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96回国会参議院1982/07/08

社会労働委員会、内閣委員会、地方行政委員会、文教委員会、農林水産委員会連合審査会 第1号

発言数
399
登壇者
26
会派数
7
開催日
1982/07/08

会議録

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) ただいまから社会労働委員会、内閣委員会、地方行政委員会、文教委員会、農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。  老人保健法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 まだ大蔵大臣が見えてないようですから、きょう質問に入る前に大蔵大臣に一言聞いておきたいと思ったんですが、後ほどさしていただきます。農水大臣が見えていますから、農水大臣に本題に入る前にお聞きしておきたいと思います。  御存じのとおりに、米価審議会が十三日ですか、予定されておるようです。問題は、早くも据え置きという議論が流れておりますが、ことしの米価を見ますと、要求自体が非常につつましいというか、ぎりぎりのところで抑えて要求しておるようでございますし、この五年間の物価並びに賃金等を比較しましても、私はそう思うんですが、この問題について大臣の所見というのか、考え方をまず聞かしていただきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 今年度産の生産者米価につきましては、実はまだ結論を得ておりません。五日の日に前広米審、いわゆる事前審議をこの米価審議会の方々にお願いをいたしまして、米をめぐる全体の事情を互いに討議をしていただいたのでございまして、十三日からいよいよ三日間米価審議会を開くことにいたしておりますが、私たちといたしましては、食管法の規定にのっとりまして、米の需給関係の動向、さらには再生産確保を旨として、先ほど申し上げました米価審議会の意見を聞きながら適正な米価を決めたい、かように考えております。  しかしながら、いま米をめぐる現状というのは非常に厳しゅうございます。財政の面から言っても、あるいは内外の動向等非常に厳しい中でございますので、そういう点をも配慮しながら今後適正な米価を決めたい、かように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 厳しい条件はよくわかりますが、しかし農家にとってもこれはまさに生活費の最たるものですから、そこら辺は十分配慮いただいておると思いますが、農民のささやかな要求については、大臣としてもぜひこたえていく、こういう態度を堅持して米価審議会に臨んでいただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  そこで本題に入りますが、きょうは、老人保健法案の審議が延長を含めまして大詰めを迎えておる中での連合審査でございます。私はいろいろ衆参両院のこの問題をめぐっての議論、こういったものを読ましていただきましたが、きょうは主として実施主体である自治体の側に立って、その視点から質問さしてもらいたいと思います。  その前に、基本的な問題だけ二、三ひとつお聞きしておきたいと思うんです。  その一つは、せっかく老人保健法案の原案では、老人保健審議会で支払い方式を含めた診療報酬の基準等について審議をする、こういうことになっておったのが、衆議院の修正で中医協の方に問題の審議を付されてしまった、こういう法案修正になっております。これは中医協で見直しができれば私は結構だと思うんですが、これまでの中医協の審議の実態から見ますと、そういう見通しというのはほとんどないに等しい、こういうふうに私は思うんです。  私はそういう意味で、衆議院の行き過ぎであるとか、もしくはそういった実態に沿わない修正であるとかいうことについては、参議院は良識の府であり、チェックする機能を持っているわけですから、せっかく与野党の中でいま修正を含めて議論もあることでございますから、この際見直すべきじゃないか、もう一遍原案に戻すべきじゃないか、こういうような感じがしております。そこでこれについて大臣はどういう御見解を持っておるのか。  村山元大臣は衆議院段階で、まことに遺憾だ、遺憾だけれども、しょうがないと、こういう答弁をしておるようでございますけれども、これは衆議院における答弁でございまして、参議院段階に来たら、遺憾なら遺憾なように直さにゃいかぬ、こういうような感じがします。そういう意味で、大臣がこの問題についてどういう考え方を持っておられるのか、まずお聞きしておきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 支払い方式の問題につきましては、非常に重要な問題でございまして、参議院社労委員会でもたびたびこの問題につきましては御質問がございました。衆議院で修正されまして中医協で行われることになりましたけれども、この問題につきましては、中医協は診療報酬に関する専門の審議会でございますし、老人保健の支払い方式についても十分審議できるものであると、こういうふうに考えておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、中医協で十分審議できるような見通しがあるなら、あなたの方は原案で老人保健審議会で審議するという方向をとらなかったと私は思うんです。そこら辺に原案の意味があったんじゃないかと私は思います。  それから社会保険審議会の答申を見ましても、五十六年四月二十五日ですか、この診療報酬方式について一項を設けております。「老人の特性に見合った診療報酬体系とするため、現行の出来高払制度を見直すべきである。」、こういう答申をしていますね。同時にまた、社会保障制度審議会は、その答申の中で、「医療費の適正化対策とともに、診療報酬のあり方の検討が速やかに行われなければ、関係者の合意は得られまい。」と指摘し、強調しております。私もそうだと思うんです。  ですから、私は、厚生省原案でそういう方向、老人保健審議会でそういう見直しを提起したんだと思うんです。それを厚生大臣が中医協でもできるというような、そういうことは私は詭弁じゃないかと思うのです。そこら辺がもし中医協でできるとするなら、構成を変えるのか、できるような構成にするのか、そこら辺の見通しがどうなのか、ここら辺も含めてひとつ大臣の見解を聞いておきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 御指摘のように、過去におきましては、中医協の議事運営において何度か審議中断というような事態もあったことは事実でございます。しかしながら、このような事態においても、公益委員を中心に関係者の御尽力によりまして審議を軌道に戻しておりまして、現在は非常に円満な運営がなされているところでございます。ということで、今後ともこの運営の適正が図られるよう最大限の努力をいたしたいと、このように考えております。  なお、中医協の構成の問題につきましてただいま御指摘がございました。割合を変えたらどうかという問題でございますけれども、運営の面で、各方面の御意見を踏まえまして、老人保健の診療報酬の審議にふさわしいものとなるように検討してまいりたい、こういうことでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 すると、大臣の見解はあれですか、中医協がこの見直し問題を論議できるような構成に変えると、こういうことを前提としていま御答弁いただいたんですか。それともどういうことなんですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 構成を変えるとは言っておらないのでございまして、運営の面で十分御指摘のように老人の特性に見合ったような診療報酬の審議ができ得る、こういうふうに確信しておるということを申し上げたわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣ね、いまちょうど与野党でこの問題について修正点を含めて議論しておるさなかだから、私は、厚生省の責任者としてこの辺はきちっと態度を鮮明にすべきだと思うんですよ。与党の方に少し気がねしておるようだと思うんですが、そこら辺は私は所管大臣としてはまことに遺憾だと思うんです。そこら辺また後に関係して質問をしますが、これはぜひそういう態度を堅持してもらいたい、そういうことを強く望んでおきます。  幸い、大蔵大臣参りました。大蔵大臣は前に厚生大臣も経験なさっておる、本も出されておるんですね。医療の今日の現状についていろいろ庶民の立場に立って書かれておる部分もございますが、とりわけこの診療報酬制度の問題については一つの定見も持っておるようでございますから、私はいま厚生大臣とやりとりをしましたように、いまの中医協の構成の中ではこの診療報酬支払い制度というものは検討できないという見解を持っております。いままでの医師会の態度からいってもできないような感じがしてなりません。  しかし、この問題をきちっとしない、見直さない限り、拠出金制度をつくったり一部負担制度を導入しても、基本的には十二兆円何がしというこの日本の医療産業の、医療の荒れはとまらない、また医師の不正もとまらない。薬づけ、それから検査づけという状態もとまらない。ここに一番ガンがあると思うんです。この点は見直すべき時期に来ておる、こういうふうに思うんですが、そういう観点から御見解があればいただきたいと思うんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 物事には現実的な問題と、一歩先へ出て理想的なものと二つございまして、ともかく佐藤委員のおっしゃることは、前向きに見ればそういう議論がかねてあるわけです。  しかしながら、これは構成員の頭の問題もございまして、医師会の頭も変わったから構成員の考え方も変わってくるんじゃないか。ともかく三分の一欠席して休んじゃえば、みんな流しちまうみたいなことを繰り返すようなことはなかろう。したがって、医師会の中でも自浄作用が起きて、みんな反省期に来ておることでございますから、もうしばらく様子を見て、それでだめならまた法的措置ということもあるんじゃないだろうかと、そう思っております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 渡辺さんらしからぬ答弁なんですが、本に書いておることと若干違うような感じがします。まあ国民向けと与党を相手にしてのいろんな思惑、こういうこともあるんだろうと思いまますが、しかし、これはいずれにしましても、社会保障制度審議会の答申の中にありますように——あの中には法律で明確にすべきであるというところまでつけ加えてますね、審議会では、この見直しについて。こういった点もこれは私、衆議院で修正されて事実上食い逃げされたようなかっこうになるわけですから、これは承知できません。  したがって、ちょうどいま参議院の修正段階の時期でございますから、大臣ひとつここは、厚生省が当初いろいろな意味のことを含めて検討して出した経緯もあることですから、原点に立ち戻って、修正の中で再修正をして、そして老人保健審議会で審議できるようにするか、もしくは中医協の中でやるとするんなら、必ずそこで見直しができるようにするか、ここはその立場を堅持して臨んでいただきたいということだけは強く要求しておきたいと思います。  それからもう一つの問題は拠出金の問題です。この拠出金の問題、私は、出来高払い制度そのものの見直しができなければ、すべきでないぐらいな気持ちを持っておるわけでございますが、まず、今日段階における拠出金制度をなお必要とする理由は何なのか、厚生大臣から見解を承りたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 詳細につきまして吉原審議官からお答えいたしますが、拠出金の問題につきましても、これも社労委員会で大変問題になった点で、重要な問題でございまして、本質は、社会保障制度という皆で助け合う、また御老人自身も応分の負担をしょう、そういうような大きな観点からこの制度をとったわけでございまして、ただいろいろ各保険の種類によりその歴史等の相違もございまして、一挙にそういう理想的な方向、一本化するような方向にはいきませんが、老人を共通して皆が支えなければいけない、そういう観点からこの制度をとらしていただくわけでございます。  詳細につきましては、吉原審議官より御答弁いたします。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 現在の老人医療制度におきましては、各保険制度、健康保険制度、国民健康保険制度等からの給付、それから老人福祉法による公費支給制度、それによりまして老人の医療費が賄われているわけでございますけれども、現在の保険制度による各制度間の医療費の負担に大変な不均衡がございます。具体的に申し上げますと、特に国民健康保険の中に老人の加入者が非常に偏っているというようなことがございまして、国民健康保険の負担が非常に大きくなっている。  そういった各保険制度間の費用負担の不均衡を是正する、そのために、この新しい制度におきましては、各保険制度から一定の基準で、そういった老人の加入率等も勘案をいたしまして、一定の基準で公平に費用を拠出していただいて、将来ふえるであろう老人医療費というものを国民みんなで公平に支えていく、みんなで負担し合っていく、こういう制度が必要だというふうに考えたわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで、公平に負担するのは結構だと思うんですが、またそういう必要性はわからぬでもございません。しかし何を公平に負担するのか。そういう意味でさっきの問題、支払い制度の問題の見直しが前提になると、この問題は。恐らく、私は後ほど各大臣から聞きますけれども、そこのもとの方はほったらかしておいて、そして出た結果に対して公平に負担せよと、こういうことでは各被保険者団体としても納得できぬのじゃないかと、こう思うんです。  ところが、この問題について最も強い反対をしながら、自民党さんと話をして、これは新聞によるんですから正確かどうかわかりませんが、財界と歯どめの合意ができたということで、たとえば拠出金の来年度以降については老人の伸び率、これを基礎にするんだと、こういうようなことが報じられておるんですが、これはまだ各党間の話ではできてないんじゃないかという感じがするんですけれども、ここら辺の経緯はどうなっておるんですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 各党間また経済団体とのいろいろな話の過程の中で、そういうようなうわさがあることは聞いておりますが、政府、厚生省といたしましては、合意がなされたということはまだ聞いておりません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 仮にそういうことになりますと、老人医療の伸び率、大体一三%近い伸び率としておるわけですが、こういう伸び率と老人の伸び率、そこに乖離が出てまいりますね。そうなりますと、この問題の乖離の部分については一体どう財源補償をするのかという問題が当然起こってきますね。そういう感じがしてならぬのです。  たとえば組合健保の例だと、五十七年度が七百八十億ですか、それが六十年は千九十億になる、こういう予測に立つわけですね。それが老人の人口増加率三・六%で抑えていくということになりますと相当な乖離が出てくる。どのくらい出るだろうか。三・六%と仮に抑えてみましたときに、健保組合の場合は五十八年から六十年どのくらいの数字になるのか、おわかりになればひとつお聞きしたい。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 健保組合の場合についてお答えをいたしますと、現在の政府の考え方ですと、五十七年度の満年度で健保組合の負担増が七百八十億でございますけれども、これを仮に老齢人口程度、三%程度ということにいたしますと、毎年の増加額が大体二十億ないし三十億、六十年度におきましても八百億台ということになるのではないかというふうに思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 さて、そうなると、これはやっぱり各健保や共済にしてもなかなかうんと言うわけにはいかぬと思うんですが、どうですか。これは関係の大臣、大蔵大臣、自治大臣、文部大臣、この問題についてどういうようなお考えを持っていますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいろいろ議論があるところでありまして、組合保険というのは在職中だけめんどうを見てもらえるが、幸いに在職中病気しなかった、ほとんど病気らしい病気も家族も含めてしない、掛金だけいっぱい掛けちゃった。それでやめたらば間もなく国民健康保険に入らなければならない。そのために国民健康保険がひどい赤字になる。ともかく一生めんどうを見てもらえぬかとか、そういう議論はもともとあったところでございます。  いずれにしても、国保が赤字になれば、市町村、国などが穴埋めをした。その財源は、しょせんは国民の税金で穴埋めをしてきた。これも事実。  しかしながら、長い間会社に勤めておって、積立金を出して、しかもその会社をやめたらばめんどう見てもらえないというのは、困るという議論もあったわけでありまして、それはいままで入っておった組合で長くめんどう見たらいいじゃないかと、こういう議論あるんですよね。  そこで、その中間的なものといいますか、老人だけ別建てにしようということになったわけでございますから、結局税金で見るのも、保険料の中から見るのも似たような話で、その一部分を、どうせいつかは自分たちも年とって会社をやめていかなければならぬ、そういうときは老人になる、老人については何らかの形でみんなで助け合い運動をやるということでありますから、私としては、ある程度のものをそれぞれの健保組合なり共済組合なりが出し合って、別な老人の保険制度をつくるということに協力するということは、私は妥当な措置ではないだろうか。  ただ、出す比率の問題にもよるでしょうけれども。私は、ともかくもどこかが赤字になったときには、みんなして全部出し合ってめんどう見るというようなことだったら、それは個別の組合なんというのはむしろお互いが経営努力を怠っちゃって、政府管掌保険みたいになってしまって、余り意味がなくなってしまう。しかしそういうわけでもない、これは。ごく一部の限られたものについてだけ出すということですから、いろいろ紆余曲折はありますが、現在の段階では妥当な制度ではないかと、そう思っております。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 御指摘の点に関しては、地方自治体、地方で行っている自治体の共済組合関係の健康保険の負担がふえる可能性はあるのでございますが、全体的に見てまいりますと、各市町村が運営している国民健康保険、こういうところの負担が一方では軽くなる。全体的に見ていくと、いろんなことはございますけれども、やむを得ないのではないか、新制度はある程度やむを得ないのではないか、そういうふうに私どもは見ておるものでございます。

小川平二自由民主党文部大臣

○国務大臣(小川平二君) 老人保健法の成立に伴いまして、私立学校教職員共済組合が拠出することになります金額は、五十七年度で九十億円でございます。反面、現行制度のもとで私学教職員共済組合が七十歳以上の加入者にかかわる給付費の総額も等しく九十億円でございます。差し引きとんとんでございますので、財政の観点からは格別支障がないものと、こう考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 文部大臣は差し引きとんとんというお話ですが、大蔵大臣、自治大臣はある程度という——ある程度というこの数字が問題なんですね。  そこで私は、いろいろ議論ございましょうが、ここは時間の関係もございますので行きますが、問題はこのある程度というそこがいま、言うならば、この共済なり被保険者団体の限度があると思いますよ。だから、この限度と実際の老人医療費の増との乖離の問題、こういった問題について当然持っていくところは国庫負担、国が措置をしなければならぬと、こういうふうに思うんですが、厚生大臣どうですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 歯どめの問題に関連した御質問だと思いますが、歯どめの問題がどういうふうな形で国会としての御結論といいますか、合意というものがされるのかまだ承知をしておりませんけれども、仮にそういった歯どめをつけた場合に、その穴埋めをどうするか、国で持つべきではないかという御意見かと思いますけれども、私どもとしては、仮にそういった歯どめがつけられました場合の穴埋めは、国というのはおかしいんではないかと思います。  この制度の仕組みといたしまして、国それから地方公共団体の公費で三割、それから保険者間、保険者の共同拠出金で七割を持つということになっておりまして、この歯どめの問題というのは、保険者から出していただく、特に健保組合が出していただく負担金について一定の限度を設けるべきだというお話でございますので、仮にそういったことに限度を設けるといたしました場合は、あくまでもその七割の保険者の負担の中での問題、そういった問題として処理をすべきだというふうに思っておりますし、実際問題といたしまして、いまのような国の財政のような状況のもとで、健保組合の負担金に歯どめを設けた場合に、その穴埋めを国というのは、なかなか実際問題としてもむずかしいというふうに思っております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうなりますと、国がむずかしいということになると、どうですか、自治体にその問題をしわ寄せしようということになるんですか。この点はどうなんですか。どこでその穴埋めをしようというんですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 自治体にしわ寄せということはございません。その七百八十億が出てまいりますのは、医療費の案分というもの——大変複雑でわかりにくいかと思いますけれども、医療費の実績案分とそれから老人加入率による案分ということで出していただくことにするわけですが、その老人の加入率の差をならすということによってその健保組合の負担増というものが出てくるわけでございます、七百八十億というものが出てくる。それをある程度限度を設けて抑えるということにしますと、結局それは従来のような負担割合で各保険制度に持っていただくと、こういうことになるわけでございまして、しわ寄せがそのために地方自治体にいくということにはなりません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうなると、結果的に歯どめはするけれども、歯どめの分の乖離については健保組合の方で負担してもらうと、こういう理屈になるんですか。そんなばかなことはないじゃないですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 健保組合が負担するということではなしに、従来のやり方で各保険制度が負担をする。つまり国民健康保険制度なり共済制度なり、それから健保組合にも若干負担がかかる分がございますけれども、従来の保険制度で従来のやり方での負担ということになるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 私は、そういうことになりますと、また従来のやり方ということは、いまの国民健保の中で負担するということでしょう。そこにしわ寄せがくるということじゃないですか。だから、そういうことになれば、これはまた問題がある。これは私は当然国の方で負担すべきだと思いますし、そこら辺の問題は、大臣、きちっとしてもらわぬと、これはなかなかこの法案を通すわけにはいかぬと思うんですが、いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 地方自治体に負担させるわけにもいきませんし、また国がどうこうということもございませんし、ということになりますと、いまおっしゃいましたように、もう一遍その足らない分を各組合に割り当てるということを吉原審議官から答弁したわけでございますけれども、実は私どもも、医療費が年々上がってまいりまして、この問題につきましては、医療費の適正化というようなことで一生懸命抑制の方向で指導等いたしておりますし、大蔵大臣の方からもいろいろ医療費の適正化についての御注文と申しますか、指導等もいただいておりまして、要は結局、ときどき新聞等で出ますが、すべての医者が私はそうだとは思わないんですが、ほんの一部の医療施設また医師が新聞だねになるような問題で非常に不信感を抱かしておる。そして、不正請求とか水増し請求というようなことがございます。  たとえば組合健保なんか、労使とも努力して、できるだけ病気にかからないように日ごろから保健衛生に気をつけておる。しかしそれを足らぬ分の穴埋めに持っていかれる。これはもう心情的にも私どもはよくわかりますし、幾ら負担を公平に御老人のことだからしようと言いましても、一生懸命努力しておる関係の団体、またそうでない団体、そういうことで、将来的には一本化すべき問題であっても、現状ではそう簡単にはいかない。  そういうことで、結論は、むだな医療費が使われないように全力を挙げます。この努力も見ていただきながら、よくやっておる、しかし足らぬ分は、いま吉原審議官が申し上げましたような基準において、その足らぬ分を再配分と申しますか、再負担の方向でお願いしたい。これが厚生省の考え方でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 問題は、大臣がおっしゃるようにむだな医療費が累増しないように抑えること、これは私は国の、厚生省の指導の責任だと思うんですね。そこら辺が不徹底であり、さっき私がその問題で、報酬支払い方式をどうするんだということについて質問したんですが、これについてはまだはっきりした決意も聞いてないんです。いずれにしても、こういうところに問題があることは私は否定しません。そこをきちっと抑えなければいけない。  そのためには、そのために出てきた経費負担ということが一つ。もっと言いますと、これは老人保健制度というのは、各共済の問題とは違った観点に立っておるわけですから、こういう意味で国がそこら辺については責任を持つということが大事じゃないかと思うんですよ。そうしないと無責任になっちゃう。ですからそこら辺はこれから話し合いがされると思いますが、拠出金の問題について、ひとつ十分留意して議論をしていただきたいということを注文つけておきます。  それからもう一つの問題ですが、その前に、農林大臣が何か十一時から委員会の関係があるようでございますから、ちょっと農林大臣がおるときに聞いておきたいんです。  農林省の関係で生活改良普及員というのがございますね。ここがいま健康普及運動というのを盛んにやっていますね。栄養指導であるとか健康意識の向上であるとか、農民を対象にしておるんですが、定期の健康診断もやっていますね。こういったことがやられておる。具体的に私が見た実態では、血圧、検尿、肝機能検査、そういった精密検査もやっておるようですね。その後の指導もやっておるようでございますが、これはいつごろから、そしてどういう規模で全国的にやられておるのか、実態をまず御報告いただきたいんです。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) お答え申し上げます。  農林省は健全な能率の高い農業経営を育てるというのが仕事でございますので、農業生産面のいろいろな指導活動をやっておりますが、生産指導活動のいわばうらはらの関係といたしまして、日常の生活指導という領域も受け持っておるわけでございまして、生活改良普及員というのは主としてそういう役割りを担っております。そういう指導面を通じまして、農作業上あるいは日常生活の上でのさまざまな健康阻害要因というのが出てまいりますものですから、そういうものに対しまして、農業の生産面あるいはその生活面の指導を通じまして農家の健康増進ということをやっておるわけでございます。  その際に、いま御指摘ございましたような健康診断という仕事になりますと、これは保健所の領域でございますので、そういうところの御協力をちょうだいいたしまして、ただその対策といたしましては、農家の自主的継続的な健康増進活動、こういうものを助長する方向で仕事をいたしておりまして、大体昭和四十年ごろから、多少予算の中身は変わってきておりますけれども、継続して実施をいたしておるわけでございます。したがいまして、一般的な保健衛生活動あるいは医療活動ということになりますと、これは保健所なり医療機関なりの問題でございますが、私どもはいま申し上げたような立場から仕事をしておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 実態、わかりましたが、これは五十五年の十二月に行管庁から勧告を受けていますね。この勧告の内容と対応はどういうことですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 行管の勧告は、非常に多岐にわたっておりますので、詳細一々申し上げませんけれども、一口で申し上げますならば、いまの生活改善普及事業というものが農業及び農家の生活条件のさまざまな変化に対して十分に対応しておらないのではないか、そういう意味の御指摘がございまして、その中にはごもっともな点もございますものですから、私どもとしましては、今後の事業執行体制というものを通じまして改善する方向に向かうつもりでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いろいろなものというその中身を言ってくださいよ。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) ただいま手元に資料がございませんので、詳細かいつまんで申し上げることはできないわけでございますが、一口に申し上げれば先ほど申し上げたようなことに尽きるわけでございます。御必要がございますれば、具体的な項目については後刻御報告申し上げます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それは資料を持ってなきゃこれはしようがないけれども、きのうちゃんとそういう連絡はしておるわけですから、きちっと質問事項も言っておるわけだから、してもらわぬと私は困ると思う。その点ひとつ御注意申し上げておきたいと思うんです。  そこで、厚生省にお聞きします。いま聞きますと、これは農家に限定しておりますが、老人保健法の先取りみたいなことがやられておるわけですね、農林省で。これは厚生省との整合の関係はどうなるのか。またこの老人保健法の成立後の対応ですね、ここら辺はどういうふうにお考えなのか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 老人保健法におきましては、これは健康な老後を確保する、そういうことを目的として四十歳以上、つまり壮年期からの疾病の予防と健康づくりをやっていこう、こういうことで実施することになっておるわけでございます。  一方、ただいまお話しございました生活改善普及事業を初めといたしまして、いろんな観点から実施されますいろんな保健対策、それから生活指導事業というものがございますが、それぞれ直接目的とするところが、あるいはその方法において老人保健事業とは若干異なっている部分がございますが、いずれも国民の健康づくりに寄与するという点では同じではないだろうかと思います。  ただ、先ほど農林省の方から御説明ございましたように、健診は大分保健所の方で受けてやっておるわけでございます。したがいまして、今度老人保健法が実施になりますと、その辺は保健所の方でまた整理をいたしまして効率的にやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いまあなたは保健所の方で大分やっておるということを言いましたが、実態はそうでないですね。保健所の方で一部やっておるけれども、あとはほとんど民間委託でやっておる、これが実態のようである。  私は、こういったあり方について厚生省、農水省いろいろあるでしょうが、やっぱり責任体制は明確でなきゃならぬと思うんですね。そういう意味でこれらの処理がやられていかなきゃならぬと思うんで、農林大臣のお考えがあればいただきたいと思うんです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、農林水産業は農漁民にとっては生産の場でありますと同時に生活の場でございますから、したがいまして、常に労働が非常に過労になってまいりますし、健康を顧みる余裕がないといいましょうか、そういう関係で、特に新しい農業をつくるためには健康管理というものは一番重要でございます。ことに婦人は、家庭の主婦であると同時に農業のいわゆる担い手でもございますから、そういう点では非常に重要だと思うのでございます。また機械化による合理化を進めておりますけれども、どうしても農業という産業は労働が中心でございますから、そういう意味では健康が第一だ。ことに老齢化の現象が非常に強いものでございますから、そういう点から考えますというと、健康管理というのは非常に重要だということで、農村総合整備事業等を通じて農村の環境整備とともに、あらゆる面での地域ぐるみでの体力づくり等を進めている。  その中にいま先生御指摘のようないろんな問題が取り上げられているわけでございまして、民間に委託する場合もありますし、主として保健所を通じていろいろ生活指導を行っているということでございます。また、地域医療につきましては、もちろんこれは厚生省が担当でございます。また私たちの関係としては、農協が担当しております医療施設等については、私たちはそれぞれ農林漁業金融公庫等を通じていろんな助成をしているというような状況でございまして、いずれにしましても、農業を近代化し合理化してまいりましても、この産業は健康管理というものが一番重要でございますから、そういう点に留意をしてこれまでもまいりましたし、今後もまたこういう点に留意をして進めてまいらなきゃならない、かように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 農林大臣の方からもお話がございましたように、この法案が成立すれば厚生省の末端機関との連携をとっていくということでございますが、私まさに農水省の方が先取りしておるような感じがするんですけれども、しかしこれがけしからぬとか、そう言っているんじゃないんです。問題は責任体制をどうするのか、そこら辺がやっぱりきちんとしていかないといけない。それから実際やられておる内容を見ると、保健所よりもむしろ民間委託の方が多いようでございますから、そこら辺は正していった方がいいんじゃないか。こういうふうに感じますから、そういう処理を両省の間でひとつ詰めていただきたい、こういうように思いますが、何かございますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 保健事業につきましては、画一的に考えるわけにいかぬと思います。都会とまた田舎によりまして違いますし、またその職種、職能等によっても保健の検査の重点が違うと思うんです。  いま第一次産業でございます農林水産関係、これは何と申しましても肉体労働、汗を流すことの労働力によって生計を立てておるわけでございますから、健康であることがすなわち資本であるということでございまして、一般に考えております保健衛生と違った意味で配意をしなければいけない。  そういうことで、私どもの方といたしましても、ただこの保健所が全部同じような形でやるんではないんだと。そのために順序と申しますか、保健所と次に公的な医療機関、そういうことで、特殊な場合には地域のそういう方々にもお願いする場合もあるわけであります。そういうことで保健医療資源を組織的かつ有効に活用することが必要であるという前提のもとに、できるだけ保健所につきましても地域の特性を生かしてやっていきたいと思いますけれども、時には市町村の要請を受けて積極的に支援が行えるような整備を図っていく。また公的な医療機関につきましても、地域の保健医療の中で率先してその使命にふさわしい役割りを果たすように指導してまいりたい。また時には民間の医療体系にもお願いをしなければいけないと、こういうことをやりたいと思っております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 農林大臣、文部大臣、結構です。  大蔵大臣も何か時間が限られているようですね。さっきあなた一番冒頭に来れば聞こうと思ったんだけれども、遅刻はするし、早く帰りたいということで、まことにもって委員会軽視なんで困るんだけれどもね。  一つだけ質問しておきたいと思いますのは、この問題とは違うんですが、御存じのとおりに歳入欠陥が二兆九千億と確定をした。五十七年度は約五兆六千億ほどと推定されると、こういう状態になってきた。私は公共事業の前倒しも結構だと思うんですが、しかしそれではこの事態は回避できないような感じがします。  あなたは先週の日曜日の討論会で言っておりましたが、緊急に補正子算審議のための臨時国会を開くべきではないかと、こういうふうに私は思うんですが、その辺の見解は一体どういうことか。  それからもう一つは、こうなってまいりますと、総理がおっしゃった、五十九年度までに赤字国債をゼロにする、こういう公約は事実上破産するような感じがするわけです。増税なき財政改革は、こういう状態の中にあって、増税をやるのか、それとも赤字国債を出すのか、さらに経費を節減するのかと、この三者択一になりまして、なったところでのケースでも限度がございますからね。そうなると、赤字国債発行になるのか、増税になるのか、こういうことになら、ざるを得ない。ここら辺について一体大蔵大臣としてどうこの処理をしようとしているのか。私は、あなたが予算委員会の中で歳入欠陥については責任をとるという発言をしたことも知っています。しかし、その問題をここで、きょうは本論でございませんから言いませんが、いずれにしても、今後の緊急的な措置としてどういう考えを持っておるのか、これだけひとつ聞かしてください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まず、補正予算をどうするかという問題につきましては、補正をするからにはどこを補正するか。よく言われているのは、一つは景気対策、もう一つは五十六年度に続いて五十七年度も税不足になるんではないか、したがってその補正。大体この二つだと思います。  しかしながら、現実の問題として、予算が執行してまだ二カ月、三カ月という段階で、全体として税収が減るんでないかという懸念はもちろんあるわけですが、じゃ幾ら減るんだ。漠然と去年と同じぐらいという議論も一つありますよ。補正予算を出すという上において、大蔵省は漠然とこの程度ということはまだ書けないわけですね。したがって、それじゃ中身は、法人税が幾ら減るというんなら、所得税が幾らで、物品税が幾らで、自動車税が幾らで、何が幾らでと、当たる当たらぬはまた別としても、合理的推定の根拠を書かなければならぬ。  野党が、そのようなことは書いてみたって、しょせんはやってみなければわからぬのだ、見積もりだから、だから漠然とでいいじゃないかという与野党の合意でもあれば、また話は別ですが、そうでない限りは、一応の時間が経過をいたさないというと、たとえ推計を出すにしても資料が何もない、資料が。税目ごとに書かなければなりませんから。したがって半年はかかるということになります。資料が出てくるのは、九月にならないと出ないと企画庁でも言っているわけです。だから大蔵省だけで勝手に、企画庁を差しおいて、こっちで経済見通しをつくっちゃって、われわれはこう思うというようなわけにもいかない。したがって九月過ぎということになるでしょう。もし、もしゃるにしてもですよ。  それからもう一つは、景気の動向その他もまだよくわからぬということでございます。  第二番目は、したがって補正国会をいつ開くかということは、仮に開くとしても、それ以降の話ということになります。  それから今度は、五十九年度に本当に赤字国債脱却ができるんですかという議論ですね。経済状態がいまのような状態であると非常にむずかしいということは、これはだれしも一般的に、はっきりした根拠はないけれども、漠然と考えられることでございます。  しかしながら、いまのうちから、五十八年度予算編成をする前に、それはもうあきらめたんだ、しりはずっと後にしちまうんだ、締めくくりは。ということになってしまうと、行政改革、歳出削減というかけ声が緩んじゃって、まあまあ仕方がないじゃないか、ずるずるずるっとこのまま赤字国債がよけい出てきてしまうという危険性なきにしもあらず。したがって、非常にむずかしいと思われる目標ではございますが、一応のめどを五十九年度脱却というところに置いて、それに向かって最大限ぎりぎり切り詰めればどれくらいできるかということをまずやってみましょう、まずはということでございます。したがって、その旗はおろさないでやってみよう。  最後に、大蔵大臣、計算違いの見積もりをどうするんだ、責任どうだと。この点については、もともと計算違いをしたのは、それは経済変動の見通しを誤ったということでありまして、これは国会でも、あの収入では足らない、もっとよけい税収見込みをつけろと言った人が何人もおりまして、各党かな、何々党代表とか。当時としてはそのとおりなんです、一年半も前の話ですから。当初予算の見積もりについてはもうほとんど、ごく少数の人はどうか知りませんが、大部分が、もう証拠が歴然としておるわけですが、わからなかったわけでございます。  問題は、補正のときに何で気がつかなかったか、問題はここなんですね。ところが、これは補正予算は十二月に組むわけですが、十一月の法人税の申告状況というものは非常にいいんですね。これは非常にいいんです。銀行なんというのは五〇%増というようなところが最終的に出ているわけです。ところが年二回決算というのが非常に少なくなっちゃった。したがって、いままでならば年二回決算ですから、九月のしりがわかれば十二月にはわかってくるんですよ。それが今回は年一回の法人が圧到的に多くなった、商法の改正によって。  したがって、税収も、いままでのように九月で一遍締め切っちゃってということがないので、わからなかったということがあるものですから、法人税で一兆五千億円の見込み違いが出た、これが一番でかい。あとは源泉税とか物品税とか何かはちょこちょこちょこちょこへっこんでおったので、そいつは総まとめして四千五百億円というのを落としたわけです、実際は補正予算で。あとはちよこちょこちょこちょこみんな少しずつ足らなかった。一番でかく出たのが法人税一兆五千億、これは全然補正しなかったというところに出た。申告税については四千何百億ですか、五千億ぐらいだったと思いますが、これも三月決算なものですから、そういうようなことで補正後でまあ二兆八千、九千弱ですね、出たことは事実でございます。  まず、責任としては、その処理をしなければならぬ、そのままぶん投げてしまうというわけにはいきません。したがって、この処理についてまず七月末までにきちっと決着をつけるということであります。  そこから先の問題はどうするんだという問題は、それは政治の世界の問題でありますから、政治責任は政治の場において、そのときの政治情勢によって決めていかなきゃならぬ、かように考えております。  以上でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、そんなわけのわからぬようなことを言ってみて、討論会のときも私は聞いておりましたがね、ごまかしが多いんじゃないですか。たとえば当時の福田主税局長が予算委員会の中で、もしあれなれば責任はとりますときちっと言っているし、それが今度は国税庁長官になっておるしね。あなたはそこら辺は男らしくきちっとするかと思ったら、なかなかそうでもない。まあこの問題はまた後でやりましょう、別の機会に。  ただ問題は、そういうことだけでは済まされないんで、あすかあさって五十八年度に対する大綱を決める、こういうように聞いておるんです。その中でまた聖域を設けると、こういうのが新聞報道では盛んに流れておるんですけれどもね。きのう財界の稲山さんも何か聖域を設けるべきじゃないという強い要求を申し出たということを聞いておるんですが、僕はやっぱり聖域を設けるべきじゃないんじゃないかと思う。そういうような感じがするんですが、あすかあさってか知りませんが、五十八年度の大綱、これに対する大蔵大臣の見解だけ聞いておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 新聞はいろいろ書いておりますが、新聞記事まで私は責任持つことはできません。私の知らないことが、大蔵省腹を決めたとかと。だれのことを指して言っているんだかわかりませんからね。  聖域を設けるつもりはございません。聖域って、一切手をつけないという聖域ですね、それは設けるつもりはありません。ただ、要するに削減、抑えるといっても、実際に抑えられないものがあります。そのものについては抑えちゃえば現実的でなくなるものがあるわけですよ。したがって、それは最小限度に抑えながら別にするほかないだろう、切るといっても。  たとえば年金問題ですね。老人の数がふえる政策をとってきているわけですね、長生き政策を。すると老人の数がふえるに決まっているわけですよ。老人がふえれば年金が上がる。ふえた分だけ単価を落とすとか、そんなことできるわけがないわけですから、したがってこれは別、一種の聖域ではありませんが、これは別です。  あるいはたとえば途中で昇給した、昇給した分の残月分とか月数の不足分とか。定期昇給ですね、ベアは別です、定期昇給分、法律で決まっている分。そういう定期昇給もここで切っちまうといっても、これも現実的ではないんじゃないか。だから、そこまで切るといっても私はできないと言ってるんですよ。  幾つもあるんですが、その次は国際経済協力。五年たったらふやしますと言っているんですから、五十八年だけはマイナスと言って、再来年に倍にするなんてこともできません。これもある程度……。  エネルギー。国際条約に基づいて契約をしてしまっておって、来年現物が来て、金は払えませんというわけにはいかないから、そういうようなものについては極力抑える。いまも工夫をやっている最中なんです。何とかもう少しずらせないかとか、リースにできないかとか、何とかそういうような代替のものができないかとか、いまやっている最中でございますが、どうしてもぎりぎりできないものだけは別にする。  しかしながら、これとても別にすると言って、こんなでかいものにするというようなことはできませんので、私としては、切って別にしたものを含めて、去年は六千二百億純増があったんですが、ことしはかなりふえるものがあっても、去年六千二百億よりも以下に抑え込んでしまうという来年度予算編成、そういう方針でいま作業を、シーリングの要求枠の作業を毎日徹夜に近いような形でやっておるということでございまして、まだよくまとまっておりません。もう一日かかると、かように考えております。  以上でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 ちょっとよそ道にそれましたが、また本題に戻ります。  まず、一部負担の問題について、これは自治大臣に聞きたいと思うんですが、私の理解では、老人医療保険無料制度というのは、革新自治体からのろしが上がって全自治体に広がって、そして一九七三年に国が後追いで実施した、そういうふうに認識しておるんですが、大臣いかがですか。

矢野浩一郎自治大臣官房長

○政府委員(矢野浩一郎君) 老人医療費の公費負担事業そのものが具体的に出てまいりましたのは、最初は地方自治体の側からでございました。それが御指摘のように国によって全体の制度として取り上げられたということでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで厚生大臣、あなたの福祉に対しての基本的な見解を聞いておきたいと思うんですが、金があれば福祉はやる、金がなくなれば、苦しくなればこれは削らざるを得ない、こういうお考えなのか。そうじゃなくて、福祉というものは、金のあるなしにかかわらず、やらなきやならないものだと思っておるのか。いずれにしても、そこのあなたの基本的な見解だけ聞いておきたいと思う。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 近代国化におきましては、福祉という問題は最優先すべき問題である、このように私は考えておるわけでございまして、いま御指摘の財政の事情によって大きく振幅があるということについては、私はそうでない、このように思っております。  昭和四十八年、福祉元年ということで、当時第一次オイルショック、その後第二次オイルショックがございましたけれども、かなり国債まで発行して急速に福祉の予算をつけ、また社会保障制度も一応先進国と言われておりました欧米に追いつくまでに至ったということを考えました場合は、いままでの福祉に対する考え方は決して悪くなかった、むしろ非常によかった、借金してでも福祉はやるべきである、こういう基本的な考え方は私も御同感でございます。  ただ問題は、臨調等で示されておりますように、ばらまき福祉とか、それから行き過ぎ、余り数字的に公平がかえって不平等になるようなこともございまして、見直しは必要である。一口で言えば、怠け者をつくるような福祉はいけない、そういう方があるかないか知りませんけれども。  だから、本当の福祉は何であるか、それが問い直されるいま時期になっておりまして、本当の福祉というものは財政に関係なしに、たとえ借金してでも、それが国民の幸せにつながる、また国民がそれによって国を信頼する、政治を信頼する無形の大きな要素になるのが福祉政策であるんだ、私はこのように思っております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 よくわかりました。  そこでお聞きしますが、いま自治省からも答弁がありましたように、革新首長を中心とする福祉の始まりですね、そういう自治体が先行したような中で今日があるわけですが、おたくの調査によりましても、医療無料化の中で、六十九歳以下の段階で十七都道府県で実施してますね。さらにまた、特定老人、障害者等の場合の老人については六十歳もございますね。こういう自治体が、合わせますと、四十七都道府県のうちに三十七ございますね。そういうところが、今度のこの制度ができますと、七十歳以上になれば、六十五歳から無料もしくは特定老人については六十歳から無料なんだが、七十歳になったら有料になる、こういう形になるわけですよね。これについてはどういう御見解を持ってるんですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 御指摘のとおりでございまして、地方自治体の単独事業として六十九歳までの御老人の方々に医療の無料化の制度をとっておられます。年齢は必ずしも一致はしておりませんけれども、いまおっしゃいましたような三十七都道府県ですか、おやりになっておるわけでございますが、この点につきましては、地方公共団体の自主的な判断によって行われておるわけでございますし、臨時行政調査会の答申に指摘されておるところでもございますし、老人保健法案の趣旨について地方団体に十分理解を求める、決して押しつけじゃなしに、御理解を求めまして国の施策との整合性を考慮して適切な対応をお願いしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 押しつけじゃないけれども整合性を求めておると、こういう言い方なんですが、具体的にはどういうことなんですか。押しつけはしないということなんですか。整合性の問題については、何か整合性にふさわしい報復措置その他をとるという考え方ですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 押しつけではないわけでございますけれども、なるべく歩調を合わしてくださいということでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 結果的に、協力してくださいということは、自治体の自主性ということについては尊重すると、こういうふうに受け取っていいんですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) いま大臣からお答えをいたしましたように、地方自治体の単独事業というのは、あくまでも地方自治体の自主的な判断で行われている事業でございますので、これをどうするかというのは、最終的には私は自治体の判断にゆだねるべき問題だとは思います。思いますけれども、今度の新しい制度におきまして、たとえば七十歳以上の方に一部負担をお願いするというようなことになったときに、六十五歳から六十九歳までの方が無料のままでいいかどうか、それはやはりバランスから言いましてもおかしいのではないかと思います。そういったこともございますので、十分この新しい制度の趣旨を踏まえまして、地方自治体の単独事業についても見直しをお願いしたい、こういうふうに言っているわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いま大臣に求めたんだけれども、あなたがのこの出てきたから、そこでせっかくのこのこ出てきたんだからお聞きしますが、あなたは今年の一月の十九日に全国衛生部長会議、ここでこの問題に対する発言をやっていますね。そこで、あなたのこの発言の議事録を見ますと、「地方単独事業は国会でいろいろ審議されておるが、」   「いろいろ」の意味は書いてないんですがね。「臨調答申でも強く指摘されており、この際、各県で見直しを願いたい。一部負担についてははっきりお願いしておく。老人保健法をつくる背景、理由を十分に考え、廃止を含めて真剣に検討してもらいたい。」、こういう点を強調していますね。いかがですか、これは。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) そのような趣旨でお願いをしたことは事実でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうすれば大臣、あなたの言うことと全然違うじゃないか。あなたはそういう意味なんですか。あなたがさっき言ったように、自治体の御理解を願いたい、そうして、これは押しつけるという考えはございませんと、こういうことと吉原審議官が言っておることとは全然違うじゃないですか。いかがですか。これは大臣に聞いておるんだ。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 一言で言えば、よろしくお願いしたいという気持ちでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 自治大臣ね、あなたも重大な関連があるんだけれども、自治権というものをどういうふうにあなたは御理解いただいておるか。地方行政委員会で大臣就任早々のあなたの発言を聞きますと、自治権というものは尊重して、これはいま失われるような雰囲気さえあるから、むしろもっと高めていきたいと、こういう決意もいただいておるんですけれども、この問題は私は非常に重大な問題になると思うんですがね。  いま申し上げたように、この老人医療の無料化という問題は国が初めて取り上げたんじゃない。国が初めにありきじゃないんですね。自治体が初めて自主的に取り上げて、それを国が後追いしたにすぎない。その後追いした国が、今度は法律改正をすれば——いま吉原審議官は、そのとおりでございますという話で、はっきり言っておるわけですね、この取り扱いについてはやめてもらいたいとはっきり言っておる。これに対して一体どういう御見解か。しっかりしてください。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) これはいろんな経緯があってのことだろうと思います。つまり老人保健というものが地方自治体から始まったというふうに聞いておるんですが、その間にだんだん周囲の社会的な情勢が今日のような形に至らしめたのではないかと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、何をあなた言いよるのか。こういう問題について具体的にちゃんと言っておるわけだから、これに対してあなたはどう思うんかということを聞きよるんだから、見解をきちっとしてくださいよ。何を言っておるのか。そんな周囲を気にすることないですよ。ずばっと言いなさいよ。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) その一番根源なところになりますと、これはどうかわかりませんが、御質問の趣旨が、自治体が始めたものをいま国が取り上げているじゃないかと、こういうことをおっしゃったので、それに対する答えとしていまの私の見解を申し上げたんです。  もう一つ、そこから関連いたしまして、地方で行っている老人医療に関する単独事業でございますが、これに対しては、私どもの方は、慎重にやっていただきたいと、そういうふうに指導しているところでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 慎重とはどういう意味ですか。私が聞いておるのは、老人医療無料化の問題を含めて、いま議論になっておりますから、この問題に限って言っても自治体が先鞭をつけたわけです、自主的に。そして、それが広がって、結果的に国が一九七三年に後追いしたというのが歴史的事実。  ところが、後追いをした国が今度は老人保健法改正で一部負担導入を入れようとしている、いま。入れる入れぬの問題については、いまは審議さなかですから、ここで議論がありましょうが、しかしそれを入れた後にどうするかという問題で、この法案が審議されよるさなかに吉原審議官が全国衛生部長会議の中で言っていることは、廃止を含めて真剣に検討してほしいということを言っておるわけだよ。これは行き過ぎじゃないか、自治権を無視するのもはなはだしいじゃないかと、こう言っているわけです。そういう意味で自治大臣の見解を聞いておるわけなんだから、きちっとしてくださいよ。

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) 委員長は要請しますが、連合審査の一つの大事なポイントですから、一方の主張をよく聞いて関係大臣は答弁をしてもらいたい。そうしないと連合審査の意味がない。こう委員長考えますんで、その趣旨を考えて関係大臣は答弁してください。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 御指摘の点に関しては、これは地方の自治体が自主的に判断すべきものであると思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうなると、厚生大臣、自主的な判断になると、吉原さんのこの会議で言ったことはきわめて不当な発言になる。これは大臣そう思いませんか。  しかも、五十六年四月二十五日の社会保障制度審議会の総会でこの答申をいただくときに、厚生省はどう言っておるか。地方の独自性を認めることは当然と思います、したがって、この法案が通ることによって地方に押しつけたり一部負担を廃止するとか、そういうことは言いませんと。はっきりしておるんです。どうなんですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この臨時行政調査会第一次答申、五十六年七月十日に出されております内容を見ますと、「地方公共団体は、単独事業としての老人医療無料化ないし軽減措置を廃止すべきである。」という強い言葉で言われておるのが、ちょっと誤解されておるように思うわけでございますけれども、私先ほど申しましたように、老人保健法案の趣旨をよく地方公共団体の方々に十分うまく理解をしていただく、その努力をする、その上で整合性を考慮してよろしくお願いいたしたいというのが厚生省としての考え方でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、吉原審議官ははっきり、廃止を真剣に検討してもらいたいと、こう言っているわけだ。あなたの言うのとは全然違いますよ。あなたはそういうことを言っておるが、こういうことについて行き過ぎはないかと言っておるんですよ。きちっとしてくださいよ、そこ辺を。大臣でしょう、あなたは。どうですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 整合性を十分考慮いたしましてよろしくお願いいたします、まあ、これが厚生省の申し上げることでございまして、吉原審議官がどこかの場所でそういうことを言われたと、これは本人に聞かないとわかりません。また真意も、どういう前後のいきさつでそういう言葉が出たのか、ちょっと私にもわかりません。ただ、私の御答弁は、いま申し上げましたように、十分御理解を求めてお願いすると、こういうことでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 吉原さん、あなたはさっき、わしがここでいま質問したことについて、こういうことを言っておると言ったときも、そのとおりですと言ったろ。違うんか。いま大臣が言ったようなことなのか。どっちなんかきちっとしてくださいよ。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 私が会議の席で申し上げましたのも、あくまでも最終的には地方自治体の御判断ですがと、御判断ですが、厚生省としてはこういうふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そういうふうに言ってないじゃないか、あなたの議事録を見ると。さっき私が言ったように、そんなら自治権というものを一応認めた上で、そういう厚生省の希望を言ったにすぎないかもしれぬよ。しかし、あなたがいま一月の十九日、法案の審議のさなかに、法案の審議のさなかだよ、そこであなたが言っておる内容というのは何かというと、廃止を含めて真剣に検討してもらいたいと。もう一遍言いましょうか。「地方単独事業は国会でいろいろ審議されておるが、臨調答申でも強く指摘されており、この際、各県で見直しを願いたい。」。「願いたい。」だよ。「はっきりお願いしておく。老人保健法をつくる背景、理由を十分に考え、廃止を含めて真剣に検討してもらいたい。」と、こう言っておる。  いいかい。老人保健法というのは、それならその背景、理由というのは、地方の一部負担を廃止するためにつくったのか。はっきりしなさいよ。そんなごまかし言っちゃいかぬよ。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) まあその議事録だけ、その部分だけお読みになりますとそのとおりなんでございますけれども、そのときの会議の地方自治体の意向、それから地方自治体自体が、この法案がいま国会で審議をされているけれども、これが成立した場合に一体地方自治体としてはどう対応したらいいんだろうかと、厚生省の考え方を聞かしてほしいと、そういう御要望が現にあったわけでございます。そういった御意見なり御質問に答える形で私は申し上げたわけでございまして、私の方から一方的に、国はそうしてほしいとか、そうすべきだとかいうことを干渉がましく言ったつもりはございません。あくまでも地方自治体の質問なり、あるいはどうしたらいいのだろうかというような御質問に答えたような形で申し上げたわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣ね、いま言ったように、言った事実は私が言ったとおり認めた。これは法案の審議さなかですから、私はこれは院に対する行政当局の行為としても問題があると思うんですよ。しかし、いずれにしましても、「老人保健法をつくる背景、理由を十分考え、廃止を含めて真剣に検討してもらいたい。」ということは、老人保健法をつくれば廃止をするというねらいを持っておると、こう見て差し支えない。  そうしますと、あなたのさっきの答弁と、自治大臣の自治権というものは尊重しなければならぬという答弁から見ると、この法案というものはそういうねらいを持っておるのか持ってないのか、私はこれは問題になると思う。あなたのさっきの答弁ではお願いであって、そうしてそういう意味で自治体に納得するような努力はしたいと言いましたよ。しかし逆に言いますと、この論理からいきますと、もしこの法案が通った後一部事務負担をやれば、報復措置を含めてやるということだって感じられるでしょう。報復措置ということは一切やらない、単なるお願いだと、こういうことなのかどうなのか、そこだけはすっきりしてください。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) たびたび申し上げておりますように、老人保健法の趣旨について地方公共団体に十分御理解を求める、そうして国の施策との整合性を考慮して適切な対応をよろしくお願いしたいというのが私どもの真意でございまして、吉原審議官が発言をした内容については、これは臨調の中に書いてございますけれども、「軽減措置を廃止すべきである」云々という問題がございますが、そういう点がことによると表に出たんじゃないだろうか。しかし、厚生省の見解はそうでないということをはっきり申し上げます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで自治大臣、あなたはそういう意味で自治権、自主的な立場で自治体は対応すべきだという見解を言われたんだが、ところがたとえば賃金の問題にしても特交を削るとか、報復措置をいろいろとった前歴があるから、前科があるから聞くんだけれども、この問題についてはそういうことはしないですね。いかがですか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) いたしません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで、もう一つ聞いておきたいと思いますが、厚生大臣、医療を除く保健事業でも現在各町村でやっていますね、公費の全部もしくは一部負担ということがやられておりますね。こういうものに対してはどういう御見解ですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) まず担当局長より先に答弁させます。後でまた私がお答えいたします。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) ヘルスの方の健康診査の一部負担の考え方でございますが、健康診査につきましては、みずからの健康はみずから守るという自己責任の観点から原則として費用の一部を受診者の方々にひとつ負担をお願いしたいということでございます。  で、この一部負担の額につきましては、たとえば一般健査は百円、それから精密検査あるいは胃がん、子宮がん検診は三分の一、材料費程度ということでございまして、決して無理のない範囲でひとつ御負担いただこう。ただし、七十歳以上の方は無料、あるいは低所得者の方は免除と、こういうことを考えているわけでございます。    〔委員長退席、社会労働委員会理事安恒良一君着席〕

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうしますと、これらについては、六十九歳以下の場合に健康保険その他、健康保険だけじゃございませんよ、そのほかの問題もいろいろございますが、こういったものについては、老人保健法が通ったからといって、国が介入するとか、やめるとか、打ち切るとか、こういうことはやらないというふうにとっていいですね。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) これは全く自己責任という観点からほんの一部を御負担いただきたいということでございますので、私どもの方もこれ以上のことは申し上げません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、私が聞いておるのは、大臣に答弁願いたいと思いますが、これは医療以外にいろいろ公費負担の分があるんですよ。町村や市によっては一部負担もありましょうし、全額負担もあるんです、健康診査その他を含めて。こういったことについてまでくちばしを入れる考えはないということで理解していいですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 先ほどの問題と似通った問題でございます。そういうことで、この問題につきまして、厚生省としてはくちばしを入れる、また拘束をする、そういうことは考えておりません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで、ちょっと細かい問題にこれから入っていきますが、まず第一に地方団体の責務の問題、第四条ですか、この問題でお聞きします。  「地方公共団体は、この法律の趣旨を尊重し、住民の老後における健康の保持を図るため、保健事業が健全かつ円滑に実施されるよう適切な施策を実施」云々と、こういう文言がございますが、この「適切な施策」とは具体的に何を言っておるんですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 「保健事業が健全かつ円滑に実施されるよう適切な施策」、つまりこの老人保健法で考えております健診その他の保健事業、そういったものが従来に増して積極的に推進をされるような必要な予算措置、財政措置、あるいは組織、実施体制の整備、そういったことをお願いをいたしたいということでございます。    〔委員長代理安恒良一君退席、委員長着席〕

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうしますと、市町村が独自でいろいろな施策をやっていますね。こういった問題については「適切な施策」というこの中には入らない、こういうふうに理解していいんですか。その場合には、この財政負担等についてどういうお考えですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) その市町村の独自の施策の種類あるいは内容によるかと思いますが、この法律の内容に即した施策であれば、この法律に基づく国の援助、補助というものは可能かと思いますし、それとは関係のないような独自の施策ということでありますと、そういったことにはならないというふうに思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 わかりました。  そこで、この法案では実施主体が市町村ということになっていますね。市町村ということになると、私は後から申し上げますが、いろいろ実施ができるのかどうかということに危惧を持っておるわけですが、老人保健事業を、どういう保健医療を実施するのか。専門技術員、マンパワーなどを考えてみるときに体制が非常におくれているような感じがしてならぬのですが、これは厚生大臣並びに自治大臣としてどういう受けとめ方をしているんですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 画期的な法案でございますし、実施主体が市町村、市町村の中でも非常に力の大きい市町村もございますし、またそうでない市町村もございまして、むずかしい市町村もあると思いますけれども、そのためには保健医療資源を組織的かつ有効に活用することが必要でございますので、保健所、それからその他の先ほど申しましたが公的医療機関、そういうものと連絡、またそういうものの協力を得てやっていきたいと、またやっていっていただきたいと、このように実は思っております。当初からなかなか理想どおりいくとは実は考えておりませんけれども、指導また自治体のそれぞれの努力によりまして、老人保健法の目的また趣旨が完全に行えるように、将来に完全にできるように全力を挙げてまいりたいと、このように思っておるわけであります。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 地方の市町村などで医療以外の保健事業、マッサージとかヘルス関係の要員の人たち、つまり広い意味での保健事業につきましては、要員とか施設の状況などによって厚生省で定める基準に達することができないような場合、それは各市町村の実情に応じましてこれを充実していく方向に、今後要員の養成とかその施設整備とか、そういうことの国の財政援助などについて、厚生省とも十分に協議をいたしまして円滑に仕事が運べるように計らっていく、そういう方向で努力してまいりたいと思っております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 これは厚生大臣、医療を除く保健事業の費用負担、これは五十条、五十二条、五十三条において、国、県、市町村が三分の一負担することになっておる。これはあれですか、各年度ごとにあらかじめ総枠を設定して、それに基づいて三分の一負担区分で費用負担をするのか、それとも事業実施後に負担を精算する方法をとるのか。法案では政令で決めるということになっておるんですが、ここら辺はいかがなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) この事業につきましては、都道府県の方を通じまして、保健所が中心になりますが、細かい計画を立てていただきます。地方によっていろんな実情がございますもので、その計画を見てうちの方でいろいろ適正に配分したいというふうに考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それは精算方式をとるんですか、あらかじめ計画を立てて負担金方式をとるのか、どっちなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 健診につきましては、精算方式をとる予定でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 費用負担は、各年度の事業計画と財政措置、マンパワー計画、こういうあらかじめ具体的な計画が立てられて費用負担の区分が設定されると思うんですがね。これはすでに計画を持っておられるんですか、どうなんですか。中身はどういう中身になっていますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 個々の計画につきましては、保健所の方で市町村の実態を見ながら細かく立てますけれども、私どもの方では、たとえば一般診査につきましては、実施率は現在、老人福祉法に基づきます老人健診というのは実施率が二〇%程度、それから胃がんあるいは子宮がんにつきましては実施率が八%程度でございます。これを六十一年までに一般診査につきましては五〇%ぐらいまで持っていこう、それから胃がん、子宮がんにつきましては三〇%ぐらいまで受診率を上げていこうということで、年次計画的に受診率のアップを図ろうと思っております。  そういうことで、全国的には年次的に計画を立てて、それに対して予算を積み上げていっておるわけでございますが、これに基づきまして、各都道府県の方で、保健所を中心にして五年間である一定のレベルまで質的にも量的にも持っていこうということでございますから、細かい計画をお立ていただくということになったわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうなりますと、各市町村の間に格差が出てきますね。その格差の解消というのはどういうふうに考えられますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 確かに先生御指摘のように、格差は最初相当できることは私ども予想はしておるわけでございますが、たとえばまだ保健婦さんの一人もいないというような市町村もございます。こういうところにつきましては、私どもなるべく優先的に早く保健婦さんを置くようにということで、ひとつ格差の是正を図っていきたいということは考えておるわけでございます。  そのほかにつきましても、その市町村の中のいろんな医療資源の問題もございますし、そういうことも見ながら五年かかってある一定のレベルまで持っていって格差をなくしていこうということで今後はやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 後でまた員数、保健婦の穴の分は申し上げますが、全然おらないところがあるということは、初めから格差ができることを想定しなきゃならぬわけですね。それで五年間でその目標が達成できるんですか、かなり多いですよ。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 確かに格差はございますが、たとえば保健婦さんの問題にいたしましても、ここ二、三年で未設置市町村というのはかなり少なくなってきておりますし、またそういうところに対しましては、県が保健所から駐在制あるいは派遣制をとっているようなところも百七十市町村ぐらいあるわけでございます。当面とてもこれは市町村で無理だというところは、小さな離島を抱えたようなところとか、あるいは僻地を持っているようなところにつきましては、これは県の方に委託して保健所がかわってやるということにもなっておりますし、何とかして五年後までにそういう格差をなくすように努力をしていきたいと考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その問題また後でやりましょうが、別な点からひとつお聞きしておきたいと思うんです。  医療を除く保健事業で、四十歳以上からの健康手帳の交付、健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練、訪問指導、こういうのを実施するということになっておるんですが、これはそういう体制ができるとお思いですか、この五年間に。これは厚生省とあわせて自治省の方からもお聞きしておきたいと思うんですが、いかがですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) この老人健診の問題につきましては、老人福祉法に基づきます老人健診というものがもうすでに始められておるわけでございます。たとえば健康手帳につきましては、三千二百二十五市町村ございますが、その中の約半分はすでに実施をしておるということでございます。ただその実施率には問題はございます。それから健康教育、健康相談につきましては、約八割の市町村が実施をすでにしております。それから循環器検診それから胃がん検診、子宮がん検診につきましては、九割五分くらいの市町村が実施をしておるという現実がございます。ただ機能訓練のようなものはまだ一割程度、あるいは家庭訪問は六割程度というところで施策の中でもまだばらばらでございますが、この法案が通りまして実施に移されますと、そういうものも五年間かけてある一定のレベルに持っていこう。  ですから、五年のうちに質的にも量的にもよくしていこうということでございますので、全く白紙から物を書くわけではございませんので、私はある程度の水準までは達成可能というふうに考えております。

矢野浩一郎自治大臣官房長

○政府委員(矢野浩一郎君) この老人保健法案の作成に当たりまして、すでに各地方公共団体でいわゆるヘルス関係の保健事業をかなり実施をしておる。しかし、これには御指摘のように差があるわけでございまして、厚生省側でもその辺は十分認めておられるわけでございますが、そういった差のある状態から、こういった制度をつくることによりまして、一定のレベルにできるだけ格差のないように持っていこうということでございますので、その辺につきましては、市町村が一遍にできない面もあろうかと思います。そういった点については、財政の状況その他を見ながら逐次これが実施できるような規定をも法律の中に、附則に入れたわけでございます。  また、現実に市町村が実施しております仕事の中には、小さな市町村等では、先ほど厚生省からもお答えがありましたように、都道府県の保健所に委託をしてやっておる、こういうようなものもあるわけでございます。そういった体制もあわせてとりつつ、できるだけ早い時期に格差のないような状態にすることが理想だと考えておるわけでございます。この辺につきましては、財政全体の状況も見ながら、よく厚生省の方ともまた協議しながら進めていきたい、こういうぐあいに考えておるところでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 官房長、財政事情をにらんでということですが、いまの自治体、市町村の実態の中で、あなたが一番よく知っていると思うんだが、徐々にとか、できる限りとかいう表現がございましたが、果たしてこの五年間の中でできるんですか。それをいま聞いておるわけです。

矢野浩一郎自治大臣官房長

○政府委員(矢野浩一郎君) 五年という年月でございます。長いと申せば長いんでございますが、また一面、これだけの仕事でございますので、かなりの水準に持っていくためには、また短いということも考えられるわけでございますが、どの辺の水準に持っていくかということにつきましては、財政その他の全体の事情も考えながら、これはやらなければならないことでございます。五年の間にどれだけの水準にしていくのかということにつきまして、これは厚生省の方と自治省の方ともよく相談をしながらやっていかなければならない問題だと、その辺にかかわりのある問題だと考えるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、五年の間にどれだけというんじゃなくて、それがちゃんと厚生省の方で、たとえばいま一例を挙げましたが、五〇%に持っていくとか、がんの場合には三〇%に持っていくとか、いろいろな計画を持っているわけで、その前提に立って、五年間でできるのかどうなのか、私はここを聞いておるわけですから、そこら辺をひとつ明快に。できるだけとか努力とかいう——努力はもちろんしなければならぬけれども、努力してもできない自治体だってあると思うんですよ。そこら辺はすっきりしていった方がいいんじゃないかと思う。そうしないと皆さんおわかりにならぬのじゃないかと思うんでね。そこら辺はひとつきちっとしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

矢野浩一郎自治大臣官房長

○政府委員(矢野浩一郎君) 具体的にどのようなレベルにするのかということにつきましては、これから厚生省ともよく協議をしてまいりたいと思っております。確かにどうしてもできない、むずかしいというような問題も出てこようかと思いますが、その辺につきましては、事柄を仕分けいたしましてよく検討してまいりたいと、こういうぐあいに考えます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうしますと、厚生省がいま持っておるというマンパワー計画の中身というのは、あれですか、これは厚生省が一人で書いた数字で、余り当てにならぬ数字だね。言うならば、そこら辺の整合性というのはないんだね。いかがなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 私どもむずかしいとは思いますけれども、何とかやらなきゃいかぬということで計画を立てまして、この計画につきましては大蔵省の方とも、自治省の方ともいろいろ相談をしながらやっておるわけでございます。  たとえば一例をちょっと申し上げますが、保健婦さんの八千人の確保という問題がございます。これもいや、八千人となると、この時期に大変だという印象をお持ちかもしれませんが、あるいは少ないということでおしかりを受けるかもしれませんが、いま一万五千人いる全国の保健婦さんの中から、まず二千人は老人保健の方に回していただこう、それから新しい保健婦さんの採用を三千人にいたしましょう、それから雇い上げであと三千人の人を補充しましょうということで、新規の三千名にいたしましても、いまの保健婦の養成施設その他の現状を見ながら決めた数字でございまして、ある程度私どもはもう実施可能というふうに考えておりますし、いま老人問題、非常に大きな問題になっておりますので、何とかひとつこれはもう可能な方向に持っていかなきゃいかぬというかたい決意でおるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 かたい決意は結構なんですがね。でけぬ相談をかたい決意と言ったってでけぬわけだから。  そこで、ちょっと別の角度から聞きますが、現在の国の補助対象人員、地方交付税算定人員、これは市町村と保健所を分けてどうなりますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 保健所の補助対象職員でございますが、現在約二万名、金額にいたしまして二百九十七億、約三百億でございます。この中で、保健婦さんは約七千四百名でございます。それから市町村の方の保健婦さんが同じように七千五百名程度ということになっておるわけでございます。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) お尋ねの問題でございますが、現在の根っこの人員についていま厚生省の方からお答えがありましたが、今回の法律改正に関連いたしまして、五十七年度において財源措置をいたしました分について申し上げますと、一般職員として四千二百六十二人増員を見込んでおります。内訳は、都道府県関係が百四人、市町村関係で四千百五十八人であります。このほか国庫補助対象となっております職員として、都道府県の保健婦等で百十九人、それから市町村の保健婦で千七百九十四人を新規に増員することを予定しております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 で、いま厚生省からの答弁を聞きますと、保健婦は保健所で七千四百と言うけれども、七千六百四十九じゃないですか、市町村で七千七百五十と、こういうことになっているんじゃないんですか。違いますか。それから市町村の七千七百五十人中補助対象者数は五十七年度四千六百九十二人。こういうふうになっているんじゃないですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 失礼いたしました。保健所で七千三百六十二名でございます。これは五十七年度の予算でございますが、七千三百六十二名でございます。それから市町村の方では四千六百九十二人。これが予算の定員でございます。合わせまして一万二千五十四名ということになります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうすると、市町村では四千六百九十二人ということですね。実数はどのくらいおるんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 実数は七千七百五十名でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうすると、三千五十八名の財政措置はどうなるんですか、残りの。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) これは市町村の方の一般財源で賄われております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そういうふうに、七千七百五十人の実数の中で四千六百九十二人しか補助対象職員がおらない。残りの三千五十八人は市町村で賄っていく。ここにも私は配置に限度が来ておると思うんですよ。それに加えて、今度あなたが持っておる計画が達成できるとはどうしても考えられない、実態上。  だから、そこら辺をきちっとしないと、この法案が通って一番迷惑するのは自治体じゃないか、実施主体である市町村じゃないかというような気がしてならぬのですが、この辺について、自治省、財政措置をする考えがあるんですか、不足分については。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 私が先ほど申し上げました五十七年度の増員につきましては、厚生省ともよく御相談いたしまして、五十七年度において必要とする最小限度の数字ということで、この財源措置をいたしたわけであります。これから老人保健法が実施に移されますと、当初見込んだものとの間にいろいろ乖離が出てくることは、過去の経験からいたしましても避けられないと思います。  そこで、その内容に応じまして、国の方の財政措置を要する面があれば、これは今後改めていただく。それから地方としてどうしても行わなきゃならないような内容の事業であるということであれば、地方の一般財源措置を講じていくということになるんではないかと、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 だから、これは無理がある、こういうふうに私が思うのはそこにあるわけです、一つは。これに対して、この法律を前提として、それ相当の配置にふさわしい財政措置が伴っていかないと、私は絵にかいたもちになってしまうような感じがしてならぬのです。  ここら辺については、どうしても五十七年度、現年度始まっておるわけですから、いまさらここで云々ということはなかなかむずかしい点があるだろうと思うんですが、さっき大蔵大臣の話じゃないですが、補正予算を組むとかいう議論になれば、私は補正措置をとるべきじゃないか。そして同時にまた、この補正措置がとられなければ、実施時期を延期するとか、どっちかしなきゃ、いまこの法律が通れば、自治体の実態から見れば、実施主体が市町村に置いておるわけですから、その実施主体の市町村で対応できない。こういう点を示しておると思うんですが、いかがですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) この乖離の問題につきましては、国保の保健婦が移管になりました。国保の保健婦が昭和五十三年に衛生部の方に移管になったわけでございますが、その時点からのいろいろな経緯がまたございまして、私どもといたしましてもこれは非常に頭を痛めておる問題でございますが、何とかこの乖離の解消に努めていきたいということで今後とも努力をしていきたいと考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 抽象的に何とかその乖離について努力するということだけでは、これは五カ年計画という一つの目標を持ってやっておるし、あなたの方では、それに対して一つ一つ達成目標というものを設定しておるわけだから、これがなければ別ですよ。しかし、できるところもしようがないじゃないかということでいくなら別ですけれども、あなたのところは、この法律を通すことを前提にしてちゃんと計画を定めているわけだ。明らかに実現が不可能なところだってあるわけだ、現実には。そういう問題を、昔の軍隊のように精神論だけでは、これはどうにもならぬのじゃないですか。  だから、計画に問題、無理があるのか、実態を急速に補てんするというような所要の措置を持っておるのか。どこかをきちっとしないと、この法律というのは、実施主体が市町村だと義務づけられている以上、受くる市町村としては大変だと思うんですよ。  一方では、臨調では、もっと整理をしろとか、縮小しろとか、人が多過ぎるとか、いろいろ実態にそぐわぬことを言っておるわけですけれども、その臨調の答申を金科玉条のように受けて、吉原審議官はまた地方の衛生部長会議で発言してみたりしておるわけだ。こういうことになると一番困るのは自治体になるわけで、これは自治大臣、あなたはどういうふうにお考えですか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) これはいろんな、御指摘のようなことに関連して、財政措置が私どもの方で必要になってくるかと思います。それにつきましても、十分国庫補助の関係、さらにはいろんな医療要員以外に必要な人間ですが、保健婦さんとか、そういうことに関しましても、この経費を地方交付税の算定に当たりまして十分配慮していかねばならない、このように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それではもう一つ別の角度から言いますが、保健婦の養成計画ですね、これは老人保健法五カ年計画との関係でどういうふうにお考えなんですか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 保健婦の養成につきましては、従来からも厚生省の公衆衛生施策で重点を置くということで、その養成の増加に努めてきたところでございまして、私どもの計算では十分養成数は要請にたえ得るという計算になっております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それを具体的に言いなさいよ、十分なら。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 全国で約千八百名の卒業生を毎年出しております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 千八百名の養成を出していけばこの五年間に十分対応できると、こうお考えなんですか。さっき公衆衛生局長の答弁では八千人と言わなかったですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 私、先ほどの答弁では、六十一年までに八千人の老人保健対策用の保健婦さんを確保したいと、こう申し上げたわけでございます。ただいま医務局長の方は、いまの定員の問題でございまして、現在五十七校、千八百二十七人という卒業生が出てくるわけでございますが、その中で私どもいま一応推定をしておりますのは、その中の千二百名ぐらいは県なり市町村なりに来ていただけるであろう。あとの方はほかの大学へ行ったり、あるいはまた保健婦以外のいろいろな仕事もなさる、看護婦さんもなさる、助産婦さんもなさる。こういうことでございますので、年間千二百名ずつ確保できれば、その八千名の確保は容易だろうというふうに考えておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 しかし、この計画によると、三千人はパートじゃないんですか。どうなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 現在約一万五千名の保健婦さんがおるわけでございますが、この中の二千名の方を老人保健の仕事をしていただこう、それから五年間にあと三千名の新規の保健婦さんを採用しよう、それから寝たきり老人のような方がおられますが、こういう方の訪問指導に経験豊かな退職した保健婦さん、これを三千人確保してひとつ働いていただこう、こういう計画でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その経験豊かな退職した保健婦さんを入れるというのは、これは全市町村の中で配置できるとお考えですか。またそういうふうに全市町村の中に平均的に散在しておる、こういうふうに把握しておるんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 現在私どもが把握しています退職保健婦の数というのは約二千五百名まで把握しております。それから毎年六百名ぐらいは退職していくんじゃないだろうかということで、地域的にはばらつきはあるかもしれません。その点につきましては、これから急いで計画作成の段階に、県なりあるいは保健所の方で細かい計画をつくるわけですから、私どもは現在全国的に二千五百名の採用可能な退職保健婦さんはおられるというふうに見ておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 だから地域的なばらつきがあるかもしれぬということですが、私はやっぱり地域的にばらつくと思いますよ、現実に、実態としては。結婚する、せぬにかかわらず、その地域に住んでいる人を予定しておるわけでしょう。そうしますと、自治体によっては実施できないところがたくさん出てくる。  私どもが調査した石川や兵庫の現地の調査を見ましても、現状の保健事業にプラスをして老人保健事業を行うということは無理があるという実態が出されておるわけです。こういうことを無視して、実施主体が市町村であるという前提に立ってこの法案を急いでも、結果的にはこの五年間の中で事実上目的は達成できない。こういう結果になることはもう明らかなような感じがするんですが、いかがですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) そこで、地域的なばらつきも考えまして、どうしても退職の保健婦さんが得られないというところにつきましては、私ども看護婦さんをもってこれに充てようかというふうに考えておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで、看護婦さんを充ててみてもこれは若干無理があるということは大体おわかりになったと思うのですが、いま一人もいない市町村というのは四百五十八じゃないですか。それから一人ぐらいしかおらないというのが千自治体を超えるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。  これに五十七年度で二百八十七人が配置をされておりますね。これではいま言うばらつきというのが事実上千五、六百、約半数の自治体に出てくるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 昭和五十五年の段階で、全く保健婦さんがいないという市町村は四百五十八市町村、三千二百二十五市町村の中で四百五十八市町村、一四・二%の市町村がおりません。それから一人というところは千六十四市町村でございます。これが三三%に当たりますが、これにつきましても、五十三年の段階では一人もおらないというところが六百市町村ございました。それが五十五年には四百六十市町村になりまして、その中で県から派遣なり、または駐在している市町村が百七十ございます。したがいまして、そういう市町村につきましては、これから保健所の方で肩がわりをしてやっていただくとか、あるいはもっと保健所の方からも派遣制、駐在制その他で応援いただくとか、何とかひとつこういうかっこうで実施の方向に持っていきたいというふうに考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 しかし、その保健所も半分しか配置しないのじゃないですか、保健所については。どうなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 保健所で保健婦さんがいない保健所というのはないのじゃないかと思いますが。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、そういうふうに誤解されては困るのだが、今度の老人保健法案では拠点保健所というのをつくって、そうして広域圏を中心とした保健所しか定員の補充強化策をとらぬのじゃないですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) ただいまの先生の御指摘のお話は、私ども四百二十五の保健所をとりあえず強化していこうということでございまして、いま全国に八百五十五の保健所がございますが、この四百二十五というのは広域市町村圏単位に考えて、そういうところでひとつ技術的にも非常に高度な、技術の中心になれるような保健所を整備していこう。こういうことで四百二十五の保健所の強化策を考えておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それが逆に言いますと、あれですか、千五百近い自治体の一人もおらないところ、もしくは一人しかおらぬところですね。こういったところを所管する保健所が四百幾つと、こういうふうに理解していいんですか。どうなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 保健所は全国に八百五十五カ所ございます。この中で、もちろん全部の保健所がこの老人保健事業をやっていただくわけでございますが、その中で特にこれから新しく加わるリハビリとか、そういう高度な機能を備えた、あるいは精密検査の検診機器とか、そういう高度な施設を備えた技術の中心になるような拠点的な保健所は四百二十五つくっていこう。それからそのほかの保健所は、これはもちろん老人保健事業をやらないわけじゃございませんで、一緒になってやっていただくということでございまして、この四百二十五の市町村だけで老人保健対策をやるわけではございません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 だから私は聞いておるのですが、結果的に整備計画から外れる保健所というのが半分あるわけでしょう。ここでも老人保健法に基づく健康対策をやってもらうと、こう言っておきながら、なぜ半分しか載せてないのか、そこがわからない。どういうことなんですか、理由が。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) この老人保健対策の一般的な活動費は全保健所に振り向けたいと思っております。それから四百二十五というのは、特にその中で広域市町村単位に技術力の非常に高度な、技術の中心になっていただくような保健所を四百二十五つくりたいと、こういうことでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 だから、整備計画から外れた保健所の場合にとっては、これは今度は行政改革の対象として、人員削減とか、こういうことが行われる、たとえば五%削減の云々とか、こういう一連のことが出てくるんじゃないんですか。こういうところは、さっき私申し上げた石川、兵庫の事例にあるように、いまでさえ精いっぱいやっておるというわけだ。ところが、強化策がとられぬまま、あなたがおっしゃるように、今度は老人保健法に基づく仕事がさらに加わってくる。こうなるとこれはもう事実上対応できないと、こう言っているわけだよ。その問題について聞きおるわけだよ。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) お言葉を返すようではなはだ恐縮ですが、私ども、その四百二十五以外の保健所を行政改革の対策にするとか、そういうことは毛頭考えておりませんで、とにかく八百五十五の保健所にもう全力挙げてこの対策に取り組んでいただかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、一般的な活動費は当然それ以外の保健所にもつけるつもりでおるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 まあ、すれ違いがあるようですが、厚生省としてはそういう見解を持っておるかもしれませんが、たとえば定員抑制その他も起こってくる情勢にあるわけだから、私はそこを念を押したんです。  そこで、もう一つ角度を変えまして、法案や五カ年計画で強調されているのを見ますと、三大死因というのがございますね。こういう老人の場合は、今度は老人保健法の中でも強調されておりますように、事前の健康維持強化というか、こういったものが一番大事だと思うんですよ。ところが、そのためには、老人の場合は特に食事ですね、栄養、食事の対策というんですか、こういったものが非常に大きな影響を持っておることは事実ですね。私も、これは例になりませんが、徳之島の泉さんに会って聞いてみると、やっぱり秘訣はそこだと言っておる、長生きの秘訣は。  こういったことを考えてみますと、栄養士というのはこの保健事業を進める上で一番重要な役割りを持つんじゃないか。こういうふうに思うんですが、各市町村における栄養士の配置実態、それからこの法案に伴う計画、こういうのがあればひとつ明らかにしてもらいたいと思う。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 今度の老人保健対策で一番大事なのは、先生御指摘のように、食事指導が一番大事だと思います。現にアメリカなどはむしろそちらの方に重点を置いてやろうという動きもあるわけでございます。  そこで、栄養士は現在保健所に千百五十九人、それから市町村に三百六十一人、それから在宅栄養士が約二十万人おるわけでございますが、私ども保健事業の中でもこの栄養対策というのは特に重要だというふうに、先生の御指摘のとおりに考えておるわけでございまして、健康相談それから健康教育、この中において栄養士さんにひとつ御活躍をいただこうということでその雇い上げの費用等も組んでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その雇い上げというのは何ですか、どういう意味ですか。正規職員を配置をするんじゃなくて、アルバイトか、何というんですか、パートというんですか、そういう式を考えておるんですか、どうなんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) これは全体的なマンパワーの問題になるわけでございますが、とりあえず保健婦さんを、先ほど申し上げましたように、今度の老人保健対策の主力投手みたいなものですから、これは予算要求いたしました。それだけでなくて、栄養指導という問題は、医師、それからあと当然栄養士、それからOT、PT、こういういろんな職種の方がチームをつくって総合的にやらにゃいかぬわけでございます。そういう方につきましては、いま保健所なり市町村にいる方に大いに働いてもらうほかに、現地のそういういろんな機関の医療資源を活用して、そういうところでひとつ応援いただこうということで今度の計画はつくってございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、だからどうするの、栄養士は。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) したがいまして、栄養士さんは雇い上げということで当面計画をしておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 雇い上げって何ですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) パートの職員でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 ぼくは、さっきからだんだん詰めて聞きますと、一番大事な主役ですね、栄養士にしても保健婦にしても、こういうところが今度の老人保健法の一番主役をやらなきゃならぬ。それが雇い上げということですか、パート。そういうことで、率直に言って、実効が出ますか、雇い上げなんかで。一番肝心なところは正規職員としてきちっと配置をする、高齢化社会というのはどんどん押し寄せてきおるわけですから、それに向けての法案でしょうが。そういうなら、それにふさわしい措置を当然とっていかなきゃならぬ。こういった問題は雇い上げ、パートで処理しようということ、ここに私は基本的に誤りがあるのじゃないかと思うんです。どうですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 高齢化時代ということで老人保健法の必要性が出てまいりまして、健やかに元気で長生きをしていただきたい、それは御本人はもちろん、医療財政的にも大きく貢献していただく。これが実は大きな方針でございます。  保健事業をやるためには、地方自治体の御協力、それとマンパワーの確保ですね、それと財政的な裏づけと、やっぱりこの三つがそろわないと、せっかくの大目的が達成できないと私はそう思っております。  そういう意味で、ただいま佐藤委員から御発言ございましたし、先ほどからいろいろ御発言の中で、このままでできるんかと、むしろ激励の私は意味にとらして実はもらっているわけなんです。  そういう意味で、四十歳から手帳を出しまして、そして健康管理をやっていこう。そのためにはもちろん医者も必要でございますし、また保健婦さんも必要でございます。もちろん栄養士さん、それからOT、PTという方々の総合戦力を発揮して、そして高齢化に変わりましても、いわゆる御老人になりましても健やかに余世が送れる。こういうことでございますから、いまおっしゃいましたように、栄養士さん等も含めまして、人材を活用さしていただく。そういうことで予算の裏づけ等につきましても、非常に財政逼迫の折でございますけれども、将来のことを考えました場合には、やはりその方がはるかに財政的にも大きくプラスになる、こういう観点からこの老人保健法を取り上げ、御協力を願っておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、健やかに健やかにと言いますがね、いま言うように、保健婦の動員も三千人はパート、それから今度は一番肝心な食事、衛生局長が、いま外国の例も引いて、これが最も健康保持に大切だと言うが、食事の問題もパート。そしてOT、PTも含めて総合的にと言うけど、OT、PTは六十五名でしょう、全国で。精神科が十八名ですか。こういうことでどうして健やかになれますか。  私は、やるんなら、しかも市町村を実施主体ということでするなら、それにふさわしい人も、金も、仕事もきちっと配置をして、そしてやられる体制をつくっていかなきゃ、後ほど自治大臣から聞きますけれども、これはやれるものじゃないですよ、現実的に。だから、そこら辺は、何もこの法案を今国会で通さなきゃならぬという理屈もないわけだから、十分ひとつ議論をしてそこら辺を埋めてもらって、そしてやるべきだと思うんですが、いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) すべて一〇〇%用意をして出発するという方法もございますけれども、私は一日も早く発足をして、足らざる点は補いながらいくのも必要であると。決して私は一〇〇%の内容を持っているとは思っておりません。また幾ら人材が確保できましても、現在の医師体系のように、あるところは非常に過密になっておる、あるところは非常に過疎になっておりまして無医村がたくさんできておる。そういうことも計算的には割り算、足し算でいけますけれども実態はそういかない、非常にむずかしい問題である。しかし、やらなくてはいけないということから考えました場合に、すべての準備を整えてやりましても、またいろいろと隘路もございますし、またいろんな地方自治体の御協力も必要でございます。そういう意味で一日も早く私は発足をいたしたい、また足らざる点は補いつつ理想的なものに近づけていきたいと、こういう覚悟を持っておるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 私も、この老人保健法案の四十歳以上の健康診断その他を含めて総合的に見ますと、今後の老人、高齢者層の増加の点からいっても気持ちは同じです、そういう意味では。しかし、実施主体が国でなくて市町村でしょう。その市町村の実態の中にいま申し上げたようにほとんど体制が十分でない、各面から見ても。こういった実態の中でやられるということについては、これは私は拒否せざるを得ない、そういうふうにさっきから申し上げておるわけです。  自治大臣は、これは人ごとじゃないんですよ、厚生省の所管かもしれないけれども、来るのは市町村だから。どうだろう、自治大臣としてここら辺はきちっとさすべきじゃないですか。いつも超過負担で一番大きいのは厚生省でしょう、毎年毎年。何もかもがそういうかっこうでしわ寄せを受けるようなかっこうになって、しかも自治権そのものまで否定するような発言をする審議官もおる。こういうことで、あなた自身がこの問題についてもっと市町村の立場に立って、自治体の立場に立ってきちんと注文つけるところは注文つける、財政措置をする、こういったことはしていかなきゃいけぬのじゃないですか。いかがですか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 御指摘の点は、厚生省と緊密な連絡をとりながら行っていかなければならないことでございますが、私どもの方としましては、自治体にいろんな負担がかからないように財政的な措置、裏づけを行っていく。またこういう時期ですから、節約すべきところはもちろん節約しますが、最低必要限の要員の確保、それに対する財政的な裏づけ、各自治体が困らないような措置、こういうことを行っていく所存でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 もう時間がございませんからここら辺でやめますが、厚生大臣、気持ちはわかりますよ、一日も早くという気持ちは。しかし、実態が伴ってないということはいま御承知のとおりですね。受け入れ体制の方は困ると、こう言っておる。自治大臣はそれについてきちっといまからするということですがね。しかし、実施主体である市町村の方は大変困惑しておる。これも事実。ですから、この問題で一番関心を持っているのは私は市町村だと思いますよ、いま全国的に見ましてもね。  こういうような情勢にあるわけだから、五十七年度の予算は一応当初予算で所要の措置をとっておるわけですね。これでは困ると言っておるわけです、現実的に。ですから、私は補正でするか、または五十八年度でそれを補っていくか、いろいろの方法もあると思います。しかし、そういった問題等を考えてみますと、いまこの予定しておる実施時期の問題ね、これを各党でいま協議願っておるようでございますが、これはこの法案審議を通じて明らかになったように、多くの問題を抱えておるわけですから、法案は通った、施行期日は来た、実施主体の市町村から見ると対応ができない、こういうことになることは必至の情勢にあると思うんですよ。ですから、ここはひとつ各党協議もありましょうが、厚生省の側としても余り固執せずに。  きのう私は社労委員会であなたの答弁を聞いておりました、この実施時期の問題で。しかし、あんなあいまいなことじゃ困る。実施をしたけれども対応ができないというそんなぶざまなかっこうでなくて、実施時期についてこだわることはないんじゃないか。もう少しこの審議を通じて明らかにされた点については再点検をして、そしてそれに充足する体制を含めて実施時期を決めると、こういう態度がいいんじゃないかと思うんです。あなたのきのうのいろいろなやりとりを聞きましたよ。あんな答弁は要らないから、私の言うことにもっともですという御答弁があるならひとつ言ってください。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ごもっともでございますが、予定どおり十月一日から実施していただくようにお願いしたいと思います。

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩します。    午後零時三十七分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会    〔社会労働委員長目黒朝次郎君委員長席に着く〕

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) ただいまから社会労働委員会、内閣委員会、地方行政委員会、文教委員会、農林水産委員会連合審査会を再開いたします。  午前に引き続き、老人保健法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 私は、この老人保健法案と原爆被爆者対策、特に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律を中心にして質疑を行いたいと思います。  第一に、法律制度のあり方から伺います。  本来でありますと、これは厚生省の当局の方から説明をしていただければいいのですけれども、時間の関係がありますので、私の方から確認的に質問をいたしたいと思います。  まず、現状についてです。被爆者であります七十歳以上のお年寄り——七十歳と申しますのは、申し上げるまでもなく、この老人保健法案がその医療給付については七十歳以上のお年寄りを対象にしているということからでありますが、被爆者である七十歳以上のお年寄りの医療については、現在原爆医療法が適用をされております。そしてその場合に、大きく分けますと二つに分かれまして、一つはいわゆる認定疾病と言われております。つまり原爆に起因した疾病でありますが、この認定疾病についての医療費に関しては原爆医療法の規定によって国がまるまる負担をいたしておる。それからそれに対して一般疾病、これは認定疾病以外の普通の病気でありますけれども、これの医療費については、保険の給付が行われる場合、被爆者の多くの方々は国保の被保険者である場合でありますので、国保の例で申し上げますと、保険が七割給付をいたしますから、三割が自己負担分、本人負担分でありますが、この三割について原爆医療法の規定によって国が負担をいたしておる。  まず、これについて間違いありませんか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ただいま宮澤委員から御質問、御意見申されましたが、そのとおりで、ございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 そこで、今回老人保健法が施行になるとどういうことになるかと申しますと、拝見をいたしますと、この老人保健法の附則の三十五条で、原爆医療法の第十四条の二の改正が行われております。したがいまして、この法律が施行になりますと、今回の改正によって七十歳以上の被爆者であるお年寄りの一般疾病ですね、これにつきましては原爆医療法の適用が除外をされます。これらの人たちについては一般の人と同じく老人保健法が適用されます。  その結果どうなるかと申しますと、これまで国が負担をしておりました部分につきまして、県、市の負担が新たに出てくる。こういうことになると思いますが、これも間違いございませんか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) そのとおりでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 法律制度のたてまえが明らかになったわけでございます。  そこで、ただいま申しましたように、原爆被爆者の医療につきましては、原爆医療法が昭和三十二年でありましたか、三十二年に制定をされておりまして、被爆者の医療につきましては、一般の社会保障法とは別にと申しますか、あるいは社会保障法に加えてと申し上げていいかもしれませんが、特に原爆医療法が制定をされて施行をされてきたわけです。そこで、厚生省に伺いますけれども、このような原爆医療法がなぜ制定をされたのか、その制定の背景なりあるいは制定の趣旨なり精神なり、これについてひとつお答えをいただきたいと思います。事務当局からで結構でございます。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 原爆医療法が制定されましたのは、原子爆弾の被爆によります放射線による健康障害という特別な犠牲に対して、これを広い意味での国家的配慮の意味からこの救済のために制定されたわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 ただいまお話のように、被爆者の特別な犠牲に対する国家的な配慮、こう言われましたけれども、そういう精神と申しますか、そういう考え方を背景に原爆医療法が制定をされたんだと私も思います。  そこで、この原爆医療法の基本的な精神につきましては、これについて最高裁判所の判決がございます。厚生大臣、この最高裁判所の判決があったということを御存じでございますか。さらに、あるいは判決をお読みになったことがございますか、御答弁いただきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 昭和五十三年三月三十日に最高裁で判決が出ておりますということは承知しております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 御多忙でございましょうから、判決をお読みになったことはないと思いますが、判決があったことは御存じでございます。  そこで、私がきょう質疑を申し上げる非常に重要な部分でございますので、この判決の要点をここで読んでみたいと思います。どうかひとつ大臣も篤とお聞き入りを願いたいと思います。この判決は五十三年の三月三十日でございまして、現行の原爆医療法というものは国家補償的な配慮がその制度の基本にあるんだということを指摘をいたしました判決でございます。  そこで、その要点を申します。読み上げてみます。「原爆医療法は、被爆者の健康面に着目して公費により必要な医療の給付をすることを中心とするものであって、その点からみると、いわゆる社会保障法としての他の公的医療給付立法と同様の性格をもつものであるということができる。しかしながら、被爆者のみを対象として特に右立法がされた所以を理解するについては、原子爆弾の被爆による健康上の障害がかつて例をみない特異かつ深刻なものであることと並んで、かかる障害が遡れば戦争という国の行為によってもたらされたものであり、しかも、被爆者の多くが今なお生活上、一般の戦争被害者よりも不安定な状態に置かれているという事実を見逃すことはできない。原爆医療法は、このような特殊の戦争被害について戦争遂行主体であった国が自らの責任によりその救済をはかるという一面をも有するものであり、その点では実質的に国家補償的配慮が制度の根底にあることは、これを否定することができない。」、こう言っているわけであります。  そしてさらに、この原爆被爆者対策の基本を検討いたしますために、昭和五十四年の六月でございましたか、厚生大臣の諮問機関といたしまして原爆被爆者対策基本問題懇談会というのができました。大臣も御承知だろうと思います。茅誠司先生が座長になられまして、一年半ばかり検討されまして、被爆者対策の基本的なあり方につきまして、五十五年の十二月に答申を出しております。  この原爆被爆者対策基本問題懇談会の答申におきましても、ただいまの最高裁判所の判決を受けまして、この被爆者対策というのは、単なる社会保障制度と考えるということは適当ではないんだ、これは「特別の犠牲」であって、「広い意味における国家補償の見地に立って被害の実態に即応する適切妥当な措置対策を講ずべきものと考える。」、この基本問題懇談会もこういうふうに結論をつけているわけであります。  そこで、厚生大臣に伺いますが、このような判決の趣旨あるいは基本問題懇談会の考え方、当然これは大臣も承認をされると思いますが、いかがでございますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 原爆被爆者対策につきましては、単なる社会保障でなく、ただいま宮澤委員がいろいろ説明されましたように、「広い意味における国家補償」でございまして、この見地に立って行われるべきものと考えておりますが、この趣旨は、原爆被爆者の受けた放射線による健康障害、すなわち「特別の犠牲」について、被爆の程度、障害の程度といった放射線障害の実態に即応した適切妥当な対策を重点的に講ずべきものであると理解しております。そうして、こうした考え方に基づきまして、被爆者の医療につきましても、原爆放射能に起因する認定疾病とその他の一般の疾病とを区別いたしまして、異なる取り扱いも行っておると、こういうことでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 大臣も、この判決の趣旨なり懇談会の答申の精神を御承認になっておられるわけであります。いわんや事務当局各位もそういう考え方を無論持っておられると思います。  ところが、先ほど明らかにいたしましたように、このたび老人保健法の附則によりまして原爆医療法が改正をされるということになるわけでありまして、そうなりますと、先ほども申しましたように、これまで全額国が負担をしておりました部分について一部地方負担が出てまいります。考え方といたしましては、七十歳以上の被爆者であるお年寄りにつきまして、一般の人と全く同じように一般社会保障法である老人保健法が適用になりまして、一般疾病の医療費については原爆医療法が適用されない、こういう事態になってくるわけであります。  そこで厚生省の事務当局に伺いますが、これは地元にとっては大変大きな改正になるわけでありますけれども、この法案を立案をされる過程で、地方、特に被爆者を多数擁しております広島、長崎両県両市に、何か理解を求めると申しますか、あるいは連絡をされる、こういうことをされたことがありますか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 法案を作成するに当たりましては、関係の市町村、それから自治省等とも十分御相談をし、協議をいたしたわけでございます。  ただ、その時点におきましては、この原爆の問題について個々に、具体的に申し上げますと、広島県なり長崎県なりとは御相談をしておりません。  それからただいまの御質問の中に、いままでと違って、原爆患者の一般疾病について、従来は全部原爆法で医療が保障されていたのが、今度の老人保健法によって一般の人と同じように健康保険、それから老人保健法が適用になったというお話がございましたが、そうではございませんで、厳密に申し上げますと、従来も原爆患者の一般疾病については、まず健康保険法が優先適用になりまして、その保険の自己負担分を国で見ていたということであるわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 私がお聞きしたことを御答弁願います。  いま後段で政府委員が答弁されたことは、私もそれはわかっております。さっき私申し上げたとおりです。  前段で、このような大きな改正について事前に理解を求めたか。一般の市町村のことは言われましたけれども、一番大きな影響があります広島、長崎両県両市についてはそういうことはしていない、こういうお話しであります。これはもう過去のことでありますから、いまさらそれを私はどうこう申し上げません。  そこで、もう一つ伺いますが、こういう改正を特に広島、長崎両県両市の当局はどういうふうに受け取っているというふうに厚生省はお考えですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) この法案が出されましてから、広島県、それから関係の長崎県から、この法案によって原爆の一般疾病について地方負担が生ずるのはおかしい、困るというふうな御意見が出てきたわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 ただいまおかしいとか困るとかいうことであったという御答弁でありましたけれども、そんな簡単な問題ではないんです。地元は、これによって被爆者対策が後退をするんだ、こういうふうに受け取っているんですね。被爆者対策の理念が後退をする、国が被爆者対策に取り組む姿勢というものがこれによって後退をするんだ、そういうふうに非常に重大視をしているわけです。それで被爆者はもとより両県両市とも、こういう改正法案については強い不満を持っている、あえて言うならば、強い反発を感じている、こういうふうに申し上げてもいいかと思います。  そこで厚生省の当局に伺いたいんですが、なぜ今回こういう改正をしなければならないのか、なぜこういう改正をしたのか、その点を伺いたいと思います。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 原爆の認定疾病につきまして、原爆病そのものでございますけれども、それについての全額国が負担をするという考え方は、全く今度の老人保健法案においても変わっておりません、従来どおりでございます。  ですから、問題は、その原爆患者の方々の普通のかぜとか腹痛の場合の医療費の払い方が議論になっているわけでございますけれども、それは従来も健康保険法が優先になって、その自己負担分を国が見ていたというかっこうであったわけでございます。その従来の健康保険にかわるものが、今度七十歳以上の老人の方につきましては、老人保健法が適用になる。老人保健法の中で五%の県なり市町村の負担が出てくるということで、制度的にはそれなりにいままでと仕組みが全く変わったとか、あるいは原爆病に対する国家補償の精神がそれによって後退をしたということにはならないというふうに考えたわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 厚生省は保険の論理ということを言われる。恐らく事務当局としてはそういう論理を主張されるだろうと思います。しかし今回の法律改正によって、七十歳以上の被爆者の一般疾病については、いままで国が負担をしていた部分に地方負担が出てくる、これは事実ですね。これは何と言われようと事実だ。  そこで、一体老人保健法、私は老人保健法の今回の制定自身、無論総体として結構なものだと思いますけれども、老人保健法ができたからといって、被爆者対策についての国家補償的立場が後退をするんだ、こういうことにはならないと思いますが、いかがですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 少し理屈っぽいお答えになるかと思いますけれども、地方負担が生ずることによって原爆病に対する国家補償の精神が後退をしたということにはならないというふうに思うわけでございます。  原爆の一般病につきましても、健康保険法以外に現在すでに優先適用される法律が幾つかございます。地方共済組合なんかの法律もその優先適用になっているわけでございまして、その中には地方負担が入っているわけでございます。そういったことと同じような考え方で老人保健法が優先適用になる。この老人保健法の中に地方負担が今度入ることになった。そういう結果でございまして、必ずしもその国家補償の精神をこの法律の制定によって変えることにした、原爆対策に対する国の責任というものを後退さしたというふうには考えていないわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 どうもこれは納得できません。それはお役人の全く保険中心の論理であれば、そういうことが言えるのかもしれない。しかし、長年にわたって国がとってきた国家補償的な配慮ですね、国がいわゆる本人負担部分について全額負担をしているということを、地元ではこれを国家補償的な配慮だと受け取っているんですが、その国家補償的な配慮が今度はなくなってくる。それに  ついて一部地方負担が出てくる。単なる銭金の問題じゃないんですね。そういうことで国家補償的な立場が一般の社会保障的な立場に後退をするんじゃないか。これが地元の長崎、広島両県両市の考え方なんですね。  私は、これは立法政策の問題じゃないかと思うんですよ。あなたは保険の論理、保険の論理ということを言われた。それは一つの論理としてあることを私は認めます。しかし、長年にわたって被爆者対策について、医療法が制定されて、やってきたわけですね。ですから、そういう意味においては、どちらに重点を置くかという一種の立法政策の問題ではないかと、私はこう思うんですが、いかがですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 確かに政策論というお考えもわかります。わかりますが、私どもは先ほど申し上げましたような考え方でこの法律を立案したわけでございまして、この原爆法自体の中にも、宮澤先生御存じだと思いますけれども、地方の負担により医療が行われるときにはそれが優先する、その残りを国が持つんだということは、現在の原爆医療法それ自体の中に書いてあるわけでございます。したがいまして、地方に持っていただくということが即、国の責任の後退だというふうには私どもとしては考えなかったわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 どうも納得できません。  それでは、いまのことに関連して二、三伺います。大臣に伺いたいんですが、これは政府委員でよろしゅうございます。二、三伺います。  いま問題にいたしておりますように、七十歳以上のお年寄りである被爆者、この人たちの一般疾病についての医療費は、いままで三〇%部分は全額国費負担であったのが、今度地方費の負担が出てまいりますね。それでは同じ被爆者で七十歳未満のお年寄りである被爆者、こういう人たちの医療費はどうなりますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 従来と変わりはございません。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 ただいま従来と変わりはないとおっしゃった。従来と変わりはないということは、七十歳未満の被爆者であるお年寄りの一般疾病についての医療費のうちの自己負担部分、これは相変わらず国庫が負担をする、こういうことだと、そういうことですね。それは大変おかしいことだというふうに思われませんか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 被爆者の一般疾病につきましては、従来から一般の医療保険制度を優先的に適用してきたわけでございまして、なお患者が負担のある場合には、原爆の一般疾病医療費を支給して医療費の負担を解消してきたということでございます。  問題の地方負担と申しますのは、これは一般の医療保険制度として優先的に適用される老人保健制度の中で発生するものでございまして、原爆の一般疾病医療費支給制度の中に新しく地方負担の制度を導入したということではないというふうに私ども理解をしておるわけでございまして、御存じのとおり、老人保健法におきましては、老人の医療費を国民がみんなで公平に負担しようとする見地から、医療保険各保険者、あるいは国、あるいは地方公共団体にも負担をしていただくということから出発したわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 老人保健法の中で発生をする。結局、厚生省の事務当局は保険の論理一点張りのお考えだと私は思うんです。保険の論理でなくして、被爆者対策という観点から見ますと、七十歳以上のお年寄りに対する医療費についての負担のあり方、七十歳未満のお年寄りに対する医療費の負担のあり方が違ってくる。これはどう考えてもおかしいと思うのです。私がおかしいと思うばかりじゃない、恐らくここにおいでの同僚の委員各位もそれはおかしいと思ってくださるに違いない。ただ、政府として法案を提出しておられて、政府委員が質疑に答えておかしいと言われたんじゃ、これは困るでしょうから、私はそれ以上申し上げません。  逆ならばまだわかるんですね。つまり七十歳以上のお年寄りの医療費については、これは七十歳以上の方々は弱い立場にあるから国が全部見ましよう、七十歳未満は地方団体も少し持ってくださいというならば、まだこれは常識、理屈に合う。しかし逆なんですね。これは私はおかしいと思います。  もう一つ伺いますが、現在の老人医療費の公費負担制度ですね、これは現在の老人福祉法を根拠にしておりますけれども、これは昭和四十八年からですか、国が老人医療費の公費負担制度を始めましたですね。四十八年に国の制度として老人医療費の公費負担制度が行われたときに、いま私が問題にしております被爆者の医療費、これについては依然として実態的に原爆医療法が優先的に適用されたままになっていたのですね。もし厚生省が、いま盛んに言われるように、保険の論理ということを主張されるならば、なぜ昭和四十八年の当時に原爆医療法を改正されなかったのか非常に不思議に思うんです。四十八年の当時原爆医療法を改正されなかったということは、すでにこの議論、論議というものはそこでクリアされている、そこでもう決着がついていて原爆医療法を優先させるんだ、こういうことであったんじゃないかと思います。  なぜ、いまのような御主張をなさるならば、昭和四十八年の当時に原爆医療法を改正されなかったんですか、お答えをいただきたいと思います。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 現在の実態を申し上げますと、四十八年に現在の老人医療の無料支給制度ができました時点におきまして、その残りを新しくできました老人福祉法による公費負担で行っていた都道府県と、それから従来どおり原爆の一般疾病を国の負担で行っていた県市と、実は両方あったわけでございます。したがいまして、その時点でのきちんとした法制上の整理をすべきではなかったかという点につきましては、私ども反省はいたしております。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 法制上の整理をすべきであったというふうに言われましたので、この点は私もそう思います。もし厚生省のような御主張であるならば、当時していなければいけなかったと思います。  いずれにいたしましても、事務当局とこれだけ論議を重ねてまいりましたけれども、なぜ今回医療法を改正しなければならないのかということについては、せっかくいろいろ御答弁をいただきましたけれども、私はどうも納得できない。こうではないかと思うんです。この問題は二つの視点がある。一つは保険の論理の視点ですね。これは全国画一的に適用になる保険の論理という視点がある。それからもう一つは、被爆者対策についての原爆医療法という視点がある。結局、私は先ほど立法政策の問題ではないかということを申し上げたのだけれども、この問題は両方の交錯する点であって、先ほど私は原爆医療法の精神について大臣にも伺ったわけでありますけれども、原爆医療法の精神を理解しておられるならば、被爆者対策重視の視点から今度のような改正は行われるべきではなかったんじゃなかろうか、私はそういうふうに思うんです。  そこで大臣、いま政府委員とのやりとりをお聞きいただいたと思います。私はここで、いまこの点について大臣の御答弁を求めようとは思いません。どうかひとつ、役所にお帰りになったならば、もう一度関係者をお呼びいただいて、原爆医療法の制定の趣旨なり何なりについてじっくり御検討願いたいんです。そうして狭い保険の論理、お役所的な立場でなくして、政治家の広い立場からひとつ御判断をいただきたいと思います。地元は、先ほど申しましたように、これを国の姿勢の後退ではないか、こういうふうに受け取っております。後ほどちょっと財源問題にも触れますが、お金の問題でもありますけれども、まず第一にこれは国の姿勢の問題ではないか、そういうことからぜひこの法案を修正をしてほしい、こういう希望を持っております。いまこれについて私は大臣の御答弁を求めませんが、そういう希望がある。この気持ちを大臣としても十分理解をしていただきたいと思います。  この制度のあり方なり理念につきまして、余り議論をしておりますと時間がなくなりますので、次に財源問題、財政負担の問題に移りたいと思います。  先ほど来明らかになっておりますように、今回の法律が通りますと、新たに地元県市の負担が出てまいります。特に被爆者を多数擁しております広島、長崎両県市につきましては相当な負担になってくるわけであります。そこで、まず厚生省の事務当局に伺いますが、これまで広島、長崎両県両市が負担しないで済んだ額、原爆医療法の規定によりましてですね。逆に申しますと、今度もしこの改正法案が通りますと新たに負担しなければならない額、これは年間どのぐらいの額になりますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 被爆者の医療費につきましては、現在老人だけを取り出して実際に幾らかかったかということを把握することは、そういう仕組みになっておりませんので、四県市の負担増を正確に私ども算定することは非常に困難なわけでございますが、したがって、全国の平均的な老人医療費を用いまして試算いたしますと、五十七年度満年度ベースで、広島、長崎四県市で約二十億円の支出と推定されるわけでございまして、いままで負担しなくて済んだ部分と申しますのはこの中の十二億円でございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 むろん推計が入るであろうということは、私もそう思いますが、二十億円であるけれども十二億円、これはどういうことでございますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 今度老人保健法を制定されますと、県市それぞれ五%の持ち出しということになるわけでございますが、いままで三%ぐらいは負担しないで済んだ部分であろう、それが十二億円と、こういうことになるわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 年間二十億であるけれども十二億だ、それはいままで負担しないで済んだ額だと。この点につきましては後ほどもう少し明らかにしたいと思いますが、とにかく年間二十億円ぐらいの負担になると、こういう御答弁でございました。  私が地元から聞いたところによりますと、これは各位にも要望としてお願いをいたしている数字でありますけれども、この法律がこのまま施行になりますと、新たに年間広島県が八億五千万円、長崎県が六億一千万円、広島市が五億八千万円、長崎市が四億四千万円、合計二十四億八千万円、大体二十五億ですね。むろんこれについても推計が入っていると思いますが、大体二十五億です。そういたしますと、ただいま政府委員が年間二十億だというふうに言われました。地元の方は、両方とも推計が入っておりますけれども、大体二十五億と言っております。この両方の違いというのは一体どういうところから生じているというふうにお考えでしょうか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 先ほど申し上げましたように、老人だけを取り出して実際に幾らかかったかということを把握できる仕組みになっておりませんので、四県市の要望しております額の推定方法もまたまちまちでございまして、厚生省では国庫補助金等を算定の基礎としまして、全国平均一人当たりの老人医療費を使用いたしました。しかし、被爆者老人の医療費の推定方法につきましては、これからできるだけひとつ御指摘の方法で措置できるような研究をやってみたいと思っておりますが、御参考までに、一人当たりの医療費が広島の方はわりあい全国平均値に近いわけでございますが、長崎の方の一人当たりの医療費が非常に高く出ておった、こういうことでございまして、私どもは全国平均値を使ったものですから、そこに差が出てきた、こういうことでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 私もそう思います。厚生省の方の計算は、いずれにしても推計が入っておりますけれども、全国平均の医療費をとっておいでになる、広島、長崎両県両市の計算はいわば実態、むろんこれにも推計が入っておりますが、実態をとっている、こういうことだろうと思います。  ということは、数字の細かいことは別にいたしまして、やはり被爆者というのは病気にかかりやすい、それからかかったならば治りにくい、こういうことがいま言った医療費の額の違いに出てきているもの、私はこういうふうに考えております。これについては厚生省どうお考えですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) いま先生の御意見のあったとおりでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 そこで、それでは次の問題に移りますが、今回の老人保健法が成立をするという前提で、厚生省は今年度の予算で、特にこの財政的に負担が増すと思われる広島、長崎両県両市について予算措置をしておいでになる、こういうふうに聞いておりますが、この予算措置の内容をこの際明らかにしていただきたいと思います。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 老人保健法が成立した場合に、地方公共団体が被爆者老人につきましても、老人保健法に基づきましてその医療費の一部を負担することになるわけでございますけれども、広島、長崎四県市は被爆者老人を大変たくさん抱えておられるというために新しい相当な負担量が出てくる。これに補助を行いまして、なるべく負担を軽減してあげよう、こういうことで私ども予算を組んだわけでございますが、五十七年度におきましては、四県市に対しまして、十月実施といたしまして、総額六億円の補助を行うことにしておるわけでございます。これは現在四県市が老人医療費の支給制度を適用しないで、原爆の一般疾病医療費支給制度を適用することによって負担しないで済んでいる額を基礎としたもので、先ほど申し上げました三%部分に相当するわけでございます。したがって、全国的に今度発生いたします、その五%という数字の二%分は、これは全国公平に負担をいただこうというわけでございまして、ひとつ二%分は地元で持っていただこう、いままで負担しないで済んでいた三%分については私どもの方で見ましょう、こういうことで予算を組んだわけでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 五十七年度の予算について予算措置を講じられたということ自身、これは私は評価をいたしたいと思います。ただ、この予算措置の内容、これは私は大いに議論をしなければならないものを含んでいると思います。  まず、その計算の仕方です。ただいま政府委員が言われましたけれども、計算の仕方について二つ問題があるだろうと思います。それは、先ほどお答えになりました年間の総額が二十億だと。ところが、広島、長崎両県両市の方は大体二十五億だと言っております。したがいまして、この年間の総額自身の計算の仕方についてなお検討をする余地がある、私はそう思います。  それからその次には、二十億をただいま十二億というふうに言われた。十二億にして、その半分の六億を予算措置したんだ、半年分だから、と言われたんですが、この二十億を十二億に割り落とされたこと自身がこれがまた腑に落ちないと思います。  今度新たにどの地方団体でも二%負担が出てくるんだからこれまで負担しなかった三%分だけをやるんだ。したがって、二十億の五分の三で十二億だと。こういう計算をしておられるのだと思いますけれども、しかしこれまでは原爆医療法の規定によって広島、長崎両県両市ともに負担をしていなかったんですね、負担がゼロだった。そういうことから申しますと、いまの二十億、厚生省流に計算をいたしましても二十億を五分の三に割り落とされると、これ自身に私はなお議論をすべき問題が入っている、このように思います。  それからもう一つ、これは仄聞いましますと、今回の予算措置は何か激変緩和的な措置である、こういうふうな考え方もあるやに聞いておりますけれども、そんなことではこれは大変困るのであります。そんなことでは納得できません。原爆医療法の精神から申しましてもそういうことでは納得できないのであります。  財政問題だけについて申し上げますならば、国の財政と同様に地方の財政もかなり緊迫をいたしております。それから被爆者対策につきましても、広島、長崎両県両市ともに国の制度に加えて単独でいろいろ被爆者対策を講じております。そのように非常に出費が多くなっております。それからこの広島、長崎両県両市の被爆者の平均年齢が六十歳でありますし、七十歳以上の被爆者は七万人ぐらいおります。申し上げるまでもなく、これから今後ますます老齢化をしていく、これは避けられないところであります。  そこで大臣に伺いたいんです。先ほど私は、地元として法案は修正をしてほしいという強い希望を持っているということを申しましたが、その問題はしばらくおくといたしまして、いま財政問題について大臣の所信をお伺いしたいと思います。  これまで私、申し上げておりますように、この財政措置につきましては、経過措置、激変緩和措置というのではなくして、今後とも適切かつ十分な財政措置を継続して行っていただきたいと思います。私はいまここで適切かつ十分ということを申し上げたんですが、それは先ほど政府委員との間のやりとりでもおわかりになったと思いますけれども、その基礎になる数字あるいはその計算方法、これについてももう一度検討し直していただいて実態に合うようにしていただきたい、こういうことでございます。もう一度申しますが、財政措置につきましては、今後ともひとつ適切かつ十分な財政措置を継続してやっていただきたい。こういうふうに私は言いたいのでございますけれども、大臣の所信を伺いたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 財政措置の前に、先ほど御質問ございました内容について私の考え方を少し述べてみたいと思っております。  この原爆医療法また原爆被爆の問題につきましては、これは政策以前の問題でございまして、戦争また平和また人道問題、これはむしろ国家的な問題と同時に世界人類的にもこの問題に注目しなければいけない、また配慮すべきであると、こういう実は基本的な理念の上に立っておりまして、むしろ論理の問題よりも倫理とか真理上の実は問題であると、このように思っておりまして、今回の老人保健法の制定の過程におきまして、関係四県市の方々にそういう誤解を与えたということであれば、これはまことに遺憾なことでございます。決して厚生省としては、そういう意図のもとにこの原爆問題に対して後退したような考えは一切持っておりません。そういうことを冒頭に申し上げたい。  それからこの一部財政負担の問題でございますけれども、広島、長崎四県市につきましては、相当の負担増となりますので、これを緩和する見地に立って補助を行うこととしておりますけれども、今後の問題につきましては、おっしゃいましたように適切かつ十分に配慮をしていきたいということを申し上げて御答弁といたします。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 大臣のお気持ちを伺いまして私大変安心をいたしました。どうかひとつ被爆者対策について国の姿勢が後退したんじゃないのだ、国の施策が後退してはいないんだということを明らかに示していただきたい。そういうことで先ほど真情を吐露していただいたわけでありますけれども、被爆者対策の充実についてさらに確固たる決意で臨んでいただきたいと思います。よろしゅうございますね。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 八月六日の祈念式には私も実はそういう気持ちで出席をさしていただきまして、平和を誓うとともに、二度と繰り返さない、そしてまた現に被爆を受けた犠牲者の方々には、いま申し上げましたように、絶対に国家補償的な考え方は後退させないのだ、むしろますます、世界じゅうが核であふれる時代でございますから、より一層、私どもの立場といたしましては、国家補償的な考え方をむしろ進める方向でまいりたいと、以上、私の考えでございます。

宮澤弘自由民主党

○宮澤弘君 終わります。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 このたび新しく老人保健法というものが制定されようとしております。その件に関しまして私余り細かいことをお聞きするのは遠慮いたしますが、またいままでの委員会におきまして十分もう論議されたことだと存じますので、きわめて原則的なことだけをお聞きいたしまして、大臣その他の方々のお考えをお聞きしておきたいと思います。  まず第一でございますけれども、保健法案には年齢制限というものがございまして、七十歳以上の者についてこの老人保健法というものを適用しよう、こういうお気持ちかと存じます。  もちろん法律でございますからして何かのよりどころ、年齢であるとか、その他のよりどころを必要とする。法文にそうでなければ書けないということはよくわかるわけでございますけれども、社会保険審議会の金澤良雄会長の答申書におきましても、被保険者代表委員からは、社会通念から見ても六十五歳以上とすべき意見があったということが書いてございます。これは社会通念の上から見てもということでございます。それからまた公益委員の方からは、七十歳ということで区別することは反対であるという意見も出たと聞いております。  私は医学者の一人といたしまして、七十歳というところで制限をしたというその理論的あるいは医学的、社会経済学的の根拠についてお聞きしたい、どのような根拠をもって七十歳とお決めになったかと。  私は人生というものは、胎児のころから死ぬまで一貫して、健康とか疾病というものを考えるべきでありまして、七十歳のときに病気が始まるというのではなくて、実は七十歳で病気になったということは、それより以前にその歴史的の根拠があるわけでございますからして、七十歳で切るということはどうも私には納得ができない。六十五歳でもよかったのじゃないか、あるいは六十歳でもよかったのじゃないか。どういうわけで七十歳のところに線をお引きになりましたか。いま宮澤先生が言われましたけれども、同じ七十歳でも健康度といいますか、原爆の方は非常にお弱い。これは特別に取り扱わなければならぬと思いますが、その他の方々におきましても、同じ七十歳でも健康度において大きな違いが私はあるだろうと思う。そこで何か疫学的あるいは医学的の統計あるいはその根拠というものをお示しいただいたら結構だと思います。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) お答えいたします。  現在の老人医療制度が昭和四十八年にできます際にも、何歳以上の人を対象にするかということについて大変議論がございまして、七十歳以上の方の有病率、健康状態、そういったことを考えまして七十歳ということにされたわけでございます。もう一つ、当時、先ほどもこの委員会でお話がございましたけれども、従来の地方自治体が行っていた老人医療の無料化制度、そういったものの対象年齢、それらも考えまして、四十八年に七十歳以上の者を対象に現行の制度が始まったわけでございます。  この新しい今回の老人保健法案におきまして、しからば何歳以上の人を対象に新制度をつくるかということにつきましても、いろいろ議論をし、検討もいたしたわけでございますけれども、現在七十歳以上の人口は約六百万人でございますけれども、これを仮に六十五歳以上にいたしますと、一千万を超えるということになります。御案内のとおり、今後高齢化が進みますと、この六十五歳以上あるいは七十歳以上の人口がどんどんふえてくる。将来七十歳以上の人口だけでも一千万を超えるわけでございます。  それからもう一つ、国民の負担というものを考えてみました場合にも、現在七十歳以上の老人の方の医療費だけで約二兆五千億、五十七年度におきましては約三兆というふうな大きな額を見込んでいるわけでございますけれども、仮にこれを六十五歳以上に五歳対象年齢を広げますと、一兆円以上の金額がふえるわけでございます。この新しい老人保険医療制度におきましては、将来の老齢人口の増加とともに相当程度のスピードでふえていくであろうその老人医療費というものを、国民みんなで公平に負担する、その負担が非常に大変なわけでございます。  したがいまして、将来の老齢人口の増、それから国民負担の増加というものを考えました場合には、確かに老齢人口というものの社会通念としては、六十五歳という考え方があることは十分わかっておりますけれども、現行制度の対象年齢を踏まえまして、それからいまの制度について言われておりますいろんな問題点というものを考えましたときに、やはり将来も七十歳以上の人を原則にこの制度を考えていくというのが一番よいのではないか、また国民の合意も得られるのではないか、国民の負担ということを考えてみた場合にも、いま六十五歳にこれを広げることは私は無理があるというふうな考えで、こういったことにしたわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 七十歳以上になると大体孤独になってきたり病気が多い。いままで御苦労をかけた人だから、その方々を何とかして国民全体で持ってあげようというお気持ちがあるだろうと思うんですね。ところがもう一方では、それでは余り国民の負担が大き過ぎるから六十五歳にはできない、七十歳ぐらいにしておこう。その両方の歩み寄りから七十歳というふうに私にはいま聞こえたわけですが、そのとおりでございますね。——  そうなると、今後の高齢化社会の到来ということを考えますと、七十五歳ぐらいにしておいた方がいいのじゃないかという考えも出てくるわけですね。一千万にもなる、それじゃ大変だということであれば、そのような考え方も一方では出てくるのではないか。特に七十歳以上では病気の方が多いというふうにお考えかもしれませんけれども、統計学的には七十五歳から八十五歳というのは病気が余りないんですね。有病率が下がっているわけなんです。だからかえって七十五歳にしておけば、将来の財政的から言えばその方がうまくいくんじゃないか。  だから私は、何か先に立ったものは、お金がかかるというようなことをお考えになっておったんで、老人に対する尊敬とか、あるいは連帯責任とかというようなことがございますが、そういうものから少し離れて、どうもお金の方のことが先立って七十ぐらいのところでお切りになったんじゃないか、そういう気がしてならないわけでございます。  しかし、それはいろいろ考えの違いでございますからあれですが、特にこの老人保健に限らず、何か勘でもって、いままで地方では六十八歳とかいろいろなことが言われておった、そこらから老人無料にしたというような、いままでの通念というものを一遍ぬぐい去って、そして、なぜ七十歳にしなきゃならぬのだ、幾つにするべきが妥当であるかということをもう少し明快に答えられるように、今後いろいろの改革をされるときにはぜひお考えになっていただきたい。どうもあいまいもことしている。何か七十歳が切りがいいというようなこと。七十一歳にしたっていいんじゃないか、六十九歳でもいいんじゃないかということになるわけです。そういうことでないように今後はしていただきたいと、こういうふうに思います。  時間がございませんから、余りこれについての議論は私きょうはやめておきます。  今度は、四十歳以上のことをちょっとお聞きしますが、これもまた四十歳以上に決めたということが私にはわかりません。三十五歳でもよかったんじゃないか。ただ女性では、子宮がんが多いというので三十歳から四十歳というふうにお決めになったと聞いております。これの医学的の根拠もあいまいもことしているんではないかと思うわけです。人生は続いているものである、切るべきものじゃないというのが私の原則でございますから、その点はぜひ七十歳と同じようにお考えをいただきたいと思うわけでございます。  これについてちょっとお聞きいたしますが、将来健やかな老いを送る、人生を健やかに老いるというようなことをしょっちゅう言われておるわけですが、四十歳ぐらいでいろいろの検査をしますと、中に半分ぐらいかあるいは三分の一は、心電図が悪い、血圧が高いという人が私は出てくるだろうと思うんですね。それは現在の医学で治るかというと、治らないわけです。そのまま持ち越していくわけなんでして、血圧が高いからといって降圧剤をお飲みになりましても、ちゃんと飲んでいる間は下がっているけれども、やめれば上がるわけなんです。糖尿病でも同じようなことでございまして、現在の医療の原則はコントロールするということにあるわけなんでして、その人は四十歳にそういうものを見つけますと、一生薬を飲んでコントロールしていかなければならぬということになりまして、健やかに老いるということにならないんじゃないか。しょっちゅうノイローゼにかかって考えているんじゃないか。仕事も手につかぬという人が中には出てくるんじゃないか。  だから、検診をするとかいうことになりましても、その点は十分りっぱな医者で、ノイローゼにしないような医師が私は大事だと思う。これは後でも申し上げます。そこで保健所の方で保健婦さんにお見せになるとかいうことになると、保健婦さんよりも患者の方が大分頭は進んでいるんじゃないかと思うんですね、お年を召した方なんかは。人生経験を長く積まれておりますから、そういう面では私は保健婦では足りないのじゃないかなという気もいたしますし、そういう意味で四十歳以上でいろいろお考えいただいていることは確かに私認めまして、これはいいことだと思いますが、そのやり方については十分な配慮を必要とするのではないかと思います。  それでは次に、支払い方式のことについてちょっとお聞きいたします。  今度の保健法では、一部自己負担金を課するということになっておりますが、これはお金がかかるということを一応頭の中へ置かれたんだと思うんですけれども、それによって国保の負担、あるいは全体の国民の保険料と言ってもいいんですが、それはどのくらいに減るとお考えでございますか、そのことについて。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 老人保健法案におきましては、外来の場合に一月四百円、それから入院の場合に一日三百円を二月間お願いをすることにしておるわけでございますけれども、全体といたしまして、この一部負担の金額は約四百八十億円程度、五十七年度の老人の総医療費が約三兆ぐらいではないかというふうに推計をいたしておりますので、それに対する比率で申し上げますと、一・六%程度というぐらいのものになるわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 だから、これが医療保険の崩壊ということを防ぐという意味じゃ全然ないんだ。なぜ、じゃそういうことをおやりになったかということは、恐らく老人になると、このごろは病院の外来がロビー化しているとか、あるいは受診の乱用があるとか、お医者さんの方も診療の過剰をやるとか、そういうことを阻止するという障害をそこに置かれた。そういう意味だと思いますが、そうでございますか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 現在のように全く無料、ただでございますと、健康に対する自覚を弱めている結果になっている、あるいはただであるがゆえに行き過ぎた受診を招くおそれもあると、そういったような指摘がされてきたわけでございます。したがいまして、そういったことのないようにという願いを込めてお願いをするのと、先ほどから申し上げておりますように、老人の医療費というものを、主としてもちろん若い働いている方の負担になるわけでございますけれども、老人の方々にも無理のない範囲内でわずかでもお願いをしたいという趣旨でございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 だから、その裏には、老人というのは、病院に行ってただだから診てもらいたいという、それは若い人よりもそういう気持ちが強いんだというようなことが何か含まれているように思うんですね。だから、もしも年寄りから取るならば、乱診乱療と言われておりますから、若い人でもただであってどんどん行く人がおるんですから、全部にそれがいくんならいいですけども、老人になったら急に幾らかでも自己負担取るということは、ささいなというよりも、そう大きなお金ではございませんから、それでもよいかとも思いますが、何だか変なような気がするわけです。  若い人からはどうしてお取りにならないんでしょう、たとえばそれの半分でも。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 若い人がただで、七十になっていただくということではございませんで、現在健康保険の本人でございますね、本人の方についても一部負担というのがあるわけでございます。若干今度の老人保険法の場合と違いますけれども、初診診察を受けるごとに八百円という健康保険法には負担がございますし、それから入院の場合にも一日五百円の負担があるわけでございます。  それから本人以外の一般の家族、普通の六十九歳までの家族の方は原則三割、入院の場合には二割という負担がありまして、六十九歳までは大変大きな負担でございますが、七十になるといま申し上げましたように四百円とか三百円とかに下がるということになるわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 そういうことをよく承知しておりましたが、いままでただであったものがちょっと上がったものですからね、そういうことではそれはブレーキになっちゃうんじゃないか。  なぜそこのところで急に上げたかということは、老人に対する何か不信というものがあるんですね。だから、老人というのはそういうところへ行きたがるんだ、だから少しとめちゃえと、そういうふうに世の中の人はとるんじゃないかと思うんです。そういうことでないようにすることもまた非常に重要だと思います。  もう一つ私心配しておることは、小遣いも余りないような生活に入っているかもしれませんので、病院になかなか行かなくなっちゃう。だから受診抑制にこれがつながっていく。だから乱用の抑制につながると。抑制するからして、早く発見できればよかったものを病気にしてしまう。かえって有病率がふえてくるというようなこともありゃせぬか。  それから外来が老人のロビーになったということでけしからぬという世の中の批判もございますけれども、老人になって仕事がないと外来でも行って、お友達がたくさん集まりますから、そこでいろいろ話していると、それが非常に大きな治療効果になっているということもあるわけなんです。妙な言い方ですけれども、私は老人というのはそういう生活をしているのではないかなというような気もしますので、これはできるだけお下げいただいて、そしてそこを一つの楽しみにしている老人もございますから、そういうものも抑えてしまうということのないように、また受診を抑制したためにかえって有病率が上がって、そして大きなお金がかえってかかってくるというようなことがないようにひとつお願いをしたいと思います。  次は、保険負担がございます。保険でいろいろ払ってもらっておるわけですが、保険外負担として差額ベッドとか付添婦というようなものがございます。私の知っておる人なんかでも、差額ベッド一万円と付き添い料が一万円、日に二万円は、いわゆる自己負担費として、保険外の負担としてかかってくる、月六十万はかかる、高い人は百万ぐらいもかかるということを聞いております。で、社会保障制度審議会におきましても、保険外負担の軽減措置というものを速やかに講ぜられることという答申が出ておりますが、これについてはどのようにお考えでございますか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 保険外負担、特に差額ベッド、それから付き添い看護、この問題は、これはできるだけ早く解消すべきである。これは国会におきましても、あるいは中医協におきましても、非常に強い御要請がございました。  それで、昨年の六月の医療費改定に際しまして特別加算制度をつくりまして、この差額ベッド等の解消というものを推進をしてまいっておるわけでございます。特に私大の医学部附属病院につきましては、差額ベッドが非常に多うございましたが、これを鋭意お話し合いをいたしまして、前向きにこれも解消するというようなお話し合いになってきておるわけでございまして、今後とも差額ベッドあるいは付き添い看護といういわゆる差額徴収問題につきましては、前向きに解消するように努力をいたしていきたいというふうに考えております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 いま私立大学というお話が出ましたんですが、聞くところによりますと、私立大学の病院の経営というのは最近非常に苦しいということを聞いております。特に入学金、学納金について非常に厳しい規制もこのごろございまして、そちらからは余り収入も入らない。病院がそれをサポートしておったというときに、病院の方の経営が非常に苦しいということを聞いておりますが、文部省でしょうか、これは厚生省でしょうか、どれぐらいか、国立病院及び大学の附属病院は最近赤字が多いということを聞いておりますが、平均でもどういうデータでもよろしゅうございますが、おわかりになりましたら教えていただきたいと思います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 厚生省の方から国立病院の実態について申し上げます。  国立病院の経常収入に対しまして、経常支出は、先生御指摘のように、一〇〇・八%ということで、支出の方が上回っているわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 そのような病院では、国立の場合にはとにかく一般会計からの補てんということで何とかやっていかれるんじゃないかなと思うわけです。間違っておったらひとつ御訂正願いたいと思いますが、これがもし一般の病院あるいは私立大学の病院という場合には、この赤字を補償してくれる人はだれもいない。結局その病院の経営が悪化する、あるいはその病院が倒産の憂き目に遭うと、こういうことを聞いております。特に精神科の病院におきましては、診察、治療その他において一般内科診療とかなりの差があるということも聞いておりまして、近在の病院の精神科の病院では、やっと差額ベッドでもっているということを正直に私に言う人もあるわけです。薬価基準も下がりました関係上、それは非常に大きな痛手になっている。  一方では、われわれ国民の方から言えば、自己負担が減るということが望ましいわけでございますが、一方においては差額ベッドでやっと生活をしているという病院もある。この点をどのように調整していくか。厚生省はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 病院もいろいろございますが、差額ベッドの徴収禁止が直ちに病院の赤字に結びついていくというふうには私どもとしては考えておらないわけでございます。今後ともこういった経営問題につきましては、できる限り合理的な指導を行ってまいりたいというふうに考える次第でございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 国公立の病院ではとにかくこれが補てんできるという保証がございますから、何とかやっていけるわけでございますが、私立病院の場合には、医療の程度を落とさなければ経営できないということが本当ではないかと思うんです。これは私非常に悪いことじゃないかと思う。政府の方ではいろいろ攻めてくる、抑えてくる、差額ベッドもやめろ、あれもやめろ、これもやめろ、医療費は上げるなと、いろんなことで抑えてくる。そうすると私立病院というのは質を落とさざるを得ないというふうに私は思うわけです。悪い方へ押しやるということの方に行くのではないか。  これは現在国立大学と私立大学の経営ということについても同じようなことが私は言えると思うんですが、国立はいいけれども、私立は二流、三流の大学になる、あるいは私立の病院は国立に比べて二流、三流の病院になる。そうなってきますと、集まる看護婦さんでもお医者さんでも、余りいい人は集まってこない。そうすると医療というものにだんだん大きな格差をつくっていって、国立と公立さえ病院があれば、もうほかの病院は要らぬということになってしまう。そういうことでは私はこれは非常にゆゆしい問題であると思うわけです。  そういう意味で、一般のわれわれ国民からしましては、確かに保険外負担というようなものはぜひ少なくしていただきたいと思いますけれども、かといってその質を落とさないようにするというためには、悪い医者ばっかりがいるんではないわけですから、ぜひそういうところは十分に隅々まで細かくめんどうを見ていただきまして、国民がどこの病院でも安心して治療を受けられるような方策にしていただいたら結構だと思うわけでございます。このようなことをちょっとお願いをしておきます。  先ほど局長からお話しございましたが、高齢化とともに医療費がだんだんふえているということは、これはもう御承知のとおりでございまして、昭和四十四年と五十四年を比べますと、国民医療費というのは約五・五倍になっておりますし、また一人当たりでも五倍ぐらいの出し分になっております。このほかに保険外負担がかぶってくる。GNPでも、昭和五十四年では大体五%ぐらいになっておりまして、非常に大きな金を食っているということでございます。このように国民医療費が増加したということについて、どのような原因を厚生省としてはお考えでございますか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 医療費の増高の原因につきましては、いろいろと分析をされたりいたしておるわけでありますが、一般的に言われておりますことには、老齢人口がふえたということ、人口構成が変化した、あるいは疾病構造が変わってきた、あるいは医学医術の進歩というようなことによりまして、医療費の増高が行われているというふうに言われておるところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 私もそうだと思います。結局これは、医療技術あるいは疾病構造等の変化もございますが、その中の大きな原因の一つに、老齢化が進むということがこれは避けられないことでございまして、欧米でも同じようなことであろうと思います。特に日本ではそれが非常に急速に進むというところに問題がございまして、これがまた今度の保健法案を生み出した一つの原因になっておると思うわけでございます。  ところで、この医療保険にかかっておる人でございますが、国保のあとに八つぐらいいろいろの保険の種類がございますが、国保にかかっている人が四千四百万ぐらいあるんでございますか、そして被用者保険、八つぐらいをひっくるめまして被用者保険といたしますと、そこが大体七千万ぐらいの人がおられる。ところが国保の方は、七十歳以上の人の加入者が八・四%ぐらいございまして、被用者保険は二一九%ぐらい、しかも国保の方でこの八・四%の老人といいますか、七十歳以上の方が総医療費の大体三〇%を食っている、こういうことが統計的に知られております。つまり、一割に満たない人が三割ぐらいの保険費を食っているということでございまして、そういう意味で何とかしなければならぬということが今度の保健法を生み出した非常に大きな原因の一つだと思います。  そこで、一つは先ほどお話しありました老人の医療を無料から有料化しようということですね。もう一つは、七十歳以上の人に三〇%の公費はやるけれどもあとの七〇%は保険で払って、そうしてそれは協力といいますか、各保険が協力してそれに出費しよう、いわゆる拠出金を出そうということが第二のこれは目玉ではないか。それからもう一つは、四十歳以上の人には保健事業をやって、できるだけ年をとっても病気にならないような方策をしょう、こういうことを言われておるわけです。  ここでもう一つお聞きしたがったんですが、時間がなくなりましたから私からお願いをしておきますが、拠出金の算定というようなものは、いろいろ政治的の折衝がございまして、基礎というものがはっきりしないと思いますけれども、将来この拠出金がだんだんふえていくわけです。三・六%ぐらい毎年ふやしていくというお気持ちなんでしょうが、それで果たして国保がもちますかどうか、その点だけをお聞きしておきたい。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) いろいろとたとえば医療費の適正化といったようなものも進めていかにゃならぬと思いますし、それで負担の方も適正に負担していくということによりまして、ただいま申されましたような保険負担の増高というものに対してはたえていけるというふうに考えているところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 これは簡単に言われますけれども、恐らく国保はこれで財政的につぶれるんじゃないか、この四、五年の間に。そういうことを心配しているのでわざわざお聞きしたわけでございますので、この見通しを十分立てておいていただきたいと思います。  その次に、これをどうやってしのいでいくかというのは、いまのように健康保険法もございますけれども、前の日本医師会から出しましたのには積み立て方式というのがございますね、御存じだと思うんですが。個人が積み立てていくという積み立て方式。それからもう一つは純化方式というのがございまして、被用者保険と国保の方を分けまして、そうして被用者保険の方は、年をとって出ましてもその被用者保険の方で出す。それから国保の方は農漁業であるとかあるいは自営業の人が入っているのが普通ですから、その方々はその方々でその年寄りをみていく。そういうふうにきれいにきちっと被用者保険の方を分けてしまう、国保というふうなものと二つにきちっと分類して分けてしまう。そういうことをやればお互いに責任を持っていわゆる自助とか、そういう精神もこの中から生まれてきますので、きれいにいくのではないか。この積み立て方式とか純化方式ということ、要するに保健法以外に何かお考えになったかどうか、それをも含めてひとつお答え願いたいと思います。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) この老人保健法、新しい老人保健医療制度というものをどういった制度の仕組み、構造、やり方として考えていくか、いろいろ検討いたしました。いま御質問のございました日本医師会の構想等についても十分検討はいたしたわけでございます。  ただ、日本医師会の構想は、医療保険を全く再編成して、現在の被用者保険、健康保険、国民健康保険制度というものを御破算にいたしまして、産業保険と地域保険にする。それを前提に老人については予防を中心にした積み立て制度の老人保険制度をつくる、こういう考え方であったわけでございます。なかなかいろいろむずかしい問題点がございまして、そういった形での実現はむずかしい、こういう判断をしたわけでございます。  それからもう一つ、いま御指摘のございました被用者グループについては退職後も被用者保険でめんどうを見る、国保の方に流れないようにする、そういう考え方は確かにあるわけでございます。この老人保健制度、七十歳以上を対象に考えているわけでございますけれども、老人保健制度ができました後の大きな一つの課題といたしまして、いまおっしゃいました被用者グループについては退職後も被用者保険で継続して医療が行われるような仕組み、つまり退職者継続医療給付制度というものを本格的に検討いたしたいというふうに思っておるわけでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 十分お考えになった上のことだと存じますけれども、いまのままでは私は国保がよそからお金をもらっているというような考えが抜け切れないわけでございまして、また出す方は出す方で、おれたちが見てやっているんだというような気持ちが出ておりますので、いつかは何か問題を起こしてくるという気持ちがするわけです。だから、五年なら五年は七百八十億で抑えておく、その後またよく考えるということでございますから、五年の間にもう少し抜本的によくお考えいただきまして、七十歳なら七十歳という輪切りもその根拠をもう少ししっかり考えて、それから保険の方式もあんまり急いでこんなことをやらないで、もう少しじっくりとおやりになるということが私は一番大事なことじゃないかと思うわけです。  先ほど午前中佐藤議員からお尋ねがございまして、保健事業のことがございました。今度の法案で私は一番いいと思うのは、保健事業ということで病気にしないという方策をお立てになった、少なくとも考えたということが、私は非常に大きく評価できるところでないかと思うわけです。  午前中佐藤議員は、アレンジメントといいますか、その受け入れ体制が施設にはあるとしましても、人材の配分ということについて不十分じゃないか、用意ができてないんじゃないかと。いや、用意は、一〇〇%ではありませんけれども、不十分ながらいまの定員で出発したいと思っているというお答えであったと思うんです。私はちょっと質のことを聞いてみたいと思うんです。  ここには健康教育、健康手帳を配付する、それから健康相談、健康診査というのがございます。これを四十歳からおやりになる、いわゆる保健ということ。それから医療、機能訓練、訪問指導というようなところは、これは医療の中に属することではないか。保健事業というものの中に二つがあるんじゃないかと思いますが、そのとおりでございますね。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 健康教育、それから健康相談、健診、医療、リハビリ、こう一貫した対策をとったわけですが、医療の方は七十歳以上の老人、それからあとの方は四十歳以上の方々を対象にこれを保健事業で一括してございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 一つの例を引いてちょっと御質問申し上げますが、もし厚生大臣なりがお答えいただければ、非常にくだらないことでございますけれども、ちょっとお聞きをいただきたいと思うんです。  よく言われますのは、老人を元気にしようと思うのには、肉体的にも精神的にもこれはやってやらなきゃいかぬのですが、ここに出てくる健康相談というのには精神的な相談もあるんだと思いますけれども、それ以外に老人を元気に長生きさしてやるというのには、よく精神面で生きがいを持たせるんだという、そういうことが言われるわけです。これははなはだ失礼な御質問でございますが、私もちょっとわからないものですから、生きがいを持たせるというのは大体どういうことを考えてやるのか。これは相談員の方がおやりになるんですけれども、そういう言葉がちょいちょい出てくるのでちょっと気になりますので、お考えをお聞きしておきます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 先ほどからのやりとり聞いておりまして、さすが御専門家だけあって非常にうがった御意見と伺わしていただきました。  結論は、老人の生きがいとは何であって、この対策、具体的なことは何かと。これは世論調査による結果でございますけれども、老人の生きがいとして、息子とか孫の成長など家族のこと、それから職業、仕事のこと、三番目に趣味とか娯楽などが挙げられておりまして、生きがいというのは人それぞれの生き方にかかわる問題でございまして、画一的なものじゃない、個人の意欲や意識によるところが非常に大きい。行政といたしましては、老人が使命感、生きがいを持ってはつらつと生活できるようその条件を整備することが重要である。  このような観点から、従来からは御老人の就労あっせん、隠居役になってじっとしておるのが生きがいでございませんので、体力また能力に応じていろんなお仕事にもついていただく。何を申しましても、戦前、戦中、戦後と日本歴史の中で一番貴重な体験をされた世代であると私は思います、いまの御老人と言われる世代は。そういう意味で貴重な存在でございますから、いろんな体力に合った仕事をしていただく。  それから生きがいと創造の事業。それから老人クラブ、これは仲間意識ができます。それから老人福祉センター、あんまり病院へ行かぬで老人福祉センターでいろいろとお話したり、昔の話とか、将来の話などをしていただく、そういうための施設を充実していこう。たとえばそういう例もございます。また老人ホームなんかも景色のいいばっかりでは私はいかぬと思います。むしろ幼稚園とか、保育所のようなものと併用したようなかっこうで、それもいただけでも楽しくなるように、こう思うわけでございます。  そういう面で、ただ金銭だけの問題でない。老人には老人の心理がございますし、私むしろ逆にこちらから質問したいと思うくらいなのは、小児科があって何で老人科が病院にないかということでございますがね。老人の生きがいのための病院があってもいいと思うのです。そういう病院がないところを見ると、あんまり日本の医学もそこまでいってないんじゃないだろうか。私は素人でございまして、余分なことを申しまして済みません。そういう生きがい対策をやりたいと思っております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 さすがにいろいろお考えいただいておりましてありがたいと思っております。  老人科というのは、いま現在は幾つかの大学に文部大臣の方で置いていただいております。ないことはないわけでございます。このごろはりっぱなホームもできております。ただ、厚生大臣おっしゃるように、老人の精神面もというようなことは、まだまだそこまではいっておりません。本当に病理的の面だけでございますので、その点はまだまだこれからというところであろうと思います。  そこで、その問題に関係するわけですけれども、生きるということは何だということを考えないというと、これから老人問題をやろうというのも根拠が全然なくなる。ただ生かしていればいいというわけではない。人間何かのために生きているというような気持ちをどこかで持ちたいわけですが、りっぱなスタンダールというような方のように、ああ生きた、恋をした、死んだ、人生はそれだけだ、いや生きていればいいのだとか、いろいろな考え方が僕はあると思うんですけれども、いまお言葉の中で、そういう何か環境を自分たちは与えてやるのだ、生きがいを与えるのだと言うから、私ちょっとひっかかりがあります。生きがいは自分が考えるものだ。政府としてはそういう環境を与えてやるのだ、そういうふうに今後はそういうところまでお気をつけいただいたら結構だと思います。  そこで、もう時間がなくなりましたが、二、三お聞きしておきたいことがございます。それは老人は年をとって何もかも弱くなると言いますけれども、中には頭が先にやられる人もございますけれども、しかし、最近愛知県の方で三千人ぐらいを対象に調べたものによりますと、あんまり頭脳というのは衰えていないのですね。体力は衰えますけれども、頭脳は衰えていないんですね。頭脳が衰えれば、私はこういうところにはおれないわけですけれども、そういうふうな統計が出ておりますので、年寄りをどこか適材適所に使ってやるということが、いまの生きがいということにもつながると思います。年寄りは何もかもだめだというふうな、何かそういう先入観を持ってはいけない。  それで、これは一つの考え方ですけれども、頭はそう衰えないということであれば、そのほかにも老人の特性というものが私はあると思うんです。だから、雇用、仕事を与えてやるということが非常によければ、何かその人に適した仕事を用意してやる、そういうことをしてやる。あるいは子供たちが好きで一緒に遊びたいという老人には、幼稚園と老人ホームを一緒にくっつけてやるということ、これは非常にいいアイデアで、私もそういうことを思っておりましたが、そういうことも考えてやる。老人の特性を考えた就業というようなものを考えていかなければならない。それも保健事業の中に入るのかどうか知りませんが、そういうことを考えなければいけない。  ところが、そういう何かをしようと思いましても、それのデータが余りしっかりしたものがございません。ぜひ、今後何か老人のことをおやりになるとすれば、文部省の方と厚生省の方と力を合わしてそういう基礎的研究をしっかりやっておかなければ、ただ場当たり的な老人対策をおやりになっても私はうまくいかないんじゃないかと思いますので、これは念のために申し上げたいと思っているわけです。  そして、具体的におやりになって、ここで健康を増進するというときにいつもすぐ出てくる問題は、体操をさせるとか走らせる、ジョギングするというようなことでございます。ところが実際は、ジョギングというのをやれば必ず健やかに老いることができるかというと、そういう保証はどこにもございません。またそういう研究はどこにも現在ございません。ただ好きだから走っているわけでございまして、お堀の周りを走っている人は好きだから走っておられるんだと私は思うんです。  そういうジョギング、運動というものは、文部省の方でいろいろ体育研究でおやりになっておられる、体育局でやっておられるんですが、何か見ていると、どうしても選手をつくるというようなふうに私には見えるわけです。そうじゃなくて、あれが本当に健康だというならば、今度教育大学の跡地におつくりになるというスポーツセンターとかそういうものも、ただそういう選手をつくるというのではなくって、体がどういうふうにしたら丈夫になり、それの原理は何だということをも同時に研究するような場所をそこにぜひおつくりになることを私は要望しておきたいと思います。  もう一つお願いがございますが、鍼灸、マッサージというのがございます。これもやった人はよかったよかったと言っておるわけですけれども、原理は全然わかりません。少しはわかりましたけれども、ほとんどわかっておりません。  それで、年寄りの人は非常に鍼灸、マッサージがお好きな方もございまして、そういう要望もあったかと思いますが、年寄りにいろんな申請の書類を書かせなきゃいかぬ。これは年寄りには非常に私は無理じゃないかと思うんです。あるいは医者の合意書をもらうということですけれども、その合意書を書くのが非常にめんどうである。療法士の方は電話一本で書いているわけなんです、これは大谷局長も御存じだと思いますが。そういう診断あるいは書類というようなものをもう少し簡略にしていただけないだろうかということです。これはそういうことを決められておる、老人に対してやってよいということは出ておるんですけれども、それを簡略化しないと仏つくって魂入れずになるのではないか。  それからもう一つは、いま四つぐらいが治療対象になっておりますが、頭の痛い人、それから高血圧の人、糖尿病の人、半身麻痺の人、いろいろあるわけです。それをひとつ医学界と御相談いただきまして、その範囲を少し広げていただければ老人の方は非常に喜ばれるんじゃないか。  最後に、もう時間がなくなりましたので、お聞きしたいと思いますが、健康食、自然食というのが非常にたくさん出ております。現在は恐らく、厚生省でいろいろ御指導を各市町村を通しておやりにならなくても、本屋でたくさん出ておりますので、それをみんな読んでいるんじゃないかと思うんですね。そしてまた宣伝もたくさんございます。健康食、自然食というのがございます。それから薬局方で決められない薬というのがたくさんございまして、たとえばゲルマニウムなどとか、サルノコシカケはがんにいいとか、そういうこともあるわけです。  あれやこれやを飲んで果たして健康になるか。その点指導をどういうふうにおやりになっているのか。その点おわかりになりましたらお聞きしたいと思います。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 健康食品のお話が出ましたが、私ども健康な生活を営むためには、基本的に栄養、運動、休養、この三つの生活要素の調和を保つことが大変重要でございまして、その原則にのっとって私どもこれから健康教育を展開していきたいと考えておるわけでございますが、健康を保持、増進するための具体的な指導の内容につきましては、これは対象者の年齢とか、先生おっしゃいますように、心身の状況に応じましてお医者さん、専門家が判断して対処すべきものではないだろうか。  それで、健康食品のようなものを使うというような問題につきましては、これは日常の食生活の中で特定の食品に偏るということがないように、いろんな食品を組み合わせてバランスよく食べるということが大変重要なことではないだろうかと思っておるわけでございます。  たとえば御指摘ございましたようないわゆる健康食品と称して販売されているものに対しまして、これは消費者が、過大な効果を期待し過ぎて栄養的にアンバランスな食生活に陥ることのないように、これからも適正な食生活の知識の啓蒙ということに努力をしてまいりたいと考えております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 結局、私が申し上げるのは、ばらばらにいろんな健康の指導というのがされているわけでございまして、ジョギングはいいよ、マッサージはいいよ、はりはいいよ、健康食品はこれがいいよ、あれがいいよということで、そうすると、食卓の上はそういうものでいっぱいになりまして、それでそのためにずいぶんお金を使っているんじゃないか。だから、私、指導というと上からで余りおもしろくありませんが、もう少し国民に本当の意味の保健というようなものを教える、指導していくというようなことがこの際必要である。これに関係した国民の消費というものは莫大なものが僕はあろうかと思うわけでして、その点を厚生省としてはひとつよく見ていただきたいと思います。  もう私の後の方の時間に食い込みましてはなはだ悪いんですけれども、寝たきり老人の方に対するいろんな措置がございますが、最近問題になっております老人性痴呆については、有吉佐和子さんも何か五億円集めて足りない人にあげたいというようなことを思い立っておられるようです。私も老人の方で、有吉佐和子さんの「恍惚の人」ではありませんが、これは本当に家族の人が大変でございます。  そういう意味では、保健婦の方々なり、あるいはそういうデーサービスの方々なりが実際にやるということもあれですが、御家族の方にぜひそういう看護の仕方なりを教える。もう一方においては、精神的にその人たちを慰める方法を講ずる。お調べになりましても実数はほとんど出てこないだろうと思うんです、それは皆さん隠しておられるわけですから。そういう点も十分細かく気をつけてやっていただきたい。こういうことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 私はまず地方財政に関係することから伺ってまいりたいと思うんですが、今回の老人保健法が実施されるに当たりまして、次のような影響というか、問題が出てまいりますが、    〔委員長退席、社会労働委員会理事安恒良一君着席〕 ちょっと法文の上でわからない点があるので、何点か初めに伺いたいと思います。  この老人保健法では、地方財政法の第十条の七号の四、これが改正されまして、国がその全部または一部を負担する法令に基づいて実施する事務に要する費用、これが改正されて、老人保健事業がここに入りますね。それから同条の八号の三のところでは、老人保健拠出金の納付に関する事務、それから老人保健医療費拠出金の納付に要する経費、これが入ってきます。  そうしますと、この場合、地方財政法の第十一条では、第十条の経費については、「経費の種目、算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならない。」というふうに規定をしておるんですが、この関係はどういうことになりますか。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 地方財政法第十一条の規定は、第十条から十条の二、十条の三に掲げております国庫負担事業につきまして、その種目、算定基準等を政令で定める、これはその政令で定めるというところに非常に意味があるわけでありまして、予算措置等で適当に定めるんじゃなくて、きちっと政令でどういう経費に対して国庫負担をするか、どういう割合で国庫が責任を持つかということを決めなさいということでございます。この政令につきましては、それぞれの国庫負担を定めております個別の法律の体系の中で、それぞれの政令で種目、算定基準、負担割合を定めるということになっております。  したがいまして、老人保健法に関連いたします経費の種目、算定基準、負担割合等はそれぞれ老人保健法の方の政令で具体的に規定されるということになろうかと思います。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 老人保健法に関連して政令で決まって、いずれどういう財政上の措置をするかということは決まるんだろうと思うんですが、もう一つお伺いをしておきます。  地方財政法の十一条の二ですね、「地方公共団体が負担すべき部分は」云々と、こういう規定になっているんですが、地方財政法の第十条に規定する経費のうち、「地方公共団体が負担すべき部分は、地方交付税法の定めるところにより地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとする。」、こうなっています。これは従来の方式で算入して計算をして決定すると、こういう理解でいいんですか。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 地方財政法の十条以下の規定には、たとえば義務教育費でありますとか、生活保護費でありますとか、児童福祉費、これら重要な経費につきまして、国庫がその全部または一部を負担するということを定めておりますが、これらの重要な経費につきましては、残りの地方団体の負担部分についての財源措置を明確に行うために十一条の二の規定があるわけであります。すなわち、義務教育にいたしましても、生活保護にいたしましても、十条あるいは十条の二、十条の三に列記しております経費については、その裏負担は地方交付税の算定上の財政需要額に算入するということを規定したものでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 そこで、今回の新しい法案ができて、これらの事務処理上の問題については特に変化がないという理解でいいんですね、この部分については。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 今回の老人保健法の規定によりまして、地方団体が拠出金として一般会計から負担をすべき部分、これは財政需要に算入いたします。それ以外の従来の国民健康保険の事業会計で本来は負担すべき部分、事業会計の経費というのは、原則的には国庫負担金と、それから保険料、保険税収入で賄うというたてまえになっておりまして、今回の拠出金は別でございますが、それ以外の経費は、一般財源負担はたてまえとしてはないという前提でこの法律の規定ができているわけであります。したがいまして、従来の国民健康保険会計の財政負担については従来どおりの扱い、それから今回の老人保健法に関連いたしまして、拠出金として一般会計が負担すべき部分、これは財政需要に算入されることになります。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 それではもう一点伺いますが、地方財政法の十一条の二のところですね。これは第十条の八の三、老人保健医療費の拠出金等に関係のあるところですが、これは条文を見ると除外されているんでしょう。これはそうすると、扱い上は基準財政需要額に算入されるんですか、されないんですか。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 私が申し上げましたのは、一般会計が負担すべき部分については財政需要に算入されると申し上げたんですが、ほかの保険事業と同じように国民健康保険会計が負担する拠出金、これは事業会計の他の医療費の負担と同じものでございますから、これについては国庫負担金あるいは保険料で賄うということでございますので基準財政需要額には算入されない、除外されると、こういうことでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 そこでもう一点、別の問題ですが、お伺いしておくんですが、この財政需要額に算入される部分の中に、従来地方の保健所なんかの職員ですか、保健婦等の人件費ですね、これは補助金の形で出ていた部分がありますね、従来。これは不交付団体の分は今度扱いはどうなっちゃいますか、この法案通ると。不交付団体にも出してあるでしょう。出してませんか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) これは保健所運営費の補助金として出しております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 それは今後も同様に続くんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) これからマンパワーという面で非常に大事な問題でございますので、今後も続けたいと考えております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 くどいようですが、念を押しますが、不交付団体についても従来同様出してある分は出すんですか、出さないんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 補助金ですから、出します。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 それならいいんですが、どうも東京都など保健婦さん等の補助金、大体二十三億ぐらい来ないんじゃないかって心配してましたんでね。出るということであれば、それは心配ないんで、次の問題に移ります。  昨年の七月十八日、昭和五十七年度の地方財政措置の各省庁への要請事項、これを自治省はお出しになっていますね。都道府県市町村がそれぞれ医療費の十分の〇・五、これを今回の新しい法律では負担することになるわけですが、これについて、この負担の増加が地方公共団体の財政運営に与える影響を考慮し、必要な財政調整措置を講ずることにより激変緩和を図るよう要請する、こういう要請が出ておるわけですが、この辺は今日までの事務処理の中でどういう状態になっていますか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 今回の老人保健法におきまして、都道府県、市町村の負担が従来、現行制度でございますけれども、老人医療費総額に対して、実質的に約三%の負担であったわけでございますが、この新しい法律の制定によりまして、それが五%になるということになるわけでございます。新制度の地方自治体としての負担として最小限五%をお願いしたわけでございますけれども、市町村によっては、特に財政力の弱い市町村は負担が急に大きくなる、何らかの手当てをしてほしいというような御要望、自治省からの申し入れもございまして、大変ささやか、わずかではございますけれども、五十七年度財政当局と折衝いたしまして、先ほどから議論になっております原爆の分を含めまして二十億の財政措置をいたしているわけでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 自治省側の方は、いま厚生省側から答弁があったんだけれども、それで満足していらっしゃるんですね。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 個々の団体ごとにどの程度の激変が生じてくるのか、私ども現段階では正確に把握しておりませんが、一応厚生省の方で概算的に把握されたところで所要の財源措置をとっていただいたわけであります。したがいまして、私どもはこれの実行状況をよく見てまいりたい。それで今後において問題があれば、また厚生省とも御相談申し上げていきたい、このように考えております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 これは本法案が施行された後の問題になりますが、実施してみていろいろ問題が出てくるであろうと思うし、地方公共団体側でもいろいろ財政事情、経済力等違うところがありますから問題が起こるんです。これが走り出して、それから経過を見て、問題があれば相談したいということですが、両省はこの点で何か問題が起こった場合の対応は必ずしていただけるんですね、どうですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 実情を踏まえましてよく御相談したいと思っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 そこで、経費の負担割合でもう一点聞いておきたいんですが、この新しい制度のもとでの老人医療費の負担割合、厚生省側で出した老人医療費の負担割合試算表が出てます。五十六年度ということで出てますが、その後衆議院の方でも一部修正があったりして、修正後の試算みたいなものはおやりになったんですか、どうですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 衆議院の段階におきましては、五十七年度の予算がまだ決まっておりませんでしたので、五十六年度の試算で御審議をいただいたわけでございますけれども、当参議院におきましては、五十七年度の予算に基づく試算ということで御審議をいただいているわけでございます。新しい数字は持っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 その試算はもうできたんですか、いま作業中ですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 試算はできておりまして、もし何でしたらお手元までお届けさしていただきたいと思っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 数字は、ここでは時間の問題もありますから、後ほど試算をいただければ結構ですが、五十六年度を基本ベースにして試算をなさったこの表を見ましても、形式的には試算IとIIとございます。新しい方も同じような様式であるとすれば、念のために伺っておきたいのは、これは方針としてはっきりしてもらった方がよろしいわけで、こうした試算の方法は、一つの事務技術上はこれでよろしいんだろうと思うんですが、どのような方法でいくのかということは明確にしておいていただいた方がいいと思うんで、その辺の考え方を御報告ください。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 五十六年度、衆議院の段階におきましては、実は、試算をIとIIの二つをお示しをして御論議をいただいたわけでございますけれども、衆議院の修正で試算Iの考え方でいくべきだという修正が行われましたので、現在はその試算Iの考え方、つまり具体的に言いますと、保険者の拠出の仕方を医療費の実績案分と老人の加入者による案分、その割合を二分の一ずつという考え方で五十七年度は試算をいたしております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 それじゃ試算表の扱いの方向がはっきりしておればそれで結構でございます。  費用負担のことで一、二伺っておきたいんですが、今回の保健事業を実施するに当たって、費用の方は、国と都道府県、市町村がそれぞれ三分の一ずつ負担する形、こうなっていますね。この三分の一ずつ負担をするようにした根拠、理由は一体何かということが一つ。  それからこれらの費用を地方公共団体とも分け合って負担することになるんですが、これによって地方の方の負担の状況は従来とどのぐらい変化が起こるのか、これがわかれば御報告ください。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 保健事業に要します費用につきましては、先生御指摘のように三分の一ずっとしたわけでございますが、これは第一には、この事業が広く住民福祉に結びつくということで三者が相応の負担をしていこうじゃないか、こういうことで三分の一ずつにしたということが一つでございます。  それから従来の老人福祉法によります老人健康診査あるいは循環器の検診、こういう現行の施策の負担のあり方というのが大体三分の一ずつになっておるわけでございますので、そういうことも踏まえまして三分の一ということにしたわけでございまして、したがいまして、県の方をとりましても、従来どおりということになってくるんではないかと思います。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 この健康診査を受けた場合、その保健事業に要する費用の一部を受診者が負担する仕組みになっていますね。この受診者に負担をさせる考え方は一体どういうところから出てきたんですかな。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) この一部負担の問題につきましては、自分の健康は自分で守るという自己責任の立場から、これはきわめて無理のない範囲でひとつ負担していただこうじゃないか、こういうことでお願いするわけでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 この保健事業の対象ですがね、この資料で見ると四十歳以上ということになっておるんですが、この中でとりわけ、罹病の状態から見ると、婦人の子宮がんなんか三十歳以上から大体罹病するというデータも出ているんですね。この扱いについては、この子宮がん検診についての関係はどういうことになっているんですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 保健事業の対象は四十歳以上ということになっておりますが、これは大体高血圧症が四十歳ぐらいから多発してくるということと、それから脳卒中とか心臓病の死亡が大体四十歳ぐらいから多くなってきているということもございます。それから従来成人病対策として四十歳ぐらいでしておった、各県が実施しておった。こういうことも踏まえまして四十歳以上の者を対象とするということになったわけでございます。  特に、子宮がんにつきましては、三十歳ぐらいから死亡率が高くなってきておりますので、これは三十歳以上を対象として検診した方がいいんじゃないか、これは予算措置として行おうということで計画をしております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 そうすると、この保健事業の対象の中では、原則四十歳ですが、子宮がんについては特段のそうした配慮をするという理解でいいですね。  次に、少し細かいことを伺います。  今回のこの老人医療あるいは老人保健法の実施によって地方公共団体の老人医療費の助成制度——これを実施している地方公共団体がいろいろありますね。それぞれ各地方公共団体で状況は違うんですけれども、国の方は従来から七十歳ですが、地方公共団体の方は年齢をもっと低いところから実施をしているところがありますね、老人医療について。これは大阪とか東京が年齢制限をもっと低くしているとか、あるいは所得制限の緩和、こんなものを実施しているのが十五都道府県ほどあると思います。中身で言うと、年齢引き下げだけのところが十都道府ですか、それから所得緩和の方が十二くらいあるようです。  要するに、先ほどから問題になっておりますように、いわゆる単独事業でやっておられるわけで、今回七十歳だと、前から段差があって困っている問題なんですが、先ほども佐藤委員との論議の中でも問題になったんですけれども、これは直接財政措置はできないまでも、助成する、育てていくというか、地方公共団体独自でやっているものは壊さないで持続させるという考え方で対応していただかないと困るんで、その辺は間違いない、大丈夫でしょうね。さっきの御発言等には僕はこだわりませんけれども、基本的な考え方としてはいかがですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) むしろ、年齢の引き下げ等の地方単独事業につきましては、私どもとしては、率直に申し上げまして、見直しをしていただきたい、国の考え方、施策、今度の老人保健法の考え方に合わせて見直しをしていただきたいという気持ちを持っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 同様の問題ですが、大臣はどのようにお考えですか、この問題。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ただいま吉原審議官がお答えしたとおりでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 地方公共団体が、地域の老人の状況等を考えて、六十五歳あるいは六十七歳から実施をしているこれらの施策については、尊重していただくという考え方にはお立ち願えないんですか。どうなんですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) さきの質問でもお答えしましたが、尊重はいたします。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 尊重はいたしますと、微妙な答弁ですが、ぜひ尊重していただく方向で対応をしていただきたいと思います。  それから個人負担の問題で、大変細かい問題で恐縮なんですが、一部負担金一カ月四百円、修正されて四百円になりましたね。これが老人保健機関に受診料として支払われることになるんです。一カ月四百円ということですが、状況を考えると、老人はいつ病気になるかわからないんで、必ずしもその月の初めに罹病するとは限らぬのですな。二十八日なり三十日であれしても四百円で、あくる月一日かかってもまた払わなきゃならないんですが、この辺どうですか。大変細かい問題で恐縮ですが、四百円といってもお年寄りだと問題だと思うんでね。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 四百円は月単位で考えておりますので、月末に受診をして、月が変れば改めて四百円と、こういうことになるわけでございます。  実は、こういったことにした経緯というものを御説明をさしていただきたいと思うんですが、最初一部負担の金額なり、払っていただく方法をどうするかといろいろ議論ございまして、私どもも迷ったわけでございます。最初考えましたのが、初診のときに三百円、それから再診の都度百円というようなことを考えていたわけでございます。つまり受診の都度何らかのお金をいただくということを考えていたんですが、受診の都度というのはどうだろうかというようなことで、それならもう月決めといいますか、月単位で幾らということにした方がむしろ、先ほど御指摘のございましたような問題はあるにしても、いいのではないかというようなことで、こういうことになったわけでございます。  そしてまた最初は、政府の考え方は月単位で五百円ということであったわけでございますけれども、いまお話のありましたような問題点もございますので、五百円をさらに軽減をしたらどうだというような衆議院での修正で、四百円ということになったわけでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 これは制度的にそうせざるを得なかったということで理解をいたします。  お年寄りの方々は、罹病するのが一種類じゃなくて、幾つか病気が発生する場合がありますね。その場合の診療料金の支払いの問題ですが、これは病気の種類、科目別で考えた場合、その月のうちなら初診料四百円だけで全部済ませる形になっているのか、あるいは個々に払うのか。その辺の扱いはどうなりますか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) この四百円というのは、医療機関ごとに支払っていただくということでございまして、必ずしも病気ごとということではございません。頭が痛かった、その月の中でおなかが痛かったということで受診をした場合には、その月のうち同じ医療機関であれば四百円で済むわけでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 次に、減免措置について念のため伺っておきますが、厚生省令では、特別の理由により支払いが困難と認められる者について減免する、こういうことになっておるんですが、これは具体的にはどういう人たちが対象になりますか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 一部負担金の減免措置というのは、これも衆議院の修正で入った条文でございます。政府原案には実はなかったわけでございますが、衆議院での修正のお考え方というのは、確かに大部分、ほとんど老人の方皆さんが四百円なり三百円という負担は大丈夫だろう、しかし個々人のケース・バイ・ケースで考えてみた場合に、それも無理な方がおられる場合があるんじゃないか、そういった方々については減免をするといいますか、免除するような制度的な手当ては用意しておくべきでないかということで入れたわけでございます。  実は、国民健康保険にもこういったような規定がございまして、被保険者が災害を受けたときとか、あるいは事業ができなくなったときには減免をするという規定がございますので、それにならったような措置をとったらどうかというようなことで、こういう修正が行われたわけでございます。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 それでは細かい問題はこれくらいにいたしまして、    〔委員長代理安恒良一君退席、委員長着席〕 今回のこの法案の施行によって各種の保険あるいは共済等の保険料率、これがどうしても先々上昇せざるを得ないと思うんですよ。この辺についてはどういうような見方というか、観測をお持ちですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) あるいは御質問の趣旨を少し取り違えているかもしれませんが、この新しい法律ができまして、それぞれの保険制度における料率がさしあたってどうなるかということを簡単に申し上げますと、健康保険の場合には、料率にいたしまして、私どもの試算ですと千分の〇・五程度の上昇になる。それから健康保険組合につきましては千分の二・三程度の上昇になる。それから国民健康保険につきまししては、これは料率では出ないわけでございますけれども、被保険者一人当たりにいたしまして八百円余りの減少になるというふうに思います。  今後老人医療費がふえていくに従いまして、若干こういった拠出金率というものが上がっていくということは、これはもうやむを得ないのではないかというふうに思っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 大臣に伺いますが、本法案の基本理念のところは、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、」云々と。文章を見ると、一応なかなかりっぱにできているんですが、この基本的な考え方からして、福祉行政そのものの考え方でちょっと御所見を伺っておきたいんです。  行政の責任、あるいは国側の責任、あるいは地方公共団体の責任で遂行するべき性質のもの、これが一つありますね。それから公私が競合して負担してやっていかなきゃならないもの、それから民間が優先してやっていただいた方がいいものもあると思うんですよ。行政が全くタッチしてはならない分野というものも、これはえり分けるとあると思うんです。こうした考え方を検討してみますと、今後の福祉のあり方についてどうしたらいいかということ。「自助と連帯」といっても、負担を多くするとか、国の財政が厳しいから地方にしわ寄せをしちゃうとか、いろいろ批判が出ていますよ。この辺の歯どめは、福祉を担当する厚生省としての考え方をきちんとしておいていただく必要があると思うんですが、ごく抽象的な聞き方で恐縮なんですが、基本的なそうした福祉に対する対応の考え方をお伺いをしておきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 憲法二十五条で定められております健康で文化的な生活、国はこれをしなければいけないと、こういう義務規定がございます。きのうも堀木裁判でいろいろ根幹的な問題にも触れられておりますが、いわゆる救貧対策か防貧対策か、あるいは自助または連帯かと。そこに社会保障制度と社会福祉の分け方、それから高福祉高負担でいくのか、中福祉中負担でいくのか、いろいろ組み合わせがあると思うわけであります。  大体いままでの行き方としては、私は、欧米先進国で言われた制度をある程度は入れてきたように実は思っておりまして、臨調で示されておりますように、活力ある福祉社会をつくっていこうと、これは私は正しいと思います。福祉が行き過ぎますと、少し社会が沈滞をしてなまけ考が出てきたり、かえって平等の中に不公平ができるというようなことで、ここらあたりでひとつ見直していこうじゃないかというのが、新しい日本型の——まあ日本型という言葉はいいか悪いかわかりませんけれども、今後いわゆる先進福祉国としての日本の行くべき姿である。そういう中で高齢化社会を迎えて、この老人福祉、今回のこの保健の問題をどこに位置づけるべきであるか。  老人は、私は決して初めから病人ときめつける必要はないと思うんです。そこに自助とか連帯という考え方も出さなくてはもちろんいけませんし、また高齢化時代にそなえて四十ぐらいから保健衛生にも気をつけて、元気で長生き、生きがいある生活をしていただこう。まことにこれ一口で言葉が出せないんですが、いままでと違った意味の新しい福祉の形態でいくべきであると、このように考えております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 いま大臣の御答弁の中でも触れられたんですが、堀木裁判は、確かに大法廷の裁判官おそろいでこういう判示をなさったんですから、一つの筋は通っていると思うんですが、所得保障の考え方なのか、あるいはまた堀木さん側が言っているような養育費の性格なのか。  これの過去の流れを見ると、四十七年の第一審の敗訴をしたときには、ダブリ支給ができるように厚生省みずから改めている経緯もあるんで、裁判所の判示の中では、結局結論としては、福祉立法を具体的にどのようにするかは国や国会の裁量に任せると、こうなっているんですわ。ですから、この結果から考えると、これは厚生省あるいは国会の立場というのは大変責任が重いわけで、今後に大きな宿題を抱えたことになるわけです。  森下大臣のこの談話でも、「母子家庭および障害者に対する福祉施策については、国の財政事情が現在厳しい状勢のもとにあるが、最善の努力をしていきたい」と言っている。これは今後国会で問題になりますから、こういうようなものに対する扱いの基本的な考え方だけ、きょうは一言伺っておきたいと思うんです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 障害者対策及び母子福祉対策を今後どういうふうに進めていくか。障害者対策につきましては、従来から意を用いてきたことでございますし、特に昨年は国際障害者年、十年の行動計画がことしからいよいよ始まりまして、非常に綿密に前向きに実はやっております。そういう中で具体的に福祉の手当て等、特に重度障害者に対する施策の充実のほか、障害者の社会参加促進のための各種施策の充実に努めてまいりたい。  それから母子福祉対策についても、母子家庭の充実促進をお手伝いするための母子福祉資金貸付制度の充実を図るほか、関係省庁とも連絡しながら雇用の促進に努める等、施策の充実に努めていくということでございまして、先ほどの話に返りますけれども、地方と国との分担、また個人はいかにすべきか、裁判所の憲法解釈でも宣言規定なのか権利規定なのか、先ほどおっしゃった所得保障か養育費であるかとか、非常にむずかしい段階になっておる。その中で、いま申し上げましたような方向で厚生省はいきたいと思っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 時間がなくなりましたから、保健センターとか、あるいは健康手帳のことで聞くのを削除いたしまして、最後に一点だけ伺います。  午前中の質疑でも佐藤委員から、たとえば八千人の保健婦のマンパワーの整備なんかでも心配じゃないかとか、その他の話が出たんですが、保健婦のことで一つだけお聞きしておきます。  保健婦の免許を持っている方々でも、医療機関というか保健所へお勤めになる方は、地方の実情を調べますと、初任給で医療職給料表三等級二号給十一万三千六百円。学校の方の養護教員というか、これは試験の制度は違いますが、縦割りでやむを得ないんだと思うんですが、小中学校あるいは高校へ就職なさった方は養護教員になるわけですよ。こういう方々は、小中学校の場合は二等級で六号給、それから高等学校の場合は二等級四号給から始まるんですが、十二万六千四百円。初任給でこれだけ違うんです。  仕事の内容も、養護教員の方はずっと楽と言っちゃ語弊があるのですが、保健所の保健婦さんというのは大変なんですよ。訪問指導をやったり、いろいろ体の不自由な人を見たり、健診をやったりというようなことがある。それから休暇の条件なんかも、もう時間がないから細かく言いませんが、全然違うんです。  力のある人というか、良質な人がどうしても養護教員の方に流れちゃう傾向というのは、とめられないと思うんですよ。それは一万何千人か毎年卒業してきますけれども、確保がむずかしい。したがって、八千人の体制は、この辺もよく考えないと、文部省とのすり合わせばなかなか無理だと思うけれども、この辺はどう考えていますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) ただいまいろいろ実態の資料を持って来ませんでしたが、後でまた御説明に上がりますが、実態は先生おっしゃるような実態がございます。なるべく努力をして待遇改善に努めてまいりたいと思っております。

大川清幸公明党・国民会議

○大川清幸君 それじゃ時間が来ました。どうもありがとうございました。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 まず最初に、国民の福祉の問題で、来年度予算要求に関して厚生大臣にお尋ねをしたいと思います。  昭和五十六年度の歳入欠陥は二兆九千億円前後になることが明らかになり、来年度はマイナスシーリングなどとも言われております。厚生省は国民の健康、生活に直接結びつく分野を担当しており、対象人員増や諸手当の平年度化など当然増の多い予算を抱えています。五十七年度の当然増は六千三百億円とも言われ、このうちゼロシーリングの別枠として認められたのが二千百億円という額でありますが、その差額の四千二百億をひねり出すために、厚生省は国民健康保険補助金を十一カ月分としたり、厚生年金の国庫負担五%の繰り延べなどの会計操作をし、それでもなお児童手当十四万人の切り捨て、年金や被爆者の手当、母子家庭に支給される児童扶養手当改定の一カ月おくれなど、国民に犠牲が大きく強いられたわけであります。  ゼロシーリングでやりくりしてもこの状態でありますから、いわんやマイナスシーリングということになれば福祉は一体どうなるのか、国民が大きな不安を持っているわけであります。  来年度の当然増は八千億円にもなろうと言われておりますが、そこで厚生大臣、当然増分ぐらいは、それこそ当然に別枠とするよう、予算要求に当たって強く主張をしてもらう必要があると思いますが、決意のほどを伺います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) お説のように、五十七年度予算は苦心、やりくりしたことは事実でございます。しかし一応私どもは、福祉後退の予算ではなかったと、こう考えておるわけでございますけれども、心配なのは五十八年度の予算でございまして、率直に申し上げまして、五十六年度が大きな歳入欠陥になった、五十七年度ももっと大きな歳入欠陥が出るであろう。そうなりますと、その土台の上に五十八年度の予算が組まれつつあるということで、その中におけるわが厚生予算が、またこの福祉予算がいかにあるかということは、私どもも大変実は心配をしております。予算は、各省の中でも一番大きい予算を持っておりますから、マイナスシーリングになった場合には、これは一番大きな心配の種が生まれるわけで、いろいろ別枠の問題とか、また当然増をいかに大蔵省に認めてもらうか、また認めさすかということで実は苦労をしておるのが現状でございます。  いずれにいたしましても、各施策について給付とか負担の見直しを行い、その合理化、適正化を図ることを五十八年度の予算編成の基本方針としておりますし、特に重点的にこの老人対策、それから障害者を初めとする社会保障施策を本当に必要とする人々に対する施策には、最大限の配慮を払ってまいる所存でございまして、全力を挙げることを申し上げたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 重ねて伺いますが、少なくとも国民の福祉の水準は下げないように担当大臣としては最大限の努力をするというふうに約束できるでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) きのうも実は大蔵省に出向きましていろいろ必要性を強調もしてまいりました。事あるたびに参りまして、この点強調して、福祉が後退しないように全力を挙げたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 次に、本法案に関して、老人医療をなぜ有料化するのか、無料化制度の継続拡充が本当に不可能なのか若干の質問をしたいと思います。  老人医療無料化制度は、言うまでもなく、国民、老人の要求と運動によってまず革新自治体から始まり、これが国の制度として広がりました。この広がりを受けて、政府は四十八年一月から七十歳以上を対象に実施したわけであります。当時厚生省も、老人福祉法改正案の提案理由で、老人は医療を必ずしも十分に保障されていなかった、無料化制度を実施して老人に医療を保障するのだと説明をしていたわけであります。昭和四十八年は、老人医療無料化の発足や年金の改善などがあって、福祉元年とも言われました。この老人医療無料化制度はわが国社会保障制度上重要な前進であり、御苦労をなさってきたお年寄りが政治の温かさを初めて感じた制度とも言われています。  ところが、これを有料化しようというのが本法案でありまして、老人本人から、医者に行くたびに毎月四百円、入院一日三百円を取るということになります。これまでは老人福祉法で無料化を実施していた。これは福祉制度でありますから、一部所得制限があります。五十二万人の老人が所得制限で無料化の対象になっていない。この五十二万人の人が出していた医療費の自己負担の額は、厚生省からいただいております資料によると、五十七年度ベースで推計をして三百四十億円、こういう数字になりますね。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 大体そういう数字でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ところが、本改正案によりますと、所得制限はなくなる。したがって、これまで高額所得があるということで老人医療無料化から除外をされていた五十二万人の人が本法の適用になるわけですね。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) そのとおりでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 さて、五月の一日に長者番付が発表されたわけでありますが、政治家で見ますと、一億円以上の人が八人いる。この中に田中角榮も含まれて第四位、一億四千万円ということになっておりますが、鈴木総理は二千五百七十三万円と申告をされています。さらに、刑事被告人の児玉譽士夫、四千二百万円、五十二万人の中にはこういう高額所得者で七十歳以上の人、たとえばいまの例でいけば鈴木総理、児玉譽士夫、こういうような人たちも当然含まれるわけですね。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 七十歳以上の方であれば、この制度の対象になるわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 同じく刑事被告人の小佐野賢治、この人の所得は五億五千万円ということでありますから、この人も七十歳になれば本法の対象に当然なるわけであります。  ところで、老人医療無料化の問題についてのかつての国会審議、昭和四十七年四月二十六日の衆議院の社労委員会、ここで当時の斎藤厚生大臣は、「それでは松下幸之助さんも無料にするのかという議論が出てくるのですね、一番極端な例をあげると。」、そういう議論が出てくるのですが、「それはまあやる必要はないんじゃないか。」、こういうふうに大臣が答えておられるわけであります。すなわち、高額所得者は除外していいんじゃないかというふうに答弁をされているわけです。  ところで、同じ一部負担といっても、月収一千万円の人の四百円と月収十万円の人の四百円とでは、同じ四百円でもその価値には百倍の違いがある。逆に言えば、月収十万円の人にとっては百倍の重さを持った四百円ということになるのは言うまでもありません。厚生省の五十六年国民生活実態調査を見ますと、高齢者世帯の平均所得は百九十八万円、その四〇%が月収十万円程度であります。したがって、同じ四百円といっても、高齢者には決して軽い負担ではないということは明らかな問題でありましょう。  ところで、少し角度が変わりますが、例の児童手当、「児童の健全な育成及び資質の向上に資する」と法の目的にうたっている児童手当でありますが、第三子から月額五千円。この児童手当の所得制限は、五十七年度は四百五十万円から三百九十一万円というふうに、むしろ所得制限は強化をされた、周知のところであります。この所得制限強化は、いわゆる自営業者またそこに働く従業員、農民、こういった所得の低い零細事業で働く人々に適用されることになるわけでありますが、一体この所得制限強化で何人児童手当が支給されなくなるのか、ちょっと念のために数字を示してください。

幸田正孝厚生省児童家庭局長

○政府委員(幸田正孝君) 昨年秋の臨時国会で、行政改革関連特例法を制定をさせていただきまして、児童手当の改正を行ったわけでございますが、三百九十一万円に所得制限をいたしました結果、サラリーマン以外の非被用者グループで十四万人の児童手当の支給が受けられなくなったと、こういうことでございます。  しかしながら、同時に、この改正におきまして、サラリーマングループにつきまして、全額事業主負担によります児童手当、特例児童手当制度を創設をいたしまして、これによりまして、サラリーマン、非サラリーマンを加えまして、総体といたしましては、児童手当の支給対象者数は変わりはないという状況でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 後段でいわゆる特例給付対象者の問題に触れられて、トータルの人数については変わらぬということでこの問題を糊塗されておりますけれども、私の言っております所得の低いそういう零細企業で働く人々、農民の方々、こういう方々については、明らかに十四万人児童手当の支給が外されるということは、これは厳然たる事実ですね。  そこで、このことによって一体国庫負担は何億円ぐらい減るんですか、この十四万人分によって。

幸田正孝厚生省児童家庭局長

○政府委員(幸田正孝君) 五十六年度と比較をいたしまして、五十七年度六十三億円の減額でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 先ほど松下幸之助さんの所得制限にかかわる斎藤厚生大臣の答弁を引用をしたわけでありますが、当時、斎藤大臣は同じ答弁の中で、児童手当の所得制限にも触れて、この緩和のために今後とも努力をするというふうに答えておられたのですが、事態の経過は全く逆で、むしろ四百五十万円から三百九十一万円に所得制限は一段と強化をされてきているというのが現実であって、その結果、十四万人の児童手当がカットされる、こういう事態が生まれているわけであります。  ところで、今回の本法案によって、従来無料化が適用をされていなかった五十二万人の高額所得者の人たち、この人たちについて、今回この制度が変わることによって、一体国の負担は幾らぐらいふえるのかということを私、少し計算をしてみました。すなわち、従来五十二万人の無料化の対象でなかった人たちが負担をしていた額は、これも厚生省でいただきました資料によりますと、五十七年度満年度で三百四十億円。これが今回の改正によりますと三十億円だけの一部負担に変わる。差し引き三百十億円は、国が二〇%、自治体が一〇%、保険者七〇%、こういう負担割合で負担をするわけでありますから、そうしますと国の負担増は、三百十億掛ける二〇%、六十二億円の負担増になるという。  ここに、児童手当で削った国の負担の額、これが、くしくも今回の老人保健法によって、従来は無料化の措置の対象から外れておった高額所得の人たちに、今回のこの法改正によってちょうど同じぐらいの額をそういう高額所得者の人たちにサービスをすると、こういう結果になっておるというのが今回の法案の実は仕組みになっているということであります。  全く弱者はどんどんと切り捨てながら、この高額所得者、大金持ちには土盛りをしてサービスをする。こういう内容になっているということを厚生大臣は重々御承知の上でこの法案を提案されておるんでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) そういう意図は全然ございません。たまたまいま御意見述べられましたが、高額所得者とそうでない方も同じ扱いである。ただ、負担においては所得による、負担は所得に応ずる、額の差はございますけれども、いわゆるサービス、給付におきましては、高額者とそうでない方々と数字的な平等になってしまっておる、これが不平等であると。私もそう実は考えます、その点については。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 どうでしょうか。刑事被告人も含めて、大金持ちに対しては従来所得制限で自己負担があった分を、自己負担を外してサービスをする。最も弱者の所得の低いそういう非被用者、こういう方々に対しては児童手当が出ない。まことにこれは不平等な仕組みだということで、お年寄りや国民がこんなもの納得できないのは当然だと思われませんか。大臣どうですか。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 今回の老人保健法というのは、いままでの老人医療の仕組み、制度の仕組みと全く違うわけでございまして、現行制度のままで所得制限を撤廃したということではないわけでございます。あくまでも総合的な保健医療制度の中で新しい費用負担方式も含めて新制度を発足させる、創設をするということにしたわけでございまして、医療給付の際の自己負担につきましても、お年寄りの所得によって一部負担の額に差をつけるのはどうだろうか。七十歳以上の方が医療を受ける場合の一部負担の額は、本人の所得なり、あるいは息子さんの収入なり、そういったもので差をつけるのはどうだろうか。むしろつけてほしくない。こういう御意見が非常に多かったわけでございます。老人関係者の方々あるいは関係団体の方々の御意見も、むしろそういったことで所得によって差をつけてもらっては困ると、そういう御意見が強かったわけでございます。  そういったことで、今回の老人保健法におきましては、老人の方は原則として皆さんに三百円ないし四百円という額を負担していただくことにしたわけでございまして、従来の制度のままで所得制限を撤廃したということであれば、御指摘のような問題点もあろうかと思いますけれども、全く新しい制度、新しい仕組みの中でのことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 どのようにこじつけの説明をされようとも、私は納得ができません。とにかく今回の法改正によって、全体で老人の一部負担が四百八十億円、うち、従来は無料化の対象になっていなかった五十二万人の人が三十億円の負担をする、圧倒的多数の六百三十一万人の老人、従来無料であった人たち、この人たちが四百三十億円を負担をする。こういう形になっておるわけでありますから、高額所得者の方にサービスをし、従来無料であった人から負担をさせよう、金を出さそうという、こういう形になっているのは、これは何とこじつけようと紛れもない事実。  こういう点で、国の負担のあり方という点から見ても、大金持ちには門戸を広げる、低所得者にはますます門を閉じる、強い者にはますます厚く、弱い者にはますます薄く、こういうやり方というのは、断じて国民は納得しないでしょう。  どうですか、厚生大臣。一遍この案は白紙に戻して根本的に再検討をする、こういうふうにしてもらいたいと思うんですが、どうですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 別に、そういうおっしゃるような意図の上に立った法案でございません。ただ、結果論として、そういう理論も私はあるということはわかりますけれども、しかし御老人という特殊な年齢に達して、しかも七割は保険者拠出、国なり公的機関からは三割を拠出する、そういう制度等を考えました場合に、いろいろ言われることは、私どもにとりまして非常に極端なお言葉のように受けとめるわけでございまして、決してそういう意図でやっておらないということを申し上げたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 決してそういう意図でやったわけじゃない——そういう意図でやったとしたら、これこそ大問題であります。しかし私の指摘している問題について矛盾は感ずる、心の痛むものがあるということがあるみたいですけれども、撤回をしましょう、白紙に戻しましょうということは、なかなかおっしゃらないけれども、重ねてその点を強く主張をしておきますから、よく御検討を願いたいと思います。  次の問題へ進みますが、拠出金の負担割合をめぐる問題です。  健保連、財界、政策推進労組会議、こういうところが拠出金に歯どめをということを主張をしておられます。これをめぐって修正の動きもあるようであります。財界の要求は、みずからの社会的責任、社会保険、社会保障に関する当然の大企業としての社会的責務をサボって、いわば出すものは舌でもいやだと言わんばかりのエゴイズムでありまして、これは論外でありますが、健保連の言い分には耳をかすべき面もあろうかと思います。なぜなら、先ほど来私が強く指摘をしていますように、大金持ちへのサービスの分まで、現行制度では事業主と労働者の折半負担、これを原則にして負担をさせられるということになるわけであります。  ところで、こういう機械的な折半負担という原則、これは真の意味での公平な負担にはほど遠いんじゃないかというふうに私は思うんです。また時代の趨勢にもおくれたものである。  ヨーロッパのたとえばフランス、イタリア、スウェーデン、こういったような国々での労使の負担割合はどういう数字になっているのか、御説明願いたいと思います。

正木馨厚生大臣官房総務審議官

○政府委員(正木馨君) ただいま諸外国における社会保障費用に対する財源構成並びに被保険者、事業主の負担割合についての御質問があったわけでございますが、先生御案内のように、この社会保障に関する費用についての財源構成というのは、それぞれの国の長い制度の沿革等がありましていろいろな違いがございます。また被保険者と事業主の負担割合についてもいろいろ違いがございます。先生御指摘のように、スウェーデンとかイギリスとかフランスにつきましては、事業主の負担割合が被保険者に比べて高くなっております。  数字で申し上げますと、社会保障に要する費用全体を一〇〇といたしまして、それに対する事業主と被保険者の負担割合を見てみますと、一番新しいILOの一九七七年の数字でございますが、フランスは事業主の負担割合が五三・四%、被保険者は一八・六%、イギリスは事業主が二九・五%、被保険者は一七・七%、それからスウェーデンは事業主が四四%、被保険者が一・二%ということになっております。  ちなみに、わが国は基本的に労使折半というたてまえをとっておるわけですが、西ドイツ、アメリカも同じように労使折半の原則を立てております。日本の場合には全体の費用をひっくるめますと、いまのパーセントで申しますと、事業主が二七・七%、被保険者が二五・三%、西ドイツの例で申しますと、事業主が三六・二%、被保険者が二六%ということになっております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 いま御説明のあった数字を見ても歴然としますように、日本のように労使折半が原則、こういうことになっておる国々というのは珍しい、日本は非常におくれた状況になっておるということは明らかだと思います。さっきも申しました社会連帯の近代的思想、これは金持ちも貧乏人も、大企業も小企業も、機械的に一律にすることが真の公平ではないのだ、特に能力の大きい大企業はその社会的責任からいっても応分の負担をし、社会に貢献するというのが真の平等、公平という方向なんだということが国際的な趨勢に今日なってきている。  こうした点で、今回老人保健という新しい制度をつくるに当たって、真の連帯負担の姿として、拠出金の労使負担割合を折半原則から七対三にするということを、なぜこの問題から始めてでも検討しなかったのか、ぜひ早急な課題として検討してもらいたいと思うんですが、大臣どうでしょう。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 健康保険あるいは厚生年金における労使折半の原則というのは、わが国においては非常に長い間定着をした仕組みになっておるわけでございまして、今度の老人保健の拠出金も、実質的には従来の社会保険、健康保険の保険料と全く同じ性質のものでございます。したがいまして、その労使の関係、労使間の負担の割合も従来の保険料と全く同じ、それから実際の徴収の事務もそれと一括をして行う仕組みにしておりますので、特に老人保健の拠出金だけについて労使折半の原則を、考え方を変える理由はないということで、こういったことにしたわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 大臣、いまの労使負担割合の改善の問題ですね、これについて今後の課題として検討に上せていくというこの方向については、大臣の見解はどうでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 社会保障制度でございまして、お互いに助け合っていこう、公平な負担をしていこうという趣旨でやっておるわけでございまして、ただ労使であるから折半を七・三にするとか、そういう率をいまのところ変更するという気持ち、また方向はございません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 きわめて答弁納得はできませんが、重ねて私の意見は強調をしておきます。  ところで、この問題と関係をして念のためお尋ねをしますが、企業内で労使が話し合いによって負担割合を変えることがあっても、必要拠出金全体が納入をされるのであれば、現行すでにやられていることでもありますし、別にその点は労使の話し合いにゆだねる、こういう問題でありますね。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 現在の健康保険料の仕組みがそうなっておりますので、老人保険料についても話し合いによってそういうことをすることはできないことではございません。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 それでは次に、自治大臣にもお願いをしてまいりましたので、ここで地方自治体の単独事業の問題について、同僚委員からも御質問が出ておりましたが、私も二点お尋ねをしたいと思います。  まず一つは、現在老人医療の無料化は、多くの自治体で上積みの事業が実施をされ、この単独事業が住民に非常に喜ばれていることは言うまでもありません。厚生省などは、本法案が成立をすればこの単独事業の廃止、見直しをお願いをすると、こう言っているわけでありますが、しかしそれは地方自治法上強制できる問題ではない、自治体の判断にゆだねる問題であるという、こういう確認でよろしいわけですね。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 御指摘の点に関しましては、これは各地方団体が独自に自主的に行っているものでございまして、これをこちら、私どもの方から禁止ということはできないと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 したがって、国を上回る内容での単独事業を地方自治体が継続をする、こういうことに対して、結果として強制になるような、たとえば自治体に対する報復措置、こんなようなことはさらさら考えていないということでありますね。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) おっしゃるとおりでございます。  ただ、単独事業について、その必要性とか行政効果、あるいは将来にわたる財政負担、それから国の施策の動向などを総合的に考えてその上で慎重に行うべきである、こういう指導は従来からも、今後もいたしていく所存でございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 さらにこの際、関連をして国民健康保険制度に関してお尋ねをします。  毎国会、国民健康保険に傷病手当等給付に関する請願、これが提出をされ、採択をされています。その内容は、たとえば昨年の通常国会で採択をされた事項は、国民健康保険の傷病手当金、出産手当金を強制給付とすること、助産費は健康保険並みの給付とすることなど、こういう内容であります。  国民健康保険は、業者だけでなくその従業員も加入をしておりますが、国民皆保険で同じ病気になりながら、傷病手当が出たり出なかったりすることは、制度の整合性からいって一考を要する問題であることは言うまでもありません。厚生省はいま国保問題懇談会なるものを設置して国保制度のあり方を再検討することとしておりますが、こういった傷病手当、出産手当、こういった問題についても、国会としての請願採択というこういう事実もあり、懇談会の検討事項の一つに上せてもらうという必要があろうと思いますが、大臣どうでしょうか。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) ただいまのお話につきましては、なかなかむずかしい問題でございます。これは再々お答えをしておるわけでございますが、国保制度は、農民、商工業者等のいわゆる給与所得者以外の人等を中心にした制度であるということでございます。したがいまして、その就労形態はさまざまでございまして、傷病等に伴うところの所得喪失というものを把握することは非常にむずかしい、こういう問題がございます。のみならず、国保制度はなかなか財政的に楽ではないし、こういった傷病手当金あるいは出産手当金、これを導入いたしますと、非常に財政的な問題というものも絡んでまいるところでございまして、現在任意給付になっておりますけれども、これをやっているところはないというのは、やはり財政的な問題が主たる理由であろうかと思うわけでございます。そういう意味で、なかなかこの問題はむずかしいということを申し上げておきたいと思うわけでございます。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 私がお尋ねをしておりますのは、いま直ちにどういう結論をということを求めておるわけではないんです。せっかく厚生省として、国保問題懇談会、そういうところで総合的に国保のあり方について検討をしようとしている時期、こういう時期であるし、国会としても請願を採択をしてきておるので、当然政府としてこの国会の意思を尊重してもらって、検討課題の一つに上せるということを考えておられるでしょうねと、こう聞いておるんですから、その点についてもう一遍お答えください。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) ただいまのお話につきましては、国保懇の方に伝えておきたいと思います。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 ただ伝えておきたいというだけじゃなしに、積極的に政府としてもそういうひとつアクションをしてもらうということで、大臣、私の二度にわたって申しておるこの趣旨、御理解と思いますけれども、大臣としての努力をお願いをしておきたいと思いますが、どうですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) いろいろ請願、陳情等がございますが、よく取捨選択いたしまして、内容的にいいものは懇談会等に厚生省の方から積極的に提出いたしまして、行政に生かすべく努力をいたしたいと思っております。その中にいま御指摘の内容のものも、先ほど局長が御答弁いたしましたように、生かされるように努力をいたしたいと思っております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 最後に医療費の改定の問題に関してお尋ねをしておきたいと思います。  不正請求などには厳しく対処することは当然でありますし、医療費のむだをなくすることも必要であることは言うまでもありません。同時に、国民医療を確立をするためには、医療経営の安定、これもまた大切なことであると思いますが、こうした点、まず厚生大臣の基本的見解をお尋ねをしたいと思います。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) ただいまの御質問でございますが、昨年の六月に医療費改定を行ったことは御承知のとおりでございます。これはいわゆる薬づけ、検査づけ医療につきまして、関係各方面から非常にいろいろと御指摘があったわけでございまして、昨年の六月におきまして、このような御指摘を踏まえまして薬価基準の大幅な引き下げを行ったわけでございますし、また診療報酬改定につきましては技術料重視の改定をやった、そして検査等につきましても丸めということで合理的な改正をいたしておるわけでございます。  そういったような状況で改正を行い、医療費の改定を行ってきたわけでございますが、今後の問題につきましては、医療機関の経営状況とか物価、賃金の動向、あるいは国の財政状況等を十分総合的に勘案いたしまして、中医協における御審議を踏まえながら、慎重に対処してまいらねばならぬ問題であるというふうに考えておるわけでございます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 医療費の改定問題は、病院とかまた診療所にとりまして、これは重大な関心を持っておる問題でございます。いま局長から御説明いたしましたように、昨年大幅に薬価基準を下げました。それから医療費は上げたわけでございますけれども、いろいろ病院によっては赤字経営をされておるところもございまして、陳情等、ございます。そういうことで、いまお答えいたしましたように、経営状況とか、また物価、賃金の動向、それから国の財政状況、そういうものを総合的に判断いたしまして、中医協における御審議を踏まえながら対処いたしたい、このように思っておるわけであります。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 今後中医協の審議を見守りつつ対処をしていきたいという御答弁でありますけれども、昨年のこの六月改定をめぐって、病院関係者の方々から全国的に、六月改定が医療経営を非常に圧迫する内容だということで、診療報酬緊急是正を要求する、そういう運動がいま全国的にずっと巻き起こっておるという、こういう事態になっている。当局はよかれと思ってあの改定をやられたのかしりませんけれども、あの内容では大変だということで是正を要求するという大きな運動がいま起こっておる。こういう事態になっているということを、一つは事態の認識の問題として確認をされておるかどうか。  で、今後の方向としては、できるだけ速やかに問題の是正に着手をしていく、こういう方向での検討に入ってもらいたいというふうに思いますが、重ねて大臣に伺います。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 現在、御承知のように、国家財政という問題が大変な問題でございます、国家財政の再建。そういった時期におきまして、私どもといたしましては精いっぱいの改定を昨年行ったというつもりでございます。医療機関につきましては、こういう時期でございますので、経営の合理化等につきまして御努力をいただきまして、ひとつこういう苦しい時期でございますけれども、何とかできるだけ合理的な経営によりまして経営を続けていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) いま局長からお答えしたとおりでございまして、よく内容を検討いたして、合理的な改定に持っていきたいと、このように思っております。

佐藤昭夫日本共産党

○佐藤昭夫君 終わります。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 基本的な問題でございますが、まず自治大臣にお伺いいたします。  言うまでもなく、憲法九十二条には「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と明定されております。そこで自治大臣は、「地方自治の本旨」とは一体何か、その御認識を明らかにしていただきたい。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 私は、地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるよう、地方自治の制度を定めて運営することと理解しております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 そのような御理解であれば、地方公共団体が独自の判断でその地域社会にかかわる施策を行う場合、国はその施策に関して不当に関与し、または干渉してはならない、これは当然のことであると思いますが、そのとおりでございますか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 地方団体の自主性と主体性を尊重すべきであると考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 ところで、老人医療に関します地方の上乗せは、すでに多くの委員からも指摘されたところでございますが、対象年齢を引き下げて六十五歳としているところが東京、大阪など六都府県、六十七歳が和歌山県、六十八歳が埼玉、広島など八県、七十九歳が石川など二県、一人暮らしの老人に限って六十五歳にしているのが北海道など八道県。また所得制限を緩和しているのが東京、神奈川、大阪など二十七都府県に及んでおります。したがって、いずれか一方を実施しているところ、これは実に三十七都道府県、両方実施しているところは十五都府県に及んでいるわけでございます。このように地方の独自の選択によって上乗せ福祉はすでに地域住民の中に定着しておる、このように考えるわけでございます。  私は、この福祉の地方自治体による上乗せは、地方自治の本旨に基づくもの、憲法に定められたその定めの範囲内に属するもの、こう理解しますが、そのとおりでございますか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 御指摘のとおりでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 厚生大臣にお伺いいたします。自治大臣の見解はお聞きのとおりでございます。  ところで、厚生省は法的対策を含めた禁止措置、これについてはさすがに、憲法に抵触するおそれありということで、これは断念したものの、行政指導で上乗せ福祉をやめるよう強く求める方針を立てておられるようでございます。そのような方針は私は地方自治に対する干渉と受けとめるわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしておきます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 臨調第一次答申の中で、公共団体の単独事業としての老人医療の無料化ないし軽減措置を廃止すべきであると、こういうことが出ております。  厚生省といたしましては、地方単独事業につきましては、地方公共団体の自主的な御判断によって行われるものでございますけれども、いま申し上げました臨時行政調査会の答申においていま指摘されているところでもございますし、老人保健法案の趣旨について地方公共団体に十分押しつけではなしに、理解を求める、そして国の施策との整合性等を考慮いたしまして適当な対応をお願いしたい、こういうことでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 いま厚生大臣の述べられましたように、第二臨調第三部会の部会報告は上積み福祉の是正を強調しております。そして一定水準を上回る地方独自の行政サービスについては、受益者負担のもとで超過課税や法定外普通税などで確保すべきであり、基本的には受益者である住民の選択と負担で行われるべきである、これが第二臨調の精神であろうと、こう思うんですね。  私は、これはたてまえ論としては、いわゆる表面のたてまえとしては、地方公共団体の自主性の確立という精神が貫かれていると思うんです。しかし、実質的には住民の負担の強化につながるということは、これは避けられないと思うのでございます。  私は、自治大臣にお伺いいたしますが、このような臨調の考え方に対してどのように自治大臣は対応しようとしておられるのか、明らかにしていただきたい。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) ただいま御指摘のことは、まだ部会の報告なんで、私どもがここではっきりコメントを加えることは避けたいと思います。  ただ、御指摘のような地方団体独自でやっている施策に要する財源については、標準的に措置される既定財源の中から念出する方法もあるわけでございます。そのような施策を実施するからといって、それが直ちに超過課税とか法定外の普通税の徴収に結びつくものではないと私どもは考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 この問題について議論をすれば際限がないわけですけれども、私はただいままでの自治大臣、厚生大臣の答弁から、どうも釈然といたしません。この問題は地方自治の根幹にかかわる重要問題であろう、私はこう理解をしておるわけでございます。  いま自治大臣は、最終答申が出ないので何とも言えぬという、いわば逃げられたわけでございますので、私は臨調の七月末の答申が出ましたその段階で、改めて機会を得て、一体地方自治の本旨とは何か、その問題と臨調答申との関連はどう理解すべきか、これは国会としても深く論議を尽くさなければならない課題であるということだけを本日は指摘するにとどめておきたいと思います。  そこで、厚生大臣にお伺いします。  厚生省は、二月十八日に全国公衆衛生関係主管課長会議を開いておられます。その際、老人保健事業の概要を示して実施体制の整備を要請されたと承知いたしております。  そこで、厚生省は、七月一日より公衆衛生局に老人保健部を設置する設置法の一部改正案を内閣委員会に提案したわけでございますが、都道府県、市町村においても、これに対応して衛生主管部局が中心となって保健事業を進めていくことが望ましいと、その際指示をされております。この場合、厚生省当局としては、地方自治体全体で一体どれぐらいの人員を措置する必要があるとお考えになっているのか。一説では四千二百名程度の増員が必要であるというふうに厚生省は理解しておられるということも聞くのでございますが、その総数について明らかにしていただきたいと思います。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) ヘルス事業の実施のためのマンパワーにつきましては、事業の中心になります保健婦さんにつきまして、厚生省といたしましては、五年間を目標に、年次計画的に増員を進めようということで、約八千名を確保したいというふうに考えておるわけでございまして、そのほかのマンパワーである医師、それから歯科医師、栄養士、OT、PT等につきましては、これは地元の医師会とか、あるいは医療機関の協力のもとに地元の医療資源を大いに活用してまいりたいと考えておるわけでございます。  また、この老人保健法の施行に伴いまして、都道府県あるいは市町村の事務が増加するわけでございまして、技術職員のほかに、事務職員につきましても、地方交付税の交付金によりまして措置をお願いすることにいたしておりまして、五十七年度におきましては、都道府県、市町村合わせて約四千二百名の増員を見込んでおるわけでございますが、五十八年度以降におきましても、事務量の増加を勘案しながら、ひとつ適正な措置が講ぜられるように努力をしてまいりたいと考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 それでは、ここで自治省に確認しておきたいと思いますが、五十七年そして五十八年以降を含めて、地方交付税交付金による手当てだけで実施体制は十分とれるという確信をお持ちでございますか。

石原信雄自治省財政局長

○政府委員(石原信雄君) 今回の法律の施行に伴います事務量の増加につきまして、厚生省からるる説明を承り、最小限五十七年度において必要な職員として、ただいま厚生省から御説明がありましたように、一般職員四千二百六十二人を増員するという前提で所要の財源措置を講じております。もちろん、この人員の積算に当たりましては、事務の実態等を承りまして、最小限度必要なものとしてこれは積算したものであります。私どもはこれで五十七年度については対応していけるものと考えております。  なお、今後の処理につきましては、法律施行後の実態をさらに把握した上で、厚生省当局とも相談してまいりたいと、このように考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 五十七年度の実施体制が十分とれるかどうか、これはこれからの問題でございますから、とれると言われればそれまででしょう。しかし、きょう午前中の質疑を通じても体制はまだ十分とは言えない。五十八年以降に引き続いてこのマンパワー対策というものに力を注がなければならないということは、これは述べられたわけですね。  ところが一方、自治省は地方公務員の定員抑制措置を強く指導しておられます。そして、各省庁に対しても定員増をもたらすことがないように働きかけておられるわけでございます。そこで、自治大臣、今後地方公務員の定員管理について一体どのような方針で対応されるわけですか。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) 地方公共団体におきます定員管理の問題でございますが、基本的にわれわれが考えておりますのは、とにかく行政需要というものは常に変わるわけでございますから、そのときどきの行政需要に必要な人員はまずこれは当然確保しなきゃならない。しかし、他方また定員抑制と申しますか、これは時代の要請でございますし、常に人員の増加は抑制しなきゃならないわけでございますので、そこで国におきます第六次定員削減計面、現在行っておりますが、それに際しましても、地方団体もそれと同様の削減なり合理化を図っていただきたい。  ところで、地方公共団体の仕事の中には職員を配置することそのものが行政サービスになるというようなものがあるわけでございまして、まさにこの老人保健の問題の多くの職員は、保健婦さんとか、その職員を置くということが重要でございますので、これについては、必要な人員と申しますか、午前中からいろいろ御議論ございましたが、この計画に従って置いていただく。しかし、それに当たりましても、なるべく現有職員を活用するとか、あるいは仕事の種類で非常勤で済むものは非常勤でやっていただく、その他組織のほかの部門においてその組織の合理化を図るとか、効率的な運用を図るとか、そういうことをいたしまして、総体といたしましてはできるだけ抑制していただきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 総数ではできるだけ抑制の方向をとりたいと。これは行革の強く望まれている段階で当然だと思うんですが、いまのお答えを自治大臣、ちょっと確認したいのですけれども、事保健事業の整備充実については、その部分に関する限り機械的な削減は定員管理上行わないと、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) 私どもが考えておりますのは、定員抑制は今後とも地方団体に向かって指導していかなければならないと思います。しかしながら、新たに出てきた老人保健の制度、これに要する要員の増員、それからリハビリ、それからヘルパー、いろんなものの要員の確保というのはこれから努力して努めていかなきゃならないと思います。  その内容に関してはいろいろあると思います。臨時に頼む人も、アルバイトの人も中には出てくるかと思うのでございますが、全体としてこれを確保していくことにやぶさかではない。それからいま御指摘の機械的な要員の削減とか、そういうことは私どもは行わないで、ほかの部署のいろんな、仮に定員抑制に該当するような余剰の人員があったような場合には、いろんな形でそこへ配置をするようなことも、あるいは今後考えなきゃならないのではないかというふうに考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私は、余剰の人員があれば、それはもう何も言うことはないんですね。しかし、なかなか果たして余剰人員が実際あるのかどうか、これも詳細な検討を必要とすると思うんです。したがって、私は、運用を誤りまして、この保健事業の拡充ということが他に大きくしわを寄せるということがあってはならない。この点については十分自治大臣として、地方自治体の実態を把握して適正に指導するという姿勢をこの際強く求めておきたい、こう思うのです。  そこで厚生大臣にお伺いしますが、五十七年度予算を見ますと、老人保健基盤整備としての増額分は、保健所機能の強化、市町村保健婦の増員、設備の特別整備、健康診査管理指導等の補助金を含めまして総額十億四百万円にしかすぎません。私は、本日午前中の大臣の意欲と、本年度、五十七年度の実際の予算実態というものを見ると、余りにも答弁というものと予算措置がかけ隔てているんではないかという印象をぬぐい得ないわけでございます。  そこで、具体的にお伺いしますが、たとえばマンパワー確保の年次計画を見ますと、医師の確保計画というのが余り具体的に示されていないわけです。御承知のように保健所の医師の多くは高齢化しております。同時に、退職年齢が迫っている方も多いわけでございます。今後公務員に対する定年制の施行も法律で定められているわけでございます。ということは、近い将来に保健所医師の大幅不足という現象があらわれてくるおそれがあるのではないか、この点に対する対応策について端的にお答えをいただきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 詳細は担当局長より申し上げますけれども、御指摘のとおりでございまして、この制度の成功するかどうかは、マンパワーと申しますか、医師を初め保健婦さんその他、栄養士の方々まで人材をそろえるということでございますし、もちろん地方自治体の御認識、御協力、これも必要でございますし、またこれに伴う財政措置も必要でございます。五年を目途にして大体体制を整えるということでやっておりますけれども、財政難の今日でございまして、なかなか厳しゅうございますけれども、工夫、全力を挙げまして目的達成に向かって前進をしたい。  詳細、三浦局長より答弁をさせます。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 保健所の医師の充足状況は、先生御指摘のようにいま七割でございまして、これにつきましては、私ども公衆衛生修学資金の活用をもっと図っていただくとか、あるいは医学生にもう少し公衆衛生というものに対する興味を抱いていただくために、保健所と大学の医学部、これらの共同研究を推進するとか、あるいは待遇改善、こういうものをいま図っておるわけでございまして、いま老齢の医師も目立ちますけれども、最近比較的若い医師が入るようになってまいりました。そういうことで私ども明るい見通しを最近持てるんじゃないかと思っております。  それから公務員法の改正に伴いまして保健所医師の確保は大丈夫かと、こういう御心配もあるわけでございますが、保健所の医師につきましても、国家公務員である医師の定年に準じまして六十五年定年制が採用されるわけでございますが、この定年制の導入というのは、昭和六十年の三月三十一日から行われるということになっておると聞いております。また欠員の補充がきわめて因難な場合は、これは三年間の勤務延長が認められております。  したがって、医師の確保につきましては、最近の若い医師の入ってくる状況を見ますと、非常に明るいんではないかというふうに私ども考えておりますが、今後医師の充足についてはさらに一層努力をしてまいりたいと考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私は、明るい見通しだという希望的観測だけで推移したんでは、これは保健所の医師不足というのは大変深刻になってくると思うんです。これは時間の関係で多くを言いませんけれども、大臣、この確保のために何が必要か、具体的な政策をさらに充実をさして、これを強力に推進していく、そういう厚生行政のあり方が当然あってしかるべきである。この点は要望として申し上げておきたい。  そこで、保健婦の問題は多くの委員から質問されたんですが、五十七年度の初年度必要人員四千人、うち退職保健婦雇い上げ、いわゆるパートですね、千五百人、六十一年度の目標年度必要人員八千人、うち退職保健婦の雇い上げ三千人と、こういう計画のようでございますが、五十七年度予算ではこのパート保健婦千五百七名分の約二億四千万円計上しておりますけれども、雇い上げ費は統一単価で三千九百円となっております。  で、都市部と郡部では単価を分けていないわけですね。果たしてこの三千九百円ぐらいの統一単価で、パートの保健婦というものをこれだけの大量確保することが可能なのかどうか、やや危ぶまざるを得ません。  また、五十五年の衛生行政業務報告を見てみますと、就業保健婦一万七千九百五十七名のうち、五十歳から五十四歳が二千九百四十八名、五十五歳以上が二千三百二十五名、このように五十歳を超える者が五千二百七十三名、全体の三〇%を占めているというのが保健婦の実態であり、このような高年齢化ということを考えますと、今後保健婦というものが一定時期に達しますと激減するおそれがあると、こうすら思うわけでございます。  こういう点を考えますならば、私はもっと中期的な展望を持って現在の養成定員についてもこの際見直す必要があるんではないか、このようにもさえ思うわけでございます。厚生省いかがでございますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 退職保健婦の雇い上げ単価につきましては、現在一律三千九百円ということで予算を組んであるわけでございますが、これにつきましては保健所のほかの仕事がございます。たとえば結核予防の仕事あるいは母子衛生の仕事、そういうものとの均衡上やはりこれは仕方がなかったわけでございます。また都市と農村と区別するということは非常にむずかしゅうございます。したがって、これはまたひとつ来年度の予算の際に大いに私ども努力をしてまいりたいと考えております。  それから五十歳を超える者が三〇%という御指摘、そのとおりでございまして、私ども八千名の保健婦の増員を計画しておりますけれども、現在一万五千名おる保健婦の中から二千名は老人保健の方に振りかえて回っていただこう、それから三千名は新規の保健婦さんを確保しよう、それからあと三千名は雇い上げの保健婦さんを確保しようと、こういうことで六十一年までに八千名の保健婦の確保を計画したわけでございます。その中におきまして、その間に恐らく毎年六百名の保健婦さんがやめるんじゃないだろうか。それも計算に入れまして、現在二千名の養成定員でございますので、その中の千二百名入っていただければ、純増毎年六百名ということで三千名を確保できるんじゃないだろうか。余り無理のない計画を立てておるわけでございます。  その後のまた養成問題につきましては、また実情を見ながら事務局の方とも相談してまいりたいと思っております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 単式簿記的発想でいけばうまく数字は合うんですけれども、果たしてそのとおりいくかどうか、これは幾多の問題が生じてくると思いますよ。したがって、来年この予算——すでに今年の予算決まっているわけですからけちをつけても直るものじゃございませんけれども、来年度はたとえば都市部と郡部等について適正な地域の特性というものを加味する必要があるのかどうかですね。それからこの養成定員についても、もう少し現在の保健婦の高齢化現象というものを展望して、さらに中期的な目標でこの定員についても果たして現在のままでいいのかどうか。私は、一歩、半歩前に出た厚生省の姿勢というものがないと、この法案の趣旨がそごを来すということがあるという点を指摘し、この点は検討を求めておきたい。  あわせまして、リハビリ要員も現在絶対的に不足である上に、理学療法士の養成校は二十七校、入学定員五百五十五名、作業療法士養成所は十七校、入学定員三百六十名にしかすぎません。言語療法士の養成につきましては、いまだ身分法もないというのが実態でございます。しかも、リハビリ要員養成のための教師も現実に足りないという実態でございます。この法案を生かすためには、こうしたリハビリ要員の養成計画というものも並行した検討とその対応が必要である。これはもう時間もありませんので、この点も意見として指摘しておきたい、こう思います。  そこで私、厚生大臣に通告しなかったんで申しわけないんですけれども、この提案趣旨説明、大臣読み上げられた中に、「この法律の目的及び基本理念であります。まず、この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し」云々と、法制定の趣旨を予防、治療、リハビリ、従来の治療中心から保健事業の総合実施というところに最も力点を置いておられるわけですね。とすれば、私はこのような立法精神からすれば、この法律の名称も、保健事業の充実拡充に関する法律という名をつけるのが適当であって、わざわざ頭に老人という名を冠する一体意味は何なんだろうか。それはこういべ提案趣旨の説明をしておられるけれども、やはりねらっておられるのは、財政調整を第一義に考えておられるからこのような法案の名前になったんではないか。私のとり方はひが目ですかね。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 高齢化社会がどんどん進むことは、これはもう現実でございまして、それに対処するためには、いまから保健を通じて健康づくり、そして健康な老後を送っていただこうと、こういう趣旨でもございますし、それがひいては非常に財政的にも大きなプラスになる。医療費もどんどん増大しておりますし、医療費の内容を見ましても、高齢者の方々の医療費が非常に増高しておるし、また高齢者の方々にとりましても、健やかに丈夫で長生きをしたいという気持ちもございまして、そういうものを総合して老人保健法という名前になったわけでございます。そのためには保健、それから治療、リハビリというこの長期的な一つの三段階を経まして、今日の問題じゃなしに、中長期的な日本の高齢化社会、二十年後、四十年後のもっと先のことまで考えた画期的な法案であると、私はこのように理解をしておるわけであります。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 名称の問題は、水かけ論になるからやめましょう。  ただ、提案趣旨説明にも言われておるように、予防とリハビリ、これに対して大きく力を注ごうではないか、これが第一の目的ですね。とすれば、私はマンパワーの確保と施設の整備、このことが伴わなければ、この法律の基本理念は生かされないということになるわけです。  一方、大蔵大臣もきょう来ておられますけれども、マイナスシーリング。総理大臣に五十八年度予算編成の方針を聞きましても、聖域はないと。したがって五%のマイナスシーリングはやりたい。しかし、内閣というものには重点政策というものがあってしかるべきだ。その重点政策は防衛であり、対外経済援助であり、エネルギー対策である等々の名前を挙げられましたけれども、この法案が出ているにかかわらず、国民保健体制の拡充というものは一向に一言も出てこないんですね。ということは、五%マイナスシーリングの対象になるということとも、これは逆に言えば読み取れるわけです。  概算要求編成を前にして大蔵大臣、これを重点項目として特別の物の見方をするということは、なかなか大臣も言えないでしょうし、またそれを大蔵大臣に要求することも酷だと思いますが、法案の趣旨を生かすために、厚生、自治両大臣は、マンパワーの確保と施設の整備に対して今後予算上全力を尽くすということを御確約願いたい。そうしなければ、この提案趣旨は単なる文章上に終わってしまうと、こう思うんです。簡潔でいいです、お答えいただきたい。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この法案の趣旨は多目的でございますけれども、その一つには財政的な問題もあるわけでございまして、いまここで施設また定員の問題等で人材を集める、いわゆるマンパワーを早く充実することによって、将来保険行政、保険財政にかかわる大きな問題としてプラスになって返ってくるんだと。財投という言葉を使うと申しわけないんですが、一つの事業として考えました場合に、早くここで手を打つことが、将来の健康のために、また保険財政にも大きなプラスになるということを大蔵大臣の前で声を大きくして申し上げたいと思います。

世耕政隆自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(世耕政隆君) この今度の老人保健の事業主体であるところの市町村ですね、地方自治団体が要員の確保、それから施設の整備、そういうことで困らないように財源措置を、つまり国庫補助金、それから交付金、さらに地方交付税の面、そういった総合的な財源の立場から、私どもも市町村に対してできるだけの措置を講じてまいる所存でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 大蔵大臣、これだけの五委員会の与野党が立会人として聞いておる中で、両大臣がいま述べられたわけでございます。十分大臣としても御配意をいただきたい。この点は要望いたしておきます。  そこで、本来時間がございますならば、現在共済組合が国家公務員二十五組合、地方公務員五十四組合、公企体三組合、私学教職員一組合、合計八十三組合に分かれております。それぞれの単位共済ごとに本制度の実施によってどれだけの額がふえ、その率が一体どうふえていくのかということをただしたいわけでございますが、これは後ほど厚生大臣の方になるのか、大蔵大臣になるのかわかりませんが、ひとつ政府として資料として御提示を願いたいと、こう思いますが、本日は提示しようということであれば、質問から省略します。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 資料として提出をさしていただきます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 大蔵大臣に御質問いたします。  大蔵大臣は共済組合を管轄しておられるわけでございますが、共済組合制度は、共済という文言が端的にあらわしておりますように、本来組合員が相互扶助の観点から行うこととされているものであります。したがって、短期給付につきましては、健保法第十二条第一項で、共済組合法が健保法の代行である旨と、第二項で、給付の種類と程度は健保の水準を上回るように義務づけられているわけでございます。しかるに今回の法案では、提案理由や法第二条に自助と連帯、老人の医療に要する費用の公平な負担というものを基本理念としております。  そこで、私は頭が悪いせいかどうかわかりませんが、ゲゼルシャフト、いわゆる利益社会的共済組合と法案に言う基本理念との関連についてどう理解すべきなのか、共済と国民連帯という、いわば本来の趣旨からしますと背反的ともいうべきこの関係をどう理解すればいいのか、どう調和したものと受けとめればいいのか、お教えをいただきたい。

宍倉宗夫大蔵省主計局次長

○政府委員(宍倉宗夫君) 共済組合の制度は、いま先生おっしゃいましたように、健保組合と同様に同一職域内で連帯相互扶助していくと、こういうことでございます。今度の老人保健法案では、同一職域内というところを飛び越えまして、国民全員がやがてはみんな老齢化してくる、心身に変化を来すということに着目して広い連帯、自助、相互扶助をしようと、こういうことでございますので、基本的な考え方としては両者共通したものがあるのではなかろうかと思っております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 この八十三に分かれております単位共済組合の規定といいますか、規約といいますか、その目的も直す必要があるんじゃないですか。

宍倉宗夫大蔵省主計局次長

○政府委員(宍倉宗夫君) いまのお尋ねでございますが、たとえば現在国家公務員の共済組合の中では、御承知のように、短期事業につきまして財政調整事業をやってございますが、それと同様なことでございまして、特に定款等を直す必要はなかろうかと思っております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 それじゃ大臣にお伺いします。これはいま共済組合員の率直な気持ちですよ。たとえば自分がある共済組合に入っておる、その所管する共済組合員同士がお互いに助け合っていこうではないか、そのためにこういう掛金も出そうじゃないかと、こういう気持ちだったと思うんですね。ところが今度は、連帯という、国民全体の連帯ということで本法案が提出されたわけです。そうすれば当然厚生大臣は、各共済サイドに対して働きかけなければならぬ、同時に完全なる理解というものをとらなければならない。そういう手続を経た上で本法案の提出が行われるということは私は筋道ではなかろうかと思うんです。厚生大臣、そういう手続をとられたんですか。また共済を所管しておられます大蔵大臣は、これに対してイエスというお答えをされたんでしょうか。いかがでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ただいまの問題は、共済組合等の関係と国民連帯という全般的な内容で、性格が多少違うわけでございますから、その中で相互理解をしたのか、十分連絡をとったのかということでございます。詳細につきましては、吉原審議官より答弁をさせます。

吉原健二厚生大臣官房審議官

○政府委員(吉原健二君) 十分共済関係所管省とはむろんのこと、共済審議会でも、この法案を提出する前にお諮りをいたしまして、御理解、御納得を得た上で法案を提出させていただいたわけでございます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) イエスと言いました。この法案を出すのにイエスと言ったかどうか。イエスと言いました。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私の聞いておりますところでは、この共済審議会のいわゆる組合員代表側は、必ずしもこれに対して全部がイエスという気持ちには至ってないと、こう私は理解しておるわけです。ここで、いや理解しました、審議会の総意を受けて、大臣がイエスと言いましたということかどうかですね。これは本来このことだけでも相当やりたいのですけれども、委員長の方が時計ばかり見られるものですから、このことは水かけ論になろうと思います。私は、必ずしも共済組合員の完全な合意というものはまだ得られていないと、こう理解しております。  そこで、国鉄さんを呼んでおりますので、本法案が施行されました場合どう共済組合が影響を受けるのか。これは本来八十三の共済組合に全部聞かなければならないことでございますが、一番財政事情が悪いのは国鉄共済でございます。このことによってさらに出費がふえるわけであります。国鉄共済をどうお考えですか。

三坂健康日本国有鉄道常務理事

○説明員(三坂健康君) 老人保健法が施行されました場合、国鉄共済組合の短期経理が納付することになります老人医療費拠出金は、昭和五十七年度の医療費推計をもとに試算いたしますと、百七十九億円となります。これは現行体制における老人医療にかかる共済組合の給付額百六十二億円と比較いたしますと、約十七億円の負担増となるわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私は厚生大臣、たとえば日雇健保ですね、これは五十七年度予算を見ますと、保険料収入二百九十億円に対して、保険給付九百四十六億円、全く保険の実態をなしていない。こういう保険も制度として現存するわけですね。しかも、この日雇健保は五十七年度末で六千六百四十八億円の累積赤字を抱えておる。これは政府資料ですから間違いないです。また船員保険、これは総合保険制度をとっておりますけれども、現在二十二、三万人の人員に減少した。あと二、三万人減ればこれも総合保険としての機能を果たし得ないのではないかという重大な問題点を抱えておる。政管健保も、五十七年度は、医療費の関係で八十八億円の黒字を予定しておりますけれども、今回の制度によって政管健保も赤字に転ずる、これも明らかですね。また健保組合にも財政赤字の弱小健保が存在する、これも事実です。  私は、各保険の連帯の精神は結構ですよ。しかしそれを実現しようとする場合に現行健康保険制度のそれぞれが持つ問題点、これについての改善、改革策というものと相並行した本法案の提案というものがなければ、これはただ国の支出を軽減するために各保険は金を出してくれということに終わるのではないか。このような懸念を深くするものでございます。これに対するお答えを承り、通告はもっといたしましたが、時間を守りたいと思いますので、質問を終わります。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この問題は大変重要な問題でもございますし、この制度の根幹にかかわる問題であると思っております。一応は各保険関係の了解は得ておりますけれども、要はこの保険の診療の見直し、適正化、そういうことで財政的な面におきまして大きな負担がかからないようにすることが一番大事でございますし、その上に立って、国民連帯の精神の上に立って助け合っていただきたいと思っております。  なお、詳細につきましては、保険局長より答弁させます。

大和田潔厚生省保険局長

○政府委員(大和田潔君) 大臣の御答弁のとおりでございますので、特に私から申し上げることはございません。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 時間が参りましたので終わります。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 この法案は、衆参両院の審議を経て、しかも大詰めともなると、われわれの質問点に若干の重複が出るのは避けがたい。なぜかと言いますと、これまでの審議を通ずる政府側の答弁に必ずしも説得力がない。これがまず一番大きな原因であると心得て答弁をしていただきたい。  私のまず取り上げておきたい問題は、質問時間が延々十八分もあるから(笑声)、厚生省に集中をしたい。  私なりに考えてみた場合のこの法案の基本的な矛盾点ですね。矛盾点はたくさんある、矛盾だらけだけれども、あえて一つ選んでみると、たとえばおたくからいただいた資料、社会局のデータ、老人健康調査、これを想起していただきたいが、七十歳以上の老人の中で、健康状態、正常という判定はわずかに八・九%にすぎない。したがって、不正常が圧倒的多数を占めるから、その受診率は毎月割りにして九八%強になっている。そういうデータあるでしょう。  しかも、一般に老人の医療の場合には、老化と病気の境界がはなはだしくぼやけている、あいまいである。しかも一度診療を受けると、定型的なパターンとしては回復が遅い、これは常識化されている。しかもほとんどが慢性化、長期化するという側面を持っていますね。そうした老人医療費の七割を医療保険の保険者の拠出金に依存している。依存しているというだけでなくて、保険に加入している老人の、数が多いんじゃなくて、少ないほど逆に拠出金が高いという点ですね。これは一番大きな矛盾点じゃありませんか。そうはお考えになっていませんか。  しかも、それが強制徴収権まで適用されるんだから、大蔵大臣はいまいない、別に出席は求めなかったけれども、国税並みという非常に厳しい扱いの範疇に入るわけですよ。そうでしょう。こうした矛盾にあえて承知の上で目をつぶろうとするあなた方政府の真意、本当はこの法案というのは何を一体ねらったものなのか。同僚議員、先輩議員が口を酸っぱくして、財政調整にすぎないんじゃないか、きれいごとのオブラートで包んだと言っているのは、あたりまえの話なんで、これは国保救済という目的しかないのかどうか。真意は一体何か。改めて厚生大臣から、局長じゃなくて、大臣からまず聞いておきたい。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この目的は高齢化社会、高齢化時代に備えまして、二十年後、四十年後の長期統計的は数字を御承知だろうと思いますけれども、このまま推移した場合には、保険財政はもちろん、高齢者の方々が果たして健やかに元気で長生きできるであろうかという実は心配もあるわけであります。それと財政的なもちろん理由もございまして、今日的な問題から将来的な問題まで含めて、保健、衛生、医療、リハビリという一つのルートをつくりまして、四十歳から健康手帳をお渡しして検査をしていただこう、それで早期発見をしていただこう、また病気にかかっても早く治るようにしょう、こういう実は大きな目的のもとに制度をつくったわけでございます。  実は、昨年から長い期間かかりまして、衆議院、参議院と慎重に審議をしていただいておるわけでございまして、基本は、高齢化社会に好むと好まざるとにかかわらず入っていく、これはわが国がそれだけ平均年齢が上がっていく、それだけあらゆる面において高度に発達したという一つのいい面の特徴でもございます。それに付随して高齢化社会に入っていく。医療はどうするか、そして老後の老人の生きがいをどうするか。そういう非常に多角的な、また長期的な大きな目的、目標を持った法案であるということを申し上げたいと思います。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 厚生大臣、一生懸命のお答えで、それは了とするけれども、何か本でいえば総論の部分だね、それ。ぐさっとこちらの質問に答えていない、だから私もやっぱり納得しない、疑念は残る、きれいごとでしかないなという感じしか持てませんな。  それで、もう一つ違った側面からこの法案を考えてみると、七十歳以上の医療費の今後の推計ですね。おたくも恐らくスタッフが資料を持っているでしょう。これをもとにして計数化してみますと、これは計算が間違っていれば、あなた方専門なんだから指摘してください。  健保組合の負担増というのは、五十七年度、現行制度三千七百十億円、つまり五十七年度三千七百十億円だから、現行制度に比べて七百八十億円の増と、こうなると思うのですね。ずっと年次を延長していって六十年度にすると、五千五百九十億円、現行制度比は千百五十億円増とされていますね。こうだと思いますよ。  これは方々からやかましく指摘された例の青天井論に対する厚生省側の答弁を見ましても、保健事業の総合的推進等で医療費の膨張を抑制したいというのが、判で押したように決まっているわけですわな。もう何十回となく繰り返してきている、パターン化されている、これこそ。しかし、これは厚生大臣にしてみても、この間あなたがこの任につかれて引き継ぎを受けた中の重要な眼目であろうけれども、あなた方にしてみたところで、これは確信じゃなくて、願望に過ぎないんじゃないかと私は思うのですよ。いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この問題は、大変重要法案でございますし、しかもこれは今日から将来にわたる大変重要な国民的な課題でもございます。そういうことで、これは確信を持つ持たぬというよりも、むしろこれ以外にないという信念を持って貫き通す覚悟でやる。長期的な問題でございますから、また同時にマンパワーの問題等いろいろ機構を変えていくという問題も含めまして、私は確信を持ってこの法案を出させていただいた。また、御期待に沿うべく全力で厚生省としても、また政府全体としてもやるべきであると、このように思っております。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 それから厚生大臣ね、これは恐らくいろんな委員の方が繰り返し、巻き返し追求されたと思うのですけれどもね、私もちょっと一言言っておきたいんです。  よく医療問題の専門家などの話を聞きますと、さっきのゲゼルシャフトじゃないけれども、医師に対する報酬の支払い方式、この支払い方式自体が医師のビヘービアを変えると俗に言われていますね。案外これはポイントをついた発言じゃないかと私も思うのですよ。厚生大臣の在任期間というのは常識的に見て次の改造までである。恐らく秋が余り深まらないころ、あるいはもちじが色づくころと思ってそう間違いない。この政権をある程度前提にした場合、鈴木改造内閣に留任されれば大変御同慶の至りだけれども、普通はそうであるといった場合に、いま大蔵大臣いませんけれども、あなたの在任期間中、支払い方式というのは一切見直さない、見直せない、正直なところ。それとも、あえて大なたを、蛮勇をふるおうとするのか、あるいは関門を目指すのか。その辺をちょっと一回聞いておきたいと思います。どうですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 支払い制度の問題は、一応中医協で御審議を願うということになっておりますけれども、かなり情勢は変わりつつあると、そういう認識を私は実は持っております。これはわが国だけではなしに、世界的な福祉先進国、そういうすべての状況を見ましても、医療問題、それから支払い問題等につきまして、かなり考え方、またやり方が変わりつつある。  わが国がどういう方向をたどるということをいまから私が在任中にここではっきり申し上げることは避けたいと思いますけれども、いままでのようないろんな新聞等でも不祥事件が出ておるような内容を見ました場合、いわゆる濃厚診療とか、また薬づけと言われるような中で、本当の医の倫理を確立するために、また医師が本当に国民から信頼されるような医療をなし得るためにいかにしたらいいか。もちろん日本医師会に対する一つの宿題でもございます。そういう面においてはいい方向に向かっておる、また自浄作用が行われつつあると、このように実は思っております。前の会長の武見会長にしても、そういうことを最後にわれわれのところに来ておっしゃったように私も実は記憶しております。日本人はこの現状に決して満足してないし、何とかこの医療というものを世界的な模範的な姿に持っていきたい。したがって、私どももそういう覚悟でもおりますし、また中医協に期待するところも大でございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 まあ厚生大臣としては模範的答弁の一つでしょうね、気力はこもってないけれども。政府がいやしくも財政再建を標榜するならば、国民経済全体の中に占める医療費の急膨張、これと対決をする、正面から見据えるという視野がなければ、私は空念仏に終わるということだけを申し上げておきます。  あと時間が何か迫っているようですから、非常に観点の変わった質問をしておきますがね。保健事業を実施している機関の見直しとか統合という角度の質問です。  市町村保健センターというのがございますね。あのほかにいろいろ調べてみると、健康増進センター、母子健康センター、老人福祉センター、農村には農村保健センター、それから保健所的な公的保健施設と、ずうっと並んでますね。法案の二十二条を見ますと、「保健事業は、その対象となる者が、医療保険各法その他の法令に基づく施設又は事業のうち」「保健事業に相当する保健サービスを受けた場合」等は「行わない」と。確かにこうなってますね。  行政改革的な視点に仮に立つならば、私がいま申し上げた点、かなり重複をしているというのがすぐおわかりでしょう。それから境目がぼやけているのもおわかりですね。こういう縦割り業務的なもの、あるいは施設ですね、これを一回思い切って統合していくというふうな発想と方向というのは、僕はこの際必要じゃないかと思うんですよ。重複しているから相当ロスが出るのはあたりまえなんです。むだな予算も使われる、人員の配置も適正でない、当然側面としてこれが出てくる。こういう方向が基本的には私は望まれていると思いますが、厚生大臣の御見解はどうなんですかね。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ただいま御指摘の保健所を初め、各種保健センター等がございます。それぞれこの設置目的が違って設置されておるわけでございますが、臨調的な考えであると、こういうものは行政改革の一環として統合すべきであると、私はこの点も否定はいたしません。  しかし都市と地方と、またいろいろその地域地域、また職域、職能によって、その性格が違う面もございますから、画一的に一つにしてしまうことはどうかと思うわけであります。しかし、中には機能が十分発揮できておらない、重複している面もあるということは、率直に私も申し上げたいと思うわけでございます。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 恐らく最後の質問だと思いますけれども、あなた方はこの保健サービスとかいうものを麗々しくうたっていらっしゃる。しかし一体どんな準備と具体的な裏づけがあるのか。五カ年計画というのをうたい上げるのはいいんだけれども、私は実行というのを裏づけるというのは大変むずかしいと思いますよ。確たる裏づけとか見通しを十分に検証したから打ち上げたんじゃなくて、とにかく打ち上げたということが多いのではないかと思う。  たとえば非常に具体的な難点じゃないかなと私が思いますのは、厚生省が言っていらっしゃる、あれは二千五百万人の健診体制とか、大変結構ですよね。ところが、職場の構成員だけを対象にしたものなのか、御家庭の奥様方も含んだ構想なのか、その辺も私にはよくわからない。つまり、家庭婦人をどうするんだ。それから急増している肺がんの実態調査だってどうするのかという問題を考えた場合に、麗々しく打ち上げられたこの保健サービス五カ年計画なんというのは、ソビエトの経済計画じゃないけれども、これは恐らく行き詰まって実行率が惨たんたる結果に終わるのではないかという印象を私は持っているんだけれども、その点について、時間をはみ出さないように答弁をしていただきたい。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 日本人の特性として、率直に申して、われわれもそうでございましたが、そう悪くないのに診てもらいたくないという気持ちはあったわけであります。ひょっとすると何か病気があるかもわからない。それがいままで診療に対する認識、また診療に対する習慣、これがなかったことは事実でございます。そのために自覚症状がかなり出て、いわゆる大病になってしまう、そして不幸な事態になると、そういう例がたくさんあったことは事実であります。  お年寄りになっても、ただでも診てもらいたくない方も現在でもあります。こわいという気持ちが日本人には本能的にあるようであります。  だから、そういう意味で私は、これはかなり啓蒙運動、啓発運動、いいんだということ、これも必要でございまして、そのためには地方自治体の御協力、それからもちろん財政の裏づけも必要でございます。総合戦力をもってこの保健体制をやらなければ、高齢化社会に対して、将来の財政問題もそうでございますけれども、日本人の心身ともの健康、これは民族の一つの大きな戦力と申しますか、力でございます。そういう意味で、どうしても非常にむずかしいとは私思います、習慣上もいまおっしゃったように簡単な問題ではない。それをやり遂げなければいけないというかなり強い決意と、むずかしいという前提に立って努力しなければいけないと、こういうことを申し上げたいと思うわけであります。

秦豊新政クラブ

○秦豊君 納得できる答弁ではないが、一応終わります。

美濃部亮吉一の会

○美濃部亮吉君 いよいよ私、最後でございます。私の持ち時間は十八分でございますから、あと十八分だけごしんぼうを願います。  はなはだ恐縮でございますが、私自身の経験からお話を始めたいと思います。  私が昭和四十二年東京都の知事になりまして、そうして予算、それから都政その他を見渡しまして、一番おくれているのは老人福祉ではないかということに気がつきました。そこで、私が前から存じ上げている、老人医療を長い間やっておられまして、大学を非常にいい成績で出たにもかかわらず、一生を浴風園の医師として過ごされた尼子さんという方がございますが、そこに参りまして、老人福祉に非常に関心があるんだけれども、どういう点から始めるべきか教えていただきたいと申し上げました。  そうしましたらば、尼子先生は、特別養護老人ホーム、特養ですね、特別養護老人ホームというのがあるけれども、    〔委員長退席、社会労働委員会理事安恒良一君着席〕 あれは非常に悪い制度である。老人になって、そうして幾つかの病気が併発して頭も痴呆的な状況になっている、そういう人を集めて、そうして特別養護老人ホームの中にほうり込む。特別養護老人ホームというところには医者もほとんどいない。それから専門的な看護婦もいない。そういう状況においてこれは現代のうば捨て山に等しいんで、あなたが知事になったらば、何とかしてこの特別養護老人ホームを改善してほしいということを言われました。  それから私は特別養護老人ホームを方々訪ねました。まことに尼子さんの言われたとおりである、何とかしなければならないと思いました。老人病院、つまり専門の老人病院というのが、これは尼子さんも言われましたけれども、日本に一つもない。老人の病気というのは、小児科が別の科目であると同様に、普通の健康体の人とは違うんだから老人専門の病院をつくってほしい。それで老人病院をつくる。そうしてまたその老人病院と連絡をして、そうしてお医者さんや看護婦も共通に使える特別養護老人ホームもつくる。  そうしてさらに昭和四十四年になりましたけれども、四十八年に国が老人医療無料化を始めました四年前、私の東京都で老人医療の無料化を始めました。これはもちろん都の独自の費用で、国は一文も出してくださいませんでしたけれども、とにかく老人医療の無料化を始めて、六十五歳という年齢制限をいたしました。  それで、私がこういうことを申し上げましたのは、    〔委員長代理安恒良一君退席、委員長着席〕 老人福祉というものがいままでの日本の中において見捨てられていた分野であって、私が老人医療の無料化を始めたころからだんだんと社会的に注目をされて、そうして老人医療の福祉、老人福祉というものがだんだん認められてまいった次第だと思います。  最近、日曜日のNHKのテレビで「とおりゃんせ」という放送をしております。これはつまりぼけた、恍惚な人になった老人、これを西陣の本当にいた医者の実見をもととして、こういうぼけ老人というものを中心といたしましたテレビでございます。  私はこれを見てつくづくと感じました。その「とおりゃんせ」という意味は、あらゆる人間が一度は通らなければならないという一つの場であるという意味から、「とおりゃんせ」という名前をつけたそうでございますが、壮年のときはいろいろな面において社会に貢献して、そうして年をとったことによって精神的、肉体的に老人となって、そうして激しい人はぼけてしまう。そういう老人でございますから、これはだれでもがそういう状態になる可能性を持っている。私は七十八で、まだぼけはいたしませんけれども、肉体的には大分老化現象が起こっていることを自覚しておりますが、そういう状況にだれでもがなるということと、そうして若いときに社会のために貢献した人たちみんながそうなるんだという点において、私は老人福祉というのは、福祉の中においても特殊な、最も対策を講じなければいけない分野であるというふうに考えておりますけれども、大臣はどうお思いでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 財政逼迫の折からでもございますが、私どもは、先ほど各委員の方々の質問に答えましたが、老人問題と障害者の方々に対する福祉の問題、これには全力を挙げていきたい、特に重点的にやっていきたいということを申し上げましたように、われわれの先輩でございますし、特に明治、大正、昭和と生き抜いてきた、日本の歴史かつてなかったような苦労をされた先輩の方々を大切にする、これはいろんな意味で福祉でもあるし、また道義的な問題でもあるし、特に力を入れていきたいと思っております。  ただ問題は、御老人がどういう施策をすれば生きがいを感じていただけるかという問題は、これは非常に心理的な問題も含めてむずかしい問題でございますが、一言で言えば、私は御老人は病人でないけれども、孤独に弱いと申しますか、孤独感に常に悩まされておる。お仕事を持っている方はいいわけでございますけれども。そういうことも加味して、御老人の生きがい、福祉というものを考えなくてはいけない。  今回のこの老人保健法にしても、長期的な高齢化社会に向かっての施策もございますけれども、今日の御老人に対していまできることは何かということも、十分私どもも考えまして、いろいろやらしてもらっておるわけでございます。

美濃部亮吉一の会

○美濃部亮吉君 私は、老人福祉あるいは老人問題を考える上において最も大切なのは、温かい心で接するということだと思います。そうして私は、不十分ではございますけれども、都の財政の許す限り老人福祉に力を尽くしたつもりでございまして、そのことがまた多くの老人にそのまま心の中に入って、私が参りますと土下座して拝む。そんなことをしないでくれと言っても、してくれるというふうになっておりまして、結局それは私がわりあいに温かい心で彼らに接したということであると思うんです。  そういう点から、日本の憲法、民主主義憲法は非常に進歩しておりまして、先ほどから問題になりました二十五条で、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を持っているということが第一項で述べられておりまして、第二項でもって、国は社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上、増進に努めなければならないというふうに書いております。  それで、昨日の堀木裁判の判決から、この第二項と第一項は相関連するものであって、国は社会福祉等々をすることによって国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を付与しなければならないというふうに読むべきであるという解釈を出した。私も全くそのとおりであると思っております。  これに対しまして、老人保健法は、法の理念というのが若干違うんじゃないかというふうに思います。憲法は、社会的弱者、そのうちには老人も含まれておりますけれども、そういう人たちに健康にして文化的な最低限の生活を営む条件を与えるということが無条件的に考えられる。何らの条件なしに社会的な弱者に対しては保護をしなければならないということになっているように思うのです。ところが、老人保健法によりますと、「自助と連帯の精神に基づき」、これの意味が私まだ、どうも幾ら読んでもはっきりしないんでございますけれども、自助と連帯の精神に基づいて常に健康の保持、増進に努めることというふうになっております。そうして国民が老人の医療に要する費用を分担するということ。  これを解釈してみますと、逆に、だれも自分の健康を保持しようと思わない人はないんで、ほとんど全部だれでも、何も自助と連帯の精神に基づかないでも、ほとんどすべての国民が健康の保持、増進に努めるということだと思いますけれども、そういうことにもし努めない人があったならば、そうしてまた老人医療に要する費用を払わない人がもしあったならば、それは老人福祉から除外する。つまり老人福祉を与えることに対する条件というものをここで書いているんじゃないだろうか。そうすると憲法の精神と全く違うことになる。憲法は、だれでも老人である社会的弱者には保護を、救助を与える。しかしながら老人保健法においてはある一定の条件を書いている。そう読めなくもない。読んだら間違いかもしれません。しかし、そういう条件を備えている人でなければ老人福祉を与えないというふうに読めるんですね。そうすると、憲法の精神と非常に違うんじゃないか。  それは、もしそれが大臣の言われる新しい福祉であるといったら、これは大変なことなんだ。つまり社会的弱者には福祉を与えなきゃならない、それが国の義務であるということと、一定の条件を満たす人でなければ老人福祉は与えないということとは非常に違うんじゃないのか。根本的に考え方が違うんじゃないのかと思うんですけれども、いかがでございましょう。

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) 時間が来ていますから、大臣、要領よく。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) はい、わかりました。  憲法問題になってまいりましたが、きのうの裁判でも、この憲法解釈、特に二十五条の解釈におきましても、宣言規定であるかまた権利規定であるかとか、それから防貧政策か救貧政策であるかとか、また所得保障か養育費であるかとか、またこの立法府にその裁量権が幅広く任せられておるとか、いろいろそういう問題が出まして、私も実は勉強させていただいたわけでございます。  そこで、憲法に書いてある第二十五条のこれは、国民の権利という第三章の中の二十五条でございますが、いわゆる健康で文化的な生活を保障されるということで、生活程度が上がる、文化の程度が上がれば、最低生活も、生活保護等にいたしましても上げるのが当然だと、そう思っております。それが一つです。  もう一つは、この社会保障制度と社会福祉とは、大きな意味では一つかもわかりませんけれども、分ければ二つに考えられる。お互いに助け合う、国の当然の責任として、義務として、そういう弱い立場の方々をお助けしなければいけないというのと、お互い同士が、もちろん国も負担しますけれども、助け合うという相互扶助の精神ですね、これも新憲法による考え方の一つである。国家補償もあるし、社会保障もあるし、個人保障もある。いろいろな意味で福祉国家として新憲法のもとに進んでいくべきである。こういう実は考え方を私は持っておりまして、この老人保健法の第二条の「自助と連帯」ということも、いまの段階においては、私は憲法の精神には決して反しない。  また、だんだんと年をとってまいって、「心身の変化を自覚して」、まず自分の健康は自分で保持することが大事である。それから「老人の医療に要する費用を公平に負担する」と書いてございますから、結局、生活にお困りの方々にまで、生活保護をお受けになっておる方々まで無理してどうこうということではないように思います。この新憲法ができた当時といまとではかなり社会情勢もすべてに変わっておるんじゃないか。  そういうことで、憲法のベテランに素人がこういうことを申し上げるのはまことに申しわけないんですが、決して憲法に違反していないということを申し上げるための余分な発言でございまして、この点はひとつ御理解を願いたいと思います。

美濃部亮吉一の会

○美濃部亮吉君 ちょっともう一言、いいですか。

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) 時間ですから簡単に。

美濃部亮吉一の会

○美濃部亮吉君 もう一言申し述べておきたいと思うのですけれども、日本の社会保障あるいは社会福祉の水準は世界的に決して高くないということ。これは先日国連が発表した数字でございますけれども、年金、医療の国民所得に対するパーセンテージを先進諸国で出しておりますが、日本は一二・七%で、アメリカが一六・五、イギリスが一九・九、西ドイツが二八・七、フランスが二八・九、スウェーデンが三六・二%、そういうふうに非常に低いということをどうぞお忘れにならないでいただきたいと思います。

目黒今朝次郎日本社会党

○委員長(目黒今朝次郎君) 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後六時散会

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