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96回国会参議院1982/02/16

予算委員会 第2号

発言数
402
登壇者
30
会派数
3
開催日
1982/02/16

会議録

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十六年度一般会計補正予算、昭和五十六年度特別会計補正予算、昭和五十六年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) まず、理事会における協議決定事項について御報告をいたします。  審査を行う日は、本十六日及び明十七日の二日間とすること、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計二百二十分とし、各会派への割り当ては、日本社会党九十九分、公明党・国民会議五十五分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ二十二分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ十一分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十六年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君及び東京消防庁消防総監曽根晃平君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) それでは、これより順次質疑を行います。矢田部理君。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 総理にまず伺っていきたいと思いますが、衆議院の予算委員会でF4ファントムの試改修のための五十六年度予算等をめぐる問題についていろんな議論があり、また、閣僚からもさまざまな発言が寄せられ大変紛糾をいたしたわけでありますが、二、三の点についてまず伺っておきたいと思います。  一つは、四十三年に当時の増田防衛庁長官が、ファントムは爆撃装置を持たない、外すという方針をとっておられたわけでありますが、その方針を変更されたのかどうか、これが第一点です。  それから二番目には、自民党と社会党との間で、あるいは最終的には理事会で、五十六年度予算については執行を停止する、今後の扱いについては引き続き審議をするという旨の合意がなされ、かつ予算の理事会でも確認をされたと言われております。加えて、昨晩ですか今朝ですか、防衛庁長官からもその趣旨の発言がなされたように思われますけれども、その点一体どうなっているのか。それは衆議院から出された問題でありますから、執行を停止し引き続き審議を継続するということは衆議院限りのことであるのか、あるいは衆議院予算限りのことであるのか、参議院に対してはどう考えておられるのか。  三番目には、総理は、いろいろ誤解を招いた閣僚の発言があったが今後十分に発言については注意をしていくというふうにおっしゃられたそうでありますが、その前後に中川科学技術庁長官が予算委員会の採決に出席をされなかった、あるいは退席をされた、さらには、前後に他党の控え室を訪れて総理の意に反する言動をとられたようにも思われるわけでありますが、その点どう考えておられるのか。この点、総理の見解を冒頭に伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) F4ファントムの問題に関連いたしまして御質問がございましたが、まず第一に当時の増田防衛庁長官の発言についてでございますが、私はあの議事録全体を通覧をいたしますと、増田長官は、他国を侵略あるいは攻撃をするようなそのような脅威を与える装備はしない、専守防衛に徹するというわが国の防衛政策からいってこれは守るべきである、こういう御趣旨の発言をしておられるわけでございます。この増田長官の方針は、その後におきましても政府は一貫して堅持しておるところでございます。  そこで、いまの五十六年度のファントムの試改修予算を国会に御提案をして議決、御承認をちょうだいをしたわけでございますが、これはファントムを試改修いたしまして、そして耐用年数延命を図ろうということが一つ、それから戦闘機としての機能を向上させる、こういうような観点から試験的にこれをひとつ改修してみようという予算であったわけでありますが、国会の御了承をいただいたところでございまして、私はこのことは増田長官が言われたところの他国に対し攻撃的、侵略的な装備をしないという趣旨には反しないものと、そういうぐあいに私は見ておるところございます。  それから、第二点についてでありますが、五十六年度予算におきましては、いま申し上げたようなことで国会の議決、御承認をちょうだいをいたしました。いま政府はまだ実は契約をいたしておりません。契約をいたしておりません。しかし、せっかく国会の御承認をいただいた予算でございますから、なるたけ早くこれを契約ができるようにお願いをしたいものだと、このように政府は考えておるわけでありまして、この点につきまして国会の、特に参議院の御協力を賜りたい、このように考えております。  それから、閣議における意見の交換が行われました。そのことが後で、閣議後の記者会見でそれぞれ各閣僚からお話が出たようでありますが、これは伊藤防衛庁長官が何とか一日も早くこの試改修の予算の執行をしたいという願望を述べたことにつきまして、閣議のそのときの空気といたしましては、長官のこの考え方というものを了承したと、こういう形になっておるわけでございますが、いろいろ誤解を与えたようでございます。そういうことにつきまして、私が衆議院の委員会で今後言動を十分慎重にするようにということを申し上げたという次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 増田防衛庁長官は当時、いま総理がおっしゃったような意味で、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるような武器は持たない、装備はしない、その一つとして爆撃装置を外したものを購入するということになったわけでありますが、その爆撃装置を今度取りつけるということになりますと、少なくとも外したという、あるいは外すという増田長官の方針には反することになる、相矛盾することになるわけでありますが、矛盾しないんだという議論はとうてい納得できないわけでありますけれども、この内容論議は今後衆議院あるいは当委員会でも引き続きやることといたしまして、二番目の問題でありますところの閣議内部における発言、中川長官に伺いますが、伝えられるところによりますと、一たん国会で決められた予算が執行の段階でとめられることはよろしくないというような趣旨の発言があったかと承っておるわけでありますが、いまでもそう思っておられますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、予算というものはこのように慎重審議、国会の皆さんの御議論を経て、神聖な採決を得て執行権が政府に与えられたものでございます。したがって、国会等において本会議あるいは委員会等で執行停止ということがあるならばでございますが、軽々なことで執行停止がされるということは、これは国会に対しても申しわけないことであって、軽々にそういうことはやるべきでないと、これは一般的理論として、信念として持っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 昨日の衆議院予算委員会で防衛庁長官が、五十六年度予算については執行を停止する、今後取り扱いについては引き続き審議を願うという趣旨の発言をされたそうでありますが、この趣旨も理解しがたい、納得しないという立場でしょうか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 私は一般論を申し上げたのでありまして、担当する大臣がそのように判断することは担当大臣の権限でございまして、それまで拘束する私には権限がございません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 加えて中川長官は、昨日、他党の控え室などを回っていろんな言動があったと伝えられているわけでありますけれども、総理は予算委員会で、今後閣僚の発言については十分注意する、言動については注意するということでありましたが、まず中川長官、どんなことで各会派を回ったのでしょうか。また、それについて総理はどう考えておられますか。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 私は生理現象で委員会の席を離れまして、委員会に間に合うべく来たのでございますが、玄関といいますか、出入り口に来たとき採決が終わっておったということであって、委員会を無視しようというような気持ちで行動したわけではありません。その前後に、通りすがり他党におじゃまをしたことは事実でございますが、委員会を軽視する気持ちは全くございません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 委員会の採決のときに了解も得ずに退席をして、しかもその前後に各会派を回った。恐らく総理が注意した言動と違ったいろんな中身の報道が伝えられておるわけでありますが、言動をとるということについて、総理、どう思われますか。閣僚の相次ぐ発言が問題にされ、それについて総理は釈明を予算委員会でした。その時期に、中川長官は回っていろんなことを言って歩いている。閣内不統一ともとれるようなあの言動が伝えられているわけでありますが、総理としてどう考えますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま中川長官からじきじき申し上げたとおりでございまして、他意がないというように私、承った次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 他意がないと言ったって、予算委員会の最終場面、大事な採決の時期に了解も得ずに外に出てしまって、トイレに行くことまでとめるつもりはありませんが、各会派を回っていろんなことを言っておる。こういうことを他意がないだけで済みますか。再度答弁を求めます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私が承知いたしております範囲では、中川長官は与党の理事に了解を得て生理的現象で席を外したと、こういうことを私は伺っておるわけでございます。その席を立った間におけることにつきましては、中川長官からいまお話があったようなことのようでございまして、私としては別に他意あってのことではないと、このように了解をいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いずれにしても、今後、言動については十分総理としても注意をするということは、そう考えますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) そのように考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それから防衛庁に伺っておきたいと思うのでありますが、今度のF4ファントムの試改修についてでありますが、この試改修の目的は、従来持っておった迎撃的な機能に加えて対地支援、すなわち爆撃機能を持たせるということに重要な意味がある。それについて生田目空幕長は、迎撃機能と爆撃機能はイコールだ、単に付随的なものではないというふうに記者会見で語っています。  同時に、もう一つの問題点は、試改修の後、本格的に爆撃装置をつけて今後F1の後継機にしていくんだ、つまり、爆撃能力を中心に後継機として考えていくんだという趣旨の発言をなされているわけでありますが、この点、塩田防衛局長が言っておる単なる付随的機能だというのとは性格を異にするわけでありますが、防衛庁としてどう考えておられますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○政府委員(塩田章君) まず試改修の目的でございますが、第一には延命ということを考えておるわけでございます。約三千時間を五千時間に、二千時間ばかり延命できるかどうかということを試してみたいと思っております。  それから第二に、もしそういうことで延命ができますと、約十年間長く使えることになりますので、その間古い能力の飛行機のままでは余り意味がございませんので、その十年間の使用に耐える能力アップということを考えておく必要があるだろうということを考えまして、能力アップということを考えたわけでございます。その能力アップの主なねらいは、一つは現在のファントムの一番の欠点としましてルックダウン能力、低い方を見る力が弱いのでルックダウン能力を上げたい、そのためのレーダーの改装をいたしたい、これが一つ。一つは戦闘能力をアップさせたいということで、F15が持っております同じコンピューターを入れるということをやってみる。それによりまして現在持っております、まずミサイル類について申し上げますと、サイドワインダーあるいはスパローにつきまして、最新型のものが搭載できるようにすること。それから、日本が開発しました空対艦誘導弾を装置することができるようにするということをミサイルの装備の面で考えていきたいと思っております。  それから、いま御指摘のございました対地爆撃能力でございますが、これにつきましては、現在のF15が持っております。そのコンピューターは爆撃の計算をすることができます。そこで現在、F4ファントムはパイロットによるいわゆる勘による爆弾投下しかできませんのですが、これを採用いたしますと、単なる勘による爆撃でなくてコンピューターが計算をしてくれるということになります。そういう能力アップは図られるわけであります。しかし、かつてF4ファントムが元来有しておりましたような専用の爆撃装置ではございませんし、能力的にも連続爆弾投下というようなもともと持っておりました、かつて落とした、そういう能力を今回復活させるわけではございません。  それから、そのほかに、航法管制装置の改善といったようなものがございますが、これは要するに、機材が古くなっておりますので新しい性能のものにかえるということでございます。  なお、生田目空幕長の発言と私の答弁とが食い違うではないかという趣旨のお尋ね、それからなお、F1の後継機としても目指しているのじゃないかというようなお話がございましたが、生田目空幕長の発言は、およそ戦闘機というものは、要撃戦闘機と、もう一つは、私ども、支援戦闘機、日本の場合はこの二種でございますが、どちらにしましても、要撃戦闘機にしても対地攻撃能力は大なり小なり持っておるわけだし、逆に、現在のF1のような支援戦闘機といったものも、アラートハンガーについて対領空侵犯措置にも使っておるわけだし、そういう意味で、それぞれの能力をお互いに持っておるという趣旨のことは確かに言っております。しかし、本来、要撃戦闘機は要撃戦闘機としての機能を重視したものであり、付随的に対地爆撃機能を持っておるということを言ったわけであります。  それから、F1の後継機云々ということにつきましては、新聞記者の会見におきまして、F4を対地支援に使う可能性はあるのかという質問に対しまして、それは考えられますということは確かに言っておりますが、続きまして、どこの国の戦闘機でも空対地の能力は持っております、性能の差はありますが戦闘機は空対地の能力を潜在的に持っておりますということを言っておりまして、先ほど私が述べた趣旨のようなことを言っておりまして、これはF1の後継機として断定的な、あるいは固まったような考え方であることを示したものではなくて、そういう両方の性能を持っておりますから、そういうことも一つの候補としては考えられるという趣旨で言ったと思います。私どもは現在、F1の後継機を何にするかという問題についてまだ取り組んでおらない段階でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 この問題の最後になりますが、増田長官の約束をした爆撃装置の取りつけの問題、その後のF4ファントムの爆撃機能の強化の問題、さらには生田目発言、閣僚発言など、いろいろな問題が実はこれはあるわけであります。  そこで、衆議院としては、さしあたり予算の執行を停止をする、引き続き予算委員会等でこの審議を行うということになっているわけでありますが、予算は衆議院だけで成立するわけではありません。参議院でも十分な審議を尽くしてこれに対応をしているわけでありますから、対衆議院の関係のみで予算の執行を停止をする、対衆議院の関係のみで引き続き審議をするということであっては断じてならないわけでありまして、執行停止はもちろんでありますが、今後引き続き参議院でも審議をすべきだというふうに考えておりますが、その点について総理として、当然だと、参議院の審議を求めるということを言ってほしいと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 予算は衆議院、参議院両院を通じて御審議を願い、議決をいただきまして成立が図られるわけでございます。この試改修の予算の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、現在政府は契約をいたしておりません。いたしておりません。しかし、せっかく五十六年度予算を国会の御承認を得たことでもございますので、一日も早くこの契約を実行に移したいという希望を持っておりまして、この点をひとつ御理解を賜りまして御協力をお願いしたい、こう思うわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いまの発言はだめですよ。衆議院には引き続き審議を願う、参議院に対しては御協力をいただきたい、こんなばかな話はありませんよ。そんな総理の発言は認められませんので、再度答弁を求めます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま私、率直にお話をしたのですが、現在この試改修につきまして契約してないのです。契約しておりません。したがいまして、御審議を尽くしていただいて、せっかく国会の御承認をいただいた予算でございますから、執行できるように御協力をお願いしたいと、これはもう率直な私の気持ちでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ちょっと意味がよくわかりませんのは、衆議院では執行を停止した上引き続き審議を求めるという考え方を示したわけでありますが、参議院に対してはそれと同じ考え方ではないのですか。引き続き参議院に対しても審議を求めるという考え方に立っていないのですか。参議院の審議は要らないという考え方ですか。そこを明確にしてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんのおっしゃることと私の申し上げておることは、決して反対のことを申し上げておるつもりはございません。現在、契約をいたしておりませんから、参議院の審議等をまたないでどんどん契約するということを言っておるのではございません。現在、契約をいたしておりませんと。しかし、せっかく御承認をいただいた五十六年度予算でございますから、御審議をいただいて、参議院におきましても御審議をいただいて、そして一日も早く契約ができるように、執行ができるように御協力をお願いしたいと、こういうことを申し上げておるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 審議を願いたい、そこまででいいんじゃありませんか。執行を停止をする。衆議院はもちろん、参議院でも引き続き審議をいただきたい。それだけの話じゃありませんか。そこだけ確認してもらえばいいんですよ、われわれは審議するつもりでいるわけですから。その審議なしに勝手に政府が動くことはしないという約束だけはしてください、少なくとも。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いろいろこの問題につきましては、これから審議を尽くされる、論議を尽くされることと、こう存じますが、政府といたしましては十分誠意を持って御説明をし審議をお願いをしたいと、こう思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それでは次の問題に入っていきたいと思います。  鈴木内閣の基本的な政治姿勢についてでありますが、ロッキード事件、ロッキード疑獄についての総理の認識を最初に伺っておきたいと思います。  ロッキード事件につきましては、小佐野、若狭らについて有罪判決が出ました。今後、丸紅ルート、次いで田中元首相らに対する判決が予想をされるわけでありますが、総理としてこのロッキード疑獄についてはどういう認識を持っておられるか。われわれはかねてから、自民党の長期政権と政・財・官の癒着が生んだ構造汚職だと、航空機導入という大型利権にかかわった金権腐敗の政治の象徴であると、単なる偶発的な事件、個人的な倫理観の欠如がもたらしたものではないという認識を持ち、かつ指摘をしているわけでありますが、総理の認識をまず伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ロッキード事件につきましてお尋ねがあったわけでございますが、これは現在、司法の手によって審理が進められておる段階でございまして、行政府の責任者である私が、その裁判の判決ないし今後の審理につきましてコメントをするということは差し控えたいと、こう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ロッキード裁判について総理にコメントを求めているわけではありません。天下を震撼させた衝撃的な事件としてのロッキード疑獄全体について、政治倫理の問題として総理はどういう見解と認識を持っておられるかということを伺っているわけでありますが、再度その点で総理の見解を求めたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ロッキード事件そのものに触れてコメントすることは、裁判にも微妙な影響があってはならないわけでございますから、私はコメントは避けたいと思いますが、政治倫理の問題につきましては、これは議会制民主主義を擁護するという見地からいたしまして、政治倫理の確立ということは最も大事な問題であり原点であると、このように考えております。  この点につきましては、いろいろの国民の指弾を受けるような問題が過去において起きまして、そして国民世論も厳しくこれに批判をし叱正を加えたと。私を含めて、政治を志す者は常に反省をし、身を持してこの国民の政治に対する浄化というような期待に対してこたえていかなければならない、このように私は考えておるものでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 という鈴木内閣は、言うならばロッキード問題を清算しないまま、これを引きずった形で今日存在をしているわけです。一つには、ロッキード裁判の行方が鈴木内閣の存立にも大きな影を落としているし、他方では、ロッキード事件に連座した政治家がかかわりを持ったり大きな影響を与えている。この点で鈴木内閣の倫理観、政治姿勢が改めて問われているわけでありますが、この点どのように受けとめておられますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま申し上げましたとおり、政治に対する信頼、国民の信頼を確立をするということが一番大事な問題と心得ておりまして、自由民主党におきましても、昨年、倫理綱領というようなものも決定をいたし、党員がともに自粛自戒をして、そしてこの政治倫理の確立、政界浄化に誠心努力をしようということを誓って努力をいたしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 各論を少しやりたいと思いますが、法務省にロッキード事件の各裁判の現状と見通し、検察側の立場でどう考えておられるか、まず御報告をいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) いわゆるロッキード事件の公判状況でございますが、先ほども御指摘になりましたように、一部のルートにつきましてはすでに判決があったところでございます。いわゆる全日空ルートにつきましては一部判決がございましたが、残りの分がございまして、その分の判決はまだ判決の期日が決まっていないという状況にございます。  それから、さらに審理中のルートといたしまして、まあいわゆる丸紅ルートの公判があるわけでございますけれども、本年に入りまして、先般、二月十日に第百五十三回目の公判が開かれております。  今後の見通してございますが、明日になりますか、十七日でございますが、それが次回の期日でございまして、その次回期日におきまして弁護人側の今後の立証計画というものが示されるという予定になっておるわけでございます。  今後どのように進行するかにつきましては、弁護人側の立証というものに大きく左右されるわけでございますので、どういうふうになるかということは、その立証計画等を見ませんとはっきりしたことはわからないわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 裁判の内容に関連してでありますが、全日空判決で、判決は次のように認定をいたしております。  若狭らが外為法違反で授領した全員などから政治家等に七千万円が渡された旨の指摘がなされております。そのとおりかどうかということが一つと、そのために検察側はどういう立証をされたか。七千万の内訳等について伺いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 過日の判決におきまして、そういう御指摘のような判示文があることは事実でございますが、それは、いわば外為法でつくられましたといいますか、その金の一応の裏づけといいますか、使途という関係でそういうような判示があったわけでございまして、それ自体が犯罪事実になっているわけではございません。  なお、細かい技術的な立証の問題でございますけれども、それはその裁判におきます関係者の供述によってそういう事実が一応認定できるというふうに相なっているわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 七千万の内訳はわかりませんか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、それ自体が犯罪事実ではございませんので、内容がどうであるかということは当面の問題ではないわけでございます。判決でも、非常に漠然とと申しますか、二つ資金的なものがあるわけでございますけれども、一口の方の五千万円のうち約二千万円余りが政治家へのせんべつ等に使われた、それからもう一口の方の保管しておった金の中から約五千万円ぐらいがどういうように使用されておるという程度の認定でございまして、それ以上の詳しい内容、内訳はないわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それじゃ、次の点で伺いましょう。  近々、橋本、佐藤両氏に対する判決が出る、その前提としてすでに論告がなされているわけでありますが、三十ユニットが——三千万円ですね、いつごろ、だれに、どういう方法で渡されたか、そのための立証を検察側としてどうやったか、その立証については確信を持っているかどうか、この点を伺っておきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 御指摘の、三十ユニットの行き先と申しますか、その点につきましてはすでに論告等で述べておるところでございますので御案内のとおりと思いますが、またそれは検察側の主張ございまして、検察側といたしましてはそれなりの裏づけを持って述べておるところでございますけれども、まだ判決に至っていないことでございますので、それ以上のことを申し上げるのはいかがかと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 検察側の論告の内容を具体的に、三十ユニットの内訳を含めて説明してください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 私から改めて申し上げるまでもないかと思うわけでございますけれども、御案内のとおり、現在まだ判決がなされておりません全日空関係の被告人二人にそれぞれ五百万円と二百万円が渡されているということでございますし、残りの二千三百万円は国会議員五名の方に渡されているということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いつ、だれに、幾ら、どこで、どういう方法で渡されたかを聞いているわけです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ちょっと論告自体を持ってきておりませんので、非常に微妙なことで、間違ったお答えを申し上げるといろいろと問題も起ころうかと思いますので、先ほどのようなことを申し上げたわけでございますが、その程度で御理解をいただきたいわけでございますけれども、四十七年の十月末から十一月の初めにかけてであったと思いますが、先ほど申し上げましたような内訳で合計七名の政治家の方に渡されているわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 全然答えになっていない——具体的に聞いているわけですから、正確に答えてください。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 特定のお名前を申し上げるのもいかがかと思いますけれども、まあ論告等でも出ておりますし報道もされておるところでございますからあえて申し上げますけれども、橋本氏に五百万円、佐藤氏に二百万円、二階堂氏に五百万円、佐々木氏に三百万円、加藤氏に二百万円、福永氏に三百万円であったと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 法務省、公にしたことを言いにくいとしているのはちょっとおかしいと思うのでありますが、全部、その方法から場所まで裁判では立証しているわけですね。それから、金銭の授受については具体的にどんな立証をされましたか。また、それについては確信を持っていますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げましたように、いわゆる全日空ルートで判決がなされておりませんのは橋本、佐藤両氏に対する関係でございまして、それが起訴されている関係にあります。その他の関係は起訴されていない事実でございまして、ただ、その関係といわば一体不可分的な関係にある事実ということで論告等で触れているところでございまして、それなりの立証をいたしているところございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは最終判決には至っておりませんが、検察側の立証としましては、たとえば二階堂氏に対しては十一月一日五百万入りの包みを伊藤が官房長官公邸に持参をしたと。そのためのいろんな関係人の調書や証言等が具体的に出ているわけですね。他の人たちも、これ一々申し上げませんが、たとえば田中に対する一千万は榎本を通して料亭「木の下」で渡したということも、これは具体的な指摘をされているわけです。最終判決に至らなければ、それは判決がないと言えばないわけでありますが、検察が証拠を挙げ具体的な立証をしている。  なぜそれらの人たちが起訴をされなかったかというと、時効だとか、たまたま職務権限がなかったということなんですね。しかし、政府の政策形成過程を見ておりますと、各政調の部会などで何らかの形で政策決定にかかわっている、あるいは閣内でもそういう役割りを官房長官などは担っている、こういうことになりますと、職務権限や時効のためになるほど刑事責任は問われないことになったけれども、社会的な責任、政治的な道義的な責任は、金銭の授受が明らかにされ、当時の役割りが明らかにされれば、当然生じてしかるべきだと思いますが、総理いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 矢田部さんは、私に対しては主として政治的道義的責任の問題についてお尋ねがございました。  この点につきましては、私しばしば申し上げておりますように、政治家は信託を受けておる国民に対して責任を負っております。そしてその行動は、わが国の政治の上にも大きな影響を持つものでございます。したがいまして、いろいろの世論の批判、指摘、そういうものの前に私どもは謙虚に耳を傾け、反省をし、常に身を正して政治に立ち向かっていかなければならない、このように考えておるわけでありまして、いまお話しになった方々もそのような気持ちの上に立って真摯に政治に取り組んでおられるものと、このように考えてわります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 選挙で国民の信託を受けたとか、真摯に取り組んでいるからそれでいいんだということにはならないんじゃありませんか。とりわけ、そういう方々が自民党政治のあるいは与党の中枢に座るというようなことは、本人のみならず総理そのもののあるいは総裁そのものとしてのやっぱり政治姿勢が問われることになりませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私はいま申し上げたとおりでございまして、この問題につきまして永久にその方々の政治行動なり、本当に国家国民のために反省の上に立って貢献をしようということに対して、私はそれを否定をする、否認をするということはいかがかと、こう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 少なくとも裁判係属中ですよ。その結論ぐらいは見てしかるべきじゃありませんか。それ以前に自民党の枢要な地位につく、鈴木内閣に大きな影響力を持つというようなことは大変問題なんじゃありませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来刑事局長の方からも御報告があったように私伺っておるわけでありますが、いま矢田部さんがおっしゃっているような方々は裁判で争っておるという方々ではございません。そういう立場から、本当に政治家として国民の負託にこたえるように身を持し、反省をし、そして絶えず政治に対する精進潔斎をして努力をするということ、それが大事なことだと、こう申し上げておるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 同じようなことが最近の談合をめぐる問題、建設利権の構造についても言えるわけでありますが、建設省、民間の大手企業、建設業でありますが、官公需の割合はどのぐらいになっているか、それが第一点。  それから建設省から民間の関連業界にどの程度天下りをしているか。  以上、二点についてまず伺いたいと思います。

丸山良仁建設大臣官房長

○政府委員(丸山良仁君) お答えいたします。  まず第一点の大手企業と申しますか、資本金一億円以上の企業に対する建設省の直轄工事の発注割合は大体五五%程度でございます。したがいまして中小企業は四五%でございます。  それからもう一点。大手企業に対すると申しますか、建設省から建設業の企業にいわゆる再就職をしておられる方は、本年の例でございますと、人事院の承認を受けている方が二十三名、それから大臣承認を受けておる方が百四十四名、計百六十七名となっております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私が建設省に聞いたのは、大手三十社なら三十社の民需と官公需の割合はどうなっているかという点です。

丸山良仁建設大臣官房長

○政府委員(丸山良仁君) 大体大手の場合におきましては民需の割合が六割、官需の割合が四割というのが通例でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ちょっと質問途中でありますが、この辺で休憩させていただきます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時から委員会を再開することとし、矢田部君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二分開会

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十六年度補正予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き矢田部理君の質疑を続けます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 建設利権の仕組み、構造について、ちょっと午前中も触れたのでありますが、すでに建設省から話がありましたように、大手企業の民需と官公需の割合は六対四ぐらい、多いところでは宮公需が五割から七割を超えるところがあります。しかも、この天下りの状況を見てみますと、建設省だけでこの五年間に八百二十人、建設省関係の公団や事業団などを入れますとさらにその数はふえるはずであります。この承認人事が必ずしも厳しくやられていなり先般問題になった防衛施設庁のごときは全くこの承認にかからしめていない人たちが相当数これは流れているわけであります。しかもその中から、自民党といいますか国民政治協会の政治献金を見てみますと、五十四年が百八億中十一億強、五十五年が百二十二億中十四億強が、まあ一三%ぐらいが建設業界から国民政治協会に献金がなされている。その献金の中身はさらに派閥や政治家個人にも来ているわけでありまして、こういうことを考えますと、まさに官公需の発注、受注に政治家が介在をし、天下りを媒介として官民癒着の構造がつくられている。これでは、単に業者間の談合をどうするかとか入札制度をどうするかということでは事足りないのでありまして、こういう構造をどう断ち切るかということが非常に重要だと思うんですが、総理、見解はいかがでしょうか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) お答えをいたします。  談合という問題が方々に発生しておる一つの背景といたしまして、天下り人事のこと、それから政治献金のことなど、ただいま御指摘がございました。こういったようなことが談合との関連において注目されるわけだと思います。しかし談合は、もう申し上げるまでもございませんが、一つの工事を入札するために集まりました者がお互い同士いわゆる話し合い、談合をいたしまして本命を決めるということでございまして、このことと、いまの政治献金とかあるいは天下りとか、これはおのずから問題は別個であって、それぞれの面で厳正に対処していかなければならない問題だと、このように存じております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 中央建設業審議会で入札のあり方等について現在検討中であるということでありますが、その作業状況、いつごろ結論を出すのか、テーマなどについて伺いたいと思います。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) この談合の起こりやすいということと入札制度とが、非常な関係のございますことはただいま御指摘のございましたようなことでございまして、私どもは談合に対する対策の一つといたしまして、これは建設省としては、建設業界を指導監督するという建設業法上の権限もございますが、同時にまた、非常に大きな発注官庁でございますから、その方面からの対策といたしましては、いま申し上げましたように中央建設業審議会に諮問をいたしまして、発注制度の改善合理化ということについてただいま鋭意検討を進めてもらっておる次第でございます。審議を依頼いたしましたのは昨年十一月の下旬、前の斉藤建設大臣の当時でございましたが、昨年の十二月中に第一回の会合を開きまして、いまいろいろの分科会を置きましていたしております。その結論は、項目別に、できみだけ早く出してもらいまして、まとまってきたものからこれを実施に移したいと考えておりますが、一つは、指名入札制度をやるにいたしましても、いま十社でございますが、二十社程度にしようという意見が多くて、また、そうする方が公正な競争を促進しやすいだろうということでございまして、これは審議会の方と連絡をいたしまして、すでに十日ばかり前に、一般的な指導のための通達と一緒に、四月一日からこれをひとつ二十人ということでやれということを建設省の傘下の発注機関にそれぞれ通達をいたしました。  なお、どういう問題を審議するかということでございますが、入札の結果、経過につきましていろいろ疑惑がございますので、経過と結果を公表したらどうか、ガラス張りにしたらいいじゃないかということもございまして、これは通常一回、二回、三回と入札をやるようでございますが、一回目にはA社B社C社が幾らで入札したということをずっと系統的に公表したらどうか。ガラス張りにすることがいいじゃないかということでございまして、この辺につきましても、先方の答申が出次第できるだけ早くやってもらいまして、そうしたいと考えております。  それからもう一つ、一般的な競争入札制度というものにつきましてはしばらく別としまして、いわゆる制限つきの一般競争入札と申しますか、これはそういう考え方が非常に有力に主張されている向きもあるわけでございます。どういう場合にどんな程度で制限つき競争入札制度が実行できるだろうか、これも入札制度改善の一つの大きな項目としていま検討を進めてもらっておる、こういう段階でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 入札制度をどうするかということ、あるいは制度論等については改めて別の機会に議論したいと思いますが、私はここで二点だけ申し上げておきたいのは、一つは人事院に対して、承認大事なるものがしり抜けになっていないのか。たとえば、ここに防衛施設庁から関連業界に天下りをした人たちの名簿が大量に出ておりますが、それはもう長官承認、大臣承認にも全くなっていない。そういう中で先般のような事件が実は起こるわけでありまして、この承認人事の制度なり運用について、しかるべき方策を考えてみたらどうか。  二番目には、これは総理に伺いたいのでありますが、官公需を発注している建設業界に対して、そこから政治献金を受け取るべきでない。もともと企業献金はよろしくないという立場でありますが、特にこういう関係の企業からは政治献金を断じて受け取るべきではないというふうに考えるわけですが、政治姿勢及びまたそういう制度改善について、総理としてどう考えられるか、伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点の天下りの問題でありますが、この点につきましては、人事院におきまして今後もさらに一層厳正な取り扱いをしてもらうようにお願いをいたしておるところでございます。  それから、政治献金の問題、特に官公需等の仕事を請け負っておる企業からの政治献金をやめるべきではないか、こういう御指摘でございますが、この問題につきましては、いろいろ疑惑を受ける可能性がそこにあると私も考えますので、自粛をしなければならない問題である、このように考えておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 若干の個別問題、時間がありませんので、何点かに限って伺っておきたいと思いますが、一つは建設業界の一括下請がしばしば問題にされております。  A社が受けてB社C社と、少しずつ金を前取りして、下請、孫請におろしていく。こういうこととして、たとえば越後道路サービスなどが問題になりました。これは業者の資格の問題や指名業者の数の問題等も問題になっているわけでありますし、牛久沼の裏ジョイントの問題もその一つなのでありますが、そういうことが常態化していることについてどう思うのか。具体的に言えば、この越後道路サービスなどはかなり幾つかの問題点を抱えているわけでありますが、建設省として、その内容、経過をどう考え、どういう措置がとられようとしているのか。  それから、牛久沼につきましては、その後税務調査が入ったということでありますが、税務調査の内容と結果について国税庁から伺っておきたいと思います。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) お答え申し上げます。  越後道路サービスに関しまして、建設業の一括下請その他の問題について御指摘でございますが、越後道路サービスは昭和五十二年に新潟県知事の許可を受けて建設業を営んでいる業者でございまして、設立の際の問題あるいは一括下請の疑い等、御指摘の点につきまして、現在新潟県知事が調べておるわけでございます。それで、これは立入調査及び聴問まで至っておりまして、経過の説明は受けておりますが、かなり問題の点もあるので、新潟県といたしまして、しかるべき措置をとるというふうに思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 しかるべき措置というのは。

吉田公二建設省計画局長

○政府委員(吉田公二君) 建設業法上のしかるべき措置をとると思っております。

小山昭蔵国税庁次長

○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。  ただいま御質問のございました牛久沼の工事に関係いたします建設会社に対する税務調査についてでございますが、昨年の行政改革特別委員会——本院の委員会でもすでに御答弁いたしておりますが、この工事に関係いたしました、三社ございますが、これに対しまして昨年の十月ないし十一月に調査に着手いたしまして、現在調査中でございます。調査の結果を踏まえまして、課税上問題があるということであれば厳正、公正に課税処理をするという方針でおります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 一般的に伺いますと、A社からB社に、あるいはC社に仕事を渡したことにしてあるけれども、C社が、あるいはB社が、全く仕事をしないのに利益金だけ渡した、お金を渡したということになった場合には、どういう課税上の措置がございますか。

小山昭蔵国税庁次長

○政府委員(小山昭蔵君) ただいま先生から仮定の問題について、一つの設例を挙げて、そのような場合に課税上どのような取り扱いになるのかというお尋ねがございました。したがいまして、一般的にそういうことがもしあった場合どういう課税上取り扱いになるかという観点からお答え申し上げたいと思います。  私どもが、工事の入札に関連いたしまして談合金あるいはこれに類する資金の授受が同業者間で行われたという場合の取り扱いについて申しますと、これはその資金を支出した会社の同業者に対する贈与、つまり交際費として課税するということになっております。交際費として損金に算入される限度を超えるものについて課税するということになります。さらにまた言うならば、その間に金の支出が、たとえば外注費であるとかそういった工事原価に仮装した形で支出されているというような、仮装隠蔽等の行為を伴う場合には重加算税が課されることもあり得るということでございます。  したがいまして、いま仮定の設例としてお示しになられましたような例が、いま私のお答えいたしましたようなものに該当する場合には、そのような課税が行われることになるということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 牛久沼の場合にはそういう観点で調査をしている、とすれば、いつごろ結論が出る予定でしょうか。

小山昭蔵国税庁次長

○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。  私ども、企業の税務調査に当たりましては、いろいろ問題点を念頭に置きながら、御指摘を受けましたような問題ももちろん十分念頭に置きながら調査をいたすわけでございますが、あわせまして、その企業の調査の対象事業年度のすべての収入支出全般にわたりまして、適正な会計処理が行われているかどうかということを念査するわけでございますので、調査にはそれ相応の日時が必要なわけでございますが、鋭意現在その処理を急いでおるということでございまして、できるだけ早い機会に結論に至りたいと、このように考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いろいろ個別問題で伺いたいこともありますが、最後に総理に、いずれこの談合問題は改めて本予算委員会でも同僚議員などから取り上げられることとなると思いますが、その際、やっぱり建設業界の代表を証人として呼んで実態を解明したい、問題点を明らかにしたいという要求が強いわけでありますが、何か自民党は、衆議院レベルでは必ずしもこれに賛成していないという話を聞くわけでありますが、総裁としてどう考えておられますか。これはやっぱり実態を明らかにして、こういう状況をなくすための努力を自民党としても積極的にすべきだ、総裁としてもそのイニシアをとるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この問題につきましては、衆議院におきまして各党間でいまお話し合いをしておるということを承知いたしておりますが、その話し合いがどの程度進展をしておりますか、まだ詳しい報告を聞いておりません。きょう矢田部さんからもそういう強いお話があったということを党執行部に伝えまして、党の方で研究をしてもらうことにいたします。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 次の問題に入りますが、大蔵省にお伺いしておきます。  最近大光とか平和とか、相互銀行の経営体質や経営姿勢についてしばしば問題点が指摘をされておりますが、大蔵省としてはこれらについてどのような監督、指導をなしておられるでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、金融検査というものを通じまして実態の把握に努めまして、それら等に基づきまして行政的な指導を行っているわけでございまして、御指摘の相互銀行等、確かにこの二、三年前には簿外保証であるとか、いろいろ問題がございまして、それ等につきましても個々に指導いたすと同時に、簿外保証等やや一般的な問題等につきましては通達等も出しまして指導いたしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 かつては投機目的の土地融資、今日的には投機関連の株式融資等について問題が出ているようでありますが、これらについてはどんな指導をされているんでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 特に問題になりましたのが過剰流動性時代でございます。それからその後、例の選別融資通達等を出しまして指導をいたしたわけでございますが、四十八年の選別融資通達を四十九年に廃止いたしまして、そのときに大口融資規制の通達を出しました折に、具体的に申し上げますと、「土地取得関連の資金などで投機思惑につながる虞のある資金、その他いわゆる不要不急の資金については、その融資を厳に抑制せられたい。」というふうな通達も出しておるわけでございます。  なお、四十七、八年当時におきましては、土地取得関連融資の通達二、三本まだ残っておるような状況でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 指導、監督の一つあるいは前提として、大蔵省は各銀行に対する検査を行っているようでありますが、この検査はどのようにして行われているのでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 銀行局に検査部がございます。それから各地方の財務局に金融検査課がございまして、大体各金融機関につきまして平均二年に一回ぐらいございます。  ただ、個々の金融機関の内容によりまして濃淡をつけまして、長くなるところもあれば短くなるところもあるわけでございますけれども、大体一班六人ぐらいで二十日から一月ぐらいの検査を実施いたしておるところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 昨年の八月に平和相互銀行を検査したようでありますが、問題はなかったかどうか。あったとすれば、その結果、どのような措置をとられたか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 検査の結果につきましては銀行経営の機微に触れる点もございます。また、銀行の取引等につきましては、個人なり企業なりの秘密にわたる部分を集中的に取り扱っておりまして、そういうふうな秘密が漏れないというような前提の上に実は信用秩序が維持されているという点もございまして、従来からこの検査結果につきましては申し上げることを差し控えさせていただいておるわけでございますけれども、ただ、この平和相互につきましては、従来から経営のしぶりとかあるいは融資のあり方等につきまして問題もございまして、私どもといたしましても厳正な検査をいたしました結果、いま申し上げました融資の経営姿勢の厳正化とか、あるいは融資体制を改善強化するとか、あるいは預金内容の純化を図ってくれとか、内部事務管理体制の強化というふうなこと等につきまして示達を発しまして、厳しく指導いたしたところでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 検査は、銀行に対して事前に予告をするのでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 予告はいたしません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 にもかかわらず、この平和相互の状況を見ますと、八月二十日から検査が始まったようでありますが、二週間ぐらい前にこれを察知をして、さまざまな検査対策、検査をごまかす作業を行った疑いがあるのでしょうが、大蔵省御存じでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 私どもといたしましては、検査日につきましては一切事前予告いたしませんので、そういうふうな点につきまして相手方のビヘービアにつきましてはわからないのでございますけれども、いま先生御指摘の点につきましては、本件もこれはいま申し上げました個別の内容でございますので、答弁は差し控えさしていただきたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 各銀行に対する一人当たりの貸付限度額はどうなっているでしょうか。平和相互銀行の場合はこれまた幾らになっているでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 各金融機関につきまして、種類別に違いますけれども、銀行と相互銀行の場合には自己資本の二〇%が限度でございます。平和相互の場合には自己資本の二〇%を単純に計算いたしますと、約六十五億じゃなかったかと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 平和相互銀行を検査をされた際に、この限度額を超えて貸し付けをされている事実はなかったでしょうか。また、限度額を超えた貸し付けが相当あったのに、それを子会社等に分散をするために一時的な措置がとられた疑いがあるのでしょうが、気がつかなかったでしょうか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 先ほど来申し上げておりますように、検査の具体的な内容でございますので、その点につきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 こういう事実があったとすれば、これは実は大変なことなのでありまして、再検査、再調査をすべきではないか。特にこれは相銀法二十四条違反という問題も出てくるわけでありまして、その点、再度大蔵省に答弁を求めておきたいと思います。少なくとも気がつかなかったとすれば、再調査をすべきであるということを要求しておきたいと思います。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○政府委員(宮本保孝君) 何度も申し上げましたように、個別的な話は差し控えさしていただきますけれども、私どもといたしましては、検査の結果を踏まえましていま申し上げました厳しい示達書を出しまして、またそれを踏まえた上での自主的な処分というふうなものも行われておるわけでございまして、今後ともその検査後の銀行のビヘービアというものを十分監視してまいりたいと思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 通産省あるいは資源エネルギー庁に伺いたいと思いますが、石油備蓄の基地がいろいろ構想化されておりますが、その現状、将来の見通しはどうなっているでしょうか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○政府委員(小松国男君) お答え申し上げます。  現在石油備蓄基地につきましては、国家備蓄基地三千万キロリットルを目標といたしまして、一定の候補地を選びながらその建設を進めておるわけでございますけれども、現在までのところ、すでに会社ができ上がりその建設工事に着手しておりますのはむつ小川原プロジェクト、それから苫小牧東部プロジェクト、白島のプロジェクト、福井のプロジェクト、上五島のプロジェクト、さらに秋田のプロジェクトということでございます。なお、これ以外にフィージビリティースタディーその他を行いながら今後の立地の可能性を検討しておりますのが志布志、それから新潟、むつ小川原第二、馬毛島、その他いろいろございます。それからさらに地下備蓄につきましても二、三の地点で今後の可能性その他について検討を進めておると、かような段階でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 一番最後に言われた馬毛島の備蓄基地問題についてでありますが、どうもこの平和相互銀行の融資をもとにして島の大半が買い取られる。そこにいた人たちが全部島からいなくなる、無人島に近くなっているわけでありますが、その買い取った最初の目的はどうもレジャー関連だったようでありますが、どうもそれがうまくなくて、石油備蓄基地にしようという動きが活発になってくるわけでありますが、資源エネルギー庁としてその辺、最近の受けとめ方はどういうふうになっているんでしょうか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○政府委員(小松国男君) お答え申し上げます。  馬毛島のプロジェクトにつきましては、五十五年にフィージビリティースタディーをやったわけでございますけれども、その後気象とか海象等の件につきましてさらに再検討をする項目が幾つかあるということで、現在補完調査を実施中でございまして、恐らくこの結果が三月ぐらいには出てくるんではないかと。それを待って、今後の備蓄基地として十分やっていけるかどうかという点、それからさらに他のプロジェクトが相当進行しておりますので、三千万キロリットルの基地の中に入れることが可能であるかどうか、そういう問題も含めて、今後その調査結果を見ながら検討していきたいと、かように考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 その調査に関連してでありますが、誘致側に藤井丙午氏などが入る、政治家がらみでありますが、そして買い手の側、公団側ではその調査を委託をするわけでありますが、調査を委託されたのは新日鐵の稲山さんが会長をしておられるエンジニアリング振興協会で調査をする。どうも買い手側と売り手側が一つのような印象を強く受けるわけでありますが、この点はどうなんでしょうか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○政府委員(小松国男君) お答え申し上げます。  現在、地元の調整それから調査の問題も含めまして、調査の結果が出てまいりますれば当然公団でその内容について十分検討をするわけでございますが、さらに調整問題は地元の鹿児島県と今後相談をしながら考えていきたいと、さような段階でございまして、いま先生御指摘の件については、私は詳細は存じておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 詳細は知っておらないといったって、石油公団が頼んだ関係ですから。  それからもう一つは、値段の問題でありますが、島でありますからかなり安く購入をされた模様です。ところが最近石油公団が買い上げる価格がかなりの金額だと。一説によると百倍前後ぐらいになるんじゃないかというような指摘もすでにあるわけでありますが、問題は、投機がらみで土地が買われる、それがやがて動かなくなる、政治や利権がらみで国や公団等に買わせる、そういう中にいろんな問題が出てくるということがあり得るわけでありますが、公団としてもあるいは通産省としても、こういう動きについては厳重にやっぱりにらんでおく必要があるわけです。政治的決定はまかりならぬということだけ申し上げておきたいと思います。いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 十分調査をして、その備蓄基地に適しているかどうかという判断のもとに対処をしていきたいと、こういうふうに考えるわけです。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 細かく指摘をすればいろんな問題があるわけでありますが、補正予算の一番のポイントである財政、経済問題に移りたいと思います。  その第一は、歳入欠陥が非常に大きく生じているわけです。その理由として、政府は物価の予想以上の安定だと言っています。もともと物価の安定というのは個人消費の拡大につながるべきものなんだ、こういうふうに考えるわけでありますが、これを税収不足の原因というふうな説明をするのはいかにもいただけない。むしろ物価の安定ということもあるにしても、内需が予想以上に落ち込んでいる。内需対策が政府として失敗をしたということに帰するのではないかと思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 内需が落ち込んでおるという言い方もありましょうが、景気の立ち直り方が思ったよりも緩慢であったという言い方もございます。  問題は、物価の問題は、これは物品税などはかなりストレートにかかってくるわけでございまして、物品税の大部分は従価税、値段が上がれば税金も上がる、値段が上がらなければ税金もその分だけ予想ほど上がらないというようなこと等もございますから、特に物品税の落ち込みというようなものについてはことに卸売物価が大きな影響がございます。年間平均して四・一%ぐらい予算編成当時に卸売物価は上がるだろうという経済見通しであったわけですが、現実の姿はここのところずっと一・六ぐらいで横ばいになっております。そういうようなことを指して物価の鎮静化、非常に結構なことなんですよ、これは。結構なことなんですが、それが税収にはね返っているということも言えるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 物品税、印紙税、卸売物価の安定で上がらなかったと言うんでありますが、やっぱり取引量が減少しているということも考えなきゃならぬわけです。あるいは所得税がもう一つ大幅に歳入不足になっていると言うんでありますが、これはやっぱり雇用者所得の伸び悩みあるいは中小企業の不振、失業率が減らないと、こういうところにやっぱり問題点があるのでありまして、その物価論で主として説明をするというやり方にはいかにも納得しがたいわけでありますが、再度答弁を求めます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは物価と景気の問題というのはいろいろ関係があるわけであります。もちろん物価だけで説明がつくというものではありません。私どもといたしましては、消費者物価が安定をするということは、それによって消費が伸びるという大体定説でございます。問題は、落ち込んでいるんでなくて伸び方が足らなかったと、伸び方が思ったよりも、予想はうんと見ているわけですから、それほどいってないというところに問題があるわけです。結局春闘問題等も七・七%というようなことで確保されたのだけれども、これも中小企業とか何か後になってだんだん決まるという業種もございます。そういうような後の方は意外とだんだん物価が鎮静してきたというようなこともあって、必ずしも大手企業が獲得したほどのものは取れなかったということも事実です。去年のいまごろは、月給が六%台しか上がらないのに物価が八%近くいくんじゃないかといってずいぶん予算委員会などで責められたわけでございます。それがずっとこう下がってまいりましたから、春闘の際のときよりも後になって賃金決定が行われるものの方がどうしても上げ率が鈍ったというようなことは私はあると思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 景気が思うように伸びなかった、したがって成長率も下がった、やっぱりその責任は、あるいは経済政策の失敗は政府として痛感しておいてもらわなければ困ると思うんですね。  次の問題でありますが、その中で政府は歳入不足を四千五百二十四億円と見積もったようでありますが、どうもやっぱり、だれから聞いてもこんなもので足りるわけじゃない、一兆円から一兆五千億ぐらい、あるいはそれ以上歳入欠陥が生ずるのではないかという指摘が各方面からなされているわけでありますが、この四千五百億、間違いありませんか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは見積もりでございますから、なかなか断定的なことを言うことはできません。いままで何年も何年も歳入見積もりというのはやるわけですけれども、めったに当たったことがない。大体三%、多いときは二〇%ぐらいの狂いがございます。これはうそでも何でもなくて、表を見ればすぐわかるわけでございます。  経済見通しがなかなか当たらないということと同じように、経済は生き物でございますから、その変動によって歳入の見積もりが上下するということがあります。しかしながら、われわれといたしましては、おととしの十二月ごろ見積もった、いろんな経済指標を見て見積もったわけでございますけれども、その後の流れを追ってみるというと、先ほど言ったように物価の意外な鎮静化あるいは雇用者所得の伸び悩みというものもございます。そういうような点等いろいろ遣ってみて、毎月の税収の月報が出るわけです。その月報が出たものについてはそれから見通して、どうしてもこれは無理じゃないかというような点は、専門家がいろいろ計算をした結果、その部分は修正をしておくことの方が、補正をしておくことの方がいいだろう、こういうふうなことになって補正手続をとらしていただいたということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 どうも大蔵大臣の言う、いままでも当たったことがないという物の言い方は無責任に過ぎるんじゃありませんか。だから今度も当たらなくたって別に責任はないんだというような言い方に聞こえてならないのでありますが、若干の幅は別として、大幅に狂うようなことがあったらいかがいたしますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 当初予算に対する歳入の見積もりということにつきましては、たとえば昭和四十年、これは七・二%実は少なかった、見積もり不足。それから今度は、四十六年も四・四%の見積もり不足がありました。そうかというと、四十七年では逆に一〇%思ったよりよけいに自然増収が出た。四十八年は二〇・六%、それだけ食い違いが実は出てきておるわけです。四十九年が九・三%自然増収。だからと思うと昭和五十年のように二〇・七%、たった十七億の収入見積もりのところで三兆五千億円も実は税収不足になってきたというような年もございますし、五十二年も五%の見積もり不足があったと。そこで今回は四千五百二十四億円を修正したわけですが、約一・四%修正をしたということは事実でありまして、正確に見積もりたいということで、一生懸命いろんな可能な限りのデータを集めてやるわけではございますが、残念ながらなかなかぴしゃっとできないというのが現実の姿でございますので、決して私は無責任なことを言っているわけじゃございません。それは一生懸命、もちろん責任を持ってやらしていただいているわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 当たったことがない数字を幾ら並べられてもしょうがないのでありまして、問題は、私が聞いているのは、それ以上になったとき、歳入欠陥がそれ以上ふえたとき、あるいは大幅にふえたときはどういう対策をとられるんですか、その責任はどうなるんですかと、これを伺っているんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 現在のところ歳入欠陥は考えておりません。しかしながら、もし仮に税収不足があるというそういう場合には、それは適切な処置をとらなければならない。歳入欠陥というのは税収不足だけから出るわけでもございませんので、当然それはいろんな不用額の問題も出てくるでしょうし、節約の問題も出てくるでしょうし、そういうものが見込まれれば、それに対応する措置はいろいろ考えていかなきゃならぬ。しかしわれわれとしては、当面、大体四千五百億円の補正減を立てておりますから、それで大体いけるだろうということで進んでおるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いまの景気の状況から見て、あるいは税収のぐあいから見て、とてもじゃないが四千五百億程度では済まない。一兆だ、一兆五千億だ、あるいは二兆だなんという計算も、あるいはそれ以上の計算もあるわけでありますが、それはそれとしまして、さしあたり決算調整資金を使うとかいうことも、それはある程度の弾力性といいますか幅はあるわけでありますが、政府の見積もった四千五百億、あるいは決算調整金としての二千五百億、合わせて七千億でありますが、これを超えるような税収不足が出てきた場合には、これは政治問題だと思うんですよ。与党内部にもそういう声がある。総理大臣、いかがでしょうか。政治責任、政治問題ですよ。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは先ほど言ったように、税収の見積もりというのはなかなかぴしゃっといかないということは事実なんです。事実なんでございますが、われわれといたしましては、現段階におきましてはこれはなぜはっきりしたことが言えないかというと、たとえば法人税ですね、法人税というようなものは、過去においては年二回決算というふうなことできちっと九月決算、三月決算ありますから、九月決算やりますと大体わかるんです、はっきりしたことは、いまころまでに、九月の前半が。ところが最近は商法の改正、銀行法の改正等で三月決算にほとんどもう変わってきた、年一回。そういう点から、なかなかそういうことで、はっきりした、決定的な、結果的な数字をつかまえることがむずかしいという問題もございますし、それから、たとえば証券等を見ましても、ともかく大手の九月決算のものは大変いいんですね。銀行なども、銀行によって多少の差はありますが、去年よりはいいということは大体一致しているようでございます。その他、三月の確定申告、こういうものも見なければわからぬわけでございまして、法人税、所得税という大物が、これはもう少し締めてみないとわからない。そのほかの自動車税等の最近の伸び、特に十二月等の伸びがここへきて非常によくなってきたということも事実でありまして、細かい基礎的数字についてはお求めに応じまして主税局長から御説明をさせます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 大蔵省筋は、いやこれからよくなるんだ、法人の三月期決算も見込めるんだというお話は重々承っておるので、問題は私は、それ以上特に決算調整金ということもあるから、それは仮に認めましょう。七千億、それを超えて歳入欠陥が生じたというような場合には政治問題、政治責任になるんじゃありませんか、そう思いませんか。その責任はどうとられますか、その点総理から今度は伺いたい。——政治責任、大蔵省じゃないんだ。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。  見通しのむずかしさということを御承知の上であろうと思うんですが、責任問題というよりも、見通しのむずかしい原因のところを御説明するわけでございます。  オイルショックがございましてから経済動向が非常に読みづらいということが基本的にございます。特に海外要因が絡んでくるという点はかつてなかった。高度成長下では自然増収として必ず出ておったわけであります。円の変動という問題もございます。  五十二年度で歳入欠陥の対策が講じられたと。これは御指摘の決算調整資金ということでございます。四十九年度と五十三年度に収入の年度所属の変更をやっております。したがって三月期の決算、四十九年で二月決算、五十三年度で三月決算がもろに影響してくる。それから、先ほど大臣が申しました一年決算の影響、これは非常に見積もりを困難にいたします。それから、法人税がやはり景気の変動を受けやすい。それから、年度改正も影響がいま申したようにあるということで、税収の大体三割が法人税、三割が所得税なんですが、この法人税が非常に変動しやすく、しかも年度区分で読みづらい、そういうことにあるということは御承知願いたいと思います。これはやはり直接税中心と申しますか、特に法人税が税収の三割を占めておる国は諸外国にないわけでございまして、ヨーロッパでは一〇%を切っているぐらいのウエートでございますが、こういう変動要因の大きな法人税に依存するいまの税収の読みづらさという点は御承知願いたいと思います。  余り歳入欠陥という問題だけ申されますと、歳入が剰余の場合が従来あったのが高度成長の過程でございますけれども、いずれにしろ見積もりでございます。それがふくれます。で、どうしても歳入欠陥を警戒しようとしますと、低目の見積もりということになってくるのもこれはいかがかという問題もありますし、さらにそれは達成目標ということになりますと、これは民主的な租税法律主義ということでやっておる以上、割り当て課税ということはできません。また目標を達成するということを執行で許可するわけにはいきません。そういうことで自然体で税法のとおりに入ってくるということが基本でございますので、見積もりであるということは、歳出のように、法形式としての予算ということで歳出権を与えられるというものと違いまして、議決の対象ではございますが、あくまで税法というのが基本にございますので、見積もりであると。われわれ最大限の努力をやっておりますけれども、性格的には見積もりであるということで、現在五〇%が入った段階であります。毎年十二月末は五〇%台であります。十二月のところが一四%、約一四%の十二月は伸びでありますが、累計では一〇ということで、いままでは低いわけであります。これはいろんな要因、延納が少なくなって昨年に入っちゃったとかいろいろな要因がございます。したがって、今後の動向という点につきましては、先ほどのように、所得税の申告、それから法人税の今後の入り方、こういうことにかかりますので、その辺を注目しておるというわけであります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこは聞いてないんだ。総理大臣。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま大蔵大臣並びに主税局長から御答弁を申し上げたところでございますが、五十七年度予算編成の過程におきまして、五十六年度の税収の実績の推移をずっと検討いたしまして、どうも予定のように税収が伸びてこない。しかし、これはまだ時間もあることであるから、最終段階までそれを見た上で対処しようかというようなことで、大蔵大臣から私のところに御相談があったわけでございますけれども、私は五十七年度予算を編成するに当たりまして、むしろこの実態というものは明らかにして五十七年度予算の編成に取り組んだ方がよろしいと、こう判断をいたしまして、いろいろの御批判は覚悟の上で四千五百億の税収の減というものを立てたわけでございます。これは国民の皆さんにも実情を明らかにし、政府もまたそれを踏まえて今後の経済対策を進めようというまじめな考え方に立つものでございます。したがって、その当時におきましては、これから以後の税収につきましてはあらゆるデータに基づきまして、資料に基づきまして、専門家の掘り下げた検討、いろんな角度からの検討をいたしました結果、税収については、いま大蔵大臣並びに主税局長が申し上げたような見通しの上に立ってこれを行ったということでございまして、私は大きな狂いはないものと、このように考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 見積もりだからある程度、びた一文違っちゃいかぬということを言うつもりはないのです。まあ少し甘過ぎるかもしれませんが、点数のつけ方としては、決算調整金ぐらいの幅ならば、それはまあ一つの幅かなというふうにも考えるわけでありますが、それを超えて大幅な歳入欠陥、不足が生じたということになれば、これはもう政治責任。福田さんだって政治問題だと、こう言っている。そういう認識に立っていますか。間違いない間違いないと言ったって、これはいずれ六月過ぎには結論がはっきりするわけでしょう。そのときに大幅な狂いが出た場合には、総理、責任とりますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまも申し上げたように、大きな狂いが出るということは私は考えておりません。私が国民の皆さんにお約束を申し上げておりますことは、五十九年度までに特例公債依存のこのわが国の現在の危機的な財政体質、これから脱却をしようと、これを国民の皆さんにお約束をしたわけでございまして、その過程における税収の一進一退というようなことで私は責任をいろいろとっておるというような、そういう問題ではないと、こう思います。しかし、最善を尽くしておるということを申し添えておきます。(「問題なんだよ、来年度だって税収が不振であるということで。」と呼ぶ者あり)

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは、いま不規則発言からもありましたように、今年度では済まないんですよ。いまの景気の状況から言えば、幾らか薄日が差すとかなんとかという話もありますけれども、来年度もかなりの落ち込みが想定をされるわけです。そうなってくると、これは財政再建だっておぼつかなくなるじゃありませんか。すでにこの補正では赤字国債を三千七百五十億も追加発行している。もう初年度から財政再建が狂っているんじゃありませんか。この財政再建についてどう考えますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政再建につきましては、ともかく非常に国債依存度が高過ぎるということで、一時は三九%もあったわけですから、それが三三%というようなことになって、いま二七と。現在は二七ぐらいですね。それをさらに五十七年度で二一%に国債依存度を下げていこうと、こういう努力の最中でございます。  しかし、自由主義経済体制において、計画どおり皆ぴしっといけば一番いいんですよ。なかなか計画経済でもそうはいかない。われわれは最大限の努力をしておるわけです。しかしながら、そういうようなことをやって努力目標を掲げて、それがうまくいかないということで、責任あるじゃないかと。じゃ、掲げなければ責任ないのか。そういうことはないわけですね。やはりわれわれとしてはいずれにしても責任はあるわけですから、そういうようなことで一生懸命、大体そうやっていきたい。  去年のいまごろは、大多数の方が言ったのは、税収見込みが足らない、もっと取れるわけじゃないか、少し自然増収の見方が足らないんじゃないかとか、税収はもっと取れるという議事録がいっぱい。まあそう言う方がたくさんございました。  そういうようなことでございまして、だれしもこれはよくわからない。物価の問題も、こんなに急速に鎮静化する。世界のほかの国に例のないほど鎮静化しているというようなことも、実はわれわれもわからなかった。こんなによくなると思わなかったんです。したがって、そういうような経済上の食い違いが出てきたということは、税収にも影響が出たということになるわけです。  したがって、税収の過大見積もり、過小見積もりということはいままで前例もたくさんございますし、われわれとしては適切な処置をとってまいりたい。そして、行政に支障のないようにやってまいりたいと、そう考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 五十九年度に赤字国債からの脱却を目指すというのが基本に据えられているわけでありますが、たとえばことしだけとってみましても、当初二兆円予定したのが今度三千七百五十億増発をして、実際は一兆六千二百五十億しか減らない。来年度だって一兆八千三百億、当初予算でありますが、税収の状況によっては赤字国債を発行する可能性だってないとは言えない。こうなったら財政再建計画——あなた方の言うところの財政再建計画は、もう初年度から次年度も含めて非常に危殆に瀕している。来年度は赤字国債を絶対発行しないということを約束できますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど説明いたしましたように、一時は十四兆円も発行したわけですよ、国債を。それをもう十三兆とか十二兆とか十兆とかと詰めてきているわけです。ですから、その詰めた一つの目標が思ったとおりにぴしっぴしっといけばそれは満点なんですよ。だから、残念ながら五十六年度においては赤字国債二兆円を減らそうと思ってきたのだけれども、諸般の情勢から、いま御指摘にあったようにそれだけ減らなかったということは事実でございます。しかしながら、それはしかし減った分もその何倍かあるわけですから、一概に全部落第だと言われましても困るんでありまして、それは一生懸命われわれはやってきておるわけで、今後もやりたいと、そう思っておるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 少しずつ減っているからいいじゃないかという話では五十九年度再建はできないわけですよ。初年度が狂った。来年度それじゃ赤字国債を発行しないなど言うと、そこもはっきりしない。発行しませんか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 来年は赤字国債発行しますよ、全部はやめになっちゃうわけじゃありませんから。ただ、減らすのを一兆八千億円程度三年と、こう考えておったものが、要するにことしの分だけ、三千七百億ですか、その分だけは結局五十八年、五十九年の上にノルマが少し乗るということになるわけです。そういうふうにしてやっていきたいと思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いまの私の発言はちょっと不正確でしたが、来年度は一兆八千三百億減らすのはわかりました。そのほかにまた秋口とか来年の春ごろですね、追加発行、増発をするようなことはありませんかと。もしこれがあるようなことになればもう決定的にだめになる。やっぱり五十八年、九年の減らす負担が重くなる。それじゃとても見通しが立たないというふうに考えられるわけですが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それはあなたのおっしゃるとおりになれば大変なことになるわけですよ。しかし、われわれとしては、経済の見通しというようなことについてもきちっとこうであるという断定的なことは言えないんです、経済は生き物ですから。しかし、そういうような目標のもとにいろいろな施策を講じて、われわれは赤字国債からの五十九年度脱出という点に向かってがんばっていくということでございます。  来年はどうなんだと言われましても、ことしの税収見積もりでさえまだはっきり——私はいけると思っても、いやそれはだめだという争いをやっているぐらいなわけですから、来年、再来年まではっきりした数字を、目標としては申し上げられますが、それは絶対動かぬかと言われましても、経済は動くわけですから、やっぱり経済の実態に即したやり方をやっていく必要がある。しかし、われわれとしてはいい方向に動かすように持っていきたいと思っておるわけです。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私は、五十九年度特例公債からの脱却というのは単なる努力目標というふうには伺ってこなかったわけです。それは年度ごとに多少の変動はあるにしても、究極は五十九年度までに赤字国債から脱却をするということが基本であるわけでしょう。すると、最初重ければだんだん負担が後の方にかかってきて、実際は実現が不可能になってしまう。五十九年度達成はむずかしくなる。  総理、五十九年度に達成できなかった場合にはどういう責任とられますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま矢田部さんは、税収の観点だけからむずかしいのではないかと、こういう立論のように、私、御議論の経過からそう見ておるんですが、私どもは、この税収をできるだけ内需を拡大して伸ばすと同時に、行政並びに歳出等の思い切った見直し、削減、合理化によってこの赤字公債発行という体質、それから脱却しようと、こういうことを考えておるわけでございまして、税収の伸びに努力をいたしますと同時に、そういう行財政の思い切った縮減、合理化によって財源を生み出し、そして五十九年脱却を目指す、これが私の国民の皆さんにお約束申し上げた点でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それはもちろん税収だけじゃないと思いますが、しかし同時に、増税はしないということも一方で約束しているわけでありますから、増税なき財政再建だとも言っておるわけでありますから、その枠の中でどうしてもできなかった場合に政治責任をおとりになりますかと聞いているんです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) その点は衆議院でも申し上げたように、これが国民の皆さんに対する私の公約でございますから、政治家としてそれだけ責任を感じております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 原重油関税収入が、原重油の輸入が毎年ここ減っておりますのでかなりの程度落ち込んでいるのではないかと思いますが、大蔵省、その金額はどのくらい見込んでおられるか、まず説明をいただきたいと思います。

松下康雄大蔵省主計局長

○政府委員(松下康雄君) 御指摘のように、省エネルギーの燃料転換等によりまして原重油の輸入数量が減少している状態でございますので、本年度の原重油関税の収入につきましてもある程度の落ち込みの可能性はございますけれども、まだ私ども現段階でそれが金額的にどのぐらいになるであろうかという点については計算をいたしておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 今度の補正で、一般の関税の落ち込みは六百億ぐらい、それから石油税も落ち込んでいるということで補正が組まれているわけでありますが、残念ながら同じ系列で議論されるべき原重油関税の収入の落ち込みは出ておりません。これは少しおかしいなと思っていろいろ検討をしてみますと、他の特別会計については八本ばかり補正が出されているわけでありますが、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー特別会計については補正が出されていないんです。その前提となる歳入の落ち込みについても何も出されていない。まだ計算してないということでありますが、私の試算によれば原重油関税が三百億ぐらい落ち込むのではないかというふうに考えております。そうしますと、この原重油関税をもって、言うならばこのエネルギー会計の石炭勘定の全額を賄い、それから石油勘定の一部を賄うことになっておるわけでありますが、石油勘定の三百十三億というのが欠落してしまう危険がある。そうなってきますと、三百億円の減収分は石油勘定の歳入減になる。一般会計の石油税からの補てんがなされておりませんから、石油勘定にかなり穴があくということになりますと、当初予算の石油勘定の歳出は変更されるはずになるわけでありますが、この点どう考えているんでしょうか。

松下康雄大蔵省主計局長

○政府委員(松下康雄君) 予算の補正をお願いをいたしておりますのは、原則といたしまして、当初予想されなかった歳出需要が発生いたしましたことによる不足の歳出権を付与していただくための歳出面の補正、あるいは当初予定していなかったところの歳入措置を新たに講じなければ歳出が賄えないということで歳出面におきますところの何らかの新規の措置をお願いする場合、これらの場合に補正をお願いしているわけでございます。  現在の、御指摘の石特会計におきましては、原重油関税収入はこの石特会計に繰り入れをいたします特定財源でございますけれども、今度は歳出面の方におきましてこの石特関係全体では追加の歳出需要がございませんだけではなくて、実は大きな特別会計でございますので、ある程度の不用額等も実は結果的に想定をされるような状況でございますので、私どもとしましては仮に特定財源が多少の減少を見ることがございましても、このために追加の歳入の手当ての措置あるいは歳出の何らかの特別の措置というものを講じていただく必要がないと判断をいたしまして、この特別会計につきましては補正をお願いしなかったのでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 大変おかしな話なんですね。歳入不足についてはまだ見積もりをしていない。仮に歳入不足が出たとしても他の不用額が出る可能性があるから賄える、したがって補正予算を出す必要はない、こういう言い方なんですね。  とんでもない話なんですよ。国会が予算を審議し予算を決めるというのは、単にお金をつけるというだけではなくて、その前提として政策目的があるわけです。その政策目的を実現するために財政的裏打ちをするのが私は予算だと受けとめている。  歳入欠陥が出た場合には、そうすると政策のうちでできないものがあるわけでありますから、どの政策をそのまま遂行し、どの政策を切るか、どの政策をどう変更するかということが前提としてあるわけでありまして、単に歳入欠陥があっても、歳出がよけいになることでない場合には補正は必要ないんだという議論は、これは財政民主主義の原則から言っておかしい。特にいま後段に説明がありましたように、歳入の落ち込みがあっても他に不用額が相当出る見込みであるからやらなくていいんだと言うに至っては、言うならば大蔵省が政策決定権を持つようになってしまう。これはやっぱり補正を出すべきだというふうに考えますが、総理いかがでしょう。

松下康雄大蔵省主計局長

○政府委員(松下康雄君) 石特会計は御承知のように四千億を超える大きな歳出を内容とする特別会計でございます。それらの特別会計の内容といたしましては、現在の段階ではそれぞれ担当の省におきましては、予定せられた歳出につきまして、これを実行するように努力をいたしているわけでございますけれども、従来の経緯等にかんがみますというと、結果的にそれが年度を終わります段階においてある程度の不用額を生ずるということもこれまた過去からの実例でございます。  ただ、現在の段階では、まだその中で特定のどの項目について歳出の予定が変更になるかということを明らかに定められない段階でございますので、これにつきましては補正の措置を講じておらないということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 他の関税については六百億減収になると今度の補正で書いてあるわけでしょう。同じ関税の中で原重油関税についてはまだ計算もしていない。不用額が出る。この不用額も大変問題なんですよ。  石炭液化計画をアメリカやドイツと一緒になってやる。ことしの、今年度の予算を組むとき、わが党の小野議員から、それはちょっと危ないんじゃないかと、中止になるんじゃないかと。いやそんなことありませんと田中通産大臣が答えておる。ところが、事実は予算を組んだ後中止になってしまった。百五十億の不用額が出る。それは不用額で結構ですよ、場合によっては。だからといって他の財源に回しちゃならぬのであります。ここはやっぱり国会に補正を出してこの問題はきっちりすべきだというふうに考えます。特にかつて食管特別会計の補正問題で補正を出さないで行政レベルだけでこの問題を始末しようとしたとき、衆議院でこれがストップになって、今後そのようなことは絶対やりませんという誓いまでしているケースに似てもいるわけでありまして、その点で補正を出さずにこの問題を処理するというのは私は認められないと思いますので、もう一度答弁を求めたいと思います。

松下康雄大蔵省主計局長

○政府委員(松下康雄君) SRCIのプロジェクトにつきましては、御指摘のように米国政府の方針の変更によりまして従来の方向では継続することはできなくなったわけでございます。ただ、このプロジェクト自体をその後どういう形で収拾するかという点は確定をいたしておらない面がございまして、それらの金額的な清算その他の措置がまだ必要でございますから、SRCIのあのプロジェクトが中断されたことによって厳密に申してどれだけの歳出額が不用になるかということも、これは今後決まっていく問題でございます。そういうことから、現段階で明確な歳出の変更の金額が確定できないという事情でございます。  なお、御指摘の食管特別会計で過去に御指摘があったことがございました。このときは一般会計から食管特別会計に対する繰り入れ追加の歳出の補正計上をいたしておりまして、これを受ける側の食管特別会計におきましては、受け入れ側は歳入は見積もりであるからということで補正を行わず、それがさらに支出されます段階ではこれは弾力条項がございますために歳出がそのままできるというような解釈で実は補正をあの当時組みませんでした。これは国会で御指摘をいただきまして、法律上あるいはそういうことは特別会計についてあるかもしれないけれども、一方で一般会計において特金繰り入れの財源変更をしておきながら、それを受けとめる側の特別会計でそれを補正変更しないというのは、この一般会計の補正の内容説明としてははなはだしく不適当ではないかという御議論がございまして、その後そういう点を改めたということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これは非常に重要な問題なんですね。国会で審議をして決めた政策、それを裏づける予算が税収不足のために大蔵等の手によって勝手に変更されてしまう、これは財政民主主義にならぬのですよ。その変更する場合にはやっぱり補正として改めて国会の審議に供すべきだ。これはやっぱり財政の基本に置かなければならぬ性質のものでありますから、いまの答弁では納得できません。

松下康雄大蔵省主計局長

○政府委員(松下康雄君) 補正予算の作成の時期におきまして、明確に見積もることができます内容の変更でございましたらば、これを補正でお示しすることがより適切な措置であろうと存じておりますが、いま申しましたようにSRCIの歳出内容につきましても、今後なお関係者におきまして内容の詰めをいたしませんければ、どれだけの額が決算上不用になるかということが現在の段階では見積もれない状態でございます。したがいまして、それら御指摘の問題につきましては、予算として現在明確に歳入歳出両面で突き合わせて御審議を願うということができる段階にまで至っておりませんので、決算の段階でその結果をお示しをし、国会の御審議をいただくということに相なるであろう、こう考えている次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 同じ質問を繰り返してあれですけれども、石炭液化計画の中止もさることながら、同時にまた他の関税と同じように原重油の輸入が年一割ぐらいずつここ二、三年減っていることも事実なんでありますから、当然に落ち込むわけですよ。それはもう三百億くらい出るのは、私もいろいろ苦労をして計算をしたわけであります、大体想定をされるわけです。ほかの関税の落ち込みについて補正を組んでおりながら、この落ち込みについて組んでいないというのは、これはとんでもない話なんであります。また、この補正をするかどうかということは国会の審議にとって基本的な問題なんでありまして、この点は私は承服しかねますので、ひとつ留保するか、しかるべくは、委員長、当委員会で議論をしてほしいというふうに考えております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 速記を起こして。  矢田部君の質問を保留し、後日、資料を整えて理事会で検討の後、質疑を行います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ということでありますから、その質問は留保することにいたしまして、次の質問に変わります。  日銀総裁においでをいただいております。  先般、国際決済銀行の集まりに行って帰ってこられた。その印象を踏まえ、かつアメリカの大統領の予算教書が発表されました。これらの状況から、依然としてアメリカは高い金利が続くであろうというふうに言われておりまして、このアメリカの高金利が世界経済に与える影響、これをどんなふうに受けとめておられるか、感想を含めてひとつお話をいただきたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 国際決済銀行の会議は毎月定例で行われるわけでございますが、特に議題を設けて開くわけではございません。そのときどきの情勢の意見交換ということでございまするので、会議の結果、何か決定事項があるというようなことではございません。  アメリカの予算教書がその間出まして、大幅な赤字が続くということが予定されておるわけでございます。  最近、アメリカの金利が上がっておる点は御指摘のとおりでございまするけれども、これには二つの要素がございまして、一つは短期的にいわゆるアメリカのマネーサプライが昨年の十二月からことしの一月にかけて非常に上昇している、増加しておるということはございます。そういうことから金融引き締めが強化されるのではないかということから、金利が短期的に上がっているという事情がございまするのと、いまの財政赤字が非常に大幅であるということから金利の先高感が生まれてきて、これが両方、二つの要素が相結びまして金利が上がっているというのが現状でございます。  この金利政策、非常に引き締め政策をとっておるわけでございまするが、アメリカにはすでに過去十数年にわたってインフレ期待感というものが根づいておりまするので、すでにもう二年半になりますが、金融政策を強化してこのインフレ期待感というものを払拭するということで始まったわけでございます。現にインフレは少しずつ下がってきております。昨年は二けたでございましたが、もうことしは一けたに入ってきておりまするので、そういうふうなインフレの抑制ということが成功すれば金利も下がるということでございましょう。  ただ、それがどの程度、どのくらいのスピードで下がるかということにつきましてはいろいろこれからの諸般の事情、内外の経済情勢等によって変わるものでございまするから、にわかに推測もできませんけれども、インフレの抑制の成功に伴って金利は漸次低下していくことを私どもは願望を持って期待しておるわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 最近、西ドイツ連銀のペール総裁が、アメリカの高金利が非常にマルクを低下させる、さらには西ドイツの金利引き下げの展望が持てなくなってしまうということで痛烈にアメリカを批判しているわけでありますが、アメリカの高金利が日本に与える影響、これを具体的にお話をいただきたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) ヨーロッパは、御承知のようにただいま非常に失業に悩んでおるわけでございます。したがいまして、内需の振興をしたい、そういうことから金利も引き下げていきたいというふうに考えておるわけでございまするが、アメリカの金利が高いためになかなか国内の金利を下げられないという情勢にあるわけでございます。  一方、日本に及ぼす影響でございまするが、最近御承知のように円安傾向が強まっておるわけでございます。これは相当部分やはり海外の金利高、日本の国内の金利との間の内外金利差というようなことが大きく影響しておると思います。円安になりますると国内の物価がそれだけ上がります。それで、物価政策上非常に困るということと、もう一つは、円安になりまするとどうしても輸出がふえがちになる、いまのような貿易摩擦がさらに激化するという危険がございまするので、そういう意味からいまの内外金利差がさらに広がるというような事態はどうしても避けなければならない事態であろうというふうに思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 もう一点で終わりたいと思いますが、政府は、明年度以降の経済見通しの中で、やっぱり内需を高めるということを言っておるわけでありますが、その柱として「金融政策の適切かつ機動的な運営」と、もう一つは、住宅政策などでありますけれども、と言っておるわけでありますが、アメリカの金利が高い水準で推移をするということが長く続くことになりますと、この日本の、たとえば公定歩合をどうするかということも非常に選択の幅が狭くなるのではないか。その点でこの内需要を高めるための重要な柱としている金融政策はどういう機動性を持つのか持たないのかということをちょっと伺っておきたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 経済政策の基本は、物価安定のもとに着実な景気の回復が実現するということであろうと思います。しかも、いまのような貿易摩擦が大きな問題になっておりまするときには、内需と外需との均衡というものがとれるということが必要であろうというふうに思います。そういう意味で政府の経済見通しのような経済成長が物価安定のもとに実現できる、しかも内外需の均衡がとれるということがきわめて望ましい事態であろうというふうに思います。ただ、ただいまもお話がございましたように、ほっといて経済成長が達成できるわけではない、いろいろの対応をしなければいけないわけでございまするが、その際の政策選択の幅はきわめて狭いということも御指摘のとおりでございます。  金融政策につきましても、いまのような内外金利差というものが非常に大きいときには、金融政策の行使し得る限界というものはきわめて狭いということでございます。ただ、私先ほども申し上げましたように、この高金利というものはインフレ抑制ということを目的にした政策の結果として出てきているものでございまするので、世界的なインフレの抑制ということに成功してまいりますれば、海外の金利というものも低下することが期待できるわけでございます。  どの程度、どのくらいのスピードということはいまは申し上げられませんけれども、そういう状況に対応した金融政策は機動的な対応ということを常に考えておりまするので、そういう状況に応じた対応ということをこれから考えてまいるよりしようがないと思いますが、現在のところはなかなか内外金利差が縮小しない、したがいまして金融政策の機動的に運用できる余地というものはきわめて狭いということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 日銀総裁は結構でございます。  いま総裁からお話がありましたように、これは経済企画庁でしょうか、大蔵省ですか、ことしの成長見通しを実質五・二%と見込んでいる、しかも内需主導型である。そこで金融政策、あるいは住宅と、こういうふうになるわけでありますが、五十三年に内需拡大をしたときには財政が相当の役割りを果たしたわけでありますが、財政はいわば縮小均衡でありますから、これは期待できない、金融政策も非常に厳しい、住宅も思うようにいかないということになると、どんなふうに考えておられるのか、大変心配でならないわけでありますが、この点いかがでしょう。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) やはり内需中心の経済政策を進めるという場合には幾つかの柱が必要でございますが、その第一が消費の拡大ということであります。それから第二が民間設備投資の拡大、それから第三が住宅投資の拡大と。それから財政関係では公共事業をどのように運営していくか、執行していくかと、こういう問題もあろうかと思います。それぞれの部門でやはり機敏で適切な対応が必要であろうと、このように考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 もうちょっとその適切の中身を言ってください。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) まず消費の拡大という面では、やはり物価が低い水準で安定をするということが何よりも肝心だと思います。したがって、物価政策を引き続いて経済政策の柱として強力に進めてまいりたいと思います。  それから住宅政策につきましては、五十七年度予算で相当思い切った内容にいたしておりまして、しかもその一部を繰り上げましてこの一月から実施をいたしております。  それから設備投資の問題でありますが、これは実は金融政策とうらはらの関係にございまして、金融政策がもう少し機動的に展開できますと非常にやりやすいんですけれども、いまアメリカの金利水準は非常に高いということで手詰まりの状態になっております。もう少しこの点は様子を見たいと考えております。  それから公共事業につきましては、現在の景気の動向から判断いたしまして、技術上可能な限り最大限私は上半期にやっぱり執行することが望ましいと、このように考えておりますが、これは関係各省の間でこれから相談することにいたしております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、どうもやっぱり内需の見通しが立たない。特に今日の不況、不景気というのは消費不況だとも言われていをわけです。賃金が抑えられる、実質増税がある、公共料金の値上げなどがある、そういう中で勤労者の租税負担率が急上昇している、所得税と法人税の割合も年々逆転をしているという状況にかんがみても、減税ということがどうしても今国会あるいは今期のやっぱり最大のテーマにならなきゃならぬと思うんですが、減税問題について一言大蔵大臣から伺っておきたい。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も、実は過去数年間にわたって課税最低限が抑えられている、税率構造も抑えられているということはよく理解をいたしております。しかし問題は、景気対策としての減税ということになれば、それはもうミニ減税で景気対策になるはずもないし、かなり大型のものではなくちゃならないだろう。ところが一方、財政の現況というものは、いまもおっしゃられたようにことしでさえ本当にこれは税収の確保ができるのかというようなことの御心配もかけておるというような現状の中で、大型の減税財源、そういうようなものが見当たらない。幸いに日本の税負担というものは先進諸国から比べると、課税最低限等も抑えられているとはいいながらまだほかの国よりは優位にあるということも事実でございます。したがいまして、ともかくわれわれは歳入歳出の全体的な見直しをやり、そして五十九年度までに赤字国債からの脱出というような見通しがつき、また、減税の財源の目安が立つというような状況がくるまでは、現実問題として所得税の減税ということはお約束できない状況にございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 やっぱりこれをやらなければ内需の拡大も個人の生活も守れないと思います。したがって、これはぜひ実現さしてほしいというふうに考えるわけでありますが、あと残り時間が少なくなりましたので、外交、防衛問題にほとんど入れません。  一、二点だけ伺っておきたいと思いますが、二月の七日にアメリカが予算教書を出し、かつ国防報告が行われました。非常に軍事的に強いアメリカということで、史上最大の、戦時中でもなかったような大軍事予算を組む。その中で、対ソ対決色を鮮やかにした上で日本をアジア・太平洋地域における前進防衛戦略のコーナーストーンだと、こう位置づけている。こう位置づけをされたことに対して総理、どう思いますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 八三年度の米政府の予算教書、これを私どもも概略承知をいたしておるわけでありますが、一言にして言いますと、これはレーガン大統領が大統領選で国民に公約をした政策、つまり、一つは強いアメリカへの志向、ソ連がここ十年に近い間連年軍事力を増強してきた、東西間の軍事バランスが均衡を失おうとしておる、そこでまず、現実の国際平和を確保するためには東西の力の均衡を回復することが必要であるというような観点から、軍事費に相当大きな予算を計上しておるということが一つでございます。  それからもう一つは、アメリカの経済の再生、これを図るために財政の緊縮、減税、そういうものにつきまして相当思い切った措置を講じよう、こういうようなことが大統領選挙で公約をされたわけでありますが、それが八三年度予算教書の中で強く、色濃く出ておる、こういうことであろうと思うわけでございます。私はアメリカ経済が世界の経済の中で大きなシェアを持っておるというような観点からいたしまして、アメリカの経済政策、これが成功することを強く期待をいたしておるところでございます。  それから、防衛力の増大に伴いましてわが国並びにNATO等同盟国に対して防衛費増強という要求がなされるのではないか、こういう御指摘でございますが、日米安保体制の関係からいたしまして、わが国の防衛努力に対してアメリカ側が関心を寄せておるということは当然のことだと思います。しかし、わが国の防衛予算、防衛努力につきましてはいつも私申し上げておりますように、わが国の憲法、基本的な防衛政策、そしてわが国の置かれておる財政、国民世論、他の政策との整合性、そういうものを総合的に勘案をして自主的に決まるものであって、アメリカ側の要求があったからといってそのとおりにするというようなことはございません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 時間を若干残さなきゃなりませんので、まとめて最後に二、三問だけ伺っておきますが、アメリカはこの国防報告の中で、日本はなすべきことがまだ多く残っているということで幾つかの点について注文をつけております。その一々について言うわけにはまいりませんが、一つは、北東アジアへの脅威、これは朝鮮民主主義人民共和国を指すと思われるわけでありますが、に対する防衛力を増強すべし、そういう脅威という認識に立っているのかどうか、防衛力増強の要求にどう応じようとしているのか、だけではなくて、経済問題にも言及をして同盟国に対してはどんどん援助を行え、しかも、それをすべて軍事的、安保的観点からやれ、これは対韓援助協力を指していると思うのであります。同時にまた、ソ連に対しては経済協力も技術援助もやっちゃならぬ、ソ連の結局軍事力を強化することになるからだと、こういうところまできていろのでありますが、これについてどう考えるのか、こういうレーガン路線に対して修正を求める気はないかどうか、その点で質問を終わります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) まず第一点についてでありますが、ソ連の脅威ということをアメリカは強調しておるが、日本はどうそれを認識し、どう対処しようとしておるのかというのが第一点でございます。  近年における極東に対するソ連の軍事力の増強ということは顕著な事実でございます。そういう意味でこれは潜在的な一つ注目すべき動向である、脅威である、潜在的なものである、こう思いますが、それが意図が加わって、これが直ちに脅威として現実のものになってくるかということにつきましては、私はそのように差し迫った状況にはない、このように考えております。そういう状況ではございますが、日本としてはやはり自分の国は自分で守る、こういう基本的な立場に立ちまして防衛のための必要最小限度の自衛力を着実に整備をするという方針で進めておるところでございます。  それから第二点、具体的に韓国に対する経済援助、協力という問題にお触れになりましたが、韓国が第五次の経済社会発展計画、これに基づきまして新しい国づくりに当たっておるということは承知をいたしておりますし、韓国が経済的、社会的に安定をするということが望ましい、アジアの平和と安定のためにこれは望ましいことでございまして、日本は歴史的にも関係の深い韓国の国づくりに対してできるだけの協力をしようと、こう考えておりますが、それはあくまで日本の経済協力の基本的な方針——経済的、社会的な開発、振興、民生の安定、福祉の向上、そういう面に対して日本は応分の協力をしようと、こういう考えでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ソビエトに対する……

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連に対する経済政策、こういう問題でありますが、これはアフガンに対するソ連軍の侵攻、またポーランドに対するソ連の陰に陽にこれに対して影響を及ぼしておる、こういう認識を、私どもはアメリカ並びに西欧諸国と同じ共通認識を持っております。そしてこのポーランド問題については、ポーランドの問題はポーランド人自身の力によって自主的に平和的に解決さるべきものである、このように考えておりまして、これに外部から圧力をかけたり、民族の自立というものに介入する、干渉するというようなことは排除しなければいけない、こういう観点からいたしまして、西側の国々と十分連帯、協調いたしまして、これに経済問題につきましても適切に対処していかなければならないと、このように考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 レーガン戦略に対する対応はどうなんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) レーガン政権に対する対応は冒頭で申し上げたとおりでございます。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 矢田部君の残余の時間の質問は明日に行います。  ちなみに残余の時間は七秒であります。(拍手)     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、太田淳夫君の質疑を行います。太田君。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それでは、午前中に同僚委員からも質問ございましたが、昨日の衆議院におけるF4の改修問題につきまして最初に二、三御質問をさしていただきたいと思いますが、最初に私は、四十三年のあの増田発言、これは当時国会で相当な紛糾をしました。防衛庁がそういったことを踏まえながら、このF4の改修につきましての国会におけるいろんな経緯を説明をしないで、今回の五十六年の予算化に踏み切った、こういう姿勢に最初問題があろうかと思うんです。総理に説明しなかったのは、これは軍事技術上の問題点があったかもしれませんけれども、そこであえて総理の判断を求めるほどの価値のある問題ではないと、こういう判断をされたと思うんですけども、この増田発言、これとの関連でまず総理の判断を仰ぐような重要なこれは政治上の問題でなかったかと思うんです。そういった防衛当局の姿勢でシビリアンコントロールの実が本当に守られるかどうか、その点最初にお聞きしたいと思うんです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) F4ファントムの五十六年度予算、試験的な改修費の問題でございますが、その前に、まずお触れになりましたところの増田元防衛庁長官が当時国会でいろいろ論議をいたしております。この増田さんの見解というのは、他国に対して攻撃的、侵略的な脅威を与えるようなおそれのある装備はこれを持たない、あくまで専守防衛に徹すると、こういう基本的な日本の立場からいたしまして、F4の爆撃装置の問題につきましても当時としてはこれを装置しないと、こういうような見解であったと思うのでございます。私は、この他国に攻撃的、侵略的な脅威を与えるような装備を持たない、専守防衛に徹するのだと、こういうわが国の国防の基本方針、これはいまだに堅持されており、変わっておらないわけでございます。  そこで、五十六年度にこの試改修費の問題で防衛庁から私のところに報告がございましたのは、まず一機を試験的に改修してみたい、これがうまくいきますればまあおおよそ十年ぐらい寿命が延びる、それから戦闘機としての機能も向上すると、こういうことでぜひやりたい、この程度の報告を私は受けておるわけでございます。  財政再建下におきまして十億前後の改修費によって、そして戦闘機としての戦力アップもできる、また延今もできる、こういうことであれば大変結構なことだと、こういうことで私も賛意を表したというのが率直な経過でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総理にお聞きしますけれども、そのとき爆撃照準装置についてはどのような説明がありましたか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 余り詳しい説明は受けておりません。  また、御承知のように、国防会議にかけるようなものは、大きな編成の変更でありますとか、あるいは大きな装備の増強でありますとか、そういうような問題になりまして、この試みの改修が成功して、本格的にこれを量産をするという場合には、当然これは国防会議の議題にも相なるわけでございます。技術的な面につきましては、私に報告するまでもないということであったろうと思うのでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 かつて昭和四十七年の十月にRF4EあるいはC1の先取りが国会で問題になりましたときに、「文民統制強化のための措置について」というのが閣議決定されているわけです。そしてその中に、国防会議の付議事項である「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」としてこの装備品が明記されているわけですね。そういうことをはっきりと閣議決定されて国防会議にこれが付議される、決定されているところなのにこれをしていないということは、これは非常に問題ではないかと思うんです。その点どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げたとおり、一機を試験的に改修してみようと、そしてそれがよければこれを実行に移そうという段階でございまして、そういう段階で必ずしも私の詳しい指示、承認を要するという問題とは防衛庁も考えていなかったのではないか、こう思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 宮澤官房長官の記者会見の発言の中に、試験的な改修でなく、量産となれば国防会議に諮る必要があるかと、こう言われているわけですね。これはいま総理もそれを引いておっしゃっているんじゃないかと思うんですけれども、試験的な改修であれば、国防会議やあるいは国会に何も語らずに、これは防衛庁長官だけが知っておれば何でもできるということになりますね。この点どのような歯どめをかけるつもりですか。これからはもうどんどんどんどんこういった軍備というのがほっておいてもエスカレートする一方じゃないですか。このような、総理大臣に対しても——これは国会でいろんな論議になった重大な装備の変更にもかかわらず、いろんな政治的な背景があるにもかかわらずそれを一切隠して、予算書にもこれは明記されていない、F4の改修費なんてどこにも書いてありませんな。そしてこれを出してきているという点ですね。実際化それが試作して成功した場合に歯どめなんかかけられませんよ、その点どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 試改修という言葉が示しますとおり、文字どおり、ひとつ一機をモデルとしてやってみょうということでございますし、相当のしかも時間がかかることでございます。成功するかしないかということもやってみなければわからない、その限りにおいて、これは私は防衛庁長官が御自分で判断をなすってよろしい、当然その権限のもとにあることであると存じます。  ただ、それが、ただいま総理が言われましたように、成功いたしまして将来増産をする、量産をするというようなことにでもなれば、これはわが国の防衛力に著しい変化を、恐らく増強をもたらすものでございますから、これは当然国防会議等々の議を経なければならないことであると、こう考えておるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総理大臣、どう思いますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま宮澤官房長官の申し上げたことは、私が先ほど来るる申し上げておることと同じ見解でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 じゃ総理大臣にお聞きしますけれども、シビリアンコントロールについてどうお考えですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 政治が軍事に優先をするということは、これは民主国家におけるところの大原則であるわけでございます。わが国におきましても文民であるところの内閣総理大臣、また防衛庁長官初め閣僚、そして最終的には国会のコントロール、予算にいたしましても法律案にいたしましても全部国会の御承認をいただく、こういうことで十分シビリアンコントロールの組織、体制も確立をし、厳格にそれがなされておるということでございますし、一方におきましては、重要な事項につきましては国防会議、これに付議する、こういうことにも相なっておるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 したがって総理、いまいろいろとお話になりましたけれども、このたった一機といっても大変なこれは問題を含んだ改修じゃないかと思うんですよ。実際に四十三年、まあ十年一昔と言いますけれども、しかし十年前であろうと、一たん国会の場で発言した政府の発言というのは、これはおろそかにできないものじゃないかと思うんです。それをいまおっしゃるところを聞きますと、たった一機、試作だからいいという、そういう総理のお考えですと、これはどんどんどんどんシビリアンコントロールなんというものはますます有名無実になってしまうと思います。その点でもう少ししっかりと腹を決めて、たとえ一機たりとも試作であろうとも国防会議にきちんとかける。総理がきちっと判断を下して、それから予算書に載せる、こういうやはり手続をきちんと今後踏むべきだと思いますが、その点どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この試験的にやりますところの改修、これは果たして所期のような成功をおさめられるのかどうか、こういうことで、それが所期のように戦闘機としての戦力アップにもなり、また寿命も十年も延長する。また改装費も十億前後ということで安く上がると、そういうようなことになって、それでは五十機、八十機と量産をしようではないかと、こういうことに計画が立った場合に初めてこれは国防会議の議題としてかけるし、予算その他につきましてもそれは大きな、年次にわたっても大きな予算にもなるわけでございますから、十分国会にも御説明をし、御承認をいただかなければならないと、このように考えておるところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 私が申し上げているのはそういう延命化とか、性能アップということじゃなくて、シビリアンコントロールを果たして守られるのかどうかということの決断を総理に求めているわけです。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) このシビリアンコントロールにつきましては、防衛庁長官が文民として、防衛政策の第一義的な責任者として統括をいたしておるわけでございまして、防衛庁長官の判断に私はゆだねてしかるべきものである、これは十分コントロールされておる、こう思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 なかなかその姿勢がそんなはっきりと、コントロールされている点があやふやだから申し上げているわけです。シビリアンの最高はやはり国会ですから、国会にきちんと何もかもあからさまにしてやっていくと。防衛庁長官だけではだめだということを私は言っているわけですよ。その点どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は事柄の内容、性質からいたしまして、これは防衛庁長官が判断をされた。しかし、これが試験的に成功した場合におきましては、量産に移るという計画が立った場合には私にも相談があり、国防会議の議題としてこれを十分慎重に検討すると。こういうことで十分シビリアンコントロールの効果、機能というものが確立てきるのではないかと、こう考えています。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 時間がないから次に進みますが、次に外交問題に入りますけれども、先ほども同僚議員から質問がありましたが、レーガン大統領は、一九八三会計年度の予算教書を発表したわけですけれども、これで国防費が史上最高になっているわけです。この予算の中で、国防費の占める割合というのは、ベトナム戦争のときを超えて二九・二%になっておりますけれども、これに対してソ連が対抗措置を講じていくことが予想されますし、ブレジネフ書記長は戦争予算であると、このように批判しておりますが、これを見ますと、ますます軍備拡張競争が激化するおそれがあるように懸念されますが、総理はどのような認識と判断をこれに対して持っておられるか、お聞きします。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 今般のレーガン大統領の一般教書を見ますと、おっしゃっておるとおりに防衛費が非常に強大なものになっております。レーガン大統領は就任以来、強いアメリカを目指して、そしてソ連との軍事力の均衡というものを、これを念頭に置きながら進んでまいってきておると思うんであります。いままでのような状況でソ連が軍事力を増強していきますと、八〇年代中葉におきましては、ソ連が非常な優位に立つということを憂慮して、それがためにレーガン大統領は国防の上に力を注いでおる、このように認識をいたしております。これはいずれにしても東西の軍事力の均衡を保つ、そのことが戦争を誘発することを避けるのである、不均衡になるということが、これが問題である、そういうような認識のもとにレーガン大統領のとっておる措置でございまして、これはそれなりの評価をしてよろしいものではないか、このように思います。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 総理、ことしは第二回目の軍縮特別総会が予定されておるわけですが、また、欧州の戦域核制限交渉も米ソの間で続けられているわけです。今回のこうした米大統領の措置が、特に国際緊張の激化と軍拡につながってくるおそれがあると思うんです。そういった意味で、全世界的に盛り上がっておりますところの反核あるいは軍縮の動きや期待に対してこれは逆行していくんじゃないか、このように思うんですが、総理はどのようにお考えでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま外務大臣からも申し上げましたように、現実の国際の平和というのはこの東西の力の均衡、そしてその中核をなす米ソの力の均衡ということがその根底にある、その中には核戦力ということも含めて、私はそのように認識をいたしておるわけでございます。  アメリカは、この東西の力の均衡を保持するために軍事力の増強をやっておるということでありますが、他面、この米ソの間におきましては、軍縮、軍備管理の問題につきましても話し合いの窓口はこれを常に開いておこう、こういう姿勢が見られることは、私ども一つの明るい材料になっておると思います。ヨーロッパにおけるところの戦域核制限交渉、これを見ておりましても、アメリカ側はゼロオプションということを提案をいたしております。私は、ヨーロッパだけでなしにアジアを含めて、世界全体を含めてのゼロオプションということを、この方針をレーガン大統領が打ち出したこと、これに共鳴をし評価をいたしておるところでございます。特にアジアにおきましては、ぜひこのゼロオプションの政策をソ連側もひとつ受け入れて、建設的な交渉に進むことを期待をいたしておるところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 さらに、レーガン大統領は、八日に議会に書簡を送った中で、十三年ぶりに化学兵器の生産を再開するということが明らかにされたわけですけれども、すでに七二年の四月には生物毒素兵器の禁止条約もできておるわけです。私はこうした非人道的な兵器の生産というのは、これは見逃すべきでない、こう思うわけですが、総理は米側にこの化学兵器生産再開中止を求めるべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) いま御指摘になりました一九二五年の毒ガス等の使用禁止に関するジュネーブ議定書、これは御承知のように、化学兵器についてその使用を禁止しておるのであって、生産自体を禁止しておるものではないわけでございます。  今回のアメリカの措置を見ますと、ソ連の継続的な化学兵器の増強によってもたらされているソ連の優位性、これにいかに対応するかということが問題点の一つであると思うのであります。また、ソ連は自国の化学兵器の生産、貯蔵等の実情については明らかにしておりません。そういう際でありますから、このレーガン大統領の考えに対しまして、米国のみについて生産をやめたらどうかと、こう言うことは、やはりこの分野における勢力均衡の上からどうか、このように見ておる次第でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 八日に発表されましたワインバーガー国防長官の国防報告によりますと、日本はアジア太平洋地域の米前進基地、戦略のかなめ石と、こう位置づけているわけですけれども、このレーガン大統領の所信とともに、日本に対する防衛力増強要求というのは一段と高まってくるんじゃないかと思うんですが、その点どのように判断されていますか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) これは国防報告書をしさいに検討してまいりますと、やはり対ソ優位のおそれというものを非常に心配をされておるんではないか、そういう点から同盟国関係についてこの分析をして、東アジアにおける趨勢はアメリカ、日本、中国にとって不利になりつつある、こういうような判断をしております。  そこで、北東アジアにおける脅威に対応して防衛能力を拡大する必要があるという指摘でございますが、私どもはこれらの分析を念頭に置きながら、総理がしばしば申し上げておるとおり、日本は自主的に、また憲法その他の制約の中でどのようにこの情勢に対応していくか、そういう判断をすべきではないかと思うのであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いま総理が常々おっしゃっておりますように、自主的に、あるいは憲法の制約の範囲内でいろいろと判断をされていくということでございますが、次の三点について質問したいと思うんです。  一点は、防衛費の対GNP一%以内を守れるかどうか。二点は、戦域核兵器、巡航ミサイルの極東配備、これは八三年配備の予定ということですが、これについてどう考えているのか、あるいはこれを支持するのか。三点目は、巡航ミサイルの極東配備は当然非核三原則の形骸化の心配がありますが、この巡航ミサイルを装備した艦船、航空機は日本に寄港しないことになっているのか、その三点についてどう判断されているのか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) まず第一点の、これからわが国が防衛力の整備を進めるに当たって今後GNP一%以内にとどめるということができるかどうか、こういう問題が第一点の御質問のようでございます。これから、五六中業の作業を防衛庁が進めるわけでございますが、私は、その作業を進めるに当たりましてある特定年度に防衛予算が特に突出をする、増高されるということにならないように、平準化するように十分ひとつ検討を加えてほしいということを指示いたしておるわけでございます。私は、鈴木内閣におきましても、昭和五十一年十一月の国防会議の決定、また閣議の決定の、当面GNPの一%以内にとどめるという方針を変える考えを持っておりません。  第二の点は、極東に巡航ミサイルを配置する問題についてでありますが、これは先ほどちょっと触れました。レーガン大統領はゼロオプションということを提案しております。そしてまた具体的に、何年ころから巡航ミサイルを極東に配備するというような連絡なり通知なり、そういうことを私どもは通報を受けておらないところでございます。私は、ぜひ米ソの間におきましてこのゼロオプションというものが円満に話し合いがつき、そしてソ連もSS20というようなものの配備を極東から撤去されることを期待いたしておるところでございます。  第三点、したがいまして、極東に仮にですよ、仮に配備される、あるいはそれを装備した艦船等がわが国に寄港するというようなことは、これはわが国の非核三原則に抵触をするわけでございますから、当然事前協議の対象になる、事前協議の対象になりますれば私どもはノーと言わざるを得ない、これは明確にいたしておきます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 よく一千海里の海上輸送路の確保ということが問題になりますけれども、この一千海里のシーレーンの確保の具体的な要求をアメリカでは求めている。鈴木総理は、昨年の五月の九日にワシントンのクラブにおきましてこのようにおっしゃっていますね。日本の庭先である周辺海域を守るのは当然であり、日本木土から周辺数百海里の範囲内、シーレーンについては一千海里にわたり自衛の範囲として守っていく、このようにおっしゃっておるわけですけれども、これは鈴木総理はアメリカ側に対して公約としてお話しなさったのでしょうか。その点明確にしていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は昨年五月に訪米をいたしました際にナショナル・プレス・クラブで講演をいたしました。その際聴衆の方からの質問に答えて申し上げたのがいま太田さんが御指摘になった点でございます。しかしこれは事新しく私がアメリカで申し上げたのではなくて、もう国会において政府は、特に防衛庁は、わが国の防衛力整備の目標としてこの周辺数百海里、航路帯で言えば一千海里の航路帯を守るような海上自衛隊なりあるいは航空機の防衛力を持ちたい、それを目標にやっているのだということは国会の場におきましてもしばしば申し上げておるところでございまして、それをプレス・クラブの質問の際に私が答えた、こういうことでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いろいろなアメリカやソ連の動きを見ておりますと、多少軍縮についての会議も開かれておりますけれども、これから六月の軍縮特別総会に向かって考えてみましても非常に見通しは暗いと言わざるを得ないと思うんです。私は、アメリカに対してもそうですけれども、ソ連に対してもやはり毅然としてもっと軍縮を求めるときは求めるべきじゃないかと思うのです。先ほども化学兵器のときに外相からもお話がありましたけれども、そういう問題でも、アメリカばかりでなくてソ連に対しても当然これは日本としてはっきりと主張をしてもいいのじゃないかと思いますし、あるいは、ソ連にいま極東地域からSS20の撤去を求めるというお話がありましたけれども、その点も明確に米ソ、米軍には巡航ミサイル、あるいはソ連にはSS20の撤去をはっきりとこれは申していくべきじゃないかと思います。  それで総理に提案でございますけれども、そういった点で総理からあるいは米ソの両首脳に対しまして親書という形で軍縮を求めるとか、あるいは、いま軍備費の増加ということはこれは世界の経済にも大きな圧迫や悪い影響を及ぼしているわけですから、そういった面で、六月にパリ・サミットも予定されておりますが、日本としてはこの問題も議題として取り上げるように提案すべきじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) まず第一点は、太田さんのお考えとしては、核軍縮の問題については米ソ両超大国両方がそういう方向で努力をしてもらわなければいけない、そういう意味でアメリカだけでなしにソ連側に対しても日本としてそれを訴えるべきだと、こういうお考え、私は全く同感でございます。昨年園田外務大臣がニューヨークでグロムイコソ連外相、それからアメリカのヘイグ国務長官に対してそのような主張をいたしました。そうして両国首脳が積極的にひとつ軍縮、特に核軍縮に向かって話し合いをしてもらいたい、こういうことを強く訴えたところでございます。また、先般日ソの間にしばらくぶりに事務レベル協議がモスクワで持たれまして、柳谷審議官が首席としてそれに出席をいたしました。その際におきましてわが方から強く訴えましたのは、北方領土の返還の問題とこの核軍縮の問題でございました。私どもは機会あるごとに、この点を米ソ両国の首脳に対して訴えてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  両首脳に対して書簡を出したらどうか、親書を出したらどうだという具体的な御提案がございましたが、いろいろの状況を見ながら判断してまいりたいと、こう思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 次の問題に入りますけれども、総理、せんだっての衆議院の予算委員会におきまして、財政再建に対しましては政治責任を持つと、こういう御発言をされております。さらに大型間接税の導入につきましては五十九年度まではやらないと、こういうふうに断言されておりますし、あるいは所得税の減税につきましては五十八年度検討を約束されて一応前向きの姿勢を示されております。国民はこの国会討論を聞いて本当にできるのかなあというような感じでございますが、再度、この参議院におきましても財政再建あるいは大型間接税の導入をしないこと、あるいは所得税減税の方向、この三つを実行することにつきまして、総理の見解と所信を最初にお聞きしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 財政の再建はわが国の八〇年代以降、将来のためにもぜひひとつこれは達成をしなければならない課題である、少なくとも特例公債依存の体質、これを、六十年から本格的な償還の年に入るわけでございますから、五十九年までに特例公債依存の体質から脱却をしたいと、これが当面の目標でございます。それで終われりではないと思いますが、当面私はそれに対して全力を尽くすと、こういうことをお約束を申し上げておるわけでございます。これが第一点でございます。  それで、そういうことをやるにいたしましても、大型増税、こういうことでこの特例公債の償還をやるということであれば、これは国民の皆さんが御理解をいただければできることでございましょう。しかし、国民の皆さんはこれ以上負担はふやしてもらっては困る、できるだけ行財政の縮減、合理化によって財政再建をやってほしいと、こういう御要請、この納税者である国民の気持ちを私は十分踏まえて、大型増税というようなことを念頭に置かずに、行財政の縮減、合理化によって財政再建を達成をすることに全力を尽くしたいと、こう言っておるわけでございます。  それから減税の問題でございますが、先ほども大蔵大臣から申し上げましたように、この五年間というもの所得税の減税をやっておりません。課税最低限、これも改定をいたしておりませんし、税率構造も改善をいたしておりません。国民の皆さんに重税感があるということも十分理解をいたしておるところでございます。しかし、五十七年度ははっきり申し上げて、とにかくゼロシーリングというようなかってない手法も導入をいたしました。それから臨調の答申を最大限に生かしまして、そうして歳出等の削減もいたしたわけでございまして、一般会計の歳出では一・八%増という昭和三十年以来の超緊縮予算も編成をいたしました。そうして三三%、二七%、二一%とこの三年間逐次公債依存度を引き下げてきたと、こういう努力をいたしてきております関係で、とても減税の方までは手が回らないというのが率直なところでございまして、この点はひとつ御了解をいただきたいと、こう思っておるわけでございます。しかし、前段で申し上げましたように、五年間も所得税減税をやっておりませんから、何とかできるものならこれをやりたい、そういう環境条件をつくりたい、そして五十九年特例公債依存の体質脱却のめども立つならばと、こういう考えでございまして、いま五十八年度に大型減税をやるとかいうようなお約束はまだできないのが現状でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 大分何か後退したような感じがするわけですけれども、総理、財政再建と言われましても、その土台となるのはこの五十六年の財政じゃないかと思います。いま審議しているこの補正予算だと思うんですが、その点でちょっと具体的にお聞きしたいと思うんですが、今回の補正予算で大蔵大臣が説明をされておる中で、物価の鎮静化による国民生活は好ましい状況の出現の結果であると、こういうふうに説明されているんですが、その真意はどういうことでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それも大きな原因の一つでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 国民生活は好ましい状況の出現の結果だということは、これはどういうことですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 国民生活は、物価が非常に上がるということはいいことではございません。物価が落ちつくことが一番いいことでございます。結局は、物品税などを例にとりますと、要するに物価が上がれば従価税の物品税収入というのはふえます、物価が上がれば。しかし物価が上がらなければ、量がうんとふえない限り税収はふえません。その量がふえて、しかも物価が上がればそれは物品税のようなものはふえるでしょう。しかし問題は、私としては、結局世界の国じゅうが二けたのインフレ、またはそれに近いというインフレにどこの国も大変悩んでおります。同じ石油を使っております。そういう中で、日本は国民全体の皆さんの英知と努力によって生産性を上げたり、あるいは消費節約を徹底したり、そういうようなことで物価が鎮静をしたと、そういう面は非常にいい面だけれども、その反面、税収が伸び悩んだということも事実でございますと、そういう意味でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 経企庁長官にお聞きしますけれども、いま景気回復がおくれたというんですが、税収が減額をしてきたその根本の原因は政府の経済政策の失敗にあるんじゃないかと、こう思いますが、その点どうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 五十六年度、政府では当初五・三%という経済成長目標を設定をいたしました。これは四十五年の指標の数字でございますから、新しい指標であります五十年指標に改定いたしますと四・七という数字になります。この四・七というものを目標にして経済政策を進めたのでございますが、景気回復が全体としておくれてまいりましたので、昨年の十二月に五十六年度の経済成長目標を四・一と、このように修正をいたしました。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いまお話しのとおり、補正をしなければならなかった税収減額の第一の原因というのは、政府の経済見通しが甘かった、こういうところにあると思います。ことしもそういったおそれが十分にあるんじゃないかと思いますし、第二点は、これは法人税の動向じゃないかと思うんですが、その点大蔵省どのように把握しておりますか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。  法人税、いままでわかっていますのは十二月末まででありまして、いままではよくないわけでございまして、前年並みマイナス〇・二ということであります。ただ進捗割合が四〇・五%でございます。で、いままでの悪い原因は、業種によって非常にばらつきがございますので、また業種の中で企業の格差が大きいということで、実績でいろいろその辺があらわれております。これはやはり業況の回復がおくれておるという問題はもちろんあります。それと物価の安定というものが影響いたして法人税収が悪いというのがございますが、一つの特殊要因は即納率が高かったということで、去年の三月決算のところで税収がその前の年に入ってしまった、五十五年度に入ったということで、ことしに入ってから法人税の入り方が低いという問題があります。そういう特殊な問題がございますが、いずれにしましても税収を見積もります十一月から十二月の時点と言いますと、全体の税収が三五%しか入っていません、十月までですから。しかも法人税は一八%、二割を切っている段階でその後を見通すということで、先ほども申し上げました二月、三月、三月までの税収を取り込んだということで、その辺が残りが非常に多いということ、しかも景気によって変動を受けるという法人税の影響が今後どうなるか、これは円がどう動くかという問題も影響します。さらに即納率というような、延納がどう影響するかという問題もまた今年三月決算にあらわれてくると思いますが、いずれにしましても三月決算の数字がどうなるかというのが非常に大きな数字で、しかも変動要因が多い。補正で四千億、これは法人は手をつけておりません。と申しますのは、どうなるか、それを手直ししようにも決め手がないわけでございますから、そういうときには当初予算で置かざるを得ない、われわれとしては予算額が達成されるであろうと見込んでおるということでございます。そういうことでございまして、今後の経済の動向、企業ごとの決算、特に納税ベースでどうあらわれるかということが非常に大きなファクターとして影響を受けますので、われわれとしてはいまの予算の見通しはこれしかない、こういうことで補正後の予算は当初予算どおりに法人税はしておるということであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 ちょっとお尋ねしますけれども、一月から五月まで残しているわけですけれども、この予算どおり収入を確保するには毎月法人税の累計額がどの程度伸びる必要があるんでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。  法人税で十二月までが先ほどのように横ばい、マイナスの〇・二でございますから、今後三〇・四伸びなければならぬということになります。そのような数字はなかなか過去探しますと、四十八年というところ、または五十一年あたりにはあるわけでございます。この辺どうなるかということは、いままでの実績が異常な要因もあって低かったということもございますし、法人税自体この三〇・四ということで見積もるということ自体、いままでの数字を機械的に今度はそこで引き延ばすわけでございますから、そういうことではなくて、やはり積み上げ的な、実績的な見通しということの方が大事でございまして、いままでの実績の低さから、延ばした三〇だというふうには直ちに言えないという気がいたします。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 非常に苦悩されているんじゃないかと思うんですが、法人税の中で特に注意しておきたいのは中小企業の分じゃないかと思うんですが、大企業は確かに景気のいい面もありますし、大蔵省も聞き込み調査を行っておりますので、税収の予測は当たりますが、しかし中小企業はなかなかむずかしいんじゃないかと思うんです。いま五十一年とか四十八年のお話もありましたけれども、昭和五十年の当初予算に対する決算、税収見込みの対比で約二割の誤差はありましたが、その原因が中小企業のこれは税収見積もりじゃなかったかと思うんですが、その点はどうでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。  五十年のところの数字が手元にございませんけれども、中小企業だけが原因であったのか、全体の感じではないかと思います。ちょっとこの辺計数に沿っておりませんが、いずれにしましても、いままでのところであらわれております九月期決算では大法人が二三%、十月期決算、大法人が二八%ということでこれは続いておりますが、おっしゃるとおりにやはり中小企業が横ばいの感じがございます。これは大法人の好調が続けば、当然のことながら下請の影響等で中小がよくなってくるということも考えられますので、今後これがどういうふうに中小の方に影響するかという点を注目いたしております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 これは当時の主税局長が話をしているんですから確かと思います。  それでは、中小企業の今後の見通しはどうでしょうか、経企庁長官。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 中小企業はずっと景況が悪いし、また一時、十二月ごろはちょっといい方向に向くかなといった感じがあったのですけれども、最近また少し景況感が悪いような状況でありまして、この中小企業対策については予算等にも特に配慮いたしておるわけでありますが、予算あるいは金融政策等きめ細かなひとつ配慮を加えまして中小企業の振興を図っていかなければならないと、こういうふうに考えておるわけであります。特に内需の振興というのが中小企業に一番結びつくわけでございますから、内需振興というものを図ることが中小企業振興に大きく貢献することになるわけで、これからの経済政策の基本として内需の振興を掲げておりますが、特に内需を中心とした振興、内需を高めるということが非常に大事ではないかと、こういうふうに考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 先ほど法人税の累計額が一九・八%ずつ伸びる必要があるんじゃないかと私たちは計算しておりますが、そうなりますと、相当なこれは伸びでなきゃならないということです。この補正予算で見込んだ税収を確保するためには、本年の一月から五月までの税収ですね、全体で前年同期比で二九・八%伸びなきゃならない、こういうことも言われておるわけでありますけれども、これは景気の状態から見て非常に不可能に近いんじゃないかと思うんですが、大体大蔵省としてはどのようにお考えでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えします。  今後、二九・一という数字が正しいと思いますが、いずれにしましても、いままでよりは相当高い伸びをいたしていかなければいけないというのが見通してございます。われわれとしては、先ほどからるる申し上げますように、いままで低かった要因がございますので、それを残りの所要伸び率ということでそこを直ちにはじくわけにはいかないと思いますが、また全体としてそれが見積もりどおりに入るかという問題でございます。いずれにしましても、先ほどから申しましたように直接税、特に法人税が三割税収に占めておる。ヨーロッパは一〇%を切っていまして、したがって、社会保障中心の歳出が安定的な財源で確保されているという問題を踏まえて、今後この歳入の振れという問題を責任問題とは別に構造的な問題としてこのようにとらえる、こういう気がいたします。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いろんな試算によりますと、約二〇%ぐらいの伸びじゃないかと言われるんですが、そうしますと、大体どのくらいの税収不足が生ずるんでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) 仮定の御質問ですので、お答えも仮定のお答えということになりますが、今後二〇ということで税収が伸びればという御質問でございますか——そういうことであれば、約一兆一千ぐらいというのが私個人の計算で、これは仮の計算でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 先ほどの同僚委員の質問の中にもございましたが、この一兆円以上の税収不足があらゆるところから予想されているわけですが、この税収不足が生じた場合にはどのような対処をされる予定ですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 目下、私どもは具体的にどうということは考えておりません。おりませんけれども、適切な処置を講じたいと思っております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 かつて大蔵委員会等の論議の中で、こういう税収見込みが狂った場合につきましても補正予算を組むかどうか、あるいはという問題につきましては三月初めごろまでには決断をしないとこれは間に合わないということが論議されておりますが、その点どうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど主税局長からお話があったように、じゃ法人税を幾らに見積もればいいんだといっても、これもなかなか実は決め手のない、数字の出てこないところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、明らかになった物品税や印紙税等、源泉税も手直ししておりますが、そういうように補正をしたもの以外は今年度でさらに補正をするという考えは持っておりません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 補正予算を組まなければどのように対処するんでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、適正に対処をしたいと……。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 適正とはどういうことでございますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、行政に支障のないように対処するわけです。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 ですから、やはり大蔵省としてはこうこうこういう方法があるんだ、その場合には。きちっとこれはもうあるんでしょう。用意されているところがあると思いますが、その点どうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それも仮にの話。仮にの話でございますが、仮にそういうような憂えのある場合には、さらに歳出について節約を徹底していただく、で、不用額をたくさん出してもらうということも一つの方法でしょう。その他いろいろな法律上、制度の問題もございますから、そういうような制度の利用ということもあるでしょう。あるでしょうけれども、それはどこまでも仮にの話でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 皆さん方は、税収の見積もりということで先ほども話をされておりました。しかし、現実にもうこの三カ月先ぐらいのところまで来ているわけですね、もうことし二月ですから。そこまでの見通しがわからなくてどのようにやっていかれるのか、私は非常に不安で仕方ありません。  そこで、仮定の問題かもしれませんけれども、実際にそういうことが起こり得るんじゃないかということで、私たちは心配して言っているわけですね。たとえば決算調整資金とかあるいは予算の不用額でもいまお話がありましたが、そういう問題もありますけれども、それだけでも足らないということが起きかねないと思うんです。その場合どうされますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、そこまで考えておりません。  よく、そういうふうに見積もりが心配があるならばいまのうち直したらいいじゃないか、どうせ赤字国債出したんだから、もっと赤字国債出して、そうすれば十年先まで心配ないよとおっしゃる方もございます。しかし、そういう考え方ですと、やはり財源を安易に調達するということになりますから、さらに一層の節約の徹底、歳出の切り詰めということについてどうしても緩みがちになります。したがって、私どもとしては非常にきつい方法、逃げ場の少ない方法、そういうものをとって、ともかく歳出削減という、あるいは行政の効率化——むだを省く、そういうことにやはり精神的にも全力が挙げられるようにしておいたことの方が将来のためにもなる、そう思っておるわけです。  いずれにいたしましても、税収不足によって行政の支払いができないというようなことはないようにいたします。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 当然そういった努力はしてもらわなければなりませんが、いろいろとこれは報道をされたことによりますと、国債整理基金特別会計の余裕金から一時借りる方法も検討中と伝えられるんですが、その点どうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) もう仮定の話を幾ら言いましても、これは仮定の話ですからいま申し上げることはできません。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 先ほどお話をしましたように、国の歳入に不足が生じた場合の最後のよりどころとしましては、この国債整理基金があるわけですけれども、これは五十三年二月に決められたんですね。そのときの大蔵省の御答弁では、三月の初めごろになって歳入欠陥が明確になり、補正予算を組むことができない場合に国債整理基金から借り入れを行う、こうなっているわけです。ですから、もう三月の初めといったら一月もありませんけれども、現在の時点でこの補正予算でも歳入欠陥が起きるということはほぼ明らかなんですから、その点どのようにお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう何遍繰り返しても同じことでございまして、私ども素人でなくて、専門家が計算をしてみて大体いけるという見通しを持っておりますので、それに従ってまいるということであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 しかし、一月から五月までの対前年同期比での税収の伸び率が二九%にもなるということは、いまだかつてないことじゃないですか。その点は本当に大丈夫でしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えします。  二九・一になるわけでございますが、それはその年その年の経済状況がいろいろ前半、後半とか、その前の年が高かったか低かったか、いろいろその辺の比較がございます。そういう意味で二九・一というのを機械的に申し上げますと、四十七年度は三一・六、四十八年は四三・九、直ちに比較できるかどうか知りませんが、数字としてはございます。五十三、四は一八・六、一八・八というふうな二〇%近い数字もあります。昨年は一二・六、こう低い数字で、景気が低いところでずうっと横ばいで、いま回復期にあるというような経済の姿も必要かと思います。  先ほどのどうなったらどうする、これは主計局の問題でありますが、われわれは自然体でやはり考えると、歳入欠陥だからそれを達成目標として課税を強化するとかいうことよりも、租税法律主義を率直に公正に適用するということが正しい問題だと思います。剰余も出ますれば、欠陥も出ます。これは各国同じであります。そういうことでありますので、歳入は見積もりであります。われわれは最善の努力をいたしておりますが、資料の制約、制度の制約がございます。先ほどの年度区分の改正で、四十九年度に二月決算を取り込んだ、五十三年度で三月決算を取り込んだ、ここで二兆円を埋めているわけです。そういう形での歳入欠陥のびほう策による収拾はできないと思います。私は、いまの制度のもとにおいてどういう数字になるか、これはわれわれ最善を尽くして見積もっておりますが、後は決算としてあらわれる。それを、いまあります制度によって処理するということで、五十二年度に歳入欠陥対策として制度が設けられたわけでありますが、これは先ほど申しましたオイルショック後の経済動向が非常に見にくい、それに乗っかって税収も非常に見にくいということ、それからいろんな法人税の振れが影響しやすいということを受けたわけでありまして、この辺、私ども繰り返しますが、歳入欠陥の責任問題ということよりも、振れがないような税制ということをお願いしたいという気持ちで今後長期的に考えるわけであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 私も国民の立場から心配をして言っているわけです。政治責任云々ということもおっしゃった方もおみえになりますが、その点間違わないようにしていただきたいと思う。ですから、いろんな制度を活用されてこれは当然埋められていくことと思いますが、もしもいま大蔵省が努力されている点がいがなかった場合にはどうするかということも、当然これは大臣として考えていかなければならない問題じゃないかと思うんですよ。それで申し上げているわけでございます。  ですから、最後にちょっと確認だけしておきますが、もしも最悪の場合が出てきた場合には、この国債整理基金からも借り入れるということですね、それはどうでしょうか。その点だけ。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 仮定の議論でございますから、具体的に申し上げることはできませんが、私は極力つらい道を選ぶということを考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 次に、国債の問題でいきますが、この補正予算によって六千三百億円の国債が増発されているわけです。五十六年度の国債発行は十二兆九千億円になっているわけですが、これは財政再建元年と政府が宣伝して二兆円の赤字国債減額を当初予算でやったわけですが、一割を超える三千七百五十億円の赤字国債を補正予算で増発しているわけですが、これはやはり財政再建が初年度でつまずいた大事な問題じゃないかと思うんですが、その点、大蔵大臣は今後の財政再建の進め方をどのように考えてみえますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のように税収に不足が生じたためにそれを素直に訂正をした。その結果また災害がございまして、災害は物的なものばかりでなくて、たとえば農業共済の保険の追加、政府の支出七百億というようなものなどいろいろそういう付随的なものもございます。したがってそれは赤字国債にしたということであります。ですから、二兆円赤字国債を減額できなかったことは残念でありますということを言ったわけであります。しかしながら、一兆六千億円は減額できるということでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 五十七年度の財政再建を進めていくためにも内需の拡大が必要だと思います。五十六年度に大きな歳入欠陥が起きている、起きつつあると、こういう事態は財政に出番なしと言って政府が景気回復に有効な手を打たなかったからこういう結果になったんじゃないかと思うのです。そういった意味で、内需拡大に一番大きなことは私は所得税減税をやることじゃないかと、このように思っているわけです。  経企庁にお尋ねしますけれども、内需依存型の成長を図るための政策としてはどういう政策がありますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) やはり国民の可処分所得がふえるということが内需拡大の一つの大きな柱になろうかと思います。それから住宅投資、民間の設備投資あるいは公共事業の取り扱いといろいろあろうかと思います。    〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 内需拡大の一番大きな問題はやはり減税でないかと思うんですが、減税につきましては、政府は財源がないということをよくおっしゃいますが、衆議院の予算委員会でわが党の正木政審会長がこのことにつきまして財源を明らかにしているわけですが、やる気になれば減税の財源があるんじゃないか、このようにわが党は提示をしているわけです。ですから、政府が減税をしないために、やる気がないから減税財源がないと、このように言っているんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 減税はしたいとして、しなければなるまいというような、何といいますか国民感情といいますか、そういうふうな気持ちはわれわれはあるんです。しかし、先進諸国との租税負担率の比較、それから財源問題等を考えて、また財政事情を考えて、現在減税をできる状況ではないということを言っておるわけでありまして、なお、これを景気対策としても所得税減税をやるということになりますと、これはもう私は兆単位の減税でなければ余り大きな影響力はないんじゃないか、二百七十兆、二百七十七兆という中で千億とか二千億とかいうような減税をしても、それは減税したということにはなるでしょう、なるでしょうけれども、景気に対する波及効果というものは非常に疑問だと私は思っております。じゃ何兆という減税はできるかと、それはとてもできるような財政事情ではないと。また、仮に赤字国債を発行してそういう減税をやったとしたらばどうなんだと、これは日本は、アメリカのように貯蓄率が五%というような国と違って、一九%も貯蓄率がある。これは現実の姿でありますから、それが貯蓄がどんどんどんどん伸びるという中では、さらにそれが実際に物を買うとかそういうことに波及する率はなお少ないといういろんなことを考えて、減税による景気浮揚というものは、何といいますか、理屈としてわかるけれども、実際問題として私は余り期待できないと、そう思っておるわけです。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 先回衆議院の予算委員会で正木氏が財源を示しましたね。その点についてどうお考えかということですね。たとえば租税特別措置の見直し等で三千四百八十億円とか提示しております。その点どうでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 租税特別措置約一兆一千億円ぐらいの減税財源がございますが、しかし、その八割ぐらいのものが個人減税なんですよね。たとえば少額貯蓄とか、あるいは生命保険料控除だとか住宅取得控除だとか、そういうようなものを集めると約八千億円からになってしまう。企業減税というのは二千億ちょっとです。そのうちのかなりのものが中小企業対策関係、大企業のものももちろん一千億円ぐらいあります。ありますが、一つ一つは小さなものであって、政策目的上必要だからこれはつくっておるものであって、そういうものを全部なくすということも政策の整合性という点も考えると、必ずしもそうは言えないものが多いわけでございます。しかしながら、発想を変えてこういう際だからもうともかく三百万円非課税なんていう制度をやめてしまえとか、そういうまるきり発想が変わってくればまた別な話でございますが、それはしょせん五十七年度には間に合わない制度上大きな問題がございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 そういった減税財源を提示して、私たちとしましては建設的な景気対策や、あるいは財政再建策を提示しているわけですけれども、それはなかなか実行しようとされていませんが、このままでいきますと財政再建も経済も共倒れになる危険性があるんじゃないかと、そういう心配をしております。  総理、財政というのは言うなれば国民経済と国民生活安定のためにあるんじゃないかと思うのですが、何となくいろいろといまお話を聞いていますと、中小企業や国民にしわ寄せをしているということがあらわれているわけですよ。その点に誤りがあるのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いまわが国の経済、そして一方において財政の状況、これを静かに見てまいった場合におきまして、経済の面においては欧米先進国等に比べても、私はいろんな面からいって比較的うまく順調にいっておる、こう思っております。しかし、財政の面からいたしますと、アメリカに比べても、あるいは英、独、仏に比べましても、この公債依存度というのが非常に大きい。累積赤字が非常に二倍、三倍、五倍というような状況に相なっております。  そこで、私どもは将来のためにこの際思い切った財政の立て直しをしなければいけない、われわれの世代でしょった借金を孫子の代にこれを残していくということでは、私はいけない、こう思うわけでございます。ここで安易なこの特例公債等を引き続いてたれ流しのように増発をするということは、これは一種の将来に対する増税に相なるわけでございます。  私は、そういう意味で、この際歯を食いしばって財政再建、行政改革をひとつやろう、いまそれをやりますれば、私は将来に向かって非常に効率的な、合理的な、そして機能的な行財政ということになるわけでございまして、そういう目標に向かって私どもは努力をしていきたい、こう思っておるわけであります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 単年度の経済の動きというものが大変に混乱して、政府の見通しと食い違っているわけですけれども、さらにわが国の中長期の経済見通し回ともいうべき新経済社会七カ年計画についても狂いが出てきているわけです。その点で非常な不安を増幅させるわけですが、この七カ年計画というのは昭和六十年度を目標年次にしていますのでもう目前に来ていますが、ここで作成時の昭和五十四年八月での七カ年計画で描いた昭和六十年度のわが国の経済の姿と、この五十七年の一月にいろいろとフォローアップしました六十年度の姿、これを比較しますと非常に食い違っているわけですが、その修正部分の違いについてどうお考えでしょうか、経企庁長官。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 現在の七カ年計画を決定いたしましたのは、昭和五十四年の八月であります。ちょうど二年半経過いたしましたが、これは毎年見直しをしておりまして、ある程度修正をしております。五十五年の一月、それから引き続いて五十六年の一月、ことしの一月と三回フォローアップをいたしまして、若干の修正をいたしております。  しかし、世界情勢も大分変わってきておりますし、国内の事情も相当変わっております。そこで、いま経済審議会に二十一世紀を展望いたしました長期展望委員会というものをつくりまして、これからの社会経済は中期的ではなくむしろ長期的に見た場合にどのように変わるかと、こういうことでいま作業を進めております。  同時に、この臨調の本格答申も六月ないし七月に出るように聞いておりますので、その二つの内容を見まして、そこで現在の七カ年計画、中期計画をそのままフォローアップをしながら継続をした方がよろしいか、それとも抜本的に見直した方がよろしいか、そういう判断をしたいと考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 この中で特に申し上げたいのは、国民所得そのものも当初見込みと変わりましたね。    〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 そして、この国民所得に対する租税負担で見ますと、昭和六十年度二六・五となっているわけですが、実情は五十七年度にも二五%を超えて五十八年度中には二六・五%の目標はいってしまうんじゃないかといま考えられるわけです。予想以上に国民の租税負担というのは重くなっている。これでは本当に国民が所得税減税を要求するのは当然じゃないかと思うんですが、その点どのようにお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 七カ年計画をスタートさせましたときには、昭和六十年度における租税負担率は、いま御指摘のような二六・五%と想定をしておりました。ことしの一月のフォローアップでは、二六・五%を若干超えるのではないか、しかし大きく超えることはなかろう、二七%弱、この見当になるのではなかろうかと、こういう見通しを発表したところでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 それでは、日銀総裁お見えになっておりますのでお尋ねいたしますが、五十五年、五十六年ともにわが国の経済というのは輸出によって支えられてきているわけです。その輸出の伸びが非常にいま停滞をしているわけですが、そうなりますとわが国経済の打撃は大きい。あとはもう内需を拡大するしかありませんけれども、しかしその内需拡大につきましても、いま非常な円安動向にあります。これは行き過ぎた円安傾向にあるという説もありますけれども、今後の円相場の見通しについてどのようにお考えでしょうか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 通貨価値の安定ということは私ども日本銀行の使命でございまするが、国内の物価の安定を図るということと同時に、対外的には為替相場の安定を図るということになるわけでございます。そういうふうに私どもも努力してまいったつもりでございます。  最近円安になっておることは御承知のとおりでございまするが、私どもは日本の国内の経済事情によって円安になったというふうには判断しておりません。為替はある国とある国の通貨の交換比率でございまするから、円に問題がなくても相手国通貨に問題がございますると為替相場は変動するということになっておるわけでございます。最近の事情ではむしろドル高ということであろうと思います。その結果、円ばかりではございません、ドイツマルクあるいはスイスフラン、こういう通貨も一斉に円と同様に安くなっておるわけでございます。  そういうふうなドルがなぜそれじゃ高いのかということになりますると、やはりアメリカの金利が現在高いということが非常に大きな要素になっております。したがいまして、私ども円相場の安定、しかも国内の物価あるいは貿易摩擦というようなことから考えますると、円相場は円高の方向に安定させたいというふうに考えておるわけでございまするが、そういうふうな対外的な面も安定してまいりませんとそれが実現できないということになります。非常に幾つか不確定の要素もございまするので、相場自体がどういうふうになるかということは特に私の立場から申し上げることは適当でないと思いまするが、円高の方向にできるだけ安定させてまいりたいというふうに考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 この米国の高金利によるドル高に対しまして、わが国とEC諸国はアメリカに対しまして市場への協調介入を要請したわけですけれども、これに対しまして米国は、市場への介入をせずといういままでの方針に変更ないということでございますが、その点どうでしょうか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) アメリカはレーガン政権になりましてから為替市場に対する介入をしないという政策をとっておるわけでございます。これはレーガン政権がいわゆる小さい政府というのでございますか、政府の経済活動に対する介入を極力少なくするという基本的な考え方から出ておるわけでございます。介入につきましても、アメリカはいま現在のところ介入するつもりはない、為替市場が本当の意味で混乱したような場合以外は介入しないという態度をとっておるわけでございます。変動相場制でございまするから、相場を一定の水準に維持するとかあるいは人為的に相場形成を図るということは非常に困難であり、またすべきではないと思いまするが、時によって相場というのは全く経済的な理由以外に大きく変動することがある、勢いが強い方弱い方に大きく振れることがあるわけでございまするから、そういう不規則な変動に対しましては、介入によってこれをなだらかにするということが介入の原則でございます。そういう意味で世界的に政治的あるいは社会的に大きな問題があるときに為替が一方に振れるというようなときには、各国が協調して介入するというのは効果がある場合があるわけでございます。  そういう意味で、私ども日本銀行といたしましても、すでに欧州の中央銀行とはしばしば協調的にやっておるわけでございまして、これからそれをまあ特定の場合にはアメリカも同じように協調介入をしてもらうということが当局の姿勢がそこへ出る、それによって為替市場がそれに対応して為替の安定が図られるという効果があろうかというふうに思います。ただいま申し上げましたようなアメリカの態度が非常にかたいものでございまするから、直ちにそういうことが実現できるかどうかはいまのところはまだ何とも申し上げられない現状でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 日銀総裁に一点だけちょっとお尋ねしておきますが、最近ゼロクーポン債という言葉が報道されておるんですが、これが円安に拍車をかけるという感想もあるんですが、その点どのようにお考えでしょうか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) まあ円安、国際収支が経常勘定が黒字であるにかかわらず円安になるということは通常は考えられないことでございまするけれども、資本収支がマイナスになるために経常勘定、経常収支と資本収支と合わせましたいわゆる基礎収支というのがマイナスになっている、現に暦年中、昨年はそれがマイナスになっておるということが一つ円安の原因でございます。  それでは資本収支でなぜその金が出ていくかということの、全部ではございませんけれども、そのうちのかなりの部分、大きな要素になっておりまするのは、海外の金利が高い、国内の金利よりも海外の金利が高い、内外金利差があるということからとかく資本が外へ出やすい環境にあるということでございます。そういう意味で、内外金利差というものは重要な問題になるわけでございますが、ゼロクーポン債というのはクーポンがない、金利がない、割引債でございます。割引債でも最終的な利回りが高いわけですから、内外金利差というものが働かないわけではないと思いまするけれども、ゼロクーポン債というもので金が出ていく面というものは、金額からいってもそれほど、びっくりするほど大きなものではございませんし、また金利差ということよりまた別の要素が働いておるのではないかというふうに想像しております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 お帰りになって結構です。どうもありがとうございました。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 日銀総裁、どうもありがとうございました。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 大蔵省としてはどのようにお考えですか、いま別な要素があるんじゃないかというお話ですが。

加藤隆司大蔵省国際金融局長

○政府委員(加藤隆司君) 昨年一年の数字を見ますと、三億ドルぐらいでございます。まあ五、六百億円というところでございますが、郵貯の貯金の残高だけごらんになりましても非常に割合は小さい。本年に入りまして海外の発行予定が四十五億ドルぐらいと言われておりますが、一部新聞でそのうち八割ぐらいを日本人に買ってもらうというような報道がありまして、大変大きく伝えられておりますが、目下のところ私どもの承知している限り、そういうような大きなものではなくてそれほど心配することはない。ただ、むしろ投資家保護という観点から、誇大にもうかるというような話が流布されるという点が一つ問題ではないかと、そういうような面の注意はそれぞれ担当の、私担当でございませんが、証券局の方でしかるべく注意をしております。そういう状況でございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 担当の方、証券局。

福田幸弘大蔵省主税局長

○政府委員(福田幸弘君) お答えします。  ちょっと御質問の趣旨と反するかしれませんが、思惑という点が課税の関係からきておるということでございますならば、これは償還の際に償還差益は雑所得として課税をされるわけであります。途中ではキャピタルゲインとして非課税であります。しかし、その取引を行うに際しましては、これは証券局でございますけれども、外国証券取引口座を通じてやることになっておりますので、税務当局としてはその税務調査を行うことができます。  以上であります。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 じゃ次へ参りますけれども、安倍通産大臣にお尋ねしますけれども、大臣は三極通商会議に出席されたわけですが、その後レーガン大統領にも会見されましたし、そのときどのような主張をされておりますか。あるいはこの対欧米通商摩擦、どのようにお感じになっておりますか。その点お尋ねします。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 御存じのように、いま世界的に大変経済摩擦が高まってきております。これは日本とアメリカあるいは日本とECだけではなくて、ECとアメリカあるいはまたカナダとEC、そういう諸国間に非常に貿易摩擦というのが高まってきております。そのために保護主義的な動きというのが非常に強く出ておるわけで、特にアメリカの議会には御案内のように相互主義といいますか、特に後ろ向きの相互主義というのが法案の形となっていま出されておるような状況でございます。したがって、今回の三極会議というのは、そうしたいわゆる保護主義的な高まりを抑えて自由貿易体制を堅持しなきゃならない、そういうための話し合いをしようということで開かれたわけでありまして、お互いの問題をぶつけ合いながら非常に相互理解を深めて、とにかく自由貿易を守っていこうという合意ができたことは、大変成果があったと思っております。  特にアメリカに対しましては、われわれとしては、アメリカにいま台頭しておるところの相互主義ということが非常に危険であるということを強調いたしますとともに、わが日本がいま取り組んでおります市場の開放化のための努力、東京ラウンドの二年間前倒しであるとか、あるいはまた一月にとりましたいわゆる輸入手続の改善と、そうした日本が非常な決意を持って取り組んでおる努力を説明をいたしました。わが国としてもそれだけの市場の自由化に努めておるし、やはりこれも自由貿易を守っていくということである。またさらに内需の振興も図って、輸入の拡大も図っていきたいし、あるいは産業協力、技術協力等も積極的に進めていきたい。同時にまた、いま円安というものが非常にインバランスを拡大しておる。このインバランスは、いまも日銀総裁の御説明にありますように、やはり背景にはアメリカの金利高というのがあるわけでございますので、やはりアメリカの高金利政策というものも率直に反省をして、ひとつ高金利政策を改めていただきたいということも主張してまいりました。同時にまた、アメリカの日本に対する輸出努力というものも日本が努力しておるのに比べて物足りないと、こういうやっぱり輸出努力もさらにひとつ高めていただきたいということも主張いたしました。  いずれにいたしましても、自由貿易を守っていかなきゃならぬ。保護主義が台頭していく中で自由貿易を守っていかなきゃならぬということで、日米間においても大方の合意はできておるわけでありますが、何といいましても、アメリカにおきましてもECにおきましても、経済が非常に悪くなっております。失業者が増大をしている。こういう状況ですから、議会方面等で、そういう中でやはり保護主義の動きというものがだんだんと現在高まっていることは、非常に私たちは心配をいたしておるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 二月の十二日の報道によりますと、ボルドリッジ商務長官は、相次いで提出されております相互主義の法案に対して肯定的な発言をしたということでございますが、これは保護主義に走りがちな議会に対しましていままで一応抑止的な立場にありました米国政府というものが一歩後退してきたんじゃないかという感がするんです。それで、そういった相互主義的な法案が成立する可能性が多分にあるわけですが、そういうような動きに対して政府は何ら有効的なやはり手段というものを持ってないんじゃないかという感じもするわけです。大臣は、記者会見で、アメリカ政府の自由主義の原則と議会発言は矛盾していると、こういうことを強調されているようですけれども、それはアメリカめ議会が日本とは比べ物にならないだけの力を持っているということをやはり見落としてはならないんじゃないかと思うんですね。そういった点でアメリカの対議会戦略、これについても真剣にこれは配慮をしなければならないのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃるように、いまアメリカについて言えば、われわれが非常に心配なのはアメリカの議会の動きでございます。十一月の中間選挙が近づいておるというふうな関係もあり、アメリカの経済が非常に悪い。そして日本の輸出が非常に超過をしておる。こういうふうな状況の中で、保護主義的な考え方、特に相互主義という形で保護主義的な考え方が盛り上がって法案が出されておるわけでございます。私は、政府の方は、レーガン大統領を初めとして、通商代表であるブロック代表であるとか、あるいはボルドリッジ商務長官等が一概にいまここで相互主義を支持するというようなところに踏み切っておる、こういうふうには思っておらないわけでございますが、議会の勢いに押されがちであるということでございます。ここで相互主義法案等が通りまして、これが実行されるというようなことになりますと、大変自由貿易体制というものが根幹が揺らいでくると。そしてこれがどんどん発展していけば報復主義につながるし、保護貿易というものにつながっていくわけでございますから、何としてもこの際やはりアメリカにおいても議会側にもひとつ反省を求めて、そうした後ろ向きの相互主義立法が行われないようにわれわれとしても話し合いをし、さらに働きかけをしてこれを阻止しなければならない。最近、自民党におきましても江崎調査団等がアメリカに参るわけでございますが、やはりアメリカにはずいぶん誤解もあるように思っておるわけでございます。これからそうした積極的な働きかけをすると同時に、また日本としても、これまでとった措置とともにこれからもさらに市場の開放のためのやっぱり努力を怠ってはならない、これは努力を続けていくということが必要ではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 通産大臣にお尋ねしますけれども、今後非関税障壁改善の第二段階としてどのようなことが米側から要求されるおそれがありましょうか。その点どうですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 残された日本のいわゆる閉鎖的と言われる中には非関税障壁でまだ残った面もあります。一月の末に輸入手続を改善をいたしまして百項目のうちの六十七項目まで改善をしたわけでありますが、まだ残っておることも事実でありますし、さらに残存制限品目が二十七品目あるわけでございます。これに対してはアメリカとしても強く開放を迫っておることもこれまた事実でありますし、あるいはまた輸出につきまして、自動車を初めといたしまして、日本がいま自主的に規制をしておるそうした工業品目等につきましてもさらに自粛を求めておる、こういうことでもございますし、あるいはまたサービス分野の面等につきましても、アメリカ側は非常に強くその開放を迫ってきておる、こういう状況にあるわけでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 通産省としては、おたくの残っている残存輸入制限のある品目についてはどのようにお考えでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 二十七残存品目の中で通産省関係は五品目でございます。そのうちの四品目が皮革製品でありまして一品目が石炭でございますが、この皮革製品につきましてはこの三月に交渉を始めるわけでございます。アメリカとしては、これが自由化というものを、あるいは枠の拡大といったものを強く求めておることは事実でありますが、国内的には御存じのようにいろいろ複雑なむずかしい問題もあることもこれまた事実でございます。そうした面を踏まえながら、これからのやはり自由化というものを進める段階の中でどういうふうに調整をとるかということがいまわれわれの課題であろうと思っております。石炭につきましても自由化を求めておるわけですが、いまの国内炭と外国炭の間のまだ価格がずいぶん開いておるわけでございます。そういうところにもやはり国内産業調整というものをこれからやらないと、そう簡単に自由化ということには進めるわけにもいかないんじゃないか。しかし、今後とも十分話し合いをしながら検討をし、あるいはまた改善をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけです。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 農林省にお尋ねしますけれども、やはり二十二品目あるわけですが、この市場開放問題では政府間交渉の繰り上げには強い抵抗を示してみえますけれども、何か伝えられるところによりますと、他の品目への波及も絡んで早ければ三月の日米貿易小委員会で米側に意向の表明もあると、このように聞いておるわけですが、その点大臣いかがでございましょうか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) いま、私たちは長期の展望に立って、国内で生産できる物は極力国内で賄うという基本に立って農業生産の再編成あるいは農業の生産性の向上を図って、活力のある農業、農林水産業をつくり上げようという考えで新しい政策を進めておるわけでございます。その政策を、やはり農家、農民あるいはまた団体の方々にお願いをいたしているわけでございますが、その政策にいわゆる残存輸入制限品日の緩和というものはかなり影響を与えるものでございますから、農林水産業に携わる方々はこの緩和に対して大きな関心と不安を持っておるわけでございますので、私たちはこれまで、いま安倍通産大臣からお話がありましたように、関税率の引き下げだとか、非関税障壁の緩和等に相当程度の協力をいたしてまいりました。ですから、これからアメリカ、EC等に対して日本の農林水産業の現状を理解していただく、それから輸入拡大に対する協力の態度を理解していただく、しかもアメリカのこの輸入量は、先生御承知のように、穀物でいま二千万トンですね、それから農林水産業全体で昭和五十五年度の現在で百二億ドルの輸入をされているわけでございますから、こういう点をやはりよく説明をいたしまして、また日本の内需を拡大して輸出ドライブのかからない経済運営を進める等によりまして貿易全体の面からこの貿易摩擦の解消をしていくということに努めて、極力私はこの残存輸入品目、特に農産物については非常に影響が大きいものでございますだけに手を染めたくない、染めないようにしたいというのが農林水産大臣の考えでございます。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 大蔵大臣が所用で中座されたときにお話があったのですが、金融などサービス部門での門戸開放を強く要求してくるということでございます。その点どのようにわ考えですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 一部新聞報道等で私も見ておりますが、しかし、日本の銀行の制度等について知らないためにそういうことが言われておる点もございます。したがって、この間政府が発表したように、日本の銀行等については、私はアメリカ以上だと思うんですがね、門戸開放をしておるわけでございますから、そういう点はよく向こうに行ってPRをする必要がある、そう考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 いま各大臣からお話がございましたが、政府としましても緊急輸入のための外貨貸し付けを一月二十五日に実施をしたり、あるいは輸入検査手続の改善、東京ラウンドの合意に基づく関税の段階的引き下げを二年も前倒し実施をしたと。なかなかこれ大変なことだと思うんですね。これで欧米の貿易の不均衡が解消されて、摩擦が解消されれば一番よろしいんですが、なかなかむずかしいような状況です。総理もパリのサミットに行かれますと、この問題で相当なまた論議がされようかと思いますが、いま各大臣からお話がありましたが、やはり日本の立場というのをはっきりと向こうに話をして、了解を求められるものは求めていく決意が必要じゃないかと思うんですが、その点ひとつ決意をお聞かせ願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 関係大臣から御報告を申し上げたとおりでございます。日本政府としては、国会の御理解を、御協力を得ながらこの際思い切った開放経済体制の確立に努力をいたしておるわけでございます。しかし、私どもがやっておる割りにアメリカにしてもECにしても日本の実情あるいは日本の努力というものに対する理解と認識が薄いのではないかと、このように私は近ごろそういうことを感じておるわけでございます。これはわれわれのPR不足、政府間の接触はわりあいに多いのでございますけれども、議会と議会との接触は非常に寒いものがございます。また、民間の各界、各層の交流なり接触なり対話なりというものも非常に低いと。そういうような観点から、今後はその面に私どもは最大限の努力をしていく必要がある。特に国会の皆さん方に御協力をお願いして議員外交を大いにひとつ展開していきたいものだと、こう思っております。  この六月のベルサイユ・サミット、これは大変重要な会合になろうかと、こう思っております。今日の貿易摩擦は、安倍通産大臣も申し上げましたように、各国が非常に困難な経済状況に置かれておる、多くの失業者を抱えておると、こういうような点に原因があると私は見ております、根本的な原因。そこで、どうしても世界経済の再活性化を図る、底上げをするということが一番大事なことだと考えておりまして、そういう面で日本も世界におけるGNP一割国家として大きな責任があるわけでありまして、私どもはそういう面で大いに努力し、また貢献していきたいものだと、こう考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 では二点だけですが、一つは貿易摩擦の問題。  いま日本とアメリカあるいはECとの関係で見ましたんですが、もう一つには日本と発展途上国の問題があろうかと思うんですが、これは多少摩擦問題でも異なっておりますけれども、これらの問題を抜きにしてこれからの日本の経済というものをやはり語るわけにいかないんじゃないかと思うんです。この点について政府はどう対処し、長期的にどう対処されていくのか、やっぱり対策をきちっと立てるべきじゃないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 太田さん御指摘のとおりでございます。開発途上国、特に非産油開発途上国におきましては、経済並びに財政の逼迫状況はきわめて深刻なものがある。累積赤字五千億ドルというような大きな負債を抱えておるわけでございます。そこで、これは先進工業国、日本も大きな責任を担うわけでございますが、できるだけ経済技術協力をやり、そしてあるいは技術の移転等につきましてもできるだけのことをやっていく。そして世界全体の経済が活気を取り戻すようにするということがきわめて大事だと、こう考えております。  そこで、いま軍拡競争のような様相を呈しておりますが、これは何とか軍備管理、軍縮の方向に低位に東西のバランスを抑えて、その余力をこういう第三世界の経済再建に向けていくということが私は非常に大事な問題であろうと、このように考えております。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 最近、やはり先端技術の問題でいまいろいろな問題が起きているわけですね。八〇年代には日本が米国の技術水準に追いつく分野はふえてきましたが、日米が真っ正面からこれから競争局面に入るんじゃないかと思うんです。半導体の分野ではもう現実にその問題が起きております、昨年ですね。したがいまして、日本としましても……

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 太田君、時間が参りました。

太田淳夫公明党・国民会議

○太田淳夫君 はい。  一時的な輸出抑制と並行して日本からも、いまお話もありましたが、投資とかあるいは技術移転をして米国の産業を直接に強化することが最も効果があるんじゃないかと私は思うんですが、それによって米国の産業を安定化させたりしながら今後予想されます先端技術での貿易摩擦を未然に防止していく、こういうことが必要じゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。それをお伺いして終わりたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 先端技術の交流につきましては、アメリカ側としても非常に強い関心を持っておるわけでありまして、わが国としても、先ほど総理も申し上げましたように、やはりアメリカあるいはEC、日本といった先進工業国の再活性化を図っていくためにもこの先端技術の交流というのは非常に大事じゃないか。私も参りましたときに、アメリカに対しましてこの先端技術交流のスタディーグループをひとつつくろうじゃないかと、こういうことを提唱いたしたわけでございますが、私はやはり貿易関係あるいはまた日米協力あるいは日本・EC協力関係の最大のやはりこれからの課題として積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 以上で太田淳夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 次に、寺田熊雄君の質疑を行います。寺田君。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 日銀総裁にお尋ねします。  レーガン大統領の経済再建計画なるもの、これはずいぶん思い切った方針のようです。個人所得税の大幅な減税、大軍拡と、これはアメリカの新聞、雑誌などを見てみましてもずいぶん厳しい批判を受けております。先ほど総裁御自身おっしゃったように、財政赤字が八二年度が九百八十六億ドル、八三年度は九百十五億ドル、八四年度で財政を均衡させるという当初の提唱も達成が不可能になったということを認めたようでありますが、今後インフレの促進、軍事費優先による民間経済への打撃などが懸念されておるようであります。これは総裁としてはどういうふうにお考えでしょうか。願望を含めての観測ということをよくおっしゃいますが、そうじゃなくて科学的な観測を述べていただきたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) それぞれの国はその国の政治情勢あるいは経済情勢、社会情勢というものを踏まえて政策を立てるわけでございまするので、それに対してその政策の当否を、私ども局外者、ことに外国の者が批判することはやはり慎むべきことではないかというふうに考えます。  ただ、ああいう政策の持つ意味、特に世界の中で占めるアメリカの経済の力から見ますると、いろいろな影響を持つわけでございまするので、そういう影響をあわせて考えまして私の感想を申し上げてみますれば、第一に財政そのものは非常に大きな財政が組まれておるわけでございまして、赤字が大きいわけでございます。ただ、その赤字の規模そのものがよその国に比べて、たとえばGNPに対する比率というものをとってみますると、特段に大きいわけでは必ずしもない。比率だけをとってみますれば、あるいは日本よりも比率は若干低いかもしれないということでございます。  問題は、ああいうふうな減税をし、一般歳出を切る、軍事費は伸ばす、そういうことが経済活動全体にどういうふうな影響を及ぼすか。特にインフレに対してどういうふうな影響を持つかということであろうと思います。現在はアメリカは、御承知のように非常に厳しい金融引き締め政策をとっておる。それはインフレを抑圧するということになっておるわけでございまするが、その目的は、当然あれだけ大きな規模の経済でございますから、アメリカのインフレが抑制されることはきわめて望ましいことでございます。ただ、金融に少し負担がかかり過ぎておるんじゃないかという批判がございます。財政政策と金融政策の調和といいますのは、どこでもいわゆるポリシーミックスということをよく言われるわけでございますが、両方相まってその効果が出るわけでございまして、財政政策あるいは金融政策それぞれに職能、特色があるわけでございまして、両方相まって一つの経済発展、着実な経済発展あるいは物価の安定ということが期せられるわけでございます。  そういう意味から申しますると、いまのアメリカの政策のあり方につきましては、若干その金融政策に負担がかかり過ぎているんではないかという批判がかなり強く出ております。アメリカの通貨当局の当事者からもそういう不満が多少出るような状態でございます。その辺がやはりそれぞれの国の状況によって違いまするので、必ずしも私ども直ちにその当否を批判するわけにもまいりませんけれども、現実にいまのアメリカの金利が高い状態等から見ますると、やはりそういう不満といいますか、非難といいますか、ある程度当たっておるのではないかというような感想を持っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは大変危険なかけだというふうな批判もあるわけでありますが、恐ろしい破局に向かって進んでいるんではないかというような懸念もあるようでありますが、それほど深刻にはお感じになっていらっしゃいませんか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) アメリカの経済が持っております世界の経済の中における地位、力、重要性ということから考えますると、アメリカの経済が着実な発展をする、しかもインフレにならないような状態になるということが絶対必要であるというふうに思います。そういう意味で、いまの米国当局がとられている政策が直ちにそういう点から言って危険な状態であるというふうには思いませんけれども、アメリカのたとえばインフレ自体をとってみましても、過去十数年来のインフレ体質というのが、アメリカの経済の中に芽生え、根づいてしまっておる。そういうふうな根づいた状態というものはやはり一遍取り去りませんと健全な経済の発展ができないということが、ああいうふうにインフレ抑制ということに対して非常に強い政策をとらせている。一方、そのために経済活動自体が沈滞化することは困るということから、財政の面ではああいうふうな政策がとられておるわけでございます。  問題はやはり、先ほども申し上げましたように、財政政策と金融政策の適正な配分と申しますか、役割り分担と申しますか、いわゆるポリシーミックスということが達成されることが望ましいわけでございまして、そういう点ではこれからも、アメリカはああいうふうに非常に考え方の柔軟なところもございまするので、そういう点には十分な配慮が加えられるであろうということ、これは先ほどのお話にもございましたけれども、私の願望を込めて申し上げます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 アメリカに最近、金本位制ですか、それから通貨制度と金とをリンクさせるというような議論が出ておりますね。この間、金委員会の決定があったようでありますが、こういうような議論の出る背景といいますか、それからこれについて総裁としてはどういうふうな所感を持っていらっしゃるんでしょうか、ちょっとお伺いしたいんですが。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 金委員会というのは、レーガン政権の前のカーター政権のときからできておりまして、議会の中にあるわけでございます。そういう意味で、それはどういうふうな結論が出るかということが非常に注目されておったわけでございまするが、マネーサプライのコントロールあるいはドルの価値を維持するという意味で、金との結びつきをつけた方がいいという考え方があったようでございます。その目的はいいんでございまするけれども、必ずしも金と結びつければすぐ実現できるというほど簡単なものではないというふうに私は考えております。むしろ、金本位制がうまくいったのは、経済全体が安定しておったのでかえって金本位制がうまくいったというような解釈もできておるわけでございまするので、そういう意味で、ただ金本位制を入れればすぐ安定するというほど簡単なものではないのではないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 金の保有量がきわめて少ない日本の場合としては、今度のアメリカの金委員会の決定というのは非常に歓迎しておる、ほっと安堵しておるというような報道もありますね。将来こういうような通貨制度と金とをリンクさせるような企てが実現する可能性といいますか、そういうものは総裁は否定的に見ていらっしゃいますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 金の保有は各国によって量が違っておりまするので、これを世界的な規模で実現するということは非常に可能性が乏しいのではないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 アメリカは。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) アメリカにつきましては、先ほど申し上げましたように、金の量はかなりございまするけれども、国内通貨との交換性を回復するほどの量がない、あるいは金の価格を上げなきゃいけないというようなことになりまするので、それはまた別のインフレ的な影響を持つということがございまするから、なかなかその実現はむずかしいのではないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 今度は日本の国内の経済ですが、五・二%の成長を達成させるためには内需の拡大がどうしても必要だという意見が支配的ですね。経済企画庁長官には後でお伺いしますが、民間の設備投資であるとか住宅建設の促進であるとかいうようなことを強調せられるわけですけれども、何か私どもとしましては余り期待が持てないような感じを持っております。  で、個人消費の拡大がどうしても必要だと考えておるんですが、普通これには、先ほども経済企画庁長官、物価の安定のことをおっしゃいましたが、物価は安定しておりますけれども、昨年度の景気は一向によくならない。それから減税が必要だということ、これは申すまでもない、恐らく国民的なこれは世論であろうと思います。しかし私は、そのほかにある程度物価の上昇率に十分見合った、見合うと同時に生活向上を可能とするような名目賃金の上昇もどうしても必要じゃないかと思うんですね。それがなければ可処分所得もふえようはずがないんで、基礎がないわけですから。この点につきまして、最近、日経連が労働問題研究会報告なるものを出しております。これは賃金を極力抑えようという意図が非常に強く出ております。国民経済の実質生産性上昇率マイナスの範囲内に抑える、実質GNP成長率マイナス就業者増加率の範囲に賃上げを抑えるべきだというふうなことを言っておりますね。これはこの十二月にに出たのですが、去年の六月に出ました報告書にはマイナス就業者増加率というのはうたってないんです。ですから、半年の間にまた賃上げを抑制するためにさらにマイナスの要素を加えたという細工をしておるわけですね。これについてはいろんな批判がありますが、日銀総裁としてはどんなふうにこれを見ておられますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 成長率と生産性賃金との関係から考えますると、やはり就業者の増加ということは考えなければいけない問題であろうというふうに思いまするので、就業者の増加プラス生産性の上昇ということから経済成長ということは計算されるものであろうというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いやいや、そういうことをお伺いしているんじゃないんで、つまりもっと詳しく申し上げますと、こういうような原則を認めてまいりますと——具体的な例を申しますと、国民経済の実質生産性上昇率と——これは経済企画庁にお願いしたところが、たとえば五十三年度は三・七%、五十四年が四%、五十五年が二・六%。それからさらにまた雇用者の増加率というようなものを引きますと、これが五十三年は〇・八%、したがって賃上げ率は二・九%の範囲にとどまらなければいけない。五十四年度は実質国民経済生産性の伸び率は、経企庁の数字によりますと四%、それから雇用者増加率は二%、ですからそれを引きますと、賃上げ率は五十四年度は二%の範囲におさまらなければいけない。五十五年度に至っては、実質国民経済生産性の伸び率は二・六%なんですが、雇用者の増加率は二・五%ですから、それを引きますとわずかに〇・一%の賃金の伸びでなくちゃいかぬということになるわけですね。ところが、消費者物価の上昇率は五十三年度は三・四、五十四年度が四・八、五十五年度が七・八、したがって消費者物価の上昇率よりはるかに低い、驚くべき低い賃上げ率でなきゃいかぬというような、大変国民にとっては考えられないような低賃金に甘んじるという結論にならざるを得ないわけですね。こういうような理論によって日本の経済を運営しよう、景気を浮揚しようなんということはこれはとても不可能じゃないかという、そこで総裁の御意見を伺っているわけです。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 数字を承知いたしておりませんのであるいはお答えになるかどうかわかりませんが、生産性の上昇の範囲内、それは実質でございまするので、賃金の上昇ということになりまするとやはり名目の賃金の上昇、それはあるデフレーター、物価の上昇、言ってみれば物価の上昇率がそこへ加わりまして、〇・八に対して消費者物価あるいはデフレーターが三%であれば三・八とかいうようなことになるのだというふうに私は理解しております。ちょっと数字を私持っておりませんのでお答えになるかどうかわかりませんけれども、成長率から就業者の増加率を引きましたのが生産性の上昇によって実現できる経済成長である、賃金はその範囲内でなければいけないということは実質の話でございまするので、いまお話の賃上げということになりますと、それにやむを得ざる物価上昇の分というものが加わったものになるのではないかというふうに考えております。  ちょっとお答えになっておるかどうか、私、数字を持っておりませんのでわかりませんけれども、筋道はそうであろうかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 やはり金融政策のかじをとられる総裁としては、日経連のこういう賃金政策を批判すると、真正面から。ぐあい悪いですか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 賃金の上昇が生産性の向上の範囲内であるべきだと私は考えております。それがインフレをもたらさないゆえんであろうというふうに考えておりまするので、日経連の私ちょっとまだそこをよく読んでおりませんのでお答えになるかどうかわかりませんけれども、基本的な考え方としては就業者の増加分を引いた残りの生産性上昇の範囲内に賃金上昇というものはおさめられるべきものであるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ですから、そうしますといま私がお話ししたような、非常に消費者物価の上昇率ともはるかに懸絶したような賃上げ率になってしまう。それでもなおかつ内需の拡大とか景気の浮揚なんということが可能だと思われますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 先ほど私が申しました実質と、それから実際の賃上げというものは、それに不可避なデフレーターと申しますかインフレ率と申しますか、そういうものが足されたものが名目の賃金上昇ということになる。それが春闘で幾らとかいうような話は皆そこから出ておるのだというふうに考えます。  さらに私、賃上げについて申しますと、その賃金というものは、そのときの経済状況あるいは企業の収益状況に基づいて労使双方の間で自主的に決めるべきものであろうというふうに思います。人為的にそれを上げれば景気の回復が期待できるかどうかという点になりますると、必ずしもそうとばかりも言えない場合が多いのではないかというふうに思います。人為的に上げた結果、企業の収益が悪くなるということにおりますると、あるいは企業の設備投資が進まないということになり得るわけでございます。その人為的に賃金が上がった結果、コストが上がるということになりますと、全体の物価の上昇ということに響いてまいりまして、全体の経済の着実な景気回復ということにあるいは支障があるという場合もあり得るというふうに考えます。  そういう意味から、生産性の上昇の範囲内にとどめるべきだというのは、原則的にはそういうことではないかというふうに考えておりますし、しかし基本的には、そういうふうな経済状況あるいは企業の収益状況を踏まえました労使双方の自主的な節度ある話し合いによって決まるべきものではないかというふうに考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 総裁、経企庁からやっぱり資料をいただいたんですが、たとえば五十年からの個人消費をずっと見てみましても、昨年は大変下がっております。昨年のたとえば一月から十一月までの統計を見ましても、消費支出なんていうのは十一月を除きまして実質的にすべて四%前後、十月は五%以上も下がっておるんですね。こういうような状態で消費の拡大であるとかなんとかいうようなことは、ちょっと達成はとうてい困難だと思いますが、これは一般世帯ですが、勤労者世帯でもやはり十一月以外は一月から全部下がっております。こういう点どうお考えになりますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 可処分所得、しかも実質的な可処分所得というものが、たとえば可処分所得でございまするから、税金あるいは社会保険料、実質と申しますから消費者物価を引いて考えますると、それがマイナスになる。その結果、消費に悪い影響があるということは、昨年の消費が思ったほど伸びなかったことの一つの原因であったというふうに思います。ただそれは、その名目所得がただ上がればいいというわけではなくて、可処分所得でございますから、租税あるいは社会保険料、またさらに言えば、消費者物価が安定するということによって初めてその実質可処分所得がプラスになるわけでございまするので、そういうことが実現できてまいりますれば、つまり消費者物価が安定するということがその一つの要素であろうというふうに思います。そういうことから、実質的な可処分所得がプラスになればこれが消費にいい影響があるだろうというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大変満足しないんですけれども、まあ余り日銀総裁ばかりお尋ねするわけにいきませんので、どうぞもう結構ですから。また、さらの機会に……。ありがとうございました。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 前川参考人には、お忙しいところを御出席いただきましてありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 消防総監御苦労さまです。  先般のホテル・ニュージャパンの火災事故ですね。これはまあ一般の見るところ、ホテル側の防火体制の不備による人災であるというふうに見ておるようであります。私どももそういう感じがするのですが、総監はどういうふうに見ておられますか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 今回のホテル・ニュージャパンの火災に際しましては、三十二名の犠牲者を出したということはまことに残念でございます。私は火災現場において消火活動、救助活動を指揮しておりましたけれども、建物構造が非常に粗雑な構造である、さらに消防設備の不備、それに加えて従業員の通報、初期消火、避難誘導というような点が不適当であったということで人災というふうに思われます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ホテル側の防火体制の不備の中には、消防法に違反する違法なものと、違法性はないが不適当なものと両方あるようですね。まあ、できれば全部を網羅すると時間がかかるでしょうが、その主要なものについてちょっと挙げてくださいますか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 法令違反のものとしては、上階への延焼の経路となったパイプシャフト等の防火区画の不備、防火戸の閉鎖装置機能不良、スプリンクラー設備の未設置、それから屋内消火栓設備等の非常電源が未設置、それから避難訓練が未実施であった。さらにカーテン、じゅうたん類等の防炎が未処理であったと、これが法令違反でございますけれども、違法性はございませんが、不適当と思われるものとしては、配管貫通部埋め戻しの不完全、非常放送設備の操作不適、各室の隔壁の構造の不適、さらに自動火災報知設備の館内警報ベルの操作を従業員が知らなかった。屋内消火栓の操作が不適であった。消防計画が出されておりましたけれども、実効性が担保されていなかったというような点が挙げられると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そのいまの点は多少技術的なテクニカルタームがありますから聞き取れない面もあるんですが、後で一覧表にして出してくださいますか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) はい。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ、そういう違法行為については東京消防庁としては事前に認識しておられたんでしょうか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 上階への延焼経路となったパイプシャフト等の防火区画が不備であったということ、それから非常放送設備の操作が不適当であった、あるいは自動火災報知設備の館内警報ベルの操作がわからなかったというようなこと以外のものは査察時に指摘をして、私どもとしても認識をしておりました。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その是正のためにはどのような措置を講じられましたか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 立入検査の結果、不備の事項に対しましては改修報告書の提出を指示いたしましたし、さらにスプリンクラーの設備については四回にわたって指導書を交付をし、さらに所轄署長及び本庁査察課長が直接オーナーに面会の上に指示をいたしました。さらに、昭和五十六年の九月十一日には、消防法第十七条の四に基づく措置命令等をいたしました。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 四回にわたって指示をしたという点で大体推測はできるんですが、あなた方のそういう是正措置に対するホテル側の対応ですね、どんなものだったんでしょうか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) ホテル側といたしましては、昭和五十四年の三月の末日、これは消防法のスプリンクラー等に対する既存遡及の期限でございますけれども、その以前に四階と七階の部分についてはスプリンクラー設備と同等の効果のある区画を完了いたしました。さらに、昭和五十四年七月、地下二階から三階までにスプリンクラー設備の縦管とポンプの設置をいたしました。さらに、昭和五十六年十一月末から一、二階の一部にスプリンクラーの設備を設置いたしましたし、二階の部分についてはスプリンクラーを緩和するための区画というようなものも措置を完了いたしました。そういうようなことで、昭和五十六年の十二月末現在で、スプリンクラー設備設置に係る改修率は一八・五%ということでございまして、改修工事の進捗ははかばかしくなかつたと思われます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ホテル側の対応が非常に鈍かったようですが、その鈍いものに対してやはり消防行政というのがあるわけですが、その鈍さに対してはどういう措置をおとりになったんでしょうか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) ただいまも御答弁申し上げましたように、昭和四十九年に消防法が改正になって既存遡及が行われたわけでございますけれども、その後、査察、検査等を通じて具体的な指導をいたしました。結果、立入検査を九回、さらに先ほど申し上げました指導書の交付四回、昨年の八月には、所轄消防署長と査察課長が横井社長に会談をし改修方を強力に申し入れましたし、九月の十一日に是正命令書を社長あて交付いたしました。そして、行政命令を出した後においても七回にわたって責任者と折衝をし、是正方の努力を続けていたものでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 結果論になりますが、ホテル側のそうした違法措置が是正されていましたら、たとえばスプリンクラーが完備されていたとしますと、ああいう惨事は防ぎ得たと見ていいんでしょうね。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 建築構造が適正でありスプリンクラーが設備されておった場合には、あのような惨事にはならなかったというふうに考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこで、被害者からは、私はあなたに申し上げるのは非常につらいけれども、あなた方の措置がなまぬるかったということで国家賠償法による訴訟が提起される可能性は当然あると、ことにホテル側が非常に他に債務が巨額なものがあって損害賠償を完全に果たし得ないということになると、一層その可能性が強いと思うが、その点は予期しておられますか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 私どもは立入検査、さらには指導というようなことで十分尽くしたつもりでございますし、それが十分にいかないということで是正命令をかけたというようなことでございまして、そういう問題にはならないというふうに私は考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 しかし、たとえばスプリンクラーがまだ完備されていなかったあの火災が生じた九階、十階、あれの部分的な使用禁止の命令というのが消防法五条で可能なんですよね。だから、やろうと思えばできるわけで、そういう点を指摘されたらちょっとお困りになるんじゃないですか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 焼け跡を使用するということでございますか。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、火災の前に使用禁止にしておったらどうだったかということです。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 私どもは、先ほど申し上げましたけれども、指導をする、部分的に改修が行われる、さらに指導をする、部分的に改修が行われるというようなことでございまして、向こうにもある程度の誠意があるというふうに考えておりましたから、その時点で使用停止命令をかけるというようなことは考えておりませんでした。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは規定の体裁は裁量行為になっているんですね、することができるという。薬事法の場合でも、裁判所はスモン以下全部、薬事法の規定でも裁量行為になっているけれども、しかし公衆の生命や健康を守る必要がある場合には、そういったとえば製造を禁止しなさい、販売を禁止しなさいと、それはこの国家の義務なんだというふうな解釈をとっているのですね。そういうことを考えると、ああいう場合に、火災が起きたらもう当然大変な混乱を来して生命に危険が及ぶということは、あなた方としては当然予測できることで、だったら五条の規定を活用して、スプリンクラーをつけるまでは、そのほかの違法措置を是正するまでは九階と十階は使用しちゃいけぬと、使用まかりならぬという命令は当然やっぱりすべきだったという意見も出てきますよ。どうですか。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) そういうふうにも考えられるかと思いますけれども、現実の問題として、部分的に設備がないというような状態の中で防火管理、従業員のそれぞれの持ち分——通報、避難誘導、そういうような防火管理体制を強化することによれば、ある程度のカバーができるというふうに私どもは考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 今回のような火災事故を二度と起こさせないという決意あるいは方針があったら聞かせてください。

曽根晃平東京消防庁消防総監

○参考人(曽根晃平君) 今回の事故ははなはだ遺憾でございます。私どもとしては、消防行政というのは火災予防、さらに消火、救助という一貫した行政を行うのが消防行政でございまして、予防がうまくいかなければ、そのままわれわれが火災現場において大変な消火活動、救助活動をしなきゃいけないということは十分認識をしているわけでございまして、予防行政についても、いままで厳正に執行してきたつもりでございますけれども、今回の事故にかんがみましていろいろと御批判がございますことにつきましては、率直にこれを受けとめまして、今後こういう事故を起こさないように、全庁員心を新たにして努力しようというふうに考えております。  方針といたしましては、査察の強化等によりまして、もし、悪質な対象物については厳正な態度で臨む。さらに、建物のオーナーの防火意識の向上、防火管理者の意識の向上、あるいは従業員の訓練というようなものに尽くしたいと思いますし、一方では建築というようなものとの関連を考えますと、ああいう事故の内容というものを建築行政庁、あるいはホテルを担当する行政庁ともよく連絡をとりながら、内容を十分認識してもらうという努力を続けたいというふうに考えます。  なお、国民の皆様につきましては、防災意識の向上というようなことについて努めてまいりたいというふうに考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 消防総監、御苦労さんでした。大体終わりました。ありがとうございました。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 曽根参考人には、お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 消防庁長官おられますか。——ちょっとお尋ねしたいんですが、消防行政全般がどうも消火活動あるいは消火のための資材、機材の整備というようなことに追われて、予防の面について少しいままで弱かったんじゃないかという印象を持ちますが、どうでしょうか。

石見隆三消防庁長官

○政府委員(石見隆三君) ただいま曽根総監が御答弁を申し上げましたように、火災を出さないということが非常に重要なことであります。  御案内のとおり、消防におきます予防行政は、戦後自治体消防が発足いたしますと同時に、消防行政の中で本格的に取り組むことになりました行政の一つでございます。とりわけ最近におきましては、都市におきます建築物の高層化、あるいはまた地下街の増加、さらにはまた石油を初めといたしましての各種の危険物の蓄積など、いろんな危険な要素があるわけであります。今後、私どもといたしましては消防行政、とりわけ、警防行政ももとより重要でございますが、予防行政はそれにも増して重要な仕事であるというふうに強く認識をいたしておるところでございます。各消防機関におきましても、それぞれ限られました人員、あるいは限られました予算の中で鋭意努力はいたしておると存じますけれども、今回のホテル・ニュージャパンの火災を契機といたしまして、さらに予防行政の徹底を図ってまいりたいというふうに存じておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 火災が発生した場合、消防の協力を求めなくても、もう自家消防でこれを即座に抑えてしまう、まあ先ほどスプリンクラーの話が出ましたが、あるいは防火壁の話も出ましたが、そういう点の予防行政がいままで少しぬるかったんじゃないか。いまお話ししましたけれども、たとえば十七条の四であるとか、告発であるとか、あるいは氏名の公表であるとか、あるいは五条の使用禁止であるとか、そういうすべての消防が持っている権限というものをやはり効果的に使う、そして人命を守るというような点の考慮、そういうものが少し欠けておったんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。

石見隆三消防庁長官

○政府委員(石見隆三君) 消防につきましては、火災を出さないということがきわめて重要でございますことは申し上げるまでもないところでございまして、私ども、初期消火、とりわけ民間の、国民の皆様方におかれましての各家庭の初期消火ということはきわめて重要なことだと存じております。したがいまして、私どもといたしましては、従来からも消防機関の充実、強化とあわせまして、地域ぐるみの防災組織の育成あるいはまた婦人防火組織の強化ということにつきましてもいろいろ努力をいたしてまいっておるところでございます。と同時に、ただいまお示しにございましたように、消防法十七条の四の活用と申しますか、が若干手ぬるいんではないかという御批判があろうかと存じております。今回のホテル・ニュージャパンの火災の経過を見ましても、ただいま曽根総監が御答弁申し上げましたように、五十二年以降四回の指導警告書を発し、そして年二回の予防査察を行い、いろいろと手は打ってきたわけでありますが、なかなか最終的には目的を達しておりませんことは事実であります。最終的には去年の九月に、法に基づきます措置命令を発したわけであります。私ども今後このようないわゆる悪質など申しますか、違法な防火対象物につきましては、ちゅうちょすることなく法に基づきます措置命令、あるいはまた公表、告発というような一連の法律上の手続をとります……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 第五条は。

石見隆三消防庁長官

○政府委員(石見隆三君) 五条も同じでございます。ただ五条、ちょっと答弁を後ほど申し上げますが、いままでもそのようなことを強く指導してまいったわけであります。今回の火災を契機といたしまして、さらにこのような悪質なものに対しましてはちゅうちょなく措置をとるように、あわせて指導を強めてまいっておるところであります。  なお、五条の使用停止という条文があるわけでございます。五条につきましては、条文にもございますように、現地の消防長あるいは消防署長が防火対象物の位置でございますとか構造あるいは設備の状況につきまして、条文では火災の予防上必要であり、または火災が発生したならば人命に危険があると認めた場合に発動できるという条文になっております。今回東京消防庁におきましては、先ほど答弁がございましたようにスプリンクラーの未設置という事実に着目をいたしまして、これを設置させようと、そして防火の目的をまず第一段達せようというところに非常に力を入れておったことは事実でございまして、そういう意味での努力を重ねてまいったと思うのでございます。またこれが一つの行政手続として踏むことが適当であろうという判断に立ったと思っております。しかし、結果的にはあのような事故が発生いたしましたことは事実であります。結果から申しますれば、やはり消防機関のこのような措置が余りにも時間がかかり過ぎた、あるいはぬるかったではないかという御批判は厳しく受けとめなければならぬだろうというふうに私ども理解をいたしております。と同時に、この五条につきまして、いま申しましたような条文でございますので、この条文が制定されまして以来、この条文を発動する場合には一般的、抽象的な火災の危険性では足らないのであって、差しかかった具体的な火災危険性が存在する場合に発動できるという解釈になっておるわけであります。したがいまして、このような条文のあり方からいたしまして、今後この五条の運用につきましては十分研究をいたしまして、発動すべきものは当然発動すべきである、ちゅうちょする必要はないというふうに私ども考えておりまして、この点につきましても今後検討を重ね、消防機関の指導に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次は法務大臣にお伺いしますが、五十七年の二月十二日、法務省の法務総合研究所で横浜法務合同庁舎の建築請負工事に関する競争入札が行われたことは間違いないと思いますが、いかがでしょう。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その指名競争入札は十四時に開始をされまして、十四時四十分に終了したようでありますが、この事実は間違いございませんね。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) そのとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どこの建設会社がその工事を落札したでしょうか。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) 清水建設と五洋建設の共同企業体でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 落札価格は十三億三千万円であったようですが、間違いないでしょうな。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) そのとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この入札に参加しました共同企業体、これは全部で幾つありましたか。できたらその名前を挙げていただきたいと思いますが。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) この工事につきましては、第一グループに二十社、それから第二グループに二十社を選定いたしまして、その二十社と二十社、それぞれ一社ずつの共同企業体を組んだわけでございます。  第一グループの会社名から順次申し上げます。  第一グループは、株式会社浅沼組、株式会社大林組、株式会社奥村組、鹿島建設株式会社、株式会社熊谷組、株式会社鴻池組、清水建設株式会社、住友建設株式会社、大成建設株式会社、株式会社竹中工務店、東海興業株式会社、東急建設株式会社、戸田建設株式会社、飛島建設株式会社、西松建設株式会社、株式会社間組、フジタ工業株式会社、前田建設工業株式会社、株式会社三井建設、株式会社銭高組、これが第一グループでございます。  第二グループ。株式会社は省略さしていただきます。青木建設、安藤建設、大木建設、大本組、小田急建設、それから西武建設、太平工業、多田建設、地崎工業、鉄建建設、中野組、日産建設、日本国土開発、松井建設、松村組、馬淵建設、三菱建設、村本建設、五洋建設、大日本土木、以上でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私は、この入札に関して事前に業者間に談合が行われて、清水建設株式会社と五洋建設株式会社の共同企業体が落札することが業者間で決定していた事実を把握しておりました。そしてそれが間違いない事実であることを立証するための手段として、入札の行われる二時間二十分前、当日の十一時四十分にそのことを書きまして、これを書留速達郵便で坂田大臣にお知らせをいたしましたのですが、大臣、その私の書簡をお読みになりましたか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) お答えいたします。  十二日に先生お出しになったわけでございますが、受け取りましたのは十三日の土曜日でございますね。午前中に受け取りまして読みました。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 落札した業者が私が事前にお知らせをした業者とぴたりと一致しておることにつきまして、大臣はどういうようにお感じになりましたでしょうか、大臣の御所感をお伺いいたします。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) お答えいたします。  そういうこともあるかなあというふうに思ったのでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そういうのんきなお答えでは困るんですが、つまり私は大臣に、この請負工事については「きびしい世論にもかかわらず依然として、業者間に談合が行われ、左記業者がその建築工事を請負うことが決定しておるということであります。若し、事実とすれば、黙視し得ぬことでありますのでその情報の真偽を確認するため、この旨を、入札日時前の本日午前中に、貴職にご連絡申し上げることといたしました」という趣旨の書簡を出したんですね。ですから、そういうこともあるかなというようなのんびりしたことでなくして、そういう談合が行われたんじゃないかという、当然その疑惑——私のような者がなぜ清水建設と五洋建設が落札するというようなことがわかるでしょうか。それは、談合がなければ当然あり得ないことなんです。偶然の一致なんということはこういう場合に考えられませんよ。いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) というわけでございまして、官房長に直ちに事実関係を調査するように命じた次第でございます。ただいま調査いたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうしますと、大臣といたしましてもこのことが容易ならぬことだということは御理解いただいたんでしょうね。いかがでしょう。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) これがやはり事実だとするならば、遺憾なことだというふうに思います。したがいまして、事実の有無につきまして、ただいま調査をいたさせておる次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣は、私をして言わしむれば談合の事実が明らかであると思いますけれども、こういう入札結果を現在承認して、清水と五洋の共同企業体にこの工事を請け負わせる御意思があるんでしょうか、それともこの工事の発注を見合わして、あるいはこれを再入札に付するというだけの御決意までおありなんでしょうか。その点いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま契約は凍結中でございます。事実を調査いたしました結果に基づきまして判断をいたしたい、かように思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私は、これはどうしても再入札に付していただきたいと思います。と申しますのは、こういう談合の事実が明らかであっても、業者がこれを自白する、業者にそのことを自白しろと言っても、これは無理です。これは警察官の人権じゅうりん事件で警察官が自白しない、あるいは不当労働行為をした使用者が、その不当労働行為の事実を認めるということはあり得ないのと一緒であります。ですから、お調べになりましても、業者がいたしましたと頭を下げて自白することを期待することはできません。客観的に私のような門外漢が清水と五洋が落札することは間違いないという事実を知っただけでも、これは談合がなかりせばそういうことは考えられないのでありますから、これを承認すれば指名競争入札は有名無実のものとなります。随意契約と指名競争入札とは実質的に異ならないということになるわけであります。私は予定価格が幾らであったということも知っております。しかし、これをあえてお尋ねしないのは、やはり再入札に付するという法務当局の良識にまちたいからであります。この点、官房長いかがでしょうか。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) 何しろまだ調査を始めたばかりでございますので、関係者から事情を聞くなり、あるいは関係資料を検討するということを検討いたしまして、その結果によって適切なる対処をいたしたいと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、私は最初は予定価格が漏れたんじゃないだろうか。というのは、いろんなことを総合して考えたのですが、しかしまあ法務省の方々は、私も法務関係に携わっておりましたので、行政官の中では最も廉潔であると、最も国民的な信頼を得ておる方々であることをよく知っておりますので、まあそういうことは万々なかるまいと思っておったわけであります。その点、官房長いかがでしょうか。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) まあ私どもといたしましても、この入札の場合に談合等を防止するにつきましては、私どものサイドからできるだけの対策をとってきたわけでございます。  たとえて申し上げますならば、指名業者の選定につきましては客観的な基準を設けまして、厳正公正に選定をする、あるいは参加業者の数もできるだけ多くして自由な競争にまつ、あるいはいまお話しの予定価格でございますが、これにつきましても、ごく少数の限られた幹部しかこれを知り得ないというシステムをとっておりますので、外へ漏れるというようなことは絶対になかろうかと思っております。  また、現実の入札を行います場合にも入札の事前の説明会等におきまして、業者を集めまして、その席上で談合、その他不正な行為は絶対に行わないようにということを繰り返し注意をいたしておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、お尋ねしにくいことであるけれども、法務省官房会計課などのOBで、この清水建設を初め建設業者にいわゆる天下っておる人、こういう者はありませんか。その点、お調べになりましたか。

筧榮一法務大臣官房長

○政府委員(筧榮一君) お示しのような事実は一人もございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 建設大臣にお伺いしますが、私ども建設業界の中に若干の友人もおるわけで、親戚も、いまはおりませんが、おったわけでありますが、談合というのは、これはもう常識だと、談合のない工事なんぞはないというようなことを公言する者もおるわけなんですね。あなたはこういう現実をどういうふうに受けとめていらっしゃるのでしょうか。また、これに対してどのように今後対処していかれるお気持ちでしょうか。  というのは、私どもの考え方では、談合をなくして本当に指名競争入札の実を上げれば、官公需の工事、これは約二十兆円を超えると言われておりますが、少なくもその一割程度の節約は可能ではないかと考えるわけです。こういう点は、建設大臣としてはどういうお気持ちで臨んでおられるんでしょうか。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) お答えを申し上げます。  この談合というものは、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、競争入札制度の趣旨を根本的に没却するものでございますから、われわれといたしましては、こういう程度の談合はよろしいんだというふうなことは全然考えておりません。すべての談合、いわゆる談合は好ましくない、また不当なものである、こういうふうに考えておりますが、ただ、談合も態様によりまして、場合によりまして談合罪の適用になることもございますし、また私的独占の禁止——競争制限の排除に関する法律、ああいう法律の適用を受けることもございますが、いまお話がございましたとおり、発注官庁は、これはそういう強制捜査の権限もないわけでございますので、いま御指摘になりましたように、たとえば、そういううわさがあればその業者を競争指名の中から除くとかなんとかというようなことも考えられる方法ではなかろうかと思います。  いま御指摘のように、談合は当然だ、これがないと業界が混乱するとか、そういう考え方がございまして、こういう風潮を排除いたしませんと、せっかく非常に多額の、何十兆という国家の資金を出して公共事業を進めるわけでございますが、これは建設業者が勝手に分けているじゃないかというような非難も受けるわけでございまして、公共事業の推進の上でも非常に困ることでございますので、私どもは、いろいろな方法をあわせ講じまして談合というものに対するまず考え方を変えて、それから、われわれの方は行政機関ですが、いわゆる司法的な機関の発動にまつべきところはまって、全体としてこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま中央建設業審議会ですか、中建審、これに諮問をしていらっしゃるようですね。これが入札の経過を全部公表しろというような意見に傾いておるというようなこともちょっと新聞紙上で見たのですけれども、これはいつごろまでに答申が出るんでしょう、これをお伺いしたいんですが。

始関伊平自由民主党建設大臣

○国務大臣(始関伊平君) いま中央建設業審議会にいろいろ諮問いたしておりますが、この審議会が取り上げました検討事項の一つに、ただいま御指摘の入札の経過と結果を公表したらいいことの可否という問題が入っておるわけでございます。どうも、何か人に見えないところで何をやっているのかわからぬということがあるわけでございますから、これをガラス張りにいたしまして、十の請負業者があれば、Aという業者は第一回目には幾らで入れた、二回目は幾ら、三回目は幾らだということをすべて公表することが入札制度を明朗にする非常にいい方法じゃないかということでございまして、四月ごろまでに答申してもらいまして、建設省の気持ちとしてはなるべく早くこれを実施に移したい、このように考えておる次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 防衛施設庁長官にお尋ねしますが、これは衆議院の段階でもあなた方に厳しい質問がたくさんあったようですね。これは、米軍の高層住宅に関して防衛施設庁の技官が天下ったみやげとしてその工事を持っていって請け負わした。これは菅原竹雄さんという方ですか、防衛施設庁前技術審議官、これは結局辞職をなさったようですが、横須賀の米海軍基地の軍人用高層住宅、この工事も現在は凍結しておられるようですが、どうするおつもりか、ちょっとお伺いします。

吉野実防衛施設庁長官

○政府委員(吉野実君) 先生御指摘のとおり、本件につきましては、いま、一月二十二日に入札が終わった後、契約を留保しております。本件工事の入札に関しましては、疑惑があるというそういう報道がありましたので、そういう事項について、いま横浜防衛施設局において調査を実施しているところでございます。調査の結果を待って適正に対処したいと考えております。結論の時期につきましては、たとえば外部の調査、外部の人たちにいろいろ聞き込みをやらなければいかぬのですけれども、そろそろいまから手をつけるということでございまして、調査の結果を待って適正に対処をしたいと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこで総理にお伺いしますが、総理は、この問題について衆議院では中建審の答申を待って考えたいとおっしゃったでしょう。しかし、建設大臣のいまの御答弁では、四月ごろに答申が出るように努力したいとおっしゃっていますね。しかし、その間、いま私がお話ししましたように、官公需の建設工事がことごとく疑惑がある、そういう入札結果になっておるわけです。私が事前に察知するというようなことは、談合なくしては考えられないわけですよ。偶然の一致なんということはちょっと考えられないでしょう、だれが指名請負入札に参加しておるかということさえも私は知らなかったんですから。しかし、落札業者がこれだということを私が知り得て、そうしたらそのとおりになった。そういう談合が、総理が中建審の答申を待つと言っている間しんしんとして行われているわけですね。もうちょっとやはり総理御自身のイニシアチブなりお考えで御処置なさることができないでしょうか。また、調査をするといっても、建設業者が自白することは期待できないんですよ。だから、自白しなければだめだというようなことではこの問題はなくなりませんよ。いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 公共工事をめぐりまして、いろいろな疑惑をこうむるような事件が起こっておりますことは、まことに遺憾にたえないところでございます。建設業界に対しましては、建設大臣が今日までいろいろ指導をしてきたところでございますが、最近そういう事件が多発をしておるという状況にかんがみまして、指導を徹底をするということで建設省はいまその点に努力をいたしておるところでございます。  中央建設業審議会の答申を待って抜本的な入札制度の改正をしなければならぬと考えておりますが、それが出る前におきましても、建設大臣の指導、監督、監視を徹底強化するということで対処していきたい、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私は、総理の御誠意を凝るわけではありませんけれども、二つのことをお考えいただきたいと思うんです。  一つは、いやしくも疑惑のある入札結果、これはもう絶対に認めない、もう一遍やり直させるというかたい決意、そういう決意で御指導をお願いしたいということが一つ。もう一つは、やはり官公需を請け負う、そういう建設工事を請け負う業者からは、政治家たる者、あるいは閣僚は、閣僚在任中は少なくも献金その他の名義をもってするいかなる金銭的な贈与も受けないというぐらいな決意を持っていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点の問題につきましては、先ほど法務省関係あるいは防衛庁、施設庁関係のことにつきまして疑惑を持たれておるという点からいたしまして、いま厳正な調査を進めておるその間におきましては工事の執行をとめておると、こういうような措置をとっておりまして、調査の結果によってその取り扱いを決めたいと、こういうことをやっておるという先ほど来御報告がありましたが、私は適切な措置であると、こう考えております。  それから、いまの政治献金につきましては、当該選挙に関しましてはこれは受けてはならないと、こうなっておりますが、一般的には政治資金規正法で認められております。おりますが、寺田さん御指摘のように、閣僚その他重要な立場にある者は自粛をするように私から指導してまいりたいと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっとくどいようで恐縮なんですが、総理、あなたの御誠意はわかりますけれども、調査をした場合に、業者がガードをかたくしてその談合の事実を否定するということは、私どもうぬぼれておるようですけれども、こういう事件関係を何十年も扱ってきた者としては当然予想されることで、自白を期待するということはできないんですよ。これは裁判でも皆そうです。だから厳正な調査というものが、何か自白をすればこれはやめさせようと、しかし自白がなければ、たとえ疑惑があってもやはりその入札の結果を維持するんだということでは、これはこの積年の弊害というのはとうてい改まらないと思うんですよ。その点をお考えいただきたいということなんです。重ねて御答弁願えますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 寺田さんが先ほど御指摘になったような事案は、客観的にこれはどうも納得できないような事態である、こういう結果が出るのではないかと、こう思います。恐らく寺田さんが取り上げる以上は、相当具体的、客観的な事実等を踏まえての御指摘であろうかと、こう思いますから、そういうものは、私は、今後調査が進むに従ってそれこそ適切な措置がとられるものというぐあいに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まだまだこの問題、資料がたくさんありますが、あす若干まだ質問の時間があるようですからきょうはこの程度にしまして、放射性廃棄物の処理の問題をお尋ねしたいと思うんです。  これは科技庁長官なり通産大臣、どちらでも結構ですが、五十一年の十月八日、原子力委員会は放射性廃棄物対策を策定しましたね。これによると、高レベルの廃棄物は三年ないし五年内に処分方法の方向づけを行うとされておりますが、これはどのように定められたんでしょうか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(赤羽信久君) 放射性廃棄物には高レベルのものと低レベルのものとございますが、お尋ねの高レベルのものにつきましては使用済み燃料を再処理した後に出てまいるものでございます。その再処理の結果出てきました高レベルの廃棄物につきましては、放射能が非常に高うございますので、そのまま最終処分をするというのはすぐ向きません。ある時間置いて十分冷却さした後処分するということでございます。  ただいま御指摘の三−五年のうちというのはその方針を決めるということでございまして、現在、その処理方法、それからその後の冷やし方の方法につきまして詳しい検討がされているところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 要領を得ないような答弁でちょっと閉口するが、低レベルの放射性廃棄物については処理技術が確立されているので「処理に関する基準を早急に作成する必要がある。」と、こういうふうにうたわれておりますね、このいまの放射性廃棄物対策には。これはどのような基準がすでに策定されたのか、ちょっと説明してください。

小松国男資源エネルギー庁長官

○政府委員(小松国男君) 先生御指摘の低レベルの放射性廃棄物でございますが、これは一般的に原子力発電所を運転した際に出るいわゆる使用済み燃料以外のものが主体でございまして、これにつきましては、方向といたしましては五十一年の原子力委員会の決定に基づきまして陸地処分と海洋処分をあわせ行うということになっております。  その中で特に、通産省といたしましては、陸地処分、これを実施するのが非常に手っ取り早いわけでございますし、現在は、実際に動かしております原子力発電所につきましては発電所の敷地内にそれを貯蔵しておるというのが現状でございますが、今後の方針といたしまして、まず敷地外にそういう施設をつくりまして貯蔵するというのが一つの方法でございます。それからもう一つは、陸地処分といたしましては、地中処分ということで地下に一部を処分、これはかなり永久的な意味も含めまして処分をする。この二つの方針を決めまして、現在それについて必要な実験、実証、その他の措置をとっておるわけでございますけれども、すでに陸上の施設に貯蔵するということは現在も発電所で行われておりますし、それについての安全性は十分立証されている段階でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 研究炉等の共同処理体制の整備を図るということもうたわれておりますが、これはどんなふうに整備されましたか。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(赤羽信久君) これは廃棄物の問題とはまた別に、炉が耐用年数が来ました後にその炉をどう処理するかという問題かと存じますが、まだすぐ耐用年数が来るものがあるわけでございませんが、原子力研究所の研究炉等につきましては徐々に要らなくなるものが出てまいりまして、その処分の方針を確立すると、そういう意味でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何かこう抽象的な原則だけ述べているので、どういう体制ができたかというようなことをもっと詳しく説明していただかなきゃいかぬ。  まあ時間がないから進むと、低レベルの放射性廃棄物の処理は海洋処分と陸地処分と二つあるということ、これはあなたも言われたけれども、この海洋処分というのは現在、近い将来これに着手する見込みがあるのかどうか。現実はどうなっているのか。これは大臣御承知でしょうから、ちょっと御説明いただきたいです。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) 先ほど御指摘のように陸地処分と海洋処分がありますが、海洋処分については国際機関等の基準あるいは監査に従って南太平洋と日本の間の深海に処分してはいかがかと、こういう試験投棄をやりたいという考えを持って、いまそれぞれ関係国あるいは国内の水産業者に話し合いをしていると、こういう段階でございまして、とりあえずは試験投棄、こういうことでやっていきたい。国際的基準というのは、深さが四千メートル以上だとか、火山活動がないとか、あるいは海流が余り動かないとかいうようなことでありまして、安全なものではあるけれどもより安全な地帯に投げるように、こういう基準があって、それに基づいてやっておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その海洋への試験投棄は、大臣のいま御認識になる範囲で、近い将来現実に行われる見込みがありますかどうかをお伺いしているんです。あなたは、大丈夫である、近い将来行う見込みがあるという、そういう自信をお持ちかどうか、その点をお伺いしています。

中川一郎自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中川一郎君) この問題は関係者の理解と納得が前提でございますので、この点についてこれから最善の努力をしたいということであって、必ずできるというものではなかなかない。なかなかむずかしいけれども最善の努力をしたいと、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ここでちょっとお伺いしたい。  大臣でも担当局長でもいいんですが、あなた方は、この低レベルの放射性廃棄物は海洋処分と陸地処分とどっちにウエートを置いて考えていらっしゃるのか。また、どの程度の割合でやればいいと思っているのか。そういう方針をお持ちなのか、五里霧中なのか。どうもあなた方のやり方を見ていると、正直に言って頼りない感じがするんです。その点をお伺いしたい。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(赤羽信久君) 五十一年の原子力委員会の基本方針におきましても、陸上と海洋処分とをあわせ行うと決められております。そこで詳しくは触れておらないわけでございますが、これは国際的な基準にのっとって海洋処分はしなければなりませんので、国際的な基準、しかも、わが国の場合太平洋という新しい場所でございますから、さらに上乗せをした厳しい基準を適用する。その基準に合うものを海洋投棄したい。それから形が非常にドラム缶に入れにくいとか、あるいは強度が十分に出そうもないとかというものにつきましては、陸上処分も考えるというのがただいまのところの原則でございます。その分量の比率がどのくらいになるかはまだ想像つかないわけでございますが、海洋処分向けの処理技術がだんだん進んできておりますので、海洋処分に適する処理ができるものが半分以上になる可能性もあるかと存じております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あとは、あしたにお願いしたいのですが。

植木光教自由民主党

○委員長(植木光教君) 寺田君の質疑は、本日はこの程度といたします。  明十七日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十九分散会      —————・—————

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