大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 471 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/03/30
会議録
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十九日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 法人課税についてお尋ねをするわけですが、税の専門家でいらっしゃる大蔵大臣に企業会計と税務会計とでは原則的にどういう違いがあるのか、まず教えていただきたいんですが。
○政府委員(福田幸弘君) 企業会計と税務会計との関係ということでございますと、これは法人税法はやはり企業会計の適正な処理を前提にしておりますので、関係はもちろんあるということであろうと思います。 費用、収益の対応ということで期間計算をやるという意味で企業会計原則、商法が成り立っておりますので、やはり税法も原則的にはそれを受ける形でしょうが、しかし、税は税でのまた立場があるということも言えると思います。法人税法の二十二条四項で、御承知のとおり、「一般に、公正妥当と認められる会計処理の基準に従って」、こうなっております。これは一般論でございます。あと、税の方は税の立場でやはり判断を加える余地はあろうと思うんです。これはそれぞれのやはり問題ごとにあらわれてくると思います。で、すべてが企業会計にそのまま従うという立場じゃなくて、それに合わせるのが原則であるけれども、税が判断を持つ分野というのがやはりあり得る。 これは、私、外国の制度を見てましてそう思うんですが、企業会計ございますけれども、税の方は税で別個の立場をとっている場合が多いというか、そういう国がまた英国にしてもそうです、一度減価償却なんか一回否認しちゃって、そして今度は企業会計とは別に税の方が判断を下すという伝統を持っておるわけで、これはやはりそういう立場も税としてはあるわけですから、必ずしも一致するということではなくて、それと合わせながらも税は税の独自の判断をする場合があるというふうに理解いたします。
○和田静夫君 そうすると、こういうふうに理解しておいてよろしいですか。企業の利益から一定額を加減をして課税所得が出るわけですね。そこで問題は、企業利益を算出する企業会計に、いま言われたように、税法は基本的にはやっぱり依拠している、それはいいわけですね。
○政府委員(福田幸弘君) 基本的にはそういうことだと思います。
○和田静夫君 そこで、法人税の転嫁問題なのですが、これは昨年の委員会で現次官とるるやりとりを私はいたしました。しかし、どうしても明確なお答えにはならなかったわけです。それで問題点についてはすでにレクチュアをいたしましたけれども、たとえば、経営のモデルによりますと一〇〇%の転嫁があるという。このモデルに対しては学説は諸説ふんぷんであることはよくわきまえていますけれども、資本が一〇〇%法人税を負担をしているという説は、そんなには多くはない。どれを読んでみてもそういう印象を受けるんですが、よろしいですか。
○政府委員(福田幸弘君) これは昨年の五月二十六日の御質疑、御質問がございまして、相当詳しく従来の経緯の御回答をいたしております。これは私なりに検討をその後いたしておりますけれども、実証研究は、答弁ございましたけれども、やっておりません。 それは、私考えますのに、法人税の転嫁論というのをどういう形で取り組むか、これは各国ともそういう最近のデータございませんし、その方法が確立されない状況にあるのは、経済状況が変わってきておるという問題があると思うんです。一般的に申しますと、伝統的な学説、これは法人への課税は利潤ですから、この前提は完全競争市場下において法人が利潤極大を目標としている限りは、もう一つは生産量も価格も変化がなければ、法人税は全額法人利潤、すなわち株主によって負担される、これは一般論だと思うんです。その前提のところは、完全競争市場で利潤極大を目標としたという法人活動が自由に行われる、生産量も価格も変化しないという条件下においては法人が負担する、それは株主。これは法人の利益を通じて株主、これは原則だと思うんです。したがって転嫁なし、これは一般的に言えます。 ただ、長期の場合にどうなるかと申しますと、法人利潤にかけますと、これはやはり投資の減少をもたらすというのは言えると思うんです、長期的には。そういう形での転嫁が起こる。それは収益率の低下ということが資本の減少、それが生産の減少、生産価格の上昇と、こういう形で、また株主のみならず消費者へも転嫁が行われるというのが長期的にはやはり乗数効果という問題というか、そういう波及の仕方で長期的には転嫁が起こっていく。 で、もう一つの問題、寡占による不完全競争市場というのがあり得ると思うんです、価格を支配しているような場合。そういうときには短期的にも転嫁が起こる。それは起こり得るわけですから、だからどういう企業がどういう課税を受けているかということによってその辺の状況が変わるということで、いままでの学説での実証分析が非常に抽象的なマクロを使っていますので、経済環境とか市場支配の企業ごとの関係を抜きにしているような気が私はするわけです。ここでやはり景気の問題が非常に大事になるという感じがするわけで、これは景気の状況というのがいままで実証的にあらわれた時期というのは、物価が上がっておった時期というのと、それから高度成長の時期であったというようなこともあれば転嫁がしやすいという状況になると思うんですね。いまのような低成長みたいな時期における転嫁論、これは変わってくるという気がします。 したがって、高度成長のインフレ的な市場、しかもその間、市場の力関係からいけば転嫁がしやすい、マークアップがしやすい、仕入れ価格にマークアップして売れるという状況であれば転嫁しやすい。しかし、これが状況が変わってきて低成長になり市場が停滞してくる、消費力も弱いというときに課税されると、しかも法人税の負担が相当高い水準になっておるというときになってくれば、これは転嫁ができないというのが実際の経営であろうと思うんです。 ですから、そういう状況をやはり抜きにしませんと、価格決定の要因が左右される経済環境というもとでの議論をする必要があるという気がします。いまのような停滞したときの法人税、しかも法人税負担が高いときにおいては転嫁しにくいというときの転嫁は、むしろ後転の問題が生じる。前転じゃなくて後転、後転の場合には後ろに転嫁するという意味ですが、これは賃金への転嫁、また原材料その他の仕入れに対する転嫁ということが起こり得るということが考えられます。 で、この転嫁論というのは間接税でよく議論されるんですが、間接税においても必ず転嫁されるという保証はない。しかし、これはいつも繰り返した御説明をしたと思うんですが、法律が転嫁を予定しているかどうかという問題がやはり法律論として大事ですが、経済的にも大事な点であります。たとえば酒税で増税いたしましても、公正取引委員会は増税した分についてのマークアップ、その値段の上げは認めてくれるわけです、便乗値上げは問題でございますけれども。そういう意味で、間接税の場合は転嫁ができることを前提にした税制になっています。ところが、法人税の場合は法人税上げたから、じゃ値段を上げると、一斉に上げるというようなことはこれはあり得ない。やはり企業に課税されておるからと。あとはマークアップ、値段を上げるときにはそれぞれの市場の関係であると。間接税も転嫁するといっても買い手の方がつかなければ値段上げれないわけですから、それの関係はよく似ておりますけれども、法制上は、その転嫁を予定しておるか予定してないかという議論に行きつく気がいたすわけです。 いろいろ申し上げましたが、いずれにしろこの法人の転嫁論というのは、経済環境、市場の力関係によって決まる問題が実際上大きなファクターであろうと思いますので、やはり法制上でそれを予定しておるか予定していないかという議論でこの直間という問題を整理するしかない。その場合、私は、直間というよりも直接税の中で所得税、法人税という言い方、間接税の中でも一般的な消費税と個別消費税と、こういうふうにやはり分けた御議論の方がもっと突っ込んだ税体系論になっていこうかという気がいたします。
○和田静夫君 私は、これは法人税が存在するかどうかという問題に結びつくと思いますので、昨年に続いて問題提起をしようと思っているんですが、仮にも一〇〇%転嫁があった場合、いまお話がありましたが、前転であろうが後転であろうが法人税というものの存在はなくなってくる。消費税ないしは所得税ということになってしまうというふうに、ずっと短絡的に考えればそういうことになると思うんですね。 そこで、五十五年の九月の企業課税小委員会報告を読んだんですが、ここでは「部分的転嫁の可能性を前提とする」と、こうなっていますよね。そうすると、部分的ではあるけれども、企業課税小委員会報告、税調は転嫁を認めたわけですね。認めているわけです。そうしますと、何%であるかということはわからないけれども、法人税の名目で取っている税金のうち、そういう名目で取っている税金のうち、所得税、消費税に回っているものがあるということになるんじゃないだろうか、そういう解釈は成り立たぬだろうか。 であるとすると、厳密に考えてみますと、現在あれこれ論議をされている、後ほども確認したいと思うんですが、昨日予算委員会で大蔵大臣は明確に直間比率四、六という考え方を明らかにされたようでありますけれども、一〇%上げるという考え方を明らかにされたようですが、そういう直間比率の問題というものもこれは変わってこざるを得ないだろう。いまちょっと主税局長の言外にはそういうことがあったのかと思うんですが、ここのところは大臣どうなんでしょうね。
○政府委員(福田幸弘君) 端的に言えば、税金を納めるのは国を構成している個人しかないということであろうと思います。
○和田静夫君 え、何……。
○政府委員(福田幸弘君) 国を構成している個人が払うわけですから、これは所得税と消費税と、こういうことになろうと思うんです。 しかし、法人税というのは、やはりその最後に行き着くところはそこであっても、税制として見れば、法人というのがある以上法人が企業活動しておると、これにはいろんな法人に対する見方はあるでしょうが、法人に課税している以上、一時的にやはり法人税というものがあると。それを転嫁論でずっと分解していって、賃金に食い込むとか商品となって消費税となっていくと、そこまでやはり二次的、三次的に分解することは、やはりその転嫁がはっきりしないという問題もありますし、税制論とすれば一時的に個人が払う税金、所得について個人が払う、個人の消費する消費税、それから法人というものが経済活動をしている以上、それを課税対象とする以上は法人税があると。そこまででございまして、それがさらにどういうふうに分解されていくかがいろいろと今度は経済効果の問題になってきますので、税制、法律論としてはやはり法人は法人課税と。しかし、法人については御承知のとおりにそれが株主との関係では二重課税になるというようなことを調整すべきかという問題は出てきますが、やはり法人税というのはそれなりに独立した税目としてはあるというところまでで、その議論を今度は分解し切ってしまって、法人税は間接税であるというところまではいけない。 というのは、個人の所得税に負担されるところも後転的にはあるわけですから、そういう意味でそこの転嫁がはっきりしないという問題と、一時的に法人が課税対象である以上はやはり法人課税ということはありますが、法人に余りに期待した課税をしていくということは、やはり本来個人というものが所得と消費に対して負担するというところを抜かして、余りに法人を間接税的に幾らでも負担が求め得やすいと言うのは欠点であろうという気がいたします。
○和田静夫君 私は、たとえば直間比率が七対三とかいろいろ言われるけれども、私がいま言ったような論理でいくと、どうもその数字自身も虚構のものにしかならぬだろうというような感じがしているんですけれども、私はやっぱりどうしてもこの法人税の転嫁問題というのは、もう少し、いま言われたように市場の原理、力関係などという論理について決してわからぬとは言いませんけれども、もっとやっぱり詰めていただく必要があるんじゃないだろうかというふうに思うんです。 それは、たとえば税調でもいま言ったように転嫁の可能性は認められている。昭和三十九年には。いまの税調の会長代理でいらっしゃる木下和夫さんは高い転嫁率があるとされているわけですね、これは。明確に書いていらっしゃる。わが国の推計の多くというのは転嫁を認めているわけですよ。これはもうどういうふうに言われても転嫁を認めているところの説の方が多いです。中には慶応大学の古田教授のように、二〇〇%転嫁率というやつがある。二〇〇%転嫁率というのがあるんで、非常にこれ興味深い推計に基づく論文でしょう。私は、そういう意味ではやはりいろいろのファクターはありますが、そのファクターをもとにしながらやっぱり大蔵当局はもっと理論的にも煮詰める必要がある問題だと、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
○政府委員(福田幸弘君) もう一度基本に戻って考えますと、国民経済計算上の分類というのがございます際の直接税、これは所得から支払われるもの、間接税は生産コストの一部となるもの、こうなっておるわけです。税制から見ましても、所得税、法人税は所得から払われるということですから、その法人税が経費にならない、コストにならないというのが最大のやはりポイントであろうと思うんです。別の、税源の把握方法ということからも、直接税は所得及び財産を課税標準とする、間接税は所得及び財産の存在を間接的に推定するとか、それから今度は、課税物件の経済的性質による分類という際も、直接税は所有または生産にかかるもの、間接税は消費にかかるもの。いずれにしましても、所得から払われるのが法人税及び所得税ですから、特に法人の場合これが事業税みたいな経費にならないというところがやはり基本的に違うという気がします。 それから、御指摘のこの問題は今後ともわれわれも関心持っていますので、今後中長期的な問題として法人に余りに負担をかけていくということがいいかという観点もございますので、所得税、消費税というものとのやはりバランスのとれた税制という意味では、法人課税の本質を調べるということは大事だと思います。 それから、法人の場合、日本に百四十万あるのに半分赤字だという際の、この法人というものにもいろいろあるという問題を抜かしちゃいけないと思うんです。ですから、同族法人というようなものと上場されている法人、この辺でやはり法人というものをどう考えるか、その辺も含めまして今後検討したい、こう思っております。
○和田静夫君 ぜひ私は検討をされてしかるべきだと実は思います。 有効で科学的な推計方法がたとえばないからといって、済まされる問題ではないということを諸論文を読みながら私はそう思うんです。 大臣、たとえば非常にこの問題で有効な推計がないということを前提にして考えると、それでは一体スタグフレーションというのはなぜ起こるのだろうか。スタグフレーションというのも定説があるのだろうかということをちょっと考えてみました。しかしスタグフレーションというものにも学説的にも定説がないにしても、これに対応をせざるを得ない。スタグフレーション対策というものは立てなければならないということを思うと、学説に定説がなければ、万人が、すべての人が納得することができる、そういう定説がもしなくても、定説がなかったら一歩も政策が進まない、何もできないということになるという論理に私はならないと思っていますがゆえに、この問題は実はくどいようですが取り上げ続けているんです。 この法人税転嫁問題というのは、二十年もすでに論議が請いてきている問題でもありますから、いま主税局長がなりはっきりと今後の問題について述べられましたが、とにかく税調が部分的な転嫁の可能性を認めたんですから、その前提の上に立ては作業ができないはずはない。そういう意味で税調でも早急にこの問題についてはもう少し科学的といいますか、何か努力を続けてもらいたい。これを大臣ひとつ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法人税転嫁説というのはございますが、いま主税局長が言ったように、ではどれぐらいのものを転嫁しているのかということになると、実際はよくわからない。原則的に言うと、法人税が損金に認められることによってそれがコストに入るというようなものならば転嫁されているということは言えるでしょう。たとえば事業税のようなものも一種の法人にかける税金ですけれども、こういうのはコストに認めるということになれば、こういうものは転嫁されるでしょう。 それから、交際費なんというのは一体どうなんだと。これはコストに入っているのだけれども、法人税をある一定限以上全部かけますよと。かけられても使う交際費は使うわけですから、税金で法人税取られているものもコストに入れるものも中にはあるわけですね、当然。しかし、原則的には法人税はコストには入らない、所得の中から払われるというのが原則ですね。法人税といえ戸も、納められたものでも実態的に部分的に転嫁されているものはあるかもしれない。そういうものはしかし全体としてはそんなに大きな数字にならないんじゃないかというように私は思っております。 したがって、私は、要するに原則的に見て、直接所得の中から支払われて、それでそいつがコストに入らない、経費に落ちないというような法人税は、やはりこれは所得税と同じように直接税の一つの大きな枠の中で計算してもいいんじゃないか、そう思っております。
○和田静夫君 この検討は、大臣、いま主税局長検討するということを言われているわけですが、税調検討でこの転嫁問題についてもっと煮詰めた作業をあなた方の方は要請をしますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) もちろん、そういう御提案があったわけですから一緒に検討いたしたいと思っております。
○和田静夫君 次に、減価償却についての特例措置ですが、法人税法の施行令第五十七条に「耐用年数の短縮」というのがあるわけですね。その中に第三の事由として、陳腐化資産の特例があるわけです。 国税庁、過去五カ年間の承認件数をまずお知らせください。
○政府委員(吉田哲朗君) ちょっと私、ただいま正確に御質問の意味を知り損ねましたが、法人税法施行令六十条の二の「陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例」の承認件数ということで……
○和田静夫君 施行令第五十七条の「耐用年数の短縮」があるでしょう。その中に、第三の事由として、陳腐化資産の特例というのがあるでしょう。
○政府委員(吉田哲朗君) 承知いたしました。 過去五年間の件数を申し上げますと、いずれも件数はわずかでございまして、年度別に申しますと、五十一年度で一件、五十二年度七件、五十三年度二件、五十四年度三件、五十五年度四件、こういったような件数に。なっております。
○和田静夫君 そこで、いま言われたように、五十一年度がこのいただいたのでも一件しかないわけですね。これはこの陳腐化の申請というのはどういうような設備が多いんですか。ちょっと例示できますか。
○政府委員(吉田哲朗君) 実は、件数が比較的多くないこともございまして正確にはとらえておりませんけれども、一般的には資産が現実に旧式化しまして、使用によってコスト高、生産性の低下など、採算が悪化するということが見込まれる。それから、おおむね資産の使用可能期間が本来の耐用年数に比べて一割とかなんとかかなり短くなるといったものをやっておりますが、計数的に十分把握しておりませんけれども、現場の国税局の感じを聞いてみましたところ、かなり変化ありまして、いわゆる大法人も中小法人もそれぞれあるというような感触を得ております。
○和田静夫君 私が言いたいのは、最近技術革新のテンポが非常に速まってきている、そういうようなことを理由にして加速度償却を行うべきであるという議論がぼつぼつ出だしていますよね。この陳腐化の認定がかなりむずかしいと思うんですけれども、税制上からいってこの加速償却制度の導入というのは困難があろうかというふうに考えますけれども、この点は主税局でしょうかな、どういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(福田幸弘君) 加速償却制度としては、特別措置で認められているものがございます。これは各機械の政策的な重要性から特別償却という形で加速償却をやっておると、こういうことであろうと思います。本法の方で定率法がございますが、これも、ある意味では定額法に比べれば加速的なもので、外国では、定率法というのは一種の特例として優遇措置に見られておりますけれども、日本の場合は定率法が本法にあって、さらに初年度償却、割り増し償却ということで租税特別措置にありますので、おっしゃっておるような加速償却ということの政策的なものは特別措置の中で個々の判断が行われておるというふうに考えますので、本法的なものでさらに一般的な加速ということは、これは考えるのには適当でない。 主要産業種別の減価償却率というのがございまして、国際比較があるんですが、これを全産業で見ましても一〇・九〇%、これは一九七八年ですが、分母に有形固定資産期末簿価と有形固定資産減価償却額との合計額を置いて、分子に有形固定資産減価償却額を置いて計算した割合が一〇・九〇%、アメリカは一〇・三四%、西ドイツは一六・七〇%、これはわりに高いですが、フランスが一一・九七%、これは全産業が実際やっておる償却でございます。そういう意味で、平均的なところで償却が行われていますので、さらにそれを税法上でもっとというふうなことは必要ではないというふうに考えられます。
○和田静夫君 大臣、衆議院の委員会で、赤字の法人に対しても応益税的見地から課税するという方針を述べられたという報道を見ましたが、その問題に関連してちょっとお尋ねをしたいんですが、法人税法の第八十一条に欠損法人への欠損金の繰り戻しによる還付というのがあるんですが、まず国税庁に尋ねますけれども、これによる還付金額はトータルではどれぐらいなんですか。
○政府委員(吉田哲朗君) 法人税の欠損金の繰り戻しによる還付金額は、年度によってかなり変化がございますけれども、大体国税庁の事務年度で申しますと、五十二年度から五十四年度ぐらいまではおおむね六百億円程度でございましたけれども、昭和五十五事務年度は若干高くなりまして、八百二十一二億円ということになっています。
○和田静夫君 そこで大臣、欠損法人への課税を検討されるに際して、同時にこの問題も私は検討されるべきだと思っているんですが、いかがですか。
○政府委員(福田幸弘君) 欠損金の繰り戻しと繰り越しというのは、一緒になった制度であろうと思います。法人の利益の平準化、これはゴーイングコンサーンで一応やっておりますので、日本の場合、青色申告書を出した事業年度の欠損金というものは五年間の繰り越しが認められますし、欠損金については一年間の繰り戻しができると、こうなっています。 ちょっと時間がなんですが、アメリカの場合は三年間の繰り戻し、自後は十五年間にわたって繰り越し。英国もこれは直前の事業年度に、繰り戻し、それから無期限に繰り越しということです。西ドイツは、直前期に繰り戻しがあって五年間の繰り越し。それからフランスが、これは繰り戻しがなくて自後五年間。イタリアも同じ。カナダは前年に繰り戻して五年間繰り越し。大体一年間繰り戻して後五年間繰り越すというようなことで、欠損を平準化していきながらその企業の継続経営を考えるということはそれなりに理由がある、税制もそういうことを取り上げておるということであろうと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が欠損法人の課税と言ったのは、こういう意味なんです。住民税等のいわゆる法人税割、これが非常に零細なものは一万未満とか一方でもいいかもしれませんが、非常に少ない。法人でも莫大な正味財産を持っておって当年度利益が出ないというようなものもございます。しかし配当はやると、前からの積立金等を取り崩して配当しているというのもあります。そういうようなものについて、現在の法人税割というのが余りに少ないんじゃないかと、何千人とか何百人とかという人を抱えたり、いろんなことで社会的に貢献しているかもしらぬが、また逆に公共のいろんな便宜を受けているという場合もあるわけでありますから、法人税割というのは実態に応じていまよりももう少し高くてもいいんじゃないだろうかという感じで申し上げたわけであって、欠損法人に課税する、法人税のような課税をするということを言ったわけではないのでございます。
○和田静夫君 還付金との関連でちょっと一つだけ聞いておきますが、五十四年度の決算で電力会社はどこでも大幅な欠損を出したわけです。この欠損に対して巨額な還付金が払い戻されているわけですね。たとえば東京電力の損益計算書を見てみますと、百二億四千三百万円が還付されたと書いてあるわけです。国税庁、この損益計算書にあらわれた還付金は何を根拠にしていますか、これ。
○政府委員(吉田哲朗君) ただいまの先生の御質問、還付金は何を根拠にしているかというような御質問だったのですが……
○和田静夫君 レクチュアのときにはここはちょっと……、後から思いついたものだから、入れてないんですが、非常に一般的なことだから別にすぐ答えられると思って……。
○政府委員(吉田哲朗君) 根拠と申されますとちょっとわかりかねるのでございますけれども、いまのその個別の事案は私ども十分把握しておりませんけれども、もちろん……
○和田静夫君 たとえば、五十四年度における東京電力の百二億四千三百万ぐらいの還付金はどういう計算なんですか、これ。欠損額はずっと出ていますけれどもね、大幅な。
○政府委員(吉田哲朗君) 個々の会社の欠損の中身、いま私ここでどういう内容のものか申し上げることできませんけれども、いずれにしても申告書の内容は十分チェックして税法に従って適正に処理しているはずだと信じております。
○和田静夫君 それを疑って言っているんじゃないんです。
○政府委員(福田幸弘君) いまの、算式ということで申し上げますと、還付される法人税額のやり方は、所得のあった事業年度の法人税額に、掛ける分母が所得のあった事業年度の所得金額、それから分子が欠損事業年度の欠損金額、イコールの還付税額ということで案分して計算するということであります。
○和田静夫君 これは少し後ほど論議を続けたいと思います、きょうのことじゃありませんが。法人税の引当金について伺いますが、貸し倒れ引当金の法定繰入率ですね、これは若干引き下げたわけですけれども、その理由は何ですか。
○政府委員(福田幸弘君) 貸し倒れ引当金、これは評価性引当金ということですから、貸付金を適正に資産としてバランスシート上計上するためには、やはり貸し倒れの損失を見込んで控除項目とするということでございます。ところが、それはどのくらいが適当かという問題になってきますと、これは見込みの問題でございますが、従来あります法定繰り入れ率というものをまず前提にしまして、やっぱり実績との間に開きがある。 どこまで開きがあったらいいかというのは、前回も何か御質問があったように記憶するんですが、非常にその幅については、余り幅があれば利益留保になりますけれども、また経済環境等ではそこが余り厳しいと問題ございます。そういうことでそこを二割カットする。前回も二割カットしたかと思うんですが、それを二年間にわたってやるということで圧縮をしていくということをやっておるわけです。その後の開きのところは、平均でございますので、法定よりも悪いところがあるというのもございます。ばらつきがあるわけですけれども、その辺のある幅をもって引き当てませんともともと引当金の意味がなくなってしまいますから、引当金がなければあとは実績でやっていけばいいわけですけれども、実績で落としていくということでは期間計算としてはやはり平準化できない。 そうしますと、やはりでこぼこがありますので、引当金というある幅があるといいますか、そういう形での法定率というもので評価をするということで、そこは余り開いてはいけないのでそこを縮めておる。余り縮めてしまったら意味がなくなってしまうという問題で、特に経済環境を見ながらその辺をやはり行政的な判断を加えるということであろうと思います。
○和田静夫君 そこで、法定繰入率が、いま言われた貸し倒れの実績率となお相当乖離している。そういうことは、現行の税務会計の上においてこの貸し倒れ引当金は評価性引当金に純化されていないということをお認めになっているというふうに私は解釈するんですが、これはいかがでしょう。
○政府委員(福田幸弘君) 貸し倒れ引当金自体は評価性であろうと思います、これは。債務性ではございませんから。それから計上の仕方も左側で、資産から控除するということになっていますから。 ただ、そこのところの法定繰入率というのが適当かという問題で、これはやはり見直しはやっていくということの問題だろうと思うんです。そういう意味で過大引き当ててはいけない。しかし実績そのものであっては、引当金制度という法定率による一括処理をしていくものにもなじまない、まあ業種別でやっておりますけれども。これはいろいろ、われわれ数字を見てみたんですが、御承知のとおりに実績の率が、これは五十二から五十五の四年間の平均でございますから、それとの比較でいきまして現行では二、三倍の、四倍まで至るものもありますが、三倍か四倍の開きがある。これはやはり開き過ぎておるという気がしますので、これを先ほどのように圧縮したということです。 もう一つ、御指摘あったものですからまた調べてみて、その辺の、実際に貸し倒れがあって、平均が実績そうなっておるといっても、貸し倒れ全然ないものとか、法定繰入率までで実際終わっているもの、しかし法定繰入率をオーバーしているものもあるわけでございますね。それをずっと見てみましたが、やはり法定繰入率をオーバーするというものがやはり、これはちょっと公表資料としてはいたしておりませんが、卸で見ますと、一〇%がやはり法定率をオーバーしておる。こうなりますと、それは実績を選べばいいんじゃないかと、こう言っても、企業から見ればやっぱり一定率でやっていく方がいいわけですね、こういう引当金制度をとっている以上は。実績率だけでいけば、それはもう毎年変動しますから、期間計算の意味がないんで、そういう意味で引当金で評価性であるとともに費用、収益の対応という問題を同時に処理していますから、そういう意味では評価性であることが、同時にそういう期間計算に役立っておるという意味では、その率というものがやはりその観点から決められるということであると思うんです。いまのように法定率を上回っているものが相当ある。金融、保険業なんかは相当また高いんですね。非常に開きが、二、三倍と、こう言っておいても、貸し金業あたりになると非常にそこがまた大きくなっている。 そういうことを考え合わせれば、もう平均率であるアローアンスをとるということしかない。しかし圧縮はしたいと。しかし、経済環境がよくないですから非常にトラスチックにそこをすべきではないということで、非常にまた大変な企業もあるかもしれませんが、そのときには実績率の選択もできるということでお願いしておるわけであります。
○和田静夫君 これは私全くわからないから聞いているんですが、会計学者の多くのものを読んでみますと、ちょっとやっぱりニュアンスが違うんですね。貸し倒れ引当金を評価性引当金として考えるのであったならば、発生原則はきわめて厳格に押さえるべきである、こういうのがどうも学説としては私は強いと思うんです。 いま局長は、言ってみれば実績と繰り入れ傘との間に一定の幅といいますか、幅と言えば語弊があればゆとりを持たせるべぎだと、こういう御調にいまのところ、いろいろの要件を考えながらそうだと、こういうことを言われるわけですね。そうすると、会計学の説とは食い違っているということはお認めになるのですか。
○政府委員(福田幸弘君) 別に食い違っているとは思いません。やはり引当金制度を設けておるときに率をどう決めるかという、その率の決め方の問題でございますから、これはやはり評価と言ってみましても、将来発生すると見込まれる貸し倒れ損失を引き当てるわけですから、その貸し倒れ損失というのは偶発性を持っていますし、その発生類のぶれがあるわけでありますから、実績そのものぴしゃりということは、将来の発生額をまた予測するわけにいきませんから、そういう意味でこの種の将来の貸し倒れ損というものを引き当てる際にはある一定率でやっていくという制度自体はおかしくない、こう思うわけであります。
○和田静夫君 国税庁、ちょっとこのことで承りますがね、実際の会計事務としてはこんなふうに、これは大臣の方が詳しいかもしれませんが、処理されているんでしょう。これは私も素人ですがね。 つまり、貸し倒れの実績がこの法定率を上回るときは実績によって選定する、まあ局長のさっきからのいろいろ答弁の中にもあるように。そうすると、逆にこの貸し倒れ実績が法定率を下回るときには法定率によって処理する。つまり大きい方を選択する。これは実務はそういうふうになっているんですね。
○政府委員(吉田哲朗君) いまの扱いは、法定の率によるかあるいは過去三年間の実績の率によるか、いずれかを選択できると、こういうようなことでやっておるところでございます。
○和田静夫君 つまり大きい方を選択するということでもって実務は横行をしている。これは私の調査は間違ってないと思うんですけれども。 ということは、次期に貸し倒れが実際にあろうがなかろうが、また極端に表現しますと、全く貸し倒れが予測されなくても引き当てられる引当金である。これは局長、そうですか。
○政府委員(福田幸弘君) これは、評価性と繰り返しておりますのは、今後のやはり発生を見込んで評価するわけですから、評価というのはやはりそこに主観的な要素というか、それは客観的なものでチェックしなきゃいけませんけれども、そういう平均的なものが長期的になければ引当金制度は成り立たないわけで、そこが余裕があると見るかどうかの問題ですけれども、引当金で、それで損金の方を平準化して収益に対応させるという制度を考えれば、これ自体は、その損が出ればそれは損で落としちゃうわけですし、余っちゃえば益に戻るわけですから、そこのところで、これは減価償却と同じ問題だと思うんですね。 ですから、ここのところでずっと留保しっ放しのものではないわけで、会計手法としては、制度としては正しい。評価性ではある。評価であるだけに、損失を見込むというところでは平均的なものを使うということであろうと思います。
○和田静夫君 私は、評価性引当金とここの場合言っても、これはいま言われた減価償却引当金とは全く性質は異なるものであると言ってよい。少なくとも異質である。これはそういうことでしょう。
○政府委員(福田幸弘君) ちょっと、それは減価償却の方も評価性なんですね。そういう意味では同じだということを申し上げたんですが、計算手法はそれは変わったことになりますけれども、いずれにしましても貸し倒れ引当金を税法でどう処理するか、いろんなこれは見方があるわけです。 外国では、これはまた外国ばかり言うのですが、貸し倒れには非常に厳しいんです、個別法をとっておるんですね。個別法ですから引当金は成り立たない。ところが、金融業については日本より緩い引当金をとっておるんです。で、この辺はもう政策判断でございまして、日本の場合のように中小企業も相当あるというようなところで引当金制度という会計になじませるということであれば一律処理でやっていく。個別法で一々当たるということよりも平均的な率で繰り入れさせるやり方を青色申告として定着させていく、企業会計としてそれを税法が認めていくということもこれは政策判断でして、余りにそこが開いてはいけないというのは、利益留保的なものが入ってきますから、そこのところは圧縮しておるというのが今回の提案で、今後どうするかはやはり景気環境とかいうものが大事だと。 また、非常に金融機関その他も同じなんですが、これは余り締めますと、今度は、いつも繰り返すんですが、非常に売り先を選ぶ、または担保を要求する、選別をするということで、弱いところがはじき出されていくわけです。ですから、ある程度の幅を持った経営がやれるということのためには、いまの水準というのはいまの環境では適当であろうと思うんです。今後またどうなるかは見直しを常時やっていくということでございましょう。
○和田静夫君 実は、ここのところ私はもう非常に試行錯誤しているんですが、あなたの先輩である泉専売公社総裁の著書「税法条文の読み方」、これまあ大蔵からお見えになったときも、これ読みながらの私の説できょうの質問を構成をすることの話はしたんですが、「もっとも、引当金のうちでも、たとえば、貸倒引当金については、本来ならその企業としての過去の貸倒れの実績等からみて必要な範囲の金額を引当金としてもっておれば十分なはずであるが、税法上では、後述のように、業種別に期末貸金額に対し一定割合までの引当金は損金算入を認めることとしており、その点では、引当金には全く利益留保の色彩がないとはいえない。」つまり、法定繰入率という限定額の設定というのは、利益留保的性格があるということなんですね、この泉説。法定繰入率がある限り貸し倒れ引当金は評価性引当金に従って純化されない、そう考えているんですよ。 そこで、もう一度お聞きしたいんですが、貸し倒れ損失の発生する危険がほとんどない場合の貸し倒れ引当金は、免税引当金ないしは利益留保性引当金、そういう性格を持っているんじゃないですか。
○政府委員(福田幸弘君) 実績との差のところは、長期的に見てずっとその差があるということであればそういうことであります。だが、いまの時点で開きがあっても、今後の損失というものがやはり企業活動をやる以上はこれは見込まれるわけで、相手方のある話ですから。ですから、ここに開きが現在あるから、これは利益留保だと割り切ってしまうわけにはいかないわけで、いま損がなくても損が生じ得るという経営がすべての企業活動ですから、そういう意味で、私は利益留保が常に前提になった評価性だということの先輩の御意見はどうかな、こう思うのです。 その幅をどんどん圧縮していくということは必要ですが、余りにそこを圧縮したらもうこの制度は必要なくなるということで、この辺はやはり評価を適切にやるということを心がけて見直しを今回やっておる。一挙にやれない。また、それは経済環境では反対に見直す場合もあるということも含まれた見直しが常時必要であろうと、こう思います。
○和田静夫君 局長の衆議院におけるところの論議などをずっと聞かしてもらって、貸し倒れ実績と繰入限度額の乖離についてさっきも言ったように、一定の余裕があった方がよいとのお考えは明確なんですが、中小企業を例示してそういうことを述べられる。中小企業には繰入限度額の特例が認められているわけですよね。そうするとこれはなお二年延長するということですから、中小企業を例示して余裕があった方がよいというのは私は議論の筋がどうも違っているように思うんです、議論の筋が違う。資本金一億円未満の貸し倒れ引当金残高は九千七百億円で、全体の三割弱でしかない、これは昭和五十五年ですね。そうすると問題は一億円を超える部分にある。 貸し倒れ引当金の性格論のまとめとしてお尋ねをいたしますが、今後さらに評価性として純化する方向で改正していくこと、そういうことを大臣どうですか、いわゆる評価性として純化をしていく方向ですね、そういう方向で何とか改正をしていく、そういうふうなことは一体どうなんですか、これは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 貸し倒れが起きれば損金、起きなければ損金にならない、原則はもうそのとおりなんですよ。これについては、しかし貸し倒れというのは平均的に見ると、一定の経験値の中で必ず起きていると、全体的には。したがって、そういうようなものはいつかは起きるのだから、あらかじめ過去の経験に照らして起きそうなものを引き当てさせるということから私は始まったと思うんです。 しかし、これは全体の問題と個々の問題がありまして、ある会社は同じ業種であっても貸し倒れが非常に少ないところもあるだろう。ある会社は多いのもあるだろう。また逆に、同じ会社であってもある年度では貸し倒れがたくさん出たが、ある年度では貸し倒れが出ないということもあるだろう。そういうようなものの中で、大体、全体として見て平均的なものを、以上のものを内部留保的に引き当てさせるということじゃないかと。 したがって、高度経済成長のころは財政にも余裕があるし、自然増収はいっぱい出る。一方、減税の要求は強いということになって、高度経済成長時代にかなり引当率を高くしたということは事実です、これは。しかし、財政が不如意で苦しくなってくれば、そんなに実態よりもはるかに大きなものを引き当てさせるということはとても認めがたい。だから年々洗い直しをして実態に即して少なくしてきている、これも事実ですね、事実です。 したがって、幾らがいいのだという話になりますが、それは平均値でもいいという議論があって私はいいと思うんです。ある会社はそれじゃ足らないということもあるでしょう。ある会社は平均的な引当率でも余るというところがあるでしょう、それは。足りないところは越して実態の貸し倒れ額で損金になるのですから、だからそこらをどの程度に線を引くかということは、必ずしも学問だけの世界じゃないと私は思っておるんです。したがって、平均値よりも少なくしたら意味がないじゃないかという議論もございます。包括的に言えばそういうことが言えるでしょう。ですから、平均的なものよりもどれくらい余裕を見てあればいいかということは、最終的には私は学問の話じゃないんじゃないか、そう思っておるんですがね。 いずれにいたしましても、せっかくの御論議でございますから、実績という問題と引当額の問題とが余り乖離をするということは、いずれにせよこのような時代に私は余り適当じゃないだろうと思います。十分検討さしていただきます。
○和田静夫君 私も別に学問上の問題だと思っていないんですよ。主税局長、経験者の鋭い指摘がありますからね、いまの主税局長と余りにも変わっていちゃ困るだろうと思って問題提起をしただけです。 ちょっと異なる視点からここの問題で最後に質問をいたしておきますが、法人税法というのは、この偶発損失やあるいは利益留保性の引当金を排除してきたわけでしょう、局長。その理由というのは——そうでしょう。私はそういうふうに理解しますが、そうじゃありませんか。
○政府委員(福田幸弘君) 引当金は、評価性と債務性ということで、企業会計原則及び商法にあるものに対してさらに厳しいというのが基本的スタンスなんですが、排除していくというよりも、むしろ引当金として説明できるもの——貸し倒れであり、それから減価償却、それからあと債務性のものとしては、議論がありますが退職給与とか、それから賞与の方はこれは当然の債務性ですけれども、いろいろございますが、これは排除してくるというよりも、むしろ厳しく会計原則で認められておる範囲内で認めるということでございましょう。
○和田静夫君 もう時間がなくなりましたから、あとの問題は後に譲りますが、ちょっと払いまあれですが、あなたと私が一番基本のところで解釈が違っていると困りますから、評価性引当金というものの定義だけひとつ言ってください。そこが違っていると論議がかみ合いませんからね。
○政府委員(福田幸弘君) 評価性引当金と申しますのは、商法、税法等の法令、それから企業会計原則において特別の定義規定はないわけで、辞書には書いてございますが、むしろ会計学における概念であります。一般的に言われているところでは、評価性引当金というのは、資産の適正な評価のため計上される引当金ということでございます。たとえば、いま御質問中の売掛金等の債権については、貸し倒れ損失の発生が見込まれる場合にはその見込み額を貸し倒れ引当金として計上することが要請されるが、これによって初めて債権金額が適正に表示されるということになるわけでございまして、そういう意味で貸し倒れ引当金は評価性であると。したがって、表示方法も貸し方じゃなくて借り方の方で、取得金額から控除する形式で表示されるというのが企業会計原則の説明でございます。 そういうことで評価性——債権が全部が回収できないという宿命を持っていますので、それを評価するというので、その評価の仕方が法定率でやるという際にその率が適当かという問題はございますが、その債権がまるまる返ってこないというのが本来の債権の性格ですから、それを評価してみる。それから減価償却も取得価額が減価していくわけですから、それを定率法ないし定額法で、いろんな方式がございますが、それで評価してその資産の実際の貸借対照表上の資産能力を適正に表示するということでございます。したがって、引当金という意味では、内部留保的な貸し方にある引当金、利益留保的なものではないというのが会計上の、また税法上の考え方です。
○鈴木和美君 私はきょうは、この前当委員会で包括的に質問をしましたので、きょうは具体的に二つの問題について御質問したいと思うんです。まず一つは、税の執行上の不公平と、もう一つは土地税制についてしぼって御質問したいと思います。 大蔵大臣に、大変恐縮ですがもう一回お尋ねしますが、総理も大臣も本会議の所信表明で、税の不公平感には、税制上の不公平と、税の執行上の不公平の二つがあるという見解が表明されました。そこで、きょうは、税の執行上の不公平感というものは一体何なのかということについて、もう一度大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ執行上の不公平というのは、要するに、世間の人が見ていれば、あの人はもっと所得があるんじゃないかと思っているのに、どうも住民税がおれたちよりも少ないとか、税務署への所得税の申告が足らないとかいうようなものでね、これは二つ分かれると思うんですよ。 一つは、所得の捕捉がされていないために、事実脱税が行われているものがあって不公平だと思うという場合、それからもう一つは、いい家を建てたりいろんなことをしたけれども、それは何か、宝くじが当たっちゃって、それで一千万円とか金入っちゃったと。だけれども、それは何で納めないんだ、これは税法で納めなくたっていいということが決まってるにかかわらず、世間の人は、そんなこと知らない人は、あいつ不公平じゃないか、あんなりっぱな家建ててるのに所得税も納めないで、という不公平感もそれはあるでしょう、制度とか何かを認識してないと。ですから不公平といっても、不公平というよりも不公平感の問題じゃないかと。 それから、執行できない場合は確かに不公平ですよ、これは。だけれども、不公平でなくても不公平と思われているものもありますから。ですから、そういうようなものは両面からなくすようにやっぱり努力をしていく必要があると、こう思っております。
○鈴木和美君 大臣いみじくもおっしゃいましたが、執行上の不公平というのと、執行上不公平感というのとは、私も意味合いがちょっと違うように思っておったんです。大臣の所信表明もう一回見せてもらったんですが、その「感」ではないですね。感の方じゃなくて、税の執行上に問題がある、こういう所信表明だったと思うんです。だから、それは一体何かということをはっきりしてほしいんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、申告が法律どおり行われていないとか、あるいは課税漏れが見逃されているとか、こういうものは執行上の不公平だと、あればそういうものを言うんだろうと思います。
○鈴木和美君 そういう税の執行上の問題点とか不公平という問題が話題になってきたのは、いつごろからですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう税金をかけることを始めてから以来じゃないんですかね。
○鈴木和美君 それは、税務担当者というような立場から問題にしていることと、世間一般で税の執行上の不公平というものが話題にされたのは、私は時期的に違うと思うんですね。 で、何を言いたいかというと、高度成長時代の、税収がどんどんどんどん入ってきているときにはそれほど問題にされていなかったんじゃないでしょうか。非常に税収が見込みどおりに入らないというような予測、予見、予期、そういうものが出てきたときから話題にされてきたように思うんですが、いかがですか。
○政府委員(吉田哲朗君) 先ほど大臣から御答弁ありましたように、税につきましてはその執行の公平を求める声というのは常にあるわけでありまして、そういう意味では潜在的に不公平感があるということは否めないことだろうと思います。 いま先生御指摘のように、たとえばクロヨンという言葉がございますが、これなんか言葉としてはずいぶん古い言葉で、私どもも探ってみましたが、恐らく二十年以上前からあるような言葉ではないかと思います。また、それよりも新しくはトーゴーサンなんていう言葉もあるわけでございます。ただ、それが実感としてどうかという御質問でございますけれども、確かにまあ経済成長が鈍化し、いろいろその経済、国民生活にもいろんな影響が出てくるということになりますと、近年そういう意味での執行面の公平を求める声というのは、かつての時代に比べますと非常に強くなってきてるということは、私ども現場で痛感してるところでございます。
○鈴木和美君 そうしますと、もともと高度成長時代にあろうと今日のような状況であろうと執行の公平感を求める声はあった、それは当然だと思うんです。 それでは、ある時期を区切って、いまから五年前でもいいです、五年前からを境にしてその前と後で、不公平というものを非常に口に出されたときはどっちが多いと思いますか。
○政府委員(吉田哲朗君) 非常に感覚的な問題でございますので、的確な御答弁になるかどうかわかりませんが、いずれかと言えば、私は最近の方が特に強くなっているというふうに認識しております。
○鈴木和美君 最近の方が特に大きくなったという認識であれば、なぜ最近の方が多くなっていると認識されているんですか、なぜ。
○政府委員(吉田哲朗君) やはり大きく申しますと、税というものがその納税者の生活なり何なりに占めるウエートというのが大きくなってきまして、やはりひとしからざるを憂うといったような納税者相互間の公平を求める声が一段と強くなってきたというふうに考えております。
○鈴木和美君 別な角度からは、適正な納税を行ってもらうという、そのことはどうしたら一番適正な納税が行われる状態になりますか。
○政府委員(吉田哲朗君) これは、大きな言葉で言えば納税意識の問題かと思います。いろいろ歴史的な事情、社会的事情もありまして、それが急激に変わるというものではありませんけれども、私どもは基本的にはやはり国民の納税意識というものをより高めていただくような、そういう努力を私どもがやっていかなければいけないと思いますし、また、それに応じまして税務行政における調査なり、指導なり、相談の面においてもより適切な仕事をやっていきまして、それで納税意識が高くなっていくということを助長する必要があるというふうに考えております。
○鈴木和美君 意識を高める指導、それからPR、そういうものと調査をしっかりするという両面答えられましたけれども、どうやったら意識が高まりますか。
○政府委員(吉田哲朗君) 先ほど申しましたように、納税意識というものをどう高めていくか、非常にじみちで根気の要る仕事だと思うわけでございますけれども、現在国税庁の方で特に力を入れておりますのは、いわゆる納税者に対する指導行政と言っておりますけれども、的確な記帳をやって適切な申告をやっていただくということをまずやっております。 それから、税法というものがいろいろ難解な面がありまして、十分そういうところに習熟しておらないためにいろいろ間違いがあるということで、納税相談という仕事にも力を入れております。さらにまた、もっと大きな分野で納税意識を高めるという観点からは租税教育というものにも力を入れておりまして、これは学校教育の分野、また社会教育の分野でもいろいろ専門家のお知恵も拝借しながら力を入れてやっているところでございます。
○鈴木和美君 そういう問題はいままでやらなかったんですか、今度改めてやることになったんですか。
○政府委員(吉田哲朗君) 税務行政の基本としまして、そういう必要性ということは、これはかねてから認識されておったわけであります。これは先生も御存じと思いますが、税務行政の中身は何かと申しますと、かつては指導と相談を車の両輪ということでやってきたわけであります。しかしながら、いろいろ社会現象が複雑化し、納税環境もむずかしくなってくるにつれまして、いま言った納税意識、納税水準の向上ということが特に大事になりまして、近年では指導と調査は車の両輪とい三言葉にかえまして、いわゆる教育広報と相談、指導、調査、この四つをもって税務行政の四本柱というふうにしているわけでございます。 したがいまして、そういう面の配慮が近年特に強くなってきたということは御指摘のとおりであると思います。
○鈴木和美君 いままでのやりとりの中で、こういうふうに理解していいですか。高度成長時代であろうと安定成長時代であろうと、税の執行に関しては、それはそれなりに適正な税を納めてもらうというような指導とか教育とか調査はやってきたんだと。しかし近年、やってはきたんだけれども、ざらに強めなければならぬというような状況であるというように認識していると理解していいですか。
○政府委員(吉田哲朗君) おっしゃるとおりでございます。
○鈴木和美君 そうなりますと、近年指導を強めなければならぬというようなことの感じになっているということは、税の納め方について適正でないというように思っているから指導を強めるということに、なるんじゃないですか。
○政府委員(吉田哲朗君) 適当であるかないかという問題は大変むずかしい問題でございますけれども、確かに数ある納税者の中には適正な申告をしてない者もある、それから悪質な脱税をやっている者もいる、これは事実でございます。 一方、税務職員の方は、納税者がふえ、いろいろ取引も複雑化しておりますけれども、一定の限られた数でやっているわけであります。どうしても納税者の全体の申告水準が高くなるような、そういう全般的な努力をやらなければならない。そういったようなことで、先ほども申しましたようないろんな諸施策の必要というのが一段と強くなってきているわけであります。私どもはなるべくそういう不適正な申告をする者、あるいは悪質な脱税をする者というものが極力減るといったようなことを目標に仕事をしているわけでございます。
○鈴木和美君 いまのお話では、納税件数が非常に年々ふえていくという状態の中で、数が少ないから、指導というかPRというか、そっちの方を強めなければならぬというようなつまり関係にあるというお話ですか。
○政府委員(吉田哲朗君) ちょっと私の答弁が誤解を生むようなことであったかもしれませんが、私が申し上げましたのは、もともとはそういう仕事というのが本来税務行政にとって非常に必要なことであるということを申しましたので、職員の数あるいは納税者の数というのは補足的な御説明であるというふうに御理解いただきたいと思います。
○鈴木和美君 あなたがおっしゃたのは、従来からもいまも適正な納税をする指導とか調査というのは必要であったんだと、ところが近年非常に不公平を論じられる場面が多くなった、何か別な変わるものがあったんじゃないですかと私が質問をしたら、そうだとお答えになりましたね、変わっていると。変わっているのは何で変わっているのかとこう聞いたら、それは指導をやっているけれども、数が少ないものだからもっともっと指導の方を強めなければならぬ、そういうお話だったんじゃないですか。違うんですか。
○政府委員(吉田哲朗君) いわゆる指導、相談、教育、そういったような方面の行政の活動の必要性というのが一段と強くなってきているということは、先ほど御答弁申し上げたとおり。であります。 これからもそういうところに力を入れていくわけでありますけれども、ただ、私が先ほど職員の数と納税者数とのバランスの問題を申しましたのは、そういう税務の現状から申しましても必要だと。しかし基本的になぜ必要かと言えば、それはやはりそういった納税水準を高めるというのがそもそも税務行政の究極の目標といいますか、一番根本でおるということを申し上げたわけでございます。
○鈴木和美君 よくわかりませんので、わかるようにお答えいただきたいんですが、納税水準を高めるということは一体どういうことですか。
○政府委員(吉田哲朗君) 現在の納税というのが申告納税制度ということになっておりまして、その理想とするところは、みずからの記帳に基づいて正確な申告をし、正確な納税をやっていただく、それで納税が完結するということが一番の理想でございます。そういう方向に少しでも多く持っていく、少しでも多くの納税者がそういう状態になっていただくということが、端的に申しますと納税水準が高まるということであろうと考えます。
○鈴木和美君 私は去年の当委員会でもお話ししたんですが、納税水準を高めるということは、取り巻く環境の政治的な背景や五億円もらっても別に罰せられないみたいなそういう風土とか、それから納めなくともそう問題にされないというような問題だとか、過般いろんなことを申し上げたんです、私。 それで、いまあなたがいろいろおっしゃるんだけれども、先ほど大臣に尋ねたら、何で不公平とか不公平感という問題が出るのかと聞いたら、あの人は納めるべきのを納めてないんじゃないかとか、それからどうもおかしいとかいうような、そういうものが税の執行上の問題点だというように大臣もおっしゃっているわけですよ。だから、私はある意味では昔も今もある程度PRというか、申告を正しくしてもらうということはわかるんだけれども、やっぱり最近適正な申告が行われていないというところに眼目、中心を置かなきゃならぬと思うんですが、そういう見方おかしいんですか。
○政府委員(吉田哲朗君) いわゆる国民が税の執行面に不公平感を持っているということにつきましては、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたけれども、大ざっぱに申しますと、私どもは三つか四つの問題に集約できるんではないかというふうに考えているわけであります。 一つは、現在申告をしていない人の中に本来申告をすべき者、いわゆる無資格者の中に有資格者がいるんではないかという点が一つであります。それから第二点は、現在申告しておっても果たしてその申告水準が妥当かどうか。ある意味で言いますとその所得の、税務の立場から申しますと把握率というようなことになりますけれども、その申告水準が適正かどうかという問題がございます。それから第三番目は、先ほど大臣もお触れになりましたけれども、いわゆる生活水準というものと実際の申告される所得金額あるいは納税額とのバランスを考えて感覚的に何かおかしいことがありはしないかというような点でございます。それぞれにつきまして私どもはいろんな角度から解明はやっているわけであります。 しかしながら、もちろん御指摘のように私どもは申告漏れができるだけ少なくなるようにいっぱい努力しているわけでありますけれども、現在そういう申告漏れがないということは申し上げられない状況であるわけであります。
○鈴木和美君 ここ三年申告漏れがないように努力をされている具体的な努力の状態をお示ししていただけませんか。口じゃなくてどういうことでやっていると、特に変わったことはこうだというのがあれば示してください。
○政府委員(吉田哲朗君) 先生よく御承知と思いますけれども、税務行政というのはそう急激に変化するわけでございませんから、何が目立ったかと言いますと、なかなかお答えしにくい面もございますけれども、たとえば、いわゆる広報活動とかあるいは税務署、国税局段階におけるいろんな教育活動とか、そういったものにつきましてはいろいろ外部の先生方、専門家のお知恵もかりまして、規模もさることながら中身の充実に非常に努めております。また、税務調査におきましては、これは一定の人間で相当多数の納税者をやるわけでございますので、調査対象の選定であるとか、あるいは調査につきましてこれは力を入れてやる特別調査、これは通常の調査、あるいは短期の簡易な調査といったような仕分けをさらによくやるとか、あるいは申告管理を的確にやるとか、それから毎年毎年重点業種を指定するとか、そういったいろいろきめの細かい施策をやっているわけであります。 また、特に最近力を入れておりますのは、やはり調査をやりましてもその後のアフターケアといいますか、なるべく波及効果を高めていかなければいけないわけでございまして、そういう意味でいろいろ業種別の団体、業種団体等に対する指導には特に力を入れているところでございます。
○鈴木和美君 もう一つお尋ねしますが、実調率というのがありますね。たとえば、法人税で言えば約一〇%でしょうか、約。一〇%ということは十年に一回ということですね。そのときにいま重点的に調査をされるランクということを決められているというお話なんですが、たとえばA、B、Cとあったとしましょうか。Aというのは強力に調査をしなきゃならぬというものであると仮に仮定してもいいですわ。それで、たとえば鈴木商店なら鈴木商店に一回行けば来年は行かないんですか、行くんですか。
○政府委員(吉田哲朗君) いま実調率のお尋ねがございましたけれども、実調率と申しますのはこれはあくまでも平均のものでございます。たとえば同じ法人をとりましても、黒字法人に対する実調率と赤字法人に対する実調率は当然異なってくるわけであります。この平均の数字というのは、赤字も黒字も全部入れた数字でございます。それから、現在法人税の仕事におきましては、納税者の質的区分といったようなものを精度を上げていこう、たとえて申しますと、御案内かと思いますけれども、優良法人というような制度もございます。あるいは小グループの特に問題のない法人であるとか、あるいは常時管理をしなければいかぬ法人とか、いろいろな分類をやりまして指導なり調査の精度を上げることにしているわけであります。 したがいまして、実調率と申しますのはそういう対象のいかんによって相当変わってくるものであります。また、ある年にやったから、さあ次の年は絶対やらないかというとそういう性格のものでもございません。適時に的確な判断を下すようにということで努めているわけでございます。
○鈴木和美君 五十五年度の法人の件数は百七十六万五千件ですか。そして、その中で実調が行われたものが十七万七千件ですね。つまり約一〇%というのは私はここから出したんですが、その一〇%やったうちで更正決定が行われた件数が十三万九千件ですね。そうすると、更正決定の割合というものは実調したことによって七八・六%がつまり申告漏れであったということの実績ですよね。その金額が実に八千七百四十五億円でしょう。私の資料が間違っていれば指摘してほしいんですが、そして増加税額が本税で二千八百四十八億、加算税で二百八十八億であります。これが五十五年度の法人税の実調から割り出した実績だと思うんです。 だから、私はいまAという商店を一年やったら十年間、つまりあと九年間やらないで、もう一回十一年目にやるというような状態が、いい悪いは別にして、そういうものが実態だと思うんですよ。そうお認めになりますか。
○政府委員(吉田哲朗君) 算術的な平均で申しますと、一〇%でありますれば、それはもうおっしゃるとおり十年に一回ということになるわけでありますけれども、しかしながら、先ほど申しましたように、現在の法人税の指導、調査、対象選定、実調のやり方、これらは法人の管理区分制度に基づいてやっているわけでございますので、たとえばいままでまあまあという法人でありましても、これが悪い方のランクに格づけされますと、それは十年間といっても何回か調査を受ける可能性もあるわけであります。逆に、非常に帳簿とかあるいは内部牽制組織なんか整備されてまいりますと、頻繁に調査を受けておったものも回数が少なくなってくるというようなこともございますので、一概に十年に一回ということは申せないわけでございます。
○鈴木和美君 大口脱税などに関する査察事績というのはどのぐらいになっていますか、五十五年度で。
○政府委員(吉田哲朗君) 申しわけございませんが、現在査察関係の資料を持ってきておりません。
○鈴木和美君 私の資料によれば、五十五年度十七万七千件実調やった中で、これはおかしいといって強力に査察をやったのが二百三十五件で、その金額が三百五十九億で税額が二百三十億になっていますね。 だから、いまお話を承っていますと、それはまあこういう場ですから、実調が一〇%ということは十年に一回ですよということはなかなか言えぬですね、こういう場ですから。しかし、私が知る限りにおいては当たらずといえども遠からずですよね、私の言っていることは。たとえば話半分にしても二百八十余億、約三千億ぐらいの増加税収が五十五年にあった、話半分にしても千五百億ですよ。 だから、いままで私が議論してきたことは、いろんなPRも必要だ、それから適正な水準を保つことも必要、適正な税を納めてもらう指導も必要。けれども、やはり何といっても今日の社会の中で十年に一遍しか来ないということの頭の感覚があるから、先ほど大臣が述べられたみたいに、あいつは持っているのにさっぱり税金納めないんじゃないかというような、そういうことも出てくるんじゃないですか。あそこに来て何でおれのところに来ないんだ、これはよかった。来られた方は何であそこへ行かないんだというようなものが巷間に伝わる税の不公平感だと。 だから、私は先般の当委員会でも述べたように、レーガン政権じゃないけれども、いろんな総定員法がある中でも、国税に関するものはやはり大胆に実調するような、適正な税を納めるような指導、実調、それも必要ではないかということを先般申し述べたわけですね。私は、もう一度その持論というか、何も人をふやせというだけじゃないんですよね。税収見込みがこれだけ落ち込んでいる状態の中で、単に国会の赤じゅうたんの中で議論するというようなものじゃなくて、もっときめの細かい適正な納税をするという体制をつくっていけば、私はまだこの税収見込みについても違う見解が出てくるんじゃないかなと思うんです。これはここまでは意見として申し述べておきます。 もう一つの問題として大変心配なことは、去年聞いたときに、税務署の職員というのは一人前になるのに何年かかりますかと聞いたら、完全に行えるのが十年だ、ちょっと無理しようといえば三年だと、そんな話が去年私が当委員会で聞いたときの年数でした。 さて、いまの税務職員の中で年齢構成を見たときに、あと十年過ぎたらどうなるのかということが大変心配なんですよ。定員法が制定されて退職法が制定され、そういう中でやめていくという人が多くあったときにそれだけの補充が一挙につくのかということが私は大変心配なんです。 そこで、これは国税庁になるのですか、どこかわかりませんけれども、これからの年齢構成別におけるそういう問題点をどうやってこれから解消していこうとするのか、具体策を示してほしいんです。
○政府委員(吉田哲朗君) 定員がらみの問題になりますと国税庁、自治省の方でお答えするのが本来かと思いますが、一応私ども考えておりますのは、なるべく現在の職員の戦力を維持する、落とさない、こういった努力が必要であろうと思います。そういう意味で、いろんな研修とか職員教育といったようなものに特に力を入れていく必要があろうと思います。それから、実は国税の職員構成というのはもう先生も御案内のように、中高年と若年の二極分解になっておりまして、これが抜けたときの対策をどうするかという問題があるわけでございます。将来は若い職員に税務行政の非常に大きな分野を背負ってもらわなければいけない、そういう問題があります。そういう意味で、いろんな研修教育も必要なわけでありますけれども、一方、中高年の持っている力というものをどう若い人に伝えてもらうか、あるいはそこの中高年の山の減り方を何かなだらかにする方法がないかどうか、定年制が施行されますので若干そういう面は国税の職場でも緩和されてきた面がありますけれども、そこのところが一番大きな問題であろうというふうに考えております。
○鈴木和美君 本件に関する最後に大臣、いま議論しておりましたことについて大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いま直税部長からるる説明を申し上げたところでございますが、やはりまず勉強してもらうことですね。これはもう知恵比べみたいなものですから、あの人ら脱税者というのは。本当に非常に近ごろはコンピューターその他機械が入ったりなんかしておって、ややもするとそういうのが先へ進んじまう。泥棒の方がオートバイに乗っていて巡査が後から自転車で追っかけるみたいではなかなかこれはつかまらない。したがって、そういうような高度のやはり専門的な研修というものがひとつ必要でしょう。それから人をふやすということももちろん大切でしょう。それから、何といったって、これはもう納税者がみんな何とかしてごまかしてやろうというつもりになられたらそれは納税者の数だけ税務署ふやさなきゃなんないというみたいな話になっちゃってとてもとてもできるものじゃない。でありますから、やはり納税の思想の高揚ということが必要です。それからやっぱり税金というのはあんまり全部取る気になるというと、逆にこれはもう逃げるようなことにもなりかねませんから、ほどほどということも必要だと私は思います。 まあいろいろなことがございますが、民間団体との協力、地方自治体との協力とか連携ですね、いろんなものをミックスをして、そうしてともかくもう脱税をすることは悪いことなんだという思想をもっとPRをしていく。また一方、みんなが監視をする。ややもすると、日本では選挙違反とか脱税というのがあんまり罪悪視されない風潮があります。何かスピード違反でつかまったと同じじゃないかみたいな、つかまった者が何か貧乏くじを引いたみたいなややもすると風潮がなきにしもあらず、それは大きな間違いでございます。したがって、そういうような一つの国民運動としても、納税は国民の権利であると同時に義務なわけでございますから、またそれが履行しやすくしてやるという工夫もひとつ必要だと思います。 いろいろな手を用いまして、今後とも納税が順調にいくようにひとつ万全の努力をしてまいりたいと考えます。
○鈴木和美君 私は、大蔵委員会という場で人の問題やお金のかかる問題を話をすることは、特に大蔵省に関係する事案とか人の問題は非常に大臣、答えにくいと思うんですね。ほかの委員会であれば仰せごもっともでいくんですが、後は渡辺さんが何とかするだろうぐらいな調子なんですね。そういう意味では、大蔵に働いている職員というのは非常にかわいそうだという気が私は事実するんです。大臣もいま私の言っていることに対して気持ちは一致していると思うんです。しかし、なかなかそう答えられない、そういう立場も私は理解します。 そこで、委員長に私はお願いしたいんですが、ぜひこの国税職員の問題に絡んで、当委員会としても還付金の問題となるとまあ関係あるわけですから、理事会で御相談なすって附帯決議がなにかつけるようにぜひお取り計らいを願いたいと思うんですが、委員長いかがです。
○委員長(河本嘉久蔵君) 理事会で検討します。
○鈴木和美君 それでは、次には建設、国土の所管にかかわる問題についてお尋ねします。 まず土地税制の問題ですが、今回の土地税制緩和が宅地供給や住宅建設の増加というようなことを政策的に希望してやるわけなんでしょうが、どうも資産家のためだけの税負担軽減に終わるおそれが強いというようなことが巷間言われているんですが、今回、この税制改正を志向した目的などについて、これは国土庁、建設省から見解を承りたいと思います。
○説明員(松本弘君) お答え申し上げます。 最近、地価の上昇率が若干鈍化しておりますが、やはり依然として上昇を続けていることは御承知のとおりでございます。かつて、いわゆる土地ブームと言われました昭和四十六、七年のころに非常に地価が上昇いたしましたが、このころは主といたしまして投機的な土地需要が旺盛でございまして非常に地価が急騰したということであったと思うわけでございます。それに対しまして、ここ三、四年の近年におきます地価上昇は最近で若干鈍化しておりますが、公共投資等によります効用増ということも一部ございますけれども、主といたしまして住宅に対します需要に対しまして供給が追いつかなかった、停滞していたということが主要な原因であったというふうに考えられるわけでございます。 この供給対策、したがいまして、土地供給の円滑化ということが非常に重要なわけでございまして、今回そのためには総合的な土地対策を講ずる必要があると考えるわけでございますが、やはり税制というものが土地対策の中で非常に大きな働きを持っております。したがいまして、近年におきます宅地供給が停滞していたということを何とか円滑化したいという目的で今回の土地税制の改正をお願いしたわけでございます。 ただ、その場合におきましても、私どもといたしましても、いわゆる投機的な土地需要に対します税制の面からの抑制ということも強くあわせて要望したところでございます。
○鈴木和美君 大臣が時間で行かれるそうですから、この時間の中で一つだけ聞いておきたいんですが、今回の土地の税制改正の問題なんですが、先日の法案審議の際に、参考人の意見ではないんですが、土地税制は長期的かつ安定的であるべきなどの主張がなされましたですね。大蔵大臣は、今回のこの法律改正が長期的かつ安定的に、つまり住宅建設というか住宅刺激というか、そういうものに本当に税制改正だけでなるとお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、税制改正はやっぱり宅地供給の補完的手段でございまして、とても税制改正だけで全部がスムーズにいくというふうには私は考えておりません。
○鈴木和美君 いま前段でお答えいただきました税制の問題が何としても大きな柱になっていると。しかし、総合的な対策を組み合わせながらやらなければ宅地供給や建設がなかなかできないんじゃないかというお話ですが、その総合的な施策というのは、あと何と何と何があるんでございますか。
○説明員(松本弘君) お答え申し上げます。 私ども、現段階で総合的な土地対策というふうなものを大体四つに分けて考えておりますが、第一は、やはり何と申しましても国土を適正に利用すると、均衡のある国土利用の推進ということであろうと思っております。具体的には、そのために国土利用計画の策定でございますとか、あるいは都市計画、農業振興計画、あるいは土地利用基本計画といったような、まず国土の適正な利用計画を適切に立てていくということであろうと思っております。 第二に、やはり地価が非常に高い、あるいは上昇するということがさまざまの弊害を生ずるわけでございますから、できるだけ地価の上昇を抑制して安定した地価を実現するということが、適正な地価の形成ということが、次に第二の大きな課題であろうというふうに思っておる次第でございます。そのためには、私どもといたしましては、国土利用計画法を適正に執行していくということ、あるいは先ほど申しました税制でも、たとえば短期の個人の譲渡所得のように、投機的な需要はできるだけ抑制するという枠は堅持していきたいということ、あるいは不要不急の土地需要に対します金融につきましてはこれを抑制していただくというふうな施策をやっていきたいというふうに考えておるところでございます。 第三番目が、先ほども御答弁申し上げましたが、現在問題になっております宅地供給の円滑化でございます。具体的に申し上げますと、特に三大都市圏の近郊の市街化区域の農地の活用でございますとか、あるいは公的機関あるいは民間の機関によります宅地供給事業の円滑化のための財政金融上の措置でございますとか、あるいは宅地供給に伴いまして道路、下水道あるいは環境施設等の整備が非常に重要でございますが、そういった施設の促進でございますとか、あるいは既成市街地の中の低利用地の利用の増進あるいは再開発といったようなことが具体的な内容になると考えているわけでございます。 第四番目は、それらの施策の前提になります実態的な調査を充実するということでございます。私どもが所管しております国土調査の推進を初め、各種の土地に関します調査を充実いたしまして、客観的な情報を確立することが必要だというふうに考えている次第でございます。
○鈴木和美君 いま総合的な対策が出たんですが、ここに国土庁が、地価を抑制というか、逆に上がっているというようなことの原因として、生命保険会社とか損害保険会社、それからオイルダラーなど外国資本、一般企業の不動産投資などについて一年がかりで実態の調査をするということを検討しているという報道がありますね。これは一体どういうことを意味し、具体的にどういうふうに調査されるんですか。
○説明員(松本弘君) 多分いま御指摘のは日本経済新聞の記事だと思いますが、私どもそこに報道されておりますような意識に基づきまして特に調査をするという決定をいたした事実はないわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、土地に関連いたします実態をできるだけ早目に把握するということが敏速な土地対策のかなめであることは非常に私どもも強く認識しているところでございまして、そういう観点から、現在私どもがいろいろ調査を意図しておりますそれを精度を高めていきたいというふうに考えておる次第でございます。 実は、私どもが土地に関しまして調査をいたしておりますのは、たとえば不動産登記法に基づきます所有権移転登記の動向、これは法務省のデータでございます。それから、私ども国土庁でみずから調査をいたしておりますものに土地保有移動調査というのがございます。また、特に資本金一億円以上の企業の土地取引につきまして、これは悉皆でございますが、毎年調査をいたしております。こういった調査で土地の取引関係を把握しておるわけでございますが、必ずしも私ども十分に満足しているわけではございませんので、これをさらに詳しいものにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○鈴木和美君 もう一つの点だけお聞きしておきますが、市街化区域というものと市街化区域の調整がありますね。あの調整区域というのは何のために、いつつくられたんですか。
○説明員(松本弘君) 市街化区域と市街化調整区域の区分は、昭和四十三年から施行されております都市計画法に基づきまして実施されているわけでございまして、これは非常に激しい都市集中によりまして都市の周辺が非常に無秩序に広がっていきますいわゆるスプロールによりまして、いろんな環境悪あるいは公共投資の効率が悪いというふうな弊害が生じがちでございます。これを抑制しようという目的から、都市計画法の中で、各都道府県知事が各県内の都市計画区域につきまして市街化区域、市街化調整区域に分けて、市街化区域は優先的かつ計画的に市街化を図る区域、市街化調整区域は逆にできるだけ市街化を抑制する区域というふうにいわゆる線引きをするという仕組みができたわけでございます。これが実施されましたのは、法施行後、恐らく各県によりましてまちまちだと思いますが、四十四年ごろから三、四年かかって線引きが行われたというふうに承知しているところでございます。
○鈴木和美君 その市街化区域と市街化調整区域の線引きの問題について、これは新聞報道ですからよくわかりませんが、自民党内部に、つまり内需拡大を当面の最大の懸案としている自民党としては、もう少し住宅または宅地などの円滑な供給という意味で、市街化区域と市街化調整区域の線引きを見直したらどうかというような動きがあるということがこれまた報道されているんですが、国土庁、建設省はそういう動きに対してどういう見解を持ちますか。
○説明員(黒川弘君) 市街化区域及び市街化調整区域の性格については、いま国土庁から御答弁がございましたけれども、市街化調整区域におきましても、現在におきましてもたとえば二十ヘクタール以上のような非常にまとまった単位の土地等がございまして、それが公共施設等が非常にそろうというようなりっぱな市街地として形成される場合には、許可制度というのがございます。そういったことを含めまして、今後特に宅地供給が逼迫しております三大都市圏で具体的に宅地供給を促進していく際に、そういったものも一つの活用方策の中に入るんではないかというような考え方はございます。 ただ、具体的に市街化調整区域あるいは市街化区域について、今後さらにどういうことを行うかということにつきましては、一月二十六日付で建設大臣から現在都市計画中央審議会にそれらの検討について審議をお願いしておりまして、その検討の結果等も踏まえまして対応していきたいと、そのように考えております。
○鈴木和美君 もう一度お尋ねしますが、審議会は結構なんですが、建設省や国土庁としては、その線引きの問題ということについて、自主的にこういう見解を持っているということがあれば聞きたいんですよ。つまり、四十二年から調整区域というのは、どっちかというと余り宅地供給じゃなくて、これは緑の場所というような意味を掲げて環境保護の立場からつくられたものだと思うんですね。この線引きが見直されるということになると、大変なまた土地ブームを呼ぶ結果になるわけですね。ところが、今度は逆に、せっかく市街地のやつで土地供給をするのに、このままでいいのかという議論も実はあることはあるんですよ、これは。 だから、そういう意味で、その審議会に諮ることも結構なんですが、基本的にそれを線引きを動かすことがいいのか悪いのかということについての見解があれば、もう一度聞きたいと思うんです。
○説明員(松本弘君) この問題は大変大きな問題だと思うわけでございます。御指摘がございましたが、いろんな面からそういった新しい事情が出てきていると思うわけでございます。 一つは、市街化区域というものがかなり当初予想されましたよりも広く設定されておりまして、かなりの面積の農地を含んでいるわけでございます。この農地につきまして——農地だけではございませんが、そういった市街化を促進することが実態上かなりむずかしい区域が、ある程度の量あるわけでございます。そして御指摘のように、最近では市街化区域の中につきましても、やはり防災でございますとか環境でございますとか、そういった緑地空間の保存ということが、かつてよりやはり国民が強く要求するようになっているということも事実でございます。片や、やはり宅地供給という要請も強いわけでございまして、逆に市街化調整区域の中で、公的団体あるいは民間団体が保有しておりますまとまった土地で、もう近い将来公共施設等の整備を伴いながら、いい町づくりに適するというふうな区域もかなりあるわけでございます。そういった中で線引きが引かれているわけでございます。 御指摘がございましたように、やはり線引きというのは、秩序ある都市を形成していくための一つの手法としてつくられたわけでございまして、そういう要請はやはり非常に重要だと思いますので、たとえば線引きの仕組みを大幅に変えるというふうなことは、当面まだ考えられていないというふうに私どもは承知いたしておりまして、市街化区域の中におきますたとえば大きな空地が市街化がむずかしいところがございますれば、これを逆に市街化調整区域に編入し直すというふうなことを含めて、市街化区域の中の保全についても十分今後弾力的に考えていく必要があると同時に、市街化調整区域の中で開発に適するところにつきましては、やはりこれはある程度弾力的に開発も認めていくというふうなことの要請があるというふうに考えております。 そういったことを、総合的にどういうふうに新しく取り組むべきかということがいろいろ議論されまして、先ほど建設省からの答弁にありましたように、都市計画中央審議会の中で具体的に議論されるというふうに承知しているわけでございます。
○鈴木和美君 市街化区域と市街化調整区域の現状をもう一回見直して、線引きとまでは言わないけれども、見直すとかいじるということは、建設省、国土庁も考えているんですか。
○説明員(黒川弘君) 現在の法律制度上も、大体五年に一度程度市街化区域及び市街化調整区域の見直しをするということになっております。 それで、過去の経緯から申しますと、その五年ごとの見直しの中で全体的には拡充されてきている、市街化区域が拡大してきております。ただ、そういった五年ごとというような硬直的な運用をいたしますと、非常に問題も出てくるということで、具体的に事業実施が確実に見込まれる、公共団体との間でもそういった事業の実施について話し合いがついているというようなところにつきましては、順次市街化区域の中に編入するというような見直しについても現在行っているところでございます。
○鈴木和美君 大臣がおりませんので、また別な機会に御質問しますが、午前の最後で、国土庁は建設省とともに今回の土地税制改正の原案をまとめたというように聞いておるんですが、そこで、この税制改正が行われると、私は最終的には持ち家希望者の手に土地が供給されるわけじゃなくて、前段でいろんな話を聞いてきたんですが、地主から供給される土地を民間の不動産業者が買いあさっちゃって、地価が逆に高くなるという可能性を私は持っているんじゃないかと思うんですね。大変逆に心配をしているんですよ。 そういう意味で、持ち家を希望するという人よりは、不動産業界だけが潤ってしまうというようなことになりはしないかという私は見方をしているんですが、それに対して見解はいかがですか。
○説明員(松本弘君) 今回の土地税制の改正が、実質的な宅地供給につながるという形で実施されていくというふうに私どもは認識しておるわけでございます。どう認識されておりますか。
○政府委員(福田幸弘君) 昭和三十二年に現行の租税特別措置法がてきたわけで、全文改正でございますが、昭和二十一年の租税特別措置法、いわゆる旧租特法を受けております。旧租特法は戦争直後二十一年でございまして、この中身を見ますと、「戦後における国民生活の安定を図るための経済諸政策の遂行上特に必要と認められる税制上の特別措置」、こういうふうに書かれています。 ちょっとお時間いただけますならば、このまた沿革を見ますと、昭和十三年に臨時租税措置法というのにさかのぼるわけです。これのまた前を見ますと、こういうまとまったものはなくて、重要物産免税、これは大正二年にございますが、この種のもの。また昭和十四年、これは臨時租税措置法の後になりますが、船舶特償等のものがあります。こういう戦時中のものを二十一年に整理して、戦後の必要なものと国民生活の安定と、こうなって三十二年になったわけであります。 お尋ねのこのバックということでございますけれども、そのバックは三十一年の前の年、七月の経済白書が、もはや戦後ではない、こう言って、今後の成長は近代化によって支えられるということを言ったわけで、高度成長への黎明期であったというのがバックであろうと思います。三十二年度においてはこういう経済回復のために予算規模一兆一千の中に対して一千億減税をやったというようなこと。それから租特におきましては、先ほど申しました戦後の回復という意味で貯蓄の奨励と輸出の促進、設備の近代化という重要な経済施策について租特が対応したということでございまして、これを三十二年三月八日の衆議院大蔵委員会における提案理由を見ますと、「貯蓄の奨励、輸出の促進、設備の近代化等、今日重要な経済施策につきましては、必要に応じてその内容の充実をはかる」ということを言っております。 時間がなんでございますが、一方においてその中身は、整理縮小として価格変動準備金の繰入率の一割引き下げ、交際費課税の二割強化を行う一方において、長期預金等の利子の非課税、輸出所得の特別控除、特別償却の充実合理化という具体的内容を盛っております。以上でございます。
○多田省吾君 この法律の中身は非常に細々としておりますが、実態がなかなか掌握しにくい。この特別措置の実態はどうなっているのか、税目別に項目数を報告していただきたい。あわせてこの特別措置法を全廃した場合、どの程度の税収になるのか、あわせて御報告いただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) 税目別に申し上げますと、項目数といたしまして所得税関係が、提案の改正後で申し上げますと四十九、法人税関係が七十、登録免許税関係が二十九、その他十二で百六十でございます。減収額は合計一兆一千五十億でございまして、法人税は二千二百億、うち中小企業関係が八百七十億でございます。所得税等で八千八百五十億でございますが、大きいものはマル優が三千二十、生命保険料控除等が二千百五十、社会保険診療報酬の所得計算の特例が千二百三十と、こうなっております。
○多田省吾君 先ほど三十一年ころの背景説明があったわけですが、昭和三十二年に本法が施行された当時は、輸出奨励あるいは道路整備緊急措置法施行、四日市コンビナート建設と前後いたしまして、先進国に早く追いつくような緊急臨時的な措置として企業資金の蓄積を図り、生産第一の道を突進しようという、そのための税制面での配慮であったように思います。ですから企業優遇税制であると私は思っております。 ところが、五十七年度予算案の租税をめぐる説明の重点は、企業課税で三千四百八十億円の増税、個人の所得税は従来と同じということであります。本来ならば優遇されていたものがもとに戻ったにすぎないのですから、私は、この際もっと抜本的な見直しを行うべきときではないか、このように思うわけです。この点はどう考えますか。
○政府委員(福田幸弘君) 先ほどからの御答弁に続けて申し上げますと、三十年代から四十年代の初め、これは高度成長ということで、先ほどのように企業の内部留保の充実とその体質の改善強化ということ、具体的には設備の近代化、輸出の促進というようなこと、それから法人税率の引き下げも同時にやって、民間企業の活力による経済成長ということで運営されてきたというのが三十六から四十二年の間であります。この間の企業の減税額は二千七百二十六億でございますが、租税特別措置法は約二千億に近い減収をいたしております。 一方、その間やはり高度成長期でございますので、所得税は六千百六十二億という減収を、それ以上のものをやっておるという時期がございます。で、その後の時期につきましては、社会経済情勢が変化してまいりましたということを受けまして、これは四十三から五十の間がオイルショックをその間に挟む変革期と見るべきでしょうが、この間におけるすなわち四十三から五十年までを見ますと、減税は四十九年の一兆七千億という大きな減税を含んでおりますが、これはオイルショックの後です。この合計で、この間四十三から五十で見ますと三兆一千四百という所得税減税をやっている一方で、法人税の方は足踏みをしまして、むしろ増税に転じております。プラス約五千億、四千九百億ということが特色であります。 ここに状況の変化が読み取れますが、特にこの五十年のところで赤字公債の問題が発生したわけで、そういうことを受けて五十一年以降が租税特別措置の整理合理化に入った時期であります。四十年代後半ということがさらに五十一年以降にこの厳しさが出てきたということで、御承知のような特別措置の整理を精力的に五十一年からやっているということは御承知のところでありまして、この間五十一年から五十七年度に三十五項目を廃止いたしておりまして、減収額は二千二百というのが五十七年度でございます。法人税収に対する割合は、四十七年度法人税に対して企業関係の租特が九・〇が五十七年は一・八まで下がっておるということであります。 そういうことで、この五十一年以降のところでは三千億というのの所得税の減税を五十二年にやったので、あとは大きな減収ございませんけれども、一方法人税の方におきましては一兆八千二百七十億という増税をやっておる。特に租特系統で、これは税率以外でございますが、一兆二千五百という増税を五十一年以降精力的にやってきたということは御評価いただきたいということであります。 いま残っておりますのは、中小企業、公害、資源エネルギー、科学技術の振興等という非常に必要なものに限られておるわけでありまして、先ほどのように法人税収に占める割合は一・八と低いということでございます。現在この企業体質の強化、輸出の振興という当初の目的になお必要を認めておるものは四に対しまして、中小企業その他の現状において必要と見られるものの割合はこれに対して九三と、ほとんどが社会情勢の変化に応じたものに充てられておるというふうに御理解願いたいと思います。
○多田省吾君 次に、項目別に何点かお伺いいたしますが、交際費の問題ですけれども、わが国の税法上交際費はどう定義しておりますか。
○政府委員(福田幸弘君) 交際費と申しますのは、「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きょう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出」する費用というふうに租税特別措置法六十二条に書かれております。ただ、なお交際費の範囲から除かれているものとして福利厚生費それから広告宣伝費、会議費がございます。
○多田省吾君 そのように税法上交際費は原則として費用、損金とされておりますが、果たしてこの交際費が企業経営上絶対的に必要な費用と言えるかどうかという点で問題があります。外国等においては損金に原則としてしていないという国も多いようでございますが、その点とう考えますか。
○政府委員(福田幸弘君) 交際費は、販売促進という企業本来の活動として必要なものでございます。生産した物が売れなければいけませんので、その販売手段として交際費というものが必要であるということでございます。 以上でございます。
○多田省吾君 まあ交際費、一応「費」と呼ばれておりますけれども、本来費用と考えられております原料費、労務費、減価償却費、電気代、運送費などの企業経営上不可欠なものとは全く異なるものでございます。 したがって、少なくとも利益のある企業の場合は利益の一部として全額課税されてしかるべきであるというような論議がありますが、この点どう考えますか。
○政府委員(福田幸弘君) 商品をつくります際に、労務費、原材料がかかる、これはコストでございますが、それをつくります際の労務費、原材料を使ってできた商品を売るということも企業活動上必要なこれは経費でありまして、そういう経費としては、企業経営上は別に所得があるからないからというよりも、これはやはりコストである、コストというか経費であるという点では、これは企業活動上の必要性が認められているものでありまして、所得の処分ではないということでございます。
○多田省吾君 またもう一つは、交際費を使える会社というものには担税力がある。社会通念としては税負担を課すべきだという考えが非常に多くありますが、この点についてはどう考えますか。
○政府委員(福田幸弘君) 交際費を使う会社には担税力があるということの御質問でございますが、担税力というのは、法人の所得に対して課税するものでありますので、そういう意味で先ほどから申しましたように、販売促進のために必要な経費を引きました所得に課税するということでございまして、交際費を使える会社だから担税力があるということには論理的には出てまいりませんで、そういうことで交際費が必要な額が使われて、その会社の経営として販売が促進されるというふうな必要な経費であると。 ただ、社用消費的な面があるとか、金額的に大きなものになっておることに対する社会的批判がありますので、政策として本来経費であるものを否認しておるという性格のものであります。交際費を使わなければ販売促進ができないという企業もあるわけでありまして、決して交際費が使えるから担税力があるというふうには考えられません。
○多田省吾君 私は、諸外国のように一応交際費というものは損金としては全廃いたしまして、中小企業等に対しましてはそれなりのまた考慮をするというような考えの方がよいんじゃないか、こういう意見も多数あるわけであります。 また、それを含めまして、この租税特別措置法によってそれぞれ規定されている本則がしり抜けになりまして、架空のものとなってしまっております。これは法体系上も非常に不適当と思われますので、この租税特別措置法は一度全廃して、なお必要不可欠のものだけを各税法の本則に必要な項目を起こして、それぞれ国会の審議を受けるようにする方が租税法定主義を遵守するたてまえからもベターであると思いますが、この点どうですか。
○政府委員(福田幸弘君) 租税特別措置は政策税制でございますので、政策に有効であり、また、その政策が必要であるという期間、インセンティブとして使われるものでありますので、本法ということよりは期限の限られたものとして常時見直されるという別のたてまえの法律として構成する方がこの特例的、臨時的性格を持つものとしてなじむんじゃないかと、こう考えられます。
○多田省吾君 次に、法人税法の一部を改正する法律案に関して若干お尋ねいたします。 まず、たびたびお尋ねしておりますが、五十六年度の補正予算編成後の税収見通しはどの程度になるとお考えなのか、もう一度お答えいただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) 五十六年度補正後の税収見通しのお尋ねでございますが、補正におきまして四千五百余の補正減を立てております。これは五十五年度の税収の決算の赤二千八百億足らず、これをやはり延長した形での物価の安定、景気の低迷のはっきりした分を見直したということでございまして、その後の補正後の姿というものにつきましては最近の経済動向、これは十月から十二月の国民所得の動向等については非常な懸念がございます。しかし、中身につきましては内需の回復もございます。 そういう状況のもとで、今後どういうふうに税金が入ってくるか。これは三月決算が五月までに納めていただく、それがわかるのは七月でございます。いま確定申告終わっています所得税の方も、これは来月の終わりにならなければわからないという、いまの税収の見積もりの前提からいたしますと、いままで入った税金の割合はまだ六二%に達しないわけでございまして、昨年より四・四%下回って六一・八%でございますが、今後四割方がどういうふうに入るかがこの所得税の確定と三片期決算にかかっております。 非常な不安要因はございますが、いまの補正後の数字を確実に置きかえる数字もまだない。一方において税収を見ますと、大法人の税収がいままでのところはいいとか、物品税もいいとかという問題がございますし、いずれにしましても、今後の推移を十分見守りたいということで、補正後予算における見積もりを変更しなければならないという確定的な材料がない以上は、補正後の税収見積もりを使わしていただいているということでございます。
○多田省吾君 この前も申し上げましたが、昨年十月−十二月期の経済成長率がマイナス〇・九%ということで大変落ち込んだ。また、いま輸出がふるわない上に個人消費が伴ってない、内需の不振によって、ただいませっかくの御答弁でございますが、昭和五十六年度の補正後の税収見通しはやはり一兆円を大幅に上回る減収が見積もられるのではなかろうかと、このように言われているわけでございます。それにちなんで、通常企業の決算期は大部分が三月となっております。したがって、法人税の収納は、納税義務が年度内に発生した場合、税の収納は五月末までの分が当該年度の税収とされることになっております。つまり、五月末にならなければ当該年度の税収が確定しないことになります。 ところで、現在すでに三月末になっておりますが、いまなお補正後の税収見通しがきわめてあいまいのままです。結局今年度の税収見通しすらあいまいのまま翌年度の予算を組まなければならないわけでございます。これで余りにも大きな、法人税は非常に大きな部門を占めておりますから、不確定要因を抱えたままの予算編成にならざるを得ません。現在の会計年度と民間企業の決算期との関係の調整がここで必要ではないかと思われますが、その点どう思われますか。
○政府委員(西垣昭君) 財政会計制度の問題でございますので、私からお答え申し上げます。 ただいま御指摘がございましたように、歳入の年度分は発生主義によっております関係から、三月期決算法人の法人税税収五月末までの分が前年度、つまり五十六年度の歳入に計上される、カウントされる。それまでの間は歳入が確定しにくい状況になっているということは御指摘のとおりでございます。しかし、現在の会計制度は発生主義を原則といたしておりまして、その原則によります以上は歳入区分と実際の税収の時期にずれが起きるというのはやむを得ないことでございます。 いまの御質問の、四月から三月についての財政会計年度を改定したらどうかという点につきましては、この四月から三月までの財政会計年度というのは明治十九年以来百年近くすでに確立された制度でございまして、これをもとにいたしまして、たとえば学校でございますとか、地方の財政制度でございますとか、広く社会活動あるいは国民生活がこれをもとにして営まれているというきわめて基本的な問題でございますので、これをさわることにつきましては慎重でなくちゃならないというふうに考えております。
○多田省吾君 おっしゃることもわからないわけでもありませんが、まあ最近でもアメリカが国の会計年度を変更した事実もあるわけでございます。で、わが国の場合は、特に財政再建という大きな政治目標を抱えていることなどから、税収の的確な掌握ということが非常に重大な要件であろうと思われます。国の会計年度も変更できないとすると、毎年毎年この税収見通しがきわめて不確定のままでこれを土台に翌年度の予算編成に取り組まなければならないということになりますが、このままでやむを得ないと、そのようにどこまでも突っ張るおつもりなのか、お答え願いたい。
○政府委員(福田幸弘君) 基本的には税収の中で、大臣が再三申しますように、法人税に大きく依存しておると、これがやはり税収見積もりを困難にしております。また、御指摘のように期間——会計区分の問題が関連いたしまして、さらに先の方を読むのがむずかしいという問題でございます。 これは四十九年のところで納期ベースを成立ベースにしたということで、二片決算を取り込んだと、四月納付ということをやったわけでございますが、さらに五十三年に受け入れ期限を五月末に延長というので、三月決算を五月納付にいたしたということであります。 これは取り込みをやる前で考えますと、これは十月末税収で予算を見ますが、この取り込みをやる前でございましたら全体が半分わかって、法人税も同じく五〇%以上わかっている時期に見通しをやることができたのでありますが、現在は全体が三五%しかわかっていない、法人税は二割を切っているところで見なけりゃいけないという非常に困難な作業を強いられておるということは事実であります。 そういうことではございますが、われわれとしましては、あらゆるデータを使いましてこの辺の困難を乗り切るようにやっていきたいと思うんですが、あくまでやはり税収は見積もりでございますので、その辺、歳出の方は確定金額で歳出権を、その限度について付与されるという行政府の立法府に対する立場と違いまして、税収の方は見積もりで、やはり租税法律主義というものが基本にありまして、税収は見積もりでありますので、その辺はやはり予算段階での見積もり、それが経済が実際に動いた後での決算的なところでの税収ということは、やはり見積もりである以上は御理解願って、その決算が見積もりと上下に狂うことは、これはやむを得ないところでございまして、これはそうならないようには努力いたしますけれども、あくまで経済を前提にした見積もりであるということも御理解願い、われわれとしてはできるだけ正確な見積もりが今後できるように努力をいたしたいと、こう思っていろんな手法も検討いたしております。 ポイントとしては、やはり各国同じく指摘していますように、法人税に依存すると見積もりが困難であるということが指摘されておりますし、やはりその前提の経済の見通しというものが実績と合わない自由主義社会では、その困難の度が強いというOECDの租税委員会での研究グループの発表がございます。近々また、うちの担当の者もこの会議に参画いたしますが、各国でどのようにやっておるかという問題を含めて、基本的な検討を続けたいと、こう思っております。
○多田省吾君 私は、いまの御答弁で、自由主義経済ですから法人税に余りにも依拠すると困るというので、法人税の依拠率を少なくするようなお考えがあったら、これは大変な問題だと思います。 まあそれは別といたしまして、法人税の仕組みの問題でありますが、昭和三十九年の長期税制答申で、この法人税の仕組み、すなわち法人実在説をとるのか、法人擬制説をとるのか検討が必要であるとされておりますが、政府はその後どのような検討をしてこられたか、簡単で結構ですから経過を御説明ください。
○政府委員(福田幸弘君) これは、三十九年の税調答申でこの問題が触れられて、検討するようにということで、四十三年、四十六年、五十二年の合中でもこの法人税の基本的仕組みという検討を灯りてきたわけでありますが、特に五十五年度に企業課税小委員会というのを設けて制度の基本の検討を行ったことは御承知のところです。この結果を受けた中期答申というもので述べています現行の法人税の基本的な性格、これについてはこれは現行の仕組みをやはり維持するのが適当であろうというのが結論であります。これはやはり法人税制が経済に対してできるだけ申立的でなければならぬということで、いまの程度の負担調整というものは、これを廃止することは適当でない。また負担調整の方式として同時に検討されました法人税加算調整方式、インピュテーションという制度、これはなかなか現実的にむずかしい問題がありますし、また基本的な変更を加えますと、企業の資金調達とか個人の金融資産の選択、また一般の国民の受け取り方等にいろんな混乱が起きますので、やはりヨーロッパでいろんな検討を行って法制を具体化いたしておりますので、この法人と株主の負担の調整というものが具体的にどう行われ、経済に対してどういう影響を持つということを、やはり見きわめていく方がいいんじゃないかということで、現行の負担調整をそのまま維持していくのが適当であるという結論になっております。U多田省吾君 最近の報道によりますと、大蔵省は税の執行面で不公平を是正するために、一定額以上の売り上げがあった自営業者に対しまして、仮に赤字でありましても申告してもらうことを同省内の申告納税制度研究会に検討をゆだねるとしておりますが、これは事実でございますか。
○政府委員(福田幸弘君) 記帳水準の向上ということを幅広く検討して申告水準を高める、適正化するということの検討を始めるということで、内部的な研究会で勉強中でありますが、その中でいろんな項目があるわけで、御指摘の点は総収入申告制のお話であろうかと思いますが、いずれにしましても、現在検討中の問題でございまして、結論をまだ得ておりませんし、今後、政府税調においても議論が引き続き受け継がれていくだろうと思います。
○多田省吾君 内部で御検討中であり、税調でも審議される見通しということをお伺いいたしましたが、そうするとことしの秋ごろには新制度が導入されるという可能性もあるわけでございますか。
○政府委員(福田幸弘君) これは、やはりなかなか基本的な問題を含んでおりますので、全般的な記帳水準の向上の一環として、いろんな項目があるわけですから、それが具体化できるかどうか、実情を踏まえて、また成果があるかどうかということを執行面からもよくにらんで結論を得るということになりますので、いつまでにと、またそれが具体化を前提にしたものであるということも言い切れない、検討過程であるということでございます。
○多田省吾君 このようなことが内部で御検討中であるということになりますと、これは法人税の仕組みにもかかわる問題でございますので、この時期に合わせて、先ほど申し上げました法人実在説、法人擬制説についても明確な見解を示す時期に来ているのではないかと思われますが、この点どうですか。
○政府委員(福田幸弘君) ただいま検討してますのは、申告納税を正しくやるということを具体的にどうしたらいいかという検討でございます。 法人実在説、擬制説というような哲学論争といいますか、法人税と所得税の調整をどうするかは、先ほど申し上げましたように、いまの程度の調整で、そのままの方が経済に対する影響も中立のまま、特に大きな変動のない姿の方が望ましいということでございまして、記帳の問題、これは別の観点から検討を続けておるということであります。
○多田省吾君 次に、税の不公平問題について若子お伺いいたします。 最近、税に関する総理府の世論調査とそれから国税庁の実態調査の結果が公表されたわけでございます。しかし、国税庁の実態調査によりますと所得の掌握漏れについては直接調べておりません。これはなぜですか。
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。 税の執行が公平に行われているかどうか、いわゆるクロヨン論議というものがございまして、昨年の通常国会におきましてこのクロヨン論議にこたえるための実態調査を国税庁において行ってはどうかという御論議があり、これを踏まえまして国税庁において実施いたしましたのがただいま先生御指摘の税の執行に関する実態調査でございますが、その間の考え方について若干御説明さしていただきます。 いわゆるクロヨン論議というものはその内容がさまざまなものからなっていると思われますし、またしたがいまして、これに対する調査というのもいろいろなやり方があろうかと思うわけでございます。 一つは、全国民を対象といたしまして、これを一定の割合で無作為抽出で対象者を選定して、その実際の所得と税務当局の把握している類とを対比してみるというやり方もあるいはあろうかと思いますが、その場合にはいろいろとむずかしい問題がございます。一つは、当然母集団が大きくなり、全国数百の市町村にまたがると私どもの能力だけではなかなか手が及ばなくて市町村等の御協力も仰がなければならないというようなこともございますが、もっと大きな問題といたしましては、やはりその調査対象者の中に相当数の給与所得者が当然入ってくるわけでございますが、わが国の場合、一般の給与所得の方たちはその種の税務調査になれておられないわけでございますので、たとえば給与所得のほかに不動産所得とか雑所得はお持ちじゃありませんかとか、金融資産をどういうふうに運用しておられますかとか、そういった税務調査のようなことをそういった一般の給与所得者に対して行うということは実際問題としてこれは非常にむずかしい、こういうふうに考えられるわけでございます。 そこで、それではそういった方たちは別にして、税務当局の方で把握している農家とかあるいは営業所得者だけを対象にその種の調査を行ってみてはどうかということが次に出てくるわけでございますが、実は私ども税の執行の過程を通じまして、その種の事業所得者についての申告水準につきましては相当の手がかりを実は持っておるというのが実情でございます。 まず、農家についてでございますが、これは先生も御承知のように、ごく一部の特殊経営農家と言われる人たちを別といたしますと、一般の農家につきましては税務当局が作成いたします農業所得標準によって課税をいたしておるわけでございますので、一般的にいいますと所得水準の漏れといったような問題にはなじみにくいわけでございます。また、営庶業者につきましては、これは私ども四%台程度の実調率でございますが、毎年実地調査をいたしております結果が出ておりまして、それによりますと所得の申告漏れの割合はおおむね二〇%台、二五%程度というのが実情でございまして、これは対象を非常にしぼりまして、特別な資料があるとか申告水準が同業者に比べて著しく低いとか、そういった方を特に選んで調査いたしておるわけでございますので、一般の申告漏れの水準はそれよりは相当低いということが考えられるわけでございます。何かほかに、もっと客観的な資料はないかと申しますと、実は営業者について業種別の経営の実態調査というのをこれは私どもの内部でいたしております。これは同業者の調査に際してその資料を活用するという目的で、特定の業種につきましてほぼ毎年無作為抽出の方法で対象者を選定いたしまして、そうして熟達した調査官でもってその経営内容を、実態を十分調査するわけでございますので、本来の目的とは別でございますが、その結果を集計いたしますと、営業所得者の申告水準がどの程度であるかということについて相当これは信頼のおける数字が把握できるわけでございまして、いま申し上げましたような全体としてはかなり高い申告水準にあるということを裏づけられております。 さはさりながら、農家とか営業者等につきましては、暮らし向きは非常にいい割りに申告される所得の額がどうもそれにそぐわないのではないかというような疑問を持たれる向きとか、あるいはそもそも相当の所得がありながら全く税務当局に把握されていないものがかなりあるのではないかといった疑問を持たれる向きがあり、この種の疑問がいわゆるクロヨン論議を生む大きな原因になっておるということも事実でございます。 そこで、私どもといたしましては、この二つの点に焦点を当てて今回の税の執行に関する実態調査というものを実施してみたということが経緯でございます。
○多田省吾君 いま無作為抽出ですから正確だとおっしゃいましたけれども、それでは源泉徴収されるサラリーマン以外の申告納税者に対する国税庁の実地の調査は、どの程度、何%ぐらい行われておりますかお答え願います。
○政府委員(小山昭蔵君) 昭和五十四年分の申告所得税について申しますと、実地調査の率は、これは深度のある実地調査でございまして、簡易な調査は別にしております。深度のある実地調査を行っておる率は四・三%でございます。
○多田省吾君 そのように国税庁は所得掌握に不公平はないという前提に立っておられるようでありますが、現実に庶民感情としてはそうは思っていないわけでございます。 大蔵省が本院予算委員会に提出された資料でも明らかなように、五十五年の課税実績によりますと、サラリーマンは全体の八三・〇%が所得税を納めているのに対しまして農業以外の事業所得者は三七・五%ときわめて少ないわけでございます。国税庁は、この事業所得者等に納税者が少ないのはそれらの所得が課税最低限に達していないと説明しておられるようですが、幾ら無作為抽出によったとしても、実調率が四・三%程度でございますとどうしても国民感情として納得できない、この点どう考えておりますか。
○政府委員(小山昭蔵君) 私ども限られた人員でもってできるだけ税の執行の公平を確保しなければならないということで、実地調査に当たりましては対象の選定ということに一番万を入れております。そのために、各種の資料を全部総合いたしまして同業者間いろいろと比較検討もいたしまして、どうもこの納税者の方は申告に漏れがあるのではないかというような対象にしぼって実地調査、深度のある実地調査を実施している。それが納税者の方の四・三%という数字になっておるわけでございます。その調査結果が先ほど申し上げましたような申告漏れの水準になっているわけでございますが、これはいま申し上げましたような、当然そういう漏れが出てくるのではないかと思われる方を対象にしての調査でございます。 一方におきまして、先ほど無作為抽出ということをちょっと申し上げましたが、これは十数業種対象を選びまして、その業種に属する営業者につきまして、これは大学の専門の先生の方にもいろいろ御協力いただきまして、その無作為抽出、統計学的な手法でもって調査対象者をその中から選びまして、そうして相当の深度のある調査を行うということをいたしております。 その結果を集計いたしますと、先ほど申し上げました一般の実地調査による申告漏れの水準よりは相当低い申告漏れになっておると。これがおしなべての全体の申告漏れの数字ではないか、それに近いものではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、私ども、所得の種類によりまして確かに正確な所得を把握する困難さにはそれぞれおのずからそこに差異があるというふうに思いますけれども、結果といたしまして、現在所得の種類別に、巷間言われているような大きな差異があるというふうには認識していないわけでございます。
○多田省吾君 いまの御答弁ではちょっとわかりにくいのですが、四・三%の調査というのはいわゆる無作為抽出の部分が四・三%であるのか、それともそうでないのか。
○政府委員(小山昭蔵君) お答えいたします。 四・三%と申しますのは無作為ではございませんで、非常に作為的に、これは所得の漏れがあるのではないかと思われるような対象者を厳選して実施いたしております。四・三%と申しましても全国で言いますと、たしか十四万七千件ぐらいの対象者になるかと思います。この程度の対象者を相手に念入りな実施調査をいたしておるわけでございます。 それとは別に、これは全く内部の資料として活用する目的で、実は業種別の無作為抽出による調査というのを行っておりまして、その結果は平均的な納税者の申告水準を知る上での手がかりになるのではないか、結果としてでございますが。ということを、二つのことを一緒に申しましたので、大変失礼いたしました。
○多田省吾君 じゃ、外部に発表しない、内部でやっておられる業種別の無作為抽出の件数は、業種別にほぼ何件ぐらいずつやっておられるのか。
○政府委員(小山昭蔵君) これは大体毎年行っておりまして、件数は全体で千件ちょっとぐらいというところでございます。
○多田省吾君 この無作為抽出の千件の結果を外部には公表しないのですか。
○政府委員(小山昭蔵君) これは先ほど申しましたように、私ども、同業者を調査する際にいろいろと参考に使うという本来内部資料という目的で調査をいたしておりまして、外にこれを公表するというようなことを実はこれまでのところは予定していなかったわけでございます。 ただいま申し上げましたように、これを集計してみますと、実は一般的な申告水準を知る上でのかなりの手がかりになるということは言えるかと思います。その数字は相当低い数字である。低いというのは漏れが低いということを申し上げた次第でございます。
○多田省吾君 私は、この四・三%の発表分のものも、これは不公平と思われやすいものを重点的にやっておられるということですから、相当正確を期してやっておられるとは思いますけれども、科学的に、やはり一般新聞社の世論調査等によりましても無作為抽出の部分は大体全国で三千件以上とか、もっと正確には何%とか、それぞれ科学的な調査をしておられるわけです。ですから私は、こういう科学的な調査ならもっと批判にたえるだけの件数もきちっと業種別にお聞きをして、そして発表されてもいいのではないかなと、こう思いますが、これはどうですか。
○政府委員(小山昭蔵君) 私ども、税の執行をあくまで公平に実現していかなければならないという使命を負っておりますと同時に、また、執行が公平に行われているということについて国民の皆様方の御信頼を得ていくということも、これに劣らず重要なことであるというふうに認識いたしております。したがいまして、ただいま先生の御指摘の点につきましては、今後十分検討さしていただきたいと思います。 ただその際、検討さしていただきたいと申し上げましたが、いま申し上げておりますように、私ども、いままで内向きの資料ということでこの種の無作為抽出の調査を現にいたしております。場合によりましたら、それを取りまとめたところで、どういう数字になるということを発表さしていただくといいますか、述べさしていただくということを検討さしていただきたい、このように考えております。
○多田省吾君 最後に、大臣にお尋ねいたしますが、総理府の調査でも明らかなように、七三%もの方々が税に不公平があると感じております。租税制度のあり方で最も重視されなければならないのは、言うまでもなく公正性でございます。租税の公正が欠けることは、政治不信の原因ともなり、その結果必要な税収の確保は困難になり公共部門のサービスの縮小や停滞を招くことにもなります。 確かに、租税の公正性という問題は原理的に克実際的にも非常にむずかしいとは思いますけれども、租税の公正な把握、発表がなければ、また執行がなければ民主政治の基本を損ないかねません。ですから、所得の実態を明らかにして不公平感を取り除くためにも、もりと有効な調査あるいはその他の手段を考える必要があるのではないかと思われますが、大蔵大臣としてはどのように考えておられますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 租税については、国民にやはり公平に課税をされているというように認識してもらわなければ円満な執行ができない。これは当然なことでございます。したがいまして、一層公平感を与えるための努力は制度面、執行面等においても今後していかなければならないと考えております。
○多田省吾君 先ほども申しましたように、総理府の調査でも七三%は国民は税の不公平があると考えているわけで、いわゆる社会通念になっているわけです。このような社会通念を打破するためには、具体的に大臣は何か考えていることがございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的にと言われましても、特別うまい手は一遍にないわけでございますが、一つはわからないで措置法と言えば不公平とか、何かわからずに反射的に答えている人も私はかなりあると思うんですよ、実際は。みんながもうだれかが一人脱税者が挙がったということになれば、それはそういうのはほかにもあるかもしれない、不公平だというように言っているのも私はかなりあると思うんですね。だけれども、思っているとすれば、これは思っていることを直してもらわなければならないし、直すための努力をわれわれはしなきゃならぬ。 ですから、そういうようなまず脱税者をなくするというようなことや、それから不公平だと思われておることで、本当に不公平なものがあればそれは直していかなければならない。しかし、政策目的上やっている措置法のようなものを不公平と言われましても、それはよく言って聞かして理解をしてもらうというようなことなど、いろんな手を私は交えて誤解は解き、本当に変なものはこれはもう脱税者はなくし、それからいろいろ議論があって、時代が過ぎたのだから、これはなくした方がいいじゃないか、いや置いた方がいいじゃないかという議論のあるようなものは、それはなかなかはっきりしないと思うんですよ、そこのところは。見解の相違ですから。 だけれども、少なくとも国民の多くの人が疑問を持たないように、最大限のいろんな努力はしていかなきゃならないと思っております。
○多田省吾君 私はその一つとして、いま国税庁でお答えになったような申告をやっておられるような業種の無作為抽出の内部資料があるといったような、そういったものを、もう少し幅を広げて調査して外部に発表するとか、こういうこともよろしいんじゃないですか。
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。 国税庁が現在行っております営業者についての無作為抽出による経営の実態調査についてでございますが、これは国税庁といたしましては、その内部の必要性もございますので、今後一層その内容の充実を図りながら継続してまいるつもりでございますし、その発表につきましては今後検討をしてまいりたいと、このように考えております。
○多田省吾君 最後に、国税収納金整理資金についてお伺いして終わります。 今回の改正では、納税者に対する還付加算金が直接国税収納金整理資金から支出されることになりますが、そのことによって納税者はどのような利便を享受することができるかまた、事務手続が簡素化されることによって人員が浮いてくると思うが、申告者の実調率を高めるために対応する考えはないか。この二点お伺いして終わります。
○政府委員(西垣昭君) 前段の方につきまして私の方からお答えをいたしますが、還付金、還付加算金の事務が最も多いのが確定申告の時期でございまして、やっぱり三月期にはそういったものの支払いがどうしても手間取るといったようなことで御迷惑をおかけしていると思います。そういった意味で、今回の改正によりまして、それが相当程度解消するといった意味で、納税者に対するサービスが改善、前進をするということは言えるかと思います。
○政府委員(小山昭蔵君) 税の執行面についてお答えいたします。 私ども、従来から内部事務をできるだけ簡素合理化いたしまして、これによって浮いた人員を第一線の調査事務に振り向けるという努力をこの十数年来続けてまいっております。幸いにして、今回御提案いたしております法案が成立さしていただける場合には、それだけまた私どもの内部事務の合理化に、簡素化に大きな寄与をするものというふうに期待いたしておるわけでございます。ただ、何分にも債権の徴収管理事務というのは、多年にわたりましてそういうことで賦課部門にずいぶん人を割いてきておりますので、現状でも相当人手不足の状況になっているという二回もございますので、それがまるまる賦課部門の方へ投入することができるか、あるいは内部事務のかなり無理がいっている部分の是正にその一部あるいは相当部分を割がざるを得なくなるか。この辺につきましては十分検討いたしまして善処いたしたい、どのように考えております。
○近藤忠孝君 最初に土地税制について質問いたします。 昭和五十七年度不況対策の目玉が百三十万戸住宅建設で、この点、大蔵大臣も大蔵委員会における所信表明で、景気対策の中心に住宅政策を掲げているということですが、このように住宅政策を重視する理由は何か、端的に御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは、やはりまだ住宅が不足しているということ。一つは、どうせ住宅不足しているときであるならば、要するに住宅をつくるということは需要の波及効果が大きい。片側に偏在していないと。道路をつくるというような場合は土地代がかかるとか、それからあとは人夫賃とかガソリン代とかということになるが、住宅の場合はいろんなものが組み合わせになっていますから、一つの国民の需要を刺激する場合において広範囲に影響力があると。したがって、世界どこでもそうですが、不況時には住宅政策というものをやることを通例としておるわけであります。
○近藤忠孝君 その波及効果ですが、最近は以前ほど波及効果なくなっているんじゃないかと言われています。 その理由は、これは後で触れる住宅価格とそれから取得能力の乖離の問題ですが、もう家だけ建てるのにいっぱいで、その後の家財道具なんかとても買えないとか、そういう点では波及効果は昔ほどではないという点が言われておりますし、実際に、最近において二回にわたって行われた公庫融資の拡大などの景気対策ですね、第一回が四十九年から五十年、第二回が五十二年から五十三年、いずれも景気対策として行ったんですが、たしか第一回目は一応の成功だったと、住宅建設も上向きになってですね。ところが、第二回目はむしろ失敗ではなかったか。横ばいであり、そして最近これは落ちているというんですね。 第一回、第二回通じて言えることは、景気対策では第一回目だけだけれども、第二回目と第一回目と共通する点は、むしろ土地だけが上がってしまっている、こういう指摘がありますが、それについてはどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 問題は、私は住宅対策、今後土地だと思うんですよ。土地の問題がなかなかうまくいかない。地価が非常に高くなり過ぎちゃっている。ですから、地方などではやっぱり、金貸したりなんかしますと需要多いですよ、地方は。大都市、ここに問題があると、そう思っております。
○近藤忠孝君 私がいま指摘した、第二回目の住宅政策が景気対策としては成功をしてはいないという、この指摘についてはお認めになりますか。
○政府委員(水野繁君) お答え申し上げます。 先ほど御指摘の四十九年から五十年までの第一回、それは四十九年が実は民間住宅が非常に落こっておりまして、その反動もございまして非常に強く出ておる。GNPの寄与度で申し上げますと、五十年には〇・八というほど高く出ております。それに対しまして五十二年、五十三年は、対前年でもって三%ないしは三・一%程度の伸びでございますけれども、これは平均のところで出てきている問題でございまして、寄与度にしましても〇・二程度の伸びとなっております。景気に対しまして一応の効果は上げておる。ただ、その前の状況が違いますので出方が非常に異なっているということでございます。
○近藤忠孝君 私は、住宅政策を景気対策にいわば従属させるやり方には、これは反対せざるを得ないですね。住宅政策は、それ自身一つの政策目的だと思いますね。ところが、いまはもう景気対策と。景気対策となりますと、どうしても持ち家中心になるんですね。だけれども、本当の住宅政策からいきますと、私は、いまほんとに住宅を求めている層とかあるいは日本の国土の状況とか、そういう面からいきますと、持ち家中心ということ自身にやっぱり疑問を持たざるを得ない。この間ここへ来た参考人も、その参考人自身が自分で家を持つのをあきらめたと、こう言っておるわけですね。 となりますと、住宅政策としては景気対策よりもっと本来の目的、ほんとに国民の求める住宅政策。となれば、もっと公的住宅建設に力を入れるとか、そういう点を重視すべきじゃないかと、こう思うんですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、住宅の専門家じゃないのであんまり詳しいことはわかりませんが、日本の場合は持ち家というのは大体もういいところへ来たんじゃないかと言われています。アメリカなどでも持ち家が六〇%以上を超すと空き家が出ると。日本も大体六〇%を超して七〇%を目標にいま五カ年計画というのは組まれているようでございますが、やっぱり空き家の問題というのが一つ出ています。ドイツのように三分の一ぐらいしかまだ持ち家比率がないというところは、空き家というのは少ない。 ですから、やっぱり持ち家と言われても、大都市の場合はなかなか、私も大蔵大臣だけれども持ち家がありませんからね。私もあきらめています。とても買えない。あんまり遠いところへつくったんじゃ選挙区と同じくなっちまう。 ですから、こういうところはやはり高層の公営とか、民間でも高層の賃貸住宅というようなものを大都市では進めるべきではないだろうかと、私は素人ですけれども、そのような感じがします。
○近藤忠孝君 大蔵大臣があきらめざるを得ないほどやっぱり問題なんですね。 となりますと、今回の土地税制も含めて、いまやっておるのはあくまで持ち家中心でしょう。となりますと、果たしてこの政策が妥当なのかどうか。私は、いまの大蔵大臣の発言というのは、これはかなり大事だと思いますね。渡辺さんでさえ、力のある渡辺さんでさえあきらめるというほどの持ち家中心だということ。やはりそのこと自身がこれは方向として間違っているんじゃないかと言わざるを得ないんですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは日本全国の場合は別でしてね、私は東京のような大都市の中でという話をしたわけですから、こういう大都市の市街地の、大都市の中では、坪二百万とか三百万とか土地買って家を建てるといったって事実上できないですよ、そんなことは、実際問題として。ですから、やはり郊外ということで当然に他県とか郊外と、そういうところではまだ持ち家の効果は私はあるし、地方においてはやっぱり賃貸というのは入らぬですよ。私の家の前に何かの雇用団が家をつくったのにかなり入らないでしばらく置いてあった。 ですから、やはり地価の安いところは持ち家、地価のべらぼうに高いところはやっぱり賃貸という傾向に、事実問題としてそういう傾向にならざるを得ないんじゃないかと、そう思っています。
○近藤忠孝君 次へ進みますが、住宅建設不振の原因としては二つのことが言われておりますね、一つはさきにも指摘したとおり、住宅価格と取得能力との乖離、それからもう一つは構造的な要因があると。 構造的な要因について指摘されているのは、一つは住宅ストックの量的充足、それから二番目には婚姻件数の減少など、三番目には都市への人口移動の低下、四番目は低所得者層への住宅需要層の変化、こういう状況です。こういう構造的な要因となりますと、私は単に今回のような税の問題だけで、こういうことではだめではないかと思うんですが、こういう指摘されていることに対する、これは建設省のお考えはどうですか。
○説明員(北島照仁君) 政府といたしましては、住宅建設を五カ年計画に基づいて実施しておるわけでございまして、昭和五十六年度がら六十年度までの第四期住宅建設五カ年計画を昨年三月策定いたしましたわけでございますが、その算定に当たりましては、一つには世帯数がどの程度ふえるかどうかということ、一つは住宅がどの程度滅失するかどうかと、この二つの要因を主に検討いたしまして、そういたしまして七百七十万戸の住宅建設を計画したところでございます。 したがいまして、一応その婚姻の件数とかあるいは人口移動の件とか、一応そういうものも計算に入れておるということでございます。
○近藤忠孝君 たとえば、低所得者層への住宅需要層の変化というのは、小さな家に、戦前から建ったような、もう本当にぼろぼろの家で、もう住むに耐えないようなのがずいぶんありますよね。そういった人々が、たとえばかわっていきたいと、それはもう正当な要求ですしね。そうなりますと、これは持ち家じゃとてもこの層の人に対しては対応できないですね。 そうなりますと、さっきから問題になっているような公的住宅ということですが、しかし公的住宅の建設は逆に予算減っているわけです。となりますと、むしろ住宅政策としては、本当に国民の要望に沿ったところの政策が行われていないんじゃないか、こういう指摘をせざるを得ないんですが、その点どうですか。
○政府委員(西垣昭君) 予算の問題でございますので、ちょっと私から御説明申し上げます。 いまの御指摘は、公営公団住宅の建設戸数が減っているという御指摘だと思います。御存じのように非常に厳しい財源状況でございまして、公共事業に割き得る財源というのも限られております。その中で住宅に割き得る財源というのもどうしても無制限というわけにはまいりません。したがいまして、できるだけ効率的に使うということが必要でございます。 いまの御指摘は、たとえば公営住宅につきましては、予算戸数が五十六年度の五万五千戸から五十七年度は五万四千戸と、一千戸減ったということでございます。ただ、公営住宅につきましては、地元との調整とか既入居者との調整がつきませんと、建てかえができないといったような事情がございまして、予算でたくさんの戸数を計上したからといって建つものじゃないわけです。五十六年度の状況を見ますと、予算が五万五千戸に対しまして実績見込みが四万九千戸程度でございます。それに対して五十七年度は五万四千戸ということで、いわば従来の実施状況等をにらみながら無理のないところを計上したということでございまして、予算を削ってしまったということではないわけでございます。 公団住宅につきましても、五十六年度の予算積算上の戸数は三万八千戸でございますが、見込みといたしましては三万戸程度でございます。それに対して五十七年度は三万五千戸。したがいまして、私どもといたしましては実現可能な必要戸数は確保している、こういうふうに考えております。
○説明員(北島照仁君) 先ほど七百七十万戸の住宅建設、全体のことを申し上げましたけれども、それと一緒に閣議決定した内容といたしましては、その五カ年間に全体として三百五十万戸の公的資金住宅を建設すると、その中で公営住宅あるいは公団住宅についてもわれわれの方、必要量計算いたしまして十分その低所得者の方々に対しましても適切な住宅が供給できるように対策を講じているところでございます。
○近藤忠孝君 先ほどの答弁でもわかるとおり、実現可能なものは確保したと、あるいは無理のないところでという、私はその答弁自体の中に、その範囲でやっているということなんですね。住宅建設を本当にここで景気回復の目玉ということにしていくと同時に、そのことに重点をおけば私はもっと努力があってしかるべきだということをこれ指摘をしたいと思うんです。 時間がないので先に進みますが、土地がなくて、それが住宅価格の高騰につながっているということはもうはっきりしているんですが、しかし問題は、本当に住宅が不足しているのかどうかという問題、これはもう一度考えてみる必要があるんですね。 これはいただいた資料によりますと、国土庁の資料ですが、販売用土地、これは四十四年から四十八年にかけて取得したものが六万ヘクタールあるわけです。これは全体の販売用土地の六二・三%、ということは、たとえば事業用土地とは全然これはもう違うわけですから、事業用土地は逆に四十三年以前取得のものが圧倒的に多いわけですから、こういう点じゃ、まず法人の土地所有が実際大いに進んで、それが先ほど指摘ありましたけれども、土地を高くしているあるいは供給を阻んでいる一番の原因じゃないかと思うんですが、どうですか。
○説明員(松本弘君) ただいま御指摘の点は、私ども毎年資本金一億円以上の企業につきまして土地の取得、保有の状況を悉皆調査をいたしております、その結果でございます。 五十五年三月末の結果を見てみますと、一億円以上企業が持っております土地が全体で約八十三万六千ヘクタールでございますが、そのうち大部分がいわゆる事業用土地でございまして、販売用土地というふうに言われておりますものが九万六千ヘクタール、約十万ヘクタール弱でございます。この中で最も住宅用等に急がれますいわゆる市街化区域の中で保有しておりますものが、約一万ヘクタールでございます。 ちなみに、そのうちで三大都市圏で保有しておりますのが二千八百ヘクタール程度でございます。全体八十三万ヘクタールの中で市街化区域の中で持っております販売用土地は一万ヘクタールでございますが、御指摘のように、この販売用土地につきましては一刻も早くこれを宅地造成なりいたしまして、実際の需要に供給していただくということが必要であろうというふうに思っております。
○近藤忠孝君 いまも答弁あったとおり、そういう点が一つの大きな問題点だろうと思いますね。 それから、これもさきに指摘があったとおり、空き屋があるという、こういう状況とか、そういう点で私は土地や建物は、住宅には必ずしもこれは不足をしているんではない、客観的には。それでそれを阻んでいるものがあると思うんですね。 それから、確かに大都市近郊の農地、市街化地域の農地を宅地化していくという、これは一面で一つの政策目的ですが、ただそれとの関係で土地税制出てきているんですね。これは後で触れますけれども、そういう点で全体的に見ますと、私は単に土地税制だけではなくてもっと全般的な住宅政策が必要だろうとこう思います。 そこで、土地の問題ですが、大変高くなっているというんですが、そこでちょっと渡辺さんにお聞きしたいんですが、昭和五十年を一〇〇とした場合、国民の住宅取得能力はどうなっているか、数字的に大体どの程度という御認識をお持ちでしょうか、ちょっと渡辺さんの認識を聞いてから建設省の方に……。
○説明員(北島照仁君) 住宅価格と申しますのは、その地域とか構造、あるいはその規模等によりまして相当開きがございます。 まず、一応住宅取得能力を計算する便宜上、民間研究所の調査によりまして、首都圏の新規売り出しマンションの平均価格を、住宅価格をとりまして、一方取得能力の方の、今度は買う方の側の給与というものにつきまして京浜地区の勤労者世帯の収入を求めまして、それから借入金を公庫と銀行ローン、あるいは貯蓄額が適当にある、これは総理府の調査の方から引き出しまして、そういったもので住宅価格とその資金調達可能額との比率を求めまして、これを五十年を一応一〇〇といたしますと、五十四年一〇四であったものが五十五年度におきまして九一、一三%程度下がっております。五十六年につきましては、まだいろんな調査等が十分でき上がっておりませんが、余り状況は変わっていないんじゃないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 そういう状況だということを、大蔵大臣、御認識をいただきたいんですが、ただ私は、建設省の算定したこの計算そのものも甘いと思うんですね。民間からは大変な批判があります。つまり、計算方法が違うんです。住宅価格で調達可能額を割っているわけでしょう。ところが民間、たとえば金融業界での算定ですと年収で住宅価格を割って出しています。実態からいきますと、この方が確定するわけですよ、年収が確定し住宅価格まで確定していますね。となりますと、正確に出てくるんですよ。建設省の計算だと調達可能額というのはかなり不確定なものだし、しかも他人の金ですからね、自分の金じゃないわけですね。 そうなりますと、むしろ建設省では、これから先希望を持てる、こういう予測が出ていますけれども。金融業界では横ばい、さらに住宅業界では危機感が出ている、こういう状況で、私は計算方法はむしろ民間がやっているような方法でやるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
○説明員(北島照仁君) 民間の計算方法も一つの方法がと思いますが、建設省におきまして調達可能額というものを使っております大きな理由は、要するに公的住宅金融の効果というものが非常によく出てくるということで使っておるわけでございます。 以上でございます。
○近藤忠孝君 しかも、最近ずっと、これは積極的な政策の結果だと思いますけれども、住宅ローンが大変割合がふえていますね。たとえば五十五年ではローンの貸出残高二十五兆八千億円ということで、それはまあそれでいいと思うんですが、ただ問題は、国民の所得の伸びがそんなに伸びてないで、むしろ借金の方がふえる、そういう中でいま住宅建設が行われている。 ですから、これは別の資料によりますと、最近は払えなくなって、払えなくなった結果、それはすぐさま返済不能ということにはならないで、別の人に譲って、自分の住宅取得をあきらめるというような形ですが、ずいぶんそういうあきらめざるを得ない人々が出ている、こういう結果もあって、私は国民の中における取得能力はむしろこれから大変厳しくなっていくんじゃないか。そういう中で、今回の土地税制の結果地価が抑制され、あるいは下がり、それで前進すればいいんですけれども、また別な問題が出てくると思うんですね。 そこで、これはむしろ大蔵省に端的にお伺いしたいんですが、譲渡所得税を緩和することによって本当に宅地が供給され、そして住宅価格が下がるという、こういう御自信があるのかどうか、どうですか。
○政府委員(福田幸弘君) 今回の改正で、御承知のとおりに、短期と長期を十年と区切っだということは、従来の四十四年一月一日以降というとこるとは差が出ますから、その差額の年数の分は動きやすいという問題がございます。 それともう一つは、四分の三総合というのがなくなってしまって二分の一総合ということになりますので、数字を見ていますと、どうも八千万出るところの数字がないんです。というのは、そこの下の方に切り売りしておるとか、それを恐れて四分の三をかけられるぐらいなら動かさないというようなことでとまっておる、したがってその数字があらわれてきていません。だから、そういう二つの要因で動くということのいままでの阻害要因が外されたということは言えると思います。 それとあとは、優良宅地についての軽減税率を三年に限っていますから、そういう施策でいままでよりは動きやすい。 それからもう一つは、長期安定税制にしたということですから、毎年何か変わるだろうという思惑でいつも売り控えた、売り控えるから土地が動かない、買う方も動意が出ないというようなことですから、いままでよりは確かにもうこれ以上変わりようがない、二分の一総合ですから、それから十年で短期を考えますから、もうこれを前提に考えてもらうということになれば、いままでいろんな思惑があったのが消えてしまう。これはやはりプラス要因ですが、どのくらい動くか、これは確かにわからないわけで、いろんなほかの環境によって左右されますから数量的には言えませんが、いままでよりは動きやすい、これは確かであろうと思います。
○近藤忠孝君 それは希望的観測ですが、私は短期の範囲を広げたことは——結局あのときにまさに投機に動いたですね。制裁すべき対象の業者をもうけさせる結果になるにすぎない。だから、それはやっぱり相当だと思われませんね。問題は、譲渡所得税の効果として二つ側面があると言われていますね。資産としての土地の魅力を高めるから宅地化が阻害されるという側面と、あるいはいま言われたように、土地売却の障害が緩和されるから宅地化が促進されると、二つの側面があるんですが、問題は、どういう土地にどういう効果が働くのかといいますと、この第一に述べた資産としての土地の魅力を高める効果というのは、従来から長く所有している土地についてはこういう効果が働くんです。逆に、投資をした土地については、さっき局長が言われたとおり、それはその阻害要因が緩和されますから、これは確かに宅地化が促進するんですね。 となりますと、制裁すべきところをどんどん野放しにしてしまって、本来市街化区域の農地を宅地化したいというその面では逆にこれは手放さない。というのは、農民は土地で持っておった方が、値上がりを見込めば、それを売って金利で暮らすよりよほどこれはいいんじゃないか、そういう効果がむしろ働くんじゃないかということがこれは指摘されていますけれども、その点どうですか。
○政府委員(福田幸弘君) これは、いままで長く持っておった人が売る場合と、棚卸しで持っている場合で売る場合とで、いままでの重課をなくすることがどう影響するかに差が生じるかは一概に言えないような気がします。 というのは、土地の値段を政策担当当局が土地政策自体としてコントロールするというか、よく見ておればいい話でして、そこに軽減効果がプラスまたはマイナスに立場上変わるということはない。全体の政策がその都市圏において整合的に行われればマーケットプライスは一本——一本というか、そういう形で決まりますから、売り主の考えで値段が高くなる、低くなるということは抽象的にはないような気がします。具体的な話になってくれば、これは税としては私は中立であるのがいいというのが基本ですから、後は政策の方で十分に展開してもらいたいと。土地問題等はやはり責任持って関係当局やってもらうと。何でもかんでも税金のせいにしてもらうのはもうやめてもらうというのが今回の改正です。
○近藤忠孝君 大蔵省としては余り頼りがいかないような答弁ですけれども、しかし一面では、土地税制に大変期待しているわけですね。これはこういう指摘があるわけです。私有財産制のもとでは、これは強制的に土地を出すというわけにいかないから、やはり税制による効果に頼る以外ない。大蔵省はそんなに頼りにしてもらっちゃ困ると言うけれども、実際はやっぱりそうなんですね。 ところが、私がいま指摘したとおり、譲渡税の緩和をしても決して宅地は、本来望んでいるような宅地は供給は余り進まないんじゃないかと。そして、結果的には投機したものをもうけさせ、逆に土地の高騰を招くんじゃないか。今回の土地税制も結果的には、いままで昭和四十八年以降ですか、以来の土地税制の幾つか変化がありますが、その変化のときと同じように、土地の値段を上げるだけの効果しかないんじゃないか、こういうことが指摘されています。 そこで、もう時間も余りないので、最後に私の土地税制についての指摘を申しますと、恒久的な税制を求める、これは当然のことだと思います。問題はどのようなところで恒久的な税制にするのかという問題です。一つは地価を抑制し、不公平を縮小する方向が、あるいは地価高騰、不公平拡大する方向かと、いまどちらかということなんですね。昭和四十八年以来の土地税制の変化を見てみますと、土地税制を緩和したときにどんどんどんどん値段が上がっているんですよ。そして、抑えたらそれなりに土地価格も一応抑えられていたと、そういう経過があると思うんですね。 これから恒久化してしまう場合に、いまの土地税制は結局不公平を拡大するだけですね。そして地価を高騰するだけ、その方向でこれは恒久化してしまうんじゃないか。むしろ恒久化するならば抑えて、そして土地高騰を抑え、かつ不公平を抑えていくと、そういう方向であるべきじゃないかと、こう思いますが、ひとつ大蔵大臣の端的なお答えをいただいて、土地税制についての質問を終わります。
○政府委員(福田幸弘君) 土地のやはり取り巻く環境が重要であろうと思うのですが、これは五十五年から五十六年のところでは四分の三を上の方だけに残したわけですが、その前の五十一−五十四年のところでは、これは騰貴が強かったものですから、二千万超、四分の三、これは非常に異常な形で抑えましたから、土地騰貴はおさまったわけです。その前の四十四年−五十年期は、段階を追いながら土地を供給させるということをやった、それが土地ブームにまた絡んでおったんですから、それを非常に強力な手段で課税で抑えて、後いろんな経済環境が落ち着いたこともあって土地が動かない。 一方、税金の重い形がそのままで残っておるというような状況、やはり経済環境、それから住宅政策自体も前向きに処理するというときに、その過去の土地が上がったときに厳しく抑えた税制をいまなお持っておるというのはやはりおかしいんで、これを外して、あるがままの姿で政策を展開してもらうというのであって、税の方が何か不公平を拡大するとか、高い値段のままで何か金持ちの方だけを優遇するということはないというふうに考えます。
○近藤忠孝君 土地税制を緩和した結果高騰し、そいつを抑えたんですね。だから、私はもっと前へ戻すということをこれは指摘しているんです。あともう時間が来ましたので、最後に交際費関係で二間質問したいと思います。 一つは、交際費については先ほど多田委員から性格について質問ありましたけれども、これは一面資本充実の原則から見て、交際費がどんどん使われるということはこれと矛盾をするのではないかという点が一つと。それから今度、交際費一〇〇%課税ということになりますと、それとの関係で、使途不明金について同じような扱い、これは課税からいうと同じ扱いですね。それでいいんだろうか。使途不明金についてはいろいろな否定的面がこれは論議になっておって、昨年の私の質問に対しても、当時の高橋主税局長は、指摘されてきたのでもっと掘り下げて検討する、こういう答弁でした。ところが、ことしになってからの答弁聞いていますと、一つは記帳義務が全部ないとか、記帳義務の関係と、それからもう一つは支払い先の明示義務もない、こういう関係で、使途不明金にフランスのような重い課税をすることについては問題がある、こういう指摘なんです。ただ、青色では実際記帳義務があるわけですね。 となれば、その限度で、要するに問題になっているのは大企業ですから、その限度で私は重い課税は可能であろうと思いますし、それから支払い先の明示義務については、これは別に処罰するのじゃなくて、支払い先を明示しない結果不利益になるという、いわば反射的効力ですね。となれば、私はここで思い切ってやってもいいんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(福田幸弘君) 最初の御質問は、交際費が社外に出るから内部留保を損う、こういう御質問ですが、交際費はやはり必要な経費であるという性格であれば対外的に支払われるわけで、ただ支払われ先が部内の人のポケットに入ってはいけないとか、お互いに飲み食いしてはいかぬという問題はあるわけで、社用消費になりがちな性格として批判されておりますので課税するということで、必要なものであればこれは経費であって、外に払われるのが本来であるということであろうと思います。 その次に、使途不明金の問題でございます。これは税というのはモラルにどこまで介入していいかという問題があると思うんです。で、この使途不明金というのは、やはり何らかの必要があって払われておる。その使い先が言えないというか、わからない。二つが、言えないのとわからないのとがあるんでしょうが、これは書類がそろっていないためにたまたま書き漏らしておる中小企業者あたりが、先がおまえは言えないんだな、こういうことで重課税していいのかという実際の問題もあるわけです。実際わかって、行き先を知っておるのに口を閉ざして、交際費一〇〇%だから今度は同じことじゃないかという言い方もあるかもしれません。 しかし、いずれにしましても、その支払い先をやはり言うことを義務づける、またはどこまでの範囲で、たとえば手数料とかリベートとかいう種の範囲に限るか、広く経費で落とす。それをさらにどこのだれに、どういうふうな払ったか、何が目的かまで限定しておいて、それがちゃんとされていないから重課するというふうに仕組むのか。その際は、本来は受取先に所得が行って対価がないから、そのかわりに課税をするんだという意味なのか、課税に協力しないから課税するのか、その種の問題というのはやはりたくさんあるわけです。 ですから、実際の執行に入った場合にどういうふうな雰囲気の調査が行われるか。帳簿がない、また行き先がわかりません、記帳はやったつもりですけれども行き先まではそこまではという前提の法律もない。その明細についてどこまで規定するか。そういうところをはっきりしないままに、これは賄賂である、贈賄であるという前提で課税をする。それはそれなりに追及すればいいので、それを立証できないから、そこで重課してというのは、やはり会計の問題もしくは税務、普通の調査の態度としては割り切れない点がありますので、やはりよく詰めた議論をしたあげくで結論を得べきもので、直ちにそうモラル論としては答えはすぐに出ないということであります。
○近藤忠孝君 終わります。
○三治重信君 まず最初に、先日参考人の聴取をやったときに、商工会議所の参考人の方から、やはり青色申告で進めてきたけれども、まだ法人でも、商法でいう記帳義務がありながら、やっていないところもたくさんあるし、こういうふうないろいろの疑惑を解消するためにも、また商工会議所としては三カ年ぐらいでその記帳を全部の法人企業並びにいわゆる個人企業でも大きなところ、できるところから全部記帳をやっていくような運動を展開したいというような、非常に積極的な話があったわけなんですが、これは非常に何というのですか、いわゆる所得統計からだけのクロヨンとかなんか言われておるんですけれども、やはりそういうことの疑惑を解くためにも、その事業者の記帳の義務、簿記つける義務、またそういうことによっての課税ということで、これは民間の方がそういう商工会議所や民間の青色申告会や、それからさらに商工会というものがやる気になれば、これは税務当局もまた協力すれば非常にこの効果を発揮するんじゃないかと思うんですが、そういうことについて国税、主税どちらでも結構ですが、相当内輪話がこういうことについては進んでいるんですか。 また、具体的にこういうふうないわゆるクロヨン解消のための一手段としてということばっかりではなくて、やはり公平な税制というものが非常に重要なことだと思うんですが、非常にいいこと聞いたと思うんですが、そういうことについての主税、国税当局のいまの、またそういうことについての対処の仕方をお聞きしたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 記帳の問題は申告納税の前提になっておるわけで、シャウプ勧告が最初から自分の所得は自分がわかって、それに伴う記録は持っておるはずだということを当然の前提にしたのはアメリカの実態を反映したわけでしょう。ただ、日本の当時の会計が十分でなかったということから青色というような奨励策がとられたということであろうと思うんです。いまの時点において、この当然の所得計算というものをすることを要請するというのは、やはりシャウプ勧告といいますか、申告納税というものの原点から見て適当なというか正しい行き方であろうと思います。 ただ、どういう帳簿が必要であるか、また罰則まで要るのか、また課税の際にどういうやり方をしてそれに対する反証として帳簿が立証の際に使われるかとかいう種のいろんな問題を解決していく必要があろうと思います。いたずらに煩瑣なものになったりしてはいけませんから、正しい申告をしている者がおかしい課税を受けて不公平感を持たないようにするということが基本ですから、その辺を基本に戻って検討するということで昭和三十六年の通則法改正に関する答申がございますので、この辺も振り返りながら記帳の適正化というものを申告水準の向上の一環策として検討するということでせっかく検討中です。 法律問題が絡みますし、執行の問題でもございますので、いろんな面を十分に検討した上で税制調査会の本格的審議にゆだねたいと、こう思っています。
○三治重信君 いまの話だと何というのですか、税制調査会のやつにまたさらにそういうものを意見を聞いてやるというようなことなんですが、こんなのはもう事務的に一つの方策が、もう三十六年にもそういうひとつの一定の調査されての研究が行われたのであれば、もう簿記上の問題や、できるだけ簡単な最小限度の記帳というものを、これくらいの規模のものにはまずやりなさいとか、いろいろの何というのですか、段階的なこの目標をこういう協力団体に、また協力しないまでもそういうものに協力してくれというその一つの事業者団体に働きかけていくという積極性がなければ、これはやはり調査研究してこうやっていけばやっていくほどまたむずかしい問題をつくらしちゃう。 これはやはり、実務的には国税庁の人たち一番よく知っているわけだと思うんですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(福田幸弘君) 御指摘の点を踏まえて検討いたしたいと思うんですが、いろんなやはり関係方面の意見がありますので、事務的にだけ詰めるという技術論、また国税庁のサイドだけの考えというよりも、やはり広く御意見を伺うという機会を経た方がやはりこういう問題については具体化について無理がない、こう考えて進めておるわけであります。
○三治重信君 じゃ、そういうことで専門家集めてどういうやつ、まだ具体的な計画は決まっていないのか、そう言われればそういうことでやるよりかしようがないという程度なんですか。どちらなんですか。
○政府委員(福田幸弘君) これはいまは、研究会の段階は問題点をすべて挙げまして検討をいたしておりまして、また近々再開いたしますが、内容は相当細かく執行面の実態まで踏まえた具体案づくりに入っておりますけれども、いずれにしましても、いまは研究会というフリーな形での検討をやっておりまして、それをさらに進展さしていくということでありましょう。 こういう問題、やはりいままでなかなか実現できなかっただけの理由がございますので、それが定着するだけのものにしていくということで関係各方面の協力を得ながら、しかし、法制的にはやはりきちっと説明できるものでないといけませんので、そういうことで進めておるということで御理解願いたい、こう思います。
○三治重信君 ひとつ税の公平化を、信頼を得るような措置としてそういうことが、私は業界の方も受け入れ体制ができつつあるような気がするんで、ひとつその審議を促進していただいて、やはり実態については各専門家や利害関係の団体からいろいろ批判やなんか出てくると思うんですが、しかし、やはり国税当局がこういうふうにしていわゆる不公平税制、クロヨンというものを解消すると、こういうふうにしっかりしたスケジュールをとっていくと国民の信頼感というものが非常に進むと思うんですがね。そういう意味においてひとつぜひやっていただきたい。 やはりそういうことが行われてないと、一般的な所得統計やなんかから簡単に割り出されてクロヨンだ何だかんだ言われると、いわゆる源泉徴収をやられている者から見ると、取れるところから取って、われわれだけ取られてしまって、こういう非常にひがみ——ひがみ根性と言っちゃ悪いわけで、負担の不公平というものを非常に強く頭の中へそういうことが行われないとだんだん強く入っていくわけなんですね、不公平的にわれわれだけが非常な負担を課せられていると。 こういうことなわけなんで、単に税制の合理化ということばかりでなくて、やはり国民全体が税務当局のやり方をきちっとどういう努力をするかと、言われているこの不公平に対してどういう是正措置を具体的にとるんだということについて注視をして見ているわけなんです。単にそういう事業所得者に対するだけのことじゃなくて、これは納税者全体に非常にその姿勢が響くということを特にひとつ注文をしておきたいと思うわけであります。 それからちょっと話が変わりまして、つい最近「地方財政の状況」という資料をいただいて、その資料を見ると、私は、日本というのは中央集権主義で国税が非常によけい取られて地方税というものは少ない割合かと、こう思っておったら、やはり日本は欧米諸国から見ると非常に地方税というものは、地方税の国民負担率というものは非常に高いですね。イギリスで五%、国民所得に対してですよ、GNPに対して。日本は八・二、それから西ドイツはこれはちょっと四・四%といかにも少ないなと思ったら、これはやはり州税が連邦の負担の方へ入っているというから、これは州の下の本当の市町村だけだとなればそんなものかと思うのですが、フランスは三。七%、アメリカは州税を含んでも一〇・八%となってくると、日本の八・二%とほとんど違わぬから、州税を地方税にするというとこれは日本が一番地方税はGNPに対してよけいかかっているような気がするわけなんですが、そういうふうな理解でよろしゅうございますか。
○政府委員(福田幸弘君) 国民所得に対する地方税の負担率はいまお示しのとおりで、日本の場合が八・二で、アメリカは一〇・八、イギリスが五・〇、西ドイツ四・四、フランス三・七と日本より低いわけでございます。この裏側として、地方財政の規模というものがあろうと思うんです。またその関連で財源の調達方法があろうと思うんですが、地方、政府の大きさを対GNP比で見ますと、日本が一六・二で、アメリカ一四・四、イギリス一三・二、フランス八・〇よりやはり大きい数字になります。ここのところは事務の配分等いろいろ問題あるでしょうが、税だけの面で申しますと、英国の場合は地方財政規模が日本よりは下回っていますが、税率が地方の方非常に低いのは、これはレイトという不動産税だけしかないという仕組みを歴史的に持っておるからで、ほかの所得課税がないためなんです。この開きが当然出ますが、これは補助金でやる。これは主計局の問題でしょうが、補助金でめんどうを見る。交付税交付金も入っておったと思うんですが、中央政府がその差額を見るというのが英国のやり方であったと私記憶しています。 西ドイツは、さきのように州が入っておりまして、連邦、州が一緒に税金をとって分けあうという仕組みであるために連邦、州というのが州の数字を含めておるためであります。これは国の機構が州の連邦という仕組みになっておる点に、地方に比べ純粋の市町村の税金しかあらわれない。しかし、州というのが非常に独立性がありますので、この分類方法がどうかといえば、州を連邦に入れておるところから国の方が大きくて地方が少ない。フランスはやはり不動産税等が主になっておって、余り独自の税が少ないというのはやはりこの数字からあらわれています。 国税と地方税の比較でいきまして、日本はいわゆる六四・一に対して三五・九という割合、これはまた補助金やると逆転するわけですけれども、アメリカの場合は日本の三五・九に対して三八・七、英国は先ほどのようなことで一二・二しか地方税取ってませんで、国が八七・八で直接地方に対して差額を調整してやるという仕組みをとって、それも民主主義なんです。西ドイツは連邦の方に州が入っていますので本来の市町村は一四・〇にすぎない。フランスも一一・四。 国、地方というときの制度がいろいろ違っておる、沿革も違う、また財源調整機構もいろいろあるということで、一概には言えない背景を持っておるということであります。
○三治重信君 本当にそういうふうに認識されていると、いままでちょっと考えていたのとえらい違う。実態は違って、日本は集権主義だ集権主義だと言われるけれども、欧米各国の方がもっと税関係からいくとえらい国税中心の徴税が行われているんだなということで、そういう認識でいいわけですね。 どうもそのようだが、そういうところからいくと、何といいますか、次の質問は愚間かもわからぬけれども、地方交付税がこれまた今度は、一面資料を見るとほとんど全部、わずかに交付税を受けないのは県では東京一つだけ。市町村でも五十七しかない。こういうふうになってくると、もうほとんどのところは全部基準財政収入額が足らないということで交付税を配賦する。こういうことになればみずからの財源が取れるところは財源取るように、もう少し地方に財源を与えて交付税を減らしていったらどうかと。その方のが金の使い方も合理化しないか、こういうふうに思っているわけなんです。 また、交付税が一番やはり税の自然増収で増加をする法人税、所得税、ことに所得税が中心になって自動的に交付税の方へ入っていく。こういうかっこうになるから、ますます所得税そのものが自然増収の大きな財源になっている。その大きな分け前を地方交付税が食っておる、こういうかっこうになっているわけだから、国がふえれば地方も同じようにふえていくのが税の配分からいくといいかもわかりませんけれども、物の考え方によってここで所得税の一兆円減税、こういうことを考える場合に、この地方交付税の制度について、これは大変な困難だろうと思うんですけれども、交付税と地方税との調整というようなものは考えたらどうかと思うんですが、どう思いますか大蔵大臣。
○政府委員(福田幸弘君) 税の面からだけ申し上げますと、税源の国、地方の配分というのは、また一方において行政事務の国、地方の配分とも絡むわけでございますし、税源というのはまた地方によって偏在いたしておりますので、この辺を考えますとやはり調整するのが交付税というもので——補助金も広く言えば入るわけですが、それがなければ行政水準が全国的に平準化しないというか、余りにも差が生じ過ぎるということになりますので、また国の借金状況から言って地方に渡すような税金もまだないということであります。 先ほどの外国の例から見ましても、地方に独自財源がどこまで必要かというのは、やはり地方でやる仕事に直結した税源としてどういうものがという問題にも絡みますので、必ずしも地方税源が充実されて交付税が減るということよりも、交付税の形で調整をするということの方が事務配分と税源の現状から見てはやむを得ない。 あとは主計局の問題でございますので、主計局で御説明すると思います。
○政府委員(西垣昭君) いま主税局長から申しましたように、地方団体間で貧富の差が相当ございます。税源におきましても豊かなところと貧しいところ、地方の一般財源といたしましては地方税と交付税、譲与税がありますが、もしいまはっきりとそう言われたかどうかわかりませんが、御指摘が地方交付税を減らして地方税財源をふやしたらどうだということであるとしますと、豊かなところがますます豊かになりまして、貧しい府県の財源が乏しくなる、こういう問題がございます。そういった意味で、私どもはそれはいかがかなという感じがいたします。 いま一つの例示として申し上げますと、都道府県について一人当たりの税収額を府県別に比較してみますと、全国の平均が一〇〇といたしますと、これは最近の数字だと思いますが、昭和五十四年度でございますが、人口一人当たりの指数が最低の沖縄が五〇、それに対しまして東京が一七七という数字でございます。地方交付税というのはまさにそれを補っているわけでございます。それから、市町村税について見ましても最低がやはり沖縄でございまして、全国平均を一〇〇といたしまして沖縄は四一、これに対して東京一七九ということでございますので、地方交付税に対して地方税の方のウエートをふやしていくということは、貧しいところの財源を取ってしまうということになりますので、それはいかがかなという感じがいたします。
○三治重信君 それから、これは質問としては通告していないやつなんですが、この前にちょっとやったいわゆる所得のない法人ですね、それからまた休眠法人からは、名前だけのやつは何もどうしようもないということになるかもしれないけれども、法人でありながら税金が全然、欠損あるいはゼロということで、納められていない非常にたくさんの法人がある。こういうものに対する、まさか脱税法人というわけにはいかないでしょうが、それに対して大蔵省の方で、そういう所得がない法人にも一定の税をかける案を検討を始めたというようなことなんですが、この間の質問ではそういうことは全然なかったわけですが、私が言ったのは、いわゆる非課税の部面で、まだ調査や検討をすれば、課税をすべき人が非常に漏れているんじゃないかりまたそういう部面についての検討がどういうふうに行われているか。こういうふうな質問に対して、やっているけれどもそれはそうまとまったものは一つもない、考えられないというような答弁だったと思うんですが、新聞だとそのいわゆる税金を納めない法人が余りにも多い。そういうものについての住民的な税を考えたらどうかというような記事もあるわけですが、これは単なる推測記事ですか。
○政府委員(福田幸弘君) 赤字法人の問題でありますが、現在、五十五年で申しますと、百四十四万九千という法人に対して欠損法人の割合が四八・二というので、これがふえておるということであります。四十五年でしたら三〇%だったわけで、これがふえてきて、景気のよしあしにかかわらずこの率が高い。 ここはどういうことが問題だろうかということを検討をずっとやっておるわけですが、やっぱり本来の赤字企業もあろうと思います。しかし倒産はふえても法人の数はふえている。しかも赤字法人がコンスタントにある。これはやはり異常だという気がするわけで、その原因のところを国税庁の方と一緒にいま分析いたしております。赤字にしながらも個人の方の所得、それは黒かもしれない。それは所得分割をする、または家事関連費を落とす、交際費を落とすというようなことで、法人は赤字にしながらも生活水準はプライベートには高いというのはまたこれおかしい制度論の問題になってきますから、経済の景気が悪くて悪いのか、またそういう制度面から来るのか、いろいろな操作をした執行上の問題としてそれがあるのか。 それで、直ちに課税をするかという問題は、次のまたその分析の結果によると思うんですが、地方の方には固定資産税という、これは損益にかかわらず課税されるものがある。それから法人住民税の均等割りがある。そういうことで、地方の方の均等割り的なものを見直すという地方税の問題なのか。それと同じ考えを国税がとれるのか。またフランス的な、最低税額的なものを考えるのか。その辺は、やはりおかしい問題であるということであれば、それをどう対応するかはやはりわれわれの責任ですから、公平な解決をどうしたらいいかということで、さきの記帳義務も同じ問題の一環であろうと思います。 そういうことで、検討中の問題として御理解願いたいと思うんで、この法人数自体が百四十四万もあるというのは異常でして、これはアメリカは二百二十万ぐらいだと思うんです。ヨーロッパでしたら四、五十万しかないわけで、この辺の法人が多過ぎるというところに、本来の法人かどうかの問題もございますので、よくその辺は根っこからやはり掘り起こしてみる必要があるという気がいたしています。
○野末陳平君 偶人的な立場で言いますと、私は、来年度の改正にギャンブル税などは出てきても不思議はないと思っていたわけなんですが、これがときどき議論になったりするんですが、いままで当局はこのギャンブル税をどういうふうに検討したかということを、ちょっと経過をお聞かせ頭いたいんですね。そして、どこが問題点だったのか、この辺がちょっと関心がありますので。大体どういう形の税を考えたんですか、検討の過程に。
○政府委員(福田幸弘君) ギャンブルの売り上げが五兆を超えておる。五十五年度、五兆二千八百億。これは一つのわれわれの着眼した点であります。 次に、ギャンブル課税というのはいろいろな沿革を持っていまして、かつては一般会計に入っておった時期があると思うんですが、それが一兆円予算ということで外に出たという経緯もやはり考えなきゃいけない。まあこういう時期でございますので、何らかのやはり検討を進めたいということで始めたんですが、新税としての性格を持つんじゃないかということがやはり踏み込めなかった最大の原因ですが、じゃ新税としての性格かどうかというのは、その方式によっていろいろ決まってくる。 払戻金というのは、これは受け取る側に対しては課税をしていいわけですから、ただそのときに経費をどういうふうに引くか、損をどうするか。また、そういう人が税務署にあらわれないというのが普通ですから、そうしたら源泉徴収でやっていいのかということで、この払戻金について源泉徴収的な課税をすることは検討いたしました。しかし、これはそういうふうな払戻金に対する源泉徴収ということが成り立つかどうかは、もう少しやはり詰めませんと、実際に税務署にあらわれてこられる方に課税する際に、その水準がどの程度の水準の方か、またそれの所得がどういうふうな形が適正なものとして本来あって、それを源泉徴収で処理するか、やはりここを考えた上でないと率も決まらない。 しかし、ここのところが全然税金から外れておるのは事実ですから、これはやはり今後とも問題としては残ろうと思います。ただ、技術論として源泉徴収としてやれるか、また傘としてどうするかという問題。 それから、今度は売り上げ全体に課税するという問題があります。これは二五%という分、七五の払い戻しの残りの二五も含めた一〇〇に対してかけるという問題。そうなりますと。今度は二五の方にも踏み込んでいくということになると、七五の払い戻しの方の率に影響する。両方に影響する。七五の払い戻しも減るし二五もへこむという問題。もう一つのやり方は、二五の方に課税というか納付金的に求める。こうなると、二五自体が負担をするわけですから、いまは交付金の形でいろいろ公益といった形の支出をいたします。しかし、これが適正かという問題はあるにしましても、地方団体収入に大きくこれが貢献しておるという問題もありますので、いろんな形の検討をいたしておりましたけれども、時間切れという問題と、新税としての性格がどうしても実質的に出てきますので、この際は見送りながら、やはり検討をこれは総合的にやる必要があるという感じがございまして、今後ともこれは検討課題ではあるわけです。 あといろんな、のみ行為とか場外での車券の売り場をどうするかとか、いろんな問題がこれ次々出てくる種類の問題です。さらに、いまのところ伸びが非常に悪くなっておるという問題もございます。 今後、こういうギャンブルという形が担税力を持つ形で伸びるかという問題もございまして、検討継続ということになったわけであります。
○野末陳平君 いま答弁の中にもありましたけれども、売り上げが落ちてきたりするとますますむずかしくなるので、まあ私自身もなかなかこれはむずかしいなという感じを持ってましたから、今後検討してまた新しい何か視点が出ましたらお話ししたいと思います。 それからもう一つは、よくギャンブル税と一緒に言われることなんですけれども、今度交際費が一段と厳しくなりますと、今度はこれと一部似た性格を持つ広告費のことですが、いつか、先日もこの委員会でちょっと出たと思いますが、これについては広告関係の費用を今後税の対象として位置づけていくかどうか、この辺の検討もなさったやに聞いてますので、いままでの経過を若干説明してください。
○政府委員(福田幸弘君) これも同じく検討いたしたわけでありますが、これもよく似た新税的な性格になる。これは広告費ということであれば広告費否認という、交際費否認と同じ形はとれますけれども、また別の形で広告媒体に課税する、こうなればこれは完全な新税であろう、こう思います。 いずれにしろ、実質的な新税的なものであるということで、これは見送って今後検討ということになっておりますが、検討の過程ではやはり広告質が五十五年度で二兆二千七百という数字であるということは、やはり金額の大きさというので、交際費、ギャンブル、広告費というのは頭の中にあります。配当金は二兆ぐらいですから、いずれにしましてもバランス的にどう考えていいか。この場合課税を行うべきであるというのは、やはり交際費課税とのバランスを販売促進ということからは言われます。それから、過剰であるかという問題が同時にございますが、この辺、課税論としてはやはり担税力があるんじゃないか。それから、行うべきでないというのは、広告費と違って社用消費的な要素はない。いずれにしろこれは媒体で広告されるわけでありますから、また、これは本来の商品の宣伝をする、販売促進の本来のものであるということからこれに課税することは問題がやっぱりあるし、さらには言論の自由的なというか、媒体の収入が広告費によって半分以上影響されてますので、そういう経営の面からどういうことになるか、いろんな話が出ました。 この辺は、いずれにしましても今後の検討課題ということで、結論を得るに至らないということでそのままで新税的なものは見送っちゃおうということになったということであります。
○野末陳平君 次に、自治省の関係はいらしてますですか。——住民税の減税に結果的にはなっていくと思うんですが、かねてから不思議で、不思議というよりもこのままでいいのかという疑問を持っていた点が、住民税における人的控除とそれから所得税における人的控除、これは基礎控除も含めまして違ってますね。これを国と地方はやはり、たとえば配偶者控除は二十九万円ならば地方税も二十二万でなくて二十九万にそろえといた方がわかりやすくていいんじゃないか、なぜ一致させないのかなと、こう思っていること久しいわけですが、その第一問で聞きたいのは、これは結果的に、たとえば配偶者控除と扶養控除それから基礎控除ですね、この三つだけでも仮に所得税と同じレベルにまで引き上げますとどの程度の減税になるんでしょうか、そんなに細かい数字じゃなくていいんですが。
○説明員(杉原正純君) お答えいたします。 いま委員御指摘のように、三控除——基礎控除、配偶者控除、扶養控除、これにつきましては所得税の方はそれぞれ二十九万円、住民税は二十二万円でございまして、七万円の差があるわけでございますが、これを仮に一致させますと、平年度で約五千二百億円近い減収になろうかと試算いたしております。
○野末陳平君 現実にはほかの控除もいろいろあるわけで、それぞれ国のレベルと差があるのですが、いま所得税については毎度言われる夫婦子供二人で二百一万五千円でしたか、課税最低限というのは。住民税の方ですね、この課税最低限、そしてこの課税最低限で住民税の負担をしていないという世帯がどのくらいあるものか、これはなかなかむずかしいかもしれませんが、その辺のこともちょっとわかる範囲で。
○説明員(杉原正純君) 課税最低限は、現在、夫婦子二人の給与所得者の場合で申し上げますと、百五十八万四千円の年収になります。 それで、住民税所得割の課税を受けている納税義務者が大体四千万人、概数でございますが、四千万人でございまして、所得が課税最低限以下であるということで所得割を納めていない人数三百万人前後あろうかと思っております。
○野末陳平君 そこで問題は、この控除をなぜそるえられないのかという単純な疑問になるわけですが、これはそろえた方がやはりわかりやすいんですね。簡単に言いますと、所得税は取られていないのだけれども、住民税は取られるのだというところがかなり出てきて、そこが、じゃ、なぜだと言われると、いろんな理由が考えられるにしても、控除が違うからだと。なぜ違うだろう、ここがやはり説明がしにくいところですが、これはどういうふうに説明したら一番いいんですかね。
○説明員(杉原正純君) 確かに御指摘ございましたように、課税最低限、端的に申し上げまして人的控除を所得税、住民税合わせますと計算は非常に簡単になりますし、また、納税者の方にとりましてもわかりやすいということはまさにおっしゃるとおりだと思います。ただ、そろえること、課税最低限を所得税、住民税一緒にすることにつきまして大きく分けまして二つの問題があろうかと思っております。 一つは、やはり財源上の問題でございまして、先ほど御質問ございましたように、課税最低限を仮に所得税、住民税合わせますと、平年度で五千二百億円近い減収を生ずる。地方財政は現在五十七年度末で四十二兆円からのいろいろないま借金を抱えておるわけでございます。そういった情勢で、なかなか大幅な減税はできないという状態で、五千二百億円からの減収になるというのがなかなか地方財政としてたえることが困難であろうということが第一点かと思います。 もう一つは、抽象論でございますけれども、住民税の性格に基づく問題点があろうかと思っております。住民税は、御案内かと思いますけれども、やはりできるだけ多くの住民の方にその地域の公的な費用を負担をしていただくということの性格に基づいておりまして、その性格があるがゆえに所得税に比べますと、たとえば、税率も非常にフラットになっておりますし、納税義務者の数も三百万人ほど所得税より住民税の方が多いというようなこともございます。それから諸控除もそういうことで差をつけているということがございまして、仮に両税課税最低限をそろえるということになりますと、三百万前後の納税義務者が減るわけでございます。そうしますと、小さな山村に参りますと、ほとんど住民税を納めない住民が出るということになりますと、これは住民税の性格としていかがなものだろうか、こういう問題があろうかと思いまして、税制調査会の方におきましても両税の性格からいたしまして、住民税と所得税の課税最低限を合わせるということは必ずしも必要でないというのが、ほぼ一貫したお考えではないだろうかとわれわれも受けとめておるわけでございます。
○野末陳平君 僕は、わかりやすさの点から納税者にそろえた方がいいと、また減税になればなおいいと簡単に考えているわけなんですが、ただその場合、やはり広く応益負担ですか——そうですね、そういう場合に、例の均等割というのがありますが、あれ、百五、六十万の年収でもたしか二千五百円ぐらいで済むんでしたかね、正確にちょっとあれですが。この均等割を、どうなんでしょう、これが大体妥当かどうかというのは非常にむずかしいところなんでしょうが、いまこの均等割の二千五百円程度で済むというのは、ちょっと応益負担の立場からいうと低いかなと。もう少しこれを引き上げても、それほど致命的な影響を低所得の人たちに与えるとも思えないし、この辺の考え方はいかがですか。検討をやはりなさっているわけですか。
○説明員(杉原正純君) 住民税の均等割につきましては、先ほど少し申し上げましたように、住民税の性格を一番端的にあらわしていると申しますか、まさに会費的な性格がございまして、所得のいかんを問わず広く、そのかわりそんなに高い額でない金額を負担していただくというものであるわけでございます。 したがいまして、定額課税ということになりまして、先ほど御指摘の二千五百円と申しますのは、大都市に所在する住民の場合の県とその市に納めます均等割の合算額が二千五百円ということでございますが、こういうことで現在なっておるわけでございます。しかし、定額課税でございますから、やはり物価の上昇、その他諸般の事情の推移にいつも照らしまして、常に見直す必要がああことは御指摘のとおりだと思います。 そこで、均等割につきましては常時見直しをするということで、最近では五十五年度——いまの年度からいきますと一年度前でございますか、五十五年度に引き上げを行ったわけでございます。したがいまして、ちょっといま当面直ちに、またいまさらに引き上げるという状況にはあるいはないかとは存じますけれども、ただいま申しましたような、常に見直す必要がある、これは税制調査会でも指摘されている点でございますので、今後とも物価水準の推移あるいは地域社会との受益関係、こういった諸要素をいろいろ勘案いたしまして、随時見直しにつきましての検討はしていきたいと、かように考えておる次第でございます。 〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
○野末陳平君 さっき課税最低限が百五十八万四千円でしたかね、夫婦子供二人標準世帯で、という話出ましたが、現実にはその課税最低限とは別に、五十六年度で非課税限度というのがありましたですね。これが二つあるのがちょっとおかしいわけですから、この非課税限度額というのがどういうわけで出てきて、現実にはどちらがいま機能しているのか、ちょっとその辺のところの実態をもう一度説明してください。
○説明員(杉原正純君) 課税最低限につきましては百五十八万四千円、標準世帯の場合でございますが、これ五十五年度までほぼ毎年引き上げてきたわけでございますけれども、五十六年度さらに引き上げるかどうかにつきまして、非常に地方財政が苦しいと、こういう状況にありましたものですから、それを引き上げは見送ったわけでございます。しかし、その一方で、低所得者に対します配慮というのはやはり必要ではないだろうかと、このような御議論がいろいろな各方面からございまして、低所得者に限りまして、別途、課税最低限とは別に、一種の免税点制度に類似しているかと思いますけれども、非課税限度額という制度を設けたわけでございまして、五十六年度には家族の数掛ける二十七万円の所得、——それは所得ベースでございますが、それを収入に置き直しますと、夫婦子二人の場合でございますと、年間百七十五万三千円までの所得の人には住民税所得割といえども課税をしないと、こういうことを五十六年度限り措置ということでお決めいただいたわけでございます。 で、五十七年度を迎えるわけでございますが、五十七年度につきましてもいろんな御議論があったわけでございますが、その地方財政を取り巻きます環境が五十六年度と全く変わらない、厳しい状況は変わらないと、こういうことで、やはり課税最低限の引き上げといいますのは、まあ各控除一万円引き上げましても大体七百数十億円の減収になるわけでございますので、そういった大幅な減収を招くような減税措置というのはとてもできかねる。しかし、やはり低所得者に対する配慮は引き続きする必要があろうということで、五十七年度につきましても、五十六年度限りということでお認めいただいたわけでございますが、先ほど申し上げました非課税限度額という制度を引き続き存続する、存続して、さらに若干の調整、上乗せをさしていただくということで国会の方に御提案申し上げている状況にあるわけでございます。
○野末陳平君 そうしますと、課税最低限というのはあると。あるけれども実際は非課税限度という、別に百七十五万三千円というのがあって、まあ二本立てで……、この非課税限度というのが一番機能しているということなんですか。課税最低限というのはもうそのままあってもなくても同じようなふうにいまの答えで受け取ったんだけれども、それは違うんですか。 〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕
○説明員(杉原正純君) 課税最低限百五十八万四千円から非課税限度額——五十六年度で申し上げますと百七十五万三千円までの間の方々につきましては、実質上課税最低限百五十八万四千円というのは空振りになるわけでございまして、百七十五万三千円以下しかない所得につきましては所得割がそもそも課税にならない、非課税になるわけでございます。しかし、百七十五万三千円を超えるような収入のある方につきましては、もう非課税限度額をオーバーしておりますから、非課税という措置は該当しない、適用されない。しかし、課税最低限を構成いたしております基礎控除、配偶者控除、扶養控除といったような諸控除は当然に適用になるわけでございますので、非課税限度額を超える収入の方々につきましては従来どおりの所得控除が働くということで御理解いただきたいと思います。
○野末陳平君 御理解って、わからなくはないけども、なぜそういうややこしいことになっちゃうのかということでね。だって、要するに二つあるわけだね、物差しが。それで、この層にはこっちの物差し当てはめて、こっちにはこっちをという、そこら辺がもうすでに何かわかりにくくなっちゃって、どちらか一本にすればいいのにと。二本にせざるを得ない理由もあるんでしょうけれども、低所得対策だからこれも必要である。しかし、それ以上の人には本則というか、基本的なこの課税最低限で計算するんだということなんでしょう。だから、そこがね、一体いつまでこういうような不自然というか、わかりにくい、ややこしいのを続けるのか、非常に疑問なんだが、五十七年度は、じゃ今度非課税限度額というのはどうするんですか。いまの百七十五万三千円をそのまま続けるんですか、それとも、これもまた徐々に上がっていくんですか。
○説明員(杉原正純君) 五十七年度につきましてただいま国会の方に御提案申し上げております形では、標準世帯の場合は百八十八万五千円という年収の方までは住民税所得割が課税されないような措置をお願いしているわけでございまして、非課税の基準額につきまして若干の上乗せを案として提案申し上げてるわけでございます。
○野末陳平君 そうすると、まあ毎年毎年この非課税限度額というのは上がっていきそうだと、それから課税最低限はしかし別に、それはそれで存在して機能させると、まあこういうことをしばらく続けていこうと、やむを得ずそうなっているわけですか。
○説明員(杉原正純君) まさにやむを得ずということが端的に当てはまるかと思います。 まあ、本来でございますと、課税最低限を引き上げることによりまして低所得者に対する配慮もできれば本来の筋道かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、課税最低限の引き上げといいますのは大変な減収をもたらすものでございますから、それは五十六年度、七年度と見送らざるを得なかったと、得ないと。しかし、一定の金額しかないような低所得者に対してそのままの課税最低限を当てはめて従来どおり所得割が課税されるという事態はひとつ避けたいということで、まさにやむを得ざる措置というかっこうで非課税限度額という制度を五十七年度も続けさせていただきたい、こういうことでございます。
○野末陳平君 生活保護世帯とかそういうことを背景にそういうことになったんだろうと思うんですけれども、いずれにせよ何とも課税最低限を引き上げていけば、そのために人的控除を国にそろえる、あるいはかなり近づけるかということで済んでしまうという気がするわけですね。だから、何でそんな苦しいこそくな手段で毎年非課税限度なんというのを引き上げていって、何かわかるようなわからないような気がしてなりませんね。 大蔵大臣、ここなんですがね、大臣の直接の担当じゃないかもしれませんが、やはり税金を納める方は、これは所得税で国にとか、これは住民税で自治体にとかという区別なしに税金と、こうなりますね。そうすると、課税最低限というものがあり、それを上回るあるいはそれ以下ということを問わず自分の税金を考えるときに、これがやっぱり一致しているのが普通なんですね。だから、どうしても人的控除というのを一本にして、課税最低限が国と地方で違うんだというような現実は避ける方がいい。やっぱりこういうふうにこの方向で考えなきゃいけないんじゃないか。ましてや住民税の場合は課税最低限はあります、しかし非課税限度というのもあるんです、これはかなりいろいろ計算の方法も違って、額ももちろん違っていて、当てはまる階層も違っている。 こういうものをそのままにしてあと何年続けていくのか知りませんが、ちょっとおかしいじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、国と地方とは制度が違いますから一致しなくても差し支えない。 まず、地方税は税率も最高一四%でございますし、どんなに高くてもそこで打ちどめ。また、わかりやすくするならば、同じにしたらば税金が足りなくなるから各税率を上げて一緒にするという方法もあるでしょう。あるでしょうけれども、長らくやってきたのでそれもなかなか大変だ。私の方としては上げなさいなんて言えないですね、これは。上げても、今度基準財政収入額が減っちゃったんだからその分穴埋めしてくれなんて言われても困る。これはやっぱり自治大臣の方にお任せをしたいと思っております。余り口を挟まない方がどうも得らしいから。
○野末陳平君 じゃ、ついでと言っちゃなんですけれども、所得税の各人的控除のことですが、いずれ減税というようなことになればここら辺がいじられる可能性もあるんでしょうけれども、この基礎控除、配偶者控除など二十九万円でそろえていますが、中には配偶者控除をちょっと引き上げたらどうかという声もあるわけで、ちょっとこれはどうかと思うんですけれども、考え方だけ当局に聞いておきたいんですが、主税局に。 この配偶者控除そのものは、結局妻の内助の功というか、そういう協力度を主に考えているのか、それともほかの扶養控除あるいは老年者の、お年寄りを扶養している場合の控除とか、そういうようなのと似たように考えているのか。配偶者控除だけちょっと金額面では特別扱いになっていないから、これをちょっと特別扱いにして、実はここを少し引き上げたらどうかとか、そんな考えもあるんですが。それについてもちょっと意見を聞かしてください。
○政府委員(福田幸弘君) 四十九年度の税制改正の答申に三十六年度の改正のことを言っておりまして、所得の稼得に対する配偶者の貢献等考慮して、配偶者を扶養親族の中から抜き出して新たに基礎控除と同額の配偶者控除を設けたと、こうなっておるわけです。 沿革を言いますと、これは昭和三十六年で九万円、九万円と、こういうことで配偶者控除を扶養の方から抜き出して九万円というのを別建てにしたのは、配偶者の地位を発揮さしたということが当時言われたのがいまのような答申です。その後、基礎控除と配偶者控除の間には今度開きができまして、たとえば四十一年あたりは十四万と十三万、扶養の方は六万、こう差がついておったわけです。四十三年にはまた戻って十六万、十六万ということで、四十三年度以降は同じ額で基礎と配偶は来ています。で、扶養控除が四十八年までは十六万と、二十一、二十一、十六とあったのが、これを四十九年のときにもう二十四万にそろえてしまったというのが率直なところです。 それで、五十二年改正で二十四万にそろったのを二十九万に一律に上げたと。二十四を二十九に上げるには、当時の物価とかいろいろあったのを記憶していますが、いずれにしろこれを一律にしたというのは、アメリカの制度を当時考えて余りに複雑になり過ぎちゃったと、一々理由を考えておったらきりがないということで、総合した夫婦子二人の二百一方が適当かどうかということを考えればいいので、あとの中身はもう単純に同額にしたということです。配偶者控除を引き上げるというと、基礎控除を上に上げる積極的理由がこれは見当たらないということになろうと思うんです。本人よりは奥さんが高いという理由はございませんから、それで同額ということで、外国でも奥さんの方が高い国はもちろんございません。そういうことで同額にしてあるということで、配偶者を独立の控除として別建てにして基礎控除と同額にしてあるというふうに簡単に御理解願ったらいかがかと思います。
○委員長(河本嘉久蔵君) 総理が来られるまで、しばらくこのままお待ちを願います。——
○穐山篤君 三法案の審議がいよいよ終わりに近づいたんですが、この機会に取りまとめて総理の御見解を伺いたいと思うんです。 最初は、いま話題になっておりますグリーンカード実施に伴う問題であります。 御案内のように、昭和五十五年の所得税の改正の際に、グリーンカード制につきまして五十九年から実施をしよう、こういうふうに決まったわけです。ところが、最近仄聞するところによりますと、この発足に当たって種々の意見が出ております。たとえば金やゼロクーポン債に円が流れてしまう。そのために円安をさらに増幅をするというふうな意見、あるいは個人の資産が完全に把握されてしまうので、プライバシーを守る上で非常に重大な懸念があるというふうな点を強調をしながら、グリーンカードの問題について、そのものの実施を延期しろとか、あるいはこの際取りやめたらどうかというふうな意見も聞いているわけです。なお、あわせて今日までの予算委員会の討論あるいは本会議におきます質問におきましても、大蔵大臣はグリーンカードは実施する、しかし問題点がないわけではないというふうに問題を将来に残した答弁がしてあるわけです。その残した答弁にそれぞれが食いついて、いやそれは分離課税を残す話であるとか、あるいは総合課税を一時延期をするというふうな話やらいろんなものが出ておりまして、国民の間には非常に関心が深いと同時に、先行き非常に注目をしているわけです。 この辺で、もうぼつぼつきちっとした方針を確認をすることがあたら混乱を招かない原因になるだろうというふうに考えますので、まず総理のグリーンカード問題、グリーンカードの実施に伴います考え方についてお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) グリーンカード制の実施の問題につきましては、税の公平確保という観点からあのような改定が国会でなされまして、五十九年一月からこれが実施をされる、こういう法律改定がなされておるわけでございまして、政府としてはこの国会の御決定の趣旨を十二分に踏まえて、今後これを既定方針どおり法律の定めるとおり実施してまいる所存でございます。
○穐山篤君 総理がそこまで決意を述べられておりますので、とかく新聞に載っているような、あるいは報道されているようなうわさはない、そういうふうに確認をしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府といたしましては、これはあくまで法律改正の趣旨を体して実施に移していくということに変わりございません。
○穐山篤君 そこで、大蔵大臣にさらに念を押すという意味も含みますが、総理はグリーンカードについては五十九年一月から実施をする、そのことは動かないというふうに言明されたわけです。 そこで、しばしば大臣が言われておりますように、高額所得者の問題についてもいずれは検討しなければなるまい、こういうお話がしばしば出るわけでありますが、それは当然グリーンカードが実施をしてから改めてしかるべき機関で討議をして、審査をして、そういう問題をまた改めて提示をされる、こういうふうな段取りにならなければこれはつじつまが合わないと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が申し上げておるのは、諸外国においてはこれはもう分離課税をやっておらないと。みんな総合課税だから日本でも総合課税すべきだ、そういうことで総合課税にするわけですから、諸外国においては所得税率の七五%などという国は見当たらない。まあ最高が六〇、あとは五〇、アメリカが五〇、あるいは五六とかいうことであるので、これはグリーンカードを実施をするというときには恐らくそれ以降にもちろんなるかもしれませんが、そのときまでには諸外国並みに総合課税するんですから、その税率区分というものをもっとなだらかなものに直す方が望ましいということを申し上げておるわけであります。
○穐山篤君 次に、減税の問題について総理の見解をお伺いします。 すでに議長見解が出されまして、総理はこの議長見解に沿って今後対処したい、こういう気持ちが述べられております。なお、その際に衆議院の大蔵委員会で十分に討論をいただきたい、こういう答弁が繰り返し行われているわけですが、少なくとも減税の問題について深く、広く、重く問題を認識しているという総理の立場から考えてみますと、衆議院の大蔵委員会で審議してほしいという棒をのんだような答弁では国民は納得しないと思うんです。 御案内のように、いま貿易摩擦がますます激化をしております。一応消費者物価は落ち着いてはいると思いますが、国民の可処分所得が非常に小さくなっておりますし、加えて今日まで目玉商品でありました自動車、電機などにつきましてもやや最近は停滞ぎみになってまいりまして、どちらかといいますと政府が期待をしておりますように景気が回復するという基調は非常に薄くなったような感じがするわけです。そのことを考えてみますと、やはり国民に活力を与えるあるいは企業に活力を与えるという土壌をつくるためにも所得減税あるいは地方税の減税というものは非常に環境整備の上で重大な要因になるものと私は確信をいたします。 そこで、いままでしばしば述べてこられましたような、大蔵委員会で十分に審議してもらうというふうな棒をのんだようなことでなくて、もう少し政府としての意欲的な態度の表明があってしかるべきだというふうに考えますが、総理の答弁をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 所得税減税の問題につきましては、国会におきましてもいろいろあらゆる角度から御論議があり、いま穐山さんがお述べになりましたように、停滞する景気の回復のためにもぜひこの際やるべきである、また五年間にわたって課税最低限も据え置かれておる、税率構造もそのままになっておるということで負担が非常に重くなっておる、こういう面からもこの際減税をすべきである、いろいろの御意見がございます。私も、いままでそれらの御意見に対して十分耳を傾けてまいったところでございます。 しかし、一方におきまして、いま財政再建、非常にわが国の財政が危機的な状況にございます。政府は、五十九年までに特例公債、赤字公債依存の体質からどうしても脱却をしなければいけない、これをやることが今後の日本の八〇年代以降のいろんな要請にこたえて財政がこれに柔軟に機動的に対応するゆえんでもある。こういうようなことから、こういう厳しい財政事情、また財政再建下のもとにおきましてどうやって安定的な財源を確保するか、こういう問題につきましては、あらゆる角度から努力をし検討を続けてきたわけでございます。 しかし、五十七年度予算編成に当たりましては、あらゆる諸条件を勘案をいたしました結果、政府としては、ただいま御審議をいただいておる予算案が最善のものである、このように考えて国会に御提出をし、御審議を煩わしておるところでございます。 しかし、この審議の過程におきましていろいろ野党各党からの強い御要望、御意見等もございました。その結果、共産党さんは別でございましたが、各党の間でいろいろお話し合いをされて、その合意に基づきまして衆議院議長が議長見解というものをお出しになったわけでございます。予算が成立をいたしますれば、直ちに大蔵委員会に小委員会が設置されて、所得税減税を行う場合における税制並びに財源につきまして御検討がさらに進められる、こういうことになっておるわけでありますが、私は、その際に、参議院の院のお考えになっている点、参議院でいろいろ御審議をいただいたその経過等もございますが、この参議院の意向というものは十分その際に反映できるようになされることを私は期待をいたしておるわけでございます。そういうような内容で国会の御意思というものが所得税減税について決定をいたしました場合には、政府としてはこれを十分尊重いたしまして実施に移してまいるということは、はっきり参議院の予算委員会でも御答弁を申し上げておるところでございます。 私は、きょう参議院の国会対策等で、あるいは予算委員会の理事会等で御論議の結果、参議院の御意思として決められましたところの、「今後経済及び財政の動向を見つつ、あらゆる機会をとらえて減税問題が考慮されるものとする」という参議院のこの御見解、こういうものも十分承知をいたしておりますので、この国会の御意思というものの結果を見まして、十分それを尊重して対処してまいる考えでございます。
○穐山篤君 総理の考え方はわかりましたが、先ほども繰り返し申し上げておりますように、衆議院の議長見解というものが出されまして、非常に大きな重みを持った文書であります。加えて、参議院の予算委員会あるいは当委員会でも、減税の必要性について再三私どもは強調をいたしました。 そこで、問題になりますのは、議会側が十分に減税のあり方について検討をする、あるいは財源の捻出についてもあらゆる角度から検討を進めるというのは当然でありますが、この際必要なことは、政府みずからがこの減税問題についてどれだけ積極的な姿勢を示すか、あるいは熱意を具体化するかというところに大きなウエートがあろうというふうに思うわけです。いま総理も一部答弁がされましたが、参議院の予算委員会で、あるいは参議院の議長を通して改めて総理大臣にも要請があるものと思いますので、政府は積極的にこの際減税問題に取り組むように改めて私は強調をしておきたいと思うんです。 確認をするようでありますが、もう一度総理の決意をお伺いをいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) この減税問題に対する参議院の予算委員会並びにいま所得税法等を御審議をいただいておる当委員会の御意見、御意向というものは私どもも十分傾聴をいたしておるところでございます。 政府としても、申し上げておりますように、五十九年度特例公債脱却のめどが立つこと、そして今後の恒久的な減税財源が確保できるということ、そういうようなことを十分満たすように政府としても努力を尽くしてまいるし、また、今後の国会の御審議に当たって資料その他あらゆる面につきまして誠意を持ってこれにおこたえをしていくというつもりでございます。
○穐山篤君 次に、不公正税制の是正あるいは歳入対策についてお伺いをします。 当委員会でも、長い時間をかけまして不公正税制は審議をされました。当然、税は水平的にもあるいは垂直的にも公平でなければならぬ、その原則は当然踏まえなければならないと思いますが、ときには税法上の立場から不公正税制が指摘をされました。あるいは執行上の面からも不公平という点が指摘をされているわけです。ときにはクロヨン、トーゴーサンというふうな表現を使う方々もあるわけですが、こういうものについて十分な解明が行われて国民が納得しませんと、相も変わらず不公平感、重税感というものは残ってしまうわけです。そのために、税金を納めない方が得だというふうな気持ちが起きるとするならば、きわめて残念でならないと思うんです。 そこで、私ども社会党は、この租税特別措置につきまして、一遍全廃をしたならばどうだろう。そして改めて必要なものだけを、必要な期間を明示をして行う。そういうふうに厳格に行うことが不公平税制というものを解決する一つの方法ではないだろうかというふうに、まず第一に考えます。 それから二つ目に、執行上の問題でありますが、国税職員の配置が、要員の問題などで十分でないということが当委員会でも再三指摘をされているところでありますが、最近、大口の脱税あるいは悪質な脱税というものが目に見えるわけであります。こういうものがしばしば出てまいりますと、一般勤労者、サラリーマンの納税という気分を非常にそぐ結果になるわけですね。したがって、そういう問題について、余り重箱の隅をつつく必要はないという意見もあろうと思いますが、少なくとも大口で悪質で常習というふうなものについては毅然たる態度をこの隊とることが必要ではないか。そのために必要な要員の配置なども考えるべきではないか、こういうふうに考えます。 それから三つ目は、歳入対策の問題です。 去年の税制改正の際、一兆四千億円にも上ります物品税、法人税の改正があったわけですが、その際にも、私ども社会党といたしましては、その他の歳入対策を十分に検討した方がいいではないか。もちろんそれは減量経営とか、あるいは歳出カットというものも前提にはなりますが、新しい収入源を考えるべきではないかということで、たとえばギャンブル税の話も出たことがあります。あるいは旅券に関します問題も出たことがあります。さらには、広告に対します課税の話も話題に出たことがあるわけですが、そういうことを含めて、新規の歳入対策、こういうものについても十分に検討する必要があろうというふうに考えますが、以上三つの問題についてまとめて申し上げましたので、考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的な問題にかかわっておりますので、総理大臣からまとめていただく前に私からお答えをいたします。 措置法の全廃問題については、これは私ども、措置法は不公正の法律と思っておりませんので、これはただ、時代に合わないようなもの、時代おくれのもの、利用効果の薄くなったようなもの笠を探しまして、極力整理合理化に努めておるところでございます。 脱税対策に対しましては、何といっても国民の納税意識の高揚が最大の問題でありまして、幾氏税目だけふやしたからといって国民の納税道義がすたれたのでは困るわけでございますから、この納税というものによって国が運営をされておる、国家は国民のものである、そのための納税であるというような思想をいろんな機会を通じて徹底をさして、国民の理解と協力を得ることが一番必要なことじゃないか、そう思っております。 それと同時に、ただいま指摘のありました悪質な脱税というようなものについては、税務の研修あるいはコンピューターの使用その他技術的な面からも対策を立てて、大口脱税とか悪質脱税の撲滅について一層の努力をしていかなければなるまい、こう思っております。 そのたみ、人員配置につきましても、非常に苦しい財政事情と、他省庁に対して人を切れと言っておる以上、大蔵省も率先垂範して切らなければならない。大蔵省も百人以上ネットで減らしておりますが、その中でも国税だけは二十七名の増員を図って優秀な人をそろえることにしたわけでございます。 新しい税収の問題については、いずれもこれはわれわれも議論をしたことがございますが、新しい税金の体系を今回は考えない、そういうようなことで予算を編成したわけでございます。 将来の問題といたしましては、これは何といったって税の問題は国民の代表たる国会が一番これはもう権威を持って、特にまた国民の代表として決めていかなければならない問題でございます。歳出がふえる以上は歳入も何かでふやさなければならぬ、当然のことでございますので、今後の課題として真剣に検討さしていただきたい、かように考えております。
○穐山篤君 次に、総理と大蔵大臣にお伺いをしますが、ことしの予算編成でいきますと、生活保護者に対しますベアといいますか、引き上げは、六・二%になっております。一方、各種年金につきましては、たとえば恩給法は平均五・五%、年金についていいますと五%のアップという状況であります。その年金を頼りに生活をしている方々は将来にわたって年金が安定的に支給をされるかどうか、そういう点について非常に深い関心を持っております。 それと同時に、最近、民間企業でも多いわけでありますが、退職金の一部を企業年金に振りかえて公的年金制度にプラスアルファをして将来の老後を考えようという対策を講じている労使が非常に多いわけであります。そうなりますと、年金に関します税制、税金という問題も、従来のような考え方を機械的に踏襲をしていくだけでは少し問題が残るだろう、こういうふうに考えます。したがって、その点についてどういうふうな方向でこれから考えていくのかという問題が一つございます。 なお、あわせて総体的な問題として指摘をするならば、高齢化社会が急速に進行をするということは私が指摘をするまでもなく明らかであります。一世帯当たりの世帯人員をこれから五年、十年、十五年ごとに調べましても、あるいは一夫婦当たりの子供の人数を考えましても、あるいは六十五歳以上の年度別の人員構成を見ましても、いずれも高齢化社会が急速に進展をする、これはもう間違いのない事実であります。 それに対応して年金問題も考えなければなりませんが、一般的な高齢化社会におきます税のあり方というものも、これまた新しい角度から見直しをする、もう検討に着手をしなければならない段階に来ているというふうに考えますが、その点についての大蔵大臣並びに総理の考え方をお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 制度にかかわる点だけ御説明申し上げます。 公的老齢年金の受給者につきましては、給付及び掛金の段階での課税上の配慮をいたしておるところでありまして、掛金の段階で被用者負担分及び自営業者の負担分は、社会保険料控除の形で所得控除をしておることは御存じのとおりでございます。事業主負担分は、これは事業主の損金に算入ということでございます。 一方、給付を受ける段階でございますが、勤務をしていなくても給与所得控除というものを適用いたしております。それから、七十八万円という老年者年金特別控除の適用をいたしております。この結果、たとえば公的年金だけしか所得のない老年者夫婦につきまして見ますと、その収入金額が二百十九万四千円、配偶者が老人控除対象の配偶者になりますと、さらにふえまして二百二十九万六千円というその金額以下の場合には所得税が課されないことになります。この水準は、一般の勤労者の夫婦世帯での課税最低限百十三万六千円に比べますとかなり高いものでございます。で、現在厚生年金受給者は五十五年十二月末で百九十五万人ございますが、年齢六十五歳以上の受給者は百二十七万人でございまして、夫婦世帯の年金だけの課税最低限、いま申し上げました二百十九万を超える人は四千人程度であるわけであります。この辺、掛金の段階で、給付の段階で特別の配慮をするということでございますが、外国の場合はいろいろ制度がございますが、掛金の段階で引くか引かないかという二つの制度がございます。 一方、給付の段階では、それに応じて引かなければそれは今度は非課税にする、そういうふうな控除していませんので、後では課税するというふうなイギリスの制度、こういうふうに掛金と給付金の段階で、どちらかでということで、いろいろまた国によって違います。 これは、やはり今後年金課税をどういうふうに掛金段階と給付金段階で課税を仕組むかという基本的な問題で、今後年金の受給者がふえていく社会構造のもとで、税制がそういう財政の仕組みにこたえてどう対応するかということを検討すべきで、五十五年十一月の税制調査会の答申においても、公的老齢年金でも一定水準を超える年金や公的老齢年金以外にも相当の所得のある場合がございますので、これについてはやはり相当の負担を求めてしかるべきであると、高齢化社会になってきますとその負担を現役の方々に求めるということになりますけれども、高齢の方が多いだけに所得が高齢の方で多ければまたそれなりの負担も必要であるということが、各国でも議題になっておるわけでございまして、この辺は高齢化社会に移行する際における課税を、全体的に一生を通じてどう考えるかということは、御指摘のように十分に検討を進めていきたいと、こう思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、高齢化社会が急速に到来をいたしておるわけでありますが、そういう中で今後医療の問題とともに所得保障としての年金制度のあり方並びにその運営の問題は、非常に今後の社会保障の中で一番重要な問題であると認識をいたしております。 現在の年金制度が、公的年金にいたしましてもいろいろの制度に分かれておりまして、負担の面、給付の面等におきましていろいろ格差がある、また不均衡が存在をする。これはその制度が生まれた当時からのいろいろな経緯等に言えるのでございますが、本格的な高齢化社会を迎えるに当たりまして、この年金制度を充実をする、格差をなくするということが非常に重要な差し迫った問題になってきておるわけでございます。 そういう意味で、究極におきましては、私は年金制度の一元化ということが必要とは考えておりますが、そこへ到達する間におきましては、各制度間のまず格差をなくするように各省庁において最善の努力を払わなければならないということで、いま検討委員会を設けまして鋭意その検討に当たっておるところでございます。 また、今度は給付された後におけるところの税制上の面につきましては、いま局長から御答弁申し上げたことでございまして、五十七年度予算におきましても政府としてはそれらの点につきましてはできるだけの配慮をしたつもりでございます。今後におきましても十分意を用いて努力してまいりたいと、こう考えております。
○穐山篤君 最後に、これからの財政運営に関します決意といいますか、考え方をお伺いするわけですが、それに関連をしまして当面の問題は昭和五十六年度の歳入の問題であります。 あす三月三十一日を迎えますが、今日までのあらゆる資料によりましても、言うところの歳入欠陥は一兆円以上あるのではないかというふうに言われているわけです。これはまあ、これから三月期の決算を十分に踏まえなければ何とも言いようがないと思いますが、関係方面の資料を見てみますと、いずれも決算は余りいい状況ではない。言いかえてみますと、税収の分野におきますと法人税の収入が不足をする、こういうことが考えられるわけです。 そこで、歳入欠陥がどれだけになるかわかりませんが、出た場合にどういう方法で措置をしていくのか、まあ考えられますことは、できるだけ節約をして不用額の出るようにするというふうなのも一つの方法でしょうし、あるいは決算調整資金を使うという方法もあるだろうと思いますが、なおかつそれでも不足をする事態が生ずるというふうなことが考えられるわけですが、そういう場合については大蔵省当局としてはどういうお考えでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) 五十六年度の補正後の税収でございますが、最近の経済動向から見ますと必ずしもやはり楽観を許さない状況にあると思います。 と申しますのは、税収は経済の反映として入ってまいりますし、そういう見積もりの環境が変わればおのずから税収に影響するのは当然であります。ただ、税の方は税のまた積み上げ的な税目の実績及び具体的な確定申告の所得税の分が来月の終わりにならないとはっきりしないとか、三月期の決算、これが相当大きいウエートを占めておりますが、これが五月に入ってきますのが七月の初めにならないとわからないということで、そのまた内容についてもいろんな業種が入っております。 為替の影響等も業種によっての影響の仕方がさまざまでありますので、景気が税収にどう響くかは直ちに言えない面がございますけれども、それだけに補正後予算の見積もりを積極的に変更するといたすとしてもそのまた決め手がない、確たる材料がない状況で、現在まだ六二%ぐらいしか入ってないわけでございますので、いまの段階では税収は補正後の数字を置かざるを得ないということでございまして、それが結果的にはどうなるかということを仮定いたしたお答えはしにくいというのが現段階での実情でございます。
○穐山篤君 まだ不明だというならば、これはやむを得ないと思います。 その次に、これから十分注意を払わなければならぬ問題は、円安の問題だろうというふうに思うんです。その原因その他については予算委員会でも議論されましたのでこの際申し上げませんけれども、二百四十五円あるいは二百五十円ということになりますと、率直に申し上げまして円安の限界だというふうに私どもは考えるわけですね。円がこれほど安くなったのにはいろんな理由があり、またドルが高くなったのもいろんな理由があるわけですけれども、仮に円安を考えてみた場合に、二百五十円台に突入するようなことになるならば何らかの特別な介入措置というものを行わなければますます円安を促進をする、こういうふうになると私どもは考えますが、その点はいかがでしょう。
○政府委員(加藤隆司君) 本日の終わり値が二百四十五円七十五銭でございます。ただいまのお話は、こういうような円安がさらにどんどん進むようなことがあった場合にどういう考え方であるかという御指摘だと思います。 御承知のように、外為管理法では国際収支の不調、それから円レートの急激な変化あるいは国内の金融資本市場の変化というような問題がございましたときに取引をストップするといいますか、いわゆる有事規制という制度がございます。ただいまのところは、この法律の要件を必ずしも満たしていないというふうに考えております。ただ、御指摘のように、昨今の円レートの動向は非常に、毎日マーケットの状況を注目いたしておりまして、介入政策その他の適切な措置を適時にとりたいというふうに考えているわけでございます。
○穐山篤君 次に、総理にお伺いしますが、五十七年度の財政運営を考えてみた場合に、物価の安定を図っていくということは当然でありましょう。しかし、いまの景気の状況ではますます活力が少なくなってしまう。そこで、政府としては五十七年度の財政運営で特別に何か配慮をしていかなければこれは実質成長率五・二%を達成することは困難だと、こういうふうにしばしばお話しがあるわけですが、五十七年度予算の執行に当たって何を重点に配慮しながら財政運営を考えていくのか、その点を総理から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま世界の経済はいずれの国も停滞を続けておるわけでございますが、わが国の経済もなかなか困難な状況下に置かれております。それをいかにして打開をしていくかということで、いろいろあらゆる角度から検討を進めておりますが、これという大きな決定打、決め手というものはなかなかこれは率直に申し上げて見当たらないわけでございます。 したがいまして、こういう与えられた環境条件の中であとう限りの施策を積み上げて、その総合的な効果、相乗的な効果を期待をするという以外にないわけでございます。 まず第一には、物価の安定でございます。この点につきましては、幸いにして卸売物価も消費者物価も私どもが当初予定をいたしましたよりも非常にいい状態で安定的に推移をいたしておるわけでございます。したがって、私は実質的に所得もそれだけふえてきておる。実質所得がふえてきておりますから、今後国民の消費動向にもいい影響をもたらすものと期待をいたしておるところでございます。 それから公共投資の問題でございますが、五十六年度の補正予算で、一兆円に及ぶ大きな災害に対しましてできるだけの私どもは災害対策としての予算を計上いたしました。これをこれから春にかけまして円滑に効果的に執行ができるように努力をいたしておるところでございます。また、五十七年度予算が成立をいたしました際には、直ちに来年五十七年度公共事業費の前倒し、これは過去の実績は七三%程度でございますが、七五%以上、場合によれば八〇%に近いように上半期に重点を置いたところの実施をやってまいるように、ただいま関係各省庁で準備を進めておるところでございます。また、住宅建設の問題、公的な資金住宅の問題に力を入れております。 こういういろんな施策を私どもは積み上げまして、そして五十七年度の経済の立て直し、さらにそれを通じましての財政運営を図ってまいるということに努力をいたしたい、このように考えております。
○穐山篤君 特に配慮をしなければならない点ということで、総理は公共事業の前倒し発注とかあるいは住宅建設の促進ということを述べられました。 そこで、少し問題になりますのは、ことしの予算でいきますと、いうところの公共事業費は六兆六千五百五十四億円であります。これはいずれも治山治水、漁港整備など六十年までの整備計画に基づくものだけであります。ところが、この建設国債の発行は今年度六兆五千百六十億円であります。単純な計算をしますと、建設国債はそのまま公共事業費に充てればなくなってしまう、こういう関係になるわけです。その上に公共事業費の前倒しをやるということになりますと、この公共事業の前倒しの中には従来の経験でもおわかりのとおり用地買収費も含んでいるわけです。実際に景気対策になるものは約六〇%前後というふうに指摘をされているわけですが、それにいたしましても大型の前倒しを行うということになりますと後半公共事業がとだえることになります。言いかえてみますと、また財政的に非常に苦しくなるということも予測せざるを得ないと思うんです。 私は、いま直ちに補正予算ということを言うつもりはありませんけれども、そういう重大な時期にいずれ逢着をするものと思いますが、それに対する考え方を述べていただきたいというふうに思います。 なお、貿易摩擦の問題につきましては、後刻関税暫定措置法の方で審議をすることになると思いますが、貿易摩擦を考えてみますと、外需による成長率の期待というものは余り大きく期待をかることができない。その意味では内需の振興、内需の拡大ということになろうと思うんです。しかしその場合に、公共事業の前倒しであるとかあるいは住宅建設だけではこれは十分でないというふうに考えます。予算委員会の審議、当委員会の審議を通じていろいろな注文がされているわけですが、最終的にことしの財政運営でいま総理からも特別に配慮すべき点がお答えになりましたけれども、いま私が申し上げましたようなそれぞれの問題点があることを考えまして、もう一度総括的な御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 穐山さんから御指摘がございましたように、公共事業費を執行をいたします場合におきましても、できるだけ景気に波及効果の大きいようにこれを適切に運用する必要があるわけでございまして、そういう意味合いから、政府としてはできるだけ用地の手配済みのものに重点を置きまして公共予算の効果的な、効率的な執行に努めたい、こういうことで各省庁におきましてはその方針でその準備に取り組んでおるところでございます。一また、国際経済が大変苦しく相なっておる関係もございまして、去る五十六年の十−十二月期の経済成長の面にこれが反映を。してきておりまして、外需によるところの依存率というものが〇・力と、これは落ち込みが〇・九でございますが、そのよって来るところの原因は外需の大きな後退というところにございます。内需につきましては、幸いにして幾らか明るい面も出てきておるわけでございますが、政府としては先ほど申し上げましたようないろんな公共投資、住宅投資あるいは物価の鎮静、そういうような点等に努力をし、また金融の機動的な運営を図りながら内需の振興に努力をしてまいりたい、このように考えております。 減税の問題につきましては、先ほど申し上げましたように国会の御審議をもちまして対処してまいる考えでございます。
○矢追秀彦君 総論的な面だけお伺いしたいと思います。 いまも経済運営の質問が穐山委員の方からなされておりましたが、この問題についてさらに私もつけ加えてお伺いをいたしますが、いま総理も少し言われましたが、内需の面ではやや明るさが出てきておる、私はこれも認めるわけでございます。また、在庫調整もかなり進んできておることも事実でございますから、いまこういった状況の中でそれに対する手を早急に打つことが必要だと思います。ただそれが、公共投資の前倒しが直ちにそれをうまく押し上げていくのかどうか、その点は非常に私は疑問を持つわけでございます。 といいますのは、かつては財政が景気等に及ぼす影響というのはかなり強い力を持っておりましたが、最近ではこういった財政というものが、特に公共事業の発注等が景気に及ぼす影響というのがだんだんいまいろんな面で手かせ足かせができまして、土地の面も一つでございますけれども、なかなか直ちに即効薬とはなっていない、こういう面を痛感するわけでございます。 そこで、総理にお伺いしたいのは、この前倒しの効果というのがいませっかくちょっとよくなりかけておるところに拍車をかける効果がかなりあると、こういうふうに認識をされておるのかどうか。またもう一つ、いま私が申し上げた最近の財政というものがそういう景気動向に直ちに影響を及ぼさない状況、そういったことはお認めになるのかどうか、この二点お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) これからの経済の見通しについてでありますが、私は公共投資の前倒し、これはある程度一つの起爆剤になることを期待をいたしております。何といっても今日の厳しい財政状況下におきましては、従来のようにこういう際には財政が前面に出て、そして日本の経済を引っ張っていくというようなことはなかなかできない状況下にございます。したがって、民間の設備投資あるいは住宅投資、そういうようなものを刺激し誘導するような施策をやることが大事だと、こう考えておるわけでございまして、幸いにして大企業の方の設備投資は私は堅調を続けておると、このように考えております。中小企業につきましては、これは景気の停滞等もございまして設備投資の意欲もいま鎮静をいたしております。しかし、今回金利を、わずかではございますけれども長期金利等の引き下げも行うことにいたしたわけでございまして、そういう面から民間経済の活力、設備投資等を促進をしていきたい、このように考えておるところでございます。 公共予算の執行につきましては、先ほど来申し上げましたように、できるだけ波及効果の大きい、土地に食われるのではなしに、これを実際上の設備投資に使われるように工夫をこらして対処してまいりたいと、こう思っています。
○矢追秀彦君 いま総理は前倒しが起爆剤になると、こう言われましたが、私は、総理もお認めになりましたけれども、財政が前面に出て経済を引っ張る時代というのがいまではなかなかできない、そういう時代は終わったと、これはもう私と同意見ですが、起爆剤になる点については、公共事業というのはやはり社会資本の充実ですから、結果論として経済が成長してくるという点はあると思いますが、起爆剤というのは、私は心理的な面ではわからないではございませんけれども、ちょっと起爆剤にはならぬのじゃないか。もちろんこれは、私はやるなという意味じゃなくて、やらなきゃならぬと思いますし、いまの経済運営の中で最大限やれることといえばその程度しかないのではないかと、こう思いますので、これは私は必要性は認めますが、起爆剤という点についてはちょっといかがなものかと、こう思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたように、決定打になるような対策というのが残念ながらいろんな制約のもとにおきまして困難でございます。本来であれば、こういう際には金利等を思い切って引き下げて、そして設備投資を促し、また民間の活力を引き出すというようなことにも相なるわけでありますけれども、アメリカの高金利等々の影響もございまして、それも限度がある。非常に制約された幅の中で政策の展開を図らなければならない、こういうことでございますので、与えられた条件につきまして最大限の努力を積み重ねまして、それから生まれてくる相乗的な効果、これを私どもは期待するほかはないと、そういう腹構えでいま取り組んでおるところでございます。
○矢追秀彦君 金利の問題については、いま総理言われたとおり、米国の金利というのが大きな問題になっておりますが、これについてサミットにもお行きになることですから米国側に、いままでも江崎訪米団等も行ってお話もされましたし、また外務大臣も行かれておりますし、いろんな面でアメリカに要請はされると思いますが、もちろんその米国の高金利だけが諸悪の根源とは申しませんけれども、これはもうかなり世界各国から非難されていることは御承知のとおりです。これは何とか下げさせる方向に持っていっていただきたい。 しかし、私もアメリカのいわゆるレーガノミックスを推進している学者等と議論したこともございますけれども、この高金利に対する罪悪感といいますか、これはまずいんだというのは余り持っておらぬのですね。何かこうあたりまえのような感じを持っているような気がしてならぬのです。この点やはり高金利というのは大変な罪悪を世界経済に流しておるということを深刻に米国に受けとめさせる努力というのはもっともっとやっていただきたい。 まあそれに加えて言いますと、失業率にしてもアメリカの失業率は高いのはわりあい平気な顔をしているんです、向こうの人たちは。この点も私は後でまた貿易摩擦に触れますけれども、これはぜひ、いろんなことを総理はサミットで要求されていくと思いますけれども、これだけは、まずこの高金利がもうだめなんだということは徹底的に言っていただきたいと、こう思うんですが、これはいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) アメリカの高金利の影響で、西独を初めECの国々もわが国も大変経済政策の面で大きな苦労をしょっておるわけでございまして、そういう観点から、私は昨年訪米をいたしまして以来、あるいはオタワ・サミットにおきましても、さらに南北サミットの際にレーガン大統領を初め米政府の首脳にお会いをした際におきましても、機会あるごとに私自身からこの金利政策の是正、このことを強く求めておるところでございます。サミットにおきまするところの討議すべき議題につきましては、いま準備会議において各国の代表とわが方の代表がいろいろ議題の整理、選択を進めておりまして、現在決まっておりませんが、私はこの四月にお見えになりますミッテラン大統領とも、こういう問題につきましても率直な意見の交換をやり、EC諸国の考え方もお聞きした上で協調して、連帯をしてこの問題にも対応していきたい。 特に、サミットの前にOECDの会議がございます。これは先進諸国の大蔵大臣等が一堂に会するわけでございますから、この問題は、アメリカの高金利の問題は恐らくOECDの閣僚会議の最大の課題になろうかと、このように考えております。そういうOECDの議論等も踏まえまして、サミットの場におきましてもできるだけ私もこの問題と取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○矢追秀彦君 四月にはブッシュ副大統領も来日されると聞いておりますが、この際もこういった問題は議論されますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 両国の関心のある諸問題はもとより、国際情勢等についてもお話をしたいと思いますが、国際経済の、世界経済の再活性化の問題、それから貿易摩擦の問題、その他安全保障上の諸問題等につきましてお話し合いをしたいと、こう思っております。
○矢追秀彦君 まあ金利政策も、下げていかなければなりませんけれども、いま申し上げたように、アメリカの金利が大きくわれわれの前に立ちはだかっておりますので、そう簡単にいかない。しかし、下げるというふうなことですけれども、その前にいま申し上げたアメリカの金利の下がるような努力をぜひやっていただきたい。やっぱりアメリカが金利を下げ、不況の脱出がある程度できるようになる、また失業も減っていくとなると、まあ日本の場合にはそれに伴って円高、あるいは日本の金利もうんと下げられる、こういうことで円高になれば、自然輸出量も減ってくるわけでございますから、そういうやっぱり自由経済の枠といいますか、そういったものをあくまでも堅持をするという立場をやはりアメリカ、特にアメリカですが、もちろんEC諸国もそうですけれども、これは絶対に堅持をするという方向に持っていかないと今後非常に問題が出てくる。 もうすでに、この貿易摩擦は言われて久しいし、日本としても努力をされてきておりますけれども、なかなかはかばかしくいかない。私も私なりにいろんな向こうの方と議論をいたしますけれども、私はよく言うんですけれども、安くていい物が売れてなぜ悪いと。こう言いますと、はね返ってくる言葉は、日本がそうできたのは防衛努力をしないから、必ずそうはね返ってくるわけです。これは議論が私はちょっと筋違うんじゃないか。軍事技術の開発に力を入れなかったから日本は民間で先端技術の開発ができたんだ、だからアメリカが競争力がだめになったんだと、こういうことを盛んに言うわけで、非常に私もそういうことについては筋違いだということで議論をしょっちゅうやっておるわけですけれども、大体そういうふうなことが非常に強いわけです。その辺は非常に私は違うんじゃないかと言いたいわけです。 もちろん、確かに防衛に力を入れないからある程度経済に力を入れたことは私は認めますよ。ある程度は認めますけれども、そればっかり言って、そうして日本はとんでもないとか、最近では今度は日本の国内の流通がどうのこうの、あるいは日本のしきたりとか慣習とか、いわゆる国民性までがたがた言ってきた日には、これはもう完全な内政干渉でもありますし、余りにもアメリカが身勝手であると。 これに対してもいろいろ議論され、政府としてもまた自民党としてもいろいろ反論もされている点はよく承知をしておりますけれども、もう一つ向こうはわかっておらないと、このように思うわけですが、今度はサミット、またその前のいろんな会議、議論は相当白熱すると思いますが、ひとつ総理、絶対議論で負けないようにぜひ、和らいろいろ応援をしますし、また知恵もつけますから、絶対譲らないでがんばっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 大変力強い御鞭撻をいただきまして本当に私も心強い限りでございますが、私は今日の貿易摩擦の問題も、これは世界経済が非常に困難な局面に立っておるからである。特に大変な失業、インフレの問題、国際収支の悪化、こういうことから日本とアメリカ、あるいは日本とECだけの間でなしに、アメリカとEC諸国との間にも大変厳しい貿易摩擦が起きておるわけでございます。でありますから、私は世界経済の再活性化を図る、みんなが連帯協調して助け合って、そしてそれぞれの持っているいい条件というものを出し合って助け合って、そして世界経済全体をひとつ立て直していくということに努力する必要があると、こう思っております。 私は、今度のベルサイユ・サミットで祖、この点に最重点を置いて日本としても最大の努力をしようと。とにかくアメリカと日本を合わせますと世界のGNPの三五%にもなるわけでございますから、この両国が相当世界経済全体の立て直し、再活性化には大きな責任もあり、また力も持っておるわけでございますから、そういう腹構えで取り組んでまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○矢追秀彦君 その世界経済の再活性化ですが、やはり新しい時代に対応した新しい産業、新しい製品、あるいはまた新しい感覚でやる必要があるんじゃないか。 西ドイツの経済も、いま水面下に落ちてしまいました。かつては、六〇年代は大変な成長した西ドイツですが、これも五〇年代の設備投資といいますか、そういったものが六〇年代を支え、オイルショック以降それを新しいものになかなか切りかえができなかった。そこへもってきて、労働時間が日本と比べで非常に少ない。いろんな問題もあります。また、マイスター制度というものがいまの時代に合っていない、そういうふうな原因等が指摘をされておりますけれども、やはりここで世界全体、特に日本はそういった点では二回にわたるオイルショックを他の国と比べると乗り切ってここまで来たのは、いろんな新しい最先端技術の開発もありましたし、いろんな面でいい製品をつくってきたことも事実ですから、やはり世界全体が知恵をしぼっていけば、私は次の時代へ向けて新たなる経済の新分野というものが開かれていかないといけないと思いますし、私はできるとも思うわけです。 日本国内でも、この間ポートピアが行われました。非常にあれば成功したと思いますし、これからいろいろ——私、本会議の代表質問でも「大阪二十一世紀計画」ということにも触れましたけれども、いま大阪ではいろいろそういったものも研究され、来年はデザインの国際ビエンナーレが開かれる。あるいはまた中小企業サミットが大阪で行われる。そういういろんな、お祭りという言葉を使うと語弊があるかもわかりませんが、そういったもので何かを刺激をしていく。こういった点が、日本全国、各地方に特色ある何かお祭りなり何らかをやる、そういうふうなことも一つだと思います。 先ほど申し上げましたように、新しい時代に対応した新しい時代の経済というものを、また産業というものをお互い知恵を出して、実際はもうどんどん開発されてきているわけですから、ある程度、いままで人類はここまで進歩して満足の時代に入りましたが、まだまだ人間というものは欲望の強いものですから、また次を目指していくわけでございますから、そういった点も、ただ総論的な面ではなくて、日本がかなり最先端を、アメリカに次いでそういった面は行っているわけですから、ぜひ総理はこの世界経済の活性化についても具体的な何かを持って臨むべきであると私は思うわけですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、御指摘の御意見につきまして全く同感でございます。 特に、先進技術の共同研究開発あるいは先端技術の交流、さらに開発途上国、中進国等に対する技術の移転、技術の交流、こういうようなことが私は世界経済の活性化の上に大きな役割りを持ってあろう、このように考えておるわけでございます。そして、そういうことを通じて相互に投資し合う、あるいは合弁企業等も積極的に行う、あるいはその他の第三市場におけるところの産業協力等も行う。そういうようなことが停滞しておる経済に活力を与えることになろうかと思うわけでございまして、いま政府の関係省庁に指示をいたしましていろいろ具体的な案、構想というものをいま取りまとめ中でございます。 できるだけ日本としても、そういう面での役割りを果たしていきたい、こう思っています。
○矢追秀彦君 経済摩擦は経済の面でいろいろ言われているわけですが、私、最近問題となっている点でひとつ総理にぜひ御認識と今後の解決策といいますか、ぜひ御検討いただきたい問題に、言葉としてこれが適当かどうかわかりませんが、文化摩擦、こういうふうなものについてちょっとお伺いをしたいと思います。 これは、日本からたくさんの芸術の留学生、たとえば音楽、特に音楽面がいま強いわけですが、留学生が行っております。ウィーンあたりでは日本人の留学生は千人と言われています。これは非常に結構なことでございます。で、かなりウィーンあたりでは日本人で賞をとる人がふえております。こういったことは日本の西洋音楽の技術の発達ということについては非常に好ましい面がございます。しかし、それが反面また向こうの国、特にヨーロッパが中心でございますけれども、反発がぼつぼつ出てきております。 というのは、留学生がそのままその国のオーケストラに就職をする、そして高い給料を取る、それによって地元の人がその楽団から悪い言葉で言うと追い出されてしまう。そういった人たちが、そんな自分は技術がだめだから追い出されてもしようがないと言えばしようがないんですけれども、さっきの、私が言った安い物が売れてなぜ悪いのかと同じ議論でして、いい人がその国でオーケストラに就職をして一生懸命がんばっていることはいいことなんですが、反面、向こうの方からは反発が出てくる。それに対して日本は何をしておるのかと。 向こうも留学生にはある程度国家もお金を出し、また、いろんな民間のそういった財団等も金を出して一生懸命教育をした、それで卒業したのがそのまま居座られる。じゃ、日本は逆に何かやってくれているか。なかなか日本における外国人の大学の先生も国立大学ではたくさん入れない、民間の私立大学には少しはおりますけれども、非常にそういった点の受け入れができていない。ただ、西洋のオーケストラも結構来ておりますけれども、これはかなり民間ベースというのが中心になっておりまして、なかなか政府としての対応というのは文化面ではまだ私はおくれていると思うわけです。 そういったことから、やはりまた経済と同じようないら立ちが文化面において現実問題としてかなりいま出てきておるわけでございまして、ぜひこういうことも、特に今度ベルサイユ・サミットですから、パリという非常にフランスの人たちはある面では中華思想的な面を持っています。文化はおれたちが最高だと思っております。そこへまた日本人がどんどん入ってきてかき回す、こういうふうなことが現実に出てきておるわけでございますから、そういう点もひとつぜひ総理は御認識とそれに対する対応というものをお考えいただきたいと思いますが、この点についてはいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) とかく摩擦というと貿易摩擦、防衛摩擦というようなことに思いをはせるわけでございますが、いま矢追さんから文化摩擦も存在するのではないか、こういうお話がございまして、私も大変ユニークな御意見として傾聴いたしたわけでございます。 確かに、日本からも音楽でありますとか、あるいは舞踊でありますとか、あるいは絵画でありますとか、いろんな留学生、研究者が渡欧をいたしております。そしてどん欲に勉強をして相当コンクール等では上位に入選をしておるというようなことも伝えられておりまして、それらの方々がさらに深い技術を身につけるために欧州に滞在をして、そして働きながら研さんを積む、こういうようなことが多いようでございます。そういう点が向こうの職業的な芸術家やいろんな職場を侵食したり、そういうふうな問題が出てきておるということも耳にいたしておるところでございます。 しかし、この問題は通商貿易の面の摩擦とは違いまして、これは一時的にいろんな批判なり反感を買うことがあるかもしれませんが、優秀な高い芸術というものは私はそれなりに評価もされるし、ヨーロッパの方々からも喜んで迎えられるものだと、こう思っております。 たとえば違いますけれども、日本は柔道の大本山であるわけでありますが、ヘーシンクにその世界の覇権をとられた際には、われわれはいささか反発も感じたことがありますけれども、しかし、今日では日本の柔道が世界的にこれが普及をしていっておる、もう国際的なこれがスポーツになっておるということから、かえって親しみを覚えるようなものでございまして、要は、私は交流を活発にする、そしてお互いにいいものを見せてもらったり聞かせてもらったりするというようなそういう文化、芸術の交流ということを積み重ねるということが摩擦を解消する道であろう、このように考えておるところでございます。
○矢追秀彦君 もう時間ですから、最後に、いまの問題については確かに総理言われる交流面についてまだまだ日本の方の貢献度がなかなか少ない、こういう面は一つ指摘をしておきますので、ぜひ文化面、これからはやはり私は日本はもちろん技術も大事ですけれども、物を売ることも大事ですが、やはり文化面における力の入れ方というものをやることが、そういう何か日本人は気違いみたいなものを持ってしまう、こういうことをやはりなくす一つの大きな力になるんではないか、こう思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。 それから最後に、先ほども穐山委員もずっと触れておられました減税問題については、ひとつきちんとやっていただきたい。というのは、先ほど申し上げた金利を下げることあるいは公共事業の前倒し、それからもう一つは減税、そして対外的な経済外交、こういうものをすべて総合的にやらなければ、下手をするとマイナス成長、ゼロ成長というものから浮き上がることは非常にむずかしい、私はこう思いますので、ぜひ減税のことについてはしかとお願いをしたい。 先ほど与野党の合意の文書がえらい早く回ってきてびっくりしておるわけで、さっき決めたばかりでもう総理の手元に行っておると、ただし、それは一番エッセンスのところだけでございまして、まだ前がつきますので、前文でちょっとまだいざこざがございましてまだ決まっておりませんが、しかしそこの点は合意をしております。また、口頭了解ということでも補正予算云々等もございまして、ここでは言えない問題だと思いますけれども、非常に前向きに与党の方もやっていただけるということでございますから、ぜひ国民の要求でありますから、特に衆議院では所得税だけでございましたが、参議院では住民税という言葉を入れるつもりでございます。もちろん、所得税が減れば住民税が自動的に減るからなくてもいいじゃないかと言われますが、やはりこの点はきちんとした方がいい。 それからもう一つは、衆議院大蔵委員会小委員会ということになっております。そうすると参議院は要らぬのか、こういうことになりますので、その点もひとつ考慮をしていきたいというのがわれわれの方向でございますから、そういったことも含めまして、減税には前向きにお願いしたいと思います。 以上です。
○近藤忠孝君 最初にグリーンカードの問題ですが、私は三月十九日の本会議で、グリーンカードだけ実施をして総合課税は延期するというようなことがあってはならない、こういう指摘をいたしました。 いま問題は、グリーンカード見直し論の中に、まずマル優など非課税貯蓄限度額の管理についてだけグリーンカー下を実施をする、そして総合課税の完全移行はやめて分離課税制度を存続するという、こういうことが有力な動きになっておる、こう聞いておるんです。 私は、この問題は本来捕捉すべき高額所得者の課税貯蓄など全く野放しにし、脱税を放置し、不公平を拡大するものである、そして少額の貯蓄のみについてこれはもう完全に大蔵省は管理をして、そして国民背番号制の方へ行くという、こういう面では大変ぐあい悪いし、何よりも総合課税への移行をいわば避けるという点では絶対あってはならない、こう思うんです。 先ほどグリーンカードについての総理の決意は聞きましたけれども、こういう動きや見解があることについては総理はどうお考えですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) グリーンカード制が採用されることになりましたにつきましては、非課税貯蓄の限度、範囲を明確に把握をするということが一つ。これはいまの高額所得の人間が非課税貯蓄という制度の悪用といいますか、乱用といいますか、そしてそういう恩恵に治そうというようなこと等も排除しなければいけないというようなことからグリーンカード制というものがとられたし、また一方において総合課税制度というものを、利子配当の分離課税をやめて総合課税に移行するというのも、こういう高額所得者に対する税負担の公平化という見地からとられたものであるわけでございますから、これは両方確保されなければならない、実現されなければならない、このように認識しておるところでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、いま指摘したような、グリーンカードだけ実施をして総合課税は延期するというような考えは私と同様に全くけしかからぬことで、そんなことはもうとんでもないこと、こういうお考えでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま申し上げましたように、あの法改正の趣旨に沿いまして、政府としてはそれに的確にこたえていきたい、こう思っております。
○近藤忠孝君 どうも、ちょっと私の質問に対してそのまま素直にお答えになっていないんですけれども、めったに共産党の議員と鈴木総理と意見が一致することはないものですから、私はこのことでは、私が指摘したようなこと、要するにグリーンカードだけ実施をし、総合課税は延期をするという、こういう考えは総理としてはもう本当にとんでもない、もう絶対そういう考えは認められぬ、認めがたい、そういうお考えですかと聞いておるんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) いろいろ、どちらに重点を置くかというようなことで近藤さん、そういうお話をしているんだろうと思いますけれども、私は、そもそもああいう改正がなされた、国会でこれが採択をされて五十九年一月から実施をされるということにつきましては、両方の目的を確保する、それを担保するためにとられた措置である、このように理解をいたしておりますし、政府としてはその方針で実行に移してまいる、こういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 恐らく私と同じ意見だろう、こう思うんですけれども、そこでお伺いしますが、昨日の新聞記事によりますと、私が先ほど指摘したように、マル優など非課税貯蓄限度の管理だけにグリーンカードを使い、総合課税への完全移行をやめるという方向で自民党首脳、首相周辺がそういう態度を決めた、そして総理の意向で自民党内の中にそういう協議が始まっている、こういう記事があるんです。 そうすると、いまの総理の見解とはこれ全く逆行するわけですね。それで、これは議員立法でそういう修正を出そうということで、総理もそれはやむなしという御見解を持っているやにうかがえる記事なんですね。となりますと、これは今後の問題としますと、議員立法で出てくる可能性があると思うんです。その場合の議員は、言うまでもなく自民党議員。となりますと、これは総裁としての鈴木さん、そういうことに対してはどうされますか。そういう議員立法は総裁としては一切もう認めない、こういう態度で党員である議員を指導されますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) このごろいろいろのことが活字になってひとり歩きをしておるわけでございまして、私もしばしば戸惑いをいたしておるわけでございます。 そういうことは、私聞いておりません。特に、私の周辺とか私の側近がそういう説をなしておるというようなことは、全然ございませんから……。
○近藤忠孝君 そうしますと、もしも——これはあり得ることだと思うんですが、もしも議員立法として出てきた場合には、またそういう動きがあった場合には、自民党総裁としては断固これを抑えると、そしてまた抑える自信があると、こうお聞きしてよろしいでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま申し上げたように、そういう党内で個人的にいろんなお考えの人があろうかと思いますけれども、そういう問題が党議として、党の大勢としてなるかどうかというようなことは私は予断をいたしておりません。したがって、そういうことを前提にしていまあれこれ申し上げるような段階でない、このように申し上げておきます。
○近藤忠孝君 いまヨダンをしていないとおっしゃいましたが、ヨダンというのはどういう字を書きますか。予測している……
○国務大臣(鈴木善幸君) あらかじめ何する……。
○近藤忠孝君 ということは、私は総理の決意を聞きたいんですが、いま予断していないんだけれども、それは出てくる可能性があるわけですね。となった場合、総理としての自信はおありでしょうか、抑える。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は政府の責任者でございまして、国会で御決定をなされたところの法律の執行をやるのが私の責任でございますから、その法律をどのように改正するとか、されるであろうとか、そういうことをあらかじめ予想をして、それに対してどうこう申し上げるようなことは適当でない、こう思っております。
○近藤忠孝君 私は、政府の責任者としてより、いま自民党の責任者たる鈴木さんにお聞きしているんですが、私が自信があるかと聞いても、それに対してとてもお答えにならないということは自信がないように、こう受け取らざるを得ないんです。現にいろんな報道があるということはそれだけのことがやっぱり事実あるわけですし、また国民はそこを心配するわけです。 もう一度お伺いしますけれども、万が一あった場合に、鈴木さんはそれを抑えられますかどうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も自由民主党の総裁でございますから、私の意に反して党議が決まるということはないと確信をいたしております。
○近藤忠孝君 やっと比較的期待できる答弁が出てきましたけれども……。 そこで、あともう一問は、減税問題です。 国民の要求は、五十七年度当初予算で減税をしてほしいという、こういう要求ですが、いままでのところ、もうとてもそれはなさる気はない。そこで、問題は五十七年度補正でどうされるかど。それで、いろんな話が進んでいるそうです、私どもはよう知りませんけれども。その場合、五十七年度補正でやるかどうかについても、いままで同様大蔵委員会の結論に従う、そういう御趣旨でしょうか。政府としてはそこでやっぱりやっていこうという、そういう前向きの姿勢があるのかないのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども穐山さんにお答えをいたしましたが、政府としては、五十七年度予算編成の段階におきまして、与えられた条件、環境の中で最善のものとして五十七年度予算の編成を行いまして、閣議決定の上で国会に提案をし、御審議を煩わしておるものでございます。 したがって、私どもはこれは最善の案である、このように考えておりますが、衆議院予算委員会の御審議の段階、また参議院の予算委員会で現に御審議をいただいておる段階におきまして、どうしてもこの際減税をやるべきである、こういうことで各党でお話し合いもされておるということでございますが、これに対しては政府としては国会でそういう御決定がなされるということであれば、これは国権の最高機関の国会が御決定になることでございますから、政府としてはこれを尊重して実行に当たらなければならないと、こういうことでございますが、その際にも、政府としては五十九年度特例公債依存の体質を脱却をするように、また一年こっきりでなしに減税ということでございますから、将来に向かって確実な財源が確保されるめどが立つこと、そういう条件を整えていただくことを強く期待をいたしておるところでございます。
○近藤忠孝君 終わります。
○三治重信君 最近、円がどんどん安くなって二百五十円にもなろうとするような報道が行われているわけなんですが、これはいまの貿易摩擦といって日本が非常に強く言われていながら円がどんどん下がる、これはどういうわけか、こういうことで不思議に思わざるを得ぬわけなんですが、それがアメリカの金利高のためだというんですが、これが単にアメリカの金利高のために円が安くなるということから、最近ではどうも日本の余裕資金を持った会社や個人が、アメリカが高金利のためにいわゆるドル買いをやって、それが非常に円安になっているのではないかと、こういうふうなことを非常に強く言われるわけです。そこがブラックマーケット、アンダーグラウンド・エコノミーというようなことも言われる原因がとも思うんです。 それもさることながら、私は、アメリカの高金利政策について、いやこれだけ日本に対して貿易摩擦かなんか文句を言われているわけだから、ひとつ少なくともこの六月のサミットでは、このアメリカの高金利政策に対しては是正してくれと、日本はこれだけ貿易摩擦を直しているんだからということについて、きちっとした態度を日本はとるべきではないか、こう思うわけなんですが、総理の御意見を伺います。
○国務大臣(鈴木善幸君) アメリカの高金利がわが国のみでなしに西独、フランス、イギリスその他のECの同盟諸国の経済に対しても大きな影響を投げかけておるということはすでに報道されておるところでございます。でありますから、私どもは、機会あるごとにアメリカ政府の責任者に対しまして、このアメリカの高金利政策というものの是正方を強く求めてきておるところでございまして、今後におきましても、OECDの会議、サミットにおきましても、関係各国とともに世界経済全体の建て直しのために、この問題につきましてもアメリカにさらに深い考慮を払ってもらうように努力をしたい、このように考えております。
○三治重信君 アメリカの高金利によって日本の円安が根本的な是正ができないということについては、ひとつサミットでいまの総理大臣の決心でまたさらに幅広く組み立てて対処していただきたいと思うんです。 また、日本の円高対策というものについてなかなかいい知恵がないわけなんですが、最近、三月−五月に対して非常な五兆円からの資金の余剰が出ると、これに対して日銀が短期の売りオペをやって資金を吸収する計画というようなことが最近出ているわけなんですが、こういうふうなことからいっても、余りドルに全部日本経済が頼っているところに非常に大きな円安の問題で苦しむわけなんですが、これだけの経済大国、世界経済の一割の経済を日本経済が持っているということになると、やはりこれに対してできる限り、世界の基軸通貨たるドルを排除するとかということでなくして、日本の円貨を強くする、国際信用を強くするためにも、やはり円貿易の推進をやる対策が私は円安を防げる大きな一つの原因になろうかと思う。 そういう意味において、日本のこういう資金余剰が出てくる場合には、ひとつ資金不足国について円貨債を大いに発行さして、そして日本の円貨での輸出入、そういう外貨の不足のところへ必要な貿易ができるようにしてやるということは私はどうかと、こういうふうに思うわけなんですが、円貨債を募集させれば、これがまたドルにかえられたり何かして円安を必ずしも解消する役にはならぬというようなことも言われるんですけれども、そこは日本で非常に資金の余裕があるということは、やはりドル買いに走る大きな原因じゃないかと思うんです。そういうふうなことに対して、日本が資金を、円貨をドル不足国に融通してそして円貨の貿易を積極的に拡大するという方策、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 何建てで、円建てかドル建てで何で貿易をするかということはこれは民間が決めることでございまして、政府が一々あなたのところは何をやれかにをやれと言うようなわけにはこれはまいらないわけでございます。 それから円建て外債の発行のお話がございましたが、これも御承知のとおり民間でやることでありて、政府がどうこうと言うわけではありません。いまもお話があったように、円建て外債の発行が為替レートを円高に導くかどうかということについては、流出した円が外貨にかえられることからむしろ逆にそれは円安に動くと、むしろふえれば。それが大体の通説だろうと、そう思っております。 したがって、円建て外債を奨励をしてどんどんやらせるということは、むしろ円安の方がふえるんじゃないかという見方の方が通説でございます。
○三治重信君 そうすると、何というんですか、円貨債でやっても円の貿易がふえるということではないということのようですが、これはまたひとつ後で御質問します。 いま一つは、これは円安と直接関係はないわけなんですが、政府は対外経済援助協力というものを三カ年倍増、今度は五カ年で倍増ということで、この苦しい財政の中でもどんどん倍増倍増でやっているわけなんですが、しかし非常にその資金が使われていない。これは実施上非常に困難だということで使われていない。これはひとつ総理の方でぜひこの資金が使われるように、金だけ予算組んででも、それが実質上行われなければ、これは日本がそういう世界経済に貢献する、こういうことにならぬと思うんですが、そういうことについての総理の御決意をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは、資金協力、対外経済協力を考えました場合に、相手国の経済の事情、特に一〇〇%貸すわけでございませんから、内貨も必要になってくるわけでございます。財政事情が悪化いたしております関係から、その内貨さえも不足をしておるというようなこと等がございまして、せっかく取り決めましたところの経済協力の計画がなかなか円滑に実行されていないと。そういう関係もございまして最近は商品借款というものを希望してくるところが相当ございます。これは商品借款を通じて内貨をそれによって造成をしていく。そして、そのプロジェクトを実行に移そうと、こういうようなこと等もございます。私どもは十分その国の経済力、財政力というものを勘案をし、そして実際にそれが実行できるものを取り上げて経済協力を進めていきたいと、このように考えております。 また、さらに経済協力の裏づけになりますところの技術的な援助、協力というものにも十分配慮をいたしまして、その経済協力関係が円滑に動いていくようにということでいろんな角度から検討を進めておるところでございます。
○野末陳平君 総理に御意見を伺う前に、大蔵大臣にお聞きしておきますが、グリーンカードに関連しまして、マル優の枠を三百万円じゃ足りないと、五百万円に引き上げるという声がかなりあるようです。特に自営業の人たちの間に聞いてみると強いんですね。実際には非課税枠は九百万あって、サラリーマンの場合は財形入れるから千四百万だと言うけれども、自営業の立場で使えるのは実は銀行のマル優の三百万ぐらいなんだから、これじゃ足りないんだと、こんなことのようですね。 そこで、マル優枠を現行の三百万から五百万に引き上げるという声に対して、大蔵大臣はどういうふうにお考えか、まずそれを。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、銀行だけじゃなくて郵便局もあれば国債もあるわけですから、九百万の枠があるので十分じゃないかと。特に国債は、これはたくさん出ておるんですけれども、必ずしも各家庭でみんな持っているとは限りません。ほとんど持ってない家の方がむしろ多いんじゃないか。ところが、これが一番有利な商品でございまして、利率も高こうございますから一応私は国債をお勧めしたいと思っております。
○野末陳平君 一般的には確かにまだ非課税枠は平均的貯蓄額をかなり上回っているわけですからそれでいいかと思うんですが、ただ、これから老人社会になっていくという場合に、お年寄りの預金というものも若い人あるいは中堅の人たちの預金と同じように考えて一律に、扱っていいかどうか、その辺がちょっとひっかかるんですね。つまり、老後の支えに預金の利息を当てようと、こういう努力をしている人たちに対しては、この自助努力に対してやはり政府としては何らかの配慮をすべきではないか、もうそういう時代になってきたんだというふうに私は感じるわけです。 大蔵大臣に重ねてお聞きするんですけれども、ここらで六十五歳以上のお年寄りに対しては、いわゆるシルバー・マル優のような枠を別枠で、三百万とか五百万とか、あるいは一千万とか、そういうふうに認めるべきではないかと考えるわけで、大蔵大臣の御意見をお聞きしたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも考え方でございまして、よく主税局長が言うように、月に十万円の年金の人だと二千二百五十万円ぐらい貯金を持っていても、オーバーした分も含めてですよ。それは実際は税金は取られないということでございますから、仮にこれは年金が十万円ある人の話で。もし奥さん名義のマル優があればもっと多く、三千万とかそれぐらい持っておっても実際には税金がかからないということであって、まるまるそっくり残して他界するということまで政府でやれというのかどうなのか、そこらのところは広く問題が実はあると思うんですね。老後の問題というわけですから、そっくり財産は手つかずに残してというところまで政府にやれということになると、また話は私は別な問題になるんだろうと、そう思います。 問題は、最近は非常に長生きをするようになりましたから、もう百まで生きるのかあるいはそれ以上も生きるのかわからない、だから、そういうところに不安があるということもございましょう。しかし、私としては原則的には現在でいいんじゃないかと、そう思うわけでございますけれども。 もう一つは、老人の貯金と一般の貯金とどういうふうに区分するかという技術的な問題もあるそうです、技術的に考えて。したがって、早急に結論は出せませんが、せっかくの御提案でもございますから、どのようなことができるか、御提案を含めて今後勉強課題にさしてもらいたいと思います。
○野末陳平君 そこで、総理に改めて私のこのシルバー・マル優枠の提案を聞いてほしいわけですがね。 こういうことなんです、これを新しく認めるのは広い意味の行政改革にもつながるんですよ。なぜかというと、先日の予算委員会のときに主税局から御答弁いただきましたけれども、それからいまも大蔵大臣のお答えの中にも出てきましたが、要するに、たとえば年金で暮らしているお年寄りは、マル優を含めて二千万円から、奥さんの名義も含めれば三千万円近くまでの預金があっても、確定申告をやりますと、源泉で二〇%ばかり先に納めていたこの利子の税金が結果的に返ってくるんだ、実質的には税金はかからないんだと、こういうことなんです。そうなると、一歩進めて、それだったら、何もお年寄りに確定申告にこの込んでいるときに行かせる必要もないんじゃないか、税務署の方だってそれだけ仕事の量が減るじゃないかと。 実質的に税金問題が起きないというのであれば、せめてその範囲の、全部とは言わないけれども一部でも、初めからこの源泉二〇%はしないで、お年寄りのシルバー・マル優、非課税枠、これを一般の人よりもふやしても結果的にどこがどう違うんだということになりますと、僕は、合理的に考えるならば、確定申告で結果的に返ってきて無税になるというならば、初めからシルバー・マル優を、技術的な問題もあるんでしょうが、設定するという方が合理的な考え方だと、こういうふうに考えまして、サラリーマンとか自営業とかいうことを問わず、真剣にこれは検討していただくべき問題だというふうに考えて、総理大臣に最後にお答えをお願いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 野末さんお年寄りを大事にしよう、老後をできるだけ不安のないようにしようというお気持ちからの御提案でございます。そのお気持ちを尊重いたしまして、非常にむずかしいいろんな問題がこれにはあるようでございますけれども、よく研究、勉強さしていただきます。
○委員長(河本嘉久蔵君) 暫時休憩いたします。 午後五時四十分休憩 —————・————— 午後六時開会
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を再会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 ただいま塚田十一郎君、藤田正明君が委員を辞任され、その補欠として岡部三郎君、福田宏一君が選任されました。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより三案を一括して討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表し、ただいまの法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の意思を表明し、以下討論を行うものであります。 五十年度に始まった特例公債の発行は来年度で八回目、その額も三十七兆二千億円の巨額に上りながら財政再建の度合いはますます困難をきわめていると言ってみても過言ではありません。 五十六年度は約一兆四千億円という空前の総ざらい大増税を図り、国債減額二兆円を目指したのでありますが、経済運営政策は失敗に終わり、景気低迷の長期化による税収の落ち込みのため、補正では赤字公債の増発を行い、かつ一兆円余の歳入欠陥が不可避となっているのであります。 これでは、財政再建の美名のもとに、大増税を強要されました国民は、一体どこに不満をぶっつけたならばよいでありましょうか。 また、欧米との通商摩擦の激化の中で、長引く低迷から脱却するため、内需喚起の一環として提起しました所得税、地方税減税は、勤労者世帯の実質所得のマイナス転落を少しでも救済するということから見ても、最重要視されるべきものと確信をいたします。 しかるに、今回の税制改正に際し、何らこれに積極的にこたえようとしなかった政府に反省を促す次第であります。 衆議院議長裁定は国民の声にこたえたものでありますが、衆議院大蔵委員会で実現に向けての具体策を煮詰める段階となっていますが、この際政府においても積極的に実現のために対応するよう強く要請をいたします。 次いで、両法案のうち、法人税改正は資金繰りの苦しい中小企業に対し、大法人と同様一律の延納制度の縮減を強要することは、中小企業の活力をそぎ企業倒産をも生じかねないと想定ができます。また、貸し倒れ引当金の法定繰り入れ率の改正は、実績率の三倍の水準であり、引き下げ幅が全く不十分と言わなければなりません。 また、租税特別措置は、税制面で政策目的を達成させようとするものであり、それゆえに政策目的が達成されたり、意図した目的と反した結果が生ずるならば当然廃止さるべきであります。しかるに、本来廃止さるべき特別措置が既得権化しており、税負担の公平を阻害をしています。 この際、租税特別措置全般を一たん全廃をし、最小必要なものに限り期限を厳格に付して認めるという発想の転換を強く求めるものであります。 また、土地税制の緩和は、高資産家の地主、特別な所有者層のみに税の優遇を与え、土地、宅地供給効果はきわめて乏しいと言わざるを得ません。これは政府に本来の土地政策の欠如に起因しておりますが、なお土地税制が常に不安定のためかえって土地高騰を招き、もはや持ち家取得は高ねの花として庶民はあきらめざるを得ない状態であります。なお、住宅建設を景気対策の道具に極端に使った点もこの際反省すべきであると思います。 以上の理由により、両案に反対するものでありますが、当委員会の審議を通じて強く指摘をしました五十七年度を含む減税の実現のために政府の最善の努力を要請をいたします。あわせて五十七年度財政運営に当たりまして過去の失敗を十分に検証をし、国民の信頼にこたえるようこれまた最大の努力を強く要求をして討論を終わります。
○衛藤征士郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案外二法案に対し賛意を表明いたします。 まず、国税収納金整理資金法の改正は、国税の還付件数が著しく増加している最近の実情に対処し、還付加算金の支払い事務の迅速化を図り、ひいては納税者の利益に資しようとするものであり、きわめて適切な改正であります。 法人税法、租税特別措置法の二法の改正は、現下の社会経済情勢及び厳しい財政事情に対処するためのものであります。財政再建という緊急の命題のもとで、五十七年度予算は、国債発行額を一兆八千三百億円縮減し、地方交付税交付金及び国債費を除く一般歳出の伸びを一・八%と、三十年度以来の最低に抑え、これらの措置とあわせて、不足財源の一部を増税なき財政再建の許容範囲の中で確保することとされたのであります。 このように二法案は、財源対策として不可欠のものでありますが、改正内容を見ましても、現下の要請に照らして妥当なものと考えられます。法人税の延納制度の縮減は、所得税とのバランスが配慮されたものであります、租税特別措置については、五十一年度以来すでに相当の整理が進められてきておりますが、企業関係特別措置についてさらに見直しを行い、四項目を廃止し、二十項目の整理合理化を行い、価格変動準備金の対象物品の縮減を図ることとしております。交際費課税については、中小企業に配意しながら、三年間の措置として全額損金不算入に踏み切り、土地・住宅対策のためには、譲渡所得の長・短区分の合理化と長期譲渡所得の課税の軽減、居住用財産の買いかえ制度の創設等を行い、さらに特別障害者に対する特別控除、勤労者財産形成貯蓄の利子等の非課税制度の改正等、福祉対策の立場からも適切な配慮が加えられております。 以上の理由から、法人税法、租税特別措置法の二改正案は妥当な措置として賛成いたすものでありますが、厳しい財政事情に直面し、加えて経済活動の停滞が憂慮されるもとで、税負担の公平を求める国民の要請はますます強まりつつあります。政府におきましても、負担公平の理念に徹した税制並びに税務執行体制の確立にさらに一層努力されることを要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案につきまして、反対の討論を行うものであります。 反対理由の第一は、法人税の延納制度の縮減が、特に資金調達能力の弱い中小企業、小規模企業の経営を圧迫するからであります。 特に、景気の低迷している現状の中で、中小企業の倒産も依然として高水準で続いており、今回の改正はこれら中小企業、小規模企業をますます苦境に追いやることを憂慮するものであります。 さらに、この制度改正による財源確保は五十七年度限りのものであり、真の財政再建に寄与しないこそくなやり方であり、賛成できません。 反対理由の第二は、長年指摘され続けてきた貸し倒れ引当金及び退職給与引当金の縮小について、政府が消極的な姿勢をとり続けていることであります。 貸し倒れ引当金の法定繰り入れ率は引き下げられたものの、税務資料などによる貸し倒れ実績率に比べて各業種とも相当高い水準となっており、不十分な引き下げと言わざるを得ません。 また、退職給与引当金については、無税繰り入れ率の縮小を五十七年度の税制改正の俎上にのせながら、明確な理由を示さずに見送りとなっております。このような、いわゆる不公平と言える税制度を温存することは納得できません。 反対理由の第三は、政府が総合的な土地政策を示さないまま長期譲渡所得などの土地税制を大幅に緩和し、不公平を拡大していることであります。 今回の土地税制の改正により、五十七年度に土地供給が進むとは考えられず、むしろ投資対象として土地に対する需要が増大し、逆に地価の上昇を招くおそれがあることが指摘されております。 一方において、給与所得者に過度の実質増税を押しつけながら、一方、大口土地保有者のみに大幅減税措置を実施することは、社会的不公平を増大させるもので賛成できません。 最後に、昭和五十三年以来四年間の課税最低限の据え置きにより大幅な実質増税、昭和五十六年度酒税、物品税を中心に一兆四千億円の大増税等により、勤労者の可処分所得は二年連続マイナスとなり、個人消費の低迷から景気は停滞し、今年度税収も大幅な歳入欠陥をもたらしています。 したがって、一兆円規模の減税は、景気回復の立場からも、生活防衛、不公平是正などの立場からも断行すべきであります。 与野党合意に基づくさきの衆議院議長見解に従い、また今回の参議院における与野党合意に沿って、五十七年度所得税減税が一日も早く実施されるよう、わが党も全力で取り組む決意であります。 政府としても、この趣旨に沿い最善の努力をされるよう強く要望し、私の反対討論を終わります。 以上。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、議題となっている租税特別措置法、法人税法の両改正案に反対の討論を行います。 五年連続減税見送りによる実質大増税は、税の不公平を拡大するばかりか、内需をてことする景気の回復をおくらせ、ひいてはアメリカなどによる対日経済圧力に口実を与えていることは、いまや明らかであります。 したがって、五十七年度当初予算での一兆円の減税はどうしても必要であり、参議院においてもわが党は財源を示し、一兆円減税を含む予算組み替え案を提案しているのであります。 ところが、政府はわが党提案を何ら検討もせず、減税要求をかたくなに拒否するのみで責任回避、参議院軽視の態度をとり続けているのであります。 政府は、国民の減税要求に対して、財源がないの一点張りですが、ないのは財源ではなく、税・財政を見直す知恵と決断なのであります。 たとえば、本租税特別措置法改正案で、期限切れであるにもかかわらず、わざわざ延長してまで温存を図った大企業関係特別措置がそのよき例であります。 中でも、当委員会で私が指摘した技術等海外所得の特別控除制度などは、昭和二十八年、輸出増強を目的としてつくられた制度であり、途中部分的な手直しはありましたが、以来実に三十年近く温存され続けたのであります。最近では別の政策目的を持っていると主税局長は答弁しました。しかし、当初の政策目的が終わったのであれば直ちに廃止すべきであります。結局、一度つくった制度はたとえどのように環境が変わっても、あれこれの別の理由を新たにつけてとにかく温存する、この姿勢が問題なのであります。 従来の特別措置を温存しただけではありません。本改正案では、科学万博のためとして特定の大企業しか利用しない大型の準備金の制度を新設すらしており、まさに逆行と言わなければなりません。 次に、土地税制の緩和についてであります。土地問題を真に解決する総合政策不在の今回の税制緩和は、問題の解決を一層困難にするばかりか、不公平を一層拡大するものであり、そのねらいとするところの宅地供給効果すらはなはだ疑問であります。むしろ税引き後の土地の資産評価を高めることによって、土地の手放しを抑制する効果すら考えられます。 さらに、今回の改正で、十年を超えて保有する土地について重課措置が外されることになりますが、これは列島改造ブームに乗って土地買い占めに走った悪徳不動産業者を救済することにつながり不当であります。 最後に、法人税法改正案で、法人税の延納割合の圧縮を図っているのでありますが、これは退職給与引当金など企業課税の増税を避けるために考え出されたつじつま合わせにほかなりません。大企業はもともとこの延納制度を利用して、延納分を高利で運用することによって利ざやを稼いていますが、それでなくても資金繰りの悪い中小企業に対して、今回の措置は手痛い打撃となることが懸念されます。 以上、指摘した観点で、税制を根本的に見直すことによって財源を確保し、五十七年度当初予算で一兆円の減税を実施することを再度求めて、私の両案に対する反対の討論を終わります。
○三治重信君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部改正と租税特別措置法の一部改正の法律案に対し反対の立場を表明し、討論を行います。 まず、法人税の一部改正の法律案についてであります。 今年限りの法人税の延納制度の縮減は、全く小手先の増収策であります。この措置が実施されることによって、今後毎年、中小企業経営者の受ける資金面の圧迫が加重されるのであります。そうでなくとも不況の波にさらされている企業の中には、経営を窮地に追い込まれることも考えられて、きわめて遺憾であります。 次に、貸し倒れ引当金の繰入率の引き下げは、企業の調査実態では繰入率に余裕があることでありますので、適切な措置であろうと思われます。 次に、租税特別措置の一部改正の法律案についてであります。 まず交際費課税について、最近の社会経済の状態から課税強化の要請が強まっており、今回も交際費課税の強化が行われ、中小企業への配慮も見られてきたところでありますが、今回の措置が資本金五千万円以上の法人について三カ年の時限的なものとはいえ、交際費を経費として一切認めないということはとうてい企業経理簿記上考えられないことで、やみ経理を強いることにもなります。少なくとも一定の範囲内の交際費については、一定率の課税にとどめるべきだと思います。 さらに、租税特別措置の整理合理化によって、初年度で千九十億円の増収が見込まれております。租税特別措置のさらに厳しい見直しを求めるものでありますが、五十六年度において法人税率を二%すべての企業に重課したことを配慮すべきであります。 宅地並びに住宅問題に関する措置についてであります。 政府の住宅政策に伴う宅地政策が、租税特別措置によってのみ、土地供給を増加させようと図っていることであります。これは、不動産業界及び地主の、土地譲渡所得の重課を一日も早く軽くするためのものであります。土地の譲渡所得の軽課は、宅地供給の場合にのみ限定すべきであります。土地譲渡に関する短期、長期の区分を十年を境としたのは適当な改正でありますが、宅地の供給は宅地造成事業、土地区画整理事業の推進、宅地環境整備に公共事業費の重点投下が行われるべきであります。 また、公共事業においても住宅建築においても、土地の賃貸借を活用すべきでありましょう。 財形貯蓄の住宅貯蓄控除制度を五十七年限りで廃止することは、利子補給制度を創設するということはあっても、今日まで積み立ててきた住宅貯蓄額の住宅建築への利用や財形貯蓄の継続について配慮を講ずることを要請いたします。最後に、所得税一兆円減税について要望をいたします。増税なき財政再建は、現状のまま推し進められますと、所得税のみが累進税率によっていわゆる自然増収として処理せられ、租税負担率が働く勤労者の肩に重くのしかかってきます。五十五、六年二カ年とも実質所得生活水準が一%も低下している現状を十分考慮され、五十七年度予算審議の中に示された与野党、国会の取り決めの趣旨を早期実現できるよう強く求めて、討論を終わります。
○委員長(河本嘉久蔵君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。 これより順次三案の採決に入ります。 まず、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、法人税法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 藤井君から発言を求められておりますので、これを許します。藤井君。
○藤井裕久君 私は、ただいま可決されました法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議・日本社会党、公明党・由民会議・民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、所要の措置を講ずべきである。 一、準備金、特別償却等各種の租税特別措置について、その政策目的、政策効果、活用状況等を勘案し、一層の整理合理化に努めること。 一、退職給与引当金制度については、今後における企業年金制度の動向等に対応して、基本的な検討を行うこと。 一、貸倒引当金の法定繰入率については、貸倒実績率の推移等を勘案し、今後とも引き続き検討を行うこと。 一、今後の高齢化社会の進展に伴い、年金に関する課税のあり方等について検討を行うこと。 一、宅地の供給を図り、住宅建設の促進、地価の抑制等に資するため、総合的な土地政策を速やかに実行に移すこと。 一、世論の動向にかえりみ、税務執行の公平を確保するとともに、悪質かつ大口脱税者について厳格な措置をとること。 一、複雑、困難で、かつ高度の専門的知識を要する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性及び税務執行面における負担公平の確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等に配慮し、今後ともその定員の増加、処遇の改善に特段の努力をすること。 右決議する。 以上であります。 委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまの藤井君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 全会一致と認めます。よって、藤井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、渡辺大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。
○委員長(河本嘉久蔵君) なお、三案の審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、関税率、減免税制度等について所要の改正を行おうとするものであります。 以下、この法律案につきまして、その大綱を御説明申し上げます。 第一は、関税率の改正であります。 まず、わが国の貿易の円滑な発展に資する見地から、東京ラウンド交渉に基づくわが国の関税譲許品目についての実行関税率の段階的引き下げを一律二年分繰り上げて実施することとするほか、ウィスキー、半導体、バナナなどにつきまして関税率を引き下げるとともに、自動車用排気タービン過給機等の関税率を無税とすることといたしております。 また、国内産業の実情等にかんがみ、タングステン鉱につきまして関税割り当て制度の適用を廃止するとともに、重油及び粗油の関税率を引き上げることといたしております。 第二は、減免税制度の改正であります。 減免税制度につきましては、国内産業の実情等にかんがみ、アルミニウム製錬業者が輸入するアルミニウムの塊のうち、一定数量の範囲内のものについて、免税制度を新設するとともに、低硫黄燃料油製造用原油などの減税額を縮減することといたしております。 以上のほか、昭和五十七年三月三十一日に適用期限の到来する暫定関税率及び原油関連減税還付制度につきましては、その適用期限を一年延長することといたしております。 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を申し述べました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより本案の質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 まず最初に、ことしの関税の予算総額はどれぐらいになるか。それからこの法律によって減収分はどれくらいになるか。
○政府委員(垣水孝一君) 本年度、五十七年度の予算額は、一般会計分七千四百億円、特別会計分千四百五十億円でございます。本年度の一般会計分につきましては、五十六年度までの法律に基づいて算定いたしました結果との比較におきまして、一般会計で四百億円の減収、特別会計で五十七億円の増収、差し引き三百四十三億円の減収となっております。
○丸谷金保君 各国の関税収入に比べると必ずしも日本の予算に占める関税の額というのは多くないんですがね、大蔵大臣これをどう思いますか、たとえばアメリカ、フランス、イギリス等に比べて。どういう説明受けています。
○国務大臣(渡辺美智雄君) わが国としては貿易立国でございますから、資源のない日本としてはどうしても資源を他国から求めなけりゃならぬ、そのためには外貨を稼がなければならない、こういうような点で貿易を促進をしてきたといういきさつもございますので、できるだけ事情の許す限り関税の低率化をいままでも図ってきた結果ではないかと考えます。
○丸谷金保君 大蔵大臣は外国との比較が得意なんでお聞きしたんですが、「財政金融統計月報」によりますと、アメリカ、イギリス——ドイツはちょっと制度が違うんで、イギリス、フランス。フランスの場合石油税なんかも入りますけれども、おおよそどの程度——これまあ為替レートも変わりますから、五十七年度予算が出てますわね、各国の、一九八二年の。
○政府委員(垣水孝一君) ちょっと予算額自体を手元に持っておりませんが、関税負担率の国際比較で申し上げますと……
○丸谷金保君 負担率はいいんだ、負担率は。金額なんだよ、聞いているのは。おたくの方から資料もらっているのに、おたくの方でどうして持ってこないのかな。 アメリカが一九八二年の予算案で七十八億ドル、これは関税。それから西ドイツはちょっと余りあれなんで、イギリスは関税と消費税を合わせて八一年から八二年にかけて二百六十億ポンドですか、それからフランスは石油税と関税と一緒になっていますが、それでも四百九十四億フラン。大体いまの日本の為替レートで大ざっぱにしてこれはどれぐらいの金額になりますか。何兆何千億くらいでいいよ。
○政府委員(垣水孝一君) アメリカで一兆七千億ぐらいでございます。
○丸谷金保君 イギリスは。
○政府委員(垣水孝一君) 関税だけで見ますと四千数百億でございます。
○丸谷金保君 フランスは。
○政府委員(垣水孝一君) ちょうど三千億ぐらいでございます。
○丸谷金保君 大臣、この貿易の金額から比べると、アメリカから見ると相当に関税収入が低いし、ECのフランスやイギリスと比べて多少高いという程度で、実際の貿易額から言えば相当これも安い、税収としては非常に少ないんです。なぜ日本がこんなに低いのに東京ラウンドで一応決めたやつを前倒しにしなければならないんでしょうか。ほかの方が高いんですよ、結構。ほかの方の関税収入というのは相当高く取っているわけ。日本だけが何でそんなに先へ先へとやらなきゃならぬですか、大臣。 〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは御承知のとおり、私が先ほど言ったように、日本は貿易立国の国でございます。日本の貿易の伸び方が非常に急速に伸びておるというところから、御承知のとおりいわゆる貿易摩擦がいままでも何回も起きておるわけであります。したがいまして、貿易で輸出を伸ばす以上、やっぱり輸入もふやさなきゃならぬ、こういうような点から、その一環として国際会議で、東京ラウンドでやったわけでありますから、われわれはそれでまあ一応当分の間はもてると、こういうように思っておりました。 ところが、さらに市場開放の要求というものは非常に強い。これ以上国際摩擦を起こすということは、日本としては全体的に余りプラスにならないというような政府の判断に基づいて、その摩擦の解消の一環としてでも、やはりその一環として関税一律、東京ラウンドで決まったものを二年分前倒しにするということを決めたわけであります。
○丸谷金保君 去年も前倒ししているんですよね。ですから前倒し、前倒しでずいぶんこれは……、それからこのことによるところの税収の落ち込みも相当なものでしょう。 それで、東京ラウンドの問題なんですが、一九七九年、ジュネーブでもって調印したそのとき、大蔵省の当時の関税局長は、「これは本当にこれで八〇年代の貿易を律するルールが確立された」ということを、これは「東京ラウンドの全貌」という本の中で、その序文でうたいとげているんです。これはちっとも確立されてないんじゃないですか。どうです。いまの状況から言うと七九年時代とは全く変わってきたということ。になりますか、これは。
○政府委員(垣水孝一君) 当時わが国も五、六年かかって東京ラウンドを妥結せしめたわけでございますが、その後の情勢というのがきわめて変動が激しくて、御承知のように、二次にわたる石油ショックを日本が比較的うまく切り抜けたにかかわらず、ヨーロッパは特にいまだうまくいっておりませんし、アメリカにしてもまだ後遺症から脱していないという状況で、日本のみが非常にいいということに対して、やはり世界経済全体の活性化を図るためには、少し強過ぎるといいますか、突出していい日本に対して風当たりが強い。それに対する対応は、やはりある程度考えていかなければならない、こういうことだと思います。
○丸谷金保君 日本の貿易が伸びているから各国の御機嫌とらなきゃならぬ、そのためには仕方がないと、こういうことですか、理屈には合わないけれど。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ、御機嫌をとるということなのか、理屈を言えば、われわれとしてはともかくもう決まったんだから、八年分のやつが決まったんだから、それをいまさら何だという理屈があるんです、当然に。われわれもそれは言っているわけです。しかし、現実の問題として各国ではインフレはおさまらない、失業者は日本の数倍の率を持っておるというような中から非常なあつれきが起きて、日本ボイコットと言わんばかりの話が出てきた。これはもう私が説明するまでもありません。 したがって、そういうような問題でこれ以上国際的に日本が孤立をしてしまうというような恨みつらみを一身に買うことは、果たして日本の将来のためにどうかというような観点から、政府としては鳩首協議をしながら、ともかく理屈に合わないと言えば合わないかもしらぬけれども、こちらからどうせいつかは下げるわけだけれども、それをひとつ前倒しをするという誠意を示すことによって理解を得たいという考えでやったものと思います。
○丸谷金保君 まあ理屈に合わない点があるということについてはある程度大蔵大臣も御理解しておるようでございますから……。 そこで、問題はそのことによる国内の産業に及ぼす影響、特にねらい撃ちをされておる農業関係の産業、これはこの四百億あれば、この間から騒いでいた牛乳の値段ぐらいちょっと——大蔵大臣、金がない金がないと言わないでもやれるんですよね。外国に対しては物を売らなきゃならないから、もともとまあ理屈に合わないけれども、機嫌を損じないようにしようと。そしたらどこかがもうかるんですよ。どこかがそれでもってたくさん物を売ってもうかるところがあるんです。そうすれば国内のバランスをとる上で、そのことの外圧をもろに受ける農業その他の弱い産業に対してもう少し考えを及ぼしていかないと不公平じゃないですかね、ここら辺が私たちどうももやもやするんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいろいろな見方がございまして、国民の中においてもともかく農業過保護論まで言う人さえあるわけですから、われわれはそんなことありませんと、日本の農業は守っていかなきゃならないんですと言って弁解しているわけです、一方においては。農業団体から見ればまだまだめんどう見が足りないからもっとやれというような御主張がございます。私は農林大臣もやったことがありまして、私といたしましては、まあともかく農業が栄えるという問題は、生産ができれば栄えるという話じゃありませんよと。 問題は、消費者が豊かでなければ日本の農業はもっとひどい目。に遭うということも事実ですよと、現実は。つくった物が売れないということになれば、これはぐあいが悪いわけですから。売れても値段がうんと安くしか売れないということでは困るということになれば、やはり消費者を豊かに守らなきゃならぬということの一環としては、やはり貿易というようなものが非常にすたれるとかあるいはどうとかということになれば、日本の経済に大きな影響を与えるわけです、現実の問題として。 したがって、そういうふうな全体のことを考えまして、われわれはやはり関税の引き下げというものもひいては日本経済を長く守っていこうという、そういうふうな気持ちからやっておるわけです。ですから、このことがもろに農業団体だけにしわ寄せをしたとばかりは私は言えないんじゃないかと。 したがって、今回の関税引き下げというものは例外なく一律に千六百数十品目にやったと、またいろいろなこと言い出すととうていまとまらない。したがって、これは引き下げることが決まっているやつを二年分だけ早めようということでやったわけであります。
○丸谷金保君 引き下げるやつを早めようという分の千六百品目近くですか、出ておりますが、それ以外にもたとえばウイスキーだとか、そういうものも下げるんでしょう。もう約束のところまでいっているんじゃないですか。 そこで私は、東京ラウンドというのは何なんだということになるんです。下げちゃったやつをまた下げるんだと。約束に到達しちゃっているやつがあるんです。これじゃ、東京ラウンドというのは何にも意味ないんじゃないか。大蔵省が非常に高らかに八〇年代国際貿易の一つの指標ができたといってうたいとげて、関税局長さんの名前で本の序文まで書いている。これが全然崩れちゃうんじゃないですか、崩れつつあると言ってもいいんじゃないですか。
○政府委員(垣水孝一君) 私どもは、その東京ラウンドの枠ということをやはり相当念頭に置いて八〇年代を考えるということでございますが、先ほど来の貿易摩擦問題に対処ということとしていろいろ考えたわけでございますが、この千六百五十三品目にわたります前倒しというのは、実は先ほどからも大臣が申し上げておりますように、東京ラウンドの繰り上げにすぎないと言うとちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、枠内で東京ラウンド、いずれ下がる物を二年間前倒しをすることによってもっとほかに、たとえば御承知のようにいろんな農産物等について、センシティブな物につきましては東京ラウンドでは譲許していないわけでございます。そういう物についていろいろな要請があるのを、東京ラウンドの枠内でできるだけ処理するということで一律前倒しをいたしまして、なおまさに御指摘のように、ウイスキーとかバナナというようなものについては若干のプラスをした、こういうことでございます。
○丸谷金保君 私の言っているのは、要するに何年かかかって譲許税率ここまでということで、下げ方も全部相談していますね。そこまで早く前倒しで下げちゃったら、またこの次あとが来るんでないかということです。現に、ウィスキーなんかそういうことで来ているじゃないですか。それじゃ東京ラウンドどうだと、絶対それは譲許税率のところできちっと——それから後は心配ないんだというふうに大臣言えますか。こんなことをしていったら東京ラウンドの歯どめ何にもならなくなりませんか。もう、もみ手外交もいいかげんにしてもらわないとちょっと困るんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、われわれとしても東京ラウンドで決めたことは守りたいという気持ちは同じでございます。同じでございますが、これだけ世界じゅうの騒ぎになっておる中で、もう決まったことなんだからという、一方的にそれだけで押し通せるかどうかという現実の問題がございまして、これは見方の相違になりますけれども、一方は市場開放、農産物自由化その他を言ってきているわけですから、われわれとしてはそういうようなものについて極力できないものはお断りをしていかなきゃならぬ。できるものについては積極的にこちらからむしろ下げるものは下げる、あるいは検査手続その他についても非常に非難を受けているようなものは、直すべきものは直すということをやって、外交交渉の場で、余りもう世界じゅう相手に、ともかくABCD包囲陣を敷かれるような騒ぎは起こしたくないというような政治的判断のもとに内閣としてこれは引き下げたものでありますから、たてまえ論を言えばいろんな理屈がございます。
○丸谷金保君 引き下げたものでなくて、これ今度議決すれば引き下げるんでしょう。まだ引き下げてないんだよ、それできょう、いま審議しているんだから。 それで、市場開放、農産物の自由化と言いますけれども、実際にはECなんかなかなかそうなってないじゃないですか、相手も。それは腹の立つことたくさんある。 一例を挙げますと、これは私の苦い経験の一つなんですが、ペルシェロンという馬がいます。昔は農耕馬に使った。非常に力が強い。これはフランスから種馬を輸入したり、基礎牝馬を輸入したりして北海道に定着した馬。だんだん機械化して馬は使わなくなったけれども、 〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕 私の池田町では、将来また純血種がなければブルトンとか中間種とかつくっていくときに困ることがあるかもしらぬと、日本の農業のためにやはり一カ所くらいはきちんとやっていこうということで、農村にも補助金出して、基礎牝馬とかそういうのを全部置かしたんです。最近また輓馬が有名になってきて、ちょっとまた盛り返してきているんですがね。ところが、調べてみると、フランスの方がもうなくなってきているんです、この馬がですね。こっちが輸入するものもない。それじゃ、ひとつ逆輸出できないだろうかということで調査したんです。そうしたら、馬は、フランスは売るのは売るけれども買わないと言うんですよ。制限品目なんです。 こういうふうに、向こうは自分のところの市場は閉鎖しておいて、わが方の市場開放せい、市場開放せいと、いまもブランデーなんか言ってきていますわね。こんなばかなことありますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう部分的な問題を取り上げると、大変対米問題でも実はございます。いろいろあります、いろいろありますが、向こうはまあ要するに、国内の状況が日本から比べるとはるかに、悲惨な状況になっている。結局は、それは君たちの腕が悪いと言っちゃなんだが、国民が勤勉でなくて、商売が下手で、生産性が上がらないのだから、あんた方自業自得じゃないかと言えば言えないこともないんですよ、それは。現にガットの事務局長か何かが、日本を非難するだけが能じゃないと、日本に負けないほどのやはり生産性を上げた技術革新をやったらいいじゃないかと言った人さえもあるわけですから、われわれからすればいま言ったようなことを言えないわけはない。 しかし、それは売り言葉に買い言葉になっちまいましてね、簡単に言うと。現実にもう理性を失った結局今度は国民と国民とのけんかにしてしまったんでは大変であるというようなこともございまして。われわれとしてしては当然いま丸谷さんが言ったようなことは言っているんです、外務省もそれから担当省庁もわれわれも。言うことはもちろん言います、言いますけれども、どこで妥結をするかというところが問題でございますので、その一環として、こちらも譲るべきものは譲っているんだから、あなた方もそんなむちゃくちゃなことばかり言うなよという材料の一つですね。そういう意味でこれを出しました。これは、江崎ミッションその他が歩きましても、関税を日本がやってくれたということについては、評価をしてくれているという報告を受けております。
○丸谷金保君 その江崎ミッションのことなんですがね、何かイギリスでビスケットの話出だそうですが、ちょっとどなたかそのことで御存じの力あったら、どんな話になったのか。
○説明員(五十嵐正男君) 江崎ミッションが訪英したとき、ハウ蔵相よりビスケットの値下げについて要請があったというふうに聞いております。
○丸谷金保君 この前倒しの中にもビスケットありますよね。
○政府委員(垣水孝一君) ビスケットにつきましては、御承知のように三十数%という非常に高い関税率が張ってあるわけでございまして、最終の状況で三〇%程度になるということでございます。 先般の稲山ミッションの際に、これをせめて半分とか二〇%台にしろという強い要請があったけれども、国内事情でなかなかできないということがございまして、そこでこの一律前倒しで、きわめて、一・何%にすぎませんけれどもやったではないかと、こういうことでいま弁明をして、まあ、なるほどやってはくれたと、しかし、まだ高いねというのが彼らの言い分だと存じます。
○丸谷金保君 実は、ビスケットのことで、鈴木総理が農林大臣のときに砂糖の価格安定法案、このとき私は申し上げたことあるんですよ。との法律ではしり抜けになって、菓子でもって入ってくる場合に、糖価安定法に響いてきますよと。それがこういう形になってあらわれてきたんで、やっぱりあのときの心配が出てきたなと。で、これ加糖とわざわざ御丁寧につけ加えているんですがね。砂糖あるいはビスケットですから、牛乳も使いますよね。と、こういう形で日本の農業を圧迫するんです。これどうですか。農林省来ておりますね。——一体これで入ってくるやつには砂糖消費税のようなものほかからないんでしょう。
○説明員(岩崎充利君) 砂糖消費税は、先生御存じのように砂糖というものに、蔗糖というものに着目いたしまして課税するということでございまして、通常砂糖として取引されるものを課税対象とするということでございますので、ただいま先生おっしゃいましたようなものにつきましてはかかっておりません。
○丸谷金保君 それでまあ東京ラウンド——今度ガットの場でいろいろ話し合いをするというふうな新聞報道が伝えられておりますけれども、たとえば、こういう加工したもので入ってくると目につかないんですが、牛乳とか砂糖とか、非常に国内保護を、農業の保護をEC諸国やっております。牛乳なんかの場合でも、明らかに日本なんかよりもEC諸国の方がいろんな形でのを合わせると助成金額が多いんです。 こういうふうなものを入れて入ってきた場合に、これはガット協定からいうと拒否できる品目になりませんか。
○委員長(河本嘉久蔵君) 名のって答えてください。——
○丸谷金保君 じゃ、こういうものの交渉をガットの場でするということにはなりませんか。
○政府委員(垣水孝一君) ガットの場では、実は農産物が残された非常な重要問題ということで、実は東京ラウンド自体では農産物については各国ともやや不十分であったという感じでまとまっているわけでございます。したがって、今度の十一月に行われますガットの閣僚会議におきましては、まあラウンドというようなことは全然事務総長その他各国とも考えていないわけでございますが、残された問題のセーフガードとか、その他のものの一環として農産物は議論をしてみようと。その場合に、当然、いま先生おっしゃったような点も議論の対象を免れないと思います。
○丸谷金保君 それで、ウイスキーが、これは東京ラウンドのあれよりはさらに大サービスをするんですよね、イギリスに。ところが、私これ、どうも、何で日本だけこういうことでいろいろ気がねしなきゃならぬのか。たとえばJ&Bというウイスキーが入っていますわね。大体日本では三千円くらいなんですよ。フランスで日本と同じでやっぱり四十五フランくらいなんですよ。そうすると二千円ちょっとくらいですわね。余り違わないなと思ってドーバーの船に乗った。そうしたらあそこではものすごく安いんですよ。一ポンドしなかったな、たしか千円しないなどいう私の感じなんですよ。そうすると、これはもうフランスとイギリスの間でも酒についてはECの中でもきちっとした関税障壁があるんですよね。なぜ日本だけが開放せい開放せいと言われてはいはい言わなきゃならぬのか。全くどうも不可思議なんです。
○政府委員(垣水孝一君) 酒については非常に各国とも政治的な関心を持っておりますが、特に関税につきましてわが国の関税が相対的に高いということで、ウイスキーについて申し上げますと、イギリスの言い分はバーボンが二四・五%という税率、これはたまたま従価税ということになっておりますが、これに対してほかスコッチウイスキーは従量税でございますが、換算いたしますと四、五〇%になる。これはいかにも高いじゃないかというのが先方の言い分でございまして、やはり国際的に見ましてちょっと日本の方が一般的にスコッチウイスキーに対しては高いということは言えるかと思います。
○丸谷金保君 それでガットの場であれする場合には、二国間協定ということになりませんわね。
○政府委員(垣水孝一君) ガットの場ではございません。
○丸谷金保君 ないですわね。 いまフランスからブランデーの門戸をもっと開放せいという要求がございますね。
○政府委員(垣水孝一君) ございます。
○丸谷金保君 これはアメリカの牛肉と同じで非常に手前勝手なところあるんですよ。フランス自体はIQ品目なんですね。輸入制限しているんですよ。アメリカで牛肉の輸入制限をしながら日本には買え買えと言っているのと同じことで、これはもっと厳しいです、アメリカの牛肉よりももっと厳しい。こういうことがガットの場で通るんでしょうか。自分の国は制限しておいてほかはあけろと、そんなことではならぬでしょう、どうですか。
○政府委員(垣水孝一君) 先生おっしゃいましたように、フランスではブランデーについてはアジア地区、中近東地区及び中南米地区だったと思いますが、そこからのブランデーの輸入については制限をいたしております。ただ、私どもはフランスといま議論をしておりますのは、フランスはウィスキーを下げたのになぜブランデーを下げてくれないのかと言っておりますので、その点についてはブランデーはすでに日本の市場のシェアが特に高級品については四五%を超えている、あるいは税率自体も先ほど申し上げましたようにバーボンに近い、従価で換算いたしますと二四・九ぐらいになっているというようなことで反論いたしておりますが、やはり向こうが差別をしているじゃないかということを私どもも問題にはしております。 ただ、先ほど大臣から申し上げましたように、それを言い合いをして、前向きになればいいわけでございますけれども、ただけんかするだけではなりませんので、その辺は十分お互いに話し合って解決をしたいということで、先般の日仏貿易委員会におきましても主として技術論を中心に、しかし、あなたのところはおかしいということもはっきり申しております。
○丸谷金保君 私は安くていいものが入るんであれば、これはまたそれなりの国民に対するプラスの面もあるから、そう問題にばかりするわけじゃないんです。ただ、たとえばこのスコッチウイスキー原酒、リッター四百十三円だったのを今度三百七十円に下げますね。これは従量税一本ですね。
○政府委員(垣水孝一君) そのとおりでございます。
○丸谷金保君 この場合の原酒というのは、イギリスは法律でもって、たとえば原酒という場合に、たるの中で二年以上熟成しなければならぬというふうなあれがあるようですが、この場合の原酒というのはどういうものなんですか、ここで言う原酒というのは。
○政府委員(垣水孝一君) 私どもの理解しているところでは、この原酒を入れて、わが国の国産の原酒に混合いたしますので、大体先方がウイスキーをつくるとほぼ同じものが入ると承知しております。
○丸谷金保君 本当ですか。本当にそう思ってる……、ちょっとこれは国税の方で補足してくれないと。
○政府委員(篠原忠良君) 関税での原酒としての取り扱いの定義につきましては、国内でモルト原酒の扱いとしましてアルコール度数六〇%以上のものということで、関税の取り扱いも同様にされているということでございます。ただいまの局長のお話のとおり、使用者側の、引き取り側のモルトとしての輸入の、輸入者の方では国内法で言う原酒の規格に合ったものを入れておるところでございます。
○丸谷金保君 それで結局日本で言う、ここに言う原酒という場合には、日本の国内法の規格に合ったものを言うんでしょう、アルコール類をね。これは真っ白でもいいんですよね、湯気立てていても。そうでしょう。そういうことですね。
○政府委員(篠原忠良君) 色彩の色合いをお尋ねのようでございますが、白色の状態のものが多かろうと思います。湯気が出ていてもよろしいかということについては、ちょっとつまびらかじゃございません。
○丸谷金保君 日本の国内法では湯気が出ていても原酒と言えますよね。六十度以上のものという——最初出てきたとき湯気立っているんですから。それも原酒だと、こう言う。 関税局長、だから結局、こちらに入ってくるものはイギリスで言うウイスキー原酒じゃないものが入ってくるわけ。何でそれにウイスキー原酒の関税かけなければならぬのか。そんないいものは入ってきていないんだから、全然。安いんだから従価税というんならわかるけれども、従量税一本にしちゃってね、いいものも悪いものも。ところが実際に入ってきているのはほとんど、たるに入れて熟成したやつでなくて、蒸留して、それをタンクで入れてくるから、全然こっちへ来るまで色もつかない、これはいつからウイスキーというのか、ウイスキーの原酒というのは陸へ上がった瞬間なのか、関税をかける瞬間なのか、どこなんですか。
○政府委員(垣水孝一君) 関税——税関といたしましては、申告のときの状態で判断をすることにいたしておりますが、中身については酒税法の専門家にお願いをいたしたいと思います。
○丸谷金保君 それで、実は中身、酒税法の専門家と言っても、これは入ってくる酒類でも、あるいは食品類でも全部税関で検査するんでしょう、異物が入ってないか、どういう成分か。
○政府委員(垣水孝一君) そのとおり検査いたします。
○丸谷金保君 そうすると、主税局の段階になる前に関税の方でやっぱりこれはどうだということが出てくるわけですよ。そうすると、おたくの方はそれ全く知らないで検査できないでしょう。
○政府委員(垣水孝一君) 関税定率法上のウイスキーは、単にウイスキーとしましてアルコール分が五十度以上のものと、その他のものに分けているだけでございまして、ウイスキーをつくる過程のものについては含まれているという解釈でございます。
○丸谷金保君 それで今度あれですわね、瓶詰の場合は五十度でないんですから、五十度といまここで言われているのは原酒のことだと思うんですよ。それはアルコールの度数が五十度あればアルコールでもウイスキーとして入るんですか、そうしたら。あなたの方が検査するんですよ。間接税の方の酒税の方でもって検査するんでないんですから。
○政府委員(垣水孝一君) ウイスキーの製造については、私自身は詳しいこと存じませんが、麦芽等からつくってウイスキーにする、その過程のものについてウイスキーという、そういう過程でアルコール度が五十度以上のものとその他のものに分けていると、こういう意味でございます。
○丸谷金保君 そうすると、要するに麦、麦芽から熟成、蒸留したもので五十度以上の度数のものであればウイスキーとして検査をすると、こういうことですね。
○政府委員(垣水孝一君) そのとおりでございます。
○丸谷金保君 それで、今度はブランデーもそうなんですが、私、非常にこれ不思議に思っているのは、日本の税関というのは非常に厳し過ぎるということ、いまもいろいろ言われているんです、外国では。それは僕は、特に食品関係、酒類なんていうのはこれくらい厳しくていいと思いますよ。だけれども、よくわかってないで検査されたら困るんだ。たとえばブランデー、これは大体やっぱり、これもフランスでは二年以上たるに入れている、スリースターなんというのが入ってきていますね、これは大体三年物ぐらい。これ、どんな色していると思います。
○政府委員(垣水孝一君) 私は存じません。
○丸谷金保君 だから、検査する方の人、いるでしょう。
○政府委員(篠原忠良君) おおむねこはく色の色彩を帯びております。
○丸谷金保君 それで困っちゃうんだね。三年くらいでこはく色になりますか。ちょっと黄色味がかったくらい。それでどういうことになるかというと——そんな程度のものなんですよ、瓶に入ってくるウイスキーでもブランデーでも。今度は逆に言いますとね、税関で検査しますね、ここの中にどんなもの入っていると思いますか。わかってないでしょう。わかってないんですよ。どうなんですか。分析してちゃんと出していますか、ブランデーやウイスキーの。
○政府委員(垣水孝一君) ウイスキー等こういう飲料につきましては、原則として、当初入れるときには食品衛生法上の検査の証明を厚生省からいただいて、それをもとにして検査省略ができるものかどうかというようなことを判断しながら指定いたしておりますが、私どもは存じませんが、現場の専門家はそれぞれ判断をする能力と勉強をしているはずでございます。
○丸谷金保君 それで、厚生省お伺いしますがね、いまそういう話なんです。責任は今度厚生省に移りましたね。たとえばいま入ってきているスリースター程度のブランデー、どういうものが中に入っているか、お宅の方では分析して報告していますか。
○説明員(瓜谷龍一君) お答えいたします。 ブランデーにつきましては、食品衛生法上の違法がない限り、酒精飲料として申告されますと、異物その他がない限り検査を要しないものとして通しておるのが現状でございます。
○丸谷金保君 厚生省は毒物が入っていなければオーケーなんですよ。それから、酒税の方では、湯気立っていてもいいんです。中に何が入ってこようと関係ないわけだ。そういうべらぼうに、たとえば、船の中で飲めばべらぼうに安いものを、向こう側は日本はいい市場だから結構高い値段で売ってくるんだよ。こんなものは思い切ってかけたっていいじゃないですかと。外務省、少し外交交渉でもそこら辺がっちり言ってくださいよ。どうですか。
○説明員(佐藤嘉恭君) お答え申し上げます。 私どもといたしましては、日本の立場を考えながら外交交渉することは当然でございますけれども、他方、日本の市場の開放ということにつきまして諸外国からいろんな形で要求があるわけでございます。先生ただいま御指摘のありましたブランデーにつきましても、まさにフランス当局からの要望があるわけでございます。私どもといたしましては、大蔵当局とも御相談をしながら、フランスとの関係全般の中でこのブランデーの問題をどう取り扱うことが一番適切かということを判断しながら対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、フランス側の要望が非常に強い要望であるということも、フランスとの関係を考えますときに考慮されなければならない点かと理解しておるわけでございます。
○丸谷金保君 ちょっと早くやらないと時間なくなってきてしまう、途中になってね。 それで、酒税のこと聞きますけれども、日本の国内でつくるブランデーに対してはカラ外ルなどを添加することはどうなっていますか。
○政府委員(篠原忠良君) 申し上げます。酒税法によりまして、主税局からの答弁が適当かと思いますが私申し上げますと、ブランデー原酒にアルコール、スピリッツ、しょうちゅう、香味料、色素、水を加えた酒類で、香味、色沢その他その性状がブランデー原酒に類するものということになっております。
○丸谷金保君 簡単に言うと糖類を入れたらいかぬということですね。
○政府委員(篠原忠良君) はい。
○丸谷金保君 それで大臣、日本の国内ではそういうものつくっちゃいけないという酒が入ってきているんですよ。これはおかしいと思いませんか。そして税関では検査しない。それから厚生省もいま聞いたように、これら害がなければいいと言う。だからいろんなことにできるわけです。ウイスキーもそうなんです。だから関税下げるということ、門戸開放せいということは、日本市場はそういう点では本当に安物を上手に売り込むいい市場なんですよ。 だから私は、この間も予算委員会で言ったように、もう少し、少なくても小売屋さん段階くらいまで酒の知識持たせてくれなきゃ困る。まかり通っているんです。これもう一遍ひとつ返事してくださいよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 小売屋の、小売とか卸ですね、酒の商品知識がない。これは最近は酒ばかりでなくて、もうデパートでも何でもみんなないんだけれども、特に酒のような免許制度のもとで知識がない者はだめということでもう少し勉強させたいと思っております。 それから、いまその話はよく聞かしてもらいましたが、どうしてそういうようなことになっているのか、私も実はまるきり素人でございますからよくわかりませんが、一遍研究をさしていただきます。
○丸谷金保君 そういうことで、僕はどうしても今回のウイスキーの税率引き下げるというのは、はいはいと向こうの言うことは聞いてちっとも主張してないし、第一、覚えていないものだから主張もできないというふうなことで、全くけしからぬと思っているので、本法案に反対の立場から質問をいたしました。ひとつ十分そういう点を留意しながら、もみ手外交もいいけれども、言うべきことをもう少しちゃんと言ってもらわないと困るということに対する大臣の所見を伺って、終わります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ごもっともなことでございますから、言うべきことは言わしていただきます。
○多田省吾君 まず大臣にお尋ねいたしますが、本日の経済対策閣僚会議で対外貿易摩擦の緩和策を検討したと報道されておりますけれども、どのような内容でありましたか。
○政府委員(垣水孝一君) 本日の経済対策閣僚会議におきましては、冒頭でOTO、いわゆる苦情処理の状況説明が企画庁からございまして、その後、いわゆる江崎ミッションの模様につきまして江崎代議士及び倉成代議士からの御説明並びに外務大臣の訪米の御説明がございました。
○多田省吾君 そこで報道によりますと、第二弾の市場開放策の検討をするとありますけれども、具体的に考えられるのはどのようなことなのか、関税の引き下げや撤廃も含めて今後検討されるのか、その辺はどうですか。
○政府委員(垣水孝一君) 最後の締めくくりの段階で、総理がこの関税の一律前倒し及び九十九品目についての検討並びにOTOについてはかなり高く評価はされているけれども、なお不平が残っているようだから、今後第二弾についても各省検討をしなければならないのではないかという御発言があったかと思います。 したがって、私どもとしては、これからさらに進むべき道があるかどうかを懸命に勉強したいという現状でございます。
○多田省吾君 関税暫定措置法の一部を改正する法律案について、また関連する諸問題について若干質問いたしますが、まず今回の改正案によりますと、アルミニウム製錬業者が輸入するアルミニウムの塊に対し関税の免税制度を新設するとありますけれども、なぜこうした措置が必要なのか、御説明願います。
○政府委員(垣水孝一君) アルミニウムにつきましては、御承知のように累次の石油の値上げに伴いまして、きわめてアルミニウム、御承知のように電力の缶詰と言われるくらい電力を食うわけでございますが、電力料金がたとえばカナダ等におきましては二、三円に対しましてわが国が十数円になるというようなことで、きわめてエネルギー問題から苦境に陥っているわけでございます。 その結果、一方におきましてアメリカの経済不況等もございましてかなり安いアルミの地金が入ってくるというようなことで、去年の秋に通産省におきまして産業構造審議会等で検討した結果、やはり設備廃棄をある程度して、ほぼ国内の需要の三分の一程度を残すことということで、従来百十万トン体制と言っておりましたのを七十万トン体制にするということでございますので、その設備を廃棄する四十万トン分につきまして関税を減免することによって廃棄を促進し、国産のアルミを幾らかでも安くするということによってアルミ業界の不況を手助けし、失業問題等の緩和を図る、こういう目的でございます。
○多田省吾君 国産能力を七十万トンまで縮小する方向ということでございますが、いつごろを目標に七十万トンまで縮小するのか。また、この目標に向かって現在の進捗状況はどうなってますか。
○政府委員(垣水孝一君) 三年以内ということでございまして、初年度がほぼ三十数万トンということになっております。
○多田省吾君 この七十万トン体制が実現しますと一応不況から脱出できるというお考えなのか、それともこれは経過措置の中の一つの通過点であって、再度縮小しなければならないだろうという見通しなのか、どうですか。
○説明員(高木俊毅君) お答えいたします。 先生、ただいまの御質問の点でございますが、私どもといたしましては、諸般の諸対策を講じまして現在の七十万トン体制を、ただいま関税局長の方から御説明がございましたように、三年以内に設備を処理いたしますが、その結果、私どもとしましては、七十万トン体制を維持できるものと確信しているような状況でございます。 このためには、私どもといたしましては、まず、先ほどの設備処理を進めるとともに、現在一番問題になっております電力源の石炭転換というのを考えておりまして、石炭転換が進みますのもこの期間中でございます。 以上、お答えいたします。
○多田省吾君 次に、日米間の貿易摩擦が大きな問題になっているわけです。 最初に、日米間の貿易収支について伺いますが、アメリカでは、対目赤字は百八十億ドルと言っておりますが、日本側では百三十四億ドルと言っております。この四十六億ドルという大きな誤差は一体何なのか、実態について御説明いただきたい。
○政府委員(垣水孝一君) 御指摘のように、日本の通関統計によりますと百三十三億ドルのわが国の出超、アメリカの商務省統計によりますと百八十一億ドルの入超でございますが、わが国の通関統計では輸出……。 その前に、基本的にどういう差があるかと申しますと、両方の統計とも、輸入がCIFでございます。要するに、船賃と保険料込みになっております。この差が一番大きいということでございまして、わが国の輸出はFOBで三百八十六億。ドル、輸入はCIFで二百五十三億ドルに対しまして、アメリカの商務省の統計はFAS、FASと申しますのはFOBとほぼ同じでございますが、積み荷の荷役の分だけが違いますので、ほとんどネダってもいい数字でございますが、これが二百十八億ドル、輸入が三百九十九億ドルということで、主として船賃と保険料が両方に響くわけでございまして、この点が私どもも厳密に計算をいたしてみますと、ほぼ数億ドルの差にしかならない。この数億ドルの差というのは太平洋上に船が浮かんでいるというような面の誤差と考えていいかと思いまして、大体説明がつくように思っております。主として船賃と保険料の差でございます。
○多田省吾君 この日米間の貿易摩擦につきましては、アメリカ側では日本の風習から選挙制度における定数不均衡問題まで云々しておりますけれども、こういった文化論の問題まで立ち入ってくるとかなり深刻になってまいります。 江崎訪米団がおみやげとして持っていったのが今回の法改正ではないかと思いますが、アメリカではどのような評価を受けたと考えているのか。先ほど関税局長は、総理はきょうかなり高く評価していると発言があったということですが、ある新聞ではある程度の評価を受けたかと、こう報じており、その辺のニュアンスの遅いもありますし、まあ報道に関する限りでは アメリカにおいてもヨーロッパにおいてもせっかくのことが余り評価されなかったように思うんです。大臣はどのように考えておられますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは評価を受けたということは心理的なものでありますから升目とかキログラムではかるわけにもいきませんし、受けた人の感じでございます。したがって、高くこちらは評価を受けたと、人によってはある程度高く評価を受けたと、ある程度受けたということでございましょうが、まあある程度真ん中をとれば高く評価を受けたものと私も考えます。
○多田省吾君 自民党の二階堂幹事長や田中政調会長等が提唱している新東京ラウンド構想ですか、貿易摩擦を二国間にとどめないでガットの場で協議するというものですが、櫻内外務大臣は積極的に推進すべきだという発言をしております。総理は積極的推進はしないという考えのようでございますが、大蔵大臣としてはどう考えておられますか。
○政府委員(垣水孝一君) 新東京ラウンドということにつきましては、実は昨年秋ガットのダンケル事務局長が参りましたときにも大蔵大臣に申しましたけれども、まあ新しいラウンドということではなくて、東京ラウンドで積み残したセーフガードとか先ほども申し上げました農産物の残った部分あるいはサービス貿易というようなことで、ラウンドということについて特にメンションはいたしておりません。 したがって、私どもといたしましてはこれをラウンドと名づけるかどうかは別といたしまして、十一月にガットの閣僚会議が開かれることはすでに確定いたしておりますので、そこで議題を詰めてやはり中身の充実したものに持っていくと、その場合にラウンドと言えるようなものができるかどうかということではないかと事務的には考えております。
○多田省吾君 次に、外国たばこの問題でお伺いしますが、大蔵省はアメリカからたばこの輸入拡大を要求せられていることに対しまして対応策を考えていると、このように聞いておりますけれども、その点御説明ください。
○政府委員(高倉建君) お答え申し上げます。 日米間のたばこ問題につきましては、御承知のとおり五十三年以来二年半にわたる長い交渉が続けられたわけでございまして、その結果、一昨年の十一月にすべての協議事項について合意が成り立ったわけでございます。この合意内容は、関税率の引き下げその他各般にわたっているわけでございますが、その合意内容につきましては昨年の四月以降すべて実施に移してきてまいりました。それと同時に、たばこの輸入につきましてはアメリカの一部に誤解もあるようでございますけれども、市場における消費者の需要に応じて供給するということで、輸入割り当てあるいは輸入制限というような措置は一切とっていないわけでございます。 こういうこともありまして、最近におきます輸入たばこの売り上げを見ますと大変顕著に伸びております。大体国産品が一%弱程度でございますけれども、輸入品全体といたしましては約二一%の伸び、特にアメリカたばこにつきましては二二%というような伸びになっているわけでございます。これに対しましてアメリカ側は、そういう事態は一応評価はしていると思いますが、何分にもわが国における外国たばこのシェアがまだ一・四%程度であるということに大変強い不満を持っているわけでございます。しかし、たばこという商品は改めて申し上げるまでもなく、大変嗜好性あるいは習慣性の強い商品でございますので、一時に銘柄変更が起こるということはこれはもともと無理なわけでございまして、そういう事情については、さきの日米貿易小委員会の席上等におきましてもアメリカ側に理解を求めているわけでございます。 ただ、アメリカ側といたしましては、たとえば輸入品の取扱店舗の数が二万店にすぎないということに対する不満、あるいは広告宣伝費についての基準が厳し過ぎるというような不満がございます。こういう点につきましては、専売公社におきましてもそれぞれ前向きに検討する姿勢であるわけでございますので、日米貿易小委員会の席上も、そういう点については業者間でひとつゆっくりと話し合ってほしい、店舗の問題につきましても、広告宣伝の取り扱いにつきましても、これはそれぞれ業者の技術的な問題が絡むわけでございますので、そういう提案をしているわけでございます。
○多田省吾君 いまお答えがございましたが、外国たばこ販売店につきまして、アメリカ側の要求を入れて昨年四月から取扱店数を徐々に拡大していると聞いておりますけれども、現在の実情はどうなっているのか。また、今後の伸びについてどのように考えておりますか。
○政府委員(高倉建君) 先ほど申し上げました一昨年十一月の日米合意の中身といたしまして、従来一万四千二百店でございました輸入たばこ取扱店舗を二万店まで拡大するということで、昨年の四月から十月までかかりまして二万店まで拡大をいたしてきております。 今後の見通しということになりますと、先ほど申し上げましたとおり、何も専売公社といたしましても二万店に限定をするということを言っているわけじゃございませんで、さらに輸入品取扱店舗の拡大ということについては前向きに検討する姿勢ておりますが、ただ、店舗が増加してまいりますと、当然のことといたしまして配送経費がかさんでまいります。あるいは返品の取り扱い等もだんだん問題になってきておりまして、そういう点については、これは業者間で話をしながら店舗をどう取り扱うかという対応をしていかなきゃならぬということで、先ほど申し上げましたとおり、貿易小委員会の席上におきましても、アメリカ側にそういう趣旨の申し入れを行っているわけでございます。
○多田省吾君 自民党の江崎議員等は、外国たばこが売れ残って返品する際の危険負担をアメリカ側に引き受けさせるかどうかが問題だと、このように言っているそうですが、この点大蔵省はどう考えておりますか。
○政府委員(高倉建君) 外国たばこの返品の割合と国産品の返品の割合と比べますと、外国たばこの方が約五倍というような数字になっているわけでございます。しかも、外国たばこにつきましてもその返品負担は専売公社が負うことになっております。だんだん輸入品の扱い量がふえてまいりますと、この返品負担をどうするかということはかなり重要な問題になるわけでございまして、先ほども申し上げましたとおり、今後の店舗を拡大する上でこの点は一つの重要な協議の事項であるわけでございまして、業者間でよく話し合ってほしいということを申し上げているわけでございます。
○多田省吾君 専売公社ではたしか、アメリカ側の要求の真意というものは、専売公社による一括輸入方式を改めてアメリカたばこの日本における販売を自由化してほしいというところにあるのだから、外国たばこ取扱店をふやしてもアメリカ側は満足しないだろうと、このように専売公社は考えておられるようでありますが、大蔵省としてはこの専売公社の認識についてはどのような見解でございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ専売公社は大蔵省と親子みたいなものですから、大体同じような考えでございます。
○多田省吾君 次に、欧米諸国から強い批判のある非関税障壁でございますが、これは大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、どのように考えておられるのか、将来展望を含めて御見解を伺いたいわけでございます。 入管手続とか検査基準とか行政指導、流通機構、このようなものが一緒くたになって、いわゆる日本株式会社が輸入をしにくくしているのではないかというような批判もあるわけです。しかし、国内秩序を守るためには種々の基準も必要なことはこれは当然でございます。しかし、これも繁雑過ぎるとやはり口実になりますので、その辺をどう考えているのかお伺いします。
○政府委員(大竹宏繁君) 実は経済企画庁といたしましては、この対外経済摩擦の問題につきまして経済対策閣僚会議でいろいろ御検討いただいて御決定を見たわけでございますが、その一つの大きな柱がいまお話の非関税障壁の軽減という問題でございます。 欧米諸国の非常に強い主張は、この輸入検査手続等の非関税障壁をできるだけ緩和しろ、こういうことでございますし、日本といたしましては市場を開放するという大きな方針のあらわれとして努力をするという方針のもとに現在努力を進めておるわけでございます。御承知のように、そのための苦情処理対策本部というものも設けましてやっておるわけでございますが、仰せのように一つにはやはり安全という問題も確かにございますし、消費者保護という立場もあるわけでございますけれども、そこら辺、どの辺で兼ね合いを見出すべきかということを考えながらやっておるわけでございまして、できるものはやりますが、やはり国際基準等から見て無理な場合にはお断わりをするということも当然あり得るわけでございますが、現在のところこの制度そのものの評価及びその後の運営についてはそれなりの評価を受けているというふうに私ども考えております。
○多田省吾君 事務当局からはそのような答弁があったわけですが、非関税障壁の改善は私なりにもかなりの前進があるとは思っておりますけれども、諸外国の評価は今回の措置が非常に不十分である、冷たい評価が多いように思います。大蔵大臣としては今後どういう決意で臨まれるのか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまお話があったように、できるものは極力前向きでその解消に努めてまいりたいと。それによって完全に氷解できるかどうかということは、経済問題の絡んでいる話でございますから、われわれは誠意を持ってやるだけのことはやりますが、結果は理解をしてもらえるものと期待をいたしております。
○多田省吾君 対欧米経済摩擦を包括的に分析いたしますと三つぐらいあるんじゃないか。 貿易摩擦の症状といたしまして、第一には、欧米諸国の対日貿易収支の大幅赤字が長く続いていること。第二には日本の輸出が鉄鋼、自動車、家電、電子機器など幾つかの特定分野の産業に集中しているということ。それから第三には、この貿易摩擦が政治摩擦に発展していること。このように三つに大別されると言われておりますけれども、大臣の認識はいかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体同じような認識です。
○多田省吾君 そうしますと、こういう症状を引き起こしている原因について何点がまた考えられるわけです。 日本経済が高い生産性を維持して、強い発展を遂げているのに対して、欧米経済は総体的に力を失って、ここ数年スタグフレーションの迷路にはまり込んでいる、あるいは日本の産業構造の中心が先発先進国が得意だった技術先端産業分野に移ってきたというようなことが挙げられると思います。これに対する対応策といたしまして、政業協力という考え方が、五十六年秋に欧州を訪問した稲山経団連会長によって示されたわけでございます。 貿易摩擦を解消するために、このような産業構造の転換が必要であると考えておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは産業協力も必要ですし、ある場合には産業の、産業調整といいますか、そういうこともある程度必要だろうと思います。
○多田省吾君 また、石油ショック後、特にこの二、三年日本の経済成長が内需不振を輸出で補うという外需依存型で推移しているために、この対策としては、財政金融政策を軸といたしまして、当然わが国の経済成長のパターンを外需依存型から内需依存型に転換させる必要がある。これはもう従来から強く言われてきたところでございますが、その具体的な措置については、まあわれわれは一兆円減税とかいろいろ主張しているわけでございますが、なかなか政府の政策は具体的に進んでいない。大臣としてはこれをどのように今後長期的に考えてまいりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 当面の問題としては、午前中から何回も繰り返して申し上げているように、内需を振興させるために、それは公共事業の前倒し執行とか、住宅政策とか、金融の活用とか、いろんなことをやらせていただきたい。その後の問題は、そういうようなことをやってみて、経済は生き物ですから、やっぱり生き物には生き物のような対応の仕方もそれは考える必要があるだろうということを言ってきたわけです。 長期的には、何といっても、それはもうヨーロッパ等も自分で国際競争力が持てるように自助努力もやっていただかなければならぬことですし、その間われわれとしては集中豪雨的な輸出というようなものは控えるとか、いろいろなことをやらせていただく。その一環として、この前倒しの話とか、非関税障壁の除去とか、継続的にやっていかなければなりません。一挙にこれは解決つく問題でなくて、やっぱり時間がある程度かかる。時が解決することもあるかもしれません。ただ、われわれは誠意をもっておこたえをしていくという気持ちで臨んでおるわけであります。
○多田省吾君 じゃ私は、最後に大臣にお尋ねして終わりますが、このような欧米の貿易摩擦問題には多分に感情論的な要素があると、このように思っております。それにしましても、やはり日本としては誤解を受けないためにも、労働時間の問題とか、あるいはいま大蔵大臣がおっしゃったような住宅の問題とか、改善していかなければならない数々の問題があると思います。そうしない限り、幾ら非関税障壁を改善するとか、あるいは関税を引き下げるとか、そういった対症療法をある程度やったとしても、すでに説得力を持たなくなっているのではないかと思います。 そういう意味で、先ほどの内需依存型の経済に転換する、こういうこともあわせまして、最後に大蔵大臣の御決意をお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 世界が不況でありますから、外需依存というものはそう望むべくしてもまた望めない、現にそういう傾向になっているわけです。 われわれといたしましては、やはり世界の経済はつながっておりますから、日本だけともかく非常に、何といいますかね、飛び離れた楽天地にすることは非常に困難でございますが、困難な中にも、われわれはできるだけいま言ったような内需中心の経済成長ができるように今後も努力をしていきたいと考えます。
○近藤忠孝君 この法案についての質問の順番が私の意思に反して回ってきてしまったんですが、この法案は、貿易摩擦が問題になっている今日、特に重要であります。かつ内容も多岐で、しかも大変豊富な問題点を持っておりまして、検討してみましたら問題点がこんなにたくさんあるんですね。わが党はこの法案に反対の立場から、十分時間をかけて慎重に審議をすべきだという主張をしたわけであります。しかし、予定でなかったきょう質問に入ってしまいましたし、わが党に与えられた質問時間はわずか十五分でありまして、非常に残念です。こういう点、やはり国会の機能、特に衆議院に対するチェック機能を果たすべき参議院としてはその機能をみずから否定することではないか、こう思います。ただ、質問の機会を放棄するわけにはいきませんので、若干質問をしたいと思います。 そこで、貿易摩擦についてのいろんなやりとりの中で、日本の市場開放の率が少ないのじゃないか、その関係で関税率が高い。UNCTADの事務局報告書によりますと、ECが二・九%、アメリカが四・三%であるのに対して日本は七%だと、こう言われておるわけですね。しかし、それは実際そうなのかどうか、いかがでしょうか。
○政府委員(垣水孝一君) 実は、UNCTADの事務局の報告書は、ただいまおっしゃったような数字を言っておりますが、これは私どもは、明らかに間違いであるということで、ジュネーブの日本政府代表部を通じまして厳重に訂正方を申し入れております。 その第一は、実はUNCTADの事務局は東京ラウンド前の一九七六年の古いデータを使用しているとか、あるいはECの、御承知のように農産物の課徴金を除いて計算しているというようなことで、いろいろ私どもとしては納得しがたい数字でございますので、この点は、この間の政府代表部を通して異議を申し立てると同時に、この間の会議でも強く発言をしたところでございます。 〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
○近藤忠孝君 実際の負担率はどれぐらいになっていますか。
○政府委員(垣水孝一君) 関税の負担率については、なかなか計算するのがむずかしいわけでございますが、一番適切と思われますのは、実際に輸入の総額に占める何といいますか関税収入の割合、これがいわば最終的な関税負担率ではないかと思っておりますが、それにつきましては、先ほどのUNCTADの一九七六年ではじきますと、日本が三・三、米国が三・六、ECが三・二でございますが、最近で最もアベーラブルな数字といたしましては、一九七九年日本が三・一、米国が三・九、ECが三・九でございます。八〇年につきましては、日本が二・五というところまで出ておりますが、米国、ECはまだ数字がございません。
○近藤忠孝君 ですから、関税率では最も低いわけですし、残存輸入制限品目も農産物を除くとわずかだと思います。農産物についてはこれはやっぱり食糧の自給向上が重要な政策課題でありますし、それが工業製品の犠牲となってはいかぬと、こう思います。だから、もうちょっとこれはがんばってほしいと、こう思いますが、これは意見にとどめておきます。 そこで、個々の問題に入りますが、関税の減免税還付制度について、それは大企業向けの特権的減免税になっているわけで、厳しく見直さなきゃいかぬと、こう思います。 それから、今回低硫黄燃料油製造用原油の減税制度については見直しがあったんですが、しかし、逆にアルミニウムについては今回新たに免税制度がつくられておって、やはり逆行しているのじゃないかと思うんですね。こういう点を見直していく気はありますか。
○政府委員(垣水孝一君) 関税におきます各種の減免税制度につきましては、先生方の御指摘もございまして、従来から毎年度改正において制度の設定の趣旨等を踏まえまして十分見直しを行って、国産可能となったもの等につきましては逐次除外する等の整理合理化に努力をいたしております。 今回は、ただいま先生からも御指摘いただきましたように、低硫黄燃料油製造用原油の減免額を三百円から百六十五円、キロリッター当たりでございますが、縮減したところでございますが、昨年度は、実はこの部分が四百二十円から三百円にいたしましたほか、航空機の一部あるいは原子力研究用物品の一部を対象から除外する等、徐々に縮減を図っております。 アルミニウムにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、非常に不況業種でございますと同時に、雇用等につきましても重大な影響を及ぼすということでいたしましたが、一応私どもは、この法律では一年ということになっておりますが、三年でと、先ほども通産省の方から三年で到達するということを言っておりましたが、三年程度でやめるという前提でこの制度をつくらしていただきたいと思う次第でございます。
○近藤忠孝君 もっともっと見直すべきだと思います。 そこで、これは先ほども指摘がありましたけれども、必要以上に税率を下げているんじゃないかと、こういう問題がありましたですね。問題は、下がった分が実際国内で小売価格にどうはね返ってくるのかと、こういう問題があると思います。それで、これはウイスキーの例でちょっと指摘をしてみたいと思いますが、現在ウイスキーの関税リッター当たり三百四十三円ですが、これがスタンダード物が二百九十九円、プレミアム物が三百三十二円それぞれ引き下げられることになったんですが、国税庁これどうですか、小売物価への影響はどうでしょうか。
○政府委員(篠原忠良君) お答え申し上げます。 ただいま御指摘の一本当たりの価格への計算でございますが、関税の引き下げそれ自体によりまますと、スタンダード物で一本当たり三十三円、プレミアム物で二十六円ほどに相なろうと計算されますが、酒類の販売価格は自由価格でございまして、その市販の小売価格はそれぞれの販売業者の自主的な判断で値決めして販売されております。 したがいまして、この関税並びに酒税を込みにしたところの最終小売価格をただいま申し上げたような価格の幅だけ下げるようにというようなことを申しましても、そのこと自身には大変限界があるものだと考えられます。
○近藤忠孝君 その点について再度お聞きするんですが、まずFOBの値下げ分と今回の関税引き下げ分、これを加えますとかなり下がるわけですね。それで、たとえばスタンダード物の場合、いま御指摘ありましたが、関税引き下げ分で三十三円、FOB下落分で十六円六十銭ですね、合計約五十円の引き下げがこれは私は可能だと思うんです。それから、プレミアム物の場合にはFOBの下落分が約三十円、関税引き下げ分が八円二十五銭、酒税の下落分約八十三円五十銭と、合計で約百二十一円可能なんですね。これは計算上こうなるんじゃないでしょうか。
○政府委員(篠原忠良君) ただいまの御質問の中のFOBの下落分という点でございますが、それはある時点と時点との間でのFOBサイドでは、ジッパー側では若干の値上げが随時行われておるという要素ももう一つありますし、その間の為替の変動という要素と、これが両々相まってFOBが下がってまいることもあろうということはおっしゃる点のとおりでございますが、いま瞬時と申しますか、ただいまの他の要件に変わりなく関税の引き下げによるところの小売価格への変動と申し上げれば、一本当たりスタンダードで先ほど申し上げたとおりでございますが三十三円、プレミアムで二十六円ほどに私どもはなろうと思っております。 先生の事例として申されましたFOBの減、プレミアムでは約三十円ほど、関税で八円等々とおっしゃられましたけれども、これはある時点と時点の期間の要素を入れたFOBの変動と為替の変動ということを加味したためだろうと思われますが、考え方としては、先ほど申し上げましたように、それが小売価格と末端では販売業者の自主的な値決めということで市販されている次第でございまして、行政指導で申すということは限界があると。それが現に市販されているただいまの現況で申しましても、スタンダード物、プレミアム物それぞれかなりの値の開きのある価格でそれぞれの酒販店で市販されていることなども、自主的な販売の現状の一つの裏づけになろうかと思います。
○近藤忠孝君 渡辺さんはお酒嫌いてない方と聞いていますからお聞きするんですが、輸入価格に比べて小売価格が大変高いと、ずいぶん差があるというんですが、どの程度差があるかは御存じですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ウイスキーの特に高級物ですね、これはやっぱり、私はどこに原因があるのか少し調べなくちゃいかぬと思ってるんですよ。幾らもうけるにしたって程度問題というのがありますから。三千円のものが八千円になってしまうとか、これじゃやっぱりイギリスあたりが来てみれば何やってんだと、売れないのは当然じゃないかと思うのはあたりまえ。いろいろからくりがあるのかどうか一遍調べたいと私は思っておるんです。もう少し消費者のためから言っても、三千円のが八千円になるということは、私も実際納得がいかない。 ですから、そういうふうにしなければ売れないんであるという言い方もありますよ、安くちゃ売れないから、高くすればばかが買ってくれるとか言ってね。だけれども、私は、しかしそれにしても物は程度問題じゃないかということで、中身については一遍真剣にこれは調べてみたいと思っております。
○近藤忠孝君 ですから、関税下げたって実際国民には全然影響がないようなことになりかねないんですね。 国税庁にお聞きするんですが、一体どうしてこんなことになるのか。いま高くなくちゃ売れないという話があったけれども、実際そうじゃないと思うんですがね。そのからくりを解明し、そしてやっぱり実際適切な値段に落ち着くようなこういう指導は私はしてしかるべきだろうと思うし、それはいまの大臣の意思でもあると、こう思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(篠原忠良君) お答え申し上げます。 現在、プレミアム物で、関税プラス酒税込みにして三千六百円程度のものが、流通のマージン等で小売りのところに最終的には八千円程度のものから、酒販店のいろいろ地域とか状況等に応じましてさまざまな価格で出ておるのが実態で、中には六千四、五百円見当の値の開きのあるものがそれぞれ出でございます。 それで、三千円程度のものが六千五、六百円からあるいは八千円まで、どうして二倍からそれ以上上がるのかと申しますと、エージェントの経費並びに流通の諸費用ということで、二倍ないし二倍半以上の価格になっているように私どもは見ております。
○近藤忠孝君 もう時間がないのでこれで終わりますが、やはり国税庁として流通ルートにメスを入れて、こんな、大臣もやっぱりこういうことはけしからぬと言っているんですから、大臣の意思すなわちこれは国民の意思でもあると思いますので、ひとつ輸入価格に見合った小売価格という、その辺を少し実現できるように指導すべきことを求めて質問を終わります。
○三治重信君 急なことで、賛成法案だから質問しなくてもいいようなものなんですけれども、一つ質問というよりか、こんなに関税を下げちゃって本当にいいのかと。 〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕 これで大蔵大臣も腹くぐって二年繰り上げたと、こうやったんだから、えらい日本経済も本当にますます隔世の感ができてきたなと思っている。 今度の関税改正の中身を見るというと、これもまけ、これもまけ、全部まけてやってまだこれでも相当黒字が出るのかなと思うんですけれども、ひとつ、これだけその千六百五十三品目について東京ラウンド合意の一律二年分繰り上げと、こんなこといままでどこかほかの国でやったことあるんですか、局長、それをひとつ。 こういうふうなことをやっても、なお重箱の隅つついたように次から次へ文句ばかり言われるというのは、やはり政府も、向こうの方として見れば、一つたたけば頭下げて多くくると、さらにたたいてやろうというふうな、まあこんなことを言うのは余りよくないことかもしれないけれども、ひとつその点を若干開き直ってもらいたい、この法案が通ったら。やってる、やったんだと、こういうふうなことでひとつやってもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(垣水孝一君) こういうラウンドの一律前倒しというようなことは、わが国では実はケネディ・ラウンドのときにもある品目について考えたことがございますし、東京ラウンドの際にも二年目につきましては品目を選んでやったことがございますが、このように一律、例外なしにやったということは、世界でもわが国でも初めてでございます。
○三治重信君 わが国では初めてだろうと思ったんですが、外国でもそういう気前のいいことをやったのは一つもないと、いままでの先進国でも一つもないということなんだから、まあこれで個別折衝分はそういうことでひとつがんばって、日本は本当に国際貿易を拡張ぜんがために貿易摩擦の基本的な、まあ東京ラウンドを一律二年も前倒しするというのはこれは大変な元気だと思うんですが、その点で自信を持ってひとつがんばってもらいたいと思います。 それから非関税障壁の撤廃、これはいままでの日本の、とかく国内においても知られないことを表面に出されたことなんで、まあそういう入管手続の、何といいますか手続の違いとか、取り扱いの要領の誤解というものもあると思うんですけれども、まあとにかくこういうようなことをやって、しかも非常に非関税障壁の撤廃にも大胆なことで、要求をほとんどまるのみにして直しますという約束をしたわけなんですが、さらに問題があれば市場開放問題、苦情処理推進本部まで、これはOTOというのですか、設けてやっている、こういうことなんですが、これの実績をひとつ。こうやったんだけれども、これは形だけでやったんで……、企画庁の方に御通知してあるんですが、どうぞひとつ。
○政府委員(大竹宏繁君) 現在OTOが扱った件数は、二月中十一件、三月中十三件、計二十四件と、こうなっております。 この二十四件のうち是正をしたものが五件でございます。残り十件が問い合わせあるいは相談のような形のものが多うございまして、これは御説明をするということで御納得をいただいた。現在検討中のものが四件ある。それから国際基準等から言っても日本の方が理由があってできないということでお断りしたのが五件、こういう実績になっております。
○三治重信君 何人ぐらいでそういうことをやっているのか。そういうのは各省の合議機関でやっているのか。それから、今後もそういうのが、アメリカばっかしからか、苦情処理がほかの国からもあるのか、その中身をちょっと。件数、この分布ですね。
○政府委員(大竹宏繁君) このOTOは企画庁だけではございませんで、各省で窓口を持っておられるわけであります。私どもは包括的窓口ということでやっておるわけでございますけれども、全体でどのくらい人数がおるかということは、言うならば相当な人数でこれをやっておるということで、政府全体として取り組んでおるということでございます。 それから、どういう国から来ておるかということでございますが、この二十四件のうちアメリカからの苦情というのが十四件でございます。西独が二件。ヨーロッパ東南アジア等が三件。その他、国を特定しないで問い合わせがあったものが五件でございます。
○三治重信君 こういうことをやっていると幾らでも時間がかかるんですが、きょうはえらい遅くなったから、またあした、あさって、予算関連で委託審査もあるものですから、まあこれで質問をやったことにして終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(河本嘉久蔵君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより本案の討論に入ります。 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 関税暫定措置法の一部を改正する法律案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後八時十九分散会 —————・—————