内閣委員会 第3号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/03/30
会議録
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 地域改善対策特別措置法案を議題といたします。 趣旨説明につきましては、前回すでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤要君) 速記を起こして。 林同和問題に関する小委員長。
○林ゆう君 同和問題に関する小委員会におきましては、小委員懇談会を開き、本法案に関する諸問題について協議を行いました結果、各会派の御意見を取りまとめ、これに基づき小委員長より委員会において質疑を行うこととなりました。 したがいまして、この際、私から質疑をいたしますので、政府におかれましては的確、簡潔に誠意を持って御答弁されますようお願いを申し上げます。 衆議院内閣委員会における審議の際、田邊総務長官から、新法の基本的な性格など重要な問題について前向きかつ明確な御答弁をいただいていることを評価するものでありますが、本院においても次の二点についてまず再確認をしておきたいと思います。 その第一点は、今回の新法の制定に当たって、その運用の基本方針は、国民的課題としての同和問題の根本的解決を求めた昭和四十年の同和対策審議会の答申の精神を受け継いで行われるものと考えますが、そのとおりであると解してよいのか、総務長官から明確にお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。 そのとおりでございます。
○林ゆう君 再確認をしておきたい第二点は、昨年十二月の同和対策協議会の意見具申の中において、今後の施策の重点事項として雇用、教育、啓発の必要性が特に指摘されておりますが、政府としてはこの意見具申を尊重し、今後これら関連施策の推進に当たっていかれるものと考えますが、そのとおりであると解してよいか、総務長官からの御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(田邉國男君) そのとおりでございます。
○林ゆう君 次に、法務省関係についてお尋ねします。 昨年十二月の同和対策協議会の意見具申の中において、「国際人権規約の批准、国際婦人年および国際障害者年を契機とする諸活動の推進等ともあいまって、差別問題に関する国民の理解と関心を深め得る環境条件は一層整備されつつあるなかにおいても、」「人生の門出であるべき結婚や就職等に際しての差別は残念ながら依然として跡を絶っていない状況にある。」と指摘されております。 憲法第十四条でいかなる差別も禁じているにもかかわらず、人権侵犯事件が後を絶っていないのはきわめて遺憾であり、法務省において人権侵犯事件の徹底調査及び人権擁護活動の飛躍的強化を図るという強い姿勢をとることが本問題の解決に大きく寄与するものと考えますが、法務省当局の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 部落差別を早期に解消することは政府の方針でございまして、これまでの施策により自由人権思想の普及高揚が図られ、国民の差別問題に関する理解と関心は深まってまいり、部落差別は着実に解消の一途をたどりつつあると思われるのであります。しかし、現在におきましてもなお部落差別は完全には解消されず、後を絶っていないということはまことに遺憾でございます。 法務省といたしましては、これまでもこの種事案が発生した場合には、人権侵犯事件として鋭意調査を行い、その非なることを関係者に説いて啓発することはもとより、各種手段を通じて、部落差別は許しがたい重大な社会悪である、早急に解消さるべきであることの理解を国民に求めるなど、この差別の根絶を期して人権擁護活動の充実強化に努めてまいったところでございますが、本問題解決のため、今後ともなお一層の努力を傾注してまいる所存でございます。
○林ゆう君 次に、文部省関係についてお尋ねします。 差別意識の解消を図るためには、昨年十二月の同和対策協議会の意見具申の中にも指摘されておりますように、学校教育及び社会教育を通じて憲法で保障された人権を重んずることのとうとさを徹底させていくことにあるものと考えますが、文部省当局の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。 また、この場合、国民の理解と協力を得るためにも、特定のイデオロギーに偏ることなく、日本国憲法及び教育基本法に基づいて厳正にその教育が行われるべきものと考えますが、この点についてもあわせて政府の姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(西崎清久君) ただいまの御質疑の第一点でございますが、文部省といたしましては、同和問題の解決を図るために、従来から学校教育及び社会教育を通じ広く国民の基本的人権尊重の精神を高めることを基本にして、同和教育の推進に努めてきているところでございます。今後ともさらに一層努力してまいる所存でございます。 第二点についてでございますが、同和教育を進めるに当たりましては、日本国憲法及び教育基本法の精神にのっとりまして、同和教育と政治運動や社会運動との関係を明確に区別いたしまして、教育の中立性を守るべきことを従来から指導の基本方針としてきておるところでございます。今後ともその趣旨の徹底に努めてまいる所存でございます。
○林ゆう君 次に、労働省関係についてお尋ねします。 最近における雇用に際しての差別事件の発生状況及び今後における対処策についてお答えをお願いします。
○政府委員(関英夫君) お答えいたします。 同和地域住民の就職差別の解消を図りますために、労働省といたしましては、企業内同和問題研修推進員制度を活用すること、あるいはまた、差別につながるおそれのある事項を排除いたしました応募書類の使用を進めることなどによりまして、事業主が同和問題について正しい理解と認識のもとに公正な採用選考を行うよう指導してきたところでございますけれども、同和地域住民に対します差別事件がいまだに散見されることはまことに遺憾に存じております。労働省といたしましては、今後とも同和地域住民に対する就職差別の解消を図るために、事業主に対しますこれらの指導をさらに強化してまいる考えでございます。
○林ゆう君 ただいま関係各省から差別解消のための取り組みについてお答えをいただきましたが、総務長官から、政府の同和問題の取りまとめ役として、啓蒙啓発に関する今後の政府の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(田邉國男君) 啓蒙啓発に関しましては関係各省からそれぞれお答えを申し上げたところでございますが、政府といたしましては、昭和五十七年度の予算編成に当たりましては、きわめて厳しい財政事情のもとでございますが、昨年の同和対策協議会の意見具申を尊重をいたしまして、啓発活動の予算につきましては対前年度伸び率は二四%という大幅な増額を図ったところでございまして、今後とも積極的に対処をしてまいる所存でございます。
○林ゆう君 次に、中小企業関係について二点お尋ねをします。 第一点は、いわゆる同和産業という業種は、職業差別がある上に経営基盤が脆弱であり、技術性、生産性においても劣っておりますが、これら産業の経営の安定を期し、さらに競争力をつけていくためには相当思い切った対策が必要であろかと考えますが、その対策についてお答え願いたいと思います。 また、職業差別をなくしていくためにも、資本力のないこれら産業に対する公害防止のための特別な配慮が必要であると考えますが、この点についてもあわせてその対策をお答え願いたいと思います。
○政府委員(勝谷保君) 通産省の同和対策につきましては、対象地域内の中小企業の経営の合理化、設備の近代化、技術の向上等を図りますために、経営改善指導に当たります経営指導員の配置それから経営及び技術の研修の問題、高度化事業などの各種の施策を講じてまいったところでございます。対象地域の零細事業の実態にかんがみまして、今後ともこうした諸対策を効果的に実施していくこととしたいと考えております。 第二に、公害対策でございますが、企業の円滑な事業活動の実施に必要不可欠でございます。小規模零細な対象地域の中小企業の場合には、公害対策上資金負担や技術の面で問題が生ずることが多いわけでございます。このため、公害防止施設に関しましては共同公害防止事業貸付制度を実施しておりますが、このほか技術面でも公設の試験研究機関に対しまして技術開発研究費の補助を行うなど、公害防止事業の開発の促進を図っているところでございます。今後とも公害対策を推進するため所要の施策を実施してまいりたいと考えております。
○林ゆう君 第二点は、中小企業事業団法に基づく同和向け高度化資金の貸付事業については種々問題があると指摘されていますが、その適正化の方策についてお答え願いたいと思います。
○政府委員(勝谷保君) 同和高度化事業の貸付事業につきましては、対象地域の中小企業の経営の合理化等のため必要な事業であると考えておりますが、御指摘のとおり、その適正な運用を図ることが重要であると認識をいたしております。したがいまして、五十七年度以降におきましては、真に対象地域の経済力の培養に資するよう個別の案件の審査を厳重に行い、採択基準、債権保全、債権管理等の各面において運用の適正化に一層努めることといたしたいと考えております。
○林ゆう君 次に、文部省と労働省に関係する問題についてお尋ねします。 同和関係者は依然として不安定就労の割合が高いが、同和関係者の安定就労を期して近代産業の中に就労の機会を多くしていくためにも、能力のある人には高等教育を受けさせることや腕に技術をつける技能習得を積極的に行わせることが特に必要であると考えますが、これらの点について両省から今後の取り組みの姿勢についてお答え願いたいと思います。
○説明員(阿部充夫君) 高等教育への進学の問題についてお答えをさせていただきます。 対象地域の住民の子弟の中には、大学、短期大学に進学する能力を持ちながら経済的理由で進学ができない者もいまだ少なくない現状にあるわけでございますが、これら子弟が高等教育の進学の機会を得まして、知識、技術を修得し、将来幅広く多方面の職業に進出をし、有為な社会人として活躍するということは大変重要なことだと考えておるわけでございます。このため、文部省といたしましては従来から進学奨励費補助事業を実施いたしておりまして、この事業により、対象地域の住民の子弟の高等教育への進学機会の拡大という面で寄与をしてきたところでございまして、今後ともこの制度の整備を図りつつ事業の推進に努めてまいりたいと、かように考えております。
○政府委員(関英夫君) 同和地域住民の就業実態を見ますと、中高年齢者を中心に臨時あるいは日雇いなどの不安定な就業状態にある者の割合がいまなお高い状況にございます。このため、労働省といたしましては、同和地域住民に技能を付与して雇用の促進と職業の安定を図る必要があるという観点から、各種の職業訓練を実施するほか、これらの職業訓練の受講を容易にするための施策を推進しているところでありますが、特に中高年齢者を中心とした不安定就業者に対しましては、技能を容易に習得して職業の安定と向上を図るための職業安定促進講習、こういったものを推進してきたところでございます。今後ともこれらの施策を引き続き充実してまいりたいと考えております。
○林ゆう君 次に、農林水産省関係についてお尋ねします。 同和関係者の農場は歴史的経過から辺地にある場合が非常に多くありますけれども、その圃場の整備や耕作面積に比して収益性の高い営農指導の徹底を図るべきだと考えますが、農林水産省の取り組みの姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、関係農家の耕地が一般的に立地条件も悪く規模も零細であることは事実でございます。このような意味から、圃場整備等の土地基盤整備事業や経営の近代化に必要な園芸施設や畜産施設等の導入利用等の物的な条件整備のための事業を、地域の実情に即しまして、計画に即しきめ細かく実施するとともに、また対象地域には営農等の相談員を配置いたしまして、普及員、農協等の指導機関との連携を図りながら、経営技術の向上を図るための指導を実態に即して従来からも進めてきたわけでございます。これまでの事業の実施によりまして、関係農家の営農意欲と相まって、かなりの成果が上がってきているものと理解しております。今後におきましても、これらの成果を踏まえまして、周辺地域との一体性の確保と効率的な事業実施に一層配慮しつつ、対象地区における農林業経営の安定と農家の生活水準の向上を図る観点から、一層施策の推進に努めてまいりたいと存じております。
○林ゆう君 次に、総理府にお尋ねします。 残事業量と新法の五年の有効期限との関連を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(水田努君) お答え申し上げます。 五十七年度以降におきますところの地域改善対策事業の物的事業の実施予定量は、五十六年度予算ベースで見まして約三年程度と見込んでいるわけでございますが、地域によっては、事業の規模が大きいこと一それから事業の実施に当たって関係者の合意づくりに時間を要する等の事情があり、これらの点で日時を要するものがあることが見込まれますので、当初申し上げました三年程度になお余裕を持ちまして五年といたした次第でございます。 なお、この新法を制定するに当たりまして、御承知のとおり現下の財政事情はまことに厳しいものがあるわけでございますが、同和問題の早期解決を期すという観点から、現行の同和対策事業特別措置法と同様の財政措置を講じたわけでございまして、かかる意味合いからも、国と地方とが一体となりまして、この新法の期間内に予定いたしておりますいわゆる実施予定量の消化を図るよう最大限の努力をしてまいるつもりでございます。
○林ゆう君 次に、総務長官にお尋ねします。 新法に基づく事業の多くが地方公共団体の事業となっていますが、地方公共団体の財政負担の軽減を図るため、国の補助については補助基準、採択基準などを実情に合ったものに改善すべきであると考えますが、政府を代表して、この点についての御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(田邉國男君) 政府といたしましては、補助基準を実情に合ったものにするためにこれまでも改善を図ってきたところでございますが、今後とも引き続いて努力をしてまいる所存でございます。
○林ゆう君 次に、自治省関係についてお尋ねします。 地方公共団体においてはそれぞれ地方の実情に応じて単独事業を行っているところでありますが、地方自治の本旨に照らして、国がその介入を図るべきではないと考えますが、この点についての自治省当局の見解を承りたいと思います。
○政府委員(矢野浩一郎君) お答えを申し上げます。 昨年十二月の同和対策協議会の意見具申におきましては、地方単独事業につきましても、その内容や運営が妥当であったか否かについて十分検討を加え、その適正化および効率化を図っていくよう、また広く住民一般のコンセンサスを得る努力をする必要があるとの指摘がなされているところでございます。 もとより地方単独事業は、地方公共団体がそれぞれの必要性に応じまして独自の判断によりまして実施すべきものでございますが、事業の実施に際しましては、この意見具申の趣旨を踏まえて進められるべきものと考えておりまして、その趣旨を地方団体にも周知させることにいたしたいと存ずるところでございます。
○林ゆう君 最後に同和対策室長にお尋ねし、私の質疑を終わりたいと思います。 新法の第二条第二項の運用に関する政府の見解を承りたいと思います。 また、昨年十二月の同和対策協議会の答申において、国民の理解と協力を得るためにも従来の施策の内容等の検討を行うことなどが提言されていますが、この答申を地方自治体においても尊重するよう指導する必要があると考えますが、あわせて見解を承りたいと思います。
○政府委員(水田努君) 本法案の第二条第二項の規定は、昨年十二月の同和対策協議会の意見具申の中にあります「物的施設については、周辺地域との間に格差のないものを整備し、その運営に当たっては、周辺地域の人々の利用にも供するような配意をする必要がある」という御指摘を受けまして、第二条第二項において「対象地域とその周辺地域との一体性の確保を図り、」と規定いたしました。また、同意見具申の中にある「特に個人給付的事業については、行政の主体性を確保しながら、その運営の公平の確保が図られる必要がある」という御提言を受けまして、同条同項において「公正な運営に努めなければならない。」と規定したものでございます。私どもといたしましては、同和対策協議会の意見具申の趣旨を尊重しながら、その運用を図ってまいる所存でございます。 次に、昨年十二月の同和対策協議会の意見具申は地方公共団体においても当然に尊重さるべきものと考えている次第でございまして、かかる見地から、関係各省においてそれぞれ適時適切に地方公共団体の指導をするようにしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○委員長(遠藤要君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。 本案の修正につきまして、安武君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。安武君。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております地域改善対策特別措置法案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 これより、その趣旨について御説明申し上げます。 わが党は、現行の同和対策事業に対する特別措置を今後なお一定期間継続する必要を認めるものです。しかし、それに当たっては、各種のゆがみを生み出した法の不備、欠陥を是正することが不可欠であります。 周知のとおり、現行同特法は、施行後十三年間対象地区の環境改善や地区住民の生活改善をもたらした反面、特定団体の暴力的圧力やその不備、欠陥などから、さまざまな否定面やゆがみを生み出してきました。 同対協が昨年十二月十日の意見具申で指摘したように、今日なお、少なくない地方自治体で特定団体が同和行政を事実上支配するという無法きわまる「窓口一本化」行政が行われています。そのもとで所属団体の違いなどを理由とした新しい差別が地区内に生み出されています。超デラックスな施設建設や常軌を逸した各種の個人給付事業が行われ「逆差別」ともいうべき現象も生まれています。また、事業の一面的肥大化が進み地方財政破綻を促進しているところもあります。さらに、同和対策事業が土地ころがしや脱税など利権と腐敗の温床になっている事態も随所で問題化しております。 こうした無秩序ともいうべき乱脈な同和行政は、一般地区住民の多くに、同和対策事業の意義を認めながらも、事業のあり方に対し不信を持たせるに至っているのであります。 わが党は、これまで一貫して、同和対策事業のゆがみと非計画性を正し、公正・民主・公開・国民合意の同和行政を実現するために闘ってきましたが、わが党のこうした闘いの方向は、今日、文字どおり国民世論となっております。 今回政府が提出した法案は、国民の批判にこたえようとする一定の前進面を持っております。しかし同時に法案は、現行法が持つ不備、欠陥を十分克服しておらず、このままでは特定団体の暴力的圧力による「窓口一本化」と、そのもとでの不公正、乱脈が温存される危険を持っております。 わが党が提出する修正案は、法案のこうした弱点を抜本的に是正して国民的合意が得られるものに改めるとともに、事業を法の有効期間内に迅速かつ計画的に完結させることを目指すものであります。 これが修正案を提出する理由であります。 次に、修正案の内容の概要を申し上げます。 第一は、法の目的と事業の目的が、「同和問題の解決に寄与」し、対象地区住民の「社会的経済的地位の向上を不当に阻む諸要因を解消」する点にあることを明記し、法律の名称を「同和対策事業特別措置法」に改めることとしております。 第二は、法の目的を達成するための国と地方公共団体及び国民の責務規定をそれぞれ独立の条文とし、国の第一義的責務が明確になるように規定することとしていることであります。 第三は、不公正、乱脈な同和行政を抜本的に正すため、行政の責務として、「自らの判断と責任において公正かつ民主的に行うこと」「対象地域とその周辺地域との一体性の確保を図ること」及び「対象地域の住民が思想、信条等によって差別されることなく等しく受益できるように行うこと」を明記することとしていることであります。 第四は、同和対策事業の非計画性を正し、事業を法の有効期間内に迅速かつ計画的に完結させるため、国に事業実施に関する基本方針を、地方公共団体にこの方針に基づく実施計画を定めるよう義務づけることとしていることであります。 第五は、事業の一面的肥大化に歯どめをかけるため、法の目的と事業の目標の明確化、公正・民主的な同和行政実現のための保障の明記などとあわせ、基本方針と実施計画の公開、実施計画を定めるに当たっての地方議会の議決と国との協議などを義務づけ、厳しいチェックを行うこととしていることであります。 第六は、事業を迅速かつ計画的に完結させるための財政措置についてであります。わが党は、事業を三年以内に完結させることを原則とし、大規模事業など特別なものについても、遅くとも五年以内に完結させるとの見地に立つものであります。そのためには、現行の特別の助成を継続するだけでなく、不必要な事業に対する追加投資を廃止または大幅に削減するとともに、おくれた地区に財源を重点的に配分するなどの措置をとる必要があります。本修正案で、特別の助成と実施計画を結び、実施計画を定める際、国との協議を義務づけているのは、こうした運用を行うためであります。なお、財政力の弱い市町村に対し、新たにかさ上げ補助のかさ上げを行うこととしております。 第七は、同対協を民主的に改組強化し、公正民主的な同和行政の実現と迅速かつ計画的な事業の推進に役立てることとしていることであります。 最後に、本修正案は、協議会の会議公開の原則を明記するとともに、国に基本方針の公表と同和対策事業に関する国会への年次報告を義務づけるなどで、同和行政の行き過ぎた密室主義を抜本的に正すこととしております。 以上が修正案の提出理由とその内容の概要であります。 本修正により、かさ上げ補助のかさ上げなどで約百七十億円の経費増を伴いますが、他方で不公正、乱脈な同和行政を抜本的に是正することにより膨大な浪費を削減することとしており、全体としては経費増を伴わないものと見込んでおります。 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されるよう要望して、修正案の趣旨の説明を終わります。
○委員長(遠藤要君) ただいまの安武君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。田邊総理府総務長官。
○国務大臣(田邉國男君) ただいまの修正案につきましては、遺憾ながら賛成いたしかねます。
○委員長(遠藤要君) 再開を午後一時とし、暫時休憩いたします。 午前十時三十六分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(遠藤要君) それでは、ただいまから内閣委員会を再開いたします。 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。初村労働大臣。
○国務大臣(初村滝一郎君) ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案の提案理由とその概要を御説明申し上げます。 現在わが国においては、かつて西欧諸国が経験したことのない速さで人口の高齢化が進み、二十一世紀初頭には世界に類を見ない高齢化社会となることが確実となってきております。このように、今後高齢化社会が急速に進展する中で引き続きわが国社会の活力を維持し、発展させていくとともに、高齢者の生活の安定を確保していくためには、高齢者ができる限りわが国の経済や社会の担い手として活動し得る環境を整備していくことが不可欠であり、そのためには、雇用就業対策の面においても、それぞれの高齢者の体力、能力等に応じた多様で的確な施策を積極的に推進していくことがきわめて重要な課題となってきております。 労働省といたしましても、従来から、行政の最重要課題として、定年延長の促進等高齢者に対する施策を推進してきたところでありますが、今後の高齢化社会の進展に適切に対応した施策を一層強力に展開していくためには、組織体制の面においても整備を図ることが急務となっております。 この法律案は、このような考え方に基づき、労働省職業安定局に高齢者対策部を設置し、今後の高齢化社会における雇用失業情勢の的確な把握と見通しの上に立って、定年延長、継続雇用等の雇用の延長の促進、高齢者の再就職の援助、さらには高齢者の多様な就業希望に応じた就業機会の確保等の施策を総合的、一元的に推進しようとするものであります。 なお、高齢者対策部の設置に伴い、失業対策部を振りかえて廃止することとし、その事務は、失業対策事業就労者が高齢化しているという事情等にもかんがみ、高齢者対策の一環として対応することが適切であるとの観点から、高齢者対策部において所掌することといたしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○委員長(遠藤要君) それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山崎昇君 ただいま労働大臣から提案説明がございましたわけですが、この法案に関連しまして、当面する労働行政について二、三まずお尋ねをしておきたいというように思います。 私の記憶に間違いがなければ、これはある政治学者の計算でありますけれども、軍人と無為——なすことない者、言葉をかえて言えば失業者の合計がその人口の一%を超える国家は必ず衰退するという計算をした政治学者がございました。そういう意味では、いまどこの国でもこの失業問題というのはきわめて重大な政治課題として扱っておるのではないか。片や軍人の問題についてはこれ防衛問題でありますが、きょうはそれに触れないといたしましても、もしこの政治学者の計算が正しいとすれば、私はこの失業問題というのは大変重要な課題であろう、こう考えます。とりわけ、いま大臣からお話ございましたように、日本の高齢化社会というのが世界にまれに見るぐらい急速に進んでおるというときに、高齢者の失業問題をどう解決するかということも、またきわめて私は重大な課題ではないだろうか、こう考えておるわけです。 そこで、最初にお聞きをしたいんですが、まず最近の雇用情勢について御説明願うと同時に、特に中高年齢者など世帯主の失業が増大の傾向にあると私ども聞いておりますし、また各企業におきましてもそれが滞留化する傾向にあるとも聞いておるわけなんですが、現状について御説明願うと同時に、今後の見通しともあわせて御説明願えれば幸いであるというふうにまず考えております。
○政府委員(関英夫君) まず、最近の雇用失業情勢でございますが、先生御承知のように、最近のわが国の経済は景気の回復テンポが大変鈍化しております。そういった経済情勢を反映いたしまして、雇用失業情勢につきましても、現在なお総じて言えば足踏み状態にあるということではなかろうかと思います。 これを具体的に、たとえば労働力需給という面でとらえてみますと、求人も最近多少増加してきておる面もございますが、求職者の増ということもございまして、最近ややその増が鈍化しておりますが、ここ二、三カ月求人倍率は横ばいを続けておりまして、その状態は〇・六八倍ということでございます。まだまだ改善が十分行われていないというような状況にございます。一方で、しかし就業者数も引き続き増加はいたしております。これに伴いまして、また雇用者数も増加はしているわけでございます。しかしながら、需給状態は総じてまだ緩和傾向にある、そして足踏み状態を続けている、これが現状ではなかろうかと思いますし、失業者数は一番新しいことしの二月の数字で百三十五万人、前年同月と同じ水準ではございますが、率にいたしますと二月で二・二六%、季節調整済みの数値でございますが、そういうふうに二%を上回っているということで、失業者がなお多い状態ということが言えるかと思います。 そういう中で、特に高齢者について先生のお尋ねがございました。高齢者の雇用情勢というのは、非常にわが国のような雇用慣行のもとでは厳しい状況がずっと以前から続いてきているわけでございますが、求人倍率で年齢別にこれを見てみますと、昨年十月の数字でございますが、年齢計で〇・七二倍ということであるのに対して、四十五−五十四歳層——中年層といいますか、ここでは〇・五〇倍に下がりますし、五十五歳以上の高齢層については〇・一四倍というふうに非常に厳しい状況が続いているわけでございます。 企業におきます状態というお尋ねがございました。非常に把握のむずかしい問題でございますが、一つの見方といたしまして、高齢者の雇用率というものを中高年法で規定しておりまして、この調査がございます。法定雇用数六%でございますが、昨年の六月一日で、企業におきます高齢者の実雇用率は六・六%ということになっております。そういう意味で法定雇用率は超えてきたわけでございますが、なお未達成企業が半数弱ございます。そういうところに問題点があろうかと思いますし、定年延長も着実に進展はしてきているわけでございますけれども、なお六十歳未満の定年を有する企業も多いということで、今後高齢者対策というのは非常に重要になってくるかと思っております。 それから、世帯主という御指摘がございました。完全失業者の統計の中で世帯主について見ますと、五十六年前半には男子世帯主の失業者数が前年水準を十万人前後上回っておりましたが、十一月以降はほぼ前年並みとなっておりまして、一番最近の数字で、ことしの二月の数字も前年と同じ水準ということでございますが、水準自体が先生御指摘のように非常に高いわけでございますから、やはり高齢者の失業情勢は非常に深刻なものがあるというふうに受けとめております。
○山崎昇君 いま数字を挙げての御説明をいただきましたが、いずれにいたしましても、構造不況のときでさえ失業が私どもの把握では百二十四万程度であったと思っておりますが、そのときよりもさらにいま御説明ありましたように、失業率にいたしましても失業の人員にいたしましてもやはりふえておる。また高齢者の場合についてもきわめて大変な状況にある、こういうことだと思うんです。これは労働省だけの雇用政策だけで私は達成できるものでもないということは承知をいたしております。これは、政府全体で日本の経済をどうするか、こういう問題とももちろん密接に関連をしてくるわけなんですが。 そこで、経企庁おいでになっていると思うんですが、一点お聞きをしておきたいのは、最近予算委員会あるいは衆議院の大蔵委員会等々で大蔵省の方から、新経済社会七カ年計画を抜本的に見直しをしていきたい、こういう答弁等があるようであります。さらにまた、きのうでしたでしょうか、参議院予算委員会の集中審議でも、もうすでにできてすぐでありますけれども、五十七年度の経済の見通しについてもかなり手直しをしなければならぬのではないだろうか、こういう答弁等が出ているようであります。 そういうふうになってまいりますというと、ここで描きました、抜き出して言えば雇用関係につきましてもかなり修正をせざるを得ないのではないか、こう判断をするわけでありますが、この経済計画と雇用というものについて、いまの段階でどの程度仮に修正するとすれば検討されておるのか。これから単純な計算でいくわけでないでしょうから短兵急なことは聞きませんけれども、いま経企庁としてはどんな状況にあるのか、できればひとつ説明願っておきたい。
○説明員(谷弘一君) ただいまの山崎先生から御質問がありました新経済社会七カ年計画につきまして答弁さしていただきます。 現在、新経済社会七カ年計画は、約二年半前の五十四年八月に経済審議会の御答申をいただきまして、内外の経済情勢の変化に対しまして機動的弾力的に対応していくために、年末から年初にかけまして毎年フォローアップを行っております。このフォローアップの、今回本年の十一月でございますけれども、この結果でございますけれども、その中では、最近の労働の需給の動きにつきまして次のような判断をしております。 それは、労働需給の供給面でございますけれども、それにつきましては労働力人口それから就業者というのがあるわけでございまして、労働力人口の方はその就業者に失業者が入ったものでございますけれども、この両面におきまして五十四年、五十五年度と、この両二年度につきましては計画の想定、これは〇・七%、〇・八%増というかっこうで計画が想定しておりましたが、これを上回る伸びを示しております。したがって、就業者もふえてきたということでございますが、五十五年の半ばに入りまして雇用情勢の改善が足踏みをするということが見られまして、五十六年の、昨年でございますが、十−十二月の完全失業率が二%を上回るというようなかっこうになっておりまして、現在その新経済社会七カ年計画にございます六十年度における雇用に関する政策の目安と乖離した状態になっているという判断をしております。 これにつきまして、そういう現状の動きの中にも、長中期的な女性の雇用労働市場あるいは社会参加と申しますか、そういうものへの意欲が非常に積極化しておるということと、もう一つは、人口が御指摘のように高齢化してきておるということが現在すでにあらわれてきておるわけでございます。そういう変化があるわけでございますが、その中で、現在のところ新経済社会七カ年計画の基本的な計画の目安一・七程度ということでございますけれども、そういう失業率を守っていきたいということで努力を続けるということにいたしております。 今後の七カ年計画の扱いということでございますけれども、現在経済審議会にお願いいたしまして長期展望という、二〇〇〇年を展望してこれから大きく日本の経済社会が国内あるいは海外、国際的にも動いていくという中でどういう基本的なスタンスをとらなきゃならないかということで、展望作業をいまやっておる最中でございます。そしてまた、一方で臨時行政調査会での審議状況というようなことも今後出てまいりますので、そういうことを踏まえまして経済計画というものをどういうふうにやって考えていくかということを改めて検討し直したいということでございます。
○山崎昇君 新経済社会七カ年計画の方向づけについていまお話ありました。当面、五十七年度の経済見通しについては一・一%の増を考えておられるのですが、すでにあの計画で示された成長率その他はもう修正しなきゃならぬであろう、こういう政府の答弁になっているんですね。そういう意味で言うと、関連してお聞きしますが、この五十七年度の経済見通しの中における雇用というものについて一体経企庁はどんないま検討をされておるのか、簡単で結構ですけれども、あわせてお聞きをしておきたいと思います。
○説明員(菅野剛君) 御説明いたします。 五十七年度の経済見通しにおきます雇用関係についての御質問でございますが、現在五十六年度の経済について見ますと、世界経済の停滞等の影響がございまして海外需要の落ち込みが急であり、五十六年の十−十二月期につきましては実質成長が前期比にマイナスとなるということで、御指摘のとおり景気回復のテンポは依然として緩やかなものとなっておりまして、したがいまして、五十六年全体としての成長率につきましては、実績見込みの四・一%の実現はきわめて厳しい状況にあるというふうに認識しておるわけでございます。 そこで、五十七年度でございますが、五十七年度についてわが国経済を取り巻く内外環境を見てみますと、国際的には、多くの先進国においてインフレの収束と景気回復が見込まれております。それからまた国内的には、これまで景気回復をおくらせてきました在庫調整もほぼ終了したと見られます。こうしたことから、五十七年度におきましては、五十六年度に比べまして内需を中心とした成長を可能とする条件が整いつつあるというふうに考えております。 したがいまして、五十七年度の経済見通しにおきましては、先生御指摘のとおり、雇用関係につきましては、就業者数の増加率は前年比一・一%程度、数で申しまして就業者数が五千六百五十万人と見ておりますが、また完全失業者数についても、前年度より若干減少いたしまして百二十万人程度となるものと見ておるわけでございます。今後の景気が機動的な政策の運営によって内需を中心に回復していくということから、以上の見通しは実現するものというふうに考えておる次第でございます。
○山崎昇君 全体の時間が一時間ちょっとしかありませんから、本来なら経済見通しについてもっと細かな議論をした後がいいんですけれども、とてもそういうことはできません。 そこで、労働省に戻して、いま経企庁の方から御説明ございましたけれども、労働省の方としても、いま経企庁の説明の内容で一体自信をお持ちでこれからの雇用というものをやっていかれるのか、自信があるのかないのか。これは労働省サイドから見た一つの見解をお示し願いたいということと、時間ありませんから二、三ずつ質問してまいりますが、わけても、先ほどの提案説明にございましたように高齢化社会が急速に参るものですから、この中高年齢者の総合的な雇用対策というのがきわめて重大な課題になってきている。そういう意味では、一般的な雇用政策も重要でありますけれども、わけてもこの中高年の雇用政策というものを労働省はどういうふうに位置づけて、これからどういう見通しのもとにやっていかれようとするのか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(関英夫君) 五十七年度の雇用失業情勢につきましては、ただいま経企庁からお話のありましたような経済政策のもと、政府の見通しのような成長率が達成されるならば五十六年度よりは改善が図られるものと私どもも思っておりますし、またそのためにも、私どもとしていま全国の職業安定所を挙げて求人開拓、こういうものに取り組んでいるわけでございますが、こういった努力をさらに強力に推進いたしまして改善に努めていきたいというふうに考えているわけでございます。 また、今後の雇用政策の最重点が中高年齢者、特に高齢者の雇用問題だという御指摘はまことにそのとおりでございまして、わが国の高齢化現象が非常に急速であり、かつ先進諸国がかつて経験したことのない高齢化社会になるわけでございます。そのわが国が従来と同じような活力ある社会を実現していくためには、やはり高齢者に生き生きと働いていただく以外に道はないわけでございまして、そういう観点のもとに高齢者対策を最重点として私ども取り組んでいきたいと思っております。 その大きな柱は、一つにはわが国の雇用慣行のもとでは何としても定年延長を早目に、六十年六十歳という目標ではございますが、それよりも少しでも早く実現することが第一でございますし、その次に、それを土台にして、六十歳以上の方ができる限り従前の勤務をさらに継続できるような勤務延長、再雇用、そういった雇用延長に取り組んでいくことでございますし、それからまた六十歳以上の方の多様な就業希望に対応して、パート雇用あるいはシルバー人材センターのような任意的な就業対策、そういったことに取り組んでいくことでございますし、それからもう一つは高齢者の再就職の促進対策、この三つを最重点対策として取り組んでいきたいと考えております。
○山崎昇君 先回りしていま定年制の話が出ましたので、何といっても根幹のこれは一つの政策でありますから、定年制についてお尋ねをしたいと思っておるわけなんですが、政府は昭和四十八年に第二次雇用対策基本計画というものをつくりまして、昭和四十八年から五十二年までの間にできれば五十五歳定年を六十歳にしたい、こういうことでやってこられたと思うんですが、これが今日まで実現しない。いま、一体六十歳定年制をとっている企業は全体でどの程度のものがあるのか、まずお知らせを願いたいと同時に、あなた方がつくられましたこの基本計画というものが、私どもの調べでは半分以下になっておりますが、なぜ半分ぐらいしかできなかったのか。 改めて初村労働大臣になりましてから、ついせんだってでしょうか、約四千二百社に対して、五月十五日まで期限を切ったそうでありますが、定年延長についてどういう考えなのかあるいは計画はどうなのか、そういうものを回答願いたいということを出したようでありますが、それらと関連してこの定年延長の問題についてひとつ御説明願うと同時に、これにいち早く経済界からは、行政の過剰介入ではないか、こういう批判等も出ているようでありますが、それらについての見解もお聞きをしたいし、それからまた民間の方々が私どものところへ参りまして、どうしてもなかなか、団交で本当はこれはやるべき筋合いのものでありますけれども進まない、そういう意味では定年制の法制化ということもやはり考えるべきではないのかという強い要請もあるようであります。そういう意味では、二、三点になりましたけれども、定年延長の法制化という問題について改めてひとつ労働省の見解もお聞きをしておきたい、こう思うんです。
○政府委員(関英夫君) まず、事務的な説明を先に申し上げさしていただきたいと思います。 最初に、定年延長の現状六十歳定年の普及状況はどうかという御質問でございますが、労働省で行っております雇用管理調査、これによって見ますと、一年以上前の数字で恐縮でございますが、五十六年一月現在の状況でございますが、六十歳以上である定年年齢の企業の割合は四二・六%、それから五十五歳定年の企業の割合が三八・〇%、こういう状況になっております。その後も、従来おくれていると言われておりました銀行関係、生命保険関係あるいは電力等で定年延長が昨年実施されておりますので、これよりは進んでおると思いますけれども、現在統計調査ではっきりしているのはこういう状況でございます。 それから定年延長の法制化問題につきましては、先生の御承知のように国会で非常な御論議がございまして、その結果、労働大臣から総理府の雇用審議会に法制化問題を含め定年延長の実効ある推進策について諮問をいたしたところでございます。中間答申はいただきましたが、法制化問題についてはなお引き続き検討するということで、雇用審議会でいま検討をされておる現状でございます。私どもとしてはその検討結果を待って対処いたしたいと考えておるところでございます。 なお、大臣によります定年延長推進の要請等については、大臣の方からお答えいただくことにいたしたいと思います。
○国務大臣(初村滝一郎君) この定年延長というのは、いま労働省が考えておりますとおり、昭和六十年六十歳定年ということで大体一般化に向けて着実に、完全とは言えませんが、進んでおるわけであります。しかしながら、一部に定年延長の取り組みにおくれた企業が見られますので、先般、いまお話が出ましたとおり、定年延長に関する要請書を四千数百社に私自身の名前で出したわけであります。そして私みずから直接定年延長を要請しております。それについていろいろと新聞等で反発があるようでありましたが、私はこれを契機として個別の行政指導を計画的に推進していかなければならない、こういうふうに考えます。もとより定年延長の実施は、労使間における自主的な話し合いによって決定すべきであり、個別行政指導の実施に当たっても行き過ぎのないようなやり方をやっていきたい、かように考えるわけであります。私としては、こうした点を十分配慮しまして計画的行政指導を積極的に推進し、できるだけ早く六十歳定年の一般化が実現するように最大限の努力をするつもりでございます。
○山崎昇君 いま大臣から決意が述べられたわけですが、政府委員の答弁では、昨年の一月現在ではありますけれども、やっぱり六十歳定年が四二・六%、半分以下である。今度大臣名で出されましたのが三百人以上の企業で私どもの承知しているところでは約四千二百社と、こう聞いておりますが、回答が五月十五日まででありますからまだ一カ月ちょっとあるわけでありますが、いずれにいたしましても、政府が決めて今日まで指導された内容がほとんど計画の半分程度にしかなってない。これから六十年までの間というとまだ三年ほどあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、この間に六十歳定年を本当にやるということになると、私は大変な努力を必要とするのじゃないだろうか、こう思います。そういう意味では、法制化の問題については雇用審議会で検討中といいますから、これはいますぐ回答を求めてもこれ以上の答弁はないものだと思いますが、いずれにいたしましても相当これはやらなければできぬじゃないだろうか。そういう意味で改めてひとつ大臣の強い決意というものを促しておきたいというふうに思います。 次にお聞きをしておきたいのは、第九十一国会でありますが、野党四党がそろいまして「定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案」というのを提案をいたしておりまして、今日までそのままになっているわけでありますが、この内容はもう御存じのとおり、当面は六十歳である、しかしやがては六十五歳定年にすべきであるという意味で、雇用というよりもむしろ解雇の制限等を中心にした法律案になっているわけなんですが、これについて労働省はどんな検討をされまして、一体どういう御見解を持っているのか、この機会にひとつお聞きをしておきたいと思うんです。
○政府委員(関英夫君) 定年延長法制化の問題につきましては、雇用審議会で審議が続けられておるわけでございますが、その審議の最初の方の段階で、ただいま先生からお話がございました共同提案によります「定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案」につきまして、資料としてお出しいたしまして、その考え方を私から審議会に御説明し、検討の中の一つの項目として取り上げていただいておるところでございます。 審議会の結論が出ないうちに私から余り云々することは適切でないと思いますけれども、先生から労働省の考え方というお尋ねもございますので、多少労働省の考え方を申し上げますと、日本の定年制という余り世界に例のない独特の制度は、やはり日本の終身雇用慣行、そしてそれとうらはらの年功賃金制度あるいは年功とともに増していく退職金制度、年功的な昇進配置を行う人事管理制度、そういった一口に言えば日本の終身雇用慣行、これと密接にといいますか、これがあるからこそ設けられているといいますか、そういった制度として生まれている。したがって定年延長につきましては、そういった賃金、退職金、人事管理、そういったことの見直しなしに進めることは企業の実態としてはなかなか困難な面がある。したがって、そういった現状を十分検討しないままに直ちに法律上強制的にどうこうするということにはいろいろな問題点があるんではないかというふうに労働省としては考えておりますが、しかしいずれにいたしましても、この問題は野党側の共同提案も含めまして審議会で真剣に御検討いただいている最中でございますので、私どもはその検討結果に従って対処していきたいと考えているところでございます。
○山崎昇君 十分ひとつ審議会でも御検討願いたいと思うんですが、いまお話ありましたように、この定年制というのは日本独特であって、ある人の言葉じゃありませんけれども、外国では定年なんていうのは人生の終わりにやってくる。日本では人生の真ん中にやってくる。したがってかなり悲惨な状況も招来するような制度である。そういう意味では、かつて日経連もかなり定年制について批判をした文書等も残っておりまして、そういう意味で、私は日本の終身雇用制からいうならば、労働基準法の精神からいきましても定年制そのものについては幾つかのやっぱり議論のあるところだと思っている一人なんです。 しかしいずれにいたしましても、いま五十五ぐらいで首切られて再就職もままならない、そして平均寿命は延びる、年金では生活ができない、こういうような現状を考えるときに、やはりある意味では、行政的であろうとどうであろうと、雇用の機会というものを長引かす以外に方法がないのではないか。そういう意味もありまして私ども議論をしているわけなんですが、どうかひとつ定年制の問題については十分な配慮を私は願っておきたいと思うのです。 そこで、平均寿命が延びてまいりましたので、これは高齢者というものの定義の仕方にもよるわけなんですけれども、もうここまでくれば中年というのは五十四歳ぐらいで、それから高齢者というのは六十四歳といいますか、言うならば従来の物の考え方を十年ぐらい延ばして私ども物を考えなければ、人生八十年台を迎える今日としてはもはや合わないんではないだろうか、こう思うんですが、いま私が申し上げましたような、定義でもありませんけれども、考え方についてどういうふうに労働省ではお考えになりますか。
○政府委員(関英夫君) まず、定年延長につきましては、先生御指摘のとおりの問題点がいろいろあるわけでございますので、先ほど大臣からお話のありました大臣名の要請書、これによって五十七年度、八年度、九年度の三年計画で私ども六十歳定年に達してない企業のすべてについて個別に行政指導を強めまして、六十年といわず少しでも早く一般化に努めたいということで全力を尽くしてまいりたいと思っております。 それから高齢者あるいは中年者、それをどう考えるかということでございますが、現在は先生御承知のように、私ども五十五歳以上の者を高齢者というふうにいたしております。しかし、だんだんと平均寿命が延びてまいりまして、六十歳を越えられても非常にお元気な方がふえておられることは事実でございます。そういう意味で、私どもは将来は六十歳台についていろいろ対策を講じていかにゃならぬということは先生お話しのとおりだと思うのですが、しかし、まだまだ現状は厚生年金の支給開始年齢も六十歳であり、現在その六十歳というところに定年を延長しようというところに最大限の努力をせねばならぬ時代でございますので、当面は現在のような中年者、高齢者の考え方で施策に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
○山崎昇君 少し、やはり物の考え方がかたいんじゃないかと思うんですが、いずれにいたしましても人生八十年台を迎えてきているわけですね。これはある生命保険会社、一社でありましたけれども、一体平均寿命というのはどれぐらいまで延びるんだろうかという計算をしたところがありまして、それによると大体八十八歳ぐらいがピークでないかという説が一つあります。そういう意味で言いますというと、これから十年ないし二十年後には人生九十年台を迎えるなんということになりかねないんではないんだろうかというふうに私ども考えておりまして、そういう意味では六十歳なんというと昔の四十歳台かせいぜいいって五十歳台か、そんな程度のことになりはせぬだろうか、そう考えるものですからいまお聞きしているんですけれども、いずれにいたしましても十分な配慮を願っておきたいと思うんです。 それからあわせまして、今度こういう高齢者対策部になるわけでありますが、聞くところによりますというと、これに基づいて、いま皆さんの方でおやりになっております失対事業というのが五年ぐらいの間になくなるのではないかという心配がかなりあるようであります。特に、全日自労の方々がおいでになりまして、高齢者全体の対策としてはいいけれども、いまあります失対事業がそれによって打ち切られるのではないか、こういう心配がかなりあるというふうに私どもに陳情等もございます。そういう意味では、いまございます失対事業についてどういうお考えを持つのか。また仮に失対事業をあるときには整理しなきゃならぬ時代も来るかもしれませんが、その場合には、その後の雇用というもの、失対事業に従事されている方々の雇用というものについてどんなお考えを持っているのか、この機会にひとつお聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(加藤孝君) 失業対策事業の今後についてでございますが、今後の失業対策事業のあり方につきまして、一昨年の十二月に失業対策制度調査研究会というものの報告が出されたわけでございます。その報告の趣旨を尊重いたしまして、今後の失対事業を、特に労働政策としての事業、こういう観点からこれを適正に維持運営を続けていきたい、こういう基本的な構えでおるわけでございます。 このために、昨年の七月から九月までの三カ月間におきまして、主として高齢病弱者の方を対象といたしまして失対事業からの早期の自立、引退をお願いをする、そのために百万円の特例援助措置というものを実施をいたしまして、そういう高齢病弱者の方の引退を願ったところでございますが、今後の運営といたしまして、そういう労働政策としての事業として失対事業というものを地域社会により役立つ事業に改善しながら運用をしていく、こういう基本的な考え方のもとに、非効率、非経済的な事業はできる限り廃止をしていきたい、あるいはまた作業効率についていまよりもう少し向上をしていきたい、あるいはまた就労時間についても、やはり六時間とか七時間とこう決められておるわけでございますので、こういったものをしっかり守っていただいて事業を適正に運営していく。こういうような点を図りながら、五年程度の経過期間というものを置きまして、この間にこういう事業というものをよりそういう労働政策としての事業ということで役立つものにしていく観点で、五年程度の経過期間の間に紹介対象者を六十五歳未満の方にしていく、こういう方針で臨んでおるところでございます。 五年で打ち切るのではないかというお話がございましたけれども、これは五年程度後に六十五歳という一応の線を引くと、こういうことでございまして、そこで打ち切るというわけのものではないわけでございます。その研究会の報告におきましても、そういう措置を講じながらなお継続することもこれはやむを得ない事情があるんだ、こういうような指摘を受けておるところでございます。 なお、整理するときの雇用というような問題についてお話がございましたが、今度失対事業を自立ないし引退なさった方々につきましては、一応まだパート的なもので働けるというような方については、そういう高齢者の職業相談室というようなところで御相談をする、あるいはまた今後全国的に拡大を予定しておりますシルバー人材センターというようなものでまた受けとめる、あるいはまた体力、能力からもう就業は不適当と、こういうふうな方については老人ホーム等いろんな福祉関係施設と連携をとっていく、こんなような対応をしていくことを予定しております。また、昨年の七月−九月の特例措置についても、そんなような対応をいたしたところでございます。
○山崎昇君 そうすると、五年で打ち切るという考えではありませんと、その間に十分検討して改善策を考えていきたい、こういうふうに受け取っているわけですが、十分ひとつこれは関係者と御相談願いまして、何か五年たったら失業者がまた首を切られるなんていうそういう悲惨なことのないように申し上げておきたいと思うのです。 ただ、私少し前でありますけれども、富山県の魚津という市に参りました際に、市役所の前に花畑だとかいろいろありまして、それで十人ぐらいのお年寄りの方々が——これは失対事業ではないんですね——方々が、草むしり等をやっておりまして、一日千円だそうであります。私参りましたら、「どうか先生、こういう仕事を残してほしい。」と、というのは、一日かんかん照る太陽のもとで草をむしる仕事なんですけれども、それが年とってからのある意味では一つの仕事であり、生きがいでもある。こういう話を十人ぐらいのお年寄りから聞かされまして、そういう意味では失対事業も問題を再検討される際に各自治体ともやっぱり十分な御連絡を願って、そしてそういう方々に無理のかからぬようにお願いをしておきたい。 老人といいますか、お年寄りの問題を考えるときに、雇用ばかりでなしにその他の問題もいろいろ本当は考えなきゃならぬのですけれども、一つは三S一Pという原則もありまして、三Sというのはこれはストレスと高血圧と疲労、一Pというのは目的喪失といいまして、一番老齢者にとりまして重要なのは何なのか、自分が生きる目的は何なのか、もうなくなったのか、これが最大の悩みだということを僕ら聞くわけなんですが、そういう意味ではたとえ草むしりでありましても、あるいは花を植える簡単な作業でありましても、みずから社会のために何か自分は尽くしているんだ、そういう目的を与えるようなことを考えつつ、私は失対事業というものについてぜひ御判断を願っておきたい、こう思うわけであります。 そこで、いまあなたからシルバー人材センターの問題が出されたわけでありますが、これは総合的に整備するために国の責任もかなり私は重いのではないんだろうかと思うんですが、国としてはシルバー人材センターというものについてどの程度のことをお考えになって、どんな責任を持って総合的に整備されていくのか、簡潔にひとつ説明願いたいと思います。
○政府委員(加藤孝君) いま先生からお話がございましたように、そういう一日千円程度でもお花畑で、そしてそこでやはり一つの目的意識を持って高齢者が就労されるお話がございましたけれども、シルバー人材センターはまさにそういった高齢者のニーズにこたえるために、仕事も地域社会におきます比較的臨時的あるいは補助的、短期的、そんな仕事を引き受けまして、そしてそれを会員である高齢者の方にやっていただく、こういうような仕組みを持ったものでございまして、こういうものの運営につきまして一昨年度から補助を開始をいたしました。現在全国で百三十五団体、それができておるわけでございまして、来年度予算におきましてはこれをさらに二百団体にふやしていこう、こういうことで取り組んでおるわけでございまして、特に六十歳を超えた高齢者の方々の大きな一つの施策である、こういう観点のもとに、こういったものについての補助という面でも、来年度はいままで七百五十万補助しておりましたものをさらに八百三十万に増額をするというようなことでの内容の充実を図りながら、これをできるだけ全国に拡充をしていきたい、こんな取り組みを予定しておるところでございます。
○山崎昇君 続いてお聞きをしておきたいのは、三木さんあるいは福田さんが総理をなされたころは、ずいぶん一時ライフサイクルという言葉がはやりまして、人生を大体三期ないし四期ぐらいに分けまして、特に老後を、人生の最後をどう全うするかという、そういう意味では大変一時このライフサイクルという問題がもてはやされた時期があるんですが、最近この言葉がどこかへ行っちゃって、なくなっちゃって大変さびしい思いをしているわけです。 ところが、これとは直接関係がありませんけれども、最近御存じのように職場にロボットというのがずいぶん入ってまいりまして、これがまた科学の進歩の結果でもあるわけなんですけれども、職業訓練制度あるいは労働安全対策等々を相当根本的に考えなきゃならぬような職場環境になってきているんじゃないだろうか。そういう意味では、簡単で結構でありますが、このロボット問題あるいはライフサイクルとも関連しながらシルバー・ヘルス・プランというのも労働省でお持ちのようでありますが、それらについて簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(森英良君) 産業用ロボットその他マイクロエレクトロニクスの導入に伴いまして新しく必要になる職種に対応した職業訓練につきましては、これは主として企業が事業内訓練で対応しておるところでございますが、公共職業訓練施設におきましても電子計算機科、情報処理科を設けまして情報処理技術者の養成訓練を行っておりますほか、機械科あるいは事務科というふうな職種におきましても、最新の技術に配慮した訓練をできるだけやるように努力しておるところでございます。 また、主として中小企業の在職労働者等を対象に向上訓練をやっておりますが、ここでもコンピューター、NC旋盤等に関する向上訓練に非常に需要が多うございまして、五十六年度の実績では千八百六十三人でございますが、五十七年度には約八千人を予定するという状況でございます。 そのほか、産業用ロボットの導入に伴いまして職種転換が必要になる労働者もあるわけでございますけれども、これもほとんどの場合事業内で職業訓練を受けまして他の部門に配置転換されているのが実情でございますが、本音といたしましては、このような配置転換に伴う事業内の職業訓練を一層振興しますために、生涯職業訓練奨励給付金制度を新たに五十七年度から設けまして、約二十二億円の予算を組みまして、これによりましてそういう中高年齢者等を対象にした転換訓練、企業内の転換訓練、これも助成していこうということを考えております。
○政府委員(石井甲二君) 産業用ロボットにつきまして労働災害という観点から見ますと、一つは、危険有害業務とかあるいはかなりダーティーワークというようなものについて労働災害を防止する上に一つの役割りを果たすだろうと思います。ただ問題は、ロボット自体が安全衛生上いろんな問題をはらむであろうということも考えられます。現在のところ災害について、実際の災害事故が起こった例というのはそうありませんけれども、今後かなり広がりを持った検討を必要とするだろうと思います。現在、安全衛生規則におきましては一般の機械、一般動力機械と同様の扱いをしておりまして、一つは、修理とかあるいは点検等の作業の場合には完全にロボット全体のメカニズムを停止をするということと安全教育を行うという二つの点をやっております。これでは、ちょっと全体の観点から見まして、一般機械と同じような対応ではいけないじゃないかということでございますので、これからメーカーにおける安全対策、たとえば規格制定とかあるいは安全装置についての検討、ユーザーにおける安全対策といたしまして、ロボット設置基準とかあるいは使用基準という検討を含めまして、今後一年ぐらいかけまして根本的に検討してまいりたいというふうに考えております。 それから、次にシルバー・ヘルス・プランの問題でございますが、御指摘のように、高齢化社会の中で職場におけるライフサイクルといいますか、一つの人生の大きな部分を占めるということでございます。特に、高齢化いたしますと、いわゆる企業の活力という面からいたしまして、また労働者の、人の生きがいといいますか生き方という問題にしましても、健康問題が非常に重要な問題でございます。そこで、シルバー・ヘルス・プランを労働省の政策として立てて三、四年になりますけれども、これまでのところは差し当たり職場の健康づくりのリーダーを養成するということ、それからヘルスチェックを実施する体制、いわゆる産業医に対する研修の実施とか、あるいは実際に健康づくりのために必要な施設といいますか、そういうものをこの三点を目標にいたしましてこれを拡大しつつございますけれども、今後さらに専門のトレーナーによる事業場への出張をいたしまして指導を行う事業も拡大するというようなことで、さらにこれを深めて拡大してまいりたいというふうに考えております。
○山崎昇君 ちょっと厚生省、来ておりますか。 ——厚生省にお聞きをしておきたいのですが、厚生省の国民健康調査によりますというと、年齢別の有病率というものを調べておるようでありますけれども、五十五歳前後からかなり有病率がふえる、言うならば五十五歳から六十四歳まででは三十五歳から四十四歳までのものの三倍近く増加をする、こういうデータがあるようでございます。そこで、厚生省としても中高年齢者の健康管理といいますか、そういうものについてどういう把握をされて、厚生省サイドとしてはこれについて一体どういう政策をお持ちになっているのか。いま労働省の方からシルバー・ヘルス・プランの説明等がございましたから、それと関連して厚生省の見解もお聞きをしておきたい。 それから、また重ねてこれは厚生省と労働省の両省にお聞きしたいのですが、健康管理の問題と関連しまして、最近婦人のパートタイマーが大変多くなってきておる、そういう意味で言えば婦人の健康管理というものもまだ大変重要な課題にいまなっているんではないだろうか、私はこう思いますが、それらの点をあわせまして、厚生、労働両省からひとつ御説明を願いたいと思います。
○説明員(大澤進君) 中高年の健康状況、それに対する対応をどのようにしているかということでございますが、いま先生からお話がありましたように、健康状況の把握につきましては国民健康調査ということを毎年行っているわけでございまして、確かに三十五歳ごろから高くなりまして、五十五歳あるいは六十歳以上になると三倍も四倍も高くなるというようなことで、非常にいわゆる病気の率が高くなっておる。こういうことは、一方その病気の中身といいますか、結果としての死因から見ますと、非常に皆様御承知のように、がんとかあるいは動脈硬化、脳卒中、高血圧、こういう循環器系のいわゆる成人病、このような疾患によりまして中高年以上の方は約三人に二人は亡くなると、こういうことから、厚生省は従来からそういう中年ないし高年といいますか、そこにかなりスポットを当てました成人病対策というものをやってまいっておるわけでございまして、これら疾患の早期発見とかあるいは積極的に予防していくとか、あるいは適切な健康管理を行ってフォローアップしていく、こういう対策をしているわけでございまして、特に今国会で御提案申し上げておりますように、四十歳以上の健康管理をより一層徹底するため、目的としては健やかな老後を迎えるということを最終の目的といたしまして、新たに老人保健法案を提出しているところでございまして、これらの法の成立をまってさらに一層これら中高年の健康の対策を充実してまいりたい、こう考えております。 さらに一方、婦人の健康づくり、これにつきましては、御指摘のように御婦人方は家庭あるいは自営業と、おうちにおられる方は、いわゆるその健康管理といいますか健康づくりに対する諸施策に接する機会に恵まれない、こういう点もあります。それからパート的に半日とかあるいは一時間とか働いておられる方もおられるわけでございまして、そういう方たちは、男性に比較しまして一般に貧血とかあるいは肥満等も多いわけでございまして、これらの御婦人の方につきましては、五十三年度から婦人の健康づくり事業、こういうものを新たに従来の成人病対策とあわせて進めているところでございまして、今後これらの諸施策を総合的に推進して国民の健康づくりに努めてまいりたい、こう考えております。
○政府委員(関英夫君) 御指摘の婦人のパート労働者の問題でございますが、これは大変な勢いで特に第三次産業の中に増加をしているわけでございますが、最近の状況を見ますと、その災害の発生がややふえているという現状でございます。労働安全衛生法の中では、雇い入れ時に必ず健康診断をすると、そこで病状発見をし、あるいは場合によっては健康管理の一つの必要性を発見する、こういうこと。それからもう一つは、年一回の定期健診ということでございますが、パートの場合にかなり流動的な一つの就業形態をとっておりますので、この定期健診のあり方についても検討を要する問題であろうと思っています。要は、こういう大きな一つの国の労働力として確立されようとしているパートタイマーについて、全体的に、この問題以外の問題につきましても総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○山崎昇君 この問題は、やっぱり大きく言えば人類の生存にもかかわるし、母性保護という問題にもかかわるし、重大だと思うんですが、いずれにいたしましても、最近婦人のパートタイムというのが多いわけでありますから、これらの健康管理については、雇用を扱います労働省の方としても十分なひとつ配慮を願っておきたいというふうに思います。 そこで、私が全部見たわけでありませんが、五十七年度の労働省の予算を見たりあるいは定員管理の状況等を見ますというと、第六次でまた百七名ぐらい労働省の定員が削減になるわけなんですが、仕事の方は、いま申し上げましたように、大変大きな課題が次から次と生まれてくる。そこで一つだけお聞きをしておきたいのは、高齢者の職業相談というのに大変力を入れておられるようでありますが、ほとんどこの相談にあずかる人が、非常勤といいますか定員外でございまして、言うならば私どもの調べでは一日四千円ぐらい月六万ぐらいで二カ月ぐらいは国で雇用して、二カ月ぐらいは自治体で雇用して、たらい回しみたいなかっこうでこの相談員というものが扱われておる。これから高齢化社会を迎えて中高年齢者の職業相談を受けるというのが、こういう非常勤の職員といいますか、こういう方々で扱うことは一体どういうことなんだろうか。一体、職業安定所のあれとどういうふうな問題になってくるんだろうか。 特に私が、名指しはいたしませんが、二、三調べたところでは、むしろ非常勤の方が多くなってきて定員内職員が少なくなってきている。そういう現象すらいまあると私ども聞いておりますが、いずれにいたしましても、重要な職業相談にあずかる者を非常勤で扱って、一日四千円ぐらいで、そしていま申し上げましたような雇用形態で、これはぜひ改めなければ私は労働省の姿勢が問われるんではないだろうか、こう思うんですが、この点について大臣の決意をひとつお聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(関英夫君) 大臣の前に、ちょっと御説明をさしていただきたいと思いますが、高齢者に対します職業相談、職業指導、職業紹介、これは公共職業安定所でまずはやらなければならないことでございますが、同時に、高齢者の方は市町村の窓口へ生活相談にいらっしゃる機会が多いわけでございます。その生活相談の中でとかく職業のお話も出てくる場合がある。だとすると、市町村の窓口の方に私どもできるだけそういう相談の体制をつくろうということで、市町村の窓口に高年齢者職業相談室というもの、いわば安定所の窓口を伸ばして出先を置いているわけでございます。現在、二百五十五の相談室を市町村に設置いたしてございます。そこで相談件数としては二十五万九千件、約二十六万件、五十五年の数字ですが、相談をいたしております。 そういうふうに手足を伸ばしてまいります場合に、先生のお話にありましたように、実は定員削減の中でございまして、増員にも努めておりますが、計画的な定員削減数の方が多いものですから、安定所の職員数は純減になってきております。私どもとしては、機械化、コンピューターによる業務処理、そういうことに努めまして努力はいたしておりますが、窓口を広げていきます場合にはどうしてもこういった非常勤相談員をお願いせざるを得ないということになりまして、私どもの行政のOBあるいは市町村のOBの方、あるいは学校の先生のOBの方等をお願いして、国の場合はこれは二カ月単位なんということではなくて年間、非常勤ですが、お願いをして働いていただいて、相談室には必ず複数配置いたしまして相談に来られた方に支障のないように努めているところでございます。
○国務大臣(初村滝一郎君) いま局長からいろいろと職業相談について話があったわけでございますが、私も東京都内の安定所を視察しまして、それで中の機構を見ますと、相談する人を前線に出しておるんですね、前に。普通ならば後ろに行って事務をやりやり聞くわけですが、前線に立って積極的に対応しておる姿を見まして非常に新しいやり方だと思って感心しておるわけですが、そこで私はこういうことを言ったんです。皆さんのところに相談に来る方々は事情があって来るんだから、その人の身になって、あなた方が相談に来られた人の立場に立って物事を処理してもらいたい。そうすると非常に事がさばけると思う。ただそれを事務的に聞きっ放しじゃなくして、相談に来た方々の心情、身の上になって相談、仕事をやってもらいたいというふうなことにやっておるわけでございますから、私どもも臨調その他もあって定員その他に枠がありますけれども、できるだけそういうさばけた人を前線に出して今後の相談指導に当たっていきたい、かように考えております。
○山崎昇君 本当はきょう、身体障害者の雇用問題等々も十分お聞きしたいと思っておりましたけれども、約束の時間でもありますからもう一問で質問を終えたいと思うんですが、最後にワークシェアリングについて一点お聞きをしておきたいと思うんです。 最近、貿易摩擦の問題もあったりさまざまなことが国際間にあるものですから、とりわけ日本人が働き過ぎる、言うならば住んでいる家はウサギ小屋だとか、さまざまなことが言われる。私、きのう、城山三郎さんの「日本人にとって海外とは何だ」という本がございまして、これを読んでみると、やはり日本人というのは物を貿易しているんじゃなくて、人間そのものを輸出しているんじゃないかという批判さえ外国では持っておる、こういうような厳しい見方もあるようでありますが、いずれにいたしましても、これから雇用の問題と関連しまして労働時間の短縮というのが大変大きな課題であろうと思う。そこで、お聞きをしますというと、昭和六十年までに年間の総労働時間を二千時間以内にしていきたいんだと、こういう考え方で労働省は進んでいるようでもあります。したがいまして、労働時間の短縮について具体的にこれからどんな政策をお持ちでやられるのかということが一点。 また、いま当面労働時間の短縮の中で銀行の週休二日制の問題が大変大きい課題ですが、これは郵政あるいは農協等関連する金融機関等もあるものですから、銀行だけ休めばいいというものでもないということも承知をいたしております。しかしいずれにいたしましても、銀行が中心になってこれが実施されませんというとなかなかそうはいかない。ようやくことしぐらい一カ月に、第二土曜日でしょうか、一回休むというようなことにどうもなりそうでありますが、いずれにいたしましても日本におきます週休二日制の実現、まあ全産業に及ぶようにしなきゃいけませんが、そういう問題について労働大臣としてどんな具体案をお持ちで、あるいはまたどんな指導をこれからされていくのか、お聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(初村滝一郎君) いま貿易摩擦関係で外国の方が、いろいろと労働を輸出しておるんじゃないかと、こういう批判がありますけれども、私は今日の日本経済の発展というものは、日本人の勤勉さが今日の経済発展をやったと思うんです。したがって、日本人が働くということだけは私はやはり日本の宝であるということは一応頭の中に置くべきであると思います。 そこで、週休二日制の問題に移りますけれども、この週休二日制の労働時間対策推進計画というものがあるわけです。したがって、第一には週休二日制の普及促進をやらなければいけない、これが第一。二番目には、年次有給休暇の完全消化を慣行化するような形をつくらなければいけない。三番目には、時間外とかあるいは休日労働対策の強化に重点を置き、産業規模別等によって異なる労働時間の実態を踏まえつつ、労使の自主的取り組み方によってこれを促すという行政指導を積極的に展開していきたい、こういうように考えます。 しからば、具体的には中央においては主要産業労働時間会議の開催をやったり、あるいは地方においては労働時間の短縮にかかわる業種別会議の開催、事業主等に対する集団指導の徹底化をやる。加えて、中央、地方を通じて労働時間問題に対する国民一般の理解を求めなきゃならない。これにはやっぱり広報活動等をやらなければいけない。なお、銀行等の問題については、いま積極的に銀行が取り入れまして、各信用組合とか農協とかいろいろやっておりますが、郵政関係の郵便局は、銀行がそういうふうに金融機関がやれば、私どももそれにならってやりたいという姿勢でありますので、これを強力に推し進めたいと考えております。
○山崎昇君 これでやめますが、冒頭申し上げましたように、ある政治学者の言葉ではありませんが、失業がふえるということは社会不安がふえることにもなりますし、やっぱり国が衰退をしていくわけでありますから、いま一番やはり労働省の仕事というのは私は重要だと思うんですね。そういう意味で雇用あるいは失業の問題、あるいは時間短縮、そして健康管理等々の問題について十分なひとつ配慮を重ねて大臣にお願いしまして、私の質問を終えておきたいと思うんです。
○中尾辰義君 質問が若干重複するかもしれませんけれども、重ねて御答弁願いたいと思います。 さきの提案理由にもございましたように、わが国の人口動向は、高齢化が急速に進んで高齢化社会への移行が本格化しつつあることはそのとおりでございますが、そのことは当然わが国の労働人口の高齢化をもたらすということになるわけでございます。そこでお伺いしたいのは、今後における五年後、さらに十年後のわが国の労働人口がどのような高齢化傾向をたどっていくのか、また労働省はどのように予測を立てておるのか、その辺のところをまず。
○政府委員(関英夫君) わが国におきましては、先生からお話ございましたように、平均寿命の伸長あるいは出生力の低下、両面から相まって人口構成の高齢化が進んでおります。厚生省の人口問題研究所の予測によりますと、五十五歳以上の人口は昭和五十五年の二千六十八万人から昭和六十年には二千四百五十六万人、昭和六十五年には二千八百七十万人へ増加するだろうというふうに予測されておるところでございます。 そういった人口の高齢化を背景にいたしまして、お話のありました労働力人口の高齢化というのも当然に急速に進むわけでございます。私どもの予測といたしましては、五十五歳以上の高年齢者は昭和五十五年の九百十二万人から五年後の昭和六十年には一千八十万人程度にふえるだろう、十年後の昭和六十五年には一千二百五十万人程度にふえるだろうというふうに見通しておりまして、労働力人口全体に占める割合も、高齢者の割合でございますが、五十五年の一六%から五年後の六十年には一八%、六十五年には二〇%というふうに、高齢者の占める割合が高まるというふうに見込んでおります。
○中尾辰義君 次に、労働大臣の私的諮問機関である雇用政策調査研究会が昨年の六月にまとめました「労働力需給の長期展望」。これによりますと、昭和五十五年から七十五年の二十年間において、労働力人口全体の増加数が七百六・万人であるのに対して、四十五歳以上の中高年齢者の増加数はこれを上回る八百七十万、さらには五十五歳以上の高年齢者はその七〇%に相当する五百六十万人を占めると、こういうふうに予測されておるわけですが、したがって、今後の労働行政の最重要課題は高年齢者の雇用対策にあることは当然でございます。先ほども少し質問がありましたように、最近における産業ロボットの導入と技術革新の進展、産業構造の変化、こういうものを考える中において労働省は高年齢者の雇用対策に対してどのような方針で臨もうとしておるのか、これは労働大臣の基本姿勢を伺いたい。
○国務大臣(初村滝一郎君) わが国において、いま後段に先生が申されました産業用ロボット等が始まったり、あるいは技術革新、あるいはサービス経済化等の産業構造の変化が進展するものと見られます。したがって、これに伴って雇用面にも多様な影響があると思います。こうした環境変化の中で経済社会の活力を維持向上するためには、高齢者の能力を活用しながらその雇用の安定を確保することが私は最も重要な課題ではなかろうかと考えております。 このために、技術革新の導入あるいはサービス経済化の進展に当たっては、高年齢者に適した新たな職域の拡大を図らなければならないというふうに配慮をいたすとともに、高年齢者の適材適所、能力開発、それでその能力を向上させるように進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
○中尾辰義君 次に、この法律案が、いまもちょっと答弁ありましたように、高年齢者の雇用対策を総合的に推進するために提案をされておるわけでありますが、この法律案の改正項目の一つに、労働省本省の内部部局である職業安定局に新たに高齢者対策部を設置し、それにかわって現行の失業対策部を廃止すると、こうなっておるんですが、そこでこの高齢者の雇用対策を総合的に推進するために高齢者対策部を設置する理由、これは提案理由にも簡単にありましたけれども、その理由をさらに詳しく説明を願いたい。さらに、失業対策部の廃止の理由もあわせて御説明願いたいと思います。
○政府委員(関英夫君) 先ほど来先生お話のありましたように、わが国が急速に高齢化社会に向かってまいりますし、その高齢化の度合いというのは、かつて先進諸国が経験したことのない高さの高齢化社会でございます。そういうわが国の急速な社会の高齢化に当たりまして、大臣からお答えありましたように、高齢者が活力を持って働いていくこと、これが非常に重要でございます。現在、私どもの職業安定局におきましてもいろいろ高齢者対策をやっておるわけでございますが、それは局内の各課でさまざまに分掌しておりまして一つのまとまりといったものがないわけでございます。そこで、今後高齢者の雇用対策をさらに強力に、しかも的確に実施していくためには、いろんな多様な対策を一まとめにしまして一元的に総合的に、しかも強力に実施していくことが必要だというふうに考えまして、新しく高齢者対策部という体制を確立して一元的、総合的にこの対策を進めでまいりたいと考えたわけでございます。 ただ、先生御承知のように、現在政府としては行財政改革というのを最大の課題としているわけでございます。したがいまして、機構をふやすということなくこういったことを実施していくためにはどうしたらいいかということで、従来ありました失業対策部を振替廃止するということにしたわけでございますが、それは先ほど御質問もございましたが、決して失業対策事業を即時やめてしまうということではなくて、失対事業就労者の現在の年齢構成を見てみますと非常に高齢化しております。そういう意味で高齢者対策部で所掌して、他の高齢者対策との連携も強めながら実施していくことがなお適当であると、こういうふうに考えまして、従来失業対策部でやっておりました失対諸事業の仕事も引き続きこの高齢者対策部で所掌する、そういうことによって労働省職業安定局でやっております高齢者の雇用対策を一元的、総合的にやってまいりたい、こういうふうに考えたわけであります。
○中尾辰義君 また失対事業は後でもう少し聞きますけれども、その前に高齢者の雇用対策、これを総合的に推進するということでございますが、この総合的ということは、ややもすると焦点がぼけてくるような気もするんですけれども、何を重点的におやりになるのか、その辺をもうちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(関英夫君) 先ほども申し上げましたように、高齢化社会におきましては高年齢者がある一定年齢まではわが国経済の基幹的な担い手として活動して、それ以後社会保障制度との有機的な連携のもとに職業生活から円滑に引退していくと、そういう筋道ができ上がりますように雇用対策の面から施策を推進していくことが非常に重要だと思っております。 そういうことで高齢者の対策をやるわけでございますが、この高齢者対策部では特に次の三つを重点にしていきたいと思っております。一つは、六十歳定年の一般化ということを私ども目標として掲げておりますが、それをできるだけ昭和六十年よりも早く実現するための行政指導の推進でございます。それから二つ目は、昭和六十年以降六十歳台前半層が非常にふえる時代に移ってまいります。そういう意味で、今後非常に重要になります六十歳台前半層と、これはいろいろな御希望がございますので、その御希望に応じた多様な対策、こういうものをやっていくことが第二でございます。それから、三番目には失対事業でございまして、事実上高齢者が中心となっている失対諸事業についての適正な運営を図る、この三つを重点に高齢者対策部で高齢者の雇用就業対策を総合的にやってまいりたいと考えておるところでございます。
○中尾辰義君 法律案の改正項目の第二は、高齢者対策部においては定年の引き上げ等による雇用の延長、その他高齢者の職業の安定に関する事務等を所掌すると、こういうふうにあるわけです。いまも答弁がございましたように、雇用対策の重点的なことを三つ挙げられましたけれども、やはり最重点は定年の引き上げと、こういうふうに理解するわけですけれども、そこで労働省の最近の調査によって、現在わが国の企業における定年延長がどうなっておるのか、定年制の実施状況ですね、これをひとつ説明してください。
○政府委員(関英夫君) 昭和五十六年一月現在の定年制の状況を労働省の雇用管理調査で見ますと、一律定年制をとっています企業のうち定年年齢が六十歳以上である企業の割合が四二・六%というふうになっております。一方、五十五歳定年の企業の割合が三八・〇%ということでございます。この時点で、同時にその五十六年の一月現在ですでに定年を六十歳以上に引き上げることをもう決定している、あるいは予定しているという企業をあわせて調査しております。そういう数字を含めますと、六十歳以上を定年年齢とする企業の割合は五三・七%というふうに半数を上回ることになっております。特に規模別に見ますと、企業規模の大きいところほど定年延長をすでに決めている、予定しているという企業が多うございまして、最近大規模の企業を中心に定年延長が進んでいることをうかがわせるというふうに私ども見ているところでございます。
○中尾辰義君 労働省が昨年の十一月六日に発表いたしました「高年齢者の雇用状況等について」という調査結果によりますと、定年制を定めている企業が九六%、そのうち一律定年制を定めている企業が七〇・一%、そのうち五十五歳定年の企業が平均で三八%と、約四割を占めておるわけであります。 そこで、確かに年々定年延長は実施されてきておるけれども、このように五十五歳定年を実施している企業が約四割を占めている実態から見て、労働省が作成し、昭和五十四年八月十日に閣議決定をされた第四次雇用対策基本計画、これの中にある昭和六十年度六十歳定年への達成、これはまあちょっと困難であるような予測もするわけなんですが、そこで労働省が現在の定年制の実施状態から見て、昭和六十年度に六十歳定年が実現できるのかどうか、その辺の見通しをひとつお伺いしたい。
○政府委員(関英夫君) 先ほど昨年の一月現在での定年制の状況及びその際にすでに定年を六十歳以上にすることを決定している、あるいはすでに予定しているという企業を含めると相当数になるということを申し上げましたが、特に五千人以上の大規模企業になりますと七三・五%の企業がすでに六十歳定年を決めているというような状況になってきております。昨年の一月の調査以降も、従来取り組みがおくれているといったようなところで定年延長がその後進んでおります。したがいまして、ことしの一月調査がわかりますのは六月ごろになると思いますが、その時点ではこの定年延長はさらに進んでいると思いますし、それから先ほども御質問の中にあったわけでございますが、私ども、労働大臣名で三百人以上の企業で六十歳未満の定年年齢のところにつきまして三カ年の今後の計画をお出しいただくように要請しているわけでございます。そして、私どもとしては五十七年度から三カ年、五十九年度までに何とか取り組みのおくれた企業の定年延長を個別の行政指導によって進めていこう、こういうことで、昭和六十年といわず、できるだけ早くに六十歳定年の一般化というこの目標、先生御指摘になりました閣議決定による第四次雇用対策基本計画で掲げました目標を実現したいということで努力していきたいというふうに考えております。
○中尾辰義君 実現したいのはわかっているのだけれども、実現できるのか、その辺の予測はどうなんだ、こういうふうな質問だったんだが。
○政府委員(関英夫君) 一般化ということがどの程度のパーセンテージになったら一般化かというような問題はありますが、私としては、非常な不況産業で、不況状態で定年延長というよりはむしろ人員整理等を考えにやならぬというような企業も中にはあるかと思いますが、そういったような特別の事情を除けば、昭和六十年六十歳定年の一般化ということは私は実現可能だというふうに考えております。
○中尾辰義君 大分答弁変わってきたな。かなり行政改革で当面の景気はそんなによくなりそうな傾向もないんだから、その辺、ひとまずがんばってください。 そこで五十五歳定年で退職を余儀なくされた労働者、こういう人は厚生年金の老齢年金の受給権者となる六十歳まで、その間は年金をもらえないわけですな。この五年間は、いろいろ退職金の食いつぶしとかあるいは不安定就労によって生活を支えなければならない。非常に不安が続くわけですけれども、そこへもってきて最近では、厚生年金の受給年齢の引き上げと、こういうような動きもあるわけですが、そういうことで一層生活は不安をもたらすわけでございます。こうした実情から、定年延長は民間企業に働く労働者にとって非常にこれは切実な問題であるわけであります。 そこで労働省は、六十歳以前に退職を余儀なくされた方、年金受給もない人たちの生活の実態ですね、こういう点はどのように把握されておりますか、お伺いします。
○政府委員(関英夫君) 昭和五十四年の労働省で行いました定年到達者調査というものがございますが、それによりまして六十歳未満で定年退職した者の再就職の状況を見ますと、定年到達直後に雇用された者が七九・二%、雇用されなかった者が二〇・八%ということになっておりまして、定年到達者の八割近くの者がその直後に引き続いて何らかの形で雇用されているということになっております。そのうち再雇用とか勤務延長という形でもとの企業にそのまま雇用された者が二八・九%、それからもとの会社のあっせんによる子会社とか関連企業等に雇用された者、これが二六・四%、それから公共職業安定所の紹介その他の方法により雇用された者が二四%、こんなことになっております。 いずれにいたしましても、再就職後の状態といいますものは、いわゆる本雇いというよりは嘱託といったような身分の者が非常に多いということでございますが、勤務先を変更した場合には、むしろ嘱託よりは本雇いというような形態のものが一般的には多い、こういうような状況にございますが、問題は、直ちには再就職が見つからないという方が二〇%近くおられる。それから再就職した場合に、本雇いという身分であれ、勤務条件等は従前のものと比べると非常に悪くなってくる、賃金等も下がってくる、こういう問題があるわけでございますし、また先生御指摘のように老齢年金の支給開始年齢までに間があるといった問題があるわけでございますので、そういう意味でも定年延長は何としても六十年までに六十歳にしていきたいというふうに考えて努力しているところでございます。
○中尾辰義君 いまも答弁がございましたように、やっぱり年金がもらえる六十歳までに定年を延長してもらうということが非常に労働者にとっては切実な問題であろうかと思います。 そこで、労働省は現在定年延長対策としてどのような施策を実施しているのか、具体的にひとつ説明を願いたいと思います。
○政府委員(関英夫君) 従来から個別企業に対しまして行政指導をやっておるわけでございますが、そのほかに、特に定年延長の取り組みのおくれている業種につきまして、業種別労使会議といった会議を開催いたしまして、労使の代表の方にお集まりいただきまして、定年延長についての問題点等を話し合って労使の合意を形成するというような形の会議開催をいたしております。 また、労働基準局関係の機関と一緒になりまして、私ども職業安定関係の機関、両者で定年延長研究会というようなものを開催いたしまして、定年延長に当たってコストの問題、人事管理上の問題等いろいろ悩みを持っている企業について問題解決のための指導援助をいたしております。 それからもう一つは、高齢者雇用率制度があるわけでございまして、法律上企業は従業員の六%以上高齢者を雇用する努力義務でございますが、義務を課してございます。この高齢者雇用率を達成するための指導といったことを通じて、それには定年延長がありませんと高齢者は一人もおらないわけでございますから、定年延長ということを働きかけていく。 それから助成措置としては、定年延長奨励金制度というものがございます。こういうものを活用して事業主に定年延長を進めるというような施策によって定年延長の推進を図っているわけでございますが、さらに来年度につきましては、三百人以上の企業で六十歳未満の定年年齢の企業について三カ年の計画で具体的な行政指導を個別に行っていきたいと思っておるところでございます。
○中尾辰義君 それから定年延長がおくれておる産業ですね、これも私は資料をもらっているんですが、高年齢者の雇用状況の調査、これによりますと、五十五歳定年の多い産業が鉱業が一番多い、鉱業が七〇・五%、次に卸売・小売業が四九%、農林漁業四五・五%、製造業が三九・三%、金融・保険業が三七・六%と、こういうふうに続いておるわけですが、こういうのがほかの産業と比べて高い割合になっているんですね。定年延長が非常におくれておる。こういう原因はどこにあるのか、説明してください。
○政府委員(関英夫君) 定年延長がおくれている理由はいろいろ多様だと思いますが、たとえば最初にお挙げになりました鉱業関係は、坑内労働につきましては、先生御承知のように年金の支給開始年齢が五十五という特別措置になっております。一般的には六十歳でございますが、鉱業関係五十五というようなことも非常に影響しているかと思います。それから電気・ガス・水道・熱供給業とか金融・保険業等も非常におくれているわけでございますが、この辺はわが国でも非常に代表的な大企業が集中している。大企業ほどいわゆる日本的な終身雇用慣行、年功序列的な賃金慣行、それから年功ととも昇進配置をしていきます人事管理、そういったものがきちっとでき上がっているのではなかろうか。それだけに、定年延長に当たって、そういった賃金、退職金あるいは人事上の慣行の見直しということが非常に容易でないということで時間がかかるというようなことも理由として挙げられるのではなかろうかというふうに思っているわけでございますが、最近ではこういった大企業で非常に定年延長が進んできている。金融・保険関係あるいは電力等でも非常に進んできているということが言えると思います。
○中尾辰義君 さっきもちょっと答弁がございましたように、労働省は定年の延長対策の一つとして、個々の企業の定年延長の阻害要因、取り組み状況等の把握を行い、企業の実情に即した個別的具体的な指導を実施すると、こういうふうな答弁がございましたが、この個別行政指導の推進というのは中身は一体どういうことをおやりになるのか、具体的にどういうようなことを推進していらっしゃるのか、それとその効果は上がっておるのかどうか、この辺いかがですか。
○政府委員(関英夫君) 具体的には、たとえば昨年の状況を申し上げますと、昨年三月以降は、まず五百人以上の規模の企業で定年延長のおくれている企業につきまして、本省それから都道府県、安定所を含めまして、幹部職員が個々の企業の定年延長の阻害要因なり取り組みの状況を伺い、そして企業の実情に即した定年延長を計画的にお願いをするという形で行政指導をやってきたわけでございます。 それで、来年はこの個別行政指導を三百人以上規模の企業に拡大して三カ年計画でやっていこうというわけでございますが、効果についてはどうかというお話ございましたが、五千人以上の非常に規模の大きい企業は本省で直接担当いたしまして、五千人以上の大企業の方々につきまして、私あるいはその他幹部が直接個別指導をやったわけでございますが、五十五年の実施結果を見ますと、三十六社をやったわけでございますが、そのうち三十五社が実施決定というようなことになっておりまして、これは五十五年度の数字でございますが、五十六年度四十七社、そのうち四十二社、九〇%が六十歳定年の実施決定あるいは検討にすぐ入るというような形になりまして、私どもとしては、定年延長というのはもとより労使でお話し合いをいただいて、そしてそれぞれの企業で自主的に決められることではございますが、こういった個別行政指導もそれなりに効果のあるものではないかというふうに考えております。
○中尾辰義君 次に、これは労働省が昨年の十一月六日に発表されました「高年齢者の雇用状況等について」、それによりますと、高年齢者の平均実雇用率は六・六%、これは法定雇用率が六%ですから、昨年に比べまして〇・四%上昇し、高年齢者雇用率の未達成企業の割合も昨年の五一・八%より二・四%低下して四九・四%と初めて半数を割っていると、こういうふうに報告されているわけですが、企業の規模別に見ますと、大企業ほど実雇用率が低く、雇用率未達成企業の割合も高くなっているわけでありますが、さらに産業別に見ると、低い産業がいまも言ったように卸売・小売、製造、金融・保険、不動産等であり、このようなパターンが毎年繰り返されておりますね。そこで、産業構造にもよるんでしょうけれども、このような産業や大企業ほど高年齢者の雇用に熱意が薄いような感じもするんですが、これは原因はどこにあるんですか。
○政府委員(関英夫君) 大企業ほど高齢者の実際の雇用率が悪い、低いというのは御指摘のとおりでございますが、その理由としては、大企業ほどいわゆる終身雇用慣行が確立されておる、そして毎年春、新規学卒者を雇用する、そしてそれがまた十分に計画どおりに雇用できる割合が高いものですからそれで十分であって、年の途中で中高年齢者を中途採用するというような必要性に乏しい。中小企業の場合には、学卒者を十分に採用することができないので、どうしても中高年齢者を中途採用するという必要性に迫られるわけでございますが、大企業はそういう必要性に乏しい。そして日本的ないわゆる賃金、退職金慣行、人事慣行が確立しておりますので定年制が設けられている。その定年が従来は五十五を占めておったわけでございます。そうなりますと、従来であれば定年到達者を大企業は関連の子会社なり関連会社等にあっせんするというようなことで問題も少ない。したがって定年延長する必要もないというようなことで定年延長が余り進まない。そういうことになれば当然のこと、高齢者の雇用率が低いということになってきたんだろうと思うんです。 しかしながら、本格的な高齢化社会の到来ということで、高齢者対策が急務であり、定年延長はいまや社会的な要請だということを大企業も認識してまいりまして、最近は大企業で急速に定年延長がむしろ進んでおります。千人以上の規模の定年延長の方がそれ以下よりも最近は急速に進んでまいりました。そういう意味では、今後は大企業の高齢者雇用率というのも順次増加していくんではないか、ただ、定年延長したらすぐ六%を超えるかといいますと、定年延長しても五十五以上の方がふえてまいりますには何年かたちませんと、定年延長直後はまだ一年だけの在籍者でございますから、五年もたてば五十五から六十の方がふえてくると、こういうことになりまして高齢者の雇用率も上がってくるということになってくると思いますが、そういったことが原因であると思いますので、今後一層定年延長の促進に努めて、そして実雇用率の達成に努力していきたいというふうに思っております。
○中尾辰義君 重ねてお伺いしますけれども、今度はこの雇用率達成計画というこれがあるわけですが、これにつきましてお伺いしますが、この高年齢者の雇用率制度、これは中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、こういうものがありまして、事業主は常用労働者の六%、ただいまもおっしゃったように六%相当以上の高年齢者を雇用するよう努めなければならない、そういう努力規定があるわけですね。それと同時に、労働大臣は法定雇用率の未達成企業等に対して雇用率達成計画の作成を命ずることができる、こういうようになっているんですよ、労働大臣。これは命令ですからね。そこで、労働大臣の雇用率達成計画の作成命令がこれまでどのように行われ、それによってどのような効果を上げたのか、これをまずひとつ説明してください。
○政府委員(関英夫君) 先生お話ありました高年齢者の雇用率達成計画の作成命令でございますが、これは雇用率未達成企業に五年程度の長期的な展望のもとに定年延長の導入その他いろいろな方策を計画的に実施していただいて、そして六%の法定雇用率を達成していただくための自主的な努力を促すと、こういうものでございますが、現在まで約三年間にわたりまして六百七十三の企業に対しまして提出命令を出しました。そのほかに、自主的に計画をつくって出していただいた企業が千百六十八ございますが、命令を出した企業は六百七十三企業でございます。 それで、どのような効果を上げているかということでございますが、まだまだ計画の年次の途中でございますので、完全な効果を把握するというには至っておりませんが、その出してきていただいた計画を見ますと、定年延長を導入して高齢者の雇用率を上げていきますというような計画の企業が非常に多うございます。そういう意味で、これを通じて定年延長を促すというような私は効果があるんではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
○中尾辰義君 これからというところですね。大体わかりました。 それで、大臣にお伺いしますが、ただいまお聞きのとおりに、高齢化社会が進むと企業の社会的責任、これが非常に大きくなるわけでして、たとえばいまもお話がありました法定雇用率の努力規定、これは六%ですけれども、これを将来に備えてさらに強める必要があると思うんだけれども、労働大臣の方はどういうふうにお考えでしょうか、お伺いします。
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありました高年齢者雇用率の達成というものは、年功賃金等わが国特有の雇用、賃金慣行の改善を図りながら行っていかなければならないというふうに考えておるわけでありますが、そういう実情に実際あるわけです。こうした雇用、賃金慣行の改善というものは、大体本来労使が自主的に話し合って決めるべき事柄でありますので、これを切り離して雇用率制度に強制適用を持たせたらどうかということはなかなかできにくい、こういうふうに私は強制力を持たせるということは適当でないというように現在は考えております。したがって今後とも、現行制度による雇用率達成のための計画作成命令というものがあるわけでございますから、これを活用しながら事業主に対する雇用率の達成指導を強く指導していくという考え方でございます。
○中尾辰義君 いずれにしてもこれは年寄りがふえるわけなんだ、大臣。それで、かなり厳しく指導しませんと、仮に当面六%を変えないにしても、計画できちっとやりませんと、統計が同じようなことを繰り返すようなことになりはせぬかと思うんですね。 そこで、最後に失対のことについて一、二お伺いしますが、今度の法律によりまして失業対策部が廃止をされまして、現在の失業対策事業は高年齢者対策の一環として実施すると、こういうふうになるわけですが、失業対策事業の対象者は、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、この附則の第二条によって四十六年十月一日から新規流入が認められなくなり、年々高齢化と減少の傾向をたどっておるわけでございます。 そこで、先ほどは五年後は打ち切るようなことをおっしゃったけれども、現在の失業対策事業の実態と今後の推移はどういうふうになっていくのか、説明をしてください。 それから二番目は、労働省が五十六年度予算で失業対策事業就労者に対して自立、引退することを条件に百万円の特例援助金、これは二万人を対象に予算を組まれておるわけですが、そこで、この特例援助金によってどの程度の失対就労者がリタイアしたのか、さらに五十七年度予算ではこの特例援助金が計上されていないようでございますけれども、計上されていないというのならその理由、どういうふうになっているのか説明してください。
○政府委員(加藤孝君) まず、失業対策事業の現状、今後の推移の関係でございますが、昭和三十五年のピーク時には約三十五万人の就労者がいたわけでございますが、四十六年には十三万人と減少いたしました。さらに、昨年の十一月末現在で約七万五千に減少をいたしてきております。御指摘のように年々高齢化をいたしておりまして、五十六年には平均年齢が六十四歳ということでございまして、六十五歳以上の方が約半数を占めておるわけでございます。また、七十歳以上の方も全体の二五%に達しておる、こういうふうに高齢化が進んできておるわけでございます。また、失対の紹介対象者となってからの平均失対就労の期間が二十二・五カ月という長きにわたっております。また、就労者の約七割が女性でございます。 それから今後の失対の推移でございますが、一昨年の十二月に提出されました失業対策制度調査研究報告によって指摘をされております方向に沿いまして、今後失対事業を労働政策としての事業としてこれを地域社会により役立つものに改善をしていく、こういう方向を基本としながら運営を進めていきたい。そのために、一つには高齢病弱者の方の自立、引退の促進を図ったところでございますし、また今後著しく非経済的、非効率な事業は逐次廃止をいたしまして、できるだけ地域社会の環境整備あるいは福祉の増進に積極的に寄与する事業の選定を進めていく。あるいはまた五年程度後の経過期間を置きまして、六十五歳未満の方について紹介対象者に限定していく、こういうような方向で臨んでおるところでございます。 また、昨年七月から九月までの間に実施をいたしました百万円の特例援助措置につきましては、予算上二万人を予定しておったところでございますが、実施をいたしました結果、国の特例援助措置によりまして自立、引退された方が一万五千三百名程度ということでございます。また、そのほかに地方単独措置であるとかあるいは就職支度金制度、そういったものでこの期間にやめられた方が二千九百名と、こんなようなことで合計約一万八千二百名の方が五十六年の下期から失対就労者でなくなった、こういう結果になっております。 また、この特例援助措置を五十七年度予算に計上しておりませんのは、五十六年度にこの特例援助措置を実施いたしました趣旨は、高齢病弱者の方の早期の自立、引退を図りまして、事業をできる限り効率的な事業にしていこう、そのためにわずかの予告期間といいますか、研究会の報告が出ましてその半年後の七月からこういう制度を実施する、こういう短期間のうちに失対から自立、引退をされると、こういうようなことで、生活を急激に変更されることになる、こういうような事情を考慮して特別な高額な措置をしたところでございます。 そういう意味で、五十六年度限りの例外的な措置であったわけでございまして、今後失対事業から自立、引退される方につきましては、それぞれの事情に即しまして今後こういう五年程度の間にいろいろ生活設計を検討していただく、こういう時間的余裕もございますので今後はこういう特例援助措置というものではなくて、現行の就職支度金制度の内容の充実活用、こういったもので対処していきたい、こう考えているところでございまして、そういう意味で五十七年度にはこの特例援助措置は計上していない、こういうことでございます。
○安武洋子君 私は雇用問題を中心にお伺いをいたします。 昨年の完全失業者の実数がございますけれども、これは、総理府の労働力調査の結果を見てみますと、百二十六万人に達しているということが言われております。これは七八年の百二十四万人を上回っております。この百二十六万人という失業者実数は、戦後最高の数字になっていると思います。雇用情勢というのは、ですから戦後最悪という事態ではなかろうかと思うわけなんです。 労働省にお伺いいたしますけれども、一体この原因と対策はどのようにお考えでございましょうか。
○政府委員(関英夫君) 先生も御承知のように、最近の経済情勢、非常に景気回復のテンポが鈍化しておりまして、そういった経済の状況が雇用、失業面にも反映してきているということで、最近の状況は楽観を許さないものがあるというふうに私どもも見ておるわけでございますが、完全失業者の動きにつきましては、一方で昨年後半から倒産件数も前年より下回るとか、離職者の発生あるいは求職者の増もやや頭打ちといいますか、緩やかになってきているというようなことで改善の兆しもあるとも思いますけれども、年度を通して、年間を通して見ますと、確かに失業者数の実数自体は非常に高いわけでございます。また、失業率も二%を上回っていて非常に高いわけでございます。 そういう中には、先ほど来の御質問にも多少ありましたが、一つには、高齢化ということが進行してまいりますと、高齢失業者はどうしても再就職に長期間を要する、そういうことでこれは実数なり率に響いてまいります。また、女子の労働市場への進出も最近非常に高まってきておりますが、やはり男子に比べて女子は職業の移動率が非常に高うございます。そういう意味でこの辺も失業者数なり失業率を押し上げる、そういう要因になっているというような労働力需給の構造的な要因も一方にあるかと思いますが、同時に、やはり一番大きなのは最近の経済情勢、それの反映としての雇用情勢の厳しさというところに原因があるのではなかろうかというふうに見ているわけでございます。 そういう現状に対してどう対策を進めるかという御質問でございますが、一つは、何としても経済政策によりまして景気の着実な回復といいますか維持拡大を図って、そして雇用の安定を図るということがまず第一でございまして、それなくして雇用情勢の改善ということは基本的にはあり得ないと思うわけでございますが、同時に労働省としましても、一つには、できるだけ失業の発生を予防するということで、雇用調整給付金制度を非常に弾力的に、きめ細かく積極的に発動するということによって失業の発生を予防する。 それから第二に、現に失業者として安定所に求職に来られている方々がおるわけでございますので、そういった方々に見合った求人を確保するために、いま全国の職業安定機関を挙げて求人開拓に取り組んでおるところでございます。 それから次に、就職の困難な方々に対しましては、その再就職を促進するためにさまざまな援助措置がございますが、こういったものを活用していくというようなことで現状に対処しているところでございます。
○安武洋子君 経済不況で大変いま深刻な状態にあります。ですから、基本的には経済政策で景気の回復を図らなければならないというふうにおっしゃるわけですけれども、いまの政策ではなかなか景気の回復も図れないということで、非常に失業問題が深刻であろうかと思うんです。その中でもとりわけ深刻なのは高齢者層ではなかろうかというふうに考えます。これは企業が高齢者を雇うということに非常に消極的であるということが原因ではなかろうかと思います。だから、高齢者の雇用につきましては、民間に雇用促進をしてくださいというふうなことでいま努力をなさっていらっしゃるということをおっしゃいましたが、御苦労なことだと思いますけれども、そのことと同時に、公的な就労事業の拡充ということを進めていくことも非常に大事ではなかろうかというふうに思うわけです。 その公的就労事業の一つでございます失対事業、これは、見てみますと年々就労者が大幅に減少いたしております。これは言うまでもなく、七一年に中高法を施行いたしまして新規の算入を禁止したと。そして新規の算入を禁止をしておいて、八〇年の十二月に失業対策制度調査研究報告で「終息を図るべき段階にきている」ということを打ち出しております。そして、八五年に基本的には廃止する方向をこれもまた打ち出しております。 今回の機構改革といいますのは、失対に対してこういうふうな基本方向を打ち出しているわけですから、その失対事業の廃止を先取りした失対廃止の路線上のものだということは私は明らかではなかろうかというふうに思うわけです。研究報告でも今後「終息に向けての必要な措置を講じつつ、」というふうにも言っております。ですから、やはり必要な措置の一環として今度の機構の改編が図られたということははっきりしていると。これでは高齢者の深刻な雇用問題、これに対処するどころか、そのことに対してやっぱり逆行するのではなかろうかというふうに思うわけです。本法による改編によって、いわゆる失対の打ち切りですね、これに私は一層の拍車がかかるのではないかと懸念をいたしますけれども、この点についてお伺いをいたします。
○政府委員(加藤孝君) 一昨年の十二月に提出されました失業対策制度調査研究報告におきましては、ただいま御指摘のように、基本的には失対事業は終息を図るべき段階に来ているが、しかしこれを直ちに終息させることにはいろいろ問題もある、そういうことから暫定的になお実施をすることもこれはやむを得ないと、こういう基本的なスタンスを出されながら、今後は失対事業を労働政策としての事業として適正に維持運営をし得るそういう内容に改善をしていく必要がある、そしてこれをさらに地域社会などに役立つそういう内容のものにしていく必要がある、こういうような観点から具体的には今後非経済的あるいは非効率的な事業をできるだけ縮小、廃止に努めまして、地域社会に役立つ、あるいは福祉関係施設の拡充等に役立つものに切りかえていくと、そして事業の運営についても、たとえば就労時間の適正化であるとかあるいは作業効率の向上であるとか、そういったようなことで事業の運営についてもより適正化を図っていく、こういうような事業運営を図りながら、五年程度の経過期間終了後に失対事業の紹介対象者を六十五歳未満の者にしていく。こういう方向が示されておるところでございまして、そういう方向に沿っての失対事業の運営を今後進めていく方針でおるところでございまして、決して五年で打ち切る、こういうことではないわけでございます。 今回の失対部の高齢者対策部設置に伴う振替廃止は、先ほど局長から申し上げましたように、これは行政改革が進んでおります中で失業対策部をまさに振替廃止をし、そしてこれを高齢者対策部において重要なやはり高齢者対策の一部門として対応していこう、こういうものでございまして、この失対部の振替廃止が失対の直ちに打ち切りに連動すると、そういうようなものではございません。
○安武洋子君 私はいまの質問で五年で打ち切るのかというふうな御質問はいたしておりません。この中で基本的に廃止の方向、終息の方向を打ち出していると、この中にも五年程度の経過期間を設けることが必要、そしてその五年を経過した後で六十五歳以上の者を失対事業の紹介対象者として取り扱わないものとすることが必要であるというふうなことは承知しているわけなんです。 私がここで問題にしているのは、こういう情勢の中で、今度の機構改編というのがそれを先取りして、やはりいまのこういう基本方向を打ち出されて、五年で経過期間を設けられている云々というこういうことでいわゆる失対打ち切りに拍車がかかっていくというふうな機構再編になるのであろうということを御質問申し上げているわけです。いまのは、そういうことにはなりませんという趣旨でございましたので、本当にこの失対打ち切りに拍車をかけるというふうな機構改編ではないというのかどうか、その点もう一度御答弁願います。
○政府委員(加藤孝君) 失対事業の今後の運営につきましては、先生も御指摘ございましたこの調査研究報告に基づきまして進めていきたいということを申し上げておるわけでございますが、この今回の振替廃止は、これは今後の高齢化社会に対応するために高齢者対策部を設置しようと、しかしこういう行政改革も進んでおります中でございますので、部を新設する場合には何か部を廃止しなきゃならぬ、こういうような政府部内の事情にあるわけでございまして、そういうこととの関連で、就労者が高齢化しておられる、こういうような事情等にもかんがみまして、そういう高齢者対策という観点からの対応も必要になってきておる現状に失対事業があると、こういうことで失対部を振替廃止して高齢者対策部で失対事業を継続実施をする、こういう構えになっておるわけでございます。
○安武洋子君 私は、やはり高齢者対策とこう銘打って今度の改編をなさるわけですけれども、そう言いながら失対のこういう高齢者、まさに高齢者、こういう人たちの職を奪っていくというふうな基本方針を進めるというふうなことで、そしてやっぱり失対部を廃止していくというふうなやり方というのは、単に振りかえというふうなことにはならないというふうに思います。そのことを申し上げておきまして、次に民間企業における私は高齢者の雇用の問題について伺ってみたいと思います。 先日労働省で、六十歳定年制を実施していない三百人以上の企業約四千二百社と聞いておりますけれども、この約四千二百社に対しまして、五月十五日までに今後の定年延長の方針の記入を求めた回答期限つきの要請書を送付されていると思います。ところが新聞報道などによりますと、日本商工会議所が三月二十四日に労働省に対しまして、労働大臣の要請書というのは企業の自主的努力を無視した不当な行政介入だというふうな談話を発表いたしております。労働省の方針に強く反発していると思います。私は、こうした抗議に対しまして、労働省はあくまでも毅然とした態度で臨むべきだと思いますが、大臣、御所見を伺いとべございます。
○国務大臣(初村滝一郎君) これは先ほども答弁を申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては定年延長の推進に積極的に取り組んでおるわけでございます。ところが、昭和六十年六十歳定年の一般化に向けていまどんどんどんどんやっておるわけでございますが、まだ一部にその取り組み方のおくれている企業があるわけなんです。こうした取り組みのおくれた企業に対して、いまお話のあったとおりに、私の名前で定年延長に関する要請書を四千数百社に送ったわけでございますが、私みずからこの定年延長についても指導しておるわけであります。したがって今後とも、これを契機として個別の行政指導を計画的に推進してまいりたいという気持ちに変わりはありません。 ところが、先般日商の労働委員長談話によって、行政指導に当たっては民間企業の自主的努力を十分尊重し、行き過ぎを招くことのないことを求めたというふうに新聞に出たわけです。実際はまだ私は会っておりません。ただ新聞情報を聞いただけでありますが、何といっても定年延長というものの実施というものは、やはり労使間における自主的な話し合いによって決定しなければならないという基本方針があるわけでございますから、私は個別行政指導の実施に当たっても行き過ぎのないような指導はやっていきたいと思います。これを法制化すれば企業の方も困るわけなんですから、法制化をする前に何とかしてでも行政指導によってこれを達成したいということで、今日の計画をさらに積極的に推進して、できる限りいまお話があるように早期に六十歳定年の一般化が実現するように今後とも最大限の努力を払っていく決意でございます。
○安武洋子君 やはり日商のこういう反発があろうとも、応援もいたしますからしっかりと労働大臣、がんばってください。 次に、労働時間の短縮による雇用の拡大の問題ですけれども、日本の労働時間、これは国際比較をしてみますと先進資本主義国から見ても大変長いわけですね。たとえば西ドイツと比べますと年間四百十八時間も長いわけです。それから、日に直しますと五十二日間も長いということになります。労働省は一昨年十二月に、週休二日制等労働時間対策推進計画、これを作成して時間短縮を推進していくというふうな方針を打ち出しておられますけれども、その後この推移はどうなったかということをお伺いいたします。
○政府委員(石井甲二君) 御指摘のように、日本の労働時間につきまして五十五年十二月に推進計画を樹立をいたしました。昭和六十年までに西欧段階に何とかキャッチアップしたい、こういうことでございます。 少し長期的に見ますと、日本の労働時間は昭和三十五年に二千四百三十二時間でございまして、現在、昭和五十六年に二千百一時間、すなわちこの間に三百三十時間ほど減っております。つまり、長く見ますと日本の労働時間はやはり相当短縮の傾向をたどっているということが言えるかと思います。 ところで、最近の情勢を見ますと、景気の動向もございますが、ややその短縮のテンポが緩やかになっているということは現実の状態でございまして、そこで私どもはこの推進計画によりまして、まず週休二日制につきましてやはり一つの突破口といいますか、いわゆる銀行の週休二日制ということ、長い間の懸案でございましたが、この際銀行の週休二日制について積極的に業界の協力を求めました。これによりまして、現実には銀行協会あるいは相互銀行、信用金庫等を含めまして何とかさしあたり月一回のいわゆる閉店による休日をつくろうと、こういうことでいま努力をしている最中でございます。週休二日制につきましてもそういう銀行の週休二日制が一つの契機にもなろうと思いますし、また各種団体あるいは業種別会議等を通じましてこれを促進してまいりたいというふうに考えております。 それから年次有給休暇につきましては、大体日本の年次有給休暇の消化率が六一%程度でございます。これはいろんな要因がございますが、どうしてもやはり集団的な産業の形態を日本の就労の形態としているということが大きな原因になっていると思います。これにつきましても、その職場の集団の中の体制をやはりつくり上げるという努力をいましている最中でございます。 また、もう一つの超過勤務の問題につきましても、できるだけ三六協定を適正に行うということを通じてこの問題に行政的にアプローチをしているというのが現状でございます。
○安武洋子君 先日、時間短縮の一環といたしまして、残業時間の上限につきまして全国的なガイドラインを設けることを発表されております。その基準、これは何を考慮して決めようとなさっていらっしゃるんでしょうか。また、その目標としましてどの程度の水準を目標、めどとしようとしていらっしゃるんでしょうか。それからまた、これはいつごろまでにお決めになる予定なんでしょうか。そこのところをお伺いいたします。
○政府委員(石井甲二君) 労働時間問題の一つに残業時間の問題がございます。日本の残業時間の問題につきましては、これは外国と違いまして非常に日本的な特質がございます。すなわち、時間外労働というものが、ある場合に景気の変動によってこれが変化するという側面もございます。また同時に、雇用の面におきまして、基本的に終身雇用をとっておる場合に、どうしても人を雇い、かつ排除するということが、外国のようにいわゆるレイオフという制度がございません。どうしてもその雇用調節を労働時間の、特に所定外労働時間の弾力的な対応を行うという日本の企業の雇用慣行の一つの特色として労働時間が絡んでおるという特色がございます。そういうことからして、この残業問題というのは、外国とまた違った日本的な条件をどう考えるかということともかかわりがございまして、なかなかむずかしい問題を実のところは内包しておると思われます。しかしながら、現実に著しく長い時間外の労働協定を行うということについて、何らかの適正な形をとる必要があるのではないかということは考えております。 そこで、問題はどういう方法によって、あるいはどういう内容をもってこれに対応するかという場合には、先ほど私が申し上げましたように、日本の所定外労働時間の特質ということがございますので、時間外労働の全国的な規模の実態をいま調査をしているわけでございまして、その調査の実態についての結果がいままだまとまっておりませんので、現在その集計分析中でございます。これを通じまして、適正なあり方を今後とも模索していきたいというのが現状の姿でございます。
○安武洋子君 まだ何にも決まっていないわけですか。ただ集計しているというだけのことで、まだどのような基準、それから目標はどれぐらいにしょうかというふうなことは全く何もまだ考えていないという段階ですか。
○政府委員(石井甲二君) そのとおりでございまして、現在時間外労働の実態を集計分析中でございまして、その結果によりましてどういう対応をするか、これをいま検討したいと思いますけれども、何分にもその結果をいままとめておる最中でございますので、その結果によりまして、どういう形でこれを行政的な行動に結びつけるかということはまだ決定をいたしておりません。
○安武洋子君 もしガイドラインがつくり上げられたと、それを民間企業に守ってもらうというふうなことになるわけですけれども、実際にそのガイドラインが実行されるかどうかというふうな実効性を確保する、担保するということのためにどういう措置を考えられているんでしょうか。
○政府委員(石井甲二君) ガイドラインを設定するか、あるいは設定する場合にどういう基準あるいは水準にするか、これはガイドラインを設定することの当否を含めまして、これから検討いたしたいと思います。 ただ、もし仮にガイドライン設定がされた場合には、何といいましてもやはり関係労使団体の意見を聞くということも必要でありますし、コンセンサスを得るような形の実効性のあるガイドラインをつくることになると思います。ただ、日本の労働時間の、特に残業の問題につきましては、いわゆる労使が協約に基づきまして、あるいは労働組合のないところは労働者の過半数を代表する者が使用者と協議することによって一つの成立をする条件がございますので、労使の自主的努力をやはり基盤にするということであるべきであろうかというふうに考えております。 しかしいずれにせよ、このガイドライン問題につきましては、現在実態を調査中でございますので、それを待ちましてそのあり方等あるいはその当否について決定をしてまいりたいというように考えています。
○安武洋子君 ちょっと申しわけないんですけれども、御答弁は短かくて結構ですので。 このガイドラインを「五十七年度労働基準行政の運営について」の中では「ガイドラインを設定し、全国的指導基準とすることとする。」というふうにうたってあるのですけれども、まだこれをつくるかつくらないかわからないような口振りをなさるのですけれども、その点はどうなんですか、イエスかノーだけで結構ですから。
○政府委員(石井甲二君) ガイドラインの設定ということを私どもも考えております。ただしかし、先ほど何回も申しますように、まだ実態の検討中でございますので、それの結果がわかり、あるいは分析の結果によってコンセンサスを得るような水準かどうかということも問題ございますので、その結果を待って最終的な決定をいたしたいというように考えております。
○安武洋子君 相変わらずつくるともつくらないともわからないお答えをなさるんですけれども、イエスかノーかと聞いているんですが、イエスでもない、ノーでもないと、検討中、そういうことですか。——うなずいておられるので、そういうことで、何だか頼りないが次に進みます。 今度の労働省の新しい施策に地域雇用開発推進事業、こういうのが挙げられております。予算は初年度の五十七年度が一億一千九百万円計上されております。この施策の概要はどのようなものか、ちょっと端的にお願いいたします。
○政府委員(関英夫君) 最近地方におきまして定住志向といいますか、Uターン現象あるいは新卒者を含めて定住志向が強まっております。そういう意味で地域社会の主体的な努力でその地域社会におきます雇用の状況に即した産業開発が進められ、雇用機会が拡大することが非常に重要だろうと思います。そういう意味で新しく来年度から地域雇用開発推進事業というのを実施することにしたわけでございますが、具体的には、市町村その他関係者の御協力を得て、雇用機会の開発を図るためにまず地域雇用開発推進会議というのを置きたい。これは公共職業安定所を中心にして市町村、産業関係の団体、それから組合代表者、行政機関、そういうものを入れての会議でございまして、この会議で当該地域の雇用の実態に即した雇用開発の基本的方向を定めます地域雇用開発方針というものを作成していただく、そして当該地域において事業場を新増設して地元の居住者を常用雇用労働者として雇い入れる事業主に対しまして地域雇用促進給付金を支給するというような形で地域の雇用を進めたいということを考えている事業でございます。
○安武洋子君 地域雇用促進給付金についてお伺いをいたします。 この給付の該当者は年齢で制限をすると、こういう項目がございませんね。この点で私懸念をいたしますのですけれども、企業はやっぱり高齢者よりも若年層を雇用したがる、そうなりますと中高年はどうしても疎外されるということになるのではないかと思うのです。若い人なら、企業は必要なときに、人が要るときに雇うわけですから、むしろ深刻な中高年齢者の雇用機会、これを創出できるように運用を配慮すべきではないかというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(関英夫君) 年齢制限を確かに入れておりませんけれども、そうして企業はとかく若い人を雇いたがるということも事実でございますけれども、先ほど申しましたように、地域の労働力の状況に即した雇用開発を進めよう。従来は、とかく産業振興あるいは工場の再配置、あるいは農村地域工業導入というふうに産業政策の面から地域の開発が進められ、そうすると地域の雇用の状況に合わない形で労働者の採用が進められる、こういうことが多いものですから、逆に地域の雇用状態がこうだからそれに合った形での産業開発を促進していきたい、こういう方針のもとにこの事業をやるわけでございますので、その地域が虫高年齢者が非常に多い地域であれば、まさにその中高年齢者を雇っていただけるような企業の開発というものを方針として決めていただく、こういうことを考えておるわけでございまして、これからの高齢化社会のことを考えますと、中高年齢者の地元の方の雇用促進に役立つような形の産業開発を重点にしていかなければならないと思っております。
○安武洋子君 ぜひとも中高年齢者の雇用機会を創出するような運用を重々心がけていただきたいと思います。 それで、この地域雇用促進給付金の給付対象の事業者についてですけれども、大企業とか中小企業とか零細企業とか、こういう企業があるわけですけれども、こういう企業の規模によって給付対象から除外するとか、あるいはそこだけに給付をするとかという企業によっての差別をするということですね。 それから、現行法では対象業種から除かれている風俗営業とか、こういうのは別といたしましても、業種とか事業形態によって除外したりすると、そして入れたりするというふうなことがないように公正に運用をしていただきたい、こう思いますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(関英夫君) 地域雇用促進給付金の対象業種を一定の労働大臣の指定業種に限るといたしておりますのは、規模その他を考えているわけじゃございませんで、端的に申し上げますと、書きにくかったからこういう表現になったわけでございまして、風俗営業を除く意味合いでございます。それ以外のものを制限することは考えておりません。
○安武洋子君 では最後に労働省の定員の問題です。これは全体で百六人も減員になっております。特に地方の安定機関では六十五人も減員されております。第一線では失対課、それから労働課、労働係、こういうところの減員が目立っております。 職員の増員につきましては、国会で附帯決議とか請願でも採択をされるとかという、国会の意思というのははっきり表明されております。で、この国会の意思に逆行するというふうなことが現実に行われているわけです。これでは、高齢化社会に対応するためにというふうなことを言いましても、実際にそれに従事する職員はどんどん減員されていくというふうなことではこういうことは的確に適切に運用されない。どういう法案をつくろうと、どういう施策を打ち出そうと、これを実行する職員が減員していくわけですから。ですから私は、労働省は職員のこの増員要求に対しても、国会の意思もはっきりしているわけですから、しっかりした姿勢で臨むべきだというふうに思います。 その点について労働大臣の御所見を伺いまして私の質問を終わりたいと思いますので、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(初村滝一郎君) なかなかむずかしいお答えでございますが、現在臨調その他もあって私どもも実際労働省の窓口が非常に広がっているわけでございますけれども、増員関係がなかなかむずかしい。そういうところで、私ども内部で仕事がうまくいくようにやりくりしておるわけでありますが、いまお話がありましたように、国会の決議等もありますから、鋭意そういう趣旨に沿ってできるだけ臨調であろうと何であろうと強く労働省の意見を申し上げて、仕事に支障のないように努力したいと思います。
○柄谷道一君 質問の本論に入ります前に、労働大臣に要望を一ついたしておきたいと思います。 それは、私昨日の予算委員会の集中審議でもただしたところでございますが、経企庁長官の経済見通しとして、五十六年度の経済成長は三%前後、場合によれば二%台に割り込む懸念すらある、こういう答弁がございました。そして五十七年度の景気見通しにつきましても、建設国債の追加発行など約二兆円規模の財政措置をしなければ再び来年度も二%台に割り込むおそれがあるという日本経済調査センターの予測に対してどう思うかという質問に対しても、おおむねその見通しについては懸念はあるという御答弁をいただいたわけでございます。 以上の状態からいたしますと、本年度以降の経済情勢はきわめて深刻である、こう言わなければなりません。そのことがまたわが国の雇用情勢にも大きく波及することは避けられないと思うのでございます。 したがって、労働大臣は経済関係閣僚会議の一員でございます。今後雇用指標等について的確にチェックされまして、雇用対策の面から、ひとつ経済対策閣僚会議においても安定経済成長維持のための積極的施策について、問題によっては大蔵省に、建設省に、経企庁に果敢に発言をしていただきたいということを御要望申し上げたいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(初村滝一郎君) 私は、昭和五十七年度の予算編成をするときに、物価は四%台に抑えなさい、それから経済成長は五%に乗せなければいけない、こういうような計画をもってやらなければ私どもの労働省としても雇用の安定等についてもなかなかスムーズにいかないよということで、特に経済企画庁長官にいま申し上げた数字を申し上げました。したがって、五十六年度の経済が二、三%台に落ち込むんじゃなかろうか、あるいは五十七年度の五・二%もそれだけ達成することはむずかしいんじゃなかろうかというような予測でありますが、私どもといたしましては、どうしても五・二%経済成長、安定成長をやってもらわなければいけない。これには外需関係を一・一%、内需を四・一%、計五・二%見ておるわけでありますが、安定成長するために私どもも大所高所からその環境をつくらなければならないというふうに考えております。したがって、特に内需について建築関係を重要視しておるわけでありまして、私どもも財形持ち家制度にこれを利用して援助すべきではなかろうか、かように考えておるわけであります。 したがって、今後の雇用政策上、そういう観点から、言うところは大蔵大臣にも言い、大いにがんばれというような御激励をいただきましたので、できるだけ期待に沿うようにがんばりたいと思います。
○柄谷道一君 許された質問時間は三十分しかございませんので、答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたします。 私は、不透明な時代だと、こう言われている中で、高齢化社会の到来だけは確実であろうと思います。 そこで、五十五歳以上の人口動態につきましては、さきに中尾委員からの質問に対し関局長からの御答弁があったわけでございますが、また六十五歳以上の人口の総人口に占める比率を眺めてみましても、五十五年当時の九%から七十五年には一四・三%、昭和九十五年には一八・八%とおおむね現在の二倍に達する。また、出生率が低下いたしまして、老齢人口一人を支える生産年齢人口はこれまた最近の七・四人から昭和九十五年には三・三人と半減する。これは厚生省の人口問題研究所の示す人口動態によっても明らかなわけでございます。 それで、こうした人口の高齢化が日本の社会経済に及ぼす影響はきわめて大である、こう言わなければなりませんし、特に経済成長や高齢者福祉費用の負担に対するインパクトというものを重視しなければならぬ、こう思うのでございます。そこで、この労働力人口の高齢化に対して簡潔に労働省の展望をお示しをいただきたい。
○政府委員(関英夫君) 労働力人口の見通しは、人口の見通しができましても、労働力率がどういうふうになるか、特に高齢者あるいは女子の労働力率、その辺の見込みが非常にむずかしゅうございます。そういう意味で非常に長期を展望するということはむずかしゅうございますが、雇用政策調査研究会で約二十年後を見通した供給面がございます。それから、需要面については十年後の見通しまでしか出ておりません。その辺をちょっと申し上げたいと思います。 まず、労働力人口の方でございますが、五十五年の五千六百五十万人が七十五年には六千四百十三万人と、約七百六十万人増加しますが、このうち高齢者、五十五歳以上の者は五十五年の九百十二万人から七十五年には千四百七十四万人へと増加し、この間の全体の増加数の約七割、五百六十万を占めると見込まれております。この結果、労働力人口全体に占める高齢者の割合は、五十五年の一六・一%から七十五年には二三%へと上昇し、働く者の四人に一人は高齢者になるというふうに見込まれているわけでございます。 需要の方は、五%程度の経済成長が今後進むということであれば、マクロとしての労働力需要と供給とはおおよそ見合って、その間に欠員に見合う程度の失業者数が出るであろう。これはいわば完全雇用下における失業者数であろうということが見込まれておりますが、それはマクロの問題でございまして、年齢別、地域別あるいは性別、そういったいろんなギャップが起こり得るということが懸念されているわけでございます。
○柄谷道一君 一般的に労働人口の高齢化ということは言われるわけでございますが、私は今後高齢化の波は六十歳台の前半層に移るというのが的確な見通しであろうと、こう思うのでございます。したがって、昭和六十年以降の雇用対策として大きな問題になるのは、この六十歳前半層の雇用就業対策をいかにすべきかということに必然的になってこようと思います。しかし、六十歳前半層の雇用対策を講じていこうとすれば、どうしてもその前提として六十歳定年制を完全に定着させるということがまず必要になってくると思うのでございます。 そこで、労働省の定年制の進捗状況につきましては、さきの委員の質問に対して御答弁になったわけでございますが、特に注目しなければならないのは、中堅規模の企業で定年制の取り組みが立ちおくれているということが指摘されるのではないか、こう思います。どういう理由によって中堅層の定年制延長が立ちおくれているのか、端的にお答えをいただきたい。
○政府委員(関英夫君) 大企業に比べまして中堅企業におきましては、定年延長に伴う人件費コストの増大を吸収したり、あるいは高齢者に適した職場を開発するということがむずかしかったりというようなことが一つの原因として挙げられるかと思います。また、中堅規模の企業にはいろいろございますが、最近比較的急速に発展してきた企業においては、まだ従業員の年齢構成が若くて定年延長ということに対する切実感が乏しいということもございます。あるいはまた逆に、大企業からの定年退職者等を引き受けて、あるいはまた自分のところでも定年後の人を継続雇用している。現にそうやって中堅規模は高齢者の実雇用率が高いわけでございます。そういう意味で、必ずしも定年延長しなくても自分のところは高齢者をちゃんと雇用しておる、そういう意味で何ら支障ないというような考え方のもとにあるいは定年延長への切迫感がないとか、多種多様な原因が考えられるかと思います。
○柄谷道一君 私は、社労委員も長くいたしておりましたので、六十歳定年制の法制化問題についてたびたび質問として取り上げました。それに対する歴代大臣の御答弁は、行政指導により六十歳定年制を定着させる。特に、前藤尾労働大臣は胸を張って自信ありとお答えになったわけでございます。しかし、まだ四割近い企業が現実に五十五歳定年制でございます。しかも、いままで指摘されましたように、一部業種や中堅規模の企業では取り組みが立ちおくれていることも事実でございます。そこで、労働省では今後具体的な個別指導によって一般化を図りたいと、こう絶えず述べられているわけでございますけれども、果たしてそれが可能なのかどうか、私はそのことに対して若干の疑義を抱かざるを得ません。まして最近、各地の商工会議所では行政指導の行き過ぎではないかという議論すら出ているのがその実態でございます。 そこで労働大臣として、残された昭和六十年までの期間に、文字どおり個別的行政指導を計画的に推進するに当たって、いわゆる不退転な決意で臨まれる必要があるんではないか、このように思いますが、改めて大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(初村滝一郎君) そういうふうに、お尋ねのように、私としても行政指導によって六十歳定年を実施しなければならないというような責任感から、先般新聞紙上でも出たとおりに、四千数百社に対して丁重なるお願いというような文書をつくって出しておるわけでありますから、必ずや六十年までには六十歳定年が実現するように最大の行政指導と熱意を持っております。
○柄谷道一君 私は、定年制に対して消極的な事業主というのは、いわば深刻な高齢化社会というものに対する展望を欠くものである、近視眼的な発想による企業エゴと断じてもいいんではなかろうかとすら思うのでございます。したがって、大臣としてただいまの御決意どおり強力に行政指導されますとともに、私としてはこれが実行できない場合は、今後六十歳台前半層の雇用対策に入っていかなければならないわけですから、一般化しない場合には法制化も考えざるを得ないというぐらいの決意を持って行政指導に当たっていただきたい、このことを意見として申し上げておきたいと思います。 そこで、六十歳前半層の雇用問題についてでございますが、過般労働省が調査いたしました「高年齢者の就業等実態調査」という資料を眺めてみますと、その特徴としては、この層の人々はずいぶんバラエティーに富んでいるということが言えるんではないかと思うんです。まだ小さな子供を育てている人もあれば、すでに子供が成人したという人もある。健康に恵まれた人もあれば、すぐれない人もある。年金の受給者である者もあれば、また年金の受給に至っていない者もある。したがって、こういう生活の実態の多様さが当然仕事に対する意識も多様にしているということをこの調査の結果は物語っている、こう思うのでございます。 そこで、お伺いしたいことは、このような多様な就業希望に応じたきめ細かな対策を講ずる必要がある、こう思うのでございます。この場合、健康も体力も十分でまだ十分同じ職場で働ける人を、六十歳で定年だからといって雇用の機会を奪うということは、私は、その人の技能や経験を生かす場を奪うことになりますし、経済全体から見ても大きなマイナスになると思うのでございます。多様なものは生かしていかなければなりませんが、基本的には、六十五歳ぐらいまでは、定年延長もしくは雇用の継続によって同一企業で雇用の場を確保するということを対策の基本に据えるべきではないか、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(関英夫君) 先生からお話ございましたように、六十歳台になりますと、体力、健康、家庭事情、いろいろでございまして、その就業希望も多様でございます。それから、よく言われることでございますが、高齢者になると能力が落ちて働く力も落ちてくるんではないかと言われますが、逆に、長年続けていた仕事を続ける限り高齢者の職業能力というのはそう落ちないという学説を唱える方も非常に多いわけでございます。そういうことをいろいろ考え合わせますと、六十歳台前半層につきましては、まず第一に、できる限りもとの職場で同じような仕事が続けられることがまず第一だろうと思います。しかし、全員がそれを希望しているわけでもございませんし、全員がそれが可能とも言えないわけでございますから、したがって全員について一律の定年延長ということは無理な点があろうかと思いますが、可能な方、そして希望する方については雇用が継続されるような施策がまず第一にあるべきだという点は、先生の御指摘のとおりだと思います。この一月一日から高齢者雇用確保助成金制度を設けましたのもそういった趣旨でございます。 第二には、多様な希望の中で、フルタイムでなくパート的な短時間就労を希望する方にはそのようなパート雇用を、あるいは任意的な就業を希望する方には任意的な就業をというようなふうに多様な対策が必要だと思いますが、第一義的には継続雇用が最も望ましいと私どもも考えておるところでございます。
○柄谷道一君 私も、この六十歳前半層の雇用対策の基本は、第一義的には、定年延長もしくは雇用継続によって少なくても六十五歳までは同一の職場で雇用が確保されるというところにやはり基本線を据えた対策の展開というものをぜひ労働省で確立を願いたい、こう思うんです。ただこれは、すべてにはいかないということはそのとおりだということが意識調査の結果あらわれてきておるわけですね。 そこで、われわれ考えなければならないのは、第一には、中高年齢層の著しい肥大がこれから起こってくるという側面だろうと思います。第二番目には、定年の一律延長には、いま関局長が言われたように一つの限界がある。三つには、老齢化社会になりますと、公的年金の財政展望というものをあわせ行わなければならぬという側面がある。こういうものを解決しながら雇用対策をしていかねばならぬわけですね。 そこで労働大臣、お伺いするんですけれども、スウェーデン等は部分就労・部分年金、これは、日本的に直訳すれば段階的退職制度とも言うんでしょうか、こういう制度が生まれているわけですね。これにはもちろんメリット・デメリットがいろいろ出ております。しかし、少なくとも今後の高齢化社会に対応して、スウェーデンの事例等も労働省として十分検討されて、日本型の部分就労・部分年金というこのシステムについて少なくとも前向きに検討するという必要はあるのではないか。それを採用するかどうかは多くの識者の意見を聞いて決めなければならぬと思うんですが、新しい発想を持って前半層の雇用保障と所得保障をミックスした新しい制度の確立ということに対して検討される御用意はございませんか。
○国務大臣(初村滝一郎君) いまスウェーデンの制度が御披露あったわけでありますが、御指摘の部分就労あるいは部分年金については、勤労観、雇用、賃金慣行あるいは社会慣行の異なるスウェーデンの制度がわが国になじむかどうかということが一番私は問題になるんではなかろうかと思いますけれども、いずれにしましても就業形態の多様化に対応した高齢者対策のあり方について、今後長期的総合的な観点からぜひ前向きに研究してみたいと思います。
○柄谷道一君 その場合は厚生省、労働省の枠を越えなければその研究ができないわけですね。私は、いま行政改革が言われているときですから、あえて新しい審議会の設置とは申しませんけれども、ひとつ大臣の私的な調査機関として識者にこのようなものを研究を委嘱して、そしてその意見を大臣に、そしてわれわれに具申願うという試みはとれませんか。
○国務大臣(初村滝一郎君) いま御質問がありましたとおり調査研究機関を厚生省その他でも関係があるからつくれ、つくって検討せよということでございますけれども、それをつくる前にさっき言ったように前向きで検討をしていきたい、こういうことでございます。その結果つくる必要があればつくると。
○柄谷道一君 ただいまの大臣の答弁を非常に意欲的な答弁と受けとめて、まずそれは、そのために労働省が省内でいろいろ研究をしてみたいと、そこで、なじむかなじまないかというのは、私はスウェーデンの制度をそっくり日本に取り入れろと言っているわけじゃないんですよ。なじまないとするならば、そこに日本的な制度をそれを参考にして確立すればいいわけですから、ひとつ労働大臣、意欲的にこの問題について検討に取り組んでもらいたい。そしてでき得れば諮問機関ないしは調査機関等が設置できる段階まで労働省として検討を煮詰めていただきたい、その時期を早めていただきたい、このことを希望、要望いたしておきます。 そこで、そうした原則的な雇用継続制度、これから検討するとお約束願いました。こういう部分就労・部分年金制度というものとあわしてもう一本必要な柱は、生きがい的な就労の場を求める人に対して働く場を提供するというシルバー人材センターでございます。このセンターにつきましては、一般的に好評を得ておるようでございますけれども、この際シルバー人材センターをもう少し法制的に整備をして、また設置する自治体の人口規模、要件というものを緩和するなど工夫をこらして拡大していく、拡充していくということが必要ではないか。これは本年度の予算も五日か六日か知りませんが、上がりますので、本年度のには間に合いませんけれども、来年の予算編成に当たっては、そういう必構えで、意欲でこの問題に取り組むということを大臣お約束いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(加藤孝君) シルバー人材センターは、いま先生からも御激励をいただきましたが、私どももそういう生きがい就労的な形を望んでおられる六十歳以上の方々への重要な一つの施策だと考えておりまして、一昨年からこれを国の補助対象にいたしまして、鋭意その全国的な拡大、発展に努力をしてきたところでございまして、しかしながら、これが一昨年開所をしたと、こういうことでございまして、現在各地でやっておられます百三十五団体あるわけでございますが、いろいろそれぞれの地域の実情、就労者の実情、高齢者の方々の実情に応じまして、まだいろいろ多様なところがございます。いわば私どもとしては現在モデル的に実施をしておる、こういう面が多分にあるわけでございまして、そういう意味でこれを制度的にしっかり確立していくという方向については私どもも大賛成でございますが、ただ、それを法制の形でがっちり一定の枠に組み込むというにはまだ機が熟していない、まだいろいろモデル的な試みがなされておる段階でございますので、そういう各地の運営の実情というものをしっかりにらみ、そして、そういう中で逐次こういったものの制度化を確立していきたい、こういうような観点で取り組んでおるところでございます。 また、人口規模の問題につきましても、これは当初人口二十万、こういうことで発足をいたしたわけでございますが、現在は人口おおむね十万というところまで下げてきておるわけでございまして、これのなお、こういう人口規模のところで高齢者向きの仕事がある程度うまく確保できるかどうか、そういったような実情を見ながら、なおこの拡大については鋭意検討を進めていきたい、こんなふうに事務的には考えておるところでございます。
○国務大臣(初村滝一郎君) シルバーセンターが非常に各地で実際のところ人気がありまして、相当いま拡大して増設を図っておるわけですが、したがってシルバーセンターというものが活力ある地域社会づくりに寄与しなければならない、深く根をおろすということのようになっていってもらわなければいけない、そういう意味からいたしまして、助成の内容等についても充実したものにしなければいけないというふうに考えておりますので、一層このことについては努力をする決意でございます。
○柄谷道一君 私は、短い時間で指摘不足だったかもしれませんが、高齢化社会、そしてその対策は今後六十歳台前半層にその波が移っていくわけですから、ここにひとつスポットを当てた雇用就業対策の充実というものが必要である。このことに対しては大まかな御回答はいただいたわけでございますけれども、ただいままでの答弁で私はまだ十分であるとは思えないのでございます。私は、これを充実さしていくためには、一つには、この年齢層の雇用就業意識を的確に把握すること、これが第一であろうと思います。 それから第二には、企業サイド、事業主サイドの考え方を把握をして、これを啓蒙誘導するということが第二であろうと思います。 第三には、今後の高齢化社会に企業がどう対応していくのか、労使はどういう対応を考えるべきかという問題について、労使が議論し検討する土台となる雇用就業問題の調査をして素材を提供するということでなければならない、こう思うんですね。そういう基礎的な努力というものが集積されて初めて政策的なものが生まれてくると、私は現実的にそう思うのでございます。 そこで、これを踏まえての総合的な対策を講ずるに当たっての大臣の見解を求めまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(初村滝一郎君) 高齢化の波が移ると見込まれる六十歳台前半層については、雇用就業対策をきめ細かく実施してきておるわけであります。そこで、六十歳台年齢層の多様な就業意欲に配慮してその雇用の安定に努めるためには、この層の生活状況あるいは就業の実態、就業に関する考え方を十分に把握することが私は重要であると思います。従来から、高齢者対策等実態調査を初めとして各種の調査を実施してきたところでありますが、今後ともこうした調査を実施するとともに、関係研究機関での研究を進めることが必要である。したがって、これらの調査研究を通じてきめ細かな実態の把握に努めて、効果的な雇用就業対策の推進を今後一層図っていく考え方でございます。
○委員長(遠藤要君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。——別に御意見もなければ、これより直ちに採決に入ります。 労働省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 片岡君から発言を求められておりますので、これを許します。片岡君。
○片岡勝治君 私は、ただいま可決されました労働省設置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 労働省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たつては、次の事項について、配慮すべきである。 一、高齢者対策部の設置を契機として、中高年齢者に対する雇用、就業対策の拡充強化を一層図るとともに、関係各省と密接な連携をとり、総合的な高齢者対策の展開に努め、もって今後における高齢化社会の急速な進展の対応に万全を期すること。 一、失業対策事業については、失業対策部の廃止後も、その事業が果してきた役割にかんがみ、今後とも必要な関係予算の確保と、その適切な運営を図るとともに、就労者の実情に即した施策の充実に努めること。 一、高齢化社会への移行に伴い、地域における雇用開発がますます重要になっていることにかんがみ、地域の中高年齢者対策の拡充を図るための諸施策の検討を進めること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(遠藤要君) ただいま片岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤要君) 全会一致と認めます。よって、片岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、初村労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。初村労働大臣。
○国務大臣(初村滝一郎君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてその御趣旨を尊重いたしまして努力する所存でございます。
○委員長(遠藤要君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤要君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(遠藤要君) 次に、地域改善対策特別措置法案を議題といたします。 これより直ちに原案並びに修正案について討論に入ります。——別に御意見もなければ、これより採決に入ります。 まず、安武君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤要君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。 それでは、原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(遠藤要君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十六分散会 —————・—————