九百人というものを把握している状況でございます。これは昨年に比べますと約五十団体で九百人の増加と、こういうことになっております。  なお、御参考までにことしの一月から六月までの検挙の状況を申し上げますと、二百二十三件、二百三十二名の右翼を仮装する暴力団を検挙しておると、こういう状況になっております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 今回の日教組の大会ですね、これを妨害するために島原に赴いた右翼の数が何か千名、二百台の自動車を動員したというふうに言うのですが、これは相当な経費を要することなんですが、なぜ右翼がそんなに経費を持っておるのか、また日常不断に遊よくして騒音をまき散らしておるのか。これは遊民と言ってもいいですね。この資金源はどこにあるのか、まず、それからお伺いしたい。

山田英雄警察庁警備局長

○政府委員(山田英雄君) 右翼の資金源についてのお尋ねでございますが、おおむねの右翼団体は規約等を持っておるわけでございますが、会の経費というものは入会費、会費、各種の事業収入、寄附その他の収入により賄うというのが大部分でございます。しかし、その実態は企業等からの寄附金とか賛助金、これに頼っている団体が多いとわれわれ推察しておりますが、その具体的内容については、その一々についてわれわれもつまびらかにはしておらないわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 一般には警察が非常に右翼に甘いというふうに見ておりますね。きのう公安委員長は厳重に取り締まるとおっしゃったんですが、よく警察の法規を見ますと、公安委員長は警察に対する指揮権、警察権の行使に対する指揮権はないようですね。そうすると、どうしてもこれは警察庁長官がそのトップにいらっしゃるから、まあ警察権の行使で余り政治に支配を受けちゃ困るという趣旨でしょうが、警察庁長官、国民に、右翼に警察は甘いと、そういうふうな認識を持たれてはやっぱりいかぬわけですね。本当はどうなのか。この右翼の暴状に対してどういうふうに対処せんとしておられるのか、あなたの御抱負を伺いたいのですが。それできょう来ていただいたわけです。

三井脩警察庁長官

○政府委員(三井脩君) 右翼の取り締まりにつきましては、私たちは全力を挙げて取り締まりをいたしております。これはひとり右翼に限らず、およそ法を乱す者につきましてはこの取り締まりをしっかりやるというのがわれわれの任務でございます。したがいまして、島原の日教組大会でも、始まりましたけれども、先ほど刑事局長から報告いたしましたように、きちっと検挙すべきものは検挙をし、集会そのものはスムーズに進行しておると、こういう状況でございます。  いまお話しの右翼の取り締まりが甘いのではないかと見えると、こうおっしゃることでございますけれども、これは必ずしもそうではない。私たちは一生懸命やっておりますし、また実態についても一生懸命やっておるということをよく御認識いただきたいと思うわけでございます。ただ、恐らく国会周辺で大声で宣伝カーでスピーカーでがなり立てるという状態についてあれが何とかならぬかと、警察がそれについて甘いのじゃないかと、こういうようなあるいは印象をお持ちではないかというような気がいたしますが、あの騒音にはわれわれも迷惑いたしますので、そういう気がするわけでありますが、現行法で取り締まれる限りにおいては取り締まっております。それを越えるものについては、右翼であろうが右翼でなかろうが、いかに騒音を出しても取り締まれないと、こういうことになっておるわけでございます。  御存じのように、騒音取り締まりにつきましては、軽犯罪法による取り締まりはありますが、それ以外には騒音取り締まりの法につきましては、直接にこれを取り締まるというものはないわけでございまして、工場騒音とか、施設を設けての騒音について、知事が勧告するとかというようなことがあってから後に、なお従わぬ者について取り締まる、こういうような仕組みになっておりますので、いまおっしゃるような右翼の街頭宣伝行為については、その騒音の取り締まりにはなじまない、こういうことでございますので、われわれは大変苦心をいたしまして、よく目にとまりますように、警察官を年じゅう国会周辺に配置をいたしまして、体を張って説得をしておると、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、われわれ自身が立法機関におりますので、そういういま長官の言われたような法的な欠陥といいますか、われわれ自身がやはり立法すべきじゃないかという自責の念は私どもあるわけですよ。しかし、そのスタッフも余りおりませんし、やはりこれは政府で考えていただかなきゃいかぬと思うのですよね。  それで、いま取り締まる法がないから、捨て身で警察官が何百人も毎日来てやっていると、こうおっしゃる。これはやはり立法的な欠陥を何かわれわれ埋めて、そんなに毎日毎日警察官を多数動員せぬでも、ああいうことを取り締まれるようにしなきゃいかぬと思うのですよ。その点、総理のやはりお考えを聞きたいのですが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、国会の周辺、国会開会中、重要な国会審議をしておる際に、ボリュームをいっぱいに高めたあの騒音は、本当に国会の審議の妨害になると、こういう御指摘が議員の皆さんからも出ております。国会のないときはこれはまた別として、一国会開会中という、国会に課せられた重要な任務について国会が審議に当たっておる際は、これは何とかしなければいけないということで、私もいろいろ事務当局に検討方を命じておるというところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ、国会の審議中だけでなくても、あんな騒音をまき散らすことはやはり禁止しなきゃいかぬと思うのですよ。  これは、言論の自由というのは、御承知のように、オリバー・ウェンデル・ホームズというアメリカの最高裁判所の判事が有名な、明白かつ現在の危険を除去するためだけに制限していいということを言っていますが、他人を妨害するための表現の自由、あるいはもうがなり立てで人の事務なんかを不可能にするような表現の自由というものは、これは私、認める必要ないと思いますよ。その点もお考えいただきたいと思うのです。  それから、最後に臨調の問題をお伺いしたいのですが、この臨調の答申は、私どもから言いますと、まあ結局は三公社の民営などというようなもの、あるいは、国鉄の場合は別としても、これは民営にした場合には必ずあれでしょう、地方の住民に大変な負担をかける結果になるでしょう。それから専売や電電の場合は、大変な利益が国庫に納まっている、それを将来大企業に帰属せしめるというふうな、私どもにとっては耐えがたい事態が起きてまいります。それからまた葉たばこの耕作者の利益を失わしめるというようなものがあります。これは十分慎重に考えていただきたいのですが、総理のまずお考えを。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま臨調におきまして基本答申を七月下旬ごろを目途にして出そうということで、昼夜兼業と申しても過言でないほど大変な熱意と努力で各部会が一応の成案をまとめつつございます。そして、これをさらに臨調全体の本委員会で審議をすると、そして政府に対して答申をいただくと、こういう手順で進行いたしておるわけでございます。したがって政府としては、部会の段階でございますので、これに対して、電電公社の問題にしても国鉄の問題にいたしましても、あるいは専売等の問題にいたしましても、意見を申し述べたり、申し入れたり、いろいろ審議に支障を来すような、また、影響力を行使するようなことは差し控えなければいけない、答申を待って、十分各方面の意見も聞き、世論にも聞き、そして最終的に立案、対策をはっきりと立てて、国会の御承認をいただいて実行に移していくと、こういうことで、臨調に対しましてはそういう姿勢で最終答申をお待ちしておる、それが出た場合にはこれを尊重して実行に移してまいると、こういう基本的な考えでございます。

山田譲日本社会党

○山田譲君 関連して。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。山田譲君。

山田譲日本社会党

○山田譲君 私は、臨調の問題につきまして若干関連質問をさしていただきたいと思います。  もちろん、まだ本答申も出ていない段階でありますから、答申が出てからということでお答えになられては困るわけでありまして、もうすでに部会報告ということで、かなり大げさにあっちこっちに出ている、相当騒然たるものになっているわけでありますから、そういうことを考えていただいてひとつ答えていただきたいと思うわけです。  まず一つは、この臨調の役割りといいますか、そういう問題でありますけれども、臨調は言うまでもなく現在の行政の制度と運営、こういうものをどういうふうに改善するかと、こういう臨調の設置法の趣旨に基づいて答申を出される、これ当然のことであると思います。しかしながら、この部会報告などを見ましても、何かその枠を越えまして、あたかも立法府と行政府を超越した、そのさらに上にあるような、昔の枢密顧問官みたいな感じで、そうしていろいろな報告を出しておられる。そして、とりわけ本来の性格、これを逸脱いたしまして、何か政治の分野にまで踏み込んでいる。そして非常に、本来行政なりあるいは立法府でもって当然政治的に考えていかなきゃならぬような問題まで踏み込んでいるということはどうしても理解できないわけでございます。とりわけ臨調の第一部会報告を見ましても、まあ、あっちこっちにありますけれども、極端な例として、外交、防衛の問題についてまで、たとえば、「我が国としては米国を始めとする西側諸国との協調関係を基礎として、これに最大の努力を傾注する必要があろう。」と、こんなふうなことを言っているわけであります。こんな政治的なことまでどうして臨調に返事してもらわなきゃならないかと、こんなことは非常に臨調としての越権じゃないかというふうにまず思うわけでございますけれども、これについて総理大臣、そして行政管理庁長官のまずお答えをいただきたいと思うのです。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会設置法に基づきまして国の行政制度及びその運営の基本的問題の改善をやると、こういう使命を持って国家行政組織法の八条機関として設定されているものでございまして、それ以上のものではございません。したがいまして、枢密顧問官のような国会や行政府の上にあるような印象を与える存在ではならないと思いますし、われわれもそういう扱いをしております。  ただ、臨調の調査には聖域はございません。したがいまして、防衛でも外交でも福祉でも教育でも、すべてその検討の対象になっております。その中におきまして、たとえば防衛の問題につきましても、高度の政策決定を要するようなものについては全然触れておりません。いままで決められた制度の中、政策の中においてどういうふうに効率的にこれを改革するかということが言われておるのでありまして、防衛の問題でありましても、たとえばGNPの一%を超していいとか悪いとか、そういうことについては全然触れておりませんし、主として触れておりますのは、国防会議と  いうものはいまのままでいいか悪いかとか、あるいは陸海空の三自衛隊の調整がうまくいっているかどうかとか、情報の収集処理についてロスはないかとかどうかとか、そういうことについて主としてやっているのであります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま中曽根行管長官から申し上げたのが臨調の位置づけ、法律に基づく役割りでございます。それ以上のものではございません。あくまで政府の諮問機関でございまして、それを法律に基づいて答申を尊重して、政府はそれを各方面の御意見、特に国会等の御意見等も踏まえながら立案をし、それを具体化して、そして最終的には国会の御承認を得てこれを実行に移すということでございまして、国会や政府の上に存在するようなものではないことはこれは明らかでございます。

山田譲日本社会党

○山田譲君 ぜひともそういうことでやっていただきたい。どうも見ていますと、先ほど言ったようなことで、非常に枠を逸脱して、よけいなことにまで踏み込んでいるのじゃないかということでございます。  もう一つここでお聞きしておきたいのは、地方制度調査会との関係でありますけれども、この関係についても、かつて地方制度調査会が第十七次報告を出されました。内容を見ますと非常にりっぱにいいことを言っておられるわけであります。その調査会も当然総理大臣の諮問機関である。こちらも総理大臣の諮問機関である。何か、地方制度調査会の言っていることは非常にいいわけでありますけれども、それを余り尊重しようとしていない。今度第三部会報告なんかを見ましても、前のものの方がよっぽどいいように思うのですけれども、こちらの方が何か格が上のような感じで、地方制度調査会の言うことを聞こうとしていない。こういう姿勢は非常によくないと思うのですけれども、これについて自治大臣のお返事をぜひお願いしたいと思うのです。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 第十七次地方制度調査会の答申は、地方行政の全般にわたって観測が述べられておりますが、その中で一つには、国と地方とを通ずる行財政の簡素効率化をうたっております。二つ目には、地方分権の推進、これをうたっておるのであります。これは国、地方を通ずる行政の一番柱になるところでございますが、その後これを受けまして昭和五十四年に提出されたものでございますが、政府としては今日まで国と地方の事務の見直し、国庫補助金制度の合理化について努力を重ねてまいりましたが、必ずしも十分の成果が上がっているとは言えないところでございます。  現在臨調におきまして、国と地方の機能分担のあり方について、第三部会の報告を受けて審議が進められているところでございます。私といたしましては、まだ正確な審議の結論が出ない以前にとやかく言うことは差し控えるところでございますが、やはりせっかく第三部会報告において、地方分権推進の一般的な指針が掲げられたところでもございますので、第十七次地方制度調査会答申などの実現を図るためにも、今後そのまま実施の基準になるような具体的な改革案が臨調から提示されることを期待しているところでございます。

山田譲日本社会党

○山田譲君 最後に、ひとつ、行政の民主化という問題でありますけれども、臨調の報告は部会報告の段階でありますけれども、効率性とかあるいは企業性、あるいは安上がりの政府というところばかり追求をしていて、肝心の……

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 山田君、寺田君の割り当て時間が経過いたしました。

山田譲日本社会党

○山田譲君 民主主義というふうなことの原則がきっぱりうたわれていないと思うのです。たとえばロッキードの、いわゆる先ほどから問題になっております汚職の問題であるとか、あるいは談合問題というふうなところについては何ら触れていない。この点非常に不満でありますけれども、これについて総理大臣と行管長官にお願いしたいと思います。  それからもう一つ、最後に三公社について。  とにかく、いま言ったような企業性、そういったものだけを追求して、国民の共通財産であるという非常に大事なところをさっぱり考えておられないという点について、非常に不満でありますけれども、この点についても総理並びに行管長官にお返事をいただきまして終わります。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 一般的に、方針としまして民主主義、行政の民主化ということをうたっておりまして、部分的にもそういうことは答申の中に出ております。たとえば、官僚統制をできるだけ排除して許認可を自由化していくとか、あるいは地方分権、地方の時代ということにこたえて、できるだけ地方分権の方へ持っていくとか、あるいはすべての仕事を国がやるという形から民間にできるだけ移譲して民力を強めていくとか、そういうような点はみんな民主主義に沿った線でよく出ていると思っています。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調の第一次答申にも随所に触れておるわけでございますが、できるだけ官僚統制的な従来の改めるべき点についてはメスを入れて、そしてできるだけ民間でできる仕事は民間に移すと、また許認可等の事務も簡素合理化をする、能率化する、こういうことは、これは私は行政の民主化の道であると、このように考えておりまして、臨調はそういう方向で御審議を願っておるものと、このように存じております。  なお、三公社の問題につきましては、先ほどもお答えをしたとおりでございまして、いま部会の答申案がまとまった段階でございますから、本答申が出た段階において十分吟味をいたし、世論にも聞き、また国会にもお諮りをして誤りなきを期したいと、こう思っております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で寺田熊雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、神谷信之助君の質疑を行います。神谷君。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 まず、ロッキード問題でお伺いいたします。  六月八日の判決を前にして、いま国民の最大の関心と期待は、二階堂進自民党幹事長らの証人喚問と、それによる真相の解明であります。日本共産党は、現行の証言法によって即時証人喚問を実現するよう要求しておりますが、なぜ自民党は、国民の要求でもある速やかな証人喚問の実現に反対をなさるのか、改めて総裁である総理の見解を伺いたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 共産党さんの現行法でやれという御主張は私もよくお聞きしております。しかし、あなたの方を除いた各党の国対委員長会談で、この議院証言法の改正をやり、できるだけ早くこれを成立さして、その上で証人の喚問等を行うと、こういうことで合意をされ、そういうことでいま衆議院の議会制度協議会において、小委員会において検討が進められておると、このように存じ上げます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 合意の問題は後でまた議論をいたしますが、法制局長官にお伺いをしたいと思うのです。  現に存在をする議院証言法、これは憲法六十二条に基づく手続を決めたものであります。ですから、現行法で証人喚問を行うことは憲法上当然のことであり、やれないという理由は私は全くないと思う。ですから、現行法で証人喚問を行うということは、違憲とか無効とかあるいは失効だということにはならないというように思いますが、いかがですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 議院証言法は憲法に基づいて国会の権限を定めた法律でありますから、私が議院証言法の効力についていろいろお答えするのはどうも不適当じゃないかとは思いますが、まああえてお答えすれば、現在、議院証言法についていろいろ議論が行われておりますけれども、おっしゃるように法律的にそれが憲法に違反をするとか、あるいは無効であるというような議論を前提としての議論は一つもないと思いますし、私もそう思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 まあ、あえて当然のことをお伺いしたわけであります。問題は、私は明らかだと思うのです。証言法は現に存在をしている。そして、あとは自民党総裁である総理が決断をすれば、すぐに証人喚問はできるのです。これは、他の党は全部現行法で証人喚問ができる。このことは参議院の理事懇談会でも確認をしている。問題は自民党さんが反対をなさるから、だからやむを得ずということを先ほどからもおっしゃっている。だから問題はそこにある。ですから、総理に改めてお伺いするのですけれども、現在存在をする有効な、また憲法にも違反をしない、そういう法律が存在をするのに、それが気に入らぬから証人喚問に応じないというのは、これは法秩序に真っ向から対立する、反対をするものである、法治国家を否定するものにつながる、こう言わざるを得ぬと思うのですが、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど御答弁申し上げたとおり、あなたの方はそういう御主張をなさっておる。各党はいま議会制度協議会で、ひとつ証言法の改正をやろう、こういうことでございますから、あなたの方の御意見が各党にみんな受け入れられれば問題はないわけでございますけれども、そうは進んでない。各党はいま、きょうも開かれたそうでございますが、熱心に証言法の改正に取り組んでおる。あなたの方も少し、各党と一緒に国会をやっておるわけでございますから、協調しておやりになったらいかがですかな。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それじゃ総理、社会党の諸君が、あるいは公明党の諸君が、民社党の諸君が現行法で証人喚問ができない、反対だと言っていますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は各党の正式の国対委員長の会談でいろいろ論議が行われ、その結果、共産党さんは現行法でやれと。その他の政党は、民社党の永末委員長がその論議の点をメモされて、整理をされて、そして最終的にそれで合意をされた。そういうことでいま審議が進められておる、こういうことでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 問題は、事実をそらしているんです。反対を、現行法で証人喚問をするのは困るとおっしゃっているのは自民党だけなんです。だから、何とか証人喚問をしなければいかぬということであの合意に達したのだと。これは先ほどの、きのう、きょうの社会党の議員の質問の中にも明らかにされているのです。  ここで私は、はっきりさせておかなければならぬというのは、この二階堂氏が証人喚問を現行法でやるということに反対をしている、拒否をしているというのは、現行の証言法が不備だということではないということなんです。これは、たとえば去る二十五日に自民党の役員会の席上で、二階堂氏が潔白を証明する場所がない、そういう発言をなさっているという報道があります。しかし、七八年の四月に二階堂氏に五百万円を渡したと法廷で証言をした丸紅の伊藤宏被告、丸紅の元専務ですね、これを相手に一千万円の損害賠償請求を起こしておられます。そのとき総理、二階堂さんはどういう発言をなさっているか、御存じですか、損害賠償の請求。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま、そういう資料は手元にございません。必要であれば後日お話しします。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 これは当時、四月三日ですが、二階堂衆議院議員が、丸紅の伊藤元専務が五百万円渡したと証言をしたのを聞いて、記者会見をなさいました。伊藤の証言は作り話である、これまで政府灰色高官の一人として宣伝をされ、精神的損害は莫大である、金銭に見積もれば少なくとも一億円を下ることはないが、そのうち一千万円を請求すると、こういうようにおっしゃって、一千万円の損害賠償請求を丸紅の伊藤宏元専務を相手に起こされました。しかし、結局これは七八年の四月に出されたのだけれども、八〇年の十月には取り下げておられます。すなわち一億円の損害を受けているのだと言いながら、渡したと言う伊藤宏と対決をする、そして黒白をつけるという場がありながら、それをみずからお逃げになっています。だから、損害賠償を請求するというのは形だけ、かっこうだけですよ。  さらにあります。全日空ルートの公判で、橋本弁護団から二階堂氏の証人申請がありました。法務省にお尋ねしますが、これはどういう経過になりましたか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 全日空ルートの橋本、佐藤氏に対する事件の公判審理の中で、御指摘のように証人申請があったことは事実でございますが、その後、当事者の方から申請が取り下げになっていると一いうふうに承知しております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そのとき、かわりに国会のロッキード特別委員会の二階堂氏の弁明が提出をされたということのようですが、その結果はどうなりましたか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) その点は前にも申し上げたことがあったように思いますけれども、かわりとしてというか、そういう意味で直ちに言えるかどうかと思いますけれども、御指摘の国会におきます委員会の議事録というものが弁護人の方から証拠として取り調べ請求がなされて、それが採用されているというふうに承知しております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 前田局長に重ねて聞きますが、いまそれにかわるものと言えるかどうかというようにおっしゃいましたが、その意味は、法廷における証言は宣誓証言です。ロッキード特別委員会における二階堂氏の弁明は、宣誓をなされていません。そういう意味で、それにかわることができるかということをおっしゃったのかどうか、その点もう一度はっきりしてください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) そういう実質的なことで申したつもりはございませんで、それにかわるものとしてということはよく言われますので、それにかわるという意味で申請されたという意味かどうかははっきりしない、こういうことを申したわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 宣誓をされたかどうかははっきりしないものだという意味ですね。ここでも、したがって、証人として出て宣誓して、みずから身の潔白を明らかにすることができたのです。しかしそれもお逃げになりました。  こういう総理、二階堂氏の行動について共通する特徴に気がつかれませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) どういう御趣旨の質問か把握できませんが、まあいずれにしてもそういうような点を明らかにして、そして政治に対する政治的、道義的な責任等を明らかにしようと、こういうことで証人喚問をできるだけ早くやらなければいけない、そういうために各党は議会制度協議会において証言法の改正に取り組んでおる。それが開かれれば、いまあなたのおっしゃるようなことも、これは私はだんだん明らかになっていくのではないかと、このように思っております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 総理、現行の証言法でも証人喚問はできるのです。改定をしなければ証人喚問はできないということになっていない、ところが御本人は出てこられない。ですから共通しているのは何か、国会であれ、それから損害賠償の裁判であれ、あるいは全日空ルートの公判であれ、して証言をする、言いかえたら、うそをつけば偽証罪に問われるという危険があるときは必ず断る、徹底的に逃げ回る、こういうことが共通しているのですよ。  法務省に聞きますが、この偽証罪の刑罰というのはどうなってますか。――きのう言ってあるんだよ。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) いま偽証罪と言われましたが、議院証言法による偽証の……

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 幾つもある。議院証言法、刑法、それから民事訴訟法、当事者の偽証の問題ですね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) それ一つ一つ申し上げるのですか。それじゃちょっと大変ですから、ページをめくらなきゃなりません。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 きのう言ってあるんですよ。きのうわざわざちゃんと法務省に三つ言ってありますよ。わざわざ民訴は違うでしょうという話も言って、ちゃんと教えてくれと、調べてくれと言ってますよ。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) しばらくお持ちください。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) どうも失礼しました。  偽証の罪は、刑法は百六十九条で「三月以上十年以下ノ懲役二処ス」となっております。  それから、議院証言法は、六条でやはり「三月以上十年以下の懲役に処する。」というふうになっております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 民訴の場合は――あと民訴が落ちてるわ。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 民訴とおっしゃいましたのが、ちょっと趣旨が不明なんでございますけれども、民事事件での偽証ということでございますれば、刑法の偽証罪と同様でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 二百六十九条の当事者の偽証の場合は五千円以下の過料になりますね。どっち側になるかは別にしても大体そういうことになっています。いずれにしても全部偽証罪で刑罰がつく。これの問題を恐れているということだと思うのですよ。だから、議院証言法が不備だと言うけれども、民事訴訟法に基づく証言であれ、あるいは刑事訴訟法に基づく証言、要するに宣誓証言をことごとく避けておられるのです。だから、まさか民訴もあるいは刑事公判の証人申請も取り下げるというのは、民訴法や刑訴法が不備だから証書は断ったというわけではないと思うのです。ただ一つ誓ったのは一体何か。それは天地神明に誓っただけです。天地神明に誓う――何遍誓ってもこれは偽証罪にならない。問題は、だから総理ね、世間では、国民はそういう二階常さんの態度を見て、逃げ回っている、ますます疑わしいと、こう言っているのですよ。どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ですから、先ほどから申し上げておるのでありますが、あなたの方は別でございますけれども、各党間で、現行のものでなしに議院証言法の改正を速やかにやって、それに基づいて証人喚問をやろうと、こういうことで皆さんがそれに取り組んでおる、そういうことでございますから、決して逃げ回ったりするというようなことは、本人は申しておりません。そういうことができれば堂々と出て、上申書にも書いてありますように、自分としては自分の信念、主張を明らかにしたいと、こう言っておるということを申し上げておきます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それじゃ、自民党総裁の鈴木総理も幹事長の二階堂進氏も現行法で証人喚問に応ずるということに賛成なんですか、はっきりしてください。――他党のことは別だよ。あなたのところはどうなんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、いやしくも各党の代表が国対委員長会談を開いて合意をし、それをまとめたものを確認し合って、その方向でいま努力をしておる、これを尊重しなければなりません。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 だから、それを尊重するというのはわかりました。自民党総裁である総理が尊重するというお気持ち、これはわかりました、意見。しかし、自民党自身は、現行法で証人喚問に賛成なんですか、反対なんですか、どうなんです。よその党に責任をかぶせるんじゃ必要ない、まずその点を。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 国会というのは、あなたの方の言うとおりにならなければいかぬというものではない。これは、各党多数の合意によって運営をされておるものでございます。そういう方向に進んでおると。でありますから、われわれはそれを一日も早く成立をさして、それによって静かな雰囲気の中でこの証言がなされるようにしようではないか、こういうことを申し上げておるところであります。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 各党合意に至る十日までの間、それじゃ自民党はどういう態度をとっていたのですか、はっきりしてくださいよ。六月十日の合意に至るまで自民党はどういう態度をとっていたのですか。総裁、知らぬのですか。こんな大事な問題について総裁が御存じないのですか。だから、目白のやみ将軍が動かしているのだということになるのですよ。それまでは自民党は証言法の改正をしない限り証人喚問には応じられない、断固そう言い張っていたのじゃないですか。十日の合意でもそうでしょう。改正ができても証人喚問を否定するものではないというのは、やっとみんなからやいやい言われてそこまでいっただけで、必ず応ずるかどうかまだ合意はしていない、あの文章は。ごまかして他党に責任を逃して、自分のところはいかにも別に異議はなかったような言い方はまさに国民をあざける態度と言わなきゃならぬ。  私は、二階堂氏が今日の現行の証言法で証人喚問に応じない、これはなぜかと。金を受け取っていないという弁明を行えば――証人として出てきて宣誓をしてですよ、これはうそだと思われても仕方がないし、また偽証問題が起こるであろう。だから、もしそうでないとするならば、また総理がおっしゃるように、逃げ回っているのじゃないよと、本人は言いたいとおっしゃっている、そう言うならば、それが真実ならば、私は現行法ですぐにも堂々と喚問に応じ、国民の前に事実を明らかにすればいいと思うのです。どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) それは、先ほど来あなたと各党の国対委員長の合意と違う点でございまして、その論議を堂々めぐりをしておっても進まない。私は、一日も早く各党合意の線に沿うて議院証言法の改正が前進する、そして、早くそれが改定がなされて、できるだけ早く証人の喚問ができるようにするということを私は期待をいたしておるところでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それじゃ別の角度から聞きますが、法務省に聞きますが、七六年の十一月の二日、衆議院のロッキードの特別委員会で灰色高官に関する政府報告が行われました。その中で二階堂氏についてどう述べているか、お答えいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいまの十一月二日と言われましたのは五十一年の十一月二日のことだろうと思いますが、御指摘にもございましたように、当時の衆議院のロッキード特別委員会でございますが、そこで、まあ報告といいますか、説明があったことはその後議事録等にも載っているところでございますけれども、前々からたびたび申しておりますように、その当日の特別委員会はいわゆる秘密会ということでございまして、その結果がその後議事録等で公になっているということは私どもも承知しておるわけでございますけれども、私どもの立場としては、その秘密会で申し上げたままになっておるということでございますので、その内容を改めて申し上げる立場にございません。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 議事録に載っておるものも言えないんですか、局長。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ですから、先ほども申し上げましたように、議事録に載っておることは承知しております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 だれに遠慮している。議事録に載っておることならもうはっきりしているじゃないか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 別に遠慮しているわけじゃございませんで、それはむしろ神谷委員の方が御判断のとおりでございまして、私どもはこの席で別に言っているわけじゃなくて、前々から、その当時から申し上げておるとおり、秘密会で申し上げた政府側の立場はそういうことであるということで、そのことをこちらの方から改めて申し上げることはないということを前々から申し上げて、そのとおり御了承をいただいているわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そのときは秘密会でやっても、その後議事録で公表されている。だから、現在ではもう秘密会ではない。質問にちゃんと答弁するのが政府委員の責任じゃないですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 大変同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、当時のことは国会でも御案内のとおりでございまして、私が改めて申し上げておるところではございません。先ほど来繰り返して申し上げておりますように、秘密会ということで政府が御報告を、御報告というか、御説明を申し上げたということにとどまっているわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 これは国会における答弁拒否ですね。重大ですよ。はっきりしてくれ。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記とめて。    〔速記中止〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記つけて。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 すでに公表されているわけですから本来答弁をすべきですが、私の方から報告を読みます。  「昭和四十七年十一月初旬ころ、東京都内において全日本空輸株式会社代表取締役社長若狭得治らより依頼を受けた丸紅株式会社取締役伊藤宏から、ロッキード社から流入したいわゆる三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金五百万円を全日空がL一〇一一型航空機を導入することについて尽力した謝礼の趣旨のもとに受領したと認められまするが、この金が内閣官房長官としての職務に関する対価であることが認定できないため、収賄罪の成立は認められないものでございます。」これであります。  それで、法務大臣にお聞きしますが、当時総理大臣であった三木さんが出席をして、この委員会でこの報告は行われました。当然これは政府の責任ある報告と理解していいでしょうね。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 当時国会の委員会で政府委員が申し上げたことでございますから、当然のことながら無責任なことを申し上げているわけではないと承知しております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 現在の法務大臣はどうですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま刑事局長から申し上げたとおりであります。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 総理、あなたの認識も同様ですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 国会の議事録に載っておるわけでございますから、私どもはそれをそのとおりに受けとめております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そのとおりに認めておるというのは、当時の三木内閣時代の政府の責任ある報告、こういうようにお受け取りですかと聞いているのですよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましては、法務大臣から先ほどお答えしたとおりであります。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それでは法務省に続いてお尋ねしますが、二階堂氏に五百万円渡したという伊藤宏元丸紅専務がこの授受の事実について、全日空ルート第四十七回公判で、要旨、どのような証言をしておりますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの点は公判での証言でもございますし、すでに当時報道もされ、また国会でもその要旨につきまして御報告がなされているところでございます。その当時の報告によりますと、要約いたしますと、二階堂氏への五百万円については、橋本氏と同じころ官房長官公邸で直接御本人に渡したというふうになっております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 簡単におっしゃいましたが、官房長官の公邸の応接室で、そこでどんな話をしたか、それも証言をし、そして二階堂先生には「受け取っていただきました。」と、素直に、「受け取るのに抵抗がある様子だったか。」「ございません。」「逆に、喜んで受け取った状況か。」「別に。きわめて自然に受け取っていただきました。」、こういうように証言をしています。これが今度の判決に証拠として採用されているのですが、最高裁にお尋ねしますが、この判決原本の方はいつごろできる予定でしょうか。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいま作成中でございまして、いましばらくかかるかと思います。具体的な時期につきましては、ちょっとただいまのところ申し上げられません。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 さらに関連して言いますが、この判決原本ができますと、その中には伊藤証言の信用性について、いま発表されている判決要旨よりもより詳細に触れられるのではないかというように思いますが、その点はいかがでしょうか。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 内容がどうなるかということにつきましては、担当の裁判所以外はだれも知らないわけでございまして、私どもも要旨しか知っておらないということでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 それじゃ、六月八日の全日空ルートの判決要旨、伊藤証言の信用性についてどう認定をしておるか、その当該部分をひとつ述べていただきたいというふうに思います。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいま申し上げましたとおり原本ができておりませんので、判決要旨によって御理解いただくよりほかございませんが、この要旨によりますと、「(弁護人の主張に対する判断)」という項がございまして、その中の第三「被告人両名関係」の第一というところに出てまいります。要旨で申しますと、百三十六ページから百四十ページにわたる部分でございます。それによって御理解いただきたいと思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 この右証書についてどういうように判断をしているか、認定をしているか、その部分だけでいいですから述べてください。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これをごらんいただければわかるかと思いますが、この百三十六ページに、伊藤がこう述べているというこの証言についての信憑性の判断だけでございますが、それによりますと、要するに橋本に対する金員の具体的な授受関係に関する証言、これにつきまして五点ほど挙げて、その部分を信用性があるという判断をしているわけでございます。  その第一点は、要するに証拠によって、伊藤が茂木を介し被告人橋本に現金五百万円を手交するに至った経緯について、これは判示の認定事実の六というところに書いてありますが、そういう事実が認められるということが第一点でございます。第二点は、伊藤の供述する被告人橋本の私邸の状況が橋本私邸の写真とおおむね符合しているということを挙げております。第三点に、伊藤の使用していた名刺整理箱の中にあった茂木の名刺が、伊藤の、茂木に対して五百万円を手交した際、初対面であった同人と名刺交換をしたと思う、同人とはそのとき一回だけしか会っていない、という証言を裏づけるということ。第四点は、被告人橋本のほか、自分が金員の配布方を分担した二階堂についても、その交付状況等を具体的に供述しているということを挙げております。それから第五点が、この金員授受に関する許言は、橋本にとって刑事責任上きわめて不利なものであるところ、伊藤には、同被告人と利害が対立しているなどの虚構を捏造してまで証言をしなければならないような事情が全く認められない上に、本件金員の授受を全面的に否認している被告人の前であえてそういう証書をしているということ。五点を挙げて、信用できる、こう言っているわけでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そこで法務省にお伺いしますが、この伊藤証書の信用性について、いま最高裁の方から御報告があったような五点を根拠になさっています。これは先ほどお尋ねしましたときにお認めになりました、いわゆるロッキードの特別委員会における二階堂氏の弁明、それから伊藤証人の法廷における宣誓証言その他の証拠をも含まっているかもしれませんが、少なくともそういうものを基礎として裁判所はいまのような認定をした、信用性のあるものとして認定をしたというように解していいでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ちょっと御質問の中で、基礎としてということの中に、二階堂氏の弁明あるいは伊藤証書等を基礎としてと、こうおっしゃいましたのですが、その辺の意味がちょっとわかりにくいのでございますけれども、裁判所とされまして、どういうことを根拠に調書の信用性を認められたかということにつきましては、先ほど最高裁の刑事局長から御説明があったとおりでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 総理ね、いまずっと申し上げましたが、六月八日の判決、あるいはまた先ほど、政府の責任ある報告だということもお認めになりましたロッキード特別委員会における政府当局の二階堂氏に関する報告、これらの事実と、そしてこれを否定している二階堂氏の弁明とは天地の開き、差があると、こう言わなければならぬと思うのですが、この点は確認できますね。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いままで神谷さんと裁判所並びに刑事局長等とのやりとりでその経過が出ておりますが、六月八日の判決、いまお話があったようなことを基礎として審理をされたその判決におきましては、伊藤証言を信憑性ありと、こうしながら、三十ユニットの配分先として二階堂氏のことに触れておるわけでございますね。しかし、確実に二階堂氏が受け取ったと、それを決定する裏づけというようなものまでは触れておりません。これはもとより橋本並びに佐藤孝行両氏の裁判の判決の問題でございますから触れてないこともあるわけでございますが、そこが争点になっておるわけです。そこが争点になっておりまして、本人は、自分は天地神明に誓って受け取っていないと、こう言っております。そして、司法的にはこの問題は結論が出ておる、残されたものは政治的、道義的責任の問題と、こういうことであり、それがいま一方は、伊藤証言を基礎にして、渡したと、こう言っておるし、一方は、天地神明に誓ってそういうものは受けていないと、こう言っております。そういうことでございますから、これはまさに証人として、国会の場においてこれを証人として喚問して証言を求めなければならない、そういうことにいまなっておる、こう思うわけでございます。  そういう意味合いから、先ほど来申し上げておりますように、一日も早く各党間の合意が得られて証言法の改定がなされ、それに基づいて国会で証言をされる、そして政治的、道義的な問題も解明をされるということが私は望ましい、それを強く期待しておる、こう申し上げておるのはそのゆえんでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 先ほど、刑事局長が答弁を拒否しましたので私がかわって読み上げました。そして刑事局長は、それは政府の責任ある報告であると、そして法務大臣も総理大臣もこれ夢確認しています。だから、責任ある報告ということはうそではないと思うのです。それなりの捜査権その他のものを行使して、そしてこれは真実であるということで、当初は秘密会であったけれども少なくともそこで明らかにされておる。これは無責任にはできないですよ。事実でないという問題であればできないでしょう。そのことを当時の三木総理出席のもとでなされている。それで現在の鈴木総理も、それは政府の責任ある報告だと。  それと、確かに判決の中で、いまの伊藤証言の信用性の中の一つでありますが、こう言っている。第四項、「橋本のほか、自己が金員の配付方を分担した二階常についても、その交付状況等を具体的に供述している」、だから信用できるとこう言っているのです。二階堂氏が被告ではありませんから、罪に問われておらないのだから、そのことについて中心には論証はしていない、立証はしていない、そういうことになります。それは当然のことです。しかし、これが事実でなければ伊藤証人の証言は信用性が問われるわけなんです。これが事実であるから、したがって信用性があるのだと、その理由の一つに挙げている。こうなっておるのですよ。  それでもう片一方の上申書、この上申書はどうなんですか。宣誓して書かれたものですか。どうです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、議事録にあることにつきましては、検察当局が調査の結果そういうぐあいに国会の秘密会に報告をした、それが議事録に載っておる、これは私は認めておるところでございます。そういうような検察の捜査の資料等々も踏まえて六月八日に判決がなされた、判決の中で司法的にはもう結論が出ておる、残された道義的、政治的な責任という問題が国会で取り上げられて論議をされておる、そういうことでございますから、私は、その点は証人喚問の上で明らかにしなければならない問題として各党がいまその点で努力をされておる、こういうことを客観的に冷静に申し上げておるところでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 司法的には決着がついたようにおっしゃいました。だけれども、責任あるあのときの政府報告は、五百万円もらった事実は認めている。ただ、官房長官ですから職務権限の対価としてもらったのかどうかということがはっきりしないから事件にはならない、起訴にはならない、こういうことですね。だからいわゆる灰色高官と言われている。  そこで、盛んに総理はいま各党間で協議中だとおっしゃっているのですけれども、その合意事項を何遍見ましても、現行法でやってはいかぬとは書いてない。これは私だけじゃない、国民、あっちこっちでいろいろ聞いてみましても皆さんおっしゃっているのです。新聞の論説なんかでもそういう点が指摘されています。なぜ現行証言法が障害になるのか、なぜそれでやれないのか、どこがぐあいが悪いというのですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) その議論は先ほどから何遍も神谷さん蒸し返していらっしゃるわけですけれども、各党の代表である国対委員長の会談で、共産党さんは反対をされたけれども、各党合意でそういうことで決まった。永末さんの記録をもとにそれをみんなで確認をして、その方針でひとつ議院証言法の改正をやろう、早くやって、そして証言がこの国会でなされるように努力しよう、こういうことで合意をされたということを私は申し上げておる。あなたはそれを現行、現行とこう言って蒸し返しておられる。それはもう先ほど来の議論で尽きておる。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 なぜ悪い。現行ではなぜ悪い。質問にそのまま答えてもらいたい。なぜ悪いのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 各党の合憲でこれは国会が証人として喚問する問題でございますから、各党の合意の上に立ってなされるべき問題であります。共産党さんの言い分だけで国会の運営がなされるわけにはいかない、これは私は非常に大事なことだと思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 これは予算委員長に聞きますが、この委員会がきのうから開かれましたが、開かれるまでの理事懇談会では、野党の側は、現行法でやれる、証人喚問をやってもらいたい、四回か五回理事懇談会を続けて、ずうっとそういうことは野党の側は全部主張したのですよ。野党の側は、現行法の改定を待ってからやるのだと、そういう主張がありましたか。自民党を除く党は皆そうです、現行法でやれるじゃないかと言った。どうですか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 先日、本委員会の開会に先立ちまして御報告をいたしましたように、数次にわたる理事懇談会、理事会におきまして、現行法のもとで証人喚問をすべきであるという要求と、法改正後喚問すべきであるという主張が行われた、そういうことがあったということは事実でございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そこで、証人喚問は議院証言法改正後に行うべきであるとの意見がありました。これは自民党だけでしょう。違いますか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 自由民主党からそういう主張がございました。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 その他はなかった。その他の党の理事さんはあるいは理事はなかった。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 自由民主党からそういう意見がありましたということで私の報告は十分であると存じます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 はっきりしてもらわぬとそれぞれのところに問題が出てくるのです。現行議院証言法のもとで証人喚問を行うべきであるとの要求がなされる、これはどの党の代表ですか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 現行法のもとですか。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 現行議院証言法のもとで証人喚問を行うべきであるとの要求がなされるとともに云々でしょう。それは何党ですか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 前段の要求は野党からであります。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 共産党だけではありませんね。共産党だけではありません。十日の合意後も参議院の野党各党は、現行の証言法でやれると。反対をしたのは自民党だけなんです。いま委員長の証言どおりです。証言じゃない、委員長の発言どおりです。  だから、自民党が現行証言法では証人喚問は困る、その立場を貫いておられるということが明らかになった。それでは、自民党さんはなぜ現行の証言法で証人喚問をするのは困るのですか。国民はわからぬのですよ。だから、そのことをはっきりしなさいと言っているのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、当委員会の理事会でのやりとりの詳細につきましては承知いたしておりませんが、いま委員長からの御発言で承知したわけでございます。  しかし、その前に、党の、正式に党を代表する各党の国対委員長の会談、松本さんもあすこにいらっしゃる。そういう党の代表者が代表して、そして各党の立場を確認し合って、責任を持って党の意見として話し合った、そういう確認の上に立って先ほども申し上げたような合意がなされて、それに向かって衆議院の議会制度協議会でいま審議が進められておる、こういうことで明快じゃありませんか。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 明快なのは、自民党だけが現行法による証人喚問に反対だった、そのことなんです。そのことだけがはっきりしている、そのことははっきりしているのですよ。だから、きのうの社会党議員の質問でもそうでしょうが。社会党さんまで反対ですかとおっしゃっている。参議院の良識を守る立場からも、現行証言法が存在をする限り、即刻証人喚問を実現するのが国民に対する国会の責務なんです。こういう立場で皆一致をして自民党に翻意を促した。それでも変えなかったのでしょうが。  今日まで現行法のもとで、すでに民間人と政治家を含めて四十八人の証人喚問が行われております。それは自民党委員長のもとで特別の異議もなく運営をされている。テレビでこれを見た国民の中からは、もっと徹底してやれ、国政調査権をもっと強化をせい、事実をもっとはっきりしろ、こういう声が殺到したのです。問題があるからやめろというような話は一つもない。そのことは、当時衆議院の予算委員長をなさっておった故荒舩清十郎さんの著書の中にも詳細に書いてあります。これこそ皆さん、総理、国民の声ではないのですか。疑わしい、疑惑がある、それを早く解明しなさい、そうしなければ政治を信頼することができないじゃないかというのが国民の声です。また、憲法六十二条に言われている国政調査権の発動であります。この点については総理はどうお考えになりますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) それは神谷さんの御意見。衆議院等におきましては、御承知のように、法務委員会等におきまして相当時間をかけてこの議院証言法の改正がなされてきた。わが党におきましても、それに備えるためにいろいろ党内でも勉強をいたしました。亡くなった永野嚴雄さんを委員長として検討がなされてきた。そういう経過がございます。法務委員会におきましても、各党の御意見が出たことも事実でございます。そういう経過があるのですから、現行法でもう問題がないんだと、そういうことではない。そういうことを踏まえて、先ほど来申し上げておるように、各党の代表である国対委員長さんの会談でそういうことになっておる、こういうことを申し上げておる。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そういう経過はわかっていますよ。だから八項目について、そのうち六項目については合意ができている。しかもそれは、法律を改正しなくても運営でやれる。今日の国会法や参議院規則、これで委員長の権限もちゃんと決めてあります。委員会運営の秩序の保持やあるいは品位の保持はできることになっている。だから各党と協議の上運営をすれば具体的にはそれでやれるじゃないか、そういうことも論議をされて、これらの点については自民党も含めて合意点に達している。これは法律を改正しなければできないという問題でない。現行法でやれるのです。  ところが、一番残る問題は何か。それはいわゆる偽証告発の要件ですよ。自民党はなぜ偽証告発の要件を、現行法は過半数ですが、三分の二以上の賛成がなければだめだというようにお変えになるのか。それを固執される理由は何ですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そういう問題は、衆議院の議会制度協議会小委員会でいませっかく検討中でございます。いまこの場であなたと私が論争して結論が出る問題ではない。これはそういうことでみんな、引き延ばしのためにやっていることでもないし、前向きで取り組んでおるわけですから、そこは素直に受けとめてやられたらどうか、こう思います。  それから、こういう問題は、私はなるたけ吟味をしてやられた方がいい、こう思います。現行の過半数というようなことよりはできるだけ告発等の問題は三分の二とかいうようなぐあいにすることが私は大事ではないか、そうでなくて過半数だからということになって大政党が横暴するというようなことになってはこれは私は大変なことになるのではないか、こういうことも考えざるを得ないわけでございまして、こういうことをこの予算委員会の場で私とあなたが議論してもこれ結論出ません。ですから、これはその審議すべき場がちゃんと決まっておるわけでございますから、そこで十分共産党の御主張はそこへひとつ反映するように御努力を願いたい。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 議論を国民の前で党々と闘わしながら、そしてそれがなるほどそうだということであれば一致をしていく、そうやって進めなきゃならぬ問題です。  いま過半数を三分の二にするには、慎重にこういう問題はせにゃいかぬとおっしゃる。しかし与野党伯仲時代に衆議院の航空機の特別委員会で野党が多数だったときがあります、一名ほど。当時松野頼三氏の証言問題をめぐって偽証問題が起こりました。だから偽証の告発をしなきゃならぬというのが証言法で決められております、義務づけられております、偽証があった場合に。それで委員会の開会を要求したのですけれども、自民党は委員会の開会を引き延ばしてとうとう閉会になった。次の国会には航空特をなくなした、つぶしてしまいました。だからもう偽証の告発ができないようになったのです。事実上偽証を行っても野放しにされたんです。そしてそのときからこれは過半数ではいかぬ、三分の二以上にせにゃいかぬ、こうなってきたのです。事実の歴史はそうなんです。  そして今度の二階堂氏の問題、証人喚問の必要が起こってきたときに、現行法では困る、どうしてもここの過半数賛成というところを変えてもらわぬと困る、こう言うんでしょう。これじゃどういうことになりますか。証人が真実を述べることができやすいようにする、これが証書法のたてまえであります。本来の姿でなければならぬ。そうじゃなくて証人が偽証をしやすくする、偽証告発を困難にする、そういうための改正では本当に真実を国民の負託にこたえて国会が明らかにすることはできないではないか。この点についての私は総理の見解を本当に聞きたいと思うのです。たとえて言うたら土俵が狭いから土俵を自分で広げる、こういうことでは人権の擁護でも何でもない。灰色擁護じゃありませんか。このことを私ははっきりしてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、ここであの証言法の改正案の一項目一項目あなたと議論してもこれは詰まる問題ではございません。ちゃんとそのために議会制度協議会小委員会が設置をされて、そこで各党から御意見を持ち寄って審議をきれておるわけですから、そこで共産党さんのいまの神谷さんの御意見等も堂々とひとつ御主張いただいて反映するようにおやりになったらいかがかということを申し上げております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 逃げてばかりおられるのですな。私はこう言っているのですよ。そういう三分の二にするという自民党の考えの中にはこういう汚いたくらみがあるのじゃないか、こう言っているのですよ。そんなことはないというなら、ないとおっしゃいよ。いや、御指摘のとおり実は本音はそうですと言うたらいいです。どっちです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そういう考え方はございません。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 そういう考えではないというならば、総裁として、いま議会制度協議会小委員会でやっておるわけでしょう、三分の二以上の賛成がないといかぬということは固執する必要はない、各党と協議をして、そして運営上で解決するものはどんどん運営上で解決すると言えばもう現行法でできるということになる。話は早い。すぐまとまるのです。そういうように指示をなさったらいかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これはもう冒頭から現行法であなたはやれとこうおっしゃるし、私は国対委員長会談の各党間の合意によっていま進められておる、公党間の信義ということもある、そういうことで進められておるということで、その点はかみ合いません、幾らあなたがおっしゃっても。これはやはり合意に基づいて審議を進める以外にない、こう思います。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 いや、簡単なんですよ。各党間の合意があろうと、現行法でやりますと言えば野党全部が現行法でいいと言っているのですから一遍にまとまる。それはまさに自民党の今日まで証人喚問を引き延ばしてきている責任をごまかす口実にしかすぎない、私はそう思うのです。  そこで法務省に聞きますが、小佐野賢治のあのロッキード事件における役割りというものはどういうものであったか述べていただけますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 御質問は小佐野賢治氏がどういう役割りを果たしたかということでございますが、どうもそのねらいといいますかお尋ねのポイントがよくわからないわけでございますけれども、いままで裁判で明らかになっておりますところからいいますと、五十六年の十一月五日に東京地裁で小佐野被告に対する議院証言法違反の第一審判決がなされているわけでございます。そこでいろいろとこの国会で小佐野氏が証人として証言したことのうち三点につきまして、それが偽証であるということで有罪の認定がされているところでございます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 どうも判決の中身をよくごらんになっていないのですね。判決の中で、ロッキード事件にまつわる不正疑惑の「中心人物の一人としてその全ぼうに関する真相解明の鍵をにぎる被告人」、こういうように判決で言っています。この現行証言法で小佐野を証人喚問して、そして偽証告発をしたからこそロッキード事件の中心人物であるこの疑惑のかぎを握る小佐野の悪徳の一部を明らかにすることができたわけであります。自民党は今日の証言法は欠陥だらけのように言いますけれども、今日の現行法でも不正、腐敗、この糾明に大きな役割りを果たしてきたことは事実です。もちろん出頭できない証人に対しての臨床尋問その他いろいろ整備しなきゃならない面もあります。しかしそれらも合意ができる内容になっているのじゃないですか。それはもう合意している部分ですよ。  そこでさらに法務省に聞きますが、丸紅の大久保利春、伊藤宏それから全日空の若狭得治、渡辺尚次、この四名の逮捕容疑は何でしたか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの四人の方の逮捕事実でございますが、まず大久保利春氏につきましては、やや詳しくなって恐縮でございますけれども、昭和四十七年の十月三十日ごろ三千万円、十一月六日ごろ九千万円をロッキード社のクラッターなるものから受領し、それぞれ領収証に署名をしていたのにかかわらず、国会での証人として証言するに際して……

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 いわゆる偽証罪でしょう。議院証言法による偽証罪でしょう。議院証言法違反でしょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) その点について供述したことが偽証になると、こういうことでございます。  それから……

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 もう内容はいいですよ。四人ともそうでしょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) いずれも偽証罪の事実が逮捕事実になっております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 総理ね、いまお聞きのように、現行議院証言法に基づく証人喚問こそが、まだまだきわめて不十分で、P3C関係の問題とか、あるいは表に出ているのは三十数億ですけれども、またそれ以上に金が流れてきたかもわからぬが、いずれにしてもそれらの大部分の金の流れ、これはまだ不明です。しかし、一定の疑惑を解明すると、これに役立ったことは事実だ。この議院証言法に基づいて証人喚問をしたことによって、少しでもそういうことを国民の前に明らかにすることができたことは事実だ。これが今日までのこの議院証言法を適用してきた国会の活動の中で酌み取るべき私は最大の教訓ではないかと思うのですが、そうはお考えになりませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、現行証言法、そのもとにおいて幾多の事件がなされてきたと、処理されてきたということを承知しております。私ももう三十五年も国会におりますからいろいろの場面に遭遇して見てきておるわけでありますが、隠退蔵物資の問題であるとか、不当財産の摘発の問題であるとか、まあいろいろその都度証人を喚問して国会でやったこと等も承知をいたしております。いろんな点が私は回想されるわけでありますが、まあいずれにしてもそういうことを踏まえて、そして各党の国対委員長さん方が集まって、先ほど申し上げたような、とにかく現行法の改正をやろうと、こういうことになったこと、これは私は無視しちゃいけませんよ。やはり各党間の信義に基づいて前向きで取り組むべきことだと、このように考えております。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 最後はとにかく各党間の合意のところへ逃げ込んでしまって、自分自身の見解、あるいは自民党自身の見解、これを国民の前に明らかにしないというのは私はひきょうだと思うのです。  まあしかし、そういう議院証言法というのは一定の役割りを果たしてきた。ところが、それを改正をしない、改めないということを理由に証人喚問を引き延ばしている。このことについて、一橋大学の法学部長の杉原泰雄教授がこう言っている。政治責任というのは、「疑わしきは政治家の不利益に」というのが国民主権、民主主義の原則である。「権力の座から退くこと」が政治責任のとり方の一つと指摘をしています。また、昔から「李下に冠を正さず」と、これが公人のモラルと言われてきています。だから、二階堂氏らに即時喚問に応ずるようにするだけではなく、幹事長をやめてもらって、そうして総理が本当に政治倫理の確立を言うならば、そういう毅然としたけじめのある態度をとるべきではないかと思うのですが、この点いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 一橋大学の先生の御意見は、非常に貴重な御意見として拝聴しておきます。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 貴重な意見として拝聴するだけでは意味がない。言行不一致と言わなきゃならない。私は、これは今日非常に重要なことだと思うのです。  時間もありませんから、そこで委員長。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 神谷君、時間が超過いたしました。

神谷信之助日本共産党

○神谷信之助君 はい、わかりました。  委員長、証人喚問要求の動議を沓脱理事の方から提出をしておりますが、私の方からも改めて出したいと思います。  いわゆるロッキード資金三十ユニットの授受に関して政治的、道義的責任を解明するために、証人として、二階堂進元官房長官、加藤六月元運輸政務次官、田中角榮元総理大臣、伊藤宏元丸紅専務、副島勲元丸紅秘書課長、大久保利春元丸紅専務、若狭得治元全日空社長であります。それで、ずっと一貫して現行法でやれるのだと、そしてそのことをやることが国会の責任だということを私は主張してまいりましたし、その根拠を明らかにしてきたと思うのであります。したがって、委員長はこの点を踏まえて、参議院が参議院らしい良識を発揮して理事会でしかるべき結論を得られるようにお願いをしたいと思いますが、いかがですか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) ただいまの動議については、理事会で協議をいたします。  以上で神谷信之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会

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