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96回国会参議院1982/03/23

商工委員会 第4号

発言数
192
登壇者
18
会派数
6
開催日
1982/03/23

会議録

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十九日、高杉廻忠君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。     —————————————

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。  福岡日出麿君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの理事の辞任により、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に岩本政光君を指名いたします。     —————————————

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から両案の趣旨説明を順次聴取いたします。安倍通商産業大臣。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国石炭鉱業をめぐる環境は、近年大きく変化いたしております。すなわち、二回にわたる石油危機を経て石油価格が上昇した結果、油炭格差は逆転し、国内炭の需要は石炭の見直しの傾向を反映して、最近では一般炭を中心に増勢に転じつつあります。  しかしながら、国内炭と海外炭との価格差は、なお解消するには至らず、石炭企業は赤字経営を続け、その経営基盤は著しく弱体化した状況にあります。このような実情にかんがみ、昨年八月の石炭鉱業審議会の答申の趣旨を尊重して、今後とも一層の石炭鉱業の近代化と合理化を推進すること等によってその自立の目途を立てる等の必要があります。このため、所要の施策を引き続き講じていくこととし、このたび、この法律案を提出いたした次第であります。  次に法律案の要旨を御説明申し上げます。  本法律案の第一条は、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正であります。  その改正の第一点は、同法の廃止期限を昭和五十六年度末から昭和六十一年度末に変更することであります。この改正は、先に申し述べた石炭鉱業の自立の目途を立てるため所要の施策を引き続き講ずるという趣旨に基づくものであります。  第二点は、新エネルギー総合開発機構による電力用炭の購入及び販売に関する制度を廃止することであります。この制度は、基準炭価制度の実効性を確保するために実施されてきたものでありますが、発足後二十年近い運用を経て基準炭価制度も需給両業界に十分定着したものと判断されること等から、今般打ち切ることとした次第であります。  第三点は、重複鉱区がある場合の鉱区消滅区域等における石炭の掘採の制限の一部緩和であります。この改正は、最近における一般炭需要の増勢傾向を踏まえ、重複鉱区が閉山した場合においても一般の閉山鉱区と同様、経済的な採掘が可能な場合にはその再開発を認め得る道を開くこととするものであります。  第二条は、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正であります。同法は、石炭企業の経理の適正化を図るため、所要の規制を行うことを内容とするものであり、今回の改正は、同法の廃止期限を石炭鉱業合理化臨時措置法に合わせて昭和六十一年度末まで延長するものであります。  第三条は、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正であります。同法は、終閉山等の際に地元中小企業者に生じる影響を緩和するため、一般の中小企業信用保険の特例等を定めるものであり、今回の改正は、同法の廃止期限を石炭鉱業合理化臨時措置法に合わせて昭和六十一年度末まで延長するものであります。  第四条は、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の一部改正であります。同法は、石炭対策その他の対策を実施するため、所要の財政措置を定めるものであり、今回の改正は、同法の廃止期限を、石炭鉱業合理化臨時措置法に合わせて昭和六十一年度末まで延長するものであります。  以上がこの法律の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 次に、補足説明を聴取いたします。小松資源エネルギー庁長官。

小松国男資源エネルギー庁長官

○政府委員(小松国男君) 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案の内容につきまして補足して御説明申し上げます。  最初に、第一条の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正につきまして御説明申し上げます。  政府は、昭和五十年七月の石炭鉱業審議会第六次答申を踏まえつつ、石炭鉱業合理化臨時措置法を基礎として石炭鉱業に対する各般の施策を講じてまいりましたが、同法が本年三月末で期限切れとなること、また、国内炭を取り巻く環境が大きく変化しつつあること等にかんがみ、一昨年八月、今後の石炭政策のあり方について石炭鉱業審議会に諮問いたしました。これを受けて、同審議会におかれましては、一年間に及ぶ慎重な調査審議を重ねられた結果、昨年八月、いわゆる第七次答申を取りまとめられました。今回の改正内容は、この答申の趣旨を踏まえたものであります。  その第一点は、同法の廃止期限を現行の昭和五十六年度末から昭和六十一年度末まで五年間延長するとともに、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度を現行の昭和五十六年度から昭和六十一年度に変更することであります。これは、今後とも一層の石炭鉱業の近代化と合理化を推進するため、石炭鉱業合理化臨時措置法に基づく設備近代化資金の貸し付け、坑内骨格構造整備拡充補助金の交付等の措置を引き続き講じていく必要があることによるものでございます。  改正内容の第二点は、新エネルギー総合開発機構の業務のうち電力用炭の購入及び販売の業務を廃止することであります。従来、電力用炭については、基準炭価制度の実効性を確保するため、政府関係機関による購入及び販売が行われてまいりました。しかしながら、発足後二十年近い運用を経て基準炭価制度も需給両業界に十分定着したものと判断されること、また、仮に基準炭価が遵守されないような事態が生じた場合でも、勧告・公表制度等の活用により十分対応が可能であること等から、今般このような改正を行うこととした次第であります。  改正内容の第三点は、重複鉱区がある場合の鉱区消滅区域等における石炭の掘採の制限の一部緩和でございます。現在、一般の閉山鉱区については、非能率炭鉱の再発生の防止のためその再開発は原則として禁止されていますが、周辺鉱区との一体的開発が著しく合理的である場合には再開発が認められております。しかしながら、重複鉱区や租鉱区が閉山した場合には、現在のところ再開発の道が一切開かれておりません。今回の改正は、最近における一般炭需要の増勢傾向を踏まえ、これらの場合にも一般の閉山鉱区と同様の要件を満たしたときには通商産業大臣の許可を受けで再開発を行い得るよう措置するものであります。  その他、今回の改正に伴う所要の規定の整備をあわせて行うことといたしております。  次に、第二条の石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正につきまして御説明申し上げます。  同法は、国から各種の助成を受けている石炭企業の経理の適正化を図るため、監査の実施、利益金処分の規制等の経理の規制を行うことを定める法律でありますが、今回の改正は、石炭鉱業合理化臨時措置法の期限の延長に伴い、その期限を現行の昭和五十六年度末から昭和六十一年度末まで延長する必要が生じたことによるものでございます。  次に、第三条の産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正につきまして御説明申し上げます。  同法は、石炭鉱山の事業の休廃止等により移転・転業を余儀なくされ、または経営不安定に陥った中小企業者の信用力を補完し、その資金調達を円滑化ならしめるため、付保限度額の別枠設定、保険料率の引き下げ等の中小企業信用保険の特例措置等を定める法律でありますが、今回の改正は、石炭鉱業合理化臨時措置法の期限の延長に対応して、その期限を現行の昭和五十六年度末から昭和六十一年度末まで延長する必要が生じたことによるものでございます。  次に、第四条の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の一部改正につきまして御説明申し上げます。  同法は、石炭対策その他の対策を推進するために必要な財源を確保し、その経理を明確化するための法律でありますが、今回の改正は、石炭鉱業合理化臨時措置法の期限の延長に対応して、その期限を現行の昭和五十六年度末から昭和六十一年度末まで延長する必要が生じたことによるものでございます。  最後に、附則につきまして御説明申し上げます。  附則におきましては、法律の施行期日及び今回の法律改正に伴い必要となります経過規定を定めることといたしております。  以上、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その内容を補足して御説明いたしました。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 初村労働大臣。

初村滝一郎自由民主党労働大臣

○国務大臣(初村滝一郎君) ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  石炭鉱業の合理化に伴い発生する炭鉱離職者に対しましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者求職手帳を発給して、特別な就職指導、就職促進手当の支給を行うなど各般の施策を推進することにより、これら離職者の再就職の促進及び生活の安定に努めてまいったところでありますが、この法律の廃止期限は、本年三月末となっているところであります。  しかしながら、さきの石炭鉱業審議会の答申においても、離職者対策について引き続き実情に即した所要の対策を講じていく必要があるとされており、また、石炭鉱業の現況から見まして、今後とも合理化に伴う炭鉱離職者の発生が予想されますことから、政府といたしましては、現行の炭鉱離職者対策を引き続き実施する必要があると考えている次第であります。  この法律は、このような事情にかんがみ、石炭鉱業の合理化に関する他の施策との関連も考慮して、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限を現行法に規定する昭和五十七年三月三十一日から五年間延長し、昭和六十二年三月三十一日に改正しようとするものであります。  以上、この法律案の提案理由及び内容を御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の質疑につきましては後日に行うこととし、これより石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案の質疑に入ります。  本日は、理事会の申し合わせにより、前回聴取いたしました大臣の所信に対する質疑もあわせて行うこととなっております。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私は、過日行われました通産大臣、経企庁長官の所信表明に対して、ただいまから質問をいたします。  まず初めに通産大臣に質問いたしますが、当面の問題、まあ私の認識では、国際的な貿易摩擦、また、国内の景気の動向、主としてそれにしぼって質問をいたしたい、こう思います。  まず初めに、新聞では江崎代表団と、こう表現をされておりますけれども、これは厳密に申し上げますならば自民党の代表団というふうに私は受け取っておるわけでありますが、同時にまた、自民党の代表団のことについて通産大臣にいろいろ質問をいたすということも、少しどうかなという点もないわけではございませんが、大臣も自民党、与党の一員であり、その間の経緯もよく承知しておろうかと思いますし、全く通産と経済外交とは関係のある問題でありますから、そこはひとつ了として御答弁をいただきたい、こう思います。  まず初めに、いうところの江崎代表団というのはどういう立場と目的を持って行かれたのか、この点について存念の向きあらばお答えをいただきたい、こう思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 江崎議員は、御承知のように昨年以来、輸入検査手続等の改善問題あるいは簡素化の問題につきまして、自由民主党内におきましてその作業のいわゆる取りまとめ役をお願いしてまいったわけでございます。  そこで、その結果として御承知のように経済対策閣僚会議で輸入の検査手続についての改善措置が決定をいたしましたので、その機会に御承知のようにさきに訪米をいたし、続いて今回訪欧をされたわけでございますが、これはまあ自由民主党の総裁特使と、こういう資格で行かれたわけでございまして、訪欧されて後は、ECの委員会、あるいはEC諸国の政府要人、議会関係者に精力的に会われまして、今回わが国のとったもろもろの措置につきまして説明をいたすと同時に、日本とEC間の関係につきましても広範な意見の交換を行っておられるわけでありまして、私はこの江崎訪欧団の訪欧によりまして日本とEC間の相互理解が深まり、日本・EC間が一層緊密化されれば、日欧貿易問題の解決のために大きな意義があるものと、こういうふうに考えておりまして、そういう点からこの江崎ミッションの訪欧に対して心から期待をいたしておるわけであります。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 総裁特使という立場ということはわかりました。  そこで考えますと、まあ自民党の総裁特使ということだと思います、しかし、総理という顔も持っておるわけでありますから、そういう意味ではまあ相手国もかなりの政治責任者がこれに対応して会ってくれているものと私は思うのでありますけれども、まあ自民党の特使ですね、いわば。  そこで、聞くところによると一月六日、総裁として鈴木総理が自民党にそういう要請をしたという新聞報道等も知っておりますし、同時に、それに基づいて関係各省庁の局長クラスを自民党が集めて、そこで、つまり問題解決の焦点とも言うべき、非関税障壁を撤廃するためにはどの部門があるかなどというようなことを検討しなから出発をしたということを承知いたしております。  そうしますと、ここで一つ、いや、決してそうではないと言うならば別でありますけれども、こういうことについては行政の責任者である通産大臣、あるいは外務大臣、あるいは農林省も関係したかもしれませんけれども、そういうところの大臣もまたこれを了承しながら、いわゆるその対応策等について整理をしたのかどうか、この点ひとつお伺いをいたします。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 御承知のように、自由民主党の中で国際経済対策特別調査会が発足をいたしまして、江崎議員はその会長に就任をされました。いわゆる与党の立場から、現在の深刻化しておるところの経済摩擦を解消するために何をなすべきかということで調査検討を進められたわけでありまして、その一つとしていまの輸入手続問題の改善に着手をされまして、与党でございますから、政府とも緊密な連絡のもとに党としての方向を決められまして、実は政府としてもその党の名における検討等も踏まえまして、政府自体の立場で御承知のような六十七項目に及ぶところの改善措置を決定いたしたわけでございまして、その政府決定を踏まえていわば与党の代表、総裁の特使ということで訪米、訪欧をされておるわけでございますが、これは御承知のような政府・与党という立場で、諸外国におきましても与党の立場、政府の立場を精力的な説明をされまして意見の交換を行われておりまして、私はこのことが日本としてのこれからの経済摩擦を解消する上において、一つの大きな役割りをしていただけば大変ありがたいことだ、こういうふうに考えて期待をいたしておるわけであります。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私どもは経済問題は素人であります。そしてまた、国内の新聞報道を見ていろいろと承知をし判断する以外にないのでありますけれども、いずれにいたしましても、今日の状態というものは憂慮を越えて、不安感さえ国民に与えている事態であろうと私は思います。  でありますから、政党として、あるいは政治家として独自の立場で調査もし、ひとつその背景を探り、あるいはこちらの意見も述べ、向こうの意見も聞いてくるということは、私は何も問題ない、というよりも私どもも積極的にやりたい気持ちは実際持っております。が、しかしあの報道を見る限り、確かに自民党は与党でありますから、与党との関連の中でいろいろと方策が立てられるであろうけれども、しかしあくまでもこれは党の代表であるという場合に、向こうの政治責任者と会談をして、そしてこれまた江崎さんその人に聞かなければわからないのでありますけれども、政府・自民党はかく考え、かくいたしておりますよと、こうもいたしますからどうぞ注文をつけてくださいということを言っているわけですね。この内容から見るならば、もはや一党の代表の発言とは受け取りがたい、政府の代表として相手側は理解するのではないか、こう実は思います。  だとすれば、先ほど来各省庁の局長クラスを集めて検討を加えて、どこをどうするという結論を得たのか得ないのかわかりませんけれども、しかし大臣も仮に、承知をしておると言いながら、つまりは相手国に行って意見交換をした、そのことと、国内の処理が乖離する場合だってなくはない。こう考えてみますと、決して私は好もしい措置であると判断するわけにはいかないわけでございまして、これはまあ当然であるというなら別でありますけれども、でない限りはやはり慎重な配慮が必要でなかったかと、こう実は思います。  その点についてはいかがでございますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま、御承知のように大変な貿易摩擦がありまして、特にその中で日本がいわば集中攻撃を受けているというふうな状況でございます。そういう中で、日本としても市場開放に対しましてやるべきことはやらなきゃならぬわけでございますが、同時にまたアメリカとかECに対しても日本としての立場を明らかにすると同時に、ECやまたアメリカに対しても言わなければならないことはきちんと言わなければならない。そういうことを重ねることによって貿易摩擦というものは解消していくのじゃないか、こういうふうに思っております。  それには、やはり政府の責任というものは非常に重大でございますが、江崎さんは、与党という立場においてこの貿易摩擦に対して何らかの役割りを果たしたい、こういうことで党としての方針を踏まえて訪米そうして訪欧をされておるわけでありまして、あくまでも立場は先ほど申し上げましたように、総裁の特使ということですから、与党を代表されて行かれたわけでございますが、しかし内容的にはいまお話がございましたように、政府・与党という立場におきまして説明をされておることも事実でありまして、これはいわば政府・与党というのは一体でございますので、そうした背景を踏まえてお話をされておるわけでございますが、私はいずれにしても、そういうことによって相手国の政府要人あるいは議会の要人と忌憚のない意見の交換ができるということは、大変貿易摩擦解消の上にはプラスになるのじゃないか。特に相手の議会の人たちですね、これはアメリカの議会そしてECの議会、いまの貿易摩擦で一番激しく日本に対して物を打っているのは、いわゆる議会でございますので、そういう議員間のお話し合いが非常に積極的に行われるということは、政府間の交渉と同時にこれは非常に意義のあることじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、この訪欧あるいは訪米についていろいろと報道が行われておるわけでありますが、しかしとにかくお互いに言うべきことを青い、そして意思を、考え方を明らかにしておくということは、これからの貿易摩擦解消に対して政府としていろいろと方向を決めていかなければならぬ、具体的措置を講じていかなければならぬ、こういう段階においては相手国の真意といいますか、考え方というものがつかめるということで大変私はいいことであろうと、こういうふうに実は判断をいたしてわるわけでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私は何も悪いことをしておると申し上げているわけじゃございません。できればわれわれもやりたい、こう思っているわけです。ただ、問題はそれが党の代表であるか、あるいは議会の代表であるか、政府の代表であるか、この立場を明確にして、持ち帰って国内で処理をする場合に、相手国に不信を与えないような配慮というものが必要であろう、いまはうまくいったけれども、しかし将来その形で成功するという保証はないわけでありますから、そこは節をきちんと立てて、そして進めるべきであろうと、こう申し上げているわけであります。  そこで、議会の方々と会ってまことによかったのじゃないか、こういう言われ方であります。評価の問題になろうかと思うのでありますが、私は別にひねくれて物を言うわけじゃございませんけれども、訪米あるいは訪欧前の相手国の姿勢とかなり変わっておる、むしろ増幅されておるというふうに、摩擦といいますか、あるいは感情といいますか、それがむしろ増幅された形で報道されているということについて懸念を持っているわけです。まあたとえばアメリカで言いましたならば、とにかくこれでは戦勝国か戦敗国かわからぬというようなこと、敵は日本であるというようなこと、あるいはまた、EC諸国においては、六ヵ月以内に何らかの対応を示さない場合には市場閉鎖をするというようなこと、育ってみれば、日本に対して鎖国をするということにも通じかねないような、かなり激烈な表現がなされておるわけですね。われわれには夢想だにできない、そういう考え方であるわけです。実際にそうかどうか、まあ毎日新聞のアンケートなんかもありますから、比率にすればそれほどでもないというようなことであろうかもしれませんけれども、これを見ると、とにかく古い人間はいわゆる戦争前の経済状態、関係であろうなどというふうに物を考えても決して無理ではない、こう思っておるわけです。そういう意味では、私はあの江崎代表団の成果については厳しく評価せざるを得ないわけでありますけれども、しかし、大臣の口からはあれは失敗であったなどとは言えないと思います。また失敗であったかどうかということについては今後を見てみなければそれはわからぬことでありますから、まあまあプラスマイナスどういう結果になるかは別でありますが、いずれにいたしましても、とにかく一部の新聞報道や、一部の人々のいわゆる報告によってのみこれを判断するという、それには余りにも重大な問題であると私は理解せざるを得ない。そういう意味で、これから申し上げることは、それは国会の問題ですということになるかもしれませんが、単に一党の議員の接触ではなくて、いわゆる国会として、何も向こうの偉い人と会って意見交換をするそればかりが能ではございませんが、その背景であるとか、実態であるとかいうものについて実際に承知をする機会というものが必要ではなかろうか、こう実は思うわけでございまして、そういう意味では、まあこれは今後の相談でありますけれども、国会の中で関係者協議をして、そういう機会を持ってもよかろうではないか、こんなふうにも、私見でありますが、持っております。そういうものについての通産大臣としての所見についてひとつお伺いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、今日の貿易摩擦は、要するに突き詰めていけば、結局国と国との問題ということになるわけでございまして、政府対政府あるいは与党対相手の国の与党といったような問題ではなくて国全体の問題でございますから、あらゆる立場で相手国との間の相互理解を進めていくということが貿易摩擦を解消する上において最も必要ではないかということを痛感いたしております。  そういう立場で、まあこれはもちろん、いまお話しのように国会でお決めになる問題でございますが、しかし、国会全体として相手国との間のお話し合いをお互いに率直に行う、そしてお互いに主張すべきことは主張をし、責任を持つところは責任を持っていくということはきわめて私は大事なことではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、国会として一つの方向を打ち出していただくということになれば大変これは貿易摩擦解消の上には意味のあることではないだろうか、そういうふうに考えておるわけでございまして、どうもこの問題はただ政府対政府だけの問題で片がつきそうにはとうてい思えないわけでございまして、やはり国全体がこの問題に対処していく、そういうことにならないとだんだんとエスカレートしてまいりまして、政府間で話し合っても、冷静な話し合いができない、だんだんと感情的になり、そして、まあ政治的対立が起こって非常な不幸な事態に入っていく、自由貿易そのものの体制が根幹から覆るというようなことになると大変でございますので、その辺は、私は、国全体、国民全体がこの問題には関心を持ち、そして、相手国との間であらゆるパイプを通じて相互理解を進めていくということが、本当にいま大事なときではないかということを痛感いたしてわります。  そういう意味では村田委員のお考えに私は同じ意見でございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 次に、貿易摩擦そのものについて若干質問申し上げたいと思いますが、現在、米国議会で審議されて、言われております相互主義法案ですね、新聞を毎日見ておればあるいはわかるかもしれませんが、それがいまどのようになっておるのか、また、どういう内容のものであるのか、そしてこれに対して通産省としてどのような見解と対応策を持っておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 現在、アメリカの議会におきましては多数の相互主義法案が出ております。まあ代表的なものは、俗称ハインツ法案とか、ダンフォース法案とか言われておるものでございますが、それ以外にもかなりの数の法案が出ております。  この内容でございますが、内容は個々でありますが、おおよそのことを申し上げますと、まず、サービスとか投資というものについて相互主義的なものを加えるべきではないかというような内容のものもございますし、それから貿易も含めて、商品も含めて全部についてそういう相互主義法案、相互主義的なものを盛り込むべきじゃないかというものもございます。  具体的にどういうことかといいますと、おおむねのところを申しますと、相手の市場の程度に応じてどういうふうに、アメリカから見たらアメリカが輸出を阻害されているか、そういうものを計量といいますか、計算といいますか、測定といいますか、そういうことをいたしまして、それに対応してアメリカ側も対抗措置がとれると。これがまたいろんな対抗措置がありまして、従来の通商法上ではガットの手続にのっとってやるというリーズナブルなことなのですが、それをガットの手続にのっとらないでもやれるというような内容とか、いろんな法案の内容がございますが、おおむね申し上げますと、以上のような内容なんでございます。  それで、これはまあ相手方は公正貿易といいますか、フェアトレードという概念で、場合によっては日本に対して、たとえば日本の市場を開かせるための前向きのものだという説明もしばしばされているわけですが、実際問題としてこの運用なり、背景にある考え方というのはかなり後ろ向きなものでございまして、市場制限的に動いていくだろうという見通しをわれわれは強く懸念しておるわけでございます。  したがいまして、通産省といたしましては、この相互主義法案については、自由貿易を根底から揺るがすおそれが非常に大きいということで、機会あるごとにアメリカ側に対して指摘をし、また大臣からもたびたび向こうの要人にそういう指摘をしていただいておるわけでございます。まあアメリカの行政府としても、これまたいろんな意見があるようでございますが、現在のところはおおむねのことを申しますと、かなり相互主義、保護主義というものが突っ走ることについて懸念を持っておるということもわれわれに漏らしておるわけでございます。しかし、なかなか行政府として、いまの全体の状況では火が消せない、消しにくいということをわれわれにしばしば漏らしておるわけでございます。われわれとしては、議会の様子を注視いたしますとともに、日本の市場開放対策等を進めまして、これを回避していきたいということに全力を傾注してまいりたいと、かように思っておるわけでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 その問題は後日改めていろいろとまたお伺いしてみたいと思いますが、今日の状態ですね、これは本当に私素人でございますし、また商工委員会に入りましたのもここ一年ぐらいのことでございます。自動車の問題あり、あるいはその前はさまざまな問題もあるわけでありますが、どちらかといえば私なんかは、農政の立場に立って、農産物の自由化反対の方向でずっと動いてきている経緯もあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても今日の状態を見てみますと、これはいままでの自動車の問題のときのように、ちょっと話し合いをして、台数を減らしましたからそれでまあまあ当面は了承できましたという問題ではないように実は私は素人なりに判断をいたしております。だからつまりこの貿易摩擦というのは、主として西側経済交流の中における日本のいわゆる貿易立国、その量、質、そういうことから考えてみて構造的なものではないのかと、実はそう考えておりますが、どうお考えになりますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 貿易問題につきましては、これは体制として御案内のように自由貿易体制ということでございます。そういう中で、日本としては外国から原材料を買って、それを加工して諸外国へ輸出をする、そういうことによって国が成り立っておるといういわば貿易立国の体制にあるわけでございますから、積極的に海外市場を求めて輸出を進めていかなければならない。たとえばエネルギー問題一つをとってみましても、油の九九%まで外国から輸入をしている、こういう状況でありますし、その総量は六百億ドルにも及ぶ、こういう状況でございますから、国としてやはり国際収支の健全化を図っていくためには輸出を大いに行っていく以外にはないわけでございますから、われわれはそうした意味において、正常な競争によって日本としての経済を安定せしめるということは、日本自体の持つ経済構造からしまして当然至極のことであるし、そしてその自由貿易を支えるものとして御案内のようにガットというものがあるわけでございます。  したがって貿易問題というのは、ただ二国間でそれを規制していくということではなくて、多国間の問題としてこれを国際社会で取り扱うというのがいわばこれまで当然のこととして国際的なルールとして形づくられてきているわけでございます。したがって、わが国としてはそうしたガット体制、自由貿易体制を堅持していくことがこれからのやはり世界の貿易体制を安定せしめる上においても最も当然のことである、こういう判断のもとにこれを推進しておるわけでございます。  いまアメリカがそういう中で相互主義法案なんかを出して、そしてこれを議会で成立せしめようという動きがあるわけでございますが、相互主義そのものはお互いに公平にやろうということでありますからそう反論する余地はないわけでございますし、そしてまた、その相互主義というのがお互いの市場をさらに開放していこう、こういう意味の相互主義なら、それはそれなりの自由貿易体制を推進する上において意味のあることだと私は思うわけでございますが、アメリカの議会で提案されておる法律というものは、いま局長から答弁をいたしましたように相手の国の壁に応じて自分の国も壁をつくっていく、こういうことでありまして、ガットの場というものがありながら、二国間でもってこれを対処していこうということでありますから、私見ておりまして、非常に危険な考え方ではないか。これは結局するところ保護主義につながっていく。そして、この相互主義法案が国会で成立される、そしてこれが発動されるというふうなことになれば、それに対応してまたわが国としても措置をとらなければならない。それに対してまた増幅された形で措置がとられるということになれば、これはまた報復主義ということにつながってきてしまうわけでありまして、自由な貿易体制というものが根底から破壊される要素を持っておる非常に危険な考え方ではないか。自由貿易体制の中でいわば主導的な役割りを持っておるアメリカがそういう措置に踏み切るということは、これからの世界の将来というものを考えるときに、非常に私は危険な状況が出てくる可能性があるというふうに判断をして心配をいたしておるわけであります。あくまでもこれは、わが国からしましても、あるいはまた世界の貿易を伸展さしていくという上から見ましても、この自由貿易体制を堅持していくということは非常に基本的なことではないかと、こういうふうに私は考えておるわけであります。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 私も時間の関係がありますので、あっちこっちまとめてはしょっておるような傾向がございますので、その問題はまた後日に。  まあきょうは一日所信表明の質疑の時間に当てたかったのでありますけれども、法案が入りましたから、その分後日と、こういうことにもなっておりますが、改めてそこでやってまいりたい、こう思いますけれども、ちょっと私が申し上げましたのといまの答弁は意味が違うようにも思っております。本当に大臣が心配しておる心配と全く私どもも同じ心配を持っておるわけでありまして、アメリカの社会的文化的生活水準というものと、経済大国などとおだてられておるかもしれませんし、また貿易も数字の上ではかなりの高いものを示しておることは私も承知はいたしておりますが、わが国の生活水準や文化水準、社会水準というものとの比較において考えてみなくてはなりませんけれども、わが国の、輸出しなければならないといいながらも、なおかつどんどん輸出していって、いわゆる友好国といいますか、諸外国の失業者を増大させて困窮に陥れていいという考えは私は持っておらないわけですが、しかし、国内の状態を見れば、いま景気のどん底、とにかく大変なものであります。私もきのう四万くらいの都市に行きましたら、町の商店の売り上げは五十六年度は前年に比較すると五〇%も落ち込んでおる。床屋に一ヵ月に一回行った人が二ヵ月に一回というような、細かい話をいたしますとそれくらいに冷え込んでおることは間違いないわけですね。そういうような状態から考えてみて、おれの方でも困っておる、にもかかわらずいわゆる市場を開放する。外務大臣はどの程度の市場開放を言っておるか知りませんけれども、きょうあたりのニュースを見ていますと、市場を開放しますと、こういうことを言っています。ということになって、では、相手が望む現在の開放すべきものにはいろいろな物品もありましょうし、サービスの問題もありましょうけれども、望んでいるものをわが国で受け入れた場合に、日本の産業やあるいは農業にどういう影響を与えるであろうか、こういう計測について通産省はやったことはございますか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 非常にむずかしい御質問でございまして、向こうの要望というのが必ずしもきちっとしておりません。結論的に言えば、日本が経済大国なりの立場、世界の強者としての立場から、自由開放体制を享受している日本としてみずから率先して市場開放を努力しろと、そしてその中には関税とかあるいはいわゆるIQといいますかクォータというものもございますけれども、同時に日本の企業なり流通組織の閉鎖性といいますかあるいは心理的閉鎖性とでも申しましょうか、そういうものもぜひ直していただきたい、こういう要求でございますので、心理的閉鎖性を直して何ぼ入るのかということについてはきわめてむずかしいわけでございます。しかしながら、全体的に見ますと現在われわれが考えている市場開放も一遍に全部できるわけではありません、段階的にやっていくことになると思いますが、その程度のことで、もちろん影響もございますけれどもむしろ得る利益もあるわけでございまして、商売全体で流通のパイが大きくなるということのプラスもありますから、あるいは全般的、マクロ的に言えばむしろマイナスよりもプラスの方が多い、こういうことでございますが、結論的に言いますと、そういう要求が要求でございますので、具体的な計量ということはしておりません。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 校増的じゃないか、こう申し上げましたのは、その辺との関連で実は私自身が考えたわけなんですが、とにかく国内で言えば、アルミがこうの、木材がこうのとさまざまあります。とにかく、日本は敵だなどと言われるからかどうか知りませんが、市場開放をいたしますと言って頭を下げてくる、こういうようなことであるならば、実際にそれが国内にどう影響していくのか、国内の産業全体に、生活全体にどういう影響を与えていくのかということについては、当然これは豆腐を切ったようにきちっといかないまでも計測をするということは必要なんじゃないかと思いますね、これは経企庁なんかも当然関係してくる作業だと思いますけれども。  そこで、これまでもずいぶんそういうのがちょこちょこあったのだけれども、言ってみれば通産省の方々も一生懸命やっておられるのだろうとは思うが、まあまあ少し緩慢で、何か一つ一つちょこちょこと小手先でその場を解決すればそれでいいんだというようなことで推移してきたのじゃないかと疑われるように私は思います。でありますから、これをなるほど構造的に深刻な問題だと受けとめる限りは、これはやはりいま私が申し上げましたように、産業構造審議会というそういう場だけで解決するかどうかはわかりません。新聞を見ますと近く何か産業構造審議会を開くなどとも言われておりますけれども、いずれにいたしましても、やはりそういう広範、総合的な対策を立てるべき時期にいま来ておる、またそういうような機構があるいは必要じゃないかとも思うのでありますが、その点についてはどう考えますか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 産業構造につきましては、従来から産業構造の長期ビジョンを示すとともに、さらに業種別に問題業種につきまして、たとえばアルミあるいは石油化学あるいは肥料あるいは紙・パルプというようないま先生がおっしゃっておるように急速に産業構造の転換といいますか、産業調整といいますか、そういうものが必要な業種については現に結論も出しておりますし、現在も審議中のものもございます。そういうものについてはかなり計測を加えましてやっております。全体のマクロ的視点については産業構造全体ビジョンの中でやっておりますけれども、必ずしもまだ全般的なこういう問題の影響というものについては十分な検討をいたしておりませんので、近々三月中に産業構造審議会の国際経済部会を開きまして、貿易摩擦を起こしやすい体質といいますか、確かにあるわけでございますので、そういうものに中・長期的に対応するのにはどのような方法があるかということについて御審議願う所存でございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 その貿易ギャップを解消する一番の決め手、まあいろいろなことが言われたりいろいろなことを考え、やろうという話にはなっておりますけれども、ポイントは私は貿易ギャップを解消することが、これは相手がいろいろ言ってくる一番のもとだと思うのでありますけれども、その貿易ギャップを解消する一番の決め手は何ですか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) まあ貿易ギャップといいましても非常にむずかしいわけでございまして、国別の貿易収支ギャップと、それから全体の貿易収支ギャップ、さらにはインビジブルといいますか、旅行とか、海運とか、保険とか、そういうものを含めました経常収支ギャップ、しかもその経常収支が国別、グローバルベースということになりますので、率直に言わしていただきますれば、日本としてはやはり輸入をし、経済協力をし、国として循環して成長を遂げていかなければなりませんので、グローバルベースの経常収支のギャップというものがこれが均衡点といいますか、リーズナブルなものになるということが一つの目標だと思います。  そういう意味ではまあギャップが出始めたのは、実は一昨年までは赤字でございまして、去年から多少経度収支が黒字ということでございます。したがいまして、全般的にはマクロ運営その他で調整は私はできていけるものと確信をしておりますけれども、問題は個別の問題になります。個別の問題になりますと貿易収支なり経常収支はやはりどうしても御承知のように石油の方で大赤字を中近東に出しておりますから、全体としてバランスをとるためにはある資源国以外の国とは黒字体質にならざるを得ない、黒字を出さざるを得ないということです。この辺につきましては一つは、いろんな製品輸入をし、市場を開放し、相互に拡大していく必要がありますけれども、なかなかこれは率直に言って解消することは困難だと思います。したがいまして、相互理解であり、あるいは世界経済全体の活性化といいますか、浮揚といいますか、そういうものを世界全体が力を合わせて進めていかないとこれは根本的になかなか不満は残ると、かように考えております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 まあ牛肉を言うとおりに入れても、あるいはオレンジを入れましても、ワインを入れましても、私は幅の狭い意味で申し上げますが、全体、全国、全世界のといういまのような答弁とは若干角度は違うわけでありますが、まあ言うとおりに輸入してみてもたかが知れていると思うのです。しかし、たかが知れている物を入れれば国内で国内摩擦が起きるわけでありますから、そういう意味ではそう簡単な物の言い方もできないわけでありますが、いずれにいたしましてもつまりはいま黒字国になっておる相手からは買い入れるということも考えなくてはならない、というようなことからするならば、やはり日本の景気の浮揚をまず考えるということが大切じゃないか、こう思うのですが、通産大臣はどう思いますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまのやはり世界に高まっておるところの貿易摩擦を解消していくには、具体的な問題としてたとえば関税であるとか、あるいは非関税障壁であるとか、あるいはまた、残存制限品目の問題であるとか、いろいろと具体的に検討しなきゃならない課題はあるわけでございますが、根本的にはアメリカに対しても百数十億ドルという輸出の超過がある。あるいはECに対しても百億ドルの輸出の超過がある。そしてアメリカもECも経済が非常に疲弊をしておる。こういう状態で、失業者もどんどんふえているということでございますから、結局基本的には、やはりアメリカやECの経済が立ち直るということが、この貿易摩擦に火をつけておるその背景が改善をされることになるわけでありますし、同時にまた、日本の内需が立ち直って、これが拡大をしていくということになれば、諸外国からの製品輸入等もふえてくるわけでございますから、この内需の振興とそして、アメリカ、ECの経済のいわゆる活性化というのが、私は根本的にはこの経済摩擦が非常に増幅されておる、そういう一つの感じを改善していくことに基本的にはなっていくんじゃないか、こういうふうに考えておりまして、わが国にとってもこの内需の振興というのは国内の経済の今日の状況を一歩脱却する上においても必要であるし、また同時に、貿易摩擦を解消する上においてもどうしてもわれわれは進めていかなきゃならない課題ではないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 それでは、河本経企庁長官にお伺いいたします。  十九日の参議院の本会議でも、同僚議員の質問に答えて、景気の動向に触れ、十月、十一月、第三・四半期ですか、貿易輸出の停滞があって、五十六年度の成長率、下方修正したけれども、その達成もかなり厳しいというようなことを言っておられました。私も実際そうだと思っておるわけであります。  今日のこの日本経済の低迷といいますか、不況といいますか、これは先があるのかないのかなとというそういう議論は別にして、ちょっと公定歩合を引き下げて云々などというような簡単なものではなくて、とにかく構造的なものになってきておるのではないか、そんなふうに実は思えてならないのです、素人でありますよ。素人であるけれども、アルミの問題であるとか、木材の問題であるとか、パルプの問題であるとか、いろいろさまざま聞かされてみましても、構造的なものではあるまいか、こう思っておりますが、長官はどのようにお考えですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 現在の不況が構造的であるかどうかという問題でありますが、私は、やはり根本は第二次石油危機の厳しい影響がいま全世界を覆っておる。日本もやはりその強い影響を受けておる。現在の世界の経済が戦後最も深刻な不況である。先進工業国だけで失業者が三千万人にもなっておる。こういうことが背景にあろうかと思います。だから、現在の不況は、構造的というよりも第二次石油危機の厳しい影響が出ておる、こういうことではないか、こういう感じがいたします。  もう少し具体的に申し上げますと、一つは、先ほど来貿易の問題が出ておりましたが、最近、貿易が伸び悩んでおる、むしろ減りぎみである。これも世界全体が不況でありまして、世界の購買力が激減しておる。相手に買う力がない、市場が非常に狭くなっておる。これもやはり私は石油危機の影響だ、こう思っております。それから、アメリカの高金利、このために日本は金融政策もとれないわけでありますが、これもやはりもとを正せば石油危機に端を発しておる、こういう感じがいたします。公共郡業の据え置きあるいは可処分所得の伸び悩み、いろいろ理由はございますけれども、やはり石油危機による世界経済の混乱、これが私は最大の背景である、こう思っております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 本当に持ち時間がなくなってきておりますので、あちこちはしょる結果になりますが、そういう状態で日本経済の運営見通し、経企庁は五十七年度の分を発表はすでにされておるわけでありますが、改めて数字を申し上げる必要はなかろうかと思いますけれども、この達成は今日の状態の中で可能であるのかどうか。成長率は名目八・四%、実質五・二%でありますか、その他さまざまあるわけでありますけれども、とにかく達成は今日の経済の推移から見て可能であるのかどうか、ひとつお伺いいたします。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 私は、達成は可能だ、こう思っております。  と申しますのは、わが国の経済は欧米諸国に比べまして幾つかのすぐれた点がございます。たとえば失業率が非常に低い、物価も安定しております。それから、貯蓄率は依然として相当高い水準にございますし、金利水準は世界で最低の水準にある。労使の関係も比較的良好な状態が続いておりますし、経済全体の国際競争力も相当強い。こういうことを考えますと、他の国よりも相当高い成長はわが国は十分できるはずだ、こう思っております。  ただ、繰り返して恐縮でありますけれども、いま世界経済は非常に激動期にございますので、したがって日本経済も激動期でございます。次から次へいろいろな情勢が変わってまいりますので、その情勢の変化に応じましてやはり適切な手段を機敏に進めていく、これは私は絶対の条件だと思います。世の中が変わって経済の条件が変わっておるのに何もしないでじっとしておる、こういうことでありますと、これはできる成長もできなくなる、こういうことだと思います。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 かなり自信をお持ちでできると、こうおっしゃっておるわけです。しかし、まあ予測をして、いろいろこれが正しい、それは間違いであるなどというような議論をする必要はなかろうかと思いますけれども、政府だけが五・二%、しかしよその調査機関ですか、銀行であるとか経済研究所のそういう試算発表されておるものを見ます限りは、まあまあ一番よく見ても四・五%、これが一ヵ所か二ヵ所ぐらいしかありませんね、大体三%、三%以下というところはないようですね。もちろん政府ですから、いやとてもむずかしいなどと言って、これは国民に大きな影響を与えるということも配慮されていると、こう思いますけれども、しかし、事実問題として、いわゆる昨年からこの春までの経緯を見る限りでは、どうしても理解できない。素人でも理解できないですね。そういうことで、他の委員会でもいろいろ議論された、こう思いますが、とにかく五・二%を達成する前提となりますのは、でれば何と言いましても、いわゆる雇用者所得、つまり可処分所得を引き上げるということが前提になっているはずであります。だとすれば、まあいま賃金問題、春闘の時期でもございますけれども、とにかく八・六%と私は聞いておりますけれども、その名目雇用者所得の伸び率も確保して、あるいはそれ以上確保して、そしていわゆる可処分所得を引き上げるというためには、これは減税問題などということは当然出てくるわけであります。まあ細かい試算が出ておりますが、それをいま申し上げている時間も。ざいませんけれども、とにかくそのほかにさまざまあろうけれども、当面はこの問題に真剣に政府が取り組まなければ、私はとてもいまここで胸を張って長官は物を言ってみても、それはどうも国民は信用はいたしません、これは生活実感、あるいは数字に出てくる問題でありますから。ということになりますると、いわゆる、先ほど申し上げました賃金の問題と、玉虫色などと言われておりますが、あるいは新聞を見ますと、公明党の竹入委員長は、あれはメモがあったなどというような話にもなってくるわけでありますけれども、五十七年度減税というのは、いわゆる比率改定もございましょう、あるいは過去何回かやりました戻し減税などということもあるでしょう、そういうものについて長官はどのようにお考えでございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 政府が経済見通しをつくります場合には、雇用者所得が幾ら伸びるか、こういうことを計算いたします。それを前提にいたしましていろんな試算をするわけでありますが、五十七年度は一人当たりの雇用者所得は六・九%ぐらい伸びるであろう、こういうことを想定をいたしております。全体としての雇用者所得は、雇用者の数もふえますので八・六%伸びると、こう想定をしております。実は、五十六年度は一人当たりの雇用者所得は七・五%伸びると、このように考えておったのでありますが、大企業の方は相当伸びておりますが、中小企業の方が非常に伸びが低い、こういうことで、現在のところは六%にいくかいかないか、あるいは六%切るのではなかろうかと、こういう感じもいたします。それに比べますと若干ふえておりますが、これは後半経済がある程度回復をいたしまして、所定外給与等も相当伸びるであろうと、こういう想定に立ちまして、先ほど申し上げましたような数字を算出したわけであります。  しかし現実問題として、雇用者所得が伸びなかった、非常に低い水準である、こういうことになりますと、これまた試算の前提条件が狂ってくるわけでございますから、そのときには先ほど申し上げましたように、何らかのやはり対応が必要だ、こう思っておりますけれども、さて、それでは減税問題は一体どうかということでありますが、これにつきましては政府は統一見解をつくりまして、五十八年度以降できるだけ早い機会に減税できるような条件を整えましょう、その条件とは何ぞやといいますと、財政再建のめどを、五十九年にできるようにつけるということと、それと減税のための財源の見通しをつけるということである、こういうことを一月の下旬に決めたことは御案内のとおりでございます。一応そういうことで政府は考えておりましたが、先般議長の見解が出まして、この際は予算が成立すれば大蔵委員会に小委員会を設けて、この問題を与野党の間で議論したらどうか、こういう見解が出ておりますので、現在のところ政府はその小委係員会の結論待ち、結論が出ればその結論を尊重いたします。こういうことを総理以下言っておるところでございまして、政府見解よりも小委員会の結論がこの際は優先をする、こういう感じでございます。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 いろいろ詰めたいと思いますが、先に進みます。  十八日に日本商工会議所の総会がありました。私も案内をいただいたのでありますが、出席いたしませんので直接には聞いておりませんけれども、永野会頭は景気よりも行革をと、こうあいさつをいたしました。そして長官は、景気も行革も両立可能であるというあいさつをしたという新聞報道がございます。新聞の書いてあるものを見ただけでございます。改めて長官の見解を伺いたいと思いますし、実はその日の夕刊を見ますと、建設省が一兆円の国債を発行すればかくかくしかじかの経済効果があらわれる、最気浮揚策として。こういう、これまた新聞でありますから、よく内容は承知しないのでありますけれども、まあ建設省というと経済関係の省とも受けとめられないわけでございまして、何かそこに特別な意味があるのかなととも考えてみるわけでありますが、つまりは行革もまた景気も両立すると、こう言ってそして閣議決定は五十七年度公共事業等の前倒し。しかし、後半すき間ができるから何らかの措置を必要とするであろうと、こう長官はそのあいさつの中で述べられておるわけでありますから、この建設省が発表いたしました一兆円建設国債の発行と何らかの関係を持っておるのかと、げすは勘ぐるわけでありますが、その点はいかがですか。また、その一兆円の建設国債を発行するということについて長官はいかがお考えになりますか。ちょっと所見をお伺いいたしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 私が日本商工会議所の総会で申し述べましたことは、昭和五十九年度に財政再建するという目標でいろいろ政策を進めておりますけれども、しかし、これは行政改革をやったからこの財政再建ができるというものではないし、歳出の合理化をある程度やったかるそれで財政再建ができるものではない。やはり経済が力を回復いたしまして、そこから相当規模の税の自然増収が毎年出てくるという前提条件に立っておるのだ。で、大蔵省の試算を見ますと五十七年度も含みまして五十八年から六十年までの間に十八兆円という税の自然増収を期待しておる。そういう計算が国会に出されております。五十六年度の税収は三十二兆という想定でございます、結果的にどうなるかわかりませんが、とにかく三十二兆と想定されておる税収が五十兆になる、ということでありますから相当な力を持たないとこれだけの税の自然増収は期待できないのであります。ところが巷間、ある程度歳出の合理化だけで財政の再建ができると言われる方も多いのですけれども、私どもといたしましては、もちろん行革も徹底してやらなければなりません。歳出の削減ももちろんやらなければなりませんが、同時に、景気が悪くなってしまって税収が計画どおり伸びないとか、あるいは横並びになるとか、こういうことになりますととても財政再建はできない、こう思っております。したがって、行政改革はもちろん成功させなければなりませんが、財政再建をやり遂げるためには、行政改革も成功させ、同時に経済の力を回復いたしまして歳入全体がふえると、この二本立てでないといけない。その二本立てで政治を進める、政策を進めるということは十分可能だ。一方をやっておる間は一方ができない、こういうものではない。両方並行して進めていって初めて政府の目標というものは達成できるのだ、こういう趣旨のことをあいさつで言ったのでございます。  それから、それと建設省の一兆円の建設国債との関係はあるかということでございますが、それは関係はございません。建設省は建設省独自の立場からいまお述べになりましたような計算をされたのだと思いますが、そのことにつきましては私は詳しく承知しておりません。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 これから申し上げます質問は答えにくいかもしれませんが、一兆円建設国債を発行したという前提に立って物を考えてみた場合に、これは鈴木財政再建の構想とどういう関係が生ずるのか、こう実は考えているわけです。これは鈴木財政再建の破綻であるなどとは恐らく言いがたい、こう思いますが、私はもし発行されるとすればこれは破綻だと断定いたします。  そこで考えますことは、この国債は、特例債と四条債があるわけでありますけれども、どちらにも私らは最初から反対をしてきた立場に立っております。特に四十二年の特例債をわずか二千億でも発行する際には、恐らく徹夜国会をやったんじゃないかという記憶があるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、建設国債といいあるいは特例債といい、とにかく銭に印はついてないわけでありますから借金は借金でありますね。そして、とにかく今日の累積国債の経緯を見てみますと、十何年かかっておるわけです。主としては四十六年から建設国債も前年の四千億から一兆二千億にはね上がっておる、こういう経過があるわけです。それほど十何年もかかって借金したやつをわずか三、四年でひとつゼロにしましょう、この場合は特例債を五十九年にはゼロにすると、こういうことに私は承知をするわけでありますが、とにかくこれはむちゃな計画だと思うのですよ。とにかく八十兆円も九十兆円も国債を持っていて気持ちいいと思っている国民はおりませんよ。これは政府ばかりじゃありません。いずれかはこれは何らかの形で出さねばならぬ借金でありますから。しかし、十何年もかかってため込んだ借金をとにかくわずか三、四年でこれをゼロにしましょうなんて、これは数字の上ではできますけれども、そんなにどだいできる相談じゃないと、私は思います。  そう考えてみますと、経済はよく生き物だと、こう言いますから、財政再建と行革というのは私は別だと、こう思っておりますが、行革にしろ機構のむだを省いて必要なものをつくるというようなことであるなら別でありますけれども、歳出だけに目を向けて、そしていわゆる福祉を切り捨ててみたりあるいは教育の問題に入ってみたり、とにかく国民だけが犠牲になるような支出の削減を図っておるわけでありますから、これは心理的に国民に何といいましょうか、危機感を与えて自主経済防衛努力をするように仕向けてしまっている。これも行革デフレと言われるゆえんではないか、こう思いますが、いずれにいたしても無理がある。建設国債の発行について私は反対をするけれども、しかし、いま長官がおっしゃいましたように、経済は生き物でありますから、いわゆる融通無碍、財政再建計画にこだわらない運営というものが必要である、こう思っておるわけでありまして、言ってみれば東北人というのは頭かたいのでありますが、土光さん、鈴木さんも大分頭がかたいんじゃないかと実は思っておりますけれども、そんなに何もこれを政治生命をかけるなどと大上段に振りかぶって、何でもかんでも今日の日本の経済の状態や国民の困却を無視してまでも我を通すなどという考えにならなくてもいいんじゃないか、こう私は実はひそかに思っておるわけでありますが、それは長官どうでございましょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) いま景気が低迷をしておりますので、先般の閣議で、さしあたり五十七年度予算が通りました暁にはその予算の中に盛り込まれております公共事業を上半期にできるだけ繰り上げて執行することにいたしましょうということを決めました。同時に、災害復旧事業とか、ことしの住宅建設計画のうち公的住宅、これらの分野におきましても上半期にできるだけ繰り上げてやりましょう、こういうことを決定したのであります。そこで、下半期には当然公共事業が激減をいたします。しばしば予算委員会等におきましても、もしそれで景気がよくなればそれでよろしいが、依然として景気が悪い、この秋の段階において悪いという場合には一体どうするんだ、こういう御質問がございまして、それに対しまして政府の方といたしましては、その時点で万一景気が立ち直らない、こういう場合には適切な対応をいたします、適切な手段を考えますと、こういう答弁をしてきたのでございます。それじゃ適切な手段とは何ぞやということになりますと、実はまだ中身については何ら相談はいたしておりませんが、非常に経済が悪い状態にあればそれをほうっておくわけにいかない、やはり政府としては適切な対応をしていかなければならぬ責任がある、そういうことでございます。  その場合に、いま建設国債というお話が出ましたが、建設国債の問題はまだ全然議論にもなっておりませんし、結論が出ておるわけではございません。ただ、巷間建設国債と赤字国債はいずれも借金だからよくない、こういう実は議論もあるんです。確かにおっしゃるように。いずれにしても国の借金には違いないではないか、皆利息がつくじゃないか、こういう議論も確かにありまして、これは大変有力な議論だと思います。しかし、また一方におきまして、赤字国債というのは経常的な経費を賄うものである、しかし建設国債は国や国民の財産をつくり上げるそういう国債であって、これは資産としてちゃんと残るものだ、しかもそれが国の将来の発展の基礎になり、あるいは産業基盤の充実にもなる、こういうことだから赤字のための国債と区別して考えるべきではないか、こういう議論もございます。まだそれについてどちらがいいかどう判断すべきかという結論は出ておりませんが、二つの議論がございますから、私はその二つの議論いずれが日本の国情に合うのか、そういうこと等につきましてもやはり今後関係者の間で議論してみる必要があるのじゃないか、こう思っております。また一方、日本の社会資本投資は十分なのか。社会資本はもうすでに十分充実されておるのかどうか、こういう議論もありますし、それはまだ不十分である、こういう議論もございまして、さまざまな議論が幾つかございますので、そういう議論はこれから時間もございますので専門家の間でいろいろ進むものと、こう考えております。

村田秀三日本社会党

○村田秀三君 これで質問を終わりますが、後日また質問の機会もつくりましてそれらの問題をもう少し詰めてまいりたいと、こう思います。  いずれにしても、私どものこの単純な頭では、貿易摩擦解消の問題と国内の景気浮揚の問題はこれは大いに関係がある、国内の景気を浮揚させるためには心理的なものももちろん十分に対応しなくてはならぬと思いますけれども、面接的には国民の可処分所得を引き上げることが必要なんだ、単純な物の言いようでありますけれども、こう私は思っております。物価の鎮静あるいは雇用者所得の動向、あるいは減税、こういうものが全部絡んでおりますから、まあ今国会あるいは予算委員会等ではずいぶんと詰めた議論もなされたと、こう思いますが、そういう意味で国民を安心させることができるようなそういう政策をひとつ展開していただきたい、こうお願いを申し上げまして終わります。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 時間も詰まっております。二時間を予定しておりましたが、時間がありませんからポイントを長官に一問だけお願い申し上げます。いずれ二十五日の予算委員会で私も質問をいたしますから。  いまの問題に関連いたしまして景気浮揚対策で、大臣が経済見通し五十六年度四・一%の達成、あるいは五十七年度の五・二%の達成はある程度確信を持てるという答えでございました。問題は、大臣がこの間予算委員会でも強調されていますが、何といっても当面対策として公共事業の四分の三を前倒ししたいと、こういうことで特に住宅政策を強調されました。しかし問題は、いまもございましたけれども、私はそう簡単に四・一%五十六年度の経済実質達成は困難ではないかと、そのことを率直に申し上げます。ということは、やはり可処分所得が冷え切っているということはもちろんでありますが、率直に申し上げて、もう購買力がほとんどないというのが、意欲がないというのが——きょう大臣もお聞きになったかどうか知りませんが、NHKの鈴木内閣の世論調査ということでけさの七時のニュースに流されました。六日、七日、二日間やりました結果、鈴木内閣を評価しない、できないというのがもはや五九・七%。これは歴代内閣では末期的な症状であります。もう六〇%が鈴木内閣は支持できないと。評価するというのは三一・五%よりございません。この中身を分析いたしますと、まさに減税に対する不満、それからいわゆる景気に対する不信、政治倫理に対する不信、これがまさにこの五九・七%に対する国民の素朴な声であります。  そういたしますと、私はここでお伺いしておきたいことは、いわゆる五十六年度の四・一%経済成長率を達成する、景気浮揚に最終的なあらゆる対策をとると、こう訴えているわけでありますが、私は、やはり何といってもこれからの対策というのは公共事業、もちろん住宅投資あるいは金利の問題、いまも訴えましたが、消費者の購買力の心理的な影響である何といっても減税あるいは所得の今後の課題ということに総合的な対策の手を打たれなければ、なかなかこれといってもむずかしいのではないか。そういう意味では、当面対策よりも総合的な対策として、つまり、公共事業、住宅投資、金利対策、減税、所得の国民消費対策、こういう総合的な経済的な対策が打たれない限り今後の経済の成長率の安定は望み得ないのではないか。この一問、ひとつ大臣の所見だけ伺っておきたい、こう思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどの御質問で、昭和五十七年度の経済見通しの達成はできるかと、こういうお話でございましたから、これは経済情勢の変化に応じて機敏で適切な政策を展開すればそれはできますと、こういうことを申し上げたわけでございます。もちろん、それをやらなければできないということでございますが、ただ、五十六年度につきましては、御質問はございませんでしたが、いま改めて申し上げますと、五十六年度は、第一・四半期は一・二%成長、第二・四半期が〇・六%成長、第三・四半期がマイナス〇・九%成長でございまして、現時点では政府の修正いたしました四・一%成長というのは非常に達成が厳しい条件になっておる、こういうことでございます。  それから、いま一連の最気浮揚策についてのお話がございました。いま、景気の足を引っ張っておる原因はわかっておるわけでありますから、それらに対しまして十分な対応ができれば現在の経済情勢は相当変化すると思いますけれども、残念ながら幾つかの政策がなかなかやれない、こういうところに問題があるわけでございます。  ただ減税問題については、お話がございましたが、確かに五十六年度の雇用者所得の伸びは政府の当初想定いたしておりました水準よりも相当低い状態になろうとしております。しかし、この場合に減税問題をどうするかにつきましては、先般の議長見解を受けまして大蔵委員会の結論待ち、その結論を政府の方では尊重しますということは総理、以下お答えしておるところでございますので、その判断をまちたい、このように考えております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 これはいずれ二十五日の予算委員会で長官に再度詰めたいと思いますので、問題提起だけ私はしておきたいと思うのでありますが、公共事業の中で、住宅投資の着工件数というのを私なりに調べてみましたが、五十三年度百五十五万戸に対しまして五十四年度が百五十万戸、五十五年度が百二十七万戸、五十六年度が百十五万戸と、これちょっと減少していますね。大臣もたびたび公共住宅というもの、公的往宅をふやさなきゃならぬと言っていますが、これはずっと減っているわけです、計数的に見ていくと。  それからもう一つの心理的な影響というのをやはり踏まえていただきたいと思うのは、もちろん、ローンの頭金をふやすとかローンの金利をある程度、〇・五を下げるとか、これも結構なんだが、いろいろ私は庶民のアンケートを、この間ある労働組合のアンケートも見ましたが、全く声はこういうことです。いわゆる、当面十年なら十年、五カ年なら五カ年の中期のサラリーマンの経済は一体どうなるんだと。つまり、何ぼ住宅を建てようという意欲があっても自分のサラリーの中から返していく限度額といったようなものはどうなんだと。これを見ますと大体二万円が限度である、こういう答えが圧倒的なサラリーマンの、七六%の声。ある五千人の大型の組合のアンケートをちょっと参考に見ましたが、私はやはりこれが素朴な声だと思うのですね。だから、単に頭金をふやす、あるいは金利を下げることも結構ですけれども、労働者の心理はそういうところに手が届かないから、結果的にはマイカーあたりで、車でせめて満足をしようかと、こういう心理をやはり分析してみる必要があるんではないか。どうも、住宅投資の場合でも、そういう意味では、長官が言っている公的住宅、低家賃住宅というのは結構なんでありますが、ここらあたりを現実のものにしていくためにはどうしたらいいのかという点を、もちろん建設大臣の主管の問題でありますけれども、最気浮揚の前倒し四分の三を先にやる、ところが一方、中小企業のおやじさん方に言わせると、それじゃ前半四分の三前倒ししたら後半は一体どうなるんだ、その経済見通しは一体どういうふうになるんだ、住宅政策というのはどう変わるんだ、公共事業政策はどう変わるんだ、これを示してもらわぬと、人は採用した、後半にいって人は首を切るということはとてもできない、これが素朴な中小企業のおやじさん方の私らに訴える声ですね。やはり前倒し四分の三は結構だけれども、後半における公共事業は一体どうなるんだ、ここらあたりもひとつ大臣、これは専門的立場で、いずれ予算委員会でこの問題を総合的景気浮揚対策は一体何ぞやという国民の心理状態を原点に踏まえて、先ほど言った世論調査のNHKのアンケートの答えも私が言うようなアンケートの答えになっておりますけれども、そこらあたりを踏まえて問題の解決に積極的に当たってもらいたい、このことだけひとつ申し上げておきたいと思います。  それじゃ時間も経過しておりますから、本法案の内容につきまして率直に大臣の所見なり担当部長の御意見を聞きたいと思うのであります。  私は、今回この石炭鉱業合理化臨時措置法という法案の五年間延。長、その他関連法案、離職者法、鉱害法あるいは経理法の問題いただいていますが、むしろ私は基本的に大臣にお伺いしたいのは、もうこの合理化臨時措置法を施行してから二十年経過しておるわけですね。御案内のとおり第七次の政策と、こう言われているわけです。もはやこの段階では石炭見直しの時代を迎えてむしろ石炭合理化安定措置法と、このくらいの意欲があっていいのじゃないかと私は思うわけです。相変わらずスクラップ・アンド・スクラップという基本的な姿勢は二十年間この方変わっていない、はっきり申し上げて。こういう点ではやはり問題があるのじゃないか。むしろ進んでこの段階で、石炭合理化臨時措置法ではなしに石炭合理化安定法にひとつ通産省としては改めたいと、このくらいの石炭見直しの意欲の姿勢にどうして立つことができなかったか。もちろん努力をされていることは多としますけれども、私は少なくともそのぐらいの合理化臨時措置法等を改正するに当たって基本姿勢が出されてくることが望ましかったのでありますが、遺憾ながら出てきませんでした。この点まず、これからの内外を含めるこの第七次政策をめぐる国内炭優先の通産省の、大臣の基本姿勢について、国内炭の位置づけとあるべき石炭基本方針についてまず所見をお伺いしたい、こう思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 今後の石炭政策のあり方につきましては、御承知のように昨年八月石炭鉱業審議会から第七次答申が出されたわけでございますが、この答申の考え方を一言で要約をすると、当面まず何よりも現在程度の生産を安定的に維持することを基調として、また将来には石炭企業の体質改善や需給環境の好転に伴って増産を期待して、石炭企業の労使、政府及び需要業界の三者が協力していくべきである、こういうふうに要約すればなるのではないかと私は理解をいたしておるわけでございますので、政府としてはこの答申の基本精神というものに沿ってこれから所要の石炭政策というものを積極的に展開していかなければならない、そのようには考えております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま政府として七次答申の趣旨を踏まえて積極的に取り組んでいきたいということでありますが、七次答申の特徴というのは私なりに判断をいたしますと、何といっても今日まで石炭政策をずっと第七次政策まで打ち出してまいりましたが、やはり経済合理性ということが中心になって結果的に山が切り捨てられていった、この基本が私は今日までのスクラップ政策に行われてきた基本であろうと、こう思うのであります。  そこで、最近この七次政策の中に出てきておるのでありますが、確かに企業の自助努力ということが盛んに、もちろん私企業でありますからそれは結構なんでありますけれども、自主努力あるいは内助努力ということがうたわれておるのでありますけれども、私はこの際大臣も御存じだと思うのでありますが、七九年IEA会議で次のように実は確認をされています。もちろん日本も参加をしておりますからいまさら、もう御存じだと思うのでありますが、一九七九年五月のIEA閣僚理事会において、石炭の利用、貿易、生産の拡大を図ることを目的として石炭政策のための原則が採択をされ、当時八〇年ですね。八〇年ベネチア・サミットにわいて、一九九〇年までに石炭の生産と使用を倍増させることが合意されている。こういう意味での見直しということがIEA会議においても、これは日本の政府も加盟しておるわけですから御存じだと思うのでありますが、この原則に立つとするならば、私はこの第七次政策の柱になっている私企業の自助努力ということはもちろんでありますが、むしろ政府がこの際大胆にこの安定政策を意味する立場からも、経済合理性という問題がどうもいまなお政府の中に貫かれている、それが企業の内主努力、自助努力というこういう形に答申もなっておるわけでありますが、そこらあたりが強調されると、だから申し上げますが、やはり北炭問題にまつわる問題等に関連してくるわけでありまして、そういう方針を、経済コスト論だけでは国内資源の活用、国内資源の発展というものは望めない。私はもちろん経済コスト論を否定するわけではないのでありますが、経済コスト論だけにウエートを置かれてしまうということになるとやはり切り捨て論につながっていく。こういう問題をもう一回見直してみる必要があるのじゃないか。そういう意味では二千万トン体制というのは、もちろん程度ということでありますけれども、やはり新鉱開発なり周辺開発ということを国の政策的な手だてによってむしろ拡大をする、あるいは現状固定を、最大限現状の山をきちっと守る、こういう基本姿勢に立っていられるのかどうか、この点ひとつもう一回大臣の基本的な態度を私は再確認する意味で求めたいのでありますが、これをはっきりしてもらいたい、こう思うのです。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまお話しのように、第二次石油ショックの結果、石油価格が非常に上昇を遂げまして、世界でIEAその他のいろんな会議が持たれた結果、石炭の見直しということが非常に世界的な潮流として急浮上してきたわけでございますが、そうした風潮の中でわが国の石炭に対する需要、特に国内炭についても需要が増大をしておることはこれは事実であります。  そういう中で答申に言われますように、わが国の国内石炭鉱業をめぐるところの内外の情勢から見て現在程度の生産水準の維持は可能である、そしてこれを基調としながら、今後石炭企業の経営体質の改善や需給の環境の好転に伴って、将来においては年産二千万トン程度の生産の達成を目指すことが必要であって、そのための石炭鉱業自己努力、政府の施策及び需要業界の協力に当たっての基本的な考え方を進めていかなきゃならぬと、こういうことでありますが、私は状況としては石炭を、特に国内炭を取り巻く状況というのは決して悪くはなっていない、むしろ好転をしていく客観情勢にはあるのだと思います。それにはやはりまず第一に、企業がその内助努力というものをやらなきゃならぬことはこれは当然でありますが、政府としてもこれまで石炭政策には相当なウエートを置いてこれを推進してきたわけでございますし、これからも第七次答申というものがあるわけでございますから、そういう答申を踏まえながら、政府は政府なりのこれからの政策を進めていく、これは企業なんかはいわゆる経済合理性という立場でこの石炭問題というものに取り組んで進めるということは、これはなかなかできないことでありまして、それだけではなくて、政府の施策と相まっていまの答申の目標を確保することができるんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。そのためには、やはりそれぞれの立場で努力をしていく、企業もあるいは組合の方も、あるいは政府の方も、いわば一体となってこの対策を進めるということがいま最も必要じゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけです。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 これは大臣、言うまでもなく、現状二千万トンと言っても千八百万トンベースですね、御案内のとおり。これは北炭が一朝間違うと、新鉱も間違ったら、千七百万トンベースに引き下がる、こういう状態で、なぜこれを聞くかと言いますと、私は、いま大臣が後段で言ったことが大事だと思うのですが、石炭政策というものがなければ二千万トンベース程度という維持は困難だと思うんです。なぜかといいますと、政策的な手だてがあって、これは現状のままだったら千八百万トン、これを二千万トン程度というものを維持していくためにはどうしたらいいか。答えは簡単です、長年われわれは、当委員会でもしゃべってきたから。やはり新鉱開発には石炭をどう見込んでいくのか、あるいは周辺開発をどうしていくのか、あるいはそういう問題を実際問題として、現状ある炭鉱を絶対つぶすことはできない、この原点に立たなければ、私は二千万トン体制維持というのはできないと思うんです。そういう意味で私は育っておるわけです。だから、それはもちろん企業努力も必要だし、労使関係の安定も努力しなきゃならぬが、政策的な手だてがやはり基本になって維持されなければ、二千万トン体制維持はできない。あえて私はいま大臣に求めたことは、現状の山を閉山させては二千万トン体制は維持できない。同時に新鉱開発、周辺開発をプラスしなければ、二千万トンベースというものは維持できないのだ、この認識にお互いに違いがあるならこれは別ですが、そういう認識を持って、これから七次答申を受けとめ、いま大臣も後段に言われました政策的な対策と相まってこれをひとつやっていきたいと、こういうことですから、そういう認識でよろしいかということを、もう一度私は確認したいと思うのです、いかがでしょう。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) われわれはこの石炭政策を今日までずっと進めてきました。あの石油の黄金時代に、何とか日本の石炭産業を細々とはいえ維持することができたのは、これは労使の努力とともにやはり石炭政策を将来展望の中で進めてきた結果であろうと思いますが、そして今日においては状況が変わりまして、石炭というものについて相生明るい展望も見られるようになってきた。この時期こそまさに腰を据えて将来展望、それも国内の資源という問題から見れば二千万トンというところに目標を置いてあらゆる努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。そのための新鉱開発であるとかあるいは周辺の整備とか、そういうことも必要であることは当然のことでありまして、われわれとしてもできるだけのことをこれからしていく考えでございます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 午前中はいいです。

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十五日参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時二分開会

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は御発言願います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 先ほど大臣から基本姿勢についてお伺いいたしました。そこで、二千万トン体制をひとつ堅持して、これから新鉱並びに周辺開発鉱区の体制固めをしていくという方向でいきたいということですから、そこで問題は、国内炭の埋蔵量の問題につきまして、しばしば私も、五十一年十月十四日のいま会議録持っておりますが、当時河本通産大臣に対しまして話をしたことがございます。それは、どういうことかと申しますと、この間も、実は産炭地振興法、昨年の五月にもお話し申し上げましたが、日本の炭量計算というのは、今日そう確定的な基本調査というのは全くないと言って過言ではないと思うのでありますが、ソフレミンの調査以来、本格的な基本調査は行われていません。通産省は十億トン、十億トンと、こう言うのでありますが、一体その根拠だってどこにあるかといったら、私は確定できないと思うんですよ。問題は、基本調査をこれはどこの国へ行っても、その岡の可採炭量、一定の炭量というものははっきり見通しをつける必要があるということを私も言ってまいりました。このほどそういう意味で十八億円の予算措置がつけられたということは、一歩前進だと思うんです。  そこで、問題は新鉱について具体的にお伺いしたいのですがね、当時の計画からいけば、私は五十一年のときに、当時の増田エネルギー庁長官に質問しているんですが、新鉱とは一体北海道でどこを指すか、これに対して、釧路西部炭田と天北であると、こういうふうに会議録に載っています。したがって、やる場合にはどういうふうにやるかということについて、やはり一定の三ヵ年なら三ヵ年計画を立てて、そしてどういう計画でボーリングをやるかという計画を立てないと、いつまでたってもこれはだめではないかということを言ったことがあるのでありますが、その直前に第五次政策というのが出まして、新鉱開発については第三セクター的要素も入れて開発をすると、こういう意味の答申が出ました。そこで、その後、それじゃ実際新鉱開発の炭量というものは一体どうなっているのか。新鉱とは一体何を指してどういうふうに具体的に展開しようとするのか、あるいは周辺の可採炭量、さっきも言いましたが、千八百万トンを二千万トンベースに引き上げていくと言うからには、周辺鉱区の開発とタイアップしていかなければ、なかなかそういう炭量計算は出てこないだろうと。ところが、今回十八億ついたということは一歩前進であるけれども、それだけではやはり本物でないと僕は思うんだね。こういうのはもうとうに五十三年ころ終わってなきゃいけない。ところが、終わるどころか、ようやく緒についたばかりだね、これははっきり言って。私が言いたいのは、やはり五ヵ年計画、第七次計画を立てたんだから、七次計画とタイアップして、この可採炭量、新鉱あるいは周辺鉱区開発の実施計画というものを立てるべきだと思うのですよ。これがない限り進まない。やっぱり予算がついてこないしね。ただ、言葉で何とか新鉱開発の促進を図りますとか、いつも言うのだけれども、私はこういうことではだめだと思うのですよ。この七次計画と同じように、やっぱり可採炭量調査の五ヵ年計画をこの際立てるべきじゃないかと、こういうふうに考えるのですが、いかがなものですか、この点。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(福川伸次君) いま対馬委員御指摘のとおりに、十八億円をもってこれから新鉱の埋蔵炭量の調査に着手するわけでございます。いまお話がございましたように、新鉱開発をどのように進めるかということでございますが、これは経済性あるいは需給環境を無視して無理に進めるということでは、これは経営の安定上好ましくないわけでございまして、そういった意味で新鉱の開発は、今後の企業の体質改善や需給環境の好転等の諸事情の成熟を待って、民間の判断と責任において進めるというのが本来でございますが、しかし、いま、先生かねてから御主張のとおりに、新しくどういうところが出てくるか、競争条件が変わってきたわけでありますから、それを、どういうような賦存状況があるかということで、今度新しくこのような埋蔵炭量の調査に薄手することにいたしたわけでございます。  この調査の進め方につきましては、今後新エネルギー総合開発機構におきまして、専門家の委員会をつくっていたします。もちろん、それぞれ一つずつ地域を順次つぶしてまいるわけでございますが、それなりに二年ないし三年かかる。いろいろな調査の方法がございます。したがいまして、私どもももちろん長期的な展望をもってやることが好ましいわけではございますけれども、今後どのような地域をどのように選択していったらいいかということについて、学識経験者の意見を十分聞いて、乏しい予算ではございますが、その金を効率的に使っていかなきゃならぬということでございます。いまの時点で五ヵ年計画とか十ヵ年計画とかいうものは具体的にはつくっておりませんが、そこはそういった学識経験者の御意見を聞きながら、弾力的にこれに対応してまいりたいと思っております。で、今後さらに、その結果に基づきまして、御指摘のような予算の確保等に十分努力をしてまいりたいというふうに思っております。従来、海底でありますとか、あるいは深部でありますとか、これまでの情報を収集いたしまして、できる有望なところから順次手をつけてまいりたい。これは私どもとしてもできるだけ予算を十分取ることで、委員会のこれからの御計画等の立案を参考にしながら努力してまいりたいと思います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 部長ね、学識経験者の意見などを聞きながらこれから立案をしていくと、こう言うわけですが、それも結構だけれども、大体通産省の事務段階で出されているのは、海上地区が二地区とか、あるいは陸上地区が二地区とかいうことを言われていますけれどもね、私も、そのことも大事なんだが、問題は、新鉱というのは、九州で有明を中心にする、対馬一帯を含む問題、この前も議論がありましたが、ともあれ、やっぱり北海道東部あるいは九州地区を中心に、どういう年次でもって一定の調査を完了していくかということを立てないと、相変わらずじゃ、やっぱり同じだと思いますよ。僕はもうこれは五十一年来、こうやって七年間しゃべっているのだけれども、一向に進まないで、ようやく今回十八億の金がついたということですからね。そういう意味からいくと、もうちょっと学識経験者の意見を聞くというのも結構です、要は、やっぱり年次計画で達成していくと。一つ一つつぶすと。たとえば釧路西部をつぶし、九州一角をつぶす、あるいは天北をつぶすというような、そういう計画をきちっと立てるべきが第一点ですよ。  これに関連して言いたいことは、やはり周辺鉱区は、もはや私企業のボーリングで開発せいと言ったって、これはもうとてもできるものじゃない、はっきり申し上げて。たとえば歌志内の、これも前の河本通産大臣時代でありましたが、桜沢鉱の開発だって、これは本来もうできていなければならぬ。当時のあれからいけば、桜沢鉱の開発は三ヵ年計画で周辺開発をするという話だった。これも実際できてないでしょう。たとえば夕張の問題に翻ったって、本鉱の周辺の開発、鹿ノ谷の周辺開発だって、これも促進しようと。あるいは上砂川地区で言うなら、文珠鉱の歌志内を含む開発をやろう、これだって出ておったわけだ。それが一向に。言葉では言っているけれども、この周辺鉱区の開発とは一体何ぞやと。これだってぼくは具体的に進んでないと思うんですよ。その意味では、新鉱開発の実施計画もさることながら、周辺の目標も決まってますから、たとえばいま北炭にまつわる問題を言うならば、旧朝日炭鉱、野村宗一郎の炭田だった朝日炭鉱のあの一角に磐の沢鉱という鉱区がある。これはそんなに設備投資をかけなくても、炭量だって相当ある。これは北大の礒部さんに聞いてもらえばわかりますけれども、これだっていまやれば、私が聞いているのは、これはやはり六十万トンぐらいから八十万トンの、そう投資しなくたって簡単にできる。それから、羽幌の一角だってそうですよ。羽幌も礒部さんに、私は五十二年に入ってもらったことがあるのでありますが、これは約十万トンある。大体一万トンベースで掘っていっても、十年間掘れる。雇用人員が三百人規模でいけば大体できる。これだってそんな坑内に欠口をつけるのじゃなくて、ほぼ露頭炭に近い形でもって採掘ができる。こういうところだってやればたくさんあるんだ。だから見直す気になれば何ぼでもありますよ、炭量計算というのは。私はそういうものは何も政府資金を使うと言っているのじゃなしに、私企業ベースでいつでも露頭採炭に近い形の中で、いま言った羽幌炭田の一角あるいは留萌炭田の一角あるいは夕張、鹿ノ谷本鉱、いまの新鉱以上の周辺鉱区の開発をやれば可能である、こういう問題だってあるのですからね。そういうものはやはりこの新鉱開発と同じように実施計画に移していく、こういうものを合わせて立ててもらいたいと、こういうふうに考えるのですが、この点どうですか。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(福川伸次君) 御指摘のとおりに、いま周辺鉱区のボーリング等を助成いたしておるわけでございますが、昭和五十二年度から消滅鉱区のうち再開発が期待される現存の炭鉱周辺の有望地域について、新エネルギー総合開発機構に委託をしてボーリングをいたしております。これは、消滅鉱区におきましては鉱業権が設定ができませんために、鉱業権者がその調査ができないということで実施をいたしておりますが、今年度におきましてはこれはボーリングを五本、赤平の周辺、南大夕張の周辺、幌内炭鉱の周辺を実施いたしております。で、いま御指摘の桜沢地区あるいは磐の沢地区でございますが、この地区につきましては、これは消滅鉱区ではございませんで、鉱業権者がみずから調査が実施できるということでございますので、むしろいま申し上げた消滅鉱区を対象にいたしました新エネルギー総合開発機構のボーリング調査の対象にはなりません。なりませんけれども、昭和五十六年度から坑内骨格構造整備拡充事業費補助金ということで、これを予算の対象の範囲を広げまして、合理的な坑道展開を図るために不可欠なボーリング工事ということを追加いたしておるわけでございます。  したがいまして、いま先生まさに御指摘のように、鉱業権者に自分でいろいろやらすということも考えたらどうかという御指摘でございましたが、今後これが開発が進んでいきますために、坑道の展開ということを図っていきますためには、この補助金は原則、たてまえといたしましては対象となり得ることでございますので、これはいままさに先生のお話のように、私企業ベースでの助成ということをあわせ行う、こういうことが必要であろうというふうに考えております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 これ、時間もありませんから、もっと詳しく申し上げたいのだけれども、ポイントは何かといえば、いまは重複鉱区のある消滅鉱区の一部法改正が今回出されたわけですけれども、私はこれもどうも基準が、これからつくると言っているのだけれども、漠然としておると思うのだな。だから問題は、いま磐の沢の例を一つ挙げましたけれども、これもそうむずかしいことじゃないんだ、ぼくに言わせれば。そういう問題についてだって、いま羽幌炭鉱の問題、一例を出しましたけれども、さっきなぜ聞いたかというと、そこを言っているんだ、ぼくは。二千万トンベースに追い上げていくためには、周辺鉱区プラス新鉱開発をしなければ、現状維持の炭鉱をつぶさないという基本に立たなければ、とても二千万トンは維持できるものじゃない。また国内資源としては当然そうしてもらわなければ困る。  そこで私が言っているのは、その原点、基礎になるものをきちっとするためには、法改正のいま出ている重複鉱区、この問題については同一炭田地域内における云々とこうあるのだけれども、同一炭田内だけじゃなくて、市町村が異なったとしても、私はその場合はやはりやるべきではないか。そういう弾力的運用というものをしていかなければ、とてもこれからの周辺鉱区の開発はできませんよ、部長、はっきり申し上げて。それはあなたは取り組んでいるようだけれども、もうちょっとそこらあたりを掘り下げて、そう数多い山じゃないんだから、北海道はもういま残っているのは目ぼしいところは十三山そこそこです。だから、山別ごとにずうっと沢を洗っていけば、沢という意味は、私の言うのはたとえば空知の南北を分けるとか、あるいは空知炭田、あるいは天北炭田、あるいは留萌炭田、釧路炭田と分けていけば、もうその中にポイントはわかっているわけだ、はっきり言えば。図面があるのですから。私だって持っていますけれどもね。そういうものを単にいまの補助金制度を骨格構造補助金とか、もちろんそういうことも結構なんだが、私の言うのはもっと思い切ってテンポを早めたことをやっていかないと、何も大幅に拡大せいと私は言っているのじゃないんだよ。そういうものを一つ一つ手をつけていけば、たとえば羽幌の十万トンだってあるではないか。あるいは空知だって全部洗えば、私の計算でいけば相当なやはり、これからの炭量計算は百万トンや二百万トンふえる見通しは出てきますよ。そういうものだって洗いざらい全部やってみる必要があるのじゃないか。だから、ぼくは現状を基礎にして、どうしたら長く延命していくか。これから七次政策、八次政策が出ると思うが、私は将来の炭鉱の延命というのは、現状の周辺を洗って、新鉱をつないで、どうしたら延命策、ずっともう五十年が百年、百年が百五十年というようにつないでいくか、こういう展望を持つべきだと思うのですよ。ところが石炭部長がかわればまた変わっちゃって、前に言ったことは鋭意また努力してまいりますとかと言葉で言うけれども、私に言わせればもうこれは完了していなければならないはずのものが完了していない、こういうことになるので、いまあなたが言ったことについては注文をつけますけれども、もっときめ細かい、山別に、私の言うのは地域別にそういう周辺鉱区の開発というものを積極的に、現行の予算の枠内とは別に、別枠というか、予算の規模の中に一項目、周辺開発促進ボーリング費用とかいうもので見てもらったらどうだ、一項目起こしたらどうだとぼくは聞いているわけだ。そのぐらいのことを位置づけなければ簡単に達成できませんよ、このことを言っているのであって、このことを踏まえてひとつ対処してもらいたい、こういうことなんですよ。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(福川伸次君) ただいまいろいろな問題の御指摘がございました。私どもとしても真剣に検討してみるつもりでございます。  いま御指摘の中で、消滅鉱区の再開発の点についての緩和をどう考えるかという御指摘がまずございました。現在この法案の中では、重複鉱区がございます場合の消滅鉱区には、これは現在一切手がつけられないことを、法律で改正をお願いをいたしておりますものは、それについても他の山と一体的に開発することが著しく合理的である場合には、それも手がつけられるように、許可制のもとに着手できるということで法律案をお願いをしているわけでございまして、その意味では制度の改正としてこれが一つの私どもとしても有力な手がかりになっていくのではなかろうかと思っております。  もう一つ、いま一体的開発の範囲をどう考えるかということが二番目に御指摘がございまして、同一市町村というようなことでなくて、もう少し広げて考えたらどうかという御示唆がございました。私どもも従来の一体的な運用の範囲にはかなり厳格な運用をいたしておりまして、これは終閉山ということでやってまいりましたために、非能率炭鉱の再発防止という観点から非常に厳格に運用してまいりましたが、最近ある程度競争条件が国内炭についても回復してきたという事情を踏まえまして、これをもう少し緩和してはどうかということを第七次策でも指摘を受けておるわけでございまして、現存炭鉱と同一または隣接する市町村に存在する消滅区域のみではなくて、それよりもう少し離れても、一体的に開発することが合理的である場合にはむしろ、コストも上昇するわけではございませんし、現存炭鉱の企業の体質改善にも役立つという、いわゆる現存炭鉱の維持に役立つという観点から、これは同一あるいは隣接の市町村に限らず、同一炭田内で一体的に開発する方が、もちろん追加投資も要らないわけでございましょうから、そういったものは弾力的にしていこうということも考えておるわけでございます。  三番目に、これをもう少し意欲的にやっていけと、こういうことでございましたが、従来からも私どももその消滅区域についての周辺ボーリングをやります予算を用意いたしまして、炭鉱周辺資源開発調査の補助金を交付いたしてやってまいっておるわけでございますので、この点につきましては、私どももその予算の確保と同時に、その効率的な運用という点につきましては、御趣旨を踏まえまして鋭意努力をしてまいるつもりでおります。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 その点ひとつ、ほかの機会にまた具体的な問題をさらに提起して本質的にこの問題はやらないと、どこの、国でも基本調査、周辺鉱区あるいは新鉱というものは表裏一体でいかないと、これからの二千万トン体制を維持することにはならない。それから、現状炭鉱を拡大することにはならない。何も僕は大幅にふやせと言っておるのじゃないんだ。現状の山をしっかり閉山させないで守っていくためには、そのことがやはり中期的な見方として、これは絶対最低限の必要なことであると、このことを言っておきます。  そこで、時間もありませんから北炭問題にひとつ入らせていただきますが大臣が就任をされた直後に、御案内の、私も十二月十八日参議院決算委員会で、時間がなくてあそこで質問いたしました。あのとき大臣は、会社更生法を出した後の記者会見もいたしておりますが、基本的に北炭再建をすることについては変わりはないと、この基本方針を堅持しながら、これから会社更生開始の段階で、もちろん裁判所所轄でありますけれども、政府としても、北炭社を中心にこれからも十分政府の最大限の制度資金運用等も含めて、再建のために全力を挙げたいと、こういうお答えを私は十二月十八日の決算委員会でいただいております。この方針には変わりありませんか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま北炭の再建問題につきましては、御承知のように会社更生法に基づくところの申請が裁判所に出されて、裁判所の判断にゆだねられておると、こういうことでありますが、私は終始一貫申し上げておりますように、ああした大災害が起こったわけでございますけれど、これからの石炭政策を進めていく上においても、何とか山の再建というものはできないか、こういうことでこれまでも努力をしてきたわけでありますし、今後とも政府としての努力を重ねて、そういう道が見出せるように、ひとつやってまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、現在は何といいましても裁判所でいろいろと審理が進められておりまして、最大の問題は管財人選任が焦眉の急ということになっておるわけでございまして、りっぱな借財人を一日も早く得る、そうして今後の方途をその管財人のもとに見出していくということが非常に大事な課題であると、こういうふうに認識しております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 再建をする基本方針は変わっていないということで、管財人をいま選ぶ段階に入っているということは私もお聞きしました。  そこで、裁判所から札幌商工会議所に来まして、商工会議所から大臣の方へ来たと。商工会議所としてはなかなかむずかしいということで、大臣からそれを受けて、最終的には石炭協会の有吉会長のところに管財人の推薦方をお願いしたと、こういう経過をたどっているわけですね、私もお会いしましたからそのとおりだと思うのでありますが。  そこで問題は、この管財人を選ぶ基本的な態度について、これはもちろん裁判所が選ぶことでありますが、通産省が選ぶ基本姿勢について、私はどなたが管財人になろうとも、まず政府の、通産省の協力を得る、それから石炭協会の協力を得なければならない。同時にメーンバンクの三井銀行の協力を得る、また札幌商工会議所を中心にして推薦の依頼があったわけでありますが、当然北海道の地域、道並びに経済の協力を得られると、この基本がなければなかなか管財人というのはどなたが管財人やるにしても私は、その基本が、しっかり協力していきますよと、これがやはり管財人選びの原点ではないかと、こう思います。したがって、その枠組みといいますか、枠組みというのは、私の言いたいのは、やはり石炭協会もしくは通産のOBあるいは北海道の地方経済、これはもちろん複数になるか単数になるか別にしまして、そういう枠組みの中で、いまの段階では石炭協会の会長に推薦方をお願いしたということですから、そういう意味では協会長の判断にゆだねるわけでありますが、ある程度そういうものの背景、先ほど、前段に申し上げましたそういう背景がなければ、なかなかこれはやはり管財人ということは早期に成立は困難ではないか、こう思いますが、この点大臣の、そういうものの考え方について、ひとつお伺いしたいと、こう思うのですが。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 管財人の選定が難航しておる、こういうことでわれわれも心配をしておったわけでございますが、御承知のように、先般裁判所から北海道の商工会議所に管財人の選任について正式な依頼があったわけでございます。そこで、商工会議所の今井会頭ほか幹部の方が早速私のところへ見えまして、地元としても何とか北炭問題については協力したいと思っておるけれど、非常にむずかしい問題も抱えておって、いろいろと北海道の中で候補者を当たってみたけれど、なかなかいい人を得ない。そこで何とか政府の方で考えてもらえないだろうかと、こういうお話がございました。私から、やはり北海道の経済界が北炭の問題に対しては積極的に協力をするという姿勢がこの段階においては非常に大事じゃないでしょうか、そこで、ただ人がいないからといってあきらめるということは、何か北海道の経済界が北炭を見放したというふうにとられても非常にこれは残念なことではないか、ですから、もう一度重ねてやはり努力をしていただきたいということで、第一回の会談は、いわばもう一度私からお願いをして裁判所の意に沿った逃走を急いでいただきますように、重ねてお願いをしたわけであります。今井会頭の方も努力してみますということで帰られてまたさらにやられたようでありますが、なかなかやはり人を得ないということで、再度私のところにお見えになりまして、非常にやってみたけれど、もう管財人の候補を得ることができない、こういうことでございましたから、それでは裁判所のせっかくの要請でもあるから、北海道の商工会議所が推薦をするということは、これはひとつぜひしていただきたい、この管財人の候補については私の方であっせんをしてみましょう、そのあっせんした候補を商工会議所として裁判所に推薦していただく、そして商工会議所も今後の問題について協力すると、こういうふうにしていただきたいということで了承してお帰りになったわけであります。早速いろいろと検討しましたけれど、やはりこの困難な問題を打開していくには、石炭協会の協力を得るしか道はないんじゃないかと、こういうふうに判断をいたしまして有吉石炭協会の会長に来ていただきまして、私から、もうこの段階になれば石炭協会でひとつ推薦をしていただく以外道はないと。北炭問題とはいえ石炭産業全体の問題ということを認識していただいて、ぜひとも早急にひとつ候補者を選んでいただきたい。私が御依頼をする以上は、政府としてもできるだけの御支援はいたしますと、こういうことでお願いをいたしたわけでございます。有吉会長も、非常にむずかしい問題であるということで頭を抱えておられましたが、そこまでくれば自分としても、それじゃ石炭産業全体のひとつ問題としてとらえて、私の方から推薦をするようにあっせんをしてみましょう、努力しますと、こういうことを確約をして帰られました。私は、早くひとつしていただきたいということをお願いをいたしたわけでございますが、しかし管財人をお願いをするとしても、なかなかやはり無条件でただ引き受けるということはいまの情勢から見ても困難であろうと思う。そういう点については、いろいろとこれから通産省とも綿密に連絡をとりながら、適当な管財人を得るようにやってみますということでございましたので、今後は有吉会長、例によって目下人選が進められておると思いますが、私、一日も早く候補者が選任されることを心から念願しております。候補有が決まり次第、商工会議所の方に連絡をしまして、商工会議所から正式に裁判所の方に回答すると、こういうことになっておるわけであります。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま大臣から詳細に札幌商工会議所後の経過がございました、一日も早くということ。それから、やはり通産省が協力するという基本がない限り、これは管財人は出ないと思いますよ、私は。出ないというより、そういうものだと思いますよ。私はなぜこういうことを言うかといったら、いま現地で非常に人心に動揺が起きています。まあこれは率直に言うけれども、いろいろな情報が流れまして、もうこれは萩原吉太郎、北炭社は、四月上旬の予定で遺体が救出される、この状態になったらこれはもう逃げだと、政府も遺体が上がったらこれで逃げるんだと、こういう情報が末端にもう全部浸透しちゃって人心不全安、動揺等起きるということはどういう現象なのかと言ったら、そういう空気になったら労働者が離れちゃうのですよ。ぼくが心配しているのは。そういう労働者が引きとまらなくなってしまったら、再建したくてもできなくなっちゃう。そういう、人心が非常に動揺しているさなかですから、いま大臣もお答えになったけれども、一日も早くひとつ有吉会長にということですから、それはそのとおり結構なんですが、私はもう一歩突っ込んで、なぜこういうことを言うかといったら、そういう人心を早く安定させることがいま一番急務だと。私のところへも大体夜電話が来たり、手紙も見せますけれども、手紙が来るようになったということは、それだけいかに騒ぎが怒張しているかということですよ。どうせだめなものだったら見切りをつけなきゃならぬとか、そういうことがこれはもう本当に来ているわけだ。猛烈に来ているんですよ。だからそういうことがあるだけに、しかもこの七百二十億の一番債権者というのは政府である。それから政策的にも政府がやはり先頭に立つべきだ。同時に、三井銀行というメーンバンクの銀行がありますけれども、政府は最大の債権者ですからね、どう言ったってこれは。だから、そこに基本的な姿勢を置かれて、いま動いているということですからあれですけれども、一時は通産OBということもちょっと流れたんだ、はっきり言って。安倍通産大臣と岡田副議長との間でも通産OBという線が出た。ところが、そのOBがどっかへ消えちゃった。今度は石炭協会有吉会長にいったということは、もうOBが体をかわして逃げたんじゃないのかと、通産官僚がそれに反対して大臣もついに通産OBを断念したのかと、こういう懸念さえ持つくらいのことが向こうで出ているわけです。そこへ、有吉会長のところへいったというのは、やはり石炭協会というペースで、協会のラインでもってそこへ的がしぼられたのかと。こういう動きなどが盛んに右往左往するものだから、右へ寄り左に寄り、情報が乱れ飛んでいるものですから、私はその点心配するわけですが、遅くとも私はもうあと、三月いっぱいといったってきょう二十三日ですから八日足らずしかないのですけれども、一刻も早くというか、三月をひとつめどにいかないと、どうも心配しているのは、そういうことは、さっきもないということですからないと思うんだけれども、遺体が上がった段階では会社も逃げるし政府も逃げるんだと、こういう情報がある限り、やっぱり管財人を早く決断をさせる。それには私も条件つくと思いますよ、大臣言ったとおり。それには、私は国鉄再建じゃないけれども、これは三万一両損でいく以外ないと、はっきり申し上げますよ、これは。政府も犠牲を払う、労働組合ももちろん協力はしなければならぬ。それからかつての北炭社、三井観光の萩原吉太郎会長、私ももう三回、前後会った。きょう時間がないからこれは言わないのだけれども、私は大蔵省や、あっちからこっちから全部資料持ってますよ。これは三井観光の利権証明ですよ、全部。ホテルから不動産、利権全部持っています。これは正確に言うと六百八十六億ある。確かに三百億の担保は入っている。六百八十六億の物件があって、今日ただいまの時点で倒産したとしたって三百八十六億というものはあるんだよ、これ、はっきり言ったら。子供だってわかることだ。裁判所からや何かの、全部取った書類がございますよ、ここに。きょうは時間がなくなっちゃったから申し上げないのだけれども。こういう問題もあるので、やはりこういうパターンを考えると、私はいつも言うのだけれども、そういう原則に立つとするならば、これは通産省だって大臣以下責任持ってかぶらなきゃだめですよ、僕に言わせれば。もちろんかぶって努力は払われているけれども、その点の姿勢に立つとするならば、この段階で石炭協会と、こう言った限りは、それじゃ協会の有能な、かつて経営マンだったと、あるいは技術マンだったと、銀行に信州を得られると、あるいは政府もいま協力すると、こう言ったんだから、そういうパターンから考えたら、もはや通産OBというパターンから石炭協会の実力者あるいは経営体験者ということに変わったのかと、ここへ的をしぼられたのかと、このぐらいのことをやっぱり——大臣、何もどうこう私、言っているのじゃないんですよ。そういう核心のところへもう来たと。そういう意味では、今月末を目途に一つの答えが出ると、こういうふうに最善の努力を、もちろんあなただけが努力して私ら知りませんと言っているんじゃないのだから、私も三井鉱山の一員ですからね。有吉会長、三井鉱山のかつて会長ですから、それは阿具根先輩もここにおりますけれども、阿具根先輩を含めて努力してもらいますけれども、私もやりますけれども、しかしその姿勢が政府に出てこないと、もちろん出ましたからあれですけれども、やっぱり三月末をめどにあらゆる決断をさせる、この姿勢をまずとってもらいたいということをお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) せっかく有吉会長が困難な情勢の中にあってあえて引き受けられたわけでありますから、有吉会長にこれはすべてを人選は一任するということでなければならぬと思いますし、有吉会長も現在、鋭意人選を進められておると思っております。ただ私どもとしては、いまお話しのように一日も早い人選が行われることを念願しておるわけでございますが、いろいろと検討する問題もあることでしょうから、やはり時間としてもきょう、あしたというふうなわけにはいかないだろう。私がお願いをした時点では、少なくとも二、三週間ぐらいのことは必要じゃないか、こういうふうに判断をしたわけでございますが、まあ何とか一日も早い人選が行われることをお願いをし続けていきたいと、こういうふうに思っておりますし、有吉さんも責任を持たれた以上は、必ずりっぱなこれからの北炭問題に対処できる有能な管財人を推薦されることは間違いない。まず、やはり管財人が決まらないと、現在の段階では遺族に対する補償金につきましても、まあこれは政府としてもいろいろと関係者に要請も続けてまいりまして、その結果として何とか支払われるというめどもついたようでありますし、まあ出炭も続けておる、こういう状況でございますから、問題は管財人が選ばれるということが最大の焦点である、こういうふうに思っております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 そういうことで大臣も積極的にやることに努力をするということですから。ただ、そこで問題は、この管財人を選ぶに一刻も早く出すと、こう言うのだけれども、選ぶような環境づくりをしなきゃ私は出ないと思いますよ。環境づくりとは一体何だと言えば、これはまある炭部長にひとつお伺いするのだが、大臣もお答えしてもらっていいけれども、問題はこの可採炭量の埋蔵量の計算が食い違っていると、こういうわけだ。何回も計画を持ってくるけれど通産省は突き返し、また通産省に持ってくる。ここらあたりが非常に誤解を招くというよりも、これまた不安の一つになっているんだ、現地では。ところが、通産省も責任ある指導をやはりすべきだと思うんだ、僕はね、はっきり言って。この計画はだめならだめで、何回も突き返すんじゃなくて、これは最低限度ですよというものを出さなきゃならぬ。時間がありませんからポイントを言いますよ。炭量計算で残炭量が七十七万一千トン、これは北炭の一応の計画でなっている。それから平安八尺は五百六十七万トン、それと北第五の展開を今後どうするかということを入れない限り私は政府負担金は成り立たないと思う、やはりこの基本は。これが一つです。ところが、これは全部協会のペースでいけば、いや五十万トンそこそこだとか、通産省も五十万トンそこそこだという。それから平八については四百五十万そこそこだという。北三は災害の起きた現場ですから、もちろんこれは災害原因を究明しなけりゃはっきりしませんけれども、そこらあたりが、接点がまず一点どこが違ってるんだと、こういう環境づくりをひとつやってやる必要があると思うんだよ、僕は。どうも聞いてみると、手練手管にただこう突き返し、また持ってくると突き返しというふうなことをやったのじゃ、そんなもの成り立つわけないでしょう。私が管財人だってこれは簡単にオーケーとは言いはしない。それが一つだ、私の言いたいのは。それと資金計画の問題にしても、平八についても、まあ全体これからの再建更生開始の場合には二十億程度の金はどうしても必要だと。つまり制度資金はもちろん、政府の資金も考えています。ただ、私が言いたいのは、私はずいぶんこれ三回萩原さんに会ってここで言えないことを言っているのだ。もう相当萩原さんも頭にきていると思うが。私はなぜ言うかといったら、炭鉱労働者の汗と血の結晶が三井観光だった。当然これはいま再建のために責任を果たすべきだ。私だから言っているんですよ、こういうことについては。ただいま言いたいことは、政府としてこの三井観光に対して、あるいはこれはもちろん直接のあれではないが、あなた方も再建のためにこれぐらいのことはすべきではないかと、こういうやはり僕は政府の指導なり政府の行動があっていいんじゃないかと思うのですよ。もちろん会長でもない、社長でもない、法の権限はないということを百も承知だ。だけれど私だって、なぜ会うかといったら、そういうことがあるから会っているのだ。だからこの前だって、参考人を全部呼んでくれ、三井銀行の会頭からあるいは北炭社の社長から萩原さんから全部呼んでもらって、この場所で本当に再建が可能かどうかということ、参考人で呼べと言ったが、なかなかこれもまあ、いままだ衆議院では一致していないけれども、僕は参議院で一回やってもらいたいと思っているんだよ。これが、管財人が出られぬようなことになったら大変なことになりますからね。だからそういう点についてはどうなんだということなんだ。どうもそれがわかっておるようなわからないようなことを相変わらず言う。政府も言っているし、また北炭社もわかったようなわからないようなことを言っている。それではだめだと思うんだよ。望月調査書によればもはや合意に達していますと、更生開始の段階は来ましたと、こう言っているわけだ。私はもう当然これは条件がつくと思うのだけれども、そこらあたりはっきりもう詰まっているなら詰まっていますという環境をつくってやらぬと、管財人は促進できますか、これははっきり言って、部長。大事なのはここなんだよ。こういう環境づくりをやって初めて管財人が早期に選定されると、こう思うので、うらはらの関係だと私は思うんだ、この問題は。私も実際動いているからわかるのだけれどね、その点はもう一歩やはり踏み込んでもらいたいと思うのですよ。どうですか、この点は。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(福川伸次君) 私ども、先ほど大臣が申しましたように、この更生開始決定、あるいはさらに管財人の選人、それから更正計画の策定、これは裁判所の判断にゆだねられておるわけですが、その前提としてもちろん裁判所が理解をする、さらに関係更生再建者等が理解をするということが前提として非常に重要でございますので、裁判所を初め関係者あるいは私どもも納得あるい理解、支援し得るような計画にするということが非常に大事であるということで、私どももいろいろ助言もし、また石炭協会にあっせんもいたしておるわけでございます。私どもも会社に対しましては幾つかの問題点、いま平安十尺層の残炭の炭量の評価、平安八尺層の評価等ございましたが、私どもとしてはそれなりの問題点は初めから強く御指摘を申し上げておりますが、会社側からそれに対して、たとえば従来一たん放棄した採掘場所を再度もう一回掘る、そのときの保安上あるいは技術上あるいは採算上どうかという点については御回答がございません。私どもとしても十分検討をして、いろいろなことが関係者の納得のいくようなものにしなければならないので、私どもも再三その問題点は御指摘申し上げ会社に検討を求めておるわけでございます。  また、いま資金計画のお話がございましたが、たとえば会社は六十年度までしかこの資金の見通し、採算の見通しをつくっておりませんが、あれを仮に三百万トンと見るか、四百万トンと見るか、五百万トンと見るか、いろいろそれは技術的な評価の問題、採算の見通し等から評価をしなければなりませんが、それで全体として見て、それを採掘し終わったときに返済可能な炭鉱になるかどうかという見通しを立てることが非常に将来重要でございますので、六十年度以降にわたります採算の見通しもつくるように再三指摘をいたしてございますが、会社の方としてはそれに対してまだやっていないというのが現状でございます。私どもももちろん相当踏み込んでいろいろやっておるつもりですが、企業自身がどうするかというのがあくまでも根幹でございまして、やはり北炭の企業が労使を含めまして自分のものとしてこの山をどうするかということがあくまでも基本でございます。私どももできるだけの支援はいたします。支援はいたしますが、経営をいたしますのはあくまでも労使、企業でございますので、私どもとしてはできるだけの支援、協力はいたすつもりでございますけれども、やはり自分の問題として十分取り組んでいただきたい。しかも最初から大臣も申しておりますように、いろいろな環境が、条件が整えば政府としても支援をいたしますということを申しておるわけでございまして、問題はそういったいま先生も御指摘のように条件を整えられるかどうかということでございます。  先ほど先生は、どうも遺体が上がれば萩原さんあるいは政府は見放すのではないか、こういうふうに地元が不安になっておられるということでございます。地元の不安のお気持ちも私どもわからぬではないわけです。私どももいろいろ努力はいたしておるわけでございますが、遺体が救出できる、遺体が遺族にお返しできるということは、これは再建に至ります障害が一つ除かれるわけでございまして、そうなったときに人が見放すのじゃないかという消極的あるいは他人依存型的な発想でなくて、障害が除かれたのだから、さあ再建するんだという、どうしてそういう積極的な気持ちにならないのかという点が僕らとしては疑問に感ずるわけでございます。私どもとしてもできるだけの努力はするつもりですし、いま石炭協会の技術的な支援も求めております。  それで、いろいろあちらこちらでいろんな御意見が出ております。いま先生も条件等が必要だろうということもおっしゃいました。私どももそれは北炭で再建できればそれにこしたことはありませんが、もし仮に北炭という企業で無理だということであるならば、別の経営のあり方ででも何とか山は残してもらいたいという声を地元からも伺い、あるいは衆議院の石炭対策特別委員会でもそういう御意見を私ども承っております。私どもとしても山は何とか残したいと、ぎりぎりの場合にはそれも考えて、できるだけの条件等をつくりたいと思いますが、そういった条件を何とか整えて関係者の理解が得られるように努力をいたしたいと思いますが、また私どもとしてももちろん地元の方たちあるいは企業あるいは労使と十分お話もするつもりでございますし、それから石炭業界さらにまた北海道の地域経済、それから銀行等にも話をして、その環境醸成に努力するつもりでございますが、もちろん企業関係者にもひとつぜひそういう他人依存的でなくて、自力更正と申しましょうか、自助努力と申しましょうか、そういった積極的な発想になってこの再建に取り組んでもらう。その企業のそういった取り組みこそ私どもとしてはこの再建の一番の根幹ではないかと。条件さえ整えば支援はいたしますということを大臣も冒頭申しております。その条件醸成には私どもも引き続き努力をしてまいりますので、その点はひとつぜひ先生も御理解を賜りたいと思います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 私はね、部長、そのことは百も承知、全部知っておるから、そういうやりとりはしたくないんだけれども、ポイントはここよりないのですよ。衆議院でも交わされたけれども、岡田同僚議員から言われておりますが、要は縮小していく道はあるかと、あるいは他に発想を転換していく道はあるかと、いろいろなことがあるでしょう。私は、ここだと思うんですよ、ポイントは。二つよりないと思う。一つは、九十億の労務債をどうやって処理するのか、これをまず片づけないことには、縮小であろうと新たにやろうと、このことをしょって更生企業に乗せたら賃金払えるわけないじゃないですか。更生開始の中に九十億の負債をしょわして立ててみたって、これはまた賃金の遅配をやるかあるいは大量の首でも切らない限りできっこないよ、こんなやり方。それが一つ。  もう一つは、生産計画です。やはり炭量計画が狂ったら、私も炭坑マンだから言うわけじゃないけれども、これは何年で炭量が採掘が完了するのか、何年でペイになるのかという問題でしょう、答えは。そこらあたりが一体きちっと整理しておかないと僕はだめだと思うんだな。だから、第一のコース、第二のコースとかそんなことを言う、まあそれも大事かもしらぬが私は、いま一番大事なことは、労務債の九十億は旧会社に責任を負わせるなら負わせる。あくまでも更生開始の段階では、更生開始の新たなる体制でいくならいくという、これも一つの考え方。私は、はっきり申し上げますよ。それから、そうでなくて、その一定の労務債なら労務債は旧会社に三分の一持たせます、まあ額は別にして。政府も制度資金を最大限運用しましょうと。いいですか。それから、銀行にも最大限の協力を仰ぎましょうという現状のパターンの中で、一応のそういう区画整理をする。僕は衆議院のやつも読ましてもらったけれども、何だかどうもそこらあたりがポイントわからないんだ、はっきり申し上げて。労務債の九十億はどうやって処理するか、どういう更生開始に乗せていくかという、これは私が管財人なら条件づけますよ。つけるというのはそこだと思うんだ。労務債九十億は政府も一端の責任をどういう形でいくか、どういう指導をするのかということが一つと、旧会社にやっぱり責任を持ってある程度の労務債の完済を果たさせる、それは政府がどういう手を打つのか。それから、銀行はその段階でどういう手を打たれるのか。こういうものが組み合わさって、初めて私は一つの更生開始という段階に乗せることができるし、管財人もそういう条件が克服されるなら私も引き受けましょうと、こうなると思うんですよ、私に言わせれば。私は、そういうものだと思うんだ、実際私自身も動いているからわかるんだけれども。大臣もその点は一致すると思うんですよ。  そういうことについて、もちろん裁判所がやることであるけれども、そういう問題の環境整理を通産省の段階で果たしてやった方が管財人を選ぶことの早道ではないかと、こういうことを私は言っているわけです。何もしかっているんじゃないんだよ。そういうことを、どうしたら早くそういう環境整理ができるか、お互いに、それじゃ国会の先生方こうやってくださいとか、労働組合こうしてくださいとか、協会さんはこうしてもらおうじゃないかと、こういうことがあったっていいと思うんですよ、私は。何もあなた方だけ怒っているんじゃないんだよ。そこまでいかなければなりませんよ。ただ選びましょう、お願いしますよというだけでは成立しませんよ。その点どうなんですか、はっきり言って。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○政府委員(福川伸次君) 先生の御指摘の問題、再建をいたします場合には、これはどうしてももちろん制度融資等を最大限に活用はいたしますが、さらにまた、再建のための資金ということをまたさっき先生もおっしゃいましたように、メーンバンク等々から持ってくる、こういうことも必要になってまいります。おっしゃるように、そういった条件をつくるということが非常に大事なわけでありますが、いまはどういう方向でいくかということを、いろいろなアイデアが出ているということで私も申し上げただけでございまして、これはいま会社が会社更生法に出しておりますゆえんの会社の意思は、北炭として再建をいたしたいということがまず基本にございますわけですから、いま先生のおっしゃったような内容にどういうふうになっていくかということは、これはまた更生の過程でいろいろ出てまいると思います。  いまおっしゃった問題というのは、御指摘の点私も重々よくわかります。それは、今後もちろんどういう経常形態でやっていくのがいいかということが出た後をどうするかということで、いまおっしゃったような問題が出てまいるわけでございますので、石炭協会等も、そこは引き受けるに当たりましてどういうことならできそうかということを十分検討いたしておるところでございます。  私どもとしてもいま御指摘になられた問題というのは、非常に重要なポイントだということは十分わかります。わかりますので、それは今後どういう形態で、北炭ということで再建するというのがこれは第一義でございますが、そうでない場合はどうなるのか、その場合にどういうことになっていくかというのはおっしゃるような炭量計算の問題、それから労務債の問題、さらに新規の資金需要の資金調達の問題、こういったような問題は、そういうことを全体として石炭協会でも引き受ける場合には十分考えると思いますし、私どもも十分研究しております。また、その際ある程度方向性が出てまいりましたときには、これはもう関係者が一体となってやらなければ道は開けないわけでございますから、その点はまたいろいろ十分その段階で御相談させていただき、また、御指導にあずかりたいと思います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 そこで、大臣ね、私はこういう提案をしたいんですがね。いま私ここで幾つか出しました。たとえば生産計画に対する最終的な炭量計算あるいは生産計画の達成、これは一つのものですがね。それと資金計画、それから労務債の返済計画、どういう労務債処理をしていくのか、その上に立って経営主体がどうなるのか、これは整理しちゃうと、この四つになるんですよ。私はこれは大臣に提案したいんだが、一回そういう問題について関係者と、これは超党派でやるべきものだと思うんです、原則的に。だから、一応政策段階が一つ、あるいは銀行段階のレベルが一つ。それからざっくばらんに申し上げますけれども、いま債権番の主体になっている北海道経済というものが一つありますけれども、そういう関係者に、個別でいいから意見を一回全部出し合ってもらって、大臣のところでひとつそういう計画がどこでどうすればどうなるかというのを策定してもらいたいと思うんだね。僕はそういう意味の角ばった委員会とかそんなことを言っているのじゃなしに、個別指導でいいから一回そういう問題をきちっと整理してもらって、これはやはり有吉会長なら会長の万に提言をして、そうして早期に表裏一体となって管財人を選んでいく、こういう方向に一歩踏み出してもらいたい、こう思うのですが、いかがなものでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 管財人の人選につきましては、先ほどから申し上げましたように、石炭協会有吉会長に一任をしておりますから、これは私どもがとやかく言う段階ではないと思います。責任をもって選ぶ、こういうことで推薦をするということでありますから、全く信頼をしてお願いをしておる、こちらからとやかく言うことはできないと思いますが、管財人を選ばれるに当たりましていまお話のようないろいろの問題につきまして通産省とも御相談はあるわけでありますし、そういう中で通産省としてどれだけのことができるか、こういうことも相談もしていくわけでございます。  そうしてまた、管財人が選ばれた暁においては、これはもう管財人だけで山が残せるということじゃないわけですから、やはり各方面の御協力がなければなかなかむずかしいことになっておりますから、したがって、管財人が生まれましたら早速その管財人の御努力と相まって、われわれとしても各方面の意見も十分お聞きしながら管財人の方針、方向に対して協力をしていかなければならぬ、政府としてもできるだけのことをしなきゃならぬ。その協力に当たりまして私どもが各方面の意見をお聞きしながら管財人と相談していくということは、これは当然のことであろうと思いますし、ぜひともそうしてまいらなければ、これは北炭の将来というものがあり得ない、こういうふうに思っております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 そこで、大臣に申し上げておきますけれども、まず早期に管財人を選ばれる環境ということを政府としてもいま一歩積極的に進めてもらいたいということが一つ。  それから管財人確定の段階ではいま言った問題が整理されなければならないわけですから、もちろん条件もつくと思いますけれども、そういう点ではやはり政府が積極的なひとつ行政指導上の役割りを果たしてもらう、こういう二つを確認しておきたいと思うんですが、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん私が政府を代表して管財人の人選を石炭協会にお願いしているわけですから、それだけの私どもは責任があるわけでございまして、そういう責任を自覚しながら管財人が生まれた暁におきましては政府としてもできる限りの協力をしたい、そういうふうに考えます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま責任ある立場で措置をするという大臣の力強い最後の結びがありましたから、それでひとつ一刻も早く管財人の早期決定を実現していただいて、更生開始の実施段階にこぎつけてもらって、一刻も早く山の不安が解消することが先決ですから、このことを特に申し上げておきたいと思います。これは大臣の御所見がありましたから答弁は結構です。  それで一つだけ、ちょっと緊急に通産省に関係ある問題にしぼって実は申し上げたいのでありますが、これはおとといの三月二十一日、浦河地震にまつわる災害につきまして一応簡潔に、時間もありませんから一つだけ申し上げます。  国土庁来ていますね。——それから開発庁も来ていますね。——これはもうすでに災害内容は知っていますけれども、いま私のところに入っているのはこれは大変なことであって、震度六の烈震があそこでとまったというのは、これは不思議なぐらいだというくらいに言われていますけれども、いまや一番困っているのは何かと言ったら、私も後援会も現地にありますけれども、商店街が軒並み店の陳列棚は壊れちゃう、とにかく商店のものは全部がたがたになってしまっているということで、それから店は他に移らなければならない、移る店はないということで大変だということになっておりまして、時間もありませんからくどくど申し上げません。  これは虻田災害のときに、私も災害特別委員会やっておりましたから、虻田のときの商店街に採用いたしました中小企業金融公庫の融資対策、これは特別指導をぜひひとつやってもらいたいということが一つです。  それからもう一つの問題は水道。いまだに水の問題が解消していない、道路がまだいま国道本線が完全にシャットアウトされている、鉄道の問題がある、総合問題ございますけれども、当面緊急の、とりあえず毎日生活する衣食住にまつわる水道の問題、それからガスの問題、それから当面のせめて道路の交通網の問題、これだけは緊急手だてをひとつしてもらいたい。もちろん激甚災害法とか災害救助法を適用せいとは私は言いませんけれども、当面対策としての、先ほど言った通産省の場合は中小企業金融特別対策をぜひ行政指導でタイアップをしてもらいたい、このことを申し上げますが、この点に関してのひとつお答えをいただきたい、こう思います。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 現在、先生御指摘の点につきましては札幌通産局を通じまして、特に私ども中小企業の被害状況につきまして鋭意調査中でございます。  現在検討中のものといたしましては、先生ただいま御指摘いただきました政府系中小企業金融機関によります災害復旧貸し付け、この発動を考えておりまして、有珠山の爆発時と実質的には同じような対応ができるような方向で鋭意検討中でございます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 国土庁ちょっと。

小松原茂郎国土庁長官官房震災対策課長

○説明員(小松原茂郎君) 本日夕刻、関係機関によります連絡会議を開催する予定にいたしておりまして、そこで協議して、関係機関と協力しながら万全を期したいと思っております。

楢崎泰昌北海道開発庁総務監理官

○政府委員(楢崎泰昌君) 北海道開発庁といたしましても、昨日、現地に係官を派遣し、公共土木等の調査をいたしている最中でございます。ただいま先生が言われました道路につきましては、現在、三ヵ所交通どめをいたしている状況でございます。そのうちの二本につきましてはきょうじゅうに復旧が予定されているところでございまして、あとの一ヵ所も迂回路を通じまして交通路が確保されている状況でございますが、なお今後とも先ほど国土庁言われました連絡会議等を通じまして、北海道庁とも密接な関係をとりまして、鋭意復旧に努力してまいりたいというぐあいに考えております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 これは通産省に一つだけ申し上げておきます。  私は、虻田災害のときも大変直接指導を触ったわけでありますが、やはり往々にして、いま言った有珠山の場合のときもそうでありましたが、なかなか政府系の中小企業金融公庫あるいは商工中金あるいは国民金融公庫と、なかなか該当が非常に問題があるということでずいぶん漏らされたケースもあるわけですよ。災害の現今は私はよく待ったなしという言葉を使うのだけれども、これだけはひとつ待ったなしに届け出があった場合は、それに、むしろ届け出なくても積極的に行政指導をして手だてをしてやると、こういう措置をぜひ講じてもらいたい。虻田の教訓としてひとつ申し上げておきたいということが一点です。  それから開発庁の方は、何といっても道路が陸の孤島みたいにいまなってしまっているわけですからね、まあ監理官御存じのとおりでありまして、一刻も早くこの陸の孤島を解消してやるということと、水道がいまなおやっぱり未解決で、衣食住の問題ですからね、これはひとつ国土庁挙げて関係官庁とも早期解決をしてもらいたい。このことを要望して、私の質問を終わります。  以上です。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 最初に、通産大臣の所信表明についての点で二、三お尋ねいたします。  通産大臣は、所信表明の中で、現下のわが国の経済は、個人消費の低迷、中小企業の設備投資の停滞等内需回復の足取りが緩慢なまま過度に外需に依存した状態が続いており、もはやこうした外需依存の経済状態を続けることが許される状態ではないと、こういうふうにお述べになっておりますが、これまで辛うじて景気を支えていた輸出の伸びもこのところ急激に鈍化して、ついに昨年十月から十二月の実質成長率は年率換算でマイナス三・五%となっております。    〔委員長退席、理事野呂田芳成君着席〕 すなわち七年ぶりにマイナス成長を記録するに至っておるわけでございますが、このままではわが国経済は失速状態に陥るのではないかと懸念されるわけでございますが、通産大臣の景気の現局面に対する認識と景気の先行きについての見通しをお伺いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国経済は依然として内需回復の弱さが続いておりますが、さらに加えて輸出の増勢も鈍化をしておる。この結果、第三・四半期の実質国民総生産は約七年ぶりにマイナスになったわけであります。また、この景気の先行きにつきましても全体的に見まして明るい見通しが見られない。こうした状況の中で経済の先行きに対する国民の信頼を失わせないためにも積極的にやはり景気浮揚のための努力を行うことが必要ではないかと考えております。  政府は、しばしば申し上げておりますように、今後の景気対策として、公共事業の思い切った上半期前倒し、さらに金融政策の機動的な運営、あるいはまた住宅建設の促進等につきまして今後とも鋭意努力を行う考えでございまして、通産省でも四月の初めには全国の通産局長を集めまして、全国の中小企業の実態であるとか、あるいは住宅建設の実情であるとか、あるいはまた倒産の現況であるとか、そういうものを全体的に報告を聞きまして、その結論等も踏まえまして、四月には場合によっては政府として今後の景気対策について一つの方向を打ち出す必要があるのじゃないか、そういうことについて私としても判断をして、政府としての対処を求める時期が来ればまとめなければならない、こういうふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 この点は経企庁長官はどのようにお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 私もいま通産大臣がお述べになったとおりだと思います。非常に厳しい状態だと考えておりますが、これからはいろんなやはり工夫が必要でなかろうか。しかも積極的な工夫が必要でなかろうかと、こういう感じがいたします。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 内需の低迷のためにやはり業種、規模、地域による各種の跛行性も顕現化しておるわけでございますが、不況のやはり影響は、特に素材産業と中小企業に集中的に私はあらわれておるんではないかと、こういうように見るわけです。政府は三月十六日の閣議で公共事業の前倒しを決められたわけでございますが、四月には総合景気浮揚策を打ち出す方針をいまもお話ししていらっしゃるわけでございますが、通産大臣は来月の総合対策の中で中小企業対策、特にまた構造不況業種に対する対策を、どのような施策を織り込む考えか、一つは骨子的なことでも結構ですから御説明願いたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま経済全体が少し沈みがちになっておる、こういう状況でございますが、特にいま御指摘のように、大企業の中においては素材産業の非常な不況、それから大企業と中小企業間の格差が広がりつつある。あるいはまた地域においては北海道だとかあるいは東北、四国、九州という地域がほかの地域に比べて落ち込んでおる、こういう非常に跛行性が強いわけでございまして、そうした問題に対してもできるだけの対策を進めていかなきゃならぬ。特に素材産業につきましては、いま産業校増審議会におきましていろいろと具体的に検討をしていただいておりまして、この検討の結果を踏まえてこれが対策を進めることは当然でございますし、また中小企業につきましては、基本的にはやはり内需が出てくるということが大事なことでございますが、そのための公共事業の前倒し等を初め積極的にやらなければならぬわけでありますが、中小企業対策としては、そういう中でたとえば金利の問題等につきまして、もう一歩これが対策を進めることができるかどうかという問題であるとか、あるいは資金量についてこれを十分確保するということも必要でありましょうし、あるいは倒産防止のための現在いろいろと中小企業に対してあります制度をフルに活用していくということも大事であろうと、こういうふうに思うわけでございます。公共事業の前倒しの中では、特に官公需の中の中小企業向けの官公需をやはり積極的に前倒しをしていくということも中小企業対策としては重要なことではないだろうか、こういうふうに考えております。現在も中小企業に対してはいろいろと配慮をいたしておりますし、予算措置も講じておりますから、そうした制度、予算等をフルに回転をする、あるいはまた工夫をこらすということにして積極的なひとつ体制を進めてまいりたい、こういうように思っております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 そこで、いま通産大臣も、先ほど経企庁長官もお述べになりましたが、やはり政府がいままで行う不況対策というのはもう一定の一つは紋切り型で、型になっておるわけですね。たとえばいまおっしゃったような公共事業の前倒したとか、これもやはり第一次オイルショック以降からずっと不況対策としてみんなとられた一つの型でもあるし、方法なんですね。それからまた金利の引き下げだとか、こういう傾向が一つはパターンになって不況対策がずっと行われてきておるわけですけれども、いまお話の内容等もやはりこの域を脱していないような状況ですけれども、ここで特に経企庁長官に今回の不況と元来からの不況というものに対して、同じケースなのかそれとも今回の不況というのは一つは性格が違ったものなのかどうなのか、ここらあたりをよく分析し今日の場合は対処する心理があるんじゃないか。たとえて言えば、一点はっきりしておるのは、従来はやはり外需依存の問題等についても、何とかかんとか内需に切りかえると言いながらもその実質は外需が伸びて、また外国もしぶしぶだけれどもこれを許してきたというような状況下の一つは日本の経済の動向であったわけですけれども、やはりここらあたりまで来るとそういういままでの柔軟的な考え方では対外環境というものは許さなくなってきている、そういうような問題等もあわせまして、かなり今度の不況というものはいままでとは型が変わった方向に出てきておるんではないかということを私たちは非常に心配しますし、まだこれからの中小企業対策等についてもそういうことを非常に懸念するわけですし、だから特に中小企業等についてはもう落とされるところまで落ちてきておるような状況の業種がかなり多くなってきておるわけでございますので、もう一回やってみなければはっきりしたことはわからないというような対策はここらあたりでもうとるべきではない。やはり絶対にやるならばそこに救済の対策が必ずできるというようなものを考えていかなければならないんじゃないかと思うのであります。そういう点で一つは今回の不況の状況の認識と、それからこれに対する経企庁長官として適切なものがいまお考えがあるかどうか、経企庁長官の立場で説明いただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 第一次石油危機の後の不況と第二次石油危機の後の不況、現在の状態でありますが、若干違っておるように思います。一つは、第一次のときはアメリカ、ヨーロッパの経済の立ち直りが比較的速かった、こういう感じがいたします。したがって日本の貿易は相当伸びましたけれども、またある程度の貿易摩擦は起こりましたけれども、今回のようなひどい状態ではない。つまり世界に購買力がまだ相当あった、こういうことだと思います。しかし、現在は日本の状態は決して楽観は許しませんが、その楽観を許さない日本の経済の状態が外国に比べて比較的よろしいと、こういうことでありますから、いかに欧米諸国の状態が悪いかということがわかると思うんですが、それだけ世界に購買力が激減をしておる、世界不況は深刻である。したがって最近になりまして貿易がどんどん落ち込んでおる、こういう状態だと思います。その点が一つの違いだと思います。  それから第二点は、前の場合と違いまして今回は消費不況、住宅不況とも言われております。つまり可処分所得が伸びない、実質所得が伸びないわけでありますから、物を買うにも買えない、家を建てるにも建てにくい。ところが住宅と消費は中小企業と表裏一体、密接な関係がありますから、中小企業の状態は非常に悪い。つまり可処分所得が伸びないということから来る内需の不振、この点が前回とやや違うのではなかろうか、こういう感じがいたします。したがいまして、そういう前提に立ちまして適切な対応が必要であろう、こう思っております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 ここで、いま従来の型とはかなり変わってきたと経企庁長官も言っておりますが、通産大臣、やはりそういう中にあっても大企業関係の売り上げの伸びやあるいは非常に業況も悪いということが言われておりますけれども、その中でも大企業の方が着実に収入も確保しておりますし、依然として高水準の設備投資も展開されておるわけでございますが、これと対照的に中小企業は生産も販売も設備投資もやはり沈み込んでおるという傾向が数字の上でもはっきりとあらわれてきておるわけです。こういう点で、中小企業の不況風が強く吹き荒れておるという状況と、先ほど経企庁長官も言った非常にいままでにないような厳しい環境の中で今回の不況を迎えておる。そういう状況からして、私はこの中小企業へのてこ入れというのは相当力を入れてやらなければこれはむずかしいと思いますが、通産大臣としてこの不況の理由ないしは判断、これの積極的な対策はどのように一つは用意してみえるかお聞かせ願いたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにいまお話のありましたように、中小企業全体が思わしくない状況にあります。設備投資をとってみましても、大企業に比べまして中小企業の設備投資が落ち込んでしまっておるわけであります。あるいはまた中小企業の倒産も、五十六年の倒産は史上三番目と言われるほど非常に高いわけでございます。そうした状況から、このまま推移をすれば、中小企業というのはやはり日本の産業経済を支える大きなウエートを持っておりますので、日本経済全体に非常に深刻な影響が出てくることはこれは明らかでございますので、何としてもこれに対する対策を今後とも積極的に進めていかなければならないということはわれわれも強い決意を持っておるわけでございます。  まず全体的に国の景気を安定させるための、先ほどからるる申し上げましたような景気対策を積極的に進めて内需の振興を図っていくということが大事でございますが、中小企業に対しては、今年度五十七年度予算にも中小企業振興のための諸対策、それに伴うところの予算措置を盛り込んでおりますので、こうした予算措置を具体的に積極的に実行していくということが必要でございますし、中小企業向けの金利もこれまでもいわば特別な配慮をしてきております。長期金利、長期プライムに比べますと、中小企業金融公庫とかあるいは国民金融公庫等は〇・三%低い水準に抑えているわけでございますが、こうした配慮は今後とも積極的に持続をしていかなければならない。特に長期プライム等なかなか金融をめぐる情勢は必ずしもいいとは言えないわけでございますが、もし好転をすれば、長期プライムレートでも下げることができるというふうな状況になれば、さらに中小企業向けに対しては配慮もしていかなければならないのではないか、こういうふうにも考えるわけでございますし、あるいは先ほど申し上げましたような中小企業向けの官公需を確保するということも五十七年度予算におけるこれからの対策の重点でありますし、さらに下請取引の適正化を推進していくということ、あるいは倒産防止対策、現在の制度を積極的に活用してこれを展開していくということも非常に大切なことであろう、こういうふうに考えますが、いろいろと今後とも中小企業の振興については工夫をこらしましてこれが対策を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまの説明の中で、金利対策を中小企業の場合見てやると通産大臣おっしゃっていましたが、これは報道等で私の聞いた範囲ですが、公定歩合の引き下げとは別にして、やはり中小企業向け金利対策というのを特に政府系三機関等を通して考えておるというようなことが報ぜられておりますけれども、この点はどうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 現在すでに中小企業向けの金利については特別な配慮をいたしておるわけでありまして、これはこれまでの金利体系の中ではいわば異例の措置とも言うべき措置を講じておるわけで、先ほど申し上げましたような長期プライムレートの中で国民金融公庫とか中小企業金融公庫は八・六が八・三%というふうに低い水準で中小企業金融の円滑化を図ってきておるわけでございますが、今後こうした金融情勢が好転をする、さらに好転をしていくということになれば、中小企業向けに対しても何らかのまた配慮というものが加えられないものかどうか、これはいますぐここで右から左へやれるという情勢にはないわけでございます。しかし、景気対策ということも考え、あるいはまた金融情勢も好転するというふうな見通しがつけば、何かやはり考えていかなければならない課題ではないか、こういうふうに実は私は思っておるわけでございますが、これからの課題の一つとして検討を進めてまいりたいと思っております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次に、これは経企庁長官にお尋ねいたしますが、午前中もちょっと出ておりましたが、三月十八日の日本商工会議所の総会においての永野日商会頭の発言の中に、現下の財政事情とアメリカの高金利政策の中で全般的な景気刺激策を期待するのは困難であり、景気対策よりも行政改革達成の方が大切などの、こういう趣旨の発言があったわけでございますが、またこれに対して稲山経団連会長やあるいは土光臨調の会長、あるいは前川日銀総裁らも、財界首脳部からもこれはたびたび景気対策に対して消極的な意見がかなり出ておるわけですけれども、河本長官は日商総会で、景気と行革は両立するし、また両立させなければならぬという発言もしていらっしゃるわけでございますが、ここでやはり一つは永野会頭の行革優先論に反発したような意見となっておるわけでございますが、こころあたりのところ、長官の考え方をちょっと聞かせていただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 日本商工会議所の年次総会で永野会頭がどういう発言をされましたか、私は知らないんです。と申しますのは、私は朝早く行ってあいさつをしたものですからそれはわかりませんが、ただ私の述べましたことは、財政再建はどうしても成功させなければなりませんが、財政再建を成功させるためには行革ももちろん成功させなければならぬと思うのです。しかし、同時に景気の方もよくしていく、国の歳入も計画どおりふえる、こういうことでありませんと財政再建はできないわけでありますから、だから歳出の合理化だけで財政再建ができるような簡単なものではないような感じがいたしますので、やはり財政再建を成功させるためには、行革も成功させ、同時に景気の回復も成功させなければいけない、その二つが両々相まっていくことが必要である、こういう趣旨のことを言ったのでありまして、これらはいずれも私は両立し得る課題だと思います。一方がうまくいっても一方がうまくいかない、こういうことにはならないと思います。行政改革も成功させる、景気回復も進めていく、これはもう十分並行してやれる課題だと思います。どちらか一方に偏ってはうまくいかないのではないか、こういう感じがいたしますので、その趣旨のことを全国から集まっておられる方々に説明をいたしまして、政府の方針としてはこの二本立てで財政再建を進めるつもりでおるので御理解を賜りたい、こういう趣旨を述べたのでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 私はなぜこの論議を取り上げたかと申しますと、また予算委員会等でもこれは取り上げてみたいと思いますが、いままで財界側の意見というのもぼくはわからぬでもないと思うんです。それはやはり行革の考え方というのは一貫しておるのは増税なき行革ということは政府が言っておりますし、やはり財界側もそういうことを強く主張しておるわけでございますが、そこで財界側の考える一つの行革というのは、多くの、私たちはそういう関係者の方々の意見も聞いておりますが、いままで民間企業というのはかなり厳しい中で自分たちのぜい肉を落としながら今日の不況に耐えてきた。だからここらあたりでやはり一つは税金を上げた負担をそういう企業や国民に課すよりは政府がここでいままで高度経済成長以来ふくれ上がってきた、また遠くいけば明治以来からの行政のひずみというのをここで落として、政府が本当に真剣に行市を通して国民の前にこのようにすっきりした小さい政府になりましたという心意気を示して、そこらあたりから日本の政治の新しい段階が生まれてくるんだというのが、私は多くの財界人やまた企業者からも聞いた声でございますし、私たちも行革に対してはそういう考え方お強く持っておるわけでございますが、これに対しまして昨年暮れからの行革国会あるいは今回の予算委員会等の政府答弁を見ましても、やはり実行段階に来て実際政府の行革の考え方というのは大蔵省の立てた財政再建の赤字減らしの計画に乗ってしまって、そういう赤字減らしというのが先行してしまって、真の行革というのは後になってきてしまった、これがやはり国民や経営者方に与えた影響というのは、行革というのはいわゆる金の引き締めであって不況を招くものだというような認識を与えてしまった。ここらあたりは私は政府の行政改革に対する一つは大きいかじの失敗ではなかったか。本当にやはり国民にもっともっと理解してもらって、行政改革とは企業の効率化であり、国民へのサービスなんだと、これによって絶対に景気が悪くなるものではない、前進できるものであるという認識をしっかり植えつけながらこの行革というのは進めりゃよかったんですけれども、大蔵省のいわゆる財政再建という問題が先に出てしまって、これに完全に鈴木内閣というのは乗ってしまった。だから船はとんでもないところに行ってしまったというのが実は実際の状況ではないか。ここらあたりから一つは財界の行革優先論といわゆる政府の言う景気対策に対する食い違いというのが出てきたんではないか。ここらあたりは必ずや私はいずれかぶつかってくる問題だと思う。この辺に対して政府がよっぽどこの問題に対してもそういう謙虚な立場になり、また行革の出発点に返っていまのような状況の行政改革でなくて真にやはり国民が納得できるような行政改革の取り組みがなければこれは国民全般の反発を招いてくるんではないか、こういう点で私は長官の言われる行政改革と景気もあるいは財政再建もこれは並行するものだということはわかるわけですけれども、ここらあたり政府が本当に行政改革を財界や国民がみんな言っておるようなそういう小さな政府であり、ぜい肉を本当に落とし切れる行政改革ができるかどうかというところに一つは焦点があるんではないか。ひとつ長官の御意見をお伺いしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 政府の進めております行革は、御承知のように第一次の段階は昭和五十七年度の予算編成に際してどれだけ合理化ができるか、歳出カットができるかということが第一段階であったと思います。それから、第二段階がつい先般出ました許認可に関する事項と。いまお述べになりました本格的な行革の答申はこの六、七月ごろに出る、こういうことでございまして、その本格的な答申を受けて政府はこれをやっていこう、こういう考え方でございまして、まだ本格的な答申は出ておりませんので、内容については何とも言えませんが、それを受けて必ずそれをやり上げますというのが政府のこれまでの公約でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 それでは長官にお尋ねいたしますが、政府が言っておる夏になったらまた新しい行政改革案が臨調から出まして、それですっきりとした行革もなされるという、そういうことです。そういうことをいまおっしゃっているわけでございますが、やはりそれならばそういう行革というのは必ず景気対策を行わなくても、その行革でかなりの財源が出て、これによって本当に経済の、結局景気等についても影響なく推進ができる、そういうものがこの六月や夏に出てくるという長官は自信がおありでございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) これまでの臨調の作業並びに経過等から考えまして、私どもは本格的な答申が出る、このように聞かされておりますので、それを期待しておるわけであります。ただ、政府の方では昨年までは行財政改革ということを言っておりましたが、先般も私は行管長官に確かめたのでありますが、行政改革と財政再建というものはおのずから別個の問題である、こういうお話でございました。つまり行政改革をやれば、当然財政上非常に大きな効果のあるものもあろうかと思います。しかし、行政改革をやったから即財政再建ができる、こういうものではないと。行政改革は本来の目的を持った事業である、財政再建とは別個の課題である、結果的にはある程度の効果はあるかもわからぬが、即それが財政再建に一〇〇%つながるものではない、こういう解説がございまして、私どもも最近そのように認識をしておるところでございます。    〔理事野呂田芳成君退席、委員長着席〕

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 長官のその考え方については私も賛成いたしますが、やはりずっと委員会等の、いままでの総理の説明等聞きましても、やはり行革即財政再建と、行革すなわち財政再建表裏一体と、ここに結びついてきてしまって、結局、まあ後から出てくるとはおっしゃいますが、いままでの行革という進め方からいったら財政再建以外の何物でもないというような方向性しか実は、国民に与えた影響というのはそれしか受けとめられておりません。そういうような考え方から、よっぽどこれからの取り組み方の中で、いま長官がおっしゃったように、総理以下鈴木内閣も、やはり行政改革というのはある程度まで時間をかけて、しっかりと明治以来のひずみを直していくものである。これはやっぱりしっかりと、がっしりとやらなきゃならぬ。それといま当面しておる赤字減らしや財政再建の問題については、緊急を要する問題等については、これは別個の考え方でがっちりと取り組んでいただかなければ私は国民からも誤解を招くし、財界からの意見等も出てきたことも、そこらあたりから一つは長官との対立の意見になってきたんではないか、私は現場でいろんな方々に会って意見を聞いておるとそう思うわけです。だから、そういう点について、ひとつこの実践に当たって長官間違いのないようなかじを取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、第一回の臨調の答申が、五十七年度の予算編成に際してどういう点を節約したらよろしいか、こういうことが内容になっておったものですから、つまり五十七年度予算編成に関連しての参考意見と、こういうような中身になったものですから、若干、ずっとそのまま誤解が尾を引いておるのかもしれません。しかし、確かに御指摘のとおりでございまして、本来の行革というのは財政再建とはおのずから別個のものである、こう思いますし、政府の方もようやくそこらあたりを整理して考えるようになった、こういうことでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次に、貿易摩擦の背景について二、産お尋ねいたします。  最近、欧米との貿易摩擦が激化しておりますけれども、従来は個別製品ごとの摩擦でございましたが、接近は貿易全体の摩擦と変わってきております。政府は、このような貿易摩擦発生の背景をどのように考えておみえになりますか、最初に通産大臣からお答えいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 貿易摩擦が直接に起こってきているその原因としては、日本とアメリカ、日本とECとの間で貿易のインバランスが五十六年度に急激に拡大をした、アメリカなんかは百億ドル前後であったのが百六十億ドルとか百八十億ドルとかそういう状況になってまいりましたし、ECなんかに対しても百億ドル以上と、こういう状況になってきておる、そういう中で米国あるいはECの経済が思わしくなく、失業が増大の一途をたどっておる、こういうふうな状況、さらにまたそうした貿易インバランスの増大の中で日本の市場開放に対する努力が足らない、いわゆる日本の市場が閉鎖的であると、こういう考え方にアメリカやあるいはECの諸国はありまして、そうしたインバランスの拡大と日本の市場の閉鎖性という考え方が大きないら立ちとなってこの貿易摩擦を生んでおる。しかしこれは日本とアメリカあるいは日本とECの間だけじゃなくてアメリカとECの間でもインバランス等であるいは市場の開放をめぐっての問題があることも事実でございますが、それの基本的な背景というのは、やはりアメリカやECの経済の情勢が憩いというところにこの貿易摩擦がさらに拍車をかけておる、こういうことは言えるのではないだろうか、私はそういうふうに考えておるわけでございます。  しかし、日本が閉鎖的であるということも非常にアメリカ、EC等は主張しておるわけですが、私たちから見ましても日本だけが閉鎖的であるというわけではなくて、アメリカ、EC等にも相当なやっぱり閉鎖的な問題があるということもこれは事実であります。特にECと日本との間を見ますれば、ECの市場なんかは日本に対していろいろと批判を加えながら、しかしECの市場そのものが日本に対して日本以上に閉鎖的じゃないか、こういうことも言える面があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、基本的には、やはり世界経済が悪い、そうしてそういう中で日本経済が比較的恵まれておるということが大きな根本原因じゃないだろうか、こういうふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 その点、やはり貿易摩擦の発生の背景について経企庁長官からもお伺いしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) 私もいま通産大臣がお述べになったことと同意見でございますが、二、三追加して申し上げますと、現時点の貿易摩擦をずっと見ておりますと非常に神経質な議論が行われておる、それから非常に行き過ぎた議論が行われておる、こういう感じがします。  なぜ神経質で行き過ぎた議論が行われておるかということでありますが、それはやはり各国が非常に不景気で購買力が激減をしておる、そこへ日本の商品が出ていった場合に、景気がよければ問題にならぬようなことがいま問題にされておる、こういうことでなかろうかと思うんです。でありますから、やはりこの問題を根本的に解決するのには、世界経済全体の再活性化、世界景気がよくなるということがどうしても必要だ、こういう感じがいたします。  それから、それではアメリカの言い分等を全部仮にのんだ場合にいまの問題は解決するかということでありますが、私はなかなか解決しないと、こう思うんです。本当に解決させるのにはやはり幾つかの条件の整備が必要かと思います。  まず第一番に、きょうも円が二百四十五円と、ことしになりましてから最低の水準になっておりますが、まあいろいろ背景はあろうと思うんです。しかし、その一番大きな背景はアメリカの高金利にあるわけでありまして、そのために昨年の初めと比べますと現在は円は二割以上円安になっております。したがってアメリカの商品は二割以上高くなっておる、こういうことであります。そこで、少々関税を下げましても一方でこの円安のために二割もあるいは二割以上もアメリカの商品が高くなるということであれば、関税の引き下げはどこかへ吹き飛んじゃって余り効果がない、こういうことになります。まあ貿易が成立するためには非常にいい品物が安く手に入る、こういうことが前提条件でありますが、品物はよくても非常に高い、こういう場合にはなかなか貿易は成立しにくい。しかも一方、買う相手が購売力が非常に強いということでありますと多少の条件は悪くても貿易商談は成立するかもわかりませんが、買い手の方も非常に力が弱くて購買力がない。一方、売る方は物の値段が非常に高くなってしまう、こういう状態でありますから、市場の開放体制は私どもはどうしてもやらなければならぬと、こう思っておるんです。これは私はよほど真剣に考えなければいかぬと、こう思います。と申しますのは、言いわけばかりしておりますとやはりそのうちにあるいは保護貿易的な動きが表面化するかもわからない、これはもうもっともだと思うんです。  戦後、世界の経済がここまで回復をいたしましたこと、あるいは日本の経済がここまで発展したことの背景には自由貿易という原則があったからでありますが、その原則そのものにひびが入るということでありますから、まあ私どもは、言いわけばかりしないで、やるべきことはきちんとやらなきゃならない、しかも急いでやる必要がある、私はこのように考えておりますが、しかし、このことと問題が解決するかどうかということとはおのずから別問題である、やはり問題解決のためには幾つかのことを並行してやらなければならぬ、こういう感じがいたします。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 経企庁長官、ありがとうございました。  次に通産大臣、アメリカの議会では相互主義法案が提出されたり、あるいは保護貿易主義に急傾斜しておる、こういう傾向に流れておるわけでございます。これはやはり二けたインフレとか、失業者の増大、今年の秋には選挙もある、そういう増幅されている面もありますが、私は、今回の日米貿易摩擦は一過性のものとはとても考えられない、こう思っておるわけです。この点について、通産大臣も先般行かれましたし、また自民党の大臣方も訪米してこの実情調査等に行ってみえましたが、この点につきましてのアメリカの基本的な考え方をどのようにおとらえになってみえるか、この点説明していただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカでは、いまもお話が出ておりますが、アメリカ経済が非常に悪い、そしてますます失業者がふえておる、インフレは多少おさまりつつあるわけでございますが失業者は増大を続けておる、そういう中で中間選挙も十一月には控えておる、そうしてアメリカの市場には日本の商品が溢れておる、こういうことからアメリカ経済、いままでにない国民的ないら立ちが出ておって、それが結局日本に対する一つの何といいますか批判ということになってあらわれておる。もちろんインバランスが拡大をしているということも大きな原因になっておるわけですが、アメリカの人々に会って話をしておりますと、アメリカ人が言うのは、結局インバランスにも問題はあるけれども、もっとアメリカの製品を輸入してもらわなきゃならぬと思うけれども、問題はやはり日本のやり方がアンフェアである、公正でない、アメリカはこれだけ市場を開放しながら日本はまだまだ市場が閉鎖的であると、こういうことを非常に強く主張するわけであります。そういうことが一つの感情の高まりとなって、まず議会の中にあってこの相互主義というものが台頭してきて、そうして法案が続々と提出をされる。日本がいま閉鎖的な状況を続けておればそれに対応したアメリカとしても制限措置をとらざるを得ない、日本が壁をつくれば同じ壁をつくるんだと、こういう趣旨の法律を出しておるわけでございます。これは自由貿易の体制からいきますと好ましい状況ではないわけであります。特に法案の内容が非情に後向きな保護主義的な内容を持っておるだけに、私はせっかく今日まで築き上げてきた日米間の友好関係、特に自由貿易体制の根幹にひびが入るんじゃないかということを恐れておりますが、このままの状況で行けば相互主義法案が通る可能性があるんじゃないかという私は見方もいたしておるわけでございます。  そこで、いろいろと日米間の貿易小委員会等で論争も行われ、さらに日本としてもいま市場開放についてこれまでも努力しましたし、今後とも努力をしていくという姿勢を明確に打ち出しておるわけでございますが、大事なことは、やはり日本としてアメリカに対して言うべきことはきちっと言わなきゃならぬ、それは、やはり非常にインバランスが拡大をしているという原因は何といっても日本の円が安くなった、これが輸出に拍車をかけた、その背景としてはアメリカの高金利政策が続いておるということでございます。  同時に、また、日本に対するアメリカからの製品輸出が非常に進まないという背景には、アメリカ自体の私は輸出努力にもやはり問題がある。日本が外国に対する輸出努力をするのと比べて、アメリカやあるいはECにおいてもそうですが、輸出努力が足らない。日本は非常に、一億以上のこれだけ巨大な市場を持っておるわけですから、アメリカが努力をすればもっと製品輸出が拡大できる道があるわけであります。すでにアメリカの企業でも成功している例は幾つもあるわけでありますから、もっとやはりこういう輸出の努力はすべきじゃないかということをわれわれが強調しなきゃならぬわけでありますが、同時にまた日本としても、これまでも関税の前倒しもやってまいりましたし、あるいは輸入手続の改善等も行ってきたわけでございますが、さらに今後アメリカの指摘するそのアメリカの指摘する中にはずいぶん事実誤認的な指摘もあるわけでございますが、しかし、もっともっと日本としてやらなければならない市場開放の措置が私はあるんじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。これをどういうふうな形でやるか、もちろん日本の国内情勢の問題もありますし、これからの日本がさらに市場開放を進めるとすれば、もっとやはりそれに対応した日本の国内対策というものも強化していかなきゃならぬわけですが、そういうものと相まってやはり日本の市場開放の努力というものを一層やらないと、ただこれをお互いに言い合っているだけでは解決はしないのじゃないか。そうしてますますアメリカが保護主義的になって、大変悪い状態にこれからなっていくということを私は心配をしておるわけでございまして、この勢いはいまのところはなかなか容易ならざるものがある。櫻内外務大臣もいま訪米をされまして、アメリカの大統領を初め、アメリカの経済界、議会の幹部の皆さんと精力的に会っておられるわけでございますが、アメリカ政府、アメリカの議会あるいは経済界、口をそろえて言っているのは、少なくともサミット前には何らかの日本のさらに数歩前進した市場開放対策を確立すべきであるということを主張しておるわけでございます。これをどういうふうに日本が対処していくかということがこれからの最大の課題になってくると、こういうふうに判断しております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いま言うべきことははっきり言って対応していくといってみえましたけれども、私どもが見ておっても、アメリカ側にもいささか感情的になっておるというきらいもずいぶんあるわけでございますが、やはりこの際政府は日米間の懸案事項をもう一度総点検して、できることとできないこととを明確にして、さらに短期的にできることと終局的に対応するものと分けて、やはり市場開放のスケジュールをはっきりと内外に示して対処すべきことが一つはあるんではないか。また必要なのはわが国の市場開放に対する一貫した姿勢というものがなければならぬ、ここらがやはりしっかりしてアメリカあたりの対応もできてくるんではないかと、こういうふうに私たちは考えるわけですが、その点どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 全くおっしゃるとおりでありまして、私は全面的に同感でございます。やはりこの際日本として対外経済政策、市場開放についての基本的な姿勢というものをはっきり世界に打ち出していかなきゃならぬ。そういう中にあって、いまお話のように短期的に日本としてできるものと、長期的に自由貿易体制を守る中で日本が取り組んでいかなきゃならぬ課題、それをきちっと整理をして出さなきゃならぬ。そういう中でどうしても日本としてできない問題もあると思います。これらもやはりはっきり明らかにしておかないと、このままずるずるといくということになりますと大変危険な状態になってくるんじゃないか、ですから、やっぱりサミット前にそういう日本の対外経済政策というものを鮮明に打ち出すということが貿易摩擦を感情的な対立にまで持っていかない、あるいは政治的な対立にまで進ませない一つの大きな私は課題ではないだろうかと、こういうふうに考えます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 これで最後に、先日行われました第三回日米貿易小委員会、あのときの一つの懸案の問題としてやはり日本の政府の中では包括決着と個別決着の対応をめぐってちょっと論議があったように新聞等でも見ておりますが、きょう昼のニュースで、ホワイトハウスで行われたレーガン・櫻内会談で、レーガン大統領が強く六月ベルサイユ・サミットまでの包括的な一層の市場開放に対して櫻内外務大臣にその方向を強く迫ったのに対して、櫻内外務大臣もこれを了承したというような報道がございましたが、やはりこれまでの一つの論議の中で総理あたりも個別的な解消をおっしゃっていた意見もございますが、この六月サミットに対しまして、包括的な対策というのはいままでは無理だという傾向が政府に強くあったようですが、ここでやはり開放策、こういう対策をとる用意が通産の場合はあるかどうか、ここらあたりをお聞かせいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 貿易摩擦に対する基本的な対処方法について政府の部内で意見が基本的に対立するとか調整がつかないとか、そういうことではなくて、政府の部内においては方向というものはそう基本的に論議があるわけではないのでありまして、御承知のように昨年の暮れに打ち出しました対外経済政策五項目というものを積極的に打ち出すというのがいま政府の基本方針でありますし、そして全体の考え方としては、やはりサミット前には何らかのまとまった、いま申し上げました基本方針というものを内外に宣明しなきゃならぬと、これはまあ大体一致をいたしておるわけでございますが、それに至る間、貿易小委員会でいろいろと論議がありました。そうした問題をめぐりまして個別的な折衝は続けていく。これはまあたとえば通産省関係でいけば、革の問題をどうするかとかあるいはソーダ灰をどういうふうにこれに対処していくかとか自動車の問題で自主規制を五十七年度はどういうふうに措置していくかとか、あるいはまた農林省関係では、御承知のように残存制限品目二十二品目の取り扱い、これも十月以後から本格的な交渉に入るというわけですが、それまでの間に作業部会をつくっていろいろと検討していくということになっておるわけでありますが、そうした個別的な対応は個別問題としてこれを進めていきながら、大体その進んだものをサミット前には総集編といいますか、して、そしてまた今後に対する課題もまとめて大体五月じゅうには打ち出す必要があるんじゃないか、これは意見が一致しておるわけですが、ただアメリカが非常にドラマチックな措置を求める、こういうことを盛んに言っております。そこで日本が包括的にやるんだということを早々と打ち出すということになると、何かアメリカのドラマチックな要請に対して日本もドラマチックな包括的な対処を明らかにするというふうな期待が出てくるわけでございます。しかし、いまの日本の市場開放の努力からいきましても、相当程度進んでおるわけです。したがって、ドラマチックというもののとらえ方でありますが、余り日本としてそうアメリカが期待するようなドラマチックな行き方というのは私はなかなか困難じゃないか、こういうふうに思うわけで、そうした点で非常な過大なアメリカに対して期待感を抱かせて、そしてこれがまたさらに貿易摩擦に拍車をかけるというようなことになったら困るわけで、その辺に対していろいろと配慮した発言が続いたわけですけれども、しかし、サミット前に何らかのものを打ち出していくという基本的な認識は私は変わっていないと、こういうふうに思っておりますし、それはやはりやらないと、これは非常に事態を悪い方向へ持っていくんじゃないか、こういうふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまアメリカのレーガン大統領も強くその点を製氷しておるということですが、じゃその形はどういう形かはともかくとして、アメリカ側がいわゆる要求しておる包括的収拾だと、そういうふうにとれるような解決策は日本にできるわけですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いま申し上げましたように、やはりこれまでの措置、そしてこれからのやらなければならない課題、それから市場開放に対する日本の基本的な考え方、あるいはまた世界の経済の再活性化に対する日本の役割り、そういうものを全体的にとらえた包括的な姿勢といいますか方針は、これは打ち出していかなければならない、そういうふうに存じます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 わかりました。

市川正一日本共産党

○市川正一君 きょうはきわめて短い時間の間に所信表明と二法案の質疑を行うという条件にありますので、経済見通しとかあるいは貿易摩擦、重大な問題がいろいろあるのですが、参議院では御承知のように予算案の委嘱審査を各委員会でやるという新しい方式もとられますので、その際に改めて伺うことにいたしまして、本日は私は中小企業、小売業に関する問題についてお伺いしたいと思います。  その前に大臣に二、三伺いたいのでありますけれども、大臣は所信表明の中で、これは六ページでありますが、「現下の我が国経済は、個人消費の低迷、中小企業の設備投資の停滞や住宅建設需要の減退など内需回復の足どりが依然として緩慢なまま、過度に外需に依存した状況が続いております。」云々と述べられておるのでありますが、このことは、今日の日米摩擦の重要な要因の一つとして、内需の低迷が輸出ドライブに拍車をかけているということとして理解してよろしゅうございますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 内需が低迷をしておるということは、結局やはり外需に依存しがちであるということは基本的に言えることではないかと思いますし、また同時に、内需が低迷をするということは諸外国からのやはり製品輸入あるいは原材料の輸入というものについて、これが制約を受けるということも言えるわけでございます。さらに円安というものが貿易、輸出に対して非常に大きなドライブをかけておるということは大きな要因であろうと思いますが、基本的には内需を振興していく、そして円が安定していくということが貿易の改善という面については大きな私は必要な要素ではないかと、こういうふうに判断をしておるわけです。

市川正一日本共産党

○市川正一君 ということは、私は、労働者が非常な合理化によって、低賃金そしてまた労働密度の強化という中で、かつまた下請企業が非常にたたかれるという異常なコストダウン、これで輸出競争力をつけているということ、そのために日本の勤労国民が購買力が非常に低下している、また内需の低迷とそれがつながっているということ。ですから逆に言うと、賃金を引き上げていくこと、減税、福祉を充実していくこと、生活基盤を整備する、公共投資をふやす、こういうことがいま必要になっているという認識では一致できますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに個人消費が停滞をしておる。その背景としては、可処分所得がやはり落ち込んでおるということも中小企業が低迷をしておる大きな要因でありますし、また国民経済全体に活力が失われるということにもなるわけでございますから、したがってやはり個人消費の拡大を図っていかなければならないことは、これは大きな政策の課題であろうと思うわけでございますが、そのためには政府としてもこれからできるだけの努力をしていかなきゃならぬわけでございますが、しかし政府もいま財政再建という大使命を遂行するための努力を重ねておるわけでございます。そうした財政再建を進める中において、財源的にすっかり手足を縛られておる、こういうことから、今日の事態はいろいろと積極的にやらなきゃならないのだけれども、手足を縛られてなかなか十分なこともできない、こういうのが今日の偽らない実情であろうと思いますが、われわれは、ただしかしそういうふうに手足を縛られておるからといって手をつかねておるというわけにもいかないわけですから、そういう中で、たとえば公共事業の前倒しであるとか、あるいは住宅の推進であるとか、あるいはまた、場合によっては金融政策の機動的な運営であるとか、そういうものを行いながら、内需の振興、国民生活、国民経済の安定というものを図っていかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。

市川正一日本共産党

○市川正一君 私はこの問題は、もういわば国民的なコンセンサスはできていると思うのです。政府がその気になって、本気でやるかどうかということだと思うのでありますが、でないと、せっかくのこの所信表明も結局は口先だけのことになってしまうということを、私はあえて指摘したいと思うんです。  もう一点お伺いしたいのですが、日米貿易の特徴は、日本からは鉄鋼、自動車あるいは電気、こういう大企業の製品を輸出する、アメリカからは農産物などを入れてくるという形なんでありますが、その結果、日本は食糧の自給率が四〇%台を割り込もうということになっています。今回の残存輸入制限品目の撤廃という要求は、日本の農業の将来を考えて、ぎりぎりのところが残っている、これもなくしてしまえというものである。ガットの主張にも反するものだと考えますが、通産大臣としても先ほど市場開放の努力云々とおっしゃったのですが、真の国益の立場からしてこういう要求に対して断固拒否する立場で臨まれるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 自由貿易を守っていくためには、やはり市場開放をさらに進めていかなければならない。市場開放を進めるためにはやはりある程度の犠牲も覚悟しなきゃならぬわけでございますが、これはやはり自由貿易体制というものが日本を支えてきている、こういう基本的な考え方のもとに、自由貿易を守っていくという大原則のもとで、ある程度の私は日本としての責任といいますか、犠牲があったとしても、これを耐えていかなきゃならない、そういう事態に追い込まれてきておると思うわけです。  しかし、そういう中にあって、日本としてもやはり日本の立場というものがあるわけでありますから、ぎりぎりの限界というのがあるわけであります。アメリカは、たとえば残存制限品目について、二十七品目あります。農産物が二十二品目、そして通産関係が五品目あるわけでございますが、それぞれ皆これまでも何百とありましたものを、われわれは自由貿易を守る、市場開放を進めるという中で、この制限品目を撤廃して、今日の状況にまでなってきておるわけであります。EC等に比べると、むしろ日本の残存制限品目は少ないともいえるような状況であるわけでございます。相当これはぎりぎりに詰めたところでございますから、今日の段階でアメリカが全部開放しろと言ったって、とうていこれはいまの日本の国内の態勢、情勢から見まして不可能であるということははっきりいたしておるわけでございますが、そういう中で、それでは何ができるか、何をやらなければならないかということは、これはまあ政府としてもやはり検討をしなきゃならない、自由貿易を守るためにぎりぎりそれでは何ができるかということについて、私は検討を進めなきゃならない。これはいま政府の五項目の決定の一つとして、残存制限品目についてはレビューをしていくということで方針を決めておるわけでございますが、これは今後の問題であります。十分日米間で話し合いをしていかなきゃならない問題であろう。そして、日米間で、アメリカに対しても、われわれとしては十分理解も求め、また、説得もしていかなきゃならない問題もこの中にはずいぶん含まれておると思います。そして何かやるとしても、それに対する国内態勢を整備しなければできない課題でございますから、そういうことも踏まえながら、全体的に判断をしていくようになるんじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。

市川正一日本共産党

○市川正一君 この問題は、私櫻内外務大臣が帰国され、さらに集中的な議論の中で深めたいと思います。  大臣は、さらにこの所信表明の中で、「中小企業は、わが国経済の活力の源泉であり、発展の基盤であります。中小企業の健全な発展なくして、わが国経済の真の発展はあり得ません。」と、こうおっしゃっています。まさにそのとおりなんでありますが、しかし今日深刻な消費不況の中で、中小企業の倒産は毎月一千件をはるかに超えて千五百件を突破した時期も御承知のようにあります。こうした中で政府の調査によっても各種の小売業の間で転廃業が非常に進むという、これまでにない事態が起こっております。こうした事態の一つの大きな原因になっているのが大手スーパーによる横暴な出店ラッシュがあるということは、これは大方の認めるところであります。安倍通産大臣も、さらにこの所信の中で、これは十三ページでありますが、「大型店の出店をめぐる紛争が各地で発生している状況にかんがみ、当面、大型店に係る届け出、調整についての抑制的運用を行います」こう述べております。  そこで、この大型店規制については、私は系統的に本委員会で質問もし、要求もいたしてまいりました。これに対して通産省も検討を約束されてきた経過もありますので、この際安倍通産大臣が就任された上に立って認識を新たにしていただくという意味も含めて、大店懇報告以降の新しい方針についてお伺いしたいのであります。  昨年の十一月、本委員会で、私は各地で起こっております、いわゆる紛争を解決するためには現行の大店法を許可制に改正する以外にないということを明らかにし、大店懇での検討を求めました。通産省も検討を約されたのでありますけれども、一月二十九日のこの報告では、許可制については引き続き検討するということになっています。この許可制についてどんな議論がされたのか、まず明らかにしていただきたい。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 大型店の問題につきましては、許可制にすべきであるという議論も前から出ておりますことは私どもも承知しております。今回の大店懇いわゆる大型店問題懇談会でございますが、ここにおきましてこの許可制につきましても議論は行われたわけでございますが、許可制の問題は、経済の基本にかかわる大変大きな基本的な問題でございます。時間が短かったこともございまして、今回の検討からは結論は出ず、持ち越されたわけでございますが、その間におきます議論といたしましては、やはり国民経済の活力と申しますか、自由なる競争による活力の保持という観点からこの許可制はいかがであろうかというふうな議論がひとつ、いろいろと出された経緯がございます。あるいはまた許可制にいたしました場合に、それではどういう許可基準にするのか。御承知のように、許可というのは、考え方といたしましては禁止を解くという考え方になるわけでございますが、実際問題といたしましてすべてを禁止するということが困難であるとするならば、許可制の場合にもやはり許可基準というふうなことは問題になるわけでございます。  そういうふうなことからいろいろ議論があったのでございますが、今回といたしましては、いずれにいたしましても現在の商業環境の厳しさというものは十分踏まえまして、現行法の運用の強化ということで、しかしその効果といたしましては非常に強い効果が出るような、そういった方策を検討いたしまして、先般答申としていただきましたような、相当思い切った強化の方向で結論が出されたというのが一応の経緯でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 許可制の問題そのことについては私いまあえて言いませんが、与党自民党内部も含めてこれは強い意見が出ているということはもう御承知のとおりですから、具体的に中身で伺いたいのですが、報告は届け出に対する抑制指導を第一種と第二種に区別していないにもかかわらず、今度の通達は第一種についてしか書かれておりません。これは第二種大型店に対する調整権限が知事にあるということからのお考えなのか。また、権限が知事にあるとはいえ第二種大型店について抑制指導の対象外にするという意味ではないと思うが、この二点についてお伺いしたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) ただいま御指摘がございましたように、法律的には第二種は知事の権限になっております。第二種の小売店舗につきましては千五百平米というところで御承知のように分かれているわけでございますが、その店舗の大きさ等からいたしまして第一種とはおのずからまた性格が異なるということもございます。そういうふうなこともございまして、また地元の中小企業者によるものが多いというふうなこと等々を考えまして、第一種と同様に扱うことは必ずしも適当ではないというふうに考えたわけでございますが、二種につきましては、ただ都道府県におきましてその各地域の実情に応じて所要の措置を講じていただこう、指導をしていただこうということで各都道府県知事に要請を行ったわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 ところが、二種についてこの通達の第三五号は、「規模も小さく地元中小企業によるものも多いので」というふうになっております。また性格が違うといまもおっしゃった。ところが、そういう側面だけではなしに、最近は大手スーパーの経営する二種店舗もあれば、またそのダミーもふえてきているのですね。また、大手スーパー企業が最近経営戦略を変えて比較的小型の店舗による網の目の店舗展開になってきているという状況のもとでは、地元の中小企業によるものが多いという理由で手を緩めることになると、結局大手スーパー企業の戦略に手をかす結果になると言わざるを得ぬのでありますが、したがって面積だけでなしに資本と企業の単位で規制していく、そういう方式の併用など特別の対策が今日必要になってきているのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) ただいま申されました後の方の部分は、いわゆる店舗主義から企業主義にいくべきではないかという御指摘かと思いますが、その企業主義につきましても、先ほどの許可制の問題と同様、今回は明確な形でのいわゆる法律を改正する云々ということまで含みました結論は持ち越しになったわけでございます。  私どもといたしましては、今回のこの措置の中で、いわゆる大手、特定の大手の大型小売業者につきましては個別に指導するという方策も一部加えまして個々にヒヤリングをしながら指導をしていくという方法をとっております。こういった特定の大型の大手の企業につきましては、多くの場合第一種の店舗展開がほとんどでございますが、しかし第二種というのもあり得るわけでございまして、それらも含めましてヒヤリングをいたしまして適切な指導をしていきたいというふうに考えているわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 さらに伺いますが、報告では特定の大手大型小売業者については個別に指導することになっています。そこで伺いますことが三つあるのですが、一つは、特定業者を決める基準は何なのか。二つは、抑制指導の基準あるいは抑制されるのは面積なのか出店件数なのか、そのやり方はどうなのか。三つ、その結果、つまり指導前と指導後の状況というものは公表されるのかどうか。この三つについてお伺いいたします。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 特定の大きな企業につきましては、私ども今回は個別にヒヤリングをして指導するという方式をとっているわけでございますが、いわゆるその基準につきましては私どもといたしましては売上高一千億程度というところで一応の基準をとりまして、それ以上の大きなところにつきましては個別に状況を把握するという方式をとっております。ただ、一千億以上といいますと二十社を超えるわけでございますが、その中でもおのずから店舗展開という点から見ますと年間相当の数を出すところとそうでないところとございまして、今回は主としてこの店舗の展開に伴う問題の対策でございますので、おおむね十社程度はそういった意味では店舗を年間に相当数出すというところがございますので、そういったところにつきましては特によくヒヤリングいたしまして、そうして中小企業に余りにも著しい影響が及ぶような届け出が出てこないように十分指導しようということで、特に指導するものとしてはおおむね十社程度を考えておるわけでございます。  それから、面積で考えるのか件数で考えるのかということでございますが、御承知のように商業の問題というのは地域なりそれから一つ一つの問題がすべて個性があると申しますか、さまざまな態様をなしておりますので、なかなか一律の基準とか切り方を一様にするのはむずかしいのでございますが、私どもといたしましては一応まずは面積で問題を眺めていこうということで考えております。ただ、そうは言いましても件数を全く無視するというわけには当然いきませんので、件数にも配慮しながら面積を第一義的には考えていこう、こういう考え方をとっております。  それから、公表するのかどうかという御質問でございますが、これは私どもは個々の企業からヒヤリングいたしまして、その個々の企業のこれからの出店の状況を見ましてそれが余りにも行き過ぎにならないように指導していくという方式をとっておりまして、個々の企業にどれだけを認めるとか認めないとかそういうふうな枠の付与ということは考えておりません。あるいはまた、個別の企業にどれだけを認めるというふうなことを公表するとか、そういうことは考えておりません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 もう一つ伺いますが、報告では、「大型店の出店が相当水準に達していると認められる地域」あるいは「小規模市町村」というのが述べられています。この基準を決める考え方と、基準そのものはだれが決めるのか、またその基準そのものや該当する地域や市町村名は公表されるのかどうか、これについて伺います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) いわゆる相当水準に達している地域とかあるいは小規模市町村とかいうことにつきましては、まずだれが決めるかということでございますが、出店者が届け出をするのは、法律によりまして都道府県知事に対して届け出るわけでございますが、あらかじめ都道府県知事、窓口に相談に来ましたときには通産局の方に連絡していただきまして、そこで私どもは通産局長がその案件ごとに地元の市町村長等とも相談しながら決めていくという方式をとる考えでございます。  それから、その考え方でございますが、相当水準出ているかどうかというふうなことにつきましては、なかなか一義的なあるいは数値による一義的な決定はむずかしいというのが実情でございます。私どもといたしましては、小売商の人口当たりの面積でございますとかあるいは逆に申しまして大型店の面積当たりの人口でございますとか、そういったような数値も参考にしながら、そのほか当該市町村の過去における出店の状況あるいはその市町村における店舗の性格、さらにはまた、人口の増加状況がどうであるか等々、そういったことを勘案いたしまして決めていきたいというふうに考えております。  それから公表の有無についてのお尋ねでございますが、実はそういったものにつきましては、たとえば数字を公表したらどうかというふうな御意見もあることは承知しておりますし、また私どもいろいろそれは関係者の間で議論もしたところでございますが、当面、数字を公表するという方式はとっておりません。それは、いわゆる全国の北から南までの各市町村におきますこういった小売商の問題でございますので、なかなか一律の数字を示すということは、かえってその数字がひとり歩きいたしまして大変な誤解と混乱を招くという意見が相当強くございまして、私どもといたしましてはそれも確かにそういった点があることも承知いたしますので、当面はいわゆる数字でこれ以上はいいとかあるいはこれ以下はいけないとかというものは示さずに、いま申しましたように窓口へ出てきた段階をとらえましていろいろな観点から地元の市町村長と相談しながら決めていこうと、こういう方式をとっているわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 どうも不得要領な、恣意的なといいますか、基準にならない基準。結局はっきりしたことは、御答弁によれば特定大手大型小売業者の基準も、また指導の結果も公表なさらない、また相当水準地域とか小規模市町村の基準も公表されない。そうなりますとですね、通産省と大手大型小売業とが個別に相談をするわけでありますから、地域住民やあるいは周辺小売業者は抑制指導したのかどうかすらわからぬわけですね。通産省と大手大型小売業者が、先ほど来ヒヤリングとおっしゃいましたけれども、言うならば談合と。あえて言うならば、そういうヒヤリングをなさって結局客観的に見るとスーパー側に有利な指導を行うという危険性があると言われても仕方がないという仕掛けになっているように私は受け取るのですが、いかがですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 今回のこの措置におきましては、届け出のあった案件につきまして商調協でいろいろと審議されるというこのスキームは変わりはございません。いわゆる届け出の段階で、従来でございますと一応届け出は自由と申しますか、私どもが個別に行政指導するというふうなことはもちろん全然皆無ではございませんが、基本的には自由に届け出ができたわけでございます。その結果と申しますと、あるいは一面的かもしれませんが、よく御批判がございますように、一つの市町村に四社も五社も一遍に届け出を行う、それが非常な紛争の種になったことは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、そういったようなことを再び繰り返さないためには、やはりある程度届け出の段階におきまして指導するということが必要ではないかというふうなことを考えているわけでございます。しかしながら、あくまでも自由経済下におきまして、いわゆる切符を切って割り当てる式の統制を考えているわけではございませんが、それにしましてもある程度の交通整理をまずやる必要があるだろうという考えでございまして、このこと自体従来の届け出原則自由という形からすればかなり抑制的に働く効果を有すると私どもは思っているわけでございます。  ただ、その後におきまして、それでは窓口ですべてが、面積なりその他まですべて決まってしまうならば、商調協などはもう要らないわけでございますが、そういうことではございません。商調協と申しますのは、やはり各地元におきますいわば地域民主主義としての私は非常にいい制度の面も持っていると思うわけでございますが、今回その商調協につきましてもいろいろと改善をいたしまして、その上で今後も従来どおり審議をしていただくわけでございますが、ただいま何か大手と役所で適宜決めてしまうのではないかという御質問でございましたが、そういうことではございませんで、私どもといたしましては従来のような一ヵ所に何店舗も集中するというふうなことはむしろ前さばきの段階である程度指導していく、その上で今度は各地域各地域で商調協で十分議論をしていただきまして、市町村の長あるいは知事等と地元の方々と相談しながら、従来以上にリーズナブルな調整が行われるようにしていこう、こういうことでございますので、全体といたしましてまず抑制的に働くことは当然でございますが、同時にまた前さばきの段階で大手に有利に決めてしまうとか、そういう結論が出るわけではございません。

市川正一日本共産党

○市川正一君 いまのことにかみ合って申しますと、おっしゃいますけれども、私は結果としては裏目にそれは出る危険性が多分にあると思います。具体的に言いますと、抑制指導は大店法の三条届け出前になされるわけですから、法的拘束力がないために、大型店の方が店舗面積カットを覚悟の上なら、指導を無視してもいわば届け出ができるわけですね。そして、一方三条届け出前に知事も一枚かんで厳しい抑制指導を受けた大型店側は、事実上通産省と知事から出店のお墨つきをもらったような形になって商調協へ乗り込んでくる。そうすると、商調協の場ではそういういわば経過と権限を大いに誇示して、そして商調協が事実上形骸化してくる、そういう新しいトラブルの原因を私は生み出すという危険性を指摘せざるを得ぬのです。  さらに、もう一点これと関連して言えば、相当水準地域とかあるいは小規模市町村が公表されない。そうすると、大型店側としては出店を希望する地域に一応出店の手続はする。俗に言えばつばつけるんです。つばつけて、そしてだっと届け出はやっておく。一方、大型店の方は何回か抑制指導を受けている間に大体規制される地域が経験的にわかってくる。そうすると、逆に言えばそれ以外の地域、すなわち規制対象外の地域に出店の届け出が殺到してくる。私は、いままでのいわば悪徳商法的な大型店のやり方からすれば、こういう出方は大いにあり得ると、結局抑制指導がふくそうして新たなトラブルの原因にもなりかねない、こう思うのでありますが、そういう御懸念は全然お持ちではございませんか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 私ども、そのいわゆる過密な地域といいますか、相当水準のところにつきまして、公表は当面避けるわけでございますが、私どももその辺は十分内規的にはリーズナブルな方法を考え、かつ地元の市町村長と相談しながら指導していくつもりでおります。ただいまの御質問でございますと、いずれその相当水準の地域とかそういうふうなものが出られなくなると、方々につばをつけておきまして、それ以外の地域に集中的にラッシュするのではないかというお尋ねかと思いますが、まず私どもといたしましては、少なくとも店舗展開の多い、先ほど申しました大手の企業につきましては、方々につばつけるという意味が必ずしも十分わかりませんが……。

市川正一日本共産党

○市川正一君 方々に届け出を出すということです。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 届け出自体を私どもは今回はチェックしようといいますか、大手につきましては相当程度抑制的にしていただこうというのが先ほど申しましたヒヤリングの目的でございますから、先ほど申しましたように、従来はどこに届け出を出すのも自由だったわけでございますが、今回は特に先ほど申しましたような大手の特定の企業につきましては届け出の段階でいわゆる前さばき的な指導をするわけですから、自由に方々に出すということはなかなかできないというふうにしたいと考えているわけでございます。  それからまた、逆に申しますと、いわゆる相当水準出ている地域以外に出ると、従来どおり出ますと、確かにラッシュします。五十四年度には五百数十件出ましたし、五十五年度にも三百数十件出たわけでございますが、御指摘のように出るところが狭くなればそこへ同じ数が出ればラッシュするわけでございますが、私どもはそういうことも考慮に入れまして、特に毎年五店とか十店とかあるいは十店以上も出すようなところにつきましては、今回届け出の段階でできるだけ指導していこうということをやっているわけでございまして、その結果は、論理的に推定できますように、今後は届け出のテンポがかなり減ることになるだろうと思いますが、そういうことで、いま申されましたような御懸念のないように、そのためにもまたヒヤリングをしていく、こういうことでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 それじゃ、経過措置について伺いますが、三条届け中のものが現在二百六十六件ある、こう伺っております。そのうち、出店する場所が相当水準地域やあるいは小規模市町村に該当する部分は、報告の立場から申しますと、自粛指導が必要になると考えますが、具体的にはどんな指導をなさるのかお聞かせ願いたい。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) すでに三条の届け出がなされている案件につきましても、今回の趣旨を踏まえて慎重に取り扱うということを考えております。  今回の措置がとられる以前におきまして、いわゆる事前商調協の審議が終了している案件につきましても、通産局長が県や市町村と協議いたしまして大店主に諮って取り扱いをしていくというふうなことで、従来以上に慎重に取り扱うよう指導しているところでございます。具体的には、地元の市町村長あるいは都道府県等々と通産局長が相談しながら、実情に応じた処置をしていこう、こういうことで慎重な扱いを指導しているわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 重ねて伺いますけれども、そうしますと、三条届け中のものは、そのほとんどが去年の九月以前のものだと、こう伺っておりますが、そうでございますね。  そうしますと、現行法のたてまえを機械的にもし適用するとなると、三条届け出後おおむね八ヵ月で五条申請に移行になる。そうしますと、ことしの四月以降、出店抑制指導下において期限切れによる合法的な——括弧づきでありますが、出店ラッシュという事態も予想されるわけでありますが、これを防止するために私は、いまおっしゃった積極的立場を一歩踏み入れて、八ヵ月にこだわらずに、今度の報告の趣旨で十分時間をかけて調整すべきであると思いますが、いかがでしょう。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) すでに三条の届け出が出ている案件といいますのは、ただいま御指摘がございましたように、昨年の九月以前のものが大部分でございます。  御承知のように大型店の問題は、三条の届け出が出ますと、あるいはその前後にわたりまして地元で大変長い時間をかけて関係者は御苦労なさって調整を行うわけでございます。私どもといたしましてはすでに届け出が出されたものにつきまして、それがどういう地域のものでありましても、いまからそれを届け出をやめるべきであるとかそういうふうなことは申せないわけでございまして、その点は地元におきましておおむねたとえば一年なり一年以上もかけまして関係者が御苦労なさってきたわけでございますから、その御苦労につきましては、それなりにいろいろと経緯を尊重するということは必要かと思います。ただ、先ほども申しましたようにわれわれは地元の市町村長なりあるいは都道府県あるいは商工会議所等々と重ねてよく相談いたしまして慎重に扱うということで指導しているわけでございます。  いまのお尋ねでございますと、何か四月以降ラッシュするのではないかという御質問、必ずしも私御質問の御趣旨がよくわからないのでございますが、八ヵ月ということでございましたので、あるいは事前商調協の指導といたしましておおむね八ヵ月ぐらいの間に事前商調協の審議を終えることを目途に従来からお願いしている経緯がございますので、あるいはそのことかと思いますが、私どもといたしましては、今回こういう事態がございましたが、八ヵ月というものはやはり一つのスタンダードとしてそのまま置いておりますが、これはやはり案件の事情によりまして時と場合によりましては弾力的に扱うということも出然あるわけでございまして、その辺はケース・バイ・ケースに考えていきたいと思いますが、その八ヵ月云々というルールのために突如として四月あたりからラッシュする、そういうことはないであろうというふうに考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 じゃ、そういうことで弾力的に実情に即した指導を行政側としてやっていただく、こう確認してよろしゅうございますね。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) あくまでもその辺はケース・バイ・ケース、その案件の実情に応じまして考えていきたい、こういうふうに思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 最後に、大臣にお伺いいたしますけれども、以上のような経緯を踏まえて、最近、御承知だと思いますが、江釣子ショッピングセンターについての東京地裁の判決がございました。これは通産省自身が当事者でありますので、もうよく御存じだろうと思いますから、私は内容は省略いたします。  問題は、通産省は現行大店法制定当時の四十八年七月十一日、衆議院の商工委員会でわが党の野間友一代議士の質問に答えて、当時橋本局長は、周辺小売業者に原告の適格性のあることを言明しております。また、当時の中曽根通産大臣も勧告、変更命令は、行政処分だから行政訴訟の対象になると答弁もなさっております。私、ここに会議録を持ってまいりました。ところが、通産省は今度の域判の中でこれと逆のことを述べておるわけです。通産省は最高裁の判決がそれ以前に出たということを理由にしているのでありますが、だとすれば、通産省はこれが行政処分であり、当事者適格であるという、いわば国会で明確にしてきた立法の趣旨を守るという立場からも、最高裁の判決が出たその時点で速やかに法改正を提出する責任があった、それをやらずに放置していたというのは、私は責任は重大だと思うのでありますが、その結果北上市の小売業者の方々に大きな負担を強いることになったし、現行法が周辺小売業者を法的に救済する道もないという欠陥法であるということが改めて明らかになったと思うのであります。  この際、私は、先ほど申しました許可制あるいは周辺小売業者の当事者適格を含めたそういう大店法の抜本改正を提案する責任を通産省は持っていらっしゃる、こう思うのでありますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) やや事務的な経緯もございますので、まず私から一言答弁させていただきますが、この江釣子の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、かつてこの法律が制定されまするときに原告適格の問題につきまして若干の議論がございまして、当時原告適格があるのではないかというふうな答弁もあったわけでございますが、いま御指摘もございましたように、その後同種の案件につきましての最高裁の判例もございまして、私どもは周辺の小売商がいわゆる裁判に訴える原告適格につきましては最高裁の判例等から見ましてなかなかむずかしいのではないかというふうな見解をその役とっていたわけでございます。今回、東京地裁で判決がありまして、その判決の結果もおおむね私どもの理解するところと同じような結果が出たわけでございますが、これにつきまして今後周辺小売商の救済をどうするかという問題につきましては、現在の法律、その後の改正もございましたが、市町村長が意見を申し述べる機会というものを改正によってさらにつけ加えることもいたしましたし、それからまた、今回私どもが懇談会から答申をいただきまして実施に移しました対策の中身におきましても、ちょうど江釣子問題で議論になりました、いわゆる広域商調協のあり方につきまして今回も新しい工夫をこらしまして、広域商調協の委員の人選の適正化とか、あるいは広域商調協のあり方について今回改善したわけでございます。こういったことを通じまして十分いままで以上に地元の意見を吸い上げるということを通じまして、この小売商対大型店の紛争問題を何とか解決の方向に持っていきたいということを考えているわけでございます。  法律を改正すべきではないかという御意見のようでございますが、この種の法律におきましてどういう位置づけをするかにつきましては、立法論的にも非常にむずかしい問題もあるように考えられますし、この点につきましては直ちにそういった方向に行くのは相当困難を伴うのではないかと思っておりますが、いずれにしましても、私どもは今回の大型店対策等、一層十分な地元との調整を行い得るようにいたしまして、こういった問題が今後できるだけ起こらないように十分な指導をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 本件の訴訟につきましては先般の東京地裁で却下ということになったわけでありまして、これは通産省の理解しておるところと同じであります。  そこで、いま説明がありましたように、通産省としては今後大店法の趣旨を踏まえまして一層の調整に万全を期してまいりたい、こういうふうに思っておりますし、解釈を変えるようになったことは非常に残念でありますけれども、行政事件訴訟法並びにその後の最高裁の判例から見て、これはやむを得ないことである、こういうふうに思っておりまして、今後の対応については判決の内容を検討した上で、先ほど申し上げましたように、法律改正というのは非常に困難な面もあると思いますが、慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 これで終わりますが、私従来の国会におけるこの政府見解、また、立法府、行政府の関係から言って重大な問題をはらんでいるということを指摘しておきたいと思います。  懇切な、丁寧な答弁をいただいたために時間がもうなくなりましたので、エネ庁石炭の方にはまことに失礼いたしました。これで終わります。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 いま貿易摩擦につきましては大きな問題でありまして、またそのためにけさほど来、各委員からいろいろと質疑が行われております。私も貿易摩擦につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、対米摩擦、対EC摩擦につきましてはけさほどからもいろいろと質疑の中に出てきておりますけれども、そこで私はお伺いしたいのでありますけれども、対韓国との貿易収支、対中国との貿易収支、対台湾との貿易収支につきましてお伺いしたいと思いますが、韓国との収支、中国との収支、台湾との収支、これらをひとつお伺いしたいと思います。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 対韓貿易の収支は日本の輸出が五十六億強、輸入が三十四億弱でございまして、二十二億ドル強のわが国の出超でございます。対中貿易につきましては輸出が五十一億ドル、輸入が五十三億ドル弱でございまして、日本が二億ドル程度の入超でございます。それから台湾でございますが、台湾は輸出が五十四億ドル、輸入が二十五億ドルでございまして、おおよそ二十八億ドル強のわが国の出超でございます。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 局長、これは去年度ですか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 八一歴年でございます。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 最近の状況からいくと、台湾とのインバランスは二十八億をさらに超えて三十億ドルを超える、このようなことが言われておりまして、これは重大な問題だと、このように認識をしております。対米インバランスが約二百億ドル、対ECが、先ほど大臣約百億ドルというお話でありましたが、率から言いますと、台湾の二十八億ドルというのは、まあ現状でもそうですが、いまこれがさらにインバランスが高まりつつありますけれども、これは大変な額である。このようなことを非常に憂いているものでありますが、そこで先般台湾が日本からの輸入禁止品目を発表いたしておりますけれども、それについて局長、どのような見解でおられますか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 先般台湾政府は日本の輸出といいますか、台湾側から見れば輸入でございますが、約千五百品目強について輸入の許可制といいますか、実質的には輸入をストップということにしております。ただ、台湾の場合、分類の数が非常に多うございますので思ったよりカバレージは少ないんでございまして、大体先ほど申しました五十数億ドルの輸出に対して三億ドル強ぐらいの影響が、千五百強の品目についてあらわれる予想でございます。内容でございますけれども、おおむね消費財中心でございますが、バス、トラックあるいはタイヤ、チューブ等が含まれております。率直に言って台湾への日本の輸出に対する影響というのは全体の一割に満たないわけでございますけれども、関連業界にいたしましては大分厳しい情勢になっております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 実は台湾でこういうふうな話を聞いておるんですが、政府としては日本からの輸入等について余り禁止品目を設けたくない。しかし、民間のつき合いといいますか、民間の声が非常に強くなってやはり放置できないということで千五百の禁止品目を発表しておる。これについては全体的なものとしてはわが国にそれほど影響はないということは、言いかえますとそれほど輸出が減らないということですが、しかし三億ドル強という、いま局長御答弁でありますけれども、この三億ドルの、いわば影響を受ける品目を輸出しているのはほとんどが中小企業なんですね。やはり日本としてはそれらの業者についてはかなり影響がある、このように思わなきゃいけない。これが一つ。  それから、向こうでの実情いろいろ聞きますと、仮に工作機械、特に印刷機械の問題でありますが、日本から本当は買いたいのだという業者がいるんです。日本から買えば、たとえて言うと、一千万円の機械が日本からはこういう状態であるので、政府の輸入許可がおりない。そこで、ドイツから買わざるを得ない。ドイツから買うと、同じ性能のものが実は三割も、あるいは中には五割ぐらいも高い。高いものを買わざるを得ない。それらのやはり不満が日本との大きな貿易収支のインバランスによってこういうことになる。したがって、もっと日本はほかのものをもう少し輸入を考えて、ひとつ改善をしてほしいと、こういう声が最近とみに高まっておるわけです。  それから、この貿易収支の問題とは関係ございませんけれども、先般最高裁の判決によりますところの旧日本兵の戦死者あるいは戦傷者に対する補償の問題、これもの不満がいま一緒になりまして、かなり今後台湾での日本との貿易摩擦がさらに激化するおそれがある、このようなことを憂えておる一人であります。  そこで、このままでいきますと、向こう側から第二次の禁止品目を発表するおそれ、かなり強硬策を講じるおそれがあるというふうに私は観測をしておるのですが、そのようなことについてはどのようにお考えですか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 先生御指摘のとおりの状況でございまして、率直に言って、台湾政府の方はやや冷静な面もございますけれども、民間業界あるいは新聞といいますか、世論といいますか、それの突き上げが非常に厳しいという説明を受けております。おっしゃるとおりでございます。  しかし、先生も御指摘になりましたように、台湾の場合がなり自由貿易という面もありますけれども、同時にいつでも輸入制限ができる態勢に、日本と違ってなっているわけでございます。したがいまして、比較的インバランスでも日本の輸出を許しているといいますか、認めておるということは、台湾の民生安定はもとより、台湾自身の輸出ですね、輸出に組み込み部品というのが非常に多いわけでございます。輸出原材料、台湾が加工基地にもなっておりますので、それで日本から輸入せざるを得ないと言うと失礼ですが、輸入せざるを得ない面もございます。したがいまして、いまおっしゃいました第二次の制限というものについては、われわれ現在聞いておりません。で、第一次につきましても、交流協会の代表を通じて抗議を申し込んでおりますが、第二次の話は聞いておりませんが、貿易が大幅に制限されるようなことにはなるまいと予測をいたしております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 私も、いま局長のお答えのような、そういう感触を得ておりますけれども、民間の人たちも、またあちらの政府側の方も、何も一挙にインバランスを解消なんということはもちろんこれは不可能でありますので、考えてもいないようですが、ただ、これ以上収支のバランスが崩れないようにしてほしい、少しでも考えてほしい、このような努力をしてほしいという要望が非常に強いわけですが、それに対しては、現在国交が残念ながらありませんから、いろいろとむずかしい面はありますけれども、やはりわが国としては、当然そのような要望にこたえ、また国内の、特に台湾への消耗品等についての輸出業者というのは、ほとんどが中小企業でありますから、それらの人たちの期待にもこたえるような施策をぜひひとつ考えていくべきであろうと、このように考えるわけであります。  なお、それらに伴って、数年前までは、若干の貿易収支のインバランスについては、日本から台湾へ行く観光客が非常に多いので、それによっていささかカバーされておったではないか、こういうふうな説もあったわけですね。ところが、御承知のように、一昨年の四月から、台湾が出国についてかなり自由化をしたものですから、去年あたりの状況を考えますと、むしろ日本から台湾への観光客の消費する金額よりも、台湾から日本へ来る観光客の消費金額の方がはるかに多いではないか、確かに観光人口は、日本から台湾へ約七十五万人、台湾から日本へ約二十五万人、まあ三分の一ということでありますけれども、滞在日数が大体平均四倍以上である、それから使う金が大体五倍以上であるというふうなことから、ますます貿易収支以外のそのような観光収支についてもインバランスがひどくなりつつある、こういう見方を向こうはしておるわけですね。多分そういう状況であろうと私も見ておりますが、したがって、これらのことを考えていく、これが一つ。  もう一つは、中国とは大体収支バランスがとれておるというふうな状態でありますけれども、また、韓国はかなりの日本が輸出超過になっておりますが、韓国、中国と比べると、台湾に対しては実は現在経済協力、借款等が全くないわけですね。そういうふうなことも私は考慮して、少しでも改善する方向に日本としては努力をしていかなくてはいけない。その他いろんな問題がありますけれども、特にそのことを私は考えておるのですが、どのようにお考えでしょうか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 井上先生おっしゃるとおりの事情でございまして、観光も含めておっしゃるとおりの傾向がございます。したがいまして、われわれも苦慮しておるわけでございまして、国交問題その他もございますので、非常に苦慮しておるんですが、ささやかながら、産業貿易会議とか、あるいは使節団の派遣とか考えておりまして、五十七年度におきましても、製品輸入協会を通じまして、東京で製品の輸入展を企画いたしております。そういうことで努力をしております。努力はいたしておりますが、実情はなかなか思い切った改善ができない。  それから経済協力でございますけれども、台湾の地位といいますか、国民所得というのはかなり高いものですから、それから国交問題もありますので、なかなかむずかしいというのが実情です。しかし、ささやかながら、できることがあればということでわれわれも考えたいと思います。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 これは通産大臣にもお聞きをいただきたいと思いますけれども現地の交流協会の人は活発に活動はしておるようでありますけれども、まだ、台湾から日本への輸出ですね、わが国がやはり輸入できる品目がかなりまた多いと思うのですね。これは農林産品等も相当あるわけでありますから、通産だけの問題ではありませんけれども、これらの問題等について、いま局長がお話しになりましたけれども、ひとつ積極的にこれが改善されるような努力をぜひ通産大臣として今後ともお願いをいたしたいと、かように希望しておきます。  これはむずかしいいろいろと問題のあることも十分承知をいたしておりますけれども、このままでまいりますと、やはり対米摩擦あるいは対EC摩擦以上にいろんな問題をはらんで台湾との貿易摩擦というものは相当また大きな問題になってくるのではなかろうかと、このように危惧をいたします。ただ一般には、余りにも対米あるいは対ECとの摩擦が大きく問題になっておりまして、台湾との貿易摩擦についてはまだ問題になっておりませんけれども、やはり大いにひとつ考えていく必要があるのではなかろうか、かように考えますので、これは特に希望をいたしておきます。何か大臣お答えいただければ。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 台湾との問題につきましては、なかなか、正式な国交になっていないものですから、非常にむずかしい面もありまして、交流協会がそれぞれやっておるわけでございますが、しかし、いまのような事実上の貿易関係が存在しておりますし、大変なインバランスということでございますので、われわれとしても慎重に配慮しながら、この問題がさらに拡大をして貿易摩擦というようなことにならないように、十分考えていかなきゃならないというふうに考えております。いろいろとそういう立場から検討してみたいと思います。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 経企庁長官にお伺いしたいと思いますが、先ほどから他の委員の質問に対しての御答弁の中にも出ておりますが、改めてお聞きをいたしますが、貿易摩擦の改善、非常に事急を要するわけでありますが、そのネックとしてはやはり円安がある、先ほど大臣の御答弁がございました。  そこで、円安の理由でありますけれども、アメリカの高金利政策、これも大きな理由であろう、こう思います。さらには最近日本に来ておりますところのオイルダラーがかなり逃げつつあるというふうなことも言われておるようでありますが、もう一つは円資金の円の海外の逃避がこのところ非常にはなはだしい。すでに問題となっておりますけれども、金地金の輸入の激増であるとか、あるいはゼロクーポン債の異常な購入であるとかいうふうなさらには海外投資もあろうと思いますけれども、これらのことも円安の一因になっておるのではなかろうか、このように考えておりますが、長官はどういう御見解でおられますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) いまお述べになりましたことは全部私はそのとおりだと思います。  なお、そのほかに円安の大きな底流をなしておりますのは中東情勢がやはり日本の為替レートに相当響く、こう思っております。エネルギーの分野で非常に弱いという立場にあるものですから国際情勢の変化が敏感に響く。幾つかの条件が重なっておると思いますが、どれがこの一番大きな条件かということになりますと、やはりアメリカの高金利、これがやはり一番大きな条件ではなかろうかと、こう思います。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 じゃ、大蔵省お伺いいたしますけれども、いま経企庁長官にお伺いいたしましたが、経企庁長官もこの四つの理由があると、一番大きな理由はアメリカの高金利政策であるということでありましたが、そこで、円が海外へ逃避をしていることについても経企庁長官は一因であるということで肯定されたわけでありますけれども、大蔵省はどうお考えですか。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) お答え申し上げます。  円の相場あるいはドルの相場は外国為替市場におきます円、ドルに対するその需要と供給によって決まるわけでございますから、すべてのドル買い要因あるいはドル売り要因が相場に影響を及ぼすという点では、ゼロクーポンあるいは金へのいわゆる資金シフトというものがドルの相場に影響を与えていくということはそのとおりかと思います。その意味で一つの要因として私はこれを否定することはできないと思います。ただ、問題は量がどのくらいか、つまり円安についてゼロクーポンあるいは金に対するシフトというものがどの程度寄与しているかということだろうと思います。この点につきましては残念ながら私専門家ではありませんので統計的に立証できませんが、去る三日、ゼロクーポン債の販売が禁止されましたそのときの円相場の終わり値が一ドル二百三十五円七十銭でございましたが、その後の推移を見ますと、二百三十五円、二百三十四円、二百三十三円、二百三十五円、二百三十七円、二百三十七円、二百三十九円、二百三十八円、三百四十円ということで推移しておりますので、これが非常に大きな決定的な要因であったというふうに考えることはできないのではないかなと私個人的には思っております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 大蔵省、いろいろとお考えもあるようであります。ただ、決定的な要因ではないけれども、若干でもそのような円安の要因になっておるかもわからぬ、こういうふうな御見解であろうと思います。  さてそこで、グリーンカード制実施について大蔵省はいろいろと資料、パンフレットをお配りになっておられますけれども、この前に十問十答でしたか、それからこれ。今後これからまだこういうふうなものをお出しになるというふうな御予定ありますか。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) お答え申し上げます。  いまのところこのような刊行物についての予定はこれ以上はございません。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 予定がないということでありますからお出しになる、ならぬは別として、ただ立法行為は国会の私は固有の権限だと、こう考えるんですね。ところが、このグリーンカード制につきましていろいろと論議が特に最近高まっておりますけれども、それについて大蔵省がいわばグリーンカード制実施反対についての論議、これに対抗するようなパンフレットをお出しになるということについては、いわば大蔵省として私見としてお出しになるわけですね。私は国会の固有の権限であるこの立法行為、それについての考え方をわれわれが論議することはもちろん当然であり自由である、こう考えるんですけれども、それについて反論めいたものを私見として大蔵省がお出しになることについてはいささか越権ではなかろうか、かように考えるのですが、どうですか。どうお考えでしょうか。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) 大変厳しい御追及でございますが、私どもといたしましてはこれはあくまでも法律ですでに決まっていること、これについての正しい理解を得るためのPRというふうに考えているわけでございます。日本は非常に言論の自由がありまして、その自由な言論を行使する過程でよりよい知恵が出てくる非常に私はすばらしい国だと存じますが、グリーンカード制度につきまして最近いろいろな御議論がありますが、その中で必ずしもこのグリーンカード制度についての正しい理解に基づく御意見と思われないものも中にはございます。これは何が正しいかということにつきましては価値判断が絡むかもしれませんが、グリーンカード制度を導入いたしました際、あれは議員立法ではなくて政府の提案の法律案でございました。その法案を提出いたしました大蔵省といたしまして実はこういう考えであったんだということについてまだ実は御理解いただいていない節もあるということで、その点の御理解を得べくいろいろなパンフレット等をお配りしているということだと思います。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 これは死んだ子の年を数えることになりますが、あの当時私どもの不勉強であったことについては大変反省をいたしておるわけですけれども、大蔵省がいまこのようなパンフレットを出されてPRをしておられるような、そのようなPRは全くなかったわけですよね。何か知らぬ間にさっと通った。当時は不公平税制是正というふうな大義名分、にしきの御旗がありまして、これについては深く掘り下げて論議をする、あるいは反対をするというふうなことがムード的に実はできなかったという状況ではありましたけれども、しかし、あの当時大蔵省としてはもう全くと言っていいほどこれについての詳細な説明はなされなかったわけですよ。その意味では私はいまいろいろな論議が高まってまいりまして説明をされることは大変結構だと思いますけれども、しかし、誤った考え方、これもないとは言いませんが、何か余りこういうものをお出しになることについてはこれからさらにお出しになるということであるといささか越権行為、行き過ぎではなかろうか、こういう感じも持ちますので、これは出してはいけませんとかあるいは出すべきでないということをきめつけるわけではありませんけれども、十分ひとつそれらの点についてもお考えをいただいたらどうであろうか、これはひとつ要望しておきます。  さてそこで、先ほどの御答弁にも出ておりますけれども、やはり去年あたりから特に激増しておる金地金の輸入量あるいは禁止を先般されましたけれども、ゼロクーポン債の異常な購入、そのほかまだ表面に出ておりませんが、ダイヤモンド等の宝石がかなり動いておる、こう聞いておりますし、また書画骨とう等が最近またブームを呼びつつある、こう聞いておりますけれども、大蔵省はどのような認識をしておられますか。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) いま井上先生からいろいろな項目を挙げられまして、それについてのシフトの状況を大蔵省としてどう判断しているかお尋ねがございました。  項目数が多いので簡単にお答え申し上げます。  まず、金でございますが、確かに五十六年中の輸入額は前年に比べまして量で五、六倍に増加したかと思います。ただ、その比較のもとになります五十五年の輸入量がふだんの年として、つまり比較の基準年として適当であったかどうかという問題もあろうかと思います。つまり五十五年は金の価格が御承知のように非常に高くなりまして、輸入が減っております。したがって、五、六倍ということがつまりすべて異常な動きということにはならないのではないかという感じが私はいたします。いずれにしましても、原因は何であれ、ふえたことは事実でございます。これを金額で見ますと、五十六年中の輸入総額が五千七十五億円でございます。ただ、金は個人の価値退蔵用に使われるほかに産業用にも使われます。したがいまして、個人の価値退蔵用にどれだけこれが輸入されたのか推計する必要があるわけでございますが、その推計の手だてがございませんので、仮に半分を退蔵用と考えますと約二千五百億円ということになります。同じ期間、つまり五十六年中の金融資産の増加額が三十五兆円でございましたので、その三十五兆円と二千五百億円とを比べますと、これは〇・七%程度ということで、若干増加しているかなどいう感じはいたしますが、いまのところこれが非常に大きなとうとうたる流れになっているということは言えないのではないかというふうに見ております。  それからゼロクーポン債でございますが、昨年中の購入額、これは五十六年の四月に初めて発行されまして、それ以降の分でございますが、これはことしの一月分まで含めて三億ドル程度でございましたが、二月に入りまして七億八千万ドルと急増いたしました。これに対応いたしまして、証券局の方で主として顧客の保護という観点からこの購入を一時ストップしております。七億八千万ドルというペースは、従来のペースから比べるとかなり高いわけであります。この購入の原因、いろいろ言われておりますが、その原因の中にいわゆるグリーンカード対策という要素が全くなかったかというと、私はあったと思います。ただ、これまたその要素がどの程度かということはわかりませんが、いずれにしましても証券局が行政指導でこれを一時ストップしております。購入の原因の一つとしてグリーンカード対策、つまりゼロクーポン債を満期まで持っておりましてもその償還差益について支払い調書が出ないとか、あるいは途中で売却いたしました場合の債券の譲渡益に税金がかからないとか、こういったことが宣伝され、それが購入動機の一つになっているとしたならば、それはやはり税制上の手当てをしなければいけないのかどうか、こういった点についても今後検討をしなければいけないと私どもは考えております。そういった検討を踏まえ、しかも証券局が業界の意見をよく聞いて、近い将来このゼロクーポン債の販売を再び始めるということになろうかと思いますが、そのときにも、その販売の動向等をよく注意して見ていくということによりまして、それが爆発的に大いに売れて国民経済的にまずい影響が出ないようにするという配慮が必要だろうと考えております。  それから株でございますが、これはまあいろいろなことが言われておりますが、預金と対比いたしました場合に株の特徴が非常によく出てくると思いますが、たとえば、私そんな金持ちじゃありませんが、仮に十億円持って金融機関の窓口に行きます。で、預金をするとした場合、窓口の人は全く困ることなく十億円という預金証書をつくって私に渡せばいいわけでございますが、株の場合には、私が十億円の株を買いたいと言いました場合、証券会社は十億円の株を印刷して売るということはできません。つまり、だれかほかに株を売ろうという人を見つけてきて、それで私、買いたいという……

井上計民社党・国民連合

○井上計君 簡単に願います。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) つまり、大量に株にシフトするということは原理的に起こり得ないのではないかというふうに考えております。現に個人部門の株式の売買動向を見ますと、売り越しの状況が続いております。  それからダイヤモンドでございますが、これも過去数年の動きを見ますと、輸入金額は特に増加しておりません。大体以上でよろしゅうございましょうか。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 大蔵省は、すべてがグリーンカードの影響ではないという前提に立っていろいろなことをお考えで御答弁ですから、そういう御答弁無理もないと思います。ところが、現実にわれわれが耳にしたり、またいろいろな人たちからの情報を聞きますと、先ほど金の輸入金額が五十六年度中五千七十五億円である、したがってそれの半分が仮にそういうふうなグリーンカード対策としても二千五百億程度だから大したことないと、こう言われましたが、われわれが附いておる点から推定をすると、半分ところか、大半が大体グリーンカード対策ですよ。グリーンカードになるからいまのうちにというので匿名、架名預金をおろして金を買っている人を現実にたくさん知っているわけですね。それからゼロクーポンにしても、いま、それがすべてだとは思わぬというお話でしたが、私どもの感覚から言うと、まずほとんどがやはりグリーンカード対策であろうと、こう考えるんですね。で、合わせますとかなりの金額になっている。しかし、いま課長がおっしゃったように、全体の個人の金融資蕨の増加額三十兆円程度から比べるとわずかであると、こう言われましたけれども、いまはわずかですけれども、実はこのままでいくとさらに膨大になる可能性があるわけですね。そのために金融市場が大変なやはり影響を受けていることは事実です。これからまた受けるということで金融機関も戦々恐々としているわけですよね。これらのものがさらに不況脱出の足を引っ張っておるという大きな原因にもなっておるわけです。それから、金融機関が明年の一月からの例の限度枠の手続等の事務代行、それを予約をとるため、もう大変な競争が始まっておるでしょう。これに費やしている経費あるいは労力というのはこれは大変なものです。だから、零細な金融機関は本来の金融機関としての使命よりもむしろ自分たちが生き延びていくためにどうするかということでいまはもう大変なことですよ。だから、そのようにいろんなやはり悪影響とあえて言いますけれども、グリーンカード制を実施するための悪影響がもう随所に起きておる。大蔵省はそのことについては耳を余りかさないで、目をふさいで、なるべく悪影響についてはほとんどこれは違うのだというふうにどうも考えておられるのしゃなかろうか、こういう気がするわけなんですよ。これは時間がありませんから、また見解の相違もありますから、お答えをいただいても無理であろうと思いますが、そういう実態にある。少なくともこれらの状況は大蔵省はなかなかわからないところがたくさんあるわけですよ。ある金融機関に言わせますと、大蔵省には実態を言えません、言うとにらまれるので、こわくてだめですということを現実にわれわれのところへ言ってきている人もいるわけですからね。われわれの方がそういう実態については詳しく掌握をしておる。このことをひとつ申し上げておきます。  そこで、名古屋方式ですね、このパンフレットにも書いてありますし、それから五十五年三月、すなわちこのグリーンカード方式を導入するときの所得税法の改正案の審議だと思いますが、五十五年三月二十一日に衆議院大蔵委員会で国税庁長官が答弁されておりますね。名古屋方式を採用すると、こういうことを答弁されておりますね。しかし、名古屋方式というのは、税税法定主義から言うとこれはおかしいということになりませんか。私は時間がありませんから、私の見解を申し上げますけれども、いわば超法規的な要するに制度なんでしょう。出先の徴税官が自分個人のいわば主観によって、裁量によってこれをとるかとらぬかということですね。これはやはり租税法定主義から考えて違反するということになりませんか。もしこの名古屋方式をとった場合、後でこれが国会で問題になりあるいは裁判で云々といった場合に、大蔵省としてはこれについてはどう対処されますか。私、今後この問題は起きると思うんですよ。その点どうお考えでしょうか。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) お手元のこのパンフレットに名古屋方式のことが書いてございますが、実は昨年の十月に自由民主党の決定がございまして、その中に二点のことが書かれております。内容は省略させていただきますが、これは、いわゆる名古屋方式とは違っております。つまり、特に問題となりますのは所得税でございますが、「昭和五十五年までに発生した所得について、昭和五十九年度以降に申告もれが判明した場合においては、悪質な場合を除き追求されない。(なお、自主的に修正申告が行われた場合には過少申告加算税ないしは重加算税は課されない。)」、これは法律違反ではないわけであります。国税通則法に従った措置でございますが、実はこのようなことを御存じない方が非常に世の中には多いということで、知らないがゆえに不安のお気持ちをお持ちになっている、こういう方々について、そうではないということを知っていただくということが非常に大小であるということで、この決定の中に入れられたものと私どもは理解をしております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 とすると、それは法律違反ではないということをはっきり言明されるわけですね。

滝島義光大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(滝島義光君) はい、法律違反ではないと私は理解をしております。

井上計民社党・国民連合

○井上計君 ではきょうのところ、それじゃその御答弁をひとつお聞きをしておきましょう。  そこで、時間がなくなりましたからもう特にお答えを云々ということではありませんが、最近もある新聞を見ましてこういうことが書いてありました。  洋の古今東西を通じて歴史に残った悪法というのが幾つかあるわけですね。近世において一番悪法の最たるものだと言われているのはアメリカの禁酒法があるわけですよ。アメリカの禁酒法の制定のいきさつ等いろいろと新聞その他の資料で見てみますと、まず根底には、酒は諸悪の根源だということがあって、どうしてもこれをひとつ禁止をすべきだといったてまえ論があるわけですが、たまたま第一次世界大戦のときに、原料となっておる穀類のひとつ節約をしよう、それから作業能率の向上、それから第一次世界大戦であります戦意の高揚ということが具体的な理由として禁酒法が一九二〇年に制定をされたということなんですね。このグリーンカード制、もちろんそれは似て非なるものでありますけれども、まず不公平税制を是正すべきだといったてまえ論が非常に強く突っ走ってきた。それから、財政再建のためには税の増収を図らなくちゃいかぬというふうなことが、大体禁酒法制定のたてまえ論と、そのときのやっぱり条件と非常に似ておるんではなかろうかと、こういう気がするわけです。  そこでアメリカでは、禁酒法が制定されて、一九二〇年、それから撤廃される三三年までの十三年間にどういう状況にあったかということですけれども、まず五十万人の逮捕者が出たということですね。それから密醸造が方々に生まれてきた、また密輸のための海賊船が生まれて、海外からの密輸入が非常に多くなって、そのために警戒、警備等の人員が膨大に増員をしたということ。それから警官や司法官の汚職が激発をしたということ。それからさらに、もぐりの酒場だとかあるいはそのような密醸造のためにギャングが非常に組織化されて横行した。有名な話ですが、そのような状態がいまなお実は後を引いておって、アメリカの治安が最も悪いと言われる理由の全部とは言いませんけれどもかなりの原因は実は禁酒法当時起きた社会情勢の続きがあると、こう言われておるんですね。  私は、このグリーンカード制、すべてが悪いとは言いませんけれども、しかし、アメリカの禁酒法にしてもそのような社会現象、社会悪というものがその禁酒法のために出てきて、後がずっと尾を引いている。同じようなことがこのグリーンカード制を実施するために起きるんではないかという懸念。これは私個人というよりもすでに識者が言っておりますね。そういうようなことで新聞にも若干出ておりますが。それから法律の尊厳が著しく傷つけられる。こういう大きな問題がこれによって派生をするんではなかろうか、このように実は考えるわけです。  したがって、私は、国会一事不再議の原則はありますけれども、しかし過去、昭和二十三年でありましたか、取引高税が決まり、実施に至らなくて実はこれをまた取りやめたという経緯もあるわけですし、大蔵省は、一度決めたからどうしてもしゃにむに、どうしてもこの制度は実施するのだというふうなお考えが仮にあるとすると、私はやはりこういうふうな大きな問題になり、またここまで事実上、まあ大蔵省当局はグリーンカード制の実施のための影響ではないと言われますけれども、事実はグリーンカード制を実施するためにいろいろな悪影響がもう起きておるわけですから、いま一度白紙に戻って検討をされるべきではなかろうか、いまからでも遅くはないのではないかと考えるのですが、これはもう課長にどうのこうのしなさいとか、また課長がどうするとかと言われるような問題でありませんけれども、ぜひひとつ御検討をいただきたい。  これは、ただ単に一税制の問題ではなくして、現在置かれておる日本経済全般の問題、あるいは貿易摩擦の問題、あるいは中小企業の金融難をさらに激化をしていく、倒産あるいは雇用不安の問題、いろいろな問題に実はつながっていくと、こう考えますので、ぜひ白紙に戻って検討し直していただくように、これは直接担当の税制一課長にひとつ要望しておきます。お答えは要りません。  以上で終わります。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 大変静かな委員会になりましたけれども——  私、貿易摩擦の問題につきまして通産大臣並びに経企庁長官に何点か御質問をさせていただきたいと思いますが、経企庁長官には一問だけ質問をさせていただきたいと思いますので、最初に長官にお尋ねを申し上げたいと、かように思います。  まずその第一点は、八三年度のレーガン大統領の教書等も、先ほど来いろいろお話のございましたような高金利の問題で大変揺れておるようでございますが、どうも私たちが仄聞するところによりますと、高金利というのがいささか定着をしたというようなことを新聞、雑誌その他の報道で承知いたしておるわけでございますが、したがいましてアメリカ経済の再活性化と申しましょうか、そういった点が非常に困難になりつつあるような、そういうような話を間々伺っておるわけでございますが、アメリカのこの高金利というものの趨勢がどうなるであろうかというような点、これがまず第一点でございます。  それから第二点は、先ほど来たしか村田委員の御質問に対する御答弁ではなかったかと思いますが、経済摩擦の問題の基本といいますか根底をなすものは、第二次のオイルショック、そのオイルショックそのものが原因、遠因であるというような意味の御発言があったかと思いますが、その中で特に市場の開放体制、市場開放体制の確立だけでは今回のこの貿易摩擦の問題はなかなか解決がむずかしかろう、幾つかの問題が同時並行的にとられて貿易摩擦問題の解決策があるやに実は伺ったわけでございますが、経企庁長官がおっしゃいました幾つかの問題というのはどういう問題であるか、この二点をお伺いしたいと、かように思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(河本敏夫君) まず最初のアメリカの高金利の問題でありますが、アメリカ政府は、アメリカの高金利はアメリカのインフレが原因なんだと、インフレを鎮静化させる間はどうしても高金利政策が必要だ、もうしばらく待ってもらいたい、こういうことを言っておったのであります。特に昨年末まではインフレも大分鎮静化する気配ができたので、五十七年度中には長期プライムが一けたになるであろう、こういうことをリーガン財務長官あたりは言っておったのでございますが、幸いにアメリカのインフレは目に見えて鎮静化してまいりました。一月の水準はもう八%台におさまっておりますし、アメリカ政府の発表によりますと、ことしじゅうの平均の水準は七・三%ぐらいになるであろう、こう言っておりますから、後半は六%そこそこになるのではなかろうかと、こう思っております。最近のいろんな動きから見まして、それも私はあるいは可能であろうと、こう思うのです。しかりといたしますならば、つい先ごろまでアメリカ政府当局が言っておりましたアメリカ高金利の背景はなくなるわけでありますから、だんだん下がらなければならぬはずなのですけれども、一向に下がる気配がない。それはやはり最近は、財政赤字が早くなくなると思っておったけれども、財政の赤字がなかなかなくならぬ。特にこの一九八二年も相当大幅な赤字でありますが、一九八三年、新年度は九百十五億ドルの赤字になるであろう、こういうことを言っております。九百億ドルとか一千億ドルとかいう財政の赤字がありましても、アメリカ政府が期待しておりますように、大減税による貯蓄の増加ということが計画どおり実現をいたしますならば、私はクラウディングアウトのようなことは起こりませんから、これは財政の赤字があっても心配はないと、こう思いますが、しかしなかなかその貯蓄がアメリカ政府の計画どおりふえてまいりません。去年は史上最低の水準である四%そこそこになっておりましたが、最近は五%になり、約六%台にいまなっておるようでおります。したがって、現状ではクラウディングアウトというようなことが起こる危険性がございますので、そこで企業が借り急ぎをして、不況でありますからいますぐに膨大な資金需要があるというわけではありませんが、赤字財政がたまってまいりますとだんだん金が借りられなくなるのではないかということで借り急ぎをいたしましてそれを一時貯金に置いておくという、こういう傾向が非常に強くなってまいりまして、そのためになかなか物価は下がっても金利が下がらない、こういうことになっておると思うのであります。でありますから、この問題を解決するためには赤字をもう少し減らすか、赤字を減らすということがむずかしいということであればアメリカ政府の期待、計画どおり貯蓄がもう少し伸びるような政策をやるか、どちらかやれば私はこの金利は下がるであろうと、このように思っております。しかし、いまのどころまだそこらあたりに対してはアメリカ政府も確たる見通しは立っておらぬようでございます。  しかし、いずれにいたしましてもアメリカの高金利が世界全体の経済に非常に大きな圧力になっておりまして、ヨーロッパも大変困っておる、日本ももちろん大変困っておるわけでございます。日本の現状、物価水準がいまの三%台という水準から考えますと、もっともっと低い水準に金利は下げてもいいわけでありますが、それはなかなかできない。こういうことでありまして、世界じゅうが対応に困っておるということでありますから、世界経済の活力を回復するということのためにはアメリカが現在の高金利を改めてもらうということが私はやっぱりすべての前提条件ではないか、このように考えております。アメリカはもっと工夫と努力をすべきである、相手に対していろんなことを言う前に自分のところもやはりやるべきことはやってもらわなければ困る、私どもはそのように痛感をいたしてわります。  それからさて、もう一つのお話は貿易摩擦を本格的に解消するためにはどうすればよいかということでありますが、私は何と申しましてもまず日本としては市場の開放体制を急いでつくるということが先決でないかと思います。日本は他の国よりもより多く貿易に依存しておる国でありますから、その日本の置かれておる立場というものを私は真剣に考えなければならぬ、こう思っております。でありますから、もうできるだけ言いわけなどはやめて、そして日本としては貿易立国なんだ、貿易が拡大均衡の方向に行かないことには日本は発展はないのだ、私はこういう認識に立って市場の開放体制を急いでつくるということが先決だ、こう思っております。  ただしかし、市場の開放体制をアメリカあたりが言っておるように全部つくりましても、現在のような円安であって、アメリカの商品が非常に高くなっておる、あるいは日本の国内の購買力が非常に低い、そしてまた世界経済全体の状態が非常に悪くて、普通ならば何でもないことが神経質に議論される、こういう状態ではなかなか問題の本格的な解決にはならない。以上申し上げましたようなことを並行して解決をしていって、初めて本当の意味の貿易摩擦は解消するのではないかと、こう思っておるんです。  ただしかし、幾つかのことをやらないと貿易摩擦の本格的な解決はないということと、日本が急いで市場開放体制をとらなければならぬということとはおのずから別問題だと思います。と申しますのは、いま世界的に保護貿易的傾向が非常に強くなっておりまして、これをやはり避けるということのためには、日本の市場開放体制を急いでつくるということが一番の決め手でなかろうか、このように思っておりますので、私は日本としてはそういう方向で考えていかなければならぬのではないかと、こう思っております。外務大臣も近くお帰りになると思いますし、それから江崎ミッションも近く帰ってまいりますので、この報告を聞きまして政府部内でどのような対応をしたらいいのか、改めて相談をしたいと思っておりますが、現在までのところはお二人のお帰りを待っておるというのが現状でございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 長官に対する質疑はこれで結構でございますので、どうぞ御退席なさって……。  次に安倍通産大臣に何点かお伺いしたいわけでございますが、すでに同僚委員の方々からいろいろ貿易摩擦の問題につきましては御質問がございましたので若干重複する部分があるかと思いますが、なるべくそれを避けて質問させていただきたいと思いますが、まず第一にお伺い申し上げたいことは、貿易収支の黒字解消策には、これまさに単純に考えまして、二つの方法しかないとかように考えるわけでございます。その一つは、これは先ほど来何回か問題になっております輸入の拡大と同時に、また輸出の規制、この二つではないかと思いますが、この場合輸出の規制というのはどうしても国際経済を縮小させる、弱めるというようなところから、どちらかといえばとるべき策ではない、輸入の市場拡大、市場開放というような問題が本筋であるというのがどうも議論のようでございますが、こういった議論は、たとえば輸出の問題について見ますれば、輸出業界の利益の立場からいろいろ議論もございましょうし、輸入に関して見るならば、関係する業界、団体というようなところからの抵抗も非常に強い、かように思いますが、大臣といたしましては、市場開放という立場から輸入拡大に努めるか、それを第一義的な問題として取り上げ考えるか、あるいはまた、輸出規制という問題、そちらの方に重点を置かれるか、その辺の、大臣のお考えをちょっとお聞かせいただければと、かように思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) やっぱり自由貿易体制の中ではインバランスが各国間に生まれるのは、これはやむを得ないことであろうと思います。日本と中東なんか見ましても日本が輸入の過大超過ということになっておるわけであります。  貿易収支を償うためには競争力の強い商品を諸外国に出してこれを償うということで、どうしても諸外国に対する日本の輸出を伸ばしていかなければならない。これは、自由貿易では当然基本的に起こる現象でありますし、ですからインバランスを解決することが貿易摩擦を解決することにはならない、こういうふうに思っておりますし、これは当然至極のことであろうと思うわけでありますが、しかし、対米、対EC関係でも去年非常に急速なインバランスが拡大をしたということでいろいろ問題が起こっておることも、これは事実でございます。したがって、そういう状況に対してはやはりわれわれとしては輸出についてもある程度秩序のあるものにしていかなければならぬ。いわゆる集中豪雨的な輸出は避けるという必要があると思います。わが国としても自動車であるとか、あるいは鉄鋼であるとか、あるいはまた工作機械であるとか、こうした工業製品についても日本自体が自粛をして、集中豪雨を避けておるということは御案内のとおりであります。これは自由貿易の原則から言うと問題があるわけでありますけれども、しかし、トラブルを避けるという意味では自制をしておることでございますし、これはまた続けていかざるを得ないと思うわけでございますが、半面においてはわが国への輸入の拡大を促進をしていく、これは相手国の輸出努力というのが非常に大事だと思うわけでございますし、その努力は、私は公平に見て足らないのじゃないか、こういうふうな感じを持っておりますが、これをしかしまあ進めていくということは必要であろうと、そのためには内需を拡大するということが基本方向でございますが、しかし、わが国としても製品輸入、あるいは輸入を拡大するためにわが国が必要でない物まで買うわけにいきませんから、私は、たとえばアメリカとの関係において輸入を拡大するということになれば、たとえばアメリカのアラスカ石油であるとか、あるいは無尽蔵にある石炭であるとか、そういうものをやはり輸入する道を開く、アメリカもアラスカ石油等については法律で規制等をしておりますけれども、しかし、アメリカ側がもし輸出を拡大しようということになれば、アラスカ石油なんかについても日本に輸出をするという道を開いてくれれば、相当な私はインバランスの縮小には効果があるんじゃないかと思っております。基本的にはやはり自由貿易、そしてその自由貿易体制の中で拡大均衡を図っていくというのが基本でなければならぬと思うわけであります。輸出課徴金とかいろいろと声も出ておりますが、そういうことをやるということは、やっぱり輸出が悪いんだというふうな、そういう輸出罪悪視の考え方でございますから、これはとるべき道では私はない。それはかえって世界の経済を拡大均衡というよりは、縮小均衡の方へ進めていくことになるわけでございますから、非常に悪い方向に世界経済は進んでいく、こういうふうに思っております。  したがって、ある程度の節度というものは必要にはなってくると思いますけれども、あくまでも基本は自由貿易、そして拡大均衡というのが原則でなければならぬ、こういうふうに思っております。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 ただいまの御答弁の中で輸出を罪悪視する、そういった意味からの反発が財界あるいはこれは通産省の内部にもおありかと思いますが、しかし、大臣の御答弁があったから申し上げるわけではないのでございますが、昭和二十年代あるいは三十年代あたりは、まあ輸出産業といえば言うなれば花形だったわけでございますね。輸出至上主義の、ある意味では若干過去の時代ということが言えたかと思います。しかし、現在は、二十年代、三十年代の当時と経済の局面も大きく変わっておるというような感じがしてならぬわけでございます。したがって、そういう意味からこの輸出にも、先ほど御答弁の中にもございましたけれども、若干規制と申しましょうか、手を入れることも必要じゃなかろうかというように私自身感得したわけでございますが、そういう意味から若干関係法規の改善であるとか、あるいはあえてお伺いしたいことは輸出課徴金のようなものを考えられる御意思があるかどうか、その辺ちょっと御答弁いただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 輸出につきましては自由貿易体制をやはり守っていく、そうしていたずらに貿易摩擦が感情的にならないということのために、集中豪雨的な、過去、日本でそういうこともあったわけでありますが、そうした集中豪雨的な輸出はこれはやはり避けなければならないのじゃないか。そこで、先ほどお話を申し上げましたような自動車を初めとして自粛をいたしておるわけでございます。もし自動車なんかにつきましても、日本が対アメリカあるいはその他の国々に対しても自粛措置をとらなければ、日本の自動車の国際競争力というものは大変すぐれておりますから、相手国の消費者の要求に合うわけでありますし、うんと伸びていくことは明らかでございますが、日本はあえて自主規制をとっておるわけでございますから、こういう方向でわれわれとしては秩序のある輸出体制というものをつくっていかなきゃならない。しかし、これをそういうことでなくて、むしろ法律によって輸出を規制する、そのための輸出課徴金を課するということは輸出そのものをやはり抑えていく、輸出そのものが悪いんだ、こういう基本的な思想というものにつながっていくわけでございますので、私たちはそういう方向はとるべきじゃないのじゃないか。ですから法律的手段、特に課徴金制度等によって輸出を国が抑える、抑制するということは私はやはりとるべきではない、こういうふうに思っております。そういう制度がとられるとそれがずっと波及しまして、そうして保護貿易のうねりというものが世界を覆ってくることになると一番被害を受けるのはこれは日本でありまして、私はやはりこういう道は選ぶべきじゃない、こういうふうに基本的に考えております。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 御趣旨はよくわかりました。  ただ、ちょっと私気になりますことは、日本経済の対外ポジションというものが、先ほども申し上げましたように、昭和二十年代、三十年代とは大きく変わってきておるというような気がいたしておるわけでございます。そういった場合に、この貿易問題を一つとってみまして、やはり貿易の基本をなすものが輸出促進的な制度であるような感じが現在してなりません。そういう折に、今後国際競争力を失いつつあるような産業をどうするか、そういった意味での産業調整、その辺の導入あたりまで多少考えていかないと、果たしてこれからの貿易摩擦が抜本的、基本的に解決し得るかどうかというようなことに若干危惧の念を抱くものの一人でございますので、その辺につきまして、多少国際分業であるとか、あるいは経済または技術協力を通じて各国と多角的な深いきずなを持っていく、その辺に少し姿勢を転換していくようなことが必要じゃないかというような感じがしてならぬわけでございますが、いかがなものでございましょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かになかなかいまの状況からいきますと、輸出をさらに大きく伸ばしていく、競争力が強いからこれをどんどん伸ばしていくということは非常に困難であろうと思います。したがって、ある程度の自主規制措置はとりながら、同時に国内的にはそういったことによるところのいろいろな影響を調整していくための産業調整的な考え方もとっていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございますが、同時にわれわれはそうした自粛措置をとりながら、一面また諸外国との貿易摩擦を解消するための協力体制というものは進めることができると思っております。ただ輸出入という関係だけじゃなく、たとえば産業協力、技術協力、日本の非常に優秀な技術あるいはまた経営力あるいはまた投資力、そういうものを活用して、諸外国との間で産業協力を進める。それがまた諸外国の雇用の促進にもつながっていく、あるいはまた諸外国の産業の活性化にもつながっていくということでございますから、そういう道は今後大いに開かれていくものであろうと思うし、そういう道をわれわれとしても積極的に進めていけばいいのではないか。私は、こういうことがただ単にインバランスを改善するとか、あるいはまた日本の市場開放体制を進めるだけでなくて、国際社会の中における日本の責任を果たすという意味においても、この産業協力とか技術協力というものは、非常に大きなウエートをもってこれから考えていかなきゃならない。これもまた諸外国との貿易摩擦を解消する一つの大きな柱になる問題である、こういうふうに理解をしておるわけです。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 よくわかりました。  実は、昨年末以来いろいろ通産御当局も御苦労なさって、残存輸入制限品目の問題、あるいはまた輸入枠拡大の問題、さらには非関税障壁の撤廃、改善というようなことで大変御苦労いただいたわけでございますが、引き続きまして、何か多少これは事務的で結構でございますが、たとえばの話でございますが、非関税障壁あたりを今後さらに撤廃ないしは改善していかれるような意味での具体的な詰めがなされておるか、また、なされておるということであるならば、その辺の内容につきまして、どなたでも結構ですが、御答弁願いたい、かように思います。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○政府委員(若杉和夫君) 二つの方法で前進をしつつあります。  一つは、日米なりあるいは日・ECの政府間協議の場で、いろんな非関税障壁の撤廃の問題で要求が出ています。全部が全部直ちにこたえられるものでもありませんけれども、議論をするたびに少しずつ前進をさしております。  それから第二は、先生御承知かと思いますが、いわゆるオンブズマンといいますか、苦情処理体制をからっとしきまして、迅速に答弁するという制度になっております。現に二月以降かなりの数のものが来ておりまして、それも完全に解決するものもあれば、制度上やむを得ないでお引き取り願うものもありますけれども、これも非関税障壁のものもあれば、あるいは手続の丁寧親切という問題もありますけれども、前進を見ています。この二つは今後とも続いていくことでございまして、絶えず前進をしておる、こういう状況でございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 たしか十九日の衆議院の、あれは外務委員会でございましたか、私、記録をはっきり読んでおりませんので定かではないのですが、外務大臣の御答弁の中で、訪米に臨む姿勢といいましょうか、そういった考え方、形の中で、たしか、農産物の制限品目の撤廃ということは、これはむずかしい、不可能だけれども、枠の拡大については多少考える余地があるというような意味の御発言があったのではなかろうかと思いますが、これはワシントンでこの四月に農産物についての協議がなされるわけでございましょうか、その辺で残存二十二品目ですか、この市場開放要求というものも恐らくは出てくるかと思うのですが、ただいまの外務大臣の御答弁とその辺の問題をあわせまして、通産大臣の御所見が例えれば大変結構でございます。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としては、経済対策閣僚会議におきまして、昨年の暮れに五項目の対外経済対策を決定いたしました。その中で、いわゆる残存輸入制限品目につきましては、この緩和は諸外国の関心品目に留意しつつ、適宜レビューを行うということを決めておるわけでございまして、諸外国の要請にこたえながらわが国としても検討を進めていく、こういうふうに決まって今日に至っておりますが、その間、御案内のように、アメリカから残存制限品目についてのいわゆる自由化が求められまして、先般の貿易小委員会におきましても議論が行われたわけでございますが、その議論の結果として、農産物については八四年の三月三十一日までは事前協定ができておるわけでございますが、アメリカ側の要求もあって、とにかく十月以降に農産物問題についてはテーブルについて話をしようということが決まったのと、それからそれまでの間に、いわゆる日米間で作業グループをつくって、農産物の問題についても作業を続けていこう、こういう路線が一応諾し合いがついて今日に来ておるわけでございます。  したがって、その路線に従ってこれから検討が行われるわけでございますが、アメリカ側は非常に強い要求を持っております。しかし、日本としてもずいぶんこれまで撤廃に撤廃を重ねて、ほとんどもう日本の国内情勢の中でこれ以上の自由化はできないというぎりぎりの二十二品目にまでしぼられてきておりますから、日本には日本の困難な国内的な立場もあるわけでございますので、アメリカ側の強い要求があってもそう簡単に応ずるというようなわけにもいかない。これをどういうふうにこれから作業部会あるいは日米会談で処理をしていくかということは大変な困難な課題でございまして、これからの情勢を見ながら判断をしていかなきゃならぬと思いますが、私は基本的には、農林大臣もしょっちゅう言っておりますように、この農産物残存制限品目については日本の国内情勢から見てきわめて困難であるし、また農産物全体の日米貿易ということを考えると、圧倒的に日本がアメリカから輸入している、こういう実情もあるわけでございまして、そういう点をいろいろと考えながら判断をしていかなければならないと、こういうふうに思っておるわけでございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 時間もありませんので一、二簡単にひとつお答えいただければ結構でございますが、ただいまの大臣の御答弁の中で、農産物については非常にむずかしいというようなお話で、それはそれなりにわかりますが、具体的にずばり申し上げまして、しょっちゅう問題になります牛肉、オレンジの問題、また欧州からの、言うなれば肉の調整品と申しましょうか、それから乳製品、こういった品目について何か具体的にお知らせいただければ大変ありがたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはそれぞれの国が自由化を求めてきております。アメリカは特に牛肉、オレンジ、それからヨーロッパは乳製品であるとかあるいは菓子であるとかチョコレートであるとか、そうものについても非常に強い関心を持っておるわけでございます。これはやはりこれからの問題として大きくなってくるとは思いますけれども、日本は日本の事情があってそう簡単に応ずるわけにはいかないのじゃないだろうか。しかしその中で、一方においては貿易摩擦も解消していかなきゃならぬという大命題の中でどういうふうに結論を出していくか、目下苦しみながらその対応策を検討しておる、こういう段階であります。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 終わります。

降矢敬雄自由民主党

○委員長(降矢敬雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十三分散会      —————・—————

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