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96回国会参議院1982/03/12

予算委員会 第6号

発言数
408
登壇者
45
会派数
3
開催日
1982/03/12

会議録

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十七年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) これより栗林卓司君の総括質疑を行います。栗林君。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 しばらく前のことになりますが、総理を囲むというテレビ番組がございまして、その中で総理は、国際社会における日本の立場について大変うまいたとえ話をしておられたんですが、内容というのは、日本というのは満員電車の中で座っている子供のようなものだ。子供だから許してくれる。大人になったら席を立って、お年寄りや子供に譲らなければいかぬ。いわばそういう変化が国際社会における日本の立場であると。私は適切なたとえ話でなかったかと思うんですが、もう少し突っ込んで、国際社会における日本の立場あるいは生き方について御所見を承りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま栗林さんからお話がございましたのは、NHKで「総理と語る」という番組におきまして、貿易摩擦の問題をいろいろ議論をいたしました際に、今日日本が世界のGNPの一割国家になった、経済大国になったと。したがって、国力国情にふさわしい振る舞いをしなければならないし、貢献をしなければならないという意味合いから申し上げたわけでございます。私は政治的にも、また経済的にも、そのような基本的な考え方を持っておりまして、世界の平和と安定、さらに繁栄に対して、日本として国力国情にふさわしい寄与、貢献をするように努力をしていかなければならないと、このような考えを持っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 国際社会における日本の立場を考えてまいりますと、当然ながら国際社会というのはたくさんの民族で構成されているわけです。そこの中で生きていくのに一番大切なことといいますと、約束を守るか守らないか。血が通ってないわけですから、約束を守るか守らないかが異民族あるいは異なった人種の人たちをつなぎとめもし離れさせもする。いわば一番大切なのは約束を守ることだと私は思いますが、この点についていかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 国際的な信頼をかち得ることが大事だと、こう思っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 そこでお尋ねをするんですが、日米共同声明あるいはその後のワシントン・ナショナル・プレスクラブでの総理の発言、あれは日本として、あるいは日本国総理としての約束であったんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 昨年五月の日米首脳会談におきまして、両国首脳の合意に達しました重要な事項は、共同声明の中にこれを発表いたしておるわけでございます。  なお、私は、首脳会談とは別でございますけれども、ナショナル・プレスクラブで講演をいたしました。その際に、聴衆の中からの御質問がございました際に、わが国の防衛についての私の所信を述べた中で、日本は自分の国は自分で守っていくという気概、これが重要である。そういう観点から領土、領空、領海のほかに、日本の平和と安全にとって重要な関係を持つ日本周辺数百海里、航路帯、シーレーンについては一千海里程度を守る防衛力を整備いたしたい、このようなことを申し上げたところでございます。この点につきましては、あの場で初めて公にしたものではなしに、衆参両院の国会の場でしばしば防衛庁当局からも、このことは明らかにいたしておるところでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 ナショナル・プレスクラブでのいまお話しになりました周辺海空域数百海里、航路帯千海里については、総理が質問に答えている形でお答えになったと言うんだけれども、さる新聞で大河原駐米大使が言っておりましたけれども、ナショナル・プレスクラブでの総理の発言というのは非常に重みがある、厳粛なものだという意味では、一つの約束として受け取っておるし、いつやるんだろうか、やってくれるんだろうかという点に、いわば相当の関心が集中をしているということを新聞で述べられました。私もそうだと思います。  そこでお尋ねしたいのは、この周辺海空域数百海里、航路帯千海里というのは、例の防衛計画の大綱とどういう関係にあるんでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) お答えをいたします。  防衛庁は、ただいま総理からもお話がございましたように、また先生御指摘のように、わが国から数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度のわが国の周辺海域におきまして海上交通の安全を確保することができることを目標として、逐年海上防衛力の整備を行ってきております。防衛計画の大綱は、このような従来からの考え方を念頭に置きまして海上防衛力の整備について定めているものでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 簡単に聞き直しますと、周辺海空域数百海里、航路帯千海里は、防衛計画の大綱をつくったときの基礎に入っておりますということでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) そのとおりでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 実はいま防衛庁長官がお答えのとおりでしてね。防衛計画の大綱を見ますと、太平洋側は約三百海里、日本海側は約百から二百海里で、航路帯、はっきり書いてあるので、総理がナショナル・プレスクラブでおっしゃったのは、別に目新しいことを言ったのではなくて、もともと防衛計画の大綱にあるからお述べになったという趣旨だと私も思います。この点ははっきりさしていただかないと、違うのか違わないのかという不毛な議論が出てしまう。  先ほどの防衛庁長官の質疑でわかりますように、防衛計画の大綱には、質は別にして、考え方として計算基礎に入っておりますということだと思います。そうしますと、総理がお答えになる——一体どうするんだということになると、それはまず防衛計画の大綱を実施することが先決でありますということはいわば正解になるんです。  そこでお尋ねしたいのは、その大綱は一体いつまでに達成をされますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) お答えいたします。  防衛計画の大綱に定める防衛力は、先生御承知のとおりわが国として平時から本来備えておくべき基盤的なものでございますが、防衛力の現状は大綱の水準とはいまだ相当の隔たりがあるところでございまして、目下、現在の厳しい国際情勢にもかんがみまするならば、大綱の水準をできるだけ早く達成する必要があると考えております。  このような観点から、昨年の国防会議で了承されたとおり、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準を達成することを基本といたしまして、目下防衛庁におきまして五六中業の作成作業を進めているところでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 もう一遍繰り返してお尋ねしますと、おっしゃったように平和時の防衛力ですね、必要最低限ですからわが国の安全を確保するためには不可欠のものだ、これが基盤防衛力の考え方ですね。そうすると、国の安全を守る、国民の安全を守るのは政府の責務ですから、しかも平和時の必要最低限の防衛力なんですから、いま直ちになければおかしいのじゃありませんか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) お答えいたします。  そのためにもそういうことを念頭に置きまして、ただいま五六中業が達成されたならばそういう基盤的防衛力ができ上がると、そういうようなことを念頭に置きながら作業を進めておりまして、今後予算上、その他がお認めいただけますならば、その時点において、いま先生御指摘のような平時において欠かすことのできない基盤的防衛力が達成されるものと信じております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 私がお尋ねしたのはそうではなくて、平和時における必要最低限の防衛力です。内容についての議論はこの際外します。政府がそうおっしゃるのですから、それを受けとめていくとすると、念頭に置いてとかどうこうではなくて、いま直ちに整備をしておかないと国民に対して申しわけが立たないのではないですか、そう聞いているんです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先生御指摘のような防衛力を一日も早く達成することが、防衛庁あるいは防衛庁長官としての急務であると考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 防衛計画の大綱をつくったときの書類を見ますと、四次防が終わって、量的にはほぼ防衛計画大綱の水準に達したと言える云々と書いてあるんですよ。現在がどうかと言うと、おっしゃるように大綱の水準にははなはだしく隔たりがある。というと、防衛計画の大綱を決めたのは五十二年でしょう。いま五十七年ですわね。この五年間に逆行して歩いてきたんですか。四次防が終わった段階で、量的には防衛計画の大綱はほぼ達成をしたと書いてある。いま現在はどうか、隔たりが大きい、どういうことですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) 四次防の終わりました時点で、いま御指摘のように量的な水準という意味ではほぼ概成しておるという観点に立って大綱の計画がなされたという記述がございますが、たとえば陸上自衛隊の定員を十八万人でありますとか、あるいは師団の数でありますとか、基本的な運用、機動部隊の数でありますとか、そういったような数量的な意味での概成は確かに達しておりますので、そういう点に着目いたしまして、おおむね達成したというふうに当時表現をしておるわけでございます。  しかし、いま防衛庁長官がお答えいたしましたのは、その後の、たとえば海上自衛隊の航空機にいたしましても、航空自衛隊の航空機にいたしましても、その後依然として達しておりませんし、そういった量的に達してないものも——当時から達しておらなかったわけですが、ものもございますし、それから内容的にいいましても、質的な面を考えました場合に、なお現在の時点において大綱が予定している線には遠いと思わざるを得ない面がございますので、そういった点を先ほど防衛庁長官は指摘されたわけでございます。したがいまして、その間、いま先生は逆行しておったのかというお尋ねでございますけれども、私どもも別に逆行しておったわけではございませんで、逐次整備に努力をしてまいりましたし、現に五三中業等を通じましてやっておるわけでございますけれども、実態的に、特に質の面、そういった面をよく考え合わしてみた場合に、なお相当の隔たりがあるというのが現状でございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 いまの全然答弁になってないのでして、最低限の自衛力だと言うのなら、いま直ちに持っていないと国民に申しわけがないでしょうと、そこで五十一年の防衛計画大綱の段階ではほぼ達成したという状態で、以来五年経過をした。五年間何をやっていたのですかと聞いているんですよ。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 鋭意防衛力の整備に努めてまいってきたわけでございますけれども、残念ながらいま相当の隔たりがあるという状態でございまして、今後国会の御審議等も通じまして、また財政その他との関連も考えながら、また他の諸施策との調和も考えながら、鋭意国民に一刻も早く御安心いただけるような防衛力の整備にさらに努めてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 大変失礼なことを言うようですけれども、全然やってなくてさらに努力と言われてもわからないと言っているんですよ。基盤的防衛力というのは平和時の防衛力なんですよ。したがって、独立国である限りいま持っていなければいけない。中身については議論あるでしょうが、政府の見解がそうだからそれを踏まえて聞いているんですよ。五年間たってまだだめだと、それで責任ある内閣の立場が通るんでしょうか。これは総理にお尋ねしますけれども、この現状というのはどうなんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 栗林さんの、内外の諸情勢その他も見ておられまして、少なくとも基盤的防衛力、日本の自衛のための必要最小限度の防衛力というものは早急に整備をしなければいけないのではないか、その点について不十分ではなかったかと、こういう趣旨の御指摘であろうかと思います。  政府といたしましては、防衛庁長官も申し上げましたように、できるだけ早くこの大綱の水準、必要最小限度の防衛力、これに近づけるためにあらゆる努力をいたしておるわけでありまして、今年度ゼロシーリングという中ではございましたけれども、そういう点も勘案をいたしまして、他の財政の事情あるいは他の政策との整合性、いろんなことを総合的に勘案をしてあのような予算を編成をした、こういう点についても御理解をいただきたいと、こう思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 総理の受けとめ方、ちょっと違うんでして、内外の情勢が厳しいから言っておるんではないかと、内外の情勢の厳しいとして言わなければいけないのは、基盤的防衛力の次の話なんです。いま私が聞いているのは平和時の自衛力、独立国として最低限持っていなければいけない不可欠のもの、それがいまないと言っているんです。国際情勢がおかしくなったからどうしようかというのは、その次なんです。ですから、その基本的なもの、独立国として当然持っていなければいけないと政府みずからが言っている自衛力がいまない。しかも、五年間たってもっとなくなっちゃった。これを一体どう国民として理解したらいいのですかということなんです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私もそのとおり心得ておるのですが、恐らく栗林さんの、こういう基盤的防衛力さえもなぜ早く整備しないか、国際情勢なんかを見たらそういうことを安閑としておれないではないか、こういうところから御鞭撻をいただいておるものと、こういうことでまくら言葉に私申し上げたわけでありますが、しかしおっしゃるとおり、現在の防衛計画の大綱というのは、必要最小限度の自衛力、平時においても持っていなければならない防衛力、こういうことはもうそのとおりでございまして、それだけに私どもは着実な、おくれはしておりますけれども、できるだけ早くということで着実な努力を積み重ねておると、こういうことでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 そういう御答弁をされていますと話がもとに戻るんだけれども、ナショナル・プレスクラブの総理の発言、あるいは日米共同声明、それを踏まえた総理の対応がまことにあいまいもこと見えるんです。去年のサミットで、ではどういうことになったか。政治声明を読み上げますと、「われわれは、直面する主要な国際問題について見解の一致を確認した。」、これはトルドーさんが集約したやつですね。見解が一致したと言っておいて、その次に何を言うかといいますと、「われわれは、ソ連の軍事力が引き続き増強されていることを深刻に懸念している。」「従ってわれわれ自身、強力な防衛力を必要とする。」、これ、あなたも一員として確認したわけです。いまここで言っているのは基盤防衛力ではないんですよ。その次の話。  そこで、防衛計画の大網ができるときにどういった考え方だったかというと、次のステップは時間がかかるから早目に検討しなければいけませんと書いてある。それは五六中業だって、五年たって仕事をするんですからね。しかも、五年たって仕事をして基盤防衛力ができるかどうかなんですよ。いまオタワ・サミットで言っているのは、その次の話なんです。この約束をしておいて、あなたはどうやってこれを裏書きをするんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 基盤防衛力の整備をまず第一段階として早く達成をしなければいけない、そういう観点で五六中業、いま作業を急いでおるわけでございます。認識においてはオタワ・サミットでもそういう合意を見ておるのでありますが、これは一足飛びに一年でもって、おくれておるからといって、この防衛計画の大綱を一挙にやるというようなことは事実上これはできないことでございます。私は政権担当いたしまして二年でございますが、そういう点で着実に国民的な合意、コンセンサスを得ながら、財政事情、他の政策との整合性、そういう中で最大限の努力をしておる、こういうことでございまして、決して私は怠っておるものではない、このように国民の皆さんにも御理解をいただきたいと、こう思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 では、形を変えてお尋ねをします。  一応、五六中業で防衛計画の大綱の水準を達成したいということで作業が進んでおりますが、さて、作業を進めるとして幾らぐらいかかるんだろうか。そこで私はこうお尋ねしたいんです。  いいですか、基盤的防衛力というのは、平和時の必要不可決、最低限の自衛力だと政府みずからが言っているわけです。これは、いま直ちに持っていなければ国民に申しわけが立たない、おっしゃるように、急に言われたってだめだというのなら、急いでやってくださいということですね。一体幾らかかるのか、果たしてGNPの一%におさまるか。そのときに、この平和時の防衛力を整備するという国民に対する義務と一%の制約という政治上の制限と、その選択に恐らく迫られるはずであります。そのときにどちらを優先されますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、五六中業は、昨年の国防会議で了承された方針に基づきまして、再三申し上げております防衛計画の大綱に定める防衛力の水準を達成することを基本として、現在鋭意作業を進めておるところでございます。  ただ、現段階におきましては、その事業内容等が固まっておりません。また、GNPの成長率もこれまた御案内のとおり流動的でございますので、期間内の防衛関係費や、あるいは対GNP比がどのようになるかにつきましては、遺憾ながらお答えできる段階でないということを御理解を賜りたいと思います。ただ、GNP一%に関する閣議決定が現に存在するところでもございますし、五六中業は効率的かつ節度ある整備に留意をし、GNP一%に関する閣議決定を念頭に置いて、大綱水準の達成が図られるようぎりぎりの努力をする必要があるとは考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 私が申し上げているのは、国民に対する義務と一%なんという計算ごとと、どっちを優先させるのだと聞いているんです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいまお答えを申し上げたことを繰り返すようになりますけれども、GNPに関する閣議決定は現に存在することでもございますし、また反面、先生の御指摘のように、国民に御安心いただく基盤的な防衛力を一日も速やかに達成するということも私どもの国民に対する大事な義務でもございますので、両方を勘案しながらこれからの作業を進めてまいりたい、そのためのぎりぎりの努力を目下続けているということで、ぜひともひとつ御理解を賜りたいと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 防衛庁長官として国の自衛について、いわば直接の最高責任にあるわけですね。その責任者としてどう考えているかと聞いているので、長々しい官僚答弁を読んでくれと言っているんではない。  いまの自衛隊の現状を申し上げますと、日米共同声明の後、ハワイで日米の担当者会談、事務レベルの会談がありましたね。あのときにアメリカは何と言われたか。一つは即応性を向上してもらいたい、一つは継戦能力を向上してもらいたい、一つは指揮・通信能力を向上してもらいたい、装備の近代化をしてもらいたいと。聞くと、まことに言われたとおりですと言うんだけれども、実態は何だ。ひっくり返しますと、即応性がない、継戦能力がない、指揮・通信能力が落ちている、装備が近代化してない。一体、これであなたは責任が果たせるんですかと聞いているんです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいまの先生の御指摘も通じ、先ほど来の御指摘もあわせまして、防衛庁なり防衛庁長官に対する大変貴重な御鞭撻、御激励としてしかと受けとめてまいりたいと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 自衛隊問題であと一点お尋ねをしたいと思います。  これは長官に伺うんですが、こういった話を聞いたことがあるかどうかということで伺うんだけれども、自衛隊が団体で国鉄を利用する場合、この際、団体というのは二人以上を団体というんです。支払いの仕方は先払いではなくて後払いなんです。大体、国鉄に対する支払いは先払いが原則なんだけれども、これは例外的に後払い。後払いは何だというと、大体貨物なんですね。貨物について後払いになっている。そうすると、自衛隊の方は、何だおれたち物並みか。それで、聞いてみたら、いやもう一つあるんだそうだ、後払いが。一体何だ、囚人だ。そうか、おいらは囚人並みかど、こういった話を聞いたことありますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 御指摘の運賃後払いのことについては、事務当局から聞いております。  なお、その間の事情につきまして政府委員から補足して答弁させていただきたいと思います。

和田裕防衛庁装備局長

○政府委員(和田裕君) 事実関係について申し上げます。  自衛隊の演習、訓練等に伴います移動等は、個人の出張等と異なりまして一つの特色を持っております。すなわち、統一された部隊行動をとらなければいけないということからいたしまして、移動の日時あるいは輸送手段、輸送中の宿泊あるいは給食要領といったことを定めますところの輸送計画というものを実施する必要がございます。こういった輸送計画を実施するためには、国鉄に輸送役務を依頼するということになるわけでございますが、輸送役務が円滑かつタイムリーに行われるというためには、運賃それから料金の支払い方法等につきまして国鉄との間に後払いの支払い方法をとっているわけでございます。  なお、後払いの方法による場合におきましても、交通機関の利用方法等については、特に一般の旅客というものと自衛隊員との間で全く差等があるわけではございません。したがいまして、これによりまして特に問題はないのではないかというふうに考えております。  それから、なお確かに囚人等の方も後払いのようでございますが、一方、在日米軍の方、それから在外から引き揚げてこられます日本の邦人の方等についても後払いを利用させていただいておる、こういう実態がございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 総理、お聞きいただきたいんですけれども、実は、私が言ったのはちょっと違っていましてね、囚人は先払い。したがって、後払いってないんです。なのに、囚人は後払いですというぐあいになぜ話題が広がっていくんだろうか。  話がちょっと細かくなりますけれどもお尋ねをしますが、防衛庁の内局の防衛課長、これは行政職一等級なんです。自衛隊三幕ですか、これの同じ防衛課長、これは二等級、この差はなぜつくんですか。

佐々淳行防衛庁人事教育局長

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  内局の防衛課長は、国家行政組織法にいいますところの中央官庁の内部部局でございまして、その任務の複雑困難性に応じて、それに応ずる経験者を配置しておりまして、現在昭和三十三年度国家上級職試験中台格者が配置されておりまして、これは他の官庁との横並びから申しますと、それほど早い、遅いというものではございません。  自衛官の場合でございますが、これは任用制度を御承知のように内局の参事官等俸給表対象者とは異にしておりまして、自衛官の場合には将補が一等級相当職、二等級は一佐、こういうことになっております。諸外国の例、あるいは旧軍の例を見ましても、幕僚監部の防衛課長相当職、これが大体一佐、大佐、これが当たっておりまして、この任用制度の違い、あるいは幕が国家行政組織法上にいうところの中央官庁の内部部局でないということから一等級、二等級の差が出ております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 重ねてお尋ねしますが、審議官の場合、これは指定職ですが、指定職の三ですね。大体四十七、八歳でなる。師団長の場合、これも指定職の三で扱いは同じですが、五十三から五十四になってやっとなれる。この年の差はなぜつくんですか。

佐々淳行防衛庁人事教育局長

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  自衛官と参事官等々との格づけの問題でございますが、将につきましては一般職の指定職、それから将補につきましては先ほど申し上げましたように一等級、こういうことになっておりますが、師団長は指定職三に格づけされております。内局の審議官、これは御指摘のように年齢的には四十七、八歳でございますが、そういう内部部局の上級職中台格者がこれに任用されております。師団長につきましては本来は将職でございますので、現在将が九十五名おりますけれども、それが全部必ずしも指定職にまだなっておらない、こういう現状にございまして、将来はこの指定職の指定をふやしてまいりたい、また現在三号であるものをもう少し格上げをしたい、こういうことは毎年鋭意関係当局と交渉して努力しておるところでございます。現在そういう差がございますのは、任用制度の違いということで御理解をいただきたいと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 警察を引き合いに出して恐縮なんですが、給与表で言って、警察署長さん。これはどういう扱いに、何等級扱いになっておりますか。

金澤昭雄警察庁長官官房長

○政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。  警察署長の給与の格づけの問題でございますが、警察署長の中で国家公務員たる警察署長につきましては、人事院規則の等級別標準職務表によりまして二等級または一等級、それにきわめて規模の大きい警察署長につきましては特一等級まで格づけができる、こういうことになっております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 いまのお答えのように、規模が大きい、まあ二、三百人か数はわかりませんが、大きいところは特一に当たるという警察署長さんの扱いを頭に置いて、では約二千人近くを率いている部隊長はどれぐらいなんだろうか。これが二等級なんです。これはなぜ二等級になるんですか。

佐々淳行防衛庁人事教育局長

○政府委員(佐々淳行君) お答え申し上げます。  連隊長は一佐職でございますが、先ほど申し上げましたように一佐は現在二等級相当でございまして、千七百三十八名おります。一等級相当の将補二百十七名おりまして、この一佐職のポストにつきます者は現在の給与制度上は二等級になるということでございます。  なお、自衛隊の自衛官の俸給につきましては、御承知のように発足の際に警察予備隊以来のいろいろな制度を準用してまいってきておりまして、非常に複雑になっております。公安職俸給表に相当する額にランクされておる二佐以下の者があり、かつ、その上に一般職の行政職の俸給表を準用している者がございます。全部で相当官職九段階に対しまして十七階級が現在ひしめいておる、こういうことで、いま申し上げましたような千七百三十八名の一佐を一等級に格上げをするということは、横並びの関係から申しまして非常にむずかしい。それから連隊長でございますが、連隊長は大体四十三歳から五十歳の者がなっております。また、自衛官の場合には五十四歳の若年定年制がしかれております関係上、大体五十歳でまだ次の任務がございます。したがいまして、他の官職において、その相当等級の最上位にまでぶつかって適用されるところの待遇改善措置としての特一等級の適用、これは若年定年制をとっております自衛官の一佐の場合にはちょっとなじまないのではないだろうかと、かように考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 細かい質問をして恐縮でしたが、こうしたものを背広対制服という目で見ていくと、いかにも制服の方がちょっと一ランク落ちている感じで見える。見えるからそういう話題も出れば不信も起きる。自衛隊は団体交渉権もストライキ権も持ってない。そこの中でこういう不満が形をとったらと考えますとちょっと背筋が寒くなる。したがって、正面装備も結構ですが、この自衛隊員の士気の問題については同様に真剣に考えておくべきだと私は思うんです。いま人事院が国家公務員は見ておりますけれども、自衛隊員は特別職ですからこれは対象になっていない。したがって防衛庁の人事教育局で見ております。しかし、こういったかっこうがいいのか。ストライキ権、団体交渉権を持っていない、しかも二十七万という集団を考えると、何らかの中立性のある機関で諸待遇について検討をすることを考えていった方がいいのではないか。いま、なぜこの差がつくのかということで御回答がありました。本当は金がないの一点なんですよ。内局は内局で一生懸命大蔵省にお百度踏んで、だめだと言われて引き返してくる。そうはいっても、今度は制服に向かってそれは言えぬ、そうすると、制服から見ると何だ背広のやろうはというかっこうになる。こうした不信感が対立していって強い自衛隊になるのだろうか。そう考えますと、何らかの中立機関でこの給与を扱うことを考えてみたらどうか。この点については防衛庁長官の御所見はいかがですか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいま政府委員から内容等につきましては答弁をしたわけでございますけれども、御指摘の点につきまして、私ども防衛庁の内局としても大変配慮をいたしたいという気持ちであることにつきましては先生御指摘のとおり変わりありません。  ただいま人事院におきまして昭和六十年を目途に給与制度全般の見直しを検討中であるということでもございますので、防衛庁におきましても六十年を目途にそういう流れの中で十分検討いたして改善の努力をいたす所存でございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 十分御検討をいただきたいと思います。  時間の関係上ちょっと飛ばしまして、経済協力問題で若干伺います。  わが国の場合は、防衛力は多くを持つ意思もなければ能力もないわけですが、そうした中で、安全保障という面で、経済協力では力いっぱいの努力をしていきたいというのが立場だと思います。そこで、現在世界各国の経済協力の実情を見ますと、日本の状況というのは決して褒められたものではない。今後この経済協力の水準、とりわけ政府開発援助の水準についてどういったところまでまず持っていきたいのかについて、これは外務大臣になりますか、お尋ねします。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 栗林委員すでに十分御承知であろうと思いますが、政府としては、一九八〇年代前半五カ年間の政府開発援助の実績の総計を一九七〇年代後半五カ年間の総計の倍以上とするように努めると、こういうことで、よく言われるように、五年間で従来の実績の倍に持っていくんだと、こういうことを方針として申し上げておる次第でございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 国際社会で生きていくのに一応まあまあの形ができるとすると、先進国の平均水準、政府開発援助でいきますとGNPの〇・三七%ぐらい、そこまでいってどうにかこうにか多少一人前の顔ができるということだと思うんですが、その〇・三七%の水準に達するのはいまの御計画でいって達成可能なんですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 現状は、御承知であろうと思いますが、〇・三二と、こういうところでございますから、私は、国際水準に持っていくことについてはこれからの努力で達成でき得る、ただ、国際目標の〇・七へ持っていくということについては相当至難ではないか。恐らく栗林委員としては、本年度とかあるいは昨年度とかというような単年度単年度を見ていただく場合に、果たしてこれでいけるかどうかと、そういう御心配をちょうだいしておると思います。財政事情が現在非常に厳しい折でございますので、五十七年度の予算からいきましてもなかなか国際水準にはいかないだろうという御心配をちょうだいしておるものと思いますが、私としては、先ほど申し上げましたような五カ年倍増を目標として国際水準は達成したいと、このように思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 これも従来から出ている議論ではあるんですが、量だけではなくて中身、質を考えますと、二国間贈与、差し上げるお金ですね、それをふやしてもらいたいというのは各国からの要請でありますし、ほかの国がどうかといって考えてみると、それは先進諸国おしなべてわりに高い水準にある。日本だけが目立って二国間贈与が少ない。日本の特徴はどこに出ているかというと、二国間政府貸し付け、これは多い。しかし、政府貸し付けが多くて金利がついた金で助けてやるというのではなくて、金利のない二国間贈与にしてほしいというのが被援助国の偽らない気持ちですから、したがって、量のかさ上げたけではなくて中身をそういった方向に、政府間贈与をふやすような方向にどうやって持っていかれるのか、見通しと計画をお尋ねしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 栗林委員のおっしゃる、質をよくしていくと、こういう点からいたしますと、無償資金協力、技術協力、国際機関への出資、拠出等が、これが十分であればまず日本の経済協力の質がいいと、こういうふうに判断されるわけでありますが、遺憾ながら、国際的に見てもその範囲は非常に低い。これは私が就任後におきましても、篤と考えなければならない問題であると。これは結局どうやっていくかということについては、予算編成期、すなわち概算要求から本編成の間われわれが経済協力の重要な質的向上の上に必要だということで熱意を持って財政当局との折衝をする以外にはないと思うんです。現在財政全般を握っておる私の立場でございませんから、こういうふうに年度計画でいくということはここでお答え申し上げるのはいささか軽率に過ぎると思うんです。結局、予算編成期において少しでも質を向上するための努力をすると、こういうことをここで申し上げることが妥当だと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 重ねてのお尋ねなんですが、その質をよくするというのを日本の事情で言い直しますと、政府間贈与がなぜ少ないかというと、政府間贈与は一般会計から出ているんです。二国間貸し付けがなぜ多いかというと財投から出ているんです。財投の金を回して金利つきで援助はするけれども一般会計からは回さない。そこに質の悪い本当の原因があるんです。したがって、御努力をいただきたいど思いますし、これは外務大臣だけではなくて総理としても、一体日本というのが外からどう見られているのか、その印象をどうよくしていくのかということと重大なかかわりがある問題ですから、ぜひ御検討をいただきたいと思いますし、一言、総理としてお答え願います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この対外経済協力、技術協力を含めまして、私は、わが国として最も力を入れ、そして国際社会においてわが国の国力にふさわしい、国情にふさわしい寄与、貢献がそういう面でなされなければならないという基本的な考え方を持っておるわけであります。  いまの質の問題、無償援助の問題は、おっしゃるとおり、ODAは一般会計でこれは支出をするわけでございまして、これは五十七年度予算でも一〇%を超える伸び率を示しております。一方、財投の方から出ておりますところの有償の、金利のついたものでございますが、これにつきましてもいろいろ各国の対応が違っております。最近はむしろ輸銀等の金利にいたしましても日本の方が安くなっております。貿易摩擦その他の面からいっても、むしろ外国からは日本の金利を上げろと、こういう要求があるのでありますけれども、私どもは、第三世界、発展途上国に対する協力という観点から、この金利は上げないようにいましておると、こういう状況でございます。しかし、全体を総合的に判断をいたしまして、わが国が世界各国からそういう面での評価もされ、期待をされるように一層努力をしたいと、こう思っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 経済協力を考える場合に重要だと思うのは、政府の努力だけではなくて、民間のいわばボランティアの経済協力活動の意味は私は多いと思います。政府は金がないと言っているんだけれども、せめて民間のボランティアでお金を出し合って協力をしようじゃないかという運動が起こっている国というのはやっぱりそういった目で見られますし、それも起きない国ということになると、ああそんな国かということになる。ではボランティアのそういう経済協力活動はどうかという観点で見てみますと、日本は驚くほど少ない。この理由は、これはもう大蔵大臣よくおわかりだと思います。  それで、日米の経済摩擦問題で、例の賢人委員会ができました。貴重な作業を終了なさったわけですけれども、そこの中でも、いろんな民間団体の交流を促進するために「税制上の優遇措置が講じられるべきだと考える。」ということである童の末尾を結んでいるんです。寄附金に対する税制の取り扱いというのは過度に厳しい。したがってボランティアの金が集まってこない。これは、出した上に税金を取られるんじゃかなわないわということになっておるのでありまして、日米関係あるいは国際社会における日本の立場を考えていくと、この寄附金については、ふところぐあいがつらいのはよくわかりますけれども、ここはやはり考えていくべきだし、非営利団体による贈与が西ドイツに比べてまあ十分の一ぐらいですよ。こんな惨めな、しかも外から見ると、商売だけで稼ぎやがって、ちっとも民間のボランティアが働いていないという印象ばかり与えることになる。ぜひこれはお考えをいただいて、本当にこれは前向きに改善をしていただきたいと思うんですが、御所見いかがですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) よくそういうことも言われるんですが、やっぱり一つは、これは国民性の問題じゃないかと私は思っているんです。慈善団体に対する寄附金といっても、まあキリスト教などは暮れになれば出すのはあたりまえのようにみんな思っておる。ところが、企業からは出すけれども、個人からはなかなか出さないというのも事実。  たとえば日赤にいたしましても、これは指定寄附金で全額損金算入となっていますよ。それでは日赤に対して寄附がどんどんどんどんうんと集まっているかというと、これは必ずしもそうじゃないし、オイスカ産業開発協力財団というのがあって、これはボランティアやっているんです、このところは。それに対しても、いわゆる試験研究法人の寄附金として一般よりも損金算入の範囲を拡大しているけれども、なかなかそんな集まらない。したがって、税制の問題ということよりも、まず日本という国が置かれている立場というものを考えて、そういうものにももっとみんな金を出さなきゃならぬのだという、国民がそういう気持ちになってもらわなきゃならない。国内の慈善団体等に対してもやっぱり個人の寄附というのは、経費になるから出すんだとか経費にならなきゃ出さないんだという考え方だけでは私はだめだと思うんですよね。やっぱり国民全体の物の考え方というものを改めていくということが先決ではないか。寄附金その他の問題については今後検討をいたしますが、根本はそこにあると、そう思っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 それでは、経済問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  いまの日本経済をどう見たらいいかということなんですが、通常ですと、いま円安ですから、ある意味で位円安が進んでいるわけですから、そうすると輸入物価が上がる。輸入物価が上がると国内物価が押し上げられる。国内ではデフレ的に働く。輸出はどうかというと、輸出物価の方は今度は逆になりますから、輸出が伸びて黒字がたまる。国内のデフレ要因と黒字とどっちが大きいか小さいかというぐあいの心配を普通はするんですが、いまの日本の円安というのは、なるほど物価はかすかに上がりかけてはおりますけれども、円安で上がるほど上がってない。輸出はどうかというと減ってきちゃっている。まことに奇妙な円安下の日本経済という状況だと思うんです。  では、この日本経済のいまの現状についてどう見ていったらいいのか。それで、大変申しわけないんですが、企画庁長官と日銀総裁と大蔵大臣と通産大臣と、最後に総理と、何もそろい踏みをしてくれというのではありません、認識を統一しておくことが対策の初めですから、それぞれの御所見を伺っておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ円安の原因は何だと。これはいろいろあろうかと思いますが、私はやっぱり何といってもアメリカの高金利、これがもう最大の原因じゃないか。日本の国内にふける経済的ないろいろな基礎的諸条件についてはみんないいわけですから、だから、理屈から考えれば円はもっと強くてよろしいというんだけれども、そういっていないというのは、最大の原因はそこにあるというように私は思っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 ちょっと待ってください。円安はいまの大臣の御解説で結構なんです、アメリカの高金利の結果円安に追い込まれているのは隠れもない事実ですかう。  私がいま聞きたいのは、その円安下で国内物価も思ったほど上がらない、輸出も伸びない、これはなぜだろうかと、こういうことなんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ一つは、それは景気の立ちおくれという言葉も通用するでしょうが、たとえば石油問題を一つとってみると、去年一年間で前年よりも一割近いような節約が行われた、こういうようなことで全体としての石油の輸入金額というものが減ったということになる。一方、石油の値段が高いのだけれども、個人も皆消費節約をやっておる、そのために石油がだぶつきぎみ。日本のような世界最大の消費国で消費が停滞して石油がだぶつくからOPECでも今度は値下げというようなことになっておる。私は、一つはやっぱりこの消費節約運動というのが意外と家庭の中まで入り込んだのじゃないか。それは実質所得が減ったからだという見方の人もあります。まあそれもあるでしょう、あるでしょうが、消費は美徳ということが言われた時代があった、使い捨ての美徳とかね。ところが最近、もったいないという言葉が使われるようになったというのですね。ごみが少なくなったというのですね。これはやっぱり、真人間に返ったなんて言う人もあるけれども、私はそうばかり思わぬのだが、やはり資源のない日本という国では資源の消費はいけないんだ。省エネルギーとか省資源という言葉が言われ出したのはここ五、六年じゃないかと私は思うのです。したがって、国全体としてもそうだが、各家庭でも、会社で消費節約を教わってきたサラリーマンが、幸い月給だけは去年よりもよけいもらった、その分使えというんじゃなくて、やっぱり子供の洋服でも自分の洋服でも新調しなくたってまだあと一年ぐらい使えるとか、私はそういうようなことが円安という問題があっても物価が上がらないという大きな原因の一つになっているのではないかと思っております。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) いま世界経済の特徴は何かといいますと、それはきわめて深刻な不景気だと、こう思います。したがって、円安になりますと当然ある程度輸出が伸びなければならないのですが、なかなか伸びにくい、むしろ減る傾向にある。国内の需要も欧米ほどではございませんが、減退をしておる。したがって物価も予想外に上がらないと、こういうことでなかろうかと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 二、三日うちに発表されます国民所得統計十月−十二月の指標によりますと、大体国民総生産はゼロ成長というかマイナス成長ということになりそうでございます。これは最近内需が冷えている上に輸出輸入、貿易も減ってきたと、こういうことであろうと思います。これはやはり内需が冷えているというのは個人消費が伸びない、それはやはり可処分所得が思うようにいかないということでありますし、また、やはり景気に対する不安感から設備投資——大企業の方は比較的堅調な面もありますが、中小企業等は先行き不安ということで設備投資が大変落ち込んでおるということであろう。同時にまた、貿易についても、円安でありながら輸出がなかなか伸びない。まあアメリカと中東の方は比較的安定して伸びておるわけですが、その他の地域は輸出が非常に落ち込んでおるわけでありますが、世界的に非常に経済が行き詰まって、買う能力というのがだんだんなくなってきているんじゃないか、こういうふうなことも言えるんじゃないかと思うわけでございまして、このままの状況が推移するということは非常に心配である、どうしてもやはり今後の課題としては内需の振興を図っていかなければならないと、こういうふうに考えております。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 円安が物価に余り影響していないのではないかというお話がございました。私ども円安が物価に影響しておるというふうに思っておるわけでございます。卸売物価は全体、総合では前年比二・八でございまするけれども、そのうち国内品は一%ぐらいの上昇でございまするが、輸出品、輸入品ともそれぞれ九%程度の前年比の上昇になっております。為替相場も前年の二月に比べますと約一四%円安になっておりまして、為替要因からいいましても一・七%ぐらいの要因がございます。したがいまして、いまの円安は卸売物価につきましてはその上昇圧力を強めておるというふうに見ております。  輸出については、先ほどお話がございましたようなことでございまして、円安にもかかわらず輸出が数量的に昨年の十一月以来やや伸び悩みになっておる、マイナスにはなっておりませんけれども、まだ伸び悩みになっておるということは事実でございます。海外消費の影響であろうというふうに思います。  景気全般の評価でございまするが、内需につきましては重要項目の中の消費あるいは住宅、中小企業の設備投資というのが沈滞しておることは御承知のとおりでございますが、一方、在庫調整はほぼ完了しておりますし、大企業の設備投資はわりあい底がたい、企業の収益も現在のところはまずまずというところでございまして、全体としての景気がこのところちょっと足踏みをしておりまするけれども、どんどん落ち込むという状態ではないというふうに判断しております。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 日銀総裁初め三閣僚からいろんな角度からお話があったわけでございますが、私も総括をして考えてみますと、今日ほど国内経済と国際経済、これが非常に連動をして、非常に影響し合っているという点が色濃く出ておることはないのではないかと、こう思うわけでございます。為替相場にいたしましてもそうでありますし、金利の動向にいたしましてもそうであります。また、物価の問題あるいは輸出輸入の問題等につきましても、国際経済の今日の深刻な不況というものが日本経済にも非常に暗い影を投影をしておるという感じがいたすわけでございます。私は、この円安というものがいま直ちに物価にはそれほど顕著に出ておりませんけれども、この円安が長期にわたりますとやはり日本の卸売物価、消費者物価にも影響を与えてくると、こう思っておりまして、この点はどうしてもやはり是正を、国際的な協力によって改善をされなければならない問題であると、こう思っておるわけでございます。私どもは、この根本を解決いたしますためには、何といってもいま低迷を続けておる世界経済の再活性化を図る、そういう中で国内の経済の問題も改善を図っていく、打開の道を探っていくという以外にないと、このように考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 日銀総裁にお尋ねをします。  卸売物価が上がっていないというのじゃなくて、上がっている上がり方が円安に比べてあらわれ方が少ないということを申し上げたんです。  そこで、いまずっとお話しいただいたのですけれども、買う力がなくなってきたのじゃないかとおっしゃったのは通産大臣だけで、あとはそれぞれ、直接はお触れにならなかったのだけれども、個人消費というのは、買う力を前に比べて持ってきていないのではないか、いわば購買力が落ちているのではないか。欧米の方の不況はどうかというと、欧米もまた購買力が落ちている。したがって、価格効果が働いてみたところで購買力が落ちているから輸出も伸びない。国内の物価は上げるに上げられないという状態にいま日本経済はあるのではないんでしょうか。これ、別の言い方しますと、病人が寝床について起き上がれなくなっちゃったというような感じがするんです。  そこで、いま日銀総裁は、先行きは持ち直すでありましょうという趣旨の、いわば先日発表されました日銀短観に沿った見通しを御発表なんだけれども、重ねてですが、この先行きというのはそういう見通しを持つとお考えになりますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 個人消費につきまして、私ども消費者物価が安定するということが消費を伸ばしていく上に基本的な要件であるというふうにいまでも考えております。そういう意味で、昨年来の消費者物価が比較的安定してきておりまするので、そういう意味から個人消費は少しずつ回復するのであろうというふうな見通しを持っておりました。ところが、実際にはなかなか消費の方の伸び方が期待したほどでないことは事実でございます。いろいろの要因があると思いますが、名目所得が思ったほど伸びなかった、可処分所得が思ったほど伸びなかったというようなことも一つの要因であったと思いまするが、一方、消費者物価が安定しておるという基盤があれば消費については——消費と申しましてもいろいろ、消費支出として見まするから、物を買うということだけではないと思います。消費の態様が非常に変わってきていると思いますが、消費者物価が安定しておるという前提が崩れなければ、消費についてはこれから先も落ち込むということはないのではないかという判断をしておるわけでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 これから先落ち込むことはないという、これから先のこれからなんですが、一応いま通産大臣が言われた十月から十二月はゼロかマイナスかという経済の実態が、それ以上ひどく落ち込むことはないでしょうと、そう受け取ってよろしいんでしょうね。  そうしますと、いまの日銀の資金供給量というのは多過ぎるのではありませんか。いま一一%ですね。仮に、これは計算ごとで組み立てていく数字ではもちろんないんですけれども、一応経済成長率と物価上昇率合わせたものがめどになるというやり方をしているんだけれども、実質経済成長率がゼロもしくはマイナス、物価が四、資金供給量、マネーサプライは一一というのは多いのではないか。このままもっていきますと、むしろ異常な形で物価を上げる要因になっていくのではないかと心配するのですが、この点はどうですか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) マネーサプライは、最近、昨年の九月以来、前年比の増加率が一〇%台になっております。名目成長率、十−十二につきましてはまだ発表がございませんのでわかりませんけれども、今年度、五十六年度の経済見通し、名目成長率、政府の見込みは七%だったと思います。したがいまして、成長率よりも高い通貨供給量になっておるわけでございまするが、景気が停滞しておりまするときには従来も、冬日成長率よりも通貨総量の、供給量の増加率の方が若干高いというのは、従来からもそういうことでございました。景気が停滞しておりますると通貨の国転速度がやはり遅くなってくるわけでございまするから、したがいまして、残高としては若干高いということになるのは、よくあることでございます。私ども現状はそういう事態であろうというふうに思っておりまするが、私ども第一次のオイルショックのときの経験にかんがみまして、第二次のオイルショック以降マネーサプライの伸びというものを非常に慎重に注意深く見ておるつもりでございます。現在のマネーサプライの水準というのは、私どもが、言ってみれば許容できる上限にあるというふうに思います。したがいまして、これ以上マネーサプライが加速してふえるということは、やはり避けなければいけないことではあろうというふうに考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 十分御注意をいただきたいと思います。  そこで、せっかくですからお尋ねするのですが、金利を下げてもらいたいという要望は非常に強いですね。そうは言っても、アメリカの高金利がいまの水準で推移する限り、その可能性はなかなかないということはだれが見てもそうなんですが、アメリカの金利というのは、今後いまの水準を持続するのかしないのか。  なぜ伺うかといいますと、アメリカは資金の手元流動性、それから企業の流動性比率、それぞれ下がっておりますね。一方、レーガン政権は膨大な軍事予算を含めて巨額な赤字を出しておりますし、しかもアメリカの失業率を考えますと、一%失業率が高まると何十億ドルとかいう話があって、相当なこれもまた財政赤字の原因になってくる。と考えていくと、アメリカ経済がことしいっぱい、少なくも下期好転ということが見通せるんだろうか見通せないのだろうか、それとも全くわからないのだろうか、については、御判断いかがでございましょうか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) アメリカのインフレ状況というものは過去十数年にわたってほとんど二十年ぐらいにわたってアメリカ経済に根づいてしまったという判断がアメリカ当局にございます。そういう意味で、インフレ期待感というものをどうしてもここで根こそぎなくしてしまわないとこのインフレ体質というのは直らないという判断がアメリカ当局にあるわけでございます。そういうことで、きわめて厳しい金融引き締め政策がもうすでに二年半以上にわたりましてとられてきたわけでございます。  アメリカのインフレ率そのものは昨年の貢ぐらいは一二、三%ぐらいでございましたので、金利がそういうふうに高い、それを上回る一五、六%の金利であるということは当然であったと思います。現在アメリカのインフレ率は八%台まで下がってきておりまするので、そういう点から考えますると、金利水準、現在のアメリカの金利水準は異常に高いというふうに考えられます。したがいまして、実質的な金利負担というものは非常に大きいわけでございまするので、そういう意味から言いますと、実質金利負担の高い状態というものをいつまでも続けておるということは、アメリカの経済そのものを、私企業をつぶしてしまうということにもなりかねませんので、この金利水準というものは、短期についてはおいおい下がってくるであろうということは、経済的に見ましても予想できるところだと思います。  いまお話がございました、一方、財政赤字というのが非常に大きいということは、またこれ最近のアメリカの金利情勢にとりまして、金利がなかなか先行き下がらないのではないか、先高感というのをさらに醸成したということがあることは事実でございます。ただ、この大きな財政赤字というものをこのまま続けていけるかどうかということにはアメリカの国内にもかなりの批判があるようでございまするので、この点につきましては、アメリカの高金利の状態というものを少しでも下げていく上におきましても、財政赤字をこのまま放任しておくということはなかなか容認されないのではないかということを、これは希望も込めまして予想をしておるわけでございます。  後半になってアメリカの景気がよくなるかどうかという点につきましては、私どももアメリカの当局の判断以外に、私どもの独自の判断を持っておりません。いままでの経済のサイクル、あるいはいまの財政支払いの状況等から申しまして、ことしの後半には、アメリカばかりじゃなしにヨーロッパを含めまして世界経済が若干好転するという期待が持たれておるようでございます。私どもも、いまの日本の経済が置かれておる環境から申しましても、世界経済が置かれております環境から申しましても、そういうふうになることを希望も込めて期待しておる次第でございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 経企庁長官にお尋ねをします。  まあ、金利の方はもうあなた任せの、吹く風のような形でなかなか手詰まりなんですね。そこで、いまの景気対策をどうするかなんですが、その前に、いまの景気がどうなっているのか。さっきに戻るんですが、ごく簡単に要約をしますと、購買力が落ちた、個人消費が弱い、これがどうなったかというと、建設とか中小企業関連の個人消費と直接かかわりがある業種の成績を悪くしている。したがって中小企業の営業成績が悪くなり、それがまたそこで働いている人たちの給与所得にも響き、回り回って全体の個人消費の水準を低めてきたという面が一つと、かねての宿題の構造不況業種が一つと、この二つが地域的にどう散らかっているかで地域間のばらつきがある。これが恐らく一恐らくではなくて、大体五十六年度を総括された経企庁の経済指標の要約だったと思いますが、大体こんな見方で合っておりますでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 経済の現状に対する認識はいまお述べになったとおりだと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 そこで大蔵大臣、何もあえてこの表現を探してきたんではないんです。この五十七年版の「日本経済の現況」の中に、なぜ個人消費が伸びなかったかということに書いてあるのは、基本的背景は、税金や社会保険料など非消費支出要因が一貫してマイナスとして働いている、これが冒頭に書いてある。そこで、所得減税論議は一応衆議院ではああいう決着になりましたけれども、とはいっても白紙委任するわけではないでしょうから、この税金がふえたので個人消費がマイナス要因として働いたという記述、このことそのものはやはり実際の原因の一つとして確かにそれはあっただろうと、そうお認めになりますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 税金がふえたからと言いますが、所得税は増税しているわけではありませんから、税額は、納める額はふえたけれども、手元に残ったものも。ふえておる。これも事実。したがって私といたしましては、税の関係が消費支出に関係ないとは申しませんけれども、少なくとも所得税に関する限りは一千万円以下の方は実質的な可処分所得はふえておるのです。一千万円以上の人はマイナスです。これは間違いありません。ですから、影響がなかったとは私は申しません。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 所得税の場合に、源泉所得税と申告所得税とございますね。申告所得税の場合には収入金額から必要経費を引いた残りに対して課税される。源泉所得税はどうかというと、考え方はそうだけれども、必要経費が幾らかということはなかなか個々にはつかめないから、いわば腰だめ的に給与所得控除を決めてやっておりますね。給与所得控除は昭和五十年から全然いじっておりません。申告所得税の方はあれは実費ですから、かかったなりに物価を完全に反映して収入金額から引かれる。源泉所得税の方は、所得控除の仕組みは昭和五十年から全然いじってないでここまで来ている。こっちは物価上昇が反映されている、こちらは反映されているかどうかわからない。こういう申告所得と源泉所得の間の不公平というのは現実にあるんじゃないですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) よくそういう議論をされる方があります。しかし、申告所得税も源泉所得税も基礎控除は同じでございまして、これはいじっておりません。扶養控除も同じでございます。そうすると、源泉所得税の方は給与所得控除というのは最低五十万円ございますが、これはランクが上がればある程度経費もやはりふえるという仕組みになっています。一千万を超えれば一律五%しかこれは認めませんが、それ以下はランクことによって引き算をされるという最低が五十万。一千万ぐらいですと幾らぐらいになりますか——百万近いかぐらいのものが引かれることになります。したがって、給与が上がったから全然上げてないのだと、引き方を上げてないのだということも必ずしも私は言えない。それから、仮にそれでは源泉のサラリーマンが概算控除のかわりに本当にかかった必要経費を出してごらんなさいと言われたときには、どちらをとるかといったら、恐らく概算控除をとる人が圧倒的に多くて、必要経費を出してくる人はほとんど少ないと私は思います。その方が損するということに私はなるからだと思います。  一般の事業所得者の場合は、たとえば売り上げからその必要経費であるところの仕入れはもちろん引き算しますが、仕入れがふえると、物価高に仕入れがふえるというときは、それは売り上げもふえるが、売り上げがふえるときにやっぱり仕入れもふえますから、その差額は必ずしも物価高のときにはもうかるとは限りません。仮に極端なインフレになれば、建設業のようなものはともかくえらい損することの方が多い。請け負った金額をなし遂げるためには当時の見積もり以上の出費を使わなきゃならぬという場合もございますから、一概にインフレがあるから事業所得者が得で給与所得者が損だということは私は申せないと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 申告所得者の方が得をしていると言っているのではなくて、源泉所得の場合に物価上昇分を完全に反映しているでしょうかというと、五十年からいじっておりませんから、その部分は議論の余地として残りますねと。それはどういう角度で残るかというと、それはこちらが得でこちらが損をしたとは言わないけれども、それは税負担の公平問題として議論の対象に、なりますと、それは五十年からいじっておりませんということは言えるわけでしょう。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それは給与所得についても事業所得についても同じことが言えます。五年間も課税最低限である基礎控除、扶養控除、そういうものを変更してないということは事実でございますから、その間に物価の値上がり等がありますから、そういう点では、これはもうかねて総理も言っているように、長年月にわたって据え置くことは好ましいとは思っておりませんということは認めております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 前川参考人には、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 ちょうど第一次石油ショックのときに、さまざまな対策を講じながら沈み込んだ景気を浮揚するためにやってまいりました。いまの経済がどうかということはよほど私は深刻に受けとめなければいけないと思うのですが、それと減税と結びつけて言うんじゃないのですよ。相当深刻なところに来ていると判断していいのではないかと思うのです。  前回どうだったかと言いますと、公共事業の前倒しはやりました。それだけではなくて、二兆円規模の公共事業の追加もやり、民間企業の力があるところにはお願いをしてでも設備投資をしてもらい、あらゆる手を尽くしてやったのが、結果として四十九年を最低にした経済成長率が五十、五十一、五十二、五十二、五十四と内需が上がってきたのです。  今回、いまの程度の経済対策で、では景気が浮揚するかどうかという点については経企庁長官いかがお考えになりますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 現在の景気の動向につきましては、私どもも非常に厳しく受けとめております。しかし、先ほど来いろいろお話がございましたように、金融政策も国内的には機動的に運営できる条件は整っておりますけれども、アメリカの高金利のためにうまく作動しない、こういう状態でございます。  そこで、いま考えられる対策といたしましては、今回御審議を願っております予算の中に盛られております公共事業、これを上半期最大限繰り上げて執行する。現に住宅とかあるいは災害対策、これはある程度繰り上げておりますが、それと同じように繰り上げてやってみる。これが残された唯一の方法でなかろうかと思いますが、いまそのことにつきまして政府部内で相談をしておるところでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 景気対策をどう進めるかということになりますと、実は財政再建との絡みが一番大きな問題として浮かび上がってくるのだろうと思います。その観点でひとつお尋ねをしたいのですが、いま国鉄の財政状態がどうかと見ますと、毎年大体二兆円ずつ借金が重なっている。これから先もずっと二兆円の借金はしていく趨勢にある。この点は国鉄総裁にお尋ねしましょうか、運輸大臣、どちらでも結構ですが。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 最近の数カ年の傾向はそういう状態にあるわけでございまして、これはとうていこういう状態を続けていくわけにいかないという認識を持っておりますが、現状においては、毎日列車を走らせることをやめられないという問題と、それから過去から決まっておりました建設計画との関係もございまして、いまお示しのような姿になっておるわけでございまして、これは大至急基本的な考え方の立て直しが必要だというふうに考えております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 この国鉄の借金、現在は五十七年度で十八兆ですね。これ二兆円ずつ毎年積まれてまいりますと、当然なことながら六十年になりますと二十三兆、これは利払いだけで一兆数千億。この借金は国鉄が払うのは当然義務だけれども、払えないのはもうわかり切っちゃっている。となると、この借金はどこが払うんでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 財投で政府が貸している金もありますからこれは焦げつきになってしまうということが一つですね、これが払えないと。焦げつきになればやっぱり政府がその分だけ持たなければならぬ。政府が保証しているものもあるでしょう。本人が払わなければ保証人が払わせられる。これも、保証した政府でありますから、国有鉄道である限りは結局はこれは国民が持たされるということに私はなるのだろうと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 国民が持たされるのは、ほかにいくところないですからそうなるのですけれども、その途中では政府が結局払わざるを得ないということでしょう。それで六十年として二十三兆ということになりますと、国鉄の資産を全部再評価したって間に合わない金額ではありませんか。これはどうでしょう、国鉄総裁。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 具体的に作業がなかなかむずかしいのでいたしておりませんのですけれども、現在はまだよろしいのですが、六十年時点でいまのお示しのような数字になってまいりますと、非常に問題が大きいといいますか、なかなかバランスしないという心配をいたしております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 国鉄は本当に救いがたい状態にいま私は入りつつあると思うのです。それは国鉄の責任としてまず一義的には言えるとしても、大蔵大臣、では一体この国鉄の赤字が、借金が何でかさむのかというと、たとえば五十七年度予算について言いますと、一兆四千億の純損失が出ているのだけれども、内訳は利払いが八千億、あと特定年金、特定退職手当合計で五千億、これを合わせただけで一兆三千億。国鉄にすると、八千億の利払いを何でしなければいけないのだと、おれたちが好きでつくった鉄道路線ではないではないかという言い分が当然あるし、では特定年金、特定退職金——苦労した満鉄、華鉄、あの職員を日本の国鉄が自分の自由意思だけで引き受けたんだろうか。それこれ含めてやめる年になりました。その費用がかさんでいるので、実際の本当の経常費というのは実はとんとんなんだという言い方を恐らく国鉄はなさる。大蔵省はしない。したがってしぼる。しぼると借金がふえる。言い分をのむと赤字公債がふえる。ということは、行って帰ってなんですよ。赤字公債出さないか、国鉄の借金がふえるかというキャッチボールですよね。このキャッチボールをやっておいて、昭和六十年度には借金は二十三兆に間違いなくなる。そのときに、五十九年に赤字公債発行ゼロにしますというあの財政再建計画というのは、あれは一体何ですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、一般会計の方で要するに五十九年度までに赤字国債脱却ということは、要は消費的な経費のための借金はやめますということでございます。消費的な経費のための借金はやめる。国鉄の問題については、これは私はもういろいろそれは原因があると思いますよ。あると思いますが、問題はやっぱり収入の八割近い人件費。それで採算がとれる企業なんというのはあり得ない。最大の問題はそこにある。だからといって月給の値下げができるわけではないし、結局合理化、生産性の向上、人減らしということが最優先であって、あとはもう不採算線をつくらない、あるいはもう不採算線を外していくとか、いろんなことがあるでしょう。いずれはしかしそういうことをやって、それでいままでできちゃったものはもうこれは何とも仕方のないことで、働き出して返せと言ったって恐らく返せるだけのしろものじゃ私はないと思いますね。  ですから、これはやっぱり真剣にわれわれは一国鉄だけの問題じゃなく、国民全体の話です。あなたのおっしゃりたいことは、片方で赤字国債から脱却しても、片方でどんどんどんどん借金をしていってそれがふえていって、結局は政府が払わせられるのなら同じことじゃないかということを言わんとされていると思います。私もそういう点は全く同じ考えでございますから、国鉄の問題は、やはり国鉄だけの話でなくて、政府全体として、国民全体として取り組んでいかなければならない大問題であることは間違いありません。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 国鉄の問題以上に、一般会計の赤字国債を減らすことが妙に大きく見えて、国鉄の借金もこれは一般経費の借金ですよ。同じなんですよ。それは、国鉄という経営体が決まっていると、だからおまえたちがんばれと言ったって、同じことですからね。ひっくるめて、大きな意味の財政体質というのは国鉄も含めて改善をしていかなければいかぬということになりますね。そうなると、五十九年度に一般会計の赤字国債をという言い方を余り強くせぬ方がいいのじゃないか。どのみちこれだけのものが残っちゃっているのだから、いまの景気対策も含めてもっとフリーハンドで臨んでみるべきではないのですか。言ってみただけの五十九年度財政再建目標じゃないですか。片方で二十三兆たまっている。二十三兆で終わる約束ないですよ、これは。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国鉄の方がそういうふうになるから、それじゃ一般の方はそればかりやったってしょうがないじゃないかと言われましても、そうはいかないんです、これは。それは、じゃ国鉄の方はたれ流し、一般の方もたれ流しと、両方かさんだらもっと大変なことになるわけですからね。だから、せめてわれわれとしてはできるところから先にやっていかなければならぬ。要するに、歳出のカットということを言うからには、安易に借金をしてくれば、なかなか歳出カットを言っても、みんなそれぞれいままで理屈があって、要求があって予算はつけられておるわけですから、だからそれを切るとすれば、いままで受け取っておった人にとっては、月給の値下げぐらい強いショックを受けることも間違いないわけですよ。だから、そういうふうな抵抗が強いから切れないで来たわけですから、それには、少なくともそれだけのものを認めるならば、税金をいっぱい出してもらうか、税金を出すのがいやだと言うのだから借金をする。借金をすれば安易に財源が手に入るから、そうすればいつまでたっても切れないということになります。したがって、やはり歳出カットをするためには安易に借金はしないという基本姿勢がなければ、行政改革もできないということになります。したがって、国鉄の問題は放置しておくわけではありません。これは非常に困難な問題をいろいろ含んでおりますが、これはこれとして、別途いま臨調でも最大の課題としてこれを取り上げておるところでございますし、それが終わるまで、われわれは赤字国債の方はたれ流しでやるというわけにもいかない。一兆九千億円やめればもうこの赤字がとまるなら別ですよ。両方出てしまうわけだから、それは困りますということを言っておるわけです。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 柳澤錬造君の関連質疑を許します。柳澤君。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 本年度の予算案でもまた国鉄の運賃の値上げが出されているのですが、これは運輸大臣の方とそれから国鉄総裁と両方にお聞きをしていくのです。  五十二年に運賃法定制緩和法案が成立をいたしました。それで当事者能力を持たしたのだけれども、それ以降の毎年の運賃の値上げの実績を見ていると、あのときの約束といささか違っているんです。  最初に、まず五十三年以降の運賃の値上げ率と、そのよりどころというか根拠、何でそういう数字をはじき出したかというものをお聞きをいたします。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 最終的に運賃の御承認をいただくのは運輸省でございますけれども、申請をいたすのは私どもでございますので、私の方からお答えを申し上げます。  いま委員が御指摘のように、法定制度を緩和していただいたときに法定限度という考え方があったわけでございますが、五十二年の七月、それから五十四年の五月のときの改定におきましては、かなり法定限度に近い値上げをさしていただきました。具体的には、五十三年は法定限度が一六・三%で実際の運賃改定計画額が一四・八、五十四年は八・五で片一方が八・〇ということでございましたが、次第次第に、率直に申しまして運賃改定の可能性というものはだんだん小さくなってまいりました。したがって最近——と申しますのは五十五年、五十六年、それからただいま申請中の五十七年につきましては、運賃改定率は限度額のほぼ半分ぐらいのところでございます。具体的には五十五年が八・九対四・二、五十六年が一二・三対七・九、現在お願いいたしておりますのは九・二対五・三というような関係になっております。これはもうすでに法定制度緩和をお願いいたしましたころとは経済情勢も変わっておりますし、私どもの競争力も変わっておりますので、そういう実態からかなりもう限界に近くなっているということから、そういうふうな考え方をとっておるわけでございます。  しかし、できれば何とか運賃改定をしないで済ますか、あるいはもっと少なくしてということも考えるわけでございますけれども、いま粟林委員のお尋ねにもございましたように、片一方で借入金をやってやっと泳いでいる姿でございますので、経費増加分のすべてを、そして合理化によって経費を減らしました後のすべてを借金でつないでいくということも何とも後々困りますものですから、さんざん苦しみました末にこの程度のお願いをしておるわけでございまして、何か合理的な計算根拠ありやというお尋ねに対しては、率直に言って余り明快な基準ありというお答えはできないわけでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 これは運輸大臣の方にお聞きをしていくのですけれども、この五十二年の運賃法定制緩和法案を決めるときに、当時の田村運輸大臣との間で、従来は運賃を上げるとお客さんが減りますと言って、その分も計算をして、実際の増収率がどのくらいになるかという数字をはじいた運賃値上げをしてきたのです。そういうことはもうまかりならぬということで、あのときに運賃値上げは物価変動によるコスト増が上限であるということが、私の質問でそういう答弁をし、もっと具体的にわかりやすく言うならば消費者物価の上昇率がもう上限なんだと、その点についての再三の確認をして私どもはあのときにあの緩和法案に賛成をしていったわけなんです。ですからそういう点に立ちますと、いま国鉄総裁から、いつも法定の枠の中と言うけれども、そういうわけにはいかないのです。五十三年に一六・四%上げた根拠もそんなものはないし、現実に五十二年の物価と言えば六・七%しか上がってない。五十三年度に物価が上がったのが三・四%でその翌年は八・八%の運賃値上げをしている。全部そういうかっこうで今度の五十七年度の、いまの予算案にあるのも、ですから運賃の値上げ率は六。一%でこの予算案に入っているのです。実際に物価の方はと言うと、まだ五十六年度出ませんけれども、いまの状態で言えばせいぜい四・三%どまり、これは。ですから、あのときの私どもがあの法案に賛成するについて再三確認をして念を押した上でのことなんですが、そこのところを明らかにしてください。

杉浦喬也運輸省鉄道監督局長

○政府委員(杉浦喬也君) お答えいたします。  当時の議論でそのような議論があったと記憶しておりますが、現実の姿といたしましては、運輸大臣の認可権限の範囲内、いわゆる法定限度額というものの算定は決まっておりまして、単に消費者物価指数だけでなしに卸売物価指数、それから大きな要素でございます賃金指数、こういうものの相乗積によりまして法定限度額が決まってきておる。その範囲内で毎年運賃を改定しているというのが実態でございます。  先生いまおっしゃいましたような、単純に消費者物価指数だけでございますと、おっしゃるようにそれを超えた状況ではございますが、私どもの認識といいますか理解の範囲内におきましては、必ずしもそれだけではないというふうに考えておるところでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 これ大臣に言っても大臣の責任じゃないということにもなるわけだけれども、いまの局長の答弁は全然だめです、あれは。少なくてもあの法案を成立させるときに、私が再三確認をして念を押した上でもって、ですから賛成に回ったんです。その辺大臣からきちんとお答えをいただきたいと思うわけです、賃金指数とかその後は一切入ってないんですから。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 柳澤先生のおっしゃいました法定限度額というのがございますが、ただいま鉄道監督局長から御答弁申し上げたとおり、現在の法定限度額というものは、たとえば例示を申し上げますと、CPI、WPI、そして賃金指数、こうしたものの相乗の関係からはじき出されていると思いますが、五十三年度には四千九百億、五十四年は千九百億、五十五年は二千二百四十億、五十六年は三千二百五十五億、そして五十七年度は二千二百七十七億という計算になっておりまして、そして現実に今度の値上げをお願いをしておる分の実質増収額、平年度が、五十七年度におきましては千五百十五億を計上している。こうしたような関係の中での申請がなされておるというふうにわれわれは理解しております。  もちろんこの運賃値上げという問題は、これからの国鉄の再建にとりましても非常に重要な意味があるわけでございますが、特にわれわれとしましては、こうした国鉄の運賃というものが、やはり公共性を主体とする国鉄の運営というもの、公共性を非常に重視した形での決定の中で今日まで推移してきておるものでありまして、いま問題になっておりますことはこの経済性の問題になっておりまして、こうした非常に現在の大きな政策の変更と申しますか、あるいは国鉄に対する認識の変化と申しますか、こうしたようなものをやはりわれわれは十分認識をしてこの問題に対処しているところでございますが、いずれにいたしましても国鉄の助成が、今年度は七千三百十九億国庫助成をもらうことになっておって、なおかつ一兆三千億程度の赤字が出るであろうというような実態でございますので、こうしたことを考えますると、今度の運賃の値上げというものはやむを得ざることであると言わざるを得ないのでございまして、御了承賜りたいと思います。  終わります。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 時間がなくなってまいりましたので、まず、これは国土庁あるいは建設省どちらでも結構なんですが、恐らく景気浮揚の一環として住宅政策が位置づけられて今後もいくと思いますけれども、そのときに問題になるのが宅地供給だと思います。宅地供給が昭和四十六年ぐらいをピークにしてずっと減ってきているのです。特に最近宅地供給が減っている原因について、建設大臣か国土庁長官がどちらかにお尋ねをします。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) お答え申し上げます。  宅地の供給が昭和四十七年をピークにしてずっと下がってきておると、これは事実でございます。その原因はいろいろな要素があると思いますが、一つには素地の供給が停滞してきているということ、それから宅地を造成します造成のコストでございます、これが非常に上がってきていると。かつて経済成長が非常に華やかな時代でございますとそうしたものが処分価格の中で吸収されたわけでございますが、最近ではそれが非常に困難になってきている。素地の供給の円滑化が欠けているということと、造成コストが非常に上がってきている、それが宅地価格の中で吸収。できない、そういう意味から開発意欲も減退してきている、そういったものの総合的な形が今日の現状だと思っております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 総理にお尋ねしたいのですけれども、宅地供給量の減少要因としてある表があるんですが、一番大きいのが関連公共公益の負担なんです。それが場合によっては地価の半分ぐらい、非常に強力に地価を押し上げる要因になっているし、宅地供給の最大の阻害要因と言ってもいいかもしらぬという実態は御存じですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 承知をいたしております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 そこで、御承知でしたら申し上げるのですが、話を飛ばしてその原因はといきますと、宅地開発指導要綱に行き当たるんです。この宅地開発指導要綱は何かというと、各都道府県でいろんなものをつくっています。いろんな基準を決めて負担をさせているのだけれども、負担の中身というのは開発地域外の道路もつくってくれ、開発区域外の下水道本管も引いてくれ、そうかと思うと学校も建ててくれ、学校の先生の宿舎も建てろやと、おい消防署もあるぜと、一体これは土地を開発する方は泣きの涙と言った方が正確なんでしょうけれども、それを負担してきている。その負担は最終的に購入者のところにいくのは当然でありまして、こういう宅地開発指導要綱について、まず自治大臣、どうしたらいいでしょうか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。  宅地開発指導要綱というのは各自治体でつくっております。先生御指摘のように。自治体が、その宅地開発が始まりますとその環境の整備、学校をつくったり上下水道その他こみの処理、いろんな設備をつくらなければなりませんので、財政的な負担に耐え切れなくて開発側の業者とかいろんな方面に負担をお願いしているということで、これは自治省といたしましては従来まである程度黙認してきたところでございます。  ただ、社会通念に照らして行き過ぎないように都道府県を通じまして常に通達指導をしてまいったのでございますが、それにもかかわらず最近いろいろな苦情が出てまいっておりますので、ただいま建設省と一緒になりまして共同調査をしておりますが、宅地開発に至るまでになかなか時間がかかり過ぎるという、これがひいては宅地開発のあれをおくらせているということにもなりますのですが、いろいろ調査しておる最中でございますが、仮に関東地方のある県などで開発を行おうとしますと、それの認可をとるのに約四十数カ所回らねばならない。こういう行政改革の対象にもなるようなかなり国とか地方自治体との間の込み入ったいろんな関係がございまして、そういうものをいま整理いたしまして、できるだけ余り地方自治体が無理なことを開発の際に言わないで済めるように、督促いたしまして早急に調査をして善処する方向にいまやっておる最中でございます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時委員会を再開し、栗林君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時二分開会

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十七年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き、栗林卓司君の総括質疑を続けます。栗林君。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 残念ながら時間がなくなってまいりましたので、予定した質問を全部することができません。  そこで残余の時間、若干でありますが、参議院の選挙制度についてお尋ねをしたいと思います。事柄の性格から言って、総理にはむしろ自民党総裁という立場で御答弁をいただくことになろうかと思います。  そこで、総裁としての総理にお尋ねをするんですが、総理は岩手一区でございましたね。岩手一区の有権者との結びつきを当然のことながら非常に大切にされておいでだと思いますが、いかがでございましょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 大事にいたしております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 もちろんそうであるべきなんですが、といって有権者全員に、鈴木善幸と投票用紙に書いた全員に会って、やあ書いてくれてありがとうと言うわけにはなかなかいかない、これは当然であります。そうすると、最も基本的な有権者と議員とのつながりというのは、有権者から見ると、投票用紙に鈴木善幸と書く、鈴木善幸さんの方はよく書いてくれた、ありがたいなと思いながらその票数を眺める、こういった形で有権者と議員の関係がつながれていくものだと私は思いますが、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これも全くそのとおりでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 そこで問題は、自民党がいま拘束名簿式比例代表制の全国区改正案を提案しております。拘束名簿式比例代表制というのは、従来は何のたれべえと投票用紙にそれぞれ書けたのが、今度はそうではなくて、まず名簿をつくります。これは順番がついています。これは、政党がつくります。有権者の皆さんは、今度は政党に入れてください、厳密に言えば政治団体等入りますけれども、一応政党というかっこうで表現さしてください、政党に入れてください。これは卑俗な例でたとえますと、従来は、ああ、あの品物がいいなと有権者は選択ができた。今度は、有権者の方は抱き合わせ販売を押しつけられたのと一緒で、候補者がたくさん詰まっているバスケットをそれこと選択するしかない。そういう抱き合わせ販売方式と選挙と一緒にしたのでは大変失礼なんですが、その方がわかりやすいと思って表現しているのですが、こういうように変えるというのが、結果としてですよ、今回の自民党がお考えになっている拘束名簿式比例代表制、そうですね。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 衆議院の現在の中選挙区制における候補者と有権者の結びつき、これはわりあいに狭い地域でございますし、有権者数もまずまずそれほど多くない、また、自分に対して支持して投票してくれた人も、大体地域的その他の関係から見当をつけておるわけでございます。  ところが、全国区の場合におきましては、これは物理的にも肉体的にも、あるいはPRをいたします際におきましても、その費用におきましても大変な限度と制約がございます。  そこで、候補者と有権者との間のつながり、どういう方がいいかという選択等々につきましても、衆議院等の場合とは大分違う要素がそこに出てきておるのではないかとも思います。そこで、参議院の全国区制につきましては、いろいろの問題点が指摘をされてまいったわけでございます。  そのような観点から個人本位の、従来の個人中心の選挙から政党中心の選挙制度、こういうようなものにベースを置いて再検討を加えるというようなことで、いろいろ自由民主党におきましても検討いたしました結果、いま議員提案として御審議をわずらわしておりますような案がここに出たわけでございます。  個々の商品のことを先ほど例に挙げましたが、選択ということでなしに、今度はそのメーカーの信用、またその実績、そういうようなものも評価をして、そして候補者を選んでいただく、こういうことになったわけでございます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 いろいろ回りくどくお答えになったんですが、要するに、有権者とのつながりが断たれた議員ができ上がりますということですね。しかも、有権者とのつながりが断たれた議員ができ上がるだけではなくて、選挙運動の要らない議員ができ上がる。総理も何遍も選挙をおやりになったと思うんですが、俗に選挙を洗礼と言いますね。たとえばどんな経歴の人であれ、候補者として出るまでは普通の人なんだけれども、選挙を通るとやっぱりちょっと変わる。何か選挙というのは特別な、もっと言いますと選挙を通って初めて普通の町の人が議員になるというような経験をだれしも持っていると思うのだけれど、恐らく総理もそうでしょう。その選挙の運動のない議員をつくるというのは、これはどういうことなんでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 選挙は、直接自分が投票してもらうのではないことになりますが、しかし、その政党の選挙活動には何らかの形で関与し、一緒になってこれを推進をする、こういうことになろうと思うわけでございまして、そういう意味では、やはり選挙というものを経て、その選挙の上に立って選ばれるものである、こう私は理解をいたしております。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 選挙運動とは候補者と有権者の関係でございまして、なぜ選挙が重要かというと、国民の代表として仕事をしていくという場合に、有権者が何を考えているのか、どんな希望があるのかということを一々自分の体で確かめてこなければいけないのが、私は選挙運動だと思っているんです。その選挙運動のない議員、有権者とのつながりがない議員、それが百名もできてしまって、参議院というのは物の役に立つ議院になるんだろうか。  民社党は、今回の自民党案に反対しておりますけれども、これは党利党略で反対しているのではありません。そのようなことを導入して、果たして議会がうまくいくんだろうか。国民のため、有権者のための仕事ができるのだろうかと考えるから反対しているんであります。  最後に、時間がなくなりましたが、もう一点だけ伺います。  この名簿というのは、当然、総裁たる鈴木首相が最終的には御決断になる。としますと、その決める人というのは、実は生殺与奪の権を握るかっこうになるわけですね、結果として。いま、内閣総理大臣というのは非常に強大な権限を持っています。最高裁長官の任命もできる。思うに任せないのは実は国会だと、こうなると思うんですが、その国会の中に、少なくも自民党の参議院全国区はどうしてもあなたに気を配って動かざるを得ない。逆に、総理としてみると国会を操縦する最も貴重な武器を得たことになるなどという計算をよもやしているとは思いませんけれども、そういう弊害が出てくる可能性がある改正案だということはお感じになりますか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 栗林君、時間が参りました。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 名簿の作成に当たりましては、これは今度の改正案と申しますか、その非常に重要な部分を私は占めておる、こう思います。この選考方法におきましては、恐らくこれが改正がなされた場合におきましては、各政党とも納得のいくような民主的な選考委員会のようなものをつくりまして、そして各界各層からふさわしい人を選ぶ、こういうことになろうと思うわけでございまして、私は、栗林さんがいろいろ御心配もあるようでございますけれども、政党というのはそういうものではない、やっぱりみんなの気持ちによって民主的に運営をされていくものでございますから、そのようになろう、こう期待をいたしております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で栗林卓司君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、源田実君の総括質疑を行います。源田君。

源田実自由民主党

○源田実君 まず、外務大臣にお伺いいたしたいと思います。  在来、わが国の政府は、日本は自衛権を持っておる、九条の解釈も、自衛権というものは本質的なものであるというのでいままでまいりました。私も自衛権というものは本質的なものである、これは同じくそういうぐあいに考えておるのでございますが、従来のこの自衛権ないしは集団自衛権の問題について、国連憲章に定められておる集団自衛権を日本はもちろん同じく持っておる。これは日本が侵略された場合に各国が来て守る、国連ならば。いまの場合はアメリカが来て守る。これは受ける。しかしながら、他国が侵略された場合どんなに困るうとも日本はそれを援助しないという態度をとっている、こういうぐあいに理解をしておるんでありますが、それに間違いありませんか。

粟山尚一外務省条約局長

○政府委員(粟山尚一君) お答え申し上げます。  国際法上、ただいま先生御指摘のように、日本が個別的自衛権それから集団的自衛権というものを持っておる、これは国家である以上当然であるということでございまして、国連憲章においてもそのとおりでございます。  ただ、その集団的自衛権を実力の行使ということとの関連で、わが国が他国を守るというために行使するということは、これは憲法上の制約がございまして行い得ない。これは従来から政府が申し上げておるところでございます。

源田実自由民主党

○源田実君 いまの憲法上の制約によってできないと言うんですが、それは憲法の一体どこに根拠があるわけですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) ただいま御指摘のとおり、政府は従来から一貫して集団的自衛権の行使は憲法上許されないというふうにお答えをしているわけでございます。  また、その理由についてもたびたびお答えをいたしておりますが、次のような理由によるものでございます。  すなわち、憲法第九条の解釈として、憲法第九条は自国の平和と安全とを維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じていないというふうに解されるわけでございますが、それは無制限に許されるわけではなくて、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというような急迫不正の事態に対処して、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて認められるものであって、また、その措置はこのような事態を排除するためにとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものと考えられるのであります。  したがって、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は憲法上許されないというものでありまして、その憲法上の根拠条文といたしましては、憲法第九条であるということになろうと思います。

源田実自由民主党

○源田実君 一国の存立を守る権利というものは、各国、これは国連憲章にもあるように主権の平等性から皆平等である。しかるに、日本の場合は、日本はやる、ほかの国の援助も受ける。しかしながら、他の国が、日本が非常に恩恵にあずかったり仲よくしておる国が不法な侵略を受けてまさにつぶれようとして、その国の主権が侵されつつあるという場合に、他の国の存立の権利というものは、日本としては日本よりは軽い、こういうぐあいに日本はとるのかどうか、これはこの憲法上のいまの第九条から出てくるのですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 憲法には、前文にもやはり自国のことのみに専念してはならないというような表現がございますように、決して日本だけではなくて、あくまで国際協調主義の理念というのも憲法の重要な基本原則になっていると思います。しかしながら、そのことは直ちにわが国が集団的自衛権の行使あるいは武力行使によって他国を救うということにはつながらないというのが憲法の考え方であろうと思います。

源田実自由民主党

○源田実君 そこのところがですね、私は頭が悪いせいかなかなか理解できないんです。いま韓国の政治家とか上層の官僚と話せば非常に話がわかりやすい。しかしながら韓国の下士官兵、日本で言えば曹士と話すと話が合わないんです。これは日本の占領下にあったということのうらみというものが非常に根強く残っておる。また過日ミッドウェーが入りましたが、ミッドウェーの艦長とか上層幹部と話すと話がよく通ずるんです。しかしながらミッドウェーに乗せられただんだん下の、階級が下になるほど日本に対する反感が強いんです。これは防衛に対する日本の基本姿勢というものに非常なエゴイズムがあるというところにあるのであろうと私は思っておるんですよ。私は法律はきわめて苦手とするところでありますから、この憲法の前文の中の一番最後にあることの理解が、いま法制局長官の言われたようには私は理解できない。  それで、ここでちょっと長官にお願いしますが、ここに、前文に書いてあることと、九条とかその他の各条文にあることの間に重要さの差があるんですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 前文の性質についてはいろいろな説がございますが、私どもとしては、あくまで本来の条文が法規範として重要であり、そして同時に前文はそれぞれの条文を解釈する場合の解釈上の指針として、これまた重要な意味を持っているというふうに解しております。

源田実自由民主党

○源田実君 そうするとこの前文の最後に、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」と、これは指針である。しかし同じ指針でも、ほかのところとちょっと違ったところがあるんですね。この後に、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と言っている、誓うんですよ。ただ書いてあるだけじゃない、「誓ふ」と書いてある。そうすると、ほかの国からは守ってもらう、他の国が存立のもう土壇場に立っても日本は応援しない。これは自国のことのみに専念するのではなくて、こういう態度が一つも差し支えないという、そういう感覚を私は持つことはできないです。「政治道徳の法則は、普遍的なものであり、」「他国と対等関係に立たうとする各国の責務」だと言っているんですね。対等じゃないじゃないですか。これはどう解釈されますか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先ほども申し上げましたように、前文では平和主義及び国際協調主義という憲法の理想を高く掲げるとともに、その理想が実現されることを全国民がみんなでやろうと、そういうことで誓っているわけであります。対等の立場ではないというふうに言われましたけれども、日本国民は一つの選択として憲法を通じて、その対等の立場に立つことを、武力的な手段あるいはそれに準ずるようなものではなくて、あくまで平和的な手段によってやろうと、こういう選択を憲法を通じてやったものだと思います。

源田実自由民主党

○源田実君 いろんな手段というのは、たとえばほかの国が困ったときには武力以外でやろう、金でやるとか、こういうような意味でございますか。こっちは助けてもらう、人が困っても何にも助けない、こういうのは決して対等ということには言えないと思うんですが、何でやる、日本は。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) あえて金ということだけではないと思いますが、要するに武力による方法以外によって世界の平和に貢献をして、そしてそれによってわが国の地位を世界において認めてもらう、そのことが各国と対等になると、こういう論理であると思います。

源田実自由民主党

○源田実君 武力も使わない、必ずしも金だけではない、ほかに何か資材がなんかということがあるかもしれません。しかし、対等という、片方は自分の国の青年の命を犠牲にして日本を守る。日本は、命というものは一切犠牲にしない、物でいこうと。こういう考え方は果たして道義的にどうなんであろうか。これはその前にこういうことがありますね。去年もちょっと触れた。第二項で、「日本国民は、恒久の平和を念願し、」云々、そうして「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と、こうある。そうして「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と、そうすると、ほかの国が苦しんだときにはわれわれも行ってやってやらなきゃいけない。日本がもし——もしじゃない、私はそうだと思いますが、平和を愛する、公正と信義を有する諸国民の一員でああとすれば、やっぱりほかの国民と同じようにやらなきゃいけない、これが最後にある「対等関係」に入ると思うんですよ。それを日本だけは金とかそういう物を命にかえてやる、命にかえてそういう物を出すということは、各国の信頼を得るゆえんになるのかどうか、これはちょっとどうお考えになるか、お聞かせください。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど来申し上げたことを繰り返すようになりますが、要するに、憲法は平和主義あるいは国際協調主義というものを高い理想として掲げて、それを実現するための方策として、軍事的な手段以外にいろいろな方法によってそういうものを実現する、それによって国際的にも名誉ある地位を占め、また、それによって国際的に信頼をされ、対等の立場を認めてもらいたい、こういう非常にむずかしい選択だとは思いますが、そういう選択を日本国民は憲法を通じて選択をし、そしてそのむずかしい困難な方策を今日まで続けてきているということが憲法の考え方であろうと思います。

源田実自由民主党

○源田実君 この問題は幾らやっても押し問答みたいになります。しかしいま、先ほど申し上げたようにアメリカの対日感情が悪くなっておるのは、こういう日本の独善的なところに多分に原因があると思うんです。経済問題なんかもっと楽にいくだろうと思う、日本がもっと、一方的に世話にならぬで日本も相当のことをやるというならば、これほど厄介なことにはならないと思うんですよ。したがってこの問題については、私は、いままでの政府のこの政策に対して同意することはできないと思っておるんですが、最後に、いまの法制局長官の答弁について、総理はそのことがよろしいと、一応同意であるとお考えかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思うんです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、憲法解釈、憲法の立場からいたしますと、法制局長官が御説明を申し上げてきた歴代内閣がとってきたこの方針、これを私もそのとおりに貫いていかなければいけない、このように考えております。  したがって、集団自衛権というようなことになりますためには、現行憲法の改正というものがなければ現在の憲法では集団自衛権というものは私は認められない、このように理解をいたしております。

源田実自由民主党

○源田実君 わかりませんが、これでこの問題はやめます。  ところが、次に、憲法第四十一条、国会は国権の最高機関である。ところが自衛隊法第七条に、総理大臣は自衛隊の最高の指揮監督権を持っておる、こうなっておるんですよ。どちらも「最高」なんです。そうすると、この「最高」の間に矛盾はないのかどうか、こういうことをちょっとお聞かせいただきたい。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 憲法第四十一条の趣旨については去る十日の本委員会においても御説明申し上げましたけれども、要するに国会は主権者たる国民によって直接選挙された議員から成る国民の代表機関である、したがって、国家機関の中でも主権者たる国民に最も近い、したがってまた、最も高い地位にあると考えるにふさわしいものである、そういう趣旨を表明したものであるというふうにお答えをいたしたと思います。  一方、自衛隊法第七条で内閣総理大臣は、「自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」というふうに規定しております趣旨は、自衛隊の管理運営というのは言うまでもなく行政権に属するものであります。で、行政権が内閣に属することも憲法第六十五条に規定してあるところであります。そこで、内閣の最高責任者は内閣総理大臣であるというところから、自衛隊の最高指揮権は内閣総理大臣が有する、こういうような規定がされたのだと思います。一言で言えば、内閣総理大臣は自衛隊の最高司令官であるということでありまして、決していわゆる制服の人が最高司令官ではないという文民統制の趣旨を一面においてこの規定はうたっているものだと思います。いま申し上げましたように、この両者の「最高」の意味というのはそれぞれ別のものであります。その意味では私は矛盾がないと思いますが、同時に、憲法六十六条第三項には、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」というふうに規定されておりますから、内閣総理大臣の自衛隊に対する指揮監督権についてもその規定が適用されるわけであります。したがいまして、内閣総理大臣が自衛隊を指揮監督する、そういう行政事務についても、国会の当然コントロールを排除するものではない、こういうふうに考える次第でございます。

源田実自由民主党

○源田実君 そこのところが非常な問題であります。  いまの長官のお話によると、国会が総理大臣の指揮監督権をまた指揮監督するような権限があるように承れる。こういうことは、これが実際行われたら用兵作戦に口が出せるというんです、国会が。こういうことは歴史の示すところいまだかつて成功したことがないんです。そうすると「最高」という意味も、自衛隊の指揮監督と書いてあるんです。この「最高」と、国権の、国政上の「最高」というのじゃ、国政の「最高」ならば、行政権——これは指揮監督は行政権と見てもいい、が、その上にあって、そうすると細部に至るまで用兵作戦にまで口が出せる、こういう意味ですか。ここのところは非常に重要な問題なんです。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 先ほども申し上げましたように、第四十一条の規定というものは、いま源田委員が御指摘になっている問題とは直接関係はないと思います。むしろ、後で申し上げました憲法第六十六条第三項の「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」、この規定と自衛隊法の関係であろうかと思います。この憲法六十六条の三項はその書いてありますとおり、行政権の行使については最終的に国会のコントロールのもとに内閣が従う、こういうことであろうと思います。ただ、個々の行政の細部にまで国会が一々指図をするかどうかというのは、これはおのずから立法府と行政府との関係においてそれぞれの法律の定めもございますし、また、それぞれ憲法の趣旨に従って両者の間の区分がされるべきものだと思います。ただいま指揮用兵の末々に至るまでという御趣旨であるとすれば、そのことについてまで国会が一つ一つ指図をするということを六十六条三項が許しているとは思いませんが、しかし、最終的な責任というものはやはり国会のコントロールのもとに行政が行われる、これが日本国憲法の姿でありまして、かつての旧憲法にありましたような、いわゆる統帥権の独立というようなことは現在の憲法の原理とは相入れないものであると思います。

源田実自由民主党

○源田実君 この問題はさほどわかりにくいとは思いません。思いませんが、こういうぐあいに理解していいですか。国会は、もちろん国権の最高機関である。しかし、その権力行使の内容においては、自衛隊の指揮官が実際の場合にやる作戦、用兵の内容にまで関与することはあり得ない。おまえの戦のやり方は悪い、あの兵力はこっちへ回せ、一々国会がやったら戦はできないですよ。防衛も何も成り立たない。そういうことはやらない。要するに戦をやるかやらないか、軍備の規模はどうするのか、編成はどうやるのか。こういう段階がシビリアンコントロールの限界である。内容を一々政治家あるいはいわゆるシビリアンがやれば、もう昔から失敗ばかり重ねておる。源為朝、大楠公、ちゃんと例があるんです、日本でもね。したがってそういうぐあいに理解していいですか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 御趣旨はよくわかりますが、単に自衛隊の行動に関する問題だけでなくて、行政全般について同じような問題があると思います。あくまで内閣は国会に対して責任を負う、国会のコントロールのもとに服して行政を行うわけでございますが、ふだんの行政の場合でも、どこまで国会が立法府としての節度を守っていただいて、行政府のいろいろな細かい問題にまでというようなことは常に問題になるわけでございます。しかし、あくまで最終的には国会のコントロールのもとに服するということを第一段に申し上げたいと思います。  それから次に、自衛隊の問題についてもそうでありますが、たとえば防衛出動というようなことは、これは国会の承認を受けなければできないというふうに現に自衛隊法に定めております。そういうことは、明らかに国会が自衛隊の行動について現実の具体的な法規においてもそれをコントロールしているわけであります。しかし、その部隊の一つ一つの細かい行動にまで国会なりあるいは総理大臣であっても、それぞれ言うべき場合と言うべからざる場合があるかと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、かつての統帥権の独立の名のもとにおいて、その軍の行動というものが政治的なシビリアンコントロールに服していなかったような、そういうことに対する強い反省というものが、憲法なりあるいは自衛隊法の考え方の根底にあるということだけは申し上げておきたいと思います。

源田実自由民主党

○源田実君 いまの問題は、まずそういうかっこうなら私も了解いたします。あんまり作戦、用兵の内容にちょいちょい入る傾向がある。これは言えないことがあるんですよ、どういう装備をやるとかいうようなもので。やったらすぐ裏をかかれる手が幾らもあります。この点は特に私は運用に当たって御注意を願いたい。  次に、わからないことがたくさんあるもので、今度はこれは防衛庁と総理大臣、防衛庁長官、大体そういうところですが、いままでずうっと当たってみますと、昨年の連合審査の場合もこういうことがあった。非核三原則の第三番目の持ち込ませない、これは事前協議の対象である。事前協議があったらノーと言いますと、こうあるんですね。そして有事はどうだとあると、これも総理のお答えは有事も同じであると。そうすると、相手が核攻撃なんかやった場合どうして核の防御をやるのかというときは、アメリカの核の傘にひとつお願いしたい、することになっておると、こういうお話なんですよ。これがどうしても私にはわからないんです。アメリカの核の傘に頼るとなればアメリカが核の傘をかぶせられるようなぐあいにこっちはやってやらなきゃいけない。それについて、何か防衛庁の方ではわれわれ素人が知らないようないい手があるのかどうか。相手は核を使ってやってくる。日本はない。アメリカは使うが持ち込んじゃいけない。領空を通ってもいけない。領海を通ってもいけない。そうするとどうやってやるのかね。これは新戦術があるのならそれをひとつちょっと、機密にわならない限りひとつ教えていただきたい。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(伊藤宗一郎君) 源田先生の御指摘の中にすでに私の答弁があるわけでございますけれども、改めて、これまた従来からの方針でございますけれども、次のように答弁をさしていただきたいと思います。  先生の御質問の御趣旨は、非核三原則を堅持することとアメリカの核抑止力に依存することとは矛盾するのではないかというような御趣旨であるとしますならば、アメリカの核抑止力は、米国の核兵器がわが国の防衛のために使用され得る可能性があるという事実自体に基づくものでございまして、このような米国の核抑止力が働く上で米国の核兵器が日本の領域内に存在している必要は必ずしもないと考えておるわけでございまして、非核三原則と米国の核抑止力への依存が矛盾しているということではないというふうに考えているわけでございます。いずれにしても、わが国としてはいかなる核の脅威に対しましても、米国の核抑止力に依存することによってわが国の平和と安全を確保することとしているものであるわけでございます。

源田実自由民主党

○源田実君 ここのところがよくわからないんですよ。これは、まあある侵略国は日本海側に一番可能性が多い。それが兵力を上げる。抵抗する。核を使う。アメリカはどうやって核を使えるのか。まさかアメリカ本土からICBMを撃ち込むことはできない。そんなものをソ連に撃ったらこれはアメリカが、局地戦争のためにアメリカのほとんどの国民が参るということなんです。第一撃だけで多い場合には九〇%参る、ソ連は六〇%ぐらいですね。そうすると、どうしても局地的なものは局地的なもので対応するだろうと私は考えるんですよ。しかし、局地的なもので対応するときにアメリカが持っておるのは、ともかく太平洋から巡航ミサイルみたいなものを撃って日本海側に出すことはできないんです。領空へ入るからこれはできない。そうすると、母艦から出た飛行機が行こうとも日本の上を飛ぶことはできない。どこから行くのかというと、東京湾の沖におったとしても、そこから発艦した飛行機がずうっと北に行って、津軽海峡か根室海峡か何かへ行って、それからずうっと佐渡ぐらいまで南下してこなきゃいけない。西を通ると、今度は対馬海峡へ行って、鹿児島湾の南へ行って、それからずうっと東京の真北まで来なきゃいけない。こういうことはやりません。それをやるぐらいならやめるんですよ。危なくて仕方がない。したがって、有事もしかりという答弁を総理がなされておりますが、これをそのまま有事に実行したら守れないということになると思うんですよ。ここのところはひとつ、私も非核三原則やめろとは言わない。これはやっぱりいまごろ核をどんどんつくったって、これは人間がまいるだけの話であって、あんなものは全部やめたらよろしい。なかなかやめないからどうして防ぐかということが問題なんです。しかし、局地的な核戦争はないとは絶対言えないですよ。そうすると、それに対しては日本の国民が侵されないようにこういうあらゆる手段を講ずる必要がある。それで、有事については特別考えていただきたい、こういうぐあいに考えておりますが、これをひとつ、総理の御見解というか、お考えをお聞きしたいと思うんです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 非核三原則は、国是とも言うべき全国民的なこれは重大なコンセンサスの上に立つ政策であると、こういうことでございまして、有事の際の問題につきましては、これも当時、佐藤内閣総理大臣が国会を通じて国民に明らかにいたしたところでございまして、私は、いまこの佐藤総理の国民にお約束をしたことを変える考えは持っておりません。

源田実自由民主党

○源田実君 これはいま総理に見解を変えると言っても実際上なかなかむずかしいと思います。しかし、私ははっきり予言しておきますが、あれでは防衛できないです。これは私ははっきり申し上げます。防衛できません。一切入れない。  次は今度、これは科学技術庁長官にお願いしたい。  私はこういう見解を持っておる。いまは昔と違って兵器の数ではない、人間の数ではない。昔の兵器をもっていまの新しいものに手も足も出ないですよ。対象国に対して十年の科学技術的なリードを持っておったら相手はもう手も足も出ない。ことに、その進歩速度が速い場合にはスパイを幾ら使っても役に立たないということがある。たとえばレーザー銃はいまのところまだ実用化はほとんどされていないけれども、アメリカの東海岸から西海岸の目標を撃って百発百中ですよ、レーザー銃なら。こういうものに対しては、いままでの兵器では問題にならないんですよ。ほかに幾らもあります。そうしてまた今後、例の代用エネルギーとしてソーラーエナージーのコレクターなんかがつくられるだろう。こういうものをどうやって防御するか。これは何としても科学技術が進歩していないともう全然手も足も出ないです。したがって、科学技術というものが防衛力に対しては最大の要素になってくる。この方にうんと力を入れたいと思うんですが、幸いにして非常に強力で押しの強い科学技術庁長官でございますから、ひとつこの点どういう御見解を持っておられるか。また、これに同意ならばうんと御推進を願いたい。これは長官にひとつ……。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 科学技術が経済なり暮らしなりにとってきわめて大事であるということはもう私から申し上げるまでもありません。また、防衛とか武器技術というようなものも世界的に非常に注目を浴びている。これはソビエトでもあるいはアメリカでも、武器技術ということについては最高の神経を使っているようでございます。これは抑止力からいっても非常に大きな意義を持つということで世界じゅうは注目を持っておるところですが、科学技術庁は科学技術なりエネルギーなり開発なり平和利用ということで進めておりまして、気持ちは理解できますが、できる仕組みにはなっておらない。こういうことで、せっかくではありますが、その方面に関心を持って研究を進めていく。気持ちはあってもやれない仕組みになっていることも事実上御理解いただきたいと存じます。

源田実自由民主党

○源田実君 気持ちがあるんなら、中川大臣ほどの人ですから、気持ちがあるんならどんどん実行に移してもらいたい。これは特にお願いしておきます。  それから、時間もすぐなくなりそうですから、ここでひとつ、今度はこの間の日航の事故ですが、これについて若干……。  現実にあの事故はいま警察関係において調査中であるから、その調査の内容に入ってどうのこうのということは私はいま申しません。しかし、あの事故の成り行きをずっと見ておって納得できないところがたくさんあります。これについて運輸省の御見解、それからまた運輸省の今後どうやるか。どうやれというようなことがこの間ちょっと勧告の形で出ております。こういうことについてお願いしたいと思うんです。  第一は、これをどう考えるか。あの機長、機長といえばあの機の最高の指揮官である、乗員よりまず乗客の安全というものが絶対なんです。軍用機ならば相当リスクを冒さぬと負けるからリスクを冒す。お客さんを乗せた旅客機がリスクを冒さなきゃやっていけない、こんなばかな話はないと思う。絶対事故があっちゃいけない。まず第一にお客さんの安全を考えなきゃならないのが、機長が、お客さんやまだ犠牲者が出ておる、始末もまだついてないとき飛行機を離れておる。こういうことは全く規律がなってないし、頭が狂っておったとしたら、そういう者を乗せた者が間違っておる。非常な重大な責任があると思うんです。この点について、運輸大臣、ひとつ御見解を申し述べ願いたい。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいまの源田委員のお考え、まさにそのとおりであると私も思っております。ただ、機長が——われわれも直接に運輸省当局としてあの事故以来機長に面接をすることができない状態でございますので、その当時の事態等については直接に聴取する機会がないのでございますが、ただ、新聞に報道されましたように、きわめて早く機を離れてそして収容されたという写真を見まして、実は非常に遺憾にたえないところでございます。  また、こうしたことのほかにも、日本航空の話によりますると、他の乗員は大変沈着に、冷静に、しかも最後まで遭難者の救護に当たって最終には非常口から脱出をしてきたという報告を受けておるのでございまして、こうしたいろいろな事態があの大事故を通じてわれわれも知るところになったわけでございます。もちろん航空機の安全第一であるということは、これは何物にもかえられないほど重要な社会的な責任であると思いまして、特に先週、日本航空に対して立入検査をいたしました結果について七項目、管理改善につきましての指示をいたしました。四月の十日までにはこれを具体化して運輸省に報告をするというようなことにいたしておりますが、重ねて日本航空のみならず、他の航空会社に対しましても、安全運航につきましては特段の注意と経営の全力を挙げての対応を強く求めるよう措置をいたしておるところでございます。

源田実自由民主党

○源田実君 ただいま運輸大臣が申されましたが、あの後、乗客のとった録音機によって、スチュワーデスが必死になって救助に当たっておる。涙が出るほどです。機長はもう出ておる。こういうことは日航の中の管理状況、下部の者は相当よく教育されておるが、機長あたりのところに、教育は行き届いておるかもしれないが、大事に非常な誤りがあった。殺されたようなかっこうになるんです、あの乗客は。あの時期はもうエンジンがほとんどとまって、あんなかっこうには絶対にならないです、正常な運転をやっておるならば。これはちょっと専門的になりますからこれ以上申し上げませんが、単に日航のみならず、他の航空会社においても、ある特殊な職域にある者が特権意識を持って、それがグループとして持っておる可能性があるんじゃないか。これは非常に恐ろしいことです。したがって今後、この間の日航に対する勧告のみならず、全民間航空について、ひとつ運輸省で厳密な調査、そして悪いところは一々その都度指示していただきたい。  そうして、もう一つここでちょっとお伺いしたいのは、あの前日の八日の飛行作業で東京湾の上空、あれは羽田を北に向かって上がって、ずうっとまた羽田のホーマーに帰ってくる間の途中は規則で決まっておるんです、ちゃんと。それ以外のことをやっちゃいけない。しかし、あそこで戦闘機がやるようなことをやっておるんですね。中におるお客さんに二Gというような物すごい、普通の人なら——われわれは別ですよ。——ならば血行の障害を起こすようなことをやっておる。それがだれもこれを報告する者がいない。管制官に聞いたら、どうも管制官の方ではわからぬそうですが、これは大変なことだと思うんです。何か間違いがあったらすぐ報告するのが、これは飛行機に乗る者の義務である。ああいうことがしょっちゅうあったら今後もこういう事故は絶えないと思いますが、こういうことに対する監査もひとつ十分にやっていただきたい、これをまたお願い申し上げる次第です。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいまの、羽田を前の晩に離陸いたしましてから後の異常な飛行というものは、フライトレコーダーによって事故直後にわれわれも知ったところでありますが、その後副操縦士には、運輸省航空局の者が会って聞いた時点では、機長大丈夫ですかと言ったら、もう大丈夫だという話があって、そしてまた、その後も福岡に着陸するまで正常であったのでこれを報告をしなかったというような話だったそうであります。この点につきましては、委員のお示しのとおり、われわれも、非常に重要なそうした事故に対する報告が上部にまで達しないというシステム、組織が悪いし、またその管理体制にも十分今後改善すべき点が多々あるというふうに考えまして、勧告の一つに加えてございます。

源田実自由民主党

○源田実君 実はいろんな、あの機長そのものがいままでどうも憂うつ症とか精神的障害があったようなことが、これは私が調べたわけじゃないけれども、新聞報道その他にあるわけなんです。それから、私は、航空医学専門のこれなかなか偉いお医者ですが、その人にも会っていろいろ聞いてみたんですが、ここが狂ったのは平生わからぬそうですね、ここは。それがあれほどの人間の生命を預かって飛んでおる。一遍でも疑いのできたような者は、これは人情は別にして、飛行機の操縦はやらせないように運輸省の方で厳重に処理していただきたい。人命の方がはるかに——問題にならないですよ、これは。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 源田君、時間が参りました。

源田実自由民主党

○源田実君 本人の職場はほかに幾らでも見つけてやることができる。失った生命を取り返すことは絶対にできないですよ。これを最後に運輸大臣に、お願いして、私の質問を終わります。(拍手)

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で源田実君の総括質疑は終了いたしました。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、片山甚市君の総括質疑を行います。片山君。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 わが国は二十一世紀を迎えて高齢化社会を迎えることになりました。そこで、多くの人々が長い人生を健康で心豊かに送るために政治は大きな役割りを果たさなきゃならないと思います。これについて総理大臣はどのような具体的な計画、政策をお持ちでありましょうか、まず冒頭に総理大臣からお聞かせを願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、わが国はかつて経験したことのないような急速な高齢化社会の到来を迎えておるわけでございます。私は、お年寄りが健康で生きがいのある老後生活を送るということが高齢化社会において一番大事なことであると考えておりますし、そういう環境と条件をつくるということに対しまして政府自体としても今後一層の力を入れて行政を進めていかなければならない、このように考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 今日、わが国の現実は自助努力という歯の浮くような政治スローガンで勤労国民に対しすべてその役割りを押しつけておるのでありますが、社会的な不公平や不正がはびこっておる現状にありましては特に福祉政策、社会保障の充実がまず第一課題だと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これからの高齢化社会における福祉の充実を図ります場合におきまして、本人個々の自助努力ということがまず必要でございますが、と同時に、家庭並びに社会全体もこれに協力をしていかなければならない、また公的な施策もこれを支えていかなければならないわけでございます。そういう意味で、老後における雇用の問題とそれから年金の問題、これを計画的、有機的に連結をして老後保障というものを充実をする、確保するということが大事だ、こう思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、六十五歳までは御承知のように労働する保証はございますが、六十五以上になりますとこれから免除されることになるわけです。ところが、七十五歳までおおむねわれわれは生きることになりますから七十五歳まで働ける者は働く場所を与える、こういうことについての施策はいかがでしょう。    〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕

初村滝一郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(初村滝一郎君) 私からかわって御答弁を申し上げます。  六十歳代になりますと人間はそれぞれ体力の差が出てくるんですね。したがって、健康な人はいいけれども、いろいろとそれに体力の弱い人もおりますから、これに応じた就業希望もまたいろいろあるわけです。そこで、特に六十歳代の後半になると生きがい的な就業を希望する高年齢者が多いわけなんです。社会に復帰してどうしても社会のためにやっていきたいなあという方もおるわけでございます。そういうことで、私どもとしてはシルバー人材センターの育成をやる、あるいはまた援助を行って、このような高齢者の就業希望に応じた補助的な短期的な仕事の提供に努めており、今後ともこの対策の推進を図っていきたい、こういうふうに考えております。  また、高齢者がフルタイム就業でなくてバート的な希望をする者もあるわけなんですから、そういう主要な地にパートバンク的なものをつくって、それを整備して働く場を与えるというのが一番いいのではなかろうか、かように考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 年金の保障、医療の保障について総理大臣からお言葉ありましたが、特に年寄りにつきましては生活体験や伝統技術などが受け継がれ、世代問に享有できる場所をつくってほしいと思うんです。老人の生きがいは社会の中に生きることによって初めて価値があるものと思います。  総理大臣、われわれ、高齢者に対して尊敬をする社会をつくるために大いに施策を進めなきゃならぬと思いますが、いかがでしょう。

初村滝一郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(初村滝一郎君) いま年金問題を含めて雇用政策をどうするかというようなお話がありましたが、この雇用政策と年金政策というものは、基本的には将来高年齢者に生活の不安を招かないようにすることが私は一番大事ではなかろうか。したがって、年金政策とこの雇用政策を有機的に連係を図ることが一番大事であると考えます。  そこで、私ども労働省といたしましては、今後の本格的な高齢化社会のもとにおいて、わが国経済社会の活力を維持発展させていくためには高齢者にふさわしい雇用あるいはまた就業機会を確保することが重要であり、このことはわが国の社会経済発展に最も寄与するものであると考えております。    〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕  そのために大体どういうふうな考え方があるかと申しますと、六十歳定年の一般化をなるたけ早く実現していきたい、さらに六十歳前半層、すなわち六十五歳までの方を私どもは特に重要に扱って、高年齢者雇用確保助成金というものをことしの一月一日から実施いたしましてそれぞれ雇い主に助成をして、それでその方々に対する援助をして雇用の延長のまあ制度化を図っていきたい、さらには、先ほども申し上げましたようにパートバンク、シルバー人材センターによるこの層の多様な就業意識に応じた就業機会を与えなければならない、そうして、さらに各種助成金の活用による高齢者の再就職の促進など、総合的に雇用対策を推進していくという考え方を持っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 年金問題は後日に譲りまして、本日は医療問題について特にお聞きをしてまいりたいと思います。  高齢化社会を目指すわが国が、財源難を理由に元年があって二年目がなかった福祉を見直すといい、一方、高負担を強いて医療産業の伸長ぶりを歯どめすることもできない政府が、恵まれない人に重点的に温かい手を差し伸べ、自助の精神を失わない、活力ある高齢化社会の実現に努力するということを言っていますが、それはどういう意味でありますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 片山委員から、高齢化社会に備えて老人の生きがいの問題、特にただいま医療問題が十分でないというようなお話でございました。  高齢化社会における国民生活の安定、これにつきましては個人の自助努力、これのみに当たるわけにいきませんし、やはり医療制度を完全にしていくということも私は大事であると思いますけれども、老人が病人であるという考えはまず改めるべきであるという基本的な考えを持っております。病気にはなりやすいけれども、必ずしも病人でないという観点に立ちまして、参議院でこれから御審議願う老人保健法では、できる限り早い機会に予防、それから治療も早くやる、そしてまた老後はリハビリ等によって社会に復帰していただく、いわゆる健やかに御老人は長生きをしていただきたい、こういう基本的な考えでこれからの厚生行政を進めてまいりたい。老後の安定のために医療、年金を通じて健やかに老いていただきたい、これが厚生省の方針でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、社会保障の中心であります年金や医療の具体的目標も、それを達成する中長期計画も明確に示されておりませんが、それはどういうことでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 今後の年金制度のあり方につきまして申し上げますと、本格的な高齢化社会を迎えます二十一世紀、これに入りまして制度が非常に健全。かつ安定的に機能できますように、長期的な視点に立って検討を進める必要がございます。そこで、厚生省といたしましては、次の財政再計算期間における制度改正は、今後の年金制度のあり方を方向づける上で重要な意義を持つものといたしたいと考えております。で、すでに関係審議会に検討をお願いし、さらに事務当局にも鋭意作業を進めさせておるところでございます。  年金の給付水準につきましては、従来からその改善に努めてまいりました結果、たとえば民間被用者を対象とした厚生年金では欧米先進国と比べても遜色のない水準に一応達しております。ただ、年金制度の歴史が非常に浅いために経過的な年金を受給している方も多く、今後ともその充実が望まれております。  一方、今後制度が成熟化いたしまして平均的な年金の加入期間が三十五年とか四十年になることが見込まれておりますが、その際の年金水準につきましては、これを支える現役労働者の方々の負担水準とのバランスの関連で慎重に検討する必要があると、このように存じております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 医療のことについてはお答えありませんが、これから質問する中で答えていただきたいと思います。  ただいま参議院で審議中の老人保健法案にしても、政府がその成立を目指す前に、まず、薬づけ、検査づけ等の医療費高騰の原因を厳しくただし、不正請求など一切なくし、医療費の適正化、むだの排除をなすべきだと思いますが、そのことについてはいかがでありますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 医療費の適正化の問題でございますが、人口構造の高齢化等により増加する医療費について、限られた医療資源を効率的に活用する観点から、その適正化を図ることは非常に重要な課題でございまして、そのためには指導、監査の強化、レセプト審査の充実、改善、薬価基準の適正化、検査の適正化、それから高額医療器具の共同利用の促進、また医療費通知の充実等を強力に推進しているところでございますし、最近の医療費の動向は適正化対策の浸透もございまして、従来に比べて落ちついた推移を示しております。今後とも、これらの対策を一層強力に推進することによりまして適正化に努めていくこととしております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 第九十三国会で、本院社会労働委員会における政管建保の改正について慎重審議をした結果、政府が早期実現を約束しましたところのいわゆる二十七項目のその後の経過はどうなっておるか、御報告願います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 御指摘の事項は、健康保険法改正審議のいわば集大成とも言えるものでございまして、あるいは医療保険制度にとってきわめて重大な課題であると考えております。  これにつきましては、たとえば昨年六月の医療費改定における薬剤検査部門の点数の適正化、薬価基準の改定等、その大部分の事項につきまして、答弁の趣旨に沿って実施しているところでございます。  確認事項につきましては、今後とも最大限の努力を払う所存でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは、確認事項の十五項目の老人保健制度における支払い方式の適正化について、今回出されている老人保健法の法案と大きく違っておるのはどういうことでしょうか。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 答弁予定政府委員は前の方に座っていてください。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 老人医療制度における診療報酬支払い制度の問題でございますけれども、老人保健法案におきましては老人保健審議会を設けて、そういった問題について御審議をいただくということにしておりましたけれども、昨年の臨時国会における衆議院の修正におきまして、そういった問題につきましては制度の実施に先立って中央社会保険医療協議会いわゆる中医協で御審議をいただくということにいたしているわけでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 答弁になっておらないです。  支払い方式については、いわゆる支払い方法を請負制度あるいは一括受託方法と変えるということを検討することになっておったけれども、それはどういうことになっておるか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) そういった問題につきましても、先ほど申し上げましたように、中医協において十分御検討、御審議をいただきたいというふうに思っているわけでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 納得できませんが、それでは昭和五十五年における政管健保の薬剤費あるいは検査費、それはそれぞれ幾らになっていますか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) お答えいたします。  昭和五十五年におきまする社会医療調査の結果は薬剤費が三八%強、検査料が一一%、こういうような率を占めておるわけでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 医療費の約五〇%が薬、検査ということでありますから、そのいわゆる適正化を図ることによって医療費は大きな影響を受けることになると思います。  そこで、薬価基準算定の改革についてお聞きしますが、薬価調査が昨年十一月に特別調査、本年一月に本調査が実施されましたが、次回の薬価基準改定は新しい薬価算定方式でやられるのかどうか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) お答えいたします。  御承知のように、いま中医協におきまして薬価の算定方式につきまして御審議、御検討を願っておるところでございます。その結論を待ちまして私ども薬価基準の算定方式を確立してまいりたい、決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。次回の薬価基準改定、この時期につきましては明確ではございませんけれども、できればそれに間に合わせて新しい薬価基準の算定方式でもってやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 中医協で審議中ということはよく知っていますが、現行の市場価格主義を改めるのか、加重平均方式や原価計算方式をとるのか、アローアンス方式を加味したものにするのか、厚生省の考え方はどうでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 薬価の算定方式につきましては、現在中医協で御審議いただいていることは先ほどの局長答弁と重複いたしますが、厚生省といたしましては中医協での十分な御審議の結果を踏まえて対処していく。いずれにいたしましても、薬価基準価格が実勢価格をよりよく反映するようなものにいたしたい、このように思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは薬価基準算定方式については、中医協で結論を早期に出すには厚生省がたたき台を出してほしい、あるいはある程度方向性が示されたら厚生省が具体的に諮問してほしいとか言われておりますが、厚生省はこのような御意見についてどう対応されますか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 中医協におきまして具体的な結論というものが出ます前に、私どもといたしましては中医協の御検討の結果というものを十分踏まえまして中医協にお諮りをしていきたいというふうに考えておるわけであります。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 厚生省は考えを持たないのですか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 私どもといたしましても、厚生省の考え方を詰めまして中医協の方に、私どもの考え方としてはこういうようなものであるというようなことで申し上げたいという気持ちを持っておるところであります。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 先ほどお話がありましたように、検査料は医療費の一一%で大体一年間に国民医療費十一兆九千六百億円とすると約一兆三千五百億円使ったそうであります。そこで、五十六年度の委託検査料の実態調査予算はわずかに百八十万円でありました。調査を実施する都道府県への補助はゼロであったけれども、調査の内容については信頼度が置けるのかどうか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 先生おっしゃっておられますように、すでに十二月につきまして、五十六年十二月の一ヵ月分の実績につきまして調査表を送付いたしまして、この記入を依頼したところでございます。具体的なペーパーといたしましてはこういうようなものを六百数十の各衛生検査所にお送りいたしまして、相当中身の細かい調査というものをお願いをしておるところでございます。現在その調査表の取りまとめをしておる、こういう状況でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 信頼性がおけるかどうかと言って聞きましたが、五十七年度はどうなりますか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 五十七年度におきましても調査をいたしたいと、このように考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 信頼性はおけますか。  そこで、高額医療機器の適正配置と医療法の改正でありますが、高額医療機器の規制について厚生省は許可制を排しましたが、利用状況を行政的に把握しながら、共同利用の推進を積極的に行うとしました。その結果、広域市町村圏単位に医療資源共同利用対策部会を設置して運営補助金を計上しておりますが、その設置状況はどういうことになっておりますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 設置状況につきましては、現在都道府県の会議等を通じましてできるだけ推進しているところでございますが、まだ全都道府県というわけにはまいっておりません。私どものただいま掌握しているのでは二十数カ所ということでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 ずいぶん高額医療機器の問題がもめたのでありますから、速やかに全都道府県ができるようにしてもらいたい。  そこで、高額医療機器の定義についてお伺いいたします。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 高額医療機器につきましては法令上の定義はございませんけれども、一般的にコンピューター断層撮影装置でありますとか血管連続撮影装置あるいは自動分析装置等、高度の診断治療機器で、高額のものを指すものというふうに理解いたしております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 医療資源共同利用対策のみで規制が万全と言えるのかどうか。医療機関の配置の実態や機能分化などに見合った適正配置をどうするのかについてお伺いします。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 高額医療機器につきまして、配置の適正を図るための法的規制というものを講じますことは大変むずかしいことだと考えておりますが、有効活用を図る観点から、重複投資にならないように共同利用を促進するということは大変重要なことであると考えておりまして、先ほどから先生お話しのとおり、医療資源共同利用対策部会等によりまして、できるだけ話し合いによってこれを推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 制度審に諮問されました医療法改正案要綱に言う都道府県医療計画の作成、これは医療圏、必要病床数その他医療圏における医療施設整備の目標などがありますが、高額医療機器乱用の規制要件とすれば、この改正案は今国会でどのように取り扱われることになりますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) ただいまも申し上げましたように、法的規制ということでは高額医療機器の規制ということは大変むずかしいことだと考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 日本医師会等も賛成をしないからでありましょうから。  いずれにしても、政府が約束したところの二十七項目の確認事項は他の質問との関係もございますけれども十分でありません。そういう意味で別の機会にただしたいと思いますが、総理としては今後医療についてどのような抜本対策をとられるか、決意を聞きたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来お話がございますように、総医療費は十三兆円にも上るというような大変な国民生活にとっても大きなウエートを持っております。そして、この中におきまして、薬剤費それから検査費というものが五〇%に近いものを占めておるというようなこういうあり方につきましても、私は、国民医療の合理化、改善を図る見地から再検討を加える必要があると、こう思っております。  またさらに、医療全体の面からいたしましても、地方の医療計画というものもわれわれは注目をいたしておるわけでございまして、地域住民に密着した医療制度というものを確立をするということ、これが今後の真の医療の確保の上から重要な課題であると、このように考えておるところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、先ほど二十七項目に関連する十全会、富士見病院の問題についても詳しくお聞きをすることができませんでしたが、これも氷山の一角だと思います。いろいろと厚生省はやったかもわかりませんが、結果的に医療法人によるずさんな病院経営が改まっておりません。あくどいもうけは別としても、最近の病院の倒産件数の推移とその原因はどうなっておるか、厚生省として分析をどうされたか、政府として御答弁願います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 医療機関に対しまして指導、監査を十分いたしまして、これについて対処いたしたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 倒産件数の推移、その原因はどういうことになっておるか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 病院の倒産につきましては、厚生省といたしまして的確には把握いたしておりませんが、東京商工リサーチ調べによりますと、病院の倒産件数は昭和五十六年で三十五件となっております。その原因につきましては、放漫経営あるいは過剰投資、患者数の減少等による等のことが指摘されておりますが、その詳細については承知いたしておりません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 昨年五月七日、日本経済新聞の報道によると、「倒産原因で最も多いのは、経営者が医業以外の事業に手を出して失敗するケース」と報じられておりますが、それが実態ではないのかと思いますが、いかがでしょう。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、放漫経営あるいは過剰投資、患者数の減少等ということが言われておりますけれども、その詳細、正確なことについては承知いたしておりません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 非常にふまじめな態度だと思います。これ以上言う必要はない。たとえば私が調査した東京都東村山の浩徳会都病院では、医療法人の理事会長が宗教法人の代表役員で、二十五万平米の墓地分譲を計画したり、医療法人と土建会社との間で資金面での融資をし合ったという疑惑がありますが、これは現行医療法に抵触しないのか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) ただいま先生が御指摘になりましたような事実については承知いたしておりません。しかし、医療法人の代表役員が宗教法人の代表役員を兼務することにつきましては、医療法上は格別の禁止規定はございません。しかし、医療法人の代表役員が他の法人の役員と兼務する等のために、医療法人の業務の適正な運営に重大な支障となっていることが明らかでございます場合には、適切な指導をいたしたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 けさの毎日新聞の報道でも都病院の不祥事件が取り上げられました。また、老人専門病院・宮城万年青病院に次ぐ事態とされているが、責任ある三行政当局として今日までメスを入れたことがあるのかどうか。いわゆる警察庁、国税庁、厚生省、そういうところで協議したことがあるかどうか、お伺いします。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 五十六年の四月と五月の二度にわたりまして、不渡りを出しました直後に立入調査を二回行っております。  また、三省庁の問題につきましては、これは個別の事件で行うものでございませんが、できる限り連絡をとるということになっているわけでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 都病院の借入残は現在どの程度と把握しているか。この程度の規模の病院の負債として病院経理上妥当なものかどうか。一部には高利の融資も受けているということだが、その実態把握と適切な指導はなされておるか。医療法人に対する財務調査を行うべきではないか。

山本純男厚生省医務局次長

○政府委員(山本純男君) 細かい点なんで次長でございます私から申し上げます。  いまの御質問多々ございまして、記憶が落ちましたらまた御指摘いただきたいんですが、病院の財務につきましては、都道府県知事が決算手続の中でこれを監督することになっておるわけでござますが、たまたまこの話題が大きくなりまして以降、決算書類不備のためにまた東京都ではきちんと調査が終わっておりません。私どもの方では、東京都と連絡をとりながら事態を早く解明するように持っていきたいと考えております。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) ただいま御指摘の病院の倒産につきまして、警察関係のあれは報道などではよく承知しておりますのでございますが、この件に関してまだ告訴、告発等被害申告を受理しておりませんので、また犯罪容疑が発生しておるという報告も受けておりません。しかしながら、もし倒産にまつわる犯罪があるといたしますならば適正に対処してまいる所存であります。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 事前に通告してありますが、非常に納得ができない答弁であります。  そこで、さきの東京都の調査で入院患者の預貯金三千二百万円のうち二千四百万円が無断で引き出されたままとのことでありますが、これは単に穴埋めをすればいいということでは済まされないと思いますが、これはどういうことでありましょうか。お伺いいたします。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) ただいまのお話は生活保護の入院患者に係る日用品費にも関連いたしておりますので、私からお答え申し上げたいと思います。  けさの新聞にも出ておりましたが、私どもの方では現在東京都を通じまして実態を調査いたしているところでございます。調査が判明次第御報告申し上げたいと思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 いつごろまでに判明するのかお答え願います。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 早急に調査いたしまして御報告申し上げたいと思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 すべてこの場逃れの返答しかしない。非常に不愉快です。  負債整理のため兵庫相互銀行が昨年五月東京地裁八王子支部に競売申し立てを行い、本年二月二十四日に評価書が提出されております。近々売却期日が指定される段階となると思います。このままでは三百名を超す患者を入れたまま病院が競売になり、社会問題化すると思います。なぜこのような事態に至るまで対応がなされなかったのか。早急に改善策を練り、患者と従業員の不安を解消してもらいたいと思いますが、どうでしょう。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 東京都と十分協議いたしまして指導いたしてまいりたいと思います。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 もう一度。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 東京都を十分指導して万全を期したいと思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 納得できないね。  従業員の給与の遅欠配もあり、転職者、離職者が出ておりまして、二類から三類の看護に落ちることになる。このままではいわゆる閉鎖という可能性もあるんですが、それについてどういうように把握しておられますか、実態を。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 倒産病院の問題につきましては、病院の経営はさることながら、入院しております患者の問題が一番実は大変でございまして、その点片山委員からも御指摘ございました。まず患者に不安を与えないようにすることが一番最大のこれは方法、また処置でございまして、この都病院初め全国的にそういうケースは実は間々ございます。そういう点につきましても、厚生省も関係諸機関ともよく連絡いたしまして、そういう悪徳病院または倒産による患者に対する迷惑をかけないように全力を挙げたいと思います。  詳細につきましては関係担当官より答弁させます。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 十分東京都と相談いたしまして指導いたしてまいります。

山本純男厚生省医務局次長

○政府委員(山本純男君) 患者の成り行きの問題について私からお答え申し上げたいと思いますが、この病院は御指摘のとおり銀行取引を停止された段階でございますが、病院の運営そのものはいまなお従来どおり続けられている状況でございます。これは通常の企業の破産と違うところがございますので、裁判所の対応もまだ囲っていない段階でございますが、私どもとしましては、やはり現に入院しておられる方々の健康の問題をまず第一義に考えますとともに、これだけの規模の病院でございますから、やはりこれを急に患者さんに他に移っていただくということもなかなかむずかしかろうと思いますので、でき得ることならば、この病院の中で従業員の方も活躍できるような状況で、この問題が円満に解決していくことが一番望ましいと考えておりますから、医療法人の指導監督は一義的には都道府県知事の責任ではございますが、私どもも御質問の趣旨を体しまして、十分監督、指導に遺憾のないように努めてまいりたいと思います。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは、緊急改正を必要とするのは、いま申されたように都道府県知事がいわゆる医療法人に対する立入検査、これに基づく必要な措置、役員の解任等ができるように改正を進めてもらいたいと思いますが、大臣いかがです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 問題は医療法の改正問題につながっていくわけでございますが、この地域医療計画の策定及び医療法人の指導、監督規定の整備を内容とするこの医療法の改正問題につきましては昨年来検討を進めておるところでございますが、今後関係方面との調整を進めまして、ぜひ国会に提出に向け努力をいたしたい。この医療法改正については、現在関係方面と意見調整を進めているところでございますが、いろいろ御意見もございます。私の方としては早く調整して早く出したいと、これが基本的な方針でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 地域医療計画と切り離してでも、いま申しました都道府県知事に対する医療法の改正を行って、立入検査ができるようにできないでしょうか。

山本純男厚生省医務局次長

○政府委員(山本純男君) ただいま大臣からも申し上げましたとおり、内容について検討の段階でございますが、先生の方からそれを切り離してという御意見でございまして、これはいままで初めて私伺いましたので、また私どもとしても御意見を十分検討させていただきたいと思います。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 ハンセン氏病の現状と対策はどうなっておるか、説明を願います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 非常に悲惨な病気でございまして、ハンセン氏病の患者は、五十六年度末で約九千三百人でございます。このうち約八千四百名が国立または私立のらい療養所で療養生活をしております。このハンセン氏病対策につきましては、患者の医療をらい療養所において行うほか、入所患者及びその家族に対する生活の援護や職業技術指導を初めとして、入所患者の社会復帰対策の推進を図り、さらにハンセン氏病に対する国民の正しい理解を深めるため啓蒙普及を行うなど、総合的な対策を実施しているところでございます、

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 国立療養所長島愛生園というのはどういう経歴を持つ施設ですか、経過を説明してください。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 長島愛生園は、昭和五年から都道府県の連合によりましてハンセン氏病患者の収容を目的として設立されたものでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 園の現状について御説明願います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 長島愛生園は現在千九十三床の入院定床を持っておりまして、その他養護学校を持った国立のらい療養所でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 長島愛生園は、昭和五年に発足して以来、今日千七百名の人がおられますが、今回公共事業として御承知のように長島架橋として二百十一万円予備調査費が加わっておるのでありますが、この長島架橋について、愛生園の入園者から切なる期待を持たれています。これについて今後どのように進められるか、まず説明してください。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 長島架橋につきましては、昭和五十七年度におきまして海洋気象等の環境調査を実施するための予備調査費が計上されたところでございます。長島架橋につきましては海上の架橋でございまして、十分な調査期間を要するものでありまして、五十八年度以降も継続して所要の調査を実施することにいたしております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 全然答えになっていませんが、私たちのところに手紙が来て、この人たちから、「五十年間、島流しされ生きてきました。たとえこの身は橋を渡れなくても、長島に橋がかかり、人間として社会に参加できるという事実だけで、私は安らかに死んで行けます。どうか命のある間に橋を架けて下さい」、これは三十メートルでありますから、瀬戸大橋に比べましたら一かけらもありません。総理大臣、このような人たち、千七百名おりますが、患者は千四十名ぐらいです。ぜひとも来年には本調査をやり、着工ができるように、総理大臣として温かい、恵まれない人のために、先ほどお話がありましたが、お答え願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 大変切実な問題でございますから、早速調査をお願いをいたしまして検討いたしたいと、こう思います。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 島内の橋は厚生省のものでありますけれども、取りつけ道路は府県でありますから、これについて自治大臣から御協力願えるかどうか御答弁願います。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 長島架橋につきまして調査費が二百十一万七千円計上されたと聞いておりまして、これに基づいて厚生省において架橋計画が立てられることになると思うのでございますが、取りつけ道路としての県道や市町村道の整備が行われる場合には、必要に応じて自治省関係の方で財政措置を検討したいと思っているところでございます。あとは総理大臣の御判断にお任せするわけでございます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 先ほど総理大臣からも前向きの御答弁いただきまして、所管大臣としてつけ加えさしていただきますが、長島愛生園につきましては、いわゆる「小島の春」という映画が昔ございまして、非常に感動的な映画をわれわれ覚えております。  橋の問題でございますが、できるだけ早くやれ、調査費は、これはついておりますけれども、潮流の関係とか、また海峡の幅は最短距離三十か四十メートルでございますが、橋をかけるとなればやはり取り合い道路の問題、また住宅、地元の本土側に施設の設備等がございまして、どういう形態の橋にするか、また長さもどの程度にするか、たとえばつり橋にするか、これから橋脚を立ててやるか、いろいろ非常にむずかしい技術的な問題も実はございまして、われわれも早急にかけたいと思いますけれども、やはり調査の段階から始めたい。それで早く完成するようにいたしたいと、このように思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは厚生大臣、現地に行って親しく患者の人たちとお話をしていただいて検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 実は長島愛生園の方々の陳情を受けまして、私も一度愛生園に参りましてお見舞いを申し上げますとともに、この橋の問題についても現地をよく見せていただきたい、こういうことも実は申し上げた経緯もございまして、ただいま片山議員からも発言がございましたことでもございますので、国会が終わりまして後に、ぜひ慰問をしたい、また見学もしたい、調査もしたいと、このように実は思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 もう一度総理に聞きますが、ぜひともこれは建設をしてほしいという意見について受けとめていただけますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 自治大臣、厚生大臣もいま申し上げたとおりでございまして、私も大変切実な問題であると、こう考えておりますので、前向きで検討いたします。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 大阪国際空港問題について質疑を行っていきたいと思います。  去る二月九日午前八時四十五分発生の日航機墜落事故の原因はどういうものか。先ほど源田委員からもお話がありましたが、冒頭犠牲者への弔意とともに日航の運航管理上の責任、運輸省の監督者としての立場から、それについての責任に対する御所見を賜りたいと思います。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  まず最初に、二十四名の犠牲になられた方々に心から御冥福を祈ります。また、こうした多くの負傷者の方々の一日も早い御全快を祈っておるわけでございますが、やはりこの問題につきまして、われわれは十五日から十九日までの間立入検査をいたしました。その結論につきましては、三月九日にわれわれの意見としまして日本航空に渡したわけでありますが、特に運航、健康管理等々七項目にわたりましての意見を申し述べ、これに対応して一カ月以内に日本航空としては今後二度と事故の起こらない体制を明確にするということを前提にしての回答を運輸省に提出する運びになっております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 事故の原因についてはまだわかりませんか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 事故原因につきましては、事故調査委員会におきまして現在克明な分析、その他の検討を続けておるところでございます。なお時間がかかるのはやむを得ないと考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 ホテル・ニュージャパンの火災も、人命軽視の経営者の責任が明らかになっておりますが、所管大臣の御所見を願います。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ホテル・ニュージャパンにおきましても、大変残念な事故が発生いたしましてまことに遺憾なことでございます。なお、このホテルが国際観光ホテルとして登録をされておりまして、恐らく皆さん安心して泊まられたのではないかということにつきまして、非常にわれわれとしては残念なことでございますが、この国際観光ホテルというものに指定いたしましたのは、国際観光ホテル整備法による登録でございまして、特に外客の接遇に適したホテルの整備を促進することを目的としたものでございます。しかし、今回のような防火、あるいは安全という基本的な問題につきましては、建築基準法あるいは消防法によって確保さるべきものであるという見解をわれわれはとっているわけでございます。しかしながら、ホテルあるいは旅館がサービスの面だけでなしに、旅客のあるいは宿泊者の安全ということに対して不備な点があるということが、消防庁あるいは消防当局あるいは建築当局によって明確に指示される場合には、われわれといたしましては登録を取り消すという制度をただいま検討をいたしているところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 三月八日未明の東京北区の連続放火でも、消防体制は大変だったと聞いております。現在、集中的な防災、救命救急能力、特に都心部においてはどの程度のものでございましょうか。

石見隆三消防庁長官

○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  東京消防庁におきましては、現在二百八十四の署に消防自動車五百三十四台を配備いたしておりますが、先般の連続放火事件のように、ある地点で火災が同時多発をいたしました場合には、出場いたしました隊をカバーいたしますために、他の署から応援体制をとるという方式をとっております。これにつきましては、東京消防庁におきまして応援出場計画というものを詳細定めておりまして、このような事態に対応できる体制を整えておるところであります。なお、救急業務につきましも、全く同じような応援体制をとりますために出場計画を定めております。  なお、全国の市町村の状況を見ました場合、五十五年四月一日現在で、九百六の消防本部におきまして、消防署が約四千三百であります。消防ポンプ車約七千台、救急車三千八百台を配備いたしておりますが、東京消防庁と同様な応援体制をとっておるところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 さて、大阪空港にもし二月九日のような事件があったならば、同じ時刻、同じ地点でそういう事故が発生したと仮定すると、被害状況はどのように想定されますか。絶対そういうことはないから検討したことはございませんか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 大阪空港の進入路につきまして、たとえば羽田の今回の事故は滑走路の端から約三百メートルというところでございまして、大阪空港に当てはめてみますと、あの辺は工場が散在するようなところでございます。しかしながら、事故は必ず三百メートルのところで起こるわけではございません。内陸空港につきまして、特に大阪空港のような人口稠密な空港におきましては、かなり大きな被害が発生するということは容易に想像されるところでございます。ただ、それがどのくらいの被害になるかということについては特に私どもとしては算定はいたしておりません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そうすると、警察、消防関係の機関ではこの種の大事故を想定した被害に対して、対策の準備はされておりますか。

石見隆三消防庁長官

○政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  消防機関の救急体制につきましては、御案内のとおり、一般的に通常発生するであろう事故を想定いたしまして、かつ当該地区あるいは市町村の人口を基準にいたしまして救急隊並びに救急車の配備を定めておるところでございます。  御指摘のような航空事故が発生いたしました場合、たとえば、大阪空港の例をお挙げになったわけでございますが、大阪空港の場合には、大阪国際空港事務所を中心といたしました航空機事故によります災害応急対策計画というものを定めておりまして、関係機関が協力して情報連絡や消防活動に当たるということにいたしております。この計画に基づきまして、さらに空港事務所、地元の伊丹市、池田市、豊中市と、この四者が大阪国際空港及びその周辺におきます消火救難活動に関する協定というものを結んでおります。さらにこの協定を受けまして、空港事務所、伊丹市消防本部、池田市消防本部及び豊中市消防本部がそれぞれの緊密な連絡のもとに救難救助活動を行うという覚書を締結しておるところでございます。  申し上げましたように、消防機関におきますこのような救急救助活動というのは一般の場合を想定をいたしておるわけでございますが、御指摘ございましたようないわば通常予測しがたい大規模な事故が起こりました場合には、いま申しましたような体制のほかに、消防組織法に基づきます都道府県知事が管下の市町村に対しまして必要な指示を行う権限を持っております。あるいはまた、さらに大規模になりました場合には、消防庁長官が都道府県知事に対しましても応援を求めるという権限を与えられておりますので、事態の実態に即しましてこのような規定を適用して、適切な対応をしてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 大阪府からこの二月に運輸省に対し、航空機の安全対策に関する要望が出されておりますが、具体的にどうおこたえをされましたか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 豊中市を初めといたしまして大阪空港の周辺市町村から安全対策についての御要望が出されたわけでございます。私どもといたしまして、大阪空港のみではもちろんございませんが、航空機の安全につきましては常に航空会社を強く指導、監督しておるところでございますが、そのほかに、航空の安全は空港の保安施設も重要な関係を持っております。私どもといたしまして、これは国が設置、管理する施設でございますので、私どもといたしましても特に大阪空港におきましては各種航空保安施設の一番最新のものを整備いたしておりまして、常にその保守には遺漏なきを期しておるところでございます。今後も十分努力をするということで各市町村に対してお話し申し上げておるところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 わが国の内陸型空港はいずれも問題はないのか、全く問題がないように安全なのかどうか。特に最近の週刊誌では、現役のパイロットが明確に欠陥を指摘しておるのを見るんですが、それはパイロットの誤りでしょうか、お答え願います。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 内陸型空港につきまして、もちろん適切な事故対策をとる必要がございます。特に最近の空港つくりにおきましては、これは安全だけではなくて、騒音対策という面も含めまして、新しく空港を整備いたします際には、海の方へ出るか、あるいは山を削って山の上につくるかというような傾向が顕著でございます。たとえば鹿児島空港あるいは秋田空港というようなものは山の方につくった例でございますし、また長崎空港、大分空港というのは海の方につくった適例でございます。そういうようなことで都市の周辺から離したところに空港をつくるというような傾向が強くなっております。私ども空港をつくります際には、当然のことながら十分な気象条件等の調査をいたしまして、航空の安全に支障のない個所、しかも都市を避けて、騒音なり安全なりの対策上も万全な個所を選んでおるつもりでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 内陸型空港の欠陥が今日、社会問題化しておるときでございますが、昨年十二月十六日の大阪国際空港公害補償の最高裁判決は、重要な意味を持つものと思います。大臣からそれについての所見を述べてください。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 先般の最高裁の判決は、きわめて空港に対しての行政責任が重要であるということが指摘されたというふうにわれわれは理解をいたしておるわけでございまして、そうした意味におきまして、今後の運営につきましても十分その点を配慮し、今後の空港の周辺に対する騒音対策にせよ、その他もろもろの公害問題については全力を挙げて対応していくという方針を心に決めておるところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 いま大臣がお答えになったのですが、総理、行政上の責任を厳しく問われているものではないかと思いますが、その責任をどう果たすのかということについて、欠陥空港を解消する責任をどう果たすかについて総理からもう一度明確にお答え願います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 周辺対策を十分にやってまいらなければならないということが第一点でございます。昭和五十六年度までに約五千億の資金を投入いたしまして、地元の騒音防止等に対する周辺対策、居住環境の確保等につきまして対策を講じてきたところでございますが、さらにこの発生源に対しましても十分な対策が私は必要である。大型低音の旅客機を導入するとか、いろいろの施策を講じておるわけでありますが、今後ともそういう対策を政府におきましても力を入れてやってまいりたいと、こう思っております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 最高裁判決の当日の環境庁長官談話の内容を再確認しておきたいのですが、いかがですか。

原文兵衛自由民主党環境庁長官

○国務大臣(原文兵衛君) 昨年十二月十六日の最高裁判決でございますが、この訴訟は御承知のように、夜間離着陸禁止を求める差しとめ請求と過去及び将来の損害賠償等が争点となって起こったわけでございます。判決では大阪国際空港における航空機騒音等による被害について原告が求めていた夜間離着陸禁止を認めなかったわけでございます。しかし、夜九時以降のダイヤが設定されていない、前から設定されていないという、この状況が空港周辺の住民の生活環境の改善に寄与しているという事実に照らしまして、今後とも引き続いてこのような夜間九時以降から翌朝七時までの夜間離着陸禁止の状況が維持されるように適切な主張がなさるべきであると考えるということを私の談話で申しておるわけでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 引き続き運輸大臣にも十二月十七日午前の原告・弁護団に対する約束を再確認したいと思いますが、いかがですか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) 原告の方々にお目にかかったときに、九時以後の飛行は当分やりませんということを明確に申し上げました。それから、さらに環境整備、ただいま総理からもお話ございましたが、大阪空港に関する限りは、今日まで二千六百億円、昨年で六百億円ですか、一日一億一千万も二千万もかかっているんです、どうかそれだけ努力をいたしておりますが、なかなか及ばないけれども、一生懸命やります。この二つをお約束いたしました。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 総理、御所見を。いまのことについて確認したいのですが、いまの意見について。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま運輸大臣、環境庁長官からもあの最高裁の判決に対処いたしまして、政府としての措置、これをお約束をするということを申し上げました。私からまた、基本的に騒音対策、発生源並びに周辺に対するところの対策を、費用を投入してもこれを十分やっていきたいということも先ほど申し上げたとおりでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そういたしますと、昭和四十九年の三月二十三日、運輸省の発表による三段階の減便対策として、御承知のエアバス導入について妥協案が出されました。昭和五十七年の一月十四日には、大防空港事務所における運輸省と原告団との交渉でも明らかにされたとおりでありますが、そのように理解してよろしゅうございますか。二百便。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 昨年の十二月十六日の判決当日とその翌日、私、原告団の皆さん方とお会いをいたしまして、その際に原告団の方からの要求四項目につきまして、一応お話を伺ったのでございますが、なおかつ時間が足りない、こういう御要請がありました。一月十四日にそれでは大阪で再度お会いしましょう、こういうことで一月十四日に私どもの係官が関西に参りまして、原告団との間でその四項目についてのお話し合いをいたしました。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そのときに、二百便の枠については、従来からのこの方針を堅持するということできておりますし、今後もそういう方向で臨んでいきたいと思っていますということには間違いありませんか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) その当時、一月十四日の会議で原告団の方々からは、二百便をさらに減らしてくれないかというお話が出たそうでございます。しかしながら、御承知のようにジェット機につきましては、かつて二百四十便ございましたものを段階を追って二百便まで減らしてきたという経緯もございまして、最近の需要がきわめて旺盛であるということから見ましても、これ以上の減便はむずかしいということをまず第一に申し上げました。しからば今後ふやすのかというお話に対しまして、私どもとしては、現在のYS11というようなプロペラ機があと何年もつかは別といたしまして、いずれはジェット機に代替される時期も来ようかと思いますけれども、当面の間、この二百便のジェット枠を変更するつもりはないということをお話し申し上げたということでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは、もう一度確認しますが、当分の間という前置詞がありますが、二百便の枠の中で運航する、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 先ほども申し上げましたように、YS11の後継機はまだ選定が終わっておりませんが、最近の技術の進歩によりまして、小型ジェット機の騒音値がきわめて小さくなっておりまして、YS11並みの航空機が現に開発中でございます。したがって、そういう航空機が開発されてきた暁にはどうなるかということは、これは地元と十分御相談をしてまいりたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 最高裁の判決では、大阪国際空港は欠陥空港として認知をしたのでありますから、本来、欠陥が克服されない限りは、極端に言えば使用中止か廃港ということが原則と思いますが、松井さん、どうですか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 最高裁の判決は、高裁の判定いたしました昭和五十年までの時点におきまして、国の空港の供用につきまして適法性がなかったということで賠償が命じられたわけでございます。しかしながら、私ども四十年代の後半から、先ほど総理、運輸大臣御答弁申し上げましたとおり、大変多額の金を投じて環境対策を進めてきております。現時点におきまして、過去に比べまして便数も落とし、また発生源対策も進め、かつ周辺対策も進めてきております。そういうことで、その時点の判断と現時点での判断はおのずから違いがあろうかと考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 改めてお聞きしますが、午後九時以降の離発着及び増便の意図を持っておらないことを明確にしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおり、午後九時以後にダイヤを設定する、あるいは現在八時台のダイヤを九時以降におくらせるということにつきましては、当面それをやるつもりはございません。これは原告団ともお話しいたしましたが、国際的にあるいは国内的にも実は非常に強い要請がございます。しかしながら、そういう要請を現在では抑えているわけでございますが、しかしながら、いつの日か情勢が変わることも考えられますので、未来永劫ということは申しかねますが、当分の間そういうダイヤの設定は考えておりませんし、また、その必要性が生じた場合には十分地元の方とお話し合いをしてまいりたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 大阪国際空港についての存廃は、新国際空港ができるまでの間に国が決めることになっておると思いますが、いかがでしょう。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) これは国と、また現地の調停を申請されました方の調停団との間で、五十五年の六月に調停が成立をいたしておりまして、国は大阪国際空港の存廃につきまして、関西国際空港の建設が決定された時点から可及的速やかに検討を行い、関西国際空港の開港時までにこれを決定すると、こういうお約束をしたわけでございます。その方針には変わりございません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、運輸省の鉄道監督局から岸知事に対して、大阪モノレールの特許手続の促進ということで、存廃問題についていわゆる諮問をしてきておりますが、いまの航空局との意見が違うのですが、なぜでしょう。

杉浦喬也運輸省鉄道監督局長

○政府委員(杉浦喬也君) お答えいたします。  モノレール建設の特許申請が昨年の三月に出されております。この申請をわれわれ当然審査をするわけでございますが、その申請の中身を見ますると、大阪の北の地区におきまして需要の増に対応するため、大阪空港と結ぶ路線という形で空港の存続を前提としたモノレール利用客、こういう見通しが立てられておるわけでございます。私どもといたしましては、これが全体の需要の二六%を占めるような大きな割合でございますので、こうした重要な要素につきまして、特許申請者でございます大阪高速鉄道株式会社に対しまして説明を求めたわけでございます。この会社は大阪府が五割以上の出資をしておる会社でございますので、その大阪府自体が地元の十一市に対しましてこの意見を求めた経緯がございます。これによりまして大阪府から私どもの方に、地域と共存共栄できる、こういうような空港であってほしいと念願しているというような回答がなされたわけでございます。私どもの方は、決してこれで空港の存続を決めつけたつもりは全然ございませんで、そうした心証が得られたという意味合いにおきまして、この事案を運輸審議会に諮問をし、審議を受け、答申を受けた次第でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 航空局の方は国が決めると言う。また鉄道監督局の方は特許のために気持ちを聞いたと言う。そういうことは納得できません。統一して答えてください。運輸省、どちらなんですか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) われわれは、大阪空港に関しましては、当然航空局長が申し上げましたとおり、新関西国際空港が着工された時点においてその存廃を決めるという、そのような方針は十分了知しておるわけでございますが、たまたまモノレールについてのそういう申請が出ました。私としましては大阪府知事にも申しましたし、関係の方々に申したのでありますが、大阪空港の存廃問題は、国が新関西国際空港が着工された時点において改めて考えるのであるから、そうしたことを前提にして、それまでの間というような意味であるということをよく了解して、そして計画をお考えなさいということを私から知事にも申したわけであります。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そうすると、鉄道監督局はどういうような感触を得たということになるんですか。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま鉄道監督局長から御報告申し上げましたとおり、大阪府知事から、周辺十一の各自治体の総意として、大阪空港と付近の地域の自治体並びに住民が共存できるような関係が望ましいと考えておるという回答があったと聞いております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 十一市協については、大変内部的な意見があって混乱をしたのです。それはなぜかと言うと、大阪府知事から伊丹の市長にあてて連絡はあったけれども、坂井知事の方にはなかった。そして大阪府と兵庫県の間に大きな亀裂がありました。そういうことで、この問題については、先ほどからお聞きをしておるように、航空局のお決めしたとおり、大阪国際空港の存廃については国が決める、もう一度確認したいと思います。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま委員が仰せられたようなことが恐らく地元では十分問題になると私は思ったので、先ほど申し上げたような形で、大阪府知事に対して十分に意見を調整してほしいということを申したわけでありますが、現在の大阪国際空港の存廃については、新関西国際空港が着工された時点において決めるということを十分含んでほしいということも申したわけでございまして、基本的な方針は変わっておりません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは、今日までの周辺対策費や第四次空港整備計画で十分であるのかどうか、実績や現状はどうか。先ほど若干お話がありましたが、まとめてお答え願いたいと思います。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 私どもの環境対策予算につきましては、先ほど総理からも御答弁ございましたとおりでございまして、特に五十年代からきわめて多額の資金を投入いたしております。特にその約六割が大阪空港に投入されているわけでございます。  その進捗の度合いでございますけれども、一番端的な対策といたしましての民家の防音工事について申し上げますと、現在のWECPNL八〇以内の公示されました区域内の助成対象世帯数が約五万世帯ございます。これに対しまして昭和五十六年度末——まだ終了いたしておりませんが、予定数まで含めました実施済み世帯数が三万七千世帯、比率にいたしまして七五%という進捗率でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 移転補償、二種、三種はどうなってますか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 二種、三種区域内の移転補償対象世帯は、まず区域内の全世帯が一万六千世帯ばかりございます。このうち移転志向率と申しますか、移転を望まれる方の率を乗じました対象世帯が四千九百世帯ということでございまして、五十五年度までの移転補償実績で申しますと二千九百四十五世帯が移転をされまして、実施率は六〇%ということに相なっております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 移転をした跡地は虫食い状態で人間の町らしい姿がございませんが、こういうような状態で放置をされますか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 御指摘のように、移転補償が一斉に進まないためにあちこちで移転補償の跡地がいわば先生の御指摘のように虫食い状態というような状態が見られるのは事実でございます。早くこれをできるだけ取りまとめをいたしまして、いわば周辺の町づくりという形で、緩衝緑地の造成なりあるいはその他のスポーツ施設、公園施設等々をつくるというような形での整備を進めてまいりたいということで努力をしているわけでございます。残念ながらまだ十分な成果を上げるに至っておりません。それは事実として認めざるを得ませんが、私どもといたしましては、周辺市町村とも協力をいたしまして、また周辺住民ともかなり細かいお話し合いを進めさせていただいております。今後でき得る限りの努力をいたしまして周辺地区の整備を推進してまいりたいと考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 エアバス導入に当たって、昭和五十二年の四月ですが、運輸省の覚書では、激甚地区の町づくりは早急に地区計画を確定するとあったが、どうなっていますか。もうあれから五年が経過しますが、「早急に」と書いてあるのですが、どの程度のスパンが早急なんでしょうか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 御指摘のように、昭和五十二年に大阪国際空港周辺整備計画調査委員会というものを設けまして、将来的な土地利用の方向、あるいはそれを実現する手法の検討を重ねてまいりました。昨年、昭和五十六年四月三十日に今後の取り組みの基本的方向を大綱という形で取りまとめをいたしました。  今後の整備の進め方といたしまして、地区整備計画についてさらに地区の方々の意見の集約を図る必要がございます。そうして条件の整ったところから、できるところから逐次事業化に取り組むということで進めておりまして、とりあえず昭和五十六年度におきまして、ことしの予算でございますが、大阪府側の第三種区域を対象といたしまして建物の現況あるいは権利関係の把握並びに緑地の施設配置計画についての調査を行っておるわけでございます。今後そういうような形で計画の進みましたものから逐次地元公共団体と具体的な段取りを相談しながら進めていきたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 航空機騒音障害防止法による規制の不十分さも指摘されましたけれども、昭和四十九年三月本法成立に当たっての参議院運輸委員会における附帯決議による立法強化、これはどういうことになっておりますか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この周辺地区の整備につきましては、計画の煮詰まりましたものからでき得る限り現行制度を活用し、あるいはそれらを組み合わせることによって実施することが現実的であるという判断に立っておりまして、現在新規の立法ないし法改正については、現段階では直接作業に入るというような状況ではございません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 参議院運輸委員会における附帯決議については、これが実行してきたというように理解してよろしゅうございますか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 私ども法律の問題につきましていろいろ検討をいたしておりますが、なかなかこれはむずかしい問題を多々含んでおりまして、先ほども申し上げましたとおり、法改正によるよりも現行制度の活用ないし組み合わせによることがより現実的であるという判断をいたしておる次第でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、WECPNLでございますが、騒音防止の重要なファクターであります環境基準について、運輸省は昨年六月に、現状では昭和五十八年の約束のときには基準達成は無理ではないかという発言をしておりますが、運輸省と環境庁にそのことについての説明を求めます。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) お尋ねは大阪空港についてかと思いますが……

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そのとおり。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 私ども環境基準につきまして、大阪国際空港につきましては、御承知のとおり、福岡等とともに他の空港に比べまして非常に人家が稠密でございまして、かつその数も多いということから、環境基準の達成期限は一般の空港の五十八年十二月と違いまして、大阪国際空港につきましては同年を越えて可及的速やかにと、こういうことで定められておるわけでございます。私ども五十八年度までにWECPNL八〇までの区域についての対策は完了させる予定で現在作業を進めておりますが、七五までの区域についての対策を五十八年度までに全部終了するということは私ども大変困難だと考えておる次第でございます。したがって、越えてできる限り速やかにということで私どもその完成を期してまいりたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 環境庁。

原文兵衛自由民主党環境庁長官

○国務大臣(原文兵衛君) ただいま運輸省の方からお答えがありましたように、来年十二月に航空機騒音に係る環境基準の中間改善目標の達成期限が来るわけでございます。環境庁といたしましては、運輸省においていま鋭意努力されているところでございまして、この中間目標が達成されますようにわれわれといたしましても運輸省の方にいろいろと働きかけてまいりたいと、こういうふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは運輸大臣にお聞きしますが、環境基準が達成が無理ということならば、先ほどの含みのある増便の問題や欠陥空港の存置の問題についてはこれを画策することはできない。これは何よりも環境基準の達成を最優先度にしてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり空港周辺に住む方々の日常の生活の状態を知るならば当然これは大きな問題でございますし、全力を挙げて環境基準の整備に到達するよう努力をいたすつもりでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、大阪国際空港周辺整備機構がございますが、この機構はどのような働きをしておるのか。緊急で大規模な事業を遂行するために十分機能を発揮しているかどうかについて説明を願います。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 大阪国際空港周辺整備機構は昭和四十九年に設立をされまして以来、昭和五十五年度、昨年度までの事業実績といたしまして、固有事業といたしまして十一ヘクタールの再開発事業、十八ヘクタールの代替地の造成、また二百五十一戸の共同住宅建設等に三百三十七億円を投入して事業をいたしました。また、それ以上に重要な事業といたしまして国からの受託事業がございまして、先ほどお尋ねのございました移転補償あるいは民家防音工事等につきましてもこの大阪国際空港周辺整備機構が果たす役割りはきわめて大きいわけでございまして、特に民家の防音工事につきましては八百九十一億円を投じ、これまでの事業費総額千九百十一億円というようなことで事業の実施に当たっておるわけでございます。五十六年度にはさらに五百六十二億円を計上いたしまして、その執行に鋭意努力をしておるところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 特に環境整備などには建設省その他の関連各省挙げての機能充実が図られるべきだと思いますが、それは縦割り行政で、行われておらないように思います。環境整備については建設、運輸両省間に覚書などはないのか。ない程度のものであれば大変でありますから、つくってもらいたい。総理の積極的な対応策を望みますから、まず小坂運輸大臣からお答え願いたい。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) 御指摘のように、空港の周辺整備事業につきましては、空港サイドの騒音対策事業とまた自治体サイドのいわば都市計画その他の事業とのちょうど接点になるような部分でございまして、御指摘のとおり、運輸省だけではできかねる面が多々あるわけでございまして、建設省のみならず自治省とも十分協力、御相談をして進めていかなければならない分野だと考えておりまして、従来から両省には大変御協力を願っておるところでございまして、今後とも一層両省の御協力を得ながら仕事を進めていきたいというふうに考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 覚書はないのでしょうか。各省間にわたるときにはお互いに協力するための覚書が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

松井和治運輸省航空局長

○政府委員(松井和治君) お答えいたします。  特に覚書というものはつくっておりませんが、私ども、大阪空港の周辺対策事業につきましては、両省に絶えず密接に連絡をとりながら事業を進めておるということでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 先ほど虫食いの跡地があるという、これを直すためにはどうしても建設省の御協力、自治省の御協力を得なければ、運輸省を主体とした環境整備機構ではできない。そういうことで、建設省、自治省からいまの話についての確認をしてもらいたい、覚書がなくてもやるのか、やらないのか。

加瀬正蔵建設省都市局長

○政府委員(加瀬正蔵君) 建設省からまずお答えいたします。  建設省と運輸省とが協力して事業の推進を図るという意味の覚書は現在ございませんが、具体的な整備計画の策定等につきまして十分調整を図ってまいりたいと存じております。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 関西空港の周辺整備機構に立ちまして万全の策を講じてまいりたく存じております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 総理、いまのようなお話でございますが、特に最高裁判決で大阪国際空港は瑕疵がある、いわゆる管理運営上についてもこれは欠陥空港だと言われましたから、それについては行政の責任で、先ほどのお話のとおり、一日ジェット機二百便枠の中、九時以降はいままでどおり飛ばさないで済む。環境整備についてはしっかりこれを進めていく。お金も出しておるのでありますが、各省庁間の協力がなければ、やはり建設、自治、運輸、この三位一体がなければできませんので、総理からこれについて、大阪関係百五十万ほど見ておりますからひとつ御答弁を賜りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 大阪空港の問題につきまして、最高裁の判決を受けて、政府の関係機関としては、先ほど来御答弁を申し上げておりますように前向きに取り組んでおるわけでございます。  なお、各省庁関連の仕事につきましてなお横の緊密な連携をとる面につきましては、今後関係当局で十分連絡、話し合いをいたしまして効率的に進むようにいたしたい、こう考えております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 それでは、政府関係特殊法人労働組合協議会にかかわることについて労働大臣に御質問を申し上げたいと思います。  三月八日、政労協傘下二十八単組が中労委に紛争解決のためのあっせん申請を行っていますが、その事実を承知しておられますか。その内容はどういうものでございましょうか。

吉本実労働省労政局長

○政府委員(吉本実君) お答え申し上げます。  政労協加盟の三十の組合及び本州四国連絡橋公団労働組合は政労協と連名で三月の八日と三月の十日、それから本日、中央労働委員会に対しまして先生おっしゃるようなあっせん申請を行いましたが、内容といたしましては、一つは、五十六年度夏期一時金協定に基づき新ベースによる差額支給を行うこと、また、夏期一時金の遡及問題を切り離し五十六年度賃金の差額支給を行うこと、そういったようなことを内容とするあっせん申請を行ったところでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 過去の例として一九六九年及び七〇年使用者側法人があっせんに応じられなかったが、政府関係機関の紛争について政府はただ傍観をしているということでありましょうか。これは円満に解決する方法についてのあっせんをすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

吉本実労働省労政局長

○政府委員(吉本実君) 労使紛争は早期かつ円満に解決されることが望ましいことは言うまでもございません。ただいま特殊法人の職員の問題についていろいろ出ておりますが、現在中労委にあっせん申請が出されているわけでございますので、それを見守りたいと存じます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 中労委のあっせんが実るよう政府として最大限の努力をするというお話でしょうか。

吉本実労働省労政局長

○政府委員(吉本実君) 中労委に申請が出されておりますので、政府といたしましてはとかくの見解を申し上げることは差し控えたいと思います。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 これは政府関係機関でありますから、政府が協力するのは当然じゃないでしょうか。

吉本実労働省労政局長

○政府委員(吉本実君) やはりこういった法人の皆さんのところの労使関係というものが中央労働委員会にその紛争が出ているわけでございますから、その中立的な中央労働委員会の処置にお任せしたい、こういうことでございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 納得できませんがこれは水かけ論争になりますからこのぐらいにとどめまして、まず、日米通信技術交流と相互市場開放について郵政大臣にお伺いします。  アメリカ議会で取り上げられている通信法の改正案はどんなものでありますか。

守住有信郵政省電気通信政策局長

○政府委員(守住有信君) 御説明申し上げます。  先生の御指摘は、米国の通信法、昨年十月上院を通過いたしましていま下院で御審議中というふうに聞いておるわけでございますが、その内容につきましては、その通信法の目的それ自体がいろいろ今後の技術革新あるいは競争の導入等々に従いましての目的の変更がございますが、特に私どもとして関心を持っておりますのは、この法案の審議の過程におきまして、電気通信機器の輸出輸入につきまして相互主義的な条項が追加されたわけでございます。したがいまして、その運用いかんでは保護貿易的な動きに利用されるのじゃないか、こういうことの可能性も考えられますので、私ども郵政省といたしましては、外務省あるいは通産省とも御相談いたしまして、やはり自由貿易を擁護するガットの基本理念だとかわが国の国内におきます電気通信の自営市場、技術基準にさえ合致すればこれはオープンにいたしております。さらにはまた電電公社の大来・アスキュー会談におきます合意の内容の線に照らしまして機会あるごとに懸念を表明しておる、こういうことでございまして、内容的にはいわゆる電気通信全体の通信法の改正の問題とあわせて、追加されました相互主義的な条項の問題、この二つの面でとらえておる次第でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、公社の資材調達、門戸開放の問題で議論がありまして、その後開放されたのですが、外国企業の参入の状況とアメリカ側の反応はその後どうでしょうか。先日来電電公社に大変評価のいいアメリカの点数が出ておったようでありますが、説明してください。

守住有信郵政省電気通信政策局長

○政府委員(守住有信君) 先生御承知のとおり、日米間の電電公社に関します資材調達の問題、五十五年の十二月の大来、アスキュー両代表の往復書簡によりまして交渉の妥結を見たところでございまして、御承知の三段階方式によるということで内外企業に対して無差別かつ競争的な手続によりまして平等な参加の機会を与えるということになったわけでございます。  これに対しまして、公社内部も新しいこのルールに従いました調達手続を決めまして日米両方で説明会を開くというふうなことでやっておるわけでございますが、まだ内容的に見ますと時間もございませんので、それほど外国の企業の具体的な参入というのは部分的にしか見えてないわけでございまして、特に共同研究開発の分野、日米間の電気通信の先端分野につきまして、アメリカにもっと広く呼びかけていこうというふうな電電公社総裁の御判断で、来週早々にも調査団を派遣いたしまして、ITTとか、その他アメリカのベル研とか、そういう主要な先端技術、総合能力を持ったところを訪問いたしまして、いろんな技術レベルやまたこういう呼びかけもやっていこう、こういう状況に相なっております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 ところで、現在わが国ではデータ通信回線の利用を自由化する方向でその施策が進められてきておりますが、わが国に比べはるかに自由な通信回線利用制度と称しているアメリカから、アメリカ並みの回線の自由化、データバンクを含めVANの通信が求められているということでありますが、それはどういう意味を持つのか、その内容は今後どういうように発展していくのか、そして郵政省はそれに対する対策としてどうなのか、まず郵政省にお伺いします。

守住有信郵政省電気通信政策局長

○政府委員(守住有信君) 先生御指摘のように、アメリカにおいては非常に通信政策自由競争という基本的な歴史になっておりますし、電話につきましても電信につきましても、その基本サービスそのものがベルという民間人の発明によります歴史の中で民営、自由競争、こういう流れになっておるわけでございます。わが国といたしましては、今回この高度通信と申しますか、特にその中での情報処理のためのデータ通信回線利用につきましては、外国系企業につきましてもわが国の国内企業と全く同じ条件で回線利用が行えることになっておりますし、今回のいわゆるデータ通信の自由化につきましては、このような情報処理のためのデータ通信回線利用制限の大幅な緩和、いわゆる自由化と申しますか、を進めていこう、このように考えておるわけでございますが、この分野について外国企業について制限を課すということは考えておりません。しかし、いま政府部内の調整がつきませんで、検討を継続することになっておりますVANと申しますか、付加価値通信、いわゆる新しい高度通信サービスにつきましては、先進主要国でもこれと同様のサービスを外国系の企業の参入を認めておる国はないわけでございますし、外国企業における通信支配の可能性と申しますか、国の通信主権の問題ともかかわってくる面につきましては、重大な問題でございますので、わが国におきましても慎重な対応が必要である、このように考えておる次第でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 対米軍事技術の協力と光通信の問題について若干伺って終わります。  政府は対米軍事技術供与について踏み切ったと言われていますが、そのとおりですか。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○政府委員(中澤忠義君) 現在各省間で検討中でございます。したがいまして踏み切ったわけではございません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そのことはアメリカの核抑止力、核均衡、核の傘というものを受けて、日本の国が防衛されておるということで、先端技術を貢がなければならなくなっておる、軍事的にですよ、こういうことでしょうか。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○政府委員(中澤忠義君) 軍事技術の協力につきましては、アメリカ側から技術の供与あるいは提供を一方的ではなく、相互に交流するという要請を受けて検討を開始しておるものでございまして、核の問題とは関係がないと承知しております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 総理は非核三原則堅持を再三言明されておりますし、特に昨日は、わが国を非核武装地帯と位置づけておられました。それならば、日米安保条約のもとでの核の傘の安全保障は一体どの地域を指すのか、いわゆるどこから核の傘を差しておるのか、どこに傘があるのか、御説明を願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、アメリカの核戦力、これが一つの大きな戦争に対する抑止力になっておる、このように理解をいたしておるわけでございます。したがって、わが国は日米安保条約をアメリカとの間に結んでおりますし、この立場から、日本の防衛に対して、核の面についてはアメリカの抑止力というものが大きく作用しておる、機能しておる、このように受けとめております。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 総理から御答弁がありましたが、私は、今日の貿易、とりわけ対米輸出についての質的変化や、政府が安保条約に伴う同盟国としての双務性を重視して、武器輸出三原則を空文化しようとすることについては、非常に大きな危機感を感じて、反対であります。特に、衆議院予算委員会審議を通じて明らかになっておるとおり、武器でも何でも理屈をつけて売り込みたいという商社の手先になって、貿易摩擦の火種をつくり、一方で内需を冷え込ませ、食糧、エネルギーなど命の糧をすべて外国に、とりわけアメリカに依存した政策をとり続けていることが、わが国をして将来、死の商人、武器輸出国になるのではないか、外国からそういうレッテルを張られるんじゃないかと心配するのでありますが、それについての総理の御所見を賜りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 武器輸出禁止の三原則、また政府の基本的な方針というものを私どもは堅持いたしております。また、武器の技術の面につきましてもそれに準じた方針をとっておるわけでございますが、アメリカとの間には御承知のように日米安保条約、あるいは防衛援助協定、関連取り決め、いろいろ日米関係は特別な関係にございます。そういうような観点から、この武器輸出禁止の問題、技術交流の問題等につきましても、原則をはっきりと守っておる中において、日米の関係はそういう特殊な状況からどうあるべきかということにつきまして、いま関係省庁の間で慎重な検討を行っておるという段階でございまして、まだ結論を出しておりません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 そこで、近ごろ先端技術としてもてはやされていますレーザーについて、これはどんなものか、応用分野にはどんなものがあるのか、科学技術庁にお尋ねをしたいと思います。

加藤泰丸科学技術庁研究調整局長

○政府委員(加藤泰丸君) お答え申します。  レーザーは、簡単に申し上げれば、波長と位相がそろった、純粋な光とも言うべきものでございまして、光が広がらず遠くまで届くといったような性質を持っているものでございます。このような性質を利用いたしまして、ただいまでは、きわめて精密な測定あるいは加工、あるいは光通信といったような分野におきましてすでに一部使われておりますし、また、プラズマの発生であるとか、あるいは同位体元素の濃縮であるとか、そういったような分野におきましてもこのレーザーを利用する研究が一部進められておるというような状況でございます。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 いま御説明があったように、その汎用性、幅の広さは社会生活の一部に不可欠なものとなりつつありますが、過去には殺人光線とも言われたものです。先端技術が社会生活に有用なものになるかどうかは使い方次第であることは言うまでもありませんけれども、このことについて、総理、御所見を承りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の科学技術の水準も、国際的にも非常に高い水準に相なってきております。しかし私は、先ほども科学技術庁長官から御答弁を申し上げましたとおり、これらの科学技術というのは平和的な利用、人類の福祉の向上に資するような分野においてこれを最高度に活用されるべきものであって、これを日本が武器の面に導入をして、そして外国にこれを輸出をするとか、そういうようなことは考えておりません。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 この際、総理が日ごろ発言をされておることについて確認をしてまいりたいと思うのですが、総理は平和主義に徹し切られておるというお話でございまして、そのことについて非常に力を入れてお話をされております。  そこで、まず軍事費、防衛費についてはGNP一%以内で当分——当分というかやっていくということについては間違いないかが一つ。二つ目には、海外派兵をするような、軍隊を出すような大それた、外国に行こうじゃないかという、先ほどもお話がありましたね、先ほど源田元帥から。そういうようなことを考えてないか。それから、いわゆる非核三原則をきちんと守って日本の国の国是を守っていく。武器輸出三原則についてはこれを強化をする、こういうような形で、内容的には日本の国が平和国家として世界から尊敬をから得るように努力をしたいという……

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 片山君、時間が参りました。

片山甚市日本社会党

○片山甚市君 主観的なことだと理解をしてよろしゅうございましょうか。御答弁を願います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で片山甚市君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、下条進一郎君の総括質疑を行います。下条君。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 最初に、日本の経済運営に関する重要な影響を与える問題として、貿易摩擦を含む国際問題についてお尋ねいたします。  貿易摩擦に取り組む政府の姿勢は高く評価されておりますが、そのような努力が諸外国において正しく評価されているかどうかが問題であります。伝え聞くところによりますと、アメリカの議会筋には、どうせ日本は要求してもタイミングがおくれ、要求の半分も実現しないのだから、大きめの要求をすべきであるとのグラフをかける暴論すらあるのでございます。私が数年間アメリカに駐在した経験から申しましても、日本人は風俗、文化、言語、表現方法等が著しく異なるため、誤解を受けやすく損をする傾向があります。政府の決断による関税引き下げの前倒しにいたしましても、また非関税障壁の改善にいたしましても、それが相手国に正当に評価されることがないのが間間あるのは残念でございます。そのようなことの底流には、やはりただいま御説明いたしましたような誤解とか理解しにくい面、そういったものの累積があるように存ぜられるのであります。  さて、一昨日終わりました日米貿易小委員会は、そこにおいてわが国残存輸入制限の撤廃等について米側からかなり強い要望が出たやに聞いております。この会議の内容について、御関係の外務大臣、通産大臣並びに農林水産大臣からその詳細の御報告をまずお願いしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 経済摩擦につきまして、御承知のような政府としては大変な努力をしておるわけであります。そして御指摘のようなアメリカ側の理解が乏しいとかあるいは誤解があるのではないかというようなことから、これらのことにつきましてはできる限りの広報活動をするように省内に新しい機関を設けまして、現在アメリカにおける総領事館、名誉総領事館、そういうものを動員して、日本側のとった措置を浸透させるよう努力をしております。なお江崎ミッションが参りまして、その江崎ミッションの御努力は次第に浸透してきておると思うのであります。今回の日米貿易小委員会におきましても、これらの点を相手側は評価しておりました。またいろいろの問題点につきましても、たとえば残存制限品目につきましては作業部会に移して検討をするとか、あるいは米側の大きな関心事であったオレンジあるいは肉、そういうものについては十月からよく相談しようというようなことで、双方で相当腹蔵のない意見交換をいたしておりますので、関係省庁間でこれらの問題についての結論あるいは対策、そういうものが次第に出てくるものと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま外務大臣から答弁いたしましたように、二日間にわたる小委員会におきましては日米間の問題——関税問題あるいはまた残存制限品目の問題、サービス貿易の問題、非関税障壁等個別問題も含めて全体的に活発な論議が行われたわけでありまして、アメリカ側も市場開放について強い主張が述べられ、わが国からはアメリカ側の事実誤認等についてもこれに対して反論も行われました。総体的にはいまのお話のように、私は日米間の相互理解が相当進んだんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、しかしこれでもって日米間の貿易摩擦が終わったわけではございませんで、これからが私は問題であると、こういうふうに認識をしております。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 対外経済問題については、すでに昨年の暮れ、対外経済閣僚会議で五項目にわたる対外経済対策を決めまして、それにのっとって随時作業を進めてきているわけでございます。農林水産省関係にとって非常に厳しい条件でございましたけれども、さきに関税率の前倒しをやり、あるいはまた輸入検査手続の緩和等をしてまいりまして、わが国の農林水産行政の現状あるいはまた輸入拡大に対する私たちの考え方等をアメリカあるいはECに政府の機関を通じて、あるいはまた議員外交を通じて、これまでずっと進めてきているわけでございます。そういう折に九日、十日に日米の貿易小委員会が開かれたわけでございまして、いま外務大臣あるいは通産大臣から御報告がありましたように、双方から活発な意見が交わされたのでございます。アメリカ側としても農産物の市場開放というものを非常に強く要請してございました。わが方としてはやはり残存輸入品目二十二品目についてはこれは限界であるから、これ以上はどうしても無理でございますよという旨を強く要請をいたしてまいりました。しこうして、これからの日程等につきまして、いま外務大臣からお話がありましたが、御承知のように東京ラウンドでIQ、いわゆる牛肉、オレンジについては一九八三年まで合意されているわけでございまして、一九八四年以降の問題がこれから協議されるわけでございます。その折に一九八二年の後半に話し合いをしようということに相なっているわけでございまして、アメリカ側からは十月一日以前の早い機会に話し合いをしようじゃないかという要請がございましたけれども、それについては東京ラウンドのやはり合意事項に反するから、これはやはり十月以降の双方に適当な時期に話し合いを進めようじゃないかということを申し述べてあるわけでございます。また、その他の品目につきましては、これは先ほどもお話がありましたように、作業部会を設けましてお互いに話し合っていく。これは単に市場開放を了承したという意味じゃなくして、日本は日本としての立場を主張いたしますよと、しかし感情的にならぬようにお互いに話し合おうじゃないかということで作業部会を進めたわけでございます。  農林水産関係では、アメリカはいろんな農産物の市場開放については双方に大きな問題がありますけれども、基本的には農産物の市場開放は良好であると、日本はアメリカにとってのお客さんでございますと、しかもこの市場開放については、単に日本にだけ要請しているんじゃなくして、ECについてもこれは要請をいたしているのでございますから、来月やはりECと協議をしたいというようなこともございますので、今後私たちは積極的に、精力的に話し合いをして、各国のいわゆる農産物の市場開放度の比較、あるいはまた各国の農業政策がアメリカにどういう影響を与えているか、アメリカ自体が一体どうなのかというようなことを率直に話し合って理解を求めたい、かように考えております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 日米貿易小委員会において、ただいま閣僚からの御報告によりますと、相互理解はかなり進んだというように承るわけでございます。  そこで、大体の概要はわかったわけでありますけれども、個々の品目について関係業界あるいは農畜産業者は大変に心配をしているわけでございます。一体、向こうの結論として三カ月以内に何らかの形の合意に到達したいというような理解があるやに聞いておりますけれども、もしそういうことであるならば、具体的にただいま農水大臣がおっしゃった畜産物あるいは果樹、そういったものが一体どういう影響を受けるか、これはもういま全国で畜産関係業者が大変に心配して集会を開いているさなかでございますし、また水産物あるいは大蔵大臣所管のたばこ、これはまあ何か非常にドラマチックな処理をするためには、たばこが目玉になるんだという話も漏れ承っておりますし、あるいはまた高度技術製品、あるいはその他のサービス、こういったものについてこの短い間に一体各関係閣僚はどういう腹づもりで対処していかれるか、それを各関係業界は注目して見ているわけでございますので、わかる範囲において御回答をいただきたいと思います。

深田宏外務省経済局長

○政府委員(深田宏君) お答えを申し上げます。  下条先生おっしゃいましたように、アメリカ側といたしましてはできるだけ早い機会、たとえば三カ月ぐらいの間に日本が目に見えるような措置をとってほしいという希望を持っておるということを、会議の席ではございませんで、別途先方が行いました新聞記者会見等で申しておるというふうに承知はいたしております。  ただ、会議等の関係で申しますと、そういう期限を切ったやりとりということは全然ございませんで、もちろん先方は、非常に今回静かながらも厳しい口調で日本の市場開放を希望すると、これは日本のためになるじゃないかということを申しておりますけれども、いま申しましたように、今後につきましては関係省とも御相談いたしまして、それぞれの項目についてじっくりと積み上げていく。もちろん早ければ早いほどよろしいわけでございますが、いま御指摘のように、三カ月とか具体的な期限が切られているということではございません。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 まあ抽象的なお答えでございますから、それ以上伺うことができなければ残念でございますけれども、関係者は非常に心配しておるということでありますので、御検討が済み次第なるべく早く各関係者が心配のないように明らかにしていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。  そこで、そういうさなかに近々外務大臣がワシントンを訪問されるということになっておりますけれども、どういう腹づもりと申しますか、どういう対処の方針を持って今度このさなかにお出かけになるのか、そのお考えを承りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 先般来、当委員会でもお答えを申し上げておりますが、第一には、改造内閣後、初の外相訪米ということでありますので、国際情勢全般についての協議をいたす考えでございます。もちろんその間に二国間問題も出ることと思いますが、この経済関係の問題は日本側としても適切な措置を逐次とっておりますし、また、今回の貿易小委員会の協議もございますので、当方からは特に問題にする必要はないんじゃないかと、しかし、先方からこれを協議対象として御意見があれば、もちろん承ることにやぶさかでないと、こういう姿勢でございます。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 ぜひ外務大臣の御健闘を期待いたします。  まあそこで、こういうような厳しい状況の中で、政府はもとより官民挙げて欧米全体に対してのきめの細かい、そして粘り強い理解を求める努力が私は必要だと思うわけでございます。  昨年の五月に鈴木総理は初めて日米首脳会談でワシントンを訪問されたわけでありますけれども、そのときレーガン大統領の言葉で、鈴木総理は和の政治家であると、ハーモニーの政治家だと、こういう言葉で大変高く評価されたわけでございまして、しかも年齢が同じであるということで大変に親近感と理解度を深められたことを私目の当たりに拝見したわけでございますが、相互の理解を深めるためにホットラインというような、レーガン大統領と鈴木総理との間のそういう構想などはいかがなものでございますか承らさしていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 日米関係はわが国の外交の基軸でございます。揺るぎない日米の信頼協力関係を進めていくということがわが国の平和と繁栄のためにも、また世界の平和安定にも貢献するものであると、このように考えておるわけでございます。したがいまして、日米の両政府間、首脳間におきましては絶えず緊密な連絡をとり合っております。レーガン大統領からも時に触れて重要な問題につきましては直接、電話もちょうだいをいたしますし、また、親書等もしばしば私受け取っておるわけでございます。また、閣僚問におきましてもいろんな方法で緊密な連携協議を遂げております。私は各級レベルで日米の間には話し合いと連携協力、これを続けることが相互の理解を深め、貿易摩擦のような問題につきましても、そういう相互理解の上に解決できるものと、このように考えております。  いま下条さんからホットラインのお話がございましたが、まさにそういう心組みで私どもは日米関係の緊密な連携をとっておるということを申し上げておきます。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 次に、円レートの問題でありますけれども、これについてもアメリカ側に大きな誤解があると思います。  先般来日いたしましたビジネス・ウィーク誌の編集長のヤング氏は、各方面で、日本が円安介入を行い、輸出にドライブをかけているのではないか、まことにけしからぬというような発言をして歩いていたのであります。いまどき日本が円安への政策努力をしているというのは全くの見当違いでございますが、このあたりにも日本に対する無理解のほどがうかがわれるのであります。いずれにいたしましても、現下の貿易摩擦を緩和するためには可能な政策を動員して円高へ誘導を行うことが肝要であります。最近の円安の原因はむしろアメリカの高金利であるわけでありますが、これが日本の金融政策の弾力性を妨げ、日本の実力不相応の円安を招いていることは周知のとおりであります。したがって、日本が率先してその引き下げを求めるべきであり、ただいまお話がありました櫻内外相には近く訪米されるわけでありますけれども、その際、向こうの関係者にお会いになって強力にこの点を主張される御意向はないかどうか承りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) まだこの円安の問題について十分関係省庁と打ち合わせはしておりませんが、御指摘のような、一方におきましては円安で輸出ドライブをかけているというような大変変わった説も聞いたりいたしますが、こういう金利の問題は国際市場情勢がまともに反映する必要があるのではないかと私は見ております。また、このアメリカの高金利のために日本のみならずヨーロッパにおいてもいろいろ意見が出ておる際でございますから、こういう金利の問題につきましても、今回、訪米の際の協議の中で十分日本側の打ち合わせをして対処してまいりたいと思っております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 大変に大事な話だと思いますので、ぜひ慎重に、また精力的に交渉をしていただきたいと思いますし、またあわせて、これは日本とアメリカだけの問題ではございませんし、ヨーロッパ諸国との関係も非常にあるわけでありますので、その点もまた御検討、また交渉を続けていただきたいとお願いする次第でございます。  その次に、こういう為替の状況下におきましてマネーゲームというものが最近盛んに行われているように聞いております。そういうことで振り回されておりますところの資金移転の対策といたしまして、最近新しく実施されました外為法、原則自由と、こういう体制の中でこのような事態に対してどういうように対処したらいいか。これは新しい事例だと思います。新外為法には二十一条の有事規制の法規定があるわけでありますが、この適用についていままでやったことがないし、またどうやるのか、そういう御研究はやっていらっしゃるのかどうか、そこらの御感触を大蔵大臣から承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 米国の高金利を水際で遮断するというために資本の流出規制をとれということでございますが、これは国際収支の不均衡、為替相場の急激な変動、あるいは国内金融・資本市場への悪影響というような三つの事態の場合に定められておるわけであります。しかし、目下のところ、そのような非常に困ったというほどの状態でもないので、いまのところ発動する考えは持っておりません。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 その次に、乱高下を防ぎ、またできれば円高に誘導したいということで外為市場に対する介入問題があるわけであります。この問題につきましては、いまユーロダラー市場がどのくらいあるか、非常に大きなものだと、二千億とも言われますが、その中で日本が二百八十億ドルの外貨準備ではとても立ち向かえない、しかしやるならばある時期を見て非常に効果的な介入を大量にやらなきゃならないということであれば、これはもうアメリカとかヨーロッパの市場と協調介入が絶対私は必要だと思うのであります。この前のイギリスの外貨の非常に危機のときには、日本は大変な協力をした実例もあるわけでありますから、そういう意味において日本が困るこの円安の状況を何とかしようというときに、関係先進国と協力して協調介入するような体制をぜひつくっていただきたいと思いますが、この点、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほどもお話がありましたが、アメリカなどは日本は円安操作しているんじゃないかと言う人がありますが、これは実情を知らないのもはなはだしいことでありまして、アメリカの連銀などはよくわかっていますし、円高介入はしたことがあるけれども、最近円安介入などはやったことはない。問題は、少しぐらい介入しましても余り効果ないですね、実際は。したがって、共同介入ということは確かに手です。これについては、ヨーロッパなどでも、そういう話が、向こうの責任者と話をすると最近出ております。出ておりますが、何と言ってもアメリカがその気になってくれないことにはこれも効果は余りないのですよ、実際は。しかし、いままでイギリスなどはアメリカの高金利黙認という、去年のサミットのころはそういう感じてしたが、最近はドイツ、フランスに協調的というようなこともございますから、これは連合して、まあアメリカの物価も安定したことでもあるしするから、そういう場合にはやっぱり金利の引き下げというような方向、それから極端に相場の変動があるときには、かつてはみんなでアメリカのドルを支えてやったこともあるわけですから、今度はこっちが困るときはめんどう見てもらわなきゃならぬという空気になってきているのは事実でございますので、その趣旨に沿って今後も粘り強く話し合いをしていきたいと思います。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 次に、景気問題に関連して幾つかの点をお尋ねいたしたいと思います。  最近、輸出が急速に鈍化していること、内需面でも中小企業の設備投資の伸び悩みなどがあって景気は足踏み状態にあると見られております。事実、昨年十−十二月のGNPが、内需の回復の気配が見られましたものの、外需の大幅なマイナスから全体としてゼロまたはマイナスになること必至との観測もあるわけでありますが、そのため経済界の一部では、このままでは景気が失速してしまうのではないかと懸念する向きもあります。しかし、景気動向を示す指標をしさいに検討してみますと、失業率の動向や有効求人倍率に見られるように、労働需給は比較的落ちついており、企業倒産も横ばいで推移しており、また別の観点から見ますと、不況カルテルの数は過去三回の不況期にいずれも二けたであったものが今回は一けたにとどまり、しかも最近は三業種に減っております。したがって暗い面ばかりではないのでございます。また、物価についても卸売物価、消費者物価ともにきわめて安定的に推移しております。日銀の短期経済観測にあらわれた企業経営者の意識調査でも、企業の景気判断が悪い方向に向かっている徴候は見られないのであります。  そとで、お尋ねしたいのは、今日の景気状態は高度成長から低成長へ移行しつつあるわが国経済が先進国型経済の仲間入りをした証左と考えられます。特に、先進主要国が景気の後退期にそろって直面している現在、ひとりわが国のみがかつてのような高い成長を期待することはそもそも困難であると考えられます。そこで、このような情勢のもとで具体的には政府はどの程度を適正成長と見ておられるのか。まずその観点から今日の景気全般についてどのように判断しておられるのか、経企庁長官のお考えを承りたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 景気の現状につきましてはいまお述べになったとおりだと思います。第三・四半期はかなり大幅なマイナス成長になると思いますが、内需の方はやはり若干回復の方向に向かっております。外需が非常に落ち込んでおると、こういう状態でございます。しかし、これは私はあくまで一時的な現象だと、こう思っております。というのは、第二次石油危機の厳しい影響がいま全世界を覆っておると、日本にも一番厳しくあらわれておると、こういう状態でなかろうかと、こう思うのです。だから、世界各国がほとんどマイナス成長かゼロ成長である、こういう時点でございますから、いまの時点の経済状態が正常な姿であると、このようには私どもは考えておりません。したがいまして、政府の基本的な考え方は低成長、そういうことでは日本は発展をいたしませんから、低成長ではなく、日本が発展に必要な安定成長が必要である、このように考えております。  安定成長とは何ぞやといいますと、それは第一に、国民生活が充実向上できるような経済でなければならないということ。それから第二には、わが国が国際社会に貢献できるような、そういう経済力を持たなければならない。このためには、やはり五%前後の経済成長が必要だ、こう思っております。また一面、言葉をかえて申し上げますと、この見当の成長をいたしますと、わが国では雇用問題も解決できると思います。それからまた、いま科学技術が日進月歩の勢いで進んでおりますが、その新しい技術を産業の分野に取り入れる、そういう力も出てくるのではなかろうか、このように判断をしております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 いずれにいたしましても、景気がきわめて微妙な段階にあります現在、余り短期的な景気指標の動きに日を奪われて場当たり的な政策運営を行いますと、国民はかえって混乱し大きな方向を見誤ることになるのでありますので、その点は慎重にやっていただきたいと思います。政府は、中長期的な視点に立って日本経済をどのような方向に導いていくか、明確な方向を示して、ただいまも御説明ありましたように、確固たる信念を持って経済運営に当たっていただきたいと思います。  経済運営の基本となるべき指針は、申し上げるまでもなく安定的な均衡成長をいかにして実現するかという点であり、私はその面から見た日本経済の潜在的な成長力は、やはり五%程度であると信じております。そのような観点から、五十七年度の経済について、民間が総じて三ないし四%の成長と悲観的な見通しを立てている中にあって、政府が政策努力の目標として五・二%成長を掲げ、そのために住宅建設の促進、その他の政策の実行を約束しておられる姿勢は高く評価されるべきであると考えます。ここで政府は、五・二%成長の実現に向けて、それでは具体的にどのような政策を動員するつもりでおられますか、改めて決意のほどを企画庁長官から承りたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) わが国の潜在成長力についてお話がございましたが、私どももわが国の潜在成長力は相当高い、こう思っております。物価の安定、それから雇用の状態、それから労使関係、それから貯蓄率、それから金利の水準、経済の国際競争力、こういう幾つかの分野で欧米経済と相当違っておる、このように考えておりますので、このような潜在成長力をできるだけ伸ばしまして、先ほど申し上げましたような安定成長路線に定着をさせたい、このように考えておりますが、さしあたって考えられますことは、貿易の落ち込みが非常にひどいということは、これはやはり世界経済全体が大変悪い、ここに背景があるわけでございますので、やはり世界経済全体の再活性化ということがわが国の経済の発展をする一番の原動力でなかろうか、こう思います。国際的にこれは協力をしながら世界経済の再活性化を図っていくということが第一の条件だと思います。  それから先ほど来御指摘がございますアメリカの高金利の問題、これがいま世界経済の足を一番引っ張っておる原因になっておりますので、これは幸いアメリカの消費者物価も落ちついておりますので、やはりこれはよくよく話し合って、そして世界経済に悪い影響を与えないように、もう少し下げる方向に私は交渉をしなければならぬと、このように痛感をいたしております。アメリカの金利が下がりますと、日本は物価も安定しておりますから機動的な強力な金融政策も展開できます。民間の設備投資もこれによって拡大できると考えております。  それから住宅政策につきましては、先ほどお述べになったとおりでございまして、相当思い切った内容になっております。さしあたっては、公共事業を相当大幅に、技術的に可能な限り前倒しをしたい、このように考えておるところでございます。  それから幾つかの経済成策を進めます場合に、物価の安定がないとこれはやれませんので、やはり物価の安定ということを最優先に考えていきたいと、このように思います。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 そこで来年度経済の見通しについて、政府と民間の違いを調べてみますと、GNP全体の五割強を占めている個人消費の見通しに大きな差があることがわかります。個人消費の先行きをどう見るかによって景気判断は大きく分かれるわけでありますが、家計調査を見ましても、スーパーや百貨店の売り上げを見ましても、白物といわれる家電製品の売れ行きを見ましても、いずれも消費の停滞を如実に物語っております。問題は、それが家計の実質所得の伸び悩みという一時的要因によるものか、それとももっと構造的な要因に基づくものかという点であります。  私は、最近の消費の伸び悩みは、実質所得の伸び悩みもさることながら、耐久消費財の普及一巡や省エネルギー努力に伴う消費者のいわゆる物離れ、言いかえますと、消費者の消費態度の変化など構造的要因によるものも看過し得ないと考えます。したがいまして、消費者の選好に合った新製品の開発など、長期的な視点に立った構造的な対応が必要不可欠と思います。  この点について、政府はどのように考え、また国民の求めている要望に沿った消費をどのように誘導するつもりか、さらにまたそのための新しい研究技術開発等はどのように考えておられるか、通産大臣と科学技術庁長官に承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これからの景気の安定を図っていくためには消費を伸ばしていかなければならない、やはりいま可処分所得がふえてないというところに消費の減退があるわけですから、この消費をふやす、それにはやはり内需の拡大を図っていくことが大事であろうと思います。いま河本企画庁長官が言われましたような、これから政府としての現在の段階ででき得るあらゆる政策を動員して上半期に集中してこれを行うということは非常に大事なことではないかと、こういうふうに思っております。  個人消費の中でも中小企業なんかが個人消費と非常に大きな関連があるわけですが、中小企業がまた冷え込んでおる、これも中小企業は設備投資等については相当なやはり設備投資の更改期にきておりますから可能性はあるわけですけれども、先行き不安ということで設備投資がすっかりこれも落ち込んでしまっておる。こんなことで中小企業対策等もきめ細かく進めまして、中小企業の安定というものも図っていかなければならぬと思いますし、同時に、技術面におきまする新しい先端技術の開発といったようなものもこれからのやはり新しい産業分野を伸ばしていくことになるわけですから、これは日本としてもこれまでも輸出に大きく貢献をしてきたわけですが、さらに技術立国という面で力を注がなければならない課題であると、こういうふうに思っております。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 世界が非常に経済的に厳しい中に、日本がまあまあ優等生である、経済のかげり等問題はありますけれども、これは科学技術によるところが非常に大きい、こういうことも指摘されており、さらにはいま御指摘のありました消費者に、消費拡大のためには新製品をつくらなければいけない、こういう分野においても今後いよいよ科学技術は大事である。こういうところから鈴木内閣の重要な柱として科学技術の振興も説いていただいております。わが党においても四大政策の一つに掲げて推進をいたしておるところでございます。  ただ、政府としてなし得るのは先端的な基礎的な技術でありますし、新製品ということになりますれば、その上に立って民間の力を、活力を活用いたさなければなりません。そういう意味では税制あるいは融資、そういった面でも民間の活力もつけて、中長期的、短期的にお役に立ちたい、一生懸命がんばってまいりたいと思います。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 こういうときに、国民、政党の一部から所得の目減りを防ぎ、消費需要を喚起して景気の浮揚を図るという名目のもとに一兆円の所得税減税要求が出されたのでありますが、これに対します鈴木総理の対応は、私はまことに当を得たものと高く評価するものでございます。もとより租税負担は国民にとって軽いほど望ましいことであり、また、その公平のバランスをとるため、経済情勢の変化に応じて所得税の課税最低限度の引き上げ、累進税率の見直し等、調整することが望ましいのであります。しかし、いずれにいたしましても、財源の許す範囲であるということは当然でございます。  私は、景気低迷の根因を十分に突き詰めずに、消費をふやしさえすれば景気は立ち直るという考え方には必ずしも賛成いたしかねるのであります。まして、そのために直ちに所得税減税を行うというのは私はやや飛躍した議論である、このように考えます。事実、四十八年、オイルショックのときに二兆円の減税を行ったわけでございますが、これはいわば減税の前倒しであった。その効果は類推いたしますと大体十兆円ぐらいに今日及んでおる、このように考えられるわけでございます。当面の財政事情から見て大幅な所得税減税は望むべくもないこと、また、五兆円、十兆円ならともかくも、一兆円程度の減税では、その波及効果を考慮しても、GNPの総額がすでに二百八十兆円になっている中で一兆円のその寄与率はたかが知れていると思うのでございます。減税の恩典を受ける国民の側から見ても、一人当たりの減税額はわずかなものにすぎないのでございます。  ちなみに、最近確定申告の時期に当たりますので、私は自身数カ所の税務署の窓口をのぞいてみたわけでありますが、この前やりました、ミニ減税、一人当たり五百円のこの税金の還付につきましてはほとんどの納税者が忘れておる、こういう実態を私は目の当たり見てきたわけでございます。したがいまして、所得減税というものの有効需要の拡大にどうつながるかということについては、私はこの場合は否定的にならざるを得ないのであります。この点について大蔵大臣の御感触を承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も大体そういう考え方なんですが、課税最低限が数年間据え置かれておるということのために、それは好ましくないということはわかるのです。しかしながら、景気刺激策として影響があるかどうかというのは非常に問題がある。日本の場合は貯蓄率が一九・五%、アメリカは五%ぐらいでございます。それで、去年一年間で、個人の預貯金及び証券とか何かそういうもの、いわゆる金融資産が三十五兆三千億ふえているのですね、一年間で十一・何%というような。そのほか金が五千億円も入ってきたり、それは別ですから。そのうち半分ぐらいは恐らく個人の退蔵じゃないか。三十五兆も個人預金がふえてしまう、金融資産がふえるという中で、減税というものは、こういうふうな非常に貯蓄性向の高いところで景気に対して大きな影響力ということは、あなたのおっしゃるように五兆とか何兆とかという数字ならば大きな影響力はあるでしょうけれども、それは財政上できる状態ではない。景気問題からすれば、私はこの問題はあんまり影響はないというように思っています。景気問題だけから見ればですよ。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 もう一つの消費拡大策として大幅賃上げが指摘される面がございます。この点についても正しい認識が必要であると思いますので、私の考え方を申し上げ、政府の御見解を承りたいのであります。  最近、貿易摩擦との関連で生産性の国際比較が取り上げられております。つい先日のガットのドンケル事務総長の発言でも、先月ハワイで開催されましたCEDとわが国経済同友会との会合でも、日本の高い生産性が注目されております。生産性について日本を見習うべきであるとの議論は欧米諸国ではいまや常識となっております。そのような高い生産性を実現し、今日の産業発展と強い国際競争力をもたらし得たのは節度ある賃上げのもとでの適正な分配率の維持であり、さらに企業収益を新技術の開発と投資に積極的に活用する企業の努力であることを忘れてはなりません。  消費を拡大するために実質所得を大幅に高めようとして分配率を大きく変えるような賃上げは、景気対策に裨益しないばかりでなく、将来の日本経済の基盤固めという面から見ましても決して好ましいことではないと考えますが、労働大臣の御見解を承ります。

初村滝一郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(初村滝一郎君) いま言われましたとおりに、一般的に考えまして、労働分配率が大幅に上昇するということはこれはもう当然人件費負担の大きな増加になるということを意味すると思います。したがって、企業収益を圧迫して物価あるいは雇用に影響するとか、非常にさまざまな影響があると思います。しかし、最近の日本の労働分配率の動向を総じて見ますると、安定的に守っておられる、推移しておる、かように了解しておるわけであります。  賃金の問題は、いまお話がありましたけれども、労使が自主的な交渉によって決定すべきものであって、政府が賃上げについて発言することは当然慎まなければならないと思います。わが国の賃金は、従来からその時々の経済情勢に見合って弾力的に決定されておりますが、私としては、今後とも労使が経済の実態を十分認識して、これを踏まえて十分な論議を尽くして円満に解決していくことを期待しておる次第であります。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 景気との関連で注目しなければならないのは、マクロ面よりむしろミクロ面であります。具体的にはいわゆる不況業種の問題であり、中小企業問題であります。    〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕  まず、素材産業を中心とする不況業種が今日の状況に置かれた原因の根は深く、いまや構造不況の様相を呈しておりますから、それへの対応も、長期的な視点に立った産業転換の方向を的確に見きわめながら、業界が自主的に話し合っていくことが基本でなければならないと存じます。そのためには、独禁法の運用にも新しい発想が必要であります。  そこで、政府は構造不況業種の自助努力と独禁法のあり方についてどのようなお考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。公取委員長、お願いいたします。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) いま御指摘がございましたように、素材産業の一部の領域におきましてかなり広範に需要面、供給面の構造的な変化が生じておるわけでございまして、それに伴いまして業界挙げて不況状態になっておることはよく承知をいたしております。  そういう状況から脱出するための当面の対策としましては、いわゆる不況カルテルという制度があるわけでございまして、これは、下条委員が先ほど来御指摘になっておりますように、今次の不況におきましては九つの業種につきまして不況カルテルが結成されましたが、幸いにしてそのうち六つの業種は卒業いたしまして、現在三つが残っておるわけでございます。この三つも恐らくそう遠くない将来にカルテルから卒業することができるのではないかというように思われるわけでございまして、問題はそれから先でございまして、業界全体として、あるいは個々の事業者が、いまの構造的不況の条件からどうやって脱出するかという問題につきまして、業界を挙げて、あるいは個個の事業者におかれていろいろ苦心をされ、また合理化のための努力をしておられることは承知をいたしておるわけでございます。  私どもといたしましては、当面の対策としましては、いま申し上げましたような不況カルテルという制度がございますから、その運用につきまして配慮いたしておるわけでございますが、それから先の問題としまして業界の再編成を含めた問題が控えておるかと思います。これは通産御当局がまず第一義的にお考えになる問題でございますが、たとえば経過措置としまして、共同販売会社を設立するとか、あるいは業務提携、相互に生産委託をして生産品種の合理化を図るというような問題がございます。こういう問題につきましては、独禁法の許す範囲で協力をいたしてまいりたたいというふうに思っております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 数年前政府と民間の協力のもとに不況業種対策として設けられ、いまは休眠同様の状態にある特定不況産業信用基金の活用も、構造不況対策の一環として見直さなければならないと思います。私はこの基金の機能を見直すことによって多面的な対応が可能と考えますが、通産大臣、どうでございましょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 特定不況産業信用基金は、特定不況産業安定臨時措置法に基づきまして、第一次石油ショックによりまして影響を受けた産業に対して設備処理に必要な資金等の借り入れに対する債務保証を行う目的で設立をされまして、所期の効果は上げてきたと考えておりますが、特安法自体が御承知のように五十八年六月には期限切れと、こういうことになるわけでございます。  いま、基礎素材産業というのが非常に不況になっておりまして、現在通産省では、産業構造審議会でこれが対策を検討しておりまして、検討の終わった段階から個別的に対策を行っていくわけでございますが、特安法については各素材産業の対策が出そろった段階で、これらの対策についての法律上の措置の必要性を具体的に検討して、新しい事態に対応した対策を立てなきゃならぬ、必要なものにすることが大事である。法改正というものを、切れた段階において新しい立法ということも考えなきゃならぬのじゃないかと思っておりますが、基金につきましてもその一環として各産業の要請を踏まえながら、機能の見直しを含めながらそのあり方については検討を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 景気が足踏み状態に、ある中で、中小企業の経営にもさまざまな問題が表面化しております。中小企業が当面する困難に対しては適時適切な対応が必要なことは申すまでもありませんが、同時に中小企業が長期にわたって健全な発展を遂げ、わが国経済を支える基盤となるための対策も重要であります。その観点から私は、二つの提案を申し上げ、政府の御見解を承りたいのであります。  第一は、中小企業の後継者育成問題であります。  農業については五百万の農業人口のその教育のために農業大学、農学部は多数に上っており、その名前を一々思い出せないほどであります。それに。引きかえまして、製造業の付加価値額が五七%、小売販売高の総額が全体に対して八〇%にもなっておる。三千五百万人といわれる中小企業の人口に対しては、中小企業の後継者育成に役立つ大学は皆無でありまして、わずかに通産省所管の大学校が数校あるにすぎないのが実情でございます。そこで私は、中小企業の人材の養成あるいは後継者育成のために中小企業大学または中小企業学部あるいは学科の新設を提案したいと思うのであります。    〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 このことにつきましては、昨年のこの予算委員会の総括質問におきまして当時の田中文部大臣にお尋ねいたしまして、すぐいまの時期において大学は無理かもしれぬが、学部なり学科は前向きで検討したいというような御回答をいただいているわけであります。小川文部大臣は自民党におきまして中小企業問題調査会の会長としてきわめて御理解の深い方でございますので、この点について前向きの御回答をいただきたいと思います。いかがでございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 中小企業は日本経済の活力の源泉でございますから、広い視野と実務的な知識を兼ね備えた後継者を育成確保するということ、仰せのとおり非常に大切な問題だと心得ております。しかし、臨調の第一次答申も出ておることでございまして、大学の新設はもとより学部の創設も厳しく抑制しなければならない現状でございますから、早急な実現はきわめて困難だと申し上げざるを得ません。しかし、大学の設置を要望いたします趣旨が経営面の実践的な研究、教育を進めていきたいということでございますから、既設の大学の経済学部あるいは経営学部がこれを取り上げて推進するということは検討されてしかるべき問題だ、このように考えております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 次の問題は中小企業の承継税制の問題であります。  これは、各地区の商工会議所等の中小企業団体から強い要請のある問題でありますが、要するに汗を流して育ててきた中小企業を後継者に譲り、それを受け継いだ中小企業の後継者が安心して事業を営み、新たな発展への希望を持ち得るような税制の仕組みが欲しいということでございます。すなわち、純資産価額方式あるいは類似業種比準方式、そういうのが中心であったわけでありますけれども、さらに事態に応じて収益還元方式などを組み入れたところの形で税制の仕組みを考えることはできないかどうか、この点について大蔵大臣の御見解を承りたいのであります。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 中小企業の方、特にその同族会社なんかの株評価のことでそういうふうな議論が多いのです。要するに、大企業の場合は流通するところで株の評価がされると、中小企業の株は要するに正味資産を株数で割るというだけでなくて、正味資産そのものも評価がえしたものを株数で割ると、しかも売れない、流通性がないというようなところから言われておるわけでございますが、これは農業と同じようにしろといっても、農地の場合は全然もう考え方が別でございますから、自分のものであっても自由に転売や壊廃もできないし、あるいは大きな国の農業政策の問題もあるし、切り売りも困るしということで、これと同じくはできません。できませんが、何か評価の方法で少し工面はしてみたいと、そう思っております。なかなか制度的にそういう税制をつくることは非常にむずかしいのじゃないかと、検討はさしてもらいます。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 次に、行政改革に関連して二、三申し上げてみたいと思います。  石油危機以後、企業はいわば非常事態宣言のもとに減量経営努力を重ねて大きな成果を上げてまいりました。今日、日本が国際的にもすぐれたパフォーマンスを実現し得たのは、民間努力の成果であると申しても過言ではありません。それに引きかえ、行政の分野では改革は遅々として進まず、いまだに肥大化した機構、組織が続いておるようにうかがえます。国民の悲願である行財政の抜本的改革は、鈴木総理の主導のもとにぜひやり遂げなければならない課題であると思います。  私は、しばしば土光会長にお目にかかる機会がありますが、この御老体が私利私欲を捨て、きょうの新聞によりますと、全役職をなげうってこの情熱を行革一筋に向かって集中されるという真摯なお姿に接しまして、常に頭の下がる思いでございます。そもそも日本人は熱しやすく冷めやすい国民と言われておりますが、行革問題もその例に漏れず、最近はしばしば行政改革は小振りなものにとどめてはどうか、財政再建と行政改革は切り離して考えてはどうか、さらにその財政再建期間を先に延ばしてはどうかなど、行財政改革への取り組みが後退しつつあるやの印象を与えかねない発言が聞かれますが、このことについて、政治生命をかけておられます鈴木総理並びに担当の行管庁官長の御決意のほどをもう一回ここで承りたいと思います。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革もいよいよ六、七月の答申を前にしまして、非常に重要な段階に至りつつあります。十五日には部会と臨調の委員との間で、七月答申で決めるべき枠組みについて第一回の相談会が行われる予定でございますが、臨調もいよいよ真剣味を増してやってまいりました。土光さんのその御信念につきましては、われわれは全く感銘していると同時に、大きな責任を感じているところでございます。答申をいただきましたら、われわれは初心を忘れずに責任を全うして必ずこれを実行するようにいたしたいと考えております。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 行政改革、そして財政再建、この問題に対しまして国民の皆さんの御理解と、そしてこれはぜひやらなければならないという御熱意というものが今日ほど私は高まったことはかってないことだと、このように受けとめております。また、臨調におかれましても、土光会長を先頭にして、自分のお仕事を捨てて、そしてこの問題に真剣に取り組んでいただいておるわけでございます。私は、この機会を逸しましては行財政の改革は当分、永久にとは申しませんが、当分できないのではないかと、こういう認識さえ持っておるわけでございます。私は、今度本格的な七月答申、これが出ます。引き続いて最終答申も準備されておることと思いますが、これらを受けまして国会の御理解、御協力を得ながら全力を挙げてこの国民的な課題を達成いたしたいと、このように考えております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 行財政改革、特に政府関係機関という面から見まして国鉄問題についてはぜひ抜本的な対策を講じていただきたいと思います。巷間伝えるところによりますと、最近の国鉄首脳の発言の中には国鉄当局の改革への熱意を疑わせるものが見受けられますのはまことに遺憾であります。わが自由民主党としても特別委員会において真剣に検討を続けているさなかでありますので、破綻に瀕しております国鉄の再建問題に抜本的に手がつけられないようなことでは、国民の不信はつのるばかりでありますが、運輸大臣の御決意のほどを承りたいと思います。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま臨調答申に対しての総理の非常な強い御決心は私もよく承っておるところでありますが、その中でもやはり国鉄問題が非常に大きなウエートを占めることもよく理解いたしております。いま国鉄問題が、委員おっしゃいましたが、手がつけられないというような感じで国民も受けとめているのではないかと思うのであります。私は必ずしもそうは思っておらないのであります。やはりやり方があるのではないか。そしてまた同時に、われわれが最もなすべきことは、先般来、特にマスコミあらゆる面において指摘されておりまする国鉄の労使関係の今日までの、言うなればわれわれから見れば不可解なような慣習あるいはやみ給与というものが当然のようになされておるような、こうした事態に対していま国民全般が持っておる国鉄の非常な危機状態というものがだんだんと反映されて、これに対して改善をしようというような方向がいま徐々に熟成しつつあるという事態は、私はこれを非常に今後の国鉄再建には重要な要素と考えておるわけであります。したがって、いま当面の課題としては、経営の再建のための方策がすでに決定されております。これがなまぬるいとか、あるいはそれもなおかつ十分ではないという御批判があると思いますが、一応こうした計画を助走路にいたしまして、われわれも全力を挙げて今後の国鉄の再建と再生と、そしてまた国の財政の安定のための努力をぜひとも皆様方の御協力をいただきながら前進をさしてまいりたい。そのような決意を持っております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 行政改革、なかんずく許認可事務の簡素合理化の一環として考えられております車検制度について一言申し上げたいのであります。  ユーザーの要望を受けまして運輸技術審議会が勧告しました車検期間の延長等はそれなりの意味を持つと理解されるのでありますけれども、同時に整備事業を営む中小企業に与える影響はまたいろいろな面で問題を含んでおります。したがって、この際、その指定工場の許認可基準の緩和、たとえば従来は六人でなければいけないというのですが、これを簡素化するために五人でもいいんじゃないかという議論とか、定期点検整備のずさんになるのをどうやって防ぐかと、あるいは整備料金が過当競争のために値崩れする、これを独禁法の方でどう考えるか、こういうような対策について運輸大臣並びに公取委員長の御見解を承りたいのであります。

小坂徳三郎自由民主党運輸大臣

○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま委員が御指摘になりました諸問題は、非常にやはり重要な問題であるとわれわれ認識しております。特に整備業者に与える影響はなかなか大きなものがあるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても臨調においての決定のもとになされる簡素化の一環として、近くわれわれ道路運送車両法の改正という法案を精力的につくって今国会に出しますが、その際においては、特に需要減少時における中小企業に対する助成措置の活用、あるいはまたただいま御指摘の諸種の問題につきまして十分整備業界の意見を徴して実態に即応した形で対策を進めてまいりたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 整備料金と独禁法のかかわり合いにつきましてはかなり長い歴史があるわけでございまして、昭和五十三年の三月当委員会で下条委員と質疑応答を繰り返した記憶もあるわけでございまして、その後幾つかの曲折はございますが、現状で申しますと、業界の団体である日本自動車整備振興会連合会から具体的な相談を受けておるわけでございまして、多少細かくなりますけれども大事な問題でございますから申し上げますと、四つございまして、一つは、整備作業内容に関する点数制度の導入の問題。それから第二は、整備料金実態調査の結果の公表の問題。第三は、整備料金を店頭掲示する際のモデル様式の作成頒布の問題。第四は、経営指導を行うこと。この四点につきまして連合会から御相談がありまして、この四点につきましては独禁法上問題が少ないということを回答いたしております。  かつてはその整備料金につきまして、車種別、整備内容別に電話帳のような大きな計表をつくりまして、それを業者に頒布するということが標準料金につきましての業界全体としてのカルテルの疑いがあるということで、そういう制度はやめていただいたわけでございまして、現状におきましては業界と独禁当局との間に大きな意見の相違はございません。  ただいま運輸大臣がおっしゃいましたように、道路運送車両法の改正問題があるようでございますから、この内容につきましては運輸省御当局と十分調整をいたしたいというふうに思っております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 行財政改革関連でもう一つ申し上げたいことは、五十六年度において公務員の給与改定がほぼ人事院勧告のままに実施され、行政改革に関する臨調答申の趣旨が重視されなかったばかりでなく、五十六年度補正予算のため唐突に赤字国債が増発され、五十九年度赤字国債ゼロの方針に沿った五十六年度の赤字公債減額の幅が圧縮されたことはまことに残念であります。五十九年度の赤字国債発行ゼロは政府の重大な公約であり、これを実現するための一つの方法として道路整備財源のあり方を再検討する必要があると考えます。  すなわち道路は基本的な社会資本であり、その建設による便益は後世代とともに分から合えるものであり、したがって、その財源のすべてを建設公債に求めても問題はないと考えますが、現在、道路財源のうち揮発油税等の特定財源相当部分については建設公債の発行対象とされておりません。したがって、これらの特定財源を一般財源化して道路財源をすべて建設公債で賄うこととすれば特例公債の減額にも役立つと思うのでありますが、この点大蔵大臣の御感触を承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことができれば大変よいと思っております。

下条進一郎自由民主党

○下条進一郎君 では最後に、昨今にわかにクローズアップされてまいりましたグリーンカード制の導入問題について私の考えているところを申し上げてみたいと存じます。  金融資産所得の捕捉を正確に行い、税の不公平を是正する見地からこの制度の導入が検討されたわけでありますが、その目的を完全に実現しようというのであれば、国民背番号制の導入が不可欠であります。しかし、その制度が諸般の事情から実現不可能ということで、便宜的な方法としてグリーンカード制度が取り上げられたわけでありますが、これは税の不公平是正の面では一歩前進かもしれませんが、制度の仕組みの面でさまざまな問題を内包しており、不公平感を助長しかねない面があります。  また、国民の私生活の内側をのぞかれることを好まないという人間心理を逆なでする嫌いもあります。したがって、金融資産の大小にかかわりなく、いまや預金者一般の不安、動揺が起こりつつあります。  より基本的な問題としては、国民の金融資産の選択が大きく変わるのではないか、あるいは国民の貯蓄意欲に水を差すことになるのではないかという点が挙げられます。  現に、制度導入を控えてすでに金選好が高まり、昨年一年で五千七百億円の金輸入が行われ、十分な理解がないままに家庭の主婦まで金を買いあさる、その反動が憂慮されております。  さらに最近では、聞くところによりますと、十億ドル前後の資金がゼロクーポン債に流れるなど異常人気が生じ、それが過熱化したため、その販売を禁止せざるを得ない事態に立ち至っております。この措置はまだきわめて異例なやり方であります。そのような状態を放置すれば不安をますます拡大する危険もありますが、政府はグリーンカード制を再検討するおつもりがあるかどうか御意見を承りたいのであります。たとえばマル優の管理を厳重にするためのグリーンカード制はそのままにしておいて、一方の源泉分離課税制度をこれと併用してはどうか。あるいはまた国民の不安を取り除くためのPRの徹底を図るために、実施までの期間に一層の余裕を持たせるような柔軟的な考えはないのかどうか。これらの点について大蔵大臣の御感触を承りまして私の質問を終えたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) グリーンカードの問題は、これは御承知のとおり、税の公平確保ということからスタートをしてきたわけであります。どんなものでも作用があれば反作用、メリットとデメリットは裏表ということになるわけでございまして、一つは、グリーンカード制が正しく認識されていない。国民の貯金が二、三百万円しか平均ないというのに、九百万円もマル優とか、マル特とか、郵便局とかという非課税の分野があるのだが、そんなに持っていない人が騒いでいるという話も聞いております。したがって、こういうことはもう認識不足の騒ぎでございますから、われわれとしては極力、そういうふうなことは心配ないですよということを言わなきゃならない。正しく認識してもらわなきゃならぬ。しかしながら、抜け穴があっても困る。抜け穴もふさがなきゃならない。知っている人が悪いことをしても、悪知恵をはかった人がうまいことができるということは困るわけですから、兼ね合いをどうするのか。政府としては公正を確保しながら、そういうようなインチキが横行しないように、しかも税収が確保されるように、そういうような観点でグリーンカードは実行していきたいと思っております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で下条進一郎君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会

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