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96回国会参議院1982/07/29

文教委員会 第12号

発言数
206
登壇者
14
会派数
5
開催日
1982/07/29

会議録

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として木島則夫君が選任されました。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

小野明日本社会党

○小野明君 私は教科書検定をめぐります問題につきまして質問を申し上げたいと思います。  中国や韓国の新聞論調による批判あるいは中国政府の公式の抗議があったわけでありますが、これを受けて閣議でもいろんな議論が噴出をしたように承っているわけであります。これらがいずれもこの問題に火に油を注ぐというような結果になったことは否めない事実でありますが、特に松野国土庁長官などは内政干渉、こういった反発、発言があったと報道されております。  しかしながら、わが国においても外国に対して教科書の訂正方をいろいろ申し入れておるわけであります。  たとえば、本年四月一日の参議院外務委員会でわが党の松前議員の質問に対しまして橋本外務省情文局長が、外国の教科書の日本に対する間違いの記事については、外務省と国際教育情報センターとが協力をして目を光らせ、在外公館を通じて訂正方を申し入れる努力をしている、こういった答弁がなされておりますが、これについて事実関係は一体どうであるのか、外務省御説明をいただきたい。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) お答えいたします。  ただいま先生お尋ねの件でございますが、外国の教科書等に記載されております日本についてのいろいろな記述に関しましては、外務省の補助団体である国際教育情報センター、こういった団体がございまして、この団体が海外諸国と教科書とかいろいろな資料を交換することによりまして日本からも正しい資料を提供する、こういった活動を通じまして外国における日本についての記述が正確になるよういろいろ措置をとっております。

小野明日本社会党

○小野明君 さらに、北方四島をソ連領としておる外国の地図、これらにつきまして政府として在外公館を通じて訂正申し入れを行っておることが、昨年六月の小沢貞孝衆議院議員の質問主意書に対します政府の答弁書で明らかにされておるところであります。  この政府の方針に基づいて外務省からの訓令によって在カイロ日本大使館がエジプト政府教育省に北方四島に関する教科書の記載を訂正するよう申し入れたところ、エジプト側がこれを受け入れ、エジプトの国定教科書の地図が改訂され、成果が上がったとの報道がされておるわけであります。  これらが事実であるとすれば、外国の教科書で自国に関係をした記述に誤りがあれば、正式に是正方を申し入れるのはむしろ自然な姿です。わが国としても中国側から公式なルートを通じて申し入れがあっておるわけですが、これを謙虚に受けとめ、是正をすべきではないか、このように思いますが、外務省いかがですか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) お答えをします。  御指摘のとおり、中国の政府から日本側に態度の伝達があったわけでございますが、わが方としましてはこれを謙虚に受けとめ、これを文部省に伝達いたしまして、文部省の方に善処をお願いしておるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 各国とも大体この訂正方を申し入れた場合にこれを友好的に受け入れている、このように判断をしてよろしいかどうか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) お答えします。  わが国が行っております国際教育情報センターを通じます教科書等に関する記載事項の訂正あるいはそれに関連した正確な資料の提供というのは事柄の性質上、原則として民間団体が行うことがいいということでございまして、民間レベルを通じまして可能な場合には友好裏に行っている、そう承知しております。  ただ、先ほど先生が御指摘になりました北方領土の問題につきましては、昨年七月に外国の教科書とかあるいは地図等における誤った記述につきまして訂正するように訓令した次第がございますけれども、その際、おのおのの国の社会事情とかあるいは出版体制とか、いろいろ国内の社会体制も十分考慮した上で、任国の政府に適宜申し入れるように申したケースがございますけれども、民間ベースでもって原則として行っておりまして、友好裏に行っていると承知しております。

小野明日本社会党

○小野明君 民間ベースで行うということにあなたは力点を置いているが、そんなことはないじゃないですか。外務省と国際教育情報センターとが協力してエジプト政府に申し入れた、このように小沢貞孝君の答弁注意書に書いてあるんですよ。  ここに国際教育情報センターの発行したものがございます。オーストラリア、西ドイツ、イギリス、フランス、それぞれある。オーストラリアの分をちょっと読みますと、「彼らは勤勉で、ヨーロッパ、アメリカそれにロシアから、多くの考えを模倣している。」、こういう記事がある。ところが、日本の訂正申し入れば、「日本人はヨーロッパ、アメリカの考え方を沢山模倣しているが、「ロシア」を除いた方がよい。」、こういうふうになっているわけですね。ですから、民間ベースではなくて、正式に政府ベースで申し入れ、しかも、その結果がそういうふうに全部冊子になって報告をされているじゃないですか。各国とも訂正申し入れについて、まあ韓国の分がないのは残念ですが、大体これを受け入れている、このように見てもよろしいんじゃないですか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) お答えします。  政府間で従来申し入れを行ったのは北方領土に関する場合のみと了解しておりまして、ほかの百科事典とか教科書等に関する記述については国際教育情報センターという民間の機関を通じましてそういった資料の提供等を行っていると承知しております。

小野明日本社会党

○小野明君 何かあなたの答弁はよくわからぬが、何かごまかしておるが、とにかく政府が、外務省が国際教育情報センターを通じて訂正方を申し入れて、相手国はこれを受け入れておる、それがどうかと、それにきちっと返事をしてくれ。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) 国際教育情報センターを通じまして民間レベルで、先ほど申しましたように、百科事典とかあるいは教科書等に関しまして正確な資料を提供しまして、先方の出版社とか本屋とか、そういうところに対してこういつた申し入れを行うとか資料の提供をやっておると承知しております。

小野明日本社会党

○小野明君 国際教育情報センターにあなたは重点を置いておるが、そうじゃないでしょう。橋本君の答弁によると、四月一日、参議院外務委員会、「外務省といま申し上げました国際教育情報センターとが協力いたしまして、再び在外公館を通じまして訂正方を申し入れる」、こういうふうに答弁されておるんですよ。橋本君が答えてくれ。

橋本恕外務省情報文化局長

○政府委員(橋本恕君) ただいま小野先生御指摘のとおりでございまして、個々の具体的な教科書を一々細かくチェックするというような仕事は外務省所管の財団法人でございます海外教育情報センターにお願いをしております。これを実際に相手国にどういうふうに申し入れるかにつきましては十分外務省と協議をしております。  それから、さらにもう一つつけ加えますと、外務省が国際教育情報センターではなくて、直接相手国政府に申し入れあった例といたしましては北方領土の問題がございます。北方領土問題につきまして諸外国の教科書の中で地図でございますとか記述に誤りがあるというような事実をかなり発見いたしましたので、これにつきましては外務省が独自で相手国政府に訂正方を申し入れた例はございます。

小野明日本社会党

○小野明君 その答弁は正しいと思います。  そこで、これは文部大臣にお尋ねをいたしますが、本年七月十三日に喜屋武眞榮参議院議員から教科書検定に関する質問主意書が出されております。  これは、第四項で沖繩戦の記述の誤りということが指摘をされているわけですが、「朝鮮半島や、中国大陸に関する記述で、〃侵略〃を〃進出〃に、〃出兵〃を〃派遣〃に、〃収奪〃を〃譲渡〃に、〃抵抗運動〃を〃暴動〃に、〃専制〃を〃統治〃に書き換えるように指示されている」、「この件に関しては、「東亜日報」や「朝鮮日報」等でも」云々と、このように質問主意書の第四項に書いてありまして、これに対する内閣総理大臣の答弁書第四項でありますが、第一項もけしからぬのですが、第一項は、教科書検定の経過についてはこれは答弁できない、検定の経過は相変わらず密室の中で検定をするという答弁がなされている。  第四項が問題でありますが、「教科書の検定においては、その記述が、客観的かっ公正なものとなり、かつ、適切な教育的配慮が施されたものとなるよう求めているところであり、」——これまではまずまず。まあ事実と大分違いますが、この後が、「このことによつて我が国と他国との友好関係が損なわれることはないと考えている。」、こういう答弁書が政府から出されているわけですね。  これは官房に聞きましたら、この答弁書は大体所轄庁が書く、文部省が書いたと、こういうことですから、大臣も御承知であろうと思います。にもかかわらず、「我が国と他国との友好関係が損なわれることはない」と、こういう甘い見方で答弁書は書かれているんですが、今日のように教科書検定問題が日中間の外交問題に発展をした、あるいは日韓間に不測の事態がある、こういう事態を惹起したわけですが、あるいは問題は香港やシンガポール等にも波及してアジア全体に波及をしておるわけですが、文部大臣は一体この事実をどう受けとめられておりますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ただいま仰せのように、教科書の検定に際しましては、教科書の記述が公正で客観的であること、同時にまた、教科書でありますから当然でございますが、適切な教育的な配慮がなされておることを期待いたしまして、文部省は偏らないことを旨として綿密に検定を行っております。  今回のことでございますが、日本における検定の仕組みあるいは検定に臨む文部省の基本姿勢あるいはまた問題点として指摘されておりまする個々の事項につきまして、文部省の真意を時間をかけて十分説明いたしますれば、終局において友好関係を損なうような結果にはならない、そのように考えておるわけでございます。  したがいまして、すでに中国に対しましては今晩の九時から文部省の初中局長と王暁雲公使とが会談をいたしまして、中国からいただいておりまする御批判のよって来るゆえんにつきましても、あるいはその他、先方の御意見についても謙虚に時間をかけて十分承り、かたがた当方の立場、考え方も御説明を申し上げるつもりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣の御答弁ですと、教科書の検定制度あるいは中国側の申し入れに対してこれを謙虚に受けとめる、こういうことで中国側の理解が得られるのではないか、このような御説明なんです。しかし、今日この教科書検定問題がこういうふうにアジア間、日中間における外交問題に発展をしてしまった、この事実をどう受けとめておられるかということをまずお尋ねをしたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 中国と日本との間におきましては、友好関係あるいは相互の信頼関係をますます深めていかなければならない今日のこの時点において、不測の事態と申しますか、予期せざる事態が生じたことは非常に残念に思っております。したがいまして、繰り返しになりまするが、当方の真意を十分説明いたしまして理解を得たい、こう考えておるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 中国側の申し入れにつきましては大臣もう御承知であろうと思いますが、正式に外交ルートを通じまして、検定の過程で日本軍国主義が中国を侵略した歴史的な事実について改ざんが行われておる、こういう指摘がございます、抗議がなされている。そして文部省の検定した教科書の誤りを正すよう切望する、こういう申し入れなんですね。だから歴史的事実について改ざんが行われておる、たとえば「侵略」を「進出」に書き直させたという問題、その他、例を挙げればたくさんあるわけですが、これを改めてもらいたい、ここに焦点を合わせて回答をしない限り、謙虚に受けとめるとか検定制度を説明するとかいうような態度では中国側の納得は得られないんじゃないですか、見方が甘いんじゃないですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書におきましては、憲法の基本理念であります平和主義について十分説明をいたしておりますことはもとより、日中共同声明の趣旨につきましてもほとんどことごとくの教科書が記載をいたしております。過去において戦争を通じて中国に甚大な損害をかけた、その事実を厳しく反省をして日中の友好関係の促進に努めていくべきであるということについても多くの教科書は詳細に記述をしておるのでございます。この基本的な態度には今後もいささかも変わりはないわけでございまして、ただいま仰せになりました「侵略」を「進出」云々ということでございますけれども、細かくは申し上げませんが、問題は歴史の教科書でございます。歴史の教育におきましては史実に基づいた、信憑すべき資料に基づいた客観的な事実を客観的に考察し判断する、そういう能力を養うということを旨として歴史教育は行われるべきものでございますから、用語にいたしましても客観的なしかも統一した用語を使うことが望ましい、かような観点から中国との戦争について記述をした一、二の教科書におきまして、たとえば十九世紀における列強の中国に対する戦争を記述する際には「進出」という言葉を用い、日中の戦争については「侵略」という言葉を用いている、用語を統一なさってはいかがでございましょうか、その際、どちらかといえば「進出」という言葉の方が客観性のある用語ではございませんか、かような改善意見を出した結果、著作者はこの改善意見を入れてこれを「進出」と改め、あるいは「侵入」と改める、かようなことをやっておるわけでございまして、先ほど来申しておりまする基本姿勢にはいささかも変更を加えようとしておるつもりはございません。まして歴史の事実を改ざんする、軍国主義を復活しようとしておるというようなことは毛頭考えておらないわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣、「侵略」を「進出」と書き改めたことが歴史的事実である、こういうふうにおっしゃったわけですが、中国側はあの戦争について、日本の軍国主義の侵略戦争だと、こういうふうに受けとめているわけですよね。決して「進出」というような美化された言葉じゃない。これは南京大虐殺のところでも改善意見をつけているわけですが、教科書についても二、三である、こういうことを言っておられますが、調査官の意思あるいは文部省の意思、いわば政府の意思というのは、明らかにあの日中戦争、侵略戦争を「進出」だと、こういうふうに価値を置きかえて書こうとしている。それを中国側が歴史の改ざんだと、史実を誤って書いておる、こういう指摘がされているわけですよね。中国側の抗議はそこにある。日中共同声明におけるあるいは友好条約の精神もそこらに日本の反省というものがなければならぬ、ないといけない。そういうことに私は中国側の抗議の本旨があると思いますが、大臣は「侵略」を「進出」に変えることはあくまでも日中間の問題にはならない、このようにお考えですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 一つの例でございますが、「日本の中国侵略」という見出しの部分を「満州事変・上海事変」というふうに改訂をした教科書がございます。しかし、この見出しのもとになされておる記述には一言一句も変更がないわけでございます。これを通読いたしまするならば、前回日本が中国に対してしかけた戦争が支持すべからざる戦争であったということは十分理解できると存じます。  なお、教科書の全体を通読いたしますれば、先ほど申し上げましたように、日中共同宣言の趣旨についても明確に書いておるわけでございますし、前回の戦争を日本の国民あるいは日本の政府はきわめて厳しく反省をしておるという事実もはっきり書いておるわけでございますから、これらの点を私はただいまきわめて簡単に申し上げたわけですが、時間をかけて詳細に説明いたしますれば理解が得られることと、こう考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 そういたしますと、中国側が「侵略」を「進出」に書き改めたことは歴史の改ざんである、こういう指摘をされているわけですが、大臣は「侵略」は「進出」でいいのだと、書き改める必要はない、日中友好関係を損なうおそれはない、こう断言なさるわけですか。大臣、答弁しなさい、大臣が。あなたの答弁だ。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま大臣がお答えいたしましたとおり、わが国の教科書の検定の仕組みと申しますか、そういうものにつきましてただいま問題になりましたような「侵略」についての意見は強制力を伴わない、いわば指導、助言的な性格を持った改善意見でございまして、これをただいま大臣が申し上げましたような、表記の統一とか、そういう観点から変えてはどうであろうかというような意見を付しまして、それについて著者側が検討して改めてまいったというふうな性質のものでございまして、そのような点についての制度の仕組み自体がわが国の場合には他の国と違う点がございますので、そういう点も十分含めて御説明しなければ十分な理解が得られないのではなかろうかと、そういう観点から申し上げているわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 宮之原委員が関連質問を申し出ておりますから私も言いますが、これは改善意見だと、こういうふうにおっしゃる。文部省の改善意見というのは、これは限りなく修正意見に近い。そういう修正意見と同じなんですよ。しかも「侵略」というのは、これは五十三年に修正意見としてつけられておるんですよ。そういう歴史的な事実がある。それをしもあなたは、改善意見である、拘束力を持たない、そんな口先のごまかしでは了承できません。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま小野先生から御指摘の昭和五十三年度の問題でございますが、これは世界史の検定におきまして「侵略」という用語についての修正意見を付したという経過はございます。この例は五十三年度の世界史の検定におきまして、目次の表記におきまして、「十字軍とモンゴル軍の侵入」、「オスマン帝国のヨーロッパ進出」、「西アジアの民族運動とアフリカ・太平洋の分割」、「日本の中国侵略と抗日運動」というように、本文の見出しとなります目次の表記に不統一が見られまして、これらの表記の統一を図るように、これは例外的なケースといたしまして修正意見を付したものでございまして、特殊なケースでございます。その他は改善意見として従来からやっているわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 関連。  先ほど大臣が答弁しておられたところの「進出」という言葉と関連をしての話ですが、さきの大臣の御答弁によりますと、客観性のある表現にみんな統一をしたと、こういうことですが、これはそもそも従来戦後ずっと一貫して「進出」という言葉が使われておるなら、それもまた一つの答弁でしょう。しかし、教科書によっては明確に「侵略」、あるいは先ほど五十三年度の行政指導の中にもあった、それをまたこの段階に来て「進出」に変えなきゃならなくなった、ここに大きなやはり問題点があるんじゃないですか。皆さんが強力な行政指導をした。しかもその時期というのが、やはり一昨年以来の自民党内部に出たところの教科書の偏向攻撃の中から出てきておるところの問題ですよ、これ。そういう一つの政治的なバックというものがあってこの問題は出ておるんですよ、これは。そのことは全然皆さんは何にも言わないでおって、ただ客観性のあるところの言葉の表現に変えたと、こう幾ら強弁をされても、これは私どもさえ納得できないんですから、ましてや外交ルートを通じて訂正の申し入れをしたところの中国はこの問題について了解するということ、これ常識で考えられないんじゃないですか。  そこで聞きますが、一体「進出」という言葉の意味はどういう意味ですか。恐らく私は、それ聞かれたら、これは初中局長といえども中国大使館に行ってどういう答弁をされるか見ものだと思いますよ。ちょっと私も広辞林を引っ張ってみたんですがね、「進出」というのは「進み出ること。」と書いてある。それからまた、研究社出版の新和英大辞典が「アドバンス、マーチ」と、こう書いてある。言うならばこれは進み出るということなんですよね。それで、いままで常識的に通常的に「進出」という言葉が日本で使われておるのは、たとえば婦人が政界に進出する者が多くなったとか、日本の企業がアメリカに多く進出をしているとか、言うなら若干好意的な目で見て評価の意味も込めて「進出」という言葉が使われておるんですよ。これが常識的な日本語の通用語なんですよ。そういう立場から、今度は「侵略」を変えて、華北に「進出」と、こう書かれてみたって、受けるところの国から見ればそれは素直に見られますか。あるいは私ども日本人が見て、日本の客観的な歴史的な戦前の事実、それを知っておる者から見れば、幾ら皆さんが取りつくろおうとも、この言葉がきわめて客観性のある言葉と言えるでしょうかね、大臣。まず私は大臣に聞きますけれども、どうなんですか、いま普通日本語で使われておるところの「進出」という言葉、私が言ったとおりなんでしょう。まず大臣から聞きたいね、これ。その次に僕は初中局長に聞くから。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 「進出」という言葉は価値判断を伴わない客観的な用語だと理解いたしております。  繰り返しになりますが、中国と諸外国との戦争を記述した部分で「進出」という言葉を使っており、日本と中国との戦争に関しては「侵略」という言葉を使っておる教科書はございますので、用語を統一してはどうかという改善意見を出した。これだけの問題でございます。「進出」という言葉、別に特によい感じを与える言葉とも考えておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣の御見解を承ると、あくまでも中国に対しては「進出」でよろしいと。いま宮之原委員が言ったような説明、多少「侵略」を——「侵略」と「進出」というのは格段の違いがありますよ、格段の違いがある。大臣はこれは「進出」でよろしいんだと言い張られるわけですね。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは改めて申し上げるまでもないことでございますが、日本のことごとくの教科書から「侵略」という言葉を強制的に削除せしめたというようなことではございません。日本史の教科書が十種類ございます。西洋史の教科書が二十種類あるわけでございまして、「侵略」という言葉を改訂いたした教科書は日本史の中で一種類、西洋史の中で二種類、それだけの数字でございます。したがいまして、改善意見にもかかわらず「侵略」という言葉を今日なお使っている教科書も幾つもあるわけでございます。「進出」という言葉をこの場合使っておりましても、教科書全体を通読いたしました場合には、日本の中国に対して仕掛けた戦争が正当化することのできない戦争であるということは十分理解できると私は信じておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 たとえ一部であろうとも、そこに調査官の意思、政府の意思が「侵略」を「進出」に変えるという政府意思だと、こういうふうに中国側は受け取っている。あなたは八対二だから、まだ残っておるからいいじゃないか、そんな甘い受けとめ方では、この外交問題は、中国からの抗議について私は納得せしめることができない、このように見通しを持っております。  次に、まあ閣議でいろいろもめたようですが、今回の問題は内政干渉だと、こういうふうな御発言も閣僚の中ではあったやに報道をされております。先ほど私が申し上げたように、世界各国に対しては教科書の訂正方を申し入れておる。日本に中国からの抗議あるいは韓国からの報道による抗議等については内政干渉と、こういう見方をされておられることについて大臣はどういう認識をお持ちですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 先ほど申し上げましたように、検定の結果について国の内外を問わずいろいろな批判がございましょう。ことごとくの批判に対して謙虚に耳を傾けるというのが文部省の姿勢でございます。  今回の問題につきましては、日本における教科書検定制度の仕組み、あるいは文部省の基本的な姿勢、あるいは個々の問題点について詳細に説明をいたしますれば、必ず正しい理解が得られるに違いない。したがって、誠意をもって時間をかけて十分説明をしていこうというのが私の考え方でございますから、したがいまして、内政とか内政干渉とか非常に高飛車な態度をとる、そのような発言をするということは好ましくない、私はそう考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣、教科書検定は内政であっても、侵略を受けた中国、あるいは朝鮮半島、あるいは東南アジア、これらの被害を受けた国々にとっては、日本の侵略というのは内政じゃないんですよね、内政じゃない。そこの点を厳しく中国を初めアジア諸国が批判をしているわけで、この内政干渉というような認識をとられる閣僚がおられるということ自体が問題解決を私はますます困難にしていると思うんです、困難にしてくると思います。大臣、どうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 閣僚として、いわば同僚である方々の発言をこの場で批判することは差し控えさせていただきますが、私の気持ちはただいま申し上げたとおりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 外務省にいま一つお尋ねをしたいが、今回の教科書検定問題がこれだけ日中間の外交問題に発展をした、これは決して偶然ではない。一カ月前からそれぞれの外信が報じておったわけです。ところが、今日までこの事態を放置して、そうして外交問題に発展をした。もしいささかなりともそのような危惧がありとすれば、外務省から積極的に文部省に働きかけて、そうして、この問題の是正に早急に取り組むべきではなかったか、こう思いますが、外務省に手落ちはないのかどうかお答えをいただきたい。

橋本恕外務省情報文化局長

○政府委員(橋本恕君) この問題が先生御指摘のとおりに外交問題といいますか、具体的には尚向前局長が北京におきまして日本大使館の渡辺公使を呼びまして、そこから話し合いが始まったわけでございますが、その前の段階におきまして、私の理解するところでは外務省と文部省事務当局、事務方、その他の面におきましていろいろ御相談を申し上げていたというふうに理解しております。

小野明日本社会党

○小野明君 中国政府から申し入れがあったときに、外務省の首脳の発言報道は、「わが国は過去の歴史を反省し、中国、韓国と国交を回復した、というのが基本である」、過去の歴史を反省して、そうして国交を回復したというのが基本だと、だから「この問題の表現は事実は事実として記述さるべきだ」と、こういう表明があったと思いますが、この認識は私は正しいと思っております。しかるに、いまの大臣の御発言に見られるように、「侵略」を「進出」としたと、こういうことは私はこの問題の解決をますます困難にすると思いますが、あなた局長で答えにくいかもしらぬが、あなたの見通しを言ってもらいたい。

橋本恕外務省情報文化局長

○政府委員(橋本恕君) 外務省と申しますよりは、日本政府全体の過去の戦争に関する考え方というのは私は現在なお不変であると、かように考えております。特に指摘をいたしますと、約十年前に日中間で双方の総理が調印しました日中共同声明がございますが、その前文におきまして「日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」と、この考え方は現在もなお変わっていないということが私どもの理解でございまして、この点につきましては、先ほど文部大臣も指摘されたとおりでございます。したがいまして、今回の中国政府からの申し入れにつきましては、謙虚に受けとめるということで、文部省と外務省との間にその点においては私は考え方の相違はないと、かように了解しております。

小野明日本社会党

○小野明君 中国の人民日報、日本の教科書検定問題で非難という、これはRPですが、人民日報の論評は、日本文部省検定の教科書が日本の中国に対する侵略の歴史的事実を歪曲することは中国人民の間に大きな憤りを引き起こすだろうと警告をしたと、これが私は肖向前局長の真意であろうと思うんです。いまのような、外務、文部それぞれ協議をされておると思いますが、この報道にどのように答えられますか。

橋本恕外務省情報文化局長

○政府委員(橋本恕君) 先ほども引用させていただきましたとおりでございまして、日本政府といたしましては、過去の戦争を通じまして、中国国民に大変御迷惑をかけたと、重大な損害を与えたと、そのことを深く反省する、こういう考え方は私は日本政府でございます限り、省のいかんを問わず私はこれは現在なお共通の考え方だと考えております。この考え方に基づきまして、中国側の今回の申し入れを謙虚に受けとめるということが、私は先ほど申しましたとおりに文部省、外務省の共通の考え方だと、こういうふうに理解しております。

小野明日本社会党

○小野明君 全然中国の抗議に対して反省の色がないじゃないですか、具体的なものがない。  ちょうど官房長官がお見えになりましたから、官房長官にちょっとお尋ねしますが、外務、文部両省が協議の結果、日中共同声明に対する認識に変わりはないと、こういう御答弁が文部大臣からあったわけであります。日中共同声明のその認識に対しては、今回の教科書検定問題について変わりはない、そういう態度で中国側に説明をすると、まあこういうことのようですが、中国側の抗議というのは具体的なんですよね。侵略の事実を歪曲しちゃいかぬ、侵略は侵略として認めろ、これが私はないと事は解決しない。この教科書を是正すると、この検定において是正をするんだと、こういう具体的な措置がなければ、裏づけがなければ、私はこの中国を初め韓国、東南アジア諸国に対する疑惑というものについては解消をしないと私は見ておる。閣議の中でも空気は官房長官御承知でしょうが、これについて抽象的な言葉を羅列したんではだめなんですよ。官房長官の認識を伺いたい。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘の点は「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」ということに関してのお尋ねと存じますが、この表現は御承知のように日中共同声明の前文にあるものでございまして、日中両国が合意をいたしましたところの認識でございます。そのことを今回もわが国の立場として中国側に伝えた、こういうことと考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 肖向前第一アジア局長ですね、彼の中国の正式の抗議は、日中共同声明に反する、反するから是正をしてもらいたい、こういうふうに具体的なんですよ。これにどう答えますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 反するというふうにお考えのようでございますから、そうではない、わが国はこの前文に述べられたところをそのとおり忠実に考えておる、それを中国に対する外交の基本としておるということを改めて確認をいたしたわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そういたしますと、そういう抽象的な、総論において変わりはない、しかし何ら具体的な措置は講じません、これが日本政府の回答でございます、態度でございます、こういうことと受け取ってよろしいですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この認識、すなわち「責任を痛感し、深く反省する。」ということは、これは軽々に申せることではございません。わが国としてはよほどの決心をして申したことでございます。その点は今日といえども変わらない。  なお、具体的に教科書をどうするかということについては、これは主務大臣からお返事がございましたか、あるいは御答弁があるであろうと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 何らあなたも中身がない御答弁ですが、それでは文部大臣、この日中共同声明についての認識はいささかも変わりはないというようなことだけで事態はおさまると思いますか。「侵略」を「進出」と変えた、そこに国家の意思が働いて変えた、政府の意思が働いて変えてきた、こういう経過で、事実で、日中共同声明については変わりはない、それだけで片づくと思いますか、どうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 日中共同声明の趣旨、すなわち過去において日本が行った行為について責任を痛感している、仮にかようなくだりにつきまして文部省がこれを改訂せよとか削除せよとか申しますと、言うまでもなくこれは重大問題でございましょう。さようなことをやったことはございませんし、今後もさようなことをするつもりは毛頭ございません。いま問題になっておりますのは一つの特殊問題でございます。  なぜこの際「侵略」という言葉を他の言葉に変えた方が望ましいのではございませんかという改善意見を出したかという理由につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございます。十分時間をかけて説明いたしますれば当方の真意は必ず理解してもらえる、かように信じておる次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 続いて、中国側の関心には謙虚に耳を傾ける、こういうことで中国側と折衝する、こういうことが言われておりますが、その内容は何ですか。謙虚に耳を傾ける、その意味、内容はどういうことなんですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま大臣の方からお答え申し上げましたのは基本的な考え方でございまして、中国側の申し入れを十分にお聞きをいたしまして、またわが国の教科書制度の趣旨、またいろいろと御指摘になっているような個所につきましての検定の基本的な考え方などにつきまして十分な御説明をいたしまして理解を得る努力をいたしたい。その具体的なあらわれといたしましては、ただいま大臣からもお話がございましたように、在日中国大使館の方に申し入れておりまして、きょうの午後九時に王暁雲公使と会談をいたしまして、私どもの考えも十分に御説明申し上げ、向こうのお考えも聞いて、十分な御理解が得られるような機会を持ちたいということを考えているわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 何ら中身はありませんね。  大臣、大体日本の教科書の検定制度を説明するということだけで——日本の検定制度というのは中国側もあるいは韓国側にしても全部よく知った上で来ているわけですよ。これが訴訟問題等もある、あるいは歴史を捏造するような調査官の意見を付しておる。検定制度はちゃんと向こうは知っているわけですよ。これだけで説明して、はいそうですかとおさまるような性格のものでない。  大臣は、中国側の関心には謙虚に耳を傾ける、こういう表現があるんですが、一体これはどういう意味、内容を示すのか、大臣、ひとつ御所見を出してください。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ただいま中国から厳しい批判を受けておるわけでございますが、その批判のよって来るゆえんのものについて十分時間をかけて心をむなしくして承る、そういう意味でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そんな禅問答をしておるんじゃないですよ。具体的にどうするか、これが求められているんですよ。具体的にどうするんだと、具体的に訂正方を申し入れておるんですよ、訂正方を。  これは官房長官も、あと二分時間があるんですが、官房長官、この謙虚に耳を傾けるという意味、内容、これはあなたが折衝されるだろうと思いますが、この内容はどういうふうに受けとめておられますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 両国の間にああいう不幸な出来事が長い時代にわたってあったわけでございます。そのことについてわれわれはわれわれなりにいろいろ考えておるわけでございますけれども、中国側は肖向前氏が言われましたような形でそれについての中国側の考えを述べられた。両方の間に起こりましたことについて中国側としてはこう考えると言っておられるわけでございますから、それはわれわれとしても、十分にやはり中国側の考えとして、それこそ虚心にこれを時間をかけて考えていく、こういうことだと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 官房長官、私はそういう抽象的なことでは、恐らく官房長官もそれではおさまるとは思っておられないと思う。文部大臣もそれで中国が簡単におさまるというふうには見ておられないと私は思う。謙虚に耳を傾けるというのは具体的なものがなきゃいかぬ。  きょうの毎日の報道によると、中教審の教科書小委員会さえも先に延ばしている。それはいまのような強弁であればそういうことをしなくてもいい。  それでは、「侵略」を「進出」に変えた、これはこれで変える必要はない、このように——官房長官はどのようにお考えですか、この問題は。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この点は主務大臣の御意向に従いたいと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 文部大臣、これは先ほど聞いたような気もするんだけれども。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは、先ほど来お答え申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、一、二の教科書が、中国と諸外国との戦争一般について記述いたします場合に、「進出」という言葉を使っている。日本との戦争についてのみ「侵略」という言葉を使っている。用語を統一なさってはいかがでしょうか。その際、「進出」という方がより客観的な用語ではございませんかといったような改善意見を出しました結果、この意見を取り入れて改訂をした教科書もあり、しからざる教科書もある、かような事情でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 官房長官、もういいですよ。  外務省、来ておりますが、韓国政府の問題ですが、これはいろいろ日韓間の問題がいまあるものですから、やや柔軟な態度で出てきておられるように思います。しかし、国内は大変ですよね。大変なデモがあっておる。この韓国側の抗議についてどのように対処をなさろうと思っておられますか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) お答えします。  韓国につきましては、教科書問題につきましても、現地においていろいろ関心の的になっておりますことは先生御指摘のとおりでございますが、わが方といたしましても、先ほどから申しておりますように、この問題につきましても謙虚にこれを受けとめて、この問題につきましては広く日韓間の相互理解を深める、こういった観点から対処していきたい、そう思っております。

小野明日本社会党

○小野明君 文部大臣、韓国も、あるいはこれは韓国だけ、韓国は西側の中だから、その一員としてうまくと、こういう観点をまさかお持ちじゃないと思うんです。これは、朝鮮民主主義人民共和国も労働新聞等で抗議がもう出始めておるわけですが、朝鮮半島における三十六年の植民地支配、ここに根を置いて、この韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国問題とは対処をしてまいりませんと大変なことになると思います。しかも、これは、韓国についてはここに資料もございますが、独立運動を「暴動」というふうに書きかえておる。独立運動を、この原稿本では、「集会・デモがおこなわれ、たちまち朝鮮全土に波及した(三・一独立運動)。」、この見本文では、「暴動が朝鮮全土に波及した」と、こう書きかえられておる。こういうふうな見方では、これは私はこの朝鮮半島における両国の問題、もうこれは大変な問題だと。これはいかがお考えでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 独立運動全体を「暴動」と書き改めさせたという事実はないと存じておりますが、その点につきましては、政府委員から答弁を申し上げさせます。  ただいまの朝鮮民主主義人民共和国の問題でございますが、この朝鮮民主主義人民共和国におきましても、わが国の教科書について問題を提起している新聞報道で承知をいたしておりますが、当面政府として特に対応することは、いまの時点ではまだ考えておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 もう初中局長の答弁は要らぬ。  最後に、鈴木総理も九月に訪中される、日中国交回復十周年、あるいは文部大臣も訪中予定がありとお聞きをしております。  そこで、私は、いまのままで、いまのような文部大臣あるいは政府の態度で中国に行けば大変なことになる。これは、やはり謙虚に耳を傾け、具体的な措置を講ずる、これがないことには私は中国を初めとするアジア諸国の友好に重大な禍根を残すことになると思います。ですから、訪中前にこの問題についてはぜひ円満な解決を見るように具体的な措置を講じていただくことを要望したいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 総理の訪中、私自身の訪中に先立ちまして、当方の立場を十分理解してもらいますように、誠意を持って精力的に努力をするつもりでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 まず文部大臣にお伺いいたしたいのでございますが、今回の中国政府と韓国のマスコミが教科書記述の変更に厳しい改善要望を求めている事態につきまして、文部大臣はどのように受けとめられておられるか、まずもってお聞き申し上げたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 先ほど小野委員の御質疑に対して答弁申し上げましたように、きわめて遺憾な事態であると存じております。  文部省といたしましては、教科書の検定に際しましては、記述が公正で客観的であることを旨として、偏らない態度で決定をしてきておりますが、でき上がったものに対しまする内外の批判に対しては謙虚に耳を傾けるつもりでございまして、したがいまして、本日午後九時から在日中国大使館の王暁雲公使と初中局長とが会談をいたしまして、先方の言い分にも十分耳を傾け、かたがた当方の立場も御説明申し上げる。韓国から外交ルートを通じての申し入れに接しておりませんけれども、韓国に対しましても、きわめて近い時期に会談をすべく先方の御都合を伺っているという事情でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 ただいま文部大臣のそのまじめさといいますか、真摯な心情というものに私も敬意を表するのでございますが、私も第二次世界大戦で母親を戦災で亡くしました。戦争というものの中に人間のさびしさ、わびしさ、悲しみというものは、きわめて深刻なものがあるという実感の中で、私は政治家を希望し、今日政治家になったのでございますが、それは私一人の心にあるのみならず、第二次世界大戦にかかわった多くの国々の国民も同じような心でその痛みを感じているのではないだろうか。ともすれば、現状の日本の中では経済大国という、ある意味における物の豊かさの中に、精神的な、ともに喜びを分かち合い、悲しみを分かち合い、支えていこうとするような気風が一部に失われているという現実も事実でございます。  私は、今回のこの問題は、日本国民全体がその原点に立ち返って、お互いの同胞としてともに生きる喜びの姿勢を中国、韓国及び東南アジアの方々、あるいは日本とかかわり合った戦争の中で触れ合った多くの方々に示していくというまじめな日本国民の姿勢を一面において求めている内容ではないかと私は受けとめておるのでございますが、文部大臣、その辺のところをどう受けとめられておられますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せにはまことに御同感でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、中国政府からの教科書に関する申し入れの中に、華北侵略を「進出」と改めたり、中国に対する全面的侵略を中国に対する「全面的侵攻」と改めるなど、明らかに歴史事実の真相を歪曲しており、全く同意できないとの申し入れがあったと聞いておりますが、文部省においてもそのような認識の上に立って受けとめておられるのかどうなのか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま御指摘の点につきましては、これは個々の教科書の表現をどう変えたかというふうなことについて、その該当の教科書の記述につきましてただいま精査をしているところでございますけれども、それはともかくといたしまして、中国側が申し入れております趣旨は、検定の過程におきまして、日本の軍国主義が中国を侵略した歴史の事実について改ざんが行われておりと、これには同意できないという趣旨を述べておられるものと思います。ただ、この点につきましては、るる申し上げておりますように、具体的な教科書の記述でございますので、それが教科書全体の流れの中で、どのような意味を持ち、どのように機能しているかという観点から、それは教科書の一つの言葉としてどう記述するのが適当かという教科書の記述の全体的な配慮の中で行われているものでございますから、それらの点について具体的な該当の教科書の個所というふうなものを私ども十分調べまして、具体的に調べてお答えしなければ十分な回答にならないんではなかろうかというふうなことでございます。そういう趣旨でただいま検討をしておりまして、その検討と同時に、わが国におきます教科書検定の趣旨が中国とはかなり教科書の制度が違いますから、そういう点も含めまして相互理解を得るための前提について十分な話し合いをしなければならないというふうに考えているところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 中国からのいろいろ申し入れの中にいろいろな考えもあったかと思いますが、私は二点について確認をいたしたいんです。  その第一は、日本の教科書検定に関する抗議、批判があるのか、あるいは教科書検定後の記述についての記述変更を求める抗議内容のものであるのか、この辺のところはいかが理解したらよろしゅうございますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) この中国政府の申し入れにつきまして、情報として提供されましたものを検討いたしますと、わが国の今回の教科書検定に関しまして大きな関心を表明し、検定教科書の記述につきまして訂正方を希望しているものというふうに理解をいたしております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 そうしますと、検定に関して関心と、記述の変更について希望を述べておると、こう理解してよろしゅうございますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 全体の趣旨といたしましてはそのようなふうに理解されます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 今回の問題になっている教科書記述の変更個所についての記述変更に至るいきさつと、このたびの検定に際して修正なり改善なり御指摘された、これは何点と言うんですか、そういうものがあれば、その経緯を御報告いただけますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) これは、報道に基づきます日本における教科書の批判というものを基礎にいたしまして、たとえばという形で挙げているものが何点かございまして、それはただいま先生がお挙げになりましたような華北侵略を「進出」と改め、中国に対する全面的侵略を「全面的侵攻」に改め、あるいは南京の虐殺についての記述についての問題点というふうなものであろうかと思います。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 韓国が批判している教科書記述の問題点とは一体どういうものであるのか、あるいは韓国政府から正式に申し入れがあったのか否か、お伺いいたしたいと存じます。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 韓国につきましては、私ども承知しておりますところでは、七月の二十六日に在日韓国大使館の方から外務省に対しまして、教科書問題に関するわが国閣僚の発言内容及び教科書検定の内容につきまして、その事実関係について照会があったことは外務省を通じて承っておりますが、それ以外のレベルで申し入れが行われたということは聞いておりません。新聞報道等によりますれば、李載ヒョン韓日議連会長から安井日韓議連会長に対しまして書簡が届けられるなど、いろいろな形で韓国からの関心がわが国の関係者に伝えられているというものと承知をいたしております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 外務省の方にお伺いいたしますが、いま初等中等教育局長がお話しされたように、韓国政府からそのような外交を通しての話があったんですか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) ただいま文部省の主管局長がお答えしたとおりでございまして、韓国からは、七月の二十六日に在京韓国大使館の担当官が今回のこの教科書検定問題に関するいろいろな修正内容につきまして、事実関係について照会があったということでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 韓国からも申し入れに似たようなお話があったということでございますが、これも、やはり中国政府からの申し入れと同様な姿勢で文部省は対処なさるという決意があるかどうか、お聞きいたしたいと思いますが、これは文部大臣にお願いいたします。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 韓国からは外交ルートを通じた申し入れに接しておるわけではございませんが、韓国に対しましても、韓国駐日大使館に対しまして事情の説明を申し上げるつもりでただいま都合を問い合わせておるという状況でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 ともすれば、日本の教科書が華北侵略を全部「進出」と改めちゃったり、「侵略」という言葉を全部なくしちゃったというような観点に立つ考えも、事実認定が明確化されない中で思う人もあるかと思いますけれども、実際、現在使っている教科書の中に、何点くらいそういうふうに変わったのか、あるいは「侵略」という言葉がそのまま残っている教科書は現在使われているのかいないのか、その辺の真相と実態を御報告いただければと思うんです。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) お答えをいたしますが、日本史の教科書が全部で十点。点と言いますのは種類というふうに御理解いただきたいと思います。その中で、検定前に「侵略」と記述していたので検定意見を付したものが三種類、個所として四カ所ございます。この検定意見に従って記述を改めたものが一種類一点、それだけでございます。検定意見に従わず、検定後も「侵略」と書いておりまするものが二種類の教科書、個所として三カ所、こうなっております。  それから世界史でございますが、検定意見を付したもの六種類、全部で十カ所、この意見に従って記述を改めたもの二種類三カ所でございます。検定意見に従わずに検定後も「侵略」と書いておる教科書は四種類、個所として七カ所ございます。かようなことになっておるわけでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 二点と四点がまだ現状のまま使用しておると、「侵略」という記述のまま使用しているというように理解したとするならば、この教科書について今後再び「侵略」を「進出」、「侵攻」というものに訂正してほしいという意思を文部省はするつもりがあるのかないのか、その辺のところをはっきりしてください、今後。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) これはすでに改訂、改善意見を付しまして、それに従って訂正をしたもの、あるいは従わないで訂正しなかったものにつきましては、見本本といたしまして教科書展示会におきまして展示され、さらに採択に回されるものでございますので、この段階で訂正をするとかしないとかというふうな段階ではないと存じます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 日本という国はやはり自由なるところに今日の活力ある国家が形成されたと私は思うんです。そういう意味ではそういう検定の実態というもの、運用の姿というものを中国なり韓国に理解していただくという努力をやはり今後とも行わなきゃならない。特に東南アジアの多くの国々は日本に対していろいろな意味で批判的な姿勢を崩していないというふうに私は認識しているのでございますので、そういう点につきまして、今後同じような事態がよその国々からも来るのではないかと思えば思うほど、現状の日本の検定制度というものの運用の実態、ただいまお話しされたような日本の教科書の姿というものをもっともっと理解を求めるような努力を文部省も外務省もやらにやならぬじゃないだろうかと、こう思うのでございますが、そういう姿勢で臨まれる決意を持っているのかどうか、文部大臣にお伺いいたしたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せの御趣旨は十分理解できることでございまするので、いろいろな機会を通じて日本における検定の制度、仕組みについての理解を深めてまいりたいと考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 次に、外務省に二、三お伺い申し上げたいのでございます。  その第一点は、外務省当局は中国政府が申し入れている華北侵略を「進出」と改め、中国に対する全面的侵略を「全面的侵攻」と改めたことは、中日共同声明と平和友好条約の精神に離反しているとの中国政府の見解に対してどういうふうに思われますか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) この問題につきましては、現地で渡辺公使が肖向前局長に申しましたとおり、日本側としてはこのような御意見は謙虚に受けとめると、私たちはそのように認識しております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 謙虚に受けとめるということは、中国の申し入れる内容について理解をするというふうに解釈してよろしいんですか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) この問題は文部省の所管でございまして、最終的には文部省の御判断になる問題だと思いますが、私たちとしては中国側の申し入れば謙虚に受けとめ、これを文部省の方に伝達すると、そういうことでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 次に、このような中国政府の申し入れば一部に日本に対する内政干渉ではないかとする意見も聞くのでございますが、このような内容のものは外交上内政干渉に値するのかしないのか、そのような見解がもし述べられるとするならばお聞かせいただきたいと存じます。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) 教科書の記述に関する問題につきましては、当然のことながらおのおのの国がこれを判断して処理すべき問題であると理解しておりますが、私たちはこの中国側の申し入れというのを先ほど申しましたように謙虚に受けとめるというふうに考えております。いずれにせよ、中国は強制的に教科書の表現の訂正を求めているわけではなくて、こういった中国政府の行為というのは一般的に国際法上禁止されている干渉に当たらないと理解しております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 もう一つお聞きいたしたいのでございますが、私は、今回中国政府がとられた申し入れについては、肖向前外務省第一アジア局長から渡辺駐中国公使に伝えた申し入れのケースをとっているというようなことに認識しておるのでございますが、そのように認識してよろしゅうございますか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) そのとおりだと思います。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 まあいろいろの申し入れの方法があるかと思いますが、たとえば向こうの文教長官ですか、日本で言えば文部大臣に値する方が日本の大使を呼んで申し入れる方法もあったのではないかとも思いますが、さらにまた公文での申し込み、あるいは口上での申し込み、いろいろの外交の手続なり位置づけがあるかと存じますが、今回のこの事態の申し入れる外交ルートについてはどういうふうに理解したらよろしゅうございますか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) 一国の考え方あるいは立場というものを外国に伝達する方法は、いま先生が御指摘のとおりあるいは文書、あるいは閣僚、あるいは関係の局長、いろいろな方法があるかと思いますが、今回のこの方法につきまして、現時点では私はどのようにこれを判断するかということについては決まった考えは持っておりません。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は私なりの考えでございますが、中国も日本に対してかなり配慮した中での外交ルートを通した申し入れではないかと私は受けとめておるわけです。それなるがゆえに、日本としてはやはり心からその内容について受けとめて、できるだけの努力をしながら中国の理解を求めていくというのが外交上の礼儀ではないだろうかと私は思うのでございますが、外務省としては私の所見に対してどういうような考えを持たれますか。

長谷川和年外務省アジア局外務参事官

○説明員(長谷川和年君) 御指摘のとおりでございまして、このような観点から、現地において渡辺公使が肖向前局長に対しまして、まず日本政府としては日中共同声明の精神においていささかも変化はないと、そういうことを言っておりますし、また中国政府の申し入れは謙虚に受けとめる、これを文部省にも伝達しますと、そういうことを言ったわけでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 文部大臣としても、ただいま私と外務省とのやりとりをお聞きになられたかと存じますが、そういう姿勢で中国及び韓国の政府当局者に対してしんからお話し合いをし、理解を求めていくというような姿勢には変わりございませんか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 中国政府の申し入れとそれから韓国の教科書に対する批判に対して、今後どういう手順の中でこの問題を処理していくか、文部省としての考え方をお聞かせいただきたいと存じます。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 中国に対しましては、先ほど大臣からお話がございましたように、本日の九時、在日中国大使館の王暁雲公使に御来省いただきまして、わが国の教科書検定制度の趣旨等につきまして御説明申し上げ、また、わが国の歴史の教科書等が全体といたしまして日中友好の趣旨あるいは共同宣言の趣旨に従って書かれていること、そういうものがすべての教科書に記述をされていること、あるいはわが国の行いました中国に対する戦争行為等が客観的に記述されているようなそのようないろいろなことを御説明申し上げまして、申し入れの中にございますような共同宣言の趣旨に反するというふうな事柄ではなく、その私どもの教科書全体の趣旨を御説明申し上げますならば、そういうことが十分に理解を得ることができるのではなかろうかというふうに思っているわけでございますし、また韓国につきましても、ただいま同様に新聞等で報道されております事柄につきましては、るるその問題点につきまして御説明を申し上げますならば十分な理解が得られるのではなかろうかというふうに考えられますので、在日韓国大使館の方にも御来省をいただきまして御説明申し上げ、御納得を得るような説明をする機会を得たいということでいま申し入れを行っているところでございまして、具体的にそういう手続を通じまして理解を得る努力を重ねてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 まことに好ましいことだと私は思っております。ぜひそういう姿勢で臨んでいただきたいと、こう要望するのでございます。  また日本の真意を伝達するということは結構でございますが、将来の改訂期に両国政府がもし要望したきつい要望がそれでもあるという場合、将来改訂期において両国政府の御要望にこたえる考えを将来持つのか持たないのか、これはこたえられる場合とこたえられない場合があるかと思いますけれども、もしこたえられることがあるとするならば、そういう見解に対してどのような考えをお持ちであるかお聞かせいただきたいと存じます。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま御説明申し上げましたように、できるだけ誠意を持って私どもの真意と申しますか、それをお伝えいたしまして、御理解を得る努力を申し上げたい。その過程においていろいろな意味で理解が得られ、相互の理解が促進される、そのことによりまして、たとえばこの申し入れの中に述べておられますような事柄についての疑点が氷解されるというふうなことが私どもとしては望まれるのではないかというふうに期待しておりまして、その努力をまず当分は積極的に続けたいというふうに考えておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は教科書の記述は真実であり事実であり公正な記述でなきやならぬという見解は文部省も持っているかと思いますが、私はそうあらなきやならぬと、こう思っているし、そういう運用の中に今日検定制度というものはすばらしい反面において成果を今後も上げる可能性があると確信しておるんですが、その見解に対して大臣はいかがお考えでございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書検定の制度は、教育の水準を全国的に同一に保つという要請、もう一つうそを教えることがあってはいけない、かような要請を満たすために実行している制度でございまして、この制度の基本は維持していくべきものだと、こう考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 局長の見解はいかがでございますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) わが国の教科書検定制度はわが国の教科書制度の根幹でございまして、民間の発意をもとにいたしまして、それを国が教育上適切な配慮を持ちまして指導、助言していくという制度でございますから、わが国の国情に見合った制度であるというふうに考えておりまして、この制度をできるだけりっぱに達成するように運営してまいりたいというふうに考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 諸外国にかかわる教科書の記述については慎重かつ正確な記述が要求されると思うのでございますが、現行教科書の全般にわたって再検討する必要性があると私は思うんですが、その辺のところをどうお考えでございますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 諸外国に関係いたします特に歴史の記述につきましては、通説に従いまして客観的かつ公正なものとなりますように努力をこれまでも払っているところでございますけれども、さらに一層適切なものとなりますように教科書を検定するわけでございますから、教科書検定に際しまして十分に努力をしてまいりたいというふうに考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 特に諸外国の教科書の記述の中で、日本にかかわる内容について、文部省はその記述内容の訂正や変更等について諸外国に要望したことがございますかどうですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 文部省といたしましてこれまでそのような日本の記述について外国の政府等について訂正方を要望するというふうなことはございません。ただ、民間の教科書研究センター等におきましてアメリカの団体と協力をいたしまして、社会科の教科書について共同研究を行うというふうなことを私ども援助をいたしましてそういう形でやっております例はございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 今回のような問題を二度と再び繰り返さないため、今後教科書検定の中でどのような仕組みをどうしたらいいかというようなことも考える必要性があるかと存じますが、この点、文部大臣いかがでございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書検定の制度につきましてはただいま中央教育審議会に諮問を申し上げております。遠からず答申がちょうだいできると期待をいたしておりますので、その時点で答申の趣旨を尊重して考えてみたいと、こう思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 教科書検定に国際感覚が欠けているとの批判がかなり出ているのでございますが、その点、初等中等局長はどのように受けとめられておりますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 欠けているという御指摘がどういう点か十分にまだ理解できないわけでございますけれども、たとえば教科書におきます日中関係等の記述につきましては、日中友好条約等の精神が正しく反映されるのは当然だと考えておりますし、現実に日本史の教科書等におきましてはそのような記述が適正になされておりますので、今後とも不十分でございますれば、そういう点に十分な配慮を持って臨んでまいりたいというふうに考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 これを契機に教科書検定制度を見直してはどうかというような意見等もあるかと存じますが、文部省としてはどのような見解を持たれるか、局長からお願い申し上げます。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 教科書検定制度の運用につきましてはいろんな方面から御意見もございますし、また国会等におきましても種々御意見があることは私ども承知をしております。ただ、現在の検定制度は、私先ほど申し上げましたように、わが国の国情に合った非常にすぐれた制度だというふうに考えております。その制度の運用に適正を期するためにさらにどのような配慮を加えるべきかという点につきましては、文部省といたしまして常時改善を図らなければならないわけでございますけれども、検定の制度の運用を含めまして教科書にかかわるもろもろの問題、採択とか無償制度のあり方でございますとか、そういうもの全体について、先ほど文部大臣が申し上げましたように、中央教育審議会におきまして検討をお願いいたしているところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 最後に文部大臣に決意をお伺いしたいのでございますが、この教科書記述に関する国際批判については謙虚に受けとめて日本の実態を御理解いただくような姿勢で臨みたいというお話でございます。こういう問題はもちろん、国家の実態あるいは国民の心というものは活字ではわからぬと思うんです。活字だけじゃわからぬと思うんです。ですから、そういう事態について、文部大臣は文部大臣としての、きょう文教委員会で与野党ともまじめな質問をなさっておるわけでございますので、十分お聞きとめいただいて、そして内容ある御理解をいただくよう真摯なお気持ちで事態の円満な収拾を図ってもらいたいと、私はそう思うのでございますが、どうかそういうような姿勢の中で日本の姿を御理解いただくよう努力してもらいたいと思うのでございますが、その方向について文部大臣の決意をお聞きいたしたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) しかと承りましたので、誠意を持って全力を挙げて努力をしてまいるつもりであります。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 先ほどから、るる議論がございましたが、教科書の記述内容に対する外国の抗議をめぐる問題点、私も若干質問させていただきます。  まず、今回中国及び韓国が問題にしております教科書の記述、一体どういう部分に対してどのような抗議がなされたのか、その内容を明らかにしていただきたいと思います。新聞の報道だけでははっきりいたしませんので、お願いいたします。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 中国並びに韓国におきまして問題となっております教科書の記述部分につきましては、これは中国の場合には、中国の政府からの申し入れ等によりまして、たとえばということで幾つか指摘をされておりますけれども、その他新聞報道等によりますものを勘案いたしますと、中国につきましては主として日中戦争をめぐる記述の部分であろうと思われますし、また、韓国につきましては、日本の統治をめぐる問題、記述の部分が問題となっているというふうに考えられます。記述につきましては、いずれも教科書といたしましては客観的かつ公正な立場に立って書かれたものでございまして、適切な教育的配慮を加えて記述がなされているというふうに私どもとしては考えているものでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そこで、中国から、また韓国から、この部分、これはこういうふうにという抗議がはっきりしているわけで、いまの御説明では漠然として正しい理解ができないわけです。ぜひこれもう少し明らかにしていただきたい。  それから、これを明らかにするためには、先ほどおっしゃっておりましたが、問題になった点について各出版会社が出している教科書がございます。その教科書ごとに、検定の前はこういう記述になっていたと、検定後の記述はこういうふうになったという比較をまとめて資料として提出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま概括的に申し上げましたので恐縮でございましたが、たとえば中国につきましては、具体的な問題といたしましては、新華社電等によりますと、侵略の問題が一つ、それから南京大虐殺の問題がございます。韓国につきましては、韓日議員連盟の会長の私信によりますれば、新聞報道によりますれば、三・一独立運動の問題等が指摘をされているわけでございます。  なお、いま先生から御要求のございました個々の教科書のこのような問題点について原稿本と見本本との対比という、リストを提出せよということでございますが、これは従来から申し上げておりますように、検定の経過につきましては、教科書の採択をする際に、採択の公正が損なわれるということもございまして、従来から差し控えさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと存じます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 密室で行われる検定だと、こういうふうに言われておりますので、そういう御返事をなさるとは思っておりましたけれども、事柄がこういう問題になっている。しかも、中国や韓国からも厳しい抗議が出されているときでございますので、そうしたことにこだわってないで、やはり問題点になるところはここだと、資料として出すべきだと思うのです。先ほど大臣も、この点この点と、いろいろと数だけおっしゃっておりましたけれども、ここというふうにお出しになるべきだと思うのですね。少なくともこの文教委員会に対してはそれをするべきだと私は思います。その点委員長もひとつ御協力をお願いしたいと思います。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) いまの柏原委員の提案については、理事会で検討いたします。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 では次に、「侵略」という言葉が先ほどから問題になっております。この「侵略」という言葉に改善意見がつけられた、こういうふうに言われておりますが、その理由はどういうことですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) この「侵略」という言葉は、日本史なり世界史の記述におきましてはいろいろなところに出てくるわけでございますが、これは、ただいま問題にされておりますような点につきましては、検定教科書の中に、ある時代区分がございまして、その同一の時代の中で他の戦争の記述につきましては、「進出」あるいは「侵攻」というような言葉を用い、たとえば十九世紀の列強の中国の進出、同じ中国に対するこの行為につきまして、そのような表記があり、片方では日中の戦争の記述につきましては「侵略」という、そういう言葉を用いているものがございますので、検定におきましては表現の統一を図るという点から、しかるべき表現に変えてはどうかというような改善意見を付したものでございまして、それに従ったものが幾つ、あるいは改善意見でございますのでそれに従わなかったものがまだ残っているということでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そこで、改善意見の内容は同一な表現にした方がいいと、こういうことですね。少なくとも、いま問題になっているこの「侵略」という言葉が「進出」に書きかえられた、またそれは、書きかえたのは出版社の方だと、こういうことですけれども、そこを改善しなさいと、こういうふうに意見を出したところだけに限って考えても、私はむしろ「進出」というのではなくて「侵略」に統一すべきだ、「進出」に統一させるのじゃなくて「侵略」に統一すべきではないか、その方が歴史的事実に忠実なのではないかと、こういうふうに考えます。その点いかがでしょう。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) ただいま申し上げましたような改善意見につきましては、これは今回だけの措置ではございませんで、従来から同じような方針できているわけでございます。教科書検定の趣旨につきましては、できるだけより客観的、公正な立場に立ちまして、教育的な配慮が加えられたものであることが必要でございますし、特に歴史の教科書につきましては史実を踏まえて客観的に表記をするということが大切な要請でございますので、そういう方針でずっとまいっているわけでございます。  先生の御指摘は、それを「侵略」に統一したらどうかという御意見でございますけれども、その個々の歴史的な事実がその侵略に当たるといべふうに評価される場合とそうでない場合といろいろございまして、個々の事例について見ますと、ただいまの事例について言えば、改善の意見の際に、たとえば参考として申しましたような「侵入」でございますとか「進出」でございますとか、そういう表現の方がより客観的ではないかというようなことで、そのような表記の統一が図られているということでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 ですから、「進出」の方に統一したとおっしゃるんでしょう。「進出」に統一したその「侵略」という言葉、そしてその事実というものは、「進出」じゃなくて「侵略」なんじゃないですか。その「侵略」を「進出」に統一したと。これは事実に反するものじゃないか。だから、お答えになった統一したというその言葉は、私は当てはまらないと思うんですね。統一できない、統一しちゃならないものを統一しているんです。むしろ統一ということをおっしゃるならば、「進出」という言葉を「侵略」に統一しなきゃならないところもあるんじゃないですか。そういうところを改善意見として出すべきじゃないかと思うんですね。改善意見として出すならば、本当に改善した方がいいところに改善意見を出すべきです。「侵略」というところに改善意見を出して「進出」というふうにさせるのじゃなくて——統一するということも結構ですよ、そんなら「進出」というところを「侵略」に統一した方がいいところもあるんですから、そうすべきじゃないか、私はこういうふうに思います。そして、いまの御答弁をごまかしじゃないかと思うんですね。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) この歴史的な事柄についての事実、歴史的な事実についての表記の仕方は、やはりできるだけその事実を客観的に伝える表記であることが望ましいわけでございまして、それを私どもとしては、侵略という点について、わが国の同じ中国に対する行為について、片方では列強の中国への「進出」というふうに書き、片方では日本の中国「侵略」というふうに書いている点について、全体的な調和を図るという観点からの記述の統一を求めまして、そして発行者が、これは「進出」という御指摘の記述につきましては現在のところ見当たらないのでございますけれども、先ほど大臣が申し上げました例で言いますと、一つの図の中のタイトルについて、中国への「侵略」というところを中国に対する「侵入」というふうに、発行者の方におきまして、著者におきまして表記をしてきたということでございまして、その方がより客観的な表現であろうというふうに考えてお話を申し上げました次第でございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 ごまかしの御説明はこのくらいにして次へ参ります。  朝日新聞の報道によりますと、「侵略」という言葉に改善意見をつけた理由の一つとして、文部省の幹部は、「侵略」には直ちに悪というイメージが含まれており、事実を客観的に書くのが望ましい歴史の教科書には「侵略」という字を使うのはふさわしくないと考えているんだということが紹介されておりますが、これは事実ですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 教料書調査官は検定の過程におきましていろいろな応接をするわけでございますけれども、ただいま御指摘の点につきましては、私が先ほど申し上げましたように、その真意といたしましては、教科書で使用いたします用語についてはできるだけ客観的な表現が望ましい、また表記につきましては全体の調和を図ることが望ましいという趣旨でお話を申し上げたというふうに私どもとしては理解しているわけでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 まあ事実を客観的に書くのが望ましい歴史の教科書であると。そうであればあるほど、わが国が犯した戦争の過ち、その罪悪、これを事実として客観的、忠実に伝えることこそ必要じゃないか、こう思います。まあ文部省も同感だと、こういうふうに言わざるを得ないと思うんですね。中国に対してわが国が犯した行為は、これは紛れもない侵略行為で、これはわが国の学界でも通説であり、諸外国でもこれは認めている。したがって、戦争を知らない子供たちにわれわれが犯した過ちを正確に伝え、反省し、それを生かして平和な国際社会を求める人間を育成するということは非常に重要だと思うんです。文部省もそのとおりだとお認めになると思う。そうならば、文部省の検定の方針はそうした考え方に大きな異なりがあるのではないか、こういうふうに考えます。言っていることとやっていることとは余りにも違い過ぎるんじゃないか、こういうふうに思いますが、この点いかがですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 歴史の教育において客観的にあるがままに書くということは、御趣旨はそのとおりでございますけれども、現実にある事象についてどのようにそれを記述をし、その事象について説明をしていくかということはなかなか教育的に見ましてもむずかしい問題があるわけでございまして、御趣旨のその本質的な部分につきましては全くそのとおりということでございますけれども、やはり史実に立脚して歴史をできるだけ客観的に表記をいたしまして、そして客観的な判断をするという点、そういう態度を育てることが歴史教育の目的でございますので、そういうように配慮をいたしまして歴史の教科書の記述が適正なものになるようになっているわけでございます。したがいまして、日中戦争につきましても事実を事実として客観的に記述をするということはそのとおりでございますけれども、また教科書の検定におきましてできるだけそのような方針でやっているわけでございますが、現実にわが国の教科書におきまして、発行者が創意工夫をして書いているというその基本がございます。現実に教科書の記述を見ますと、先ほど来、大臣が申し上げましたように、その歴史的な事実につきましてはかなり詳細にその事実を書いているということがございまして、ただいま先生が問題にされましたような、たとえば「侵略」が、タイトルが「侵入」になったというふうな点だけではございませんで、その日本の中国に対するいろいろな行為については、してはならないような戦争の行為であったというふうなことについての記述がわかりますように、そういうふうな記述が一貫して行われているわけでございまして、全体として見ますと先生の御指摘のような趣旨に相なっているんではないかというふうに考えるわけでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 大変丁寧な御説明をなさっておりますけれども、要するに文部省の検定の方針は言っていることと違っているということを私は言わざるを得ません。改善意見として出したんだからいいなんということは許されない。事実、侵略を「侵略」と書いてある本に何で修正意見をつける必要がありますか。むしろ「侵略」を「進出」とやっているところに改善意見を出すならいいと。そういう点で文部省がこの検定に対しては、もう絶対これでいいんだと言い張っているにすぎないという感を深くするばかりでございます。  そこで、話を次に進めます。  きのう二十八日に日本大使館の公使が中国外務省に日本の立場を説明したという内容が出ておりますが、そこに説明されたものというのは、まず第一に、日中共同声明の前文で過去の戦争において中国人民に多大な損害を与えたことについて責任を痛感し深く反省している。この認識は変わっていないと表明しております。この認識は変わっていないと表明しています。それならば、そういうふうに変わっていないと表明しているにもかかわらず、「侵略」を「進出」と書き改めているわけでしょう。これは日中共同声明に矛盾していると、こう言わざるを得ません、矛盾していると。いかがですか、この点、大臣にお聞きします。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) これは恐縮でございますが、先ほどから申し上げておりますように、この日本の教科書検定は、民間の創意工夫を生かしてそれについて国家が検定をするという制度でございまして、それを国定の国の教科書のように一種類をこういうふうにするというふうなことではございませんで、幾多の種類がある中で多様な教材を使えるようにして、その問題点につきましていろんな観点からより客観的、より公正、より教育的な配慮を加えるようなそういう検定をしているわけでございまして、その結果これは改善意見として申し上げまして発行者がそういうふうに変えてきたということでございまして、それをことさらに文部省が、あるいは国がそういう形で改ざんをしたとか、そのことが日中友好の精神に反するということでは私どもはないと考えておりまして、日本の教科書の記述につきましてできるだけ公正かつ客観的な記述になるように努力をするという精神でやっておりますものでございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 理解できません。「侵略」を「進出」に書き改めた、しかもそれを検定したと、これ事実でしょう。その事実が日中共同声明に矛盾していると、こういうふうに申し上げるんです。これは文部省がどう言いくるめても矛盾しているじゃないですか、矛盾してないと言うんですか。認識は変わってないと言いながら、中国から抗議を申し込まれるようなことをやったんじゃないですか。しかも「進出」と書かせたんじゃないですか。向こうが勝手に書いたんじゃないじゃないですか。改善意見を出して書かせ直させ、そしてそれを検定したんじゃないですか。検定したら文部省の責任ですよ。書いた人の責任じゃありませんよ。矛盾じゃないですか。矛盾だと言いなさいよ。それが文部省の恥でも何でもないと思いますよ。大臣どうですか、大臣。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 恐縮ですが、大臣の前にたびたびお答えをさせていただいておるわけでございますが、やはり日本の教科書制度についての基本的な御理解をいただいて、その上で、ある個所についてある字句が変わったと、その表現については、その全体の記述の流れの中におきましてこのような表現をどうするかという観点から申しますと、先ほどるる申しましたが、同じ国に対する他の国の行為と、あるいはもう一つの国の行為が違ったふうに書かれている場合に、より客観的な記述によって表記を統一するというふうな観点、これは全く歴史の叙述をより正確に客観的にするという配慮から行われているものでございまして、日中友好の精神と直接にかかわるというものではないと思いますけれども、そういう観点から改善したらどうかという意見を申し上げて、それを著者が認めて改善をしたということでございます。  また、全体の中国に対する日本の行為につきましては、歴史教科書の全体の叙述の中でそのようなことがきちんと書かれておりますし、また、日中共同声明の趣旨につきましても、正確にそれが書かれているわけでございまして、歴史の教科書の全体の記述をごらんいただければ、先生が御指摘になるような、そういう書きかえと一言で申されましたが、そういう書きかえというふうなことではなくて、やはりその精神は依然として尊重され、そういうものが歴史の教科書の中に書かれているということを通じまして御理解がいただけるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 理解できません。  時間がないので、次に参ります。  第二に、政府は、中国側からの申し出に対して、これを謙虚に受けとめたいと表明しております。この謙虚という言葉が先ほどから問題になっております。これはどういう意味か。先ほどの論議の中で承っておりますと、検定の説明をするというふうに受けとめられます。また、大臣は時間をかけおのれをむなしくして承るというような国語的な説明をなさっていらっしゃいます。外務省のお方にこの謙虚ということをお答えいただいていると、中国の意見をよく聞いて文部省に伝えることが謙虚だというふうな、謙虚の意味がみんな違うわけですよ。それはみんな言葉だけのことを言っている。中身は何だと、何にもはっきりしていない。この謙虚という意味は、私は当然検定をし直しするというこれ以外に謙虚な態度というものはないと思います。この抗議の要旨の中にも、文部省の検定した教科書の誤りを正すよう切望するとはっきり言っているんです。何にも長い時間をかけて、と述べこう述べ、ごまかし説明をすれば信用が落ちるばかり。また、検定した教科書に対しての抗議なんですから、検定した文部省がそれに対して、それこそ謙虚ならば、書いた人の責任だとか、そういう本が書かれたなんていう責任転嫁みたいなことを言ってないで、はっきりと中国が抗議を申し込み、具体的にこうしなさい、こうしてほしいと、文部省の検定した教科書の誤りを正すよう切望すると言っているのですから、そういたしますと言うことが謙虚でしょう。私はそれ以外にないと思います。大臣、いかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 謙虚と申します言葉は、もともと姿勢、心構えをあらわす言葉でございまして、もともとこの言葉に……

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 そんな大層じゃないんですよ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 具体的な内容があるわけじゃございません。外国におきましては、日本の検定制度等について十分理解していない点もございましょう。あるいはまた、中国の申し入れにいたしましても、新聞の報道によればと書いております。検定の結果が新聞に報道された時点で、いろいろな基礎的な知識を持たない人がこれを読みました場合に、あたかも文部省がすべての教科書から、たとえば「侵略」という言葉を強制的に抹殺したのではないかというような印象を受けるかもしれない、そのような印象を受けるということもきわめて自然なことであるかもしれないと私は思っております。ですから、これはもともと日本の国内問題であって、要らざる世話をやいてもらいたくないというような高飛車の態度に出てはならない、先方の言い分は十分承って、当方の立場も説明する、そういう姿勢で臨みたいということを申し上げておるわけでございます。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 ですから、承るだけが謙虚じゃないと、承って意味がわかったら、それを具体的に行動にあらわして、中国が言っているように文部省の検定した教科書の誤りを正すことが、これが謙虚でしょう。  もうこれ以上時間がございません。もう一点。今後外交折衝の方針をどういうふうにするか。文部省側が中国に対してわが国の検定制度について説明するというようなことをおっしゃっておりますが、私はこれこそ責任転嫁だと、こういうふうに受け取れます。真意というものは、そんなことで明らかになるものでもない。本当にこの制度の説明は本末転倒の議論であって、そんなことを説明に行くならば、それこそ私は恥だと思いますね。  時間がございません。次に、まとめて申しますが、今後の問題として教科書検定のあり方をオープンな形に改善すべきじゃないか。また、教科書の問題を、よりよい教科書をつくるために機関の設置、これを検討する必要があるのではないか。  またもう一点。この「侵略」という言葉がほかの教科書にもあるわけです。今後この教科書検定で改善の意見をそれにはっけないと、こういうことを言っていただけるかどうか、この三点まとめてお聞きいたします。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 教科書検定のあり方につきましては、私どもといたしましてはできるだけそれを適切に運営しているというふうに考えておりますけれども、また御意見のあるところもそのとおりでございます。特別な機関をつくるということではございませんで、ただいまの検定は検定調査審議会という学識者の専門的な第三者機関に諮りまして、その判定を得て最終的な合否を決めるというふうな組織もございますし、私どもとしては現在のそういう運営のあり方については、まず問題はいまのところないというふうに考えておりますが、御意見のあるところも承知をしておりますので、それらを含めまして教科書全体の問題について中央教育審議会に対しまして検討をお願いいたしているわけでございます。  また、この「侵略」として残ったものについてどうするかということでございますが、これは今後とも教科書の現行の記述につきましては改善を図ることが望ましいということが基本でございますので、そういうものがございますれば著者に対しまして、それはケース・バイ・ケースになろうかと思いますけれども、求めてまいりたいというふうに考えております。

柏原ヤス公明党・国民会議

○柏原ヤス君 最後に大臣にお尋ねします。  私は、日本が過去の過ちはあっても、事実は事実として率直に認める、その反省の上に立って世界の平和に寄与すべきであると考えております。と同時に、それを後代に正確に引き継いでいくことが各国の信頼と友好を確立する道であろうとも思います。特に今回の問題に関しては、明らかに日本軍は侵略したのであって、政府は日中共同声明の趣旨に基づき、その精神を遵守して侵略という事実をそのまま後世に伝えていくことが正しいと、こう思います。これは韓国、その他東南アジアとの関係においても同様だと考えますので、この点大臣の御所見を改めてお伺いしておきたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 日本が過去に中国に対して行った行為は中国に多大の損害を与えた行為であって、厳しく反省されなければならないやり方であるということを教科書は明記いたしておるわけでございます。先生仰せのとおり、事実を事実として率直に認めておるわけでございます。  「進出」、「侵略」ということについては初中局長からいろいろ答弁申し上げましたが、たとえばアヘン戦争という戦争は弁護の余地のない戦争だと私は考えております。明らかにこれは侵略でございましょう。これをしからば「進出」と書けば悪いのかというと、必ずしもそうは考えておらない。これは歴史の教科書でございますから、価値判断を伴わない客観的な言葉を用いる。イギリスが中国、当時の清国に軍隊を入れたと客観的にとらえて「進出」という言葉を使っておるわけで、これは悪いと申すわけにはまいらない、こう私は考えておるわけでございます。  日本の「侵略」という言葉を「進出」にかえたからと申しましても、日本と中国との間に戦争を通じて出てまいりましたさまざまの事実を客観的に公正に記述をしております限り、読む者が判断をするに違いない。本来歴史の教科書というものはそういうものだと思います。日中の友好親善を進めるべし、あるいはまた過去に中国に対して行ったことを峻厳に反省すべしということについては、歴史の教科書以外の教科書で詳しく書いておるわけでございますから、私は今回のことで日中の親善関係が損なわれるというようなことはない、かように信じて、誠意を持って中国側に説明申し上げるつもりでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 今回の問題について、文部省は「侵略」という用語に対して改善意見をつけたのであって、強制的な指示ではなかったと問題の言い逃れを図ろうとしているわけでありますが、しかし改善意見であろうと、文部省の見解として「侵略」は好ましくない、ほかの用語にかえてほしい、たとえば「進出」という用語にしてはどうかと、こういう意見をつけたことは明白でありますから、問題の元凶、主役は文部省であるということは明白であります。まず、このことを最初に議論の前提に置いて質問をいたします。  ところで、教科書での日中戦争や第二次世界大戦の説明にどういう用語を使うのが適当かどうかという、その問題の基礎として、まず、これらの戦争の本質をどう一体認識するのか、ここの問題があると思うんであります。  文部大臣としては、二千数百万人のアジア人を犠牲にした日中戦争や第二次世界大戦を日本の侵略戦争であったと認めるのか認めないのか、まずこの点どうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは今日の教科書がきわめて率直に書いておりまするとおり、正当化することのできない戦争だと私は考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 正当化することのできない戦争だということは、教科書でどう書くかという問題に先立って、戦争の本質の認識としては侵略戦争であったということですね。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ただいま申し上げましたように正当化することはできない、弁護することのできない戦争だと考えております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 外務省にお尋ねをいたしますが、国際連合憲章第五十三条、ここにおいて「敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極」とか「この敵国による新たな侵略を防止する」、こういったような記述が出てくるわけでありますけれども、この「敵国」というのは、当然日本を含めているということでそもそもこの憲章がつくられたということですね。

遠藤哲也外務省国際連合局外務参事官

○説明員(遠藤哲也君) 先生御指摘のとおり、これは第二次世界大戦中の敵国でございますから、当然日本も入っておると思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そこで、この国連憲章五十三条では、日本が第二次世界大戦において侵略戦争をとった国だということを明確に述べているわけであります。文部大臣、この国連憲章を承認して日本は戦後国連に加盟したわけですね。そうしますと、教科書検定では「侵略」という用語は不適当だと、こうするというのは国際的な信義に反する行為になりませんか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは国際問題でございます。この種の仰せのような事例についていろいろな事例もあり、慣行もあることでございましょう。これは文部省から答弁申し上げるのはしかるべきではないと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 きわめて常識的に判断のつく問題として私はお尋ねをしているつもりです。国連に加盟するときには国連憲章を承認をして加盟手続をとってきたわけでしょう、国会としての批准をして。ところで、この国連憲章の中には、日本が第二次世界大戦において侵略政策をとった国だと、こういう認識に立って、この国がまた侵略を再び始めるとか、あるいは新たな侵略、そういうことが起こらないようにいろんな取り決めを決めていこうと、こういうことで五十三条というものがつくられてきておる。ですから、外国向けには、国際的には日本はこの侵略政策をとってきた国だと、侵略戦争をやってきた国だというこの規定を承認をして日本は加盟している。ところが、日本の国内向けには教科書検定のあり方という問題では「侵略」という用語は好ましくない、こういう国民をだます、世界の諸国民をだます言葉の使い分けをやるというのは信義に反すると思いませんか。政治家として小川さんにお尋ねします。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 一般的に「侵略」という言葉を一切使うべからずということを申しておるわけではございません。「侵略」という言葉が「進出」等の言葉に改定されました経緯については、先ほど来るる御説明申し上げたとおりでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 別の例でさらにお尋ねをしますけれども、日本の中国への侵略政策、植民地支配というこの歴史的事実は、たとえば防衛庁防衛研修所、そこが発行しております著書「戦史叢書支那事変陸軍作戦(1)」、こういうぶ厚い本が出ていますけれども、その四百三十六ページ、いわゆる南京攻略戦についていろいろと記述をしているわけでありますけれども、略奪、婦女暴行、放火、非戦闘員や捕虜の殺害などそういう悲惨な事実があったということを記述しておる。これらの明白な侵略の歴史的事実、これを「進出」という言葉で歪曲をし抹殺をすると、こういうことはとうてい許される問題ではないと思うんです。  そこで、高等学校の学習指導要領日本史編、この二十ページによりますと、「近・現代史の指導に当たっては、客観的かつ公正な資料に基づいて、歴史の事実に関する理解を得させるようにする。」と。「その際、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させるものとする。」ということで、「客観的かつ公正な資料に基づいて、歴史の事実に関する理解」、このことを強調しているわけでありますから、こうした点からいって今回の文部省の「侵略」を「進出」と改めさせる、こういう検定の方向、指導の方向、これはこの学習指導要領を文部省みずからがこれを否認する、じゅうりんする、そして明白な歴史の事実を否定する、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、大臣どうです。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 高等学校学習指導要領につきましてお話があったわけですが、この指導要領が教科書検定をする際の一つの基準であるということはそのとおりでございます。ただ、教科書検定につきましては、全体の調和を図るとか、その選択と扱いにつきましてどうするとか、いろいろなやはり教科書をつくる場合のさらに基準がございまして、そういうものを勘案して歴史の教科書の記述のあり方が決まっていくわけでございます。客観的と申しましても、一つの歴史の事実をいろいろな場合にどう表現するかということは、その教科書の叙述の流れの中でどういうふうに表現をするかということが決まってくるわけでございまして、すべての表記を「侵略」というものを「進出」にするとかそういうことではございませんで、先ほど来申し上げておりますように、あるたとえば一つの図を示す場合に、そういうふうに表記している場合に、他の中国に対する列強の行為について「進出」という用語があって、そういうものを教科書全体のバランスという点から考えまして表記をどうするかと、そういう歴史の教科書をつくっていくという一つのたてまえから、観点から、その表記についてどうするかということで統一したらどうかという改善意見を付するということでございまして、客観的に表現していないということではないと存ずるわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ところで、日本の侵略戦争について中国を初めアジア諸国の教科書がどのように一体記述をしているのかということについては当然文部省も承知しているはずの問題というふうに私は思うんでありますが、一、二例を挙げてみたいと思うんですけれども、最近「ほるぷ出版」という書店が諸外国の教科書、これを翻訳をしていろいろ出版をされておるんですが、中国の「中国歴史(全日制十年制学校初中課本)」、この中で問題になっております南京大虐殺のここをめぐる問題についてこういうふうに書いております。   日本侵略軍はいたる所で焼き、殺し、奪い、残虐の限りをつくしたため、無数の都市と農村が廃墟と化し、何千万何百万の中国人民が殺された。日本軍は南京を占領した後、気違いじみた大虐殺を展開した。南京で平和にくらしていた住民は射撃練習の的にされ、刀で切られ、石油で焼き殺され、生き埋めにされ、はては、心臓をえぐりとられる者もあった。一カ月余りのあいだに殺された者は三十万人を下らず、焼かれたり壊されたりした家屋は全市の三分の一に達した。そのころ、南京城内には死体が累々と横たわり、瓦礫が山を成し、暗い冬の風がすさまじく吹きわたって、さながらこの世の地獄となった。敵の凶悪さ残虐さは、全国人民のたとえようのない憤怒を激しくよび起こしたのであった。  こういうふうに書いているわけであります。  また、韓国でありますが、同じくこの「ほるぷ出版」のこの本でありますけれども、中学校国史教科書、この中で、第八章「日帝の侵略とたゆまぬ独立闘争」というその第二節「日帝侵略下の民族の受難」、こういう節で中見出しがずっと出てくるわけですけれども、それだけを拾っていきますと、「日帝の武断統治」、「土地の略奪」、「産業と資源の収奪作業」、「略奪のための米穀増産」、「経済収奪の強化」、「民族性抹殺政策と人力の収奪」、こういうことで、特にその中の一部を紹介いたしますと、「彼らは、「内鮮一体」とか「皇国臣民化」といった口先だけの標語をかかげ、一九三八年からは、学校教育で私たちの国語の使用を禁止して日本語の使用を強要し、また、私たちの歴史教育も廃止した。」というふうに韓国の教科書にははっきり記述をしているわけであります。どうでしょうか、こういった記述、これは歴史的事実に反する記述だというふうに文部省は考えているんですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) わが国の教科書の記述の基本につきましては、先ほど申し上げたわけでございますけれども、各国それぞれ教科書は非常に大事な教育の基本となる教材でございますから、その各国の国家体制なり社会体制なり、いろいろな構造の中で教育をどうするか、またその主たる教材としての——日本では主たる教材でございますけれども、教科書のあり方をどうするかということは、これはその国柄によりまして教科書のあり方が決まってまいるというふうに考えております。  ただいまお話しになりましたものが一つの例であろうかと思いますけれども、わが国におきましては客観的な事実というものを、いろいろな場合におきまして、その記述の公正、客観性、さらに教育的な配慮という観点からいろいろな観点を加えまして、適正な教材として児童生徒に提供するという観点からやっておるものでございまして、その一つの事実が一つの国の記述の仕方とあるいはわが国の記述の仕方と違いがありましても、それは一概にそれを比べましてどうこうというふうな御批判は軽々にはできないというふうに思うわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 あなた方は、検定に当たって「侵略」という用語を客観的表現にするためにこの「進出」という用語に改めた方がいいんだという、こういう指導をしたというわけですね。  片や中国や韓国では私がただいま引用したようなそういったような記述を行っている。それは中国、韓国のいろいろ事情もありましょうというんですが、客観的真実というのは日本であろうと、中国であろうと、韓国であろうと事実は事実でしょう。国によって事実がいろいろ変わる、そんなものを事実とは言いませんわね。  そうすると、あなた方が日本の教科書に対してやった「侵略」を「進出」という用語に改めた方が客観性があるんだと本当に言い張るならば、この中国あるいは韓国で私が紹介をしたようなこういう記述、これは大変迷惑な記述だ、あるいは客観性に反する真実を曲げた記述だということになるじゃないですか、どうですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 私が申し上げましたのは、わが国の歴史教科書の中で一つの字句、一つの事象についてどういうふうな記述をし、それをどう評価していくかという観点から、たとえば十九世紀におきます中国に対する列強の行為とそれから中国に対する日本の行為というふうなものをかなり近い同じような時代に表現をしている場合に、片方では列強の中国への「進出」と言い、片方では中国に対する日本の「侵略」と言い、その辺の表記の統一をしなければ、やはり児童生徒に教える場合の一つの全体的な調和と申しますか、そういう観点から改善意見を付しまして、これをさらに客観的な表現に変えたらどうかというようなことをやっているわけでございます。  わが国の場合はそれでやっているわけでございますが、ただいまお読み上げになりました教科書の中身につきまして、そこのところだけお読み上げになったわけでございますけれども、全体の歴史の教え方、叙述が一体どうなっているかということもつまびらかでございませんので、その点だけを見ましてどうこうする、批判をするということは、見解を申し上げる段階ではございませんけれども、簡単に客観的な事実であって、しかるがゆえにそれが正しいと。それはやはりそれぞれの国における一つの事象をどういうふうに表現するか。いろいろな複雑な歴史の教科書におけるいろいろな配慮、そういうものが加わってできるわけでございますから、私どもといたしましては、わが国の教科書につきましては、先ほどからるる申し上げましたようないろいろな配慮を加えて、しかも改善意見という形で、より適正な教科書にしていく、そういう努力をしていることを申し上げたわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 あなたの前段の答弁は、用語についての不統一があるから、したがって、この統一を図るんだと言うんだけれども、そうであれば、同僚委員も言われておるように、「侵略」という用語に統一をしたらいいじゃないですか。「侵略」という用語に統一することについて、何かそういうことができない理由があるんですか。その点どうですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 一つの事象を統一をするということは、ただ字句をそろえるということではございませんで、一つの事象をどういうふうに評価をしてそろえるかということも入ろうかと思います。したがいまして、より客観的な、たとえばその事実を表記をしているその箇所その箇所の記述の仕方とか、そういうものを含めて、ある場合にはその図の一つの説明の仕方といたしましてこういう記述はこういうふうにした方がより客観的ではないかというような配慮を加えてやっているものでございますから、それを直ちに「進出」よりも「侵略」がいいというふうなことにはならないのではないかと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 何ぼあなたがそういう説明を繰り返しても、それはみんなを納得させる説明にはなりませんよ。字句の統一だけを図ったわけじゃない、全体の文脈の中での内容的統一も考えておるんですと。そうなればいよいよもってこの歴史的現実としては、私が引用をしたような、防衛庁の出版の書物もはっきり記載をしているような、そういうことさえ否定をするということになっていく。「侵略」という用語を「進出」という用語に改めさせようというわけですね。あなたのような論法でいけば、中国のこの教科書あるいは韓国のこの教科書、これはそれこそ客観性に反しておる、真実に反しているということでこの訂正を求めるんですか。まさかそんなことは言えないはずですね。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) わが国の教科書の記述とその一つの事象をめぐって他の国の教科書の記述が違いましても、それはその国の教育制度の成り立ちとかいろいろなものがバックにございますから、私どもとしてその字句だけをとってこれはおかしいとか、これは訂正すべきだとか、そういうことを言うべきではないと思います。私どもの立場だけはより客観的、より公正、より教育的な配慮をもって教科書をつくっていく、そのための検定制度を適正に運用をして民間の自由な発意を尊重して教科書をつくっていく、その制度をできるだけ御理解をいただくような形で理解を求めていくということで対応したいと考えている、そういうところでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 全く納得をさせる説明にはなりませんね。  時間の関係で、わが国が侵略戦争によって重大な被害を与えてきたアジア諸国の中の二つの国の教科書の例を挙げるにとどめざるを得ませんけれども、その他のアジア諸国の教科書についても同様に多くのページを割いて、日本軍国主義の侵略とそのもとでの抑圧的支配の実態、そしてこれに対する国民的抵抗と独立の過程をかなり詳細にわたって、そのことが国民の教育にとって大切だと、こういう見地から書いておるというのはほかの文献でも多く紹介をされておるところですね。  ところで、未来を担う子供、この日本の子供、アジア諸国の子供たち、これが未来に向けて本当の国際連帯、これをつくっていくという上で一体事実を曲げたことを日本の国民に教えるということが真の国際連帯に役立つと思っているかどうか、これが一つ。  それから、教育という仕事が何にも増して真理真実に忠実に、真理真実をもとにして子供の教育を行っていくということが何にも増して重要な原則ですね。この原則をなぜあなた方があれやこれやという理由をつけてこれをじゅうりんしようとするんですか、否定をしようとするんですか。文部大臣、この二点答えてください。——いや、文部大臣。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) その前に私から。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) その後で大臣にお願いします。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いや、私、持ち時間がないから。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 佐藤先生御指摘の事実を曲げているということにつきましては、私どもは、ただいま御指摘のような点はございましたけれども、一つの字句を改善意見によりまして変えたということによって事実が曲がったというふうには考えておりません。全体の事象についてそれがどのように記述をされているかという全体の教科書の流れ、その記述の仕方を全体としてごらんいただければそういうふうにはならないというふうに考えます。  また、真理を教えるということはまさにそのとおりであろうと思いますけれども、教科書におきましてそれをどう記述し、それをどのように教えるかということはまた別でございまして、そこにはやはり教育的な配慮というものが必要ではなかろうか、そういう観点から、歴史の教科書につきましてはいろいろな観点から、ただいまもう一つ申し上げるとしましたら、たとえば全体の調和というふうな観点も含めて記述をされておりまして、そういうものを含めて教育がなされるべきであるというふうに考えているわけでございます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 先ほど来繰り返して申し上げておりまするように、歴史の事実を歪曲するというような意図は毛頭ございません。日中間の戦争にいたしましても、戦争の事実そのものは客観的に正確に記載をいたしておるわけで、一つの例でございますが、ただその表題について「日本の中国侵略」となっておったのが「満州事変・上海事変」というふうな、より客観的な価値判断を伴わない言葉に改まったというだけのことでございます。反面におきまして、かつての戦争が支持しがたい戦争であるということについてはことごとくの教科書は書いておりまするし、日中の友好親善にこういう過去の事実の厳しい反省に立脚して努力すべしということについても書いておるわけで、歴史の教科書はそのようなことを書く場ではございません。これは客観的な事実を記載して読む者が自分で判断する力を養わせることが歴史の教科書でございますから、先ほど来申し上げた趣旨で改善意見を出したような次第でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 局長が要らぬ答弁をするから時間を食う。  私は前段で大臣にかつての日中戦争、第二次世界大戦、これは本当に侵略戦争であったと認識しているのか、なかったと思っているのかということを特に聞きました。あなたは二度と繰り返してはならぬ戦争であった、こういうお答えだけを繰り返された。私はあえてあなたの答弁が口先だけで、本当に心の中から繰り返してはならぬ戦争であったというふうに思っているかどうかということでもう一回お尋ねするわけだけれども、そういう意味で中国、韓国のこういった教科書も引用をいたしました。そういう点であの戦争は侵略戦争と思っていないのか思っているのか、もう一遍その点を答えて下さい。私の問いにきちっと答えてください。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 御質疑につきましては、御質疑の冒頭に答弁を申し上げたとおりでございます。これは繰り返す必要はないかと存じております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 そういう形で私が重ねて私の問いに答えてくださいと言っても答弁をぼかすというそのやり方というのは非常に不公正なやり方ですよ。侵略戦争でないと思っているんだったらないと答えなさいよ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 侵略戦争でないなどということは毛頭申しておりません。支持することのできない戦争だと明確に申しておるつもりでございます。再びとおっしゃればそのとおりにお答えする、そうではないことを申しておるわけじゃございません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 委員長。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) 時間でありますので、もう一問だけ。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 はい。侵略戦争ではないというふうには毛頭思っていませんということであれば、なぜその立場で教科書検定の作業が進められないのか。いろいろ理由を言われたけれども、全く納得できません。文部省の真剣な再検討をぜひ要求をしておきたいと思うんでありますが、そういう立場から今回の教科書検定の特に「侵略」を「進出」という方向に指導したというこのことの誤りを認めて、早急に教科用図書検定規則の正誤訂正、これによって直そうと思えばすぐにでも直せる問題でありますから、ぜひ文部省として早急にこれを訂正するということを検討する意思がないかということが一つ。  それから教科書会社の側が正誤訂正の申し出を持ってくれば、出してくれば文部省としてはこれを当然認めるというふうにされるべきだと思うんですけれども、この二点最後に質問をしておきます。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) いまの点は著者が改善意見に従いまして一たんこの記述を改めたわけでございまして、さらにそれをもとに戻すということは教科書の改善とはならないものであることは言うまでもないわけでございまして、正誤訂正の申請が行われましても、検定制度の趣旨に照らしましてこれは認めることができないというふうに考えます。  なお、検定規則におきましても、改訂検定については、「検定を経た図書の改善を図るため」という点が明記をしてありますので、この規定の趣旨に照らしましても御趣旨のような正誤訂正の申請は認めることができないというふうに考えます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 教科書会社の裁量権というのが全然違うじゃないですか。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 中国は外交ルートを通じて、また韓国からは日韓議連を通じて教科書検定に絡む問題点の指摘、申し入れがあったわけでありますが、このほかの国からこの種の指摘が一体何国ぐらい、どういう国からなされているかひとつ教えていただきたい。

畠中篤外務省アジア局中国課長

○説明員(畠中篤君) お答えいたします。  現段階におきましては、中国及び韓国以外のアジア各国からの反響といたしましては、タイ、シンガポール等の主といたしまして華字紙——中国語文の新聞がございますけれども……

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 もうちょっと大きい声で。

畠中篤外務省アジア局中国課長

○説明員(畠中篤君) 現段階におきます中国及び韓国以外のアジア各国からの反響といたしましては、シンガポール、タイ等におきます主といたしまして華字紙——中国語文の新聞がございますけれども、そういうところの報道にとどまっておりまして、中国あるいは韓国のようなルートでの批判なり抗議なりといったようなものはいまのところ行われておりません。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 現在、外交ルートを通じての公式な申し入れをしているのは中国だけでありますけれど、私は問題をこれ以上政治問題に発展をさせない配慮が一番大事だというふうに考えております。で、そのためにも、中国とか韓国などからの指摘が今後友好関係をより多く発展をさすべく、両国から出されていることを重大視をして、これまでの教科書で記述されていた重要な文言がいま改められた趣旨について、政府は、相手側に対してはもちろんでありますけれど、われわれ国民に対してもやっぱりこれ説明をしてもらわないと何が何だかわからない。その辺の徹底をすることが第一であろうと思いますけれど、これは文部大臣から伺いたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 各国からは外交ルートを通じての申し入れに接しておらないわけでございますが、中国に対してはもとより、韓国に対しても当方の真意を伝える必要がございますので、中国大使館の王暁雲公使を今晩九時にお招き申し上げて、先方の御批判も承り、当方の立場も御説明申し上げ、同時に韓国の駐日大使館に対しましても御説明を申し上げるために御都合を伺っておるという事情でございます。  また、国民に対してというお言葉は、きわめて御同感でございますが、一番よい方法は、国会における御質疑を通じて私どもの立場を明らかにすることだと信じております。本日この場で参議院の文教委員会が開催されまして、明日は午前九時半から衆議院の文教委員会が開催されることになっております。そういう機会を通じて文部省の真意というものを御理解願う努力をするつもりでございます。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 文部省の真意を相手側に伝える、その前提として謙虚に相手側の意見を聞くということを大臣もおっしゃっておられます。一番大事な問題は、これまでの教科書で記述されていた重要な文言がいまの段階で改められたその趣旨についての納得というのが私は第一のポイントだろうと思いますけれど、これを相手方に納得をしていただく自信と申しますか、そういったものがはっきりおありなのかどうか、この辺のひとつ確信を私はお問いをしたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 文部省はそれぞれ根拠を持って、問題として指摘されておりまする事柄について決定を行ったわけでございまするから、自信があるかないかというお尋ねに対しては、自信がございますというお答えを申し上げます。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 私はこういった説明がなされているその環境というものも非常に大事にしなければならない。たとえば、この問題をめぐる政府の余り騒々しい発言の自由さというものは、私はこれは最も大事だと思うけれど、いまこういう大事な場面における政府の中での余りにも奔放な発言というようなものも、この際は私はお控えをいただくことも必要だし、余りこの問題に対してオーバーヒートをするような環境づくりがなされることに対しても私は危惧を持っているんです。そして、その根本的な背景というものはやっぱり日中友好条約の精神がきちっと生かされる、そして日韓善隣、つまり隣同士の国が本当に友好にこれからもやっていけるという基本方針は貫かなければならない。このことを私は大前提といたしますけれど、いかがでしょうか。謙虚に耳を傾けると言われた文部大臣の所見は、今回中国、韓国などから公式、非公式に申し入れがあった事柄のよって来るところに十分に耳を傾けるとおっしゃいましたね。そして、政府からは、つまり文部省からはこれまで記述されてきた重要な文言が改められたことについての納得のいく説明をすると、こういうふうな御説明があった。そして、それを十分に理解されるように御説明をするという、私は現段階でやるべきことはまさにそのとおりであろうと思いますけれど、これは私の私見でありますけれど、相当この問題は長引くのではないかという憂慮があります。長引けば当然政治問題に発展するおそれがある。それは韓国、中国だけではなく、すでに東南アジアからの反響もあったという外務省の報告もございます。ひょっとしたらアメリカとか西欧の国からもそういった申し入れなどがないとも限らない。  そこで、私は文部大臣にお伺いをしたいんでありますけれど、この問題をより大きな激しい政治問題にさせないための大臣の所見、そしてもし積極的なそれに対する対応策というものがおありになったらば伺いたい。そして、その前に外務省に一言伺っておきたいことは、現在までの説明によって相手国からどのような反応が来ているのか、そしてその反応の中から将来示唆される、読み取られるべき何か示唆があるならばひとつ教えていただきたい。  まず外務省から、これまでの相手国に対する説明がどういう反応を持ってそこに出てきて、それをどう受け取り、そして今後それをより大きな政治問題にさせないための大臣の所見、そしてより積極的な対応というものが大臣の胸の中にあるならば、国民に対する所信というものはこの国会の場なんだとおっしゃったんであるから、それもこの際私は具体的に伺いたいと思います。

畠中篤外務省アジア局中国課長

○説明員(畠中篤君) わが方の北京におきます説明に対しまして、先方はこれを日本政府の正式の回答として政府部内に伝達するということをその場で申しました。私どもが伝えました点につきましては、日中共同声明の認識、過去の戦争についての認識についてはいささかの変更はないという点と、学校教育においてもかかる認識が反映されることが当然であるというような点をまず冒頭に伝えたわけでございますけれども……

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) もっと大きい声で願います。

畠中篤外務省アジア局中国課長

○説明員(畠中篤君) はい。その点につきましては、これを、日中共同声明を日本側が尊重するということを説明した趣旨と解する旨の発言がそのわが方の申し入れに対してはございました。  あわせまして、教科書検定制度については文部省から説明があるはずだということも申しましたところ、この点につきましては文部省からの説明をよく聞いた上で検討することといたしたい、これが現在のところの中国側の反応でございます。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 相手国と私は言いましたから、中国だけでなく、韓国にも触れていただきたい。

畠中篤外務省アジア局中国課長

○説明員(畠中篤君) 私は中国課長でございまして、ちょっと韓国の方は十分フォローしませんで申しわけございませんが、韓国に対しましてはいまのところ公式な説明は行っていないということだそうでございます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 中国、韓国とも今後わが国との間の友好親善関係を進め、相互の信頼関係を促進していかなければならない時期だと信じております。  私は閣議におきましてもこの問題については誠意を持って文部省の真意を説明申し上げて、理解を得るべく全力を挙げていきたい。さしあたって中国からは外交ルートを通じての申し入れに接しておって、これから回答しなければならない非常に微妙な大事な段階であるから、願わくば刺激的な御発言は慎んでいただきたいということも申し上げたわけであります。仰せのとおり、この問題をめぐる雰囲気が加熱しないことをひたすら願っておるわけでございます。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 いまの御発言は必ずしも積極的な対応策ということへの回答にはならないと思いますが、その辺触れてください。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 対応策という仰せでございますが、当面全力を挙げてわが国における検定の制度の仕組みなり、検定に臨む文部省の姿勢なり、また指摘されておる個々の問題点につきましてはどのような経緯で改訂が行われたかという事情等について十分説明を申し上げる、こういう形で対処していきたい、そして御理解を得るよべに努力する、かようなことを考えておるわけでございます。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 積極的にこちらからだれか特使が出かけていくとか、そういったことは現在は考えていないのかどうか、これはお答えは後で結構でございます。  それで、きょう、いま問題になっているいわゆる検定に絡まるアジア各国からの批判あるいは申し入れとは一応別個に考えたいんでありますけれど、私どもは基本的には教科書検定制度というものを認めています。しかし、その検定制度のあり方が、仕組みが現在のままでいいというふうにはわれわれは考えていません。したがって、われわれは、ここ数年、余りにも閉鎖的であり、いろんな不明朗な問題もその中から派生している事実にかんがみ、これは当然改善をしていかなきゃいけない、そして極端なイデオロギーによって教科書の内容が変更されたり、また時の権力によってあっちへ行ったりこっちへ行ったりするようなそういう検定であってはならないという意味で、現在の検定制度という基本は認めるにいたしましても、まあ教科書検定審議会とでも申しましょうか、国会の任命するこういうものの設置についてわれわれは言い続けてまいりました。  大臣に伺いますが、やっぱり改善をして、より明朗にオープンに、閉鎖的でない、こういうものを含んだ改善がぜひとも必要だというお考えに立つかどうか、最後にこの問題を伺って締めくくりといたします。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書の検定は申すまでもなく公正なものでなければなりません。そのときどきの為政者の恣意によって左右されるようなものであってはならない、仰せはまことにごもっともなことと存じております。  そこで、この検定につきましては、教科用図書検定調査審議会というものを設けまして、学者の方々を任命を申し上げて御審議をいただいておるわけでございますが、教科書について検定制度を含めていろいろな御論議がございます。国民の関心も高まっておりまするので、ただいま中教審に諮問を申し上げておる段階でございます。遠からず答申をいただけると期待しておりますので、答申を拝見した上で、その趣旨を尊重して、改善について検討してまいりたいと思っております。

木島則夫民社党・国民連合

○木島則夫君 結構です。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午後六時二分散会      —————・—————

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