本会議 第25号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/08/04
会議録
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。 議員丸茂重貞君は、去る七月二十三日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞を贈呈することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。 同君に対する弔詞を朗読いたします。 〔総員起立〕 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされさきに大蔵委員長の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました議員従三位勲一等丸茂重貞君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。 —————————————
○議長(徳永正利君) 藤田進君から発言を求められております。この際、発言を許します。藤田進君。 〔藤田進君登壇〕
○藤田進君 本院議員丸茂重貞君は、去る七月二十三日、虎の門病院においてクモ膜下出血のため逝去せられました。 昨年九月、自由民主党参議院議員副会長に再度就任され、党内の輿望を担い、今後の一層の御活躍が期待されておりましたところ、本年二月、病に倒れられました。一日も早くお元気な姿を見せていただきたいという私たちの願いや御家族の必死の御看病もむなしく、ついに幽明境を異にせられたのであります。まことに痛惜哀悼の念にたえません。 私は、ここに、皆様の御同意を得て、議員一同を代表して、従三位勲一等故丸茂重貞君のみたまに対し謹んで哀悼の言葉をささげます。 丸茂君は、大正五年五月、群馬県吾妻郡にお生まれになりました。群馬県立高崎中学を経て、自己の進路決定に当たり、人間最大の不幸は病であり、その克服にこそわが人生をかけるという意気で、昭和九年、東京医学専門学校、現在の東京医科大学でありますが、入学、そして医学への道に進まれることとなりました。 昭和十五年三月卒業、医師免許を取得すると直ちに十月には応召、終戦後の昭和二十一年七月までの六年間、軍医として軍務に服せられ、中国大陸各地を転戦されたのであります。当時の戦友の思い出として語られるのは、「丸茂先生は、常に兵の健康に留意され、兵に接する際、全く階級を意識しない温厚な軍医であった」と回想されているのであります。 戦争の悲惨さと苦しみを身をもって体験された君は、帰省後直ちに郷里群馬県滝川村で内科の開業医としてスタートを切ったのであります。当時は、戦後の混乱期で、今日見るような医療保険制度が完備していない時代であり、所得のない者は容易に医療を受けられない時代でありましたが、君は患者の立場に立った診療を続けられました。地元では今日でも、「丸茂先生には本当にお世話になりました」と語るお年寄りが多いと聞き及んでおります。弱い立場の人にはとことん尽くす、尽くし切らなくては納得しない医師丸茂重貞君の顔がそこにあります。「上州の赤ひげ」とも言われ、情けにもろい、反骨といい、まさにぴったりだと思います。 君は、そのような献身と奉仕の診療活動に限りない情熱を傾けられましたが、同時に、近代医学における一人の医師のヒューマニズムの限界を痛いほど肌に感じておられました。 開業後一年、弱冠三十一歳で郡医師会長に、さらに二年後には県医師会理事に選任されております。長幼序列のある医師の世界で、そのように若くして役職に推されたことは、君の行動力がいかにすぐれ、期待が大きかったかを物語っていると思うのであります。次いで昭和三十二年には、日本医師会の新しい執行部の成立に際し、四十一歳の若さで理事に選任されているのであります。昭和三十年代の医療保険行政は、種々の問題を抱え、まさに混乱期でありました。三十六年には医療費引き上げをめぐって全国保険医の一斉休診、総辞退といった問題が起こっております。当時、君は、この問題の担当理事として事態の収拾に奔走し、特に医師会内部の調整に努力され、その回避に貢献したのであります。 医療問題一筋に取り組んできた君は、その研究を一層幅広く深めるため、同年、同志を糾合して丸茂社会保障研究会を創設し、研さんに努められ、医療が国民皆保険になるに及んで、医療の改革は政治の場によらなければ不可能であると考え、昭和三十七年第六回参議院議員通常選挙に全国区から出馬し、みごと当選され、政界への第一歩を踏み出されたのであります。 君の政治家としての最初の功績は、国民皆保険のもとで医療給付の内容を医学、薬学の進歩に合わせ、速やかに医療保険に取り入れるといういわゆる制限診療の撤廃を果たし、今日の医療保険の給付水準向上の基礎を固めたことであります。以後、昭和四十三年には群馬県地方区から、四十九年、五十五年には再び全国区から立候補し、上位当選を果たしてまいりました。 参議院議員在職は連続四期、二十年余にわたり国会で御活躍されることとなりました。その間の御活躍は目覚ましいものがあり、大蔵政務次官、大蔵委員長、国務大臣環境庁長官を歴任され、党にあっては、政策通として三たび参議院政策審議会長に推され、その後幹事長を経て議員副会長の要職を占められていたのであります。議員としては、十四年余を社会労働委員会に籍を置き、医療を中心とする社会保障の専門家として活躍、自由民主党の政策立案に多大の貢献をされております。 環境庁長官就任に当たっては、「環境行政は科学的基盤に基づいて推進されるべきである」旨を力説し、医学者としてのキャリアを存分に生かされ、OECDにおける国際会議では、環境問題が世界の構成員の協調と連帯によって初めて解決し得ることを訴え、各国代表団に深い感銘を与え、わが国行政の評価を高からしめる上でも大きな役割りを果たされました。 君は、入間性豊かな親切なお人柄であると同時に、些事に拘泥せず、大所高所から意見を述べることが多く、それが的を得たものであったことは、長きにわたって党の要職を歴任されてきたことが物語っていると思います。ことに、参議院議員として党の要職にあった君の政治姿勢について特筆すべきことは、君が常に両院制度における参議院のあるべき姿を模索され、本院の独自性を事に当たって御主張なされていたことであります。 君は、人生の出発を医学に求めましたけれども、全国民に幸福をもたらすことを政治の念願とし、御活躍を続けているまさにそのさなかでありました。さらに、政治家として、自由民主党のすぐれた指導者として、その将来が嘱望されていただけにまことに残念であります。 いまや激動する内外の諸情勢のもとで、わが国はいまだかつて経験したことのない幾多の厳しい試練に直面し、われわれに課せられた責務はいよいよ重大さを加えつつあるのであります。 君は、五十年先を見通していた政治家と言われる後藤新平伯を尊敬していたと聞き及んでおります。また、六年もの長い間、軍医として野戦に出て幾たびも死戦を越えた御経験から、「死んだと思えばいまの自分はもうけものであって、天下にこわいものはない」と、その御心境を漏らされていました。この気概とすぐれた識見こそ、この難局に当たりかけがえのないものでありました。この機に君を失ったことは、御遺族のお悲しみはもとよりのこと、ひとり本院のみにとどまらず、国家、社会のためにも痛恨事であると申さなければなりません。 丸茂重貞君の温厚誠実な人柄と輝かしい業績とをしのび、院を代表して謹んで御冥福をお祈り申し上げ、哀悼の言葉といたします。 —————・—————
○議長(徳永正利君) この際、欠員中の皇室経済会議予備議員一名の選挙を行います。
○高平公友君 皇室経済会議予備議員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
○野田哲君 私は、ただいまの高平君の動議に賛成いたします。
○議長(徳永正利君) 高平君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。 よって、議長は、皇室経済会議予備議員に山内一郎君を指名いたします。 —————・—————
○議長(徳永正利君)日程第一 老人保健法案(第九十四回国会内閣提出、第九十五回国会衆議院送付) 日程第二 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案 日程第三 国民年金法等の一部を改正する法律案 日程第四 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上四案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長目黒今朝次郎君。 ————————————— 〔目黒今朝次郎君登壇、拍手〕
○目黒今朝次郎君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、老人保健法案について申し上げます。 本案の主なる内容は、国民の老後における健康の保持と医療の確保を図るため、市町村は健康手帳の交付、健康診査、医療等の保健事業を、医療については七十歳以上の住民を、その他の保健事業については四十歳以上の住民を対象として総合的に実施すること。その医療を受ける際、医療を受ける者が一部負担金を支払うこととし、保健事業に要する費用について、医療以外の保健事業は国、都道府県、市町村がそれぞれ三分の一ずつの負担を、医療に要する費用については国が二割、都道府県及び市町村がおのおの五%、医療保険各法に定める保険者が七割を拠出し、その保険者の拠出金は、老人医療費の二分の一を七十歳以上加入者の総数を基準として案分調整すること。社会保険診療報酬支払基金の保険者からの拠出金の徴収及び市町村に対する交付金の業務等について規定すること等であります。 委員会におきましては、愛知県、静岡県に対する現地調査、参考人からの意見聴取、内閣、地方行政、文教及び農林水産委員会と連合審査を行うなど慎重な審査が行われました。 委員会における質疑の主なる点は、第一は老人医療費の増大と診療報酬の支払い方式について、第二は老人医療費拠出金の決定方法とその限度について、第三は保健事業の具体的内容と実施体制、要員の確保、施設の整備、第四は老人医療に対する一部負担の導入等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終了し、自由民主党・自由国民会議、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表し、遠藤理事より、第一に、保険者拠出金の加入者案分率は老人人口の増加率を限度とし、法律施行後三年以内を目途に見直すこと、第二に、入院時一部負担金の軽減などを内容とする修正案が提出されました。 次いで、討論に入りましたところ、日本社会党、日本共産党よりそれぞれ原案並びに修正案に反対、自由民主党・自由国民会議、公明党・国民会議及び民社党・国民連合よりそれぞれ原案並びに修正案に賛成する旨の意見が述べられました。 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。 なお、本法律案に対し、老人の心身の特性を踏まえ、診療方針及び診療報酬を改善すること等を内容とする附帯決議が付されております。 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案外二法律案について申し上げます。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案は、戦傷病者戦没者遺族等援護法のほか、関連する四法律を改正しようとするものであり、その主なる内容は、戦傷病者戦没者遺族等に対する障害年金、遺族年金等の額を恩給法に準じて引き上げ、戦没者等の妻に対する特別給付金等の支給範囲の拡大等であります。 国民年金法等の一部を改正する法律案の主なる内容は、厚生金年、船員保険及び拠出制国民年金について、昭和五十七年度において、昭和五十六年度の消費者物価上昇率が五%を超えない場合であっても、特例としてその上昇率に応じた年金額の引き上げを実施するほか、福祉年金、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の額をそれぞれ引き上げること等を内容とするものであります。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案は、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当及び保健手当の額をそれぞれ引き上げるものであります。 委員会におきましては、以上三案を一括議題として審議を進めましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終了し、まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会を代表して、安恒理事より、施行期日の繰り上げについての各派共同修正案が提出され、次いで自由民主党・自由国民会議を代表して、佐々木理事より、戦傷病者戦没者遺族等援護法等による遺族年金等の額の引き上げの施行期日について、本年五月一日、八月一日とあるのを公布の日と改め、それぞれ五月一日、八月一日にさかのぼって適用する旨の修正案が提出されました。 採決の結果、安恒理事提出の修正案は賛成少数で否決され、佐々木理事提出の修正案並びに修正部分を除く原案は多数でそれぞれ可決され、本法律案は修正議決すべきものと決しました。 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案について、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会を代表して、渡部理事より、物価スライド等の実施時期繰り上げについての各派共同修正案が提出され、次いで自由民主党・自由国民会議を代表して、佐々木理事より、拠出年金の年金額の物価スライドの施行期日について、本年七月一日、八月一日とあるのを公布の日と改め、それぞれ七月一日、八月一日にさかのぼって適用する旨の修正案が提出されました。 採決の結果、渡部理事提出の修正案は賛成少数で否決され、佐々木理事提出の修正案並びに修正部分を除く原案は多数でそれぞれ可決され、本法律案は修正議決すべきものと決しました。 最後に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会を代表して、柄谷委員より、施行期日の繰り上げについての各派共同修正案が提出されました。 採決の結果、柄谷委員提出の修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。 なお、以上三法律案に対し、それぞれ附帯決議が付されております。 以上御報告いたします。(拍手) —————————————
○議長(徳永正利君) 老人保健法案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。安恒良一君。 〔安恒良一君登壇、拍手〕
○安恒良一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま社会労働委員長から報告のございました老人保健法案及びその修正案について、そのいずれにも反対をする立場から討論をいたします。 新制度の創設に当たりまして、わが党は三つの基本目標を立てました。 その第一は、成人病、慢性病の予防と治療に確実な効力を持つ制度ということであります。言いかえますと、薬剤依存をやめまして、生活療法を確立し普及する方向であります。 御承知のように、急増いたしますところの成人病のほとんどが、完治することのない長期慢性疾患であります。薬剤依存ではかえって逆効果のケースさえ多く見られるのであります。そこで、環境、食事、運動、休養など日常生活の内容を改善することによって疾病をコントロールすること、すなわち生活療法の確立を目指し、かかりつけの医師及び保健婦等との連携を軸とした一貫性ある包括的なサービスを確保せねばなりません。 生活療法というこの基本目標に向けて欠くことのできないことは、一つには診療報酬の改正であります。すなわち、どちらかと言えば急性疾患に適した現行の点数出来高払い制度を改め、日常的な健康管理や慢性疾患に対する生活指導の評価を基本とした登録人頭払い、または総額請負方式を採用することであります。その第二には、生活療法を支える医学教育の改善、再教育、再研修の充実であります。すなわち、患者を患部でしかとらえない傾向の医学、医術を改め、患者の心身のバランスや体質、さらには生活の全体像をつかむ方向を進める医学教育を確立することであります。 しかし、本案はもとより修正案においてさえ、このような措置は全然とられていないため、たとえば厚生大臣が「老人の特性に適した支払い方式が必要だ」とたび重ねて言明されましても、それを実現する確実な根拠がなく、医学教育の改善に至っては問題意識さえないのではないかと疑わざるを得ません。 新制度の創設に当たり、生活療法に次いで私たちが第二の基本目標としたのは、お年寄りの健康を支える地域の総合的な条件整備について、この際行政の責任の所在を明確にするとともに、これに関連する市町村の権限及び実行力を強化拡大することであります。 現状は、たとえば、がん、脳血管疾患などによる有病率や死亡率が著しく高い地域であっても、その原因を解明する責任、さらにはその対策を講ずる責任は果たしてどこが担うのか全く不明瞭なのであります。そこで、これらの責任を第一次的には市町村が担うことにするとともに、これを実行する権限、施設及びマンパワーの裏づけが必要となってまいります。特に、医師、保健婦、看護婦やリハビリテーションの担い手たちについては、都道府県及び民間施設の職員の参加協力がないと何一つ責任を果たせないというのが現状でありまして、非常に残念な実情であります。 したがって、当該市町村内の保健、医療、福祉、さらに教育、体育等の施設並びにその従事者に対し、市町村が最小限度の協力を求める権限や、あるいはまた当該市町村民を雇用する事業主に対し、保健医療の観点から要請し、さらには勧告もできるような権限がなければなりません。地域中核病院及び保健所の抜本的な強化拡充がこれらの前提となることもまたすでに周知のとおりであります。しかるに、政府は、これらの施策に必要不可欠となる関連法の改正を怠り、とりわけ医療法の改正については、今国会中に提案することをたび重ねて約束しながらも、日本医師会の反発に遭ってついに断念してしまったのであります。 この制度が発足いたしますと、平年度、政府管掌健康保険では百七十億円、組合健保では七百八十億円、共済組合では二百十億円程度と言われる新たな拠出が義務づけられますが、それを主たる財源として行われる市町村の老人保健事業は、政府のこのような手抜きが続く限り、拠出した側の職域から見て、信頼のできる、拠出しがいのある状態には決してなりはしないと言えるのではないでしょうか。 新制度の発足に当たり、私たちが第三の基本目標としたのは、だれもが経済的な不安なく医療が受けられるようにということであります。 現状は、基準看護病院においてさえ一日一万円近くの負担で付き添いを置かなければならない例や、五人部屋、六人部屋などでも一日数千円の差額が取られている例も多いのであります。このような現状のままに、本案は、入院時二カ月間は一日三百円、通院時毎月最初の診療日に四百円という患者負担を新設しているのであります。 これだけでも許しがたいのに、その修正案におきましては、入院時一部負担を、何と労働者保険の本人についてだけ二カ月で一万五千円頭打ちという若干の軽減措置をとり、その家族及び国保加入者たるお年寄りは一万八千円まで目いっぱい徴収するというのであります。格差の是正、不公平の解消は行政改革の基本でなければならないのにもかかわらず、このように逆行した施策を堂々と展開する厚生省の良識を根底から疑わざるを得ないのであります。 本案及び修正案によって、各保険に対する国庫補助金は平年度、現行よりも千八百四十億円の減少が見込まれております。立案の意図はずばりここにあるのではないかと考えるわけであります。つまり政府は、患者及び保険料負担の増大によって国庫支出の軽減と受診の抑制をねらっているのであります。 加えて問題なのは、国民医療費の肥大化対策として本来優先的に講ずべき施策、たとえば生活療法の確立と重複診療の防止、点数出来高払い制度及び薬価制度の抜本的な改革、医師及び医療機関の適正配置と重複投資の防止などについて、一切これを後回しにする口実としてこの国庫負担軽減措置が利用されようとしているのであります。要するに、本案は実効が期待できないばかりか、現在急務となっております医療の改革をさらに遠いところに押しやるという逆効果さえ確実に予想される内容なのであります。 以上がこれに反対する主要な理由でありますが、振り返ってみますと、わが党が、老人保健法案の修正及び関連法の改正に関する方針を立て、政府・自民党に改善を求めたのは五月連休明けでありました。その内容は、支払い方式の見直し、主治医制度の創設、老人保険料の歯どめの設定、医療法の改正、施設及びマンパワーの確保、健康手帳の徹底的な活用、一部負担の解消、退職者継続医療との接続、公費負担医療の優先適用、施行期日の変更、以上の十項目であります。 これに対して政府・自民党が譲歩したのは、委員長の報告にあるとおりわずかなものにすぎず、基本的な事態に何らの変化も期待できません。これで一般国民がどうして納得できるのでしょうか。この際、厳重に抗議をして、私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。 まず、老人保健法案の採決をいたします。 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。 よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び国民年金法等の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。 両案の委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。 両案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。 よって、両案は委員長報告のとおり修正議決されました。 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。 —————・—————
○議長(徳永正利君) 日程第五農業協同組合法の一部を改正する法律案 日程第六 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上両案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長坂元親男君。 ————————————— 〔桑名義治君登壇、拍手〕
○桑名義治君 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本法律案は、最近における自動車に関する技術の進歩及び自動車の整備事業に対する業務運営の改善の要請に対応して、自動車の検査・整備制度の改善を図ろうとするものであり、その主な内容は、自家用乗用車について、新車新規検査に係る自動車検査証の有効期間を三年に延長すること、新車時初回の六カ月点検を廃止すること、陸運局長の点検等の指示と報告の義務づけ、及び報告義務違反者に対し過料を科すること、自動車分解整備事業の認証基準に経理的基礎を加えること等であります。 委員会におきましては、参考人の意見を聴取したほか、公害及び交通安全対策特別委員会との連合審査会を開き熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。 質疑を終了し、小柳理事より、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び新政クラブの五会派共同提案に係る修正案が提出されました。その内容は、点検等の指示に対し報告を義務づける規定及び報告義務違反に過料を科する規定を削除しようとするものであります。 次いで、原案及び修正案を一括して討論に付しましたところ、日本社会党を代表して竹田委員より原案に反対、修正案に賛成、自由民主党・自由国民会議を代表して井上理事より原案に賛成、修正案に反対、公明党・国民会議を代表して黒柳理事、日本共産党を代表して小笠原委員、民社党・国民連合を代表して柳澤委員、新政クラブを代表して田委員より、それぞれ原案に反対、修正案に賛成の旨の意見が述べられました。 次いで、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し、山崎理事より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの五会派共同提案に係る附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 その内容は次のとおりであります。 政府は、本法の施行に当たり、次の事項つき、適切な措置を講ずべきである。 一、法第五十三条の二の規定に基づく点検等の指示の対象については、運用上、不正改造車、違法な行為を行っている白ナンバートラックやダンプカーその他の整備不良車等を中心とするものとし、整備不良車に該当しない一般の自家用乗用車については行政指導にとどめるものとすること。 二、法第五十三条の二の規定に基づく点検等の指示の適用については、本法施行後十分な指導期間をおくこと。 以上御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(徳永正利君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。青木薪次君。 〔青木薪次君登壇、拍手〕
○青木薪次君 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、私は反対の討論を行うものであります。 今回の改正は、最近の自動車技術の進歩やマイカーの増加等の使用形態の変化に対応して、運輸技術審議会の答申に基づき、国民負担の軽減を図るため、自家用乗用自動車について、新車車検期間を三年に延長し、新車の六カ月点検を廃止しようとすることを主な内容とするものでありますが、これは当初、中曽根長官が車検制度の見直しを言明され、国民の拍手で迎えられたときの公約から大幅に後退しており、国民の期待に十分こたえていない不満足なものとなっているのであります。 新車だけでなく、使用車についても車検期間を延長してほしいという国民の要望がいまなお強くあり、今日の自動車技術の発達から見て可能であると思うのでありますが、運輸技術審議会における技術的な検討結果を尊重して不満足ながらも了承するものであります。運輸技術審議会の答申が述べているように、自動車技術の進歩に対応した今後の適時適切な車検制度の見直しをすべきであると思うのであります。さらに、走行距離に応じた車検期間の導入や、西ドイツ等で実施されている整備前検査制度の採用等、車検制度の抜本的な見直しについても今後の検討を見守ってまいります。 以上のように、今回の改正は、不十分ながら一歩前進であると言いたかったのでありますが、法案作成の段階に入って、運輸技術審議会の答申にも触れられていなく、また臨時行政調査会の答申にも述べられていない点検等の指示と報告義務、それに対する違反者に対する十万円の過料の制度が突如として挿入されたことにより、断固として反対せざるを得なくなったのであります。 自動車の定期点検制度は昭和三十八年の改正で導入されることになったのでありますが、ユーザーが自己責任で自主的に実施すべきものであるとして罰則なしで今日まで正常に運用されてきたのであり、今回の改正でもユーザーの自己責任を一層明確にしているのであります。しかるに、法案の作成段階で突如として罰則が導入され、国民の猛反発を受けることになったのであります。臨時行政調査会は異例の抗議声明を出し、マスコミも一斉に政府の態度を非難しており、役人のあさはかな思慮が政治家の好餌となったと比喩しているのであります。国会答弁における政府の答弁は二転三転し、国民を十分に納得させるものでないばかりでなく、その背後に不明朗なものがあったのではないかとの疑念を深めたのであります。何ゆえ罰則の導入に固執するのか理解に苦しむのであります。もとより、定期点検の実施率を高め、車の安全性を確保していくことには異議がありませんが、それは罰則による心理的圧力や強権力の行使で担保されるべきものでなく、あくまでもユーザーの自覚にまつべきものであるからであります。 さらに、中小零細事業者が圧倒的に多い整備業界が、今回の改正に伴って仕事量の減少を招き、苦難に陥るため、その救済策を講じなければならないことは十分承知しておりますが、このため罰則を導入して法定点検整備の増加を図ろうとすることは、その方法と手段を誤っていると言わざるを得ないのであります。整備業界の救済は、構造改善事業の促進、整備振興基金の創設、必要な資金の融資等、別途各種の対策が講じられるべきものであります。整備業界も安易に法定点検整備に依存する体質を改善していくべきであります。 次に、本改正法案の国会審議における政府・自民党の独善的な態度に強く抗議したいのであります。 衆議院の審議では、修正案の提案理由の説明も聴取せず、わが党委員欠席のまま採決が強行され、さらに本会議においてもわが党議員が欠席する中で採決が行われたのであります。参議院の審議におきましても、衆議院の不正常な審議に対する反省を求めたのでありますが、政府・自民党は何ら反省の色を見せることなく、野党各派が一致して要求した修正を拒否し続けてきたのであります。 このような政府・自民党の態度は、衆議院の行き過ぎをチェックするという参議院の本来の機能をみずから放棄し、参議院を衆議院のコピー化するもので、参議院無用論を増長させ、みずから墓穴を掘るものにすぎません。参議院の良識を発揮し、国民の負託にこたえるためにも、政府・自民党は謙虚に、野党各党が共同して要求している点検等の指示に対する報告義務とそれに対する罰則規定を削除する修正に応ずるべきであります。 遺憾ながら、運輸委員会におきましては、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定されましたが、次善の策として、ただいまの運輸委員長報告の中でも述べられました附帯決議を付して、五十三条の二の点検等の指示制度の運用について、一般の自家用乗用車については行政指導にとどめ、過料制度の対象としないことを明確にしたのであります。政府はこの附帯決議の趣旨の周知徹底に努め、善良なユーザーに新たな負担を課することのないよう万全の措置を講ずるよう強く要請しておきます。 最後に、今回の改正により新車車検期間が三年に延長されることにより、自動車重量税等の額が高くなり、ユーザーの一時的な経済的負担が増大することになりますが、国民負担の軽減を図るという今回の改正の趣旨にかんがみ、改正法施行までの間に、金利相当分を差し引いた税額とする等の負担是正措置がとられるよう強く要望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(徳永正利君) 黒柳明君。 〔黒柳明君登壇、拍手〕
○黒柳明君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、改正原案に反対の立場から討論を行うものであります。 反対意見の陳述が二人続きまして、あるいは与党の諸氏にとりまして若干耳が痛い話になるかと思いますが、拝聴をお願いいたしたいと思います。 今回の道路運送車両法の一部改正案は、許認可行政の簡素化によって国民の負担を軽減することを主眼とした第二臨調の答申を踏まえて提出されたことは言うまでもありません。しかし、本改正案は、定期点検について、それを行っていない自動車の使用者に対し定期点検を行うべきことを指示することができるとし、その指示に基づいて講じた措置について報告することを義務づけており、さらに、この報告義務を行わない者に十万円以下の過料を科す規定さえ加えてあるのであります。 定期点検を行っているか否かをチェックすることで、行政上あるいは要員の増加や行政事務を繁雑にさせることは明らかであり、さらに報告を義務づけることによって同様の弊害が生ずることになると思われます。これは明らかに行政の簡素化をねらいとした臨調答申に全く逆行したものと言わざるを得ません。 また、報告の義務づけはユーザーの負担を増すとともに、その違反者に過料を科すに至っては、臨調答申の基調となっている国民負担の軽減の趣旨は完全に無視されたことになるのであります。そのため、臨調は本改正案の国会提出に当たって、「国民負担の軽減という臨調答申の趣旨に照らしきわめて遺憾である」という異例の声明を発表しております。また、国民の間にも反対の声が高まっていることは周知のとおりでございます。 本来、定期点検整備はユーザーの自主性、自覚において行うべきものであり、すなわちユーザーが車両の異常を感知し、速やかに定期点検整備を自主的に行うことが重要であり、このことは運輸技術審議会の答申にもうたわれているとおりであります。また、今回の定期点検の指示、罰則条項等はこうした方向に逆行するものであり、反対の第一の点であります。 次に、罰則条項の導入等は車検期間の実質的な短縮と同じであり、最近の自動車製造技術の向上を見ましても、点検、指示等を罰則をもって法的に強制することは非常に問題の多いところであります。車検を一年に短縮するものと同じであり、本来の目的に逆行するものと言わざるを得ません。四千万台を超える中で少数の抜き取り検査を実施することは、ユーザーの不公平感を強くするものとなり、さらにそれを強化させることは、さきにも申しましたように要員の増加につながり、行政簡素化に相入れないものとなることは明らかでございます。 また、整備業者がこの過料制度を悪用して、あるいは善良な一般ユーザーに定期点検を怠ると十万円の過料が科せられると心理的な圧力をかけ、または宣伝等に努めることが考えられ、整備不良車以外の一般の自家用乗用車については必要な指導にとどまることを末端の整備業者に徹底させる必要があり、この点もどのようにするのか、行政当局の態度が疑問であると言わざるを得ません。 車検は本来ユーザーのため、交通者の安全を守るためにあることは言うまでもありません。わが国の自動車事故は昭和四十五年をピークに減少し、五十五年にはほぼ半減しており、五十五年の事故発生件数四十七万件のうち、車体の整備不良車の運転事故はわずか〇・〇七六%であり、車検制度は本来の目的を達成してきたと言える面があるのではないかと思います。 本改正案にはその他多くの問題がありますが、本案に報告規定や過料規定を加えたことは、行政が車社会の将来に政策的理念を持っていないものではないかと疑念を抱かざるを得ません。したがって、少なくとも臨調答申がその趣旨とした行政の簡素化、国民負担の軽減について改めて考え直すことを政府当局に強く求め、以上の点から本改正案に反対し、討論を終わります。(拍手)
○議長(徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。 よって、本案は可決されました。 —————・—————
○議長(徳永正利君) 日程第八 外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長鈴木一弘君。 ————————————— 〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
○鈴木一弘君 ただいま議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。 本法律案は、外国人登録制度の合理化を図るため、市町村長による登録事項の確認期間の延長、登録証明書の携帯義務を課す最低年齢等の引き上げ、登録証明書を携帯しなかった者に対する法定刑のうち自由刑を廃止する等の罰則の整備を行うこととする等所要の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、本法と国際人権規約との関係、登録証明書の常時携帯義務及び指紋押捺制度、登録証明書不携帯事犯取り締まりの実情、罰則の改正等について質疑が行われたほか、参考人の意見を聴取する等慎重に審議を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上御報告いたします。(拍手) —————————————
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。 よって、本案は全会一致をもって可決されました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時八分散会 —————・—————