予算委員会 第20号
- 発言数
- 391 件
- 登壇者
- 33 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1982/04/05
会議録
○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 それでは、矢田部理君の締めくくり総括質疑を行います。矢田部君。
○矢田部理君 冒頭、総理にお伺いをしたいと思いますが、いよいよ国会が終わりますとベルサイユ・サミット、あるいはまた国連軍縮特別総会が予定をされ、総理も御出席になるということでありますが、これに、政府としてあるいは総理として、いかなも態度、どんな基本方針で臨まれるのか、まずサミットの方からお尋ねをしていきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) サミットは、その時々における世界の重要な経済問題を取り上げまして、サミット加盟の先進諸国の首脳がそれに対する適切な対応策を協議をする、そして、連帯と協調をしてその効果的な政策の展開を図っていこう、こういう趣旨で開かれてきたわけでありますが、この六月に開かれますベルサイユ・サミットも、御承知のように、今日世界経済が非常に困難な局面に立っておるわけであります。この世界的な経済の不況、また深刻な失業問題、あるいはインフレの問題、さらに国際収支等の問題、そういうものを背景とした貿易摩擦の問題、そういう大きな国際経済の問題について、加盟国がどのように対応をすべきか、そういう点を協議をすることになろうか、こう思っております。 私は、かねてから申し上げておりますように、今日の貿易摩擦、通商摩擦は深刻な経済不況に原因があると、このように考えておりますので、世界経済活性化のために、日本が日本の国力国情にふさわしい、経済力にふさわしい責任と役割りを果たしていきたい、こういう観点で協議に参加いたしたいと、こう思っております。
○矢田部理君 いまもお述べになりましたが、南北サミットの際も、世界経済の再活性化ということを総理はしばしば口にされるわけであります。しかしながら、御指摘がありましたように、今日のインフレ、失業あるいは国際収支の悪化など、さまざまな要因についてどうそれを解決し、再活性化に結びつけていくのか、再活性化のための特別な手だてを何かお考えになっているのかどうか、非常にむずかしい課題だと思いますが、処方せんいかんということを改めて重ねてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) サミットまでにまだ時間もございます。国会に忙殺されておりまして、サミット対策に対して十分な時間を割いて政府全体として検討をする時間が余りなかったのでありますが、しかし、先ほど申し上げたような国際経済の状況でございますから、それに対しては、私は、各国が保護貿易主義に陥ることなしに開放経済、自由経済体制を堅持して貿易の自由化を通じて、縮小均衡でなしに拡大均衡の中で世界経済の再生を図っていくということが基本であろうかと、こう思っております。 そのためにわが国としては、相互投資の促進、あるいは先端技術の共同研究開発、あるいは各種の産業協力、そういうような問題等も日本としてはぜひ各国と協力をして推進してまいりたい、このように考えております。私はそういう技術だとかあるいは相互投資だとか、そして相手国に対して仕事を起こしていくということが雇用の場を広げることでもあり、世界経済全体にも寄与できるゆえんである、そういう観点で協力してまいりたい、こう思っております。
○矢田部理君 アメリカの高金利問題、あるいは全体としての市場開放問題、さらには途上国援助問題など、さまざまな問題についてのそれぞれの対応策を論じることは、羅列的には可能なのでありますが、どうもいまの世界経済の再活性化を根本的にあるいは本格的に解決する策としては、いずれも不十分なのではなかろうかという感じがしてならないわけであります。 その点で一つだけ提案を兼ねて私なりの見解を述べておきたいと思うのでありますが、いま世界経済の中で非常に重荷になっておりますのが、率直に申し上げて軍事費だと思います。軍事費の年間総額は五千億ドル、日本円にしまして百二十兆をすでに超えつつあるわけであります。これが、軍事支出ということになりますと、いずれも再生産の基盤を欠いている、福祉が各国とも大変に圧迫をされる、日本もその例外ではないわけでありますが、特に途上国ではこれが大変な負担になっているということが実は言われておるわけであります。 そこで、後ほど述べる軍縮の課題とも関連をするわけでありますけれども、世界的にこの軍事費の削減を求めている、そこで生み出した資金を途上国援助に使うなど、そういうことを通して経済の再活性化を図るというようなことも、これは真剣に考えるべき時期に来ているのではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 基本的に、私は矢田部さんと全く同意見でございます。この点は、カンクンにおいて開かれましたところの南北サミットの際におきましても、私が基調演説でこれを提唱したところでございます。特に、開発途上国、第三世界の国々はそのことを強く希望をいたしておるわけでございまして、それは世銀であるとかあるいは身近なアジ銀であるとか、そういうような大きな国際的な場においての協力、それから二国間の協力、いろいろの対応があるわけでありますけれども、私はそういう点を、軍備に使われますところの資源というものをできるだけ低位に抑えて、その余裕をもっていま御指摘になりましたところの第三世界等に対する経済協力、援助にこれを向けていくということが、これが世界経済の再活性化にもつながるし、ひいては世界の平和と安定にも寄与するゆえんであると、私も全く同意見でございまして、その点は強く訴えてまいりたいと思っております。
○矢田部理君 大変、総理からもお話がありましたので、その点では一致するわけでありますが、ひとつこのベルサイユ・サミットの中心的な議題といいますか、再活性化の中心的な内容にしていただきたいと思うのですが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま御承知のようにサミットの準備のための会合がPRの段階で行われております。議題はまだ固まっておりませんが、日本としてはそういう問題を含めて広範な世界経済全体の問題として取り上げていきたい、こう思っております。
○矢田部理君 続きまして、国連軍縮総会に出席をされる御予定のようでありますが、これにはどんな態度、どんな基本方針で臨まれるのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の、六月に開かれます第二回の国連軍縮特別総会、これは世界の注目の中に開かれる重要な会議でございます。 私は、軍縮に関するところの基本的な考え方といたしまして、世界の平和というのが力の均衡の上に保持されておるというこの厳しい現実、これを無視するわけにはまいらない、こう思いますが、しかし、この均衡を保持しながら、できるだけ軍備を低位に抑制をしていく、そういう意味で、軍備管理あるいは軍縮ということが非常に重要であると考えております。特に、核軍縮の問題につきましては、わが国が世界における唯一の被爆国であるという立場、また平和国家であるという国情、また、国民の共通の願いからいたしまして、究極において核兵器の廃絶を含むところの核軍縮というものに対して、私どもはこれを実行可能な一つ一つ具体的な手だてを経てこれを軍縮に持っていくということが必要であると考えておるわけでございます。 具体的な内容につきましてはこれから各方面の御意見等をお聞きして最終的にこれをまとめた、い、こう思っておりますが、核実験の全面禁止、核不拡散体制の強化、化学兵器等の禁止、そういう問題等もぜひ私は取り上げたい、こう考えております。私は、各党党首並びに各方面の御意見を出発までに十分聴取いたしまして、国民的な基盤の上に立って、国連総会において日本の立場というものを明らかにいたしたい、こう考えておるわけでございます。
○矢田部理君 総理は、三月の二十七日でしたか、ワインバーガー国防長官が来日された際に会談をしまして、アメリカ大統領に対して伝えてほしいと四項目の基本見解を述べられたと伝えられておりますが、それはいかなる内容のものでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、今日の厳しい国際情勢に対処してまいりますためには、西側諸国の協調と連帯が必要である、それは、安全保障の問題しかり、あるいはまた、国際経済の不況打開の問題しかり、いろいろの面から見ましてもいまほど西側陣営の協調と連帯、協力が必要なときはない、このような認識をまず私は述べまして、そういう意味合いから、西側陣営のリーダーであるアメリカが、西側陣営の足並みを崩すようなことはぜひ避けてもらいたい、十分関係諸国と意見を交換をしながら、そして西側陣営の結束強化と協調ができるようにすべきである、こういうことをまず大前提として申し述べておいたわけでございます。その他、防衛の問題あるいは通商摩擦の問題等の問題につきましても私の所見を述べておいた次第でございます。
○矢田部理君 その四つの見解の中で次のように総理は述べたと伝えられているわけでありますが、読んでみますと、「西側が軍事力の面で優位に立つことは、アメリカがいうように戦争抑止力になるし、軍縮交渉のうえでも役立つ。私もその通りに理解している。」というふうに報道は伝えておるわけでありますが、こういう御発言はなさったのでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 新聞の報道はニュアンスその他で的確でない面がございますが、かねてからレーガン政権は、軍備の増強をアメリカが図っておるというのは、ソ連の今日までの軍備の増強に対応して均衡をまず保持しなければ軍縮の交渉も効果的に進まない、こういう前提の上に立って同盟諸国に対して協力を要請しておりますことは御承知のとおりでございます。私は、そういうことが軍縮を達成するため、効果的にソ連との間に進める上からいってそれが正しい、それが最も過去の経験からいって効果的である、そういう認識については私も認めるものであるが、軍拡競争を進めるのではなしに軍縮の方向でやってほしいし、特に核軍縮の問題についてはぜひ熱意を持つで粘り強く努力してほしい、こういうことを要請したところでございます。
○矢田部理君 レーガン政権はもっと端的にこのことを表現しているわけですね。核軍拡をして対ソ優位を確立した上でそれから軍縮に臨むのだと。こういうレーガンの考え方に総理は賛成だということでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま申し上げたように、核軍縮を含めて軍縮を効果的に米ソ超大国が進める上から、そういうことが必要であるというアメリカの言い分、主張に対しても私はある程度理解ができるが、われわれは、とにかく軍縮ということにウエートを置きまして、粘り強く、世界の平和、恒久平和確立のために核軍縮を含む軍縮の問題について米ソの間で粘り強く協議をしてもらいたい、こういうことに力点を置いて話をしておるわけでございます。
○矢田部理君 アメリカにも御承知のように二つの考え方、流れがあるわけですね。核の面で対ソ関係では落ち込んでしまった、だから核優位を確立をすることが先決である、その上に立って効果的な軍縮をと。総理の考え方もそれに近いんじゃないかと思われるわけでありますが、それに対して、たとえばケネディ上院議員などが先般、核の凍結、削減の共同決議案を提出したわけでありますが、現状で凍結をしてそして削減にいこうと、こういう考え方と二つに分かれているわけでありますが、総理はいずれの考え方に理解を示されるのでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現実の国際情勢、厳しい軍事情勢、こういうものを踏まえて世界の各国の責任ある指導者がいかにして世界の平和を確保するか、そして現実的に具体的に軍縮にこれを持っていくかということについては、置かれておる立場、いろいろの立場でいろいろの御意見があろうかと思っております。ミッテラン大統領のような方におきましても、あるいはシュミット首相等におきましても、いろいろ置かれておる立場等でその進め方は違う、しかし究極においては、私は核軍縮を含む軍縮、軍備管理というものを進めて、そして軍備というものをできるだけ低位にこれを削減をする、抑制をしながら、そして世界の平和に持っていこう、こういうことでございまして、私は道行きについてはいろいろ置かれておる立場は違うと思いますが、私は、責任ある立場から言って、そういう指導者がいろいろ苦心をしておられるということはよくわかるわけでございはす。 わが国におきましては、こういう平和憲法のもとに非核三原則も堅持いたしておりますから、日本が核武装をするとか核戦力を拡充するとか、そういうようなことはもうこれは全然念頭にもない、考えもないことでございまして、そういう立場に立ちまして、私どもは核戦力の面でも米ソ超大国が自制と責任を持って世界の恒久平癒のために、核軍縮に向かってこれを着実に進めてほしいというのが私どもの考えでございます。
○矢田部理君 まあ、いろんな考え方がある、それは事実でしょう。方法論の違いがあるが、帰するところは核軍縮を目指しているんだというお話のようでありますが、単なる方法論なりの違いではなくて、現状で核を凍結をすべきだというケネディ議員ら三十七議員の考え方と、現状ではだめだ、さらに核装備をして核の面で対ソ優位を確立してから軍縮をやるのだ、軍縮の前に軍拡をというのがレーガンの考え方なんですが、これは大変な違いなんですよ。大変なことだと思うんですが、もう一度、そのいずれを支持されるのか。総理の従来の考え方から言うと、西側の力が軍事力の面でまず優位に立つことが大事だ、それが軍縮にとって効果的なんだという考え方をワインバーガーとの会談でも述べられたということでありますが、そうするとレーガンの考え方と同一線上にあるのではないかというふうに思われるわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私がワインバーガー国防長官に対して、わが方から、核戦力の優位を保持すべきだと、こういうことを申し上げでおるの。ではございません。米側がとってきておる主張に対して理解を示したと、しかし私どもの願いというものはこの核軍縮を促進することにあるという点でございますから、その点は誤解のないようにお願いをしたい、こう思います。 それから方法論が違うということを繰り返しおっしゃっておるのでありますが、私は方法論ではないと思うのでありまして、それは米ソの間の核戦力の比較、評価、これがもとになっておる。ソ連が核戦力の面で非常な優位に立っておる、そういう現状において凍結をするというようなことは必ずしも真に世界平和のためにもならないし、また軍縮ということを相互にこれからやっていくという面からいってもそれは応じるわけにはいかないと、こういう立場をとっておるという、米ソ並びにNATO諸国を含めた西側の核戦力とソ連との間の核戦力の比較の面で、現状のままで凍結した方が有利であるというソ連の立場と、そうでないという立場との違いから、いろいろミッテランさんにしてもシュミットさんにしても御苦労のあるところであろう、こう思っております。
○矢田部理君 総理が先に発言をしていただきましたので質問がしやすくなったわけでありますが、そうしますと、米ソの核戦力の比較について総理はどのように優劣、均衡の関係を理解をされているのでしょうか。レーガンは、御承知のようにソビエトの核戦力に対してアメリカは劣っているという前提に立っているように思われるわけでありますが、総理もそのように受けとめているのでしょうか、総理の認識を。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは、米ソの二国間の比較、それからNATO諸国を含めた場合、いろいろの見方があろうかと思いますが、核弾頭の数であるとか、その配置の状況であるとか、そういうようなものから比較いたしまして、現状においてはソ連が優位に立っておるという分析、これについては私はそのとおりであろう、こう思っております。
○矢田部理君 ここが大変違うわけですね。これは外務省がいいんでしょうか、防衛庁がいいんでしょうか。米ソの核戦力の具体的な比較、これは内容を少しく防衛庁なりのつかんでおるところを言ってみてくれませんか。
○政府委員(塩田章君) いま手元に資料を持ってきておりませんけれども、米ソの核戦力を比較いたします場合に、まずICBMについて言いますと、ランチャー数でソ連が優位である、それから弾頭数ではアメリカが優位であるというふうに見られております。それからSLBM、潜水艦に搭載する戦略核兵器につきましても、数においてソ連側が現在優位でございます。それから長距離爆撃機につきましては、これはアメリカ側が優位でございます。それから命中精度等の問題がございます。これにつきましては従来からアメリカ側が優位であると言われてきておりましたが、これは最近のソ連の発達によりましてその差は非常に近づいておるのではないかというふうに言われておりまして、それ以上の詳しいことはわかりませんけれども、余り差はないところまで来ておるのではないだろうかというふうに思われます。 それから、先ほど弾頭数はアメリカの方が優位であると申し上げましたが、搭載重量数におきましては、これはソ連側の方が大分優位であります。ちょっといま具体的な数字を持っておりませんけれども、ソ連側が優位であります。 それから戦域核につきましては、アメリカは主なるものはまだ開発中でございまして、現時点におきましてソ連側が優位であります。SS2〇を中心にしました戦域核につきましては、現状はそういうふうに言えると思います。 これを総じてどういうふうに判断するかということはなかなかむずかしい問題——どの点を中心に見て判断をするかということになろうかと思いますけれども、従前から主としてランチャー数の比較において言われてきておりましたけれども、つまりソ連の方が優位であると言われてきておりましたけれども、弾頭数とか命中精度とかいろんなことを勘案して、ほぼ互角ではないかというふうに従前から言われてきておりました。しかし最近、それがさらにまた命中精度等につきましてもソ連側が優位になってきておるというようなことから、先ほど総理もおっしゃいましたように、その辺の判断が必ずしもアメリカが優位とは言えないというような状況ではなかろうかと思います。
○矢田部理君 総理の受けとめ方といま防衛庁の報告とは大分ニュアンスが違うんですね。どうも総理のニュアンスはレーガンに近い。防衛庁のいまの数値、私もこれは数値を全部当たってきておりますけれども、多少の優劣はそれぞれの部門ではあるけれども。ほぼ互角、ほほ均衡がとれていると見るのが正しい見方ではないか。むしろアメリカ優位論もあるわけでありまして、たとえばお話がありました運搬手段について言えば、ソビエトの方が数の面では多いわけでありますが、たとえばMIRV化がおくれている。アメリカの場合は多目標誘導が発達しておりますから、その点では数だけでは判断できない。命中精度の問題もあります。それから弾頭数につきましても、アメリカがこれは九千から一万と言われている。それに対してソビエトは六千から七千と。ストックホルムの平和研究所やミリタリーバランスあるいはさらにワルトハイム報告など、総じていって、少なくとも互角と見るのが大枠でいえばほぼ常識的な見方である。そういうことで、その状況の認識が少しく総理は違うのではないか、レーガンに引きずられているのではないかというふうに考えるわけでありますが、いかがでしょうか。 ちなみに申し上げておきますと、ケネディ上院議員らが出した反核決議案も、大変いま均衡がとれている状態であると。あるいは決してアメリカが見劣りしている状態ではない。この時期こそが核軍縮の最良の時期なんだということを盛んに主張をし、その上に立って核の凍結と削減を求めるという決議案を出すに至ったわけでありますが、総理の認識が少しくレーガンに引きずられ過ぎてはいないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ケネディ上院議員等のお話をいま矢田部さんおっしゃったのですが、ケネディ議員の言っておられる核戦力の評価とレーガン大統領の育っている評価、これがどちらが正しいか、矢田部さんはどうもケネディ議員の方に軍配を上げておるようでありますけれども、これは見方によって違う。 それから、もう一つは戦域核の面につきましては、ソ連がやはり圧倒的な優位に立っておる。これは飛鳥田委員長がこの間ヨーロッパ諸国を訪問されて、ミッテラン大統領に会われたり、あるいはシュミット首相に会われたりいろいろしてこられたようでありますが、これは恐らくそういうことを、社会党政権ではあってもミッテランさんとしては現実のやはり国民の命運をしょっておる政治の責任者として、そうは簡単にいかないというような立場で、この戦域核の問題等を念頭に置いておっしゃっておるのではないか。まあ、立場によって違うということだと思います。
○矢田部理君 ヨーロッパにあるフランスの国として、ソ連のSS2〇が三百基ほどあるということから、ミッテランが戦域核に非常に関心を持っておることを私も理解できないわけではありませんが、それはある意味では局地的な面でありまして、トータルな問題として見れば、核弾頭数においても、特に戦略核戦力はアメリカがずっと水をあけているという状況でありますから、全体として見ればやはり均衡しているか、アメリカ優位と見るのが常識的なんですよ。私は何もケネディの議論に引きずられているわけではなくて、ここに三つの専門的な数値で統計をとった内容を、一々数値を述べる時間的余裕はありませんが、全部調べ上げた上で申し上げているわけでありまして、その点でミッテランが言っているということは、それは言っていることは事実でありますが、それはやっぱりヨーロッパという局地に限っての問題点でありまして、トータルとして見れば、いま幾つかの幅や見方の差はあってもおおむね均衡がとれている、あるいはアメリカ優位と見るのがむしろ常識的な見方だと思うんです。そこの前提をどう認識するかによって、この核問題は非常に大きな今後の核軍縮についての考え方の違いになってくるとも思うので、私は特に繰り返しお尋ねをしているわけでありますが、もう一度総理の答弁をいただきましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは先ほど来防衛庁当局からも申し上げておりますように、いろいろな面からこの核戦力は評価、分析する必要があるわけでございまして、ここで矢田部さんと私が論争して結論が出る問題ではないと、こう思っておりますが、いずれにしても私どもは米ソ両超大国、大きな核戦力を持っておるこの両大国が世界の恒久平和のために、核廃絶を究極の目標とする核軍縮に対して責任と自制を持ってこれに取り組んでもらいたい、そして、絶えず話し合いの窓、交渉の場というものを持って、そして粘り強く交渉に応じてもらいたい、そういうことを私どもは希求もし、また来るべき国連特別総会におきましてはそういう立場から国際世論を盛り上げていきたいと、こう思っております。
○矢田部理君 総理は核軍縮を盛んに強調をされるわけでありますが、いまのような前提問題の理解について、もう一度やっぱり御検討いただきたいというのが一点であります。 同時に、総理の考え方の中に、抑止力理論が基本的にあるというふうに思われるわけですね。西側が軍事的な面で優位に立つこと、これが軍縮にとって効果的なんだと、こういう議論をワインバーガーとの間にもされているようでありますが、あるいはそれに理解を示されておるようでありますが、西側の軍事的優位が戦争の抑止力になるという考え方に立つということであれば、ソ連もまた東側の優位が抑止力になるという考え方を許すことになる。結局、抑止力理論というのは際限のない軍拡あるいは軍拡競争の論理になるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、厳しい国際情勢というものが、いろいろな外交的な雨その他の話し合い等によりましてだんだんそういうものが鎮静をし解消をしていくと、たとえばアフガニスタン問題にしても、あるいはポーランド問題にしても、あるいはベトナム問題にしても、こういう問題がだんだん国際世論のもとに改善がなされていくと、そういう環境の中でこの戦争抑止というものから平和的な軍縮の話し合い、これが生まれてき、また、それが現実の国際政治として進んでいくものだと、このように期待をいたしておるわけでございます。
○矢田部理君 どうもいま一つわからないわけでありますが、西と東の両側が相互に優位の確保こそ軍縮交渉の前提という立場に立つことになれば永遠に軍縮交渉は進まない、こういうふうにしか考えられないわけでありますが、その点総理はどう考えているのでしょうか。その点で抑止力理論の弱点があるというふうに考えられるわけです。ここを克服しませんと、幾ら総理が軍縮特別総会に出向いていっても結局状況は進まないということになりはしないかと非常に心配をしているわけでありますが、この点もう一度お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほど冒頭に申し上げましたように、少なくとも力の均衡の上に今日の厳しいながらも国際的な平和と安定が保持されておるという認識。したがって、その均衡が保持されながらこれが軍縮、軍備管理の方向に進んでいく、それが現実的であると、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○矢田部理君 依然としてレーガン流の考え方に立っているようでありますから、議論はこれでやめますが、それではなかなか逆にむずかしい、同じ論理を東側にも使われることを許すことになる、これでは軍縮が進まないということだけ重ねて指摘をしておきたいと思います。 それからもう一点、ワインバーガー氏との会談の中で、総理は中国問題に触れられているようです。これは前回も少しく議論になりましたが、中国はわれわれの陣営に近づけておく、ソ連の方に追いやるのは得策ではないと、損得で中国問題を受けとめているんじゃないかという指摘があるわけでありますが、この点いかがでしょうか。 あわせて、たとえばブレジネフから中国に対して関係改善の呼びかけが行われました。これに対して中国は、従来の態度とは少しくニュアンスの違った声明を出しております。外務省スポークスマンの声明でありますが、ブレジネフ演説に留意をしソ連の実際行動を重視すると、こういう対応をしております。一方、米中関係でありますが、アメリカの台湾に対する武器売却をめぐって米中関係が少しく険しくなってきているわけでありますが、この米中ソ関係を日本との関係でどう受けとめておられるか。また、日本としてこれに対してどう対応されようとしているか、まとめてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 中国は、わが国にとりましても隣国であり、また、非常に重要な国でございます。歴史的にも関係が深い国でございます。そして、中国の安定、中国の近代化の促進、こういうことは、私はアジアの平和と安定の面から言って非常に大事だ、こう思っております。そういう観点から、わが国は日中国交の正常化を図り、日中の平和友好条約を締結をいたしまして中国の近代化政策にも協力をしておるわけでございます。 また、米中の間におきましても、ニクソン政権時代に米中関係の正常化が進みまして、自来今日まで、米中関係は着実な進展を見ておるところでございます。こういうような枠組みの中で、アジアの平和と安定が現在確保されておるということは御承知のとおりであろうかと思うのであります。そういう観点からこの米中関係が現在のような状態を保持することが望ましいということを私は申し上げておいたわけでございます。 また、御承知のように、中国が日本及びアメリカとの関係その他を通じまして、西側陣営に対して非常に穏健な友好的な政策をとっておる、開かれた立場をとっておる、これは私は非常に大事なことで望ましいことでございますし、こういう関係は今後とも保持していきたい、このように考えておるわけでございます。したがって、この関係を崩すようなことがあってはいけないというのが私の申し上げた趣旨でございます。
○矢田部理君 次のテーマに入りたいと思いますが、本年度予算は、申し上げるまでもなく軍事費が非常に突出をする、福祉が圧縮をされる、その傾向をますます強めろ危険が高いのが五六中業であります。この五六中業を中心として若干の問題点について伺っていきたいと思いますが、総理はしばしば、今後ともGNPの一%以内に軍事費を抑えるという言い方をしておるわけでありますが、そのとおりでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在、わが国の防衛政策、防衛の目標といたしましては、御承知のように、防衛計画の大綱の水準にできるだけ早く達するように防衛力を着実に整備したい、こういう政策を一貫してとってきておるわけでございます。昭和五十一年にこの防衛計画の大綱を定めますと同時に、当時、当面GNPの一%以内にこれをおさめるように努める、こういう方針が確立されておるわけでありまして、私は、その方針をいま変える必要はない、このように考えております。
○矢田部理君 当面一%の方針をいま変える必要はないということでありますが、そうしますと、いよいよこの五六中業が、去年から一年ぐらいをかけて作業がまとまると。この四月末ごろにはその時期が来るわけでありますが、この五六中業も一%以内で抑える。五十八年から六十二年までというタームになるわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国会でもしばしば御報告申し上げておりますように、昨年の四月にこの五六中業の作業を進めるに当たりまして、国防会議で防衛計画の大綱の水準を五六中業で達成をする、こういう方針を決めました。その際におきましても、当面GNPの一%の予算の枠内でこれを進めるように努めるということを確認しておるわけでございまして、防衛庁においてもいま作業を進めておる段階でございますが、そのことを踏まえて五六中業の作業について努力をしておると、こういうことを中間的に報告を受けておるところでございます。
○矢田部理君 防衛庁としては一%を念頭に置いて作業を進めておるということは、防衛庁長官の前の答弁もあるわけでありますが、総理のこれはやっぱり大きな判断が必要だと思うわけですね。いよいよこれはもう煮詰まってきた、概算要求時期までにはどうしてもこれは固めなきゃならぬ。それを一%で五六中業期間中仕切るのか仕切らないのかということが当然焦点になってくるわけでありますが、総理の決断、考え方をここでやっぱりしかとさしておいていただきたいというふうに伺っておるわけであります。
○国務大臣(鈴木善幸君) これはもう矢田部さんも経済、財政の専門家で、権威者でいらっしゃるからよくおわかりになろうと思うのでありますが、これからも激動する国際経済情勢の中で日本の経済成長がどのような姿になっていくかという問題、これは予測はなかなか困難な問題であろうかと思います。 しかし、私どもは五十七年度につきましては経済成長五・二%、これはぜひ達成をしたいということで、与えられたあらゆる条件の中で施策を進めておるわけであります。それが五十九年、六十年、六十一年と、こういうぐあいに長期にわたって五%台の経済成長を持続することができるかどうか、これなかなか予測がつかない問題であろうかと思います。 そういうぐあいにGNPそのものも動いてまいりますから、いまはっきりどうこうということも申し上げられませんが、しかし、当面GNPの一%以内でこの五六中業をなだらかに計画を進め実行していくという方針を私は変える必要はない、こう思っています。
○矢田部理君 ちょっといまひとつ歯切れが悪いような気がするのですがね。五六中業——もう去年から一年たつわけです。一年めどにつくると、当然のことながらこの夏場まで、あるいはその前につくらなきゃならない。そこで五六中業の財政試算も当然出てくるわけでありますが、この五六中業を一%で仕切ることになるのかどうか、経済の動きがあることはわかります。経済が締まれば軍事費だって縮めてしかるべきなんでありまして、経済が縮まるのに軍事費だけ伸びたら大変な問題になってくる。この辺ぐらいはきちっと——ここ一、二カ月の問題でありますから、当面というのがここ一週間や一カ月では困るわけなんでありまして、その五六中業をいよいよ固めなければならぬ、これを一%以内で仕切るかどうかというのはきわめて重要な問題。もう一度答弁を求めます。
○国務大臣(鈴木善幸君) その点ははっきり申し上げておるわけでございまして、国防会議におきましてもそういう方針を決めておりますし、そういうことを防衛庁長官にも指示をいたしておりますから、防衛庁長官もそういうことを念頭に置いていま作業を進めておるという御報告があったと思います。
○矢田部理君 それじゃ防衛庁の方から伺いましょうか。 防衛庁長官はこの一%以内論についてはどういうふうに、念頭に置いてということでありますが、具体的な作業としてはどんなふうに進めておるんでしょうか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいま総理から詳しくお話がございましたような御方針をしっかり肝に銘じ、また閣議決定等を念頭に置きながら、反面また防衛庁長官としては、効率的かつ節度ある整備をぜひやらねばならぬということも防衛庁長官としての責務でもございますし、またその結果として、大綱の水準の達成に一日も早く到達しなけりゃならぬということも任務でございますので、総理の御方針をしかと外しながら、防衛庁長官としての任務達成を念頭に置きながら、ただいまぎりぎりの努力をしているということを申し上げるほかはただいま答弁することはできません。
○矢田部理君 念頭に置くだけでなくて、五六中業は一%以内で案をまとめるという約束ができますか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 総理の御方針をしっかり外し、われわれの任務達成のためにぎりぎりの努力をしているということでございまして、また総理からもいろいろのお話がありましたとおり、ただいま作業の段階でございまして、いまのところこれ以上のお答えはできません。
○矢田部理君 これ以上じゃなくて、一%以内でやりなさいと言われたとすれば、念頭に置くだけでなくて、防衛庁長官の責任として一%以内でやりますと、五六中業はそういたしますと、そういう原案をつくりますということにしなきゃならぬのじゃないですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいま総理からお話になりましたことの方針に従って目下作業中でございます。
○矢田部理君 したがって一%を超えることはないというふうに受けとめていいですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) また同じことを申し上げますけれども、総理の御方針に従い、また防衛力の整備目標というものを一日も早く達成したいということを念頭に置きまして、目下鋭意努力中でございます。
○矢田部理君 もう一回だけ伺いますが、五六中業は一%以内で原案をつくりますと約束できませんか、できますか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 目下作業中の段階でございまして、これ以上のお答えはできません。
○矢田部理君 納得できませんね。だめだ、そんなことじゃ。同じ答えをされてもしようがない。
○委員長(植木光教君) 速記をとめて。 〔午前十一時十九分速記中止〕 〔午前十一時三十九分速記開始〕
○委員長(植木光教君) 速記を起こして。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) お尋ねの件につきましてお答えを申し上げます。 昨年四月の国防会議の決定に基づいて、ただいま五六中業の作業は大綱の線に達することを基本として作業を行っておりますが、この際、あわせて当面一%を超えないことをめどとするとの閣議決定に基づき、目下ぎりぎりの作業を続けております。
○矢田部理君 一%を超えないという閣議決定に基づき作業中だと。ということになりますと、もうぎりぎり煮詰まる段階に来ておりますから、当然この五十八年から六十二年まで五六中業期間中の一%という財政、金額は幾らぐらいになるかということの試算があってしかるべきだと思いますが、これはどのくらいの金額を推計しているでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 目下、先ほど大臣がお答えになりましたような作業をいたしておりますが、いまいろんな面をすべて推計でやっておりますので、作業中でございまして、いまたとえばGNPをどう見ておるとか何をどう見ておるとかというふうな固まった案があるわけでございませんので、もちろんGNP自体はわれわれが固めるというものでもございませんけれども、われわれといたしましていまどういうめどを持っているというふうに具体的にお答えすることはできない状況でございます。(「七カ年計画があるんだから、それでちゃんとできるじゃないか」と呼ぶ者あり)
○矢田部理君 いま指摘がありましたように、経済七カ年計画があります。これは一応六十年まででありますが、これが一つの基礎になろうかと思いますが、こういう基礎、土台を使って一定の試算をしなければ、一%以内でやります、一%以内で努力しますと言ってもしかとしないわけであります。まだ固まったものではないにしても、一%というのはおよそどのぐらいになるんだろうかということは当然前提としてあってしかるべきだと思いますので、いまの答弁ではだめです。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のように七カ年計画は六十年まででございますし、どういう数値を仮定してとるかということもいろいろとり方はあると思います。ただ同時に、われわれの方の作業自身も先ほど来申し上げておりますように、まだ流動的な段階でございます。両方流動的な段階でございますから、いろんな仮定を置きながら検討はしておりますけれども、いまここで、大体どういうめどを置いてそれに対してどうなりそうだというようなところを申し上げる段階まで至っていないということでございます。
○矢田部理君 これは各幕を中心にして、どういう装備をどう調達するかという計画が立つわけです。各装備についてこの単価はどのぐらいになるだろう、何年度価格で幾らぐらいになるだろうか、その総計が一体どうなるかということを一方でやらなきゃならぬでしょう。もう一方では一%論が閣議決定としてあるわけでありますから、経済的な推計、試算をしてみて一%というのは一体幾らぐらいになるのか、そこをやっぱり両方を突き合わせて先ほどの努力と作業ということになるわけでありまして、その一%論が出なきゃ現実の作業の詰めは行われないということになるわけてありますから、何らかのやっぱり試算なり推計なりがあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(塩田章君) 幕の要求自体も防衛庁といたしましては一つの作業過程でありまして、確かに幕の要求を受けて現在われわれの方で審査を、作業をいたしておるわけでございますが、そのこと自体も先ほど申し上げましたように非常にまだ流動的でございまして、いろいろやっておるわけでございます。同時にまた、GNPの試算の方もいろんな数値に基づいて検討してみる必要があるということで、その辺は当然にらみ合わせながら今後作業を進めていかなきゃなりません。ただ、いまの時点でどういうふうに見ておるというふうに申し上げられる段階でないということを先ほど来お答えを申し上げておるわけであります。(「大枠の金額はわかるでしょう」と呼ぶ者あり)
○矢田部理君 概算、大枠、あるいはこんな試算をしている、あるいはこんな方法で検討しているということも言えませんか。
○政府委員(塩田章君) 全く防衛庁の中での作業過程でございますから、いろんなことをいろんな角度から検討はいたしておりますけれども、この作業過程の段階でいまどういう考え方だというふうにお答えすることは差し控えさしていただきたいと思います。
○矢田部理君 概算、総枠、このぐらいは大体検討つけなきゃ、一%論が宙に浮いてしまうのじゃありませんか。
○政府委員(塩田章君) 総枠とおっしゃいますけれども、三幕が出してきた案につきましてもわれわれいろんな意見を闘わしておるわけです。ですから、主要装備品のたとえば戦車の数にしましても、船の数にしましても、いろんな意見を闘わしておる段階でございます。したがいまして、すでに大枠はあるのではないか、大枠はめどをつけているのではないかと言われましても、そのこと自体が作業中でございますということを先ほど来お答えしているわけであります。
○矢田部理君 じゃ経済企画庁に聞きましょうか。六十年までの七カ年計画で、六十二年までもそれを土台に推計するしかないと思うのでありますが、五六中業期間中のGNPの金額、その一%というのはどのぐらいになるか、経済企画庁として試算はできませんか。
○国務大臣(河本敏夫君) ことしのGNPは、五十七年度のしとでございますが、五十七年度のGNPは二百八十兆弱と想定をしておりまして、六十年までは平均名目で九・五%の伸びと想定をしております。年によりまして八%台の年もあろうと思います、あるいは一〇%台の年もあろうと思いますが、平均で九・五%と想定をしております。
○矢田部理君 その基準で六十二年までを仮に試算をいたしますと十八兆五千億、これは名目であります。実質では五・二%成長ということになっておるようでありますが、この実質で見ますと十五兆六千億ぐらいという試算が出るわけでありますが、この数値、防衛庁はいかがでしょうか。
○政府委員(塩田章君) ネットの話でございますが、仮に五・二%で六十二年までをずっと推計するとすれば、そういったような数字になるであろうということはこれは容易に計算ができるわけであります。しかし、それを前提にして作業をしているという意味ではございません。そういう数値を置けばそうなるということでございます。
○矢田部理君 いましかし、GNPの一%を五六中業期間中に試算をするとすれば、経済企画庁のやっぱり七カ年計画を土台にするしかないんじゃありませんか。それ以外の方法ありますか。
○政府委員(塩田章君) 六十年までは七カ年計画がございますから、これが一つの大宗になる数値であるということは間違いないと思います。
○矢田部理君 それ以外にあるかと聞いている。(「長期経済計画を防衛庁で持っているのか」と呼ぶ者あり)
○政府委員(塩田章君) 防衛庁自身がそういう経済見通しをするわけではございませんから、防衛庁自身が別にそういった数値を持っているわけではございません。ただ、いろいろな仮定は、置けばいろいろ仮定ができるではないかというだけでございまして、防衛庁自身が数字を持っておるわけではございません。
○矢田部理君 とすれば、政府が公にしているこの成長率、七カ年計画を土台にして一%、念頭に置くにせよ基礎にするにせよ、これを中心に問題を仕切るしかないじゃありませんか。ほかにありますか、方法が。
○政府委員(塩田章君) いずれにしましても、先ほど来お答えいたしておりますように、われわれいま幕の案を受けまして作業そのものをやっております。そういった作業の段階でございますから、途中の段階でございますから、いまの時点で全体的にどういう見通しになるというようなことを申し上げる段階でないことは先ほど来申し上げております。それをある程度煮詰めながら、また経済成長等をどういうふうに見ていくかということをあわせながら今後の作業を進めていきたいというふうにいま考えているわけであります。
○矢田部理君 GNPを防衛庁が推計したりはじいたりするわけにいかぬわけでありますから。 そこで仮に抑えるということになるとすれば、全体的にいま予算の中で正面装備、後方それから人種費等々はどのくらいの割合になっておるでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 五六中業と申しますのは、五三中業のときもそうでございましたが、主要装備品につきまして装備計画を立てるものでございまして、人種とか後方とかということはやっておりません。したがいまして、その割合がどうなるかということもまだ出しておりませんし、そのもとの正面装備の方をいまどうするかということの作業をやっている段階でございます。
○矢田部理君 私の質問は、現在の予算でその割合はどうなっているかと聞いている。
○政府委員(塩田章君) 五十七年度予算で正面が一九・七、後方が三三・七、人絹が四六・六でございます。
○矢田部理君 五六中業はその正面装備を中心に考えられるわけでありますが、そうなってきますと、いまの予算の割り振りから言うと正面装備というのは二割、二〇%前後ということになります。多少多目にこれはなることになったとしても、おのずからこの正面装備にかける、あるいは五六中業にかけるお金の割合というものは出てくるわけでありますが、そう受けとめてよろしゅうございますね。
○政府委員(塩田章君) その点がまさに作業中でございます。
○矢田部理君 仮に現在の予算の割り振りでいくならば、正面装備は二割でありますから、十八兆五千億の二割ということになりますと三兆七、八千億にしかならないわけですね。それはそういう心づもりになりますか。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のような数字で算式をすればそういう答えが出てこようかと思います。
○矢田部理君 ところがマスコミなどの報道によりますと、正面装備だけで六兆円を超える、あるいは新規装備費用は十兆円を超えるんだというような指摘もある。とてもじゃないが、これは一%でおさまるようなしろものではなくなってきている。その辺はどう考えておられますか。
○政府委員(塩田章君) ただいま作業をいたしておるところでございます。
○矢田部理君 各幕から、いろんな装備をやってほしい、少なくとも大綱水準はこういうものが必要だと、そろえなきゃならぬということが上がってきておるわけでありますが、それらを総体として見積もれば、すでに予定をされる一%、その中で割り振るべき正面装備、その金額をはるかに超えているんじゃありませんか。
○政府委員(塩田章君) ですから一つには、幕がいろいろ希望を出しておりますことにつきましては、もちろん作業の一過程でありまして、われわれといまそこを詰めておるということでございます。 したがいまして、いま先生は、マスコミ報道等の数字ではるかに超えるではないかということをおっしゃっておられるわけでございますが、そこのところがまさに私たちがいま幕との間に作業をしており、また今度はわれわれ自身として、今後の財政事情との勘案をどう持っていくかというところの作業をしておるところでございまして、いまの時点でそれ以上のお答えはむずかしいわけでございます。
○矢田部理君 いま申し上げたような実態なんですが、防衛庁長官、そういう状況にもかかわらず一%以内でやると、先ほどの答弁ができますね。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほど申し上げましたとおり、昨年四月の国防会議の決定に基づき、大綱の線に達することを基本として、その際あわせまして当面一%を超えないことをめどとするとの閣議決定に基づき、ただいま防衛局長から申し上げましたとおり、ぎりぎりの努力をしている最中でございます。
○矢田部理君 同じ答弁を聞いてもしようがないんでありますが、大蔵省、大蔵大臣に伺いますが、これは去年、一年前にこの問題を扱ったときにも、財政再建との関係でなかなか大変なんじゃないかということを大蔵大臣が発言されたと伝えられているわけでありますが、財政再建との関係から見てもこれは一%以内に抑えないことには大変なことになるというふうにも思うわけでありますが、大蔵省としては、いずれこれは煮詰まる段階では防衛庁から御相談があると思うのでありますが、態度はいかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五六中業を策定する過程においては、当然これは相談をしてもらわなきゃなりません。その段階において、どういうものであるか、中身を見た上でないと何とも申し上げられません。できることとできないことがございます。
○矢田部理君 一%論についてはどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 当面一%というのは閣議の決定でありますから、当面はそういうことだと思います。
○矢田部理君 時間が来ましたから……。
○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時委員会を再開し、矢田部君の質疑を続けます。 これにて休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時四分開会
○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十七年度総予算三案を一括して議題といたします。 午前に引き続き、矢田部理君の質疑を続けます。矢田部君。
○矢田部理君 引き続き、午前に続いてやりたいと思いますが、五六中業の作業状況、策定時期等について伺いたいと思います。 昨年の四月の二十八日に、国防会議でおおむね一年でつくるというふうに言っておるわけでありますが、間もなく一年になろうとしております。いずれこれは、来年度予算の概算要求、あるいはまた先般議論になりました日米事務レベル協議、少なくともこの時期までにはできるものというふうに考えられますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 五六中業の作成作業は、仰せのとおり昨年の国防会議で了承されたことに基づきまして、おおむね一カ年の作業期間を予定して、防衛庁においてただいま鋭意作業を進めております。
○矢田部理君 だから、いつごろできるのかということ。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) いま鋭意作業を進めております。できるだけ早く作業を終わらせてみたいと思って努力中でございます。
○矢田部理君 私は、まあ何度も質問するのであれですから、概算要求は八月ごろにしなきゃならぬ、場合によってはその前に日米事務レベル協議がある、これまでにはつくるんでしょう。あるいはもっとおくれるのですか。
○政府委員(塩田章君) 日米事務レベルの協議の時期はまだ全然決まっておりません。われわれは、いずれにしましても、五六中業の作業の日程をそれとは関係して考えておりませんので、それがいつ決まるかということは、五六中業の作業においては念頭に置いておりません。 それからいつまでかということでございますが、先ほど大臣からお答えいたしましたように、なるべく早くというふうに考えておりますが、御指摘もありましたように、五十八年度の要求がございますので、それに間に合うことを私どもとしてはめどにして作業を進めたいと思っております。
○矢田部理君 最後に締めくくり的に総理にもう一度お尋ねをしたいと思いますが、われわれはまあGNP一%以内であればよろしいという趣旨ではありませんが、ずっと一%を閣議決定までして、いわば政府の公約をしてきた。ところが、最近の内外の状況、圧力は、この一%突破論で非常にここに焦点が当てられているわけであります。総理のやっぱり決断、これで抑えるかどうかということの非常に大事な時期に来ておると思いますので、この一%以内にとどめると、今後ともやっぱりこれを守っていくということをもう一度総理からお答えをいただきまして、次の質問に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 午前中に申し上げましたように、私は、いろいろの議論はあるかもしれませんが、当面、五十一年のあの方針を変えるつもりはございません。
○矢田部理君 次の質問でありますが、防衛庁に伺いたいと思います。 自衛隊の任務といいますか、自衛隊はどういう範囲のものを守る、何を守ろうとしているのか、そこをまず伺いたいと思います。
○政府委員(塩田章君) 自衛隊法上の任務はわが国の独立と平和を守ることでありますが、お尋ねがどの範囲というふうなお尋ねでございましたので、地理的な範囲ということでもしお尋ねであれば、それはわが国の自衛のための許される行動として、わが国の領域、領空、領海のみならず、公海に及ぶこともあり得るということを従来からお答えをしてきたところでございます。
○矢田部理君 自衛隊の防衛の範囲というのは、従来は領海、領空、領土になっていたのではないか。さらに、この周辺海域については、どちらかというと防衛の範囲というよりも、その領海、領空、領土を守るための行動区域、こういう整理をしておったのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 先ほどお答えいたしましたように、自衛隊が実際に行動する場合に、自衛権の範囲として許される行動であれば、必ずしもわが国の領土、領海、領空に限られるものではない、公海、公空に及ぶことがあるということが従来からのお答えでございまして、私どもそのように考えておるわけでございます。
○矢田部理君 ですから、守るべきは領域であって、その周辺というのは守るべき対象というよりも、その領域を守るための行動範囲というふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(塩田章君) そういう意味のお尋ねであれば、守るべきはわが国の独立と平和ということになろうかと思います。そのために、おっしゃいますように、行動が必ずしも領土、領空、領海に限られるものではないということを申し上げたわけであります。
○矢田部理君 それは平和と独立云々ということもありますが、場所的な範囲としては守るべき範囲はどこですか。
○政府委員(塩田章君) ですから、地理的範囲といたしまして必ずしも領土、領海、領空に限られるものではないということを申し上げておるわけであります。
○矢田部理君 むしろこういうふうに伺いましょうか。自衛力行使の範囲として、これは古い議事録でありますが、領海、領空、領土だと。しかし、それだけでは守り切れぬので周辺海域については敵が攻撃をしてきたような場合に必要な範囲で行動する範囲だと、こういうふうに言っているんですが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 自衛権の範囲であれば行動ができるという意味においてはそのとおりだと思います。
○矢田部理君 そうしますと、シーレーン防衛というのはどういう根拠で何を理由に出てくるものでしょうか。
○政府委員(塩田章君) シーレーンの防衛といいますのは、わが国にとっては言うまでもないことですが、海外からの商船の出入ということがわが国にとって致命的に大事なことでありますから、わが国の船舶の安全を守るという意味でわれわれは自衛隊の任務というふうに考えておるところでございます。
○矢田部理君 そうしますと、どうも従来は国土防衛論に主たる観点が置かれていたように思われるわけですが、どうもシーレーン防衛論というのは国土防衛論からはなかなか出てこないのであって、国益防衛という考え方が入ってきているんでしょうか。
○政府委員(塩田章君) やはり日本の船を守るということは、私といたしましては、日本の独立と平和を守るという自衛隊の大きな任務からいたしまして、その中で当然われわれは日本の船舶を保護することは必要なことであるというふうに考えますので、その点は根拠と言われれば私はやはり自衛隊の本来の任務から出てくるのではないかと考えるわけであります。
○矢田部理君 そういう議論になってくると、何も千海里という限定をつける必要はないんであって、千海里という区切りをつけたのはどういうわけでしょうか。
○政府委員(塩田章君) この点はしばしば申し上げておりますように、実際にそれではわが国の海上防衛力をどの程度まで保持していくかといいます場合に、一千海里程度は防衛ができるような防衛力を整備していこうという、これは一つの方針、政策でございます。そういう意味で、一千海里程度の防衛力を整備したいということをわれわれは目標として掲げておるわけであります。
○矢田部理君 そうだとすれば能力の問題であって、能力がつきさえすればもっと長い範囲まで守る、ペルシャ湾まで守るということになるのですか、その論理は。
○政府委員(塩田章君) 能力がつきさえすればどこまでも守るのかということになりますと、結局やはり日本がみずからの防衛力としてどの程度のものを整備していくかという国民のコンセンサスの問題ではないかと私は思います。現在のところはわれわれは一千海里ということを考えました。防衛計画の大綱は必ずしも一千海里という数字はありませんけれども、防衛計面の大綱にのっとって防衛力の整備を進めていくというわれわれの考え方、これはわれわれといたしましては国民のコンセンサスをいただいておるものとして整備をいたしておりますけれども、そういう考え方で一千海里ということを整備目標としてやっております。能力さえつけばどこまで持つかというのはこれはまさしく国民のコンセンサスなり、国家としての政策の問題ではないかというふうに考えるわけであります。
○矢田部理君 これは時間がありませんから細かく議論はできませんが、たとえば鉄鉱石にせよ石油にせよ、日本の平均的な輸送距離というのは一万キロを超えるんですね。能力さえつけば守るような論理を立てたとしたって、とてもじゃないが守れない。米海軍ですらも放棄しているわけですね。たとえばハロウェーという大将が、アメリカはせいぜい守ってもハワイと本土、アラスカ程度が限度だと。それを能力の問題だと、政策の問題だと、やれればどこまででもやるのだなどというのは、きわめて不可能に近い話を国民の負担だけ求めるようなやり方でやるということになりはしませんか。
○政府委員(塩田章君) そこで、不可能な話を国民の負担だけ求めることになるかどうかということがまさに先ほど言いました国民のコンセンサスを得ながら、国家としての政策を進めていくということになるのではないかと思います。これは私が申し上げるべきことかどうかわかりませんけれども、いまの防衛計画の大綱というのは、そういうことでわが国の政策としてわれわれはいまそれを努力しておるということでございます。 アメリカの方が守れないじゃないかとかと言ったという話も私は聞いてはおりますけれども、アメリカのそれが政府の立場であるかどうかもわかりませんけれども、いずれにしましても、アメリカの場合と日本とは同じ対潜水艦作戦なり海上防護作戦を行うにしましてもやり方は違う面があるわけです。つまりアメリカは要するに制海権といいますか相手基地を攻撃して封鎖するということができるわけであります。そういう前提に立った海軍力、そういうものを前提にした海上戦略というものとわれわれとはまた違う面があります。ですから、アメリカがいまのわれわれが考えているようなシーレーンの防衛をどういうふうにやるか、これはアメリカ自身の問題でございますからわれわれが云々すべきではありませんけれども、アメリカの言っていることを、一概にそれをわれわれがどうこうというふうに考える必要は必ずしもないんで、要するにわれわれとしては日米安保体制ということで、日米共同体制ということで日本を防衛するという立場でございますから、その上でわれわれは従来の方針を進めていくということで考えておるわけであります。
○矢田部理君 昨年の日米共同声明の八項に、日米の適切な役割り分担について合意をし、その上で日本の領域及び周辺海域における防衛力の改善をうたっているわけでありますが、これはいま日本で議論されているシーレーン防衛を意味するものでしょうか。もともと大綱にその基礎はあると言われているわけでありますが、ここで日米間でこの種問題を約束をした、共同声明にうたいとげたというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。 昨年の日米共同声明が発表された後、国会でもこの役割り分担についてたくさん議論がございました。そして政府が答えていることが、現在でも変わっておりませんが、要するにそこで言っておりますのは、日本の安全と平和についての一つが役割り分担でございます。これは矢田部委員御承知のとおり、安保条約によって日本が攻撃された場合には日米共同して対処するということで、そこは日本として軍事的役割りを持っているということが第一点。 それでは極東の安全と平和について一体日本はどういう役割りを果たすか、このことは従来から御説明しておりますように、日本が安保条約に基づいて施設、区域を提供している、その面で軍事的な側面ということは否定できないわけでございますが、日本の憲法なりあるいは基本的な防衛政策というのがございまして、むしろここで日本が果たす役割りというのは、どちらかというと政治面あるいは経済面、これが主になるわけでございまして、そこで言っている役割りの分担というのは、いま申し上げたこと以上の具体的なことを約束しているわけではございません。
○矢田部理君 二番目は、周辺海域における防衛力の改善。
○政府委員(淺尾新一郎君) 周辺海域については、この共同声明でうたってございますが、これも従来から防衛力整備の計画の大綱としてうたっていることを頭に置いて、わが国の領域及び周辺海空域の自衛力を整備すると、こういうことでございまして、それ以上の何物もないわけでございます。
○矢田部理君 ですから、大綱にうたっている内容とはいえ、対米約束に高まったというふうに見ていいのではないでしょうか。
○政府委員(淺尾新一郎君) それは、従来から国会の答弁でも申し上げているように、そういうことを日本の方針としてこの国会でも申し上げておりますし、またその頭の中に基本的防衛政策あるいは憲法の範囲内ということがついておりますので、新しい意味での日本の役割りを踏み出したと、そういうことではございません。
○矢田部理君 大綱の中には空域防衛の考え方は入っておりますか。
○政府委員(塩田章君) いま議論になっております海上防衛という点につきましては、大綱の中は、海上自衛隊の任務なり海上自衛隊の体制として記述されておりまして、御指摘の防空の体制につきましては、これは航空自衛隊の任務として書いてございますが、この場合には航空自衛隊は、当然のことながら日本の周辺の行動半径以内のことしかできませんから、そういう意味では海上交通路の保護ということに直接結びついたことはできないわけでございます。ただ、沿岸数百海里以内のことはできますから、航空自衛隊の航空機の行動範囲におきましては、当然これは海上護衛の任務に当たるということは、これは考えられますけれども、それは、航空自衛隊の本来持っておりますわが国周辺の空域についての防空作戦という任務から出てくるだけのことでございます。
○矢田部理君 今度ワインバーガーが来て、特に問題になってきておりますのは、シーレーン防衛は海上防衛を中心に大綱は考えている。特に対潜水艦作戦を中心にしているわけですね。空の問題は、護衛艦からミサイルを撃つとかということは一部あるようでありますが、それ以上のものではないと。で、この対空防衛をどうするのかということが焦点になっているのは御承知のとおりでありますが、それはいまの大綱では考えておりませんね、中心的には。
○政府委員(塩田章君) いまの大綱の考え方は、先ほどお答えいたしましたとおりですが、今度のワインバーガー会談におきまして特にそういった点を、先生の御指摘のような海上護衛の際の防空作戦のことを特に取り上げているとは私どもは受けとめておりません。
○矢田部理君 今度の会議だけでなくてもいいんですが、アメリカはそういうことを要請しておりませんか。
○政府委員(塩田章君) 最近行われております公聴会等におきまして、防空の必要性ということは強調いたしております。それが果たして海上護衛の場合の防空とどう結びつくのかといったようなことにつきましては、アメリカ側の言っていることが必ずしもわれわれによくわかっているわけではございません。その点は、一般論としてはそういうアメリカの言っていることは承知いたしております。具体的に日本の海上護衛についてどういうふうな防空体制だということを言っておるわけではございません。
○矢田部理君 もう一点。 ワインバーガーはシーレーン防衛について、同地域における米戦略等を補足するものだという立場から、インド洋などの制海維持に投入されている米軍事力と合わせて、太平洋の自由通商に死活的な大動脈は強力に防衛される。言うならば、海域分担、機能分担の立場を明らかにしておるように思われるわけでありますが、これについては防衛庁はどう考えますか。
○政府委員(塩田章君) もともと日本の海上自衛隊とアメリカの海軍との間では、機能的には補完し合うという考え方でガイドラインもできております。そういう意味では日本の足らざるところはアメリカが補完するということは、これは新しい考え方でも何でもございません。従来から……。 ただいま先生の御指摘は、補足するというのは、アメリカの艦隊がたとえばインド洋とかそういったところに行ったときに、日本の自衛隊が北西太平洋の防備を補足するというような意味で言っているのではないかという点であろうかと思いますが、この点につきましては、われわれが従来からアメリカと接触いたしておる限りにおきまして、ガイドラインの研究等もやっております限りにおきまして、従前からわれわれが申しております、わが国の海上周辺数百海里、航路帯にあっては約一千海里を自衛隊が海上護衛作戦に当たるということについて全然異議はございませんで、同じ見解のもとに作業を進めておりまして、そういう意味では、別に今回の補足するということが、新しいことを日本に何か期待したということではないとわれわれは考えております。
○矢田部理君 海域分担というのは、もともと集団自衛権の行使と受け取られて、憲法上の問題が出てくる。機能分担も同じような理論が成り立つわけでありますが、どうもアメリカが求めてきているのは、そういう方向性を持っているのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。憲法上の問題も含めて御答弁ください。
○政府委員(塩田章君) いわゆる海域分担論をとれば集団的自衛権の問題が出て、憲法上の問題が出てくるではないかというようなことは言われておりまして、それは確かにそういう問題は起こり得るということでございますが、私どもは、先ほども申し上げましたように機能的に分担し合うと。繰り返しになりますけれども、ガイドラインでも、わが国の周辺の海域の防衛作戦は海上自衛隊が主体になって行うと。それに対して足らざる機能はアメリカが補完するということでございまして、そういう考え方のもとに現在進めておりますので、その点は私どもは憲法上の問題はないというふうに考えております。
○矢田部理君 これは議論が尽きませんから、一点だけ伺っておきますが、シーレーン防衛というのは、日本の船舶だけを守るんですか、外国船舶は守らないということになりますか。
○政府委員(塩田章君) 先ほど来申し上げておりますように、日本の自衛隊の任務からいたしまして、日本の船舶を守るということが目的でございます。実際問題として、その結果相手方のその付近——その付近と言ってはあれですが、相手方の潜水艦等が日本の自衛隊によって沈められるというようなことになりましたら、その結果他の国、端的に言えば、わが国の与国といいますか、そういった国の艦船がそれだけ何といいますか、俗に言えば助かるというような面があることは、これは否定できませんけれども、われわれの自衛隊が動くのは、わが国の船舶を守るために行動すると、それは明らかでございます。
○矢田部理君 シーレーン防衛について、あるいはまた大綱の見直し、中業の状況等について、日米事務レベルの定期協議では当然話題になるだろうというふうに言われているわけでありますが、この時期なり、ここでの議論の方向なりについではどんなふうに考えておられますか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいまハワイ協議と称される事務レベルヘの日時等につきまして、まだ確定もしておりませんので、目下その態度等につきましては、これから防衛庁内部でよく慎重に検討しながら、その会議に臨みたいと思っております。
○矢田部理君 武器輸出、特に日米関係で対米技術協力が問題になっているのですが、現状はどんなふうになっておるでしょうか。どんな問題点がいま政府で調整中なのでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 武器技術の輸出並びに提供につきましては、御承知のように三原則、政府の見解、国会決議等があるわけでございますが、この問題につきまして、対米関係についてどうするかということにつきましては、アメリカの武器輸出に対する提供の要請もありました。これを踏まえまして、安保条約との関係におきましていま関係省庁の間で検討をいたしておる段階でございますが、まだ検討が進まないで結論が出ておらないと、こういうところであります。
○矢田部理君 どうも国会の予算でも終わったら走ると、タイミングをはかっているのだという説もありますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 別に国会が終わったら走るとかいうことじゃなくて、もっぱらいま三省庁間で、外務、防衛、通産で検討いたしておるわけですが、その検討がまだ進んでおらないと、こういうことで、できるだけ早い時期に結論は出さなきゃいかぬのじゃないかと、こういうふうに思っておりますけれど、まだそのめどがついておらないと、こういうことであります。
○矢田部理君 前に外務省の試案みたいなものがたたき奇だということで発表されているわけでありますが、これによると安保関連武器輸出は武器原則なり政府見解と違って別枠なんだということで、ここで穴をあけようとしているわけでありますが、安保関連武器輸出というのは一体どういうことでしょうか。
○政府委員(淺尾新一郎君) 矢田部委員の御質問は、恐らく昨年の十一月に新聞で報道されたことを指しておられると思います。 まず第一に、それは外務省の中の事務当局の一つの考え方でございます。 それから、安保関連技術とは何かと、こういうお尋ねでございますが、この点については実はわれわれもまた検討中でございまして、外務省の分野として先ほどから御答弁のあります、他方に国会の決議、それから武器禁輸三原則、政府統一見解がある、もう一方に日米安保体制というのがあると、そういう関連で進めているので、その日米安保体制というものを考えてのことが安保関連技術ということを——強いて言えばそういうことだと思いますが、何分まだ中身が検討中でございまして、固まっておりませんので、それ以上のことをここで申し上げる段階にはなっていないわけでございます。
○矢田部理君 この外務省の見解、たたき台だということではありますが、これを見ますと大変問題があるわけですね。きょうは全部指摘し切れませんけれども、たとえば武器原則で禁じられている、紛争当事国には出さないということになっている行けてありますが、安保関連であると出せるような論理になりはしないかというのが一点です。 それから、特にこの技術というのは普遍的なものでありますから、一たん対米協力をすればその技術が他に流れる、あるいはその技術を使った武器が他に輸出されてもいたし方ない、安保関連なんという色をつけるわけにはいかないというふうに思うのですが、この辺はいかがでしょう。
○政府委員(淺尾新一郎君) 矢田部委員の御指摘の点でございますが、その点も含めてまだ三省庁間で検討中でございまして、ここでお答えするところまで結論が実は出ていないわけでございます。
○矢田部理君 これはMDAや安保条約との関係もありますが、基本的には憲法、それから国会法保護、政府の基本方針、ここをやっぱり貫徹させるべきであって、対米関係だけ別だというようなことになれば、核の問題だって同じような議論になりかねないわけでありまして、総理としてこの辺は十分に押さえをしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんが御指摘されるまでもなしに、わが国の政策をどのように運用をするかという問題は、これは基本は憲法に存在するわけでございまして、憲法の条項等に反するようなことは、これはできないことでございます。
○矢田部理君 安保条約の三条も、わざわざ憲法の条項に従ってやるのだ、従うことを条件とするのだと言っているわけでありますから、しかと心得ていてほしいと思います。 もう一点だけ伺っておきますと、従来政府はいわゆる汎用品、汎用技術についてはチェックのしようがないから禁輸の対象にはしないと言ってきたのでありますが、最近ワインバーガーがこれまた、ソビエトに輸出した浮きドック問題が出てきたところ、対ソ関係では汎用品もチェックしていくんだ、従来だめだ、だめだと言ってきたことを対ソ関係ではやるんだという話になってくると、従前の話が違ってくるわけでありますが、この辺はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 浮きドックの問題が取り上げられました、その際の応答を申し上げますと、当時この浮きドックにつきましては商業べースの取引であり、品目上、ココムの対象品目でもなく、また輸出貿易管理令の禁輸または要承認品日とはなっていない。したがって国内法上、輸出を規制する対象ではない。かような判断に基づいて輸出を許可したということでございますと、こういう政府委員の答弁に対して、質問者が、この軍事目的がはっきりしておって出したものでないかと。それに対して私が、軍事目的が明白であって輸出をする、そういうことはあり得ないことでありますと。武器三原則及び政府の方針にのっとってそれは配慮されるべきものと思いますと私が答弁しておるんです。これはどういう意味かというと、汎用品だからどうとかじゃなくて、明らかに武器として輸出するのであれば、それは武器三原則及び政府の方針にのっとって配慮されるべきものと思うと、こう申し上げておるので、浮きドックの問題で汎用品もどうこうするとかいうことはないのであります。
○矢田部理君 時間がなくなりましたので、場合によっては最後になるかもしれませんが、政治姿勢について当委員会でもしばしば問題にされてきました。ロッキード事件、あるいは金脈問題、談合等もそれでありますが、いよいよこの六月八日ですか、国会の終了を待っているかのような時期に、橋本登美三郎、佐藤孝行氏などに対する判決が出されようとしておりますが、有罪の可能性は非常に強いと私は予測している。そうなった場合に総理、これはいかが扱いますか。現実にはそれの重みがかかってくるということになれば、従来の答弁では済まないように思うのでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在、裁判で審理されておる事案につきまして、私が予断をもってどうこうというようなことを申し上げること自体が不謹慎であろうと、こう思いますし、また行政府の責任者として裁判の結果等につきまして私が見解を申し述べることは差し控えなければならないと、このように考えておるわけでございます。
○委員長(植木光教君) 志苫裕君の関連質疑を許します。志苫君。
○志苫裕君 政治倫理に関して一、二尋ねますが、まず委員長、私は本委員会に証人の喚問を求めておるんですが、それはどうなりましたか。
○委員長(植木光教君) 理事会におきまして、数次にわたり協議がございましたけれども、証人喚問につきましては、喚問に反対をする意見もございましたので合意を見るに至りませんでした。
○志苫裕君 証人の喚問ができないということは大変遺憾に存じます、詰められることも詰めないんでありますから。 そこで、本委員会の審議を通じて、とにかく談合の実態が告発をされて、公共事業の執行の適正化が強く求められました。談合それ自体は刑罰の要因となるばかりでなく、税金のむだ遣い、汚職、不正経理の誘因となりますし、業界の健全な発展そのものをも阻害をします。さらに政官業の癒着を形成をして政治不信を醸成する。そこでこれを根絶することが焦眉の政治課題、とりあえずは発注者サイドからの改革について総理の決意と決断を求めてきたところであります。 総理は二十九日の委員会で、これの根絶のための方策について関係当局に改めて指示もしようという意見を披瀝されましたし、各党からもそれぞれ意見が出ておりますが、改めて私は、一つは公正な競争と価格を確保するために、指名入札、予定価格、ジョイントベンチャーなどのあり方を見直すこと、第二に情報を全面的に公開をして国民の監視にさらすこと、第三に政治資金、天下り等々政治と行政の倫理を確立すること、第四には関係法令の処罰法規を厳格に適用すること、ということによってこの課題に対応すべきだと、こう思いますが、総理の所信を伺いたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 公共工事の執行をめぐりまして、いろいろの問題が発生をし、国民の指弾を受けるようなことが発生いたしておりますことはまことに遺憾にたえないところでございます。 早急にこれを是正をしなければいけないと政府でも深く考えておるところでございまして、ただいま志苫議員からその御見解をお述べになりました。一々ごもっともな点の御指摘でございます。政府としても十分御意見等を踏まえ、全力を尽くして改善に当たりたいと、このように考えております。
○志苫裕君 委員長にも要望いたしますが、ただいま総理の答弁がありましたが、この問題は大変大きな課題でもあり、委員会でもしばしば議論も重ねてまいりました。それだけに単なる会議録にとどめておくというレベルのものではなくて、何らかの形で見解などをまとめて、要すれば、委員長報告に盛り込んでもらいたい、こう強く希望いたしますが、いかがですか。
○委員長(植木光教君) 配意いたします。
○志苫裕君 最後に一点ですが、二十九日の委員会におきまして、私は田中総理のファミリー企業の行動について特に注意を喚起をして報告を求めました。私はそのときには、具体例の発表を実は控えると、そのように言いましたが、改めて聞きますが、あのときの報告のありました建設省、大蔵省、この時点で、あのときの私の報告に追加をしたりまた訂正することはありますか。あるならある、ないならないで言ってください。
○政府委員(吉田公二君) 二十九日の際、たしか新星企業につきまして御報告申し上げたのでございますが、それにつけ加えることは特にございません。
○志苫裕君 田中系企業についてですよ。——ちょっとわかりにくいようです。 私はこの間、いわゆる金脈騒動のときにどういう措置をとったか、それだけのいきさつを伴った企業であるから、その後十分な目を配っているかということについて報告を求めた。そのときの報告から追加をするものがあるかと聞いている。
○政府委員(吉田公二君) 先般のこの委員会におきまして、当時の経過から新星企業につきまして処分があった旨の御報告を申し上げましたが、それにつけ加えるという意味では、当時の記憶に基づいて先生から御指摘があったという点について特につけ加えるというのは、私いま考えておりませんが。
○志苫裕君 それでは伺います。室町産業に宅建業法違反はありませんか。
○政府委員(吉田公二君) その件につきましては、先般さる週刊誌に記事がございまして、これは東京都の免許に係る室町産業についての土地をめぐる件でございましたが、本件につきましては、建設委員会の方で議論がございました。この議論の過程におきましては、内容によっては宅建業法に抵触する可能性もございますので、これは東京都の知事の監督するものでございますが、知事の方で十分調べるように私どもの方も指導するつもりでございます。
○志苫裕君 いや、これはずうっと続く問題ですから——私の時間なくなりました。いずれまたお目にかかるときまでよく調べておいてください。
○矢田部理君 最後に経済協力の問題をやりたかったのでありますが、時間がありませんのでまとめで伺いますが、経済協力の基金をふやしていく、これはわかるわけでありますが、これはどういう理念でやろうとしているのか、まずそれを伺いたい。
○国務大臣(櫻内義雄君) 一つには、今後新中期目標を立てまして五カ年で従来の実績の倍を目標にしておる。これは主として南北間の開発、それを目標にしておりますが、社会開発とかあるいは経済開発とか、そういうものに裨益することを考えておるわけでございます。
○矢田部理君 理念としてこれは二つ出ておりますが、もう少しこの目標、理念を明らかにしてください。
○国務大臣(櫻内義雄君) 理念としては、南北関係の根底にある相互依存と人道的考慮を二つの理念としております。 それから、目的といたしましては、開発途上国の、先ほど申し上げた社会開発あるいは民生の安定、さらに福祉の向上を支援するということでございます。 援助の実施に際しましては、農村・農業開発、エネルギー開発、人づくり協力等とともに、基礎生活援助等開発途上国の国民一般の生活に直接裨益する分野に力を入れていきたいと、こういうことでございます。
○矢田部理君 そういう一般論を言うわけでありますが、そういう国際的な一般理念にのっとらずに、いま日本の援助の方向はもっぱらこの総合安保論、そこに重点を置こうとしている。これはどういうことですか。総理の南北サミットの演説とも隔たりがあるわけです。その説明を求めます。
○国務大臣(櫻内義雄君) どういう点をおっしゃっておるのかわかりませんが、総合安保を目標にするというようなことを現在経済協力の中で考えているものはないと思います。
○矢田部理君 「経済協力の理念」という外務省経済協力局が出したものはそう書いてある。そっちが重点になるんだと言っております。日韓援助なんかはその典型だと思います。あわせて、たとえばトルコなどがそうです。なぜこれは援助するのか。日本の総合安保にも関係ありません。人道援助にもならない。きわめて政治的な援助をしている。中米に対する協力もその流れの中にある。これはトルコや中米に対してどういう理念や考え方で援助するのか。特にトルコのごときは、この三年間ペルシャ湾に向かっていていろいろな問題があるわけでありますが、このNATO南辺を弱めることを憂慮して、その対策として緊急援助をやる、日本の総合安保論にも関係ない、まして人道論にも関係ない。そこに商品借款まで与えている。一つ一つこれは詳しく言えば問題の指摘があるわけでありますが、これはどういうわけなんでしょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) トルコの場合は、御承知だろうと思いますが、OECDの中にトルコの援助国会議がございまして、そしてトルコの経済、社会の状況からいたしましてこの援助会議が中心になって援助を与えようと、こういうので、日本もこれに参加をしておるわけであります。 それから中米の御指摘でございますが、これはカナダ、メキシコ、ベネズエラ、アメリカの四カ国が、この地域のおくれておるその点に日を向けて社会、経済の開発の上にひとつ援助をしようと。それで、これは世銀にそういう援助国会議がございまして、日本もそれに参加しておると、こういうことで、お話しの点にはちょっと私ども安保ということとは違うんじゃないかと、こう思うのであります。
○矢田部理君 時間が参りましたので終わりますが、経済協力の理念に沿わない安保経協的な問題が非常に日立ってきておる。その点で、量をふやすだけでなくて援助の質そのものをやっぱり厳しくチェックしこれから考えていってほしいということを特にお願いをして、私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 以上で矢田部理君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、沓脱タケ子君の締めくくり総括質疑を行います。沓脱君。
○沓脱タケ子君 最初に核軍縮についてお伺いをしていきたいと思っております。 総理、三月二十七日の鈴木・ワインバーガー会談におきまして、あなたが大統領に伝えてほしいと言って述べた中で、西側が軍事力の面で優位に立つことは戦争抑止力になる、軍縮交渉にも役立つとの御見解でございます。三月二十二日の櫻内・レーガン会談でレーガンが言いました、西側が十分に強くあることが初めて意味ある軍縮、とりわけ核軍縮になるというアメリカの考え方とこの総理の御見解と基本的には同じでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ワインバーガー米国防長官と会談をいたしました際に、私は、米側のいま言ったようなレーガン大統領が櫻内外務大臣に言われた考え方、これに対して理解を示したことは事実でございますが、私が、その上に立って軍縮、軍備管理、これをぜひ粘り強く交渉を続けてほしい、こういうことを申し上げるのが力点でごいまして、前段は、そうすることが軍縮、軍備管理を進める上から有効であるという米側の主張、これに対しては理解を示したということでありますが、私の申し上げた力点は後段の方にあるということを御理解願いたい。
○沓脱タケ子君 次に、レーガン大統領が、限定核戦争について昨年の十月十六日に地方紙編集長との会談での話の中で、米ソのいずれかが核のボタンを押すことなく戦場で部隊に対する戦術核の交戦が行われることが可能性としてはあり得ようということが述べられておりますが、これに対しては総理はどういう御認識でしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) レーガン大統領のその際の演説、記者団に話をしたこと、そういうようなこと全体を見ていただかなければ真意をとらえるしとができない、こう思います。限定核戦争もあり得るというようなことを述べながら、そういうような脅威に対してはいつでもあらゆる手段でこれに対抗する用意があるということを示し、そして、戦争に対する抑止力としての立場というものを明確に打ち出しておるわけでございます。そして後段におきましては、そのような核戦争というようなことに発展するようなことになると、これは人類の破滅にもつながるような大きな惨禍を引き起こすことになるので、アメリカとしては核戦力の縮減、軍縮にあらゆる努力を傾倒するということ直言っておるわけでございまして、要は、脅威に対してはいかなる対抗措置も用意されておるし、そういうことを踏まえて戦争をあくまで抑止するのだ、そして核戦力を初めとして軍縮に対してアメリカとしては熱意を持って取り組んでいくのだ、こういうことを言われたものと理解をいたしております。
○沓脱タケ子君 そうしますと、あなたはいわゆる限定核戦争戦略構想、これが抑止力につながるから核軍縮につながるんだということなんですか、そういう御見解ですか。そういうレーガンのお考えに賛成だということになるんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) それは、いま申し上げたように、アメリカのレーガン大統領がそういうことを言っておるということでございまして、私は全体を通観しまして、戦争はあくまで抑止しなければいけない、そして核戦力というものをあくまで話し合いによって米ソを中心として軍縮を進めていきたい、アメリカの思惟はそこにあるのだと、私はそういうぐあいに理解をしておるということであります。
○沓脱タケ子君 抑止力、抑止力ということで賛成をして、あるいはアメリカの真意を御理解になっているとおっしゃるんですが、たとえば元防衛庁長官で自民党の国会議員である、これはあえて名前を言いませんが、方がこう言っているんですね。均衡を守るための核兵器開発が進み、いまやそれは戦争を抑止するものから戦争に勝利をするためのものになってしまった。日本ではまだ核兵器があるので戦争が抑止されると考えている人がいるが、これは誤りだ。こういうふうにまで言われ出しているわけでございます。わが党だけではなくて、わが国の反核運動の多くの要求というのは、米ソを問わずアジアからすべての核兵器をなくすことだということが主張になっておるわけでございますけれども、この主張に対して総理は御賛成かどうか、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 共産党さんがどういうお考えのもとにそういうことを提唱されておるか、いまのお話だけでは十分私理解をいたしかねるわけでありますが、しかし、世界各国で現実に国益を踏まえ、また民族の安全と生存を希求しておるところの立場にある国々の指導者、政治家というのは、ミッテランさんにしてもあるいはシュミットさんにしても、やはり現実の厳しい国際情勢、そういうものを踏まえて、この核戦力を含む力の均衡というものを前提にして、これを踏まえて、そして対応を考えておる。権衡を保持しながら相互にこれを低位にこの均衡の力を抑えていこう、抑制していこう、軍縮を進めていこう、そのために絶えざる対話と交渉が必要であると、こういうことを言っておるのでありますが、私は、それほど現実の厳しい政治に対応して、本当に責任ある立場というものを考えました場合には、そういうことを指導者として考えておるということは当然のことであると私も思っておるわけであります。
○沓脱タケ子君 きちんと答えてもらわなきゃいかぬですよ。米ソを問わずアジアからすべての核兵器をなくすることということが運動の中心になっておる。総理はこのお考えに御賛成なのか反対なのかということをお聞きしているんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまも申し上げたように、国民の平和と安全を守るということがわれわれの最大の責任でございます。そのためにどうあるべきかということにつきましては、私はこの核軍縮ということを究極の目標とし、核戦力の廃絶ということを究極の目標としながら軍縮に取り組んでいくという立場をとっておりますし、わが国は平和憲法のもとに非核三原則を堅持しておるという立場をとっておりますから、この核軍縮に対しましてはいずれの国にも劣らない熱意を持って取り組んでまいる考えでございます。
○沓脱タケ子君 本当にアジアから米ソの核兵器をなくするということが国民的悲願になっておる。それで、唯一の被爆国の国民であり、非核三原則を国是とする日本の総理が、そのことに賛成だとはっきり言えないなんというのは、国民の願いに全く反するものですよ。本当に許せないですよ、そういうことは。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほど来申し上げておるように、日本の平和と安全、また極東のアジアの平和と安全ということを希求をして、そこに恒久的な平和を確立するためにはどうあるべきかということを考えております。したがって、いまのバランスというものを、均衡というものを考えながら、特に米ソの自制と責任に訴えて、核軍縮、軍備管理、軍縮に進むようにしてまいりたい、このように考えております。
○沓脱タケ子君 これは時間がありませんから繰り返し申し上げませんけれども、問題を次へ移したいと思います。 ワインバーガーが来日の際、総理に対してレーガンの親書を届けられたそうですが、その内容についての要旨を簡単にお伺いをしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) これはすでに要旨は新聞等にも発表いたしておりますし、当委員会でも御報告を申し上げておるところでございます。日米間の友好協力関係の発展、そして日本の防衛努力あるいは経済的な面での努力、そういうものを評価をされますと同時に、今後一層日米関係の友好協力関係の発展を望んでやまない、こういう趣旨のものでございます。
○沓脱タケ子君 おっしゃったように、大統領親書の要旨というのは新聞にも報道されていますね。それによりますと、防衛予算案をアメリカは大変高く評価をしている、日本もこの面でより大きな努力をお願いしたい、こう言っているわけですから、防衛費の七・七五四%の伸びを示したこの五十七年度予算案というのは、軍事費大突出で福祉、教育切り捨てだといって国民的にはきわめて厳しい批判を受けているわけですね。ところがレーガンはそれを高く評価している、さらにそれ以上の大きな努力をお願いしたいということなんですね。違うんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 親書の中で述べておりますことは先ほど申し上げたとおりであります。 私はこの際、はっきり申し上げておきますが、日米安保条約のもとにおきまして、米側が日本の防衛努力に対して常に関心を持っておる、あるいは期待を寄せておるということは自然のことだと思いますが、実際に防衛予算を計上し、そして防衛の努力をやってまいりますのは、自主的にわが国政府が判断をし、国会の御承認を経てやるわけでございまして、米側の注文、要求によってそれにかわるものではないということを明確に申し上げておきます。
○沓脱タケ子君 もうちょっと聞いていきたいんですが、ひとつ塩田防衛局長にお聞きをしたいんですが、塩田防衛局長はこの五十六年七月二十八日参議院の内閣委員会において、昨年の六月のハワイ協議ではというところの答弁で、「日本の防衛の役割りについて、共同声明の適切な役割り分担ということを受けまして、日本に何を期待するかということをアメリカ側はあらかじめ指摘したわけでございます。」それによると、「日本の領域あるいは周辺海空域及び航路帯にあっては約一千海里という」「そこの防衛は日本がやってもらいたいと」答弁をなさっております。つまり日本とその周辺及び航路帯一千海里の防衛を日本がやってもらいたいと米側が要求をしたのだという御答弁だったのですね。
○政府委員(塩田章君) 事務レベル協議でそういった話題が出たことは事実であります。事務レベル協議というのは、しばしばお答えいたしておりますように、元来フリーディスカッションですから、議題を決めてどちらがどういうことを提案してそれをどう決めたといった性質のものではございませんことは御承知と思いますが、そういう話題の中でいまのような話が出たということは事実でございます。したがいまして、それがアメリカの日本に対する要求であるかどうかはこれは別の問題でありまして、そういう話題は出ました。
○沓脱タケ子君 同じく去年のハワイ協議では、日本の防衛大綱以上のものが必要だということも話し合われて要求も出たわけですね。
○政府委員(塩田章君) その席上でアメリカがいろいう言いました中に、ある程度具体的な話があったことは事実でございますが、それらの話の中で日本の防衛計画に照らしてみて、ものによってはもちろん防衛計画の中でもあるし、あるいは同じようなことでもあるし、あるいはアメリカ側の言っている方が防衛計画よりも上回るといったようなこともいろいろございました。そのことは事実でございます。
○沓脱タケ子君 三月二十七日の鈴木・ワインバーガー会談でワインバーガーが、日本が本土千海里シーレーン防衛で役割り分担すると理解していると述べたという報道がございましたね。昨年ハワイ協議に続いてワインバーガーが役割り分担を非常に執拗に求めてきているのは、昨年五月の日米共同声明に盛り込まれたいわゆる日米防衛役割りの分担条項と、鈴木総理がナショナル・プレスクラブで行いました周辺海空域と一千海里シーレーンの防衛は日本の庭先の防衛という発言、この二点を対米公約として実行を迫ってきたのではないのかというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昨年訪米をいたしました際にナショナル・プレスクラブで私は講演をいたしました。その際、聴衆の一人から質問がございましたのに答えたものでございます。周辺数百海里、航路帯を設ける場合においては一千海里を目標に防衛力の整備を行っておるということを説明を私がしたわけでございます。この問題は、私はそれ以前に今国会でしばしばわが国の防衛の水準を早く達成したい、防衛計画の大綱に従ってその水準を早く達成をしたいということを申し上げると同時に、海上自衛隊の整備についてはそういういま申し上げた程度の周辺数百海里、航路帯を設けるとすれば一千海里程度の防腐ができるように努力をしておるということは国会でもしばしば政府の方針として御説明を申し上げておったところでございまして、それに基づいてナショナル・プレスクラブでの講演に対する質問に対しても説明をした、こういうことでございます。アメリカくんだりまで行ってわざわざ公約をしたというようなものではございません。 それからワインバーガー長官と私が会談した中におきましてはそういう具体的な問題は出ておりません。
○沓脱タケ子君 この防衛分担に関してなんですが、総理は昨年の十月の三日に衆議院予算委員会で、わが党の榊委員の質問に対して「わが国としては、周辺海域数百海里、航路帯として一千海里、そういうものを防衛していく、防衛の範囲内と考えておる、」とお答えになっているんですね。これは約束をしてきたからというのか、頭の中にあったから防衛の範囲というふうな御答弁をしたんじゃないんだろうかと思うんですが、それはいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは防衛庁当局からもしばしば御説明を申し上げておりますように、防衛計画の大綱の中で考えておる一つの防衛計画の目標の内容の一部をなすものでございます。 それから、先ほど来役割り分担とか責任分担とか、そういうことをおっしゃっておるのですが、米側は私にはっきり、責任ある立場で私に言っておりますことは、日本が当然自衛のためにおやりになる、鐘法や基本的防衛政策に基づいて日本がおやりになっておること、またおやりになろうとすること、そういうことをきちっとできるだけ早く日本がやってもらえばそれで米側としてはもう何も言うことはない、米側が当然やるべきことを日本に肩がわってくれ、その分を分担してくれ、役割りを、そういうことを申し上げておるのではない。日本が自分でやるべきことをやっていただけばそれだけ自分の方としては楽になる、こういうことを言っているだけのことでありますから、その点ははっきり御理解を願っておきたいと思います。
○委員長(植木光教君) 上田耕一郎君の関連質疑を許します。
○上田耕一郎君 ワインバーガー国防長官の一千海里防衛というのは対米公約だという言明と、いまの首相の言明とは明らかに重大な食い違いが生まれておると思うんですね。これは放置することができない大問題だと思います。 そこで防衛庁長官にお伺いしますけれども、これまでこの問題では政府の見解は次のようなものだと。たとえば昭和五十年六月十六日の衆議院の委員会で、当時の丸山防衛局長が次のように述べております。わが国に「武力攻撃がある場合には、わが国の防衛に必要な限度において、」「必要な限度において、」ですよ、「わが国の領土・領海・領空においてばかりでなく、」「自衛権の行使に必要な限度内での公海・公空に及ぶことができる」、つまり、ワインバーガー国防長官などの言う北西太平洋の数百海里あるいは一千海里の広大な海域全域ではなくて、その中に必要な限度で及び得ることができるというのが政府の見解だったですね。この見解には何らの変更もないんですか。明確にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(塩田章君) わが国が自衛権を行使し得る地理的範囲は、自衛権の行使として許される限りにおきまして、領土、領海、領空のみならず、公海、公空に及ぶことがあるということは従来からお答えしてきてまいったところであります。
○上田耕一郎君 つまり、見解変更ないということですね。 いま総理は、防衛分担、役割り分担というのは次のような趣旨だということを、アメリカとこう分担するという意味じゃないんだということを言われました。 ところがワインバーガー国防長官が二十六日の午後、東京日比谷の日本記者クラブでの講演で非常に重大な内容を述べている。彼はそこで、わが国周辺海空域と千海里の海上輸送路の防衛を対米公約として強調しただけでなく、次のように言っている。「北西太平洋の海、空防衛を米国に提供する能力を持つこと」、いいですか、日本がですよ、アメリカに提供するというわけだ。「提供する能力を持つことは同地域の米軍戦力の補足となり」と、補うことなんですね、こういうことを述べているんですね。これは私はもう全く放置できないと思う。あなたのナショナル・プレスクラブでの演説をワインバーガー国防長官は、対米公約だと受け取っている人物、その人が日本に来て、日本記者クラブで、日本がアメリカに提供する能力を持つこと、首相の言うような一千海里について防衛力をつくることはですよ、アメリカに提供すること、それは米軍戦力の補足であると述べているんですね。これは本当に公的な発言として、国防長官が責任ある発言をしたことで、私は放置できないと思う。事実を調べて、私は明確に抗議と取り消しを日本政府としては行うべきだ。特に、あなたは当の本人ですから、明確な態度をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来私が御答弁申し上げておるのが日本政府の考え方であり、立場でございます。それ以上の約束とか、責任を負うとか、そういうことはないことを明らかにいたしておきます。
○上田耕一郎君 取り消しはしないんですか、ワインバーガー要求を。
○国務大臣(鈴木善幸君) これだけ国会で、責任ある私が国会を通じて日本国民に対して、また、恐らくこれは新聞等でも報道されると思いますが、米側にも伝えるでしょう、日本の政治の責任者がはっきりそのことを明確に申し上げておると。
○上田耕一郎君 全然だめですね。
○沓脱タケ子君 まあいろいろ言われますけれども、さっき私が御指摘申し上げた総理の防衛の範囲論というのは従来の見解と違うと思います。 そこで次へ進みますが、ワインバーガーが、三月二十七日に伊藤長官との定期協議で、干海里防衛に必要な具体的装備をどうするか、ことしの夏、ハワイの日米安保事務レベル協議で、日本の防衛費の伸び率についてアメリカの試算を提起するとまで言っているようでございます。で、総理が約束していないんだったら、何でこんなところまで踏み込んで言い出してくるのか、大変な問題だと思いますので、明らかにするべきだと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 私とワインバーガー長官との話し合いでは、先ほど総理からも御披露がございましたように、いま御審議をいただいております五十七年度予算で、日本側が七・七五%の伸びの防衛関係費をつくったということは着実な一歩として評価をするというようなお話があり、引き続いて、防衛力の整備に日本側としても努力をしてほしいというような、一般的なわが国の防衛力整備についての期待表明はございましたけれども、お話しのような、数字を挙げて日本の防衛力整備について言及したことはございませんでした。 また、ハワイ協議におきましても、いま防衛局長が申し上げましたとおり、恐らく今回もフリートーキングのような形で話があるわけでございましょうから、その中でアメリカ側としての試算というようなものを、それもいろいろあるというような印象でございましたけれども、そういうことはフリートーキングの形で出るだろうと思いますけれども、今回の会談ではそういう踏み込んだ形でのわれわれに対しての要請、期待表明はございませんでした。
○沓脱タケ子君 総理、総理が約束をしておられないのだったらね、私はいまの話を聞いていると、アメリカの方はそれじゃとんでもない誤解をしているんじゃないかということになるのですよね。だって、総理や防衛庁長官の話を聞いておると違うんだけれど、ワインバーガーの言い分と全然違うんだから、約束もしてないのにそんな勝手なことを言っているというんでは困るんですね。 そこで、総理はいつもレーガン大統領との間では個人的な御信頼関係もあるんだと言っておられるのだから、ひとつ、レーガンにこんな約束もしてないことを余り勝手なことを言わないでくれとはっきり言われたらどうですか、一遍。これはもう国民が誤解に誤解を重ねますよ。その辺ははっきりしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米首脳会談では日米共同声明、あそこで明らかにしたとおりでございまして、そういう国民に報告されない約束などが陰に存在するというようなことは、これは絶対にございません。この点は明確に申し上げておきます。 と同時に、レーガン大統領は日本の防衛の問題については、日本政府が自主的に御判断をされる問題であるから、米側としてそれに対してあれこれ注文をしたりすることはしないと、こういうことを言っておるわけでございます。私はそういう意味で、ワインバーガー国防長官であるとか、あるいはハワイ会談等に出てまいりますところの向こうの軍関係の人たちが言っていることは、期待の表明であるというぐあいに受けとめておるところでございます。
○沓脱タケ子君 まあこの問題の最後にしたいと思いますが、五十七年度の予算案で防衛費が二兆五千八百六十一億ですか、で、政府は国民の悲願の一兆円減税にも背を向けておられる。一方、午前中の論議でもありました五六中業では十九兆から二十兆も軍事費がこれからかかろうとしている。それでもまだ足りないなんていうようなことをアメリカから言われたら、これは、この状態は国民はとうてい了承できませんよ。 そこで総理、あなたがまいた種なんですよ、こういうことが、次々問題が起こってくるのは。だから、自分がまいた種は自分で刈ってもらわにゃいかぬのです。公約をしてないと言うのだったら、やっぱりアメリカにはっきりしてもらいたいと思うんですね、次から次、公約だ公約と言われぬように。アメリカの納得が得られないんだったら、こういう事態というのは国民が納得できませんからね。総理は政治的な責任をおとりいただかなきゃならないんじゃないかと思うんです。その辺はっきりしてください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、日本の防衛力の整備の問題は、憲法並びに基本的な防衛政策に基づいて、そして国民世論の動向、また財政事情、他の政策との整合性、そういうものを総合的に勘案をして日本政府が自主的に決定をする問題でございます。よその国のだれからもそれを強要されて行うものではないということを明確に申し上げておきますし、最終的には国会の御承認、御判断によるものでございますから、十分その点は御安心を願いたい。
○沓脱タケ子君 もうこれはあなたの責任を私どもが負うわけにはまいらぬのですね、その点をはっきりしておきましょう。時間がありませんから次に参ります。 公共事業と政治献金に関連してお伺いしたいのですが、国民の税金で行われている公共事業を請け負っている業者ですね、企業の政治献金、これについて総理は本予算委員会で三月十六日、官公需等の仕事を請け負っておる企業からの政治献金はいろいろ疑惑を受ける可能性があると考えるので、閣僚その他重要な立場にある者は自粛をするように私から指導してまいりたいと御答弁をなさっておられます。どのように御指導なさったのか、閣議で申し合わせをなさったのか、その辺をお聞きをしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 閣僚の諸君とは常にそういう問題につきましても話し合いをいたしておる点でございまして、その点は十分徹底をいたしておると承知いたしております。
○沓脱タケ子君 閣議で徹底したのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 閣議ではすでに組閣並びに改造内閣の出発に当たって言っておるわけでございまして、そういう点は十分いま申し上げたように徹底を図っておるところでございます。
○沓脱タケ子君 それじゃ、中川長官にちょっとお伺いしたいのですが、三井建設の昭和五十六年二月二十五日付の「五十六年政治団体加入承認の件」という文書がございますが、これによりますと、三井建設はあなたの政治団体である近代政治懇話会に対して五十六年度二十四万円寄附することになっておりますが、お受け取りになりましたか。
○国務大臣(中川一郎君) 数年前から月二万円ということで会費としていただいております。五十六年度もいただいておると思います。
○沓脱タケ子君 いま鈴木総理は、閣僚その他重要な地位にある方々は官公需等を請け負っている企業の政治献金を受け取らないように自粛を指導すると言っておられるのですが、これはこれからはお受け取りになるのですか、ならないですか。
○国務大臣(中川一郎君) 三井建設さんは官公需関係ありますけれども、科学技術庁とは特にございませんで、しかも二万円ぐらいであるならばモラルの面から言ってもそう批判を受けるものではないと思いますので、相手さんさえよければ今後もいただいてまいろうと、こう思っております。
○沓脱タケ子君 それじゃ、総理のお考えと違うんですね。
○国務大臣(中川一郎君) 批判を受けるようなほどの金額はもらってはならないと総理は考えておるようでございますし、そう総理と変わっておるとは思っておりません。
○沓脱タケ子君 それじゃ、金額が少なかったらもらうと言うんですね、総理の考え方と違うのですね。いいですか、総理。
○委員長(植木光教君) 沓脱君、どなたに御質問ですか。
○沓脱タケ子君 総理、いいですかと言っておるんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 中川長官に対しましても今後その点は自粛してもらうようにしたいと、こう思っています。
○沓脱タケ子君 それじゃ、ほかの閣僚も受け取らないでしょうね。たとえば渡辺大蔵大臣、河本長官、中曽根長官、宮澤長官、ちょっと念のためにお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 代表でお答えをいたしますが、自分自身政治家としてあるいは閣僚として考えまして、モラルに反するようなことはいたしません。
○沓脱タケ子君 他の大臣の方々もよろしいんですね、それで。
○委員長(植木光教君) ただいま宮澤官房長官から代表してお答えしますということでございました。
○沓脱タケ子君 先ほどの三井建設の文書を見ますと、二階堂幹事長や田村国対委員長らも出ているんですね。こういう、総理、自民党の三役など重要な立場にある方々にはどうなさいますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 十分今後そういう点は注意をして自粛するように私から注意をいたします。
○沓脱タケ子君 それじゃ、官公需の請負企業から政治献金を自粛するというのであったら、官公需受注業者から政治献金をいっそ禁止をしたらどうですか。総理どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は選挙に関してそういうことがあってはならないと、こういうことになっておるわけでございますが、その他の場合は企業の政治献金、これが面接の公共工事の受注だとかそういうようなものに関連をして献金がなされると、これは私は不明朗なことであり避けなければならないと思いますが、一般的に政治活動を支援するという意味で企業が献金をするというようなことまで私は規制をするというようなことはいかがかと、こう思っておるわけでございます。これはそれぞれ政党の立場におきまして財政その他いろんな事情があるわけでございますから、そういう点は本人の良識にまって処理すべきだと、こう考えております。
○沓脱タケ子君 禁止するとそれは言えないでしょう。自民党の政治団体である国民政治協会が官公需受注企業から巨額の政治献金を受けているんですよ。それで、去る二十九日の本委員会の集中審議で私は御指摘を申し上げましたが、大手建設会社の業界団体、いわゆる日建連と言われている日本建設業団体連合会、ここに加盟している法人余貝の四十六社、これが昭和五十五年に国民政治協会に約八億円を超える政治献金をしているんですね。総理にも一昨日ですか資料をお渡ししておきましたが、しかもこの献金は、日建連が十日会という裏組織を使って加盟各社を資本金と完成工事高によって四ランクに分けて割り当てをしているんですね。いわばその二十四兆に上る公共事業費の一部が還流するやり方に、システムになっておる。公共事業を受注してもらうためには割り当てに嫌でも応じなければならないのだと、すでに関係者さえ言っているんですよ。このようなことがやられているというのは、やっぱり国民の立場から許せませんよ。もうけ仕事は談合で、もうけの一部はまた談合で自民党さんへと、こんなこと許せますか。自民党もこれはひとつ官公需を請け負う企業から献金を受け取ることをおやめになったらどうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは公共工事の執行と直接、政党にしてもあるいは政治家にしても、結びついてはいけない、こういう考え方に立ちまして政治団体というものがつくられて、そして政治団体がそういう各方面の政治献金を受けると、こういうことでございまして、それが一々自由民主党に対してどの建設企業からこれだけあったとか、個別に報告がなされて、そしてそれによって工事の発注に手心を加えるとか、そういうことには相なっておりません。そういうようなことで完全にそれは断ち切られておるということであって、不明朗な操作等がそれによってなされるというようなことはないことを明らかにいたしておきたいと思います。
○沓脱タケ子君 割り当てをされているというところが問題なんです。 時間がありませんから次に行きますが、厚生省ね、舘山不二夫大臣官房審議官は、公費で堂々と事前運動を指摘されて辞職をいたしましたが、なぜ懲戒免職にしなかったんですか。
○政府委員(吉村仁君) お答え申し上げます。 私ども、舘山審議官が政治の道を歩みたいという申し出がございましたので辞職を承認したわけでございまして、懲戒免職にする事由はございませんでした。
○沓脱タケ子君 舘山審議官が、昨年八月に審議官になっているんですが、九月以降の出張先と出張日をちょっと言ってください。
○政府委員(吉村仁君) お答えを申し上げます。 九月が出張が一回でございます。福井市へ出張しております。それから十月が二回でございます。岐阜市と福井市に出張しております。それから十一月が二回でございまして、花巻市と武生市に出張しております。それから十二月が二回で、敦賀市と福井市に出張しております。それから一月が一回で姫路市に出張しております。それから二月が二回で福井市に出張しております。三月はございません。 以上でございます。
○沓脱タケ子君 だから、七カ月の間に十回出張して、福井県外というのは二日でしょう。ほとんど福井なんです。しかも行っているのは——けしからぬですよ、たとえば、昨年十川七日から十日まで三日間出ているんだが、全国食生活改善大会出席及び福井県置県百年記念環境衛生展出席なんです。これは展覧会を二日も三日もぶらぶら見ているのかと言いたいわけですよ。あるいは十一月の二日から四日まで、これは三日の日に健康ウォーク開催あいさつのため。健康ウォークって、結局歩く会なんですな。歩く会にあいさつに行って、それで三日も出張しておる。 第一ね、ちょっと聞いておきたいけれども、厚生省というのは全国の小さい町の行事、これ一々全部審議官を出張さしているんですか。
○政府委員(吉村仁君) 出張は大体、行政上の必要がある場合に私ども認めております。また、関係団体からぜひ出席をしてもらいたいというような御要請がありました場合に出張を認めております。したがって、個別的にそれぞれ各局の事情というようなものを考えながら出張の決定をしておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 二月が十四日、三月が十八日しか出勤していないんだけれども、年休、出張はだれが指示するのですか。勝手に取るのですか。
○政府委員(吉村仁君) 旅行命令は、審議官、局長クラス以上は大臣が命令権者でございまして、次官が専決、決裁をすることになっております。それから休暇の承認につきましても、同じように承認権者は大臣でございまして、決裁は事務次官の専決事項ということに相なっております。
○沓脱タケ子君 大臣、そうしたら、ぐるみだって言われてもしようがないですね、了承しているんだから。——大臣、見解を。
○国務大臣(森下元晴君) 今回の舘山審議官に対する事前運動的な行為を頻繁にやっておるではないかという御指摘いただいております。そういう疑惑がございましたことにつきましては、厚生大臣としてもまことに遺憾であるということを申さざるを得ない。 ただ、内容的に、ただいま官房長から御説明いたしましたように、事前運動等の行為はやっておらない。いろいろと日数的にまた地域的にそういうようなことがございましたことは私どもも注意しなければいけないし、そういうことがあってはいけないと思っておりますが、先ほど懲戒免職というようなお話ございましたけれども、懲戒免職にすべき理由はないと、このように思っております。
○沓脱タケ子君 大体二月、三月といったら国会で予算審議で最も忙しいときでしょう。そんなときにたった十四日や十八日しか出勤せぬで勝手に休んでばっかりおって、ちゃんと認めているんですよ。 一体、舘山氏の退職金幾ら出すつもりですか。
○政府委員(吉村仁君) まだ退職金の決定はいたしておりません。また、退職金の金額につきましては、個人のプライバシーに関することでもございますので、一応二十六年勤務で審議官をやって退職をいたしました場合の退職手当金は、普通退職にいたしますと約千七百万円でございます。それから、勧奨退職にすれば二千七百万円でございます。
○沓脱タケ子君 大体、公費で事前運動して、まだなお勧奨退職や何やといって、割り増し金の退職扱いをしたら二千七百万やというんでしょう。大体これおかしいですよ、総理。国民は、こんな税金のつかみ取りをやって、それで勝手に選挙の運動をするなんていうことは断じて許せないですよ。 そういう点で、厚生省のこれは一つの実例であって、きょうは時間がありませんけれども、建設省だとかあるいは通産省その他でもいろいろと取りざたをされておりますし、私どもも調査をしておりますが、こういうむだを省くと言っているときにこんなむちゃなことを、これは断じて許してはならないと思うんですが、総理、厳重にこういったことを禁止するために厳しく監督をするように決意を述べてもらいたいと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 公務員が選挙に出るために、その準備行為に入って仕事を顧みないというような事態は、これは全く御指摘のとおり放任ができない問題でございまして、この前も同趣旨の御質問がございました際に、私はそのような立場にある者、政界に出ようという希望がある者、そういう者はきちっと出処進退を明らかにしてけじめをつけてやるべきだと、そういうぐあいに指導したいということを申し上げたわけでございますが、舘山君の問題につきましてそれが十分徹底をしない間にこのような御指摘をいただいたことは大変残念に思っておるわけでございます。今後一層徹底を図るようにいたしたい、こう思っております。
○委員長(植木光教君) 以上で沓脱タケ子君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、柳澤錬造君の締めくくり総括質疑を行います。柳澤君。
○柳澤錬造君 防衛庁長官、最初にお聞きをしていくのだけれど、ソ連の太平洋艦隊というのはどのくらいの戦力が配備をされているんですか。それからSS20、バックファイアなんかもどのくらいアジアに来ているのか、長官から御答弁いただきます。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) お答えをいたします。 ソ連太平洋艦隊には艦艇約八百隻、百五十八万トンが配備されており、このうち空母ミンスク、カラ級巡洋艦、新型ミサイル駆逐艦、潜水艦等の主力艦艇は約五百五十隻でございます。なお、原子力潜水艦は六十数隻に及んでいると見られております。なお、ソ連はSS20を約三百基、バックファイア爆撃機を海、空軍合わせ約百五十機以上保有しており、このうち極東方面には三分の一ないし四分の一程度が配備されていると見られております。
○柳澤錬造君 それじゃ日本の海上自衛隊はいまどのぐらいの戦力を持っているんですか。
○政府委員(塩田章君) 昭和五十六年度末、海上自衛隊の戦力は、艦艇約百六十隻、作戦用航空機約百九十機、自衛官の定員は約四万四千でございます。なお、トン数であらわしました場合に、海上自衛隊約二十一万二千トンでございます。
○柳澤錬造君 防衛庁長官、日本の海上自衛隊から比べればソ連の戦力は大変なものだと思うのだけれど、あなたこれでまくらを高くして寝ていられる方なんですか、それとも脅威を感じてもう安心して寝られないような感じなんですか、どちらの方ですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) なかなかむずかしい御質問でございますけれども、防衛庁長官としては一日も早く国会でも御承認を賜り、またわれわれが目指しております、また国民に御信頼をいただけるような防衛力の整美を一日も早くつくり上げたいという念願なり願望なり、またその努力を日夜相努めているところでございます。
○柳澤錬造君 今度は総理にお聞きするんですが、総理はよく他国に脅威を与えるような軍備は持たないと終始発言なさるわけです。いま長官に聞いたら明確な答弁しないんだけれど、脅威を感じるのは相手の国なんですね。日本の総理大臣が脅威を与えないと思っても、向こうが脅威を感じればそれは脅威なんですよ。その辺の点がどういうお考えでそういうふうな御判断をなさるのか。 さらに突っ込んでお聞きをしたいことは、他国に脅威を与えないような軍備なら持ってもむだだと思うんです、私は。脅威を与えるからこそそれが戦争の抑止力になるんであって、その辺についての総理の御見解をお聞きしたいんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) おっしゃるとおり、他国に脅威を与えておるかどうか、こういう問題は相手側がそう受けとめるかどうかということも一つ大事だと、こう思っております。と同時に、憲法並びに基本的な防衛政策に基づきまして専守防衛に徹する、必要最小限度の自衛のための防衛力を持つ、こういうことを基本にいたしておりまして、本当に必要最小限度の自衛力の整備ということをわが国は目指しておるわけでございます。それを着実にいま進めておるわけでありますが、私も中国なりあるいはASEANなり、いろいろ回りました際に、一体日本の防衛力、自衛力というものがどのような印象を与え、あるいは脅威として受けとめられておるかというところにつきましては注意深く各国の首脳とも、あるいは新聞その他の方面の意見を聞いたりしておるわけでございますが、日本のそういう防衛政策なり現在の自衛隊の戦力というようなことからいたしまして、脅威を与えておる、そういうぐあいに受けとめていないということを私は承知をいたしておるところでございます。これが第一点。 それから、他国に脅威を与えるようなものでないと自衛のための防衛力にも役立たぬのじゃないか、こういう御意見でございますが、この点はちょっと私は柳澤さんとは意見を異にいたすわけでございます。私は、外部からの侵略があった場合に、簡単に日本が占領され、既成事実を許さない、相当手ひどい反撃を食う、相当の犠牲を強いられる、これが一つの私は自衛力に相なるわけでございまして、まさにそのことを私どもは自衛のために備えたい、このように考えておるところでございます。
○柳澤錬造君 総理ね、そのお考えが支離滅裂だなんと言うといけないけれども、私は何も軍備拡大せいと言っているんじゃないんです。いまも、攻めてきたときに大きな打撃を与えるようにとおっしゃるように、だから、そうやってうかつに出てきたら大変なやけどをするぞというものがあればこそ彼らが出てこないわけなんでしょう。それを総理のように百万遍も他国に脅威を与えるような軍備を持たないなんて、そんなことを言い続けておったら、逆にそんな真空状態にあるようなものをつくることが戦争を起こすんですよということなんですよ。それはまた後でもって。その辺もうちょっと総理お考えをいただいておいて、それでもう一回防衛庁長官、まともに答弁してくださいよ。F4ファントムの爆撃装置をめぐって、もう衆議院以来、昭和四十三年の増田防衛庁長官が侵略的、攻撃的兵器を持たないという答弁をいたしましたということが機会あるごとに使われているわけなんです。この塙田長官の答弁がなかったら、侵略的、攻撃的兵器は持てたのですか、どうなんですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) F4の問題につきまして再三お答えを申し上げておりますけれども、政府はこれまで他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるような装備を保持しないという基本的な方針で防衛力の整備を図っておりますけれども、これは、わが国はあくまで自衛のため必要最小限の範囲で防衛力を保持するものでございまして、これに反するような装備は保有しないということを増田長官の発言は敷衍して申し上げているものと理解をしております。このようなことから、政府はこの基本政策をこれまで堅持してきたところでございまして、御指摘のように増田元防衛庁長官の発言がなかったとしても、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるような装備は持てるというふうには考えておりません。
○柳澤錬造君 防衛庁長官、増田発言がなくてもそれは持てないといまおっしゃったのだけれども、それは何がよりどころですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) これは、憲法あるいはまたわが国の防衛の基本理念でございます専守防衛等々からこういう結論が出てまいります。
○柳澤錬造君 結構です。増田長官がああいう発言をしなくても、日本国憲法からいって侵略的、攻撃的兵器は持てないのですということをなぜ明確に言わないのですか。それを言わないでもって増田長官の発言ばかり持ち出すから話が混乱するわけなんです。 そこで、その侵略的、攻撃的兵器はといってこの間もここで挙げられたときに、長官はICBMと戦略爆撃機を挙げました。それで私もそこへつけ加えてお聞きをするのだけれども、IRBM、それから核、これは入るんですか入らないんですか。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) IRBMも入ると考えております。
○柳澤錬造君 核は。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) IRBMもそのような兵器の例として入るものと考えております。
○柳澤錬造君 核は入るんですかと聞いているんです。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 核も当然入ります。(「入らないんだ」と呼ぶ者あり)
○柳澤錬造君 いま後ろの方で入らないんだと言っているのだけれども。 今度は防衛庁長官、防衛白書の中で、わが国の防衛政策の基本として、核兵器は、非核三原則を堅持して、憲法解釈上その保有が許されるものであっても一切これは保有しないと言っているわけなんですよ。ここのところははっきりしていただきたい。先ほどの侵略的、攻撃的兵器に入るんだということになれば、当然これは憲法上からも持てないことになるわけだ。この防衛白書の言っていることとは違ってくるので、そこの点明確にしてください。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほどの答弁を訂正いたしますけれども、憲法上は持てるというようなものでございますけれども、政府は政策として非核三原則を堅持しておりますので、一切の核兵器は保持しないということにしているものでございます。
○柳澤錬造君 いや私が聞いているのは、憲法上は持てるけれどもと言っているから、そういうことになるのですかといって聞いているんですよ。
○政府委員(角田禮次郎君) 核兵器と憲法との関係については、これまで再々申し上げておりますが、基本的に政府は自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは、憲法九条二項によっても禁止されておらない。したがって右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わずこれを保有することは同項の禁ずるどころではない、こういう解釈を従来から政府の統一見解として繰り返して申し上げているところであります。したがって、核兵器のすべてが憲法上持てないというのではなくて、自衛のため必要最小限度の範囲内に属する核兵器というものがもしありとすればそれは持ち得ると。ただし非核三原則というわが国の国是とも言うべき方針によって一切の核兵器は持たない、こういう政策的な選択をしている、これが正確な政府の見解でございます。
○柳澤錬造君 私は理解できないから、法制局長官よりやっぱり防衛庁の方で、専門屋さんでいいから、その専守防衛の立場に立って、自衛上の立場に立って、どういうときに核を使うような場面が出てくるかということをちょっとお答えいただきたい、説明していただきたい。
○政府委員(塩田章君) ただいまも法制局長官から御答弁がありましたように、政策上わが国は核を持たないということが確立いたしておりますので、われわれといたしましては、核につきましてどういう場合にどういうものであれば、それは憲法上許されるものであるかということについての検討なり研究なりをいたしたことはございません。もともとわれわれは、非核三原則上持たないということがはっきりいたしておりますので、具体的にどういう場合ならいいのだということを考えたことはございません。
○柳澤錬造君 局長じゃだめだから、もう一回長官出てきて。私は、核を使うというときはもう攻撃の場合だけだと思うのだけれども、専守防衛の立場に立って自衛の手段として核をお使いになるような場面というのは、どういうことがあるんですかということを明らかにしていただかなければ、いまの法制局長官の答弁は成り立たないですよ。
○政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように研究をしておるわけではございませんけれども、再度のお尋ねでございますからあえて申し上げれば、たとえば核地雷といったようなものは、攻撃的なものでなくて自分を守るためのものでございますから、そういったものはあるいは防御的な意味じゃないかというふうに言われたこともございます。しかしいずれにしましても、それをわが国といたしまして、防衛庁といたしまして取り上げて研究したわけではございませんので、確たることはお答えいたしかねますが、たとえばそういうものがあるのではないかというふうな議論をされたことはございます。
○柳澤錬造君 余り研究しないことは言わぬ方がいいので……。 総理、今度はまたもう一回聞くのですが、総理は、いまの自衛隊法は大変よくできていると私が前に聞いたときにもお答えいただいたのです。ところが、領海侵犯されたときにどうするかというのは、あの自衛隊法の中には何にも触れていないんですけれども、それでも総理はいまの自衛隊法はよくできている法律とお考えになるのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 領海を侵犯されました場合におきましては、第一義的に私は海上保安庁が治安と警察の任務としてこれに対処する、そしてその海上保安庁の力で十分それに対処できない、こういう場合に海上自衛隊、自衛隊に対しまして警備行動を要請する、それに基づいて自衛隊法によってその際に海上自衛隊等が行動する、こういうことであろうと、このように私は理解をいたしております。
○柳澤錬造君 そんな国が世界じゅうどこにあるのですか。それから、じゃ今度は領空侵犯の場合は、これは自衛隊法にもあるのだけれども、現実に年間七百回からのスクランブルをやりながら毎年領空侵犯されているんです。これについては、いまの総理の御見解であれば民間の飛行機が飛んでいくのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) それはもうあなた御承知のように、スクランブルをかけて領空侵犯については対処しておる、こういうことでございます。
○柳澤錬造君 いや、対処しているのなら、具体的にどうしているんですか。領空侵犯、毎年やられているんですよ。それにどういう対抗手段をとっているんですかというのが私の質問なんです。
○政府委員(塩田章君) スクランブルをかけまして、わが方が上がりまして向こうの飛行機をまず視認いたします。向こうが領空侵犯のおそれがある、そういうコースを飛んでいる、まだ領空侵犯をしておるわけではないけれどもそのおそれがあるという場合には、警告を発します。さらに領空に入ったという場合には、領空に入っていることを言いまして退去するように求めます。それによって対処しておりまして、いままで十何回かございましたけれどもそういうことで対処してまいっております。
○柳澤錬造君 防衛庁長官、そのようなことで日本の防衛というものは大丈夫だって、長官、それこそ安心してまくらを高くして寝ているんですか。わが国の領海が侵犯されて、内閣総理大臣はそのときは海上保安庁が行ってなんて、そんな国が世界じゅうどこにあるんですか。領海が侵されるのですよ。
○政府委員(塩田章君) 領海が侵犯されたということ自体は、先ほど総理からもお答えがございましたが、警察権の行動の範囲として各国対処をいたしておると思います。わが国も海上保安庁が警察権を行使いたしております。世界じゅうどこにあるのかというお尋ねでございますが、いま具体的にどの国がどうやっているかということを手元に資料を持っておりませんけれども、コーストガード的なものを持っている国はわが国のみならずたくさんございまして、そういった点で対処しておるのではないかと思います。具体的には、いま資料を持っておりませんので具体的なお答えはいたしかねます。
○柳澤錬造君 後で資料を私の方へお渡しいただきたいと思います。時間がないので。 総理、最後に。今度国連の軍縮総会に出ていかれるので、核については総理の見解をよくもう何回も聞いているからいいのだけれども、通常兵器の戦争というものは依然として毎年のように、いまでも行われているわけですね。現実にもう一千万からの人が殺されているのですから。この通常兵器でこれだけやられているのに、日本が少なくとも平和を希求するならそれについて日本の役割りがあると思うのですよ。それについて、今度国連総会に行かれるときにどういう見解をお持ちか、あわせて私は外務大臣にもその点についての御見解をお聞きしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 柳澤さんから大変重要な御指摘がございました。全くそのとおりでございまして、いま無原則に武器が売買をされ、提供され、武器援助という形でも行われておる、そういうことで各地で紛争あるいは衝突が起こっておる、これが非常に世界の平和と安定を阻害しておるということでございます。このような武器の無原則な提供、供給というようなことはどうしてもこれは避けなければなりませんしいまた、軍縮においてはそういう点を強く規制をしなければならない。この点はこの前の軍縮総会におきましても当時の園田外務大臣がこの問題に触れまして、核軍縮のほかに通常兵器の軍縮ということを強く訴えたところでございます。私も、最近そういう傾向が非常に口に余るような状況にございますので、ぜひこういう点にも触れたい、こう思っております。
○国務大臣(櫻内義雄君) 紛争が起こりました場合は、国連の安保理事会におきましてこれについて協議をし、撤兵を要求するとか、事態の改善のために安保理事会はこれに当たる、あるいは国連の事務総長が出かけていきまして説得に努めるというようなことがございますが、また日本としてはそういう状態の起こらないように努力する必要がありますから、したがいまして、日本のとっておる経済協力の基本方針というものは経済的な不安、社会的な不安の起こらないように、そういう地域に対する経済協力を進めて良好な状態に持っていくということに努めておるわけでございますし、また軍縮問題に対する熱意を持っておりますゆえんのものは、軍縮、軍備管理によりましてそういう面から紛争の起こった場合に武器行使が少なくなるように努めておる、こういうことでございます。
○柳澤錬造君 これは総理、本当に本気になってお取り組みいただきたいと思います。イランとイラクが戦争をしたときも、私ここでもって、同じアジアなんだから役割りがないかと言ったのですが、結果的にはどちらも何かイスラム教で大変むずかしくて手が出せませんという御返事だったのですが、もう少しそういうことにお取り組みをいただきたいということをお願いをしておきます。 それで、これは乱やるつもりはなかったのですが、総理はまたきのう京都へ行かれて、参議院の全国区制をどうしてもこの国会で成立させるんだといって御発言なさっているのでお聞きするのですが、それほど総理はこの全国区に執念を燃やしておやりになりたいのですか。衆議院以上にこの参議院を政党化させたいというお気持ちで考えているのですか。そこのところをお聞きしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 参議院選挙の全国区例の問題につきましては、各方面からいろいろ問題点を指摘されておるところでございます。特に全国区制には金がかかり過ぎるということ。これはかけなければかからぬじゃないかという御意見がありますけれども、それは特定の方だけであって、一般的には物理的にも自分の経歴なり政見なりを有権右に徹底をさせようということになれば百万人に配るだけでも六千万円も一回にかかるというようなことで、大変なこれはお金がかかる。それからまた有権者の候補者の選択にも、したがって非常に困難をきわめる。また候補者本人も、全国を駆け回らなければいかぬわけでありますから、肉体的にもこれは大変な重労働である。いろいろな面から改善が必要である。こういう点を改善いたしますためには、どうしても私は個人本位の選挙制度から政党太位の選挙制度に変えるほかはないであろう。これについて、それは今度参議院の性格にかかわる問題である、こういうことをおっしゃるのでありますが、現在の参議院はすでに政党政治に私はなっておるのが実態である、このように実は思っておるわけでございます。そういうような観点から、この全国区制の改革、改善をするには、個人本位から政党本位の選挙をやる。私はここで強行するなどということは考えておりませんけれども、長年の懸案であるこの問題がここまで参りましたから何とか各党各会派でいろいろなお知恵を出し合って、案を出し合って、お話し合いの上でこれを実現するようにお骨折りを願いたい、このように考えております。この機会を逸しては恐らく半永久的に困難なのではないかとも考えておりますし、各党各会派でひとつこの際真剣に取り組んでいい結果が出るようにお願いをしたいものだと、こう希望いたしておるところでございます。
○柳澤錬造君 それは総理いつも言っていることですからわかるのですけれども、これは総理でもそれから自治大臣の方でもいいのですけれども、それを考える前に、公職選挙法の第十三条の別表第一で選挙区の定員について決めているわけです。あそこでは「本表は、この法律施行の口から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」、法律で決められているのですけれども、これが守られていないことはどういうことなんですか、この方が先じゃないんですかということをお聞きしたいのですが、自治大臣でも結構です。
○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。 衆議院の選挙区別の定数問題はいろいろ問題になるところでございますが、これは選挙制度の一番基本になる問題で、これまでも各党の間で意見の調整に基づいて改正が行われてきたところでございます。今後ともやはりこの線に沿って各党間で十分論議を尽くした上でやっていくのが民主的であり、かつ現実的な方法であると思うのですが、御指摘になりましたこの十三条でございますが、五年ごとに「国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」ということになっておりますが、このあれは訓示的な規定でございまして、法律よりももう一つ幅を広げた解釈の可能なものであるというふうに理解しております。
○柳澤錬造君 じゃ、自治大臣はもう一回、それでこれ最後にこの点は総理にもお答えいただくんですが、昭和五十一年の四月の十四日、最高裁の大法廷の判決ではいまの選挙の定数のあれについては違憲だという判決が明確に下っているわけですよね。もう何年もたっておるのだけれども、それでも政府はお直しにならないんだけれども、それはどういうことになるのか、お答えいただきたい。
○国務大臣(世耕政隆君) 昭和五十年に定数改正がありまして、その前の昭和四十七年の総選挙についての最高裁の判決が違憲であるということが出されまして、これは承知しております。 その後の定数の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、きわめて政党政治とか選挙制度の基本になる問題でございますから、各政党間のよって立つ母体が違いますので、各政党の間の意見が調整されないとなかなか困難であるということでございます。
○柳澤錬造君 総理、お聞きになったとおり。衆議院の方は各党の意見の調整がなかなかむずかしくてできないからって、それで参議院の全国区制のこの問題についても各党の意見調整が済んだわけじゃないわけでしょう。これも違っているわけなんです。いまのところは自民党が単独でお出しいただいているだけなんです。何でそんなにまでしてごり押しをなさるんですか。せめて参議院もああいうような、いまのは金がかかり過ぎるというなら、どうやったら金がかからない選挙ができるかと言って各党各派で集まって相談をしてくれと言うのが、総理、先じゃないんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 定数是正の問題は、これは国勢調査等の結果等を踏まえまして常にやはり見直しをする必要があると、こう考えておりまして、ただそれをやる場合におきまして、政府が乗り出してそのことをやるべき問題であるか。これは定数の是正は即選挙区制の変更にも影響がある、政治情勢にも消長を、大きな影響を与える、こういうようなことから各政党においてもいろいろ御主張があり、お考えがありますけれども、まだそこまで具体的に提案をされるというところに至っていない。前に一遍やったことがありますが、今日それがなされていないということは事実でございます。そういう中で全国区制だけをなぜやるのかと、こういうことでありますが、これは先ほど申し上げたとおりであり、また政党間においても、自由民主党では昨年来一年有余をかけて具体的な案づくりをやり、また各党でもそれぞれ構想を固めておられる段階であって、これが自民党から案が出たのを契機にして、各党でそれぞれ案を持ち寄って御審議をいただきたいと、私はそのように考えておるところでございます。
○柳澤錬造君 いや、総理、私が一番聞きたいのは、衆議院の方は法律で決められてもそれを守らない。最高裁から憲法違反だと言われても、それにも従わない。その理由は何かというと、先ほど自治大臣が言われたように、各党各会派の調整ができないからなんだということなんです。だったら、この参議院の全国区改正についても、自民党単独立法するよりかも、各党各派のそういう調整をして、それで各党各会派の合意を得た上でもって、それを出してくるというのが順序であるにもかかわらず、自民党単独で何でそれまでごり押ししてやらにゃいかぬかって聞いているのですよ。
○国務大臣(鈴木善幸君) 柳澤さんおっしゃることも一理あるわけでありますが、しかし、自民党だけで単独で押し切るということではございません。自民党は自民党案を提案をして各党の御意見も伺い、各党からも案が出てきてそれを調整するようにということでせっかく努力中であるということでございまして、自民党単独でこういうものをごり押しをしようという態度はとっていないことは、柳澤さんも十分御理解をいただいておることと思います。あなたのところにもせっかく御相談に行っているということも聞いております。
○柳澤錬造君 私は相談なんか受けてない。ともかく、総理、本当にこれはやっぱり慎重に扱ってほしいと思います。いまここでもっておやめになるということは総理の口から言えないと思いますけれども、これは大変大きな問題ですからそういう点を要望して、次に国鉄の問題に入っていくんですが、これは三日の日の新聞に発表されて皆さんもごらんになっているわけですけれども、白鳳党の国鉄再建小委員会が問題のある駅長、区長、助役に対してアンケートをやって、その実態が新聞に発表になったわけなんで、皆さんもごらんになったと思うのです。これをごらんになってどういうお感じを持っているか、国鉄の総裁なり吉井常務からお聞きしたいし、それから運輸大臣からもまずお聞きをしていきたいと思うのです。
○説明員(高木文雄君) かねがね御指摘を受けておりますように、私どもの方の現場の職場がいわば荒れておるということは、私も十分承知をいたしております。今回の御調査は、全国でも最も問題がある地域に勤務する管理者へのアンケート調査であったわけでございますが、したがって、各現場、調査対象になりました現場の管理者は、毎日日夜大変苦労しておる、苦慮しておりますので、そうした気持ちが調査結果に反映したものと考えております。ただ、ほかの職場はどうかという問題もございます。これについてもいろいろ評価があるわけでございまして、私どもといたしましては、私ども自身がなかなか手が及ばないところにそれぞれの党派なりあるいは新聞なりで御調査いただいて大変恐縮しておるわけでございますが、いずれにしてもそうしたことを契機といたしまして、一日も早くこれをどうやって直していくかということに取り組む覚悟でございます。率直に申し上げて相当ショックを受けているという感じでございます。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 自民党の小委員会があのようなアンケート調査をしてくれたことは大変よかったと思っております。われわれも昨今の国鉄の事態につきまして大変心配をいたしておりましたので、三月の四日に国鉄総裁に対しましていわゆる全職場、五千職場、二十九の管理局単位に、徹底的に今日報道されているようなあるいは世上で評判になっているような悪慣習があるのかないのか、あればそれをどのようにして直すか、きわめて厳重な警告を発したわけでございまして、三月の二十五日に国鉄総裁以下幹部から中間的な報告の簡単なものを受けたのでありますが、この実態をさらにどのようにこれを改善するかという、またしたかという報告は今月の中旬までに運輸省に報告をしてもらうようにいたしております。いずれにいたしましても、労使が正常な状態において現業を運行してもらわない限り再建はなし得ないというふうに考えております。
○柳澤錬造君 きょうはこの解雇処分にした人の再採用の問題について特にお聞きをしていくんですが、昭和五十二年の十一月、私が参議院の運輸委員会でこの問題を取り上げて聞いたときには、そういう解雇した人の再採用は三十名だという答弁があったんです。これも後で調べてみたらそれよりかかなり多い数字になっていたわけですけれども、その辺これは吉井常務理事おいでになったら常務理事の方で結構ですからお答えいただきたいです。
○説明員(高木文雄君) 五十二年の十一月であったと思いますが、参議院の運輸委員会でお尋ねがございました。担当常務から答弁させた上で私も補足答弁をいたしたわけでございますが、五十一年、二年に再雇用という問題が起こりまして、これいろいろ御批判を受けたわけでございますが、そのことについて御説明をいたしまして、こういうグループ、こういうグループ、こういうグループで合計しますと三十名の再雇用ということを御答弁申し上げておるわけでございますが、現時点で別の、全部を網羅して、答弁がどうも少し答弁漏れになっておりまして、全部網羅をいたしますと、その十一月の時点でその数は四十八名と御答弁申すべきものであったと存じます。その後、そうしたことは非常に問題がありますので、前から、その当時から決めておりました大体の基準に従って再雇用は非常に限定的にするという方向でまいりましたが、現在ではほとんど行っておりません。その後しかし総数でどうなったかといいますと、いま申し上げました四十八名という数字は六十二名になるということでございまして、最後は五十五年でございまして、五十六年にはゼロということになっております。
○柳澤錬造君 それで、これは高木総裁にお聞きをするのですが、その五十二年の後、五十三年の二月七日に衆議院の予算委員会で、わが党の河村議員が水戸鉄道管理局における暴行傷害の罪で懲戒免職になった者を再採用したということについてただしたときに、高木総裁の方から、ただいま御指摘の問題は私としましてもまことに遺憾な出来事で、私も大変びっくりしたわけでございます。私どもの知らないところで残念ながらそういうことが進行してしまったことであります。私どもは大いに現場の諸君を督励して、再びそういう不始末が起こりませんように督励してまいることをお約束いたしますと言ったんですが、これは間違いございませんですか。
○説明員(高木文雄君) その当時から一定の考え方をまとめまして、その考え方に反する者については再雇用というようなことはしないということであったわけでございます。 しかるに、ただいま御指摘の水戸の管内におきます事件、河村先生にもお答えしました事件はその基準に外れておりますので、そういう基準、私どもが、私が決めました基準に外れている者について再雇用というのはまことに遺憾であるというふうに御答弁申し上げました。そのちょうど御答弁申し上げましたころに、当時の管理局の職員、監督職員についての処分を行った次第でございまして、以後今日までそういう事件はそこで御答弁申し上げましたとおり起こっていないものと考えております。
○柳澤錬造君 そうすると総裁、その水戸鉄道管理局の幹部は処分をしたということですね。それでどういう処分をしたかということもお知らせをいただきたいということと、それから先ほど昭和五十五年にこれ以降にまた一名あったというふうに御答弁の中にありましたのですが、それはどこの職場でもって行われたのか、どういうふうないきさつ、経過があったのかということをお聞きをしたいのです。
○説明員(高木文雄君) 五十五年の分は東京西鉄道管理局でございました。甲府の機関区で生じた問題でございますが、これは実は五十二年の時点で国会でも非常に問題になりまして、お答え申しました基準といいますか、大体私どもの考え方から照らしますと、まあ再雇用あってしかるべきかという基準になっていたものでございます。ただ、その当時基準の中の非常に重要な要素として裁判所の和解、裁判所の勧告による和解ということを重要な要素として考えておったわけでございますが、裁判所のいろいろ御判断に時間がかかりまして、裁判所からの御判断をいただいたのがかなり遅い時期になりましたので、その一件だけが飛び離れてわりと最近にこの再雇用という形になったわけでございますが、これは先ほど私がそういうことは起こらないようにいたしますと申し上げた水戸の事件とは大分内容的には違うわけでございまして、と同時に大分その五十三年以後五十五年まで時間の経過があるわけでございますので、そうしたことについて十分ないろいろの何といいますか、配慮が尽くされていないと、たとえばこれは当然被害者にもよく話をした上でというような進め方にしておったのでございますが、どうもそこらが十分いってないというようなことでいろいろお騒がせして申しわけないと思っておりますが、考え方としては国会で御答弁した、申し上げたことと矛盾してないというふうに考えております。
○柳澤錬造君 総裁ね、私が非常に理解つかないのは、この裁判所で和解の勧告というとこれはあり得るわけですね。それで、いつまでも長いこと争ってもしようがないからこの辺でもって話をつけようということはあり得ることで、それはいけないと言わないんです。ただ、和解の勧告があってそれに応じて始末をすることと、そういう懲戒、解雇処分までした人をまた再採用するということは、これは全く別個の問題だと思うのですね。この前のときもそうなんですけれども、これは首だと言って処分をしておきながら裁判になって和解に持ち込まれた、和解に応じたならばそれは再採用するのが何かあたりまえのように考えられて国鉄の皆さん方が扱っておる、そこのところに私は問題があると思うのです。その辺について、私がいま言ったことについてどうお考えになっているか。あわせてこの点は私は主管の大臣にも御見解をお聞きしたい。
○説明員(高木文雄君) ちょっと補足さしていただきますが、その和解の案件というのはどういう和解の問題かといいますと、いろいろ職場でトラブルがあると。そのトラブルがあったことについて私どもの方から告発をし訴訟になりということなんですけれども、その和解というのは、たとえば暴行事件であれば暴行をした、非行事件を起こした職員自身が非を認める、悪うございましたということになるわけでございます、つまり有罪になります。有罪になって、たとえば罰金を納めるということになるわけでございますが、その際、本人の長い生活のこともあるから改悛の情が明らかだから再採用したらどうだ、こういう内容の和解になるわけでございますので、先ほどから申しております和解というのは、実は再雇用ということについても裁判所側の御意見が背後にあるということもございますので、そうしたことでそれを前提として再雇用ということのルールを五十二年時点で決めた、それによってやっておるということでございます。
○柳澤錬造君 大臣、最後にまとめてお答えいただきたい。 総裁、そうなってくるともう一回、甲府機関区で起きたという、どういう事件の経過をたどって、そうしてどういうことになったのかということを少し説明してくれませんか。
○説明員(太田知行君) 簡単に経過を御報告申し上げます。 この事件は四十七年の三月に発生しております。これに対しまして四十七年の七月に刑事事件として起訴されました。一方、国鉄の方は四十八年の二月、年が明けておりますが、国有鉄道法を発動いたしまして懲戒免職にいたしました。そして五十三年に至りまして、これは西管理局でありますが、この件につきましてしかるべく措置をしたいということで本社に上申がございました。ところが、その五十三年の秋の時点では刑事事件としてまさに進行中でございまして、にわかに結論を得がたいということで、いずれ刑事事件が確定するであろうからその時点においてそれが罰金刑以下であるならば、もちろん無罪を含めまして和解に応ずることあるべしと、禁錮以上であれば和解に応ずることはまかりならぬということで方針を与えまして、この問題を西局に戻し、その後の推移を見ていたところでございますが、刑事事件といたしましては五十五年一月三十一日に罰金刑五万円が確定いたしました。本人は控訴いたしておりません。そうして、五十五年の五月に裁判所の和解勧告がございまして、二カ月後の五十五年の七月に裁判所の和解が成立、そうして五十五年の八月一日再雇用、こういう経過でございます。
○柳澤錬造君 総裁、罰金五万円といってもこれは有罪だと思うのですね。だから先ほども申し上げたように、和解に応ずるということと、またそれを再採用するということは違うことなんで、普通民間ならば、刑事事件になって有罪にされた者をまた雇用でもって雇うなんてそんなこと考えられない。その辺が国鉄の特殊事情だと私は思うのだけれども、罰金刑であろうが禁錮であろうが有罪なわけだけれども、その有罪になった人を、ここから上ならば再採用するとかしないとかという、そういう基準を設けるということ自体がおかしいと思うのだけれども、その点はどうなんですか。
○説明員(高木文雄君) やや消極的な基準でございますが、禁錮以上の刑を受けた者はこれはもう再雇用ということはあり得ないということにいたしております。罰金であった場合に再雇用というふうにつながっているわけではございませんけれども、再雇用を考えるとすれば、少なくとも禁錮以上の罪ではないということが一つと、それから、もちろんその刑の判断に対して控訴をしないと。事実を、つまり罰金でありましても有罪と認識して、そしてその刑を本人が受けるということは、事実行為としては間違ったことをしたということを本人が認めることが一つと、そして認めるということは、すなわちある程度いわば改悛の情が認められるから当局側では和解、再雇用ということを考えてはどうですかという勧告をいただく、そういう場合に限ってでございまして、有罪であることは確かでございますから、罰金であれば再雇用というふうにはつながっていないわけでございます。
○柳澤錬造君 総理、お聞きになってどんなお感じになるか、これも最後に運輸大臣とお二人からお考えをお聞きしたいのですが、有罪であった人が罰金刑だからそれは和解しましょう、また再採用しましょうというその考え方がどこから出てくるか私はわからないのです。 そして次に私がお聞きしたいことは、暴力事件ですから加害者と被害者と両方いるわけで、皆さん方、ぶん殴ったりなんかして刑事事件までなった人たちには大変寛大な御配慮をなさるわけです。殴られてけがをしたりなんかした被害者について、皆さん方どういう扱いをなさったのですか。
○説明員(高木文雄君) これはもう当然に被害者と当局として話し合いをいたしまして、被害者としても許してあげてくださいということでなければそれはいけないわけでございますので、そういうふうにすることになっております。 ただ、甲府の事件の場合に、そこらの手続が十分とられたかどうかということについては、最近調べてみますといささか疑わしい点がありまして、その点は手続的にも適当でなかったなというふうに思われる点がございます。
○柳澤錬造君 いささかなんてものじゃなくて、刑事事件までなって有罪になった人が元へ戻ってくる。そして、被害を受けた人間は現実にもう職場におられなくなっているわけですよ。そんなことで職場の秩序が保てるかどうなのか。その点については、私は、運輸大臣、そして最後に、この前も総理に私の国鉄再建の考え方についてお話をして、それなりの総理の御答弁をいただいたのですけれども、御両所からその点について御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいまのケースでございますが、私いま、けさからこの事件について聞いておりましたけれども、甲府機関区において勤労を脱退した職員らに対して暴行が行われた。これに対して四十八年の二月二十日に国鉄法三十一条によって免職をしたと、こうしたケースであるようであります。 われわれといたしましては、こうしたことで刑が一応確定した者を再採用するということは、一般の企業におきましてはいわゆる不当労働行為等があったという場合以外には経営側において再雇用するということはほとんどない。委員の御承知のとおりだと思います。これが今回そのような形で一応復職を認めたということについては、よく国鉄当局からも事情を聞かなければならぬ問題であるし、こうした問題の処理いかんが、即また全般の職場規律の問題にも影響があるというふうにいま私は考えておるところであります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国鉄の問題が各方面から批判をいただいておるそういう中で、この職場の規律が乱れ、荒廃しておるというようなことで、それが刑事事件にまでなったりしている事案が相当出ておるということは、まことに残念にたえないところでございます。それに対する当局の措置、人事のけじめをつけるという面につきまして、果たしていまのようなことで国民が納得できるかどうかということについて、私も大変これを深刻に受けとめておるところでございます。国鉄総裁並びに運輸大臣からも御報告ございましたが、今後とも十分そういうことを厳に戒め、是正をするようにいたしたいと、こう思っております。
○柳澤錬造君 再建に取り組んで大変だと思いますけれども、よろしく本当にやっていただきたいと思います。 それから経済問題、時間がなくなっちゃいました。それで、企画庁長官に、五十六年度、もうとても四・一%行かないことは、だれも明らかなんだけれども、成長率、大体どの辺に落ちついて、GNPはどのくらいになりそうなんですか。
○国務大臣(河本敏夫君) まだはっきりわかりませんけれども、四・一%成長の達成は非常に厳しい状態にまあなっておるということでございます。 御案内のように、第一・四半期は一・二%成長、第二・四半期が〇・六%成長、第三・四半期に非常に大幅に落ち込んでおりまして、〇・九%ということでございます。第四・四半期はやや第三・四半期よりはいいと思いますけれども、いずれにいたしましても大変厳しいと、こう思っております。
○柳澤錬造君 GNP、見通し。
○国務大臣(河本敏夫君) 実はその数字はまだはっきりしないんですけれども、大変厳しいと、こういうことでございます。
○柳澤錬造君 時間がないですから、まだいろいろあるけれども、むしろ中川長官の方に、技術開発の問題でどうお考えになっているか。私が心配するのは、現在の技術というものは、かなりは外国からお金で買ってきたのがまだ使えているからいいんです。まだあと七、八年もっと私思うのですけれども、もうこれだけに日本が経済力を持ったら、そんな金出して買ってくるようなことは外国もさせないのですから、そうすると自前で開発しなきゃいけない。それが果たしてできるかどうか。いまのようなことして、十年先でどうなっちゃうだろうかということが心配なんですよ。そうしてくると、現在日本の国が、どのくらい政府が金出していろいろやっているかといったら、世界の中で一番少ないことはおわかりなんで、その辺について、数字ともどもに長官の御見解をお聞きしたいです。
○国務大臣(中川一郎君) わが国は残念ながら、技術立国と言いながら自主技術については外国から買っている方が多くて、わが国が外国へ出している方が非常に少ない。その比率で言うと二六%程度にしか達していない、売る方がですね。 しかし、ただ救いは、過去十年だんだん改善されつつある。十年前は〇・四%というような非常に少ないものであったのがだんだんよくなりつつある。一方、御指摘のように外国からいい技術はなかなかくれなくなってきたということもあります。そういうことを踏まえ、さらにこれから資源有限時代を迎えて、技術によらなければ暮らしなり経済は守っていけないと、こういう必要性も強くなってまいりましたし、またわが国の国際協力としても、技術の面で世界に貢献する日本にならなければならないと、こういう必要性も出てまいりました。 そこで、五十六年度、技術立国元年として、まず予算の面で、非常に厳しかったのでありますけれども、防衛費ほどではありませんでしたけれども、かなり前向きで予算の面においても枠をふやすことになっておりますし、五十七年度も、二年目としてこれまた一般会計でも力を入れております。 また、先端技術あるいは先導技術というようなもののやり方についても、官、学、民ばらばらであったものを一本化する、こういう仕組みも取り入れて、あるいは科学技術振興調整費、こういうようなもので横の連絡がうまくいくような仕組みもつくりまして、量、質ともに整えたところでございます。 しかしながら、まだ世界的に見て、全体としても技術開発研究投資が少ないこと、国民所得に比べてもまだ二・何%というようなことで、少ない。ひとつ国際水準の二・五、あるいはまた将来に向かっては三・〇ぐらい。また中身についても、残念ながら民間投資が大きい。簡単に言うと三対七。七が民間であり国が三というような形でございます。諸外国は五対五。どちらかというと、国の方が多い国がフランスなど、そういう形になっております。ミッテラン大統領が今度参るのも、そういった技術に非常に関心を持っておるということを私どもも高く評価し、この点については総理も非常に御熱心でございますので、二週には参りませんけれども、五十六年、五十七年、だんだんと階段的に改善をして、こういった国家的な使命、これからの国際対応に処していきたいと、こう思っておるわけでございます。
○柳澤錬造君 終わります。
○委員長(植木光教君) 以上で柳澤錬造君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、野末陳平君の締めくくり総括質疑を行います。野末君。
○野末陳平君 グリーンカードの抜け穴を探してあれこれと悪知恵が出てくる。今後もまた予想されるのじゃないかと思うんですが、最近一部で現ナマを、まあ現札と言いますか、これをひそかに海外へ持ち出す。これがグリーンカード対策として実行に移されているやに聞くわけで、もちろん少ないだろうと思うのですが、 〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 かかる形による円の海外流出は当然好ましくないわけですね。 当局の考えを聞くわけですけれども、第一問は、このグリーンカード逃れの金を現札の形で香港とかシンガポールとかそういうところの銀行へ預金をしに出かけて、預けたままで帰国する。あるいは現札を持ち出して、これをよその国の不動産などに投資する。こういうようなやり方は外為法上当然違反であると思いますけれども、どうでしょうか。
○政府委員(加藤隆司君) 旅行者などが五百万円を超える円現金を持ち出す行為は、外為法上大蔵大臣の許可を要することになっております。 なお、持ち出しました円現金を海外の銀行に預金する行為も大蔵大臣の許可を要することになっております。
○野末陳平君 すると、許可なくしてこういうことを行えばこれは当然違反であるということになりますけれども、この罰則ですね、この場合の罰則がどうなっているか、具体的に例示してもらいたい。
○政府委員(加藤隆司君) 外為法の七十条に罰則の規定がございます。具体例で申しますと、たとえば一千万円の現金を許可なく持ち出した場合の罰則は三年以下の懲役もしくは三千万円以下の罰金になります。あるいはこれが併科されることもございます。また、この持ち出した現金をさらに海外の銀行に預金した場合は併合罪になりまして、刑法の規定によりまして一・五倍になりますが、理論的には四年半以下の懲役、六千万円以下の罰金になります。
○野末陳平君 かなり重いわけなんですが、しかし実際には、いまのところこの現札は幾らでも持ち出し自由で罰則の適用がほとんどないんじゃないかと思うわけですね。 そこで、大蔵省に重ねて聞くのですが、この短期の旅行者で何千万あるいは何億、当然グリーンカードを逃れようというような、そういう一種の臭い金ですけれども、この円貨を持ち出す、こういう外為法上の違反について当然税関は検査ができるわけですね。それで成田あたりでこれやっていますか。
○政府委員(垣水孝一君) 御指摘のとおり、円の現金持ち出しにつきましては税関で関税法七十条の規定によりましてチェックすることになっておりますが、空港税関では、多数の出国者を短時間に通関させなくてはならないために実際上の検査には限界がございます。しかしながら、円札のみならず密輸出の取り締まりということがございますので、出国の検査場付近では税関職員が巡回等をいたしておりまして、挙動不審者に対しては質問や検査を実施しており、現に制限金額以上の円を所持している者については、許可を受けるように教示するというような、私どもは罰則を適用するのが趣旨ではございませんで、許可なくして持ち出すことができないということを教示して、たとえば超える金額については見送りの家族に持たせて帰すなり、そういったような指導をいたしているところでございます。
○野末陳平君 これまではそういうことでもよかったのではないかと思うわけですけれども、これからは必ずしもいまのような形における検査はよくないと。よくないというか、それでは足りないと、こういうふうに思うわけですね。この出国の際に当然もうちょっと厳しい検査の必要が出てくるのではないか、あるいは入国に際してもやはりこの外為法違反の有無というのを調べる必要に迫られるのじゃないかと、こう思うわけなんですが、調べていいというものじゃないし、罰則を適用するのが目的というわけじゃないんですけれども、しかし、いまのお答えのように全部は無理としても、ときには厳しいチェックをするという姿勢ですね、これを当局が打ち出さないと、外為法というのが事実上意味のないものになるおそれもあるわけです。たまたまこれをこの機会に強調するのは、やはりこのグリーンカードという問題がありますから、どんな悪知恵が今後出てくるかわからないかと言うわけですね。 そこで、いまのお答えをさらに一歩進めてほしいわけで、大蔵省はこの円貨の現札持ち出しに対して今後抜き打ち検査というような形で厳しく対応すると、こういう姿勢を見せてほしいのだが、これにはどうですか。
○政府委員(垣水孝一君) 抜き打ち検査をするかどうかについてはもう少し私ども検討さしていただきたいと思いますが、実は御承知だと思いますが、出国者にはパンフレットを配っておりまして、その中には、現在でも五百万円までですということを出国のときの御注意ということで明記いたしております。この点、ただいま申し上げましたように巡回等、規制の遵守を図るためにもう少し工夫をするとか、あるいは掲示によって、許可なくして制限を超える円を持ち出した場合には処罰されることがありますというようなことの掲示をするようなことはどうかというようなことを今後詰めて検討してまいりたいと考えております。
○野末陳平君 何となくのんびりしているんですよね。私の言うのは、まじめな旅行者に対してと言っているのじゃないんで、もうちょっとこう悪質な連中、意図的に持ち出していてと、これを言っているのだから、やっぱりもうちょっと厳しくという気がしますね。 まあ大臣、そこで、仮にグリーンカード逃れの金がこういう形で今度は海外へ出ていくなんというようなことになってくれば、そういうのが目に余ってくれば、あるいは話題になってくれば、これまたグリーンカードの弊害だと、こういうことになって反対する人たちに対していい口実にされちゃう、いい材料にされちゃう。ですから、やはり大蔵省が何となく後手後手に回るためにいろいろな問題が起きるのですね。ですから、こういうグリーンカードの抜け穴をねらうような悪知恵には今後とも機敏な対応をするということを徹底してほしいんですよね。外貨のいまの話も含めまして、重ねて大臣にお聞きして、次の質問に移ります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一年に莫大な人が外国へ行くわけですから、お金をどれぐらい持っていくかということを調べるのには、何とかいうあの機械じゃわからないわけですね、あれ、鉄砲とかピストルとかというのはわかるけれども。ですから、身体検査、トランク全部あけるということも非常にむずかしい。 問題は、グリーンカードというのはそんなに困るものじゃないんだということを一般の人に知ってもらいたい。まずそれが第一ですね。その次は、やはり日本において、非常に何かそういうお金を持っていると絵合課税になっちゃってもう八割もとられちまうというような心配があるいはある人があるかもしれない。したがって、そういうような点をどうするのか。これは総合課税にするというときには、いずれですよ、いずれ、諸外国も総合課税だから——日本は分離課税、だから税率控除が非常にきつい、日本は。外国は税率控除がうんとなだらかで低い、特に上の方は。したがって、これはやはり諸外国と同じように総合課税にする以上は、税率区分も総合課税にふさわしいようなものにするというようなことを考えてやるとか、あるいは何か、まあ国債なんかみんな買ってないわけですから、国債を買う人を優遇するとか、何か考えて、総合的に判断をしたい。私は、そういう誤解に基づいてまず持ち出したりなんかする人が一番多いわけですから、そういうことをまず安心させるというPRはもっと続けてやる必要があると思います。
○野末陳平君 いまの大臣のお考えは何度もお聞きしたわけで、それはそれで非常に必要で、誤解、不安というものがあってはなりませんけれども、しかし、誤解じゃなくて正しくグリーンカードを理解した上で悪知恵を発揮するのがまたいるわけですから、その辺も野放しというのが困ると、こういうことですから、ひとつよろしくお願いします。 ところで、総理にも聞いてほしいのですが、行政改革ですけれども、いずれ臨調で中身の濃い御答申が出されると思いますが、これに先駆けてやはりわれわれも、国会もお手本の一つ二つ示さなくちゃまずい。すなわち私の持論で、国会がまず何かをしなければということで、またかとおっしゃるかもしれませんけれども、先日も歳費の凍結が決まった、これは非常にいいことだと思いますよ。しかし、やればできるわけで、これをさらに一歩進めて、今度はこれをさらに一歩進めて、われわれの六月、十二月の期末手当、これもいまのままで果たしていいかどうか、国民によろしいと言われるかどうか、これは気になりますね。ですから、ひとつ財政再建期間中は、長くとは言いませんが財政再建期間中は、歳費の凍結をしたんだから、ついでに期末手当もこれはやはり返上するというようなことにしたらどうかと私は思うのですよ。自分で実は幾らだと思ったら、手取りはわかっているのだけれども支給額はわからないという、自分でもそのぐらいのお粗末で、大臣ちょっとこんなことをお聞きするのは申しわけないけれども、大体われわれのボーナスというか、年間手当というのはどのくらいで、衆参で総額とのぐらいになると見当づけられますか。
○政府委員(松下康雄君) ちょっとただいま私、単価の表を手持ちいたしておりませんが、昭和五十七年度の予算で申し上げますと、衆議院におきます議員歳費は、総額で七十五億四千八百万円でございます。なお、参議院におきます議員歳費は、総額で三十七億三千万円でございます。この中には三・八カ月分の期末手当が含まれてございます。
○野末陳平君 いやこれはまあお恥ずかしながら、自分でもわからなかったんですが、それで計算して調べましたら、私の場合でも年間に四百十八万円の手当が出る。そして、衆参の総額をしてみるとざっと三十二億円ぐらいになりそうで、もうちょっとになるらしいんですが、これは手当だけですよ。そこで、民間企業であれば、これはもう当然のこと、赤字だったらば役員というのは賞与は返上しているわけですから、国も赤字だとすると、われわれが役員並みかどうかは別として、やはりこのぐらいのことをするのは全然おかしくないわけですから、ひとつここはやせがまんでもいいわけで、ボーナスを一括返上するというような姿勢を国会もとるということが、財政再建とか行革とかという場合、論ずるのに何かやっぱり一つの意味が出てくるというふうに思うのですよ。だから、総理にこれはどうかと、国会の問題ではありますけれども、総理にお聞きしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国会議員の待遇の問題でございます。これらの問題は、いつも国会の議院運営委員会なりそういう場で各党、各会派で御相談の上でお取り決めいただいておるということでございますから、私は政府側からそういうことを申し上げるよりも、国会御自身でひとつお話し合いを願いたいものと、こう希望いたしております。(発言する者あり)
○野末陳平君 大体いろいろと後ろで声がしておりますけれども、やはりどうもそういうところが何か国民に変にとられる理由だと私は思うわけですよ。 じゃ、さらにもう一つ、何を言ってもなかなか私だけがいいかっこうをしているようにとられて困りますけれども、一応提案をさせていただけば、例の政治献金ですが、これも考えようなんですね。これは結果的に減税の財源になるかどうか、そういうこととは関係なくお話ししますと、政治献金と名がつくもの、私は決してこれが悪いと言うわけじゃありませんよ。しかるべききちっとした政治献金いただいてもいいんですがね。思い切って今度それ全部引っくるめてその中の一割くらいを国庫へ納付するような制度をつくったらどうか。現行法ではこんなこともちろんできませんよね。というのは、自治省に届けられた分だけでも千二百億円ぐらいあって、地方の分まで含めると二千億円近いらしいのですね。それからパーティー券なんというのも一枚三万円とかいうんでしょう。あれも入場税の対象にはなりませんけれども、やはりあそこも一割ぐらいとか、つまり政治活動に使うのも、一割国庫へ納付して国民に還元するのも結果的にはいいんではないか。同じ、むしろその方がかえっていいんではないかと思ったりしまして、そこでひとつ、この政治献金についても一割ぐらいを国庫へ納付するという案を、これはあくまでも案として、私が。そうすると、これ結構あるんですよね。さっきの期末手当返上分と、それからこの一割を仮に国庫へ戻せば二百数十億円のお金にはなるということですよ。だから、このぐらいのことしないとね……
○理事(土屋義彦君) 野末君、時間が参りました。
○野末陳平君 はい。 国民に対して申しわけないんじゃないかと思うわけですから。じゃ、最後にもう一度総理に重ねてお聞きして終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 行政改革に関連いたしまして、国会の方のいろんな行財政全般にわたっての御意見があるわけでございますが、これらの点については、十分ひとつ耳を傾けて国会御自身で御検討をいただきたいものと、こう考えております。
○理事(土屋義彦君) 以上で野末陳平君の締めくくり総括質疑を終了いたしました。 —————————————
○理事(土屋義彦君) 次に、青島幸男君の締めくくり総括質疑を行います。青島君。
○青島幸男君 私は、もっぱら選挙制度のことに関しまして総理にお伺いしたいと思います。 先ほどもお話が同僚委員から出ましたけれども、昨日京都におかれまして、総理は記者会見をなさって、その中でいま提案されております全国区の改革制度につきまして、その推進に大変意欲を燃やしておられるというふうな発言があったように新聞紙上承りましたけれども、その問題につきましてまず確認させていただくところから質問さしていただきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) きのう京都におきまして記者団からそういう御質問がございまして、新聞紙上に報道されておるような私の見解並びに希望を申し述べておいた次第でございます。
○青島幸男君 ただいまマスコミでも、当然国会の中でも、大変に議論を呼んでおる改革案でございまして、この際、この改革案につきまして逐一また総理から御説明をいただこうとも思いません。 ここで御主張のほどは私の方から申し上げても結構なんですけれども、要点は、このかっこうで選挙制度の改正をいたしますと、参議院の政党化がますます進んでしまって実際の参議院の本来の意味が失われてしまうのじゃないかというのも大きな論点の一つと思いますが、その点に対する自民党案の反対の趣旨は、現実参議院はもうすでに政党化してしまっているという事実がある、このことを踏まえて話を進めていかなきゃならぬ、こうおっしゃっているわけですけれども、衆議院の政党化は多少必然的な部分があるかもしれませんが、それでは全く衆議院と同じものになってしまって存在意義を失うということ、これはやっぱり大変私は重大な問題だと思います。 それから選挙区が広過ぎるという一つの論旨もございますけれども、わが国は幸か不幸か一言語、一民族でございまして、他国のように人種とかあるいは宗教などによる摩擦などは、特にアメリカなどのようには顕著でございませんですね。しかもマスコミュニケーションがかなり発達しておりまして、きょう九州で起こったことはすぐ北海道の人が知り得るという実情にあります。そういうことから考えあわせますと、選挙区が広過ぎるというのも確かに物理的な広さはございますが、特に東京に一割も人口は集中しておるようなことを考えますと、東京の一区ということと物期的な比較はなりませんが、観念的にはさして変わりはないのではなかろうかという気がいたしますので、選挙区が広過ぎるという言もこの制度改革の主要な柱になっておりますが、これも私はそれほど正当性のある御意見とは承れないわけです。 続けて申しますが、金がかかり過ぎるということは、総理いつもおっしゃいます最大の論拠のように伺っておりますけれども、これも衆議院もやはり同じようにお金がかかるのは現実だと思います。と申しますのは、だれが幾らかけたということは申しませんが、実際に私ども、選挙前あるいは選挙の半ばにおきましても、印刷物だとかビラその他の宣伝媒体などを拝見しますと、実際にお金がかかるだろうということは推測するのに当然でございますね。ですから、金がかかり過ぎるというだけで、いきなり参議院の全国区にこの制度改革を持ち込まれるというのも、私は論旨が通らないと言わざるを得ないと思います。 またもう一つの点ですが、有権者が選びにくいということをおっしゃっておられますが、選びにくさは従来と変わらないわけでして、従来のしきたりをがらりと変えるわけですし、それから、あの人は好きだけれどもあの政党は嫌いだというような方もおいでになるでしょうし、あるいは政党に投票するのではなくて、従来人に投票していたという習慣をがらりと変えさせまして、選挙民に負担をかける分につきましては同じことでございます。ましてあらゆる新聞等の世論調査を見てまいりますと、年々支持政党なしが増大しておる傾向にあります。このさなかであえて政党に向かって選挙してくださいということを国民の方に強いるのも酷な話かと思います。 もう一つは、この制度にいたしますと学識者が出やすいなどということをおっしゃられますけれども、いまでもそうなんですから、党利党略あるいはおのれの利害損得のためということがかなり表面に出てきている折から、この制度を用いましても現職優先ということになりがちで、結果、皆様方が言われる、自民党の方々が言われるようなことにはなりにくいんではないかというふうに考えます。 いろいろいま申し上げましたけれども、かかることを申し上げまして、衆議院も地方区も同じように現実、金がかかるということからいたしますと、必然的に政党化しても仕方がないと思われるような衆議院を飛び越して、しかも、参議院の全国区にだけいきなりこの制度を御採用になるという趣旨はどうしても理解いたしかねるのですが、いま私ども申し上げましたことについて、この案につきまして御再考いただきたいと思いますが、御意見承らしていただきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほど参議院全国区制について問題点が非常に多い、この制度の改革が多年の懸案になっておるということでいろいろ申し上げたのでありますが、 〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 それに対して青島さんから、私の申し上げたことについてそれぞれ御反論、また御見解の表明がございましたから、繰り返しません。繰り返しませんが、参議院の独自性ということを考えました場合に、これは一つの私は論拠であるわけでありますけれども、かつて衆議院の政党にとらわれないで緑風会という自由な会派がございました。そして緑風会が参議院のいわば大多数を占めたという時代があったのでありますけれども、しかし実際の政治活動をやってまいりますために政党化が参議院の方でも進んで今日のように相なったわけでございます。 私は、そういう意味でいろいろ参議院の全国区の問題についての問題点を処理、解決をいたしますためには、個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に変えるほかはない、こういうことで、自由民主党におきましてもいろいろ案をつくりまして各党に御相談を申し上げておる。また、社会党さんでも独自の案をお考えになり、また小会派等に対する配慮等もされた案を調整をされて、自民党の案と突き合わせて今後御検討もいただく機会があろうか、こう思っております。 どうかひとつ、それぞれの御意見があるわけでございますから、案を出し合って十分腹蔵なく意見の交換をいたしまして、そして全国区制の改正が大多数の皆さんの御賛同を得て実現できまするように期待をいたしておるところでございます。
○青島幸男君 私は、なぜこの席でこのようなことを申し上げているかと申しますと、当然この問題は公選法特別委員会で論じられてしかるべき問題だと思いますが、一番被害と申しますか、直接かぶります私ども無所属の人間たちが、正式のメンバーとしての議席が与えられておりませんし、オブザーバーとしての出席はお認めいただけるようでございますけれども、当然採決には臨めませんし、発言の機会も保証されてすらおりません。ですから、この場以外に私はもう申し上げる場がないので、しつこいようですが申し上げているわけでございまして、この辺、御理解をいただきたいと思います。 特にこれからの参議院のありようについて、もしくは立法府としての参議院のありようの根幹に触れる問題でございますので拙速を慎んでいただきたいということで、繰り返すようですがもう少し難点を申し上げます。 総理再三おっしゃられますのは、参議院の全国区が特に広過ぎるし、お金がかかり過ぎるから、これで何とか制度を改めたいと再三おっしゃられているようですが、参議院に立候補されて当選なすった方々は皆さん費用を自治省に届け出をなさっているわけですが、皆さん法定選挙費用以内のお届けです。総理が選挙にお金がかかるとおっしゃっていることに固執いたしますと、皆さんが虚偽の申告をなさっているということにならざるを得ぬのですが、その点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、虚偽の申告をしておるということを申し上げておるのではございませんが、自分の経歴なりあるいは政見なりをPRする必要が出てくるわけでありますが、そういうパンフレット等を百万人、二百万人に配布をするということになりますと、これはもう客観的に計算いたしましても、郵送料その他封筒を書いたりそういうような手当等を含めましたならば数千万円に、一回出すだけでも相なるわけでございます。そういうものを二回、三回出すということになりますれば相当の費用がかかる、こういうことになろうかと思いますし、また、実際にこれを調達をするというようなことからいたしましても、個人でこれを集めるということはなかなか私は困難な問題である、こう思います。 青島さんは御自分がブラウン管に乗って相当そういうものなしにも知名度も高いし、相当いけるという自信がおありになろうけれども、全部の候補者がそういうわけにはいかないのでございまして、そういうことのできない人でもりっぱな人がたくさんおられるわけでございますから、そういう人たちも国会に出ていただくようにいたしたいものと、こう思っております。
○青島幸男君 私のことについてとかく申し上げているわけではございませんで、私も、私などよりもっと優秀な方で参議院にふさわしい方、たくさんおいでになられて、その方々が、当然お出いただくのに阻害されている部分がかなりあると思います。ですから、その阻害されている部分を何とか直したいということで私この発言を申し上げているわけです。 総理のお言葉を返すようで大変恐縮ですけれども、総理、取り違えていらっしゃるんですよ。それはね、はがきを出したり、通信を行ったりすることも結構でございますし、政治家として立たれておられる方はそれなりに自分の政治信条、目的をいろいろな方々に知っていただきたいというために政治活動をなさることは当然のことだと思います。しかし、政治活動と選挙活動とは違うわけでしょう。選挙活動に金がかかるから選挙の方式を改めたいとおっしゃるわけです、総理は。しかしそれと違うわけでしょう。政治活動に金がかかるんだったら、それは衆議院にしても町会議員の選挙にしても、地方議会の選挙にしても同じことなわけですよ。全部取りかえなきゃならぬわけですな。そうなりますと、おっしゃられる論点がまるで違うのですがね、その点はいかがなものでございましょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 選挙活動にも金が要りますが、全国区の場合におきましては、これは客観的に見ても選挙運動にも莫大な金がかかると、私はこれは衆議院に比べたり参議院の地方区に比べたりいたしまして大変そういうことでは選挙運動にも金がかかる、これは事実だろうと思います。
○青島幸男君 そうなりますと、先ほどの自治省への届け出は虚偽でないと信ずると総理はおっしゃいましたし、選挙にも金がかかるんだということになりますと、それは事前運動を容認しているという御発言に受け取りますが、その点はいかがでございましょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) これはもう政治に携わる者としてよく承知の上でお話になっていると思いますが、政治活動、選挙活動、選挙運動、どこで線を引くか、これ非常にむずかしい問題であろうかと思います。そういう意味で、それらを含めまして相当全国区にお金がかかるということは事実であろうと、こう思います。
○青島幸男君 以上申し上げましたように、かなり矛盾を含まれておるわけですよ、この改正案というのは。しかもこれが国会の中だけで論じられてそのことだけで事を決していいのかということにもう一つ私は大きな疑問を持っております。と申しますのは、立法府の選挙のありようを立法府だけで決めてしまうというのは、これから相撲をとる人たちが自分で自分の都合のいいように土俵を決めるようなもので、矛盾が多いのではないんですかということをるる私は機会あるごとに申し上げてまいりました。これを外部の審議機関に依存することはどうだろうかということも提案したこともございます。 そのほかに、いまマスコミでもこの問題につきまして賛否両論相別れて盛んに議論をされておりまして、総理が言われるように、この全国区の現行制度の難点が非常に問題になっておって、もはやこれを改正せなきゃならぬという国民の世論は煮詰まったというふうな御発言も聞いたことがあるように伺いましたけれども、決して私はそのように理解しておりません。現に日弁連などの法律の専門家団体、専門家の集団も比例代表制を違憲というふうに考えております。新聞でも賛否両論あるので、国会内の多数政党だけで押し切ってしまわれるというのは私は大変に残念だと思います。たとえば日弁連が四年制の大学の助教授以上の教員についてアンケートを実施しましたが、この結果などをちょっと参考に申し上げますけれども、合憲だと考えておられる方は二七%しかおいでになりません。違憲だと考える方あるいは違憲の疑いが強いから考え直せというお考えの方六七%もおいでになります。一般の方々も、有識者と思われる方々はかなり疑問を持っておられるということは明白だと思います。 ここで時間のようでございますが、委員長お許しいただきまして一つだけ総理に御確認いただきたいことがあるのでお許しいただきたいと思います。長くは時間とりません。 事ほどさように、申し上げましたように、疑問点の多い改正案でございますので、私の願いといたしましては、撤回されあるいは再検討なされることを切に希望するものでございますが、しかし上程されたものでございますので当然これから審議が尽くされると思いますが、いつも総理おっしゃられますように、これは与野党とも国会の中の一つのルールだからなるべく大勢の方々のコンセンサスを得たいという希望をお持ちだということは確認済みでございます。そうですね。ですから、くれぐれも、このような重大な参議院の今後の議会制民主主義の基本にもかかわる問題ですので、強行採決で事を決するようなことをお考えになっているわけはないと思いますが、強行採決に訴えるようなことはないという御確認をいただきたいと思います。 このことだけで私質問を終わらしていただきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) この全国区制の制度の改革の問題につきましては、第一次の選挙制度調査会また第二次の選挙制度調査会等におきましても問題点が多々指摘をされておることは御承知のとおりでございます。 それから、日弁連の違憲論が出ましたけれども、私も新聞等で承知をいたしておりますが、これを自由民主党におきましては、これだけ案をまとめるに当たりましては、憲法との関連、違憲にわたらないかどうかと、そういう点が一番重大なポイントとして論議を尽くし、各方面の御意見も十分聞いた上で出した結論、こういうぐあいに承知をいたしております。 社会党さんでもいろいろ御検討いただいておるようでございますが、いずれにいたしましても、私いつも申し上げるように、選挙法、選挙制度というのはスポーツのルールのようなものでございますから、国会を構成されておる多数の各位、各党各会派の意見を十分論議を尽くされ案を出し合って、そうして大多数の御意見が熟されたところで成案を得ていただくように期待をいたしておるところでございます。
○委員長(植木光教君) 以上で青島幸男君の締めくくり総括質疑は終了いたしました。(拍手) これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(植木光教君) それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。竹田四郎君。
○竹田四郎君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度予算三案について反対の討論を行います。 和をモットーとして発足した鈴木内閣は、日に日に核戦争への道を突き進んでいます。 人間の命を守ろうという自然な簡明率直な反核運動は、欧州に始まり全世界を覆い、いまや米国議会内にも深くしみわたってきました。鈴木内閣は、常軌を逸したレーガン政権におもねって、防衛費を突出させ、反核運動の足を引っ張るなど、再び国民を核戦争の惨禍に陥れる政治行動に踏み出しました。 防衛費への傾斜とは全く反対に、鈴木内閣は、安らかな生活を願う国民の気持ちをじゅうりんするの挙に出ております。昨年度もわが党は、国民生活を守り経済発展を図るため大幅な所得減税を要求してきましたが、政府・与党はミニ減税でお茶を濁したのです。調整され過ぎた低い雇用所得とあわせて勤労者世帯の生活は苦しくなってきました。実質収入はやっと横ばいなのに所得税等の控除のため、可処分所得は五十五年、五十六年と引き続いてマイナス一%以上を記録しております。国民生活を犠牲にする五十七年度予算に反対せざるを得ないのであります。 政府の景気判断の誤りと無為無策は内需を低迷させ、中小企業の倒産と経営悪化を招き、大企業の輸出ドライブによる貿易摩擦、円安などは政府の経済政策の失敗の結果であります。われわれの主張にもかかわらず、本年度も是正する勇気を持っていないのであります。 他方、鈴木内閣の公約である財政再建も失敗することは明らかです。五十六年度赤字国債二兆円減額も崩れ去り、五十六年度税収欠陥と並んで五十七年度税収にも大きな狂いを生じ、建設国債の大量追加発行など、補正は必至であり、増税なき財政再建の公約は全く偽りそのものとなってしまいました。 以下、予算に即して反対の理由を述べます。 反対の第一は、不公平税制を温存し、勤労者に過酷な負担を強い続け、所得減税をしないことです。過去所得減税をサボり続けてきたことが今日の内需不足、貿易摩擦、税収欠陥を招いた大きな原因であります。五十六年の名目収入の伸びが約五%に対して、勤労所得税の伸びは二二・九%、実に二・六倍の伸びであります。 反対の第二の理由は、防衛費の突出です。国民の声よりもレーガン政権の要求に唯々諾々とこたえ、社会保障費、文教費を犠牲にし防衛費を七・八%も伸ばし、経済協力費も紛争周辺国に集中させるなど、広島の核の惨禍や、平和憲法の精神を忘れた暴挙と言わざるを得ません。さらに、シーレーン防衛や、多額の後年度負担額を背負い込み、やがてGNP一%以下の歯どめをも外させるでありましょう。また昨年、本年とわが党が指摘したように、防衛費の内容は、F4試改修にも見られるように、予算書等だけでは全く内容を知ることができず、国会のシビリアンコントロールは全く形骸となり、防衛予算の聖域化がひとり歩きをし始めたことに特に強く警告しておくところであります。 反対の第三は、社会保障の切り捨てです。日本型福祉社会と称して受益者負担を前面に押し出してきました。また、日本の社会保障も国際的水準に来たといって福祉の切り捨ても図っております。日本の福祉の環境が十分にでき上がったというのでしょうか。受給する年金額とモデル計算上の年金額とは余りにもかけ離れ過ぎております。もし病気をしたらという不安は消え去っていません。定年退職後のことが心配でたまらないのです。だから消費を詰めて貯金をしないわけにはいかないのであります。財政機能の大きな一つは所得再分配です。社会保障の仕事にコスト論を持ち込んでくることを許すわけにはいきません。本予算についても、厚生年金等の支給額改定時期を一カ月おくらせ、高額医療費自己負担限度額を一挙に五万一千円まで引き上げることも許すわけにはいきません。 反対の第四は、文教費の切り下げです。今日の世界じゅうの国々で、一学級編制は四十人以下が圧倒的であります。わが国でも、わが党の主張によって最近四十人学級への計画がスタートしたばかりであるのに、行財政改革を口実にこの計画の凍結を行おうとしていることであり、また、危険度の高い文教施設の改増築をカットしたことであります。今日、学校暴力など、教師と生徒との心の触れ合う機会やあり方を厳しく問われております。子供たちは行財政改革を待ってくれないのであります。世界の中でその行動を厳しく問われている日本の次の世代の国民の健全な育成に対して、その費用を惜しんだり、時を延ばしたりしてはならないと思うのであります。 反対の第五は、見せかけの財政再建に終始していることです。 相も変わるぬツケの後年度回しによるつじつま合わせ、国民に負担を転嫁するだけの財政再建であることを指摘せざるを得ません。国民に負担を求めるものとして、さきに述べた高額医療費自己負担限度額の引き上げのほか、老人保健法による老人の新規負担、国鉄の運賃値上げ、消費者米価三・九%引き上げによる食管会計における六百六十億円にも上る増収措置など、枚挙にいとまがありません。また、年度所属区分の変更を歳出面にも応用し、国民健康保険に対する国庫補助金を五十七年度では十一カ月分の歳出で済まそうとしております。また、厚生年金についても三年間国庫負担額を原則四分の一減額し、後年度補給しようとするものなどであります。 最後に、私は五十七年度予算に関連し、暫定予算の提出を怠った政府に対して反省を促すものであります。今日五十七年度が開始され、五日を過ぎたにもかかわらず予算が成立しておらず、予算の空白が生じております。このやみの状態が長期化すれば、国民生活に重大な支障が生ずるため、予算の早期成立を迫られ、予算委員会の審議権が大きく制約されてまいりました。かかる状態が近年恒常化していることはまことに遺憾であります。今後参議院においても充実した審議を行うことができるように予算の年度内成立が困難と予想された時点で暫定予算を提出するよう強く要求いたします。 また、所得税、住民税については、この後で減税決議をする予定になっておりますが、これは国民的な要望であります。不公平税制の改正の問題、内需拡大の問題として本院も最大限の努力をいたしますが、政府も早期に減税が実現できるように、みずから検討し、実現のできるよう最大限の努力をすべきであることを付言して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 次に、松尾官平君。
○松尾官平君 私は自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度一般会計予算外二件について賛成の討論を行います。 御高承のとおり、今日わが国の最も緊急かつ重要な政策課題は、わが国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るため、内外の社会経済情勢の推移に即応しつつ、内需に力点を置いた景気の維持拡大に配慮するとともに、行財政改革と財政再建を引き続き強力に推進し、将来に備え速やかに財政の対応力を回復することにあります。 五十七年度予算編成は、鈴木総理の英断により、これを増税に頼ることなく推進することが早々と決定され、そのため、昨年春以来いわゆるゼロシーリングの設定を初め、第二次臨時行政調査会の第一次答申、行革関連特例法の制定など、適時適切に行財政改革のための施策が実施されてまいりました。 五十七年度予算は、こうした一連の行財政改革の基本路線に沿って、歳出の削減を中心に一兆八千三百億円の公債減額を実現し、着実に財政再建を推進したものとして、私どもの評価するところであります。 すなわち、歳出はわずか六二一%の伸びであり、特に、国債費及び地方交付税を除く一般歳出について見ると、一・八%という、きわめて低い伸び率にとどまっております。そのために国家公務員の定員の大幅削減、大幅な補助金の整理等、並み並みならぬ歳出削減への努力が払われたところであります。この結果、予算の公債依存度は、二一・〇%へと昭和五十六年度予算に比し、五ポイント以上も低下するところとなっております。 他方、こうした歳出削減の中にあって、財源の重点的、効率的配分が行われており、中長期的視点から充実を図る必要のあるエネルギー対策、科学技術の振興、経済協力、防衛力の整備には配慮されているところであります。また、国民的関心の高い社会保障、文教など、国民生活に密着する経費についても、真に国家の援助を必要とする人々への施策を中心に、その充実が図られているわけであります。この点について、審議の過程で防衛突出、福祉しわ寄せとの批判がなされました。しかし、一般歳出増加額約五千七百億円中、社会保障関係費は、二千五百億円、文教・科学振興費は千二百億円、両者合わせると三千七百億円となっており、増加額の六五%を占めていることから見ても、政府の福祉優先の施策がいささかも変更されていないことは明白であり、かかる批判は全く論外と言わざるを得ません。 また、景気に対しても、住宅対策を初めとして、あらん限りの知恵を出し、可能な限りの配慮がなされているところであります。 このように見てまいりますと、五十七年度予算はきわめて圧縮された規模の中で、最大限のめり張りをきかせ、国民的要請に十分こたえることのできる最善の予算と考えられるのであります。 しかしながら、前にも述べましたように、今日のわが国経済は、依然として低迷、縮小状況から脱し切れず、アメリカの高金利による円安問題を初めとして、貿易摩擦の激化、税収の伸び悩みなど、予想以上の厳しい事態に直面いたしております。中でもわが国の当面する国家的課題の一つに、対米、対ECとの貿易摩擦の問題があります。 わが国は、自由陣営国家群の中にあって、各国の信頼を保持しつつ、その円満な解決を図っていかねばならないという、非常に困難な大命題を抱えているわけでありますが、政府においては、わが国産業の現状や、国民生活の慣習等の実態について、誠意を吐露して理解を求めつつ、粘り強い交渉を通じて、その目的を達成するよう強く要請するものであります。 さらに、政府はさきに当面の景気対策を発表いたしておりますが、今後の財政金融政策の執行展開に当たっては、できるだけきめ細かく、弾力的に配慮されるとともに、経済情勢の推移いかんによっては、さらに追加的景気対策を強力に講ずべきであり、その際、特に中小企業、なかんずく小規模企業が現下の景気低迷の影響を強く受けていることを十分考慮し、中小企業等に対する需要の拡大に万全を期されるよう強く要望して、昭和五十七年度予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 次に、太田淳夫君。
○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっている昭和五十七年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。 激動さわまりない現代社会に適確な対応をし、国民生活の安定と福祉の向上並びに国際関係の友好増進を図ることが政府の最大の責務であります。 わが党は、この観点から、政府の政策をただしてきたのでありますが、明確かつ具体的な答弁のなかったことに大きな失望を禁じ得なかったことを最初に申し上げたいと思います。 現下の国民生活に目を投じますと、勤労者の実質収入は伸び悩み、税負担及び税外負担の増加により、実質可処分所得は、五十五年のマイナス一・四%に続き、五十六年もマイナス一・〇%と連続減少を記録しており、その結果は、消費不況の一層の深刻化となり、政府の公約は再び破綻しようとしています。 また、企業活動も、地域間、業種間、企業規模間の跛行性が続いており、特に地方経済、素材産業、中小企業の景気は終始低迷を続け、いまだ立ち直りの兆しさえ見られず、五十六年度の政府の改定経済見通し四・一%の達成は全く不可能で、三%を切る異常な低い水準にとどまろうとしています。その上、新たな貿易摩擦問題が発生し、米欧諸国によるわが国市場開放への風圧は日増しに強まっており、国民の不安は高まる一方であります。これに対する政府の対策には納得できるものは何一つありません。 以下、反対の理由を申し上げます。 反対の第一の理由は、政府の経済見通しとそれに対応する政策がきわめて不十分な点であります。 政府が掲げた五十七年度経済見通し五・二%は円滑な財政再建を推進する上での必須の前提条件であるとともに、国民生活の向上と調和ある社会の発展の最低条件でありますが、現在の経済情勢はこれを達成できる状況になく、無為無策のままであるならば、三%台の成長すら危ぶまれるのであります。 政府は、景気浮揚策として、公共事業の前倒し、住宅建設の促進、金融政策の適切で機動的な運営を掲げていますが、特に、国と地方を合わせて総額二十四兆円の公共事葉の前倒しを行ったとしても、下期の対策なくしては均衡ある成長は期待できません。また、米国の高金利を反映して円安で推移している現状では、金融政策の有効な手段も期待できないのであります。 反対の第二の理由は、総理が政治使命をかけると明言された財政再建が後退する一方である点であります。 五十六年度予算において、前年度当初予算対比で二兆円の特例公債減額計画が景気低迷による税収不足で大きく後退し、さきの補正予算で三千七百五十億円の特例国債の追加発行を余儀なくされましたが、その後においても税収不足が続き、いまや財政当局による新たな財政操作の追加を余儀なくされています。 加えて五十七年度予算においても、特例公債減額目標一兆八千三百億円が大きく後退し、一兆五千六百十億円にとどまっております。 しかし、これとても景気の深刻化が続く中で、さらに税収不足が発生するおそれは十分にあり、財政再建が完全に破綻する危険は一層高まっております。 反対の第三の理由は、防衛費突出、社会保障費後退の予算になっている点であります。 五十七年度は、ゼロシーリング枠を設け、社会保障費であっても、聖域なしとして旧民の保障費増額の切なる要求を退け、わずかに二・八%増に抑え込んできたのに対し、防衛費は、米国の対日防衛費増強要求をいともやすやすと受け入れ、シーリング枠の七・五%増を上回る七・八%増の高い伸びにしたのは、国民生活犠牲以外の何ものでもありません。 政府は、社会保障費について行政水準を低下させていないと抗弁していますが、厚生保険特別会計への繰り延べや、療養給付費補助金の一カ月分削減などのやりくりで当面糊塗されており、納得できるものではありません。また、防衛費は、五十七年度に突出したばかりでなく、巨額の後年度負担を組み込んだものとなっており、今後の財政再建にとって大きな足かせとなってくるほか、GNP一%以内の防衛費枠突破が必要となっており、断じて賛成できません。 最後に、政府は、国民的要求として大きく取り上げられました所得税と住民税の一兆円減税については、衆参両院議長見解並びに参議院予算委員会決議の趣旨を生かし、早期実現を図るべき責任があります。 また、いわゆる予算の空白期間を防ぎ、かつ財政民主主義の上から、参議院における十分な審議を妨げないためにも、今後政府は暫定予算の提出の義務化を図るなど、抜本的に改善されるようこの際強く要望し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 次に、沓脱タケ子君。
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十七年度予算三案に対し、反対の討論を行います。 わが党は、昨年十二月の党首会談で、五十七年度予算編成方針に関し、鈴木総理に、軍事費を削減し、国民生活防衛に役立つ予算にすること、すなわち、軍事費一兆円以上の削減によって、日本と世界の平和に貢献すること、大企業、大資産家優遇の不公平税制の抜本的是正と、大企業助成にメスを入れ、一兆円減税を初め国民生活防衛対策を最大限に実行して、不況の打開と、真の財政再建への道を開くことを提案いたしました。今日の危険な国際情勢、経済そして財政の事態はこの提案の正しさを実証するとともに、その実施を強く必要としていると確信をいたします。しかるに、政府・自民党はわが党のこの提案を全面的に拒否したばかりか、政府提出の来年度予算案は、軍事費異常突出に示される大軍拡予算であり、大企業助成、不公平税制を温存するなど、徹底した大企業奉仕予算であり、国民に対しては負担と犠牲を押しつける大収奪予算となっています。 次に、反対の主な理由を申し述べます。 その第一は、アメリカ政府が異例の歓迎声明を発表した軍事費の異常突出は、後年度負担を加えますと四兆三千億円を超える膨大なものであり、しかも、それは単に軍事費増太というのみにとどまらず、日本をレーガンの限定核戦争構想に巻き込み、核戦場化さえ予想されるという、まさに氏族滅亡の危険きわまりない道に通ずるものだからであります。F15やP3Cの大量購入、F4ファントムの爆撃装置復活問題、在日米軍への思いやり予算は、アメリカの極東戦略に深く加担し、日本を再び戦争に導くものと言わなければなりません。 反対理由の第二は、大企業、大資産家への優遇税制や補助金などを温存し、土地税制を緩和する、一方で、国民に対しては五年連続の所得税減税及び三年連続の住民税減税の見送りや、固定資産税の強化、農地の宅地並み課税の拡大などによる実質大増税や福祉切り捨て、公共料金の値上げなど、負担と犠牲を押しつけるものとなっていることであります。 戦後最高の失業の発生、史上第三位の中小企業の倒産、生活費の切り詰めなど、国民生活の破壊は目を覆うものがあります。 さらに、国民生活の破壊を主な要因とする消費不況の深刻化は、貿易摩擦の激化と相まって、経済成長率はマイナスとなり、空前の歳入欠陥の発生が確実視され、本予算案は、その実施以前に破綻しているのであります。 反対理由の第三は、あのロッキード事件の刑事被告人田中角榮系企業の不正受注と脱税問題、そして、わが党が三井建設の内部文書に基づいて明らかにした、公共事業の談合問題をめぐる大手建設業界と政官界の癒着に典型的に象徴されるように、本予算案がまさに政官財癒着の腐敗と汚職構造を温存したものとなっている点にあります。私は、これに断固としたメスを入れることこそ、清潔、公正な民主政治と、国民の期待にこたえる国民本位の行政改革の第一歩であることを強調するものであります。 以上の理由により、私は昭和五十七年度予算三案に反対いたします。 日本共産党は、今後も、軍事費の大幅削減、大企業奉仕予算の節減により所得税減税、福祉、教育の充実など、国民生活防衛と平和と安全の確保のために、一層強力に奮闘することを表明をいたしまして、討論を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 次に、柳澤錬造君。
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、昭和五十七年度予算関連三案に対し反対の討論を行います。 まず、本論に入る前に、この長工場の予算委員会を植木委員長は公正妥当な態度で運営されましたことに対し、その労を多とし心から敬意を表するものであります。(拍手) さて、本予算案は、国民の生活を忘れ、日本経済の展望もなく、為政者としての責任感に欠けた予算案であると言わざるを得ません。 反対の第一は、政府は、政策判断の誤りに対してその反省もないまま、同じ轍を再び踏もうとしていることです。政府は、五十六年度予算のとき、経済成長率を名目で九・一%、実質で五・三%とし、GNPを二百六十四兆八千億円と策定したはずです。しかるに、国民の減税を望む声を無視して一兆四千億円の大増税をしたため、日本経済は冷え切ってしまいました。いまでは政府修正の四・一%どころか二%成長も危なくなり、GNPは二百五十兆円程度となりましょう。これでは当初計画より約十五兆円の生産落ち込みであり、これは日本経済にとってはきわめて重大な事態です。 それが税収不足となり、六千三百億円の国債追加発行となったものであり、結局五十六年度は、国債発行を一兆三千七百億円を減額して、一兆四千億円の大増税をしたのですから、政府みずからは財政再建に何の努力もしなかったことになります。これほど大きな政策ミスをしていながら、何らの反省も示されないまま、五十七年度でも経済成長率を名目で八・四%、実質で五・二%と発表しています。このような政府の姿勢を見ていますと、政権を担当する為政者としての責任感の欠如を感じ、きわめて遺憾であると言わざるを得ません。 反対の第二は、国民生活圧迫の予算であることです。確かに、この三月末で国債残高は八十三兆円となり、財政再建が大きな課題であることは事実です。しかし、五年間も減税をしないで、その上に一兆四千億もの大増税をすれば、家庭経済は冷え切ってしまいます。そのため、政府が予測した内需主導型経済は消えて、輸出による外需依存型経済となってしまい、貿易摩擦の激化を誘発してしまいました。 かつてアメリカのケネディ大統領は、いま国家が借金をしても景気がよくなればそのくらいのものは国民が税金で納めてくれると言明して、あの百億ドルの減税を即刻実施し景気回復をさせたことを少しは学ぶべきではないでしょうか。このままでは諸外国は保護貿易主義に走り、日本経済は屋台骨から揺さぶられることになります。いま必要なことは、国民の苦しい生活を認識し、所得税、住民税の大幅減税を早期に実施し、可処分所得をふやし、個人消費を拡大させることです。それが内需拡大となり、景気回復となり、税収も増し、財政再建へ通じるのであります。 反対の第三は、政府は行政改革を標榜しながら何ら実行しようとしないことです。鈴木総理は行政改革に政治生命をかけると言われましたが、この予算案にはそのような姿勢は少しも見られません。第二臨調の答申がなくても実行できるものは実行すべきでありますのに、政府はみずから合理化し、むだを排除し、税金を節約しようという片りんすら感じられません。 税金のむだ遣いの多い補助金制度をやめて、第二交付税制度を創設してはと言ってもやりません。天下り役人に占められている特殊法人をせめて閣議決定どおり実行すべきでありますのに、それもやりません。官民格差など多くの不公平を正常化せよと言ってもやろうとしません。特にクロヨンと言われる不公平税制は、事業所得者、農業所得者は毎年物価上昇に応じて必要経費を上昇させていくことができるのに、給与所得者は長年月にわたって据え置かれているのですから、格差は拡大するばかりです。 最後に、大切なことは、民主主義政治というのは国民の信頼があって初めて成り立つものであることを肝に銘じておくことです。内外の情勢が厳しいときであるだけに、むしろ政府は、国民に向かって積極的に真実を訴え、本音の政治を実行することが必要であり、その点を強く要請して、反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。 三案に賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(植木光教君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、予算の執行状況に関する調査を議題といたします。 この際、減税問題に関し、本委員会の審議の経過並びに諸般の情勢を考慮し、委員長から所得税・住民税減税問題に関する決議案を提出いたしたいと存じます。 案文を朗読いたします。 所得税・住民税減税問題に関する決議(案) 本委員会は、昭和五十七年度総予算審査において、所得税・住民税減税問題について国民の強い要望を認識し、諸般の条件を整備して、今後できるだけ早い時期に実現できるよう最大限の努力を払うべきであるとの観点に立ち、鋭意審議を行つたところであるが、これとともに、政府においても、本問題の緊要性にかんがみ、経済及び財政の動向を見つつ所得税・住民税減税問題について十分な検討を進めるべきである。 右決議する。 以上でございます。 なお、本問題について、日本共産党から委員長の手元に、お手元に配付のような案文が提出されております。 それでは、委員長から提案いたしました決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(植木光教君) 多数と認めます。よって、本決議案は多数をもって本委員会の決議とするしとに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、発言を求められております。順次これを許します。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま採決されました御決議の趣旨に十分配意をして、幅広い観点から検討を行う所存であります。
○委員長(植木光教君) 世耕自治大臣。
○国務大臣(世耕政隆君) 自治省といたしましては、ただいま採決されました御決議の趣旨に十分配意して、幅広い観点から検討を行う所存であります。
○委員長(植木光教君) これにて散会いたします。 午後五時十四分散会