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96回国会参議院1982/03/30

社会労働委員会 第3号

発言数
236
登壇者
21
会派数
5
開催日
1982/03/30

会議録

粕谷照美日本社会党

○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 私は四年ぶりに社労に帰ってきましたので、いままで運輸委員会の理事などをやっておりましたけれども、またいろいろかわいがってもらったりちょっと皮肉言われたり——お願いしたいと思います。  それで、第一に、最近反核運動が非常に盛んになっておりまして、広島にも二十万の草の根運動の皆さんが集まったという記事もあります。厚生大臣というのは、人間を一番大事にする、人間の命にかかわることを直接担当する政府部内では最高の大臣だと、こう私は理解をしておるわけでありますが、この反核運動は、各地方自治体から、朝日の集計によりますと、百九の自治体で何とか議決しようという動きがあった。最も身近なところは東京、あるいは原爆の発祥地広島、あるいは日本の最大の基地を持っている沖縄の那覇市など、大体非常に大事な拠点拠点でその地方自治体が反核の宣言をやろうと、こういうふうにしておったことは大臣も御存じのところだと思うんであります。  この問題について広島は議決されましたが、最も身近な東京が流れた。それから沖縄の那覇市も流れた。全員協議会で大体まとまったことが結果的に流れた。その流れた直接の原因は、三月十九日の自由党の本部の指示によって流れたと、こういう動向にあるわけでありますが、厚生大臣として、原爆の問題、戦災者の問題、あるいは戦傷者の問題などを、後ほど出てまいりますが、この問題を扱っている大臣として、こういう反核という人類共通の願いというものについて、大臣はどのような考えを持って今後の厚生行政を行おうとするのか、まず、厚生大臣としてあるいは国務大臣として、今後の問題もありますから、大臣の見解を聞いておきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 反核の運動が全国的に起こっていることは事実でございます。私どもは人類史上初めて広島、長崎に原子爆弾が三十六年前に落とされまして、どの国よりも、核アレルギーと申しますか、核に対する認識、また悲惨な面は身にしみて感じておる民族でございます。したがって、核に対する恐怖心とまた反核という思想が起こるのは当然でございます。したがって、いままで非核三原則とか、また原子力を使用する場合でも世界一厳しいいろいろ条件をつけております。  そういうことで、各政党でいろいろ考え方はあろうかと私は思うんですが、自民党の方でそれについて多少違った考え方をしておるんじゃないかというようないま御趣旨の御質問があったように思うんですが、それぞれ党で、基本的には私は同じだと思うんですが、ただやり方において多少違う。日本人すべてが、言えば、私はこの核に対する恐怖、また核を廃絶するということ、これは親に孝行しろというのと同じぐらい、日本人だれしもこれには反対しないと思います。ただ、時期の問題等、またやり方の方法について、いろいろ各人また各政党においてそれぞれの相違があるのが現状であると、こういう認識を実は持っております。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 そうすると、核の脅威、われわれ被爆国民として、毎日水を飲んでおると同じぐらい日常生活で核の脅威、恐ろしさという点は基本的には同じだと。ただ、自民党の指示にもあるとおり、これが反米闘争に利用される疑い、そういう運動といいますか、方法論といいますか、問題の提起の仕方、運動の仕方、それらについてはおのおのの立場はあるけれども、反核、戦争をなくすということについては、非核三原則でもあるから基本的には賛成だと。ただ、運動とか、運動の方法等については慎重を要すると。自民党としては、反米闘争に利用されるというその一点だけは慎重に対処したいということであって、反核そのものについては基本的に変わりはないというお考えと受け取ってよいですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) そのとおりでございますし、その上にエネルギー問題を考えました場合に、安全性を考えまして、核の平和利用、核というのはもろ刃の剣でございますし、その点、平和利用の点については、世界各国その方向に行っておまりすし、ただ安全性の問題が非常に注意深く取り扱われることによってエネルギー問題としての平和的な利用と、こういう面も実は側面的にはあるわけでございます。しかしながら、いま目黒議員がおっしゃいましたように、いろいろ方法はあるけれども、原則、基本的にはいわゆる反核、戦争に対する核の利用については絶対反対であるという強い信念を持っております。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 運動論を議論する場じゃありませんから、まあ運動論は別の方でやってもらうとして、基本的な大臣の考えはわかりました。そういう点でぜひ今後とも厚生行政に専念してもらいたいと、こう思うんであります。  それで、もう一つ私が気になりますのは、三月の二十二日、アメリカの上院議員会館で「核兵器凍結、削減公開討論会」が行われたという記事が出ております。これには四人の日本人、被爆経験者が証言している。それで、その被爆の実相の原点に返って、アメリカでも問題提起が世論として広がるという動きになっているという報道がありますし、私も四年半兵隊に行ってきましたけれども、何度か死線を越えて戦ってきましたから、戦争の残酷というのは肌にしみついているんですが、幸い原爆の被害者じゃないんでその実感はわからないんですが、われわれ兵隊仲間でも被爆の方々が集まって、もう一回原爆、水素爆弾を考えるべきであるということが旧軍人の中にも広がりつつあるわけであります。  こういう段階で、原爆の被爆者法案のことも出ておりますが、こういう国際的な世論の中で、原爆被爆者の問題に厚生行政としてやっぱり抜本的な対応が迫られるんではなかろうかと、こう思うんですが、この辺のアメリカにおける動向などを踏まえて大臣の基本的な考えをここで教えてもらいたいと、こう思うんです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 広島、長崎に対する被爆者の医療対策、またいろいろ所得対策、いままで厚生省としても、援護法は適用されておりませんけれども、援護法に準ずるような方向で実は対処してまいったわけでございます。今後ともこの原爆被爆者に対する手当て等につきましてはより一層前向きで進めてまいりたいと、このように思っております。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 この国家補償という議論も、私も四年前、五年前、国会に来て、広島、長崎へ行った時点からずっと議論されて、社労委員会でも何回か、本会議も通じて議論されているんですが、いま大臣の答弁では従来の方針の踏襲の域を出ない。私は、投下したアメリカでさえも原点に返ってという世論が盛り上がっているのであるから、被爆国の日本の行政においては、もっと従来の方向を変えた国家補償的な抜本的なことに踏み込む時期じゃなかろうかと、こう思うんですが、前段で申し上げた反核闘争の現状を踏まえて再考をすることができないでしょうか、改めて大臣の見解を聞きます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ただいまの問題は、原爆関係の御質問のときに出される基本的な問題でございますが、まだいまのところは援護法、いわゆる国家補償という立場まで至っておりません。世界的にこの原爆被爆の問題が原点に返って取り上げられようとしておるときでございまして、いろいろ広島また長崎に対する世界じゅうの認識が深まっていることは事実でございます。厚生省といたしましても、今後の問題としては考えさせていただきますけれども、いまここで私が援護法に踏み切るように努力するということは、まだその段階でございませんので言を避けたいと思いますけれども、世界の長崎、世界の広島、また世界の中でこの原爆被爆による悲惨な災害を受けた、そういう点で、世界じゅうの認識の高まる中で、この日本、特に厚生行政のあり方について考えさせられる点は私も感じておりますけれども、直ちにいまおっしゃるようなことずばり実行する段階には入っておりませんので、その点御理解を願いたいと思います。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 私から申すまでもなく、広島、長崎の被爆者の現状というのは、もう相当年齢もとっておりますし、その時期でないという政治判断は、いろんな情勢から政府なりの考えはわかりますけれども、あとのない方々がいっぱいいらっしゃるんですから、早い機会に何らかの措置をする。それで二世、三世にもかかわり合いのあることですから、そういう要望だけして、あとは法案で議論する場がありますから譲りたいと思います。  次に、きのうですか、カネミ油症の第二陣の判決があったわけですが、私の方一画はたばたしておって、厚生大臣が談話を発表したという中身はまだ見てないんですが、どんな談話を発表されたのがこの機会に教えてもらいたいと、こう思うんです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) カネミの問題は古い、かなり年数のたった問題でございますけれども、私どもは今日的な問題としてやはり食品衛生の面で取り上げるべきであると、裁判の点では国に責任がないと、あの当時の事情を考えた裁判の結果が出たわけでございまして、裁判の結果について私どもはとやかく、これに対してよかったとか特にどうだとか、深入ったことは避けたいと思いますけれども、この厚生大臣談話を申し上げる前に、この今日的な問題として食品衛生の安全ということについて厚生省も前向きで取り組んでいきたいということを申し上げまして、発表いたしました談話を読み上げさせていただきたいと思います。これは三月二十九日発表でございます。  判決内容の詳細についてはまだ承知していま世んが、国はこれまで個々の食品事故による被害について民事上の責任はないと主張しており、第一陣判決に引き続き再度この主張が認められたものと考えられます。厚生省としては今後とも食品衛生の確保について十分努力してまいりたいと考えております。これが実は談話の内容でございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 ありがとうございました。  それで、きょう私二、三の新聞を電車の中で読んでみますと、判決そのものについてはいま大臣が言うとおりとやかく言わない。新聞によりますと、厚生省の主張が認められた、そういう意味のことを新聞は言っておるわけでありますが、しかし一般市民は、食品添加物でも、いろんな食品でもどんどん日進月歩、大量生産時代、そういう中でこれが安全かどうかという判定は、消費者自身に安全かどうかという判断の基準を持てということは、言葉では言えても、実際の日常生活で、この食品は安全だ、これはちょっと三角だ、これはバッテンだと、そういうものを判断することはやっぱりなかなか無理じゃないか。  そうすると、現代の食品行政の中で消費者にサービスするというのが緊急の課題ではないか。カネミの問題についても、いろいろ判決の内容にありますとおり、農林省関係で若干わかっておったということもありますが、それはまあさておいて、いま大臣の談話で、食品の安全ということに対してどういう形で取り組もうとしているのか、具体的な考えなり展望があったら、この際この判決を機会に国民に示すべきじゃなかろうか、こう思うんですが、基本的な考えでも結構ですから、御提示願えれば幸いだと、こう思うんですが、いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、過去のいわゆるPCBの毒性について、毒性が十分はっきりしなかったときの事件であるというようなことを裁判の内容にも実は書いてございます。ということで、いわゆる古い問題でございますけれども、私どもは今日的な問題として取り組んでいきたい。そういうことで、薬等に対しては薬事法等をつくりまして、またその他の公害についてはかなり神経質に配慮を実はしておりますけれども、食品衛生法については、新聞等の論調を見ましても、少し抜けておるじゃないかというような論調が見られます。私も新聞を読ましていただいたわけでございます。そういうことで、特にカネミ油症事件後の昭和四十七年に、実はこのことがございまして、有害物質の混入防止等の措置基準に関する規定を設けるなど、一応食品衛生法を改正して安全確保対策の強化は図ったところでございます。  なお、食品安全の確保については、科学技術の進歩また食生活における嗜好の変化など、社会環境の変化に即応いたしまして万全を期してきたところでございますけれども、今後とも食品の安全が確保されるように最大限の努力を図っていきたい。  今回も、特にこの事件第二陣の判決が出まして、いろいろいまマスコミ等通じて波紋が広がりつつございます、私どもは、国に責任がなかったというような判決は出ておりますけれども、それはあくまでも法的な責任でございまして、いろんな教えられる点がございます。そういう点で、今後多様化してまいります食品行政の中でいろいろ言われましたような趣旨を踏まえて、そういうような大きな社会的問題が起こるようなことがないように、とにかく九十九名の方が亡くなられておりますし、千数百名の方が病気にかかっておられる。また潜在的にはもっともっとの数字が出ておるというようなことも聞いておりますし、そういう意味で食品衛生等につきましても十二分に今後考えてまいりたいということを申し上げます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 去年の十月、日本弁護士会が、食品衛生法にかわる新しい法律制度として食品安全基本法というのを提言した経緯があるんですが、これは政府委員でも結構ですから、この食品安全基本法という弁護士会の提案について、その後厚生省内部で検討された経緯があるかどうか。検討されたとすればどの程度まで検討されているか、政府委員で結構ですからお教え願いたい。これが具体的に今回の判決に対する政府の行政姿勢としては問われるんではなかろうか。こんなふうに思うので、政府委員で結構ですから御答弁願いたい、こう思うんです。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 食品衛生法につきましては、昭和二十二年の制定以来、これまで十二回の改正を行ってきておりますが、現行の食品衛生法では必ずしも不十分であるというふうには考えておらないわけでございます。  日弁連の意見書につきましては、まだその内容を十分検討しているわけではありませんが、全体的には、実施可能性という点から見て問題があるのではないかというふうに考えているわけでございます。厚生省といたしましては、日弁連の 見書に限りませず、関係者の御意見を十分参考させていただきまして、今後とも食品衛生の確保に十分努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 しかし、局長、私も法律の専門家じゃありませんから、庶民的な感覚ですが、日弁連というのはいろんな公害にかかわる、いま問題になっているカネミ訴訟も含めて、いろんなそういう食品の公害関係を法廷という場で扱って、しかも被害に遭った住民の因果関係、学問的な背景、諸外国の制度などなど、相当被害者という立場から、被害者と言うと語弊がありますが、企業が加害者であれば被害者という立場から、いろんな運動を通じてまとめられた提言だと、私はこう思うんです。たとえばアメリカの食品衛生に関する規制法などについても、ずいぶん日弁連の提言の参考資料で触れておって、ここは日本と同じだ、日本の関係の食品衛生法で抜けているのはこの面だ、この面は発想の転換をしながらやっぱり国民の健康を守るべきじゃなかろうかという点ですから、いま政府委員が言った実現可能性から見て云々というのは、ちょっとこれは私は余り使いたくありませんが、企業側の立場に立つ発想としてはわからないわけじゃありませんが、被害を受けている国民の立場に立つと、もっと親切みがあっていいんじゃないか、もっと飛び込んでいいじゃないか。それが大臣が言っている、判決は判決として、しかし国民の厚生行政としては前向きだというように私は素人的に考えるのですが、この点はひとつ御訂正を願わないと、せっかくの大臣の答弁が今後生かされない、こう思うんですが、もう一度政府委員の御答弁を願います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、私どもとしてもまだ十分に検討しているという状況ではございませんので、先生の御指摘もございますし、十分勉強させていただきたいというふうに存じます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 前段を訂正して十分に検討して前向きに取り組む、そのようにお願いします。  この中で、大臣も言った、一般の公害健康被害補償法があるし、薬害については二、三年前ですか、法律で救済制度をつくるということもありますが、この食品公害には特に被害者の救済という制度がないんですが、この点については特に、他とのバランスと言っては語弊がありますが、現実に公害が発生しているという点で、この点はむしろ抜き出して、日弁連の提言にかかわらず摘出して早急に法制化をすべきじゃなかろうかと、こう思うんですが、この点はいかがでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 詳しいことは担当局長より答弁させますが、先ほど申しましたように、食品衛生法につきましては、国民が安全なりということで安心して食しておるわけでございまして、これに万一カネミのような大きな事故また事件があると、これは大変でございますし、これをやはり私は教訓にして、食品衛生法においても安心して食していただくように、また薬と違った意味で、国民の方々は口に入れるわけでございますから、この点十分検討をさしていただきたいと思っております。  日弁連のおつくりになった内容につきましても、私も詳細実はまだ存じておりません。考え方はわかりますけれども、それがすべて私はいい、そのとおりどうこうだということは言えませんけれども、前向きで検討してまいりたい。詳細局長より答弁をさせます。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 食品事故の救済制度の問題につきましては、昭和四十八年から研究会を設置いたしまして御研究を願ってまいりまして、昭和五十四年十二月に報告をいただいております。その後部内で検討を進めておりますが、いろいろむずかしい点も多うございますので、なお一層検討を必要とするというふうに考えておるわけでございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 この種の補償制度は、私もいままでの経緯から見て非常にむずかしい問題を抱えているということは承知いたしておりますが、むずかしい中でもひとつ最大の努力をしてもらいたいということを要請をしておきます。  それから次は、これも通告してなかったんですが、血液透析器の問題について厚生省が三月二十四日ですか、立入検査をやった、こういう新聞記事が出ているんですが、立入検査をやった結果どういう問題が浮き彫りにされて、行政処分をするだけの内容があったかどうか。立ち入りの結果の報告だけで結構ですから、この機会に明らかにしてもらいたいと、こう思うんです。

正木馨厚生大臣官房総務審議官

○政府委員(正木馨君) 担当が業務局でございますので、早速業務局長を呼びまして御答弁させます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 じゃ、来てからで結構です。  それからもう一つ、これはけさの新聞でもあるいはニュースでも言っておったんですが、臨調の基本答申で年金の一元化に触れるという点が述べてあるんですが、私は臨調がその問題に触れることはそれなりに情勢としてわかるんですが、ただ、私が厚生省に基本的に聞きたいのは、昭和五十二年の十二月十九日、社会保障制度審議会が答申を出していますね、「六十五年を中間目標」云々と。そういうことをやっておるんであります。この年金問題はしょっちゅう問題になっておるんですが、わざわざ臨調から勧告をもらわなくとも、やろうと思えば、当然この問題は、五十二年からですから、相当程度進んでおるのがたてまえではなかろうか。進んでいないから臨調が介入——介入と言っちゃ変だけれども、取り上げる、こういう因果関係になっているんじゃなかろうか。このように考えるんですが、この五十二年十二月十九日の社会保障制度審議会の基本答申は今日までどういう取り組みになっておるのか、どこに問題点があるのか、将来どうしようとするのか。臨調の批判がなくとも厚生省みずからがきちっとやれるんだ、そういう展望がないのか、あるのか。その辺の事情について基本的にお聞かせ願わないと、臨調の動向についてもわれわれが判断しかねる、歯車がかみ合わない、こう思うんで、まずこの答申を受けた厚生省の基本的な今日までの姿勢、取り組みについてお教えを願いたい、こう思うんです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 実は、臨調からいろいろとお話が出るまでもなしに、厚生省といたしましては、昨年十月に臨時行政調査会に対しまして、公的年金制度の現状と課題について実は説明を行ったところでございます。そういうことで、いま御指摘のように、年金制度については厚生省が主体性を持ってやるべきであると、実はそのとおりでございまして、基本的な考え方は、年金制度の一元化についてはもう究極的には望ましい方向であると考えておりますけれども、それぞれ各制度には目的とか沿革とか財政状況が異なっておりまして、なかなかその一元化までには検討すべき問題が多い。いろいろ各省庁にわたっておる問題もございまして、制度間の不均衡の是正を進めて制度全体の均衡ある発展を図ることが現実的である。  そういうところで厚生省もやっておりますけれども、ちょうど臨調の方からも、第一部会の方から、重要行政施策のあり方として、この社会保障、特にこの年金制度について、高齢化社会に備えたその中で一元化の方向に行くべきであるというような報告を出されまして、むしろわれわれは何かけつをたたかれたような感じでございますし、よくこの点につきましても厚生省なりに、いま申し上げましたように、各省庁とも連絡をとりまして、究極的には一本化の方向に持っていくように努力をしたいというふうに思っております。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 これも素人考えですが、私も国鉄で四十三年飯を食ってきた人間ですが、国鉄の共済組合は大蔵省が握っている、運輸省はあってもなきがごとし。軍人恩給——私も昔は任官して恩給法の適用を受けておった、そういう恩給法の関係、それから学校共済、農業共済、いろいろな共済がありますが、それをいまの日本の政府の機構の縦割り行政の中で、いま大臣が言った、努力はしておることは私は認めますが、いわゆる年金の一元化という問題について、厚生大臣のサイドだけでこの問題の解決が、取り組みが可能なんだろうか。こう考えますと、私もそれなりの経験から考えると、いま厚生大臣の権限だけではちょっと無理じゃなかろうか。官房長官あたりを長とする年金の一元化特別委員会とか閣僚会議とかというものをつくって、各省の権限というものをある程度、官房長官なら官房長官のところに、任せると言っちゃ変でありますが、委任をしながら、そこで各省間の調整をする。厚生大臣は決して力がないとは言いません、あるいは厚生省の年金局長あたりも一生懸命苦労してますが、その苦労が実るためには、行革の時代にふやせというのはなかなかちょっと問題があると思うんですが、そういう政府部内の権限と力というものを何とか考えてやらない限りは、この問題はいつまでたっても——私が国会議員に出て来たのは四十九年です。ここにいらっしゃる当時の田中厚生大臣にお話ししたことを考えますと、あれから十年ですよ。そうしますと、私はやっぱり年金に取り組む政府の機構、権限というところに根本的な問題があるんではなかろうか。むしろ官房長官でも来て、あるいは安恒先生が予算委員会なら予算委員会の総括あたりで言ってもらって、権限の強化とかそういうものをやらない限りは、とても大臣の努力が実を結ばないんじゃないかと、こういうように思うんです。  あなた方の経験を振り返ってみて、これは政府委員でも結構ですから、こういう点が問題ありましたということを振り返って、そういう政府部内に強力な権限を持つ年金閣僚会議がなんかを持つべきじゃないか、あるいは特別の政府から権限を与えたプロジェクトをつくってやるべきじゃなかろうか。何も私は臨調までの手を煩わす問題ではないと、こう思うんですが、この辺の考えはいかがでしょうか。

山口新一郎厚生省年金局長

○政府委員(山口新一郎君) ただいまの問題でございますが、大分古いことからになりますが、国民年金ができました当時各制度の調整というような問題がございまして、一番具体的な形としてあらわれましたのが、現在あります通算年金通則法ということで、各制度数珠つなぎということで通算を行ったわけでございます。これも本来ならば数珠つなぎということではありませんで、一本の年金にまとめてお支払いできるという形が望ましいんだと思いますが、それぞれ各制度が存在するという形の中において、各省協調をいたしまして一つの仕組みをつくったわけでございます。  それからその後も、たとえば最低保障額というようなものは歩調をそろえておる。それから障害年金の資格期間等につきましても、一部通算を行うというようなささやかな努力は重ねられてきております。事務的にも、総理府に公的年金等調整連絡協議会というのをつくっておりまして、問題ごとに協議を行っております。それからまた閣僚段階でも、これは五十四年でございますが、開始年齢の問題が出ましたときに協議会を設置したわけでございますが、いま先ほど先生からお話がありましたように、現在までのやり方ではややびほう策というような感じでございまして、根本的な解決はなかなかできないと思います。  ただ、私どもとしては、ひとつ大きく物事が進むためには、どこかが一つのたたき台のようなものを考えませんと、どういう仕組みをつくりましても、物事が進まないと思っております。そういう意味で、実は私ども内々現在作業を進めておりますんで、それによりまして一つでも前進できればというふうに考えている状況でございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 国鉄、電電、専売という公企体の三つの共済組合自体もいろんな経緯があって大変だ。したがって、公務員と公企体とか、地方公務員と公務員、こういういろんな組み合わせがあることはいろいろあるんですが、それなりに経過は心得ておるつもりですが、やっぱり縦割り行政の弊害といいますか、縦割り行政のいいところといいますか、それは立場によっていろいろ変わるでしょうけれども、縦割り行政がある限りはこの問題は机上の空論ではなかろうか。  これは私の心配でなければいいんですが、しかし高齢化社会の年金制度ということは、片方は老人保健法の問題も出ておりますが、年金と医療保険というのは一体ですから、どこかでやっぱり踏み切らざるを得ない、そういう時期に来ているんではなかろうかと、こんなふうに思うんで、官房長官がいいか総理大臣がいいかわかりませんが、そういう強力な権限を持つプロジェクトみたいなものをつくって強力に短期間にこの問題を進める。臨調の答申があってから、ああそうですか、といってつくる特別委員会あるいは閣僚会議と、厚生行政で積極的に出すというものと、同じものであっても、国民が受ける感じは違うと思うんですよ。したがって、私は厚生大臣が中心になって、私が言っている問題点について、閣内なり、特に官房長官などと十分連携して、協議して、そういうものについて前向きに検討してほしい、臨調の出る前に。こう私は思っておるんですが、大臣の見解いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 御指摘になりましたように、年金の一元化の問題につきましては、各省庁とも連絡しなければいけない幅の広いと申しますか、厚生省だけではできない問題でございますけれども、やはり厚生省は主管官庁として努力をしなければいけない。臨調は臨調でもちろん民間の方もお入りになってやるわけでございますけれども、いま御指摘いただいたせっかくの御意見でございますし、検討いたしたいということを申し上げます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 この国会も五月までやることですから、五月の何日になるかしりませんが、最後の社労委員会の厚生大臣の答弁で、検討した結果しかじかやりますと、来年は御心配かけませんと、そういう答えが出ることを私は期待しておきます。  それからもう一つ、臨調で医療の関係が出ているんですがね。私は一回教えてもらいたいと思うんですが、私、この前新潟へ行ったら新潟新聞にこれが載っていました。何だか武見太郎さんは新潟県人らしいのですが、新潟新聞にこんなでかいやつがね。これはこれだけでなくて、うちの田舎の仙台の河北新報にもちょいちょい載ることがあるんですがね。健康保険制度について日本医師会は、現行の健康保険制度はむだが多くてけしからぬ、医者いじめである、したがって健康保険制度を民営化すべきだという点が、この流れている思想だと私は思うんですよ、いろいろ書いてありますが。  でありますから、これは日本医師会がこれだけの金を使ってやっていることに対して、監督官庁である厚生省が黙っている手は私はないと思うんですよ。日本医師会かもこういうことが出ているけれども、政府の健康保険の行政はこうだ、医療行政はこうだということを国民に向かって、それなりの信念があるならば、それらの信念で国民にこたえるべきである。日本医師会の提案はこういうところに問題がある、問題を摘出する。それを見送り三振ということは私は余りよくない。  だから、臨調でどの程度の問題を議論するかは私はわかりませんが、もしもこの日本医師会の視点に立って臨調が検討するとすれば、これは医療制度の大変な混乱を招く。それも心配いたしますので、この日本医師会の見解について厚生大臣はどう考えていらっしゃるのか、ひとつこの際国民に向かって答弁するつもりでわかりやすく教えてもらいたい、見解を。そのようにお願いします。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 私も新聞で拝見をいたしました。非常に思い切ったことを書いてございまして、いろいろわれわれも考えさせられる点もございますし、また反対の考えも実は持っております。  いま御承知のように医師会の方は会長問題をめぐりましていろいろやっておりますし、一応四月一日で決まるようでございますし、新しい体制のもとに日本医師会も出発するであろう。そういうふうに実は思っております。  厚生省も医療行政、保険の問題については審議会、調査会等でいろいろ考えておりますし、臨調に言われるまでもなしに、厚生省なりの主体性を持った考え方をいずれ私は発表したいと、このように実は思っております。いまここで民営論がいいとか悪いとかということを問われてもちょっといまやっておるのが一番いいと言わざるを——私これ最善ではないかもわかりませんけれども、いままでいろいろと歴代の大臣、またそれぞれの関係者も苦労されてこの制度を支持されてきたわけでございますので、高齢化社会という時代にどんどんこれから入っていくわけでございまして、いままではいままでとして将来のことを考えました場合に、かなりこれは抜本的に改正しないととうていもたないという気持ちも実は持っております。そのためにはどうしたらいいかという一つの方法が老人保健法の問題ということで、今後お世話になるわけでございまして、いずれ機会を見まして、基本的な問題について厚生大臣の考え方を発表さしていただく機会を持ちたいということを御答弁さしていただきます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 これだけ年寄りもわかるようなでかい活字で言われますと、ひなたぼっこしながら年寄りはこれを読んでいるんですよ。おらが国の武見さんというのと同時に、これは天下の医師会の会長さんですからね。ですから、臨調答申が出ることもありますから、できるだけ早い機会に厚生大臣としての見解を——それから武見会長がこれだけ言っているんですから、それなりに理論的な根拠と問題点を持っておる、こう思うんですから、そういうものについていい点は取り上げてコンセンサスを求めるということも含めて、医療の混乱を防ぐ意味からも、早い機会に大臣の見解を求めて、この委員会を通じてでも結構ですから、御発表を願えればしかるべき討論の場があると、こう思いますから、これは私からは要請をしておきます。  それから、あれはまだ来ませんか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) お尋ねの日本医工株式会社がつくっておりますニプロホローファイバー型ダイアライザー、これにつきましては、ことしに入りまして、医療機関で結膜炎様の症状を呈しました患者が多数発生いたしました、そういった情報がございましたので、私どもとしてはこれに対する措置をとったわけでございますが、その一つとして先生お尋ねの立ち入り調査でございますけれども、立ち入り調査につきましては、関係工場、糸をつくっております東洋紡の関係と、それから本体のダイアライザーをつくっております日本医工につきまして、今月の二十四日、工場の立ち入り調査を行っております。この立ち入り調査、二十四日行ったばかりでございまして、現在それぞれ資料を持って帰り、データを持って帰っておりますので、その調査結果、両方の工場のデータについての突き合わせをいま行っている段階でございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 それは大体いつごろ結果が出る予定ですか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) それからもう一つ、この件につきましては、この該品につきまして、国立衛生試験所がございますが、国立衛生試験所にいろいろの検査依頼を行っているところでございます。  国立衛生試験所に検査依頼を行いましたのが三月の二十日でございますけれども、衛生試験所でいま動物実験その他をやっておりまして、私どもとしてはできるだけ早く結果をまとめたいというふうに思っておりますけれども、現在の段階で具体的にいつということはちょっとまだ申し上げかねる段階でございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 それはできるだけ早く、現に患者が進行しているんですからね。患者は調査結果が出るまでストップしているんなら結構なんだけれども、患者は進行しているんですからね。  すると、この際おたくの方で、新聞によりますと、内容によっては薬事法六十五条の発動を考えたいという、こんな報道がありますが、この薬事法六十五条の発動の問題と、日の障害を起こしているわけですから、目の障害を起こした患者に対する補償、と言うと語弊がありますが、そういうことについては考えておられるのかどうか、それは別問題だという考えなのか、その二つについて御見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の薬事法の六十五条は、医薬品の不良品の問題だと思いますけれども、現在この件について、先ほども申し上げましたように、原因究明の調査中でございまして、その原因究明のいかんによってはその問題があるいは出てくるかと思います。  それからもう一つ、現在の患者さんに対する補償の問題でございますが、この患者さんに対する補償の問題も、原因がどこにあるか、那辺にあるかということによりまして、補償の仕方もおのずから変わってくるわけでございまして、そういう意味合いで、私どもとしては、先生も御指摘ありましたように、できるだけ原因究明を急ぐということで現在取り組んでおるところでございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 患者のためにも一日も早い取り扱いをお願いします。  それで、大臣の所信表明をこの前お伺いしたんですが、この中で、私も不勉強な点があると思うんでありますが、冒頭、日本の社会保障制度は西欧諸国に比べてもう十分なものだと、そういう大臣表明を冒頭行われておるわけであります。したがって、社会保障制度がヨーロッパやアメリカに比べて日本はもう十分なんだということを具体的に裏づけする——名目であるのか実質であるのかはおたくの方に判断任せますが、私はまだまだ、ウサギ小屋なんと言われている日本の生活実態から見ますと、社会保障制度がヨーロッパ並みにぴしっとなったとは——。  私も勤労の役員をやっておって何回か海外に打ってきましたし、あるいは国会に来てからも何回か海外に行かしてもらいましたけれども、目で受ける社会保障制度というのは、やはり日本の制度はまだまだ不十分ではないかな。言葉が通じないものですから、私は。横文字に弱い、小学校卒業なものですから。大学でも出て横文字でも読めればばっばっばっとやれるんだけれども、横文字が読めないものですから、いろんな体験やあるいはいろんな翻訳された資料で見ておるわけでありますが、ヨーロッパ並みになっているという認識はヨーロッパのどの辺並みになっているのか、それは今後の全体の社会保障制度を議論する上にやっぱり大事な目安じゃなかろうかと、こんなふうに思いますので、この辺をまず冒頭、大臣の所信表明で教えてもらいたい、こう思うんです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 数字的なことは担当審議官から御説明さしていただきますが、所信表明で私が申し上げたのは、西欧諸国と比較してほぼ遜色のない水準に達しておるということでございまして、決してわれわれは満足はしておりません。私もヨーロッパとかアメリカに参りまして社会保障等の勉強をしたわけですが、私も実は余り英語はわかりません。中途半端にわかってもわからぬのと同じでございまして、かえってわからぬ方がようわかるようでございまして、結局私もわからないなりにいろいろあちこちで勉強さしてもらいましたけれども、ほぼ遜色のない程度。多少成熟度が違うようでございまして、その点完全に比較はできませんけれども、かなりいいところへいっておるという感じで私は帰ってきたことがございます。  詳細数字的には担当官より説明をさせます。

正木馨厚生大臣官房総務審議官

○政府委員(正木馨君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、わが国の社会保障を諸外国と比較いたします場合に、いろいろな観点からの比較があると思いますが、社会保障の全体的な水準を見る場合に、一つ国民所得に対する社会保障給付費が一体どうなっておるかということがございます。現時点で申しますと、わが国の社会保障給付費は一三%程度でございます。諸外国はほぼ二〇%に近く、あるいは二〇%を超えているところもございます。これにつきましては、ただいま大臣から成熟度の違いというお話もございましたが、まさにそのとおりでございまして、わが国の人口構成が比較的若い、それから年金の成熟化がまだ進行申にあるということでございます。そこで、西暦二〇〇〇年、二十一世紀の初頭になりますと、社会保障給付費は大体対国民所得比二二%になるであろうということが見込まれております。この段階におきまして、全体として見ましても、ほぼ西欧並みの水準になるということでございます。  それから具体的に個々の制度を比べてみますと、典型的な年金の給付水準を見てみますと、わが国の場合、厚生年金で申しますと、モデル年金は十四万五千円でございますが、全受給者の平均にいたしますと、加入期間の短い方々もございますので、平均は十万八千円ぐらいでございます。ちなみに、アメリカでは十一万六千円、イギリスは十万円、西ドイツは十一万五千円等々、大体年金の水準につきましてもすでに西欧並みの水準にいっておる。実質的に見ますと、平均賃金に対する比率を見ましても四四%程度ということで、西欧並みの水準にいっておるんではないかというふうに考えられます。  その他諸外国と比較いたしまして、先生も御案内のように、平均寿命というのを見ましても、日本の場合には世界で最長国というふうに言われております。それから乳児死亡率等につきましても戦後非常な激減をいたしております。  そういったもろもろの点を見ますと、わが国の年金、医療その他の制度につきましては、ほぼ西欧に比肩し得る水準に達しているんじゃないか。  ただ、反省すべき点としては、たとえば障害者の問題であるとか、在宅福祉サービスの充実であるとか、なおいろいろこれからの課題が残されているということは、先生しばしば御指摘いただいているとおりだと思います。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 それから大臣、いま言った数字、それなりに私も理解いたします。国民所得に対する給付の割合、これはいまここの数字に出ておるんですが、ただ数字で出てない面——たとえば年金の問題を言った際に、十万八千円、現代の社会生活で十万八千円、これはぜいたくしなければ何とかね。私も六十になりまして、そろそろ高齢化社会の仲間に入ってくるんですが、私らの先輩がもらっている十二、三万あるいは十万、その水準に達するモデル年金はいいんですけれども、その年金に達しない層、たとえばお年寄りの老齢年金あるいは五年年金、十年年金、こういうものについては、特別の政策的な判断なりあるいは政策的なものを加味して、十万八千円というレベルまで早い段階に近づけていくということが、国の高齢者に対する年金政策の大事な点ではなかろうか、こういうふうに思うんです。  逆から見れば、五年年金、十年年金とか、あるいは老齢年金という方はよりお年寄りですからね、これは。年金制度が出る前のお年寄りです。むしろ戦前、戦中、戦後を通じて日本の混乱期に一番苦労をしてきた方々が老齢年金、五年年金、十年年金の対象者だという点を考えると、十年後の老齢年金の問題よりも、現実に苦労をしておる老齢、五年、十年というものについては、やっぱり政策的な配慮を十分やるのが当然ではなかろうか。これがやっぱりアメリカとかヨーロッパに比べて欠落しておる日本の社会保障制度の点じゃなかろうか。私はこう思うんでありますが、この点は大臣いかがでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 制度的にはまことに西欧先進国と言われた国に比べて遜色ない。しかし現実には、いま御指摘のように、この五年、十年の短期の年金者の方にはほんのわずかな年金しか渡っておらないことも実は事実でございます、  それと、明治、大正、昭和とまことに大変な時期に苦労して生き抜いてきたという功労を一つ考えても、それに値するような感じは私個人的にしてまいっておりますし、またいままでもそういうことをたびたび演説した覚えも実はございまして、考え方は同じでございますけれども、制度上そういうような非常にトンツーと申しますか、アンバランスな点があることは、年金でもまた保険財政でも事実でございまして、いかにしてその格差と申しますか、横並びをよくしていくか、これが今後の私は社会保障制度のあり方である。そこに年金の一元化の問題とか保険関係の一元化の問題、平等に取り扱われることによって皆満足に感ずるわけでございまして、そういう点ではまだ制度的なばらつきがあることは事実でございます。  そういう点で、御趣旨は私も同感でございますけれども、いま急にそれを引き上げるとかどうこうということにつきましては、まだまだ検討の期間を与えていただかないと明快な答弁ができないというわけでございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 これは年金をもらう皆さんと、その五年、十年、特に老齢年金の財源を納める国民の皆さんが合意すれば私はできることだと思うんですがね。年金をもらっている厚生年金の適用者の皆さん、共済年金の適用者の皆さんが、なるほどお年寄りは大変だ——お年寄りというのはいまの老齢年金、五年、十年ね。この方々はもう早い機会にあの世に打っちまうんだから、やっぱり年金のめんどうはもう少し見てもいいじゃないか。理論的にはわれわれの理屈に合わないけども、お年寄りに対する皆さんの考え方という点が私は了解されればいいではないか。ただ、税金を納める国民も、そういうことについては配慮してやるのが国民的な問題じゃないか。こういう両方が合意すれば私はできる問題だと思うんですがね。  おたくの方で考えておって、いや老齢年金とか五年年金、十年年金に物価スライド・プラスアルファ、アルファの政策加算をすることについて、やはり抵抗があるんですかね、厚生年金をもらっている方々に。私はそれは余り聞いたことがないんですが、おたくが世論調査か何かやりまして、特別にプラスアルファすることについてはしかじかの世論調査の結果、やはり反対が多い、こういう具体的なデータの根拠があれば、大臣の言うこともわからないわけではありませんが、厚生年金をもらっている方、共済年金をもらっている方が、五年、十年と老齢年金を引き上げてもそう問題はないではないか、こういう私は認識を持っているんですがね。この点は、政府委員も含めて、世論調査か何かしたことがあるんですか、具体的な根拠。

山口新一郎厚生省年金局長

○政府委員(山口新一郎君) ただいまのいわゆる被用者年金グループが五年年金、十年年金に対して財源を提供してもいいということがどういう考え方かということについては、いままで調査はないと思います。  ただ、現在は五年年金、十年年金、国民年金の中で仕組まれているわけでございますが、発足当初に比べまして、いわゆる短期加入の経過的年金につきまして、若干ではありますけれども、大改正のたびにその優遇策を講じてきたということは言えるかと思います。ただ、従来の年数比例の原則に立ちますと、そこに限界がありますので、そこら辺も次の大改正のときにはまたひとつ検討をしてみたいというふうに考えております。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 いま言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、従来は若干優遇策を講じてきた、こういう発言ですが、じゃ今回はなぜ優遇策を講じることができなかったんでしょうか。われわれの試算では、この老齢年金も物価スライドに準ずると後で述べでありますが。やはり少ないながらも従来優遇策を講じてきた。優遇策というのは、イコール・プラスアルファをつけてきた、物価プラスアルファね。そのプラスアルファをなぜ今回は老齢年金につけることができなかったのだろうか。物価スライド以下同文ですね、今回は。この辺の政策的な配慮はなぜないんでしょうか、今回はできなかった理由は。

山口新一郎厚生省年金局長

○政府委員(山口新一郎君) ただいまのお話は福祉年金の方に主眼がおありだと思いますが、先ほど申し上げましたように、五年年金、十年年金が拠出制の方で仕組まれておりますんで、この方は大改正のときにいま言いました格差是正というような問題を取り上げるということでやっております。  福祉年金につきましては、現在ほとんどもう五年年金に近い水準になっております。月額にいたしまして約三百円の差でございます。そういう事情がありますので、五年年金、十年年金とのバランスということを一方で考慮をいたしまして、とりあえず物価スライド相当ということで金額引き上げを考えたわけでございます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 年金の改正法の法案が出されていますから、また議論する場がありますが、私は五年、十年年金の問題も含めて、プラスアルファを考えるべきだったという持論を持っていますが、今後の法案でやらせていただきます、もう時間があと五分しかありませんから。  次に、中国孤児の問題についていろいろ世上問題がありまして、いろんな政府の取り組みあるいは国会内の動きなどがあるわけでありますが、政府はこれについて今回どういうことを重点に中国孤児の問題について考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 詳細につきましては、援護局長より答弁させますが、実は先般中国残留日本人孤児問題懇談会という、ボランタリー団体も含めた懇談会をつくっていただきまして、そういう方々に残留孤児の問題をどういうふうに処遇したらいいだろうかと。何と申しましても、三十七年間も放置されて、そして日本に一部の方が帰ってまいりまして、テレビ等で全国民ひとしく涙をしぼられたわけでございますけれども、それにはそれなりの温かい対策をやらないといけない。同じ日本人でございましても、生活環境もずいぶん違うと思いますし、まず言葉の障害ももちろんございます。そういう点で、一方的に私どもがいいと思っても案外そうでない場合もございますし、非常にきめ細かい点まで含めてこの孤児対策をやっていくべきである、こういうふうに基本的に実は考えておるわけであります。  あとは援護局長より答弁させます。

北村和男厚生省援護局長

○政府委員(北村和男君) ただいま大臣からお答えを申し上げましたことに尽きるわけでございますが、ちょっと現状を申し上げますと、自分が中国に残留した孤児である、あるいは孤児ではなかろうかといって日本政府側に申し出てまいりました者が現在までに約千四百名おります。そのうち身元が判明いたしました者がざっと五百人余りでございますので、まだ九百人弱の人々が自分の親を探しているわけでございます、  これに取り組みます今後の基本的な態度といたしましては、できるだけ早い時期に、不可能なことはできませんけれども、できるだけ可能な短い期間でこれらの方々の親探しを完了することでございまして、そのためには中国政府の十分な御協力を得なければいけないと思っております。それらの方々のうち、希望者は自分の家族と一緒に日本に定住化を認めることにいたしておりますので、これらの方々が日本語の勉強を含めて、一日も早く就職をして、日本社会に定着化する、そういうことが今後の重要な課題であろうかと存じます。

目黒今朝次郎日本社会党

○目黒今朝次郎君 私も中国の東北に約二年近くおりましたから、いろいろ中国孤児の言われている問題点については私なりに理解をしておるわけですが、私はいろんなことを見ておって、いま大臣がいみじくも言った引揚者の言葉の問題がやっぱり一番がんではなかろうか。この前厚生省の担当課長から聞いて、民間のいろんな状況などはそれなりに把握いたしました、説明を受けました。しかしテレビあるいは新聞などを見て、あるいは週刊誌などを見ておると、非常に幸せになったケースと非常に不幸なケース、そのポイントはやっぱり言葉だと、私はそういう認識を持ちました。喜んで引き揚げてきて、農村に帰ってきて、言葉が通じなくてもう自閉症みたいになっちゃって、ノイローゼになっちゃうという子供さんあるいは親御さん、あるいは家庭内のいろんないざこざもやっぱり言葉が通じないということが原因ではなかろうか。  したがって、私は厚生省の施策も見ました。懇談会の経過も見ました。しかし一番欠けているのはや一者言葉の問題についてどれだけ——これは民間では私はだめだと思うんです。民間じゃなくて、国の政策として本当の戦後処理というならば、一定程度予算を計上して、中央で無理であるならば北海道地区とか東北地区とか関東とか愛知とか四国、九州、関西とか、そういう地区別に文部省と厚生省が相協力して国の予算を通じて、少なくとも三人家族があれば、この三人家族のお父さんぐらいは一カ月か二カ月専門的に日本語の教育をして、だれか家族の一人は日本語がわかる、そういう環境にきちっときめ細かく愛情を持ってしてやるのが一番最も身近な戦後処理じゃなかろうか、こう思うんです。  これはきょう文部省をお願いしようと思ったんですが、手違いがあって呼べませんでしたから、これは厚生大臣に、私は中国孤児の問題は帰ってくる問題と帰ってきた皆さん、こういうことを考えると私はそうだと思うんです。私も二年おって中国語を勉強したつもりでありますが、どだい東北人ですから、べろ回りが悪くてなかなか通じませんでした。そういう経験もありますから、この言葉の問題については特段の配慮をお願いすると同時に、きのう厚生省に通告した問題については、後委嘱審査がありますから、委嘱審査の際に予算全般についてまたお伺いするとして、この言葉の問題について厚生大臣の見解を聞いて私の質問を終わります。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 目黒委員と同じように私も実は大陸で終戦を迎えた一人でございまして、心情は同じでございます。言葉ができぬということは、大ぜいの中におりましても、まさに孤独な世界でございまして、まず言葉を習得していただく、もうこれしかございません。そういうことでやはりこの問題は厚生省だけではできませんし、文部省とも十分連絡して、言葉を覚えてもらう、そして一日も早く日本の風俗習慣に溶け込んでいただく、もうこれしかないと思います、一番先にやることは。全力を挙げることを申し上げます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 私は、厚生大臣並びに農林省の方にすでに質問を通告いたしておりましたカネミ油症第二陣判決問題と行政という関係についてこれからいろいろお聞きをしたいと思います。  御承知のように、このカネミ油症事件が発生しましてことしで十四年目になります。そして今回で三回目の第一審の判決が出たわけでありますが、ところが早速鐘化はこれを控訴する、こういうことで、このままでまいりますと延々とさらに裁判が続きそうであります。しかしその陰には、御承知のように、家族ぐるみあるいは三代にわたる認定患者だけでも千七百八十八名が油症に苦しみ、いまなお救済をされておりませんし、全体では一万四千人以上の被害者があると言われています。こういうことは私は非常に重要な問題だと思うわけです。  それはなぜかといいますと、今日の食品は六割以上が加工食品であります。添加物の問題があります。それからまた製造工程で化学的な合成物質が入り込む危険があるわけであります。でありますから、国民の生命と健康を守る、こういう観点からいたしますと、私はいを言ったような現状の中では、積極的に行政が関与する、こういう姿勢がなければ国民の生命と健康は守れないというふうに思うのであります。でありますから、私は、これは私の持論でありますが、行政の責任をいたずらに狭く解釈すべきでない、いまの現状からいいまして。  こういうふうに考えますと、私たちはカネミ油症事件が、再び今後このようなことが起こってはいけないと思いますから、そういう観点から考えてまいりますと、私はカネミ油症事件というのは、なるほど法的な責任はきのうの裁判では免れておりますが、農林省と厚生省にまたがる食品公害だ、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。いま少し縦割り行政の弊を改めて十分な連絡がされておるならば、このような悲惨なことは起こさなかったのではないだろうかと実は考えるわけであります。  そこで、以上私のこの問題に対する基本的な考え方を明らかにしながら、以下各項目について少し、すでに同僚の目黒委員からも前段ありましたが、私はこの問題にしぼって少しお聞きをしたいと思います。  まず、厚生省、農林省の両方に聞きたいのですが、通告しておきましたからきのうの判決書をお持ちだと思いますが、この判決書の第一分冊の百四十ページの十一行目に、「国としては国民の生命、健康に対する安全を確保する責務を負っている」、こういうことが指摘をされておりますが、この指摘は厚生省、それから農林省とも尊重すべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) ただいまの国として尊重すべきであるかどうかの問題でございますが、尊重すべきであると考えております。

船曳哲郎農林水産省畜産局審議官

○説明員(船曳哲郎君) 私どももそのように考えます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それでは次のことをお聞きします。  厚生省と農林省は、食品の安全は厚生省、それから食品の生産と流通、これは農林省だと思います。でありますから、密接な関連を有する行政を担当していると思うんでありますが、私は少なくともいま言った観点から十分に協議、連絡をして行政を行うべきだというふうに考えますが、この点は厚生省、農林省どうでしょうか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) お話しのとおり、十分協議、連絡し合うべきものだと思います。

船曳哲郎農林水産省畜産局審議官

○説明員(船曳哲郎君) 担当部局間において十分連絡をとってやっていかなければならないと考えております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そこで、その前提の上で次のことをお聞きいたします。これは農林省にお聞きしたいんでありますが、判決文書の百五十五ページの入行日から十一行目に次のことが指摘してあります。「食品の安全性を職務としない農林省の係官が自己の職務を独自に執行中であっても、その過程で食品の安全性につき充分な疑いがあり、緊急に食品衛生法上の何らかの措置がとられなければ深刻な被害が発生することが予測され、食品衛生行政当局がこれに気付いていないと思われるような場合には、これを同当局に通報して被害の発生を防止すべき義務があるものと解される。」というふうにきのうの判決では指摘をいたしておりますが、この点、農林省どうでしょうか。

船曳哲郎農林水産省畜産局審議官

○説明員(船曳哲郎君) 昨日の判決に関連いたしましてのダーク油の事故につきましては、私どもといたしましては、法律上の問題を離れて、被害発生防止のための最善の行政措置を講ずるという見地からは、結果論ではございますが、当時厚生省に連絡をしておけばよかったとも考えております。  ただ、ダーク油事故当時は、ダーク油はライスオイルの精製過程の途中から分かれて副生されるもので、ライスオイルとは組成を別にするものであり、またダーク油事故直後、福岡肥飼料検査所の職員が、配合飼料原料としてのダーク油の製造工程等をチェックする目的で立入調査を行った際に、食用油の安全性について一般常識的質問をしたところ、工場側から大丈夫との返事があり、さらに死んだのはブロイラーのひなの一部でございまして、成鶏は産卵率が低下するという程度に被害がとどまったことなどから、当時厚生省へ連絡しなかった次第でございます。

粕谷照美日本社会党

○委員長(粕谷照美君) 船曳審議官、ちょっと答弁が違うようですから……。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 ダーク油のことはまだ後から聞くんですから、あなた先走って答えたらいかぬわな。質問をしないことをあなたが答えるのはいけません。ダーク油は後から、通告してありますから、順次聞いてまいります。  ですから、いまお聞きしたことは、もう一遍言いますと、この判決文書の百五十五ページに、「しかしながら」元文というふうに私が読み上げました。このことの指摘について農林省としては重要に受けとめるべきではないのかと。だから、受けとめるとか受けとめないとか言ってもらえばいいんです。ダーク油のことなんかは後から出てくるんですから。

船曳哲郎農林水産省畜産局審議官

○説明員(船曳哲郎君) 一般的には、ここにもございますように、関係当局に通報し、被害の発生を防止すべく努めるべきだと考えております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 当然重要に受けとめられるわけですね。  そこで、今度は厚生省 お聞きしますが、これまた判決文書の百五十九ページ、十二行から十三行目に書いてありますが、「食品衛生行政担当官が食品衛生に関する情報を早期に探知収集し、食品による事故を予防し、被害の拡大を防止するため早期に対策を講ずる一般的義務のあることは原告ら主張のとおり」、こういうふうに裁判官は断定をいたしておりますが、この指摘は当然の責務として考えるべきだと思いますが、厚生省いかがですか。厚生大臣。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 食品衛生行政担当者のやはり義務であろう、このように思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そこで、その意味で今度はダーク油事件について聞きたいんでありますが、この油症事件発覚以前に、農林省より食品衛生行政当局に対して、いわゆるダーク油事件の発生について連絡は何らなされなかった、こういうふうに判決文書は指摘してるんですが、したがって厚生省は油症の発生と拡大が防げなかった、それがために防げなかったことについて、農林省も厚生省も政治的行政的に責任があるのではないだろうか。私はこういうふうに思うのでありますが、この点についてそれぞれの省から。私が聞いたことは、政治的行政的にはやはり責任があるだろう、法的にはきのうは免訴になってますが、少なくともダーク油事件について十分な連絡をとり合ってなかった、こういうことは事実でありますから、その意味からいいまして、農林省も厚生省も政治的行政的に責任があったのではないかと私は思いますが、この点はひとつ、政治的問題でありますから、まず大臣の方からお答えください。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 法的な問題は裁判所が判決を出したわけでございますので、行政的責任があったかないか。これもかなり年数がたっておりまして、当時の時点に立ち戻って考えた場合には、この判決文の内容、中身にございますように、詳しい食品衛生監視員の知識がどうであったというようなことを書いてございます。しかし私は現在、現時点において、かなり以前の事件ではございましたけれども、今日的、また将来起こるかもわからない問題として考えた場合には、一般論としては、行政的にはもっともっと配慮すべきだった、また当然食品衛生の立場から留意すべきであった、そういうふうに実は考えております。

船曳哲郎農林水産省畜産局審議官

○説明員(船曳哲郎君) 今回判決のございましたカネミ油症事件につきましては、この不幸な事故がもたらしました影響の大きさにつきまして心の痛みを禁じ得ないものがございます。今後このような不幸な事故が生じることがないように、私ども行政を担当する立場におきまして十分反省いたしまして、国民の期待にこたえるべく最大限の努力を行っていかなければならないと考えておるところでございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 必ずしも歯切れは余りよくありませんが、これはきょうの新聞論調を見られてもわかりますように、一斉に、なるほど法的な責任は免れた、しかしながら政治的行政的責任は政府にあるということは、どの新聞社も書いているわけです、たとえば朝日の論説一つを見ましても。私はそう思います。  それはなぜかと言うと、このカネミ油症事件でありますが、「人の生命維持に不可欠で安全であるべき食品中に毒物が混入して起きた広範な食品公害ともいうべき事件であって、原告ら被害者には被害を回避する能力はなく、何らの過失の認められない」、これは事実だと思いますね。そういうふうに裁判官は断定をしております。でありますから、すでに被害発生以来、私が申し上げたようにもう十四年たっています。ところが、相手側は不服だということでこれに控訴を続けていきます。ところが被害を受けた方は、この裁判官が言っておるとおり、自分としては予防しようがないわけですよ、予防のしようがないわけですから。  そういうことを考えますと、私は、厚生大臣としては被害者の救済問題については早期にやはり被害者の救済ができるような配慮をお考えくださるべきだと思います。これは率直なことを言って、薬と違いまして厚生省だけのあれではないと思います。農林省ですね、それから通産省、行政関係から言うと。きょうは社労委員会でありますから厚生大臣だけにお見え願っておりますが、主として食品衛生の観点は厚生省にあるわけでありますから、厚生大臣が中心となられまして、私は場合によれば農林大臣や通産大臣等の御協力も得られながら、やはり厚生大臣としてこの問題が早期に患者の救済ができるような解決について御努力をされるべきだと思いますが、いかがですか、厚生大臣。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) そのとおりだと思います。法的な責任は別にいたしましても、不幸な事態でもございますし、事食品衛生に関する問題でございます。従来も被害者の救済については、油症に関する治療研究とか、世帯更生資金、そういう特例的な貸し付け等の処置は講じてまいりました。それからカネミ倉庫による被害者の治療費の負担の指導もしてまいりました。そういう経過もございまして、より積極的に、裁判の経緯は別にして、行政的な一つの問題として患者の方々の救済等のために努力をしたい、努力を続けていきたい、より一層努力をしたいということを申し上げます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 厚生大臣は、患者の救済、問題の解決のためにより一層厚生省として努力を続けていきたい、こういうことを明確にきょうのここで言明していただきましたから、それは結構ですが、努力の中身についてこれから少し大臣のお考えをお聞きをしておきたいと思うわけであります。  まず、それがためにきのうの判決を少し振り返ってみたいと思いますが、まず食品の安全と食品製造販売者の義務については判決の百十七ページの一行目から七行目に指摘をされておりますが、この点は、事務当局で結構ですが、厚生省として、この判決どおりだと思いますが、どうですか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 百十七ページにつきましては、一義的には食品を商品として製造販売する食品販売業といいますか、製造業といいますか、そこに責任があるということを強調されていると思いますが、そのとおりであろうと思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 次に、さらにこの判決が食品関連業者についても書いてあります。これは同じく判決の百二十二ページの四行目から七行目に、食品関連業者について、「今日の分業経済社会においては」以下云々、時間がありませんから細かく読み上げませんが、「高度の安全確保義務を負っていると解すべきである」、こういう指摘がされておりますが、食品関連業者についても厚生省はこのとおりとお考えでありますか、お考えを聞かしてください。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 食品関連業者につきましても、十分そういった面での配慮を必要とするのではないかというふうに思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それでは、そうだとしますと、私は鐘化の法的責任はもうこれで三度明らかになったということになると思っている。特に今回の判決で、「PCBを食品工業の熱媒体として、販売を推し進めた」、こういうこと自体に責任を認めて、PCBの混入経路がどうであれ鐘化の責任は明らかというふうにこの判決は言い切っているわけであります。でありますから、私はもう鐘化は責任は免れない、こう思います。  そこで、したがって、鐘化とカネミが私は被害者の切実な要求に応じるように話し合いの場につくべきだと思うのであります。ところが、鐘化の方は依然としてこの話し合いを拒否をいたしまして、三度にわたる判決が出たにもかかわらずに、一回一回控訴していく、こういう姿勢をもって延々と裁判で争うという姿勢をとっているのでありますが、私はそれでは問題の事態解決にはならない、もうすでに発生して十四年もたっているわけでありますから。  そこで、鐘化が現在被害者との交渉に応じていない。でありますから、ぜひ厚生大臣、ひとつ鐘化が被害者との交渉に応ずるような最大限の努力を、厚生行政を担当する最高の責任者である大臣としてしていただきたいと思いますが、ぜひその点について大臣からの明確なお考えを聞かしてください。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 裁判は裁判として別にいたしまして、いま申し上げましたように、一般論で言って、行政指導を担当しております厚生省としては、安恒議員がおっしゃいましたように、鐘化が話し合いに応ずるように努力をしてみたいと思っております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣がそういう努力をしていただきましたならば、私たちもその交渉がうまくいくように、大臣の陰になりまして、横から事務連絡その他も申し上げて、できるだけ早く交渉が行われて円満な解決ができるようなひとつ一段と大臣の御努力をお願いしておきたい。私たちも、野党は野党なりでこの問題の早期日満な解決ができるような御協力はぜひしなきゃならぬ立場にあるだろうと、こういうふうに思っておりますことを申し添えておきたいと思います、ぜひひとつ大臣お願いをいたします。場合によれば、通産大臣や農林大臣の御協力もぜひ得ていただく場合があるかと思いますが、それらもひとつ大臣御配慮の上でぜひ。  というのは、スモン問題が橋本元厚生大臣の時代に飛躍的に御努力によってずっと進みました、それまで裁判、裁判が続いておったのでありますが。ですから、今度はあなたの大臣の時代に、延々とした裁判ではなくして、問題の解決にぜひあなたの大臣の時代にひとつ踏み出す。こういうことで、橋本元厚生大臣に負けないくらいの、この問題、いわゆる公害裁判に対する御尽力をこの際ぜひお願いしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) スモンと少し内容が違うかもわかりませんけれども、やはり行政担当最高責任者として話し合いができるように努力をいたします。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 次に、カネミ油症の被害救済のためには、企業との間に解決すべき問題と、残念ながら企業ではできない恒久対策問題がございます。そこで、その恒久対策問題についてひとつ御意見を承りたいと思います。  発生以来、企業に対する賠償責任なり、恒久対策の要求をずっと被害者はやってまいりましたが、国に対しましてもぜひこの種の、率直に言って、治療方法が確立をしていない、大変むずかしい、いわば難病とも言えるべき病気に皆さんがかかられておるわけでありますから、そういう問題に対する恒久対策について、いろいろ被害者の皆さん方から国に要求が出ているのでありますが、なかなか進んでおりません。  そこで、次のことを私はお聞きをしたいし、お願いをしたいと思いますが、まず治療方法の研究開発、これをどうされようとするのか。  それからいま一つは、被害者が治療を受けるときに、どこでもいつでも安心してカネミ油症被害に関する治療が無料で続けられるような体制を確立をしていただきたい。現在は、カネミが発行している診療券というのがありまして、これを使ってやってくれと、こういうことになっています。ところが、なかなかこれが公的な通用の力を持っておりません。結局自己負担となって、それからカネミにまた改めて請求する、そして補償してもらっている、こういうことでカネミ油症患者は大変困っております。こういう点についてひとつ、いま申し上げたように、大変むずかしい病気でもありますので、いつでもどこでも安心して無料で治療が受けられることについての体制確立、私はこの点について考えてもらいたいと思うんです。  それから御承知のように、スモンには健康管理手当、こういう継続補償体制が確立されております。私は、カネミの患者の場合も、やはりスモンと同じように非常に治癒がしにくい、決定的な治癒方法がないと、こういうものでありますから、そういう継続補償体制の確立も私は必要ではないだろうかと思いますが、それらの企業ではなかなか完全にし得ない、特にこの第一点とか第二点というのは、その財源をどこがどう出すかというのは、私はできるだけ企業に持たせるということについてはそれでいいと思いますが、いずれにしましても、いま申し上げたこの治療方法の研究開発や、被害者がどこでもいつでも安心して無料な治療が受けられる、こういうような問題点等々について、厚生省のこれらに対する恒久対策についての考え方をひとつぜひ聞かしていただきたいと思います。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) いまお話しの治療問題につきましては、厚生省としては、過去十四年間にわたって治療研究を行っておるわけでございます。そのために研究費を五十六年までで約六億一千万ほど国として出して進めておるわけでございます。しかしお話しのように、この根本的な治療というものについてなかなかいろいろむずかしいものがございまして、まだ最終的な結論を得ていない段階でございます。  しかし、この人たちがやはり安心して治療を受けられるようにということで、これは厚生省の指導によりまして、ただいまお話がありましたような、カネミ倉庫がこの治療費を負担するという形で現在これを継続しておるわけでございます。お話しのように、いろいろと多面的な問題についてはなかなかむずかしい問題があるわけでございますが、私どもとしては、今後ともこういった少なくとも治療につきましては継続できるような、そういう努力というものにつきましては十分いたしていきたい、このように思っておるわけでございます。  それからさらに、その治療研究につきましても、今後とも継続して積極的に進めていきたいと、こういうふうに思っている次第でございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣ね、まず第一点は、治療方法を一生懸命研究されているようですが、まだ決め手が出てきておりません。ですから、これはもっともっと研究の速度を上げて、また必要な国の財政も投資して、私は根本的な治療方法の研究開発にさらに一段と御努力をぜひお願いをしたいと思います。これが第一点であります。  それから第二点目は、いわゆるカネミが発行している診療券では何ら公的に通用しないんですよ。それで、まず患者が自分で立てかえて、それから後からカネミに請求するというやり方、私はこれではこの種の難病の方については不親切だと思うんです。ですから、これもひとつ前向きにカネミの患者が十分その治療を受けられると——もちろんその支払いは企業にさせればいいわけですから、企業に後からさせればいいわけですが、しかしいまのカネミが発行しているいわゆる診察券などというのは、一般のお医者さんのところに行きますと通用しないんですよ。やはり国か何かがそれを裏打ちしてくれないとね。カネミが勝手に診察券を出しているんです。その診察券を持って病院に行きますと、これ何ですか、いや、カネミから、そんなものはだめです、ちゃんとうちは現金で払ってくださいと、こういうことになって、そして後からいわば療養費払い的なことになっているわけですね。これじゃカネミの患者の皆さんはお医者にかかれないわけですね。  それはなぜかというと、一時立てかえなきゃならぬわけですね。そうじゃなくても、カネミ油症の方は大変な苦しみを日常生活の中でしているわけですから、そういう人が私的に発行された診療券を持っていっても、なかなかお医者さんの方に通用しないということなんですが、私はこういうものは政治として、財源はカネミと鐘化に持たせればいいわけですから、これはやり方はあると思うんです。研究していただければ、十分に医療機関の診療を受けることは、国の財源が痛むわけじゃないわけですから、私は方法はあると思いますから、それらについてぜひひとつ大臣の御答弁をお願いしたいんですが、前向きに検討していただいて、患者の皆さんが安心して医療機関にかかれるようにしてほしいと思いますが、どうですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) この種の問題については原因者負担ということで、いまおっしゃいましたように、カネミ倉庫または鐘化ということになるわけでございますけれども、とにかく患者の方の治療、これは何をおいても優先しなければいけないし、いまいろいろお話聞きますと、その診療券が通用しない、しにくいというようなことでは困るわけであります。そういうことで、よく県の方とも十分相談また指導いたしまして、そういうことがないようにいたしたいと思っております。従来もやっておったんですが、いま聞くことによって想像いたしますと、カネミ倉庫の方でなかなか経営がむずかしくなっておるんじゃないかというふうな気持ちもせぬことはございませんし、一定の企業が経営において限度もあるような感じがございますし、といってそればかりに負担をさすということは、これはとうていできにくい、また治療もできにくいということを考えまして、十分県とも相談また指導いたしまして万遺憾なきよう今後とも指導を続けていきたいと思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣ね、なるほどカネミ倉庫は財政的に問題がありますが、鐘化は財政的余裕はたくさんございますから、その点は、お金の点は御心配要りません。私の方で鐘化の資産その他いろいろ調べておりまして、これぐらいのことやるのに何ら鐘化は財政的な負担は感じないだけの能力を持った、資産を持った会社でございますから、その点はひとつ。金の点だけじゃないと思うんです。ですから、私は、いまあなたが言われたように県を御指導されて、本当に患者の皆さんが安心してお医者さんにかかれるような措置はぜひひとつしてほしいと思います。ちょっとお金のことが出ましたから申し上げておきますと、そういう状況です。  そこで、これも目黒先生から出されましたが、私もやはりいま少し食品衛生法の改正と食品被害救済制度の確立について中身を、目黒先生と大臣のやりとりを踏まえまして、詰めさせてもらいたいと思うわけであります。  目黒先生からも言われましたように、食品衛生法の全面改正、それから食品事故に伴う被害者救済制度の創設を柱とする食品二法の改正運動、それに新しく制定運動、こういうことがいまや私はもう国民の世論となっていると思います。具体的には、消団連それから日弁連等々多くの団体から具体案の発表なり意見書がそれぞれ提出されているのは御承知のとおりだと思います。そこで私は、厚生省は早急にこの食品二法の設定に取り組むべき時期に来ていると思いますから、次のような事項についてお考えを聞かせてください。  まず、中身でありますが、今回の判決との関係から、食品企業と食品関連企業の法的責任を明確化する、このことが私はまず必要だろうと思う、第二番目には、食品事故防止のための各省庁の連絡義務。第三点は、食品事故防止のための企業の情報提供の義務。そして第四点は、カネミ等すでに発生した食品被害を含めた被害者救済制度の確立というようなこと。これは私がいまいろいろ研究しました観点で最低限この四点はきちっとした角度において食品二法の改正ないしそれから救済法——これは新しい制度の設定でありますが、設定する必要があると思いますが、この点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。厚生省のお考えをお聞かせください。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 食品衛生法についての先生からの御提言でございますが、食品衛生法につきましては、御承知のとおり、数次にわたって制定以来改正が行われておりまして、またカネミ油症事件が起きた後におきましても、それに対応する改正、有害物質の混入防止等の改正措置等もいろいろとっておるわけでございます。  御意見がございました関連各省あるいは関連企業との事故防止のための連絡というふうなものにつきましても、これは果たして法律上必要かどうかという問題も、先ほど御答弁申し上げておりますように、食品衛生の上からやはり当然のまたこれは義務ではないかというふうなことも痛感いたしております。そういった問題。  それからさらに、救済制度の問題につきましては、これは食品そのものが本来安全に供給されるべき性格のものでございます。そういった意味で、どういった救済的な制度がこの食品に衛生を確保する上でなじむのか、いろいろ法的にもむずかしい問題があろうかと思います。そういった面を踏まえまして、今後十分検討させていただきたいというふうに思っております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣、きょうのやりとりをずっとお聞きくださってわかりますように、ダーク油事件が起こった、特にカネミ事件が発生したときに、当時の厚生大臣、農林大臣も、国会答弁では、食用油について注意しておくべきであったとか、厚生省に農林省として連絡しておけばよかったと、こういうことが当時の議事録にも実は明らかになっているわけです、率直なことを言いまして。でありますから、私は少なくともカネミはもう起こってしまったわけですが、再びこういうことを起こさないために——しかも私がきょう前段に申し上げましたように、今日の食品というのは六割以上が加工食品である、しかも添加物がついている、そして製造工程で化学合成物質が入り込む危険が多いわけであります。しかも一方、国民の方から言うと、これを事前に予知をする方法はないわけであります、よほど腐っている食品なら別ですけれども。そういう場合にはどうしても行政的にこれを守っていくことが必要であり、今日非常に緊急かつきわめて重大だと思います。  でありますから、そういう角度から考えてまいりますと、少なくとも食品企業や食品関連企業の法的責任、いわゆる無過失責任を含めました責任が食品衛生法の中に明らかになることはますます今日きわめて必要なことじゃないでしょうか。  また、いまも過去の議事録を読み上げたように、当時の大臣が悔まれておったように、各省の連絡がいま少し十分だったら防ぎ得たかもわからないと当時の大臣がそれぞれ国会で御答弁をされているわけでありますから、それがために、やはり食品事故防止のための各省間の連絡義務を明確に法律化しておくということ。  また、食品事故防止のため、企業側からの情報提供の義務。今回の場合も農林省が立入検査したときに、いや、私が食べておって被害がありませんということをそのままうのみにしているわけですよね。うのみにしているわけですから、当時の農林省の方は。でありますから、私はこういう企業の情報提供の義務というものも、いまの食品法でもある程度明らかにされていますが、さらに明確にしておかないと再発をぼくは防げないと思います。  それから被害者救済制度は、なるほど原因発生主義でありますから、被害を出した企業が私は持てばいいと思います。しかし、薬害救済基金等も、われわれ社労委員会の中で法律をつくったわけですね。与野党一致して薬害救済基金法というのもつくったわけでありますから、そういう点からいきますと、もちろん原因発生の企業に持たせるのが本来でありますが、しかしたとえば大臣もちょっと言われましたように、カネミ倉庫の場合は大変だと、こういうことになるわけですね。私どもこの解決には、ちょっと大ざっぱに見ましても、約二百億程度は要ると思います、素直に言って。鐘化はそれだけの能力を持っています、今回はたまたま。しかし常にその能力を持った企業ばかりが当たるというわけにはならぬわけですね、こういう問題は。  そういうことになりますと、私は食品業界全体の問題として、やはり薬害救済基金制度等にならって、食品被害者を含めた被害者救済制度というものができることはいいことではないだろうかと、こういうふうに思いますから、この点はぜひ大臣ひとつ前向きに——まだいろいろ問題点があると思います。日弁連からも、またそれから消団連からも、いろんなところから大臣の手元にも意見書が届いていると思いますから、また厚生省自体もいろいろ目黒さんの質問に答えられて、過去研究されたということでありますから、それらを踏まえて私はできることならば、まあこの国会はとても間に合いませんが、来年度の通常国会にはそういう食品衛生法二法の全面改正を用意していただいて、私たち社労並びに関係委員会の中で慎重に審議ができるような前向きの御努力をぜひひとつこの際お願いをしたいと思いますが、大臣どうでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) いろいろお話伺いました。結論は、食品衛生法を改正するかどうかという問題にも触れられたわけですが、これは二十二年制定以来十二回にわたる改正を行ってきたところでございまして、御承知のとおりだと思います。四十七年には有害物質の混入防止等の措置基準に関する規定を設けるなど、食品の安全確保の対策の強化を図ったところでございますが、食品の安全の確保について、科学技術の進歩、食生活における嗜好の変化等に即応いたしまして必要な見直しを行っていくことが必要であると実は考えておりますし、今回の裁判の結果、いろいろ判決文読ましていただきまして、先ほどもたびたび申し上げましたように、きょうの問題、あすの問題としてこの食品衛生の問題と取り組んでいくのが厚生省の前向きの姿勢である、そういうことで、厚生省自体もいろいろ食品衛生についての考え方も持っておりますし、また日弁連からの意見書等もございます。また、関係者からのいろいろな御意見もございます。また国会を通じてのいろいろ御意見等いただいておりますし、また今後ともいただけると思いますので、十分前向きで検討を重ねてまいりたいということを申し上げます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それでは、同僚の目黒先生の御質問、私の質問に重ねて答えられまして、食品衛生法の二法の改正についても前向きに努力をしたい、こういうことを大臣がおっしゃいましたので、承りまして、ぜひひとつその方をお願いをすると同時に、これは一遍すでに大臣は考え方を表明されましたが、当面カネミ問題の解決のために、いわゆる関係の会社が被害者との間にテーブルに着いて中身のある交渉によって、延々と裁判を今後続けるということじゃなくして、解決のためのひとつ努力をさらに最後に重ねてお願いをいたしまして、この問題の質問は終わりたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 今回の判決を踏まえまして、関係企業及び原告患者の双方が話し合いを希望されるのでございましたら、両者の話し合いができるように努力をしたい。また、双方が話し合いをできるような指導、また環境づくりをやりたいということを申し上げます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それでは、私の持ち時間は二十五分まででありますから、余り時間がありませんので、カネミ油症問題はこれで終わります。  次に、障害者の所得保障制度についてお聞きをしたいと思いますが、昨年は国際障害者年でありましたし、予算委員会においてもこの問題が集中審議をされました。また当委員会におきましても、昨年度障害者所得問題についていろいろ議論を深めたところであります。  そこで、どうも一生懸命私たちが予算委員会で集中審議をしたなり、もしくはこの委員会の中でいろんな議論をしたのでありますが、一向改善をされてない。というのは、ことしの国家予算、いま参議院予算委員会の中で議論しておりますが、その中に出てきておりますところのこの障害者の所得保障制度、こういうところは何ら政善の跡が見られないわけであります。行政責任を負われる厚生大臣としては、この点についてどのような所感を持っておるか、お考えをお持ちなのか、まず行政責任であります厚生大臣の所感をひとつ聞かしてください。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) いろいろ前大臣または元大臣との国会を通じてのやりとりがございまして、障害者の所得保障問題、また社会保障の問題等についてのお話があったことは承知をしております。しかしながら、五十七年度の予算の内容を見ても余り進んでおらないというようなお話でございますが、一言で言えば、非常に財政状況が厳しくなって、昨年の夏いわゆるゼロシーリングという厳しい中で予算を組んだというところに、せっかく私どもが意欲を持って御趣旨に沿うべく努力をしたい気持ちがありながら十分なことができなかった、私自身も実はそう思っております。  過去の福祉予算についての成長率を見ました場合に、確かに足踏みをしておる状況でございますけれども、これは福祉だけではなしに、ほかの部門についても、非常に財政情勢が厳しいこの財政環境を見ましたならば、私どもは精いっぱいの予算を組ませていただいた。最善ではございませんし、また過去にいろいろ申し上げたこととは多少違いますけれども、御趣旨に沿うべく努力をしてきたということを申し上げて私の考え方といたします。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 私は、国際障害者年のテーマである障害者の「参加と平等」にとって、障害者の所得保障の充実はその基本であると思います。そういう観点から元厚生大臣園田さんとの間にもやりとりをしたわけであります。そして、いろんな約束も元厚生大臣はある程度されたわけでありますが、ところがそれから約一年もうたってしまいました。ところが、本年度の行財政改革を行うということ、そのもとにおける本年度予算がいろいろ出されていますが、それにも何にも具体的な具体策はないわけであります。  大臣は、いま国家財政の苦しい折から総括的に精いっぱい努力した、こういうことでありますが、私たちは所得保障制度の中身についても、当時園田大臣との間にやりとりをいろいろしているわけでありますから、たとえば厚生省にプロジェクトチームを設けて、こういうことをやりたいとか、ああいうことをやりたいということもいろいろ答えられているわけですから、いま少しあなたたちがこの国際障害者年の一年間に真に障害者の所得保障のためにどういうところをどう研究したんだとか、ここまで研究が進んでいるとか、ここにはこういうネックがあるとか、そういうことがあるならばわかるわけですが、いま大臣は、いわば概括的な障害者の所得保障を含めた福祉についての御努力もしくは苦しさの点の御開陳があっただけでありまして、いま私がきょう議題にしておりますことは、障害者の所得保障制度について、去年の予算委員会の集中審議、それから本委員会における各委員のいろんな御意見、そしてそれを受けてプロジェクト等をつくって前向きに検討したい、しかも私たちは障害者年の第一年の滑り出しは五十七年からですねと、こういうことまで聞いて、そのとおりだということで努力するということを約束されているわけでありますから、そこらのもとで本当に障害者の所得保障制度についてどういうことを厚生省としてはこの一年間されたのか、そしてどこまで進んでいるのか、問題点はどこにあるのか、もしくは今後さらにどういうふうにしていこうとするのか、そこらをひとつ聞かしてください。

正木馨厚生大臣官房総務審議官

○政府委員(正木馨君) 障害者の所得保障の問題でございますが、昨年国際障害者年に際しまして、厚生省内に臨時に国際障害者年推進本部、これは事務次官を長とする本部でございますが、設置されまして、その本部から障害者の生活保障問題検討委員会、先生おっしゃいましたプロジェクトチームが設置をされまして、関連諸施策の現状の点検と今後のあり方について検討するように、昭和五十六年度中に本部長に提出することをめどとするということで、実は私、総務審議官でございますが、をキャップにいたしまして各局と検討委員会を進めてまいりました。で、この検討委員会は現在議論を終えまして、本部にあてて出します報告書の作成に取りかかっておるところでございます。本部長に報告をし、さらに大臣にも御報告をしたいというふうに思っております。  個々のどういった点が問題になっておるか、どういう検討の仕方をしたかということを若干申し述べさせていただきますと、障害者の所得保障の問題に取り組むに当たりまして、まず私どもとしては、現在の障害者対策はどうなっておるかというのを全面的に洗い直しをしよう。それから特に重度障害者あるいは二十前障害者の方々の所得保障の問題について、一体現状はどうなっておるのかという現状についての問題点をいろいろ追求をいたしました。さらに、障害者団体の代表の方々と二度にわたりまして意見交換というか、御意見を伺いまして、そういうものを踏まえまして、今後の解決方策としてはどういうことがあるのか、それについてはどういう問題があるのか、それについて克服するためにはどういうことがあるのかということを私ども精いっぱい検討をいたしたつもりでございます。  昨年の三月の予算委員会で先生の御質問がございまして、これは鈴木総理に対する御質問だったと思いますが、この問題について御論議があり、年金制度のあり方自体の問題、あるいは福祉手当のあり方の問題、あるいは生活保護法との関係をどうするのかといったいろいろな問題についてきめ細かく突っ込みをすべきではないかということをおっしゃいました。私どもとしても、全くそういう点が一番大きな問題でございます。さらにこういった点を前進するための財源問題等々もございますが、現在のところ幾つかの案につきまして、私どもとしての研究成果を、結果をまとめまして、報告をいたしたいということで努力をいたしている段階でございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣ね、プロジェクトチームをつくってこういうことをやってもらいたいということは、もうすでに私から鈴木総理、前厚生大臣のところに申し上げて、全く同感だ、その観点から早急にひとつプロジェクトチームをつくってやろうと、こういうことになっているわけです。いまお聞きするところによると、五十六年度中ということですから、五十六年度というのは、官庁会計年度で見ると三月三十一日だということですから、これ以上突っ込んでもきょうはやりとりできないと思いますが、少なくとも私どもは、いまあなたが口頭でべらべら言われましたが、必ずしも十分理解ができません。ですから、問題点を投げかけて、一国の総理が、厚生大臣も含めて、約束をされたことですから、そのことについては、現状はここまで議論しています、こういうところはこういう問題がありました、さらにこういう点はなお突っ込まなきゃなりません、というような中間的な報告でも私はしてもらいたいと思います。ですから、きょうはもう時間もございませんので、いずれそういう文書をいただいて——どうせ予算案が各常任委員会にその審査がおりてまいりますから、そのときになおこのことは続いてやりたいということで、いまあなたが言われたような、何回ぐらい研究会をやって、研究のテーマはこれとこれとこれと、結論が出たものはこれ、検討中のものはこれ、もしくは問題点はこう、こういうことを整理してひとつ文書で出してください。それに基づいてさらに本委員会の中で抜本的な問題については議論を深めたい、こういうふうに思いますから、その点はよろしゅうございますか。

正木馨厚生大臣官房総務審議官

○政府委員(正木馨君) わかりました。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それでは、きょうは実はそれに基づいて深く時間をかけて議論しようと思っていましたが、そのことは保留しておきまして、これに関係することの中の一つだけをちょっと大臣にさらに所感を伺いたいんです。  そういう抜本的な障害者の所得制度のあり方ともう一つ議論したわけです。これは手っ取り早くできることではないかということで、いわゆる無拠出の障害者の福祉年金と拠出をされている障害者年金との間に余りにも格差があり過ぎる。これだけは同じ障害の等級で片方は先天的な障害者である、片方は後発的な障害者になって、たとえば二級なら二級、一級なら一級、これが余りにも差があり過ぎるということについては、集中審議の中で議論をしたんです。  そのときに、根本的なことはプロジェクトチームをつくって総体的に研究しますと。しかしそのこととは別に、とりあえず無拠出の障害福祉年金とそれから拠出制の障害年金との差を埋めてもらいたい。こういう努力を私は強くこれまた園田厚生大臣並びに総理に要望いたしました。これについても当時、その点はよく承知いたしております、十分ひとつ前向きにこれも検討したいということで、その当時のやりとりを私は覚えていますが、年金局サイドと社会局サイドでは厚生省の中に少しこの問題について考えの違いがあります、こういうことで、当時の年金局長、社会局長にも答弁をさせながら、最終的にその間の善処方をお願いをしたのでありますが、ことし、いずれ法案となって私どもの方にいろいろこれからこの委員会にも法律でかかってきますが、格差の解消が全然ひとつもされてないわけですね。  去年あれだけ——これは社会党だけじゃないと思います。ほかの野党もみんなこの点は言った。後からもまた前島さんからも出ると思いますけれども、そのときは、この点だけは何とかしなきゃならぬのじゃないかという共通的な空気が私はかなり強かったと思うのでありますが、残念ながら、五十七年度の金額を見ましても、いわゆる一級では大体一・五九倍、二級では一・八八倍の差があるわけです。これが少しでも縮められたとか、少しでもよくなったというなら努力の跡はわかるんですが、委員会のときには、前向きに本当にこれは努力しなきゃならぬなと、こういう空気だったのですが、残念ながら、今後法律となって出てきますし、またすでに予算委員会に予算案として御提示くださっているところの拠出制の月額と無拠出制の月額は何ら格差が縮まってない。こういう点について、去年いろいろ集中的に審議したときのお約束で、ことしせめてこれだけでも少しでも手直しをする、そういうことがあれば、私は行政が前向きに進んでいるということを評価できると思います。それはいま一・五九倍、一・八八倍になりますから、私ども野党が言っているように直ちに同額にできないにしても、若干でも改善をされている点があってしかるべきだと私は考えるわけでありますが、この点はどうなんでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 拠出制と無拠出の格差は依然として大きいという御質問が過去においてございましたし、また園田元大臣より御答弁があって、その差を縮めていきたいというお約束をしておることも事実でございます。  そこで、先ほどお話に出ました省内のプロジェクトチームをつくりましてこの問題に取り組んでおるわけでございますけれども、いまの年金制度の仕組みとか考え方から言いまして、年金制度の中だけではなかなか解決がむずかしいということが、いわゆる所得保障問題について総合的な観点から検討が必要であるということに実はなっておったわけでございますが、残念ながら、プロジェクトチームもこの三月三十一日という期限でございますけれども、私がいろいろ関係者に聞きますと、一生懸命やっておるんだけれども、なかなかすべて一〇〇%煮詰まっておらない、やる以上はりっぱなものにしたいと、こういうような係の方よりの答えが返ってまいっておりまして、極力早く仕上げて出すようにいたしたい。もちろん、この中にはいまの拠出、無拠出の差を縮めていくという案も入っておるはずでございます。まことに差を縮めていくという厚生省の方針でありながら、現実にはそうなっておらない。これは私も認めざるを得ないわけでございまして、しかしプロジェクトチームもまだ結論がすべて出ておる段階でございません。その中には恐らく御指摘のような方向で出すべく努力をしておることは事実でございますので、結論が出るまでお待ちを願いたいと思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣ね、いまもちょっと出ましたけれども、この老齢福祉年金と五年年金とのバランスですね。これは目黒議員の質問にいろいろ年金局長以下が答えられました。私は、老齢福祉年金の低いのは非常に問題があると思いますし、また目黒議員からも指摘ありましたように、これは受給者は急速に減っていっているわけですね。でありますから、その反面、増額は緊急であることは事実であります。しかし障害福祉年金の場合にはそういう経過的な、過渡的な制度ではないわけですよ、これは。いわゆる先天的障害者と後から出た障害者の間に、こんなに同じ等級で年金の開きがあるということはだれが考えてもおかしいことなんです。  ですから、私が申し上げているような年金、それから生活保護法、それから福祉等々総合的なプロジェクトチームをつくられて、障害者が憲法に保障されている人間らしい生活、自立できる生活、それにふさわしい所得を見つけていただくことは非常に重要でありますが、そのことが一遍にできないならば、せめてできるところから手をつけていくと、これが政治であり行政であると思います。そうすると、だれが考えても同じ障害者で一・数倍も開きがあるというこの障害福祉年金について、国家財政が大変苦しいときでありますが、それでも一歩一歩差が縮まっていくというならば、これは去年国際障害者年で集中審議をし、議論をしたかいがあったし、また障害者の皆さん方にも、国家財政が赤字の折でもあるから、一歩一歩こういうふうに改善していっているということになるんなら一私は一つのお答えになると思うのである。ところが、全然それが改正されない、差が縮まらないということになると、何のためにお互いが長時間かけて国会、国政の場においてその改善について議論をし合ったか。しかもいま申し上げたことについて差があることが当然だとか、そうしたいという御意見は一つもないんですからね。差は埋めなければならないというのは、もう総理以下当時関係大臣全部がお考えくださったことなんですから、そういう意味から言って——きょうこれ以上もう時間がございません。でありますから、いま大臣がプロジェクトチームが考えている中に当然入っていることだろうと、こういうことでありますから、後から、プロジェクトチームがこれらの問題についてどこまで御検討くださったのか、もしくは検討の結果こういうところに問題があるならあると、私たちはそういうものもざっくばらんに出してもらいたいと思う。その中でみんなで英知を傾けて問題点の解決に努力をし合うことが障害者の問題についてはきわめて必要なことだろうと、こういうふうに思いますので、以上のことを要望いたしまして、私の持ち時間が参りましたので、質問をこれで終わりたいと思います。

粕谷照美日本社会党

○委員長(粕谷照美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会

粕谷照美日本社会党

○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 私も最初にカネミ油症の問題について伺う予定でおりましたが、午前中の審議でかなり総合的に尽くされておりますので、一言要望を申し上げるにとどめたいと思います。ともかく食品衛生法、衛生法と言われているわけでございますが、すでにこれほど化学物質のはんらんした今日にあっては、むしろ安全法、その基本的な考え方を法的にしっかりするということの方がもう急務とされている今日だと思います。そういう意味で、午前中議論になりました食品二法の制定、こういったことにぜひ鋭意取り組んでいただきたいということ、この一点と、それからもう一つ、被害者が現実に悩んでいらっしゃる以上は救済を国の手でもって推し進めていただいて、一日も早く助けてあげていただきたい。この二点にしぼって御要望をするにとどめておきます。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  私、きょう水道水の安全問題について若干の御質問をいたします。昨年は予算委員会で発がん物質と言われるトリハロメタンの問題について質疑をしたわけですが、きょうは少しまた角度を変えまして防錆剤を中心に少しお尋ねをいたします。  毎日毎日無意識に飲んでいる水でございますが、この水道水の安全ということが今日やっぱり見直されてきている段階だと思います。いま現在水道の水が私たちの口に入るまでに大体どういう薬品が添加をされているのか、その辺はいかがでしょうか。またその薬剤添加の法的根拠は何になっておりますか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 水道水として供給されるまでの間どういう薬品が添加されるか、その根拠法令その他についてでございますが、一つは川の水をとりましてそれを飲める状態にする、つまり浄水処理の際に濁りをとるための凝集剤といたしまして二種類ぐらいのものがございます。また凝集を助ける薬品としまして凝集補助剤といったものもございます。また中和をするためのアルカリ剤のほか消毒剤としてございまして、合計十一種類ぐらいのものが使われております。また、においをとる等のために活性炭も使われておりますから、それらを含めますと十二ということになります。  で、使用量の実態でございますが、全国的に幾ら、何トン使われておるかということについては詳細に把握いたしておりませんが、薬品の費用についてみますと、五十四年度時点で全国の水道で用いられた薬品費の合計は約百三十億でございまして、ちなみに水道事業総費用のうちの一・一%に相当をいたしております。この十二種類のものがすべて使われておるというわけではございませんが、たとえば東京都の場合を見ますと五種類のものが使われております。  それに対しましてどういう安全性をとっておるかということでございますが、一つはその薬品の品質管理の問題でございまして、個々の薬品につきまして日本水道協会という地方公共団体の集まりである団体におきましてJWWAという規格をつくっておりまして、さらにそれがある程度時期を経まして実証が積み重ねられました段階で、日本工業標準調査会でいわゆるJISといたしまして規格化されておうところでございます。それぞれの団体におきましては、学識経験者による専門委員会等で十分安全性を含めて検討された上、規格が定められているところでございます。  また、その使用につきましては、通知等で指導をいたしておるところでございます。  大体概況そのような状況になっております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 大体の概略の御説明はいただいたんですけれども、地方公共団体とかあるいは業者団体にお任せをしている点というのがかなりあるのではないかという気がするわけですね。日本は水がきれいで、これだけ水道の蛇口をひねると飲める水があるということは、大変ありがたいことですけれども、その水質基準を安全に保っていただいている、そこが至上命令になっているために、そのためにはどんな薬品をどれだけ使ってもいいんだという、そっちの方が逆に多少おろそかになっているのではないか、こういう逆の面が出てきているのではないか、その危険性というものを指摘しなければならないと私は思うわけでございます。  いま凝集剤とかその補助剤、酸化剤、吸着剤、PH調整剤などいろんな薬品がございましたけれども、この辺の毒性試験のチェックとか、使用基準の管理とかいうことは、最終的にどこが責任を持つわけですか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 都市の水道事業でございますので、水道事業者が責任を持つということになります。そのチェックはいわゆる水道法によります水質基準によってチェックをされるということになろうかと存じます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 特に最近では河川の汚染が非常にひどい。原水が汚れているというのは最高の問題ではありますけれども、そこで前塩素処理をかなりしなければならない。ですから、東京都内ですけれども、残留塩素については〇・八から一ppmぐらいこれが記録されているようです。ビル管法から言えば、〇・二ppmぐらいが基準になっているわけですから、非常にこれは高い。五倍ぐらい残留塩素が出ているわけですけれども、この辺の毒性試験あるいは量的コントロール、こういったところが明確ではないんではないかと思いますが、いかがですか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 御指摘の塩素の問題でございますが、一つには水道法によりまして、末端〇・一ppm以上、いわゆる水系伝染病予防のための基準がございまして、それに従って各都市はやっておるようでございます。  一つ最近新しい課題として出ておりますのが、水質が汚れてくるために事前の処理として前塩素処理、かなり強塩素の処理を行うという実態がございます。それが先ほどちょっと先生御指摘のございましたトリハロメタン等の問題も惹起いたしておるわけでございますが、基本的には、塩素に限らず、先ほど申し上げたような十二種類の薬品の使用に当たりましては、維持管理指針等ていわゆる適正使用率といったものを実験的あるいは経験的にそれぞれの原水に対応したものを求めまして、それに従って注入をするというような指導をいたしておるところでございます。  適正注入率といいますのは、原水の水質によって変わるわけでありますので、それぞれ各都市が実験をしていくということでありまして、適正に浄水が行われるかどうかということは適正注入率が守られていないとうまくいかない。言いかえますと、過剰に入れることによって浄水効果が低下するということも明らかでございます。したがいまして、適正注入率というものがみずから抑制しておるといいますか、使用基準的なものに現在なっておるところでございます。  塩素につきましても同様でございまして、過剰に入れますことは、当然コスト高にもなりますし、後々味とか、においとかいう問題で当然に水質に影響が参りますので、おのずから自制されてくるんではなかろうかというふうに考えておるところでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 これは前段階の御質問をいま二、三申し上げたわけですけれども、水質基準を守らなければならない余りに、今度は過剰の薬の投与、それに対する今度はチェックの方法といった点が多少甘いのではないか、こういう気がいたします。  そこで、防錆剤のことを次に伺うんですが、防錆というのはさびを防ぐですから、一般には赤水を防ぐというビル水道でよく言われている問題でございます。この防錆剤はビル水道の場合にどう使われているか、その使用方法とか使用基準とか使用量とか、こういったところを厚生省は把握していらっしゃいますか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) ただいまお尋ねの防錆剤についてでございますが、厚生省でいろいろ実態を調べた結果でございますが、建物で赤水が発生を見たことのある建物といいますのが大体二一%程度あるようでございます。それについていまお話しの防錆剤を使用した建築物というのがそのうちの大体六〇%程度というふうに聞いております。  で、現在、この防錆剤につきましては、私どもとしては、一応やむを得ない場合に防錆剤を使いなさいというふうな形で行政指導をいたしておるわけでございますが、使用の実態というふうなものにつきましては、これは日本防錆技術協会が自主的な一つの基準をつくっておりまして、それに基づいて使用をしているというのが実態でございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 その業者が自主規制でつくっているというのはどういう基準でございますか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 防錆剤の濃度を一応一五ppmというふうな基準をつくりまして、それでやっておるということでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それで、東京都の例でございますけれども、やっぱり防錆剤を使っているビルがかなり多いわけですけれども、その中でちょっと使い過ぎる、水道の水がとろっとしているというわけですね。  で、これは業者任せで、適当に赤水が出るときにはそのさび防止に使いなさいということになっているんですけれども、果たしてこの一五ppmというものが安全なのかどうか、その根拠、そういったものを厚生省はどう受けとめていらっしゃるのか。それは厚生省が確認をした、いわゆる認定をした基準と言えるのかどうか。いかがですか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 防錆剤として使われておりますものは、主として燐酸系のものと珪酸系のものという二色があるわけでございます。このものにつきましては、燐酸系のものにつきましては、これはすでに食品添加物としてFAO、WHOにおきましても一応A1リスト、最も安全なものというふうな一つの国際的な評価が与えられているものでございます。  そういうことで、一応これにつきましては、人間の口に入るということからADI、一日許容摂取量というふうなものが定められておりますが、それから見ますと、現在の一五ppmというふうな数量は、その他の食品から摂取されるもの、そういうふうなものと合算いたしてもまずまず安心な量ではないかというふうに思っております。  そのほかの珪酸塩のものにつきましては、これは通常日本の場合の土の中に非常に多く含まれておるものでございまして、現在の実際の水道の中にも自然に含まれているというふうな性質のものでございまして、これはそういった意味ではその安全性ということについては問題がないんじゃないかというふうに思っております。しかし、いずれにしても、これについても私どもとしてはやむを得ない場合にこれを使い、根本的な対策が立てられるまでというふうな考えております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 その根本的な対策というのを伺わなきゃならないんですがね。  まず、この防錆剤の使い方というのが現場ではなかなか——やむを得ない場合は使えなどと言いますけれども、それを売っている、防錆剤をつくっているメーカーというものがビルの管理者のところへやってきて、量は多過ぎませんかとか、あるいはポンプは大丈夫ですかとか見回りにやってくる程度で使っているわけですね。ですから、赤水が出たとかという苦情が出てくると、管理人が直ちにそれを入れる。そうすると、入れ過ぎるとちょっとやっぱり水道が濁っていたりとろっとしたりする。けさの水は濁っていましたよと言うと、とろっとしていましたよと言うと、じゃちょっと入れ過ぎたかなというような反応が返ってくるということで、使い方が非常にずさんだし知られていない。  そこへ持ってきて、鉄管のさびというものは非常に早くくるわけですね。私は、これはまた建設省関係で問題だと思うんですけれども、建物のコンクリートなどの耐用年数よりもいち早くやってくるのがこの鉄管のさび。三年たった鉄管というのは、もうさびが中にいっぱいたまっていますね。だから、建物よりも老朽化が早い。そういったところで、どうしてもビルの管理人が水が濁ったと言えば、赤水が出たと言えば、それを加えなきやならない。これの訓練も指導もされておりませんし、適当にメーカーから、防錆剤を売ってくれた業者から、このくらい入れなさいよと言われている程度でやっているわけですから、現場は非常に混乱をしているというのが実情でございます。  そこへ持ってきて、ビルの受水槽、その辺の清掃が行き届いておりませんし、その辺はちょっとわかった人ではもう常識になっているわけで、何とかこの辺の対策を立てなければならなかろうと私は常々思っているわけです。  ですから、この使い方の指導あるいは何らかの義務づけ、それからまた新しい製品が出てくることも考えられますので、これを二十五か二十かその辺しかない業者にお任せしておいていいのかどうか、この辺を厚生省はどうお考えですか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) いまお話しの防錆剤の安全性を含めての問題でございますが、赤水防止の恒久対策というのはもちろん、いまお話に出ましたような配管の改修というふうなことが恒久対策としては必要だろうと思うんですが、そういう応急対策として私どもとしては使うというふうなごく限定した立場で使用をさしておるわけでございますが、なおしかしこれについては、いま御指摘がありましたような使用の仕方というふうなものについても、私どもとしては、御指摘のように、無制限にこれを使わせるというふうなことは避けなければならないんじゃないかというふうに思っております。  で、先ほどちょっと申し落としたわけですが、現在この燐酸の関係での安全性の問題、相当高濃度に入っては問題があるだろうというようなお話でございましたが、確かにそのとおりでございますが、現在の段階ではWHOが決めておりますADIというのは体重一キログラム当たり七十ミリグラムというふうな数字で示されております。そういうことで通常、食品によって口に入りますものが二六・六ミリグラム程度でございます。現在一日二・五リットルの水を飲むとしましても、これが〇・三ミリグラムくらいにしか相当いたしませんので、そういった意味では相当安全の幅がとれているのではないかというふうに思っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたようなそういった防錆剤の使用の一つの基準といいますか、あるいは防錆剤そのものの品質の問題というふうなことにつきましても、現在そういったものについての検討を進めている段階でございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それでは防錆剤の毒性試験、急性と慢性に分けておやりになったのか、なるのか。それから幾ら水に溶けて薄まっているとはいえ毎日飲んでいるものでございますから、長い場合の催奇性あるいは発がん性、こういったことの検討はなさいますか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 御指摘の毒性試験の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この燐酸塩につきましては、FAO、WHOで一応A1ということのリストに入っておりまして、そういった意味では国際的にその安全性が確認されておるわけでございまして、さらに一日の摂取量につきましても、大体許容量の四〇%程度にとどまっておるということでございます。  しかし、こういったものについて、これは毎日毎日やはり口の中に入っていくものでございますので、厚生省としても従来のデータだけに限らず、現在この急性毒性あるいは慢性毒性、いまお話がございました催奇形性なり変異原性に関します研究を実は行っておるところでございます。その結果が近くまとまるであろうというふうな見込みでございます。そういったものを踏まえまして使用基準とかそういうものについて検討をしていきたいというふうに思っているところでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それではもう一度確認をしておきますけれども、いま使用基準等が業界の規格に頼っているという状況でございます。業界でも、早くこれを国の規定としてほしいと、こういう要望が非常に強い。まして給水保全協議会、これ発足当時二十五社ありましたが、いまは二十社に減っている、したがって落ちこぼれているものもたくさんあるわけでございまして、薬の使用ということが私たちとしても心配になってくるわけです。  もう一回確認をいたしますが、業界が望んでいる使用基準、こういったものを国の規定としていつごろ決定していただけるかどうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) お答えがダブるかもわかりませんが、この防錆剤の成分となっている化学物質は、自然に存在するものや食品添加物として認められているものでございまして、基本的には安全なものと認識しておりますけれども、何分にも飲料水の水質にかかわる問題でございますので、その使用実態の把握に努めるとともに、昭和五十二年度から慢性毒性等について研究を進めているところでございます。近く研究班の結論が出る予定でございますので、厚生省といたしまして、これらの結論を踏まえまして、ただいま種々の御質問がございましたが、この防錆剤の使用基準を定めることといたしまして、その安全性の確保に努力してまいります。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 じゃ、それはお願いするとして、使用基準をつくっても、ビル管理責任者というものがそれをよく心得ていただかなきゃならないわけですから、その使い方の講習会をやるとか、そういったところまでひとつ行き届いてお願いをしたいし、それからこれをつくっているメーカー自体の、健全な業者の育成ということも非常に大事な問題だと思いますので、重ねてお願いをしておきます。  それで、ビルの水というものがいま、環境衛生上、非常に野放しになっているということが言えると思います。したがって、水道法を改正してビルの水についてもう少しネットをかけると、これが必要だと思いますが、その点はいかがですか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 基本的には先生のおっしゃるとおりかと思います。昨年も予算委員会におきまして同様な趣旨の御質問をいただきまして、一つには行政としての監視とか検査の体制等の事情もあるので、御趣旨を踏まえて前向きで検討さしていただきますと、こういう御返事を申し上げたところでございます。  早速直後に担当課長名で通知をいたしまして、拡大の問題ではありませんが、重要な問題であるので、衛生管理の強化に努められたいという通知を出したところでございますし、さらに水道の担当者会議におきましても、こういったビルの水の維持管理の適正化について指示をいたしたところでございます。  法規制の拡大につきましては、基本的な方向としてはそのように考えておりますが、現実見ますと、水質を検査するための機関の整備がやっと全国的に終わった、本年度でやっと終わったという状況でございまして、検査実績を調べましても、五十四年度はせいぜい半分でございました。五十五年度、一年後には六一%というふうにかなり内容が実態的に充実してまいりました。現時点まだ不十分で実態が現在の規制の中でも整っていないという状況にございますので、当面は現在規制対象になっておりますものに対応する体制整備の充実に充てていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。  で、全国的にさらに規制を拡大することにつきましては、すべての府県でそういう規制に対応できるかどうかということも一つの大きな物差しであろうかと思うわけでございまして、現在そのような対象外のものにつきましては、条例とか要綱でいまの水道法による規制に準じてやられたいというような指導をいたしておりまして、それに対応して各県では、まだ条例として決めておりますのは七県ぐらいのようでございますが、水道法に準じた規制をして指導をしておるというのがございまして、なおよく調べてみますと、それはどんどん拡大の傾向にあるということでございますので、その地域の必要に応じて条例、要綱で当面対応していくのが適当ではなかろうか。水道法として規制していくにはもう少し時間が欲しいというような気持ちでおるところでございます。御趣旨ごもっともでございますので、今後十分実態を見ながら対処するように検討さしていただきたいと存じます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 まあ、まどろっこいと言えばまどろっこいんですけれども、いたし方のない点もわからないわけではございませんけれども、大臣ね、私、いま大変部分的な問題で取り上げたわけです。水道水というのは、どの奥さんに聞いてみても、ひねればじゃっと出る、そこまで厚生省が管理していてくだすって、安心して水を飲めてるんだというふうに皆さん認識をしていらっしゃるわけですね。ところが、よく調べてみると決してそうではありませんで、ビルへ来てビルの受水槽に入ってしまうと、これはもうビル管法のもとにあると。厚生省の手から離れているわけですね。蛇口からびん詰めにして売ると、これは食品衛生法で厚生省の管轄だそうでございますが、じゃっと出ている段階では、どうも厚生省ではないというようないろいろなことがありまして、午前中も食品衛生法の議論がありましたけれども、もう少し人間の口に入るものを総体的にトータルに各省庁がプロジェクトを組んで安全ということで見直していただかなければならないんではなかろうか。当然厚生大臣が音頭を取っていただかなければなりませんけれども、これは何もカネミ油症に限った問題ではなくって、毎日飲んでいる水道の水からしてそうだということを私は痛切に感じているわけです。  したがって、いまはビルの受水槽に入った水の、しかも赤水が出たときの対策の薬だけに限って質問をしたわけですけれども、それでもそれだけ問題がある。ましてこのビル管法で規制されるビルというのはかなり大きなビルでございますから、このビル管法にかぶらない小さなビルというものがまだ日本の社会には山ほどあるんです。それは全く野放し。こういう状況に置かれておりまして、その辺はトータルに網をかぶせて安全ということで検討していただかなければならないと思いますし、しかもそれは急がなきゃならないと思いますが、厚生大臣の対応を伺っておきます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 水は空気と同じように、人間の生活というよりも生存上非常に大事な物質でございまして、これの安全管理ということは厚生行政上も非常に重要な問題でございます。お説のとおり、水道の問題、水の供給の問題でございますが、厚生省の管理が全部まだ行き届いておらないということを聞いて、私は認識を新たにしたわけでございますけれども、そういう面も確かにございまして、いかに食品とか、午前中問題の出ました薬の問題とか、そういう問題で注意を払いましても、肝心な水の問題が十分でなければ生活上非常に大変であるというように実は感じております。  どう具体的にそれを規制していくかということにつきましては、私いまここですぐに答弁できませんけれども、考え方としては、水は一番大事な生活必需品であってこれと切り離して生活できないということで、水の衛生管理という問題につきましては非常に重大な問題として厚生行政の中で対処すべきであると、このように実は思っております。  なお、具体的な問題につきましては担当官より説明をさせます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 防錆剤はその程度にとどめまして、昨年伺いましたトリハロメタンについて若干追加で伺っておきます。  トリハロメタンが検出されたということは、発がん性物質であるということで、これは大変なショッキングなニュースとして報道されましたし、関係者の関心を大きく呼んでいるところでございます。私、昨年予算委員会で取り上げましたときに、早急に三十九都市から汚染の実態調査をするという、こういう御報告でございましたが、その調査結果をお知らせいただきたいと思います。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) トリハロメタンの実態調査でございますが、最も水の悪い地域の三十九地区を選んでまず優先的にやるということで、その結果は年度末で終了するということで、まだ実は報告書が出そろっておりませんで、全国的な成果について報告できる段階にはないというのが実情でございます。  ただ、一部の大都市等がすでにみずからの結果を公表したりいたしておりますが、その中では、いわゆる制御目標値の〇・一ppmを超えているものはまだ出ていないというふうに承知をいたしております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 そのppmが高いところ、それは一体どのくらいの値で、どの地域から出ているのでしょうか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 調査結果の判定は、一年間の平均で判定するということになっておりまして、現在まだその結果が、全期終了をいたしておりませんので、その結果云々ということは地域別には申し上げられませんが、ざっと承知いたしております先ほど申し上げた大きな都市の結果では、たとえば大阪市のデータによりますと、〇・〇三六から〇・〇五九のppmの間にあるというふうなデータがございます。いわゆる暫定目標値が〇・一ppmでございますので、これの半分以下という感じでございます。この辺が一番高い数値でございます。それから京都の場合は〇・〇一ppmということでさらにきれいのようでございます。東京都の場合、いままで入った資料では、〇・〇八から〇・〇二九というレベルで、この限りではそれほど高い状況にはない。名古屋あたりもわりあいいいようでございます。  概況そのような状況になっております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 なるべくいいように、いいようにと御報告いただくのはわかるんですけれども、私はこれは危険だというまゆつばでこの報告は見ていただかなければ困ると思うんですね。  平均、平均とおっしゃるわけですね。平均でしかどうしても教えていただけないんです、厚生省さんは。だけど、私は高いところを心配しなければならないと思うし、その中でも、トリハロメタンの中に四物質あることはもうそちらの方が専門家でよく御存じのとおりで、発がん性を言われているものはクロロフォルムとブロモフォルムでございますね。それも間違いないわけで、したがって検出の結果をクロロフォルムとブロモフォルムで個別に見ていく必要があるのではないか。これは厚生省、幾ら資料要求をいたしましても、平均という値しか出してくださいませんので、私、大阪から取り寄せた資料を見ておりますと、〇・一ppmまではいかなくても〇・〇七五とか〇・〇八三とか〇・〇七八とか、こういう規制値に近い数値が地域によって出てくるわけですね。先ほど東京都の場合も〇・〇八という御報告がございましたけれども、やはり前塩素処理等でかなり塩素を強烈に使う地域、こういうものは地域別に出てきますから、一応この報告の場合には、平均ではなくて地域別に私は高いところ、低いところというふうに御報告をいただきたいと思うわけです。  で、〇・一ppmにならなければ安心だと。基準というものはそういうものかもしれませんけれども、内容が発がん性物質でありますので、これは私は基準があってもゼロであることの方が一番望ましいのではないか。むしろその目で見るべきではないかと、こう思いますが、大臣はいかがお考えですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) おっしゃるとおりであると思います。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 したがって、厚生省に要求をしておきます。私は何も高いところを調べ上げて追及しようなどという魂胆はありません。本当に御一緒に水道水の安全ということで努力をしたいと願っている一人でありますので、平均、平均などと言わないで、むしろ心配のところは教えていただいて、地方自治体とも協力をし合わなければならないのではないか、こう思うわけです。特に都会地が心配でございますので、この実態調査がはっきりし次第、平均ではなく資料をいただけますことをお約束ください。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 御趣旨によりまして検討さしていただきます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 これはこの規制値を超したとかあるいは被害者が出たとか、そうならないうちに早目早目に手を打っていかなければならないと思うわけです。  このトリハロメタンの問題につきましても、アメリカで指摘をされたのは十年前昭和四十九年でございますか、またわが国におきましても、田中厚生大臣の時代にすでに大阪府立大学の分析研究室で研究がされ、トリハロメタンについては武者とかおっしゃる先生が指摘をされて、厚生省にも意見書をお出しになっていらっしゃいますね。そのころの対応は厚生省はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) アメリカのEPAが水道水中にトリハロメタン等発がん性物質が含有しておるという指摘をいたしまして、それが五十年でございます。厚生省といたしましては、五十一年から基礎的な調査に入っておりまして、若干の実態調査のほか、まずその分析方法の確立というごく初歩的な段階からスタートいたしまして、今日なお生態影響等を含めて研究を続けておるところでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それは発がん物質についてはどうか綿密にお願いをしたいと思いますが、今後のトリハロメタンの低減化対策については、一つは生成を抑制する方法の確立、それからまた生成されたトリハロメタン除去方法の確立、あるいは塩素注入点の変更とか活性炭処理の導入方法の検討、これらが必要になるのではないかと思いますが、厚生省としてはやっていただけますか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) この点につきましても、もうすでに三年がかりで水道界全体のコンセンサスを得た結果が出ておりまして、先ほど御指摘のような原因物質の除去でありますとか、種々の方法が、先生の御指摘のとおりのような結論が出ておりまして、地域の水道ごとに発生の形態が違いますので、それをたとえば河川によっては前塩素でするところもあれば、ないところもあるというふうに状況が違いますので、それぞれの水道の実情に合った低減化計画を立てて対処するようにという指導をすでに行っておるところでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 水道の水にするためにかなりの薬物処理をしなきゃならないというのは、原水が汚れているということが最大の原因で、これを汚さないようにするためには、それこそ厚生省だけではありません、環境庁も農林省も御一緒になって、何とか国民挙げてこれはやらなきゃならない運動だと私は思っておりますけれども、厚生大臣にお願いをしておきますけれども、原水対策に対してこれからどう取り組んでいただけるかという点。  それからもう一点は、これは奈良市で見てきたんですけれども、奈良市の場合ですが、ここでは木津川より昭和の初めごろから市民の半分に相当する水道を賄っている。こういう状況下で、その浄水場のわずか九百メートル先に、上流に建設省が屎尿処理場をつくってしまったわけですね。これは五十一年二月二十六日に許可されておりましたけれども、その浄水場のわずか九百メートル先に屎尿処理場が建設をされてしまうというのは、幾ら縦割り行政とか、地方自治体が県をまたがったからとかいうものの、本来なら建設大臣においでいただいてこれをやめてもらわなきゃならないような話でございますけれども、こういう現実が現にあって、私も聞いてびっくりをしたんです、実を言うと。  それから新聞報道でこれは見たものですけれども、京都府の南部、これは三市二町で組織しておりますが、屎尿処理建設に予定されている地域、目下予定ですけれども、それが桂川、宇治川、木津川の三つの川が合流して淀川となる地点だ。これは下流の大阪府や大阪市などの浄水場でアンモニア性窒素が多いため、塩素処理をされ、家庭に給水されるという、こういう実態になるわけですね。  こういうことが行われているという現実に対しては、これは省をまたがる話でございますから、厚生大臣に目を配っていただかなければならない現実の問題であります。これについての御答弁をお願いいたします。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 水質をよくする、衛生上飲みやすくするという問題は、先ほどいろいろお話がございましたが、いわゆる原水をいかなる状況で取り入れるかということも非常に大事な問題でございますし、これは環境庁とかまた建設省、農林省、多省庁にわたる問題でございます。昔でも家を建てる場合、よく便所の位置と井戸の位置をうまく配置しないといけないというような知識、知恵があったように、大きな地域の中でも、汚水処理場が原水地に近いというような非常識なことはないはずでございますけれども、案外横の連絡がないためにそういうことが行われておる事例も、いま御指摘がございましたように私もないとは言えない。そういう点で十分原水対策、これはもちろん治山治水上の問題もございますし、いかにして良質の水を得るか、またその水が途中で汚染されないようにするかということも非常に重要な問題でございまして、御指摘のように関係省庁、いわゆる建設省、環境庁、また農林省ともよく連絡いたしまして、りっぱな水、すなわち原水が取れるようにやっていきたいと、このように思っております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 きょうは社労の委員会でございますので、各省庁お呼びすることをいたしませんでしたけれども、これは大臣間におきまして、こんなばかげたことが行われないように、これは奈良市の場合はもうできちゃっていていたし方のないことでございましたけれども、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  それで、水道水の安全の問題につきましては、もう一つどうしても指摘をしておかなければならないことは、水道管の老朽化と漏水対策、これもやっぱり大きな部分を占めるのではないかと思いますけれども、私もちょっと調べてみてびっくりいたしましたけど、明治時代、大正時代の水道管がいまだに日本じゅう、特に大都市を中心として相当にたくさんございますけれども、これを厚生省はどういうふうに把握をしていらっしゃるか、あるいは耐用年数をはるかに超えてしまったものが水道管として地下に埋められているという現実をどう受けとめていらっしゃるか、まず伺います。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 水道管の老朽化の問題は、それぞれの都市の水道のできた歴史と深い関係があるわけでございますが、特に古いのは、港を持っておったいわゆる開港都市函館、長崎、横浜、神戸等でございますが、そういうところに非常に古い施設がございます。また東京都も古い施設に入るわけでございまして、そういうところにおきましては、たとえば五十年経過したパイプが函館の場合は一七・六%、耐用年数は一般的に四十年といわれておりますから、かなり長く使っておるパイプがございます。ちなみに、東京もわりあいに長い方でございまして、これが四十五年ぐらいたっておるのが十五%ございます。  こういった管が果たして老朽化しているかどうかという判断は、また別にあろうかと思うわけでございます。一つは水質によって、まずさびるかどうかというのが水質によって違いまして、五十年たっても全く何でもないというのも実態的にございますので、先ほど申し上げた五十年ないし四十五年経過したものが直ちに赤水に直結しているというふうには、数学的といいますか、算術的には直結しないと思いますが、いずれにしましても、水質の問題のほかに、実は構造的にも外の力に弱い、あるいは地震に弱いというようなこともございまして、そういう耐震面あるいは交通量がふえたことによる破裂事故、そういったこととも大いに関係のあるものでございまして、積極的に問題の管路につきましては取りかえていく必要があるというふうに考えているところでございます。  厚生省としては、そういう問題のあるところにつきましては、水質上の安全性といいますか、赤い水が出ないような快適な水を出す観点及び地震等によって破裂を起こさないような安定的な供給という両観点から、一般的な指導をいたしておるところでございますが、結局は各市町村がその事業としてそういう問題を解決する、対応することになりますと、それぞれの水道の財政事情あるいは道路交通事情等の制約がございまして、必ずしも順調には進んでいないというふうに受けとめておりまして、厚生省といたしましては、重要なところから優先的に布設がえ等の措置を講ずるよう指導していきたいというふうに考えておるところでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 大体よくわかりました。  それで、いま耐用年数四十年と言われましたね。それがもっと長くもつかもしれないというお話でありましたが、これは大体一般常識として、専門家の間でももっと短いんではないかと言われていますね。それは当然です。これほど薬物を入れるような時代になってまいりましたので、特に塩素なんかが多いと腐食も早いんではないか。これはわれわれの頭で考えてもわかることでございまして、したがって、耐用年数四十年もたないというのがむしろ専門家の話になってきているのではないか。またその方が信憑性があるのではないかという気がするんです。いまの御答弁にもありましたように、確かに地方自治体の財政事情もありますし、道路事情もありますから、並み大抵ではなくて、厚生省がお尻ばかりたたいていても大変なんだという理由はよくわかますけれども、飲み水の安全、漏水対策ということでございますから、これはもう鋭意努力をしていただきたいと思います。  今月まで明治時代の布設の地域というものが東京、大阪、横浜、京都、岡山、長崎、新潟、広島などの地域、あるいは大正時代の布設の地域も名古屋、宇都宮、川崎、こういった相当数あるということは、これは現実でございます。それによる腐食あるいはそれによる破裂とか亀裂とかで漏水、このむだというものも見逃せるものではないと私は思います。最近はよくガス漏れの事故というものがありましたが、あのガス漏れ事故も、調べてみましたら全部、ほとんどが廃管から起こっている事故でございまして、それは消費者が栓をひねり忘れた、そういうものはのけてみますと、ほとんどが廃管から起こってくる事故だという、こういう通産省の報告も聞いてみますと、水道管というものももう一回安全点検をしておかなければならないんではないか。私は起こらぬ前のつえで、転ばぬ前のつえで、計画的にこの老朽管の取りかえということを厚生省はお考えをいただかなければならないと思います。  東京、大阪あたりではいまの老朽管を、耐用年数を過ぎたものを取りかえるとなったらかなりかかると見なければならないんでしょうね。いかがなものでしょうか。

山村勝美厚生省環境衛生局水道環境部長

○政府委員(山村勝美君) 現在のペースではかなりかかるように思っております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それを何年かかるかなどと聞いてみても話にならないんで、東京や大阪では二十年ぐらいかかるんじゃないか、いまの老朽管を埋め直しをするのに、取りかえるのに。その間に次の老朽管の耐用年数が過ぎてしまうわけですから、何だか気の遠くなるような話でございます。しかしそれでもやらねばならないんではないかと、こう思いますので、この辺も何とか力を入れて取り組んでいただきたい。自治体任せではいけないのではないかと、こう思いますので、この管対策あるいは漏水対策、この対応につきまして最後に厚生大臣の御見解を伺います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 先ほどからも種々お話ございましたが、鉄管の場合はさびというものがございますし、最近は石油製品、たとえば塩ビパイプとかいろいろ余りさびない永久性のあるものができておりますが、いろいろ地盤沈下とか地震が非常に多いとかいうようなことで思わざる水道管にひびが入ったり、また継ぎ手が外れたりと、そういうことはたくさん事例がございます。そういうことで、廃管という問題、それから漏水によるせっかくの水のロス、この対策もしなければいけない。  しかしこれを全部取りかえると大変なことで、特に地下工事の場合でございますし、昔のようにそれだけではございませんし、いろいろガス管も入っておりますし、ときには地下鉄と交差しておるようなところもございますし、なかなか工事費が大変だ。工事費が大変だということは、水道料金にはね返ってくるか、どこかに返るわけで、そこらの見合いが経済的な問題も含めまして大変なんです。  まだ、いまのところは、何とか日本の場合は水に恵まれておりますけれども、これから砂漠化していくと言われるような時代でございますし、早急に手を打たないと、もう水の問題だけで日本人はこれ以上ふやせなくなるという事態になっても大変でございますし、やはり中長期のこの水道管の問題についても厚生省としても配慮、検討していきたいと、このように思っております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 じゃ、水の問題、以上で終わりまして、もう一つ狂犬病のワクチンのことについて伺っておきたいと思います。  新聞報道によりますと、第二次臨調が許認可事項の行革として、狂犬病の予防注射を六カ月ことから一年に延長する答申を出すと、こういう報道がされておりました。最近は狂犬病ということは聞かなくなりましたけれども、万一発生をいたしますと、命にかかわる問題でもございますし、これが許認可事項でこの問題を検討することは一体どういう意味があるんだろうか、この注射料金は税金で賄っているのかどうか、その辺はどうなんでございますか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) ただいまのお話の件でございますが、これはことしの二月の十日に臨調から行政改革に関する第二次答申という形で示されたものでございます。この中で、現在六ヵ月に一回行っておるものを一年以上に延長したらどうか、それからさらに、そのために持続期間の長いワクチンの輸入または開発を急ぐべきではないかというふうな意見が出されたわけでございますけれども、この問題については、一部の地方公共団体からやはり事務簡素化のために現行の年二回を一回にしたらどうだろうかというふうな意見、それからさらに昭和三十二年以降わが国で狂犬病が発生してないというふうなこととか、いろいろこの根拠になったんではないかというふうに考えておるところでございます。  なお、いま最後お尋ねの注射の料金につきましては、これは飼育しております個人個人の手数料によって賄われるということになっております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 ですから、私は何でこれが行革に挙がってくるのかというのが不思議なんです。別にお金が国から一銭も出ているわけではありませんね。それで、いま事務の手続が一年に二回では繁多だというわけですけれども、大体獣医師会あたりがやっているわけで、国や地方自治体でそれほど手間を取っている話でもないんじゃないか。何か財政的メリットがそこで出てくるのかどうか。どうしてこれが行革の問題として取り上げられているのかということが、私にはどうも納得がいかないわけです。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) これは現在の制度そのものの中で、注射を受けまして、それに対して都道府県知事が注射済み証の交付という事務を行っているわけでございます。これが年二回行われますので、そういった意味で地方の方からいろいろ意見が出ておるということの中には、これを二回を一回にすれば相当そういった意味での事務が軽減化されるということで意図されたんではないかというふうに思います。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 なるほど。  農林水産省に伺いますが、ワクチン、いま半年ごとに注射をしているわけですけれども、一年に延ばして大丈夫でございますか。

緒方宗雄農林水産省畜産局衛生課長

○説明員(緒方宗雄君) 狂犬病のワクチンは動物用医薬品でございますので、農林水産大臣が所掌しておるわけでございますが、現在薬事法に基づきまして承認をしておりますワクチンの免疫持続期間は大体六カ月程度でございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それじゃ、農水省は先ほどの第二臨調で検討された内容はどういうふうに受けとめられますか。

緒方宗雄農林水産省畜産局衛生課長

○説明員(緒方宗雄君) 注射間隔をどういうふうにすべきかということにつきましては、狂犬病予防法を所管しておられる厚生省の問題であろうかと思いますが、答申の趣旨は、免疫持続期間の長いワクチンを開発するなり輸入するなりして一年に一回にしたらどうか、こういうふうな勧告だというふうに受けとめております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 それじゃ、一年効くワクチンを開発してそして一回にしろと、こう農水省は受けとめていらっしゃる。そうすると、一年効くワクチンはいつごろ開発されるんですか。

緒方宗雄農林水産省畜産局衛生課長

○説明員(緒方宗雄君) ワクチンの品質につきましては、ふだんから製造所に対して指導しておるわけでございますが、特に免疫持続期間の長いワクチンの開発につきましても、業界を指導いたしておるところでございますけれども、所要のデータが完備するまでにはまだかなり期間を必要とするものだというふうに考えておるわけでございます。  なお、所要のデータが出ました後、中央薬事審議会での調査、審議という段階がございますから、その時期がいつごろになるかということを予測するのは、いまの段階では困難であると考えております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 かなり長い時間予測は困難とおっしゃるけれども、たとえば一年とか三年とか五年とか十年とかというその辺の大まかになると、大体のめどはどのくらいですか。

緒方宗雄農林水産省畜産局衛生課長

○説明員(緒方宗雄君) これまでワクチンの改良は、主として副作用の軽減といった安全性の向上の意味でこれまで改良をしてきたわけでございますが、特に御要望のございます免疫持続期間の延長につきましても、技術的にはアジュバントその他の工夫をすればできないものではないというふうに考えております。しかしながら、一年間の免疫持続があるか、ないかをはっきり見るためには、実際犬に接種をいたしまして少なくとも一年間は試験をいたしませんと、その結果は出てこないわけでございます。したがいまして、理論的には必要なデータをとるだけで最低一年かかるということになりますし、そのデータが完成した後、薬事審議会での調査、審議は、これも調査会、特別部会、常任部会といった段階がございますので、かれこれこれも一年程度かかるのではないか、こういうふうに考えております。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 そうすると、そう簡単にこの年二回の予防注射を一回にしてしまうと、今度はせっかく狂犬病が皆無に近い状況ておりますのが発生しないとも限らないという、こういう危険性がまだ残されている。こういう段階で二回を一回にしろというわずかな行革の話が出てくるというのが、どうも私は解せないんですけれども、この狂犬病注射の緩和は、WHOの強い勧告があった、それですか、厚生省さん。まあ臨調に聞かないとわからないかもしれませんが。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○政府委員(榊孝悌君) 先ほどこの背景につきまして簡単にお話し申し上げたんですが、いまお話がございましたようなWHOにおきましても、そういった意見があるようでございますし、さらに諸外国で免疫持続期間の長いワクチンが開発され使用されているというふうな報告もあるわけでございまして、そういった意味から取り上げられたものだというふうに推測しておるわけでございます。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 じゃ、厚生大臣に伺っておきますけれども、いまのちょっとしたやりとりでおわかりのように、この臨調の意見を直ちに入れて狂犬病注射を一回減らすということは、大した行革のメリットもないのに、むしろ一つの危険でも生んではならないのではないか、私はこう思います。  それで、いま飼い主に対しましては、登録と注射義務、これが課されていますけれども、いずれにしても、こういったことは獣医師会の協力がなくてはできない仕事でありますし、もしも獣医師会が反発してしまった場合には、これを行政がやろうなどということになると、行革がかえって逆の手間暇を取るというようなことにもなりかねない、こう思います。これについては、人の命を守るというこういう見地で厚生大臣は対処していただきたい。現にイギリスでは数十年も発生していなかったのに突然発生したという話も聞いておりますし、そういったことで、臨調の答申に出てくるとはいうものの、狂犬病に対しては慎重な対応、それから獣医師会等の協力が得られるような措置、これをとっていただきたいと思います。厚生大臣の御見解を聞いて終わります。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 狂犬病はほとんどもう日本ではなくなっておりますし、世界的にももうなくなりつつあると言われておりますが、かかれば一〇〇%死んでしまうというこわい病気であります。臨調の方で、もう危険性が少ない、またいい薬ができたんだから一遍でいいじゃないかと、車検なんかと同じような考え方か、それとも、まあ犬も生き物でございまして、これもいやがりますから、やっぱりそういう愛護的な面から一回にしてやろうと、まあそういうことかどうか知りませんけれども、私見でございますけれども、効果があれば、一年間のこの注射の効果があるならばむしろ一回にする方が、まあ人間は最も大事でございますけれども、やっぱり犬も生き物でございまして、少しでも苦痛をやわらげてやろうということにも通じますし、非常にむずかしい問題でございますけれども、この薬の効果と同時に、それの効果によって二回を一回にすることの方が私はいいと、このように実は思っておるわけであります。

渡部通子公明党・国民会議

○渡部通子君 一つ念を押して聞いておきますけれども、二回が一回の方がいいという、それはわかっておりますけれども、あくまでも薬の有効性、それを最重点に前提に置くということを、大臣、これを確認していただかないと、私質問を終わるわけにいかないんです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 今後より持続性の長いワクチンの開発が実現すれば——まあ実現するということを前提にしてちょっと私先ほど申し上げたわけでございますけれども、開発が実現すれば注射期間の延長を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 昨日三回目のカネミ油症事件の判決がございました。事件が発生してから十四年を経過をするという状況であり、しかも事柄の性格上、家族全体に被害が及ぶ、あるいは三世代にわたっての被害者になっておるという大変な状況の中で、的確な治療方法も明らかにされないという、まさに私どもにとっては胸の痛い問題でございます。最初に一、二点お聞かせをいただきたいと思っております。  カネミ油症被害者が全体で一万四千人以上というふうに言われておりますが、昨日の福団地裁の小倉支部での判決書を読ましていただきますと、その判決理由で鐘化の責任について非常に明確に書かれているんですね。被告鐘化は、PCBを食品工業の熱媒体として積極的に宣伝し販売したばかりでなく云々として、カタログで、若干の毒性はあるが実用上はほとんど問題にならず、液が付着すれば石けんで洗えばよく、火傷部についてはカネクロールはそのままでもよいと、まあ、ずいぶん気楽なことを言って売りまくったということですね。そういう点が指摘をされて、当然被害者に対する損害賠償義務があるものだという点を厳しく指摘をしておりますが、鐘化のような一流の企業がPCBの安全性、有効性をこんなふうに強調して、毒性については過小に評価をするというやり方をしますと、これは一般的に言いまして、中小企業は信用するのは当然だと思うんですよね。大臣、どうですか、常識的に見てそういうことになるんではないんでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 発生した当時においては、世間一般またメーカー側もそういう認識だったと私は思います。その後PCBですか、ポリ塩化ビフェニル、これの害が大きいということで、全国の魚の値が下がったぐらい大騒ぎしたことを私思い出しますが、当時はいまおっしゃったような認識のもとにあったことは私は間違いない、このように思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 その点では鐘化がその毒性がわからなかったわけじゃなくて、しかもそういう非常に安易な売り方をしていたという点では、これはいまの日本の常識では、大企業が安全で非常に有用な有効な製品だということでどんどん宣伝をされますと、これは一般の国民だって、あるいは中小企業だって信用するのはあたりまえなんですね。  そこで、三回の判決でカネミとともに鐘化の責任があるという判決がなされているわけですが、鐘化は控訴しましたけれども、三回の判決で鐘化の加害責任が認められたというのは、責任の所在が確立した、むしろ不動のものになったと言えないだろうかと思うんですが、いかがでしょう。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 裁判の問題でございますので、私の方からだから鐘化が悪いと、間違っておったということは言い切れません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それは控訴されているというふうな状況ですから論評はしにくいとは思いますけれども、一般的に言えばそういうことだと思うんですね。  で、そういった中できょうの新聞を拝見いたしますと、各紙とも社説でも扱っていろいろと論評されているわけでございます。で、そういう中でこれは朝日の社説ではこう書いてあるんですね。「国が法的責任は免れたとしても、政治的行政的責任は痛感すべきであり、その上に立って被害者の救済とこういった事件を二度と起こさないよう、根絶のために最大の努力をすべきである。」というふうに指摘をしておりますけれども、私は問題なのは、全身倦怠とか頭痛とか腹痛とか歯が抜けるだとか、あるいは目やにが非常にたくさん出るとか、つめが変形をするとか下痢を起こすとか、こういう現になお苦しんでおられる被害者をどう救済していくかというところが問題だと思うわけです。鐘化は控訴しました。確かに裁判上控訴権はあると思います。しかし、一般的に言いまして、力の強い者、大きい者が加害者になった場合には、こういう態度をとり続ける、こういうことであれば被害者は救われないと思うんですね。で、そういう点で裁判も延々と十四年にわたって続いてきたわけですけれども、これからまだこの先裁判で延々と続くということになったら被害者はたまらないと思うんです。そういう点で、厚生省といたしましても、単に裁判がやられているという点で静観をするだけでは済まないというふうに私も思いますし、これは新聞論調等でも指摘をされているとおりでございます。  そこで、当面一番大事なことは、私どもも行動を一緒にしたこともあるんですが、鐘化はさっぱり被害者の方と話し合おうとしないという点ですね。この点は非常に問題だと思いますので、せめてこれは当面被害者と鐘化との話し合い、これを積極的に対応させるように対応なさる必要があるんではないかと思うのです。スモンの場合だってそうだったんですよね、これはもう御承知のとおりです。だから、そういう点でいま厚生大臣が果たしていただける役割りというのはそこが一番大きいのではないかと思いますので、その点をお伺いしておきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 行政の立場として、この事件だけの問題ではなしに、食品産業、また食品の非常に多様化する時代でございますし、民生安定のためにも、法的責任がなくても、いまおつしゃいましたように被害者の救済とまた医療等の問題、根絶のために最大の努力をすべきであると、そのとおりだと私は思います。  そういうことで、前の質問でも安恒議員の方からこの問題実は質問ございまして、私答弁いたしましたが、今回の判決を踏まえまして、関係企業及び原告患者の双方が話し合いを希望されるようでございましたら、両者の話し合いができますように努めてまいりたいと思います。ただ、両者の信頼関係ですね、これは非常にむずかしい問題でございまして、これは先ほど安恒議員にお答えしたと同じようなお答えになりますけれども、努力をしてみたいと、このように思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 午前中同僚委員からも大変詳しくただされておりますので、私は重複を避けたいと思うのですけれども、いまの点が当面一番大事な点だと思いますので重ねてお伺いをいたしましたが、その点はぜひ鐘化とのテーブルについて話し合いができるように、まああたりまえのことだと思うのだけれども、それができないわけですから、そのあたりまえのことができるようにぜひ厚生大臣の御努力をお願いを申し上げておきたいと思います。この問題重複を避けたいと思いますので、きょうはここでとめます。  次に私、腎臓病対策についてお伺いをしたいと思っております。  最初に、先日来マスコミでも報道されて大変ショッキングな問題になり、透析患者に大変な不安を与えましたニプロのダイアライザー、日本医工ですね。腎不全の方々の生きる道というのは人工透析か腎移植しかないわけでしょう。腎不全で人工透析を受けている方々というのは、大体無尿ですね、透析によって排尿しているという状況なんですね。本当に尿が出ている人でも、二日間に百cc出るか出ないかというのが実情のようでございます。元気に活動している人間には想像できないわけですが、こういうことから考えましても、腎不全者にとって人工透析というのは命の綱なんですね。まさに生きていくための唯一の保障であるわけでございます。  そこで、今回の事故が起こったわけで、患者は深刻な不安を覚えているのはもう想像にかたくありませんし、私どもお会いいたしましたけれども、ずいぶん大きな不安とショックを受けているようでございます。  そこでお聞きをしたいんですが、このダイアライザー製造業者、販売業者名、販売状況及び被害発生状況を簡単にお伺いをしておきたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生御質問の製造業者、製造は日本医工株式会社ということでございます。それから販売業者は大阪にございますニプロと、こういうことになっております。  それからこういった透析患者の方々に大変な不安を与える事故が起きましたことは、私どもまことに残念だと思っております。現在の被害状況でございますけれども、ことしの一月初めぐらいから結膜炎様の症状を呈した患者が出たということでございまして、現在は被害発生状況、六十三施設で百七十二名の方々にこういう被害が出ております。  で、この方々は、目の充血でございますとか、結膜炎でございますとか、眼痛、そういったような症状が見られておりまして、回復している方々も多いわけでございますけれども、十六名の患者さんが現在もなお治療中だと、三月の二十三日現在でございますけれども、そういう状況でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そのうちの一人の方は緑内障で失明をしましたですね。  そこで、厚生省、当面の措置としてどういうふうなことをやられますか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 私どもといたしましては、この事件が起きまして直ちに販売会社あるいは製造会社、そういったところに対しまして事情を聴取するとともに、製造業者の所在元でございます秋田県、それから販売業者の所在元でございます大阪府、そういったものを通じまして調査をいたしますとともに、なお各都道府県にまたがる問題でございますので、そういうところでの追跡調査もいたしております。  そのほか、こういった非常に多くの患者さんが出たというようなこともございますので、当面この原因究明を私どもの立場からやらなきゃいかぬというような観点から、一つは三月の二十日でございますけれども、国立衛生試験所に対しまして、日本医工から収去した回収品につきまして原因究明のための試験検査を依頼いたしました。  それから二番目といたしましては、日本医工、それからニプロに対しまして、これは会社側が自主的に該品の製造中止を行っておりますけれども、なおその中止の継続の徹底と、それから会社側に対する原因究明、あるいは回収につきまして再点検してほしいというような文書による指示をいたしたわけでございます。  で、その翌日でございますが、三月の二十四日に、先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、日本医工、それから中空糸、糸をつくっております東洋紡績に対しまして私どもの係官を派遣いたしまして、原因究明のための立入調査を行った、こういうようなことをいたしております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 被害者は二十九都道府県に及んでいることですが、大阪にも多いんですね。私も患者さんたちに直接会ってみました。大変なそれは不安ですよ。こんなことは二度と繰り返してはならないと思う。  そこで、事故原因、事故の因果関係、この調査をいまやっておられるんだと思いますけれども、この調査結果を公表する必要があるだろうと思いますが、これは大臣、これだけ不安を与えているんですから、ぜひ公表するべきだと思いますが、いかがでしょう。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) いまお答えしておりますように、関係業者からの事情聴取、工場の立入調査を行いまして、そのデータをいま整理中、突き合わせ中でございます。また、先ほど申し上げましたように、衛生試験所でいま検査を依頼しておりまして、先生も御指摘のように非常に大きな問題でございますので、原因が明らかになり次第これは公表することを考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私も患者さんにも聞いてみたりしてわかったんですが、ニプロの製品というのは大阪でも各医療機関に出回っているんですけれども、治験例がちゃんと添付されていなかったということで、それぞれの先生の中には信頼性がどうかわからないと思って使わなかったという医療機関がたくさんあるんですね。  そういう点で今後の対応ですが、大変不安なんですね。だから、まかり間違えば人命にかかわるような医療器具ですが、これが製造品質管理基準がないということなんだそうですが、非常に問題だと思うんですね。だから、治験例をつけなくても売れるわけでしょう。そういうことになっているというのは大問題だと思うので、早急に製造品質管理基準というものをつくるべきではないか、少なくともその点では不安がなくなるようにするべきだと思いますが、いかがですか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 現在のところ、はっきりとこの原因が品質不良によるものだということをまだ確定的に申し上げられる段階ではございません。しかしそういった疑いもあるわけでございまして、そういった意味ではいろいろ調査をしておるわけでございますけれども、先生御指摘のように、人間の体に直接使用するという、こういったディスポーザルみたいな医療用具については品質管理の問題、大変大事な問題だというふうに思っております。こういったものにつきましては、医薬品と同様に原材料の受け入れ、あるいは最終商品の出荷、そういった製造工程全般にわたっての適正な組織管理のもとに製造ということが必要だと思います。  私どもといたしましては、現在、先般薬事法の改正を国会でお願いいたしまして、それにのっとって医薬品につきましてはGMP、いま先生御指摘の製造あるいは品質管理の基準、こういうものを医薬品についてはすでにつくっておりますが、これが軌道に乗りつつございますので、これを参考にしながら、またアメリカでは現にこの医療用具についてのGMPがすでにできておるようでございますから、そういったものを参考にしながら、こういった人間の体に直接接触するような医療用具についてはGMPの作成というものを検討していきたいというふうに考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 これはぜひつくっていただきたいと思います。  そこで大臣、これもまた被害が出ておるということで、因果関係が明らかになった場合には、被害者の皆さん方から慰謝を求める御要望というのが出てこようかと思うんですが、特に失明をされたという方まで出ているわけですから、そういう点では、そういうときには原因者が被害者と誠実に話し合えるように、そういう場合にも、ひとつ厚生大臣が仲介の労をとって被害者を援助してあげるというお立場をとっていただきたいと思うんですが、それはいかがでしょう。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 局長が御説明いたしましたように、ただいま国立衛生試験所等において検査をやっておるわけでございまして、いずれ原因がはっきりする段階が近いと実は思っております。そういうことで、原因が明らかになった時点において補償問題等が出てくると思うんですが、現段階においてはまだその点まで言及するのは保留にいたしたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そこで、人工透析器の整備とか開発の問題なんですね。いま人工透析の患者さん約四万人のようですね。十年後にはどのくらいになりますか、見通しとして。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 厚生省の小高研究班の御研究では、昭和六十五年には約七万人になるという予想を立てておられます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうしますと、その七万人にふえるであろう患者さんたちの人工透析を保障しなきゃならないわけですが、現状の透析医療機関というのは——これは時間がかかりますから、資料をいただいているので申し上げておきますと、公的医療機関が四百三十二で、私的医療機関が八百四十六という状況なんですね。公的医療機関が私的医療機関の半分という状況なんですね。それだけでないんですよ。医療機関が都市部に偏在をしているということなんですね。ですから、透析患者がふえるに従って患者増に見合う施設の増、それから要員の整備、それから偏在地域の是正、こういう点はもう当然のこととして努力をされる必要があると思いますが、これはいかがですか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 先生お話しのように、約三分の二が民間の医療機関におんぶしているという状況でございますが、今後におきましても、やはり民間の医療機関が中心的な役割りを果たすものと考えておりますけれども、地域偏在という点から、人工腎臓が十分に整備されていないという地域につきましては、国が積極的にこの問題の整備を図っていかなければならない、そういう考え方で進みたいというふうに考えているわけでございます。  また、要員の確保の問題につきましては、もう先生も御承知のように、昭和四十七年度以来学会の方に助成を行いまして、医師、看護婦等の専門技術者の養成訓練を行っておりますが、今後とも引き続いてこれをやっていきたいというふうに考えている次第でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私が特に心配をいたしますのは、透析患者の皆さん方が社会復帰をされて働きながらやっている方が多いので、夜間透析を利用される方が多いんですね。五時間、六時間、七時間という長時間の治療を要するものですから。ところが、この夜間透析をやっている医療機関、これが私的医療機関が七千八百三十四で、公的医療機関がわずかに千五十五ですか、七分の一以下ですね。大阪でも官公立の医療機関で夜間透析がやってもらえないという点で非常に不便をかこっておられるわけですけれども、そういう点はどうですか。官公立等でも夜間透析をも含めてやれるように指導なさいますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 夜間透析の問題につきましては、先生も十分御承知いただいておりますように、いろいろむずかしい問題がございまして、私どもといたしましても、できる限り検討さしていただきたいというふうに思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 患者さんにしたら、何とかして夜間透析がどこででも簡単にできるような医療機関の配置というのが非常に望まれているわけです。特に育成医療とか更生医療というふうなことになってまいりますと、指定医療機関でなかったらやってもらえないわけでしょう。その問題との絡みでは、公的医療機関で夜間透析をやれるようにしてもらいたいという希望というのはかなり強いです。地方自治体で援助をしているためにその問題というのがわりあいに矛盾が露出をしておりませんけれども、今日の行革のはなやかな状況の中では、そういった問題もすでに問題化しつつあります。そういう点では官公立の夜間透析の問題というのは、決して放置できない問題であろうと私は思いますので、御指摘を申し上げておきたいと思う。  患者さんにとってはそういう人工透析が命の綱なんで、何とか精度の高い、安全で簡便なものの開発をというのが一番望まれているわけですが、これはどうですか、開発状況というのは。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生お話しの簡易な人工透析器としては、現在連続携行式の腹膜透析療法というもので、実際に私どもの方に輸入商品の申請が出ているものがございます。これにつきましては、中央薬事審議会において現在検討中でございまして、特に安全性の問題、直接腹腔内に器具を入れるという問題がございますので、そういった安全性の問題についていま現在慎重な検討を行っておるところでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いまおっしゃられた安全性の問題というのは非常に重要だと思いますので、これは慎重に対処していただきたいと思っています。感染症と簡単に言うけれども、腹腔内で腹膜感染を起こすというふうなことになったら、これまた大変な問題が起こりますので、慎重な対応で安全性の確保、その点はぜひお願いしたいと思います。  透析の医療費ですね、これは非常に膨大なものになるようですが、資料をいただいたところによりますと、これは五十四年の資料ですけれども、厚生省からいただいたんだろうと思うのだな。一人平均年額が六百八十五万円ですね。だから大変な医療費がかかるわけで、五十四年度の総医療費の二%かかっているというのが、これはおたくからもらった結果のようですね。十年後にはこれが七万人になるというのですから、医療費の改定等も含めてどうなるかしりませんが二倍にはなってくるだろうと思うのですね。  この医療費というのは私は腎不全の患者さんの命を守るためにどうしても必要な医療費だと思うのですね。ところが、こんなものやみくもに抑えてはいかぬと思うのだけれども、昨年の六月の点数改定で二〇%内外ダウンになっているのですね。そのことでこれがまた患者さんの不安を呼び起こしているわけなんです。こういう医療費が下がるという問題と絡んで、材料費の安いものという形でニプロなどというのも、一つはそういう絡みで出てきているのではないかという点が患者の非常に不安の種になっている。そういう点でこういう心配をかけるようなやり方というのは非常に遺憾だと思うのです。  さっき申し上げたように夜間透析なんていうのは、官公立てやれなくて、ほとんどみんな私的医療機関に任しているわけです。そこが経営が成り立たなくなるということになればやめるわけですよ。これはやめると言っているところも出てくるし、やめているところもすでに出ているというふうなことで、そういうことにして患者さんに不安を与えるような行政はやっぱりよくないと思う。むしろ厚生省が考えなければならないのは、こういった腎不全、人工透析を必要とする患者さんを減らす対策、ここに厚生省が力を入れるべきではないかと思うのですが、いかがですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 先生のおっしゃるとおりでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 減らす上では予防と早期発見というのが非常に大事なわけですが、早期発見の有効手段としての検尿制度がありますね。これは地域、学校、職場、大体全国民的に把握できるような体制にはなっているわけですね。厚生省の所管する検尿の実績というのはどないなっていますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 厚生省が担当いたしている分野の検尿というのは、一つは成人病検診がございます。それからもう一つは老人福祉法によります老人健康診査、それから三つ目に母子保健法によります三歳児健診というのがございます。それから四番目に家庭婦人の健康診査、この四種類が行われておるわけですが、ここで検尿を実施しておるわけでございます。  ただ、三歳児健診なんかでは、余り尿がとれないという場面がございまして、全部が全部どうも検尿はやられてい一ないようでございますけれども、これらの健診の受診者総数合計いたしますと、大体八百八十万人くらいが健診を受けている。こういうことになりまして、受診率につきましては、成人病検診で二一%程度、それから老人健康診査で約二三%、三歳児健診で約八〇%、こうなっておりますが、この結果検尿でたん白陽性率とか、そういう数字は残念ながらとっておりません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 労働者の職場における実績はどうですか。労働省の方おいででございますか。

福渡靖労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○説明員(福渡靖君) 御指摘がございました事業所での健康診断でございますが、労働安全衛生法で規定をされておりまして実施をすることになっております。これは労働者すべてに実施をするということになっておりますが、事業童責任で行うということになっておりますので、私どもの方に報告をいただきますのは、常時五十人以上の労働者を使用する事業者からの報告だけでございます。  昭和五十五年の実績は、受診者総数が一千百三十万六千九百九十人ということになっておりまして、受診率は約七〇%程度というふうに考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それで、常時五十人以上雇用する事業所のいまの調査ですね、常時五十人以上雇用する事業所の総数と五十人以下の事業所の総数を見てみますと、これは総理府の事業所センサスの五十三年度の分なんですけれども、それで見ますと、五十人以上の事業所というのは十万八千二百二十二カ所ですね。五十人以下の事業所というのは三百十一万余りですね。そこでの就業労働者数を見ますと、五十人以上は千六百七十五万九千三百人、五十人以下が二千百四十一万一千八百七十二人と、こうなっている。そうしますと、先ほど言われた定期健康診断実績、五十三年の総理府の調査を利用して見ますと、五十人以上の事業所で報告したもの、これは報告義務があるから報告をしなきゃいかぬのだけれども、六二%なんですね。受診労働者は六七%ということになる。五十人以下の統計というのは、報告義務もないわけだから、健康診断をやったかやらないのか全くわからないんですね。わからないわけでしょう、やっているところもあるとは思うけれどもね。仮にやってなかったとしたら、全労働者三千八百万人のうち二千六百八十万人、全労働者の約七〇%近い者が検尿なんというようなことはしていないということになるわけですね。  その上、労働省の集計、疾病別の労働者数で——法令では、定期健康診断の四十四条を見ますと、糖やたん白を調べるために検尿する、健診するようになっているんですけれども、集計に出てこないんですね、これを拝見すると。こんなことは困ると思うんですね。法令にはやらにゃいかぬと書いてある。それで集計には出てこない。これはやっぱり不細工やと思うんですわ。どうしてこれ検尿の項目がないんですかね。受診者数、疾病総数、それから疾病というんで、新生物による疾患とか心疾患とか呼吸器の関係とか高血圧というのはみんな書いてあるんだけれども、尿所見、たん白とか、あるいは糖尿とか、そういう欄がないわけですが、検査が義務づけられているんだから、これは報告のやり方を変えさせる必要があるんじゃないですか、どうなんでしょうか。集計に出ていないというのはどこか別に数字を持っているんですか。

福渡靖労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○説明員(福渡靖君) おっしゃるように、報告様式を私どもの方で定めておりますが、そこには健康診断をした量終結果だけを報告するように決めてございます。一々検査の実施状況、一つ一つのものをとるというのも、一つの意義はあるかもしれませんが、私どもは事業者の方でそれを正確に記録をさせることにしておりますので、私どもの方の監督行政の中で、それは現場を指導したときに必要な検査が行われているかどうかという指導は行っておりますが、報告の段階では非常に大きな負担になりますので、最終的な総合判断だけを報告していただくというようにしております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 厚生大臣、これは労働省のことなんで直接ではないと思いますけれども、細かいことだから御存じないのはあたりまえなんですけれども、おもしろいんですよ、健康診断の項目にちゃんと規定しておって、それは報告の文書には出てこない。義務づけられてないのがちゃんと皆報告に出てくるんですね。こんなことというのはごく簡単に改善できると思うんですが、ぜひ改善をしてもらいたいと思うんです。    〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕 そうでないと、画竜点睛を欠くという言葉がありますけれども、点睛を欠くんじゃなしに、画竜そのものが幻みたいなことになってしまうというふうなことにもなりかねないわけですね。早期発見というのは、そういう点できっちりやれば発見もできるし、健診さえきちんとやって完了すればいいわけですから、これはどうしても進めてもらいたいと思いますけれども、徹底をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 健康なうちはわりに病気の苦しみとか健康のありがたみがわからぬわけでございまして、ややもすれば、そういう健診に御協力する方が全部でない、一部の方はされない、不精がある点はあると思います。われわれも個人的に考えるとそういうことがございまして反省しておりますけれども、しかしこれからは、特に腎臓障害等については、かかればもう一生大変悩み、また健康のありがたみがわかるわけでございますから、そのために検尿の問題については積極的にこの検尿制度を活用していただくように、また進んで健診を受けてもらうように奨励に努めていく所存でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 文部省の方おいでですか。——これは文部省は大変よくがんばって実績を上げてきておられるんですが、日本学校保健会が作成をいたしました腎臓手帳の積極的な活用、こういうことは、これをさらに徹底されるということが本問題を解決していく上で非常に大事だと思いますが、細かい点お伺いをしたい点があったんですが、時間の都合がありますので、その点だけ伺っておきたいと思います。

森脇英一文部省体育局学校保健課長

○説明員(森脇英一君) 先生ただいまお話のございました日本学校保健会の作成いたしました腎臓手帳につきましては、その普及、活用につきまして、毎年四月に行います都道府県指定都市教育委員会の学校保健担当者の会議あるいは指導主事の会議などにおきまして、その普及、活用の徹底を図ってまいっておりますが、今後とも一層の徹底を図ってまいりたいと存じております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 最後に移植の問題についてお伺いをしておきたいんですが、腎移植というのは根治療法ですか、患者の最も期待するところでございますが、死体腎の移植というのはわが国ではまだ緒についたばかりでございます。厚生省は五十七年度予算で国立佐倉病院と地方腎移植センターをオンラインで結んで移植の成績の向上に役立てようというふうに対処しておりますが、    〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕 これは大変結構で患者さんの期待も大きゅうございます。この導入に関して二つ御要望を申し上げておきたい点があります。  一つは地方センターの早期整備でございます。全国十四センターを当面の目標としておられますけれども、これは五十七年度で一カ所整備してもまだ八カ所ですね。できるだけ早くこの整備のめどをつけてもらいたい。  それから二つ目は、せっかくの国立佐倉病院の充実をやって、患者団体からも御要望が出ておりますような国立腎センター的な機能を持たせるような充実を図ってほしいということですが、そういったものは必要ではないかと思いますので、その点はどうでしょうか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 地方腎移植センターにつきましては、将来計画といたしまして、十四カ所ということを先生いまお話のとおり計画いたしております。五十八年度以降もできるだけ早くこれを整備いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから佐倉病院を本当の意味でのナショナルセンターとすべきではないかというお話でございますが、ただいまのところ、佐倉病院につきましては、腎移植のナショナルセンターということで整備を進めておりまして、総合的なセンターということにつきましては、国立病院の医療センターの方で研究部門につきましては研究等を行っておりますし、当面、私どもとしては、国立佐倉病院を直ちに総合的なナショナルセンターとするという考えは、残念ながらちょっと持っておらないわけでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 腎移植の普及にはやっぱり提供者が要るんですね。私も不勉強でよく知りませんけれども、専門家の方々のお話によりますと、提供者が必要数の大体百倍ぐらいあるのが最も望ましいと言われているんですね。適合性のうんとよい状態のものを選ぶという意味でそういうことなんだそうですけれども、そういう点で、国民の理解と協力というのが非常に大事だと思いますが、患者団体は大変積極的にPRをしておられるんですが、これは政府がPRに力を入れられるということ、あるいは地方自治体にも御協力をいただくということが大事だと思うんです。  ところが、残念なことに、社団法人腎臓移植普及会の補助金百七十万円なんですね。もうちょっと何とかかっこうつける必要がありはしないかなと私思いますが、いかがでしょうかね。私は特にこういった問題大事だと思いますのは、きょう時間ありませんから、また別の機会にと思っているんですけれども、社会復帰をしている人たちも非常に大変な思いをしているんです。そういう人たちを救済する、そういう病人をどんどんつくらないという、そういうところこそ私、行政の仕事だと思いますので、ぜひそういう点は充実をしていただきたいと思いますので、最後に大臣の御決意を伺って終わりたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 腎臓の移植の問題で、提供者が非常に少ない。私は人工透析もかなり効果を上げてきたと思いますけれども、一週間に二回とか三回必ず行かなくてはいけない、若い方でも一人前に働けない、非常に暗い人生を送らなくてはいけないし、もちろん家族の方も皆そうでございます。そういうところへ角膜と同じように腎臓の移植ができるようになりまして、手術の成功率も非常に上がってきておるというように聞いておりまして、人工透析をやっておりましても、人工移植によってもとの体に返るんだということは、行政上夢と希望を与えるりっぱなことであるし、大いに推奨もしなければいけないし、また予算もつけるべきである。  ただいまのところ、献血のようになかなか提供者が少のうございます。中には親が、二つあるわけでございますから、一つを自分のかわいい子供のために提供した例もございますし、また外国から、特にアメリカあたりからも送ってくる事例もございますし、現にわれわれもスリランカ——まあ宗教的な理由というふうに聞いておりますけれども、亡くなった方の腎臓を上げますよというようなことも実は聞いておるわけですが、そのためには向こうの設備、こちらの受け入れ設備、うまくやらないといかぬそうでありまして、しかし日本の医学、医術をもってすれば必ずスムーズにいくし、成功率も高まるし、ただ問題は、提供者だけの問題でございまして、その点はやはり啓蒙、啓発運動と予算をたくさんつけることでございます。そういう点で、これは今後日本の医療が向くべき方向である。現在の人工透析、これは過渡的な姿でございまして、最終はやはり移植によって救われることが最も望ましい。そういうことで私も一生懸命やっていきたいということを申し上げて御答弁を終わります。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 厚生大臣にお尋ねをいたします。  大臣はさきの当委員会における所信表明で、「昨年の国際障害者年をさらに意義あるものとするため、五十七年度を長期的展望に立った障害者福祉の実現の初年度と位置づけ」たいと、このように述べられております。そこでお伺いしたいんですけれども、昨年のわが国の国際障害者年、スタートの年という私たちはとらえ方をしておりますが、何となく障害者年は終わったというとらえ方が一般的にあるようで大変遺憾でございますけれども、この取り組みをどのように評価し、またどのような点について反省をしておられるか、そしてそれらの総括を踏まえまして、どのような決意を今後に対してお持ちなのか、その所信表明のお言葉の中とも照らし合わせまして、率直にお答えいただければありがたいと思うんですが、いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 昨年は、お説のとおり国際障害者年でございまして、「完全参加と平等」というテーマのもとに大きな花火を上げたわけであります。そういうことで、特にわが国の場合は、どの国よりも障害者対策をやっていこうということで、実は十年間の行動計画を立てて、総理大臣が本部長で、総理府総務長官と厚生大臣、私が副本部長というようなスタッフを決めまして、積極的にやっていこうということで始めたわけでございまして、きのう答申を身体障害者福祉審議会から実はいただいたわけでございますけれども、結論は、障害者にとって住みよい社会の実現に向かって第一歩を踏み出していこうと。もちろんこれは身体的なまた心身的な障害と同時に、障害者という意識を、周囲もまた御本人も、完全に払拭するような理想的な方向に向かってどう、こういうことでございます。  五十七年度の予算の中でいろいろ国会でも論議していただきましたが、どうも障害者年にふさわしくないではないかというようなことも言われまして、ただいま反省もしておるかと言われましたが、厳しい財政状況の中で私どもは精いっぱいのことをやったということでございます。決して理想とするような予算ではないかもわかりませんけれども、乏しい中で前向きに予算を組ましていただいたということを申し上げて、将来ともやはりこの目的が達成できますように全力を挙げていきたいということを強く申し上げて御答弁といたします。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 昨年、政府としての長期行動計画の策定、そしてその計画を推進するための総合的かつ継続的な体制づくりの必要性を私もこの社労委員会また予算委員会などで述べてきたわけですけれども、その結果、またいろいろな皆さんの意見の結果、去る三月二十三日に障害者対策に関する長期計画が決定、発表されまして、さらに二十六日には総理を本部長とする障害者対策推進本部の設置が閣議決定されたわけなんですけれども、厚生大臣はそういう点では引き続き副本部長という立場の中から御尽力いただくわけなんですが、私は政府のこれらの決定は高く評価しておりますけれども、今後一層意味あるものとするために若干お尋ねしたいと思うのです。  まず、長期計画の策定並びに推進本部設置の簡単な経過、それにまた推進本部の権限及び機能についてお伺いしたいと思います。

瀬田公和内閣総理大臣官房参事官

○説明員(瀬田公和君) 障害者対策に関する長期計画というものは、中央心身障害者対策協議会に設置されました国際障害者年特別委員会の意見具申を踏まえて、推進本部を中心といたしまして関係各省庁と協議し、この三月二十三日の推進本部の会議におきまして最終決定をしたものでございます。また障害者対策の推進本部の設置につきましては、同様に中央心身障害者対策協議会の意見具申を踏まえまして、この三月二十六日の閣議で決定したものでございまして、「長期計画に係る施策その他障害者に関する施策について、関係行政機関相互間の事務の緊密な連絡を確保し、総合的かつ効果的な推進を図る」ということを、その設置の目的としております。  以上でございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 そうしますと、現在の国際障害者年推進本部の体制をほぼそのまま受け継ぐというぐあいに理解していいでしょうか。

瀬田公和内閣総理大臣官房参事官

○説明員(瀬田公和君) 推進本部は、さっき先生おっしゃいましたように、内閣総理大臣を本部長、それから総理府の総務長官及び厚生大臣を副本部長といたしまして、関係省庁の事務次官を本部員とする形で構成しております。事務局としては、総理府に関係省庁からの出向者を迎えまして、この四月一日から推進本部担当室という名前で発足を予定しております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 すると、「関係行政機関相互間の事務の緊密な連絡を確保」するということですけれども、本当の意味の相互調整にはこれではならないのではないかという危惧も感ずるんで、そのようなことのないように進めていただくように要望しておきますけれども、さてその推進本部の事務局体制もこれは大変重要だと思うんです。関係省庁との連絡を密にする上にはその体制が大変重要であると思うんですが、どのようにするのか伺ってみたいと思います。

瀬田公和内閣総理大臣官房参事官

○説明員(瀬田公和君) 担当室といたしましては、具体的には厚生省、労働省、文部省及び総理府というふうな関係省庁から職員の派遣を受けまして業務を実施したいというふうに考えております。職員の派遣につきましては、関係各省庁におきまして障害者行政について十分な能力経験を有する適任者を選考していただくと、こういうことになっております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 総合的な施策の推進という点では、中央心身障害者対策協議会が重要な存在であると思うんです。国際障害者年特別委員会を設置して「長期行動計画の在り方」がそこを一つの母体として御審議いただいたわけなんですが、今後も長期計画の実行状況を点検したり、新たなニーズを計画の中に取り入れたり、あるいはまた引き続きその役割りは大きなものがあると思います。その特別委員会の方は任期が切れてしまうわけですが、そうすると、今後はそれにかわる体制としてどのような形にするのか伺いたいと思うんですが、どうですか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 国際障害者年特別委員会は、先生御承知のとおり、本年三月末をもって廃止されるわけでございますが、国際障害者年の目的のフォローアップ及び長期行動計画の実施状況の評価、点検もきわめて重要でございますので、ただいまのところ、国際障害者年特別委員会の本体である中央心身障害者対策協議会の充実を図ることによって対処してまいりたいと考えております。具体的には専門委員を十数名程度増員することが現在検討されております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 そうすると、縮小されるのではなくて、充実されていくというふうなとらえ方をしていいですか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 今後十年間の行動計画ができましたので、これに対応いたしまして弾力的に対処していけるような体制を整えていこうということでございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 そこで、中身の点なんですけれども、ともすれば障害を持った人たち、その当事者ですね、当事者がなかなかその中心協の中に選ばれていないという過去の例が若干あるように思うんです、政策の立案過程に参加するということは、これからたとえば行財政改革というような、チープガバメントというような立場を考えていきますと、何よりも当事者の知恵というのは大変重要でありましょうし、いままでともすれば車いすに乗ったことがない人が車いすのことを考え、目の見える人が日の見えない人のことを考えてきたという経緯を思いますと、これからはそれぞれがそれぞれの知恵を出し合う、そしてまた政策立案に対する参加をしていくという門戸を積極的に開いていくことが重要だと思うんですが、そういう点でその中心協のメンバーに当然障害者自身が入るべきだと私は思うんですけれども、これはいかがでございますか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 国際障害者年特別委員会におきましては、六十名の委員の中に障害者関係団体の代表が十五名おりまして、このうち障害者自身が六名含まれていたわけでございます。障害者自身が障害者対策に関する討議の場に参加することは、ただいま先生おっしゃいましたとおりでございまして、きわめて重要なことと考えておりますので、中央心身障害者対策協議会の委員及び専門委員の人選に当たりましては十分配慮いたしたいと考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 推進本部の構成は官職名でやっておりますから、たまたま障害を持った人がメンバーとなることはあり得るといたしましても、障害者自身を入れなさいということは現段階で無理だと思うんですが、しかし障害者自身の生の声を反映させるためにも、その事務局の方に積極的に障害者を採用することは、これは可能だと思うんです。そういう点でも採用の方法などはいろいろな形があり得ると思うんですが、なるべく本当に生の声を今後生かしていくという立場でそういう方法も一案だと思うんですが、いかがでございますか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 厚生省の場合について申しますと、厚生省におきましては、従来から身体障害者の雇用につきましては積極的に努力しているところでございます。身体障害者雇用促進法に定める法定雇用率一・九%を上回る雇用率を現在厚生省は達成いたしております。昨年の六月一日現在でございますが、二・四九%となっております、特に障害者行政に関係する国立厚生援護機関では三八・一四%という高率を達成いたしております。しかしながら、今後とも身体障害者の雇用につきましてはさらに努力をしてまいりたいと考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 事務部門への障害者自身の採用が非常に積極的だと伺ったわけですけれども、たとえば障害別の専門官みたいなものですね、その当事者にそういう形で参加してもらうという方法も大変今後は重要になってくると思うんですが、さらに雇用率の拡大を目指すためにも、たとえば障害別の専門官を養成をしていく、配置していくというような、そういう展望はどうですか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 専門官ということでございますが、役所の場合の専門官は、これはある程度の一定の資格その他が必要でございますので、そういった試験等合格された方でございませんと、なかなか採用がしにくいとか、そういったことはあろうかと思いますが、ただいま先生がおっしゃいましたことを外しましてできるだけ私どもとしては努力したいと思っております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 そういう点では、新たに四月一日から発足するそうした推進本部の中の担当室にも障害者自身の積極雇用を特に要望をしておきたいと、このように思います。  さて、長期計画が策定されまして、その推進体制もつくられたわけなんですが、そうしますと、いかにも明るい展望が障害を持った人たちに開かれたように聞こえるんですが、実際はたくさんの障害者の仲間に会ってみますと、ほとんどだれもそんなふうには思っていないわけでありまして、まだまだ春は遠いぞというような声が多いわけですが、やっぱり国際障害者年は一年限りのお祭りだったのではないかというような声も聞かれるわけなんです。しかしどの国よりも日本はこの国際障害者年の取り組みには熱心であったと思います。熱心であったということは、それだけまた山積している問題が多かったんだろうという、裏返して感ずるわけですけれども、五十七年度予算案にあるいろいろな中身を見ましても、こういう国際障害者年は一年限りのお祭りだったんだと、そういう声が何ともうなずけるような感が否めないわけですけれども、やはりこの行財政改革をやらねばならないという、台所が苦しいというようなことがすべて逃げ口上の中に出てきてしまいますから、ますますこの仲間たちもそれを意識しまして、国際障害者年でこれなんだから、もし障害者年でなかったらと思うと非常に背筋が寒くなるというような声も聞かれるわけなんですけれども、政府の長期計画には、たとえば現在障害者に対する所得保障を見ると、必ずしも体系的に整備されていない面もあり、「当面は現行の年金、手当等の諸施策の充実」に努めるとともにと、非常に逃げの形が出ておりますし、「手当等の諸施策の充実」に努めるという、この部分に関しましても、非常にさびしい一つの文字として映るわけなんですが、この長期計画が決定されたのは一週間前でありますけれども、中心協の特別委員会の審議の経過を踏まえて予算編成に十分反映させるということだったので、それなりの期待が寄せられていただけに失望感が強いと私は思うんです。  長期計画の具体化のために、五十七年度予算編成に当たって厚生省は、本当に胸を張って配慮をしたと言えるかどうか、先ほど大臣は、すべてそれがかなえられていると思わない旨のお言葉があったわけですけれども、その辺をいま一たび伺っておきたいと思うんですが、いかがですか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 確かに、五十七年度予算編成が行われます段階では、まだ政府の長期行動計画はできていなかったことは事実でございますが、そういったこともございまして、特に長期行動計画の第一年目である五十七年度においては、政府の姿勢を示す必要があるということで、予算については特にいろいろな意味で配慮がなされているわけでございます。先生も御承知の点も多いかと思いますが、全体で見ますと、対前年度比七%増、厚生省の心身障害関係予算でございますが、初めて一兆円の大台を確保したわけでございますし、具体的に御存じの点もあろうかと思いますが、たとえば私ども社会局の関係だけ見ましても、決して日新しいものをつくるだけではございませんで、やはりきめ細かく個々の施策をできるだけ充実するということが必要であろうかと思いまして、たとえば日常生活用具の給付等におきましては、電磁調理器とか、ガス警報器とか、電動歯ブラシと、こういった非常に喜ばれる物が今回対象になったり、あるいは、家庭奉仕員は所得税非課税世帯ではなく全世帯にということになったり、その他細かく申し上げると時間の点もございますが、あるいは将来を展望いたしまして手話通訳制度調査検討費と、こういったものができたり、後でまたそういったことが出るかもしれませんが、身障福祉基本問題検討費と、そういった経費も入りまして、将来の見通し等についてもかなり明るい見通しが出てきていると私ども思っているわけでございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 来年度予算に関しましては、別に機会もあると思いますから、そのときゆっくりと伺いたいと思うんですが、いずれにしましても、せっかくの長期計画が絵にかいたもちであっては困るわけでございますから、そういう印象を持たれたのではせっかくの御努力も何でございます。これは必ず十年間で実現するのだという部分を、やはり厚生省として独自に計画達成のための年次計画みたい左ものをつくっていただく。これは特に関係省庁の中では厚生省が一番われわれと身近な一つの省庁でありますから、そういう点でも、厚生省としての計画達成のための年次計画をつくって発表したらどうかというような気持ちさえ持つんですが、その辺はお考えいかがでしょうか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) これは私ども厚生省だけではなくして、労働省、文部省と関係各省共通の問題であろうかと思いますが、長期計画もできましたので、これから長期計画の中には必ずしも数字的に具体的でないものもございますので、こういった点につきましては、場合によれば計画的に各関係審議会に御相談いたしまして、審議会の御意見を承りながら着実に進めていきたいと考えておりまして、ただいまのとこう、厚生省だけで特定にまたさらに計画ということは現在のところは考えておりません。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 考えておられなくても、その気概だけは厚生省がひとつ持っていただきたいと思うのです。  特にいろいろ失望感がある中で強いのは年金、手当等の所得保障対策の関係であると思うのですが、この点に関しましては、先ほども安恒委員からいろいろ御指摘がありまして、プロジェクトチームの経過なども若干伺ったわけでありますが、改めましてさらに奮励努力を願うという願いも込めまして、その検討状況を私もさらに伺っておきたいと思います。

正木馨厚生大臣官房総務審議官

○政府委員(正木馨君) 身体障害者の所得保障の問題でございますが、先ほど安恒先生にもお答え申し上げたわけでございまして、あるいは繰り返しになる点もあろうかと思いますが、お答えさせていただきます。  前島先生のお話しのように、障害者対策に関する長期計画の中でも身体障害者の所得保障の施策の仕組み、位置づけ、諸条件等再検討し、総合的、体系的な所得保障の確立を図れということが書いてございます。先生御案内のように、昨年私ども厚生省内にプロジェクトチームが置かれまして、これはもう厚生省の中でも各局にまたがると言ってもいい問題だろうと思います。身体障害者福祉策の問題は、究極的にはリハビリテーションというものが主眼になると思いますが、リハビリテーションの可能性が薄い方々、重度障害者に対する所得保障の問題、これは喫緊の問題であろうと思います。単に身体障害者の方だけではなくて、その親御さん方の気持というものを考えてもこういうものの充実を図っていかなければならぬということで、本部長ないしは大臣から命を受けましていま検討を進めておるわけでございます。  この検討に当たりましては、現在の所得保障が一体どういうような仕組みになっておるのか、率直に言いましてどういった点に反省をしなければならないのか。それから障害者団体の代表の方々からも、二度でございましたけれども、率直な御意見を伺う機会も持ちました。そういう中で解決策としては一体どういうものが考えられるか、それぞれ問題点がいろいろございます。たとえば福祉年金と拠出制年金との関係をどう見るのか、あるいは他の年金との関係をどう見るのか、あるいは生活保護との関係をどう見るのか、あるいは諸手当の中での整合性をどういうふうに持っていくのか、あるいは財源問題をどう考えていくのかいろいろな問題がございます。そういった点を私ども整理といいますか、分析吟味をいたしまして、一応の議論を終えまして、いまその本部長また大臣に対する報告書をまとめるべく作業を進めておる、できるだけ早く報告書をまとめたいというふうに思っております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 ぜひ所得保障——名称は自立保障、経済保障いろいろな呼び方があろうかと思いますけれども、憲法二十五条にのっとって生きる権利という立場の中では、突き詰めて考えていきますと、どうしても一般的には枯れ木に水をやっても仕方がないという声も聞かれるわけですけれども、私は一人一人の障害を持っている人たちの原因をすべて突き詰めていきますと、それは薬害であり公害であり、あるいはまた目まぐるしく動く現代社会の一つの犠牲でもあると思うのです。だれもすべてがその道を好んだ人はだれもいないと思いますので、これは一つの行政の責任においても、あるいは国民一人一人の気持ちの上からも、ぜひこの人たちが生きていてよかったという体制づくりにしっかりと取り組む姿勢を特にお願いをしたいと思うのです。  ところで、きのう身体障害者福祉審議会が大変重要な答申を出しました。厚生省としてはこの答申のポイントをどのように受けとめているか、長期計画との関係も含めまして伺っておきたいと思います。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) まず政府の長期計画でございますが、今後の障害者対策の基本方針を定めたものでございます。その具体化は関係各省庁において関係審議会の意見等も踏まえて行うことになっているということは先ほど申し上げたとおりでございます。こういったことでございますので、身障害議会の答申につきましても、その審議の過程におきまして、長期計画の策定と並行しつつ、その内容を具体化するための諸施策の方向が示されたものでございます。そういった意味におきまして、この答申の中にもその長期行動計画との関係ということがはっきり書かれております。その点をまず申し上げまして、次にこの答申のポイントでございますが、非常に広範多岐にわたっておりますので、主な点だけ簡単に申し上げてみたいと思います。  まず第一番目に、身体障害者福祉対策の目的でございますが、従来は更生ということに非常に重点が置かれていたわけでございますが、その更生の可能性に着目するだけではなく、自立することの著しく困難な者に対する福祉の充実ということが盛り込まれております。  それから第二番目には、身体障害者の範囲でございますが、身体障害者を規定する基本的な要件は、長期にわたって継続する身体障害を有するということが従来の基本的な考えでございましたが、それと同時に、日常生活活動に相当程度の制限を受ける者ということにしてはどうかということでございます。  で、検討すべき事項といたしましては、人工臓器を入れてはどうか。またそしゃく機能障害を入れてはどうか。次に重症心身障害者とか遷延性意識障害者、いわゆる植物人間と言われる方々でございますが、こういった人たちの取り扱いを検討すべきであるということ。それからその他さまざまな障害に対応できる方式を考慮してはどうか、いわば制限列挙方式ではなくして、もう少し弾力的に考えてみてはどうかといったようなことでございます。  それから第三番目といたしまして障害程度等級でございますが、日常生活活動の能力に着目した評価を加味した合理的改善を行うことを関係学会の協力を得て検討すべきであると言われております。それからもう一つ、リハビリテーション効果の評価判定が必要でありますので、そのための評価方法、認定時期、判定機関のあり方について検討すべきであると言われております。それから次に、認定基準や評価判定の方法等について関係各法、たとえば年金法とか労災法とか、そういった法律との関連について検討すべきであると言われております。また身体障害者自身にリハビリテーションについての正しい認識を持たせ、適正な評価判定を行うべきであると言われております。これが第三点でございます。  それから第四点といたしましては、障害の認定方式でございますが、まず障害認定機関を再編成し、合理化を図るべきである。次に有期認定制度を導入すべきであると言われております。これが非常に新しい点であろうと思います。従来は固定した考え方でございました。それから現在の身体障害者手帳につきましては、これを改善してリハビリテーションカード、これは仮称でございますが、そういうものを交付しまして有効期限を設定してはどうか。これは一定期間たちますとまた本人の障害程度が変わるような場合には、とりあえず仮のカードを交付してはどうかということでございます。  それからその他たくさんございますが、主なものだけ申しますと、第五番目に施設福祉対策といたしましては、施設体系を再編成し合理化すべきである。これは約四つばかりの体系にすべきであると、詳細は省略いたします。それから総合リハビリテーションセンターを整備すべきである。ちょうど所沢にございます国立のもののようなのを各県等に設けてはどうかという考え方でございます。  その他たくさんの指摘が全体では約十項目でございますが、主なものだけをただいま申し上げたわけでございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 今回の答申が身体障害者福祉の基本理念を明確に指し示している点で大変重要だと思うんですけれども、これを受けまして長期行動計画の実行をも加味しながら推進されるようにぜひとも御尽力をいただきたい、このように思うわけでございます、  ところで、昨年、国連は世界長期行動計画の草案を発表いたしましたけれども、これについて厚生省はどう受けとめておられるでしょう。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) ただいまおっしゃいましたのは、国連の障害者に関する世界行動計画案であろうと思いますが、これは昨年八月の国際障害者年第三回諮問委員会で採択されました。十二月に加盟各国へ提示されたわけでございます。この世界行動計画案は本年末の国連総会で審議し、採択される予定でございますが、その内容はわが国の長期計画と基本的には私どもとしてはそごがないものと考えております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 世界長期行動計画草案の特色の一つは、リハビリテーションの定義を新しくした点だと私は思うんですね。いままではリハビリテーションといいますと、全人間的復権とか、まあ聞きなれた言葉では社会復帰というような名訳もあるわけですけれども、どうもその社会復帰というのは、社会というものが健康な人を主体にしていて、そこに何らかの医療的処置によって人間並みに復帰させるみたいな部分で、社会復帰という位置づけ、何かその言葉一つよく分析してみますと、非常に差別用語であるなというような部分も感じてしまうわけですけれども、その世界長期行動計画草案では、リハビリテーションについて時間を限定したプロセスであるとしておりますし、そして生活環境の整備、社会サービス、教育や労働の機会等については、機会の均等化としてリハビリテーションに並立する基本概念として定義しております。これは昨年来言われてまいりました、障害者を社会に合わせるのでなく、社会を障害者が適合できるように変えていくという考え方をリハビリテーションの定義の上でも明確にしたものだと思うんです。  そういう点でも、今後のいろいろな福祉対策というのは大変重要になってくると思うんですけれども、こうした点について、今回提出されました答申の中で示された理念と対照しまして厚生省としてはどう今後お考えなのか、伺っておきたいと思います。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) ただいま先生が言われたことと全く同じように私ども考えておりまして、このような考え方が身体障害者福祉審議会の答申の中にも基本理念として取り入れられております。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 実はそういうことを中心としまして、昨年十一月三十日から一週間世界の障害者たちがシンガポールに集まりまして、世界障害者会議というのが開催されました。これは通称DPIと言うんですが、障害者インターナショナルという国際連帯組織を結成をしたわけであります。国連でもこの結成には大変評価をいただいているわけですけれども、国際障害者年の初年度のラストを飾るまことに記念すべきものであったと私は思っております。厚生省もこの辺はよく承知しておられると思うんですが、こうした動きをどう評価しておるのか承りたいと思います。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 国際障害者年を契機といたしまして、世界の民間障害者団体が障害者インターナショナルを組織されまして大同団結されたということを承っておりますが、これはまことに意義深いものと思っております。今後とも世界の障害者の福祉の発展のために大いに先生も貢献されていただきますことを御期待申し上げるわけでござます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 その中でも、特にこれからは政策立案の中へ障害者自身が入ることが何よりも真の福祉のつくり上げ方であるというようなことを提議された方が大変おりました。そしてまた日本の福祉に対する、いろいろなものに対するニーズも世界各国から大変寄せられております。特に福祉外交という点でも、日本にまた期待するいろんな障害者の声も大変よく聞いたわけであります。特にその中で、世界の中で日本の国際障害者年の取り組みは大変すばらしかったという評価もいただいただけに、今後また日本のアジア地域に対するリハビリテーションの役割りというものも大変重要になるだろうと思うんですけれども、いずれにしましても、どうもまだまだ日本のいろんな深部にわたる対策というのは遅々とした部分が大変多いわけなんですけれども、今回の答申の中でも法律改正が必要となるものも結構出てくるんじゃないかというような気がするわけですが、厚生省としてはどのような法律改正を今後考えておられるのか、またいつごろ国会に提出されるおつもりなのか、福祉法なども含めましてちょっとお伺いしておきたいと思います。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) 実は今回の答申の内容でございますが、身体障害者福祉対策全般に及んでおりまして、そういった意味で、法改正をすべきかどうかについてまず検討する必要があると思います。このため四月中には、できましたならば、基本問題検討委員会というものを設けまして、答申内容の具体化のため、法改正の要否を含む今後の対応策を検討することといたしております。ただいま申しました基本問題検討委員会といいますのは、五十七年度予算案におきましても計上いたしまして、五十七年度にこれを実施することを予定するということになっております。この検討委員会の結論によりまして法改正が必要となってまいりました場合、その後法案の作成あるいは関係方面との協議等を経て、順調に進行いたしましたといたしました場合に、その国会への御提出でございますが、先生お気づきのように、仮に五十七年度中にこの検討委員会で検討いたしますと、その結論が出まして、実際問題といたしましては五十九年に入りましてから、言わば五十九年度対策ということでこれをお願いすることになるんではないかというように私ども想定しているわけでございます。

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 五十九年度を目指してということのようですが、たとえば一つを例にとると、等級の問題がありますけれども、労働省の一つの雇用に対する等級もすべて厚生省を見習えという部分がありますが、生活における等級と、また労働における等級は根本的に違うようにも思いますし、そういう点では障害者等級の問題というのは大変重要な一つの結果になるだろうと思うんですね。なかなか現行のものは社会生活上の実態にそぐわないという声がよく聞かれるんですけれども、この点についてもかなりこれは厚生省は積極的に取り組むというふうに理解してよろしいでしょうか。

金田一郎厚生省社会局長

○政府委員(金田一郎君) ただいま先生おっしゃいました障害等級の問題でございますが、確かに生活能力の喪失あるいは職業能力の喪失、そこらあたりをどううまく一致させるといいますか、かみ合わせていくか。確かに障害等級の問題一つをとりましても非常にむずかしい問題があろうかと思います。そういったことにつきまして、ただいま申し上げました基本問題検討委員会におきまして、技術的な問題あるいは実務レベルの問題もあろうかと思いますが、そういったことをできるだけ早急に結論を出していただきますよう鋭意御検討願う予定でございます、

前島英三郎新政クラブ

○前島英三郎君 じゃ最後に、推進本部副本部長として、また厚生大臣として伺いまして、私の質問を終わります。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○国務大臣(森下元晴君) 推進副本部長としても、総理の御指示に従って障害者対策のために全力を挙げさしていただきますし、また厚生大臣といたしましては、昨日いただきました身体障害者福祉審議会からの二年半にわたる審議の結果でございまして、新時代に対応する障害福祉の理念と身体障害者福祉法の見直しも含めた提言があったわけであります。  私どもも、いま局長が申し上げましたように、でき得れば、四月中に身体障害者福祉基本問題検討委員会を設置いたしまして、五十九年の春には身体障害者福祉法の改正のための新しい考え方の上に立つ一つの方針を決めていきたい、そして所期の目的の達成のために、日本は国際障害者年よくやったと言われるようなりっぱな行政をやりたいと、こういう強い決意でございます。

粕谷照美日本社会党

○委員長(粕谷照美君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会      —————・—————

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