農林水産委員会 第14号
- 発言数
- 121 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/07/08
会議録
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 村沢牧君の委員の異動に伴い、理事が欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に村沢牧君を指名いたします。 —————————————
○委員長(坂元親男君) 種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○川村清一君 種苗法について質問をいたしますが、本法律につきましては、これは昭和五十三年第八十四回国会でずいぶん時間をかけまして慎重審議されて可決された法律案でございまして、当時小島局長は審議官であられまして答弁にほとんど当たられたと。小島さんはこの道のべテラン、専門家でございますのでいろいろ御質問いたしますが、あのときにはいろいろ審議されまして最後には附帯決議もつけられて本委員会を通っているわけでありますが、その後この法律運用につきましてどうであったのかといったようなことにつきまして概略まず御報告いただきたいと思います。
○政府委員(小島和義君) 種苗法は、いま御指摘になりましたように第八十四通常国会におきまして農産種苗法の一部を改正する法律という形をもちまして制定されたものでございます。その後五十三年の七月に公布されまして対象とします農林水産植物並びに手続などの検討作業を経まして同年十二月の二十八日に施行になっております。 これに対応いたしまして法の運用体制につきましても逐次整備を図ってまいりました。すなわち、組織面では五十四年に農蚕園芸局の中に種苗課を新設いたしまして出願品種の審査を行います審査官も逐年増強いたしてまいっております。また、実務の面では作物別の審査基準を設定いたしまして出願品種の個別の審査を行うとともに、既存の品種の特性につきましての情報検索をスムーズに行いますためのコンピューターの利用システムの開発でございますとか種子の保存庫、これにはキノコの種菌の保存庫もございますが、そういったものの整備を図ってまいっております。またこの間、都道府県、団体等を通じまして制度のPRにも努めてきております。 その結果といたしまして、品種登録の出願件数は五十四年が八十五件、五十五年が百三十九件、五十六年が二百四十八件と年々倍々に近い形で増加をしてまいりました。審査を経まして登録をいたしましたものもこれまでに二百八十六件に相なっております。 以上のとおり種苗法の施行によりまして品種登録制度の発足三年余りを経過しました今日、出願及びその受け入れにつきましての国内体制はほぼ整備されるに至ったというふうに見ておるわけでございます。 これと時を同じくいたしまして昨年の十一月に新しい植物新品種保護条約、いわゆる一九七八年条約と呼ばれておりますものが発効をいたしまして、そこでわが国もこの条約に加盟をいたしまして国際的な制度に参画していくということにいたしておるわけでございまして、すでに条約の批准案件につきましては衆参両院の御可決をちょうだいいたしております。 一方、その品種登録制度と並びまして種苗法の柱でございます指定種苗制度というのがございまして、法の定めるところに従いまして適正な品質表示、円滑な生産流通を行う、こういう仕組みがございまして、種苗検査等を通じまして優良な種苗の生産流通に努めてきておるわけでございます。 また、前回の法改正で新しく設けられました種苗業者が遵守すべき生産流通に関する基準というものにつきましては、各作物別の生産流通の実態把握に努めてまいっておりまして、特に流通量の多い野菜の種子につきましてはこの基準の原案を得るに至っておりまして、近々に制定公布の運びになっております。 以上が法制定後の体制整備の概略でございます。
○川村清一君 法が制定されましてから今日まで農林水産省でやられた運用の問題につきましては、概略御説明をいただきましたので大体それに尽きるとは思うわけでございますが、それに関連していささか具体的にお聞きしてまいりたいと思うわけでございます。 言うまでもなく現行の種苗制度は、一つには品種の登録制度、一つには指定種苗制度、この二本柱でできているわけでございますが、いまお話にもありましたように、品種登録に係る出願件数は年々ふえていっておる、種類の多様化も進んでおる、これが実態だと思うわけであります。しかし、今日の農業を見たときに厳しい情勢の中にあることは言うまでもないことでございます。したがって、種苗を利用する農業者にとりましては、生産性の高い種苗あるいは経済性の高い品種の育成というものを即求められているわけでございます。そこで、新品種保護制度の目的に沿った育種の振興を図るためこの品種登録制度を円滑に運用していかなければならないわけでありますけれども、いま御説明ありましたように、品種登録の審査を円滑かつ効率的に行っていかなければならない。聞くところによりますと、出願して審査して登録が終わるまでには平均して二年間はかかる、こういうことでございます。そこでもっと効率的に進めていくためには審査体制というものをきちんと整えなければならない。審査基準の作成いまお話にありましたが、この審査基準の作成状況というものが具体的にどの程度できておるのか、それから基準品種との比較、このための検索、この状況はどうなっておるのか、それから特性についてもお話がありましたけれども特性についての審査技術、この技術の確立等々につきまして現状はどうなっておるのか、今後はさらにどうしなければならないと考えておられるのか、こういう点についてさらに御説明願いたいと思います。
○政府委員(小島和義君) まず、品種登録に至りますまでの期間の問題でございますが、これは出願者の側におきましてその品種の特性並びにその栽培成績といったものの書類が非常に完備いたしております場合には一年ぐらいで登録になるものもあるわけでございます。そういったデータから見まして品種の特性等について判然と把握し得ないという場合には栽培試験などを行うということに相なるわけでございまして、単年性の作物ですと一年程度の栽培でわかるわけでございますが、永年性作物というふうなことになりまして、しかも新しく栽培試験を行うということになりますと、二年以上の期間もかかるものもあるわけでございます。そういったものを平均して眺めてみますと、お話にございましたように二年前後ではないかというふうに見ておりますが、私どもといたしましても、これは登録出願者の権利にかかわる問題でございますから、できるだけスムーズにかつ的確な措置をいたしたいと考えておるわけでございます。 そういうことで、一般的には人の体制整備ということになるわけでございまして、今日まで毎年審査官の数もふやしてまいりましたが、御承知のような国家財政事情のもとにおいてなかなか定員増というのも容易でない事情にあるわけでございます。そこで、人海戦術ということだけではございませんで、やはりいろいろなその新しい審査方法というものを整備していく必要があるだろうというふうに考えておりまして、お話ございましたような品種の特性分類調査、これまでございますいろんな品種の特性をあらかじめ調べておきまして、新しいものが出てきた場合にそれとの対比を容易にする。そういう意味では、五十六年度までに百十四種類のものにつきまして基準をつくっておるわけでございます。 それからまた、既存の品種につきましてのデータをあらかじめコンピューターに打ち込んでおきまして、そういったものを利用していままでの品種との比較対比を行う、こういった技術も開発中でございまして、本年度中には当局種苗課の中にそのコンピューターの端末を導入するということができる運びになろうと思っておるわけでございます。 それから、新しい審査技術の問題といたしましては、いろいろ手がけている問題がございますが、たとえば花とか果物になりますと、その色がいままでのものと変わっておるかどうかということが一つの判定材料になるわけでございますが、そういったものの判定を容易にするためのカラーチャートを作成するというふうなことを手がけておるわけでございまして、それらを通じてスムーズな登録ができますように努力をいたしておるわけでございます。
○川村清一君 農産種苗法という法律がありますね。この法律とこの本法とはどういう相違がありますか。
○政府委員(小島和義君) 従来ございました農産種苗法を改正いたしまして、その際に題名も種苗法と改めたわけでございます。当時の農産種苗法にも、新しく品種を育成した者を保護する条文とそれから流通種苗の取り締まりに関する条文と両方含まれておったわけでございますが、当時の農産種苗法は、優秀な品種を育成した人に登録を与える、登録を受けた者の権利といたしましては、登録名称を独占的に使用できる、こういう権利内容でございまして、品種の優秀性ということが登録の一つの要件でございました。ところが、品種の優秀性というのは、使う方の側の判断によっても変わってまいりますし、農業情勢が変わってまいりますと、同じ米なら米につきましても、当時それほど優秀と認めなかったものが、いまでは非常に利用価値があるというものも出てまいりますので、新しい品種の育成者に与える権利の要件としては適当ではないのではないか。世界各国とも、先ほど申し上げました条約におきまして、新しい品種であればそれを登録を認めるという方向でございますので、品種の優秀性というものを登録要件にしないということにすると同時に、名称保護ではなくて品種そのものを保護すると、こういう形に改めましたものが今日の種苗法でございます。
○川村清一君 そこで、先ほど私が申し上げましたように、これは品種を育成した側のことではなくて、それを使用する農家側から考えてみたときに、やっぱり農家としては生産性の高い作物ができる品種それから経済的に効率性の高いものと、こう考えるわけです。総じて言えばそれは優秀な新品種、それで従来の農産種苗法で言うと、いま局長がるる言われたように、品種の優良性というもの、優秀性というものが明確になっているわけですね。ところが、時代が変わって今度出てきたこの種苗法では非常に多様な品種が出てくるわけで、その中から利用者が選択するわけでありますが、この優秀性というものが明確でないというところに問題が一つあるんで、農家が登録品種の優秀性、経済性を判断するためにはどうしたらいいのか。そこで登録品種の適正な生産流通を図るための対策というものがこれは必要ではないか、重要ではないかと思うわけでありますが、使う方がこの品種は優秀だということがきちっとなっておらなければ、たくさんあるわけだから、その中から選択するその利用者の方にはきわめて不便である、不親切ではないかというふうに考えるんですが、この点いかがですか。
○政府委員(小島和義君) ただいま申し上げましたように、品種登録制度におきましては品種の優秀性というものを要件としないわけでございますが、農家が実際に作物を導入するに当たりまして、その地域において非常にすぐれたものであるかどうかという判別はこれは別途の行政としては必要なわけでございます。したがいまして、従来からたとえば米、麦、大豆などのような主要農作物につきましては主要農作物種子法という法律が別途ございまして、その法律に基づきまして各都道府県が自県に最も適した優良な品種というものを奨励品種として選定し、普及すると、こういうことが定められておるわけでございます。そのほかの作物におきましても、たとえば飼料作物でございますと畜産局の方におきまして飼料作物優良品種普及促進事業というふうな補助事業がございますし、また野菜につきましても同じような事業によって優良な品種をそれぞれの地域に導入していく、そういうことを別途進めておるわけでございます。またバレイショとかサトウキビ、お茶などにつきましては、国がみずから農場を持ちまして原原種あるいは原種を生産、管理していい品種を普及するということを直接手がけておるものもございます。ただ、欠けておる点と申しますと、果樹のようなものになりますと、これは品種も非常に多いわけでございますが、同時に個人育種が非常に多いわけでございます。米、麦のようなものになりますと、公共育種が多いものでございますから、育成の過程におきましてあらかじめ現地適応試験のようなものをやりまして各地域における品種の適応性を調べました上で品種として確定をする、こういうことが普通でございますが、個人育種家にそこまで期待をするということは非常にむずかしいわけでございます。そこで、そういったものにつきましては、これは果樹の種苗関係の団体を煩わしまして、新しく登録になりました品種についての現地適応試験のようなものをやっていただきまして、それを通じて、どういう場所においてその品種の特性が十分発揮できるかという判定をやっていただくということを五十七年度から手がけてまいりたいと思っております。もちろん果樹に限定的に考えておるわけではございませんで、その事業の成果を見ました上でさらに必要なものがありますれば対象も拡充するというつもりは持っておるわけでございます。
○川村清一君 米、麦等の品種について、都道府県等の公共育種につきましてはまた後ほどお尋ねします。 そこで、ある育成者が優秀な新しい品種を開発した、その品種を栽培農家が利用をしたいと思うわけでありますけれども、品種の登録者はだれにも許諾しないと、種苗の供給も十分に行わない、いわば一人占めといったような状況が続くようでありますれば、品種登録制度はわが国の農業の振興を図るという観点から見て決してプラスではないと、こういうふうに考えるわけでございます。 なるほどこの法律の目的というものは、一面育成者の地位を高めることを内容に盛った制度でございますけれども、目的としておるわけでございますけれども、その育成された優秀な品種が一定のルールのもとに広く活用できるようにするのもこの制度の究極的な目的ではないかと思うわけです。 そこで、品種登録された品種の許諾といいますか、あるいは利用といいますか、これが円滑に行われているのかどうかということをひとつ聞きたいし、また品種登録制度が設けられたことによって登録品種も値段が上がって、これが一般の種苗価格をさらに引き上げるというような事態が生じていないのかどうかということもちょっと心配なんですが、これらをあわせて御意見を伺いたい、こう思うわけです。
○政府委員(小島和義君) 品種登録の制度自体は新しい品種を育成した者の権利を保護すると。それは具体的に申しますと、その品種を種苗として売りたいという人は登録を持っている人から許諾をもらわなければならない。許諾をもらうに当たりましては、通常金銭の授受が行われるのが普通でございますから、そういう許諾料を通じて品種の育成者が経済的な補償を受けると、こういう仕組みなわけでございますから、理屈の上ではその新しい品種についての種代というものが許諾料の分だけコストアップになっていると、理屈の上ではそういうことなわけでございます。ただ、実態を見てまいりますと、その品種の育成者は自分の育成したものができるだけ幅広く使われまして、それによってみずからの経済的な問題ももちろんでございますが、品種育成者としての名誉と申しますか、満足感というものも得るわけでございますので、できるだけそれを広めたいという願望を持っていることは間違いないわけでございます。ただ、先ほど申し上げました果樹のようなものになりますと、全国的にそれを広めるというよりは、みずからの居住地を中心といたしまして新しい産地づくりをいたしまして、ほかに先駆けまして一つの主産地をつくろうと、こういう動きもございますので、全国的に売り出すものが一般的であるとは限らないわけでございまして、地元の農協などを通じましてできるだけこの周辺部分に限定的に産地をつくっていく。したがって、新しい品種のメリットは、種苗の販売ということよりは、むしろ優秀な果実を市場に出荷するという形で得ていこうと、こういう動きもございますから、一概に全国流通を広めておるとは言いがたいものもあるわけでございます。野菜、花等になりますと、これは種苗会社が品種育成をしている場合が多いものでございますから、できるだけ幅広く売っていきたいと、こういう気持ちがございますので、みずから販売する場合もございますし、ほかの種苗業者に権利承継をいたしましてそこで生産販売をするというケースもございます。で、先ほど申し上げました許諾料の実態、これはまあ相対の問題でございますから一概には言いがたいのでございますが、総体として申しますならば、新しい品種といえどもいままでの品種とまあ若干の特性上の優秀性があるということでございますから、完全な独占的なものとして売られるということはないわけでございます。品種の優秀性、その種の需給関係あるいはその生産に要しますコストといったものが種苗代というものを決定づけておるわけでございまして、理屈上は、先ほど申し上げましたように、許諾料を上乗せしているとは申しながら、特にこれによって種代が高くなっているという現状にはございません。また各種の農産物の生産費調査というものから眺めてみましても、大体種苗代というのは構成比では横ばいになっておるようでございます。それは一つには、種苗代が多くはそれ自体が農産物でございますから、農産物のコストが上がるような要因がある場合には種の方もそのコストが上がるということになりますので、生産費調査などで眺めてみますとおおむね構成比としては横ばいという状態にございます。しかしながら、今後新しい品種が育成されてまいります過程におきましては、御指摘のような心配が全くないと思っておるわけではございませんので、絶えず流通実態についてはよく注意をもいたしまして、御心配のような向きが出ませんように注意してまいりたいと考えております。
○川村清一君 ただいまの御答弁によりますれば、種苗の値段が不当に値上がりしておるといったような事態は生じてないということでございます。しかし、いまもお話ありましたが、野菜の種子についてこういう話がいろいろあるわけでありますが、業界では近年大手の企業による寡占化が進行しておる。一部には独占価格めいたものも形成されておるといったような声もあるわけであります。特に申し上げておかなければならないのは、野菜の種子で交配種、一代交配種ですね、いわゆるF1ですね、これが野菜の種子の中心になっておる。私どもが、私の家でもちょっとトウモロコシなんかつくるときにもその種子ですね、これはやっぱりF1を買ってきて使っているわけですが。そうなりますと、農家は毎年毎年種子を種苗業者から買わなければならないわけですね。昔のように固定種が中心の時代だと農家は自家採種をすることができるわけでありますが、F1の場合には自家採種はできないから種苗会社からどうしても購入しなければならないと、こういうことになりますね。したがって、大手企業によって独占価格が形成される。このため種苗価格が不当に値上がりしておる、こういう事態があると私どもは聞いておるわけでありますが、野菜栽培農家にとっては、これが事実だとすれば大変困ったことです。そこで、不当に値上がりしておることはないと、こうおっしゃっておりますけれども、農林水産省として調べた限りにおいて、種苗の価格はどのように一体推移しているのかといったようなこと、種苗価格の不当な値上がりなんというものは、そんなものは生じておらないとここで断言できるのかどうか、これをお答えいただきたい。
○政府委員(小島和義君) 確かにその野菜の種子などにおきましてF1品種がふえているというのは事実でございます。また、御承知のように種苗業者の中にはいわゆる大手企業と呼ばれる会社もございまして、その市場占拠率から見ますとかなり高いものがあるわけでございます。ただ、そのすべてが自社生産ということではございませんで、他の専門を持っております種苗業者から販売委託を受けまして、その大手のブランドで売っておるというものもあるわけでございますが、したがって、その生産量ということから見ますと、必ずしもそのシェアは大きいわけではございません。またその種苗業者の実態を眺めてみますと、全体で二百ぐらい種苗生産をやっておる業者がございますが、その中においては特定の野菜、たとえばキュウリでありますとかあるいはゴボウでありますとか白菜でありますとか、そういうものにつきましては大手よりもむしろすぐれた特定の品種を持っているという業者もございますし、それから在来品種のようなものになりますと地場に密着した業者が昔から生産を続けておると、こういう実態もあるわけでございますから、市場の実態から見ますと、それぞれの品種によって異なりますけれども、やはり相当苛烈な競争を展開いたしておるわけでございます。 それから、種代ということになりますと、これは非常に多岐にわたりますので、ものによりまして多少の違いはあろうかと思いますが、たとえば農村物価、賃金というふうなもので眺めてまいりますと、農産物価格が非常に値上がりするような場合、たとえば第一次石油ショックでございますとか第二次石油ショックのような場合にはさまざまな物財費が値上がりをいたしまして、それによって農産物の生産費もまた値上がりをする、こういう時期がございます。そういう場合には、種代もまた大体同じような傾向で値上がりをするわけでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、種もまたそれ自体が農産物であるということがございますから、農業生産に関係あります諸資材が値上がりいたしましたり労賃が値上がりいたしますと、種のコストとしても上がっていくという意味ではおおむねパラレルな関係ができ上がっているというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、価格が全体固定しているかということでございますれば、それなりの上昇はあるわけでございますが、農産物そのもののコストの上昇、あるいはほかの資材の上昇といったものとの関係で眺めてみますと、特に種代が極端な値上がりをしておるという事態にはないということを申し上げておるわけでございます。
○川村清一君 今度は、種苗を販売しておる種苗業者についてお伺いしますが、これとまた農家との、農業との関連についてお伺いするわけですが、大手企業のシェアというものは次第にやっぱり高まってきているでしょう、そういうことはないですか。そうすると、中小の種苗業者というものは圧迫されてきておる、こういう事態が生じていないかどうかということが一点ですね。 次に、中小種苗業者は、大体において昔からその地域に密着しておりまして、地域に適した特色のある品種を地元の農家に供給する、こういうような重要な役割りを担ってきておるわけですね。これが大手企業に圧迫されて経営不振に陥るというのは、やはり地域農業の振興という観点から考えていって支障があるのではないか、こう考えるわけですが、いわゆる地域農業振興という立場から、種苗業者というものがどうあるべきかといったようなことについて農水省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、中小の種苗業者といえどもそれぞれ特色のある作物ごとの品種を持っておるというのが実情でございまして、資本その他の規模が小さいからといって直ちに競争面において弱者の立場に立たされるということだけではないわけでございます。 ただ、最近の傾向を眺めてみますと、販売面の品ぞろえみたいな動きがございまして、自社生産の種子を販売面においては大手に委託をしてしまう、こういう傾向もございますので、その意味では大手のシェアというのはかなり高いものになってきておるわけでございます。ただ、そのことが中小の経営を脅かすというふうな事態に立ち至っているというふうには見ておらないわけでございます。 それから、お話ございましたように、日本列島北から南まで非常に地域が南北に長うございまして、それぞれの地域的な特色があるわけでございます。同じ種類の作物でございましても地域的な特性というものがおのずから違ってくるわけでございますから、その意味では従来から地場に密着した種苗業者の存在というものは大変貴重なものであると思っておりますし、そういった方々の新しい品種育成上の必要な手段、たとえば品種改良の母本を提供するというふうなことにつきましては、国の試験場もせいぜい心がけてきておるわけでございまして、大手であるから中小であるからということの差別なく行っておるつもりでございます。 また、そういう中小の関係者がみずから育成しました品種につきまして、その品種の権利保護が行われるという今日の種苗登録制度の存在自体も、いい品種を持っている中小というものを保護するために一つの役割りを果たすのではないか、かように考えております。
○川村清一君 それでは、先ほど局長がお話ありました国あるいは都道府県で育成された品種、いわゆる公共育成の新しい品種でございますが、これは農家に普及して初めて実を結ぶものである、こう考えております。したがって、これを育成するまでにつきましては非常な年月をかけ、多大の労力、資金を投じて新品種を育成するわけでございますが、その成果というものはできるだけ作物生産の担い手でありますところの一般農家へ円滑に普及されるべきであると考えるわけですね。しかし、この種苗法によって新品種が登録される、それが今度はこの許諾実施の過程でたとえば果樹であるとかあるいは花卉等においては種苗会社だけに許諾が行われる、こういうことによって一般農家等への普及が妨げられることがないのかどうか。これは局長、こういう質問に対しましては、これは一般の種苗会社といったようなものに許諾が行われることがあるけれども、大方は行われるとしても、何といいますか、団体ですね、その地域の農協とかそういう団体にこれを通してそうして農家に広く普及される、そういう筋道になっているんだというふうに御答弁されると思うんでありますが、その辺の心配はないのかどうかということをお伺いしたい。
○政府委員(小島和義君) これは公共育種を行っております米麦、大豆などのいわば主要農作物種子の世界でありますと、種自体の流通段階は主として農協が受け持っておるわけでございます。 また、その種の生産過程も県の試験場段階におきます原原種、原種生産段階を経まして県が管理をいたしております採種圃、これは農家の圃場でございますが、そういうところで生産されましたものを集荷団体が集荷をいたしまして、それで農家に提供をしていく、こういうシステムができ上がっておるわけでございますので、国、県などが育成いたしました品種がどこか特定のところに偏る、こういう問題は存在しないと思っております。 ただ、品種の何といいますか、適性がございますから、都道府県によりましてどの品種を奨励品種として取り上げるかという問題がございますから、ある品種が全国至るところに出回っておるという実態ではもちろんないわけでございます。 それから野菜その他の分野になってまいりますと、国、県の試験場におきましてももちろん品種改良のためのいろんな試験研究をやっておるわけでございますけれども、種類も非常に多岐多様でございますし、また、先ほどお話がありましたようにF1をつくって販売品種にするという場合もございますもんですから、国、県の試験場が米麦の場合のように出回っておりますものの相当部分の品種を提供しておるという現実じゃないわけでございまして、どちらかと申しますと基礎的な研究ないしは品種改良のもとになる部分をつくるという段階が主でございます。そういったものにつきましては、先ほども申し上げましたように、これをどこの種苗会社に提供するかということになりますと、国、県という公共的な性格から言いまして、特定の業者に提供するということではなくて、いろんな形に御希望によって配布をいたしまして、それぞれがまたそれをもとにしまして新しい品種をつくり出して売っていただく、こういう対応をいたしておりますので、公共育種が特定の種苗業者を利するということにならないような仕組みになっておると思っておるわけでございます。
○川村清一君 新しい品種を育成するにつきましては、いまもお話ありましたが、原種、原原種といったいわゆる既存のものがやはりしかと管理されておらなければならないと思うわけでございますが、それらの既存のものについていわゆる原種、原原種等につきましてはどのような管理をしているのか、管理体制はどうなっているのかといったようなことについて伺いたいと思うわけです。
○政府委員(岸國平君) お答え申し上げます。 ただいま御質問のございました原種、原原種というものの保存あるいは配布の状況はどうなっているかということでございますが、これにつきましては私ども国の試験研究機関におきまして主にその業務を実施いたしております。特に、現在筑波にございます農業技術研究所に種子の導入、保存、それから配布等を実施しておりますかなり大きな、現在予定といたしましては約五万点を貯蔵できる施設を持っておりまして、その施設に現在貯蔵しておりますのが約三万点ございますが、そのほか国の試験研究機関全部を合わせまして約七万点ぐらい保存をいたしております。それらにつきましては、さらに外国から新しいものを導入するということも図っておりますが、現在あります原種あるいは原原種といった育種の基本になるようなものにつきましてはしっかりと保存をいたし、また、要望に応じまして配布ができるようにいたしております。
○川村清一君 次にお尋ねしたいことは、私は余り学がないのでよくわからないんですけれども、近年育種振興の上で遺伝子工学というものが大きな役割りを果たしてきておるようでございますが、これは一体どうなのか。と申しますのは、この七月の五日の日経にこういうような記事が出ておるわけです。「先端農業へ遺伝情報充実 種子収集・利用システム」という見出しで、前の方をちょっと読みますと、こういうことが書かれているんですが、「農林水産省は農業の最先端技術の開発に力を入れる方針を固め、その一環として五十八年度から稲や麦などの遺伝資源の収集、保存、管理、利用の体系的なシステムづくりに着手する考えである。農業分野では遺伝子工学の将来性が期待されているが、こうした最先端技術開発を進めるためには、その基礎となる遺伝資源を世界各国から収集、さらに広範に利用できるシステムが必要なため。同省はこのための費用として約五億円を来年度予算要求する方針だ。」、これは前の方だけを読んだわけですが、こういうことを書かれているんですが、これについて、これは農水省からひとつどういう考え方なのか、御説明を願いたいと思います。
○政府委員(岸國平君) ただいまの先生御指摘の記事につきましては、私どももそういう記事が載っておりましたことを承知をいたしております。で、その中身がすべて私ども考えているとおりというわけではございませんで、予算額につきましても必ずしもそのとおりではございませんが、考え方といたしましてはあのような考えを持っておりまして、五十八年度予算でそういうことを要求をしていってみたいなというふうに考えております。 なお先生の御指摘の遺伝子工学の点についてどういう状態になっているかということについて特にお答えを申し上げますが、御指摘のように、遺伝子工学関係の研究あるいは技術というものは、今後植物、作物の育種に関して非常に重要な意義を持っておるというふうに考えております。ただ、新聞等でよく伝えられております遺伝子組みかえといったような一番現在の最先端にあります点につきましては、これはまだ直接いまの段階で作物の育種にすぐに使える段階ではないという状況でございまして、実際に世界でもそれが活用されておりますのは主に微生物の段階であるというような状況にあるわけでございますが、ただ将来の問題といたしましては、作物にもこれは十分活用される技術であるというふうに考えておりますので、いまからそれに積極的な研究対応をしていかなければいけないというふうに考えておりまして、先ほどの記事にありましたことにつきましてもそのことについても頭に置きまして、そういう新しい技術を使って将来非常に役に立つ品種をつくり出すというためには、そのもとになる遺伝資源を十分に確保しておかなければいけないという考えのもとに現在予算の作業なども進めているところでございます。 なお、遺伝子工学につきましては、昨年、五十七年度の予算としてお願いをいたしまして、認められたものが細胞融合、核移植、そういったものを技術を使って新しい作物をつくり出すというような予算が認められまして、すでに五十七年度から研究を開始いたしております。 以上のような状況でございます。
○川村清一君 局長、お尋ねしますが、いま日本で外国から輸入している穀物の量はどのくらいですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 二千五百万トン。
○川村清一君 いま大臣がおっしゃったように、莫大な数量を輸入しておるんですね。一方、主食であるお米の方は余って余って過剰で困っておるというのが農林水産省もこれを繰り返して言われておるわけです。ところが穀物の方は二千五百万トンも輸入しておる。何となくこれは矛盾しているわけですね。日本は幸せなのか、不幸なのか知らぬけれども、とにかくお米はうんと余っておる、そして生産者米価は上げられない。一方、穀物はそんなに輸入して自給率は三〇%程度といったような状態である。ところが一方目を南の国の方、いわゆる開発途上国の方に向けていくというと、もう食べる物がなくて餓死していく、飢え死にしていくという気の毒な方々が何億もいると一いったような状態、それほど世界全部から、地球上全部から考えるというと、これは余っているんじゃなくて、穀物が非常に不足をしておる、こういうことなんですね。したがって、日本が輸入をふやせばふやすほど逆に開発途上国の方々はますます飢えていく、こういったようなかっこうになっているわけです。そこで私どもは、大量の食糧を輸入しておる日本としては、開発途上国に対して食糧増産のための技術協力をしていくということはきわめて重要な課題であって、田澤農林大臣も常日ごろそれはおっしゃっている。それで行政を進めていらっしゃるわけでありますが、やはりもっと、穀物、食糧、この増産を世界じゅうに図っていかなければならぬ。特に開発途上国の南の方の国々にそれを図っていかなければならない。そのためには品種改良ということも重要な問題になってきて、この国際協力ということが重要な課題になってきておるわけであります。 そこで、いま御説明のあった遺伝子工学というものも重要な意義を持ってくる。残念ながら、私は、古い人間でありますから、遺伝子工学といったってどういう学問なのかよく存じませんけれども、とにかく遺伝資源としての種苗の相互交換、こういうようなこともやはり必要なことではないか、こう考えておるわけです。 そこで、いま種苗法ができて、そして七八年条約に加盟することになるわけでありますが、この品種改良について国際協力というものがどうなっているのか、今後はどうこの問題に対処していこうとしておるのか、ひとつその方針等をお聞かせいただきたいと、こう思うわけです。
○政府委員(岸國平君) お答え申し上げますが、農業に関する国際的な技術協力が非常に重要であるという点につきましては先生御指摘のとおりと考えておりまして、この品種改良の問題につきましてもそういう面で十分に実行していかなければいけないというふうに考えております。 現在どんな状況にあるかということにつきまして御説明申し上げたいと思いますが、私ども、国の試験研究機関が中心となりまして現在わが国の育種は実行しているわけでございますが、その際に稲、麦を初めといたしまして、いろんな作物の育種を実施していく上で、先ほども申し上げましたように、わが国にございます遺伝資源というものは非常に貴重なものもございますが、ただ残念ながらわが国としてはそれほど多いわけでございません。しかし、国際的に目を広げてみますと、東南アジア方面でありますとか、アフリカ、あるいは南米方面でありますとか、非常にたくさんの遺伝資源のある部分もあるわけでありまして、そういうことを頭に置きまして、また先ほど先生の御指摘にありましたように、非常に食物の不足しているような国々に対しまして技術的な協力をするというような意味と両方を含めまして、現在、わが国ももちろんでございますが、世界的にも遺伝資源の相互交流、あるいは貴重な遺伝資源を持ちながらそれを十分には保存できないというような国々のためも考えまして、世界的にIBPGRというような組織をつくりまして貴重な遺伝資源を国際的に保存し合おう、そしてそれを活用して作物の育種を進めていこうというようなことが行われているわけでございますが、わが国もその中の一翼を担いまして、先ほど御説明を申し上げました遺伝資源の保存あるいは配布等も実施いたしております。 それからもう一点、直接的にはフィリピンにございます国際稲研究所でありますとか、それを初めといたしまして、いろんな作物につきまして国際研究所がございまして、それらはいずれも開発途上国における食糧問題を解決するということを主な目的にいたしまして育種を進めているわけでございますが、そのフィリピンにあります国際稲研究所を初めといたしまして、それらの国際機関にわが国といたしましても研究者を送り、共同研究をいたしておるというようなことも実施いたしております。 また、私ども農林水産省の研究所の中に熱帯農業研究センターというものを持っておりますが、その熱帯農業研究センターの事業といたしまして、特に熱帯地域の諸国での御指摘のこの品種改良問題につきましても直接的な共同研究を実施いたしておりまして、マレーシアでありますとか、タイでありますとか、韓国でありますとか、そのほか幾つかの国々ともそういうことを実施しておりまして、マレーシアなどにおきましては、いままでにも幾つかの稲の品種等をマレーシアと共同で開発いたしまして、それらがマレーシアだけでなくてその近辺の国々にも普及をし始めているというような状況にもなっているわけでございます。 そういうことに見られますような考え方、やり方を今後とも続けまして、御指摘いただきましたような点についてこれからも努力をしていきたい、そういうふうに考えております。
○川村清一君 大変結構なことだと思っております。 そこで、言うまでもなく農業の発展にとっては優良種子の育成、確保、これはもう一番大事なことであるわけでございまして、ただいまのお話にもありましたように、世界各国がこれに力を入れておる。 皆さん方もごらんになったかと思いますが、先般NHKのテレビ放送で勝部記者が世界の食糧事情といったようなことで、アメリカの種子の育成といったような問題について報告されておりまして、私は非常な感銘を受けたわけでありますが、世界一の食糧の主要輸出国であるアメリカにおいてあれだけ力を入れてやっておるということに対しまして非常に敬服したわけでありますが、日本も相当やっておるという説明を聞いていささか安心しましたけれども、これは大臣にお尋ねしたいんですが、わが国の種子に関する試験研究をますます発展させるために施設の面あるいは予算の面あるいはそれに従事する研究者の面等々についてもっと政府は力を入れるべきである、こう考えるんでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産省育成農作物新品種命名登録規程に基づきまして、国の職員がその職務上育成した優良なものを命名登録いたしまして新品種として公表をいたしているということが一つでございますし、また御承知のように、種苗法によりまして登録も行われておりますので、名前が公表され、あるいはまた育種研究者としての業績も評価されているわけでございます。 また、農林省としては、顕著な功績のあった者に対して毎年職員の功績者の表彰を行っておるわけでございますが、これまでに十三名表彰したのでございます。育種研究者も含めて表彰をいたしているという状況でございます。 また、昭和五十五年には新品種農林登録五十周年記念というのを行いましたが、その折に、育種功労のために非常に功績のあった方に対して、これも二十一名でございますけれども、やはり多数の方を表彰しているという状況でございまして、施設の充実あるいはまた育種の保存等の面にも十分努力をするとともに、またその研究者に対しても今後手厚いひとつ待遇をしてまいりたいと、かように考えております。
○川村清一君 ぜひひとつ大いに力を入れてやっていただきたいと思います。 次に、品種登録の効力についてお伺いしたいんですが、種苗法では、品種登録者以外の者は、いわゆる業として品種登録者の許諾なしに登録品種の植物体の全部または一部を種苗として有償譲渡することはできない、こういう規定がありますね。しかし一方、きわめて容易に繁殖する農水産植物があるわけであって、それにつきましても種苗法省令で定めてあるものについては、切り花あるいは鉢物、通常種苗以外のものとされておる植物体の一部を利用して繁殖させた植物体の全部または一部についても登録の効力が及ぶと、こういうふうにあるわけですね。したがって、勝手に種をつくってそれで売ってはあかんと、簡単に言えばそういうことなんで、あるいはまた、鉢植えの花を買ってきて、そして芽を挿して、そして種苗をつくると、それをまた勝手に売ってはならぬと、そういうことになっておるわけでございます。これは育種者の権利を保護するという立場からいって当然なことであろう、こう考えています。しかし、省令で定めたものは、いま私が言ったようなことでそれはきちっと法律に決められておるわけでありますけれども、それ以外の植物——切り花、鉢物等を用いた自家増殖によってつくった切り花、鉢物、こういったようなものをこれを売るということは、これは省令で定めた以外の植物でありますからできるわけでありますが、しかしそういうものが非常に多いということも聞いておるんでありますが、育種者保護の上からいってこれは問題があるんではないかと思うが、どうでしょうか。省令で指定すべき植物の種類をどのように検討されて、そして省令で定めるのか。野放しのものを多くすればそれだけ今度育種者の保護にはならないと思うんでありますが、これに対してどう対処しようとしていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(小島和義君) 国際条約もそうでございますし、わが国の種苗法もそうなっておるわけでございますが、新しい品種を育成した者に対する権利の保護は種苗として販売する者にしか及ばない。つまり、その種苗を買い取りまして、農産物を生産して、その産物を販売すると、いわゆる通常の農業活動にはその権利は及ばないというのが特色でございますので、お話ございましたように、育成者の権利というのは種苗販売業者にしか及ばないと、こういうのがこの法制の特色でございます。 ただ、お話ございましたように、種苗として販売するわけではないけれども、その植物の一部をたとえば葉挿しでありますとか、芽挿しでありますとかいうことによりまして容易に繁殖し得るものにつきましては、必ずしも種苗という形態でなくて、むしろその植物体の全体あるいは一部という形で販売するものでも種苗販売と同じように権利保護の対象にしようと、こういうのがこの法制でございます。 現在、その意味で種苗と同じように扱われておりますもの、きわめて容易に繁殖する植物というのは、省令で百七種類の植物の指定をいたしておりまして、これはもういわゆる観賞用の植物だけでございますが、大体現在のところ必要な範囲をすべてカバーしているのではないかというふうに考えております。ただ、今後いろいろ新しい植物も出てまいりますし、またいままで以上に繁殖が容易になるというふうな事態が出てまいりますれば、十分検討した上で追加をしていくということも検討してまいりたいと考えております。
○川村清一君 そうすると、結論的に言えば、現在のところは育種者の権利が保護されておると、こういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(小島和義君) ただいまの百七種類で特に大きな問題が生じておるというふうには考えておらないわけでございますが、今後事態の推移を見まして、これまでの対象植物百七種類と同じようなものが出てまいるということになりますれば、追加をするということにやぶさかでないわけでございます。
○川村清一君 現在のこの法律の第十二条の五の第三項において、品種保護の権利が侵害された際の差しとめ、損害賠償請求の規定が書かれておりますけれども、制度発足後この規定が行使された事例がありますかどうかお尋ねします。
○政府委員(小島和義君) 実際に起こりました問題でいわば法律上の争いになったというケースはございませんで、事実上話し合いで解決がついたというケースはあるようでございます。
○川村清一君 同じような種類の法律に特許法がありますね。特許法には予防請求の規定があるんですが、これにはないです。したがって、この差しとめ、損害賠償請求の規定、これは特許法にありますが、この予防請求という意味で読み取れるのかどうか。いわゆる特許法第百条の予防請求というものとこれは同じものなのかどうか。権利侵害に対する予防請求規定の必要性はないのかどうか。特許法にありますが、この種苗法にはそういう予防請求権に関する明文規定というものが必要ないのかどうか。これに対する政府の見解を伺いたい。
○政府委員(小島和義君) お話の点は種苗法をつくりましたときの一つの法律上の問題点であったわけでございますけれども、現在の種苗法の差しとめ請求につきましては、違法行為にまだ完全に着手はしていないけれども、行為が行われることが具体的に明確になっている場合には、その行為の着手をやめるべきことを請求するいわゆる予防請求でございますが、それもこの条文によって認められるという解釈でこの規定を置いておるわけでございます。
○川村清一君 そうすると、特許法にある予防請求の規定、これが本法に言うところの差しとめ、それから損害補償請求というものと同じようなものである、こういうふうに解釈していいんですか。
○政府委員(小島和義君) 私どもは大体そのように解釈をいたしております。
○川村清一君 次に、わが国の種苗管理の実情についてお尋ねしたいと思うんですが、先ほど主要農作物種子法で言うところの稲、大麦、小麦、裸麦、大豆等の主要農産物については都道府県が自県内で普及させるために奨励品種ということで決定して、そして優良種子として普及に努めておる、これが実態でございますが、その他野菜とか果樹とかの指定種苗についてどうするとかという、いろいろあるわけでありますね。それは一番先に局長からお話があったので大体わかりましたけれども、これを欧米諸国の種苗管理の実態と照らしてみてどうなんでしょうか。欧米各国のは相当これはやかましいことになっておる。これは調査室からいただいた資料ですが、これを読んでみますと、たとえばECにおきましては、「公的機関の管理のもとに生産された種子でなければ販売できないことになっている。また、EC共通の品種カタログがあり、これに登録されるためには、加盟国のいずれかの国で、その品種の特性について区別性、均一性、安定性、さらに主要農作物にあっては経済性の審査を受け、その要件を満たすことが必要とされている。また、OECDでは、種子の国際貿易を円滑にするため、牧草、穀物、野菜類等の種子について、先進国共通の品種証明制度がある。このOECD種子制度への参加は任意であり、参加国は自国内で生産した種子について公的検査機関が参加国共通の検査規定に従って品種の純度等を検査し、共通の検査証明書を発行している。(日本は、現在、牧草種子についてOECD品種証明制度に参加している。)」、こういうようなことが書かれておるのでありますが、ずいぶんヨーロッパの方、欧米の種苗管理というものはわが国に比べては非常にきついのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、これはいかがなものでしょうか。
○政府委員(小島和義君) 現在、ECが採用しておりますこれは野菜種子の公的管理制度というものがあるわけでございます。内容をよく調べてみますと、これには実は三段階ございまして、基礎種子、証明種子、標準種子という三段階がございまして、この三段階すべてが公的機関によって完全に管理されておるというわけではないようでございます。実際の扱いといたしましては、第一段階の基礎種子につきましては、公的機関により採種圃場のすべてを検査するというものでございます。それから第二段階の証明種子、これは公的機関によって最低二割の抽出検査をする、こういう種子でございます。第三段階の標準種子は、公的機関による採種圃場の検査は原則的に行っておりませんで、何か問題が生じた場合に公的機関が検査をするという扱いでございます。実際の流通量で眺めてみますと、種子の九九%はその第三段階の標準種子ということになるわけでございますので、公的な管理制度とは言いながら多少羊頭狗肉の点がございます。これに比較をいたしますと、わが国の種子の流通制度は、先ほど主要農作物等については申し上げましたように原原種、原種の段階は公的機関がみずから行い、採種圃段階におきましても圃場の検査等を行いました上で主要農作物種子として流通をさしておるわけでございますから、見方によりますとわが国の方がはるかに厳しいという見方もできるわけでございます。 それから、OECDの種子証明制度、これは先進国共通のものとして特定のその国で検査を受けたものについては他の国も自由に流通をさせる、こういうことでございまして、わが国の場合には飼料作物についてのこのOECDの共通行動には加盟をいたしておりまして、その恩典に浴しておるわけでございます。そのほかの種子につきましては、実際にその国内で流通しておりますものと他の諸国で流通しておりますものとまあ物自体がかなり違っておるという現実もございますので、ただいまのところこれに加盟するという意図は持っていないわけでございますけれども、世界のそういう諸制度につきましては常に関心を持ちまして、わが国において参考になるべきものがあれば取り入れていくということについてはやぶさかでないわけでございます。
○川村清一君 欧米の種苗管理と日本の管理方針が違っておる、こういう相違から国際流通上問題となったそういう事例がないのかどうかということを一点お伺いいたしたいということと、ただいまの小島局長の御答弁では、ECやOECDよりもわが国の方の管理の方がずっと進んでおるんだというようなまあ御自慢のような御答弁があったわけでございますが、そうであるとするならば、種苗の検査方法であるとか規格等を改善する必要はもうないのか、品種特性の維持管理に関して国際流通上これで絶対支障はない、こういうことを断言できるのかどうか、この辺明らかにしていただきたい。
○政府委員(小島和義君) 流通種子に対する対策といたしましては、旧農産種苗法の時代におきましては、まさに流通しております種子を採種いたしまして農林省の検査室で表示、内容、重量、発芽率、そういったものを検査をいたしまして、もし問題があればその関係する業者に対して指示をしていく、こういう仕組みをとっておったわけでございます。ところが、実際問題といたしまして、もう流通段階まで出回ってからその検査をするということでは必ずしも対策として十分でないわけでございまして、流通する以前の、つまり採種段階、それから流通業者の種子の調整とか保管、そういう段階で適正な管理がなされなければいいものが出回ってこないということでございます。そういうこともございまして、先般の改正におきまして、指定種苗についての生産、流通業者が遵守すべき基準というのを農林水産大臣が定めることができることにいたしております。もちろんこれはまあいわば強行規定というものではございませんで、種の生産段階、流通段階においてそれぞれ守らなきゃいかぬ基準を示しまして、それに合致をしない生産、流通をやっております場合に勧告をするということでございますから、強行規定ではないわけでございますが、いずれにしてももとの段階——種がつくられますもとの段階、流通のもとの段階でいいものを流通さしていくという努力をつけ加えることによりまして、流通種苗に対する対策というものは農産種苗法時代よりは一段と進んだというふうに考えておるわけでございます。主要農産物につきましては、先ほど申し上げましたような体制がすでにございますので、この生産、流通に関する基準もそういう公的な管理を直接にやってない野菜でありますとか、花卉でありますとか、そういったものが第一次的には取り上げられることになりますけれども、今後必要に応じて対象種子の範囲は拡大をしていくつもりでございます。
○川村清一君 それではもう時間がありませんので、法律の改正部分についてお尋ねしますが、品種登録を受けることができる外国人というものが拡大されたわけですね。七八年条約三条の規定との整合性を図るために、新たに七八年条約の加盟国に住所等を有する者についても品種登録を受けることになったわけでありますが、そこで、条約加盟国の国籍を持っておらないで、単に住所等——これは等というのはどういう意味かよくわかりませんが、現住所という意味だと思うんでありますが、「若しくは居所」のこの居所という意味でないかと思うわけでありますが、この者を保護の対象とする条約あるいは本改正案の趣旨を伺いたいわけであります。この居所という規定についての判断がむずかしいんでありますが、これはどういうふうに受けとったらいいのか、これを明らかにしていただきたい。
○政府委員(小島和義君) わが国の場合には、御承知のような単一民族でございますから、住んでおります者のほとんどが日本国籍ということでございますが、諸外国の場合には必ずしも国籍と住所地が一致をしないというケースがあるわけでございます。したがいまして現行種苗法におきましては条約加盟以前の問題でございますので、国籍別の相互主義というものを規定いたしておるわけでございますが、今回条約加盟に伴いまして条約の定める内容に従いまして条約加盟国に住所または居所を有する者でありましても同じような扱いをしていくということにいたしたわけでございます。 住所につきましては、実際に住んでおるということでございますから格別問題はないと思うのでございますが、居所というのはいかなるものかということについては、私どもその条約の条文を見まして、実は多少戸惑いを感じておったわけでございますが、条約の表現がそのようになっておりますので、それに合わせて規定をいたしたわけでございます。強いて居所の解釈はどうかということであれば、単に一時的に住んでおる、たとえば旅行者がホテルに住んでいるというふうな意味での一時的な現在地ではなくて、やはり相当期間居住していることを要するものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして日本人の場合で当てはめますと、通常住所地というのは住民登録などによって証明されるわけでございまして、そういう生活の本拠地であるというところが住所地になりますが、居所の場合、たとえば住民登録は移してないけれども、勤務の都合で北海道なら北海道に相当期間行ってるというふうな場合には、これは居所に該当するものであろう。したがって多くの場合には住所と居所というのが一致するのが普通でありまして、住所地だけでほとんどの場合をカバーできると思いますけれども、いま申し上げたようなことで本当の本拠地であるところの住所地は変更してないけれども、相当期間に長い間居住しているという場合には居所で読むと、こういう意味の規定であろうというふうに解釈いたしております。
○川村清一君 そうすると、この居所というのはこういうことですか。日本では普通、住所と現住所とありますな。現住所という意味に解釈していいんですか。
○政府委員(小島和義君) 現住所というのは、どういう意味でおっしゃったのかわかりませんが、普通は住所というのは、その人の生活の本拠地であるというふうに考えておりまして、いわゆる本籍地が戸籍上の登録場所であるのに比べまして、実際上生活の本拠になっておる場所であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして通常でございますと住所地だけで全部カバーされるわけでございますが、条約の上では住所のほかに居所というものも入っておりますものですから、日本の法制にこれを当てはめました場合にいかなるものが居所たり得るのかということについては、政府内部でも多分に議論があったわけでございますが、通常は住所と居所は一致するものと考えておりますが、先ほど申し上げましたような事例で、住所は動かしてないけれども、相当長い期間他の場所に住んでおるという場合には居所に該当するものということで、両方あわせて読めばいずれかでカバーできるであろう、こういう意味で置いているわけでございます。
○川村清一君 国際条約ですから、それをどうとかこうとか言ってもしようがありませんので、その辺で理解しておきます。 次に、日本国会で、外務委員会で承認されましたから、七八年条約にいよいよ加盟するわけですね。そこでその条約の中には、加盟時に五種類以上、加盟後八年目に二十四種類以上がこの保護対象になると、こういうようなことで、諸外国のあれがよくわかりませんけれども、わが国では、先ほど局長の御答弁であったんですが、すでに三百八十三種類の植物が指定されているわけですね。ところが今度日本人が、たとえばアメリカへ、フランスへ、イギリスへこの登録を申請した場合において、加盟時において五種類以上、加盟後八年間に二十四種類以上と。イギリスがどれだけあって、アメリカがどれだけあって、フランスがどれだけあって、それを承知しないでこれは質問しているんですから、的外れになるかもしれませんけれども、わが国は三百八十三種類という非常に多くの種類を政令で指定されているわけですね。そうすると、この条約に加盟することによって一体どんなメリットがあるのかどうか、それをお伺いしたいんですが。
○政府委員(小島和義君) わが国の場合には実用に供されております植物の種類というのは大変多うございますので、勢い品種登録の対象となる植物の範囲も外国に比べましてやや多目ということでございます。 外国の事例をちょっと申し上げますと、アメリカはネガ方式と申しますか、特定のものを除くという方式をとっておりますので、それ以外のものはすべてカバーをしているという意味では、恐らく数を数えれば日本よりは多くなろうかと思いますが、それに次ぐものといたしましては、イギリスが三百七十二種類、それから西ドイツが百六十一種類、デンマークが百二十七種類と、そういったところが欧米諸国では多い方でございますから、それと比較いたしますと日本の三百八十三というのはやや多いと言ってもよろしいかと存じます。ただ、日本の方がそういうことでカバーする品種の種類が多くて、外国の方は必ずしも多くない。そういたしますと、外国人は日本に来れば登録を受けられるけれども、自国では受けられない。逆に日本人は、日本国内で品種登録を受けたものを外国へ持っていって登録をしようと思うと、その国では対象にしていないと、こういう事態が起こり得るわけでございますけれども、日本の法制もそうでございますが、作物別の相互主義というものをとっております。これは条約でもそういうことが認められておるわけでございます。したがって、ある国の人が自国ではその品種について保護を受けられないけれども、日本に来れば品種保護は受けられるということはないようにしておりまして、その人は自国で受けられる作物についてだけ日本国内でも同じような保護が受けられる、こういうことにいたしておるわけでございます。それから日本人の場合には、日本国内では制度がございますから保護が受けられますが、外国ではそういう制度がない。したがって外国では保護が受けられないということになるわけでございますけれども、相手国がそういう作物の追加をしない限りそれは制度的にはいかんともしがたい。今後国際条約の機構が十分に機能するようになりまして諸外国、外国との間でそれぞれの登録品種についての情報交換が活発になりますれば、お互いにそういうすき間を埋めていくという努力をしなきゃならないわけでございます。諸外国におきましてもそれぞれ審査体制等の問題がございますから、そう急激に変化があるとは思えませんけれども、情報交流を通じましてそういったすき間は次第に埋まってくるものというふうに考えております。
○川村清一君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、いま局長が言われましたように、国際条約というものはすべて相互主義が主体になるわけだね。ところが、どうも日本は三百八十三種類、これが政令で指定されておると。外国の方は少ないと。そうすると、日本が向こうへ登録するったって、向こうの方に指定品種じゃないから登録されないということになれば、これはちっとも条約に加盟したことによってメリットがないわけですね。それはいわゆる国際条約の本旨からいって、相互主義の原則からいってちっともプラスになっていないというわけですから、これからも国際条約に加盟することは結構ですが、あくまでも相互主義の原則というものを余り後退させないような立場で、ちっとも国益がないような条約に加盟したって得にもならないわけで、この点考えていただきたい。 最後に、大臣に要望することは、先ほど大臣が言われましたように、この新しい優秀な品種を開発するということはきわめて大事なことであって、日本の農業発展のために必要欠くべからざることであり、また世界の食糧事情というものを好転さして、そうして開発途上国の上に、もう飢餓寸前にある方々のあれをするためにも……
○委員長(坂元親男君) 川村君に申し上げます。ごく簡単に……。
○川村清一君 ぜひそれを進めていただくことと、それからさっき大臣が言われましたように、日本の研究に当たっている方々の、特に国のこの機関において一生懸命がんばっておられる方々のいろんな給与問題等につきましても十分御配慮をいただきたいことを要望して、質問を終わります。
○委員長(坂元親男君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 —————・————— 午後一時三十三分開会
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中野明君 ちょっと本題に入る前に一、二お尋ねをしておきたいんですが、最近は非常に気象が異常な年が多いんですが、ことしは御案内のように空梅雨ということで、西日本が大変に降雨量が少なくて、水不足で農産物に影響が出始めておるんですが、農水省としてこの状況をどの程度まで把握なさっているか。
○政府委員(小島和義君) 御指摘ございましたように、ことしは全国的に空梅雨でございまして、なかんずく九州の北部、それから中国、四国地域の瀬戸内海側などでそれによる影響が出てきております。各関係の地方農政局を中心にいたしまして、関係県がそれぞれ連絡をとりながら対策を進めておりますが、幸いにして一昨日から昨日にかけましてかなりの雨量がございました。もっとも北九州、特に福岡市周辺などはわずか四ミリというふうなことでございますから、状況がそう好転したところばかりではないのでございますが、場所によりましては百ミリを超える雨量のあったところもございますので、それによりますその後の状況というのは逐次取り調べているつもりでございます。
○中野明君 いま局長からお話がありましたが、非常に九州北部、それから中国、四国の瀬戸内海側ですか、特に佐賀県あたりは、六月の降雨量を気象庁で調べてもらいましたところ、十分の一ですね。きのうもちょっと心配して電話してみましたら、佐賀はかんかん日が照っておるというようなことで、北九州、福岡も大体これ一六%、愛媛は二四%で、ミカンなんかもちょっと被害が出始めている。広島、山口——山口は一九%ですから、そういうことで果樹とかあるいは夏野菜、園芸、そういうものに、このままでいきますとどうも、奄美も梅雨が上がったようですし、あと大きな梅雨前線も近づいてこないような、このままでずるずると梅雨が上がるんじゃないかというふうに心配をされておりますが、夏野菜とか果樹、その辺の心配はどんなものでございましょうか。
○政府委員(小島和義君) 最も端的な影響が出ておりますのは、水不足地帯におきます田植えができないという問題がございまして、これは雨の降り出します以前の七月五日現在で各農政局がまとめたところによりますと、九州農政局管内では約千三百ヘクタール、これは九州全域の稲作予定面積の〇・五%でございますが、それぐらいの不作付田が出るのではないかという心配をしております。 それから、中国四国農政局管内では約二百八十ヘクタール、これは管内の作付予定面積の〇・一%、それぐらいの田植え不能田が出るのではないかという心配をいたしております。 そのほかに、兵庫県でも若干のそういう田植えができないところが出るのではないかという情報がございます。 それから、野菜でございますけれども、これは水不足によりまして果菜類の肥大不良、それから品質の低下、根菜類につきましては肥大不良、それから葉茎菜類につきましては生育遅延、それから播種、定植の遅延というふうな影響がごく一部でございますが出てきております。それで、これらにつきましては、極力用水を節約いたしまして最小限の灌水に努めると同時に、耕種的な方法といたしましては、表土の軽い中耕ないしはマルチングによりまして土壌面の蒸発を抑えるというふうな技術がございますし、また一番こわいのは、こういう干ばつの時期には病害虫の発生という付随的な被害が出てくることがございますので、特にアブラムシ類、葉ダニ類等につきまして適期防除の指導をいたしたいと思っております。 果樹につきましては、元来は比較的ああいう地下に根を張っております植物でございますから干ばつには強いわけでございますし、それから多くの場所においては防除用の何と申しますか、散布施設もございますものですから、そういったものによって極力その影響を抑制する努力をいたしておりますが、場所によりまして水が確保できないというところにおきましては、一部落葉などの影響も出てきておるようでございます。場所によりましては樹勢が衰えておりますので、過大な結実をいたさせますと樹体が弱るということもございますので、一部摘果作業をやっているというふうなところもあるように聞いております。
○中野明君 非常にこれから後の雨量が心配になるんですが、ちょっと気象庁なんかの長期予報をお聞きしましても、余り多く望めぬような空気を私感じますので、注意深く見守っていただきたいと思います。 本題に入りたいと思います。 この種苗法の一部改正で、今回この条約に加盟することによりまして、わが国の新品種の育成者も海外において保護を受けられる範囲が広まったということなんですが、加盟諸外国に比べてわが国の育種の水準ですね、これはどういうふうに見ておられますか、最初に。
○政府委員(岸國平君) 育種の水準を加盟諸外国と比較してどうかということでございますが、水準を正確にあらわすのは大変むずかしいわけでございますが、私ども育種を担当いたしております者といたしましては、わが国の育種の水準は決して諸外国に比べて劣ってない、十分匹敵するものであるというふうに考えております。 先生御存じのように、わが国における品種改良と言いますのは、現在国公立の試験研究機関で主に実施をいたしております。これは、この育種というものが非常に農業にとって、あるいはわが国全体にとっても重要であるという観点からそうしているわけでございますが、昭和五十年に定めました作物関係育種基本計画というものをもとにいたしまして、国と、それから都道府県の試験研究機関とネットワークを組みまして、しっかりした育種組織をつくって実施しておりますので、その育種組織の充実、あるいは組織的に行われているというところから見ましても、これは諸外国に比べても十分誇れるものではないかというふうに考えております。 それからまた、非常に先端的な技術のところでどうかということを考えてみますと、これも国の試験研究機関を中心といたしまして、新しい技術にも積極的に取り組んでおりますし、また、現在実際に普及をいたしております稲、麦、その他主要作物の品種にいたしましても、わが国で普及しているだけでございませんで、それらが、たとえば中国でありますとか、あるいは韓国でありますとか、そういうところでもかなり活用されているというようなところ、そういうところから見ましても、十分世界の諸外国と匹敵し得る力を持っているというふうに自負いたしておりますが、これからも十分に努力をいたしましてやってまいりたい、そういうふうに考えています。
○中野明君 そこで、わが国で育成された品種が外国で保護をされるためには、加盟国がどのような作物に保護を与えているかなど、その保護対象植物の種類と数の実態の把握、これが必要だろうと思うんですが、これどのようになさっておるのか。また、わが国で育成された品種の保護が可能になるなど、条約の加盟に対して、わが国としてのメリット、この辺をもう一度明確におっしゃっていただきたいんですが。
○政府委員(小島和義君) 外国でどのような作物を登録対象にしておるか、保護の対象にしておるかということは、現状においてすべて把握をいたしております。また、この条約の事務局におきまして、毎年各国からその状況を報告を求めまして、関係国に配付をしてまいりますので、そういう手段によっても的確に把握することができるわけでございます。また、必要があればその同盟国の品種担当部局に直接問い合わせるという手段もあるわけでございます。 で、相手国との関係になるわけでございますが、この条約におきましては、内国人、外国人それぞれ全く平等の立場で扱うという法制と、それから作物別の相互主義という扱い方と両方を認めておるわけでございまして、わが国の場合には作物別の相互主義という考え方をとっております。すなわち、ある外国人が、その国においてはある作物の品種は保護の対象にならない場合に、その国の人が、たまたま日本では保護対象にしておる作物でございますから、日本に来て日本だけの登録を受けるということはできない。つまり、その国がその保護の対象としてない国の国民ないしはそこに住所を有してる人の扱いは、その国の扱いと同じように日本も扱う、こういうまあ作物別の相互主義をとっておるわけでございます。したがいまして、その双方の重なっておりますところに最大のメリットがあるわけでございまして、今後、条約機構を通じましてさまざまな情報交流が行われ、それによって世界各国の保護いたします作物の種類が次第次第にすき間を埋めていくということが一番望ましいことであろうかと考えております。 現状において各国のその保護作物の種類、まあ作物の種類は非常にカウントの仕方がむずかしいんでございますが、一番多いのは恐らくアメリカであろうと思います。アメリカは、特定の作物を除くというかっこうで、そのほかはすべてという、いわばネガ方式をとっておりますので、これが一番数は多いんではなかろうかと思います。日本は三百八十三種類でございますけれども、ヨーロッパ諸国におきましては、イギリスの三百七十二、西ドイツの百六十一、デンマークの百二十七などが比較的多い方で、国によりましては、この条約加盟のための最低限の作物しか対象にしてないという国も現状ではあるわけでございます。まあそういうことで、相手国との交流を通じまして次第次第にそういうすき間が埋まってくるというふうなことを期待していく筋のものだろうと思います。 それから、条約加盟に伴いますメリットというのは、そういう品種の保護をお互いの国が互いにし合うという形での品種の交流ということを促進するのも最大のメリットでございますけれども、そのほかに、日本がこの条約に加盟することによりまして、日本の種苗ないしは種苗界というものの国際的な信用度が高まるというふうなメリットもございますし、また、先ほど申し上げましたように、この条約を通じまして外国といろんな情報が速やかに交流しやすくなると、こういうメリットもあろうかと考えております。
○中野明君 それで、条約に加盟することによりまして、海外からの出願もふえてくるんではないかと想像されるんですが、現在まで海外から出願された事例がどれぐらいあったか、また、わが国の諸外国への登録及び出願をどの程度見通しておられるのか、その辺ちょっとお知らせいただきたい。
○政府委員(小島和義君) わが国から外国に出願されたケースというのは、政府が全体を把握しておるわけではございませんけれども、業界などを通じて把握いたしましたところでは、六件ほどあるようでございます。 それから、逆に、外国で育成されました品種につきまして日本に出願されておりますものが六十七件ございますが、これはその育成した外国人が直接日本に出願をしたというのではなくて、日本人にその権利を譲渡いたしまして、いわば特定承継をいたしまして、その日本人の名前で出願されておるわけでございます。ただ、申請の段階におきましてはだれが育成したものであるかということがわかるようなことになっておりますので、それによりまして把握したところでは、六十七件日本に出てきております。これは日本にそういう日本人の名前で出てくるというのは、多くの品種育成者が日本に何らかのエージェントを持っておるわけでは必ずしもないということと、まあ日本語の持っております非常な言葉上のむずかしさと申しますか、そういうこともございまして、日本人に特定承継という形で出願してるものと思っております。
○中野明君 最近は種苗の海外の採種が進展をしておると聞いておるんですが、種苗というのは国内で自給するのが一番妥当だと私ども思いますが、政府のこれに対する方針と対策の基本的な考え方をお伺いしておきたいんです。
○政府委員(小島和義君) 私どもも日本国内で使います種苗につきましては、国内で自給するというのが一番望ましいというふうに考えておるわけでございます。現在海外で採種したものをいわば輸入という形で持ってきておりますものには二通りございまして、もともと外国でつくりました、育成されました種を貿易を通じて買ってくるというものと、それからそのもとの種自体は必ずしも外国品種ということではございませんが、採種を外国に頼んでおるというものと二通りあるわけでございます。外国にそのような形で依存しておりますのは、たとえば飼料作物のように日本の気象条件では採種に不適当である。したがって、採種効率が非常に落ちまして、どうしても種が高いものについてしまうというふうなケースもございますし、それからレタス、ホウレンソウ、インゲンマメのように日本の気象条件、特に日照条件などのために日本では採種困難なものもございます。また、大根のように大量採種ということになりますと、どうも外国の圃場の方がはるかに能率的にできる。そういう意味で外国に行わしておるものもあるわけでございます。そういったことを通じましてかなりな種の輸入があるわけでございますが、その中には日本国内でいかに努力をいたしましても採種ができないというものもございますし、やり方次第では多少の改善の余地があるというものもあるわけでございます。反面、また日本国内におきましても日本で採種が容易であり、かついい品種を持っているというものにつきましては、日本の種苗業者が単に日本国内に種苗を供給するだけではなくて、外国に輸出という形で種を供給しておるというものもあるわけでございまして、まあ両面あわせて日本の種苗産業と申しますか、そういったものが健全に育ちまして、日本の農業の必要とする種を賄う、こういうのが現状においては望ましい姿ではないかと考えております。
○中野明君 じゃあ次に、種苗の品種登録制度が発足しておりますが、審査体制についてちょっとお尋ねしますが、種苗法に基づきまして新品種の保護制度が発足してからの品種登録の状況をちょっと見てみますと、出願は五十三年が九件ですか、五十四年七十六件、五十五年が百三十九件、五十六年が二百四十八件で、計が四百七十二件になっておりますが、これに対しまして登録は五十三年はゼロ、五十四年が十九、五十五年が五十一、五十六年が四十四と、現在までで二百三十八になっておりますが、出願に対する登録の状況が出願の増加してくるのに対して非常に対応が遅いのではないかと。これは審査官の数の問題もございましょうし、審査にかかる日数が長いというような、そういう意見も聞くんですが、今後の審査体制の整備について農水省としてはどうお考えになっておりますか。
○政府委員(小島和義君) この種苗法が制定されまして以降、五十四年に種苗課をつくりまして、その課の中の審査体制ということを中心にいたしまして、この品種登録がスムーズにかつ適切に行われますように措置をしてきたところでございます。審査官の数も年を追いまして若干ずつではございますが、増加さしてきております。ただ、こういう時世でございますので、定員をどんどんふやしていくということはなかなかむずかしい状況でございますので、審査に当たりましても新しいいろんな手法を導入いたしまして、人海戦術という形ではなくて審査ができるような体制を逐次取りつつあるわけでございます。 審査に必要な判定のための基準をすでに百十四種類ばかりの作物についてつくっておりますが、そのほかに既存の作物についてのいろんな品種に関するデータ、品種の特性に関するデータをコンピューターに処理をいたしまして、それを容易に引き出せるというシステムの開発をいたしておりまして、恐らく本年度じゅうには種苗課の中に端末を設置するという段階までいけるというふうに考えております。 それからまた、審査に必要ないろいろな科学的な方法といたしまして、たとえば色の判別をするためのカラーチャートを作成するということによりまして、花とか果物の特性に見られます色の鑑別をスムーズにやるというふうなことも検討いたしておるわけでございます。したがいまして現在までのところ、人員不足などのために出願者に御迷惑をおかけしているというふうな事態はまずないと考えておりますが、中に出願以降非常に日数を要しておりますものは、主として出願の段階において、その作物の特性、特にその区別性という要件があるわけでございますが、それを判定するための栽培試験といったものについて適当な書類が完備していないというふうな場合においてはかなりな日数を要するわけでございます。そういったものが完備いたしておりますと書類審査及び現地調査ぐらいで簡単に済むわけでございますから、一年もあれば登録の決定ができるわけでございますが、必ずしもそういった資料が十分でないという場合には、改めて栽培試験をやるということになるわけでございますので、最低一作の期間を要するわけでございます。特にその作物が永年性作物ということになりますと、新しく栽培試験をやりますためには必ずしも一年では十分ではない。これは実がなって初めて果物としての特性が判明するわけでございますから、栽培試験がやや長くなる、こういうものもございますので、そういう極端に長いものと、一年ぐらいで済みますものと合わせて達観して考えますと、大体二年前後の平均値になろうかと思っておりますが、今後ともできるだけ迅速に処理できますように努めてまいるつもりでございます。
○中野明君 そうすると、現在はこの審査機関というのは都道府県の農業試験場が主な委託機関で、作物も非常に品種も多い、多様化しておるというような状況の中で、この審査官が十名と調査員が七十一名ですか、これで大体いけるんだろうか。ちょっと人員と施設の面で十分じゃないんじゃないかというような気がするんですが、いま端末を入れたり、いろいろ人的な操作以外に工夫をするというふうにおっしゃっておりますが、その辺もう一度お答えいただきたいんですが。
○政府委員(小島和義君) この種苗法施行以来、各年の出願状況を見てまいりますと、ほぼ毎年倍、倍でふえてきておるわけです。これは制度発足によりまして、それまでたまっておったと言ってはなにでございますが、制度ができたということで、それまでに育成されましたものを含めて出願がどっと出てきた、こういう傾向もあるわけでございます。五十七年の場合、まだ年半ばでございますけれども、これまでの出願状況を見てまいりますと、前の年に比べて格別多くなっているというふうな傾向もございませんものですから、これから先、常に倍、倍でふえていくということではなくて、むしろなだらかな増加ということになるんであろうと思っております。したがいまして、現在の審査体制で十分であるということを申し上げるつもりはないのでございますけれども、出願件数がそうむやみにふえるということでなければ、いまの体制と、これを補完するためのさまざまな措置によりましてスムーズな審査ができるだろうと考えております。 なお、御指摘がございました調査員の方は主として現地調査に参画していただくという趣旨でお願いをいたしておるわけでございまして、まあ非常勤の職員でございます。主として県の試験研究機関あるいは大学、そういったところの方でございまして、作物別の専門と、それから同時に現地調査という場所の問題がございますから、地域的な配置状況というものをあわせ考えましてこの人数でお願いしているわけでございますけれども、今後必要があれば国の審査官と同様に人数につきましては増員ということについても考えておるわけでございます。
○中野明君 条約に加盟したりなんかしているものですからこれからふえるんじゃないかという心配をしてお尋ねをしておるわけです。 次に、五十七年度から新規事業として新品種適正普及促進事業というものが発足をしております。これについてどういう内容のものなのですか、ちょっと御説明をいただきたいのですが。
○政府委員(小島和義君) 新しい品種を育成した方が出願に当たりましてその品種がその特性を十分に発揮できる地域的な限界はどういうところであるかということまで十分調査の上出願なさるということがわれわれとしては一番ありがたいわけでございますけれども、特にその個人育種の方々についてはそこまでのことをお願いするということはまた酷なわけでございます。したがいまして、主として民間の篤農家、品種改良家などが育成いたしました品種につきましては、その品種がどういうところにおいて十分にその特性を発揮できるかということについて別途の行政措置が必要であるというふうに考えております。 具体的に申し上げますならば、米、麦、大豆のようなものにつきましては各都道府県におきまして奨励品種の決定という事業をやっておりまして、全国で利用できます品種の中でその県に最も適しているものはこういうものであるということを決定いたしまして農家に普及奨励をいたしております。 それから、飼料作物でございますとか、あるいは野菜などにつきましても畜産局、食品流通局などがそれぞれの生産行政の一環といたしまして適正な、適当な品種をそれぞれの地域で進めると、こういう事業を実施いたしておるわけでございますが、果樹につきましてはいまのところはそういう仕組みがございません。また、果樹が一番個人育種家の出願にかかるものが多いわけでございます。そういう両面を考えまして、さしあたり果樹を対象に新品種の適正普及促進事業というものを五十七年度から予算をつけていただきまして、果樹種苗の団体を通じましてその品種の適地判定というものを実施いたしましてそのデータを全国の農業関係者に配布をすると、こういうことを通じましてせっかく育成されました品種が栽培個所を誤ったために十分な特性を発揮できないということにならないように指導するよすがといたしたいと考えておるわけでございます。
○中野明君 現行の品種登録制度が新品種の登録に当たりまして、その品種の優秀性ということは一切関係なしに登録されているというそういう制度になっております。ですから、この登録品種が急増してきますと栽培農家の品種選定、これに対して混乱が起こったり、あるいは新品種の導入におくれたり、あるいはまた、あわてて導入したために利用者が不利益をこうむったり、そういう心配が出てくるんではないかというふうに指摘をする人もおるわけですが、そこで政府として需要者が優良品種を選択できるような情報の提供なり、あるいは優良品種の普及の奨励のための措置、これを今後具体的にどのように対処されるのか、そこのところを。
○政府委員(小島和義君) 現在の法律で品種の優秀性ということを登録の要件から外しましたのは、これは国際条約がそのようになっておることもございますが、もともとわが国自体としてもその優秀性をめぐりましていろいろな議論があったわけでございます。どういうことかと申しますと、ある品種が優秀かどうかということは単に品種の特性において新しいものを持っておるからということだけではなくて、いわば農業の側にとって非常につくりやすい、あるいは市場に出しました場合に高い値段で売れるといったことの総合得点みたいなものでございますから、旧農産種苗法時代において品種の優秀性をめぐりまして審査する者同士の間に大変な議論がございました。よく引かれます有名な例では、ただいまブドウの世界で非常に有名な品種になっております巨峰という品種がございますが、これが出願されましたときにおいてこれが優秀な品種かどうかということについて大変な議論がございました。当時まだその栽培技術が進んでおりませんで、確かに非常にすぐれた果実ではあるけれどもつくりにくいという欠陥がある、したがってこれは品種を全体としては優秀と認めがたいということで却下したような事例もあるわけでございます。そういうことの反省に立ちまして、何が優秀かということについては使う側の用途なり栽培条件なりによって変わってくるものでございますから、品種の新規性と申しますか、それのみを要件にいたしまして優秀性という要件は外したと、こういう経過があるわけでございます。ただ、そういうことにいたしておりますのは優秀な品種の普及というものについては別個の行政措置があるということを前提としておるわけでございまして、たとえば米、麦につきましては先ほど申し上げましたような主要農作物種子法に基づく措置があるわけでございます。それから飼料作物、野菜等につきましても先ほど申し上げましたような手段がございます。またバレイショでございますとかサトウキビ、お茶などにつきましては国がみずから原原種農場あるいは原種農場を持っておりまして、そういう場を通じてつくりました種苗を配布するという形でいい品種の普及導入を図っておるわけでございます。そのほかに各都道府県などで農業祭でございますとかあるいは品種交換会でありますとか、さまざまな農業関係の行事がございます。そういった場を通じ、また民間の種苗団体が行っております各種の審査会——コンクールのようなものでございますが、そういった場を通じまして優秀なものについての表彰を行うというふうなことを通じましていいものが広く用いられるということについて努めておるわけでございます。また、いいものといってもどういう場所で使うかということについては、これはその現地で実際に栽培をしてみませんとその判定ができないわけでございますから、先ほど果樹について申し上げましたような措置も講じまして使う方の、その品種を利用なさる方の、何といいますか、使い方を誤るということによってせっかくの品種がかえって経営的にはマイナスになるということにならないように努めてまいるつもりでございます。
○中野明君 それで現在のわが国の育種体制を見てみますと、国と県など公共機関での育種が主要農産物について主流をなしているというふうに承知しております。園芸作物については民間の育種者、この人たちが公共機関で育成研究したものを利用して商業上見合う育種を行っているというふうに私も見ておりますが、外国では民間育種というのが非常に盛んであると、このように聞いております。こういう観点からこの民間育種を振興するという、そういうことについての農水省の対策は、促進をすべきじゃないかと思いますが、お考えはどうでしょうか。
○政府委員(小島和義君) 実はこの種苗法による品種の保護制度自体が民間の方々がみずからの資金を投じまして新しい品種の育成開発に努力をされる、そういった努力が報われるようにするという法制なわけでございます。したがいまして、個人、法人を問わず、かなりな資金と年月を要しましてつくりましたものが無断で他人に自由に販売され、販売面の何といいますか、強い力を持っているところだけが利益を受けるということではなくて、育成をした者に十分な報いがあるようにという法制だと私は理解をいたしております。また、そういう民間の育種者に対する直接的な援助、たとえば財政的な援助というのはなかなかできないわけでございますけれども、これは技術会議の方からお答えいただいた方が適当かもしれませんが、国がやっております試験研究、あるいはさまざまな育種のもとになる品種と申しますか、そういったものの提供を通じまして民間の育種を助長すると、こういうこともやっておるわけでございます。
○中野明君 じゃ、もう一点聞いておきますが、現在のわが国の新品種の保護制度、このもとで公共機関におる、職務として行っておる研究者、この人の権利はどういう取り扱いになっておるんですか。不満とかトラブル、そういうことは発生しておらないのかどうか、その辺。
○政府委員(岸國平君) 国並びに都道府県の試験研究機関で育種を実施しておりますが、そこで育成された品種につきましても、現在主要な作物につきましては農林水産省におきます命名登録を実施いたしております。それから、その命名登録された品種につきましては種苗登録においても登録されるような状況になっておりますが、この種苗登録をされた品種を育成した育成者につきましては、登録補償金それから実施補償金、そういったもので報われることになっております。それからまた、その種苗登録に際しましては育種を担当いたしました者の氏名も同時に公表になりますので、その品種がその育成者によって育成されたということが広く公表になり、また長く記録として残る、そういうふうな状態になっております。
○中野明君 それじゃ、けさほども川村先生からもお尋ねがございましたが、近年、ライフサイエンス、いわゆる生命科学というんですか、遺伝子工学を含めて、こういうことが非常に脚光を浴びてきております。農業生産においても全く新しい技術発展の可能性をもたらすものだろうと私どもも認識はしておりますが、これについて農水省としても新しく予算も取って開発計画をなさろうとしておるんですが、具体的にちょっと御説明をいただきたいんです。
○政府委員(岸國平君) ただいま先生の御指摘の点は、私ども昭和五十七年度から予算をもって研究を始めております細胞融合核移植による新生物資源の開発という研究を始めておりますが、そのことを特に指していただいているんじゃないかというふうに解釈いたしますが、この研究は表題にもございますように細胞融合、この技術は主に植物を対象といたしておりますが、一般にDNA組みかえとかあるいは遺伝子組みかえと申しておりますようなものとは若干異なりまして、植物の細胞をばらばらにいたしまして、それを細胞壁を取り除く操作をいたします。その細胞壁の取り除かれた細胞同士を、これを違った植物あるいは違った品種の間で融合をさせてそこから新しい植物をつくり出して、たとえば非常に高度な抵抗性を持っている、病害虫に対する抵抗性あるいは塩害に対する抵抗性、そういったようなものを持っているような品種、あるいは新しい作物を目指そうというのがねらいでございます。 それからまた、もう一つの核移植によるという方の核移植の方は、これは動物を対象といたしておりまして、その技術は将来、新しい非常に能力の高いワクチンでありますとか、そういうようなものの作製、そういうところにも活用していこうかということを目標にいたしておりまして、これらの研究は現在まだ世界的に見ましても取りかかったばかりのところでございますので、まだ本当の成果が実際の作物の品種でありますとかそういうところに出てまいりますのは先のことになりますけれども、基礎的な技術の開発は急がなければなりませんので、予算をいただきましてこの五十七年の四月から本格的に研究を始めているところでございます。
○中野明君 私ども仄聞しますと、ヨーロッパでは、どう言うんですか、トマトとポテトですか、ポマトですか、そういうものができるとか、肥料なしでもどんどん生産できるとか、そういうような研究が進んでいるというんですが、そういうこともあわせてやっぱり研究なさるんですか。
○政府委員(岸國平君) ただいま御指摘のトマトとポテトのあいのこ、ポマトと称しておりますけれども、そういうものについても研究するのかというお話でございますが、このポマトの点につきましては、確かにそういう研究報告がございますし、また先日のNHKの放送などでも触れられておりましたように、その物ができ上がっているという学問的な事実はございますが、ただその物は、先ほども申し上げましたように、まだそのまま上にりっぱなトマトができ下にジャガイモがなるという状況になっているわけではございませんで、植物としては大変まだ未熟なものでございますので、私どもは単にそういうものを直接ねらおうとはいたしておりません。ただ私どもの考えでは、いまのポマトもやはり細胞融合の技術を使ってつくられたわけでございますが、そういう技術をトマトとポテトという間だけではなくて、もっと新しい野菜でありますとか、花でありますとか、そういうような比較的応用のしやすい部分に試してまいりたい。それから、そこで新しい物をつくるというだけではなくて、いま例に挙げていただきましたポマトをそのものを使うというよりも、そこにでき上がったいろんな環境、抵抗性といったようなものを別な作物に——別な作物といいますか、抵抗性という意味で生かしていくというようなことを図っていく、そんなことを頭に置いて、少し長期的な計画でございますが、研究を進めていきたいと考えております。
○中野明君 じゃ大臣、最後に一言お答えいただいて終わりたいと思いますが、いま申し上げておりますライフサイエンスの問題は、これは農業部面にも、かなり諸外国、欧米なんかに比べてちょっと日本がおくれているんじゃないかと、このように言われておる分野なんですが、まあ今回五十七年度から予算をつけて、そして新たな開発計画がスタートするということで非常に私どもも結構なことだと思うわけですが、非常に遺伝子工学は問題がある分野でございますが、農業に大いにこういうことは活用していただくことは私どもも大賛成でありまして、今後この問題について、農水省としての取り組みの決意を最後におっしゃっていただいて、終わりたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 新しい農業を確立して農林水産業の振興を図るためにはいろんな要素はございますけれども、やはり技術の開発、普及というのは大きな要素だと思うのでございます。したがいまして、ただいま御指摘のように、細胞融合あるいは核移植等の新しい技術の導入による新しい農業の確立ということは必要だと思うのでございます。特に、五十六年度から科学技術会議に農林水産大臣が参加することに相なったわけでございまして、そういう点から言いますというと、この科学の振興という面で大きく農林水産省の世界が広まったと、こう言って差し支えないと思いますので、今後とも一層この点に留意をして、新しい農業の道を開いてまいりたいと、かように考えております。
○下田京子君 最初にお尋ねしたいのは、先ほどもちょっと議論になっておりましたが、法第八条に基づきます職務育成品種の問題です。この五十三年の十二月二十八日に種苗法が施行されて、もう三年余たったわけですけれども、出願件数も年々ふえておりますが、登録件数の方は五十七年六月七日告示で見ますと、全体で二百八十六件ということになっているわけです。この二百八十六件の中で、登録者区分別の登録件数、その状況の中で、特に国立試験場が登録している件数について、数字のみお答えください。
○政府委員(小島和義君) 国立試験場分が十七件でございます。
○下田京子君 全体で二百八十六件ですから、国立試験場が十七件と言いますと、わずか構成費六%、こういうことですね。これで国の試験研究機関が育種振興に十分に役立っているというふうに評価できるんだろうか、疑問を持つわけなんですけれども、特にその点で人的な面、予算的な面、どうなっているか。ちょっと調べてみましたところ、育種研究者を見ますと、昭和五十三年度で三百二十四人、これがことし五十七年度は三百二十一人ということで、法制定後逆に三人ほど削られている。それから一人当たりの研究費も、これは研究員当たりの積算庁費の単価、まあ経常研究費だと思いますが、五十三年度の場合には百十二万円でした。ことしは五十七年度で百二十六万円、五十六年度比でゼロですね。これは昭和三十八年以来初めて据え置きという事態だということがわかりました。まさに人もお金も行革ということによって圧縮されてきているんじゃないか。まさに法制定後の育種振興ということから見て、逆に行っているんじゃないだろうか。この点についてどう考え、なおかつまた、来年度の予算要求、防衛費だけ七・八%云々なんて話が出ている中で、一方、一般予算マイナス五%だと、こういう話が出ている。どういうふうに対応されますか。
○政府委員(岸國平君) 幾つか御指摘いただいたわけでございますが、種苗登録で登録された品種の中で二百八十六品種中、国の試験研究機関でできた品種が十七品種しかないではないかという御指摘でございます。その点につきましては、確かに数は十七品種でございます。ただ、これは先生いま御指摘いただきました点につきましては、このいまの時点での断面でございまして、若干時間をいただいて御説明さしていただきますと……
○下田京子君 簡単に、もう時間ないですから。
○政府委員(岸國平君) そうですか。——いままで農林水産省でつくってまいりました品種は六十三作物千三十三品種に達しておりまして……
○下田京子君 わかればいい。(「まじめに聞け」と呼ぶ者あり)
○政府委員(岸國平君) 特に水稲を初め主要な作物につきましては、水稲は約七割、それから小麦につきましてはほぼ一〇〇%の現在の実際の作付面積の中の率を占めております。そういう点におきましては十分役割りを果たしているというふうに考えております。 もう一点の人員並びに予算の点でございますが、確かに最近の大変厳しい状況の中で経常研究費等はなかなか伸びておりませんが、育種につきましては大変重要だと考えておりますので、先ほどお答え申し上げました細胞融合に関連の予算もこれもまさに育種の費用でございまして、二億二千万余りの費用を一年間いただいて研究を推進いたしております。そういう状況でございますので、今後もできるだけ私ども技術会議事務局といたしまして育種関連の費用をプロジェクト研究等で十分にとって対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
○下田京子君 まじめに聞けというやじが飛びましたけれども、まじめに答えていただきたい。経常研究費はそういうことで、五十七年度初めて据え置きになっているんですよ。なのに法制定という点から逆行するのじゃないかどうかと、こう聞いたんです。それにお答えになっていないで、プロジェクト研究等でやっていくと、それはそれで五十七年度は若干ふえていることは認めているんです。私が言っているのは、経常研究の問題がどうかと、こう聞いていたわけです。これは時間がありませんから、私は大臣をも含めてこういう状況なので、しかと踏まえて予算要求に当たってほしい。要望をしておきます。 次に、職務育種の対価の支払いの問題なんですが、さっき、法律的には補償金を支払うというふうになっているんだという御説明がありました。としますと、五十六年度はこの予算を見ますと三十一万五千円計上されておりまして、五十七年度も同額計上されているわけですね。五十六年度が農水省の試験研究機関の登録件数は十二件、ですから一品種登録あたり六千円支払うというふうなことになっているんですけれども、実績はどうか。
○政府委員(岸國平君) 現在、実績は支払いが出ておりません。この点につきましては、先ほど中野先生の御質問にお答えいたしましたとおり、法律的にはそういうふうになっておりますが、私どもまだ実施後日が浅いということもございますが、国の職員からの補償金支払いの申請は、現在のところ出ておりませんので、いまのような状態でございますが、新品種の育成者の保護ということは大切なことであるというふうに認識いたしておりますので、今後とも趣旨の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
○下田京子君 実績ゼロということになりますと、法律では、第八条の(2)にきちんと保証されているわけですけれども、実態が伴っていないわけですね。いまもお話にございましたけれども、職務育種者の権利保護という点でこれは非常に重要だと思いますし、それが保護されなければ、やはり民間の職務育種における従業員の権利も守られないようになると思うんですね。 重ねて確認したいわけですけれども、農水省として、統一的に補償金の支払いを請求しないようにというふうな指導なんかよもやしてないと思うんですけれども、本人の請求によって支払われるということでありますから、本人ができるだけそういうことがなされますようにしかと保証していただきたい、一言お答えください。
○政府委員(岸國平君) 先生の御指摘のとおりでございますので、私ども現在もそういうような指導をいたしておりませんが、これからも、先ほどお答え申し上げましたとおり、新品種の育成者の保護が大切であるということで、今後とも趣旨の徹底に努めてまいりたいと思います。
○下田京子君 次に、育種分野に各大手企業がいろんな形で進出してきている状況についてお尋ねしたいんですが、五十六年の十月八日、「種苗法による品種登録について」、これを見ました。今年ももちろん六月七日付で、田澤大臣のあれで出ておりますけれども、この農林水産省告示の資料を見てみますと、お酒のメーカーでは麒麟麦酒株式会社やサッポロビール、マンズワインだとか、サントリー、こういったところもそれぞれまた登録されていますし、それから食品加工メーカーのカゴメなんかも出ております。また肥料メーカーの三井東圧化学株式会社で、この資料を見ますと、「いんげんまめサーベル」というのと、「いんげんまめサーベルF」というのが五十六年十月八日に登録されているわけです。 こういうふうな、民間の育種だとは言いつつも、従来の個人や中小の種苗会社でございませんだけに、大手の企業が資金力をバックにこうした種子開発に乗り出してきている。このことについてどういうふうに政府はお受けとめになっておりますか。
○政府委員(小島和義君) 従来から民間の、特に食品会社あたりが自社の利用する原料作物につきましての品種開発に力を入れておるわけでございまして、そのこと自体はまさに原料の利用者という立場から見てまことに結構なことであるというふうに考えておるわけでございます。 それから、お挙げになりました会社の中で、直接種苗とは関係なさそうな会社もございますけれども、これも農業に関連する会社で、みずから持っております農学的な研究部門の知恵を結集いたしまして品種開発に努めておるわけでございまして、そういう、傾向といたしまして新しい品種開発に目を向け出したということは、私どもとしては結構なことであると考えておるわけでございます。 ただ、恐らくおっしゃりたいことといたしましては、余り農業に関係のないところまでどんどん品種開発に目を向け出すというのは、大手の資本の種苗界に対する進出としてやや警戒的な目をもって見るべきではないかと、こういう御趣旨でございますが、確かにいろんな産業分野で従来の製品がやや行き詰まっておる、こういう分野がございまして、種苗の世界がこれからの成長産業ではないかという意味で、先物を買うといいますか、将来の成長産業に手をつけるという意味で関心を持っていると、こういう企業も少なくないように見受けております。
○下田京子君 農業に関係しているところがやられているんでは結構だということだけれども、今後種苗が成長産業だという点で、いろいろなところが目を向けているというお話しでしたが、御承知だと思いますけれども、昨年の四月ですか、新品種保護開発研究会という組織が結成されておりますね。「新品種と種苗」という創刊特集号、ごらんになりましたでしょうか。大臣もごらんになっているかどうかと思うんですけれども、この中の役員名簿を見ましたら、二十三ページ、ちょっとごらんください。 理事長が日本貿易会会長の水上さん、それに麒麟麦酒の社長さんが副理事長になっております。理事には旭化成工業の副社長、それから井関農機の社長さん、エスビー食品副社長さん、カゴメの専務取締役と、それに協和醗酵工業の常務取締役、そして三井東圧化学の常務取締役、さらには三菱化成工業の取締役。まさに一部上場の大手企業の役員がずらり名前を連ねております。 そういう点から見ますと、大手企業資本というのは趣味で育種の開発をやっているんじゃないということは御承知だと思うんですね。こういう動向が、品種改良が前進するんだからということでやっぱり単純に私は美化できない問題があるんじゃないかと思うんです、本来というのはもうけることですから。 いまもちょっと話がありましたが、種子産業は今後の成長産業だというのみならず、種子というのは農業生産の最も基礎的な生産資材だと思うんですよ。そういう点から見ますと、開発される優良な品種が安くしかも安定的に消費者たる農家の皆さんに普及できるという保証が何よりも大事だと思うんです。 これは大臣にお尋ねしたいんですけれども、こうした新品種保護開発研究会なるものが、そこで開発した種子等が独占化という状態になって非常に農家に不利益な、不当な行為を及ぼさないような、そうした民主的な規制が必要ではないかと、こう考えるわけなんです。この中にもございますけれども、設立趣意書を見ますと、「種子を制するものは食糧を制する」というふうに言われているということで、大変注目しているわけなんです。こういう点で民主的な規制、どういうふうにすべきか、必要ではないかと思うんですが、大臣のお考えを聞かせていただきたい。
○国務大臣(田澤吉郎君) いま御指摘のように、カゴメはトマト、あるいは麒麟麦酒は二条大麦ですね、あるいは雪印種苗は飼料作物等の研究を進めているわけでございますが、これはそれなりに、先ほど局長からお話がありましたように、農業の振興の面ではむしろプラスになっていると思うんです。 問題は、大手企業が、確かに将来は種が、種子が大きい役割りを果たすものだという目標で研究と関心を持っていることは事実なんでございますので、ただいまの時点では、私はまだこの規制をするという段階じゃございませんけれども、これが将来やはり米だとか麦だとか大豆等に影響を反映してくるようなことになってまいりますというと、いま御指摘のような点は考えてまいらなければならないと思います。 したがいまして、私たちとしては常にこれらの機関に対しては大きな関心を持ちながら進めてまいりたいと、こう考えております。
○下田京子君 将来考えなきゃならないというお話なんですけれども、この第二巻を読みますと、前の亀岡農水大臣を囲みましていろいろ話しているんですが、その中で理事長いわく、基礎的研究は、国・大学等が主にやりまして、調査研究結果はタイムリーに民間の適宜な機関・企業等に移して、開発に向かって前進させるべきだと、こういうことを言っているんです。つまり、もうけに直結しない基礎的部分は国がやりなさい、もうけにつながるところはもう民間に任せてくださいよという、こういう主張なんですよ。これはつまり、いま財界の、財界による、財界のための行政改革ではないかと、こう言われているような臨調の行政改革路線ともぴったりするんじゃないかと、こう私は心配します。 同時に、これさっきもテレビごらんになったということですが、テレビを本にまとめられたNHKの取材班が出されている「食糧」の(2)、「一粒の種子が世界を変える」、これを読みましたところ、ほんとに大変な実態が書いてありまして、アメリカは飼料穀物の輸出量の七〇%を支配して、まあアメリカ全体が七〇%支配しているわけですけれども、そこまで至った大きな原因は何かといえば、トウモロコシの種子を開発した。そういう中にあって、いまどんどんどんどん、どんなところで何が支配されているかといいますと、これはもう言うまでもないと思うんですけれども、あえてちょっと御紹介申し上げますと、アメリカの穀物メジャーで有名なカーギル、あるいはまたイギリスの石油メーカーで有名なロイヤルダッチシェルですね、あるいはまた、オクシデンタルという石油メーカー、それからアメリカの電信施設のITTだとか、それからスイスの薬品会社でありますサンドだとか、まあ言ってみれば農業以外のいろんな産業が、こうやって世界的に乗り出してきている。これはうちの寺前議員が衆議院でも質問しておるところなんですけれども、なぜこういうかっこうで出てくるかという点はやっぱり見なければならないと思います。 特に現在、アメリカにあってソラマメなんかの場合を見てみますと、大手の企業で、わずか四社でもって七九%を占めている、こういう実態が書かれております。 いろいろ詳しいことも御紹介したいんですが、時間がありませんから、一言だけ最後に申し上げますと、この点ではこういう大資本の種子独占が進むとどんな弊害があらわれるか。まず、種子の自由な交換が阻害される、これが一番大きい不安だ。かつて一粒の種子が世界じゅうを自由に駆けめぐって、各国の品種改良にはかり知れない貢献をしてきた。そのよい例が日本農林十号という小麦だった。ところが種苗法が成立してから、アメリカでも世界各国でも事情が変わってきたと言うんですね。もし企業がいい素材になる種子を発見したとすると、彼らはためらわずそれを企業秘密の金庫の中に閉じ込めるだろう。人類共有の財産が企業の私有になってはならない、こういうことも述べられておりますので、やはり大臣、いま、将来考えるものだということだったんですが、やっぱり将来そうなってからでは遅いと思うんですよ。少なくともその研究のあり方、特にいま大臣言われたお米だとか穀物等については最低、国が基礎研究からすべて一貫して責任を持っていく、こういうことが必要でしょうし、独占化を許さない、こういう態度で、見守るにしても明確な態度をお示しいただきたいと思うんです。
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘のような趣旨にのっとって、特に私は種子というものについての関心はこれまで以上にやはり関心を高めていかなければならないという大前提に立って将来ということを申し上げたのでございまして、米あるいは麦あるいは大豆等については県あるいは国の機関で、これは系統的に取り扱いをしておるのでございますので、そういう点には十分な配慮をしてまいりたい、かように考えております。
○下田京子君 次に、生産流通改善のための検査体制等でお聞きしたいんですけれども、実際に法三条に基づいて種苗証票に関する検査であるとか、あるいは五条の二によって集取した種子については発芽検査だとか品質検査あるいは病害検査などおやりになられていると思うんですけれども、これは筑波と大阪と久留米と三分室でいろいろ実施されている。これは実際に改善命令が五十五年、五十六年とどういうふうになっているか。総件数だけで結構です、数字だけ比較してお答えくれませんか。
○政府委員(小島和義君) 表示関係に対する措置の件数でございますが、五十五年度が四百十九件、五十六年度が六百八十二件でございます。
○下田京子君 年々ふえているということなんですが、そこで次にお尋ねしたい点は、五十五年度の種苗年報を見てみましたら、これなんですけれども、シュンギクが大変悪いんですね。発芽率が五二・七%というふうなことで、大変問題だなと思いました。実際にこのために追跡調査なんかやられているのかどうかということなんです、一つは。 それから、いろんな流通をチェックする体制が十分と言えるかどうか、この点について。
○政府委員(小島和義君) 先ほど申し上げました件数は、同一のものを追跡しましてこういう結果が出た、前の年よりもふえておったということではございませんで、毎年検査の対象が異なってきておりますので、その意味では、たまたまこの年にふえたというふうにお考えいただいた方がよろしかろうと存じます。 なお、その追跡というお話でございますが、一つの種類の種苗だけを継続して検査をするということはなかなかむずかしゅうございまして、輪番的と申しますか、やや長いサイクルで回ってくるという調子で検査をいたしておるわけでございますから、そういう期間を置いて眺めてみますと、前回検査に比較して今回どうなっているかという対比もできようかと思いますが、先ほど申し上げました二カ年だけの対比でそのようなことはちょっと申し上げにくいわけでございます。
○下田京子君 二カ年だけ見れば云々ということなんですが、追跡調査やられてないということはやっぱり問題であって、本当に表示どおり農家の手に届いているかどうかということで必要だと思うんです。 これは大阪分室の状況をお話伺ったんですけれども、追跡調査やられてないと。なぜやれないのかと言いますと、一つにはやっぱり人為的にも不足しているし、旅費もないんだと、そういうお話もありました。 そういう点で、これはやっぱり重要ではないか、検査体制を十分に強化していくことが必要だという点を一つ指摘しておきたいと思うんです。 それから次に、指定種苗の生産に関する基準の問題なんですけれども、第五条に基づいて種苗業者の遵守すべき基準の作成をしなければならないということになっていると思うんですね。これは大阪分室で聞きましたときには、五十五年に実施したトマトの種子の検査で異株の混入が十八株中十一株もあった。三年前に、私、法制定のときに、福島県の岩瀬郡の生殖用のキュウリのお話したんです。種子の中に加工用が入っていて大変な騒ぎになりました。そのときに現局長は審議官だったと思うんですけれども、とにかく法律に基づいてそれはきちんと基準をつくると、こうお答えになっていたわけです。基準できましたでしょうか。
○政府委員(小島和義君) この生産流通基準をつくります意味は、出回っております種を追っかけて検査をしているだけでは根源的な問題の解決にならない、したがって種をつくっております段階、それから乾燥とか調整、保管をいたします流通段階、その段階を改めていかなければ、出回っているものの種を追跡して検査をしているというだけでは問題の解決にならない、こういう意味で法律の中に盛り込まれたものでございます。 法制定直後の問題といたしましては、この法律の新しい品種登録制度の発足に絡みます業務に追われておりまして、五十五年ぐらいからこの基準作成のための調査に取りかかっておるわけでございます。現在、最も流通量の多い野菜につきまして原案ができ上がっておりまして、ことしの初めの段階で関係の種子業界の意見を十分聞き、ごく最近におきましては、ユーザーでありますところの生産者団体の意見をただしておりますので、原案としてはでき上がっておるわけで、近々に制定、公表をいたしたいと考えております。
○下田京子君 野菜については近々公表ということなんですけれども、果樹だとか飼料作物もどうなっているかというお話ございませんでしたね。とにかく法制定からもう三年もたっているんですよね。第五条の規定は言うまでもないと思うんですけれども、農家の保護ということが大前提だと思いますよ。しかも、この法律の制定のときに全会派一致で政府案について修正した部分があると思うんです。一つは、「遵守することが望ましい」というのがありますが、それを「遵守すべき」だというふうなことで基準を設けて、その基準に基づいて種苗会社に対するきちんとしたものが出されましたし、それから第二項には追加して、基準を遵守すべき旨の勧告ができるというのが入っておりますし、第三項には、勧告に従わない場合にはその旨も公表できるんだ、こういうふうに言っているわけなんですよ。 もう時間になりますので、最後にこれは大臣にまとめてお聞きしたいんですけれども、とにかく法律制定以来こういう時間がたっているわけですから、繰り返しませんけれども、飼料穀物など、さっきも大臣言われました大事な部分について一体基準がどうかと。基準設けなければ、その基準に反した種苗会社に対する勧告もできませんし公表もできないわけですから、法律をつくった国会無視と言ってもいいんじゃないかと思うんですよ。ちょっと問題だと思います。これが一点。いつ、早くどうやるのかという点明らかにしてください。 それからもう一つ、その基準作成に当たって大事な問題だと思うんですけれども、牧草種子の場合には畜産局の自給飼料課がやってますね、担当。それから穀物の場合には農蚕園芸局の農産課でしょう。それからまた園芸種子の場合には農蚕園芸局の種苗課と。言ってみれば縦割り行政でばらばらですよ。こういうような中にあって本当にやれるんだろうか、その生産、流通面等々。登録については確かに種苗課が統括いたしたわけですけれども、やはりこの時点で種苗行政を総合的に進めていくと、そういうことが検討されてしかるべきではないか、この二点について大臣のお答えを求めて質問を終わります。
○国務大臣(田澤吉郎君) 種苗の育種の持つ役割りというのは非常に大きいわけでございまして、ことにわが国農林水産業の振興のためにいろんな要素はございますけれども、いわゆる育種の持つ役割りというのは非常に大きいわけでございますので、そういう意味では種子の生産、流通の面のいろんな点の整備というものは必要だと思いますので、ただいま御指摘の点は十分検討さしていただきたいと、かように考えます。
○委員長(坂元親男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(坂元親男君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、坂倉藤吾君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。 —————————————
○委員長(坂元親男君) これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 種苗法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 一賛成者挙手一
○委員長(坂元親男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 村沢君から発言を求められておりますので、これを許します。村沢君。
○村沢牧君 私は、ただいま可決されました種苗法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、種苗制度が我が国における育種振興と農業生産の向上に果たす役割の重要性にかんがみ、本法の施行に当たつては、本制度の円滑な運用が図られるよう、次の事項の実現に努めるべきである。 一、新品種保護制度の目的に沿つた育種の振興等を図るため、迅速な品種登録の審査に資するよう、データの蓄積、審査基準の設定、審査技術の向上に努めること。 二、種苗の国際交流の円滑化と農業者の適切な種苗選定に資するため、品種特性の公表等を推進するとともに、種苗の検査等の改善及び品種特性の維持管理に努めること。 三、良質な種苗の生産、流通に資するため、種苗業者等が遵守すべき基準を早急に作成し、その適切な運用を図るとともに、種苗検査の厳正な実施に当たること。 四、優良な新品種の育成を推進するため、育種素材としての遺伝資源の収集・保存等試験研究体制の充実に努めること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(坂元親男君) ただいま村沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(坂元親男君) 全会一致と認めます。よって、村沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田澤農林水産大臣。
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(坂元親男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十七分散会