予算委員会 第5号
- 発言数
- 428 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/03/11
会議録
○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 —————————————
○委員長(植木光教君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十七年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君、本州四国連絡橋公団総裁尾之内由起夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(植木光教君) これより田代富士男君の総括質疑を行います。田代君。
○田代富士男君 公明党・国民会議を代表いたしまして、鈴木総理並びに各大臣に質問を行います。 まず初めに、鈴木内閣の政治姿勢につきまして、減税問題、行政改革、選挙制度を通じまして、順次質問を行ってまいりたいと思います。 衆議院における自民党と五野党の合意は、五十八年度の減税とともに、五十七年度の減税実施の手がかりをつけたものと評価することができるのではないかと思っております。この合意の背景には、減税に対する国民の強い要望がありました。鈴木総理は、減税に対する国民の強い要望をどのように受けとめられていらっしゃるのか、まずお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 所得税減税につきましては、五年間も課税最低限を据え置いておりますし、また税率構造につきましても手直しをいたしておりません。そのような関係からいたしまして、所得税につきましての重税感というものが国民の皆さんの中に存在をしておるということは、私もよく認識をいたしておるところでございます。 しかしながら、一方におきまして、いま大きな政治課題として行政改革と財政再建に取り組んでおるところでございまして、歳出歳入全般にわたりまして厳しい見直しを行っておりますことは御承知のとおりでございます。 どうしても五十九年までに特例公債依存のわが国の脆弱な財政体質を改善したいと、こういう課題に対しまして取り組んでおるというような状況下におきまして減税を行うということは、財源その他の面からいたしまして非常に困難な状況下にあったわけでございます。これは、この国会が始まりましてから、衆参両院においていろいろ各党の皆さんからも減税問題が強く取り上げられたところでございます。しかし、そのような状況下で、政府としてはなかなか減税ができるような条件、特に安定をした、かつ適切な財源の確保ということが困難であるということから、五十七年度減税というものは見合わせざるを得ないと、こういうことであったわけでございます。しかし、各党の、野党各派の御要求も非常に強いというようなことで、衆議院の予算委員会の審議の過程におきまして各党間で話し合いも行われたわけでございます。その結果、各党の御意見を踏まえて、そして議長見解というものが発出をされました。この議長見解を各党が合意されたわけでございます。政府におきましては、この合意に基づきまして、五十七年度予算が成立をいたしますれば、できるだけ早く大蔵委員会に小委員会を設けて、ここで所得税減税を行う場合における安定的な税源の問題等々につきまして御検討をいただく、また、どういうような内容の減税にするかということ等につきましても十分御審議をいただくことにいたしたい。その結果につきましては、私は国会の御審議の結果でございますから尊重いたしましてこれに前向きに取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○田代富士男君 今回の合意は、減税に対する国民の要望が自民党と五野党との間の真摯な話し合いの土壌づくりとなりまして、自民党安定多数下における議会運営の新たな展開を開いたと考えることができるのではないでしょうか。私は、今回の徹底した話し合いの決着を、総理・総裁でありますあなたはどう受けとめられていらっしゃるのか、所信を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまも申し上げましたように、これは各党の合意を踏まえて議長見解として出されたものでございます。したがって、大蔵委員会の小委員会で各党が真摯な御審議を重ねられて出された結論につきましては、政府としては十分尊重して前向きに取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○田代富士男君 今回の合意は、ただいま総理も申されましたとおりに、三月四日行われました党首会談を初め数回に及ぶ幹事長、書記長、国対委員長、政策責任者会談の結果でありまして、最終的にはただいまお話しのとおりに議長見解によりまして決着をしたわけでございます。従来の決着と違いまして、この決着は非常に重みのある決着ではないかと思うわけでございます。 そこで、この合意に基づきまして、五十七年度予算の成立を待ちまして所得税減税について討議するということになっておりますが、ただいまも国会の審議を待って総理は前向きに取り組んでいくというお言葉でございますけれども、最大限に尊重される用意はおありと思いますが、国民を代表いたしまして、一番関心の深い問題でございますから、もう一度そのことを総理に、国民を代表いたしましてお尋ねをいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来、田代さんからも、また私からも申し上げておりますような経過に基づきまして、国会で出された結論というものは非常に重いものと私は受けとめております。したがいまして、これを私は尊重して実施に向かって最善を尽くすということでございます。
○田代富士男君 次に、臨調行革についてお尋ねをいたしますが、総理がかねて行政改革には政治生命をかけると、このように言明をされておいでになりましたが、現在もその決意は変わりないのか、最初にお尋ねをいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは鈴木内閣の最大の政治課題でございます。私は全力を尽くしてこの課題に取り組んでまいる考えであります。
○田代富士男君 鈴木内閣の最大の課題であると申されましたが、国民の行革に対する関心というものは次第にさめてきていると言われております。そういう報道もされておりますが、その理由は何であるとお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、行政改革そして財政再建、これに対する国民の皆さんの期待と関心というものは非常に大きい、いまでもそれは変わっていないと、このように受けとめておりますから、この国民的な御要望、御期待に政府としては最大限にこたえていかなければならないと、このように考えております。
○田代富士男君 総理はただいま、国民が期待し関心は大きいと受けとめていらっしゃる、そういうお話でございますが、まず第一に、国民の立場から考えていくならば、行革から手を引きたいという行政の姿勢が国民に感じられる。第二番目には、土光臨調に対する増税なき財政再建の期待が五十七年度予算編成で裏切られたと、このように受けとめられておる。第三番目には、臨調の土光会長が鈴木内閣の行革に取り組む姿勢に不信を抱き始めているということが国民に感じられ始めているということでございます。また四番目には、臨調の審議の進め方が秘密主義になっており、国民との結びつきに欠ける点があるということであって、これは土光会長の信条にも反していると思われるわけでございますが、このようなことから国民が次第に、行政改革に取り組んでいらっしゃる総理の気持ちは気持ちでありますが、さめてきているということを言われております。このことを私は言っておきます。 そこで私はお尋ねをいたしますが、臨調をてこに衆議院解散という記事を総理もごらんになったかと思います。昨日資料も届けておきましたんですが、これは総理は、単なるうわさであると言下に否定されるでありましょう、多分。しかし、こういううわさの流れることの意味を考えたならば、そこには中曽根長官の臨調答申の分割提案や、あるいは臨調内部の意見の対立などに根差しているのではないかと勘ぐられる面があるのではないでしょうか。もしうわさの域を超えるものであるとするならば、臨調を政治の渦に巻き込むどころか、逆に臨調を政権党に利用しようとするものでありまして、国民を愚弄するものではありませんか。火のないところに煙は立たないということが言われますが、こういうことをお考えになっていかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調のことに関連いたしまして衆議院の解散などというようなことは、私は夢にも考えたことがございません。いま私は、臨調と政府あるいは行政各機関の間に摩擦や対立が存在をするというようなことは全然耳にいたしておりませんし、そのように感じておりません。いま田代さんからいろいろ御指摘がございましたが、この点につきましては担当大臣であり、臨調と常に接触をしていただいております中曾眼長官から御答弁をいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革に対する国民の関心は、私は最近ますます強まってきていると思います。新聞やテレビを見ましても、国鉄をどうするとか、あるいはいまの三公社や公社制度はこれでいいか悪いかと座談会が出たり、あるいは解説が出たりして、こんなにいろんな行政機構の問題が出ましたことは未曾有のことでございまして、それだけに関心はますます高まってきており、われわれも緊張しておる次第なのでございます。 ただいま臨調におきましては、六、七月の答申を目指して、部会がこの十五日に、大体どういうような答申をしたらいいのであろうかという枠の話をまずやります。それと同時に、専門部会と委員が懇談会を開きまして、大体どういうふうにしぼっていくかというような相談事をこれから進めてまいります。そういうような次第で、六月、七月の答申を目指していよいよ急ピッチに作業が進もうとしておる折からでございまして、われわれも臨調が最大限その力を発揮していただくように、いろいろな面でサービスをしていかなければならぬと思っておるところでございます。 われわれは、六月、七月の答申が今度の臨時行政調査会の仕事の大きな山であると、そう心得ております。したがいまして、どうぞ目玉をつくってくださいと、佐藤臨調のときに膨大な分厚なものが出ましたが、ややもすれば、普遍的で平板的であったために、これを集中的に手をつけるというようなことが欠けていたと言われておりました。そういう非難を受けないためにも、今度は骨太のしぼったものにしていただいて、国民の皆さんがこれだけ関心を持ってきているときでありますから、われわれも体力、気力の充実しているこの国民的な関心の強いときに、この最大のむずかしい問題にぶつかってみたい。国民の皆さんが一番欲している、そして一番重要な、一番むずかしい問題をしぼって今度は持ってきてください、そういうふうにわれわれは願望を申し上げております。もしそれが、漏れたものがあった場合には来年の三月答申ということになっていますが、三月では臨調が解散するときでしり切れトンボになるおそれがある。したがって、随時答申ということも言っておりますから、その以前でもどうぞ適時に適切な御答申をいただいても結構です、遠慮は要りませんと、そういう趣旨のことを私は申し上げたので、一部誤解されましたが、これは六、七月の答申を重要視して、総力を挙げてやろうという気構えでいま迎えておる気持ちが、そういうことで出てきているわけでございます。われわれの考えは、純粋にこの行革を貫いていこうという決意に満ち満ちておりますので、御了解をいただきたいと思います。
○田代富士男君 ただいま中曽根長官が、そういうような分割提案というものは誤解された報道であると、こういうお話、御答弁でございましたが、この分割提案をめぐりまして、自民党の橋本行財政調査会長の強い反発や、あるいは臨調の専門委員や事務当局にも困惑があったというようなことが言われております。 そこで、中曽根長官もただいま申されましたけれども、もう一度総理にお尋ねいたしますが、よもや一括答申を放棄して分割答申というようなことはされないと思うわけなんですが、ここでもう一度私は総理に、強力なリーダーシップを発揮して、一括答申を受け、即実行に移すという総理の決意をお尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 中曽根長官からもるる御説明を申し上げましたように、答申をいつどういう内容で、どういう形にまとめて答申をされるかということは、臨調が自主的に御決定いただく問題でございます。したがいまして、政府としては、臨調から御答申をいただきました際には、これを最大限に尊重し、十分それが実質的にも実現できますように最大限の努力を払ってまいりたいと、こう思っております。
○田代富士男君 総理、私がお尋ねしているのは、一括答申を、もちろん自主的に臨調がおやりになるということでございますけれども、その決意、一括答申でやるかどうかと、分割だとかそういう議論が出ておりますから、総理の決意を尋ねているんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調は一括答申とかなんとかということを決めたことはないのです。いままでの日程によりますと、昨年七月に第一次の答申を行い、二月の十日に許認可の整理合理化に関する第二次答申を行い、それから六、七月ごろ第三次答申を行う、この第三次答申に大体基本答申という性格を盛るようにしたい、そして最終的には来年三月答申を行うと、大体これくらいの心構えで進んできておりました。しかし、この二月の答申が出てきましたように、必要に応じてはいつでも答申すると、いわゆる随時答申という考えで進んでおるわけで、それでこの七月、三月が不動のものとしては必ずしも考えていないわけであります。しかし、大体において六、七月に答申の一番基本部分を出そうという心構えでは出てきておるのでありまして、何も七月に全部一括して出さなければならぬという問題ではございません。最終の三月にも出すという考えでいままでも進んできたわけでございます。
○田代富士男君 いま長官のお話を聞いておりまして、鈴木総理は臨調の自主的な立場を尊重された発言でありますが、まだ私は一体であるという感じがしないのです。だから、ひとつそれを明確にするためにもう一度申し上げますが、昭和五十六年の十一月九日、参議院の審議を通じまして総理は臨調に対しまして、いずれにしても、国民の関心の高いうちに新鮮な感じを失わない段階でぜひ実現に移していきたいと申されたが、いまもこのお考えは変わりございませんか、新鮮なうちに。私がなぜこれを言うかというんです。中曽根長官が昨年の十月の衆議院の連合審査会において質問に答えて、これを実行するについて、それは一年や二年でできるものとは限らない。恐らく内閣の数も幾つか要るのではないか、重さから見てそれぐらいのものではないか。したがって、そういう答申が出た場合、どういう順序、段取りでいくのか、政治的プログラムが必要であろうと述べられております。 そうしますと、総理の言われる新鮮さを失わない段階、こういう趣旨に、私はこれはちょっとそこらあたりの食い違いがあるんじゃないかと思う。だから、いま分割だとか云々ということで話題を起こしておるわけなんです。だから総理がここで明確に一括答申という——そういうような言葉はないということですが、その決意を持ってやるということは、どうなんですか、これは明確に言えるでしょう、総理。どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調から答申が出ました場合には、じんぜん時間をかけないで、まあ平たく言えば新鮮なうちに、そして国民の皆さんの関心の深いうちにこれを実行に移していくという気持ちには私、変わりございません。
○田代富士男君 総理、私お尋ねしているのは、分割案とかそういうあれが出ているから、そうじゃなくして、総理はそういうものをまとめて、最初の不退転の決意でやっていくということをもう一度お願いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) この点は、田代さんのおっしゃっておることと私のお答えしていることとの間には、いささかの食い違いもないと、こう思っておるのです。臨調がお出しになる答申、これは最大限尊重して実行に移していこう。それには、答申が出てからじんぜん日を置くようなことであっては新鮮さを欠くし、国民の関心も薄らいでいくというおそれがあるから、鮮度の高いうちに、国民の関心の深いうちに答申が出たならば実行に移すように最大限の努力をしようと、こういうことを申し上げておりますから、田代さんのおっしゃる御趣旨に沿ったものであると、こう思っております。
○田代富士男君 じゃ総理は、田代さんのおっしゃった御趣旨と同じであるとおっしゃるならば、総理の決意と中曽根長官の決意は同じですか。そうしたら、私の決意と長官の決意も同じになるわけなんです。どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三者の決意は同じであります。
○田代富士男君 じゃ、三者の決意は同じということですが、その精神で行政改革に断固取り組んでいただきたいことを要望をいたします。 次に、選挙制度の問題に移りたいと思います。 総理は、民主政治実現の基本ルールである公選法の改正は各党の話し合い、合意に基づいてと言ってきておられましたが、これも変わりないのか、最初にお尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 変わりがございません。
○田代富士男君 四十九年十二月二十四日、三木元総理が野党党首との会談の際に、公選法改正は野党第一党と合意を得たものについて行う生言明されたことがあります。これは鈴木総理が、民主政治の基本ルールについて、各党との話し合い、合意に基づくとされている基本姿勢とは大きく隔たっております。野党第一党との合意さえ得られれば公選法を改正しようとする姿勢は総理にはないと私は確信をしたい。ところが、現在野党の多くが反対をしているのにごり押ししようとしているのは、総理の民主政治に関する基本姿勢、また和の政治に反するのではありませんか。どうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 三木内閣当時、三木総理がどういうお気持ちで野党第一党と合意を得られればという表現をなさったかにつきましては、私宅かでないわけでありますが、しかし恐らく三木総理も、公選法というような選挙のいわばルールでございます。ルールをつくるに当たっては一党一派の利益、党利党略に基づいて行うべきものではない、スポーツのルールのようにフェアなものでなくちゃいけない、こういう御趣旨でお話しになったものと私は思っておりまして、そういうことであれば、私が申し上げたように、この公選法の改正については十分各党各会派にもそれぞれの御意見、御主張がございましょうが、それをひとつ持ち寄って十分御論議をいただき御検討をいただいて合意をそこに見出していただきたい、こういうことを申し上げておるところでございます。
○田代富士男君 総理はただいまも御答弁されましたが、五十六年十月二日の参議院本会議で選挙の具体的なルールづくりの問題として、各党が十分論議を尽くして結論を得たいとおっしゃった精神と変わってないということを私理解をいたします。そこで、今回の参議院全国区制改正は各党の論議を尽くし結論を得るということでございますが、現在この合意を得たと思っていらっしゃいますか。そこらあたりの判断はどのようになさっていらっしゃいますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はいま各党間におきまして精力的にお話し合い、審議が行われておると、このようなぐあいに受けとめております。
○田代富士男君 いま総理はおっしゃいましたけれども、またこれは私は結論が出ていないと思います。これは指摘しておきます。選挙の基本原則というものは、普通、平等、直接、秘密、自由、個人選挙の六原則であります。これはもう御承知のとおりでございますが、今回の自民党の提案はこれらの根本を否定するものではありませんか。総理いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、参議院の全国区制の問題を背景においての御所見であろうと、こう思うわけでございますが、参議院の全国区制の問題につきましてはいろいろ改善を要する諸問題が指摘をされております。これは長年の課題でもあるわけでございます。たとえば、余りにもお金がかかり過ぎる、あるいは物理的、体力的にも大変……(「かけ過ぎるんだよ」と呼ぶ者あり)
○委員長(植木光教君) 委員外の御発言は御遠慮ください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御苦労が多い、そういうような問題もございます。そのようなことからいま検討が進められておるわけでございますが、それを是正いたしますためにはどういう観点に立つかということから、個人本位の選挙制度、選挙のあり方から政党本位の選挙のあり方に改善をしたらどうか、こういう考え方。そういうことに基づいて全国区制というものを見直していくということになりますと、これはやむを得ない、合理性の許容される枠内において個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度へ移していくという場合に、いま田代さんのおっしゃったような点についていろいろ御論議がなされることと思うわけでございます。しかし、この点につきましては私は憲法その他の観点も十分踏まえて、そして妥当な結論を出していただくようにお願いをいたしたい、こう思っております。
○田代富士男君 総理、いまるる御答弁いただきましたが、民主政治を実現しようとする場合には、まずやっていかなくちゃならないことがあることは御承知だと思います。その一つは、定数の是正ではありませんか。これはあらゆる政策に優先すべきものではないですか。これは御存じのはずです。この定数是正に取り組もうとしない総理の姿勢、これにつきましては裁判所はもとより、全国の国民の批判の的になっているではありませんか。この点とうでございましょうか。民主政治実現のために。
○国務大臣(鈴木善幸君) 社会経済情勢の推移等もございまして、地域的に人口の移動等もその後行われてきております。そういうような観点からこの定数是正の問題が提起されておりますことは、私も承知をいたしておるところでございます。しかし、この問題につきましては、いままでも各党間でお話し合いをいただきまして改善がなされた点もございます。ただ、この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、定数の是正をしようとすると選挙区制の問題等にも当然これは深いかかわりを持つことになるわけでございます。そういうような観点から、恐らく各党においてもどうやってそういう困難な問題を打開しながら是正をするかということで御苦心の存するところであろう、こう思うわけであります。でありますから、今後におきましても、自由民主党でも党の選挙制度調査会の中に定数是正の小委員会まで設けて、ただいま検討中でございます。そういうことでございますから、どうかひとつ今後におきましても各党各会派においてこの選挙区制の問題、定数是正の問題、いろいろの問題を十分解明をして、そこに解決点を見出すように御審議を煩わしたい、こう思います。
○田代富士男君 総理はただいま選挙に金がかかると、特に全国区は金がかかるということでございますが、これは一方的なことじゃないかと思うんです。いま金権政治の批判というものは何に起こっているかと言えば、ロッキード事件以来の政権党の政官財の癒着を言っているのではありませんか。さらに、選挙権の一票の重みの違いが違憲判決として出されているではありませんか。本来、改めるべき課題を、ただいまも申し上げましたとおりに改めなくちゃならない課題を、全国区制にこれをすりかえることは本末転倒ではありませんか。総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は全国区制につきましていろいろ問題があるということを申し上げました。その中で金がかかり過ぎるということも触れたわけでありますが、これは客観的に申し上げておるわけでございまして、たとえば百万人の有権者の方に経歴とかあるいは政見とか政策とかをPRするというためにそれを郵送をするといたしますと、一回六千万円以上もかかるということが言われております。これはもう計算すれば出てくる問題でありまして、客観的に見ても、変な買収とかいろんなことをしなくともそれだけかかる。百万人に対して一回だけでPRが十分とは言えない。やはり三回とか五回とか、あるいは二百万人、三百万人にそういう経歴書を発送するとか、そういうこともなさるでしょう。そういうようなことを考えますと、客観的に見ても全国区制にはどうしても金がかかるというのは、これはもう私が申し上げるまでもないことであると、こういうことを言っておるのであります。
○委員長(植木光教君) 大川清幸君の関連質疑を許します。大川君。
○大川清幸君 ただいまの選挙法の問題に関連をいたしまして、総理の所信を何点か伺いたいと思うんです。 まず第一点は、一票の重みについての裁判所の判決が出ていることは御承知のとおりです。念のため申し上げます。五十一年四月の最高裁、これは五対一、違憲。五十三年九月の東京高裁の判決も、三・五対一でこれも違憲判決。五十五年十二月、東京高裁、これも二対一で違憲判決。それから、せんだって私が補正予算の質疑をしている最中に大阪高裁で判決が出まして、これは大阪三区の住民の方々からの訴訟の結果でございますが、五十七年二月十七日大阪高裁も、この一票の格差については違憲判決が出ております。選挙制度をどうするかということではなくて、この違憲判決に対する総理の受け取り方をお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 裁判所の判決につきましては、これを重く私は受けとめております。
○大川清幸君 重く受けとめるということは、具体的に総理の意思なり今後の行動についての裏づけを伺わないと、重く受けとめているということは信じられません。もう一回お答え願います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど田代さんにもお答えをいたしましたように、この問題は、どこでどういうぐあいに是正をするか、改善をするか、こういうことになりますと、結局私は、国会の場におきまして各党各会派が虚心にこの問題に深い掘り下げた検討をするところにある、そういう中から合意を形成をしていただくということにあろうかとこう思います。そこで、政権党である自由民主党におきましては重くこれを、判決を見まして、先ほど申し上げましたように選挙制度調査会においてこの定数是正のための小委員会を設けて、いま熱心に検討を進めておると、こういうことでございます。
○大川清幸君 この問題を論議していると私の時間がなくなりますから、具体的に、自民党さんから提案をされております改正法案について一、二点お伺いをいたします。 御承知のように、今回の改正案は、候補者名簿を提出できる政党ないしは政治団体については大変厳しい制限がついておりまして、直近の国政レベルの選挙で得票率四%以上を確保していること、ないしは、五人以上の現役の国会議員を有している団体、もしくはまた、地方区の候補者と合わせて最低十人以上の候補者を立てていないと政治団体としては認められないし、立候補ができない。こういうことになっておるわけです。ですから、拘束名簿式比例代表制の候補者は、個人では立候補できないことは御承知のとおりです。 ところで、前回の選挙においても、これらの諸派、無所属の候補者の方々は、候補者の中でも四〇%を占めておりますし、得票率も一五%を超えているんです。こういうような実情を無視するというか、国民の意思を全く無視する今回の改正案でありまして、しかも衆議院、あるいは参議院地方区では引き続き個人の意思で立候補ができるわけであります。 こういうふうに考えますと、この比例代表制だけ個人で立候補ができない。個人の信条、思想、こういうようなものにかかわりなくどこかへ所属しなきゃならないということですから、これは明らかに憲法第十四条の、「すべて国民は、法のもとに平等であって、」「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という条文に違反する疑いが濃厚でございますが、この点に関する解釈は、総理はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 後で自治大臣からも答弁をしてもらいますが、先ほども私申し上げましたように、この全国区制にかかわる問題点としていろいろ指摘をされておる点をどうやって改善をするか、是正をするか、こういう観点から、いままでの個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に変えることによってこれを是正するほかにはないだろうと、こういう立場に立ちまして、そしてその場合に、いま大川さんが御指摘になったいろいろの、憲法上の問題その他も私は相当これは論議を尽くして、そして違憲というおそれのないようにというようなこと等について十分吟味をした上で自由民主党では御提案を申し上げておる。また、社会党さんでも社会党さん独自の案をお出しいただくとかいうようなことも伺っておるわけでございます。各党各会派におきましてもいろいろ御検討、御審議をいただいておると思うのでありますが、そういう案を持ち寄って、そしてどうか十分御論議を尽くしていただきたい、こう思っております。
○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。 総理が先ほど来、また、ただいま申し上げましたことと一致するわけでございますが、衆議院と違いまして参議院の全国区の選挙のあり方というのが、方法、それから機構がかなり違っておりまして、それに対する、全国区に対する批判がいままでいろんな各層から出ておったわけでございます。それではそれを踏み台といたしましていままでのいろんな全国区に対する批判を是正していこうといたしますと、今回のような政党を中心とした、個人を中心でない政党を中心とした方法になってくるわけでございます。先ほどから御指摘のように、いろんな憲法上の問題があるではないかというお話でございましたが、これもこの提案を出す前に、いろんなところいろんな角度から検討をしました結果こういう形になって出てきたものでございまして、つまり、現行の個人中心の全国区制が不合理であるとするならば、その一つのそれにかわり得るものとして出されたとする今回の方法は合理性にかなうのではないか、こういう見解に立って出されたものでございます。これはもちろん各党間のいろんな御論議があると思いますので、論議を尽くした上でという考えを持っているものでございます。
○大川清幸君 どうも答弁は納得しませんが、時間がありませんので、もう一問お伺いいたします。 この拘束名簿式比例代表制は、政党が候補者名簿をつくりまして、かつ、その上に当選順位まで決定をして国民に明らかにするものでございますから、国民、有権者は、選挙を通じて候補者の順位の変更とかその他の選択が自由に行えません。仮に、灰色高官みたいな者が名簿に入っていたら、これは国民はどうしようもないんですよ。こういう国民の審判の機能を奪うという問題点も含んでおりまして、この点は憲法第十五条、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」、この権利を奪うことになるが、いかがでしょう。さらに、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」となっていますが、この条文にも抵触しませんか。 なお最後に、時間がありませんので伺いますが、金がかかるとおっしゃいました。それは物理的に金のかかる面はわかります。しかし、金をおかけになるんじゃないですか、自民党さんの選挙のやり方は。かかるんじゃない、かける。 もう一つ、候補者の順位を決定するのは総裁の——これはあるいはこのときに役員を決めてやるんでしょうが、順位を決めるのは大変ですよ、党内で。総裁として、金もかけずに、裏金動かないで決定する確信がおありになるのですか。 まとめてお答えを願います。(「これは大体議員立法なんだ、議員立法なんだから大臣がのこのこ出てきて答える必要ないんだよ」と呼ぶ者あり)議員立法だが、運営はどうなんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) まあ議員立法だから政府で答えるのは行き過ぎだというお話もございますが、しかし、私も自民党の総裁でございますのでお答えを申し上げます。 いまの憲法の問題に関連してのいろいろの御意見、これは確かに問題点としてあった問題でありますが、これは先ほど来申し上げるように、わが党の議員立法として提案をいたします原案を作成いたします際にも、あらゆる角度から吟味に吟味を加えて、違憲のおそれがない、こういう考え方の上に立ってこれが作成をされたものであるということを御理解をいただきたい。 それから、名簿の問題につきましては、これは公党として責任を持って国民の皆さんに御推薦を申し上げる問題でありますから、党の中にも、公正な権威のある、そういう選考委員会のようなものをつくりましてこれをやるわけでございます。私はそういう意味合いから、自由民主党は、自由民主党全体が国民の審判を受けるという謙虚な立場で名簿は作成さるべきものであると、こう思っております。
○田代富士男君 ただいま同僚の大川議員からも指摘がございましたが、これは民主政治の破壊につながりかねません。今回の改正案に対しまして、公明党は断固反対をいたします。反対することが日本の議会制度と民主主義を守ることになるということをここに言明をしておきます。 続いて貿易摩擦に移りたいと思いますが、日米貿易小委員会が終わりましたが、日本がとるべき対米措置として、一つは、三ヵ月以内に発表することを望むということを要望されております。二つ目に、内容は、抽象的でなく目に見える効果を伴うもの。三つ目には、市場開放に向け継続的努力をする姿勢が示されること、こういうことでございますが、これらの対米措置は日本としてどのように実行していくのか。また、アメリカの望むような日に見える効果をあらわすことは具体的にできるのか、その場合、国内関係者への対応策はあるのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(櫻内義雄君) 日米貿易小委員会は昨日終了いたしまして、まだ詳細の報告は受けておりませんが、ただいま御質問にございましたように、何か時間を限って日本側が具体的な対策を出すと、こういうようなことは約束されておらないと思うのであります。たとえば農業関係の二十二品目についてどうするか、これは作業部会でよく検討をしよう、あるいはオレンジとか肉の問題はどうか、これは十月ごろからよく相談しようとかというようなことでございまして、米側が基本的立場として言われましたことは、関税前倒しなどについての日本側の努力については先方は高く評価しております。それから市場開放努力については、これは日本が自主的に進めてもらいたいと、こう申しております。個々の案件の解決も重要であるが、日本は政府、民間を通じて外国製品、外国企業の自由な導入を選好しないとの面があり、こうした点を自主的に見直してもらいたい。なお、米政府として保護主義には反対であるが、米国国内には、日本は閉鎖的である、不公正との不満が広まっておるので、日本の早急な市場開放に向けての措置をとるよう期待したいと、こういうようなことが言われておるわけでございまして、こういう米側の意向を踏まえまして、また、小委員会を通じて具体的にいろいろ言われておることもございますので、それらをこれから詰めてまいりたいと思っておるところでございます。
○田代富士男君 国内対策はどうですか。国内関係者への対策。
○国務大臣(櫻内義雄君) 国内対策は、いま申し上げましたようなことが検討されて、そして必要が起こってまいりますれば、そのときに対策を立てるのでございますが、現状におきましては、たとえばこういうものの自由化をするのだというようなことが決まったわけではございませんから、具体的に何か措置をとるときに考えなきゃなりませんが、いまのところ、今度の貿易小委員会から協議の結果が、何か具体的措置をとらなきゃならぬということは、現在何も出ておらないわけであります。
○田代富士男君 そこで、日米通商摩擦が大きな問題となっております。その中で、政府の対応に一つの問題があるのじゃないかと思うのですね。 その一つは、産業構造審議会への諮問の仕方でございまして、これまで中長期の通商政策ビジョンを求めて、産業構造審議会を開いておりましたが、ここに来て急に対日要求が激化してきたからか、この十年間一度も開いたことのない産業構造審議会の国際経済部会の開会が急に求められまして、そして関連の通商政策に対する諮問が、あわててしようとされているところでございますが、通商摩擦というのはここに来て急に問題になったのではないのであって、政府の対応がまことに遅いということ以外ないと思うのですが、通産大臣いかがでしょうか。
○政府委員(若杉和夫君) お答え申し上げます。 日本経済は、現在相互依存関係が深まります世界経済の中できわめて重要な地位を占めるに至りました。そして、日本経済の影響は国際経済に非常に大きなインパクトを与えるようになりました。現実にはいま貿易摩擦という問題が出てきておるわけでございまして、これが対応といたしましては、短期的には市場開放等の措置が必要でございますけれども、同時に、中長期的観点に立ちまして、摩擦のない対外経済関係を形成するための産業貿易構造はどうあるべきかというような問題とか、さらには積極的に世界経済の繁栄あるいは再活性化に日本としてどのように貢献することができるか、これは広い意味の産業協力等がその例でございますけれども、そういう中長期的観点に立った問題を御審議願うために開催しようということで現在準備をしておる状況でございます。
○田代富士男君 それで、日米貿易摩擦のことについて、私は日本の国民の一人として考えることは、アメリカから言われると一歩一歩後退を重ねるようなやり方、これは日本的な対応の仕方であると言ってしまえばそれまででございますが、こういうことを繰り返しておれば、強く要求をすれば日本が妥協するという認識を与えてしまうのではないでしょうか。だから、今日の貿易摩擦の解決に当たっては、できることとできないことを明確にして、ただいまも御答弁がありましたが、短期中期に及ぶことなど明らかにする基本姿勢をまず明らかにすべきじゃありませんか。通産大臣どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま通政局長から御答弁をいたしましたように、産業構造審議会の国際部会につきましては、三月中にでも開いてわが国の産業構造のあり方、国際摩擦をいかにして解決するかという中長期的な問題からの検討を始めていきたいと思っておるわけでございますが、今回の通商摩擦につきましては、小委員会も二日にわたりまして広範な立場で日米間の問題を討議いたしました。アメリカは、増大をするインバランス、さらにまた、日本の市場がまだ開放が足らないということで、関税であるとかあるいは残存輸入制限の問題であるとか、あるいは非関税障壁の問題、サービス貿易の問題等につきましていろいろと主張をいたしております。これに対してわが国からも、わが国の立場を明確に主張し、そしてずいぶんその中にはアメリカのいわゆる事実誤認に基づく認識がございますので、これを指摘をいたし、反論をいたしておるわけでございますが、先ほど外務大臣も答弁をいたしましたように、こうした小委員会の議論も踏まえてこれからの経済摩擦解消のためのわが国としての対応策を考えていかなければならないと、こういうふうに思っております。このままで貿易摩擦が議論だけで解決するとは私はとうてい思わないわけでございます。アメリカに対しても言うべきことはきちんと言い、求めることは求めるとともに、わが国としてもやはり貿易摩擦解消のための総合的な対応策というものをこれから検討していく必要があると私は考えております。
○田代富士男君 総理、私は今回質問をするに際していろいろ準備を進めた段階で、率直に感じたことが一つあります。それは、総理もお考えいただきたいと思いますが、貿易摩擦の問題がいま起きておりますが、対外経済担当大臣が現在の内閣にいらっしゃらないのではないか、私はそういう感じがしてなりません。というのは、各省の担当の方々と接触いたしますと、こういう対内、対外の交通整理をする、そういうような担当の方がいらっしゃらないような感じがしてしようがないんですが、そういうところを明確にされていらっしゃるのでしょうか。もしできていなかったならば、そろそろそういうことも考える時期に来ているのではありませんか。これは私の感じですが。総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いまの貿易摩擦というような現象が出ておりますが、これは対外経済対策、それから対内的な経済政策、これはどうも不可分のものであると、私はそのようにとらえております。このインバランスの問題を解決いたしますためにも、いろいろ為替相場、円ドルレートの問題等もございますが、また一方におきまして国内の景気回復、内需の振興というようなことも相関連しておりますことは御承知のとおりでございます。 したがって、私はそういうようなとらえ方からいたしまして、河本経済企画庁長官を中心にいたしまして、外務大臣、通産大臣、農林大臣あるいは厚生大臣等々、あるいは大蔵大臣、経済関係閣僚等をメンバーとするところの経済対策閣僚会議というものを活用をいたしまして、私も出席をして、そして内閣全体として総合性のある、また調整を十分しながらこの問題に対応していきたいと、こう考えておりますので、対外経済大臣という特別な大臣をただいま設置するという考えは持っておりません。
○田代富士男君 貿易摩擦にも関係があります日米航空交渉についてお尋ねをいたします。 現行の日米航空協定の不平等解消は、かねてよりの国民的課題であります。昭和四十年には国会で協定の破棄をも辞せずという決意で当たるよう、強い要望決議がされております。しかし、その後も日米間の航空権益の不均衡は拡大するばかりで、たびたびの交渉にもかかわらず不均衡是正の効果を上げていない。現改定交渉も、五十一年からすでに六回にわたっておりますが、妥結せず、五十二年三月から中断されたままになっております。日米航空当局者による事務協議でも、基本的な問題の解決を見ないままに終わっている。その間、米国は自国の圧倒的な輸送力を背景に、自己の権益を着々と伸ばしておりまして、わが国の不均衡是正の要求に耳もかさない、強硬な姿勢に終始しております。 今日、日米関係は対等のパートナーシップ時代に入ったと言われておりますが、航空関係については戦後の不平等が何ら是正されることなく残っているのであります。日米航空協定の抜本的な改定なくして日米の対等な関係は成立し得ないと考えますが、総理の日米航空交渉に臨む決意を伺いたい、
○国務大臣(小坂徳三郎君) 御承知のとおり、ただいま委員の仰せられたとおりの経過をたどってきておるのでございますが、日本時間でけさ、十一日の未明から第五回の公式会談が始まっております。われわれの方は、この協議におきまして以遠権あるいは路線権の不均衡の是正、さらに日米の間の航空市場における輸送秩序の確保を主張して今日に至っております。 米国側はユナイテッド航空の日本乗り入れや、日本国内における空港使用条件の制約に対する補償措置、あるいは運賃、チャーター等の自由化を主張しておりまして、こうした事態の中で本日から開かれておるわけでございますが、ただいまも委員仰せられましたように、われわれはこの問題が非常に長い懸案であるということと、また同時にこれからの日本の国際的な地位の問題もございまして、国会の御決議あるいはまた関係者の皆様方の御主張を十分われわれは背に受けて本問題の解決のために努力をしてまいりたいと思っております。
○田代富士男君 米国は、防衛力の増強や自動車輸出の抑制、政府調達の門戸開放等、自国の利害を真正面に出してきわめて強い姿勢で対日外交を展開しておりますが、わが国も航空権益の不平等是正など、要求すべき点は正々堂々と正面に出して要求していくという対等の対米外交を展開すべきではないかと思いますが、外務大臣いかがですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) おっしゃるとおりの考え方に立っております。 そこで、今回の交渉が八回目に当たりまして、不均衡是正、不平等条約を正しいものにしようと、こういうことで重要視いたしまして、最終的にはアメリカにおる大河原大使が代表として詰めに入るように努力をいたす考えでございますが、ただいまおっしゃるとおりのそういう基本的な考え方にわれわれも立っております。
○田代富士男君 櫻内外務大臣が間もなく訪米をされますが、その場合には、現在問題になっております通商摩擦を議題から外すと、そして訪米されるやに聞いております。しかし、いまるる質問をいたしました貿易摩擦の問題、日米航空協定の問題等、これは避けては通れないことではありませんか。今回訪米される外務大臣の決意はいかがですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 貿易摩擦あるいは航空交渉につきましては、御承知のように、従来両国の間で繰り返し努力されておるわけであります。そこで、鈴木内閣改造後の外相として初の訪米でございますので、それよりも両国の間でもっと協議をする重要なものがあるのではないかと。御承知のような国際情勢が非常に複雑多岐にわたっておる折からでございますので、日本も対米外交は外交の基軸として考えておるのでございますから、私の訪米の機会にレーガン大統領、ブッシュ副大統領、ヘイグ国務長官等と国際情勢の協議を十分やりたい。しかし、おっしゃっておられるように、せっかく参るのでありますから、日米間の二国間の問題を避けて通る、そういうことはいたしません。当然貿易の問題あるいは航空問題が残っておれば、航空の問題等々いろいろ先方も言われるでありましょうし、日本側としてもまた二国間問題で率直に言うべきことがあると思います。それらのことももちろん配慮しながら協議をしたいと、こう思っておる次第でございます。
○田代富士男君 今日の貿易摩擦は、輸出制限や日本がとろうとしている市場開放だけでは解消できるとは考えられません、これはもう総理も同じお考えではないかと思いますが。各国が産業の再生に有効な手段を講じ、世界貿易を拡大する方向で海外直接投資や技術供与等産業協力を進める以外に根本的解決策は見出せないのではないかと思います。しかし、このことは同時に無資源の貿易立国でありますわが国の農業やその他のあらゆる産業に重大な影響を与えることも事実でございます。国際社会で生き抜いていくときに、わが国として受ける苦悩を避けて通ることはできないと思いますが、総理としての御決意を受けたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題に対する基本的な認識につきましては、田代さんのお考えと私も全く同じような考えを持っておるわけでございます。 これは貿易摩擦という形、現象をいま生んでおるわけでありますが、根本は、おっしゃるように世界経済が第二次石油ショックの後遺症からまだ脱し切っていない。各国が不況と深刻なインフレと失業、国際収支の悪化、そういうような問題に苦患をしておる一つの現象でもあると、こう思います。 そこで、相互依存関係の深まっております今日の国際経済の中におきましては、やはり先進工業国同士におきましても、あるいは発展途上国、第三世界等に対する経済協力等の面でも、これは協力し合って、そして世界経済全体を底上げをする、景気を回復する、そういう方向で努力しなければいけない、こう思っております。 よく特定品目の集中的な輸出は失業の輸出になる、しかし産業協力はむしろ雇用の増大の輸出になると、こういうようなことも言われておるわけでございます。私は、そういう意味で先進工業国との間には高度技術の共同開発研究あるいは相互投資あるいは企業の合弁あるいは広範な産業協力、そういうことを通じて経済の再活性化を図っていく、それを通じて雇用の拡大も図っていく、縮小均衡でなしに拡大均衡の方向で世界経済を発展させるということが貿易摩擦を本当に根本的に解決する道であると、このように考えておるわけでございます。 そういうような観点からいたしまして、六月に開かれますところのベルサイユ・サミット等におきましては、せっかく西欧先進諸国の首脳が集まるわけでございますから、そういう問題について十分お話し合いをし、そしてわが国が世界経済の中で持っておりますところの国力、国情にふさわしい貢献をしていきたいと、こう思っております。
○田代富士男君 次に、百人委員会についてお尋ねをしたいと思いますが、九日開かれました米下院外交委アジア太平洋問題小委員会の公聴会で明らかにされた。「日米安保の改定を訴える声明」に自民党の議員が五十名も署名したと言われているが、総理はこの声明文が出されることを知っていられたのかどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も新聞で承知した程度でございますが、けさも月例経済報告がございまして、その際に幹事長ともお目にかかりましたので幹事長にも聞いてみたのでありますが、幹事長も全く承知していないと、こういうことでございます。
○田代富士男君 総裁も幹事長も御存じないことが、このようにアメリカの公式な委員会で取り上げられている。現在わが国と米国との間は通商問題や防衛力増強などをめぐって日米関係にきしみが表面化している中で、このような声明文を出されるということは、安保論議が貿易摩擦問題とリンクして防衛力増強論に直結しかねないと思いますが、総理の認識はどうですか。また、党内で総裁も幹事長も御存じなかったと言う。しかし、こういうことが起きていることに対してどのように取り組まれるのか、その点もあわせてお答えください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 本来、防衛問題と貿易摩擦の問題というのは、リンクさしてあれこれ論議されたり、また、そのための対応を考えるというようなことはおかしい、そういうことは私は全く考えておりません。したがいまして、貿易摩擦が非常に激しくいま燃え盛っておるということで、それを緩和するために百人委員会が設けられ開かれてどうとかこうとかいうことも私は納得がいかない、よくわからない、こういうことでございまして、どうも論評をするようないま心境にございません。
○田代富士男君 論評をする心境にないということは、率直に言ってどういうことなんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういうことが実際に行われておるかどうかということにつきましても、私も承知しておりませんし幹事長すらも知らない。こういうことでございますから、そういうものを前提にして私がそれに論評を加えるという段階ではない、こう思っております。
○田代富士男君 もしそれが明確になった場合はどうされますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これも仮定の問題でございますから、また、そのとき田代さんから御質問があればお答えさせていただきます。
○田代富士男君 では、政府としていまも論議されました安保条約の改定を考えていらっしゃるのかどうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在、日米安全保障条約並びに関連取り決め等は私は非常に円滑に日米双方が満足するような形で運営をされておる、機能しておる、このようなぐあいに評価をいたしておりますから、これを改正するというようなことは毛頭考えておりません。
○田代富士男君 次に、F4の試改修問題についてお尋ねをいたします。 今回の問題を通して思うことは、防衛庁は、いつも新機種導入等防衛上の重要問題が生じますと、必ずその場しのぎの説明をいたしまして国会を乗り切ろうとする姿勢があります。今回も、F15を購入してしまったらF4を改修して爆撃装置を復活してしまえ、また増田答弁も無視してかまわないという考えから出た結果ではないかと私は思うのでございますが、従来からのその場しのぎの答弁の非を改めまして、認めて、正々堂々と国会の場で問題を提起し、国民にもよくわかるよう説明し検討すべきであると思いますが、この点、一応根本問題ですから、総理のお考えいかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) F4ファントムの試改修の問題につきましては、いろいろ本国会におきましても衆議院、参議院におきまして掘り下げた御論議、御審議がなされたところでございます。私は、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるおそれがあるという誤解を与えるような装備はしない、平和国家の立場からしない、こういう基本方針、政府の方針というものは一貫してこれは堅持されておるところでございます。 F4ファントムの試改修におきましても、いま代表機一機につきまして試改修を進めて、そしてそれが十年ぐらい耐用年数が延びる、延命をするということも言われて期待をされておりますし、また要撃機としての機能もアップできるというようなこともいろいろ期待されておるところもございます。私どもは、その試改修の結果を見まして、そして量産的にこの改修を進めるかどうかということを決定をするわけでありますが、その際には、当然わが国の戦力、装備に大きな変更を加えるということに相なるわけでありますから、国防会議にかけまして、そしてこれを国会の御承認も得て進めてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 総理から十分お答えでございますけれども、担当の防衛庁長官として補足的にお答えを申し上げてまいりたいと思います。 先生御指摘のとおり、国の防衛は国家存立にかかわります基本的な問題でございますので、広範な国民の理解、支持、できますならば国民お一人お一人の御理解と御支持がなければ本来の防衛の目的を全うできないわけでございますので、従来とも防衛庁としては、国会の場あるいはまた防衛白書等を通じまして、防衛問題につきましては誠心誠意御説明を申し上げてきたところでございますけれども、先生の御指摘も踏まえ、今後ともひとつ防衛問題につきましては、国会の場等におきまして十分御説明を申し上げまして、なお一層国民の御理解と御支持が得られますようにさらに努めてまいりたいと思います。 今回のF4EJの試改修につきましては、先ほど総理から詳細に御答弁があったわけでございますけれども、ただ、今回の戦闘機の爆撃機能の問題につきましては、これまでも国会等でたびたび論議された経緯にかんがみますならば、関係方面に。もう少し詳しく御説明を申し上げればよかったというふうには考えておりますし、これらのことも考えまして、十分な御理解が得られますようにさらに特段の努力を積み重ねてまいりたいと思いますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
○田代富士男君 防衛庁長官は、国民の一人一人の理解と支持がないと本来の防衛の意味を全うすることができないと、こういうふうにおっしゃいまして、F4の今回の試改修の問題でも各方面に説明不足であったことを反省するというそういう精神ですが、いまのそういう精神にのっとって隠すことは一切しませんと、こういう精神にのっとって今日的な問題をひとつお尋ねいたします。 一つは、米議会での米海軍太平洋艦隊のジェームズ・ワトキンズ司令官の証言によれば、核つき巡航ミサイル・トマホークの極東配備を決定済みであるという報道がされました。極東配備となると、日本への寄港などわが国への影響も大きいし、非核三原則から見まして、また事前協議の対象として考えなければならないと思いますが、政府の対応をお伺いいたします。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先生御指摘の件は、三月五日のアメリカの上院軍事小委員会におきまして、ワトキンズ・アメリカ太平洋艦隊司令官が核弾頭装備の対地攻撃型トマホーク巡航ミサイルを太平洋艦隊に配備する計画があり、また通常弾頭のトマホーク巡航ミサイルにつきましては、近く運用態勢に入り、今後四年以内に相当数が同艦隊に配備される旨述べたということでございまして、このことにつきましてはわれわれも承知をしております。 すでに政府が従来も答弁しておりますように、アメリカは、極東ソ連におけるSS2〇やバックファイアの配備に見られる、いわゆる戦域核戦力の増強等に対処するため、東アジアにおける戦域核戦力の体制の近代化等を検討しており、今回のワトキンズ司令官の発言はこの検討を踏まえてなされたものであると理解をしております。 しかし、先生も御指摘がざいましたとおり、核持ち込みの問題は事前協議の対象でございまして、政府は従来どおり常に拒否する態度には変わりはないのでございます。
○田代富士男君 もう一つは、ウエスト米国防次官補が米議会に提出した答弁書に関してでありますが、この答弁書によれば、事前協議について日米安保条約は柔軟に解釈することで合意しているということであります。 そこで、政府はこれを合意しているのか、それとも合意していないのか、はっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) そのような協議を受けたことはございません。また、私の承知しておる上では、この事前協議の問題はただいま田代委員がお取り上げられたようなそういう表現で証言されておるとは思わないのでありますが、いずれにしてもそのような協議を受けたことはございません。
○田代富士男君 もし合意していないというならば、直ちにこの答弁書を確認すべきではないですか。どうですか、外務大臣。
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。 いま大臣から申されたように、このウエストの答弁書というものは、その前にアメリカの国内で安保条約を変えなくちゃならないという意見がある、そういうことに対して答えたものでございます。この安保条約が云々ということは事前協議ということとは関係ございませんで、安保条約そのものの体制、それ自身が今日的にも十分機能している、したがって、条約を改定することはないということでございます。それは、この答弁書それ自身を読んでいただけば非常に明らかなことではないかと思います。
○田代富士男君 最後にお尋ねいたしますが、さきの米下院の公聴会の米側の要請、つまり干海里海上防衛とか、防衛分担を達成するための今後毎年名目経済成長率以上の防衛費増加要求であるとか、いろいろございますが、わが国の防衛政策上重要な問題が生じてきております。したがって、政府は今後の防衛計画をどのような防衛構想のもとに推進しようとしていくのか。また、政府の言う専守防衛の基本理念との関連はどうなるのかなと、さまざまな重要な問題が残っております。このような詳細な説明を国会の場で明らかにしておく必要があるのではないかと思いまして、総理の御所見をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の基本的な防衛政策につきましては、しばしば政府の考えをお述べいたしておるとおりでございまして、平和憲法のもとにおきましてわが国の防衛を図ってまいります場合におきましては、専守防衛に徹する、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、必要最小限度の自衛力を整備する、非核三原則はあくまで堅持する。こういうことを基本にして進めておることは、しばしば繰り返し申し上げておるところでございます。 私どもは、昭和五十一年に閣議並びに国防会議で決めましたところの防衛計画の大綱、この水準にできるだけ早く達するようにということで着実に防衛力の整備を図っておるところでございます。 アメリカが日米安保条約の相手国として日本の防衛問題に関心を持つということは、これはもう自然の、当然のことでございますが、私どもは、米側の期待は期待として、わが国としてはいま申し上げたような基本的な防衛政策に基づき、わが国の財政事情、またその他の諸政策との整合性を総合勘案しながら着実に進めてまいる、こういう方針には変わりがございません。
○田代富士男君 次に、軍縮問題に移りたいと思いますが、昨今の国際情勢はいよいよ緊張の度を加えております。総理も御承知のとおりでございますが、私は国際政治の改善と世界平和維持への重大な岐路に立っていると思うのでございます。 現在、全世界の核兵器の数量は、広島型原爆に換算するならば百三十万発分、その殺戮能力は二千六百億人にもなり、全人類を六十数回も絶滅してもまだ残るほどの恐るべき量が保有されております。 ことに最近では、核兵器は抑止力として、使えないはずであったものが、SS2〇、パージングIIなどの戦域核の実際配置によりまして、軍関係者などの一部には限定核戦争も可能となったとの危険きわまりない考え方ができております。 このような恐るべき情勢を総理はいかにお考えでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 核兵器による惨禍、これは人類の生存にもかかわるような非常な脅威でありますことは、わが国が被爆国として最も痛切に、身近に体験をいたしておるところでございます。 したがって、この核兵器を中心とした軍縮、軍備管理、そして究極的には核の廃絶、これに向かって私どもは一層の努力を傾倒していかなければならないと、このように考えるものでございます。 一方におきまして、現実の国際間の平和というのが、核戦力を含むところの力の均衡の上にこれが辛うじて保持されておるという事態もわれわれは直視せざるを得ないところでございます。したがって、その均衡を保持しながら低位にこれを抑えていく、そして究極において核軍縮、核の廃絶に向かってこれを進めていくと、こういうのが現実的な方策であろうと、このように考えております。 そういう中で、戦域核の配備の問題がいろいろ論議され、限定戦争もあり得るのだということが言われておるわけでございます。私は、この戦域核の問題につきまして、米ソの間でいま交渉が行われておるわけでありますが、その際に、米側がゼロオプションということを提案をいたしております。これは、欧州だけでなしに極東も含めてソ連の領域内からSS2〇等の戦域核を撤廃するならばアメリカは戦域核の配備を行わない、これがゼロオプションの主張でありますが、私は、先ほど前段で申し上げたような趣旨からこのアメリカの提案を支持するものでございます。そして、極東からもそのような戦域核の撤退が、撤去がなされることを強く期待をいたしておるところでございます。
○田代富士男君 そこで認識しなくちゃならないことは、軍縮関連の諸条約についてでございます。 総理も御承知のとおりに、すでに核を保有しているフランス、中国、インド、こういうような保有国が加盟しておらず、条約としては大きな欠陥があるということであります。また、これらの核軍縮の交渉の場が、たとえばジュネーブ軍縮委員会のように、国連と切り離されてきているということにも問題があるのではないかと思いますが、こういうような状況に対して総理は、これでよいのか、どう改善すべきか、そういうお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 核兵器の不拡散条約にフランス、インド、中国等が加盟しておらないということはそのとおり、明らかでございます。わが国としては、核兵器の不拡散条約の普遍性を確立するためには、国連を初めとしてあらゆる機会を通じて訴えてきておるところでございます。 ただいま、そういう核軍縮の問題が国連を離れてジュネーブ軍縮委員会などで行われておることについての御意見がございましたが、ジュネーブ軍縮委員会、国連、そういうような多国間の間での協議で軍縮、軍備管理を進める。特に国連を中心としてやる。それはそれなりにわれわれとして努力をしなきゃならないことだと思います。しかし、また同時に二国間においてもこの軍縮、軍備管理について努力をする必要があると思うのですね。現在でも東西対立の両頂点にあるソ連とアメリカの間で昨年の十一月末から中距離核戦力の削減交渉をやっておるというようなことで、これはもう多国間とか二国間とかということに限らず、核不拡散の普遍性を確立する上にあらゆる努力をしていくべきではないかと、このように思う次第でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま外務大臣からお答えをいたしたとおりでございまして、核拡散防止条約、核保有国が全部これに加盟をし、そしてこの条約の趣旨を生かすことが世界の平和のために不可欠のことである。私どもは、国際会議あるいは二国間のいろいろの接触を通じましてそれの実現のために今後とも努力してまいりたいと、こう考えております。
○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時四十五分から委員会を再開し、田代君の質疑を続行いたします。 これにて休憩いたします。 午前十一時四十六分休憩 —————・————— 午後一時四十七分開会
○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十七年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き、田代富士男君の質疑を続けます。田代君。
○田代富士男君 先ほど参議院の本会議場におきまして、国賓として来日中のイタリアのペルティーニ大統領が演説をされました。総理も私も予算委員会で、直接お聞きすることはできませんでしたが、私は後でその原稿——ここに持っておりますが、この原稿を読ましていただきまして、まことに格調の高い内容に感銘をいたしました。その中で大統領は、「兵器庫を空にし、穀物倉を満たそうではありませんか。」と訴えられました。総理もお読みになったことと思いますが、御感想いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ペルティーニ大統領の参議院本会議場における御演説を、私は委員会審議のために直接お聞きすることができなかったわけでございますが、昨日、大統領閣下の演説の草稿を拝見いたしまして、全文を通じて大統領が世界の平和を希求する情熱が全文にあふれておることを私感じ取りまして、非常に感銘を深くいたしたわけでございます。特にただいま田代さんから御披露がございました兵器庫を空にして食糧倉庫を満たそうではないかという言葉は、本当にその大統預の気持ちをその一文の中に凝縮しておるという感じをいたしたわけでございます。と同時に、大統領は厳しく世界情勢につきましても触れておられまして、オオカミたらんとする者の前にわれわれは無力な羊であってはいけない、こういうことも一方でおっしゃっております。 私は、大統領がイタリアの元首として、政治の最高責任者としてイタリア国民の平和と安全のために毅然たる態度も堅持しておられるということも感じておったわけでございます。あの御演説というのは、いろいろな意味で今後の世界平和をわれわれが考える上におきまして非常に貴重な、感銘深い演説であったと私も共感するところが多いわけでございまして、今後皆さんとともに平和のために努力を一層してまいりたい、こう思っております。
○田代富士男君 軍縮の問題を国連でという非同盟諸国を中心とする非核保有国の悲願が実現したのが御承知のとおりに一九七八年の第一回国連軍縮特別総会でありました。その際、加盟国の合意として採決された最終文書の実行について話し合うために開かれるのが、来る六月の第二回軍縮特別総会ではないかと思うのでございます。 きょうのニュースによりますと、アメリカ上院で軍縮決議案が上程されたということが言われております。総理も参加されることになっておりますが、何をもって参加されるのか。私はでき得れば、第一番目に、わが国は広島、長崎、また第五福竜丸を含めて三たびもの核の被害を受けた唯一の国であります。この点を認識していかなくちゃならない。第二番目には、わが国は紛争解決の手段としての戦争放棄をうたった平和憲法を有する平和国家であるということではないでしょうか。第三番目には、わが国は非核三原則を国会で議決している国である、私はこの三点を踏まえて臨んでいくべきではないかと思いますが、この総会に臨まれる総理の決意をお尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 第二回の軍縮特別総会に臨む私の心構え、お尋ねがございましたが、いま三点にわたっての重要な、本当に柱になるべき問題について田代さんから御所見がございました。私も全く同感でございます。私は、出発する前にそういうことも踏まえまして、各党の党首の皆さんにお目にかかって十分御意見も拝聴をいたしたい、こう思っております。また、軍縮議員連盟、超党派の議員連盟からも御要望がございましたが、軍縮のために署名運動をやっていただいております各種団体代表の方々にも出発前にお目にかかって、その方々のお考え、お気持ちも十分聴取をいたしまして、国民的な立場でこの軍縮総会に臨みたい、このように考えております。
○田代富士男君 ただいま総理は、今回の軍縮総会には、私の申し上げました三点を踏まえて、国民的立場で臨んでいきたいという御趣旨でございます。国際情勢のこの激動の中で、世界平和実現のためにわれわれ公明党も、微力ではありますけれども、総力を挙げまして、「核兵器全面撤廃と軍備縮小」を要請する一千万署名の運動を進めております。これは他の団体もなさっていらっしゃるかと思いますが、総理もこの運動に賛同いただけると思いますが、署名されませんか、どうですか。私、その署名簿を持ってきておりますが、軍縮こそ党派を超えた取り組みだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いつでも署名をさしていただきます。
○田代富士男君 じゃ、ひとつ署名をどうぞ。どうぞごらんになってください、どうぞ署名簿を。後でいただきますから。 最後に、この軍縮問題で総理に提案でございますが、私も国連本部を訪問したことがございますが、国連の中庭には現在、わが国から寄贈されました平和の鐘が設置されております。そこで、今度特別総会に出席されるのを機に、平和の危機に対する警鐘乱打の意味を込めまして、この鐘を打ち鳴らされるようなことをおやりになったらどうでございましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の国連協会が国民の皆さんの願いを込めて、この平和の鐘を寄贈いたしました。また、毎年国連の事務総長がこれをおつきになるということも伺っておるわけでございます。画期的なこの第二回の軍縮総会に私も日本を代表して出席をいたしました機会には、ただいまの田代さんの御提案を貴重な御提案として十分考えさしていただきたいと思っております。
○田代富士男君 じゃ、よろしくお願いいたします。 次に、財政問題に質問を移します。 臨時国会の総理の所信表明演説に比べまして、今回の通常国会の施政方針演説には、財政再建に取り組む総理の決意が後退したのではないかと受け取られて仕方がありませんが、どうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も、五十九年までに特例公債依存のこの脆弱な財政体質から脱却をしたい、こういうことであらゆる困難を乗り越えて努力をいたしておるところでございます。私は、わが国の財政再建がそれで達成をされた、完了したというものではないことを百も承知をいたしておりますが、とにかく毎年毎年、特例公債を発行して賄っておるという、そういう安易な財政運営、これを断ち切らなければいけない。また、その断ち切る過程におきまして、いろんな行財政の水ぶくれといいますか、そういうものを見直しをする、思い切って削減、合理化を図るということにも相なるわけでございますから、これはぜひやりたい、このような決意には変わりはございません。
○田代富士男君 総理の決意には変わりがないということでございますが、政府から提出されました財政の中期展望におきまして、後退しているということが明らかであります。 まず、財政再建の指針とも言うべき中期展望の、五十六年の中期展望と五十七年中期展望とのそれぞれ前文を比較してみますと、五十六年中期展望の前文には「適切な財政運営を進めていく上での手掛かり」というくだりが、五十七年中期展望におきましては「検討の手掛かり」となり、明らかに一歩も二歩も後退をしております。検討の段階はすでに済んで、いまや実行の段階にならねばならないのではありませんか。その他後退したところは随所に見られますが、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 中期展望の前文の表現の仕方を指しておっしゃっていることと思いますが、これはより正確に表現をしたわけでございます。したがいまして、少しも後退をしたものではございません。
○田代富士男君 大蔵大臣、そういうことを言っていてもだめですよ。本当に後退してませんか。もう一回。そういう答弁ありませんよ。こちらはいろいろ、ここに中期展望持ってきておりますよ。これ一カ所一カ所ついていきたいんですが、時間がないから代表で言っておりますが、そういう言い方ないでしょう。どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもとしては後退をしたつもりは全然ございません。五十七年度版で「検討の手掛かり」ということを言っておりますが、中期展望自身はこれは予算の性格を明らかにあらわしているものではございませんので、どこまでもこれは手がかりでございます。
○田代富士男君 大蔵大臣にお尋ねしますが、じゃ五十七年度予算の編成に当たりまして、昨年提出された中期展望は、その予算編成におきましては、ただいまもお話がありましたが、非常に重要な役割りを果たしたと思いますが、大蔵大臣の認識はどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 中期展望というのは、御承知のとおり、現在の制度、施策というものをそのまま残した場合に、将来の問題をそのとおりいくとすればどの程度の費用がかかるかと、それから収入については一定の条件のもとで経済成長等の一応の見通しを立てて、それで収入の目安というものを考えておるわけでございますから、もちろんこれは参考になるものでございます。したがって、私は、中期展望をこしらえるということはそれなりの意義はあるということは間違いございませんが、そのとおりなるというわけでもありません。
○田代富士男君 そうしますと、ことし提出されました新しい中期展望も、五十八年度の予算に当たりまして、五十七年予算編成でとられた同様の役割り——いまも参考になる、それらの手がかりになると申されましたように、役割りを果たすことになりますね。どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それなりの役割りは果たします。しかし、御承知のとおり、中期展望ではその経費というものは現在の施策をそのまま残してしまうと、行政改革とかなんかやらない、手直しもしないでおけばこういうように経費がふえますということですから、そこで収入の方がそんなにないというと、その差額が不足財源というか、要請整額という言葉で言っておりますが、そういうものができますと。それは、したがって収入によって埋めるか歳出を切るかということになりますから、当然に行革をやる以上はまず歳出を優先的に洗い直して抑え込んだり、節約、削減をしたり、そういうことをやるわけであって、そういう意味での手がかりになるということを言っておるわけです。
○田代富士男君 ところが、大蔵大臣にお尋ねしますが、五十七年度予算編成ではいまお話のとおりに中期展望のフレームを指針といたしまして、ゼロシーリング、臨調答申の実現といった手順を一応踏んだようでありますが、その後中期展望を予算編成の指針とする方針は放棄されたのではないかと考えられる節があります。だから、財政再建の羅針盤として中期展望を位置づけることをやめたのではないか、その姿勢が私がいま質問をしました五十七年度中期展望の文々句々ににじみ出ているんです。だから私はいま質問したわけでございますが、もしそうだとするならば、五十八年度予算編成でこれにかわる指針は何であるかとお尋ねするわけなんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう中期展望は中期展望でございますから、それは予算編成上の検討の手がかりにすると。そういう意味では、それは羅針盤というほど正確なものかどうか、そのとおりするわけじゃないんですから。中期展望ではこうなるけれども、それは直していきますと、直さなければ要調整額が必要になっちゃうんですから。ですから、そういう意味で直していく、この程度直さなきゃならないなという手がかりにはもちろんなるわけです。
○田代富士男君 それで、具体的な問題でお尋ねいたしますが、政府の財政再建の指針であります五十六年度の中期展望と五十七年度予算を比べてみますと、歳出は要調整額二兆七千七百億円を歳出削減で一〇〇%達成しております。歳入は税収不振で税収が九九%、公債減額が八五%の達成率であります。だから、政府の言う財政再建は順調に予定どおりできているのではありませんか。 ところが、審議を通じていつも言葉に出てくることは、財政再建がむずかしいとの宣伝ばかりがなされておりますが、少なくとも五十七年度までは国民の協力によりまして、政府の予定どおり中期展望路線に沿って順調に進んでいると評価できるのではありませんか。そういう意味から、国民の皆さんの協力によってできたことだから、国民の皆さんに対する協力に感謝しますというような言葉の一つぐらいあってもいいじゃないですか。総理いかがですか。総理と大蔵大臣、両方から聞きましょう、国民に対して。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 皆さんの御理解によりまして予算をスムーズに成立をさしていただくことは感謝を申し上げます。
○田代富士男君 総理、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 大蔵大臣と同じ考えでございます。
○田代富士男君 そうしますと、新しく提出された中期展望と昨年の中期展望を五十八年予算について比較してみますと、要調整額については五十六年中期展望では五十八年度が四兆九千六百億円と見ていたものが五十七年中期展望では三兆三千七百億円と一兆五千九百億円も改善されております。また、予算の伸び率については五十六年中期展望で五十七年度が一二・三%となっていたものが、五十七年度の政府提出予算では六・二%まで抑え込むことに成功をしております。この歳出抑制の努力を五十八年以降も堅持すべきであるにもかかわらず、その堅持すべき基本方針を放棄して、五十七年中期展望では五十八年度の伸びを一一・五%として、同じく一般歳出は一・八%に対して一〇・七%としております。これは歳出を異常に高く見込むために、かねて用意しておいた予備枠に特に理由もない数字を入れるという大蔵省の常套手段を発揮したのではないかと思いますが、それは財政をもてあそぶことで許されることではないと思いますが、この点大蔵大臣、お考えいかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、五十六年度の中期展望で五十七年度の要調整額が二兆七千七百億円とあったわけですね。これは要するに予算の抑え込みによって、あるいは一部増税もございますが、それをゼロにしたわけです。したがって、五十六年度に見込んだ五十八年度の中期展望で、いわゆる要調整額は四兆九千六百億と出ておるわけでございますが、五十七年度の中期展望ではそれが三兆三千七百億というように一兆五千九百億円少なくなっているわけです。これは予算のときにそれだけの工夫をこらしたから少なくなったわけでありまして、五十八年度予算編成に当たっては五十七年度同様に、この要調整額をゼロにするということをやってまいりますから、五十六年度の中期展望で見た五十八年や五十九年の要調整額はそれよりも少なくなる。当然に少なくなるわけであります。そのような努力をこれからしていかなけりゃならぬわけです。努力しなきゃだめなわけですから、努力をこれからするわけです。
○田代富士男君 いま大蔵大臣いろいろ御説明されましたけれども、国民の立場からすれば、これは財政再建がなかなかできない、そういう悪く見せようとするような作為が見られて仕方がない。だから私は、これは結局増税なき財政再建をやめて国民を増税のペースにはめ込む意図があるのではないかと考えざるを得ません。だから、総理はこの委員会を通じましていつも増税なき財政再建と言っていらっしゃいますが、大蔵省の、いまいろいろ大蔵大臣言われたけれども、財政再建を悪く見せよう、そういうような意図が見られてかないませんが、総理はあくまで増税なき財政再建というこの路線は堅持されますか、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) その前に、誤解があっては困るわけですから申し上げておきますが、五十六年度の中期展望で五十八年度の要調整額は四兆九千億と見ておったわけです。それを三兆三千億に五十七年度の中期展望では少なくしているわけですから、これはもう新しい中期展望の方が前の中期展望よりも要調整額少なくなっているでしょう。たとえば五十九年度のやつは、六兆八千億見ておったものが五兆六千億でいいと。しかも、これはいまのままでもこうなるんですから、五十七年度手直しした分が消えているわけです。さらに五十八年度においては、現在の制度、施策を一層手直しをしますからもっと少なくしなきゃならぬし、少なくなるわけです。 ですから、決して大きく見せかけたわけでなくて、いまの制度ではこうなりますと、しかしことしいろんなことをやったから去年見積もったよりは要調整額はもういまでも少なくなっていますよと、さらにそれをもっと少なくするんですと、こういう意味でございまして、決して増税のための言いがかりでつくっておるものじゃないんです。それはやはり少なくはもうなっているんですから、さらにこれを制度に手入れをすればもっと少なくなるんですから、そうしたいということを言っているわけです。
○田代富士男君 そうすると、増税はする必要ないでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) だから、そういうことで、中期展望に示されている要調整額を、まずはこれは歳出の削減というものを最優先的に取り上げて抑え込んでいくという努力をいたしますということを言っているわけです。
○国務大臣(鈴木善幸君) これから五十八年度、五十九年度にわたって予算を編成する一つの手がかりとしての中期展望、そういうものについての説明をいま大蔵大臣が申し上げたところでございます。政府としては、困難な事態をことさらに国民に示してそして増税を求めるとか、そのような考え方は、作為的なことはいたしておりません、すべきでもないと、こう考えております。 私は、この財政再建、五十九年特例公債脱却に当たりましては、大型増税というようなことを念頭に置かないで行財政の縮減合理化、それに全力を尽くして財政再建を実現したいということをはっきり申し上げておきます。
○田代富士男君 ただいまの総理の増税なき財政再建ということを堅持するとの御決意を、私も期待をいたしまして、そのようにあってもらいたいと思います。国民を代表して申し上げておきます。 五十七年度経済見通しについてお尋ねをいたします。 最初に、毎年経済見通しをお立てになるときにいろいろな何%という、このような目標をお立てになるけれども、なぜこれをおやりになるのか。これは事務当局からでも結構ですから、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(井川博君) 先生御案内のように、わが国経済は民間主体の自由主義経済でございます。それらの中でできるだけ潜在成長力を生かして適正な成長を図っていく、これが経済運営でございますが、その経済運営はどういうかっこうでやるか、これを毎年示しておりますのが基本方針でございます。 五十七年度については五項目の基本方針が出ておりますが、この基本方針に基づいて運用した結果、経済がどの程度になると見通せるかという数字を示したものでございまして、この数字をもとに官民いろいろな五十七年度の活動をします場合の参考にしていく、こういう性格のものでございます。
○田代富士男君 政府は来年度五・二%の実質成長率を達成すると言っておりますけれども、一方、民間の研究機関ではほぼ三%台であります。高くても四・五%で、国民は五・二%の達成を疑問視しているのが実情でございます。来年度本当に五・二%成長を達成し得ると考えていらっしゃるのか。また、その根拠は何であるか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(河本敏夫君) いまお述べになりましたが、民間の重立った調査機関十五機関の成長目標は、平均いたしますと三・八%になります。政府見通しは五・二%でありますから若干違いますが、民間の見通しが出ましたのはいずれも十一月から十二月の前半でございまして、政府が五十七年度の経済運営の基本方針を決め、それに基づきまして予算編成をして幾つかの政策を予算に織り込んだわけでございますが、それらと関係なく見通しが出ておりますので、たとえば住宅政策などにつきまして非常に大きな違いがあろうかと思います。そういう点が背景になっておると思うのでございます。 そこで、五・二%成長は達成できるかということでございますが、政府の方といたしましては、情勢の変化に即応いたしまして適切な経済運営を進めることによりましてこの程度の成長は達成できをと、このように考えております。
○田代富士男君 昨年のいまごろも五十六年度見通し五・三%成長に疑問を投げかけましたところが、政府は、いま長官が答弁されたと同じようなことを言っていらっしゃったわけなんですが、ことしも昨年と同様の繰り返しになるおそれはありませんか。どうですか、長官。
○国務大臣(河本敏夫君) 昨年の年の初めにつくりました成長率は五・三%でありましたが、これは四十五年の指標を使ってこの数字を出したものですから、その後、五十年度の指標に切りかえました。五十年度の指標に切りかえますと、内容は同じでございますが、数字そのものが若干変わりまして四・七と、このように変わっております。それを昨年の秋には四・一%に修正をいたしたのでございます。
○田代富士男君 官高民低の予測の中で、ただいまも問題を提起しておりますが、政府と民間が最も違う点は民需、その中でも住宅、個人消費、民間設備の動向ではないかと思います。 各部門ごとに質問してまいりますが、住宅投資では、民間は一番低いのが〇・四%、最も高いところも八%なのに対しまして、政府は一〇・四%の伸びでありまして、五十六年度政府実質見込み〇・九%の伸びに対しまして十二倍にも伸びる計算になりますが、これでできると思っていらっしゃいますか、
○国務大臣(始関伊平君) お答えを申し上げます。 御承知のように、わが国の住宅建設の水準は、従前は大体百五十万戸内外であったのでございますが、五十四年の第二次の石油ショックを境に大分さま変わりになりまして、五十五年度以降は低水準で推移をいたしております。これをいま申し上げましたように一〇・四%の投資の増と、それからそれを換算いたしますと百三十万戸くらいになるわけでございますが、これはできるかというお尋ねでございますが、潜在需要はあるに決まっておるわけでございまして、いわゆる住宅価格と、それから取得能力との乖離をいろんな方法で埋めていくことができればかなり実現の可能性がふえると思います。いままでと同じことをやっておりましたのではうまくまいらないわけでございまして、したがいまして十二月中の政府の予算の編成、財政投融資計画の決定、さらに宅地並びに住宅の税制の改正に当たりましてかなり思い切った、私の印象ではいまの政府がおよそ動員し得る一切の政策手段を動員いたしまして、この問題に取り組んでまいるというのがいまの政府の立場でございます。いろんな点を改善いたしましたが、そのうちでいわゆる貸付限度額の改定でございますね、これだけを前倒しいたしまして、一月末から三月の初めまで、五十六年度の最後の住宅金融公庫の募集をいたしたのでございますが、これは募集六万戸に対しまして十一万七千戸ないし八千戸、ほほ十二万戸の申し込みがあったわけでございまして、これが恐らく三月、四月、五月と、住宅着工戸数に出てくるわけでございますが、こういったようなことで私は努力次第で、各方面の協力を得ながら何とか百三十万戸を計画、これは内需拡大の柱ということでございますので、全力を尽くして取り組んでまいりたいと、かように考えております。
○田代富士男君 個人消費は、政府はほぼ四%弱の三・九%に対しまして、民間ではほとんどが三%台の前半、中には二%台もありますが、五十六年度実績見込みと比較いたしまして二倍以上の伸びですが、これはできますか、どうですか。
○政府委員(井川博君) 先生ただいまおっしゃいましたように、民間最終消費支出、実質で申しますと、五十六年度一二八、五十七年度三・九でございます。名目で申し上げますと、五十六年度が六・四、五十七年度が八・六でございまして、結局物価の安定というふうなこともございまして、実質の数字が見かけ上非常に大きく出ておりますけれども、六・四から八・六にということでございます。これの最大の理由として考えておりますのは、五十七年度につきましても四・七%、二年続きの物価安定がございます、ということになりますと、消費者の消費意欲も少しは回復をする。われわれといたしましては、八〇・三という五十年の実績に対して八一%という消費性向を示すんではないか等々考えまして、その結果、八・六という名目の消費支出を見込んだわけでございます。
○田代富士男君 じゃ次に、民間設備投資は、政府が七・七%に対し、民間の一部に六ないし七%台があるものの、四%から五%が大部分で、五十六年度の実績見込みと比較すると三倍以上の伸びが確保されねばなりませんが、達成の自信がありますか。これ、どうですか。
○政府委員(井川博君) これは実は大企業の見方につきましては、民間の見方と、それから政府の見方に違いはほとんどございません。御承知のように、非常に投資意欲も強いし、現実にそれを実施をしておるという状況でございます。しかし、問題は中小企業にあるわけでございまして、五十六年度につきましては中小企業の設備投資が一けた、しかもそれも低い方で推移をしている、こういうことになっております。われわれといたしましては、五十七年度五・二というふうな景気が上向く情勢の中で先行きについて明るい期待を持ってくる、そうなりますと、中小企業自体も設備投資の意欲はきわめて強いものがございます。年間を通じまして、ある程度従来の設備投資に近い、なかなかそこまでにはまいりませんけれども、そういうふうな趨勢を回復するという見方をいたしておりまして、その結果が実質七・七ということになっておるわけでございます。
○田代富士男君 それでいろいろお尋ねいたしましたが、五十六年度はさま変わりの内需振興型経済を展望されておりますが、これを実現する政策手段をどのように打ち出していらっしゃるのか、長官いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 五十七年度の景気対策といたしましては、第一に物価の安定を引き続いて図っていきたいと思います。物価安定を政策の最優先に考えておりますが、先ほど調整局長から述べましたが、四・七という一応の目標は置いておりますけれども、それ以下になるように引き続いて努力をしてまいりたいと思います。五十六年度も五・五という目標でございましたが、現在は相当低い水準になっておりますので、できるだけ物価を低位安定の方向で進めてまいりたいと思っております。 それから第二は金融政策でありますが、金融政策を機動的に運営することによりまして、民間の設備投資がしやすいような環境をつくりたいと考えております。現在はアメリカの金利政策のためになかなかやりにくくなっておりますが、幸いにアメリカの物価も下がっておりますので、私どもは順次アメリカの金利も低下するものと考えております。 それから住宅政策につきましては、先ほど建設大臣がお述べになったとおりでございまして、相当思い切った内容になっております。また公共事業等につきましては、民間の資金を導入するなどいたしまして、できるだけ事業量の大きくなるような工夫をいたしております。また貿易につきましては、拡大均衡の方向で今後いろんな政策を考えていきたいと、このように考えておるところでございます。
○田代富士男君 ただいま長官もお話しになりましたが、住宅は思い切った措置がされている、このようなことを言われましたけれども、これは土地問題を解決しなければ、土地が値上がりするだけで住宅建設は増加せず、目標達成は不可能ではないかと思うんです。また個人消費は減税もありませんし、非消費支出の拡大で可処分所得が伸び悩んでいる、これも恐らくだめではないかと思います。また、民間設備投資は五十六年度堅調と言われながら、大企業だけで中小企業は全くの不振ではなかったかと思うんです。まあ公定歩合を下げようとしましても、アメリカの金融政策が足かせになって非常に困難である、こういう実情ではないかと思うんです。 そこで、日銀総裁おいでいただいておりますから総裁にお尋ねいたしますが、内需拡大振興の金融面からの手だてといたしまして、日銀は昨年の十二月の十一日公定歩合を〇・七五%引き下げ、五・五%としたわけでありますが、五十七年度はさらに引き下げは可能であるかどうか、総裁に端的な御意見をお伺いしたいと思うんですが。
○参考人(前川春雄君) 私ども金融政策につきましては、日ごろから機動的あるいは弾力的に運営する、これが金融政策の特徴でもございまするので、機動的に運営してまいるつもりでございます。ただ明年度、景気刺激のために公定歩合をどうするかということにつきましては、明年度これからの経済状況、内外ともいろいろ不安定な要素がございまするので、どういうふうな環境になりまするか、いまのところなかなか推定が困難であるというふうに判断されます。私ども金融政策の運営につきましては、十分機動的に運営いたしまするけれども、公定歩合を来年度中にどうするかということにつきましては、いまのところ何ともお答えいたしかねる次第でございます。ただ一昨年来、金融政策は緩和政策をとっておりまして、公定歩合を下げたばかりでなしに、量的にも金融緩和政策をとっております。その結果、マネーサプライであるとかあるいは貸出金利は逐次下がってきておるわけでございまして、私どもは、着実な景気回復のために必要な条件は十分整っておるのではないかというふうに考えます。また、いまもお話がございましたように、内外金利差が非常に開いておるところでございまするので、金利政策につきましては、内外金利が開くことによって円安がさらに激化するというようなことは、いま企画庁長官からもお話がございました物価の安定に害があるという点もございます。あるいは貿易摩擦をさらに激化するという危険もございまするので、そういう点も慎重に配慮してまいりたいと思います。
○田代富士男君 国債の金利に振り回されまして、昨年の十二月の公定歩合引き下げで、長期金利の利下げが、日銀が望んでいられました八・五%まで実行されなかったことが、その後の景気回復が予想したよりも悪い状況になってしまった。このことに対しまして、日銀総裁はどのように感じていられるのか、あわせて大蔵大臣にも御答弁いただきたいと思います。まず総裁からお願いします。
○参考人(前川春雄君) 長期金利は、長期金融市場における債券の条件によって決まるものでございます。もちろん、公定歩合は主として短期金利に影響を及ぼすわけでございまするが、短期金利に影響を及ぼしますれば、それが回り回って長期金利にも影響してくるという筋合いでございまするけれども、公定歩合を下げますればすぐに長期金利が下がるという環境ではございません。昨年十二月に公定歩合を下げましたけれども、昨年、長期資本市場の需給関係がかなり逼迫しておりましたために、長期債の利回りの低下が十分に実現しなかったということ、長期債の条件は市場実勢を反映して決めるものでございまするので、その結果、公定歩合よりは小幅の低下にとどまったということでございます。 長期債の長期金利につきましては、いまも申し上げましたような市場実勢を反映して無理なく決めてまいりませんと、それを市場実勢を無視して決めますると、なかなか資金調達ができない、したがって金利も下がらないという関係になるわけであります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの日銀総裁の答弁で尽きておると思います。 確かに、国債が出過ぎたために非常に問題があったことは事実でございますが、昨年十二月の公定歩合の引き下げに伴いまして、長期プライムレートなどの長期金利も〇・三程度引き下げられました。このことは短期金利の値下げと相まって、私は、景気の回復には貢献をしてくると、そう考えております。また、長期金利〇・三の引き下げ幅、この幅につきましては、これは米国の高金利等の影響を受けておった当時の債券市況等から見れば、最大の引き下げ幅であったと、こう思っております。
○田代富士男君 いまもいろいろお話がございましたが、国債の金利を重視し過ぎると公定歩合引き下げ効果が半減することも十分反省をしてもらいたいと思います。 そこで問題の一つとなっております米国の高金利というのは、いまや世界経済と日本経済に混乱を与えておりますから、国際的な立場で国際決済銀行などの国際会議の場を通じまして高金利の是正を強く要請をいたしまして、実効のあるものにさせていくべきであると思いますが、総裁いかがでございましょうか。
○参考人(前川春雄君) アメリカの高金利の結果、世界じゅう、日本を除きまして高金利が続いておるわけでございまして、インフレがだんだんおさまってまいりましたけれども、金利がなかなか下がらないという環境にあるわけでございます。ヨーロッパの方も膨大な失業を抱えておりまするので、失業の吸収のためにも金利を下げたい、こう思っておるわけでございまするけれども、金利を下げることによって為替相場が安くなるということでは、国内の物価にも影響があるということで、なかなかそれが実現しない状況でございます。そういう意味で、アメリカのインフレ率が下がってくるのに伴いまして、アメリカの金利が下がることをわれわれは心から希望しておるわけでございまして、国際会議等におきましては、十分そういうわれわれの希望あるいはヨーロッパ側の意向もアメリカ側には伝わっておるわけでございます。ただ一つ申し上げておきたいことは、アメリカ側がこういうふうな政策をとっておりまするのは、アメリカのインフレ抑制ということから出発したことでございまして、その結果インフレ率はだんだん下がってきておるわけでございます。アメリカのインフレがおさまるということが、世界経済の発展のためにはぜび必要なことでございまするので、このアメリカのインフレ抑制の努力あるいは姿勢というものはこれは評価すべきものであろうというふうに考えております。そういう点で、そういう中でインフレ率が下がってくるのに伴いまして、アメリカの金利が下がることを私どもも心から望んでおるわけでございます。
○田代富士男君 最近の動向を見てみますと、すでに五十七年度の成長率達成に赤信号が出ているのではないかと思います。昨日もこの委員会で論議されましたが、十月−十二月のGNP速報が未発表であるけれども、マイナス成長になるんではないかというようなお話でございましたが、そういたしますと、五十七年度の前提となる五十六年度改定実績見込四・一%の経済成長率は達成できないのではないかと思いますが、長官いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 第三・四半期の数字はあと二、三日かからないと最終の結論が出ませんが、貿易関係が相当足を引っ張っておりまして、いまお話しのようにマイナス成長になるのではなかううかと心配をしております。第四・四半期は若干はよくなると思います。しかし年度間を通じて四・一%の目標を達成するということは非常に厳しい状態になっております。
○委員長(植木光教君) 前川参考人には、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
○田代富士男君 五十七年度の発射台となります五十六年度経済自身が十二月に改定したばかりの四・一%達成が非常に厳しいといまもお話でございます。そういたしますと、五十七年度五。二%の達成もこれは非常に厳しくなってくると思いますが、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 何分にもいま世界経済が非常な激動期でございまして、戦後一番厳しい不況であると、こういうことすら言われておる状況でございますが、しかし、昭和五十年代に入りましてからの経済の動きを見ておりますと、日本経済もそうでありますが、世界経済も非常に厳しくなったりあるいはまた大きく回復したり、激しい動きを続けております。第二次石油危機が起こりましてからちょうど三年を経過いたしまして、いろんな問題の調整もほぼ終わったのではなかろうかと、このように私どもも考えておりまして、各国政府、権威ある国際機関等も、まずことしの後半からの回復は間違いなかろうと、こういう見通しも出ておるのでございます。まあ、現時点はいまどん底にあると言ってもいいと思うんです。そういう状態でございますから、現時点から見ますと大変むずかしいように思いますが、世界経済を展望いたしますときに、ことしは去年に比べまして——ことしといいますのは五十七年度という意味でございますが、五十六年度に比べまして、経済運営も全体としてはやりやすくなるのではなかろうかと、こう思っております。 それにどう対応するかということでございますが、先ほど数項目のことを申し上げましたが、あの数項目につきまして機動的な運営をしながら目標を達成したいと考えております。
○田代富士男君 率直に申し上げまして、五十七年度は五十六年度の再現のおそれがあるのではないかと思うのでございます。心配をしておりますが、その理由は、政府の景気に対する認識が甘過ぎる。五月の景気底離れ宣言以来、昨年を通じ、経企庁の月例報告は、一貫して基調的に景気が上向いているという、こういう主張でありました。私も目を通してみましたけれども、全くその認識が間違っていたのではありませんか、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 五十六年度の第一・四半期、第二・四半期は厳しい跛行性は見られましたけれども、全体としては私は景気は緩やかな回復過程にあったと思います。昨年の五、六月ごろを底といたしまして緩やかな回復を続けておったことは、これはもう数字の示すところでございますが、ただ秋の後半になりましてから全体としてのマイナス成長になったのではなかろうか。こういう状態でございまして、私どもは景気の現状に対しまして決して甘い認識を持っておるわけではございませんで、非常に厳しい認識を持っておるということでございます。
○田代富士男君 私は認識が甘い認識ではなかったかと思うんです。いろいろ私も読んでみましたけれども、その間違った認識の結果というのが、内需主導型への政策がとれなかったのではないか、この誤りが五十七年度にも続いているのではないかと心配している次第でございますが、成長が高いにこしたことはありませんけれども、しかし途方もない見通しを立て、そのために政策手段を用意することなく、ただ単に希望的観測を述べるだけであったならば、政府見通しは何の役にも立ちません。私が一番最初に、政府見通しの、どうしてそういうようなパーセントを出すかと尋ねたのはこの点でございますが、もし五十七年度も五・二%の成長率が達成できず、再び下方修正することがあるならば、不況の継続と財政の破綻、そして貿易摩擦の激化で経済も財政も国際関係も混乱しまして、三すくみの状況に追い込まれることは必至でありますが、これをどのように乗り越えていかれますか。この問題の最後でございますから、総理、まとめて御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) ちょっとその前に一言。 何分にも経済全体が激動期でございますので、やはり、変化に即応した機敏で適切な経済運営が絶対の条件であると考えております。今後、経済の動きに応じまして適切な政策を展開してまいりたいと考えております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 田代さんから、いろいろ政府が分析をし見てまいりましたところの経済の動向、それを踏まえての対策等について、非常に甘い観測の上に立って対策等も的確に進んでいないのではないかと、こういう御批判を含めて厳しい認識をお示しになりました。 私は、経企庁長官や大蔵大臣からるる御説明を申し上げたのは、経済企画庁その他専門家のいろんな資料、データ等に基づいてこれを調査分析をいたしておりまして、景気の動向その他につきましても、毎月月例経済報告等も私も聞いておるわけでございます。いま内外の経済情勢が非常に厳しい中でございますから、これをやれば顕著な効果が上がるというような決め手が存在するわけではない、そういうことを期待するような状況には私はないと思っております。先ほど来お話を申し上げておりますような諸条件を着実に、そして絶えずその動きというものを注目をしながら機動的に対策を進めていく、そういう積み重ねの上に総合的な効果を期待する以外にないというのが今日の経済情勢ではなかろうかと、このように思うわけでございます。 今後におきましても、政府としても、田代さんからも御批判があった非常に厳しい諸情勢を踏まえて、絶えず景気の動向やまた物価の問題や、あるいは国際金融その他の情勢等を注視をしながら、適切に機動的に対策を進めてまいる考えでございます。
○田代富士男君 住宅問題に移ります。 五十七年度の内需拡大の政府の唯一の施策は住宅建設だとただいまも言われました。五十六年度の住宅建設の推移と特徴をまず述べてください。
○政府委員(豊蔵一君) お答えいたします。 五十六年度の一月までの住宅建設につきましては、累計で約九十七万戸となっておりまして、前年同期に比べまして約六万戸、六・二%程度の減少というふうになっております。 その内容につきまして利用関係別に見てみますと、持ち家と貸し家につきましては、五十六年度の前半は非常に低い水準でございましたが、九月ごろからおおむね前年度を上回るというような傾向になってきておりますが、これに対しまして分譲住宅につきましては、年間を通じまして依然低水準であるというような状況でございます。そういうようなことから五十六年度三月までの情勢を推測いたしますと、大体百十五万戸前後のところになるんではなかろうかというふうに考えております。
○田代富士男君 いまも話がありましたが、五十六年度の住宅建設は惨たんたるものと言ってもよいのではないかと思いますが、五十六年度の建設目標達成はまず不可能ではないかと思います。そして五十六年度にスタートいたします第四期住宅建設五カ年計画も、これは困難になるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(豊蔵一君) ただいまお話がありましたように、最近の住宅建設が低水準で推移しているというようなことから、第四期住宅建設五カ年計画の初年度といたしましては非常に苦しい状況にあることは事実でございます。 この原因というのは、主として住宅価格と国民の住宅に対する取得能力との乖離ということが大きな要因であろうかと考えておりますが、一方、国民の住宅に対するニーズというものは非常に強いものがありまして、こういった潜在的な需要というものを、住宅建設を取り巻く環境というものをよくすることによって、回復ができるのではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましても、昭和五十七年度につきましては、公的住宅金融につきましての格段の充実を図るとか、あるいはまた住宅、土地税制等につきまして大幅な改正を行うといったようなこと等、いろいろな政策手段を駆使いたしまして、これらの回復と五カ年計画の適確な運営を図ってまいりたいというふうに考えております。
○田代富士男君 五十七年度の住宅建設がさま変わりによくなるとは思いません。 そこで、政府見通しの百三十万戸建設に対しまして、民間の銀行ではせいぜい百二十万戸と言っておりますが、どちらの確率が高いと思われるのか、これは経企庁長官と建設大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(始関伊平君) 民間の方の予測でございますが、これは五十七年度の予算や税制措置等の中身が固まる前に公表されたものが多いようでございまして、また各民間機関の予測と申しましても、予測の戸数等についてはいろいろと違いがあるようでございます。 それで、私どもといたしましては、先ほど申しましたが、本年度の政府見通しては実質所得の回復も見込まれておることでございますし、建築費の方は引き続き安定した動きを続けておりますし、また地価も安定化傾向にあることは御承知のとおりでございます。 なお、また土地の出回りに関連いたしまして、税制だけでは不十分ではないかというお話もございましたが、税制でもかなり思い切った、従来長い間国土庁や建設省が要望しておりましたものが今回は実現しておるのでございまして、なお土地を持っている者が住宅を建設するということも大いに奨励していきたい。たとえば住宅金融公庫の土地担保貸し付けにつきましては、ほぼ所要資金の一〇〇%を貸し付ける。それから公営住宅の建てかえでございますとか、また木賃住宅の建てかえ等につきましても力を入れてまいりまして、そういったような諸施策をあわせてやって、ぜひこれはわれわれの方の見通しを実現するように、さっきも申し上げましたが、全力を尽くす決意でおる次第でございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど建設大臣もお答えになっておりますが、五十六年度の最終の公庫住宅の募集を新条件でやりましたので、三年ぶりに比較的いい結果が出ております、約二倍の応募が出ておりまして。私どもはこれで果たして本格的に回復の方向に向かうのか、安心するのにはまだ早いとは思っておりますが、二回目の募集を見ないとわからぬと思うのですけれども、相当思い切った私どもは住宅政策を進めたと思っておりますので、政府見通しの百三十万戸見当はいけるであろうと、こういう判断でございます。
○田代富士男君 経企庁長官、五十六年度の国民生活白書では、住宅建設の不振の原因をどのようにとらえていらっしゃいますか。
○国務大臣(河本敏夫君) これはやはり住宅の値段が相当大幅に上がったのに所得が伸びない、ここに最大の原因があると、こういうことでございます。
○田代富士男君 白書によりますと、住宅取得能力の悪化の一番の原因は宅地価格の上昇と指摘されているのと違いますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 住宅価格が上がった一番大きな原因は、仰せのとおり宅地価格でございます。
○田代富士男君 景気対策上、住宅建設推進は急務でございます。そういう立場から、促進の意味を込めましてまず私、提案したいんですが、一つは地上権つき住宅分譲の促進——公団、住宅公社など公的機関が提供する土地つき分譲住宅のうち、土地について地上権を設定しまして地上権つき住宅分譲を促進してはどうか。そうしますと、住宅購入者が一定の地代を負担するだけで、従来の土地建物の所有権分譲に比べまして、住宅の購入時価格をおよそ二〇%低く抑えられるので住宅購入を促進できるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(豊蔵一君) お答えいたします。 御提案の地上権つきの住宅の建設及びその分譲というようなことにつきましては、土地所有者の方々の立場から見ますと、所有権を留保しておく、また将来にわたって地代による安定的な収入が図れるというような点がございますし、また住宅を購入される立場の方々から見ますと、用地費の負担の軽減が図れるといったような利点もございますので、私どもも現下の住宅価格の高騰といったようなことと関連いたしまして一つの住宅供給方式であるというふうに考えております。 民間でも一部すでに実施されているところがございますが、ただこの方式を実施いたします場合には、やはり住宅を分譲しました後の土地につきましての管理手法であるとか、あるいはまた地代についての将来のいろいろなルールを確立しておくといったような幾つかの問題がありますので、そういったような点につきましてもさらに検討を進めまして、できるものから実施していきたいというふうに考えております。
○田代富士男君 宅地対策がなければ住宅建設は進まないのはただいま申し上げたとおりでございます。そこで、宅地対策といたしまして、土地区画整理事業が完了した造成済み宅地の放出を大々的にやったらどうかと思うのでございます。 そこでまず、土地区画整理事業の完成した造成済み土地の面積はどのぐらいあるのか、また関係補助金は幾らぐらいになっているのか、御説明を求めます。
○政府委員(加瀬正蔵君) お答え申し上げます。 建設省の調査によりますと、土地区画整理事業が完了している地区で市街化されていない土地の面積は、五十六年度末現在で首都圏におきまして四千九百ヘクタール。これはネットの数字でございます、ミディアムグロスじゃなくて。近畿圏におきまして約千七百ヘクタール、中部圏におきまして約二千三百ヘクタールでございます。 それから補助金の額でございますが、地区数が非常に多うございますのでちょっと調査に時間がかかりますが、一般的に申し上げまして、土地区画整理事業におきましては、御承知のように、平均三割程度の減歩によりまして地権者から土地を提供してもらいまして、その土地で道路、公園等の公共用地と、それから事業財源に充てる保留地を確保しているわけでございます。事業費につきましては、大半は地権者の減歩負担によります保留地の処分金によって賄っておりますが、国は公共施設の整備等を行う費用の一部につきまして補助しているわけでありまして、この総事業費に占める国費の割合は約二割というふうに考えられます。
○田代富士男君 いま御説明いただきましたが、現行法制上の問題はないにいたしましても、宅地の需給の逼迫している現状で、しかも多額の血税を投入しているのでありますから、土地を有効に放出させるための税制措置や法改正を検討すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 建設省関係からまず申し上げますと、法改正につきましてでございますが、一応保留地の処分に当たりまして、たとえば現在でも建築計画の提示を求めるなどしまして、なるべく早く建築行為が行われるような措置を講じておりますし、また住宅供給をする公共的機関に優先分譲するような措置は講じておるわけでございます。あるいは都市的利便施設がありますと住宅化が早いということでございますので、こういう考え方での行政指導は強化したいと思っております。仮に、建築の義務づけ等を強化しますと事業の実施そのものが行われなくなる。長期的に見ますと宅地供給の阻害要因ともなりかねないものですから、その辺は慎重な検討が必要かと考えております。 なお、一月二十六日に都市計画中央審議会に対しまして建設大臣から土地区画整理事業施行地区の市街化促進を図るための方策はいかにあるべきかという諮問をしております。この審議会の答申を待ちまして、必要に応じ所要の措置を講じることとしたいと考えております。
○政府委員(関根則之君) 宅地供給の促進に資するためのいわゆる宅地並み課税制度の問題につきましては、長い間の懸案でございましたけれども、今年度の地方税制改正の一環といたしまして法案の審議をお願いをいたしておるところでございます。従来、懸案となっておりましたA、B農地だけに宅地並み課税を実施していたわけでございますが、これをC農地まで拡大をいたしますとともに、現在営農を継続する意思のある者に対しましては、その営農を続けておるという現実に対しましてしかるべき配慮を講じながら宅地並み課税の強化を実施する、こういう案を提案をいたしておるところでございます。
○田代富士男君 市街化区域内の農地は幾らぐらいあるのか、また、三大都市圏ではどうなっているのか、御説明をしてください。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。 五十六年の一月の数字で申し上げますと、全国で二十万九千ヘクタール、それから三大都市圏自体の集計はまだ終わっておりませんが、三大都市圏のいわゆる宅地並み課税の対象になります特定の市のいわゆる市街化区域の面積は七万ヘクタールでございます。
○田代富士男君 公明党は、かねてより選択的宅地並み課税制度を提唱してまいりましたけれども、この際、三大都市圏において市街化区域内農地に選択的宅地並み課税を厳格に実施してはどうかということを思う次第でございますが、政府が五十七年度より導入しようとすることは一応は評価することができますけれども、その内容は公明党の政策に比べまして大幅後退したものですが、どの程度の効果を期待していらっしゃいますか。
○政府委員(関根則之君) 今回提案をいたしております法改正に基づく具体的な効果につきまして、数字をもって申し上げることはできかねますけれども、私どもとしては、譲渡所得に対します課税の改正等と相待ちまして、相当程度の効果を発揮するものというふうに期待をしている次第でございます。
○田代富士男君 最近の傾向といたしまして、中古住宅の買いかえ需要が多いということでございますが、買いかえを促進するために、たとえば公庫も事業団並みの耐火れんが二月建てに門戸を開くとか、中古住宅への融資制度を充実すべきではないかと思うわけでございます。 それから最後の質問ですから……
○委員長(植木光教君) 田代君、時間が参りました。
○田代富士男君 住宅対策に対しまして宅地対策がなければ進みません。こういう意味から、勇断を持って総合的な宅地対策をされることを総理に求めたいと思いますが、総理の決意のほど、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 住宅政策を促進をいたしますために、宅地対策がその中心の課題であることは私もよく承知をいたしております。ただいま地方税等の面で一部の税制その他の宅地に対する対策を講じて御審議を国会でお願いしておるところでございますが、今後におきましても、さらに総合的な観点から宅地問題につきましては対策を深めてまいりたいと、こう思っております。
○委員長(植木光教君) 以上で田代富士男君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、片岡勝治君の総括質疑を行います。片岡君。
○片岡勝治君 昨日並びに本日もすでに大きな問題となって質問が続けられておりますが、本年は非核運動のいわば重要な転機ということになると思います、国連軍縮総会があるわけであります。これに関連いたしまして、まず初めにそうした問題についてお尋ねをしたいと思います。 なぜことしが軍縮年なのかという大きな課題にいま問われているわけでありますけれども、率直に言って、いまの国際情勢は世界のいわば人民の願いとはかけ離れて、激しい軍拡、それも核軍拡が行われている、こういう情勢であります。もちろん、これは米ソ二大国の関係ももちろんありますけれども、私たちは率直に言って、今回発表されましたレーガンの核戦略方針、こういうものが大きく影響されたということを指摘せざるを得ないわけであります。政府は、このレーガンのいわば核戦略体制というものをどう受けとめているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) お答えをいたします。 米国は自由主義社会を防衛し、世界の平和と安定に寄与するという役割り、認識のもとに強力な軍事力を維持してきております。しかし、核兵器の使用がもたらす深刻な結果をも認識をし、核戦争及びそれに至るような軍事衝突を抑止するとの抑止戦略をもとっておるわけでございます。このため、一方において核及び通常戦力体制の整備を図り、東西間のバランスの維持に努めるとともに、他方、バランスをできるだけ低いレベルに抑えるため、ソ連との間で軍備管理、軍縮交渉等を行ってきております。レーガン政権におきましても、以上のような米国の基本的な政策を踏襲しており、このような立場からレーガン政権はソ連の一貫した軍事力の増強により、このまま放置すれば遠からずソ連が優位に立つ趨勢にあることにかんがみまして、軍事バランスを改善し、対ソ抑止力の信頼性を確保するため、核及び通常戦力の近代化等を図るとともに、西側の同盟諸国に対しましてなお一層の防衛努力を要請し、また同時にソ連に対し、戦略核戦力削減交渉等の包括的な軍備管理、軍縮交渉等の促進を呼びかけているものとわれわれは理解をしております。
○片岡勝治君 それも一つの要素でありましょうけれども、しかしレーガンの最近の政策を見ますと、それだけではなくして、アメリカの何と申しますか全体の力、俗に言う強いアメリカ、そういうものを誇示するために軍事政策というものを相当重要視しているということは否定できないわけでありまして、これは世界の識者が大方そういう見方をしているわけであります。そういうことからいたしますと、そのレーガン戦略、特にレーガンの軍事戦略をそのまま日本が受けとめてその枠組みの中になだれ込んでいく、こういう私は最近この日本の突出した防衛費が象徴するような点を考えると危険性を感ずるわけであります。この点はどうですか。レーガン政権に対して、レーガンの軍事戦略に対して、実はこういう点に批判があるんだという批判があればそれを出していただきたい。そうじゃなくて、これはもう正しいんだ、その戦略に日本も組み込まれていいんだということになりますれば、これは大変な問題でありますけれども、その点をひとつ明確に回答していただきたいと思います。
○政府委員(新井弘一君) お答え申し上げます。 二点指摘したいと思います。 第一点は、レーガンの戦略思想といたしまして、要するに危機はこちら側が強いときに起きるのではなくて弱いときに発生するのである、これは歴史の経験に照らした哲学がございます。 それから第二は、対ソ抑止力の信頼を高めるという一つの大きな目的と同時に、それによってソ連との間に軍備管理あるいは軍縮交渉を行う、そういう誘因とするというもう一つの強い考え方がございます。この二点は私どもも同感するところでございます。
○片岡勝治君 ちょっとよく意味がわかりませんが、いわゆる危機の条件というものについてはこれは後ほど論議をいたしたいと思います。 さて、このレーガン戦略の一環として、最近アメリカは、いわゆる核戦略を急膨張させる、そういう政策をとってきたわけでありまして、そのことがそのまま日本にも影響してまいりました。すでにこの問題も質問されてきましたけれども、アメリカの巡航ミサイルトマホークが太平洋艦隊に配備をされる、こういうことがあったわけでありまして、この際もう一度はっきりお答えをいただきたいと思うわけでありますが、この巡航ミサイル、核兵器が配備された場合に、日本寄港をアメリカは要求をする、事前協議の対象にして日本に要求をするということがすでに報道されております。その場合でも、しかとこれを拒否すると、こういう態度だろうと思いますけれども、改めてここでもう一度確認のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 繰り返し申し上げておりますように、一九八四年以降に配備する等の計画を有しておるということは明らかでございますが、ただ、トマホークの巡航ミサイルは通常弾頭及び核弾頭の双方の整備ができることになっておることは御承知であろうと思います。もし核を装備しておるものを、これを日本の港に寄港するというようなことになりますれば、それは非核三原則を持っておる日本としては拒否することは言うまでもございません。事前協議があればそれは拒否をする。
○片岡勝治君 一方、しかしこういうこともアメリカの議会の重言の中に出てきておるわけであります。事前協議はするけれども、しかし核の存在の秘密、これは明らかにしないという政策がある、したがって事前協議の内容についてはこれは公表することはできない、こういうことがはっきりしているわけですよね。ここで、拒否をするというお答えがありました。私はそれを信頼しましょう。しからば、事前協議があった、寄港を許してくれという事前協議があった、これを日本は協議をした、日本はこれを拒否したということを明確に国民の前に発表する、この点をお約束をいただきたい。
○国務大臣(櫻内義雄君) ちょっと御質問の趣旨がわかりかねましたが、安保条約上核の持ち込みはすべて事前協議の対象であって、核の持ち込みについて事前協議を行うということはアメリカの条約上の義務でありますから、事前協議をそういう場合に必ずやる、また、その際日本は非核三原則にのっとりましてそれに対してノーと答える、これは日本のはっきりした方針でございます。
○片岡勝治君 つまりアメリカが言うのは、事前協議はする、しかしその内容については、核の存在を明らかにしないというアメリカの政策があるので、内容については秘密ですよと、こういうことなんですよ。だけれども、私は総理の決意を信頼いたしまして、そう言ったって日本はそういうわけにはいかぬよ、協議をした内容は国民に発表する、そういう点をお約束できますねということなんですよ。秘密の協議ということを、そのものを拒否してもらいたいということなんですよ、裏返せば。これはよろしゅうございますね。
○政府委員(淺尾新一郎君) いま御質問の点が二つあるかと思います。 まず第一に、アメリカは核の存否について肯定も否定もしない、したがってその事前協議の対象になる核の持ち込みについて協議しないじゃないかというこれが第一点。これについては、国会でも再三御答弁しておりますように、核の存否について否定も肯定もしないというアメリカの大方針がございます。しかし、同時に、アメリカの権限ある当局は、核の存否について明らかにするということを許されております。したがって、日米関係においては、安保条約、その関連取り決めで、当然対象になります核の持ち込みというものはこれは事前協議になりますので、その場合には、アメリカ側が事前協議を申し入れてくる、これが第一点でございます。 第二点。その場合に、それじゃ事前協議があったかどうか、あった場合には、アメリカは核については秘密だからその事前協議も秘密ではないかと、こういうことでございますが、これはまさに事前協議があったということでございますので、その点については、その場合にはすでに事前協議があったかどうかというのは明らかになってくると思います。 ただ、もう一つ申し添えれば、これは行政府の責任として行うわけでございまして、国会にその点を明らかにするかどうかということは、そのときの時宜に応じて、国会に後で御報告する、こういうことになるかと思います。
○片岡勝治君 事前協議を向こうから要求をされる。その場合に、いわゆるトマホーク配備の艦船を寄港させたい、そういう相談があったときには協議に応ずるわけですよね。応ずるけれども、それを拒否した。その結果は、国民、もちろん国会でありますけれども、これには必ず報告をする、事前協議の内容については報告をする、この点をまずそれでは確認をいたします。 そこで、もしそういうことであれば、私は、条約上事前協議の対象になるということであり、しかも、アメリカが事前協議三言ってきても日本は断る、それだけ明確にしておる問題であれば、この際総理、国民が心配をし、われわれも非常に疑うわけですよ、この問題について。ですから、この際明確に協定をいたしたらどうですか。協定なり議定書というんですか、そういう交換公文を交わして明確にしたらどうですか。日本は断るということ、これをもう万たび言っているんですから、そうすれば私もここで繰り返し繰り返しあなたにこの質問をしなくて済むわけです。国民も大変安心するわけです。この点についてはどうですか。
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいまの点にお答えいたします。 まず、日米間には、先ほど来御答弁しておりますように、安保条約、その関連取り決めあるいは事前協議に関する交換公文ということで、核を日本に持ち込む場合にはアメリカは当然事前協議を発議してまいるわけでございます。で、日米間というものはこれは信頼関係に立っておりますので、アメリカ側がその事前協議については誠実に遵守するというのは、歴代の大統領が何回も日本側に明らかにしておる点でございます。したがって、ここで新しく日米間でそういう協定を結ぶという必要はないものと考えます。 それから、さらに補足させていただけば、先ほどの私の説明に対して片岡委員から必ず国会に報告するという念押しがございましたが、私が申し上げたのは、国会に報告するかどうかということはそのときに応じて決定すると、しかし事前協議の諾否についてはこれは行政府の責任においてするのだと、こういうことでございます。
○片岡勝治君 これは重大な問題ですよ。先ほどはそういうことを言ってなかったでしょう、国会に報告をするということ。それでは事前協議が秘密のうちに行われた、しかし国会には報告がなかったということになるわけじゃないですか。これはちょっと了承できませんね、そういうことでは。それじゃ非核三原則だって守り得ないわけじゃないですか。これはひとつ総理、はっきり言ってくださいよ。
○政府委員(淺尾新一郎君) 私が最初に申し上げたのも、事前協議の申し入れがあって、これを拒否するかどうかというのは行政府の責任においていたしますと、その際に国会に報告するかどうか、これはそのときの情勢、時宜に応じていたしますと、こういうことでございまして、先ほど来の答弁について変わっている点はございません。
○片岡勝治君 はっきり報告をするというふうに受けとめてよろしゅうございますね、報告をするという点について。余り説明をしないではっきり言ってください、結論だけ。
○政府委員(淺尾新一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、国会に御報告するかどうかということはそのときの情勢において決めるのだと、こういうことでございます。
○片岡勝治君 だめですよ、そんなことじゃ。それじゃ非核三原則なんかしり抜けになる危険性があるでしょう。これほど重大な課題について少なくとも国会、それは即国民ですよ。国民に対して報告をするのは当然の義務じゃありませんか。非核三原則を遂行する、そういう政府の方針を遂行したかどうか、そのあかしは、事前協議で日本が拒否をした、そういうことを国民の前に明らかにすることが非核三原則を厳守したことになるのじゃないんですか。総理からはっきりお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま淺尾局長の方から申し上げておりますとおりに、国会に報告すべしというようなそういう規定は現在ないのでありまして、したがって事前協議によってノーという、それからイエスという場合は、これは他の場合ですね、核の場合ではありませんが、イエスという場合もあろうかと思いますが、それるのことにつきましてはそのときの情勢に応じて国会に報告すべきことはすると、こういう趣旨を申し上げておるわけであります。
○片岡勝治君 これはちょっと私としては了承できませんよ。この点はひとつはっきりしていただきたいと思います。
○委員長(植木光教君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(植木光教君) 速記を起こして。
○片岡勝治君 先ほどのお答えの中に、時宜に応じて国会に報告をする、時宜に応じてか、そういう意味のお答えがあったわけでありますけれども、その時宜とは何か、この点を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(淺尾新一郎君) これは安保国会当時から御答弁しておりますが、時宜に応じてということは差し支えない範囲でと、こういうことでございます。
○委員長(植木光教君) 速記をとめて。 〔午後三時三十分速記中止〕 〔午後三時五十六分速記開始〕
○委員長(植木光教君) 速記を起こして。 先ほど来の片岡君の質問に対し、外務大臣から答弁を求めます。櫻内外務大臣。
○国務大臣(櫻内義雄君) 大変手間をおとりしまして恐縮でございました。 事前協議の国会への報告につきましては、昭和四十七年五月二十四日、衆議院において佐藤総理は「事柄によりましては事前に」「あるいは多くの場合においては事後、またはものによっては国会に報告しないものもあろう、」と、こういうふうに答弁しておられます。核の持ち込みにつき事前協議が行われた場合には、国民の重大な関心にもかんがみまして、政府としては協議の際に特別の事由のない限り公表することが適当であると考えております。
○片岡勝治君 くどいようですけれども、そうなりますとまた聞きたくなるんですよ。特別の事情とは一体どういう場合を指すのか。事は非核三原則の問題ですからね。これは鈴木首相も本会議において、あるいはこの委員会において、たとえどのよう方困難があろうともこれは死守していくのだ、そういう重大なまさに国民的な課題であるわけでありますから、この点はやっぱり明確にしていただきたい。私はそれを国民は待っていると思うのです。特別の事由とはどういうことを指すのか、この点を具体的に、大変くどいようで申しわけないのですけれども、再度お伺いしたいと思うんです。
○政府委員(淺尾新一郎君) 先ほど大臣から御答弁したとおりでございますが、ですから、でき得る限り国会に御報告する。そこで特別の事由とは何かと、こういうことでございます。その理由と申しますのは、現在のところまだそういう事情ございません。したがって、具体的にどういう理由がということをここで申し上げるということは非常にむずかしいわけでございますが、一般論として申し上げさしていただければ、もし事前協議、この場合は核の持ち込みでございますが、核の持ち込みについてアメリカから事前協議の申し入れがあって日本がこれを拒否したと、それを公表することがアメリカの軍事機密に非常に危害を及ぼすということであれば、それが特別の事由ということに一つはなるかと思います。しかし、いずれにしても、日本政府は、先ほど来御論議のありましたとおり、核の持ち込みについてはいかなる場合にもこれを拒否するという方針には変わりございません。
○片岡勝治君 これは、やっぱり非常に大きな疑惑をむしろ深める答弁だと思いますよ、これは。そういう事態がなかったからという前文はあったにいたしましても、アメリカの軍事機密ということになりますと、これは過日ワインバーガー長官が言っている言葉と符合するわけですよ。つまり核の寄港という問題は最高の機密なので、事前協議がどんな性格のものかを公表することはしないと言っているわけですからね。ですから、これはもう大変な問題なんです。これではちょっと納得できませんね、これは。
○委員長(植木光教君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(植木光教君) 速記を起こして。 本問題につきましては、後刻理事会で協議することといたします。
○片岡勝治君 次に、核拡散防止条約につきましてお伺いをいたしたいと思います。 これは千九百何年ですか、条約が締結をされまして、以後相当年数がたっておりますけれども、この条約の今日までの経緯を振り返ってみて、日本としてはどういう評価を下しておりますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御質問でございますが、第一回の軍縮特別総会において、五核兵器国がそれぞれ非核兵器国に対する核の使用または使用の威嚇を行わないとの安全保障に関する約束を一方的宣言の形で行っております。そういうことから、核を拡散させないということが核防条約の一番の意義だと思うのです。しかし、米ソとも核競争をしているんではないかと、そういうところに御懸念があると思うのですが、しかしただいま申し上げましたように、五核兵器国では、使用または使用の威嚇を行わないと、こういうことを言っておりますから、それなりに核防条約の意義は十分私は確保されておると、このように見ておる次第でございます。
○片岡勝治君 少し認識が甘いんじゃないですか。たとえば、この核拡散防止条約の再検討会議が一九七五年にございました。条約ができて数年たってから、関係各国が集まってこの条約についていろいろ検討いたしました結果、この条約に対して非常に懸念が高くなってきたわけであります。つまり核保有国は約束を守っていないではないか。まず第一に核兵器はもうこの五カ国以外は持たせない、そのかわり核保有国は軍縮をやりますよ、核軍縮をやりますよという約束をしているわけですよ。しかし情勢は逆でしょう、米ソを頂点として。この点はどういうふうに認識されておりますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) これらの現実の事態がどうだということから判断をしていかなければいけないと思うのであります。ソ連は、デタントということで緊張緩和をすべての国がそれを期待しておるときに、このデタントと言われた十年の間に核の拡充を図ってきた。そのことによりまして核のバランスが崩れたのでありますから、そういう点についてはわれわれも批判を持っておるわけでございますが、そういうバランスが崩れるということが国際平和の上にどうか、こういうことを考えなきゃならない。あるいは、核のみならず軍事力の不均衡ということが問題である。そういうことから、現実的には一方において核戦力の強化が行われておるという事態があるわけでございます。しかし、そういう事態はございますけれども、この東西の頂点に立つアメリカとソ連が昨年以来の中距離核戦力の削減交渉をしよう、そしてまたオタワ・サミットでもこういう競争をしてはいけない、できるだけ低いレベルに持っていこうと、そういうことに努めておるわけでございますから、究極的にはそういう方向に各国が努力をしておる。しかし、現実的にアンバランスの点からそこに問題がある、これは認めざるを得ないと思うのです。
○片岡勝治君 明らかにそうした、すなわち核保有国が核軍縮をやるといういわば約束、前提で核防条約ができているわけでありますから、この点についてはいわゆる非核保有国の不満が大きくなるのは当然だと思うのです。そのこと自体が核防条約の一つの危機の様相を呈しているわけです。もう一つ、この条約の中で特に核兵器を持っている国が非核保有国に対して核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わない、そういう法的な拘束力のある約束をしてもらえないかということが非常に強い要求なわけですよね。これに対して核保有国はどういう態度をとっておりますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 核保有国がただいまもちょっと触れたのでありますが、アメリカにしてもソ連にしても、それぞれ国務省のステートメントあるいはグロムイコ外相の言によりまして、非核兵器国に対して核兵器をしない、非核兵器国に対して核兵器をしないと。これは前の方は同じ表現ですが、アメリカの国務省のステートメント、後の方はソ連のグロムイコの言でございますが、非核保有国に対してこの二大核保有国がこういう態度をそれぞれ明日にしておるわけでございます。 そこで、わが国の場合を申し上げてみますならば、わが国は核軍縮を進めていきたい、そのためには何としてもその前提になる核実験というものを廃止してもらいたい、これを非常に強く主張しておるわけであります。そして核拡散防止体制を普遍的にしたい、こういうことで国連におきまして、あるいは第一回の軍縮特別総会においてわが国の主張を明らかにしておるわけでございまして、今後ともこの方針にのっとって進んでまいりたいと思う次第でございます。
○片岡勝治君 非核保有国が要求しております核保有国のいわゆる核兵器の使用あるいはその威嚇、それに対する安全保障に対してアメリカは反対しているわけですよ。 〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 米国は、この種の消極的保障は、要するに核保有国の非核保有国に対する安全保障、この種の消極的保障は相互安全保障協定で与えられた約束を損なうものである、つまりアメリカが結んでいる同盟、そういう機能を損なう、ソ連は、同提案がある核兵器国のみ義務を課するというものであるから反対である、こういうふうに二つの超大国が反対をしておるわけですよ。これは核防条約のいわば基本がもうそこで非常に危機に直面をしているというふうに私どもは認識せざるを得ない。こういう米ソの態度に対して日本はどういうふうに対応しているのですか。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘のございました点につきまして、一九七八年に開催されました第一回国連軍縮特総におきまして、いわゆる核保有国でございます五つの国はそれぞれの立場から非核保有国に対する安全保障についての一方的な宣言をいたし、つまり、それぞれの国の立場から非核保有国の安全を保障するために核を使用する攻撃を行わないという立場を表明いたしております。この意向表明を受けまして、翌一九七九年からジュネーブの軍縮委員会におきまして各国の立場の共通点を抜き出しまして、共通の国際的な合意を見出すことができないかどうかといった点について検討をいたしておるというのが事実でございます。
○片岡勝治君 関係各国が一方的宣言をしたということは事実でありますけれども、再検討委員会ではこういうふうにまとめられているんですよ。一九七五年に行われた核拡散防止条約の第一回再検討会議では、声明が述べている以上の具体的な保障は非核武装地域の設定が伴った場合にのみ可能だ、つまり、核拡散防止条約あるいはいま言った米ソ等の関係各国が一方的に宣言をしたことは非核武装地域というものが設定された場合にのみ可能だと、そうでない場合は一方的な宣言で、決して非核保有国に対して安全保障を保証しない、保証できない、そういう態度じゃないんですか。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘になられました非核地帯との関連における一方的宣言ということに関しましては、フランスがそのような発言をいたしておるという事実を承知いたしております。しかしながら、他の四カ国につきましては、非核地帯との関連なくしてそれぞれの意向を表明しているというのが事実でございます。
○片岡勝治君 私が言っているのは、つまり核保有国が核を持ってない国に対して核兵器を使わない、あるいはおどさない、そういう約束をしてくれと、こういう要求なんですね、非核保有国、核を持ってない国は。それに対してソ連もアメリカもその他の核保有国もそういう約束はできない、こういうことなんですよ、結論から言えば。だから、この核防条約というのは非常に危機だ、アルジェリアの代表は、そういう態度をとっている限り核防条約はもう危機に直面しているではないか、もっとひどいのは、おれたちも核兵器を持たざるを得ない、こういうところまで来ているのですよ、第三世界の人々は。そういう認識はないんですか、日本政府は。
○国務大臣(櫻内義雄君) この核の問題についての各国のいろいろな動きがあると思いますけれども、しかし、その中でどういう場面でどう言っておるかによって権威づけられると思うのですね。ただいま国連局長が言われましたように、第一回軍縮特別総会に際して、アメリカやソ連が言っておられるということは、第二回の軍縮特別総会を前にして、私はその価値は高いものである、そしてソ連やアメリカが、先ほど局長から言われたことを、これを現実に遂行してもらうように持っていくことが、これがわが国としていいのではないか、こういうふうに思うのであります。 〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 そこで、くどいようでありますが、アメリカはこの核兵器不拡散条約についてどう言ったか、NPTですね、締約国であるかまたは核爆発装置を取得しないとの類似の国際的に拘束力のある約束を行っているいかなる非核兵器国に対しても核兵器を使用しないと、これはアメリカがはっきり言っておるんですね。ソ連は、核兵器の生産及び取得を放棄し、かつその領土に核兵器のない非核兵器国に対して核兵器を使用しないと、こういうことを言っており、そういう姿勢をこの第一回軍縮特別総会でとっておられるのでありますから、私はこういう姿勢をより一層現実的に進めるようにしていくことがわが国としては適切ではないかと、こういうふうに見ておる次第でございます。
○片岡勝治君 だから、そういう一方的な宣言に対して非核保有国は、約束をしてください、協定をしてください、こういう要求をしているんですよ。それに対してアメリカもソ連もそういうことはできない、こう言っているんですよ。そういう事実は御存じでしょう。
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどその事実の御指摘があったわけでございますが、やはり大事なのは、日本はどういう姿勢をとっていくのかと、被爆国である日本としてこれからの核軍縮を中心とする軍縮に対してどういう姿勢をとるかということについて、少なくとも、いろいろ御指摘はあるが、私どもは米ソがこういうふうな姿勢をとっておる、それを前向きに発展さしていくということがいいのではないか。そして、それは一つ置いておいて、実際に核軍縮を達成する上にはどうすればいいかと、それはまず第一が核実験を禁止することである、また続いては核兵器の製造を禁止するとか、あるいは核不拡散条約を普遍的にするとかいうことを、それを積み上げていくことによって御心配のようなことがないように持っていく、それが日本の立場ではないか。まあいろいろ米ソが言うでありましょうが、日本としてそういう行動をとっていくことによりまして国際的に寄与し得ると思うのです。
○片岡勝治君 核防条約の再検討会議に日本は、それでは一体どういう態度をとってきたのですか、いろいろ各国の意見が出ておりますけれども。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 核防条約第六条には、先ほど来委員御指摘の点が指摘をされておるところでございます。わが国も、第六条の規定に従いまして、核兵器の軍拡、これが早い時期に停止される、また軍備縮小への交渉というものにつきまして締約国が誠実にこれを行うという第六条の趣旨に沿って、核兵器の削減の方向に国際協力が進むことを強く訴えるということを行ったのでございます。
○片岡勝治君 それじゃ、具体的に聞きますけれども、この提案に対して、つまり非核国が核保有国に対して核の使用あるいは威嚇、そういうものを法的に拘束力のある約束をしてくれと、こういう提案に対して日本はどういう態度をとってきたんですか。
○政府委員(門田省三君) わが国も、そのような国際協力が前進するようにという希望を表明したのでございます。
○片岡勝治君 ひとつその議事録を後日、御提出をいただきたいと思います。 そこで、この際、総理の見解を承りたいと思うのですが、核拡散防止条約の中では、非核国の安全保障というのは、ずばり言えば、非核地帯を設定しない限りそういう保証はできない、核保有国は、こういうことなんですよ、ずばり言って。この考えについて所見をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来、外務大臣と御論議を重ねておられる状況を私お聞きしておるのでありますが、核保有国、特にアメリカとソ連との間にこの問題の実施取り扱いにつきまして意見がいろいろ分かれておる、一致しない面がございます。こういう問題は、私は時間をかけてやはり白制と責任において解決を求めていかなければならない、こう思うわけでございます。 わが国といたしましては、この核拡散防止の体制をできるだけこれを拡大強化をしていくという観点から、核実験の禁止、包括的な核実験の全面禁止というような問題を強く推進もいたしております。そういうわが国は方針をとっておりますが、いまお尋ねの非核武装地帯に対しては核兵器を使用しないという保証を与えてもよろしいと、こういう核保有国の方針が示されたと。ついては日本としては、この非核武装地帯の設定について、どのように対応し推進をするかというお尋ねであろうかと、こう思うわけであります。 私は、このわれわれのアジア地域、現実のアジア地域の諸情勢を見ておりまして、米ソ、それに中国、そういう核保有国がここでいろいろ利害が衝突をし、国際政治の面でもいろいろ対立しておる面もある。こういうようなことで、われわれの地域に非核武装地帯を設定するということは、究極の理想であっても私は現実の事態はまだそこまで条件が熟していない、こういうぐあいに見ておるわけでございます。
○片岡勝治君 いまの日本はそういう条約は結んでいませんけれども、非核武装地域というふうな認識をしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ちょっと……
○片岡勝治君 日本は非核武装地域、そういう認識でよろしいか、こういうことでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 非核武装地帯に入るかどうかということですか。(「地域になるのかどうか、日本国自体が」と呼ぶ者あり)日本は非核三原則を堅持いたしておりますから、わが国は非核武装地帯である、これは明確だと思います。
○片岡勝治君 地帯ということですから、恐らく核防条約では複数の国が協定をする、核保有国に対して協定をするということだと思うのですが、つまり総理が言うように、日本は非核武装地帯であるということで、もう一つ、二つ国が一緒になれば非核武装地帯という形成ができるわけです。そこに対しては保証しましょうと、こういうことなんですよ。ですから、非核武装地域を広げるということ、日本が、いま総理がそういう認識でいいということですからこの地域を広げるということは、これは大変いいことじゃないのですか。非核憲法を持っている国だってあるんですよ。南の方には。そういう気持ちはありませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 究極においてそういうことをわれわれは願うわけでございますが、先ほどるる申し上げたように、米ソ核保有超大国がここで、いろいろ国際軍事情勢あるいは政治情勢のもとで利害もいろいろ対立いたしておる面もございます。中国という存在もございます。そういうような国々の影響を受けておる国がこのわれわれのアジア地域には多く存在をしておる、表面はこれははっきり影響を受けておると言わなくても、現実の姿としてはそういうものがあるので、私は、われわれのこのアジア地域に非武装地帯を設定するという条件、機運というものはまだ成熟していない、こういう認識を持っております。
○片岡勝治君 日本は単独の非核武装地帯ということであり、非核保有国ということでありますから、日本のそういう立場に立った世界に対するこの平和貢献というものができる。 そこで、私は一つ提唱しますけれども、非核保有国が連帯をして、核防条約の危機その他に対して大いに発言をしていく、いま非同盟という組織がありますけれども、それに対応するといいますか非核保有国連合、そういうものをつくって、総理の言う核軍縮運動を日本が、鈴木さんがトップリーダーになってやる気持ちはありませんか。 それからついでにもう一つ、今度国連軍縮特別総会についてはすでに昨日竹田議員の方から質問がありましたので、この点は全部省略をいたしますが、ひとつ、総理はもう昨年から、おれが行って大演説をぶつよということをマスコミにも発表されて、私たちも大いに期待しているんですよ。しかしきのう聞いたらば、いやまだ余り具体的なことは考えていないということですから、熱意が大分薄れたのではないかということを心配するわけですよ。それはそれとして、もうすでに私は何を要求するかぐらいのことは具体的にできているのではないか。もしできていなければ、緊急につくって国民の前に大いに示して、いま国民運動があるのですから、その運動に役立たせるということで、国連に対して何を要求するのか、具体的なものをつくって国民に発表していただきたい。同時に、ここでもいまその鈴木さんの構想がどういうものかは定かではありませんけれども、事前に非核保有国に対して日本はこういうことを提唱する、同調してくれ、大いに非核保有国に対して協賛を得る、そういう国際活動をやるべきだと思うのですが、ひとつまとめてそれらの見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) ちょっと御参考に申し上げておきたいことがございます。 これは御承知のことかと思いますが、ジュネーブ軍縮委員会におきまして、非核保有国の安全保障という部会のようなものをつくって作業を進めておると、そういうことは一方にございます。ただいまの御発言の御趣旨が現にそういうような形でとられておるということを御参考に申し上げておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私どもはいろんな国際的な会議——いまも外務大臣から申し上げたジュネーブの軍縮委員会それから個別のいろいろの国々との協議、接触の場を通じまして、核不拡散の拡大強化につきましては努力をいたしておるところでございます。 私は国連の軍縮総会に対しまして、いろいろいま自分自身の構想を練っておりますと同時に、各方面、特に各党党首の御意見も十分その前にお聞きもしたい。また、署名運動等熱心に取り組んでいただいておる各団体の代表の御意見等も伺いたい。そして全国民的な基盤の上にこの国連における私の発言というものを最終的にまとめていきたい、このように考えております。それを事前に公表するかどうかという問題につきましては、十分検討してみたいと、こう思っております。
○片岡勝治君 ひとつ大いに張り切ってやっていただきたいと思います。 次に、突出した防衛費という名前で日本の防衛力の増強が叫ばれておりますけれども、その根幹は、先ほどもちょっと触れましたレーガンのアメリカ戦略、それに追随という言葉を使うとあなた方いやになるかもしらぬけれど合、追随した日本の防衛政策のよってしかるところだろうと思う。一体ソ連の脅威に対して日本がどのくらいの防衛力を持ったら脅威はなくなるのですか、不安はなくなるのですか。
○政府委員(塩田章君) 御承知のように、現在日本は防衛計画の大綱によりまして、日本の防衛政策の具体的な構想並びにその構想に基づく防衛力整備の水準を示しておりまして、現在それに向かって防衛力の整備を図っております。その場合、御承知のように、限定的かつ小規模の侵略に対しては自力で対処し得ることということを一応のめどとした構想であるわけでございます。いま防衛計画の大綱の水準を実現すべく、なるべく早く実現できるようにということで防衛力の整備を進めておりますが、これが私どもの当面の防衛力整備の目標でございまして、これができました場合に、どこの国に対してどうということではございませんで、防衛計画の大綱に示しておりますような構想、つまり、限定的かつ小規模の侵略に対しては独力でこれに対処し得、それ以上の侵略に対しては日米安保体制でもって対処すると、こういう構想で現在進めておるわけであります。
○片岡勝治君 そうすると、そこで脅威は、不安はなくなるというふうに認識していいのですか、それができたときに。
○政府委員(塩田章君) いまも申し上げましたが、日本の防衛というものは、日米安保体制とわが国みずからの防衛努力と両者相まって日本の防衛体制というものを考えているわけでございまして、そのうちの日本のみずからの防衛努力というものが、先ほども申しました防衛計画の大綱に示された線としていまわれわれの防衛力整備の目標であるということを申し上げたわけでございます。そういうことを努力し、一方、日米安保体制の円滑な運用ということを図ることによって、日本の防衛につきまして不安はなくなっていくというふうに私どもは考えているわけであります。
○片岡勝治君 それじゃ、アメリカとの安保体制、一体化した安保体制ですから、アメリカのこの安保条約に基づくいわゆる軍備、そういうものがどこまで行けばソ連の脅威から逃れることができるのか。
○政府委員(塩田章君) アメリカとソ連とのグローバルな形でとらえた場合のことは、ちょっと数字的にどうというようなことを申し上げることはむずかしいわけでございます。私どもは、日本の防衛というものを考えます場合には、先ほど来申し上げたような日本のみずからの防衛努力と日米安保体制ということによって日本の防衛を全うしていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
○片岡勝治君 日本もアメリカもソ連の脅威、ソ連の脅威ということで声高になっており、それに対応するのだから、レーガンの核戦略体制が生まれ、日本の突出した防衛費があるのだということをあなた方は再三繰り返し言っているでしょう。だから、どれだけ日本が防衛力を充実したらその脅威に対応することになるのか。ならないのならならない、どこまでやればなる、そういうことを質問しているのですよ。
○政府委員(塩田章君) 先ほど来、お答え申し上げておるとおりでございまして、われわれはわれわれみずからの防衛努力をし、一方アメリカとの安保体制の円滑な運用ということによって防衛体制を全うしたいと、その場合のわが国のみずからの防衛努力の目標は、防衛計画の大綱の線に沿っていま努力しておるということを先ほど来申し上げておるわけでございまして、それが私どもの現在の立場でございます。
○片岡勝治君 つまり、この脅威に対応するために軍事力を増強するのだという、これが大義名分なんですよ。だから、どこまでやれば脅威に対応することができるか、恐らくこれは答弁できないと思うのですよ。 日本が、アメリカが軍備増強していけば、今度はソ連が脅威を感じて、それに対応して軍事力をどんどんふやす、ソ連がふやせばまたアメリカも日本もふやしていく、これが軍拡なのですよ。ですから、ソ連に対応する云々ということは一つの口実であって、軍拡というものは本来そういうものなのです。イタチごっこなんです。そういうところにのめり込んでいくというところを私は大変心配をするわけなのです。 一体、アメリカは具体的に日本に対してどの程度要求しているのですか、軍事力を、防衛力というものを。
○政府委員(塩田章君) アメリカは、一番最近で言いますと、去年の六月のハワイ会談等を通じましていろいろなことを言っておるわけでございますが、日本の防衛努力につきましては、アメリカの方から具体的に幾らにすべきであるといったことでなくて、日本が防衛計画の大綱を持ち、それに向かって努力していることはよく承知しております。ただ、アメリカ側といたしましては日本に対しまして、たとえば即応体制の充実でありますとか、継戦能力の向上でありますとか、あるいは指揮通信能力の向上、あるいはさらに海空を含めました装備の近代化というようなことを指摘しております。しかし、具体的にそれをどこまでというふうに言っておるわけではございませんで、ハワイ会談におきましてもいろいろ議論の中で数字等も出ましたけれども、これはアメリカが日本にそれを期待するということでなくて、日本の防衛体制についての話し合いの土台としていろいろ数字を言ったりしておりますけれども、具体的には日本が決めるべきことだというのがアメリカの立場でございまして、むしろ内容的にいま申し上げましたような四つの点を指摘して、日本の防衛力の整備を期待しておるということでございます。
○片岡勝治君 もう少し正直におっしゃったらどうですか。ハワイ会談の内容そのものが要求なのでしょう。単なる、予算が何%ということももちろんそうでしょうけれども、その内容というものは、具体的にそういうものをアメリカが要求しているというふうにわれわれは判断していますよ、国民は。 次に、F4ファントムの問題についてちょっとお聞きしたいのですけれども、最近の軍事技術の進歩から、他国に侵略的、攻撃的脅威を与える誤解を生ずるおそれはなくなった、こういうことですね。軍事技術が進歩すると、攻撃的、侵略的脅威を与えることがなくなるのですか。これは逆噴射の論理じゃないのですか。どうしてこれが誤解を生ずることがないのですか。 それから、この脅威を与える誤解、これは脅威を受ける受けないは日本じゃないのですよ。外国なんですよ。そういうことをだれが認定したんですか。 それから、試験的にやるのだということでありますけれども、すでにこの問題については一定の解釈、判断ができ上がってしまった、そして後に本改修のときに国防会議でやる。これも逆転ですね。だから、文民統制がないと言われても仕方がないのですよ。試作のときにすでに方針が決められちゃって、後で本当のときにはもう全く形式的なこと。文民統制がないじゃありませんか、この処理について。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 他国に侵略的な攻撃脅威を与えるような装備は持たないという従来からの基本的な方針は、あくまでも堅持をしております。今回の試改修に際しまして爆撃機能の改善を図ったとしましても、いま御指摘がございましたように、最近における軍事技術の進歩等を考慮すれば、他国に侵略的な攻撃的脅威を与えるという誤解を生ずるおそれがあるものとは、防衛庁長官の責任と権限の範囲内で判断をし、今回の試改修の予算を計上し、ただいま国会の御審議をちょうだいしておるということでございまして、この試改修の結果が成功し、われわれが願っておる所期の成果が得られた段階において国防会議に付議するということでございますので、あくまでもシビリアンコントロールの原則は貫かれていると信じております。
○片岡勝治君 そうすると、今度のこの種の取り扱いについての一定の判断というのはまだ正式に決まってないわけですね。
○政府委員(塩田章君) 先ほどの軍事技術の進歩でございますけれども、戦闘機が爆撃計算機能を保有するということは、現在各国におきましてきわめて一般化しております。また、F4EJの飛行性能、航続距離、搭載量、そういったようなものは最近の戦闘機の性能向上に比較いたしまして相対的にその能力は低下しておるということが言えます。また、各国とも侵攻に対しまする防御兵器としまして性能の高いレーダーとかあるいはSAM、そういったものも整備される傾向にあります。そういうような意味で今回の試改修といったものが他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるという誤解を生ずるおそれはないというふうに判断をいたしたわけでございますが、これはすでにそういう判断が決まっておるのではないかという御指摘のようでございますが、いまも防衛庁長官からお答えいたしましたように、今度のは一機の試改修でございまして、一機の試改修につきまして防衛庁長官としての判断と責任においてお願いをしておるわけでございますが、同時にその場合、試改修に成功すれば将来量産に踏み切りたいという願望はもちろん持っております。その場合におきまして、防衛庁長官の現時点における判断といたしまして、先ほど申し上げましたような現在の考えておる爆撃計算機能の付与ということは、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるようなものではないという判断を防衛庁長官としていたしておるからこそ試改修に踏み切ろうとしておるものでございます。後ほど量産開始に当たりまして、先ほどお答えいたしましたように国防会議にかげまして文民統制上遺憾なきを期すということは、これは当然のことでございます。
○片岡勝治君 まだまだたくさん質問したいことがありますけれども、時間が切迫いたしましたので、最後にその他の問題を一括申し上げますので、関係大臣のお答えをいただきたいと思います。 第一番目、これも問題には出ましたけれども、台湾の旧日本兵に対する問題、法理論的なもの、国際的な関係のものについてはもちろんわかりますけれども、人道的問題として対処しなければならない。その道は一体政府としてどういう方法があるのかということをお聞きしたいと思うのです。 それから教科書問題につきまして、きょうの新聞紙上に検定の、いわゆる何といいますか、点数制云々の文書が出ておりました。これに対する批判は後日に譲るといたしまして、その資料を一切、すべて出していただきたいということであります。 それから、最近自衛隊員の募集が高校生を対象に相当激しく行われておるようでありますけれども、いわば就職の約束は八月以降ですか、そういうことがあるにもかかわらず、それを破ってもう四月から勧誘運動をやっているということ、これは直ちに是正をしてもらいたい、学校側の強い要求であります。 なお、非常に執拗に家庭訪問をやって自衛隊への勧誘運動をやっているということでありますが、しかし、高校生の相当数は大学受験期であります。あたかも君は大学はだめだよと言わんばかりの印象にとれるわけですよ、子供にとってみれば。これは教育的配慮からすればそういう点は慎重に取り扱うべきであると思うのです。これについて労働大臣あるいは文部大臣等の関係大臣のお答えをいただきたい。 それから、なお、共通一次試験の問題につきまして一、二お伺いいたしますけれども、これも新聞紙上に出ましたけれども、地理教育研究会から申し入れがあった、それは出題が特定の教科書に偏している、こういう点は是正してもらいたいということでありまして、もしそういうことがあればこれはゆゆしき問題であろうと思うのであります。 それから、なお、この共通一次試験についてはこれまでもずいぶん各方面からさまざまな批判がございました。平均点の格差問題が大分ある、これらのばらつきをどうするのかというような問題、選択科目の難易度のばらつき等があるわけでありますが、私どもが大変心配することは、こうした問題点が、これは所長の記者会見の中にもあるのでありますけれども、いろいろ問題点をはらんでいる。しかし、その問題点は大分拾われてきている、こういうふうに言っているわけであります。
○委員長(植木光教君) 片岡君、時間が参りました。
○片岡勝治君 したがって、恐らくこの一次試験については何らかの調整が行われてきた。私はある客観性、妥当性を形成するのであればそういうこともあっていいと思うのですよ。何か全くそういうものを隠してやっているという方がかえって問題である。ですからこの際、まあ所長さんもおやめになるようでありますから、これらの問題点を国民の前に明らかにしてよりよい共通一次試験というものに対応すべきだろうと思うのですが、以上申し上げましたので、関係大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。 台湾の旧日本兵に対する何らかの補償措置はないかというお尋ねでございますが、台湾人元日本兵士の戦死傷者の問題につきましては、日中国交回復によりまして日華平和条約が失効をいたしましたために今日まで未解決のままになっております。この問題につきましては、日台間の国交が狂いこと、そして日台相互間の全般的な財産請求権問題との関連があることなどからその解決はきわめて困難な問題だと承知をいたしております。しかし、先般日本における裁判の結果を見ますと、まことに私どもはお気の毒であるという感じがいたします。したがいまして、何らかの方法を考えたいということを実は考えたわけでございますが、この問題につきましてはいろいろと問題もございまして、非常に困難な問題でございますので、実は慎重に対処をしてまいりたい、こう考えております。 以上です。
○国務大臣(小川平二君) 自衛隊員の募集についてお尋ねがございましたので、お答えをいたします。 文部省におきましては、労働省と連携いたしまして高等学校の新規卒業者の就職に関する手続が適切に行われまするよう、求人申し込みの受理の期日あるいは選考開始の期日等について学校や企業にかねてから指導を行っております。自衛隊員につきましては、自衛隊法に基づいて直接募集することが認められておるわけでございますが、新規の卒業者につきましては、防衛庁に対しても従来から募集の時期等について文部、労働両省の指導方針、つまり一般企業に対すると同様の指導方針に服してもらうよう求めているところでございます。 文部省としましては、教育の観点から、求人の活動は所定の時期に学校を通じて、また学校の協力のもとに、学校が協力してくれないことにはこれはしようがございませんから、行うことが適当だと考えており、防衛庁とは今後とも必要に応じて協議を行ってまいります。学校におきましては生徒の進路の選択、決定が適切かつ公平に行われますように、自衛隊員の募集についても企業等の求人に対するのと同様、学校においても協力してもらうことが望ましい、かように考えておる次第でございます。 次に、教科書の検定の問題でございますが、教科書の検定は、申請のあった図書につきましてそれが真に教科用として適切であるかどうかを公正かつ客観的な態度で判断することに努めておるわけでございます。しかし、教科書と申しますものは仕上がったものとして評価され、採択さるべきでございます。いま検定の資料を出せというような御要求がございましたけれども、検定の内容を公表するということは直ちに採択に影響いたしますから、これは控えさしていただくほかございません。
○片岡勝治君 そのことじゃないんだ。意味が違うよ。
○国務大臣(小川平二君) どういう意味でございますか。
○片岡勝治君 けさ新聞に載っていた、毎日新聞か何かにね。
○委員長(植木光教君) どうぞ答弁続けてください。
○国務大臣(小川平二君) これはきわめて技術的な問題になりますから、必要でありますれば政府委員からお答えを申し上げさせますが、いずれにいたしましても、文部省としてはただいま申し上げましたような基本的な姿勢で検定に当たっていくつもりでございます。 それから、大学入試センターについていろいろのお尋ねがございましたが、大学入試センターにおきましては、あらかじめ教科専門委員会において配点の基準を設定しておりまして、採点はきわめて厳正に行われております。いろいろ伝えられておりまするような事実は全くございません。 以上でございます。
○国務大臣(初村滝一郎君) お答えいたします。 自衛隊員の募集については、国家公務員あるいは地方公務員の採用と同様に職業安定法という法律を適用しておらないわけなんです。そこで、学校教育への配慮あるいは求人秩序の維持等の観点から、従来から防衛庁に対しまして、民間事業主に対するように、募集時期等について労働省と文部省の指導方針に協力するようにお願いをしておるわけであります。ところが、いろいろといまお話がありましたとおりに、家庭訪問をしたり、何か今後そういう行き過ぎた募集活動が行われるようでありますれば、さらに文部省とも十分協議をしまして防衛庁に要請をする考え方でございます。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいま文部大臣、労働大臣からお答えいただきましたような趣旨に従いまして、われわれも自衛官の募集をやらしていただいているわけでございますけれども、新規高校卒業予定者の募集は、在学中のことでもございますし、ぜひとも学校を通して学校の協力のもとに募集活動を行うことが望ましいと防衛庁としても考えております。しかし、現実には多くの学校において協力を断られたり、また十分な協力を得られにくいという現状にございます。自衛隊としては家庭訪問等により直接個々に広報せざるを得ないのが現在の実情でございます。ただし、学校の協力を得られないからといって無差別に家庭訪問を行っているのではございません。本人もしくは家族の依頼、または知人の紹介等によって行うこととしております。しかし、今後とも学校の十分な御理解と御協力が得られますように、各学校御当局に対しまして防衛庁として呼びかけてまいりたいと思っております。 ただ、自衛隊は年間二万人を超える新規隊員を募集しているわけでございまして、国家の存立にかかわる国の防衛に携わっていただきます良質な隊員を確保するということもわれわれ防衛庁の大切な使命でございますので、今後とも新規高校卒業予定者に対しましては、両省の御依頼の趣旨も十分踏まえながら、真剣に新規隊員、優秀な良質隊員を募集をしていかなければならないということにつきましても、どうか国民の自衛隊としての温かい御理解を賜りたいと思います。
○片岡勝治君 以上で終わります。 なお、時間の関係で質問できなかったところがあり、関係大臣に御迷惑をおかけした点は申しわけなく思っております。失礼しました。(拍手)
○委員長(植木光教君) 以上で片岡勝治君の総括質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、小笠原貞子君の総括質疑を行います。小笠原君。
○小笠原貞子君 時間がずれたものですから、ちょっと順序を変えさせていただいて、いろいろと財源問題とも関係もいたしますので、まず談合問題からずばり入っていきたいと、そう考えております。 この間、衆議院の予算委員会でわが党の瀬崎議員の提出いたしました三井建設の内部文書問題というのは非常に大きな衝撃を与えております。そこで、まず建設省に伺いたいと思います。この調査、どのように進んでおりますでしょうか。
○政府委員(丸山良仁君) 瀬崎議員から御指摘のございました三井建設に関するメモにつきましては、御指摘のありました翌日から直ちに調査を開始したわけでございます。 まず、あのメモに記載されております工事の案件につきまして、入札日、指名業者名あるいは落札業者名、予定価格等の基礎的調査を行っておりまして、これにつきましては大体のめどがついております。 そこで、現在は、三井建設株式会社の幹部並びにあのメモを作成されました方においでいただきまして事情を聴取しているわけでございます。しかしながら、あそこで指摘されました事項は全国にわたり、かつ建設省関係だけで二十八件の工事でございますから、なかなか調査に時間がかかるわけでございまして、現在のところ、鋭意調査を進めてまいっておりますが結論がいつ出るかということは申し上げかねる状況でございます。
○小笠原貞子君 農水省の天下り問題も指摘されておりましたので、農水省の調査をお伺いしたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。 まず、三井建設の営業報告書に関する調査の問題でございますが、二月の二十四日以来、三井建設から事情聴取を続けておりますと同時に、先ほどの建設省同様、入札の経過その他を地方農政局、現場の事業所等から事情の聴取を行っております。現在、この調査を続行中でございまして、現段階ではまだ最終調査結果を得られるというところまではきておりません。 なお、御指摘のございました天下りに関する一連の問題でございますが、これは私ども人事案件といたしまして調べましたところ、楠氏の就職につきましては、農林水産大臣の承認以前にかなり早く就職している事実が確認されまして、これは国家公務員法第百三条の規定に違反するものであることは否めません。そういった点で、この点だけは明確にしたいということで処理を急ぎまして、本人の楠氏は責任を感じまして三月八日付で退職しておりまして、私どもこれで十分な社会的制裁を受けたものと考えておりますが、役所の内部におきましても、実はこの大臣承認の事務処理に異常に長期を要したという不適切な点があったことは否めませんので、三月十日付でその間の関係職員についてそれ相応の処分を行ったところでございます。
○小笠原貞子君 建設省の方、二十八件にも及ぶとおっしゃっていまして、大変御苦労だと思いますけれども、それくらい広い範囲に及ぶというところの大きな問題でございますので、徹底的にそして速やかに御調査をいただきたいと申し上げたいと思います。 さて次に、本四公団の問題について具体的にお伺いしたいと思うのです。三井建設問題に関して本四公団にお伺いいたしますのでどうぞよろしくお願いします。 児島−坂出ルートのうち与島地区その一の工事について、いつ入札が行われ、藩札全額は幾らだったかお答えください。
○参考人(尾之内由紀夫君) お答えいたします。 三井建設が本四公団で落札いたしましたのは、児島−坂出ルートの与島地区その一工事でございまして、昭和五十五年に落札しております。これは三社共同のジョイントでございまして、佐藤工業、三井建設、佐伯建設の三社でございます。
○小笠原貞子君 総額。
○参考人(尾之内由紀夫君) 総額ですか。金額は六十一億二千万円でございます。
○小笠原貞子君 その中で、三井建設の受注された総額というのが二十四億八千万円という額でございます。 そこで、資料をお配りいたしましたが、お手元に行っておりますでしょうか。この資料を見ていただきたいのですが、第一枚目、「三井建設株式会社」というところは大変わかりやすいんですが、ちょっと印刷でうまく出ておりませんのでわかりやすく次のページに書き直してございます。それを参照なさってごらんいただきたいと思います。これは三井建設の内部メモでございます。これが三井建設のものであるということは、ここに登場してくる人物を調べればすぐおわかりのことでございます。 メモの最後に「原口保存」というふうに下の方に出ておりますけれども、この原口さんとおっしゃるのは、三井建設の土木営業管理部長代理を歴任してこられた方でございまして、この原口氏自身が保存していた文書であるということがわかります。このメモは本四架橋児島−坂出ルートの着工がいよいよ始まろうとする昭和五十三年の時点でつくられたものでございます。つまり、与島地区のその橋を受けるための談合を示すものだということが言えると思います。 上の方に書いてございます「下津井 与島共一八〇億」、「与島は早い」、「組合せ 三井 佐藤(佐伯)」と、こうなっております。これは、下津井橋、与島橋、そしていまの組み合わせ、三井、佐藤、佐伯は、公団のおっしゃったように請け負った、受注をしたところの三つの会社でございます。 そして、その横に六月二十五日の日付が入っておりまして、そこに「前忠」と書いてあります。これは、この間まで土木工業協会の会長、いまおやめになりましたが、そのいわゆる土工協会長だった前田忠次氏でございます。つまり、前田忠次氏に返事を求められたということを示しております。 それから、その下の方に「会長−専ム相談の上前忠に」——前田忠次氏に「与島OKの返事をした」というのが日付で六月二十六日と入っております。 またその下にいきますと「発注時期は予算のはき方によるが五五/秋か」と書かれているわけです。 冒頭に六月二十九日の日付がございます。氏名がここにまた出ております、横に。そこには、会長、そして専務、常務、西山部長、居谷部長という名前が出ておりますが、六月二十九日にこの方たちがお出になってそしていろいろお話しになったという、その出席者の名簿であるということです。 本四公団にお伺いしたいと思うのですけれども、こういうことをやっていたのでしょうか、御存じだったでしょうか、そして御感想をお伺いしたいと思います。
○参考人(尾之内由紀夫君) お答えいたします。 まあ、これは業界の中のお話でございまして、私どもには一切わからないことでございます。
○小笠原貞子君 建設大臣いかがですか。
○政府委員(吉田公二君) 建設省といたしましても承知しておりません。
○小笠原貞子君 御存じないので、なおさらこれ大事になってまいりました。 大事なことは、ここのところにまた書いてございますが、こう書いてあるのです。下の方のところでございますね、「専ム みのわ理事から」「指さされた」と書かれています。本四公団にお伺いいたしますけれども、「みのわ理事」という方いらっしゃいましたでしょうか。
○参考人(尾之内由紀夫君) 当公団の理事をしておりました。
○小笠原貞子君 いつからいつまでやっていらっしゃいましたか。
○参考人(尾之内由紀夫君) お答えいたします。 昭和四十五年七月一日から理事に就任いたしておりまして、五十三年七月一日に副総裁になりまして、五十五年八月に退職しております。
○小笠原貞子君 ちょっと大きい声で言ってください。
○参考人(尾之内由紀夫君) 五十三年に理事を退任しまして、五十三年七月に副総裁になっておりまして、それから五十五年八月に副総裁を退任いたしております。
○小笠原貞子君 建設大臣お聞きになっていただきたいのですけれども、土木工業協会の会長の鹿島建設の副社長前田忠次氏が談合を取り仕切っていたということはもう各紙に大きく出されているわけでございますが、これで見ますと、事もあろうにと申し上げたいんですが、公団の理事の方も加わって、そしてどこの業者がやれというふうに決めているわけです。発注者である公団当局が談合に一役買っているということを示すもので、大変これは重大な問題だと思うのですけれども、これをお聞きになって建設大臣いかがお考えでございましょうか。御感想などをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(始関伊平君) こういったような資料をたびたびお出しいただいておりますが、私どもとしては初めて拝見することでございますし、それから御指摘のような事実が本当であれば影響するところが大きいのでございますから、やはりこの隊としては調査をするということだけしか申し上げられません。
○小笠原貞子君 次々出てくるほど大変なことがやられているということを御認識いただいて、いまおっしゃったように直ちに調査をしていただきたいと思います。 それでは、次に法務省と公取委員会にお伺いしたいのですけれども、こういうことは談合罪と独禁法違反の疑いがあると私は思うのですけれども、御見解はいかがでいらっしゃいましょうか。
○政府委員(橋口收君) 私もこの資料をいま拝見したわけでございまして、一般的に申しまして、審査的な事件として調査をいたしますとこの種の資料というものは幾つか出てまいるわけでございまして、問題はこれの読み方でございますしまた評価の問題でございますから、また昭和五十三年六月の事件のように拝承するわけでございまして、そういうことになりますと、独禁法の規定によりまして事件が結了した後一年を超えますと事件として取り上げることができないわけでございますから、この資料の読み方につきましてはよく考えてみたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 政府委員が来ておりませんので……
○小笠原貞子君 ではなおいいじゃないですか。
○国務大臣(坂田道太君) いや、私じゃよくわかりません。
○小笠原貞子君 まあ大変正直と申し上げましょうか、このことがわからない法務大臣ではちょっと心細い話でございますが、十分御勉強いただきたいと思います。 それから、公取委の橋口委員長、これは五十二年で、改正になっても一年ですわね、一年以降になるとこれはいわゆる時効だとそうおっしゃいましたけれども、時効って澄ました顔をして言われると困るわけなんでね、時効というのはもしか悪いことをしていてもその時が来れば何でもないということになるんだから、逆に言えば、おたくの方が取り逃していたのだともっと恥ずかしそうにおっしゃるのならいいけれども、時効でございますなんて居直られますとちょっと一言言いたくなるわけでございます。それで、お考えになるということでございますので、十分お考えになったら当然調査をしなければならない問題が出てくると思いますが、法務大臣もおわかりにならないそうでございますけれども、あなたはやっぱり大臣なんだから、こういうものについて御調査をお願いしたいと思います。よろしゅうございますね。
○国務大臣(坂田道太君) 政府委員が参りましてからお答えいたします。
○小笠原貞子君 いや、本当にちょっと心細い法務大臣でございますが、きちっとその責任においてお調べをいただきたいと、そのように思います。 建設省、それから法務省も徹底的な御調査をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(吉田公二君) 調べたいと思います。
○小笠原貞子君 委員長にお願いをしたいのですけれども、次の方々、証人として呼んでいただきたいと思います。安藤道夫氏、三井建設の会長さん。それから西山博氏、いま三井建設常務取締役、五十三年当時土木営業管理部長さんでいらっしゃいます。それから居谷献吉氏、ここに名前が出ております、三井建設取締役、当時は土木工事部長でした。それから前田忠次氏、有名な鹿島建設副社長、当時土木工業協会副会長。それから蓑輪健二郎氏、当時本四公団の理事。証人呼んでいただきたいと思います。
○委員長(植木光教君) 後刻理事会で協議いたします。
○小笠原貞子君 公取橋口委員長にお伺いします。 いろいろと大問題になっているときでございますので、大手建設業界の談合問題に対して公取委としてはどのように取り組んでこられたか、また今後どういうふうに考えていらっしゃるか、具体的にお伺いしたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 事業者または事業者団体の行います競争制限的な行為につきましては従来から関心を持っておるところでございまして、官公庁の発注します物品または工事の関係等につきましていわゆる入札談合が行われましたケースにつきましては、すでに昨年の秋の行革国会でもお答えをしたところでございますが、比較的最近の過去五年をとりましても十件に上っておりますし、また課徴金も約十三億円程度を徴求いたしておるわけでございまして、現在は昨年の九月の下旬に立入検査をいたしました静岡県所在の団体及び事業者につきましてのいわゆる入札談合事件につきましての審査を急いでおるところでございまして、その後いろいろな情報の提供がございます。公開された情報もございますし、また公取委に対してだけ寄せられた情報もあるわけでございまして、問題は情報の確度ないし有効性でございます。おびただしい情報が参っておりますから、現在それらの情報の価値なりあるいは有効性につきまして分析をいたしておるところでございまして、有力な確証が得られるような端緒がございましたならば、法の執行に対しましては勇敢でなければならないというふうに思っておるわけでございます。
○小笠原貞子君 次に、また新しい資料でございますが、ごらんいただけばおわかりと思います。三井建設株式会社の用紙にマル秘の判この押してある文書でございます。これまた大変な文書でございます。 ちょうど昨年の秋から談合問題が火を噴いてまいりまして、建設業界の方々、どうしてもこれは緊急に手を打っておかなければ危険だというような必要から、三井建設の土木管理部担当者、右の上の方に書いてございますが、その土木管理部担当として、社内文書を総点検し、そしてその処理をどうするかというのをまとめた一覧表でございます。大事なことは、今度左の方に、右はマル秘でございまして、左の方には「公取対策」と、こうはっきり書いてございます。そしてその中で、次の資料、ページをお開きいただきますと、いろいろございますけれども、この左肩の上に今度は黒丸印というのがございまして、この黒丸印の文書は「原則として終了後破棄」と、こういうふうに書かれているわけです。この中には、その黒丸の中には「入札順位表(通称バッター表)」、それから「入札書(通称フダ)」、そしてここに丁寧に「談合用」と、こう書いてあるわけでございますね。 建設大臣に伺いたいんですけれども、「バッター」とか「フダ」というのは一体何なんですか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(丸山良仁君) そういうことは聞いたことがございません。
○小笠原貞子君 専門で建設省にお勤めになっていらっしゃる方、こういう業界で使われている言葉も知らないんじゃ、全くもうこれはちょっと役に立たないですね、はっきり言って。そういうことがわからないのなら。それは本当にわからないですか。知っているけれども言えないのか、本当に知らないのか、はっきりもう一度答えてください。
○政府委員(丸山良仁君) 私、建設省の役人になって三十年になりますが、そういう話は聞いたことがございません。
○小笠原貞子君 まことに、三十年たってもおわかりにならないと、心細いことでございます。 さて、その次に、「緊急性を要する関係書類」というのが書いてございまして、そしてここで横浜支店というのが十四件、それから土木関係十二件、それから本店十八件、こうなっております。そして、「作成記入、回付、保管につき改善を要する書類」というようなことがございまして、これで計四十件となっているわけでございます。まことにこれは計画的といいましょうか、系統的に証拠隠滅が図られている。日付も「横浜」が十月三十日調べ、「土木」が十一月二日調べ、「本店」が十一月五日調べ、ちょうどその時期に緊急に、非常にこう系統的に綿密につくられた証拠の一覧表でございまして、これはみずから「談合用」とまで書いていて、「公取対策」とまで書いているんですから、みずから談合したということを白状しているものだと見ざるを得ないものでございます。建設大臣、どうお考えになりますか。
○政府委員(丸山良仁君) ただいま拝見した資料でございますから、よく研究してみたいと思います。
○小笠原貞子君 また、その中で「対応状況」というのもございますのですが、横浜と本店は「対応状況」は「一応緊急性書類は別保管中である。」と書かれております。また、「改善を要する書類の今後の対応処理」というところには「今すぐ遡って改ざん(或いは抹消)可能か、不可能か」ということまで書いて検討をしているということでございます。 なお、公取委員長、お伺いしたいと思いますが、こんなこと許されるものでございましょうか。
○政府委員(伊従寛君) お答えいたします。 ただいま書類を拝見したわけでございますが、「公取対策」というのでいろいろ書いてございますが、書いてある内容につきまして理解できませんので、これについてはコメントを申し上げるわけにはまいりません。
○小笠原貞子君 私が申し上げましたのは、保管中だとか、さかのぼって書き直すとかというようなことが行われているということになると、そんなこと許されるのだろうかと伺ったわけですが。
○政府委員(伊従寛君) お答えいたします。 確かに「公取対策」というのが左の肩の方に出ておりますが、先生御指摘の「過去分処分可」とか処分「不可」とかと書いてございますが、それの対象になっている資料がどういうものであるかわかりませんので、私たちの方からこれについてコメントすることはやはりできないと思います。
○小笠原貞子君 公取、大変少ない人数でいろいろお調べになるの御苦労だということは重々承知しているわけですけれども、こういうふうに隠しちまえとか捨てちまえとか、そしてこれを改ざんして直せなどということになりますと、公取さん逆立ちしたって、どんどんどんどん証拠隠されていってしまうわけでございますよね。おたくの方が、隠されていってそして全然何にもなくなったところへ行って、幾らお調べになろうともこれは無理なことなんでございますね。こういう全部隠されちゃった後、どうやってお調べになることができるでしょうか。公取が見逃さざるを得なくなってくるということなので、こういう問題私は提起しているわけでございますから、こういう問題があったらどう対処なさるか、そしてまた建設省もこれについて御調査をお願いしたいと思います。
○政府委員(丸山良仁君) ただいま拝見した資料でございまして、どうも理解に苦しむ点が多いわけでございますから、よく三井建設に聞いてみたいと思います。
○小笠原貞子君 この前も瀬崎さんが三井建設の文書を出しましたら、いやそれは盗難のものかどうかわからない、信憑性がどうかわからないということもありましたけれども、実はあれは本当に自分のところのものだということで、これはもう本人が確認をしております。この一連の資料もそこから出ているものでございまして、私の方は信憑性があるから国会の場で申し上げているわけでございます。 そこで、次の資料をお渡しいただきたいと思うんでございます。 〔資料配布〕
○小笠原貞子君 さて、次にいまお配りいたしましたのが、これは本当に私びっくりしました。驚くべき三井建設の文書でございます。これは、いまずっと問題にしておりました公取委員会が動き出したということに対処するのには一体どう対処したらいいかという、公取対策の数十ページに及ぶ一問一答のとらの巻ということになるわけでございます。これも「三井建設」と書かれておりますんですけれども、これも実は一連の信憑性のある資料でございます。 その一ページ目をごらんいただきたいと思います。聞いているんですね、業界、会社なんかが。公取が来たときに、素人だからどう対処したらいいだろうかと、こういうことで質問に入っています。「昨今の建設業界には、近い将来、公取委の立入調査がありそうだという噂が流れています。独禁法第四十六条第四項には、「公取委は営業所に立入って、“帳簿書類その他の物件”を検査することができる」と定めてあります。この“帳簿書類その他の物件”について、具体的にご説明願い、併せて諸対策についても、ご指導願いたいと思います。」というところから始まっているわけです。 そしてその次に、これに対して答えていらっしゃるのが、何とびっくりしたんですけれども、公取委員会の現職の職員の方がお答えになっていらっしゃる。大変いい先生なわけなんですね。それはどういうところからわかるかといいますと、ちょっと三ページ、ナンバー3のところにこう書いてあるんですね。一行目に、たとえば「あなたの手帳を出しなさい」と公取が入ったら言いますよと。そのときに、「私の経験」、公取のその職員の方ですね。「私の経験では実に協力的というか、お気の弱いことというか、お人好しというか、スーッと胸のポケットあたりから手帳を取り出して、渡してくれるんですね。」と、こういうふうに書いてあるわけでございますね。 それから八ページのところをごらんいただきますと、上から三行目なんですけれども、私の担当した事件でこうこうこういうのがありましたと、また具体的に経験を通してお話ししていらっしゃる。公取の現職の方だというのはここからわかっていただけると思います。 それからその中身、これはもう数十ページでございますので全部出すわけにはもう量的にもいきませんので、大別いたしますと、まず第一に言っていることは、どんな書類が危ないかを具体的に教えているということがある。どんなのが危ないよと教えているんですね。十四ページをごらんいただきたいと思います。注意しなければならない帳簿書類はどうなんだと、こういう質問が出ている。それに対して、下の十五ページの二行目から、「あくまでも客観的に出来た、直接的な資料、つまり疑いを証拠立てるズバリのメモ、不用意なメモ、議事録、往復文書、ゼロックス、テレックス、……そういったものを探すわけです。」と、こういうふうに教えているわけでございますね。 それから今度十七ページに入りまして、そこの十七ページのところに、二行目からですね。「それから、ペナルティーがどうの、調整金がどうの……といったようなことが書いてある記録、会合の議題の記録……ですね。当然のことですが、会合の結果のズバリの記録は絶対にだめですよ。」と御丁寧にお教えになっていらっしゃるわけです。つまり何がねらわれているか、何が大事かということをちょっと教えているわけですね。 それかう二つ目に大事なことと申しますと、公取委が立ち入り調査のときにどうしたらいいかというのを、手のうちをちゃんと教えているんです。戻って三ページをごらんいただきたいと思います。公取委が立入調査に入ったときまず言うのは「「あなたの手帳を出しなさい」とやるわけです。」と、こういうふうに書いてあるわけですね。そうすると、ここのところで、「私の経験では」と、先ほど申し上げました。それで、「手帳をとられてしまう——、これは立入調査を受ける側にとっては、一番大きな致命的な打撃になりますよ。」、だから注意しなさいと、こう言っているわけです。そして五ページを見ていただきたい。そう言われてすうっと出しちゃうなんというのはお人よしと言おうか気が弱いというかとさっき言いましたね。今度そう言われたときに「手帳を渡さなければいいんですよ。」と、こういうふうにはっきり教えているわけですよ。だけれども、係官が来て手帳を渡せと言われたらちょっと「出さないわけにいかないでしょう」と聞きますと、いや、それは「「持っていない」といえば、よいではありませんか。」と。なかなか頭のいいお方ですね。「「持っていない」といって、手帳を出さないこと。この態度を押し通すことですよ。」と、こういうふうに非常に注意が行き届いていますね。 そして今度二十一ページをちょっとごらんいただきたいと思うんですが、二十一ページ、こう言っているんですね。「ですから、立入調査を受けた時は、営業・業務部門から証拠となるような資料を絶対に出さないで、調査の手が他の部門に波及しないよう、営業・業務部門で喰いとめることが大切です」と、こう強調しているわけでございます。そしてその次に「金の出し入れ」だとか、「会合費用の分担、その辺について」教えてくださいと言うと、それが次の段からこう書かれているわけです。そして二十二ページのところ、ここにまた、公取委の方ですからよく御存じでこうおっしゃっているわけです。「公取委には人員並びに能力に限度があります」と、「もっと直接的な証拠、つまり、メモとか議事録とか、そういったものを押えて、審査して行くわけですからね。」、「いちいちいちいち、その伝票まで洗いざらいやれるだけの捜査能力はないですよ。係官四〜五人で担当ですからね。」と、こういうことまで言っているわけですね。公取は大変手がないというのです。 公取委員長にお伺いしたいと思います。公取委員長、いまお聞きになっていたと思いますけれども、こういうふうに手のうちを教えて大事な書類はどうとか、こういうふうにまことにリアルに具体的にこういうことを言っているんですけれども、これは国家公務員法の百条、百九条違反になるのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(橋口收君) 先ほど拝見しました資料にも「公取対策」というような用語が出ているわけでございます。それからかつての石油事件におきましても「コウノトリ」というマークをつけたものが要注意文書ということで処理をされたというようなこともございます。民間におきまして独禁法に対する対策、研究が進んでいることも事実でございますし、またそれはまじめな意味で独禁法違反を犯さないという立場からの研究ないしあるいは勉強というものもあるわけでございます。 いまお読みになりました資料は私も初めて拝見をしたわけでございますけれども、推察いたしますに、公正取引委員会の職員であって、退職しまして弁護士をやっておられる方もおられます。この資料を拝見しただけで論評することは適当でないと思いますが、ただ独占禁止法のたてまえとしての捜査のあり方につきましての間接強制の本質につきましてかなり掘り下げた解説をしておられると思います。つまり、いわゆる警察の立場の強制捜査ではございませんから、あくまでも間接強制でありまして、こちらの調査に対しまして協力しない場合には罰金を受けるということでございますから、罰金を受ける覚悟であれば調査を回避することも可能でございます。ただ、こちらの検査ないし調査に対して、これを意図的に回避するようなことがあれば、これはもちろん罰金が課されるわけでございますけれども、そういう意味で私どもの調査の限界につきましていろいろ解説しておられるところは当たっておるというふうに思います。
○小笠原貞子君 現職か現職でないかというようなことをおっしゃっていましたけれども、後でゆっくり落ちついて見ていただきたいと思うんですけれども、最後の方の四十ページのところに、ずっと長い長い質問で十分聞かせていただいて「本日は、本当にありがとうございました。一度、先生に、当社に踏み込んで頂こうかな。」と、こうなっているわけなんですね。だから、これはもうみんな言っているんです、現職の人でも、ちょっとこう話のわかっている人に入ってもらえれば楽だと。これはもう業界みんな考えていることでございます。入っていただこうかなと、こういうことでも私は裏づけられると、そう思うわけです。 それで、私が公務員法百条の違反ではないかと、こう言いましたのは、やめたとかやめないとかは別といたしまして、やめても公務員が「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と、こう書いてあるわけですね、だから、こういうことがやられているということは、私は素人なりにこれは引っかかる、こういうことは許されないというふうに考えるんですけれども、もう一度委員長いかがですか。
○政府委員(橋口收君) 法律の解説ないしあるいは法律の運用につきましての方針を解説することは、これは差し支えないと思います。具体的に関係した事件につきましての内容を漏らすということは、先生がおっしゃいますように問題であろうかと思います。
○小笠原貞子君 いろいろと言い逃れられますけれども、おたくの労苦労していらっしゃるのでしょう、もう人数が少なくてこんなに事件抱えてとおっしゃったのだから。こういうことをどんどんどんどんやられて、証拠隠されちゃったら、おたく何にもできないですよ。時効でございますなんて大きな顔をしないでいただきたいと思うんですね。だから、こういうことをやられれば、法律違反とか違反でないという以前に、公取としてはこんなことをやられていいんですか、許せないんですか。
○政府委員(橋口收君) 大変好ましくないことだと思います。
○小笠原貞子君 好ましくないぐらいじゃちょっと心細いですね。こんなのは絶対間違いで、おたくの仕事を妨害していらっしゃるのじゃないですか。 まだあるのです。二十三枚目ごらんいただきたいと思います。一行目から、「六社なら六社の協定で」五社はきちんと整理しているのに、「一社から足がついてしまえば、もうおしまいなんですよ。ある社の担当者のメモに、こう出ているのだから、あなたもその会合に出席しましたね……とやられてしまう。」と。こういうように、全部が協力してやらなかったら、一社だけの対策ではだめだよと、こういうふうに丁寧に注意をしているわけでございます。 ここまで非常に頭がいいと申しましょうか、知能犯的なこういうこと、対策を立てられているということを私はいま申し上げたのですが、建設大臣、いかが御感想、どうでしょうか。(「感想を聞いているのに人に答えさせるのがあるか」と呼ぶ者あり)本当よ、大臣に伺っているのよ、私。
○委員長(植木光教君) 吉田計画局長。
○小笠原貞子君 ごめんなさい、委員長。私は、感想ですから、プライベートな感想でございますから、代弁することできないわけでございますから、どうぞ大臣、御遠慮なく御感想で結構でございます。
○国務大臣(始関伊平君) お気にさわる御感想かもしれないけれども。
○小笠原貞子君 けっこうでございます、どうぞ御感想。
○国務大臣(始関伊平君) これは公取の方の関係の問題でございまして、作成者の名前もはっきりしておりませんし、内容は奇々怪々でございまして余り論評する気になりません。
○小笠原貞子君 本当に奇々怪々と申しましょう、論評できないぐらい大変な衝撃をお受けになっていらっしゃる、と私お受けいたしました。 それでは三番目の問題でございますけれども、証拠隠滅、証拠を隠すためにはどういう方法があるかというのが今度具体的に出てくるわけです。これはもう例を挙げますと大変なことなんですけれども幾つか拾い上げてみたいと思います。 十七ページの一番最後の行からですけれども、「そうした記録、ズバリの記録が、もし発見されたら、」「万一、金額上の不正な取決めでもあったら、ウカウカすると、刑法上の告発までされてしまいますよ。それは充分にお気を付けにならなければなりませんよ。」と、こう言っているわけです。それから十九ページの下から三行目ごらんいただきたいと思いますけれども、「営業・業務関係の人には、基本的には、過去のものは全部廃棄してしまう。」将来のことは書かないで頭でやることが大事じゃないですかと、こういうふうに将来のことまで考えて言っているわけです。それから二十二ページ目にいきますと、今度はこう言っているわけです。「だから、営業・業務部門は議事録などの歴史的事実の資料は必要ないんだから、全部廃棄してしまいなさい」。さらに自宅待機まで——二十八枚目見ていただきたいと思います。自宅待機まで知らしているのです。 ここの二十八枚目のところ、「重要書類でも、自宅待機させられるものは、自宅でお持ちになるのが一番よい」ですねと。自宅までは公取委の調査は来ませんかと心配して聞いております。そうすると、公取委の調査は自宅までは来ませんよと、「警視庁捜査二課の捜査は自宅までやりますけれども。」と、こういうふうに言っているわけですね。 そこで、法務省にお伺いしたいと思いますけれども、いま私申し上げましたようなことは刑法上の証拠隠滅教唆罪ということになるのではないかと思いますが、御見解伺いたいと思います。
○国務大臣(世耕政隆君) 法務省が調べる前に警察の方が調べるわけでございますが、警察はこういった先ほどからおっしゃられたような公共事業に関する談合に関係した事件について、ずっと刑罰法令に触れるものについては厳重に調べてきているんでございますが、いまのような問題、だんだん調べておりましてもウナギのにおいだけかがされて身の方が出てこない。これがいままでの実態でございます。
○小笠原貞子君 私は証拠隠滅教唆罪になのるではないかと伺いましたので、その担当がお答えいただきたいと思います。
○政府委員(中平和水君) お答えいたします。 私どもは、これは具体的な事実を証拠に基づいて法律を適用してまいる立場でございますから、ただいまお示しをいただいた事実だけでこれが刑法の証拠隠滅に該当するかどうかについてはお答えを申し上げかねます。
○小笠原貞子君 私が申し上げたのは、こういうことをやったら証拠隠滅罪になるのではないかと言ったんです。隠しても証拠隠滅罪の教唆罪にはならないんですか。
○政府委員(中平和水君) 刑法の条文で申し上げますと、御案内だと思いますが、「他人ノ刑事被告事件ニ関スル証憑ヲ湮滅シ」云々ということになっておるわけでございます。これが「他人ノ刑事被告事件ニ関スル証憑」になるかどうかという事実関係を確かめなければならない、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 具体的に談合罪という罪のこの証拠隠滅ということで、これ言っている人が他人の会社の証拠をなくしなさいと言っているんだから、いまのお答えのとおりで解釈いたしましてもそういうふうに私は考えられるのですけれども。
○政府委員(中平和水君) いま談合罪を例にお話しになったわけでございますが、談合罪はすべての談合が法律に触れるわけではございませんで、談合の中で公正な価格を害し、不正な利益を得る目的をもってする談合が法律に触れるわけでございます。 したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、具体的な事実関係を私ども把握した上でないとこれが法律に触れるかどうかということをこの場で断定はできないと、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 いろいろとおっしゃいました。 法務省としてこの私が指摘申し上げました事実について調査していただきたいと思いますが、法務大臣。
○政府委員(中平和水君) 法務省にお尋ねのようでございますが、具体的な犯罪の捜査をしてまいるのは私どものところでございます。したがいまして、そういう立場でお答えを申し上げますと、この事実についてはそれぞれの関係の省庁でも独自の立場で御調査されると思いますし、私どもの立場でもそれなりの関心を持って対処してまいりたいと、このように考えております。(「法務省の答弁にかえるわけにいかぬのだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(植木光教君) 委員外の発言は慎んでください。
○小笠原貞子君 私の質問に答えていただけば後ろも騒がないんでございますけれども、私の質問にちゃんと答えていただかないものだからちょっとみんなが気にするわけで、法務省——法務大臣もいらっしゃっているんですけれども、法務省としての御調査いかがでございますかと私お願いしているんですが。
○政府委員(前田宏君) ただいま駆けつけましたので詳しく存じませんけれども、いまいろいろとこれまでの御議論を伺ったわけでございますが、ただいま警察庁の方からもお答えがありましたように、やはり談合といいましても、すべてが犯罪になるわけではございませんで、刑法の要件に当たりますものが犯罪になるわけでございます。したがいまして、先ほど警察の方からお答えがございましたように、第一次的な捜査機関である警察においていろいろと実情等を調査しておられるわけでございますから、検察当局といたしましても、警察と十分連絡をとって犯罪の嫌疑があるものにつきましては厳正に対処いたしたいと、かように考えております。
○小笠原貞子君 法務省としての十分の御調査をいただきたいわけでございます。のんびりしていらっしゃいますと、みんな隠されてしまいますからね、御苦労が大変だと思いますから、十分な御調査をしっかりお願いしたいと思います。よろしゅうございますね。
○政府委員(前田宏君) 先ほどもお答えいたしましたように、警察当局におきましていろいろと御調査もしておられるわけでございまして、十分連絡をとりまして適切に対処いたしたいと思います。
○小笠原貞子君 本当に私もうこれ読んだときびっくりして、いままた言いながらびっくりしちゃっているわけですけれども、まさに証拠隠滅を図っているわけですからね、まさに証拠隠滅をそそのかしているという罪であるということについてはどうなんですか、法務省としての御見解は。
○政府委員(前田宏君) 要するに、証拠隠滅行為がございますればそれは犯罪になると思いますけれども、それが、なるかならないかといういま問題であろうと思いますので、それ以上具体的な案件につきまして事実関係を明らかにいたしませんと、なるとかならぬとかということを明確に申し上げるわけにはいかないわけでございます。
○小笠原貞子君 そういうことでございますので、先ほど、連絡もとりながら法務省としてもお調べになるということで、私ここで確認させていただきたいと思います。 橋口公取委員長、これは単に一職員の問題として、もしこれが明らかになったら一職員を飛ばしちゃった、首にしちゃったという問題にはならないと私は思うんですよ。一職員の問題ではなくて、公取委員会としてはこういうことはいままでかつてない、そしてまた、公取委員会としての存在が問われる一大不祥事だと言わなければなりませんし、また、正義の味方だと公取に信頼を寄せている国民に対して大きな裏切り、背信行為ということになるのではないかと私は思います。ですから、公取委員長としての責任問題だということで厳重な調査をなさって、そしてここで問題になりました、国民はどうなるかと注目をしておりますから、国会と国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 先ほどもお答えしたところでございますが、こういう書類が作成され、仮にも外に漏れるということそれ自体は大変好ましくないことだということは先ほど申し上げたとおりでございます。ただいま拝見した限りでございますが、現職の公取の職員がこういう解説をしたりあるいは指導をしたりするということはこれは万々考えられないことでございまして、先生の御質問の趣旨も高い立場からわれわれを激励をするという、そういう御趣旨でございますから、私どもとしましてもこういう何と申しますか、独占禁止法をくぐるような手法につきまして一般に解説をしたりあるいは指導をしたりするようなことはないようにひとつ注意はいたしたいと思います。 それから、いまお尋ねのございましたのは、仮に公取委の職員がこういう解説をしていたらどうかということでございますから、この点につきましては十分調査をいたしてみたいと思います。
○小笠原貞子君 考えられないようなことが起こっているから世の中おかしくなっているのですから、その辺しっかりお願いします。 総理、寝ていらっしゃるのですか、お聞きになっていらっしゃると思いますが、——大変安眠のところお起こししたことでございますけれども、いま大変な問題を私、るる申し上げておりまして、大手建設業界の談合にメスを入れなければならない公取委員会が一役買っていたということが明らかになったわけでございます。財源ないと苦労なさっていらっしゃるのに、莫大な国民の税金を使って大きな公共事業が行われている、その大きな公共事業に国民の税金、これがみんな食い物にされている。これはまさに根深い癒着だと言わざるを得ないわけでございます。国民はやっぱり清潔な政治と真の行政改革というものを願っているわけでございますから、総理は政治倫理とか綱紀の粛正とかおっしゃっているのですから、ここで身をもって厳正な調査を始められて国民の要請にこたえていただきたいと、こういうことでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 公共工事の発注をめぐりまして、いろいろ疑惑を受けるようなことが生まれておりますことは大変残念な、遺憾なことでございます。したがいまして、建設大臣等公共工事の執行に当たる責任者におきましては、関係業界、業者に対して法令に基づいていろいろ指導もいたしておるわけでありますが、今後さらに一層その趣旨の徹底を期するようにいたしたいと、このように考えます。 また、入札制度のあり方という問題がございます。これは中央建設業審議会に諮問いたしまして、ただいまその中間答申のようなものもまとまりつつあるやに私、報告を受けておりますが、できるだけ早く改善の措置を具体的に講じたい、このように考えております。 公取の職員でございますが、いろいろ御指摘があったようでございますけれども、これが一般的なものであるのか、具体的にその談合等に対して介入してやったものであるか、先ほど私は黙想してお聞きしておったんでありますけれども、どうもその点がはっきりしない。どうも警察当局とのあなたのやりとりを聞いておりましても、不毛の議論のように私感じておったわけでございます。
○小笠原貞子君 やっぱりお休みになっていらっしゃったから大事なところがおわかりにならなかったかと思いますけれども、とにかく総理ね、政治倫理、綱紀粛正の立場からこの問題について私申し上げました。厳正に対処して調査をしていただくということには御異議ございませんでしょう。——いや総理、総理に伺っているんです。あとみんな伺ったんです。総理お休みになっていたから、伺えなかったから。最後に総理にね、調査をきちっとやっていただくということを……
○委員長(植木光教君) 国家公安委員長。
○小笠原貞子君 いやだめよ、さっき聞いたんだもの。
○国務大臣(世耕政隆君) この問題、警察の側から実態把握に努めております。
○小笠原貞子君 総理。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま長官の方から申し上げたようなことで、(「長官じゃない」と呼ぶ者あり)国家公安委員長の方から申し上げたところでございますが、この事案につきましても関係者は関心を持っておられるわけでありますから、よく調査をしてもらうようにしたいと思います。
○小笠原貞子君 財源がなくて減税もできないということで大変御苦労なすっていらっしゃるようですけれども、御苦労なさらないような方法を私申し上げたいと思うのです。 軍事費をお削りになったらいかがですかということを言いたいのです。外務省いらっしゃっていますか。 外務省にまずお伺いいたしますが、「軍縮と開発の関係」についての国連軍縮問題専門家グループの報告書というのが昨年の十月二十日に出ました。そして、総理もお読みになったかと思いますけれども、この中で、いま全世界で栄養失調の人たち、それから文盲の人、お医者さんに行けない人、学校に行けない人がこんなにいるよということが出ておりましたのですけれども、ちょっとその数字をお教えいただきたいと思います。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘のございました国連の委員会の報告書によりますと、世銀の推定によるといたしまして、現在、栄養失調の人の数五億七千万、文盲の人は八億人、あるいはほとんど医療を受けられない人が十五億人、学校に行っていない児童が二億五千万、かように報告されております。
○小笠原貞子君 続いて軍事費、世界的な軍事費が二〇〇〇年にはどれくらいにいまのテンポでいって伸びるというふうに予測されていますか。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 二〇〇〇年には八〇年の価格で九千四百億ドルに達するとしております。
○小笠原貞子君 栄養失調の子、医療を受けられない人、いまの数字を聞いて本当にびっくりいたしました。そしてこのテンポで軍事費が世界でどんどんふえてまいりますと、八〇年が百十五兆円、そして二〇〇〇年には約その倍と、二百兆以上ということになってくるわけでございます。 私よく写真で見たんですけれども、うつろな大きな目をして、そしてふくれたおなかで手足のやせ細ったあの子供たちのことを考えますと、私は本当に胸が痛むんです。莫大な軍事費というものは戦争をしなくても多くの人たちを苦しめ、殺していっていると、このような事態、総理いかがお考えでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのような開発途上国、第三世界、特に石油の生産が行われない第三世界等におきましては食糧難でありますとかあるいはインフレでありますとか失業でありますとか、深刻な社会的、経済的な問題がたくさん起こっております。こういう問題を放置いたしますことが内乱を起こしたりあるいは紛争に発展をしたりするわけでございまして、世界の平和、安定の観点からいたしましても私はこういう問題については先進工業国等が真剣に取り組んでいかなければならない、このように考えておりますし、わが国は幸いにして世界のGNPの一割国家にまで成長したわけでございますから、そういう面を通じて国際的な役割りを果たしていかなければいけない、このように考えています。
○小笠原貞子君 世界のことではございませんで、いま私は日本のことを同時に考えていただきたいと思うのです。軍事費突出ということを各新聞社が書きました。それは日本の軍事費が異常に突出しております。そしていまや一口で言えば、年寄り、子供、車いす、そこのけそこのけ戦車が通るという日本になるのではないかということを心配しているわけでございます。 そこで、具体的にお伺いいたしますけれども、渡辺大蔵大臣、去年の予算折衝のとき防衛庁長官と、今年度残しましたね、F15が二十三機だけれども、残り要求二十機残りましたと、P3C七機を今年度に入れたけれども、残った十機がありますと、それについて五十八年度にどうぞ入れてくださいと防衛庁がおっしゃいまして、大臣は十分配慮いたしましょうと、こうおっしゃったと伺いましたけれども、そんな配慮なさるんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 後年度負担が一カ所に集中することは困るということで査定をさしてもらいました。ところが、防衛庁長官から来年度見てもらいたいと話もございました。しかし、私は、予算は単年度主義ですから、来年度のことまでお約束できませんと、覚えておきましょうと言っただけでございます。
○小笠原貞子君 お忘れになってください、覚えないで。そして軍事予算を本当に人間を生かすために使っていただきたいと思うのです。 それから、P3Cでございますけれども、これもどんどんふえてまいりますが、このP3Cというのは、国会でも大問題になりましたあの疑惑の持たれているロッキード問題ですね。児玉、小佐野の売り込み工作は明らかになった、田中角榮もそれに決定的に重要な役割りを果たしていたというのが本院でも指摘されたことでございます。こんな疑惑がらみのP3Cをお買いにならないようにと私は忠告を申し上げたいんです。 そこでお伺いしますけれども、アメリカはこのP3C買うのですか、今年度も来年度も。アメリカ自身が買うのですか。
○政府委員(和田裕君) お答えいたします。 私どもが聞いておりますところですと、アメリカにおきましても、本年度におきましてP3Cの購入をするというふうに聞いております。
○小笠原貞子君 アメリカはP3Cはもう将来買わないということを言っておりますので、私の方も調べましたので、アメリカも買わないものを何で日本に買わせるんだ。ああ、アメリカが買えないから、売らなきゃならないから日本に買いなさいと、こういうことに話はつながってくるわけでございます。どっちにしても疑惑がらみのロッキード、そしてアメリカも今後は買おうとしてない。今年度買うかどうか知りませんよ、将来は買わないと言っているような大変な、一機百億なんていうお金を使うような軍事費は削減して減税に向けていただきたいと言うのですが、いかがですか。ノーならノーでいいです。はっきり態度を示してください。
○国務大臣(伊藤宗一郎君) ただいまいろいろ御指摘がございましたけれども、いまわれわれが装備しようと思っております御指摘のP3Cその他は、わが国を守るための必要最小限度の防衛力の整備の範囲内でございまして、そういうことによって基盤的な防衛力、防衛計画の大綱の水準に定めております。その水準に一日も早く到達をさせていただきたいというわれわれ防衛庁当局の念願のもとでの今回の予算要求でございますので、ほかのものに振りかえさせるわけには防衛庁としてはまいりません。
○小笠原貞子君 わが国を守るとおっしゃったけど、わが国の何を守るんですか。この軍事予算で国民は苦しめられて、そして戦闘機が墜落して、林和枝さんこの間亡くなりましたね。私は、その考え方に全く賛成はできません。 しかし、次に進ましていただきます。 先ほどからずっと総理は、平和を守るためには核バランス、軍事均衡論の上に立っていまの平和は守られていると、こうおっしゃいましたけれども、軍事力というのはどういうふうにはかるんですか、はかり方を教えていただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは端的に言いますと、抑止力、戦争を未然に防止する力、それが必要なのでございまして、戦争そのものを目標としておるものではない、私はそのように考えております。
○小笠原貞子君 質問違うんですわ。どうやってはかるんです、はかり方。
○国務大臣(鈴木善幸君) はかり方は防衛庁長官だ。
○小笠原貞子君 いや、だけど、あなたが言っているんですよ、均衡論、均衡論と言っているんだから、はかり方、それくらいわからなきゃ国連総会へ行けませんよ。どうやってはかるんですか。
○政府委員(塩田章君) お尋ねの趣旨がよくわかりませんけれども、単に戦車の数でありますとか、飛行機の数でありますとか、そういうことであれば、数字はわかっておりますから、それが一つの軍事力のはかり方になろうかと思います。 しかし、おっしゃる意味は恐らくそうではないだろうと思います。やっぱり各国それぞれの防衛の構想といいますか、各国それぞれ持っておりまして、それによってそれぞれの整備をいたしておりますし、またそれには、当然のことながら、それを支える国民の意思といいますか、そういったものまで含めた意味での各国の防衛努力があろうかと思います。したがいまして、単に軍艦が何隻とか飛行機が何機とかいうことだけでもって軍事力を比較するということは、それはなかなかむずかしいことだろう。ただ実際上は、数字としてはそういうものしかわかりませんから、私どもは軍事力を表現する場合には、そういったものの数字を並べて表現をいたしておる、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 数だけじゃだめですよね。性能の悪い、落っこちゃうのもあるし、いいのもあるし。 質はどうやってはかるんですか、バランスとるとき。
○政府委員(塩田章君) 質につきましても結局、公表されております各兵器の性能、そういったものがわれわれから見れば客観的に見れる一つの資料でございます。しかし、それも先ほど申し上げましたように、それぞれの国の整備の目標がございますから、その国の地形の特性だとかいろいろなこともございますし、あるいは、さらに言えば各国の軍隊の訓練度というようなこともございますし、そういうことで、単にこれもまた数字だけで比較することはある意味では意味がないというふうに言えるかと思いますが、実際上は、そういう数字であらわす以上は、そういうのを使う以外にないということでございます。
○小笠原貞子君 だから本当にはかれませんね、いまのお答えだと。軍事力そのものははかれない。
○政府委員(塩田章君) 結局、それは各国がよその国の軍備力をどう判断するかという問題でございまして、一つ一つの性能の問題でもございませんし、一つ一つの数の問題でもなくて、そういうものを合わせて、どの国はどれだけの軍備力があるということをそれぞれの国が判断をしている、そういうことの、先ほど総理の言われました抑止力の上に立っておるんではなかろうかと私は思うわけでございます。
○小笠原貞子君 いまお聞きになったように、全くはかれないんですわ、これは。それで、お互いに向こうが強い、こっちがつくらなきゃというので、大変な核軍拡への際限のない危険をいまつくり出しているということは軍事専門家はもちろん言っておりますし、今度鈴木総理いらっしゃいますね、国連のワルトハイム事務総長の報告、核兵器に関する包括的研究というのの五百十九項にありますから、いらっしゃる前に読んでおいてください。それから日本も賛成いたしましたし、第十回特別会期の最終文書、ここにもそれが書いてあるんです。そしてこの軍事力のバランス論というのは、非常に危険であるということが国連から出されているんですから、お読みになっていただきたいと思いますけれども、まだそれでも核バランス論にお立ちになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はこのバランス論というのは、拡大均衡というバランスじゃなしに縮小均衡の方向に低位にこれを抑えていく。経済や貿易だと拡大均衡が私は世界経済のために必要であるけれども、世界の平和と安定のためには、むしろ軍事力というのは縮小均衡の方向に低位に抑えていくということが必要である。そういう意味で軍縮、軍備管理、これに向かって努力をしてまいります。
○小笠原貞子君 いろいろとおっしゃいましたけれども、全く論理性に欠けています。いらっしゃる前に十分御勉強の上、恥をかかないように行っていただきたいと思います。 次に、暮らしの問題お伺いしたいと思いますけれども、総理府、お伺いいたします。 五十六年の家計調査結果で、実質消費支出どれくらいふえましたか。そして実収入、つまりサラリーマン世帯の実収入はどれくらい伸びましたか。そして五十六年でなくて、五十五年と比べたときにはマイナスになっているのか、プラスになっているのか、ちょっと教えてください。五十六年の、これでいいです。ふえたパーセンテージでも結構です。
○政府委員(永山貞則君) 家計調査の結果によりますと、勤労者世帯の実収入は、五十六年がプラス〇・一、それから、いずれも実質でございますが、消費支出も五十六年はプラス〇・六、ただし、五十五年は五十四年に比べまして実収入はマイナス〇・六、消費支出はマイナス〇・八でございます。
○小笠原貞子君 実収入の支出は二年連続のマイナスになっているわけですね。かつて二年連続マイナスというのはあったでしょうか。
○政府委員(永山貞則君) 先生の言われます実収入の方は五十五年はマイナス、五十六年はプラスでございます。
○小笠原貞子君 実質消費支出。
○政府委員(永山貞則君) 実質消費支出の方は全世帯、全部の世帯と勤労者世帯ございまして、先生のお尋ねの勤労者の方は五十五年はマイナス、五十六年はプラス、それから全世帯の方は五十五年、五十六年ともにマイナスという結果になっております。
○小笠原貞子君 大変厳しい情勢でございますが、こうやって購買力というものがなくなっていくわけです。 収入が伸びたとしても少ない。マイナスだというようなこともあると。それでその中から税金を払わなきゃならない。これが大変な伸びになって、負担を抱えて、その上に公共料金が大幅な値上げだと。特に光熱費、教育費は、減税なさいませんでした五十二年に比べますと、実に手取り収入の伸び率の三倍というような負担になっているわけです。だから、国民個人消費というのが伸びない。こういうことで景気回復するでしょうか。河本長官、お伺いします。
○国務大臣(河本敏夫君) いま景気回復がおくれておりますのは、やはり消費が伸びないというところにあるわけでございますが、なぜ伸びないかといいますと、実質可処分所得がふえないと、こういうことだと思います。
○小笠原貞子君 本当に家計簿つけている人は、にっちもさっちもいかなくなった。個人の努力ではどうしようもないという公共料金の負担、税金、そういう中で減税を希望する、一兆円減税というのは当然のことだと思うのですけれども、ずばり伺いたいと思います。五十七年度減税なさいませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 減税問題につきましては、衆議院でもいろいろと各党の議論がございます。財政事情からすれば、とうていできるような財政状況ではございません。しかし、各党間で予算成立後いろんな観点、中長期的にわたって検討をするということになっております。政府はそういうようなことを見ながら態度を決めていきたいと思っております。
○小笠原貞子君 五十七年度当初予算では、だからできないということなんですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十七年度は、財政当局としてはできるような状況にはございません。ございませんけれども、予算成立後各党間で検討していくということが申し合わされておるわけです。
○小笠原貞子君 財源がないからできないと。黙ってたって財源なんて出てきませんよ、つくらなくちゃ。だから、さっき言ったように、談合なんかでいろいろやっているむだ遣いをやめて、軍事費を削ってと、いろいろ頭を本当に使ってください。国民が苦労しているんだから。 五十七年度当初予算ではやりませんと。それじゃ、五十七年のその後にもいまのところはもうちょっと出すということはお考えになっていないのですね。当初予算ではお出しにならないわけでしょう。出しませんね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) さようでございます。
○小笠原貞子君 五十八年どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これから検討するところであります。
○小笠原貞子君 じゃ、増税はなさいますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大型、新型増税は考えておりません。
○小笠原貞子君 小型やるわけ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは野党の皆さんからも減税財源とかいろんなことで、いろんなこういう税金を直せと、もっと引き上げるという要求出ているわけですから、一切増税は考えないということになれば、要求を引っ込めてもらうほかないということになります。それはそうでしょう。増税してこっちへ回せというような案も出ているわけですから、したがって一切増税は考えないというのでは、これは何も考えられないから、一切全部を含めてこれは検討をしていただくし、われわれも検討してまいりたい、そう思っております。
○委員長(植木光教君) 沓脱タケ子君の関連質疑を許します。沓脱君。
○沓脱タケ子君 ただいまの質疑あるいは本院における昨日からの質疑を聞いておりますが、結局五十七年度の一兆円減税問題については、政府の態度というのは具体的に少しも前進をしていないということしか理解できません。サラリーマンは毎月毎月給与をもらうたびに引かれる税金の重さにため息をつく。自営業者や農家はもう三月十五日の締め切りを目の前にいたしまして、いま必死の思いで確定申告書を書いているのでございます。 総理ね、私の立場でもう一遍聞いておきたいんですが、あなた御自身は、国民の悲願になっております今日、この一兆円減税の実現のためにあらゆる努力を払われるというおつもりはあるのかどうか、その点についてお聞きをしておきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十七年度予算案を国会に提案をいたしまして、今国会ではこの所得税減税の問題が大きな問題点として衆議院、参議院におきまして今日まで審議を続けられてきたわけでございます。政府の考え方、これもるる御説明を申し上げて今日に至ったわけでありますが、その間におきまして、衆議院の段階で各党——まあ共産党さんは別の見解であったようですが、五党の話し合いの結果を踏まえまして、衆議院議長の議長見解というのが出たわけでございます。各党もこれを受けられまして、そして五十七年度予算案が成立をいたしますれば、できるだけ早い機会に大蔵委員会に小委員会を設けて、そして所得税減税をする場合における税制並びに財源の問題等について検討をされる、こういうことに相なったわけでございます。政府の所得税減税に対する考え方というものはるる説明はしてございますけれども、しかし、この議長見解に基づいて小委員会で御審議をいただくということに相なったわけでありますから、その結論につきましては、政府としてはこれをできるだけ尊重して前向きに対処いたしたい、こう考えております。
○沓脱タケ子君 いや、議長見解とか各党の御相談だとか、大蔵委員会の小委員会での協議だとかという話はもう十分聞いています。だから総理自身がそういう努力をするおつもりがあるかということをお聞きしたのですが、御答弁にはなっていただけない。時間に限りがありますから……。 特に自営業者に対しては、いまクロヨンとかトーゴーサンなどとか言って、あたかも業者が税金をごまかしているような宣伝がよくなされています。大蔵大臣、業者の方々が三割も四割も税金をごまかしているというふうな、こういう実態が本当にあるんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう質問をしょっちゅう受けておって、そういうような実態はありませんということを私はもうずうっと申し上げてきているんです。——いいですか。そういうわけであります。
○沓脱タケ子君 ところが、自営業者や農家の半数ぐらいは白色の申告をしておりますが、その場合の専従者控除というのは五十年から四十万円に据え置かれたままでしょう。ほとんどの業者というのは今日の消費不況の中で所得が伸びないままで本当に必死になって税金を納めているのですよ。総理も大蔵大臣も業者の方々の実態、実情を御存じですか。実際この今日の不況の中で仕事はない、あるいは商売にならないということで、夫婦で商売をしておられる方々見てごらんなさい。御主人がアルバイトに行ったり奥さんが留守番をしておるお宅、あるいは御主人一人で商売をして奥さんがアルバイトに行ったり、そういうことをやらなければならないという状態なんですよ。ところが、国税庁見てごらんなさい。クロヨンとかトーゴーサンというのはそんなことはないんだといまおっしゃったけれども、クロヨンを第一線の税務署員に対してしりたたきの道具に使っているじゃないですか。こんなことは、こういうひどい徴税攻勢は絶対にやめてもらいたいということをこの際に要請をしておきたいと思います。
○小笠原貞子君 それじゃ北炭夕張の問題——時間なくなりましたがお伺いしたいと思います。 遺族補償はどうなっておりますでしょうか。そして、せめて遺族補償の問題、それから退職金等の問題は早急に三井観光などの関連グループから資金援助させるべきだと思いますが、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(石井甲二君) 夕張の遺族補償につきましては、労災保険における補償について申し上げますと、死亡者労働者全員すなわち九十三名でございますが、昭和五十六年十二月十一日までに認定を終わりまして、遺族補償については所定の給付を全部終了いたしております。 それから、お尋ねの労使協定による弔慰金の問題がございます。これにつきましては、労使協定による弔慰金の額については、御案内のように、扶養家族を有する者の死亡の場合に千七百五十万円、その他の死亡の場合は千二百七十五万円、あるいは弔慰金及び上積み補償合わせて最低二千二百万を要求しておりますけれども、現実には、労使の話し合いによりまして、当面、一律二千万円で妥結をしているというふうに伺っております。現実にはそれが全部満たされておりませんので……
○小笠原貞子君 九百万だけ。
○政府委員(石井甲二君) はい、九百万だけでございますので、さらに労働省といたしましてはこれが確実に支払われるように見守っているということの現状でございます。
○小笠原貞子君 労働省、ついでに、退職金、それから定着奨励金とか、それから社内預金とかいうのがいままで大分たまっているんですけれども、その数字ちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(石井甲二君) 退職金につきましては、五十三年の新会社発足の際、前の北炭の炭礦汽船から分割継承されておるわけでございます。昭和五十七年一月一日現在の不払い額につきましては、退職金が五十二億八千六百万円、定着奨励金が三億七千八百万円、合計で五十六億六千五百万円、これが総額でございます。
○小笠原貞子君 いままでの残っている分よ。
○政府委員(石井甲二君) はい。
○小笠原貞子君 いままでずっと払ってないのを出しますとその数字じゃないです。もっと大きな数字になっています。時間がないからいいですが。 遺族の方は残り千百万まだ残っています、遺族の補償金。それから退職金、通算いたしますと、九十七億七千万円、定着奨励金七億六千万円、社内預金が二億三千万円、合計百七億というものが払われていないままになっているわけです。
○委員長(植木光教君) 小笠原君、時間が参りました。
○小笠原貞子君 はい、時間でございますね。 そこで、これは三井観光なり関連グループからどうしてもここのところ、遺族補償、退職金などは払わせるように強力な指導をしていただきたい。 それから、労働大臣に最後に、ぜひ夕張現地に行っていただいて、労働者や家族や下請の方々の生を声を聞いていただきたい。退職金や弔慰金を出させるような御指導をしっかりやってくださいというのと、二つお答えをいただきたいと思います。労働大臣は夕張に行っていただきたいだけ。通産省は三井観光を押して出させるという指導。
○政府委員(石井甲二君) 労働省におきましては、従来から現在の保全管理人に対しまして、これの履行について要請をしております。また、現在会社更生法に保っておりますが、裁判所に対しましてもこれについての、優先弁済についての要請も行っております。したがいまして、さらに会社更生法が決定をしましたら、管財人に対して改めてまた要請をしてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(初村滝一郎君) お答えします。 夕張炭鉱のことについては労働省としても深い関心を持っております。したがって、現地調査その他についても現場とよく連絡をして、できるだけ期待に沿うように努力したいと思います。
○小笠原貞子君 通産大臣、遺族補償金、三井観光に指導して出さしてください。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 遺族に対する弔慰金まだ千百万円残っておりますが、これはいま会社側と交渉しておるわけですけれど、私といたしましては、やはりこの遺族補償金は完全に払ってもらいたい、払わなきゃいけないと、こういうことでいま政府としても関連のグループに対しましても強く要請をいたしておるわけであります。何としても、いま裁判所で更生法の問題は論議をされております。まあ裁判所にゆだねられておるわけですけれど、しかし、今後の会社の再建のためには会社自体が努力をしなきゃなりませんし、関連企業も努力してもらわなきゃならぬ。同時に政府としても現在の制度の中でできるだけひとつ協力をしていきたいと、こういうふうに存じておるわけであります。
○委員長(植木光教君) 以上で小笠原貞子君の総括質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十三分散会