P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会参議院1982/06/28

予算委員会 第21号

発言数
239
登壇者
27
会派数
2
開催日
1982/06/28

会議録

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。  まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に川村清一君を指名いたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) この際、委員長から御報告申し上げます。  本日まで数次にわたる理事会及び理事懇談会におきまして、政治倫理の確立についての重要性にかんがみ、現行議院証言法のもとで証人喚問を行うべきであるとの要求がなされるとともに、一方、証人喚問は議院証言法改正後に行うべきであるとの意見がありました。  協議の結果、議院証言法の速やかな改正を図るよう強く要請するとともに、今国会会期中に証人喚問を実現するため最大限の努力を行うことといたしました。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) それでは、予算の執行状況に関する調査を議題といたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。  質疑を行うのは三・五日間とすること、質疑時間総計は四百九十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党それぞれ百五十二分、公明党・国民会議八十四分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ三十四分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ十七分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) それでは、これより質疑を行います。矢田部理君。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 あらかじめ予定をしたテーマに先立ちまして、緊急の課題でありますので、冒頭総理にお尋ねをしたいと思います。  それは、本日から日教組が島原で定期大会を予定しておりました。ところが、相次ぐ右翼の妨害で事実上この大会が平穏裏に行うことができない。会場の使用などが次々に拒否をされているという実情にあります。整然と労働組合が行う大会について妨害をされる、これは民主主義にとっても大変ゆゆしき事態でありますし、憲法上の集会、結社の自由、この観点から見ても大変な問題だと思うのでありますが、総理としてのまずお考えを伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法におきましては、集会、結社の自由、言論の自由ということが保障されておるわけでございます。いま矢田部さんから御指摘がございました日教組の大会についてのいろいろの現地におけるトラブル等があるようでございますが、私は、その点につきましては国家公安委員長等から報告をいたさせますが、いずれにいたしましても、憲法で保障された集会、結社の自由、言論の自由というものが確保されなければならない、政府としてもそのように今後におきましてもなお努力をしてまいりたいと、こう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは明日予定をしております寺田議員が教科書の検定問題、教育問題全般について実はいろいろ準備をしてきておりますので、関連して寺田議員から幾つかの問題点を指摘していただきたいと考えておりますが、私どもは、やっぱり現実に集会がこの日本で開けない、これは大変なことだと思うのですね。自治大臣がもうきちっとやっぱり処置をしなければならぬ。右翼の妨害を排除するような毅然たる態度をとらなきゃいかぬと思うのですが、総理及び自治大臣の見解をさらに伺って、私の質問は寺田議員に譲りたいと思います。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。  ことしの三月ごろから日教組の大会の会場をどこにするかでいろいろ協議があったようでございますが、いま御指摘のいろんな妨害がございまして、開催地側の方でそれによっていろいろ混乱を来して会場を使用することを断ってきたと、こういうことが現在まで直前まで続いてまいりまして、やっときのうになりまして大体の方向が決まった。ただ、それを発表しますとまたすぐいろんな邪魔が入りますので、けさの直前まで未発表の形で臨んだと、こういうふうな大変混乱した状態でございまして、私どもの方の警察の方では、たとえ場所がどこでありましても、島原あるいはその周辺、どこでありましても、警備の方は長崎県内から二千名の警官、それから他県から約千人の警官の助勢を得て、三千人の警備で十分に妨害その他に対する配慮をしていくと、こういうことで臨んでおるわけでございます。そういうことで大変いろいろ混乱をした状態でございますが、できるだけ最大限の努力を傾けまして会の遂行に事なきを得るよう、そのように万全の配慮をいたしておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 委員長、関連。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。寺田熊雄君。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ただいま矢田部議員からも質問がありましたように、現在の右翼の暴状というものはとうてい黙過し得ないものがあります。これは、ただに今回の日教組の会場の問題だけではないのであります。先般、右翼が日教組の事務局に押しかけまして、槇枝に会わせろということで、これを阻止しようとした書記局員にピストルを発射して重傷を負わせたというような事件さえも発生したことは、総理も国家公安委員長もよく御存じであると思うのです。こういう右翼の暴状、いま総理は憲法二十一条が表現の自由、言論の自由、集会、結社の自由を保障しておることはよく存じておるとおっしゃった。しかし、このような暴力で完全にこれが侵害されておる。これは憲法が無視せられ、じゅうりんせられていると一緒ではないでしょうか。これに対する警察当局の対応がきわめて手ぬるいということがまず第一に挙げられなきゃならぬ。たまたま私どももよく現実に見るのでありますが、われわれの集会を妨害するために道路を反対の方向から逆進してくるというようなことさえもある。それを警察は黙認しておる。このような警察の意気地のない態度が右翼をつけ上がらせておるのでありますが、しかしそれは結局やはり内閣の責任であります。総理、このような戦前をほうふつさせるような、あなたも戦前の方ですからして、浜口さんが殺された、井上蔵相が殺された、団琢磨のような財界の人さえも殺された、そういう右翼の暴状があの大東亜戦争まで発展させたわけでしょう。そういう歴史的な体験を経ておられるあなたが、なぜこの右翼の暴状を黙認しておられるんですか。放置しておられるんですか。あなたの責任ですよ。どうなさいますか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 総理がお答えになる前にちょっと一言申し上げたいと思います。  警察の方は右翼の行動に対して決して甘やかしておるものではございません。厳重に取り締まりをいたしておりますが、ただ、この間の日教組の本部における事件のように、どうしても手のひらから水が漏れるようなことが発生し得る、この点も今後十分注意いたしまして、厳しく取り締まっていく所存でございます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 言論の自由の確保、集会、結社の保障、この憲法の完全なる実施につきましては、基本的に先ほど申し上げた考えで政府としては取り組んでおるということを申し上げたところでありますが、いま国家公安委員長から、その実際の取り締まりに当たっておる立場からいろいろ当局としても最善を尽くしておる。たとえば今度の長崎県における場合におきましても、県内から二千人の警察官を動員をし、県外からさらに一千名の警察官も動員をして、そしてこの集会が事故のないように、平穏にいくようにということで警察としては最善の努力をしておる。また、日教組本部のああいう暴力事件につきましても、当局としては厳正な取り調べを進めておるということも申し上げたとおりでございまして、このような憲法の精神を阻害するような行為に対して、政府がどのように努力をし苦労しておるかということにつきましては御理解を賜りたいと、こう思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 現実にいま島原では日教組の大会が会場が借りられないという、そういう集会、結社の自由が侵害された状態が続いておるわけです。あなたが、また公安委員長が、そういう問題について努力をしたいとおっしゃるのならば、いますぐ会場が何らかの方法によって、たとえば県の努力によって、あるいは旅館業組合が右翼を恐れずに当初の方針どおり貸すというような、そういう表現の自由、集会の自由が保障せられるような手だてをいますぐ講じていただきたいんです。これは自治大臣なりあるいは文部大臣なりが御努力になる、総理がそれを指示なさる、そういうことによってその侵害された状態がもとに復するわけでしょう。そういう努力をいますぐやっていただきたいのです。いかがです。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 現在、御指摘のような方向で最大限の努力を払って行っております。警察、私どもの方の関係も、これは私どもの方から長崎県の方にも十分通達をいたしまして、会場、それから無事に大会が最後まで終了できるよう、いろんな関係各方面と了解をとりながら、連絡をとりながら十二分の態勢でいままでもやってまいりましたし、これからもそういう方向で集会の自由その他を確保できるようにやってまいりたいと思っております。ただ、民間の業者でございますね、民間の業者の場合、旅館業者とか、そういうところがああいった大きな大会を受け入れるときにはどうしても商業ベースになってまいりますので、そこから派生してくるいろんな状況を、なかなかそのまま受け入れて忍耐強くやっていくところまでいっておりませんので、その点はぜひとも御理解いただきたいと思う次第でございます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来御答弁を繰り返し申し上げておりますように、政府の基本的な方針、この点につきましては明確に申し上げたとおりでございます。その方針に基づきまして警察当局が地元県市当局等と十分連絡をとりながら、その趣旨が実現できるように、徹底できるように努力をしておるということはいま申し上げたとおりでございます。それが必ずしも寺田さんがおっしゃるように十二分にいってないという面があることは残念でございますけれども、当局としては最善を尽くしておるということはひとつ御理解を願いたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それでは、次のテーマに入りたいと思います。  私は、ロッキード疑獄を中心とする政治倫理について。二番目には反核、軍縮など平和の課題について。そして三番目には歳入欠陥を初めとする財政、経済問題について。以上三点を中心にこれから論議を深めていきたいというふうに考えております。  最初に、今次最大の政治課題でありますロッキード問題についてでありますが、御承知のように六月八日、橋本、佐藤両被告に対して有罪の判決が下されました。総理としてこの判決をどのように受けとめておられるでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 六月八日の判決につきましては、裁判所が長い年月をかけ非常に慎重かつあらゆる努力を傾けて思量の結果下された判決でございまして、政府としてはこの判決を厳粛に受けとめておるところでございます。  判決の内容につきまして、行政府の長として、三権分立の立場から中身についてあれこれコメントをするということは差し控えさしていただきたいと思っています。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そもそもロッキード疑獄とは一体何であったのか、この認識がきわめて重要だと思うわけです。  すでに、小佐野を初めとして全日空ルート、全部有罪判決が出ました。いよいよ丸紅ルート、田中裁判の本丸へと状況は進むことになってきているわけでありますけれども、この裁判を取り巻く状況、前提となったロッキード疑獄というのをどういうふうにお考えになっておられるか。私たちは、自民党の長期政権と政財官の癒着、そしてまた、右翼や政商の暗躍まで許した構造汚職であると、こういう指摘をかねてからしてまいりました。航空機導入という大型利権に絡んで、金権腐敗政治のまさに象徴とも言うべきケースとしてこのロッキード疑獄が発生をしたわけでありまして、それはもう単なる偶発的な事件、個人の倫理観の欠落による事件というようなレベルではとうてい考えられないものがこの疑獄の構造であるというふうに受けとめているわけでありますが、総理としてはいかがお考えでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま矢田部さんから、このロッキード事件に関する矢田部さんの見ておられるところ、御見解をお述べになりましたが、今後この事件の真相、内容というものが一連の裁判の中で国民の前に明確になっていくと思うわけでございまして、いまの段階で私がこれに対して見解を申し述べるということは適当でないと、こう考えます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 どうも総理は、この汚職の構造なりロッキード疑獄について避けておられるような気がしておられるような気がしてならないのです。今度の有罪判決では、さらに問題にされた灰色高官の人々も名指しで明らかにされている。これは構造汚職という観点から見ますれば、まさに自民党に対する判決だと私は受けとめている。そう考えられませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 自由民主党は国民の支持の上に立っておる政党でございまして、一部の仮に過ちが過去においてございましても、党員はひとしく党のため、また国民の御支持をいただいておる方々の負託にこたえるためにも常に姿勢を正して国政に励んでおるということでございまして、自由民主党全体をいまのように、矢田部さんのようにきめつけていただくことは私は承服いたしかねる、こう思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 判決だから、司法の問題だからコメントをしたくない。同時にまた、個人の問題で、佐藤孝行被告の進退などは本人自身が決めるべきである。灰色高官は政府の問題ではなくて国会の問題だから国会でおやりくださいと、全部逃げておるではありませんか。ロッキード事件は、それならば政府としては全く責任がなかったのでしょうか。その点いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この事件が発生をいたしましてから、政府としては法務省を中心といたしましてこの事実の究明のための調査、検察活動というものにつきまして最善の努力を払ってまいったわけでございまして、このような事件が二度と起こらないように厳しくその事態の究明に当たってきたと、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 捜査の問題を私は聞いているんじゃないんです。いやしくも政府のトップである当時の総理大臣の犯罪、当時の運輸大臣の犯罪、運輸政務次官の犯罪としてこの問題はいま裁かれているわけでしょう。それについて政府はどんな責任を感じておりますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは先ほどもお答えをいたしましたように、それらの一連の問題は厳正な、そして公正な司法の裁判、判断によって解明される問題でございます。私は繰り返し申し上げておりますように、二度とそのような政治に対する国民の疑惑なり不信を買うような事態が発生をしないように、自来政府としても襟を正し、反省し努力をいたしてまいったところでございます。あの事件が発生いたしましてから、行政と政治の分野に対しましていろいろ改革を要する点、改善を求める点につきまして御指摘がございました。この点につきましては、すでに御承知のように、行政分野につきましては閣議等におきましていろいろ検討もし、また法律あるいは制度あるいは省令その他の面で改善すべき措置は御承知のようにとってまいったところでございます。  また、政治家の問題に関連いたしましても、国会におかれましても、いろいろ政治資金規正法の改正の問題でありますとか、そういう問題等につきまして御検討が進められて今日に至っておるというように私は見ておるわけでございまして、これは政府も政治家も行政も本当に反省の上に立って、今後二度とさようなことが起こらないようにしていこうということで努力をしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 運輸大臣に伺いますが、運輸行政、航空政策の面で問題はなかったでしょうか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 私のこの問題に対しての見解でございますが、運輸行政、特に航空行政につきまして今回の裁判所の判断というものが示されたと考えておりますが、その間にあって、運輸行政そのものはいろいろな裏において問題があったように考えられますけれども、必ずしもそれによって非常にねじ曲げられたという事実はないと私は信じておりますし、また、現在の私の立場から申し上げるならば、きわめて公共性の高い航空行政というものにつきましては、従来にも増して厳正であり、かつ公正でなくてはならぬ。特に、われわれはそうした面につきまして十分世の一般の方々の見解を尊重して、間違いなく運営をするということに現在努力をいたしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 今回の判決は、申し上げるまでもなく、四十七年からお客さんがふえたので大型機を入れて輸送力を増強しよう、在来機では空港も過密になって大変になるということで、運輸省が中心になってずっと指導をしてきた。ところが、それをいきなり延期をしてしまった。そこに請託や賄賂が動いたというのが今度の事件でありますが、それについて運輸省は、ロッキード委員会等でどういう説明をしてきたでしょうか。なぜ延期をしたのか、なぜ四十七年にやるべきことを二年間も後送りしたのか、その点を説明いただきたいと思います。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) お答え申し上げます。  ロッキード事件が表に出まして、昭和五十一年あるいは五十二年のロッキード特別委員会で、当時の運輸大臣あるいは航空局長等から大型機導入延期の問題につきましてるる御報告を申し上げた記録がございます。その時点におきます御説明の重点が、昭和四十六年時点から航空輸送需要がかげりを見せてきたということが、つまり航空輸送需要の一本調子で伸びておりました需要が少し停滞の状況を見せてきたということが一つの理由であり、また、もう一つの理由といたしまして、この大型機の導入というものが、会社が複数でございますので、ある特定の一社だけが大型化を進めるということは、勢い他の会社が導入を急ぐということで、そこに十分な準備がないままに導入をいたしますと安全性にも問題があるというような御説明をしたというふうに記憶いたしております。私ども今回の判決を読んでみまして、判決の中身について立ち入ることはいたしませんけれども、この判決を読んでみますと、その延期の主たる理由は、やはり会社間の公正な競争の確保ということに重点が置かれておったというふうに私ども判決から読み取れるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 法務省に伺いますが、いま導入延期の理由を運輸省から説明をされました。それをめぐって判決はどんな認定をしているか、御説明ください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 大型機の導入時期の延期の問題でございますが、判決要旨自体でも相当その経緯につきましては詳しく述べております上に、これは要旨でございまして、まだ全文も示されていないわけでございますから、それを一言でなかなか申しかねるわけでございますが、いろいろと問題があって、この事件の犯罪事実との関係におきましては、全日空側からの請託を受けて、それに沿った行政指導と申しますか、そういうことが行われたというふうに事実としては見ているように思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 どうも要領を得ないわけでありますが、運輸省は、航空需要が、お客さんがふえるだろうと思ったが、万博以後少しかげりを見せた、だから延期の理由にしたんだ、こういうふうな言い方をしておるんですが、裁判所はそう見てないのじゃありませんか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) どなたが答弁しますか。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 法務省。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 裁判所はどう見ているかということであります。前田刑事局長。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、この判決は、橋本、佐藤両氏の受託収賄という事実についての判決でございまして、その経過としていろいろなことを述べていることは当然でございますが、運輸行政そのものがいいとか悪いとかということを直接言っているということではなくて、経過、またその情状といいますか、事実、情状の両面でもちろん触れているわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 全然答えになってないよ。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 前田刑事局長、ちゃんと答弁してください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほども申しましたように、いろいろと経過を述べておるわけでございますので、それをなかなか一言では申し上げにくいということでございますが、先ほど申しましたように、いろいろな当時の事情、さらに、この事件に関して申しますと、全日空側からいろいろと依頼というか陳情というか、ございまして、そしていろいろと検討をした結果、結局その時期を延期するということに決まったということが経過として述べられているということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そのいろいろの中身を、需給見通しとの関係でどんな工作が行われたかを聞いているんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど来申しておりますように、判決のことでございますから、これを一言でといいますか、二言三言で説明することは困難でございまして、この判決自体を全部読み上げなければならないということになるのじゃないかというふうに思うわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 どうも刑事局長にしては要領の悪い答弁なんですが、私が申し上げているのは、運輸省は航空需要が伸びると思って大型機の導入を四十七年にしようとしたけれども、少しどうもお客さんが少なくなりそうだと、かげりを見せてきたから四十七年ではなくて先に延期したのだと、こう言うんでしょう。ところがその延期に日本航空は反発をした、すでにもう国内機を準備して認可も受けているわけでありますから。そこで何とか日本航空を説き伏せるための手だてはないかということで、需給問題について資料をつくれと。いま、四十七年段階で大型機を入れると供給過剰になってお客さん不足になる。その資料ができぬかと言って運輸省は事務当局に指示をして検討させた結果、そんな数字的な論証は全くできない、こういうことを判決は言っているんじゃありませんか。その辺のくだりをもう少し詳しく説明してください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、経過はずっと長期間にわたってのことでございますから、一部分だけを取り出して申し上げるのもいかがかと思いますけれども、いま御引用のようなことが判決要旨でいいますと二十七ページ、八ページの辺にあることは事実でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 運輸省はロッキード委員会でうそを言ってきたのですね。航空機を利用するお客さんがふえると思ったが、そうでもなさそうなので延期をする、その資料をつくれと役人に命じたら、数字的にはそんなことを裏づける資料はできませんと、運輸行政はここで曲げられたのじゃありませんか。この判決と、従来運輸省がロッキード委員会で説明してきたこととは全く違うじゃありませんか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、確かに当時の記録、つまり昭和五十一年、五十二年ごろの記録を読んでみますと、私どものその当時、四十五年あるいは四十七年の記録を調べ、あるいは当時の関係者の意見を聞いた形で、その当時の意見として、需給の問題に重点を置いた御説明をしたというふうに私どもいま読み取れるわけでございます。  ただいま先生御指摘のように、今回の判決で数字云々のところについて日航側を説得できなかったというくだりが判決に盛り込まれておることは事実でございます。ただ、私どもあの当時の記録を調べましても、需給に重点を置いた御説明をしたことは事実でございますけれども、それだけが延期の理由ではなくて、先ほどちょっと御答弁申し上げましたとおり、あくまでも両社の公正な競争の確保ということが一つ大きな理由としてあったわけでございまして、そのことは今度の判決を通じましても十分に読み取れるところでございます。  そこで、大型機の導入延期についての需給の問題について、これは、日本航空は導入を希望する側でございますので、需要の見通しにつきましては何と申しますか強含みに推定をするということは当然のことでございまして、そこで意見が合わなかったという事実があったことだろうと思いますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、あくまでもこの大型機の導入の延期問題につきましては、公正競争の確保ということが一つの大きな理由で導入の延期を指導したというふうに承知いたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 公正競争の問題もある、安全性の問題も出ておったことは事実ですが、この需給バランス論を私どもが追及をしたときには全部需給バランス中心で説明をしておる。それは、もうすでに日本航空が準備態勢に入る、政府も747LRの国内転用を認める、取得の認可をしておる、こういう状況の中で行われたわけであります。日本航空としては了解しない、それを全日空から請託を受けて何とか延期しよう、延期のための口実をつくろうといってやっきになったけれども、とてもそれができなかったと判決は認定しているじゃありませんか。全く従来運輸省が説明してきた客観的な事情に基づく延期だなどとはとうていこの判決は言っていない。その点で運輸省はいかにもひど過ぎる。航空政策、運輸政策は曲げられたと断ぜざるを得ないわけでありますが、同時にもう一点問題なのは、だれからも指示を受けていない、運輸当局自身の判断、独自の判断でやったのだ、導入延期をしたのだと言っていますが、そのとおりですね。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) そのとおりでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 この導入延期の行政指導は運輸省事務当局が独自で判断した、だれからも頼まれたり言われたりしたわけではない。法務省、この点について判決要旨はどう指摘しているでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) この点も一部だけを取り出して申し上げるのはいかがかと思いますけれども、判決要旨の当該部分と思われるところを見ますと、御趣旨のようなことに理解していいかどうかという問題もございますけれども、当時大臣であられた橋本氏が、たとえば当時の次官に対して大型機の導入は慎重に検討するようにというようなことが行われたというような点は確かにあるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 全日空から町田あるいは内村、住田などに話がずっと伝わっていった経路、その経過を少しく詳しく説明してください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど申し上げましたようなことに続きまして、当時の次官が当時の航空局長であるとかあるいは監理部長を呼んで、大臣からの意向を伝えて意見を求めたというようなこともございますし、さらに当時の監理部長が監理部の監督課長に対して日航に対する指導と申しますか、そういうことをさしたというようなこと、それから当時の監理部長も日航の役員に対していろいろな伝達をしたと申しますか、そういうようなことがるる述べられております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 その判決の、認定した事実経過は、従来運輸省がロッキード委員会等で説明してきたことと大きな食い違いがあるのではありませんか。刑事局長、どう判断されますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 当時の運輸省御当局の御説明というのを十分つまびらかにしておりませんし、また私どもは検察庁の見方あるいは判決がどうなっているということを申し上げる立場にございまして、どちらが正しいとか間違っているとかいうようなことを申し上げる立場にないと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 正しいか、どちらが正当かを聞いているのじゃなくて、運輸省のいま説明をした当時のロッキード委員会における説明、答弁と、いまの認定は重大な食い違いがあるのではないですかと聞いているんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、当時の運輸省の御説明を十分、正確に理解しておりませんが、先ほどのお話からすれば、ニュアンスとしてといいますか、食い違いはあるように思いますけれども、むしろそれは運輸省当局にお聞きいただきたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 刑事局長のお勧めでもありますから、じゃ運輸省当局からお答えください。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、昭和五十一年、二年当時、私どもが当委員会を初めあるいはロッキード特別委員会等で御答弁申し上げました際の運輸省としての調査方法と申しますか、これは当時の資料はすでにございません。あるいは、あるものは検察当局で押収されたというようなこともございまして、私どもとしては当時の関係者の記憶をたどって御報告を申し上げるしがなかったわけでございまして、その際の答弁の比重が、先ほど申しましたように需給問題に偏った御答弁を申し上げたということは事実でございまして、その点、今回の判決と若干のニュアンスの相違と申しますか、あることもこれまた事実でございます。  ただ、今回の判決をよくお読みいただきますならば、私どもの、たとえば十八ページのところに、運輸省としては大型機の導入というのは両社の相互協調というものが前提だという考え方をとっており、そして昭和四十五年当時は両社ともに四十七年から大型機を導入するという計画があった時点でございまして、さらにその判決をしさいに読んでいただきますならば、全日空が大型機の導入が困難になってきたということが明確になった時点というのは四十六年に入って早々のことというふうに記録されておりまして、私どもといたしましては、そういう事態になれば大前提が狂うわけでございますので、先ほど申しました需要のかげりというものとあわせ考えまして、昭和四十六年の二月ごろから大型機の導入についての検討が始められたというふうに承知をいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 もうその論点は先ほど終わったのです。その次のことを聞いているのです。運輸省はだれからも頼まれたわけではなくて独自に、主体的に判断したのだと、そうじゃないんじゃありませんか、判決は。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 私、当時の関係者でございませんので、当時の事実関係というものはつまびらかにいたしませんので、判決に即してお答え申し上げますと、確かに判決によりますれば、昭和四十六年の二月ごろに大臣の意向が次官に伝えられ、事務当局の意見が求められたというくだりがございます。その際の事務当局の反応を読んでいただきますならば明らかだと思うのでございますけれども、事務当局はその際に大型機導入の延期に反対しているわけでもございませんで、全日空の四十七年度の導入の能力がないということがはっきりしたということ。そして、あるいは共同運航とか運賃プール制というような両社協調する体制が整うならば大型機の導入は結構だけれども、残念ながらそういう過当競争を防ぐ条件というものが整備されてないと、こういう時点で一方の大型機の導入を認めるということは公正な競争の確保の上で非常に問題があるということで、事務当局みずから延期が適当であるという判断をしたというくだりがございます。その辺を見ましても、私どもといたしましては、だれかの意見によってねじ曲げられたということではなく、事務当局みずからの判断によって導入が行われたというふうに考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 一部をつまみ読みしてはだめですよ。いいですか、もともと四十七年導入で走った。ところが全日空の方がなかなか準備ができない。日本航空はすでに四十七年から導入が可能になった。それを前提として運輸省も一定の機種について認可をした。ところが全日空がそれについていけないものだから、橋本運輸大臣に頼んで何とか延ばしてくれと言った。そして町田次官に検討を命じた。町田次官は、当時の内村航空局長、住田監理部長に話を持ち込んで、ぜひ協議してほしい、ここで何とか日本航空を説得して足並みをそろえるという名目で延ばそうじゃないかということで、いろんなごまかし資料をつくれとか、需給が落ち込むからそういう資料をつくれないかといって操作したけれども、説得できなかった。数字を挙げた論証はできなかったというのが判決の中身じゃありませんか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 先ほど御答弁申し上げたように、四十五年に確かに日本航空の国際線大型機に対する導入の認可をしております。ただ、その時点におきましては、全日空もまた四十七年から大型機を導入するという計画が立てられておって、それは変更になっていなかった時点でございます。先ほど御答弁申し上げましたように、全日空が導入が困難であると、社内的には四十五年の十月、十一月というふうに検討が進められたということが判決に述べられておりますが、表に出たのは四十六年に入ってからでございまして、私ども、そういう事態の変化がございましたならば、大型機の導入は一方の会社のみが進めるということはかえって公正な競争の確保なり安全性の確保に悪い影響があるという判断をしたということを先ほど申し上げたつもりでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは運輸大臣にお聞きしますが、以上二つの点ですね。すなわち、この導入を四十七年に決めておったのに、四十八年あるいは九年以降まで延ばす、これは事務当局の判断でやったので、だれからも頼まれたものではない。ところが裏方では、全日空から橋本登美三郎運輸大臣が頼まれて、この判決でるる述べておるように町田次官におり、内村、住田氏などの事務方に協議がゆだねられて延びた。これは全く従来のロッキード委員会における答弁と違うんです。  もう一つは、この延期の理由も、需要が落ち込む、かげりが見えるなどという客観的理由からあたかも延期したように運輸省は説明をしてきたのですが、そうじやないと。そういう理屈で日本航空を説得しようといろんなごまかし工作をやったということが今度の判決で明らかになった。その限りで運輸行政は大きくゆがめられた。その責任はきわめて大きいと思うんですが、運輸大臣いかがでしょうか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 私もいま御指摘のような点につきましていろいろと事務当局から事前に検討した結果を聞かしてもらっておりました。しかし問題は、当時のいわゆる関係者も書類も全くない。先ほど航空局長がお答え申し上げたような、いわゆる当時の記憶をたどるような形でのいろいろな調査と申しますか、それが行われたということも私事実だと考えております。  それで、いま委員の御指摘のような、運輸省の当時のロッキード委員会においての見解と、また今回の裁判所の判断というものに違いがあるじゃないかという御指摘でございますが、これは委員にも御理解いただきたいのでございますが、私がこの場で裁判所の判断に対してどうであると言うことは差し控えたいということはお許し願いたいと思います。ただ、私といたしましては、当時の状況等を今日までいろいろな面で十分就任以来聞きましたが、その間において委員の御心配になるような形での、航空行政が非常に著しく当時の首脳によって曲げられたということはなかったというふうに私は現在理解をいたしておるわけでございまして、こうした問題につきましては、さらに今後の裁判がどのようになってまいりますか、その時点でさらに解明さるべき問題ではなかろうかというふうに思っておりますが、運輸行政そのもの、航空行政そのものが当時において非常に著しくねじ曲げられたという認識は私はいまは持っておらない。先ほど御答弁申し上げたとおり、きわめて公共性の高い航空事業に対しては、従来にも増して公正な姿勢で臨むべきであるということについては十分踏まえて努力をいまいたしておるところでございまして、御理解を賜りたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 大臣は、著しくねじ曲げられたことはないと、著しくに大変アクセントを置くように思われますが、これは請託を受けてそれに沿うた行為を行った、それが判決の基本部分でありますから、著しかったか著しくなかったかは別として、ゆがめられた、曲げられたことだけは事実なんです。その件について、たとえばこれは情状の部分でありますが、「航空行政の公正とこれに携わる者の廉潔性に対する国民の信頼を著しく失墜させ、」同時に「国民に政治不信の念を抱かせた」——これは政治の問題でありますけれども——という認定になっておるのでありまして、どうも運輸大臣、少しく理解が不足しているのではないかというふうに思います。  そこで、そういう中で運輸行政がゆがめられ、全日空の依頼、橋本等の動きによって曲げられてきた。それにかかわって灰色高官が出てくるわけでありますが、灰色高官についてはどんなふうにこの判決は述べているでしょうか、法務省に伺いましょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいまの点にお答えする前提といたしまして、前々から申しておることでございますが、六月八日の判決言い渡しの際に裁判所から配付されましたものは、題名といいますか標目といいますか、にもありますように、判決の要旨と判決の骨子でございまして、判決書の全文はまだ裁判所から示されていないと、私どもも当然入手していないと、こういうことでございまして、その点から、全文がはっきりいたしますともっと内容もはっきりする点があるかもしれないというふうに思うわけでございますが、現在ではそういう事情でいわゆる要旨というものを前提としてお答えするほかないわけでございます。  そこで、この要旨によりまして六月八日の判決が被告人以外の他の政治家に対します関係でどのようなことを言っているかということになりますが、その点につきましては当参議院の本会議でも法務大臣からお答えしたとおりでございまして、当然のことながら本判決は橋本、佐藤両氏に対する判決でございまして、それに関連する限度で他の政治家の方についても言及をしておりますけれども、被告人とされている二人の方以外の方につきましての金銭授受の事実自体につきましては、直接的には認定されていないということでございます。  そこで、この点につきましては判決をどう見るかということになるわけでございまして、いろいろな見方あるいは受け取り方と申しますか、そういうことがあろうかと思います。現に、判決直後の新聞報道等を見ましても、この点についての理解は必ずしも一致していないというふうにも見られるわけでございます。  そこで、この判決要旨で見る限り明らかになっておりますことは、要旨の第六と題されております部分で、いわゆる三十ユニット三千万円の供与先といたしまして、橋本、佐藤氏を含む七名の政治家の氏名と供与する金額についての記載があるということ。また、第二点といたしまして、判決の第七の「(弁護人の主張に対する判断)」と、こういう後半の部分におきまして、橋本、佐藤両氏に対する供与事実に関しまして、伊藤宏証人、副島勲証人の証言が信用に値するものであるということを述べておりまして、その根拠としていろいろと挙げていると、その中に他の政治家の名前も出てくると、こういうことでございます。  そこで、その二点を前提といたしましていまの点をどのように考えるかということにさらになるわけでございますが、いまのような裁判所の要旨における判断、また事実関係が前々から申しておりますように密接不可分と申しますか一体不可分と申しますか、そういう関係にあるということを考え合わせますと、裁判所といたしましてはこの伊藤、副島両証人の証言を全体として信用に値するというふうに判断して判決に至ったというふうに思われるわけでございまして、このように推認いたしますことはおおむね異論がないところではないかというふうに思われるわけでございます。しかし、それからさらに推論をいたしまして、他の方に対する金銭授受の事実をも認定しているかということになりますと、それは二重の推論と申しますか、そういう形では可能であろうと思いますけれども、法務大臣の本会議での御答弁にもありましたように、この判決要旨の上ではその点が明示されていないということでございますので断定的なお答えができないと、こういうことになるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 判決の読み方等についてはまた都合で伺いますが、その前提として、検察官の論告があったわけでありますが、論告では灰色高官についてどのように述べているのか。灰色高官の氏名、金額、渡したときの状況、場所等について逐一詳細に御説明ください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 論告の内容は、すでに当時報道もされておるわけでございますし、いわば公になっているところでございますから改めて申し上げるまでもないかと思うわけでございますが、先ほど来申しておりますように、判決は橋本、佐藤両氏に対する判決ということでございまして、他の関係者の方につきましては、その二人の方に対する事実認定との関係においてその必要に応じて述べているということでございます。でございますから、論告がどうなっているかということは過去のいわば事実ということで、事実としてはもちろんあるわけでございますが、現在は判決ということを中心としてお考えをいただきたいわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私はどちらを中心として考えるかということで聞いたのじゃないんです。論告ではどう述べているかということを単純に伺っているんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 論告も相当長文にわたるものでございまして、それを正確に申し上げるには全文を読み上げないといけないのじゃないかというふうに思うわけでございますが、判決でも触れておりますように、十月二十八日にトライスターを採用することに内定したという段階で、判決にありますような三十ユニットの金を七人の方に配分する計画と申しますか、ということが決まったわけでございます。それからその資金を調達することになりまして、そして丸紅側ともいろいろと折衝をいたしまして、配付する人、金額、こういべものが確定をいたしまして、そこで論告で一応述べておりますことは、橋本氏と二階堂氏に五百万円、佐々木氏と福永氏に三百万円、佐藤氏と加藤氏に二百万円、残り一千万円は別途田中氏に供与するということで、そして二階堂氏と橋本氏には伊藤が、佐々木、福永、佐藤、加藤の四氏については副島がそれぞれ届けるということになりまして、それぞれそういう話に従いまして分担に応じて御本人たちに届けたと、こういうふうに記載されているわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 刑事局長、いつ、どこで、どういう状況で渡したのかと聞いているのですよ。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 順次申し上げますと、伊藤宏氏が分担した二人の方につきましては、まず橋本氏につきましては、橋本氏の私邸で橋本氏にお渡ししようとして結局秘書の方にその後渡したということになっております。それから、二階堂氏に対しましては官房長官の公邸で渡したということになっておりますし、副島氏が分担した分につきましては、加藤氏が運輸省の政務次官室、他の方はそれぞれの議員会館の部屋というふうに論告の上では記載されているわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、現に二階堂氏らに渡した伊藤あるいはまた加藤氏らに渡した副島、これは両人は証人として当然法廷に出てきたと思うのですが、その状況等は、いま検察官の論告で指摘されているような経過を逐一証言として述べたのでしょうか、それとも否定したのでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) これも証言内容を正確に申し上げるのはなかなか困難でございますが、いわゆる金員授受の事実については、証人といたしましても先ほどのような事実関係は申し述べているところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 その証言も一つの証拠としていわば判決ができたというふうに経過的にはなろうかと思うのですが、その判決では先ほど刑事局長が説明したような表現になっている。これは判決の要旨を見ますと、金銭を分けるまでのいわば共同謀議といいますか、これは逐一詳細に認定をいたしておりますが、現に渡したかどうかということになりますと、先ほど刑事局長も述べられましたように、たとえば二階堂氏にかかわる部分については伊藤証言の信憑性ということの吟味の一つとして述べているわけでありますから、なるほど直接渡したことを判決として認定したわけではないというのは一つの見方でありますが、少なくともその信憑性を検討した結果、伊藤証言は信用できるということが前提になり、その結果橋本被告は有罪判決になったわけでありますから、橋本に関する伊藤の証言の部分は信用でき、二階堂氏に関する部分は信用できないということにはならない性質のものでありまして、その点はそう見てよろしゅうございましょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) その点はすでに先ほどお答えしたつもりでございますが、矢田部委員ほどはっきりと申したつもりはございません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 はっきり言わなかったなら、じゃ、どう言ったんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 言葉の言い回しの問題かもしれませんけれども、御指摘のように橋本氏に対する関係で信用性があるということを述べていること、そして事実関係が、先ほど私から申し上げましたように、密接不可分というか一体不可分の関係にあるということから、裁判所としては証言全体を信用に値するというふうに推認することはできるでありましょうというふうに申したつもりでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 まあ、おおむね一致しているのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、そこで、この灰色高官の方々に言うならば現金を渡した。なぜ現金を渡すような経過に相なったのかということがいま一つはっきりいたしません。判決要旨によりますと、自民党の国会議員数名にも全日空のために好意ある取り扱いを得たい等の趣旨で金員を贈るあいさつをした一お世話になった先生方へのお礼をすることとなったというようなことが何点かにわたって趣旨めいた話が出てくるわけでありますが、それぞれの高官の方々が全日空とどんな関係、かかわりを持ってこられたのか、全日空に対して好意的な扱いをしたお礼だという表現にもなるわけでありますが、どんな好意的な扱いをしたのか。その辺、この灰色高官一人一人について詳しく御説明をいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 今回の判決は、何回も申し上げておりますように、橋本、佐藤両氏に対する有罪認定という形の判決でございまして、他の方々に対する判決ではないわけでございます。したがいまして、判決要旨を見ましても、またそれが判決要旨であることにもよろうかと思いますけれども、他の政治家の方に対して金員を贈ろうと考えたという理由につきましてはそれほど明確に触れていないわけでございます。先ほど矢田部委員が御指摘のとおりでございます。  そこで、まず判決要旨を前提にする限り、裁判所としてその点をどのように見ていたのかということは、何といいますか物理的といいますか、それ自体としてなかなか御説明ができないわけでございます。また、先ほども申しましたように、判決の全文でございませんから事実認定と証拠との関係——判決が全文が示されますと証拠標目の表示なり内容の表示があるわけでございますけれども、それが要旨であります関係で出ていないということも技術的にありますので、その点が明確でないということになるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 論告でもこの点には触れているわけでありますが、検察側としては捜査もし、また冒陳も出し、証拠による証明もしてきたわけでありますから、この点、論告も含めてどんな状況だったのか、検察の立場でそれでは御説明いただけませんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 同様なお答えになって恐縮でございますが、この事件は、少なくとも外形的には橋本、佐藤両氏に対する起訴があり、それに対する証拠立証があり、そして判決がなされたということでございまして、他の方に対しましてはそれが起訴の対象になっていないということ、したがいまして公判での立証活動もそういう他の方についての事実認定をするための立証活動というものは行われていないわけでございます。したがって、いま申し上げたような意味で必要な限度で関係者の証言なりあるいは捜査段階における調書等も出ておるわけでございますけれども、それは現在すべて裁判所の手に移っているわけでございます。これも御案内のとおり、当初被告人側の方から控訴の申し立てがあり、そして後に検察官側からも控訴の申し立てがございまして、現在法律的な意味では高等裁判所に事件が移っていると、こういうことでございますので、現に公判係属中であるということ、そして記録自体も裁判所の手にあるということから、その内容について詳細なことを申し上げるのは法律上また事実上必ずしも適当じゃないというふうに思うわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それじゃ論告はどういうふうにこのくだりはなっているでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) これまた同じようなお答えになって恐縮でございますが、当然のことながら橋本氏に対する関係、佐藤氏に対する関係ではどういう趣旨でどういう用例であるかということを詳しく述べておりますけれども、他の方につきましては、そういう理由といいますか趣旨につきましては詳しく述べていないわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 少なくともこう述べていることはあるわけですね。「自由民主党における航空関係の政策決定等に関し、かねて全日空に好意的立場をとっていた数名の国会議員に対しても謝礼として金員を贈ることとした。」、だから、航空政策の決定に何らかの形でかかわってきた、そのかかわり方が全日空にとってありがたかった。そのお礼として灰色高官に渡したんだというのが基本的には検察側の主張になっているはずです。言うならば総理、論告、裁判で、灰色高官についてはかなり具体的になってきている。明確になってきている。証拠もそろってきている。ところが、この関係の方々は、福永氏を除いてはいまなお金銭の授受を否定しているのです。すでにロッキード委員会等でも明らかにされてきたことではありますが、この灰色高官の人たちが起訴されなかったのは、たまたま単純収賄で、取り調べのときには三年の時効が過ぎてしまった、あるいはまた、そのときには職務権限がなかったということで起訴を免れただけなのでありまして、内容から言えば同罪だと言わなけりゃならぬ。特に私は、自民党の政策決定あるいは政府の政策決定ということになりますと、この判決で、佐藤孝行氏がいろいろ次官として考える、案をつくる。そうすると、自民党の航空対策特別委員会に持っていって相談をして、そこから注文を聞きながらまた次官通達等を、行政指導等をやっぱり手直ししていく。こういう認定をしている事実もあるわけでありますから、仮に、法律的な職務権限はなかったとしても、事実上政調の各部会などを通して政策決定にかかわってきている、そこにお金が動いたということでありますから、起訴されなかったからといって、刑事責任は免れたとしても、政治的、道義的責任は当然あると言わなけりゃなりません。いずれにしても、本人たちは否定をしているのでありますから、この真相を究明しなければロッキード事件は終わらない、国会の政治的、道義的責任を明らかにするという責任は完了しないというふうに思っているのですが、総理、どうして自民党は証人喚問に応じようとなさらないのでしょうか、総裁として見解を伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんの御意見は拝聴いたしました。この政治的、道義的責任を究明する、こういう問題でずっと国会の場ではいろいろ論議が行われてきたわけでございます。先般衆議院の予算委員会の理事会におきまして、一部の政党は反対であられたようでありますけれども、大部分の政党は、できるだけ早くこの議院証言法の改正を行って、そしてそういう環境条件を整えて、この国会中にできるだけ早くそういう証人の喚問ができるようにしようではないか、こういう各党間の合意がなされ、それを衆議院議長の諮問機関でございます議会制度協議会の小委員会に要請をする、こういうことに相なりまして、その要請がなされたわけでございます。  自由民主党が何か引き延ばしをしておるというような矢田部さんの御見解のようでございますが、さようなことはございません。二十五日までに、自由民主党の議院証言法についての案というものはこれを提出しようと。私もそれは、ぜひひとつそれをやって早く各党と協議を進めてもらいたい。そして、できるだけ早く証人の喚問ができるようにと、こういうことを党にも強く求めて今日に至っておるわけでございます。  昨日のNHKにおける各党の放送討論会を私も関心を持って見ておったわけでございますが、自由民主党の責任者の竹下君からも考え方を御説明があり、各党の書記長さん方からも御見解の表明があって、話し合いがこれから各党間で前向きで進められていくと、こういう段階に至っておるように私は理解をいたしておるわけでございます。私としては、このようにぜひ各党の話し合いが円満に進みまして、そして議院証言法の成立も図り、そしてできるだけ早く証人の喚問ができるように、そして政治的、道義的責任についての疑惑が晴らされるようにということを期待をいたしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私は、質問をもう少し手順を追ってやろうと思ったのですが、大分先のことまでお話しをいただきましたので少し前に戻しますが、総理、現行法があるわけですね。それで、ロッキード問題、その後のグラマン問題なども含めて相当程度の証人喚問を衆参両院でやってきました。まあ多少最初の段階はなれなかったせいもあってぎくしゃくしたこともありますが、中盤以降は結構スムーズにやってきたのですよ。少なくとも現行証言法で民間人はやってきた。いよいよさあこれから政治家の番だとなったらこれは困るというのはいかにも筋が通らないのではないか。どうして現行法ではだめなのでしょうか。  特に、灰色高官の一人とされている加藤六月氏などは、現行法でも私はやってもらいたいんだ、堂々と証人として述べたいと、こう言っているのです。どうして自民党はこれを抑えるのでしょうか。この点、やっぱり総理に一度どうしても聞きたかったのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) それはあれでしょうか。私の方からもお尋ねしたいのですが、現行法でやろうということは、共産党さんだけでなしに社会党さんもそういう御見解ですか。私はそうでなしに、いままでのいろいろの経過等を踏まえて、議院証言法の改正もひとつやって、証人喚問についての静かな環境条件を整えてそしてやろうではないかというような方向で、きわめて良識ある方向に各党間の話し合いが進められておる、このように私は承知いたしておるわけでございまして、先ほど申し上げたように、そういう方向で各党が協力をされて話し合いが進められておると、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私どもは基本的に、現行法がある、現行法がある以上は現行法のもとで法は運用されてしかるべきだというのがこれは基本主張ですよ。そのことを参議院の予算委員会の理事会、理事懇でもずいぶん議論しました。どうして現行法ではできないのかというのが第一点です。しかし自民党が断って、これはできないと言う。それじゃ私の方からも提案をいたしまして、どうしても自民党がそれじゃだめだと言うのなら、これは百歩譲って、いたし方ありませんから、すでに総理からも先ほどお触れになりましたように、衆議院の山崎小委員会でしょうか、というのが法務委員会にあって、二年間にわたっていろんな議論をしてきて、八項目にわたる論点を整理した。六項目は各党合意ができた、残る二項目が少しくまだ問題が残っているまま議会制度協議会の方に上げられた。この山崎小委員長案なるもの、それを十分に念頭に入れて、場合によっては証人尋問のやり方等については一定の合意を申し合わせをしてそれで運用してやりましょうと、現行法だってそういう運用面でできるじゃありませんかという提案をいたしましたら、野党はもちろん自民党も、理屈はもっともだと言うのですよ。しかし党議で縛られているからやれないんだと、こう言うのですね。これじゃ筋が通らないじゃありませんか。私どももいま議会制度協議会等で一定の改正作業が進んでいることは否定しません、否定しませんが、それが通ればもちろんのこと、通らなくたって今国会中にはどうしても証人喚問はやる、そういう決意をやっぱり総理から聞きたい、総裁として明らかにしていただきたいというのが基本的な考え方なんですが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、各党、各会派が議会制度協議会小委員会においてひとつ前向きで話し合いをしよう、各党のお考えもそこへ出し合って早急にひとつ結論を見出すように努力していこうと、こういうことで、今週あたりからさらに話し合いが精力的に進められる、このように私は考えておりますので、一日も早く各党間のお話し合いがまとまりまして、議院証言法もいろんな経過がございますから、最終的にこれを改正すべき点は改正をして、そしてそのもとにおいて証人の喚問がなされる、なるだけ早くそれができるようにということを私は期待をいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 現行法だって運用面で十分配慮すればできるじゃないか、これでもやらない、そこで改正だと、こういうことですから、改正についても私も全然論議をしないわけではありませんが、その改正の問題をめぐって、衆議院の予算委員会でわが党の大出委員から、山崎小委員長案は自民党の案である、八項目あるうち六項目はまとまって二項目だけがペンディングになっているが、これを中心にやっぱり調整をして、党対党の信義の上で進めてきたことであるから、それを尊重して運ぶよう党に指示するというお話が総理からあったようですね。ところが、その後でありますが、どうも六項目に追加をして二項目ばかり、たとえば補佐人に異議申し立て権を認めるとか、テレビの放映については証人の承諾が必要だというようなことが追加をされてきた。これは総理が衆議院の当初の段階でお答えになったことといささか違うのではないか。また、幾つかの条件を付加してきて引き延ばしを図るのではないかというようなことでいま問題になってきているわけでありますが、先ほど、自民党の竹下委員会でしょうか、のお話もございましたので、この辺はどう竹下さんの方にお話しになられ、その後総理として態度をお決めになっておられるのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 衆議院の予算委員会の理事会における各党の話し合いというのは、証人としての喚問を早くやらにゃいかぬ、この国会でやらにゃいかぬと、こういう野党各党からのお話がございました。それに対して、議院証言法の改正の問題はかねてから法務委員会等においても論議をされてきておる問題である、そこで、こういう問題をそれでは早く処理してこの国会中に証人喚問ができるように、衆議院議長の諮問機関として議会制度協議会、その今度は小委員会を設けられておることであるから、その方に、早く証言法の改正ができるように促進方を要請しようと、こういうことで一致をされまして、そして予算委員会は円満に三日半進行したわけでございます。  私は、この予算委員会の理事会の各党間で話し合われたこと、これは公党間のお約束でございます。その信義を破ってはいけないということで、竹下委員長に対して、二十五日までにとにかく自民党案を提出をするという約束にもなっておることであるから早急にそれを提出するように、そしてできるだけ早く、引き延ばしなどというあらぬ誤解を受けないように促進してもらいたい、こういう注意を含めて指示をいたしたわけでございます。そして、それに対して、御承知のように二十五日に自民党案が提出をされた、骨子が提案をされたと、こういうことでございまして、それが翌日、いま御指摘があったように大出議員から私に、話が違うじゃないか、こういうお話がございました。大出さんのおっしゃっていること、御発言は非常に重要な意味を持っておるから、どうしてそういう項目になったのか、そういういきさつ、経緯、そういうものも私はまだ承知をしていないけれども、そういう点も大出さんからせっかくそういう御発言があったから、これを竹下委員会に伝えてそして説明もしてもらわにゃいかぬと、こういうことであったわけでありますが、それに対して早速いたしました。官房長官からも具体的に話し合いのことを竹下委員会の方にも話しをされたわけでございます。その結果、昨日のNHKの各党の書記長あるいは幹事長レベルの話し合いの際に、その問題が焦点として事実上あそこで相当高いレベルで話し合いがなされておると、それが前向きで話し合いが進められておるということでございまして、私は一日も早くそれが実りまして、そしてこの証言が早急にできますことを強く期待をしておると、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 最後のくだりのところがちょっと理解しにくいのですが、自民党案として二十五日に出されてきたのは二項目追加されておりますね。従来、八項目でもう詰まってきた、いろいろな努力をしてきたのにこの二項目追加はけしからぬじゃないかと、総理が衆議院の予算の初めの段階でお話しになったこととも違うじゃないかということで問題になっているのですが、この二項目の扱いは、そういたしますとどんなぐあいに竹下委員会はなったのでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは、かねてから自由民主党の中で異論があった問題でございますが、しかし、とにかく二十五日までに案を出さにゃいかぬ、自由民主党の案を協議会に出さにゃいかぬ。そこで、竹下君の説明によりますと、拙速の感はあったけれども、とにかく党内に問題点としてあった問題を含めて提案をした、骨子を提案をした。しかし、きのうの話し合いのように、必ずしもある部分についてはそれを法文化せぬでも、運用に譲ってもいい点もあると考える。そういう点は十分弾力的に各党とお話し合いをしていこうと、こういうきわめて物のわかった、前向きの話でございますから、私は各党間でひとつ話し合いが進むことを期待をいたしておるわけであります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 もう衆議院でも論議されたから、余りくどくどと言うのもなにかと思いますが、もともとこの補佐人の異議申し立て権とかテレビ報道の証人の同意とかというのは、最初の自民党案にはあったんですね。参議院におられて亡くなられた永野先生の案として。それがいろんな論議をした結果削られた、落とされた。そして八項目に整理をされた。六項目が合意になり、二項目だけがペンディングになっている。これが自民党案として固まった、二年間のまあ一つの到達点だったわけでしょう。ところが、今度また昔の亡霊がここで出てきたわけですね、二つ。これはこの間総理が衆議院の冒頭で言われた、従来のやっぱり経過を十分に尊重して、自民党はこの八項目でいきますよ、残った二項目を中心に詰めますよ、こう言われたのと、竹下委員会から出されてきたこの昔の亡霊というのはちょっと質が違う。これはやっぱり総裁として、予算委員会でおっしゃったことでもありますから、拙速で出したのだということではなしに、これは拙速ならばやっぱり慎重に検討されて、取り下げるよう指示されるのが筋ではないでしょうか。いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、議会制度協議会で最終的にこれを各党が考えを持ち寄ってまとめようと、こういうことであり、それに対して竹下氏は、拙速ではあったがということで十項目を出した。しかし、自分としては、その中には運用でもってやれるものもあろうし、必ずしも法制化をしなくてはいけないと考えてもいない面もある、非常にその点は弾力的に考えておるわけでございますから、これは私が、大出さんからのお話があって、強く竹下君に、その点も含めて大出さんから重要な発言があった、ついてはそういう点を含めてひとつ党として早急に態度を決めてほしいと、こういうことを申しておいたわけでございます。  そういうことで、いろいろ拙速ということであったのでありますけれども、きのうのNHKの各党の討論会、話し合いにおきましても、その中に十分私が竹下君に申し上げたこと等は私は含まれておる、にじみ出ておるということを御理解をお願いいたします。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうすると、これは繰り返しになるかもしれませんが、総理に確認をしていただきたいのは、二項目を追加したのはいささか拙速であったということと、同時に、またこの二項目については成文化まで、つまり法律上の条項化まで求めるものではない、自民党の考え方としては。運用面での考慮条項、検討条項という趣旨で出したものというふうな位置づけとして伺ってよろしいでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは、私の指示を受けましてきのうの段階で竹下氏が申しておることでございます。自分としては拙速であるとこう考えたけれども、とにかく党内にもいろいろ意見があるから、そういうものも含めてああいうのを、骨子を提案をしている。しかし、自分の考えとしては、必ずしもそれを法文化させぬでも運用等の面でいけるものもあるのではないか、そういう点は各党と十分話し合いをして結論を出したいと、こう言っておるということを申し上げたわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 竹下さんがテレビでそういう向きのお話しをしたということは伺いましたが、総理総裁として衆議院でも従来やってきた経過、八項目を中心に、とりわけ二項目を中心にして論議を詰めるのだというのとはこれはいささか違うものですから、やはりこの二つは、追加部分については、二十五日に追加された問題についてはこれは運用上の問題だ、運用についての考え方だということできちっとやっぱり総裁として整理をされ、その向きで竹下委員会に指示をいただきたい。そうでないとこれはやっぱり引き延ばしに使ったのじゃないか、何か意図があるのじゃないかというふうに受けとられてもいたし方ないので、再度総理のお考えを整理して御答弁いただきたいと思うのですが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 重ねての参議院における矢田部さんの重要な御意見、御発言でございますから、このことも竹下氏に私から重ねて伝えまして、そして、とにかくこの改正案を決める場はあの議会制度協議会の小委員会であるわけでございますから、あの場でひとつ各党がお話し合いの上で結論を出してもらいたい。しかし、矢田部さんのいまの重要な御発言はこれは私は重ねて竹下君にお話しをいたしまして努力をしたいと、こう思っております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記を起こして。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いま委員長からもお話しがありまして、もう一度私が確認的に質問することになりました。  総理の先ほどの御答弁は、私の意向として総理から竹下小委員会にお伝えになるというふうに受けとめたわけですが、私が申し上げているのは、それはそれとしてありがたいことでありますが、同時に、従来総理が衆議院でお答えになってきたことから見ても、それから山崎小委員会でつくったいろんな経過から見ても、もうすでに過去の亡霊となったものを生き返らせようとしているわけでありますから、総理の御判断としてもこれは法文化する趣旨ではない、運用面でせいぜい考えてもらうという趣旨であるという御認識に立って、総理のお考えとしても竹下さんにその向きをお伝えになるというふうにはなりませんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、冒頭から申し上げておる党総裁としての立場から申し上げておることは、自由民主党はこの証人喚問を故意に引き延ばすような意図は毛頭ございません。各党の皆さんと誠意を持って、従来の経過もございますから、議院証言法の改正等も行い、静かな環境条件の中で証人喚問ができるようにしたい、しかもそれをできるだけ早くしたいと、こういうことで衆議院の予算委員会でもそのことを申し上げて、そして党の方に強くそのことを指示をいたしたところでございます。  ただいまいろいろ矢田部さんとの間にこの問題についての意見の交換を私はしたわけでございますが、矢田部さんは、そういう経過の上に立っていまの二項目の問題についての御発言がございました。私は、これは非常に重要な御発言でございますから、そのことを竹下君にも伝えて、そして、私が前段で申し上げたような趣旨、これを引き延ばすというようなことでなしに、各党と十分話し合いをして、各党合意の上で証人喚問ができるだけ早く行われるように、そういう趣旨に沿うて矢田部さんからもこの問題について具体的な御指摘があったけれども、ひとつ党としては最善を尽くしてもらいたい、こういうことを私は指示いたしたいと、こう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ちょっと、いまの答弁でもまだ大分違いがあります。私の意向として伝えていただくというのじゃなくて、総理もその認識に立たれて、総理の御意向として、竹下さんもそういう向きのニュアンスを出しているようでありますから、お伝えいただけないかと、指示していただけないかという趣旨でありますから、この答弁ではちょっと納得しかねるのですが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、拙速という形でございましたが、とにかくこの議院証言法の審議をいたします衆議院の公式の場に持ち出されておるわけでございまして、これはあそこの場で結論が出されるべき問題でございますから、そういう点が私の念頭にございます。したがいまして、矢田部さんからお話しのあったこと、私もそれをそしゃくしておるつもりでございますが、そういう点を十分お話しをして進めていきたいと、こういうことです。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ちょっとそれでは昼の時間にひとつ総理にも御検討をいただきたいと思います。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩といたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二分開会

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行います。矢田部理君。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 午前に引き続きまして、懸案となっておる問題についてもう一度だけ総理にお伺いしたいと思うのでありますが、繰り返しになりますが、従来議院証言法の改正につきましては八項目ございまして、六項目はまとまり二項目がペンディングになったまま衆議院の議会制度協議会の方に上がっている。そこで総理としては、それは自民党の案であり、かつ二年にもわたる到達点としてでき上がってきたものであるから、これを尊重して、この範囲でできるだけ早期に改正するように考えたいという趣旨のお話があったかと思うのです。  ところがその後、自民党からはさらに補佐人の異議申し立て権などを含む二、三の点につきまして追加の案が出されました。これは少しく従来の経過なり総理の御答弁から見て困るというのが私どもの考え方でありまして、そこで竹下さんもきのうのNHKのテレビでは、いやそれは法文化まで必ずしも要求するものではなくて運用面で考えてもらってもよろしいというニュアンスを示された。こういうことでもありますので、ぜひこの新しい追加の条件等はひとつ別枠にしていただきまして、従来の八項目を中心に、とりわけ残された二項目を中心にして議院証言法の改正を急いでほしい、そのように竹下委員会に総理としてもお伝えをいただきたいというふうに私が申し上げましたところ、総理の方からは、矢田部の意見としてそれはそれとして伝えたいというお話でありますが、総理もひとつ私の気持ちと気持ちを同じゅうしていただきましてお伝えをいただくというわけにはいかぬでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 午前中に最後に私はお答えしたのは、矢田部さんの御発言は非常に重要な意味を含んでおるから、よくそしゃくしてこれを竹下君に指示をする、こう申し上げた。まあ日本語はいろいろあるわけですが、あなたの御意見を私十分かみしめて竹下君に伝えて最善を尽くしてもらう、こういうことにしたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 総理がそしゃくしかみしめてということでありますから、いずれにしてもこの予算委員会はまだ続くわけでありますので、それを緊急にお伝えをいただきまして、ひとつ前向きに御相談をいただきたい、あるいはもう早期に改正ができるようにお願いをしたいというふうに考えておるのですが、その点よろしゅうございますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 誠意を持って各党話し合いに臨みましてできるだけ早く結論を出し、そして証人の喚問ができまするように最善を尽くしたい、こう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、私どもといたしましては議院証言法の改正にひとつ自民党が本気になって取り組んでほしいし、その実現の暁には証人喚問をおやりになるという考え方で期待をしているわけでありますが、それはそれとして進めながらも、同時に現行証言法はまた厳として存在をする、参議院各派の一致した意見としても厳に生きているのだと。運用面ではそれはいろいろ御意見があれば現行証言法は考えなければなりませんが、どうしてもやっぱり今国会中に改正すればもとよりのこと、改正ができなくともやってほしいということで、私どもの党といたしましては次の証人をひとつぜひ当委員会で呼んで調べてほしいということで委員長にお願いをしたいというふうに考えております。  さしあたり九名でありますが、田中角榮証人、元首相、これは三十ユニットの一千万円の受け取りについて。五億円の問題につきましては現在裁判で係属中でありますから、司法にかかわっておりますので、それを除いた一千万円の受け取りについて。それから関連して榎本敏夫元田中首相の秘書であります。それから三番目が二階堂進氏、元官房長官であります。四番目が加藤六月氏、元運輸政務次官。五番目が佐々木秀世元運輸大臣。六番目が福永一臣元衆議院議員。それから贈り手側では伊藤宏、先ほどから名前が出ています副島氏、これいずれも元丸紅の関係者であります。それから全日空の若狭得治氏。以上九名を証人として当委員会としてぜひ喚問をしていただくようお願いしたいと思いますが、委員長いかがでしょうか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 後刻理事会において協議をいたします。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それから総理に、もうロッキード問題終わりたいと思いますが、ロッキード事件いまだ未解明の部分が相当部分残っているわけであります。これはどんな点が残っているというふうに考えておられましょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 矢田部委員のお尋ねは刑事事件としてのことではないのじゃないかなという気がするわけでございますが、刑事事件といたしましては御案内のとおり起訴するものは起訴し、公判進行中のものは進行中である、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 刑事局長がおっしゃったように、私は刑事事件で何が残っているかを聞いているのじゃなく、政治的、道義的責任やあるいはその問題の解明に必要なものとしてどんなものが残っているのかということを総理として御認識だろうかというふうに伺っているわけです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は今国会、特に六月八日の判決以来、国会並びに世論の中に、政治倫理の確立を図らなければいけない、この道義的、政治的責任を明らかにする、こういう問題を十分に尽くして、そしてこのような事件が再度発生しないように、再発防止のために最善を尽くすべきだ、こういう世論が高まっておるということに私は耳を傾け、政府としてもできるだけのことをしなければいけないという考えで取り組んでおるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 同じ質問をしてもなんでありますから、少なくとも全体で三十数億日本にお金が渡ってきたとされている、そのお金の流れでわかったのはごくわずかであります、裁判係属中の事件も含めて。依然として相当部分が未解明になっています。とりわけ児玉ルートと言われる部分はなかなかわからないというのが現実であります。その点が第一点。  それから二番目には、どうもこのロッキード疑獄というのは、全日空、丸紅がかかわった民間航空機に絡む汚職だけではないのではないか、むしろPXLと当時言っておりましたP3Cの導入に絡む軍事疑獄事件ではないかという指摘をかねてからしておりました。検察庁でも一部調書などにその件のいきさつが出ているわけであります。この点が解明いまだ不十分であります。加えて、この裁判との関係で言えば灰色高官の問題、あるいは田中角榮氏の裁判の問題、幾つかの未解明の部分あるいは現在進行形の部分等々がありますので、どうしても一度店じまいをしてしまうことに私どもは反対をしたわけでありますけれども、航空機問題調査特別委員会を緊急に復活をしてやはりこの調査をさらに進める、未解明部分を解明していくという作業が必要ではないかと思うのですが、総理としていかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 航特委の復活の問題につきましてはまだ各党間の意見が一致を見ませんで、引き続き協議をする、こういうことになっておるという報告を私聞いておるわけでございます。いろいろの経過を経ておるわけでありますが、したがいまして私は党総裁に就任いたしましてから、この倫理委員会の設置並びに議院証言法の改正の問題、こういうことを諮って、そしてわが国の政界の浄化、政治倫理の確立を図り、国民の皆さんに対する政治の信頼を回復するということに努力しなければいけない、こういうことを申し上げて、それに向かって私自身も努力をしてまいっておるわけでございます。  航特委の復活の問題は各党間の話し合いがつかず、引き続き今後においても話し合いを進めるという、そういうペンディングの形になっているというように報告を聞いておるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 各党間の話し合いがつきませんのは自民党の態度のせいなんであります。ですから、自民党の総裁として、先ほどの件も議院証言法の関係もそうでありますが、決断をされ決意を示されるということがきわめて航特委の復活につきましても、そしてまたいまお触れになりましたように、総理が就任早々明らかにされた倫理委員会の問題につきましても、問題を急速にやはり進展させることになるでしょう。それは非常に政治不信がロッキードその他をめぐって深まっているわけであります。政治の信頼回復にも役立つであろうというふうに考えるわけでありますが、この件について総理の決断を最後にお願いして、次のテーマに入りたいと思います。いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 航特委の復活の問題は、いろいろの経過を経て一遍これを廃止する、こういうことになった経緯がございまして、なかなかこれを復活するということは困難な面がある。そこで、私は倫理委員会の設置の問題を当初から提唱をいたしておる、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ロッキード事件が司法の分野に囲われてしまう。それで刑事問題の責任追及は行われたとしても、どうしてもやはり政治的、倫理的問題は残るわけでありまして、それでは国会なり政治の責任が全うし得ないというふうに考えておりますので、なお強く総理に要望して、次のテーマに入っていきたいと思います。  総理は先般、第二回国連軍縮特別総会に御出席なされました。この軍縮総会、とりわけ第二回の軍縮総会の意味をどんなふうに考えておられるでしょうか。あるいはその第二回目の軍縮特別総会の特徴とは何であったかというようなことについて、まずお話をいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように世界情勢は激動を続けております。中東におきましてもあるいはアフガニスタン、ポーランドさらにフォークランドの問題、アジアにおきましてもいまだにベトナムの問題等は解決を見ていない。こういう厳しい国際情勢の中におきまして、軍縮、軍備管理、特に核軍縮を中心としたところの反核と申しますか、そういう国際世論の高まりを見せておるわけであります。そういう背景の中に第二回の国連軍縮特別総会が開催をされた。したがって、非常に重要な時期に重要な国際情勢の中に開かれたということからいたしまして、私どもはこの第二回の国連軍縮特別総会というものを契機として、これが核軍縮を中心とする軍備管理、軍縮、そして私が国連総会で申し述べましたように、できるだけこの軍備というものを低位に抑制をして、そこから出てくる余力を第三世界等に対する経済協力、援助等に回すことが世界の平和と安定のために必要である、こういうことを申し上げたのでありますが、私はそういうことが今度の第二回の国連軍縮特別総会に国際世論が期待をしておる一番重要な点ではなかろうか、このように認識をいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 事態が第一回総会のときよりも厳しくなっているという認識を総理もされているようでありますが、これはストックホルムの国際平和研究所なども同様の認識を示している。ただ、それにもかかわらず今度の軍縮総会で希望が持てるのは、一般大衆の軍縮を求める声が——日本も八千万人の署名が集まりました。国際的に大きくうねってきていることであるというふうに指摘をしているようでありますけれども、総理はこの全体のやっぱり国際的な世論といいますか、大衆の声といいますか、これについてはどんなふうに受けとめておられるでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまも触れましたが、やはり軍縮と申しましても最優先で考えなければならないのは核軍縮である、それを求める声が非常に強い。非常なやはり核戦争に対する危機感と申しますか、国際世論がその点に大きく集まっている。私はやはりそれを踏まえて、そしてこの第二回の国連軍縮総会というものを意義あらしめるもの、これをさらに跳躍台として核軍縮、世界平和の確立という方向に努力をしなければいけない。特に米ソの核超大国はこの国際世論というものを正しく認識して、そしてSTARTなりあるいは戦域核交渉、そういう面について真剣にひとつ取り組んでもらいたい、こういうことを強く期待をいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、二、三個別問題について伺いたいと思いますが、軍縮総会に出席をされた際に、今後日本は核不使用決議について従来と変わった対応をされるかのような、総理の記者会見でしたでしょうか、あのお話がこちらに伝わってきているわけでありますが、国会の軍縮決議を踏まえて、今後この線で対応したいということですが、最近とってこられた反対の態度ではなくて、賛成されるというふうに受けとめてよろしいでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この核兵器の不使用の問題、これはわが国は核を保有いたしておりませんし、非核三原則を堅持しておりますから、日本自体がそういうことは毛頭あり得ないということでございます。  一般論としてどうかと、また実際に国連等にそういう決議案が上程された場合にどう対応するか、こういう問題になろうかと、こう思います。私は、その提案の内容、背景あるいはそれが実現性が実際あるのかないのか、いろんな角度から検討した上で総合的な判断の上に立って最終的には態度を決めますが、国会におけるこの核不使用の精神を強く決議の中に打ち出された、国会が全党一致で打ち出されたということは私は大変重要なことであると、政府としてもその国会の御意思というものを十分尊重しながら、そういう決議の出た場合におきまして、いま申し上げたように総合的な判断をして態度を決めたい、こう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 あと一、二点でありますが、同時に総理は軍縮総会の演説で、先ほどもお話がありましたが、軍縮余力を平和や福祉にといいますか、効率的に活用して社会不安、貧困の除去のために使おうと、あるいはまた核軍縮が一番大事だけれども、同時にまた通常兵器の軍縮もこれと並んで重要であるという指摘をされておるわけであります。それはそれとしてわかるわけでありますが、どうも総理、外に向かってはそう呼びかけながら内では軍拡というのでは、いまひとつさえないわけでありますが、日本として軍縮余力を平和や福祉にと、あるいはまた通常兵器の軍縮を呼びかけた以上、私はこうする、日本はこうするということがあってしかるべきだと思いますが、その点はいかがお考えでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 日本はこれからこうするということでなしに、私どもは平和憲法のもとにおきまして、御承知のように平和に徹する、必要最小限度の防衛力しか持たない、近隣諸国に脅威を与えるような大きな軍事力は持たない、非核三原則を堅持するんだと、こういうことを実践をしてきておる、こういうことでございまして、今後も日本はこの平和憲法の精神に立って必要最小限度の防衛力にとどめていこうと、こういうことでございます。矢田部さんも、もう一切防衛力などというものは要らない、まる裸でいいんだというような御意見ではなかろうと思うのでありますが、必要最小限度のものに引き続き私どもは努力をしていくということをはっきりと申し上げておきたい。  しかし、自衛のための最小限度の防衛力というものは、独立国家である以上私は保持しなければいけない、こういう考え方を持っております。そして自民党内閣は、特に鈴木内閣になりましてから、対外経済協力、ODA等の予算につきましては、特に厳しい財政事情下におきまして最大限の努力を傾けておるということも国民の皆さんに特に御理解をいただきたい。これは今回の国連総会で私が初めて申し上げたのではなしに、オタワ・サミットにおきましても、カンクンの南北サミットにおきましても、ベルサイユ・サミットにおきましても、率先して提唱しておるところでございます。提唱する以上みずからもそれを実践し、また各国にも訴えていきたい、このように思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 確かに海外経済協力の予算等がふえておることは認めるわけでありますが、総理のおっしゃるように軍備を削ってそちらに回したという印象は全くないんですね。  同時にまた、総理のこの言葉を本当に裏打ちしていくのにはどうするのかということになれば、一つには来年度予算で一体軍事費、防衛費をどう扱うのかということが問題になるはずです。もう一つは、中期業務見積もりが、五六中業と言われておりますが、ほぼ策定が詰まる段階になってきておろうかと思うのでありますが、それを本当にGNPの一%以内で総理は仕切るのかどうかということがまたもう一つ焦点になるわけでありますが、来年度予算と五六中業にかかわるこの財政面からの観点について、総理としての御見解を伺っておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御案内のように、来年度の予算はことし以上にいろんな面から大変厳しいということが想定をされます。そういうような中でございますから、やはり全体の景気とのバランス等も見ながら、防衛費についてもこれは極力圧縮する、聖域化をしないというような点で、なおかつ国際条約に基づく義務的な問題については、それはそれとして守ってはいきましょうというけれども、中身については全面的な洗い直しもやりながら最終決定をしてまいりたい、そう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 財政事情が非常に逼迫をしておる。行革という問題で全体を切り詰めなきゃならぬという時世でもある。しかも、国連で堂々と総理は外に向かっては軍縮を呼びかけてこられた。とすれば、いかなる意味から見ても防衛費を特別枠にして突出させるということはいかがなものかと思うのですが、その点どうも防衛庁筋が、既定経費だけでももう七%ぐらいは必要なんだと、五六中業の初年度だから一〇%か一一%ぐらいは要求するんだということでうごめき始めているという話もあるのですが、大蔵大臣としてそういう動きに対してはどう考えますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まだうごめいている様子はわかりません。わかりませんが、とてもそんな二けたの要求なんか出されましても、それは私の方は対応し切れません。したがって、今国会終了後速やかに作業を進めて一定のシーリング枠は示したい、そう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それは聖域化しないという趣旨で示すのでしょうか。突出、別枠にしないという……。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 防衛費といえども聖域化はいたしません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで防衛庁に伺いたいと思うのでありますが、一一%台の要求をする、当然増だけで七%強さらにかかるということになれば、とてもじゃないがことしの七・七五程度ではおさまらないという考え方で要求するんだと言っているのですが、この作業はどうなっているのでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 総理並びに大蔵大臣からも再三お話が出ましたように経済、財政事情が厳しく、また財政再建が緊急の課題となっていることも防衛庁としてはよく承知しております。したがいまして、われわれとしては自由主義諸国の一員として行うべき防衛努力、大綱のできるだけ早い達成、さらにはいま申し上げました厳しい財政事情、さらには他の諸施策との調和、また国民世論等々総合的に勘案をいたしまして、着実な防衛力整備を図ってまいりたい。この基本方針のもとにただいま作業を進めておりますけれども、この時点においてまだ数字的なことを申し上げるまでに内容は固まっておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 あわせて中業について伺っておきますが、五六中業はもう四月段階でできるような話向きでしたが、できませんでした。いつごろ固まるのでしょうか。それから、すでに財政試算が正面経費等について行われているということですが、それはほぼ固まってきているのでしょうか。その試算から見るとGNPの一%枠は突破するのかどうか、以内におさめるということでやっているのかどうか、その辺を伺っておきたいと思います。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先生御案内のとおり、五六中業は昭和五十八年度からスタートをするものでございまして、防衛庁としては昭和五十八年度の予算概算要求に間に合うようにただいま全力を挙げて作業を進めておりますけれども、この時点においてまだ防衛庁としての案が固まるに至っておりません。しかしながら、残された期間も限られておりますので、関係省庁と随時協議をしながらなるべく早期に防衛庁としての案を策定をし、七月中下旬ごろまでに固めたいというふうに努力をしておるところでございます。したがいまして、数字も固まっておりませんので、数字的な面での御質問にはいまお答えできない段階でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 大蔵省に伺います。  大体数字的なものをある程度つくったら、正面経費で四兆五千億から五兆円ぐらいかかる。このままでいくと、もう五十九年、遅くも六十年には一%を突破するというようなことの話が出始めているんですが、大蔵省として折衝していると思うのですが、大蔵省の考え方、受けとめ方はどんなふうになっているのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まだ数字を見てないから何とも申せませんが、私どもとしては当面一%というぎりぎりの線でそれはおさめてまいりたい、そう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 総理に同じような質問をするわけでありますが、総理はしばしば一%以内論を強調されてきました。  ここで確認的に伺いたいのは五六中業、五十八年から六十二年にまたがるわけでありますが、これは少なくとも一%以内で抑えるのだということをはっきり約束していただけるでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま防衛庁長官及び大蔵大臣から御答弁を申し上げましたように、関係省庁におきましては当面GNPの一%以内に極力とどめるという既定の方針、これを変更する考えを持っておりませんから、そういう考え方のもとに作業を現在鋭意進めておる、このように中間的な報告を受けております。私は、いま厳しい財政事情下におきまして十分そういう点を考えながら進めてまいりたい、こう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 財政の問題に入りますが、税収が五十六年度大幅に落ち込んだ、その結果歳入欠陥が出たということが衆議院レベルでも実態的に明らかにされてきておるわけでありますが、大蔵大臣、大幅に落ち込んだ理由は何とお考えになっておりますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、一年半ぐらい前の資料をもとにいたしまして税の見積もりというものをいたします。当時、名目成長九・一%、こういうような一つの基本的な考え方のもとで編成作業を進めてくるわけでございますが、年度後半、それもずっと後になりましてから世界経済の急激な変動——去年の後半は、実は世界の経済は上向きになるというのが世界じゅう通説であったわけでございます。そういうような点、それから国内においては消費節約運動というものがかなり徹底をした。したがって、石油の七、八%の節約というものが実行されて、コストで、値上げされた石油が実際はダブついてダンピング状態にあった、これも事実。そういうようなことが省資源、省エネルギーと、全体的な耐久消費財等にわたっても買い控えが行われた。一方、そういう状態でありますから、雇用者所得の伸びというものが思ったほどいかなかったというようなこと、物価がその結果非常に思ったよりも低水準になった。ことに税収等に影響するのは、消費者物価よりもむしろいままでの統計を見ると卸売物価というのがかなり連動しておるんです。そういうようなことで、四・一%年間平均の卸売物価を想定したところが一・四と非常に低水準になった、このこと自体は大変喜ぶべき安定した状況でありますが、そういうことが税収に響いたというふうに私は実は理解をいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 国内景気の低迷ということは考えてないんですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それを一口で言えばそういう表現もございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そういう表現もあるというだけでなくて、これは非常に重要な要素ではないんですか。  それから、どうも落ち込んだ理由、幾つか考えられるわけですがね、もともと成長率を過大に見込んだのじゃないのか。五十年代からその傾向が非常に強いわけでありますが、予算を組みやすくするために、意図的、政治的に高い成長見積もりをやり、それを前提にして税収をはじき出したことに問題があるのではないかという指摘もあるのですが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 意図的にそういうことをやったということは、実際私はあり得ないと思うんですね。なかなか、いままでも経済見通しというのは、ぴたっと当てたいと思って一生懸命やるのだけれども当たらない。これは世界じゅうそうぴしゃっと当たる——まぐれ当たりに当たることもあるかもしれませんが、的確に当たるということは余り実はないんです、実際は。実際五十六年度のときも、民間も最低が四・八、最高が一〇・何がしというのが民間の状況なんです。(「まぐれ当たりとは何だ、まぐれ当たりとは」と呼ぶ者あり)まぐれ当たりが何でしたら、不穏当なら取り消しますが、実際問題としてなかなか経済見通しというものは正確に当てるということは、言うべくして、一生懸命努力をしてもなかなか当たらないというのも現実の姿であるということでございます。したがって、決して高目に見積もって税収を過大評価するためにそういうことをしたのではないということは御了承を願いたいと存じます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ことしの当初予算あるいは昨年度の補正予算のときも、どうも大蔵省の税収見込みは甘いんじゃないかと、もっと歳入欠陥が出るのじゃないかと指摘したにもかかわらず、いやそれは大丈夫ですと、三月期の法人の決算状況を見れば何とかなりますみたいな話をしておったでしょう。成長率だって、わが党はかねてから去年のやつも高く見積もり過ぎていると指摘してきたにもかかわらず、大丈夫だ大丈夫だと言ってやってきた結果がこの始末じゃありませんか。高い見積もりをしなかった、過大見積もりをしなかったと言うのであるならば、先ほどちょっと出ておりましたが、経済の現状認識、その見通しを誤ったということになりませんか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十六年の当初におきましては、実は予算委員会等でも、税収見積もりは足らぬじゃないかと、もっと取れるというような代表質問等もございました。問題はそれ以後の問題でございます。つまり、去年の十二月以降になってから急激に経済の落ち込みがわかったではないかと、それならその段階で四千五百億円の税収不足というのでなくて、もっと大きな補正を組んで実態に合わせるべきでなかったかと、そういう御質問があったことは事実でございます。しかしながら、これは事務当局からそのときの、たとえば十二月とか一月の税収の伸びというようなもの等について説明をしていただけばいいと思うんですが、予算編成の土壇場になって急に二カ月ほどいい数字が出かかってきたというのも事実なので、また全体から見ると余りよくないという見通しもあったのです。しかしながら、幾らそれではよくないのかと、数字的に出してみろと言われてもなかなかそれが出ない。そこの中で出るものは何かということで検討した結果、毎月報告のあるところの源泉税、それからまあ物品税とか酒税とかそういうようなものですね、毎月報告が出てくると。こういうものはどうも思わしくないということで、これらについてはいままでの経過を見て、これぐらいはもう確実に少なくなると見込める数字等をはじき出して、それでそれらの集計が四千五百億円という数字が出たのでございます。  法人税につきましては、なかなかこれは的確にわからない。まあいままでは九月決算というものがあったわけでございますが、大部分の法人が年一回決算ということに変更になりまして、本来ならばその年の半分は九月決算で、まあ十一月に申告が出ますから、十二月の末のころになりますとおおよそもう幾つか拾って見ても大体想像つくのですが、そこらの点が非常にわからない。  それから事業所得の問題についても、三月申告でわからないというようなこと等もありまして、その辺の見方が甘かったと言われれば、私は決してそれに反論するつもりはありません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは各論もいろいろやりたいわけでありますが、大きく見ますと、昨年の経済白書では、すでに日本経済は世界に先駆けて第二次オイルショックを克服したと、緩やかだが着実な回復軌道に乗ったというふうに指摘をされているんですね。ところが、最近の状況を見てみますとまだ第二次オイルショックは克服していない、むしろ克服できないまま足踏み状態を続けているという見方の方が強くなっている。この辺の見方も一つ基本のところで違っていたんじゃないかというふうに思うのですが、これは経企庁長官にお伺いしましようか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 景気の足取りをずっと調べてみますと、昨年の五、六月ごろから景気は上昇に転じたと思います。その期間が約六カ月間続きまして、この間は生産もふえる、それから出荷もふえます。同時に在庫はどんどん減っていくと、まあこういうことで、私どもは大体これを受けて、秋ごろには在庫調整は終わったと、このように判断をしておりました。ところが十一月になりましてから、世界不況が意外に深刻であるということから、これまで順調に進んでおりました輸出がどかんと落ち込みましてマイナスに転ずると、まあこういうことで、第三・四半期は残念ながら年率三%のマイナス成長になってしまったのでありますが、そのために輸出関係の在庫がまたふえ始めまして、最近の情勢ではもう一回やはり在庫調整が必要だと、こういう感じになっております。何分にも経済の激動期でございますので、マイナス成長になったりプラス成長になったりしまして、平均いたしまして年率約三%前後の成長が続いておるということでございますが、最近の動きを見ますと、少し違いつつある点が幾つかあろうと思いますが、一つは、昨年はずっと実質可処分所得がマイナスでございましたが、最近は若干プラスになっております。これが第一点。  それから第二点は、いま輸出はずっとマイナスでございまして、こういう状態はもうしばらく続くと私どもも判断をしておりますけれども、大体秋ごろからは少しふえ始めるのではなかろうか。アメリカの景気もどうやら回復に向かいつつあるようでありますし、世界経済全体が、まあ去年はいろいろな国際機関の見通しも間違っておりましたけれども、ことしはいろんな指標から考えまして後半は大体世界経済は回復の方向に行くのではないかと、こういう見通しもほとんど出そろっておりますので、それを受けまして、貿易も秋以降はある程度回復に向かうのではなかろうかと、このように判断をいたしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 河本長官は、昨年もどうも秋以降とか年末ごろには薄日が差すなんという話をしておりながら、そうはならなかった。ことしも春先は、暮れごろとか秋ごろとかには少しく曇り空が晴れるような話向きなんですが、どうも世界経済の状況は必ずしもそうなっていないんじゃないかという印象を私は強くしているわけであります。  五十六年度歳入欠陥問題を中心にやっておりましたから、その次の問題に移りたいと思いますが、五十六年度の締めくくりとして考えてみますと、どうも大蔵大臣、少しくこの税収見積もりあるいは成長率を過大に見込んだ結果失敗した。それが過大でないと言うのなら、経済の見通しなり現状認識を誤ったというのかどちらかでありまして、いずれにしたってこれは政府の責任は大きいと言わなきゃならぬわけでありますが、それを指摘した上で、いまが大事だし、これからが大事なのでありますから、五十七年度の状況等について伺っておきたいと思いますが、これも当初予算のときにいろいろ議論が出たわけでありますが、ことしは成長率を五・二%に見込んだが大丈夫でしょうかと。多くの民間の調査機関も大体三%台ぐらいではなかろうかというのが大勢でありました。どうも政府はここで、ことしもまた去年と同じような、間違いか意識的かは知りませんが、高い成長率を見込み過ぎているというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 成長率の問題につきましては、三月の本院の予算委員会におきましても、何回か御質問がございましてお答えをいたしましたが、昨年の秋、五十七年度の成長率を予測するために政府部内で事務的にいろいろ検討いたしました。その結果、現状がずっと続けば三・八%見当ぐらいであろうと。しかし、そういう成長では雇用が悪化しますし、さらに貿易摩擦がきつくなる、税収が不足すると。そういうことで、政策努力を加えることによりまして、五%強の成長に持っていきたいということで、五・二%という成長目標を設定したということにつきましては、すでに何回か御説明をいたしたところでございます。  一−三月の第四・四半期の成長は、年率に直しまして一二・三%成長であります。その前は先ほども触れましたが、約年率のマイナス三%成長。こういう激動期でございますので、日本も期ごとに相当大きな変化がございますが、アメリカなどを見ましても、昨年の第四・四半期はマイナス五%成長、ことしの第一・四半期——一−三月はマイナス三・七%成長になっておりますが、この第二・四半期はプラス〇・六%成長、こう言っております。最近のアメリカ政府の発表を見ますと、ことしの後半はプラス四%成長、来年は先般議会で決めました見通しは四・五%成長と、こう言っておりますが、こういう激動期でございますので、非常に落ち込んだ経済も少しの政策努力、工夫によりまして、また力を回復するということは往々にしてあり得ることでございまして、特に石油危機が起こりましてからは、ことしはもう三年を経過しておりまして、世界的に見ましても幾つかの調整を私は終わりつつあると思っておるのです。たとえば、インフレは峠を越しましたし、それから石油価格もほぼ安定をしております。残念ながら、アメリカの高金利というものは続いておりますけれども、世界経済の回復を予測し得る若干の要素というものは幾つか熟しつつあると、このように判断をしております。したがいまして、現時点では年率三・三%成長ぐらいでございますけれども、これからの政策努力、政策の工夫いかんによりましては、私は現在時点よりもある程度の高い成長を期待するということは決して不可能ではない、このように考えておりますが、そこで、さしあたって政府としてとり得る唯一の手段であります公共事業の思い切った前倒しをいまやっておるところでございます。昨年の上半期景気が若干よくなったということを申し上げましたが、この一つには、やはり昨年上半期七〇%の前倒しを行いましたが、それが私はある程度響いておると思っておりますが、ことしはさらに昨年を相当大幅に上回った七七・三%という前倒しをしておりますので、この前倒し効果は、これが順調に消化されますならば、昨年以上の私は効果が出てくるのではなかろうかと、こう思っております。それが誘い水になりまして、後半日本経済、特に民間部門が力を回復することを私どもは期待をしておるのでございます。  御案内のように、五十四年度の経済でございますが、民間の力が予想外に回復をいたしまして、公共事業は前年度と同じでございましたけれども、これはむしろ繰り延べる必要がある、繰り延べた方がよろしいと、こういう議論が出まして相当量繰り延べたことがございます。それでも六・一%成長というものを達成しましたが、それは民間の経済が力が出てきたからだと私どもは判断をしております。したがいまして、ことしも公共事業の八〇%近い前倒しを誘い水にいたしまして、後半民間の経済の力が出てくることを一応期待しておるわけでございますが、もしそのとおりいかないということでありますならば、後半仕事の量が落ち込みますから、最終需要が相当落ち込みますので、適切な対策をおくれないように考えていかなければならぬと、このように考えておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 世界経済についても楽観的な見通しを述べておられるのですが、私は必ずしもそう思わないんですね。たとえばIMFがこの五月の二十七日に出しました、当初見込みでは工業国全体で一・二%ぐらいの成長だと、それを下方修正して今度は〇・八%であると。OECDも近く、むしろ下方修正をする動きになってきておる。その足を引っ張っているのはむしろアメリカ経済だと、これがマイナスだと。確かに宇宙産業とか軍需産業等についてはレーガンの軍拡政策の結果、一定の伸び、動きがありますが、他の部分はかなり落ち込んでいる、足を引っ張っているというのが現実的な見方ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 最近、権威ある国際機関の経済見通しが幾つか出ておりますが、たとえばIMF、いまお述べになったとおりでございますけれども、しかし分析をしてみますと、上半期はマイナスである、しかし下半期にプラスになるので、まあ年度間を通じては〇・八%成長であると。OECDも御案内のように、若干今度修正した見通しを七月前半には発表することになっておりますが、これも前半はマイナスである、しかし後半は相当なプラスになるので、年率に直して〇・四%、後半はプラス二%ぐらいな成長になるであろうと、こう言っております。それから、最近発表しましたEC委員会の見通しなどもおおむねそういうことで、前半は悪いが後半はプラスになる、しかし、年度間を通じては非常にまあ低い状態である。この、上半期と下半期の違いが相当顕著に際立っておるということが私は一つの特徴であろうと、こう思っております。  そして、来年の見通しになりますと、IMFとEC委員会は二・五%ぐらいの成長を想定しておりますが、OECDではまだ正式に発表しておりませんが、現在までの作業の状態を聞きますと、上半期は三%弱、下半期は三%強、平均いたしまして三%に近い成長になるであろうと、こう言っておりますので、まあこういう見通しはえてして当たらないことが多いのですけれども、しかしながら、大きな流れとしては私はそんなに狂わぬのではないか。回復の時期が少しずれることもありましょう、あるいはまた回復の規模、スケールが多少前後することもあるのではないかと思いますが、権威ある国際機関がいずれもほぼ同じような見通しを出しておりますので、大きな流れとしてはそのように判断していいのではなかろうかと、  このように思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ここでだけ議論するわけにはいきませんが、私の見方では、多少下半期上向くとしましても、これはそう大きな上昇カーブではないと、また、そう大きく期待できる性質の中身ではないというふうに感じますが、翻って国内経済も大きく低迷をしている。たとえば、先般出された日銀の短期経済観測、短観ですね、これによっても、各種の指標は景気の悪化を示しているということで、いろんな問題点を出しているわけでありますが、これはまあ通産省でしょうか、民間設備投資の動向と見通し、経企庁でも結構ですが、これはどんなふうになっているでしょうか、特に中小企業なども含めて御説明をいただきたいと思います。

神谷和男中小企業庁長官

○政府委員(神谷和男君) 一般的に申し上げまして、中小企業の設備投資が最近の景気の状況を反映いたしまして投資意欲がかなり沈滞しておるということは、各種の調査からあらわれておるところでございます。最近、中小企業金融公庫が調査いたしました五十七年度の製造業の設備投資動向につきましては、五十七年度は前年度比二一・八%減という、かなり大きな落ち込みを予想いたしております。ただ、これは、下半期におきまして中小企業が一般的に言ってまだこの時期では設備投資の計画を固めていないと、こういうことで、例年当初計画は非常に低い落ち込みを示しその後逐次上がっていくと、こういう動向を示しておりますので、この動向だけで全体を占うわけにはまいりません。ちなみに、五十六年度の当初計画でも一五・二%の減という調査の結果があらわれておりましたが、実績では三・七%アップという形に修正されており、例年このような動きを示しておるわけでございます。ただ、当初計画同士を比較いたしましても一五・二%減並びに二一・八%減ということで、現時点におきます中小企業の投資マインドにかなりの気迷いが見られるというふうに考えられます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 住宅建設の動向、問題点はどんなふうになっているでしょうか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) わが国の住宅建設は、御承知のように、昭和五十一年度から五十四年度までは大体百五十万戸前後で推移してまいったのでございますが、五十五年度、これは第二次石油ショックの影響だろうと思いますけれども、百二十一万戸に落ちました。それから五十六年度についても百十四万戸と、前年度に比べますと七万戸、五・九%の減少でございました。  本年度に入ってからどうかということでございますが、四月の新設住宅着工戸数は十万六千戸でございまして、これは余り芳しくない数字でございますけれども、しかし住宅金融公庫の五十七年度第一回の受け付けは募集の十万五千戸に対しまして約十三万戸ということでございまして、明るい徴候も見えておりますので、今後の推移を注視してまいりたいと、かように存じております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは中小企業も厳しいし、住宅建設も建設大臣が言われるような状況にはなっていないですよ。民間住宅はたとえば三期連続マイナス、恐らく百二十万戸もむずかしいのではないかというふうに言われている。個人消費については多少底入れの気配がありますが、これとても大したものではありません。特に雇用情勢が少し悪化しているという話がありますが、この点労働省いかがでしょうか。

初村滝一郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(初村滝一郎君) 最近の雇用、失業情勢は景気動向を反映して労働力需給に弱含みの感があるわけであります。したがってまた高水準の失業状態が続いております。そのために政府としては本年度の経済運営の基本的態度として景気の維持拡大を実現し、雇用の安定を図ろうとしておるわけであります。その第一は公共事業の前倒し発注を実施しているところでありますけれども、まだそれが完全な契約、仕事の実行等に移っておらないような状況でありますので、私どもとしても雇用情勢がだんだんと悪い状況にあるということで非常に心配しておる実情であります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 等々を考えてみますと、内需は依然として低迷をし非常にやっぱり厳しい状況になっている、輸出がマイナスであることは先ほどお話があったとおりであります。そうなると国内のこれからの景気どうなるのか、またどうすればいいのかということが問題になってくるわけでありますが、何といっても大事なのは、問題点はやっぱり消費不況であります。実質可処分所得は幾らか上向きになったという、マイナスからそうでなくなったというお話がありますが、どうしてもやっぱり個人消費が停滞をしておる、消費不況である、この個人消費を上げるための手だてとして何か経済企画庁長官にお考えはありましょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 個人消費をどうすればもう少し盛んにすることができるかということでございますが、一つはやはり、先ほど実質可処分所得が物価の安定によりましてことしになってからずっとプラスになってきたと、こう申し上げましたが、ここがやはり一番のキーポイントでなかろうかと、こう思っております。もう少し実質可処分所得がふえるということを期待できますならばさらに明るい消費の展望ができるわけでございますが、そういうことをいまいろいろ考えておるわけでございますが、もう少し様子を見たいと、こう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは物価の安定も当然のことでありますが、やはり労働者の賃金を上げる、特に最低賃金制の拡充ということが非常に大事なのではないか。政府で何がやれるかということになりますと、賃金そのものは民間の労使関係で大勢は決まっていく。そこで政府がやれることは何かということになれば、この最低賃金制の拡充であるとか、公務員賃金あるいは公労委の仲裁裁定を早期に完全に実施をするというようなことだと思うのですが、いかがでしょうか。

初村滝一郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(初村滝一郎君) 経済の状況というものは雇用情勢に非常に影響がありますので、労働大臣としても経済の動向に非常な注意を払っているところであります。御案内のとおり、仲裁裁定の早期実施、これについては閣内においても慎重審議いたしました結果、予算上執行しがたいというようなことで結論を出して、国会に付議しておるところでありまして、国会の結論にゆだねているような実情でありますので、御了解賜りたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは早期にまた完全に実施すべきだと考えておりますが、同時に一兆円減税ということが議論になりました。これは国会でも検討するが政府としても検討してほしいというのが当委員会の要請であったのですが、その検討状況はどうなっているんでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは御承知のとおり各党間の申し合わせによって、減税を中長期にわたってどうするかというものも含めまして衆議院大蔵委員会小委員会の中で検討するということになっておりまして、その検討結果についてはまだ私は連絡を受けておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 政府としても努力しなさいというのが私どもの……

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府はできるだけ資料の提出その他について協力をしますということを言っておりまして、必要の資料要求についてはその都度協力をしておることと存じます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 資料の提供の協力程度ではわれわれの意図に沿ったものではありませんからね、これはだめですよ。  それから、中小企業対策がもう一つ景気、日本の経済を考える場合非常に大事だと、たとえば官公需の割合を中小企業にやっぱり大きく割り当てるとか、金融の問題もありましょう。それから土地の確保にお金を要しているわけでありますから、土地の確保の要らない老朽校舎の改築などどんどん手がけるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは公共事業の執行全体の問題かと存じますが、実は私どもとしてはなるべく土地に金のかからないような一番有効なもの、いま言ったようなものは一つの例示的なそういうものだと思いますが、そういうような方向で執行について十分留意してやってもらいたいということは各省庁にお願いをしておるところでございます。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどからお話しのように中小企業は非常に状況が悪いわけでありまして、生産も出荷も大変鈍い、そして在庫がたまっておると、こういうことでもありますし、また設備投資の意欲がやはり先行き不安ということから非常に落ちてきておる状況でございます。やはり日本経済を大きく支えておるのは中小企業ですから、何かこの中小企業に活力を入れなければならない、われわれはこういうふうに考えておりまして、いま政府としては公共事業については七七・三%ということで前倒しをやっておりますし、住宅対策も努力をしていただいておりますし、金融の方もプライムに比較して〇・二%ダウンという特段の措置は講じておるわけでございますが、しかしこれだけで果たして中小企業に活力を与えることができるかどうか、そういう不安があるわけでございます。そういう中でわれわれとしては、いまお話しのような官公需についても積極的に中小企業に対してシェアをふやしていただくということは強く要請をしたい、こういうふうに思いますし、秋口から来年にかけて少し国際的にも景気がよくなる、こういう状況も判断をしながら、やはり下半期に息切れがしないような対策等も検討をしていく必要があるのじゃないかと、そういうふうに考えておるわけです。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 全体の景気見通しが非常に厳しさが足りない。同時にまた、下半期に期待を持たせて、有効な手が打たれていない。タイミングが大事だと思うのですね。人によっては、鈴木総理の再選戦略をにらんでしまって、政治日程を優先させて経済的な手を打たないのだという見方もあるわけでありますが、この経済の状況だと、来年も税収は必ず落ち込みますよ。四兆とか五兆とかという話がすでに出ておるわけであります。こう税収が不足をしていくということになりますと、総理の言われた……

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 時間が来ました。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 五十九年に赤字国債からの脱却をする、増税なき財政再建だ、この公約も、総理はまだがんばっているようですが、もうだれも余り信用しなくなってしまった。ここまで来ると、とりわけ二年連続で大赤字を出すというようなことになりますれば、当然これは政治問題、政治課題、政治責任の問題になるわけであります。総理もまた政治生命をかけるともおっしゃられてきたわけでありますが、最後に、経済の見通し、それから去年、ことし、場合によっては来年を含めた歳入欠陥、これらの政治責任をどういうふうにおとりになるつもりなのか、どう感じておられるのか、総理から伺って私の質問を終わりたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先般ベルサイユにおけるサミットを終えまして帰国いたしましてから早々、経企庁長官、大蔵大臣、官房長官、三人の方にお集まりを願いまして、国際経済情勢を踏まえながら今後の財政経済運営の基本的な問題について話し合いをいたしたわけでございます。いま大蔵大臣、経企庁長官等から、また通産大臣からも申し上げましたが、五十七年度予算の執行に当たりましては、公共事業の七七・三%前倒しを初めとしまして住宅対策や金融の弾力的な運用等、上半期の経済の停滞を打開するために全力を挙げる、こういうことに意見の一致を見たところでございます。  なお、下半期の問題につきましてでありますが、御承知のように、いま第一・四半期がようやく五十七年度予算の執行を終わったばかりでございまして、まだこれからということでございますが、九月ころにはいろいろな経済諸指標も出てくるということでございますから、その状況を十分注意深く見守り、判断をいたしまして、機を逸しないように適切な財政経済運営をやっていこう、こういう方針でございます。これが政治絡みで経済対策を機を逸するようなことはいたしませんことを明確に申し上げておきます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で矢田部理君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、岩崎純三君の質疑を行います。岩崎君。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 私は、当面の問題に対しまして若干の質問を行います。したがいまして、総理並びに関係大臣におかれましては、国民がよく理解でき納得できるような、率直にして明快なる御答弁を冒頭にお願いいたします。  総理は、十六日間の日程で、ベルサイユのサミット、第二回の国連軍縮特別総会、ペルー、ブラジル、そしてホノルルと、いわば大変な外交日程を消化してまいったわけでございますが、その外交を通されまして、現在の国際政治経済の中でわが国の果たす役割り、この件について大変な成果をおさめてまいったと考えております。  なお、ベルサイユ・サミットヘの出発直前に当たりまして総理は、貿易摩擦の問題に深い関心を持たれ、第二弾の農産物市場開放を行い、このことによっていわば各国首脳からの集中砲火を避けることができたわけでございますが、今後依然として農産物市場開放の問題は宿題として残されておるわけであります。しかも、今回のサミットにおきましては、各首脳間に不協和音と申すのでしょうか、同床異夢と言ったらよろしいのでしょうか、そうしたむずかしい問題を抱えておったわけでございますが、そういう問題を乗り越え、総理は、先端技術の共同開発あるいは交流強化、これを提唱いたしまして、連帯と団結の確認をいたしましてサミットの幕を引くことができたわけであります。  そのサミットに臨まれた総理、一番困難、むずかしいと思われた問題は一体何であったのでございましょうか。あるいは、総理みずからが評価をして、この問題については評価が上がった、そう思われる問題は一体何であったのでございましょうか。それと同時に、サミットにおいて各国首脳とさしで話し合いをされた。レーガンを初めミッテラン、あとどこの国々の首脳とさしで話をされたのか。そして、さしで話をされた中で、総理がこのことだけは国民に話をしておきたいという心の印象に残った問題が幾つかあったかと思いますが、お差し支えのない範囲でひとつ御感想をお述べいただきたいと存じます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今回私は、国会のお許しを得まして、ベルサイユ・サミット、第二回国連軍縮総会、そしてその後引き続きペルー及びブラジルの、南米の最も重要な二カ国、そして帰途ホノルルにおきまして「太平洋時代の到来」という、それを締めくくった所信を述べる演説をいたしたわけでございます。  いま岩崎さんから御指摘がございましたように、ことしのサミットは厳しい国際情勢、さらに諸困難を抱えておる世界経済の真っただ中に開かれたサミットでございますので、関係諸国はもとより、東西を問わず、あるいは南北を問わず、世界各国から大きな関心と注目を集めたサミットであると、このように考えております。そこで、このサミットはどうしても西側の先進諸国が協調と団結をして、そして世界経済の再活性化、世界の平和と安定、そういう大きな目標に向かって力を合わせて努力する、そういうことで意見の一致を見る。いやしくもそれぞれの国の利害だけを前面に押し出して、足の引っ張り合いをするというようなことがあってはいけない、こういう考え方で取り組んだわけでございますが、各国の首脳の共通の認識も私は全く同じであったと。非常にいろんなむずかしい問題があったにもかかわらず、とにかく首脳間の相互の理解、協力の上に立ちまして、今回のサミットが、あの共同宣言に表明されたように、むずかしい中にも私は大きな成果を見出すことができたと、こう思います。  私はこの中におきまして、世界経済の問題については出発前に、昨年の暮れから国会の御鞭撻を得ながら、国民の方々の御協力のもとに第一次第二次の市場開放対策を進めました。これはとにかく日本だけが率先をして東京ラウンドの二年間関税の前倒しをやるとか、あるいはさらに重要な鉱工業製品については、あるものは関税をゼロにするというぐらいの思い切った措置を講じたわけでございますが、このことは私は各国の首脳から大変日本の誠意と、そのまた努力というものを評価していただいたと自負いたしております。したがいまして、今日の世界経済の停滞の中で、日本がひとり日本のことだけを考えて、利己的な行動をやっているというような批判はいずれからも出ません。日本はGNP世界第二位の経済力を持つに至ったわけでございますから、それだけに国際的な役割り、責任というものをわきまえて、今後国際社会に貢献をしていかなければならないと、このように考えておるところでございます。  一番問題になりましたのは、やはりアメリカの高金利の問題、それに起因するところの通貨の問題、こういう為替相場の乱高下というようなことが各国の経済に大きなやはり影を落としておるというようなことでございまして、これをいかに改善の措置を講ずるかということが一つの大きな問題であったわけでございます。この点につきましては、相当アメリカとその他の国との間にはいろんな意見の隔りがございましたけれども、大局的な立場に立って、随時積極的に各国の財政当局、通貨当局等で緊密な連絡をとりながら、協議をしながら措置していこうということに相なったわけでございます。  それからもう一つは対ソ信用供与の問題。これは共同宣言の中にも出ておるわけでございます。この点につきましては、やはりいままでのアフガニスタンあるいはポーランドの問題等の経過から見まして、西独、フランス、イタリー等々の西側諸国はもう大きなやはり関心を寄せておる。これがそれぞれの国の今後の経済にも大きく影響をいたすわけでございます。この問題につきましては、日本もサハリンの開発の問題等も抱えておりますが、それ以上に大きな問題をやはり西独その他は抱えておるという問題もございます。この問題の調整につきましては苦心の存するところが大きかったわけでございますが、これも大局的な立場に立ちまして相互の理解は相当進んだと、こう思っておりますが、最終的な措置につきましては、今後なお調整を要する点があるのではないかと、このように考えるものでございます。  それから私は、そのほかにアジア・太平洋から出ております唯一のサミット参加国の代表でございます、そういう観点から、出発前に豪州のフレーザー首相を初め、中国の趙紫陽首相にもお目にかかっておりますし、ASEANの国々にも在外公館等を通じまして御意見、御要望を私はお聞きをいたしました。そしてアジア・太平洋地域からただひとり出ておる立場に立ちまして、これをサミットの場に反映させる、主張するということに努力をいたしたわけでございます。そういう点につきましては、首脳の間におきましても、私のアジア・太平洋地域におけるいろいろの政治、経済、諸般の情勢報告、あるいは日本の考え方というものにつきましては非常な関心を持ち、また日本の努力に対してはそれなりの評価をしてもらったと、このように考えておるものでございます。サミットにつきましては、そのような状況でございます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 各国首脳とのさしの話し合いの中で、総理がどんな話の内容があったのか、こういうことはぜひ国民に知らせたいというようなことがあったならばお願い申し上げたいというのが最後の質問にあったわけでございますので、その点について、もしお差し支えなかったらどうぞ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) サミットの首脳会議が始まる前に、まずレーガン大統領と日米首脳会談をやったわけでございます。米大統領からは日本が困難な中においてあのような市場開放対策を着実に進めてもらっておるということに対しては、米側としては高い評価をしておるんですということがございました。  なお、私、サハリンの問題を相当強く前もって要請をいたしておったのでありますが、これはこれから首脳会談なり、あるいはその後におけるNATOの会合の後に方針を決めたい、日本の立場というものはよく理解をしておる、こういうお話等もあったわけでございます。  それから、シュミット西独首相ともお会いをいたしました。シュミットさんとは個人的な交友が続いておりますから、そういう話が中心でございましたけれども、とにかく今度のベルサイユ・サミットでは貿易の自由化、これをあくまでとにかくお互いに主張していこう、日本も西独も自由貿易体制、自由な国際市場経済によって国の経済を立てておるのだから、これはひとつ共同して足並みをそろえて努力していこうではないかと、こういうお話でございました。  なお、ミッテラン大統領には、ベルサイユ・サミットの議長国でもございますし、表敬の時間を持ってお会いをしたわけでありますが、その直前に日本を見て帰られたというようなことで、全く日本を再発見した、日本のすばらしい、とにかく組織力なりあるいは経済の発展、労使の健全な信頼関係、こういうものについて非常に学ぶところが大きい、こういうお話もございましたし、また高度の先端技術の共同研究開発、この問題につきましては、ひとつ日仏今後大いに協調して努力をしようではないかと、こういうことでも完全な意見の一致を見ました。  あとはイタリーの首相ともお会いをいたしましたし、また、カナダのトルドー首相からもお話がございまして、時間がなくて庭を散歩しながらの会談でございましたけれども、いろいろ有益な意見の交換ができたわけでございます。  サミットにおきましては、前段で申し上げたとおりでございますが、なおこれらの首脳と個人的な理解と信頼関係を持つことができたということも、今後私が国際間において、日本の政治経済の運営をやっていく上に非常に大きな参考になったと、このように思っております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 サミットに臨む以前には、冒頭申し上げたとおり、不協和音がささやかれておったわけでございますが、結果におきましてはただいま総理の率直な御感想を賜り、やはり世界経済に活性化を与えるためには、先進首脳諸国がそれぞれ連帯と協調のもとに力を合わしていかなきゃならぬのであるというお話等を承り、国民の方々もいまの総理の御答弁を承って、サミットの成果について十分御理解をいただくことができたものと思います。  そこで、次の御質問でございますが、軍縮総会に臨むに当たりまして、総理はその演説の文案について二月から仕事を始め、さらに演説直前までみずから筆を入れられた、このように承っております。このことは、私は、第二次世界大戦において言語に絶する核の惨禍を体験いたした世界のたった一つの国の総理といたしまして、全人類に再び核の惨禍を繰り返してはならない、日本国民すべての悲願であるノー・モア・ヒロシマ、この願いを全世界に訴えたいとする総理の核戦争廃絶、核戦争拒否、これへの気魄のあらわれであろうと、このように受けとめておるわけでございます。したがって、新聞等におきましても、総理演説の終了後にはあらしのような拍手があった、あるいは多くの方々が走り寄って握手を求めてやまなかった、この報道も十分むべなるかなと想像することができるわけであります。  そこで、総理にお尋ねでございますけれども、総理は軍縮演説の第一の柱の第六で、核軍縮と並行して通常兵器の軍縮を進めることなしには、核兵器の廃絶を含む全面完全軍縮を達成し得ないことも明らかだと訴えられております。つまり、核軍縮をするためには通常兵器の軍縮がなければ完全軍縮ができないんだと、こういう趣旨であろうかと思います。この総理演説の趣旨に立つときに、わが国の防衛力、確かに国際緊張の中で専守防衛に徹しながら、必要最小限度の防衛費の計上をいたしておるわけでございますが、ここ数年来の防衛費の傾向を見つめてみますると、総理のこの演説の基調と防衛費との関連性、いわば整合性とでも申しましょうか、この件についての総理の御見解を承ります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 第二回の国連軍縮総会におきまして、私、日本国民の総意を踏まえてこれを国連の場で訴えたわけでございます。したがいまして、一番重大に考えておりましたことは、何といっても衆参両院の国会の満場一致の御決議、この趣旨を体して努力をするということが第一の柱でございます。と同時にまた、三千万を超える核軍縮の反対——あの決議、これらの方々の願いというものを、核の惨禍を二度と繰り返してはならないというあの願いを十分ひとつ反映をさしたいということが第二でございます。  そしてまた、出発前に、直前には各党、各会派の代表の方々からも御意見を拝聴をいたしたわけでございます。  そういうことで、全国民的な立場でこの軍縮演説をやったわけでございますが、その気持ち、日本の気持ちというものは、私は十分演説の中で表明することができた、このように考えております。  要約いたしますと、繰り返しては申しませんが、第一の柱は軍縮そのもの、特に核軍縮を最優先に考えるということ。  第二は、軍備管理及び軍縮を通じてできるだけ低位に軍事力を抑えていく、そして、その余力を第三世界の経済協力等に振り向ける、経済社会の安定に貢献しようと、こういうことでございます。  第三の問題は、世界各国至るところにいま紛争とか対立とか抗争とか起こっておるわけでございますが、そういう中で国連に期待するものが非常に大きい。にもかかわらず、国連がどうも平和維持機能が弱いのではないか、こういう点がございます。国連の平和維持機能の強化ということが望まれるゆえんであろうと、こう思います。  その三点を柱にいたしまして軍縮を訴えたわけでございますが、特に第二の、軍縮を低位に抑えていく、そして、そこから出てくる余力を第三世界の経済の発展、民生の向上のために使うべきだと、それが世界平和の安定のためだという主張は、私は相当第三世界の国々の代表の共感を得ることができたと、こう思っております。問題は、演説で終わるものではございませんし、フォローアップをいたしまして、この軍縮を通じて述べましたところのわが国の方針、わが国政府の考え方というものを今後着実に政策の中に生かしていきたい、そのフォローアップの努力が必要であると、このように考えておるところでございます。  そういう中の一つとして、最後にお触れになりましたところの日本の防衛の問題がございます。日本は、先ほども申し上げましたが、とにかく平和憲法のもとに、軍事大国にはならない、非核三原則に徹して、そして、近隣諸国と友好的な平和外交を通じて世界の平和と安定に貢献しよう、もう防衛力は最小限度にとどめよう、日米安保体制を堅持しながら、この円滑、円満な運用によって対処しようと、こういう方針、これは軍備を拡大しようということではございません。これは、そういうことをやって戦争に対する、侵略に対する抑止力を持つということは私は当然のことだし、大事なことだと、このような考えを持っておるということをつけ加えておきたいと思います。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 確かに総理演説の中には、いまお答えにあったように、核軍縮のためには通常兵器の軍縮が必要である。私は、そこでその整合性についてお尋ねをし、総理の御答弁をいただいたわけでございますが、日本の軍備をゼロにすると言っておるわけではございません。今日の厳しい国際情勢の中でやはり専守防衛に徹し、日米安全保障条約を基軸にしながらとにかく自分の国は自分で守ろうではないか、そういう気構えのもとにパワーバランスという世界の現状を踏まえながら、総理の理念である核軍縮のために通常兵器の軍縮もしなきゃならない、そういう御提言をされておるわけでございまするから——私はやはり政治は何を言ったかも大切であると思いますけれども、何をなしたかがより大切だろうと思います。そういう面では、「先ず隗より始めよ」、そういった故事にならうまでもなく、こういう厳しい国際情勢の中で軍縮への一歩を踏み出すということはきわめて正しい勇気が要求されるところであろうと思いますけれども、その一歩こそ、私は世界から核兵器を廃絶せしめ、核戦争をなくさせる、その一歩につながる、いわば世界の歴史の一ページをつづる重要な事柄であろう、このようにも考えまするので、本件に対する総理の所感をもう一度お尋ねしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 岩崎さんお述べになりましたことと全く同感でございます。特に現在わが国は行政改革と財政の再建を目指しております。国民の皆さんにそれぞれ犠牲を分かち合うことをお願いをしておる際でもございます。一定の防衛計画の大綱というものを持っておりまして、この水準に早く達するということが日本の抑止力を強める道ではございますが、他の政策との整合性や国民世論というものを踏まえながらこの点は誤りなきを期してまいりたい、こう思っております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 次に防衛庁にお尋ねをいたします。  五十八年度以降の防衛費、特に五六中業について先ほど矢田部委員から質問がございましたので本件については重複を避けたいと思います。ただ、その矢田部質問に対しまして、総理は、やはり今後とも、厳しい財政事情の中にあっても防衛費については一%以内の枠内にとどめる、渡辺大蔵大臣は、防衛費といえども聖域の枠内には置かない、こういう御答弁があったわけでございますが、けさの新聞等を拝見いたしますると、またわれわれも防衛問題について勉強さしていただきますると、わが国の正面装備というのは大変おくれております。これを急がなきゃなりません。しかし、それを急いで五六中業を達成しようと思いまするとGNPとの兼ね合いに問題を来す。したがって、後方支援経費を抑制して、もって一%の枠内におさめるんだと、こういうお考えが今日政府の内部にあるようでございますけれども、とするならば、後方支援態勢経費の抑制を一体どういうものを対象にして抑制しようとするのか、防衛庁の方から御答弁を願いたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 現在私どもは五六中業の作業を急いでやっておる最中でございますが、御承知のように五六中業自体は、正面装備につきまして主要なものの積み上げを行って計画を立てていくわけでございます。その際、後方でありますとかあるいは人糧費関係といったようなものにつきましては特段の積算を行うということはいたさないということで、これは五三中業以来そういうやり方をとっております。したがいまして、そういう意味から、いま御指摘のように、後方をどういうふうにするか、あるいはどういうところを省略するかといったようなお尋ねがございましたけれども、私どもいまやっております作業は、あくまでも正面装備につきまして積み上げを行っておるということでございまして、御指摘のような作業をいたしておるわけではございません。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 先ほど総理は、軍縮演説の第二の柱の中で、軍縮により創出された人間能力と資源の有効利用の重要性についてお話をされました。しかもこの演説の中には、現在世界の軍事支出は世界の総生産の六%にも及んでおるというようなお話をされております。しかも一方では、飢餓に憂い、倒れ、極貧に悩んでおる方々が大ぜいいる、軍縮によって生み出した人的、物的資源によってそれらを何とかしていかなきゃならない、わが国はこれからもASEAN諸国に対して強力な経済協力をしていく考えである、こう述べられておるわけでございますが、世界総人口は四十四億を上回っております。また、飢餓に憂えておる人口は四億三千五百万人、十一人に一人と言われております。そういう方々で飢餓に倒れようとする方々を救うために必要な食糧は二千五百万トン、またそれに見合う金額は約六十億ドルである、このように言われております。  したがって、この世界先進国であるアメリカを初め日本、EC、そしてオイルダラーを豊かに持つ産油国などからお金を出し合って、それを国連に拠出をするか、あるいは基金として積み立てるか、何らかの方法をとって、食糧の購入についてはいま生産過剰であるアメリカを中心にしながら、また日本も食糧の生産調整をいたしております。世界の国々に日本と同じような国々があるかどうかわかりませんけれども、もしあるとするならば、そういう国々とともに食糧の生産をしていけば、軍縮によって生み出した資源によって飢えた民を救うことができる。まさに平和と人道主義に徹した方策であろうと私は思います。こういう方策について総理はこれからも外交を通し積極的に取り組まれる御意思があるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまの岩崎さんの御所見に対しましては、私はもう全く全幅の賛意を表するものでございます。特にわれわれのアジア地域は、人口においても非常に大きいものを持っておる。そして年々これが大きな勢いで人口が増大をいたしております。一方において、インドネシアを初めとして、あるいはバングラデシュ等においても食糧は非常な不足を告げておる。こういうような地域でございまして、この地域の農業の開発、農村の振興を図る、食糧の増産を図るということは、この地帯については、いろんな恵まれた条件を持ちながら、今日までお金がない、技術がおくれておるというようなことからそれができなかったわけでございます。  最近におきまして、ASEANの国々を初めとしまして、アジアの諸国がみずから立つ、自立自助の機運が高まっております。わが国はこれに対しまして、二国間援助の七割をアジア地域に援助として振り向けております。ASEANに対しては約半分を投入をしておる。また、世界銀行あるいはアジア銀行等々に対しましても、日本は近年は一番大口の出資国にも相なっておるわけでございます。また、JICAを初めとしまして、技術者の養成なりあるいは訓練なり、そういう人づくりにもいろいろ協力をいたしております。そういうような、あるいは機材の供与であるとかいろんな面を通じまして、今後一層いま岩崎さん御指摘のような、まず食糧の増産、農業の振興、農村の建設、そういう民衆の生活に直結した面から協力をひとつ進めていきたい、こう考えております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 ただいま、僭越でございますが、私が総理に提案をいたしました問題について、全幅の賛意を表するという御答弁を賜りました。確かにそういうことが実現できますると、今日日米間の貿易摩擦あるいは日本とEC間の貿易摩擦、この解消にも大きな役割りを果たすはずでございますので、私は、この案は本当に一石二鳥あるいは一石三鳥にも値するであろうと考えてあえて御提案をさしていただいたようなわけであります。どうかひとつ、総理の軍縮にかける決意にこれからも大きな期待を寄せておるわけでございますので、しっかりとがんばっていただきたいと思います。  この際、軍縮、反核を求める市民運動についてお伺いをいたします。  軍縮、反核を願うこの気持ちは、ひとり、革新系と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、そうした方々の専売特許ではないはずであります。それは主義主張を乗り越えた、いわば草の根運動とも言うべき全人類を挙げての運動でなければならないはずであります。世界で唯一の被爆国民として、核廃絶、軍縮を希求する日本民族として、当然のことであろうと思います。これはわれわれ日本国民の究極的な悲願であり、そういう観点から、広島、長崎の惨禍を二度と繰り返してはいけないとの総理の切々たる叫びとも言える発言であったかと思います。わが国は戦後三十七年、一切の紛争に巻き込まれることなく、世界の平和国家として国力の発展あるいは充実を果たし得ましたことは、日米安全保障条約に基づくものであり、このことはいまさら論をまたないところであります。  今日、ソ連のアフガンヘの軍事駐留は依然として続いております。また、ベトナムにおける外国軍隊の軍事介入も続いておるところであります。さきにようやく終息を見ましたイギリスとアルゼンチン紛争、イスラエルとレバノンとの抗争等々、戦後、局地的には百を超える紛争が生じておることは、いかに国家間の紛争解決が困難であるかを物語るものでございまして、第一回の国連軍縮総会後におきましても大きな具体的成果が上がらなかったこと、これもうなずけるところであります。幸い、国と国との大紛争にまで至らなかったことは、米ソ両大国の力の均衡によってこれが保たれているという国際軍事情勢の認識が必要であります。そのためには、ただ口で唱える反核、軍縮ではなくて、現実的に実りある核廃絶が主張さるべきであると思います。  そもそも欧州で反核、非核を叫ぶ市民運動がなぜ生まれたのか。それは、ソ連が欧州各国に向けまして戦域核によるSS20の配備をしたことによる危機感によるものではないでしょうか。日本における反核、核軍縮を求める市民運動が、イデオロギーを超えた、真に純粋な意味における運動であるならば、われわれといたしましてはこれを十分理解し、支援し、協力することにやぶさかではありません。どうもそこには一部の扇動分子や、あるいは過激なイデオロギーを持ったそういう方々に利用されておる側面がありはしないか、このようにも考えられまするので、総理はどのようにお考えになっておられるか、御所見を承りたいと思います。  もう一点、続いてお願い申し上げます。  ソ連のグロムイコ外相が国連軍縮総会で核先制不使用宣言を行いながら、その直後に残念なことでございますが衛星攻撃システムの実験を行いました。この高度な戦略兵器実験を行ったことは、一体われわれどう解釈したらよろしいのか。ソ連の行動をどのように受けとめればよろしいのか、総理の忌憚のない御所見をあわせお伺いをいたします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 第二回の国連軍縮会議を前にいたしまして、ヨーロッパと言わず、アジアと言わず、軍縮、特に核軍縮についての国際世論が高まりを見せました。その背景にはいろいろ複雑な要素が存在すると、こう思うわけでございますが、特に欧州におきましては、ソ連のSS20という陸上に配置されたところの戦域核の配備、増強、これに対してアメリカを中心とするNATO側としてはいかにして対処するかという問題、それから圧倒的なソ連の通常兵器の兵力の増強、これに対してどう対応するかと、こういう背景が存在すると、こう思うわけでございます。  そこで、これに対して、もしソ連がSS20等の戦域核をソ連の全領域から撤廃するのであればアメリカはパーシングII等の配備をこの際やめると、いわゆるゼロオプションを提唱したわけでございますが、こういうような米ソの核超二大国の核戦略なり核の軍備の問題なりをめぐりまして、非常なそこに危機感が私はあったと、これが今度の第二回の軍縮を前にしまして大きな反核の高まりを示したと、このように思うわけでございます。  わが国におきましてもいろんな団体によってこの署名運動その他が進められました。しかし私は、大部分は、やはり本当に核の洗礼を受けた日本として、このような広島、長崎の惨禍を二度と繰り返してはならないという、平和を希求する国民の真剣なこれは運動であったと、このように評価をいたしておるわけでございます。現に私は、地婦連の方々などは本当に真剣にこの署名運動もおやりになりましたし、その代表にも私はお目にかかりました。それから各種宗教団体、これまた真剣におやりになっておられました。学者の皆さんもやはりいろいろの考え方はあったと思いますけれども、とにかく真摯な核軍縮の提言をされておったわけでございます。  私がただ当初心配いたしておりましたのは、人類の平和への願いというこの共通の願いをバックにして、ある特定の国を敵視したり、ある特定の国だけを責める、その軍拡のみを非難をしたりするようなものであってはいけない、本当に純粋な意味のやはり恒久平和のための運動でなくてはいけない、訴える力はないだろう、こう私は考えておったのでありますが、そういうようなことを十分私は注意深く踏まえながら皆さんの御意見を拝聴して、そして国会の決議を踏まえて国連で日本の立場を主張したと、こういうことでございます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 軍縮、反核を求める市民運動について、純粋なグループの一つに地婦連の名前が出てまいりました。  私は、地域青年の、運動しておる一青年がこの運動に参加し、渡米し、そしてこの会合の実態に触れ、アメリカのこの種にかかわる運動がいかに草の根的ないわば市民運動の性格を持ったのか、そのユニークな姿に触れて、やはり日本の軍縮、反核運動についてもそういう立場に立って行っていかなきゃならない、そうした青年の声を耳にもいたしておるわけでございますので、そういう意味でわれわれもこの運動にこれからも一生懸命努力もし前進もいたしてまいりたい、かように考える次第であります。  次に、農業問題についてお伺いをいたしたいと思います。  わが国農業は、生産性の問題、あるいは複雑な流通機構、そして低迷を続ける価格問題に加えて農産物の市場開放というあらしの中で苦境に立たされておるところであります。米は依然として過剰傾向にあり、生産者米価はここ四年間据え置きに近い状態にございます。ために、本年産米の要求米価は諸般の状況を背景に四・三七%という過去最低の上げ幅にとどまっており、いわば現実的な路線に方向を転換した、こう申し上げましても言い過ぎではなかろうと思います。このことは戦後の米価闘争の歴史を変える私はまさに画期的な出来事であると思います。本年産麦価につきましてはすでに据え置きの答申がなされております。畜産、酪農もまたしかりと言わなければなりません。葉たばこ耕作も外国葉の輸入圧力に押され、耕作面積は年々減少いたし、かつての三分の一となっております。収納価格もお米や畜産物等に比べればあるいは上位かもしれませんけれども低迷状況には変わりがございません。加えて賃金問題等々、農業を取り巻く深刻な状況というのは枚挙にいとまがないところであります。  そこで、政府が決定する本年農産物の価格の見通し——もう麦も決まりました、畜産関係の問題も決定を見ました。したがって、いよいよ米価の時期を迎えるわけでございますので、農林水産大臣の本件についてのお見通しについて御所見を承りたい。とともに、臨時行政調査会は、第四部会におきまして完全民営化を前提といたしました専売公社の特殊会社への移行を報告しておりますけれども、本件に関して専売公社はどのように考えておられるのか。民営化されたならば、あるいは特殊会社化されるということになりますると、先ほど申し上げたように面積は減少の傾向をたどっておりますけれども全量買い上げであります。民営化されまするとそれが契約栽培になるかもしれない、あるいは外葉が安いからといって契約栽培がますます圧縮されるかもしれない。そういうことになってしまいますると、日本のたばこ耕作農家はまさに壊滅の危機に瀕するであろう。  こうした状況を踏まえながら、まだ報告の段階でございます。七月末になりませんと臨調のいわば答申は出ない、多少時期尚早の感があろうかと思いますけれども、ひとつ専売公社の総裁として、公社の今後の行方について、臨調の報告を踏まえながら御所見を承りたいと存じます。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 今年の生産者米価については具体的にお答えするまでに至っておりません。  ただ、日程といたしましては、七月の五日に前広米審を開きまして、十三、十四、十五、三日間、米価審議会を開く予定にいたしております。  したがいまして、米価につきましてはこれまでどおり、いわゆる食管制度の規定に従いまして、米の需給状況を配慮しながら、再生産を旨として、米価審議会の議を経て適正な価格を決定したい。  ただ、この場合でございますが、いま御指摘のように、米が過剰で生産調整を行っているということの現実あるいはまた厳しいいわゆる財政状況というものを十分私たちは配慮しながらしていく必要があるだろうという考えを持っております。

泉美之松日本専売公社総裁

○説明員(泉美之松君) お答え申し上げます。  第二次臨時行政調査会の第四部会におきましては、先ほど、国鉄、電電、専売公社の三公社を初め特殊会社等についての報告を出されました。その中で、私ども専売公社に関しましては、経営形態の変更を初め、きわめて多くの報告内容があるわけでございまして、その一々について申し上げることは省略いたしますが、いまお尋ねの葉たばこの問題につきましては、現在の専売法を廃止して、特殊会社をつくって契約栽培にというようなお話でございますが、臨調の第四部会の報告では、特殊会社というのは経過的なものであって、将来は民営にするというふうなお話でございますが、その将来の民営形態については詳しく出ておりません。したがって、独占禁止法との関係から、分割、民営というのが民営という場合には当然のことのように思いますが、そういう形態なのかどうであるのかはっきりいたしません。しかし、私どもはそういうはっきりしない内容のことを将来やるのだというようなことはいかがかと思うのでありまして、将来の民営形態ならどういう形態のものをどうするのだという形を出さずに、ただ民営に移せばいいんだということではいかがかと、このように思っております。  また、葉たばこの問題につきましては、お尋ねのように、現在過剰在庫がありますし、また国産葉たばこは国際価格から大幅に乖離しておりますので、他の農作物と同様に、大変合理化が必要とされておることは御案内のとおりでございますけれども、しかしいま葉たばこ専売をやめて一挙に契約制に移るといっても、臨調の御報告によりますと、その契約制の内容もはっきりいたしておりませんし、それではたばこ耕作者が大変不安に感ずるのではないか、さなきだに過剰在庫の関係からいたしまして、耕作面積は縮小していかなければならない傾向にあるときでありますから、そういうときにたばこ耕作者にいたずらに大きな不安を与えるようなやり方はいかがかと、私どもとしては合理化は進めるにしましても、それは着実に耕作者の理解を得ながらやっていく必要がある、このように考えておるところでございます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 まず専売公社の問題でございますけれども、たしか私の記憶に間違いなければ、公社は国並びに地方自治体に一兆五千億ですかの納付金を納め、国、地方自治体に対するいわば財政面での寄与の度合いというのは非常に高いものがあるわけでございます。他の公社と横並びで果たしてよろしいのかどうか、いまもし分割、民営というようなことになってもその具体的内容が明確にならないといかがかと思うという総裁からの御答弁もあったところでございますが、そうした観点からたばこ耕作者、葉たばこを生産する方々の立場にも立って十分にこの問題についてはひとつこれからも努力をしていただきたい、かように思います。  なお、米価の問題については確かに過剰ぎみである、逆ざやの問題もある、だから、ここ数年来、しかも、需要、供給のバランスの中で自由主義経済体制を踏まえながら考えると、これは据え置かれるということは理論としてはわかるわけでございますが、まあ議論する舞台が違うかもしれませんけれども、五十六年度、政府においては約三兆円の歳入欠陥が出ました。しかし、国家公務員は人事院勧告の名のもとにこれは間違いなくその給与は上がっております。一方、国鉄を見詰めてみますると、十六兆円というような大きな累積赤字を抱えながら、しかも、一年、一年、毎年二兆円という赤字を生み出しながら、これまた仲裁裁定のもとに確実に給与が上がる。大変な歳入欠陥がある。経営面では大変な赤字の経営である。米も過剰ぎみである。議論の舞台が違うかもしれませんが、こういうことを論議を展開してまいりますると、やはり米に対してもうんと何らかの配慮があっていいのじゃないだろうか。もちろん公務員にしても、国鉄の職員にしてもスト権が認められておらない。だから人事院勧告あるいは仲裁裁定、そして、それはまたILOとのかかわり合いによってそのような措置がとられているものと思うわけでございます。しからば農民は出荷反対のいわばストライキをするだけの強い経済的な体質があるのか、全くないと言わざるを得ません。これらを考えますると、私はどうしても素朴な疑問を感じてならないところでございますので、もしできましたらもう一度農林水産大臣の本件に関する御所見を承りたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 米価については先ほど申し上げましたように、米の需給事情を配慮しながら再生産を旨として、やはりこれを決定していくということは、これはこれまでも、また食管制度の面から言っても十分配慮しなければならないところでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、過剰になっている米の現状、それから財政の面から言って非常に厳しいということをも私たちは配慮していかなければならないと、かように考えます。ただ、健全な農家経営をいかにしてつくり上げるかという問題は、もちろん米価そのものと切り離すことはできませんけれども、もう一つの考え方といたしましては、何としても生産性の向上が一番だと思うのでございます。そのためには、やはり中核農家の経営規模を拡大する、それから高い能率の生産集団を育成する、それから技術の開発普及、基盤整備あるいは農業資材の安定を図るというようなことを進めてまいらなければならないわけでございまして、特に私は経営規模の拡大というのは非常に大きいと思うのですね。私は、こういう規模の農業をしたいという方にそれに見合う規模の耕地を与えるということが、一番農家に対して希望の持てる農業になろうと思いますので、そういう意味では幸いにして農用地増進法が一昨年できたのでございます。まだなじみが薄いものでございますので完全な活用はしておりませんけれども、これを中心にして私はそういう弾力性のある農業経営ができるようにいたしたい。  またもう一つは、先ほど申し上げました農業技術開発、これがやはり新しい農業、しかも農業経営にたくましさを与えるものであろう、こう考えますので、一方では価格問題、一方では農業の生産性の向上というものを両面に抱えながら、私は安定した農業経営を目指して今後とも努力をいたしたいと、かように考えております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 これからお尋ねしようと思いました生産性向上の問題あるいは技術革新の問題等について、大臣から大筋御答弁をいただきましたので、多少角度を変えてお尋ねをいたしてみたいと思います。  農業後継者は、昭和二十七年には四十一万人の青年男女が農業後継者として就農いたしておりました。ところが、その後激減をいたしまして、五十五年には、新規学卒農業参入者というんですから、学校を終わって農業に就業した人口わずかに七千人であります。そのうち男子は五千八百名、五十六年の三月のそれは六千人、そのうち男子は五千人という状況であります。この局面を見る限り、農業構造は残念ながら崩壊状態の傾向をたどっておる、こう言わざるを得ないのであります。農業を守るためにはまずこの現実からきっちりと直視をしてまいらなければなりません。  しかし、一方で、いま大臣の御答弁にあったように、青壮年の専業農家の家庭が全力を挙げておる農業、そのうちの後継者の方々が科学技術の分野において一生懸命取り組んでおる、そうした農家は、いわば兼業農家あるいは他産業のそれよりも所得を上げつつある傾向にあります。このことは厳しい全体を取り巻く農業事情ではございますが、この一面にだけ着目をする限り、私は農業に明るい展望を見出すことができるわけでございます。  さらにまた、農業団体それ自身も、特に全中は十月の全国農協大会に向けまして次のような発表をいたしております。農協の農業振興方策の中で、耕種部門の二〇%のコストの低減問題や主食以外の多用途利用米の開発、さらにお話にあったように経営規模拡大目標の設定など、従来の路線から大胆な発想の転換を行おうと農業団体それ自身もいま取り組もうといたしておるわけでございます。このことは農業に対する保護を農業団体や農家の方々が要求するばかりではなしに、お話にあったようにみずからも厳しく自助努力によって農業の危機を打開しようとする私は決意のあらわれであろうと評価をいたす一人であります。  農業がお話にあったように生産性を高めるための土地改良事業は、これから五十八年度から第三次の長期計画に入るわけでございますが、第二次の計画では金目においてはほとんど充足をいたしております。しかし、工事執行の面積の面においては、物価高や工事費の高騰によって計画した面積の約五〇%にとどまっておるという状況でございます。こういう問題を考え、さらに市場開放等厳しい農政の現実に目を向けたときに、これから農業があるいは農政の中で考えていかなきゃならない問題は、国際競争力に対応できるそうした体質、体力を持った農業の確立でなければなりません。  そのための一つの方法として先端技術、いわば農業の技術開発があるわけでございますけれども、実はこの技術開発の結果を、その成果を問うその基礎条件もまた土地改良事業、すなわち基盤整備事業にあろうと私は思うのであります。とするならば、五十八年度から今後十年間に向かってする長期計画について農林水産大臣はその枠組みについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。また、技術開発の問題等につきましてはただいま具体的にお話がございました。したがって質問の重複は避けますけれども、たとえば具体的にこういう技術開発をしているのだというような分野があったならば、簡単で結構です、一つか二つで結構でございますので、お話しを願いたい。また、将来こういうことをしたいのだというようなことがもしいま開発の途上において、研究過程においてされておるとするならば、この件についてもあわせお尋ねをいたしたいと存じます。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産業は、農家、農民にとっては生産の場であると同時に生活の場でございますから、その地域の安定の基盤でございますし、日本の安定基盤であろうと私は考えますので、この産業はあくまでも育成助長し、活力のある産業にしてまいらなければならない。そのためにはいま先生御指摘のように若いエネルギーが必要なのでございます。いま農村を取り巻く現状は、米の過剰等いわゆる農産物の需給の鈍化から、兼業農家あるいは農村社会の混住化、老齢化が非常に進んできているわけでございます。こういう中でいかに経営規模を拡大する、いかに技術革新をするといっても、それを吸収する能力はないのです。私はあくまでも若い人が、いま非常に苦境にある農業を私の手でいわゆる新しい農業をつくろうという意欲のある人が、農業に参加することによって初めて日本農業がすばらしい農業になろうと私は思うのです。  過般私、総理と一緒にブラジルへ参りました。セラードという非常に酸性土壌の自然環境の厳しいところで、日本の農業の技術協力がその地域に、テストパイロットでございますけれども、六万ヘクタールのすばらしい圃場をつくり上げたのです。そこに住まっておるウエムラという二世の方でございますが、四十四、五歳の方でございますけれども、奥さんと弟さんと子供さん一人、この方が四百町歩の麦畑、コーヒーあるいは大豆を経営しているわけですが、その圃場に立って、未来は私にありますよということを言ったときに、すばらしいなあと思ったんです。私は、日本の農家、農民の方で、私に未来があると言う人に農業経営をしていただきますならば、いかなる技術協力も経営規模の政策も進めてまいれると私は思うのでございますので、そういう点では今後、私たちは、そういう若い人に魅力を感ずるような農政を私たちがっくり上げなければならない。もちろんいわゆる兼業化あるいは混住化、老齢化の厳しい中にありますけれども、今後一層そういう点に力を尽くしてまいらなければならないと、かように考えております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 かつて私も地方自治行政を長くあずかった経験を持つ者でございます。そのときに、当初は食糧の一割増産、これが農林省から指導されました。時を経ずして今度は減反政策が指示されました。これを私どもは現場にあって、まあ失礼ではございますが、猫の目農政である、このような残念ながら批判を加えざるを得なかったわけであります。ただ、いかにわが国の生活様式が変わろうが、また工業化、さらには技術立国、そういう道をたどろうとしようが、私は米の自給力の向上については、衆参両院において決議したように、総合的な安全保障の面からこれはどうしてもやっぱり、農は国の基である、民族の苗代である、この基盤に立って農業問題にさらに真剣に大臣が取り組まれることを期待し、次の問題に移るわけでございます。  いま、別に演説じゃございませんで、議論のやりとりをしておったわけでございますが、この議論のやりとりの中で、農業問題がどんなに厳しいか、まあ私も大臣の話を聞いてその感を一層深めておるところでございます。そういう厳しい農業情勢を見詰めながら、一体ことし農産物の生育はどうなんだろう、秋の台風はどうなんだろう、心配を持っておったところが、秋の台風を待つまでもなく、実は六月の八日から二十一日までの間、多く降ったところは四日ないし五日、少ないところで一日、関東近県は大変な降ひょうの被害に見舞われたわけであります。数字をちょっと申し上げますると、栃木県では十五億三百三十万円、群馬県は一番少なくて一億二千二百万円、茨城は四億三千七百万円、埼玉は一億九千九百万円、長野県は三億五千六百万円、山梨が二億一千三百万円、合計二十八億三千三十万円、こういう金額であります。  降ひょうの場合の天災融資法は、金額だけをとらえますると、二十億を超えればその天災融資法発動の対象になるわけでございますけれども、申し上げたように、実は栃木県、私の出身地でございますけれども、ここが一番降ひょうをこうむっている。したがって、すでに栃木県におきましては農業災害対策特別措置条例を発動いたしまして救済措置を急いでおるわけでございます。なお、こうした関東近県の降ひょうの被害状況について農水大臣のお手元に報告がなされていると思います。天災融資法の発動が果たして可能な条件を兼ね備えておるのかどうか早急に検討され、結論を出していただきたい。最悪の場合でも、次善の策といたしまして自作農創設維持資金、この資金の活用ができるような御配慮を賜りたい、このように思うのです。  それはなぜかというと、被害を受けた農家の中、特に果樹農家、ナシなどは全滅しておる農家がございます。代替の作物を植えようとしてもとうていこれは対応策がございません。とすると、こうした農家はここ一年、来年を迎えるまで収穫皆無、共済の手当てだけで生活をしなきゃならない、そういう厳しい状態に追い込まれるわけでございますので、可能ならば天災融資法の発動について存分の御配慮をいただきたい。それがどうしてもだめならば、申し上げたような制度資金が早期に活用できるような特段な御配慮をお願いいたしたいと思いますが、大臣の御所見をお願い申し上げます。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 災害農家に対して心からお見舞いを申し上げます。そして、ただいま御指摘のような被害状況は私も報告を受けております。したがいまして、天災融資法等についてもいま鋭意調査を進めております。自創資金とそれから農業共済制度については、できるだけ御期待に沿うように努力をいたしたいと考えております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。遠藤政夫君。

遠藤政夫自由民主党

○遠藤政夫君 この際、予算委員長並びに同僚議員の御了承を得まして、九州地方における麦の被害対策につきまして関連質問をいたしたいと存じます。  いま岩崎委員からお話がありましたように、日本農業は非常に厳しい情勢の中で、農家経済の向上、体質改善に関連農家は鋭意努力をいたしてまいっております。その一環として、水田の裏作としての麦につきましても、生産拡大、麦作の振興について昭和四十九年から農政の重要施策として推進されてまいりました。関係農家も非常な努力を続けてまいりました結果、昭和四十八年に戦後最低でありました裸麦、二条大麦、小麦、六条大麦の生産量、作付面積も逐次拡大、生産増大の方向に向ってまいりましたことは、農林水産省当局の施策の徹底と関係農家の努力の結果でございまして、まことに御同慶にたえないところでございます。  ところで、いまの関東地方におきます降ひょうと似たような問題が起こりまして、去る五月二十九日から六月二日にかけまして、北部九州、福岡、佐賀、熊本の三県を中心に、断続的な降雨によりまして、登熟後期にありました未収穫の二条大麦、小麦について、かつて経験したことのないような穂発芽という異常事態が発生したのであります。この被害状況は、私の手元に参りましたところでは、福岡県におきましては、麦の総作付面積二万三千八百ヘクタールのうち穂発芽発生面積はその四〇%を超える一万四百六十五ヘクタール、被害額は実に二十一億に及ぶと推計されております。佐賀県では、作付面積二万三千五百ヘクタールのうち一万五千七十ヘクタール、被害額は約二十億円。また熊本県では、作付面積一万五千四百七十ヘクタール中三千三十ヘクタール、被害額は約九億円。この三県だけを合計いたしましてもその被害総額は五十億円の巨額に達するものと推計されております。この被害状況につきましては、農林水産省当局におかれましてもいち早く抜かりなく実態を把握しておられることと思いますが、いかがでございましょうか。私が申し上げました数字に違いがございませんか。

大坪敏男農林水産大臣官房審議官

○政府委員(大坪敏男君) ただいまお尋ねの北九州におきまする長雨による被害でございますが、現在私ども把握しておりますのは県の報告でございます。被害面積は約三万三千ヘクタールということでございまして、被害金額につきましては、全部そろっておりませんが、いまのところ四十億円は上回るという状況でございます。  なお、私どもの統計情報部におきましても目下被害状況は取りまとめ中でございますが、まだ結論を得ておりません。  以上でございます。

遠藤政夫自由民主党

○遠藤政夫君 ただいまの御答弁によりますと若干の食い違いあるようでございますが、これは農家にとって大変重大な問題でございまして、いわばいままでこうやって麦作に非常な熱意を示しておりました農家に大きな挫折感を与えるような大変危機的な問題でもございます。当局におかれましてもその実態把握に十分努めていただきたいと思うわけでございます。こういったことによりまして農家が受けます経済的、精神的な打撃は大変なものでございます。これは単に農家の自立経営の面だけでなく、今後の麦作振興にとりましてもゆゆしき重大な問題であると考えるわけでございます。幸い関係各県におきましては農業団体と関係者と被害麦の仕分けあるいは次年度の種子確保につきまして努力が払われておりますけれども、なかなか今後の対策が思うように進んでおりません。そこで、私はこういった状況を踏まえまして被害農民の救済、今後の麦作振興のために次の三つの点について農林水産省当局の格段の措置を早急に実施していただきたい、かように考えるわけでございます。  その一つは、等外上麦の、これは大変むずかしい問題かと思いますけれども、全量政府買い上げの措置について御配慮をいただきたいということでございます。  その第二は、農業災害補償法に基づく農業共済における麦の損害評価に対する特別措置の適用でございます。同時に、この措置に基づきまして共済金の早期支払いについても格段の御配慮をいただきたいということでございます。  第三点は、これはもう食糧にも何にもなりません規格外麦につきましても、その有効利用という観点から流通が円滑に行われますよう関係団体の指導を十分に行っていただきたい、こういうことでございます。  この三点につきまして御当局の十全な措置をおとりいただきますことによりまして、麦作農家の生産意欲が失われることがないよう十全な今後の対策を講じていただきたい、こういうことにつきまして農林水産省御当局並びに農林水産大臣の御所見を伺わしていただきたいと思うわけでございます。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。  等外上麦につきましては、従来から食糧用としての利用につきまして種々難点がありまして、原則として政府買い入れはしないという方向で考え、また、今後も規格面で考慮していかなければならないと考えております。しかし、ただいまいろいろお話を伺いましたように、麦作農家に不安を与えないようという御要望等もございます。被害の実態がまだつかめておりませんが、この実態をとらえまして関係団体の意見を聞いて十分検討してまいりたい、このように考えております。  もう一点、規格外麦の点がございますが、これは御案内のようにもともと主食用には不適で、従来から政府買い入れの対象となってこないものでございます。飼料用や醸造用等の用途に民間流通を通じまして充当されてきたものでございます。こうした主食用以外の流通につきましては、これが円滑、的確に行われますよう農林水産省といたしましても検査面において仕分けをいたすとともに、関係の農業団体、業界を十分指導して措置してまいりたい、このように考えております。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま事務当局から御説明したとおりでございます。今後とも県とも十分連絡をとりながら、麦作の再生産のために最善の努力を払ってまいりたいと考えております。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) 共済の問題につきましては、現在損害評価を進めておる段階でございますが、この損害評価のやり方につきまして、ただいま先生から問題提起がございましたような特例措置を講ずるようにというお話が関係の県から出てきております。それで、この特例措置の実施につきましては、私どもといたしましては被害の実情を勘案しながら前向きに検討しておるところでございます。  それから、共済金の支払いにつきましては、八月の中旬ごろから支払いを開始して、八月中には共済金の支払いを完了するようにしたいということで手続を進めるように指導しておるところでございます。

遠藤政夫自由民主党

○遠藤政夫君 ただいま御答弁いただきましたように、この問題につきましては麦作農家の生産意欲を今後一層振興させるためにも、この災害に対しまして、いま農林水産大臣から御答弁ありましたように特段の御高配をお願いいたしまして、関連質問を終わります。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 じゃ、次に景気対策の問題についてお尋ねをいたします。  五十六年度に一千万以上の負債を背負って倒産した件数はたしか一万七千三百九十七件であったと思います。これは史上第三の倒産件数となっております。これら倒産内容の主なるものは、よく言われまするように構造的、地域的あるいは業種的不況によるものである、こういうことでございますけれども、その中でも地方経済の落ち込みはきわめて深刻である、このように申さざるを得ないのであります。この不況のゆえに、悲しいことながら一家心中があったり、あるいは経営者みずからが命を絶ったり、そうした事件が後を絶たないこともこれまた事実であります。五十七年度はスタートしたばかりでございまして、わずか三カ月ではございますけれども、この間の月別の倒産件数と昨年同月の件数とをまずお示しいただきたい。  あわせて、中小企業対策と申しましょうか、特に落ち込みの激しい地方の中小企業対策について通産大臣の御所見を承りたいと思います。

神谷和男中小企業庁長官

○政府委員(神谷和男君) 五十七年度の月別の倒産件数につきましては、四月、五月、この二カ月がすでに出ておりますので、まずこの二カ月について御報告を申し上げます。  まず、四月につきましては件数は千四百八十六件、前年同月に比べまして三・三%増でございます。ちなみに前年は千四百三十八件でございます。五月は、五十七年が千四百五十六件でございまして、前年が千五百四十一件でございますので、前年に比べまして五・五%減という数字になっており、高位で現在のところ推移しておる、このように考えられます。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま中小企業庁長官からお話をいたしましたように、四月は前年に比べまして少し倒産件数がふえたということで非常に心配をしたわけですが、五月に入りましてから前年対比多少減っておる、こういうことですが、しかしこれまでのずっと状況を見ますと、やはり高い水準にあるわけですし、生産、出荷の方も落ちていますし、それに反比例して在庫もふえているということです。また、中小企業金融公庫とか商工中金の窓口なんか調べてみますと、融資も枠を余していると。昨年に比べて融資の相談件数も少なくなっておる、こういうことですから、中小企業はやはりもうすでに相当な設備の更新等をしなきゃならぬのですけれども、しかしその意欲が出てこない。これはやはり先行き不安であろう、こういうことで全体的に私ずいぶん心配をいたしておるわけで、もちろんこれに対しては、基本的に日本の景気全体に対する対策を強化するということが必要でございます。したがって、いまわれわれとしては、御承知のように公共事業の上半期七七・三%という前倒しも行っておりますし、あるいはまた住宅対策も推進もしておるわけなんですが、同時にまた個別的には、やはりいま大企業も相当跛行性が強くて、素材産業なんか非常に悪い、そのしわ寄せがやはり下請企業に移っていくわけですから、しわ寄せされるわけですから、そうした下請対策とかあるいは倒産防止対策等の具体的な措置をとっていかなければならぬ。こういう点については、五十七年度予算も成立をいたしましたし、そういう予算もフルに活用をしながら、個別対策を講じて倒産を防いでいく。同時に、先ほどから申し上げましたように、全体のやっぱり景気対策というものを考えなければならない。いまの公共事業等も積極的に前倒しを推進する、特にその中での官公需についてはシェアをなるべくひとつ中小企業に回していただく、こういうことが非常に大事になってきたと思うわけでございます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 地方に参りまして中小企業者の方々のお話を承りますると、たるの中に詰められてふたをされてしまって身動きがとれない、そんな状態であるという話を多く聞かされるわけでございますので、ただいま大臣からお話のあったようなもろもろの施策を機敏に、しかも果敢にひとつ展開をしていただきたいと思います。  次に完全失業率、この件につきましても、ただいまお尋ねをいたしました内容と同様の数字をお示しいただきたいと思います。

田邉國男自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。  総理府では、労働力の調査の一環といたしまして、わが国の完全失業率を調査をいたしております。最近の数年の動きを見てまいりますと、昭和五十三年度の平均の完全失業率は二・二%でありました。五十四年度は二・〇%でありました。五十五年度が二・一%でありましたけれども、五十六年度は五十三年度と同水準の二・二%となっております。なお、五十七年度は、年度途中ではございますけれども、最近の数値といたしましては四月が二・三五%となっております。これらの数値は、二けた台に達しようとしておる欧米先進国の失業率と比べますとかなり低く、かつ安定した水準だと、こう考えております。しかし、最近の傾向といたしましてはわずかながら高まっておるという状況でございますので、今後注目をしてまいりたい、かように考えております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 次には、住宅建設戸数、この件につきましても、昨年同月、今年同月、この建設戸数の状況について数字をもってお知らせいただきたいと思います。  なお、ただいま総理府総務長官から四月の数字をお示しいただいたわけでございますが、五月の数字については六月の二十九日、あす発表されるように承っておるわけでございますので、概数がもしおわかりでしたらひとつお示しをいただきたいと思います。

永山貞則総理府統計局長

○政府委員(永山貞則君) お答えいたします。  数字はまだ公表できませんが、四月とほぼ同じ程度の水準と考えていただいていいと思います。

松谷蒼一郎建設省住宅局長

○政府委員(松谷蒼一郎君) 住宅建設につきましては、昭和五十一年度以来年間百五十万戸の安定的な状況で推移してまいりました。しかしながら、昭和五十五年度になりまして百二十一万戸と大幅に落ち込みました。五十六年度につきましても百十四万戸と、前年度に比し七万戸、約五・九%の減となったわけでございます。このような住宅建設の不振の原因は、主として地価の上昇、それから所得の伸び悩み等によります住宅価格と国民の住宅取得能力との乖離が拡大したためであるというように考えております。  今年度に入りまして、四月の新設住宅着工戸数が前年度に比べまして一万四千戸、一一・三%の減となりまして、着工戸数が十万六千戸となっております。これは、今後の住宅建設を促進するために、今年度予算編成及び税制改正において大幅な改善措置を講じているところでございますが、四月につきましてはこういうような状況でございます。  なお、しかしながら住宅金融公庫の融資によります住宅の応募戸数につきましては、融資予定戸数を相当に上回る応募がございまして、施策の効果も徐々に出てきているものと考えられております。しかしながら、民間資金住宅については依然低水準で推移しているところでございます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 次に、政府は内需拡大、それと景気対策の一環といたしまして、先ほど来から話がございましたとおり、公共事業の前倒し七七・三%の方針をとったわけでございますけれども、現在までの発注率、それと契約高について数字、件数をお示し願いたいと思います。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) 五十七年度の公共事業等、政府が執行管理しております公共事業等の予算現額は十三兆七千億余りでありますが、そのうち四月中に契約済みになりました額は四兆二千億円余りでありまして、契約率は三〇・九%、この契約率は前年同月末の三〇・四%を〇・五ポイント上回っております。五月の数字は月がかわりますと集計ができますが、ただいま御報告できません。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 そういたしますと、五十七年度の景気対策としてとられました公共事業の前倒しの発注率は四月の一カ月分だけ、しかしそれでもすでに三〇・九%、金額におきましては四兆二千億強ということになるわけでございますが、いわば、これだけの手当てをいたしましても、住宅の建設問題あるいは完全失業率の問題、さらには倒産件数は、五月は明るくなったけれども四月は依然として横並びであると、こういうような状況でございます。この一カ月あるいは二カ月の実績をもってこれからを予測するということはいささか乱暴な議論になるかもしれませんが、それぞれの数字から予測する限り、経済の流れというのを見詰めてみますると、決してこの流れはよい流れの方向にいっておらない、そういう感じが否めないところであります。これから、あるいは前倒しの効果やらあるいは住宅建設によって、幅広い波及効果等々があらわれるかもしれません。しかし、昨年も公共事業の前倒しは七〇・五%行ったわけでございまするから、そういう面から考えますると、あるいはことしもこのままの状態で方法論の変更がなければ昨年と同じ足跡をたどる、そういう不安がなきにしもあらずであります。こういうことについての国民の不況感は非常に強いものがあるわけであります。ですから、昨年の轍を繰り返さない、そういうためにも、政府はいまから今年下半期への景気対策の対応としてどういうことを考えておるのか。そういう問題等につきましては、先ほど安倍通産大臣からお話がるるございましたし、また、先ほど矢田部理事に対する河本経済企画庁長官の御答弁もございましたから、これは答弁を省きまして、次の問題に入らせていただきたいと思います。  大蔵大臣は、さきの予算委員会において、たしか竹田委員の御質問であったかと思いますが、いまは、ちょうど五十七年度の予算審議のさなかでございますから、その審議中であって、いわば一のぜん、二のぜん、この用意をしたところである、一のぜん、二のぜんも食べないで、そして三のぜんを用意しろ、そう言われても、現在ではそれは相談のできないことである、一のぜん、二のぜんを食べてから、なお腹がいっぱいにならないかあるいはなるのか、そういう状況を見てから三のぜんの問題については考えるのが妥当であろうと、こういう趣旨の御答弁をされたように記憶をいたしております。確かに私もそのとおりであろうと思います。食べてみなければわかりません。しかし、五十七年度もすでに四月、五月、六月と、この三カ月を過ぎました。ですから、大蔵大臣の言葉をかりますると、大体一のぜんが食べ終わるような時期にいま差しかかっております。まだ二のぜんにははしがついておりません。が、どうも二のぜんを食べてみても三のぜんの用意がないと、先ほど申し上げたような、ちょっと乱暴でございますけれども、この時点で将来を推測するということは乱暴でございますが、三のぜんの用意がないと国民の方々は年末年始を空腹のまま、ハングリーで過ごすことになりはしないだろうか、そう考えざるを得ません。  そこで、政府が公共事業の七七・三%前倒し執行を決定したことによって、五十七年度下半期の公共事業は二二・七%しかございませんから、国民は、一体下期どうなるんだろう、昨年と同じ結果になりはしないだろうか、そういうことで財布のひもをきちっと締めております。いわば生活防衛をして節約に努め、お金が貯金に回っておる、こういう状況であります。個人の消費拡大は、GNPの約五〇%を占めておると言われておるくらいでございますから、個人消費が拡大されなければ内需の拡大にもつながるはずがございません。下期への対応として建設省は、補正予算で建設国債を増発して公共事業を二兆円追加発注した場合の、いわば日本経済や財政への影響を試算された、これが新聞に報道されております。その内容について、まずお伺いをいたしたいと思います。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) お答えを申し上げます。  いわゆる財政再建下におきまして、公共事業ないし公共投資のあり方いかんという問題は大変重要な問題でございまして、税制、経済運営の一つの根本問題かと存じますが、この点につきましては御承知のようにいろいろ意見の分かれておるところでございます。  そこで、公共投資の大部分を担当しております建設省といたしましても、公共投資の経済効果がどうかということにつきまして勉強をいたしておるのでございまして、御質問の試算は、その一環として本年の四月の段階で取りまとめたものでございます。それによりますと五十七年度中に公共投資二兆円の追加を行いました場合には、実質経済成長率は波及効果を含めまして約一%上昇するだろう。それから内需の拡大を通じまして輸出が減少し、輸入が増加する結果、経常収支の黒字幅は三十二億ドル程度の減少をするであろう。第三に、国税、地方税を合わせて初年度三千九百億円、三カ年累計で約八千三百億円の税収増となる、こういう結果を得ておるのでございますが、御検討いただければ幸せだと、かように存じております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 実は、ただいまの建設省試案につきましては、参議院わが党政策審議会の財政・税制・経済研究チームの去る四月二十六日の中間報告の中にも、ただいま建設大臣御答弁と同趣旨のものがあるわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお尋ねでございますけれども、五十六年度の多額の歳入不足、また五十七年度はあるいはそれを上回る歳入不足が予想されておるわけでございます。こうした厳しい財政のもとで、さらにいかに建設国債とは言いながら、その増発はあるいは理外の理であるかもしれませんけれども、ただいまの建設省の試案やらわが党の報告、これらで建設国債二兆円を発行することによって、相当ないわば財政面への効果もある、景気回復面への効果もある、また経済摩擦面への効果もある、このように考えられるわけでございます。  私は、この財政再建というのは、ただ単なる行政改革あるいは歳出の削減、こういうものではもはや実現ができないのじゃないだろうか、そのように考えております。ですから、景気の対策と並行して行わなければならないと考えております。この点についての大臣の御所見を承りたいと存じます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり建設国債の増発によって景気の回復に非常に、常にプラスになるというようなことがはっきりしておれば、それはわれわれとしては拒否するものではないのです。ところが、事はそう簡単でないところに問題が実はあるわけでございます。  現在の予算は七七%前倒しというようなことをしたわけですが、これは御承知のとおり九月末日までの契約を七七やるということでございまして、それ前にもちろん着工して進めるものもありますが、しかしながら、河川とかあるいは水田のようなところは水の問題がありますから、そう簡単に契約してすぐ着工というわけに、なかなか秋口にならなければいかない、これも現実の姿であります。  そこで、仕事の方は、例年六〇%台の契約率を七七ぐらい目標にやろうということですから、仕事を早めるということは決めておるわけでありまして、後の口が例年よりも十数パーセント足らなくなるのではないかというような御議論があって当然でございます。しかしながら、政府が景気対策に介入するということは景気全体の問題を見てやらなければならないことであって、景気が全体的に浮揚すれば介入しなくてもいいわけでございますから、問題は後半になって世界全体の景気との絡み、それから日本の景気の動向がどうなるかというその時点で判断をしなければならない問題であります。  国債の増発ということは、御承知のとおり現に国債市況が軟化をしておって、さらにそこで何兆かの国債を、一方赤字も予想されるということを言われておるわけですから、どうなるかわかりませんけれども、そういう中で結局消化をどうするのかという問題、それによって無理を余りすると金利の引き上げにつながるという問題。そうなると建設業はいいかもしらぬけれども、ほかの人が迷惑するという問題も出てまいります。それらの絡みをどうするのか、私は非常にむずかしい実は場面に来ておると、こう思っております。  いままで、ややもするというと、政府は、ちょっと何かあればすぐ政府が介入して景気刺激策をやると、その介入をやめたらまた景気が落ち込んでくると、またそこへ景気対策をやるということになって、安易に余りそれを国債増発によってそういうことをやるということは、前の借金が全然手もつかないうちに次から次から借金が累増を、国債が累増してくる。こういうようなことが、アメリカなどではもう歳出削減以外には、金利の引き下げも景気対策も、本質的なものはできないということをレーガン大統領などは言っておるのであって、私は一理あると思っておるわけでございます。  したがって、そういうような大きな観点からこれはよく見まして、経済企画庁ともよく相談をしながら、私はできるだけ効果のあるような形で、景気の持続というものに最大の努力をしてまいりたいと考えております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 ですから、私は先ほどの質問の冒頭に、二、三カ月の推移で今年度を想定し、それを基盤にして議論をすることは多少乱暴であるかもしれない、こう申し上げました。しかしながら、去年も七〇・五%の前倒しをした、下半期に対応策がなかったので大変な不況に陥った。ことし七七・三%の前倒し、下期は確かに大臣おっしゃるとおり、世界経済の動向やら、あるいはいまとっておる景気対策の経過を見詰めないと、あるいはきっちりした数字が出ないかもしれませんけれども、申し上げたようなわが党政審の中間報告、あるいは建設省の試案、これは検討に値するものであるかどうか、その辺の見解をお尋ねしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、国会の議論を通してでも、各省の問題提起についても、常に謙虚に、真剣に検討の対象にいたしております。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 それでは地方財政問題についてお伺いをいたします。  五十六年度におきまして、約三兆円にも上る国税の減収問題とともに、地方の財源不足はきわめて深刻な事態に至っていると考えられます。  五十六年度において地方税の減収は約三千億円、国税の減収に伴って生じました交付税の減少分は約八千億円とも、あるいは九千億円とも言われております。また、五十七年度におきましては地方税、交付税ともに約一兆円、合わせまして二兆円の地方財源不足を生ずると伝えられております。  五十六年度の地方税減収分につきましては、すでに減収補てん債により穴埋めをされておるところでございますけれども、交付税減収分について、五十八年度の交付税からは精算減額されることに相なっております。五十七年度は、石油ショックの影響で地方財政が危機に陥った、昭和五十年度の財政不足額の状況に匹敵するような状態であります。さらに、低迷を続ける景気動向を考え合わせますると、五十八年度は再び年度当初から巨額の財源不足を生ずることになると思いますけれども、これらの見通しにつきましてまず御見解を承ります。  さらに、もう言うまでもなく、地方財政は教育や福祉など、住民に身近で、景気の動向にかかわりのない、そういう問題を実施しなきゃならない、いわば多くの行政サービス面の分野を担っておるわけであります。また、国の事務、事業の大半が、地方団体を通じまして実施されておりますることから、あるいは地域経済振興の上で、地方団体の果たすその役割りはきわめて大きいと言わなければなりません。しかし、地方財源の安定的、そういう面で確保はきわめて重要であると申し上げなければならないところであります。  特に、今年度は地方単独事業費を、景気浮揚の意味合いをも込めまして、五・八%増という大きな伸びを一つの方針として打ち出しておるところでございますが、地方税収の伸び悩みから、地方団体が単独事業の実施に消極姿勢にもし出て、景気の足をさらに引っ張る、そういう可能性にでもなってしまいましたならば、これはさらに大変な要因になります。したがいまして、具体的な財源補てん措置はともかくといたしましても、少なくとも早期に、たとえば地方団体の九月補正の前に、五十七年度の地方財源補てん債、この基本的な枠組みについて、どのように考えられておるか、明らかにしていただきたいと思うところであります。自治大臣並びに大蔵大臣からお願いいたします。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 御指摘の、昭和五十六年度の地方税は三千二百億円の落ち込みがありまして、これは減収補てん債で措置したところでございます。地方交付税も、私どもの方は五十六年度は約八千億円をちょっと上回るかぐらいの程度の減収の見込みでございまして、これは五十八年度に精算減となってくるわけでございますが、五十七年度の分、これはまだ地方税の方は始まったばかりで、見通しがちょっと立たないのでございますが、これも幾らか落ち込みがあるかなあというふうに現在のところ考えております。さらに、五十七年度も地方交付税どういうふうになるか、これもまだ見通しが確たるところはないのでございますが、いずれにいたしましても、五十六年度を通じまして五十七年度を展望いたしますと、やはり景気の方はまだまだ心配がございます。地方の方も同じくでございまして、私どもは五十七年度、国の方針に合わせまして地方財政の前倒しを交付税を通じていろいろ行っているところでございます。  それから、もう一つはいま御指摘がありました地方単独事業、これは約八兆五千億用意しておりまして、これを使って地方の景気浮揚を考えていきたい、こういうふうにいろいろ呼びかけて推進しているところでございますが、なかなか地方の方もいろいろ足踏みするところもございまして、現在の景気の動向から考えての心配があるかと思いますが、そういう点で若干足踏みがございます。しかしながら、われわれの方はこれを積極的に進めていっているところでございます。さらに、五十六年度の交付税の落ち込み、予測される約八千億のものは、五十八年度に精算減として措置されるわけでございますが、そのときにどういうふうに考えながら措置していくか、これは国と地方との関係のこともございますが、もちろん地方財政に支障のないように円滑化を図る意味におきまして万全の体制でいろいろ状況を見ながら処置されていくものと、こういうふうにわれわれは考えておるものでございます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国と地方は車の両輪でございます。したがって、地方がだめになっちゃ国の方もだめなわけでございますから、また地方も国と同様に行政改革や経費の節減、合理化、抑制、これは極力やはりお願いをしなければならない。その結果どうしても運営に支障があるというような問題につきましては、これは自治大臣とよく相談をして対処してまいりたいと考えます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 大蔵大臣おっしゃるように、地方の発展なしに国の発展は期待できません。また、新聞によりますると、むしろ行政改革、財政面での節減、これはまだ国の場合には臨調の答申が出ておりませんから的確な対応がされておらないようでございますが、むしろ地方自治体の方が先取りをしておる、こういうような実態等もあるわけでございます。それでも、なおかつ厳しい財政事情にあるということをお踏まえいただいて、特段のひとつ御配慮をいただきたいと思います。  それ以外に、参議院の全国区制の問題あるいは財政問題等々についてお尋ねをいたしたかったのでございますが、時間がなくなってしまいました。わが党といたしましても、政治倫理の問題に触れざるを得ません。したがって、この件を最後の質問としてお尋ねをいたしたいと思います。  総理の十六日間の外遊中、ただいまお尋ねをいたしました問題を含めましていろいろな事柄がございました。その中でも六・八公判という問題は政界に大きな波紋を投じたところであります。そして、いまこの問題につきましては、衆議院議長の深い関心と熱意のもとに議会制度協議会あるいは小委員会におきまして議院証言法の改革案が各党の間で熱心に論議されておるところでございますので、私からは政治倫理委員会設置について総理の御所見を承りたいと思うのであります。  政治倫理委員会設置につきまして、総理は、就任その直後に委員会設置についての総理の決意の表明がございました。しかしながら、それとはうらはらに、なぜかこの問題には多くの時間を費しながらいまだ実現を見ないところでございます。本件は政策以前の問題であります。もちろん、政策の決定は政治にとりまして重要な問題であることに違いはございませんが、政治倫理は政治の信頼にかかわるものであり、何事をもってしてもかわることのできない最も重要な問題であろうと思います。この政治の原点とも言うべき政治倫理の質問に対しまして、総理はいつも今日まで与野党間で論議を尽くしてほしい、国会にげたを預けた答弁に終始しておられるようでございますが、本委員会におきましては積極的な姿勢を見ることができたことは全く敬服にたえないところであります。  そこで、私が総理にお尋ねしたいことは、わが国の政治体制は議会制民主主義に基づく政権政党であります。そしてわが自由民主党は野党の追随を許さない第一党の政権政党であります。ですから、わが党の総裁は即総理大臣であります。総理大臣である鈴木総裁が決断をし指導力を発揮されるならば、たとえば公選法の成立のため不退転の決意で臨まれたごとく政治倫理問題に対して同様の決断を持って臨むならば、わが党は総理総裁のもとに一糸乱れず心を一つにしてその実現に向かって邁進するものであります。  どうか、総理の決断を重ねてお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 岩崎さんの最後の締めくくりといたしまして政治倫理の確立の問題、それに関連して議院証言法の改正の促進並びに倫理委員会の早期設置という問題につきまして御意見が述べられました。御意見のとおり、政治倫理を確立をする、政界の浄化と刷新を図る、そして政治に対する国民の信頼を回復をするということは、現下のわが国の政情並びに世論からいたしましても非常に重要な問題でございます。議会制民主主義を擁護してまいりますためには、どうしてもわれわれは与野党不退転の決意でこの問題に取り組んでいかなければならないと、このように考えるものでございます。  この中で、議院証言法の改正の問題は、幸いにいたしまして六・八判決以来、世論の鞭撻も受けながら国会におきましても与野党ともに大局的立場に立ってこれが早期改正の話し合いがつくようにということで取り組んでいただいております。私は、一日も早くこれが合意に達しまして、そしてできるだけ早く証人の証言が求められるように期待をいたしておるところでございます。  もう一つの倫理委員会の設置の問題は、私が総裁に就任をいたしました当時から提唱しておるのでありますが、それは航特委の廃止の問題がいまだ結論を見ないままに、それにかわる一つの国会における委員会として、政治倫理確立のための委員会として私はこれを強く提唱いたしてまいったところでございます。しかるところ、この倫理憲章、倫理委員会における柱になりますところの倫理憲章の問題につきまして、政党それぞれのよって立つ立場なり考え方なり理念が違う面もございまして非常に議論が分かれております。自由と民主主義を標榜する自由民主党と共産党さんの場合のような場合には、この政治倫理の考え方についても根本的に違う面がございます。そういうような面からいたしまして、私は倫理憲章をどうするかという論争、こういう問題が今日までなかなか前進をしない、こういうことは事実であろうと、こう思うわけでございます。したがって、この問題につきましても倫理委員会と議院証言法というものを不可分一体のものとして考えるか、あるいはセパレートして証人喚問の問題を考えるか、こういう問題につきましても私は議会制度協議会等におきまして十分ひとつ与野党でお話し合いを願いたいと、このように考えておるところでございます。

岩崎純三自由民主党

○岩崎純三君 終わります。(拍手)

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で岩崎純三君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗