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96回国会参議院1982/03/16

予算委員会 第9号

発言数
492
登壇者
48
会派数
4
開催日
1982/03/16

会議録

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより太田淳夫君の総括質疑を行います。太田君。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 最初に総理にお尋ねいたしますが、昨日の大川委員の質問に対しまして、F4の試改修についての五十六年度予算につきましては、その執行の解除について考えてない、まだ決めてない、こういう御答弁でございましたが、いろいろ新聞紙上などを見ますと、日にちはそれぞれ差がありますが、十七日あるいは十八日あるいは二十日とか、そういうことがいろいろと報道されているわけですが、その点どのようになっておりましょうか、お尋ねします。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、当委員会において補正予算を御審議の際に委員長からごあっせんがございまして、本予算の審議との関連でもなお御審議を必要とされるので、その限りにおいて執行を見合わせることが望ましいと、こういうお話でございまして、政府としては委員長のそのようなごあっせんを尊重いたしまして今日に及んでおります。  しかるところ、ただいま御指摘のような報道がございまして、それにつきまして委員長から重ねて御懸念の表明がございました。私どもといたしましては、そのような委員長の御懸念を十分尊重してまいらなければならないと考えておりまして、昨日、総理大臣がお答えをいたしましたのもその趣旨でございます。もとより一日も早く執行いたしたいという念願に変わりはございませんので、御審議が促進されることを心から祈念をいたしておるものでございます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 田代富士男君の関連質疑を許します。田代君。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 ただいま太田委員から発言がございましたF4の試改修の問題でございますが、官房長官も補正予算審議の折に、二月の十七日でございましたでしょうか、防衛庁長官から、審議に入るに当たりまして、「F4試改修に係る五十六年度予算は横行を停止しておりますが、引き続き御審議をいただき、政府としては一日も早く執行されることを希望いたします。」と、こういうような防衛庁長官の発言によりまして補正予算の審議に入ったわけでございますが、その後、このF4試改修において、昨日、大川委員が質問しましたとおりに執行されるというような、これは新聞報道と言ってしまえばそれまででございますが、やはり火のないところに煙が立たないと言われるとおりに、そういうことが出ております。また昨日、大川質問のときには、そういうことを考えてないと言われながら、そういう動きがある。  私は、この問題に対しては委員長からのこういう御発言があり、官房長官も委員長の御趣旨に変わりありませんと、鈴木総理もその考えに間違いありませんということでございますが、こういうことが報道され、こういうことがなされるということは、審議をしている参議院の予算委員といたしまして、これは、委員長のこの発言に対しましてわれわれはどうなんだ、こういう疑義を抱かざるを得ません。だから私は、これは参議院の予算委員会のこういうようなお互いの合意を見た上の委員長の発表でございますが、私は委員長に再度このことを、この席で鈴木総理に対しまして明確にこのことを確認をしていただきたい。ただいま委員長からの御懸念の表明があっておりますと官房長官は申されましたけれども、この委員長からの御懸念の表明というその中身をここで明確に公に発表していただきたいと思います。委員長とうでしょうか、まず。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) ただいまの田代君の御発言に対しまして、お答えを申し上げます。  ただいま田代君が読み上げられました補正予算審議中のこの委員会におきまして合意を見ました点につきましては、これは予算委員長のもとにおきまして各党理事の御理解をいただきまして、伊藤防衛庁長官から発言をされたものでございます。そのことは御承知のとおりでございます。  これに基づきまして、この委員会においてF4ファントム問題についての審議が十分に行われるようにということを期待をしながら今日に至っているわけでございますが、ただいま御発言のように新聞報道等がございますので、昨日、政府側に対しまして、審議はまだ十分に行われていないこと、この委員会の意思を尊重をしていただきたい旨の申し入れをいたしました。  それに対しまして政府からは、ただいま官房長官から御答弁がございましたように、ただいまのところ未定であり、白紙であるという旨のお答えがありますとともに、一日も早く執行ができるように御協力を願いたいという旨のお話でございました。  このことをここで御報告を申し上げたいと存じます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 この参議院の予算委員会といたしましても、このF4の試改修等の問題につきましては、国の安全を脅かす問題といたしまして、これは審議をしていかなくてはならない、そういう立場から、まだまだ本院といたしましての集中審議が残っております。一応現在予定されているのは二十六日、櫻内外務大臣が訪米から帰国されたその翌日に集中審議等もございますし、また、その他の日にちにおきまして、こういう集中審議をやるテーマの中の重要テーマにもなっておりまして、そこにおいても審議を尽くそうという、そういうような現在の推移になっておるわけでございまして、この時点でただいま申すようなことが云々されるということは許すわけにはまいりませんし、委員長からも、ただいま委員長としての、院を代表しての御発言がございましたが、それらを受けられまして、総理、ひとつもう一度ここで明確にお立場をはっきりしていただきたいと思います。どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) F4ファントムの試改修の問題につきましては、ただいま植木委員長からの御懸念の表明がありまして、それを受けて宮澤官房長官から政府を代表して御答弁を申し上げたところでございます。官房長官の答弁の内容は、私が昨日御答弁申し上げたことと全く同じ趣旨のものでございますので、政府としては、せっかく参議院のこの予算委員会でこの問題を御審議をいただいておることを十分私ども承知をいたし、また、その御審議の結果に期待をいたしておるところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総理にお尋ねしますが、六月にパリ・サミットが行われるわけですが、その主要な議題は決まりましたでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今日までサミットは数回にわたりまして行われてきたわけでございますが、サミットにおきましては、そのときそのときにおける重要な国際経済の問題を取り上げまして、世界経済の安定、発展のためにどう対処すべきか、西側先進工業国の首脳が集まりまして、そういう問題について討議をするという場でございます。  御承知のように、今日世界経済はかつてない困難な状況下に置かれております。これを打開して国際経済の安定と繁栄を図ってまいりますためには、世界経済の再活性化を図る必要がある。貿易、通商の分野におきましても保護主義の台頭というものを抑え、そして自由経済体制の維持、発展を図るように連帯、協調して努力をしていかなければならない。また、経済が非常に苦しい状況の中で貿易摩擦という問題も起こってくるわけでございますから、経済の立て直し、再活性化という問題について先進工業国がいかに協調し、協力していくかというような問題が重要な議題に相なろうかと、こう思っております。  ただ、具体的にそれらの議題をどういうぐあいに調整して討議するかという問題につきましては、いま準備会議におきまして各国の代表がそれぞれ調整をいたしておる段階でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 前回のオタワ・サミットではやはり政治問題も大きな比重を占めて討議されたわけですが、今回もやはりポーランド情勢などそういった政治問題についても討議される可能性があるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、西側の先進国の首脳が一堂に会するわけでございますから、経済問題だけでなしに、ポーランド問題でありますとか、あるいはその後におけるアフガン問題でありますとか、あるいは中東情勢でありますとか、いろいろの政治問題も話し合いが行われるということは当然あり得ることだと思っておりますが、これは、この前は議長の共同サマリーというような形で発表いたしました。やはり基本的にはサミットというのは経済が中心に相なるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 そこで、やはりいま世界経済を圧迫している大きな問題の中に軍備費の問題があろうかと思うんですね。やはり軍縮交渉の成功というのは私たち願っているわけですけれども、この軍縮の問題をパリ・サミットで日本が積極的に取り上げていくべきじゃないかと思うんです。これは軍縮特別総会との関連もございますけれども、私そう思うわけでございますが、総理は先回お尋ねしましたが御答弁なかったようですので、再度お伺いいたします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この前のオタワ・サミットの際におきまして、私は軍縮、軍備管理の問題につきましても触れまして基調演説をしたわけでございます。今回のベルサイユ・サミットにおきましても、世界経済をいかにして立て直すか、再活性化するかと、こういう問題が大きな課題に相なるわけでありますが、そうなりますと、できるだけ軍備に投入されております資源、これを軍縮、軍備管理によって均衡を保持しながら低位にこれを抑えて、それから生まれるところの余裕を、これを経済の分野に投入をする。特に開発途上国、第三世界等、経済困難な国々に対してする経済協力、援助等に差し向けるということは世界経済の活性化のために必要であるということは当然の答えでございますので、そういう問題に触れてお話し合いを私はしたいと、こう考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 次に、現在台湾への武器の売却問題、これによりまして米中関係は必ずしも良好なものになっていないわけですが、やはりこの米中関係の冷却あるいは悪化というのは、日中友好関係とかあるいはアジア情勢に大きな影響を及ぼす可能性がございますので、総理としては現在の米中関係及びこれらの及ぼす影響についてどのように御認識されておりましょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、米中関係は基本的には良好な関係にある、このように認識をいたしております。米中関係が世界の平和、そしてアジアの安定と平和のために非常に重要であるという私は認識の上に立っておりまして、今後も米中関係が両国の十分な話し合いによって円満に保持されていくことを、発展していくことを願っておるものでございます。  ただ、現在米中の間には台湾に対するアメリカの武器供与という問題がございまして、若干の摩擦要因になっておるようでございますが、しかし米中両政府ともに、米中関係の良好な関係ということが、非常に国際政治の面からいっても、世界の平和の面からいっても大事だということを十分認識をされておることと私どもは理解をいたしております。  わが国におきましては、日本が米中関係の良好な関係の維持、発展を願っておるというこのことは、機会あるごとに米側に対しても中国側に対しても日本の立場を表明をして、緊密な両国の話し合いというものを私どもは希求しておる立場を明らかにいたしておるところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 日中復交十年を迎えまして、五月下旬には中国の超紫陽首相も来日される予定です。また、鈴木総理も九月には中国を訪問される。また、二十日には櫻内外相が訪米されるわけですね。そこではヘイグ国務長官との会談が予定されているわけですけれども、米中関係の改善あるいは善処を日本政府としてやはり米政府に対して求める必要があろうかと思いますし、また、ある意味での仲立ちをする必要があろうかと思うんですが、総理はこの米中関係の改善を要請するように外相に指示をされましたでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 今回訪米するに際しまして、先ほどからいろいろ外交上の問題が出ております。それらのことはすべて私としてもきわめて重要な問題であると認識をいたしておりますが、総理との間におきましては出発のぎりぎりのところで、そのときの状況のもとに御指示をちょうだいしたい、こういう考えに立っておりまして、いまお尋ねの米中関係のことについては別段まだ話し合っておらないということが現時点の状況でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いまお話しされていないということでございますが、もうきょう十六日でございますし、二十日には訪米をされるわけでございますので、総理の意向のあるところをやはりしっかりと外相に指示をされるように要望したいと思います。  次に、経済問題に移りますが、五十六年度は第三・四半期で実質の〇・九%滅ということでございまして、これが改定見通し四・一%ということの実質成長率を達成するためには、本年一月から三月までは対前年比六・四%の増が必要になってくるわけですが、この点の見通しはどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 第四・四半期の状態がまだはっきりいたしませんので何とも申し上げられませんが、五十六年度の経済成長目標を達成することは非常に厳しい状態になっておるということでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 非常に厳しいとなりますと、五十六年度はよくて三%台の成長とならざるを得ないんじゃないかと思うんです。それから見ますと、五十七年度ですけれども、五十六年度が改定の見通しより低い水準にとどまるとしますと、来年度は五・二%と当例言っておりますけれども、これをもっとより高い実質的なGNPを確保しないと五・二%は確保できなくなってくるんじゃないかと思うんです。そうしますと、五十七年度の目標というのはよりむずかしくなった、このように思いますが、その点どうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) ただ、第三・四半期、国民経済統計速報〇・九%のマイナスでありますが、内容を検討いたしますと、外需の関係でマイナス一・三%になっております。それから、内需の関係では民間需要が〇・七%のプラス、それから公的需要が〇・三%のマイナス、こういう数字でございまして、それを全部調整いたしまして〇・九%のマイナス成長、こういうことでございますが、一番成長の足を引っ張りました貿易関係は、これはもう御案内のように、いま世界経済が戦後最悪の状態になっておる、こう言われておりますが、非常に深刻な状態になっておりまして、貿易が伸び悩みになっておる、これが一番大きな原因になっております。後半、世界経済は回復するという見込みが出ておりますし、いま総理からもお話がございまして、サミット等でもこの世界経済再活性化の問題について、各国の協力を取りつけてそういう方向に世界経済を持っていきたい、こういうお話がございましたが、私どもも世界経済がそういう方向に行くということを期待をしておりますが、同時に国内におきましても、やはり経済情勢の変化に応じまして機敏で適切な経済運営が必要であろうか、このように考えております。本日も閣議で一連の当面の経済運営についての方向を明らかにしたのでございますが、今後も引き続きまして、機動的な運営をすることによりまして五十七年度の目標を達成をしたい、このように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 やはり輸出のことが余り期待できないとなりますと国内の景気のてこ入れをしなければならないということですが、いまお話しになりましたけれども、内容的にはどういうような内容ですか。この間、土曜日に発表されましたが、もう一度どうでしょう。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 本日の閣議で議論をいたしましたことは、一つは金融政策を引き続いて機動的に運営するということでございます。それから五十六年度、五十七年度の災害復旧を急いでやるということ、これはもう軌道に乗っております。それから五十七年度住宅投資約百三十万戸ございますが、その約半分が公的住宅または公的資金による住宅でございますので、これらのものについてはできるだけ促進をするということ、それから上半期の公共事業につきましては、七五%以上を目途といたしまして関係各省の間で至急に詰めていく、こういう趣旨のことが本日の閣議で了承されたわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いろいろと報道されているところによりますと、一兆円の建設国債等の話も出ているようですが、その点はどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 建設国債の問題につきましては、何もまだ結論が出ておるわけではございません。ただ私は、建設国債とそれから赤字国債というのは性質も違いますので、国の借入金という意見ではこれはまさに一緒でございますけれども、何か混乱をしておるように、混同して考えられておるように思いますので、そういう点を一回議論をしてみたらどうだろうか、このようには考えておりますが、建設国債については何らの結論は出ておるわけではございません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いずれにしましても、公共事業の上期前倒しを大きく押して景気の促進を図る。そうしますと、やはり下期の公共事業については量的にそれは少なくなるために、もしも景気回復がおくれますと非常な息切れを起こすんじゃないかと思うんです。ですから、経企庁長官のお考えとしては、五十七年度下期の景気の状況を見て公共事業について必要があれば追加をすることを考えてみえるわけですね。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 政府の考え方といたしましては、公共事業を技術的に可能な限り上半期前倒しをいたしまして内需に活を入れる。そして、下半期は世界経済も回復すると想定をされておりますので、民間経済の力も出てくるであろう、それにつないでいきたい、こう考えておりますが、いまのお話は、万一そうならなかった場合にはどうするか、こういう御意見だと思いますが、その際は政府としては適切な対応を考えていく、こういうことをこの委員会でも何回も申し上げておるところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 建設省としては、ただいまの上期大幅前倒しに対しまして対応される用意はございますか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) ただいま河本経企庁長官が申されたとおりでございまして、公共事業の前倒しをやるにつきまして、建設省もその必要があると考えております。ただいまその執行体制、準備態勢を整えることに努力をいたしております。また、その後の問題につきましては、これは経済の情勢それから世界経済からの影響その他の諸条件を勘案いたしまして、機動的に、かつ適切に運営されるものと期待をいたしておる次第でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 大蔵大臣は、ただいまの河本長官の御意見に対していろいろと検討される御用意はございますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) いま河本長官からおっしゃったように、精いっぱい既定の予定された予算の枠内で景気について十分配慮をするということでございます。そこから先はまだいろいろどうこうということは考えておりません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 よく討議し合っていただいて、やはり重大な決意をするときはしっかりと重大な決意をしていただきたいと思うんですが、内需の拡大につきましては、公共事業で景気の振興を図っていく面と、やはり何と申しましても消費者の可処分所得の増加を図っていくことが必要じゃないかと思うんです。したがいまして、景気回復のことについていろいろと討議される場合には、減税の実現につきましても、これは国民的な要求として御検討願いたいと思いますが、その点どうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 減税の問題については、衆議院の各党の申し合わせによって衆議院大蔵委員会で、中長期的観点から財源問題その他全体の問題として検討を進めるということになっておりますから、政府もこれには資料の提供その他協力をしていくつもりであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 やはり総理も、こういった問題につきましては、国民に明るい展望を持たしていくことが指導者として必要じゃないかと思うんです。その点で、やはりこの景気の回復については、総理としての指導力を示されるときが来ているんじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ここで申し上げるまでもなしに、世界全体の経済が深刻な状況に相なっております。そういう中で、日本が今日この程度の経済の比較的安定的な運営がなされておるということは、これは世界各国が評価をしておるところでございます。しかし、情勢は御指摘のように非常に厳しいわけでございまして、また景気回復、特に内需の振興、そしてそういう中で財政の再建ということで国債の発行も減額をしなければならない。そして一方において、五年間も所得税の課税最低限を手直しをしてない、税率構造も改善をしてない、こういうようないろいろの課題が個々にあるわけでございます。  大変厳しい状況で、政策選択の幅というのは非常に限定的な苦しい状況にございますが、情勢を十分見ながら、政策運営につきましては機動的に適切にこれをやりまして、わが国の経済の安定的な成長、国民生活の安定のために最善の努力をいたしたい、こう思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 大蔵大臣にお聞きしますけれども、いまグリーンカードの実施につきまして反対の声が起こっているようでございますが、特に自民党の中に強硬論が多いようでございますが、五十五年三月に所得税法が改正されまして、これはもう五十九年一月から実施されると決定されているわけですが、なぜ反対意見が続出しているのか。この制度そのものに問題があるのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、異を唱える人に聞いていただきたいと思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 何ですって。再度お聞きします。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府の方としては決められたことでもございますし、税の公正確保の観点から少額貯蓄無税ということになっておりますが、その制度を乱用して現実には非常に多額のものが税金逃れになっているんじゃないか、それをつかまえると言われても方法がない。どうしても無税の恩恵を受ける人は届け出をしてもらって、そして一人九百万円までは少額無税になっているわけですから、三つですね、郵貯と銀行と国債と。九百万円無税ならば、普通の庶民大衆はそんなに貯蓄はあるとは聞いていないので、大体たくさんじゃないか。しかし、それ以上に無税にされたのでは困る。中には数千万とか億単位という話もときどきつかまえてあるわけですから、そういうことは困るから、無税の分についてははっきりと登録をしてもらって、その限度をオーバーしないように管理をしていこうという趣旨でございまして、その限りにおいて、私は公平論と両方を確保するのにはグリーンカードしかないということを言っておるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 議員立法でこの制度の変更か廃止をするというような動きも伝えられておるわけでございますが、総理としては、不公平税制の是正のために断固これは実施すると、そういうお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) したがって、公正の確保という点で、一方、利子配当についても総合課税しろということになれば、捕捉をする方法がなければそれは名はかりで何もならぬわけですから、ですからその目的を達して肝心なものにするのには、これしかないということを申し上げているわけです。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それでは、ゼロクーポン債について、先回質問しましたけれども、その後販売禁止になったり、あるいはまた販売開始を決定したとかいろいろ伝えられておりますが、その間の経緯とか、その点どうでしょうか。

禿河徹映大蔵省証券局長

○政府委員(禿河徹映君) ゼロクーポン債につきましては、この一月、二月におきますところのいわば過熱した販売状況にかんがみまして、三月の四日から取り扱いの証券会社に対しましてその販売の自粛を要請いたしたわけでございます。その後私どもの手におきまして、取り扱いの証券会社に対しまして、これまでの取り組みの状況だとかあるいはこれからの販売についての考え方、そういう事情をいろいろ聞いておるところでございます。したがいまして、その販売を再開するかどうか、また、いつやるかということにつきましては、その結果を見てから判断いたしたいと、かように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 次に、通商摩擦についてお尋ねしますけれども、日米間の通商摩擦によりまして米国議会内で相互主義法案の制定の動きが強まっているわけですが、通産大臣はどのようにお考えですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま米国で議論をされておる相互主義につきましては、貿易の公平性を確保するための手段であるとの説明がなされておるようでございますが、基本的には相手国の市場閉鎖性に対応して輸入制限措置を講ずるという、いわば後ろ向き相互主義であると、こういうふうにわれわれは受けとめております。したがって、かかる後ろ向き相互主義は保護主義を招来をし、自由貿易体制を根本から揺るがすものというふうに懸念をいたしておりまして、こうした懸念につきましては、機会があることにわが方より米国側に指摘をいたしております。米国の現政府におきましても自由貿易体制の堅持という基本方針に基づきまして、保護主義の台頭には懸念を持っておるというふうにわれわれ理解をいたしておるわけでございますが、現在行われておる米議会の議論につきまして私たちは非常に注目をいたしましてこの動向を見ておるわけでございますが、これからいよいよ本番の議論が始まるわけでございまして、たくさんの法律が出ておりますが、いまの状況の中ではあるいは通る法案もあるのじゃないかと、実はこういう心配もいたしておるわけであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 先ほども輸出についての経企庁長官のお話もありましたけれども、アメリカではいま二月の失業率は、これは季節的な理由もあろうかと思いますけれども、八・八%ですね。鉱工業生産も前月比マイナス三%というふうに落ち込んでいるわけです。恐慌症候群と申しますか、つまり一九三〇年代の世界的な経済恐慌と同じような現象がたくさん起きているということで、米国経済の先行きにつきましては相当これは悲観的な見方がいま出ているわけです。まあレーガン大統領は、後半には経済は立ち直るということも言っておりますけれども、大方のエコノミストの意見によりましては、不況になるとさらに不況が深まってくるんじゃないかという予想がされているわけです。加えて、アメリカのいまの貿易摩擦がございますし、今後の対米輸出の見通しについてはどのようにお考えでしょうか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 先生御承知のように、八一暦年の全世界輸出は一七%ふえましたけれども、昨年は期を追うに従って低落といいますか伸び率が落ちてまいりまして、昨年の十−十二月では六%に落ちております。ことしの一月、二月とよくありませんで、一月は九%、二月はマイナスという状況でございます。対米向けもそれよりずれてやや高い水準ですけれども似たような動きをしておりまして、ことしの二月では七%強という状況です。  商品別にもほとんどの品目が落ちております。テープレコーダーと鉄鋼ぐらいはややこれからもわりと堅調だと思いますが、それ以外は総じてモデレートといいますか、落ちついておりまして、一口に申しまして、数字ははっきりした対米見通しは立てておりませんけれども、強くないと、去年のような状況とはさま変わりという状況で、落ちついた動きで推移すると思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 昨年の五月の日米自動車問題の決着によりまして八一年度は百六十八万台、八二年度は米国自動車市場の拡大に伴いまして、その拡大分の一六・五%相当を上乗せすると、こういう取り決めになっているんですが、この米国自動車市場の増加というのは見込まれるかどうか、お伺いしたいと思います。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(豊島格君) 先般アメリカ側から、アメリカの乗用車市場の現状、見通しにつきまして説明を受けたわけでございますが、単に調査機関というものの調査だけを見ますと、まあ二十五の調査機関を調べたようでございますが、本年は、八二年でございますが最低八百三十万台、最高は九百六十万台ぐらいまでにはなるだろうと、こういう調査機関は一応見通しをしておるようですが、どうも最近になるに従ってこの予想は落ちてきておると、こういうことのようでございます。  八一年のアメリカの乗用車需要は非常に落ち込みまして、八百五十万台ということでございますが、ことしに入りまして一、二月もさらに引き続き前年に対しまして二割ぐらい落ちておるということでございますので、どうもいろいろ調査機関の調査がございますが、八一年度に比べて八二年度が余りふえるというような見通しはむずかしいのじゃないか、そんなにふえても大したことないのじゃないか、このように感じておる次第でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いまのアメリカの自動車業界というのは、累積赤字は過去二年間で総額五十五億ドルに達しておる、販売店もいまやこの二年半で三千二百店が倒産しているというような状況ですので、自動車市場の増加が見込まれる可能性は非常に少ないんじゃないかと思うんですが、この八二年度の日本車の輸出数量につきまして政府とわが国自動車業界の間に話し合いができているのでしょうか。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(豊島格君) 先ほどのような情勢でございますので、いろいろと私ども検討をいたしておりますし、もちろん業界がどのような見通しを持っておるかということについても十分意見を聞いておりますが、まだ最終的にどのようにするかにつきましては、私どもとしては成案を得ておるという段階ではございません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 政府としましては、取り決められたとおりに、八一年度の百六十万台プラスアルファを八二年度においてやはり対米輸出しようと考えてみえるのか。そうなりますと、また貿易摩擦等によりまして自動車がさらに自粛をしなきゃならないと、そうすることによって対日批判をかわそうというような状況になろうかと思うんですが、その点どうでしょうか。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(豊島格君) いま御質問の八二年度についてどのようにするか、また、それによって対日の批判をかわすようにするのかというお話でございますが、乗用車輸出につきましては、昨年五月で大臣が発表しました一つの方針がございまして、これは規制することになっておるわけでございますが、この点につきましては、来年度、八二年度の予想、需要見通し等がつかない段階で結論を出しておらないのですが、そもそもこの規制の趣旨というのは、アメリカの自動車産業が非常に不況に陥っている、その再生化のための時間をかすということで、最低二年間、場合によっては三年目は考えるということでございますが、そういうことで協力をするという趣旨でございまして、もちろんアメリカにおける自動車産業の地位というのは非常に高いわけでございますから、失業その他の問題でも非常に大きな問題でございますが、したがって、アメリカの対日批判と無関係であるとは申しませんが、この自動車問題を解決することによってほかの問題が全部解決される、そういう性質のものではないと、このように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 企画庁長官にお尋ねしますけれども、日米貿易摩擦は深刻化しているわけですけれども、仮に残存輸入制限品日の撤廃などアメリカ側の要求を全部これを応じたとしても、日米間の貿易不均衡は解消しないのじゃないかと思うんですが、その点どのようにお考えでしょうかの

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) お説のように、私は、アメリカの言い分を全部のんだといたしましてもなかなかこれで問題が解決すると、そういう状態ではないと思います。  まず第一番に、非常に円安になっておりまして、昨年の一月から比べますと約二割の円安でありますから、二割分だけアメリカの商品が高くなっておると、こういうことが言えますし、それから、わが国の購買力もいまのところ非常に落ち込んでおりますので、市場を開放いたしましてどうぞと、こういうことになりましても、果たしてこのアメリカの商品を買うだけの力があるかどうか、こういう問題もございます。  それからさらに、いまの貿易摩擦を見ますと、経済状態が普通のときであれば全然問題にならぬようなことが非常に神経質に議論されておるという状態でございまして、やはり何といたしましても世界の経済を常態に戻しまして、そして余り神経質な議論が出ないようなそういう前提条件をつくり上げるということが何よりも大事ではなかろうか、このように思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 具体的にどういうような対策を優先さしたらいいかということはお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) そういうことではありますが、しかし何と申しましても、日本の市場の開放体制が不十分であると、こういう指摘は各国からも受けておりまして、とにかく市場の開放体制を何とか考えてもらいたいと、こういう要請が非常に強いわけでありますから、私はこれは真剣に受けとめる必要があろうかと、こう思います。このことによって問題が全部解決できないかもわかりませんが、だからといってこの問題を放置するわけにはいかぬと、こう思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いまお話の中で、やはり要約しますと内需拡大、それから円高誘導、それから世界経済全体の活性化を図るということが長官の御趣旨じゃないかと思うんですが、いま非常に円安になっておりますが、やはりある程度勇断を持って円高に誘導をすべきじゃないか、そういう議論もあるわけですが、その点についてどんなようにお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 円高、円安というのはなかなかこれはもう政府の意思で自由にならない問題でございます。現在の円安の最大の原因はアメリカの高金利ということでございますが、中には日本の財政赤字というものも決して円高にはプラスにならない、むしろマイナスになっているのじゃないか。いろんなものがふくそうしているわけですから一概に申すことはできません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 行管庁にちょっとお尋ねしますけれども、「行政改革に関する第二次答申」の中で、「国際経済的見地から早急な対応を要するもの」と、こう挙げられている中に、輸入検査の問題がありますが、これは「常時、継続的に積極的な改善策を講ずるとともに、これらの改善状況について所要の監察を行い、その推進を図る必要がある。」と、このように書いてありますが、その時期、内容についてどのようにお考えでしょうか。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 五十七年一月の三十日の経済対策閣僚会議におきまして、輸入検査手続等の改善を図ることとして、行政管理庁は今回改善措置を講じ、または引き続き検討を行う輸入検査手続等七十六の事例について昭和五十七年度において所要の行政監察を行うよう準備をするということになっております。行管庁としましては、これに基づきまして昭和五十七年度において行政監察を行うことにしております。この行政監察は、この六十七事例につきましてそれがどのように具体的に改善されつつあるかということを監察して所見を述べるものでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 せんだって江崎代表団の皆さんが訪米されました。いろいろとレーガンに対しまして条理を尽くして説明されたようですが、ほとんど評価されないという状況であったかと思います。また、いまECにも行ってみえるわけでございますが、やはりなかなか国内状況を説明をするといっただけでは対応できない段階があるのじゃないかと思うんです。  そこで、米国産たばこの輸入問題についてお尋ねしますけれども、これは第一次ジョーンズ報告に始まりまして、たばこの輸入増大要求がありまして、関税の引き下げ、あるいは輸入数量枠の増大、販売に関する非関税障壁の軽減を少しずつ進められてきているわけでございますが、関係者の意見はこれ以上大幅に譲歩しようとする姿勢がもう見られないように思うんです。確かに関税収入の減少にはなろうかと思いますけれども、また輸入たばこの価格を安くし、販売店や広告の規制を外すことによって一時的な影響はあろうかと思いますけれども、壊滅的な打撃を受けるとは考えられないんですが、国民の皆さんにしましても、国産たばこと輸入たばこのそれぞれいいところは識別できるだけの能力はあろうかと思うんですが、その点どのように、お考えでしょうか。

高倉建大蔵大臣官房日本専売公社監理官

○政府委員(高倉建君) お答えを申し上げます。  外国たばこの輸入につきましては、基本的には量的な規制というようなことは一切行っていないわけでございまして、市場における消費者の需要に応じて供給するという基本方針をとっているわけでございます。したがいまして、外国たばこのシェアがどうなるかということは、基本的には市場におきます内外商品の競争、結局どちらがどれだけ消費者の需要に即したたばこを供給できるかということにかかってこようかと思います。当然のことといたしまして、国際関係の円滑な維持ということに配意していかなければならないわけでございますが、同時に、国内のたばこ産業が壊滅的な打撃を受けるというようなことのないように留意していくことも必要であろうかと思うわけでございます。そういう見地から、私どもといたしましては今後とも専売公社に対しまして、国民のニーズに即した商品の開発努力、さらには国産葉たばこの品質の改善、もう一つは国産葉たばこの使用技術の向上、こういったことに一段と努力をすることによりまして円滑な対処ができるように指導してまいりたいと考えているわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総理は、二月二十二月のNHK「総理にきく」の中で、日米貿易が合計六百億ドルにも達すればある程度の摩擦が起こることを覚悟しなければならないと、こういう認識を示されてみえますし、事態を経済問題として処理し、政治問題に発展させないことが重要であると、このように力説をされていたわけですが、わが国の商品の国際競争力の大きいことは欧米諸国も認めているのじゃないかと思うのですが、このことは経済性の問題というよりもむしろ政治問題化しているのじゃないかと思うのです。このような前提に立ちますと、現在の貿易摩擦問題にさらに決意を深めて臨む必要があろうかと思うのですが、鈴木総理は六月のパリ・サミットの前に一度訪米して、米側とこのことについて話し合う必要があろうかと思うのですが、訪米の意思があるかどうかお伺いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、今日の貿易摩擦の問題は、日本とアメリカ、また、日本とECの間だけに存在するものじゃなしに、アメリカとECの間におきましても大変厳しい摩擦現象が生まれております。これは各国の経済が大変困難な状況下に置かれておる。成長は停滞をする、深刻な失業者を抱えておる、インフレの波も高い、国際収支の不均衡もある、そういうところから起こってくる問題でございまして、これは私はベルサイユ・サミットの大きな課題であろうと、こう思っております。  そこで私は、この問題につきましては、今度外務大臣が訪米をいたしますが、何といってもアメリカは西側自由世界における最も大きな経済力を持っておる。アメリカの経済がどうなるかということが大きな影響を持っておるわけでございますから、日本としては、アメリカが中心になって、そして世界経済の再活性化に努力してもらいたい。そのアメリカが後ろ向きの相互主義などという政策をとってもらっては困る。また、西独、フランス、イタリー等々においても、わが国と同様にアメリカの高金利政策というものの早急な是正方を求めておる、こういう問題がございます。こういう点につきましては、外務大臣から十分レーガン大統領初め関係の首脳に日本の考え方というものを伝えて、アメリカの善処方をお願いをする、またベルサイユ・サミットにおいて、十分事前に政策等についての調整を行いながら、サミットにおいて成果が上がるようにそういう面での連絡を十分とってもらいたいと、こう考えております。  私は、レーガン大統領とはフランスにおきまして何とか時間を相互に調整をしてゆっくりお話し合いができるようにいたしたいと、こう思っておりますが、事前に私が訪米をするというようなことはただいまのところ考えておりません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それでは、国鉄総裁お見えになっておりますので、最初に一言お伺いしたいのですが、きのうの名古屋駅におけるブルートレインの衝突事故ですが、これはいま非常に国鉄のモラルが問われている中でまたこういうような、飲酒による事故ということをお聞きしておりますが、全くどうなっているのかなと私たちも感ずるわけですが、国鉄総裁としてどのようにお考えでしょうか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) いままでの調査の結果では、新聞等で報道をされておりますように、酒気運転の疑いがきわめて濃厚でございまして、何しろ運転の問題というのは安全を旨とする私どもといたしまして非常に重要な問題でございまして、酒気運転につきましては、最近では五十二年に一度そうしたトラブルが起こったことがございました。そのときにもかなりいろいろな手だてを通じて規律の厳正に努めたわけでございますが、なおそれが徹底していないということが今回明らかになっておるわけでございまして、この点はきわめて危険なことでございますので、さらに全国的に引き締めをしなきゃならぬと思っております。いずれにいたしましても大変大きな事故で、お客様に大けがをさせるということになりまして、申しわけないと思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 運輸大臣どのようにお考えですか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 昨日の事故はまことに遺憾千万なことであります。私たちは今日の国鉄のいろいろな問題をあらゆる角度から改善しようという努力をしておるわけでありますが、先般もこの委員会で申し上げましたとおり、要は、国鉄の職員全体が現在の危機状態に対して長い惰性から目覚めてほしい、それがきわめて重要な一種の精神革命と申しますか、それをなし遂げてもらわなければいかなる案も実行できないだろうということで、先般三月四日に国鉄総裁に対しまして全般の総点検を行うことを指示いたしたわけでありますが、そのやさきにまた飲酒運転があったということはきわめて遺憾なことでありまして、厳正に、厳重に対策をとるように国鉄総裁に指示をいたしたところであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 やはり大事な人命を預かる立場でございますので、今後のしっかりとした対策をお願いしておきたいと思います。  さらに総理にお尋ねしますけれども、総理は自由民主党総務会長であった五十五年の二月に、「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法案についての申入れの件」と題する決議を行っているわけですね。そして当時の運輸大臣地階氏に申し入れを行っているわけですが、その決議の内容についてはいまもって変わらないと、このようにお考えでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そのときの総務会における総務各位の議論を集約をして私から申し入れをしたということにつきましては、いまだにその認識は変わっておりません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総理は、この決議の中におきまして、同法に基づく経営改善計画の達成にこそ邁進すべきであって、不退転の決意を持ってその完遂を期せと、このようにおっしゃっているわけですね。経営改善計画はスタートしたばかりで一年間も経由しておりませんのに、五十五年度決算では当初八千八百九十九億円の純損失見込みに対しまして、一兆八十四億円にふくれ上がっている。あるいは対前年度比におきましては二三%赤となっているわけです。したがって、経営改善計画の達成には非常に疑問がいま出かかっているわけですが、かつて総務会長として注文をつけられました総理としましては、この経営改善計画の達成の目途につきましてどのようなお考えを持っておみえになりましょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 経営改善計画の達成ということが現在の国鉄の体制のもとにおけるところの最後の私はチャンスであるとさえ厳しく国鉄の置かれておる立場というものを認識をいたしておるわけでございます。そのために国鉄総裁以下役職員全力を挙げてこの改善計画の達成に邁進すべきであるということを強く求めておるところでございます。  そういう中で、この三十五万体制を目指しての人員整理等は、私は労使の話し合いによって円満に、順調に進んでおる、このように見ておりますが、しかし、貨物輸送の成績等が大幅に落ち込んでおるという問題、その地先ほど来御指摘のありますように、意識革命といいますか、そういう現場におけるところの勤務体制というようなもの等について、まだまだ私は経営改善計画の趣旨に沿わない、大いに改善を要する点がある、そういうぐあいに見ておるところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 さらに、総理はこの決議におきまして、経営改善計画、「これを達成し得ない場合、残る方策は、民営への全面的移管以外にはあり得ない」と、このようにその決議で書かれているのですが、これも現在も同じ方針でしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまも御答弁申し上げましたように、現在の体制のもとにおいて、国会で成立を見た法律の趣旨、それに基づく経営改善計画の達成、これは私は最後のチャンスであると、このように見ております。国民世論等も、これがうまくいかない場合は、経営形態から運営のあり方等々につきまして根本的な見直しをすべきだという国民世論がさらに高まってくる。現に臨調等におきましても、広い立場からこれが見直しの改善案をいろいろ御検討中というぐあいに伺っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 国鉄の問題は大きな問題ですが、やはり歴史的な経緯というのは非常に長いものがある、積み重ねもございますので、国鉄問題についてももっと長期的な観点からやはり見ることが必要じゃないかなと私は思うのですが、その点どうでしょうかね。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今日の国鉄のこういう状況に至りましたにつきましては、過去におけるいろんな事情、経緯等の問題が積み重なっておることは御指摘のとおりでございます。また、それだけに困難ないろんな問題を内包しておる。たとえば、共済年金あるいは退職資金の問題でありますとか、あるいは現場におけるいろんな協定等々においても、過去のいろんな経緯からそういうものが生まれてきておる。そういうようないろんな問題を解決をしなければ、国鉄問題というのは明るい改善の方向には進まない、非常にむずかしい問題を含んでおりますから、私は根気強くこの問題とは取り組んでいかなければならないと、こう思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総裁にお伺いしますけれども、国鉄の再建につきましては、五十四年の十二月の閣議で、関連事業についてその収益増加を図るように指摘されているわけですが、その内容についてお伺いしたいと思います。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 私どもといたしましては、まず基本であります鉄道による収入をどうやって確保するか、旅客収入、貨物収入を少しでもふやさなければならないということが基本であることは間違いございませんけれども、同時にしばしば御指摘を受けますのは、昔からかなりいい条件のところに土地を持っておりましたりいろいろいたします。その中で、現在鉄道に使う当てのないものもあるわけでございますので、そういうものをうまく活用するということによって少しでも収入を上げる努力をするということを各方面から御指摘を受けておりますし、また、不用資産の処分というようなことを通じて借入金を少しでも少なくするという努力をすることも求められておりますが、私どもとしましても、まさにそうした面につきましても格段の努力をいたすべきものというふうに考えておるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 国鉄が出資をされています関連事業について内容を御説明願えますか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 私どもからの出資はいろんな形のものがございます。また、その出資の時期等によりましていろいろ各種各様でございますので一口では申し上げにくいわけでございますけれども、一つは旅客収入あるいは貨物収入をふやすためのもろもろの手段として、たとえば臨海鉄道あるいは物資別のターミナルというようなものをつくりまして、そしてそれによってお客さんを誘致をするというような仕事、もう一つは、駅ビル等で代表されますように駅周辺の用地を活用いたしまして、それによって私鉄さんがいろいろやっていらっしゃるようなあるいはデパート式のものであるとか、あるいはいろいろな売店であるとかあるいはホテルであるとかいうようなことを営みまして、それによって土地の活用を図りますと同時に、お客さんが集まる場所になってくればまた私どもの運賃収入にもいいメリットがございますので、そういうことをねらいとして関連事業への出資をいたしております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 お伺いしたところによりますと、それらの出資金は二百二十八億円ということでございますが、一般にこういう出資というのは収益を図ることが目的とされるわけですが、国鉄の場合はどうでしょうか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 先ほども申しましたように、出資する場合はいろいろありますけれども、一つ特徴的なのは、旅客、貨物の収入を得るために関連の企業を起こしまして、それによってお客さんあるいは貨物を集めるということでございますので、その場合には出資と申しましてもむしろそれによって配当を期待するという性格のものではないわけでございますが、駅ビル等につきましては十分その配当を期待し得るということも考えておるわけでございまして、不動産の活用による収入のほか配当収入等も頭に置いてこの採否の判断をいたしております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 これら出資をしている関連会社ですね、駅ビル会社の中には出資しているところと出資してない会社があるようですが、現況はどうでしょうか、この貸付料金は同一であると聞いていますが、その点どうでしょうか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 以前はそういう制度が認められておりませんでしたので、駅ビル会社等についての出資はいたしておりませんでしたのですけれども、約七、八年前からその種の出資が法律上認められるようになりましたので、最近では駅ビル会社等の場合には、原則として出資をするという形をとることにいたしております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 これらの出資をすることは、国鉄のやはり本体の業績に寄与するための目的ではないかと思うのですね。現在二百二十八億円の出資金があるわけですが、国の税金を使って出資をしているわけですけれども、配当金についてはこれはわずかでありますし、そういった配当金についてもきちんと規定を決めてやはり行うべきじゃないかと思いますし、あるいは三千八百人も十年間で天下りをしているわけです。これでは、やはり国民の目から見ても、国鉄職員の退職者の再就職のために出資をしていると言われても仕方ないのじゃないかと思うのですね。したがいまして、こういった出資金につきましては、今後より効果的にこれが実を上げられますように努力すべきじゃないかと思うのですが、その点、総裁どのようにお考えでしょうか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 御指摘のとおりでございまして、先ほど申しました二つのうちの後の方のグループ、いわゆる駅ビル等につきましては、貨物収入、旅客収入に次ぐ第三の収入の道というような観点でいたしておるわけでございまして、そういう意味から申しまして、何としても効率を上げなければならないということでございまして、その点については現にそういう目で見ておりますけれども、なお今後とも御指摘のような方向で最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 次に、それでは国土庁に移りますけれども、国土庁は国土の均衡ある発展をと、こういうことを常々計画されておりますが、現在中部圏についてはどのように位置づけされておりましょうか、あるいは開発整備を進めようとされておりましょうか。

松野幸泰自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(松野幸泰君) お答えいたします。  太田委員御承知のように、中部圏は三全総において他の大都市圏域に比べて土地の利用、水資源においても比較的余裕があり、計画的な都市化の誘導によって良好な環境を保ちながら発展することが可能な地域であると位置づけられております。また、これを受けて五十三年に策定された中部圏の基本開発整備計画においては、一体的な圏域づくり、治山治水等の国土の保全、生活、生産及び自然が調和のとれた総合的な居住環境の整備、地域社会安定のための産業の振興、全国的、国際的な機能の強化と充実を図ることを基本方針とし、これに基づいて関係行政機関及び関係地方公共団体において鋭意事業の推進に努力をしているところであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 長官は、中部圏の開発整備につきまして、新しい構想を提唱されているようですけれども、その内容と、その提唱した動機あるいはそういった新しい将来構想を今後どのように具体化されようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思うのです。

松野幸泰自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(松野幸泰君) 御承知のように中部圏の位置は、われわれが世界的な視野に立って考えてみましても、スイスというのが世界の脚光を浴びておる。しかし、緯度で言うならば北海道の北の果ての位置であり、山また山、急峻な山岳地帯、しかも北海道の半分ぐらいの面積しかないところで五百七、八十万の人が世界の注目を浴びて、あらゆる角度で活動しておることを考えてみますると、この中部圏というところは、気候、風土もよろしいし、そして北には日本アルプスを持っておりますし、名古屋市を中心とした大きな産業の力を持っております。水資源が豊富であり、治山治水がまだスイスのように完璧でないところに問題がある。また伊勢湾が、地中海にたとえるわけでありませんが、この伊勢湾というのは地中海以上に世界につながる広い視野を持っております。そういう観点から、中部圏は開発の可能性を十分に持った地域であることは御承知のとおりです。これを十分生かして、潤いと活力のある圏域をつくり上げていくことが、この地域の人たちばかりでなく、わが国の将来の発展のために重要であると考えております。  中部圏は、先駆的な都市計画を有する名古屋市を初め、その周辺の都市は、陶磁器、繊維、自動車など伝統的な産業から先端的な産業まで非常に変化に富んだ産業を抱えております。そこで、長期的な観点から、これらの都市相互の連携をとりつつ、個性のある都市の育成、整備を図り、これらを幹線交通体系で結ぶことによって、潤いと活力のある都市圏域に築き上げていくことが望ましいと考えております。  また一方、中部圏は、先ほど申し上げましたように、中部山岳、伊勢志摩等すぐれた自然景観、秀でた文化的遺産を有する地域を擁しており、地域の住民の生活基盤の整備とあわせて、世界の人人をも引きつけるような自然観光レクリエーション地域として整備を図ることについて検討を進めていく必要があると考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 通産大臣にお尋ねしますが、通産大臣、通産省もいろいろと中部圏の開発についてはお考えのようですが、テクノベルト構想というのがございます。それはどのような構想でしょうか。

神谷和男通商産業省立地公害局長

○政府委員(神谷和男君) 名古屋周辺の産業関連の都市を結ぶ構想として地元でいろいろ検討をされておりましたものを、東海環状テクノベルト構想、こういう名前で呼んでおります。この呼称は、昨年八月に産業構造審議会の東海北陸地域産業分科会、ここでいろいろ御審議をしていただいて策定された東海北陸地域産業ビジョンの中で提案された構想であり、このような名前で呼ばれておるものでございます。  内容は、ただいま国土庁長官のお話の中にもございましたように、名古屋市から半径五十キロ圏内の豊田市、岐阜市、四日市市等々一連の特色のある産業都市の連携を図りながら、既存の産業集積を基盤として先端技術の開発を促進し、新しい時代に対応した産業構造に転回していこうというものでございまして、そのための関連産業機能あるいは関連諸機能の連携強化あるいは関連施設の整備等を行うべきである、こういう提言であり構想でございます。  当省といたしましては、地元における検討を踏まえた上で、要すれば関係省庁とともにさらにその調査には協力してまいりたいと考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 最後に総理にですが、総理もかねがね日本の国土の均衡ある発展ということをおっしゃっておみえになりますし、やはり最近オリンピックの以後、中部圏につきましては、やはり将来構想として非常に求められつつあるところでございますが、中部圏というのは日本の中心地帯でございますし、その将来の発展ということはやはり大きな日本の国力を増す上にも重要な位置にあると思いますので、そういった点で総理の御見解をお伺いしたいと思いますが、どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま国土庁長官から詳細に長官自身の構想、ビジョンも含めてお話がございました。私も全く同感でございます。この地域の発展は、ただにこの地域の振興のためだけでなしに、日本全体の今後の繁栄のためにも必要であると、このように認識をいたしておるわけでありまして、政府としてもできるだけ力を入れてまいりたいと、こう思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 次に、カモシカの問題についてお尋ねしたいと思うのですが、これは私どもの同僚議員がせんだって政府に質問主意書を提出しまして、それに対するお答え等もいただいたわけですが、このニホンカモシカが幻の動物とか、あるいは珍獣と言われまして、一時は絶滅寸前であったわけですが、昭和三十年に国によって特別天然記念物ですか、これに指定されましてからいろいろと保護措置が強化されたのです。そしてそのために、生存頭数というのは年々増大してきました。現在では岐阜、長野、青森、岩手、こういった県を中心として農林産物、特に植林されたばかりのヒノキとか形とか、その新芽を食い荒らすということで林業に対して非常な甚大な被害を与えているわけですが、このカモシカによる食害の現況を環境庁、文化庁、農水省、どのように認識されておりますか。今後どのように対応されていくのか・そのお考えをお聞きしたいと思います。

原文兵衛自由民主党環境庁長官

○国務大臣(原文兵衛君) ニホンカモシカ等の野生鳥獣は、もちろん自然環境を構成する重要な要素でございます。また、国民の生活環境を豊かにすると同時に、生態系の一員としても欠くことのできない役割りを果たしております。しかし、お話のように、森林等に対していまおっしゃったような樹木の新芽を食い荒らすとかいうような被害も、一方発生さしているわけでございます。したがって、そのような認識に立ちまして、今後ニホンカモシカの保護を図るとともに、林業に対する被害については、被害の未然防止等、有害鳥獣駆除等の対策を実施して、言うなればカモシカの保護と被害の防止というものの両立を図ってまいりたいというのが、私どもの基本的な考え方でございます。

秋山智英林野庁長官

○政府委員(秋山智英君) お答えします。  ただいま先生御指摘のとおり、四十八年ごろから大変被害が出てまいりまして、五十二年ごろから三千ヘクタール前後の被害が出てまいっております。五十五年には若干減りまして、二千八百ヘクタールでございますけれども、特に長野、岐阜、それから岩手に多うございます。今後、もちろんカモシカの保護も大事でございますが、同時に、森林所有者が安心して経営できるような体制にするためには、この両者の調整を図ることがきわめて重要だろうと思います。  特に、私ども、ヒノキはこれからわが国の国産材の中心になる材木でございますので、ぜひともそういう問題につきましては三省庁協力し合って、できるだけ安心のできるような林業経営に持っていくように努力したいと、かように考えております。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) カモシカの食害の問題は四十年の末ごろから出てまいりまして、それ以前は幻の動物と言われて、その絶滅が心配されたわけでございます。御指摘のように、昭和三十年に特別天然記念物に指定し、その後、林野庁、環境庁と協力して調査いたしましたところ、全国で約七万五千頭にまで回復してきたと、このように承知しております。その結果、一部の地域におきまして食害の問題が指摘されております。これも三庁協力いたしまして、保護の問題とそれから被害の防止の問題、この問題の両立を図るように毎年努力しているところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いまの御答弁を聞いておりまして、現場の実態を知っている者から見ますと非常に甘い点があるわけです。この被害がどうして発生したのか、あるいは国が被害をもたらしたことに対してどのような責任を感じているのか、その点お尋ねしたいと思うのですが、文部省、どうでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) カモシカの保護ということと被害の防止ということの両立を図るということが大切であると考えまして、この被害の出始めました五十年当初から、私どもの方におきまして防除策といたしまして、カモシカが入ってこないようにするための防護さくの設置とか、あるいはポリネットの装着、忌避剤、こういったものの付着、こういった事業を助成いたしまして、事前に被害が起こらないようにするような対策を講じてまいっております。これでも起こりますときには、万やむを得ずカモシカの個体数調整を行わなければならないということで、この数年の間、麻酔銃などによりまして捕獲を認めまして、個体数調整を行って被害が起こらないようにするということを一部の地域で行っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 対策については後からいろいろまだ議論のあるところですが、国がどういうようにこの責任を感じているかということをお聞きしているわけです。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) もちろん、被害を起こしてカモシカの保護をするということが当然であるとは言えないわけでございまして、被害が起こらないようにしなければならないということで、全国のそれぞれの地域に保護地域を設定して、その保護地域の中ではカモシカが安定的に生育し得るようにすると同時に、それ以外の地域におきましては被害が起こらないように措置を進める、こういった措置を進めて被害を防止しなければならない。この措置の推進に力を挙げることが私どもに課された仕事であると、このように考えて全力を挙げているところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 この被害というのは、国がカモシカを特別天然記念物に指定して、そこからこの被害が発生するようになったんじゃないですか。そこで現地の被害関係者は、現地の実情を踏まえまして、被害防止対策につきましては、十年前から具体的な提案あるいは要請というのを政府に対して再三再四これは繰り返してきているわけです。私もこれに関係するようになりましてからもう七年になるわけでございますけれども、政府は数年前からようやくこの対応措置というものを講ずるようになってきたものでありまして、いまおっしやられたような対策というのは、現地の実情をよく知っている被害者の具体的な提言とか要請というものを無視してこれは行われているわけです。ですから、ここにも被害者の声がございますけれども、当初カモシカの被害防止策としては防護さく、あるいはポリネット、忌避剤の塗布などが実施されたと、しかしこれらの方法というのは、岐阜県のように被害が拡散したところ、広がったところではスズメの涙の助成金で被害全域に対応することはできませんと、実験的に各被害町村一、二ヵ所で実施されましたけれども、これは被害者の強い反対によって中止されてしまった、ですから被害者の立場からすれば、どのような被害防止事業にしても被害全域にこれは施し得るような方法をとらなければ、一方を守ればカモシカは他にえさ場を求めて移動するわけですから、これでは単に被害を拡散するだけで被害防止は不可能だと、こういうことを常々言っているわけです。あるいは麻酔銃によるこの個体数の調整につきましても、最初から被害者の人たちは外国と日本とは違うんだと、ああいう平たんな土地じゃなくて、被害地というのは、ごらんになればわかりますけれども、こういう峻険な山容にあるわけですから、麻酔銃で撃っても、その撃たれたカモシカはたちまちその険しい山道を駆け登ってどこかわからないところでこれは倒れているわけですから、そして麻酔がさめればまたもとどおりになってしまうということで繰り返しているわけですね。ですから、もっと被害者の意見というものを取り入れたそういった対策を立てるべきじゃなかったか、こういうことです。ですから、これは先ほど申し上げましたように、特別天然記念物に指定をしたところからこの被害というものが起きていろいろといま対策を繰り返されているようですが、被害というものは少しもおさまっていない。そういう点から国の責任がないとは言えないのじゃないか、こういうことを申し上げているわけです。この点どうでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) カモシカが絶滅するか、あるいはふえ過ぎるかという問題は、そのコントロールが非常にむずかしゅうございまして、ことに野生の動物で昔、幻の動物と言われたぐらいにその数の把握が非常にむずかしいわけでございます。そういった動物の保護をしながら生息数をどのようにコントロールするかというのは、毎年の状況を学者の方々の協力を得まして細かく調査し、それから被害の状況につきましても地元の方々から十分意見を伺って、どの程度の方法でどれだけ捕獲するかということを地元と数次の調整をした上で了解の上毎年行っておりますので、こういった形で年々改善をしてまいり、また自然保護の方々の了解も十分つけてまいりたいと、このように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 ですから、被害者に聞くのが一番これは早道じゃないかと思うのですね。あなた方がいろいろと相談されているのは、被害者じゃなくて、地方自治体にいろいろ相談をしてそこから持ってくる意見に基づいてやっているわけでしょう。自然保護団体という意見ございましたが、そういった被害者の同盟の方々の実情に即したいろんな進言というものがいままで繰り返し繰り返し行われているわけですから、その点を取り入れていれば、もっと早くいわゆる被害というものは軽減されているわけですね。その点どのようにお考えになりますか。私は何も絶滅しろなんて言っているんじゃないんですよニホンカモシカを。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) この問題に関しましては、単に自然保護の方々だけでなしに市町村長ももちろん聞いておりますし、被害者の方々もいろいろ同盟をつくっておられまして、毎年数次私どもとお会いし、捕獲頭数の決定等に当たりましては被害者同盟の方々と十分お話をしているところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 しかし、そういった点で被害というものがいまおさまっていない。私も現地に参りましたけれども、ヒノキにしましても、新しい芽を食われますと、この予算委員会でも同僚委員が前にここに持ちまして実物をお見せしたこともありますけれども、ヒノキはもう真っすぐ育ちませんね。あるいは育ったとしても、もう木目がねじれてしまって、これはもう建築材料にも何にもならないというような実情ですね。そして、私ども現地へ行きましたけれども、もうこれでは手入れをすることもあきらめざるを得ないし、あるいは植林をもうやめてしまったという方も何人かおみえになるわけです。たとえば岐阜県の小坂町へ参りますと、ほとんど林業によって生活をする町でございますので、この被害というのは私たちにはかり知れないものがあるわけですね。また、その地域の中には、実際にもう木を植えることをあきらめた地域につきましては、実際に自然の崩落が起きている。こういうことも実際に見られるわけです。そこで私ども、そういった点から、皆さん方の責任のある被害についての実情の掌握については甘いものがあるのじゃないかと思うんです。ですから、これらの被害につきましては、国が当然その被害の損失の補てんを行うべきじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。

正田泰央環境庁自然保護局長

○政府委員(正田泰央君) 損失の補てん全般につきましては、先ほど文化庁からるる申し上げたとおりでございますが、それに及ばざる抜本的な問題につきましては、いわゆる損害補償と申しますか、損害賠償の問題があろうかと思うのでございます。これは私どもの方と文化庁の方で二、三年いろいろな研究を行っておりますが、なかなか法理論上むずかしい問題がございます。一番の問題は、何と申しましても保護、それに伴いますところの数の増加、それに伴いますところの被害と、いわばそのクッションが二つ入ってございまして、因果関係の立証が非常にむずかしいというところに学者の意見が非常にございまして、これはどうやってこの理論構成を突破したらいいかということを考えておりますが、私ども個体数の調整、そういった行政上の施策の、一生懸命やっておりますが、最後に残された保護区の設定に伴う被害が依然として多いという場合には、いま申し上げたような問題をどうやって制度化したらいいか、あるいは共済とか保険でどう考えたらいいか、そういったことを十分に考えてみたいと、こう思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 とても納得できるものじゃないんですが、一体どの程度の被害があるかということですが、大体ヘクタール当たりで百万程度、ひどいところでは三百万程度の被害があるのじゃないかと言われているのです。したがいまして、全国的にこれを被害総額を計算した場合には、年間で二十億から三十億ぐらいにこれは達するのじゃないかという計算もされているのです。いま保護地域が設定されて云々とございますけれども、カモシカのこの食害に遭った跡地の復旧造林ということもいま問題になっておりますけれども、現行の補助制度、これを適用する考えのようですけれども、いまどういうような補助制度があって、その場合の補助率がどのようになっていますか、具体的に答弁していただきたいと思うのです。

秋山智英林野庁長官

○政府委員(秋山智英君) お答えします。  復旧造林の制度がございますが、やはり前提といたしまして、森林所有者が安心して植えられる体制をつくらなければいかぬということが私は第一だと思います。したがいまして、私どもはまず第一に、三省庁協議をしながら防止対策を進めるということがまず大前提であると思います。しかる後に私ども復旧造林のねらいと申しますと、あくまでもこれは森林が持っておりますところの各種の機能を発揮させると、早目に森林造成をつくるということのねらいがございますので、私ども一般造林の補助制度の中身に、この復旧造林につきましては経費の十分の四を補助するという、そういう制度がございますので、これで対応してまいりたいと、かように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 とてもいまの、補助率十分の四とおっしゃいましたけれども、カモシカによる食害と申しますのは、これは明らかに国の責任なんですね。ですから、他の一般の野ウサギとか野ネズミによります被害と性格が当然これは違うんです。ですから、本来ならば国が全額負担したとしてもおかしくないと、こういうように私ども思うのですが、その点の考えはどうでしょうか。

秋山智英林野庁長官

○政府委員(秋山智英君) お答えします。  これは先ほど申しましたように、補償的な考え方で植えるのではございませんで、あくまでも森林を造成するといったてまえから実施しておりますので、原則的にはやはり十分の四の助成で現在はやるということで進めておるところでございます。ただし、現段階では、森林所有者はまだ再度植えるという気持ちがなかなか起きてまいっておりません。したがいまして、私はその防止の方にさらに重点を置くべきだというふうに考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それは、やはり国に責任があるのだということを明確にしてこの問題に臨みませんもので、被害者の人たちが非常な不安を感じているから、そういった意欲が起きないのですね。いま林野庁から御答弁あったわけですけれども、カモシカの保護官庁、これは文化庁ですけれども、林野庁の方でどうしてもそれ以上めんどうを見られないというようなお答えですけれども、やはり文化庁が通常の補助率の四〇%を上回る部分についてやっぱり負担する用意をすべきじゃないかと思うのですが、その点、文部大臣どうでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) カモシカの問題につきましては、林野庁とそれから環境庁と文化庁と、それぞれ協力して分担して行うことにいたしております。  ただいまの問題につきまして、カモシカは天然記念物であるといたしましても、そのことによって直ちに保護法による責任ということはむずかしゅうございまして、やはり野生動物の被害をどのように考えるかと、林野行政の御協力を得て考えるものと私ども思われますので、御協力をいただいて最善を尽くしていきたいと思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 じゃ、文化庁にお聞きしますけれども、千葉県の富津ですか、そこでは猿による農作物被害に対しまして国からえさ代というものが支給されている。これも天然記念物に指定されている猿でございますね。富津あるいは君津で半額交付されていると聞きますが、どうですか、その点は。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) 千葉の高岩山そのほか、ある時期に猿をえづけして集落を形成させるということが行われたわけでございます。その後、それでは自然の生態を崩して害があるということで、えづけをだんだんやめて山へいま追い上げる方式をとっております。そういうある一過性の時期、学会の一つの流れとしてえづけはございましたけれども、そういうことをいま脱却するということで、部分的に、まだ一遍にえづけをやめてしまうわけにまいりませんので、高岩山で申しますと、山奥の木を切りまして、それでシイの実やカシの実の実のなる木が生えてくるようにいたして、そこへ猿が生息できるようにする。そして、里の方のそういうカキの木とかクリの木とかに被害を与えないようにするというように、いま三年ぐらいの計画で追い上げている最中でございます。  えさ代と申しますのは、そのえづけをいたしましたときに近くの農家の方々に、いわばそのお持ちのえさを提供していただくという形で、そこになっているカキやクリを食べさしていただいているわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 カモシカの被害者の方々は、手持ちのそういったえさではないんです。自分たちの将来の生計を立てなければならない重要な命綱ですね、このヒノキとかそういうのは、それを提供しているのですね。提供させられているのです。そういった意味で、この問題についてはもっと真剣に考えていただきたいと思うのです。文部大臣の地元もそういった問題が非常に起きているところですので、事務局じゃだめですので、文部大臣からひとつ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私は長野県でございまして、岐阜県と隣接しておりまする部分が選挙区でありますから、林業の被害について切実な訴えを聞いてきております。同時にまた、関係省庁がきわめて真剣な姿勢でこの問題に取り組んでおるその姿をも見てきておるところでございます。文化庁といたしましては、先ほどからるる申し上げましたとおり、林業被害を防止するための各種の事業に対して助成を加えておるわけでございまするし、町村長等はもとより、直接被害者からも実情を開きまして、現状にさらに改善、復旧の余地がないかどうかということも真剣に研究をいたしているところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 午前中は終わります。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時委員会を再開し、太田君の質疑を続けます。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時三分開会

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十七年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、太田淳夫君の総括質疑を続けます。太田君。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 先ほどから保護区域の設定につきましてお話がありましたけれども、昭和五十四年の八月三十一日にいわゆる環境庁、文化庁、林野庁の三庁の合意、これによって保護・地域の設定についての考え方あるいは今後の方針について決められたわけですが、その点のことについて御説明願いたいと思います。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) カモシカの保護と被害の防止の両立を図りますために、環境庁、林野庁^文化庁三庁で一つの措置といたしまして全国十数カ所の保護地域を設定して、その中においては林業の施業をある程度セーブすることによってカモシカの安定的な成育を保障する、それ以外のところにつきましては、被害が出たところについてはこれを個体数の調整を認めることによりまして被害を減らしていくと、こういうことを行っております。現在までのところ四地域、保護地域が設定されておりますが、残余の地域についても順次進めていきたいと、このように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 その四地域というのはどこでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) 昭和五十四年に北アルプス地域、五十五年に南アルプス地域、五十六年に下北半島地域、それから五十七年二月白山地域、この四地域を設定いたしました。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 この作業はいつまでに完了する方針でしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) それぞれ広大な地域でございまして、関係いたします県市町村、地主の方がたくさんいらっしゃいまして、この御了解を得なければなりませんので、鋭意進めておりますが数年というふうに見込んでおります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 この数年というのは、もうここ数年、いつも数年数年ということで来ているわけでして、なかなか進んでいないようです。  いままで地域設定を完了しました四地域につきましては、これは被害が非常に激しい地域ですね。しかも民有林というのはこの保護地域内に余り入ってないようなんです。これから余り被害が起きてない地域で、民有林を取り込んでいく形で地域設定をされていくということになりますと、やはりどうしてもその前提としましては、先ほど申し上げているように、被害防止対策あるいは損害補償措置を明確にしなければ、これはその地域設定に対して同意する者がいなくなってしまうのじゃないか、そうなりますと、この作業というのは十年たっても二十年たってもなかなか終わるものじゃないと、こう思うわけですが、その点どうでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) 被害地域の状況に応じまして個体数調整の数を決めておりまして、また捕獲いたしましたものにつきましては大学に委託いたしまして、その栄養状態とか妊娠率の調査をいたしております。したがって、どの程度の数を適正な捕獲頭数とするかということを、着々と実績を上げておりますので、被害が今後ふえるということは防止できると私どもは考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 昭和五十五年四月、岐阜県下の被害地七市町村の代表の人たちが連名で文化庁長官に対しまして、文化財保護法第八十条第五項の規定に基づく損失補償の申し立て書を提出していますし、また五十六年二月には再度申し立て書を提出しているわけですけれども、いまだに決定書が交付されておりませんが、その交付がおくれている理由は何か。また、文化庁長官は早急にこの現実を直視した決定を下すべきだと思いますが、その点どうでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) 文化財保護法八十条の規定は、文化財に指定されたことによりまして文化財そのものに経済的な価値の目減りがございましたときに補償する規定がございます。この問題を、野生の動物による被害に当てはめることは非常にむずかしゅうございます。ただ、そういう陳情が出ましても、法的にだめだと冷たくお答えするのもなんでございますので、文書はそのまま保留し、法律的な保護法によるものはむずかしゅうございますということを口頭でお答えするとともに、防護さくを充実したり、捕獲頭数をお話ししたり、あるいは環境庁、林野庁の御協力を得て復旧造林その他の施策、こういったものを全体的に行ってそういう防止に努めていると、このような状況でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それから、これは自治体の方からこの法規制に基づくカモシカの食害激甚地指定を行い、同地域に対しましては復旧造林のために必要な予算を優先的に確保すると同時に、文化財保護法第七十一条の規定による特殊事由として、カモシカを特別天然記念物から解除して普遍的な捕獲のできる措置が講ぜられるよう強い要請がこれはされていると思いますが、その点についての考え方はどうでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○政府委員(山中昌裕君) 保護法の解除の問題がございましたので、そちらを先にお答え申し上げます。  天然記念物に指定されましたカモシカが安定的に生育し得るかどうかということを先ほども御説明申し上げましたが、非常にデリケートでございまして、細かく見ていかなければならない。保護区の設定が全部終わりました後で、その保護区によって安定的成長が確保し得るという段階は、そういう問題の検討もなされることがあろうと存じておりますが、現段階で保護区の設定を解除するということはなかなかむずかしゅうございます。将来の問題として保護区設定後に検討さしていただきたいと存じております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 質問者から環境庁の答弁を求められております。

正田泰央環境庁自然保護局長

○政府委員(正田泰央君) 保護対策の中身として、先ほど来の保護対策を、一連の保護を講じた後で被害補償の体系として林野庁所管によりますところの復旧造林の制度がございますが、これをどのように最大限活用するか、どのような方法でこの問題に適用するかということを林野庁の方でお答えになると思います。

秋山智英林野庁長官

○政府委員(秋山智英君) この補償問題につきましては、いわば私ども林業経営の立場からですと被害者的立場でございますけれども、この場合、三者が協議して決めていかなければならぬ問題だと思っておりますので、今後そういう考え方で検討してまいりたいと思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それでは最後に総理に、この問題につきましてはもう十数年にわたりまして被害関係者から数十回にわたって問題解決のための陳情が繰り返されてきているわけです。きょう、いろいろと御答弁聞いていましても少しもそのときと前進はしてないということです。このままですと、やはり山村の住民の方々の生存権とかあるいは財産権というものが侵害されてくるわけですね。特に先ほど国土庁長官からもお話ありましたが、日本の自然、水資源の涵養とかあるいは国土保全、そういった森林というものが持った公益的な機能というのがこの地域ではもう著しく低下してしまいます。そういう点からばかりでなくて、やはり山村住民のいろんな理解とかあるいは協力がありませんと、カモシカ自体の保護ということもこれは支障を来すんじゃないかと思いますね。そういう点から、私はもう何回も申し上げますけれども、カモシカの保護に異議を唱えているわけじゃないんです。こういった被害対策をないがしろにした保護行政というものに対しての問題を提起しているわけでございますけれども、いろいろ三省ということで、なかなかこれが話し合いが、努力はされているけれども、なかなか進んでいない現実があります。どうかそういった中で、先ほど申し上げましたように、被害防止対策とかあるいは損害の補償措置が明確にならなければ、いろいろといま山になっております地域設定についても、これはなかなか進まない、そういう点から総理の、この問題について抜本的な措置が講ぜられますように、総理の方からも各関係省庁に指示をしていただきたいと思います。総理は例の「むつ」の問題につきましては相当な指導力を発揮されたわけでございますが、このような林業に従事されている国民のいろいろな嘆きということもよくお感じになられる立場じゃないかと思いますので、その点、最後に見解を賜って終わりたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来、太田さんからカモシカの問題ついていろいろ御所見が述べられましたが、太田さんが天然記念物である指定をされたこのカモシカを保存していかなければならない、こういうことはお認めいただいておるわけでありますから、その前提の上に立って被害防止あるいは被害の起こった場合の損害賠償の補償等について、国としてはっきり責任の措置を講ずべきである、こういう御主張でございます。全くそのとおりでございまして、まず第一義的にはこのカモシカの食害等による森林に対する被害を防除することに全力を尽くさなければいけない、被害が発生しないようにすること、これが私は一番大事なことであると思っております。しかしそれにいたしましても、不幸にして被害等が発生いたしました場合におきましては、それに対して国が補償の責めに任じるということが森林農家の生活の安定のため、またもっと大きく言えば自然環境の保全の上からも大事だと、こういう御主張は全く私もそのとおり理解がいけるわけでございます。つきましては、環境庁、文化庁さらに林野庁、この関係各省の間で被害防止と、被害が発生した場合における補償の問題につきまして、政府として責任のある解決策を出すように、私からもこれを指示いたしまして促進をするようにいたします。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で太田淳夫君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)1L

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、寺田熊雄君の総括質疑を行います。寺田君。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理にお尋ねをいたします。総理は、就任の最初の所信表明ではもちろんでありますけれども、その後も、清潔な政治、規律ある行政は、国民の信頼を得る原点である、私は、引き続き、政治の浄化と厳正な綱紀の確保に努力していきたいと述べていらっしゃいますが、この御認識、この御決意にはいまでも変わりはございませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。その実現のために最善を尽くしてまいる考えであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ところが、自民党の中では、御承知のように田中派というものが厳然としてございます。その頂点におられる田中元総理は、現在、破廉恥罪で刑事被告人として裁判を受けております。ところが、自民党の党員の方々が現在百九人もその刑事被告人である田中元総理の膝下にはせ参ずるということは、どうしてもこれは一般国民の常識と合わないのであります。これは自民党員の政治倫理観といいますか、道徳観の低下を物語るものではないかと思うのですが、御所感はいかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 田中元総理は、現在自民党から離脱をされております。かつて田中さんと行動をともにし、またその指導を受けた諸君は、今日では自民党の中にとどまっておるわけでございまして、田中さんとは政治行動はこれは別別の立場で政治に参加しておるということでございまして、その点は寺田さんがおっしゃるのとは事実関係がちょっと違うわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 事実はそうでないようですね。  私はかつて大平前総理にもこの問題を尋ねてみました。大平さんはやはり田中派なるものがあることは知っておると。「田中貫がその信念に基づいて私を支持していただいておるということは私も承知いたしております。」ということをはっきりと、これは五十五年の三月十三日の会議録にありますが、答弁していらっしゃるんですね。  それから田中派に入った人に私も聞いてみました。入っておらない人にも聞いてみました。勧誘を受けて入らなかった人にも聞いてみました。なぜそういう現象が起きるのだろうかということを私もそれなりに尋ねてみたわけです。そうすると、選挙に際して物心両面の援助があるのだと、それからまた、大臣のホストを世話をするということも実際実力者として彼にはあると。その場合、世話した人間に税金をかける——まあ金を吸い上げるという意味でしょうか、という現象もあるんだというようなことさえも、これは自民党の中に私にそう語った人があるわけですね。やはりあれでしょう、総理もそういう現実を全く御存じないとは言えないでしょう。率直におっしゃってください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私はそういうことは存じません。また、木曜クラブという政策集団がございますが、この木曜クラブの諸君の人事の問題につきまして、田中元総理から私は一度も御相談にあずかったこともございませんし、御要請を受けたこともございません。その点はきわめてはっきりいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理、田中派があなたを支持しておるという現実はお認めになりますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) まあ通称田中派ということでございますけれども、先ほども申し上げたように、田中さんはいま自民党の党員ではございません。自民党を離脱をいたしております。私は、いま木曜クラブという政策集団は、確かに自由民主党の中で相当多数の諸君が参加をして、お互いに勉強し相励まし、選挙等についても協力し合っている、政治行動をともにしている、こういうことでございますが、その諸君が私に対して理解と御支持をされておるということは事実でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その木曜クラブなるものの頂点に田中元総理がおられることは、あなたもまさか御否認にはならぬでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 木曜クラブの会長は二階堂進君でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 二階堂氏は田中さんの分身だと言われますよ。代貸したと言われますよ。二階堂さんと田中さんとの関係をよもやあなたは御否定にはならぬでしょうね。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、かつては田中さんと二階堂氏は自由民主党の中で同一行動をとっておられました。また個人的にも深い友情でつながっておると、こう思いますが、今日では先ほど申し上げましたように党籍を異にいたしておりますし、二階堂氏は同志の諸君に推されて木曜クラブの会長という責任の立場にございまして、同志の諸君と相談をしながらその政策集団を運営をしている、このように承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうしますと、二階堂氏を通じて田中氏が政界に隠然たる影響力を持っておるということ、これはお認めになるでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは見方によっていろいろ、そういう評価といいますか見方といいますか、そういうことが出ると、こう思いますね。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこなんです、総理。破廉恥罪で刑事被告人として裁判を受けておる人が、どういうプロセスなりルートをたどるということはあるにしろ、日本の国政に重大な影響を与えておるということ、これは日本の政治の倫理性といいますか道徳性の否定につながると思いますよ。これをどういうふうにお考えになります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は政権を担当するようになりましてから一年数ヵ月になるわけでありますが、私はその間におきまして、田中氏から特別な要請なりあるいは圧力なり、そういうものを受けたことがございません。私は国民の皆さんに対して、私の責任において国政の運営に精進いたしておるわけでございまして、先ほど来寺田さんは影響、影響というようなことをおっしゃいますけれども、私は、先ほど来申し上げておりますように、党籍を異にする田中さんからは直接何らの影響も受けておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それは決して、率直にしてまた真実を語る御答弁とは受け取れません。  そのほかにも、閣僚の方々が田中さんのところに年始に行くというような現象も、これは大新聞の社説に指摘されているような事態なんですよね。私どもはどうしてもわからないんです。国民の常識と自民党員の良識との間には大きな差があるわけですよ。やはりこれは、総理が先ほどもおっしゃったように、政治倫理というものをできるだけ正しくこれを確立していくのだと言うならば、こういう点についても勇断をもってやはり対処すべきだと思いますよ。いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 寺田さんの国政を憂える、国政について御心配をした上での御提言としてありがたく伺っておきます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次は外交問題について。  まず、外務大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、今度、外務大臣御苦労さまですがアメリカにおいでになりまして、何か承りますといろいろ国際情勢についてアメリカの首脳と隔意ない懇談を行うということであります。大変結構だと思いますが、ただ非常におもしろいと思いましたのは、アメリカが台湾に対して戦闘機の部品を供与するというような問題で、中国が非常にこれに反発をしておりますね。やはり米中関係は大事なんだというようなことで、アメリカに対して慎重な配慮を求めるというような報道を読んだことがありますが、もしそれが事実だとすると大変これはりっぱな自主性を持ったことだと思って私も感心したのですが、事実はどうでございましょうか。そういう御決意があるのでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 鈴木内閣改造後、御承知のように外務大臣はアメリカの方へ行っておりません。外交の衝にあるものとして日米関係が日本の外交の非常に大事な分野である、私はよく機軸をなしておると、こう申しておるわけでございまして、今回初めてレーガン大統領を初めとする首脳とお会いして隔意ない意見の交換をいたしたい、こう思っておるわけでございますが、私の訪米の内容についていろいろと報道されておりますが、最後の腹を決めて、こういう問題だけはぜひ話してきたいとか、こういう問題は米側から提案があるだろうとか、そういうようなことは現在のところ何もないのであります。私も慎重に新聞を拝見いたしまして、ただいまの中国問題の御質問でございましたが、こういう問題も両国の大事な問題として話し合わなければならないかなと、その程度のいま考えでございますが、もちろんいよいよ二十二、三と首脳と会うのでありますから、その前には頭の整理もしっかりいたしまして、必要な重要性の高いものからよく話し合ってまいりたいと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 アメリカの高金利の問題については、これは話し合うということをおっしゃっていますね。総理もそういうふうに何か御指示があったような御答弁がございました。これはなさるわけでしょう。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 日米間の貿易の現状からいたしますと、アメリカの高金利による影響というものを等閑視することはできないと思います。これは取り上げ方がいろいろあると思うんですね。私ら日本の現状というものを率直に申し上げたい。しばしば委員会でも問題になっておりますように、日本は国際間では物価もいいし、失業率も低いし、成長率も維持しておる優等生だ、こういうふうに言われておるが、どうも最近におきましてはいろいろまずいデータも出てきておる折でございます。特にその中で内需の喚起をどうするか、こういうことがこれからの日本経済の運営上非常に問題であります。そのことを考えますと、いまの円の価値というもの、円安の状況というものが果たしていいかどうか、こういうことになってまいりますから、そういうような点から率直に米側の意向をただしてみたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 外務大臣は、アメリカの高金利というのはどこからくるというような御認識でしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) これは、米側がよく主張をされておる米国のインフレ抑制のためにこういう結果が出てくる、インフレ抑制の措置をとっておることによって、それに付随して高金利になっておると、こういうふうに米側は言っておると思うのであります。そして、さらにインフレが抑制されてくるならば考え直すと、こういうことでアメリカの経済動向を見ておりますと、他の指標は悪うございますけれども、最近物価抑制は次第に効果があらわれつつある。米側の言っておられることもその辺に根拠があるかなと思いながら見ておるわけでございますが、もちろん単純にそれだけの要素ではないことはよく承知しておりますが、まあその辺に見当があると、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 アメリカの高金利と申しましても、レーガン大統領が決めておるわけではなくして、いまおっしゃったようにFRBが決めておる、そのボルカー理事長が昨年の春、レーガン大統領が他の効果的なインフレ抑制策を実施できないなら、FRBはインフレと戦うために金融引き締め策を堅持せざるを得ないと言っております。アメリカのこのインフレ、それから財政上の赤字、不均衡な財政、こういうものはレーガン大統領の大軍拡による国防支出を削減しない限りはこれは実現しないわけですね。ですから高金利についてメスを入れる以上は、当然レーガン氏のそういう一千億ドルに及ぶ大赤字を出してまで軍拡を推進しようというその政策にメスを入れなければ、上っ面をなでるだけになってしまうんですね。そういう点についてもやはり配意して御相談になるのでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 日米外相会議、ヘイグさんが私の見合いになると思うのでありますが、その機会にレーガン大統領、ブッシュ副大統領、そのほかの経済閣僚ともお会いするという場合に、お尋ねのことが、国際関係がないとは申しませんが、アメリカ大統領がその所信に沿ってとっておられる政策について云々するということは、両国の経済関係あるいは両国の共通の関心ある国際問題というようなところに重点があるのでございまして、お話のようなレーガン大統領が就任後とられておる政策についてこちら側が批判をするということについては、これは建設的に何か参考になる意見を率直に述べるということは日米友好の関係からよろしいかと思いますが、いまお尋ねの範囲については、これを私が取り上げるかどうかということについては、この委員会の席上では申し上げることを控えさしていただきます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、私はそこが大事だと思うんです。それであえてお尋ねをしたわけですが、アメリカの方からは日本の防衛努力が足りないんだよと、との関税障壁が高くて自由貿易制度に障害があるよとか、さまざまな批判なり要望が出ておるわけですね。この間、ミッテラン氏がレーガン大統領と会ってアメリカの中米政策について非常に厳しい批判をしたという報道がなされておりますね。私はやはり、アメリカと対等に自主性を持って外交をお進めになるならば、率直にアメリカの外交政策その他について、あるいは内政に関しても事、防衛に関してはお互いに言い合うわけですから、やはり率直に意見を述べて参考に資するという、そういうお気持ちがあっていいと思いますよ。  これは総理にお尋ねをするわけなんですけれども、総理はこれからベルサイユ・サミットにおいでになる。レーガン氏ともひざ突き合わせてお話しになるんでしょう。アメリカのエルサルバドルをめぐるあの中米政策は、メキシコなどの中米の国家からもかなり過ちであるという厳しい批判があります。ミッテランもそれを指摘した。ああいう軍事介入にも及びかねないような危険なアメリカの中米外交というようなものに対しては、日本もやはり世界平和を守るという見地から、当然私は一定の提言をなさってもいいと思うんですよ。総理いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 中米の情勢というのは、非常に複雑な様相を呈しておるように私は見ております。政権に対して反対勢力がゲリラ戦に出ておる。そのために治安が大きく乱れて、そして中米全体にそれが大きな波紋を及ぼしかねない、こういうような状況。そして、それに対してどちらの主張が正しいかということについては、国それぞれによってまた違うと私は見ております。そういうようなことから、一概にミッテラン・フランス大統領がおっしゃったことが正しいとか、レーガンさんの方が正しいとか間違っておるとか、そういうことを私はここで申し上げることは適当でない、こう思っております。  要は、この中米に対しては、やはりアメリカの身近な隣接した地域でございますから、アメリカとしては最大のこれに対して関心を払っておる、それが自然であろうと、こう思っております。わが国が今後いろんな地域協力、経済協力をいたします場合におきまして、その辺は慎重に分析をしながら、誤りない対応をしていきたい、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 国連軍縮特別総会に向けての総理の御抱負を伺いたいのですが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 六月にニューヨークにおきまして、第二回の国連軍縮総会が開かれるわけでございます。この総会におきましては、わが国は平和国家の立場から核の廃絶を含んだところの核軍縮、また一般兵器を含めた軍縮、軍備管理、こういうものを強力に推進をいたしまして、そして、世界の恒久的な平和と安全を確保しなければいけない、こういうことを私は強く訴えたい、こう思っております。  核軍縮につきましては、いろいろ国内でも学者のグループの皆さんやらあるいは各宗教団体あるいは民主的な市民団体、各政党、いろいろ核軍縮につきましてのアピールも出され、また署名運動等もおやりになっております。国会にも軍縮の議員連盟も結成をされておる。私は、具体的にこれを国連で提案いたしますにつきましては、出発前にこれらの団体等の代表者の方々にお目にかかりまして、十分御意見も拝聴して、そして、国民的基盤の上に立ってこの軍縮総会でわが国の主張、立場というものを明らかにしたい、宣明したいと、このように考えておるわけでございます。この核不拡散体制の強化あるいは包括的な核実験の禁止の問題あるいは化学兵器の禁止を実行する、そういうような問題等につきましてはぜひ触れていきたいと、このように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何かこの化学兵器の問題はまだ国際的な禁止条約がたしか調印されておりませんですね。これはやはり化学兵器に関する国際条約の調印を全世界に訴えるという、そういう御抱負でお訴えになるわけですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この核兵器のほかに、大量無差別の殺戮兵器としては化学兵器がございますし、なお、非常に非人道的な生物兵器等もございます。やはり、この軍縮、軍備管理と、そして、恒久平和を希求する場合におきましては、そういう問題にもやはり触れたらどうかと、こういうことを実は考えておるわけであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 調印を呼びかけるわけですか。——いま調印を呼びかけるということで私がお尋ねして、うなずいていらっしゃるから、そういう御趣旨だというふうにこれははっきり伺っておきます。  それから、生物毒素兵器禁止条約は、これは四十七年に署名し五十年に効力が発生していますが、まだ批准しておりませんね。今国会に批准を進める、国会の承認を求めるという報道がありますが、間違いございませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今国会でぜひ批准を求めたいということで、国内法の整備につきましていろいろ関係省庁で検討を進めております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 今国会に出されますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今国会に出すことを目途にいま作業を進めております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理はこの国会で、衆議院で社会党の武藤政審会長の質問に対して、核兵器は絶対悪だというふうに御答弁になりましたね。絶対悪だといいますと、総理のおっしゃるように核の軍事力の均衡を得るためにはやむを得ないとかいうような答弁が続いて出ることがおかしいのですよ。じゃ総理は、軍事力の均衡を目的とするものであるならば、核兵器は善であると主張されるのですか。それとも必要悪であるとおっしゃるのですか。やむを得ざる悪とおっしゃるのか、その辺ちょっとお聞かせください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 武藤さんとの論争の中で、私はあの残虐な非常に人類に対して大きな惨禍を与える核兵器というものは、人道的な見地からこれは絶対悪であると、こういうことを申し上げました。一方におきまして、現在の世界の平和の確保が核兵器を含む軍事バランスの上に保持されておるということも残念ながら厳しい現実であります。しかし、いま申し上げたように核の廃絶、この人道的に許せない核兵器というものをなくするために、それに向かって着実に努力を積み重ねていかなければならないと、こういうのが私の認識でございまして、核戦力をお互いに競い合う、拡大するというようなことは絶対にしてはいけない、この核というものを究極において廃絶をしなければならないという人類の願いからいって、これをバランスを保持しながら、着実にこれを低位に縮減していく、抑えていく、そして最後にはこれを廃絶に持っていくというのが現実のわれわれ政治に取り組んでおる立場から、そういうことを申し上げておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 しかし総理ね、人道的見地からは絶対悪であると、しかし政治的、軍事的見地からはそうじゃないんだというのは、どうも首尾一貫しないでしょう。それはやはり絶対悪、アブソリュートな悪じゃないでしょう。やむを得ざる悪だということになってしまうんでしょう。いかがです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、人道的な見地からこれは絶対悪だと、このように思っておりますが、現実にもうございます。現実にございますから、これを廃絶を目指してわれわれは努力を積み重ねていくと、こういうことです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どうも政治の立場と人道的な立場とは違うということになるのでしょうか、おかしいですよ、それ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 人道的な立場から見まして、この核兵器の人類に与える惨禍等を考えた場合に、私は絶対悪だと。これは恐らく皆さんも、寺田さんも同じような認識をお持ちになるだろうと、こう思います。  しかし、この絶対悪である核兵器が現に存在しておる、念仏を唱えてもなくなりません。それで、これを廃絶に向かってわれわれはどうやって取り組み、努力していくかというのが政治に課せられた課題である、こういう認識で私は取り組んでおります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 論理価な矛盾であることは明らかであると思いますが、この論戦を繰り返してもしようがないので、できるならば政治の世界にも総理の人道的な見地なるものを強力に推し進めるべきだと、私はそれを希望しておきます。  また、レーガン大統領が、ことしの二月八日、下院のオニール議長に対して送った書簡の中で、十三年ぶりに化学兵器の生産を再開するという件の通告があるのですが、これを総理、国連総会で化学兵器の廃絶を訴えるということになりますと、当然レーガン大統領の、いまの政治的な当面の政策に直接否定的な見解を表明することになりますね。それはレーガンに会ってもやはり御主張になってしかるべきじゃないでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど私申し上げましたように、今度の軍縮総会においていま私が考えておる具体的な内容としては、包括的な核実験の全面禁止、これが一つ、それから化学兵器の禁止、さらにこの核不拡散態勢の強化、こういうことを実は具体的な問題としては考えております。これはあらゆる機会に主張していきたいと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 レーガンの政策に反するというのはどういうふうに……。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ですから、私は、あらゆる機会にそれを主張してまいります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 レーガンに対しても。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) レーガンに対しても。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 またレーガンは限定核戦争はあり得るということを言っているのですけれども、総理は、限定核戦争があればそれが当然に全面的な核戦争に発展するという説もありますね、どちらを正しいと思われます。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) レーガンは限定核戦争があり得るというふうに言ったというふうに一般によく伝えられておりますけれども、その真意は必ずしも限定核戦争があり得るということよりも、あらゆる場合に核の抑止力と、抑止ということに重点を置きまして、あらゆる事態に備える用意が必要であるという趣旨の核抑止戦略の重要性を主張したというふうに私どもは理解をいたしておりまして、レーガンが限定核戦争をいかにもあるといいますか、それを主張しておるかのごとくに伝えられていることは、私どもは必ずしもレーガンの真意ではないのじゃないかというふうに理解をしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 レーガンが言ったか、言わないか、いまここで論ずるのはひとまずおきまして、総理のこの点についての御認識を伺っているのです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、限定戦争であっても核戦争はあってはならない。またないようにわれわれはあらゆる努力をしていかなければいけないと、このように思っています。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ベルサイユ・サミットに臨まれる総理の御抱負を伺いたいと思いますが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 今日までサミットにおきましては、そのときどきにおける世界の経済状況、それに対応して世界の安定、また平和の確保の見地から、経済問題を中心に取り上げてまいったところでございます。しかし一方におきまして、西側陣営の先進主要国の首脳が一堂に会するわけでございますから、また国際政治の問題も当然議論の対象になってまいります。  私は、ベルサイユ・サミットにおきましても、現在深刻な諸困難に当面しておりますところの世界経済、この再活性化の問題が最重要な議題になるであろうと、こう考えております。  その中身の各討議すべき議題につきましては、ただいま準備会合におきまして調整が進められておる段階でございます。また国際情勢等につきましては、当然ポーランド問題でありますとか、あるいはアフガン問題のその後における状況についての意見の交換であるとか、中東の問題であるとか、いろいろな国際情勢についても話し合いがなされるものと、このように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 新東京ラウンドの提唱をなさるという報道がありますが、これはやはりその場でなさるわけですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これはまだ私はそういうことを新聞にも申し上げたことございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 報道がありますが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 報道があっても私から申し上げたことはございません。  大体、寺田さんも御承知のように、東京ラウンドというのはガット体制でございまして、ことしの十一月ころにガット閣僚会議が開催される予定に相なっております。私は経済あるいは通商、貿易の国際的ルールというのは、このガットの場において討議をされるのが正しいあり方だと、このように考えておるわけでございまして、ベルサイユ・サミットにおきましては世界経済の立て直し、再活性化の問題、そしてそのために関係国がどのような協力をし合っていくか、そういう問題が中心になろうかと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 対ソ外交についてお尋ねをしたいのですが、シュミット・西ドイツ首相は、昨年の十一月にブレジネフと会談をしました後、ドイツとソ連とが緊密な関係を保持していくことが、現在の世界にとって一番重要なことだというふうに語っておるようでありますが、総理は世界平和を希求するという立場からは、やはり東洋における、アジアにおける日ソの友好親善、これが世界平和にとってきわめて大切だという御認識をお持ちになりませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連はわが国にとりまして重要な隣国でございます。また、最もあらゆる面におきまして超大国と言ってもいい実力を持っておる国である。そういうソ連と日本が友好協力関係を維持発展をさしていくということは、ただに、両国民の利益に合致するだけでなしにアジアの平和、ひいては世界の平和に貢献するものであると、こういう私は認識を持っておるわけでございます。  そこでこの日ソの恒久的な真の友好関係、信頼関係を築くにはどうしたらいいかという問題になってくるわけでありますが、日本国民の立場から言いますと、何と言ってもこの北方領土、不法に占拠されておる北方領土を、とにかくその返還を実現をするということ、一九七三年に田中・ブレジネフ両首脳の間で合意したところの戦後未解決の問題としての北方領土の問題、これを解決して平和条約を締結するということが、真の私は日ソの友好関係を確立するというゆえんであると、このように考えて、その方向で努力をいたしておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その問題はまた別に論じようと思ったのですが、総理がそこまで踏み込まれたのでお尋ねするわけですが、北方領土の返還を求めるという気持ちにおいては、私も人後に落ちません。また正しいことだと思います。しかし、これは私ソ連の共産党中央委員会の対日政策の実力者であるコワレンコ氏などとも話してみたのですが、こういう問題は第二次大戦でつくり上げた国境線、これの一角を崩すことになるのだと、それはとてもでき得ないことだということで、頑としてこの点は、私もずいぶん二時間にわたって議論したのですが、聞かないんですね。これは向こうは解決済みだとか、いろいろ言っていますけれども、ただ単にこの問題だけ押していくと向こうはますます、これは何といいますか。かたい姿勢をとって、この問題は打開できませんよ。だから、どうしてもやはり歯舞、色丹はすぐ返せと、それで平和条約を結んで、択捉、国後はペンディングにしておくと。ちょうど竹島の問題、尖閣諸島の問題、皆そうでしょう。竹島がどうしてもあるから日韓の友好はどうだとか、尖閣諸島があるから日中はだめだとかいうようなことをあなたはなすっておらないでしょう。同じことですよ。あなたは、それじゃ、やはりこの問題をどこまでも押していって、日ソ関係の打開ができるという自信をお持ちですか。私はそういう自信はとてもあなたは持てないと思いますよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、ソ連がそういうぐあいに主張し続けておる、言い張っておるからそれは不可能だというようなことは、日本国民はそうは考えていない。すでに解決済みであるとか、この問題は棚上げをして別のことを話し合おうということは、それはソ連の側の論理であって、私はやはり、日本はこの国民的な悲願である北方四島の問題というものを棚上げして、もっと言葉をかえると、政経分離して話し合いをするというわけにはまいりません。私は、これだけをまず解決しなければほかのことは、日ソの間の協力関係はできないということを申し上げておるのではございません。ほかの経済協力、技術協力等その他の問題と北方四島の問題、未解決の問題もあわせてこれをテーブルにのせて、俎上にのせて、そして日ソの協力関係をどうやって発展をさせるかと、こういうことでなければいけない。向こうのお気に召さないものはこれは棚上げをしてほかのことだけをやるというわけにはまいらないということを申し上げておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、強硬論を唱えることが本当の愛国者とは言えないですよ。その強硬論だけで突っ走った場合に、私は日ソの本当の意味の平和条約というようなものはいつまで待っても締結できないと思いますよ。あなたは、この問題をどこまでも押していって、いつの日か近き将来において平和条約の締結ができるとお思いですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 強硬論じゃないじゃありませんか、日本民族は全体挙げてこれを求めておるのですから。その問題とほかの経済協力その他の問題もあわせてこれをテーブルにのせて、そして話し合いを続けていこう、そういう中で日ソの真の友好関係を見出していくように努力しようということであって、向こうさんがお気に召さぬから、この問題は別だということでないと日ソの話し合いは進められない、こういう考え方は私は賛成いたしかねるということを申し上げておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 別だとは言っていないですよ。それは主張すべきものであるし、正しいということを私は冒頭に申し上げた。ただ、それを実現する方途の問題ですよ。プロセスの問題ですよ。それをどうしても突っ走ることが、それを突っ張って突っ張って突っ張り抜くことが日ソの友好親善なり平和条約を促進する唯一の道かどうかという問題で、政策の問題ですよ。いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) でありますから、ほかの問題と一緒に、これを分離して棚上げすることなしに一緒に話し合いの俎上に上せて粘り強くやっていこうということでございますから、決して強硬に向こうの主張を拒否しているということでなしに、日本の立場はこうであるということで、われわれは先般のモスクワにおけるハイ事務レベルの協議におきましてもそのような話し合いをいたしておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 できる自信はありますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 外交というのは、自信があるなしにかかわらず国益を踏まえて主張すべきものは主張していく、そうでなければいけない。こちらから相手方のお気に召さぬものは、これは棚上げし、捨てて、そして——

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 捨てるんじゃないですよ。棚上げですよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 棚上げはいたしません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 自衛隊が外国に対して戦闘行動に出る場合のシナリオは日米協力のガイドラインで検討中でありますけれども、そのシナリオには幾つか考えられる侵略の想定があるということ、これは防衛庁のいままでの答弁ですが、その幾つかの侵略のシナリオ、想定、これを御説明いただきたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) ガイドラインに基づくシナリオでございますが、しばしば申し上げておりますように、日本が攻撃された場合の、侵略を受けた場合のシナリオにつきまして、一つのシナリオを想定しまして現在作業を進めまして、昨年の夏一応の概成を見たという段階でございます。したがいまして、先生いま幾つかあるとおっしゃいましたが、もちろん考えれば幾つかシナリオは考えられるわけでございますが、現実には一つのシナリオを取り上げて、そして昨年の夏概成を見たという段階でございます。  その一つのシナリオの内容はどういうことかということでございますれば、これはいわゆる作戦計画そのものの手のうちにわたることでございますので、内容につきましては公表を控えさせていただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、それは承認できません。第一、その自衛隊というのはそういうシナリオに基づいてでき上がっておるし、われわれは予算を審議するわけでしょう。そういうシナリオを言えないということはないでしょう、国会に。そんなばかなことはないです。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 自衛隊はいまそういうシナリオに基づいてでき上がっておるとおっしゃいましたけれども、自衛隊は御承知のように、もとをただせば昭和三十二年の国防の基本方針あるいはもっと具体的には五十一年の防衛計画の大綱によりましてわが国の防衛構想というものが定められておりまして、それに基づきまして防衛計画の大綱の中には別表でもって基盤的防衛力量も示されておりますけれども、そういうものを踏まえて防衛力の現在の整備を行っており、また自衛隊が存在をしておるわけでございますが、先生の御指摘のように、そういったいま私が申し上げたシナリオを一つ描いて、そのシナリオに基づいて自衛隊が存在をしておるといいますか、自衛隊を設けておるといったものではございませんで、本来のわが国のあるべき防衛構想というものに基づきまして自衛隊は存在をし、整備をいたしておるということでございますので、その点は区別して御理解をいただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういうことでは承諾できませんよ。そんなに、どこから侵略があり得るかというようなことを考えずに漠然と自衛隊をつくるのだ、漠然と予算を組む、漠然と飛行機をやるのだ、漠然とP3Cをやるのだ、そんなことはあり得ません。承諾できません。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 漠然ととおっしゃいますけれども、日本の防衛につきまして、五十一年の防衛計画の大綱にはっきり防衛構想というものが定められております。もちろん間接侵略の場合、直接侵略の場合をそれぞれ書きまして、陸海空のそれぞれの防衛構想を書きまして防衛計画の大綱というものはできておるわけでございまして、私は決して漠然としておるとは思っておりません。むしろ、いま先生のお尋ねが具体的な個々のシナリオを前提にして防衛力を整備すべきものであるという趣旨のお尋ねであるとすれば、それはむしろ、実際のシナリオというのはそれこそ千差万別でございまして、それに応じた防衛力の整備ということはむしろあり得ないわけでございまして、わが国の防衛構想というものをどういうふうに持っておくかということからその国の防衛力というものが構想されていくということではないだろうかと思います。そういう意味では私は、防衛計画の大綱は現在の私どもの防衛力の整備についての、あるいは防衛力の構想についての一つの指針であるというふうに感じておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 シナリオの説明があるまでは質問できません、答弁ないんだから。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記を起こして。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 一般的に、わが国がどういう有事の事態を想定して、そのために防衛構想なり防衛力の整備を決めるか、図っていくかということは、一概にはお答えのしにくい問題であります。先ほど来私が申し上げましたように、防衛力の整備を図っていく場合は、むしろそういった具体的な有事におけるシナリオといいますか、そういったことを前提にして考えるのではなくて、具体的に言いますと、防衛計画の大綱にございますように、わが国の防衛構想というものを立てまして、それによりまして兵力量というものを、わが国の持つべき防衛力量というものを図っていくと、こういうやり方をいたしております。そこへもってきて、別途ガイドラインでやっておりますように、特定のシナリオを想定いたしました場合には、そのシナリオに対してはわが国の持っておる防衛力をどういうふうに動かすかということを研究していくということを先ほど来御説明をしたつもりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 問題はそこにあるんですよ。防衛力あるいは自衛隊を動かす場合について、これは竹田元統幕議長、永野元陸幕長、大賀元海幕長、これらの人が「日米共同作戦」という本をつくっていらっしゃる。これは後ろで盛んに私を牽制していらっしゃる堀江元陸将も推薦の言葉を書いていらっしゃる。これらなどを読んでみますと、ある日突然に日本が侵略を受けるなんということはないんだ、これはもう必ず世界的な戦争に巻き込まれる場合しか実際にはないよということを言っておられる。それから、しばしば問題となりました栗栖元統幕議長、これも加瀬英明、それからガレット・スカレラ、これはスタンフォード戦略研究所の顧問、これが「正論」の中でやはり言っておるんですが、「たしかに周本一国だけがどこからか攻撃を受けるというような状況は現実では起こりえないでしょう。」、スカレラがそう言うと、栗栖氏が「おっしゃる通りなんです。ただ一般の人、および政治家が、ソ連の全力と日本とを比べてそういう議論をしているんであって、実際にはそういうことは起こり得ないわけですよね。」と、こう言っている。そういうようなことを考えると、この防衛計画の大綱のように、ある日突然日本が奇襲的な攻撃を受けて、そして自衛隊はそういうふうにやるんだというような構想で、自衛隊の装備を盛んに充実するというようなことは、これは国費のむだ遣いだというのが私どもの主張です。どうでしょう。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 御指摘になりました「日米共同作戦」という本とか、あるいは栗栖元議長の発言の中で、ある日突然わが国が攻撃を受けるようなことはないだろう、あるいはわが国一国だけが攻撃を受けるようなことはないだろう、といったような見解が述べられておるということは私どもも承知しておりますが、これはもちろん一つの見解でございまして、私どもあえてこれにコメントいたしませんが、ただ申し上げたいのは、先生が大綱の方で、現在の防衛計画の大綱は、ある日突然攻撃を受ける場合のことを想定した計画ではないかという趣旨で、限定的かつ小規模な侵略を想定しておるというふうに申しておられるわけでございますが、その点ちょっと私から申し上げさしていただきたいんですが、防衛計画の大綱は、あくまでも全体をお読みいただければおわかりいただけると思いますが、日本の防衛について、日米共同対処という日米安保体制の円滑な運用ということと、わが国のみずからの防衛努力というものを前提にして日本の防衛は成り立つという前提に立ちまして、その日本の防衛、日本のみずからの防衛努力というものを一体どこに置くかといいます場合に、限定的かつ小規模な侵略に対してはみずから排除できるだけの力を持つということに目標を置いておるということでございまして、限定的かつ小規模な侵略が起こると、その起こったものに対して日本が排除するということを言っておるわけでは必ずしもなくて、いま申し上げましたように、日米安保体制の中で日本がみずからの努力として持つべき防衛力の目標を、限定的かつ小規模な侵略に対してはみずから排除し得るそれだけの力を日本としては独自に整備して、その上で、それ以上の侵略に対しては日米共同体制によってこれを排除しよう、こういうことを基本的な考え方として防衛計画の大綱は成り立っておるものでございますので、その点御理解をいただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはしかし、いずれも竹田、栗栖、それから永野、大賀、自衛隊を率いてきた連中がそう言っているんですよ。それをコメントしないと言ったって、それはそういう自衛隊の総帥が皆そう言っているのを、これをわれわれ信用しないわけにいかぬでしょう。総理、いかがです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 防衛庁の防衛に対する基本方針は、現在の国際情勢におきましては、現在のところは東西間の全面的な軍事衝突やそれを引き起こすおそれのある大規模な武力紛争は抑止されているところであります。もともと国際情勢は常に先行き予断を許さないものがあるわけでございまして、現時点で将来わが国に対する侵略の発生がいかなる形で予想されるとか、その場合の契機となるのは何であるかということについて申し上げることはきわめて困難であると考えております。ただ、われわれは、わが国に対して万が一侵略事態があるとするならばこのようなものであろうということで、現在の防衛計画の大綱の水準の達成を一日も早くしたいということで防衛力の整備を進めておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その万が一というのは現実に起こり得ないということを自衛隊の元率いておった将軍連が言っておるわけですよ。とにかく万が一起こり得ないようなものに依拠して、現実に起こり得るであろうという、世界戦争に巻き込まれるという想定は置いておるという、そこの矛盾をどうお考えになるかということです。これは総理にお伺いします。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 万が一ということでございますけれども、こういう問題は私はやはり基本的な心構えの問題じゃないかと思うんです。具体的にあるかどうかというよりも、いかなる事態にも対処し得るということが大事なことではないかというふうに考えまして、実際に起こるかどうかという確率の問題では必ずしもないというふうに私は考えまして、限定的かつ小規模あるいはある日突然云々というようなことをよく言われますけれども、そういうことが実際に起こるかどうか、その確率はどうかという議論は実は余り意味がなくて、いかなる事態に対してもわれわれは対処し得るだけの態勢、あるいはそのための心構えということの必要性を私どもは持つべきではないかというふうに考えておるわけであります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、わが国が自衛のための防衛力を整備する。また、さらに日米安保体制によってわが国の平和と安全を確保する。これは抑止力としての自衛力の整備、日米安保体制ということをわれわれは考えており、これを堅持しておるということでございまして、侵略を未然に防止するということが平和国家たる日本の一番防衛の基本である、このように私は考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 軍事専門家が起こり得ないというそのことを想定して、しきりに毎年二兆五千億というような国費を浪費しておる。驚くべきことですが、これは次に譲りまして、今回のF4戦闘機の改修は何が目的でなさったのか、本当のねらいは何か、これを御説明いただきたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 防衛庁といたしましては、F4型機につきまして防衛力の整備及び運用の効率化、合理化といった観点から機体の構造安全管理体制というものを整備いたしまして、その耐用命数の延長を図りたい。具体的には約十年程度、二千時間程度というふうに思っておりますが、それを図りたいというふうにまず考えております。この考え方に立ちまして、現在持っておりますF4EJを延命しまして、昭和六十年代の中期以降約十年近くさらに使うということになりますれば、単に時間的に長く使うというのみでなく、その時点における脅威にもある程度対応し得るだけの能力の向上をあわせて図ってまいりたいということが今回の考え方の発端でございまして、そのためにまず代表機一機につきまして能力の向上のための試改修を行い、その具体的な策を検討してまいりたいというふうに考えたところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 局長ね、私がお伺いしたのは、どういう場合にその爆撃なるものをする、そういう想定がということです、何を爆撃するかということ。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 現在のF4EJは、爆撃につきまして爆撃能力は持っております。一定の爆撃能力は持っております。といいますのは、水平爆撃と降下爆撃と言いますが、水平爆撃及び降下爆撃におきましては、現在のF4といえどもその能力を持っております。ただしその能力は、パイロットが目視によりまして自分で勘でもって、言うなれば、目標に対しましてこの辺で落とせばいいということを平素の訓練によって練度を高めて実施するというやり方でございますけれども、そういう能力は持っております。ということは、現在のF4、わが国の主力戦闘機でございますが、これを要撃戦闘機としてのみならず、わが国の現状を考えました場合には、場合によって対地攻撃にも使うということも十分考えて、平素からそういう対地攻撃のための訓練もし、そういった能力も現在持っております。  ただし、先生御承知のように、F4の導入に当たりまして、専用の爆撃計算装置を外しておりますから、先ほど申し上げましたように、現在のF4では、パイロットの目視による場合しかできないというのが現状でございます。それを、今回の試改修が成功いたしますならば、F15が搭載しておりますのと同じコンピューターを搭載することによりまして、先ほど申し上げました水平爆撃及び降下爆撃の場合におきまして、単にパイロットの目視によるところの勘による操作のみならず、コンピューターによる爆撃計算ができるということになります。そういうことによりまして、現在のF15及びF4にわれわれが期待しておりますところの要撃戦闘能力のほかに、あわせて対地能力も期待しておるわけでございますが、その対地攻撃能力におきましてより正確な爆撃が、攻撃ができるということを期待しておるわけでございます。  先ほどのお尋ねに、どういう場合にそういった爆撃を考えておるのかというお尋ねでございました。場合を分けて考えますれば、もしわが国に対する侵攻部隊があるとしますならば、その侵攻してまいります艦艇に対する攻撃、それからもし上着陸をいたす相手方があるといたしますならば、その相手方の上着陸した部隊に対しまする対地攻撃、こういった場合に考えられるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま防衛局長がおっしゃった、いわゆる爆撃専用の装置はつけるんじゃないんだと、これはずっと塩田さん言っておられますね。F4がかつて搭載しておったのを落としたような地上爆撃専門の装置ではなく、今度のは限定的なものでありますということを言っておられるんですが、それじゃ、これからも将来もそういう専用の爆撃専門の装置はつけないということをお約束願えますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほど私、いまのF15にしましても、それからF4にしましてもあるいは改修後のF4にしましても、水平爆撃と降下爆撃ができるとこう申し上げましたが、できないものはしからばどういうことかと申しますと、爆撃には現在三つの方法が考えられます、戦闘機による爆撃ですが。その二つはいま申し上げましたいわゆる水平爆撃と、それからローで入ってきて、一たんアップしまして降下していく降下爆撃、この二つはいま、できると申し上げました。三番目に、いわゆるトス爆撃というのがございまして、ローで入ってきまして、そして機首を上げて、自分が宙返りをしてもとの方へ返っていく。そのときに、目標を定めますと、ローで入ってきて、機首を上げて宙返りをするまでの間に、爆弾をむしろ空へ上げるようなかっこうで次から次に落とすといいますか、上へほうり上げるわけです。そのほうり上げた爆弾が一定の弧を描いて目標の一定のエリアに当たる、そして自分は宙返りをして向こうへ帰っていく、このいわゆるトス爆撃という方法がもう一つあるわけでございますけれども、これは現在のF15もできませんし、今度のF4、試改修後のF4もできません。かつてF4を導入いたしましたときの原型機、つまり、いまアメリカが持っているF4はそれができます。それができますが、当時爆撃装置を落とした関係で、現在の日本のF4EJはできませんし、その後に購入いたしましたF15もそれはできません。そういう意味で、限定的と申しますのは、三つの爆撃の手段のうち、最後の連続自動爆撃装置が、爆撃手段ができないという意味で私は申し上げたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 だから、それを将来もつけないということを約束できるかということです。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 将来、それをずっとつけないのかというお尋ねでございますが、こういったことは、もちろん現在、そういうことは考えておりませんけれども、将来にわたってというお尋ねでございますれば、こういったことは、軍事技術の相対的な進歩といったようなことを考えます場合に、こういう装置は将来ともつけないのだということをお約束するということは大変むずかしいことでございまして、私、いまここで将来ともつけないというふうなお約束はいたしかねるわけでございますが、少なくともいま、私どもはそういうことは考えておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういうふうにして次第に足の長い、そして爆撃能力も持つ飛行機を装備すると。昔は、他国に対して攻撃的な、脅威を与えるというふうに考えられるからそれはしないと、自衛のための最小限度の実力の範囲内だということを言いつつ、次第にそれを拡張していくわけですね、このF4しかり、F15しかり。われわれは、その歯どめがないじゃないかと。他国に対して脅威を与えないというその判断の基準はどこにあるのです。それを説明していただきたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 解釈を次第に拡張しているではないかというお尋ねでございますが、そういう趣旨ではございませんで、先ほど申し上げましたように、軍事技術水準の相対的な比較といったようなことを考えまして、その時点その時点でしかるべき判断があるであろうという趣旨のことを申し上げたわけであります。  しからば、現に今度F4EJの試改修につきまして、爆撃計算機能が付加されるということについて当時は、当時と言いますのは昭和四十三年当時は他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるおそれがあると判断、少なくとも誤解を与えるおそれがあると判断されたものが、現在そういう判断をしないのはどういう理由からかというお尋ねでございますが、端的に申し上げますれば、その後の十数年の変化によりまして、現在、およそ各国の戦闘機で爆撃機能を持たない戦闘機というものはなくなってきているということも一つございますし、その戦闘機そのものの性能のアップということももちろんございますし、それから一方、守る方の側から言えば、それを探知するレーダーにしましてもずいぶん発達してまいりましたし、それを迎え撃つSAMの類にしましてもずいぶん発達をしてきております。そういうような相対的な双方の彼我の軍事技術の発達ということを考えてみました場合に、今回のF4EJの試改修によって付加しようとしておりますような爆撃計算機能をもってもはやそういうおそれはないというふうに判断をしたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 だからその判断の基準はどこにあるか。そのときどきに判断すると言っても、われわれはその判断の基準を問題にしているのですよ。そうでないと無制限に、脅威を与えないということで装備が、近代戦遂行能力ということがかって国会で問題になりましたけれども、核、ミサイル以外はすべてが許されるというようなことになりかねない。われわれはそれを心配するがゆえに判断の基準をどこに求めるかを明らかにしてもらいたい。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) これは具体的な数字とか、具体的なこういう装備とかというふうな意味での基準というのは、これはないと申し上げた方がよろしいかと思います。やはりその時点時点における相対的な判断でございますから、具体的に絶対的な基準があるというふうに申し上げることは困難かと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは納得できません。判断の基準はないということでは困ります。明らかにしてもらいたい。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記を起こして。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 客観的な基準がないではないかという趣旨のお尋ねの問題でございますが、わが国が持っております憲法上の理念、あるいはわが国が掲げております基本的な政策、そういった点から言いまして、絶対的に持てないものというのはもちろんあるわけでございます。たとえて申し上げますと、性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるような兵器、たとえばICBMあるいは長距離戦略爆撃機、こういったようなものがあるというようなことはかねてから申し上げておるところでございます。そういった絶対的な持てないというものを別にいたしまして、それ以外の今回のようなケースの場合につきましてどういう基準があるのかと言われますと、それは私先ほど来お答えいたしておりますように、客観的に数字であらわすような意味での基準はないのではないかということを先ほど来申し上げているわけです。それで、あえて申し上げますれば、第一義的にはもちろん防衛庁の仕事として私ども防衛庁が判断いたしますけれども、それは当然政府部内におきましては国防会議にかけて、ひいては国会に提出して国会の御審議をいただくということによって判断が下されるということになろうかと思います。といいますことは、客観的な先生のおっしゃいますような意味での基準があるということよりも、そういったような御審議を通じて決められていくというふうに考えられるものではないかというふうに私は思うわけであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これ、ちょっと納得できないので、総理の御見解をお伺いします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま局長が申し上げたとおり、最終的には国会の御判断を求めながら、憲法並びに、基本的防衛政策、その枠内でやってまいると、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 じゃ、一口で言うと、他国に脅威を与えるようなものかどうかということについては客観的な基準はないと、そのときどきの相対的な判断にゆだねられると、こういうことでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 一口で言うと、そういうことかとおっしゃいますと、まさにそういうことになろうかと思います。もし一口で言えとおっしゃれば、そういうことになろうかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総理、安保条約を改定する気持ちはあなたはないということをおっしゃいましたね。しかし、それにもかかわらず安保条約を双務的なものにしたいという火の手が上がるばかりなんですけれども、これはアメリカがわが国の領域外で攻撃をされたときに、自衛隊がそれに応援をする、戦闘行動に出るということは明らかに憲法九条に違反するのですが、そのことをはっきりと宣明なさる御意思はないでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の憲法におきましては、集団的自衛権に及ぶようなものは憲法上許されないと、このように認識をいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ですから、安保条約は、たとえばアメリカが日本の領域内で攻撃を受けたときは日本がやっぱり安保条約上の義務がありますが、領域外で攻撃を受けたときはこれにはせ参ずる義務はないことは明らかでしょう。ですから、そういうものを念頭に置いたこの安保条約の双務条約化というものは、憲法九条にかんがみて許されないということは明らかでしょう。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘の問題につきましては、もう何回も国会でお答えをいたしておりますが、憲法九条の解釈としてこれまで私どもは、集団的自衛権は認められないと解釈しております。したがいまして、いわゆる安保条約を双務的なものにするという意味が、集団的自衛権の行使ということをわが国について認めるという意味でございましたら、それは憲法九条に反するわけでございますから、そのような改定はできない……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私の質問に……

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) ということでございます。  そこで、いま御指摘のように、わが国が攻撃を受けていない場合にアメリカが攻撃を受けたと、これは日本の領域内ではございません。それ以外で攻撃を受けたという場合に、それをわが国に対する攻撃とみなして、そしてそれを排除するということは、まさにわれわれの言う集団的自衛権の行使でございますから、そういうことはできないということになります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと、最近の「野田経済」に、アメリカが最新鋭の空飛ぶレーダー指令機AWACS十一機購入を要求しておるという記事がありますが、こういうことが現実にありましたか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) そういったようなことは聞いておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 最近臨調との関係で、土光さんに臨調の会長になってくれるよう総理初め皆様方が御依頼をしたときに、土光さんが増税なしということをおっしゃったようですね。私は自民党のかなり有力な人から伺っておるのですが、自民党も、何とか政府としても大型消費税をどういう名目であるに、しろ、いわゆる間接税といいますか、それをやりたいと財政難を救うために考えておったけれども、土光さんが増税なしということを頭からかぶせて、あなた方がそれを受けとめて引いたためにそのもくろみがだめになったということなのです。臨調め有力なメンバーにもきょう聞いてみたのですが、増税なしという意味がはっきりしないのだと。それは大型消費税がいけないというのか、新税は全くいけないというのか、それからまた、いまの既成の税をいじるというのはいいというのか、その辺臨調の中でコンセンサスがあるのでしょうかね。また、土光さんの言われた増税なしというのはどういう意味と受け取っていらっしゃるのか、そういう点ちょっと。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 大体、新税を設けるとかあるいは税率を引き上げるとか、そういう形で増税を行わない、ただ租税特別措置法等について公平感を回復するとか、そういうことは考えられるということであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それでは長官、現行の税制を改正するということは構わないということで大体合意ができておるわけですか。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 新税をつくるとかあるいは税率を改正するということも税制改正に含まれますから、そういう場合は含まれない。ただし、租税特別措置法の中で、巷間言われているような不公平税制とかそういうようなものについてはこれは調整する余地がある、そう心得ておるわけです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大蔵大臣はそういう御理解でいいのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは人によってニュアンスが多少違いましてね、増税なきという話は。これは会計用語でもないし財政術語でもないと思うんですよ、やっぱり政治用語じゃないかと。したがって立場によって多少ニュアンスは違うことはある。たとえば社会党でも、野党の方が、所得税減税とこうおっしゃって、一方に弟いては増税なきと。増税するなど言っているけれども、財源はということになれば、何を上げてこれを上げて、そして措置法だけでなくてその他の税目もずらずらっと並んでいますね、みな、御要求の中に。ですから、増税なきというのはやっぱり一切税制に手をつけないということじゃないのじゃないかと。措置法だけでなくて。やはり現在の税金の体制をそのままにしておいてさらに別に新型、大型というような何というか、これもまだわかりませんが、まあニュアンスとしてはそういうものを考えないという意味じゃないか。これは人によって多少、まだはっきりした定義がありませんから、それははっきり正確な数字ということはなかなかこれはむずかしいと私は思うんです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これはちょっと長官と大蔵大臣少し違うのですが、総理の御見解は。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私どもは大型新税のことを頭に置いてこの問題は受けとめておるのです。国会で御決議がございましたね、一般消費税、大型。あの国会の決議の御趣旨を私は外しましてそれで増税なき外そういうものはやらないで財政再建をしようと。つまり、まず思い切った行財政の縮減合理化、これに全力を挙げる、そして財政再建をやろう、こういうことでございまして、国会で決議をして、こういうものはすべきでないという決議をいただきましたね、それを私は踏まえて……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それ以外は何でもいいわけですか。それ以外は全部いいわけですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いやそんなに余り——先ほど来お話がございますが、租税特別措置だとかそういうようなものまで国会の決議は縛っていない、こう思うんですよ。そういうことです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、現行の税制をいじるということはいいという、そこまでは禁止していないという大蔵大臣の御所感だったんです。長官の方はそれもいけないというのですが、そこを伺っているんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど言っているように、増税なきという法律用語というのは私はないと思うのですよ。したがって野党の立場からも、先ほど言ったように、では減税財源として何があるんですかと言ったら、こういう税収、これはこれを上げたらいい、これはこれを上げたらいいとぞろぞろ出ていますよ、それは。したがってそういうのは入らないのじゃないのかと。しかしそれをやるという意味じゃないのですよ。やるという意味ではありませんが、増税なきということの一番のポイントは、ただいま総理から説明があったように、増税をすることによって安易に財源をこしらえる、政府が勝手に、安易に。そういうことをすれば、一方では行革をやってそれで経費を切り詰めて、極力簡素にして効率的な政府をつくるという仕事をやっているわけですから、その方が緩んでしまう。したがって、まずは増税は考えないという原則で、原則でですよ、まず歳出カットの方に最重点を入れるというような、要するに強い強い意思表示である。ですから、その中身について具体的に、こういうものこういうものというものをそろえて、これとこれは増税だ、これとこれは増税じゃないという細かい仕分けがいまできているというわけではないと私は思っております。だから、総理が言ったのは、国会決議というようなものはそれは明らかに全然別個なものだから、こういうものは考えてないということでは一致しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 じゃ、大蔵大臣、安易でなくて万策尽きて現行税制をいじる、単なる税率を上げる、また許されるという御解釈ですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは最終的には国民の判断なんです。問題は、要するに歳出カットと言っても、発想の転換をしなければ切れないわけですから、かなりなものを切るとか、一兆円とか何千億とか切ると言っても、現実の問題としてはどこのところをどう、幾ら、何千億切るかということになると、かなりこれはもう議論があります。歳出というのは歳入があって初めて歳出があるわけですから、その歳出を守っていくのか。これはふくらむものはどんどんふくらむんですよ。年金なんというのはもう抑えようがないのですから、これは。老齢化社会へ向けて。それから給料、これもともかく下げるなんということは、物価が世界じゅう幾らかずつ上がる中でもう抑え込んじゃっていくとか減らしていくとかということは不可能ですね、現実は。そうかといって、人をそんなにどんと減らすと言ったって、それも事実問題としてできない。ということになれば、その財源を何に求めるかという問題はあるわけですから、切るものは、切れるものは切ります。しかしそのときに、いや税の方はこれはふやさない、だからもう歳出カットだけで、いままでと全然違った発想で切れるものは切っちゃうんだというのが一つ。まあそうは言ったって、切ると言っても程度問題だ、どうしてもこれだけ残さなければならぬ、そのためには幾らかどうしても足らぬという問題でコンセンサスが得られれば——それは歳入がなければ歳出は成り立たないわけですから、終局的には歳入と歳出というのは裏と表ですから、どういう判断をするかというのはそのときどきの判断によると私は思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 グリーンカードの実施については、大蔵大臣はもうはっきりおっしゃっていますね、これをやめるというような意思はないと。大蔵委員会でも言っていらっしゃるのです。しかし、それにもかかわらず火の手が非常に上がっていますね、今度。三年延長するとか、やめるとか。そういうのはやはり持てる者、何か隠す物を持っていらっしゃる方の論理だと私は思うのですが、これは総理の決意にかかっているのじゃないでしょうか。大蔵大臣孤軍奮闘していらっしゃるが、総理の御決意はどうなんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 税の公平確保という観点から総合課税等をやるべきだ、こういうような御意見が非常に高まってまいりまして、それを正しく実行に移していくためにはグリーンカード制を採用する、こういうことに相なったわけでございます。そういう経過から考えまして、私はこれは堅持していかなければいけない。せっかく国会で議決をいただいたものでございますから、予定どおりこれは実施していく方針でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 最後にお尋ねしたいのですが、それは広島の反核平和集会の問題なんです。総理も核に対しては絶対否定、絶対悪という思想を持っていらっしゃる。これは、広島で行われる平和大集会は一党一派のものではございません。大衆の広範な各層。各派の人々の一致した願望なんですね。それがなかなか開けないというようなことでは困るのです。総理の御指導もいただきたいと思うが、これは現在の時点でどうなっておるのか。これをまず自治省、自治大臣と警察庁の御当局にお尋ねをしたい。それから、どういう方針でいるかということもお尋ねしたい。  それからもう一つは……

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 寺田君、時間が参りました。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 はい、これで終わります。  こういうときになりますと右翼がしばしば妨害に出てくる。私どものこの周辺でも、右翼が大きなタンクのような車でガーガーガーガー言ってきて、いい考えが浮かんでくるときにぽかぽかぽかぽかやってくる。非常に妨害される。もうちょっとああいう右翼の暴状に対しては、警察当局が毅然とした取り締まりを実施してもらわなければ困る。ことに、こういう妨害のために広島へやってくるということになると相当警察当局がこういう点の厳重な取り締まりを行っていただかないと困ると思うけれども、そういうおつもりがあるかどうか。これをあわせてお尋ねし、あわせてお答えをいただきたいと思いますが。

山田英雄警察庁警備局長

○政府委員(山田英雄君) お答えいたします。  お尋ねの集会は「82年・平和のためのヒロシマ行動」という名称のものでございますが、広島県警におきまして主催者の実行委員会の方と再三にわたり協議しまして、去る三月十一日に市内の中央公園あるいは児童公園、そういった公園広場を使用することで合意を見ております。現在、全国から参加されますので、主要な駅から会場までの参加デモというようなものも十六本申請が出ております。近く広島県警におきましては、そうした参加デモあるいは公園広場での集会というものにつきまして公安条例及び道交法上の許可を行うというふうに承知しております。  それから、もう一つお尋ねの右翼に対する対策でございますが、本集会につきましては要人の警護、雑踏警戒、交通整理、非常に多くの問題を抱えておりますが、とりわけ右翼の反対行動につきましては、私ども平素からその違法行為については厳正な取り締まりを行ってきております。当集会につきましても万全の警備体制をとってその取り締まりに当たりたいと思っております。

小林悦夫自治大臣官房審議官

○政府委員(小林悦夫君) ただいまの「82年・平和のためのヒロシマ行動」の会場問題につきましては、平和通りにメーンステージを設置いたしまして、また平和公園には自由利用と、こういう形で解決がなされたと承っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 終わります。(拍手)

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で寺田熊雄君の総括質疑は終了いたしました。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、矢田部理君の総括質疑を行います。矢田部君。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 総理にまずお伺いをしたいと思います。  総理はかねてから現行憲法を擁護し尊重する、憲法改正はしないということを繰り返し述べておられますが、現在はもちろん、将来に向かってもそういう立場を堅持されるおつもりでしょうか。加えて、憲法改正の動きには一切加担をしない、こういうふうに伺ってもよろしいでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、現行憲法の基本理念、平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、これはいずれの国の憲法に比較してもりっぱなものだ、これは将来ともに堅持さるべきものだ、このように考えております。これが私の信念でございまして、もう一点申し上げますと、国の基本法でございます。したがいまして、憲法改正の問題につきましては、国民のコンセンサスが得られ、国民的世論が成熟をしなければならない、私は慎重の上にも慎重に取り組むべきものであると、こう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 改正の運動には加担しないかということについてお答え願います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は加担いたしません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 昨年の十月二十一日に自主憲法期成議員同盟が憲法改正案なるものを発表いたしました。憲法改正草案要綱十項目をまとめて明らかにしたのでありますが、全部を説明するわけにはいきませんが、その中で主なものを申し上げますと、たとえば現在の天皇、象徴天皇制について、天皇を元首とする、対外代表とするというのが一点、それから二番目には、憲法九条について、自衛隊の合憲を明らかにし、自衛のための戦争は可とすべきだと、こういうことを含む十項目にわたる要綱を発表しました。これについて総理はどういうふうに受けとめておられるでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私はその十項目についていまここで論評をする考えは持っておりませんが、自由民主党の党員諸君がこの同盟には相当多数参加をいたしております。自由民主党は立党の際に、その綱領に自主憲法の制定ということをうたっておりまして、日米、自主憲法制定のために調査研究を進めております。自由民主党の中に現に憲法調査会というものがございまして、そこでいろいろな角度から憲法の調査と研究、改正すべきか改正すべからざるか、するとすればどういう点を改正すべきかという点について検討が進められておるわけであります。そこがまだ何ら結論が出ておりません。何ら結論が出ておりません。自由民主党の党員が多数参加しておる同盟というものが、この自由民主党の憲法調査会で何らの結論が出ていないのに自由民主党を離れていろいろのものを掲げ行動をするというようなことは、私は慎んでもらいたい、慎重であってほしい、こういう考えを持っておりまして、先般も瀬戸山憲法調査会長にお日にかかりました際に、よくひとつ指導してやってほしい、いろいろな誤解を与えるようなことのないように、自由民主党と離れたそういう行動は、とかく自由民主党がそういう案を持っているがごとき印象を与えるようなことがあっては困る、こういうことを申し上げておいた次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうだといたしますれば、これはかねてから国会でも問題になってきたわけでありますが、総理御自身がその地位の重みから考えて、この議員同盟は退かれるべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そういう次第でございまして、憲法調査会長の瀬戸山君も十分指導いたします、さらにまた自由民主党の幹事長その他の幹部の諸君も副会長に就任をされたりして、自由民主党を離れた行動をとらないように指導する、こういうことでございますので、しばらく私はそれを見ておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 この自主憲法制定議員同盟も加入をしております自主憲法制定国民会議、この規約を総理は御存じでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 団体でございますから規約等があると思いますが、私はつぶさに読んだことがございません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこが問題だと思うのですね。ここでは自主憲法制定の推進を目的とするという目的を掲げた上で、自主憲法の実現を目標とする国民運動を行う、こういう運動団体なのですね。加えて、今度の憲法改正要綱の発表に当たっては、いま国民の抵抗が強いから全面的な改正は無理だ、緊急度の強いものをとりあえず十項目にしぼって改正要綱を明らかにし緊急に運動化しようと、こういうことになっているわけですが、総理は従前の答弁では、運動をやるようなことになったら私も退くという言い方もされておるわけでありますが、そういう段階にすでにきておるということから、この際、単に行動を慎重にすべしというだけではなくて、総理みずからが退かれるべきではないのかと。  櫻内外務大臣にあわせてお尋ねをいたしますが、櫻内外務大臣はこの団体の副会長をされております。幹事長時代ですが、大分鼓舞激励するような演説などもしばしばやっておったやに伝えられておりますが、この辺、総理及び外務大臣から見解を伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、党の三役等もこれに副会長等で関係しておりますので、それらの幹部の諸君に行き過ぎのないように適当に指導してもらいたいということを言っておりますので、その結果を静かに見ておる段階でございます。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 自主憲法期成議員連盟は、文字どおりその目的を自主憲法制定に置いておるわけでありまして、自由民主党もそういう綱領を持っておるのでありますから、そういう機関に入って研究をするということはこれは当然できることと思っております。ただ、現在私は鈴木内閣のもとの閣僚でございますから、鈴木内閣の閣僚が憲法を守っていく、こういう立場にございまして、誤解を招いてもいけませんから、現在、自主憲法期成議員連盟の方の活動には加わっておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 副会長はおりられたということでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 別段そういう手続はとっておりませんが、閣僚である地位にかんがみまして自粛をしておる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 まあ自粛し慎重にすればいいというものではなくて、もう現に項目を明らかにし運動にしよう、緊急度の高いものをやろうと。総理もかねては研究調査の段階では見守るけれども運動にしたら私はやめますという誓いを国会でもしているわけなんで、もう一度御両者から答弁を求めたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げたように、私はそういう具体的な運動段階に入っておるとは見ておりません。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 文字どおり自主憲法の期成のためのそういう研究団体で、自由民主党が本格的に憲法改正に取り組むということになりますれば党の機関の方で決定をされるのでありまして、われわれがそういう議員連盟に入っておるということと、党が決定してどうこうする、その目的に向かって具体的に行動するというのは、おのずから違うと思うのであります。しかし、そういう研究団体に入っておることが閣僚との立場上いろいろ御批判を受けてはいけないから、先ほどから申し上げるように現在自粛をしておる次第です。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 余り納得できませんが、次の質問に変わります。  日本は今年の初めから国連の人権委員会のメンバーとなったのでありますが、人権問題についてどのような認識を持っておられますか。外務大臣にお伺いいたします。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 具体的に人権委員会の方でどのようにわが国が対応しておるかということにつきまして十分承知をしておりませんが、国連におけるそういう機関というものは、基本的な人権を守る上に非常に重要な機関であると認識しております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、具体的に伺いたいと思いますが、在日韓国人の政治犯、その中で非常に重病人であります姜宇奎さんと崔哲教さんの二人の入院治療問題が韓国で非常に問題になっております。人権委員会のメンバー国として、直ちにこれは入院できるような措置を外務省としてもとるよう全力を挙げるべきでないかと思いますが、いかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) かねがね韓国にございます政治犯の方々の健康問題につきまして私どもも配慮をしておりまして、人道的観点から韓国政府の善処方をお願いし、また、それに伴いまして韓国側におきましていろいろ配慮をしていただいておる実情にある次第でございまして、私は当面その範囲でわれわれとしてはやむを得ないことではないか、それ以上に及ぶことは韓国の内政上の関係も出てまいりますので、その辺の配慮をしながらこれらの方々の人権の尊重のために留意をしておる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 F4の問題に入りたいと思いますが、F4の試改修に当たって今年度十三億、それから明年度の予算で八十五億等々の予算がつけられているということでありますし、まあ債務負担行為ということになっているわけでありますが、予算書等のどこを見ればそれはわかるのでしょうか。

矢崎新二防衛庁経理局長

○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございましたF4の試改修関係の経費でございますけれども、次のような形で予算に計上をされておるわけでございます。  まず、五十六年度の国庫債務負担行為として計上いたしました試改修のための設計費が約十三億円ございますが、これが五十七年度に歳出化をされているわけでございまして、これは防衛庁予算の中の項「装備品等整備諸費」、目「航空機修理費」の中に計上をされておるわけでございます。これは予算書で申しますと、三十五ページ、「予定経費要求書」の「科目別内訳」のところの二百三十七ページというところでございます。  それからまた、五十七年度予算に新規に計上いたしました試改修のために必要な搭載機器とか器材購入のための経費約八十五億円は、五十七年度予算の「丁号 国庫債務負担行為」の中の「事項」、「装備品等整備」に計上をされておるわけでございまして、予算書で申しますと丁号の七十六ページ、それから「予定経費要求書」三百一ページ、そこに計上をされておるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 その「装備品等整備諸費」あるいは「航空機修理費」、いろいろなことが全部一緒になって出てくるわけでありまして、これでわかりますか。

矢崎新二防衛庁経理局長

○政府委員(矢崎新二君) お尋ねは、予算書の中への各種経費の計上についての御指摘かと思います。  現行の予算書の形式の問題でございますが、これは国民の予算全体についての理解の容易さを囲みということとか、あるいは予算統制上の便宜等の諸事情を考慮いたしまして現在のような形式になっていると承知をしているわけでございます。こういった観点から、現行の予算書は膨大な予算の全体の姿を国民にできるだけ理解していただくような形にまとめておりますので、個別の事業についての具体的な説明につきましてはおのずから限度があると思われるわけでございます。そこで、いろいろな参考資料を国会に御提出いたしまして予算の内容を御理解いただけるように努めますとともに、御審議を通じてできる限りの御説明をするように努めておるわけでございます。  また、今回のF4Eの延命とか試改修の内容及び経費につきましては、参議院予算委員会の御要求によりまして別途資料を取りまとめまして御提出をしているところでございまして、必要に応じましてさらに十分な御説明を行うことにより御理解が得られるように努めてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 今年度のやつなんていうのは全然資料も何も出てないじゃありませんか。どこを見たってそんなことはわかりません。さっき防衛局長はどういう軍備を持てるか持てないかは結局国会の判断に帰するんだと。判断する前提を欠くじゃありませんか。この点どう考えますか。

矢崎新二防衛庁経理局長

○政府委員(矢崎新二君) 御指摘の点は予算書の表現の仕方という問題かと思いますけれども、その点は、ただいま申し上げましたように、膨大な予算の内容を個別の事業にまでブレークダウンして、どの程度表現できるかというのは大変むずかしい問題でございまして、やはり予算書を取りまとめております目的に照らしまして、ある一定の限度があることは御理解をいただきたいと思うわけでございまして、足らざる点は御審議を通じ御説明をいたしますとともに、必要に応じて補足の資料を御提出するというようなことを私どもも心がけているわけでございまして、F4Eの試改修の関係につきましては、すでに御要求に応じまして取りまとめた資料を御提出しているところでございますので、どうか御理解を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 理解できるわけはありませんよ。大蔵大臣わかりますか、これ見て。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 予算書編成技術の問題ですから、主計局長から説明させます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 大臣がわかりますかと聞いているんだ。大蔵大臣がまずわかるかと聞いている。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 防衛本庁の「武器車両等購入費」の中に入っている。これは五十七年度一般会計予算の説明書の三十四ページ。  それでこれについての中身については防衛庁が別途資料作成をして御説明を申し上げております。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 試改修の中身申し上げます。  八十五億円……(「中身じゃないんだよ、予算書のどこに書いてあるかと聞いているんだよ。」と呼ぶ者あり)それはいま大蔵大臣の方から御説明したところでございますが、今回の試改修に係る八十五億円の内訳について申し上げますと、所要の改修を含みます搭載機器の経費、これが一番の目玉でございますが、これが約五十七億円、それから機体部品の経費といたしまして約四億円、それから機能試験用器材の経費といたしまして約八億円、それから機体改修の経費といたしまして約十二億円、その他に計測装置の経費として約四億円、こういったものから成っております。  以上でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 その金額の多い少ないではなくて、きわめて重要な問題が予算書のどこを見ても、ちょっとだれが、われわれいま見てもわからぬのです。これでいいのか。予算書本体もありますが、細目の説明なり参考書類なりにもどこにもやっぱり出てこない。業務計画見てもわからぬ。これで国の防衛政策がどんどん変わっていく。ここが問題なんですよ。この辺どう考えておりますか。

松下康雄大蔵省主計局長

○政府委員(松下康雄君) 防衛庁の経理局長からも御説明を申し上げましたが、現在の予算書は、非常に複雑膨大な予算の全体につきまして、これを国会の御議決の項の項目を中心にいたしましてまず全体についての正確な項別の計数を整理をしてお示しをすること、それから実際にそれを執行いたします場合に、この予算書を使いまして責任の所在が非常に明らかになるように執行ができるようにすること等の見地からこれはまとめられたものでございます。したがいまして、そういったふうな目的で製作をいたされましたものが、予算編成後国会の御審議に間に合いますために短時日の間に作成をいたしますから、どうしても個々の個別の一つ一つの事項につきましての御説明には限界もあるところでございます。その点につきましてさらに補足的に御審議の材料に供しますために各省もそれぞれいろいろと工夫をしているところでございますけれども、たとえばただいま問題となっております試改修関係の予算の問題につきましては、防衛庁で製作をいたしております昭和五十六年度につきましては、業務計画書に「F−4型機について、構造安全管理態勢の整術、能力向上のための試改修等に着手する。」ということがございますし、また昭和五十七年度の業務計画におきまして、「前年度に引き続き、F−4型機について、構造安全管理態勢の整備、能力向上のための試改修等を継続する。」というふうにお示しをいたしてございまして、これらに基づいて防衛庁におきましての御審議のための御説明というのをそれぞれ行っているところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 この業務計画を見ましても、ただその能力の向上のための試改修に着手するというだけで、要撃性能を付与するのかどうか、あるいは爆撃性能はどうなるのかというようなことは何一つ実はわからないわけですよ。予算書とこれの連関だって、つながりがあるわけじゃありません。  そこで大蔵大臣、やっぱり国の重要な政策、特に国会で問題になったような中身、その変更にかかわるようなものについては何らかの形でやっぱり説明をする、資料をつけるということをしなければ、財政面からの軍事力に対するコントロールもできない。国会審議もその前提を欠くと、知らぬままに勝手なことがやられてしまうというふうに考えるわけですが、その点いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) いま主計局長からも話したように、膨大な予算でありますから、確かに予算書そのものはよくわからないという御指摘を受けます。したがって私などは、飛行機の機数や何かの説明資料、あれは三年師といまと比べてもらえば、並べてもらえばわかりますが、へたで書いてあったやつは余りに不親切しやないかということで、項目的に分けて実は書かせるように直しているのです。  そこで問題は、このF4の問題については、いま言ったように業務計画の中で書いてありますが、それについて単価とか数字等がわからぬという御指摘がございました。これらについては、もっとわかりやすく書くということも一つの方法だと思いますが、そういうような問題を国会の審議等で御質疑をいただき、詳しくできるだけ説明をする。そういうところでこういう委員会で説明をしておるわけであります。  しかし、いま言ったように、これは非常に重大な変更であるかどうかと、そういうところに私は問題があったんだと思います。政府の方としては、御承知のとおり試しに、テスト的に一つだけまずとりあえずつくってみて、それがうまくいくかどうかわからぬけれども、それがうまくいった場合にはまあ百機か幾らかはやると。そのときには当然に、かなり装術の変更になってくるから、これは当然に国防会議にもかけてやる。ですが、問題はですよ。(「予算書がわからない」と呼ぶ者あり)だから問題は、その今度のやつをうんと重視して見れば、もっときちっと書くべきであったと私は思うのですよ、それはね。そこのところの違いが少し私はあったんじゃないかと。ですから、今後とも御指摘のように、竹田委員からも前にお話があるように、一機百億円もするならば大変な問題じゃないかと。だからそういうものは単価や何かもわかるようにしろ。これは野党の御主張としては当然のことだと私は思う。本当にそう思いますよ、立場を変えれば。したがって、今後ともこの防衛庁の事業の内容というものが予算との関連でできるだけわかるように今後努力をしてまいりたいと考えております。  なお、二十八条参考書による国庫債務負担行為調書の事業内容については、主要なものを例示する場合に、御指摘のような問題を踏まえてさらに工夫の余地はないかということでございますが、所管庁たる防衛庁と一緒に努力を重ねていきたいと、そう思います。所管庁である防衛庁と、よくわかるように、何かもう少し工夫をして、もう少し親切にするようにしていく必要がある。  問題は、大蔵省の場合は防衛予算だけ。ではなく、予算というのは各省庁にいっぱいあるわけですから、それらのやつを全部明細をつけるということになったら、いまでさえもこんなに厚くてなかなか読んでくれないものを、こんなになっちまうわけですから、そこらにも問題点が実はあるのです。したがって、それは各省庁において必要に応じて御説明を親切に申し上げるということは当然のことであろうと、そう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 防衛庁長官、どう考えますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいま大蔵当局、大蔵大臣からお話がございましたように、膨大な予算ということもございまして、予算の御審議のために国会に提出をしております資料等を含めまして、現状では不十分ではないかという御指摘だと思います。  私どもも精いっぱい相努めておるつもりでございますけれども、今回の問題は、特に国会でたびたび論議された経緯でもあったわけでございますから、そういうことにかんがみますならば、もう少し詳しく関係の方面に、諸先生方に御説明を申し上げておけばよかったなというような反省を持っておりますし、ただいまこういう御論議を通じまして、さらに十分御説明をし、御理解を得られるように努力をしてまいりたいと思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 防衛庁の役人の方に何度か来ていただいて説明を求めたのですが、その人たちですらわからぬのですよ、どこに書いてあるのだか、どうなっているのだか。まして防衛庁長官もおわかりにならないだろうと私は思っておる。そういうことが秘密裏に、隠密裏に進められていくことにやっぱり防衛問題の根の深さがあるというふうに私は思うわけでありますが、F4の改修の理由、ねらいは何であるかということにいま質問を移したいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 先ほどもお答えをいたしましたけれども、改修のねらいは、改修の前提となりましたまず延命がございまして、昭和六十年ごろから逐次リタイアしていくF4EJを約十年にわたって延命をいたしたいということをまず考えたわけです。延命をいたします以上は、昭和七十年代の半ばころまで一応延命でおるという見込みでございますが、そういたしますと、その時点における航空機としての性能といった点から、ある程度その時点における各国の航空機の性能と比較して、そう見劣りのしないものに能力アップしていく必要があるというふうに判断いたしまして、今回の代表機一機についての試改修に踏み切ったわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 各国のF4問題の扱いは、特に延命その他の扱いはどうなっておるでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) F4型機の延命につきましては、アメリカ、西ドイツ、イギリスその他の国で施策を講じているというふうに聞いております。具体的には、各国の公式の情報を得ておるわけではございませんけれども、アメリカ空軍それから西ドイツ、イギリス、ギリシャ、トルコ、イスラエル、韓国といったような国が延命を考えておるというふうに聞いておりますが、アメリカ以外の国の延命の内容については不明でございます。  なお、アメリカの空軍につきましては、アメリカ空軍の保有しております飛行機の大部分につきまして延命策を講じておりまして、一九七二年に準備に着手いたしまして、一九七四年から運用を逐次開始しておるように聞いております。現在のところすでに最高の運用時間が五千時間を突破した機があるというふうに承知しております。  それから次は試改修の問題でございますが、試改修につきましても、アメリカにおいては所要の改修を機種ごとに——この機種といいますのは同じF4でもEとかFとかMとかDとかいろいろな機種がございますが、その機種ごとに逐次実施をしておると聞いております。  なお、西ドイツにおきましてもF4型機の能力向上を図る計画があるというふうに聞いておりますが、具体的には承知いたしておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 問題は、そのための予算として基本設計費は今年度十二億ですね、それから五十七年度に八十五億を組むことになったわけでありますが、いずれも国庫債務負担行為であります。この八十五億の内訳はどうなっているのでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 先ほども一部申し上げたわけでございますが、一番大きいのは所要の改修を含みますところの搭載機器の経費でございまして、これが五十七億円でございます。それから機体部分の経費といたしまして約四億円、それから機能試験用の器材の経費といたしまして約八億円、それから機体改修の経費といたしまして約十二億円、そのほかに計測装置の経費といたしまして約四億、そういったものから成っております。  それから価格の非常な細部でございますね、これは細かい品目ごとになりますと、今後のネゴシエーションでございますか、商議等に影響するので差し控えさしていただきますが、まず搭載品五十七億円の中には搭載品そのものの購入費のほかに、試改修時に限って必要になります器材改修等の初度改修費、それから支援器材費が含まれております。  それからまた、搭載品も航空機搭載用と地上試験用ということで二セット購入することにしております。  それから機能試験用器材、計測装置にかかわります経費でございますが、これは試改修に必要となるものでございまして、量産時には発生しない、そういったたぐいのものでございます。  それから機体改修にかかる経費には、改修のための役務費とそれから飛行試験のような各種試験費、こういったものが含まれております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 搭載品にかかる五十七億の内訳を説明してください。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 搭載品の内訳の主なものは……

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 金額。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 金額でございますか、わかりました。  これは、個々のものにつきましてはさっき申し上げた理由で控えさしていただきますが、おおよそ言いますと、搭載品五十七億円のうち支援器材費が約一割でございます。それからあとの残りのうちの約半分が初度改修費ということになりますと、まあ二十五億円前後ということになるわけでございますが、それから搭載品の本体でございますね、さっき二セット買うと申し上げましたが、この本体がやはり同じような金額と、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 この機器の本体にかかわるわけでありますが、主な搭載機器の品目とその単価を明らかにしてほしいと思います。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 単価は、さっき言いましたように個別のものにブレークダウン、ブレークダウンといいますか区分けをされますと、商議にどうしても影響いたしますので差し控えさしていただきますが、大体の目の子で申し上げますと、レーダーが一番主なものでございまして、これが全体のうちの大部分を占める、こういうふうに申し上げます。  あとヘッドアップディスプレーといいまして、これはパイロットの方が前方を見ながら同時に——半分透かしみたいになっておりますところのいわば風防のところに、同時にいろいろな計測されてまいりますところの数値とかそれから目標の位置とか、そういったものが全部ディスプレー、展示される、そういった器材がございます。そのヘッドアップディスプレー。  それからセントラルコンピューター、これは先ほど防衛局長からも御説明いたしましたような各種のミサイルであるとか爆撃機能であるとか、その他のすべての計算諸元あるいはナビゲーション、運航上の計算その他をやるコンピューターでございます。  それから慣性航法装置、これは自機の位置であるとか相対的な角度であるとか、そういったものをはかりますための装置、こういったようなものでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いま述べられた主な部品についてF15の際の契約価格があると思うのですが、それは幾らぐらいになっているんでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) F15でございますが、これまでに契約した価格を申し上げますと、射撃管制装置、これはレーダーとほぼ同じとお考えいただいて結構でございますが、これが五、六億円。これは商議に関係いたしますので、これからまたF15はまだ商議さしていただきます。そういったようなことでもございますので、正確な数字は控えさしていただきたいと思います。  あとはレーダー標示器、それからヘッドアップディスプレー等は大体数千万円、そういうオーダーでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ここに昭和五十四年、一九七九年に契約をしたそれぞれの単品の価格の一覧表があります。APG63が四億六千六百十八万円、慣性航空装置七百五十九万円強ですね。セントラルコンピューターが二千二百万円ぐらい、ヘッドアップディスプレーが五千百万円ぐらい、五十四年価格でありますが、おおむねその程度でしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) いまおっしゃった数字ですね、正確には違っておりますが……

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 おおむね。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) おおむねでは大体そんなことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、一番単品で値段の高いのはFCSなんですね。このFCSの中で、F15用のものは使わない、F16のFCSを使う。AFG66というやってありますが、これはF15用の半分ぐらいの値段だというふうに言われておりますが、そのとおりでし。ようか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) F15はAPG63でございますが、これはまず非常に容積的に大きいということで、F4のノーズ、ノーズといいますか、一番先っぽのところへ入れるわけでございます、半端部へ入れるわけでございますが、そこへ入りませんで、したがいましてその段階で選考に落ちたという事情がまずございます。したがいまして値段等は、実際に詰めますときには量産価格というようなことでいろいろ大分、ぎりぎりというのでございますか、かなり詰めて調べるわけでございますが、そういったようなところまでいかなかったというふうに御承知おき願います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 F15で使っているやつよりもF16のやつは半分以下ぐらいだというふうに言われているが、そのとおりかと聞いているんです。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) F15のレーダーの方が高いということは事実でございます。ただし、量産価格と、それから試改修の価格というのはそもそも違いまして、量産でありますとまた違ってまいります。私どもは試改修の値段だけに着目いたしませんで、もし試改修が成功いたしました暁には量産さしていただきたいと、こういういわば作業仮説といいますか、そういう前提でやっておりますために、試改修の場合にはどうなるかということにも着目してこれを価格の要素として考える、こういったことを御理解いただきたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それはあれだけれども、質問に答えてください、半分以下かと。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 量産価格で言いますと三分の二というような感じでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 他の、たとえばA1〇用の慣性航法装置、これはF15のものよりも安いのではないでしょうか。それから、セントラルコンピューター・は日本でも導入しているわけでありますから、これは同価格。ヘッドアップ・ディスプレーについては、これまたF15よりも安いのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 全般的に申し上げまして、F15用の、いまおっしゃいました各種器材というものは高いということは事実でございます。今度採用することに——採用といいますか、試改修に考えておりますような器材の方が一般的に安いということは事実でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ごまかしてはいかぬのだよ。もともとの値段は安いか高いかと。それから試改修に特別買うわけでありますから、少し、手づくりとか、いろいろなものをつけるから高くなることはわかるけれども、もともとの値段の比較をまず伺っているのですよ。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 試改修のものについてもF15用のものが高いという事実でございます。  ただ、価格というのはいろいろ条件がございまして、いろいろ条件を詰めてみないと最終的に言えませんので、なかなかむずかしい、一概に言えませんけれども、とりあえず相手方からとりました価格で比較いたしました限りではF15の方が高いということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうしますと、FCSについてはF15のものよりも三分の二ぐらいの値段、それからその他の機器についてはF15の方が高いということを前提にして、先ほどおおむね私が読み上げた数値がそのとおりだということを前提にして考えますと、四億円ぐらいしかかからないのですね。それを二個買うと八億ですよ。なぜこれが二十五億になるのでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) まず、先ほども申し上げましたように、いま問題になっておりますところの搭載品でございますが、これは二十五億というのは二セット分であるということでございます。  (「いま言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)二セット分で二十五億円。それから(「矢田部さんが二セット分と言ったじゃないか、わざわざ。勘定が合わないじゃないか」と呼ぶ者あり)はい。二セット分でございますというのが第一点でございます。  それから、先ほど来申し上げておりますのは、私どもは全部を申し上げておるわけではございませんで、主なレーダーについて申し上げているわけでございまして、また先生の御質問も先ほど来レーダーの価格を例示的に言われているというふうに承知しております。  それからもう一つは、同じ搭載品につきましても、これについて試改修をするということで、単に、器材の価格以外のものがいろいろ入ってまいりまして、そういったことで値段が高くなると、こういう事実がございます。  具体的に申し上げますと、たとえばF4EJ搭載のための機器の形状の変更をいたします。F4EJに試改修で載せることを予定しておりますものにつきましては、もともとF4ファントム用にできておりませんで、それぞれF15であるとかあるいはF16のためにつくっておりますために、器材の容積それから形状というものが違うわけでございます。航空機というのは、先生御存じのとおり、極端にまで、スペースといいますか、容積をしぼる、それから中でのバランスというようなものを非常に重視いたします、空力特性というものに非常に影響いたしますために、そういったことがございます。したがいまして、一つ一つの器材を、その大きさ、形状をF4のスペースの中にはめ込むためにいろいろ工夫をいたしまして形状を変えるとか、それからさらにはF4の方の中の、骨組みといいますか、あるいは間仕切りといいますか、そういったものをいろいろいじらなければいかぬというようなことで、いろいろ手間がかかります。要するに、こういったようなもともとF4のためにつくられていないところの諸器材等を集めまして、F4の中にシステムとして全体がうまく適合するように、いろいろ工夫をするということでございます。  航空機は、先生も御存じのとおり、非常に複雑で精密なものでございますので、そういったことの一つ一つにつきまして、十分慎重な調整を要するということからいたしまして、このように器材以外の経費がかかるということを御理解賜りたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 何を言っているのか、さっぱりわからないです。いま私が指摘をしたのは、防衛庁の答弁ももとにして試算をしますと、この部品価格の総体は四億前後にしかならぬ。それを二セット買うから八億です。それから、これまた防衛庁の事前の説明でありますが、特注品になりますから大体倍程度かかる。これで十六億です。それから、支援器材費が一割程度とさっき言っておりますから六億と見ます、五十七億のうちですね。そうしますと、せいぜい二十億ちょっとしかかかっていない。それに対して五十七億という予算を組んでいるのはどういうわけなのか、全く納得ができないというのが結論なのですが、いかがでしょうか。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 一部繰り返しになるかと思いますが、基本的にはほかの飛行機のためにできました器材を持ってきまして、F4のために、これを適合させるために非常に工夫が要るのだということでございます。それは機械団体についてもそうでございます。F4自体についてもそうだと、両方を合わせるというために非常に金がかかるということは申し上げました。  たとえば、もうちょっと具体的な例を申し上げますと、FCS、これは射撃管制装置と呼んでおりますが、FCSを例にいたしまして申し上げますと、まず、形状変更につきましては、F4ファントムの機首——ノーズといいますか、細くなっておりますところ、円錐形の部分でございますが、機首に容積的に適合をさせるために、FCS、射撃管制装置の電源、それから電波発生器、それから信号処理器等構成品の配置がえが必要となるということがございます。  それから、FCS——射撃管制装置でございますが、FCSの機体への取りつけ方法もF16と異なる方法となる。こういったことで、設計変更が必要となるわけでございます。  次に、FCS——射撃管制装置とほかの各機器との連接でございます、インター7エースと普通呼んでおりますが、この連接をするためには、中での電気信号の態様がF15のAPG66レーダーというものとF16型機のそれとは異なるということからいたしまして、そのための連接方法あるいは連接部の電気コネクターといったものの変更も必要となります。さらに、射撃管制装置の特有な改修といたしまして、APG66というものはスパローミサイルを搭載する。これは防衛局長がるる御説明しておりますが、スパローミサイルを誘導する機器というものを保有しておりませんために新たにこれを組み込む、こういった改修も必要になります。また、これらの変更を実施した場合には、通常航空機搭載用電子機器を変更する場合と同じように各種の非常に厳しい、いわば過酷な環境試験といいますか、作動試験、こういったものを行うわけでございます。湿度もございますし、圧力それから振動、それから温度、こういったものでいわば極限状況につけてみましてそれがうまく作動するかどうかということを一々検査していただく、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、非常にスペースに限りのあります戦闘機の搭載機器を変更するためには設計変更というものを伴います種々の改修が必要でございます。こういったもののために、しかも改修いたしました後で、改修後の機器の作動確認を行うといったためにいろいろな試験が必要だということで、どうしても初度改修費としてかなりの費用がかかるということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私は具体的な数値を挙げて指摘をしているのでありまして、言葉だけ、あれにもかかる、これにも費用がかかるという話だけではだめなので、この積算基礎があるわけですから積算基礎を明確にして出してください。それを出さなければ納得できません。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 先ほど来八十五億円については、まず八十五億円が細かく分けまして七つの部分に分かれるということで、それぞれの金額を、一部についてはおおよそでございますが申し上げました。  それからその次、搭載品につきましても、その中の主なもの、すなわちレーダーを中心といたしましたFCSにつきましておおよその金額を申し上げまして、その他の附属的な機器についてのおおよその金額を申し上げました。  さて、それ以上個別の問題について積算を出せという御要望のようでございますが、となりますと、これはこれから具体的に業者の方と商議に入るわけでございまして、それぞれ物によって恐らく違った方と——まあ必ずしも一本じゃございませんで、いろいろな方と商議しなければいけない場合もあるというふうに考えられますところ、そういったこともございますので、ほかの例でもそうでございますが、こういった個別の品目につきましての価格というのは提出を差し控えさしていただきたい、そういうふうに考えます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 何をしゃべっているのか全然わからぬですよ。  私は、機材価格が四億円前後だと、二個買うから八億円だと。大体それと同じ程度で機器の改修費が見積もられているというのが防衛庁の説明でありますから、せいぜいかかって十六億、それに支援機材費等も含めて六億、一割と言っていますから。ここで二十億か二十一、二億しかかかっていないのですよ。それが五十七億もの予算を組んでいる。その内容を明らかにしなければ予算審査できません。特に、これは入札ではありませんで、三菱と予定をされておるそうでありますが、随意契約なのでありますから概算価格ぐらい、あるいは積算基礎ぐらいは明らかにしてしかるべきだと思いますので、重ねて求めたいと思います。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 装備局長、明確にお答えください。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) まず、五十七億円の内訳をもう一回申し上げますと、(「書いて出しなさいよ、あなたがさっき言ったのを。二回ぐらい言っているけれども、わからないよ。」と呼ぶ者あり)  はい。それでは、これは実は複雑でございまして、(「だから、資料をちゃんと出しなさいと言っているんだよ。」と呼ぶ者あり)はい。これ一度、出せる範囲でいまの価格につきまして資料を提出さしていただきます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 防衛庁長官、これいつまでに、どういう内容の資料を出すのか、明確にしてください。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) なるべく早く、かつ、予算委員会の御審議に間に合うように提出さしていただきます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記とめて。    〔午後四時二十七分速記中止〕    〔午後四時四十八分速記開始〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記を起こして。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いまの私の質問に関連して防衛庁から資料の提出を求めたいと思います。その提出をまって質問したいと思いますので、本日のところはこの程度で留保させていただきます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記を起こしてください。  矢田部理君の質疑は明日行うこととし、次に、上田耕一郎君の総括質疑を行います。上田君。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 まず、核問題についてお伺いしたいと思います。  首相、第二回軍縮特別総会に出席されるそうですが、あと二カ月半ですが、政府の方針は具体化されましたか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 第二回国連特別総会につきましての私が出席をしてどのように日本の立場、所信を述べるかと、こういうことにつきましてのお尋ねのようにお聞きします。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 どんなに具体化したか、方針を。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましては、私は、出発までの間に各政党の代表者、各種団体等がいま核軍縮等に対する署名運動等をやっておられますので、そういう方面の御意見も十分お聞きしまして、国民的基盤の上に立って国連総会で日本の立場、方針を明らかにしたいと、こう考えておりますので、まだいろいろ構想の段階でございまして、固まっておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 この総会の条約案その他を準備しているジュネーブの軍縮交渉委員会、討議状況はどうなっていますか、外務省。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 第二回国連軍縮特別総会に提出する予定となっております七つの議題がございますね。化学兵器、放射性兵器、非核兵器国の安全保障、包括的軍縮計画について、これらのものについては作業部会が設置されております。それから、核実験禁止、核軍備競争の停止及び核軍縮、宇宙空間における軍備競争防止のための一層の措置、これらについても討議が行われております。  これらの作業状況を取りまとめて、そうしてこれを報告する予定となっておりますが、七つの議題に関しまして、必要がございますれば担当の方から一つ一つ申し上げますが、いかがいたしますか。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 やってください。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 便宜、私の手元の資料で申し上げます。  核実験禁止、これは現在までのところ作業部会は設置されておりませんが、先般、米国が核実験全面禁止の検証と遵守に関する下部機構設置に賛同する旨表明いたしましたために、今後の帰趨が注目されておるわけでございます。  次に、議題の二番目でございますが、核軍備競争の停止及び核軍縮につきましては作業部会をつくろうと、こういうことでございますが、いまだ合意に至っておりません。  それから、議題三の非核兵器国の安全保障でございますが、第一回軍縮特別総会の際、五核兵器国が行った非核兵器国の安全保障に関する一方的宣言を統合し、これに国際的性格を与えるための作業が行われておるところでございます。  議題四の化学兵器でございますが、禁止すべき化学剤の範囲及び検証問題を中心に検討が進められております。  議題五でありますが、新型大量破壊兵器、放射性兵器、これにつきましては、一九七九年に提出された米ソ条約案に基づき放射性兵器禁止条約草案の作成作業が行われております。  議題六の包括的軍縮計画でありますが、現在までのところ、同計画に盛り込むべき措置等につき各国より提出された作業文書に基づき、第二回軍縮特別総会における検討に間に合うよう交渉が続けられております。  それから、議題七でありますが、宇宙空間における軍備競争防止のための一層の措置でございます。  第三十六回国連総会決議を受けて、新たに本件議題が審議対象に加えられましたが、現在までのところ、具体的審議は行われておらない状況でございます。  以上でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 お聞きのとおり、もうほとんど進んでいない。一番大事な核軍縮、核実験禁止でも作業グループさえできていないという状況なんですね。あと二ヵ月半です。なぜこうなっているかというと、やっぱり西側諸国の態度がかたい、それから米ソの対立、これがあるわけですね。特に被爆国日本の首相の責任は大きいということを私は指摘したい。  ところで、核兵器使用禁止条約の問題は、この七つの作業部会の議題になっておりますか。

栗山尚一外務省条約局長

○政府委員(栗山尚一君) お答え申し上げます。  核兵器の使用、木使用そのものにつきましては、今回の議題の案の中には一応入っておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 だから国連総会でこの問題は取り上げているわけですね。  首相、核兵器使用禁止条約、不使用条約に昨年総会で反対した理由を重ねてお伺いします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この問題につきましてはいろいろの経緯がございますが、ソ連がアフガンに軍事介入をいたしましてから東西の状況はきわめて厳しい状況に相なってきております。そういうような背景の中でこの問題に対しまして西側諸国は、その提案の内容、また提案国の意図、いま申し上げたような国際情勢の変化等々を踏まえまして、わが国もこれに賛成いたしかねるということで反対の投票をいたしたところでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 外務省、その決議の要点を説明してください。

門田省三外務省国際連合局長

○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  主文におきまして、一、(A)格兵器の使用は国際連合憲章の違反であり、人道に対する犯罪である。(B)したがって、核兵器の使用または使用による威嚇は核軍縮が達成されるまでの間、禁止されるべきである。二、第二回国際連合軍縮特別総会に対し、この問題に関する各国の提案及び見解を考慮し、核兵器の不使用及び核戦争の防止に関する国際条約についての問題またはこの問題に関する他の合意についての問題を検討することを要請する。三、第三十七回総会の仮議題に核兵器の不使用及び核戦争の防止と題する議題を含めることを決定する。  以上でございます。    〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 何ら反対すべき理由はない。これが西側十九カ国反対だったわけですね。外務省どうですか、これ百二十一賛成で通ったわけだから、いまお読みになった第二項目に基づいて第二回国連軍縮特別総会はこの核兵器不使用条約を検討することになるわけですな。

門田省三外務省国際連合局長

○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  そのとおり了解いたしております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 すると首相は行かれるわけだ。国連軍縮特別総会で核不使用条約問題が検討されるときまた反対するのですか。——局長の言い分で決めるつもりですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 情勢を見ている。

門田省三外務省国際連合局長

○政府委員(門田省三君) ただいまジュネーブでの軍縮委員会で第二回特総を目前に控えての準術をいたしておりますし、また国連軍縮委員会においても検討をいたすことになって、その後で第二回特別総会に問題が上がってくるということで、このような背景におきましてどのような具体的な提案がなされるか、そういったものを十分検討し、またその時点におきますいろいろな情勢、これを勘案して態度を決めるということになるものと考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 総理、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この核兵器不使用の条約に対するわが国の対応は、先ほど申し上げたようなことでございまして、西側の国々と十分協議をして対応してきた経過がございます。私は、アフガン問題、その後における諸般の情勢はあの当時と余り変わっていないというような現状認識をいたしておるわけでありますが、まだ時間もあることでございますので十分慎重に検討したいと、こう思っております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 毒ガスも、一九二五年のジュネーブ議定書で使用禁止から始まったんですね。それから生産禁止まできた。だから、核兵器もまず使用禁止、これは何ら査察も要りませんからね。まずここから始めるというのは当然の要求で、唯一の被爆国の国民の圧倒的な意思だと思う。そうすると首相は、国連決議として通っておるわけだから、第二回国連軍縮特別総会に出た場合にはさらに検討して態度をとるということですね。

門田省三外務省国際連合局長

○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  ただいま上田委員から、一九二五年のいわゆるジュネーブ議定書の例を引かれつつ問題になっておりますところの核不使用決議案の点をお取り上げになられましたのでございますが、一言申し上げさしていただきますと、一九二五年のジュネーブ議定書の対象になっておりましたところのいわゆる化学兵器、生物兵器というものの破壊力とそれから核兵器の破壊力というものとの間には、やはり大きな懸隔がございます。    〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 また、このことは同時に抑止力の点においても差異があるものと考えられます。したがいまして、現在の国際間の平和と安全が軍事力のバランス、なかんずく核の抑止力に依存するところが大きいという点に着目いたしますと核の不使用決議というものはそれなりの意義がございますけれども、同時に慎重に考えるに値する内容を持つものと、かように考えておるものでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや毒ガスよりも破壊力が大きいから使用禁止がなお必要なんです。首相、使用禁止協定に反対ということは使用に賛成ということになりませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、この核の問題につきましては、現在の国際情勢におきましてこれが大きな戦争の抑止力に相なっておるというようなことをわれわれは考えておりまして、そういう意味合いからその提案の意図なりあるいは背景をなす国際情勢なりそういうものを総合的に勘案をして態度を決めておるわけでございまして、ただその決議のあるいは条約の案文がこういうことであるからそれに賛成をするとかそういうような問題ではない、このように御理解を願いたいのであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 国民の要求よりも西側に追随、つまりアメリカへの追随を優先しておると思うのですね。アメリカの軍備管理・軍縮局長官のロストウ氏が、毎日新聞去年の九月二十七日付でインタビューをやっておる。アメリカはこう言っているのですよ、ロストウさんは。「クランストン上院議員が「核兵器の使用は文明の最後となるとは思わないか」と聞くので「そうは言えないのではないか。日本は核兵器を使われたにもかかわらず生き残っており、日本の文明は素晴らしいではないか。」」、上院の公聴会でこう述べたと言っている。首相どうですか、このアメリカの考え方。これがレーガン政権の態度なんだ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、そういう発言が仮にありましても、核の惨禍というものは二度と繰り返してはいけない、このように考えておるわけでございますが、究極において核の廃絶、そして核軍縮を推進してまいりますに当たりましても、その実効性なり検証の問題なり、そして現在の抑止力というような関係を十分踏まえながら、着実にその究極の目的に向かって努力を積み重ねていくべきものであって、そういう点を抜きにして核の惨禍ということだけをとらえて、そして一足飛びに核の廃絶というわけにはいかないということを私どもは考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、アメリカは、核兵器を使っても文明は最後にならぬ、日本は広島、長崎で原爆を受けてもこんなにすばらしい文明だと。軍縮局長官ですよ。ひどい長官がいるものだと思いますけれども。  総理、では、レーガンが昨年の十月十六日と十一月十日、二回にわたって米ソ間の全面核戦争に至らない核兵器の応酬がヨーロッパであり得ると、そう述べたことは御存じですね。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) いま上田委員の御引用になりましたのは、レーガンが新聞編集委員その他と懇談したときに話したというふうに伝えられておりますいわゆる世上限定核戦略というふうに言われているわけでございますが、ただその中でもレーガンは、限定核戦略というものはやはりその抑止力というものを頭に置いているということがございますし、それから、一たん核の交戦が行われた場合の惨禍ということはレーガンさん自身も認めておりますので、これはあくまでもそのアメリカの核についての柔軟反応戦略の、いわゆる抑止についての考え方というふうにわれわれは考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 総理御存じですかということ。事実の問題として知っているかと、こう述べたことを。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 承知いたしております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 イタリアの外務省スポークスマンは、気絶させられるほど驚いたと言っている。それで、レーガンのこの発言で西ヨーロッパであの大反核兵器のデモが起きたわけですね。ところが鈴木首相は、これは核抑止力の発言だと言って弁護している。あくまでこの事実を知りながら弁護するつもりですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 一方においてレーガン大統領は、欧州における中距離ミサイルの記術につきまして、ソ連がSS2〇その他の削減、撤廃をするのであればアメリカは七日オプション、配備をしないと、こういうことも言っておるわけでございまして、私どもは、アメリカの意図というものはやはりソ連の態度をにらみながら、この核の抑止を堅持しながら、徐々に核兵器の軍縮あるいは削減に向かって進んでいこうと、こういうことを私は表明しておるものと考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 しかし、それにしろ、これはレーガン政権がヨーロッパで限定核戦争の可能性があるということは認めているということではありませんか、可能性を。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど北米局長が申し上げたように、この戦域核の使用、限定核戦争というようなものを始めると、これは本格的な核戦争に発展をする、人類の破滅につながるような大変な事態に相なると、こういうような観点から核の抑止、アメリカは毅然たる態度でそういう場合においてでも対処するのだというようなことを言っておるわけでありまして、これは戦争の抑止に対しては毅然として立ち向かっていくということを表明したものと受けとめております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 とんでもない弁護論ですよ。  先ほど引用したロストウは、去年の十一月二日、社会主義インター代表団との会談の席、ヨーロッパ、中東、アジア、いずれの地域においても、ソ連の通常兵器に対する攻撃にアメリカとしては核兵器を使用せざるを得ないと、こう述べている。使うつもりなんですよね。西ヨーロッパ並びにアジアで限定核戦争の可能性を認めてアメリカはそれに対する準備しているわけだから、限定核戦争の構想があるということじゃないですか。それをあくまで抑止力としてあなたは弁護するのですか。——答えてください。これあなたが言ったことなんだから。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、アメリカの提案しておりますゼロオプションの政を支持しております。したがって、極東からソ連がSS2〇等の撤去を行い、そして極東においてもアメリカのこの核の配備がなされないこと、これを私は強く望んでおるところでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 この鈴木首相のレーガンの限定核戦争の弁護論は、国際的にも大問題ですよ。あなたの言い分だと、西ヨーロッパの何十万、何百万の人は幻を目指してデモやっているということになるんですな。アメリカの物すごい弁護論だということを確認して、強く抗議したい。  三番目に、アメリカはこの構想に基づいて、この国会でも大問題になりましたけれども、核つきのトマホークを太平洋艦隊、第七艦隊に配備する計画になっております。  外務省、三月五日、アメリカ上院軍事委員会の公聴会でワトキンスアメリカ海軍太平洋艦隊司令官、ケルソー戦略潜水艦課長がこの問題についてどういう証言をしていますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。  まず、ワトキンス太平洋艦隊司令官がアメリカの上院軍事委員会で述べた、軍事委員会の即応態勢小委員会でございますが、そこで述べた要点。一、四年以内に数多くの通常型巡航ミサイルを太平洋艦隊に配備する。二、核弾頭搭載の対地攻撃用トマホークの導入は太平洋艦隊の戦域核戦力を顕著に増大させる。  それから、二番目に引用されておりますケルソーアメリカ海軍作戦部戦略潜水艦課長、これの証言、これは上院の軍事委員会と思います。一、一九八四年から少数の核装備巡航ミサイルを攻撃型原子力潜水艦に配備する計画である。二、ただし、各原子力潜水艦に配備する正確な数は決定されていないというのが要旨でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 日本にはもうすでに核基地、核専門部隊がおりますけれども、新たにヨーロッパであれだけ反対運動が起きている巡航、ミサイルが、第七艦隊、特に攻撃型原潜に八四年から配備される可能性が現実のものになっていることがいまの証言で明らかになっている。  外務省、六四年以降日本への攻撃型アメリカ原潜寄港状況を説明してください。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 昭和三十九年十一月に初めて佐世保にシードラゴンが入港したわけでございますが、本年三月のアスプロ号が横須賀に入るまで、アメリカの原子力潜水艦、これは攻撃型原子力潜水艦でございますが、合計百六十三回寄港しております。  その内訳を寄港地別に申し上げれば、横須賀百二十八回、佐世保十八回、ホワイトビーチ、沖縄でございますが、十七回でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 つまり、年十回攻撃型原潜が日本に寄港しているんですね、平均して。これに積まれるわけだ。もうアメリカはスタージョン級、ロサンゼルス級については予算を計上しているんですね。八四年六月からこれが積まれて日本に入ってきてトランジットが大問題になることはもう必至であります。  さて、外務省にお伺いしますけれども、アメリカ上院で昨年、中南米非核地帯条約、トラテロルコ条約批准に関する議論がありましたけれども、アメリカの艦船、アメリカ航空機による核兵器のトランジット、トランスポート、緊急事態下の一般陸揚げ、これについて当時上院でどういう証言がありましたか。

門田省三外務省国際連合局長

○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  上院におきまして、米国政府はただいまお尋ねのございました質問に対しまして次の趣旨を答えております。つまり、米国のこのトラテロルコ条約が定める非核地帯域内における領域において米国の艦船または航空機が通過及び運搬を行う、これについては国際法上の権利を妨げられないということになっております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 一時陸揚げ、緊急事態下の。

門田省三外務省国際連合局長

○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。  緊急事態において通過及び運搬を行うことは認められているということをアメリカは声明いたしております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 どうも御存じない。記録を見ますと、緊急事態下に核兵器を陸におろすことも禁止されないだろうと。トラテロルコ条約で、中南米核兵器禁止といっても、トランジットもいい、トランスポートもいい、陸におろすのもいいと言うんですよ。それがアメリカの政府の公式の証言であります。  ところで、去年の十二月十八日の共同通信電によりますと、共同通信支局の問い合わせに対してアメリカ政府当局は、核の存在は否定も肯定もしないという政策は、中南米政府から公式に問い合わせがあったときにも適用されると。このことは日本に対してもという質問に対して、この政策はどこにでも適用されるということを答えていますね。公式にどう問い合わせあっても絶対答えないんですよ、あるかないか、絶対言わないということで。一体積んでいるのかということについても答えない。そうなるとどうなりますか。事前協議でアメリカが日本に言ってくる、しかもそれを国会に公表するなんということはあり得ないことになるじゃありませんか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) まず最初御引用になりました共同通信の記事及び先ほど国連局長が答えました点でございますが、これは先ほど国連局長が答えたとおりでございます。  ただそこで、アメリカの議会の中で日本には何ら言及されてないわけです。その後でいま御引用になりました共同通信がアメリカ政府当局者あるいは高官の発言について引用しておりますけれども、当時内閣委員会でも問題になりました。外務省としてアメリカ側に尋ねた結果、アメリカ政府としては、右アメリカ当局者がだれであるか確認できないが、同当局者の発言として報じられているような内容は、核兵器の存在を否定も肯定もしないという点を除いては、何らアメリカ政府の政策を反映するものではないという回答を日本側に寄せておりまして、あわせて上田委員御承知のとおり、ラロック発言がございましたが、あのときにインガソル国務長官代理が当時の安川大使に述べております、すなわち日本との関係では事前協議を遵守するのだと、その点を改めて、そのときと、今回の照会についても確認してきております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 トランジット問題は、ミッドウェーが核兵器をどこかからおろしてくるなんというとんでもないインチキな話がまかり通っておりますゆれども、私はこの経過でトランジット問題の全貌が完全に最終的に明らかになったと思うのですね。知らぬ存ぜぬ、言わず確かめずということで日本に核兵器を寄港させていると、核兵器積載の船並びに飛行機ですね。しかも、これが八四年六月からは核つき巡航ミサイルを積んで、いつ来てもわからぬという状況になりかねない。  外務省にお伺いしますが、インド洋のセーシェル共和国は核兵器積載艦の寄港を拒否していますけれども、どういう政策をとっておりますか。

村田良平外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(村田良平君) セーシェル政府は、米国、ソ連、フランス等に対しては、その艦艇の入港隻数の制限をいたしておりまして、現在各因それぞれ年間六隻というふうに承知しております。しかしながら、この核兵器の搭載艦につきましてどのような政策をセーシェルがとっているかということは私ども承知しておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 「赤旗」を読んでいただかないといかぬですな。一月七日の「赤旗」のトップに書いてあります。  セーシェル政府はアメリカ政府に対して問い合わせたと。アメリカは核兵器の有無は軍事機密で知らせるわけにはいかないというので、疑わしきは入れないということで、八〇年一月一日からアメリカの軍艦の核積載艦、答えないものは全部寄港ゼロにしているのですね。六四年から七〇年までオーストラリアの労働党政府も同じ態度をとっていたと。疑わしきは罰せずでなくて、疑わしきは入れずということにしないと、日本が限定核戦争の基地になって、核戦場になる危険があると思うのですね。どうです鈴木首相、疑わしきは入れないという政策をアメリカに対しても、セーシェルあるいはオーストラリアの労働党政府と同じような政策を、非核三原則を国是とする日本としてとるべきだと思いますが。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 申し上げるまでもなく、日本とアメリカとの間には日米安保条約を締結をしております。基地協定も行っておるわけでありますが、そうした日米の関係の中で、わが国は一方において国是として非核三原則を堅持しております。そこで、この非核三原則を確実に実施いたしてまいりますために、米国との間には事前協議制というものが取り決められておりまして、核兵器を持ち込む場合においては必ず事前協議をする、行うと、こういうことに相なっておるわけでありますが、わが国としては非核三原則を堅持しておる立場から、そういう事前協議がございましても、これを拒否するという方針を堅持しておるところでございます。したがって、疑わしいとかなんとかいうことでなしに、そういうことで明確に対処しておるところでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 それはもう子供だまし、大人だましの空虚な虚構なんですよ。そういうことではもう通らない。  私はこれまでの質問で、あなたがまず第一に、軍縮特別総会で核兵器不使用条約、これについては反対するという方向を示された点、二番目に国際的に大問題になっているアメリカの限定核戦争計画、構想、こういうものを弁護しているという点、それから三番目に、実際上アメリカの巡航ミサイル積載艦の日本寄港、これに対して断固拒否する、疑わしきは入れないという態度をとられていない点、私は唯一の被爆国である日本国民の願いを二重にも三重にも裏切っている重大な問題であることを指摘し、今後鈴木内閣のこの政策に対し、断固として追及していくということを表明して、次の問題に移りたいと思います。  次は、防衛施設庁の癒着問題です。まずお聞きしますけれども、防衛庁長官、元技術審議官菅原竹雄氏の銭高組への天下りみやげ十億円工事、三十年間にわたる割愛文書、出世念書などが大問題になりましたが、調査結果と措置を報告してください。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 横須賀長井住宅の建設工事発注をめぐりまして、一部の新聞に天の声があったのではないか、施設庁OBの再就職の際の手みやげ工事であったのではないか、入札参加業者間の談合があったのではないか等の疑惑が報道されたのでありますが、報道の直後本件工事の契約を留保いたしまして、横浜防衛施設局を中心に調査を行うことにいたしました。自後、同局におきまして、三月の上旬までに報告が来たわけでございますけれども、局内の関係職員とか関係業者などから事情を聴取するとともに関係書類のチェックなどを行った結果、疑惑を裏づけるような事実はないとの結論に達しました。  なお、局の調査に並行いたしまして、本庁においてももちろんこれに類するようなことをいたして、同じような結論に達したわけでございます。  以上が調査の概要でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 警察庁はどうですか。二月三日、衆議院予算委員会で中平局長は、積極的に情報収集をするように指示している、犯罪に問うべき事実が見つかれば立件すると答えておりますが。

中平和水警察庁刑事局長

○政府委員(中平和水君) お答えいたします。  まず、神奈川県警におきましては、関係業者等十数名から関係資料の提出等を求めつつ事情の聴取を行ったわけでございますが、ただいままでのところ、刑法九十六条ノ三の第二項に規定する、公正な価格を害し、不正な利益を得る目的をもって談合がなされたという具体的な証拠は得るに至っていないと、このような報告を受けております。また警視庁におきましても、一部防衛施設庁の職員を含めて十数名にわたって事情を聞いたわけでございますが、元防衛庁の審議官の方が特定の業者に就職するに当たって、役員の地位の提供とそれから当該工事の発注との間に対価性が認められればこれは理論上は刑法百九十七条ノ二の第三者供賄罪が成立するわけでございますから、そういう観点から事情の聴取並びに資料の収集等を行ったわけでございますが、これも現在のところ、その両者の間に対価性を認めるだけの具体的な証拠はあらわれていないと、こういうことでございます。  なお、当然のことでありますが、今後とも具体的な事実が把握され、その内容において刑事責任を問うべきものがあれば厳正に対処してまいると、こういうことでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 防衛施設庁の措置は世論を恐れない措置だと言わざるを得ません。きょう私は、OBではなく、防衛施設庁の現職幹部がかかわった業界との癒着問題を取り上げます。防衛庁長官、もし防衛施設庁に工事に関して業者と悪質な談合やあるいは本命を指示しているというような事例があった場合、厳正な措置をとりますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 何事であれ不正があったなら、それに対しての厳正な態度をとることは当然でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ここに、三井建設の清水秀一土木営業課長の五十二年九月三日から三月十五日に至る営業報告書、これを整理した資料がありますので配付を許可していただきたいと思います。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 配付済みであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 第一は、沖縄の那覇軍港返還に伴う嘉手納基地へのジェット燃料輸送の具志川市の燃料タンクの工事についてです。  私は先日現地調査もやってまいりましたが、この工事経過、建設費、請負業者名、工期、御説明いただきたいと思います。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 那覇港湾施設返還に関係いたしまして、具志川市へ貯油タンクを移設するということが決まったわけでございますが、貯油施設のうち六基、四十六万バレルを具志川市の陸軍貯油施設内へ移設するということで地元と調整をいたしました。それで、昭和五十三年に契約をいたしまして、主体本工事は、契約をいたしましてでき上がってくるのはことしの年度末ということになるわけでございますが、そこでお尋ねの契約相手方といいますか、受注者の内容でございますけれども、六基と申しましたが、十万バレルが四基で、二万バレル一基、それから四万バレルが一基と、こういうことになっておりますが、五十三年度末、つまり五十四年の三月の末に十万バレルを三基、一基は国場組に、それからもう一つの一基は三井建設株式会社、もう一基は鴻池組、それから五十四年の同じく三月の半ばごろに二万バレル一基がフジタ工業。それから次の年の五十四年度に十万バレル一基、残りの一基が国場組、これは五十五年の三月の末でございます。それから四万バレル一基が地崎工業に、こういうことで契約ができておるわけであります、

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 金額。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 総体の金額は、移設に、伴う総体の経費は八十億に近いわけでありますが

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 それぞれの落札価格を言ってください。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 受注金額を申しますと、先ほど申しました順で申し上げます。  国場組六億四千五百万、三井建設五億七千七百万、鴻池六億三千四百万、フジタ工業三億三千三百万、残りの一基の十万バレル、国場組五億八千九百九十九万七千円、四万バレル地崎工業二億八千三百万。以上です。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 この清水報告書には、落札まで約一年間の経過が三十七回にわたって克明に記録してあります。  第一の重大問題は、施設庁ぐるみの高級官僚の驚くべき腐敗ぶりです。  まず大迫公克現建設部長——現建設部長ですよ。当時は建設企画課長、ついで施設調査官になっておりますけれども、五十三年三月二十二日の面談から始まって十数回この清水課長と会って、すべての情報を与え、アドバイスを与え、まあその生々しい活躍ぶりですな、これが書かれております。時間がありませんので、よくゆっくり後でごらんいただきたいのですけれども、五ページをあけてください。  五ページの一月十二日。この入札は三月二十七日ですからね、もう二ヵ月以上前です。「当選確実」とここに書いてある。「(沖縄局保刈建設部長本庁と打合せ)ジョイントベンチャーになる。」「(大迫施設調査官)」ということなんですね。長官、二ヵ月以上入札の前にも当選確実ということを高官が業者に教えていいのですか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 初めて見せていただいた資料でございます。私どもまだ調査もしておりません。そういうことはあるはずがないと思っておりますけれども、内容がしさいに読まないとわかりませんので、ひとつ調べてみたいと思いをする。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 よく調べてください。非常に重大です。  二人目は、当時の加藤武建設部長、いま天下って株木建設の顧問ですが。いまのその次のページの六ページあけてください。三月十五日、入札の一週間前です。加藤建設部長が三月十五日、十万バレルだと、ちゃんと当たったでしょう、ひとつ三井碓設に。「浅沼組を裏で抱くこと、裏ジョイント指示ですよ。「メタルは川鉄物産、金丸先生に挨拶をするように、」、金丸防衛庁長官ですな。こういうふうに建設部長が述べている。どうですか、発注官庁が落札者を、本命を決めて裏ジョイントをやれと言って、落札条件に長官へのあいさつまで指示している。建設省どうですか。こういうのは業法から見てどうなりますか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 書いてあることのとおりであればまことにけしからぬ話だと思います。何分に、いま御指摘のあった人はもうやめておりますので、三年前の出来事でございますので。ですけれども、せっかくのお話ですから、私としては

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 大迫さんはやめてないですよ、いま建設部長だから。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) いまの話は加藤建設部長のお話だったからそう申し上げたわけです。について調べてみたいと、こういうことです。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 建設省。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) ただいまの資料十分拝見しておりませんが、発注庁の方が業者にそういうお話をしたということは、直ちに業者の問題というよりはむしろ発注庁の問題としてとらえる方がまあ直截だと思いますが。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 裏ジョイントの方はどうですか。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) ジョイントベンチャーと申しますのは、一般的には数社が発注者に対しまして直接請負契約の当事者になるわけでございます。これに対しまして、いわゆる裏ジョイントと言われております契約は、単独の請負人が発注者との間で請負契約を締結いたしまして、発注者と契約関係に立っていない他の建設業者と、その間に共同企業体の協定と同じような協定といいますか、契約を締結をして工事を行うものを指しておるわけでございますが、このようないわゆる裏ジョイントにおきます当事者の法律関係と申しますのが、発注者から工事を請け負った建設業者を元請といたしまして、共同企業体の構成員になる形でございますが、こうしたものをいわば下請とする下請負契約と見るべきかと思いますが、その中におきましても当事者間の施工権利義務関係、こういったものが不明確でございますし、また発注者との関係から申しますと、工事を請け負いました建設業者の元請としての責任が明確とならないとか、あるいは建設業法で元請の義務といたしまして下請保護というものを図っておりますような点にはうまくなじまぬ点もございます。そういった点が問題点でございますが、またこうした裏ジョイントにつきましてはいわゆるペーパージョイントとなりやすいというようないろいろの問題点があるというふうに感じております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 そういう裏ジョイントを発注官庁が業者に指示している。これはどうですか、業法上問題ないんですか、やれと、浅沼組を裏で抱けと。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) 発注官庁のことをちょっとどういう御意図で申されたのか私わかりませんが、裏ジョイントと通称呼ばれております中身が先ほど申しましたような問題点を抱いているということを申し上げたわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 その次、三月二十日。今度は那覇防衛施設局。辻野土木課長が同じことを言っているわけですな。「浅沼を裏で抱く」と、「メタルは川鉄物産」、「製缶はIHI」、石川島ですよ。こういうことをやっぱりやらせているわけだ。それで、こういう裏ジョイント、こういう落札条件ね、これをのまなければ業者はやれないわけでしょう。こういうことやっていいのですか、発注官庁が。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) たびたび申し上げますように、発注官庁がどういう御意図でそういうことがあったのかどうか、実態ちょっと私理解いたしませんので、ただ、発注官庁と請負人との間におきます契約の内容自体がどういう内容が、それを理解いたしませんと、ちょっと御意見具申し上げかねます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ほかの官庁のことだって余り遠慮しないで。三月二十七日、その次見てごらんなさい。五億七千七百万円で落札と、利益を上げ得る見込みの由というので、ずっとお礼しているわけだ。その本命を、一月当選確実で落札条件まで全部指示しているのですからね。そういうことを業界の監督官庁としての建設省としてどう思うのか。丸山官房長いらっしゃいませんか。

丸山良仁建設大臣官房長

○政府委員(丸山良仁君) 発注官庁としてどのようなあり方であるべきかということは、いまの資料を拝見しただけでは明確にお答えはできませんけれども、余り適当なやり方ではないと思っております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 しかもこのお二人だけじゃないんですよ。もうこれ全部見ますと、これはもう文字どおり、とにかく最初に設計調査工事は日本工営だということまで教わって、日本工営に六回も通って、これは設計の中身全部筒抜けでしょう。  それから、四ページにありますけれども、十二月十二日、森木土木課補佐は、次は三井の番と聞いていると。本庁の中でそういう話がもうずっとあるのですね。次は三井の番だそうだというわけですな。那覇の保刈建設部長によく頼んだとか、こういうふうに、辻野土木課長等々等々。十一月一日に人事がかわるんですよね。人事、かかわると直ちに後任の人にもよく話してあるということになっているわけですね。これはもう談合というよりも、施設庁ぐるみで加担というよりも、本命を指示してみずからイニシアチブをとっているわけですからね、防衛施設庁が。これはもう大変な事態だと、驚くべき不祥状況だと思うのですね。  防衛庁長官、防衛庁の責任者として、この驚くべき事態に対してどういう措置、責任ある措置をおとりになりますか。調査を要求します。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) いまの資料につきましては、書いてあることが本当なのか、あるいは言った意味がどういうことなのかということも含めまして、広く調査をいたしたいと、そういうふうに考えております。しかしながら、そういう記事が出たり、この間新聞で出た銭高祖の工事、ああいうことがあっていいはずはないのでございまして、したがいまして、銭高組の工事につきましては徹底した調査をいたしましてやったわけですが、今後につきましては、年度が変わると思いますけれども、われわれももう反省すべきところは反省しなきゃいかぬ。そういうことでこの行動基準、職員全体の行動基準などについて具体的に盛り込んだ内容を全職員に出したいと、こういうふうにいま鋭意努力していると。ころであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 第二の重大問題は、当時の金丸防衛庁長官の関与の疑惑です。  四ページ、十一月七日のところには、大迫氏は朝隈企画課長に、会長——つまり安藤会長ですよ、三井建設の。安藤会長と長官の間柄についてちらっとにおわしておいたというのが出ている。そのところにも、安藤会長の金丸長官に対してのあいさつをお願いすることとしたいと、これはどうも清水氏のあれでしょうけれども、先ほど申しましたように、六ページのところでは落札条件のところに、金丸先生にあいさつをするようにということになっているんだな。一体防衛庁長官がこういう貯油タンクをとるときに一々あいさつさせるように施設庁でなっているのですか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 金丸先生の話が出ましたけれども、大臣、元大臣等がそういうことに絡んでいるというふうに私は存じません。そういうふうには考えません。基本的に言って、こういう工事ができたんだからだれにあいさつをしろなんて、そんなシステムがあるはずはありません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 しかし、当時の加藤建設部長が——建設部長といったらナンバーフォーでしょう、その人が業者に落札条件示したときに金丸先生にあいさつするようにと言っているんだよ。これはもう僕は氷山の一角だと思うね。防衛施設庁というのは大変なところで、防衛庁長官にまであいさつを一々やらせるという官庁だと思います。あいさつというのも手ぶらじゃ行かぬでしょう。法務省どうですか、ロッキード問題で、若狭調書で三井物産の石黒副社長が田中派、大平派にあいさつしたというくだりが出ますわな。あれはちゃんとお金を持っていったことだというふうに若狭調書に出ていると思うのですが、あいさつというのは手ぶらじゃないんじゃないのですか。法務省どうですか、ロッキードの経験から言って。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) すべてあいさつに行くときに金を持っていくというわけでもないと思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 持っていくときもあると。  防衛庁長官、あなた防衛庁長官になってからお金を持ったあいさつを受けたことありますか、こういう受注関係について。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 一度もありません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 どうも派閥が違うと扱いが違うようですけれども、笑い事じゃないと思うんですよ。上から下までね、聖域だって言うけれどもどんな聖域が、もう本当に汚れ切った域に防衛施設庁というのはなっているのじゃないですか。今年度の予算で千八十六億円工事予算がやっぱりついているのですね。  次に、呉港桟橋問題であります。これは資料で七ページからですが、広島呉港の海上自衛隊の桟橋建設工事、この工事費が五十七年度予算案に出ておりますけれども、その金額並びに工事の経過、お答えいただきたいと思います。

上野隆史防衛庁参事官

○政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。  まず五十七年度の予算の金額でございますが、これは具体的な個々の契約に直接絡みますような予算額につきましては、できることならば公にいたしたくないと。その理由は、今後のネゴシエーション、商議に差し支えますからということで、実は先生の秘書さんの方からあらかじめお問い合わせがあったときにもお答えしたわけでございますが、まあそうは言いましても実際の予算審議にそういうことではできないではないかという強い御批判がありますれば、それはまあそれなりに私どもとして謙虚に受けとめなければならないと思いますけれども、先ほど申し上げましたような理由によりまして、できるならばこの席で具体的に申し上げるということは御容赦願いたいと存じます。  なお、その次に工事計画でございますが、この五十七年度予算に計上しております呉の桟橋は昭和十二年につくりました古いものでございまして、計画的な更新改善の一環として行おうとするものでございまして、五十三年度に調査費をいただきまして調査をいたしまして、その結果五十七年度に二年間の国庫債務負担行為でもってもし予算が成立いたしますれば行いたいという計画でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いま初めて公表したものじゃないでしょうか。地元の議会も問い合わせたけれども、知らないんですね。呉の市長と協議して決めたのじゃないですか。この桟橋は私先ほど質問したアメリカの核積載の疑いのある艦船がよく来るところなんですな。市との協議はどういう経過ですか、市長との。

上野隆史防衛庁参事官

○政府委員(上野隆史君) 調査工事を行いました五十三年度に市の方には、私どもの中の言葉で事前の協議と言っておりますけれども、あらかじめ呉の地方総監から港湾管理者の長たる呉市長さんの方に艦艇係留施設の整備計画についてということで御協議申し上げました。その結果支障がないということでございますので、五十七年度予算にお願いをいたしまして、もし成立いたしますればこれから、私どもの中の言葉で本協議と申しますが、その協議をいたしまして、協議調って承認ということになれば工事にかかるという段取りでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 これも経過一々述べませんけれども、九ページ、六月八日のところを見ていただきたいのですね。私どもいままで談合というのは業者が集まってお互いに相談して決めるのだと、大体そう理解してましたけれども、少なくとも防衛施設庁に関する限り談合プランは防衛施設庁でつくるのですな。それで本命を決めるのですよ。ここに、これ五十四年ですよ。ことし予算が出ているんだから、もう三年前ですよ。三年前に千田土木課長が三井・三井造船、五洋・住友、PSIこれはPSコンクリートですな。大成・IHI、神戸製鋼・神戸造船、この組み合わせの五つを挙げて、丸は三井とPSに、五洋は三角、大成、神戸製鋼はバツ、これはだめだというわけですな。右側に三井・PSと書いてある。このジョイントベンチャーでやれという案なんです、千田土木課長はね。  十一月二十八日、同じページの一番下の欄を見てごらんなさい。大成・IHIの線は全く考えてない、三井の案が一番すぐれている、加藤部長に説明してある、OBがいないので——施設庁はOBがいないところはやっぱり冷たいんですな。OBがいないので五洋、PSとジョイントベンチャーの可能性があると森本土木課総括。三年前にそういうことを官庁がやっぱり案をつくっているということなんですね。この発注官庁指名の談合ぶりというのは恐るべきものなんですよ。文字どおりこれも水山の一角だと思う。吉野さんどうですか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) いま施設参事官から説明がありましたように、本件工事は五十七年度に調査費がついているわけであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 五十三年度、調査費は。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) それから五十七年度にも設計調査費がついているわけであります。それでどうするのかと申しますと、長い桟橋でございまして、浮き桟橋なんですけれども、従来は鉄鋼で桟橋をつくっておった。ところが、さびてよくないというのでPC——コンクリートですね、ピアノ線を中に埋め込んだPCの箱をつくって、これで浮かせる、こういう方法のがいいかどうかということがありまして、いまここにありますようないろんな会社から、いろいろ経験があるというので話を聞いたと、技術的勉強をしたと、施設庁としても初めてなんでと。ところが、そういうのに基づきまして予算要求はいたしましたが、これは本体のです、設計料というのが組んでありまして、五十七年度予算です。これで何をするかと申しますと、これから概略な基本設計を設計業者に委託をしてやらします。それはどういうふうに出てくるかと申しますと、つまりPCでやる。三井建設とかなんとかいうのはPCの方だろうと思うのですけれども、そうじゃなくて鉄鋼で組むやつもあるわけです。両方の設計を、概略設計を山さしまして、これを施設庁及び防衛庁の中でよく念査をして、どっちをとるかということをこれから決めるのであります。決まったところで鉄鋼なら鉄鋼、あるいはPCならPCというところで初めて細部設計をする。  それから、工事の契約の方に移っていくということで、どっちに行くかまだわからないというのが実情であります。ですから、そこに書いてありますように、どこがとれとかなんとか言ったって……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 丸がついているじゃないですか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) いや、それは私存じませんが、鉄鋼の方でやるとなればそういう丸はあり得ない話ですから、事実上そういうふうにはならないと思います。  以上御説明いたしました。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、先ほどこれから商議って言いましたけど、もうすでに決まっているのですよ、もう明白ですね。  さらに九ページを見てください、九ページの真ん中あたり。これは大変なもので、七月三日ですね、「予算及び見通しにつき、海幕関係の調査を大迫施設調査官に、依頼」と、海幕を調べてくれと、七月三日です。十日たった十三日、「海幕にて約十一億(電気、給排水を含む)の概算要求を出した模様こと、海幕を調査して報告してるんですな。こういうことは服務規律に違反しておりませんか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) この桟橋は海幕の予算に出ておるわけでございます。しかし、海幕といたしましては、新しいPCの工法も含めてどのぐらいかかるかわからないわけでございますから、したがいまして、技術の専門家であるうちの技術部の方に幾らぐらいかかってというようなことを頼みに来る、これはわれわれの役人としての当然の義務でありますから、それにお答えをしたと、こういうことでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、そうじゃないんです。清水課長が海幕を調べてくれと大迫さんに頼んで、大迫さんが海幕は十一億だと、それを清水課長に教えてるのですよ。いいんですか、それで。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) しさいについては、清水に教えたかどうかというのは私いま存じませんので、聞いて調べてみますけれども、十一億予算そのとおりかどうか、端数があるのか私まだ見ておりませんが、いずれにいたしましても、予算では十一億というのはもうすでに先ほどお話が出ておりますから……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、出てない。言おうか言うまいかってところだから。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) じゃ、私の方から申しますが、概略十一億です。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 清水報告には、このほかここにずっと資料にありますけれども、十幾つの工事名が防衛施設庁関係だけでやっぱり出ているのですね。これは私は非常に重大問題だと。建設省は、三井建設の問題で監察官をキャップにしてプロジェクトチームをつくって調査を始めたんですね。防衛施設庁、防衛庁もこの清水報告の問題、本格的調査を要求したいと思います。防衛庁長官、これはあなたの御答弁。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) よもやこういう事実はあるまいと信じておりますけれども、調査をしてみます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 清水報告には書いてないけれども、恐らく贈収賄とかね、そうでなければこんなことをやりませんよ。あるいは天下り約束とかあると思う。私は、ここに名前の出ている大迫、加藤氏それから金丸元長官、これらの人々に一体贈収賄その他、その他がなかったかどうか、これは法務省、調査を、捜査を要求したいと思いますが、いかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お示しの資料をまだ十分見ておりませんけれども、ただいまお聞きしておりました限りで直ちに犯罪の疑いがあるというわけにもまいらないのじゃないかと思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 さらに検討しますか。それで疑いがあれば捜査するという態度をおとりになりますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 一般的に犯罪の疑いがあります場合に、必要があれば捜査をすることは当然でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 相手が防衛庁だからといってへっぴり腰にならないで、やっぱり国民の期待にこたえてしっかりやってください。私は、根の一つはやっぱり天下り問題にあると思うのですね。吉野さんは新聞社との記者会見で、OBの入っているところが約二百社あると、六四、五%受注しているということを述べていますが、事実そうですか。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 私が記者会見したのではないんで……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 多田さんだ、失礼。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 施設庁次長ですけれども、内容は要するに五十五年をとりまして発注額全額に対しまして、防衛施設庁をやめている人、もう十何年も二十年もたった人全部ひっくるめまして、そういう会社ですね、行っている会社を拾いますと金額では六五%ぐらい、会社の数にいたしますと二二、三%、件数にいたしまして四十数%がそういう会社で占められているということは事実でございます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 杏脱タケ子君の関連質疑を許します。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ずいぶんひどい話でございます。  そこで私、関連をいたしましてお聞きをしておきたいのですけれども、一般職の国家公務員は、国家公務員法によって、人事院の承認がなければ退職後二年間はそれまで勤めていた役所と密接な関連のある企業に天下りはできない、そういう状態でも今日では大変国民の強い批判が出ているわけでございます。ところが、防衛庁と防衛施設庁の職員の天下りはさらにひどい状態です。それは自衛隊法の天下り規制に抜け穴があるからではないかと思うわけです。天下り規制は一般の国家公務員と防衛庁職員とではどういうふうに違っているのか、これは人事院と防衛庁に御説明をいただきたいと思います。あわせてお聞きをしておきたいのは、自衛隊法六十二条四項によりますと、いま恐らく説明があると思うのですが、この六十二条四項の基準に基づいて天下りを承認し、または承認しない場合は、自衛隊離職者就職審査会に付議をしてその議決に基づいて行われなければならないことになっておりますけれども、この審査会に付議をされた、議決をされた件数は何件あるか、あわせてお伺いをしたい。

佐々淳行防衛庁人事教育局長

○政府委員(佐々淳行君) お尋ねの国家公務員法百三条、「私企業からの隔離」でございますが、これと同様趣旨の規定がこの人事院の対象外でございますところの特別職国家公務員である自衛隊員について自衛隊法六十二条で定められております。第一項はいずれも「私企業からの隔離」、同じでございます。それから二項、この離職後の期間二年間と申しますのも同じでございます。この立法趣旨は、私の承知しております限りでは、就職の自由、職業選択の自由という憲法上の権利と公正を確保するという公共の福祉の妥協の結果の期間と承知をいたしまして、これは同じでございます。違いはどこかと申しますと、国家公務員法の場合には離職前五年間に在職していた国の機関となっておりますが、自衛隊法六十二条の場合には在職していた「職務と密接な関係のある」地位となっております。  次に、もう一つ違う点は、この適用除外の規定が三項にございます、原則禁止、しかしながら承認があった場合はこれは許す、こういうものでございますが、国家公務員法の場合には人車院の承認、これに相応するものといたしまして自衛隊法の場合には自衛隊離職者就職審査会の承認と、こういうことになっております。  それでは、この離職者就職審査会がこれまでどれくらい行われたかと申しますと、創設されました昭和四十八年の十一月二十七日を初会といたしまして十五回行われております。この審査会に承認の可否を問うた件数はございません。しかしながら、この六十二条の規制に該当するかどうか、施設庁であれば施設庁長官、陸海空幕であれば陸海空幕長それぞれ任命権者が、再就職許可申請書というのが本人から出ます。その申請書に基づきましてこの六十二条の趣旨に反しないかどうか一これは二つございまして、一つは、二年以内はこの役職に、登録会社の役員または役員に相当する地位につくのかどうか一これは施行規則の六十二条というところに書いてございますが、あるいは離職前五年間に在職しておった職務と密接な関係があるかないか、この点を審査をいたしまして、この六十二条あるいは施行規則六十二条に——法の六十二条と施行規則六十二条偶然同じ条文でございますが、これに抵触するかしないかを審査をいたしまして、抵触するおそれがある場合には所要の行政措置をとって条件等を変えさせておりますので、審査会にかかった例はない、こういうことでございます。

金井八郎人事院事務総局職員局長

○政府委員(金井八郎君) ただいま防衛庁の方から一部御説明がございましたけれども、国家公務員……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 どこが違うのか、はっきり簡単に言ってください。

金井八郎人事院事務総局職員局長

○政府委員(金井八郎君) はい、簡単に申します。  国家公務員法におきましては、まず第一点でございますが、就職制限の対象となっている営利企業の地位と密接な関係にあるものを、国家公務員の場合は離職前五年間に在職した国の機関、つまり省庁としておるわけです。それに対しまして、自衛隊法の方におきましては、対象となるものが離職前五年間に従事した職務と、つまり市庁と職務、機関と職務という相違が第一点でございます。  それから第二点は、国公法の場合は営利企業の地位ということで、役員、非役員を問わずすべての営利企業の地位をその対象としております。それに対しまして、自衛隊法の方は「総理府令で定めるもの」ということで、自衛隊法の施行規則で、「防衛庁において作成された名簿に登録されている営利企業体の役員又は役員に相当する地位」ということで公務員法よりも範囲が狭くなっているという二点が実質的な相違点でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 防衛庁の職員の場合には、企業の役員にさえならなければそれまで関係のあった企業にも自由に天下りができるということになっているんですね。さっきも議決はゼロなんでしょう。  自衛隊法の天下り規制というのは、規制でなくて抜け穴になっているんですね。抜け穴をつくった理由というのは、いま御説明が十分でなかったですけれども、若年定年制があるからだということを言われておりますけれども、制服の一般自衛官のことはそうであろうと思うのですけれども、シビリアンの適用とは別ではなかろうかと思うのですが、それなのにこの抜け穴を技術審議官や部長というシビリアンの高官が悪用するというふうなことは許されないと思うのですね。  総理、これはせめて国家公務員並みにきちんと整理をするべきだと思いますが、いかがですか。

佐々淳行防衛庁人事教育局長

○政府委員(佐々淳行君) ただいまの国家公務員法の私企業からの隔離の規定と自衛隊法の規定との違いでございますが、必ずしも御指摘のような制服の若年定年制だけではございません。六十二条の立法趣旨を読んでみますと、当時の考え方としては、このほかに、他官庁と異なりまして防衛庁あるいは自衛隊の場合には許認可権を持っていないということ。それからシビルでありましても、自衛隊法上はこのシビルの者も自衛隊員でございます。自衛官ではございませんが自衛隊員でございまして、一般職国家公務員の守秘義務であるとか職務専念義務であるとか、そういう義務のほかにさらに、たとえば五十四条、常時勤務態勢の義務、すなわち二十四時間有事即応の態勢にあれということ。あるいは五十六条、職務遂行上の危険・責任回避の禁止、六十四条、団体等結成禁止、こういうような一般職国家公務員とは違う規制がなされておりまして、その諸般の点を勘案をいたしまして、この公正性を担保するには、先ほど申し上げたような登録企業の役員という点を規制し、二年以内はならない、こういう規制をすれば十分であろうという判断がなされたようでございます。  御指摘の点は、むしろ法の問題ではなくてこの運営の問題であろうかと思います。就職審査会に一件もかかっていないではないかという御指摘でございますが、実は先ほど申しましたように事前の予備審査で是正をする、あるいは問題がありそうだなという問題につきましては、五人の委員をもって構成するところの審査会に事前におかけをしてその御指導を受けて是正をしておる、こういうことでございます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、自衛隊法に定めておりますところの規定、これを再就職に当たりまして適正に適用していくということであれば十分である、御心配なさるようなことはないと、このように考えております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 これは、この天下りの問題、これ朝日の記事ですけど、手みやげは係長クラスで一億円、部課長で二、三億円、局長級は十億円となっているのですよ。三十年間ずっと、大体常務にさせるとかなんとかという念書をとっていたという役人。  お配りした資料の十三ページ見てください。これは、百里基地のそばの茨城の大洋村中学校の建設工事、最後のところで、「大迫施設調査官に挨拶、ライバルの東急(前建設部長)はあきらめムードのようだ」というんですな。ところが、今度調べてみたらあきらめムードの東急がやっぱりこの大洋村中学校をとっているのですよ。この東急建設は、前建設部長というのは渡辺善郎、施設庁の前建設部長ですな。東急建設は、施設庁長官もちゃんと常任顧問になっているというところですね。だから、私はこの天下り問題、防衛庁の、少なくとも一般公務員にするということが必要だし、談合問題全体を、これだけ大問題になっておりますので、天下り禁止の問題、あるいは公共事業を受注している企業からの政治献金の禁止の問題なども本当に政治の判断としてやらなきゃならぬと思う。  首相、最後に、きょう私、防衛施設庁のこの実例を三井建設のこの資料に基づいて追及いたしましたけれども、氷山の一角だと思うのですね。われわれも三井建設だけが憎くてやっているわけじゃないんです。こういう建設業者が大体こういうことをやっているのだということだと思うんですよ。しかも、これまで業界だけでなくて発注官庁がこれほど深くかかわって指示しているという恐るべき実態が、あなたが総理大臣をやっている政府の機構の中にこういうことが出てきたわけだ。首相として政治献金の禁止の問題、天下りの規制の問題、それからこういう談合問題にまつわるさまざまな問題を本気で、本格的に、根本的にやっぱり検討するという決意をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) きょう上田さんから、資料をお示しになりましていろいろ疑惑があるではないかというようなお話がございました。私も、実は全くあり得べからざることでございまして、防衛庁当局に命じまして真剣に、これを厳正に調査をいたしまして、適正なる措置を講じたいと、こう思っております。  それから政治献金の問題でありますが、直接利益を伴う、そういうものであっては私はこれは法に照らしても認められない、容認できないことでございますが、しかし、一般的に企業も社会構成の一員でございます。そういう企業からの献金はすべて悪であるというわけにはまいらないと思いますが、利害を絡んでの献金、これは法に照らして厳正に措置さるべきものである、このように考えます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 それでは、厳しい措置を要請して質問を終わります。(拍手)

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で上田耕一郎君の総括質疑は終了いたしました。  明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十九分散会

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