大蔵委員会 第3号
- 発言数
- 369 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/03/23
会議録
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二月十七日、福田宏一君及び関口恵造君が委員を辞任され、その補欠として大河原太一郎君及び初村滝一郎君が、また、二月二十三日、中野鉄造君が辞任され、その補欠として多田省吾君が、また、三月十九日、初村滝一郎君が辞任され、その補欠として大坪健一郎君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁前川春雄君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。 前回の委員会におきまして、財政及び金融等の基本施策について渡辺大蔵大臣から所信を聴取しておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 大蔵大臣に、まず経済の概括的な動きについての見解をお尋ねをいたします。 大臣は、よく経済は生き物だと言われる、私も全くそのとおりだと思うのですが、実際のところ、大臣が財政方針演説をされた時点から一月ぼどの間に、すなわち昨年末からことしの年初めにかけて日本の経済の実態が明らかになってきているわけでありまして、それは一月前とはある意味では大きく異なった様相を呈しているのではなかろうか。 二月十六日の本委員会で、景気については「次第に改善し、明るさが増してくる」と大臣は述べられているわけであります。今日の時点から見ますと、明るさが増してくるどころではない、停滞、私はむしろ後退、リセッションの入り口とでもいいますか、そういうようなところに立っているのではないかと思うのですが、大臣はいかが考えますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まさしく経済は生き物であって、ことに世界の経済が大変激動をしておるということも事実でございます。日本の経済も独立して存在をしないわけですから、やはり連動する面が非常に多い。一番極端なのは、為替レートなんというのはその日のうちに連動するということでございます。 いろんな諸指標で、全体とすると、経済企画庁の見方等によりましてもやはり部分的、局地的、業種的には悪いものもございます。ございますが、全体としては回復基調に向かっている。なだ、向かい方が思っなよりもテンポが遅いということは言えるのではないだうろか。世界全体の経済も、ことしの後半からはプラス成長に転ずるという見方の方が多いわけでございますから、いろいろなそれはもう根拠を挙げて言っておるし、なだそのとおり必ずなるかどうかということは、なかなか世界じゅうの学者も結果が出てみなきゃわからないというのが現実の姿であることは間違いありません。ありませんが、われわれとしては、一応通説をとっておるということでございます。
○和田静夫君 日銀総裁、同じ質問なんですが、景気は一体一服しているのか、あるいはリセッションなのか、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
○参考人(前川春雄君) なだいまお話がございましなように、経済はこのところやや足踏みの感があるわけでございます。昨年来、重要項目の中で個人消費あるいは住宅が悪い、したがってそういうものに関連のある中小企業関係が余りよくない、そういう状態が続いておりましな。 しかし、一方では在庫調整も大体完了しておりますし、大企業の設備投資は依然底がない状態である、企業収益もわりあいにいい状態であるということから、非常に緩慢でございまするけれども回復過程にあっなと思います。なだ、昨年の十一、月ぐらいから輸出が非常に伸び悩んでまいりましなので、そういうことが生産あるいは出荷の面でもこのところ若干停滞の色が濃くなっておるように思います。そういう意味で足踏み的な感じになっておりますが、ここへ来て景気の流れが急に落ち込んでいるとか変わっなとかいうようなことはない、一時的な足踏み状態であろうかなというふうな感じを持っております。
○和田静夫君 私は政府関係機関を別に信用しないわけじゃありませんが、どうも景気をよく見ようよく見ようという思惑の方が先走りをしているとでも申しましょうか、そういうような意味で目を曇らせているのではないだろうかという感じがして仕方がないのであります。 なとえば、一九二九年世界恐慌を考えてみますと、当時アメリカの政府は、恐慌が発生してから一年を経てもなお楽観的な見通しを変えなかっなという有名な話がずっと今日歴史的に語られているわけですね。どうも私から見るといまの日本政府も、日本経済というのは健全なんだという、その健全性神話とでも申しますか、そういうものに取りつかれているという気がしてなりません。どっちみち私なちの見通しが当なるのかどうかというのは、もう少し時日を経過すればわかってくるわけでありますが、この半年なり一年なりの経済過程を見て、何か景気予測に対して反省点は総裁ございませんか。
○参考人(前川春雄君) 私ども昨年には、いまの景気あるいはGNPの中の重要項目の中で個人消費がもう少し回復してくるであろうという予想を持っておりましな。 そういう予想をいなしましなことの背景には、消費者物価が安定しておる、世界じゅうで日本が一番安定しておっなというふうに思います。そういう意味で、消費者物価が安定する限り実質的な消費というものは少しずつ回復してくるのではないかという予測を持っておりましな。ところが、御案内のとおり、個人消費はなかなか予想しなような回復を示しておりません。 翻ってみますると、名目所得が思っなほどふえていない。これは一つは、私ども去年の春闘の数字が前年より高かっなのにやや期待を寄せ過ぎておっなのかと思います。ところが、春闘の数字はそういうふうに高かっなのでございまするが、その名目所得はそれほどふえてなかっな、あるいは企業の減量経営というものが非常に活発に行われななめに所定外の労働時間というものが非常にカットされな。それがまな名目所得の増加につながらなかっな。あるいは同じように減量経営の結果、賞与等が余りふえてなかっなというようなことがございます。そういうことから消費が思っなより伸びなかっなということはございます。 そういう点で、経済の予測というのはやっぱりそのときどきの状況というものを見きわめることが一番大事でございますが、私どもも必ずしも私どもだけの判断でそういうことを判断を下しなわけではございません。いわゆる短観と申しますか、企業から毎三カ月ごとにアンケートをちょうだいしております。そういう短観にあらわれておりまする企業の一般的な見通しも、やはり私どもが立てましな見通しを裏づけるようなものがあっなものでございますから、これは何も私どもの責任を転嫁するわけではございませんが、そういうことから、一般的にそういう経済的な予想というものが業界全体にもあっなのではないかというふうに思っております。そういう点で、そのときどきの実体の判断というものは、経済は非常に早く変化いなしまするし、海外の影響も受けまするから、必ずしも固定的に判断しないで弾力的に判断していくべきものではないかというふうに考えております。
○和田静夫君 大臣、同じ質問なんですが、さらに関連して、円安の基調が続いています。その要因は何だろうかということなんですが、日本経済のファンダメンタルズがどうも芳しくないのではないだろうか、そういう見方が強まっているわけです。事実、国際収支は悪化をいなしています。日銀総裁も予算委員会の議論の中で見解を表明をされておられなのを読んだんですが、、大蔵大臣、この辺はどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもといたしましては、ともかく円安の理由がわからないというのが率直な気持ちだっなわけです。物価はいいし、失業者は少ないし、消費節約が徹底して消費が伸び悩んだということは事実でございますが、しかし安定基調にある。まな、そこへきて去年の秋から暮れにかけて貿易が意外に伸び悩んだというようなことは、確かにファンダメンタルズの一部にそういう暗い影があっなということは言えるんじゃないか。しかし、何といってもアメリカの高金利というものが最大の円安の原因ではないだろうか。 なとえば、きのうきょう二百四十五円というような円安が出ておるわけでございますが、これなどもドイツとかフランスとかヨーロッパで先週公定歩合の引き下げを少しだけれどもやっな。そのことがよけい金利の乖離というようなことでヨーロッパ通貨が下落をする、その余波を受けて円も道連れになっている、こういうように私どもは見ておるわけであります。 しかしながら、財政赤字というような点は決してファンダメンタルズにいい影響を残すわけではございませんので、われわれは極力そういうようなものは取り除いていくような努力をしなきゃならぬ。そのなめにも、やっぱり外国の景気が悪ければ貿易も伸び悩むというのは当然なわけですから、それによって余り景気が落ち込んでは困る。したがって、国内対策としては現在も景気の落ち込みを防ぐなめにいろんな公共事業の前倒しとか、住宅対策の増強とか、そういうものはやっていきない、そう思っておるわけであります。 どこにどういう原因があって円安だ、もう数字的に言ってみろと言われましても、私も実際のところわからないというのが本音でございます。
○和田静夫君 言われるように、アメリカの高金利が円安に影響しているというのは間違いがないわけでありますが、ファンダメンタルズといいますか、あるいはもう少し広く経済力というふうに言いかえますか、そういう点から見て円は安く評価をされています。ECの蔵相理事会のニュースがいろいろ伝えられてきていますけれども、ここでも言っていますように、日本政府というのはやっぱりもっと円高への努力をすべきだ、こういうロジックになるのだろうと思うのですが、この辺はいかがお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ややもすると一部外国の識者の中にでも、われわれ会っても、日本は輸出を伸ばすために円安政策をやっているんじゃないかというような誤解のある方がときどきございます。そんなことはもう絶対にありませんよ、われわれは円高工作はときどきやることもありますが、円安の工作なんてやったことは一回もないというわけであります。したがって、そういうような、むしろ円高になるようにいろいろ工夫はいたしておりますが、円安の工夫はいたしておりません。
○和田静夫君 そうでしょう。ときどきあると言われてみても、サッヂャーなども乗り込んで行きまして円安を誘導などというような形でかなり意見を述べています。江崎ミッションに対してもそういうことを非常に強く述べているというふうに伝えられているわけですね。 私は、日銀総裁の、ずっと予算委員会、衆参両院におけるところのいろいろのお考えなどを聞き、あるいは読みながら、円はもっと上げるということだというふうに思うのですが、そうだとしますと、これは時期を見て積極的に介入をされるということになる。また、記者会見等を通じてはその介入の意思などというものもうかがい知ることができるわけでありますが、日銀としては介入の効果というものをどういうふうにお考えになっているのでしょう。
○参考人(前川春雄君) 介入によりまして、介入は主として経済の実体以上に相場が上か下かに大きく振れるというようなときに、そういう大きな波動をならすということが介入の主たる効果であり、また目的でございます。介入によって為替相場水準をある一定の水準に維持するということは、なかなか困難でございまして、特に市場心理が大きく振れておりますときに、一定水準に、介入によって一定水準を維持するということはなかなかむずかしいことであると思います。 ただ、介入をすることによって当局の意図がそこではっきりする。それが市場が相場を判断する、あるいは市場が先行きについての一定の判断を、相場感というものが出てまいりまするときに当局の意図がそこではっきりするということは非常に重要なことであろうというふうに思っております。 そういう意味で介入——為替相場は一つの国の通貨とよその国の通貨との相対関係でございまするから、相手の国もそれに応じてやるというようなことがございますと、よけい両当局の意図がそこではっきりするというので、市場がそれにうまく反応するということがしばしば行われます。そういう意味で、協調介入ということがある場合には非常に有効であるというふうに私ども考えております。そういうことも言ったこともございます。 そういう意味におきまして、介入は一定の相場水準を維持するということはなかなか困難でございますが、当局の意図をそこではっきりさせるということ。それと同時に、相場が人気的にあるいは投機的に一時大きく振れるということを防ぐ効果があろうというふうに思っております。
○和田静夫君 円安の要因として長期の金利の下げが大分影響しているという、そういう市場筋の観測がございますね、これはどうですか。
○参考人(前川春雄君) 昨年来日本の国際収支は、経常勘定はずっと黒字を続けておったわけでございますが、そういう経常勘定の黒字にもかかわらず円が安くなっておるということにつきましては、国際収支の数字から判断する限りやはり長期資本の流出が非常に多いということが影響しておったというふうに思います。長期資本の流出にはいろいろまた要因がございまするけれども、そのうち非常に大きな要素といたしましては、内外の金利差というものがあったというふうに思います。 御承知のように、アメリカはいまインフレ抑制のために強い引き締め政策をとっておりまして、その結果アメリカの金利がまた非常に高いわけでございます。そういうことから内外金利差が異常に広がっておるという状態でございまして、それが資本勘定の流出を通じて円安につながっておるというふうに思っております。 長期金利につきましては、アメリカのいま国債の利回りが大体一三・五%ぐらいでございましょうか、ということでございまするから、日本の国債の利回り約八%弱というのに比べますると五%ぐらいの内外金利差があるということが本邦資本の流出には大きな背景になっておるというふうに思っております。
○和田静夫君 円高が景気の回復にプラスであるという意見もありますが、この点は総裁としてどうお考えになっているのか。 たとえば、円高になれば交易条件を改善をして物価を安定させて、景気の業種別な跛行性を解消するんだと、これは、この間出された富士銀行レポートの結論のようなんですが、そういう点いかがでしょうか。
○参考人(前川春雄君) 私どもそういうふうに思っております。 円安になりますると、日本のように原材料あるいは燃料、石油関係、エネルギー資源というものをほとんど全部海外に依存して知りまする国にとりましては、円安はすぐに国内の輸入物価を上げる。国内の輸入物価が上がりますると全体にインフレ的な傾向になるということでございまするので、そういう意味から円安ではなくて円高に維持してまいらなければいけないというふうに思っております。経済成長というものと物価というものとの関係は、私どもは、経済成長を維持しようと思うときは物価がある程度上がってもしようがないというような考え方ではございませんで、むしろ物価が安定しておるということが持続的な経済成長のためには不可欠の要素であるというふうに思っておりまするので、そういう意味から申しましても、ぜひ円高に維持してまいらなければいけない、それが景気につながるんであるというふうに思っております。
○和田静夫君 大臣に、この十六日の閣議でいまの長期金利の引き下げを行うことが確認をされたという報道があるわけですが、これは事実ですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのような記憶はございません。
○和田静夫君 総裁、判断がなかなかむずかしいと考えられるんですが、長期金利の引き下げというのは、お話がありましたのをずっと類推して考えてみまして、資本の流出なり円安の心配もあるわけではありますが、その辺は総裁としてもう一遍どういうふうに御判断になっているのかということをお聞きをしたいことと、資金需要が後ろ向きになってきているとかなり報道されるわけですが、そのような観点からは一体どうなんですかね、ここのところは。
○参考人(前川春雄君) 長期金利は長期債券市場の相場水準あるいは利回り水準ということによって決まってくるわけでございます。 最近、株式市場は非常にぐあいが悪いわけでございますが、一方、債券市場は相場が上昇いたしまして、長期債の利回りは下がってきております。長期債の利回りが下がってまいりますれば、長期金利につきましても引き下げ得る環境になってきておるということは一応言えるのではないかというふうに思います。長期債の条件はそのときどきの市場実勢に応じて、長期債の発行条件を決めるべきものだというふうに私どもかねがねそういう考え方を強く持って、そういうことも発表しておるわけでございます。そういう意味から、いまの長期債の市場実勢が本当に利回りが下がってくる状態であるということならば、長期金利についても引き下げられる環境になってきておるのではないかというふうに思っております。ただ、最近の長期債の価格上昇、長期の利回りの低下というものがきわめて急でございます。果たしてそれが市場実勢を反映しておるかどうかという点につきましては十分見きわめる必要があろうというふうに思います。 長期債の発行条件につきましては、昨年にもいろいろの動きがございました。その市場実勢の判断というのはなかなかむずかしいわけでございまするので、その点につきましては十分市場実勢の判断というものを慎重に行う必要があるというふうに思います。 先ほどお話がございましたように、日本は意図的に金利を下げて円安を誘導しているといういわれなき非難が海外にあるわけでございまするので、そういう折からでもあり、よけい金利の引き下げというものについては慎重に判断してまいる必要があろうというふうに思います。 後ろ向きの資金需要が少し出てきているということが一部報道されております。先ほど申し上げましたように、素材関係の在庫調整は現在のところほとんど、ほぼ完了しておるわけでございまするので、そういう意味の在庫のための資金需要というものは余り新しいものは起きておらぬというふうに思います。ただ、このところ輸出がちょっと伸び悩んでおりまするので、輸出品の滞貨が一部に出ているということはあろうかというふうに思いまするけれども、これもいまの日本の業界は非常にいろいろ情勢の判断が慎重でございまするので、非常に大きく滞貨がたまっておるということでも必ずしもないだろうというふうに思っております。 そういう意味で、総体から申しますると、いまのところは資金需要は余り強くないという状態が続いておるというふうに考えております。
○和田静夫君 そうすると、マネーサプライの面から見て金融緩和というのはとり得るのでしょうか。
○参考人(前川春雄君) マネーサプライにつきましては、基本的に私どもは第一次のオイルショックの後非常に大幅にマネーサプライがふえまして、それがいわゆる狂乱物価にも一部そういうことが背景になったという反省がございまするので、第二次のオイルショックに当たりましては、その点、マネーサプライの管理ということにつきましては非常に慎重にやってまいったつもりでございます。 ただ、金融政策全体といたしましては、一昨年の夏以来、御案内のように緩和政策をとっておるわけでございまして、公定歩合はその後四回にわたって引き下げましたし、また量的な面につきましても、たとえば窓口規制というのはことしの初めから銀行の自主的な判断に任せるという姿勢をとっております。これは、いまのように景気が沈滞しておりまするときに金融は緩和政策をとるということのあらわれでございまするが、その結果銀行の貸し出し金利が下がってくるというのと同時に、マネーサプライにつきましてはその前年比の計数から見ますると、かなりゆったりしてまいっております。昨年の秋以来、マネーサプライの中のM2プラスCDで見ておりまするが、これ前年比の上昇率が一〇%台になっておるわけでございます。一〇%というのは果たして高いのかどうか、適正なのかという点の判断というのはなかなかむずかしいところでございまするが、最近の経済成長、名目成長率は非常に下がっておる状態から見ますると、マネーサプライのいまの水準というものは私どもが許容し得る範囲の上限にあるというふうに思います。かなりゆったりした状態であろうというふうに思います。これ以上マネーサプライの増加が加速するということは避けた方がいいというふうに思います。マネーサプライの管理というのはなかなか短時日には行いがたい、何ヵ月かかかるわけでございまするので、そういう意味から、私どもマネーサプライにつきましては、慎重に見守っておる段階でございます。
○和田静夫君 こめ長期金利を下げることによって設備投資が誘発されると一般的に期待されているようです。私は、いまの資金需要から見て、どうもこの点は疑問に思えるわけです。逆に、円安の不安が強いと考えるわけですが、そこで、この為替相場と利子率の関係なんですが、これについてはどういう御判断でしょうか。
○参考人(前川春雄君) 利子率というのは、企業の利潤というものが大きな要素でございますが、一方インフレ率というのが非常に大きな要素になります。インフレが高いときにはどうしても利子率は高くならざるを得ない。 アメリカのいまの高金利というものは、インフレ率から言えばやや高いわけでございますが、アメリカの金利が高いということは、一つはアメリカのインフレが異常に、去年は二けた、最近になってようやく一けたになってきたということから、利子率もやっぱり高からざるを得ないという関係にあったというふうに思います。利子率がその国によって違いまするために、資金というものは、資本はやはり高い利子のところに流出するというのは、これは経済原則からいって当然でございまするので、そういう意味から利子率の高いところへは資本がとかく流れ出しやすい、それが為替相場に影響するということは、一般的にそういうことが言えると思います。 ただ、それでは利子率が同じでなければいけないのかということになりますると、必ずしもそういうことはございません。利子率がある程度の違いがございましても、それは先物相場であるとかあるいはその他の判断によりまして、必ずしも利子率が一定でなければならない、同じでなければならないということではございませんけれども、利子率が変わってまいりまする結果、それが為替相場に影響を及ぼしているという面はかなり大きいというふうに思います。
○和田静夫君 日銀総裁、アメリカの高金利に対してはどういう見解をお持ちですか。
○参考人(前川春雄君) アメリカ側が高金利になりましたのは、先ほど申し上げましたように、アメリカが非常に強い引き締め政策を二年半ぐらい前からとっておるわけでございます。 アメリカがなぜそういう強い引き締め政策をとり始めたかということにつきましては、一九六五年ぐらいから、アメリカの経済社会にはインフレというものは根づいてしまっておるわけでございまして、インフレ期待感という、物価先高感というようなものが一般に非常に根づいてきたということがその背景にございます。このインフレ期待感というものをどうしても断ち切らないとアメリカ経済の健全な発展は期待しがたい、ひいては世界経済にも悪い影響があるということからこういう強い引き締め政策がとられたわけでございます。マネーサプライをコントロールするということがアメリカの金融政策の主たる目標になりまして、その結果、金利がかなり大きく変動することはやむを得ないという、言ってみればそういう政策がとられておるわけでございます。 そういう意味におきまして、アメリカ当局がアメリカに根づいておるインフレ期待感というものを何とかここで根絶やししようという努力に対しましては、私どもそれは必ず世界経済にもいい影響があるということから、これを支持する立場にございます。ただその結果、金利が非常に高いところに、特に昨年のようにインフレ率が二けたのときに金利水準がやはり二けたであるということは、これはある程度やむを得ないことではございますが、最近のようにインフレ率が一けたになった、八・何%ということになってきておるにかかわらず、金利水準が依然として一四、五%という二けたであるという点につきましては、実質金利がそれだけ高くなるわけでございまするので、この点はやや金利水準が高過ぎるのではないかという判断を持っております。 そういう意味で、ここのところはアメリカのインフレ期待感というものが、最近の大きなアメリカの労働組合の賃金交渉等にもあらわれておりまするように、ややその期待感がおさまってきているという環境にもございまするので、そういう意味におきまして、このインフレの鎮静とともにアメリカの金利水準も下がることを期待しておるわけでございます。
○和田静夫君 総裁、どうもありがとうございました。 大臣、十−十二月期の国民総支出の速報値を見て思うのですが、景気のリード役が見当たらないということです。幸い個人消費が上向きかけているわけですから、ここはひとつ減税によってはずみをつけるということが可能であろうと思うんですが、一応財源問題をペンディングにした上でお聞きするわけですが、景気政策としては減税が必要であるという見解についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 減税は景気政策にプラスになることは、私はなるだろうと。問題は規模の問題。日本のように貯蓄率が非常に高い、アメリカ五%、日本約一九・五%ぐらい、ヨーロッパで大体八から一〇ぐらいですから、そういう中で減税やってもアメリカのような効果はない。 それからもう一つは、景気対策としてやるということになりますと、三百七十数兆、二百八十兆近い国民総生産の中で何兆円やればいいのか、少しぐらいではほとんど焼け石に水で、これは景気対策としては余り御利益ないんじゃないか、三兆とか五兆とかという話なら別です。だから課税最低限が五年間も据え置かれているという現実の問題として重税感があって、それだから減税しろという要求は私はわかるんです。これは。 だけれども、問題は景気対策としての減税ということになりますと、それだけの膨大なそれじゃ財源をどこから探すかという問題との絡みになりますから、私は、マイナスにはもちろんならないだろうけれどもプラスになる程度が少ないし、そのために大幅なそれに見合った歳出カットあるいは他の財源探しというようなもめをあわせ考えると、現在の段階で景気対策止しての減税というものはまあ考えられないんてやないだろうかという気がいたします。
○和田静夫君 国民総生産のいま述べた十−十二月期の速報値はきわめて悪いわけですね。マイナス成長だということですが、そうすると、マクロベースでの環境はさらに悪化しているということだろうと思うんです。それでも歳入不足はそれほど深刻ではない、そういう楽観的な見通しをこれはお持ちなんでしょうかね。
○政府委員(福田幸弘君) 十−十二月の経済成長のダウン、これはやはりマクロ的には税収には影響があろうかと思いますが、具体的にどういう形であらわれてくるかという問題になってくると思います。それがあらわれるかあらわれないかという問題も含めまして、具体的にはやはり各税目ごとにどういう姿で影響するか、われわれとしてはこの経済指標のダウンのところで、内容的には国内民間需要の回復という面もございますから、これが物価の安定を踏まえて今後どうそれがつながっていくかという問題。 それから個別で申し上げますと、最近の税収のところでは大法人のところがわりにいい数字が出ておるということもございます。それから物品税の方もわりに快調な数字が続いています。で、むしろ個別実績的な今後の見通しということで、すぐにこの十−十二月のダウンが全体の税収に直に影響するというふうには積み上げ的にはいまのところ考えられないというか、見通しが確たるものがないということで、補正後の予算を置かざるを得ない、それを置きかえる確たる数字がないというのが現実でございます。
○和田静夫君 二月の初めごろかなり歳入欠陥が出ると言われたわけですね。その税収の見通しは改善されましたか。
○政府委員(福田幸弘君) 税収の見通しにつきましては、補正の段階でそれまでに発生することが確実と見られた、すなわち五十五年度の決算べースでは二千七百ほどの税収の減でございましたから、それを受けましたその後の経済の低調、物価の安定を反映するものとしての補正減は立てましたが、その後におきましてどうなるかということにつきましては、税収見積もりとしましては補正後の予算額をそのままに考えておったわけで、その赤字が出るというようなことをわれわれとして予想したということはないわけでございますので、補正後の予算額がそのまま見積もられたままであるということで、繰り返しますが、マクロの最近における影響は、これはやはり経済をバックにしておりますので税収にも影響があるかもしれませんが、また個別の積み上げでいけば明るい要因もありますので、そこのところは補正後の数字のままでよかろうということで、赤字が幾らであったというようなことをまた見直して、また赤字がどうなろうかというようなことは考えていない。また見直しもできない状況にあるということであります。
○和田静夫君 どうも大蔵省のがよくわからないんですけれども、私はたとえば一番具体的に、この積算の根拠がよくわからないので議論のしようがないんです。 時間をとり過ぎましたから、法人税等のところで少し突っ込んだ話をやりますが、実は昨年のこの補正予算審議の際に、わが党の竹田四郎委員と大蔵大臣、主税局長の間に約束が交わされました。で、補正の際の税収見積もりについて、いろいろ大蔵大臣べらべらとおしゃべりになるけれども、率直に言って、言われていることはわからぬという前提を竹田さんは置いて、そしてもっとわれわれにわかるようなはっきりした資料を出してもらいたい。大蔵大臣はそれについて、極力御趣旨に沿って、もっと親切でわかりやすいものを今後出すように努力いたします。こういうふうに答えられて、昨年よりももっと親切でわかりいいものがことしは出されたのだろうかと思って、実は租税及び印紙収入予算の説明などをずっと見てみたんです。まず主税局長、どこが一体改善されたんですか。
○政府委員(福田幸弘君) これはいろいろ検討した結果でございますけれども、やはりこれ以上の書きようがないということで、むしろ御質問に応じてお答えした方がいいと思うんですが、一般的に申しますと、やはり経済の見通しといいますか、それが前提になって予算編成が行われている時点、すなわち十月の終わりから十一月、その辺における経済の全体の見通し、これは政府経済見通しということになります。その政府経済見通しのところでわれわれはやはりマクロで見なけりゃいけませんので、ここでは生産、物価の動向ということで、ここに計算過程にございますように、申告税額としては九%増だということに見積もっておるわけでありますが、これはいま御説明許していただけば、所得の発生期間というのが各税、この法人税については所得の発生期間とそれから月別決算利益の割合と、こういうふうにこうなってきますので……
○和田静夫君 ちょっと私の質問だけにまず答えてください。
○政府委員(福田幸弘君) そういうふうな細かな説明になってきますと、どうしても御答弁の形で申し上げていくしかないんですが、マクロでは使っておりますが、それは課税ベースに置き直していくということで、あと予算年度に入ってきますと、むしろ経済の実際の動きが法人税収の個々の業種にどう影響するかということに移っていくというわけで、どうしても法人税収、これは一番法人税が不確定要因というか、見積もりがたいわけで、これは五十三のところで三月決算で取り込んだんで、来年の三月決算をいま見積もるという話で、ことしの三月、いまの三月は五十六年のところに影響するということでございますね。昔でしたら、いまの三月決算というのはむしろ五十六年度のところに入ってくるわけです。五十六年のところの根っこには去年の三月が入っておったわけですから、そこがこうずれておるところが、今後決算が出ます三月が非常にその辺、ことしのところの根っことして見積もりがむずかしい問題と同時に、来年の三月が五十七年の税収見積もりにかかわってくる、そこに非常なマクロの物価とか鉱工業生産を使うこと以上にむずかしさがある。しかも法人税の割合が三割という大きなウエートを占めておる。しかも三月決算というのは法人税収のまた三割を占めておるというようなことで“この辺ちょうど予算を見積もる時期にはまだ法人税収が二割も入っていない時点で、五十六年度を固めながら五十七年度さらに見積もるという非常に至難の技になるわけでございます。 これは、OECDのやはりわれわれと同じような仕事をやっています税収見積もりの委員会が租税委員会の中にあるんですが、法人税収の見積もりが最も困難であると、こう言っておるわけです。特に日本の場合はそういう特殊な先を見積もる、しかもウエートが大きいというので各国に例のない非常にむずかしい見積もりである。で、もう一つ言っていますのは、法人税収の見積もりの誤まりの主な原因は、マクロ経済予測自体がその時点時点で実績と食い違うということにあるわけです。 ちょっとお答えとしましては食い違いますけれども、経済見通しにおける種々の指標自体かちの見積もりをいかにこういたしましても、そういう前提があるということをお答えして御理解願いたいと、こう思います。
○和田静夫君 これは理解できませんから、法人税のときに、いまもっと突っ込んで実はここでやっといて少し法人税の質問を考えようと思っておったんですが、時間がなくなってきましたから、そこのところはちょっと飛ばします。 そこでグリー/カードは、穐山議員の本会議質問等を通じての答弁で大体出尽くしているし、予算委員会の野末さんの論議でも大体出尽くしていると思うんですが、とにかく反対論がまたぞろ噴き出してきた。大蔵大臣は予算委員会、本会議で、既定方針どおり進まれるという決意を述べられた。私はこれは大変結構なことだと思うんです。 そこで、ちょっと確認しておきたいのですが、高額所得者の減税問題、超累進税率の緩和をグリーンカード導入の見返りにはしない、こういうことで、大臣、確認しておいていいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は見返りにどうこうと言ったんじゃございませんので、要するに総合課税に移行するというようなことになった場合においては、現在の所得税体系というものにいろいろ問題があると。 その一つとして、たとえば資産合算制度というのがございますね、いま。女房の持っていた貯金についても、あるいは利子配当についても、主たる所得者の方に合算して申告すると、そういう制度が片方にあり、一方において現在の累進構造というものが非常に強いと。昔から言えば、一千万円というような高額所得者と言われてちゃんと申告も表に公表するということになっておるわけです。ところが、いま銀行とか、証券会社とか、デパートなんかでも課長になると一千万円に届く人は幾らでもある、課長クラスで。ですから、これが本当にその高額所得者なんだろうかと、いまどき。ですから、その辺からえらいきつい税率にする必要が果たしてあるんだろうかという疑問が一つある。 それから、仮に、今度はグリーンカードで要するに総合課税にする。たまたま郵便局にもちょっとしかない、国債も買ってなかった、五百万円銀行にあったという場合には、三百万だけはマル優になりますが二百万円についてはこれはマル優の枠から外れるから、当然その所得については、利子については合算されます。そうすると、仮に一千万円の人が合算されると五二%の税率が今度はかかることになるわけです。一千万円から一千百万で四八、一千百万から一千二百七十万ぐらいまでが五二と、所得税が三八の住民税が一四ですからね。いままで分離課税については住民税はかかってないわけですから、今度は住民税もかかるということになる。そうすると、この辺の人の預貯金について、三百万オーバーした分は五割以上の課税。いま三五だけれども今度は五二以上取ると。それが七、八千万になると八八とかそういう数字になってくるわけです。そういうことは世界じゅうどこでもやっているところはない、世界じゅう。合算制度に総合課税の国はありますが、そういうところは非常にその税率が低い。日本の所得税率は七五%、うちは所得税だけで七五だけれども、アメリカが五五からこれを五〇にすると、最高税率を。イギリスは六〇、ドイツは五六、フランスは六〇と。総合課税になっているところでみんなこんなに高いところはないわけですよね、これは世界じゅうに。所得税だけで七五なんというのは。 したがって、総合課税にするんならば、世界の例にならって総合課税にするんだから、その税率の問題等もやはり世界の例にならってやるんだから、この方も世界の例にならってやらないととんでもない問題が起きるんじゃないのかと。要するに資本逃避の問題もございますし、いろいろそういう面もただ感情論だけでなくて、やはり経済の実態論というものから一遍いずれは抜本的に見直さざるを得ない時期に来ておると、所得税の大改正という問題ですね、これは。部分的な問題は別として、財源があるのかないのかという別な問題はありますよ。別な問題ありますが、理論から言うと、やはりこれは総合課税をするならば全面的に見直すべき時期に来ておるということを、私は持論としてずっと言っているわけです。それだけのことなんです。
○和田静夫君 大臣、端的に言って五十八年度の税制改正は何か考えているんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまのところもう忙しくて、予算委員会でいっぱいで何も考えている余裕がございませんから、国会でも終わりましたら真剣に考えさせてもらいたいと思っております。
○和田静夫君 いや、しかし先ほどからの答弁の部分については、五十八年度税制改正では手をつけないというふうに理解をするわけですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはできれば早い方がいいんでしょうが、現実の今度は財源問題という問題とのぶつかり合いがありますから、いまここで私がどうこうということは申し上げられません。ことに、衆議院でこの減税問題という問題については中長期的な観点に立って、大蔵委員会でも与野党で協議しようということに、これは国会で予算が成立後すぐ始まろうということになっておりますから、私が予断をもってここで先にべらべら申し上げることは大変僣越でございますので、控えさせていただきたいと思っております。
○和田静夫君 権威ある参議院の大蔵委員会ですから述べられたって一向に構わないんですが、六月のパリ・サミットなんですが、これは考えてみると当然日本機関車論とでもいいますか、そういうことで欧米諸国が攻めてくるという予測が成り立ちます。五十八年度は五十七年度のように超緊縮予算をそのような状況の中で組めましょうか。サミットで断固として日本機関車論を排撃しない限り超緊縮予算は組めなくなるだろうと思うのですが、大蔵大臣としては財政を預かっている立場からこれはどういうような見解をお持ちですか。また、どう対処されますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも私としては、日本とドイツがかつて機関車論だという、牽引車だと言われた時代があります。しかし、それは私は引き受けることはできないと言おうと思っている、はっきり。むしろアメリカの高金利というような問題が世界じゅうに迷惑——迷惑をかけていると言っちゃなんですが、みんなそう思っているわけですから。したがって、イギリスもだめだ、ドイツもフランスもかなり国際会議においては非難をしているんです。これは正直のところ表に全部出ておりませんが。 イギリスは、去年のサミットのころはサッチャーさんなどはアメリカに同情的で、そんなことを言ったってアメリカがインフレ対策上やらざるを得ないと言うんなら仕方ないじゃありませんかと話があった。ところがこの間になりますと、あそこのハウ蔵相などは、かなりやっぱり変わってきまして、われわれと大体似たような発言をするようになりました。したがって、やはりサミットではこのアメリカの金利問題というのが大きなテーマになるんじゃないかと。だから、日本とドイツの機関車論というのはなくて、彼らの言っているのは、かつてはドイツも日本もその機関車論でやってやったし、それからドルの大暴落というときに世界じゅうみんな友好国が協力をしてドル支えをやってやったわけですよ、ドル支えを。だから、今度はわれわれが困っているんだからアメリカも自分の都合のいいことばかり言わないで、われわれのことについても当然にこのレートの維持というような点については、それは今度はアメリカがお返しする番じゃないかという議論が現に出ているわけです。ですから、それぞれの国いろいろな事情がございましょう。しかしながら、協力するものはいたしますけれども、私は機関車論を背負うようなことはいたしません。 それから超緊縮問題ということについては、これはもうどこの国でも歳出カットをやってそして身軽な政府になろう、そうでないと国債の元利払いがとてもできない。それからインフレを起こしてしまうというような点でやっておるわけですから、われわれとしても日本だけがやつちゃ悪いんだと言われても困るわけです。ほかの国は日本よりももっと国債依存度は少ない。少なくてもやろうと。フランスだけでしょう、国債をもっとふやして、あそこは依存度が非常に少ないから。むしろ国営事業をいっぱいつくって失業者を救った方が先決だと。その方が優先度があるんだと、これはミッテランはそう言っているわけですから。 それ以外の国は、やはり財政赤字というものを減らす。日本もそういうことが民間経済の活性化のために必要だという点でやっておるんでございまして、こんなものは程度問題という問題もございましょうが、全体の経済情勢、財政事情等全般的に見渡して適切なやはり歳出削減あるいは抑制というものはやらざるを得ないだろう。負担の問題と裏表ですから、片方では所得税減税をやれと言っているんですからね。財源を失うわけですから。だから歳出だけふやすと言ったら赤字公債ふやす話かという話にすぐなってきますので、それらの全体の絡みの中で適切な処置をとるということ以外には、それ以上具体的にどうするということはいまの段階では申し上げるわけにはいかないと思います。
○多田省吾君 私は、まず経済見通し等について大蔵大臣にお伺いします。 昨年の九月ないし十二月期の経済はマイナス〇・九%ということで、大方の期待を裏切って大変いま経済は低迷をしております。先ほど御答弁もありましたように、個人消費や住宅投資の低迷、中小企業の設備投資も相変わらず低い。さらに加えて輸出の低迷、大企業の設備投資や電機関係等にもかげりが生じております。この結果においての最大の見込み違いはやはり家計部門の低迷にあると思います。二年連続可処分所得がマイナスになったというような姿がありますが、この家計部門の消費の低迷という現象をどのように大臣は認識されておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 消費支出が減っているということは事実なんです。これは可処分所得が減ったからだという意見もございます。それも一つの私はりっぱな御意見だと思っております。しかし問題は、それよりも何よりも、要するに消費節約ムードというのが全国民の中にしみわたったのではないだろうか。 去年、おととしから政府は、省資源、省エネルギーということで石油の消費節約大運動というものを国を挙げてやったと、これは間違いのない話であります。民間においても減量経営をやった。企業はそれなりにみんないろんなそういうことで生き延びてきた。ところが、その企業に勤めている従業員がそれによってボーナスももらえ、月給も上がったというわけですから、家へ帰ってそのままにするんならばいいけれども、逆にやはり会社で教わったことと同じことを家庭でみんなやっているんじゃないのかと。どこの家庭でも電気を消せとかガスを消せとか、やれ洋服はいっぱいあるんだからことしは買わなくたっていいんじゃないかとか、テレビだってまだちらちらしないんだから新しいのにかえる必要ない、あと二、三年はもつとか、それからもう自転車だってまだ二、三年乗れるとか、自動車にしたっていまのやつはいいから新車にかえる必要ないとかいうようなムードというものは、これは恐ろしいものでして、そういうものが節約運動、つまり消費は美徳という時代から物を大切にしましょう、もったいないという言葉が復活したというんですね。ごみが少なくなったというようなことは環境上もいいかもしれぬが、景気にはマイナスなんです。これは。 問題は、貯金がふえているんですね。可処分所得が減った減ったといいながら、個人金融資産は一一・四%去年一月−十二月でふえて三十五兆三千億もふえちゃった。だれがこれ一体ふやしたものなのか。不景気なんだからそんな貯金ができるわけがない。ですから問題は、消費節約をして生活を切り詰めて貯金に回しちゃったということも言えるのではないだろうか。はっきりした証拠ありませんよ、ただ、統計上の数字から私物を言っておるわけですから。しかし、結果はそういう結果が出ておると、そういうことであって、私は、この消費節約の問題というのが一番景気にも影響があったというように考えております。
○多田省吾君 私は、いまの大臣の答弁はやはり庶民感情に合ってないし、庶民感情を逆なでするような御答弁ではないかと、このように感ずるわけです。まあ節約という面が全然ないわけではありませんけれども、それ以上にやはり五十六年のいわゆるベースアップにしましても、大企業労働者で七・七%、中小企業労働者に至っては五・七%、パートの御婦人に至っては四・四%と非常に低かったわけです。その上に、五年連続の課税最低限の引き上げがなされなかったということで実質増税になっているわけです。その上に、いま非常に大変なのは住宅ローンの返済ですよ。ですから、私は、パートをやっておられる御婦人なんかも、その所得はやはり住宅ローンなんかに振り向けられて、なかなか消費に回ってこないという面も確かにあるんじゃないかと思います。 そういう意味で、何といってもまず今年度の春闘相場をかなり上向きにしなければならないだろうと。また、この五十七年度における一兆円の減税、野党は対案を、財源を示して迫っておるわけですから、これはやらなくちゃいけないんです。そういうものを差しおいて幾ら考えてもこれは景気回復にはつながらない、こう私は思うんです。 で、今年度の春闘相場については、大臣はどのように考えておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう大蔵大臣のお話しする問題ではございませんので、やはり労使間で話し合いによって決められるべきものである、われわれが干渉すべき問題ではない、そう思っております。
○多田省吾君 私は、特に中小企業にお勤めの方のベースアップが非常に昭和五十六年度も低かったし、その結果、個人消費が経済成長において五十数%を占めるといいますけれども、やはり私はその七、八割は中小企業にお勤めの方々の勤労者の個人消費につながっている、こう思います。 ですから、私は、やはり大臣はそのようにおっしゃいますけれども、家計部門の消費の低迷という現象を回復するためには、五十七年度の春闘相場もかなり上向きにしなければならないであろうし、また、先ほど申しましたように、五年間も所得税の課税最低限が引き上げられていないという実質増税、その上に公共サービスの料金や手数料も細かく値上げされて徹底して増税をねらっております。これも可処分所得の伸びを抑える要因になっております。特に減税の見通しがないということは、私は可処分所得の目減りの大きな原因になっておると思います。ここでくどくど申しませんけれども、そういった面をやはり考えに入れて対策を考えなければならない、このように思います。 で、税収見込みでございますけれども、政府は五十六年度の実質成長率につきましても当初は五・三%と言っておりましたが、十二月二日に暫定試算で四・七%に下方修正し、さらに五十七年度の経済見込みをつくる段階で四・一%に再度下方修正をしたわけです。 ところが、五十六年度の四半期ごとの数値を見ますと、対前期比で四月-六月期が一・二%、七月-九月期が〇・七%ですが、十月−十二月期はマイナス〇・九%、年率換算でマイナス三・五%ということになりまして、四・一%の政府見通しを達成するためには、ことしの一月−三月期で六・四%という高い成長率を達成しなければ四・一%の年率は達成できないということになりますが、これはもう絶望的でございます。河本経企庁長官もこの成長の鈍化ということは本会議や予算委員会においても認めておりますけれども、現在は五十六年度の経済成長は三%を割り込むんじゃないかと、このようにも言われております。 大臣はどのような見通しを立てておられますか。
○政府委員(福田幸弘君) 十月から十二月は確かに落ち込んでおりますが、一月−三月がどうなるかという問題がございます。それから日本銀行の短期経済観測の数字は、五十六年度の下期は対前期三九・一%という見通しを立てておりまして、これは昨年の十一月の調査よりも強目になったりいたしております。まあこの辺どういうふうに実際にあらわれてくるかどうか。 具体的に申しますと、法人税の税収の中で大法人の数字は九月以降二三、それから二九・七、一九・九と、こう続けておりますが、これがどういうふうにつながっていくか。ミクロの問題、業種別、企業ごとに違いますけれども、この数字を注目しています。それから中小法人が大法人につられてよくなってくる傾向が十月、十一月にプラス四・三、プラス五・二と税額も年税額も前期比であらわれておりますが、したがいまして、一月分の税収の法人税は一一〇・九と今年度最高を示しています。 これがどういうふうに続いていくかということが、われわれ税収見積もりの税目ごと及び各企業からの具体的な数字の集計として注目されるところで、マクロの数字がダウンしたという十−十二月は非常なやはりよくない傾向ではありますが、これがどういうふうに持ち直すかということは個個の税の方にどういう指標を通じてあらわれてくるか、そういうことで直結いたしません。懸念はいたしますが、直ちにこれで税収がどう影響するかというととは申し上げられないということであります。
○多田省吾君 この経済の低迷に伴いまして、いわゆる税収見込みも非常に不足が発生すると見込まれているわけです。衆議院の予算委員会の段階ではこんなにまでも落ち込むとは思いませんでしたので、大蔵大臣も五十六年度の税収不足の問題で責任論までおっしゃったわけでございますが、昨年の十月−十二月期の〇・九%マイナスということ、この五十七年の一月−三月期においても輸出の低迷等が言われているわけでございますから、いませっかく局長の御答弁にもかかわらず、これは経済の低迷、それから昨年の十二月の減額補正後もなお一兆円以上大きく上回る税収不足が発生するのではないか、このように言われているわけでございますが、大臣はこの税収不足見込みをどのように考えておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは見積もりの問題でございますから、いずれ主税局長から委細は説明をしていただきますが、私も実は心配はしているんです。 やはり去年の十−十二月という経済成長がマイナスというようなことは、やはり景気に影響がないと言ったらおかしいんで、あるのは当然じゃないかと。ただ問題は、経済成長の中には銀行の収益みたいのは入っていないんだそうですね、私もよく聞いてみたら。銀行などは逆に去年よりも……、銀行の収益のようなものはGNPじゃなくて短観ですか、短観には入っていないというふうに聞いております。 ところが、ある銀行——全部の銀行を聞いたわけじゃありませんが、去年よりもいいというようなことを言っておる。それから去年悪かったところはまた悪いと。去年よりもよくなったところもあるということで、非常に、税金を納めなかった人は税金を納めるようになりゃプラスになるんだし、納めなかった人はことし赤字になっても余り税収には関係ないわけですから、景気には関係あっても税収には関係ない、そういう問題等もございますので、景気というものが直ちにそっくり税収にはね返ってくるというようにも思ってはいないんです。しかしながら、全体的に見ればムードとして決してプラスのムードではないというようには直感的に感ぜられます。 以下、主税局長から説明させます。
○政府委員(福田幸弘君) われわれ税収の最初の見積もり段階ではマクロを使いますけれども、後年度に入った進行過程、特にいまの時点では積み上げ計算的なものになります。特に三月の決算がどうなるか、延納がどう使われるかとか、また為替がどう影響するかとか、いろんなファクター、いま大臣が説明しましたように、経済諸指標にあらわれない銀行等はやはり聞き込みによらざるを得ない。この辺の感触いかんで決まってきますし、実績は確実に出るわけでありますから、ただ懸念があるからといって徴税を強化するとかいうことは租税法律主義に反しますので、われわれは自然体としてその結果を待っているわけですが、いずれにしましても、いまの時点で補正後の数字をどう変えるかという確信のあるマイナス要因を数字としてつかめませんので、補正後の数字をそのまま置いて、あと不確定要因があるということで見積もっていかざるを得ないということであります。
○多田省吾君 私は、五十六年度の税収不足見込みが一兆円を大きく上回るという見通しがあるときに、それをもとにしたところの今度は五十七年度の税収見通しもこれは大変低下いたしまして、財政再建のスケジュールにも大きな影響を及ぼすと考えております。 特に、政府は五十七年度に五・二%という高い成長率を想定しております。そして、五十七年度予算案でも四兆円以上の大幅な税収増を見込んでおりますが、公共事業の七五%前倒し執行ということを決められたわけでございますけれども、五十六年度も同様の手法で、計画で七〇%以上、実績は七〇・五%の前倒し執行を行ったにもかかわらず、結果は前述のような厳しいものに終わっているわけです。 また、最近の設備投資の伸びも、ある新聞社の調査によりますと、五十七年度の設備投資計画額、工事ベースで五十六年度実績見込みに比べわずかに七・七%増にとどまり、前年度の伸び率の一一・三%を大幅に下回って、この五年間では最も低い伸びとなっております。こういう現象の背景には、やはり大型投資の三番手だった電機が後退しているということもございます。 こういったことを考えますと、公共事業の七五%の前倒しだけで本当にこの景気回復ができるかということは非常に疑わしいわけでございますが、大臣はこの点何か新しい考えお持ちですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) なかなか日本のような自由主義経済体制の中で、政府がこの大きな二百八十兆からのGNPを財政的に上げたり下げたりということは、思うようにはできない実情にございます。まして最近においては、財政硬直化で元利払いに苦しんでいるというような状態の中ですから、国債減額をやれという声は多いが、国債を増発しろという声はないということになりますと、なかなか財政的に公共事業の大幅増額なんということはできないわけですね、これは。 したがって、われわれとしてはできるものは何だと。できるものについては、まず五十七年度予算を一刻も早く成立をさして、その中で公共事業の四−九月で何十%にするか、かなり大幅な前倒しできる限度いっぱいぐらいのものをまずやってみようと。それから、住宅が波及効果が大きいというものですから、住宅についてはこれも予算措置で公庫とかいろんなものの枠の引き上げとか、あるいは厚生年金事業団まで動員して融資の増額を図るとか、土地税制を緩和して宅地の供給を容易にするとか、いろいろな手法を提案しておりますから、これらもしかし法律が通らぬことには何もできない。したがって、まず法律を通してもらって、現在提案されたものを最大限にやってみると。 金融については、日銀総裁もおっしゃいましたが、これ以上マネーサプライをふやすということはできませんということです。それから、金利の引き下げと言っても、これは先ほどもお話あったように、さらに円安を招くんじゃないかというような心配等もあって、大幅引き下げなんてことは夢にも考えられないということになると、やはり経済というものはある程度時を待たなければならないという場合もございまして、幾ら無理をしてでも、たとえば為替の安定化のために介入しても一時的なものであって、やめたらまたすぐにもとに戻っちゃうというようなことと同じでございますから、やはり世界全体の経済の動向というふうなものを見ながら、私は今後現実的な政策を考えていくしか仕方がないんじゃないかと、ほかにやりようがないんじゃないかと、そう思っておるわけでございます。
○多田省吾君 大臣所信の基本スタンスは昭和五十九年に特例債を解消することにある、こう言っております。これは六十年度から特例債の償還が始まるので、それ以前に特例債の発行は打ち切りにしたいということですが、景気回復による税収増が予想し得ない状況の中で、借りかえをしないで現金償還することができるのかどうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう特例公債は現金償還することに法律で決まっておりますから、まず法律上それはできないということです。
○多田省吾君 じゃ、借りかえは絶対しないという方針ですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法律が直らない限りは絶対できません。
○多田省吾君 法律を直す考えは絶対にないですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは国会の決めることです。
○多田省吾君 確かに国会が決めることですが、大蔵省の方針としてはその提案さえしないと、そういうことがはっきり言えますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 目下そういうことは考えておりません。
○多田省吾君 最後に、いま政治問題になっているグリーンカードについて若干御質問いたします。 グリーンカードの実施について、自民党内では三年延期の方針を決めたという報道もあります。総理は、本会議や予算委員会等において、国会で議決されたものであり、予定どおり実施していく方針だと述べられ、大蔵大臣も同趣旨の答弁をされているようでございますが、われわれは、やはりグリーンカードの立法趣旨はあくまでも不公平税制の是正にあると思っております。したがって、他に不公平税制の是正の方法がない以上、やはりグリーンカードは実施すべきだと、このように私たちは考えておりますが、中には予算が参議院を通過すると同時にこのグリーンカードの三年延期という自民党の方針に同調するんではないかと、こういうことも言われているわけですが、そういうことは絶対ないと大蔵大臣は言い切れますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう法律の問題でございますから国会の決める問題であります。われわれは現在の法律に従ってやるというだけのことでございます。
○多田省吾君 大蔵大臣のグリーンカードに対する答弁は、先ほども高額所得者に対する累進課税率の変更をおっしゃっていたりしますけれども、そのほかに、このグリーンカードも実施するかわりに総合課税から一歩後退してまた三五%の分離課税に逆戻りするんじゃないかとか、そういう可能性の示唆を御答弁の中になさったり、あるいはマル優三百万円を五百万円にするんじゃないかとか、こういうことが言われておりますが“そういうことは絶対になさらないと、そのように御答弁できますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私ども行政府で法案を提出して国会で御裁可をいただいて法律ができているわけですから、法律が直らぬ限り、これはどうするこうすると言ってみたって、そんなことできるわけがないわけであります。 私は、先ほどもくどくどと申しましたからあえて二回繰り返しませんけれども、総合課税という問題の場合は、将来、やはり現在のような分離課税制度の中で是認されておったようなもの、そういうようなもの等についてもいろいろ矛盾点がありますから、こういう点は謙虚にやっぱり一遍見直す必要があるということを私は言っておるわけです。
○多田省吾君 総合課税の御答弁は遠い将来とおっしゃっておりますが、それが五十八年度とか五十九年度とか、そういう現実的な見通しの上におっしゃっているのかどうか、その辺御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、できることならば総合課税が実施されるその年ということが一番合理的だと思っています。
○多田省吾君 そのほかに、分離課税に逆戻りするとか、それからマル優を三百万円を五百万円にするとか、そういうお考えはいまはございませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのとおりです。
○多田省吾君 私は、やはりグリーンカードを非常に危険視するお考えの中に、まあたてまえ上はプライバシーの侵害につながるとか、あるいは金の地金やゼロクーポン債の方に個人の金融資産が振り向けられるんじゃないかとか、そういうおそれというものをおっしゃっておりますけれども、その奥にはやはり五十六年に三十五兆三千億円の個人の金融資産が増加したということですか。残高が五十六年末にたしか三百三十八兆円に及んでいると言われておりますし、そうしていままでの税の取り方が世にクロヨンとかトーゴーサンとか言われまして、特に政治献金とかロッキード事件とか、そういう関連でやはり不公正な、不法な隠し資産が大分あるんじゃないかと。そういう地下経済と申しますか、アンダーグラウンドと申しますか、そういうものにいわゆる隠し資産が約一割の三十兆円から三十五兆円ぐらいいま現在もあるんじゃないかと。そういう隠し資産がグリーンカードによって表に出るおそれがあるということを非常に危ぶんでいるんじゃないかと。 また、グリーンカードの実施によって、そういう地下経済の金がどんどんふえて、そうしてアメリカやイタリアのように経済破綻まで来すおそれがあるんじゃないかとか、こういう心配が、口では言わないけれどもやはり奥にあるんじゃないかと、このように思われますけれども、大蔵大臣はその辺はどう考えておりますか。
○政府委員(福田幸弘君) 今回の改正の趣旨はやはり総合課税ということで、その関連というか、同時に非課税限度の的確な管理ということでございますので、アンダーグラウンド・エコノミーがどうであるというのは計数的にもっかめません。また、課税は的確に行われているという前提で考えるべきでありまして、そのような不正な資金を仮定するというのは本来の趣旨ではございません。総合課税が本来の趣旨であります。
○多田省吾君 大臣、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) グリーンカードを実施していただくと私は国債は売れると思うんです。それで非常に期待をしているんです。なぜかと言ったら、いま国債を三百万持っている国民なんというのは非常に少ないのですから。預金はそれ以上持っている人はありますがね。国債は非課税ですということがわかりますと、窓販で銀行でも売ってもらうということになれば、私は、国債が非常にグリーンカード実施によって売れるから非常なプラスになると、こう思っております。
○多田省吾君 私は、先ほど地下経済のおそれ、こういう心配で質問したわけでございますが、どうも局長の御答弁はきれいごと、たてまえだけをおっしゃって、税の捕捉の問題はないという前提でお答えしていらっしゃるし、もちろんこの地下経済なんというのは全然考えていない前提でおっしゃっておりますから、質問と答弁が非常に食い違っているわけでございますけれども、やっぱりそこまで考えないとこのグリーンカード問題は解決しない、このように思います。 もう一回お尋ねいたしますけれども、このグリーンカードの実施によってそういった表へ出た利子の捕捉なんかを恐れる人はいないんで、やはりいままでの隠し資産あるいは地下経済というもの、それが公にされるんじゃないかということで非常に危機を感じている人が多い。特に中小企業者等に多いんじゃないかと、こういうことでグリーンカードの見直し等が言われているんじゃないか、このように思うわけでございます。 ですから、グリーンカードの実施によって金とかゼロクーポン債とか、そういった方面に個人資産が流れる、金融資産が流れるという心配のほかに、地下経済にそういう金が流れ込んで、大幅増になって、そして日本の経済そのものの根底が揺るぎかねないと、そういうおそれは絶対ないのかどうか。それに対する対策、どう思われているのか、その辺ひとつ御答弁いただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) 金の問題は五十六年の増加額が五千億程度であるわけで、またゼロクーポンもまあ二千五百億程度でありますので、金の半分が個人の退蔵用と見ましても合わせて五千億程度でございます。個人金融資産が三百三十八兆でございますし、個人金融資産の増加額が五十六年中三十五兆ですから、マクロ経済としてそれが影響を及ぼすという規模じゃない、むしろそういうものに魅力を持っておる、また金利面からも・有利である、特に国際金利の差からそういう問題が生じておるという資産選好そのものであって、これがグリーンカードから直結したものとは考える必要はない。ただ、国際的な商品にいろんな課税上の問題があれば的確に対応する必要があろうかと思います。 また、グリーンカードの問題は非課税限度が、これはその分税金かけないというメリットがあるわけですから、それを的確に守ってもらうということは当然なことで、これが守られてないということを今後正しくするということは非常に重要でございますし、また仮名預金というものはやはり納税秩序を損なうものでありますので、そこは従来からもそうでありますが、今後さらに的確にそこが守られていくというふうに期待されるわけです。
○多田省吾君 最後に、大蔵大臣がおっしゃった総合課税に移行するときに高額所得者の累進課税率を少し低減したいと、こういうお考えでございますけれども、私はそうじやなくて、一番国民の各層の中で困っている中堅層以下の課税最低限の引き上げこそ私は一番大事なのじゃないか、このように思います。景気回復の点から考えてもあるいは国民生活の上から考えましてもその方がより重大であり、まあ高額所得者はいままでもいろいろな面で優遇されておりますし、また抜け道も考えられてきたような姿もございましたし、私はやはり一番実施すべきは課税最低限の引き上げである、特に五十七年度の一兆円減税はより重大であると、このように考えますが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は高額所得者のところだけどうこうと言っているわけじゃなくて、要するに税法全体を見直すという時期が来るでしょうということを申し上げたわけですから、その中にはいまおっしゃったようなことも当然含まれるわけであります。
○近藤忠孝君 渡辺さんに対する質問は久しぶりで待ち構えておったわけですけれども、まず最初に、先ほど多田委員の方の質問に対して大蔵大臣は、不景気の原因は消費節約ムードにあると、何かムードに責任があるようなことをおっしゃったのですが、本当なのかどうか。むしろそういうムードが出てくるその基本は何か、事実ですね。お化けみたいにムードがつくっているんじゃないと思うのです。やっぱり事実があると思うのです。それを大臣はどう把握していますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは非常に経済というのは心理的要素が大きいわけです。私は、だから石油節約運動で、日本だけなんですからね、成功したのは。去年だって一割近い石油節約が行われて、それが経常収支に大きな影響を与えたわけですから。ところが一事が万事ですね、石油だけが節約されたわけではなくて、それに関連いたしましてみんな省資源——省資源というのは物を大事にしましようということですから、そういう運動が会社の中で行われて家庭にまで広がったということは事実だと、そういうことを申し上げたわけです。
○近藤忠孝君 それは私は一面であって、もっと基本的なものがあると思うのです。現に、河本さん自身が景気回復のためには国民の購買力を高めなきゃいかぬと、やはり購買力に基本があるということをちゃんと言っておるわけです。そういう御認識はあるのですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 当然それは購買力を高めることはいいことだけれども、一方、預貯金がふえちゃつたわけです。一年に個人金融資産が三十五兆円もふえたわけですから、三十五兆三千億円。莫大な金ですね、これは。ですから、そういうように非常に苦しい苦しいと言いながら、恐らくそれは生活を切り詰めたんでしょう。そのかわり貯蓄がふえたと、金融資産がふえたという現実もある。
○近藤忠孝君 それで、先ほど来景気対策として減税の効果は少ないという一つの論拠になっていると思うんですが、もしそうだとすれば、消費性方向の高い階層に対してボーナス的にぽっと出すと。だから、たとえば生活保護費をふやすとか社会保障的なものをもっと思い切ってふやせば、逆にそれは消費購買力はふえるんじゃないか、景気は回復するんじゃないか、こう思うんですが、それはどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは決して私は否定するものではありません。
○近藤忠孝君 そうなりますと、これは財源の問題だと思うので、財源の問題はきょうの法案とも関連して午後に指摘をしたいと思います。 そこで、減税の関係でもう一つは、インフレで名目所得が上がって、そういう関係でアンバラが出てくると。そういう意味の不公正を正さなければいかぬということは先ほど渡辺さんも述べられたんで避けようかと思うんですが、もう一つ私は、この問題を考える上で所得税の自動的安定効果、要するにビルトイン・スタビライザーという機能ですね、この機能をどう考えるかということが大事だと思うんです。これは御承知のとおり、この機能というのは経済変動を反映する租税収入の増加率の自動的変化が、民間消費支出の方に変動を緩和する作用というように言われていますね。で、ただ私は、現在その機能というのはスタグフレーションの時代にその機能を果たさなくなっているんじゃないかと。果たしていればそれでいいんですが、果たさなくなっているんじゃないかと、こう思うんですが、どうですか。
○政府委員(福田幸弘君) 自動調整作用ということで累進税率を持っておるということ、それから名目に課税されるということからインフレ的な事態、所得があわせて伸びておるというときには税収が所得税の機構のもとに吸い上げられるということでインフレに対して自動調整機能を持っておると、こう言われるわけですから、それはそれなりにやはりいまなお持っておると。歳出の方でそれを使うか使わないかという問題はあわせて問題ございますが、それ自体はやはり自動調整機能が組み込まれておるというふうに考えられるわけで、その前提で物価に対してそれ自体は抑制的であるという性格は変わらない、ごう思っています。
○近藤忠孝君 もうちょっとわかりやすく言いますと、この機能の本来的機能は、まずはインフレで税収がふえると購買力が抑えられる、したがって景気は下向きになりますね。今度景気が下向きになると逆に購買力を高めて景気を上向きにして、そういうことで局長言われるとおり景気の変動をなだらかにするということですが、スタグフレーションの時代ですとまず物価高、これは増収——税増収ですね、増加、それで購買力低下と。その場合にスタグフレーションですと購買力の低下による景気後退が恒常化しちゃうんですね。そうすると不安定要因、景気後退の不安定要因のみがふえてくるんじゃないかと思うんですよ。 ですから、スタグフレーションのもとでは自然増収が常にありますね。で、購買力を常に低める、いわば不景気要因をつくる作用がある。そうしますと、だからこそ減税によって所得税の機能による景気上向き要因を付与する、そういう必要がこれはあるんじゃないか。だから私が先ほど言った単なる景気対策ということより、もっと所得税そのものの機能という面から言って、これを現在のようなスタグフレーションの時代にはむしろもっと積極的に常にそのことを考えていく必要があるんじゃないか。もっと本質的なものじゃないかと、減税という問題が。そういうことを指摘したいわけです。
○政府委員(福田幸弘君) ちょっと計数的な感じで申しますと、いまの自動調整作用は見方の相違でしょうが、それなりにやはり累進構造というものは所得の再配分であると同時に、それがインフレ的な所得を吸い上げているということは否定できない。その影響はどうかという問題がその経済環境のもとではいろいろあるということは言えます。これば総合的な政策全体の中でどう対応するかという問題でしょうが、減税という際の経済効果と申しましても、これは国民所得への影響は一千億減税いたしましても、これは仮の計算ですが、初年度二百から六百ということで、この乗数効果というものは、いろいろこれはモデルがございますけれども、いずれにしましても一を大きく割り込んだ乗数ですから、その辺が減税によって経済効果という面では問題があろうと、こういう気がします。
○近藤忠孝君 だから、それはインフレの面だけの答弁であって、やっぱり不景気が恒常化しちゃう。その機能がもう一つあって、元来、この自動的な効果が働かなくなっているんですね。それを取り戻す作用、それが私はむしろこの所得税に内在的なものとして、現在のような経済情勢に対する内在的なものとしてそのことが必要ではないか。 いま、局長は一兆円減税の話をしましてね、その経済的効果を言いましたけれども、それはまた別の次元の問題です。私が冒頭に申し上げたいわゆる景気対策の面だと思うんですが、もっと本質的な問題としてこの問題を大蔵省として検討する必要があるんではないかと、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) いまの御議論を今度はもう少し進めれば、物価に対して調整すべきじゃないかという議論にもなるわけですが、これは反対に、物価に対して調整することが所得税収入というか税収の方を物価の上昇に応じて減らしていくとマイナスになっていきますので、一方において歳出の方が物価に調整される仕組みを同時に持つでしょうから、そうしますとそのギャップが大きくなるという意味で財政の赤字すなわちインフレという形でまた一般庶民にのしかかってくるわけでありますから、インフレに対してどう対応するかを財政的な面だげでいけば、税収面でそういうふうな自動調整機能をやはり維持しつつやっていくということで、物価自体を抑制するということの方が庶民全体に対する実質所得を安定的に確保するということになりますが、御指摘の点は、総合的にあわせて研究はもちろん続けていきたいと思います。
○近藤忠孝君 時間がないんであと午後に回したいと思うんですが、大臣の声が全然しばらく聞こえないんで、ひとつ大臣の御意見を聞きたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、結論から言うと、日本は予定したよりも物価が上昇しなかった、そのことが税収に影響して財政上は困る問題が起きたが、社会の安定という点からすると、政府は困っているんですよ、困っているんだけれども、不景気だ不景気だと言いながら物価が安定しているということは、社会の安定につながっているということも事実だと私は思っております。
○三治重信君 まず、円安問題について御質問します。 IMFの試算で、ドルが一〇%下がればアメリカの赤字が百二十六億ドルも減ると。したがって、アメリカの非常に対日貿易摩擦も減るんじゃないかというようなことになるわけなんですけれども、日本は円高に持っていきたくても円高に持っていけない、円安になっている。それが貿易摩擦に根本的に私は影響していると思うんですけれども、これに対する対策、どういうふうにこの円安というものが、やはりどうしようもない問題なのか、何か対策を考えておられるのか、まず最初にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは一口で言えば、どうしようもないということじゃないかと思うんですね。一時的にとめることはできるんです、一時的に、数日間とかなんかはね。しかし、それはもうこちらの持っているともかく手持ちのドルにもこれは限界がございますから、やはり先ほど日銀総裁が言ったように、スワップ介入、協調介入でアメリカと日本とイギリスとドイツと一斉にやるというんでしたらこれはかなり影響があります。しかし、それとても永続的なものでない。急激な変化を抑えるという効果しかないということを専門家は言っているわけです。私も同じように考えております。 だが、日本の経済の実態から見れば、私は円は安過ぎると。その最大の原因というものは、いろいろありますけれども、何といってもアメリカの高金利である。だから対策としては、われわれ今度サミットでドイツ、イギリス、フランス、日本、イタリー、カナダまで含めてアメリカに対して政策のともかく手直しを要請すると、それをやっていただけば一番効果があるんじゃないか、そう思っております。
○三治重信君 同じ認識なんですが、そうすると、結局アメリカの高金利。ということは貿易じゃなぐて、アメリカの方へ日本の円が、日本の人がアメリカのドルを買って向こうへ持っていくから、たとえば貿易では収支が黒字になっても資本が向こうへ行くから円が弱い。どうも最近はゼロクーポンよりか、会社の方が余裕金をドルにかえて預金をする。そうすると、預金が三カ月ごとに何か一三%とか一四%の利子が入る。これはもう正規のものだと、ちゃんと銀行できちんと利子は払ってくれるんです。これは国内においても、そういう国内のアメリカの出先の銀行、あるいは日本の外国為替銀行でもそういうことが行われていると、こういうふうに聞いておるわけなんです。 そういうふうなことになってくると、昭和の金融恐慌のときのような、いわゆる金持ちや余裕金がある者がドル買いをやると、国の利益より自分の利益でドル買いをやると、まあゼロクーポンとかアメリカの財務証券を表面上買うとかいうようなのは、むしろそれはわずかであって、そういうふうな本当に自由に日本の会社や銀行が余裕資金でドル買いをすると、こういうふうなのが円安の大きな原因ではないか。これは見えざる資本の逃避、これが見えるのか見えぬのか、この点ひとつ大蔵省の方で実際の国際金融関係、そういうのを本当に日本の円が、金が余裕があれば何千万円でも何百万円でも、個人でも会社でもドルを買ってドル預金が幾らでもできると、こういうことなのか。またそういうことについての何といいますか、統計、見通しというものはきちんと大蔵省に、あるいは日銀なりそういう金の動きがわかるのか。資本の流出ということをさっき日銀総裁言われたんですが、その中身はわかっているのかどうか。
○政府委員(宮本保孝君) 確かにおっしゃるとおり、金利状況いかんによりまして金の動きが、つまり自由でございますから、ゾーンから出ていくというふうなことは多分にあるわけでございまして、アメリカの高金利等が大変円安に響いているということは、これは一面の真理かと思います。 ただ、先生御指摘のように、具体的にじゃ、どの程度の金が出ていっているのかというような点でございます。これは、個人の貯蓄と法人関係の余裕資金が実はあろうかと思います。個人の貯蓄等に関しましては、年間で三十五兆も実は貯蓄がふえているわけでございますが、一部ゼロクーポンとかあるいは金とかいろいろございまして、海外に流れているという数字はございますが、金にいたしましてもまあ二千五百億ぐらいかなと、その三十五兆の貯蓄資金のうちですね、二千五百億ぐらいかなと。またゼロクーポンにおきましても、表面的に見ますとそんな大きな数字でもないわけでございますし、過熱状態につきましては行政的にも措置をしたということでございます。 また、機関投資家あるいは企業の余裕資金の運用でございますが、この点につきましては、なかなか数字としては把握しにくいわけでございますけれども、やはり日本におきましても相当の金融資産というものは、たとえばCDのような非常に有利な商品も出ております。また、海外の投資につきましてもかなり危険な面もございまして、相当自己抑制的な面も働くわけでございまして、この点につきまして、日本から非常に輸出が多くて大変大きな問題になっているということじゃないかと思います。 ただ、具体的な数字等につきましては、できるだけ日銀等とも連絡をとり合いまして、できるだけその実態の把握に努めてまいりたい、こう思っております。
○三治重信君 いま御説明あったんですが、実際、日本のドルにかえて貿易や借り入れの支払いというようなものと、それから積極的にドル預金というものがどういうふうに増加するのかというような問題、ドル預金というものは貿易の決済のためにも使われたり、取引のためにある程度の、いわゆる歩積み両建てではないけれども、持ってなくちゃならぬということはあるんでしょうけれども、そういう残高とか何かというものは非常に機動的にわかるようになっているんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 外貨預金につきましては、金融機関におきましてこれは十分把握できますので、数字といたしましては出ておるわけでございます。
○三治重信君 これは国内の外国銀行の支店である程度はわかる。しかし、香港の銀行とかアメリカの本国の支店に預けるというようなのはわかるんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 日本へ進出しております外銀等につきましては私ども把握しておるわけでございます。また海外の銀行にどれだけ預金をしているかについても、海外預金の許可実績等で把握することができます。
○三治重信君 余りこういうことで神経質になることもないと思うんですけれども、何かそういうテレビや何か聞いていると、いかにも大きな金が動くようなことを盛んに言っている経済評論家もいるわけなんだから、そういうことについて本当につかめる情報というものは日銀なり国際為替銀行に、十分ひとつ金の流れをつかむような対策といいますか、情報の収集というものにひとつぜひ努力をしていただきたいと思うんです。 それで、何と申しますか、私は、国際収支、貿易というものからいくと、やはり赤字になることは瞬間的にはあっても、日本の経済体質、いわゆる輸出産業体質から言って赤字になるということはまずなかろうと思うんです。それに対して為替が安くなるというのは、やはり一面からいくといま一部言われている資本の逃避という、これはある程度防がなけりゃいかぬですけれども、資本の海外への投資、貿易の黒字になったのをそれを海外投資する、海外へ金を貸してやるということは非常に正常な行為だと思うんですが、そこの区別をしていかなければならぬと思うんですが、いまでもやはり、一時非常に——最近余り新聞や情報に出てこないんですけれども、外国から日本へ借り入れや日本で起債をする、こういうふうな国際資本の動きについて、ドルも入ってくるそれから日本からも外国の政府や企業に多く金を貸すと、こういうことが非常に活発化されているわけですが、何か、どうも日本の資本の投資ばかり出てきて、外国のそういう石油のドル、アメリカの資本が入ってくるとかヨーロッパの資本が入ってくるとか、そういうふうなこと、日本からまた海外への投資と、この活動状況はどうなっているんですか。
○政府委員(加藤隆司君) 五十六年で暦年で申しますと、経常収支が御承知のように一月−十二月で四十七、八の黒でございます。長期資本の動きを見てみますと、本邦資本、日本から出ていったのが二百二十億ドルでございます。それから外から入ってきたのが百三十億ドル。で、百三十億ドルの方は五十五暦年と五十六暦年と比べますと大体同額でございます。本邦資本が出ていったのが五十五年が約百億ドルでございますが、五十六年が二百二十億ドルぐらい、百僚ドルぐらい出ておるわけでございます。 それで、いまの御質問の外から入ってくるのはどうかということでございますが、出ていくもの、入るもの、両方でこういう問題がございます。御指摘のような、たとえば日本の海外投資あるいは援助、そういうように構造的に日本の経済発展段階に応じて出ていくもの、それから入ってくるものの方も日本の経済の信認の角度から長期的なものとして入ってくるもの、こういうものはございますが、同時に、主として金利だとか、日本経済の動向とか、あるいは株価、こういうようなもので出たり入ったりするものがございます。 それで、構造的なものは日本の発展段階からいって出ていく方向にあると思います。商品市場なり資本市場を確保する、原料市場を確保する角度から直接投資というようなものは出ていかなきゃいかぬと思いますが、同時に、株価とか金利で動くポートフォリオ投資といいますか、証券投資系統、これの出ていくものの動きがいま問題になるわけでございます。入ってくる方も株価とか金利で出たり入ったりする要素がございますが、もっばらいま問題になっておりますのは本邦資本の出ていくものの中で、金利とか株価とか、そういうようなもので出入りするものが問題になります。 数字は、昨年一年とおととしのとを比較して申しましたが、最近一−三の、三月はまだ終わっておりませんが、やはり資本の流出の中で、金利や株価で出ていくものの方が若干従来のペースより多いというような問題がございますが、いずれにしても、国内経済の方が自律反転の局面に入っておりますし、十月−十二月のGNPはぐあいが悪かったということはございますが、トレンドとしては徐々に景気が回復していくということ、それから物価が安定しているというようなこと、そういうような日本経済のコンフィデンスが強うございますので、そう心配することはなかろう、そういうふうに見ております。
○野末陳平君 減税を求める声は国民の間にも高まっているように思いますけれども、サラリーマンの中に自分らの税金をひとつ例の二分二乗方式を導入してやったらいいんだ、やれという声が一部にあるようなんですね。これについては大蔵省の考え方はかなり以前から聞いているんですけれども、渡辺大蔵大臣の御所見をお聞きしていないのでお願いしたいと思うのです。 私は、パートとか内職とかいう主婦がふえていく現状などを考えますと、この二分二乗方式はちょっとこれから現実性がなくなってきた、無理になったというふうに思っているわけですが、大臣いかがでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) 最初に、二分二乗課税の賛否両論ということでメリット、デメリットを申し上げますと、二分二乗という考え方、これは個人が所得を得る、得る人に課税するという考え方、これは日本の従来の考え方ですが、もう一つは、消費生活をやっておる世帯に課税すべきだ、担税力はそこにあるという考え方から来まして、少なくとも夫婦の所得を単位にして、その課税をする際に、二人といいますか、二分二乗、二つに分けておのおの税率を掛け合わせて課すという二分二乗という考え方がとられるということが前提の考えです。この際、二分二乗がサポートされておる国は、これはドイツ、それからアメリカでございますが、フランスはさらに徹底して家族の所得まで含めてn分n乗と、こうやっておりますが、その考え方はその消費生活のところでみんな協力しておるということで、夫婦共同の収入を消費しておる、消費面でそれを担税力として見るということと、また所得分割が同族とか事業所得者で行われますので、その辺とのバランスを回復しようという考えがありますが、根っこにはその国での生活の仕方、また担税力をどこに求めるかという基本的な考えの差があると思います。 もう一つ、これに対する批判は、共稼ぎ世帯と夫婦が一方だけが所得を得ている場合では、当然この共稼ぎ世帯の方が、比較的には一方だけ所得を得ておるところよりは租税負担が重くなります。と言いますのは、夫婦の片方だけというのは奥さんがそれに貢献しておるということから軽減度が大きくなるものですから、そういう面が反対に共稼ぎのところでは負担がふえる。共稼ぎがふえておるという状況ではこれは問題ではないかというようなことがございます。それはまた、独身者世帯やそれから寡婦の世帯では比較的重いという問題が出ます。 また、技術的には年末調整というようなことで、いま稼得者単位でやってますが、こういう源泉徴収制度のところが控除できるかという問題があります。これは国によって違うわけで、先ほど申しましたが、英国の場合はこれは合算いたしますけれども、これは合算非分割という考えをとっています。ただ、妻が勤労所得がございますと、これは選択で個別課税が来るということで、スウェーデンはこれは夫婦合算をやって二分二乗をやったんですが、個人主義がさらに徹底いたしますと、むしろ個人個人の所得に課税するのが正しいというふうに、個人主義が徹底して現在二分二乗が個人稼得者単位にまた戻ったという各国の経過がございます。そういうことで、メリット、デメリットを比較しながら考えていくべき性格であろうと、こう思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは一長一短あるんですよ。一長一短あるんですが、共稼ぎしたこともできない人もあるわけですから、だから並立がいいのか、あるいは配偶者控除を大幅に引き上げて、そこで解決つく問題なのか、いろいろ一つの検討課題、私はやると言ったことはないんです。一つの大きな検討課題であるということを申し上げたわけです。
○野末陳平君 ついでに出ましたけれども、配偶者——いずれこれは所得税法の方で出ますから、そのときに譲ります。 それから、もう一つ同じくサラリーマンの間の考え方なんですけれども、いまのように給与所得控除は確かにある。これは勤務に伴う経費だから、大ざっぱに言えば一種の必要経費と見ていいわけで、そうするとこれを一律に決められていくのじゃかなわない、やはり実額に応じてやってほしいという人も当然いるわけでしょう。 そこで、私は、どうもこの給与所得控除の中でほとんどのサラリーマンは必要経費的なものはおさまってしまうんじゃないかと思いますし、それから一々めんどうくさいことをやるよりも源泉徴収でやってもらった方がいいという声も相当強いだろうと思うものの、やはりサラリーマンの持っている一種の不公平感というものを考えますと、どちらかに選択しなさいと、概算経費率でいくか、つまり給与所得控除でそのままおさまるか、それとも中には実額控除の方を選択して、こっちでやりたいんだという人がいたらそれもやらせるという選択制にするのが一番いいんではないかと、少々の手間はここでふえるかもしれないけれども、やはり給与所得控除というるのが非常にあいまいな部分も残している以上、今後はサラリーヤンに対して選択制を認めていく方向を本格的に検討すべきではないかと、こう思うわけなんです。 そこで、大蔵省の考え方と同時に、大臣の御所見をお伺いして終わりにします。
○政府委員(福田幸弘君) 技術的な面から申しますと、給与所得控除の性格は経費控除だというふうに原則的に考えますが、ほかの資産性所得との間で担税力の差があるという問題からも来ているという面もあります。また、体一つですから、そういう関連でいくと個人の減価償却だという見方もあるわけで、いろんな見方がある。こういうのを給与所得控除という制度でのみ込んでおるわけであります。経費的なものであると考えましても、じゃ経費的なものにどこまでが実際の経費であるかというのがなかなか見出しがたいということであろうと思います。 したがって、実額経費にしますと、その立証技術がいろいろ差が出てくる。特に多くの経費を主張しようとする人は、所得の大きい人がむしろ経費も大きいということでまた立証技術もすぐれてますので、そういう意味でまたそこでアンバランスが出るんじゃないかという気もするんです。経費がかるのは、むしろそういう方々が資料もそろえながら、資料を持ってきますけれども、一般の方々がそういう能力があり、また資料の立証ができるかという問題もあります。そういう意味で実際上差が出て、選択制にしましても、むしろ選択できる人は恵まれた立証技術もすぐれた人であるということではまたいいかどうかという問題があります。 いまの水準というのは、五十万というところ自体が相当高い水準でございまして、実際これを勤労者世帯で見ますと“いろんな経費を見ましても、衣服類まで入れましてもこの水準までは至らないというのが実際で、いろんな見方はあるでしょうが、内容の積み上げからいっても五十万、さらに三百万で三五%ですから、これは相当な金額になるわけで、三百万ですと百五万が引ける。三五%引ける。一千方のところでも二百五万が引ける。二〇%が引ける。この水準は相当やはり高いものとして内容的には考えていいと思うんです。 そういうことで、しかし一方において、分離課税という問題があります。所得を分割していくということがございますので、この辺の給与所得控除の適用を拡大する。金額を引き上げる、率を上げるということは、一般の勤労者以外の家族経営的な法人ないし事業のところで、そのメリットがそういうところで受けられるという不公平のまた拡大という面も注意しませんと、それ自体はむしろそっちの方のアンバランスを注意して処理する必要があるという気がいたすわけです。 そういうことで、実額控除で、じゃ外国でどのぐらいの、どういうやり方をしておるかということは御承知のとおりでございましょうが、ちょっと資料がついてませんけれども、言いますと、その仕事に伴ってどうしても使わなければならないものという範囲は非常に狭いわけで、たとえば制服とかいうようなもの、要するにその衣服がそこの職場でしか使えない、しかもそれが会社が支給しない場合にそれを経費として引くというようなこと。通勤費についてもこれは引いたり引かなかったりですが、たとえばフランスでしたら、遠くに住んでおれば、遠くに住むのは自分の勝手なんで、むしろ会社からすれば近いところから通ってもらいたいわけで、そういうような通勤費控除も、個人生活とまた会社の立場が違うわけですから、それを一概に引けないために控除の限度を設けておる。また引かない国もあるわけです。 問題は研修費でございますが、研修費もこれは自由職業あたりまた学者あたりが、その仕事自体として能力を高めるためには勉強を続けなきゃいかぬという際にはわりに認められております。したがって、その辺全部を引っくるめた場合の実額経費の水準は非常に低いわけでございますので、日本の場合の非常に幅のある控除の仕方は有利ではないかというのが、外国調査をやりました結果としては実感として持っております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) もう大体局長の言ったことで話が尽きていると思うんですが、これは細かく言い出したら非常にむずかしいんですね。一番むずかしいのは議員歳費じゃないかと思うんです。議員歳費。これは給与所得になっている以上、じゃ秘書三人使う人も五人使う人もいて、二人分は国からくれるが、議員を維持するためには三人使わなきゃならぬ、それは必要経費として認めると、通信費もオーバーしたものは認めると、何人まで認めるんだというような問題もありますね。 ですから、いろいろとこれもメリット、デメリット両方ございまして、しかし総体的に言うと、私は実額控除の方が得だという階層は非常に少ないんじゃないか。議員なんか得するでしょう。しかし一般のサラリーマンの場合は実額控除だけしかもし認めなければ損する人の方が圧倒的に多いんじゃないか、そう思っております。
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、その日時及び人選等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として宮澤弘君が選任されました。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。 これより、順次三案の趣旨の説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず初めに、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明を申し上げます。 現在、国税収納金整理資金においては、国税収納金等を受け入れ、過誤納金の還付金等を支払い、この国税収納金等の額から還付金等の額を控除した額を一般会計または特別会計の歳入に組み入れることとしております。 他方、還付金等とあわせて国が支払うべき還付加算金につきましては、歳出予算に計上し、これを国税収納金整理資金に繰り入れて、その範囲内で支払うこととされております。還付加算金につきましては、このように還付金等とその取り扱いを異にしているため、最近における還付の件数の増加等に伴い、還付事務の円滑な処理を図る上で、支障となっている状況にあります。 こうした状況にかんがみ、還付加算金の支払いの迅速化による納税者の利便の増進と、還付事務処理の簡素合理化を図るため、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その内容を御説明申し上げます。 第一に、国税の還付加算金の支払いを還付金等の支払いと同様、直接、国税収納金整理資金から行うことといたしております。 第二に、大蔵大臣の行う資金の支払計画の示達に関する事務は、現在、国税庁長官のみに委任できることとされておりますが、これを国税局長等所属の職員に委任することができることといたしております。 なお、この法律は、昭和五十七年四月一日から施行することを予定しております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に顧み、法人税制の整備合理化を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 第一に、法人税の延納制度について、縮減の措置を講ずることといたしております。 第二に、適格退職年金契約の範囲に、全国共済農業協同組合連合会が締結する生命共済契約を加えることといたしております。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に顧み、租税特別措置の整理合理化、交際費課税の強化を行う一方、長期安定的な土地・住宅税制を確立するとともに、土地供給及び住宅建設を促進する等の見地から、土地・住宅税制について所要の措置を講ずる等の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 すなわち、第一は、既存の租税特別措置の整理合理化であります。 まず、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行い、利用状況が悪く政策効果の期待できないものを重点に四項目を廃止するほか、価格変動準備金制度について、価格変動の著しい物品以外の物品を対象から除外する等、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。 また、登録免許税の税率軽減措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。 第二は、交際費課税の強化であります。 すなわち、交際費課税制度につきましては、今後三年間の措置として、中小規模の企業に対する定額控除を残した上、交際費の全額を損金不算入とし、課税の強化を図ることといたしております。 第三は、土地・住宅税制の改正であります。 土地・住宅税制につきましては、土地譲渡所得の長期・短期の区分を譲渡のあった年の一月一日において所有期間が十年を超えるかどうかによることとし、長期譲渡所得については、特別控除後の譲渡益四千万円超の部分を二分の一総合課税とするほか、所有期間十年超の居住用財産の買いかえについて、三千万円特別控除との選択による買いかえの特例制度を創設する等の措置を講ずることといたしております。 第四は、福祉対策等に資するための措置であります。 すなわち、同居の特別障害者については、現行の特別障害者控除、扶養控除等のほか、五万円の特別控除を認めることとするとともに、勤労者財産形成貯蓄の利子等の非課税制度について、年金形式で支払いを受ける一定の勤労者財産形成貯蓄の利子等については、退職後も引き続き非課税とする措置を講ずることといたしております。 第五に、国際科学技術博覧会出展準備金制度を創設するとともに、適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長するほか、所要の改正を行うことといたしております。 以上、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法め一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより三案の質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 まず、午前のグリーンカードの質問との関連で主税局長に二、三確認をしておきますが、ゼロクーポン債の途中転売のチェックはどのようにやられますか。
○政府委員(福田幸弘君) 取引自体は証券会社にございます外国証券取引口座を経由いたしていますので、税務調査の方ではそれを見ることができます。 これは、証券局及び国税庁の問題でございますが、そこで課税をどうするかという問題が御質問であろうかと思いますが、現行法では途中転売につきましてはキャピタルゲイン譲渡所得ということで非課税になっております。それから、最後のところで償還時に持っておりましたら、その償還差益は雑所得として総合課税になります。 問題は二つございまして、後の方から申し上げますと、雑所得の総合課税の際に支払い調書と告知義務が現行規定にございません。したがいまして、これについて手当てをすることを検討すべきであろう、こう思います。もう一つは、途中の転売の問題でございますが、これにつきましては、やはり立法論として今後こういう国際商品、これは金利高が最大の原因でございますが、税制の差からその辺に資金移動が生ずるということであれば、国内証券市場を眼目に置きました譲渡所得原則非課税という問題とは別個に、そういう国際商品に対する課税を検討する余地があろうかと思います。 これは、また答えが長くなりますけれども、ドイツも同じくこれは検討いたしていまして、その辺の考え方はむしろ途中での売りは利子所得の実現ではないかという見方を現行法上とっていますが、新しい商品であるだけにどう対応するかは検討中のようであります。アメリカの場合は、これは御承知のとおり、それを買いました人は各年ごとに発生利子ということで申告いたします。また、その持っています証券を途中で売りました際は、保有期間に応じて発生利子分とそれからキャピタルゲイン分を分けまして、両方についてそれぞれの課税が行われるということでありますので、アメリカではなかなか売れない。しかし、法人の方は損金で落とせますので有利である。したがって、海外で売りやすい商品であるということが日本でも買われ、ヨーロッパでも問題になっておりますだけに、その辺国際的な課税問題として対応したいと思っております。スイスにおいても同じく検討が行われておる、こう聞いております。
○和田静夫君 ゼロクーポン債に限らずに、今後開発される課税逃れのための新商品とでも言いますか、そういうものに対しても同様の方針で対処される、そう考えておいていいですか。
○政府委員(福田幸弘君) どういう商品が出てきますかはこれは国際金融局、それから証券局、銀行局がそれぞれ対応する問題でありますけれども、税の面におきましても課税の適正な処理はどういう形がいいかということで対応したいと思っております。いまのところ具体的にどういうものかというふうには頭にございませんが、常に注目をいたしていく必要があろうか、こう思っております。
○和田静夫君 キャピタルゲインの課税問題はどういうふうに調整されるわけですか。
○政府委員(福田幸弘君) キャピタルゲイン課税自体は、これは執行体制及びその把握がどうかということがございませんと実際上不公平が生ずるという問題、さらに国内の証券市場に対する影響というものもございますので、やはり段階を追っていく必要があろうかと思います。 これは、五十四年度から一銘柄二十万株以上の譲渡について課税するというようなこともやったわけでありますし、これはキャピタルゲインの課税と同時に、キャピタルロスの取り扱いがまたポイントになってきますだけに、十分にその一般的なキャピタルゲイン課税についてはよく課税の適正が図られる、またそれがどういう影響を持つかということをよく見定めてやっていく必要があろうかと思いますが、一方において国際商品に対する見方、これをそれに直ちに関連させる必要があるかどうか、むしろゼロクーポン債というような問題が金利差と課税の仕組みの差から来た非常に局限された問題であればそれなりの対応を検討したい、こう思っております。
○和田静夫君 さて、さっきの質問の趣旨とはかなり離れたところでかなり長い答弁いただいたんですが、さっぱりわからぬ。 そこで、この租税及び印紙収入予算の説明の九ページ、これをちょっと具体的に聞きたいんですがね。法人税ですね。この法人税についてですが、「生産」というのはこれは何ですか。これは鉱工業生産の伸び率のことですか。
○政府委員(福田幸弘君) 「生産」は、これは鉱工業生産の伸びでありますが、午前中御説明いたしましたように、所得の発生期間と月別決算利益の割合等を調整していきますので、課税ベースに直しますので、政府経済見通しでは一〇五・五でございますのがここでは一〇六、こういうふうになっておる。しかし、考え方は鉱工業生産である、指数であるということでございます。
○和田静夫君 そこのところなんですがね、経済見通しでは五・五%程度となっていますよね、この同じこの中で。それで、ここでは六%になっている。けさもいまも説明があった。ところが、〇・五ポイント食い違っていると、物価の三%を掛けると〇・二二四違ってきますね、これは。違ってくる。で、法人税を支払っている企業が工業や製造業だけであるならともかく、サービス業もあるわけですから、そうするとそれを勘案しなきゃならぬという問題が出てくるわけですよ。これはどういうふうに説明されるんですか。
○政府委員(福田幸弘君) 非常に見通しとしてはマクロでございますので、確かにおっしゃっているような問題がございますが、この五・五と六の違いのところは、これはもう少し敷衍いたしますと、各決算期ごとに法人税考えますので、所得の発生期間というのをまず考慮する必要があります。これはたとえば五十七年四月期でございますと、五十六年の五月から五十七年四月までというふうに考えなきゃいけません。それから、そこで所得の発生期間という調整を加えて、これは物価の話も一緒に申し上げておるんですが、物価はさらに後で申し上げますが、生産及び物価の伸びを出しまして、それから各決算期ごとの年税額のウエートがそれぞれ違いますので、それをウエートを掛けていくということで年度全体の課税ベースの生産、物価の伸びを出すわけでございます。 その際、鉱工業生産は先ほどの一〇五・五を一〇六と、こういうふうになってきますのは、そういう発生期間を見、またその決算期のウエートを考える。物価の方をこの際あわせて申し上げますと、物価は卸売が一〇三・〇、それから消費者物価が一〇四・七と経済見通しではなっております。これをわれわれ卸売の方にウエートを置いて見るわけです。これは内部の考えですが、九割方卸と、こう見るのを一応腰だめに使っています。というのは、物価のウエートを卸売のところに九〇見まして、消費者は一〇と。これは内部計算でございますが、そういたしまして、ウエートをいまのようにまた掛けていくわけです。鉱工業生産と同じく。そうしますと、卸と消費が一〇三・〇と一〇四・七とあるのがまとめますと一〇三という数字になるということで、鉱工業生産一〇六と物価一〇三というふうに計算をいたすわけです。 この鉱工業生産以外に、おっしゃるとおりに、鉱工業生産にあらわれないものがございます。これはわれわれどういうふうに見ていいか、それにかわる資料がございませんので、この鉱工業生産に代表さしておるというのが率直なところです。物価の方もこれはだんだんと第三種のものがふえてくる、流通面がふえてくるという鉱工業生産と同じ問題があります。 しかし、これはやはり物価というのがどうしても卸売にウエートがあるということから、そっちにウエートを置いて見ておるという従来の手法でございまして、手法を変えますとまたいろんな増差額に影響出ますので、いろいろ御批判ございますが、物価の数字としてはそういうふうなやり方をとっておるということでございます。あと所得率による調整というのがついてございます。
○和田静夫君 たとえば、物価でもそうなんですが、大体この一〇九%に率直に言って何を掛けるんですか。ちょっと何遍聞いてもわからないですが、その額は一体幾らなんですか。
○政府委員(福田幸弘君) 委員長……
○和田静夫君 ちょっと待ってくださいよ。大蔵大臣、とにかく親切な資料出すんだと予算委員会で答弁をされて、出てきた資料が、いま言ってるように、どっから読んでみても、いま説明を受けてほぼ少しはわかりかけるんですが、ともあれ一見してわからないんです。われわれにはわからないようにできている。 そこで、額は幾ら掛けて、そしてそれを何によって幾ら加減する、そうすると申告税額が出てくるのか、ここのところをちょっと説明してください。
○政府委員(福田幸弘君) 技術的になりますけれども、こういう機会でございますのでもう少し申し上げます。 いまのは、鉱工業生産に物価をそういうふうに課税ベースに直して掛け合わせるということは、売り上げを意味しておるということに大まかに言えると思います。いろんなまたそれから漏れているものがあるわけですが、そこで所得率という問題が、この説明にも同上の相乗の一〇九に対して所得率等による調整がございますので、御説明をさしていただきますと、この所得率の調整というのは、この辺こういうことであろうと思うんです。生産と物価の相乗が売り上げであるということと、この売り上げが所得の伸びとどういうふうにこれが符合するかというところをここの調整率で見るわけでありますが、これが一〇〇でございますと、ここでは一〇〇にいたしておりますが、売り上げの伸びと所得の伸びが同一であるということを意味しています。 これはなぜ一〇〇に置いたかというと、五十七年度においては年度を通じて激変のない五十六につながる安定的な拡大成長路線であるということで、これを五十六の一〇〇をあえて変える必要はないと。過去において九五とかいうのを使ったことがございますが、ここは一〇〇のままであると。ある意味では損益、収益率というか、損益分岐点の問題ではありますが、ここのところは調整率をあえてしないというので一〇〇を据え置くというので、もう少し敷衍しますと、「所得率等による調整」というのは、そういう所得率の変化と同時に法人所得の伸びと、今度は法人税額の伸びという間の乖離がございますので、それもその間ワンクッションとして見ておる。 それから、繰り返しになるかもしれませんが、生産、物価の相乗値というのは売り上げでございましたが、直ちに売上金額の伸びと合うこともないということでございます。これはどういうことかと申しますと、生産指数や物価指数を作成いたします際のその指数をとる産業のカバレージと、それに対応しますところの法人の売上金額とのカバレージが必ずしも一致しないという技術上の問題があります。それと、これらの指数が法人の売上金額にすべて含まれていない。これはおっしゃっていました今度は金利の問題、それから地価の問題等から来るものがここにございます。それから、在庫の増減がここにあらわれないという問題を調整するという考えを持ちながら、しかしこれを細かく端数のある数字まではじくことは至難のわざでございますので、一〇〇というふうに大体五刻みで考えるんですが、ここは同じような状況であろうという姿で一〇〇を置いておるということで、計算過程はそういうことで一〇六と一 〇三で一〇九で、あと「所得率等」の一〇〇で一〇九と、こう過程を踏んでいます。 一方において、こういうことをやりながら、ミクロのいろんな聞き込み等による感触を民間調査機関等から、また日銀等からとっておりますので、この辺はこういうふうにマクロの数字を使わざるを得ない環境のもとでの見通しであると、その時点がそういう時点であるということです。 現行法による収入見込み額が十一兆六千五十というのに、改正の増減が三千四百六十で予算額の十一兆九千五百十になるわけですが、もう一度過程を申しますと、申告分としましては、昭和五十六年度、ここに書いてあります「年税額」というのが、五十六年四月から五十七年三月までのこの終了する法人の年税額というものをはじきまして、これを「基礎とし」というのは、これを土台にしていまのようなことで所得の発生期間、決算の利益の月別割合を調整しました生産、物価、それを掛け合わせて所得率で調整して、そこでその数字を出す。その次に中間申告分を調整するという過程を踏んでいきます。また御質問があれば中間申告分の調整の仕方を御説明いたしますが……。 そこで、十一兆六千五百八十という数字が出てきまして、それに前年度改正の平年度化が百八十入って、前年度よりの延納税額が二千八百、これを加えて翌年度への延納税額を引きまして、そして収入歩合を九九・五と掛けまして十一兆六千百十で、更正決定分というものを実績を勘案してここで千六百三十を足す、そして次の繰越滞納分の本年度収入見込みの千四百四十を足すと十一兆九千百八十。そこでさらに還付見込み額を三千百三十引いて現行法による先ほど申しました十一兆六千五十と、こういうふうになっていくという過程をお示ししているわけであります。
○和田静夫君 この質問を克明にお教えしましたからね、主税局長ここですっと答弁ができるんですがね。私がこれだけ持ってきていまの質問やったら、あなた答弁できますか。
○政府委員(福田幸弘君) 私も総務課長時代、税収見積もりは再三やっていますので、お答えいたします。
○和田静夫君 それなら、こういうことであろうと思いますという前提を置いた答弁は大変疑問なわけですよ。あなたも余り自信がないんじゃないか。 そこで、もしそう言われるのなら、「中間申告分を調整し」、この「調整し」が三千七百四十三という金額になる調整額が出てくるのはどういうことですか。
○政府委員(福田幸弘君) この「調整し」でございますが、中間申告分の調整は、五十七年度前半と申しますと四月-九月期決算法人でございますが、これは年税額から前年の納付の中間申告税額を引かなければいけません。これに当年度の中間申告税額を加算するということの調整でございます。したがいまして、五十七年十月から五十八年三月期決算法人、この後半のものにつきましては、中間申告と確定申告が同一年度内に行われますので、この中間申告税額の調整は要らないということでございます。したがって、五十七年度前半の分だけがこの中間申告の納税の調整をしていくという過程でございます。
○和田静夫君 何もいやがらせのために質問したんじゃないんですがね、余り細かい技術的な話をするのは、大臣、私も本意ではありません。しかし、ともかくこの資料というのは大変不親切なんですよ。もういまの説明をあわせて聞かなかったら全然われわれわからぬですよ。まあテレビでタモリといろいろ対談をされるのもいいんですが、この辺のところをもう少しやはりわかるようにして資料を出してもらうというのが予算委員会を通じての大臣の約束だろうと、こういうふうに思うので、どうですか、もう少し詳しい説明にしませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) かねて予算委員会などでもありまして、特に防衛費の問題等が言われるわけです。私になりましてから附属書類、なるほど私が見ても読みたくない。ぴっちりもう書いてあって、もう句読点も何もないような話ですから、それを直せといって、今度は前よりはかなりあの附属書類見てもらえばわかりますが、見やすくなった。 ところが、これは単価が入ってないと、こうまあ言われるわけです。今度は、その次には、見るものだから、前は見なかったけれども、見やすくなったものだから。単価を入れるということになると、今度はそれはとてもできないと。もう一つは、その一部分だけを、そこのところだけを詳しくしたらほかの省庁のやつはいいのかという問題になってくる。これは税法の方も同じでございまして、できるだけ詳しくということでやっておりますが、まあこれとこれだけではわからないとおっしゃられるのも、これも無理からぬ話だと私も思います。 何かいい知恵があるかどうか、私はこれは専門技術的なことでわかりませんが、なるべくもっと努力、工夫をこらしてみたい。質問等があって、そういうときに御要求があれば、またそれに対する説明書のようなものは準備をして、なるべく理解していただくようにしなきゃだめなわけですから、そういう努力はやってまいりたいと思います。
○和田静夫君 われわれとしては、とにかく名目GNPによるほかは税収を見積もりようがありません。名目のGNPと税収の関係が安定的な年で推計をしてみました。そうしますと、五十七年度成長率が八・四%としますと、一般会計分の税収上昇率は約一〇%にしかなりません。政府見通しよりも約三・五ポイント落ち込むわけですね、落ち込んでいるわけです。 この名目GNPと税収の関係を主税局はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(福田幸弘君) 御質問は、いわゆる弾性値のお話であろうと思います。五十七年度八・四ということでございますので、税制改正調整後、税制改正をやはり調整しませんと弾性値が正しく出ません。これを調整いたしますと、税制改正調整後の税収の伸び率は一三・五でございますので、一・六一という弾性値になります。 弾性値というのは、われわれ事後的なチェックというかマクロチェックというか、長期のチェックではそれ以外にないものですから使いますが、税収の来年度見通しというようなときには、これは使いません。むしろ、いま御説明したようなことで積み上げて各税目いくわけです。物品税その他。ただ、しかし最後にどうなるかというのは当然見るわけで、一・六一でございまして、これは御質問の趣旨に合ったお答えかどうかわかりませんが、五十五年が七・七でございます。で、そのときの税収の伸び率は調整後で一〇・九でございますので、これが一・四二。 それから、その前の五十四年度がGNPが七・四伸びていまして、税制改正後の税収の伸び一四・四、一・九五というのがございますので、その中間には位置しております。非常に少ない弾性値の年もあり、たとえば四十九年なんか〇・九二ぐらいでございますし、高いときですと一・九二というのが四十八年と五十六年でございますが、むしろ経済の動きというか、GNPの伸びと税の入り方というのが非常に交錯してくる場合がございます。回復期、また落ち込むとき。 したがって、このでこぼこがありますだけに、ならして見るということで、四十六−五十五の十年間ですと一・一九、ですから一・二というのを例の中期展望では使っておるわけです。で、五十一から五十六は一・二六でございます。そういう際、その調整値で考えるか、これは中期的な場合にわれわれ考えますが、一・二を使っておるというのが一つのあれ。それから税収の伸びを幾らに見るかというときに、五十一−五十五が一二で伸びています。だから中期のときにはちょっと傾向値ということで一二を使うこともあり得ます。だから、ちょっと話が長くなりましたが、九・九という中期展望に一・二を掛けると一一・九になりますから約一二と。いろんなことでこう弾性値は中期展望的には使います。短期のチェックのときにはもちろん使いますが、このときはむしろサイドチェックという感じでございますが、やはりそれは頭に置きながらというか、頭にありますけれども、こっちの方の積み上げの方が税目ごとには重要な気がいたします。これが実感というか、実際のところでございます。
○和田静夫君 そこで、いまお話のあった「財政の中期展望」ですが、これはまあ表紙には、「将来の予算編成を拘束するものではなく、」云々となっておる。それにもかかわらず、この五十七年度予算に関して言えば、まあみごとに拘束してしまっている。これは私がそう言うだけではなくて、この「ファイナンス」でも、二月号ですが、斎藤主計官がそういう説明を十一ページでしています。五十七年度予算について言えばそういう拘束をしたわけですが、これは拘束したと見ていいですね、大臣。
○政府委員(福田幸弘君) これまでの中期展望が五十七年度予算へどう影響したか、拘束をしたかという御質問でございますが、今回の中期展望も同じでございますけれども、歳出の方は後年度負担型ということで積み上げ方式で損計していますから、主計局で御説明するでしょうが、それなりの意味があろうと思います。後年度負担がどのくらい伸びていくかというのを見る。歳入の方は、これはやはり腰だめと申しては失礼でございますが、いまのような中期の一・二というような弾性値、それから新経済七カ年計画の九・五、これが五十七をベースにしますと九・九になりますから。そういう、これは昨年ですが、一四・〇になるというのは一一・七掛ける一・二で一四・〇ですから、そういう意味で五十七のときにはそれを使った。今後はまた新たな新経済計画の数字に同じく一・二を掛けていくという、機械的な計算をいたしておりますので、その差額として要調整額が出てくるということになってまいりますけれども、歳入の方ではあくまで機械的な計算であろうという性格であると、こう考えます。 これは、拘束したかという問題は、四兆七千六十と、こう五十七年度試算で置かれております。これは、一四・六というのは、一四・〇プラスの平年度化ですから。これは先ほどから御説明しますような見通しを五十七年度に立てますから、自然増収約四兆ぐらい前後でございましたので、そういうことがこの四兆七千との差額で増税幅みたいなことに結局なったということも言われますでしょうが、これはあくまでこの単年度の予算でございますので、五十六年の中期の、五十七年度の単年度の歳入はどうかということをはじいておいて、歳出の方でどのように査定されたかと、それからどういうふうに税外が出るかということを踏まえながら、つまりこの増税幅が決まるわけですから、この計画——中期展望自体から、何か拘束されて増税幅がそこから出てきたというふうには直ちには言えない。やはり税収見通しは中期展望と違って、単年度のものとして五十六、七を考え、そして歳出は歳出で、その年度の歳出として査定される。その結果として、税外等を差っ引いたところで、また増税も説明できる範囲内で処理されたということで、これによって拘束を直ちにされたということは、私はないと思います。 あとは主計局の関係でございますので、説明いたすと思います。
○政府委員(西垣昭君) 中期展望の性格論が出ましたので、私から補足して御説明申し上げますが、中期展望につきましては、現在の財政の現状を将来に展望する、それで今後の財政運営の検討の手がかりにする、こういうことでつくっておりまして、歳入につきましては主税局長が御説明したとおりでございます。 それから歳出につきましては、五十七年度の中期展望について見ますと、五十七年度の予算で前提といたしました制度、施策、これがずうっとそのまま継続されるというふうに想定した場合の歳出がどうなるかということではじきまして、それで歳入、歳出の差額が要調整額として出てくる。これは、これを具体にどうするかというのは、各年度の予算を編成するときに、そのときの経済の情勢その他を見まして、その年、その年の枠を組んでやるわけでございまして、中期展望というのはそういうものではなくて、将来の財政運営の手がかりとする、こういうことでございまして、あくまでもその性格が違うわけでございます。そういった意味では拘束力はございません。五十七年度予算のときには、たまたまシーリングを設けますときに、五十七年度を見通した五十六年度の中期展望の税収がこの程度あるとすれば、この程度の調整額が出るし、増税がなかりせばこの程度の歳出に抑えなくちゃならないという意味で使われたわけでございまして、それはあくまでそういう使われ方をしたためにそういう扱いになったということでございます。
○和田静夫君 ともあれこの「財政の中期展望」に基づいて、言われたようにゼロシーリングを設定をした。それに基づいて各省が概算要求を出した。この概算要求と予算額をこう比べてみました。これはおたくの資料です。今年度予算の各省による自主査定はきわめて精度が高かった。運輸省などは査定率一〇〇%、皇室費もそうですが、その他一〇〇%、農林水産省やその他類似のものはたくさんあるわけです。 こうなると、主計局が必要なくなるんじゃないか。大臣、私は今後もこの中期展望、そしてこのゼロシーリングというパターンで予算編成をされていくということであれば、大蔵省主計局不要なんじゃないかと。行政改革のときですからね、率先して大蔵省の主計局が、おれのところで主計局を半分にするんだと、大蔵大臣がそう言われるんなら、それが一番いいことなんで、どうも中期展望、ゼロシーリングという一連のサイクルを見ていると、そういうひねくれた発想でありますが、発想が生まれてくるんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵省は要らなくはなりませんが、主計局は必要なくはありませんよ。しかし、私は各省庁にこういうように極端に抑え込むときにはもっと自主性を与えて、まず各省庁の中で与えられた予算の額の範囲内で重要度を決めて、そして出しなさいということを言っているわけです。それが比較的よく行われたことも事実です。事実ですが、弊害も多少あります。 たとえば、文部省の例を一つとってみましょうか。ともかく私どもは、学校の教科書とか、それから大学の補助金とか、それから育英資金とか、そういうものをもっと減らせぬかということをやったんですが、向こうでは減らせないと。いずれにしても、ともかく与えられただけのものは極力抑え込んで、人件費だってふえるわけですから、全体としてふえないようにいたしますといって持ってきた結果が小中学校の後ろ送りと、こうなったわけですから、そうすると、片方では公共事業をふやすとかなんとかという話をしているときに、やはり小中学校がいままでよりも建築率が低いということは別な政策になるわけですね、これは。 ですから、本来は文部省が赤字国債の対象になるようなものをばっさり切ってくれればいいんです。それができないということで、建設国債の対象になるものを切ってきたと。その結果が赤字国債の方が減り方が足らなかったという今度逆の非難を受けるわけですから、そういうように部分的には問題点がないわけではなかったわけです。 しかしながら、いままでやったことのない、いわゆるゼロシーリングという中で伸びる予算を抑え込んできたという成果は、これはいままでにやったことのないことをやったわけですから、これは百点というわけには……、試行錯誤もいろいろございますしね。そういう意味で、今回は初めてのことでございましたが、それなりの効果はあった。今後一層各省庁も臨調答申の精神に合ったような要求を出していらっしゃいと、そのとおり来たか来ないかは今度は大蔵省が査定をして、これからはそのとおりでないから、切ったら切りっ放しで、今度はもう振りかえてやらないから、切りっ放しにしちゃうからということを来年はやらなくちゃならないんじゃないか。そうすればやっぱり大蔵省は必要だということになるわけであります。
○和田静夫君 まあ私が問題にしているのは、中期展望というのは一体何なのかということなんです。中期展望を予算編成の中でいかに位置づけるかということなんですが、いま文部省の事例を出されましたが、ちょっといま気づいたんですけれども、大蔵大臣、決算委員会に今度参議院では予算の審査がゆだねられましたね。各省全部決算委員会に、私の手元に来るのかと思っておったら検査院だけ来たんです。ひょっと気づいたんですがね。 いまここで、たとえば会計検査院の概算要求額、前年度予算額、その他査定率が出ているんです、全部ね。文部省の例でなくて国会、裁判所、検査院、この辺の例を一つ挙げて、あなた方は予算の策定に当たって財政法十七条、十八条、十九条違反を今日まで平然として犯していないか。これは、私はこれから扱うものですからね、ひょっとそう思ったんです。そう言われると困ると、したがって、概算要求額などというものは資料としては出したくない、大蔵省の意向がそういうところにあると。これは大変ちょっと……、まあこれを答えてもらいましょう、まず。
○政府委員(西垣昭君) いまおっしゃっておられます趣旨は、財政法十七条、十八条、十九条の特別機関の特別の地位ということでおっしゃっているんだと思います。 ゼロシーリングの関係で申し上げますと、先ほど予算要求の額そのものが政府予算と同じ程度まで圧縮された形で出てきている、したがって、主計局の査定の余地というものはほとんどないんではないかと、こういう御趣旨だったと思うんですが、実際申し上げますと、予算要求の一般歳出の増加額、これは確かに当初予定しておりました枠程度でございますが、そこには、さっき大蔵大臣も触れられましたようにベア分が入ってないというような問題がございまして、実際には入るべくして入ってないものが一兆円程度あるわけでございます。そういった意味では一兆円程度の圧縮が実は必要でございまして、そういうような事情は特別機関の場合にもあるわけでございまして、その辺はやはり特別機関、特別の地位もございますので、よく御相談をしながら全体をまとめていく、こういうことかと思います。
○和田静夫君 ちょっと、答弁が非常に不満なんですよ。何も私はここであれしょうという意図を持って言っているわけじゃありませんがね。 いま大蔵大臣、文部省の説明をされたから、独立した機関のことでひょっと思い出しただけでありましてね。いまの御説明でも財政法十八条による、たとえば会計検査院長との詰めの問題、あるいは十九条による報告記載の問題、この辺というのはやっぱり怠られているでしょう。義務づけられていることを怠ってきていることは間違いないですな。どうですか。
○政府委員(西垣昭君) 財政法の特別の規定は、大蔵省とそれらの機関の間の意見がまとまらない場合には、その詳細を附記して提出をするということでございまして、大蔵省との間で十分に協議が整いまして結論が出た場合には、この規定はいわばその年は使われないということになるものと理解いたしております。
○和田静夫君 そこの十九条の法の解釈をきょうはやっているあれはありませんからやめますけれども、それも大変な見解の相違。それは余りにも相違がひど過ぎる。そんなことを言われたって、しょせんは渡辺大蔵大臣がくっと締めてしまって合意を余儀なくさせるという所作が伴うということになるわけでしょう、常識的ですわね。きょうはそのことはいいです。ちょっと問題提起だけしておきます。どっちみち私は、参議院の論議がそういう形で進んでいく過程では、これは裁判所を扱うところでも問題になるでしょうし、国会を扱うところでも問題になるでしょうし、私の決算委員会で会計検査院を扱うところでもやっぱり一遍煮詰めておかなきゃならぬ問題ですから、そういう意味で申し上げているんです。 そこで、いまも主税局長言われましたが、中期展望の歳入は機械的計算によるものだと、衆議院の委員会でも何遍かそういう答弁されているんです。私は読みました。そうなると、歳入は全くある意味ではいいかげんなんだということなんですか。
○政府委員(福田幸弘君) 中期展望の場合の計算は、それしかやりようがないというのが初期のかっこうでございまして、この単年度でない中期的な期間について計算をするというときには、経済の計画というのが七カ年計画でしかないわけですから、それをとらざるを得ない。また、弾性値もそれに応じて過去の平均的な弾性値を使わざるを得ない、それにかわるものがないという意味で申し上げたわけでございます。
○和田静夫君 大臣、これやりようがないというか、この辺で仕方がないという答弁なんですよ。しかし、少なくともそういう表現が悪ければ目安にすぎないとでも言いますか、そういうふうな答弁になってきているんですが、しかし、大臣はよく私たちに述べられていますように、予算というのは歳入と歳出、その関係はメダルの裏表の関係にある、こう強調されているわけです。歳出は現在のこの実勢を先に延ばす、まあある種の積み上げ方式ということになるでしょう。これはかなりかたい数字だということですね。ところが、歳入はかなり大きな目安、誤差を含んでいるということになりますと、そこからはじき出された要調整額というものも、いろいろ説明がありますが、かなり大きな誤差を含んでいる。そういう意味ではあいまいな数字である、こういうことになると思うんですが、それはそういうふうに理解しておっていいんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ理屈を言えばそういうことになるんですね。要するに、歳入については税収の見積もりですから、この見積もりは過去の経験値に従ってどれくらいずつ伸びるかということで、たとえば五十七年なら五十七年に対して五十八、九は一一・九ずつ伸びるであろうということでやっておるわけですから、これが違ってしまえばそれは誤差も当然——歳出の方は積み上げですから案外かたい。だから、それはもうこれに違いが出てきて当然なんです。 問題は、そこで果たしてこのとおり歳入が取れるかどうかということが一つ問題がございます。歳出の方は、これは積み上げたとは言いながら、こんなにふえていくのでは予定どおりの収入が上がっても三兆三千億なり五兆六千億なり足りなくなる。ですから、問題は歳入の確保に努めると同時に、この歳出を現在の制度、施策のままではだめですから、さらにもう一遍これは締め直しということにしなければなりません。五十七年は二兆七千七百億円あって、それはゼロにしたわけです。その五十六年度を母体にした五十八年度の要調整額は四兆数千億あったわけですが、それは五十七年度で締めつけてカットするものを減らしましたから、土台が減ったので五十六年度のとき見積もったよりも五十八年度のものは三兆三千億、五十七年の見積もりの方が要調整額が少なくなっておる。それだけの効果があったということは言えるだろうと思います。
○和田静夫君 これは五十七年度も中期展望が出されているわけですが、説明を受けました。しかし、これはもう審議の役には立たないと私は思います。与党の総務会でも、伝えられるところによると、これは承認できないというふうなことで足げにされたというふうに報道されていますけれども、第一に新経済社会七カ年計画を基礎としているわけですが、これが実態に合わなくなっていることはもう私は明確だと思いますね。第二に、本予算が上がる前に事もあろうに補正の話がもう出ておりますよ。その内容はと言えば、建設国債の増発だと。 したがって、中期展望は中期的視点に立った財政運営を進めていく上での検討の手がかりというふうに言われているんですが、とうていそういうものにはなり得ない。大臣、これでは中期展望ではなくて一年限りの短期展望にすぎないのではないだろうか。去年の委員会でも私は言ったんですが、いまのような経済の変動期には、私はもっと可変性を持った推計値を出さなかったならば、これはリアリティーを伴わないんじゃないかと思うんですね。そういうような資料をお出しになる、そういうおつもりはありませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) こういう中期展望のようなものをつくると、しょせん正確に見通すことは不可能ですから、いろいろ議論が多々出てくるというので、われわれは出したくなかったわけですよ、中期展望のようなものは、本当のこと言って。だけれども、一部の野党の方から御熱心に出せ出せというふうな要求に押されまして、それで財政計画は出せないから、それにかわったものとして検討の手がかりになるようなものということで出したわけです。したがって、これにプラスマイナス幾ら幾らぐらいの幅が動くということは、やってできないことはありませんが、同じ話じゃないか。そんなら大体ここらが見当で、一つの目安ということには私はなるんではないかと、そう思っております。
○和田静夫君 区切りのいいところですから、この辺で私のやつをちょっと後へ譲りますが、会計検査院お見えですから一、二問だけきょう尋ねておきたいと思います。 検査院独自の立場から、不公平税制について見直しを図られるというようなことがいろいろ報道されていますが、そういう問題意識を持って対処されているということでしょうか。
○説明員(平原幸治君) 課税に不公正があるんではないかというような問題につきましては、各方面で種々の議論がなされておりますし、私ども会計検査院といたしましても、かねてから深い関心は寄せております。 しかしながら、私どもの検査というものは、税務当局におきますところの個々の課税事績につきまして、その当不当を調査をいたし、もしそれが処理が誤っておりますればこれを是正させるというようなことで、全般的に課税の公正を期するというところの考え方に立っております。 さようではございますけれども、まあ先生特に私どもの仕事については御理解を賜っているところでございますけれども、私どもそのような論議があるということを承知いたし、特に課税の公正ということについて問題があると考えられますところの事業所得等につきましては、できる限りこれに検査に意を用いるということでもって対処いたしております。
○和田静夫君 そういう作業の結果とでも言いますかね、そういう対処をされた結果、制度上の欠陥を含めて指摘をしなきゃならぬと思われたときには指摘をする、こういうふうに理解をしておいていいんですかね。
○説明員(平原幸治君) おっしゃるとおりでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税の不公正問題というのは常に問題になるところであります。そのやっぱり一番の眼目は、それがつくられた時代には非常に時宜に会ったものであると思われても、時代が変わればそれほどの必要はないのでないか、よけいな恩恵ではないかというような議論が出てくることがございます。したがって、その時代、時代に応じて何が不公正であるのかということは、年によって、時代によって私は違うと思います。ですから、特に特別措置法においてはそういう感が強い。ですから、そういう点は年々皆さんの意見も踏まえて見直してまいりたいと考えております。
○和田静夫君 わかりました。 それで、私は、会計検査院にはいわゆる不公平税制等についての対応の仕方を、さっきから御不在のとき聞いておったんですが、それで検査院として必要であると認められたときには、その制度的な欠陥の指摘を含んでいろいろと指摘をされる、こういう態度で臨まれるようでありますが、それは大蔵大臣、謙虚にそういう場合には受けられる、こういうふうに理解しておいてよろしいですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 会計検査院の御指摘等につきましては、謙虚に反省をして、実現を、その御批判されたことが是正されるように努力をしてまいりたいと思っています。
○鈴木和美君 最初に、再三問題になっておりまして、もうある意味では見解が出たかもしれませんけれども、基本的な部分について大臣に見解を尋ねたいと思います。 最初に、租税収入の見通しについて伺いたいと思うんです。 五十七年一月末における租税収入の実績を見てまいりますと、五十六年度補正後予算で見込んでいる一八・五%増を大きく下回って、一〇・五%増にとどまっています。今後法人税などの回復を見込んでも、一兆円以上の租税収入の減少は避けられそうもないということを、衆議院でのわが党の塚田議員の質問に、大蔵大臣が税収不足の存在を肯定したと思うんです。そこで、今後見込み税収を確保するとすれば、五月までの税収の伸び率を相当高い三四・一%に見込まざるを得ませんね。私は、とってもこの数字は確保できないんじゃないかと思うんです。不幸にしてこれまでの一〇・五%程度の伸びにとどまった場合に、二兆円を超える大幅な歳入欠陥が生じてくると思うんです。 つまり、もう小手先ではどうにもならないというような状況に追い込まれると思うんですが、大蔵大臣の財政運営方針についての基本的な見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまのように、いままでの御指摘のような傾向でいくならばそういうような可能性があるではないか、これは一つの論拠が私はあると思います。 しかし、税の問題については非常にむらなこともございまして、私は心配はいたしておりますが、幾らそれでは足りないんだと言われましても、その額はともかく、法人税収入の約三分の一を占めるものが三月決算でございますから、非常にそこにまた問題がございます。したがって、それが出てみないと、ともかくはっきりしたことがわからない→これもまた事実なんです。委細については主税局長から説明いたします。
○政府委員(福田幸弘君) 御指摘のとおり、今後五月末まで三四・一ということは計算上出てまいります。いままでの実績を一あと、そういうふうに機械的にすぐ事がどうかという問題はございますが、確かに最近の経済動向、十——十二月の数字を見ましてもこれは影響をするわけですから楽観は必ずしも許さないものでございますけれども、税の方の税目別の個々の動きをやはり見ていかなけりゃいけないわけで、そういう意味で直ちにこれが経済の全体が税収にどう影響するか、これは一概には申せないということでございまして、特に物品税等はやはり個々の物品がどう売れておるかというようなこと、それから法人税は個個の業種がどういうふうな収益を出し、また経済の動きと直結しない形で税収があらわれる部分がどういうふうになるかということを注目いたしております。特に、三月の個人申告税がどうであったかというのがもうそろそろわかってきますが、この辺が非常に気になる点です。 それから、三月の決算がやはり円安になった環境で石油価格がどうなったかという問題、昨年との比較でどうなるか。それから、三月期でほかの業種がどういうふうに輸出が伸びない環境で決算をどう締めくくるか、配当は維持しなければいけませんので、その辺を会社決算としてどう出してくるか。これは個々の企業の決算状況にかかりますし、さらにこれが税額ベースになりますので、赤字のものは赤字のままでしか影響ございませんが、その辺税額がどう響くかということを決算を待たなきゃいけません。 いすれにしろ決算で明らかになりますが、いまの段階で補正後の数字をどういうふうに見直したら正確かということについては、それも指標が的確にないだけにいろいろな不安要因はございますが、見通しとしては、これは補正後の予算を挙げておかざるを得ない。また、それを目標として課税強化をしたりすることは避けなければいけませんので、この辺は租税法律主義のもとにおいて執行においても自然体で臨むと、またわれわれとしても税収については見通しをそのままにしながら決算を待つというしかない、こう思っております。 御指摘の点は十分に頭にありますけれども、それにかわる数字がないというのが担当者の実感でございます。
○鈴木和美君 一兆円は確実に税収不足になりましょうか。それから、仮に、いま巷間一兆四千億円と言われておりますけれども、もしそういう不足というものが出た場合にどういうふうに財政運営上手当てなさるのか、その点もお伺いしたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) これは繰り返し申しますように、補正後の見積もりを見積もりとして置かざるを得ないし、そういうことでございますので、歳入欠陥が幾らであるというふうにはお答えできないわけでございます。
○鈴木和美君 巷間伝えられている財政収入の不足が生じた場合に、決算調整資金の取り崩しや資金運用部からの借り入れで処理するということになるんだと思いますが、私がいま述べたいことは、五十六年当初ベースで一兆四千億円の増税をやったわけですね。そしてその増税は、国債二兆円減額を果たさなきゃならぬと、そういう意味で財政再建に対して努力するというお話だったわけです。現にそれが行われたというようにもお話しになっているわけですね。 しかし、私はいまのお話を聞いて税収の見込みが非常に、つまり欠陥、欠損を生ずるということになると、財政再建に二兆円、つまり減額をしたと言うけれども、結局そろばん勘定から見れば何にも残らないで増税だけが残ってしまうんじゃないでしょうか。つまり、間接税の増徴や法人税の増徴だけが残っちゃって、何にもいままで政府が述べてきたものと変わりない、つまり裏を返せば何にもやっていなかったんじゃないかということになりはしないかと思うんですが、大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一兆四千億円の増税が一兆四千億円入ってくれればいいんですが、ところが増税にならなくなるという危険性があると。それは、たとえば物品税のようなものもある一定の値上がりというものを見込んでおるわけですから、物価の値上がり、従価税は値上がりすればよけいに入るわけですから。ところが、値上がり部分がずっと思ったよりも減っちゃっているから、結局見込んだ税収も減っちゃっていると。印紙税のように、倍にしたわけですから、本当は倍以上に入らなきゃいけないわけですよ。ところが、増税は見込んだけれども、その増税が実現しない危険性といいますか、可能性が出てきているということも事実でございます。 いずれにいたしましても、景気の停滞、物価の予想外の安定、それから消費の伸び悩み等いろいろば原因がございます。ございますが、それが増税部分についてだけでなくて本体の部分についても影響があるから、補正予算で減額補正をしなければならないという立場になったわけでございます。
○鈴木和美君 つまり、景気全体が冷え込んでおるということが大きなやはり問題だと思うんですね。 そこで、先ほど和田委員の質問にも大臣答えられたようですが、私はやっぱり一兆円減税というものが景気の刺激にはならないと、三兆円、五兆円でなきゃだめだというお話だったんですが、私はそう思わないんですよ。 まず一つは、総理府の家計調査によると、もう御案内と思いますが、勤労者世帯の税込み収入は一カ月平均三十六万七千百円ですね、前年比五%増加したと。そのうち、税金、社会保険料などを除いた可処分所得は、物価上昇分を差し引いた実質で前年比一%減と二年連続マイナスを続けています。また、家計における可処分所得減は、個人消費の全体に直結することでありますから、消費支出も実質で前年比〇・八%減と言われています。とりわけ、最近の欧米を中心とした貿易摩擦が激化する中で、経済政策の柱を内需喚起に求めなければならないときに、この個人消費面で厳しい実態が続けば、勢い企業も減量経営化に走っちゃって、その結果、民間の設備投資というものも停滞しちゃう。勢い、雇用者の残業時間の減少などを通じて所得税収、法人税収の減少をもたらす悪循環がいま行われていると思うんです。だから、そういう意味では五十七年度公共事業七五%以上前倒しを決定したようですが、これだけで果たして景気が回復に向かうかというと、私は大変問題だと思うんです。後半にはもう息切れする危険性すらあるんじゃないかと思うんです。 そこで、そういう状況だから、やはり一兆円減税がどうしても必要であるということをわが党は何回となく述べているわけですね。そういうことを十分踏まえた上で、もちろん衆議院の大蔵委員会でこれから議論されるんでしょうが、そういうことに関する大蔵大臣の基本的な態度をもう一度聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、減税が不要であるというようなことを言っているわけではないのです。それから、一兆円減税が景気に全く影響ないというようなことを言っているわけでもないのです。 問題は、効用の問題を言っているわけでございまして、仮に五十七年度で一兆円減税をやるとすれば財源を何に求めるかということにすぐぶつかるわけです。歳出をそれじゃ現在のこの予算を補正して、どこか一兆円がとこ切って、そして金を浮かすのかという問題が一つある。それとも、それでは何か別なかわり財源を、増税して、その増税で所得税の方を減税するということか。もう一つは、赤字国債を増発して所得税を減税をするのか。方法はこの三つしかないと思うのですね、三つしか。 したがって、赤字国債はこれはもう極力財政のむだをなくすという点からも安易に発行することはやめなさいと。これは皆大体一致しているんです、これは各党とも。赤字国債増発しろなんてだれも言わない。問題は歳出カット。歳出カットと言っても現実の問題としてこの予算の中で一兆円の歳出カットができるとはなかなか思いません。ということになると、どこかを増税して、増税したものを所得税に回すという以外にはないわけですね。
○鈴木和美君 建設国債は。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 建設国債を発行いたしましても、それは減税に回す財源にはなりません。これは資本投資−投資の部分にしか使っちゃいけないということになっておりますから、減税の財源にはならない。 そうなってまいりますと、どこかで増税して、その増税分を減税に回すかしか残されていないということになります。一方、景気がうんとよくなって自然増収がふえて、おのずからそこから財源が出てくるということでもどうもいまのところなさそうだということになりますと、さてどういうふう次増税をして財源をつくるかということの話し合いというものがこれから大蔵委員会等で議論をされていくことになるんじゃないか、そう考えております。
○鈴木和美君 いまのお話は、結局財源探しのために増税をするということを大蔵大臣としてはもう方針を固めたということになるんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そうじやなくて、それ以外にはなかなか方法がないんじゃないでしょうかと。だからそういうことを中心に、私は減税するつもりはないんですよ、私自身は。だけれども衆議院の議長裁定というのがあって、五党間の申し合わせ事項もあり、それで大蔵委員会で予算成立後、長中期にわたってその模索をしていこうと、そういう財源から何からいろいろ模索しようということになっていますから、その結果については、われわれはこれを国会で取り決めになれば当然尊重いたしますし、またその勉強会をするに当たってのいろんな政府は材料持っていますから、いろんな材料——−外国の例でも何でも取り寄せて、それで材料を積極的に提供をいたしますということを約束をしておるわけであります。
○鈴木和美君 増税という定義が非常に最近ぼけてきているように思うんですが、つまり大型消費税みたいな、いままでのある税金よりもっと多く課すという、そういう増税も増税と言われているし、ある意味では租税特別措置法の改正に伴って財源探しをやる、それもある意味では増税じゃないかというような言い方をされているんですが、そこのところはっきりしてほしいんですが、いま大蔵大臣のおっしゃっているのは、財源探しのために増税を中心にしながらいろんな討論をすると、それは逆になるんじゃないですか。 つまり財源探しの方の増税というか、大型消費税とかなんかという、そういうものじゃなくて、つまり歳出の面とかそれからもっと租税特別措置法に絡む優遇のやつをこう直したらいいじゃないかというようなことを中心にして、それからどうだというんでなければ、増税して財源探しをやるというんであれば理屈が私は逆じゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、私は最初から言ったように、一兆円の財源を歳出カットに求めるというのは、それは一番理想的でいいことなんです。 しかし、われわれ予算編成やってきたわけでございますが、そう簡単に一兆円を現行予算の中で途中でばっと切れるということは非常にむずかしいということをまず申し上げたわけです。それはいろんな制度がいっぱいあります。法律も何十本という法律をもう一緒に直してということができればいいですよ。それが短時間でできるかどうか。それから、いま言ったように借金はふやすわけにはいかないということになれば、増税と言うかどうかわかりませんよ、税の手直しと言うかもしらぬけれども、現行税制の枠内でどこかをふやして所得税減税の方に持っていくというのが一番現実的なそれはやり方ではないだろうかと。 したがって、そういうものは増税とは言わないのだというならそれも一つの手で、増税というのは大型、新型の国会決議によるようなああいうでっかい、いまの制度と関係なく別につくるものが増税なんだというふうにとるのがやっぱりそれは本当かもしれませんよ。ただ、やっぱり税の不公正是正とか何かで手直しするというのまでそれは増税だ増税だと言われたのでは、それは税制改正も何にもできないということになるわけですから、ですから、私はそういうものはいわゆる増税という中には、大型増税という中には入らないんじゃないかなという気が最近非常に強くなっているんです。
○鈴木和美君 これ以上この問題差し控えますが、わが党としては衆議院の大蔵委員会の討論も尊重はします。けれども、参議院のわが党としては、本件に絡んで大変関心が高いわけです。したがって、大臣に申し上げておきますが、日切れ法案なども含まってもう少し玉虫色が色が出るように大臣の努力を要請しておきたいと思います。 さて、その次は九十四国会の五月十四日の当委員会で私は若干お伺いしたのでありますが、いわゆるクロヨンの実態調査に大きな期待を寄せていました。国税庁は五十七年二月に税の執行に関する実態調査を発表しましたですね。私はその努力はそれなりに評価します。それはそれなりに評価します。 しかし、クロヨンの問題の調査を提起されたのは、議事録を全部見てみたのですが、衆議院でも議論になった、つまり捕捉の状態をもっと調査すべきじゃないか、国税庁はそれにこたえて努力しましたというお答えになっているんですが、今回のものを見せてもらいますと、納税者割合を調査したもので捕捉率については何ら触れられていないと思うんです。クロヨンの存在が常に税の不公平感を論ずる場合にやり玉に上がっていることを考えれば、納税者からの強い要請となっているわけですね。したがって、もう少し今回の調査をさらに深めて、クロヨンの実態解明のために努力していただきたいと思うんですが、見解を承りたいと思います。
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。 税の執行が公平に行われているかどうか、いわゆるクロヨンの論議でございますが、こういう論議が現に行われており、また昨年の通常国会における本委員会において御論議いただいたところであることはいま先生御指摘のとおりでございます。 国税庁におきましては、そのときもお答えいたしたかと思うんでございますが、その調査の方法等につきまして鋭意検討いたしたわけでございますが、その結果といたしまして実施いたしましたのが先月公表いたしました税の執行に関する実態調査でございます。 その間の経緯につきまして、若干御説明さしていただきます。 いわゆるクロヨンの論議という場合に、いろいろな内容があろうかと思うのでございますが、その実態を解明するための調査といたしまして、一つはいま先生御指摘になられましたように、たとえばすべての国民を対象といたしまして一定の抽出率で、無作為抽出に対象者を選びましてその所得を洗ってみるというやり方がもちろん一つあるわけでございます。 ただ、この方法の問題点が実は大きく分けて二つございまして、一つはこれが非常にむずかしいということでございまして、いろいろ検討してみたんでございますが、やはり職のない方を区別して外すということが非常にむずかしゅうございますので、どうしても母集団が大きなものにならざるを得ませんし、そういたしますと、これが全国の数百あるいはそれ以上の市町村にまたがることになりますが、現在の私どもの事務処理能力からいたしますと、当然どうしても地元の市町村のお力をおかりする面が非常に多うございます。現に今回実施いたしました実態調査におきましても、非常に地元の市町村のお力をおかりしたわけでございますが、これがそういった形の場合、全国津々浦々で御協力が得られるかどうかという問題がございます。 それから、もう一つむずかしい問題は、当然に対象者の中に給与所得者、いわゆるサラリーマンが非常にたくさん入ってくるようになるわけでございますが、こういう方たちに対しまして日ごろそういった税務の調査というようなものを受けつけていらっしゃらないわけでございますから、こういう方たちに対する税務調査というのは実際問題として非常になじまないんじゃないかと、こういうようなことがむずかしいという点の一点でございます。 それから、もう一つの理由といたしましては、実はそれじゃ給与所得者は外して農業なり営庶業者だけを対象に調査してみてはどうかということになるわけでございますが、実は私ども税の執行を通じまして、この営庶業者あるいは農業につきましては申告水準につきましてかなりの資料を持っております。まず、農業について申しますと、これはもう先生御承知のとおり、大部分の農家につきましては、稲作なりさまざまな畑作につきまして課税当局の作成いたします農業標準によって課税いたしておるわけでございますので、一部の特殊経営農家といったようなものを別にいたしますと、一般的には所得の把握漏れの率といったような問題にはなじみにくいのではないかと、このように理解しております。また、営庶業につきましては、これは私ども実地調査の結果、これは所得の漏れが十分予想されるような対象にしぼって調査しておりますが、おおむね二五%程度の申告漏れの水準であるというような事実を知っております。 したがいまして、全部の数字でいきましたらこれよりは相当高い申告水準になるであろうということが考えられるわけでございますが、実は私ども統計学の専門の先生方にもお力をおかりいたしまして、これは別の目的で、私どもの内部の税務調査の資料を得る目的で、一定の業種の営業者につきましてほとんど毎年のように対象者を無作為抽出で選定いたしまして調査をいたしております。その結果出てまいります申告漏れの水準というのが、やはりいま申し上げましたようなことを裏づける相当低い水準になっておると、こういうような状況がございます。 しかしながら、世間一般から申しまして、そうは言っても農家とか営庶業者、営業者等について見れば、暮らし向きが非常にいいのに所得がそれに見合って少ないではないかとか、あるいはそもそもかなりの所得がありながら全く税務当局が把握してないものが相当いるんではないか、こういつた御論議がございまして、この種の御論議がいわゆるクロヨン論議を生じる大きな原因になっているというふうに私ども思われたわけでございまして、しかも、この種の論議に対しては私ども手元に全く資料がなかったというのが実情でございます。 そこで、以上の二点につきまして、その実態を解明するために、このたびの無申告の実態調査と、それから世帯単位の所得の実態調査。後者はサラリーマン家庭、それから営業の家庭、それから農家のそれぞれにつきまして、世帯ごとの所得の特徴はどんなものがあるかということを見てみたわけでございまして、その結果は先生も御承知のとおり、農家とか営業者等におきましては世帯主のほかに所得のある家族の数が……
○鈴木和美君 わかってます。簡単にしてください。
○政府委員(小山昭蔵君) 恐れ入ります。そういうような結果が出てまいったということでございます。 以上でございます。
○鈴木和美君 私の質問だけ答えてください。 そこで、同じ調査をしたときに、総理府の「税金に関する世論調査」も一緒にやったわけですね。そうして、順序が違うかもしれませんが、正しい申告のための対策として、「税務署員を増やして申告書のチェックや税務調査をきびしくする」というのが五九%ですね。「事業を営んでいる人は必らず帳簿をつけるよう法律で定める」七九%。「脱税者の罰則を重くする一八三%ですね。四番目に「納税者についての税金に関する資料や情報が税務署に十分集まるようにする」というのが七二%。五番目に「脱税者の氏名を公表する」というのが六四%、こういう実態ですね。 この世論調査の意見に対して、これから国税庁及び政府は、これを法律改正とか対策をつくるのにどういうふうに生かしていこうと思っているんですか。
○政府委員(福田幸弘君) 「帳簿をつけるよう法律で定める」という関係で申し上げますと、記帳水準を向上するということについては、申告納税というものが本来正確な記録に基づくわけでございますので、申告納税の本質に沿いまして、また納税者の実情に応じましてどういうことがやれるか、幅広い観点から検討してまいりたいと、こう思っております。それから、「脱税者の罰則を重くする」という問題につきましては、昨年のいわゆる罰則整備法におきまして、直接税についての罰則規定を整備いたしまして、脱税犯の懲役刑及び公訴時効期間を間接税並みの五年に直したところでありますので、さらに強化することは考えておりません。 後の問題は、庁の方で御説明いたします。
○鈴木和美君 それじゃ、一つ一つお尋ねしますが、いまの罰則を強化するということについては、前回の国会で五年を七年にしたということはこれはそれで結構です。しかし、脱税者の罰則を重くする場合に、だれが脱税しているとかしていないとかいうことを見定めるんですか。同時に、これはだれが告訴するんですか。
○政府委員(小山昭蔵君) 国税の犯則につきましては、国税犯則取締法の手続に従いまして、国税当局におきまして調査の上告発をいたすというのが従来の取り扱いになっております。
○鈴木和美君 ですから、私はいつも言うんですが、このことはこの方で結構なんだが、それを実際に実効あらしめるためには、やっぱり国税職員がいなければどうにもならぬわけでしょう、実効が上がらないわけですよ、こんなことは言ってみたって。実効を上げるためにはやっぱり実説率を高めて、職員をふやして、職員がやるんですから、告訴するのは全部。それをやらないことには幾ら絵にかいたものをつくったって実効が上がらないわけですね。そういうことをもっとはっきり私はやってほしいと思うのですよ。 大臣に、この機会にお尋ねしますが、レーガン政権じゃないですけれども、アメリカが非常に小さい政府をつくる、その中でも税務署の職員だけはばあんとふやしていますね。私は、行政改革だ行政改革だというけれども、必要なところにはやっぱりそういうことは思い切ってやらなきゃいかぬことじゃないかと思うのですが、いつも大臣は努力する努力すると。もちろん今回国税職員がプラスマイナス五百なんぼかなっていますけれども、しかし、いま国税職員の実態を見るとあと十年過ぎには約四割やめちゃうでしょう、もう年齢で、肩たたきもあったりして。これから十年先を考えたら大変なことになると思うんです。そういう意味で、私はこれからの職員の問題についてぜひ努力をしてほしいと思うのですよ。これは要望だけしておきます。 それからもう一つの問題は、記帳義務という問題について大蔵省は腹を決めたんですか、お尋ねいたします。
○政府委員(福田幸弘君) 記帳の問題は、申告水準をどのようにしたら向上させることができるかということで、シャウプ勧告も最初に記帳慣行の定着ということで、申告納税の重要性を指摘して青色申告が現在あるわけでありますが、これが五二%普及をしております。こういうものを唱えながら、さらにどういうふうに水準を上げていくか。昭和三十六年の国税通則法の制定に関する答申がございましたし、その中にはいろいろ具体的なことが言われております。これはやはり基礎的な法律問題でございますので、専門家の方に現在検討してもらっております。法律専門家が中心でありますが。その辺の進捗、進行に応じまして、今後税制調査会での御検討をお願いするかどうか、現在、中で検討中であります。
○鈴木和美君 これは読売新聞の十一月二十七日の記事ですが、大蔵省に研究会を発足させて所得税法改正に取り組む方針を固めたといわれておりまして、二回研究会を開いた。どの程度の帳簿まで義務づけるか、専従者給与控除など青色申告の優遇措置をどの程度まで認めるか、義務違反には罰則規定を設けるかどうかというようなことが研究会で二回討論されたという報道なんですが、その事実関係についてお聞かせいただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) いまの御指摘のような項目について検討をしてもらっております。その検討結果がまだまとまっておりませんが、どういうふうな御意見かをお聞きする機会が近くあろうかと思いますので、そういう内容をずっと見ながら、われわれなりにまた検討を加えまして、そしてそれを税調のどういう形で御検討願うかということで進めていこうと思っております。 いずれにしましても、非常に基礎的な、また慎重な検討を要する問題でございますので、その上での結論を税調の場で出していただくというようなことで、いま最初の基礎的な段階を学者の方にやってもらっておりますので、いまのような項目がどのように、研究会の形で出てくるか、研究会はまだ非公式でございますので、それを今度は正式の検討の場に移していくのに問題点をどう整理していくかということは今後の問題であります。
○鈴木和美君 そうしますと、現在の段階では大蔵省として記帳の義務というものをさせるのかさせないのか、まだそれも決まってないというように承ってよろしゅうございますか。
○政府委員(福田幸弘君) それは、申し上げておりますように、検討の結果でそれがやれると、またそれなりの効果があるということを踏まえて成案を得るわけでありますので、いまの段階でわれわれがこう思っておるというふうに申し上げるよりは、やはり専門的な検討を経ていくのをいま待っておるという姿勢でございまして、その答えがやはり申告納税の趣旨から見て正しいということで具体的な実行可能なものが出てくれば、それは当然今後の税制改正の内容になっていくでしょうが、その検討過程において、われわれはこう考えておるということを前もって示さない方が、こういう税調とか研究会の性格から見てむしろいいのではないかと思って、その結果待ちということで、われわれはわれわれで内容を内部的には検討をもちろんやっております。いま結論を申し上げる段階ではないということでございます。
○鈴木和美君 大蔵省は、ある態度を持っているんですか、持っていないんですか、そこのところをはっきり聞かしてもらいたいんですが、私は記帳の義務法律化ということに対して反対なんです、意見を先に述べれば。もう少し指導の方向でできるんではないかと思うんです。 同時に、罰則の強化という、その罰則というものが法律に入るのか入らないのかということはやっぱり大変なことなんですね。単なる指導だけであるんであれば何にも入れる必要ないんですから、法律改正もやる必要ないですね。罰則強化の規定であればこれまた大変なことになるという二つの問題がありまして、私が聞いた、大蔵省は原案を持っているのか、態度を持っているのか持っていないのかということを聞かしてくれませんか。
○政府委員(福田幸弘君) 繰り返して申しますが、専門的な検討の結果を待つということでございます。 ただ、一般論で申し上げますと、申告納税というのは、みずから計算してそれによって納税するという非常に民主的な自主的な制度をとっておりますだけに、その所得を知っておるのは本人でございますので、その本人が所得をどういうふうに計算したかという記録を持つ——帳簿がどこまで必要かというのは、これはいろんな業態、企業の大きさによっていろいろあるでしょうが、自分が所得が全然わからぬというのでは申告のしようがないわけですから、その辺はやはり記帳水準というか、所得をみずからはじく記録が必要であるというのは当然の前提であって、それがなくて申告納税は成り立たないというこのアメリカの考え、シャウプの考えは正しいと思います。 ただ、どこまでの記録を要求するか、さらにそれを罰則でやるかどうか、むしろこれは挙証責任の問題でございまして、挙証責任の際に、反証を挙げる際に、帳簿があってそれが反証できるという問題がございますので、直ちに罰則によって強制するというようなことよりも、記録を持っている人が正しく申告しておることが不利にならないようにという申告納税の本来の考え方が大事だろうと思います。これは個人的意見でありますが、どういうふうな結論が出てくるか、それはやはり課税の適正ということが基本にあるということが本来の趣旨であろうと、こう思います。
○鈴木和美君 国税庁にもひとつ先ほどのクロヨンの問題でお尋ねしますが、これは読売新聞の二月の十八日の記事ですが、こういう実態についてお認めになりましょうか。 「五十五年の納税者の割合は、給与所得者では八二・九%と高率。サラリーマンではほとんどが税金を納めているのに対し、事業所得者は三七・五%、農業所得者は九・八%。サラリーマンが圧倒的に高いだけに、その比率が八・四・一」つまり、クロヨンに近いというような実態になっているということで、この実態をいま国税庁は認められますか。
○政府委員(小山昭蔵君) ただいま先生がお示しになられました数字は、多分大蔵省主税局の方でおつくりになっておられます「業種別所得者数と所得税納税人員の推移」の表に載っておる数字に基づくものと思われます。 この表は、私どもが作成したものではございませんが、さまざまの原統計からつくっておる表でございます。これを国税庁としてコメントすることは大変むずかしいのでございますが、一言で申しますと、このたびの私どもの実態調査の結果、たとえば営業所得者について見ますと、商工地区の平均の営業所得者の売り上げが年間千九百万というように非常に零細なものでございまして、規模が少し大きくなりますと皆法人になってしまっているというような実態がございます。そのあたりがこの表に出てきているのではないかと、こういうふうに考えております。
○鈴木和美君 大蔵大臣にお尋ねするんですが、わが党の穐山議員の本会議での質問のときに、つまり申告漏れというか、脱税というか、節税というか、そういうものが相当あるんじゃないか、八百億ぐらいあったじゃないかという質問に対して、本会議で大臣が答えられたのは、たまたま税務署が実調に入るときはおかしいと思うものを実調に入るんだから、ほかのところがなべてその率のように上がるということはないんだという答弁をされているわけですね。 私はそれはおかしいと思うんですよ。実際は実調率が人がいなくて少なくなっているわけでしょう、実調率は、人がいないために。それから、すでに十四万件の調査でも九二%が申告漏れになっているわけですよね。だから、私の一つの提案なんですが、この調査をもう一歩進めてもらって、捕捉率について無作為にもう一回調査をするということはできるんじゃないですか。だから、必ずしもあの情報とか、それからおかしいと思ったものだけが上がっているんではないと思うんですよ。全体がいまやはり多少税金を納めたくないという感じになっているんじゃないですか。
○政府委員(小山昭蔵君) お答えいたします。 まず初めに、現在の実地調査、これは営庶業者につきまして四三%ぐらいの数字かと思いますが、こういう状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、対象選定ということに非常に力を入れまして、何か特別の資料を手元に持っている相手とか、あるいは同業者に比べてどう見ても申告の水準が低過ぎるのではないかというような相手にしぼって実地調査をいたしておると、深度のある実地調査をいたしておるというのが実情でございます。したがいまして、その深度のある実地調査を特別の対象についていたしているわけでございますから、これをもって全営庶業者の納税者の申告漏れがどのくらいあるかということを直ちにそこから引き伸ばして考えるということは、相当無理があるというふうに率直に言って考えるわけでございます。 二点目でございますが、無作為抽出の調査につきまして先ほどちょっと申し上げましたが、実は私ども現に幾つかの業種につきまして、これはほとんど毎年のように私どもの内部の同業者の調査にそれを活用するための実態調査というものをいたしておりまして、対象の選定に当たりましてはその業種に属するものについて無作為抽出で対象を選んでおります。それも先ほど申しましたように、大学の専門の先生からできるだけ客観的なデータが得られるような御指導等を受けながら対象選定をいたしておるということでございますので、しかもこれには相当熟達した調査官を当てまして徹底した調査をいたしております。 したがいまして、これを経営実態調査と呼んでおるのでございますが、その調査結果というものにつきましては、そういう目的で調査しているわけではないわけですが、副次的にこれを集計してみますと、営業者についての申告漏れ水準のかなり客観的な数字がそこから得られると、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
○鈴木和美君 これも同じ記事なんですが、こういうこともお認めになりますか。今回行った調査ですね。調査の対象割合は、「五十四年でたったの四・三%。国税庁では「脱税の疑いが濃い業種を対象に調査している。だから、この調査割合から全体ではもっとあるのでは、と考えてもらっては困る」」と言っていますね。いまの答弁もそうですね。読売の記事は、「だが、果たしてこの言葉を素直に信じていいものかどうか。調査率の低さに隠れて「税務署は目が届かないだろう」と脱税に走っている不心得者が少なくないと見なければならない。」と、こう言っているんですが、そういうことをお認めになりますか。
○政府委員(小山昭蔵君) どうも重ねてのお尋ねで大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、私ども限られた人員でもって非常に多数の課税対象の調査に当たらなければならないわけでございますので、どうしても効率的に的確な対象の選定を行う、課税漏れがあるという確率が非常に高い対象を選んで調査を行っておるというのが実情でございまして、今後とも一層そういう対象の選定には鋭意力を尽くしてまいりますが、現状におきましても、無作為抽出で行う調査結果と、いま申しましたような対象を徹底的に念査した上で行っております実地調査結果では、その調査結果に大きな乖離があるというのが実情でございます。
○鈴木和美君 私がいつも言うように、いろんな議論をしても結局は実調率が低いということは人が足りないということにも結論づけられるわけですよ。だから、そこはどうぞ私の真意を酌んでいただきまして対処をしていただきたいと思うんです。 それでは、国税収納金整理資金に関する法律について若干お尋ねしますが、現行制度を改正することによってどのようなメリットがあるのかということなんですが、先ほど御説明がありました。そこで私が疑問に思うのは、同時に財政法十四条の総計予算主義という観点から見ると、今回の提案はちょっとおかしいんじゃないのかなという考えを持っているんですが、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(西垣昭君) 御指摘の点は、財政法十四条に総計予算主義の規定がございまして、それに照らして今回の改正はどうかと、こういう御趣旨かと思います。 で、同じ財政法の四十四条に、法律をもって特別の資金を設けまして総計予算主義の例外を設けることができるということになっておりまして、現在の国税収納金整理資金そのものがこの四十四条の例外でございます。 で、今回の改正は、従来の還付金に加えまして還付加算金もこの特別の資金として扱おうと、こういう趣旨でございまして、財政法上は問題はございません。私どもといたしましては、従来のように還付加算金につきまして予算に計上するということを続けておりますと、最近のように還付加算金の件数、金額が非常にふえてまいりますと、予算が足りなくなると予備費を支出しなくちゃならない。しかも、その予備費の支出が年度末に集中をいたしまして、税の方の一番の繁忙期に当たりまして、非常に事務の煩瑣を加重するわけでございます。それを通じまして納税者に対するサービスが遅滞すると、こういう結果になっていると、こういう状況が一つございます。 それから納税者の方の立場からいきますと、還付金といい還付加算金といいましても一体として考えられていると、そういうことがございます。また、税の方で言いますと、利子税等につきましては税の本体と一緒に扱われている。こういったことを考えますと、今回この制度を改めまして還付加算金を還付金と一体とする方が財政法上も問題がございませんし、制度の改善にも資すると、こういうふうに考えているわけでございます。
○鈴木和美君 これはどうなりましょう。衆議院の調査室の資料ですが、「「昭和二十九年度国の予算」では次のように説明している。」と言って、「「租税還付加算金は、払いもどし金のごとく過誤納金に見合うものではなく、法律に基き国の債務が発生するものであるから、その性質上歳出予算に計上した。」」とありますね。いまの、法律上問題がないんだというんなら、二十九年のときから何でやらなかったんですか。いまになってやるというのがどうもわからないんです。
○政府委員(西垣昭君) 二十九年この制度を始めましたときには、遅付金と還付加島金とは性質が違うんだと、非常に厳密に考えたわけでございます。 それも一つの考え方ではございますけれども、そこは一つの割り切りでございまして、いま申し上げたようなことをいたしましてもこれはむしろ制度改善になると、しかも、還付加算金というのは法律上の義務的経費でございまして、一義的に決まるものでもございます。そういったことを考え合わせまして今回の改正をお願いしている次第でございます。制度を設けたときの考え方とは違いますけれども、それはそれなりに理屈のあるものではございますが、私どもは今回の改正の方が改善になると、こういうふうに考えております。
○鈴木和美君 これによるメリット——この仕事をやっておったのは、人が足りないから、何かお聞きしますとアルバイトか役務費でやっておったそうですね。これを今度変えるとどのぐらい合理化というかお金が浮くということになりましょうか。
○政府委員(角晨一郎君) お答えいたします。 現在、還付加算金のこの改正に関連いたしますもろもろの事務をいたしておりますのはアルバイトではなくて正規の職員、非常にむずかしい仕事でございますので正規の職員がやっているわけでございますが、最近、先生も御承知のように、納税者人員が非常にふえております。同時に還付申告者も人員的に増加をしておりまして、特に還付申告の集中いたします二、三月を中心に管理徴収事務の事務量はもう手いっぱいと、こういう状況でございます。 今回の改正によりまして、税務署におきます還付加算金に関する管理、使用に関する事務が軽減をされるということでございますので、その面の事務負担はそれだけ軽くなるけれども、大勢として還付申告をめぐって年々非常に事務量が増加している情勢も御賢察いただきたい、そういう状況でございます。
○鈴木和美君 それじゃ、ちょっと次の質問に入りますが、九十四国会の当委員会でも問題になった企業の使途不明金について、課税の強化を行えという意見が非常に強かったと思うんです。それを受けて検討しますというように当局が答えられたんですが、どのような検討経過になっておるのかお聞かせいただきたいことと、もっと積極的に使途不明金に対しては通常の法人税のほか一〇%程度ぐらいの付加税を課することも必要じゃないかというように考えているんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) 使途不明金の特別課税につきましては、その制度上特に技術上の問題も少なくないということで、この検討を続けているところでありますが、特別課税を行う前提といたしまして、法人に税法上支出先を明らかにする義務を課す必要があるわけでございますが、具体的にその義務を課すことができるかどうか、その辺がポイントであるように思われます。 もう少し申し上げますと、支出先の明示義務ということでございますが、企業活動によります払いにつきまして、その使途をすべて明示するというようなことができるかどうか。その明細書を出すということについてどのような明細書ができるかというのは相当なやはり事務負担また相当なめんどうがあるわけですから、具体的にそういうものがあるかどうか、そういうことが前提になろうかと思います。またそれは支払い手数料とかリベートというように、対価がはっきりしないそういうものにだけ限定するかということになってきましても、その範囲をしぼることができるかどうか。しぼってしまえば意味がないのかどうか、さらに質問検査権との関係もあるわけです。 また、申し上げますと、中小企業あたりでたまたまというか、支払い先の住所、氏名が明らかでないという際に、直ちに外見的に使途不明金として重課をすることができるかどうか、その悪意の場合と善意といいますか、過失の場合との差なしに税法上一律に重課ができるかという問題もあろうかと思うんです。また、課税の性格につきましては、その使途不明金の金額を受け取った者に本来所得税を課すべきであるから、その分をかわりに支払い者に課税するという性格なのか、その辺。もう一つは、税務の執行を阻害したという秩序罰として重い加算税をかけるのか。またその脱税とか贈賄、収賄というような問題が裏にあるから、そこでペナルティー的にかけるかということでございましたら、むしろそれは別の局面の話でございますので、会社が経費で落としたところで、そういうものであると考えて重課するということが会社経理、もしくは税法として成り立つかというような問題があろうかと思うんです。 そういうことで、外国の立法例で見ましても、フランスの場合はやはり手数料とかいうものについてその支払い先の明細を出させるという規定を別に持ってますので、その規定に違反した場合に特別課税を行うというようなことでございますので、直ちにこの使途不明金に重課ということにはなかなか踏み切れない。十分の検討が必要であるということで、引き続き検討中であります。
○鈴木和美君 もう何回も議論していることですから、早くその使途不明金についてもう少し抜本的な対策が提示されるように検討を急いでもらいたいという要望だけ申し上げておきたいと思います。 その次は、企業の交際難問題ですが、この交際費問題については税調で資本金別の定額制について意見があるようですが、これはさておくといたしまして、今回五千万以下の法人に対しては一定の非課税枠を設けて、これを超える部分全額損金不算入として取り扱うことになるんだと思うんです。 そこで、ある意味では、中小企業に対して幅を多く認めたということはうなずけるんですけれども、巷間いろんなことが言われているのは、交際費が非常に乱脈に使われているということもまた庶民感情から言うと大変な問題になっているわけですね。そこで、これらの法人の交際費の中身についてもっとチェックができないのかという意見があるんですが、これに対する対処の方法はありましょうか。
○政府委員(吉田哲朗君) ただいま法人、特に中小法人の交際費のあり方の問題について御質問がありましたが、先生御案内のように、一口に中小法人と申しましても、実は納税に対する取り組みはさまざまでございまして、世の中には非常にまじめに記帳し、納税しておられる中小企業も多いということは御案内のとおりだと思います。 しかしながら、一方中小法人におきましては内部牽制組織が十分に確立してない、働いてない、そういう傾向がございますので、中には、たとえば代表者個人の経費、支出、そういったものが法人の交際費となっておって、結果として不適正な処理になっているものも残念ながら少なくない状況にございます。私どもとしましては、従来法人の調査等に当たりまして、そういう不適正な交際費支出の是正に極力努めてきているところでございますけれども、最近税負担の公平の問題あるいは交際費のあり方等をめぐりましていろいろ問題が起こっておるという現状にかんがみまして、先般改めまして国税庁から各国税局に指示をいたしまして、具体的に交際費支出の内容をチェックするよう指示をしたところでございます。従来から第一線では取り組んできたところでありますが、先般改めてその調査を強化するよう指示いたしましたので、それによりまして一層の課税の的確化を図っていきたいと、かように考えております。
○鈴木和美君 私はすべてが悪いというように言っているわけじゃないんですけれども、やはりあるわけですよ。父ちゃんが連れていって、母ちゃんと子供まで御飯食べさして、それで交際費で落としているというような例もなしとはしないと思うんですね。ですから、そういう意味ではなるべく適正な交際費であるように指導をより強めてもらいたいというように思います。 それから次は、大臣にちょっとお尋ねをしますが、一千万円の高額所得者の問題がいつも出るんですが、一千万を超える人の税負担がきつ過ぎるということでいつも言われるんですが、一千万円の年収を持っている者が高額所得者とは思わないということをよく大臣が言われますね。そこで私いろいろ調べてみたら、五十五年分の給与所得の納税者三千二百九十五万人の中で一千万を超える人はわずか二十六万人ですね。全体の〇・八%程度だと思うんです。五十七年の推定をしてもせいぜい一%になるかなというぐらいだと思うんです。その面から見れば、やはり高額所得者ということになるんじゃないでしょうか。 同時に、民間給与の実態調査、これは五十五年度分で「年末調整を行った一年を通じて勤務した給与所得者」という欄を見ますと、一千万以上の給与総額三兆八千五百八十四億円に対しまして、平均税負担額は四千三百四十九億円で、平均に直すと一一・三%にすぎないと思うんです。そういうものから見れば、どうも大臣の言われていることは実態に合わないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(福田幸弘君) 最初計数を御説明申し上げたいと思うんですが、給与収入または所得金額が一千万を超える納税者は三十八万人でございます。全納税者の一・〇%にすぎないわけでございますが、その所得税の納税額は二兆三千億円でございまして、全体の二九%を占めておるわけです。一%にすぎないものですが、税金としては三割を納めておるということでありますので、それはやはり税負担が重いということを割合から示しているわけです。給与所得者に限りますと、給与収入一千万超の納税者は二十六万人で、全納税者の〇・八%、その所得税の納税額は七千三百億円で、全体の二二%、こういうことになります。 それから次に、給与収入一千万を超えるところの限界税率は四四%でございます。これは所得税三〇、住民税一四ですから、以後限界税率九三%、すなわち所得税七五の住民税一八でありますが、そこまでずっと高く上昇していくということ。また給与収入が一千万の実効税率、これは二一%でございまして、途中各国を抜きながら、四千二百万を超しますと、英国を抜いて世界最高というふうに急上昇をしていく形になっております。 もう一つ、また別な観点から申しますと、五十五年分民間給与の実態調査では、収入が一千万を超える給与所得者、これの給与総額は三兆九千二百十八億円でございまして、所得税額が八千三百十三億円、平均税負担率は二一・二ということになっております。また、これは所得税でございますので、住民税を推計いたしますと、その負担は九・五%ですから、所得税、住民税では合わせて三一%という税負担率になるということでございます。 また、この機会でございますからもう少し申し上げますと、最高税率というのは、限界税率で申しますと、いつも大臣申しますように、所得税七五で地方を入れると九三という限界税率でございます。それは、アメリカでは五五、イギリス六〇、西ドイツ五六、フランス六〇と、こうなっております。それからこの最高限界税率、すなわち九三が適用される給与収入の水準を見ますと、わが国と比べてほかの国は——ほかの国の先ほど申した最高税率はもともと低いんですが、それが適用される水準というのはアメリカが二千万とか、イギリスが千二百万とか、西ドイツ二千六百万、このくらいのところからしか最高税率はないということで、最高税率はそんな上の方でなくて二千万ぐらいのところでしかも非常に低い率であるという点も違います。それから、実効税率が、先ほどのように、日本がぐいぐい抜いていきますが、アメリカは二千五百万のところで日本が追い越します。西ドイツは二千四百万で追い越します。だから、この辺西ドイツが二千四百万、アメリカが二千五百万、先ほどのように英国が四千二百万と、こういうふうに日本は異常なカーブであるということです。 で、給与収入一千万の税負担、標準的な世帯の負担率を見ると、日本が地方を入れて二一%、アメリカは二八でして、フランスは一四・三、西ドイツ二六、西ドイツと五%しか違いません。イギリスはやはり非常に高い三四というようなことでございまして、これは私のいままでの実感と経験から見ましても、この税負担が国民がたくさんおるところでは正直言って諸外国より低いというか、最初の税率は低い水準から、率で始まる。しかも、非課税の限度は二百一万と高いところで課税が低い水準で始まり、それが急カーブで上がっていくということで、八百万から一千万ぐらいのところからの税の重さというのはやはり税の重い実感であると同時に、国際比較から言ってもこのカーブが高度成長下に課税最低限を引き上げるということだけでやってきたために、カーブが非常に急激に高まっておるということを御説明したわけで、少しくどくなりましたがそういうことであります。
○鈴木和美君 数字のとり方は、そのとり方によって違うと思うんですね。私が言っているのは、この「民間給与の実態」のここのところの表の百ページのところを言っているんですが、「給与階級別の諸控除 年末調整を行った一年を通じて勤務した給与所得者」ということの一千万を超える数字を言っているわけですよ。それから、五十四年度版で見る「国税庁統計年報書」の六十五ページ見ても、税率はいまもおっしゃったように非常にもっと低いんじゃないのかなと私は思うんです。 そこで、大臣にお尋ねしたいということは、その一番高いところを総合課税になったときに下ぼたいということをよくおっしゃいますね。その下げたいということは、その全体のカーブを下に持ってくるということなんですか、その高い部分だけちょっと下げるという意味を指すんですか。全体をこう、いまこうなってますね、それを下の方まで全部いじるということを意味しているんですか、大臣の言うそのいじりたい、税率表をいじりたいということは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、なだらかに、もう少しなだらかに、急じゃなくてもう少しなだらかにしたいということです。下の方を上げるという意味じゃありません。
○鈴木和美君 上げるという意味じゃなくて下げるという意味も含まれているんですか。上が下がる、一番高いところも下げるんであれば、下も下げるということを意味しますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) なだらかに下げてはいかがなものかと……。
○鈴木和美君 そのことと、現在税収がなかなか上がらないというような、この状況との絡みですね。それは発想、構想としては一つの見識として聞きますよ。しかし、そのことによって税収が全体に落ち込むというようなこととの兼ね合いをどういうふうにタイムリーに考えていらっしゃるのですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、私は条件をつけておりまして、そういう気持ちはあるけれども、現実の問題として財源との絡みもありますということを言っておるわけです。だから、そういうものが見通しが何らかの形でつけば、なだらかにしたらいいじゃないかと。 よく国会の議論で、ともかく間接税をふやすのはだめだという議論が多いんです。ところが、間接税というものはアメリカを除き日本がイギリス、フランス、ドイツなどの中では一番シェアが少なくて、かつては六五%のシェアがあったものが、高度経済成長期に四〇から四五ぐらい、それがいま二七ぐらいまでに下がって、だんだん減りまして、仮にこういう状態の中で所得税減税しろと言われても、直接税が全部の負担の七割を持っているわけですから、七割持っているものを減税しちゃったら、とてもじゃないが、ほかの歳出はもう守れないということになります。しかも、所得税は四割のシェアがある。法人税が三割。法人税は諸外国では大体一〇%ですよ。アメリカは一八ぐらいしかシェアがない。イギリスとかドイツとかフランスあたりでは八%から一〇%ぐらいしか法人税はない。結局、企業のバイタリティーがなくなっちゃって、法人税のともかく納める額が少なくなっちゃっている、それが実態なんですね。 日本は、幸いにまだ三〇%法人が持っているわけです。ですけれども、法人課税を重課税をしますと、結局はどうせ取られるならば分けちゃえという話になるんです。これは必ず。その結果は、やはり法人税はがくんと減っちゃって、そのわりに所得税は伸びないで税収は落ち込んじゃう。法人税のシェアがヨーロッパのようにだんだん小っちゃくなつちゃう、法人税もだめになっちまうということになる。したがって、そこらのところ兼ね合いというのが非常にむずかしい。 それからもう一つは、為替自由化ですから、外国に、幾ら資本どんどん持っていって、余り極端なことをやれば日本から資本が表に出るということをなかなか抑えられない、じわじわやられると。その結果は日本経済にどういう影響を及ぼすか、そういう問題をマクロ的に一遍考え直さなければならない時代に来ておりますということを申し上げたので、具体的に何年何月からそうやる、直すということを言っておるわけではないわけでございます。
○鈴木和美君 それはそれでわかりました。 その次は、法人税の問題についてお尋ねしますが、法人税法施行令の改正で貸し倒れ引当金の法定繰入率を約二〇%程度引き下げることとしておりますね。参議院の予算委員会提出資料によりますと、改正案によってもまだ貸し倒れの実績率の二倍から三倍の水準となっていますね。従来からこのような引当金については、企業会計上合理的であるという考え方がとられてきましたが、この制度によって無税積み立てできるということから、退職給与引当金を含めて大企業が中心に利用している制度のようになっていると思うんです。資金繰りが比較的苦しい中小零細企業はこれらの制度によって無税で内部留保ができるのに、みすみす利用できないというのが私は実態ではないかと思うんです。 たとえば五十五年度では、資本金十億円以上の大法人の貸し倒れ引当金残高は全体の五七・一%ですね。また、退職給与引当金残高は六五・七%となっていると思うんです。ところが、資本金十億円以上の法人は全体の〇・三%にすぎないことを考えれば、租特法の五十七条の六を拡充するというようなことを考えながら、これらの法定繰入率について資本金階級別の繰入率を設定しても私はよいのじゃないかと思うのですが、見解を承りたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 貸し倒れ引当金に関しての一連の御質問でありますが、法定繰入率を今回二年間にわたって二〇%カットするわけでありますが、実際の実績率との開きがまだ相当あるんじゃないかという御指摘がまずあるわけであります。これは、貸し倒れの実態のサンプル調査でいきますとたしか二、三倍まだ開きがあることにはなりますけれども、これは平均的な数字としてあるわけで、実際はそこにばらつきがあるわけでありますので、その辺を考えませんと、実績そのものにすればこの引当率の意味がなくなるわけで、将来発生する貸し倒れを予想して評価をするという性格からいけば実績まで落とす必要はない、それが引当金の本来の性格からきても言えるわけでありますから、いまの開きがどうかということは常時見直しをいたす必要がありますけれども、直ちに実績ということは、実績の選択制度も認められていますので、この引当金制度という評価性の会計上の合理性からいけば、ここに留保があるということよりも、合理的な計算としてはいまのようなやり方で実績との開きがある程度あってもおかしくないという気がいたします。 次に、中小企業のところと大企業でどうするかという問題ございますけれども、これは大きな企業のところでは取引規模がやはり大きいわけで、貸し金も多く持っている大企業があるわけですから、その引当金の残が大きくて全体のウエートが大企業の方に偏っておるということは、これはやむを得ないというか、それだけ貸し金があるわけですから。そういうことであろうかと思います。 それから、中小企業でこれを余り利用してない理由を、これはサンプル調査やった結果を見ますと、売り掛けがないというのが相当部分あります。一番高くて二七%ぐらい、これは設定しない理由でございますが。それから貸し倒れ損失の発生が見込まれないということも二割方言っております。それから設定しても引当額が小さいということで、この貸し倒れ引当金という費用と収益の対応というような近代会計的な処理をするまでもないということが中小企業の実態であろうと思います。したがいまして、この貸し倒れ引当金に資本金的な差を設けるという必要は本来はないわけでありますが、現在租税特別措置におきまして、資本金一億円以下のところでは繰入限度額を一六%増しにするという制度を設けておるわけでございまして、これはこの租特によってそこが中小企業に対しては配慮されておるということであります。 また、この引当率を余りに厳しくしますと増し担保を要求されたり選別融資が行われるというようなことで、かえって中小企業にしわが寄るということもございますので、その辺を考えながらこの率を策定しており、また今後はその辺をよく見直していく必要があろうと、こう思います。法定繰入率以上の企業もまた相当あるということも考え合わせる必要があろうかと思います。
○鈴木和美君 いまの実績率ですね、法定繰入率と貸し倒れの実績率を見ますと非常に差が大きいですね。これは、このぐらい増差を持っていなきやならぬといういま理由の説明ですか。私はもっと縮めてもいいんじゃないのかなと思うんですが、もう一度聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 法定繰入率は平均的な率でありますので、実績率はもちろん平均では出ますけれども、上下にばらつきがあるということも考えませんとこの法定で一定率を使う理由がないわけですから、たとえばこれは実績の法人に、実績別の法人数分布というのを見てみたんですが、そうしますと、先ほども若干申しましたが、法定繰入率以上のところがやはりあるわけです。 たとえば卸、小売で見ますと、法定繰入率以上のところが一〇%以上あるというウエートを示しています。金融、保険業に至りますと二七%以上の、法定繰入率以上の法人数分布があるということですから、それをやはりならして考えるという法定繰入率の考えでいけば、実績繰入率との開きが二倍から三倍だから、その間余裕があると。こうしますと、こういうふうにばらついておる企業のことは考えないことになりますので、どこまで圧縮するかという問題、なかなかこれはむずかしいのですが、この辺はやはり実態を見ますなら、経済の状況もあると思うんです。経済の状況が低迷しておるときにこういうふうな貸し倒れというものは生じやすいわけですから、それは経営者の能力というよりも経済環境からくるわけで、そういう環境下でこの見直しをどこまでやるかという問題を含めながら、この開きをやはり常時見直していくということで、この差額自体が留保であるというふうには言い切れない。それを言えばこの引当金制度は意味がなくなってくるわけでありますので、実績率そのものが正しいということまでは言えないと、こう思います。
○鈴木和美君 どうぞ、私の言わんとするのは、この中小企業がただ指をくわえて、この制度がありながら使えないというようなことのないように、対策を強めてもらいたいと思うんです。 それから次は、自動車関係の道路財源の問題ですが、自動車関係諸税はきわめて複雑であるわけです。この前の物品税の値上げのときにも議論したんですが、そのうちかなりの部分が道路整備財源として使い方が特定化されていると思うんです。そこで、五十五年度実績を見ると、国税で二兆七千六百九十億円、地方税で一兆五千四百十二億円、総計で四兆三千百二億円の税収を上げているわけですね。そして国税のうち揮発油税、地方道路税、石油ガス税及び自動車重量税の一部は道路財源として充当されているわけです。五十四年四月一日現在の一般道路の国道の舗装率を見ると九四・七%となっていると思うんです。かなり道路整備は私は進んでいるというように思います。 ところで、二月十二日の日経新聞に書いてあったんですが、建設省が「自動車重量税の一般財源繰り入れを五十九年度まで受け入れる方針を固めた。」との報道がなされておりますが、御承知のように、現在の自動車重量税はその税収の四分の一を地方の道路財源に充てて、残りの四分の三の八〇%を国の道路財源に充てる仕組みとなっているわけです。それを一般財源化を認める条件として、五十八年度から始まる第九次道路整備五カ年計画の期間中に道路特定財源として返却することとしているようでありますが、その事実関係を明確にしていただきたいと思うんです。 また、私どもが自動車重量税の一般財源化を要求している背景には、極端な財政難に遭遇している現在、政策的な優先度を考えると道路整備より最近切り捨てられている福祉への財源配分を厚くすべきだという考え方を持っているんでありますが、大臣の見解を承りたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政当局としては、自動車税とかガソリン税とかの問題を暫定的にでもいいから一般財源化していただきたいという願望は持っております。建設省がそういうふうにお決めいただけば本当にありがとうございますと申し上げるんですが、まだ聞いておりません。
○鈴木和美君 前段の方はっきりしてください。
○政府委員(西垣昭君) 大臣の御答弁のとおりでございますが、ちょっと補足して申します。 道路財源につきましては、御指摘のように揮発油税等の法律で定められた特定財源、それから税としては一般税でございますが、制度の生まれたときの慣行から実質的には特定財源扱いをされております自動車重量税、これがございます。五十七年度予算におきましては、この自動車重量税はまるまる道路財源として使えませんで、全体の公共事業の予算を抑制し、それとのバランスで道路の予算を抑制いたしまして、その結果揮発油税が増加した分だけ余りが出たということで、自動車重量税の八〇%をそのまま道路に充てるということはいたしておりません。 その問題につきましては、臨調でもあるいは税制調査会でも、あるいは財政審でも、特定財源制度というものについては自動車重量税も含めていろいろと問題がある、今後幅広く検討するようにということが指摘されておりまして、私どもも今後幅広く検討したい、こういうふうに考えているわけでございます。 現実の問題といたしましては、道路の五カ年計画が、五十八年度から新しい五カ年計画に移行するめぐり合わせになっておりまして、その事業規模を決めるためにその財源をどうするかということが当然検討されるわけでございます。その検討の中で恐らくそういった問題が議論されるということでございまして、新聞にありますようなことは、これはまあ推測かもしれませんが、現実にはそういうことはまだそこまで行ってない、今後の問題であるということでございます。
○鈴木和美君 そうすると、新聞報道は推測であるというように承っていいですか。
○政府委員(西垣昭君) 私ども建設省にも確かめてみましたが、心当たりがないそうでございます。
○鈴木和美君 どうも、建設省はきょうは呼んでないもんですから、また別途の機会にお尋ねします。 それじゃ、その次はグリーンカードに絡んで、先ほどグリーンカードに対する態度は和田委員からお聞きになりましたので、私は今度別な角度から、グリーンカード制導入に対処するためと言って私はいいと思うんですが、都市銀行は四月から定期積金を扱うと伝えられているわけですね。これはグリーンカード制の実質的な骨抜き措置をここでとるんじゃないのかなと私は思うんですが、その見方と、中小金融機関が行っているいわゆる定期積金というものの目的、性格は何であったのかお尋ねしたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおり、四月から新しい銀行法が施行になります。新しい銀行法の中に定期積金業務が預金業務とともに本来の業務として実は規定されておるわけでございまして、実はこの業務は一部の都市銀行あるいは地方銀行等におきましても従来から取り扱っておるところもあるわけでございますけれども、余りいままで確かに取り扱いが行われていなかったわけでございます。今回商品の品ぞろえの一環といたしまして、本業務もやりたいというふうな希望があることは確かでございます。 ただ、御指摘のとおり、この商品は中小企業金融機関が零細な貯蓄を吸収するということで営々として育ててきた商品でございます。ここに都市銀行が力ずくで入り込むようなことがあっては、これは金融秩序を乱します。それからいま御指摘の、これがグリーンカード制の抜け穴になるというようなことになりましては、これは大変でございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういう商品の趣旨等も絡めまして、厳重な通達を発しまして、そんなことのないようにいたしたいと思っておりますが、その内容は、まず残高が大変急に伸びまして金融秩序を混乱させるというようなことがないように十分留意いたしますために、毎四半期別に必ずその残高を私ども徴求いたしまして追跡をいたしたい。 それから商品にいたしましても、初回に一括して駆け込むような新しい商品をつくっちゃいけない、これは従来どおり中小金融機関が扱っておりますと同じような商品でなければいけない。いろんな制約をかけたいと思っております。同時に、厳正な本人確認を行うことにするとか、あるいは行き過ぎた広告とかあるいは勧誘行為というものは十分自粛するようにということで、私ども厳重な監視のもとに取り扱わせるようにいたしたいと、こう思っておりまして、その円滑な運営に十分留意してまいりたいと思っております。
○鈴木和美君 つまり、都市銀行みたいな大きいところでは、この商品を取り扱うなという指導ですか。
○政府委員(宮本保孝君) 実は銀行法の中に本業として書き込まれておるものでございますから、取り扱うなというわけにいきませんけれども、これによりまして金融秩序が乱れたりあるいは中小企業金融機関の方の資金吸収に支障があってはいけないということで、十分監視をしながら扱わせることにいたしたいと、こう思っております。
○鈴木和美君 ちょっと頭が悪いものですから、十分な監視をするとか、資金が流れないように監督するという具体的なそのやり方はどういうことになるんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 都市銀行が、一部に報道されましたような、たとえば商品の内容でございますけれども、現在信用金庫等が集めております商品と違うような大銀行が特別な商品をつくるとか、そういうようなことはやめさせます。それから量にいたしましても、急激に都市銀行の方が集めるというふうなことがないように、これは四半期末現在で必ず報告を徴求いたしまして、もしも余りにも都市銀行の方に金が流れるというような気配がありましたならば、これは行政指導によりましてそういうことのないようにとめるとか、あるいは都銀の場合に行き過ぎた広告とか、それから勧誘でございますけれども、これがたとえば仮にグリーンカード絡みなことがあると、これはもう大変なことでございますので、これらにつきましても十分厳重な自粛をするようにいろいろ行政指導、通達を発しまして指導してまいりたい、こう思っております。
○鈴木和美君 いままでも都市銀行でこの定期積金みたいなものは扱ってもよかったんでしょう。それが何でいままで扱わなかったんですか。その理由は、何で都市銀行は扱わなかったんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 従来は貯蓄銀行法というところに規定されておりまして、これの兼営業務ということで都市銀行、地方銀行等も実は扱っておったわけでございますけれども、やはり本件に関しましては実は相当手間がかかるという点もございます。それから月掛けの零細な貯蓄を一つずつ集めていくものでございますから、都市銀行等におきましては特にこれを、一部の銀行を除きましては扱っていないところが実は多かったわけでございますけれども、今回は銀行法が改正になりまして、預金業務と同様に定期積金というものも本業として実は書き込まれたものでございますから、これを実は窓口で取り扱わないというわけにはいかないわけでございまして、そういう意味におきまして、取り扱いはいたしたいというような希望はあるわけでございます。 これが、一部報道されましたように、実はこれを奇貨といたしまして何か大々的にこの商品を売り出すということになりますと、これは先ほど来申し上げておりますように、金融秩序というものを乱すわけでございますので、そこは取り扱わせはするけれども、本来の趣旨に従いまして、十分自重しながらやるようにということを監視しながらやらせるということにいたしたいと思っております。
○鈴木和美君 都市銀行がいままで扱わなかったというのは、巷間伝えられているのはコスト高というか、そのわりにうまみがないというか、そういうことで扱わなかったと言われていますね。 ところが、最近非常に大々的に行われているわけですよ。現にいま行っているところもあるわけですね、いろいろなのを。だから、いまグリーンカードの代替というか、そうでないんだと言われても、私が考えるのには、全部グリーンカードの代替で骨抜きにやるようなことになってるんじゃないかなと思うものですから、ぜひその監視というか、行政指導というか、そこは強めていただきたいというように思うんですが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 御趣旨のこともっともでございますので、十分監視し、注意してまいりたいと思います。
○鈴木和美君 時間の関係上、私の最後の質問ですが、次は株式の問題に絡んでお尋ねしたいんですが、株式の時価発行に伴うプレミアムの問題ですが、まず最初に今年度——五十六年四月から五十七年三月までの株式の時価発行の状況について明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(禿河徹映君) 昨年の四月から実績が出ております本年の二月までの株式の時価発行によりますところの公募増資額は、一兆一千五百六十八億円でございます。
○鈴木和美君 これは、新聞が何新聞だったかわかりませんけれども、谷村理事長が何か指摘していることに対して、新聞で出ておったんですが、御承知でしょうか。
○政府委員(禿河徹映君) 谷村東証理事長が、時価発行増資といえども払い込み資本金は株主が払い込んだ資金であるから、それに対して仮に課税することに対しては反対であるという意見を出しているのを私は見たことがございます。
○鈴木和美君 これは谷村さんのお話ですが、最後に「大蔵省がいい出した中間発行を見直してもらいたいと思っていたが、今年は見向きもされないまま過ぎてしまった」と言うてえらい嘆いているんですが、そういう事実はあったんですか。
○政府委員(禿河徹映君) 中間発行増資は五十三年度、五十四年度とも一件も実はございませんでした。 しかし、やはり企業の資金調達の多様化を図るそのための一つの方策といたしましても、あるいはまた割り当て増資、昔からございました、それがずっと時価発行増資というものに大幅にシフトしたことによりまして、株主のいわば投資意欲というものにも影響があるというふうなこともございまして一昨年でございますか、証券界におきまして中間発行増資に関係いたしますところの利益の還元のルールというものをつくったわけでございます。 中間発行増資と申しましても、その価格は額面価格と時価との中間ということでございますが、株主割り当てでいくものでございますし、そこにもやはりプレミアムというものは発生をするわけでございます。時価発行増資につきましては、プレミアムの還元に関する業界の自主ルールというのがかねてからございますが、中間発行増資につきまして、やはり利益還元のルールをきちんとしておいた方がいいということで一昨年寄すか、そういうルールをつくったわけでございます。 その後の状況でまいりますと、五十五年度わずかでございますが、四件中間発行増資がございました。それから五十六年度に入りまして、これもわずか七件ではございますけれども、最近そういうことに徐々に中間発行増資というものが見られるようになってきておる。ただ、その水準は時価発行増資に比べますとかなりまだ低い水準だと、こういう状況でございます。
○鈴木和美君 それでは、このプレミアムについては前からいろんな説がありますが、資本だから法人税は課せられないというようなことになってきたと思うんですが、今回のような異常な増資状況ですね、いまお話しのように今年度の増資規模は最終的には一兆七千五百億円強、過去最高だった四十七年度の一兆二千六十六億円をもう軽く突破しちゃっているわけですね。こういうような異常な増資状況に対して臨時的な課税というものを私は考えたらいいと思うんですね。そういうことについていろんな意見はあるけれども、増資をできる企業はある程度もう限定されているわけですから、そういう意味ではもう説税能力というか、負担能力というか、それは十分私はあるんじゃないかと思うんですね。 そういう意味で、私の質問の最後に大蔵大臣のこのプレミアムに関しての見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は個人株主、特に株主は大切にしたらいいと思うんですね。ところが、最近はそれほどでもないが、一時、時価発行増資ブームのときに、株価はうんと上がったんだろう、つり上げたわけじゃないでしょうから、上がったんだろうけれども、増資が終わると途端に下がっちまう、中には倒産するものもあるとか、そういうふうなことは私は異常としか考えられない。 それから、やはり時価発行した以上は、それは株主にそのまま還元されて株主割り当てをするとか何かするんならば、これは私は結構だと思うんです。ところが、そういうことが余りやられてない。で、集められた金が自由に使える、現金で入ってくるというようなことについては、軽い留保金税みたいなものを少し取ったらいいじゃないかという議論がある。私は一つの見識だと思っておるんです。これは。ところが、ことしは商法の改正で十月以降の増資した分については半分は株主割り当てをしなきゃならぬというようなことになっているそうです。そういうようなことのためにその前に時価発行をやっちゃおうかというものの駆け込み増資が出てきているんじゃないか。 いずれにしても、何かを回避するためにそういうふうな極端な現象が起きるということは、私は好ましいとは実は思わないのであります。こういうように中間発行の問題のようなものは、私は問題ないと思うんですよ。これは株主に割り当てて従来の株主が払い込むんですから、そんなものは課税の対象になるわけない。株主に還元されたものも課税の対象にする必要はない。半永久的に株主には還元をしないと、留保して運用するということは、どうも僕はやっぱり一種の脱法行為——脱法行為じゃないんだろうが、何か知らぬけれども、ともかく本当、原理原則的からいえば株主に還元されるから株主のものだから課税しないというんなら株主に還元したらいいんです。そこらのところは余り乱用されないように検討する必要がある、私はそう思っております。
○矢追秀彦君 初めに、ちょっと総論的な質問をいたしますが、法人税法の一部を改正する法律案の延納制度の縮減についてですが、これが特に不都合な面、中小零細企業に与える影響というのがかなりあるのではないかと思いますが、大蔵大臣も税理士さんでございますからいろいろ経験されておると思いますが、零細企業でうまくいっているところばよろしいんですが、厳しいところについてはこういったものが非常に助けになっている面があると思いますが、これは非常に厳しくなるわけでございまして、その点の問題はどうお考えになっておるのか、またこれに対する何らかの対策というのがあるのか、それを伺いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法人税の延納制度というのは昭和二十六年にできたそうでございますが、その当時は、法人税の滞納割合というのが約四八%もあった。 しかしながら、現況はもうがらっと事情は変わりまして、五十五年では二・二%ぐらいしかない。そういうような状況の中ですから、個人の申告納税については四分の三延納なんというような恩典はないわけです。したがって、それとのバランスという問題からも考えまして、私は周辺の滞納状況も少ないしするので、この際一種のこれは金繰りみたいなものではございますが、この程度のことはバランス論からいっても適当ではないかと、そう思っております。 したがって、これによって中小企業がうんと困るというような状況にはならないと思っております。
○矢追秀彦君 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案ですが、この中で交際費の件でございますけれども、この強化については私たちも異論はございません。ただ問題は、現在の日本の商取引の慣習というものがございまして、これが強化されたことによってそういった慣習まで変わっていけばいいんですけれども、相変わらずそちらの方はそのまま残るし、ますますこうやって景気が厳しくなればなるほど業種によっては交際費というものはどうしても必要になってくる。そういう面でやはり問題が出てきやしないか。 具体的な例で言いますと、どうも最近では私が耳にしております中では、大手企業も交際費が少ない、したがってなかなか枠がとれない、ついつい下請の業者、特にそれは法人でないようないわゆる個人の零細企業の下請の人たちがそれを負担すると、そういうようなことが往々にしてあるわけでして、そういった方にまた拍車がかからないかどうか、その辺はどうお考えになっておるのか。非常にむずかしい問題だと思うんですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、交際費を全部認めないということはこれは異例のことだと思います。当然交際費というのはあったっておかしくないわけですから、また交際費をみんな認めないということになれば、それはいろんな、零細業者もいろいろあるでしょうが、景気にも影響する話。ですから、私はある程度は認めるのが当然だろうと思います。思いますが、非常にこれに対してもう交際費が使われ過ぎるというようなことから、いろんな国会の御批判等も非常に強い。一方、財政事情も不如意というような点もあって、特例として財政再建期間の三年間に限って、ある一定の額以上は全面的に否認ということにしたんですが、これを恒久の制度にする考えはございません。
○矢追秀彦君 国の財政も厳しいと同様に企業の方も厳しいわけでして、そこで非常に私は心配するのは、いま申し上げたようなことが出てくる。 したがって、やはり日本の商取引の慣習というものが変わってくる段階でこういつたものも考えるべきであって、もちろん財政の厳しいこともよくわかりますし、だから何でもかでも取ればいいというふうな考えではなくて、むしろそちらの方を変えていけばやっぱりかなり変わってくるんじゃないかと、自然の中で。こう思うわけです。いま言ったように、下の方が非常に負担している面を実際よく耳にするわけです。それだけに問題ではないか。 これと、もう一つは広告税という問題ですね。これとの絡みもやはり考えていかないといけないと思うわけでして、その広告税との関係というのはどうお考えになっていますか。
○政府委員(福田幸弘君) 交際費は確かに本来の経費でありますけれども、社用消費的な感じが強いということ、また金額が三兆円というようなことで、この辺、企業経理の問題かもしれませんが、常識的な範囲内にとどめる必要があろうという政策判断で、大臣申しましたように、一時的な抑制措置、こう考えてしかるべきだと思います。中小企業の方は、これは四百万、三百万を残したということで御理解願いたいと思います。 あと、広告費との関連は直には出てまいりませんけれども、販売促進費という意味では同じ色彩を持っております。したがって、この広告費論議というのは交際費論議とやはり関連がないということは言えません。ただ、広告費につきましてはこれは社用消費的な色彩がない。また、本来商品を売るのには、広告というか、そういう形でやるのが本来であって、交際費という形よりもそういう方が望ましいというマーケッティングの問題もあるという意見もございます。 さらに、いろんな過剰という問題を交際費と同じように広告費も考えていいかどうかとかいうことも一方にありますので、その交際費の話とはやはり別にこの広告費の論議はする必要があろうかと思いますし、特にこれは新税的な感触になっております。広告費否認といいましても、やはり広告課税でありますので、新税的な問題はやはり相当な踏み切りが要りますので、この際は見送っておるわけであります。
○矢追秀彦君 ひとつこの広告税、いろいろ言われておりますし、最近は非常に金額がどんどんどんどんテレビの発達によって大きくなっております。これができるのは大体大手企業ですから、少少考えていただいてもいいんじゃないか。先ほど交際費の問題で零細の方は残したというのは、これはわかっておりますが、さっき言ったように、その企業だけがやるんじゃなくて、上の方からえらい押しつけられてくるわけです。とうていそういった枠ではなかなか足りないのが現状です。そういったこともございますので、ひとつこれからも御検討をいただきたいと思います。 大臣は、この広告費といいますか、広告税というのはどうお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、理論的には矢追さんと大体同じような考えなんです。考えなんですが、先ほど主税局長が言ったように、この際は歳出カットというような観点から新税はやらないという一つの方針があるものですから、そういうところで今回見送ったということであります。
○矢追秀彦君 次に、これは先ほども議論に出ておったようでありますが、よく言われておりますクロヨンあるいはトーゴーサンとも言われますが、この国民の税の不公平感というのがだんだん高まっておりますが、その中でいわゆるクロヨンと言われる税の捕捉格差、こういった問題がずいぶん議論をされておるわけですけれども、国税庁がこの間二月に発表されたクロヨン実態調査というものによりますと、クロヨンは存在しないと、このようになっておるわけです。この調査というのは、国会で調査をお約束になりまして行われたわけですが、この調査でクロヨンがないということは言い切れるのかどうか、その点はいかがですか。
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。 税の執行が公平に行われているかどうかといういわゆるクロヨン論議についてでございますが、一口にクロヨン論議と申しましても、その内容はいろいろ実は分かれておるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、その実態を解明するという場合の調査のいたし方、どういうことを調査したらいいか、これもまた各種各様のものがあるのではないか、こういうふうに考えております。 で、先生のお尋ねの点でございますが、このたび私どもが実施いたしました税の執行に関する実態調査の内容は、御承知のとおり、一つは、そもそも所得税を納めるべき所得がありながら無申告である、あるいは源泉徴収が漏れておる、そういうような人が一体どの程度いるのかといった無申告の実態調査と、それからサラリーマン家庭、営業者、農家といった類型別の各世帯の所得の特徴を調べてみようという世帯単位所得調査と、この二つでございます。 この二つの調査の結果明らかになりましたことは、まず一つは無申告者、つまり所得がありながら全く課税当局の目から逃れているというものは非常に少ない、九千名の調査対象者のうち三十一名、〇・三四%であったということが一点でございます。 それから、もう一つのそれぞれの所得の種類別の世帯の特徴、所得の特徴というものについて申しますと、農家とか営業世帯におきましては世帯主のほかに所得のある家族の方の数が相対的に多いということ、それから本来の事業所得のほかに給与所得がかなりの程度まで暮らし向きを支えているというようなことが明らかになったわけでございます。これはどういうことかと申しますと、いわゆるクロヨン論議の中で、暮らし向きがずいぶんいいわりに申告されている所得が意外に少ないじゃないかというような御論議がかなりあり、あるいはまた、そもそも相当所得がありながら全然国税当局はようつかまえていないものが多いんじゃないかというような御論議もあって、クロヨン論議というものが相当生じているんではないかという点に答えたものでございます。 以上でよろしゅうございましょうか。
○矢追秀彦君 いま言われた点もよくわかるんですが、結局、世帯所得調査ですね、これは。結局、所得の捕捉率の実態というものが私はまだまだ調べられていないんじゃないか、こう思うわけですね。いま言われた、確かに申告してない人の中でどうなのかということはやられているわけですけれども、実際、もう一つ立ち至った捕捉率の実態というものまでいっていない。いま問題になっておるのは捕捉率の問題であり、この調査の趣旨の申告書提出等の状況調査、これで果たしてクロヨンがないと言えるのかどうか。 さっきも家族の給与所得が多いと言われた、その給与所得の中身は別の会社に行って勤めているのもあるでしょうけれども、たとえば奥さんを従業員という形にして落としておる、そういうのも非常に現実多いわけでして、仕事をしておれば問題ありませんが、実際仕事をしないで、税務署の方が来られたときだけ表へ座っておる、かっこうだけしておるというのが結構あるわけです。また、家を新築をしても、それは事業所の拡大ということにしたり、あるいはそのほか自動車にしても、ライトバンを買ったんならいいんですけれども、ベンツの車を買ってそれも営業車だと、こういうふうなこともありますし、結局、そういう中身をもうちょっと私は調べてもらいたいと思うわけです。そういうことを調べていけば、やっぱりクロヨンというのが出てくるわけですが、今回の調査だけではやっぱりクロヨンが出ないということに結論づけられておるようでございますけれども、やはりそういった点ではもう少しやらなければいけないんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(小山昭蔵君) まず初めに、確かに家族の方で給与所得等がある方が多い、営業者なり農家に多いと、そういう場合にほかにお勤めに行っている人だけではなくて、たとえば青色の専従者控除を受けておるという方がいて、それが実際の、何といいますか、お仕事に見合って支給されておればいいんだけれども、必ずしも見合ってないといったような、お仕事をほとんどしてないのに多額のそういった専従者給与が支払われているというようなものがあるのではないかとかというような、あるいは家事関連費のようなものが経費に落ちてないかというような御指摘は、私どもも今回の調査を通じまして一層その辺に力を入れて今後の税務の運営に留意していかなければならない点であるということを改めて自覚した次第でございます。 なお、それでは、その種の実態調査をさらにすることはどうかという点につきましては、これは、一言で申しますと、全国民といいますか、すべての所得の種類にわたりまして無作為抽出的な調査を行いますことはいろいろな点で非常にむずかしゅうございまして、なかんずくそういう調査になれていらっしゃらない純粋の給与所得者に、あなたは不動産所得はありませんかとか、金融資産をどういうふうに運用されますかといったような税務調査を行うということは非常に困難でございます。 したがいまして、何らか調査するということになれば、営業者なら営業者だけを対象にした無作為抽出の調査ということになるわけでございますが、実は、これは、私どもは別の目的を持ちまして、私どもの税務調査の上の参考となるべき資料を客観的に得ておきたい、内部資料として得ておきたい、こういう目的から専門の学者にお願いをいたしまして、特定の業種につきまして無作為抽出の方法で対象者を選んで、ほぼ毎年のように営業者の所得内容についての厳密な調査を実は実施しているのがございますので、その結果を集計いたしますと、結果といたしまして、所得の申告水準というものがどの程度であるかということについて相当客観的な資料がすでに得られているわけでございます。
○矢追秀彦君 私も、全然この調査だめだと言っておるのではないわけです。ある程度は認めますが、やはり、問題はサラリーマンと自営業、それから農業者、こういった業種間の格差、それが税の不公平感、言うなれば、税率とか、そういった意味の不公平感よりも、抜け道的なそういう可能性というのが自営の方にはやはり非常にチャンスとして多くある。この辺が、サラリーマンの人から見ると、全部つかまえられてしまう、あっちは隠すことができる、そういう差がやはり不公平という国民の一つの、特にサラリーマンの不満ということで出てくるわけでして、やはりこの業種間の格差、こういったものをもう少し、この捕捉状況というものを調べていかなければいかぬと思うんですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(小山昭蔵君) 先ほども申し上げましたように、営業につきましては、実は、私どもそういう無作為抽出の方法でほとんど毎年のように調査をいたしておりまして、ほぼ客観的なといいますか、信頼するに足る申告水準の、所得がどのくらいの水準の申告がなされているかということを承知いたして居るつもりでございます。 それは、実地調査の結果、二五%ぐらいの申告漏れになっておるということを常に申しておりますが、それに比べますと相当低い数字になっておるということを申し上げられるわけでございます。また、農家につきましては、これは、先生御承知のように、一部の特殊作物をつくっております農家は別にいたしまして、大方の稲作であるとか、通常の畑作物でございますと、課税当局のつくっております農業標準によって課税いたしておりますので、これもそういった把握漏れといった問題にはなじみにくいんではないか、こういうふうに考えているわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、さはさりながら、家族の中で本来事業にほとんど携わっていないにもかかわらず給与等が支払われているとか、あるいは事業に伴って家事関連費を事業の経費として処理しているとか、そういったたぐいのものが決して皆無でない、あるいは間々見受けられるということも、これまた一面事実でございます。また、大方の申告納税をしておられる方は誠実な申告をしておられると思いますが、一部に不心得な方がおられることも、これまた事実でございますので、このような誠実でない申告者の方に対しましては、今後とも厳正な態度で執行に当たっていきたい、このように考えております。
○矢追秀彦君 総理府の世論調査を見ましても、税に不公平があると思う人は七三%、サラリーマンは八一%の人が不公平があると思っております。これは先ほどから言っておるようなことが原因であると思うんです。ある程度の差があるという人まで含めますと六四%の人が差がある、こういう答えを出しておるわけでございますので、その点もひとつお含み置きをいただきたいと思います。 一番新しいデータを教えていただきたいんですが、所得税の実調件数、そのうち、何らかの修正申告等をした人数とその。パーセント、これは御報告していただげますか。
○政府委員(吉田哲朗君) 申告所得税の調査状況でございますけれども、私どもの考え方は、数ある対象の中から高額または悪質重点ということで対象選定を厳密にいたしまして、それについていわゆる事後調査の方式によって調査をやっておるわけであります。 過去三年分につきましてお尋ねの計数を申し上げますと、まず調査件数でございますけれども、五十二年分で十二万五千件、五十三年分十四万四千件、五十四年分十四万五千件でございます。要処理件数つまりその対象に対する実地調査の割合、実調率と申しておりますが、実調率は五十二年分で四・二%、五十三年分四・五%、五十四年分四・三%でございます。 最初に述べました調査件数のうち、いわゆる増差所得が出た件数はどれだけかということでございますけれども、五十二年分が十一万一千件、五十三年分が十三万件、それから五十四年分が十三万五千件でございます。また、それによってふえた所得、いわゆる増差所得は五十二年分で三千四百三十八億円、五十三年分で四千百四十八億円、五十四年分四千三百十一億円でございます。また、調査によってふえた税額、増差税額は五十二年分七五五十七億円、五十三年分八百九十八億円、五十四年分九百三十七億円となっております。 なお、念のために申し上げておきますと、この増差件数あるいは増差所得、増差税額の中には調査した対象となった年分について全部含んでおります。一年分ではございません。たとえば、五十四年分を調査したときに、あわせて五十三年分やったという場合には、それによって出た件数あるいは所得、税額も含んでおるということをつけ加えさしていただきます。
○矢追秀彦君 これは、ある意味ではごまかしになるわけですね、ごまかし所得。これは九二・八%ぐらいになるわけでして、非常にパーセントとしては高いわけです。こういったこともサラリーマンから見ると、何だと。われわれじゃこんなことはできない。こういうことになってくるわけでございまして、そういうところからクロヨンという議論が出てくるわけなんです。 一ツ橋大学の石弘光教授は、税務統計、国民所得統計からクロヨンの推計をされておるわけです。御本人自身も、公表されているデータの不足から十分満足な推計はできない、こういうことを認めておられますが、大体の推計で、私もこの文献をちょっと見ましてびっくりしたわけですけれども、この所得捕捉の割合は給与所得者で九ないし十割、事業所得者で六ないし七割、農業所得者で二ないし三割と、こういうことが推計をされておりまして、やはりクロヨンというものは存在するんだと、こういうことを言われているわけです。なかなか国税当局はクロヨンは存在しているような、していないような、大体していないというふうな言い方をされておるわけですが、やはりこれは私としては存在をする。わが党も、ずっと以前になりますが調査をいたしまして、トーゴーサンなんていうデータもきっちりと出したこともございますけれども、こういうふうな状況の中で今後国民がこういった、特にサラリーマンです、不公平感をなくす、そういうことを感じさせないようにするためにはどうしていくのがいいのか。 これは、大蔵大臣はどうお考えになっていますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はもうそんなクロヨンなんてものはないと思っているのです。実際問題として。私は、ともかく四というのは農業ということになっているわけですが、農家の実態をよく知っているだけに所得の六割もごまかしているなんていうことはあり得ない。どこからそういう数字が出てくるのか、私の方がむしろ聞きたいぐらいでございます。 ですから、それは統計か何かのとり方に大きな私は食い違いがあるんじゃないかと、さように思って、大体日本の平均の農家というのは皆さん御承知のように一・一ヘクタールしかないわけですから、一・一ヘクタールでたとえば果樹とか花とか、そういう特殊なものをつくっている人は所得はいっぱい、高いけれども、水田地帯なんかに仮に二ヘクタールあってみたところで、十俵ずつでも二百俵、一万七千円だと三百五十万、四割必要経費で二百万の所得、三、四人、子供がいっぱいいるからみんな非課税になつちゃうのですよ。 それで、ともかく冬場は出稼ぎに行くけれども、それは給与所得者になっているわけですから、出稼ぎは日雇いの源泉取られているわけですから。それが幾ら合算されているかどうか、合算されればもう少し納めるはずじゃないか。そこらになりますとちょっと私も自信がありませんが、六割も脱税しているということは、ちょっとわれわれの実感からすれば考えられないのです。
○矢追秀彦君 大臣そうおっしゃいますが、現実にクロヨン議論というのはいっばいありまして、先ほどの世論調査にあるとおり、国民の大多数は不公平があると実感として感じているわけです。だから、私先ほど言ったように、大臣のいま言われる理屈も全然否定しないのですよ、私は。農業また中小企業の方だって、その人の立場に立てばサラリーマンというのは病気になったって給料入ってくるじゃないか、やめるときは退職金もある、おれたちは何の保障もない、だから少々はあたりまえだと、こういうふうな議論も出てくるかと思うのですよ。 ただ、そういう理屈の上ではないと大臣は言い切られますけれども、現実に不公平感というのはあるし、先ほども私はちょっと、うんと譲った議論として言えば、そういうごまかす可能性、ごまかせる可能性というのはあるわけですよ、かなり。サラリーマンはごまかしがきかないわけです。ところが、特に商売やっている方は、いわゆる経費と称してかなり落とせる余裕というかチャンスというかそういうのが非常にあって、また現実特に悪知恵の働く人ほどやっている。そういうのが現実であるわけですね。 だから、そういう人がグリーンカードも反対しておるわけですよね。何でかと言えば利益隠しがばれるのが一番かなわぬ。総合課税の議論という、総合課税による不公平税制の是正というより前に隠しているやつがばれるのがかなわぬ。これで反対しているのは非常に、特に零細企業の方に多いわけでして、そういう点を考えますと、やはり私は大臣そう言い切られるとちょっと困るのですが、大学の教授だっていろんな人おりますからあれですが、私はこれだけ勉強されている石教授の推計で、統計のとり方に大臣問題があるとおっしゃるけれども、これは実態にかなり近い線ではないかと思いますし、日本だけではなくて、やっぱり外国でも言われているわけですね。いわゆるタックスイベージョンあるいはまたタックスアボイダンスという言葉で言われているような面が、やはり不公平感という形で言われているわけですから、そういう点はいかがですか。
○政府委員(小山昭蔵君) 先ほどから御指摘になっておられます石教授の論文につきまして、国税庁としての受けとめ方を一言御参考までに申し上げさしていただきます。 石教授の論文は私も拝見いたしました。先生御指摘のとおり、国民所得統計と税務統計とを比較いたしまして、業種間の所得捕捉率にどういう格差があるかという推計を行ってあるわけでございます。 この論文を拝見してみますと、国民所得統計自体に、まず調査年次とかサンプル、調査方法等が異なるさまざまな、原統計をいろいろな仮定のもとで複合推計したものであるというようなことから、たとえば同じ事業所得の捕捉率を見てみましても年によりまして非常に大きな、たとえばある年は五〇%台、ある年は八〇%台といったような、非常に大きなぶれがあるというようなものになっております。また、国民所得統計と税務統計との間には、たとえば無資格者、所得税を納めなくていい人のことでありますが、その所得をどのように推計算定するかとか、両統計を比較するために調整を要する点が多々ございますが、実際問題としてこれらの調整はなかなか困難なところでございます。 そこで、これも先生御指摘のとおり、石教授自身が述べておられますように、国民所得統計と税務統計を基礎としたマクロで捕捉率の推計を行うに当たっては、きわめて大胆な仮定を置いた作業とならざるを得ないというふうに私も思うわけでございまして、したがいまして、税の執行の実態を示すものといたしましては、やはり限界があるのではないかというふうに考えます。 ただし、論文自体といたしましては、やはりこれは学術上の貴重な論文として十分な敬意を持って取り扱わしていただきたい、このように考えておるわけでございます。
○矢追秀彦君 ひとつ大臣もしっかり勉強していただきたいと思います。 次にもう一つ、サラリーマンがやっぱり不公平を感ずるものの一つに控除の問題があると思うんですね。これも非常にむずかしい問題だと思いますが、同じサラリーマンでも業種によってはいろいろ経費の要る方も多いわけです。その点をどうしていくのかという問題についてちょっとお伺いをしたいんですが、一つの具体例として大学の教授、助教授、講師クラスの実態、私もちょっと大学へ行きまして後輩連中のデータ集めてきたんですけれども、特に大学の先生のいわゆる学会への出張旅費、それから学会の会費、それから書籍の購入費、こういった問題です。 具体的に言いますと、年収七百三十万円の、これは教授ですけれども、まだ若いですからこれぐらいですけれども、所得控除は百七十八万円あるわけです。その中で賄えばいいではないかという議論があると思いますが、この方の、年間に学会の会費として払っておるのが去年一年間で六万六千円あるわけです。学会に行きますと、また当日会費というのが大体六千円から八千円取られるわけです。出張旅費は、教授の場合、大体年額六万円程度の支給です。助教授、講師で四万五千円ぐらいしかありません。もちろんそういった中で研究をし、また学会へ行き、学会で発表したりやっているわけですけれども、これはほかの同じ国家公務員でもそういうことを必要としない業種の方もおられるわけでして、そういった点をどうしたらいいのか。 これは、何とかもうちょっと控除をふやしてもらえないか、あるいはほかの形でもいいから何かやってくれぬかという、先生方非常に強い要求がございまして、恐らく答弁は百七十八万円の給与控除の中からやればいいではないか、こういう答えが必ずはね返ってくると思いますが、そうしますと今度は差別が起こってきまして、そういう本を買って勉強したり、どこかよそまで行って研究発表したりすることをしなくてもいいような公務員あるいはサラリーマンもおります。また、もっとお金が要るという方もあるかもわかりません。同じ建物の中にいる方の中でも、業種によってはそういう勉強しなきゃならぬところもあるでしょう。それは図書館があるから——図書館の予算も非常に限られておりますし、研究費があるではないかと言われるかもしれないが、こんなもの研究費で落とせませんし、そういった点では、一生懸命勉強する先生ほど本もたくさん買い、学会もたくさん参加し、やっておるわけですね。この先生なんか大体学会に、国際学会合わせて十一の学会に入っておるわけです。そういうような、大体みんなそれぐらい入っています。これはどういうふうにしていかれるのか。 基本的な問題として、一つは、そういったものは一切給与控除の中で賄われる、こういう判断なのかどうか、これが一つ。二番目に、同じ給与所得者の中でそういう差がある問題をどう克服するのか。極端な例言うといま言ったように、勉強したい人ほど金かかるわけで、貧乏しなきゃならない、こういうことになるわけですね。最近は国家予算もゼロシーリングで相当削られてまいりまして、その反面大学だって電気代は上がる、いろんなものが上がるというのでだんだん研究費もふえない中で、実際は減っているようなものです。実質所得の減と全く一緒なんです。そういったこと。 それから、たとえば作家の場合だって結構本を読んだりするわけですから、勉強しなきゃならぬ。しかし、作家の方はまたサラリーマンと違いますから、そういった点は経費で落とせる。その辺もちょっと違いが出てきています。 それでは、講演料とか、そういう雑所得があるではないか。そこから経費で引きゃいいじゃないか。しかし、しょっちゅう講演したり、どこかで、いわゆる給与以外のそういう収入は、やれる人も少ないし、勉強途上の人であればあるほどそういうことはできないわけですから、しかもそんなほかのことばかりやつとったら本来の大学教授としての研究と学生に対する教育というのはできないわけですから、また問題があると私は思うんですね。 そうなりますと、ここでやっぱり何らかの控除のあり方を考えるか、あるいはまた経費として落とせる分野というものをふやしていくか何かしていかないと、私はここにもちょっと不公平、同じサラリーマンの中でまた不公平が出てくる、このように思うんですが、その点について具体的にどうお考えになっているのか、これをお伺いしたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 給与所得控除を数字で申しますと、いま七百三十万と申されたので、七百万の年間収入でしたら百七十五万——いま百七十八万とおっしゃったが、これは七百三十万の場合ですが、百七十五万円引けるわけで、二五%、四分の一引けるということになるわけです。 これは実額控除の関連での御質問だと思うんですが、いまのようなやり方で五十万を差っ引いてさらにあと率で、こう決めてますので、収入が多ければおのずから率として低減はいたしますけれども、実際引く金額はふえていくわけです。そういうことで一千万でしたら二百万引けるというようなことになります。あと実額というときにはいまのような数字との比較でしょうけれども、出張の経費、これは国の場合は国が出しておるのが普通だと思います。あとは個人的に出張されるという問題はこれは別に考えていいと思いますから、出張は公務であればこれは出張旅費で見ておりますから、会費はこれは見られてないのが普通かもしれません。しかし会費といってもそんなに大きな金額はないと思います。 あといろんな研修、図書を読むとかいろんな関係があろうと思います。そういう関係で、これは外国との比較で、日本の場合は自分で本を買い込むというところがちょっと外国と違うところで、外国は図書館とか、それからいろんな施設を利用するということをやりますけれども、日本の場合は自分で買うという慣習がありますが、いずれにしろそういう出費がどのぐらいかといえば、おのずからいまの金額の範囲内だろうと思います。 それから、先ほども言われましたが、雑所得的に原稿料とか講演料があればこれは概算で三割ぐらいは引くと思いますので、その中に当然入ってきますし、その収入自体が別途あるということが言えると思います。 そういうことで、ほかの経費のかかりようよりも学者の方がかかるという問題はあろうかと思います。しかし、ただ能力を高めるために勉強するというのは、能力が高まれば当然に収入がふえるというのが本来の考え方であろうと思うんです。勉強しなければそういう能力を持って働く人は収入が上がらないのが本来ですが、日本の場合はそれにかかわらず、勉強のいかんにかかわらないというところに問題があるかもしれません。 しかし、外国の場合はもう必死に勉強しなければ教授の地位を追われますので、そういう意味で本当の必要経費ということが考えられるわけで、ちょっとその辺も、何か環境が非常に違う中で自分の職業だけが特殊だということになりますと、また立証技術が、非常に知恵のある方だけが特に能力がありますから、一般庶民の方の経費と違ってくるとなかなか立証しにくいという問題があるというようなことで、外国の例で引かれておりますのは、先ほどお答えしましたけれども、被服費なんというのは非常に、これは一般的には制服しかない。通勤費も考え方が違う。研修費のところはやはり非常にポイントになってきているようです。 しかし、その金額はどれほどかというときに、たとえばフランスですと、職業上の資格を得るための費用とか学位論文の準備、印刷に要する費用というふうな限定もあります。また、西ドイツあたりでは現在の雇用に関し職業上の要請に応ずるために必要な知識を修得するための費用に限るとか、これはやはりペリオディカル、職業上の定期刊行物とか、非常に限定されて査定されています。 したがって、その辺、そういう研修費といえども限定されてきますと、やはりいまの給与所得控除の方がやはり有利であるということは言えるし、また自分のところだけ非常に経費がかかるといたしますと、またいろんな職業によって貴賎はございませんので、その辺にまたいろんな議論が尽きないわけですから、いろいろ議論がありますが、いまのやり方の方が結局いいんじゃないかという気がします。 ちょっと外国との比較でいくと、環境が非常に違いますので、外国との比較で外国で働いておるという議論がございましても、その前提のところはまた基本的に考え直すものが教育制度の中にあるような気がいたします。 —————————————
○委員長(河本嘉久蔵君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま大河原太一郎君が辞任され、その補欠として関口恵造君が選任されました。 —————————————
○矢追秀彦君 大臣、最後に、いま大学の教授の一例を出しましたが、主税局長言われる理屈も私はよくわかっておるつもりです。 ただ、一例として出したのは、さっきのクロヨンにまた戻るわけですけれども、要するに一生懸命勉強すれば、それだけ給料が上がる。なかなか日本は定員もふやしていただけませんし、オーバードクターといって博士号が余っていまして、じゃ私立大学はいいかというと、私立大学もなかなか厳しい状況で、勉強したから必ずしも収入が上がるというふうにはならぬ点をひとつ認識を改めておいていただきたいと思うんですけれども、結局そういうところと、サラリーマンがよく背広、ネクタイ、靴を経費で落とせとか何とか言われると同じように、やっぱりこれとクロヨンとがひっかかってきて不公平感というのが出てきておるわけですから、そういった点の給与所得控除の面も、ひとつもう一回サラリーマンというものの実態をよくサーチライトを当てていただいて、サラリーマンが不公平感を感じないような、そういうふうにやはりやっていくべきと思います。 この点の所信を伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) サラリーマンにつきましては、よく他の業種の実態がわからないために、あるいはクロヨンとかどうとかという言葉が流行語のように出ていますから、そんなにほかの人はうまいことやっているのかというような点から不公平感があるということも私は事実じゃないかと。制度上はないんですね。仮に経費がうんとかからない、たとえば弁護士とか——弁護士だって事件によってはかかるけれども、事件によらなければかからない。来たお客だけで、裁判所の前でおって、安直な事件をやっている人というのは余りかからないですよ。そのかわり収入もうんと少ない。少ないけれども、そういう人はそれは収入がイコール所得みたいな場合であっても、それは三百万で百万の必要経費があるかと言ったら必ずしもありませんから、それは。 しかし、サラリーマンの場合は、三百万だったら百万円は黙って引いてくれるわけですから、一千万の場合だったら二百万円は黙って引いてくれるわけですから。弁護士で一千万の収入があって、二百万必要経費がないという場合もございますからね。ですから、制度上は一概に言えない。しかも、一千万収入があっても、実は半分は、先生に差し上げますと言ってもまだもらってない、二年越しでまだもらってないと言っても、それは事件を見たんだから報酬規定によって所得だよと、税金だけは現金で納めろと。サラリーマンの場合は、もらわない月給に税金かかったという話は余り私は聞いたことがない。 ですから、制度上の問題じゃないんですね。実態上の問題で、要するに事業所得等に漏れているやつがあると。確かにあるんですよ、ときどき。それだけが問題になって、そこが不公平だと、こう言われるわけですから、そういう漏れのないようにやはりきちっとやっていくことが大事じゃないかと、そう思っております。
○塩出啓典君 それでは、最近の株式市場における株価の変動についてどういう認識を持っているのか、お伺いしたいと思います。 今回ダウ平均株価が一時は七千円台を割り込む、こういう波乱相場になったその背景には七年ぶりの昨年の十、十一、十二月期のいわゆるマイナス成長等の景気の低迷あるいは企業業績の悪化、あるいはまた、円安を懸念した外人投資家の売りあるいは輸出のかげりと、こういうようなことがいろいろあると思うのでありますが、しかし、先ほど同僚委員の質問にもありましたように、商法改正を前にして株主利益を全く無視した強引な時価発行増資が株式投資の魅力を失わせたんではないか、そういうところにも原因があるんではないか。だから個人株主もついに昨年は三割を割ってしまったんではないか、こういうような指摘があるわけでありますが、そういう点については大蔵省としてはどのような認識をされておりますか、お伺いします。
○政府委員(禿河徹映君) 最近におきますところの株価低落の原因といたしましては、いまお話がございましたように、基本的には最近におきますところの貿易摩擦問題の深刻化とか、あるいは国内景気の低迷によりますところの企業業績の先行き見通しの悪化とか、あるいは円安の進行によりますところの外人売りの増加とかいうふうなものが挙げられるかと思います。 その中で、最近におきますところの時価発行増資というものが株価低落の一因になっておるのではないかと、こういう御指摘でございますが、昨年の九月は一カ月だけで三千百億円を超えるような大変多額の時価発行増資が実はあったわけでございます。その前の八月が株価水準といたしましてはダウで八千円を超えると、こういう状況だったわけでございますが、昨年の春から夏にかけましては大変株価水準が高くなっておりまして、その時点におきましては、どちらかと言えば株式の供給量が不足しておるんではないか、こういう議論がかなり関係者の間であったわけでございます。ところが八月の十七日をピークといたしまして、その後株が大幅に九月に入って下落する、こういう事態になりましたところに、三千億を超える時価発行公募増資というものが行われた。それがやはり当時の株価低落の一因となっておったんではないかという議論もあったことは私ども承知をいたしております。 ただ、最近におきましては、時価発行増資の水準は大体一ヵ月当たり一千億円前後でございまして、その点から見ますと、最近の時価発行増資の水準が株価下落の大きな要因になっておるとは言いがたいのではなかろうかと、こういう感じがいたしております。 ただ、先ほど申しましたように、株価水準がかなり高かった時点で公募増資をいたしました銘柄で、その後の株価水準の下落の中で公募価格割れとなっておるものがかなりございます。そういう状況の中におきまして、投資家の株式市場への投資意欲というものの減退がありまして、株式市場というものがいささか低調になってきておる、こういう面はあろうかと考えております。
○塩出啓典君 それで、この十月の新しい商法の適用を前に、駆け込み的な公募株の発行が行われているんではないかと、先ほど昨年の四月から今年の二月までの発行金額についてはお話があったわけでありますが、そういう駆け込み的なそういう状況にあるのかどうか。 さらに、今年度——三月までですね、あるいは今年の十月までを見通して、大体どの程度の発行が行われる見通しであるのか、そのあたりはどうですか。
○政府委員(禿河徹映君) 昨年の九月ごろに大変高い時価発行増資が行われました点につきましては、改正商法がプレミアムの資本組み入れ比率を半分以上に引き上げる、こういうふうなことになったわけでございまして、それがことしの十月から施行されるというふうな状況がございまして、それに備えたいわゆる駆け込み増資が相当あったんではないか、こういう指摘があることは私どもも承知いたしておりますが、ただ、その点につきましては、ちょっと蛇足かとも思いますけれども、やはり企業経営者の認識が十分ではなかったような感じがいたします。と申しますのは、改正商法のもとにおきましても、その増加する資本組み入れ部分につきましては、企業に無償交付が義務づけられておるわけではございません。したがいまして、商法改正後の公募増資が直ちに企業の配当負担を増加させるというものではないわけでございます。 また、そもそも企業というものはプレミアムを含めた払い込み資本全体について株主の負託にこたえるべきものでございまして、この点につきましては商法の改正前でも改正後でも、考え方としては何も変わりはないわけでございます。私どもといたしましては、その改正商法が施行される前に駆け込みではないかという指摘がありますことにつきましては、発行企業——もちろんアンダー ライターとしての証券会社に対しましても、その辺の認識を十分新たにしてもらうように求めたい、こういうところでございます。 そういうことでございますけれども、やはり時価発行増資は最低一年間のインターバルを置くように、こういうルールが業界でできておるわけでございまして、商法の改正前に、できるだけ現行商法のもとで時価発行増資をしたい、こういう気持ちがあって、時価発行増資が急速にふくらんだという指摘があることも事実でございます。そういうふうなことに対しましては、いま申しましたような考え方でおりますけれども、計数的に申し上げますと、時価発行増資の金額は、五十五年度におきまして九千六十三億円でございましたものが、五十六年度におきましては、この二月までの実績が一兆一千五百六十八億円、恐らく三月の分まで入れますと一兆二千数百億円ぐらい、こういう水準になるんではないか、かように思います。
○塩出啓典君 このプレミアムについては、衆議院においても課税をしろ、また当委員会においてもそういう意見もあるわけでありまして、それに対して、本来これは株主に返すべきものである、そういうことで、大蔵省としてはこれに税金をかけるということは筋には合わない、こういうお話で、私は、まあ一つの筋として理解はできるわけでありますが、しかしそのためには、このプレミアムというものが本当に投資家に十分還元されなければならない。何か株価を操作して値段をつり上げて、株を押しつけて、そしてあと下がってしまう、こういうような例が非常に多い。こういう状態であれば、これはやはりちょっと行き過ぎではないか、当然、これはそういう姿勢は改めていかなきゃならない、こういう感じがするわけでありますが、この公募株発行については、大蔵省としてはどういう指導をされておるのか、また、業界としても一つの自主ルールというのがあると思うんですけれども、そういうものが本当に守られているのかどうか、また、株主への還元ということも大蔵省は指導していると思うんですけれども、そういう点が十分行われてきているのかどうか、そのあたりについての感じはどうですか。
○政府委員(禿河徹映君) 時価発行増資と申しますのは、一面におきましては市場におぎますところの評価の高い株式に資金の配分がいわばプライスメカニズムのもとにおいて図られる、こういう利点もあるわけでございますが、半面におきまして、その後の株価変動によりましては公募価格割れになる。それによって株主の期待権を侵害すると、こういう危険性もあるわけでございます。そういう点をいろいろ考えてまいりまして、時価発行の発行基準というものを証券界で定めておるわけでございます。 たとえば、その時価発行を行おうとします会社の場合は、一株当たりの配当金が五円以上であることとか、あるいは一株当たりの経常利益が十円以上のものとか、それから業績が増益基調であること、基調として増益に向かうと、そういう要件を備えてない限り時価発行は行うことができないよというふうにいたしておるわけでございます。 〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕 同時に、同じく自主ルールによりまして、過大な発行を防止するために一回の発行株式数というものは原則として発行済み株式数の一五%以内というふうなことも実は決めておるわけでございます。 こういう原則のもとに時価発行というものが行われるわけでございますが、同時に、時価発行増資をいたします場合にはプレミアムがその企業に実は入ってまいります。そのプレミアムは、企業のサイドで設備投資資金とかその他に運用されるわけでございますけれども、額面を上回るそのプレミアムの金額というものは、やはり株主が払い込んだ金額でございますので、その後、その資金を運用いたしまして設備投資等々に使いました後企業の業績はよくなるわけでございますから、そういうプレミアムの還元につきまして、四十八年でございましたか、一定のルールを定め、一昨年はさらにこれを強化いたしまして、無償交付あるいは配当性向の重視というふうな方向で、そういうことを時価発行いたします場合に企業に公約させる。その公約が守られない場合には、その後の時価発行増資に応ずるわけにいかない、こういうふうなことをやってきておるわけでございます。 私どもといたしましても、株主に対する利益の還元、これは大事なことでございますので、そういうルールがきちんと守られるように常に証券会社等に対しましても指導をいたしてきておる、こういう状況でございます。
○塩出啓典君 昨年の四月からことしの二月まで公募増資を行った件数が大体二百二件あるわけでありますが、これは大蔵省からいただいた資料でありますが、その中で、いわゆる公募価格、権利落ち修正後の公募価格と現在の株価との関係を見ますと、大体二百二件のうち実に百四件が株価は下がっておる。 それからまた、これはかつて生命保険協会の山中会長が会長であったときに、生命保険協会としては「公募株の投資成果について」という調査を公表しておるわけでありますが、これは四十七年から五十四年までの八年間に公募増資を行った全銘柄九百十社について投資成果を分析をしておるわけでありますが、その結果も、公募株の平均投資収益率は五十四年分を除いて各年とも市場収益率を下回っておると。八年間の平均で見ても、市場収益率は一二 二%に対し公募株の平均投資収益率は六・七%でしかない。公募価格割れ銘柄は二百八十五で三一%に達しておる。二度にわたって公募価格割れとなっている企業は四十三社、三度にわたって公募価格割れとなっている企業は四社。公募価格割れ幅の大きい銘柄はこうだという、そういうのを発表して、中には赤字、減配、無配となった企業もあるという、こういうことを発表して、そういうような株はもう引き受けないということで一時問題になったわけでありますが、私はやはりこういうことのないように、業界に自主ルールがあるわけですけれども、ここで言っているのは結果的にはそういうものを買った株主が保護されていないという、こういう結果になっておるじゃないかという、そういうことを実は示しておるわけであります。 だから、こういう点、大蔵大臣も先ほどの御答弁の中で乱用しないよう検討すると、こういうような意味の御発言をされたわけですが、具体的にはどうされるのか。大蔵省としては投資家保護の立場から見て、こういうような姿勢を具体的にはどういうように指導し規制をしていくのか、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的にどうするかという問題については、私もいま持ち合わせばありませんが、いずれにせよ、やはり安定した自由社会を守っていくためには個人株主の育成、定着ということは私は必要だと、民主主義社会においては特に大事じゃないかと、そう思っておりますから、いろいろな面で工夫をしていきたいと思っ、ております。
○塩出啓典君 証券局長としてはどうですか、いろいろな面ということで、具体的にはたとえばこういうようにするとか。
○政府委員(禿河徹映君) 先ほど先生からお話がございましたとおり、本年度に入りましてから時価発行増資をいたしました二百二銘柄、それが株価が非常に下がっております現時点で見てみますと、いわゆる公募価格割れになっておりますものが約半分ほどございます。 株価といいますのは、私から申し上げるまでもなしにいろんな要因で変動をいたしますので、単に公募したものが下がったからといって、直ちにその公募増資が悪いとかいうわけにはまいらないと思いますし、また公募増資をいたしましたその資金というものは、その後の設備投資等を通じまして企業業績に寄与するわけでございます。それまでにはかなりの時間もかかるわけでございますので、余り短期的な株価の下落とかいうことだけで判断するのもいかがかと思いますけれども、やはり公募増資後にすぐに公募価格割れというふうな現象が出てくるのは好ましいことでないのも当然でございます。 そのためには、やはり私ども常々証券会社等に言っておりますのは、公募増資の前におきますところの公正な株価形成というものをきちんと確保するということ、それからその増資のタイミングあるいは増資の金額というものについてもアンダーライターとして十分な注意を払っていくということ、そういうことが必要だと、それがアンダーライターとしての本来の機能を発揮するゆえんであるということで指導をいたしてきておるわけでございます。また、増資後におきますところの利益の還元につきましては、十分発行母体に対してもそれを求めていくというふうなことをするように指導いたしてきておるわけでございます。 ただ、そういう時価発行増資というものを今後本当に国民の間に定着をさせ、たとえば個人の持ち株比率というものが昨年の三月末で三割を割って二九・二%となっておるのは大変証券市場にとりまして大きな問題でございますので、私ども、証券取引審議会におきまして今度五年ぶりに株式市場の問題を取り上げて御議論をいただこうと思っております。その審議会におきまして、この増資のあり方の問題につきましてもいろいろ御意見をちょうだいいたしまして、改善を図るべきところは図っていきたいと、かように考えております。
○塩出啓典君 やはりこれは、一つは手数料が証券会社には三・五%ですか、入ると。それからまた、時価発行する企業にとってはそのように資金コストの安い、しかも利子を払わなくてもいい資金が入ると、そういうところから公募増資をしなくてよい企業までが証券会社の勧めによって増資をする傾向があると、そういう点も指摘されておるわけですね。 私は、もちろん経済は自由経済ですから、余り何から何まで大蔵省が関与するというのはいかがなものかと、そういう気はするわけですけれどもね。しかし、ちょっといまのような状況では、業界の自主ルールに任せるだけではなしに、もうちょっと公募増資の際の規制あるいは監視体制、チェック機能、そしてそれをさらに長く追跡していくというか、そういう点にもうちょっと目を光らして投資家保護という、一般投資家保護という立場から、私はもうちょっと規制を、監督を考えるべきじゃないか、こういう気がするわけですけれども、そういうお考えはないかどうか。
○政府委員(禿河徹映君) 大局的に見まして、現在の日本の金融構造というものが間接金融偏重と言われておる中におきまして、今後直接金融という部門が大きくなっていくということは、私は将来的には大変望ましい形だとは思います。 しかし、いまお話がありましたように、たとえば証券会社がその株式の引受手数料稼ぎのためにこういう時価発行増資を勧めるとか、あるいは企業サイドがコストのかからないあるいはコストの低い資金を調達するための手段として時価発行公募を行っていくというふうなことをやってまいりました場合には、直接金融の発展の道というのをみずから閉ざすことになるわけでございまして、やはり改めるべきことがあれば当然改めていくべきだろうと考えております。 ただ、時価発行増資を行うか否かというのは、第一義的にはその発行企業が判断すべき事柄でございまして、それによりまして時価発行増資を行いました企業はそのルールに従いまして、その後無償交付なりあるいは増配による株主への利益還元を公約するということになっておりまして、それを守っていく、これは必要なことだと思っております。 そういう中にありまして、私どもが過制に行政面からこれに介入していくということはいかがかと思いますけれども、そのルールがきちんと守られ、投資家の期待権を裏切ることなしにその後の利益の還元というものが行われるように、その点につきましては私どもも十分アンダーライターを通しまして企業体にもこれを今後とも求めていく、こういうことが必要であろうかと考えております。
○塩出啓典君 大蔵大臣、いままでたとえばゼロクーポンを禁止したと、非常に外国から批判されてまでこれは法律にないことをやる、あるいは先ほどの定期積金の問題にしても、都市銀行にいろいろな行政指導をして規制を加えていくと。本来から言えば余り好ましいことじゃないと思うんですけれども、やっぱりやむを得ない場合があるんじゃないかと思うんです。 そういう意味で、やはりこれから十月の商法改正を目指しての駆け込み公募ラッシュというようなことがもし起きた場合、そういうものが本当に投資家保護の立場から業界のルールをちゃんと守っているのかどうかですね、そういう点は大蔵省としても十分目を光らして、やっぱり証券業界の末長い発展のためにも、そういう節度ある姿勢をとるように私は大蔵省としても厳重に指導してもらいたい。その点どうですか。
○政府委員(禿河徹映君) 本来的な意味におきますところの政府も介入いたしました増資調整というものを行いましたのは、四十年の例の証券大不況のときと、四十八年の第一次石油ショックによりますところの株式市場の混乱のとき、その二度でございまして、それ以外には本来の意味におきますところの増資調整というものは行っておりません。 ただ、いま御指摘がございましたように、商法改正のその施行を控えまして、また駆け込み増資という批判が起こらないように、私ども証券会社にも十分注意をいたしております。で、証券会社の方におきましても、その増資額というものが余り一時期に集中をしないように十分な調整を図っていくという考え方が現在でもございますので、その考え方に即しまして、合理的な増資の水準になるように私どもも十分気をつけて必要な指導を行ってまいりたい、かように考えております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体局長の言ったことで尽きると思いますが、余り行き過ぎのあるときには、それに対応する何か手段を考えざるを得ないと思っております。
○塩出啓典君 それからこの時価発行の場合の引受会社が非常に四大証券に集中をしておると。私がいただいた資料では、五十六年度の証券会社の利益のうち株式引受売買手数料収入は四百三十八億円であると、そのうち三百八十九億円が四大証券、八八・八%が四大証券に集中しておるわけですね。これはこの五十二年の「望ましい公社債市場の在り方に関する報告書」、これは公社債市場でありますが、その中にもやはり四大証券の寡占というものを改めていかなければいけないという、こういう方向が打ち出されておるわけであります。 そういう意味で、現在の公募株発行の幹事証券が大手四社に非常に独占されておるという点についてはどう考えるか。これでは限られた顧客にしか公募株の取得の機会が与えられないわけであります。公募の本義から言っても、社債と同様に引受シンジケート団を組織すべきではないか。その理由としては、この引受業者のリスクの分散とより多くの投資家に取得申し込みの機会を与えることになると、こういう点についてはそういう方向を目指すべきではないかと思いますが、お考えを聞きたい。
○政府委員(禿河徹映君) ただいま御指摘がございましたとおり、現在時価発行増資の大部分は大手の証券会社、いわゆる四社が引き受けております。 ただ、時価発行増資の引き受けに際しまして、たとえばシンジケート団を組むかどうかとかいうふうな問題は、基本的には発行企業と幹事になります証券会社の判断にゆだねられておるわけでございますし、また現在四社が引き受けております増資株の一部につきましては、量的には十分ではないと思いますけれども、中小証券を通じまして投資家に公募株の入手の機会を与えておるわけではございます。しかし、最近大型の時価発行増資が行われるようになりまして、引き受けのリスクも増大いたしておりますので、いままでのような引受体制でいいのかどうかと、これを見直す必要があるのではないかと、こういう御指摘があることも私ども承知いたしております。 基本的には、できるだけ多くの証券会社が株式の引受業務に参加するようになることが望ましいと私ども考えておりますが、株式の引き受けにはやはりリスクがございまして、それに見合った審−査能力だとか財務体質というものが要求されますので、おのずからこの業務を行う証券会社というものは限られてくるというのが実情でございます。 〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕 しかし、基本的にはいわゆる寡占状態でない方が望ましいわけでございますので、私どもといたしましては中堅証券会社のこの業務が次第に充実していくことが望ましい、そのために、行政当局としてできるだけそれに即応した環境づくりというものに配慮していく必要があるであろうと、かように考えております。 この点につきましては、たとえば四社に次ぐような中小証券の経営基盤の強化を図っていく、あるいは審査能力の充実あるいは引き受け関係の営業力の強化というものにつきましてできるだけの配慮をしてまいりたいと、かように考えております。
○塩出啓典君 いまいわゆるシンジケート団をつくってですね、そういうのはどうなんですか。
○政府委員(禿河徹映君) 先ほど申しましたとおり、株式の引き受けをどこがやるかといいますのは、発行会社と、それからアンダーライターとしての証券会社の話し合いで決まるわけでございまして、その際シンジケート団をつくってやるかどうかというのも両方の話し合いによって決まるものでございます。 また、シ団に入るとなりますと、それ相応の力、営業力というものも必要なわけでございます。したがいまして、私ども望ましい方向とは申しましても、それだけの力がない場合にはなかなか実際上シ団の結成という方に向かわないわけでございますので、まず大手証券に次ぐ中小証券のそういう面での充実を図っていくということが必要だろうと思っております。 ただ、そういう点はいろいろございますけれども、いまのままの引受体制で今後ともいいかどうかという問題につきましでも、やはり証券取引審議会の場で増資のあり方、、あるいは個人株主のあり方、そういう問題に絡めて論議していただくことが有益ではないかと、かように考えております。
○塩出啓典君 非常に慎重な言い回しでございますが、いずれにしてもいまの寡占体制はできるだけ改めていくという方向は、これはもうずっと今日までの証券行政の方向であったと思いますし、そういう方向でひとつ努力をしてもらいたい、このことを要望します。 それから、先ほどお話がありましたいわゆる中間時価発行増資を、これは非常に投資家、株主の保護にもなっていくわけですから、そういうものはまだ年間四件とか六件とか非常にわずかではありますが、こういうものを大蔵省としてはもっと推進すべきではないか。もちろん、禿河局長の話によれば、やるやらないはそれは企業の自主性だということでしょうけれども、最終的な判断はそうにしても、証券行政としてもっとこういう方向が望ましいと、個々の例にどうのこうのじゃなしに、そういうような方向はどんどん僕は示していくのが当然じゃないかと思いますし、その点はどうなんでしょうか。これはもっと推進すべきであると思いますが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(禿河徹映君) 中間発行増資が、五十三、五十四年度がなかったものが、五十五年度からわずかの件数ながら出てきたわけでございます。 これは、一昨年証券界の方におきまして、中間発行の定着を図るために利益配分等に関するガイドラインを作成してからでございます。これは私どもも、やはり中間発行増資というものの今後定着を図っていくことが必要だと考えております。これをどのようにして定着させていくかという行政指導がなかなか実はむずかしい面がございますが、現に最近におきますような時価発行増資に対する批判というものもかなり出てきておること。やはりその点から見ましても、企業者としても時価発行増資だけに偏ることなしに、中間発行増資とい参ものも見直ししていく、こういう機運がおのずから出てくるだろうと私ども考えております。 そういう機運を私ども大事にいたしまして、こういう面につきましてもやはりその拡大を図っていくようにいたしたいと存じますが、その辺につきましても、私ども行政的にどの企業が中間発行増資でなくちゃいかぬとかいうふうな強制するわけにも実はなかなかまいらないわけで、やはり市場の関係者におきまして時価発行増資に対する一種の反省とかいうふうな機運が出てくれば、こういうものも次第に大きなものに育っていくであろうと、こういうことを実は期待いたしておるわけでございます。
○塩出啓典君 それでは、私は七分まででございますので、あと三法案について一問ずつお尋ねしますので、簡単にお答えいただきたいと思います。 まず、国税収納金整理資金に関する法律の一部改正法律案、この法律が施行によってどういうメリットがあるのか、非常に事務が早くなるとか合理化、そういう点でどういうメリットがあるのかということですね。 それから、法人税法の一部を改正する法律案に関してでございますが、これは特に退職給与引当金の問題につきまして、税調は退職給与引当金は一定の合理性はあると、しかし退職金支払い額に比して残高が過大であると、また退職給与の引き当てといっても、支払い保全措置が講じられていないという社会的批判があることも事実であると、こういうことを挙げて、今後実態面の分析を行い、企業年金制度の動向等を見きわめつつ基本的な検討を行っていくものであると、こういうような意見を述べておるわけでありますが、大蔵省としては今後退職給与引当金についてはどのように検討していくのか、それが一つ。 それから、租税特別措置法の問題に関連して、これは特に大蔵大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、今回はいろいろ居住用財産の買いかえ制度の創設等の措置も認められておるわけでありますが、現在の不況対策の一環として、いま非常に住宅対策が、住宅建設がおぐれておる。これはいろいろな要因があると思うのですが、やはりもっと中古住宅に対する制度を、中古住宅を買う場合の優遇制度、そういうようなものを考えるべきではないか。 “ 、 一 この三点について、簡単で結構ですから。
○政府委員(西垣昭君) 簡単に申し上げますと、今回の国税収納金の制度改正によりまして、特に確定申告の時期にきわめて事務が集中している、この時期の事務の簡素化に役立つ。その解決に役立つことによりまして還付加算金、還付金の支払いが遅延することがなくなるという意味で、納税者に対するサービスが改善されるということが言えると思います。
○政府委員(福田幸弘君) 退職給与引当金については、さらに御指摘の点を踏まえて検討を続けたいということであります。 それから、中古住宅の関係では、五十五年度税制改正で住宅取得控除の適用対象に加わっておりますので、さらにその内容を見きわめたいということでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も同様でございます。
○近藤忠孝君 予定された質問に入る前に、先ほど大蔵大臣の方からはみ出し発言がございました。 弁護士はけしからぬというんですね。私は弁護士としまして、これは党派を超えて、これは全国の弁護士に影響がありますので若干ただしたいと思うのです。 責任を持って事件を継続的にやっていくためには、やっぱり事務所を構え、事務員を置き、さらに図書その他維持経費がかかるんですね。それに対して、いや大きな事件でがっぽり入るんじゃないかと。こういうのも結構誤解がありまして、私も一度やられたんですけれども文勢春秋で一九八四年グループがありまして、イタイイタイ病裁判というのは企業に対する現代の恐喝で、勝訴した事件の一割から一割五分も取ったから大もうけだろうと、こういうんですね。 これは、何年間もそれこそ手弁当でたくさんの弁護士が全国から通い続けた。そして科学的な論争をするためにはたくさんの勉強もし実態も調査すると。これは日割り計算したら大したことはないんですね。ですから、でかいならでかいなりにそれだけの時間と経費がかかっているわけです。それに対して先ほどの発言。世の中にはやっぱり無知で誤解する人もおるんですけれども、、大臣がそういうことを言われるのはいかぬと思いますので、釈明をひとつお願いいたします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、私ちゃんと前置きをして言っているわけですから。そういうかかる人もいっぱいありますが、もう裁判官なんかやめて——私のすぐ隣の家にいるんですよ。裁判官やめてそれで老後の生活で弁護士やっている人がおりますが、裁判所に行くだけでね。特別に出張もしてない、取り調べでも何でも歩かないし、むずかしい事件は最初から引き受けない。だから、そういう場合は経費のかからない場合があるということを制度論として私は申し上げたわけです。実態を言ったわけではありません。
○近藤忠孝君 大臣が知っているごく一、二の例であって全体じゃないと、こう理解をして、それで先に進みたいと思います。 まず、租税特別措置の見直しが十分かどうかという問題ですが、これは税制のあり方に関する問題ですし、それからもう一つは、先ほども触れた減税の財源としても大事だと思うんです。 そこで、減税の財源という点から見てみますと、これは本会議でも指摘しましたけれども、減税問題指摘しますと、衆議院議長見解は文字どおり理解しておると。それは参議院軽視じゃないかと言いますと、鈴木総理は、衆議院大蔵の小委員会で検討された結果を参議院で審議してもらうことになるから軽視じゃない、こう言うんですね。 となりますと、たしか合意に参加した政党は参議院でもがまんするかもしれません。ところが、向こうで参加してない政党もありますし、また衆議院に存在しない政党や会派もこちらあるんです。そういった人々の意見はどうするのか、こういう問題があります。 私は、この総理や大蔵大臣の一連の答弁は、じゃ衆議院の大蔵委員会小委員会で結論が出るまで、どんなに議論の結果、参議院の議論の結果いい材料があったと、減税可能だということになっても、結局待っておるのか、一切中身には入らぬのか、こういうことなんですが、まさに参議院軽視じゃないかと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは参議院軽視というのでなくて、まあ五党の国対委員長が集まって申し合わせといいますか取り決めをしたわけですね。これは党の国対委員長ですから、衆参両院の政党政治ですから、衆参両院のそれは当然コンセンサスの上にそれは発言をしているんだろうと私は思っております。少なくとも自民党はそうでございますから。 そこで取り決めたものについて、今後、予算成立後それであの裁定書に書いてあるとおり検討を開始するということであるので、その検討結果は尊重するということを総理が言っておるだけであって、それ以外のものについて尊重しないと言っているわけではございません。
○近藤忠孝君 しかし、結論は一つしかないはずですね。それで、向こうの結論は尊重するという態度を示されて、別め結論は尊重しないわけじゃないと言うけれども、一つ尊重しちゃったらあとこれ出てこないということですね。結局はほかはもう最初から聞く耳持たぬと、こういう結果になるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうことでもないと思いますよ。五党の合意でやって、大多数の人の合意だけれども、その五党の政党が小会派の仮に意見があって、そういう意見といえどもそれは取り入れるんじゃないですか。何か選挙法の改正とかいうやつでも、小会派の意見もちゃんと取り入れてやるということをやっておりますから、そこは常識的に私は考えていっていいんじゃないかと、そう思っております。
○近藤忠孝君 小会派も参加すればそこで意見を述べて、その意見が反映するんだと思うんですが、もともとその外なんだから、これは反映しようがないんですね。また、構成も違うんですよね、衆参。 ですから、問題は予算が通ってしまった後、衆議院の大蔵小委員会でやるんですが、われわれの要求やまた国民の要求は当初予算でやれという、こういうことですね。それに対して全く反映されてないんですよ。 私は、これから述べる意見は具体的財源の問題に入っていくんですが、渡辺さんは盛んに財源があればやりたいとも言っておるんですから、財源の点でもし一致すればここでやろうかという話だってこれはあり得るわけだと思うんですよ。そういうこともう一切ないということでしょう。となると、議論はむだになってくるんですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは最終的には法律で決まる問題でございますから、政府の自由になるものではありません、行政府と立法府は違いますからね。ですから、それはもう衆議院が通っても参議院が通らなけりゃ法律は成立しないわけですから、ですから、最終的には衆参両院を法律は通過をしなければ法案は成立はもともとしないんです。ですから、仮に減税をやるということになれば法律の改正が必要だし、それには衆参両方の合意が必要で、衆議院だけで法律ができるわけはないわけでございます。 ただ、私が言うのは、五党という政党が集まってそれで申し合わせをしたと。その結果、衆議院の大蔵委員会にそれできるんでしょうが、衆議院にない会派もありますね、参議院には。共産党は衆議院でも入っていますからね。
○近藤忠孝君 しかし、その合意には入ってないです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いやいや、それは衆議院の大蔵委員会の構成メンバーではあるわけですから、当然だれかが、あなたは出ないけれども、だれかが同じ政党の中からその小委員会に私は必ず入るだろうと思っております。
○近藤忠孝君 この議論ばかりしていても仕方ありませんけれども、当初予算でやれという大変強い要求があるということはここでつけ加えておきたいと思います。 そこで次に、具体的な見直しの問題ですが、これは大臣もよく言っているとおり、政策目的でやっているんだと、政策目的の必要がなくなれば、また情勢が変わればそれは変えていくと、それに応じて見直しをしていくんだと、そういうことですね。 ですから、ここでもし具体的な指摘の中で、その特別措置の正当性、あるいはそれを当時認めた根拠がなくなったということがわかれば、これは直ちにそれは廃止をしていくわけでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、これも大蔵大臣が万能じゃないわけですから、法律の問題は国会が万能であって、行政府が万能じゃないわけですからね。だから、法律の通る可能性というような問題も当然われわれは考えなければならないし、政党政治でございますから、ともかく政党と政府は別なものでございます。もう政党の言うとおりになかなかできない、自民党の支持を受けた内閣といえども。それはもう党としょっちゅう大論争をやっておって、党の要求がみんな通ったなんということはなかなかないです。それは。米価の問題を一つ取り上げても、何の問題でも、党から強い要求があってもそれはもうそのとおりになかなかなれない、政府としては全体のバランスも見なきゃなりませんから。だけれども、やはり党の意向も全然無視するというわけにもなかなか内閣としてはいかない、与党の意見も。 したがって、そういうような与党の大勢というものも考え、野党の同調も得られるかどうかということも考え——徹底抗戦なんかされたんではとてもできるものじゃありませんから、そこらのところは全体のことを眺めながら現実的に対処するということだと思います。
○近藤忠孝君 いまここで審議しているのは、渡辺さんが趣旨説明されたとおり、政府、特に渡辺さんが中心の提案の法案ですから、与党の意向をどうのこうのと言いますけれども、これは渡辺さんがわかったと言えば、これは与党に対する一つの判断事項になろうと思うんです。 そこで、一つ具体的にお聞きしますが、技術等海外所得の特別控除というのがありますが、これが今回延長されるわけですが、これはいつ創設されてその政策目的は何か、御答弁を願いたいと思うんです。
○政府委員(福田幸弘君) この制度は創設は二十八年でございまして、その後内容的にも変遷ございますが、現時点においてこの制度としては、諸外国、特に開発途上国に対する民間ベースでの技術援助、それから貿易構造の高度化による貿易摩擦の緩和というようなことに対する意味を現在持っておるわけでありますので、これは現時点での政策としてはそれなりの評価をしていいということで、継続いたしております。しかし、五十一年度、五十三年度、五十四年度及び五十五年度には率の引き下げを行っておりますし、五十七年度は著作権についてはその制度を廃止するということにいたしております。 いずれにしましても、これは最初の時期と意味が変わってきたりいたしておりましても、現時点の意味がありますので、そういうことで継続いたしますが、今後ともその意味が必要であるかということは、一般論と同じく、見直しは続けていくという性格のものであろうというふうに考えております。
○近藤忠孝君 これが昭和二十八年創設された当初は、技術輸出によって外貨を稼ごうということと、当時は国際収支が悪くて深刻な資本不足であった時期ですね。それに見合ってできた制度でしょう。そして先ほどの答弁では、そういう意味はもうこれは失われているということではないでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) これは二十八年にできました後、最初はそういう背景もあったと思いますが、三十九年あたりでは輸出補助金禁止規定との調整を図っておるというようなことで、現在の内容を見ますと、やはり技術中心に外国に対する民間ベースでの援助、それから貿易摩擦等があります際には、技術援助の形でその緩和を図るということもございますので、現在、当初の目的とは若干変わっておりますが、この制度自体は、技術等で海外取引をするということは現時点では重要な意味もあるわけでありますから、一概になくなったというよりも、現時点で意味があるものとして評価されておると、そういうふうに考えるべきで、最初の目的と若干変わってきても現時点で意味があればいいというふうに考えるものではないかと、こう思います。
○近藤忠孝君 当初の政策目的は完全になくなっているんだと思いますね。 先ほど、開発途上国への技術輸出だと、こう言いましたけれども、決して技術輸出がそこに限られるわけはないと思うんですよ。となれば、いまたとえばアメリカとの関係で貿易摩擦ありますね。アメリカがこういう制度を知れば、本当に日本は貿易摩擦解消に真剣なのかと、こういう反撃を食うんじゃないでしょうか。そうなれば、むしろこれは基本的には政策目的はなくなったということで廃止の対象にすべきではないか、もしもどうしても必要ならば、それはそれだけに限定したものとして残すべきじゃないでしょうか。基本的にはもう変わっているんですよ。
○政府委員(福田幸弘君) これは政策判断ですかちいろんな見方があろうかと思うんですが、工業所有権等というものがございますし、著作権はこれは実績がないというようなこと、またその意味もないというので今回落としましたが、コンサルティングというふうなものは、現在、今後もわりに重要な分野だと思います。 そういうことで、内容的にはいろいろ見直しをやってきました結果、現在残っていますもの、特に今回は廃止した項目があるわけですから、内容を見直しておるというのが実態でございます。今後とも、意味があるかどうかは御指摘のとおり見直しを常時やっていくということであろうかと思います。
○近藤忠孝君 じゃ、この制度もさらに見直しをしていくということで、特に指摘したような、これは実際利用しているのは資本金一億円以上の企業、約九七から八%、その積立金が五百十億円ですから、これ取り外した場合に二百億円の財源になるわけで、そういう点では私は大変貴重なものだと思うし、政策目的からいってもこれは廃止の方向で検討すべきだと思います。 次に、エネルギー対策促進税制、これは昭和五十六年に新設されたものですが、省エネ、代替エネルギー対策の推進ということだと思います。 ただ、これをつくるとき自身にもすでに大変な議論がありまして、指摘されておったことは、財政再建が緊急の課題であり、所得税減税が見送られている現状のもとで大型の企業減税を行うことは適当でないという意見が現に実際あったようですね。それからさらに、エネルギー対策の推進は企業にとって生存のための当然の行動であるから、何もこういう大型の優遇税制する必要ないんじゃないかということが、現にこれを創設するとき自身にあったわけです。 私は、その後の経過はまさにそのとおりじゃないかと、こう思うんです。どう思っていますか。
○政府委員(福田幸弘君) これは、省エネルギー設備につきまして五十年に特別償却制度が設けられたわけで、やはり創設いたしましたときには、省エネルギーという観点から見ますと、日本の場合資源が非常に乏しいという意味で、諸外国以上にこういう政策が必要であったと思います。また、そういうエネルギー資源の有効利用と消費の節約というこの政策に有効であるということで、政策自体は評価され、またはその手段としても適切であったということであろうと思います。 五十六年度税制改正におきまして、省エネルギー設備及び石油代替エネルギー設備というものについて、取得価格の三〇%の特別償却と七%の税額控除とのいずれかの選択を認めるというこのエネルギー対策促進税制というのが五十六年度に創設されたということでありますが、これはやはり省エネルギー設備の早期導入を推進するという趣旨から、三年限りの措置ということで、この政策というのはある期間を限るということで、その問にそれが企業判断にプラスに働くということですから、いつまでも続けていいというふうにはすべて政策税制の場合言えないと思います。 ある期間にそこを集中してもらうという意味で、これはやはりその期間がたったところでまた評価し直すということで、省エネルギーというのはやはりその企業自体にとってはコストダウンでありますし、そういう努力をすることはいまのような環境のもとでは企業自体が努力すべきものでありますので、またそれなりの効果は企業自体も受けるわけですから、いつまでもその制度をそのままで続けるということよりも、その期限が来たところでどれだけの実績があったか、どれだけの効果があったかということを踏まえて次の段階を考えるということであろうと思います。
○近藤忠孝君 では、その効果があったかどうかということですが、実際省エネあるいは代替エネルギー対策を推進するための制度であったわけですが、最近の新聞は一斉に報じています。代替エネルギー開発のおくれが懸念されていると。実際思うように進んでいませんですね。その実情と、そしてその原因は何でしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) これはやはり代替エネルギーでありますから、油自体の値段がどうなっているかということで影響されると思います。 しかし、やはり資源が制約されておる環境で、中長期的には重要な石油というものをどういうふうに代替していくかという政策は変わらないわけでありますから、当面の状況で企業が足踏みするようなことがございましても、やはりこの推進税制というものがあることが一つの励みになっていくわけで、そういうことで短期的なことに判断が直ちに左右されるということではなくて、この考え自体は正しいと、それをいつまで続けるかということは、やはりこの期限が来たときにその成果及びその時点での環境を考えながら、しかし中長期の考えを持って政策税制が意味があるかということを検討していくべきで、直ちにこれが意味がないというふうに持っていく話ではない。 先ほどの技術等の海外の問題も、直ちに廃止ということよりも、評価を常に続け、その実績を検討していくという姿勢が大事であるということであろうというふうに思います。
○近藤忠孝君 いま局長は、石油の原油価格が落ちついておると。その結果、やはり具体的にはこの開発が思うように進んでいないんでしょうね。この新聞記事のように、促進策を見直さなきゃならない、部会をつくってビジョンづくりをしなければうまく進まないと、こういう実情はそのとおりでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) これは、政策自体はその所管省庁が考えることでございますが、税制でございますのでわれわれなりの受け取り方をしますと、通産省としてそういう環境下で今後どうすべきかということは、この税制に限らずあらゆる観点から検討が行われようと思いますが、税制としては特別の対策、優遇措置でありますので、その効果があるかどうか、意味があるかどうかは、通産省の政策を見ながら税の観点から見直していくということで、直ちに何かいまの状況が変わったからというので政策がくるくる変わるというようなことを前提にしてはいけない、やはりわれわれはわれわれなりに税制として優遇措置を講じている以上は、基本的な方向というものを通産省がやはりはっきりさせていく必要があろうかと、こう思います。
○近藤忠孝君 私は何も推進策をどうしろなんということを局長に求めてはいません。 私の質問は、新聞記事にあるとおり、原油価格が落ちついている結果、思うようにこの代替エネルギー対策が進んでいないだろうと、その現状はどうかと認識を聞いているんですよ。どうですか。簡単に。
○政府委員(福田幸弘君) その実績は見ておりませんけれども、一般的には、代替でございますから、代替すべきものの値段が下がっておればその意欲が企業としては衰えることはあろうと思います。しかし、そのままでずっといいかという問題は別個の判断であろうと思いますが、実績はつかんでおりません。
○近藤忠孝君 実績つかんでいないのはこれはちょっと無責任だと思いますね。 これは渡辺さん、去年のちょうどいまごろの当委員会における私と渡辺さんの議論は覚えておられるでしょうか。私の指摘したことは、この税制つくってもこれは利用できないよということを言ったんです。特に中小企業は、これは政府が思っているような代替エネルギー対策などをするほどの余裕はない、特に中小企業を中心に言いましたけれども、私の指摘は。それに対して大臣は、そんなことないはずだ、何とかなるんだということだったんですけれども、実際中小企業はおろか私の予想を上回って、そして大企業の方も実際活用をやってないんですよ。その一番の原因は、要するに石油、原油価格の落ちつきなんですよ。 そうなりますと、これからは私一つの提言ですが、要するに税制じゃないんですよ。すでにこの税制つくるときに一部に意見があったように、しかも大変強い意見としてあったように、ちゃんと大蔵省もつかんでおるように、元来それは石油が高けりゃ企業の方が存続するために必要に応じてやるんですよ、こんなことは、税制つくらなくても。そういうものに税制優遇をやるということは、本来企業がやるべきことに対していわばそれは補助金を与えるようなものじゃないか、これはむしろ不公平を広げるんじゃないか、そういう問題じゃないんでしょうか。ちょっと去年の議論を思い起こして、むしろ私の見通し正しかったわけですから、ひとつ大臣の答弁いただきたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 中小企業に対してはその対象設備を広く認めておるということになっております。また、これが現時点で短期的といいますか、当面の原油価格の安定で足踏みを全般的にしておるという問題はあるかもしれませんが、繰り返して申し上げますけれども、政策的にこれはやはり力を入れるべき分野でございますので、短期的な値段が下がったということから、当面の実績がそれほどでないといいましても、政策税制といいますか、政策自体はやはり重要であるということは変わらないと思いますので、もう少し様子を見守っていきたいと思ってます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに石油はいまのところ日本等の消費節約が効いてだぶつきぎみで値段が下がりぎみ、これは事実でございます。 しかしながら、いつまでこれがもっかという問題もございますし、日本としてはエネルギーの石油依存度を五〇%まで下げるという大きな目標があるわけですから、むしろこういうことはどんどんやってもらいたい。ほおっておいても企業はもうかればやるよと、それも事実でしょう。事実でしょうが、さらにそれに輪をかけて代替エネルギーというようなものを促進させてもらいたいということでやったわけです。それが利用価値がしたがって少なかったじゃないか、裏返しに言えば減税も少なかったということにもなるわけで、効果が少なかったと言われればそういう批評はこの一年だけを見た場合には当たるかもしれませんが、長期に見てもう少しゃはり私は石油依存度を減らしていくという努力はしていかなきゃならぬ、そう思っております。
○近藤忠孝君 石油依存度を少なくするためのいろんな諸施策をやるべきことは共産党も賛成で、その面では私は同意見だと思うんですが、問題はいま税制の問題なんですね。 いま大臣ちらっと、この税制なくたって必要ならやるよと、現にそうだと思うんですよ。幾ら大変ないい税制があっても、この特定企業についていい税制があっても、石油が安定したらやらないんですね。逆に、これは八〇年代後半から今度はまた原油需給は再度逼迫してくる、こういう可能性が強いわけですね。となれば、それこそやるんです。税制があろうとなかろうと。私はその方を促進するのは税制の問題ではなくて、結局法律としても、エネルギーの使用の合理化に関する法律とか、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律とか、あるいは新エネルギー総合開発機構などあるわけですから、そういう行政指導とかあるいはその面の補助金もこれはあるはずですね。 そういう面で、これは促進をすべきであって、税制の問題は結局関係ないということがわずかな期間でわかったんではないでしょうか。それをさらに税制で援助するということがこれはむしろ不公正をここで一つ広げるんじゃないか、こう思うので、これはやっぱりこの事実をしっかり見て、見直しをこれは早急にやるべきじゃないでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) これは一般論でございますが、政策というものがあってそれをどういう手段でやるかというときに、一つの手段に限らないで総合的に予算もやる、また税も財投もというようなことで、そういうことで考えますと、税の場合これはやはり企業にとってはコストの面からはプラスになるわけでございますので、税はやる必要はないということは、政策自体が有効で必要であるということであれば、やはり税もそれなりのある期間を限りインセンティブを与えるということでは意味がある、これが特別措置であると思います。特別措置と申しているのはそういう意味でありまして、いつまでもだらだらと意味がなくなっても残すということはやるべきでない、これは見直すということでありますので、これ自体はやはりいまは意味があるとして入れられておりますので、ほかの政策と相まって今後の推移を見たいということであります。
○近藤忠孝君 私は、せいぜい融資程度まででとどめるべきであって、後はまさに行政指導とか、そういう面で進めるべきだと思います。 こういう問題はまだ、時間が来たので、あと一つだけ指摘しますと、同じように公害対策のための投資も低迷している、こういう記事がたくさん出ていますですね。これは昨年末ですが、今年度受注一割減必至と、こういう状況なんです。公害も、公害問題がずうっとやかましくなってきたときに、国のまさに政策目的であめとむちですね。一つは規制を厳しくし、片やいわばあめということで、税制上の優遇ということでやっぱりずいぶん優遇された分野だと思うんです。 ところが、これもやはり一面ではその後公害防止用設備の投資の必要がずいぶん減ってきているんです。その理由、時間がないので端的に言いますと、一つは公害規制の緩和。ずいぶん一時に比べると規制をもっと強めるべきところが緩やかになっている。そういう面と後は企業のサボですね。それに対して、やっぱり日本の環境庁は余り一生懸命やっていない面がある。やっぱり消費者から見ますと、大変なこれは不満が強いんですよ。 最近総理府のやった調査でも、むしろ公害の被害がふえているという意識調査があるぐらいですね。だから、もっと公害対策を促進すべきだと思うんですが、こういう問題は元来PPPなんですから、税制上の優遇措置は必要なかったもの、実際そういうぐあいに言われております。やるんだったらもっと限定して、きわめてこれを厳しい条件のもとで初めて認められるべきだ、こういう意見もあったくらいですが、問題は、大変公害対策が促進したときにできた税制がそのまま残って緩められ、あるいは企業がサボっている状況が放置されております。そういう状況でもそのまま残っているわけです。やっぱりこれはまずいんじゃないか、こう思いますので、ひとつ見直しについて大臣の見解を賜りたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) これは公害防止準備金というのはなくしたわけで、そういうことの合理化を行った後でいまの公害防止用設備の特償があるわけですが、これは四十二年に特償ができて、この比率につきましては五〇%から五十七年度は二五%というようなことでおるわけで、対象を見直しておりますので、これはやはり企業本来そういう公害を防止する責任がありますし、こういう環境で企業活動が行われるべきだ。いつまでもこれをめんどうを見るということでありませんが、そういうことがなかなかこういう経済環境ではできない企業もあるわけですから、こういうもので促進を図っていくということはやはり現時点では現行制度は必要であろうという判断で残してあるわけでございます。
○近藤忠孝君 最後に大臣の見解を。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も同じような見解です。
○三治重信君 午前の質問ちょっと残っていますから、それを続けてやりまして、あとまた本題に入りたいと思うんです。 非常に円安は、午前の大臣のお話もありましたんですが、特に有効な打つ手がなさそうだ、こういうことですが、こういうふうな円安になるのと、それからいわゆる国際金融関係から言って日本の為替の安定のために、この円為替の拡大というのは、どうなんですか、事実はどうなっているんですか。やはり日本の円の為替が安くなると、国際的な通貨としての円というものは、どういうふうな見通しを考えたらいいのか。 こういうふうにアメリカの高金利、これに対して独善的なことをやってどうにもならぬということになってくると、日本はやはり国際金融の安定からいっても、円為替を日本の貿易の中に積極的に取り入れるような何かいい工夫や対策はないものかと、こういうふうな考えがあるわけなんですが、これに対してどういうふうなお考えであるか。
○政府委員(加藤隆司君) 技術的なことなので、事務の方から答えさしていただきます。 輸出が大体千五百億ドルでございまして、七割ぐらいがドルになっておるわけでございますね。円が三割。それから輸入が千四百で、九八%ぐらいがドルというような関係にございます。それで、もう一つは、準備資産として円がどのぐらい持たれているかという問題がございます。IMFの加盟通貨当局間の保有外貨の中に占める円の割合が大体四、五%だろうと思います。問題は、通貨の三つの機能の中の計算単位と決済手段とそれから準備資産という機能で、いまの御指摘は決済手段として円をもう少し使わせられないかという御指摘だと思います。 私どもも、かねて、そういうことが非常に円レートの安定にとって重要だろうと思っておりまして、いろいろと考えておるわけでございますが、結局、造船の例でごらんいただきますように、バイヤーズマーケットなのかセラーズマーケットなのかということで、計算単位として使用される通貨あるいは決済手段として使われる通貨について、どうしても契約の力関係というようなものが働くわけでございます。たとえば、油の場合で申しますと、原粗油と製品合わせて約六百億ドルぐらい払っている。それで、当該関係国に二百億ドルぐらい買ってもらっておる、その二百億ドル分について円というものが使えないのであるかどうかというような問題、具体的に申しますとそういう問題もあるわけでございますが、なかなか、いま申しましたような油はドルでなければ売らないとか、そういうような問題がございまして非常にむずかしい。 ただ、御指摘の点はまさに私どもがかねて研さんをしておるわけでございますが、そういう御指摘でございまして、なお一層研究をしていきたいと思っております。
○三治重信君 ひとつ、みんなが一時為替変動のときの、円安になったら、円を高くしちゃ大変だというふうなことが最近では自信がついてきて、日本も円高に持っていこう、そうしないと国際摩擦が解消にならぬという、これはみんなやはり認識が統一してきたと思うんですよね。 ただ、その実現の方法や努力がどうしたらそういうふうになるかという問題に集約をされてきているんじゃないかというふうに思って、いまのお話もその方向であるというふうな認識に立つわけですが、どうかひとつ、今後の立て方について、大蔵大臣も先ほどの御説明だと六月のサミットではアメリカの高金利が、ヨーロッパの先進国も日本も、そういうことについてひとつ認識を改めてもらうようにやるつもりだと。これは非常に結構だと思うんですが、ぜひひとつ主張していただくとともに、ヨーロッパその他に、国際金融の問題について、やはり余りアメリカのドルばかりに頼っているから結局円が割安になっている、また割安になるような政策をアメリカがとられるとにつちもさっちも、アメリカがドル高になるような対策をとられると、対策がないというふうでは、ひとつアメリカに希望を申し出るという程度にしかなかぬから、アメリカの方も本気になって考える。だからアメリカが実勢より高くなっている、高くしていこうとするドルに対して、本当にそうはさせぬということをひとついろいろ施策を考えてもらいたい。 まあその一つとして、国際金融にドルだけに頼らぬ方法はないものかということが一つ考えられる。それからもう一つは、やはりアメリカの金利高に対しての被害ですね、言うものについて僕ははっきり言うべきじゃないかと思うんです。アメリカは貿易摩擦について、日本からの百億ドル以上百三十億、向こうは百八十といっているその被害について声高に言うけれども、何か最近の報告見ると、アメリカは貿易では全体としては日本からえらい赤字だけれどもヨーロッパからは黒字だし、それからまた全体として百工、三十億ドルの赤字でも、いわゆる経常収支というんですか、この海外投資の利益、サービス料金、そういうふうなアメリカの全体的な為替収支からいくというと黒字だと、こう言って発表があったような気がするんですが、そういうこともだから総括的に考えていく。 そのときに、日本の立場としては、アメリカでもイギリスでも経済が発展して有利なときには、貿易が黒字になってそうして黒字を外国へ資本輸出して収支均衡をとっていく。アメリカはまさにもういま貿易収支は赤字でも過去に投資したやつでほかの収入があるから、国際収支が合っておればそんなにぎゃあぎゃあ言う必要はないんじゃないかというふうな、日本はいまは資本が自然にたまるときなんで、それは日本は、だからたまった金は自分の腹の中に入れて国際金融を緊迫しないような形でやるという、国際金融について積極的な何か知恵はないものかというふうな感じでおるんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう御説のとおりでございまして、日本政府としては、この間も安倍通産大臣がアメリカに行って、日米だけが赤字なんだから、そんなことは日本だってあるよ、日本対OPECといったら、これは大赤字ですから、私の方は。だけれども、赤字だからといってサウジに文句言っていくわけでも何でもないわけでしてね。だから、アメリカのアラスカの石油をこっちへ回したらどうですかと、その分だけ日本は引き取るべく考えている、それはメキシコの石油を、じゃアメリカに回してもいいですよと、そういうことまで言っておるわけですから。 ところが、それは何だかんだ言っているわけですがね、当然そういう主張は今後も続けていく必要があると思っております。
○三治重信君 ぜひひとつ総合的に政府として考えていただいて、貿易摩擦は、日本市場の開放は、これはやるべきはやるんだけれども、総合的なものをひとつぜひ対案をやっていただきたいと思っております。 最近、国債の値が上がる、大蔵省にとっては非常に国債処理に有利な立場にというのですか、安心な立場に立っているというんですか、それが午前も言った、ひとつ日本の金融が緩むということは、やはりアメリカの高金利が続いていると、ドルへ資本逃避のことが最近言われている。それにもかかわらずこの三−五月は大変なという、いままでかつてない金融の余剰、融資の余剰ができる、それが国債への買い気になってきているんじゃないか、こういうことのようですが、それが大臣の御説の、いわゆる同じ所得をできるだけ貯蓄に日本人は回しているから、だから貯蓄のために消費は伸びぬけれども非常に金融資産の増加と、こういうことになってくる。この点は、国際金融と国内金融とまさに逆行、大蔵省の立場が逆になるんじゃないかというふうに思うんですが、国内金融はそんなに余るというんですか、非常に緩和しているか、またいく見通しか、それに対する対策というものはどういうふうに考えられているんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいま御説明のとおりでございます。 一つは、資金需要がないというようなことでもう金融緩和という問題もあるでしょう。マネーサプライの問題においてもかなり緩やかになっておりますし、一方経済成長率は鈍化しているというようなところから緩和情勢にあるということは事実でございます。
○三治重信君 そういう金融関係がアメリカの高金利、円安ということから非常に金融調整という問題が、むずかしい問題が出てきているかと思うんですが、ひとつ適切な意見を、金融業界、証券業界に大臣として意見をよく発表していただきたいと。いま言われているように、いわゆる行政指導とかこれを取り締まるとか省令とか言ってもやはり物の考え方というものが、やはりリーダーがはっきり言うことが私は必要だと思うんです。 その一、二の例として、グリーンカードとあと関連として言われているゼロクーポンとかそれからアメリカの財務証券とか、アメリカのいわゆるドル表示の債券がいろいろ売られておるんですが、これに対して大蔵省は禁止の措置をとって、またアメリカから文句言われたらすぐそれについて解除の手をとると。こういうようなことで最近毎週のいわゆる「時事放談」や「世相を斬る」なんかで話題になっているわけなんですが、こちらの方が、非常に国民が言うことが信頼されて、たまたま大蔵省の発言の方が軽視されるというようなことにならぬように、ひとつ大蔵大臣積極的にこういうものの新情報についてはっきり言って、一つの例として、今週の日曜日の土屋清さんなんかが七億ドルのゼロクーポンがことし二月一カ月だけで売れているんだと、こういうふうな発言で、私はどうもゼロクーポンの額面債券じゃないかと思うんですが、これは実額でそれだけ売られている。あるいは、そういうものは推定で言ってるんであって、結局大した証拠がないのか。こういうふうな情報関係をひとっこれから、国際金融、国内金融、月決めぐらいのところでもひとつはっきりした見解を出していただくと非常に落ちつくんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵省としては、全体から見ればそんなに驚いた数字ではないんですよ。午前中にも説明したように、金融資産の増加額が三十五兆もある中で、二千五、六百億ゼロクーポンに行ったから日本の国民経済にどういう影響があるかということはありません。 問題は、二月だけで急激にふえたというところが問題で、しかもそのふやし方が、ちょうちんのつけ方がいかにももうかりほうだいにもうかっちゃって、十年たったら四倍に財産がなって、何のリスクもないように思い込んでやってる人があるんじゃないかと。いい話ばっかりなものだから、そういうようなことは、一方脱税もできていいよと、税金も払わぬでいいよというようなことでやられたんではたまらないということで、その営業姿勢について厳しい反省を求めたということだけでありますから、われわれとしては、ただそれによって脱税の温床になるようなことはさせないということもあわせて言っておかないと今後悪い影響が出るということで、そういうことを申し上げたわけであります。 ただ、通常の取引が正当に行われて、お互いに理解し合っているものを全面禁止なんということは申し上げるつもりはありません。
○三治重信君 それじゃ、金融関係結構でございます。 次に、税法の関係をちょっとお尋ねをいたします。 五十五年の十一月の税調の答申のときに、いわゆる税の、財政再建のためには歳出に対する租税の収入が六〇%現在あるのを八〇%ぐらいに増す必要がある。また、そのためには国税をGNPに対して二ポイントぐらい上げる必要がある。また、地方税は約一ポイントと、こういうようなのが書かれておったのでありますが、私はどうも調べていくと、大体そういうふうな、いわゆるGNPに対する国税の負担率は、税調が言うより先にいまのやつのままで法人税を二%ことしで上げ、それから、いまのように財源がないから所得税減税はどうにもならぬと、きちんともう変えないんだと、こういうことになってくると、これは税調の方で税体系を変えなくちゃならぬという、国税に対する負担の二%増、地方税の一%増というのは、そんなものはほうっていてもGNPに対する負担率の増が達成されてしまう。 これは、形だけの問題だからどうでもいいわけなんですけれども、しかしそういう全体の国民負担というものが何も税体系を直さぬでもそういうぐあいになっていくということは、やはり私は所得税、法人税だけにその負担が片寄って、やはりこれも一つの不公平税制じゃないかというふうな感じを持つので、ひとつ、大蔵大臣が主張されているグリーンカードを実施していくというと総合課税の個人所得が非常に過酷だと、私もこれは大賛成なんで、ぜひそういう、ひとつ五十九年からやるというんだから、やるということならばこれは来年にそういう所得税の税率を大幅緩和していくということが、一兆円減税と絡みますと大蔵大臣はだめだと言うかもしれぬけれども、しかし全体として税率の緩和を大胆にやらぬことにはやはり租税体系の是正ということはできない。 税調はどういう考えか、また後で参考人に聞くつもりなんですけれども、大蔵大臣としてやはりそこははっきり、単に高いところの税率が不公平だけというんじゃなくて、全体の所得税の税率を下げて総合課税の方へ持っていくというのを断固としておれがやるんだということをひとつやっていただくと、グリーンカードの方もそう大きな反対がなくなるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、グリーンカードを実施して総合課税にする、外国もそうなんだからそうしろというんであるから、それは賛成したわけなんです。 したがって、じゃ外国の税率の最高はどうなんだというと、五〇とか六〇とかというところですね。日本は七五ということですから、上の方はべらぼうに高い、日本の方は。したがって、外国にならってやるというんなら税率の構造も外国にならって、先進国に合わしてやるというのがあたりまえではないかということを言っているだけでございます。それには、ともかくどういうような減税になるか計算したことないし、なだらかの仕方によってまたうんと税額も違いますから、幾ら幾らということは申し上げられませんが、いずれにしても実施をする以上はいっかはやらなければならない問題だと、私はそう考えております。
○三治重信君 そういう姿勢があったなら、これひとつわれわれも一兆円減税のサインを出しているんだから、そこでわれわれ野党の要求の、またそういうことについてのおぜん立てを、中身はこうだああだというだけではしょうがなくて、おれはこういうぐあいにするというやつを、やはりベテランの大蔵大臣になってこられたんだから、ひとつそういうグリーンカードをやり総合課税になれば、諸外国の例から見ても、私は最高税率、国税はやはり法人税だって五〇%ですから、だから個人だって五〇%、半分取ればいいんじゃないかと思うんです。 そういうことで、ひとっこれはだれかがやらなけりゃならぬ問題で、また総合課税の問題と絡めなければ、私は本当に大蔵大臣のおっしゃるとおりできないと思うんです。その点から、一般の底上げばっかりやってきたんですが、だからこれは底上げばっかりじゃなくて税率も下げなくちゃいかぬ、この主張をやはり四月からの、参議院はなくて衆議院だけらしいんですが、大蔵大臣ひとつ腹固めて、その税率の低下のやつをしっかり案を主張していただくことを特に希望する次第でございます。これは返事はいいです。 それから、不公平税制の問題ということでいろいろ言われておるんですが、クロヨンとかなんとか言っても、これは税の実態調査というのは申告税制である限りにおいて、源泉徴収される者と申告する者との間に捕捉率に格差があるという感情または実態というものは、やはりこれは救えないと思うんです。救えない、解消は。だから、やはり税務当局の努力を多としておりますけれども、私はそれもさることながら、やはり、脱税というんではなくて、税を免除をしている所得に対して大蔵省は再検討することはないのか。いわゆるこれは非課税、これはいいから、これはこういう目的のために税金は取らぬというやつを、えらい所得税みたいに総合課税すると九三%みたいなやつは直すとともに、非課税にしているところをまあ五%、一〇%はもらいましょう、払える所得について。そういうふうな幅広いことを再検討することはできないんですか。この非課税になっているやつは、もうそれは動かせないんだということなのか。ひとつどうでしょう。
○政府委員(福田幸弘君) 非課税の意味でございますが、租税特別措置ということでございましたら、中小関係は二千二百億ということで、四割方は中小企業、あとは、先ほどいろいろ御批判がありましたが……
○三治重信君 いやいや、租税特別措置法——法律で決めている以外の問題。
○政府委員(福田幸弘君) 以外のところの非課税と申しますと、課税最低限のところの基礎控除みたいなものでございますから、あと個人関係でマル優とか保険料とか、そういうものでございますとか、あと非課税というものがどういうものであるのかちょっと考えつきませんが、また検討してみます。
○三治重信君 それじゃ私、意見を具体的に言います。 たとえば法人ですね、公益法人とか特殊法人。特殊法人でも、政府の金をもらっていて、そうして子会社、孫会社には株式会社で出資している。そうすると課税がえらい安い。これは非課税というんじゃなくても課税を軽減している。それからいろいろ、そういう公益法人なんかでも、株式会社をどんどん幾らつくっても、所得をしたものについては非課税になっていて、その非課税の所得に対して出資を、株式会社——いろいろ会社をつくったり団体をつくったりして、そして営利事業や収益事業をやっている。それでも、もうからなければということなのか、もうかっても何か一部にはえらい軽課の措置——普通の法人よりか軽い税率が適用になっている。こういうものも再検討をしたらどうかと思うんです。 それから、一部言われている、いまの何といいますか、これほどの大きな原因である、いわゆる個人企業の法人化、これによって税金をかからないようにする、あるいはそういうことでなくても法人で、いわゆる赤字法人と称せられる、収益ゼロといって非常にたくさんの法人がつくられている。この中にたくさん睡眠法人、いわゆる活動をやってないやつ、活動をやってないやつはどうしようもないわけなんですが、相当活動やっていてもそれがゼロということについての、所得のないところに税金はないということなんだけれども、そういうことが社会的に相当な活動をしているということについて、もう少しこの答えとして、いわゆる所得ゼロ法人についての問題がないのか。そこらにすると、やはりいま乱立している法人についてのやつが少し税の部面からでも制限されるんではないかということ。 それから、あと一緒にしてしまいますが、交際費課税のやつは三年だけだと、こういうふうなことでございますけれども、私は、この交際費課税でも一切認めないということは、これは経理を乱さす、税の方から経理を乱してうそをつくる、簿記をうそをつくることの奨励になるということで、これほど悪税はない。ある程度の程度問題にしておくことはいいけれども、三年だけだということだから、またあとは直すとこうおっしゃるからいいけれども、やはり一〇〇%課税と、使ったものは一〇〇%課税というのは、私はやはりこういうことはやめた方がいい。それよりかやはり交際費は使っただけ出しなさいと、それに対して半分なり課税しますよとか、三分の一についての金額に課税するとかいうふうな幅広い課税の仕方というものを考えていかぬと、不公平——非常に公平なことを追求するみたいだけれども、実際いわゆる捕捉する、入る税金はどこかへみんな逃げていってしまうというふうなことになる。まだ一つ残っちゃったけれども、やめておきます。
○政府委員(福田幸弘君) さっきの非課税所得の関係、ちょっと失礼しましたが、第九条に規定されている非課税所得の点であろうと思います。 内容的には郵貯も入っていますが、有価証券の譲渡所得も非課税の項に入っています。あとその他ずっと書いてございますが、この辺をどう検討するか、これは今後の検討課題という点でございましょう。 それから公益法人の問題は、公益法人の収益事業の範囲をどうするか、ここら辺もやはり問題がないようにと、常時見直す必要があろうかと思います。 それから赤字法人は、約半分は赤字法人でございますが、それなりのやはり赤字の原因もあるわけですから、直ちに赤字法人に担税力ありということは言えませんが、いずれにしましてもこれが恒常的になっておるのが所得の分割その他の租税回避行為から来ておるということであれば、やはり検討すべき点があろうかと思います。 それから交際費の点は、確かにおっしゃるとおりで、ここ三年間に限って特別にお願いしておるわけでありまして、この交際費の課税は特例措置であるということで、企業経理上はやはり損金であるということは当然考えた上で今後の対応を、検討を続けていくということであろうと思います。
○野末陳平君 ただいまの三治委員の質問にちょっと関連して、大臣にお聞きしたいと思いまして、新聞を読んだ限りでわからなかったんで、その辺の補足なんですが、いまの主税局長からの答弁にもありました赤字法人のことですがね。何か赤字法人の課税を検討するかのごとき記事が出ていて、衆議院でそういうことを大臣がおっしゃったようにお聞きしたんで、ちょっと興味がありましたんで、もし何かおっしゃっていれば、それをちょっと説明していただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 赤字法人というのは一万円赤字でも赤字法人、何十億とか何百億とかという資産内容を持っておっても、それは法人税は払わぬでいいと、そういうようなことについて社会に対してやっぱりいろいろなこれは、負担は法人はかけておるわけですから、だからそういうのまで全部ただ単に法人割だけで——法人割というのは、まあ多いので十万円ぐらいでしょう、恐らく下の方では一万円かもっと少ないか……。ですから、その大きさによって法人税割というのが、ともかく一万円赤字でもそれだけで済んでしまうというと非常に問題が、バランスがとれないんじゃないかという御主張等がございまして、法人の法人税割について実態調査をした上で、それはもう少し検討してもいいんじゃないかということを申し上げたわけであります。
○野末陳平君 そうしますと、赤字法人の場合、所得課税じゃなくて総収入課税のようなことをやろうとかいうようなところまで踏み込んだお話じゃないわけですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法人税割の話をしたわけです。
○野末陳平君 これはじゃ、また後日お聞きすることにしまして……。 最近、もう時代の流れが速いといいますか、先ほどからも出ていたいろんな新しい商品が出たり、税法がそれに追いつき切れない面もあったりしているんですが、一つ、個人年金というのが最近出てきまして、言い方はいろんなことを言っていますが、いわゆる公的年金だけでは老後が不安であるからということから始まって、保険会社とか郵便局とかいろいろやっておりますが、これを総称して個人年金と仮に理解していただいていいんですけれども、この保険料なんですけれどもね、これから相当これは需要がふえてくると思われるんですね。 現在のところでは、これは生命保険料控除の中でまとめられちゃうわけですけれども、この個人年金に限って言えば、生保の控除の枠を広げるか、あるいは別枠で何かするか、いずれにしても、そろそろ本格的にこの個人年金保険料控除ということを検討すべきではないかと思うんで、とりあえず大蔵省の方ではどういう感触をお持ちかお聞きしたいんです。
○政府委員(福田幸弘君) まあ生命保険料控除ということでなにしておりますが、生命保険料控除全体が五十七年度で二千二十億と、わりに大きな減収になっております。 まあそういうことでございますし、保険料のところで控除をするということで、また、その生命保険料をもらったところでどうするかと、こういう絡みがあろうかと思いますが、五十七年度からは勤労者の老後生活の安定ということで年金形式で支払いを受ける財形年金貯蓄、これについては一定の要件で退職後も利子課税制度を継続するということにしたわけで、これは中身に入っております。まあ、これを決めること自体も非常に新しい制度で、相当時間をかけたわけです。ですから、今後この老後の年金を公的年金またはこういう私的年金でいくかという基本的なやはり今後の老人化社会の対応があろうと思います。 われわれとしても、十分検討していきたいと思いますが、いまのその生命保険料控除の額が相当なやはり規模であるということも考える必要があろうと思いますし、これはいろいろ生命保険料控除のところで控除をするかしないかというので、アメリカとかフランスはしないわけで、まあこの辺、また受けるときにどうするかというのが絡んできますが、この辺日本の場合の体系を今後どうするかはさらに検討を続けなければいけないと思いますが、いまのところ生命保険料控除をこの個人年金の関係で引き上げるというところまでは検討というか、考えはないわけであります。
○野末陳平君 私も確かに、保険会社などはいろいろ毎年要望というのか何かやっているようですけれども、いまの局長の答えにあるとおり、この生保の控除の枠を広げるというのは、まあ確かに長いこと据え置きになっているものの急務ではないと思うんですね。ただし、いわゆる個人年金ないし私的年金というものは、公的年金だけじゃだめだから自分で何とかしなきゃいけないという老後に対する自助努力というものがベースにあるわけですね。そういうものもいままでの生保の中でひっくるめられちゃうということだと、老後の経済計画を立てるのにやはり何となく、水を差すところまではいかないでしょうけれども、もっとそれを、自助努力というのが大事なんだということをPRする意味でも、この個人年金ないし私的年金というものが特別扱いされた方が社会的にはいいんではないかと、ぼくはそういうふうに思っているわけなんですね。 ですから、いまの主税局長のお答えは、従来の枠はいじらないということなんですが、やはり別の何かを考えるべきではないかと、税法上。そういう意味で、今後検討しないと——これ相当な需要が出てくるだろうと思うし、これはいい傾向ですから、だから今後の検討課題としてどうかなと思ってお聞きしたわけなんで、ひとつ大臣に一言御意見をお聞きして次に移りたいんですが……。
○政府委員(福田幸弘君) これは公的年金と私的年金をどう扱うかという非常に基本的な問題がございますので、やはり今後の保険をどう仕組むかというところの議論が十分詰まらないと税の方だけで直ちにどう対応するということでもないと思います。公的年金の場合は相当受ける段階でも控除でカバーしておりますし、したがって、個人の年金だから負担するというならばするで、やはりしっかりした体系でそれを整合的なもので仕組んでいただかないと、税だけが直ちに何か新しい商品ができたらそれでまけるということでもないよ一うな、やはり基本的な検討をすることが大事であるということで、今後とも検討課題にさしてもらいたいと思います。
○野末陳平君 それから次は、これはちょっと小さいことなんですが、車の自賠責保険があるでしょう。それで、これの保険料なんですけれども、額はともかくとして、自営業の場合は経費の中でこれは落とせると思いますけれども、サラリーマン、よく言うように、マイカーは別にこれは必要ではないと、経費のうちに入らないというようなことで、サラリーマンは、マイカーは何ら自営業と全く違う扱いを受けているのですが、少なくともこの自賠責保険は、これは義務化されているわけですから、この辺はサラリーマンの場合にもやはり何らかの控除の対象にするなり、何かめんどう見たらどうかなという気がするんですよ。 というのは、別にこの自営業者と、つまり車が経費になる業種とサラリーマンと比較して不公平だからとか、そういうことを言うんじゃないんですけれども、やはり義務づけられているこの自賠責保険の負担というものは、片やこれは経費になり、片やならないというのはちょっとおかしいかなと思っているのですね。そんなわけで、これについてはどうでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) 事業の用に供しておれば、これは必要経費になるというのは当然であろうと思います。 お尋ねは、自家用自動車ということでございましょうが、これはプライベートに使う、家事のために、家の用のために使う自動車の一種の維持費というふうに考えられるわけで、これを所得控除の対象とするといたしますと、ほかにも家のこと、家事上の経費というのはいろいろあるわけですから、自動車の経費だからと、義務づけられておるからといっても、プライベートに使う際の経費ですから、ほかのプライベートな経費もございますので、そこで自動車だけが何で引かなきゃいかぬかという問題が出てきます。 それで、たとえば同じ年収の給与所得者でありながら自動車を持っている者の所得税負担が、持っていますとその分が引けるということですと所得税負担が軽くなりますが、自動車を持たない人、さっきちょっとおっしゃったのですが、持たない人とのバランスでいけばそれでいいのかどうか。やっぱり自動車がそれなりの便益品として使われている、相当普及はいたしておりますが、持たないでバスとか何かに乗っている人もいるわけですから、自分で持っておるからそれが経費だという事業的な扱いはどうであろうか。そこで、いろんな損害が生じましても、家屋とか家財というものの焼失——焼けてしまったというような場合のような深刻な、複雑な、また、生活に影響するというようなものとの差がやはりあるわけですから、家屋等の対象とする火災保険料——これは所得控除となりますが、それと同列にはやはり考えられない。 また、これは外国の例を引きますけれども、自家用の場合、これは事業用の場合はもちろん引いております。しかし、それ以外の場合、アメリカでもイギリスでも、これは自家用の場合には保険料の控除は認められてないわけです。フランスも同様でして、西ドイツは若干の限定があって、ついておりますが、やはり同じような考えからきておると考えます。
○野末陳平君 そうですね。まあ無理かもしれませんね。ただ、維持費の一種というところがちょっとひっかかりまして、ガソリンや重量税などは当然そうなんですけれども、自賠責の保険はある意味の相手に対する社会的な責任のようなものも、もちろん自分に対する責任もそうですけれども、含まれているから、ひょっとしてこういうものも今後、検討課題かなと思っていたわけなんですが、余り乗ってないようで、これは、じゃ自分でまたいろいろと検討してみましょう。 それから次は、これも小さいことなんですが、たまたま今度の租特と直接関係なく、前回、去年の話の引き継ぎになるんですが、中古住宅に住宅取得控除が適用されるので非常にこれは前向きでいいと思っていたんですが、一つだけ変なケースが起きてきまして、私のところも二、三そういう何というのかな、なぜ、こうだという説明しろと言われて、ちょっと困っていることがありまして、それは中古のマイホーム取得した場合の住宅取得控除一律一万七千円が、たまたま業者所有の中古住宅の場合にはこれは控除が受けられないと、こういうことに決まりになっているんですけれども、これなんですね。なぜ受けられないんだと、業者が持っているかあるいは個人がそこに住んでいてどうするか、そういうこと関係なく取得した方の理屈を言うと、いずれにしたって新築買えないし、金ないから中古でがまんして買ったのに、なぜ一万七千円三カ年間の恩典が受けられないか、こういうふうになぜを聞かれると非常に僕、困るので、まずそういうケースかなりあったろうと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(福田幸弘君) そのようなケースがあるということで新聞報道もあるわけですが、これは沿革から見ますと、住宅の建設で住宅の戸数をふやすということが政策にあったわけで、中古住宅というのはすでに建った家ですから住宅がふえるわけじゃない。ただしかし、買う方から見れば新築のかわりに中古を買うということですから、ここで中古まで広がったということは御承知のとおりの経緯であるわけです。五十五年度改正から入ったわけで、五十六年以降居住の用に供するものということで、いま御指摘の点は、これは租税特別措置法の施行令の二十六条で「当該家屋の譲渡をした者が、その譲渡の日まで引き続き三年以上所有していた」ここで不動産業者は所有していませんので、そういうところでひっかかってくると、こういう問題であろうと思うんです。 これは、不動産業者が仲介した場合にはこれに当てはまらないのですね。仲介した形で購入したら入らない、不動産業者の棚卸し資産になったものは、これは認めないということなんです。これはもう新しくこの中古家屋を認めたものですからいろいろ条件をつけたわけでありますけれども、仲介でやっておりますと、宅地建物取引業法であっせん手数料は制限がありますので、一たん業者が買い取って売買益を出した場合には、これはもちろん売買益には制約がない。ですから、この中古家屋が仲介で入ったというような場合に認めて、業者の棚卸し資産で商売本位で売っている場合はということで、ここで条件を厳しくしたわけであります。 そういうことで、これがどういうふうに運用されるかということを、これから初めて適用になるわけでありますから、どういう苦情が出てくるか、どういうふうに受け取られておるのか、買った方から見ればおかしな話だということかもしれません。また、それによって別に利幅がそんなに変わっているわけでもない。また、それが中古建物市場の円滑化にはどちらの方だってそれは同じことだというようなことかもしれませんので、これはいろんな実施の状況をよく調べまして対応策を今後十分に詰めてみたい、こう思っています。
○野末陳平君 いまのは、確かに買う方の立場に立てばもう当然おかしいというケースなんですね。だって、買うときには中古住宅をその業者が持っているやら仲介しているやらそこまで一々調べて買うわけじゃない、家が欲しいというだけですからね。ですから、これが条件に入っていったケースはわからないでもないんですが、最近の事情を考えますと、中古の流通市場がかなり前よりよくなってきていることは確かですね。それから、売りに出したって売れないので、業者に下取りをしてもらって改めて買うというケースも当然あるわけですね。そうすると、業者は下取りしたものをまた別に売るわけでしょうけれども、何かそういう流通市場の以前と違ってきた面も考えに入れますと、ちょっとこれは何となく取得者に対して結果的にはかわいそうという気がしてくるんですね。 私なども、中古住宅にもマイホームには違いないんだから取得控除を認めるべきだとこう言っていて、これが実はあなたのところは業者が持っているものを買ったからだめなんだという説明は非常にしにくい。説得力ないんです。一律一万七千円の上に、住宅ローンも普通借りるでしょうから、そうするとその分もまた乗っかる。両方ともふいになるわけでしょう。そうするとかなり大きいんですね、これ、税額控除ですからね。そうすると、中古取得者にもこれからは新築と同じように扱うんだと言っていてこの辺でほんの少数の人がひっかかると、この辺は救ってもいいんじゃないか、そういう気が今回したわけです。 で、その主税局の説明大体わかりましたけれども、まあ検討していただけるんでしょうけれども、大臣のちょっと感じもお聞きしておきたいと思うんですが、どんなものですか。
○政府委員(福田幸弘君) 大臣も同じようなお考えと思いますが、これはいままでは新築だけだったのを中古に踏み切ったという点をまず御評価願って、それと中古の住宅市場がどうなるかというのが、こういうふうに仲介した場合とあっせん業者による場合で、仲介ぐらいの形の方が本来だというところでもう中古市場が健全になる点もあろうかと思うんですね、その売買差益を不当にしないと。だからその辺は、ことし初めてでございますので、ことしの状況を見て、また中古市場が健全化されるという見通しが立つでしょうから、その上での課題にしていただきたい、こう思っています。
○野末陳平君 まあ実態を見て検討してほしいと思いますね。 そうすると、ちょっと大臣に、やっぱりせっかくいていただくので大臣のお考えを聞くためにちょっと。 これも参議院であったかどうかまだわからないので、新聞から衆議院で大臣がこういうことを御発言になったというので、もうちょっと詳しくお聞きしたいと思いまして。 これも所得税の方に関係してくるんですけれども、例の主婦のパートね、あれですけれども、まあかねがねおかしいという声はあるんですが、実態はともかくですよ、実態はともかくとして、考え方として、パートに行っている人は七十九万円までいいんだと。ところが内職の人は経費などを引きまして二十九万円であると。この辺は説明するときに非常に困るんですね。 実態はさておいて、大臣はあのときに、何かこれも新聞ですから真意を改めてここでお聞きするんですが、実態が同じならば内職とパートを区別しないで考えるとか、そのような記事があったように思うんですが、いずれにしてもそれはおきまして、大臣はどういうふうにお考えでしょうか、主婦がパートで働く場合と内職で働く場合と、課税上、それは実態に即しているんですから不公平があるということじゃないんですけれども、何となく片や七十九万円までがオーケーで、片や経費を仮に概算で三〇%ぐらいに見れば四十万ちょっとですね。この辺の差をどういうふうに大臣はお考えか、今後どういうふうになさるか。
○政府委員(福田幸弘君) 外に働くパートの場合は二十九万プラス五十万、それで配偶者控除が受けられる、それ以上になれば自分で稼ぎますから配偶者控除はなしということでございますが、内職ということは、そのことに匹敵する仕事の仕方をしているかという問題であろうと思うんです。外に働きにいっておるということと同じような労務関係で、支払い関係でたまたま家の中でそれをやっておる、持って帰ってやっておるということかどうかを判断すればいいわけでございますので、したがって、それが多種多様であるという問題に絡んでくるわけです。 執行上の問題として処理されておるのはそういうことからでありまして、内職収入でも給与の源泉徴収票かその支払い明細書が提出されておるというのは、これは雇用関係があって外で働くその場所がたまたま家内に持ち帰っておる、しかしそれは源泉徴収票があり支払い明細書があるわけですから、給与所得扱いで五十万の控除を加えて七十九万という扱いができる、これは一つの判断です。あとは、今度収入から引ける経費があるかという問題として考えればいい面がありまして、経費の面で納税者が説明できるいろんな経費を言えば、これはこの経費を引くという面で救済する。 それから経費が説明できなくても、これは概算的な経費控除を認めていく、その方は三割ぐらいの運用をやっておるようですが、いろいろな形で給与法的な扱いをそのままできる場合もあれば経費面で控除する場合もあるということで、実際そういうふうにやっておりますので、事実上の問題としては余り出ていない、理論上はいろいろあろうかと思うんですが。それだけに内職の形が多様であるというのを税務執行面で説明できる限りのやり方で対応しておるという点を御理解願いたいと思います。
○野末陳平君 まあ事実それに近いのですよ、実態は。もっと悪く言えば、内職の人は一々申告なんてしていないし、申告するのなんて言う人だっているくらいなんでね。 だけれども、非常に困るのは、いまの局長のお答えのように、理論上説明し切れない。たとえば国税庁が出しているパンフレットや何かに、パートの収入はと、こう書いてあるわけです。そうすると、奥さんたちというのはそれをパートも内職もひっくるめて一緒に考えるから、じゃ私たちも同じだと言うと、いやあなたたちは違うんですと、あなたたちは二十九万円なんですと、経費を引いたあとがですよ。そうするとどうしてと、こう理論上非常におかしくなつちゃってこの説明は苦しいのですね。 それで、局長のお答えだけれども、こういう意見もあるんですよ。七十九万円まではいいんだと。で、給与所得控除五十万円だけれども、パートに出ている奥さんが勤務に伴う経費は七十九万の収入を上げるのに五十万かかるのかというふうに言われたら、これもすごくおかしいんですよ。それで内職の場合は黙っていれば確かに概算経費三〇%ぐらい認めてくれますよ。それから資料があればというけれども、内職している奥さんが資料をとって領収書一々あれして、もちろん申告に行っていないんだから、実害がないと言えばそれまでなんですよ。しかしそういうこと言えないでしょう。理論上おかしい、説明してくれと言われたら、あなたたちほっておけばいいんだよと、大抵もぐりじゃないかとは言えないのです。 たとえば、自治体で委嘱されている保育ママなんていう仕事があるんですよ。保育ママさんというのはいま言ったように源泉じゃないんですよ。そうすると、これは事業なんですよ。それじゃどうするのだと。これは税金取られたり、御主人の方の配偶者控除の問題が起きたりとか、こういうケースもないとは言えないんですね。だから、パートはいい、内職はいいって、どちらも理論上はいいし、実際上いろいろケース・バイ・ケースで扱っていると言うけれども、これはどう考えても理論上のこの格差の説明はできないんですよ。 だから、そこで私は、大臣、こんな細かいことをあれこれと言うけれども、これから奥さんたちはどんどん働くわけで、パートと内職が違う扱いということ自体が理解してもらえませんよ。あなたは事業なんだと、それで、さっき言ったように雇用関係があって源泉がある人は別でと、一々そんなこと無理ですよ。だから私は、主婦の働きに対してと言うべきかあるいは低収入、低所得というふうに言うべきかわかりませんが、あるところまでは同じ扱いしないと、あなたは給与所得、給与所得控除五十万で、それで二十九万で七十九万と。あなたは内職、事業、だからこれは経費は認めるけれども、経費とったら二十九万と、こんなこともう無理だと。こういうものは収入ベースで、百万なら百万、七十九でもいいですから、ごっちゃにしても実害ないんじゃないか。だって、実際に余り問題がないというんなら、理論上そんならば問題のあるような制度をそのままにしておくことがおかしいと思うのです。 ですから、これはもう大臣、実害がなければいいということでなくして、少し理論上も不公平感を持たせないようにしたいと。私はそういうことを聞かれても非常に説明しにくくて困っているんで、結局あなたは申告してないんでしょうなんていう話になりたくないんですね、できれば収入がちゃんとある人は申告してほしいわけで。その辺をいまの局長の答えだとちょっと無理があると思っているんですが、時間も来ましたから、大臣から一言聞いて終わりにしましょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやっぱり、バランス論というか、もっとひどいのがあるんですよ。 たとえば、子供がいっぱいいて、ともかく大変だけれども、そいつに専念している奥さんもおります。内職も何もできないと。しかし、そのために後顧の憂えがないからだんなさんは会社の課長になって月給がまた上がったと。しかし、それは二十九万しか認めないわけですから。国会議員で奥さんがいなきゃ当選できない人もたくさんいるんです。家で毎日働いておられますが、これは国会議員は給与所得者ですから、必要経費は認めませんからね。奥さんの必要経費は専従者控除もできないし、扶養家族になるだけですよ。 しかし、その人が本当はいなければ落選なんですよ。だけれども、二十九万円しか認めないというもっとひどいケースもあるんで、それはひっくるめて何か考えればできないことはないんじゃないかと、ひっくるめて。しかし、それはできるかどうか、いろいろこれも反対論も多うございますからね。二分二乗ということになれば解消しちゃうけれども、現に勤めている人は、夫婦でやっている人は、じゃおれたちは余り御利益ないねという話も別に出てくるし、なかなかむずかしいものです。よく検討さしてもらいます。
○政府委員(福田幸弘君) 大臣がお答えになったようなことでございますが、法律論というか、雇用関係があって給与所得控除があるわけですから、雇用関係というのは雇用される場所がそこにあるという前提です。ですから、外で働いておるからということで給与所得控除五十万。家の中でやっておれば家の用事もやるわけで、そこがやはり外で働いてそして拘束されているのとは違うわけですから、やっぱり大臣がおっしゃるようなことも全体の問題ではありましょうが、やはりそこは五十万のところまでがあれであって、家の中におる場合は本来は五十万引けないのですけれども、雇用関係が説明できる限りは五十万円を引くというのがぎりぎりであるということであろうと思います。
○委員長(河本嘉久蔵君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十九分散会 —————・—————