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96回国会参議院1982/03/23

文教委員会 第3号

発言数
327
登壇者
15
会派数
3
開催日
1982/03/23

会議録

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は順次御発言願います。

小野明日本社会党

○小野明君 先ほど行われました小川文部大臣の所信に対しまして若干の質疑を行いたいと思います。  まず大臣にお尋ねをいたしたいのは、文部大臣として憲法改正の問題について、大臣はどのように考えておられるか、伺いたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私は、憲法の掲げておりまする平和主義、民主主義並びに基本的人権の尊重というこの理念は、将来とも長きにわたって堅持されなければならない、このように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 そうすると、現行憲法についてはこれは改正すべきでないと、こういう御意見と承ってよろしゅうございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 鈴木総理大臣は、かねてから国会におきまして現行憲法を改正する意図は毛頭ない生言明をしておられます。私もまた鈴木内閣の閣僚といたしまして、この方針に従ってまいるつもりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 小川文部大臣は、閣僚であると同時に自民党の党員でございますね。自民党所属の国会議員ですね。  そでで、自民党の五十七年の運動方針案というのがございます。ここに、「党運動方針の基調」という項がございますが、こういう表現がございます。「なお最後に、昭和三十年立党にさいし制定した「党の政綱」」――これは政策綱領という意味の、「「党の政綱」に明記する「現行憲法の自主的改正」に関する問題である。わが党としては「憲法を国民の手に」とのスローガンのもと、引き続き党の正式機関に住いて真剣に検討を進めるとともに、国民の間になお一層正しい理解が深まるよう、」云々と、こういう表現がございます。この運動方針は、五十七年度自由民主党の運動方針として確定をされたと思います。大臣もまたこれを承認をされたと思います。これとの関連はいかが相なりましょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 運動方針におきまして、自主憲法制定のために研究を開始すべしという提案があったことは仰せのとおりでございます。私自身の考えておりますることは、冒頭に申し上げましたとおりいささかも変わっておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 そういたしますと、大臣はこの自民党の運動方針との間に、先ほどおっしゃられな御所見、これは私は矛盾があると思いますが、大臣はそこには矛盾はないとおっしゃるわけでございましょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 運動方針においてそのような提案がなされておることは仰せのとおりでございますが、党内におきまして正規の機関の検討を経て具体案が提出されておるような現状ではございません。仮に、これを改正すべしという具体的な提案がございましたとき、改正の内容を検討いたしまして、現行憲法が掲げておりまする基本的理念にいささかも抵触することがないような提案がございましたならば、その時点で検討をいたします。鈴木内閣の閣僚としては先ほど申し上げたとおりの考え方を持っておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 この自民党の運動方針は、これはまあ政策綱領というのは、憲法を改正するということを国民の前に明らかにしたものではないんですか。それとの間に――大臣は憲法は変えない、憲法は守ると――大きな隔たり、矛盾があると思いますが、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私は自主憲法制定のために検討を開始すべしという運動方針を了承したものと、かように理解をいたしておりますので、格別矛盾を感じてはおりません。

小野明日本社会党

○小野明君 いまのところ、ちょっと私も聞き取りにくかったんですが、自主憲法を制定すべしと、これには賛成をするというわけですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 現行憲法について、改正について論議し、検討することはもとより自由であろうと考えております。  したがいまして、私が先ほど申し上げたことと格別矛盾するとは考えておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 それは詭弁じゃないですか、おかしいことはないですか。憲法を運動方針綱領では変えるべしと、こういうふうに決めておきながら、大臣はここでは鈴木内閣の閣僚であるから憲法は変えませんと、これは非常に大きな矛盾があると思いますが、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 現行憲法を改正するための具体案というものを党議で明確に決定しておるということになりますると問題が出てまいるでございましょう。まだそこまで問題が煮詰まっておるとは考えておりません。  いずれにいたしましても、閣僚の立場といたしましては、総理の言明に従ってまいるつもりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうすると、まあ憲法改正の草案がまだ決まっていないと、したがって、その草案によって大臣は態度を決めるが、現在のところは、現行憲法はこれを尊重、擁護と、これは憲法表現のとおりですが、そういうことですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 具体的な案を党議として決定いたします際には、もとよりその内容を検討しないわけにはまいりませんが、私自身の個人としての信念を申し上げますならば、仮に閣僚の立場を離れましても、現行憲法はこれを擁護していかなければならない、かようにかたく信じております。

小野明日本社会党

○小野明君 そうまでおっしゃれば、大臣は自民党のこの運動方針については反対である、このように率直に受け取ってよろしゅうございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは運動方針でございまして繰り返して申し上げますが、検討を開始するということでございますから、これに異議を差し挟むつもりはございません。私自身といたしましてはあくまで現行憲法を堅持していくべきものだと、かように信じておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 この運動方針の、昭和三十年立党に際し制定した党の政綱――党の政策綱領ですね。政綱というのはこれは、憲法は改正すべきであるということを明記したものではないんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) そのようには理解をいたしておりません。ただいまいろいろお尋ねをいただいておりますが、現に自由民主党の内部におきましても。憲法改正に明らかに反対をしておる者もあるわけでございます。全党一致して憲法改正の方向を歩んでおるとは私は必ずしも理解しておらないわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 いま自由民主党の中に、自主憲法期成議長同盟というのが組織されておりますことば大臣も御承知のとおりだと思いますね。この自主憲法期成議員同盟という同盟に大臣は名を連ねておられますか。その同盟の中に入っておられますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 名を連ねてはおりません。

小野明日本社会党

○小野明君 わかりました。  最近、この自主憲法期成議員同盟が、昨年の十月二十一日に憲法改正草案要綱なるものを発表いたしました心そのことは大臣も御承知のとおりだと思います。この要綱は、大臣も御承知と思いますが、第一は天皇が国家元首であることを明記する、第二は自衛隊を合憲とし武力行使ができるようにする、第三は国会は国権の最高機関という表現を改める、こういったことが要綱になっております。この自主憲法期成議員同盟が発表をいたしました憲法改正草案要綱、これについてはどのような御所見をお持ちでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私自身の閣僚としての考え方、また個人としての考え方は先ほど来申し上げたとおりでございますので、実はその種の動きに余り関心を持っておらないわけでございます。ただいま初めて承るようなわけで、したがって、この場で直ちに論評を求められましても明確なお答えはいたしかねます。いずれにいたしましても、現行憲法はあくまでこれを堅持していかなければならない、これは私の信念でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そういたしますと、現在の教育文教行政、これの一番の基本は教育基本法にあります。これは私が申し上げるまでもない。そのまたよって来るところは憲法にあるわけでありまして、もし大臣が憲法改正論者であるということになれば、これはまたそれはそれで大変なことだと思います。そういう立場で私どもも所信をお尋ねしなければならぬと思いますが、いま御意見がございましたように、憲法九十九条ですかに明記されておりますように、これを擁護し尊重する義務を負っておられるわけですから、党内いろんな動きがありましょうとも、あくまでも憲法を守るということで初心を貫かれた教育行政をやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございますから、あくまで憲法の基本理念を堅持して教育行政を進めてまいるつもりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 次に、四十人学級の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  大臣、これはきわめて技術的な質問になるかと思いますが、一学級の児童生徒数、これは小一中・高とございますが、これの望ましい数ですね、児童生徒の数、これは何名ぐらいが適当であるとお考えでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 四十人が適当であるのか三十人が適当であるのか、非常に厳密な理論的な根拠はないものだと承知いたしております。先進諸国の例等をも参酌いたしまして四十人と決定をしたと、かように承知しております。

小野明日本社会党

○小野明君 これは、厳密な規定はないというふうにおっしゃいましたが、それは多少勉強不足ではないでしょうかね。私の聞き及ぶところでは、西欧諸国では児童心理あるいは社会学的な見地もあるでしょうが、教育効果が上がる一学級の数というものはそれなりにまとまったものがあるというふうに私は理解をしておるんですが、これは大臣にお聞きをするというよりも、諸外国等の例もございましょうから、いわゆる先進国等の例もございましょうから、ちょうど初市局長おられますから、初市局長ひとつ御説明をいただきたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 大臣からも申されたわけでございますが、諸外国の例は先進西欧諸国で見ますと大体四十人までという例が多うございますが、ただ国によってはそういう定めをしておらないというような国もございます。それから、学年によって若干そういう決め方を変えておるというような例もあるわけでございます。  それで、どのくらいが適当であるかということについては、先ほど大臣が申されましたように、必ずしも学問的、科学的な研究なり調査なり、あるいはそれに基づく定説と申しますか、そういうようなものはないわけでございまして、これはその児童生徒の集団の状況なり集団の成り立ち方なり、いろいろなそういうこともかかわってまいりまして、一概に決めることがむずかしい問題である、こういうことかと存じます。  ただ、四十五人と四十人と比べればどうかと、こういうことでございますが、これも決め手となるようなものは必ずしもないわけでございますけれども、かなり前でございますけれども、そういった似たような観点からの意見調査あるいは若干の実験的な調査が二例ほどございまして、それによりますと、やはり四十五人以上のクラスよりは四十人前後のクラスの方が、通常の場合、指導していく上にやりやすい、こういうような結果が出ておりまして、たとえば余り人数が多いと、教師がクラスの中の秩序を維持する上に非常に人数が少ない場合に比べるとそのために用いなければならない注意力なり労力なりが多くなる。それかう、若干まとまった少ない方の人数の方が児童生徒間のいろいろな意味の協力関係というのを自発的にこしらえ上げていく、そういうような意味合いでは四十五人よりは四十人の方がやりやすい、こういうような調査がございます。  そういったことをもろもろ勘案いたしまして四十人学級というものを決めさせていただいた、こういうことでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 まことに漠然としたお答えで、そういったことで一学級の生徒児童の数が決められるかという感じを持ちますね。  さらに、今日先進諸国と言われる国では大体小学校、中学校、どれくらいの人数になっておるかということを私はお尋ねをしておるわけなんです。私どもの経験からいきますと、一つの集団でなければ集団の訓練はできない、しかし個別に教育が子供たちの中に浸透をしてまいるという数というものはおのずから到達すべき理想的な数というものが、これは学者の中でも定説があるように私は思います。どうも局長不勉強のようですが、そういう漠然としたことでは、これはあなた初中局長の資格はないよ。もう少しきちんとしたひとつ答えをしてもらいたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 先ほども申し上げましたが、学校の一つのクラスの教育というのは言うまでもなく集団教育でございますので、その集団の規模についてのよしあしというのは非常にこれはむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げましたのは学問的な研究の上でこれだという決め手になるようなそういう材料がないと、こういうふうに申し上げた次第でございます。いろいろ集団で、たとえばクラスで二つに分かれてスポーツをやるとか、あるいは大勢の子供たちが一致協力して一つの何らかの大きな壁画のようなものをつくるとか、いろいろなことをやるわけでございますけれども、その規模について果たしてここがベストだと、こういうことはなかなか申しかねる問題であると、こういうことでございます。  ただ、いろいろ経験的に各国でもやっておりますということで、先ほど委員からも御質問があったわけでございますが、もう少し詳しく申し上げますと、アメリカ合衆国の場合には、これは州によっていろいろでございまして一律ではございませんけれども、インディアナ州の例で申しますと、一年から三年までが三十人、四年から八年までが三十四人と、こういうような州の規則がございます。イギリスは、かっては初等学校は四十人以下、中等学校は三十人以下と、こういうような基準がございましたけれども、一九六二年に削除をされまして、現在は学級編制基準はないと、こういう状況になっております。フランスの場合は、小学校の第一学年が二十五人、五学年までが三十人、それから中等学校の前期が十六人以上三十人以下と、こういうような定めになっております。西ドイツでは、一年と二年が三十五人、三年、四年から、それから十学年までが四十人、これが定めになっております。ソビエト連邦の場合には、一学年から八学年が四十人とか、こういうふうな調査を持っております。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣、いま初市局長が言われましたが、定説はないとしながらも、いずれも四十人を超えるという先進諸国はないわけですよね。ない。そうすると、五十五年から発足をしております四十人学級というものは、これは一年も早く達成さるべきものであると、このように思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。御高承のように、さきに成立いたしました行革関連特例法におきまして財政再建期間中は厳しく抑制せざるを得ないわけでございますが、計画の規模、さらにまた達成期間等にはいささかの変更も加えておりませんし、再建期間中におきましても定員増につきましてはこれに対応する予算措置も講じておりまするし、もしお尋ねがございますれば政府委員からさらに詳細にお耳に入れますが、あとう限りの措置も講じておる次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣、大臣は約束というものについてどのようにお考えでしょうか。人と人が約束をするということについてはどのようにお考えでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 約束は守らなければならない、当然そのように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 人と人との約束は、これは当然守らるべきものですね。じゃ、政党と政党との約束はどうでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 政党間の約束もまたしかりでございましょう。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、この四十人学級は、この問題については大臣も御承知だと思いますが、昭和五十五年度予算を審議しておりました昭和五十四年の三月二十四日に四党で合意をしたこの四十人学級は、当初私どもは六年計画で主張をした、文部省は九年計画であった。そういう経過はございますが、五十五年から発足をするが、三年後に見直しますと、こういう約束がありますことを大臣は御存じでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私は不勉強でございまして当時の経緯等については詳細は存じておりません。あるいはそのような約束があったのかと、ただいまお言葉を承って考えるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それは大臣不勉強ですね。当時私も参議院の国対委員長をしておりましたからいまだにその日にちまで覚えておるんですが、社会、公明、民社三党と自民党との間に、この四十人学級の計画は発足後三年にして見直しますという約束がなされておるんですよ。約束がなされておる。この約束についてはどのようにお考えでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 当時の時点でそのような約束を申し上げた、まあいま仰せでございますからそのような事実があったわけでございましょう。しかし、その後におきまして財政の状況はなはだ逼迫した状況に立ち至っておりますことは、これは申すまでもございません。かような状況のもとで、これは事情がはなはだしく変わってきたわけでございますから、お約束申し上げたことを履行できない、これもやむを得ざることと御理解願えるのではなかろうかと考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 それじゃ大臣、最初に言われたことと違うじゃありませんか。人と人との約束は守らなければならぬ、政党と政党との約束は当然守らなければならぬ、しかし、財政の事情がこうなったからこれはほごにしてもよろしいと、そういう御意見ですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 財政の状況に非常に大きな変化があらわれてきたわけでございますから、これは理屈を申すようですが、いわば事情変更の原則と申しましょうか、根本的に環境が変わってきておるわけでございますから、約束を守ることができないということについても、ひとつ御了承を願いたい、こう考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 それは、そんないいかげんなことで約束が守れないと。それは、状況適応の原則、状況変化に適応するという原則があることは私も知らぬではありません。しかし、それならそれで、三年後に見直す、これはお約束ができなくなった、これこれこれの事情でございますと、そういう理由を自由民主党として――これは自由民主党ですね。自由民主党が各党に対してきちんと釈明しなきゃならぬ。しかし釈明があったということを全然私は聞いておりません。特に、見直すというのは五十七年度予算ですよね。来年度になるわけです。五十七年度に四十人学級は見直さなければならぬ。これは、自由民主党と所管大臣である文部大臣がこのことについてどういうふうにお考えになっておるか、それをお尋ねをしたいのであります。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは、国会で御審議をいただいた上で成立いたしました行革関連特例法を受けて現在のような措置をとっておるわけでございますから、法案の審議に際してただいま仰せられますような約束ということについて論議がなされたかどうかは存じませんけれども、この法案そのものの審議について、事情やむを得ずしてここに立ち至ったことについては御理解をいただいておるものと、このように承知しております。

小野明日本社会党

○小野明君 そんな勝手な解釈をして、そうして約束をほごにすると、そういういいかげんなことが私は許されてよいものではないと、こう思います。それは五十五、五十六、五十七で財政再建期間中になったから多少減らしたと、多少減らしておると。しかし、五十九年からは十二年計画に戻すために若干ふやしておる、十二年計画におさめるためにふやしておる。しかし、全体計画は変わらないにしても五十七年で見直すという約束は生きておるわけですよ、約束は生きておる。しかし、それはもうほごになっておるんだと、行革整理法案でもうやったんだからほごになっておるというふうには私は受け取っておりません。大臣も、もうそれはほごになっておるというようないいかげんな受け取り方をきれることは私は許されないと。大臣失格とは申し上げませんけれども、そんな私はいいかげんなことで約束を破ってもらっちゃ困る、きちんと守ってもらわにゃいかぬですよ。もう一回ひとつお考えを聞きたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私はもとより当時各党と折衝しあるいは取り決めを結ぶ立場であったわけじゃございませんが、自由民主党がそのようなお約束をしておる、しかも諸状況の変化のためにこれを実行に移すことができない、きわめて遺憾なことだと考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 実行に移すことができないということじゃないんじゃないですか。行革の委員会でもその約束というのは確認をされておるんですよ、大臣。これは私は再確認されておるというふうに聞いておる、これはどうですか、大臣。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 行革の……

小野明日本社会党

○小野明君 三角君、君が約束したわけじゃないんだぞ、おい。大臣が約束しておるんだよ。君は自民党員にいつなったか。自民党の代議士にいつなったんだ、おまえ。大臣、答弁せよ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 行革関連特例法の本件に関する審議の状況を私は承知しておりませんので、政府委員をして当時の模様をお耳に入れるわけでございます。これはぜひお聞き取りをいただきとうございます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私も法案が出ました関係で昨年の特別国会にずっと出ておったわけでございます。ただ、全部を後で復習をしたわけではございませんのですが、この点について小野委員御主張のようなやりとりが必ずしも結論的に非常に明確に出ていたというふうには私記憶しておらないわけでございます。ただ、まさに委員おっしゃいますようにこれは公党間の、党と党との間のお話のことでございますので、その言葉自体について私から何かを申し上げる、こういうことではないであろうとは存じますが、そのように理解しております。  ただ、当時の御質疑の中で出ましたのは、先ほど大臣からも申されましたが、こういう公党間の約束がありました経緯も踏まえまして、「特に国の財政事情を考慮する」ということを法律に明記して、これを国会にお諮りして法律上義務づけると、こういう手続をとったということでございます。そうして公党間のことはさておき、私ども政府といたしましては、この定数改善の全体計画は変えない、期間の終期についてもこれを変えないと、こういう立場で、ただこの財政再建期間中につきましては先ほど来の見直し云々の御主張がございますけれども、政府としては行革関連特例法の趣旨に沿って対処していくほかはないと、こういうふうに考えておるのでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 時間がなくなりましたが、これは行革関連法案の中で三年間縮めたということと五十七年にこの四十人学級計画を見直すということは違うんですよ。事の性格が違う。私は大臣を非常に信用しておったんですが、いまの大臣の御答弁では、これは何ぼここであなたが言われてもこの大臣は信用できぬのやないかと。これはもう昔三百代言というような言葉がありますが、この大臣は何をおっしゃってもこれは約束したことをきちっと守られぬのじゃないかという気さえし始めました。ですから、また次期の質問の機会にこの五十七年に見直すという問題については再度お尋ねをしたいと思うのです。ひとついまの問題は大臣きちっと勉強をしてきちっとした答弁を国民の前にしてもらいたいと思う、約束を守るという立場からね。  それから、最後に一問ですが、教科書の問題ですが、教科書の検定あるいは採択あるいは採択地域の問題、これを一本にした教科書法を制定するというような動きがあるいはお考えが大臣におありかどうか、この点をひとつお尋ねをしておきます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書につきましては、検定、採択あるいは給与の問題を含めてただいま中教審に諮問を申し上げておることは御高承のとおりでございます。白紙で諮問を申し上げておりますので、現行制度をいかにすべきかということにつきましては、私がかれこれ申しますことはあらかじめ審議の結論を拘束するようなことになりますので、私自身の意見をこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

小野明日本社会党

○小野明君 終わります。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、文部大臣初め政府委員に当面する文教行政諸問題に関して御質問をしたいと思います。  戦後わが国が幾多の社会的、政治的、経済的な困難を克服して、現在ではアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国を築いてきたことは、自由を愛し平和に徹した国是をもとに教育立国を目指してすべての国民に教育を施した結果であると信じておるのでございます。そして、今日では二千七百万人の教育人口を擁し、国内の研究者、科学者数も三十万五千名に達し、アメリカが有する研究者、科学者数と人口比においてはほぼ同率の内容に近いものを有する文化国家を形成してきたことは周知のとおりであります。こうした日本の教育力は、国力となって世界市場に役立つすぐれた工業製品を創造し、生産して、わが国社会の進展のために大きく寄与してきている現実だと私は認識しているのでございますが、文部大臣はどのような認識を持たれておられますかお聞き申し上げたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 私は、所信表明において申し上げましたように、教育、学術、文化の振興を図るということは国政の基本だと信じております。明治以来、きわめて長い間にわたって先人がかような信念のもとに努力をいたしました結果が今日の日本の国の隆昌を来したものと、このように信じております。  申すまでもなく、教育は次の時代を担う頼もしい国民を育成することを期しておるわけであります。教育を振興いたしますことは将来の発展の基盤を培うことでございますから、かようにかたく信じまして、教育行政の充実に努力をしてまいりたい、こう考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 しかるに、一昨年ころよりアメリカやEC諸国との間に自動車輸出の急増などによる貿易経済摩擦が生じたり、これを解決するにも日本の大きな今後の課題となっていると思います。こうした国際社会の批判に対し日本のとるべき道を考えるときに、常に世界の中の日本としての自覚に立つ有用な人材を多く養成する必要性が今後ますます増大しているのではないかと存じますが、文部大臣はいかがでございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せはことごとく御同感でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 そこで私は、世界に役立つ有用な人材を養成するためには、わが国教育界の今日の実態を的確に把握し、その是正を早急に図らなければならない諸問題が山積していると思うのでございます。特に昨今、全国各地において教育行政及び学校運営等の諸問題が、教育の現場が混乱し、わが子の教育を託している父兄が教育の正常化を求めて立ち上がっているケースが多いように思われるのです。そういう現実に対して、私は二、三問題点を挙げて、大臣等の御意見を伺いたいと思います。  その第一に、マスコミ等に報道されております、教頭任用は、民主的人物による組合員を前提として結ばれた寝屋川市の教育委員会と同市の教職員組合との教育行政、学校運営などに関する確認書と覚書について、文部省はその真相を確かめているのであるか、局長にお聞きいたしたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私どもも大阪府の教育委員会を通じまして、状況については承知をいたしております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 それが事実であるとするならば、その内容はどのようなものであるか、報告してください。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 御指摘の寝屋川市の教育委員会と教職員組合の間で結ばれております確認書は、本来、教育委員会の責任と権限で行使されるべき人事権の行使、これにつきまして組合が関与しておるという点できわめて不適切でありまして、そうして、いま申し上げました以外にも不適切な部分がございます。これは私どもとしては、速やかに破棄すべきものである、こういうふうに考えます。それで、私どもといたしましては、大阪府教育委員会に対しまして、寝屋川市教育委員会がこの確認書を破棄するよう指導しておるところでございまして、大阪府の教育委員会としても文部省と同様の考えで対処をしておるところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 文部大臣は組合介入の実態を確認しているという事態に対して、どのようなお考えですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 幾つかの学校におきまして校長の正当な権限の行使が阻害されておる、非常に遺憾なことだと存じております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 次に私は、この三月十五日の読売新聞に報じられた東大阪市の公立中学校における水曜日半日授業で、大半の生徒が午後には帰宅するなど、高校受験を前に父母が学力低下に不安を訴えている問題について報道されていますが、文部省はこの実態を把握され、どのような見解をお持ちでございますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 東大阪市の公立中学校のいわゆる水曜日半日授業、これの実態につきまして、大阪府教育委員会を通じて聞いたわけでございますが、それによりますと、同市の各公立中学校におきましては、毎週水曜日の午後、二時間分をいわゆる学校裁量時間というものに充当しておりまして、第二水曜日の午後には職員会議、それから第四水曜日の午後には校内研修会を開催することにしております。したがいまして、第二及び第四水曜日のこの学校裁量時間の諸活動は、生徒に対します教師の指導監督が十分に行われていない状態ではないか、そういうおそれがございまして問題である、こういうふうに思っております。文部省といたしましては、今後とも引き続き、大阪府教育委員会を通じまして実態の把握に努め、必要に応じて指導を十分にいたしてまいりたいと、こういうふうに思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 また一時間当たりの授業時間の学習指導要領に定められた五十分より五分短い四十五分にしていると言われているが、それが事実であるか。また全国的な次元でどのような現状になっているのか、お聞かせいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま正確な資料は手元にないんでございますが、大阪では全般的に四十五分のところが多いということは承知しておりまして、ここの東大阪市の場合もそのようなことであろうかと思います。  全国的に見ますと、五十分のところが約八割、それから五十分を主体としてもう少し弾力的な扱いをやっておるところが一割と、こういう状況でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 学校教育の重要な点は、わが子を教育機関に信託している父母、保護者の理解を受け名教育内容で、心身ともに健康な、有用な大杯を養成することが教育者としての責任であると思います。文部大臣、以上のような実態の中で今後こういう問題について強い信念のもとに対処したいという御所見があるかと存じますが、その決意のほどをお伺いしたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 幾つかの学校に行きましてまことに遺憾な事態が起こっておりますことについては、私も心を痛めております。父兄の信頼にこたえ得るような正常な運営がなされまするように、当該都道府県の教育委員会を強く指導してまいる決心でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 ただいま文部大臣が強い信念のもとに是正していきたいとこう申されたのでございますが、現実にはそういうことが実施されていない情勢がまだまだあるわけです。  私は、大阪の高槻市立第六中学校で行われた、御父兄がこのままの学校ではいけないということで、デモ行進までして市の教育委員会にその是正を求めている、わが子の学力を的確につかめない成績評価方式をとっていることに大変不安を感じているのが第一点でございまして、もう一つは中間・期末一斉テストをやらす、単元テストを不定期的に行うため、さきに点検テストを受けた生徒が、まだ受けていないクラスの生徒に一回百円で教えているといううわさが流れるなど、教育の実態に対して父兄、保護者が納得できない状況にあるということから、先生をかえて教育の正常化を図ってほしいと言って、一万二千八百余人の署名がここに届いているわけです。これがそれなんです。こういう実態に対して、全国で父兄が立ち上がってデモ行進までやって学校の正常化を求めているということが、私は初めてのケースではないかと思うんですが、この現実を深刻にとらえているのかどうか局長にお聞きしたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま御指摘があったわけでございますが、この高槻市立第六中学校における学習指導のあり方などの問題につきましては、文部省といたしましても、大阪府教育委員会を通じて事情を聞きますとともに、指導も続けておるところでございます。  ただいま御指摘もあったわけでございますが、中間テストとか一斉テストというようなものが行われない。保護者に対して生徒の学力の評価が適切に知らされない。ただマルとバツというようなことが行われている。あるいはクラブ活動を減らすなどしまして、本来のねらいから外れた内容の学級会活動あるいは学級指導、そういったものが行われておる。それから進路指導も、これは地元の高校への進学というものをかなり強制的なような形で進められる。あるいは生徒指導が適切に行われていないために授業そのものがおくれを生ずるといったような影響が出ている。こういったことが同校PTAでも指摘されておりまして、私どもとしては、これはやはりこの中学校としては校長の責任と権限のもとに、ひとつこういった学校運営を正常化して、できるだけ速やかに父母の信頼にこたえる教育を回復していくべきである、そういうふうに考えておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 また、常に教職員組合の方々は、教育は父兄、市民の理解のもとに成り立っていると申している。私は非常に敬服しているんですが、高槻第六中学校の実態はこのスローガンに合致せず、教育現場が混乱していることは残念なことであると私は思います。  私は、文部省において、父兄の要望事項をどのように理解し、その内容を知っておられるかどうか、局長から聞きたいと思うんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 先ほど申し上げましたように、父兄の御主張になっておる事柄につきましても資料等を通じて見ておりますし、大阪府の教育委員会からもいろいろ聞いておるわけでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 きょう毛御父兄の代表がここへ来ております。私のところにもいろいろな実態について具体的な内容のものもちょうだいしております。このようにして学校運営が混乱し、教育計画が円滑に行われない原因はどこにあると文部省はお考えになっておられるか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) いろいろこれまでの経緯があってだんだんにこういう状況になったのではないかというふうにも思いますが、やはりこの中学校における一つの問題は職員構成の問題があろうかと、こういうふうに思います。  それからもう一つは、職員会議というものを最高議決機関というふうに位置づけまして、校長の権限を形骸化するというような運営がこれまで行われてきたのではないか、こういうふうに思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 実は私のところに「管理職交渉による確認書」なる写しがあります。  高槻市立第六中学校に赴任した現校長以前の歴代の校長は、教職員組合代表者との間に次のような事項について確認書を認めざるを得ない状況の中で、承認しているのか認めたのか私はわかりませんけれども、そういう実態があるんです。文部省がいま言われたようにそのとおりなんです。その内容はどうなのかというと、「学校運営に関する事項」と「有給休暇の行使について」の事項と二つありまして、「学校運営に関する事項」は、「職員会議は最高の議決機関である。校内大事に関しては、人事委員会方式をもって行なう。教科予算・旅費予算に関しては、研究部が管轄する。「主任制制度化」の動きに対しては、高槻教組と校長会との間でとりかわされている確認事項を遵守する。」「有給休暇の行使について」は、「有林は届出制によって行使できる。有林届が事後になるとき、その間の行動内容の理由説明は必要としない。」というような確認書を交換しているのでございますが、このような内容をどのように思われますか、お聞きしたいのでございます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) いずれも校長の本来持っております責任並びに権限、これを、先ほど申し上げましたが、非常に形式的なものにする、あるいはこれをなきに等しいようなことにするという、そういう内容でございますので、非常に不適切であると、こういうふうに思います。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 不適切であるという現実がいやもおうもなく確認をされている。  現校長は昭和五十四年四月一日に赴任して、職員会議は校長の職務権限を制約したり拘束するものではないと言って今日まで主張してがんばっているわけです。  私は、やはりこういう、二人で幾らがんばったってこれどうにもならぬわけです。こういうような方々に対して文部省は適切なる指導を行うということが大事だと思うんです。もし学校運営の中で教育行政と学校の最高責任者である校長の権限が抑制されるとするならば、文部省、これは法的にどうであるか、ひとつお考えを聞かせてもらいたいんです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 法律の趣旨に反していると思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、職員会議というものは結果的においては校長さんたちの、あるいは学校運営の諮問機関であると思うんです。それが最高決議機関であるなんということはあり得ないし、そんな法律はどこにもない。そういうことが実行されている現実に対して厳しく指摘されるということが私は必要だと思うんです。  実はここに現校長と高槻市の教育委員会学校教育部長が交わした確認書なるものもあるわけです。その中では、学校運営の最高決議機関とする職員会議の問題は双方とも論議しないことにする。職員会議と校長権限については、後日市教育委員会の指導によって明確にするというようなことで保留されてきていると、こう言われておるのでございます。  私は、やはり高槻市立第六中学の前途を憂える父兄、地域住民の切実なる要請に対して、文部省は耳を傾けると同時に、一日も早く正常化する態勢の中で新学期を迎えることが教育に携わる者の責任ではないかと存じますが、文部大臣、どのような御見解でございますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 大臣からお答えを申し上げますが、その前にちょっと御説明を申し上げたいと存じます。  ただいま御指摘になりました職員会議ということでございますが、これは田沢委員、諮問機関というふうにおっしゃいましたが、まあそういうことでございまして、これは学校運営が円滑かつ効果的に行われるように教職員相互の意見の交換でございますとか、あるいは情報の交流、これらを行う場として設けられるものでございます。  このように、職員会議というものは学校運営の責任と権限を有する校長を補助するものでございまして、学校の意思を決定するような決議機関ではないわけでございます。  したがいまして、御指摘の例のように職員会議を議決機関として位置づけることは、学校教育法によって定められました校長の権限を侵しあるいは形骸化するものでございまして、そういう意味できわめて不適切でございまして、私どもとしては、職員会議が適切に位置づけられ運営されなければならない、こういう立場で指導をしなければならない、こう思っておりまして、本件のケースの場合には、まず高槻市の教育委員会というものがきちんとしていくということが必要でございます。その点につきまして大阪府の教育委員会に協力して私どもとしても今後努力をいたしたいと、こう思っている次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 局長炉言われるとおり、やはり校長さんの責任において教職員の意見を十分に聞くということは私は大事だと思うんです。しかし、校長の物の見方、考え方に対して批判はいいけれども、権限まで抑制するという状況の中では学校の正常化は私はできないと思うんです。そういう意味で、今回の一連の問題を考えるとき、教育行政に携わる学校運営の責任者は、断固たる姿勢を示しつつ障害を乗り越えて教育の正常化に全力投入しなければならないのではないだろうか、そのためには教育の最高責任者たる文部大臣の使命の重大なることも、これは私は自覚されなければならぬと思うし、かつまた違法行為を行っている者をぶん投げっぱなしじゃなくて、それに対しては厳重なる処置をなさっていくというような、一面において強い姿勢をもって正常化していくということを現地の父兄、地域住民が求めているのではないだろうか。そういう意味で、私のところへ一万三千ばかりのこのような署名を届けておるという現実を見まして、これは文部省にお届けしますが、この父兄の願いというものを十分に御理解し、また父兄の願いをかなえるように新学期体制の確立に全力を注いでもらいたいということで、ひとつ文部大臣の決意のほどをお示しくださって、安心してほしいと言われるような結果を出してもらいたいと思うのでございますが、最後に文部大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 確認書なるものが存在をしておって、そのために学校運営に関する校長の正当な権限が形骸化されておる、さような確認書というものは不当なものでございまするし、違法なものでもございますから、直ちに破棄されなければならないと考えております。先ほど来御説明申し上げましたように、一斉テストを行わない、あるいは父兄に対して学力の評価の結果を知らせておらない、まことに憂慮すべき状況だと存じますので、正常化のために今後とも強く指導してまいる決心でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 次に、私は臨調の文教関係答申と中教審諮問事項答申が近いと言われておりますので、その取り扱い等について御質問させていただきたいと存じます。  今日のわが国は、高度経済成長の時代から安定成長の時代に移り変わっていく社会の中にあって、活力ある高度福祉社会を建設するためにはいまこそ行財政改革の必要なときであると思います。しかし、教育はあすの日本を支える人材を養成する機関として揺るぎない発展充実を続けていかなければならない大切な分野であることはすべての国民の認めるところであると存じます。そこで、昨年七月十日の行革第一次答申内容を見て、文部大臣はどのような御所見を持たれておられるかお聞きしたいのでございます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 臨調の第一次答申におきましては、御高承のとおり、義務教育諸学校等の学級編制並びに教職員定数改善計画の財政再建期間中の凍結、あるいは義務教育教科書無償給与制度の検討など、文教行政につきましてきわめて広範な指摘を受けでおるところでございます。文部省といたしましては、政府の対処方針に従って行われました閣議決定に沿ってさきの国会で成立いたしました行革関連特例法並びに五十七年度予算において所要の措置を講じ、あるいは検討を行っているところでございますが、これからも臨調の第一次答申はこれを尊重して適切に対処してまいりたいと、こう考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 近時、中教審諮問事項の答申があると思いますが、その時期はいつごろであるか、お聞かせいただきたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 文部省といたしましては、申すまでもなくできるだけ早い時期に答申をお願いいたしたいと存じておりますが、事の性質上、拙速を期待すべきものではございません。委員各位にできるだけ精励をなさっていただいて速やかに結論をいただきたいとこう考えておりますが、いまのところいつごろになるだろうというような時期の予想は立てかねておる状況でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 特にその中で、いろいろな事項があるかと存じますが、私は二点関心を持っております。その第一点は、義務教育教科書無償給与制度の存廃についての答申がいずれにせよ出るのではないだろうか、もし無償給与を廃止すべしとの内容が出た場合、文部大臣としてどのように対処なさられる決意であるかお聞かせいただきたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 義務教育教科書無償給与の制度は、憲法が定めておりまする義務教育無債の精神をより幅広く実施するために設けられた制度でございまして、すでに長い間にわたって行われており、定着しておる制度でございます。私といたしましては、あくまでこれを堅持していきたいと、かように考えておるわけでございますが、臨調におきましてはすでにこの問題につきまして廃止を含めて検討すべしという答申をいただいておるわけでございます。五十七年度予算の編成に際しましては、私は大蔵省の当局ときわめて困難な折衝をいたしました結果、幸いこの制度を存続することができたわけでございますが、臨調におかれましては、すでに本件については答申をなさっております。きわめてあけすけに申しますれば、一つの事柄について異なった答申をお出しになるということは不見識のそしりを免れないのじゃなかろうかと存じます。臨調におきましては必ず良識に基づいた答申がなされるものと期待をいたしておりますが、万一異なった答申が出ました場合にはその時点で検討いたしますと申し上げるほかございません。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 教科書無償給与については、やはり日本は教育立国でございますので、私も自民党の一員でございますが、私はやはり無償制度を存続すべきである、これには変わりございません。やはり教育の根幹を求めるとすれば、幼い子供の心の中に、おまえのおやじは働きがあるから有償だと、おまえのおやじは働きがないから無償なんだというような差別、区別があるようなことは、教育的に私は好ましくないと思うんです。ですから、やはり教科書は、日本は教育立国であるとするならば、無償を存続していくという決意の中で、臨調においてもそういうことは余り触れないように指導、助言を――指導という表現は適切じゃないにしても、助言をしていくというような決意に私は向いてもらいたいと思います。  そしてもう一点については、中教審諮問答申の中で、先ほど社会党の小野先生が申されたように、現行教科書検定制度のあり方に対しての答申が出るのではないだろうかと思うのでございますが、この件に関しても文部大臣としてどのような態度で臨まれるのか、その所信をお聞かせいただきたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 中教審に対しましては、先ほども申し上げましたように、検定採択あるいは給与の問題を含めて、諮問を無条件でお願いをいたしておるわけでございますから、私があらかじめ予断を与えるような発言は差し控えさせていただきたいと存じておるわけでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 教科書問題については、これは教育の申立性という次元の中でいろいろな意見があると思います。ただ、やはり教科書は日本の顔です。真実であり、そしてそれが事実であるという実態の中で公正な教科書ができるということが当然私たちが求める姿勢であると信じますので、そういう実態の中において御配慮をいただきたいと存じます。  次に、私は少年非行の実態と今後の問題点について二、三。お聞き申し上げたいと存します。  まず、警察庁の古きょう来ておられると存じますが、警察庁の方に戦後の少年非行の推移とそれぞれの特色を簡単にお聞かせいただきたいと存じます。

石瀬博警察庁刑事局保安部少年課長

○説明員(石瀬博君) 少年非行につきましては、ここ数年非常な激増ぶりを呈しておるわけでございますが、戦後を長く見てみますと大体三つの山があるというふうに私ども理解いたしています。  それで、第一の山は昭和二十六年、朝鮮戦争の翌年の年でございまして、敗戦後の道徳的混乱と経済的困窮といった社会的背景のもとに十八歳、十九歳の年齢の少年による財産犯罪が多かったというのが特徴であろうと考えております。  第二のピークは、昭和三十九年、東京オリンピックの年でございまして、東海道新幹線も開通したわけでございますが、非常に経済成長が高まる中で都市化の進展、都市に人口がどんどん集中していく、あるいはまた家庭を見ますと核家族化、あるいはまた学校を見ますとすし詰め教育とか受験戦争の激化というふうな社会的背景のもとに、年少の少年による凶悪事件あるいは粗暴事件が多発した時期でございます。  現在は第三のピーク形成期にある、まだピークにまで上り切っていないわけでございますが、第三のピーク形成期にあるということで、昨年の刑法犯少年の検挙補導人員を見ますと十八万四千九百二名ということで、戦後最高の数字になっています。それから、十四歳から二十歳未満の同年齢層の少年人口に占める割合を見ましても十八・四人ということで、これも戦後最高の数字になっています。また、成人の犯罪というのがだんだん減ってきておりますので、それとの関連におきまして、成人をも含めた刑法犯の検挙人員の中に占める少年の割合というのも四四・二%、これも戦後最高の数字になっておる、こういう状況で、非常に今日われわれは少年非行が多発して憂慮をいたしておるわけでございます。  それで、今日の社会背景をいろいろ見てみますと、御案内のとおり四十八年と五十三年に二回の石油ショックがございまして、経済環境が非常に変わってきておる中で国民の意識や価値観も変わってきている。それで、家庭を見ますと、核家族化とか少子家族化、共働き家庭が増加しているという中で、親の子に対する放任、過保護、過干渉といったような問題が出てきているというふうに思います。  また、学校の問題を見ますと、高等学校の進学率が非常に高くなっています。昨年の数字で見ますと九四・三%とかという数字になっておるわけでございますが、その中で学業についていけない、いわゆる落ちこぼれ層というのが非常に多くなってきておりまして、それが中学生の年代層では校内暴力事件に走る、あるいは高校生の年代層以上の少年は暴走族の凶悪粗暴事犯に走るというような状況でございまして、今日家庭の問題、学校の問題、その他マスコミの問題とか地域社会の問題、いろいろあるわけでございますが、そういった複雑な背景をもとに少年非行が激増しているという状況でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 よく体系的に御説明をちょうだいしたのでございますが、私は戦後の少年非行の推移をこう見て、五十六年度の実態と比較してみますと、昭和二十六年には凶悪犯罪が合計四千三百三十二件ある。五十六年には二千十五件、半分に減っておるという傾向にあるのではないかと存じます。窃盗犯が昭和二十六年に比して四万二千増、三分の一ふえている。また、暴行犯が二十六年に比して二・五倍、五千人増。恐喝が二十六年に比して〇・五倍、千四百人増になっている。こういう実態から見ますと、凶悪犯罪は減っている、遊び型犯罪が多くなっているというようなことを数字の上で理解したとするならば、教育の徹底によってこういう問題が多少変化を来すのではないだろうか。自分の物と人の物を区別、差別できるということは、教育さえ徹底し、倫理観を高めていけばそういう問題は私は解決すると思うんです。人間は自分一人が生きていないのであって、相手がいて人間なんだとするならば、相手の人格をも認め、話し合うということが人間社会を民主的に円満に平和的に反映していくという原理原則を徹底させるとするならば、いさかいごとでもって人に傷つけたり、人との変な形でのいさかいをなくしていくということができるのではないか、こういうようなことを思うのでございますが、こういう内容に対して警察庁の方はどうお考えでございますか。

石瀬博警察庁刑事局保安部少年課長

○説明員(石瀬博君) ただいま御指摘がございましたように、私ども戦後の少年非行の推移をずっと見ますと、余り昔のことで比較してもどうかと思いますので、十年前と比較しますと、大体、万引きとか自転車、オートバイの窃盗、横領というような――いまほど遊び型非行というお言葉があったわけでございますが、これがこの十年間に大体四万人から十一万人、二・七倍ぐらいにふえておるわけでございます。その他の凶悪犯罪、粗暴犯罪というのは、長期的に見ますと、若干その年によって起伏はございますものの、おおむね横ばいないし減少、こういうことでございますから、何としてでも万引きとか自転車、オートバイの窃盗あるいは横領といった遊び型非行を抑止していくということが一番大事なことではないかというふうに考えておりますが、この点につきましては、いまほども御指摘がございましたように、子供たちの間に倫理観とか規範意識というのが非常に弱くなっている、これを何とか是正していかなければこの増勢を続ける少年非行を抑え込んでいくことができない、こういうことで、現在文部省ともいろいろ御相談しながら、子供だちの規範意識が高まるような手だてを講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私はそういう次元の中で教育の徹底を図ったとすれば戦後最低の青少年犯罪の実態になる可能性はある、そう思わせてもらうんですが、そういう体制をつくるということはひとえに文部省の奮起が必要だと思うのでございます。文部省としてこの実態に対する所見があれば、局長さんでもよろしゅうございますが、御意見を伺わさせてもらいたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 校内暴力など、青少年の非行が先ほど来の御説明ありましたような傾向で、しかも増加しておるということをまことに遺憾なことと思っておるわけでございます。ただいま御指摘にありましたように、やはり子供たちがしっかりとしたしっけ、これを受けていくような状況をよりきちんとしていかなければならない。これはまずもって家庭でございますけれども、学校も一緒になってやらなければいけない。それで、学校の中ではやはりいろいろな意味で家庭環境なり何なり問題のある子供がおるわけでございますから、これに対する生徒指導というものを中心にいたしまして、そして道徳教育を中心に、あらゆる場、多くの活動を通じまして、本当に人間として魅力ある存在をつくっていくような、そういう方向で総力を結集していく、そのために学校自体が全体の気持ちを引き締めて対処していくということをつくり上げていくように文部省として努力しなければいけない、こう思っておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 次に、校内暴力事件等について御質問をしたいのでございます。  卒業期になると校内暴力事件が顕著化し、集団化し、悪質化することは周知のとおりでございますが、東京都内だけでも昨年においては百二十三件発生し、一昨年の七〇%増と言われているのが実態であるわけでございます。近年における校内暴力事件の推移と悪質化の傾向にあると言われる実態と原風について文部省はどのようにとらえ、今後どのように対処しなければならないかをお聞かせいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 校内暴力事件につきましても、これが特に中学生による事件というものが多いわけで、しかも増加しているわけでございます。特に最近は、子供同士あるいは子供の物に対する暴力に加えまして、教師に対する事件の増加が著しい、これは非常に憂慮すべきものでございます。こういった校内暴力を中心としまして、青少年の非行そのものは、やはり学校、家庭、社会、それぞれのあり方でございますとか、あるいは当該生徒自身の成長過程においてつくられてまいりました本人の性格や意識など、いろいろな要因が絡み合っておりまして、個々のケースごとに状況というものは違う場合が多いのでございますが、しかし私どもとしては、こういった問題に対しましては、学校、家庭、社会というものが連携、協力しまして、これが一体となって取り組んでいくと、こういうことが必要でございますの。で、私どもとしましては、特に学校はこういった教育指導を専門にする場でありますから、家庭も社会もでございますけれども、学校の機能というものが、先ほども申し上げましたが、最大限に発揮されるような努力を続けていく、これが絶対に必要であろうと、こういうふうに思っておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 少年非行や校内暴力非行などを減少させるためには、いろいろな方法があると思います。きょうは、警察庁の方もお見えでございますので、私の一つの考えを披瀝したいと思います。  その一つは、教育地域内での俗悪なビニール本のスタンド販売などの有害環境を浄化するということも私は必要ではないだろうかと。いろいろな問題があるかと存じますが、こういうようなものに対しては、許可制などを含む規制措置を今日とれるのではないだろうか、こう思うのでございますが、法的規制措置をとるべきであるとの私の見解に対し、こういうことができるのかできないのか、警察庁の方々にちょっとお聞きさしてもらいたいと存じます。

石瀬博警察庁刑事局保安部少年課長

○説明員(石瀬博君) この問題につきましては、所管が総理府だとは思いますけれど、われわれも常時総理府と連絡をとりながら仕事をやっておりますので、私どもの考えを申し上げておきたいと思います。  現在四十六の都道府県で、七県を除きまして、青少年保護育成条例というものが制定されております。その多くの条例の中身を見ますと、知事が有害な文書と指定したものを販売してはならない、それを自動販売機で販売する場合も販売してはならない、こういう規制をしておりまして、それによる取り締まりを警察が行っておると、こういう状況でございます。雑誌の自動販売機は確かにここ数年非常にふえておりまして、四年前の五十二年がたしか一万二千台ぐらいでございましたけれども、昨年五十六年七月には二万一千台ぐらいになっております。二倍近くふえておるわけでございますが、そのうちの二割近くが、だから四千三百台あたりが、いわゆる通学路に設置されておると、こういうことで、心身の未熟な子供たちの目に触れやすいということでございますので、私どもとしましては学校ともよく御相談しながら、住民の地域活動によって、そういう雑誌の自動販売機が少しでもなくなるようにいたしておりますし、また悪質なものにつきましては取り締まりを行っていると、こういう状況でございます。  当面は、青少年保護育成条例というものがございますものですから、それの適正な運用に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 いまのお話を聞きますと、適切な指導、規制はできると、必要に応じてそういうことはできるんだということに理解してよろしゅうございますか。

石瀬博警察庁刑事局保安部少年課長

○説明員(石瀬博君) これにつきましては、いろいろ法制上の議論もございまして、憲法の表現の自由とか、あるいはまた職業の自由とかと、いろいろかかわるところは多いわけでございますが、数年前の国会での御審議等でも明らかでございますけれども、こういったものにつきましては、合理的な範囲内のものであれば法的な規制は可能であるというふうになっております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 ぜひそういう方向でより徹底を図っていただきたいと存じます。――警察庁の方、結構でございます。  次に、文部省にお聞きしたいのでございますが、時代の多様化によって生徒意識は大きく変わっていると思います。しかし、生徒の意識が変わっている実態を教員がそれほど理解しておらず、適切な指導がなされていないことによって、先生と生徒の間に亀裂が生じ、校内暴力行為が起こっているというケースが多々あるのではないかと存じますが、文部省はその点どうお考えですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 御指摘のようなことが実際の状況のもとであり得るであろうというふうに思います。それから、やはり先生がよく子供の置かれている状況を調べずに対応したということが、さらに事件のようなところへ発展をしていくというようなケースもあるわけでございます。児童生徒を取り巻く環境にも最近いろいろな変化が出ておるわけでございまして、各種の調査などによりますと、御指摘のように、このごろの子供の意識や行動にも変わってきている面があるようでございます。  まあ一般論になりますが、どちらかといいますと、性格的には明朗になってきておる。ただし、あわせて非常に現実的な考え方、そういう傾向が多い。それから、非常に豊かな社会になりまして、反面、物を大切にするというような心が希薄になっておる。あるいは、先ほど警察の方からも言われましたが、遵法精神でございますとか、あるいは倫理観、こういった面が希薄になっておる。それから、非常に流行に敏感である反面、粘り強さや忍耐力に欠けておる。そうして全体的には精神的な自立がおくれまして、大人に対する甘えがあるといったような傾向が見られるというようなことが、いろいろな調査を合わせてみますと指摘されておるわけでございます。で、こういった子供に対しまして、やはり教師はできるだけ人格的な触れ合いを深めて、一人一人の意識や行動というものを理解して、できるだけ個別指導など、きめの細かい指導を行うことが大切であるわけでございます。  文部省といたしましては、これまでは児童生徒の理解や教育相談などの生徒指導に関する事柄につきまして、教師用資料を作成して、編集、配布をいたしましたり、研修会をしてまいったわけでございますが、来年度からは、できるだけ多くの教師が、教育相談といいますか、カウンセリングといいますか、これの技術を身につけて、児童生徒の理解と行き届いた指導ができるようにいたしますために、従来中央でだけでやっておりましたカウンセリング技術指導講座、これを拡充して地区別に実施をしたいと、こういうふうに考えておりまして、この面の教師の資質の向上というものに今後一層努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 文部省が力を込めていろいろの施策をなさっておられるということは大変いいことだと私は思っております。  先般、五十五年に総理府が青少年の意識調査をした資料を見ますと、非行行為だという中に、七〇%以上のものを検出しているのが、シンナー遊びとか売春とか万引きとかゆすり、たかり、リンチなどが多うございますが、たとえば髪を染める、パチンコゲームをやるなんというのは一五%から二〇%ぐらい非行だと、こう認識しております。ディスコへ行くなんということについては一四%前後、リーゼント、パーマとか化粧なんというのは一一%前後、喫茶店に入るというのは五%前後、これは非行のうちに入ってないというふうに思っておる実態が以上のような数字から見て出てきておるのでございます。  そういう意味で、おまえけしからぬというような物の見方、考え方だけでは先生の頭が少しかたいのではないだろうか。もっともっと時代に即応して、生徒の物の見方、考え方の価値観が変化している中で、これだけはどうしても守らなきゃならぬぞというものについては必要に応じて常にそれを主張していきながら、時に厳しく、時に愛情で支えてあげるというようなやさしさも反面において私は必要ではないかと、こう思っておるのでございます。  そういう意味におきまして、校内暴力事件をなくすためには、第一に校長を中心とした学内教職員の結束によって生徒指導力の確立がまずもって私は必要であると、こう思うのでございますが、文部省においてはその点どうお考えでございますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 御指摘の点は私どもも同様にそのとおりに考えておりまして、前に出しました通達においてもその面を強調したわけでございます。やはり学校というのはぱらぱらでは困りますので、校長を中心として全教職員がやはり一つの組織体と申しますか、チームと申しますか、そういうような姿で一丸となって教育指導に当たる。特に事件などが生じました場合にはそのことが非常に肝要であるというふうに考えておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 また、学校ではこういう教育計画のもとにこういうような内容の教育をしておる、家庭と学校との連携、地域社会との連帯感を確立することも私は大事だと思います。そういう意味で、常にお互いに連絡し合う定期的会合を学校、家庭、地域社会の方々と持っていくという意味においては、そういう一つの話し合い、情報を交換するような機関を必要に応じて常設しながら、互いに指導、助言し合っていくという連帯体制を指導なされておられるのか、文部省の実態をお風がせいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) いまお仰せのような学校を含めた全体の協力体制というものが非常に大事でございます。文部省としましては、従来は生徒指導推進地域というものをつくりまして、各県で地区の中学校、高等学校、あるいは地区によりましては小学校と中学校、これを含め、そして地域の諸団体、諸機関、これと一緒になりました生徒指導を推進する体制づくり、こういうものに対しまして私どもとして予算も計上いたしまして進めてまいっておりまして、非常に厳しい中でも若干その地域の数なども広げてきております。  これは一つの模範的な例を確立できればということでやっておることでございますけれども、あわせまして明年度からは生徒指導の対策の推進会議というものを各県で年に二回開いてもらおうということで、これも予算でただいまお願いをしておるところでございますが、これも学校、それから父兄、社会の各団体、これが総ぐるみになっていろいろと協議をし、戻しして相談を深めていく、こういう場にいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 さらに私は、生徒の校内外の非行をなくすために、必修クラブ活動や部活動の充実を図ることが非常に私は大事だろうと思います。私たち学生時代を通して、やはりわからないことは先輩に聞き、悩みがあったときも先輩に聞き、あるいは同僚に相談し合う、そういうものの中に人間として心を開いた会話ができ、なるほど上級生の物の考え方がいいなあと、こう参考になったことも多々あることを私は思うんです。  今日、あなたは悩みどのくらいありますかというと、七八%ぐらいが大体悩みを持っているという実数が出ております。その悩みに対してあなたはどなたに御相談しますかというと、先生に相談するというのはわずかに三%前後、総理府の調査でも五%以下だというふうに出ているんですが、今日ほど生徒の悩みに対して相談相手にされていないという学校の先生も、歴史的に見て私は大変最低な時代じゃないだろうかと、こう思わしてもらうんですが、それほど先生は頼りにならぬというか、あるいは先生は生徒に愛情を余り持ってないと生徒の方がそう決めつけているかどうかわかりませんが、結局は同僚同士、生徒間同士が心を開いて話し合うというような実態がそういう数字の中に出てきているということも現実だと思っております。私の娘なども、衣かかってくる電話などを聞いてみると、友達からたくさんかかってくるし、友達にかけていることを見ると大体そういうようなことを含めていろいろ話し合っているというような現実を見たときに、その数字の実態が本当ではないだろうかと残念ながら私は認めざるを得ないのでございます。  また、あなたは学校に入ったらクラブ活動をやりますかということについて、大半の人たちがやりたいという希望を持っておるわけでございます。そして、なぜクラブ活動に入るのかということについても、よい仲間ができてまとまった活動ができるからというのが大体半分前後の人々が求めている実態です。二番目には、上級生や下級生が一緒になって活動できるというところに魅力を感ずるということも現実的に出ているのでございます。そういう意味において、生徒間の交流、自立自助の精神を涵養するという中で先生が適切な指導をしていくとすれば、先生と生徒との多くの和合一体を図ることができて、結果的には非行を含む生徒の心の充実が、結果として精神的基盤を築いていくに必要な活動の要素であると私は思っておるのでございますが、こういう活動に対して文部省はどのように育成し、どのように指導し、どのように拡大していくかという施策があればお聞かせいただきたいと存じます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) クラブ活動は御指摘のとおりでございまして、学校では特別活動の一環として、学年とか学級という所属を離れまして、そしてあるいは文化的な、あるいは体育的な、あるいは生産的な活動といったようなものにつきまして、共通の興味や関心を持つ生徒で組織され、毎週行われるものでございます。小学校の場合には四年生以上、こういうことになってございますが、こういうことで、御指摘にもございましたのですが、児童生徒がグループと申しますか集団と申しますか、その活動の中で自立心や協調性を身につけていくということのねらいを持っております。学校は一面におきまして児童生徒の一つの社会でございまして、その中で友情とか、そういう体験を持つことによって本当の友人ができてくる場でもございます。  文部省といたしましても、こういったクラブ活動やこれと関連の深いいわゆる部活動、これにつきましても、従来から学校でできるだけこれが適切に盛んに実施されるように配慮しておるところでございます。学校生活を一つの非常に魅力のあるおもしろいものにするために、今回の教育課程の改善に当たりましても授業時数というものを削減しまして、そしてできるだけ学校で創意工夫を生かした活動ができるように、こういうことに配慮したところでございます。  また、つけ加えますと、明年度からは一つの試みといたしまして、自然に対する愛情を伸ばすと、そして、あわせて正しい勤労観を養うというようなことのために、勤労生産学習推進校というものを各県でやっていただこうと、こういうふうにしております。  今後とも児童生徒の自立心や相互協力の精神を育てるような、こういう面の教育活動の推進というものは十分に気をつけて進めてまいらなければいけないと、こういうふうに思っておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、中学生、高校生の素顔を率直にこう認識してみると、まあ大体皆、健康な、健全な姿勢を持っておると思うんです、例外は別として。そういう意味から見て、文部省がいろいろ施策を講じられ、御苦労なさっておるということも理解できるのでございますが、ただ、いい施策を出しておっても現場の先生がそれに協調し、その施策を徹底的に支援し、効果あらしめる努力をしているかということになると、なかなかそうすっきりいってないというのが現状だろうと思うんです。文部省の施策がいいとするならば、その徹底をどのように施していくか、こういうところに一つの問題点があるかと存じますが、文部大臣におかれてはその辺の点についてどのように徹底させていくか、その決意のほどをお伺いさせていただきたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 青少年の非行あるいは校内暴力の問題、一言にして申しますれば、家庭、社会あるいは学校、それぞれの教育機能の低下に起因するいろいろな要因が複雑に絡まり合って出てきておる事柄だと信じておりますので、母親に対しましては、幼児期のしつけに対する知識を修得する機会を提供するために家庭教育講座その他各種の施策を講じておりまするし、学校におきましては、校長を中心として一致してこの問題に取り組むという態勢において欠けておる学校もございまするし、また、個々の生徒に対する配慮において欠けておる学校もございます。あるいはまた、これもお言葉にございました今日の目に余る環境の乱れから生徒児童を守りまするために、総理府が実行しております各種の活動にも協力をいたしておるわけでございます。学校に対する指導につきましては、これから先も都道府県教育委員会を通じまして強く指導してまいるつもりでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 もう一つ、生徒が求める学習観と生活意識等についても、昭和五十五年十一月に行われた総理府の青少年意識調査の中から見ますと、あなたは何のために学習するかという学習観については、知識を身につけ、自分の能力を伸ばすために学習すると述べているのが六八%あるわけです。  私は、事実、知識を身につけ、自分の能力を伸ばしたいということを当然求めているのが青少年の気持ちであるとするならば、教育内容を充実させる中でそういう気持ちに適合するような学校教育制度の充実がないと、学校へ入ってもつまらないというような白けムードが出てくるというのが現実だろうと思うんです。生徒が求めるそういう現実的な要求というものに対して適切な指導をし、適切な教育内容を確立していくというものの中に立って、教員は時に厳しく時に温かく包容し、人間としての喜びを分から合えるような教育環境の充実が必要であると思うのでございますが、文部大臣としてどうお考えでございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) まさしく仰せのとおりだと私もまた考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 次に、教員資質の向上と教員採用時期の問題点について二、三お伺いしたいと存じます。  社会が高度化し多様化する中で、常に社会の発展の基盤を培うものは、あすを担う青少年の教育にあると信じます。その青少年を個性豊かにして創造力に富み、将来世界の平和と人類福祉の増進に貢献できる人格を養成するためには、どうしても教育に対する強い使命感と深い教育的愛情、すぐれた知識と人間性豊かな人格を有する有能な教員を教育機関に採用しなければならないと存じます。そのためには、批判の多い現行教員採用制度の改善が必要であると私は思うのでございますが、文部大臣の所見を伺いたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 最近、教職員に対しまして、知識、学力だけでなく、教職員としての使命感あるいは指導力を備えた人を求める声が国民の間に高まってきておると存じております。そのために各都道府県におきましては、かような観点から、選考採用試験の際に、あるいは面接試験を重んじる、あるいはまた実技試験を取り入れるなど人物を重んじると、かような方向で選考方法の改善を図っておるというのが今日の実情でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 現在の教員採用試験は、各都道府県において、筆記試験のほか実技、面接、論文、適性検査などが行われているようでありますが、単に学力や知識に偏ることなく、教員としての資質を多面的に評価すべきであると思います。そのために面接や実技などの選考方法も重視され、学生生活の中でのクラブ活動歴や社会的奉仕活動歴や体力テスト、特技等の分野を適切に評価できるような選考方法の多様化を図るべきであると私は思うのでございますが、文部大臣の所見をお伺いしたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのような観点からさらに工夫を重ねまして、選抜方法をさらに多様なものたらしめなければいけない、こう考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 先般、自民党の文教部会等で検討した教員免許状取得と取得後の取り扱い等についての意見が二、三あるわけでございますが、わが国の教員養成制度は、戦後の教育改革によって、師範学校を中心とした制度から各大学を通じて教員免許状を与えるという広く開放した制度に変更した結果、多様な個性を持つ人材を教育界に多く導入することによって日本の教育力を高めてきたということも事実であると存じます。しかしながら、社会が高度化し、一般国民の高学歴化や教育問題の複雑多様化の傾向によって教員資質の充実向上が求められている今日、これらの要請にこたえるためには、教職の専門性にふさわしい資格を高いレベルまで引き上げていくことが必要であると存じます。その意味において、現行の大学教員養成課程四年制を五年制に、短大二年制を三年制にそれぞれ一カ年延長してはどうかという議論がなされておるのでございますが、文部大臣としてどのような御見解をお持ちでございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教職員の資質、能力を向上させるという観点から、今日の教員養成制度あるいは免許制度に改善を加えるべしというただいまの御意見、ごもっともな御意見と存じております。これを実行いたしますについては、教員の確保の見通し、あわせて現在の大学の制度に与える影響というようなことも慎重に考えていかなければなりませんので、引き続いて検討いたしてまいりたいと考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 激動する社会の中で、特に技術革新時代を迎えたということについては、それほど社会が急速に進展し、それに即応する教員の資質の向上が常に求められていると思います。そのために、現在の教員の一層の充実を図るため、一定期間を付して研修等を義務づけ、資質の向上を図るとともに、免許状取得後の一定期間教職につかない者については免許状を失効させてはどうだろうかというような意見もあるわけでございますが、このような考え方に対してはどうお考えでございますか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような点が、先ほどお話のございましたように、自民党の文教部会の小委員会においてもそういう提言がなされていることを伺っておるわけでございます。  先ほど大臣からも御答弁がございましたように、教員養成及び教員免許に関する提言につきましては、教員の確保の問題でございますとかあるいは大学制度、教員の身分制度等、大変根本的な事柄にかかわる問題でもございますので、私どもとしても十分それらの点を検討いたして今後の課題として取り組んでまいりたいと、かように考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 教員採用の決定時期の迅速化について御意見を伺いたいと思います。  教育界に有用な人材を確保するためには新規採用教員の採用内定時期を早め、民間企業等と同一時期までに決めることが急務であると私は思っております。そして、教員になるための心構え、使命感、責任感を自覚させ、新任教員としてのふさわしい条件を整える時間を与える配慮が必要であると思うのでございますが、文部大臣の御所見あるいは局長の御所見でもよろしゅうございますが、この点に対してどうお考えでございますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 教員採用の時期の問題でございますが、特に教員採用内定の時期につきましては、これまでも関係者から優秀な人材がほかに流れるのを防ぐためにこれを民間企業などと同一の時期まで早めるべきであると、こういう意見を聞くことが多いわけでございます。いろいろ現在の制度でございますと、退職をされる先生の見通し等をつけるとか、そういった事情もあるようでございますが、しかし現在でも、努力をすればなおこれを早めるということが可能な、何と申しますか、取り扱い上工夫ができるだろうと、こういうふうに思いまして、そして同時に任命権者でございます都道府県の教育委員会でもそういった面の理解がすでに深まっております。したがいまして、私どもは都道府県の教育委員会と十分にこの点は協議を進めまして、積極的に指導してまいりたいと、こういうふうに思っておるのでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 特に私はこの件についてしつこく質問をしたいと思っておるんですが、やはり教育界にいい人を残すということは、教員採用試験には内定したけれども、いつ採用されるかわからないという不安が私はずいぶんあると思うんです。ですから、文部省が年度末までどうもはっきりしないというような、従来の各都道府県が行っている実態に対して、まあ五十七年度からは十一月に決めるんだと、そのくらいの通達を出してひとつ教育界に活を入れて、活力ある教員体制の若返りを含む姿勢を正すんだというような、そういう姿勢をきちっととることが今日私は必要じゃないだろうかと。指導いたします、そうした方がいいと思います、そういうような状況に根回しが効いておりますというようなことではなくして、五十七年度はそれでやるんだというような姿勢で臨んでもらえるのかもらえないのか、はっきり私はしたいと思うのでございます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) すでに実際上も、相当部分の人数について十一月一日という民間企業と同一の日に内定をしておるというところもありますし、それから今後できるだけそういうふうに持っていこうという、そういう考え方が出ております。  私どもとしては、都道府県の教育委員会、あるいは指定都市、市町村等の教育委員会、これとこれまでも協議を重ねておりますが、この相談は続けてまいりたい。やはりこれは、先ほども申し上げましたが、任命権者は都道府県、指定都市等の教育委員会でございますので、これを私どもが指示をするような内容での通達というものにはなじまないであろうと、まあ通達にするかどうかというようなことも含めて検討したいと思っておりますが、任命権者が責任を持って考える、そういう性格の事柄であるというふうに思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 内定と決定とは違うんですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 採用というのは、たとえば四月一日なら四月一日に辞令を交付することによって採用されるということでございまして、それについてあらかじめ本人との間でやります実際上の約束というものが内定でございますけれども、実質的には内定というものはこれは覆されるごとがまずないものでございますから、内定ということは採用決定というふうに取り扱われておるというふうに理解をしておる次第でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 まあ先般の国会では公務員の定年制というものが確立をしたと思います。それに基づいて教員採用計画というものがある程度大幅に見通しがつくのではないかと私は思っておるわけでございますが、特に新任採用については早目に決めてやって、教員としてのやはり喜びを持ちながら赴任できるような体制をつくるということが当然求められてしかるべきことであると思いますので、そういう方向に向いて指導徹底をしていただきたいと思うのでございます。  次に、私立学校等の振興助成策に対する見解を二、三お聞きいたしたいと存じます。  昭和五十六年七月十日の行革第一次答申内容では、昭和五十七年度の私立大学等の助成費については、「大学、学部等の新増設の抑制、補助対象の限定、増額配分の廃止等により、総額を前年度と同額以下に抑制する。」との方針に基づきまして、私立大学等に対する経常費補助は二千八百三十五億円となり、昭和五十六年度と全く同額であったのでございます。日本の大学生の八割を有している私立大学がわが国高等教育の重要な担い手になっていることを思うとき、学費を抑制しつつ私立大学の教育研究条件の改善を促しながら、国立大学に比した教育環境の中で多くの私学の学生が教育研究活動ができるような条件を整備するということは、当然私立大学の責任者たちはやらなきゃならぬことであると思っております。そのために国の私学に対する一層の助成策が今後必要であると思いますが、この点について前向きに文部大臣はお考えになられているのであるかどうか、所見を伺いたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおり、前年度以下に抑制すべしというのが臨調の答申でございましたが、予算折衝の際に鋭意財務の当局と折衝いたしました結果、本年度並み、二千八百三十五億円を確保いたしたわけでございます。また高等学校につきましては、ひのえうまで生徒の数が激減するというような事態を踏まえまして、都道府県に対する補助につきましては五十六年度に対して二十億円増の八百五億円を計上いたしております。今日まで私学がそれぞれの建学の精神、あるいは独自の校風に従って自由な教育活動をいたしましてわが国の教育に貢献したこと、多大なのものがございます。これかも先も私学の教育条件の維持向上ということ、非常に大切な問題でございますから、あとう限り努力をいたしてまいるつもりでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 また、私立高等学校から幼稚園までの助成については、高等学校の生徒急減対策等を含め、五十六年度に対して二十億増を図ってくださったということは、大変関係者は感謝しておると思っております。今後一層の御理解をいただき、わが国の社会基盤を充実させるという意味におきましては、私学振興に力を入れていただきたいと要望するものでございます。  次に、都立高校二次募集の弊害によって私立高校生徒収容計画が大変狂っておるということに対し、文部省の所見を伺いたいと存じます。  昭和五十七年度の高校の新一年生徒収容計画は、先ほど大臣が申されたようにひのえうまの年に当たりまして中学卒業者の絶対数の減少もありまして、特に東京都においては公立、私立高の当事者間で協議の上、生徒収容計画を立ててきたことを文部省は御存じでございますか。

柳川覺治法務省訟務局長

○政府委員(柳川覺治君) 御指摘の公立の高等学校と私立の高等学校の入学定員の、あるいは受け入れ数の調整につきましては、公私協調という立場に立ちまして、それぞれ各県におきまして、知事部局、教育委員会あるいは学校法人の設置者、またそれぞれの学校の校長、先生等で構成される協議会を設けまして、この中で十分な打ち合わせを行って対処していくということを指導しておるわけでございまして、東京都におきましてもすでに四十七年からこの協議会が設けられまして、その協議会の中で、先生いま御指摘のとおり受け入れ数の調整等がなされて円滑な成果を期しておるということは承知しております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 ところが、本年東京都においては、高校入試方式を変え、十五年間続けてきた学校群制を廃し、各人の志願校を認めた合同選抜制を実施し、学校群時代に起こった都立高校離れをなくそうとした措置を講じたのであります。しかし、その結果、最終的に入学手続をした合格者は六万一千四百八十八人で、合格者全体の辞退者数は六千九百四十七人「一〇・二%」の辞退という現象が起きて、昭和五十二年に次ぐ史上二番目の都立高校離れを来たしてきたのは周知のとおりでございますが、この現状をどう思われますか。

柳川覺治法務省訟務局長

○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘のとおり、ひのえうまの年に当たるということで、一万を超える中学校卒業生の減がございました。そのこともありまして、両者でそれなりに前年度に比して受け入れ体制を下げた打ち合わせが起こっておったわけでございまして、今度の新しい仕組みでグループ別に高等学校を分けまして、かつ生徒の希聖を十分聞く。第一次志望から、場所によっては第二、第三、第四志望というように生徒の希望を十分聞きまして、その上で欠員のないように教育委員会も大変な努力をされてきたわけでございますが、結果におきましていま御指摘のような状態でございまして、必ずしも第三志望、第四志望の学校に合格した者はそこに行かないというようなこともございまして、それなりに御指摘のような欠員ができたというように聞いております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 父兄、生徒の方が制度とか運用面において私はかなりたけていると思うんです。教育行政の方がおくれておるから、頭で考えて、こうすればうまくいくんじゃないかということをやってみると、全く意外な結果が出てくるというのが現状であるとするならば、私は教育を行う責任者の方々、管理職の方々は反省しなきゃならぬと、こう思っておるんです。  そのために四千六百人もの定員割れを来たした都の教育委員会は、欠員を埋めるために第二次募集を行う結果、すでに私立高校に合格し、入学手続をとっている生徒を私学から引き抜くというような結果になるわけです。そうしますと、新学期を迎えるに当たって私立学校は大体すべてクラスの編制や教育採用計画などを決めておるし、新年度を迎えようとしている私立高校にとっては生徒の収容計画が、引き抜かれるために崩れちゃうわけです。そうすると教育体制の見直しを、クラス編制をし直さなきゃならぬ、先生の採用計画をまたこれは一面においてやり直さなきゃならぬというような教育現場の混乱を来たしているという現実があるわけです。私はそういう事態に対し、特にことしはひのえうまであるということで、私学側は公立の教育委員会との話し合いの中で、こういう事態が起きても第二次募集の時点の中では私学に入っている者を引き抜かぬというようなことをしようじゃないかという申し合わせ事項ができているにもかかわらず、そういうものが守られずに困っているんだ。これはことしばかりじゃないわけです。毎年やっているわけです。ですから今後公私一体となった生徒収容計画を長期的展望の中で確立して、信義に信頼でき得るような国公私立の教育体制を円満に確立していくということに文部省としても御助言をなさらなければならないのではないかと私は思うのでございますが、局長さんとしてどのようなお考えを持たれておられますか。

柳川覺治法務省訟務局長

○政府委員(柳川覺治君) 先生御指摘のように、公立高校の二次募集に当たりましては、協議会の話し合いの場におきまして、どこにも受かっておらない生徒がおりますから、その生徒が中心ということで、私学側もそのことを強く要望し、教育委員会側もこれを受けとめて二次募集がなされたということでございますが、いま若干御指摘のような点の問題があるようでございます。これにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、すでに公私協調の体制のもとに十分その間のできる限りの調整が図られまして、やはり定員を決めた以上はその定員がそれぞれの公立、私立の高校におきまして充足されるということの望ましい方向に進展していくことを文部省としても十分期待してまいりたいと思っておるところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 ぜひそういうような事態が起きても公私信義に信頼する話し合いの実態を変更することのないように御指導をいただきたいと、こう思います。  最後に、私は国際社会に開かれた教育機関の整備充実等について二、三御質問させていただきたいと存じます。  国際社会の中における日本の地位を向上させるためには、学術、文化交流を国際的次元の中で交流、促進させることが必要であると思います。特に世界的頭脳を有する学者、教育者、研究者などの人的交流は、世界の中の日本を築く上においても自由に交流できる環境を確立することが肝要であると思います。  そこで、国立、公立大学に外国人数貝を進んで任用し得る制度を確立してはどうかと存じますが、文部大臣としての御所見をお伺いしたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 外国人を国公立大学の正規の教員に任命するということにつきましては、かねてから外国人は公権力の行使あるいは公の意思の決定に参画すべきものではないと、法律で定めたわけではございませんが、法制局の見解等もあり、一つの法理として承認されておると存じます。外国人の教員を大学等に任命することはこの法理に抵触するものだと、こう考えられておったと存じます。しかし、学術の国際交流という、これは非常に大事な問題と心得ておりますが、この観点から、外国人を国公立大学の正規の教員に任用する道を開くということはきわめて望ましいことだと考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 現在の法律の運用の中で日本の教育機関に任用されている外国人教員は何人いるのか、その国別数をお伺いしたいと思うのでございます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 現在の仕組みで申し上げますと、現在は国公立大学においては個人的基礎においてなされる勤務の契約の形で外国人教師、講師を招聘して国際交流に資するという形でやっておりまして、昭和五十六年度で外国人教師としては二百九十三名、講師としては四百三十一名がございます。それぞれ英米文学、ドイツ語、フランス語等でございまして、国の数といたしましては、たとえば米国から昭和五十六年度では教師が七十五人、講師が百七十人、西ドイツからは教師四十七人、講師四十二人、英国から教師が四十九人、講師四十人というようなことでございまして、それぞれ特に語学を中心にした教師についてこういう制度でただいまのところは任用をいたしているというのが現状でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 主要先進国の外国人教員任用についての実例が二、三あればお聞かせいただきたいと存じます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 外国におきます制度についてのお尋ねでございますが、諸外国の外国人教員の任用の仕組みでございますが、たとえばアメリカの場合でございますと、アメリカの州立大学では、これは法制的には州政府から独立した公法人ということになっておりまして、したがって外国人の任用は法的には自由ということになっております。イギリスの場合も、法制上は私立大学という形になるものでございますから、外国人任用についての制限がないわけでございます。たとえばフランスの場合でございますと、フランスは国立大学の教員はわが国と同様に国家公務員ということになっているわけでございまして、法制上外国人は正規の国立大学の教員とはなれなかったわけでございますが、一九六八年の法改正によりまして国立大学等の教員については外国人を任用することができるように改正をされたというぐあいに承知をしております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 国際社会に開かれた日本を築くために文部大臣として積極的にひとつ国公立大学に外国人教員の任用制度の推進をお図りをいただき、かつやはり今日の知識なり科学なりあらゆる知的分野の交流は国際的次元に発展しているという現実を踏まえたときに、やはり日本だけ外国の先生は採りませんよというような閉鎖的な物の考え方ではなくして、積極的に開放的な教育機関の体制をつくるということは、国連の隆目を図る上においても文化の進展を求める上においても私は大事であると思います。最後に文部大臣の決意をお聞き申し上げて私の質問を終わりたいと存じます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 外国人教員の任用につきましては、これからも積極的に努力をしてまいるつもりでございます。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) 本件に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 大臣は先般の所信表明の中で、初等中等教育の教育内容につきまして、昨年の十一月に「時代の変化に対応する初等中等教育の教育内容などの基本的な在り方について」ということについて中教審に諮問をし、現在審議を願っておる、こういう筋のお話があったわけでありますが、最初にそれらの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  この諮問に対しまして、マスコミは戦後教育の見直しとかあるいは教科書制度の抜本的見直しというようなことで大々的に報道しておるわけでございますが、具体的に諮問をされたところの事項はどういうことですか、もう一回お聞かせをまずお願いしたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ただいま仰せのとおり、中教審に対しまして、時代の変化に対応する初中教育の内容のあり方いかんということを諮問申し上げておりますが、その際検討願う問題点といたしましては、第一に小学校、中学校及び高等学校における教育内容、方法並びに教科書のあり方について、第二に中等教育における教育の多様化、弾力化について、三番目には就学前の幼児の教育のあり方、その他関連する諸事項について諮問を申し上げておる次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 文部広報を見ましてもそのようにあるわけでございますが、ところが三月八日の衆議院の予算委員会第二分科会で大臣は、わが党の鈴木強君の質問に答えまして、学校制度の改革についても検討の用意があるようにお答えになったということが新聞に報じられておるんですが、そのとおりに理解してよろしゅうございましょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 諮問を申し上げましたのは教育内容についてでございますが、教育内容ときわめて密接な関連を持っております制度についても恐らくいろいろな御論議がなされるに違いない、かように予想をいたしておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そうすると、それは論議ということであって、そういうことで具体的に答申がされてくるというふうには理解しないでいいんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そうすると、諮問事項と関連をしていろいろ論議があることであろうということですと、午前中も質問があったようでございますが、自民党の文教部会で小委員会をつくって、それぞれ中間報告みたいなものが出ておりますですね。たとえば教員の資質の向上の問題とか、あるいは学校教育制度の問題とか、あるいは高等教育問題とか、そういうものもこの論議の過程の中では議論の対象になる、こういうように理解してよろしゅうございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ただいま仰せの点はいずれも教育内容と密接につながっておりますから、御論議がなされるのではなかろうかと予想いたしております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そうすると、大臣の気持ちとしては、その諮問以外のそういう問題についても具体的に何かが出るということを期待をされておられるんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 予想をいたしております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 予想をいたしておるということになりますと、諮問をされたところの事項以外のことについても、答申がいま申し上げたところの諸事項についてもあるということが予想されるということですね。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 答申の形で出てまいりまするか、答申がありますればもとよりこれを尊重いたしまするし、結論的なものがなくとも種々の御論議がなされますれば今後の参考として真剣に受けとめるつもりでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 もう少し具体的にお尋ねしますが、たとえば学校教青制度の問題だとかあるいは教員の資質向上の問題だとか、そういうような問題について具体的に、場合によってはこちらの方としては諮問をしてはないけれども答申の中にはそういうことも含まれ得る、含まれることがある、こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) あり得ることだと考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 であるとすれば、お尋ねしたいと思いますが、実は昭和四十六年に中教審から大々的に教育全般にわたるところの答申が出ておりますですね。当時は明治初年の教育改革と戦後の教育改革と匹敵するところの第三の教育改革だと大々的に宣伝をされて出されたのがありますが、言うなれば、その十年前に出されたところのものが大臣の期待の中にはもう時代おくれになっているものがあるから、それにかわって新しいものがこの中に相当含まれてくるということを期待をされておるんだと、このように理解してよろしゅうございましょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 必ずしも時代おくれとは存じておりませんけれども、何分にも御高承のとおり、社会の情勢、経済の情勢あるいは国際関係の緊密化が急速な速度で進んでおりますから、このような環境に対応する教育内容のあり方いかんということについていまのうちから諮問を申し上げるということが適切ではないか、こう考えて諮問をいたしたわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 諮問をされておることは三項目ですわね、先ほどの御答弁のように。それ以外のこと、学校制度の問題、いろいろな問題、全般的な問題についてもいまさっきの大臣のお答えとしては、それは答申を期待するというお話があったわけなんですから、そういたしますと十年前も大分いろんな各般にわたってのものがあったわけですよ。もうそのことがすでに今日の情勢に間に合わないからしてそのことの答申が出ることをも期待をされておるというふうに私は受けとめておるんですが、そういうふうに理解しておいていいんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 繰り返しになりまするが、今日でもう間に合わないとは必ずしも存じておりません。答申を受けて、その趣旨に沿うような各種の施策を実行して今日に至っておるわけでございますが、かような急速な環境の変化に適応して、今後のためにいまから広い視野から長期的な観点にわたって御検討を願うことが望ましい、こう考えて諮問を申し上げておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 諮問をされておりますところの具体的な内容については先ほど大臣は三つほど諮問をされた、こうお答えがあったんですが、ただいままでのやりとりの中で、それ以外のことについても大臣としては期待をされておるというお話があったわけでしょう。しかしながら、それは十年前も大分出ておる。けれども、いわゆる具体的に諮問をされた事項以外で期待をされておるところが十年前のあの答申と著しく時代の進展に間に合わないというのはどういうことですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ちょっとただいまの御発言の御趣旨を理解できないのでございますが、同じ内容のことを中教審の答申に期待する、同じことならば何も中教審の意見を聞かなくてもよいではないかというような御趣旨でございましょうか。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 時間的な制約がなければ、十年前の中教審の答申で今日実施されておるもの、未実施のものと、こういろいろお聞きしたいんですが、それはやめましょう。  しかしながら、あなたがおっしゃったところの三項目以外に、学校制度の問題とかいろんな問題についても答申の中に含まれることを期待されると、こうおっしゃったんでしょう。先ほどそう御答弁なされたでしょう。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教育内容と密接につながる問題でございますから、恐らくそれらの諸点についても御論議があるのではないかと、かように予想をいたしておるわけでございます。初めからそのことを御期待申し上げるというような意思表示を中教審にいたしておるわけではございません。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 だから私はお尋ねしたんですよ。いわゆる論議の中でいろいろ議論があるというのはそれは当然ありますよ。けれども、その論議を超えて、おたくの方で諮問以外の事項についても答申があることを期待されておりますかとお尋ねしたら、しておりますと、こうおっしゃるから、それならば具体的にどういうことを期待されておるんですかとお聞きしておるんですよ。そこは前と違わないようにきちんとしておいてくださいよ。どうなんです、そこは。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) あるいは制度の問題につきましても御意見が出るかもしれないと考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 意見は出るでしょう。私が言うのは、そういうものが答申の中に出ることを期待されておるんですかどうですかということをお聞きしておるんですよ。もろもろの意見が出るのはこれは自由でしょう、これはいかぬ、あれはいかぬということはないでしはうから口ただ大臣としては、三項目にわたって諮問されておることは事実なんですから、それ以外のことについて、たとえばいまお話があった学校制度の問題についてもいわゆる答申が出ることを期待されておりますかと、こうお聞きしているんですよ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは諮問を申し上げておりませんから、これが答申の形でなされるということを期待はいたしておりません。  ただ先ほど来申し上げますとおり、恐らく御審議の過程でそれらの問題についても触れた御論議があるだろうと予想いたしておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そうすると、論議の中でそういうことが議論されるだろうということを予想しておると、こういうことですね。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それはそうじゃなければおかしいですがね。だって、十年前におたくの方は先導的試行という形で学校制度のあり方についてたくさん出ておるんですよ。それを、もう何ら文部省はまだ十年間その先導的試行の具体的な試行作業もやってないんですよ。それをやらないでおって、そういうことも、また学校制度の問題もあり得ると言うんなら、これは一体文部省は自分で与えられた答えやらぬでおって、まだ新たに諮問するかという疑問さえわいてきますわね、それはね。しかし、それは議論はあるかもしれぬけれどもそれを期待しておらないということならそれはそれでいいでしょう。  そこでお尋ねをいたしますが、先ほどありましたところのこの三つの問題ですね、その三つの問題にしても、実は十年前の答申の中にも教科書以外皆具体的に出ておるところの問題でございましたですね。そうすると、今回はごあいさつにもありましたように、時代の進展に、そういうものが出てきたところのものは皆間に合わなくなったから、だからもう一回改めて同じ事項を諮問をしたんだと、このように理解しておいてよろしゅうございましょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) その時点で審議会が御審議をなさいまして適切と信ずる答申をなさっていただいたものと存じております。また、その答申の趣旨に沿って各種の施策も進めてきておるわけでございますが、これから諸情勢に大きな変化が出てくるに違いない。その間、児童生徒の能力、適性等もますます多様なものになってきておりまするから、ここで改めて諮問を申し上げる、こういう趣旨でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 具体的にお尋ねいたしますが、諮問をされたところの第二の点ですね、いわゆる「教育の多様化・弾力化について」というのがございます。これは四十六年の答申にも、御承知のように、「初等・中等教育改革の基本構想」の中で、「3 多様なコースの適切な選択に対する指導の徹底」、「4 個人の特性に応じた教育方法の改善」と具体的にあるのでございます。さらに、新しく諮問をされたところの第三点の「就学前の幼児の教育の在り方」についても、すでにその当時、「幼稚園教育の積極的な普及充実」としての答申が出ておるのでございますが、すでに出たものと重複しておるわけです。表題を見る限りにおいては同じものなんですよね。ですから、これから見ると、いま具体的に申し上げたところの問題が、いわゆる大臣の言うところの、時代の進展に即応しなくなったから再び答申を求めたんだというふうに理解してよろしゅうございましょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 現状を固定いたしておりますと、環境が急速に変化をしてまいりますから、あるいは適切ならざるものになってくるかもしれない、そのような可能性があると考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 しかし、それはおかしいじゃありませんか。皆さんで判断をして、あのときのものとはすでに時代の進展と間に合わなくなったから、新たにこういう問題、こういう問題等も具体的にあるから答申を求めたというのが筋じゃありませんか。それを、適切でないかもしれない、あるいは適切かもしれないんで、何とはなしに諮問をした、こういうことですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 適切ならざるものになる、時代おくれになる可能性なきにしもあらず、こう考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それを具体的におっしゃってください。どういうことですか、中身は。

宮野禮一文部大臣官房審議官

○政府委員(宮野禮一君) 今回の中央教育審議会に対する諮問のテーマでございますが、いま先生の方でおっしゃいました第二点にせよ、第三点にせよ、中教審におきましての審議といたしましては、これから将来に向かって、初等中等教育の教育内容につきまして、長期的展望に立って、将来どういうふうに学校教育の内容を変化させていったらよかろうかということについて、広い視野から、高い見地から御審議をお願いするということで御諮問申し上げているわけでございます。  現在までに、先ほど御指摘のような教育課程審議会の答申に基づく教育課程の実施が現在なされておりますが、それが現在、いまの時点において間に合わなくなったから、あるいは変更をいま直ちに要するからという意味で御諮問申し上げているわけではございません。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それならお聞きしますが、その中教審答申の、十年前の、たとえば教育課程の問題にいたしましても、「学校段階の特質に応じた教育課程の改善」という題名のもとにずっとやられたですね。そして、五十一年に教育課程審議会の方から「小学校、中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善」という答申が出され、それに基づいて学習指導要領がつくられ、それぞれ五十二年の七月、五十三年の八月に告示されて、それがようやく緒についたばかりなんでしょう。  そこで、再びこのような答申を求めるということは、どういうことを意味するんですか。どうもおたくの文部広報あたりの大臣の諮問理由の説明等を見ますと、もう時代の進展あるいは安定成長期に入ったんだから、間に合わなくなったから求めるんだという言いっぷりですよ、これは。けれどもあなたのいまの答弁は、現在間に合わなくなったというよりも、将来のことを踏まえてやった、こう言うんですがね。将来のことを踏まえてやるんならば、それを実施をしたところの二、三年の経過を見て、それをきちっと踏まえてやるというのが筋じゃございませんか。やみくもに、いわゆる二十一世紀に向けて議論をしてくださいと、あなた方答申を求めておるんですか。

宮野禮一文部大臣官房審議官

○政府委員(宮野禮一君) 先生がただいま御指摘になりましたように、前回の中教審は諮問をしてから四年かかって昭和四十六年にいま先生の御指摘のような答申がなされているわけでございます。それを受けまして、教育課程審議会は昭和四十八年から五十一年までかけて、教育課程の改訂の基本方針を議論していただいて答申を出していただいています。  それを受けまして、御承知のように、学習指導要領の全面改訂が行われている。実際に学習指導要領の改訂が実施されておりますのは、先生御承知のように昭和五十五年からでございます。  前回の、前回のといいますか、今回の学習指導要領の改訂につきましても、このように相当長期にわたって綿密な議論をしていただいて練り上げた上で現在の学習指導要領が定められ実施しているわけであります。  今回、私どもが中央教育審議会に対して諮問いたしますのも、次回の学習指導要領の改訂の時期がいつかは別といたしまして、現在実施しております学習指導要領を当面は定着させていく必要があるわけでございますが、さらに時代の変化というのが今後一層予想されるわけでございますので、ただいまから長期的に取り組むことが必要であるというふうに考えて御諮問申し上げたわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それは学習指導要領だけじゃなくて、偶々に諮問を求められたところの項目は相当やはり長期展望に立った十分な審議を期待をするということの意味合いからこれは諮問をされたわけですか、それなら。そこのところをはっきりおっしゃってください。

宮野禮一文部大臣官房審議官

○政府委員(宮野禮一君) そのとおりでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それは、もしあなた方おっしゃるようなことだったら、一応つじつま合いますわな。たとえば新学習指導要領によるところの教育課程が、いまもお話しあったように、小学校は五十五年から、中学五十六年、それで五十七年から高等学校でしょう。それで、おたくの方はことしから初めて総合調査をやられるわけでしょう。その結論も途中経過も出ないうちに諮問されておるわけだから、それを早々とまた答申を求めるということにはなりませんわね、理屈から言えばね。けれども、私が不思議に思うのは、これは前の田中文相のときでございましたけれども、田中文相は昨年十一月十八日の参議院の行革特別委員会で、この答申に関するところの問題に関してこう言っておるんですよ。委員の任期は二年であり、一年間に答申というのが常識だ。新聞には教科書制度については来年六月と書かれておる。けれども、それは推測だ。しかし、これまでの経緯から速やかな結論を得たいという気持ちだ、こう言っておるんです。委員の任期は二年なんだから、二年内に答申が出せるのがあたりまえじゃないか、こう言われておるんですよ。それでいまのあなたの話と大分連いますわな、これ。真意というのはどっちなんですか、あなた方の本音は。教育課程という重要な問題あるいは幼児教育の問題も十年前にも出されている。その経過についてもまだきちんとあなた方は総括しておらない。おらないのにまた追っかけて同じものをここに出されておる。それでいて、去年のような質問をすると、委員の任期は二年だからそこに出されることを期待をする、こう言っておられるんだな、前の大臣は。恐らく前の大臣と今回の大臣とは違うということはあり得ない。一体文部省の答申を求めたところの真意というのは何ですか。そこのところをひとつ明確におっしゃってください。

宮野禮一文部大臣官房審議官

○政府委員(宮野禮一君) 御説明がまずくて恐縮でございますが、先ほど申し上げましたのは、この今回の諮問全般についてのお話を申し上げたつもりでございます。  そこで、今回の諮問の中心は教育内容、すなわち制度的に言えば、小中高の教育課程に関する問題でございますから、そのことを念頭に置きまして御答弁申し上げたわけでございます。  いま先生のお話になりました前大臣が御答弁されたことは、そのうち特に教科書についての問題でございまして、それに限ってのお話というふうに私は理解しているわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 しかし、その議事録のどこを読んでも教科書問題についてではないですよ、答申全体についてですよ。残念ながら審議官がどう言おうと、当時の大臣はそういう気持ちなんだ。  これは小川大臣どうでしょうか、いまでもやはり前の田中さんのおっしゃるように、任期二年だから、それに答申を求めることを期待されておるんですか。しかし、私はいままでの経緯から、皆さんお聞きになってわかるように、きわめて重要な問題についてことしから総合調査をやろうというのに、二年後に出しなさいという期待をするというぐらいこれはおかしな話はないし、ほかに魂胆があるんじゃないですか、本当は。それは上辺だけであって、真のねらいはもう向こうのところにあって、それ一つでぐあいが悪いからそういう出し方をされたんじゃないですか、どうなんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 諮問を申し上げておりまする趣旨は、ただいま政府委員からも答弁申し上げたとおりでございまして、ただいま、ほかに魂胆というお言葉でございますが、さような魂胆は何もございません。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それは人格円満な小川大臣ですから、まさかそういう魂胆はないと思いますけれども、新聞の報道はそうじゃないじゃございませんか。特に教科書の問題については六月にも七月にも出される。もう採択の問題についても具体的な結論が出かかっているとさえも報じておるんですよね。考えてごらんなさい。教育内容をどう改革をするかという問題、いわゆる教科書の一番基本になるところの問題について十分時間をかけて議論をされることを期待すると皆さん言われておって、肝心かなめの、それを内容にするところの教科書についてだけ引き出して早く答申をさせるというのは、これは逆さまじゃありませんか。逆さでしょう、それは。  本来、理屈から言えば二十一世紀の時代に即応したところの教育内容とか、あるいは多様化、いろんな問題について十分議論をしてもらおう、こう言いながら、教科書だけは先ほどの審議官の話では、教科書の答弁だと思いましたと言うから本音が出ておるんですよ。教科書だけ先に引き出してさせるとというんでしょう。大体教育内容、いろんな問題――答申も出ないうちから教科書のあり方だけ先にやるというのは、これはどういうことですかね。これは道さじゃございませんかね。世の中ではやっぱりそういうのを逆さに受け取りますよ。  それとも、それは間違いであって、教科書の問題もやはり先ほどの基本的な答申と含めて、慎重にやはり議論してもらうんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか、どっちでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 諮問申し上げましたことは、いずれも教育の基本にかかわるきわめて重要な事項でございますから、そういう事柄の性質から申しまして拙速を求めるべきものではない、必要な時間をかけていただいて、慎重に御審議願いたい、こう考えておるわけでございます。  教科書につきましては各種の論議が活発に行われており、国民の関心もきわめて高くなっている。こう理解しておりますので、相なるべくは精励を願って、早期に提出をいただければ幸いだと、こう考えておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 先ほど言いましたけれども、小中学校におけるところの教育内容をどうするか、その教え方をどうするかという問題についてやるというのが一番の根本なんでしょう、先ほどの審議官の説明やら答申の趣旨からいうと。しかし、これはまだ教育課程が実施をされてからそう長くならないから、その総合調査を待ちながら時間をかけてやってもらおうと。たとえば十年前は四年間かかっておるわけですよ、答申をまとめるまで。中身はぼくら反対ですけれども、それだけ慎重だったことは認めますよ。少なくとも何をどう教えるかというそこのところがはっきりしない前から教科書だけ先に引き出していろいろな問題をやるというのは逆さに感じませんか。大臣、どうなんですか、そこは。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書のあり方は教育の内容と密接な関連がございますから、したがいまして、きわめて論理的に申しますれば、先生の仰せのとおり教育内容についての物の考え方が決まらない先に教科書に手をつけるのはおかしいということにあるいはなるかもしれません。ただ、今回諮問申し上げておりますることは、教科書の検定、採択、給与一切を含めてお願いをいたしておるわけでございまして、教育内容について結論的なものは必ずしも得られなくとも、およそその方向が固まってきた時点で今日の教科書のあり方に改善を加えるべき点ありという御判断になれば、それだけ切り離して答申を願うということも必ずしもこれはおかしいことではないのではなかろうか、ただいまそう考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 私が先ほど何か魂胆があるんじゃないですかと申し上げたのはそこらあたりですよ、ざっくばらんに申し上げて。大臣、ここにも自民党の皆さんいらっしゃいますけれども、おたくの方の与党の文教関係者にはこういうささやきがあるんですよ。本当にひょうたんからこまだねという感想を漏らしたところの文教関係者の議員が少なくないと、こう言っているんです。ひょうなんというのは教科書制度の見直しですね。こまは初等中等教育の内容の見直しですよ。言うならば、教科書、教科書って去年うんと騒いだ。けれどもそれを出し過ぎる、それだけ抜き出してやるのは余りにも生々しいから、ひとつ周りにこまをつけてちょっとカムフラージュをしようと。ここらあたりが本当にひょうたんからこまだねという言い得て妙な表現が私は出ておるんじゃないかと、どうしても思えるんです。もしそうでないと言い切るなら、これやっぱり教科内容の問題について議論をうんてさせていただいて、それじゃ、たとえば一つの物の見方についても時代の進展に即応してこうだから教え方はこうしなさい、じゃその教科書はこうあるべきだというのが筋なんでしょうが。それを昨年来教科書問題わんわん出たから、それを何とかカムフラージュしようというのがそもそもの今度の中教審の本音じゃございませんか。どうなんですか。でないというなら教科書の問題についても、いわゆる新聞に言われている六月、七月じゃなくて、十分に議論されて各界各層に意見を聞く用意がありますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 何か魂胆があるに違いないという仰せでございますが、腹の中を割ってお目にかけることができない、これはまことに残念でございます。さような意図は全くないのでございまして、先ほど来申し上げますとおり、非常に国民の関心も高まっておるこの際でございますから、相なるべくは早期に答申を願いたい、こう期待をしておる、それだけのことでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それは、どう抗弁されようと客観的に見ればそれしかないでしょうが。考えてごらんなさいよ。たとえば、一番主要議題だと言われるところの教育課程の問題にしても五十五年、五十六年、五十七年と高等学校はやられて、これから二、三年かけて総合調査をして、その調査結果も報告をしながら中教審で議論させてもらおうというならば、何も去年取り急いでそれをやる必要もないんですよ。ただ、去年から大きな政治問題化されているのは教科書問題だけですよ。それだけ扱うのはぐあいが悪いから、これは火つけだと、こうあっさりおっしゃったらどうですか。それでないと言うなら、先ほどからお答えいただいているように、この件についても、じゃ慎重に、そういう痛くもない腹を探られぬために、十分議論をしてもらうように要請しますと、こうおっしゃられますか、それなら。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) いろいろ承って、御論旨はほぼ理解をいたしたつもりでございますが、先ほど来申し上げますように、何か魂胆があってやっておることじゃございませんから、それはぜひそのように御理解、御了承をいただきとうございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 まる見えですね、その魂胆は、残念ながら。皆さんも、本当はもう正直なところやられたと、こう思っておらぬですよ、これ。ですから私は、本当に日本の教育というのは、党利党略でない、文字どおりの教育の申立性とおっしゃるなら、十分なやはり議論をさせて、それを総合的に出されるように諮問されるというなら、私は敬意を表しますよ。しかしながら、先ほど何回も申し上げておるように、教育課程の実施状況は五十七年になって初めて高等学校でしょう。これからそれを踏まえて議論をするというのだから、恐らく三、四年かかりますよ、これは。でなきゃ本物は出ないはずなんだ。そうでしょう審議官。けれども教科書だけは、先ほど新聞に至言われているようにね、引き出して、早く求めますというのは、これこそ全く政党の党利党略の絡んだ、これはやっぱり政治的な意図に基づくところの中教審の隠れみのの利用だと言われたって仕方ないと思いますよ。そのことだけは私は明確に申し上げておきますから。まあ小川さん時代に答申を求められたんじゃないんですから、それは前の大臣のことを受け継いで、大分がまんしていられただろうけれども、しかし客観的に見るならば、いま申し上げたことは、これは動かし得ないところの事実なんだと、そこだけは銘記しておいていただきたいと思います。これから、その肝心な教科書の問題については、またおいおい時間をかけていろいろまだお聞きしたいと思いますが、いわゆる中教審に答申を求められておるところの文部省の態度というのは、いわゆる教育の申立性をあずかるところの文部省の態度というよりは、与党の政治的な動きに即応して打たれたところの手だとしか私どもは感じておらないと、見ておらないということだけは銘記しておいてください。  次に、ほかの問題に移りますが、教育、学術、文化の国際交流問題についてお聞きをいたしたいと思います。  まず、大臣は所信表明の中で、「相互の文化、伝統を尊重しつつ、諸国民との間に十分な相互理解を深め、真の友好関係を」築きたいと、こう所信で述べられておりますが、その教育、学術、文化交流におきますところの基本的な姿勢と申しますか、そういうことをまずお聞かせいただきたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 所信表明において述べておりますとおりでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 もう少し中身をおっしゃってくださいよ。味もそっけもありませんな。そんな味もそっけもないことで国際交流はできますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教育、文化の振興を図りまするために国際間の交流を図るということ、大きく申しますれば世界の平和に貢献するゆえんでございますから、非常に大事な問題と心得ております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 その国際交流を行うに当たつての物の考え方をちょっとお聞かせいただきたい、心構えと申しますか。それも所信表明のとおりですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) そのための具体的施策ということでございますれば、これは後刻御答弁を申し上げますが、非常に大事な問題と心得ておりますので、あとう限りの努力を続けてまいりたいと、かたく信じておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 じゃ別の角度からお聞きしましょう。  文部省の次官とか局長あたりがよく出られますところの国際公教育会議というのがあるんですよ。一九六八年であったかと思いますが、国際理解教育に関する勧告なるものが出ておるんです。それを受けてユネスコ国内委員会でもいろいろ議論をした。また、そういう経緯も踏まえたんでしょう、中教審から国際交流にかかわるところの答申も出ておるわけでございますが、これらの中には、言うならば、やっぱり国際交流、教育という場に当たっての心構えというか、基本的な考え方ということがずっと出ておるんですがね。まあ大臣にこれを求めるのは酷かと思いますが、局長ですか、局長でもいいですが、それを答えてください。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) 先生御指摘のとおり、一九六八年、昭和四十三年でございますが、スイスの国際公教育会議において国際理解教育に関する勧告というものが提案され、御指摘のとおり、ユネスコにおきましていろいろ審議をしまして、一九七四年、昭和四十九年にこれをユネスコ総会で採択いたしております。それらにつきましても、前文で勧告が言っておりますように、ユネスコ及びその加盟国の活動が、絶えず数を増しておる児童生徒の教育に対して必ずしも十分な影響を与えていない、それから国際教育の教育課程及び方法が子供たちの要求と抱負に必ずしも一致していないというようなことを指摘いたしますとともに、個人及び社会の生活と基本的な権利及び自由の行使に影響を及ぼす世界の諸問題を解決するために、必要な国際的な連帯と協力を増進することができるようにするため、それから国際連合、ユネスコ憲章、世界人権宣言等の達成に積極的に貢献することができるようにするために、教育政策の主要な指導原則とみなされるものとしまして、国際的な理解をそれぞれの国におきまして、国民の教育に積極的に進めるよう七項目を示して提示しておるところでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 この答申は、普通の国際条約みたいに批准は必要としないと思いますが、ユネスコの一九七四年のこの勧告というのは、一応日本政府も肯定という立場で対処しておるんですか、どうですか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) そのとおりでございまして、これにつきましては、五十年五月二十三日に、第七十五回国会にも報告をいたしておるところでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そうすると、その中に、七四年の勧告の中に、国が国際交流、いわゆる教育の面におけるところの計画及びそういう国際交流のための行政を行う場合の基本的な物の考え方というのが三点ほどございますね。これは、この中身のとおりに文部省も沿ってやっておるというふうに理解してよろしゅうございますか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) 文部省としましても、これを受けまして、積極的に取り組んでおるという姿勢でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 七四年のこれはユネスコですから、十一月ですね。じゃ、その七四年の五月かに中教審の答申が出ておりますわね、また、国際交流に関する両者の関係、これどうなるんですか。それはユネスコのあそこで大体こういうものが出るだろうということはもちろん先ほども出た公教育会議でも出ておるわけだから、それを念頭に入れて答申を求められたんですか、どうも答申は抽象的過ぎてわからぬのだけれどもね。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) 直接の関連はないかと思うんでございますが、日本としましても、当時積極的に国際交流を進めなきゃならぬ、いろんな問題につきましてそれを痛切に感じまして文教行政としてもこれに取り組むということから中央教育審議会に諮問いたしまして出たものでございます。また、いまのユネスコの採択は先生御指摘のとおり、昭和四十三年の勧告をユネスコ総会、これは全世界の加盟国が参加しておる総会におきまして採択したわけでございまして、当時の情勢としまして実際には非常に関連があったと思いますが、直接中教審の者がこれを受けて答申をしたというものではないんじゃないかと考えておる次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 いや余りにもこの中教審の答申の基本的な物の考えは常識的でね、常識的というか抽象的過ぎておざなりですよ、私から言わしめれば。ところが、片一方のユネスコ総会で勧告として出され、あなた方もそれを肯定して全面的にこの方に沿っておるという物の考え方は非常にやはり具体的に示されておるんですけれどもね。これはあれなんですかね、これは大臣にお聞きした方がいいんですけれどもね、中教審に答申を求められる際にはたとえばこういう国際交流云々というような国際間のいろんな動きと関連をして私は出されて答えを求めるべきだと思うんですけれどもね。これはこれ、国内は国内というふうに切り離して普通文部行政の行政指導の物の考え方をされるものですか、どうなんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 答申をお願いいたしまする際には、申すまでもなく、国内の諸情勢はもとより、世界の現状と申しますか、国際関係の状況を踏まえて諮問を申し上げるのが筋ではなかろうかと、こう考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 たとえば、このユネスコの翻訳文はこれは文部省からいただいたんですからそちらの方もお持ちかと思いますけれども、たとえば三十五ページの「国の政策、計画及び行政」という物の考え方の中に、「各加盟国は、すべての形態の教育の効力を増進することを目的とし、かつ、国際理解及び国際協力、公正な平和の維持及び発展、社会正義の確立、人権及び基本的自由の尊重及び適用、並びに偏見、誤解、不平等及びこれらの目的の達成を妨げるすべての形態の不正の根絶に対する自国の貢献を強化することを目的とした国の政策を策定し、これを適用すべき」だという、こういう事項があるんです。けれども、文部省が中教審に求められましたところのしの中教審答申のこの基本的な考え方を見ますれば、教育交流も国際交流も文化交流もみんな、「国内及び国外の教育諸活動の発展の動向に即して行われるべきこと。」と、きわめて抽象的に書いてある。一体この中身はどういうことを言っておるかと聞きたくなるぐらいにきわめて抽象的なんです、国内のものは。国際的なものはきわめて具体的に国際間のお互いの交流、友好親善、友好関係を保つのにはこういうことが特に行政の中では力を入れなきゃなりませんよと、こう出ておるんですよ。少なくともやっぱり国際交流ですからね。国際会議で国際間の常識となっておるところのものをやはり具体的に答申あるいは行政の中に生かすということが一審筋じゃないかと思うんですがね。いかが大臣はお考えになりますか、この点。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) このユネスコの勧告等につきましてはもちろん文部省は十分に承短しておったと存じます。そういうことでありますと、諮問申し上げた内容がいささか舌足らずであったかもしれない、かような感じをただいま持っております。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) ちょっと補足させていただきますと、この勧告、ユネスコ総会で採択されたものにおきましては、それぞれの国がその国内の子供たちのためにもっと国際視野を広めるといいますか、国際的に他の国の事情、文化、そういうものに理解をするよう自国の国民に対してしっかり教育するようにというような趣旨が中心でございますが、中教審で取り上げられておりますのはそれ以外に国内ばかりでなく、日本としまして国際的に学術交流、留学生の問題、それから文化の交流、スポーツの交流というようなものにつきましても広く取り上げておるという点で若干内容的に相違があるように理解しておる次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 そう無理に違うんだと言われぬでも……。言われるのは無理じゃないですか。これは、ユネスコのものは、この国際教育、国際理解というのは、文部省がやるところのもので言えば、いわゆる教育の交流、文化の交流あるいは学術の交流、みんなを指すんですよ。それは総体的なものですよ。これはこれであれは別ですなんて、あなた、だんだん無理な答弁をされると後で困りますよ。本当は、ここにおいてあるところのお互いに学術や文化やあるいは教育交流をやる場合の一番基本的な物の考え方はこうですよとこれは示されておるんです、いわゆる国際会議のこのユネスコ勧告というのは。それを踏まえて国内で具体的にどうやるかということはそれぞれの国の事情でしょう。けれども、あれは一般的なことで、文部省のやるのはこれは別ですからなんというのは、それは通用しませんよ。そこだけは申し上げておきますよ。だから私はこの問題は四十九年の第七十二国会でも申し上げたことがあるんですよ。当時文部大臣は奥野さんでしたかね。私はそのときにも申し上げたんですが、たとえば文部省が毎年行っておるところの海外派遣教員、あるいは総理府の「青年の船」、こういうものの感想文も当時披露しながら言いました。いろんな文部広報やら、あるいは「青年の船」に参加されたところの報告書も私は拝見をいたしました。なるほど日本の国が先進国であるとか経済大国だとかいう受けとめ方、あるいはまた西欧諸国の文化は進んでおるという、何ですか、西欧文化に対するところのコンプレックスです、そういうものもやはりあるような物の書き方の文章があったんですよ。そのときに私は言ったんですけれども、初めからどの国の文化がすぐれておる、どの国の文化はだめなんだという先入観があって、文化の交流とか学問、教育の交流云々という、そういうものをやるんでは間違いですよと、どこの国の文化もそれぞれの歴史的な発展の中であるんだから相互に尊重し合ってやらなければなりませんよというのが一番の基本なんですよ。そこのところを残念ながらこの中教審の国際文化に対するところのもの何もない。ないだけにやはり少なくとも行政の府に当たるところの者はそれを考えてもらわなければだめなんですよ。私は、その点で言わしめれば、ことしの文春の三月号でしたかね、「政府広報――これからのにっぽん」というところで元の文部次官の天城さんが何か対談でしゃべっておられましたね。こういうことを言っているわけですよ。国際交流を考える場合、文化の優劣を頭に置いてはいけない。文化は個性と同じく各国民の固有のものであるから、相互に異なる文化の価値を認めない限り、交流は成り立ちませんよと、こう言っている。なかなか私は適切な、確かに国際人らしい物の指掛だと思うんです。少なくとも先ほど私があなたに質問したところのいわゆるユネスコの勧告の物の考え方、国際交流においての物の考え方は、そういう点を踏まえていかなければならないとか、人権とか基本的自由というもの、偏見があってはならないという、これを踏まえた国際交流計画を、行政をしなさいという物の書き方なんですよ。そういうものがない限り私は、大臣が所信表明の中で幾ら今後それぞれ国際間で相互理解を踏まえて国際理解を深めますと、こう言ったって、これは口先だけになるんですよ。そこのところの物の考え方がぼくは文部省の行政の中には薄いのではないだろうかと、こういう感じがしてならない、なぜかならば、先ほどの学術局長の答弁をお聞きしながら。少なくともやはり文化交流にしても、教育の交流にしても、あるいは学術の交流にしても、そのことのない限り私は目的を達することはできないと思うんでございますが、いかがなものでしょうか。大臣どうお考えになりますか、その点。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 文化交流等に際しまして、先入主、偏見を持たずに実行していく、もとよりそういう姿勢が正しい姿勢だと考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 大臣はきわめて簡明に言っておられるんですが、その簡明さがどうも私には理解できないんですよ。それはいいでしょう。しかし、いま私がるる申し上げましたところのやっぱり立場に立ったところの国際交流をしない限り、日本人の通弊でありますところの閉鎖性、これはなくならないと思うんです。これでは国際人になれぬと思うんですね。  たとえば、御承知のようにいま東南アジアに戦前の日本の留学生のグループがあるという話を聞きました。ASCOJAとかなんとかと呼ばれるグループがある。その皆さんのグループは必ずしも親目的でないと、こう指摘されるところのゆえんも、私はやはり戦前からいまを含めて日本に正しい意味の国際交流の基本理念というのが非常に欠けておったんではないだろうかと思えてならぬのですが、その点、いまの国際交流のあり方を大臣はいままでほかのところから見ておられてどういうふうにお感じになられたか、この機会に御感想をお聞かせ願いたいと思うんですがね。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) いろいろお諭しをいただいたわけでございますが、仰せの趣旨には全面的に賛成をいたしております。  ただいま戦前の例をお引きになりましたけれども、文化の交流、教育の交流、あくまで謙虚な気持ちで進めていかなければならないと、こう信じております。現状がさような観点からなお足らざる点があり、あるいは誤っておる点がございますれば、御指摘、御高教も賜わりたいと、こう考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 では、具体的な問題に移りますが、海外におきますところの日本人子弟の教育状況はいまどういう状況になっておりますんですかね、概要をちょっと説明してください。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) 現在、海外におります義務教育段階の子供の数は、五十六年五月一日現在で申し上げまして三万二百人ございます。そのうち、全日制の授業で国内の学校と同じような運営を行っておりますいわゆる日本人学校の在籍者が一万三千八百三十四人、四五・八%ございます。それから、現地の学校に通いながら土、日等におきまして日本の教科書による授業を受けておりますいわゆる補習授業校に在籍いたしております者が一万三百六十四人、三四・三%でございまして、その他は、現地校に通ったり、あるいは独自の家庭教育等を受けておる者が六千二人、一九・九%でございます。また、その他の、日本人学校とか補習授業校に通っていない子供につきましては通信教育を行っておる次第でございます。そうしまして、日本人学校、それから補習授業校に対しましては日本から教員を派遣いたしておりますが、五十七年四月の予定で申し上げまして九百五人でございます。それ以外に現地で採用いたしております講師等の数が八百九十二人、そういうような状況でございます。そうしてまた、日本人学校、補習授業校に対しましては、教員の派遣以外にいろんな教材等を送りまして、また教科書につきましても国内の子供と同じように無償給与を行っておる次第でございます。  概況、以上のような状況でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 概況は、あるいはまた海外子女教育への手だての面では、中教審答申の出た一九七四年前後からいたしますと確かにこれは飛躍的に前進をしておると思うんです。その点の労は私も多としなきゃならないと思いますが、ただ同じ日本人学校といっても、それぞれの実情の中で端的に言えばピンからキリまであるわけですよね。  そこで私は、この機会に端的にお聞きしておきたいと思いますが、文部省は、海外子女教育のあり方というのは、いわゆる全日制の日本人学校中心でやると、やむを得ない場合は補習授業校でと、あるいは通信教育なりという物の考え方に立って行政を進めておられるのか。それとも、国際人教育という場合には子女教育は非常に絶好の条件を持っておるわけですから、そのことを考えて現地の学校で可能な限り学はせていくということに視点を置いておられるのか。どちらの方向に進めておられるのか。その物の考え方をお聞かせください。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) これにつきましては、先生の御指摘のとおり、実は両方の考えがございまして、せっかく子供の時代に外国へ行っておればそのような現地の学校で教育を受けることが国際人の育成のために非常に大切じゃないかという意見もございます。しかしながら、他面、それらの子供たちが、大体海外勤務が三年ぐらいが通常でございますので、帰ってまいりますと日本の学校に復帰するわけでございますが。その際、国内の学校でほかの子供におくれないようについていけるようにしてほしいという非常に強い父兄の希望もあるわけでございます。そのようなことから、現地にりっぱな現地校があります場合には、たとえば北アメリカとかヨーロッパ諸国等でございますが、そういう地域におきましては、かなりな子供たちが現地校に通って、あとは補習教育で授業を受けておるというような子供が相当いるわけでございます。ただ、その他の地域につきましては、現地校自体が二部制、三部制というような授業をやっておるところもございますし、いろんな事情から国内に帰った場合の困難を考えますと、父兄としてはどうしてもいわゆる日本人学校的な教育を強く希望するというようなことがございまして、現在では両方が行われておる状況でございますが、その地域地域の特色に応じまして対応しておるというような点がございます。ただ、どちらかといいますと、やはり父兄の希望としましては、国内に帰った場合の心配が非常に強いわけでございまして、そのような観点からは、やはりできるだけその父兄の希望に沿うようにというような面もございまして、全体としましては、先ほど申し上げましたように、日本人学校に通っている子供の方が過半、約半分ぐらいに達しておるというふうな状況でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ここのところはきわめて私は大事ないわゆる文教行政のポイントだと思うんですよ。確かにそれは父母の立場に立ては帰国後の進学ということを考えますから、これは日本人学校あるいは補習校を一校でも二校でも、それで規模を大きくして、そこで受験勉強させてもらいたいという希望があることは私はそのとおりだと思うんです。しかし、果たしてそれでいいのかどうか。いわゆるもういまの日本は昔の日本じゃない。国際という国際社会的な動向の中の日本。日本の政治的な、経済的な比重ということを考える。しかも日本人が、いままでのやっぱり欠陥としてあったところの閉鎖性、もっともっと国際人として、日本人を大きく目を開かそうという立場に立つとするならば、ただ帰国後の進学ということだけ考えたところの行政でいいのかどうか、私は率直に申し上げてそれは非常に疑問に思う。  後ほど帰国後の進学問題については触れますけれども、帰国後の進学の問題に対するところの手だてさえ十分にあれば、いま一番大事なことは、いわゆるその子供の置かれておるところの条件の中で、国際性と、また日本語以外の話学をマスターさせる、そういう中からやはり日本人の国際人としての日本人づくりをするという一番のやはり条件に私は恵まれたものだと思うんですよ。それを生かしたところの行政ということこそが、私はユネスコの言うところの基本的な物の考え方だと思うんです。それがどうも、いま局長の話を聞くと、そうじゃなくして、父母の要望が強いから日本人学校だと。これで果たして大臣が所信表明に言われたところの国際人づくり、国際交流というものの実績を十二分に上げることができるのかどうか、非常に私は疑問に思うんですがね。父母の要望をもし満たすとするならば、現地におけるところの日本人学校じゃないんですよ。これは後から触れますけれども、帰国後高校なり大学に進学できるところの条件が文部省の文部行政の中に完備しておるかどうか。その不安があるからこそ向こうでうんと勉強させて、帰ってきてもひけをとらないようにさせてもらいたいというかっこうになっておるんじゃないでしょうかね。ここのところを私は文部行政は履き違えておると思えてならぬのですが、その点いかがなものでしょうかね、大臣。  私は日本人学校や補習学校を否定はしませんよ。けれども、そこにウエートを置くような海外子女教育のあり方ということには、率直に申し上げて疑問に思わざるを得ないんですよ。むしろ端的に言わしめるならば、先進国と言われる国の学校では学校施設も完備しておるわけですから、現地の学校の施設へやって、あとは補習方式でやる、この中でやはりいろんな日本的なものを学はせていく、そういうものにウエートを置くべきだ。たとえば、やっぱり発展途上国とかなんとかという国々の、先ほどおっしゃったところの二部制学校とか三部制の教育制度しかないところでは、やむを得ないからそれは日本人学校というものも必要でしょうけれども、ちょっとそこらあたり、私は逆さになっておるんじゃないかという気がしてならぬのですがね。その点、大臣どうお考えられますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 海外に在留しておりまする日本人の父兄にとりましては、その子女は遅かれ早かれ日本へ帰るわけでございますから、やはり帰ってからのことをまず考える、これが切実な関心事であるに違いない。この点は否定できないと存じます。  ただ、ただいま仰せられますように、海外に住んでおるということは国際感覚を身につける、国際人を養成する環境としてはこれは絶好の環境に違いございませんから、さような観点から毛、現状に改善を加えていく余地がもしありますれば、真剣に検討すべきだと、こう考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 どっちも大事だという中途半端な行政の姿勢ですが、私は、やはりこの問題は少し文部省は抜本的な検討をする段階に来ていると思いますよ。  父母の要求はわかりますよ。だから、私はその要求を入れることができるかどうかは帰国子女の受け入れの問題だと言っているんですよ。その問題は後から触れますけれども、おろそかにしておいて、幾ら海外におけるところの日本人学校を充実してみたって、これは何にもなりませんよ。だから、道さだというのはそこなんですよ。両親から見れば、父母から見れば、日本に帰ってきたときに無事高等学校に入れるだろうか、大学に入れるんだろうか、そういう施設やいろいろの受け入れ体制が不十分だから、外国におるときに日本人学校でうんと補習授業させてくれという願いに、次善の策として変わってきているんですよ。ここのところを私はやはり皆さんは主客転倒されておるんじゃないだろうかと、こういう気持ちがしてならぬのですがね。  これは大臣も御存じでしょう。香港を中心とした東南アジアではこういう小ばなしがありますね。日本人は外国に行くと、一人でおるとすぐにもう一人の日本人を見つけることに狂奔する。二人になると共同事業を計画する。三人になると、何か商社をつくるとかなんとかということを一生懸命やる。四人になると、日本人クラブをつくりたがる。日本人というのはすぐ村をつくりたがるものだと、こういう小ばなしがありますわね。文字どおりこれは日本人の閉鎖性ですよね。みんなそれは言葉が不自由ですから、われわれも外国へ行くと言葉が自由に使える日本人同士を求めること、これは人情としてやむを得ない。ここのところが、なかなか発展途上国にいろいろな援助をしても、皆さん方の十分な理解が得られない前に反日運動が起きるところの要素でもあるんですよ。やっぱり現地に行ってそこの人に溶け込んでやっていくという、このものがない限り、エコノミックアニマルというこの言葉は消えないんじゃないでしょうかね。  私は、少なくともやはり国際交流においては、その日本人としての国際人づくりという、ここにウエートを置いたところのものでなけりゃならないと思うんですけれども、どうもいまどっちも要望があるからどっちも両方考えるんですと、こういうことでは、いつまでたっても日本人のいわゆる指摘されているところの通有性というのは、これは克服できないんじゃないでしょうかね。父母の要求はわかりながらも、その真の父母の願いというのはどこにあるのかというところに皆さんは思いをいたされておらないんじゃないだろうかという気がしてならぬのですがね。そこはどうなんですか、大臣、もう一回聞かせてくださいよ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 海外に在留する邦人の子女もまた日本人でございますから、日本人として必要な基本的な知識を身につけさせる。そのために十分な時間を割くということは、これは申すまでもなく必要なことだと存心でおります。  同時に、仰せの点は十分理解をいたしますので、今後御趣旨に沿った方向で工夫の余地がないかどうか検討を行っていきたい、こう考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 もう余地がないかどころじゃなくて、余地があり過ぎるんですよ、後ほど触れますけれどもね。もっと積極的に私は検討してもちいたいと思うんです。  そこへ入る前にもう一つ尋ねておきますけれども、いま海外に行って学校の先生になられた方が帰ってきて一つの研究会をつくっておりますわね、全国海外子女教育研究会ですか、主体にしてね。この人々は、いろんな自分の経験やあるいは今後こうあってもらいたいということについて、いろいろ会合等で意見を出されておるようでございますが、こういうことについて担当局としてはどう受けとめておるんですか。ちょっとそれ聞かせてもらいたい。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) その研究会のいろんな御提案につきましてはできるだけ私どもも沿うよう努力いたしております。また、新しく赴任される先生方の研修過程におきましても、そういう先輩の方々にお集まりいただいて、個別的に有意義な御示唆をいただくというような方面にも努力しておる次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ちょっと具体的におっしゃってくださいよ。どういう中身ですかね、あなたのところが一番知っておるはずなんだから。どういう意見が出ておりますか。そんな抽象的な答弁は、大臣ならいざ知らず、あなたには許されぬのですよ、担当局長なんだから。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○政府委員(松浦泰次郎君) 一般的な形でしか記憶していないのでございますが、先生方が従来参られまして、待遇面でも、初めて外国へ行かれる方が多いものでございますから、現地の生活に非常に図られるというようなこともありまして、以前は派遣される先生方は都道府県の職員の身分で都道府県負担ということでございましたが、三年ばかり前から全額国庫負担にいたしまして、そのようなことで非常にいい先生方が積極的に対応していただけるようになったということもあって、先生方のそういう帰国のいろんな貴重な御意見をもとにしてやっておるわけでございます。また、行かれます学校が、先ほど先生から御指摘ございましたように、いろんな態容がございます。設置主体、それから校舎の関係、運動場の関係その他がございまして、一般的には施設が非常に不十分で、狭くて収容できないというような御意見を私ども非常に強く感じております、非常に内地の学校よりもいいような学校もございますけれども。それから、教材等につきまして、やはり一般的に不十分でございますので、これは国内基準に沿いましてこれを整備するというような努力も続けておりますが、こういう点につきましても先生方のそういう体験をもとにした御意見に基づいておるわけでございます。それから、通信教育等につきましても、科目の増加という点につき申してもそういう先生方の研究会からいろんな御示唆をいただいておりますし、また、細かい点につきましては、現地における宿舎のとり方とか、それから大使館との連絡の関係、事務職員の採用のあり方、それから文房具の整備、それから先生方御自身の日常生活に関しまして、国によりましては時には日本食を食べたいがそういうものがなかなか手に入らない国、そういう点ではこれは私生活にわたることでございますけれども、先生方から御要望がありますと、私どもそういうところへだれかが出張で参ります場合に、それにできるだけ沿うように個人的な問題も努力しておるという点もございますし、また、先生方が、現地の採用の先生方は教職の経験がない方が非常に多いんでございますが、そういう方につきましては巡回の研修会を開催してほしいというようなこと、それから校長先生方につきましても、もちろん一般の先生も含みますが、横の連絡をもっと積極的にとりたいというような御要望もございまして、そういう点につきましても、巡回講師の派遣とか、あるいはそう頻繁にはできませんが、世界で一、二カ所そういう校長先生方の連絡協議会というようなものを開催するというような点、全般にわたるわけでございますが、その貴重な体験をもとにしまして私どもできるだけの努力をしてまいっておる次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 私は毎年やられておるところの研究会のいろんな情報を入手しておるんですが、いま局長から指摘をされたところの問題も数多くまた何回となく出されておるわけなんです。そういう面では確かに以前からすると待遇の面あるいは現地採用の先生の再教育の面も前進しておる点は私はあると思うんですがね。こういうふうにやはり出ておりますのはまだ腰かけで来るところの先生がおらぬといえないということも一つ現地の方から上がっておるのです。本当に自分は国際交流の一先生として行こうと、役割りを担うとしても三年間ですから、行って外国語でも勉強してくるわ、英語の勉強にでも行ってくるわと、これもやっぱり後を絶たぬみたいですよ。あるいは精神的に家庭的に安定しないために現地でノイローゼになっていろいろな事件を起こす場合も外地ですからありますわね、遮断をされるからね。そういう問題の中から、文部省は選定をするときに、もっと教育に対する情熱のある先生をという、そういう声がやはりあるということもきわめて大きな要素なんですよね。  もう一つは、先ほどの進学の問題じゃございませんけれども、たとえば、ことしの採用されたところを見ましても、大都会の先生方は比較的に少ないようですね。もっと大都市出身の先生方を送ってくれぬだろうか、これはある日本人学校におけるところの補習授業等いろいろなものと関連する、進学問題と関連して、こういうところのやはり要望等もある。同時に、せっかく帰ってきても自分たちが国際間で学んできたところのいろいろなものを生かすような人事配置がないために、勢いここが宝の持ち腐れになっておるという髀肉の嘆をかこっておるところの先生方も少なくないんですよ。私はやはりこういう面についても、もっともっと文部省は耳を傾けてあれをやっていただかなければよりよい効果を導き出し得ないんじゃないだろうか、こういうことを強く感じておりますので、先ほど局長の答弁されたことに付加してこのことも十分念頭に入れてやってもらいたいということを申し上げておきたいんです。  そこで、時間の関係もありますので次に進みますが、帰国女子の受け入れの問題についてお聞きしたいと思うんですが、この件については、先ほど来触れてありますところの七四年の五月の中教審答申からもいわゆる四項目にわたって具体的に答申がされておるんですが、恐らくこの答申に基づいていろいろその受け入れ体制の充実のためにやってこられておると思うんですが、その具体的な中身をお聞きしたいと思うんですが、四十九年の四月の第七十二国会におきますところの、当時は局はなくて、所管は文化庁にあったんですかね。だから文化庁長官が答えておるんですけれども、当時は国立関係で受け入れる関係の学校は東京学芸大学附属の大泉小中学校、神戸大学の教育学部の附属住吉中学校、高校は東京学芸大学附属高校、四十九年から。公私立ての小中学校は実験研究協力指定校を置いておる。高校は四十九年から指定校を十校にすると。こういう当時答弁があったんですが、この答弁からどの程度受け入れの、そういうものの学校の準備というのは進んでおりますかね。現在の拡大されたところの状況をひとつ報告してください。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 帰国子女の受け入れには学校の協力を確保するということが非常に大事でございます。  ただいまの御質問でございますが、国立大学の附属学校の受け入れの学校数でございますが、ただいまは小学校で五校、中学校で五校、高等学校一校がそれぞれ帰国子女教育学級というのを設けておりまして、合計十一校になります。そして明年度からは小学校一校をさらに増加すると、こういう予定になっております。それから、この帰国子女教育学級という独立の形ではなくして、通常の国内で育った子供たちと一緒に、いわば混合受け入れ学級方式と申しますか、そういう形でいたしておりますものが中学校五校、高等学校一校、合計六校、こういうふうに徐々にこの面の取り組みを拡充をしてきておる次第でございます。  それから、公私立学校に対しまして、この面の教育に協力を求めるという方式としていたしております帰国子女教育研究協力校の指定でございますが、これは今年度におきましては小学校が二十八、中学校が二十五、高等学校二十と、合計七十三校という状況になってございますが、明年度予算におきまして、さらにこの協力校を十校増加していただくようにただいまお願いをしておるところでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 じゃ具体的にお尋ねしますが、どれほどの収容人員ですか、定員ですかね、いまあなたがたくさんあるみたいなことをおっしゃったのは、総計で。収容人員と申しますか、収容定員。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 国立の方では五十七年度の体制としまして、小・中・高等学校合わせまして、そして帰国子女教育学級とそれから混合受け入れ方式と両方で九百二十七人という定員になります。それから公私立の方、これはまだ明年度のこの体制の数字が出ておりませんで、これは今年度の推計数になりますが、別枠宝貝受け入れというような形では二千人、それから全体定員の中で協力して受け入れという形のものが約二千五百人で、両方で四千五百人余り、こういう状況でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 先ほどの父母の帰国後の問題とも関連をしますが、一番の受け入れの問題は高等学校ですよ、何といっても。しかし高等学校は、私の知る限りでもこれはきわめて少ないですわね。国立が帰国子女教育学級というのは一校でございましょう、いわゆる東京学芸大附属の大泉高校。あるいは私立にしても、国際基督教大の附属高校、暁星高校、同志社大学の附属高校。なるほどそれは小中学校は義務制の学校でもそれは受けることはできるでしょう。一番父母の帰国後の悩みを持っておるものは、高校への進学、引き続いての大学の進学ということでしょう。こういうことからこう見ますれば、余りにも少ないと思いませんかね。どうですか、局長。正直におっしゃいよ。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 帰国児童生徒数でございますが、中学校の段階で帰ってくる者が五十五年度では千五百人、高等学校の段階で八百六十七人と、こんな数字になっておりまして、小学校も合わせると全体で七千五百人と、こういうことでございます。で、やはり中には、先ほど来宮之原委員御指摘のように、日本人学校で教育を受けてまいりまして比較的こちらの国内の教育に入り込みやすい子女もおるわけでございます。やはり、どちらかと申しますと現地の学校やあるいはインターナショナルスクールのようなものに通学した子供の中には、どうしても国語の読解力でございますとか、あるいは数学等の学力などで必ずしもすんなりこちらの状況に入り込みにくいと、こういう子供がいるわけでございます。やはりそういう子供たちの教育を手当てをするためにいろいろなことを工夫をしておるわけでございますが、国立の方は御指摘のように一校でございまして、これは人数にして百六十五人という定数でございますが、これはまあ全体から見て国立自体の数も少ないわけでございますが、やはり国としての一つのモデルと申しますか、国としての姿勢を示すという意味合いもありましていたしております。で、これだけでは御指摘のように不足でございますので、私立の高等学校で三校、特別の学校が設置されると同時に、帰国子女教育協力校ということでやっていただいておりまして、これらの人数は高等学校の分として公私立て約二千百名と、こういう数字でございまして、したがいまして、まあこの数字についてなお十分でないという見方もあり得るかと存じますけれども、いまもるる御説明申し上げましたようなことで、帰ってきます者の中で特に特別の指導を必要とするような者をできるだけこういうところへ受け入れていこう、そういうことで年々この数についても協力を求めて、協力をしてくださる学校を少しずつ多く確保すると、こういうことでまいったのでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 余りごまかさないでくださいよ。五、六年で一つも変わってないですよ、私立の受け入れ校あたりは。基督教大にしても、暁星高校、同志社の附属高校にしても、ここはあんた十年来同じじゃありませんか。私立でどこが広がったんですか。帰国子女が、一昨年が七千七百三十一名、昨年は九千名前後ですよ。けれども、いまあんたが小さな声でぼそぼそ言われた受け入れ体制ってのは四千四百八名しかないんですよ。半分は入れないんです、半分は。だから無理して一般の公立学校に入らざるを得ない、あるいはいろんなハンデの状況も負わざるを得ないんですよ。あなた方は三書目には中教審答申を尊重してやりますと言いながら、事この国際問題については全然やってない。そればかりでありませんよ。中教審答申だけじゃなくて、昭和四十八年七月の衆議院の外務委員会でも海外子女教育等に関する小委員会というのがつくられて、そこで六項目にわたるところのちゃんと決議が出ておるんですよ。これもそのままほったらかしているんです、私から言わしめれば。しかもそれだけじゃないんです。昭和五十年にも文部省は十七名の有識者から成る海外子女教育推進の基本的施策に関する研究協議会というのを発足させておりましょう。それで、五十一年の四月にはその報告も受けておられるんです。けれども、その受け入れの体制は率直に申し上げてなかなか進んでいないんです。予算の制約がありまして非常にむずかしゅうございましたと言うならまだ正直なんです。それをあたかも十二分にやっている、いまみたいな答弁をしてもらっては困ります、そんなごまかしをされたんじゃ。  それなら聞きますが、大学進学問題での受け入れ体制はどうなっておりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 前段の御質問に対しましてお答えをさせていただきたいと存じます。  私立の帰国子女受け入れの高等学校、これはこのために設置した高等学校で、一般の高等学校の協力校とは別に、このために、そのことを目的としてつくられたところでございますが、これは、まずその第一号と言っては何でございますが、最初の国際基督教大学高等学校というのは五十三年四月の開校でございます。その次の暁星国際高等学校が五十四年四月の開校でございます。同志社国際高等学校、これは五十五年四月の開校。こういうことで推移をしてきたわけでございます。  それから、公私立の帰国子女教育研究協力校でございますが、これは若干の推移を申し上げますと、五十年度には二十五校で帰国子女の数七百八十四人、五十二年度が四十八校で千四百四十八人、そして、ここにいま五十五年度までのものがございますが、六十校で二千七百七十九人、五十六年度の数字はまだ正確でございませんが、学校数としては先ほど伸し上げましたように六十四校と、こういうことでございます。六十四校というのは、これは小・中・高等学校の数でございますが、高等学校だけをとらえてみますと、九校、十三校、十八校、こういうようなことで漸次この面の体制を整えてきたということは申し上げられるのではないかと思うんでございます。  それから、人数の点でございますが、このような学校に入る子供も――もちろん必要な子供はこのような学校で受け入れるわけでございますが、やはり人それぞれで、一般の学校に入りたいというふうに希望して普通の学級に入っていく子供もおるわけでございます。そういった全体をにらみながら私どもとしてはいろいろな意味の手当てを講じていきたいと、こういうふうに思っているのでございます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 帰国子女の、特に大学への受け入れの状況についてのお尋ねでございますが、大学入試は、これはもちろん基本的には大学自体が定めて行うものでございますが、お話しのように帰国子女がふえてまいっておりまして、制度的な点でまず申し上げますと、外国において高等学校レベルの教育を受けた者につきまして、学校教育における十二年の課程を終了していればいずれもわが国の大学入学資格が認められるわけでございますけれども、さらに最近では、外国との学校教育制度の差異を超えまして大学入学資格が得られるよう弾力化を図ってきておるわけでございます。それから第二点は、学期の区分が外国と日本で違う点も考慮いたしまして、いわゆる九月入学というようなことで、学年の途中においても学期の区分に従って入学させるというような仕組みも考えてまいっております。  そこで、実際の受け入れでございますが、たとえば、受けてきました教育が異なることや日本語能力が十分でないというような問題がございますが、一つには、推薦入学等におきまして外国での教育体験等を評価するというような形で入学者選抜の上で工夫改善を図るというようなことを指導し、また、具体的なそういう措置をとっております大学は、昭和五十六年度入試で申しますと十八大学七十八学部になっております。ちなみに前年度は十六大学六十四学部ということであったわけでございます。そうして、こういうことで入学しました者が百九十七人で、これは前年度が百三十人でございますが、そういうことで、そういう外国での教育を特に配慮した入学の扱い方というものは、徐々にではございますが順次広げていただいてきておるところでございます。なお、このほかに一般の受験者と同様の受験をして入学をした者が百五人おりまして、合計三百二人が入学しているというような状況になっております。  たとえば具体的に一、二申し上げますと、筑波大学において推薦入学を五十二年度から実施しておりますし、また京都大学におきましては、ことし五十七年度から法学部において、特に高校の最終学年を含め二年以上継続して外国において教育を受けて卒業した者について特別の試験をするというような事柄も取り組んでいるわけでございます。そのほか私立の大学では、青山学院大学、慶応義塾大学、国際基督教大学等、先ほど申しましたような数の大学がそういう帰国子女についての特別の入試制度をするというようなことで、徐々にではございますが、そういう方向が打ち出されていると。もちろん、まだ必ずしも十分な数でないと思っておりますので、私どもとしても今後ともそういう面で大学の入試制度についても弾力的な取り扱いをすることが必要であると思いますし、今後ともそういう面では指導してまいりたいと、かように考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 また後から指摘しますけれども、さっき私は受け入れの問題が一番重要な問題だと申し上げたんですが、これは、いま両局長からいろいろありましたけれども、やはり絶対数は少ないんですよ。ここにやっぱり問題があるということだけは認識しておいてもらわなきゃ困るんですよこれは。  たとえば、これは文部省はどう受けとめていますかね。この間十九日でしたか、ある夕刊紙にこれが出ていましたね。「進学塾海外にも“出店”」という見出しです。最も暑いこの三、四月の東南アジアで、バンコク、シンガポール、ジャカルタの三都市で日本人学校の生徒が春休み返上の特訓を、東京に本部のある進学塾の主催で春季講習会という形で行った、現地の日本人学校の先生は渋い顔、うらはらに父母、生徒にはなかなか好評、こういう報じられ方なんですね。これは一体何を物語るかということなんです。これは担当局長、どうあなたは読みましたか、この記事を。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 私はいまお聞きしたんでございますけれども、やはりこれは、現実の国内における実態がそこまで反映して及んでいくと、こういうことかと存じます。日曜日あるいは学校の休業期間におきまして民間の方々によります講習会といいますか、あるいはテストの会と申しますか、そういういろいろなものがあるわけでございます。それがついにそういう海外にまで伸展をしていったかと、こういうふうに感じるわけでございます。父兄の側の需要といいますか、ニードがあればそれなりにそういうふうな動きが出てぐるということかと思いますけれども、私どもとしては、こういった面のことはできるだけ余り過熱にならない方が望ましいというふうに考えてはおりますけれども、現実問題としてそういうことがあるということは、何と申しますか、言ってみればある意味でいたし方のないようなことであろうかというふうに思うのでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 評論家みたいなあなたの答弁を聞いてがっかりしますよ。あなたは文教の府の責任者の一人ですよ。いたし方のないことですと、自分たちは顧みて何にも感じないんですか。国内においてもあれだけ進学塾の問題があって、塾の問題が大きな問題になっているのに、これもいたし方のないことだとしかあなたは思っておらない。海外へ出るのもいたし方ない。教育に携わる者から見れば、ついに進学塾、唐天竺にまでかと言いたいですよ。なぜこれが起きるかという、ここのところを行政責任者はもっと深刻に受けとめてもらわなきゃ困るんです。仕方のないことであなた済まされますか。あなたが通産官僚ならそれでいいでしょう。これはいわゆるそろばんとして、経営として成り立つことですから、それはもう仕方のないことですということで済むけれども、あなたは文部省の初市局長ですよ。これが仕方のないことですとにやにやできますか。そこが文部省に教育行政がないところだと言われるゆえんなんですよ。もっと考えてみてくださいよ。  しかも、中身をもっと申しますと、こう書いてあるんですよ。Kという東京にある進学塾は、東南アジアの各都市に進出しておる。マニラにはすでに一年じゅうあるところもあるという。香港には昨年の九月に横浜の進学塾が進出をしておる。大阪にある某学習塾は、ニューヨーク、トロント、台北など十一都市でできておる。そして、バンコクでのこの四週間の春季講習費は二百二十ドル、約五万円だと報じられておる。これだけでとまってないんです。今度は、向こうで勉強するのと同時に、春休みになるとわざわざ子弟を日本に帰すというんですよ。志望校の視察、受験情報の入手、日本の学習塾に短期に勉強に来ると、こういうんですよね。あるいはまた、バンコクの日本人学校では、七十六人の中学三年生のうち二十六人から二十七人は、もう二年を終了するとすぐ日本に帰るというんです、受験準備のためにね。言うならば、確かに父母から見れば、自分の子供たちの帰国後の進学はどうなるだろうかというのが最大の悩みであることは事実なんです。もしこれが、先ほどは得々とこれだけふえましたというお話がありましたけれども、いわゆる海外子女の受け入れ学校の設備というところにもっともっと予算が充当されてこういう心配がなくなるとするならば、こんなことまでしませんよ。そのことの少なきをみずから恥じようとしないでおって仕方がないですなんて言って、ちょっと私はいかがかと思いますね。文部大臣どうですか、このことは。これも仕方ないことですか。私はもう文部大臣からお聞きしたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 委員長……

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 ちょっと待ってください。あなたに聞いているんじゃない。文部大臣の所感を聞きたいんだ。これ、仕方のないことなんですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 海外に在留いたしております父兄の一番大きな関心事は、やはり帰国してからの進学の問題でございましょうから、勢いそのような現象が出ているかと存じます。もとよりこれは好ましいことだとは存じておりません。御指摘のように、受け入れ態勢の整備にさらに力を入れて充実を図ってまいりますれば自然に解消する問題であるに違いない、こう考えますので、先ほど来御指摘の受け入れ態勢、現状については政府委員から御説明申し上げました。その努力もいたしております。逐次ふえてきてもおるわけでございますが、なお、足らざる点も多々あると存じますので、引き続いて努力をしてまいるつもりでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 これは私が指摘しておるだけじゃないんです。これは海外子女教育振興財団というのがありますわね。この皆さんも、やはり帰国子女教育研究協議会同様、このことをやっぱり端的に指摘しておるんですようそだと思うなら、あなた方その関係文書をよく見なさいよ。お役人の皆さんも、自分のやってきたことの不十分さを認めると自分の値打ちが下がるみたいに思ったら大変なことですよ。常に足らざるを努力するという、その努力あってこそ国民の負託にこたえ得るんですよ。一番の根本の問題を抜きにして仕方がないからでは済まされない。したがって、もっともっと受け入れの問題については省を挙げて私は努力してもらいたい。このことだけを申し上げて、次に移りたいと思います。  留学生の問題ですが、この現況はいろんな資料を見ればわかるんですけれども、どうも今日の日本の国際的な比重からして、国費の千五百七十八名という留学生は何といっても少ないんじゃないかと私は思うんです。これは逆に、わが国のこの国費の留学生が赴いているところを見ますと、みんな西欧先進国主言われるところの国々がほとんどなんですね。それは気持ちとしてはわかりますけれども、将来の日本、あるいはアジアにおけるところの日本というものを考えていくとするならば、もっともっとやはり十年、二十年後の長期を見通して、東南アジア諸国にもいわゆる日本の留学生が独自の勉強に行けるような行政指導というのもあってしかるべきだと、こう思うんですけれども、この日本の国費留学生が他の先進国に比して少ないという問題の理由はどこにあるのか。あるいはいま申し上げたところの、いわゆる日本からの留学生というのはほとんど欧米諸国志向型であるという、このことについてどう大臣はお感じになりますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 国費留学生の数ということになりますると、この点だけとらえますれば、諸外国に比べてはなはだしく数が少ないという現状では必ずしもなかろうと存じておりますが、一般に留学生が少ない、今日、国費、私費を合わせて七千数百人という現状は、まあまことにいまだしの感がございます。  その原因としていろいろ考えられると存じまするが、たとえば言語の壁というようなこともございましょう。あるいは東南アジア等におきましては、旧宗主国との関係、マレーシアでありますればイギリスへ留学する者が圧倒的多数を占めておったというようなことも事実でありましょう。マレーシアにおきましては、これから留学生の重点を日本へ置いていこうと非常に歓迎すべき傾向が出てきておりますので、これに対応いたしましてマレーシアからの留学生の受け入れに積極的に努めてまいりたい、かようなことも考えておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 やはり日本への留学生が少ないと言われているところの要素には、日本語習得と学位取得の困難さが一つのネックになっておると多くの人が指摘をしている。このことはもう古くて新しい問題ですが、よく留学生の諸君と話をしてみてもそのことが出てくるんですよ。現状の日本語教育をもっと抜本的に改善をするところの方法はないのか、あるいは学位、特に文科系統の博士号ですね、この取得のむずかしさの緩和とか、手続をもっと明確化できるような方法はないかということをほとんど多くの留学生がやはり問題点として私どもにこぼされるんですが、私はいま大臣のお答えになられたところ以外に、ここのところにやっぱり一つの障害点があるんじゃないかと、現に皆さんの話を聞いても思うんですけれどもね。これは大学局長ですかね、この点どう受けとめておられますか。そしてまたどう改善をしようとされておるのか、あるならまずお聞かせ願いたいんだ。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 学位授与の問題に関連しまして、特に留学生の場合に学位の取得が困難だというようなお話は具体的にも聞いているわけでございます。まあ一つは、これは日本の大学の博士課程の問題とも絡むわけでございまして、具体的に博士課程が置かれていない大学についてそれぞれの大学から博士課程の設置についてのいろいろ具体的な要望も伺っているわけでございます。そういうことで、たとえば農水産系の連合大学院構想というような事柄などについてもすでに検討はされてきておるわけでございますが、なおまた具体的なところまで進んでいないというのが現状でございます。これらの問題点については、現在大学院問題全体についてどう取り組むかという基本的な問題があるわけでございまして、私ども、学識経験者の方々にお集まりいただいて、調査会議も設けて検討を進めているわけでございますが、その中でただいま御指摘の留学生の学位取得の問題等についても、やはり問題意識としては十分私どもも一つの問題点という意識は十分意識をしておりまして、その調査会議等においても今後御検討をいただくべき課題ではなかろうかと、かように考えております。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 まあ大臣ね、鈴木総理は、口を開けば世界の日本と、こう言われるんだからね。しかし、やっぱりこの学問、学術交流、教育交流の中でも、単に経済的に比重の高い日本ばかりでなくて、こういう面でも米やすい、あるいはまた来ていろんな交流をする中で国際理解が深まって相互の親善が保てるようなやつを私はやっぱり文部省としても積極的にいま考えていただきたいと思うんですよ。これは単に東南アジアは宗主国に行く傾向が強いからということで済まされる問題じゃないんですよ。やっぱりいま私が具体的に指摘をしましたところの問題はやっぱりネックになっておること、これは事実でございますからね、前向きにひとつ検討を願いたいと思うんです。  それと、時間が参りましたので、もう一つ最後にお聞きしますが、例のこの外国人の教授採用の問題ですね。これ何か聞くところによると、公務員法の壁が厚くてなかなかその関係法案を出すことが足踏みをしておるんだと、こう伝えられておる。その真相です、真意はどこにあるのかね。まあ確かに公権力行使または国家意識の形成に携わる公務員は日本国籍を持っておる者に限る云々という規定があるから外国人が日本の大学の教授になれないんだと、こういう仕組みなんでしょうけれどもね。余りいわゆる先進国と言われておるところの国々の大学間では通用しない話ですわな、これ。ここにも日本の閉鎖性があるんです、率直に申し上げて。これがネックになっておるというようなかっこうですけれども、これを余り盾にとってこの道が開けないとするならば、これはやっぱり角を矯めて牛を殺す結果になりかねないと思うんですがね、このことについてどうお考えですか。それと先ほどとの問題に関連してお答え願いたいと思うんです。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのように、外国人は公権力の行使または公の意思決定に参画すべきでないという法律の規定があるわけではございませんが、一つの法理として一般に理解されておるわけでございますが、大学等における外国人教師の任用につきましては、かような法理があるとしても当然弾力的に理解されてしかるべきでございましょうから、ただいま自由民主党の党内で検討が進められておりまして、だんだん煮詰まってきておるというのが現状でございます。成案を得てこの国会に提案されますことを私どもも強く期待いたしておるわけでございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 それはいま自民党で検討されておるという中で、何か学長や学部長等の管理職に任用を認めないという条件づきだという話も伝わっておるんですが、これは学部長、学長をだれにすべきかというのは、これは大学自治にゆだねるべき問題じゃないでしょうかね。大学の教授会、いろんなところで、これはいろんなところから見ても一点非の打ちどころがないところの外人がたまたまおったとして、それを学部長にしても僕は何ら不当なことはないと思うんですがね。当然大学が自主的に判断せなければならぬことまで、それはそういうことは認めないという条件づきでこれを認めるというようなことでは、これまたますますおかしいと思うんですがね。認めるならあっさり認めて門戸はやはり思い切って開放するぐらいのことでなけりゃこれはいかがかなと思いますがね。これも私はずっと長時間にわたりまして、大臣の国際交流に関するところの所信表明と関連しながら、言いながらやってきたんですけれども、どうも皆さんは口では国際的だ、どうだこうだと言いながら、いろんな壁を設けて、自分で閉鎖社会に閉じこもっているという印象がしてならぬですが、そういうことも含めて、いまの件、最後にやっぱり大臣のお考えをお聞かせ願いたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) ただいまの点につきましては今日なお検討の過程にあるわけでございますが、管理職に任用するということになると、先ほど申し上げました法理と真正面から抵触する問題ではないかという議論が強いわけでございます。何分ここで画期的な制度を導入しようとしておる矢先でございますので、たとえ未解決の点を残してでもこの際ぜひ法律を成立させたいと、こう私ども考えておる次第でございます。

宮之原貞光日本社会党

○宮之原貞光君 全体的なことについて最後に所信を聞かせてくださいよ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 先ほど来いろいろと御高説を承ることができまして、国際交流を促進して日本人の閉鎖性を打破しなければならないと、さような観点からも最も肝心なことは帰国子女の受け入れ体制の充実を図ることであるから、さらに努力せよという御意見でございます。きわめて適切な御指摘をいただいたと考えますので、これから先も鋭意努力をいたしまして、今日まで努力の足らざる点があったといたしますれば、これを補ってまいるつもりでございます。    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 去る二月の二十三日に文部大臣の所信をお伺いいたしました。教育は国政の基本である。また変化する社会環境で個性、能力を伸ばすことを考える、また他人への思いやりだとか連帯意識、生きがいのある生活、国際社会で信頼と尊敬を受けるような人間をつくりたいと。あるいはまだ伝統文化の継承と独創的な研究の振興を図る、このような序言がございまして、まことにりっぱなお言葉であると思いまして、これについては全く同感でございます。  さて、しかし、この目的を達成するための施策についてはいろいろと細かい点で疑問がございますので、以下、御質問をいたしまして、所信をお伺いしたいと思います。  最初に、「初等中等教育の充実改善について」というお話がございますが、ゆとりある、しかも充実した学校生活を実現して人間性豊かな児童生徒の育成を目指す新しい教青課程というのは、具体的にはどのようなことをお考えになっておりますか。  最近、「ゆとりある」とかあるいは「豊かな」という言葉が大変出てまいりまして、聞いた耳には大変快く響きますけれども、現実的には非常にこれはむずかしい内容を含んでおる。また、その達成には種々の方法があって、具体的にはなかなか困難なことであろうと思いますが、文部大臣は、具体的には大体どのような方針をお持ちでございますか、その点についてお伺い申し上げたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 今日の教育が、ともすれば知識の詰め込みに偏り過ぎている、そのような反省に立脚いたしまして、児童生徒が、精神的にも、あるいは時間的にもゆとりのある中で、質的に充実した教育が行われるべきである。知識の偏重を避けて、たとえば勤労生産学習、動植物の栽培を中心にいたしまして、生あるものに対する愛情を培う、あるいはそれによって正しい勤労観を身につけさせる。それによりまして、知・徳・体の調和のとれた育成に努めていこう、こういうねらいで、さきに教育課程の基準の改訂に際しましては、教育内容を基礎的、基本的な事項に精選をいたしましたり、あるいは授業時間を減らして、学校の教育活動にゆとりを持たせるようにするとともに、学校それぞれの創意を生かした教育活動が自由に展開されるようにという配慮をいたしておるわけでございます。また、そのような趣旨が有効に実現されますように指導に努めておるところでございます。なお、各学校の新しい教育課程の実施の状況を見ておりますると、たとえば休憩あるいは給食の時間をふやして学校生活にゆとりを持たせるとともに、これまでの授業の方法にも工夫改善を加えたいわゆるゆとりの時間を活用することに努めまして、あるいはまた、おくれている子供を個別に指導していく、さまざまの工夫を行っているところでございます。  大変あらましのことを申し上げているのでございますが、この目的のためにきめ細かいいろいろなことを実行いたしておるわけでございまして、お申しつけでございますれば、政府委員からなお詳細にお耳に入れさせます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 私もそのように思いますが、いわゆる基本的なものに限っていくとか、あるいは教科の授業の時間数を減らす、あるいは自然に親しんでいくとか、あるいは休憩の時間をふやす、あるいは個別の指導をして落ちこぼれのないようにすると、大変、私結構なことだと思います。  これに関しまして、しかし一九八〇年以降、学校教育の現状や青少年を取り巻く社会環境を見る限り、どうもゆとりがあり、自然を親しむ愛情の深い、そういう青年ができるべきであったんだけれども、その期待は私は裏切られているように思うわけでございます。  まず、ゆとりのある教育の一つの施策として政府がとられているのは、例の四十人学級の実現もその一つではないかと思いますが、大都市におきましては、当分まだ窮屈な状態が続くのではないか。この四十人学級というのは、いつごろどのような過程で満たされていこうとしているのか。個別指導と言えばやはりそれだけの教官が必要であると思いますが、いまのところどのような順序を踏んで行われようとしているのか、その点についでお伺いをしておきたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 高木委員御高承のとおり、今回の定数改善計画は昭和五十五年度から発足をさせたわけでございます。当時すでに財政的には厳しい状況にはございましたけれども、たび重なる御論議の結果発足をさせていただいておるわけでございまして、ただ五十五、六、七の三年間はおおよそ三十万人ぐらいずつ、まだ小中学校の児童生徒の自然増が続くということもございましたために、そしてそのための教員の定数増は九千人余りずつ毎年必要である、こういう状況下にありましたので、五十五年度から月十人学級を発足をさせましたのは、これはただいま御指摘の大都市ではないところの、むしろ人口減少市町村で、そうして四十人学級を実施いたしましても、特に教室の増設を必要としない余裕がある学校、これをまず先に適用して走らせるということでスタートしたわけでございます。そして、これは五十五年に始めた学校は五十六年それから明年度も、いわば学年進行のような形で四十人の学年を上に上げていく、こういう措置にいたしてございますが、午前中も御審議がございましたように、その後、昭和五十五年には予想しなかった状況にさらになってまいりまして、第二次臨調からこの面についても抑制を図るという趣旨の答申が出ましたので、さきの特別国会におきまして、行革関連特例法の中に、やはり本件の改善計画につきましても財政事情を考慮して対処するということになりました。  したがいまして、すでに走らせた学校については、これはやはり必要でございまするので、続けるために三百数十人の措置をいたしたものでございますが、その他のいわば一般の市町村につきましては、私どもとしては、これは五十七、八、九という財政再建期間が過ぎました後におきましてこれに取りかかることにいたしたい。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕 そういたしまして、ただ、せっかく決めていただきました定数改善十二年計画でございますから、五十五年から発足して十二年の期間の間に、当初決めましたとおりの形の計画でこれを実施をするように努めたい、こういうふうに思っておるのでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 ぜひ最初の計画どおり、当初は少し遅くとも計画どおりにこれは実施していただきたい。これでも遅いのではないかというふうにも思うわけでございます。  さらに、最近御存じのように校内暴力が多発しておりまして、また少年非行が非常に激増しているということは、まことに憂うべきことだと存じます。これは学校教育あるいは家庭教育の荒廃を示す事件ではないか、こう思いまして、社会問題化しておることは御存じのとおりでありまして、多方面からこれについて論争が起こっておるわけでございます。この学校教育の危機的な状況を目の当たりにして、政財界からはいろいろの意見が出ております。これについて文部大臣の御所見を少しお伺いしておきたい。  第一は、教育制度の改革ということでございますが、六・三・三というものをもう一遍見直そうではないかという機運もあるように存じます。  第二は、教科書の内容も変えていこうと、教育基本法に対しても疑問が持たれている、さらに教科書の検定諸制度の強化ということも考えなければいけない、その中で愛国心を強めて伝統を重んずる内容に乏しいのでこれをもう少しふやしていきたい。もちろんそういうのが政財界から起こっている意見でございますが、これに対してまた反対の意見もあるということは御存じのとおりでございます。文部大臣はこれに対してはどのようにお考えか、簡単に御所感を伺いたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 少年の非行、あるいは校内暴力の問題、家庭教育、社会教育、あるいは学校教青、それぞれの機能が低下していることから出てくるいろいろな要因が絡まり合っておる非常にむずかしい問題だと考えております。家庭がだんだん核家族化いたしまするためにとかく過保護に陥って、きわめて大事な幼児期の教育がなおざりにされておるということもございましょう。あるいはまた、学校におきましては、校長を中心に一体となって取り組むという姿勢において欠けておる、あるいは一人一人の生徒に対する配慮が足りない、いろんなことが原因になっておると考えられまするので、学校教育、社会教育、家庭教育について、それぞれこれに対応する措置をとり、拡充に努めておるところでございます。  ただいま仰せの現行の学制と関係があるのではなかろうかというお言葉でございますが、現行の学制と関連なしと宣言い切れない問題だと存じております。また、学制の改革ということは、きわめて慎重に検討を重ねた上でなければ安易に実行に移せる問題とは考えておりません。  先ほども宮之原委員の御質疑に答えたわけでございますが、中教審に対して時代の変化に対応する初中教育のあり方ということを諮問申し上げております。学校の制度も教育内容と密接な関連を持っておりますから、この問題についても種々の御論議がなされ、御意見が出てくると予想をいたしておるわけでございます。そういう御論議、御意見等も踏まえまして、慎重に研究をしてまいりたいと存じております。  教育の内容につきましても、これまた中教審に諮問を申し上げておるわけでございますが、大切なことは、やはり知・徳・体兼ね備えた人間性豊かな、健やかな児童生徒を育てていくことでなければならない。さような観点から、今日の教育内容になお改善、充実を図る余地があるといたしますれば改善を図っていくべきだと、このように考えておる次第でございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 確かに非常にむずかしい問題でございますから、早急な結論を出すということはかえって将来誤りを来す、そういう意味では対策は慎重にやりたい、中教審の意見も聞いて自分たちの決定をしていく、こういうふうに進めていかれることは私も全く同感でございます。  それで、これに対して、いまお話がありましたように、昨年の十一月に中央教育審議会に諮問をされまして、「時代の変化に対応する初等中等教育の教育内容などの基本的な在り方について」ということを諮問されているわけでございます。  ただ、ここでもう一つお伺いしたいと思いますが、時代の変化に対応するとか、あるいは「今後予想される時代の変化等を見通し」という言葉があるわけです。私ちょっと考えますと、まず文部省自体は今後この二、三十年の間にどのように変化をしていくとお考えになっておるかということ、それをどのように把握をしておられるか、ただ中教審に依頼するということではなくて、自分自身としてはどのような見通しを持っておられるかということを、もし御意見があれば伺いたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) これは事柄の性質上、非常に的確な、たとえば数字で表示できるような見通しというものを立てることは困難でございますが、たとえば高齢化社会、これは必ず到来するに違いない。現にその過程が進行中でございます。人類がかつて経験したことのない社会が実現するという見通しは、これは決して間違いでないと存じておりまするし、国際関係がきわめて緊密なものになってきておる、これからもますます緊密化していくであろうということは現に私どもが実感いたしておるところでございまするし、交通手段、通信手段の発達に伴って加速されていくに違いない。あるいはまた、いわゆる情報化社会あるいは産業構造の変化、相当急速な勢いで進んでまいるに違いないということははっきり予見されることだ、こう考えておるわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 あることに対する施策をやるという場合の私の考えを申し上げまして御参考にしていただきたい。  未来におけるその施策の効果を予測するというためには、私は現時点における初期条件というものをはっきり決めなければいけない。たとえば教育について言いますと、細かいことですけれども、生徒の学習意欲であるとか、あるいはいまお話しになりましたような現在の社会条件あるいは自然環境条件、こういうもの現状分析が必要であろうと思います。ところが、御存じのように、分析しようと思いましても関係する因子が多種多様でございまして、しかもその力関係が計量しにくいという性質を持っております。いわゆる数量的にその因子の分析が表現しがたいという面がありますので、その現状分析の結果はきわめてあいまいな初期条件しか得られないのではないか、これが現在の現状であろうと思うわけです。これをイデオロギー的に固定して考えたりすれぼ非常に間違いが大きくなるのではないかと。現在の学校内暴行にしましても、そういうものをある一面から見るということはどちらから見ても非常に危険な要素を含んでいると私は思います。そういう意味では、この初期条件を決められるときにも、ごく自然な、素朴な。平らな心でこれをながめることが必要であろうと思います。現在起こっているいろいろの制度改革とか教科書内容、教科書の改訂、検定、いろいろ問題が起こっておりますが、それらはどちらかに偏した形で考えられては絶対にいけないというのが私の考えでございまして、その点をまずお含みいただきたい。  次に、この初期条件がはっきりしました場合に、教育というのは時差的の効果がありまして、非常に年数が長いわけでございますから、いまお話しになりましたような社会条件の変化というものがこの二、三十年間にどのように起こっているかということは非常に予測が困難であろうと思います。そのために、これに対する法則性というものを見出すことがまた困難であります。したがって、その結果の予測ということはきわめて困難であろうと思うわけでございます。中教審に委嘱をされてはおりますけれども、文部大臣の一つの意見として、いまもちょうどお話しになりましたように、教科書の編さんあるいはその他の改革につきましても審議会の皆さんにぜひこのことを十分頭に入れて今後審議をされるように、文部大臣からひとつお伝えを願いたいというのが私の意見です。  次に、私は医学者であり、また生物学者、生理学者ではございますが、たまたま保健体育の教科書を見ました。これに関する意見がございます、私の考えがございますので、お聞き取りいただきたい。また御意見もお伺いしたいと思います。  公民社会が現在非常に濃密に取り上げられておりまして、教科書問題というと公民社会の問題であるかのごとき感を受けるわけでございますが、私は保健体育の教科書を拝見いたしましたけれども、その中には現在の常識かるいって、あるいは学問水準からいきまして、どう考えてもこれはうそである、間違いであるというようなものが幾つかございます。これを若い頭の中に暗記させるということは非常に危険であるというふうに考えますので、教科書の編さんあるいは改訂という場合にも、ぜひ公民社会ではなくって、その他の教科書ももう少し十分見られる必要があろうと思う。検定に当たられる教授の二、三の方にお伺いしましたけれども、原稿が回ってくると、もしも書き直すとすれば、全部書き直せば書き直せるけれども、できたものに手を入れるといっても、なかなか手が入れられるものではないというようなお話がございますので、検定はだれだれという名前を挙げるだけではなくて、その具体的なやり方についても今後御工夫をなさることが私は大事だと思うわけです。また、ある問題につきましては、現在学界においてもまだ意見があるというものを、何かある一方的な意見が書いてあるということは、これはやはり保健の教科書につきましてもこのようなことが見られます。これは非常にまありっぱな先生がお書きになっていることでございますけれども、大学の先生はある一面については詳しいが、他の方面については余り詳しくないというのが通常ではないかと思いますので、こういう過ちは必ず起こり得ることではないかと思います。こういうことも今後編さんする上で十分留意されることが必要かと思います。そして、全体教科書を見ますというと非常に理屈が多いわけでございまして、なぜこうなるか、どうしてこうなるかということが処々方々に出てまいります。しかし、世の中のことで、あるいは自然現象におきましても、なぜそうなるということは、よほどの学者でなければそれはわからないことでございまして、まず事実を書くことが私は大事である。子供が非常に理屈っぽくなるということは、一面そういう教科書にも私は罪があるのじゃないかと思っておるわけで、子供には事実をやさしく記載しておくということの方が私は大事だと思っておるわけです。最も私が気になるところは、広範な知識を有される専門家が、限られたページ数にそれを全部盛り込もうとしておるために、先ほど知識の詰め込みということがございましたが、そういう無理がありますために、きわめて濃密なコンパクトな記載になっておりまして、文部大臣がおっしゃるようなゆとりというものはその中に全く感じられないわけでございます。生徒は恐らくその一語一語をゆるがせにできないような、そのような圧迫感を教科書からは受けるのではないか。教育がその効果を上げるためには生徒の意欲というものを起こすことが大事でありまして、単に詰め込むということは意欲を失わせて学校をいやがるということになるのではないか。そういう意味では、アメリカが現在とっておりますような、紙数を制限しないでもう少し分厚な教科書をお書きになると。その中にはむだがたくさんあってもよい。ただし平凡なことが書いてありまして、生徒はそれを読むうちに全体のことが理解できるというような形、副読本にされてもいいでしょうが、そういうような教科書の編さんの方がいいのではないかという気が私はしているわけであります。これは教科書の価格というものが現在無償でございまして、文部省の予算の方の関係もあるかと思いますが、何とかもう少しふやすか、そうでなければアメリカにおけるような貸与制というものをお考えになって、教科書がもう少し厚くて、読めばいろんなことが書いてある。そしてその中からひとりでに興味を持ってくる。そして、その中から全体として何かをつかまえていく、理解をする、考えるということを学はせることが私は大事でありまして、先ほどお話がありましたような詰め込みということを避けようとするならば、そのような教科書にすべきではないかと私は思います。  われわれもそうでございますが、一つの知識を得ようと思うのには、十のものを読まなければ一つの知識は私は得られない。それを十が十、教科書に書いているものを覚えさせようとするので、ゆとりがなくなってくるのではないかというふうに思うわけでございます。棒暗記をせざるを得ない。しかもその教科書に書いてあるどこから試験が出るかわからない、こういうやり方では、生徒はますます私は学校から離れていくのではないか。この点はぜひお考えいただきたいと思います。  大臣も東大をお出になりまして、中等学校、高等学校を優秀な成績で御卒業になったんだと思います。しかし、いまお考えになりまして、中学校、高等学校の教科書に書いてあったことを覚えておられますか。まる暗記されたのかもしれませんが、どこか漢文の一節ぐらいは覚えておられるかもしれませんが、しかし全部は覚えておられないんじゃないか。あるいはまた、いま現在、あなたのお仕事にその中学校、高等学校でまる暗記されたことが現在どれくらいお役に立っておるか、ちょっとお伺いしたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) いろいろ多岐にわたる御意見の開陳がございましたが、最初の検定でございますけれども、検定は教科用図書検定基準に従って厳正、中正を旨として行っておるわけでございますが、この制度を設けておりますのは、民間の著作いたします教科書それぞれ創意工夫をこらして特色のある教科書をつくってもらいたいという趣旨でございます。お言葉にありますように、他人の書いたものを直すという仕事でございますから非常な困難が伴うわけでございますけれども、御指摘のように、間違ったことを教えてはいけない。一たび間違ったことを教えてしまいますと生涯にわたって判断を誤るということにもなりかねないわけでございますから、この点につきましては、ひとり社会科等に限らず、これからも十分留意してまいるべき事柄だと存じております。  なお、ゆとりのある教育を行うという観点から、アメリカ式の分厚い教科書、そのかわりいろいろなことが書いてある教科書の方がいいのではないかというお話でございますが、これはまあ大変専門的な事柄になりますので、この点については初市局長からお答えをさせていただきます。  どっちにいたしましても、子供に対してあるがままの事実を大づかみに教える。とかくこのごろの子供が理屈ばかり言っておるという御指摘も私御同感でございます。そういう姿勢というものは必要だと存じております。  なお、私が中学、高等学校等で教わったことを覚えておるかというお話でございますが、正直に申し上げますと、ほとんど覚えておらないということでございます。何となくしかし心の中にしみ込んで潜在意識のもとに残っていることというのはいろいろあろうかと思っております。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) アメリカのように分厚な教科書で、そしていろいろなことが書いてあって読んでもおもしろい、その中から教師なり子供なりが必要なところを酌み取っていくと、こういうのもひとつの大変興味のある教科書のあり方だというふうに思うんでございますが、わが国の場合には、まあ昔からの伝統的な教科書観というようなものもございまして、どちらかと申しますと、教科書にはできるだけ必要な最小限のものは入っていなければいけない、こういうようなことできておるものであろうと思います。  そこで、ただ、おっしゃいますように、確かにいろいろな知識の羅列で、読んでみても余り心に触れないような文章であるというような批判もございます。これはまあ一つには検定教科書ということで、そうしてこれが各会社ができるだけ採択で競争しまして、売り上げを伸ばしていこうというひとつの企業の活動の面もあるわけでございます。したがいまして、ある会社が何か工夫をこらしますと、ほかの会社も同じようなことをやるというようなことで、どっかがふくらむとほかもふくらむ、決してへこんでいかないというような状況がございまして、たとえば非常にむずかしいような言葉ですと、本文にはなくても、しかし脚注に入れていくというようなことで中身がだんだんに詰め込み的になる。で、確かに、御指摘のように、そこからまた試験問題が出る、こういうような相関関係もなしとしないというふうに思うのでございます。まあ高校の試験、入試、これについてはそれはそれとしていろいろと工夫、改善をしていかなければなりませんけれども、教科書につきましても、もう少し学習指導要領にのっとって、きちっとした記述をしていただくということは肝要でございますけれども、内容についてさらに工夫、改善が必要ではないか、こういうふうにも思いまして、これまたただいま中央教育審議会でいろいろとそのあり方について御検討もいただいておるというところでございます。  なお、貸与制にいたします点でございますけれども、これ、数年前に調査研究もいたしたのでございますが、必ずしも安くならないということでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 とにかく、余りエッセンスばかり書いてあると、結局ゆとりのある教育をしようというのに教科書に全然ゆとりがないということは、全く私、興味を失うんじゃないかというように思いますので、ぜひ工夫をお願いしたいということなんです。  また、いま文部大臣から御自身の御経験をお話しいただきましたが、私自身も、あるいはここにおられる委員の皆さん方も恐らく覚えておられないだろう。だからまる暗記したというのは何もならなかったんじゃないかと思うわけです。しかし、何か役に立っているというふうにお答えになられました、私もそう思います。それは、学校において勉強したのは、そこに書いてあるもの、そのものを覚えたのではないということではないか。それは、教科書の中からわれわれが得るものは何かというと、何かの問題に当たって、そこで自分は考えたと、考えた上で何かある結果を出した。その結果が合ったと、先生がほめたと、そういうときに成功の喜びというものを考えるんじゃないかと思うんです。これが心に残っていって自分自身で勉強するようになるということではないかと思うわけなんです。あるいはあそこを失敗したと、あのときにマイナスと書けばよかったのをプラスとしたためにおれは間違えたと、そういうことが頭に残っておることでありまして、実際は物に書いてあるそのものを全部覚えたんではない。要するに、われわれは教科書をひとつの題材として、それを考え、そして自分自身でそこで判断をするということを習ったのではないか。  教科書に書いてあることが、今後十年、二十年それが真実であるとは私は思えないわけです。社会情勢はもっと変わっていきますから、人文科学においてはもっと大きな変化があるだろう。自然科学におきましても恐らくずいぶん大きく変革するだろう。だから、いま覚えておったことが将来役に立つということは恐らく非常に少ないだろうと思うわけです。  しかし、何をそれじゃ残すかといいますと、私は、教科書の中で自分自身で考え、考えて出た結果に喜びを覚え、勉強するという意欲を持ち、そして判断力というものを養うことがいま現在大事なことである。それは、国際問題を考えるときでもいつでもその判断力は役に立つものでありまして、一生死なないと思うわけです。そういうふうに私は教育をしていただきたい、そういうふうな題材になるように教科書をつくっていただきたいというのが私の希望でございます。  次は、その教科書、確かにりっぱでございますが、いろいろ家庭科の本も読んでみました。というのは、核家族が多くなりますので、おかあさんの子供に対する教育も大事だと思いますので、それを読んで、高等学校のものも見てきました。あるいは中学校の本を読んで、これで義務教育が終わるとすれば、一般社会事象に対してある程度の判断なり、あるいは指導というものがその中から得られるかと思って読んだわけですが、どうも抽象的なものが多いのです。あるいは輸入したものが多い。  たとえば、一つ人工呼吸のところを見ますというと、マウス・ツー・マウスという人工呼吸がありまして、口に当てて息を吹き込むわけですが、これは日本人には非常にやりにくいことじゃないか。外国人はすぐキスをしますから、これはかなり私は受け入れやすいんですけれども、日本では他人の口に自分の口を当てるということは非常にやりにくいのではないか。また、先般日航機の事故がありましたときに、消防士の方が人工呼吸をしておるのをテレビで見ましたけれども、あれでは全然人工呼吸になってないと私は思うんですね。それはあわてますからむやみに早いわけですね、呼吸のリズムに全然合わない。そういうことをまあ消防夫の方だから習っておられるんでしょうけれども、よほどベテランてなければ、あのせっぱ詰まったときに落ちついて呼吸のリズムに合わして、自分の呼吸に合わしてなんというようなことはこれはできない。ところが、小学校の本にはそれがちゃんと書いてあるんですね。消防夫の方にもできないものが小学生にできないということはありません。そんなことはないとは言えませんが、私は非常に子供にとっては、これは困難だと、また、子供がそういうことをすることではないんじゃないかと思うんですね。そこまでむずかしいことを教えなくてもいい。ロスアンゼルスのいろんな学校のことを聞いてみますというと、人工呼吸なんというのを小学校では教えてはおりません。人が倒れて無意識になれば、おい、どうしたと言って、ばんと背中をたたくわけですね。それで十分なんです。もしも呼吸がとまっておれば、それで十分。昔から活を入れるといいますが、そういうことで私は十分だと思う。あるボクサーがおかあさんが倒れたので、おかあさんのここのところをぼんぼんぶんなぐったら息を吹き返したという笑い話がどっか新聞に載っておりましたが、そういうことでもいいので、とっさの場合にマウス・ツー・マウスだとか、何とかシェーファーの人工呼吸というようなものをやることは私はないんじゃないか。そういうことを教えれば、かえって私は危ないんじゃないか。そういう点も私は気をつけてひとつ見ていただきたい、もう少し具体的に役に立つものを書いていただきたい。  また、火災予防のことについて聞きました。現在六歳から十歳ぐらいの方で年間七十人ぐらいの方が火災で亡くなっているようなんです。この間のホテルの火事だとかいろいろなところでたくさんの方が亡くなりました。アメリカでは実際は一年に七十人ぐらいじゃなくて、人口割りにしましても日本の倍以上あります。最近はこういうブロックあるいはコンクリートの建物になりましたのでなおさら私はアメリカ的な火災になりまして、下から燃えてきたときに逃げるということはなかなか困難になります。学校におきましては学校の避難訓練というものが絶えず行われておりましてこれは教えておるわけですが、家庭で子供が死ぬという場合がたくさんございます。この間もこれ名古屋でございましたが、お母さんと子供が五人、アパートで亡くなりました。  こういうことが実は書いてないわけです。たとえば火が出た場合には体を地面に低くしろとか、はえとか、ドアをあけては危ないとか、火があるときにそのドアは閉めておけとか、あるいはてんぷらを揚げていてそこで火が上がったら水をかけてはいけないとか、そういう具体的な例が、アメリカの本には書いてございますが、日本の本にはそういうことは書いてないんです。一酸化炭素はどうだ、亜硫酸ガスはどうだというようなことは書いてございますが、現在火事になったときに一酸化炭素はどうだなんていう必要はないので、どのような形で逃げればいいということを教えておくことの方が大事じゃないかと思うわけです。こういう具体的なことを義務教育の間に教えておくということも、後でお話しいたしますしつけというものの一つだろうと思いますので、この点、ぜひひとつ改めていただきたいと、こういうことです。  思わず時間をとりましたが、それから次に人間形成の基礎を培う幼稚園教育というのがございます。私も、人間形成の幼稚園は基礎であろうと思います。それは昔から、「三つ子の魂百まで」とかあるいはオオカミ少年の話でも有名でございまして、生物学的にもそれは非常に正しいことだと思います。しかし私から言わせますと、三つ子よりももっと小さく、生まれたすぐから私はしつけなり、そういう教育をやることの方がもっと大事だと思うんです。これはノーベル賞をもらったローレンツも言いますように、いわゆる刷り込みと言って、お母さんの人格が子供の小さい間に刷り込まれるということですね、プリントされてしまう。それほど生まれたときの教育というのは大事であるわけです。われわれ人間の生まれたときの脳の機能あるいは脳の形態も狼よりも劣っております。というのは、ほとんど生まれてから、人間というものはいろいろの機能を植えつけられていくものだということを皆生物学者は言っておるわけです。大体これは「つ」のつく年齢、いわゆる九つまでに大体のものはでき上がってしまうと言われているのが常識じゃないかと思うわけです。フランスを除きまして、アメリカ、イギリスよりも、現在日本の三歳から五歳までの在園率というのは多いわけです。ソ連はどうなっているか私は存じませんが、ソ連は強制的に義務的に入れているんじゃないかとも考えます。フランスでは四、五歳はもう一〇〇%在園をしております。イギリスは五歳から義務教育になっております。  これは大臣でも局長でも結構ですけれども、将来義務教育というものをもっとお下げになる気持ちはございませんかということです。イギリスは五歳ですが、日本ではいま七歳か六歳、それをもっと下げて四歳とかそこら辺からを義務教育になさるというお気持ちはありませんかということです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま高木委員がおっしゃいましたような考え方は、もう以前からもございまして、私どももこれについては研究もしておるわけでございます。  それから幼稚園の教育と小学校の低学年の教育との関連ないしはそれぞれの持ち分、そういったものについても研究を進めなければいけない、こういうことでやっておるわけでございますが、いまこの幼稚園の一番上の年齢段階を義務教育の中に取り込むかどうかという問題につきましては、これは先ほど学校制度の問題で大臣からも御答弁ありましたことと同趣旨になりますが、これは非常に国民生活にも重大な影響のあることにつながりますと同時に、仰せやはり行政的、財政的にも大きな問題でございますので、これはやはりこういった問題については非常に慎重な取り組みなりあるいは国民的合意の形成といったような観点からの検討も必要であろう、こういうふうに考えますので、ただいまのところは御指摘のような御方向については私どもは持っておらないところであります。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 ぜひこのことはまじめにひとつ御検討をお願いしたいと思うんです。  三歳以下は、現在のところ保育所になっておりまして、これは厚生省の管轄でございますが、人間の教育をするわけでして、その人は厚生省と文部省には分かれていないわけなんです。一人の人間は一貫した教育方針によってやられることが私は望ましいと思うわけです。現在保育所と幼稚園あるいはこれに関する文部省と厚生省との連携はどうなっておるかということをお伺いしたい。  またこれで見ますと、昭和三十八年の十月二十八日に初等中等教育局長の福田繁さんと児童局長の黒木さんと、このお二人から何か各都道府県の教育委員会に対しまして、こういうものが出ております。こういうのはときどきお出しになっているのか、どのようにされているのか、また厚生省との連絡会議なんていうのを絶えずお持ちになっているのか、あるいはその職務分担とかそのようなことをどのようにやっておられるのか、わかりましたらお聞きしたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) ただいま高木委員が問題提起をしておられますように、幼児期の教育というものは、子供の人間形成に非常に重要な影響を及ぼすものであるわけでございまして、そして幼稚園は学校教育法に基づきまして幼児を対象とする学校という形をとっております。ここで先ほど来の安全の問題に係るしつけのようなものは当然のことでございますが、健全な心身を育てまして、基本的な生活習慣でございますとか、それから幼児は幼児なりに一つの社会的な対応というものを啓発していく、さらには道徳性の芽生えを培うというようなことを目標にいたしまして、一つの幼児教育としての専門的な見地からの指導を行っておると、こういうことでございます。  保育所の方は、これは厚生省の方で所管していただいておりますが、児童福祉法に基づいて保育に欠ける乳児または幼児を保育するということを目的とするものでございまして、類型と申しますが、カテゴリーとしては児童福祉施設、こういうことになっております。したがいまして、その面では幼稚園とは目的、機能を異にしておりますが、ただいま委員御指摘のように入ってくる子供は文部省でも厚生省でもない。こういうことでございまして、保育の機能のうち教育に関するものは、幼稚園で用いております幼稚園教育要領に準じた形で実施しておられるというふうに承知しておるわけでございます。  文部省と厚生省の連携ということでございますが、御指摘のように昭和三十八年に両省の局長の共同通知を出しておるわけでございますが、現在もその線で指導を進めております。  なお、幼稚園と保育所の両方のあり方について先ごろまで懇談会を持ちましていろいろと検討を進めまして、その際は両省で共同してその懇談会の事務を担当したわけでございますが、その懇談会の御提案にもございまして、今後必要に応じてやはり両省よく連絡はし合ってやっていくと、こういうことにいたしております。  なお、その懇談会の御提言にもございまして、幼稚園教員と保育所保母の研修はこれは一緒にやったらどうかというふうなこともございまして、私どもは都道府県の教育委員会を通じまして合同研修を勧奨してきておりますが、地方公共団体が主宰している合同研修は、五十六年度の五月の調べではまだ二県二十市町村程度でやっておると、こういうことでございますが、今後両方のその共通の要素については、そういった試みもなお広めてまいりたいと、こういうふうに思っております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 いま懇談会を開かれているということで大変結構なことですけれども、もう少し頻繁にこのことについては真剣にお考えにならないと、結局は学校の暴力とかそういうところに響いていくものであると私は思いますので、高等学校、中学に入ってから暴力が出るからこれを何とか抑え込んでいこうというようなことでは私は本当の教育ではない。保育所あるいは幼稚園のころからこれはやるべき問題である、こう思うので、文部省、厚生省と言わず、人間形成に役立つ教育であるということを念頭に置かれて合同懇談会なりあるいは検討会なりを頻繁にお開きになりまして、施策を絶えず変えていくということを私はここで希望しておきます。  で、教育、しつけということがこの中にございますが、しつけの定義なんというのをお聞きしたいと思っていましたが、それもむずかしいことですし、ひとつ私問題になっていると思うのは、学校教育――いまも幼稚園教育というような教育という問題が出ましたが、教育というと何かしら上から与えるというふうな気持ちがいたします。それは教える、しつけるということはできますけれども、教育では、あるいは教科書では教えられないものがあるだろうと思うんです。それは先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、自然に親しませると、あるいは勤労を経験させるというようなことを大臣が言われました。これは私は非常に重要なことだと思います。正課の教育の中に入っているのかどうか知りませんけれども、教えるということではなくって、生徒がその中から学んでいくというようなことをしなければならないものがたくさんあると思うんです。  最近、御存じか知りませんが、母原病というものがございます。それはお母さんが原因になった病気だというので母原病と言いまして、ぜんそくだとかあるいは引きつけだとかいろいろな病気が起こるわけです。これはお母さんは十分高等教育を受けておりまして、子供はどう育てる、何カロリー与えるということは知っているわけです。ところが子供は病気になるわけです。それはあるいはぼくは保育所にも幼稚園にもその傾向があるんじゃないかと思いますが、何だか飼育するという気持ちが強いわけですね。子供とともにあるというんじゃなくて飼育をする。何カロリー与えればいい、何時間遊ばせればよろしい、あるいは何時間寝せておけばよろしい、静かにしておればよろしい、こういうことではないかと思うんです。で、いわば現在の母親というのは子育てができない母親になっているんじゃないかということを言われているわけです。これは一つの文明病だとも言われておりますし、ヨーロッパの方ではすでに千九百年ごろからこの物質文明の発達に伴って母親は子供をうまく育てられないという、そういうことは注目されているわけでございますが、日本ではここ二、三十年、ここ本当に十年か二十年の間にそういう病気がふえております。それと同時に学校暴力というものが起こっておるわけでございまして、私は教科書、そういうものでは教えられないもの、たとえば母と子の間の関係ですとかあるいは愛情であるとか、こういうものをどうやって教えていかれるつもりか、時間がございませんので簡単にひとつお答え願いたいと思います。

別府哲文部省社会教育局長

○政府委員(別府哲君) 先生御指摘になりましたように、社会の変化に伴いまして家庭の状況、家族の状況も戦後三十数年の間に相当変わってきているわけでございます。  そこで、子供のことを考えます際に、家庭における特に母親の果たす役割りというものは大変大きいわけでございます。その母親が、子供の教育の問題についていろいろと勉強をし、正しい知識を持って愛情を子供に注いでいくということが子供を健全に育てる上におきましては何よりも大切であるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、文部省といたしましては、両親、特に母親が中心となっております家庭教育学級でございますとか、あるいはその一環といたしまして、あすの親のための学習活動といったようなものについて、子供の問題あるいは子供を取り巻くもろもろの環境の問題等について親が学習をし、これを生かしていくという施策をとってまいっておりますし、あるいはまた、家庭における育児の問題についていろいろと親が悩み、相談をするという問題についての相談の体制といったようなものについて施策を講ずる等、親の学習なりあるいは育児についての相談の体制といったようなものについて従来施策をとってございますけれども、先生御指摘のような社会情勢でございますので、この面についてさらに一層きめの細かい対策を講じていく必要があろうかと存じているところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 これはなかなか口で言えないことで、講習会を開いたりいろんなことをおやりになっている。テレビやラジオでもそれを知っている。知っていることと愛情を覚えることはこれは別なんですね。だからそういうことではこれはうまくいかないんじゃないかと思うんです。だから、学校でも小鳥を飼わせるとか犬を飼わせるとか、そういうことから愛情というのは覚えるので、おれを愛しろとか、子供を愛しろと言っても、これは愛せられるものではぼくはないと思うんですね。そういう意味の教育、いわゆる実践を通していろいろなものを学んでいくという教育を子供のときにやらせることが大事だと思う。子供が静かに寝ていると、うるの子はいい子だから何にも物を言わない。お母さんも余り構わない。そうするとその子供はもう自閉症みたいになっちゃいまして、小学校へ入っても物が言えないという子供がこのごろいるわけですね。そういうお母さんもおるわけで、悪ければおしりをたたいてもよし、もっと自然なものを私は母親は持つべきだ。その自然を忘れちまって、犬や狼よりも子供を育てるのが下手になったということがこのごろ言われているわけです。だから、現在の教育というものは、教科書のことばっかりやかましく、あるいは何年どこで勉強すればいい、そういうことでは私は教育はないと思うんです。もっと体でもって、愛情を持って子供に向かっていくということがなくては、どういうりっぱな教科書をつくってもそれは何にもならぬのじゃないかということをきょう申し上げたかったわけで、今後施策をおやりになるとしましたらそういうことをぜひ学校教育の中に入れていくというふうに私はやっていただきたい。  ほかにまだ、暴力問題だとか医科大学の留年生の問題についてとか、いろいろ準備はしてまいりましたけれども、時間が参りましたので私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私は、まず先ほどの宮之原質問に関連して、中教審の問題について若干お伺いをしたいと思います。  中教審が教科書採択の問題について関係団体なり教育専門家からそれぞれ意見を聞いています。新聞報道によると、現行の採択地区をもっと細分化せよという意見あるいはまた教育事務所単位に広域化せよというふうな意見も出ているようですが、このまま中教審でこの教科書採択に関する問題の論議が進むと、中間答申が六月ないし七月ごろ出せるというふうになると私は見ているんですが、それはどうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 教科書の問題につきましてはいろいろな立場から各種の御論議が行われておりまして、国民の関心も非常に高まっておる問題でございますから、相なるべくは早期に答申をいただきたいと願っておるわけでございますが、ただ、非常に重要な問題でございますから、拙速を求めるという態度ではいけないと存じます。必要な時間を十分割いていただいて、なおかつ早目に答申をちょうだいするということになりますと、委員各位に御精励を願わなければならないということになるわけでございますが、ただいまこの教科書問題についての御審議、ようやく緒についたところでございます。もう少し御審議の状況を見ませんと、いつごろ答申がいただけるか、いまの時点ではなかなか予測できずにおるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私は教科書全体の問題をお尋ねしているんじゃないんです。教科書の問題の中の一つの教科書採択区の問題について、いま審議が進んでいるようだと。有償無償とか、教科書の中身の問題じゃなくて、採択区の問題についてのみ中間答申ということがいまのまま作業が進めば六月ないし七月ごろにできるような状況になると私は見ているんですが、私の見方はどうですかと尋ねているんです。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 検定、採択あるいは給与等の問題につきましても、ただいまのところではいつごろ御答申がいただけるか的確には予想しかねておるわけでございます。ただ、相なるべくは早くという当方の気持ちは中教審にお伝えをいたしておるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そうすると、教科書に対する答申というのは、有償無償あるいはまた採択区の問題というふうなことは、ばらばらじゃなくて一つのものにまとまって出るから、いま六月、七月というふうなことにはならないと、文部大臣はこういうお考えなんですか。私が尋ねておるのは、採択区の問題だけがいま審議が進んでいるから、それだけが六月ないし七月ごろに中間答申として出るような状況になりつつあるんではないかということをお尋ねしているんです。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 採択の問題だけをお取り上げになって鋭意審議が行われておるという状況とは承知いたしておりません。検定あるいは給与の問題も含めて全体としての現行制度のあり方を御検討なさっておるわけでございまして、七月ということは私どもも的確に予想いたしておるわけではございません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 しかし、言下に七月ごろにできればいいなというお考えがあるように思います、いまの言葉は。  そこで、有償無償の問題とは別に、採択区の問題はやはり小学校の三年ごとの教科書採択のこのサイクル――小・中・高といきますからね。そうすると、五十八年度が小学校の教科書採択になる、その次は六十一年度になるわけですね。そういうことになれば五十八年度より採択区を現行より細分化するかあるいは拡大するのか、あるいは現行のままかといった問題は、やはり早く態度をはっきりしなければ五十八年度の小学校からということには間に合わないし、延ばせば六十一年度からしか、いわば小・中・高という一つのセットになった採択のサイクルがうまく回らなくなる、このように僕は見るのですが、そこらの判断はいかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) できますれば早期に成案を得て結論を出していただきまして五十八年度から実行できることが望ましいと存じておりますが、やたらに中教審のおしりをたたくようなこともいたしかねますので、さようなことをいたしておるわけじゃございません。相なるべくはという希望を申し上げておるだけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは次の問題に入ります。  教職員の退職勧奨の男女差別の問題についてお伺いをいたします。実はこの問題、私昨年六月の四日、地方行政委員会で質問をいたしました。その段階で全国四十七都道府県の中で教職員の退職勧奨について男女差別をつけている県は小中段階で九県、高校を入れると十県という報告を受けました。その段階でこういうことは好ましくないので、文部省としては男女差別をなくするように指導する、こういうことについての答えをいただいていますが、一年たってというよりも、五十六年度の人事の中で男女差別の退職勧奨問題は現状どうなっているか、簡潔に答弁してください。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 定年制導入の状況にもかんがみまして、文部省としては男女差別の解消を実現すべく指導をいたしてきております。その結果、昭和五十六年度末の退職勧奨におきまして男女差のある県が小中学校で三県減少して六県になっております。高校、特殊学校では一県減少して九県になるものと承知をいたしております。ほかの県でも、あるいは教員の定数あるいは教員構成等の事情がございますので、一挙に解消するということには困難が伴うものと思われまするが、六十年から定年制が実施されまするので、このことを踏まえて計画的に改善を図っていくという報告を受けているわけでございます。文部省といたしましては、引き続いて関係県において男女差の差別を解消するように期待をし、そのような指導を続けてまいるつもりでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 六十歳定年の問題との関連で答弁がありましたが、六十歳定年は昭和六十年度から実施するということであったと記憶しているんですが、ことしが五十七年、あと三年ほどですが、いまおっしゃった話の中でそれでは残されておる小中六県、高校、特殊学校で九県、それはひとつ文部省の責任において退職勧奨の男女差、六十歳どころか、五十四歳とか、五十五歳で退職させられている女子教職員について、これを六十歳まで男女平等に引き上げていくことということについて責任を持てますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) これは、退職勧奨というもの自体が、事柄の性質上、任命権者でありますところのそれぞれの自治体、教育委員会におきまして、これまで教職員定数等の事情を総合的に勘案して定めてきた事柄でございます。そういうことでございますので、これは文部省が直接これについて当事者であるという立場ではない問題でございますが、先ほど大臣が申されましたようなことで私どもは指導を続けてまいりましたし、今後も指導してまいりたいと。前にも本岡委員にも御答弁申し上げておりますように、従来から私どもとしては、この女子であることのみを理由に勧奨退職年齢に差を設けるということは適当でないと、こういうことで考えておりますので、引き続き努力をしてまいりたいと、こう思っておるのでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 人事権は、これはまあ文部省にあるのでなくて各都道府県教育委員会にあるのですから、当然都道府県教育委員会が男女差別をなくするためのいろんな努力をしなければならない、そのとおりです。しかし、六十歳定年制というものが一方では法律として成立をして、三年後にそれが施行されようとする段階の中にあって、勧奨という問題はこの法律とは関係のない別の、本人の自由意思というものを含めながらの実行行為なんですが、しかし、そこに男女差別が依然として残されたまま六十歳定年制というものが実施されていくということはどうしてもぼくは許せないし、県の人事権というものが一方にあるにしても、六十歳定年という問題からのかかわりからは、もっと強力にこの問題は文部省として各県に対して指導すべきであると、このように思うんですが、文部大臣、いかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 万一、仰せのような事態が出てまいりますると、きわめて遺憾なことでございますから、今後も都道府県教育委員会を強く指導してまいります。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いまの御答弁で結構なんですが、これ、文部大臣もごらんになっていると思います、日本弁護士連合会が「鳥取県婦人教職員の退職勧奨問題及び退職優遇措置問題における男女差別撤廃に関する件」ということについて勧告をしております。それは、いま論議いたしましたように、鳥取県の人事の中で男女差別が非常に厳しく行われているということで、鳥取県の教職員が日弁連に対して訴えたものなんですね。そこで、日弁連の方も、可及的速やかに鳥取県教育委員会はこの男女差別を改めるべきであるということを勧告をしていますが、この勧告は文部省の方にも日弁連の方から申し入れられていると思うんですが、文部省はこの勧告に対してどういう見解を持っておられるのか、そしてまたこの勧告に基づいて鳥取県教育委員会に対してどういうふうな具体的な措置をされたか、お伺いいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○政府委員(三角哲生君) 鳥取県では、教員の退職勧奨年齢について、昭和五十五年度末には小中学校で三歳、共働きの場合は六歳、高等学校、特殊教育諸学校で四歳、こういう男女差を設けておりまして、これについて日本弁護士連合会から鳥取県教育委員会に対しまして、このような措置を撤廃するように求めた勧告と申しますか、そういうものが行われたことは私どもも承知しております。文部省といたしましても、鳥取県教育委員会に対しまして従来から指導をしてきたわけでございますけれども、昨年六月四日の地方行政委員会におきます本岡委員の御指摘の後におきましても、さらに事情を聞きまして指導をしてまいったのでございます。  鳥取県教育委員会といたしましては、教員定数の諸事情とか、あるいは将来における教員の年齢構成とか、そういったこともございますので、一挙にこれを解消することはやはり困難でございますために、昭和六十年の定年制実施までにこれを計画的に改善をしていこう、こういうことでございまして、そして五十六年度末には、女子の退職勧奨年齢を小中学校それから高校、特殊学校ともそれぞれ一歳ずつ引き上げたというふうに聞いておるのでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 特に鳥取県の内容が一番男女差別が顕著にあらわれております。そして、私も鳥取県へ行きましたが、そこで鳥取県の教育委員会の主張は、過疎県であると子供は減少するし、教員の新陳代謝はできないし、だからやむなく女の先生に早くやめてもらっているのだ、特に共稼ぎの場合はさらに早くやめてもらっているのだと、こういうことなんですが、鳥取県の問題というよりも、全国的に共通していた問題は、男女の退職勧奨に対する差というのは、何も最近起こった問題じゃなくて、昭和三十年代から設けられたやはり基本的な男女差別の問題なんですね。それが現在まで残っておって、そして現在過疎になり、教職員の新陳代謝上早くやめてもらわなければならないとか、年寄りから順番にやめてもらわなければいかぬという具体的な事由ができただけであって、その基本はやはり男女差別というところからスタートしているというところをはっきりさせて、この問題は早急にひとつ文部省も乗り出して解消をやってもらいたい、このことを強く要望をしておきたい、このように思います。文部大臣、何かありましたらひとつ。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおり、この問題の出てまいりますところは、女性に対するべっ視と申しますか、男女差別という好ましからざる弊風が今日なお残っておるというところから出てきておると存じます。一日も早くこれを是正する必要がございますので、御発言の御趣旨に従いまして、全力を挙げてまいるつもりであります。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは次に、建国記念日の奉祝式典に対して、文部省が後援をしている問題について若干お伺いをいたします。  文部省は、去る二月十一日に行われた建国記念の旧奉祝運営委員会の主催する建国記念の日奉祝式典を後援しています。後援に対する申請の書類とそれを許可した文書も資料としていただいておりますが、その式典の様子について、私は新聞の報道でしか知ることができません。その新聞の報道によりますと、端的に言いまして「建国記念日戦前が復活」「八紘一宇声高らかに」「奉祝式典閣僚ら深々と拝礼」こういう見出しがあって、中は要するに内容的に戦前の紀元節に一段と近づいたという感を各報道陣は強くしているわけなんですが、後援をされた文部省としては、その内容の報告を受けているはずだと思いますが、この新聞が端的に報道している「戦前が復活」とか、あるいは戦前の紀元節に一段と近づいたというふうな内容について、文部省はどういうふうにいま認識しておられるか、内容、後援されたその式典の内容をどのようにいま把握されておられるか、お伺いいたします。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 式典の内容につきましては、後援名義の許可の際の条件に従いまして、式典の次第、参加者の数、収支決算書等につきまして一応書類をもって報告を受けているわけでございますが、この報告によりますと、式典の内容は、「開式の辞」に始まりまして、「国歌斉唱」、「拝礼」、「会長式辞」、「委員長挨拶」、「祝辞」、「歌披講」、「舞楽」、「万歳三唱」、「閉式の辞」等でございまして、正式の会を代表するあいさつといたしましては会長の式辞が添付されておりまして、それらの内容を調査いたしましたところ、書類の上におきましては新聞で報道されるような問題点はないものというふうに判断をいたしたわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 文部省としては、この新聞が報道したような内容を報告として受け取っていないといまおっしゃったんですか。もう一遍、最後の結論だけお願いします。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 文書につきましては、ただいま私が申し上げましたように、式典の次第、参加者の数、収支決算書等でございまして、会長の式辞が添付されておりますが、それにつきましては、拝見いたしましたところ、問題はなかったというふうにお答えしたわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 文部省はその後援をして、その式典に文部大臣は参加しておられなかったと、こういう報道ですが、文部大臣の代理か、あるいは文部省を代表してというようなことで、だれがその式典に参列したのですか、しなかったのですか。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 大臣は御出席されなかったわけでございますが、私どもも出席いたしておりませんし、当日の内容がどういうものであったかということにつきましては調査をいたしておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それはちょっとおかしいですね。文部省が後援をするということは、これは内閣の責任においてその式典そのものを公認すると、こういうことですよね。そして、文部省がやるということは、教育的に見てそれは好ましいという立場からこれは後援するんでしょうが、そこで何が行われているかという問題についてはもう全然関知せず、ただ書類の報告を受け取って、何ら問題はありませんでしたというふうなことで文部省の後援というものが済むものかどうか、私は大変疑問に思います。文部省が行くべきでしょう、後援したんなら。後援に値する式典であったかどうかという問題について、少なくとも私が新聞に書いてあるこのようなことがあったんですかと尋ねたときに、そういうものではありませんでしたというものを、文部省がその式典に参加して、そうした疑問を解くだけのものがなければ、後援するという事柄に対して私は大変問題があると思うんですが、いかがですか。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 文部大臣の後援名義、文部省の後援名義は年間約一千件ございまして、それは一応私どもが書類によりまして精査をして、事後報告を受けて処理をしているということでございまして、他の場合にもその会に出かけまして報告をするというふうなことはいたしておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 一千件もある後援の内容を次回ひとつ資料として提出していただけませんか。一千件も後援しているといって、どういうものを後援しておられるのか、私は興味と関心がありますから、ひとついただけませんか、資料として。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 国民の祝日に関する、たとえば催し等につきましてもNHKの……

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いただけるかどうか質問しているんですよ。

鈴木勲文部大臣官房長

○政府委員(鈴木勲君) 「全国青年の主張コンクール」とか、そういうふうなもの等につきましてやっておるわけでございます。後ほどまた調査をいたしまして、お答えをさせていただきます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 これは委員長、後でひとつ……。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) じゃ、これは理事会に諮って決定をいたします。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そこで、いま国民の祝日という言葉が出たんですが、建国の日という日が国民の祝日として決定をされたときの安井国務大臣の提案理由の中にこういう言葉があるわけです。これは全部の祝日に関係する。ことだと思いますけれども、こういう言葉があります。「建国記念の日につきましては、建国をしのび、国を愛し、国の発展を期するという国民がひとしく抱いておる感情を尊重して、国民の祝日にすることとしたのであります。」と、こう述べられているんです。  そこで私がお尋ねしたいのは、この「国民がひとしく抱いでおる感情」というところが大事だと思うんですね、国民の祝日なんですから。だから、文部省が後援されるというその事柄は、このことに基づいて後援するかどうかを判断されるべきだと思うんです。「国民がひとしく抱いておる感情」、そこから離れていくような式典に文部省が後援するということは祝日を設定する基本的な趣旨なり考え方に反していくと私は思います。というのは、この建国の日が、八紘一宇という事柄について、運営委員長の黛さんが、八紘一宇こそ真の平和主義の理念なんだというようなことを言ったという、このことは事実ではありましょうし、そして、そうしたら八紘一宇とか、いろいろここで述べられている事柄が、「国民がひとしく抱いておる感情」というものが、そこで出されているのかどうか。出されているんなら、私は文部省が後援するのは当然だと思うが、そうでないものに対して文部省が後援するのはおかしいと思うんですが、文部大臣いかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 国会で制定されました法律が定める祝日を法律の趣旨に従って祝うという式典でございますから、文部省といたしましては名義の使用を許可する際の基準にも照らしました結果、後援名義の使用を許可いたしたわけでございます。先人の達成した偉業に思いをいたして、これに感謝をし、今後の国の発展をこいねがうという趣旨は、疑いもなく国民の間に広く合意の存在しておる問題だと思いますので後援をいたしたわけでございますが、ただいま八紘一宇という言葉を持ってきたという御指摘がございました。文部省といたしましては、文部省を代表する者を出席させた事実はございませんけれども、新聞の報道あるいは出席した人から話を聞きました限りでは、主催者の一人がたまたま神武天皇に言及いたしました際に、神武天皇の思想はいわゆる八紘一宇の思想であった、これは本来平和主義の思想である、それだけのことを述べたものと聞いております。八紘一宇という言葉は、申すまでもなく、さきの戦争におきましてあの戦争を正当化するためのスローガンに用いられたわけでございますが、この言葉を引き合いに出すことによって、かつての戦争を肯定するような言い回しはいたしておりません。なおかつ、これは会合の席における個人の発言でございまして、軍国主義を推進していけとか、かつての戦争は間違いではなかったんだというようなことについて一同で決議をしようというような趣旨の会合ではもとよりございませんから、特別この問題をとりたてて問題にするには当たらないと私どもはそのように認識いたしておるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いま個人の発言とおっしゃいましたが、そこの式典に参加した一般の参加者の発言であればそれはそれでいいですが、しかしこの発言をされた方は運営委員長ですよね。その式典そのものの運営に責任を持つ方なんです。その方があえてその八紘一宇は平和主義の理念だと、こうおっしゃって、恐らく来年の建国記念の日にはこの八紘一宇の精神という問題が一段と前へ出てくると私は見ています。八紘一宇の精神というのは、私は一九三一年生まれで、まさに国民学校の中で八紘一宇の精神を徹底的に教えられた一人で、中学校入学試験のときに八紘一宇とは何ぞやということは必ず口頭試問に出るから覚えろといって何かわかったようなわからぬことを徹底的に教えられた。八紘一宇とは何か世界を一つの家として御稜威をあまねく知らしめることだと、それで世界を日本の国が統一することなんだということを何遍も教えられて、これを間違うたら合格せえへんぞと言われた。そういうものであり、私たちの世代からすれば、八紘一宇なんていうのはね、字引を見ても「太平洋戦争期におけるわが国の海外進出を正当化するために用いた標語」だと、こう書いてあるんですよ。だから、いま文部大臣もおっしゃったように、この八紘一宇というその言葉の持つ意味というのはそう簡単なことじゃないんですよね。まさに失効決議した教育勅語と深くこれは教育的には結びついていますしね。だから、八紘一宇というようなものがどんどん前へ出ていってそれが真の平和主義だと、八紘一宇の問題が論議されているときに民主主義とか、自由主義とか言ったら八紘一宇精神によって断罪された時代があったんですよね。そういういわくつきのものが前面に出てきて、それでもなお文部省がこれを後援するに値する式典かと――式典を開くことは構へんですよ。宗教団体であるとか、特定の考え方の人がどんどんいろんな意味で開いているけれども、文部省が後援するということは教育的なそこに意味あるいは歴史的な経過の中でその式典が国民がひとしく抱いている感情というものを具現するものであるかどうかということについてもっと精査をしなければならぬ、厳密なものがなければならぬと、こう思うんです。  最後に文部大臣にお聞きしますけれども、この八紘一宇の精神というものが来年さらに前面に出てくるということがあればそれを文部省としてどうするかということと、やはり私は運営委員長の黛さんに、文部省の後援する式典の中で八紘一宇の精神こそ真の平和主義だと、そして、この式典を通して国民の中に投げ込んでいくんだというふうなことを言えば文部省として後援できないと、はっきりと筋を立てた態度が必要であると思いますが、いかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 八紘一宇という言葉、どのように理解するのが正しいか存じませんけれども、さらっとこの言葉を読みます限りでは、要するに世界は一つである、一つでなければならない、ただこれだけのことを言っているにすぎない言葉だと存じます。これをかつての戦争を理由づけるような解釈をして当時しきりに用いた、学校の場でもそのような教育をしたということはこれは否定できない事実でございますが、発言者が発言をいたしておる限りにおきましては、この言葉を引用することによって戦争を肯定するような言い回しをいたしておりませんから、そういう意味で私はあえてこの発言を問題にいたしておらないわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 文部大臣ね、八紘一宇というのはどういうあれかわからぬということだったですが、私の言っている八紘一宇という言葉の解釈は、どうなんですか、広辞苑に載っているのが先ほど言ったことなんですよ。八紘一宇というのは「太平洋戦争期におけるわが国の海外進出を正当化するために用いた標語で、世界を一つの家にするの意。」、こういうことなんですよ。これ以外に何か八紘一宇というものがどういう意味を持つのか、戦争と結びつけるとか結びつけぬということじゃなくて、八紘一宇の言葉そのものの持っている意味がそういう意味なんですからね。文部大臣の八紘一宇という正式な考え方は何ですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) この言葉を仰せのように解釈し、この言葉を仰せのような使い方をした、これは否定できない事実だと存じております。ただ、これは八紘一宇という言葉そのもの――ただいま広辞苑を引用なさいましたけれども――の定義といいますか、解釈として辞書に記述がされておるのではない、この言葉はこういう使い方をされたという事実を書いておるだけだと存じます。この言葉自体非常に抽象的な言葉でございますから、さらっと解釈いたします限り世界はただ一つだと、こう理解するほかないと存じます。繰り返して申しますが、この言葉を引用して軍国主義を鼓吹する、あるいはかつての戦争を肯定するというような言い方を発言者はいたしておるわけでございませんから、ましてそのようなことを会合の趣旨として開催をいたしたわけでもございませんから格別問題にするに当たらない、このように考えておるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いま文部大臣はちょっと初めと違う立場での発言をされましたね。文部省からだれも行っていない、だれも聞いていない。しかし、いまの話はそのような趣旨で発言をしていない。ちょうどこの問題について黛さんとの間で意見を交換されたり、あるいはまたその発言を直接耳にされて、あるいは文章にされたものをお読みになって、そしてその真意を解して私にお答えになっているという答え方ですよ、いまの答え方は。おかしいじゃないですか。私は、文部省はだれも行っていない中でこういうことが発言されていると、だから文部省はこの事のしっかりした真実をただしてくれと。だから私の注文は、黛さんを一遍文部省に呼んでいただいて、一体新聞で出ていることは真意なのか、何が真意なのか、どういう発言を全部したのかという問題を後援者として具体的に明らかにしてくださいということを文部大臣にお願いしようと思ったんですよ。だけど、あなたはもうまるで全部私は知っているんだと、あなたのようなそんな真意で黛さんは言っていないんだとおっしゃることは前後関係、あなた矛盾しているじゃないですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 先ほど申し上げましたとおり文部省を代表する者を出席せしめたという事実はございませんが、出席した人たちから発言の内容を聞いておりまするし、新聞報道――相当詳細の報道があったと記憶いたしております。これを読みました限りでは、先ほど私が申し上げましたような使い方はしておらない、このように理解しておるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そうすると、間接的な立場での判断ですから、後援した文部省として、文教委員会で、その後援した式典の中でこのようなことが述べられるということは不穏当だと、そして後援の内容に値しない式になっているから後援をやめるという発言があったということでもって黛運営委員長と事の真実を直接ひとつ当たってもらいたい。これはいかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 文部省といたしましては、この会合の全体としての運営が法律の趣旨に合致しており、政治的あるいは宗教的にはなはだしく偏っておらなければこれでよいと考えておりますので、出席いたしました個人の発言に対しては重きを置いておらないわけでございます。なおかつ、その言葉の使い方も私が先ほど来申しておるようなわけで、決して軍国主義を鼓吹するというような用い方をいたしておりませんからあえて問題としない、かような立場でおるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 文部大臣は小野委員の最初の質問のときに、あなたは、憲法をしっかり守って文教行政をやっていくという決意も述べられました。そういう立場からしても、文部省が後援するというふうなことは、それぞれのその行事に対してもっと慎重であるべきだと私は思いますし、八紘一宇ということはあなたがお考えになるようなそれほど簡単なことではないと、八紘一宇というのをそういうふうにお考えになるということは、教育勅語そのものが失効している現在において教育勅語を持ち出しても構わぬということに私は通じると、このように解釈をします。  そこで、再度、あとは文部大臣に対するこれはもう要求になりますが、済んでしまった式典ですからこれを後援してしまっているんですからどうもできませんけれども、少なくとも文相に対する報告で終わるのでなく、ひとつこの運営委員会に対して文部省の方から、この新聞に述べられている事柄の事実関係というものを、具体的に直接それを聞いていただきたい。そして、その結果を文教委員会に報告をしてもらいたい、このように私は思います。よろしくお願いします。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) そのようにさせていただきます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 終わります。

片山正英自由民主党

○委員長(片山正英君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会      ―――――・―――――

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