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96回国会参議院1982/04/15

法務委員会 第8号

発言数
130
登壇者
12
会派数
4
開催日
1982/04/15

会議録

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨十四日、戸塚進也君及び初村滝一郎君が委員を辞任され、その補欠として関口恵造君及び吉田実君が選任されました。  また、本日、世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 商業登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  商業登記法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います、    〔賛成者挙手〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 検察及び裁判の運営等に関する調査のうち、沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の改正に関する件を議題といたします。  本件につきましては、平井君から委員長の手元に沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案の草案が提出されております。内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。平井君。

平井卓志自由民主党

○平井卓志君 ただいま議題となりました沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案の草案について、その趣旨を御説明いたします。  沖縄の復帰の際、沖縄の法令による弁護士資格者のうち、本邦の法曹資格を取得することができなかった者については、暫定措置として、復帰の日から五年間に限り、沖縄において弁護士の事務を行うことができるという救済措置がとられました。その後昭和五十二年に、この期間がさらに五年延長されたことは、御承知のとおりであります。したがつて、この暫定措置は、本年の五月十四日限りということであります。  現在、弁護士の事務を打っている沖縄弁護士の数は十七人であります。この沖縄弁護士は、過去十年もの長い間、誠心誠意その事務を打ってきており、その実績は一般に評価されています。このような事情に加えて、その生活利益の保護という観点から、この際、この沖縄弁護士に対する救済措置が図られるべきであると考える次第であります。  この案は、このような考えのもとに、沖縄の復帰の月から沖縄弁護士として引き続きその事務を打っている者について、当分の間、その者が沖縄において、引き続いて行う限り、その事務を行うことができるようにするものであります。  以上が、この法律案の草案の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 本草案に対し、質疑、御意見等がございましたら御発言願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この法案は、私どもが日弁連の理事をいたしておりましたとき以来、大変取り扱いに苦慮した問題でございます。  当時はもう五年に限る、つまり資格のない者を有資格者として認めるという特別な扱いは、これは本来好ましくないという立場をとりまして、この暫定措置は厳格に五年に限るという、たしか日弁連の理事会の意向がそのようなものであったと記憶しております。しかし、諸般の事情から、さらにまた、その五年が延長せられまして十年ということになったわけであります。  今回、それが当分の間ということで、事実上永久化するような結果になってまいったように考えます。しかし、本来厳格な試験を経て、人物、識見、学力等が平均以上の者でないと弁護士の資格を与えないという国家の方針が決まっておるわけでございますので、またその方針は、法曹の地位の向上からも、それから日本全体の法曹界のレベルの向上からも元来合理的なものでありますので、その原則は曲げたくないという考え方を私どもは持っております。  それにもかかわらず、今回このような措置をとらざるを得ないということは、この提案理由の説明にあります十七名の方々の生活利益の保護という観点からだけでは実はないのであります。  それでは、どういう理由からこういう必要が生ずるかということになりますと、実は法務委員会で先般沖縄を視察いたしました。そのとき私ども石垣島に参りまして、石垣島の裁判所の会議室を借りて、法務局その他法曹関係者が一堂に会しました際に、この沖縄弁護士の活動の状況をつぶさに質問をいたしたわけであります。  そのときに、石垣島には正規の弁護士資格を持つ者は一人もいない、沖縄弁護士がただ一人おるだけである、そのただ一人の沖縄弁護士に大衆の法律生活が依存をしておる、大衆の法律的なさまざまな要求を満たす上に沖縄弁護士がかなり重要な役割りを果たしておるという説明が現地からございまして、私どもは、ああそうか、やはり沖縄弁護士がそういう現地の大衆の要請にこたえておる、法律生活の充足の役割りを果たしておるということを実地に確認したわけであります。そういうことで、私どもは原則を曲げることにはなるけれども、大衆の要求を満足させるためにはやむを得ないというような実は結論になったのでございます。  したがいまして、私も平井先生から御説明をいただきましたときに、十分この提案理由の内容を検討はいたしませんでしたけれども、この十七名の方々の生活利益の保護という観点からではなくして、やはり一般国民の法律生活のいろいろな必要とか要請とかいうものを満たす上でこの十七名の方々の資格を認める方がいいんだと、そういう観点もやはり実はこの提案理由には入っておられるのではないかというふうに考えますが、いかがでございましょうか。

平井卓志自由民主党

○平井卓志君 ただいま寺田委員の御指摘はもう全くそのとおりでございます。御承知のように、大衆の沖縄弁護士に密着した地域の利益と申しましょうか、そういうものも十分あろうかと思います。  ただ、一言申し上げたいのは、前段で委員が御説明になりましたように、きわめて特例中の特例でございまして、かつて五年間資格を認めまして、その上に十年に延長した、さらにまた当分の間と。この十年の間には、御指摘のとおり、地域の中でそれ相応の沖縄弁護士としての役目を果たされてきたということも、むしろ御指摘のように相当大きい理由であろうかと思うわけであります、  その点については、趣旨説明の草案、いささか舌足らずであろうかということは痛感いたしておるわけでございますが、何分にも過去の経緯、討議の中で、議事録等も拝見いたしてみますと、再々延長は一切行わないというふうなことが相当明確に記録されておりまして、しかしながらただいま申し上げましたように、また委員も御指摘になりましたように、十七名の方たちが十年間という長い間、地域大衆の中で法曹生活を送られてきたと、この方たちに対する一つの救済という意味が非常に大きいわけでございまして、御指摘のように、生活保護というのみならず、そのような地域の方たちの利益ないしはまた大衆の利益と申しましょうか、そういうことも含んでおる。書いてはございませんが、事情は承知いたしております。  ただ、そのことがこの草案の趣旨説明にないではないかという御指摘になりますと、まさにそのとおりであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから、現在十七名であるということはこの提案理由の説明にございますけれども、これらの人々はどの程度の年齢の方々であろうか、それから前職はどういうものであっただろうかというような疑問も生ずるわけでございますので、これは法務省なり提案者なりいずれでも結構でございますので、ちょっと御説明をいただきたいと存じます。

千種秀夫法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(千種秀夫君) いま沖縄弁護士と言われる十七人の方々の経歴でございますが、裁判所書記官あるいは事務官、検察事務官のような経歴の方が大部分でございまして、年齢につきましては、五十歳台及び三十歳台が各二名、四十歳台が十三名でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、占領前に弁護士として、つまり本土の弁護士法によらざる弁護士をしておられた方も四名おられるように聞いておりますが、間違いないでございましょうね。——  それから、沖縄弁護士会の会長さんも私どもの方に、やはりこの法案の通過を要望をしてわざわざおいでになりましたので、沖縄弁護士会のこの法案に対する対応は大体了承いたしたのでございますが、日弁連は現在この法案に対してどういう対応をしておるのか、ちょっとその点を御説明してくださいますか。

千種秀夫法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(千種秀夫君) この問題は、すでに一度御説明申し上げる機会があったかと思いますが、かつて沖縄弁護士会から九弁連——九州の弁護士会に対しましてこの問題が提起され、日弁連に持ち上げられて、日弁連において討議をされた経緯がございます。しかし、いろいろな議論がございまして、その結果は、一度九弁連からその提案を撤回したということがございました。  その後は、日弁連におきましては動静を見守るという態度でございましたが、今回この議員提案の法案が出るということにつきまして、私ども非公式に連絡をとりつつ意見を徴しておりましたところ、公式的な見解としては伺っておりませんけれども、国会の方でこういう特別な御判断をなさる以上は、これを尊重すべきものという態度をとっているようでございます。国会の御判断を尊重すべきものと考えているようでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、法務省自体は本法改正についてはどういう御意見をお持ちか、これは大臣でも調査部長でもいずれでも結構でございますが、ちょっとお答え願いたい。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 政府といたしましては国会の御判断を尊重いたしたい、かように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 質問を終わります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言はございませんか。——他に御発言もなければ、本草案を沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る八日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 最近、家庭内暴力の問題がしばしば新聞紙上をにぎわしております。金属バットで親を殺すというような、ちょっと考えられないような事件さえも報道せられるということであります。  私、その悲しむべきそういう事態の反面に、思い余ったことではありましょうけれども、親が子を殺すというような事態さえもまた生ずるということを知って驚いたわけでございますけれども、最近、この家庭内暴力の子供を殺した親が正当防衛で不起訴になったという新聞報道を見たのであります、  たとえ不良の子といえども、一人の生命を奪ったということでありますので、検察当局もずいぶんこれは慎重に調査をなさった上の結論であると私ども考えるのでありますけれども、しかし何分にも罪が罪でありますので、どのような経過でこういう結果が生じたのか、その犯罪の本質はどこにあって、またこれを不起訴にした本当の理由はどこにあったのか、そういうようなことをちょっと御説明いただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの事件は、先般青森で起きました実父がその実子を殺したという事件のことでございますが、結論から申しますと、本年の一月七日に警察から青森の地検に事件が送られまして、その時点では殺人罪ということであったわけでございます。  ただいま寺田委員も仰せになりましたように、特異かつ重大な事件でございますので、青森地検におきましてはあらゆる角度から検討をいたしたわけでございまして、その間、勾留期間の満了とともに一たん身柄を釈放して、処分保留のまま検討を重ねるというようなこともしておったわけでございますが、結局三月二十三日付で、罪名としては傷害致死ということでございますが、という認定で、しかしながら先ほどお言葉にもございましたように、正当防衛に当たるということで不起訴処分にしておるわけでございます。  事案の内容なり経過ということになりますと、不起訴にしている事件でもございますし、また亡くなった人のことにも触れるわけでございまして、いろいろと問題もあろうかと思います。  そこで、余り詳細には申し上げられないわけでございますが、結局かねてからいろいろとステレオが欲しいとかビデオが欲しいとかいうようなことで母親、父親に要求をしておった。そして、特に母親に対し、また父親に対してもそうですけれども、暴行等を何回も繰り返しておったようでございます。一月五日の当日、十七歳になる長男、被害者に当たりますけれども、それがステレオを買ってくれということで、被疑者である父親の妻、つまり子供から見れば母親でございますが、その首の辺を相当ひどく締めつけるような暴行を加えたようでございます。そういうことになりまして、それを父親の方で何とかとめたいということでいろいろやったようでございますが、なかなかうまくいかなくて、そこで首を締めるということになると殺すようなことになりますので、そういうことも考えながら首の両側に手拳——こぶしでございますが、手拳を押し当てるというようなことをして、何とか引き離そうというようなことをしておったわけでございます。ところが、それがやや力が強かったといいますか、頸部を圧迫いたしまして、その被害者、長男が窒息死した、こういうことでございます。  そういうことで、いま申し上げましたようなことでございますので、被疑者から見ますと自分の妻、被害者から見れば母親でございますが、その被害者の生命、身体に対する急迫不正の侵害があった、これを防ぐためにやむを得ない防衛行為である、こういう認定に相なったわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 このように、家庭内暴力の結果いずれかの方が死ぬ。実際は暴力をふるう子供を親の方が殺すというのが多いのでしょうか、起訴猶予も罪とならず、いろいろあるでしょうが、不起訴になった例はほかにもありますか。どうでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 本件のように正当防衛ということになりますと、不起訴理由も十分考えられるわけでございますが、単に情状ということだけで起訴猶予ということはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えますし、少なくとも最近報告を受けました事例はございません。むしろ、一方、起訴をいたしまして裁判の結果、執行猶予になっているという例はあるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その執行猶予になった事例というのは、刑事局の方で統計をとっていらっしゃいますか。もし統計をとっておられましたら、また後日でも結構ですから、おわかりになりましたら、この事例をちょっと何か表にしてでも届けていただけますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) そう数が多いことでもございませんわけですが、別にそういう観点からの統計というものをとっていないわけでございます。  最近の具体的事例といたしましては、新聞報道でも詳しく報道されましたいわゆる開成高校生あるいは堀越高校生の殺害といいますか、殺された事件というのが二件あるわけでございまして、一件は、五十二年に起訴をいたしまして五十三年に懲役三年、四年間執行猶予ということで、翌年の五十四年に控訴審で確定をいたしております。  それから、もう一件は五十六年、去年でございますが、去年の五月に起訴をいたしまして十一月に懲役三年、五年間執行猶予という判決がございまして、これが確定しているというのが最近の事例でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それじゃ、そのほかに、もし調査ができましたらまた届けてください。  それから、最近司法修習生を罷免したという報道がございました。これは司法修習生の中にも必ずしも法曹資格を与えるに値しないという者がないことはないので、特に異常であるというわけではないようですが、最近、司法修習生を罷免した事例というものがたくさんあるんでしょうか。もしほかにもあるならば、ちょっと御説明をいただきたいんです。  また、最近報道された件について、その真実の理由というようなものについて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 司法修習生の罷免でございますが、最近の事例ということで申し上げますと、昭和五十五年くらいから最近ちょっと多いわけでございますが、二年くらいの間に三件ほどございます。  ただ、この理由といたしましては、そのうちの二つは本人からの願い出、つまり辞職願を出しまして罷免したものでございますし、いわば一方的に罷免したというものは一件ということになるわけでございます。  この点、もう寺田委員はっとに御承知かと存じますが、「司法修習生に関する規則」というのがございまして、この規則の罷免事由には、一方的に罷免する場合もございますし、本人から願い出があったときに罷免するというのもあるわけでございます。罷免となりますと、一見、一方的に罷免したというふうに言葉自体からとられかねないような字句ではございますけれども、罷免の中にもそういう辞職願を受理したというものと、一方的に罷免したものと両方あるわけでございまして、一番最近の事例は、辞職願が出ましてそれを受理したというそういう罷免に当たるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは新聞報道等でかなり詳しく報道されていますが、大体この報道内容というのは間違ってないわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 一部の新聞に詳しく報道されておりますが、私どもの承知しております限りでは、非常に細かい部分まで一致しておるかというふうに言われますと、やはり両方の言い分が違っておるようなところもございまして、そういう意味で完全に一致するというふうには申し上げかねる面はございますけれども、ごく大まかに言って、およその筋においては間違っていないというふうに申し上げられるかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その報道と同時に、裁判官に不採用になった一人に青法協の会員がおったと。そして、不採用になった修習生も、どういう理由で不採用になったかわからない、成績が悪いというわけでもないというように考えておるというような報道があるようですが、真実のところはどうなんでしょう。どうも青法協のゆえにと言うと好ましくないと思うんだけれども、いかがですか。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 本年の修習生から判事補への採用でございますが、最終のところ、採用希望のございましたのが六十四名でございまして、そのうち六十二名を採用いたしたわけでございます。  新聞等に、そのうちの一人の方が青法協の会員であるというふうな報道がございますが、この点、従来からしばしば当委員会でも申し上げておることでございますけれども、最高裁判所といたしましては、ある修習生が特定の思想を持っておるとか特定の団体に加入しておるかどうかということは一切調査もしておりませんし、本当のところ全くわからないわけでございます。  そういう意味で、なぜ落としたかということになりますと、これも従来から申し上げておりますように、その人が判事補に果たして採用するだけのものを持っておるかどうか、いわゆる総合的評価ということで二人は判事補に採用するにふさわしくないというふうに判断されまして不採用ということになったわけでございまして、重ねて申し上げますけれども、団体加入なんということは、もう一切私どもにもわからないわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 局長が青法協の会員であるかどうかはわからないということを言われたことからわれわれが推察しますと、そうすると最高裁としては、修習生が青法協に加盟しておるかどうかというようなことを平素調査などはしていらっしゃらないというふうに理解していいですか。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 先ほど申し上げましたように、一切調査しておりません、

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次は、八王子医療刑務所の問題がやはり大きく報道せられておるわけであります。  八王子医療刑務所は、非常にユニークな刑務所であって、われわれはその刑務所の機能というものが最大限に発揮せられることを希望しておるわけでありますが、そこに勤務している医師が、現実には一週間のうち正規の勤務の約半分ぐらいしか勤務していないんだというような趣旨の報道があるわけであります。これは事実かどうか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) この八王子の医療刑務所には、現在十三名の医師がおります。  刑務所におきます医師の仕事と申しますと、被収容者に対する診察あるいは治療という業務を行うことでございますが、この刑務所等の中だけで診療行為あるいは診療業務を行うということになりますと、他の医療機関における医療設備や、あるいは技術の著しい進歩、まあ日進月歩の進歩をしておるわけでございますが、そういうものに立ちおくれまして、医師としての能力、技能の低下ということも憂えられますし、ひいてはそれが刑務所における医療の質的低下ということにもつながるおそれがございますので、現在、八王子の医療刑務所におきましては、医師の職務の一環といたしまして、国立病院あるいは大学等に赴かせまして、そこで最新の技術等に関する研究を行わせるというように配慮しておるわけでございます、  ただ、現在十三名の医師が八王子医療刑務所におりますが、そういう人たちの多数の人あるいは大部分が同じ日に研究等の目的でこの刑務所以外のところへ行くということになりますと、刑務所における診療業務に支障を来すことになりますので、それを防止する方法といたしまして、診療当番目というものを設けまして、その日には必ず施設にいて責任を持って診療業務に当たる、そういう日としてそれぞれの医師ごとに週のうちで三日程度を指定しまして、そのほかの日に大学あるいは他の医療機関へ研究に行ってもらうと、こういう体制をとっていたわけでございます。これが新聞報道におきましては、何か三日働いてあとの四日は休んでよろしいという制度のように紹介されておりますが、実際の実情とそれからその目的は、いま申し上げたとおりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、この医療刑務所に出勤することは三日間だけ、あとは大学なり国立病院に行って技量を磨けということは、いわば公認であるというふうに伺ってよろしいんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) それぞれの医師がどこへ行って研究をするかということについては医師の自主性にゆだねておるわけでございますが、刑務所当局といたしましては、三日出ればいいということではございませんで、最低三日は出て、その日は責任を持って診療業務に携わっていただく、その他の日は腕を磨くと申しますが、技能を高めるための措置をとることを認めておると、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大変苦しい答弁のようですけれども、そうすると、腕を磨く方法というのは当該の医師に任せて刑務所当局は干渉しないというふうに伺ってよろしいですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 大学あるいは国立病院その他の責任ある病院等へ行っていただきます限りどこの病院であろうと認めておると、こういう状況でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その場合、腕を磨くのは無報酬というのか、あるいは報酬を伴っても構わないという趣旨か、その辺はどうでしょうか。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 原則として無報酬と考えておりますが、中にはあるいはアルバイト的な報酬を受けていらっしゃる人もいるのかもしれませんが、そこまで現在のところまだ確かめておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、新聞報道では、その三日間の勤務でさえも午後から出勤するような者があり、現実に毎日の診療行為に支障を来しているというこういう報道があるんですが、局長はやはりその主管者としてそういう点の調査はなさいましたか、

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) この新聞報道がございましてから、取り急ぎ現在の八王子医療刑務所における勤務状況を調べておりまして、先ほど申しましたこともそれに基づいて申し上げたわけでございます。  それで、新聞報道の中には、医師がいなかったために診療に支障を来した実際の例があるというように書いてある部分がございますが、この点については、私どもで調べました限り、そういう事実はございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 先ほどの腕を磨く問題、中にはアルバイトをして収入を得ている人があるかもしれないということでありますが、これは許される行為ですか。それとも、あなた方が承認を与えれば構わないというのでその承認を与えておられるのだろうか。その点はどうでしょうか。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 先ほど私、ちょっとアルバイトという不正確な言葉を使いましたので、多少説明させていただきたいと思いますが、刑務所の医師が外部の病院あるいは研究所へ行きました場合に、そこで他の病院のお医者さんと一緒に診療行為をする、あるいは講義をするというような場合に、アルバイト的な報酬を受けている場合があるいはあるかもしれないということを申し上げたわけでございます。  先生の御質問の中には、この新聞報道にあります二人の医師が開業をしていたと、こういう点を踏まえてのあるいは御質問ではないかというように思いますので、その点、ちょっと申し上げますと、新聞報道にありましたとおりに、八王子医療刑務所の医師の中の二人が自宅で開業をしていたというのは事実でございまして、この点は大変残念なことでございます。特に国家公務員法上、兼業ということになりますと、これはそれぞれ許可をもらわなければならないわけでございます。八王子医療刑務所の二名につきましては、調査の結果、兼業がわかったわけでございますが、現在の実情を申し上げますと、この二人が特にそうであるということではございませんけれども、刑務所に勤めているお医者さんの中には、刑務所に勤めるよりも、やめて自宅で開業したいという意向を持っていらっしゃる方が大変多いわけでございます。  そういう方々に、それではどうぞもうやめて開業してくださいということになりますと、刑務所で確保しなければならないお医者さんが十分確保できない。これは、ひいては刑務所に入っている被収容者の健康という、私どもとしてはどうしても守らなければいけない点に支障を来すことになります。したがいまして、開業をしたいからやめたいという方につきましても、なるべく説得して慰留に努めるということをしておるわけでございます。  そういう状況で、中には刑務所で診療行為を行う以外に自宅等で開業をするという例があるわけでございまして、先ほども申しましたように国家公務員法との関係で大変残念なことでございますが、実情は一人でも多くのお医者さんに刑務所、これは刑務所以外にも少年院その他の施設がございますが、そういうところにとどまっていただきませんと、私どもとしては収容者の健康ということに大きな支障が生じますので、大変言いにくいことでございますが、ある程度黙認と申しますか、そういう形であれしながら黙認ということもしておる場合があるわけでございます。  この問題は、昭和五十三年のときにもやはり国会でちょっと議論になったところでございまして、それ以後、私どもといたしましては、こういう兼業をしておるというお医者さんを少しでも減らしフルタイムのお医者さんをなるべくふやしていくということで努力をしておるわけでございまして、実際にもお医者さんの交代等によりまして数十名の方につきましては兼業でないような状況にしておるわけでございます。  それでは、どのくらいたったらこういう状態がなくなるのかということは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、今後とも私どもといたしましては、そういう異常な状態をなくし、あるいは少しでも少なくするように努めてまいりたいというように考えております。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 実はこの月曜日、十二日でございますけれども、私、八王子の医療刑務所を視察をいたしました、十年がかりで改築をいたしまして、施設、設備ともに非常にユニークなものとなっております、先生方もごらんいただいたと思うわけでございますが、  しかし、考えてみますると、一般の病院と違いまして、被収容者と医師との間の何といいますか、信頼関係というものはなかなかつきにくいものであります。しかし、限定されました中におきまして、医師団といたしましても一生懸命にその信頼関係を保つようにしておるように私は見てまいったわけでございますが、いま局長から御答弁も申し上げましたように、また新聞等に出ましたように、現在あそこは十三名のうち二名が、常勤でなけりゃならない、あるいは公務員として専任しなきゃならないのに二人が開業している、これは事実でございまして、これはまことに遺憾なことであるし問題があると思うのではございますけれども、しかし実際問題として、現在の給与水準でなかなかお医者さんが得られないというのもこれは事実であるわけでございまして、非常に苦労をしておる。  全国で申し上げますと、全体で三百三十二人の定員でございますけれども、実際に働いておりますのは三百人と、三十二人の欠員があるということでございまして、その内訳を申しますと大体内科系統が五〇%、外科系統が二五%、その他が二五%ということになっておるわけでございます。  そこで、私はあそこを視察しまして、確かに施設、設備はかなりよくなっておる。そして、それなりに職員もその与えられた環境のもとに、条件のもとに一生懸命やっているというふうに思いました。そしてまた、被収容者の信頼度も高まっておる。と申しますのも、所長の話を受けますと、ここで一応の治療をやりました後では、場合によってはあるいはもとの刑務所に帰るとか返すとかいうようなことになっておるようでございますが、ここの何といいますか、治療あるいは処置が、比較的に自分の出てきたところの刑務所の病院あるいは治療施設よりもいいためになかなか帰りたがらない、もう帰ってよろしいと言うのに帰りたがらない、帰りたがらないということは、一面においてここにもう少し入れておいてほしいと、こういうこともあるやに私は聞いてまいったわけでございます。  私、全般的に医療刑務所というものがきちっとやっぱり整備されていかなきゃならない、そのために人員を確保しなきゃならないということを考えまして、何かその地域の比較的近いところの大学病院等あるいは国立病院等と普通、ふだん非常にコミュニケーションを深くして、そして応援態勢を求めると、だから、たとえば先ほど申しましたような研究も一面においてやる、そして勤務もやるという人たちがしょっちゅう来れるように、四日、三日ということじゃなくて、それ以上にここをきちっと守ってくれる、あるいはその職務に専念するというような環境をつくるために、やはり付近の大学関係と結びつきを緊密にすることによってそこからお医者さんがやってくる、あるいは何かどうしてもあそこの医療施設、設備、あるいはそれができない場合には、その大学病院の方々に来てもらうとか何とかいうような方法も考えられないものかというふうに思っておるわけでございます。  全般的に申しますと、やはり定員を充足するということが被収容者にとって非常に大事なことである。これを全体的にどういうふうに施策の中に生かしていくかということを少し相談をしてみたいと、こういうふうに視察の結果として考えてまいった次第でございます。  特に、あそこの環境も、たとえば築山なんかを非常になだらかなあれにして、その環境の与える影響、心理的な影響というものは非常に大きいものがあるのじゃないか。そういう配慮もしておる。あるいはいろんな部屋部屋の色の問題につきましても、やっぱり心理学の先生方のアドバイスを受けてそれが空間設定に寄与しておる。そしてその結果が、被収容者に対する心理的影響というのが非常に大きいというようなことも実は私は見てきたようなわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 確かに、現在の給与では十分な医師を勤務せしめ得ないということはよくわかります。ですから、局長が御苦労になっていることもわかるし、わざわざ大臣が急いで現地を視察をなさったということもよく理解できるわけでありますけれども、この問題を十分解決し得ないで、保安処分などというより一層医師の協力が必要となるような制度を創設するなんということができるだろうかと、第一に私どもが抱いた疑問はそこにあります。  もっともっと医療の困難なその患者と十分に密着して、そして非常にむずかしい病気を治して社会復帰を得せしめもというような制度である保安処分を、自分たちがやるんだと法務当局は言っていらっしゃる、それには何よりも医師の協力が必要だ、しかも学会は反対しておる。通常の医師さえも現在の施設に十分入手できない、協力が得られないそういう現状なのに、またそれを飛び越えて、より一層重要な保安処分施設というような新しい制度というものをつくるということは可能だろうかと、まず私が第一に抱いた疑問はそこにあるんです。ですから、大臣の御誠意は私もよく理解できますけれども、この問題を解決し得ずして保安処分などということはおっしゃらないでいただきたい、私はそう思います、  ですから、いま医師の協力が得られないのはなぜか。待遇が悪いんだというなら、そこにメスを入れて待遇を思い切ってよくしなければ解決し得ないでしょう。医師のモラルだというならば、医師のモラルを思い切って変えてみなきゃいかぬけれども、それはきわめてむずかしい。大臣やれると、おれはやれるんだ、やりますよという御自信をお持ちになるその方策なり理由がどこにございますか。大臣のお考えをひとつ。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私は、八王子の医療刑務所を見まして痛感しましたのは、むしろ逆にやれるなあという感じでございます。  いま新聞に出ましたいろいろの問題はございますけれども、全体としては非常にりっぱにやっているという感じでございまして、むしろこういうりっぱな施設あるいは設備、そして一面において研究等のこともここでやれる。犯罪性の医療と申しますか、それに一つの焦点を合わせましてやるなら、若い人たちが私は参加することに希望をむしろ持ったわけなので、この点、私はむしろ先生と逆に非常な希望を持ったわけでございまして、現在のたとえば厚生省の病院等におきまして果たして十分な定員上の医師が確保できておるかというと、厚生省の病院ですらもなかなか実はその医師の確保というものはむずかしくなってきているという一面がございます。  それから、御承知のとおりに医者の数というものがいままでは非常に限定されておりましたけれども、相当各大学、国立、公立あるいはまた私立それから自治関係の医科大学ということで、数年前とそれから今後数年先とでは、医師がかなり私はふえてくるというふうに見なけりゃならない、あるいは過剰になってくるというようなこともあり得る。ここをとらえまして積極的に私は施策を進めれば、そう悲観的には実は考えておりません。  しかしながら、いま局長から申し上げましたように、全般的になかなかなってもらい手が少ない。ですから、どうやって今度お医者さんが確保できるかについてのもう少し工夫があるのじゃなかろうか。いまここで先生にこうだということを自信を持っては申し上げられませんけれども、私はやり方次第ではやれるなあという感じを持って実は帰ってまいったわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣がかえって自信を強めたとおっしゃるのでしたら、大臣のそういう御誠意をこの場は承っておくことにしまして、願わくはこの医師の確保に向かって、さらにさらに努力をしていただきたいと思います。  それから局長に、またもとに返りまして、その二人のお医者さんが自宅で開業しておったというのは、これはそのままに済ませますか。それとも、やはり新しく許可を与えて現状を認めていかせるというのか、やめさせるというのか、御苦心を要するところだと思うけれども、局長のお考えを承りたい。  それからまた、ほかの医師もアルバイトをしているかもしれないというのは、やはりやむを得ない現象としてそれをこれからも承認ないし黙認していくのか、そうするほかはないのか、その辺、御苦心が要ると思うけれども、どうなんだろうか、ちょっとお伺いしたい。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 処分その他の問題につきましてはこれから考えたいと思っておりますが、現在このお二人のお医者さんは、実はやめたいという意向も漏らしていらっしゃるわけでございまして、それで、それではどうぞということであれば非常にいわゆる問題としては簡単に解決するわけでございますが、このお二人のお医者さんは現在この八王子の刑務所で不可欠の方でございます。特にその中の一人は、単に施設内における医療に務めていただいておるだけではなしに、若い人に八王子あるいは他の矯正施設に医者として来ていただくという点でも非常に大きな努力を払っていただいておるわけでございまして、このお二人に辞任されるということは私は大変残念なことだというように考えておりまして、現在留任していただくように努めておるわけでございます。  ここでこういうことを申し上げると不謹慎かもしれませんけれども、私どもといたしましては、これからそういう事態がなくなるようにあらゆる努力を払ってまいりたいとは思いますけれども、それぞれの場所で不可欠な人に、こういうことがあったからすぐさまこうすると、すぐさまやめていただくとか、あるいはその他の措置をとるということは大変いまできにくい状況でございますので、その点、御理解をいただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 アルバイトの点は。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 先ほど私アルバイトと申しましたのは、開業してそこから営業収入を得るということではなくて、他の機会に他の病院等で、あるいはほかのお医者さんと一緒に診療行為をした場合に、それについての若干の報酬を得られる場合があるのではないかという推察でございますが、そういう不規則なものについては特段問題はないのではないかというように考えております。もし、そういう場合でも規則的なものということになりますと、当然国家公務員法上の正規の手続をとる必要が出てくると考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この問題、非常にむずかしい問題で、局長の苦衷もよくわかりますし、大臣もすぐ現地に飛んで視察なさるというような非常に責任ある態度をおとりになっていらっしゃるし、私どもこれ以上、普通の公務員の怠慢とか過怠とかいう問題のようにあなた方をお責めするということができないことはよくわかっております。ただ、やはりできるだけ努力をして医師の確保に努める。それから、職務規律といまのその困難な問題とをどう調和をさせていくか、一層のやっぱり御努力をお願いしたいと思います。  それから、最近また難民の処理というむずかしい問題をわが国は背負ったわけでありますが、難民の中でわが国に滞在を許された者が、暴力団に利用されておるというような新聞報道もありました。これの実態はどうであったのか、またこれ以外にも難民に対する暴力団の魔手が及んでいるような事態があるのかどうか、警察当局はどういうふうにこれに対応しておるかというような問題をちょっとお伺いしたい。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) お尋ねの事案は、四月の二日にタイ国籍の女性二名が警視庁の久松警察署に保護を求めてまいったことにより発覚をいたした事件でございまして、現在捜査を進めているものでございます。  これまでの調べによりますと、茨城県下の暴力団のある幹部と一名のいま御指摘の難民、ラオス人でございますが、この両名が、本年の一月から三月にかけまして観光ビザで入国をしてまいりました外国人女性二名を三月二十日から四月二日までその暴力団の事務所に寝泊りをさせまして、逃げると命がないなどとおどしながら、入り口には施錠をするなどいたしまして不法に監禁をいたしまして、その間、茨城県下におきましてスナック等で稼働をさせるという、労働を強制いたしまして、いろいろピンはね等をしていたという事案でございます。この事件は、四月五日に被疑者二名をそれぞれ逮捕いたしまして、現在鋭意捜査に努めておるところでございます。  これ以外にこのような事案、例があるかというお尋ねでございますが、実は難民が絡んだ事案、難民を暴力団の共犯者として逮捕をしたというような事件は、警察としては初めて検挙をしたというふうに考えております。  それから、類似の事案というのをもう少し広い意味で把握をいたしまして御説明いたしますと、いわゆる外国人女性、主として東南アジア方面でございますが、外国人女性を日本の国内に甘言を弄して暴力団が連れてまいりまして、いろいろな風俗営業法違反、あるいは売春防止法違反、あるいは職業安定法違反というような事件を引き起こして暴力団を検挙したというのは、昨年一年間で二百三十四名に上っております。外国人女性に絡んで暴力団がいわゆる甘い汁を吸っておるという事案が大変ふえておりまして、警察当局といたしましても暴力団のこの種動きには注目をしておりまして、取り締まりを強化をしておりますし、さらに今後とも御指摘のように監視を強めて検挙を図っていかなきゃならないというふうに存じます。  ただ、難民に対しまして暴力団が特に働きかけておるかどうかという点につきましては、現在のところ、さしたる動きはつかんでおりませんが、この事例が初めてでございますがございましたので、関心を持って動静を注目してまいりたい、かように思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に、「証人等の被害事例調」というのが、この法律案関係資料の参考資料の末尾の方に掲げられておりますね。昭和三十八年の事例ですが、恐喝被告事件の証人となった被害者が、この事件の犯人で刑期を満了し出所した者から、証言についての恨みを理由に切り出し小刀で殺されたという事案がありますが、その遺族給付が百二万円とあります、これは昭和三十八年だから、いまから二十年前ではあるけれども、百二万円というのはいかにも少ないように思う。当時の私どもの収入等に比べてちょっと少ないように思うんだけれども、これはどういう計算でこれが出たのか、もしおわかりでしたら、ちょっと御説明いただきたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) この法律によります給付はいろいろと計算方式が決まっておりますが、その場合にはいわゆる給付基礎額というものが基本になっておるわけでございます。  この給付基礎額は、三十三年の設置以来現在に至るまで回数にいたしまして十二回、いわゆる引き上げを行う改正が行われているところでございますけれども、ちょうどこの三番目の事例が起こりました三十八年、これはその当時のいわゆる給付基礎額が最高額は千円と、こういう時代であったわけでございます。給付基礎額が千円で加算額が二十円ということで、大変細かいことでございますけれども、千二十円というのを基礎といたしまして、それ掛ける千倍。その当時は遺族給付はいまのようではございませんで、年金制度がなかった時代であったと思いますが、そういうことでございまして、単純に給付基礎額掛ける千倍ということでございましたので、千二十円掛ける千倍の百二万円と、こういう計算に相なったわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 日額が千円であるというのは、恐らく交通事故の被害者に対する給付などとの平均をとっておるのでしょうかね。これは警察官の職務に協力した者の被害に対する給付と右へならえしますが、交通事故の被害者に対する給付とやはり一緒に考えるのか。その辺、局長どうでしょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) いま寺田委員も仰せになりましたように、私どもの法律での給付の内容、またいわゆる給付基礎額は、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律、この例にならっておるわけでございますが、その場合には、いま仰せになりましたように、交通事故の損害賠償金と申しますか、むしろそういうことではなくて、警察官に協力援助をしたということでございますので、警察官に準ずるような形で警察業務に協力してくれたというような理解から、警察官の給与水準と申しますか、そういうものを基本に置きまして金額を決めているというふうに理解しておるわけでございます。  なお、ちなみに、その後の改正経過でどの程度引き上げられたかということを申し上げますと、当時は千円でございましたが、その後四十二年に千八百円、四十四年に二千百円、四十八年に三千円、四十九年に三千八百円、五十年に六千五百円、五十一年に七千二百円、五十二年に七千七百円、五十三年に八千三百円、五十四年に八千六百円、五十五年に八千九百円、前回九千三百円というふうに、まあ少ないと言えば少ないかもしれませんけれども随時引き上げが行われている、こういう状況でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣、昭和三十八年に、ちょうどいまから約二十年前なんですが、当時は被害者の損害に対する補償といいますか、これを日額千円を基準にしておった。当時一般の公務員の給与はどの程度であったか、私、いま自分が三十八年に市長をやめたときの月給を思い浮かべて、ちょっとこれは少ないという感じを持ってお尋ねをしたのです。ですから、大臣がやはり当時のことを思い浮かべられてどうお考えになるか、ちょっとお伺いしたいんですが、三十八年に加害者から殺された人間の遺族給付が百二万円、これをどういうふうにお考えになりますか。  いまは給付基礎額、これが九千八百円になっているというのであります。警察官の職務に協力した者の被害者に対する給付というものと右へならえというように局長言われたわけでありますが、これが少ないとすると、右へならえしたもとの警察官の分が少ないということになりますね。ですから、やはり警察ともよく御協議になって、そのもとから直していかれなきゃいけません。しかし、大臣が御発言になればやはりかなり有力な、何といいますか、きっかけになるでしょうから、そういうような期待も込めてお尋ねするわけですが、これはどんなふうにお考えになりますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私は、余り数字のことがよくわからないのですけれども、ただ私、国民年金をつくりましたのが昭和三十四年だったと思うのです。福祉年金がそのときに千円だったと思うのですが、いま二万円台になっておりますでしょうか。そういう感覚しか実はございませんが。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 局長、何か敷衍するものがありますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 特段の御説明にもならないわけでございますが、ちょっと不正確なのでございますが、その当時この被害を受けられた方が一日約二千円ぐらいの収入を得られていたというようにちょっとメモがあるのですけれども、その程度のことでございますから、それから比べても少ないとは思いますけれども、先ほどのようなことで、一応定められた額の最高であったということでございますので、形の上ではやむを得ないことではなかったかと思うわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣、これはもっとやっぱりお調べになりまして、少し低過ぎると思われたらやはり積極的にもっと上げようというイニシアチブをとっていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、少し私も勉強させていただきたいというふうに思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 終わります。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 先ほどの医療刑務所の件について、一言最初にお伺いしておきたいんですが、大臣が直接現地を調べられて積極的に取り組んでいらっしゃるということもよくわかりました。  それで、ちょっと伺いたいと思いますのは、この八王子医療刑務所では、全員のお医者さんが三日勤務し四日はどこかで研究というふうになっているのか。それから、他の医療刑務所でも同じようになっておりますか。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 八王子の医療刑務所におきましては、医師は十三名でございますが、そのうち十一名が先ほど申しましたように最低限三日という形で勤務して、その他の時間は研究等に赴くということを認めておるわけでございまして、他の施設におきましては、必ずしも事情は同じではございませんけれども、これに近い方法をとっているところも少なくないわけでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 厚生省関係のいみんな機関でも、お医者さんが足りなくて現に困っている機関もいろいろあると思いますけれども、そういうふうに三日勤務して四日は自由研究といいますか、そういう勤務体制をとっているところは、いま御説明になった刑務所以外はちょっとないんじゃないでしょうか。

鈴木義男法務省矯正局長

○政府委員(鈴木義男君) 刑務所以外の他の施設あるいは医療施設におきます勤務体制については、私どもまだ十分に把握いたしておりませんけれども、いま委員の御指摘のようなことではなかろうかと推察いたしております。  刑務所におきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一つは、刑務所での診療行為というものが必ずしもこの環境がよくない。先ほどの八王子の医療刑務所につきましては、これは日本の代表的な医療刑務所でございまして、私どもも非常に力を入れてあれしておるわけでございますが、一般の矯正施設、たとえばこの近くでございますと府中刑務所とか、あるいは東京拘置所ということになりますと、この診療の環境が必ずしもお医者さんがこれならばと思うようなことではないわけでございます。  それからもう一つは、腕を磨くという観点からいたしますと、施設の収容者で病気になる人たちの病気というものがある程度限定されてまいりまして、特異なケースとか、あるいはそれに対してチームを組んで診療に当たるとかという機会が少ないわけでございますので、十分な技能をつけていただく、進歩におくれないようにしていただくというためにそういうことを考えているわけでございまして、恐らく刑務所その他の施設の一つの特色になるのではないかというように思います。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 この問題はこれで終わりますが、大臣に伺いたいことは、寺田先生から御指摘の、原因をもっと幅広く検討する必要があるというふうに私も思います。大臣の感じとしては、非常にりっぱな刑務所であったというふうな御意見でしたから、それはそれで尊重するといたしましても、やはり大臣としても国会議員としての長いいろいろな経験を積んでおられるわけですので、この三日勤務し四日自由研究という体制が一番いい方法かどうか、それから、その他こういうふうに新聞で指摘されるという原因についての検討などについてお伺いしたい。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) この点は、やはり先ほど局長が申し上げましたような実情でございまして、やはりある程度常勤が常時いるという体制を整えなきゃいけないというふうに私は思うわけで、だから実際なかなかなり手がないのに、どうやってそういうふうな御協力を求めるかということが、今後われわれに課された課題であるというふうに思っておるわけです。  でございますけれども、これでもうだめだというふうに悲観的には思ってないので、私は希望を持っている。そのためには、その希望を満たすような条件をわれわれが模索し立案し、そして政策の中に生かしていかなきゃならない、こういうことでございまして、実情に決して甘えておるというか、甘んじておるというつもりは毛頭ございません。  また、いろいろ先生方のお知恵も拝借したいと、かように考えておるわけで、幅広い一つの視野から、どうやって常勤の医師を確保するかということがやっぱり最大の課題ではなかろうかというふうに思います。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 それでは、証人等の被害についての給付法の質問をいたします。  今回の改正は、年金を担保にして融資を受けるという制度でありますけれども、そういう年金を担保にして融資を受けるという制度は、恩給法を初め国家公務員共済組合法その他多くの法律で行われておりますが、この時点で法務省が他の制度よりもおくれて改正に取り組んだという趣旨はどういうところにありますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいま小平委員も仰せになりましたように、類似の制度はすでにあるわけでございますが、御案内のように、この法律は警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律を見習っている点が多いわけでございますし、またその警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律は、国家公務員災害補償法を見習ってつくっているという面が多いわけでございます。国家公務員災害補償法は、前々回でございましたが、国会で今回の改正と同じような改正が行われておるわけでございますから、確かに御指摘のように、おくれているというふうな見方もあろうかと思います。  ただ、そういういま申しましたような形でどうもいわゆる後追い的な形になっておるわけでございますが、先ほど来申しております警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の改正も実は今国会に内閣の方から御提案をしておるわけでございまして、この二つの法律が今国会に両方がかっていると、こういう状況でございます。  なぜ一緒にできなかったかということになりますと、御批判を受ける点もあろうかと思いますが、そういう経過でございますので、今後はできるだけ、できるものなら、問題がなければ一緒に改正をお願いするというふうに運びたいと考えております。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 次に、年金受給権者が国民金融公庫からお金を借りる場合の手続はどのようになりますのか。  また、融資の限度額、返済に当たっての期間、それから利率等は今後の折衝になりますか、あるいはおよそのことが決まっておりますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの貸し付けの手続あるいは条件といいますものは、貸し付けをいたします国民金融公庫あるいは沖縄振興開発金融公庫で業務方法の中身として決めることでございますが、この場合も、先ほども申しましたように他の例があるわけでございますので、恐らくその例にならった手続なり条件なりが決められることになろうと思います。  その点はまだこれからでございまして、間もなく協議の上で、この法律改正が実現いたしました場合には、その施行に十分間に合うように決めることに考えておりますが、いま申しましたように、他の先例と申しますか、そういうものがありますので、その例を御参考までに申し上げますと、国家公務員災害補償法による年金担保の場合には、貸付額の限度額が去年までは百五十万円以内でございましたが、ことしから百六十万円以内というふうになっております。ただ、年額の三年分以内という条件もついております、それから利率は年七・三%ということで、償還期間は四年以内ということでございます。  なお、償還方法は、当然のことながら担保に入れた年金受給権でございますから、その年金の支払いを受けた金が償還に回されると、こういうことになるわけでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 次に、先ほどお話のあった給付の基礎額は政令で決まっておりますが、この基礎額はなお引き上げる予定になっておりますかどうか、あるいは基礎額はどのような根拠で決まっているか、以上の点についてお尋ねしたい、

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 給付基礎額は、ただいま仰せになりましたように政令で決められておるわけでございまして、政令の四条に規定がございますが、先ほど寺田委員のお尋ねにお答えしましたように、毎年と言っていいぐらいに頻繁に引き上げが行われておるわけでございます。つい最近までは五千四百円が基礎額でございまして、ただ最高額は九千三百円ということでございます。それをつい最近でございますが、五千七百円を基礎額とし、ただし書きで決めております最高額を九千八百円というふうに、若干ではございますが引き上げておる次第でございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 被害に対する給付金の予算はどのように決まっておりますか。五十七年度予算では幾ら計上してありますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 予算上の金額は大変低いようなふうに見られる金額でございまして、一応の金額としては十万円という計上額になっております。しかし、これは実際の給付実例が最近ございませんこともありまして予算の上ではそういう形になっておりますが、それで足りない場合には流用とか予備費の支出とかいうことが当然考えられるわけでございますので、その場合に予算上、まあ根っこと申しますか、費目が計上されておりませんとそういう措置も講ぜられませんので、そういう意味で少額ではございますがもとになる予算が計上されていると、こういうことでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 わかりました。十万円は根っこであるということでありますね。  それから、今度の改正案第十条で「年金」という言葉が出てまいりますけれども、現行の法律では「年金である傷病給付」等の言葉は使われていないように思います。施行令で初めて「傷病給付年金」というふうに出ておるように思いますが、これは非常にわかりにくい改正といいますか法律のように思いますが、いかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 確かに、法律の面では年金という言葉がいままでは出てきておりませんで、今回お願いしております十条のただし書きで初めて出てくるということは御指摘のとおりでございます。  そういう意味におきまして、よりわかりやすくする方法ももちろん考えられないわけではないと思いますけれども、法律でいろいろな給付を定めております。これはこの法律に限らず、先ほどのような先例といいますか、参考になる例がたくさんあるわけでございまして、給付と言った場合に、当然一時金の場合と年金の場合とがあるということは、社会通念といいますか、そういうことであろうかと思いますので、特に明示しなくてもその詳細は政令で定めるということでございますから、政令とあわせ見ればおのずからわかるというふうにも言えるのじゃないかというふうに思うわけでございます。  そういうふうに、もとが明示はされておりませんけれども、こういう類似の給付の場合には年金と一時金があるということを前提といたしますと、今回の場合には対象になるのは年金である給付に限ると、つまり給付のうちで年金の部分だけだということを限定しなきゃいかぬものでございますから、そういう意味で「年金である」という言葉を「傷病給付、障害給付又は遺族給付」という言葉の上に乗せざるを得ないと、こういう経過でございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 先ほどの御答弁にもありましたように、初めは年金がなかったわけですか。それで、何年改正から年金と一時金の給付になったんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 四十二年の改正のときに、初めて年金ということが考えられるようになったと思います。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 次に、証人というその証人の範囲につきまして、従来からも証人を議院証言法あるいは弾裁決等の法律に規定された証人あるいは民事訴訟法の証人あるいは家事審判で同じような立場の人、そういう人も含めるようにという議論があるようです。この点については、刑事局としてはこの法律はいまのままでいいのだということなんでしょうか、あるいは他の分野で他のものは検討するということになるんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいまの法律は昭和三十三年からできておるわけでございますが、その立法動機と申しますか、背景事情と申しますか、それは御案内と思いますけれども、刑事事件におきまして暴力団関係者等がいわゆるお礼参りをやるということが相当行われておりまして、何とか対策を講じなきゃいけないじゃないかということで、この法律以外にも刑法の改正なり刑事訴訟法の改正なりというようなことを当時一緒に考えまして、当時の国会でそれぞれ改正の実現を見ているところでございます。  そういうことでございますから、刑事事件の証人あるいは参考人が、そういう暴力団関係者等によっておどかされる、あるいは害を受けるということでは刑事裁判が適正に行われないということに着目をしたわけでございます。  そういうことでの経過でございますが、ただいま御指摘のように、証人という場合には民事でもございますし国会の場合もあるわけでございまして、それぞれそういう事態といいますか実態と申しますか、そういうものがあれば、それはそれなりに考えなければならないことであろうと思いますけれども、そういう危険性と申しますか実態と申しますか、そういうことも幸いにしてと申しますか、起こっていないように思われるわけでございます。  ただ、そういうことで、そういうことも考えなきゃならぬということは常々配慮すべきものだというふうに考えておりますが、その場合には所管の問題もございまして、それぞれの所管のところでも考えていただかなければならないのじゃないかというふうに考えております。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 そういうふうに刑事事件に関するものの証人ということで御説明がありましたことは、その点よく了解できます。できますが、それならば証人等の被害についての給付に関する法律というこの名称も、何かそういうふうに変わった名称の方がわかりやすいんじゃないでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 確かに御指摘のようなことで、表題だけを見ますと範囲が広いような印象を与えるということで、ごもっともな御意見だと、こういうふうに思います。  当時つくりました際にもそういう議論があったかどうか、昔のことでございまして、実は私よく存じてない点もあるわけでございますが、一般的に申しまして、最近の法律の題名が非常に長いという御批判もあるわけでございまして、現にこの現行法でも、証人等の被害についての給付に関する法律という平がなのたくさん入った長い題名になっておりますので、そういうことからいいますと、さらにこれを限定すると、より長くなるというマイナス面がないわけではございません。そこで、むしろ最近はなるべく字数の少ない題名にならないかというような方向で実は考えられていることもございます。  余り論理的な理由ではないと思いますけれども、そういう点が一つと、それから目的で一応対象を限定している。さらに、それぞれの規定でより要件を厳格にしておるということでございますので、御意見はごもっともな点も確かにあると思いますけれども、そういうふうなことで御理解いただければと思っておるわけでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 それから次に、これまでに被害を受けられた方は何人いらっしゃるか。あるいは請求がなされた数、支給決定された数は何件になりますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) この法律による支給実績は、お手元に差し上げております資料の末尾、先ほど寺田委員も一例を御引用になりましたけれども、参考資料としてつけております四件、三十六年、三十九年、四十四年ということでございまして、この四件に実は限られておるわけでございます。  請求がありまして支給をしなかったという例は逆にございません。ただ、この法律ができてからたったこれだけかと、こういう御印象もあろうかと思うわけでございますが、実態といたしまして、この法律の考えております証人、参考人が、その供述あるいは出頭に関しまして害を受けたという事例はそれ以外にもあるわけでございます、  それにはなぜ支給されてないかと、こういうことになりますと、支給し得る場合に支給しなかったという意味じゃなくて、要件に当たらないということで支給できないと申しますか、そういう場合もございますし、それから被害者と加害者とが親族関係にあるとか、非常に近い関係にたまたまあるというようなことで、請求をしていないということで当然支給もしていないということもございますし、また当事者間で損害賠償といいますか、俗にいう示談が成立しておりますと、そういうことでこの法律でも損害賠償との関係が規定されておることでございますので、そちらの方が優先するというようないろいろなことがございまして要するに請求がない、したがって給付もない。請求があって給付をしなかったというわけじゃございませんで、請求自体がないということになるわけでございます。  こういう事件があって支給すべきものを支給してないということでは申しわけないわけでございますが、前提として、むしろそういう事例がないことがある意味じゃ望ましいことでございまして、私どもといたしましては、この法律の周知徹底を欠くというようなことで万一にも支給漏れがあるということではいけないわけでございますので、常時そういうことは注意をいたしておりますし、前回の五十二年の改正の際にもそういう点の御指摘を受けたこともございまして、法改正が行われました直後に、周知徹底を重ねて図るという通達も出しておるわけでございますので、また今回もちょうどこういう機会でございますから、そういうことも考えたいと、かように考えておるわけでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 この法務省から配付された資料には、いま御説明のように四件挙がっております。そのほかにないかということを尋ねましたところ、昭和。四十七年以降十件ありますと。全く同じ事件じゃないんですが、四十七年以降で十件あって、それはいま御説明があったように支給になってない、つまり支給すべきものではなかったということだろうと思います、確かに、こういう問題はない方が望ましいことであって、証人になった者がそのために被害を受けるというようなことはないのが望ましい。  そこで、お伺いしたい第一点は、十件とも先ほど局長が御説明なさったような完全に請求すべき事件ではなかったということなのかどうか。  それから第二点は、こうした事件は未然に防止できるものなら未然に防止しなきゃいけない。いけないというよりも、検察の方で防止してもらいたいわけですね。特に刑事事件についての証人になったがゆえに被害を受けるというようなことは、未然に防止する手だてを講じてほしいと思います。  以上、二点について伺います。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げましたように、その後十件の被害事例自体はあるわけでございますが、その後は示談成立をしているというようなこと、あるいは一例で申しますと加害者と被害者が夫婦であるというような例もございますし、それから暴力団関係者同士と言うと悪いのでございますけれども、そういうような顔見知りであるというようなことで、これはとても請求できないということで本人が請求しないというような例もあるわけでございまして、それぞれそれなりの理由がありまして支給されていないということになっておるわけでございます、

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 未然防止。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) これは当然のことながら、こういう事態が起こりませんように私どもも配慮しなければならないわけでございまして、いま仰せになりましたように、検察においていろいろな措置も考えられなければならないと思いますが、私どもの立場で考えられますことは、検察庁では参考人の呼び出しをするわけでございますので、もしそういう危険があるということになります場合には待ち合い場所を特に考えるとか、あるいはそういう対立当事者と同じに顔を合わせないように時間を変えて呼び出しをするとか、あるいは検察庁に呼んだのでは危険だという場合には役所以外の適当な場所に来ていただくとか、そういうようなことが考えられるわけでございまして、取り調べ段階あるいは公判段階でそれぞれ配慮しておるつもりでございますし、また手に余る場合には警察等に警備の依頼をするというようなことも考えておるところでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 次に、昭和五十四年三月三十日の法曹三者協議会で合意されました国選弁護人に危害が加えられた場合の給付制度についての立法化については、現在どうなっておりますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) その問題につきましては、御指摘のように法曹三者の協議におきまして一つの検討事項ということになっておるわけでございます。  その問題は、当時いろいろと刑事裁判をめぐりまして弁護人の行動等に問題がある事例もあるということがあったわけでございまして、その反面、国選弁護人を確保しなきゃならない。と申しますのは、私選の弁護人が一種の法廷闘争と申しますか、戦略、戦術的に勝手に辞任をしてしまうとか、法廷へ出てこないとか、そういうことがあって裁判がなかなか進行しない、こういう状況がございましたので、そのかわりと言っては変ですけれども、国選弁護人をお願いしなきゃいけない。ところが、国選弁護人がなかなかそういう特異な事件でございますのでつかない、さらには関係者から何かやられるのじゃないかというようなこともあって国選弁護人になっていただけないと、こういうような背景があったわけでございます、  幸いにして、そういう事態がその後順次解消されておることも一つあるわけでございますけれども、万々一にもそういう事例があってはいけないということで、そういう協議もございますので、立法措置につきましてその後も日弁連と、また省内でもいろいろと検討をしております。  事例が全くないということは、これ自体は結構なことでございますが、事例がないこともございまして、なかなか構想も立てにくいという面も実態にあるわけでございますが、立法技術といたしましていろいろな方法が考えられると思うわけでございまして、独立の法律をつくるということもございましょうし、また国家公務員災害補償法のような、それを準用するようなことも考えられるでございましょうし、またいま御審議をいただいている証人等の被害についての給付に関する法律、これの中に盛り込むという方法も、大体そのくらいのことが考えられるわけでございます。  その点につきまして一長一短実はございまして、日弁連の御意向によってもなかなかうまくはまりにくい点が実はございまして、幸いといいますか、今回この機会がございましたので、この法律の一部を改正する中で、国選弁護人がその職務に関して危害を加えられるという場合の給付というものを考えて、ある程度具体的な御提案も日弁連の方にもしたわけでございますが、その給付額について、もっと何とか特別な扱いはできないかというような御意見もございました、そのほかにも若干ございましたが、一番その点が大きかったように思うわけでございます。  ただ、この法律によります場合には、なかなか差をつけるという理屈がまた一面困難な点もございます。そうしますと、また別な立法措置でいくかというようなことになりますと、どうも国家公務員災害補償法のように、いわば独立て職務を遂行される弁護人が公務員扱いみたいになるのほかえって困るというような一面御意見もまたあるというようなことで、なかなか意見の一致を見ない点がございまして、日弁連の方でもむしろもう少しお互いに協議を続けた方がいいのじゃないか、こういうような空気でもございましたので、今回は見送って、なお引き続いて御相談をしていきたい、こういう状況になっております。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 よくわかりました。  それから、これも法務省にお尋ねするのは適当じゃないかもしれないですが、今国会に提出されている障害に関する用語の整理に関する法律案の三十一条で、証人等の被害法の第五条第一項第二号中の「廃疾」を「障害」に改め、同項第三号中の「身体障害」を「障害」に改めることになっております、これは御承知のとおりですが、そこで両方とも「障害」という表現になりますけれども、この法律が制定されたときにわざわざこう区別したのは何か区別するだけの理由があったのか、それとも「障害」ということに改めて差し支えないのか、どうか、その点はいかがでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 確かに、現在のこの法律では「廃疾」という言葉と「身体障害」という言葉を使い分けておるわけでございまして、内容的に見ましても「廃疾」の方は「被害者が負傷し又は疾病にかかり治っていない場合において存する廃疾」ということでございますし、さらにその程度も相当重大な程度と申しますか、というものが考えられているわけでございます。「身体障害」の方は「負傷し又は疾病にかかり治った場合において、なお存する身体障害」ということでございまして、その範囲はまた逆に広いわけでございます。  そこで、一面から言いますと、こういうふうに分けておいた方がいいというふうに思われるわけでございますけれども、不適当用語ということが問題になりまして、この「廃疾」という言葉を何か置きかえなきゃならないということもこれはまた大事なことであろうと思うわけでございます、なかなか置きかえるいい言葉がないということで、まあ「障害」という言葉でも間違いではないしそれで十分カバーできるのじゃないかということがまずありまして、そうなりますと、三号の方の「障害給付」を「身体障害」にいたしておきますと、何かその障害の中でいわゆる物理的なと申しますか、身体的な障害に限られるというような誤解を受けてもいけないということで、反射的なといいますか、関係で、この身体という字を削って、そこもまた「障害」になってしまったという経過をたどっておるわけでございます。  そうしますと、確かに御指摘のように、当初のような使い分けが一見はっきりしないわけでございますけれども、現在言っております「廃疾」というのも「身体障害」というのも、広い意味では障害の中に含まれる概念であろうと思います。むしろ障害と言う方が広い概念でございますから、そういう意味においては不都合がない。  そこで、内容的にはどういう区別があるかということになりますと、等級表と申しますか、政令で詳しく表を定めまして、いろいろな場合に、どういういわゆる障害があった場合にそれを何等級に格づけるかという表があるわけでございますので、その表によって、傷病給付の対象になる障害と障害給付の対象になる障害と、これが十分区別がつくわけでございますので、一面からする難点は若干ございますけれども、その「廃疾」という言葉を変えるということが大前提になりますとこれしか方法がない、しかも実際上それによって特段の不都合は起こらない、こういう理解でおるわけでございます。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 この別表がありますが、別表第一と別表第二の「廃疾の程度」というのと「身体障害の程度」というのをずっと比べていきますと、ほとんど変わりないですね。ほとんど変わりないところを見ると、やはりいま局長がおっしゃったように「障害」にくるめて差し支えないということでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 結論から申しますとそういうふうに考えているわけでございますが、実体が変わりませんように、この「廃疾」という言葉が変わりました場合に、表の書き方等においては十分工夫をしたいと考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 法案関係のお尋ねをする前に、一点お伺いをいたします。  八〇年夏の総選挙での千葉一区の泰道三八派の大買収事犯ですが、泰道三八代議士に対しての買収容疑について不起訴処分をしたという千葉地検の態度を、千葉の検察審査会がこの一月二十九日に不当であるという議決を行いました、この問題につきましては、私もすでに八〇年の十一月十九日の参議院の公選法の特別委員会でその責任を追及する質問をしてまいりましたけれども、この千葉検察審査会の決定は、良識ある千葉県民の世論が検察の生ぬるい態度を許さない、断固たる態度で訴追をすることを求めていることを意味していると思いますけれども、そういう意味からも検察の責任は重大であると考えております。  この検察審査会の議決が行われた一月二十九日以降もう二カ月半以上たっているわけでありまして、その後の検察としての検討が進められているし、当然のことながら起訴する方向への動きが出てしかるべきであると思っておりますけれども、どういう状況になっておりますか、まず初めにお伺いをいたします。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの選挙違反事件につきましては、ただいま仰せになりましたように、一月二十九日に千葉の検察審査会におきまして、検察官の処分が適当でない、こういう議決がなされておるわけでございます。したがいまして、検察庁といたしましては、その議決を尊重してできる限りのことをしなければならない立場にあるわけでございます。  ほかの委員会でもお答えしたことがあると思いますけれども、どちらの方向に向かってということは申しかねますけれども、やはり議決がありました以上は、それに応じた措置を講じなければならないということでございまして、それなりの態勢といいますか、ことを考えているわけでございますが、事案は広い意味での再捜査というようなことになるわけでございまして、いわば捜査の内容、具体的にどういうことをやっているか、どういう進行状況であるかということになりますと、まだその結論が出ていない現段階におきまして詳しく申し上げるわけにはまいらないことでございますので、そのように御理解をいただきたいわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いま刑事局長おっしゃいましたように、これは衆議院の予算委員会、二月二十二日に稲葉委員が質問をされて、いまお話しがあったような答弁もされております、この時点からももう二カ月近くたつんですよね。  私は、この問題を公選法の委員会で指摘をしましたときに、一つは、公選法の改悪あるいは全国区制の自民党案による改悪、そういう問題との関連で、金がかかる金がかかるというふうに政府や自民党は言われる、しかしこうした大買収事犯が起こる、一体だれが金をかけているのか、どういう内容の金をかけた違法の選挙、違反の選挙をしているのかということを一つの論点として追及いたしました。  と同時に、この場合の実態をかなり申し上げたんです。つまり、この泰道三八派の選挙につきましては、「泰道三八君を励ます会」という会がつくられて、ずらっと発起人が名前を連ねている。その中に、元警察庁長官、元中部管区警察局長、元四国管区警察局長、元千葉県警察本部長、元富山県警察本部長、元千葉県公安委員長、元高等検察庁検事長、そういう人たちがずらっと名前を連ねているんですね。  そして、この事件の当時もかなり新聞でも報道もされましたし、私も公選法の委員会で指摘をしたんですが、いま申し上げました元中部管区警察局長というのは藤沢さんという方なんですけれども、たとえばこの藤沢さん自身が、運動員は選挙になれていないから悪質違反はないと思うけれども形式犯があったら注意してほしいと言って歩いたと。つまり、警察にそういう形で歩いて圧力をかける。あるいは、さまざまに報道もされ県民の怒りも出ていたわけですけれども、県警が買収事犯に本腰を入れてないと、こういうふうにたくさんの警察出身のOBが励ます会などに名前を連ねていることによってたかをくくっているという節もあった。それから、つかまった運動員の中にも、警察関係のOBがいるから大丈夫だと思ったと、そういうことがいっぱい出てきているわけですね。  私は、そういう警察関係の出身者がたくさん名前を連ねてこうした大買収事件を起こして、そして警察がその取り締まり、あるいは捜査が手ぬるく、なれ合いで手かげんをしている、そういうことが明らかに多くの批判の的になっているわけだから厳重な捜査をしなければならぬということを、もう一つの中心的な問題として強く指摘をしたところです。  そんなことはございませんと、当時、中平刑事局長もおっしゃっていたんですけれども、実際問題として千葉の県民の皆さんがその結果、不起訴になったことが不当であるということで、検察審査会の議決が行われたわけですから、私は受けとめ方を厳正にそれを受けとめていただかなければならない性格のものであると考えておりますけれども、重ねてその点も含めた見解をお伺いをした

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、検察審査会から検察官の処分が適当でないという議決があったわけでございます、  そういう場合に、これはこの件に限らず、あらゆる場合についてそうでございますが、検察当局といたしましては、その検察審査会の議決というものを十分それなりに受けとめて必要な措置を講じておるわけでございまして、この件についても同様であるわけでございます。  なお、いま山中委員も仰せになりましたように、この件につきましては、特にいろいろなことも言われているようでございますので、そういう点も十分念頭に置きながら、厳正かつ適切に対処するという態度であることは変わりはございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうしますと、予算委員会で稲葉委員が指摘をしたときに、先ほどいただいた御答弁と同じ御答弁だったんですけれども、この間は一体何をしていたのかと、それは特に千葉の県民の方たちは思われると思うんですけれども、どういう見通しを持って国民の疑惑にこたえ批判にこたえる方向をお出しになるおつもりなのかもお伺いしておきたいと思います。いつごろとにかくちゃんとした決着をつけて、そして国民の疑惑にこたえて積極的な対応をなさるおつもりなのか、見通しなのか、お尋ねをいたします。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほどもお答えしましたように、一たんは不起訴処分になっておりますが、先ほどのような経過をたどっておるわけでございますので、また広い意味での捜査という状態に戻っているわけでございます。そうなりますと、まだ結論が出ない段階で、だれを調べたとか、どういうふうに進行しておりますとかいうことを中間報告をするというか、そういう形で御説明をするということは、事柄の性質上できにくいことでございます。  そういうことで、それを御理解いただきたいと先ほども申したわけでございまして、そういうことで非常に抽象的なお答えになるわけでございますが、必要なことは順次やっていくというふうに御理解をいただきたいわけでございますし、その見通し、時期ということになりますと、一面いろいろな点から慎重に考えなければならない。慎重というのは消極という意味ではなくて、あらゆる面から御納得のいくような処理をするという意味で考えなきゃならないということでございますので、若干の時間がかかるのじゃないかというふうに思いまして、いつごろの時期になるかということは明確に申し上げるわけにはまいらないわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 この問題の最後ですけれども、法務大臣にお伺いをしたいんですが、御本人は議員を辞職することもなく、自民党に籍を置いてそのまま居座っておられるわけですよね、これだけ明らかな悪質違反をしておいて、そして検察審査会のこうした議決も出ているというのに。こういう結果になって推移していけば、選挙に出て当選するためには何をやってもいい、それで、そういういろいろな問題として起こってもまかり通っていくという結果を生み出しかねないわけなので、事実そうしたケースは過去にもいろいろあるわけですから、当然検察庁は検察審査会の議決を尊重して再捜査を急いで、そして国民、県民の批判にこたえる決断を下して起訴をすべきであると私は考えておりますけれども、法務大臣の見解と決意のほどをお伺いしたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま刑事局長から申し上げましたとおりでございまして、千葉の検察審査会におきましてあのようなことが言われたわけでございますから、われわれといたしましてはあくまでも厳正公正に、適切に対処してまいる所存でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 証人等の被害についての給付に関する法律の一部改正との関連で、主として私は証人の保護という問題についてお尋ねもし、また提起もしたいと思っています。  申し上げるまでもないことですが、憲法三十七条の二項「刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。」、そのほかにもいろいろな条項があるわけですけれども、歴史的に見て刑事被告人の訴訟法上の地位が強められてきているということの反面、犯罪とは直接関係のない証人が出頭、罰金や勾留で強制される、場合によっては勾引され、虚偽の陳述をすれば偽証罪で処罰される。法の保護は、犯罪人でない証人に弱いという印象があります。  証人というのは、しばしば偶然的な理由で裁判に協力することを求められるわけですし、裁判所や捜査機関もその点を十分考慮して、証人の保護などを含めてそれ相応の対応をしなければいけないと基本的な面で考えておりますけれども、この点についての御見解を初めにお伺いをいたします。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 確かに、証人になられる方はいろいろな面で負担を負われているということは事実でございますが、これは申し上げるまでもないと思いますけれども、犯罪がありまして、その犯人を処罰する必要があるということも一面大変重要なことであるわけでございまして、その裁判が適正に行われ、そして適正な刑罰権の実現を図るためには、そういう目撃者等含めた参考人の御協力ということがぜひ必要なわけでございます。  そのことは、現象的に見ますと大変証人の方に負担でございますけれども、いわば国民の一種の協力義務といいますか、国民の義務という面も持っておるわけでございまして、国民がいわば裁判所と対立するような関係ではなくて、むしろ国民のための裁判をするために国民の方が御協力をされると、こういう言い方もできないことはないのじゃないかというふうに思うわけでございます。そういうことでございますから大変重要な方でございますので、御協力も得なけりゃならぬわけでございますが、反面、被害を受けるというようなことがあってはならない、これは当然でございます、  したがいまして、この法律もその一環といえば一環でございますけれども、刑事訴訟法の面におきましても、いろいろな先ほどのような一種の強制的な措置が設けられておりますのと並んで、証人の保護に関する規定、これがいろいろとあるわけでございます、  たとえば、必要的な保釈の制限事由で、刑訴法の八十九条五号でございますが、そういうような規定でありますとか、あるいは被告人が圧力をかけるというような場合には被告人を退廷させる規定でございますとか、あるいは傍聴人を場合によっては退廷させる規定でございますとか、さらには、法廷では証人が十分な証言ができないという場合には裁判所の御判断で公判期日外あるいは裁判所外で証人尋問を行うといういろいろな規定も設けられておるわけでございます。  また、そのほかにも刑法の改正、この証人等の被害についての給付に関する法律の制定と同じ時期に、先ほど申しました刑訴法の改正も行われる、また刑法の面でも証人威迫罪というようなもの、こういう規定が新設されたわけでございまして、そういう刑訴、刑法の両面から証人の保護という点も相当程度図られているというふうに考えるわけでございます。  なお、運用の面におきましては、先ほど小平委員のお尋ねに、もお答えいたしましたように、裁判所においても、また検察庁においても、さらには警察におきましても、それなりの措置を講じて、そういう被害を受けられることのないように、それぞれの立場で考えているところでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 証人として刑事裁判に喚問されるケースというのがどのくらいあるのかということを知りたいんですけれども、これは過去五年間ということで結構なんですが、証人として刑事裁判に喚問された方はどのくらいおられますか。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 最近五年間における全国の地方裁判所の、これは喚問でございませんで、実際に刑事事件で証人尋問を受けた数を申し上げますが、五十一年が七万六千八百五十一人、五十二年が七万六千二百二 十人、五十三年が七万七千四百四十二人、五十四年が七万四千六百二十人、五十五年が七万三千六百七十四人と、五年間で平均いたしますと、一年間に大体七万五千人強あるということでございまして、いま出廷したということでございますが、尋問しなかった証人というか、その日に喚問はしたけれども出頭していただいて尋問しないで帰っていただいたという方が多少おりますので、喚問した証人の数はこれを若干上回るというふうに思っております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 かなりなやっぱり数に上るという判断ができるんですけれども、それだけに、やはりこれらの証人の保護というのが一層大事な問題であると思います。  それから、警察庁にお尋ねをしたいのですが、三十二年に新設されました証人威迫罪に基づく検挙件数状況ですね、これをお示しいただきたい。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) お答えいたします。  昭和三十二年から昨昭和五十六年までの二十四年間で証人威迫事件といたしまして検挙をいたしました暴力団関係者の数は、二十四年間で九百三十九人に上っております。暴力団以外の者も若干はあろうかと思いますが、それについては正確な統計がございませんのでお答えがしかねるわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 やっぱり圧倒的な数が暴力団関係だということだと思うんですけれども、暴力団から証人を守るための配慮ですね、これがもちろん証人保護という立場からも重要であると同時に、暴力団犯罪に関してやっぱり決定的な決め手になるわけですよね。やはり暴力団のお礼参りがこわいからということで証人に立てない、また立った上でさまざまな嫌がらせや報復を受けると、そうしたことが日常茶飯事、問題になっているわけなんですけれども、これは警察庁もそうですし、法務省も裁判所もそれぞれにお伺いをしたいのですが、暴力団から証人を守るためにどういう方策をとられているか、それをお示しいただきたい、

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) 御指摘のように、単に証人のみの保護ということではなく、警察庁といたしましては暴力団関係事件の証人、被害者等関係者の保護という形で都道府県を指導しておるわけでございます。  その指導の内容でございますが、まず被害者等の取り調べについては、その時期や場所、方法に十分留意をして、被害者がそういった動きを犯人等に察知されないように十分注意をして取り調べをするということ。  それから、いわゆるお礼参りをされるおそれのある被害者につきましては、警察が被害者と常に連絡を密にいたしまして保護のために必要な措置が講じられるようにするというねらいから、四点ほど具体的な施策をやっておりますが、まずその一つは、被害者の住所や氏名を常に確認をいたしまして、関係警察署に周知をさせておく。なお、被害者が他の警察の管内に転住をしたという場合にはそちらにも内部的に素早く通報をする。それから、外勤警察官による警らを強化するなど、いわゆる保護連絡の措置を講じておること。それから、その当該事件の捜査に従事をいたしました捜査員も、必要によって随時被害者と連絡をとるということ。それから、警察署に保護連絡簿というようなものを設けまして、その状況を常に明らかにしておくということをしております。  大きな三番目として、被告人等が保釈、仮釈放等によって釈放された場合には速やかに必要な措置を講ずる。お礼参りをするおそれのある暴力団については、その動静を厳しく監視をするということ。  それから大きな四番目として、いわゆるお礼参り、示談の強要等が行われた場合には迅速的確にこれを検挙するということ。さらに、刑事訴訟法九十六条第一項に規定しております保釈取り消しの事由については積極的に関心を持って、必要な場合には検察官にそのことを連絡するということを指示しております。  それから最後に、第五番目に、被害者等の住所、氏名などが部外にできるだけ漏れないように、被害者に迷惑がかからないように特に配意をする、このような措置をとっております。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 検察段階におきましては主として参考人のことになるわけでございますが、まずもって当該参考人等と緊密な連絡を保ちまして、そういう事態が予想されるかどうかということの把握が最初であろうと思いますが、そういうことでそういうおそれがあるということになりました場合には、警察の方にお願いをして、いま警察の方からお答えのありましたような措置をとっていただくということが考えられるわけでございます。  それから、検察庁で実際に調べる場合につきましては、先ほど小平委員にも若干申し上げましたけれども、取り調べ時間をそういう相手方と会わないようにする、また取り調べ場所を考えまして、そういう関係者と分離をした場所にする、あるいは待ち合わせ場所についても同様なことをするというようなことが現にあるわけでございまして、そういうようなことからそういう被害の未然防止を図っておるわけでございます。  また、裁判の段階でそういうことが考えられます場合には、裁判所の方にも十分御連絡をして措置を講じていただくというようなことをやっておるわけでございます。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 被告人のまず保釈の点でございますが、これは刑事訴訟法の八十九条でございますが、これは法律を改正していただきまして、そういうお礼参りをするような者については保釈を厳しくするという規定が設けられておりますので、そのように厳格に保釈はされておると、こういうことでございます。  まず、証人の一般的な保護のことを申し上げますと、これは昭和三十一年でございますが、まことに遺憾なことでございますが、証人が被告人に隠し持っていた竹べらで突かれたということがございました、その際に裁判所、法務省刑事局あるいは矯正局、検察庁、弁護士会の代表の方お集まりいただきまして、いろいろとその検討をいたしました、そのときに一応のいろいろな意見が出されまして、それを参考にいたしまして、各裁判所、これは法廷でもいろいろ広い狭いございますので、そういう状況に応じてそれぞれの十分な配慮をするようにという事務総長の通達を出しております。  まず、証人の控え室がなければいけない、これは在宅の被告人もおりますわけで、証人と被告人とが一緒になっているというようなことでは非常に危険があるということで、証人の控え室を別に設けるべきであるということで、これは老朽化した古い建物ですとなかなか設置ができなかったという面もございますが、ただいまのところでは全国的に見て地裁の本庁、甲号支部、乙号支部、ほとんど全部と言っていいぐらい証人の控え室を設けております。もっとも乙号支部のうち七カ庁ばかり、まだいま改築の問題などございまして、古い建物であるところもございますので、そういうところはまだ控え室がないのでございますが、そこでは書記官室を証人控え室に充てるということで、ただいまのところは暫定的な措置としてそういう措置をとっているということでございます。  こういう施設面はもちろんでございますが、それ以外の面でも、たとえば証人が控え室から法廷に移動する際に事故が起こるというようなことがあってはなりませんので、これは前に申し上げました事務総長通達にもございますが、その際には廷吏その他の職員が付き添って誘導するということ。それから法廷内の証人の席でございますが、これを被告人の席から離れさせる、また被告人が飛びかかったり何かしないように被告人の席も弁護人の席の横とか後ろとかそういうところに置く。一方、証人の席は検察官の近い方に置くというようなこと。場合によっては、その間に職員を置くというようなこと、いろいろございますが、たとえばこの事務総長通達でも申しておりますが、尋問の際に、尋問するふりをして被告人が近づいていって傷害したというようなこともございますので、できるだけ弁護人を通じて尋問をさせるというようなこと、いろいろな措置を講じているわけでございます。  特にこれは三者、裁判所だけではなかなか事案の内容がわかりませんので、そういう危険性があるかどうかということは検察官あるいは弁護人からも連絡していただく。特に危険性が高いというような事案につきましては、検察官に依頼いたしまして、検察官の方から警察官の保護をつけて、それで出頭してもらうというようなこともやっておるところでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 法務省から資料が出ていて、ここに四件の被害事例が出ていますね。いろいろいまお話がありましたんですけれども、裁判所にお伺いをしたいのですが、この四件出ている一と四の事例、これは裁判所で起こっているんですね。廊下でだとか、それから証言中被告人からボールペンで顔面を突き刺された、こういうことが、いまいろいろるるお話しいただいているような、態勢は万全ですとはおっしゃらなかったけれども、まあいろいろ努力をされているということなんですが、何でこういうことが起こるのか、私にはちょっと解せないんですけれどもね。  つまり、廊下で証人が被告人と顔を合わせなきゃならないとか、それから裁判所の公判廷で証言中にボールペンで顔を突き刺されるとか、いずれにしてもこれはやっぱり裁判所側の不注意の結果発生したものだと思うので、先ほどもどなたかおっしゃっておられましたけれども、やはり未然に防ぐということが大事な問題で、この辺はどうしてこういうことになるんですか。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 証人にせっかく御出頭いただいてこういう結果になって、裁判所としてもまことに申しわけないことでございます。  この三十四年の事件は、当時これは在宅の被告人と証人がたまたま出くわせたということでこういうことになったようでございますが、この裁判所では証人控え室は当時なかったようでございますので、その後、新築の際に証人控え室をつくったということでございますし、それからこの四十三年の事件でございますが、これは先ほど申しました証人尋問をするような顔をして近寄っていってこういう事件を起こしたということでございますので、それからは証人と被告人とを離すというようなことも配慮いたしまして、四十三年には刑事局長、家庭局長の通知ということでこの事件を知らせまして、全国でまた再びこういうことがないように措置しているところでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 この事例で給付額が出ているんですが、これも先ほどお尋ねがありましたし、私も考えて、ずいぶん少ないのじゃないかなという感じできのうもちょっとお尋ねをしたんですけれども、先ほど大臣から勉強するという御見解も出されておりましたのでここでは割愛をいたしますが、そういうことだけでなく、やはり未然に防ぐということの重要性が、先ほど局長も言われた証人という国民的な意義ですね、そうしたことに照らしても大変重要なことであろうということを指摘しておきたいと思います。  その証人保護のための何というんでしょうね、最小限の要求だと思うのですけれども、裁判所の関係者から聞きますと、やっぱり証人の取り扱いがとても配慮がなさ過ぎて乱暴なんですね。それは全部が全部そうだとは言いませんけれども、具体的に伺ったケースを二、三御紹介しますと、道路工事の仕事をしている労働者が裁判所へ証人として呼ばれた。仕事を休んで駆けつけたので、裁判所へ来るのに別に背広、ネクタイに威儀を正して来たわけではありませんよね、そういう仕事をしている方たちが来たわけですから。そうしたら、裁判所へ来るのに背広にネクタイぐらいつけてこいと裁判長に怒られたとか、それから今度来るときは散髪ぐらいしてこいと言われたとか、こういうことがやっぱりあるんですよね。  私たちもちょっと考えられないことで、ぜひ国の裁判に協力してくださいと言って来てもらうわけでしょう。それなのに、着ているものが気に食わないとか、髪が気に入らないとか、裁判長がそういうことを言うということはちょっと常識では考えられない。そこに私、やっぱり一つの姿勢というものがあらわれると思いますし、同時にまた、お年寄りやそれから病人、そうした方たちには車で送り迎えするというようなことはやっぱりやってしかるべきだと思うんですよ。そうしたことに対するお考え、いまの私の申し上げた点についてはどのように考えておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。

小野幹雄最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいま服装の点あるいは髪が長いから切ってこいと言ったというようなこと、私どもが伺いましても、本当にもしそういうことが事実であれば、これは常識に反することだと思います。そういう事例が実際にあったのかどうかわかりませんが、もしあったとすれば、まことに配慮が足りないことで申しわけないことだと思います。  恐らく大多数の裁判所、どこへ行きましても、証人の方に背広でネクタイぐらいつけてこなきゃだめだなんというようなことは言ってないと思いますし、私ども、証人がそんなちゃんと服装を正してこないとだめだなんと言った覚えもございませんので、そういうことがもしありましたらまことに申しわけないことでございますので、何かの機会にそういうことはないように考えたいというふうに思います。  また、老人や病人の場合に車で送迎するようにというお話でございますが、それはあるいは理想かもしれませんが、現実の問題として、証人はいろんな方面からおいでになるわけで、それを送り迎えするだけの配車ということになると、またこれは大変なことであろうかと思います。  ただ、老人であるとか、病人であって出頭が非常に困難であるというような事情がありますと、裁判所の方で臨床尋問、これは裁判所全部で行く場合もありますし、受命で行く場合もあるということで、大体は出頭が困難な証人の方の場合には、そういう方法で適宜手当てをしているのじゃないかというふうに考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それはぜひ考えていただきたいと思うんですね。さっきから法務省も裁判所もお認めになっているように、証人にはやっぱりそれをやっていただかなければならない国の都合、裁判所の都合ですから、協力をしてもらうという立場は、そこをしっかり押さえておく必要があると思うんです。  それから、この法律によりますと、補償の対象となる範囲は「その身体又は生命に害を加えられた場合」と、こうなっているんですけれども、考え方として、先ほどの暴力団の話じゃありませんけれども、脅迫だとか嫌がらせその他でいろいろ不利益を受ける場合があるわけですよ。たとえばの話、しつこい脅迫、嫌がらせによって転居を強いられる、どこかへ引っ起さなきゃならない、引っ越したというようなことだって十分あるわけで、そうした場合も、いま細かくどうこうというふうに私申し上げるつもりはないし、またお答えもいただくつもりはないんですけれども、その実質的な損害に応じた補償というものは考えていく必要があるのではないかと思っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) この法律では、いま御指摘のように生命、身体に対する害ということに限定をいたしておりますが、その立法動機あるいは背景におきましては、先ほど来るる申し上げておりますように、そういう事態がありますので、特にこういう法律をつくって、最小限と申しますか、そういうことをしようということでできた法律であるわけでございます。  そういう意味におきましては、ある意味では従来考えられなかったようなこういう給付制度というものが考えられたわけでございまして、一歩二歩前進と言えば前進じゃないかというふうに考えてはいるわけでございますが、実際の問題といたしまして、山中委員の仰せのような事態もないわけではございません。その場合に、こういう給付制度というものの中でどこまで対象を広げていくかということになりますと、類似の被害といいますか、そういうものに対する国のどこまで措置をすべきかという基本問題にも関係するわけでございます。そういうことでございますし、また、技術的にも給付の内容が非常に非定型化したものであって、なかなか定型化した給付という形には乗りにくい面もあるわけでございます。  本来。これは基本的に言えば、被害者が加害者から賠償を受ける、逆に加害者が被害者に賠償をするという民事的な問題が基本にあるわけでございますが、それを一応横に置きまして、国の方でむしろ先に給付をするという、いわば特異な法制をとっているわけでございますので、そういう基本問題との関連におきまして、または技術的な面におきまして、なお検討を要する点が多々あると思いますが、御指摘の点も十分考えていきたいと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 ぜひそれは積極的に追求していただきたいと思います。  それで、最後にちょっと法務大臣にお伺いしたいんですが、これは「法律のひろば」という雑誌です。一九五七年ですからちょっと前なんですけれども、当時法務省刑事局付検事という肩書きでいらした安倍治夫さんという方が、エッセイ風のことを、証人の人権の問題に関して書かれているんですね。   昔の級友にあったら「裁判所に打ってひどい目にあつた」という。ゆすり事件の目撃者として証人に呼ばれ、朝から待っていたが、人がそろわないので、午後になってやっと番がきた。廊下や傍聴席には、犯人の仲間らしい人達がうろうろしていて、いいかげん気勢をそがれた上に、法廷では、叱られたり、いやみを言われたり、さんざんつるし上げられ、御苦労さまともいわれずに解放されて、もらった日当がわずか二三〇円、食事代とバス代を払ったら足が出た。もう証人はこりごりだ、こういうふうに昔の旧友が言っていたということを安倍さんという方が書いておられるわけです。  そして、この安倍さんは、要するに、日本では証人の保護というのは余りにも貧弱ではないかということで、アメリカの例をとって紹介していらっしゃるんですが、たとえば、アメリカでは、証人を暴力から守ることは、警察や検察当局の当然の職務と考えられている。証人を守るために身辺に護衛をつけたり、疎開させたりすることは珍しくない。有名な「夜の大統領」カポネの事件では重要証人を南米に待避させたと言われている。  アメリカ各州では今日この犯罪について成文の規定をおいているところが多い。合衆国の法律では、証人の出廷をさまたげたり証人を困惑威怖させたりする行為は裁判官に対するそのような行為と同じく、「司法妨害罪」を構成し、五年以下の懲役または五千ドル以下の罰金、又はその両方に処せられる。日本では証人にいやがらせをして出廷を妨げても何の罪にもならない。かりに証人をなぐっても一般の暴行罪で軽く罰せられるにすぎない。  だから、証人は浮かばれないわけです。証人保護のための多角的な立法を自分の体験からも強く要望したいと、こういうことを言っておられるのですけれども、これは安倍さんの論だけじゃなくて、ずっとさまざまな点からいろいろな点で専門家の方たちも提起をされている論点でもあるわけなんですが、大いに傾聴しなければならない点だと思いますが、大きな意味で、これらの問題についての積極的な対応のお考えを法務大臣から承りたいものだと思っております。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 大臣からお答え願います前に若干事情を申し上げますが、いま御引用になりました当時の安倍局付検事のエッセイといいますかがあるわけでございますが、その時代は、先ほども仰せになりましたように一九五七年つまり昭和三十二年でございます。  そういう当時の安倍検事が申しておりましたような事態がございましたので、昭和三十三年、国会ではたしか二十八回国会になろうかと思いますが、この法律だけではなくて、先ほど来若干触れましたが、刑法では証人威迫罪というものを設ける、また刑訴では検事保釈の制限あるいは保釈の取り消し事由を拡大するというようなこと、また、証人が法廷で十分な証言ができない場合に公判期日外の尋問ができるというような、いろいろな刑法、刑訴の改正を行っておるわけでございますし、このいま御審議いただいております法律もその一環としてできたわけでございまして、いわば安倍検事の言っていたようなことにつきまして、一〇〇%できたかと言えばいろいろな御意見もあろうかと思いますが、それなりの措置を講じておるわけでございまして、今後とも証人の保護につきましては十分配慮いたしてまいりたいと考えておるわけでございます。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま刑事局長から申し上げましたとおりでございまして、これで十分だとは私ども考えておりません、一層努力をいたしまして、証人が本当に自由に証言ができますように、そのためにやはり必要なことはその証人の保護だろうというふうに私も思います。  私も、昭和四十六年に大学紛争の後、証人に呼ばれたことがございます。しかし私は、裁判所というのはこわくてこわくてしようがなかったのですが、戦々恐々として実は参りました。それは被告人の証人だったのですけれども、三時間か四時間か証言をいたしまして、実に自由な裁判が行われておるなという感じを持った次第でございます。しかし、証人——暴力関係等でございましたら、やはりなかなか国民は協力できかねるのじゃないかというふうに思うのです。  しかし、そのことがきちんと守られておるということならば、進んで裁判に協力をする。これが私は非常に大事だというふうに思いますので、今度の改正もその一歩前進でございますから、御理解を賜りたいというふうに思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木一弘公明党・国民会議

○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。  なお、討論、採決は、後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会      —————・—————

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