社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 142 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/08/05
会議録
○委員長(目黒今朝次郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る三日、柄谷道一君が、去る四日、藤井孝男君が、また本日、竹内潔君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君、竹内潔君及び田代由起男君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(目黒今朝次郎君) 労働問題に関する調査を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○安恒良一君 まず、私の時間は九十分で、問題がたくさんございますから、どうぞ御答弁側も簡潔にお願いを申し上げます。それから資料はたくさんいただいておりますから、資料の説明はほぼ省略していただいて結構だと思います。 まず最初に、私は労働大臣にお伺いいたしたいんでありますが、今国会もいよいよ残すところが非常に少なくなってまいりました。三公社五現業の公労協の労働者に対する八二年春闘の賃上げは、御承知のように、政府が公労委の仲裁裁定を五月十八日に国会の議決を求めるということでこの国会に提出をされたまま、お聞きをしますと、まだ衆議院の議運においてつるされたままになっている。これは本来社会労働委員会で扱うべきものでございまして、前回も委員長であります目黒さんから、本委員会の中において大臣に善処方を強く要望したところでありますが、きょう現在になりましてもそのままの状態であるということであります。 もともとは、仲裁裁定は労働協約と同一の効果を有する、これは公労法の第三十四条で明らかになっているところであります。でありますから、本来これは仲裁裁定が出れば、それぞれの労使に任せられるべき問題であるにもかかわらず、三公社五現業に当事者能力を持たせず、政府が持ってまいっておる、そのままの状態になっているわけであります。 大臣はしばしば、これが打開のために、委員会等で問題になりますと、努力を傾けている、こういうふうに言われています。また、この国会はしばしば、公職選挙法やその他重要問題をめぐりまして、与野党の国対委員長会談もしくは野党から与党に対する申し入れ、こういうものがございまして、そのたびに仲裁裁定は今国会で完全実施するような要求が野党全体の共同要求として出てます。これに対して自民党側は、精魂を傾けて取り組むとか、善処するとか、こういう答えをしばしば繰り返しているのであります。しかしながら、依然として当委員会である社会労働委員会の方に審議すべきものがおりてこない。こういうような状態について、大臣はどういうふうにお考えになっているのか、また大臣としてはどうされようとするのか、このことについての考え方をひとつ明らかにしてほしいと思うのであります。
○国務大臣(初村滝一郎君) 御承知のとおり、仲裁裁定は、これは厳格に言って、完全実施をすべきであるという精神で、公労法三十五条の精神で、わざわざ仲裁裁定が出たわけでございますから、私どもも速やかにこれを処置してもらいたいというのが本心でございます。 しかしことしは、御承知のとおりに、予算を計上してからわずかの間にどうしても実行しにくいというような状況にありましたので、これを議決案件としていま国会に上げておるわけなんです。これはあくまでも私は速やかに国会で善処してもらいたいというような気持ちでいっぱいであります。国会関係筋のお話を聞いてみましても、なかなかいろいろな問題がこんがらかって、特に与党の国会対策委員長は、職を賭してでも自分はやるというような発言も聞いております。 したがって、そういうことを信じて、ぜひとも今国会で結論を出してもらえればいいがなあ、かように考えておるわけでございますから、側面的にも私どももそれとなく国会の権威を傷つけることなくお話を進めておるところでございます。
○安恒良一君 私は、国会の与野党のやりとりは私どもも国対を通じて聞いているわけですけれども、賃金は労働大臣の所管事項なのですね。そして民間の労働者はすべて四月から賃金が上がり、その差額をもらっている。そしてあしたには、御承知のように、今度国家公務員に対してまた人事院の勧告が出る、こういうことなんです。 仲裁裁定というのは、いま申し上げましたように、いわば労使の労働協約なんですから、もう待ったなしなんですよね。それが国会に出されておって、いろんな問題と絡ませられるというところに問題がある。 ただ、国会に出されました理由は財源不足ということで、差し引き不足額で言いますと、定昇を除きますと、千九百三十三億の財源不足ということなんですね。ところが、財源不足というのは、御承知のように、五十六年度の歳入欠陥ですら三兆円に及ぼうとしている。それから本年度の歳入欠陥は四兆から五兆に及ぼうとしている。それならば、それに対する積極的な提言があってしかるべきだと思うんですね。たとえば補正予算を組むとかどうするとか、そういうことも一切見送られておる。どうも鈴木総理の総裁選挙の邪魔になる、こういうようなこと。しかし、それとこれとは違うと思うんですよね、労働者の賃金なんですから。そういう意味で、信じておると言われましても、もう二十一日までわずかしかないわけでしょう。 ですから、こんなときこそ労働大臣が奮起して立ち上がっていただいて、閣議の中で、どうするんだと。自分の責任としてやっていただかなければ、労働者はだれにも頼るところないわけですよね。閣僚の中では、少なくとも仲裁裁定についての責任は労働大臣におありなんですから、それこそ声を大きくして、もしくは声を荒げて事態の展開をやっていただかなかいと。いろんな問題に絡んでいるからということで、公職選挙法に絡ませてみたり、あれやこれやに絡ませることは、全く筋違いだと思うんですね。 少なくとも労働者の賃金については、すでに民間の労働者は春闘で賃金は上がっている。しかも双方が申請した仲裁裁定に対して公労委が裁定を示しているわけですから、その意味からいって、今日財源不足なんというのは問題になりませんね、三兆円から足らないんですから。ことしになると五兆円も足らぬというときに、二千億ぐらいのことで、それがあるからということじゃない。どうも仲裁裁定というのを政治の駆け引きの道具に政府・与党がお使いになっているんじゃないかという気がしてなりません。私は、それとこれとは違うと思います。 そういう意味で、労働大臣としては必ずこの国会中に処理していただけますね、間違いなく二十一日までに。そのことをはっきりおっしゃってください。
○国務大臣(初村滝一郎君) 私の気持ちは、いま先生のおっしゃるところの気持ちに変わりはありません。ただ、これは御承知のとおりに、財源不足その他のことで国会の議決を議決案件としてお願いしておるわけなんですから、それを待たざるを得ないというのが現状であります。 それから労働大臣として常にそういうことを配慮すべきではなかろうかという御意見でありますが、私は景気浮揚対策という立場からも、閣議において前向きの姿勢で発言をし、それに仲裁裁定等もこれありという発言をしております。したがって、今後も閣議のあるたび、恐らく近く人事院勧告その他が出ますれば、これとあわせて強く要請をいたしたい、かように考えております。
○安恒良一君 私は、ぜひ労働大臣の責任において、この国会においてこれが実現をするように、しかも与野党においても、与党とても、しばしばこのことに精魂を傾けてとか、いろんなことを言っているわけですから、もしも二十一日までやらなかったら、労働者に対してうそを言ったことになるし、野党に対してうそを言ったことに私はなると思う。そういうことになれば、自後の国会対策運営については、私たちは私たちとして考えざるを得ません、率直に言って。何回も空手形もらって、それで一切進まぬということであるならば、これからは私たちは考えざるを得ませんので、このことについて申し上げておきまして、次の臨時国会が秋にあると思いますが、秋にあるときに、この社労委員会で再び労働大臣に対して、まだやってないんですかということを言ってきつい注文をしなくていいように、ひとつ御善処方をお願いをしておきます。 それでは次の問題に入ります。私は、最近の雇用状況の問題について、不況の深刻化と失業者の増大問題について少しいろいろお聞きをしたいと思います。 まず、アダム・スミスの国富論を引用するまでもありませんが、雇用や賃金は経済全体の動きと密接に絡んでいますというのは、もうこれは経済学の常識なんですね。特にケインズが出現しまして以来、完全雇用あるいはそれに近い状態をどのように実現させるか、これは経済政策のターゲットに置かれていると思います。ところが、最近この雇用情勢の悪化を示す数々の政府の統計資料が発表されました。たとえば六月における失業率二・四%、失業者百三十七万、こういうふうな資料等。これは六月だけではありません。ここ二、三カ月雇用情勢の悪化に対する統計の資料が示されています。 そこで、労働省は政府にそういう状況の中で経済運営にどういう注文をつけたのか、閣議で大臣が若干おっしゃったと言われましたが、私たちは余り、労働省自体が今日の経済運営について雇用状況等考えながら注文をつけたというのを、寡聞にして聞きません。そこでまず、労働省はいまの経済情勢をどう見ているのか、労働省の方からお考えを聞かしてください。
○政府委員(谷口隆志君) ただいま先生御指摘のように、最近の雇用失業の指標は相当落ち込んでまいっております。完全失業者あるいは完全失業率、それから有効求人倍率、五十二、三年の不況のときの数字、求人倍率はそこまで落ち込んでおりませんけれども、かなりその当時のボトムに近いところにまで落ち込んでいるわけでございまして、その原因といたしましては、私ども景気の低迷が影響いたしておるというふうに思っておるわけでございまして、最近の産業経済の動向を見ますと、個人消費にはやや回復が見られますけれども、総じて内外需とも弱く、生産活動の低迷とか、建設関連の業種に加えまして、最近では従来好況でございました電機とか輸送用機械とか、そういう機械関連まで求人が減ってきているというような状況でございます。倒産件数は幸いにして前年を下回っておりますけれども、こういう景気動向が全般的に弱含みであるために求人が全体的に減少傾向にもございますし、求職者がじわじわふえておる状況だというふうに考えておるわけでございます。
○安恒良一君 私は雇用状況を聞いているんじゃないですよ。それがためにあえてケインズ政策であるとかアダム・スミスの国富論なんかを引用しながら、あなたたちはいまの景気状況をどう見ているのかと、これは後から経企庁にも聞きますが。 それはなぜかというと、労働省自身、あなたたちの頭の中には余りこういう問題についてお考えがないんじゃないか。というのは、われわれはマクロの経済よりも、その結果雇用情勢がどうなっているか、どんな雇用対策が必要か。どうもあなたの答弁を聞いても、肝心の経済のところをのけて、起こってきた雇用の現象についてこうしたい、ああしたいと、こういうふうなことを言うから、わざと前段に聞いているわけです。 ですから、いまお聞きしたいことは、この世界的な不況の中でどういうふうにわが国の経済を労働省としてはとらえられているのか。たとえば不況の深刻化の状況であるとか、内需不振、歳入欠陥、財政赤字、行政改革等々、それと雇用とをどう考えているのか。こういう意味で雇用の前段のわが国の経済政策、経済の現状についてあなたたちはどういうふうに日本経済をとらえられているのか。生産とか投資とかいろいろございますね、経済をとらえる指標。そういうものをあなたたちはどのようにとらえられているのか、それをお聞きしているわけです。ですから、雇用のところじゃないんです、その前のところについてあなたたち労働省がどうおとらえになっているのかということを答えてみてください。
○政府委員(谷口隆志君) 現在、世界的に不況の中で、しかも貿易摩擦等もございまして、外需の面でもかなり悪い状況にございますし、内需も落ち込んでいる。それは結局そういう全体の中で、たとえば鉱工業生産とかあるいは在庫の問題、それから設備投資、民間の消費の中でも住宅の関係、そういうものが総じて落ち込んでおりまして、外的な要因、内的な要因、総体的に経済が落ち込んでおる、先行きにつきましても私ども楽観できない情勢だというふうに見ておるわけでございます。
○安恒良一君 それでは労働省に続いてお聞きいたしますが、ことしの経済の成長見通し、五十七年度は五・二%になっていますが、それがどの程度の実績になるだろうか、そしてそれが雇用にどう影響を与えてくるというふうに考えていますか、五・二%の経済成長率が。 というのは、いままで経済企画庁が立てたとおりにこの数年当たったためしがないんですね。そして、それがその都度雇用状況に影響を与えていますから、まず、あなたたちは経済の見通しについてほんの抽象論しか言われませんでしたから、そこのところは後からゆっくり専門である経済企画庁に私からお聞きすることにいたしまして、とりあえず労働省として端的にお聞きしておきたいのは、ことしの経済の見通し五・二%がどのくらいになって、そしてそれが雇用にどういう影響を与えるか、こういうことについてのお考えがあったら労働省から聞かしてみてください。
○政府委員(谷口隆志君) 先ほどもお答えしましたとおり、経済活動がかなり停滞をいたしておりますために、産業、生産活動も落ち込んでおります。そこで、今年度の成長率がどうなるかということにつきましては、現状では私ども、わが国を取り巻きます内外の経済情勢が厳しいわけでございまして、当初の見通しを達成するためには相当な努力を必要とする、そういう状況にあるというふうに思っておるところでございまして、まだこの時期はそういうためのいろんな経済運営を含めての努力がされなければならぬというふうに考えております。
○安恒良一君 そんなことを言うから、労働省は経済音痴と言われるんですよね。今日五・二%が相当努力したら達成できるなどと思っているから、あなたたちは経済音痴と言われるんで、そして雇用政策がおくれるんですよ。労働省は経済については全然わからぬと言って論評を書かれておるじゃないですか。いまあなたが言うようなことを答弁するから経済音痴と言われる。やむを得ません。 それじゃ経済企画庁にお伺いしましょう。まず、ことしのこれからの経済問題についてお聞きしたいんです。 ただ、これは雇用を引き出すための経済問題ですから、経済論争はゆっくりまた予算委員会でやらしていただくという角度から、簡潔にひとつお答えをお願いをしたいと、こう思います。 期待される景気の足取りが一向どうにもよくならない。最近の経済の指標をいろいろ経企庁の発表されている指標の動きから見ましても、景気は停滞局面に突入したのではないかという見方が強まっています。特に注目されますのは、景気の総合指標といわれる雇用関係の数字が非常に悪化をいたしてます。ですから、このままの状況が続いていきますと、雇用不安が起こってくるのではないかと、実は経済のいまの動向から見ると心配をするわけであります。 そこで、経企庁の局長においでを願っておりますから、現在の停滞が続いています日本経済の現状と五十七年度の見通し等について、経企庁として考えられる考え方を端的にお話をお願いをできればと、こう思います。
○政府委員(谷村昭一君) 私、計画局長でございまして、いまのお尋ねは私の直接の所管ではございませんが、最近の雇用失業情勢、主として雇用失業情勢等からながめてみたいと思うわけでございます。 御承知のように、鉱工業生産が輸出の落ち込み等もございまして非常に伸び悩んでおりまして、求人が減っておる、そして求職者が増加ぎみに推移しているというようなことでございまして、いまの雇用者数自体につきましては、いままでのところは一応堅調な動きになっておるわけでございますが、企業の雇用人員に対します過剰感が次第にだんだん強まっておるとというようなこともございまして、今後の経済動向いかんによっては、雇用の水準に影響が及んでくることを非常に心配をしておるというのが現状でございます。
○安恒良一君 どうも私の質問に的確でない。雇用のところは労働省に最終的に聞きますから。 私がお聞きをしたかったのは、御承知のように、今年度経済成長率五・二%を見込まれてますね。ところが、現実に現在の生産出荷の停滞状況、それから在庫の大幅増、輸出の鈍化、内需不振等々いろいろの問題から見ますと、五・二%というのが非常に無理ではないだろうか。もうすでにたとえば日本経済研究センターが、十八カ月予測の中で、今年度は経済成長は三・五%程度じゃないか、こういう予測すら出しておるわけですね。去年は皆さんは五・三と言って、途中から四・七にし、そしてそれを四・一に直して実際は二・七ですね。それから、五十五年は四・八とおっしゃって実際は三・七であった。五十四年は六・三と言われてそれが五・三ということで、だんだん乖離が大きくなってきているわけですね。 ですから、私がいま経企庁にお聞きをしたのは、この五・二というものが大体どのくらいになるというふうにいま現在において考えられるか。経済指標がたくさんあるわけでありますから、経済指標一つ一つをとって、これがこういうふうになりますということになると、非常に時間がそれだけとられてしまいますから、それらを総合して私たちは、日本経済は非常に停滞が続いている、こういうような状況で、当初下半期上向いてということもありましたけれども、四−六はもうすでにあらゆる統計資料が出ているわけですから、そういう状況の中から、この五・二%の経済成長率というものがどの程度になるだろうか、これは経企庁としての考え方をひとつ聞かしていただきたい。それによって今度は雇用の数字がずっと違ってくるわけです。これが違いますと雇用の数字がずっと違ってきますから、そのことをお聞かせを願いたいということを申し上げておるわけです。
○説明員(丸茂明則君) 御指摘のように、昨年度の成長率が予想をかなり下回ったわけでございまして、したがいまして最近の情勢等を考えますと、五・二%という今年度の経済成長率の目標というのを達成することは非常に厳しい情勢にございます。その点はもう御指摘のとおりでございます。 ただ、今年度全体といたしましてどの程度になるかという点につきましては、まだ今年度に入りまして四−六月のGNP統計等もございませんし、もちろん生産、雇用等あるいは物価等個別の指標は順次明らかになっているわけでございますが、こういうものを見ますと、国内需要は個人消費を中心にして緩やかな回復をしておりますが、輸出が停滞、減少をしておりましたために、経済として伸び悩んでいるという状況が最近まで続いているように判断しております。 ただ、今後は国内需要、特に個人消費が物価の落ちつきを反映しまして堅調に回復を、堅実な回復を続けるというふうに考えられますし、輸出の方も、アメリカの景気が下期から回復するということが期待されますので、大幅にではございませんが、ふえていくであろうというふうに考えております。ただ、現在の段階では、まだ今年度全体として何%ぐらいになるという見通しを持つには至っておりません。 —————————————
○委員長(目黒今朝次郎君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、中尾辰義君が委員を辞任され、その補欠として中野鉄造君が選任されました。 —————————————
○安恒良一君 あのね、経済は生き物ですけれども、私たち社労委員会としては、これからくる雇用対策を考えなきゃならぬときに、余り希望的な観測を言われても困るわけですよ。というのは、これは予算委員会でもそうですが、あなたたちは大体秋ぐらいまでは、毎年自分たちが立てた経済見通しで経企庁長官以下がんばるんですよ。がんばるけど合ったためしがないんだよ、この三年間。いつもあんたと同じようなことを言うんですよ。経企庁長官自身も現在はそうですが、こういうことをやれば何とかなります、なりますと言って、その化けの皮が連続三年はがれているんだからね。そうでしょう。 五十六年は五・三が二・七しかならなかったし、五十五年は四・八が三・七しかなってないんですからね。しかもOECDの資料から、国内の資料いろいろ見ましても、とてもことし五・二などということが達成できるはずがないんですよ、どの資料見たって。ところが、まだ始まったばかりだからとか、九月になってそれからまた考えましょうとか、それじゃ困るわけですよ。 ですから、私がきょう経企庁に来ていただいたのは、河本さん自身が経済政策についていろんなことを言われているわけですね。私は率直に言って、現在の景気対策をめぐって二つの論があると思いますよ。財界や臨調や大蔵省はいわば景気対策不要論、行革優先論ですね。いまじっとがまんしておけばと、こう言う。そっちの方の声が大きいんですよ、これは鈴木総理と大蔵大臣が組んでるから。 ところが、経企庁や通産省、中小企業団体では、内需のてこ入れのための景気刺激待望論が非常に強いじゃないですか。ところが、閣内では河本さんの声の方が小さいものだから、力が小さいものだから、なかなかこれが通らぬ。しかし現実は、閣内においても二つの経済政策についての意見の大きな違いがあると思うんです。そして、通産省や経企庁は内需てこ入れのための景気刺激政策を積極的にとれと言ってるんじゃないですか、いま。 それからいま一つは、五・二を下方修正しなきゃならぬという動きがあるじゃないですか。 それから一方、あなたたちはすでに総理が、経済七カ年計画の成長率は無理がある、こういうことで新経済五カ年計画をすでに諮問をされているじゃないですか。 ですから、そういう状況から見ますと、そういうものを総合した中で五・二%についてどういうふうになるだろうか。的確な数字は言えないにしても言ってもらわぬと。いまはそう言って言い逃れとったって、来年になったらすぐこの化けの皮がはがれるわけですよね。よくも厚かましく二年も三年もそんなことをよう言うなと思うんですよ。年度の当初になると、いや何とか達成する、後になったらよくなりますとか、ようなりますと言いながら、毎年毎年三年間オオカミが来た、オオカミが来たと言っておったら、昔イソップ物語にあるとおり、あんたたち自身、経企庁が疑われることになりますよ、経企庁自身が。毎年毎年大幅に外れたら、経企庁自身の存在がおかしくなりますよ。 そういう意味からいって、私は何も五・二が外れたことを責めようとしているんじゃないんですよ。五・二がどのくらいになるかということをある程度知っておかぬと、この次の論争として、雇用政策の論争に入れぬからここのところちょっと聞いているんですが、もう一遍聞かしてください。
○説明員(丸茂明則君) ただいま御指摘ございましたことは、肝に銘じておりますが、したがいまして、今後の見通し等につきましては、現在の情勢、今後起こる状況というようなものを分析いたしまして、的確な見通しをつくるように努力したいと思っております。 今年度の五・二%がどうかということに再び重ねての御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたようなことでございまして、現在のデータをもう少しそろえまして、その上で誤りのないような見通しをつくりたいというふうに考えております。
○安恒良一君 鈴木総理と河本さんと大蔵大臣、いましばらくこの論戦をやめておこう、九月に入ってひとつまた議論しようということが、私たちはうそか本当か知りませんが、新聞に書いてありますから、そのあらわれか何か知りませんが、全然歯切れがよくないわけですね。ですから、それじゃ方向を変えましょう。成長率のことについてはなかなかおっしゃらないとするならば。 このことは経企庁としては答えられるでしょう。いま日本の経済が非常に低迷をしている。梅雨空が最近やっと晴れましたが、景気の方は長期化のおそれがありますから、どうしてもここで積極的な経済対策をやらなきゃならぬということが考えられますが、そういう点について、国内経済の低迷を打ち破って、通産省は五・二%を目指してということなんでしょうが、それがためにいまどういう政策をとるべきだ、何と何とをやるべきだというふうにお考えでしょうか。そのことを経企庁からまず聞かしてください。
○説明員(丸茂明則君) 現在の経済の動向を見ますと、まだ十分に把握できるデータが必ずしもございません。今年度全体としての動きを的確に把握するだけのデータは、先ほど来申しておりますように出ておりませんけれども、少なくとも現在判明しているデータで見ますと、期待されたコースどおりにはいっていないということは事実でございます。したがいまして、これが少し様子を見まして、どの程度のものであるかを見きわめた上で、具体的な対策を検討していこうということを考えております。
○安恒良一君 局長を呼んであるんだけれども、局長、何であんた答弁しないの。私は答弁者をあんたに指名しているんだけれども、いつの間にやら課長にかわってる。あんた、そこに黙って何で座っているんだ。どういうことなんだ、君。
○政府委員(谷村昭一君) 私は計画局長でございまして、いまの御質問は調整局の担当でございますので、調整課長がお答えをしておると、こういうことでございます。
○安恒良一君 私はきのう出席要求をしたときに、新経済七カ年計画、それから今後の経済の見通しの問題等々を、局長はだれが答弁するのかと政府委員室に聞いたら、あなただと、こういうことだから、あなたに来てもらったんですよ。そうすると、それは政府委員室が言ったことが間違いですな。局長の呼び違いですか。
○政府委員(谷村昭一君) 多分、新経済五カ年計画の諮問に関しての局長というふうにうちの方で受け取ったんだろうと思います。したがって、その件に関しましては私が責任者でございます。ただ、当面の景気情勢あるいは当面の景気対策ということになりますと、調整局が担当であるということでございます。
○安恒良一君 わかりました。後で政府委員室を呼んでそれは片づけておきましょう。不親切きわまりないですね、そういう言い方は。 それじゃ担当局長が来てないということですから、これはまた改めてゆっくり予算委員会等でやるということにして、課長に私がいまお聞きしたかったことは、当面の経済対策としていまやらなきゃならぬものがあるんじゃないかということで私は聞いているわけですね。いろいろ河本さんはしゃべっておられるわけですからね。あなただったら、いや当面しばらく見てということになると、そうするとこの次から大臣に来てもらわなきゃならぬのかな、こういう論争は。それぞれ官僚が出てきたって一つも言わぬということなら。しかし大臣は大臣で、閣内で言われたり、閣外でいろんな講演の中で景気対策論ということで言われておるんじゃないんですか。ですから、私は、こういうふうに梅雨空が長期化をしているこの経済の低迷を破るために、積極的な経済政策として何をお考えになっているのかと、こういうことをぼくは聞いているんですよ。
○委員長(目黒今朝次郎君) 政府側、焦点を合わせて答弁してください。きょうは社労委員会ですからね。社労委員会の質問をしているんですから、それ以上委員長から言う必要ないでしょうから、焦点を合わせて答弁してください。
○説明員(丸茂明則君) ただいまの点でございますけれども、国内需要の拡大を図るために必要な対策といたしましては、今後具体的に検討してまいる予定なんでございますけれども、考えられる検討の対象といたしましては、まず第一に公共事業がございます。これは御承知のように、ことしの四月に今年度の公共事業を前倒しいたしました。その効果は徐々にあらわれてきていると思いますが、前倒しいたしました結果は後半には当然少なくなりますので、この点をどういうふうに考えるかということでございます。 また、現在の景気情勢の中で、大企業の設備投資はわりあい堅調でございますけれども、中小企業の設備投資が停滞を続けておりますということを考えまして、中小企業の設備投資に関連する対策が考えられる、必要になる可能性があるというふうに考えております。
○安恒良一君 まあ、あなたたちはそういう程度だということですから、それで聞いておきましょう。これは後から最終的に労働省との間にあれしたいと思います。 私は、景気対策としては、一つはいまあなたがおっしゃった公共投資がひとつ重要だと思いますね。それからいわゆる前倒ししてますから、今後下半期になりますと、七七・三%が前倒しされていますから、下半期に事業の大幅な落ち込み、それが景気の息切れになることは必至ですから、公共事業を下半期少なくとも二兆円ぐらいの追加投資をしなきゃいけないんじゃないかと、こういうふうに思いますね。 それから二つ目には内需の拡大のための対策を考えなきゃならぬのじゃないか。そうすると個人消費を伸ばしていくということを考えなきゃならぬ。そうなりますと、一つは当然公労協や公務員の賃金などもたもたして決めなくて、労働大臣が言うように、当然決めなきゃならぬものですから、あんまり嫌がらせをしないでさっと払うものは払う、これが一つ必要じゃないでしょうか。 それと同時に、一つは所得税減税だと思いますね。内需の拡大のためにはどうしてもこの所得税減税を大幅にやらなきゃならぬ。この国会で無理ならば、次の臨時国会では、思い切って野党が要求しておりますような一兆円ないし二兆円の規模の減税を五十七年度にやる、こういうことをやっていかなきゃならぬと思いますね。 いま一つは、御承知のように、金融政策面で米国の異常金利、これが非常にいろんな影響を与えていますから、わが国としても米国の高金利に対する是正ということを強く求めていくと同時に、当面、中小企業向けについては、政府金融機関、それから住宅金融公庫等の融資枠の拡大等を積極的にやっていかなきゃならぬだろう。 それから中小企業と構造不況産業、これに対して、いまあなたも中小企業の問題を若干言われましたが、こういう問題に対して、いま不況が非常に深刻化していますから、これをこのまま放置しますと、秋以降は経営が全く行き詰まって、このことが日本の経済の失速に通ずるというふうに思いますね。 ですから、こういう問題について私どもは速やかにこの国会でやらなきゃならぬと思いますが、どうもこの国会はまるっきりやる気がないようですから、それならそれなりに秋に臨時国会を召集しまして、いま申し上げたようないわゆる所得税減税と公共事業の追加を軸とする大型補正予算、それと総合景気対策、それから個別不況対策、こういうものをきちっとしていかないと、あなたたちが幾ら五・二、五・二とか、いまはまだ始まったばかりですからと言っておっても、それはまた来年、大恥をかく、こういうことになると思いますが、どうですか。
○説明員(丸茂明則君) いま先生から御指摘のありました問題点あるいは対策というものは、それぞれ大変重要な問題だと考えておりますので、今後も検討をしてまいりたいと思います。
○安恒良一君 経済政策だけやっておったら、もう時間がたってしまいますから、こういう状況はこれで終わりたいと思います。 そこで、実は労働大臣、これをなぜ私があえてこの社労委員会でやったのかというのは、労働省もいま言ったようなことには注目をしてもらいたいんですよ。そして労働省が積極的に、あなたも経済閣僚会議の重要な閣僚の一人ですから、その面からやっていただかないと。これは何もあなたを責めるわけじゃないんですが、労働官僚というのはどうも経済問題については全く——いま言ったようなことは、あれはもう経企庁の仕事だ、あれは通産省の仕事だ、あれは大蔵省の仕事だ、おれたちは、いわゆる起こってきた雇用情勢がどうなったかということを考えて、それで雇用対策をやればいいということですね。これでは後追いだし、手おくれなんですよ。経済と雇用状況というのはうらはらなんですから、その意味から言うと、財政政策、経済政策にもっともっと労働省が各局協力をしてきちっとした考え方を持って、そしてあなたを通じて経済閣僚会議にもどんどん反映させる。これがないと、私は今後の雇用問題というのは、特に低経済成長下における、しかも急速な高齢化社会を迎えるわが国の雇用問題というのは、進んでいかないと思うんです。 そういう意味で、きょうは時間のかなりを使ってそこに問題を置いたわけですから、その点の意図については、ぜひひとつ大臣、これから労働省もマクロの経済についてもきちっとした労働省なりの見解を持ってもらう、こういうふうにしてもらいたい。いままでの労働省はどうしてもそこのところをややネグレクトして、起こってきた現象に対する対応策だけを立てられた。それではこれからの雇用問題というのは片づかないと思うんです。問題は、起こってきたものに対するいろいろ手当てをすることも必要なんですが、しかしその前のところをやっておかないと、私はこれからでは十分対応ができないと思いますから、そういう意味で前段を申し上げたんですが、労働大臣、御意見がありましたら聞かしてください。
○国務大臣(初村滝一郎君) 雇用問題は、すべてこれは経済情勢に連動することはもうはっきりしておるわけであります。 そこで、私が労働省に行ってから一番心配しておるのは、二十四万人失業者がふえたという数字なんですね。したがって、その第一の手段として、手っ取り早く公共事業の前倒しをしようじゃないかというようなことで、七七・三%の実績が出てきておるわけなんです。ところが、七七・三%いま契約をしつつある、あるいは終えたところもあるけれども、後半の公共事業が細んでしまう、先が真っ暗である、これに対する手当てをしなければ、それは企業家だって、七七・三%の契約をいたしましても、企業自身がつぶれない程度の雇用しかしない。したがって会社をつぶさないようにというような雇用政策をやるために思い切った雇用の拡大ができない。したがって、私は閣僚会議のたびにおいて、どうしても後半の公共事業の追加をやるべきではないか、極端に三兆円ぐらいはやらなければいけないという数字まで言うたことがあるわけなんです。したがって、私は経済の動向が非常に雇用に影響があるということはしみじみ感じておる。こういう点を十分考慮していきたい。 それからさらに中小企業についても、金融制度あるいはまたそれぞれの立場の法を適用して中小企業がつぶれないようにやっていかなければいけない。こういうことを考えておりますし、また構造不況においても、業種の問題もあるいは地域の問題もありますから、私ども労働省においてもその法の許す範囲の手当てをして、なるたけ失業者が出ないように努力しておるわけでありますから、今後とも一層景気対策については強い信念を持って発言をいたしたい、かように考えております。
○安恒良一君 大多数私の言ったところのことを言われたんですが、個人所得をどう伸ばすかというところは、これは労働省の一番大切なところですから、いまお答えになりませんでしたが、ぜひお考えを願いたい。 そこで、失業状況に入りますが、御承知のように、総理府が六月の失業率二・四八%急上昇、そして六月百三十七万ということで、これは二十六年ぶりの低い水準で、しかも非常に心配をしておりますのは、完全失業率が上がってきているわけですね、じりじりと上がってきておる。こういう状況について今後の見通し等について考え方を聞かしてみてください。
○政府委員(谷口隆志君) 冒頭にも御指摘ございましたが、最近、就業者、雇用者はなお伸びておりますけれども、失業をあらわす指標、すなわち完全失業者数とか完全失業率、求人倍率、これらが五十二、三年の不況の時点まで落ちておりますし、いま御指摘のございました完全失業率二・四八という数字は確かに非常に悪い数字でございまして、私どもこの六月の悪い数字の出る前から、五月までの指標に基づきまして、そういう雇用失業情勢を背景といたしまして、雇用対策を強化しなければいかぬという一連の措置をとることを全国に指示して雇用対策を行っておるところでございますが、今後の見通しにつきましては、これも先ほど来ございましたような景気の先行き等の問題にも絡みまして、私ども楽観できないじゃないかというふうに見ております。 ただ、六月の完全失業率二・四八につきましては、最近では相当に悪い数字でございまして、これがどういう内容か、そういう中でも雇用者はふえておるとか、あるいはこの失業者の増加が男子だけであるとか、業種別にも偏りがあるとか、その辺はもう少し分析しなければならぬことと同時に、もう一月も見ながらさらに詰めていきたいと思いますけれども、いずれにしましても、最近の雇用失業情勢の指標、また今後の情勢は非常に厳しいものだというふうに見ておるわけでございます。
○安恒良一君 六月が悪いけれどもまだ分析が足らぬと言われますけれども、私はそこにあなたたちが、いまさっき言ったように、いわゆる経済音痴といいますか、そういうことがあるから、政府が見直しを、成長率なら成長率の見直しをしない間は、それにずるずるずるずる引きずられているということになるんじゃないですか。どうも経企庁や通産省や大蔵省、こういうところが九月か十月に見直しをする、それまではいま立てられている経済成長率に基づくところの失業者数というところにあなたたちがずるずる引きずられる。 しかし、実際の五十二年から五十七年の間における完全失業率の推移、それからいわゆる労働者の失業状況等々ずっと分析をし、さらにこれから論争を深めていきますが、あなたたちが労働白書の中で分析をされている中高年齢雇用者の問題であるとか、臨時、パートの問題であるとか、大卒の問題であるとか、いろんなことからこれを考えてまいりますと、私は、六月は非常に悪いのだけれどもそれを分析してみてそれから対策を立てれば、などという悠長なことを言っている状況じゃないのじゃないですか。どういうあなたたちは感覚をお持ちなのですか。そういうものは経企庁なり大蔵省なりが発表しないと労働省は全然弱い、わからぬから、まずそれを見てからそれから作業に入ると、こういうことですか。
○政府委員(谷口隆志君) ちょっといま六月の完全失業率について触れたために十分お酌み取りいただけなかったのかもしれませんが、最近の失業をあらわす指標は総体的には非常に悪い。しかもその内容として年齢の問題、性別の問題いろいろあるということを十分腹に入れまして、経済政策への注文をつけなければならぬとか、あるいは労働省でやります雇用対策を進めなければならぬということは、当然のこととしてやっていかなければならぬという考えはあるわけでございますが、七月の二・四八についてはそういう従来の傾向と若干違ったところがありますので、なお見たいということで申し上げたわけでございますけれども、総体につきましての雇用失業情勢が厳しい、また先行き楽観を許さないという認識につきましては、私どもも御指摘の点は十分受けとめておるつもりでございますし、そういう観点で進めてまいりたいと思っております。
○安恒良一君 経企庁のある幹部がこう言っているのですよ。労働省は果たして経済官庁と言えるだろうか、全く頼りない、いま経済問題で最も重要なのは、二、三%の成長が続いた場合、雇用への影響はどういうふうになるのだろうか、そういうことをきちんと分析してない、やむを得ず経企庁がやらざるを得ないと、こう言っているのですよ。その現状どうなのですか。そんなことまでよその省から言われて、あなた、どうなのですか。
○政府委員(谷口隆志君) いまの御指摘はどういう場でどういう方が言われたか私ども承知いたしておりませんけれども、先ほど来御指摘もございましたような雇用問題は即経済問題でもございますし、成長率が雇用にどういうふうに影響するかとかいうようなことは、私どもは私どもなりに精いっぱい研究もし、そういうことを経済政策へ反映するなり雇用対策を充実するということで進めておるつもりでございます。
○安恒良一君 それならば、いまさっき私がお聞きしましたように、ことしの経済成長率五・二。ところが、五十五年が四・八が三・七になったときの失業の実績と見込み、これは私、数字を持っております。それから五十六年五・三が二・七になったときに失業の実績と見込みがどれだけ狂ったかという数字を私は現実に持っております。 そこで、五十七年は一応の見通し、これは書かれているわけですが、これはどういうふうになりますか。五十七年の実質経済成長率が五・二%ということで、完全失業者は五十六年は百二十五万で失業率二・二、それからことし五十七年は完全失業者百二十万で失業率二・一と、こういう一応の見込みになっていますね。これがいまの経済実情等考えますと、とてもこんなことに落ち着きそうにありませんが、すでに六月は実績が出ているわけです、数は。こういう問題が五十七年度の経済見通しと雇用失業情勢はどういうふうになっていくと労働省では分析をされていますか、それを聞かせてください。
○政府委員(谷口隆志君) 成長率、当初予定している五・二%に対して今後の推移をどういうふうに見るかとか、それに関連しまして、就業者数、雇用者数、失業者数をどう見るかという問題は、先ほども企画庁のお話ありましたように、もう少し若干の期間推移を見て詰めていきたいということもございますし、内外非常に厳しい情勢の中でこういう成長率ができるだけ下がらないようにするとか、そういうこととの関連で失業者がふえないようにするというような経済政策、雇用対策は詰めていかなければならぬということで考えておるわけでございまして、成長率の低下が雇用対策にどう影響するかというようなことは、一定の間でもございますし、それはそれなりに私どもも詰めながらその時期へ向かって考えていきたいと思っております。
○安恒良一君 いや、ことしの見込みが完全失業者百二十万、失業率二・一というふうになっているのですよ。ところが、現実にもう六月には失業率は二・四八に急上昇しておって、それが下がる、今後よくなるという経済的な動向はないわけです、残念ながら、いまのところ。そして実際失業者は百三十七万人、こうなっていまして、完全失業者百二十万というのを、六月で見ますと、もう十七万オーバーしている。そしてそれは五月も四月も実績が出ているわけです。そういう状況の中から、まず、それはあなたたちが実質経済成長率が何%に落ち着くか見ないと出さないということでは、余りにも消極的じゃないですかと言っているのです。 労働省としては、この百二十万という見通しを立てていろいろな政策をされておったと思いますよ。思いますが、現実に失業者は、ことし四−六月だけでも、もうそれは守れなかったという状況の中で、それじゃすぐ当面よくなるというなら、いや、また百二十万に戻りますということを言われても説得性がありますけれども、そういう状況じゃないじゃないですか、あらゆる資料を見まして。そういうときに、あなたたちが雇用政策をお立てになるときに、大体どのくらいになるだろうかという見通しを持たないと、雇用政策というのは立っていかないんじゃないですか。それは出たとこ勝負だだから私が言ったように、あなたたちは、マクロの経済のことは全然考えないで、出てきたら出てきたときだけをやればいいということが依然としてあるじゃないですか。百五十万になったら百五十万の対策、百三十万になったら百三十万の、百十万になったら百十万の対策をやればいいという、これでは労働省として情けないじゃないですか。そのことを言っているわけです。
○政府委員(谷口隆志君) 完全失業者の数字とか完全失業率は、確かに今年度に入りましてからの数字は、当初の予想よりもかなりオーバーしているということでございますし、それはそういうことで厳しい情勢を深刻に受けとめなければならぬと思います。 そこで、いま御指摘もございましたように、いま労働省として、企画庁なり何なり、そういう関係の省庁から成長率が下がったらそれに応じて雇用失業をどう見るかということでございますが、私ども政府内部といたしましては、相互に連携をとりながら、経済成長をどう見るか、それについての雇用失業情勢あるいは失業がどう落ちるかというようなことは、詰めながら進めていっておるわけでございますが、いま御指摘のようなことは、大臣からも景気対策のことで答弁ございましたように、さらに連携を深めまして、おくれをとらないようにやらなければならぬというふうに考えておるところでございます。
○安恒良一君 まだいろいろ個別問題をやらなければなりませんから、時間がありませんから、これはこれぐらいにしておきますけれども、大臣ね、すでに民間の多くの経済研究機関から、ことしの成長率はわずか三・五%程度なんだ、早急に経済のてこ入れをしなければならぬという提言が、かなり権威のあるセンターからいろいろ出されているわけなんですよね。そのときにもう少し様子を見て、様子を見てということではいけないと思うのですよ。たとえば五・二が二・五になれば、去年五十六年が二・七なんですから、もう大変な私は失業問題が出てくると思うのですよ、率直なことを言ってですね。 ですから、そういう問題について、まず積極的に、労働省としても、経済成長がこう落ちた場合にはこれだけ失業者が出るんだ、だからやってもらいたいという、そういう積極的な政策提言があってしかるべきだと思うんです、一般論じゃなくして。成長率がこれだけ今日の段階で落ちればこれだけ失業者がふえる、だからこういう経済対策をという、そういう積極的な労働省挙げての議論をされて、そして、それが経済企画庁であるとかそういうところに提言されてしかるべきだと思うんですが、どうもこういうものについては縦割り行政の悪いところかしらぬが、非常に受け身なんですよ、後追い、後追いと。いま幾らこれ論争してもかみ合いません、残念ながら。 私がいま望んでいることは——もちろんそれぞれの官庁のポスト、それから官庁の仕事というのはあります。経企庁は経企庁あります。しかし、労働省は、私が前段に議論したように、経済と雇用政策というのはうらはらなんだということになれば、経済財政政策について少し労働省がきちっとした考えを持ち、それは雇用の角度からでも結構なんですから、こういうふうに経済成長が落ちれば雇用にこれだけの悪影響が出る、だからこうしてもらいたいと、こういう具体的数字をいまお聞きしたところ、全然数字をお持ちでありませんね。いまあるのは経済成長率五・二と完全失業者百二十万、失業率二・一。これはことしの予算の中で私たちは経済七カ年計画と雇用失業の状況ということで聞いただけであって、しかし現実にそれが一つも、これは年間トータルの数字になっていますが、四、五、六、全然当たっていない。そして、だんだん月を追うごとに悪くなるんです。 それなのに依然として、担当局長に聞きましても、えー、まだそれはと、こういうことじゃ、何をあなたたちは一生懸命お仕事をされているのか疑いたくなるわけです。それは一方においては発生した雇用に対する対策という仕事があることは事実です。それだけじゃいけないでしょうということをさっきから何回も言っている。ところが、なかなかかみ合いませんし、もうこれだけで一時間使ってしまいましたから、私は個別問題がございますから、個別問題にまず入りたいと思います。いずれまた——きょうは時間がありません。 というのは、私はそういう中から労働白書の問題、それから中高年齢者の雇用対策の推進の問題、それから臨時パート労働者の実態等々も議論をしたいなと思って資料を用意してきましたけれども、前段の入り口で一時間たってしまいましたから、また改めて次の機会にこういうものはゆっくり議論させていただくと、こういうことにして、少し個別問題に入っていきたいと思います。 まず、個別問題の一つとして、失対事業の問題についてお聞きします。御承知のように、きのう私どもは社労委員会で労働省の会計課長に来ていただきまして、五十八年度の予算編成についてお聞きをしました。その中で、いわゆるマイナス五%シーリングが労働省予算にどんな影響を与えるか、こういうことについては会計課長からつぶさに聞いて知っていますから、その点は結構です。 そこで、お聞きしたいんですが、結論だけ言いますと、労働省では何か総額三兆七千億だと。一般会計が五千億で、その中から、人件費の千百億と雇用に関する二千九百は、これはマイナスの対象にならない。そこで対象になるのは千億だと。千億の中の五%だから五十億だが、これもその半分の二十億と。ですから、二十億ひねり出すのに苦労しておる、こんな話を聞いたんです、これまで整理しますと。二十億で苦労されるのと厚生省の四千億じゃ大分違うなと、こう思いましたが。 それはさておきまして、そこで失対問題ですが、失対はどうなっているかと聞きましたら、どうも大蔵省が何かこれはマイナス一〇%の失対事業を要求している。マイナス一〇%の削減が求められている、こういうふうに聞くわけですね。これについてどうしようとするか聞きましたら、どうもマイナス一〇%になると六十億、しかし六十億はかなわぬ、五%の三十億程度にがんばろうと思っているんだというようなことを言われているんですが、五十八年度の予算概算要求枠内にかかわる失対事業費の削減問題についてどういうお考えをお持ちかお聞かせしてください。
○政府委員(谷口隆志君) 御存じのように、来年度の概算要求につきましては、シーリングが決まっておりまして、いま御指摘もございましたが、原則として本年度予算に比べて五%削減、また補助金につきましては、五%ということじゃなくて、一〇%削減するということが政府の方針で決められておるところでございます。 そこで、失業対策事業費補助金の問題でございますが、補助金の一般の削減の率でいきますと一〇%でございますけれども、失業対策事業就労者の実情にかんがみまして、私どももいろいろ大蔵省とこのシーリングを決めるに際しまして折衝いたしました結果、一〇%の対象にはしないということになっております。しかしながら、予算総額についてのシーリングは五%ということで、その五%のシーリングはその枠外にするというわけにはいかないということでございますので、単純に失業対策事業費は総額六百億円でこれの五%ですと三十億円ということでございますが、現在労働省全体の予算の中でどういうふうに失対就労者に影響をできるだけ少なくするようなことはできないかということで調整を行っておるところでございます。
○安恒良一君 大臣、これは大臣にぜひ聞いていただきたいし、考えも述べていただきたいのですが、そもそも失対事業というのは、大量失業がもたらした社会不安を政府が直接に就労事業を設定し、そして事態を改善するということで起こった制度なんですね。すでに三十年を経過しています。今日失対事業は、一日三千円ないし四千円の賃金で、月に二十二日の就労日数で生活が支えられております。ですから、この生活水準というのは国民的標準から見るとまさにぎりぎりのものですね、これは率直に言って。ですから、決して私は一律削減にはなじまないものだと思います。別枠増額七項目の中には人件費が入っておりますね、これは各省全体にわたって。労働省も人件費分は別枠になっている。ところが、この失対事業というのは主要な部分が実は労働力なんですね。ですから、ほぼ人件費に私は匹敵すると思います。それから厚生省関係で生活保護費いうのがございます。これは別枠で全部外されています。 ですから、失対事業だけが、いま言われたように、三十億削るぞと言われて困っているようなことでは、これは非常に格差を導入するものとなります。すでに失対事業にかかわっているたくさんの人々から、また関係の組合からも、労働大臣のところに要望書がいろいろ出ていると思います。ですから私は、大臣、ここのところは、いま失対事業が起こった経緯、今日の生活水準、国民的標準から見るとまさにぎりぎりであるということから、御承知のように、生活保護費は別枠にされているのにこれだけが枠に入れられるということについては、どうしても承服しがたいのであります。 そこで大臣、まず失対事業費を一律削減対象項目から外して、きちっといままでどおり失対事業が続けられるようにやっていただきたいと思いますが、いかがですか、大臣、御答弁をお願いします。
○国務大臣(初村滝一郎君) 御承知のとおり、ことしはマイナス五%シーリングなんです。実際を言うと、失対事業もそのマイナス五%に入っておるわけなんです。入っておるので、これじゃ困るということで、労働省自体がこれを何とかしなくちゃいけないということで、いろいろな経費を始末して、なるだけそういうふうにならないように努力をしようというふうになって努力中でございますから、決まったものを私がいまここでそれは決めないように、厚生省並みにしてあげましょうと、そういうことは言われません。言われませんけれども、私どもの省内で努力をして、なるだけマイナス五%にしないように努力することを約束をいたしたいと思うんです。
○安恒良一君 私は、ぜひ大臣それから省内の努力を——生活保護費は別枠だ、片っ方は別枠でないというところに不公平があるわけですから、公平の原則から、それから一日三千円ないし四千円の賃金で月に二十二日というのは、これは今日の国民生活水準から考えてぎりぎりなんですから、そこも大臣おわかりだと思いますから、ぜひ大臣の一段の御努力をお願いしておきます。 それからいま一つ、これも御努力をお願いしなきゃならぬのですが、失対事業の問題でいろいろ問題がありましたが、六十年六十五歳のリタイア、こういうことで、リタイアに当たっての支度金の引き上げを五十七年労働省は要求されたわけですね。ところが大蔵省認めなかったんです。ことしもこれは恐らく要求されるだろうと思いますが、これをきちっとしてもらわぬと、いわゆる六十五歳六十年全体のリタイアという問題は進んでいかないんですよ。いわゆる支度金という意味で、この金額は高い低いのいろんな議論を社労委員会でしましたけれども、しかし五十七年からこれは引き上げていこうということであなたたちは予算を出されたんですが、大蔵省にぽんとやられちゃったわけですね、五十七年は。ですから、今度はこれをことしどういうふうにされようとするのか、この点についてお考え聞かしてください。
○政府委員(谷口隆志君) いま御指摘のございました就職その他の場合の支度金につきましては、研究会報告の中にもその引き上げ等について指摘もございますし、先ほど来の話のような非常に厳しい予算の中でございますけれども、私どもとしては、できるだけ増額するような予算要求もし、大蔵省との折衝でがんばってまいりたいと思っています。
○安恒良一君 それじゃ、これも研究会の報告その他があって、いろんな紆余曲折をしながらも、いわゆる就職支度金という制度をきちっとして、それによって転換をしていく人が現実にあるわけですから、すでに五十六年度の中にも起こっているわけですから、今年度も五十七年いま進行中ですから、どうしてもこれは一段と御努力をお願いをしておきたいと思います。よろしゅうございますね、その努力は。
○政府委員(谷口隆志君) そのように努力いたしたいと思います。
○安恒良一君 続いて、今度は運輸省と労働省に個別問題でお聞きをいたします。 実は、ハイヤー・タクシー業界における嘱託とアルバイト乗務員問題についてですが、これは全国的に現在においてハイヤー・タクシー業界において嘱託とかアルバイトというのがいまふえつつあります。そこで、私はきのう運輸省の方にお願いをしておったのでありますが、これなかなかすぐにきのう言ってきょうというのはむずかしいでしょうから、札幌におけるハイヤー・タクシー業者の中で嘱託、アルバイト等の数、たとえば大空なら大空で、営業タクシーが何台、従業員が何人、そしてその中でいわゆるアルバイトもしくは嘱託は何人等々の現状を知らしてほしいと、こういうことをきのう質問通告でしておきましたが、まずその現状について運輸省から報告ください。
○説明員(棚橋泰君) 先生ただいまお尋ねの札幌の件でございますが、昨日先生から御指摘のいただきましたものについて簡単に申し上げます。 まず、先生のお話のございました大空交通でございますが、これは車両数四十六両、従業員数百八人でございますが、これにつきましては、監査の結果は、先生御指摘のようないわゆる嘱託、アルバイトということが明確な者の数は把握できなかったというふうになっております。 それからワールド交通でございますが、これは車両数三十両、従業員数七十三名でございますが、うち二十九名が先生御指摘のような嘱託運転手ということになっております。 それから興亜交通でございますが、これにつきましては、車両数六十五両、従業員数百七十三名、そのうち嘱託が十五名ということになっております。 それから、さくら交通という御指摘もございましたが、これは車両数四十二両、従業員百十一名でございますが、これにつきましては現在のところ数字を把握していないと、こういう状況でございます。
○安恒良一君 まず、現在のところ数字を把握してないというのはおかしい。大空は私どもの調査では六十二名ですね。さくらは四十、興亜は、あなたは十五と言ったが、私どもの調査では二十五名、それからワールドは、これはほとんど合ってますが、三十名。悪いのを順次挙げてみたんですが、私の手元には札幌、旭川、函館、帯広等々におけるこういう実情があるわけです。 そこで、まず運輸省にお聞きをしたいんですが、自動車運送事業等運輸規則の第二十五条の六で、「事業者は、事業計画の遂行に十分な数の」乗務員を「常時選任しておかなければならない」と規定してありますね。また、二十五条の七では、「日日雇い入れられる者」はもとより、「二月以内の期間を定めて使用される者」や「十四日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者」等を乗務員に選任してはならない、こういうふうに書いてありますね。 これはいわゆる労働集約産業と言われて、しかも人命を預かる重要な仕事でありますから、良質な労働力の確保を義務づけている、ハイヤー・タクシー業に義務づけているものだと思いますが、それはそのとおりで結構ですか。
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のとおりでございます。
○安恒良一君 そういうことについて御承知おきしながら、そうしますと、このようないわゆる嘱託とかアルバイト、しかもオール歩合とか、四五%歩合とか、そういう問題は明らかにこれは自動車運送事業等運輸規則に違反になりますね、これは。
○説明員(棚橋泰君) いわゆる嘱託、アルバイト運転手というのも、私どもが調べましたところでは、いろいろな形があるようでございまして、大ざっぱに言いますと三つぐらいあるんではないかというふうに思います。 一つは、定年退職されたような方が、毎日今後勤務することはちょっときついけれども、一応雇用契約を嘱託という形で継続してもらって必要なときに勤務をしたいというような形、ないしは、他に別にたとえば農業とか、家で簡単な家業というようなものがあって、若干それにも時間を割かなきゃならないけれども、タクシーの方もやりたいと、こんなような形がございます。そのほかに、いま先生御指摘のは、恐らくそのような形ではなくて、いわゆる臨時というような形の形態、それではないか、それを嘱託という名前で行っている、その点ではないかというふうに思います。 そこで、いま先生がお読みいただきましたように、運輸規則にはそのような条文がございますので、私どもはその条文に明らかに抵触するというようなものはおっしゃるように違反であるというふうに思っております。ただ、形態的にはいろいろな形を使っておりますので、それについては実態は個々のケースで判断してみないと、すべてが違法であるかどうかということは、この場では断定できないというふうに考えております。
○安恒良一君 それじゃ、あなたたちはなぜその大空なら大空をお調べにならないんですか。大空の株式会社のそういう人々に対する賃金契約書の写し等を私たちは持って言ってるわけですよ。 しかも私は、大空はようわかりませんというのはけしからぬと思うのは、すでにこのことは、札幌市議会の総務委員会の委員長菊田勝雄さんから札幌陸運局長の伊藤君に対して、七月十二日に、「ハイヤー・タクシー業界における嘱託・アルバイト乗務員問題について」という公式文書がいってるじゃないですか。その中には、「「ハイヤー・タクシー業界における嘱託・アルバイト乗務員解消のための行政指導強化要請方に関する陳情」が提出され、本市議会総務委員会において、現在審査を継続しているところでございます。当委員会においては、当陳情に対する結論を慎重に出す所存ではございますが、貴職におかれましても、これらの事情を十分に御賢察の上、市民の交通安全上からも業界をはじめ、関係者に対し適切なる手段を講ぜられますよう御要請申し上げます。」と、こういうのがいってるんですよね。そして、私が問題にしたんですから、問題にした以上は、あなたたちはこれを七月の十二日に受け取ったら、早速札幌陸運局としては、市内の問題になっているところについてなぜ指導監査に入らないんですか。 大空はわかりませんでしたと。私のところには大空の会社の見本がちゃんと送ってきていますよ。たとえば、読みますと、乗務員として、甲は「乙の売上高の四五%を支給し、その他の賃金は一切支給しない。」云々と、こういうふうになってるんですよ。そういう協定書まできちっと大空交通株式会社はつくって、従業員と協定している等々たくさんの事例を、実例を私たちは持って聞いてるわけだ。あなたたちはどうして監査をきちっとしないんですか。そして、しなくて、よう実態わかりませんでは、監督官庁としてのあれは務まらないじゃないですか。どうしますか。 これを早急にひとつ。北海道は非常に目に余るものがあります。また、佐賀県も私は実例を一、二知っておりますが、目に余るものがあります。こういうことについて早急にひとつ全国的に。 この種のアルバイト運転手というのは非常に危険だと思うのですね。なぜ危険かと言うと、売り上げのうちの幾らを持って帰るんですから、どうしても長時間労働してますね。それから接客の態度が悪いです、体が疲労しますから。そして長時間労働の結果、非常に交通事故が多発する傾向があります。ですから、その意味から言うと、当然規則においてこれは決められているわけですから、この点をひとつ。 その点まず運輸省、答えてみてください。
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のように、札幌市議会の総務委員会の全体会議というところでこれが議題になりまして、その結果、御指摘のような話があったということは聞いております。それを受けまして、実はこの大空交通につきましては、若干前に監査をいたしておりまして、その際、これはいま先生の御指摘にぴたり当たるようなことではございませんけれども、別のこれに類似した違反がございまして、当時これに対して必要な措置をとっております。 そこで、御指摘のございました中で、七月の二十二日にワールド交通、これを監査いたしまして、その結果の実態は、先ほど申し上げましたようなところでございまして、現在これについての対応策というのを検討しておるところでございます。 いまお話のございましたその他の御指摘会社につきましても、陸運局の方に実態の把握について十分努力するようにということで申したいというふうに思っております。
○委員長(目黒今朝次郎君) 部長、質問は大空について監査をしたのかというのを質問したんですからね。したならした、しないならしない、しなければしない理由はこうだと、質問者にポイントを合わせて答弁してくださいよ、馬蹄形答弁やらないで。大空はやったんですか、やらないんですか。馬蹄形にやらないで。
○説明員(棚橋泰君) 先ほど申し上げましたように、この御指摘をいただきました七月以降、大空はやっておりません。
○委員長(目黒今朝次郎君) やってない。
○説明員(棚橋泰君) はい。そのときに、いま安恒先生からは大空についてだけ御指摘がございましたが、そのほか関係のものもございましたので、そのうちのワールドというものについて七月二十二日に監査を実施したと、こういうふうにお答えを申し上げております。
○安恒良一君 それでは、私の方で調査した会社名と数がございますから、後からお届けいたしますから、全部ひとつ早急に監査をやってください。北海道の実例がありますから、私のところに。この中から従業員数に比べて非常に多いというところ、これは後からお知らせしますから、ひとつ全部監査をやってください。やらないで、いいとか悪いとか言われてては困るわけよ、やらなくて。具体的に上がってきているんだから。ひとつそのことをしてください。
○委員長(目黒今朝次郎君) いまちょっと確認します。 いいですか、監査やりますか、北海道。
○説明員(棚橋泰君) 先生の資料をいただきまして、担当でございます札幌陸運局の方に早急に送付をいたしたい。−ただ、監査権限は札幌陸運局長でございますので、札幌陸運局に判断を任せたいというふうに思います。
○安恒良一君 そんなばかなことはないじゃないか。監査権限は陸運局にあるけどさ、陸運局長は運輸大臣の管轄下にあるんでしょう。あなたは自動車業務部長でしょうが、あなた。何を言うとるんですか、札幌に任せるとは。私は運輸省としてやるのか、やらぬのかと聞いてんだよ。われわれが問題を持ち込んだことについて、札幌に任せるというのはどういう意味じゃ、それは。これは悪いやつだと言われたら、一応調べてみるのがあたりまえじゃないか、君たちは。
○説明員(棚橋泰君) 私が申し上げておりますのは、監査権限が陸運局長でございますので、先生から本日そういうふうなお話があって、私がこういう答弁をしたということに先生の資料を添えて陸運局の方に渡すと、こういうことを申し上げたわけでございます。
○委員長(目黒今朝次郎君) させるんですか、させないんですか。はっきりしてください。
○安恒良一君 こういうふうにたくさんの不良アルバイトを雇っているじゃないかという訴えがあったら、一応それを調べるのはあたりまえでしょう。調べた結果、いや、それは監査したけれども問題がなかったとか、あったとか。あたりまえでしょう。私の方は資料を出しましょうとあなたに言ってんですから。あなたの方はその資料を受けて調べるところまで調べるのはあたりまえじゃないですか。国会の正式の場で問題にされたやつをどうして逃げるんだ、君は。なぜ調べないの。調べた上で、たとえばここは誤りがなかったとか、ここは誤解でしたとか、ここはこうしましたというのがあなたたちの仕事でしょう。どうですか、それは。
○委員長(目黒今朝次郎君) ちょっと速記やめてください。 〔速記中止〕
○委員長(目黒今朝次郎君) 速記起こして。
○説明員(棚橋泰君) 若干誤解を与えたような答弁をして申しわけないんでございますけれども、私が申し上げたのは、札幌陸運局では定期監査とか、臨時監査とか、いろいろな監査もございますし、先生がただいま御指摘のほかにもいろいろな点で御指摘を受けておる点もございますので、監査計画とか時期、その他の問題については陸運局長にある程度任せざるを得ない。先生からお話がございまして、早急に調べたいということを私がお答え申し上げたということを陸運局長に伝えて、しかるべく措置をするように命じたいと、こういうことでございますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
○安恒良一君 何か持って回ったことを言わないで、後であなたではだめなら私が大臣に言うわな。問題を国会で提起されたら、それを解明をするというのはあなたたちの仕事なんだよ。そんなことは当然なんだよ。順序が早いとか遅いとか、そんなことは部内の問題であって、こういう違反のおそれがあるということを持ち込まれたら、それを持って帰って、早速違反の事実があるのか、ないのか、調べるのはあなたたちの責務じゃないの。そんなもの、持って回ったような言い方してもらいたくないね。 そこで労働省にこのことについてお聞きしますが、あなたたちも新二・九通達か二七といろいろありまして、これは労働基準行政にも関係する問題ですね。この点についてどういうふうに対処されますか。
○政府委員(松井達郎君) いまのはアルバイト運転者を含めましたハイヤー・タクシー運転者です。御存じのとおり長時間労働の実態がございまして、労働時間管理が必ずしも適切でない例が多いわけでございますから、いま先生おっしゃいましたように、新しい二七通達、それからまた労働基準法そのものに照らしまして、ハイヤー・タクシー事業につきましては、重点業種ということでやっておりますので、厳正なる監督指導をやっていきたいというふうに思っております。
○安恒良一君 労働大臣、運輸大臣がおいでにならなかったから、鈴木内閣の関係閣僚としてお聞きをお願いしておきたいんですが、私は交通産業で人命を預かる場合に、やっていいことと悪いことがあると思うんですね、これは。そういう意味からいいまして、オール歩合とか、歩合が四十何%とか、そういうような嘱託とか、それからアルバイト乗務員というのは、これは交通事故を起こすもとになります。そういう意味で、運輸行政、労働行政両面から、私はたまたま私の手元に北海道の資料が来ましたから申し上げたんですが、どうも最近全国的にハイヤー・タクシー業においてこれがだんだん横行している、こういうふうに考えて、私ども社会党としても非常にこのことを注目いたしています。ですから、どうか運輸大臣とも御相談をいただきまして、ハイヤー・タクシー業界における嘱託とかアルバイトとか——いまさっき言われたように、たとえば定年後に、フルタイムできないから半日とか隔日とか、こういうものを言っているわけじゃありません。こういうものを言っているわけじゃありませんが、いま私が具体的実例を挙げたようなやり方については、非常に問題があるわけでありますから、どうかそういう点は労働、運輸行政両方相まってひとつ善処方をこの際お願いをしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(初村滝一郎君) いま北海道の問題を例にして御質問があって、運輸当局から御答弁がありましたが、これは人命尊重あるいはまた労働行政にも非常に関係がありますので、先生おっしゃるとおりに、閣議の場で、特に運輸大臣にかようしかじかな問題があったよということを私から申し上げて善処していきたい、かように考えております。
○安恒良一君 終わります。
○中野鉄造君 今回の臨調の答申は、その基調に社会の安定ということを強調したものと言われておりますけれども、その一方では最近再び失業者の増加率が目立ってきております。今後この答申を踏まえていかに対処されるおつもりか、大臣の御見解をまずお尋ねいたします。
○国務大臣(初村滝一郎君) 新七カ年計画で失業率が一・七%、昭和六十年度における完全失業率の目標を一・七%としておるわけなんです。そして雇用の安定のため、諸般の対策を推進してきたところでありますけれども、最近の雇用情勢は、景気の低迷を反映して就業率が非常に悪い。したがって、私どもはそれを何とかしなくてはいけないということで、さしあたり公共事業の前倒しをやった。したがって、それによって雇用が急によくなったということはあり得ない。これを積極的にさらに推し進めていく必要がある、かように考えます。したがって、今後とも経済、雇用の動向に即応したいろいろな諸対策を機敏かつ強力に推し進めていくということでございます。したがって、近年国際情勢等においてもいろいろと取り方があるわけなんですね。特に、欧米諸国あたりは、ことしの末、来年の上旬には景気がプラスになるというような状況もありますので、さらにそういう情勢を厳しく踏まえて、私どもは、特に日本においては高齢化社会が進むわけですから、こういうものに対処していかなければいけない、かように考えております。
○中野鉄造君 これから順次手を打つということでございますが、先ほどからも質問があっておりました。私もそれに関連してちょっとまた大臣に再びその見解をお尋ねいたします。 今日の世界の経済の前途が非常に不安定な上、不穏な国際情勢も絡み、日本の経済の将来展望は、これはきわめて不透明なものであろうと思います。したがって、国内経済の見方については、これは今日いろいろと取りざたされておりますが、大別すれば二つあるんじゃないかと思います。 一つは、大蔵大臣あたりがしばしば言われているように、公共投資を少々ふやしても、景気浮揚力というのはこれは弱い。つまり日本経済の潜在成長率というものが、第二次オイルショックで決定的に湿り切っているので引火性がない。こういう見方。 いま一つは、まだ実質五%程度の成長を維持する力は温存しておるから、公共投資の増強が景気再燃への点火剤となり得る、こういう見方があるんじゃないかと思います。 大臣はいかがですか。
○国務大臣(初村滝一郎君) その人その人の見方にもよると思うんですが、私は、景気対策というものは公共事業がまず身近である。したがって、そういう意味からも、手っ取り早い話として、昭和五十七年度の公共事業の前倒しを早くよけいやれと言うわけなんです。あるいは一方では、消費の拡大、これが一番大事である。そういうことで減税問題も、先ほど安恒先生が言われたとおり、一兆円でも私はもう少ないと思う。さらにそれ以上のものを減税等においてもやるべきである。それで消費拡大に持っていかなければいけない。また後半における公共事業の先細りも、最低三兆以上のものを建設公債等においてやるべきである。これが一番景気刺激になるんではなかろうか、かように考えます。
○中野鉄造君 五十六年度の経済成長率が実質二・七%、政府の見通しを大幅に下回っております。失業者の問題も、景気後退、浮揚の兆しも見えない現状が今日まで続いておりまして、五十六年度の失業者の増加というものについても、先ほど大臣からのお話があっておりましたけれども、こういう実態に対して、いまそうした公共事業の前倒しということを言っておられますけれども、労働者として具体的にはどういう施策をお考えになっておりますか。
○政府委員(谷口隆志君) 最近の経済動向、それに基づきます雇用失業情勢の悪化につきましては、昨年の中ごろから、あるいは昨年の初めごろから、すでにだんだん悪くなってきておりまして、求人倍率等も〇・五八まで下がってきております。この数字は先ほど言いましたけれども、五十二年から三年の一番悪い時期に近づいてきておるということでございまして、そういう雇用失業情勢を背景に、適切な経済運営がなされて雇用需要が喚起されるということはまず必要でございます。 労働省におきます施策としての雇用対策といたしましては、一つには、できるだけ失業の予防を図るという意味で、生産調整をしなきゃならない場合に、休業するというような場合に、雇用調整助成金のようなものを支給する制度がございますが、これを機動的弾力的に使ってできるだけ失業の予防を図るとか、あるいはやむを得ず離職された方々につきましては、一つは、職業安定機関全力を挙げまして、現在求人開拓に取り組んでおりまして、そういうものをもとに就職の促進を図るとか、あるいはその離職者の中でも就職が困難な高年齢者の方とか、心身障害者の方につきましては、特定求職者雇用開発助成金という、雇っていただいた事業主に月々賃金の一定割合で支給する助成金もございますが、そういうものを活用するとかというような施策、現在いろんな雇用対策の手だてがございますが、そういうものをひとつ機動的弾力的に使ってこういう事態に対応していこうということで、従来からやっておりましたけれども、六月段階では、全国的にこの指示を強化徹底して現在やっておるところでございます。
○中野鉄造君 先ほど大臣もお答えになりましたように、本当ならば三兆円くらいの大幅な公共事業が必要だということを言われました。果たしてそれがなるかならないかは今後の問題でしょうけれども、労働省の皆さん方が一生懸命失業者の減少に力を入れられる、それによって——これまた今後のことではありますけれども、その見通しとしてはいかがですか。いま現在のところ、百二十万人程度を予想されておったのが、五十七年度も依然として百三十万人台から百四十万人台と続いておりますけれども、今後、努力は努力として、いかがですか、減る見通しありますか。
○国務大臣(初村滝一郎君) 私は先ほど、公共事業の追加を三兆円はぜひやらにゃいけない、これは私の持論でございまして、政府・与党においてもそういう決議もしておるらしいんです。したがって、閣議においても、私が労働省を預かってから失業者が二十四万人ふえておるんですよ、労働大臣はこれをじっとしておられませんよ、したがって公共事業等も追加しなさいよという発言を再三やっておるんです。そのときには非常にいい前向きの官房長官のお答えがあるわけなんです。ところが一方、大蔵大臣がよそに行って話せば、公共事業を建設公債でやる必要はないとかなんとか、こういう話をするわけなんです。それはその人その人の考えでございますけれども、何といっても失業者を、ふえておるわけですから、これを減らすように努力することが、労働大臣として、また労働省全体としてでも、大きな課題の一つである。そういう方向でやっていけば、私は、徐々に景気の回復とともに失業率も回復すると、かように考えております。
○中野鉄造君 そこで、ちょっと今度は方向を変えますが、雇用問題を取り巻く環境というものは、最近いよいよ非常に厳しくなってきておりますが、特にこの厳しい現在の雇用状況の中で、来年卒業される学生の就職状況について、例年とは違って厳しい措置をとっておる企業の姿勢を見受けるわけですけれども、学生諸君の就職に対する不安の色は、これは一層深いのではないかと、こう思います。 特にその中でも、かつての経済高度成長時代には金の卵として歓迎された中卒者の面影は、いまや経済不況のしわ寄せで、もろにそのしわ寄せを受けて、いまや弱者に成り下がっているわけです。すなわち全日制高校に進めなかった中卒の勤労青少年の就職がこれまたきわめていま困難になってきていると聞いております。定時制教育そのものが一段と悪化の状態にあるということも聞いております。文部省に伺いますが、いま私が申しましたようなことで、定時制教育あるいは通信教育、そういうものがいまどういう状態にあるか、あるいは今後の見通し、いかがですか。
○説明員(中島章夫君) 定時制、通信制教育についてのお尋ねでございます。 最新の数字で申しますと、定時制の生徒は十三万七千人ほどでございまして、昭和二十八年に五十六万人を抱えておりました定時制と比べますと、非常に数が減ってきております。定時制の生徒のいま一番の特徴は、本来働きながら学ぶという定時制教育が、そういうことでスタートをしているわけでございますが、全日制にいけない結果、定時制へという形で定時制教育へ流れ込んでくる生徒もいるという状態で、非常に多様化しております。 それから通信制につきましては、現在十二万人余りの生徒が学んでおりますが、これにつきましては、数字は横ばいでございますけれども、約三分の一は二十歳以上、特に主婦層が非常に多くこの通信教育の中に入ってきていると、こういう状況でございます。 現在、全日制高校を含めました高校への進学率が九四・三%になってきておりますので、戦後の定時制教育の概念とは大分変わってきておりまして、全体としまして、生涯教育的な機能、様相を呈してきているという面がございますが、私どもといたしましては、あくまでも定時制、通信制教育の主体は勤労青少年のための教育機関であると、こういうふうに考えているところでございます。
○中野鉄造君 去る三日、四日の二日間にわたって福岡で、全国高校定時制通信制教育振興大会というのが開催されておりまして、その席で、健全な定通教育、定時制、通信制ですね、定通教育を続けていくには、就職の確保が前提であるという、そういう認識に立って、勤労青少年福祉法で、何とか法的にこれらの人たちを優先雇用、これを義務づけるような施策をとってもらいたいということが提案されておりますが、こうしたことについて私、思いますのは、こういう思春期の人たちの失業者の増加ということは、最近の犯罪の低年化の傾向から見ても、高齢者の失業増加とはまた異なった面から、治安の上からも非常に憂慮すべき事態を惹起しかねない社会問題になるんじゃないかと、こういう気がするわけなんですが、大臣、いかがですか。
○政府委員(谷口隆志君) ちょっと事務的に。 御指摘のございました定時制あるいは通信制の高校、中学もおられますけれども、高校、中学の卒業生の方たちの就職問題、非常に重要な問題でございまして、私どももかねてから、全日制課程の卒業生との間に差別的な取り扱いが行われないようにということで、都道府県とか経済団体に対する指導を行っておるところでございます。 定時制課程などの卒業生は、全日制課程の卒業生と比較いたしますと、夜間修学とか、卒業時の年齢が高いという違いはありますけれども、職業生活上必要な学力とか知識、技術の面において、基本的な差異はないというふうに考えておるところでございまして、したがいまして、労働省といたしまして、定時制課程等の卒業生の就職問題につきましては、事業主の方々が、それら卒業生の持っております適性とか能力とか、あるいは知識とか、技術とか、こういうものを適正に評価していただきまして、それに見合った採用条件で雇用することが、就職の機会を確保するために必要なことでありますので、そういう観点から進めておりますし、今後とも引き続き事業主等に対しまして、それら卒業生の採用に当たって、差別的な取り扱いをしないようにという啓発指導を積極的に進めてまいりまして、円滑な就職が行われるように努力していきたいと思っております。 御指摘のございました定時制課程の卒業生の優先雇用の法制化の問題につきましては、これら卒業生の就職問題が、いわゆる求人とか雇用の機会が少ないということよりも、むしろいま申しましたような、事業主の方で全日制ととかく差別しがちだとかいうようなことから見ましても、職種とか、適性とか能力に応じた職業につくというところで問題があるように思われるわけでございますので、何名必ず義務づけて雇用するというよりも、そういう能力とか適性に見合った就職ができるような援助なり、あるいは事業主に対する啓発の指導を進めていくことが必要ではないか、こういうふうに考えて取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお尋ねについて詳細に事務的に局長からお話があったわけでございます。私は、失業に対する問題は変わりはないわけです、高齢者にしても、勤労少年にしても。しかしながら、勤労少年が働いて勉強する、将来の自分の方針を立てるということは、非常に貴重な日本人の財産だと思うんです、本当に。 そういう意味からも、特にさっき言われたような勤労青少年福祉法ですか、あれを適用して、法の改正でもして保護すべきじゃないかというような御意見がありました。本当に貴重な意見と思います。そういうことで今後研究して、どういうふうに法律がつくられるものかどうか、重大な問題でありますから研究してみたいと思います。
○中野鉄造君 どうかひとつその点よろしくお願いいたします。 文部省の方ですが、この職業教育ということについて、先ほど昔のあれとはちょっと違って、生涯教育的な要素を帯びてきたというお話がございましたけれども、そういう傾向性はあるとしても、今後の方針といいましょうか、どういうふうなお考えなんですか。
○説明員(中島章夫君) 定時制、通信制教育の今後のあり方につきましては、実は先ほど先生からお話がございました定通教育のことしの振興大会でも、非常に真剣に議論がされたところでございます。全日制そのものも非常に多様化してきておりまして、今回の学習指導要領の改定は、その多様化弾力化ということを最大の眼目にしているわけでございますが、定時制、通信制の場合は一歩これに先んじております。 そういう意味で、私どもはできるだけ生徒の側から、学習しやすいようなそういう学習内容なり条件というものをできるだけ探っていこうということで、多様化弾力化ということを前提にしながら、勤労青少年のための教育の機会としてふさわしいものにしていきたい。 これが基本でございますけれども、先ほど申しましたようなかなり生涯教育的な機能も入ってきておりますので、またこれがある部面、定時制教育全体としては、数が減ってきておりますこの定時制教育に活を与えている面もございますものですから、こういう両方にらみながら定時制、通信制教育のこれからの方向をみんなで探っている、こういう状況でございます。
○中野鉄造君 文部省、結構です。 次に、再び失業問題に戻りますが、先ほどから大臣の非常に力強い御答弁をいただきまして、ひとつ初村大臣頼りにしていますよという、そういう気持ちを私も強くしたわけでございます。 ところで、この失業者の中に、主婦の方だとかパートの方あるいは保険の外務員の方々がかなりいらっしゃるわけですけれども、こういう方々が雇用保険、失業保険が適用されていない方々がかなりいらっしゃるわけなんですね。特に保険の外務員の人数はいま三十四万人というようなことを言われておるわけですが、雇用契約の上からもこれはいろいろな問題があろうかと思います。労働省として、この雇用保険を適用できるような前向きな姿勢を御検討されるあれがあるのかどうか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(小粥義朗君) 先生お尋ねの保険の外務員に対する雇用保険の適用は、現在も一部についてはやっているわけでございます。ただ、外務員の方の勤務の形態がいわゆる労働者性といいますか、それがある場合と必ずしもない場合と、いろんな形態がございますので、雇用保険を適用する場合は、当然雇用関係のもとで働くということが前提になりますために、たとえば勤務の形態も、毎朝一定の場所に集まってそれから外勤につくとか、いろんな拘束を受けるわけでございますが、そういう形をとるところと、とらないところとで、保険の適用関係が違ってまいるものですから、そうした企業の管理の仕方によりまして左右される面があることは否定できないんです。 私ども、実態が、そういう意味で、労働者性を持ち、いわゆる常用労働者として働いておられる方々については、当然雇用保険の適用は図っていくべきものというふうに考えております。
○中野鉄造君 そうすると、それは前向きに今後検討していくと、こういうことですか。
○政府委員(小粥義朗君) はい。そうした常用労働者としての実態を持って働かれる方々について適用するよう前向きで検討してまいりたいと思っております。 ただ一部の方にいわゆる勤務時間がきわめて短い方がございます。これはいわゆるパートタイマーの方々とも共通する面があるわけでございますけれども、それは従来もパートタイマーの方に対する保険の適用は、一定の基準をもちまして適用しておりますから、できれば、そうした基準に該当するような形で勤務の形態等がちゃんと整えられれば、これは適用も可能になってまいろうかと思っております。
○中野鉄造君 時間の都合がありますので、次は退職金のことについてお尋ねいたします。 こうした最近の長期化する不況の中で、企業倒産も徐々にふえつつあるし、また今後増加するんじゃないかということが懸念されますが、賃金不払事件だとかあるいは退職手当の不払い、こういったようなものがかなり増加していると聞いております。 そこで、このような事態に対処するために、昭和五十一年に賃金の支払の確保等に関する法律が制定されておりますが、実態は企業の努力義務にとどまっておる。実質的にはそれが保全されているとは言いがたい状況ではないかと思います。 この不払い問題は、四十九年以降落ち込んでいるとはいうものの、発生件数が五十六年四月から九月末までの期間において七千三百件、金額で八十五億三千七百万円に上っております。いろいろと監督署だとか、そういう関係官庁の監督指導によって解決している数も少なくないと思いますけれども、それでも支払い不能になるものもまたこれも少なくない。こういうような状況は今後少なくなっていくというような要素が余り見当たりませんけれども、四十九年以前のオイルショックとは違う深刻な不況が定着したような、あのときの一過性的なものではなくて、定着しているような状況であろうと思います。したがって、こうした不払い問題に対して、労働省としてはどういう措置をとられますか。
○政府委員(松井達郎君) いま先生が御指摘のように、賃金の不払いというのはなかなか減らないということで、金額、件数、先生先ほどおっしゃいましたように、昨年の上半期にも相当の額、件数に上っております。 それで、これに対処する方法といたしましては、一つは、もちろん基準法でございまして、不払いがあれば、これは基準法違反でございますので、これにつきましては、まず直ちに送検すると申しますよりも、むしろ指導でいった方がいい場合がございますので、まず指導して払えるようにやっていく。それでもできない場合は、今度は基準法に従って送検するという手続に入るわけでございます。 もう一つは、先生御存じの、いま御指摘がありましたとおり、立てかえ払い制度ができまして、これの活用ということになってまいるわけでございますが、これにつきましては、御存じのように一定の限度額がございますし、範囲もございますが、それにしましても、企業の倒産とかいうようなことで苦しんでいる労働者の人にとっては、この立てかえ払い制度の活用というのは非常に重要な方法であろうかというふうに思っております。
○中野鉄造君 いまおっしゃった立てかえ払いなんですが、これが退職金の場合、五十八万円の八〇%が限度、こういうように思いますけれども、今日のいろいろな物価高の時代で、退職者の方々にとっては、これだけの金額、ないよりましに決まっておりますけれども、これはもうとてもとても十分なんということは言えませんし、今後こうした物価高とにらみ合わせながらこの改定というものはお考えになりませんか。
○政府委員(松井達郎君) 先生いま五十八万円とおっしゃいましたが、御存じのとおり、今年度から改正されまして六十一万円というふうになっておるわけでございまして、その限度額の八割ということでございます。 それで、これは一挙に改正というのは非常に困難でございますが、来年度につきましても、逐年この上限額については改善を図っているところでございますが、来年も従来のペースを考えながらやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。 ただ、こういう金額で退職金間に合うかと言われれば、これは確かに大変でございますが、一方、これは労災保険保険料を原資としているわけでございまして、いわば共通の原資から成り立っておるわけでございますから、巨額の退職金の不払いを全部補てんするというわけにはまいらぬのでございまして、そういうところから考えて、ただいま申し上げたような金額で不払いに対処しておるというところでございます。
○中野鉄造君 それで、この立てかえ払いをして、これはまた支払ってもらう義務があるわけですけれども、それが支払えないというところでの焦げつき、そういうのは今日どのくらいありますか。
○政府委員(松井達郎君) 先生のおっしゃいました焦げつきというのは、実は意味がちょっとはっきりいたしませんのでございますけれども、制度運用以来立てかえ払いをいたしました金額が百五十億円でございます。そのほとんどがこれは実は立てかえ払いでございまして、労働福祉事業団が立てかえておりますので、債権は労働福祉事業団がかわって取得するわけでございますけれども、これは労働福祉事業団として立てかえた分を回収できないというふうにはっきり決まった額は六十六億円でございます。
○中野鉄造君 五十六年四月から九月までの賃金不払い事件を業種別に見ますと、件数では、建設業が二千二百八十一件、全体の三一%、次いで製造業が千三百七十三件、一八・八%、こういうふうになっております。問題の大きな要因は、景気の低迷と先行き見通しの暗さというようなものが考えられますが、中小企業に多い今日の企業倒産を見ますと、政府としても、倒産企業を救済する制度を確保していくことが、これはこれから非常に大事なことになるんじゃないかと思います。 中小企業退職金共済事業団の概要、それからこれに加入しているのは全体の企業のどのくらいなのか、また加入していない企業はどういうような理由で加入しておられないのか、その辺をお尋ねしたいわけです。 それといま一つは、零細企業においては現行の適格退職年金制度を導入できないわけですけれども、企業年金制度の重要性にかんがみまして、この際、零細企業への企業年金制度の導入について、これは検討すべきじゃないかと思いますが、この点についてもお尋ねいたします。
○政府委員(松井達郎君) お答えします。 中退金制度の仕組みの概要とおっしゃいましたのですが、これは簡単でございますのでかいつまんで申し上げてみますと、労働者数三百人未満、もっとも卸売とか小売、サービスではもっと低いわけでございます。それから資本金につきましては、一億円未満というような企業で、退職金制度を持ってないというところにつきましては、これは掛金千二百円が最低限でございますけれども、これを出していただきまして、そして事業団に掛金を振り込んでいただいて、これを運用して一定の長さに応じまして、それで退職金としてその企業に勤めている労働者が退職する場合には支払う。政府としましては、三年以上退職金をお積み立てになる場合には、これに補助金を出すという仕組みで、通常の掛金をためたよりは多い金額、しかもその間に運用を上手にやっていって高めるということで努力をいたしておるわけでございます。 〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕 それで、これがどの程度普及しておるかという御質問でございますけれども、これにつきましては、労働省で調べました退職金制度調査、これによりますと、これは三十人以上の企業を対象にしておるわけでございまして、それ以下のものを対象にしていないわけでございますので、その点網羅的な調査ではないことを御了承いただきたいわけでございますけれども、まず退職金制度そのものを持っている企業は、三十人以上の全企業のうちのどのぐらいあるかと申しますと、大体七七%ぐらいあるのではなかろうかと思います。それの大体四分の一ぐらいが中退金制度を利用しておるということは言えますので、大体二〇%弱の三十人以上の中小企業、先ほど申し上げましたもう一つ上の限界があるわけでございますけれども、これが中退金制度に加入しておるということが言えるのではないかと思います。 それで、どういうところで利用がおくれているかということになりますと、退職金制度は、これはこの前の労働白書にも書いてございますように、小規模の零細企業とか小売、サービス業とか、こういうところでおくれておりますので、中退金制度につきましても同じようなことが言えるのではないかと思いますが、実はそこまで業種で分類したものにつきましてはちょっといま手元に持っていない状況でございますが、これは逐年加入者がふえておりまして、加入者数にしますと、大体毎年五、六千人ずつぐらいふえていっている状況ではなかろうかというふうに思います。 なお、企業年金の問題につきましては、これはまことに恐縮ですが、労働省というよりは厚生省の問題でございますので、御容赦願いたいと思います。
○中野鉄造君 先般、労働大臣の私的調査機関であります賃金研究会から高齢化社会における退職金制度のあり方ということについての研究報告がなされておりますが、その中で私、特に関心を持っておりますのは、退職金制度の充実に関連する諸問題でありますが、特に次の諸点について労働省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。 一つは、定年制の延長に際して、退職金支払い額の算定の基礎となる賃金は、旧定年時の水準に据え置く例が見受けられますけれども、この点はいかがなもんですか。
○政府委員(松井達郎君) 賃金研究会としては、定年延長の見地から退職金の問題が非常に重要だということで、このような御指摘をなさったんだろうと思います。 それで、先生おっしゃったように、据え置く場合とか、あるいはベースアップの場合にも一定率しか繰り入れないとか、いろいろな方法をとっているわけでございます。もしそのような方法をとらない場合には、これは定年が五十五歳から六十歳に延長されるというような場合には、いままでと同じ割合で計算していきますとかなり巨額なものになってしまう。それなるがゆえに定年延長が困難であるということになりますと、これまた定年延長がなかなかスムースに進まない一つの阻害要因となるわけでございますので、そういう見地からこのような提言をなさったのだろうと思います。 それで、これは私ども基準局の方ではございませんのですが、たとえば高齢者協会におきましては、たとえば定年延長をした場合に、退職金をどのように考え、繰り入れ率をどうするか、このようないろんな場合を想定しまして、モデルをつくりまして、これを各企業に提供するというようなことで、定年延長を行うに当たってのサービスのような仕事も近く始めるということで予定しておるわけでございまして、私どもとしましては、どうあるべきだということを一概に言うというよりは、労使でお決めになることでございますので、その場合の労使の決定を側面的に支援するというようなことでやっていきたいということで考えておるところでございます。
○中野鉄造君 先ほども触れましたけれども、この賃金の支払の確保等に関する法律によって、原資の保全措置が確実に講ぜられるように、これは保証保険制度の創設ということについてはどうお考えですか。
○政府委員(松井達郎君) この倒産などに備えまして、賃金の、あるいは退職金の原資が確実に保証されるというような仕組みを考えることはなかなか私も大変なことだろうと思います。 それで、一つは、会社更生法を検討しました場合にも、共益債権に組み入れるものをどうするかとか、あるいは立てかえ払い制度をつくったのもやはりその趣旨から考えたわけでございますし、いろんな方法があるだろうと思いますんですが、いずれにしましても、私どもとしましては、できる限り退職する人について、こうむる不便と申しますか、損害を少なくするということは重要なことだと思っております。 いろんな改正を、あるいは制度の仕組みを考えてきたわけでございますが、いま早急にどのようなことをそのほかに考えられるかということになりますと、非常にむずかしいわけでございますが、たとえば中小企業退職金共済事業団の行います、先ほど先生の御指摘の中小企業退職金共済制度、これは企業の外に掛金を掛けまして、退職金を積み立てるわけでございますから、これは倒産ということとは全く隔絶されるわけでございますんで、こういう制度の利用というのは重要なのではなかろうかということで、労働省としても中退金制度の普及には力を入れていきたいというふうに思っております。
○中野鉄造君 もう時間がありませんので、最後に一つだけお尋ねいたします。 これは年金制度ですから厚生省所管になるかとは思いますけれども、この研究報告の中でも最後に触れられておりますが、企業年金というものは、最近こうした不況の中で短期に職場をかえていく人たちが非常に続出しておりますところから、短期勤続者に対しては企業年金というものは支払われないわけなんですけれども、そうしたいろいろな事情で企業間を移動した労働者に対しては、何とか企業年金の通算制度というようなものが採用されないかどうか。この辺のところはいかがなものでしょうか。
○政府委員(松井達郎君) 短期に移動する場合の企業年金の通算ということになってまいりますと、私自身も、厚生省の仕事でございますので、全く恥ずかしいことですが、勉強したことがございませんので、この点につきましては、通算ということになりますと、どうしたらいいのか的確にお答えすることができませんので、このことにつきましてはしばらく勉強さしていただきたいと思いますが、ただ、企業をかわるというときの退職金の問題につきましては、御存じのとおり、中小企業退職金共済制度につきましては、酒とか林業とか建設、こういうわりあいに企業を転々とかわりやすいというものにつきましては、これは共通の共済組合制度を設けて、このような制度でいま言われたような問題については対処する制度をつくっておりますんで、こういうような特に転々と労働者がかわりやすい業界につきましては、この制度の普及を図っていきたいと思っております。
○中野鉄造君 これは大臣に報告が来ていると思いますがいかがですか。
○国務大臣(初村滝一郎君) 労働大臣あてに来ておるそうでございます。文書が来ておるそうでございますが、私、中身を十分検討しておりません、正直なところ。 非常にむずかしい問題のようでありますけれども、各事業の共通した共済制度というものもあるということでございますから、なるたけそういうふうなものに当てはまるようにさらに検討してみたいと、かように考えます。
○中野鉄造君 終わります。
○沓脱タケ子君 それでは、短時間でございますので、簡潔にお伺いをしたいと思います。 まず最初に、個別問題で婦人差別についてお尋ねしたいと思います。 六月十七日の労働省の発表によりますと、男女差別定年制度の解消というのがかなり前進をいたしておりますね。四年間で六五%の企業が撤廃をしたという報告がなされております。男女差別の解消、こういった現象というのは、明らかに国際的または国内的な世論と運動の成果、さらにまた労働省の行政指導のたまものであろうというふうに思うわけでございます。 ところが、こういった中で相も変わらず男女差別の制度が堅持されているというふうな、しかも公的機関があるということでございます。これはお手元にも差し上げてありますが、佐賀県の唐津の日赤病院で、定年制ではなくて、これは退職勧奨を行っているというのがあります。しかも、その際の勧奨年齢に男子六十歳以上、女子五十五歳以上と差をつけておるわけです。こういう文書を病院側が労働組合に提示をしておりますが、これは明らかに男女差別だと思います。 〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕 こういうふうに明記をして、退職勧奨ではあっても、男女年齢を別にして明記して行うということは、労働省としても好ましいものではないんではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
○政府委員(高橋久子君) 女子であることのみを理由といたしまして、退職勧奨年齢に男女の差を設けるということは、基本的には男女平等の原則からも好ましいことではございません。私どもは男女差別的制度が改善されますように啓発に努めているところでございます。
○沓脱タケ子君 それで、唐津の日赤病院というのは、昭和四十四年に退職勧奨に応じなかった職員を解雇したということがありまして、これは裁判で係争中なんです。五十二年の一審判決では、男女差別でないという判断を示されたんです。これは非常に私ども非常識だと思いますけれども、そういう判決が出たんですね。その後、最高裁では有名な日産プリンスの中本判決で、男女差別定年は無効だと断定をされているわけです。そういう点で、唐津の日赤病院ではこういう明記した文書を依然として出しているという点、日赤ともあろうところがいかにも非常識だと思うわけです。 調べてみますと、日赤関係の病院で、唐津のほかに、松江では男子六十歳、女子五十五歳、山口では男子六十歳、女子五十七歳という年齢差別を設けているわけです。したがって、これは日赤本社の方針ではないかというふうな気もするわけです。そこで日赤本社の方針であるのかどうかという点を調査していただきたい。同時に、唐津だとか松江あるいは山口、この各病院についてはひとつ事態を調査して、好ましくないやり方というのが是正できるように御指導をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(高橋久子君) 日赤病院の退職勧奨年齢につきまして、私どもはただいま個々の病院の実態を十分に把握しているわけではございませんので、今後実態の把握に努めたいと存じます。そしてその実態を踏まえて適切に対処をしてまいりたい。このように考えておりますが、唐津の赤十字病院の事案につきましては、現在福岡の高等裁判所で係争中でございますので、その推移を見守っていきたいというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 私は、裁判とは別に、こういった明らかに差別を明記するような文書が麗々しく引き続き出されるというふうなことがまかり通ってはならないのではないか、こういう点を特にただしたいと思って実は伺ったんですね。裁判にはいろいろないきさつもあるようでございますから、その辺を含めて御調査を賜って対処をしていただきたいと思います。その点いかがでしょう。
○政府委員(高橋久子君) ただいま申し上げましたように、裁判に直接かかわりますことにつきましては、その事態の推移を見守りたいということでございますが、それとは別に退職勧奨年齢に差があるのではないかというような御指摘もございましたので、それは私どもの方で実態の把握に努めまして、その結果に基づいて適切な対処をしていきたいと、このように考えております。
○沓脱タケ子君 それでは、時間がありませんのでその問題はぜひよろしくお願いをしたいと思います。 次に、臨調の基本答申が先月末に出されました。臨調の基本答申に対しまして閣議でもいろいろと御意見が出たなどという報道がございます。大臣の御見解というのは、余りコメントを拝見しておりませんので、まず臨調基本答申に対する大臣の御感想ですね、それをひとつお聞かせを賜りたいと思います。
○国務大臣(初村滝一郎君) この前の閣議で、臨調から答申が出た、それを中曽根長官が発言したわけでありますが、さらに来月の十日、政府見解として皆さんにお諮りをいたしたいという発言をしたわけなんです。ところが、ある大臣が、十日に決めちまっちゃったらわれわれの考え方は何も言われぬじゃないか、だから個々の問題もこれあり、十日前までにそれぞれの意見を聞く機会を与えてはどうかという意見があったわけなんです。それがそのときの閣議の模様であります。 したがって、今回提出されました臨時行政調査会の基本答申については、後日、さっき言いましたように、八月十日政府のこれに対する対処方針が決定されるわけなんです。各省庁の組織の見直し、あるいはまた補助金の整理統合の問題、こういう問題はすべての省庁に共通したものでございますね。それから公務員等の給与のあり方等についても触れております。 そこで私は、今後の経済社会の変化に即応した労働行政を推進する観点に立って、十分これを研究して、それで答申の趣旨を十分尊重してまいりたいというのが率直の私の気持ちでございます。
○沓脱タケ子君 答申では労働行政、労働省に直接かかわるところというのが記述が少ないわけですね。しかし私は、労働省こそ本当にいま大臣が言われたように十分検討されてしかるべきではないかというふうに実は考えております。 といいますのは、労働省設置法の三条で定められておりますが、労働省の業務というのは労働者福祉と雇用対策でしょう、業務というのは。で、雇用について臨調がどういう位置づけをしているかということですが、これは「行政改革の基本的方策」の中で高齢者雇用の推進を求めている。また「行政改革の理念」の中では、活力ある福祉社会では雇用などに対する基盤的保障が確保されるとしている。何が何だか余りはっきりわからないわけですが、そういう記載があるわけです。 しかし現実は、すでに同僚委員からも質疑が出てまいりましたように、雇用失業情勢というのはきわめて急速に悪化してきておるわけなんですね。六月の完全失業率が二・四八プロ、それから完全失業者数は百三十七万人という二十六年ぶりの大変な事態に遭遇してきているわけですね。 で、労働省は、これに対する対策ですね、これはいままでもお聞きをいたしましたが、地方自治体に対しても通達をお出しになっておりますね。これは少しは効果があるでしょうか。
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど来申し上げておりますが、昨年からじわじわ雇用失業情勢が悪くなっておりますので、かねてからいろんな雇用対策を打ってまいりましたけれども、特にことしに入りましてからは、従来の素材産業だけでなくて機械関連等の業種でも、求人が減るとか、そういう事態で、総体的にかなりまた悪化してまいりましたので、六月には特に全国的にそういう雇用対策を強化するようにという指示をいたしたところでございまして、それなりの効果を果たしておると思います。 たとえば求人倍率等につきましても、六月が〇・五八、五月も〇・五八でございまして、まあ直接比較はできないんですけれども、たとえば完全失業者なり失業率はその間悪くなったんですが、実際私ども安定所を回ってみましても、求人開拓等には相当力を入れて求人を確保し、離職者の就職をお世話するとか、そういうようなこともございますけれども、いろんな面を通じてそれなりの効果はあるというふうに私ども考えておるところでございます。
○沓脱タケ子君 それで、先ほどからお伺いいたしておりますと、景気対策ということで三兆円というお話もすでに出ているわけですけれども、しかしこの景気浮揚対策も、臨調の方針だけでいきますと、きわめて困難ではないかというふうに思うわけですよね。 というのは、今日の不況の実態というのは消費不況、つまり国民生活が冷え切っているという点が非常に大きいウエートを占めているという点は、これは立場のいかんにかかわらず一致した見解になってきているわけですね。そういう中で、ですから、どうしても景気対策というのは、国民の購買力を向上させること、それから公共投資といいましても、生活密着型の公共投資を増加するということ、この二本の柱で拡大させていくということが不可欠になってきていると思うわけでございますが、臨調が求めているものはちょっとこれとは逆なんですね。 非常にはっきりしておりますように、福祉や文教などの部分を切り捨てて、つまり国民生活を犠牲にして片方で軍備拡大、軍拡を容認するという方向が、これは基本答申にも明確にされているわけですから、これで景気回復になるんだろうか、むしろ逆ではないかと思いますけれども、大臣、御見解いかがでしょう。
○国務大臣(初村滝一郎君) 臨調は、現在の赤字国債あるいはまた建設国債、こういうものが総体で九十兆にもなるから将来国がつぶれてしまう、この際あらゆるものを切り捨てて小さい政府でやれというような考え方でやっておるわけであります。 それはそれなりに理屈があると思いますが、私は、逆に税収の欠陥を招くようになったり、あるいは自然増収も大きく狂いを来すようになったりするということは、国民の消費拡大というものが力がなくなった、あるいは公共事業等においても十分その事業費が足らない、したがって、そこに税の増収に欠陥が出てきておるというふうに考えるわけだ。だからここで、景気浮揚の手を打って税金が自然と集まるように、また自然増収もできるような手を打った方がむしろいいのではなかろうか、こういうふうに考えます。 ただし、臨調の精神に基づいて、不要不急のもの、不必要なものはこれをきちっと切り捨ててしまう。補助金等についても若干手助け的にやっておるけれども、余り効果のないものはこれは整理すべきであると、こういうふうに考えております。 余分なことでございますが、たとえば公務員給与の問題、これもいろいろ言っておりますが、私は公務員全体の金額を制約せよということなんです。これはできると思うんです。自然退職者あるいは新規採用を若干縮めれば、総額の金額は縮まるわけですから。それを盾にとって、人勧とかあるいは仲裁裁定を切り捨てるというような精神はいかがなものであろうかと、私はこういう考え方をしております。 したがって、臨調に協力するのはやぶさかでない。やぶさかでないけれども、それよりもさらに、国のため非常にプラスになる点があれば、それを強く推進していくのが閣僚としての任務ではなかろうか。特に労働省は人を大事にするところでございますから、非常に関係が多いわけであります。したがって、私どもは各省庁の組織の見直し、こういう点について十分連絡を密にして今後の労働行政をやっていきたい、かように考えております。
○沓脱タケ子君 雇用対策だけでなくて、私は臨調の考え方という点で、たとえば労働者福祉対策ですね、この部分でも、そのまま受け入れるとすると対立するんではないかなあという心配を感じます。 といいますのは、たとえば労働時間短縮対策の目玉でございます週休二日制ですね、労働省は大変熱心にお取り組みになっておられますし、特に週休二日制の問題では、初村大臣のインタビューの記事を自由新報でも拝見いたしておりますけれども、非常に積極的に行政指導を行うという決意を述べておられるわけですね。それを進めていくというのは、大臣のお言葉をそのまま申し上げますと、「労働時間を合理的に短縮して、労働者にゆとりをもたせることは、気持ちよく働けるためにも大へん必要なことだと思うんですね」、「ぜひ、その意味で、この週休二日制は推進していかねばならない」というふうにお述べになっておられるわけです。労働者の国民生活におけるゆとりの大切さという点を大臣がお述べになっておるわけでございますが、私はこの辺で心配をしてきているわけです。 といいますのは、一方、臨調では必ずしもそう言っていないですね。私、労働大臣のそのお考え方というのは、労働大臣としてまさに的確だと思うんですね。だって労働省設置法に、「労働者の福祉と職業の確保とを図り、もって経済の興隆と国民生活の安定とに寄与する」ことが労働省の任務だというふうに明記されていることから見ましても、非常に的確だと思うんですが、そこで心配をするというのは、臨調はちょっと違うんじゃないか。臨調の基本答申では、福祉の向上はかえって国民の意欲を減退する、したがって自立自助を低下させ、社会の活力を失わせるというふうな考え方ですね。一般的に言われておりますように、ハングリー精神が活力を生むんだという、こういう考え方になっているというのは天下周知のことだと思うんですね、いろんな印刷物にも出ております。 そこで、これはもう時間がありませんから、御紹介はやめますが、御承知のとおりだと思います。こういうふうになってまいりますと、労働省の基本的な仕事であります行政指導という問題は、これは臨調の基本答申の方向と労働省の使命、任務と対立するんではないかなというふうに非常に心配をするわけです。 したがって、行政指導をどう見るかという問題ですが、なぜそういうことを申し上げるかといいますと、臨調の立場では行政指導は極力排除するということを要求しているわけですね。これは財界の主張でもいろいろあるわけですが、具体的に出ているものを拾いましても、たとえば週休二日制の問題、あるいは定年延長に対する労働省の行政指導に対しても、日経連やあるいは東商、日商が介入だというて抗議したり、日経連は、この間、一月の十三日に発表いたしました労働問題研究会報告でも、行政改革のねらいは、政府の介入を極力排しというふうに言って、そして年間労働時間を二千時間以下にするという労働省の行政指導についても、労働省の要らざる行政介入だというふうなことが言われ出してきているわけでございます。そういう点で私は、労働省、特に労働大臣のお立場と御決意というのが、この臨調基本答申が具体化されていく中では、非常に問われているんではないかというふうに思うわけです。そういう点で大臣の御決意を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(初村滝一郎君) 何でも労働省が制圧的に指導するわけじゃないんですから、なるたけこういう問題は労使協調、労使が話し合って納得してやってもらわなければいけないというのが基本方針でありますから、私どもは、仮に六十年六十歳定年にいたしましても、国家公務員、地方公務員はすでに法律でできておるんですよ、しかしながら皆さん方にこれを法律で法制化することは、余りにも早過ぎるから、指導で、ひとついかがなものでございましょうかということで、この前、文書も出したわけなんです。 さらに週休二日制の実施等についても、いろいろと批判がありましたけれども、まず金融機関等が四週間のうちに一回は週休二日制を実施しましょうということで、近く今年中にはそれが実施されるであろう、かように考えるわけなんです。 それから労働時間の短縮等についても、これは必ずロボットその他のものが機械化して生産されてくるわけなんですよ。そうすると、企業の方々は結局、人を始末するためにその機械を入れるわけなんです。入れればそこには首切りの問題が必ず出てくる。首を切らしては大ごとになる、失業問題と社会問題になってくる。 そこで、そのゆとりを週休二日もしくは時間短縮に回したらどうかというような指導をしていけば、日本の経済社会も世界に匹敵するようなりつぱな経済成長ができるんではなかろうか。こういう考えで、その信念を捨てません。そういう方向で今後の労働行政の指導をしていきたい、かように考えております。
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、最後にお伺いをしたいんですが、大臣の御決意、大変結構だと思うんですけれども、いま申し上げたように、民間活力の高揚のためには政府が労働行政でつべこべ干渉するなというのが、一本の筋として出てきているという点を非常に私ども心配いたしますので、大臣がいまそういった御決意を変えないとおっしゃった点をぜひ閣議でも御発言をいただきたいと思うわけです。 同時に、これは時間がありませんので、仲裁裁定については、これはことしの五月十三日の本委員会での大臣の御決意のとおり、これは即時完全実施をやるのが当然なんだから、ぜひやってもらいたいということをお願いを申し上げましたけれども、そのこともあわせて大臣に要請をいたしまして、最後に一言、閣議で発言をしていただけるかどうか、その点を伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(初村滝一郎君) いずれ十日の日にはそういう総括的な閣議決定をすると思う。そのときに必ず、いま言われたような民間企業を行政指導その他であんまり圧迫するなというようなことが臨調によって——まだ私はそれを見ておりませんけれども、見てそういうことがあれば、それはちょっと筋違いですよ、こうこうこういうふうな考え方で、労使協調という立場から労働省としては指導をやりますよということを発言をいたします。 それから仲裁裁定については、前にもお話がありましたとおりに、公労法の三十五条の精神に基づいてこれは実施しなければならないことなんですから、人事院勧告とあわせてこれは問題になると思うわけです。そのときに私は、公務員等の給与のあり方という問題の総枠の考え方と仲裁裁定の問題は、これは別個なんですから、それは強く発言をし、絶対完全実施させたい、かように考えております。
○沓脱タケ子君 終わります。
○前島英三郎君 私は、障害者の雇用促進対策につきましてお尋ねをしたいと思います。 まず、労働省関係の来年度予算に対する基本姿勢について伺いたいんですが、マイナスシーリングという状況の中にありまして大変心配でございます。昨年、国際障害者年の当該年ということで、障害者の雇用問題につきましては、それなりに前進を見ましたし、また社会的な関心も大きく高まったと思います。それがことし、来年、さらに再来年と引き継がれ、定着していくことが望ましいわけでありますけれども、行財政改革の名のもとに障害者の雇用対策までが後退させられるようなことがあってはならないと考えるものであります。 せっかくいわば雇用の場、就労の場に芽が出始めたという時期にも当たると思いますので、概算要求取りまとめの時期でもありますから、大臣に来年度予算の基本姿勢を伺っておきたいと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(初村滝一郎君) いまお話がありましたとおり、国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」、これを実現する上において、障害者の職業的自立の促進は特に重要であると私は考えておるわけであります。したがって、昨年の国際障害者年においては、政府民間一体となった啓発活動の成果も私はあったと思う。それから障害者の雇用状況は、全体として例年にない大幅な改善が見られておるということを聞いております。 したがって、幾つかの問題が残されておりますけれども、労働省としては、障害者対策に関する長期計画、これは総理府でやっておるわけですが、これを基本として中長期的視点に立った対策を積極的に推進してまいる考え方であります。厳しい財政事情の中でありますけれども、所要の予算の確保については、最大限の努力をいたすということで御了解を賜りたいと思う。そういう覚悟でございます。
○前島英三郎君 ぜひがんばっていただきたいと思いますが、この三月末と四月の上旬に当委員会で、特に障害者の雇用問題、その職種の拡大といいますか、車いすあるいは視覚障害者、さらには雇用の場で大変問題となっております脳性麻痺者の問題、特段の工夫と努力が必要であるというようなことを申し述べたところですけれども、来年度予算の概算要求の中で、特に視覚障害者、それから脳性麻痺の人々の雇用という部分ではどのような対策を予定しておられるか。もし予定があるといたしましたら伺いたいんですが。
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、今後の障害者雇用対策は、総理府の国際障害者年推進本部が決定しました障害者対策に関する長期計画と、それから身体障害者雇用審議会の意見書、こういうものを十分尊重いたしまして施策の充実に努めていくということといたしております。 具体的には重度障害者に対します対策が最大の重点でございますので、その雇用を阻害しております諸要因を把握しながら、可能な限り一般雇用の場に確保するよう、障害者の特性に応じたきめ細かな対策を講ずることを基本方針といたしております。 すでに先生も御存じのように、五十七年度におきましても、サリドマイド等による両上肢障害者に対しまして、特別の職業指導等を国立職業リハビリテーションセンターにおいて実施いたしておりますし、また視覚障害の方々に係ります特定重度障害者雇用率制度の改善も行うこととなっておるわけでございます。そういうことなど、障害者の特性に応じた施策を講じてきております。さらに、従来から障害の種類に対応したきめ細かな助成措置が用意されている納付金制度によりまして、重度障害者等特別雇用管理助成金などを積極的に活用いたしまして、特に就職が困難な障害者の雇用促進に努めていきたいと存じております。 五十八年度予算におきましても、やはりこのような基本方針に基づきました施策を充実するという考え方で、必要な経費が確保できるように、現在ちょうど概算要求提出に向けまして検討中でございまして、その際、御指摘のありましたような重度障害者の方々に重点を置いた対策の充実を図るべく、非常に厳しい財政事情の中で最大限努力をしてまいりたいと思っております。
○前島英三郎君 労働省の努力と、それから一般企業がどのように障害者を受け入れるか、そういう中にあって、障害者一人一人がどういう意欲を持ち、生きがいの中で自立ということを考えていくか、この三点がうまく絡み合ってこそ、これからの障害者の自立、就労、雇用問題というのも解決の糸口が見つかっていくだろうと思うんです。 その中で、一〇〇に対して一・五%の雇用義務が課せられておりますこの雇用促進法、納付金制度の創設から六年目になるわけですが、この間の納付金の収支状況の流れというものを振り返ってみたいと思うんですけれども、ある時期は積立金が巨額に上りまして、なぜ有効に使わないのかとさんざん言われただろうと思うんです。逆に最近では、財源が厳しいのでということで助成金の扱いがきわめてかたくなった。書類上の検査も、一時期あんなにお金があったのに、そのお金はどこへいっちゃったんだろうというような、そういう苦情なども寄せられているだろうと思うんです。新しい制度が発足したわけですから、一朝一夕にして安定した軌道に乗るとは思いませんけれども、労働省としても、そういう意味では暗中模索という面もあったことだろうと思うんです。 これまで六年間の納付金の収支の経過、その流れにつきまして、概要あるいはまた労働省はどう受けとめ、今後この納付金制度を絡めての障害者雇用というものをどう考えておられるか、伺えればと思いますが。
○政府委員(谷口隆志君) いま御指摘のありましたとおり、収入を年次別に見てみますと、せっかく収入がありながら十分使い切れないということで、この委員会その他でもおしかりを受けながらいろいろ考えたこともございましたし、また心身障害者の方々の雇用促進がなかなか進まないということで、まさに抜本的な内容を充実した助成金等も創設いたしまして進めてきたところでございます。 いま御質問のございました収支をざっと見てみますと、五十二年度から始められましたが、初年度は、収入九十七億五千六百万円に対しまして、支出が二十四億一千九百万円、五十三年度には、収入が百九十五億一千七百万円に対しまして、支出は六十二億二千七百万円、次の五十四年度が、収入百九十四億三千八百万円に対しまして、支出が百八億二千九百万円、五十五年度、収入百九十五億六千二百万円ですが、この年度から先ほどちょっと触れました非常に抜本的に手厚い施策を講じまして、支出の方は収入をかなり上回りまして二百六十七億八千万円、五十六年度も引き続き、収入は百八十四億八千八百万円に対しまして、同様な助成金等で支出が二百九十五億七千二百万でございまして、一時期、積立金が二百九十億円ぐらいございましたけれども、五十六年度末では百九億三千二百万円になっているというような状況でございます。 今後につきましては、先ほど来申し上げております、重度の障害者の方々の職業的自立をできるだけ図っていくという基本的な考え方で、そういう点に重点を志向した助成金制度の運用等を考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
○前島英三郎君 率直な感想を述べさせてもらいますと、一時は三百億円近くあった積立金が、今年度の終わりには十三億円ぐらいになってしまうということなんですけれども、納付金の額がまた引き上げられましたから、来年度からまた状況が若干変わってくるとは思いますけれども、私は何かちょっぴり不安を感ずるわけですね。助成金の支出がぐんと大きくなったために積立金も急速に少なくなった。その部分の因果関係といいますか、つまり障害者の雇用のために納付金が活用された、そう理解すれば別に驚く必要はないわけなんですけれども、特に重度障害者の特別雇用管理助成金は大きな刺激になったと私は評価したいと思うんです。しかしこれだけでいいのだろうか、そういう気も一面ではしてまいります。 納付金制度の成り立ち、その本旨から言って、先ほど伺ったとおり、この納付金と調整金というのは、非常に重要な問題でありまして、事業主から徴収する納付金に対して、法定雇用率を超えて障害者を雇用する事業主に支給する調整金は、その額が現在は半分程度ぐらいになっていると思うんです。その理由は、障害者を雇用する際に、特に必要とする経費が、人数がふえるにつれて、たとえば一人に対しておトイレ一つつくる、十人そういう人がいると、おトイレは一つで済むという部分においては、少なくて済むという現象もあると思うのであります。ですから、全体をおしなべて見た場合、そういう形に今後もなっていくことを期待するわけですけれども、納付金と調整金の関係について異論を挟むつもりはないんですが、たとえば身体障害者雇用審議会が指摘している特別重度障害者の雇用促進という問題を考えた場合、納付金と調整金の比率を算出するような考え方でくくることは、何かできないような気も一面ではするんです。 ですから、やることは単年度であっても、中身とすれば非常に長期的なビジョンを打ち立てていきませんと、なかなか重度障害者の雇用という問題はうまく育っていかないんじゃないか、そういう気がするわけです。各事業主が障害者の雇用実績を上げていけば、それで本当は一番めでたしめでたしで、やがて納付金が全然納まらなくなったというような状況を迎えることが最終目標であろうと思いますから、そういう意味では長期的な重度障害者の雇用というものにしっかりと今後も取り組みをしていただきたいというふうに思います。 そこで、こうした点に留意して、納付金制度に基づく助成金の運用に当たって、これからは濃淡をつける必要があるのではないか。そしてまた特別重度障害者の雇用については、方法論的にも研究開発の余地があるわけですから、中長期的なプランを立てまして、必要な経費を充当していくことも考えなければならないというように思います。そういう意味での一つの研究開発、重度障害者についてのそういう部分における一つの助成金の運用にかかわるプール方式、こういうようなものの提言もあるわけですけれども、その辺はどうお感じになっていますかね。
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど来申し上げましたように、今後の心身障害者の雇用対策は、総理府の推進本部で決められました長期計画と雇用審議会がことし決めております報告に基づいて行うということで、いま緒についたところでございますが、せっかくの御指摘、非常に貴重な御意見ということで、私ども今後検討させていただきたいと存じます。
○前島英三郎君 納付金の別枠積み立てみたいな形をやっていただきながら、重度障害者の雇用の長期的プランというようなものをぜひ打ち立てていただきたいと思います。 四月八日の当委員会におきまして、障害者雇用におけるわが国の国際的な寄与の必要性ということを申し上げまして、そのときは特に答弁はいただかなかったわけですけれども、その後障害者インターナショナルの国際会議で、あるいはインド、スリランカ、タイの関係者の訪問を受けまして、日本に対する期待というものが大変大きいことを感じました。 海外の日系企業に対して日本の法律で何かをさせようというのは若干無理だというふうにも伺っているわけですけれども、各国の皆さんが皆さんの国の政府を動かして日本政府に協力を求めるようにしたらどうかというような提案もしたわけですけれども、たとえばいろいろな海外に進出している企業、その企業でその地域の障害者を雇用するのだけれども、なかなか職業的なリハビリテーションの部分で指導者もいない、そしてどのような仕事を与えたらいいのかわからないというような声も大変多いわけですけれども、そういう積立金制度の中で、さらに海外との障害者の職業リハビリテーションの交流をなお一層今後も推し進めていただきたいというふうに思うんです。 そういう意味では昨年のアビリンピックなどはいい刺激になっただろうと思うんですけれども、その辺の労働省の国際協力における労働行政というのはいかがでしょうか。
○政府委員(谷口隆志君) 心身障害者の雇用の促進の問題につきましての国際協力、御指摘のとおり非常に重要な問題でございます。これもお話ございましたが、そういうような観点から、昨年の障害者年におきましては、国際アビリンピックを日本で開催するなどの積極的な姿勢で臨んできたわけでございます。したがいまして、そういう身障者の雇用促進の問題につきましての国際交流につきましては、重要な問題として取り組んでいかなきゃならぬと思いますけれども、具体的にどういう形のものができるかとか、あるいはどういうやり方が適切であるかとか、そういうような問題を踏まえながら検討してまいりたいというふうに存じます。
○前島英三郎君 次回のアビリンピックの開催国はどこかわかりませんけれども、いずれにしましても、アビリンピックという種をまいたのは日本でありますから、これが次回が開かれないというようなことであってはならないと思いますし、そういう意味では、規模は小さくても、国際交流を通しての職業リハビリテーションというものを今後積極的に進めていただきまして、日本の障害者雇用という問題は重要な問題ですけれども、またそれぞれの国における障害者の雇用はもっと厳しい現実があろうかと思いますので、そういう意味での今後労働省の積極的な海外に対するお力添えもあわせてこの際お願いをしておきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。
○委員長(目黒今朝次郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時一分散会