大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/03/26
会議録
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十五日、関口恵造君及び宮澤弘君が委員を辞任され、その補欠として大河原太一郎君及び鈴木省吾君が選任されました。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、両案審査のため、参考人として税制調査会会長小倉武一君、日本商工会議所税制委員会委員長前川精一君、横浜国立大学教授宇田川璋仁君、以上三名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、両案審査の参考にいたしたいと存じます。 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方からお一人十五分以内程度で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。 それでは、小倉参考人から順次お願い申し上げます。
○参考人(小倉武一君) ただいま委員長から御指名いただきました小倉でございます。 きょう、せっかく貴重な時間を私の参考意見を徴するためにお招きいただきましたのですが、御参考になるようなことを申し上げられるかどうかはなはだ心もとない次第であります。私といたしましては、お招きにあずかりました趣旨にかんがみまして、昨年十二月における税制調査会の「昭和五十七年度の税制改正に関する答申」を中心にいたしまして、その考え方をお話しをするということにいたしたいと思います。 まず、この「昭和五十七年度の税制改正に関する答申」の背景でございますが、それの基本的な考え方について申し上げたいと思います。 御承知のとおり、昨年七月の臨時行政調査会の第一次答申、これを受けまして、政府は五十七年度予算においては行財政改革による歳出抑制を中心にして財政再建を図ってまいると、こういう方針をとられたのであります。したがいまして、税制調査会といたしましても、五十七年度における税制改正を検討するに当たりましては、新しい税目の導入とか、あるいは税率を引き上げるというようなことはまず考慮の外に置くというような判断をいたしました。そういうような判断のもとで改正の具体的な項目を検討したわけであります。 ただ、租税特別措置なかんずく税制調査会で政策税制と、こう申しておるものにつきましては、かねてから税負担の公正というような観点から常に毎年ぐらいに見直しを行ってきたのでありますが、こういう時節柄でもございまするので、当然政策税制については見直しをする、それからまた、政策税制以外の措置につきましても、社会経済の変化に応じまして見直しをするということが必要である部分については見直しを進めていくというような方針をとったわけであります。 したがいまして、五十七年度におきましては、このような視点から税制の見直しの必要性、また一方において厳しい財政事情ということを考慮しまして、まず徹底した歳出の削減が行われるということ、また税外収入についても確保の努力がなされるというようなことを前提にいたしまして、税制上も所要の措置を講ずるのが適当であろうと、こういう考え方をとった次第であります。 次に、五十七年度の税制改正の具体的な内容でございますが、もうすでに御承知のとおりかと思いますけれども、まず第一は、租税特別措置の整理合理化であります。租税特別措置につきましては、特に五十一年度以降積極的に整理合理化を進めてまいっており、中期答申におきましても、「税負担の公正を確保する見地からの政策税制の整理合理化は、当面、おおむね一段落した」と、こういったように税制調査会で認識をしたようなふうに整理合理化を遂げてまいった次第であります。しかしながら、なお現下の厳しい財政事情のもとで、租税負担の公正を図ると、こういう趣旨で一段と強く整理合理化が要請されるということを考慮しまして、企業関係の租税特別措置につきましてさらに見直しを行うということにいたした次第であります。 次は、同じく特別措置の中にも入っておりますが、大分性格が違う交際費課税につきましての強化であります。この交際費課税については、異次課税の強化を行ってきた次第でありますが、なお巨額に交際費が上るというような実態もございまするので、こういう事実に対して社会的な批判も強くなっておるということを考慮しまして、交際費課税は原則として全額課税をするといったてまえで課税の強化を図るということにいたした次第であります。 次は、貸し倒れ引当金の法定繰入率の引き下げであります。引当金は、先ほど申しましたような政策的な特別措置、政策税制ではないという税制調査会の認識でございますけれども、その繰入率が適当であるかどうかということは、やはり負担の不均衡を生ずるようなことがないように実態に即して絶えず見直しを行っていく必要があろうというふうに考えた次第であります。したがいまして、金融、保険業につきましてはすでにそういう措置がとられておるのでありますので、それ以外の、金融、保険業以外の業種につきまして貸し倒れ引当金の繰入率のことにつきまして、平均の貸し倒れの実績などを考慮しまして繰入率を引き下げるということにしたら適当であろうと、こういう答申をいたした次第であります。 次は、法人税の延納制度の圧縮であります。法人税の延納制度は久しく行われてまいりましたけれども、こういう財政事情にかんがみますというと、所得税の延納制度とのバランスなどを勘案しますと、多少バランスを失しているというふうなこともございまするので、現在の法人税における延納制度の延納割合の圧縮を図るというようなことをするのが適当であろう、こう考えた次第であります。 最後に、ちょっと申し上げますと、所得税の減税でございます。これにつきましても税制調査会でいろいろ議論が行われたのでありますので御紹介をいたしたいと思います。 税制調査会におきましても、所得税の課税最低限が昭和五十三年以来据え置きになっている、その後物価の上昇があるというようなこともあり、また実質的に所得もふえるということがありまして、所得税負担が非常に上昇してきている。そこで、課税最低限の引き上げというのも必要ではないかという御意見があったのであります。また他方、昨今特にそういう強い意見が生じておるやにも承知しますが、個人消費を刺激するといいますか、個人消費を喚起して景気回復を促進をする必要があるのではないかという意見も税制調査会のときからございまして、そういう観点から、所得税の減税を図るべきであるという御意見もございました。こういう御意見も踏まえ申して、いろいろ議論を重ねました結果、五十七年度においてはどうも財政事情がいかにも苦しいというようなことで、見合わすほかはなかろうというような結論になったのであります。 それにつきましては、個人所得に対する所得税の負担率が国際的に見ますというと、むしろ低い方にある、非常に低い方にあるということであります。それから、この数年来の状況を見てみますというと、税引き後の所得の増加というのはむしろ、どう言いますか、低位の所得者の方が伸び率が高くて、むしろいわゆる高額所得者の方では減少する、こういうふうな状況になっておりまして、所得税といえば、まずどちらかと言いますれば低額所得者の所得税を軽減するということが当然のように思われるのですけれども、またそれも非常に理由のあるところかと思いますが、五十二年度と五十六年度と比較してみますというと、必ずしも高額所得者がその後有利なように税負担が展開しているということでもないようであります。 次は、個人消費を積極的に拡大して景気の回復等に寄与するという観点からの問題でありますが、これにつきましてはもうすでに御承知のことかと思いますけれども、どうもわが国の実情から言って、税負担を軽減して、それ仁よって消費をふやして景気の回復を図るというふうには必ずしもうまく動かないのではないかという疑いもございます。それから、そういうような趣旨を込めて所得税を軽減するということであれば、相当多額のあるいはむしろ巨額と言えるほどの軽減をしなければいよいよ効果が薄いだろうということも考えられるのであります。そこで、先ほども申しました、御案内のとおりの財政事情もありますので、五十七年度の所得税の軽減、減税ということは見合わせるのがしかるべきであろうというのが多くの意見であった次第であります。 ただ、これも篤と御承知のとおりでありますが、所得税の現行の課税最低限あるいは税率構造というのを長年据え置きにしておくということは、これまた適当でないということは申すまでもないわけです。したがいまして、今後歳入、歳出両面にわたりまして、政府におかれましても徹底した見直しを行う、そして財政再建のめどがつくというようなときに、課税最低限あるいは税率構造の見直しをするということが、きわめて望ましいのではないかというように考えておる次第であります。 なお、所得税というのは、制度のたてまえとしては非常に公正な税制ということになっておるわけでありまして、また、たてまえとしてはそれに違いないと思うのでありますけれども、執行の面を考えますというと、やはり所得税につきましても公正を確保するという観点が非常に重要なように思われます。したがいまして、税制調査会におきましては、所得税の徴収の執行の上で公正なあり方を担保するということで制度上欠けるところがあるのではないか、あるいは制度上整備すべき点があれば考えたらどうかということでその検討を行う。「納税環境の整備」という言葉でそういう趣旨のことをうたっているわけでありますけれども、納税環境の整備について検討を進めるということにしたいと、こういうように税制調査会としては考えておった次第であります。簡単でございますが、以上でもって御説明を終わります。
○委員長(河本嘉久蔵君) ありがとうございました。 次に、前川参考人にお願いいたします。
○参考人(前川精一君) ただいま御紹介を得ました私、前川でございます。 私ども日本商工会議所は、全国にわたり多数の中小企業者を擁しております。もちろん会員の中には大企業の方もいらっしゃいますが、数においては圧倒的に中小企業者が多い。したがいまして、昨今のように景気の沈滞が長引きますと、元来非常にその資本力において、また資本の調達力において力の少ない中小法人にとりましては、必要な資本を獲得するのが大変至難でございます。 まず、昨年の十一月十九日に五十七年度税制改正に関する要望として、日本商工会議所から提出されたもののアウトラインについて申し上げます。 目下、行財政改革ということが、国民的あるいは国家的最大の問題として取り上げられておりますが、日本商工会議所におきましても、特に税の面におきましては、増税なき財政再建を達成するほか道がないんだという結論でございます。これに従いまして、五十七年度税制改正に当たっては実質的に税負担が増大し、特に中小企業を中心とした企業が、その企業活動の制約を受けることがないように、それからまた、それぞれの中小法人がいわゆるどのくらいの担税力を持っているんだというようなことまで配慮しながら、極力新税もしくは増税を回避をする。そして税負担の公平化、企業活力の増進。で、国家的に考えまして、やはり全産業の中で中小企業の占める位置というのが非常に、生産性こそ大企業に相当な差がつけられておりますが、その従事している納税者及び国民の数からいって、あるいは事業所の数からいっても見逃し得ないものであるということを前提にお考え願いたい。 したがいまして、一部重複いたしますが、先ほど小倉参考人が申されました延納制度の縮減ということは、これはぜひ避けていただきたいと。中小企業にとっては、税金が払えないから金を貸してくれと言うと、どこの銀行でも断りを食うわけであります。なぜならば、中小企業が金融機関から資金の調達をするためには大企業以上に細かいいろいろな条件を付せられます。まず運転資本であるか固定資本であるか、その資本の内容、それを調達をするいわゆる銀行で言う貸し金——企業側で言う借入金は、何にお使いになるんですかということを具体的に詳細に聞くわけであります。 その場合に、ことしは偶然利益が出ました、不況にもかかわらず利益が出ましたと。ところが在庫も増加をし、売掛金も相当な額増加をしておりまして、会社には全然金がない。したがいまして、延納をせざるを得ないんだと。税金を取る方の国の課税当局から言いますれば、なるべく早く取りたいという気持ちは大いに理解できますが、納税者といたしましてはなるべく年間を通じて平たく払っていきたい、極端に言うならば、法人税でも毎月毎月同じような額を払うようになっておれば、中小法人にとって資金繰りがより一層しやすいのではなかろうかということも事実でございます。 次に、退職金につきまして、その引当額がわれわれの予期に反しまして、従来五〇%であるものが四〇%に一律に引き下げられたわけでございます。ところが、中小法人にとっては、われわれがつぶさに検討を加えますと、自己資本の調達さえも容易でない。また、非公開制の有限会社の出資持ち分あるいは株式会社といえども、いわゆる相場がない基準がないということで、時価発行等は商法上の規定を使っても現実にはできない。したがって、この退職金に対する支払い保全の措置というのは大企業に比して物すごく重要性が高いと考えられます。 あえて言うならば、五〇%であった時代に日本商工会議所の税制委員会の関係者たちは、むしろ中小法人に対しては六〇%に上げてもらってはというような意見も多々ありました。ところが、国全体のバランスからいって四〇%に下がったので、これをまた六〇%に戻せというような意見はちょっと矛盾というか、非常にむずかしい発言ではなかろうかというので遠慮した形になっております。 次に交際費でございますが、やはり中小法人の特徴と申しますと、いわゆる商慣習がそれぞれの業種によって違っております。それから、外部的な交際費を使うという環境を自力で変更することがなかなかむずかしい。それがいま考えられているとおりに全体が益金処分であると、いわゆる役員賞与と同じように遇されたのでは、中小企業は自分の事業が逆に衰えていくのではなかろうかというようなことが危ぶまれておる次第でございます。 次に、土地の譲渡益に対するいわゆる重課と申しまして、欠損であっても譲渡益の部分には課税をすると、これはぜひもうこの辺で廃止をしていただきたい。あるいはにわかに廃止ができないならば、せめて五年間以上保有したものについては免除をしてもらいたいというようなことが述べられております。 次に、法人税の中で減価償却資産の耐用年数を相当長期間不動のままで、わずかな改正は行われておりますが、大綱的にはほとんど従前のものを使用しております。したがいまして、この際耐用年数についての見直しをすると同時に、特定の地域から日本商工会議所に特に強い要望がありましたことは、豪雪地帯におけるいわゆる雪を処理をする費用、こういうものについてわずかでも構わないから何らかの特段の考慮を払って、雪の積もらないところとたくさん積もっちゃって企業活動ができないと、したがって、莫大な費用をかけても除雪をしなければならないと、このハンディの調整をしてくれというようなことがございました。 最後に、簡単に措置法関係について申しますと、日本の税制は全体的に見まして非常に措置法を使っての諸規定が多いわけであります。したがいまして、一遍にというわけではなく、漸次措置法は期限の到来とともに各関係機関において審議を慎重に行って、要らないものは廃止し、要るものはそれぞれの本法に移しかえるという方が、税体系の理解を国民の全般に持たせるには好都合ではなかろうかという意見を持っております。 持ち時間を大体終了いたしましたので、以上をもって終わります。
○委員長(河本嘉久蔵君) ありがとうございました。 次に、宇田川参考人にお願いいたします。
○参考人(宇田川璋仁君) 宇田川でございます。 私は、財政学会の末端にいる者として、ことさら土地税制についてエキスパートというわけではございませんが、当委員会で特に土地税制について意見を述べろというお話でございますので、土地税制についてしぼって意見を申し上げたいと思うわけでございます。 まあ土地その他一般に資産課税につきましては、税制上きわめて複雑、またいろんな難問を抱えております。資産課税、すなわち土地、家屋あるいは金融資産、こういうものをそもそも所得税、法人税というカテゴリーの中でどのように課税していくか。それから、この税制を政策税制として使うにはどういうふうにすべきか、大変むずかしい問題を持っているわけでございます。 わが国の場合、よく知られておりますように昭和四十四年からいわゆる土地税制に踏み切った。その昭和四十四年土地税制は大変トラスチックでありまして、ある意味で大変有効でありました。御存じのように、一番早く土地を放せば税率を安くすると、一年、二年たてばもう少し上げる、もう少したではもっと上げるというのをこの出発時点においてアナウンスしたわけでありますから、当然土地保有者は土地を放出する。そういうアナウンスメントエフェクトというのは大変強く効く。そういう意味で土地税制はそれなりに有効であった。 しかし、あのときの土地税制は、その買う方の法人サイドにおいていろんな事情があったと思いますが、私ども残念に思うのは、レギュレーションが少しも行われず、デベロッパーであれスペキュレーションであれ、すべて法人、買う方については手抜かりであった。そういうことから見て、土地だけが出て、そして土地成り金が出て、法人のまた投機利益が生ずるということで国民の批判を浴びまして、一挙、政府御当局が昭和五十一年から逆転して土地課税強化という方向に移って、今日に——その問少しずつ緩和がなされていったわけでありますが、そういうことで今日まで来ている。 その後どうなったかといいますと、私自身全く実業界その他におりませんし、また私自身不幸にも、あるいは幸いにも土地その他資産の売買をしたことはありませんので、その間のフィーリングとしてはよくわからないのでありますけれども、一般的に言われていることは、土地が出てこない、売らないと、こういうことであります。で、それは昨年の経済白書、昨年の夏出たわけでありますが、経済白書にもそのことははっきりと指摘されているわけでございます。 要するに、敷地面積が狭小化していると。白書の一部のところを少し読ませていただきますが、どうしてこういう敷地面積が狭小化したかといいますと、「土地供給が減少し、地価が上昇するなかで、敷地が狭小化しても持家を取得したいという需要者の行動」が一方にある。それから、今度供給サイドとして、「民間宅地開発事業者が小規模開発の場合には用地取得が容易」だと。つまり、また小規模開発でなければ用地取得が容易でない。小規模であれば各種の規制が緩やかになるということから、経営上メリットの大きいいわゆるミニ開発、小規模開発による宅地の細分化に向かうという、この両方の、需要サイドと供給サイドの両者が相まって生じたんだと、こう言って分析しております。 また、私なんかも新聞その他雑誌、あるいは直接いろいろなところで伺いましても、短期、長期というふうに分かれている土地税制、しかも短期というのが昭和四十四年一時点で押さえて、それ以後は短期の土地譲渡所得ということになっている。そういうところで、土地を短期で売る場合であっても譲渡所得の特別控除として現在、改正前として居住用財産については三千万までの特別控除がある。それから収用交換等にも三千万円等がある。つまり、こういうような限りにおいて短期の土地は出てくる。つまり、短期というのは昭和四十四年以降取得したものは出てくる。それから、それ以前に持っていて、いわゆる長期譲渡所得についても四分の三という税率が適用されるものはほとんどない。そんなばかばかしいことはしない。それ以前の、もっと二〇%適用金額であるとかあるいは二分の一適用金額であるとか、つまり切り売りということで、なかなか土地供給というものが出てこないということも伺っております。つまり、はっきり言えることは、ある程度税制が阻害要因となっているということは否めない。 そこで、これからの課題といたしましては、非常に、デリケートといいますか、微妙といいますか、阻害要因をいかに排除していくか、かつ公平税制をいかに維持するかという、いわば非常に狭い道を進まなければならないという状況にあるだろうと思います。 それでは、まず阻害要因——まあこれから私の考え、それからその他諸外国の関連等を見て私個人の意見になるわけでありますが、阻害要因の排除ということは結局どういうことかといいますと、私の思うにはやはり恒久化以外に手はない。税制を安定的、恒久的なものにするということが基本的だろうと思うわけです。まあ私自身、土地税制というのは現代の財政問題の大きな問題でありますから、たとえ専門としておりませんけれども、あちこちで勉強する機会を持って、たとえば業者の方々に会うことなどもありましたが、そういう方々が言うのには、税制はたとえ諸外国に比べ高くてもいい、要するに安定してくれなければ買う方も商売できない、売る方も恐らく商売できないであろう。 土地というものは、これは特にわれわれ日本人といたしましては、いわば一度握ったらばなかなか手放さないというような、島国に育った日本国民はそういう一つの傾向を持っている。一世一代の商売をやるわけでありますから、他の年々入ってくるものと違って大変経済計算を厳密にやる。要するに現在の税制がどうかということと同時に、将来どういう方向にいくのかという、そういうエクスペクテーションがかなり働いている。たとえいまのような大変厳しい税制をしいていたとしても、これはこんなのが続くわけないということになれば、いずれもっと緩むかもしれないというところで待つというような、そういう一世一代の商売をするわけでありますから、非常にエクスペクテーションというものが効くと。だからそういうものがある限り、たとえ安くしても、もっと安くなると思えば安くなっても土地を手放さない。高くなったとしても、もっと高くなるだろうと思えば高くなったところで手放すという、きわめて普通のロジックでは、単純なロジックではわからないところがあるだろうと思うんです。 それから、これも昨年出た経済白書の指摘でありますけれども、要するに、現在の農家についてこのような分析をしております。もう農家は通常、所得の面から見ると土地を売却して現金を手にする必要に迫られていない。もういまはお金を欲しいからという状況にない。それから農家の資金需要がほとんど一巡したこともその後の農家の土地供給量の減少を招いている。税制面でも、御存じのようにことしから変えられようとしておりますけれども、いわゆるC農地問題がある。それからA、B農地についても条例によって地方団体で減額措置が講じられている。そういうようなことで短期の税制で土地を売ったり手放そうという状況にはない。 したがいまして、そういう土地保有者の経済状況等も考えますと、私はやはりロングランの安定的な恒久的な制度というものが望ましいと思うわけでございます。そういう意味で、世界に類のないような現在の税制からいわば所得税法本則に戻ろうという現在の政府案というものはそれなりに評価できをものと私自身は思っておるわけでございます。 それから、公平ということも、要するにそういうロングランであるとすれば、わが国は幸いにも資産課税について、キャピタルゲインについて課税所得として見きわめている。それを所得税法の中で本則ではっきりうたっているわけでありまして、要するに本則に戻るというのが安定、恒久的な方向だろうと思うわけであります。 で、諸外国、私もこの土地税制関心ありまして、幸いあるところから課題をいただきまして、財政学者だけで数人欧米諸国を、八〇年、いまから一年半ほど前でありますけれども、各国土地税制を見てまいりました。ヨーロッパそれからアメリカすべて見てまいったわけでありますけれども、ヨーロッパの場合は、御存じのようにいずこの国においても日本ほどひどくはないといたしましても、大都市に人口が集中する、土地問題、住宅問題というのはいずれも同じような問題を抱えている。 特にヨーロッパの場合は、よく知られているように政治的にかなり激変がある国であります。英国しかり、フランスしかり、イタリーしかり、そういうところである政党がかなりラジカルなことをやったとしても、先ほどのエクスペクテーションありということで、ほとんどそれが効果がないということがわかりまして、戦後三十年代のヨーロッパの土地あるいは資産課税は、要するに先ほど私が言いましたように恒久化する、安定的なものにするという方向に尽きております。とりわけ英国は、これは私ども財政学者から見ると税制の本家でありまして、所得税、法人税、大変日本の租税勉強にとって影響するような伝統的な国でありますが、英国はこのキャピタルゲインについて所得源泉説といいまして、カレントに年々入ってくる所得には所得税かけるけれども、譲渡所得には伝統的にかけていなかったわけであります、フランスも同じような……。 ところが、そういうことでやはりいかぬということで、いわばそういう英国固有のフィロソフィーを捨てまして、いまや日本、アメリカその他だれでもが納得するように、キャピタルゲインは課税対象であるというふうな、そういう課税ベースをきちんと世界共通のものにすると、そういう中で、この中で恒久的な税制を立てるという方向にあります。英国は終戦後、労働党がある程度長く天下をとって、開発用地税といって開発利益に対しては将来は一〇〇%税をかける、つまり国有化に持っていこうというようなことでやりましたけれども、結局これも有効でありませんで、いまや現労働党もこの案は完全に捨ててキャピタルゲイン課税と、英国はわずか——わずかかどうか知りませんが、三〇%であります。アメリカも御存じのように四割、譲渡所得に対しては税金かけるというようなことであります。 時間が参りましたので、この辺で急ぎますが、方向づけとしては、この資産課税については、この三十年間世界を挙げてトライアル・アンド・エラーを重ねた結果、やはりエラーから抜ける道というものはパーマネントでスタビリティーを持つという税制でなければ、結局こういう特殊資産という、資産というのはほかの商品に比べてある意味で特殊かもしれませんが、そういう意味のものを安定的にマーケットの中で需要供給させるためにはそういう税制でなければならないということを、わが国もそうでありましょうし、世界がようやく学んでいるのではないかと思うわけでございます。 簡単でございますが、以上で終わらしていただきます。
○委員長(河本嘉久蔵君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 速記を起こして。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○穐山篤君 どうもきょうは大変御苦労さまです。 いま委員長からもお話がありましたが、宇田川先生の時間の関係がありますので、私の質問は二回に分けるという相談になっておりますので、御了解をいただきたいと思います。 最初に、小倉参考人にお伺いをしますが、おととし、昭和五十五年の十二月の二十日の日に、五十六年度の税制改正の答申を行って五十六年度予算税制改正に合わせたわけですが、そのとき歳出カットであるとかあるいは国債の二兆円削減であるとか、いろんなことが指摘をされ、さらに一兆四千億円に上ります総ざらい的な課税を行ったわけですね。 そこで、一つお伺いしますが、一昨年の十二月答申をする当時、税調全体の意見として昭和五十六年度がこれほど税収が落ち込むというふうな議論がされたかどうか、あるいはそういう分析がなされてなおかつ一兆四千億円程度の総ざらい課税というものを答申をしたかどうかということが最初であります。 それから二つ目に、先ほど減税の問題についてお話がありましたが、財政事情からことしは見合わせるほかはない、できる限り早く実現するためにも徴税の、あるいは納税の環境を整備する、そういうお話があったわけですが、その環境整備というのは、いま御案内のとおり国は財政再建の三年計画を提示をしているわけです。その財政再建のめどがつくまでは見合わせるという意味であるのか、あるいは財政状況がある程度好転をすれば減税をするということになるのかどうか。 それから、これもまた前に戻るわけですが、その五十五年十二月二十日の答申の中にも、五十七年以降は課税ベースの広い間接税について検討をしたいと、こういうふうに答申も触れていたわけです。その当時の考え方と、いま私が申し上げました減税とのかかわり合いは会長としてどういうふうに考えられているのか、その点をお伺いをします。 それから、まとめてで非常に恐縮でありますが、グリーンカード制の問題について、御案内のとおり五十九年度から実施をすることになりました。それにつきまして内外から非常な意見が出ているわけでありますが、大蔵大臣は当委員会で、そういう意見を反映をしましてグリーンカード制を実施した後で税率構造について考えたい、こういうお話もあったところでありますが、会長さんのひとつその辺についてのお考えをいただきたいと思います。 それから、あわせて宇田川先生にもお伺いするわけですが、いま宇田川先生からもこの土地税制の変遷について若干の解説が行われました。 そこで問題になりますのは、今回、土地住宅税制についてかなり広範に手をつけたわけですが、税制調査会としましては、この税制改正によりまして、土地の供給なりあるいは宅地の供給なり、ひいては住宅の建設の問題についてボリュームとしてどの程度のことを予想をされて議論がされたのか、答申をされたのか、当然これは二つの面から議論がされたと思うんです。土地の供給を促進をする、まあ住宅の、建設についても誘導をすると、こういうねらいもあったと思うんですが、税体系上考えてみて、今回これに手をつけますとしばらくの間は税制改正はやらないで済む、あるいはまあやらない方がいいというふうな考え方で答申をされたかどうかということをお伺いをします。 それから、同じような質問ですが、宇田川先生に、先生の論文を読んでみますと、土地を商品の位置にとどめる限り、さしあたりの問題ということで、二つの問題の提起をされております。それは保有税の強化と譲渡所得課税の手直しがいいのではないか、こういうふうに論文では指摘をされておるわけですが、その二つの指摘についてどういう程度に、あるいはまあどういう水準にと言ってもいいと思いますが、保有課税の強化なり手直しの範囲を先生としては考えられているかどうか、その点をひとつお伺いをしておきたいと思います。 以上です。
○参考人(小倉武一君) 私に対しての御質問についてお答えします。 まず最初の、五十六年度の税制改正に当たって税収の関係をどう見ておったかということでございますが、これはたしか答申にもうたっておったと思いますが、大体順調な税収が期待できる、こういう前提であったかと思います。 それから間接税、課税ベースの広い間接税ということについて検討を要するだろうということもお尋ねのとおりでございまして、当時としてはさような考え方であったわけでありますが、その後の政府その他の国会の御決議等もございましたし、これはいわば税調としては一遍そういう一般的な間接税の導入ということを検討する必要がある。むしろできるだけ早い機会にそういう措置を講ずる必要があるという答申までしたこともございますが、現在のところはいわば棚上げになっておる、税制調査会としては。別にそういう棚上げをするという決議をしたわけではありませんけれども、事実問題としてはそういうことになっておるように思います。 それから、減税の問題でありますが、当時一般的間接税の導入ということを考えました場合には、当然そのうらはらとして、今日一部で御議論になっているような大型減税がセットになって考えられておったというわけではなかったと、こう思います。 それから、グリーンカードについてのお尋ねでございますが、これはグリーンカードの導入ということにつきましては、多年の利子配当の総合課税ということの問題がこれによっておおよその改正になるということで、税制調査会として政府に答申申し上げたと、政府もその答申に沿って法律を提出され、それが通りまして具体的な実行に移されておるということであります。 御承知のとおりでありますが、昨今いろいろそれにつきましてなお批判があるといいますか、再検討の御議論もあるやに聞いておりますが、それは承知はある程度しておりますけれども、税制調査会としてはこの昨今の御意見を受けて再検討をしたらどうかということは、その後昨年の、この五十七年度についての税制改正についての答申を申し上げました後には税制調査会は開催しておりませんので、昨年の暮れから今日までの間に、グリーンカードについてのいろいろの御検討の結果の御批判もあるようでございますが、ちょうどその間税制調査会は開いておりませんので、税制調査会としてどうだということはちょっと申し上げにくいのでありますが、せっかく多年の懸案がグリーンカードということで制度が具体化してまいって、やがて実施に移されようとしておるこの段階で、恐らく税制調査会としてこれを見直しすべしというような結論にはなるまいと、こう思っております。 それから、土地につきましてですけれども、これは宇田川参考人も申されましたし、また御質問の中にもございましたように、土地税制については長期安定的なものがよろしいということは、これは恐らく先ほどの四十四年以降の非常に暫定的な土地税制は、これは特別の例外でございまして、長期安定的な税制がよろしいということは恐らく大方の意見の一致するところでありましょうし、また税制調査会でもそういう趣旨で昨年の答申もできておるのであります。 しかしながら、具体的に五十七年度以降の土地税制をどうするかについては意見が分かれておりまして、税制調査会としては残念ながら一本の答申でこうあるべしというところの結論は得なかったのであります。ただ、政府のお決めになりました、ただいま国会で御審議願っています土地税制について、それが税の増減収にどう影響するかということについてのお尋ねもあったかと思いますが、税制調査会ではただいま申しましたように、どうしたらいいかと一本の議論になっておらなかった、審議の期間も非常に短かったという点もありまして、増減収がどうなるということについて詰めた議論はなかったやに思います。恐らく増減収プラス・マイナス・ゼロであろうというのがこれはそのときの感触で、別に計算したわけでもないと思いますが、そうじゃなかったかというふうに思います。 以上でございます。
○参考人(宇田川璋仁君) これからの税制として、私は確かに新聞にそんなことを結論として書きまして、いまももちろんそう思っております。 どの程度かということでございますが、私も何も調査事務局持っておりませんので詰めはわかりませんけれども、基本的な考えとしては多分こんなことになるだろうと思うんです。これは、世界もそうでありますし、日本も短期譲渡所得は総合課税でいいだろうと。総合課税でありますから、幸いにもあるいはお金持ちには不幸にも、日本の所得税制は大変累進度が高い。したがいまして、あれをまともに適用をいたしますと七〇%——七五%ですか、その方々の限界税率に応じて六割であり、七割という形で短期の譲渡所得、キャピタルゲインは所得税として把握されるということでいいだろうと思うわけです。 それから、長期譲渡所得税については、一体長期というのはどういうふうに考えるか。アメリカは一年なんですね。それから、フランスは要するに保保有して一年していれば長期。フランスは二年、西ドイツも二年というようなことで、わが国では本則は五年であります。しかし、いまの改正案見ますとおよそ十年というようなことで、要するに本則では少し甘過ぎるというふうに政府はお考えのようで、要するに十年ということで、私も日本の場合は土地問題というものが各国よりも深刻であるということで、やはり五年では甘い、五年持っていればもう長期譲渡所得になるのはやはり甘いというふうに考えて、十年ぐらい持っていても、まあ九年持っていてもそれは短期だとしてよかろうと思います。 それから、長期にした、じゃ税率を今度はどうするかということになりますと、先ほどもちょっと触れましたように、たとえばアメリカは四割。イギリスは長短持たずに要するにキャピタルゲインは全部三〇%。それから西ドイツは、これは不思議な国でありまして、短期だけ税金かけるけれども、長期の、だから二年以上持っていますとキャピタルゲイン課税はしないんですね。これは税金かけない。だからこれも話にならない。フランスは五分五乗というようなことで特殊なテクニックを使っているというようなことで、せっかく私はさっき長期安定的と言いましたから、所得税法にれっきとして二分の一と書いてある以上、それを三分の一とかあるいはまた変えるというのも、またそういう意味でステーブルな税制に反するというイメージを与えることになるので、やはり本則に戻って二分の一というところが、客観的な根拠はありませんけれども、恒久かつ安定という効果を与える意味では本則に戻るというのがよかろうというように思うわけです。譲渡所得については大体そういうこと。 それから、保有税になりますと、わが国の場合は、地方税、固定資産税、特別土地保有税ということでございまして、固定資産税をきちんと時価評価というのが私の考えてありますが、時価評価してきちんと税金かける。しかし、固定資産税というのは非常にまたある意味でデリケート、むずかしい問題だろうと思うんですね。この国会においても、新聞等で見ますと、固定資産税がこう年年上がっていくというのはこれからの社会状況のもとで問題だということを指摘されたようでありますが、そういう御意見の代議士先生方が大ぜいいらっしゃるということを伺っております。 そういう意味で、これから確かに老人社会、高齢化していくという社会の中で、保有するだけでカレントに、一回限りじゃない、毎年毎年固定資産税を払っていくというのは、一方で保有をした以上担税力があるんだから、しかも保有税強化という観点から見て、日本の土地問題から見て、非常に希少価値のある土地を保有している以上税金を納めるべきだということもわかりますけれども、担税能力がだんだんとそれにバランスしていく、保有と所得とは一応並行する場合はありますけれども、一応セパレートされている場合もある。ですから私は、固定資産税というのは恒久的な税制であるわけでありますが、固定資産税というものはその点、ややこれから日本型の工夫をしなくちゃいけないんじゃないかと思うわけです。 そういう例として、アメリカはすでにサーキットブレーカーと言いまして、老人には固定資産税を——アメリカの地方税は固定資産税がほとんど税収を担っているわけでありますが、そこではかなりそういう老人を優遇するとか、そういう工夫をこらしつつあるわけでありまして、保有税強化の中で高齢化で所得と並行しがたい固定資産税その他について、保有税について工夫をこれから私どももしなければなりませんし、また国会の先生方にもお願いしたいと思うわけでございます。
○穐山篤君 それでは引き続いて行いますが、前川さんにお願いします。 最近、記帳義務の導入ということが内外でずいぶん議論をされておるわけですが、商工会議所の中で、この記帳義務の問題について意思表示がまとまっておればお考えを発表していただきたいし、また統一的にまとまっていないとするならば、参考人の個人的な御意見で結構ですから、ひとつお伺いします。 それから、またもとに戻りますが、税調の会長にお伺いをしますが、間接税の問題についていろんな議論があるわけですね。そこで端的にお伺いをしますが、この間接税のあり方を考える場合に、まだ現行の間接税なかんずく物品税につきましては、範囲の拡大をしたりあるいは増税をするというふうな余地があるかどうかという点についてお考えをいただきたい。 また、それとの関係におきまして、いやもはや物品税の増税というのはかえって税負担を不公平にする。それよりも税体系上からは別な方法ですね、一般的に言われております消費税とかあるいは付加価値税とか、そういうもの、どちらの方を考え方として優先をされるか、その点をお伺いをしたいと思います。 それから、先ほども会長から土地税制につきましてはいろいろ議論が分かれているというふうにお話がありましたから、それはそれで十分私も理解をいたしますが、先ほど両参考人からも言われますように、しょっちゅう土地税制が変わりますとインフレ期待感といいますか、そういう期待感の方が強くなって土地の供給が阻害をされる、そういうことは当然だろうというふうに思うんです。 かね太鼓で大騒ぎをしましても、私が調べたところによりますと、去年の暮れからことしにかけましてこういう事例がたくさんあったんですね。 ことしは土地税制の改正が国会に提案をされる、いまのうちに土地を提供した方が得ですよとか、あるいはいまのうちに住宅を購入した方が得ですよと言ってふれ回っている幾つかの事例を見聞をしたわけです。そういうことも考えてみますと、やっぱりちょくちょく税制を変えるということは余り望ましいことではないというふうに思いますが、しかし一面、いまの状況でいきますとなかなか低廉な土地の供給がない。あったにいたしましても非常に遠隔地であると、不便なところにどうしてもなってしまうと、そういうふうに考えます。 そこで本来はどういうふうに考えた方がいいのかと思うんですが、住宅建設を景気対策の一環にして、金だけをどんどんどんどん民間にしろ政策金融が準備をして督励をした、そういうことが一面では土地の価格を上げている要因にもなっているわけですね、現実に。 そこで、もう一度会長と宇田川先生に、そういうふうな現実——土地が商品として動いている生身の問題を考えてみた場合に、安定的な価格にするあるいは土地の供給を容易に促進をするというためには、もう少し何らかのことを考えた方がよかろうという御意見があるわけですが、もう少し突っ込んでこういう方法を研究したならばどうだろうというふうなこともあれば、ひとつ教えていただきたい。 以上です。
○参考人(前川精一君) では、一番最初の御指名をいただいた私、前川でございますが、簡単にお答えいたします。 ことしの四月以後開催される日本商工会議所の税制委員会では、恐らく記帳義務ということが相当大きな重要性を持って登場するであろうということが想像されます。その理由といたしまして、昨年、実は私の知っている限りのいろいろな団体、たとえば地区の法人会、連合会あるいは青色申告会というようなところでもそういう問題を取り上げておるわけであります。 そこで、われわれの方は全国各地を眺めてみますと、小さい商工会議所ではそれほど問題にしておりませんが、中以上の商工会議所ではこういうことが言われております。昭和二十五年に青色申告というものが世界で初めてシャウプ博士によって日本に導入をされて、日本はその税制のモルモットになったわけであります。そして漠然と三十二年間経過したわけであります。その反面、商法には帳簿を備える、すなわち商法上の記帳義務があるのに、特別法である所得税法もあるいは法人税法も帳簿をきちんと備えることを強制しないと、そういう納税者は白色の申告書を提出しなさい、そのかわり青色申告者とは若干のハンディがありますよと、損をしますよという取り決めだけしかない。 ところが、納税者多数の御意見を私が方々で拝聴いたしますと、もう時代はそういう時代ではない、帳面を記録するということができなければしかるべきキカン——しかるべきキカンというのは時間の期間ともう一つはオーガニゼーションの問題ですね。具体的には全国の商工会議所あるいは商工会、これが指導者となって一部青色申告会、一部法人会がそれに加わり、国を挙げて三年間ぐらいのうちに記帳義務を法制化すべきである。それを過ぎた後はいわゆる国会の先生方に立法をしていただいて、記帳をしない者についてはペナルティーを課す。と同時に、法人税についてはぜひ現在の白色申告をやめる。まず法人から白色申告を撤廃する。次いで所得税も、その計算の内容も法人税に続いて撤廃をし青色一本に統一をする。ですから青だ白だという区別はなくなるというような意見が、皆さん方の意見と偶然私の意見もそうでありますが、私はそれについて相当自分の情熱をかけても実現したいと考えております。 ところが、昨年それを私が問題として取り上げることができなかった事情といたしまして、大方の皆さん方が御存じのとおりに、中小企業庁の中に設置された中小企業承継税制問題研究会というのがございまして、日本商工会議所といたしましては、税制委員会の中に小委員会を設けまして、中央大学の富岡教授を座長にいたしまして承継税制を研究をしていただき、昨年の三月に答申をしていただいたんですが、これは要約しますと二つの項目に分かれます。中小企業者が相続する取引相場のない株式の評価方法を改善する、これが一番。一定面積以下の事業用または居住用の土地の相続税の課税評価額を四分の一に軽減する措置を講ずる、以上の二つの柱だけがまとまったわけでありますが、そちらの方が先行いたしまして、記帳義務の方は本年度に移行されたというのが実際でございます。 以上でございます。
○参考人(小倉武一君) 間接税の中の物品税と一般的な消費税、あるいは付加価値税との関係にひいてお尋ねでございましたが、物品税を何といいますか拡大していく、物品税の対象になる物品をふやしていくというのも一つの考え方かとも思います。ただし、物品税につきましては、その立法の趣旨、法律の趣旨がまあぜいたく品あるいは不急不要品というようなことで、そういうものが中心になって仕組まれております。したがいまして、そういう伝統的な考え方を前提にする限りは、新製品が開発されたとか云々というようなことで、物品税の対象になっているものとの比較権衡というようなことでふやしていくべきものも無論若干ずつはございましょうが、余り幅広く物品税の対象を広げるということはいかがなものであろうかと。 要するに、物品税というものが、従来の考え方と余り拡大する場合の考え方とが非常に違ってくるというようなことをどう考えるかという問題があるように思います。そういうようなこともあわせ考えた上で、かつて税制調査会では一般消費税というようなものがむしろよろしかろうという結論だったかと思います。無論、一般消費税につきまして、いまの段階でどうということはまた別の問題でありますが、どちらかと申しますれば物品税を拡大強化していくということについてはどちらかと言えば消極的であった、こう申し上げてよろしいかと思います。 それから、土地税制のことでありますが、税制調査会では、大部分の空気を申し上げますというと、私、土地政策は必ずしもよく存じているわけではありませんけれども、今日の土地政策——宅地政策と言ってもよろしいかと思いますが、宅地政策がぴしっと確立されないままに、余りにも税制によって宅地供給をふやすという考え方をとるということについては大方非常に消極的だったわけであります。宅地政策についてこうこうというような立法措置等を伴った政策を講ずる、ついては付随的に税制上もこういう措置をとって応援をしたらどうかということであれば、真正面を受けて御審議ができるわけですが、本体の方がはっきりしないままに、いきなり、毎年毎年税制についてことしはこうだというようなことでこられたのではちょっと相手にしにくい、なりにくいというのが大部分の税制調査会の委員のお考え方でなかったかというように思います。 いわば金融それから税制、こういうようなことだけでもって宅地供給をふやしていくというのは、どうも普通の商品といいますか、物ならばそれでいいんでしょうけれども、るる先ほどからいろいろ御意見の御開陳もありましたように、土地というもの、特に日本における土地というものは非常に限られたる存在である、資源である。特に可住地といいますか、そういうことになるとよけい狭い。そこで、そういったようないわば自由市場を前提にして、その上で金融と財政でもって供給をふやしていくというような考え方というものはいかがなものであろうか。 これは、どちらかというと私個人の意見みたいになりますけれども、いずれにしましても、土地政策がはっきりしないままに税制だけにおんぶされると、必ずしもそうではないんだろうと思いますけれども、税制調査会の委員の多くの方はそういうふうな感触をお持ちになっておるのであります。 したがいまして、先ほどから長期安定的な税制と、こう申しますけれども、また申されますけれども、その前提には、長期安定的な宅地政策が確立されておるということが伴わなくちゃならぬと思います。と申しましても、私自身長期安定的な土地政策ないし宅地政策がどうあるべきかということについては、申し上げるほどの研究なり蓄積はございません。
○参考人(宇田川璋仁君) 現在の土地問題、住宅問題について、私なんかも都会にいて大変困っているものでございますが、それは個人的な、あるいは一人一人のことを考えずに全体を考えれば、私は、問題には解ける問題と解けない問題がある。要するにこういう前提でこれを解いてくれといっても、この式は、解はノーである。解なしという問題もあるのだと思うのです。私は、土地はそれにやや近い、つまり現在土地が高いけれ一とも川それは恐らく、よくわかりませんけれども、スペキュレーションでどんどん買おうという人じゃなくて、実需が六割か七割か八割か知りませんけれども、実需が工場であれ、あるいは個人の宅地であれ、実需が支えているんだろうと思うわけですね。 そういたしますと、その実需が、もし私の仮定でそれが実需であるといたしますと、実需が値を上げている。ということは、要するに現在のそういう実需という考え、もっとはっきり言ってしまいますと、日本で、個人で一軒持って、ほどほどの庭も持ちたいというその希望はわかるけれども、わが国では、これは全く個人的になってだんだん暴論に近くなりますが、そういう指向は、そういう方向づけはやはり無理な国だ。ですから私は建設業界の方や、あるいは政府、建設省の方にやっぱりそういう指向を断念する、ギブアップするとか、そういうことでなければやはりいけない。やはり東京に高層で住める、この東京の中で、あるいはこの郊外でというわけにはいかないだろう。 たとえば、英国なんか御存じのように日本と同じぐらい。しかしあすこは人口は六千万ぐらい。しかし、また旅行してみれば日本よりははるかに平地が広がっている。そういう英国でも、ちょっと三年ほど前の統計なんですけれども、持ち家は五四%、公共賃貸住宅は三二%ということで、なかなか普通の庶民というものは持ち家に入れない。ドイツでもやはり持ち家政策、持ち家ということをみんなで、人間として希望するのですけれども、やはり持ち家という形ではなかなか夢はかなえられないという同じ悩みを持っている。 だからそういうことは暴論に近いかもしれませんけれども、やはりそれですべてを、しかも低い地価でというわけにはいかない。やはり日本社会で、高層であって、かつグリーンがあり共同生活ができるという、そういう住宅政策を根本的に見直すということがどうしても先決問題としてあるんじゃないか。だからむしろそういう形で誘導していく、そのための土地政策であり、あるいは宅地政策という、また高層住宅には補助金を与えるとか、その他そういういろいろな誘導措置を講じていかないと、現行の実需のままで、またそういうことは可能だと思うのです。 私どもも、お米を食べていたのがいろんな理由でパンになったとか、やはりそれぞれ——ちょっといま、少しまずい例かもしませんけれども、やはり日本なりの一億の人間を個人の経済計算上できるような形の方向づけ、私なんかは初めから家を持とうなんていう気はさらさらありませんから、不可能である、解けない答えを追求するのはあほくさいと思っておりますので、もうそういうことを考えておりませんが、広く見渡せば解けない問題を追っかけてもしようがないんじゃないかというふうに思います。
○多田省吾君 初めに一点だけ字田川参考人にお尋ねしたいと思います。 今回の租税特別措置法で土地譲渡税を緩めたわけでございますが、私たちは宅地供給効果は余り期待できないと、このように思っているわけです。逆に、あめとむちのむちの方ですか、地方税の方では三大都市圏において市街化区域の持ち物に対し選択的宅地並み課税制度というものを今度導入するということでございますが、政府の考えは営農条件を十年として五年ごとに見直していくということでございますので、私はやはりこれでは土地を吐き出せないと、このように思いますし、ますます租税特別措置法と地方税法の改正によって土地の資産価値を高めて地主が土地を抱えてしまうんじゃないかなと、このように思うわけでございますが、どう思われますか。 また先生のおっしゃる安定的、恒久的ということは、私たちも賛成でございますが、ほかに先生として何か土地を吐き出すための有効なあめとむちの手法というものはお考えになっているものがあるかどうかですね、お尋ねしたいと思います。
○参考人(宇田川璋仁君) 農地課税というのは、やはり非常にデリケートでありまして、これまた外国の話から入って恐縮でございますけれども、アメリカで、いまアメリカは地方で州の中の税は固定資産税がこれは九割、八割で、地方団体の財政収入を賄っている、日本以上の大きなウエートを持っているプロパティータックスなんですが、これはこの税のかけ方はいずこにおいても評価し税金をかける。 一番問題になるのは農地なんですね。だんだんと評価方法というものは時価評価、これはもう連邦の指導もあるし、それが一番公平だということで次第に時価評価していく。そうすると、農業も時価評価ということになりますと、住宅地に近接してやったりあるいは大都会に近い農業というものも固定資産税は重くなる。そういうことで、一方ではプリンシプルとして時価評価と。 他方、これはここでちょっと言葉が恐縮かもしれませんが、農業団体というのは政治的に非常に強いわけでございます。そしてまた、それと同時に、農業をやるということもまたこれは十分な産業政策上意味もあるということで、農業についてはアメリカはユース・バリュー・アセスメント。だから時価評価を原則としていながら、使用価値評価ということをやって農地については安くしている。そのかわり州政府あるいは地方自治体と契約をするわけですね。契約をして農業をやりますと、途中で農業をやらずに土地を売っちゃったということになりますと契約違反でありますから、それからその土地を売った農業以外の時価評価による税金をかけるだけじゃなくてペナルティーを科す。契約を破棄した。これはもう私はカリフォルニアと、実は行ったのはニューヨークだけ州政府へ行って調べてこの目で見てきたわけでありますが、アメリカ五十州全部そういう時価プリンシプル、そしてランド・ユース・アセスメントという形でことをやって契約をし、ハワイなんかも非常に契約を重んじペナルティーは高いわけですが、そういうことをやっております。 そういうことで、今回の日本のは小型版でありますけれども、そういう形でやはり農業というものはそれなりのメリットもあるし、農業を継続するという契約をする以上、やはりユース・バリュー・アセスメント、普通の固定資産税の時価、まあ日本は時価じゃありませんけれども、時価でかけていませんけれども、たてまえとしてはそういうことになっておる。しかし、そういうことと別途に、そういう形で農業をやるというはっきりしたことが認められる限りユース・バリュー・アセスメントという形で安くするということは、グリーンベルトを保持するその他の意味でよろしかろうと思うわけです。 それで、いまの御質問で、一体長期安定がいいけれども、土地税制で何か片がつかないか、もっとこれが決め手というものはないかということでありますが、それはいずこも政治家の方は世界にたくさんいらっしゃる、また財政学者もいるわけでありまして、同じ思いを持っているわけでありますけれども、いろんな国の中で、しかもやはり土地を欲しいというような、それから経済的な需要供給の中ではこれは共通のもの。だけれども、残念ながら土地問題をやはり税制で片づけているという国はどうもない。 先ほど言いましたように、大きくはやはり最低限を国が、あるいは地方団体がめんどうを見る、要するに土地を買い、そしてみずから公営住宅を提供する。そして公営住宅をいまみたいなものにして、できるだけカンファタブルなものに経済発展とともになっていくということしか——英国、先ほど労働党の話もしましたけれども、労働党、保守党交互にやっていく国、あるいはフランスもそうでありますし、イタリアもそういう形で公営住宅の導入、そして、その中で各国とも持ち家ということを優遇しているのですけれども、しかし、それは最低限の公営住宅に住めるということがあった上で、もう少し個人の自由が欲しいということであれば持ち家を持つということで、切れ味のいいある政策組み合わせというものは、私もいまのところ勉強不足で見出せませんし、過去の学者諸公の、日本の学者諸君もいろいろ遊休地税とか、みなし所得課税とか言っておりますけれども、しかし、それは私はワーカブルであるとは思わない。非常にそういう意味でシャープな答えが出せないのは非常に残念なことだと思っております。
○近藤忠孝君 引き続いていまの問題ですが、いま多価委員が指摘された土地税制の効果で、今回の税制の緩和のねらいというところは、市街化地域の農地の宅地化というところにねらいがあるようですが、むしろ譲渡所得税制の緩和がその面では逆に伝わるんじゃないかという面があると思うんですね。 というのは、やっぱり土地の価値が税制緩和によって高まりますから、もっと価値が上がるし、金にかえてしまった場合は利子なんかでは逆にやっぱり少なくなるわけですね。だから、長く農民が持っている市街化区域の農地は逆に宅地化が阻害される。逆に宅地供給の阻害要因をなくす面もそれはあるわけですが、それは比較的短期に持っている土地じゃないかと、そういう指摘がされておるんですが、その点はどうお考えですか。
○参考人(宇田川璋仁君) だんだんとデテールにわたって、私はだんだんともう狭い学校人としては、的確に御質問に答えられないわけでありまして、ここでギブアップせざるを得ないんでありますけれども、だから、先ほど言いましたように、日本の場合もそうですし、アメリカの場合を考えると、やはり宅地並み課税というのをすれば、確かに農業としては税負担が重いということで、全く頭の中で考えますと、人間は利己的であるという前提のもとで計算すれば、私は農家であると、宅地並み課税されたということで、それでもなお農業をやってペイするならば農業をやるでしょうし、こうも税金が高くなって授業をやるのがあほくさいということになれば、土地を売り払って私はその金でまた別途生計の資を考えるということになるだろうと思うんです。 ですから、宅地並み課税の程度問題だけれども、そういう形で農業を宅地並み課税をやってしまえば、そういうさっき私の経済計算で農業をもうやれないという人は土地を放棄する。だけれども、アメリカもそうだし、日本でも農業をやるという営農意思のある人に対しては営農をさせるということですから、あの規定を入れたことは確かに農業をやらせるということですから、宅地の流動化とは矛盾するわけですね。 それを、あえて農業を継続させようということがあるためにそうしたということですから、初めからそういう意味ではすべて農業であれ、何であれ構わないと。時価評価で税金をかけると。あと、その税金の上で農業をやろうが商業をやろうが工業をやろうがアパートを経営しようがおまえの経済計算だというふうに、農業も一介のビジネスとしてやってしまうということであれば、そのすべて時価に応じて一律に税金上げてしまえばいいけれども、わが国の場合もアメリカの場合も農業は別途なんだよと、営農の人に対しては税金を安くしてやりましょうということですから、完全に農業を継続させるということですから、そっちの方を希望する人は土地を放棄しないということで、確かに土地流動化には反する。 だけれども、それを政府が、そういうことの方が原案として望ましいということで提案されたわけで、ですから私としては、そういう問題について農業を保護するということが、あるいは農業を維持させるということがいいのかどうかという、また別途の税制以外の産業政策ということになりまして、ますます狭い財政学者としては答えに窮するということでございます。 お答えになったかどうか自信ございませんが、そういうことだと思います。
○多田省吾君 小倉参考人と前川参考人に同じことで二つばかりお尋ねをしたいのでございます。 一つは、いま政治問題になっておりますグリーンカードの問題でございます。 最近になって賛否両論が出てまいりました。この制度の目的は、あくまでも利子配当に対する総合課税によって不公平税制の是正、またマル優適用の適正化を図ることにあったわけです。マル優制度ですと、四人、標準家族で四千百万円までは適用されますから、一般国民にとっては十分であろうと思われますが、たとえば中小企業の経営者の方たちの中には不適当だとするような考えも一部あるようです。それで政治家も動いているんじゃないか、こう思います。 金やゼロクーポン債に金が流れるというような話もありましたが、大蔵省では、五十六年度で個人の金融資産は三十五兆三千億円増加したと。そのうちのせいぜい一・五%程度であると。現在の金融資産は個人の分で三百三十八兆円に上るそうですが、中には地下経済云々ということを言う人もあるわけです。それで、一部に分離課税を残せだとかあるいはグリーンカード制を実質的に三年延長せよだとかいう議論が出てくるんだと思いますが、私たちは、他に不公平税制の是正する方法がないとすればあくまでも完全実施する以外にはないと思いますが、このグリーンカード制を完全実施した場合に心配する方は、日本経済は崩壊するぞと、こういうことをおっしゃる方もいるわけですが、その辺両参考人においてはどのように考えておられるか。 それからもう一点は、所得税率の問題です。税調におきましては、課税最低限の引き上げというものをおっしゃった方も大分おられたらしいんですが、残念ながら答申には盛られなかったわけです。私は、やはりいまの日本の経済の情勢を考え、あるいは個人消費のことも考えまして、早急に課税最低限の引き上げを図るべきだと、このように考えているわけです。ところが、大蔵大臣なんかに言わせると、グリーンカード制を実施した場合に高額所得者の税率が非常に高くなる。まあ七五プラス一八で九三にもなる。これは世界に例がないんで、これをもう少し、グリーンカード制度実施といいますから、五十九年の一月からでしょうね、五十八年度の後半において緩和したいみたいな意向を漏らされているわけですが、私は考え方が逆だと思うんですよ。 いま五年間もあるいは四年間も課税最低限の据え置きによって困っている庶民、国民、これはどうしても早急に課税最低限の引き上げを図るべきだと、このように思いますし、他面、高額所得者層というものはこれいま現在でも七五%の税率の該当者はほとんどいないというのが実情である。いわゆる書かれた税率ですら、適用されていない税率で、グリーンカード制実施に伴ったとしても、そんなに私はこれに適用される人はいないんじゃないか。むしろ、いまの日本の税制の不備によってクロヨンとかトーゴーサンというふうな捕捉が的確に行われていないために、この前も議論が行われましたけれども、高額所得者と思われるような方が意外にも一千万円までの所得がないとか、そういう非常におかしな面が月本にはあるわけです。そういう面からすれば国民感情に非常に反することになるんじゃないかと、このように思います。 早急にやるべきは、私は課税最低限の引き上げである、このように思うわけです。その点をいかが考えておられるか、両参考人にお伺いします。
○委員長(河本嘉久蔵君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 速記を起こして。
○参考人(小倉武一君) 最初のグリーンカードのお尋ねでございますが、いろいろ物議、と言っちゃなんですが、御議論になっているところはおおよそ承知しておりますけれども、グリーンカード制度をもう見直しした方がよろしいというふうには私個人としては考えておりませんし、税制調査会としてはどうかとおっしゃられれば、その間、最近税制調査会を開いておりませんので、どういう意見になるか、これは無論ここで申し上げるわけにもまいりませんけれども、恐らく見直し論が大勢を占めるということにはならぬのじゃないかというふうに思います。委員の方々もそれぞれの関係でグリーンカード制の及ぼす影響ということについては十分勉強され、御承知のことになるかと思いますが、したがって、去年の暮れまでとは意見の変わってこられる方もおられるとは思いますけれども、全体の大勢として、さてと考えますれば、見直しというのは大勢を占めるというようなことにはなるまいと、こう思います。 これはしかし、やがて四月にもなりまして国会で税法の審議が議了されますというと、国会での御議論などを十分税制調査会でも役所の方から御披露願って討議することもありましょう。ただ、グリーンカード制そのものを議題に積極的に供するということはないかと思いますが、しかし、恐らくそういうことも議論の対象になることはこういう時節ですから当然だと思いますが、いまのところ、したがってそういう議論を踏まえてどうだこうだというふうに申し上げることは、ちょっとむずかしいのであります。 それから、所得税の減税でありますが、所得税の減税ということはいずれはなすべきであろうというふうには税制調査会でも考えておったわけでありますけれども、その実施をたとえば五十七年度ということでありますれば、それは多数の意見としてはむずかしい、それはあきらめざるを得ないというのが結論でありましたので、したがいまして、課税最低限をどうするとか、高額所得者の関係をどうするとか、あるいは税率構造をどうしたらよろしいかというところまでの御議論はなかったのであります。 したがって、税制調査会の議論を踏まえての所見といたしまして課税最低限を優先すべきであるとか、あるいは大蔵大臣のおっしゃっているような趣旨が優先されるべきであるかというようなことについてここで申し上げるわけにもいくまいと思います。 いずれにしましても、両方とも恐らく審議の対象にして妥当な結論を出すということがいずれかの機会にはあるかと思いますけれども、どうも昨今の経済情勢なりあるいは財政の見通し等から言いますと、どうも減税を論ずる、所得税の大幅減税を論ずるというようなことはすぐには来ないのではないかと、はなはだこれ申しわけないんですけれども、そのような感じがいたします。
○参考人(前川精一君) 私どもでは、日本商工会議所といたしましては、グリーンカードにつきまして、正式な問題としてはまだ取り上げておりませんが、委員会の休憩時間あるいは雑談の際に、いろいろささやかれることはますます頻繁になってきたわけであります。 そこで、私がよく質問を受けるのは、本当に五十九年一月から始まるんですかと、それでこれからでも間に合うんですかということと、それをやるためにどのくらいの人が要るんでしょうかという質問。それから新聞には三年間延期をしてマル優の枠を、三つのマル優についてはそれぞれ三百万円を五百万円にして千五百万円にすると、そういうふうに骨を少し抜いて実施をする考え方もあるんだと、こういうような話題が出ております。 そこで、この次は私見でございますが、私は、まずグリーンカードをぐじゅぐじゅやって三年延ばすというのは余り意味がない。三年延ばすならばやめた方がよろしいということですね。次に、先ほど先生方のうちでおっしゃっておった、グリーンカードの実施も結構であるけれども、課税最低限を引き上げるのがもっと緊急な問題であると、これには大いに同感をしております。というのは、各税種日がどのくらい税金が上がっておるだろうというのを大蔵省から発表されておりますが、日本の場合に相続税、相続税というけれども、その税収の総額はたしか六千九百九十億円と、約七千億円であります。これに対しまして、法人税と所得税は両方合わせると二十七、八兆の金額に相なるかと思います。すなわち働いたものはどんどん取っていくという体制でやっているんですから、私はグリーンカードで総合課税の効果をねらおうなんといっても、逆にこれは行政改革に逆行しまして、人件費をふやすのが関の出と、あえて言うならばそのような考えも持っております。最後に、これも私見でございますが、場合によってはマル優制度をやめて財政の方へ回してはという考えも持っております。 それを少しく具体的に申しますと、各利息それから配当金についても、配当金は必ず出場所がはっきりしておるんですが、分離課税が行われております。ですから信託銀行は幾ら、農協は幾ら、あるいは郵便貯金は幾ら、銀行は幾ら、何%というパーセンテージを設定しておくわけで、挙げてすべての金融機関に任せてしまえば、それを徴収する費用は、国の方は黙って受け皿を持っていけばどんどん税収として上がってくるのではなかろうかと。いわゆる総合課税をしないで、別個に払いっぱなしにするというのが私の個人的な見解でございます。以上でございます。
○多田省吾君 最後に、小倉参考人にもう一回お尋ねしたいと思います。 私は、せっかくのお答えをいただきましたが、やはり課税最低限の引き上げは早急に、五十七年度からでも図るべきである、このように思うわけです。すでに勤労者の可処分所得は二年連続してマイナスになっておりますし、また、税収不足は五十六年度で補正後も一兆円以上の大幅不足になるのではないかとも言われ、昨年十月−十二月期の実質経済成長率が七年ぶりのマイナス成長、マイナス〇・九%ということで、その原因はいろいろありましょうけれども、輸出の大幅落ち込みを内需の増加で埋めきれなかったという点にあると言われております。この内需回復のためにもぜひ私は必要だと、このように思われます。 それで、お尋ねしたいことは、一つには一兆円以上の税収不足が五十六年度に生ずると予想されておりますが、これだけの税収の落ち込みがございますと、当然五十七年度の予算にも大きく影響してくることは明白であります。政府は、この予算審議中はあえて楽観論で逃げ切ろうとしておりますけれども、新しい会計年度になっても前年度分の税収見込みが立たないようでは制度的に非常にまずいんじゃないか。その理由は、民間の企業の決算期が三月に集中しているということであるわけでございますが、これら民間企業の決算期に合わせて税収見通しが明確になるように、国の会計年度の設定方法を見直す必要があるのではないかとも言われておりますが、その辺どうお考えになるか、これが一点。 それからもう一点は、パートタイマーの方たちの税制についてお伺いしたいと思います。現行では、年間七十九万円までは非課税になっておりますけれども、この額に達するにはごく平均的な時間給で計算しましても十カ月ぐらい働けばこのようになるわけです。それで十カ月以上働くと課税されるということで、これは大変困るわけです。税制の考え方としては、せめて一年間働いてもパートタイマーの方たちの場合は課税されないくらいに引き上げるべきだ、九十万円から百万円ぐらいに引き上げてしかるべきではないか、このように考えますが、どのように考えられておりますか。この二点、小倉参考人にお伺いいたします。
○参考人(小倉武一君) 最初の、税収の見積もり等の関係で、会計年度の変更まで考えるということについての御示唆でありますが、税制調査会では会計年度の改定というふうなことを議論したことはないように思います。最近の財政収入の非常に苦しさから、むしろ何といいますか、普通ならば翌年度の収入になるものを前年度の収入にするというふうにしております。そういうふうに変えたようなことも、なかなか税収見積もりが会計年度過ぎても出てこないというようなことになっていることもありまして、会計年度だけ問題でもどうもなさそうに思います。 それからもう一つは、パートタイマーの課税の問題でありますが、これはたしか昨年ですか、若干枠を、限度を広げまして、このときも若干議論がございましたし、そういうパートタイマーの方方の御意見も反映をしたことがございますが、さらにそれを広げるということにつきましては、まだ検討をいたしておりません。 なお、せっかくの御意見でございまするから、他の問題とあわせて審議をするというふうなことがあり得るかと思います。
○近藤忠孝君 じゃ、小倉参考人にお伺いしますが、税調が租税特別措置について新設を認めないとか現行の措置を厳しく見直していく、さらに政策効果の薄いものを廃止していくと、こういう方針を出していることは、これは大いに歓迎いたします。 そこで、若干お伺いするんですが、ただ、そうは言ってもまだ見落としているのがあるんじゃないかという感じがするんですね。 そういう点で、一つだけ例を挙げますと、特別措置よりももっとほかの効果が大きいもの、たとえば代替エネルギー関係は現に昨年度から今年度に際して、ああいう制度があるにもかかわらず大変投資が減っているわけですね。その原因というのは、これはやはり原油価格が安定したからですね。そうしますと、税制よりも経済酌な問題の方がむしろ根本であって、税制は余り役立っていないんじゃないか。元来、そういうものは各企業の責任においてやるべきことであるし、企業の存続に関する問題ですね。これから原油価格が高騰するということになれば、またこれは税制がどうあろうと一生懸命やるわけですよ。となれば、むしろこの辺はやっぱり見直しの対象に入ってもよかったんじゃないかと思います。 これは一つの例ですけれども、全体的に言いますとやはりほかのことで十分に目的を達し得るものについて税制での優遇措置というのは、むしろこれは必要ないんじゃないかと、そういう点についての御見解を賜りたいと思います。
○参考人(小倉武一君) それはお話しのとおりでありまして、他の政策でもって目的の達成が得られるもの、また達成すべきものまで税制でもって軽減をする、法人税なり所得税を軽減して目的を達成するというようなことはいたしたくないと、従来ともそういうような方針でおったわけでありますが、お尋ねの例としてお挙げになりましたエネルギーの問題については、これはエネルギーの対策について必要なエネルギーの設備の合理化をするというふうなことは、いわばどうも国策として推進されておるというようなことでもありますので、税制面からもできれば必要な措置を講ずるということは、これはあるいは妥当であるというふうに言えるんだと思いますけれども、無論今後の石油価格の、原油価格の状況等もありますから、この制度はいつまでも適当であるというふうに申し上げるわけではありませんけれども、制度創設のときはこんなに原油価格が安定するとは、あるいは場合によっては下がっていくんだというふうなことは見通しすることができなかったという事情もお含みおきを願いたいと、こう思います。
○近藤忠孝君 結構です。
○三治重信君 小倉会長にお尋ねしますが、所得税減税問題がこの予算後、四月から衆議院の大蔵委員会で議論されるようになっておるんですが、したがって税制調査会でも議論されると思うんですが、だからいまからの問題なんで、個人的な御意見をお伺いしたいわけなんです。 私は、政府がいま答弁しておられる、また大蔵大臣がいままで答弁されたように、日本のいまの財政状態でその財政再建のめどがつけば所得税の減税を考えるという態度では、これはとてもじゃないが、景気がどんどんよくなれば別だけれども、ちょっと世界の不況状況や日本のいまの財政事情からいくというと、そういうことを言えば言うほどこれは所得税減税問題から避けて通ろうとしているという気持ちが非常に強くあらわれてまずい、もう少し真剣に今後取り組む姿勢というものが必要じゃないか。それはいわゆる財政再建のめどがつけばというのは、これはとうてい、財政の再建のめどというのは五十九年の赤字公債をゼロにするというめどだけで財政再建なんというんじゃとてもないんじゃないかと思うんですが、その点の御意見をお伺いしたい。
○参考人(小倉武一君) 財政再建のめどがつけば云々ということは、もうすでに御承知のとおり、税制調査会でそういう趣旨の答申をいたしておりますし、政府の方におかれましても従来そういう御方針だったかと思いますが、昨今国会の方でこの所得税減税というのをもっと早い時期に行えと、こういう御意見が非常に強いこともこれまた承知しております。ただし、そうは申しましても、そういう御意見を尊重しなきゃなりませんけれども、じゃ減税の財源をどうするんだということも、またこれ税制調査会等で減税ということについて意見を言う以上は、その見通しがどうなるんだろうかということがなくてはこれはちょっと片手落ちなことになります。ところが、そのめどというのがこれはちょっとつきにくいと、はなはだ困難であるというのがどうも現在の事情であります。無理に減税と、しかもいろんな減税の意味あるいは意図、目的もありましょうけれども、いわゆる大型減税というようなことになりますというと、いよいよもってその財源がどこから生み出せるんだろうかと、 一つ望みを託するのは行政整理といいますか、臨時行政調査会でどのような行財政の整理、それによって歳出の節減ができるんだろうかということが一つの参考になるかと思いますが、どういうふうにこれからの結論を臨時行政調査会においてお出しになるのかということもまだ見当がつきかねるというようなこともございまして、早急な所得税の減税ということを具体的に進めるということはこれははなはだ至難な現在の状況であるというふうに私は思っております。
○三治重信君 そうすると、一般の新聞やマスコミなんかで報道されておるように、所得税減税を早急にやらにゃならぬというならば、それにかわる財源をつくらにゃならぬと、こういう御意見につながっていくんじゃないかと思うんですが、もしもそういうようなときに、大型間接税というのは非常にこれは抵抗が強いと思うんです。 それで、一つは税制を改正しなくても、自然の形でも、まあ何といいますか、所得税と法人税がふえてくる。その三二%ですか何かが地方へ交付税として行くと。地方財源、地方財政というものとこれは非常に密接につながってくるんじゃないかと思うんですが、所得税減税のかわりにということと見合ってこの地方税制、また地方の交付税というようなものについての検討は全然マスコミの報道にないんですが、小倉会長個人とされてもそういうような、何とか国全体なんだから、間接税と大型消費税と所得税ということではなくて、もう少し幅広く、地方税や交付税も含めたようなやつをやると、もう少し幅広く散らばるんじゃないかというようなことについての議論あるいは考えというものはどうなんですか。
○参考人(小倉武一君) お話のように、中央政府だけではなくて中央地方、府県あるいは町村の財政と一緒にして考えなきゃならぬというようなことは、はなはだごもっともな御意見だと思うんです。特に、こういうような財政が窮屈なときはなおさらのことでありますが、交付税につきましては、税と名前はついていますけれども、実は税制調査会の所管といいますか、税制調査会の所管というのはおかしいんですけれども、どうも所管になっていないようなんです。そういうこともありまして、余り深く論議されたことはございません。 財政審議会ですか、財政調査会ですか、あるいは地方制度調査会、こういうところで論ぜられるべきむしろ問題でありまして、多少のあれは、大いにかかわりはありますけれども、地方財政の立場に立ては、やっぱり地方財政も国と同じように非常に苦しいんだということを絶えず申されております。そして地方の自主財源というものをむしろ拡大をしたいというふうなことがかねての御主張でございまして、交付税を節減するとかその他というようなことはこれまたなかなか言うべくして行われにくい、実行をしにくい、そういうようなはなはだむずかしい問題を持っておるというふうに私は承知しております。
○三治重信君 前川委員長、個人的な見解を……。 きょうはちょっと大胆な議論をさしていただきますが、所得税減税と大型間接税をてんびんにかけられるというのは、これは経営者サイドも労組サイドも非常に警戒しているところなんですが、しかしこれいつまででも引っ張り合ってやっていると、これは所得税の減税をやっていかぬと、累進税率になっているから非常な負担だけはかかってくる、逃げられない負担になる。ということを回避するためには二、三の策を考えにゃならぬという、いま一つはそういうことを申し上げたんですが、もう一つは、大型間接税と、それから地方における消費税、これはまあ小売税というんですか。名店ごとの小売税。こちらの方だったら、大型間接税よりか各府の小売税の方が受け入れやすいんじゃないかと思うんですが、その感触どうですか。 大型間接税というものは、付加価値税というような関係になってくると、結局一番反対なのは、中小の経営健全なのが自分の販売や経営規模というものがすっかりわかってしまうから、そのわずかの間接消費税そのものは大したことないにしても、それを裏返していくと、ちょうどグリーンカードの大反対と同じように、商売の裏が企業規模にわかってしまうからそれで非常な強い抵抗があるんじゃないかと思うんですが、名店ごとの、それで市町村ごとの小売課税になれば、その企業全体とかいうような問題にまで還元されないような調整方法があるような気がするんです。これはまあ仮定の問題というんですか、そういう大型間接消費税の、付加価値税のべたにかけていくのより、名店ごとの、最終末端だけの、まあ特別な必需品を除いたり、あるいは小さな副業的な商売を除いたり、一定の販売額以上というようなところを除くというような問題との選択というものが非常にあるんではないかと思うんです。 アメリカでは、連邦は直接税ばかりですよね。それから地方はそういう間接税、小売税でやっている。何か日本も、もうこれは財政再建と言っていても、増税はないにこしたことはないけれども、まあ不公平税制の是正という問題はある程度いずれかはこれめどがつけば、といって、めどがつけばいいけれども、めどがつかぬときにはどちらかの選択に迫られてくるんじゃないかというような気がするんです。そういう仮定のもとにおいての個人的な意見というものをひとつ御開陳願えたらと思うんです、商工会議所の立場から。
○参考人(前川精一君) まず、その財政再建が必要だという問題ですが、私はあえて個人的見解を述べさせていただきます。 と申しますのは、過去において仮に八年かかってつくった借金というのは、それを四年で返そうとするとインフレーション以外に救う道はないんですね、簡単なこれは理論ですが。ところが、日本は幸いにもその政治において非常に物価の鎮静ということにおいて成功をしておる。第一次オイルショックのときには非常に黒船以上に驚いてどたばたして狂乱物価が出た。その経験を乗り越えて、五十四年の第二次オイルショックのときにはほとんど国民の大部分がそのふところに影響さえも感じない人が多かった。しかし、その倍率を見れば、第一次のときは石油価格は四倍、第二次のときには二・五倍上がっておった。だけれども、うまく吸収をして物価は鎮静をしておる。したがって、私は、いわゆる所得税の減税というものが、財源がない、財源がないということではもうきりがないと思うんです。 それからもう一つは、各国の事情をよく調べますと、同じヨーロッパの国でもゲルマン系の民族は直接税の方が好きである。ラテン系は直接税は大嫌いである。直接税はできればごまかしたい、取るなら間接税で取ってくれというのが大きな違いでございます。したがって、ドイツ、イギリスはEC型の付加価値税は決して好んでやってないと思うんですが、それからフランス、イタリアは所得税を取られちゃいやだからEC型の付加価値税をやる。今度は日本人はというと、日本人はゲルマン民族以上に、そういうような付加価値税、いわゆるべた張り税金ですね、これは困るんだというようなことで、先ほど先生がおっしゃった、アメリカのように、連邦政府は直税により、それから地方のガバメントは間接税によりと、これは一案かと思います。 私は、先ほどのグリーンカードの問題でマル優をやめてしまえばということをちょっと発言しましたが、マル優も、実は金融資産というものが三十五兆三千億ですか、にもうなっておるというから、わずかな率の税金を分離課税をもってべた張りにしちゃえば一番物に対する税金として取りやすいんじゃないか。要するに、取るべきオーガナイゼーション、すなわち金融機関というものはもう計算制度が完備しておる。それから、繰り返すようですが、配当金は、配当をするような会社は必ず源泉税を納める、これは中小法人においてもやっております。したがってそれは取りっぱぐれがない。ただし、それを一々総合に総合にとこうやっていくとややこしくなるから、期限を切ってでもいいですが、財政再建の資源としてお使いになり、また逆に所得減税の方の資源としても使ってもいいと思います。結論を申します。 第一番は、あわててそんなに赤字公債を早く、まあだれとは言いませんが、だれが大蔵大臣、だれが総理大臣をしているときに解消したいなんていうことで焦りを見せないで、悠々とした気持ちでもって、国民の要するに意向なり世論に従った政治をやっていただきたいというのが私の一つなんでございます。その便法として、お金がかかって困る、行政改革も思うようにできないという現状ですから、何千人という人数をふやしてまでグリーンカードをおやりになる必要はない。あれの印刷費だけでも大変だと思います。何しろ現在の一余談ですが、いわゆる名義上の日本の人口は実際の人口の約四倍あるんですから、五億に近いようなものをつくらなきゃならない。これも大変なことですから、そういうことは能率上避けまして、私は財政再建の資源はそういうところからも求めていく、時間と金とのバランスをもう一回考え直していただきたいというのが私の結論でございます。
○野末陳平君 まず前川参考人に二問お願いしたいと思います。先ほど多分同族会社の中小企業レベルにおける相続のことにちょっとお触れになりましたけれども、株の評価とそれから資産の評価などで相続なんかしたらとても税金きつくて事業の継承ができないというような声をあちこちで聞くんですけれども、何かきついというのは主観的に何とでも言えますからね。どの程度にきつくて、本当にそれが息子たちに事業を譲れないほどなのかどうかちょっとわからないんですよ。その辺を簡単でいいですが、お答えいただきたい。 それからもう一つは、先ほどからグリーンカード出ていますけれども、商工会議所のメンバーの方たちが最近頻繁にこれを話題にするようになったとおっしゃいましたけれども、一体何をグリーンカードで心配なさっているのかが聞きたいんです。それも個人的にお感じになったところで結構ですからお願いします。
○参考人(前川精一君) 最初の相続の問題ですが、相続税全般の金額がそれほど大きくないから、中小企業者が事業を承継するときには相続税を合理性があるものについてはいわゆる減額をしていただいても差し支えないんじゃないか。 なぜならば、日本の国は非常に農業というのに重点が置かれております。これほど物事が進んできて原子力の世の中になっても重農主義は片方にある。それほど大切にされておりますが、農業の場合には、簡単に申しますと二十年ごとに相続が行われますと税金がかからないんですね。それだけ猶予がある。だけれども農業をやめてしまえばかかる。 ところが現在、主として大都会地に商工業を営んでいる方は、昔ほとんど帳簿価格がなかった席代の帳簿の値段で載っています、いわゆるブックバリューという呼び方ですが。その金額は、相続税の課税をされるというときに必ず評価がえが行われるわけです。そうすると、大抵土地を持っておって、その中小法人の事業の成績がわりとよろしい、わりとよろしいというのは、大企業みたいに何億円の税金を納めるんじゃなくて、まあ欠損はしないし何千万かの税金を納めておるという程度の会社になりますと、自分のところの株価は高い。それから自分が使っていらっしゃる事業用の土地あるいは自分が住んでおる居宅、こういうものがほとんど相続税財産評価要領に基づいて全部物的に把握されますから課税を受けるわけです。 もちろん延納制度がありますが、それによっても、よく言われますが、相次いで三代が相続した場合には商工業者の持っている財産というものはほとんどなくなっちゃうだろうと。なくなっちゃうというのは、最終的には現在二千万円の基礎控除と相続人一人に対して四百万円の控除がありますから、相続人が二人おれは二千八百万円までは残るけれども。だけれども、保険まで全部一定額以上は課税をされますので、簡単に申していま野末先生の御質問は、三代不幸にして連続して相続が行われたような場合にはほとんどなくなっちゃうだろうと、こういうふうに言われています。したがってそれの対策が欲しいと。 それからもう一つの問題は何ですかな。
○野末陳平君 グリーンカードで何が心配なのかということ。
○参考人(前川精一君) これは、グリーンカードというようなものがあると、大体納税者の心理といたしまして、何もかもさらけ出してあからさまになるんではなかろうかと、したがって、その枠から外れる物にかえておきたいと、これはゼロクーポンでありあるいは金そのものであるというところへみんなの目がいくわけですね。これは言うなれば、国から考えれば円の海外流出になっちゃうわけです。したがって、ますます円安になり日本の産業を維持しておる石油を買う金がたくさん出るようになって、私は非常に日本経済というのは大きなジレンマに陥るだろうというふうに考えております。 しかも、輸出の方は円安になれば非常にもうけが出るんですけれども、貿易摩擦がたまたまヨーロッパでもアメリカでも日本へ向けて集中をしているという現状では、恐らく円の海外流出におけるものを内需に置きかえるということは、所得減税さえ行われないのですから、そこでもやりようがないと。これもぐずぐずしていると一年、二年とたっているうちに何となくおかしくなっちゃいはしないかというような気がしてならないのであります。 ただ、心理的に全部をさらけ出して見せるのは嫌だというのが納税者の心理ではなかろうかと思う。要するに、もうかったものをちゃんとまじめに税金を払っているのだからいいじゃないかと、こういうのが大多数の納税者の御意見だというふうに、私は接するたびに感じております。 以上でございます。
○野末陳平君 ありがとうございました。 小倉参考人にも一、二問お伺いしたいのですが、累進税率がきついというのはもう常識になっていて、これをなだらかにしなきゃというようなことを大蔵大臣もおっしゃるのですけれども、このなだらかといっても平均的にぐっとなだらかと、どういうふうになるのかちょっと見当もつかないんで、小倉参考人の個人的なお考えで結構なんですが、いまの累進税率のきつさの影響を一番受けるというのはどの階層なんでしょうか。その辺ちょっとアドバイスをいただいて、これから考えるのに参考にしたいと思うんです。これが一問です。 二問目は、やっぱり税制というのはもともと複雑で、仕方のないものかもしれませんが、それにしても余りにも一般の納税者にわかりにく過ぎる面があるんですね。たまたま、先日もここでもって大蔵大臣にお聞きしたんですが、主婦のパートが七十九万円までが税金問題起きなくて、今度内職になると所得ベースで二十九万円でと、これは税法上はそのとおりなんだけれども、これは絶対素人にわからない。わからないのに納税者にどうやって説明するかということになりますと、まあ申告していなきゃ実害もないだろうし、いいんじゃないかなんといういいかけんな話になってしまいまして。 これは、理屈はそのとおりであるかもしれないけれども、もっとわかりやすく、たとえばいまこの問題にこだわれば、収入ベースで百万円ぐらいまでは雇用関係の形態を問わずやっぱりこのぐらいとか、そんなようなことがなければいけないんじゃないか。おまえは事業所得だ、おまえは雇われている、おまえは家で仕事をやっているがちゃんと雇用関係があるからこれは源泉徴収だとか、こんなことを決めている税法じゃちょっとわかりにくくてと思っているんです。 その二点について、ひとつ簡単にお願いします。
○参考人(小倉武一君) 最初、税率のいわば構造の問題についてのお尋ねでございまして、どの所得階層が税金が重いと考えておるのか、これは納税者じゃなくて私の感触をお聞きになったように思うんですけれども、これはちょっと申し上げにくいわけですな。ある方は高額所得者、限界税率に近いような税を納めておる方に非常に高い、こうおっしゃれば、なるほど外国と比べるなりカーブを見るというと確かに高くなっているわけですね。他方、じゃ低い方見てみると、これまた諸外国と比べると日本は少し甘くなっておる。だからこっちはむしろ税が軽いんじゃないかと。特に、ちょっと差しさわりがありますけれども、OLと言われる方などはどうも税金が軽いというふうに、これは巷間伝えるところですけれども。しかし、それはなるほど独身のあれを見ますとどうも軽く見えるようなカーブになるわけですね。 そこで、もっと幅広く所得税をお願いをするということにした方がよろしいというふうに考えるのか、あるいは昨今の先進国の例のように余り高い税率をするからかえって所得の把握がむずかしくなる。むしろほどほどの税率の方が納税もしやすいし、昨今の経済学じゃありませんけれども、税収もふえる。そこまでいかないかどうか知りませんけれども、そういうふうなこともあり得ますので、よほどこれは真剣に検討してまいらなきゃならぬ。 恐らく、所得税の減税がいつできるかどうかは別問題にしまして、基本的な税制のあり方を考える場合には、課税最低限の問題と同時に、この税率構造をどういうふうにした方がよろしいかというのが最大の問題であろうと、こういうふうに考えています。
○野末陳平君 もう一問、税制のこと。
○参考人(小倉武一君) もう一つは税制の複雑だということ、これはもう全く私も同感で、何年税制調査会の委員をしておったり、最近は会長の席を汚しておるんですけれども、どうも個々の税制についてお聞きくださってもいまここで即答ができないような、余り不勉強なせいもありますけれども、恐らくむずかしい。法律私やったこともありますけれども、なかなかこの税制の法律はむずかしい法律であることは、これはもうお話のとおりであります。 ただ、世の中になかなか賢い人がおりまして、おおらかな法律でわかりやすい法律ではどっかにまた抜け穴があって、それが利用されるというようなことをやっぱり税制当局では心配されると。したがって精緻をきわめるというようなことになるということになって、もっと日本の国民各位の方が納税意識に燃えておればおおらかな税制が捕って、なるほどこれはこうだというふうなことでいくんじゃないかと思いますが、できるだけ税は免れたいというか、節税したいと、こういうような意識を前提にすると、そういう意識を前提にしては本当はいけないと思うんですけれども、どろも素人といいますか、一般の方にはわかりにくい税制になる。そういう結果がいまのようなことになっておるというので、先生のおっしゃるようにもう少しわかりやすい税制ということで、そういうことをねらうなら当然税制改革、税制の改正についても常々考慮すべきことかと思います。
○野末陳平君 どうもありがとうございました。
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたり本委員会に御出席を願い貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。重ねて厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十三分散会