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96回国会参議院1982/04/01

農林水産委員会 第7号

発言数
248
登壇者
23
会派数
5
開催日
1982/04/01

会議録

坂元親男自由民主党

○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管、農林漁業金融公庫を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣は所信表明演説で、農政審答申の「八〇年代の農政の基本方向」と「農産物の需要と生産の長期見通し」を踏まえ、長期的展望に立って農政の転換を図っていくというふうに言っておりますが、五十七年度農林漁業政策とその予算は、臨調の答申と財政再建方針に沿ったいわゆる行革予算であって、日本農業の長期展望を描いて、その一環としての予算とは言いがたいというふうに私は思います。そこで、五十七年度の農林行政を進めていく中で、「八〇年代の農政の基本方向」、生産の長期見通し、食糧目総力強化に関する国会決議、これらの基本的課題をどのように実現をされていこうとするんですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、五十七年度予算は行財政改革の厳しい中で編成されたものでございますので、総額で三兆七千十億でございますが、前年対比〇・二%増という形に相なったわけでございますけれども、この予算の特徴といたしましては、すでに所信表明で申し上げておりますように、補助金の扱いについてでございます。これにつきましては、これまで部、局でそれぞれ補助金を要求しておったのを統合・メニュー形式によりまして、いわゆる新しい方式でこの補助金の要求をいたしまして、これまでは千二百件ほどの補助金でございましたけれども、今回その半分の六百件に抑えたと、こういう点では確かに行財政改革の線に沿うた一つの予算でございます。しかしながら、その統合・メニュー形式をとることによって、農政全体に与える影響というのは決してマイナスじゃない。むしろこの補助金を有効に活用することによって、ただいま御指摘のようないわゆる食糧の自給だとかあるいはまた新しい農政の確立という面に重点を置いてこの予算が編成されたと言って私は差し支えないと思うのでございます。特に食糧の面で考えますというと、まあこれまで日給できるものはお米だとかあるいは野菜だとか果物だとかあるいは畜産物等がございますけれども、どうしても輸入に依存しなければならないもの、これは小麦、大豆、トウモロコシ、あるいはいわゆる飼料穀物などでございますが、こういう点をできるだけ自給率の維持できるような方向で調整をしていくというようなことなども配慮しながら、配慮するということを基礎にしながらこの予算が編成されているということでございますので、しかもまだこの中核農家を中心にした経営規模あるいは技術開発等もしていくというような点も重点にいたしておりますので、国会の決議あるいは「八〇年代の農政の基本方向」を十分踏まえた予算編成であると、こう申し上げてよろしいと思うのでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 農政の長期展望や基本方針を踏まえての予算であるかどうかということについては、後ほど具体的に、指摘をしてまいりますが、農水省は昨日二〇〇〇年の世界の食糧需給予測を発表したということが報道されておりますが、その骨子について述べてください。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 一昨年の十月に農政審議会から「八〇年代の農政の基本方向」について答申をいただいたわけでございますが、その中におきまして、今後さらに検討を深めていく事項といたしまして、食糧の安全保障の問題あるいは日本型食生活の問題あるいはえさ米の問題等あったわけでございますが、この食糧安全保障の問題を討議していきます上におきましては、今後の世界の食糧需給、特に日本の場合には飼料穀物、大豆等あるいは麦等を初め外国に依存している部分が相当ございますので、世界の食糧需給につきましてある程度の展望を持つということが必要だったわけでございます。そのため農林水産省におきましては、農政審議会の専門委員会におきましてこの問題の御討議をお願いいたしますと同時に、私ども独自の需給モデルと予測のモデルを開発いたしまして、それに基づきまして二〇〇〇年までの世界の食糧需給の動向というものを把握しようとしたわけでございます。これにおきましてはいろいろモデルを六つぐらい考えまして、いろいろシミュレーションによります農耕予測をやっておりますが、その前提といたしましては、人口は一九七八年の四十二・六億人から二〇〇〇年に約六十二億五千万人・・

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 簡潔にしてください。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) はい。そういういろいろ前提をとりまして、品目につきましても耕種、米以下四品目。畜産につきましても、牛乳・乳製品以下六品目というものについて予測したわけでございます。これによりますと予測結果の概要といたしましては、結論的に申し上げますと、中長期的に世界の食糧需給は楽観を許さないという私どもの観測、予測が一応裏づけられた資料になっているわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 世界的に食糧の需給は楽観を許さないと、私もそのように思いますが、そのような世界の食糧事情、そして近年のわが属の農業情勢にかんがみまして、食糧安保の立場から国会は一昨年食糧日給力の強化に関する決議を行った。政府はこの決議を尊重して自給力確保の対策を講じなければならないわけでありますが、五十六年度の穀物自給率は何パーセントになりますか。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 約六九%でございます。これは食用の穀物でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 食用穀物は六九%ですか。そうじゃなくて、えさも含めた穀物自給率。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 約三〇%、二九ないし三〇%でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 三〇%。農産物の長期見通しによれば昭和六十五年度に穀物自給率は三〇%になる、こういう見通しを立てておるわけであります。これとて先進諸国の中でも最低の自給率であり、安全保障にとって重要な問題でありますけれども、六十五年度を待たずして三〇%になってしまった。大臣、米を含めた自給率が三〇%ということは、これはゆゆしき問題というふうに思います。農業の基本は一体何であるのか、自給率向上をどのように考え、どう対処してきたのか、さらに五十七年度の政府の政策で自給率を取り戻すことができるのかどうか、大臣の見解を求めます。——大臣ですよ。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 先ほどの答弁で一つ申し落としがございましたが、昨年及び一昨年は非常な冷害がございまして、特に東北、北海道につきましては二年連続の不作ということがございまして、穀物自給率が落ちたという事情がございますが、これは特に異例のことではないかというように考えております。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) いま申し上げましたように、昨年冷害のために三〇%を切ったような状況でございますが、これはやはり戦後の食生活の大きな変化ということが非常に大きい影響を与えているわけでございまして、何としても米中心の食生活に変わっていただきますというと、かなりその点は変わってまいりますけれども、いまの状況ではどうも米が過剰で、そうしてむしろ肉等の需要が高いという状況にございますので、私たちは、一つは自給力を向上させるという面と、もう一つは日本的な食生活を普及すると、この両面でこの自給力の維持、向上を図りたいと、かように考えているのでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私はそんな言いわけを聞いているんじゃないんです。それでは、昨年は冷害があったから自給率は落ちた。五十七年度農林政策を推進する中で、この自給率は取り戻すことができますか。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 本年の作況につきましてはこれからの問題でございますけれども、私どもとしましては、昨年、一昨年の冷害というような異例な事態を除けば、穀物自給力につきましては、大体主食につきましては現状のものの維持あるいは若干の増加を見込めるのではないかというふうに期待をしております。先ほど大臣が申し上げましたように、えさ用の穀物というものを考えてまいります場合には、どうしても長期的にはやはり穀物自給率は落ちざるを得ない。これはやはりえさ用の穀物というのは国内ではなかなか生産しがたい、もっぱら外国に依存しているという大きな事情があるからでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 この長期見通しは昭和五十三年に立てたわけです。農林水産省が長期展望に立った農業施策を行っていくとか、あるいはこの長期見通しに沿った農政を展開していくと言っても、すでに六十五年を待たずして自給率はこういう形になってきた。農水省の政策がいかに展望のないものか、このことを物語っておるし、これは重大な問題だと思うんです。  だんだん指摘をしてまいりますが、次の問題に入りますけれども、臨調の答申と農政の長期展望について尋ねますが、臨調はこの夏基本答申を出すけれども、その中には農政のあり方や補助金の整理合理化など、農水省にとっても重要な項目が挙げられておるわけであります。臨調答申の内容がどんなものが出てくるかということは現在定かではないけれども、日ごろ農政批判を続けておる財界の主導による臨調の答申が農政にとっていい方針が出るとは考えられない。  大臣、臨調の答申と農水省が考える農政の展望とをどう調和さしていきますか。——基本的な問題ですから大臣に聞いているんです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) いまお話しの基本答申につきましては、この七月に予定されておりますし、最終答申は来年の三月ということに相なっておりますが、このいわゆる第二臨調の一つの考え方というものは私たちは尊重してまいらなければいけないと思いますが、ただ、その第二臨調と農業政策との関係は、私は十分注意を払っていかなきゃならない問題だと。たとえば地方局の問題が仮に話題になったといたしますならば、いま水田利用再編対策を私たちは進めている、水田利用再編対策は、単に霞が関でこれは行う行政ではございません。したがいまして、あくまでも地方局の緻密な調査といわゆる情報によって初めて私は水田利用再編対策が定着できるものと、こう思っているんです。  さらにまた、いま食管法が新しくなりました。この食管法を、いわゆる新しい形の食管法として定着させるためには、どうしても食糧管理に対する管理体制というものを下から積み上げてこなければいけない。ことに不規則流通米というものが最近かなり出回っておりましてね、そのことが新しい食管制度を破壊する大きな要因にもなっているというような点を考えますというと、これもまた捨てておけないものでございます。  もう一つは、やはり農業技術の開発はこれからの新しい農業の方向づけをいたすわけでございますが、この技術開発を普及させるということがやはり農業を大きく発展させることになるわけでございますので、その普及のための仕事、行政というものは非常に重要だと思うわけでございますので、そういっただいま三点ぐらいの例を挙げたのでございますが、このように、行財政改革との関連はもちろんありますけれども、これからの農政を展開していくためにどうしても必要なものは、私たちはそれは行財政改革の中でこれを生かしていかなければいけない、かように考えておるのでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 昨年の行革国会で、私は中曽根管理庁長官に、管理庁としては農政について臨調に何を望むか、こういう質問をした際に、中曽根長官は、食糧問題を中心にして農業の構造、農村社会のあり方、そこまで臨調に食い込んでもらいたい、切り込んでもらいたい、こういう期待を持っておるという答弁があったわけですから、こういうことになりますと、農林水産省のいわゆる八〇年代の基本方向なりあるいは農産物の需要と生産の見通しなり、これとも関連をしてくるわけですけれども、もしそういう基本問題に食い込んでくるとするならば、大臣は一体どっちをとるんですか、農水省の長期展望に立った方針を重点にするのか、それとは若干違っても臨調の方針に従って農政を進めていこうとするんですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) まだ基本答申もあるいは最終的な答申も具体的に出てない段階で、予測して議論するのも私はちょっと早いと思いますが、先ほど申し上げましたように、私は農林水産行政の基本はやはり行財政改革の中でも守っていかなければならないものだと、こういう方向でこれからも進んでまいりたいと考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 五十七年度の予算がいかに臨調答申に沿ったものであるか、そのことが日本農業にどういう影響を与えてくるものかということに関連して、臨調第一次答申との関係について二、三伺います。  まず食糧管理でありますが、臨調答申は米の売買逆ざやの解消に努めるということを強調して、つまり食管会計の赤字をなくせ、このことに一貫しているわけであります。五十七年度予算の食糧管理費は九千九百三億円で前年対比〇・五%の減、この中の食管特別会計繰り入れは食糧管理費全体の約五〇%四千九百八十二億、他は水田利用再編対策が三千五百億、過剰米処理費が千四百二十一億円ということになっております。農水省みずからが水田利用再編対策費を食糧管理費の中に含めて食管赤字がいかにも膨大だというような印象を与えるということは、それ自体が私は間違っていると思う。水田利用再編対策費はこれは構造政策だ、したがって食糧庁の予算ではなくて、むしろ農蚕園芸局等の予算にすべきではないか、これはどういうふうに考えますか。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように予算の分類におきましては、食糧管理費ということで約九千九百億円が計上されております。そのうちいわゆる水田利用再編対策として三千五百億円が中に含まれております。これは御指摘のように食糧管理費という予算の枠内には含まれておりますが、予算の編成、執行の責任は農蚕園芸局において実施しておるものでございまして、残りの食糧管理特別会計への繰り入れが食糧庁におきまして管理しておる予算になっておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 それは承知していますがね、だからお尋ねしたんですよ。九千九百億——一般の人は食管会計の赤字が一兆円もあるんだということを言っているんですね。その中にはいまお話があった水田利用再編対策費も含まれている、こういうことで、さも膨大な赤字になっていると、こういうことを言われているんですが、こういう仕組みでいいんですかということをお聞きしているんです。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) これは、従来稲作の転換に伴いました予算が食糧管理費として、このような取り扱いでここずっと続けてきておるわけでございますが、関連といたしましては、やはり水田からの転作自体が食糧管理費負担の軽減につながるという形で、広義の食糧管理という形で予算上はこのように仕組まれておりますが、私どもこれはやはり食糧管理とつながり合いがありますが、日本農業の生産を再編していく大きな経費として考えるべきものでありまして、これが御指摘のように九千九百億が食管の赤字というものではないということは私も機会あるごとに説明はいたしておるつもりでございますが、今後ともそうした趣旨は十分理解してもらうように努めなければならないと思います。ただ、従来からこうした関連で予算は組まれ、御理解いただいて進めてきた予算編成上の枠組みがあるわけでございます。食糧管理費は、このうちの水田利用再編を除きましたものを繰入額として、赤字補てんとして一般会計からこれにいただいておるというふうに私ども理解しておりますし、そのようによく説明してまいりたいと、こう考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 そういう内容は、私どもは理解しているけれども、一般の人たちは知らないですね。現に臨調だってそれに近いことを言っているんですよ。ですから、農水省みずからがやっぱり水田再編対策は農蚕園芸局へ持っていくんだと、そういう努力を払わなかったらいつまでたっても国民の誤解はとれないと思うのです。  そこで、この食管特別会計繰入金のうち、米の売買逆ざやの総額、そしてまた、一俵当たりでは幾らと見込んでいますか。金額だけでいいです。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 一俵当たりにつきまして、私ども一−五類の一、二等平均、包装込みの単価で、代表的にこれを算定いたしますと、買い入れ価格が一万七千七百五十六円、売り渡し価格が一万七千三十円、売買逆ざやはり百二十三円になるわけでございます。売買の損失額、これは売買逆ざやその他含みますけれども、千三百八十四億円というふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣、大臣は食管法の根幹は堅持されますか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 堅持いたします。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 売買逆ざやは、昭和五十年に一俵当たり三千三百六十五円あったのが、年々減少して、いま答弁になったように七百二十三円になっている。政府が食管法の根幹を堅持するならば、売買逆ざやはあってもやむを得ないものである、むしろあるのが私は当然だというように思いますが、農水省はこの逆ざやをどこまで縮小されようとするんですか。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 米の価格の決定については、先生御案内のように財政の観点からのみ決定しておるわけじゃございません。生産者米価につきましては米穀の再生産確保、消費者米価につきましては消費者の家計の安定を旨として定めておりまして、それぞれ食管法の規定に基づいて適正に決定してまいっておるところでございます。しかしながら、売買逆ざやにつきましては、単に財政負担の要因だけではなく、物の価格のあり方として本来不自然な姿でもございますし、広く国民の信頼と支持のもとに食管制度を運営していく意味合いから言いましても、食管制度の健全な運営のためにはやはりこの売買逆ざやは解消に努めていく必要があると私ども考えて今日まで努力してまいっておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 食糧庁長官、食管法第三条に、生産者価格は生産費を考慮して再生産が成り立つ価格で決めなさい、消費者価格は家計の安定を考えて決めなさい、こういったてまえになっていますね、法律の規定が。ですから、これを皆さんが政策的になくしていこうという努力、その基本的な考え方は間違っているじゃないですか。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 食管法の考え方は、いま御指摘のようにそれぞれ生産者の立場、消費者の立場ということ、その他経済事情等を参酌して米価決定を適正にすべきだという趣旨に私どもも理解いたしておりますが、一面、やはり財政上の問題と、ただいま申しましたような物の売買の差といたしまして売買が逆ざや現象を持っているということは広く国民の理解を得るところではございません。かつて、そうした売買逆ざやが存在しなかった時代もあるわけでございます。やはり広く国民の信頼と支持を得て食管の健全な運営を図っていくためには売買逆ざやの解消には努めるべきものだと私ども考えておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 食糧庁長官、納得できませんね。法律で決まっておるんですよ。その法律のたてまえを無視して、赤字をなくするために、国民の理解を得るためになくしていくんだという考え方。あなたは法律を守られないんですか。  大臣に伺いますが、米の売買逆ざやの解消に努めなさいと盛んに言われますね。ところが大臣、五十七年度予算でも逆ざやは一俵当たり七面二十三円なんですよ。むしろ消費者価格の末端格価の方が高くなっているんですよ。しかも、そのために必要な経費は千三百八十四億、一億一千万の国民の食糧を確保するためのこの逆ざや、この程度あっても私は差し支えないと思うんですが、大臣はあくまでこの逆ざやをなくしていくんですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 生産については再生産ができるように、あるいは消費者については円滑な供給ができるようにというのが食管法の根幹でございますので、そのためには必ずしも、社会経済の状況によって逆ざやが解消されている場合もあるし逆ざやがふえている場合もあるわけでございまして、たとえば過去において、昭和三十五年は逆ざやが全く解消された時代もございます。そういう意味で、私はこの食管の根幹を守ることは即逆ざやを解消しちゃならないという理論にはつながらないと思うのでございます。むしろ私は、食糧管理制度を維持しようとする基本は、コスト逆ざやはなくしちゃいけないということを基本にしながらこれから管理制度を強化していかなきゃならない、かように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣からいま答弁があったように、食管法のたてまえからいって、生産者価格、消費者価格はそれぞれ違った計算方式によって算出するわけですね。したがって、財政上の問題から生産者米価を抑えたりあるいは消費者米価を引き上げる、そういうことがあってはならないと思いますが、もう一度大臣の基本的な見解を求めます。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) もちろん、先ほど申し上げました食管の根幹を守ってまいりますと同時に、やはりその当時の財政状況、経済状況というものを配慮しないと私は米の真の価格決定にならない、こう思いますので、そういう点を十分配慮して今後進めなきゃいかぬ。特に新しい食管法は、先生御承知のように基本計画といわゆる供給計画によって進められるわけでございますが、どの程度の米をどの数量必要とするか、またできた米はどういうような形で配給するかというようなことをまた配慮しながら進めてまいらなければならないとすれば、国民の需要の動向だとかあるいはその当時の経済の動向等をある程度配慮して決定していかなければならない、管理していかなきゃならないものだと私は考えます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣、わが国の五十七年度予算の中で米の売買逆ざやに要する金は千三百八十四億円、一億一千万の国民の必要とする米を確保するに要するこのくらいの金額について大臣はどういうふうに思いますか。たとえば臨調が言われてもこのくらいはやっぱり食糧管理として必要ではないかと、当然大臣としては言うべきだと思いますが、どういうふうに考えますか。——大臣です。大臣に聞くんですよ、政治の問題ですから。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 数字の点にわたる点を私の方から説明さしていただきます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 いいですよ、さっき聞きましたから。長官時間がないですからいいですよ。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 売買の損失等は千三百億ございますが、その他自主流通米の助成千二百億、あるいは管理経費二千八百億、国内米の損失額全体にいたしますならば、これらを含めて五千四百五十八億円という相当な膨大な金額になっております。私ども、いま大臣からお話ししたように……

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 長官、そんなこと聞いてんじゃないですよ。私は、臨調が売買逆ざやを解消しろと盛んに言ってるから、逆ざやのことを言ってるんですよ。そんなところ開いてるんじゃないですよ。大臣に求めます。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 千三百八十四億円の逆ざやのための経費がいま支出されているわけでございますが、私たちとしてはできるだけこういう点は第二臨調のいわゆる答申にもございますので、要請もございますので、極力こういう経費は削減するように努力すべきであろうと、こう考えておりますが、しかしこのことはなかなかむずかしいことでございますので、財政当局にもこの点はやむを得ませんよということを極力私たちは主張しているというのが率直な現状でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣の決意ならある程度理解するけれども、食糧庁長官の言うように、いやそうじゃありません、まさに臨調の言うことごもっともでございますというようなことじゃ、あなた食糧庁長官としての任務務まらぬですよ。  そこで、臨調の委員の中には、食管制度を抜本的に組み直して米の流通は自主流通米を主体として、政府が管理するのは備蓄米だけにしたらどうか、こういうことを言っている人もあるようでありますが、大臣としてはどう考えますか。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 臨調の審議につきまして、私ども正式にそうした御意見なりが出ているということを承っておりません。新聞等において一部そうした御意見が報道されておるかに聞いておりますけれども、私ども従来の食管の基本を維持し、かつ改正食管法の趣旨に沿ってこれからの食管の運営に努めていくつもりでございますので、いろいろ御意見はございましても私どもの基本的な態度は変わらないつもりでおります。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ということは、いまのような意見があり、一部報道されておるけれども、このような意見には農林水産省としては絶対賛成できない、こういうことですね。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) 御意見も私ども正式にも聞いておりませんし、正確な御意見とも考えませんが、伝えられる限りにおきましては私どもそうした考えにくみするものではございません。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 次は、臨調答申と農産物価格についてであります。  臨調第一次答申は、農産物価格について「各種農産物の価格支持については、国際価格を考慮し、需給事情、生産性向上の状況等を反映した価格水準及び対象数量を設定する。」、こういうふうに指摘をしております。また、「八〇年代の農政の基本方向」は価格政策をもって需給調整機能を果たさせようとしておるわけであります。こうした方針に基づいて五十七年度農業政策及び予算は価格政策についてきわめて後ろ向きである。農水省が生産対策やあるいは農村社会の建設の五十七年度の重点施策としたといたしましても、農民の所得が確保されなければ、また再生産が可能な農産物価格が補償されなかったらば農業の担い手はなくなってしまうんです。国の財政事情や需給調整のために農産物価格を低く抑えようとすることは間違っている。大臣、本来価格政策は生産費を正しく反映して生産者の所得を補償することを基本とすべきであるというふうに思いますが、大臣の見解はどうですか。——大臣ですよ、基本的な問題ですからね。私はその経過や数字を聞いているんじゃないんですよ。大臣の基本的な見解を聞いている。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 価格政策については、いま御指摘のような線に沿っていま価格政策を進めているわけでございますが、しかし最近の国際情勢あるいはまた最近の国内の需給等から見て、いろいろその問題、その点について、価格政策について果たしてこのままでよろしいのだろうかという大きな考え方もあるということは御承知おき願いたい、かように考えます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 それは知っているけれども、価格政策の基本というのは農林水産大臣としては農民の生産費を補償していく、そういう基本的な考え方に立って考えていくのか、経済事情やその他の需給事情等を勘案して決めていくのか、どちらですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) もちろん農業の振興のための価格政策でございますので、再生産ができるための価格政策でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ところが、農水省のとっている政策はこれと逆行しているんですね。行革予算はまずことしの畜産物価格に露骨に反映されている。先月の畜産物及び繭糸価格の決定については政府はいずれも据え置きを決定して、農民の切実なる要求をこれを拒否した。農水省の統計情報部の資料に、よっても、畜産物の生産費は前年対比九・五%、繭の生産費は一〇・五%も上昇している。乳価は五十二年以降四年間も据え置きにされていたわけですが、この間労賃は二九%、物財費は二〇%も上がっている。しかし、繭糸価格は昨年引き下げられた。このような状況の中で、保証価格を据え置くということは大臣のいまの答弁にも反するし、余りに理不尽ではないですか。大臣、どういうふうに考えますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 畜産物価格につきまして昨日決定しましたものを公示したわけでございますが、御承知のようにまず加工原料乳につきましては……

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私はね、時間も余りありませんから経過はいいんですよ。だから、こういうことをしたのは一体どういうことだと、そのことだけ聞いているんです。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 御承知のように、算定方式がございまして、その算定方式の中には労賃の評価がえをいたしまして、たとえば北海道の地域の五人以上の労働者の賃金評価がえをするという方法を使っておりますので、そういう意味ではいわゆる先生のおっしゃいます所得を補償するという考え方がございます。その算式をそのまま使いまして算定しまして、結果が〇・五六%、大変微小ではございますが、上がるという結果が出ましたので、そのような引き上げをやったわけでございます。問題は、先生いま生産費が上がっているというようなお話もございますが、実は算定をいたします場合に、私ども一番近い生産費に該当すべきものを入れるわけでございますが、労賃の評価の部分、それから副産物でございます子牛の販売価格等が下がっておりますから、これは上げ要因でございますが、大変大きい下げ要因といたしましてえさの価格が昨年からことしにかけて二回、昨年の七月に五%、ことし一月七%下げておりますので、そういうものが大きな下げ要因となりまして、昨年と全くの同様の方式をとって計算しましたわけでございますが、実質的にはこういう微調整になったわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 いかに言い回しをしようとしても、据え置くという結論を最初に想定して、それに逆算をしていろいろと算定の方式を変えてくる、こういうやり方を従来続けているんじゃありませんか。  そこで、なぜ据え置くのかということを質問をすると、需給調整のためにやっているという答弁が返ってくるわけですね。ところが、この需給の調整をとるために農民はみずからが生産調整をしているんです。肉にしても乳にしても、あるいは生糸にしても、いまは供給が過剰であるということは、国内の生産がふえて過剰である。そのことだけではなくて、むしろそれよりも外国の農畜産物の輸入が多くてこういう過剰になっているんです。だから輸入過剰なんだ。これは政府の政策の誤りであり、あるいは行政指導の手落ちによるものであります。こうしたことを農民に転嫁をして、生産者のみこの痛みを受ける。  大臣、農業を守る農林水産大臣のとるべき態度ですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに昭和五十一年から五十三年までこの畜産物の価格というのは非常に上昇したのでございますが、その後五十四年に至りましてその成長が鈍化して、したがいまして、五十一年から五十三年までに投資した分がそのまま大きな重荷になっているというのが現状なんでございまして、したがいまして、私たちとしては、これはいま御指摘のように計画生産を進めているわけでございますが、これは五十一年から五十三年までのような八%から九%成長というような形はとれなくても、少なくとも二%前後の成長を生みながら、つくりながらこの畜産業の振興を図りたいというためにいま計画生産を進めているのでございますので、方向としては過去のいろんなことを反省しながらこれを進めているということでございますので、その点は御理解いただきたいと思うのでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私は、計画生産を進めてることは承知をしているんです。計画生産を進めながら供給が過剰である、そういうことで価格を抑えていくという、こういう政策、考え方については間違っていると。そのことを大臣にただしたんです。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 価格がやはり、生産者の手取りもさることながら、消費に大きな影響を及ぼすことは、たとえば牛肉の価格を見て明らかでございまして、実は五十四年、五十五年ごろ牛肉の価格が少し高めに推移いたしますと、一人当たりの牛肉消費量が逆に減るという結果が出ております。したがいまして、私どもやはりその価格を考えます場合に、生産者の方に手取りを多くするという形はやはり生産性の向上といったような形で、単価は上がらなくても所得の幅が大きくなるようにと、そういう方向でなるべく生産者の手取りをふやすようなことをいたしませんと、どうもそれを消費者価格にすべて転嫁するという形にいたしますと、消費の減退というようなことが起こるということがございます。したがいまして、今回の場合も価格はそういう意味で抑制的ということになろうかと思いますが、生産性を上げますために、たとえば過去からありましたような負債といったものを取り除くとか、そういう対策にむしろ力を入れるべきではなかろうかと考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 五十七年度の水田利用再編対策で、桑を転作作物から外しています。  わが国の生糸の自給率は五五%程度、農水箱の長期見通しでも昭和六十五年になっても生糸の需要量は四十万俵であるが、生産は三十万俵である。つまり国内生産では需要を賄うことができないんです。したがって、わが国の伝統的産業である養蚕、畑作の重要作物である蚕は、振興対策を講ずることがあっても——逆に価格を下げたり、さらにまた桑を転作作物から外してしまう。一体農林省は何を考えているんですか。日本の養蚕はもう要らないという考え方なんですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 絹の需要につきましては、長期的にも構造的な問題がいろいろございますが、ここ数年の動きを見てまいりますと、昭和五十三年には四十八万俵程度の需要がございましたものが、ごく最近におきましては三十二、三万俵と、こういうところまで十数万俵の急激な減少を来しておるわけでございます。もちろん需給調整のためには輸入数量の抑制ということもございますし、事業団の在庫という形での調節もあるわけでございますが、事今日に至りましては、国内生産につきましても需給調整の努力をしていただかなければならぬと、こういうことで昨年来、官、民挙げまして需給改善に努めておるところでございます。生産者団体におきましても今日自主的な生産目標を定めまして、その線に沿って全国の養蚕家が努力をしようと、こういう際でございますので、桑につきましても、これを外延的拡大をするということは当面抑制しなければならないのではないかということでこのような措置をいたしたわけでございます。  ただ、すでに植えましたものについては、これは所定の期間転作奨励金を交付することにいたしておりますし、また養蚕に対する依存度の非常に高い地域で、転作しようと思いました場合に桑しか植えるものがない、こういうところもあるわけでございますので、そういう地域におきましては一定の要件のもとに、非常に生産性の高い桑園に限りまして特例的にこれを認める、こういう措置もいたしておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 農蚕園芸局長は、日本の養蚕を振興させようとするんですか、それとも縮小し、安楽死という言葉がありますけれども、それを待っているんですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 短期的にはいま申し上げました需給事情でございまして、蚕糸業はこれまでも景気変動の波をかぶりまして生産縮小的に動きましたときもございますし、また拡大をいたしました時期もあるわけでございます。昨今の養蚕をながめてみますと、産地の移動、さらには養蚕の担い手の老化現象と申しますか、そういったことから縮小ぎみでございますが、全国各地ながめてみますと、非常に生産性の高い、まあ養蚕を中心として経営をやっていこうという若い経営も数多く芽生えておるわけでございます。  そういったくましい養蚕経営を中心といたしまして、長期的には振興を図っていく所存でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 桑を転作対象作物から外したなんということは、私は納得できませんからね、これはまた改めて追及してまいりたいと思いますが、時間もありませんから次へ進んでいきますが、臨調は改良普及事業についても人件費補助を初め国庫負担を抑制しろと言っているわけです。普及事業は農業技術や経営の改善、あるいは農家生活の近代化、農業後継者の育成など地域農政の発展のために重要な役割りを果たしている。農水省が、五十七年度予算で農業技術の開発普及を重点施策としておりますけれども、この制度を成果を上げるためにも普及事業と普及員の果たす役割りは大きいわけなんです。したがって、普及事業や普及員を抑制するというようなことは、これは農業を知らない者の言うことなんです。五十七年度の政策予算では、普及事業に対してどういうふうに対処したんですか。あるいは今後普及事業をどのように発展をさせようとするんですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 普及事業の重要性につきましてはいま御指摘のとおり、私どもも農業生産の再編成並びに生産性向上を独力に進めようと思っている際でございますので、その重要性につきましては認識を同じくするものでございます。  しかしながら、都道府県別にこれをながめてみますと、各地域の農業事情の変化によりまして、現在の普及職員の都道府県別配置というものにつきましていろいろ問題もございますし、また政府全体といたしまして、国家公務員はもちろん補助職員も含めまして定員削減を計画的に進めておる、こういう事情もあるわけでございますので、そういう意味におきまして普及職員につきましてもそれ相応の縮減を図りながら一方では事業の効率化を図っていく、こういう必要があろうかと存じます。このため、昨年九月以来普及事業の研究会をつくりまして、今後の普及事業のあるべき姿というものについて検討を進めておるところでございます。五十七年度の予算につきましては、その意味において普及職員の若干の定員減はございましたけれども、生産コストの低減、生産性の高い農業経営の育成など、現下の農業の重要課題に地域別の特性を踏まえて対処するための新しい事業も仕組んでおります。その意味で今後とも普及活動の充実強化を図っていきたいと考えておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣、普及事業の重要性については改めて指摘をするまでもありません。五十七年度ではそういう措置をとったけれども、今後農業改良普及員や生活改良普及員など普及事業の第一線に立っている人たちの人員を削減したりあるいは普及事業に対する国の補助等を減らしてはならないと私は思いますが、どうですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) いま局長からお答えしたように、まさに普及事業というのは生産性の向上あるいはまた農業の再編成の面からいって非常に重要な役割りを果たしておる。また生活の面でもやはり農村社会における、ことに御婦人の労働というのは非常に過重なんですね。家庭での仕事とそれから外での作業とこの二つの仕事を依然としてやはり農家の主婦たちは果たさなければならない。そのために最近は嫁さんの来手もないというのが農村の現状でございますので、そういう点の生活の合理化あるいはまた健康の保全というような面を考えますというと、やはり農村生活の普及というものは非常に重要な役割りを果たすと思いますので、私はこういう点は特に第二臨調の方方にもよくこの事情を説明して、そして理解をいただかなければならない問題だと、かように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私は、時間が余りありませんので、いままで臨調の第一次答申と五十七年度予算について二、三の問題について指摘をしたにとどまるわけでありますが、この第一次答申に基づいて、しかも忠実にこれを実行してつくった五十七年度予算、いままで指摘してまいりましたように決して農業の発展や農民のためにいいものではない。答弁を聞いておりますと、臨調の答申はごもっともだというように受け取れますが、そんなに臨調の答申がよかったらば答申が出される前に皆さんはなぜ改善しないんですか。これからもいろいろな答申が出されてまいりますが、臨調に言われて直していくということじゃなくて、もしごもっともだったら先に直すのが当然だと思いますが、そのことを今後の問題として強く指摘しておきます。  さて、次は貿易摩擦に関連をする問題ですけれども、わが国の農業を取り巻く課題はたくさんありますけれども、当面の最大の課題は農産物の自由化、輸入拡大の圧力をどう切り抜けていくかということであります。わが国の農業は、外国農産物の輸入の増加によって自給率も低下したし、あるいは国内では生産調整を強いられ、縮小再生産に追いやられようとしているわけです。もし自由化されたりこれ以上輸入枠がふえるということがあるならば、国内農産物はまさに壊滅的な打撃を受けることになるんです。輸入圧力に対する大臣の決意やあるいは政府の対応については後ほど聞きますけれども、まず、米国やECが執拗に市場開放を迫ってくるこの背景と、残存制限品目を自由化したら、あるいは枠を拡大したら日本農業は一体どうなるのか、農水布としての見解を簡潔に述べてください。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) まず、アメリカなりECなりが日本に対して農産物の市場拡大を要求しておる背景でございますが、私どもは、基本的にはアメリカ及びECがいずれの場合におきましても経済状態が非常によろしくない、高いインフレ率と高金利あるいは財政収支の不均衡、国際収支の赤字、特に政治的な問題になりやすいのはやはり失業の増大、こういう背景の中で経済的な不況を脱出する一つの方向として日本に対して市場開放を要求してくる、その中に農産物の問題も含まれておる、こういう位置づけであろうと思っております。それで、現在残されております残存輸入制限品目二十二は、これはいずれも長年残存輸入制限品目を減らしてくる過程で何とも残存輸入制限が外しようがなくて今日まで残ってきておるものでございまして、わが国の農業及び沿岸漁業にとりまして基幹的な地位を占める品目であり、あるいは地域的にきわめて重要なものばかりでございますので、もしこれらのものが自由化されるというような事態になりますとわが因の農業及び水産業にとってはかり知りがたい打撃を与えるというふうに考えておりますので、何とかそのような事態を回避しながら解決を求めていきたいと考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣にお聞きをしますが、貿易摩擦は、米国やECの国内情勢の悪化によることが一つ、それからもう一つはわが国の工業製品の集中豪雨的な輸出が原因になっているというふうに思います。米国の対日貿易赤字が百八十億ドルになったと言いますけども、日本の農産物を全都市場開放したとしてもせいぜい五億か七億ドル程度しか寄与することができないということは政府みずからも認めているところであります。したがって貿易摩擦の解決のためには、わが国のとるべき政策課題は、工業製品の節度のある輸出であり、このことの解決なしに農産物を仮に自由化したとしても貿易摩擦問題が解決されることはないというふうに私は思いますが、大臣の見解はどうですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 貿易のインバランスの解消につきましては、これはアメリカあるいはECの経済の再活性化にあると思います。また、日本としてはやはり内需の拡大をしまして輸出ドライブのかからない経済運営を進めるということが基本だと思うのでございます。しかしながら、日本は御承知のように資源のない国でございまして、やはり貿易の自由化というものを基本にして日本経済を支えているということをも私たちは十分配慮してまいらなければいけない。その中で私たちはこの農産物に貿易の摩擦解消に大きな影響を与えないような形をいかにしてつくるかということが農林水産省の役割りだと私は考えます。御指摘のように、残存輸入制限品目、いま現に制限品目のうち、十億程度でございます。これを全部開放したとしても十億に満たないものだと私は考えますので、そういう点から言いますというと、百八十億あるいは二百億ドルの赤字と言われておるこの経済摩擦に対しての何らの直接の解決にはならないわけでございますので、そういう点から言いますというとむしろ農産物については私の方としてはこのアメリカの輸入が、穀物で大体二千万トン、それから農水関係全体で、額にして百二億ドルのアメリカの輸入があるわけでございますので、アメリカにとっては、むしろ日本がいいお客様なんでございますから、そういう点を十分アメリカに理解していただいて、今後いわゆる残存輸入制限品目については、これはできるだけアメリカとしてもこの程度に抑えていただきたい、これ以上あなたの方で制限品目の緩和をしないようにしてほしいということを私たちは主張いたしているというのが現状でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣は所信表明で、市場開放の要請に対しては慎重に対処していく考えであると言っています。慎重に対処するということは、残存輸入制限品目の自由化は絶対反対である、輸入枠の拡大についても認めていかないという、こういう態度でもって対処するんですか。それとも、品目によっては緩和措置を講ずることもやむを得ない、こういう態度なんですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産大臣としては、残存輸入制限品目は、これを絶対崩したくない、かように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣はそういう決意でありますけれども、自民党の政府は、農産物の市場開放について前向きな姿勢を最近あらわにしております。昨年の暮れに、総理みずからが関税の前倒しを決断した。一月には安倍通産大臣が訪米した後、農産物が市場開放の矢面に立たざるを得ないなどという意向を表明したり、三月の櫻内外相の訪米の後に、六月のパリ・サミット前に市場開放の具体案を詰めることが必要であるというふうな提言をしたり、つまり私に言わせるならば、米国の圧力に屈して市場開放に熱意をのぞかしているわけです。アメリカの戦略にはまってしまっている。  通産省いますか。——通産省は昨日、農産物の市場開放を渋ることは誤りであるというような、何か反論的な文書を出したようですけれども、通産省としては、農産物の残存輸入制限品目の自由化、輸入枠の拡大についていかなる見解を持っていますか。

横山太蔵通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(横山太蔵君) お答え申し上げます。  先ほども御答弁がございましたように、諸外国からわが国の市場開放の要求が非常に強まっておることは事実でございますが、先生ただいま御質問の農産物の市場開放の問題につきましては、私どもは、そういった諸外国からの要請を踏まえまして、それらの国々との友好関係に留意しつつ農水産物の需給動向、あるいはわが国農水産業の健全な発展と調和のとれた形で行われるべきであると基本的に考えておるところでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 余り抽象的でわかりませんがね。  きょうの新聞によりますと、農業被害者論は誤りだということで通産省が昨日こんな反論を出している。これは一体何のために出したんですか。どこへPRするんですか。

横山太蔵通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(横山太蔵君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の文書につきまして、私どもどういったものが具体的に指摘されているのか、必ずしも明確に承知しておるわけではございません。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 承知してないと言ったって、あなたのところで出したんですよ、通産省で。私は内容見ていませんけどね。

横山太蔵通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(横山太蔵君) 最近、こういう情勢でございますので、省内でいろいろな意見が交換されておりまして、そのために種々の文書が省内的にあることは事実でございます。けさの新聞に報道されましたものがどういうものであるか、私ども、まことに申しわけございませんが、具体的にこのものだというふうに思いつくものがないと申し上げるのが現状でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 あなたは当委員会に出てきて、私が昨日、通産省としての基本的な見解はどうかということを通告して質問しているんですよ。それを、昨日あんた農水産省で出したものが何だか知らなくて来たんだって、そんな不見識なことありますか。帰ってくださいよ。通産省をあんたは代表して来てるんですか。代表してなかったら、代表できる者を出してください。

横山太蔵通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(横山太蔵君) 農水産物の市場開放問題につきましての通産省の見解ということでございますので、私ども農水産物の市場開放問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたような見解をかねてからいろいろな場で御答弁申し上げておりますので、さように御答弁申し上げたわけでございます。  ただいま先生御指摘の、新聞に報道されております文書につきましては、私ちょっと、輸入を担当しておる者でございますので、必ずしも省内すべての文書を承知しておるわけではございませんので、的確なお答えができない者であるということを御答弁申し上げた次第でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 それでは、質問の時間も若干残しておきますから、後から責任ある答弁のできる人を出してくれますか、通産省の見解について。

横山太蔵通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(横山太蔵君) 農産物の市場開放問題についての私どもの見解は、先ほど御答弁申し上げましたような点でございます。したがいまして、うちのさらに詳しく御答弁をする用意は、通産省といたしましても十分あるところでございますけれども、基本的な考え方と申しましては、先ほど申し上げました点に尽きるのではないかというふうに存じております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 納得がいかないし、答弁のできない人に幾ら追及したって、時間がたつだけでどうしようもありませんから、後ほどに譲りましょう。  外務省はいますか。——外務省は、農産物のこの輸入自由化、枠の拡大についてどういう見解を持っていますか。

朝海和夫外務省北米局北米第二課長

○説明員(朝海和夫君) 外務省といたしましては、現在の米国それから欧州との経済関係は、外交上の大きな課題と認識しておりますが、そこで、米国及び欧州の市場開放要求の中に農産物が入っておるわけでございますが、農産物に関連しましては、もちろん、先ほど来答弁ございますように、日本の農業の健全な発展、あるいは直ちに自由化を行うということは非常に困難であるというようなことを十分承知しております。それと同時に、外交の立場からいたしましては、諸外国の側ともよく話し合って、向こうの言い分も聞いて、諸外国との友好的な関係、調和のある経済関係を図ってまいりたいというふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 外務省の答弁もきわめて抽象的で、これもわからないんですが……。  そこで大臣、鈴木総理は本院の予算委員会で、農産物の自由化には応ぜられないけれども、国内対策を講じながら輸入拡大に努力するという趣旨のことを発言しているんですが、大臣としてはどのように受けとめていますか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 総理の予算委員会での発言の全体を私聞いておりまして、農産物の市場開放については、やはり国内の農林水産業の実情からいって、これは非常に基幹とする作物でもあるし、地域によっては重要な作物であり、農林水産振興のためには重要な品目であるから、これはやはり慎重に扱わなければいかぬという態度を表明いたしておりまして、後段のいわゆる何らかの対策を講じて、何か考えなければならぬということは余り申していないような私は記憶があるわけでございまして、ただ、過般の三十日の対外経済閣僚会議においては、これは、第一弾はすでに終わったけれども、第二弾に対しては何らか、これは農産物じゃございませんけれども、市場開放全体で何らか第二弾のものは考えなければならぬということは申しておりますけれども、農産物については先ほど申し上げましたような御発言だと私は記憶しております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 貿易摩擦に関連をする儀産物に対する態度について、田澤農相は非常な決意を持っているということがうかがわれるわけでありますが、しかし、私どもが拝見をするところによっても、政府部内の意見が統一されておらない。つまり、貿易摩擦を根本的に解決する姿勢や基本方針は示さなくて、もっぱら弱い産業である農業なんかに矛先を向けて各大臣が勝手なことを言っている。一体日本農業を守るという立場でなぜ政府・自民党が統一した見解が持てないのか、大臣はどういうふうに思われますか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 私としては、対外経済閣僚会議あるいは閣議等で機会あるごとに農林水産行政の現状、それから、新しい農政をつくり上げるためには農家あるいはまた農業団体が対外経済摩擦解消というものを非常に大きな関心を持っている、しかも不安を抱いている。この不安を私はやはり政府全体が支えてやらなければ本当の意味での新しい農政というのは確立てきない。したがいまして、この対外経済摩擦、特に残存輸入制限品目二十二品目についてはできるだけこれは触れないようにしてほしいということを主張いたしているわけでございまして、その点については理解をいただいておりますものの、あるいは通産あるいは外務、ただいま事務当局から説明がありましたが、外交上の問題あるいは通産省のいわゆる貿易の自由化というような立場から、やはりそういう面もまた私たちは必要ですよということを言っておられるものでございますので、しかし、基本には農産物に対する考え方は非常に温かいということだけは御理解いただけたし、またいただけるものと私は思っております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣も苦労もされているようでありますが、私は、国務大臣として、あなたが主張して、日本農業を守るためにこれでひとつ政府の意見を統一しようじゃないか、あるいはまた与党。自民党の意見も統一しようじゃないか、そのことを積極的にあなたにやってもらいたいと思うんです。  そこで、輸入問題について、大臣、重ねてお伺いいたしますけれども、ともかく輸入の拡大によって日本の農業が縮小されてきた、このことは現実が物語っているんです。いまこの輸入問題を契機としてわが国の農業が今後発展をしていくかどうか、まさに岐路に立たされていると思うんです。これはひとり農業の問題だけではなくて、食糧の安全保障や、あるいは総合安全保障にかかる問題である。農業を守るべき農水大臣としては毅然たる態度、重大な決意を持って臨んでもらいたい。いまこの圧力に屈して、自由化だとか、輸入の拡大をすることがあったとするならば、まさに日本農業の将来にとって取り返しのつかないことになる。そこで、農業と食糧を守るために大臣が、私は強いて言うならば、農水大臣としての地位をかけてもがんばってもらいたい、がんばるべきだと思う。そうすれば、全国の農民は、田澤農林大臣に対して拍手を贈るであろうし、万雷の支持があるというふうに思いますが、大胆の改めて決意を伺いたいと思うんです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたように、私としては、農林水産大臣としては最善の努力を払って残存輸入制限品目の拡大あるいは緩和等にはできるだけしないように努力をしたい、かように考えます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 林野庁長官が見えておりますので、林業の問題について二、三簡単に伺っておきます。  今日、林業の危機が言われ、林業危機突破大会などが各地で開催されておりますけれども、危機に陥った原因は何であるか、あるいは危機を乗り切る対策、そのことは五十七年度の予算に反映されているのかどうか、簡潔に述べてください。

秋山智英林野庁長官

○政府委員(秋山智英君) ただいまの林業の現状につきましては、大変厳しい事情になっております。御承知のとおり、木材の需要につきましては低迷しておりますし、経費が増高しておりますし、さらには、林業労働力も高齢化の現状にございまして、生産活動が残念ながら現在停滞しているところであります。また、木材産業も住宅着工が昨年百十五万戸というようなことで、需要も一億立米を切れるというようなこともございまして、大変厳しい状況にございます。  そこで、五十七年度の予算におきましては、まず、その基盤整備になります林道、造林等の事業につきましては、厳しい財政の中でもできるだけこれを確保すると同時に、治山事業につきましても、第六次五カ年計画の初年度ということで計画的な推進を考えております。  また、現在間伐が当面の最も重要な問題でございますので、これの総合的な実施につきましては、昨年度を初年度としますところの総合対策を積極的に進めてまいると考えておるところでございます。  それから、マツクイムシ問題については、御審議いただきましたように、これに積極的に対応したいと思っております。  さらに、林業の基本になります問題は、あくまでもやはり農山村、特に山村のやはり定住条件の整備ということが問題でございますので、その山村の育成あるいは担い手の確保のために、特に特用林産を中心としましての村づくり事業というようなことで、林産集落振興事業を新たに実施すると同時に、この林業構造改善事業、さらには林業労働対策につきましてもさらに新しい角度から対応を考えております。  また、木材産業は大変厳しい中でございますが、今後の木材の需要動向あるいは着工の見通し等から見てまいりますと、現在の木材産業、やはり設備が過剰でございますので、本年から過剰設備の廃棄あるいは生産方式の合理化を促進するための再編整備緊急対策等も実施しておるところでございまして、これらの対策を通じまして積極的にこの振興を図ってまいりたい、かように考えておるところであります。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 林業問題について、私は基本的な問題の林業生産活動だとか、担い手だとか、あるいは輸入、地域林業の振興等々でお聞きをしたいというように思いましたが、私の持ち時間がなくなりましたので、後日に譲ります。  そこで、大臣に最後に一点だけ伺いますが、それは国有林経営のあり方です。  国有林野事業は、わが国の森林事業の中核的な役割りを果たしているわけですが、森林の経営にしてもあるいは財政的にも年々荒廃が進んで、いま林野庁が進めている改善計画などによってとても立ち直れるような状態ではないわけです。国有林がなぜこんなに赤字になったのか、それは申すまでもありませんが、戦前、戦後の乱伐によって資源を食いつぶして、現在は国内の木材の自給率の一〇%そこそこしか国有林からは木材が供給しておらない。つまり、国有林材の販売収入で財政的な自立は不可能です。しかも、多額の借金を抱えてその利子も高い。一般会計の繰り入れをなるほどしているわけでありますが、借入金の利子の金額にも遠く及ばないというような繰り入れ金額ですね。したがって、国有林の財政再建問題がいろいろ言われますけれども、それは一にかかって一般会計からの繰り入れの増大あるいは借り入れ条件の緩和、利子補給など抜本的な対策を講じなければならない。つまり、国家首年の大計に立って抜本的に見直しをしなければならないというふうに思うんです。歴代の農林大臣もその必要性は認めておったわけですけれども、いずれも何ら手をつけずにやめていってしまっている、退任をしておるわけですね。そこで田澤大臣、あなたはこの林業に対しても理解は深いようでありますから、ひとつ国有林財政を抜本的に見直していく、そのことをあなたにやってもらいたいと思いますが、そういう決意を持っていますか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 何回も私申し上げておるのでございますが、日本の文化の積み上げは、一つは教育の積み上げによって人をつくると、もう一つは植林、森林資源をつくり上げることによって、やはり一つは植林をすることによって国土保全あるいは山、日本全体を緑にするという大きな文化の積み上げをする役割りを果たすのが私は林野庁の役割りだと思いますので、やはりこれまで戦後の高度経済成長がともすれば森林資源を経済の面だけにしぼって考えたことが山をある程度裸にしてきたと。したがいまして、財政の面でも非常に厳しい状況になっておりますので、この際やはり森林資源というものを再度見直していく時代に入ったと思いますので、そういう点ではこの国有林特別会計についてもその財政の健全化を図らなければならない。しかし、非常にむずかしゅうございますけれども、私は政府全体に山を大切にしようという意識を深めていかなければならない、かように考えますんで、今後こういう点に力を入れて、ただいま御指摘のような面を極力実行するように努力をしたいと考えております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 きょうは予算の関係でありますから、本来全般にわたって幾つか問題があるんでたださなきゃならぬのですが、時間の関係がありますから、問題をしぼって質問をいたしたいと思います。  昨日の大臣の予算説明をお聞きをいたしておりますと、農業生産基盤整備の関係について、排水対策等水田の汎用化、畑作振興に重点を置いて八千九百九十七億を計上したと、これの事業実施について効果を早期に期していくために新規を抑制をして、そして継続事業の着実な推進を図る、こういう方向が示されたわけです。これは、私は率直に申し上げて大変な前進だと思うんです。思い切った立場だろうと思うんです。そういう意味では評価をするんですが、この方向を示されたについては、私は今日の灌漑排水事業、これは県営もありますし、あるいは国営直轄のものもあるわけですが、こういう事情だとかあるいは今日省が行っておりますいわゆる干拓に伴っての開田、開畑、こういう問題もあると思うんです。そういう状況を具体的に判断をしてこういう方向が出されたというふうに理解をするんですが、ここの認識はきわめて重要な問題でありまして、こういう変更をしなければならぬ原因について、その最大の理由について大臣がどういうふうにお感じになっているのか、まずそれをお伺いしたい。    〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) いま御指摘のように、基盤整備事業についてはかなりの私は新しい方向を示したわけでございますが、それは用排水事業にしてもあるいはその他の事業にしても、どうも期間が長いんですね。施工期間が長いものですから、そのことによって社会、経済情勢が非常に大きく変わると、そのことが当初計画したものと最終的なものとが大きく食い違う場合が非常に多いわけでございます。そのことが灌排事業等について果たしてプラスになっているのかというと、必ずしもならない場合も、その効果が必ずしも出てこない場合が非常に多うございますので、したがいまして、私は新規事業に対してはできるだけ採択の場合に厳重な審査あるいは厳重な調査の上でそれを採択すると、すでに実施しているものに対しては極力速やかに結論を出すという方向を私は示していかなければならないということが基本でございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 そこで、具体的にお聞きをいたしますが、いただきました資料をながめていきますと、まず全体に配付されました資料でありますが、これの二十一ページです。「昭和五十七年度農林水産予算の説明」ですね。予算課が出しておる資料です。これをながめてみましても、五十七年度予算に向かってこの国営の灌漑排水事業についてはほとんどがこれ継続事業ですね。そこで、その継続事業について一体どういう状況になっておるかということで、実はこれ内容でありますが資料をちょうだいをいたしましたが、大変なことになっているんですね。たとえば愛知川の場合等は二十七年に着工して、当初計画で言えば四十三年に完了していなければならなかったものが、実際にはその後見直しをされて五十七年度までかかる、実に十四年延長するということになっておりますね。もともと二十七年から四十三年ですから十六年間の長期計画です。その十六年間の長期計画に対して、さらに十四年間も延長をしておる。しかも、これが軒並みにあるわけですね。紀の川用水については、三十九年着工で四十五年の完工予定が、これが五十八年まで延びる。まさにこれ当初見通しては六年間で完了する予定のものが延長の方が十三年になり、合わせますと十九年、二十年がかりのこれ工事になっちゃっている。  これは工期が延びるだけならお話は簡単なんですが、工期が延びるということはそれだけ予算その他もこれは当初計画から見ると数倍にふくれ上がってしまう、こういう状況になるわけですね。それは一体だれのためにやっているのかという目的意識から言いまして、大事件だと思うんです。しかも、この継続をしている地区が国営で三十九地区、これは特別会計、それから一般会計については三十四地区、このほとんどが全部当初の予定工期内に。完了したためしはないんですね。それで、昭和二十七年、先ほども言いましたような状態のものが全部いまだに完了を見てない。これはまあ大変なことじゃないかと思うんですよ。このことについて大臣はどういうふうにお考えになりますかね。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 事務的に私から事情をお話し申し上げたいと思っております。  まことに当初予定しました期間より国営事業の工期がおくれてきていることは否めませんし、特に四十七、八年以降、そのおくれが目立ってきているということは事実でございます。  工期のおくれた理由はいろいろございますが、やはり一番大きな問題は国の財政事情等によって関係予算の伸びがなかなか思うようにいかないということが一つあると思います。  それからもう一つは、やはり第一次オイルショック以降、年々、物価、賃金の上昇がありまして、かなり事業費の改定を行わざるを得ないという事情があります。さらに、むずかしい工事について設計変更等も加重されているわけでございます。  それからもう一つは、実は御指摘を受けました地区の中で、特におくれが目立っておりますのはダム工事を伴う地区が比較的おくれが多いわけでございますが、これは用地問題、補償問題でなかなか権利調整に時間を要するという点が主要な理由だろうと思っております。  しかし、先ほど大臣からも申し上げましたように、私どもこのことはまことに遺憾なことだろうと認識しております。とにかくきちっとした形に時間をかけてでも努力を続けねばならないというふうに、先生のいま御指摘の点を受けとめております。その意味で、新規の抑制の問題、あるいは事業の実施に当たっては、先ほど大臣もちょっと触れられましたが、効果が部分的に発生するところはできるだけ部分効果の発生がスムーズに行えるようにというふうなことも配慮して、予算の配分に努めている点でございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 そういたしますと、たとえばここに矢作川の資料をちょうだいをしました。この矢作川につきましても、国営総事業費当初計画でいきますと五十七億、これが五十一年に完了予定のものであったわけですね。ところが五十九年まで八年間延びちゃっている、こういうことになります。当初予定の倍で終わらないで、またそれ以上に延びちゃっている、こういう計算なんですね。しかも国営の総事業費というのは百九十三億四千万円にはね上がっておる。当初の五十七億のざっと四倍ですね。国の補助率は一緒だからという理屈は私は一面ではあると思うんです。しかし、現実に当初予算というものがこういうふうに四倍もふくれ上がるということは、結果として農家の負担が増大をするということにつながるわけですね。いまは農産物の価格問題からいきましても、なかなか単収でみずからの生活を支えていくというような収益が上げられない今日の状況の中で、しかも国が土地改良だ、こういうかっこうで力を注いで多額の金を注ぎながら、結果としては農家所得を抑圧をする原点をつくっちゃっているわけです。これは私は何のために、本当に農家のためにやっている事業なのかどうなのか、根本的にこれは問い直さなきゃならぬと思いますね。これは困ったもんですよ。しかも本年度の予算がどれだけつくかしれませんが、五十六年度の予算の中で、五十六年度までの進捗率八五・一%、いま申し上げました矢作川の場合ですね、これ愛知なんですが。それに対して五十六年度の予算は十五億二千万円ついている。あと約一五%のものを進捗を図るとすれば、一体どれだけの予算を集中的につき込めばいけるのかというここの対策が押さえられなければ、私は農民はこれはもうこんなものは当てにできないという話になってしまうんじゃないだろうか。したがって、ことし大臣が方針で述べられたようなかっこうで、たとえばもうあとわずかのところだ、九〇%までも進んでいる、あと少しつぎ込めばこれはできるんだというようなことについて、見直しの修正計画がたとえば五十八年までかかるやつについてもこれは五十七年度中にやってしまおうというまでの決断をされておるのかどうか、ここのところをひとつきちっと教えてほしい。    〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 御指摘がございました矢作川等は特に事業費の改定が大きい地区でございます。  総じて申し上げますと、実は六割ぐらいが賃金、物価の上昇による改定でございまして、四割ないし三五%程度が工法の変更とか事業量の変更によるものと考えられます。しかし、事実としてただいま先生御指摘のように、矢作川の例で申しますと、たとえばいままで年償還額が十アール当たり千三百円程度であったものが、最近の事業費で計算すると、やっぱり六千円前後に年償還額がなってくるということは否定できません。私どもといたしましては、これをどう取り組むかという問題については、一つは、やはり新規をできるだけ抑制して、新規の圧力というものを予算の運用に当たって減らしていくということが重要だろうと思います。  臨調の中間報告等もございましたが、私ども自体の問題としても、先生御指摘のように、やはりできるだけ工期の短縮を図る、少なくともこれ以上延長させないということを決心いたしまして、実は当初要求の段階から私どもは新規の抑制を打ち出してきたわけでございます。全体として申しますと、補助事業では大体採択します新規の地区事業費が従来の三分の二以内におさめるようにするということで地区数も切りましたし、一番問題になる総事業費も三分の二程度に抑えたわけでございます。  それから、特に問題になります国営灌排事業等については、今年度採択しておりますのは、内地で言うと従来の五地区を二地区にしておりますし、事業費の総量も五割弱ということで抑えたわけでございます。  もう一つは、やはり御指摘のように予算の配分に当たってある程度軽重をつけていくということが現実の枠の中では要るだろうと思います。その意味で、たとえば事業の性格、全く創設的な工事とか、あるいは補修的な工事等いろいろ性格がございますので、事業の性格に応じ、それからあとは残事業の期間に応じて全体または部分の効果ができるだけ発現できるように配分に努めたいと思います。  ただ、率直に申し上げますと、今日の財政事情のもとで、一年間新規をかなり抑えたからといってすぐこの十年来延びてきた工期というものが短縮されるものでもございませんし、また、配分の問題は次年度においてまた今度は逆に調整が要るというふうな点もございますので、なかなかむずかしいわけでございますが、大臣の強い御指摘もございまして、今後ともいま申し上げたような方向で継続的に努力をすることが一番大事なことではないかと思っております。御指摘の点を十分頭に置きまして努力をいたしたいと思います。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 同時に、私はいままで手をつけてきたことだから、これは完成をいずれにしても急がないといかぬということは当然の話なんですが、問題は先ほども答弁がありましたように、ダム建設を伴うものについてきわめて遅延が目立つ、これは一つの特徴だろうと思いますね。そうなりますと、ダム建設自体が果たして当初目的に従って進めるだけがいいのかどうか、私はそのことについての総点検を一遍しなければいかぬのじゃないのか、こういう気がするんです。  先般、私は兵庫県の加古川西部へ行ってまいりました。これは加西市を中心にいたしました受益地に対するところですね。ここへ行ってきましたら、これも大変なことでありまして、当初はここは四十二年に着工して四十九年に完成をする予定。それが六十二年完成見込みというふうに今日なっているわけです。しかも、これを見直しをしましたのが、何と五十六年に見直しをしている。四十九年の当初完成予定というのはとっくに過ぎちゃっている。それから十何年もたってから、やっと見直しをしている。しかもその見直しは総合的なあの地域についての総点検の上に立っての、たとえば水利政策全体についての見直しを行ったんではなくて、一つの引かれたレールの中での見直しだけをしている。ところが、地元の加西市の市長さんなんかの意見を聞きますと、もともとこの工事については、たとえば飲用水等も含めまして、いわゆる上水関係も含めて本来そのダムは利用したいという考え方があったんだと、こう話をされているんですよ。私たちが地域的にざっと見ただけでも、ここは多目的ダムが必要なんじゃないのかと、むしろ。それをこの農業用水という立場でこれを進めることが果たしていいのかどうか、こういうことが抜本的に問い直さなければならぬ課題なんで、そういう立場での見直しがあるんならいいんですが、それは全くない。しかもそういうようなことで、当初の工事費というのは五十五億円でやると言ったんですね、五十五億円。それが現在計画では二百四十六億円になっているんです。しかも非常にその当初計画よりも期間が長くなっていますから、したがって、受益農家そのものも減少している。これはもうこの間に、いわゆる開拓事業用地ということで当初認めておりましたのは四千八百五十ヘクタール。この四千八百五十ヘクタールが、以後転用農地が三百三十六ヘクタール、農地造成や権利移動が百二十ヘクタール、当初計画のずさんな区域で、灌漑排水路ができましてもいわゆる受益にならない地域がその後の精密調査の中で百ヘクタールも出てきている。合計の減は私がいま申し上げただけでも五百五十六ヘクタールあるんです、四千八百五十のうちの。ところが土地改良区というのは一体どうなっているかというと、当初の四千八百五十ヘクタールの持ち主全部を、受益になるかならないか別にしまして、判こをつけということで改良区の組合員にしている。したがって、精査してみたらおれのところ関係ないじゃないか、こういう話になる。さらに、計画の見直しによってポンプアップをするところ等についてはもう辞退をしている。その後の情勢変化というのは、水田の再編問題も絡みまして、いわゆる転作等でかつてのように水を必要としないというような問題が発生をしてくる。これでは一体これ何のために現実に行ってきたのかということがことさらに出てくるわけであります。  ところが、そういうふうに疑問視をされている問題についても、なおかつ農民の負担というのはきわめて大きなかっこうになってきている。当初、判をついて改良区の中に入った当時の農民の意識というのは、大体の概算でちょうど昭和四十二年のときは元金が一万七千九百十四円、これは反当たりであります。そして金利をひっくるめましても、予定に完了しておれば二万五千九百五十五円、おおむね二万五千円払えば、いままでよりも水が自由に使えることになるんじゃないのか、こういう意識で判こをついているんですよ。ところが、もういまや五十六年関係で眺めていきますと、これは反当たり十万二千円。金利合計いたしますと十六万二千七百円になるんです。これだけ農民負担なんですね、農民負担。いま反当たり十六万二千七百円といったら、米に直してどれだけありますか。この地域は大体七俵から八俵が単収ですよ。そこの二俵分ぐらいずつ毎年払っていかなければならぬ、これは大変な私課題だと思いますよ。こういう状況が、これは私がたまたま行きましたところですから、こういう計算をびっしりできるんです。ところが、こういう状況をもたらした原因は一体何かというと、綿密にそれを言わないで、実はこれお出しをいただきました資料なんですが、遅延の主な理由というものは、石油ショックによって契約をした機材が急激に上がって、いわゆる労務費、資材費の高騰で、それに伴って公共事業費というものが抑制をされてしまった、だからそれが遅延の主な原因ですよと、これが一つ。もう一つは、事業実施に必要な権利関係の調整、いわゆる補償関係が長引いておりまして事業が進みません、こういう話になるんですね。  そうなりますと、当初計画を進行させる前段として、一体その付近の農民の方々あるいはまた行政のところ、こういうところは一体どういうふうな話でこれ煮詰まってきたのかということを疑わざるを得ないんですよ、正直申し上げましてね。全体が好んでやろうというのなら、私は少なくとも補償関係について、金額の多少の問題はあるでしょう、しかしそれほど難航するというようなかっこうにはならない。たまたまこの加古川西部の場合は、中国縦貫道の問題があって、農水省が示しておる補償の約三倍程度のいわゆる補償金が片方では支払われる。距離は相当離れていますけれども、それの影響があって、こんなはした金では困るというのが難航した理由に一つは取り上げられるでしょう。しかし少なくとも地元全体のこの工事に対する理解というものがきっちりされてなかった。さらにそれの受け入れ母体であります土地改良区の編成に当たっても、先ほど言いましたように、きっちりした計画の提示、説明、こういうものが抜きになって、いままでよりもうんとよくなるし、収益が上がるんだし、負担は少ないんだから判こ押しなさいという話で改良区の中に組み入れられてしまっている。これが実態になっている。  私はそういう意味から見てまいって、この資料を分析をいたしますと、ほとんどのところがそういうことじゃないのかというふうにこれ指摘をせざるを得ないんですよ、残念ながら。しかもこうした事業というのは、大変失礼な言い方になるか知りませんが、国会議員の各先生方が、おれのところもこういうふうにしたらどうかというような話が幾つかあって、事務当局としてはそれについて一々チェックが言いにくい、こういう状況が現実にあったんじゃありませんか。私はそういう中で、田澤農水大臣が、実は新規を極力抑えていくのだという決意は、これは大変なことで、みごとな話なんですが、さかのぼって言いますと、そういうことの災厄というのは、いま全部農民に降りかかっておるわけですから、これは私はきちっと予算の編成に当たっても整理をしてもらわなければならぬ、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘の点、私実は心配しながら、この予算編成に当たって新規は極力抑えて、しかも新規の場合は、この灌漑排水事業が将来ともどういう形になるのかということを地元の人とよう話し合った上でなければ新規というのはやっちゃいかぬというようなこと、あるいはまた継続事業についてはできるだけ早い機会に完成するようにこの予算の面でそういう点を考えなきゃいかぬという基本に立って進めなければならないということなのでございますが、ただいま御指摘のような事情は確かに現にいま行われているわけでございまして、これもやはり昭和四十七、八年のオイルショック以来の経済の大きな変化がもたらしたものだと私は思います。しかしそのことによって、これを農家の方々に大きな負担を与え、またこの灌漑排水事業が何ら効果のあるものでないなどと言われては大変なことでございますので、私たちとしては今後もいま御指摘のような点を十分踏まえて、これらの事業の見直し、あるいはまたさらに完成を促進させるように努力をいたしたいと思います。  なお、具体的にはいま局長から説明をさせたいと思います。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 御指摘がございました加古川西部地区でございます。確かに一番紛糾が多くて長引いている地区であることは事実でございます。事業費が相当大幅にふえました。そのうち七五%は、実はこれはこの地区について申しますと賃金、物価の上昇によるものでございまして、二五%が工法の変更、事業量の変更等でございます。これは端的に申しますと、ダムの基礎地質不良による掘削がふえたということとか、あるいは東幹線トンネルタイプへの変更という問題と、それにダムの用地補償費がふえたというふうな事情があるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、実はダムをつくる場所と、住民と受益者とは、つまり下流で取水を受ける受益者との間の利益の対立というのはこの種の事業では一番基本的にあるわけでございまして、この問題のむずかしさがここでも端的に出ているということは歪みがたいと思うわけでございます。この結果、年償還額でございますが、これは当初は実は二千三百円程度というふうに予定しておりましたものが、現在では十アール当たり年償還額が一万三千二百円でございます。ただ、これは、この期間中に実は政令の改正等も行われまして、従来十年だった償還期間も十五年に延びてきておりますし、それからまた、二年の据え置き期間も設けられておりますので、その意味では年償還額としてはある程度の摩擦の吸収はあったと、こういうふうに理解しております。  しかしこの問題を、いま大臣からも申し上げましたようにできるだけすっきりした形に解決を急がなければならないことも私ども痛感しております。いろいろございますが、一つは大屋取水問題、それからもう一つは赤坂と柳山寺の取水問題、仕出原問題等、いろいろそれぞれ違う場所でいろいろな問題があったわけでございますが、大体五十六年度中には基本線が確立できたと思いますので、ことしの上半期に問題を解決し、下半期には工事に着手できる状況をつくって、その上に立って、先ほども御指摘がありました点も頭に置きましてできるだけ早期完了を図るような努力を続けたいと思っているわけでございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 答弁はそうなんでしょう。ただ、現に、きょうは個別の問題はあんまり、私日を改めてというふうに思っているものですからそう触れるつもりはないんですがね。先ほども申し上げましたように、土地改良区に入るのに判こをつくときの条件というのは、それぞれの理解の仕方というのは、工事費は反当二万五千円、供用開始をしましてから二年たって十年ぐらいの返済でいけるんじゃないのかということがその当時の話なんですよ。ところが、先ほどもちょっと触れましたように期間が長引いてきましたから、その間における農地以外への転用の問題が出てまいりまして、転用をすれば当然農地でなくなるわけですから改良区から脱会をするということになる。脱会をする場合に、現在反当たり十万六千円払っているんですよ、現実に脱会のために、農民の方がですよ。こういう状況になっているんですから、だからこれは私は大変な問題だと、こういうふうに言わざるを得ぬのですよ、脱会するのに。そうなりますと、私は、工期を早めて大いに努力をしてもらうのも結構なんですが、それと同時に、今日まで遅延をしてきた責任というのは、これはやっぱり事業当事者として大いに感じなきゃならぬ。そうしますと、いわゆるこれからの遅延防止対策というのは一体いかにあるべきなのか。同時に、現に農民負担になってきているわけでありますから、遅延をしたところは農民負担を軽減をするためにどういう対策がとらるべきなのか、ここのところは明確に私はしておいてもらいたい、こういうふうに思うんです。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) いろいろな御指摘があったわけでございます。先ほど申し上げましたように、まず一つは事業費の改定の事情でございますが、この地区では実は七五%が賃金、物価の上昇によるものでございます。これは実は私どもあらかじめ、説明の際とか同意をとる際には、賃金、物価の上昇だけは避けることはできませんので、これはあり得るということは通常予告している経過があるわけでございます。したがって、工事の変更とか追加の分についてどう説明していくか等について努力をしなければならないと思っております。  それから転用の決済問題でございますが、これははっきり申し上げると、比較的近畿地方等に多いわけでございますが、初め受益地に入っていた農民がこれを転用して、所得を得て離脱していくという形でございます。これは当然のことでございますが、譲渡所得もあるわけでございますから決済金を出していただくという仕組みをとっておりまして、この点はいろいろ見方もあると思いますが、初め土地改良に参加する方が転用して土地を売るという話でございますから、なかなかこの制度の仕組みを直すことはいささかむずかしい点があるのではないかと思います。  問題は、御指摘のように計画変更の手続がおくれていることは事実でございます。先ほど申し上げました三つの案件についてめどをつけて、しっかりした基盤の上に立って計画変更の手続を促進しなければならないと思っております。そういう過程を通じて十分農民の理解を得るための努力が必要だろうと思っております。  そこで一般論でございますが、農家負担の軽減の問題でございます。  私ども、御指摘を待つまでもなく、これは工期の短縮ということが基本であることは事実だろうと思います。先ほどもちょっと触れましたが、ちょうどこの地区では、この地区が工事途中ということになるわけでございますが、償還期間の延長とか据え置き期間の設定等の条件緩和をいままでもやってまいりました。で、現在十年償還が十五年償還になっておりますし、据え置き期間も設けられているというところまでは来ております。また、国営事業をやっております地区においては、完了後県が条例をつくって負担を決めていくわけでございますが、県がどうやってそれに協力していただけるか、国と一般的な県負担以外に地元負担との関係で、県がどう負担を考えていただけるかというふうな問題もあるわけでございます。これは地区によっても事情がまちまちでございますが、できるだけ地元の状況を把握いたしまして、関係県とも十分に相談をしてまいりたいと思っているわけでございます。またさらに、工事の進め方といたしましては、部分効果の発生ということも十分、この地区ではなかなかむずかしい問題もありますが、頭に置いていく必要があるだろうと思っております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 どうもすっきりしませんね。そんなことだけではお話にならぬのですよ。たとえば、全国平均でいきまして、これはあなたのところからいただいた資料ですが、一般会計の場合に、反当たり事業費負担というのが二十四万六千円、それから特別会計の場合は三十四万一千円になるんですかね。これに対しまして一般会計の場合、国が受け持つのが六〇%、県が二〇%、農家二〇%で一〇〇%になるんだと。これは大体標準のかっこうですね。それから特別会計の場合には五八%が国、県が二一%、農家が二一%。そういう比率でいきますと、これはそれぞれ差が個別的にはあるんですが、全国平均では、農家負担というのは、一般会計では四万九千二百円ですね。それから特別会計の方では七万一千六百円という計算になるんですよ。そうすると、先ほど申し上げましたように、まだ完了してないで受益をされた覚えのない人で、しかももともと綿密な調査をすれば受益地にならなかったところの改良区の組合員が脱会をしまして、そうして先ほど言うように反当たり十万六千円も支払いをしないと脱会さしてくれない、こういう現状が起こってるんです。これは私は現地の農業委員会の委員長さんにお聞きをしてきた話なんですよ。これは何と踏んだりけったりの話以上の話でしょう。もともとそこに入って平等負担をする、何といいますか、説明さえきっちりしておればなかった人なんですよ。その人が土地改良区にたまたま自分が農業をやっていた、土地を持っていたということで改良区の会員に入っていた。その人が今度農地転用ということで引きましたと、したがってそこの部分は改良区から脱会をしますと。脱会するのにもともと受益地でないものが、入ってた人が今度は脱会しますということで承認もらわなきゃならぬからもらいました。そしたら、いままで入っておった分の負担金こういうことになりますからといって十万六千円払わされるということです。しかも、それ以前にいわゆる改良区の事務費を念出をするのにいままでは五十円、つい最近値上げをしまして反当たり百円負担をしているんです。そういう状況がいまの事業に伴って、これは一つの例でしょうけれども、ほかになければ幸せですが、ほかも調べれば類似のようなケースというのが出てくるんじゃないのか。しかも長期になればなるほど条件変わってきますから、一遍も受益者と言いながら受益の益を受けないままに負担だけさせられるというこれはたまったものじゃないでしょう。いまの局長の話では私は納得できないですよ。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) ちょっと内容的に御説明を申し上げたいと思うんでございますが、確かに事業途中で脱落する地区がこの地区だけでなくて、そういう事業者のいる地区が何地区か出てきていることは事実でございます。一番大きな動機はやはり農地を転用してほかに売るということが一番私どもの把握している限りで大きな例ではないかと思います。それ以外に実はミカン作の問題と水田転換の問題があって、どうも土地改良をやってまでやりたくないというふうな気が変わってくる人があるということも一部では散見されます。これは私否定できないところだろうと思います。私が申すまでもなく、土地改良事業というのは、やはり地域社会の共同事業として実施される本質を国営の場合でも県営の場合でも団体営の場合でも持っているわけでございます。地域社会のやはり合意の上に立って事業が採択され、そして負担が課せられるという仕組みがあるわけでございまして、やっぱり状況の変化でいわばそういった地縁的な共同組織から離脱する場合についてやっぱり一つの決裁金を出す制度というもの自体を私は否定することは、逆に推進している人の立場から見ればなかなかむずかしい問題があるだろう、そう思います。その点は御理解を賜る必要があるのではないだろうかと思います。特にはっきり申し上げますと、転用して譲渡したような場合等はやはりこれは払っていただかざるを得ないんではないかと思うわけでございます。  そこで問題は、やはりこれからの事業の進め方なりあるいは計画変更の手続をどう進めていくかという問題だろうと思います。そういう意味で私先ほども申し上げましたように、やはり一つは懸案の三点についての解決をできるだけ急ぎまして、計画変更の手続をできるだけ徹底させるということが一つ、また早期に完成させるということが一つの私どもに課せられた課題だと思っております。また同時に、その上に立って来年以降できるだけ早く工事を促進するということが必要だろうと思っております。なお、受益者、県、国の負担区分の問題でございますが、現在三十二の地区で条例が制定されておりまして、そのうち十三の県につきましては実は県費負担が一般会計であれば通常二割、特別会計では二一%ということになっておりますが、これをある程度増額して処理してくれているところもあるわけでございます。これはそれぞれ地域の実情によるものだろうと思います。こういった点も頭に置きまして私どもも十分地元の動向や工事の経過を見ながら関係県とは十分協議をしていきたいと思っております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 基本が少し局長おかしいんじゃありませんか。それは当初予定どおり、たとえばいま言っておりますね、加古川西部についても当初の予定どおり工事が進んで、補償がスムーズにいって、工事が進んで完了しておれば予定どおり、これはそんな負担がないんですよ。負担が少ないんです、まだ。ところが、その後ずっと延びた方が長くなっているんでしょう、延びた方が。その間にあなたが言われるようにいわゆる状況の変化といいますか、いろんな状況確かに変化してきておるんでしょう。たとえば農業を取り巻く条件自体がこれは変化をしてきたことは事実です。しかし、それは何も農家の方々の責任ですか、はっきり申し上げて。遅延をした、当初どおりいっておれば何ら問題はないんですよ。ところが、延びたがために状況の変化が出てきて、そして計画が見直さなければならぬとか、いろんなことが出てくる。結局そのつけは、それは国も金を出しているけれども農家も負担するという話になるんじゃないんですか。県も国も迷惑だ、一番迷惑するのは農家だという話。国民の税金をつぎ込んで、多額につき込んで、それでもって工事をやる。工事をやって、受益者受益者と言うけれども、受益省じゃなくて全く農民が迷惑をこうむるという話になったらどうなるんですか。何のためにこれ金使っているんですか。そこのところは私はぴしっとしなきゃいかぬだろうと思うんですよ。私は農民の立場に立っての農民負担と言っていますので、税金の立場からいったって農民が迷惑するような金を使っている方がおかしいことになるんです。私はそれは着工しているから、いまはダム半分つくって、あとほうりっ放しじゃこれは大変なことですから、私はそれを中止しろとは言いませんよ。言いませんけれども、そういうふうに言いたいほどのものなんですよ、これは。水は人間生活にとってきわめて重要ですからね、何も農業用水という観点だけではなくていいんです。水資源はこれは開発をしなきゃならぬでしょうし、それは有効利用しなきゃならぬでしょう。そういう意味では私は必要だと思いますよ。しかし、少なくとも今日の国営灌漑揚排水の立場からいきますと必ずしもそれが農民の受益になってない。なってないのに多額の金をつぎ込んでという話にやっぱりなるわけです、ここの場合。私はこれは大変な見直しを根本的にしてもらわなきゃいかぬと思うんですよ。いまの局長の話からいったらおかしいんですよ。言っていることわかりませんか。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 基本的に確かに工期が延びてくる、そういう中で賃金、物価が上がってくればノミナルな金としては国の負担も県の負担も農民の負担もふえてくるということは事実だろうと思います。現実の財政事情のもとでそうそう全体として予算をふやすわけにいかないし、そうすれば傾斜配分ということでもやはりおのずから限度があると。実は私、ことし国営の灌排事業については、基盤整備事業全体は一〇〇でございますが、国営の灌排事業だけは少しでもふやしたいということで二%強伸ばすことにしたんです。焼け石に水というふうな御指摘もあるかもしれませんが、やってみてそこをふやすということはほかを減らすことでございますので、これは容易なことではないということを身につまされて感じた事実もございます。しかし、そういう意味ではやはりどうやって予算の配分なり確保を考えていくかということが一つあると思います。しかし、全体の経済事情の変化の中でやはり負担がふえてくるということは、農民の皆さん自身の生活環境なり所得水準も変わってきているわけで、それはそれとして受けとめていただかざるを得ないだろうと思っております。  もう一つ大きな問題は、私はやはり紛糾が起きる地区は土地改良区の常時の話し合いが、農民の皆さんに対する話し合いが非常に懇切をきわめているかどうか、それとも非常に省略されているかどうかというふうなあたりも実は大きな影響があると思います。そういう意味ではやはり経済事情も変わってきますし、農業自体の条件も変わってくるわけでございますから、そういう意味においては、十分状況の変化を農民の皆さんに伝えて理解を得るための努力ということは非常に大事なことだろうと思います。そういう点は十分私どもも戒心していきたいと思っております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 次の問題に触れなきゃいけませんからまたの機会に改めますが、少なくとも国、県というのはいわゆる税金で、そして事業をやって、終わればそれで終わっていくんです。終わっていくんです。いいですか。ところが農民の方はそのことによって、事業をやられて確かに土地はよくなった。農作物もできるようになった。ところが、できるようになったのと前と比較をしまして、その間の収益というものがよくなったことによって分担をする部分と差し引きどうなのかということが問い詰めた結果の問題なんですよ。そうでしょう。そこの差がメリットが少なかったら、何のためにやったのかはさっぱりわからぬということになっちまう。全くのむだ金を使ったという話になっちゃうんですよ。だから、そこのところはきっちり踏まえなければいけませんよと。これが一つなんです。  私、さっきやぼな話でやめちまえというような話をしましたが、これは極端な話でありまして、それは土地改良やらなきゃいけませんよ。これは国の課題でしょう。しかし、そのためにはみんなが納得をし協力をし、そしてやってよかったという結果をつくらなければ話にならぬのでありましてね。そうしますと、いま国が直轄でやっているやつはすべてが予定どおりいっていないということがそもそもの大きな問題なんです。予定どおりいっていないことについては、一体何が原因なのかということをもう少し私は究明をすることが必要だし、少なくとも事業に着手して途中でほうったということでは話にならぬわけですから、慎重に私は、こういう事業について多額の予算を必要とするわけですから、慎重にやって、やりかけたら早く計画どおりやれるんだという体制をぜひ確立をしてもらいたいと思うんですよ。これをやらなかったら、私はこの間の予算というのはだめだというふうに言わざるを得ませんよ。したがって、そういう意味で今日までのやつを見直しながら、どこから整理をしていくのがいいのかということをぜひ検討しておいてもらいたい。個々具体的なものは、先ほども言いましたように改めてまたお時間をいただければやりたいと思うんです。非常に細かく私、調べてきておりますので、資料等もありますし。これはもうぜひ検討してもらわなければならぬ課題になっておるんです。  次に、漁業関係少し触れたいと思うんです。  漁業をめぐる環境というのはきわめて厳しい。とりわけ燃油を大量に使用する漁船漁業、これは燃油の高騰、これは相変わらず続いておるわけでありますし、それから魚価の低迷もこれまた続いておるわけであります。燃油の高騰と魚価の低迷に挟撃をされている、これが実態であります。さらにまた遠洋カツオ・マグロ等は、入漁料問題を含めて、それに追加をされた要因になってきている。昨日の大臣の説明の中でも、二百海里時代の問題が指摘をされ、あるいは燃油価格の上昇は指摘をされておるわけです。またこの配付をされました説明書をながめてみますと、魚価の低迷も加えて対策をしていこう。したがって、三本の柱はきっちり押さえられておるわけでありますから、そこは異存がないわけです。しかし、押さえるには押さえたけれども、その対策がどういうふうに進行するかということがなければ、これはお話にならぬわけでありまして、苦しい苦しいと言っておったってこれはもう解決になりません。  したがって、今日までも機会を見て私どもも論議をしてまいりましたが、どうも一向に顕著にそのことが行政としてあらわれてこないというのが今日の状況ではないのかというふうに言わざるを得ないんです、大変残念なんですが。  したがって、今日まで進めてきたことをさらにそのまま踏襲というんじゃなくて、効果のあるように一体どうしたらいいのか、どういうふうに考えておるのか、ここのところをぜひ聞かしてもらいたい、こういうふうに思うんですが、大臣並びに長官から。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 水産業の置かれる現状というのは、いま御指摘のように二百海里時代を迎えた。それから燃油価格の高騰によりまして、まあそれと同時に水産価格が低迷している。第一次オイルショックは確かに燃油価格も高騰しましたけれども、同時に水産物価格も上昇した関係でこういう現象は起こらなかったけれども、最近ののは燃油価格は高い、しかし水産物価格が低迷しているという、こういう現状が結局減船せざるを得ないというような状況にあるわけでございますが、また一方、水産物は需要全体がいわゆる魚離れという現象もある程度起きてまいりまして、そのことも大きいまた影響を与えているわけでございますわね。  したがいまして、私たちとしては、遠洋漁業に対してはやはりこれまでどおり強力ないわゆる漁業外交を進めて、やはり遠洋漁場の確保をしてまいるということを進めながら、一方、やはりわが国周辺水域の水産物資源を培養し維持していくという、このいわゆる育てる漁業、いわゆるつくる漁業というものを進めていかなければならないと、こう思うのでございます。  したがいまして、そういうために沿岸漁場整備のための新たな計画を立て、あるいはまたそのための漁港整備のための長期計画をつくりましてその対策を進めようと、こういうことでございますが、一方、先ほど申し上げましたいわゆる水産業界全体の不振に対する対策も、金融面その他である程度、極力支えてやろうという考えも私たちはいま持っているわけでございまして、現状ではなかなか決定的な対策にはならないかと思いますけれども、いまの時点では、私はこの程度の状況で進んでまいらざるを得ない状況だと。今後さらにどういう新しい秩序にしていかなければならないかということなどは非常に大きな課題として私たちは見つめていかなければならないと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 全般的な漁業の対策につきましては、ただいま大臣が御答弁なすったとおりでございますが、特に漁業の経営の危機、これに対しまするところの対策につきまして若干敷衍して御説明申し上げておきたいと思います。  ただいま大臣からも申されましたとおり、一つは二百海里の規制、さらに経営の危機の大きな原因というのはやはり過去十年間で七倍になりました燃油に対しまして、その価格の上昇に対しまして水産物の価格というものが、これはなかなか上がらない。過去十年で二・五倍程度しか上がってない。しかもこれをさらに上げるということになりますると、消費者の魚離れということを促進してしまうという非常にむずかしい事態にあるというふうに思うわけでございます。  そこで、従来まで燃油対策あるいは経営対策といったようなことでいろいろな資金を投入してまいりました。燃油の対策についても安定資金を出しましたし、また経営安定資金というような貸し出しもいたしてまいったわけでございますが、このような応急的な資金措置をもちましては、なかなかこの困難な危機というものを乗り切れないという事態ではないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、五十七年度予算を中心にいたしまして今回展開しようと考えております漁業危機の、経営危機の対策といたしましては、まず業界におきまして魚種の、漁業種類の需要なりあるいは資源の状態に見合った状況に漁業の勢力というものを持っていっていただく。このためにはやはり業界による自主的なかつ計画的な、場合によっては減船も含んだ生産構造の再編成をやっていただくということが何よりも肝要かというふうに考えているわけでございます。そこで、このような対策として共補償等の資金は従来からつくっておったとおりでございますが、しかしながら、最もこの漁業経営を安定させるための重要な問題は、実は負債の整理にあるということがわれわれ痛感したわけでございます。そこで今回の漁業生産構造の再編整備に当たりまして、これに参加する漁業者等に対しましていわゆる長期、低利の負債整理資金、これは三百五十億を要したわけでございますが、この新たな対策を目下五十七年度予算で御要求申し上げているという状況でございます。さらにまた減船に伴う共補償の負債の軽減あるいは負担の軽減あるいは不要漁船の処理ということのための経費につきましても、従来からございました経費を相当大幅に増額いたしておりますほか、やはりこの負債を整理していく過程におきましてどうしても漁業信用基金に対する求償権の行使ということが非常に多くなってくると思います。これに対する基金の増資といったような点にも力を入れてこの経営の危機を乗り切るための特に負債対策というところに重点を置いたわけでございます。  それからまた、残ってまいる経営につきましても、これはどうしてもその経営が強化されなければいかぬということでございまして、このためにはやはり省エネルギーの推進、そしてまた経営コストの低下ということが非常に重要であるということでございまして、そのような観点から漁業用燃油の節減め指導あるいは省エネルギー技術の開発、普及ということに努めてまいったわけでございますが、これから御審議を願います漁時法の改正といったものもこれにつながってくるわけでございまして、税制の改正によりまして割り増し償却等の制度も考えまして、省エネルギー船あるいは省エネルギー施設の推進というものを図ってまいりまして、コストの低下、それによりますところの経営の安定ということを目指しているというのが基本的な構想でございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 結果的にはコストをいかに下げるかということが一番の基本だろうということですね。それで、そのコストが高くついておるのはいわばいままで制度的に幾つかの融資制度を実行してきた。ほとんどその制度はフル回転で活用しているんですね。したがって、逆に言いますと金利がコストにかさんできているという状況です。したがって、いま説明がありました漁業経営負債整理資金が本年一つ出されたというのは、これは一つの前進だろうと私は思います。ただ、きのうの説明によりますと、生産構造再編整備に参加をする漁業者、これが対象だと、こうなるわけでありまして、とりようによりますと、もう漁業を廃業しようかという、こういう立場の人がこれ対象になって、経営をしていく者は対象にならないような印象にもなるものですから、この資金制度についていわゆる融資条件、この点をひとつ明らかにしておいていただきたいのと、それから二つ目には、漁業用の燃油、これの対策費、対策特別資金ですね、これが昨年の場合、昨年といいますか、五十六年度の場合は一千億だった。五十七年度予算は七百億で、三百億減っているわけですね。この減った理由というのは今日の情勢から見てどうも納得ができないんですが、その辺はどうなっておるんだろうか、この二つをお聞きをして、もう時間ありませんから終わります。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) この漁業経営負債整理資金の貸付対象者及び貸付条件につきましてのお尋ねでございますが、私どもこれは何もやめていく人たちだけに考えているわけではございません。減船の必要な業種とそれから減船が必ずしも必要でない業種とこの二つあろうかと思いますが、まず減船に必要な業種という業種につきまして生産構造の再編整備を進めていくということを考えてまいりますと、片方には減船をなさる方がおられると思います。それから一方では残って経営を続けていこうとおっしゃる方と両方あると思います。もしもこの減船者の方につきまして対策を考えるということでございますれば、一つはその漁権がございますから、漁業の権利がございますから、これを整理していくために共補償資金がある。当然共補償資金によってこの漁権を整理していくということが必要になります。これが共補償資金の基礎でございます。それから漁船が残りますので、この廃船スクラップというものを処理していかなきゃならない、これが一つ。それからもう一つは、そのしょっておられる負債の整理。この三つが大きな対策に、なろうかと思います。  そこで、まず漁船の減船の必要な業種の減船者に対してもこの負債整理の対象にする、これがまず第一でございます。それから第二に、残っていかれる方、これは先ほどの漁権整理のために共補償の資金をお貸しするということが必要でございますし、それからまたその経営を強化してまいりますために経営近代化あるいは施設の合理化といったような資金が公庫等によって貸されなきゃならぬということでございます。そしてまた残っていかれる方につきましてもこれは負債が非常にございます場合がありますので、その方に対しましてもやはり負債整理資金というものが必要になってくるというふうに考えます。それから減船の必ずしも必要でない、不必要な業種につきましても、この業種の経営者につきましては、経営の近代化、合理化をしていただくと同時に、この負債整理もしていただくということでございます。このあらゆる場合につきましてこの負債整理資金というのは適用になるということでございます。  したがいまして、まとめて申し上げますと、一つは、減船はするけれども、別の漁船でなお漁業を継続する減船者に対する負債整理、これが一つ。それから共補償を行っている残存者に対する負債整理、これが一つ。それからおやめになっていかれる方につきましては、債権者として漁協が残るわけでございますから、この債権者としての漁協に対する負債整理のための償還条件緩和に要する資金といったようなものが対象になります。それからまた、施設の合理化等によりまして減船まで至らないで漁業の生産構造の再編整備を行う場合におきましても本資金の適用をするということで、かなり広くこれは活用するという考えでございます。  なお、条件でございますが、沿岸につきましては漁業者五%、遠洋六・五%、漁協は五または六・五%ということでございまして、それから減船の特に償還期限につきまして非常に長く考えておりまして、通常の場合は漁業者十二年でございます。うち据え置き三年でございますが、特例の場合には据え置き五年、十五年というきわめて長期の資金にこれは考えておる次第でございます。  それから第二点のお尋ねでございまして、漁業用の燃油対策の特別資金が五十六年度融資枠一千億が七百億になったじゃないかというお尋ねてございますが、これはいままで漁業用燃油の対策特別資金ということで非常に急激な燃油の高騰によりまして非常に困難な経営に陥りました漁業者に対しましてある意味では応急的、緊急的に融資をしてまいったわけでございます。それで、この場合には、第二次オイルショックのとき、昭和五十四年、これは三百億、五十五年五百億ということで八百億融資いたしまして、五十六年度では一千億の融資枠ということにいたしておるわけでございます。ただ、この二回のオイルショックの状況と比べますと、確かに先生がおっしゃいますように最近も燃油は上がっておりますけれども、上がり方が大分緩和してまいったということでございまして、高水準ながら、まあ横ばいとは申しませんが、その上がり方が少なくなってきたということから、余りこの燃油資金をお貸しして借金を非常に大きくするということもいかがなものかという考え方から、そのような諸点を勘案いたしまして一千億を七百億にいたしたと。また、逆に申しまして、これまた急激に減少させるということも大変なことでございます。したがいまして、そのあたりを勘案いたしまして融資枠七百億円というものを発行いたすということにいたしたわけでございます。

坂元親男自由民主党

○委員長(坂元親男君) 本件に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩     —————————————    午後一時三十三分開会

坂元親男自由民主党

○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 五十七年度一般会計予算外二件の委嘱審査に当たりまして若干の御質問をいたしたいと思うのであります。  最初に、アメリカ及びECからの貿易自由化、輸入拡大の強い要請があるわけでありますが、このことをまず論ずるに当たりまして日本の農業の現状というものを見きわめなければならないと思うのであります。わが党といたしましては、民族生存の基本産業としまして食糧基本法という位置づけを明確にすべきだということを年来主張いたしておるわけでありますが、私ども国会におきましても自給率向上についての決議がなされましたが、それぞれの社会情勢の大きな変化の中で食糧というのは非常に他産業とは比較にならないいろんな隘路がございまして、そのときそのときいろんな問題を惹起しているわけでありますが、何と言いましても食糧は私ども民族生存の基本という、こういう観点からいたしまして、当場この問題がしのがれればいいということじゃございませんで、やっぱり短期にも、中期にも、長期にもわたりましてその食糧の確保というものが明確でなければなりません。いまアメリカ、ECからの圧力があったからということでもし後退させるようなことがございますと、後々また問題が起きることは当然であります。きょうも午前中お話があったようでありますけれども、私から、長い御説明はよろしいんでありますが、昨日ですか、農林水産省で二〇〇〇年までの世界の食糧の需給モデルを使いましての食糧の需給予測、これを発表されておりますけれども、農水省としましては二〇〇〇年を見通して世界全体としてどう見、そしてまたそれに対して日本としてもどういう問題が、どういうことをこれからこの予測の中から認識をしているのか、その辺のことについて簡単で結構ですが、御説明をいただきたいと思います。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 昨日、農政審議会の専門委員会がございまして、そこに私どもから農林水産省におきまして開発しました食糧需給モデル、これによりましての二〇〇〇年までの各年の世界の食糧需給事情とこの動向につきましての予測を行ったわけでございます。これは御承知のように一昨年の十月に農政審議会から八〇年代の農政の基本方向につきまして答申がございました。その際、食糧の安全保障問題というのが今後の農政を進めていく上の大きな柱だと、これにつきましてはいろいろ今後の需給をどのように見るかというような問題等がございまして、それについて、細部さらに精細に討議をしろということがあったわけでございます。そこで昨年の十月来農政審議会の専門委員会におきまして、食糧安全保障、そのほかの問題点としましては日本型食生活とかえさ米の問題がございますが、そこで討議をしていただいたわけでございますが、私ども、昨日、農政審議会にお出ししましたモデルはいろんな前提を置いての一つのシミュレーションでございます。で、この前提といたしましては、今後の二〇〇〇年の人口をどのように見るか、これは大体国連統計等から六十二億五千万というものを一応頭に置いております。また、工業部門につきましてはどのような成長率を持っていくか、大体年平均で三・九%程度の予測と、また耕地面積につきましては二〇〇〇年の地球とかいろんな予測がございますが、大体二〇〇〇年までに総計で四・一%程度の増というようなことを前提といたしまして、品目につきましては、耕種は四品目——米、小麦、粗粒穀物、大豆。畜産物につきましては、牛乳・乳製品、牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉、卵と六品目につきまして世界を約三十七の地域に分類をいたしまして、そこで予測を行ったわけでございます。  予測の中身につきましては、詳細は省略させていただきますけれども、作況等予見の設定のいかんによりましては大きく変わってくるわけでございますが、大体平年作を前提としたケースというものをベースに置きまして、今後の価格変動、あるいは需給の変動、あるいは農業生産資材の価格動向、あるいは不作が主産地で起きた場合どうなるかというようなことも頭に置いていろいろ推計を行ったわけでございます。これによりますと、予測の概要でございますが、一九八五年ごろまでは各穀物、大豆とも需給は緩和基調で推移するのではないか、また、このような状況を前提といたしましてアメリカでは本年から再開したセットアサイド、——休耕でございますが、これを一九八三年以降も実施していくのではないかというふうに予測しております。こういう状況が続いてまいりますと、一九八〇年代の後半になりますと世界的に在庫減少、これは昨年、一昨年と異常な豊作が続いております関係で現在相当程度の在庫がふえております。このアメリカのセットアサイドの結果、世界的な在庫減少というところから一たん逼迫基調に転じていくのではないか。それに従いまして、穀物等の実質価格も上昇すると、またそれに伴いまして、若干のタイムラグはございます。が、畜産物価格もある程度上昇していくのではないかと、こういうような逼迫期が一たん参りますが、その反動といたしまして、世界的な食糧需給は一時的に若干緩和するんではないかというふうに見ておりますが、先ほど申し上げましたが、耕地は二〇〇〇年までには四%程度しか全体としては伸びないとか、単収が伸びていくとか、あるいは開発途上国におきましては、畜産物の消費がふえていくというふうな事情等を見通してまいりますと、二〇〇〇年にかけましてはだんだんに逼迫基調は強まっていくんではないかというふうに考えております。  これは私ども、農政審の答申をいただくまでの過程におきましていろいろ予測していたことでございますけれども、やはり世界的な食糧需給というのは、中長期的には逼迫基調に向かうのではないかというふうに考えておりましたが、私どものモデルにおきましても大体そういう方向が裏づけられたというふうに考えております。したがいまして、農政審の答申におきましても、今後の農政の基調といたしましては、国民に安定的に食糧を供給していくということは農政の一つの基本であるというふうに言われておりまして、私どももこの方向におきまして今後とも農政を進めていくことが必要であろうというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 長期見通しいろいろなものはありますけれども、いまのお話、やはり価格上昇、えさを中心としまして輸入の多い日本の現状、また全体的にも需給についても不安が伴うという、こういうことの結果がこの中から類推されるということで、こういうことを考えますと、農業の持つ意味というものは非常に重要であろうかと思います。私は、これは時間もありませんから、長々申し上げる時間もございませんけれども、それに伴いましてこういう予測がなされたということは、非常にそれなりの意味を持つだろうと思います。  同じ昨日、通産省から、工業製品の輸出のために農産物の輸入ということで、要するに農業が被害をこうむる、こういうことがよく言われるわけでありますけれども、それは被害者論は誤りだというふうな反論がなされたということも報じられておりまして、これは日本の国の中でこういうことで争うという、それで得をするのはアメリカだけですから、国内は本当にこういう問題については心を一つにして、大いに論議をし、進めていかなければなりません。日本の国のこととしては当然のことだろうと思いますが、しかし、いま論議の過程の中にありますから、いろんな立場でのお話があろうかと思いますけれども、食糧に対しまして責任を持っております農水省といたしましては、これは毅然たる態度で臨まなければならないと、こう私は思います。  とりわけ農産物については、四月十二、十三ですか、ワシントンで日米農産物貿易協議、これが行われるわけでありますが、過日来予算委員会におきましても、これらの貿易の自由化や輸入枠拡大のアメリカ及びヨーロッパについての問題については、いろいろ論議なされましたが、それぞれの立場でニュアンスの違いがありまして、過日の予算委員会で、たとえば農林大臣が、農水省関係の二十二品目の残存輸入制限はぎりぎりいっぱいのものだ、どうしても開放するわけにはいかないという強い決意が表明されました。ところが、同じ予算委員会で総理は、六月のパリ・サミットを待たずにできるだけ早目に方針を打ち出したい、こういうお話もあり、五月十日それから十一日の両日パリで開かれますOECD閣僚理事会、この会合などもあるから、各国の理解を得るためにこの問題について取り組まなければならないということで、市場開放について、農業は日本の基幹産業であり、牛肉、オレンジなど二十二品目の残存輸入制限の取り扱いについては慎重に対処するという、こういうお話がしばしばあるんですが、その一方では、国内対策を講じながら少しでも窓をあげることを検討したいという、こういう総理の発言もあるんですね。これは日本一国の問題じゃございませんで、このときにいろいろ検討しなければならないことだろうと思いますが、事少なくとも食糧に関することであり、その担当大臣であります農林大臣におきましては、こういう推移を見定めながら強い決意で、後々、後顧の憂えのないようなこういう予測もなされているときでもございますし、世界的な規模の上に立って考えてみましても、やはりわが国の農業というものについてはそれなりの対策というものを強く推し進めていく決意を持たなければならないと私は思うんですね。  長いお話一々申し上げるまでもございませんが、予算委員会でもずいぶん議論されたことでもありますので、重ねてのことでありますけれども、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思うんであります。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま官房長から答弁さしたように、中長期的に見て世界の食糧の需給状況というのは非常に不安定でございます。したがいまして、わが国の食糧安保という面から考えますというと、私たちとしては食糧の安定供給というものをさらにしっかりした態度でこれから対応してまいらなければならないと、かように考えます。ことにいまわが国で自給できるものは、御承知のように、お米だとか野菜だとか果物だとか畜産物等でございますけれども、いまどうしても小麦、大豆あるいはその他、いわゆる飼料穀物は輸入せざるを得ない状況という、この体質をある程度変えていかなければならないということで私たちはいま一生懸命なんでございます。ことに、ただいま御指摘のように、残存輸入制限品目、いま二十二品目あるわけでございますが、これはいずれも農畜産物の基幹をなす作物であり、あるいはまた地域の重要な作物であり、農水産振興のための重要な品々でございますので、私たちはやはり残存輸入制限品目については極力これは市場開放はしないように努力をしたいと。過般対外経済閣僚会議を三十日に開きまして、鈴木総理から、過般第一弾はやったと、いわゆる関税率の前倒しと非関税障壁の緩和等を行ったけれども、これはアメリカあるいはECに高く評価されているけれども、いま、外務大臣あるいは江崎ミッションの報告等を聞くと、かなりアメリカあるいはECの市場開放に対する要求が強いので、やはり日本としては、対外経済摩擦解消のために第二弾の態度を五月末までにある程度示さなきゃならないのじゃないだろうかということを発表されましたけれども、具体的にこの内容についてはこれから進められると思いますけれども、農産物については、いま御指摘のように、四月の十二、十三日で作業部会をやると、それから牛肉、柑橘については、これは十月の適当な時期に日米間で話し合いを進めようという一つの日米貿易小委員会での合意がございますので、この線に沿って私たちは進めたい。その間に私たちのわが国の農林水産行政のあり方あるいは私たちがこれまでとってきた貿易拡大に対する態度等をアメリカあるいはECに説明をして、先ほど申し上げましたように農産物の貿易拡大はできるだけ抑えたい、かように考えているのでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 時間の関係で一つ一つお話聞く時間もございませんで、大綱的なお話にならざるを得ないのでありますけれども、いま大臣がせっかく御決意を御表明になりましたが、この現状というものをもう少しいろいろな角度から分析いたしましてひとつ日本の農業に後顧の憂いのないような施策を強く推し進めていただきたいものと思います。  今日まで日本の農業も国際競争力を持てる、これはなかなか品目によりまして簡単にはいかないのでありますけれども、しかし今日まで大変な努力をしてきたことは当然であります。農業基本法がよかったか悪かったかその功罪はいろいろ論議のあるところでありますけれども、世界の中で日本の農業がどうあるべきか、こういうことで施策を進めてきたこともそれなりに私どもは認識をいたしておるところであります。特にこれからの農業につきましては他産業に化する、こういうことから生産性を上げなきゃならぬ、そういう中で大規模営農というものについて、やはりこれは生産性を上げるような形ではこういう形のものを進めることが大事だろうという、こういうことを現状の中で大規模営農のできる地点につきましてはそれなりの事業を推し進めてきたことも御存じのとおりであります。これはそれぞれの農産物によりまして一つ一つを挙げる時間もございませんが、この畜産関係に関しましてはやはり大規模営農という大きな規模で進める多頭化、こういうことが大事だろうということで何点がその地域を選定をいたしまして進めてきたわけであります。これは一つの時代の要請であり、国のまた自給率向上という上から農薬の持つ意味の上からも国策として当然必要なことであったろうと思います。時代の要請でもあったわけでありますが、これが計画の推進、実現を見て動き出したという時点で社会の余りにも大きな変動の中で一次産業というのはどうしても基盤が弱うございまして、他産業のようにすぐ対応はできない、こういうことでいろいろの問題が山積をしておる。いわんやオイルショック以来、大きな波風を受けた農業それぞれの部門でそれぞれに問題を抱えていることは御存じのとおりです。私はやはり国策として時代の要請に沿って進められた大規模営農事業というものは、やはりそれは現在も決してその使命というものは変わったわけではないだろうと思いますし、そこに入植する人たちはそれなりの意欲を持ち取り組んで今日まで来ておりますし、今日またおるわけでありますけれども、こういう方々に希望の持てるような事業なりまた施策というものが継続的になされなければ、着工して発車をすればそれでいいということじゃなく、それがやっぱり健全な営農のできるようなバックアップの施策というものがなければならないだろうと思うのであります。こういうことから見ますと、返済期間当然もう過ぎておりまして、四年、五年にわたります乳価の据え置きの中で酪農に新天地を開こうとして営んでまいりました方々も諸物価の高騰の中で新しい時代の対応にはいろんな苦慮をしていることは御存じのとおりです。また、肉牛につきましてもやっぱり多頭化ということでどんどん推し進めてまいりましたが、これもまた非常にこういう大きな変動の中で非常に窮地に立たされておる。価格決定がございましたが、肉牛につきましても養豚につきましてもそれぞれ据え置き、最近に至りましては養豚の方につきましても非常に窮迫、経営の悪化を招いておる。こういうことで、それぞれの農産品はございますが、国策として進めた大規模営農につきましての今後農林省として進めてきたものを見捨てるわけはないだろうと思うのですけれども、特にそれは健全経営のできるように強い働きかけ、強い意識の上に立ってこれを見守っていくということで、こういう意識を強くお持ちになっていらっしゃるのか、もうスタートしたのだから後は自力でがんばってくださいということで行政としては余りかかわるべきときではないというようなお考えなのか、まだひとり立ちできるような現状でないことは御存じだろうと思いますけれども、この大規模営農事業に対しましての基本的な考え方をお聞きしたいと思うのであります。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 御指摘の広域農業開発事業あるいは畜産基地建設事業等でつくっております比較的大規模な畜産経営につきましては、事業に着工いたします前三年間ぐらいかけましていろいろ計画を立てまして、その後における経営条件なりあるいは償還条件なりというようなものを一応設定をいたしまして事業をやっているわけでございます。しかしながら、たとえば酪農の場合御承知のような計画生産を導入して乳の星もある程度抑えざるを得なかったとか、あるいは肉牛の方の多頭経営につきましてはやはり技術的にも必ずしも十分でなかったというようなことがございまして、多くの経営の中にやはりどちらかといいますと順調に回転しなくなっているというようなものもあるかと思っております。大半がどちらかといいますと運転資金的なものがこげついているというような形が多うございますが、そういう経営につきましては、御承知のように昨年は酪農につきましてそういうせっかくの経営を展開していますけれども、資金がうまく循環しないために経営が継続することが困難になりましたものについて長期低利資金の貸し付けを行うことを始めております。ことしは、実はその酪農につきましては昨年つくりました負債整理の資金をさらに経営の内容を見ながら貸しますということをいたしておりますので、酪農についてはそういう新しい資金は設けておりませんが、肉用牛経営につきましては経営改善のための長期資金、これは肉用牛は七年ぐらいの償還期限でございますが、そういうものを新たに設定をいたしておりますので、まず個別の経営につきまして十分経営改善ができるような経営改善計画を樹立していただいた上でそういうものの借りかえの必要資金、これはもちろん農協等につきましても内分の貸し付けておりますようなものについてある程度の条件の緩和なりあるいは一定のものの切り捨て等をお願いしなくちゃいかぬと思いますけれども、そういう長期の資金に乗りかえることによりまして現在困難になっております経営を回復するというようなことも考えておりますので、現地の指導と相まちまして、そういう経営が立ち直れるようなきっかけをつくりたいと考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 大臣、いまこういうことで局長から対策を個々に考えておりますというお話ですけれども、これは時代の要請と国の施策として進めてまいりましたことでありますので、決して見捨てることはない、農林水産省としてもできるだけの努力をするのだと、こういうことは大臣からもきちっと決意表明といいますか、そういう気持ちがあるんだということは御表明いただけるでしょうね。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに五十一年から五十三年までいわゆる酪農あるいは畜産が大きく伸びた時代、この当時に大きな投資が行われ、また国としても大規模畜産というものを奨励もしたのでございます。ところが、五十四年以来それが鈍化したということが大きな経営の不振につながっているわけでございますので、私たちとしてはこれからもやはり二%前後の成長をできるだけ維持するようにいわゆる計画生産を進めると同時に、経営体質の強化だとか、あるいは生産性の向上等を図ると。あるいはまた消費対策等も積極的に進めるということでいま局長が答弁したような状況をつくりたいと、こう考えておりますが、いずれにしましてもいままで進めたいわゆる大型、大規模の経営に対しては、私たちとしては何とかこの経営体質を改善するように、また経営体質に対して何らかの援助をするように今後も努力をしたいと、かように考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 予算委員会のときにもいろいろ申し上げまして、東北、北海道、どうしてもこれは食糧基地という位置づけといいますか、そういうことなんだろうと思います。また北海道等におきましてはそういう大規模営農のできる土地が、まだ眠っておる土地があるという、今日までもそういうことで計画も進められてきたわけでありまして、そういうこの事業計画が立てられてスタートをする。余りにも社会の激動の中で農業というのは対応力が弱いといいますか、基盤が弱いというかそういう点はありましたけれども、確かにこのいま大臣のおっしゃったように進めた以上はこれはつぶすことのないように進めていくのは、これは国の責任として当然のことだと思います。で、去年は酪農には融資制度を設けられたわけでありますが、これは地域によって個人差があって、画一的に統計で数字を見るだけではなかなかきめ細かな対策が講じられません。ぜひひとつこれは現地の現状、これは農林省としましても手足があるわけでありますから、これはもちろん農協やそれぞれの立場からの農業団体からの実態はいろいろつかんでいらっしゃると思うんですけれども、地方自治体もやってますでしょう、しかし、農林省としても現状を的確にやっぱりつかんでいただいて、それでそれにひとつ対応していただく。去年はこういう融資制度ができるということでありましたけれども、非常にまあ期間が短かったり十分な説明がなかったりということで、どうしようかと足踏みしたような、現状としては非常に戸惑いがあったということも聞いております。まあ乳価が実質的には据え置かれたと同じ、そしていまいろんな問題がありまして一つ一つ申し上げなきゃならないのかもしれませんが、その中で特に私はこういう負債対策——先に夢を奪うものはやっぱり負債です、重くのしかかる負債、まだまだ不透明ないろんな問題ありますけれども、その負債に押しつぶされてしまって、せっかく国の施策にのっとって大きくやろうという酪農にいたしましても肉牛にいたしましても、これが押しつぶされてしまったんでは当初の計画は何もならないと思うんですね。そういうことで本当はもういろんな立場の方々のデータも私どもよく持っておりますので申し上げたいんですけど、総括してひとつ農林省としてもこの負債の実態、まあこういう制度をつくります、めんどう見ますというお話ですが、きめ細かにそういうところについてはひとつ対策を講じていただきたい。  それとさっきもお話しありましたけど、経営体質の強化ということも、これまた非常に大事なことだと思います。で、肉牛なんかですと大きくやっておる方はもう年間億を超すお金のやりとりがあるわけですね。それから酪農でもちょっとやっている方はもう二千万、三千万、何千万というお金を取り扱うわけで、町でありますともう経理マン何人か雇ってやる企業と同じです。それが何十頭何百頭という生き物を飼いながら経営をするわけであります。そこに入植するに当たりましてはそれなりの教育もなされておるかもしれません。が、しかしながら、こんな諸物価がじりじりじりじり上がる、またえさも価格の変動が多い、また自分のしぼったもの、自分の育てた牛を自分の言い値で決めるというわけにはいかない、こういう非常に一次産業というのはむずかしい環境の中にあるわけでありますが、それには相当な、生き物を飼うということと経営能力、また農業団体にもそれなりの体制というものがなければ、これは大きな生産性を上げるために大規模多頭飼育、こういうことで指導が一本化されて今日までどんどん大きくすることがいいことみたいにきましたけれども、結局はもう行き詰まって、今日こういう、さらにまた国内だけではないいろんな問題が出てきておる。こういう現状の中でこれは相当思い切った対策をいたしませんと立ち上がることはできないだろうと思います。単にこれは畜産とか、——畜産だけではございませんで、それぞれの農業部門についても言えるのかしれませんが、特に大きな規模でやっているところについては負債額が大きいし、それに払う利息も大きい。こういうことでいろんなお話の中で、こういう情勢の中ですから乳価が大幅に上がる、それは望ましいことかもしれませんが、それはもう国際情勢の中で多くを望めないとするならば、どうしてもやっぱりこの長期、低利な、負債のために押しつぶされることのないような強力な施策をお願いしたいというのが農民の切なる声であります。さっきも概括的なお話ございましたけれども、もっとこの問題について具体的にこの負債対策についての当局としていま御検討なさっていること、本年度の予算の中でこれが考えられておることにつきまして御説明いただきたいと思いますが、どうでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 昨年の酪農に関します負債整理、御承知のように総枠約三百億を予定いたしまして、十五年、物によっては二十年というものもございますし、金利も五%、それから特に経営の問題のあるものは地方公共団体等が上乗せいたしまして三・五%程度にまでしていただくというようなことで昨年何六十三億の貸し付けをすでに行っているわけでございます。酪農につきましては、この線上に乗りまして第二年目の、各経営の内容を把握しまして二年目の貸し付けをやっているということでございます。新しく今回の価格決定の際に関連施策として決めております肉畜につきます経営改善資金、これは資金の性格から言いますと、酪農の場合はかなり長期の施設的なものの負債整理ということで、かつ酪農は御承知のように相当回転の長い産業でございますんで、十五年というようなものをやったわけでございますが、肉畜の場合は、養豚でございますと年二回回転しているわけでございますし、肉牛の場合でも一回ちょっとぐらいは回転するということから、資金の性格もどちらかといいますと、素畜費とか飼料費といったような中期ないし短期の資金の借りかえという形になろうかと思います。したがいまして、条件いろいろ考えておりますが、豚につきましては据え置き一年を含む五年償還に、肉用牛につきましては据え置き一年を含めます七年償還を頭に置いております。総額は調査の結果決定をいたしたいと思っておりますが、現在約一千億程度の総額を予定をいたしております。貸付金利につきましては五%、特に経営改善を必要として市町村等が上乗せしていただくような場合には三・五%程度まで引き下げられるというようなことを頭に置いております。それからいま御指摘のように大規模経営、畜産の場合も相当経営規模が大きくなっておりまして、ある意味じゃ企業的要素も入っているわけでございますが、そういう場合の、技術もそうでございますが、経営管理なりあるいはそういう貸します側の農協の対応というようなものにもやはりかなり問題があろうかと思います。したがいまして、今回の資金の貸し付けに際しましては、個別の経営体について改善計画を立てていただくのはもちろん、貸し付けをいたしております農協等についても、今後のこういう大型経営に対する貸し付けのあり方、あるいはえさとか素畜の供給のあり方についてもがっちり一つの改善の目標を定めていただくと、従来のように何かずるずると金を貸していってかさばってきたというような形ではないようなそういうものを求めておりまして、こういうことをひとつ融資と表裏一体にあることによって経営の基礎固めをしたいと考えております。極力早く実行するつもりでございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 これで終わりますが、制度はその都度いろいろお考えいただくわけでありますが、この制度を運用するということになりますと、やはりいろいろ隆路が出てまいります用意欲のある、そしてまたそれなりの使命を担っていらっしゃる方々についてはやっぱり十分に活用のできるような形で運用をひとつ十分に弾力的にやっていただきたいということと、やっぱり農業には人を得なきゃならないということはよく言われます。いまもいろいろお話がありましたけれども、きのうも大臣いろいろ言っておりましたけれども、人材の育成といいますか、これだけ大きな酪農経営になりますと、それなりの指導者というものについても十分な配慮がなければならぬと思います。各地方自治体につきましても、これは一酪農の問題だけではなくして、町の財政に大変な影響を及ぼす、こういうことから各議会におきましても地方自治法の第九十九条の二項の規定によってそれぞれ意見書、こういうものがまとめられて農林省にも来ておると思うんでありますが、そういうものを受けて大臣としましては、これは町民の総意ということでありますが、どういうふうにお受けとめになっていらっしゃるのか、ひとつ決意を聞いて終わりたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 畜産はもちろんでございますが、農業全体にとってもやはり活力のあるいわゆる農林畜産というものを推進してまいらなければならないと思います。そのためには何としてもやはり後継者が必要なのでございますが、幸いにしていま畜産にしても酪農にしても確かに新しい経営体質を持った一つの経営を行っている方もあるのでございますので、そういう方々の、やはりそれは点でございますから、私はそれを線にしてあるいは面にするような政策を農林水産省としてはこれから積極的に進めていかなきゃいかぬ。そのことによってやはり若い方々が魅力ある酪農、魅力ある畜産ということで後を受け継ごうという意思が出てくると思いますので、そういう体質をできるだけつくるように農林水産行政の中で努力をしてまいりたいと考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 きょうは私、去る三月二十一日の朝、千葉県安房郡千倉町沖合い約四百メートルの地点で座礁したアカデミースター号についてしぼって質問をいたします。  まず最初に、海上保安庁にお聞きしますが、事故の概要、時間がございませんので簡単に御説明願います。

藤原康夫海上保安庁警備救難部救難課長

○説明員(藤原康夫君) アカデミースター号ですが、昭和五十七年の三月十九日に石炭をほぼ満載いたしましてロサンゼルスから水島港向け航行中の午前三時ごろ、千葉県の野島崎南東二百十海里付近におきまして、船体に亀裂が発生いたしまして、浸水、般体が約十五度傾斜したということで救助を求めてまいりました。  海上保安庁では直ちに巡視船と航空機を出動させまして、当日の午後十時十八分、該船の乗組員全員を巡視船に救助いたしております。また、船主から救助依頼を受けました日本サルヴエージ株式会社の曳船が二十日の午前十時ごろと午後十時ごろに到着いたしまして、救助作業を行おうとしたわけですが、海上強風警報が発令されておりまして、しけの中でございまして作業が非常に困難でございました。該船はそのまま北へ漂流を続けまして、二十一日の午前五時三十分ごろから船体の沈下が進み始めまして、陸岸にも接近いたしました。そして同日の午前八時四十一分ごろ千葉県の千倉海岸沖合いに乗り上げたというのが概要でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 もう一つ水産庁から漁業の被害の状況、これもごく簡単にお願いします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 水産庁といたしましては、今回の事故に当たりまして、直ちに現地に係官を派遣いたしまして、また先日の土曜日には研究部長にも行ってもらいまして、防除の指導及び被害の把握に努めたところでございます。アカデミースター号が座礁いたしております千倉可及び白浜町を中心にいたしまして、南は布良から北は勝浦に至る約四十五キロの範囲内にわたりまして部分的に同船から流出した重油が漂着しております。また、該船のそばでは粉炭の流出も生じておる次第でございます。この沿岸の一帯はアワビ、サザエ、イセエビ、ヒジキ、テングサ等のいわゆる磯の資源が豊富でございまして、採草、採貝漁業が盛んでございました。これらの機業だけで年間約六千トン程度の水揚げがあるところでございます。なお、座礁船の隣接する千倉町南部及び白浜漁協の五十五年の水揚げは約一千七百トン、金額にして約十一億というのが水揚げ額でございます。  現在千葉県で対策本部を設けまして被害状況の収集に当たっておりますが、何分にも海中の水産資源でございますので、その影響を正確に把握いたしますにはなかなか困難な面がございまして、被害の数量あるいは金額については現段階ではまだ的確に把握しておりません。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 被害額は見当というわけにもいかないでしょうけれども、年間粗生産十一億と、こういうことですから、また後遺症が出ればそれより多くなると思いますけれども、この調査に当たっては早急に被害額を出していただきたいと、こういうふうに思います。  前へ戻りますけれども、確認をしておきますが、先ほど海上保安庁の方から報告がございました一つはサルベージ船、最初に行ったのが第十二昭都丸、それから後から行ったのが航洋丸、この二隻となっておりますけれども、この航洋丸がいわゆる船体に亀裂の入ったアカデミースター号に到着した時間、これは二十日の二十二時ちょうどごろと、こういうふうにお聞きしました。それから、アカデミースター号が千倉沖で座礁したのは二十一日の八時四十一分と、こういういま報告でしたね。これは確認です。  それからもう一つお伺いしたいのは、このサルベージ船の航洋丸がアカデミースター号に到着したところの地点から千倉沖のいわゆる座礁した地点、ここまで何キロぐらいあったのか、これをお伺いします。

藤原康夫海上保安庁警備救難部救難課長

○説明員(藤原康夫君) 前半の二つの点につきましては先生のおっしゃるとおりでございます。  それから、航洋丸が到着いたしましてから千倉沖に乗り上げるまでの距離ということでございますが、私どもも現在手持ちで正確な資料をちょっと持ち合わせておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねるのでございますけれども、大体翌日の朝までに乗り上げるまでに十時間半ほどかかっておりますので、大体一・五マイルぐらい一時間に流されたというふうに聞いておりますので、約十五マイルぐらいではなかろうかと、ちょっとはっきりいたしませんが、そのようにわれわれとして批感じております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 到着してから座礁までの時間が約十時間、それからいま十五マイルと。八丈沖から千倉沖までは大体約四百キロあるわけです。いま十五マイルとおっしゃいましたけれども、大体私の見当ですけれども、百キロや百五十キロはあったんじゃないかなと、こういうふうに想像するわけです。  そこでお尋ねしたいことは、それだけの距離があって、時間は十時間あったと。船は漂流すればこれは沈没するか、またはどこかへ座礁するかどっちかになるわけですけれども、結果としては千倉沖に座礁して、大量の燃料油と、いわゆる微粉炭、これが海上に出、流出し、海底に流出したと、こういう被害が起きたわけでございますけれども、この長い時間と長い距離、この間に何とかならなかったのか。もちろん私はそのいわゆる亀裂が起きた船のそばにもおりませんでしたし、海上にもおりませんでしたから、天候の状況が悪いという話も聞いていますけれども、その辺はわかりませんが、サルベージ船の手配の不手際があったんではないかとも思われますし、また本気になってアカデミー号を曳航するというような海上保安庁の姿勢がなかったんじゃないかと、こういうふうにも、うがった見方ですけれども、考えられるわけです。その辺の事情を説明していただきたいんですけれども、天候が悪くていたし方がなかったと、結果としてこうなってしまったんだと。いたし方ないというならば、いたし方なかったような状況があったんではないかと。納得のいく説明をお願いしたいわけです。

藤原康夫海上保安庁警備救難部救難課長

○説明員(藤原康夫君) ただいま野島崎の沖から乗り上げるまでの距離が四百キロほどあったんではなかろうかというような御指摘でございますが、実は、この船が救助を求めてまいりましたところは、野島崎の南東二百十海里ということでございますので、ほぼ先生の御指摘の距離があったわけでございます。それから、まだその時点では自力で走っておりまして、当日の夜二十二時十八分ごろ海上保安庁が乗組員を全員救助した時点では、大体四十九マイルほどというところまで近寄ってまいっておりました。それからさらに流されまして、先ほど御指摘ございました航洋丸が到着した時点では、先ほど申し上げましたことになったろうかと思います。  それから目サルの手配に何か誤りがあったというような御指摘でございますが、日本サルベージの曳船は十九日にはもう出航いたしておりまして、ちょっと出航いたしましたところが門司ということでやや遠うございましたし、当日低気圧が接近しておりましたんで、やや多少おくれたようなところはございますが、先ほど申しました二十日の二十二時には現場に到着しておるということでございます。  それから巡視船につきましてどうかというようなお尋ねでございますが、巡視船は、当日連絡がございまして、直ちに三隻出動いたしたわけでございますが、その後さらに一隻追加いたしまして、四隻で遭難船の人員の救助をやっております。その後二隻がずっと警戒に当たっておったわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、二十日の十一時五十五分には海上強風警報が発令されておりまして、それ以後の天候といたしましては、ほぼ海上では風速が十三メーター程度吹いておりまして、波の高さもうねりは四メーター近くあったというようなことで、救助作業は非常に困難であったということでございまして、海上保安庁といたしましても全力を挙げてこういう事態にならないように努力はしておったわけでございますが、巡視船そのものも、このような大きな船、そして粉炭を五万五千トン、さらに各ホールドに浸水をいたしておったわけでございまして、こうした船の曳航能力というものについてはやや不足しておるというようなこともございまして、結果的に乗り上げたということになっております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 要するに悪天候で、ともづなもひっかからなかったと、一生懸命やったけどできなかったと、結果はいたし方なかったと、こういうことですわね。

藤原康夫海上保安庁警備救難部救難課長

○説明員(藤原康夫君) 全力を挙げてこういう事態にならないように海上保安庁としてはやっておったということでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 まあ、今回は人身事故がなかったわけです。巡視艇が早く行って救助したわけですから、人身事故はなかったわけですけれども、こういう事件は、これはあっては困るわけですけども、今後絶対ないという保障は何もないわけです、あれだけ船が航行してるわけですから。そこで、今後このような事故が起こらないという保障はないわけですから、この事故を貴重ないわゆる反省材料として、言うならばサルベージ船のもっと能力のある、ともづなもひっかかる、多少悪天候でもそれに耐え得ると、こういうもっと大きなものを手配するとか、また、悪天候にも何とか、その中でも曳航できるような手段を考えるとか、こういう前向きな姿勢を持っておられるかどうか、対策が何かあるかどうか、その辺はいかがですか。

藤原康夫海上保安庁警備救難部救難課長

○説明員(藤原康夫君) 日本サルベージの曳船につきましては、この航洋丸というのはかなり能力の高い船というふうに伺っておるわけですけれども、まあ結果としてこういうことになってしまったわけですが、まあ日本サルベージに対してわれわれもさらに今後こういう事態が起きないように要請してまいるとともに、当庁といたしましても今後とも全力を挙げてこういう事態にならないようにしてまいりたいというふうに考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 まあ、海上保安庁は監督官庁ですから、潮の流れのこともよく研究しているでしょうし、それから風の向きも、どう風向きがあればどっちの方へ船が漂流していくか、その辺もこれは専門家ですから、また、曳航する場合も、どちらの方へ曳航してったら一番ベターであるのか、その辺もよく研究しておられるでしょうから、その辺も含めて——先ほど言いましたようにこのようなことがなければいいんですけれども、あった場合には適切ないわゆる処置をする、こういうふうに心がけていただきたいと、こういうふうに思うわけです。  次は、千葉県現地の漁業関係背は、先ほどお話しありましたように大変な被害を受けているわけでございます。いまお聞きしましたけども、このような大きな事故になった主な原因、それから事故処理の進捗状況、今後の見通し、簡単に教えていただきたいと思います。

新井佼一海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(新井佼一君) お答えいたします。  いま、事故原因等につきましては救難課長から説明あったとおりでございまして、悪天候というのが非常に大きな要素であったと思います。  で、現在の状況でございますが、流出状況でございますけれども、座礁によりまして船底部にある燃料タンクが破損いたしまして、流出した油は房総半島南部沿岸沿いに漂流、拡散いたしまして、一部が千倉町、白浜町沿岸、鴨川湾等に漂着いたしましたけれども、二十四日以降は風向きの関係で新たな油はほとんど漂着しておらない状態でございます。また、船体からの油の流出も二十五日以降は著しく減少しておりまして、毎日私どもの航空機を飛ばして状況を把握しておるわけでございますけれども、本日の朝六時四十分現在では、長さ二千メートル、幅三百メートルの薄い油膜が海上にあるという状態でございます。なお粉炭でございますけれども、五万五千積んでおったわけでございますが、残念ながらハッチをあけて正確に調べるということができませんので、正確な残量及び流出盤については現時点では把握しておりません。  作業の状況でございますけれども、三管本部が中心となりまして関係漁協等に連絡いたしまして措置を講じさせ、銚子保安部に対策本部を設置いたしまして、巡視船艇、航空機を出動させて流出油の調査及び防除作業等に当たっております。また、船主サイドにおきましても、海上災害防止センター、漁業者等の協力を得て浮流油及び沿岸漂着油の処理を行っております。またなお、千倉町、白浜町及び千葉県にも対策本部が設置されて、地元住民の防除作業の指導、当庁対策本部との連絡調整などに当たっているのは御承知のとおりでございます。  残油の瀬取り作業でございますけれども、このアカデミースター号が積載しておりました油は、C重油約千二百キロリットル、A重油約百キロリットルということでございますけれども、日本サルベージが作業いたしまして現在までで、二十六日まででございますが、C重油約六百キロリットル、A重油等約百キロリットルを瀬取りしております。また、船体中央部の二重底にあります損傷を受けた燃料タンクにつきましても、詳しい調査は積み荷があってできないわけでございますが、現時点で調べてみましたところでは、どうも油は余り残ってないんじゃないかというふうに見ております。  今後の見通してございますけれども、油につきましては、船体からの油の流出は今後は多量に流出するということはないと思いますけれども、万一流出しても直ちに防除する体制をとっております。沿岸に漂着しました油についても十分措置するよう今後とも船主側を指導してまいりたいと思っております。  積み荷の粉炭でございますけれども、この瀬取りについては早急に行うように関係者側に強く指導してまいりまして、アカデミースター号の用船者であるジャパンラインの依頼を受けまして同本サルベージがけさから作業に着手しております。なお、船外に流出して海底に堆積しております粉炭の処理につきましても、現在のところいろいろ技術的な検討を行っておりますけれども、十分なる措置をとるよう今後とも船主側を指導してまいりたいという所存でございます。  以上でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 細かく燃料油、それから微粉炭処理、残油処理、中和剤の問題、いろいろありますけれども、これでこの船は、積み荷は微粉炭を満載していたわけです。きょうから始まったということでございますけれども、この微粉炭、ダイバーが入っても汚染してもぐれないほどだと、こういうふうに私は聞いておるわけでございますけれども、この汚染された、いわゆる微粉炭を瀬取りするわけですけれども、きょうから始まったと言いますけれども、いつごろまでに瀬取りが終わるか、めどはいかがですか。

新井佼一海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(新井佼一君) 微粉炭の瀬取りの計画でございますけれども、現在作業が始まっておりますが、ジャパンラインの方、いわゆる船主サイドからの話ですと、天候に左右される面はございますけれども、天候さえよければ二十日間程度かかるというふうに聞いております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 二十日間。

新井佼一海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(新井佼一君) はい。ただしこれは天候条件がよければということでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 次に、船体撤去の問題ですけれども、パナマ船座礁事故について当面の緊急対策として燃料の回収とか拡散防止とか、いま言った微粉炭の早期処理が重要となりますけれども、このアカデミースター号、あのずうたいの大きな船体があそこに座礁しているわけでございますけれども、この撤去についてはいまだ具体的な対策がないようですけれども、船体の撤去作業の見通しはどうでございましょうか。

新井佼一海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(新井佼一君) 船体の撤去でございますが、本船体は海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の第四十三条に違反した船体でございます。ですから、船舶所有者にはあくまでもこれを撤去させるべきであると考えております。  実はその先の見通してございますけれども、荷を取らないと船が動かせないという状態でございますので、その荷の瀬取りの状況の進捗状況との兼ね合い、その後になるということで、申しわけございませんが現時点で正確な見通しは申し上げられない状態でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 この問題はもうちょっと詰めたいのですけれども、時間がございませんので、あと一つ、最大の問題は補償の問題になるわけです。  大臣にお聞きしたいんですが、今回の事故はこういう事故で、地元住民としては大変な被害をこうむっているわけです。しかも、千葉の千倉沖を漁場とする漁業者は中小零細漁業者であります。現在は、いま言ったような状況で、目の前に海がありながら漁もできない。しかも、ヒジキは先月の末に解禁になっている、アワビ、サザエは今月の二十日に解禁になる、こういう状況であります。したがって仕事をしたくも仕事ができない。これは漁業者にとって死活問題であります。また生活権にもかかわる問題だと私は思います。そこで、金で解決すればいいというものではございませんけれども、被害を受けた以上一番頼りにするのはお金でございまして、だれしも頼みの綱とするのは被害の補償という問題になってくるわけです。この補償問題について、法的な制約もありますし、それから船は外国船である、こういうこともございますし、保険会社はノルウエーのガードという保険会社だと、こういうふうにも聞いておりますけれども、そういう点でいろいろむずかしい点があると思われるけれども、大臣として、この委員会でもよく言われますように、農民の味方は農水省、漁民の味方は農水省、こういうことで一生懸命この補償問題については、やらないとは言わないと思いますけれども、大臣のこの補償問題に対する決意をお聞きしたいんです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) この事故での漁民の方方がこうむった被害についてでございますけれども、これは原因者負担の原則によって賠償されるべきものでございまして、今週初めから関係当事者間で補償交渉も始められていると聞いております。農林水産省としましても、交渉が円滑に進められるように千葉県等を通じて関係者に指導してまいりたい、こう考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 加害者もはっきりしているし、もちろん責任がそこではっきりするわけですけれども、それはもちろんわかっているわけですけれども、いま言ったように被害を受けたのは千葉県の漁民です。いわゆる所管は農林水産省、こういうことなんで、その辺を、もちろん先ほど言ったように船は外国の船、また保険もノルウェーの保険会社に入っている、こういうことですけれども、あらゆる点について農水省として、水産庁としてそれに援助、また力を努力する、こういう姿勢でなければならない、こういうふうに思いますが、水産庁長官で結構ですから・・。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいま大臣から御答弁ございましたように、加害者も特定しており、これはあくまでも原因者負担の原則で解決すべきものというふうに考えておりますが、もちろんその過程におきまして私ども、漁業者がまさに被害をこうむっているわけでございますから、ただいま大臣も申されましたように、千葉県等を通じましてできる限りひとつ指導もいたし、十分な補償が取れるように私どもも力を尽くしていきたいというふうに考えている次第でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 それでは運輸省にお伺いしますが、このアカデミースター号にPI保険、船体保険、積み荷保険がかけられていると思います。この保険による漁業被害の損害賠償はどのような保険でカバーがされるのか、この辺いかがですか。

山本直巳運輸省海運局総務課長

○説明員(山本直巳君) お答え申し上げます。  保険は幾つかの種類がございますが、まず第三者に対する損害保険、これが先生のおっしゃったとおりPI保険のガードクラブというのがかかっております。それから積み荷保険、これが約十一億六千万円ほどかかっております。それから船体保険、これが四百万ドルほどかかっております。それで、いまの漁業被害につきましては、先ほど申し上げましたトップのPI保険でございます。  それでこれは、PI保険というのは、第三者に対する法律上の責任の補てんをするということを目的とした保険でございまして、この対象といたしましては、今回の事故について言いますと、漁業被害、それから積み荷被害、それから船体引き揚げ、この三つでございます。それで、いま申し上げました三つのうちの初め二つ、漁業被害と積み荷被害、これが船主責任制限法によって制限はされます。ただ、三番目の船体引き揚げ、これは制限をされませんので、引き揚げに要した費用はすべて保険金で払われるということでございます。  それでは、法律によって制限される額は幾らか、船主責任による額は幾らかと。これは実は、いまの船につきまして総トンはわかっておりますけれども、船主責任制限法の八条というのは、総トンでない特別なトン数を書いておりますので、その算定方法によって、あくまで推測になるので、ちょっと幅がございまして恐縮でございますが、五億から六億程度というふうに考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 この漁業被害と積み荷、これに対するいわゆる補償というのは五億円から六億円、ずいぶん幅がありますけれども、どうしてこれはっきりしないんですか。

山本直巳運輸省海運局総務課長

○説明員(山本直巳君) お答え申し上げます。  これがはっきりしないのは、船主責任制限法の八条と申しますのは、ちょっと読みますと、普通のトン数ではなくて、純積量の算定に当たって機関室を除いて算定し、まあいろいろ除くんですけれども、その機関室だけをその純積量に足すという特殊な方法をとっておるわけでございます。それで、総トン数は明白にこれは三万三千四百四十二トンとわかっておりますけれども、こういう計算をしてみると、いわゆる船主責任制限法に言うトン数は何トンかということが私どもには明白にわからないということでございます。ただ、通説として、まあ八割ぐらいという説がございますし、それからもう少し低いんだという説がございますんで、若干幅が出ると、そういうことでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 よくわからないんだけれども、要するに、それでは運輸省の方で、これはたとえばアカデミー号が、船主がどれほど保険をかけて、そしてこういう基準で、こうなるということならば数字がはっきり出るわけじゃないですか。それがどうしてはっきりしないんですか。最高限度額を私は言っているんですよ。被害が少なくてそれよりも少ないと、そういうことを言っているんじゃなくて、最高限度額はどこまで出るんだと、こちらには被害があるわけですから、最高限度はどこだと、そしたらこういう船でどこと契約していて、どういうふうに保険額がなっているんだからここまでは払えると、これはわかるでしょう。

山本直巳運輸省海運局総務課長

○説明員(山本直巳君) お答えを申し上げます。  まず船主責任制限法はトン当たり二万三千円、これは明白に決まっております。したがって、あとは船主責任制限法に言うトン数だけがわかれば明白に限度額は出ます。それで先ほど申し上げましたように、トン数がラフにしかいまのところわからないというのがその幅のある一点でございます。それからあと、保険会社はそのPIガードクラブというのにかかっておりまして、これが、PIにつきましては私ども詳しくわからないので、日本でも日本PI保険というのがございますんで、それに聞いてみますと、保険そのものはアンリミテッド、要するに無制限である、ただし、法律の限度内にしか払わないということでございます。したがいまして、その保険の額が幾らかどうかというのは、そのガードクラブが特別のことを決めていれば別でございますけれども、これは海上の、一般にアンリミテッドというのがむしろ通常になっておりますんで、多分そういうことはないと私ども思っておりますんですが、そうしますと、保険の額そのものよりも船主責任制限法による制限額が幾らかということによって決まってくる。それはいま言った制限法の八条のトン数が幾らかということがわかって明白に決まると、そういうことで若干幅が出ると、そういうことでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 私は、日本のPI社を言っているんじゃないんです。ノルウェーのその保険会社がいわゆるノルウェーガードというんだからそこへ聞けばわかるんでしょうと言っているわけです。それは運輸省の方ではわからない。じゃ海上保安庁の方でわかるか。恐らく海上保安庁の方でもわからないでしょう。実は、これは大蔵省の方がわかるといって大蔵省に聞けば、大蔵省の方もわからない。じゃ農林水産省の方でわかるかと言ったら、農林水産省の方も恐らくわからないと思うんです。それじゃ、どこが責任を持って、この限度額はここまでなんだと、こういうふうにわからなければ、もしそれ以上被害が出た場合には当然そこに格差が出てくるわけですから、じゃそれをどうするんだと、こういうことになるわけです。さっき五億から六億とおっしゃいましたけれども、これは最高限度額として承っておくとしても、恐らくこの被害というものは、漁業被害とそれから積み荷の被害と合わして十億は私は突破すると思うんです。だから私は聞いているんです。運輸省の方はわからない。ごちゃごちゃごちゃごちゃ言っている。もちろん海上保安庁の方もわからないと思うんです。農水省わかりますか。——わからないでしょう。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) PI保険の中身につきましては、これは運輸省御当局の方で調べていただかなければならぬわけでございますが、ただいま伺っているところによりますと、要するにトン数が総トン数はわかるけれども、その中の機関部その他のトン数というものが明確でないので、積算のもとになる単価はわかるけれども、その掛けるべきトン数がわからないということでございますから、そこは運輸省に明確にしていただかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 それならば、トン数がわからないというのなら、船主の代理も来ているんですよ。あるんですよ、代理店も。それから、保険会社の代理店というか、これもいるわけですよ。もちろん向こうの弁護士もあるし、こっちの弁護士、これは相談しますけれども、まあいいです。結論としては、これは先ほど言ったように、被害を受けたのは千葉の漁民。ですから、私が申し上げたいのは、農林水産省の方で、水産庁の方で責任を持ってこれをよく聞いて、じゃ限度額がどこまでになるのか、それによってこの被害額がどうなるのか、こうなってくるわけです。漁民は、さっきから何回も言っているように、補償が幾らもらえるのか、これは死活問題なんです。そこを私は言っているわけなんで、責任を持って水産庁の方でこれに対処していくと。先ほどあなたは言ったじゃないですか、一生懸命やると。千葉県と連絡をとって補償問題もしっかりやると。やると言う本人がそんなことを言ったらしょうがない。どうですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) このPI保険の保険金額につきましては、当事者間でもうすでに話し合いに入っておりますので、当事者間の間で話し合いの結果、向こうの当事者も来ておりますから、わかると思います。したがいまして、交渉の過程におきまして私どもも千葉県を通じながら情報をとりますし、また運輸省の方にもお願いいたしまして総トン数の中でどれだけが一体責任の限度になる額がということも十分に御連絡をとりまして、明確にいたしてまいりたいというふうに思います。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 ちょっと長くなって恐縮ですけれども、済みません。もしその限度額で間に合わなかった場合にはこれはどうするかとか、そういう問題がございますけれども、この災害はもちろん先ほど言ったように責任者がはっきりしているわけなんで、加害者の賠償によるわけでございますけれども、この交渉が非常に難航した場合には長い期間がかかると思うんです。そこで農水省にお聞きしたいんですけれども、この被災者のためにつなぎ資金の融資とか救済措置、こういうものを検討しなければならないんじゃないかなと思いますけれども、この点いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいまつなぎ融資のお話をなされたわけでございますが、私どももさようなことは念頭にございます。ただ、現地の方からもまだそのような要請はございません。と申しますのは、現在民事のベースで交渉に入ったばかりでございまして、そのような対策につきましていろいろ私どもが申し上げますと、この交渉に微妙な影響が生ずる場合もございます。したがいまして、ただいま先生おっしゃいましたことは十分念頭に置きながら千葉県の方とも連絡を取りつつ今後対処してまいるというふうに考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 じゃ最後に大臣に。  このアカデミースター号の座礁事件について、現地漁民にとってはそれこそ仕事の場を追われた、こういうふうに現時点においては言えるかとも思いますし、非常に苦慮しているわけです。悪天候による不慮の事故との見解もございましたけれども、事前にもうちょっとしっかりした対応していればこれだけの大被害にならなかったんじゃないかなと、こういうふうにも思われるわけです。そこで、政府は地元漁民に対して、いまいろいろ議論しましたこの補償問題の早期解決はもちろんですけれども、救済金や見舞い金等のことも考えあわせて漁民の苦労に報いるべきだと思いますけれども、大臣もう一言お願いします。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 原則的には先ほど申し上げたとおりでございますが、被害を受けた漁民の方々のこの大変な状況等は、いま先生からも、あるいはまた漁民の方々からもいろいろ聞いております。したがいまして、私たちとしては千葉県を通じてこれらのいろんな対策について十分指導し、また私たちとしても、それに対応できる、農林水産省として対応できるものは極力対応してまいりたいと、かように考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 よろしゅうございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 では、引き続いて二、三点お尋ねいたします。  このけさほど来の議論を通しましてもおわかりのように、この日本の農林水産業、まさに四面楚歌といいますか、大変な状況でございます。どの分野をとってみましても明るい材料は何もございません。その上に経済摩擦による外圧というのがのしかかろうとしておるわけなんですが、大臣の外圧に対する決意、これはたびたびお聞かせもいただきましたが、私が一番心配いたしますのは、外圧ももちろんでございますが、国内が、国論が統一できない。閣内ですらこれに対して毅然とした態度がとれない。ましてや財界におきましては農政批判まで飛び出しているような現状でございます。これは単に農政に対する無理解というようなことで片づけてしまうような簡単なものではないと思いますが、農水省はこういう状況についてみずから省みてどういう感想をお持ちになっているんですか。また、それに対して今後国内のまず意思統一、それについての方針を聞かしていただきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 私たちは、委員会を通じても、あるいはまたこの国会を通じてしばしば申し上げておるのでございますが、わが国の農林水産業のよりよい発展のために、生産性の向上あるいはまた農業再編成を行いまして、できるだけ近代的な農業にしようとしておるわけでございまして、確かに農林水産業は自然を相手でございますだけに、この生産性の向上というのはかなり時間のかかる産業でございます。したがいまして、国内でもいろいろ農林水産業は過保護だとか、あるいはどうも消極的な産業だとかいうような批判はあるのでございますが、しかし私たちとしては精いっぱいのいま努力をして、いわゆる技術革新だとか、あるいは経営規模の拡大だとか、そのための基盤整備を行うとか、その他を進めていま積極的に農林水産行政を進めているわけでございます。その折に、やはり一番農家の方、あるいは農業団体の方が関心を持っておるのは対外経済摩擦でございます。私はこの対外経済摩擦を農林水産省である程度カバーしてやらなきゃ、抑えてやらなければ、私は新しい農政を幾ら農家、農民にお願いしても私はなかなか理解してくれないと、かように考えますので、私たちとしてはできるだけいま先生御指摘のように、単に対外経済摩擦ばかりじゃございません。いろんな面でこの農林水産行政の環境というのは厳しゅうございますけれども、その厳しい環境を私たちは改善しながら、農家、農民の新しい農業への意欲をわかしてやりたい、つくり上げてやりたい、創造してやりたい、かように考えますがゆえに、対外経済摩擦に対する態度も、あるいは他の新しい——等についてもやはりできるだけ農業を心配した態度で対応してまいりたいと、こう考えておるのでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 大臣の言われることは私理解できます。ただ、要するに農林水産省の役人の方々が、本当に日本の農業の現状というものを厳しい姿勢で認識をされて、みずから省みて、いままでのとおりでよかったのかどうか、これだけ批判があるということはやはりそれなりに問題点もなかったかという、その辺も反省がなければ、これは大臣の気持ちと全役人が同じ気持ちならばこれはこれほど結構なことはないわけですが、私はやはりいままでの現状に安住して、反省というか努力が足りないような気がしてならぬわけですが、その点は特に大臣のいまの御発言がございます。全省に徹底をしてがんばっていただきたいと思います。自由化が一品目でもふえれば、そのふえた品目は一体どういう経路をたどるかというのは過去の歴史で明らかであります。そういう点で、日本農業を守るためにがんばっていただきたいと思います。  五十七年の予算の審議でございますが、この予算の中で、ことしは特に補助金等の統合・メニュー化ということを一つの目玉にしておられるやに私どもも理解をするわけなんですが、この補助金の統合・メニュー化によりまして、メニュー化という新しい施策を考えられたわけなんですが、現在の補助金のあり方とどういうふうに違うんですか。その辺が県ないし市町村では非常に気になるところでありまして、どういうふうに変わるのか、この辺を簡明にお教えいただきたい。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 従来からも農林水産省におきましては、補助金の統合化あるいはメニュー化ということを進めてきているわけでございますが、明年度予算——すでに本年度に入っておりますが、五十七年度予算におきましては特にこれを大規模に進めだということが要点でございます。従来の予算の場合には、たとえば畜産物をとりますと、たとえば牛でございますと、肥育牛あるいは繁殖牛とか、それぞれの種類別に補助要項を定め、それに従って計画を立て、予算を実施をしていたわけでございますが、今回の統合化、メニュー化に当たりましては、市町村ごとにできるだけ同種のものを一本にまとめた補助要項にいたしました。これも市町村別に、場合によりますと集落も入るわけでございますが、総合的な計画、おおむね大体五年ぐらいの長期的な計画を自主的に立てまして、その計画のもとでそれぞれの事業を織り込んでいく。またその事業対象といたしましてもできるだけ地域の自主性にのっとっていろんなものが選べるようにできるだけメニュー化をしていく。そのメニューの中から町村として必要なもの、また一番ふさわしい事業を選んでいくというかっこうになりますので、私どもとしましては、市町村が計画的にまた自主的に事業を選べるという意味におきましては、非常に市町村のあるいは団体の自主性を反映できるというふうに考えております。また補助手続におきましても、そういう意味で、たとえば畜産あるいは農産物でございますけれども、一つの事業にまとめます結果、申請手続におきましても十数本のものが、たとえば一本にできるとかいう意味で補助金の申請手続も非常に簡潔になる、簡素になるというように考えておりまして、そういう意味で私どもは相当の合理化ができるというふうに考えておるわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 私がかねがね心配しておりますのは、机の上でいまそうおっしゃって非常に行政改革の一環としていいように感じるんですが、実際に市町村が策定をした、それについてどこかでこれコントロールをしなければ市町村が計画をしたとおり農水省がそのまま全部うのみで認めてくれるんならばこれにこしたことはありませんけれども、そういうわけにはまいらぬでしょう。そうすると、そこでコントロールせにゃいけません。それだけかえっていままでよりも複雑になるんじゃないかと、かえって行政改革に逆行するんじゃないかという、そういう心配、表面的には千二百近くあった補助金が半分になりましたと、このようにおっしゃっているわけですけれども、補助金の個々は減ってないんでしょうから、現状のままなんでしょうから。メニュー化をされたということは、本省において市町村の計画をコントロールする必要が生まれてこぬか、こうなるとかえっていままでよりも複雑になりはせぬかという心配なんですが、その辺はどうでしょう。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) いま中野先生御指摘のような問題があるかと思いますので、私どもといたしましても、市町村あるいは都道府県にも十分その旨は指導いたしますが、本省及び農政局におきましてもこの連絡のためのグループのようなものをつくりたいと考えておりまして、そこで、たとえば畜産は従来、先ほど申しました補助金では課の中でも一本一本何本か持っているものですから、あるいは畜産でまとめますと、畜産局の中にそれを調整するようなセクトをつくる、農蚕園芸局の中におきましてもそれを調整するグループをつくる。また、農政局におきましてもそれぞれの所管課がいろいろ分かれておりましたけれども、できるだけ一本の窓口をつくると、そして各課間でそれを連絡の措置を同時にやる。また、地域担当官といいますか、各地域地域につきましても実情把握的なものをつくるというようなことで、できるだけ中での連絡調整をうまくやりたいと、そして統合化あるいはメニュー化された事業が円滑に実施できるようにというように私ども行政指導をする考えでおります。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 重ねてお尋ねいたしますけれども、このこと自体が行政改革だと思っておられますか、どうです。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) やはり行政の簡素化、効率化という観点から見ますと、こういう方式はやはり望ましいものではないかと考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 これは基本的に考えが違うと思うんですが、いまのお話を聞いておりましてもコントロールするところをつくらなければならぬということで、かえっていままでよりも行政が複雑になるんじゃないか、人間も要るんじゃないかと、そういうような心配をし、仕事もふえるんじゃないかと、こういう懸念を私はぬぐい切れません、実際に出発してみればわかることでしょうけれども。そういう点私は、大臣ね、この行政改革という考え方なんですけれども、これは常々総理もおっしゃっているとおり、この高度成長下で肥大化した行政機構の簡素化、そしてまた、根本的な見直し、そういうことでございますので、これは一つも見直しとか、あるいは合理化にはなっておりません。これをもって行政改革を農水省はやったと、そういうような安易な考え方でおられると、最初に申し上げたように、これは理解が得られません。やはり農水省としては行政改革はこのようにやりました、つらいことですけれども、身を切る思いでこういうふうにやりましたという、やはり具体的な事例が出てこなければ、これは国民の理解も納得も得られません。確かにそれは食糧安保という一つの大きなにしきの御旗はあります。ありますけれども、ただそれだけ振り回しただけでは、これは先ほどから申し上げているように、国内の他の大臣にすら納得を得られない、こういうことでございますので、その点はひとつ今回大きな特色として出しておられるんですけれども、運用の面で非常に懸念をしておりますので、ひとつ十分注意をしながら目を通していただきたい、このように考えます。これはお答え要りません、時間がありませんので次に参ります。  これは一昨日ですか、安中の公害裁判の判決がありました。企業責任というものをただされたことは、これは私ども評価いたしますが、非常に農民の皆さんにとっては苦しい厳しい判決だったろうと思いますが、しかし企業側の故意責任というものがはっきり裁判所で認定された、これは非常に重大なことだと私も思います。こうなりますと企業が故意に、みずから承知をしながら土壌を汚染していったと、これは農林水産大臣として一言あってしかるべきだと思うんですが、感想をお聞きしたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 安中公害裁判の判決につきましては、これは確かに農家、農民にとっては大変なことだと思いますけれども、しかし、裁判につきましてはやはり私として意見を差し述べるというのはちょっと遠慮しなければならないと思います。今後しかし、私たちとしてはいわゆる作物の被害あるいはまた土壌汚染等についての対策については十分考えていかなければならないと、かように考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 大臣、どういうんですか、農林水産大臣ですから農業を守る、これは当然のことたんですが、企業が過失ならば、私はある程度どう言うんですか、許すというよりもうなづけるところもありますけれども、故意に、しかも半世紀にわたって前からやかましく騒いでいるのがこういう状態になったと、そして一番大事な農地を汚染している。こういうことで、これは企業の故意というものも当然ですけれども、そこまで放置しておったやっぱり行政責任というものも当然問われてしかるべきだ。その辺では私は裁判の判決に不満でありますけれども、行政責任というものは当然残ります。ですから、そういう意味で環境庁にも私いろいろお尋ねをいたしました。きょうも来ておられるようですが、現在こういう種類の汚染農地面積、時間がありませんから、環境庁の方では約六千五百三十ヘクタールある、こういうふうに報告をされております。その中で厳しい汚染地域というものを指定地域として、指定もされておって農水省も鋭意土壌改良に努めておられるところですが、どうも遅々として進んでないようでございます。今後この土壌汚染に対して、この裁判の判決を見るまでもなく、農水省としては、積極的にこれはやらなきゃならぬというのが農水省の責任でありますが、いままでの状況とこれからどういう方針で一刻も早く汚染された土壌を改良していくのか、そういう基本的な考え方をお話しください。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 土壌汚染防止法に基づきまして、汚染地域として指定をされております地域は全国で四十八地域ございます。この地域指定は環境庁の方が細密調査を実施いたしまして指定をいたしたものでございまして、これで全部終わりということではございませんけれども、主なものはほぼ網羅されているというふうに見ております。この中に含まれております農用地面積が全体で四千二百八十八ヘクタールございまして、汚染の原因別に見ますとカドミウムが三十三地域で一番多うございます。そのほか銅が三地域、砒素が三地域、これらの物質が複合している地域が九地域ございます。この四十八地域のうち、対策計画がすでに策定されました地域が四十一地域ございまして、その面積は二千六百七十五ヘクタール、大体六割ぐらいのものについてはすでに計画ができておるわけでございます。この四十一地域のうち、すでに対策事業が完了いたしました地域が十九地域ございまして、その面積は六百六十五ヘクタールでございます。残りの二十二地域につきましては現在事業を実施中でございまして、その面積は二千十ヘクタールとなっておるわけでございます。現在事業実施中の二十二地域につきましては、二十地域につきましては構造改善局の方のいわゆる公共事業として対策を実施いたしておりまして、二地域につきましては小規模のものとして農蚕園芸局の方の補助金によりまして事業を実施しておるわけでございます。そのほかに現在まだ対策計画ができてないところがあるわけでございまして、これらにつきましてはすでに計画が協議段階に入っておるものもございますし、県で鋭意計画を作成中のものもございます。いずれにいたしましても、速やかに対策事業が実施できますように、関係省庁とも協議の上、県を督励してまいりたい、かように考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 本日は時間が余りありませんので、この程度にしておきますが、今後私この問題につきましては、私なりに調査もさしていただきたい、経緯も見守りたいと思っておりますので、いまの御答弁、一生懸命やるとおっしゃってるんで、ぜひお願いをしたいと思います。  それじゃ、最後にもう一点。日本の農業、しかも主食はお米でございますが、水田というものを守るために、どうしてもいまお米の過剰ということで、この過剰対策としては昨日も岡部委員よりお話があったやに私承知しておりますが、この過剰対策を乗り切るためには水田をつぶしてしまうという考え方は私絶対反対であります。総理も大体そういう意向の答弁をしておられましたが、このえさ米をどうしても過剰米の対策としてやらなければ、これは月本農業というものはもう成り立たぬのじゃないかと、私どもこのように思っております。伝えられるところによりますと、えさ米を農林省としては五十九年から生産体制に入るように、過剰米対策の根本と据えて生産対策に入るというように腹を固めたと、こういうようなマスコミの報道があります。また、田澤農林大臣も五十九年度からの第三期水田減反は減反面積をふやさずに、調整的なものにする以外ないじゃないかという意味の発言もなさったやに、こう伝えておるんですが、その辺、基本的な農林省の考え方を教えてください。

角道謙一農林水産大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) お答え申し上げます。  ただいまお話にございましたように、えさ米を第三期対策から取り上げるというような決定はまだいたしておりません。農政審議会の一昨年十月の答申におきましても、えさ米の問題というのは今後長期的に取り上げる問題であるということで、さらに詳細に検討しろという答申がございまして、現在農政審議会の専門委員会におきまして、えさ米の取り扱いについて検討を進めております。ただ、えさ米の場合、えさ米と言いましてもやはり米でございますので、従来の食用の米とどのように違うのかという問題もございますし、またえさ米を発展さしていくためには、やはり収量面でも相当程度多収穫物でなければいけないということもございますが、この多収穫米をつくりますためには非常に技術開発といいますか、品種の固定のためには相当期間がかかりますために、昨年度から予算化をいたしまして、主として国の試験場、都道府県の試験場を中心に、新しいえさ用としての多収穫米の品種開発を進めております。と同時に、民間の育種技術、これも活用いたしますために、民間の品種開発のための試験田につきましても転作のカウントをするという方策を進めておるわけでございますが、当面まだ私どもとしましては超多収穫米についての品種の固定化というには相当期間まだかかるというふうに見ております。  なお今年度、五十七年度におきましても、都道府県を含めまして二億数千万の、六千万近い予算をもちましてこの超多収穫米の品種開発、固定に進みたいと思っておりますけれども、従来言われておりますようなイタリーのアルボリオであるとか、韓国から入っております密陽、その他の多収穫米につきましては、耐病性、耐冷性、あるいは脱粒性というような点から、まだまだ日本国内で奨励するような品種にはなっていないというのが現状でございます。  このほか、流通上の問題といたしまして、食用とえさ用というものをどのように区別していくか。特に改正されました食糧管理法のもとにおきましては、不正規米の流通ということは防がなければなりませんので、この辺との問題、また基本的には主食用の米でありますと政府買い入れで約三十万、トン三十万円で買えますけれども、えさとしては、飼料価値から見ますと三万数千円というように大きな価格差がございますので、この価格差をどのように織り込んでいくかという大きな研究課題がございまして、農政審議会の専門委員会を中心に、なお慎重な検討を続けようというのが現状でございます。  なお、第三期対策に関連をいたしまして、先ほど御指摘がございましたように、やはりえさ米の出題というのは私どもとしては大きな検討課題であるというように考えて、鋭意いま検討を進めているところでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 いま答弁なさったことはもう議論を何回もお聞きしたので、そういうことはよく承知しておるわけなんです。しかしながら、この米の生産過剰というものを切り抜ける、そして土壌を守るためには、やはり水田というものが、これが一番理想であるということはもう言い尽くされていることですね。いま、もうアメリカでもこの土壌の流出で困っているような問題も出ているわけですから、そういうことを考えますと、これはどうしても腹を決めて、何か研究ができ上がるのを待って、それから考えますというようなことじゃなしに、やはり基本的な考え方として、これはもうこれ以外にないんだという取り組みをしないと研究も進まぬと思いますが、これは最後に大臣の御所見をこの問題についてお伺いをして、私終わりたいと思いますが、これは日本農政のこれから一番大きな課題になってくるんじゃないか。結局、飼料をもう大盤に輸入している。それからもう一つは、この間も議論しましたが、えさ米、要するに飼料というものが米のいわゆる減反とともに議論されていますけれども、これは畜産局と両方がやっぱりえさのことを本気で考える研究、取り組みというもの、これを進めていくということも農林省としては重大な仕事だろうと、このように思いますので、あわせて御答弁いただいて終わりにします。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 新しい農業をつくるためには技術の革新が必要なんでございまして、そのためには積極的なやはり研究を進めてまいらなきゃならないと思うんです。特に私は水田利用再編対策、これはこの過剰米の処理のための一つの大きい対策であり、また日本農業を国民の需要の動向に即応した農業につくるとすれば、この水田再編利用対策というのは大きなやはり方向転換のための対策だと私は思いますので、本来ならこの水田利用再編対策を設定するときに転換作目をある程度メニューとして提供して、それで進むべきが本来だと思うのです。ところが米の過剰という現象が研究期間よりも先に突出した関係で、こういう前後の関係に私になっていると思うんですよ。したがいまして、私は水田を維持しなければならないということは、これは日本の水資源の面から言っても、いろいろな点から、国土保全の面から言っても、私は水田の価値というのは単に水稲をつくるというだけじゃなくして、その他の多くの役割りを果たしていると思いますので、そういう意味では私は水田の面積というものをこれ以上減らすということは大変だと思うんです。したがいまして、私はえさ米というものはそれだけに大きな役割りを果たすものだと、こう思いまして私は就任早々えさ米を一体どうするんだ、どうしているんだということを一番の課題にして試験場にも参りました。また、各関係の局長にもこの点はやっぱり真剣にやらなければ水田利用再編対策という新しい対策は可能になりませんよということでいま進めているわけでございまして、しかし先ほど申し上げましたように、米の過剰という現象が、技術改革が伴わないものですからこういうような状況になっておるのでございまして、今後えさ米についてはこれをしなければならないのだというただいま先生の御指摘、この精神で私たちは臨みたい、かように考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最初に、他の委員からも質問がございましたが、安中公害問題でお尋ねいたします。  三月三十日に安中公害問題について判決が出ましたが、その判決の持つ意味、大臣改めて私から申し上げたいと思うのですけれども、積極的な二つの側面があると思うんです。一つはカドミウムなどの重金属土壌汚染による農業被害に対して損害賠償を求めた全国でも初めての判決だと、そういう点で農林水産大臣の関心は非常に私は高くあってしかるべきだと。それから二つ目に、公害裁判史上初めて東邦亜鉛という大手企業のいわゆる故意責任ですね、これを認めた、これも初めてである。こういう大変大きな積極的な意味があるわけです。  ただ問題は、農業経営や生活破壊についての損害を認定してなかったという点で私どもも非常に批判をしておりますけれども、この積極的な面をどう受けて行政としてどう対応していくかということは、さっき大臣がこの判決について御感想を求められたときに、農民、農家は大変だったろうと、しかし判決について何も特別言えない。ただ土壌汚染問題については積極的に対応していく、こういうことを言われましたが、私はこれはもう一度お考えいただきたい。つまりどういうことかと言えば、昨夜、三十一日科学者の立ち入り権を含めた公害防止に関する基本協定というものを会社側と農民の間で結んでいるわけなんです。これを持ちまして通産省に出向きました。その中で通産省が、この住民側の立ち入り調査権を含む公害防止協定の締結について積極的に評価する、こういうふうに態度を明確にしております。さらに申し上げますと、原環境庁長官ですけれども、こういう談話をお出しになっているんですね。環境庁としてはこの判決を慎重に受けとめてそして土壌の復元対策事業等は一日も早く着手できるようにやりたい。全国の土壌汚染地域については現在三割程度の進捗率である。残りの七割の地域について少しでも早く事業が完了できるよう農林水産省とも協議して予算の確保など最大限の努力をしていきたい、こう言っているわけなんです。ですから、そういう意味では土壌の汚染問題はもとよりまさに発生源をどう断ち切っていくかというそういう対策も含め、同時に農民の損害賠償請求等そういったことについてもまさに農民と農地をどう守るかという立場からより積極的に会社に指導を働きかけていくべきではないかと思うんです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど中野委員にもお答えしたのでございますが、裁判の結果については私として特に意見を申し上げることは差し控えたいと。しかし今回の裁判の結果、この東邦亜鉛に対しての故意責任というものが強く打ち出されたということ、さらにまたカドミウムによる土壌汚染、これに対する結果が明らかにされたということでございますので、私たちとしてはこれまでもすでに約七七%はこれは汚染対策を進めておりますけれども、今後さらにこの点については積極的にこの土壌汚染対策を考えていきたい、考えなければならないという気持ちでいっぱいでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 安中についての土壌汚染が約七七%完了しているということですが、残りの部分はなぜ進まないのか。これは原環境庁長官も言っていますけれども、一部農民が、関係者が合意してくれないと、こういうことを言っておりますけれども、なぜ一部の農民が反対しているのか、その辺御承知でございましょうか。私ども思いますには、農民負担はゼロですし、それから原形復旧が原則ですから減歩だとか交換分合もございませんでしょうし、また工事期間中は休耕補償も行われます。さらに桑などは抜根補償、こういうことももちろんあるわけで、農民にとってみればこれは本当に大変な苦労をしてきたんですから当然のことだと思うんですけれども、そういうことから考えますと、なぜこう一部の農民が反対しているのか、その理由御承知でしょうか。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 本事業は御案内のように県営事業として実施されておりますが、確かに御指摘のように全体はまだ完了しておりませんで、百十一ヘクタールのうち八十五ヘクタールが完了しただけで残余のものについては地元の意見が二つに割れていることは聞いております。これにつきましては内容的にはいろいろな見方もあるようでございますが、具体的には排土・客土工法と申しますか、農用地の土壌汚染対策計画が予定しております原状回復方式を大方の方は支持しておりますが、一都にはやはり農道等を含めた区画整理方式で実施すべきだとする御主張もあるようで、そういう点で受益者の主張が一つにまとまっていないというふうに伺っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 工法上のことで意見が分かれていてまとまらないと、こういうお話なんですが、実はこれは理由ははっきりしているのですね。会社側の懐柔と妨害工作ですよ。聞いていませんか。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) そういううわさがあることは聞いておりますが、事実として正確に認識しているわけではございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 うわさ話でないということでいまから県議会での議論、県当局での対応等も踏まえてちょっとお話し申し上げたいと思うんですが、この土壌汚染対策計画が立てられて県、市とも五十三年から計上されたわけですね。ところが、その五十三年のまさに事業が申請の準備をしているさなかに会社の当時の藤盛さんという所長が、同社の寮である扇城荘に反対派の農民の一部を招いて、これはそこの寮ですけれども、こういうことを言っているのですね。県、市の計画している畑地の土壌改良には費用がかかり会社も大変だ。しかもその費用は、皆土木関係業者に持っていかれてしまう。もし皆さんが県、市の事業計画に反対して別の方法でやりたいというなら、その費用は会社が持ちましょう。排土だけでよいというなら、その費用百万ないし百五十万円を地元の皆さんに差し上げましょう、こういうことを述べられている。で、事業計画によれば、県営事業は十アール当たりですと三百五万円、会社負担は七五%ですから、二百二十九万円になるわけです。市営事業ですとこれは三百万円、これは会社が全額持たなければならない、こういうことになるわけです。これが百万円や百五十万で済むということになりますと、会社はこれはとっても助かるわけですよ。そういう会社側のまあ育ってみれば懐柔工作に一部の農民が乗せられた。その後このことが群馬の県議会で問題になりました。議事録等もここにございますけれども、その県議会の議論を通じまして、県当局としては軽率なことをするなと会社側に厳重に申し渡したと、こう言ってるんです。その結果、今度は会社側が五十五年夏に反対派農民の一部を招いて、よく検討した結果、会社が直接土地改良費用を農家に出すことは法律上できないことがわかったので了承してほしいと、こう前に言ったことを翻しているわけです。これを聞いた反対派の署名を集めた農民が、金をもらえるからといって署名を集めたのにいまさら金はもらえないと、こういうことは言えないというわけで頭を抱えてしまう、こういう事情があったわけです。その後まあ弁護団あるいは原告団、そうした人たちが協力して関係農民にアンケート等とりまして、地権者百六十名において約三分の二の人人が同意を示してきていると、こういう経緯でもあるわけです。ですから、その辺のことをうわさ話で聞いた程度ではなくって、こうした事情と県当局との対応等も踏まえて、やはりこれはもうきちっと対応していかなければならない、そういう意味で農水省としての責任が問われるのではないかと思うんです。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 私、先ほど申し上げましたように、この事業の事業主体は県でありますし、また県の指導で土地改良事業の方式によるわけでございますから、地元の合意を確立していくことが必要だろうというふうに考えております。しかし、御指摘のようにいろいろな話もあるわけでございまして、私どももよく十分事情を確認すると同時に、県に対しては一日も早く地元の合意を取りまとめて事業が実施されるよう強く督励してまいりたいと思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いまの答弁でほぼ結構なんですが、大臣から決意を述べていただきたいんです。確かに市、県が上げてこなければできないわけです。ところがもう五十三年から四年五年六年と毎年毎年予算を計上してきているわけです。その中には国庫負担分ももう毎回計上されてきている、それがいまのような事情であってできなかったということがはっきりしているわけですから、大臣としてもきちっとその辺の経緯をお聞きになり、指導をいただきたい。同時にまた、会社等についてそういうもうとんでもない懐柔工作というかそういうことをやめるように指導もいただきたい。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど局長から答弁さしたような態度で進んでまいりたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 やるんですね。指導するんですね。するかしないかだけ大臣一言はっきり言ってください。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 指導いたします。

下田京子日本共産党

○下田京子君 で、次に輸入問題でお尋ねいたします。  他の委員からもいろいろ御指摘がございましたが、私も改めて確認をいただきたいんです。三十日の経済対策閣僚会議において五月十日、十一日に開かれる経済協力開発機構の閣僚理事会、これをめどにいま鈴木総理からは市場開放の第二弾をまとめなさいと、こういう指示があったわけですけれども、その指示があったが、農水省としては、これはもう日米貿易小委員会できちっと協議日程が決まっているんだから、農産物等について急にそういうことに話題になるんじゃないんだよと、こういう御答弁であったかと思うんですが、どうですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 三十日の経済対策閣僚会議では、いま御指摘のように、第一弾のいわゆる関税率の前倒し、あるいは非関税障壁等の緩和はいたしました。これは確かにアメリカあるいはECが高く評価してくださっております。しかし、いま外務大臣あるいは江崎ミッションが帰ってきて、いろんなアメリカあるいはECの状況を見ますというと、かなり貿易摩擦解消に対する要求、特に市場開放に対する要求というのは非常に強いから、この際やはり第二弾の対策は考えなきゃいかぬようだと、だから各関係省庁の御協力を願いたいという意味でございまして、具体的な内容には入っていないわけでございます。したがいまして、私たち農林水産省としましては、これは先ほどまた御指摘がありましたように、この十二、十三にアメリカでこの作業部会を開くことに相なっておりますので、この状況を見ていろいろまた進めてまいらなければなりません。また牛肉、オレンジについてはことしの十月以降適当な時期に日米間で話し合いをしましょうというスケジュールができているわけでございますから、そういう点を私は総理にもあるいはまたアメリカにもECにもお話しをして、このスケジュールにのっとって私たちは農産物についてはこの対策を進めてまいりたいと、こういうことをいま考えておるし、またそれを進めてまいらなければならないと、かように考えておるのでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 日程はできているんだしということで、具体的な内容には入ってないというお話ですけれども、じゃそこでこれはお尋ねしたいんですが、日経の三十一日づけの記事によりますと、もう総理のその指示に従いまして担当の局長会議を開いて対応策を詰めに入った、こう報道されているわけです。担当局長会議というのは、経企庁それから外務省、農水省、通産、大蔵などというふうに述べられておりまして、その中では、一つは直ちに実施する短期対策と、それから開放を検討をしていく中長期対策というふうなことを区分しまして、    〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕特に中長期対策の中では農産物残存輸入制限、この問題については輸入枠拡大品目を選定、そして牛肉、オレンジの輸入枠は十月からの日米交渉で拡大する意向を表明し、さらに五十八年度以降の部分自由化も検討するんだと、こういうふうなことが述べられているわけなんですけれども、この内容は確かでしょうか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) あの経済対策閣僚会議以降今日まで関係省庁の局長レベルの会合というのは開かれておりません。したがいまして、いま先生が話題になさったようなことを局長レベルで協議したという事実はございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 この記事はそうすると全くでたらめを書いたということですか。きのうこの担当局長会議を開いて対応策を詰めに入るというふうなことなんですけれども、どうなんでしょうか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) そういうことはいたしたことございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 これは全くないんだというお話ですね。ここに書かれているようなことについて総理の指示に従っていろいろこう話し合ったということもないんですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) 総理から御指示いただいたことはございません。    〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕

下田京子日本共産党

○下田京子君 おかしいですね。これは幻だわ本当に。これほど詳しく書いてあって、政府の市場開放方針がこうだということまでもう書いてあるわけですが、全くのこれ推測記事ということになりますかね。まあないんだということですから、押し問答していてもしようがありませんが、さっきちょっと大臣もお述べになりましたが、もう一つちょっと確認したいのは、今度の第二弾の検討課題の中にこの牛肉、オレンジについては全く含まれてないというふうに理解してよろしいですか。——大臣に……。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) 事実関係に属することでございますので……。  御高承のとおり、三月の九日、十日に開かれました日米貿易小委員会の席上、柑橘、牛肉につきましては、アメリカ側から十月一日以前に協議を開始したいという提案がございまして、それに対して私どもの方から、その十月一日以前というのは困ると、それでかわりに十月中の双方にとって都合のいい時期から協議を開始したいということで反対提案をいたしましてそれで合意をいたしたところでございます。それでこの合意につきましては、日米貿易小委員会でございますから、私どもだけではなくて関係各省庁の代表全員出席のもとでそういう合意が行われたわけでございますから、それに反する御指示があろうはずがございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 事務当局からお答えがあったんですが、大臣がさっきそう述べているわけよね、私の質問に対して。だから確認の意味で、つまり念押したけれども、この第二弾の市場開放の方針の中に本当に牛肉、オレンジについては入ってないと理解していいんですねって聞いているんですよ。これは大臣しか答えられないでしょう。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 入れるべきものじゃないと、こう思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 入れるべきものでないという大臣の見解であって、入れないと、含まないんだということが確認されてはいないんですね、どうですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 日米貿易小委員会というのは外務省が中心になって行われたものでございまして、政府全体でこれは日米小委員会を開いてその中でスケジュールができたのが農林水産物だけなんです。したがいまして、これは政府全体として尊重されなければならない問題だと、かように考えます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 お答えが違うのよね。とにかく三十日の日に総理が指示をしたと、第二弾のね。市場開放問題で総理が指示した、それは指示したというふうに言っていたでしょう。その指示した中に市場開放方針というその方針の中に検討課題は入っているのか入ってないのか、入っているのか入ってないのかだけなんです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 検討課題というものはまだ出てないんです、全然。ですからそれは総理が第二弾はしたいと思うが各省庁の御協力を願いたいというお言葉はございましたが、具体的に品日等についてはまだ協議はいたしておりません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そうしますとはっきりしたことは、牛肉、オレンジは十月だよということだけれども、いやそうではなくって、場合によって方針が明確になればそれらがこの第二弾、市場開放の五月上旬の話の中に入ってくるものだということも理解できるわけですね、そうですね。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 私はそんなことはないと思いますがね。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ないと思うけれども、あるかもしれないと。——いろいろなぜこう言っているかというと、素直に言えないというのは意見が違うんですよね。外務大臣と通産も違うでしょう、そして農水大臣も違うでしょう。みんな違うものだから、きちっと確認をしているわけですよ。  そこで、閣僚の意見が一致してないという問題なんですけれども、先日開かれた予算の集中審議のときに、共産党の立木議員の質問に対しまして、農相はこう答えていますね。農産物の残存輸入制限二十二品目の緩和や自由化は日本農業の現状から見て無理だと主張すると。ところが、外相は何と答えているかというと、農相は農相の立場で物を言うし、私は私の立場で話している、二十二品物にはそれぞれむずかしさがあるが、物によっては国内対策を立てれば解決できる物もあるという人もいる、こういうふうに全く食い違う答弁をしているわけですよ。ですから、そういうことになりますと、農政の責任者の農相はやらぬよと言っているけれども、外交の責任者であります外務大臣は国の中で検討すればやれる、そういうものも考えられると、こういう話になっているわけですよ、そうしますと、その辺できちっと閣内が不統一でなくて一致しているというふうに言えるのかどうか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産関係のいわゆる貿易摩擦解消問題については、農林水産大臣が責任を持ってこれを進めてまいるということを信頼していただきたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 信頼はしたいんです。私も期待もしたいんです。ただし、外交上の問題では交渉の責任者は外務大臣なんです。そして、総理が含めていろんなことでお約束していく、いわゆる農水大臣だけがやる問題でないわけですよ。だから不一致があったんじゃやれないでしょうと、だから一致しているのかどうかと、こう聞いているわけなんですよ。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 日米貿易小委員会のスケジュールについては外務大臣も、恐らく予算委員会の速記録を見ていただければおわかりですが、これはすでに決定してあるということを申し上げておりますから、そういう点では一致しているわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ちょっとここで一致しているということですが、意見がいろいろ食い違っているんではないかということでは議論が出ているわけですよね。一致しているならばもちろんいいわけで、本当にもう私たちは安心してお任せしたいところですけれども、——ちょっとこれ、他の委員からも質問されましたが、きょうの朝日新聞の記事の問題で、「農業被害者論は誤り」だというふうなことで反論議をつくられているその通産省の文書があるということなんですけれども、このことについてさっき輸入課長は知らない、こういうふうなこと答弁されておりますけれども、再度、お見えになっていると思いますが、輸出課長さんですか……。

伊藤敬一通商産業省貿易局輸出課長

○説明員(伊藤敬一君) お答えいたします。  先生御指摘のけさの一部新聞に報ぜられましたいわゆる「農業被害者論は誤り」と見出しをつけて報ぜられた記事でございますが、私ども通産省といたしましては、何らがこの農業政策に関する意見書、反論書のたぐいをまとめたというような事実は一切ございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 もう知らぬ存ぜぬで何かどっかで聞いたことあるみたいなことばっかりですけれども、この記者さんもそうすると知らないのにこれだけ書いたということになりますね。ちょっと紹介しておきますけれども、反論書は四章からなっていると、第一章ではこうだと、二章、三章でもこう言っていますよ、そして特にその四章のところではということでもって、輸出を抑えようとするのは誤りだと、「輸出を罪悪視する政策をとる理由はない」と結論づけている。このほか「農業被害者論」は「経済政策全体としての自殺行為だ」と決めつけている。と紹介しているんですね。こういう文書全くつくってないということですけれども、表に出すものとしてはつくってないかもしれないけれども、いわゆる内部文書的にこういうことは検討されているんじゃないですか、これだけ書いているということになると。

伊藤敬一通商産業省貿易局輸出課長

○説明員(伊藤敬一君) お答えいたします。  私ども貿易政策を所掌いたしておりますので、貿易関連のいろんな文書をもちろん日々作成いたしておるわけでございます。考え方もその限りにおいていろいろ取りまとめておるということはございます。  ここでちょっと輸出課徴金につきまして私どもの考えでおることを、お時間とって恐縮でございますが、ほんの一言だけ申し上げたいと思いますが、要するに輸出課徴金構想、現在の時点では私ども、貿易立同たるわが国経済におきましてやはりこの企業の輸出努力を罪悪視するということにもつながりますので、今後の国民経済の安定的拡大の重大な障害になりかねないというような点、それから自由貿易原則のもとで、やはり貿易の拡大均衡を図っていくということが基本であるというような点、それから特に最近の輸出動向、伸び率をきわめて低下させておりまして、特に、二月の数字なんか通関統計でマイナス三・七%、前年同月比で下がってきております。したがって、こういうように余り輸出自身も非常にちょっと変調をいわば来しておるような時期でもございますし、私どもとしては、この輸出課徴金というのはとるべき政策ではない、これはもう政府部内でほとんど意思統一された問題であると、かように考えておるわけでございます。しかし、私どもこの農業政策と、あるいは市場開放、農産物の市場開放と絡めてこの問題を検討しておるというようなことは一切ございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 一切ないということですが、この論について通産省のお考えはどうですか。

伊藤敬一通商産業省貿易局輸出課長

○説明員(伊藤敬一君) この農産物の市場開放問題、確かに国際的な貿易摩擦その他の観点からいろいろ検討してやっていかなければいけない、非常にわが国経済にとっても大事な問題だというふうに理解いたしております。したがって、今後の課題といたしまして、農林省とも十分協議させていただきまして、日本の貿易政策にとってどういう方策をとるのが一番いまの時点として正しいかということを検討してまいりたいと、かように思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 貿易摩擦の問題について、いろいろ各省庁で検討しているというお話なんですが、大臣ね、これは私が紹介するまでもなくもう御承知のことと思うんですけれども、先日開かれた全国の、輸入関係で、農業団体の押さん方が見解をお述べになっている、御承知だと思うんです。あえて紹介したいと思うんですけれども、なぜ貿易摩擦が出てきたかという原因なんですけれども、当委員会でも参考人でお聞きしましたが、米国側の経済的競争力の相対的低下や高金利政策など、経済構造、経済運営のあり方に主たる原因があると。加えて日本の自動車を初めとする工業製品の過度の対米輸出増加、それを必要とせざるを得ない輸出依存型の日本経済にも一因があると、こういうふうな原因を述べているわけですね。そして、具体的にその対策としてはどうなのかということで、日本の工業製品輸出の増大によって生じた黒字の是正は工業部門で解決するのが本筋であり、それを農業部門にしわ寄せするのは、まさに本末転倒といわなければならない、こういうふうに言われて、さらに、具体的に工業製品に輸出課徴金をかけるなど、そういう輸出抑制策を実行すべきじゃないか、こう言っているわけです。このことについての大臣のお考えはどうですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 貿易のインバランスの解消は、これはやはり農産物の市場開放によって解決されるものではございません。したがいまして、私はアメリカあるいはECの経済の再活性化が基本だと思います。しかし同時に、私たちの国としては、わが国としては、やはり内需を拡大して、輸出ドライブのかからぬような経済運営をしていくということが基本だと思うのでございます。したがいまして、今後この対外経済摩擦解消の基本はやはりそういうところにあろうと思います。  しかし、アメリカあるいはECからそれぞれ農産物に対する市場開放の要求があるので、これに対してやはり私たちは、わが国の農林水産行政の実態、あるいはまた私たちがこれまで第一弾として進めてまいりました対策、これも農林水産業としては非常に厳しいところを第一弾をあのような形でおこたえしたのでございますから、そういういわゆる貿易拡大に対する、市場私大に対するわれわれの態度をも理解していただいて、今後、私がいま願望しております残存輸入制限品目二十二品目については、これはできるだけこれに手を染めないという形を私はとりたい、こういうことでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 二十二品目に手をつけないようにまあ期待し、願望を持ってるんだということなんですが、願望でしょう。そうしますとね、まあ私が言ったことについて明快なお答えになってないんで、もう一度聞きたいんですけれども、農民団体等が言われてるような、そういう原因、根本的な原因、あるいはそれに対する対応、これについては大臣としてはどういうふうなお考えを持ってますかっていうことなんですけれども。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) そういう考えは確かに私も考えておりますが、問題は、そういう国内のいろんな問題をそれぞれの場で主張し合うことは、むしろ私は対外経済問題を扱う場合にマイナスだと私は思うんですね。たとえば、いま通産省で出してるそのいまの資料などは、それがもし出きたり、農業団体は農業団体というのでは支障が出てくると。いろんな面から出てきて、日本でいうのは一体どうなんだと、というようなことよりも、素直にですね、素直にしかも静かにこの対策を考えるということは、私は外交政策上重要な問題だと、態度だと思いますので、この、心は厳しく、それから態度は素直に、そういう行き方で進めたいと思いますので、御理解と信頼をいただきたいと思うのでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に一問。  態度は素直にと、まさにそれは大事なことだと思うんです。そうしたら大臣、その態度をどこに置くかっていうことだと思うんです。さっき言った農民団体の皆さんのお考え、私もそう思うってとおっしゃいました。そして日本の農業を守らなければならない、輸入をこれ以上ふやしちゃならない、こう言ってるわけですと、その態度できちっとやらなければならないんですよ。その態度を厳しく持ち続けなければならないんですよ、大臣。そういうお立場でおやりいただけるかどうかと、つまり毅然とした態度で対応していただきたい。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 静かに、毅然たる態度で臨みたいと、こう思います。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 五十七年度の農林水産省の予算に関連をして、若干の質問をしたいと思います。  わが国の農業は現在きわめて重要な局面を迎えておると思います。その一つは、先ほどからも論議されておりますように外圧の問題だと思います。つまり自由化の圧力というものが非常に強くかかってきておる。もう一つは内圧であります。これはやはり行政改革並びに財政再建の問題と絡んだ課題だと思います。この二つともなかなか容易でない問題だと思いますけれども、私は、そうかといってこれはまた避けて通れない問題ではなかろうかという気もします。したがって私は、こういうものに対応するだけの農業政策というものがなければならない。いままでの状態と違った、激動の時期を迎えておるわけですから、それに対応する農業政策がなくてはならないし、また、それにふさわしい予算というものが組まれなければならないと思うんです。そういう観点で、大臣はこういう問題にどう対処されようとするのか、五十七年度の予算においてはそれがどのように反映されておるのか、まず基本的なことをお伺いしたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘のように、国際的には対外経済摩擦に見られるような、あるいはまた国内ではやはり行財政改革という非常に厳しい条件が覆いかぶさってきているわけでございまして、その中で私たちはやはり新しい農政を確立するために、農政審議会からの答申でございます八〇年代の日本農業の方向という長期展望に立ちまして、国民の需要の動向というものをよく見詰めて生産性の向上を図る、あるいは農業再編成を進めるということが基本なんでございます。したがいまして、これを進めるためにはまず技術の開発、普及というものをしていかなければいけない。もう一つは、経営規模拡大というものをやはりしていかなければならない。幸いにして農地三法がさきの国会で成立いたしましたので、農用地利用増進法等を柱としてこれから経営規模拡大をしてまいるというようなこと、あるいはまた、基盤整備をやはり常に新しい農業の柱にしてもまいらなければなりませんので、そういう点にも重点を置く。また兼業化だとかあるいは混住化、老齢化という現象がいま農村にあるわけでございます。私たちは、やはり中核農家というものを中心にして日本の安定した農業、しかも新しい魅力のある農業をつくろうと思いますが、いま混住化あるいは兼業化、老齢化がいわゆる農村社会にだんだん押し寄せてきている関係で、こういう点に対して私たちはやはり農村社会をもっと定住化できるような場にしなければならないというような面にも大きな力を入れているわけでございまして、そういう点で予算の面ではある程度、行財政改革の面でかなり縮小されている面がございますけれども、この予算が新しい農政が芽生える土台であるということは言えると思いますので、御理解をいただきたいと思うのでございます。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 私は、この予算を昨年度並びにその前ともずっと比較してみても、何となくかわりばえしない、若干変わった点もありますけれども、それはごくわずかであって、基本的な考え方が余り変化してないというように思うわけです。  中身の問題、具体的な問題は後で触れますけれども、まず第一番の外圧である自由化の問題です。私は、この自由化の問題というのはそれほど甘い問題ではない。大臣は願望として残存輸入制限二十二項目は守るということを言われておりますけれども、ほかのものはかなり自由化されておるわけですけれども、農産物については各国ともまだ完全に自由化されていない部分をかなり持っておりますけれども、しかし最近の動きを見ておりますと、農産物の自由化の波というものがかなり強く押し寄せつつある。だからわが国がいかにそういう願望を持っておっても、それは恐らく完全に守るというのはむずかしいのではないか。私はそう情勢を判断をしておるわけでありますけれども、大臣はどう思われますか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) アメリカにおいてもECにおいても、農産物に対する保護政策というものはずいぶんとられているわけでございまして、アメリカはウエーバー制度、先生御承知のようにウエーバー制度によりまして十三品日、これはやはりガットから承認を得た形で保護されているわけでございます。それからECにおいては、EC域内で農産物の課徴金制度をとりまして、いわゆる支持価格を設けて、それを超したものに対しては全部課徴金を課しているということで、大体九〇%以上それをカバーしているわけです、農産物を。そのほかにその網の目から漏れたものを残存輸入制限品目としてフランスは十九品目、それからデンマークは五品目、その他残存品目としてやはり抱えているわけでございまして、そういう点から言いますというと、日本の二十二品日というのは、ここまで縮めるのに大変な過程を経て、大変な苦労をして今日まできているわけでございまして、いまの日本農業の現状から言いまして、この二十二品目というのはやはり農畜産物の基幹をなす作物だと、その地域のやっぱり重要な作物である、水産物にとっても振興上やはり重要な品目だという点から言って、いまこれを直ちに開放することは日本農政にとって大きな打撃を与えるものだ、こう私は思いますので、この際私はこれはできるだけ制限品目は開放したくない、こういう考えで、——しかし、私たちは単にこの品目を抑さえるだけじゃございません。そのかわり新しい農政を幾らかでもつくり上げて、そして生産性の向上、あるいはまた経営規模拡大によって対外経済競争に対応できるような農業はつくりたい、こういう私たちの意欲が陰にあるということは御理解いただきたい、こう思うのであります。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 ヨーロッパが輸入農産物に課徴金をかけて、それから国内の産品については補助金を出しておる。これも大きな重要な問題ですけれども、しかしこういうこともアメリカとの間にいろいろトラブルを起こしているわけですね。それからこの残存輸入制限品目は日本が二十二、フランスが十九、これは主要国の中ではずば抜けて高いわけです。こういうこともやはり外国からの圧力となってきておると思います。アメリカの通商代表部のマクドナルド次席は、日本の市場開放を求めるためにガット提訴も辞さない、こういう発言もしておりますけれども、もしガットに提訴された場合に私は日本は窮地に陥るんじゃないかと思いますけれども、この辺の見通しはどうですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) まず、アメリカ自体がかつて乳製品の輸入制限についてガットに提訴されたことがございまして、ガットでアメリカが敗訴いたしました。アメリカは敗訴いたしましたが、ガットの判決に従わず残存輸入制限を継続して、そのためにオランダから制裁措置を受けたという経験がある国でございます。そういう国がわが国に向かってガットに提訴するというのは大変片腹痛い話でございますが、幸いにしていまのところアメリカはまだガットに提訴するということには踏み切っておりませんで、作業部会で穏やかに話し合おうと言っておるわけでございますので、第一回の会合が四月の十二、十三に予定されておりますので、せっかくの機会でございますので情理を尽くしてアメリカ側と話をしたいと思っております。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 そういう作業部会その他で話し合いがつけばいいのでありますけれども、話し合いがつくということは、こちらもある程度の譲歩をせざるを得なくなる。譲歩をすれば話し合いがつくけれども、しなければつかない。そうすると、とことん向こうはガットに提訴する。アメリカのみならずECもそういうことを言っておるわけでありますけれども、そういうところまで発展していくと、どうしてもわが国の立場というのは余り強いものではない。現在までの国際貿易の中で、工業製品は比較的自由化が進んでおる、開放化が進んでおるわけです、世界的に。ところが農産物は工業製品と同じようにいかないことはこれ当然でありますけれども、そういう理由もあって、やや工業製品に比べたら自由化が進んでいない。しかし、最近は農産物についてももっと開放化を進めよう、自由化を進めようというのが国際的な動きになっておりますね。恐らくこういう方向はこれからどんどん進んでいくと思うんです。だから、農林水産大臣のできるだけそれは守るんだという決意はわかりますけれども、やがてそれができなくなる事態が予想されるわけです。だから私は、日本の農業政策においてもこの農産物の自由化に対応するだけの体制を早くつくらなければならない、これが第一点として言えると思います。  それからもう一つの問題は行政改革でありますけれども、行政改革の基本的な考え方にあるのは、やはり政府介入の縮小ということが基本的な問題としてあると思います。  それからもう一つは、財政再建に絡んで財政負担の軽減という問題があるわけです。ここからくるものは何かというと、やはり農業の自立といいますか、自立型農業の育成、それからさらには市場競争原理の導入、それからさらに国際化ということにつながってくるわけですね。だから、内圧の問題も外圧の問題も、帰するところは同じような方向に日本の農業というものを押しやっていくということになるわけです。しかもこれはそう簡単に避けて通れる問題ではない。とするならば私は、外圧に対抗するためにも、内圧に耐えるためにも、共通点として言えることは、一番大事なことは日本農業の体質の強化である、生産性の向上である、コストの低減である、そして品質の向上だと、こういうことにもっともっと力を入れる、そして必要ならばそのために補助金をふやしてもいいんじゃないかと思うわけです。この点はいかがですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに日本農業の新しい方向は私たちとしてもこれを進めてまいらなきゃいけない。しかしにわかにいま、経団連等の一つの案のごとく、にわかに生産性の向上即新しい農業に速やかにやりなさいとか、あるいはまたコスト主義による農業を早う確立しなさいということは、やはり自然を相手のことでございますので、私はなかなかむずかしい。たとえば技術開発を進めるにいたしましても、いま稲にしてもあるいは麦にしても生産性向上のためには特に新しい品種が必要でございます。しかし、その品種を固定するためにこれまでは十五年もかかった。いま細胞融合等によって十年あるいは八年ぐらいでできるだろうと、こう言われておりますものの、やはり新しい品種一つつくるにも十年近くもかかるというこのことは、自然を相手にしての農業なんでございます。したがいまして、私たちとしてはできるだけ技術開発あるいは経営規模拡大によって国際経済力に対抗できるような農業をつくり上げておりますので、しかし時間がかかるということだけは理解していただきたい。  それからもう一つは、やはり補助金によって新しい農業は開かれると私は思うんです。自動車だって、財政援助があって今日自動車産業というのはこれぐらい伸びだと私は思うんですよね。そういう意味から言うと、新しい農業をつくるために、補助金は削減しなさい、しかし新しい農業はつくりなさいといった、こういう無理なことは私としてはできない。だから少なくとも新しい農業のために必要な補助金は思い切って使ってごらんなさい、そしてそのかわり新しい農業のためにあなたは努力しなさいというんならわかりますけれども、補助金をやめなさい、行政改革だからもっとこの辺は詰めなさいと、こう言って、新しい農業は早うしなさいということは私はなかなか容易なことじゃないと、こう思いますんで、そういう一つのわが日本農業の新しい方向をつくるためのもろもろの要素を、農林水産行政の希望する面を財政当局もあるいは日本国民全体も理解していただいて、今後農林水産の新しい方向を見出すためにむしろ御協力願いたいというのが私の願いなんでございます。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 やはり農業と工業とを一律に考えるわけにはいかないと思います。大臣は再三自動車の問題を出されますけれども、確かに自動車も十数年前までは国際競争力はなかったわけです。だから私も十年余り前は商工委員会で自動車の自由化をやるなということを盛んに主張してきたわけであります。また、自動車に対して税制上の優遇とか体制金融とかいろいろの優遇措置もあったことも事実です。もちろん金額は農業に比べたら比べものにならないほど少ないものではありますけれども、そういう時期があったことは事実であります。したがって、私はそれだけの期間とか、猶予期間というものは置かなければならない、それはよくわかるわけです。そしてそれは工業よりも農業の方がよけい時間がかかるということも事実です。それからもう一つは、食糧の安全保障という見地から、最終的に国際的な競争力を持ち得なくても大事なものは残さなくてはならない、こういうこともよく理解できるわけであります。しかしながら、私がここで言っておることは、発想の転換が必要ではないかということなんです。ただ単に非関税障壁、貿易障壁を設けるだけ、それを守るだけではいけない、ある一定の猶予期間を設けてそれまでに自由化に対応できるような努力をする、そういう方向に農業をつくり上げるということが大事です。これは目標を変えなきゃいかぬと思うのです。それから補助金の問題にしても、農業の近代化とか生産性向上につながるような使われ方なら私は出してもいいと思うのですけれども、ただ単に後ろ向きで何となく価格主義で国民に高いものを食わせるということだけにとどまっておったのでは私は消費者の理解は得られないだろうと思います。現在アメリカが農産物の交渉で非常に強い強硬な態度に出ておりますけれども、その背景としては、日本の世論の中に、納税者の中にも現在の日本の農業のあり方に対する不満がある。それから消費者も、国内の高い農産物を買わされておることに対する不満がある。そういうやっぱり世論が、先ほどからも論議がありましたけれども、閣内の不統一もありますけれども、日本の世論自体も完全に、農業については分かれておるわけです。それぞれの利害があるからこれも仕方がないことかもわかりませんけれども、少なくとも政治の責任ある立場にある者は、そういう消費者の立場、あるいは生産者の立場、それぞれの対立、利害を調和し、統合して、また統合し得るような一つの農業政策というものがなければならない。だから、一定の時期、私は自由化に対して保護するのもいいと思います。また、補助金を出すのもいいと思います。国民の税金から補助金を出すのも結構でありますけれども、それは一つの目標がなければならないと思うのです。あと何年間待てば日本の農業は強くなる、あるいは畜産にしたって牛肉の安定価格帯にしても国際価格に比べたら非常に高いわけですけれども、これはこういう方向で進んでおるんだと、いまに大規模で、アメリカに負けないというわけにはいきませんけれども、かなり優秀なものが安いような畜産をつくるんだと、だからその期間がまんしてくれというふうなことであるならば、私は消費者であろうが、あるいは一般の納税者であろうが、納得すると思うんですね。そういうことがあってこそ農業政策についての国民のコンセンササスができるんじゃないかと思うのです。だから、アメリカが強硬な態度にきておるというのも一つはこの日本の内部の足を見透かされておる。それからさらにひどいことは、日本のその選挙区の定数のアンバランスまでアメリカの公聴会で論議されておる。私は、これからアメリカはどんな手を打っても、対目的な貿易のアンバランスが直らないならますます日本のこの社会的な問題まで問題として取り上げて攻撃してくると思うのですよ。だから、そういうやられ方をしないためにも、私は農林水産省あるいは政府、そういったものの農業政策なりそういう自由化に対する対応策なりというものは、もう少し国民的なコンセンサス、利害の対立した団体の調和と統合の上に立てられなければならないと思いますけれども、いかがですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 過般の日米貿易小委員会においてアメリカの代表が、農産物の市場開放については双方ともかなり激しい議論がある、意見があると、しかし農産物の市場開放については良好である、日本はアメリカのいいお客さんでございますよと、この農産物の市場開放については、これは単に日本だけにお願いをしているんじゃなくして、ECに対しても協議を進めてまいりますよというお話が大前提になっているわけなんですよ。したがいまして、アメリカのいわゆる農務省関係、農務省の方々はかなり理解していただいていると私は見てよろしい。しかもアメリカは、日本とちょっと違うのは、いわゆるレーガン大統領がチチュウカイミバエのことだとか、牛肉、オレンジを一等の、最高の、いわゆるアメリカを代表する人がこれを何とかしてくれというこの言い方ですね。ミッテランさんも、チョコレート、ビスケットを何とかしてくれと、こう言うんですよ。こういう表現をどうして私の方でできないのかということを、私はむしろ心の中で憤慨しているんですよ。むしろ日本の産業が振興した、しかし一番おくれているのは中小企業と農業なんだ。これを支えながら日本の経済をどういうように自由経済体制で持っていけるかという研究をしていかなきゃならないのじゃないでしょうか。私はそうでなく、農産物はこっちよ、農業はそっちだ、中小企業はそっちだ、だけれどもこの貿易中心の企業だけは伸ばしていかなければならないという、この考えは私は受け取りがたく、理解しにくいということなんです。  ですから、もっと私たちとしてもこの農業に対しての、新しいこの農薬をつくろうとする意欲をいま一生懸命持っているのでございますから、そのためには六十五年度までの一つの目標も掲げております。それで、長期の展望に立っていま進めておるわけでございますので、それに向かって着着といま私たちは農政を進めているわけでございますから、農業に対しても私はもっと温かい理解が必要じゃないだろうか。しかも、この食糧の安全保障という面から言いますというと、アメリカから大変な世の食料品を私たちは輸入しているわけですよね。農林水産物で額にして百二億ドルですね。それから穀物その他で二千万トン以上やはり輸入しているという、こういう現状を考えますというと、私たちはやはりこういう点はもっと農業というものを大切にしていかなければいけない。  外食というものが非常にわれわれの生活の中で大きなウエートを占めまして、その食品産業というものは非常に大きくなって、農業が原料産業だというようなことにまでなってきますと、だんだんだんだん農業というもののとうとさというものは失われてくるんですよ。ラーメンをつくるとかあるいはまた何かカップヌードルをつくることに一生懸命でしてね、本当の意味での農業をやろうという意欲のある人を温かい目で見てくれないというのが日本の現状じゃないでしょうか。私は、そういう点を考えますというと、この点はやはり農業をやっている人たちに、やあ君らもようやっているな、苦しい中でと。こういう温かい目が国民の中から出てくるのが本当じゃないだろうかと思います。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 必ずしも日本国民全体が農業をそういう冷たい日で見ておるとは思いませんし、また政治的に見た場合、私は決して農業がなおざりにされておるとは思わないわけです。むしろ補助金なんかも非常に他の産業に比べて多いわけですし、またそのこと自体は必要があれば仕方がないんですけれども、私はその使い方あるいは農業政策の基本的な発想の転換が必要な時期ではないか。いままでのようにただ単に補助金を出して価格をつり上げて保護すればいいというようなことだけではいけないのであって、やっぱりその体質を強化することにもっと重点を置くべきであるということを言いたいわけであります。  それから、食糧の安全保障と言われますけれども、安全保障のために農業は大切だからというので何もかも保護するという考え方はおかしいと思うんです。やはり安全保障のために必要な品目はどれどれか、幾ら国民が少々犠牲を払っても守らなければならないものはどれどれかということを重点的に、やるべきだと思うんです。  それから、食糧の安全保障の場合にもっと大事なことは、私は緊急時に対する計画なり、そういうものをつくることではないかと思うんです。  幾ら農産物の自給率を上げてみたところで、いまの日本の農業というのは石油漬けの農業と言われております。農産物が入ってこなくなるような事態なら、当然石油は入ってこなくなります。そのときに現在の自給率がいまの農業で保たれるかといえば、保たれる保障は何にもありません。だから、農産物の自給率だけで安全保障を見るというのも誤りだと思うんですね。  だから、そういうことも含めて総合的に考えて、いざというときにどう国民の食糧を確保するか。これは全く別個の立場から計画をつくり検討されなければならない問題である。ところが、そういう予算、一つもありませんね。私はそういう面で、安全保障と言いながら安全保障は一つのにしきの御旗にしておるだけであって、本当の安全保障が考えられておるのかどうか疑問だと思うのであります。  それから自由化の問題で最後にですね、結局、農産物の自由化というのも、これは世界の貿易の拡大均衡、いわゆる保護主義に陥らないための一つの私は旗印にすぎないと思うんです。農産物の自由化をやったからといって、それほど日米の貿易収支の均衡に寄与するものではありません。これはもう大臣もたびたびおっしゃっておるとおりであります。しかしながら、世界全体がやはり開放経済にならなければならない。そのためには一つのにしきの御旗としてこれは進めなければならない問題だと思います。  ただ、現実にアメリカがこれだけやいやい言ってきておるのはなぜか。やはりアメリカの農業も困っておるからであります。特に農業団体なんかの意見を聞いてみますと、日本が全部自由化をやってくれたところで、それだけ日本にたくさんアメリカ農産物が売れるわけではないということは彼らもよく知っておる。  そこで、日本としても一つのテクニック、手段としても、アメリカの余剰穀物、現在は豊作で余剰穀物があって価格は低落しておる。反面、生産資材が高騰しておる。地代が高騰しておる。だからコストも償えないというような状態にありますけれども、この余剰穀物を、一部学者からの提言もありましたけれども、たとえば米国内で備蓄をするということはどうか。これも技術的にいろいろ難点があるようですけれども、それがもし解決されるならば、それも一つの方法であろうかと思います。  それから、発展途上国、これは食糧に困っておるところがたくさんあるわけでありますから、日本の余剰米を処理するのも、その一つの手段として使えるでしょうけれども、やはり日本はもっと海外援助の予算をたくさんとって、そしてアメリカの農産物を日本が買って発展途上国に援助してやる、そういう措置をとった方がはるかにアメリカの農民は喜ぶんだ。そうすると日本に対する圧力も緩和されるという考え方もあるようですけれども、大臣のお考えはいかがですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 田渕先生のせっかくの提案でございますので、今後いろいろな研究課題にいたしたいと思いますが、アメリカの農業も大変な状況にあるということのはね返りがいまこうして来ているということは事実なんでございまして、したがいまして、私たちもいままでは、まあこの間大河原大使ともいろいろ話し合ったんですけれども、どうもアメリカと日本との、ことに農業の面ではどうも話し合いが食い違っているような気がすると。日本で考えていることとアメリカ側が考えていることとどうも食い違いがあるようだから、もっともっと話し合いをすべきじゃないだろうかということも言われましたものですから、いま経済局長を中心にして、できるだけアメリカの方々とお話し合いしなさいと。まあ幸い今度は作業部会が十二日から行われますので、この機会にやはり日本の現状あるいはアメリカのいまとっている政策等を率直に話して、そしてお互いの理解を得るということが私は一番重要だと思いますので、そういう点に力を入れてまいりたいと、こういうふうに考えております。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 時間がなくなりましたけれども、もう一点。  土地改良長期計画というのがありまして、これは五十七年度で一応十年の計画が終わるわけでありますけれども、これの進捗状況がきわめて低いわけであります。特にこの対象——計画の面積ですね、それに比べて五十七年度末の予想では達成は四割ぐらいしかいかないというふうに言われております。これはこのように進捗率が低い理由はどこにありますか。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように土地改良長期計画の実絞、ノミナルな数字のベースで申しますと、五十七年で大体九五・三%の実績になるだろうと見ております。ただ、四十七年度価格に修正いたしますと実はこれが四九%になる。つまりこの十年の間に賃金、物価の上昇によって建設単価が上がったということが一番大きな理由だろうと思います。実質的にはこれは公共事業全体が抑制の中で受けとめていかなければならない実態だろうと思います。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 いまの御説明は金額面でのお話だと思いますけれども、これは事業そのものを見てみますと、圃場整備が百二十万ヘクタールに対して、五十」年度末の見込みは五十九万ヘクタール、それから畑地総合整備が六十万ヘクタールに対して十万ヘクタール、それから農用地造成が七十万ヘクタールに対して二十九万ヘクタール、総合して大体四割程度しか進まない。いま言われたように、いわゆる費用がどんどん高くなっているのに予算がそれに追いついていっていない。つまり、実賞的には予算がどんどん減ってきておるということになっているわけです。それから、五十七年度の予算を見ても大体五十六年度とほぼ同じ予算しか組まれておりません。私は円木の農業の生産基盤、生産力増強のための基盤を整備するこの予算がこのような状態で先ほど言われたような力強い農業ができるのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 基盤整備、土地改良全体の問題でございますけれども、私は、今回この五十七年度予算の柱はできるだけ新規を抑制する、それで継続事業をできるだけ早い機会に完成させようということがねらいでございまして、金額の面では確かに去年同様でございますけれども、その内容においては私はもっと豊かなものだと、こう考えておるのでございます。御承知のように、基盤整備は時間がかかるものでございますから、そういう意味ではいろいろ効果等を考えますというと、できるだけ早い機会に完成するということは一番必要なんでございますが、これまでどうも入り口だけは大きくして出口はほとんど狭いというような状況にございますので、私はやはり補助金の有効な活用という面から言っても、また、これからの農業の基盤でもありますので、新規はできるだけ抑えて、それで継続のものはできるだけ完成させるという方向でこれを進めてまいりたい、その面をこの予算の面にあらわしているということを御理解いただきたいと思うのでございます。

田渕哲也民社党・国民連合

○田渕哲也君 少なくとも予算は、金額、金の量が問題なんで、金の量が横ばいなのに去年と違って飛躍的なことができるわけがないと思うのです。そう去年と全く違うような予算を組めないというのも現状かもわかりませんけれども、少なくとも、これから日本農業に大事なことは、ただ単に保護をしたり、ただ単に過保護の補助金を出すことではなくて、やはり体質を強化することである、競争力をつけることだとするならば、私は予算の面でそれがあらわれてこなければならない、こういう気がするわけであります。こういう点今後十分考慮していただくように要望いたしまして質問を終わりたいと思います。

坂元親男自由民主党

○委員長(坂元親男君) 他に御発言もなければ、これをもって昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂元親男自由民主党

○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会

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