社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/03/23
会議録
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一月二十一日、小平芳平君が、翌二十二日に丸谷金保君が、また三月十九日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として、中野鉄造君、目黒今朝次郎君及び高杉廸忠君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(粕谷照美君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任をいたしたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に渡部通子君を指名いたします。(拍手) —————————————
○委員長(粕谷照美君) 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を議題といたします。 まず、厚生行政の基本施策について、森下厚生大臣から所信を聴取いたします、山森下厚生大臣。
○国務大臣(森下元晴君) 社会労働委員会の御審議に先立ち、厚生行政について所信の一端を申し述べます。 今日わが国は、経済の安定成長下、国家財政の窮迫、あるいは諸外国との経済摩擦の発生など厳しい経済状況に直面しております。 また、人口構成の高齢化が、平均寿命の伸びと最近の出生率の低下等を反映し、諸外国にも例を見ない速さで進んでおり、家庭あるいは地域社会のあり方、世代間の扶養の問題など、社会全体の仕組みに大きな影響を与えるものと考えられております。 わが国の社会保障制度は、長年にわたる国民の努力の結果西欧先進国に比肩し得るものとなり、国民生活の安定あるいは社会的公正の確保に重要な役割りを果たしてまいりましたが、この困難な時代に対応する制度の整備が求められております。私は、このような時代にこそ、長期的観点に立って制度の効率化を進めるとともに、緊要度の高い施策について重点的に配慮し、社会的経済的に弱い立場にある人々の生活を守り抜き、国民生活の安定を図る必要があるものと考えております。 厳しい状況のもとで行われた昭和五十七年度予算の編成に当たっても、これからの時代に対応する予算の第一歩として老人保健制度の創設、年金の改善、障害者対策の充実など、必要な施策に関する経費については全力を挙げて確保し、全体としての福祉水準を維持するよう努力いたしました。同時に、すべての施策について見直しを行い、必要な合理化、適正化を行うことといたしました。その結果、厚生省が要求いたしました事項の大部分が予算化されることとなり、内容的には充実した予算になったものと確信しております。 以下、昭和五十七年度における主要な施策について申し上げます。 まず、老人保健制度について申し上げます。 来るべき本格的な高齢化社会に対応し、国民の老後における健康の保持を図るため、壮年期からの予防と健康づくりを初めとする総合的な保健事業の実施を内容とする老人保健制度を本年十月に創設したいと考えております。このための老人保健法案恒ついては、昨年五月第九十四回国会に提出し一現在継続審査になっておりますが、今国会おいても引き続き御審議を煩わし、一日も早い成立をお願いしたいと思います。また、その体制整備の一環として、公衆衛生局に老人保健部を設置することとしております。 次に、社会福祉関係について申し上げます。 老人福祉につきましては、家庭奉仕員を大幅に増員するとともに、これまで所得税非課税世帯に限定していた派遣対象を応分の費用負担のもとに所得税課税世帯にまで拡大するほか、デーサービス事業の充実など在宅福祉対策を一層推進することとしております。 障害者福祉につきましては、昨年の国際障害者年をさらに意義あるものとするため、五十七年度を長期的展望に立った障害者福祉の実現の初年度と仕置づけ、国内長期行動計画の策定を図るとともに、障害者社会参加促進事業などの在宅福祉対策を中心とする各種の施策に力を注いでまいります。 低所得者の福祉水準を確保するための生活保護につきましては、標準四人世帯の生活扶助基準を六・二%引き上げる等の改善を行うこととしております。 児童福祉につきましては、最近における出生率の動向を見ますと、児童の健全育成と資質の向上を図ることがますます重要となってきていると考えております。このため、五十七年度におきましても、夜間保育の実施、保育時間の延長等を通じ、いわゆるベビーホテル問題に対処するなど保育対策の充実を配るほか、母子保健対策、児童の健全育成対策等についても積極的にその推進を図ることとしております。 次に、年金制度について申し上げます。 年金制度については、本格的な高齢化社会の到来を控え、その安定的な運営を図ることが何よりも重要な課題であると考えております。このため、わが国が高齢化のピークを迎える三十年ないし四十年後において年金制度がその機能をいかんなく発揮できるよう制度全般のあり方についていまから計画的に検討を行っていく考えであります。 五十七年度におきましてもきわめて厳しい財政状況下ではありますが、老人、障害者等の生活の安定を図るため、厚生年金、船員保険及び拠出制国民年金について、本年度の物価上昇率に応じ特例的に年金額の改定を行うとともに、福祉年金等についてもこれに準じた額の引き上げを行うこととしております、 次に、医療保険制度について申し上げます。 さきにも触れました厳しい経済社会環境は医療保険に対しても例外ではなく、限りある医療資源を有効、適切に用いていくことが制度の健全な運営を図っていく上でますます重要となってきております。このため、五十七年度においても、指導、監査の強化、医療費審査の充実、改善、薬価基準の適正化等の医療費適正化対策を引き続き強力に推進する。こととしております。 なお、臨時行政調査会の第一次答中でも指摘のありました国民健康保険給付費に対する都道府県負担の導入につきましては、五十七年度はこれを見送り、今後、国、地方の役割り分担を含め、医療保険制度全体の体系の中における国民健康保険制度のあり方について検討することといたしております。 次に、医療対策について申し上げます。 五十七年度におきましても、国民的要請の強い救急医療、僻地医療、がん、循環器病等の専門医療についてその体系的整備を進めるとともに、地域における総谷的な医療供給体制の整備を図るため、地域医療計画の策定を推進する措置を講じてまいりたいと考えております。 また、医療従事者につきましては、看護婦、理学療法士等の養成確保、資質の向上に努めるほか、医師国家試験等の改善を進めてまいります。 次に、戦傷病者、戦没者遺族等の援護につきましては、障害年金、遺族年金等の増額を図るとともに、海外戦没者の遺骨収集及び慰霊事業を推進することとし一中国に残留する日本人孤児問題につきましては、訪日孤児を増員するほか、中国に調査団を派遣して直接事情を聴取するなど新たな措置を講ずることとしております。 医薬品に対する国民の期待、関心は近年とみに高まってきております。私としては、今後とも医薬品の有効性、安定性の確保に万全を期してまいる考えであります。 このほか、厚生行政は、国民の健康づくり対策の推進、食品等の安全性の確保、生活環境の改善など国民生活に直結した問題に関するひとときもゆるがせにできない施策ばかりであります。 私は、皆様の御支援、御鞭撻を得ながらこのような厚生行政の推進に全力を挙げて取り組み、国民福祉の着実な向上を図ってまいる所存であります。 何とぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(粕谷照美君) 次に、労働行政の基本施策について、初村労働大臣から所信を聴取いたします。初村労働大臣。
○国務大臣(初村滝一郎君) 社会労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を得たいと存じます。 わが国を取り巻く内外の環境は、国際的には通商摩擦問題、国内的には高齢化社会の急速な到来や、マイクロエレクトロニクスを利用した技術革新の広範な進展など大きく変化しつつあります。 このような状況に適切に対処し、人々が安んじて働くことができ、ゆとりある生活が送れるようにするために、労働行政が果たすべき役割りは、きわめて大きいものがあります。 労働行政がまず第一に取り組むべき課題は、高齢化社会の進展に対応する労働政策を総合的に推進することであります。 社会の高齢化が進む中で、経済社会の活力を維持、発展させていくためには、まず高年齢者に安定した雇用の場を確保することが重要であります。このため、現在大きな流れとなりつつある六十歳定年が早期に一般化を見るよう、対応のおくれている企業に対する個別指導を一層強化してまいります。 また、今後増加が予想されている六十歳台前半層の働く人々についても、継続雇用の促進を図るとともにシルバー人材センターの拡充強化を進めるなどにより、この年齢層の希望、能力に応じた雇用、就業機会の確保について積極的に取り組んでまいります。 高齢者雇用対策は今後ますます重要となる課題であり、多様な施策を総合的、一元的に推進していく必要があります。このため、職業安定局に高齢者対策部を設置するなど必要な体制の整備を行うこととしております。 さらに、中高年齢者の活力の維持、拡大のためには、その職業能力の開発向上を図ることがきわめて重要であります。このため、公共職業訓練施設の整備に一層の努力を払うとともに、生涯訓練の基本理念に立って事業主の行う中高年齢者等に対する職業訓練を振興するため新たな助成措置を設けるなど、労働者の職業生涯を通ずる能力開発体制の推進に努めてまいります。 第二の課題は、産業構造の変化等に即応する雇用対策の推進であります。 最近のわが国の経済情勢を見ると、景気の回復は総じて緩やかなものとなっており、雇用失業情勢もなお楽観を許さない状況にあります。 このため、雇用失業情勢に対応し、雇用の安定を図るため、雇用安定資金制度の積極的な活用を図るなど機動的に雇用対策を推進してまいります。 また、産業構造の変化や急速な技術革新の進展など雇用を取り巻く環境も変化しつつあります。第三次産業の比重の高まりに応じて、その雇用や労働の実情に即した対策を進めることとし、特にパートタイマーの職業紹介体制の充実や労働条件の明確化指導、雇用、労務管理指導の強化を図ってまいります。また、近年、わが国産業界では、産業用ロボットなど、マイクロエレクトロニクスを利用した技術革新が急速に進展しつつあります。これに伴い雇用を初め労働面全般に影響が生じることが予想されるため、その及ぼす影響、問題点について、総合的な調査、研究を進めてまいります。 第三の課題は、職業生活の向上と、安全な労働環境実現のための施策の推進であります。 まず、勤労者の貯蓄や持ち家などの資産保有について促進を図るため、勤労者財産形成促進制度の大幅な改善を行うこととしております。すなわち、財形持家個人融資制度について、新たに利子補給を行うなどの貸付条件の改善を図るとともに、財形年金貯蓄制度を導入し、退職後も貯蓄から生じる利子等に対する非課税措置を継続することとしており、今通常国会にそのための法律案を提出いたしておりますので、よろしくお願いいたします。 次に、労働時間対策を推進するため、従来に引き続き、週休二日制等労働時間対策推進計画にのっとり、週休二日制の普及等に積極的に取り組んでまいります。 また、労働災害の防止については、昨年は初めて死亡者が三千人を割るなど、具体的な成果を見ることができたところでありますが、本年度は、産業安全対策、職業性疾病防止対策等の充実を図り、労働災害の防止に向けてさらに努力してまいる所存であります。 第四の課題は、心身障害者など特別な配慮を必要とする人々のための施策の充実であります。 心身障害者については、昨年の国際障害者年を経て、各方面の理解も広がりつつあり、雇用についてもかなりの改善を見ておりますが、さらに総合的な心身障害者対策の確立とその推進に努めてまいる所存であります。 このため、身体障害者雇用率達成指導を強化するとともに、重度障害者等に重点を置いて障害の種類や特性に応じたきめ細かな対策を講ずることにより雇用の促進と安定に努めてまいります。 また、障害者の職業的自立を図るためには、その職業能力の開発向上が重要であります。このため、一般の職業訓練枝への障害者の入校の促進、身体障害者職業訓練枝の整備を図るほか、職業訓練大学校に身体障害者に関する職業訓練指導員養成課程を新設することとしております。 第五の課題は、男女の機会と待遇の平等促進と婦人の労働環境の整備を図ることであります。 昨年五月に策定された婦人に関する施策の推進のための国内行動計画後期重点目標の達成に向けて、男女の機会、待遇の平等促進と婦人の労働環境の整備に努めてまいります。 特に、婦人差別撤廃条約の批准に向けての条件整備を図るため、雇用における男女の実質的平等のガイドラインの策定を行い、これを踏まえて、関係審議会において法的整備について具体的な検討を行ってまいります。 第六の課題は、労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりの推進であります。 わが国の良好な労使関係は、社会の安定と経済の発展に大きく貢献してまいりましたが、さらにこれを維持発展させていく必要があります。 このため、今後とも産業労働懇話会を初め各種レベルにおける労使の話し合いの場の充実強化に努めてまいる所存であります。 第七の課題は、国際社会におけるわが国の役割りにふさわしい労働外交の推進であります。 開発途上国の経済社会開発に対する援助協力を進めることは、わが国にとって重要な課題となっておりますが、特にその基盤となる人づくりに対する協力を進めることが望まれております。このため、民間企業の行う海外職業訓練を援助するための施設として職業訓練海外技術協力センターを設置するなど、海外技術協力の一層の推進に努めてまいります。 また、開発途上国の労働問題に対するわが国労使による協力を促進するほか、今後とも各種の国際交流を積極的に推進してまいる所存であります。 以上、労働行政の推進について私の所信を申し述べました。委員各位の一層の御指導と御協力をお願い申し上げます。
○委員長(粕谷照美君) 以上で所信の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(粕谷照美君) 先般、当委員会が行いました社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査のための委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。渡部通子君。
○渡部通子君 去る二月一日から三日までの三日間、粕谷照美委員長、佐々木満理事、安恒良一理事、関口恵造委員、水脱タケ子委員、藤井恒男委員と私、渡部通子の七名は、老人保健事業及び産業用ロボットの導入の実態等の実情を調査するため、愛知、静岡の両県に行ってまいりました。 調査では、両県における老人の実態と保健医療対策、産業用ロボットの導入が雇用に及ぼす影響等を中心に現況説明を聴取するとともに、市町村保健センター及びロボット関連工場を視察いたしました。 まず、両県における老人保健関係の概要について御報告申し上げます。 愛知県の六十五歳以上人口は現在四十六万二千人、総人口比の七・四%で、全国水準の九・一%を下回っておりますが、将来は高齢人口の増加テンポがきわめて速まることが予測されています。 保健医療対策としては、高齢者の有病率が高い事実に着目し、四十六年十月より県としての老人医療費公費負担制度を設け、以来、対象年齢の六十八歳までの引き下げや所得制限の緩和を行っているほか、老人医療費受給者を対象に付添看護料の補助事業を県単独で実施しております。 また、老人健康診査における一般診査の受診率は、二五・七%と全国平均をやや上回る状況にあり、市町村の実施単価の超過負担分についても、その三分の二を県単独事業として補助を行っているところであります。 在宅対策としては、五十六年の十月より介護人の派遣対象を中所得階層にまで拡大し、必要に応じて訪問サービスを実施しているほか、在宅の寝たきり老人には年額六万六千円の手当を支給しております。 次に、地域住民の健康づくりの拠点である市町村保健センターは、現在九カ所設置されているほか、二市において建設中であり、その整備に当たっては県としても国と同額の補助を行っております。 保健所については、名古屋市の十六を含め、四十一の保健所が設置され、特に遠隔地を対象に移動保健所事業が実施され、本年度では八保健所で十九の町村を対象に保健所活動の浸透に努めています。 また、成人病予防対策としては、各古屋と豊橋の二カ所に総合保健センターが設置され、特に人間ドックでは自動化健診システムにより、成人病に関すも五十余の検診を二時間程度で実施することが可能であります、一 県内の就業保健婦数は六百六十八名でありますが、人口十万対では十・七人で全国平均の十三・二人を下回る状況で、未設置市町村も二十一に上っています。活動状況を見ると、検診に関しては、受診率の面からは、乳幼児については七〇%以上となっているのに対し、一般住民検診、成人、老人検診はいずれも二〇%程度という状況にあります。また、家庭訪問等による保健指導でも、結核新登録患者や未熟児等時に指導を必要とする者については八七%以上実施している反面、成人や老人の保健指導については、対象者の一六%程度にとどまっているのが現状であります。 なお、今後予測される対人保健サービスの拡充に伴い、保健婦需要の増加が見込まれるため、本年度より養成定員を倍増するなどその充足に努力しております。保次に、医師数は、人口十万対百二十・八人で、全国平身をやや下回っておりますが、医大開学による養成定員の大幅増による伸びが見込まれる状況にあります。 また、PT、OTの免許取得者数も全国平均をかなり下回っておりますが、五十四年に国立の養成施設が開校したほか、本年の四月にはPTの民間養成所が開所する予定であり、事態の好転が期待されております。 次に、静岡県について申し上げます。 静岡県における六十五歳以上人口は三十一万九千人、総人口比ではほぼ全国平均並みの九・二%で、今後ともこの傾向での推移が見込まれています。 老人医療は、国の基準どおりで実施されており、県単独の上乗せ制度は実施されておりません。 また、老人健康診査の受診率は三二・六%と全国平均をかなり上回り、そのためか老人医療の受診率は全国平均より低く、特に一人当たりの老人医療費では、温暖な気候、医師不足等の影響で、全国平均より年間で十万円程度低く、全国四十六位にランクされております。 なお、医療費対策としては、保健子防活動が徹底している岩手県の沢内村や、県平均のさらに二分の一の老人医療費を実現している天城湯ケ島町等の優良事例の紹介を積極的に行っております。 県内の宅宅老人の現況は、寝たきり一・八%、ひとり暮らし三%で、それぞれ全国平均の三%、九%をかなり下回り、全国順位では四十二位、四十二位という恵まれた状況にあります。 次に、市町村保健センターは、現在県内十カ所に整備されているほか、六十年度までに二十四市町村が設置を予定しており、その整備に当たっては国庫補助額の二分の一を県費で補助しております。 県内の保健所は、三つの政令市保健所を含め二十設置され、各種の対人保健サービスを積極的に進めており、中高年の成人病予防と婦人の健康管理対策では、健康増進車の巡回により、栄養、運動、休養の調和の保たれる総合指導を行い、健康づくりの地域活動の促進を図っています一、 県内の保健所及び市町村における保健婦数は、それぞれ百五十三人、二百三十三人、人口十万対では十一・三で、全国平均を下回りますが、現在保健婦が配置されていない四町村も、五十七年度ですべて解消される予定であります。活動状況では、保健婦の全稼働量の五六・三%が対人保健サービスに向けられ、健康相談、衛生教育、家庭訪問による保健指導等が行われています。 医師数は人口十万対百六・三と全国でも低位にあり、六十年度までに百二十八に目標を設定していますが、温暖な気候が影響して、医師の需要も少ないという特殊性があります、 また、大幅に不足しているPT、OTについては県内に養成施設もなく、これらリハビリ要員の養成確保についしは国において実施されたいとの要望がありました。 次に、関連して視察した二つの保健センターについて簡単に触れたいと思います。 刈谷市保健センターは、五十五年の四月同市の中心部にオープンし、職員は所長以下保健婦四名を含み十八名で構成されています。市民の保健予防活動の拠点として各種の事業に利用され、母子保健対策としては、妊婦保健指導を初めとして、心身障害の発生予防、早期発見、早期療育を重点に、健康診査及び育児教室等の事後指導を保健所と共同して行い、母子健康台帳とカルテの一本化を図り、健診データをコンピューターに入力し指導を行っております。 また、成人病予防対策では、がん、循環器系などの巡回検診に加え、特に四十歳以上の者に対してはミニドック方式による総合検診を実施しているほか、市民の健康づくり推進事業関係や予防接種等の事業が行われております。 なお、保健婦については、検診業務の増大や寝たきり老人等の訪問指導などに対処するため、未年度において二名の増員が見込まれるものの、絶対数は不足しており、そのため老人保健法案が期待する保健事業の実施については、現場として何からできるか、大変であるという実感であり、やりやすいような指示がほしいという要望がありました。 また、センターの利点は、住民が気安く直接的に接触できる場という点であり、保健所との関係では両者の一体的運営が要求されています。 次に、静岡市の東部保健センターは、郊外の東部公民館に併設されたもので、五十四年六月の開設であります。 当市は保健所政令市でもあり、センターは中央保健所保健予防課の一係として明確に位置づけられているため、両者の連絡調整は非常に緊密で、スタッフは保健所技監たる医師、所長各一名のほか、保健婦六名で構成されており、また公民館との関係では建物を共同利用できるため、衛生教育関係では共催事業等も積極的に行っております。 活動状況では、特に衛生教育を重点に事業を実施しており、刈谷市と同様な事業のほか、電話相談も行っております。 センター側の説明では、保健センターの設置により地域住民に密着した保健所サービスが濃厚に細かく行えるようになったとのことで、老人保健法案が要求するマンパワー対策としては、努力目標として五十二年度から実施されている老人保健医療総合対策開発事業等を踏まえ、公的病院を十分活用する中で実施したいとの意向でありました。 また、特に保健婦の確保に関連しては、視察した愛知、静岡の両県及び刈谷、静岡の両市より、市町村保健婦の国庫補助対象人員の拡大について強い要望が出されたところであり、法案が目指す保健事業の実施に当たっては、実施拠点の整備、保健所機能の強化はもとより、特にそのため要員の確保についてなお特段の努力を要するということを痛感いたしました。 次に、産業用ロボットの関係について申し上げます。 愛知県は、マイクロエレクトロニクスを使用した機械を製作する分野では、視察した山崎鉄工所等があり、全国的にも相当のウエートを占め、一方利用面においても、自動車製造工場が多数立地している等の特徴が見られ、雇用面のみならず労働関係全般に何がしかの影響が考えられるわけですが、これらについては五十七年度において調査を行う予定で、現在のところ特に産業用ロボットによる雇用への影響について調べられてはおりません。 しかし、県の労働部が把握している業務統計等によっても、全体的には雇用は景気回復に伴って伸びつつあり、現在までの段階においてマクロ的には産業用ロボットの導入時に伴うマイナスの影響は認められないとのことであります。 次に、静岡県の状況について申し上げますと、産業用ロボットは、自動車関連産業等大企業を中心に導入され、ロボットと直接競合すると思われる関連産業における機械工、溶接工、塗装工、金属プレス工等の職種においても、むしろロボットの導入によって技能者不足がカバーされている実態にあり、雇用に及ぼす影響についても、愛知県と同様に現在のところ特に問題はなく、労働組合及び従業員もいわゆるダーティビジネスからの解放、労働環境の改善として歓迎している状況であります。 なお、両県当局より産業用ロボットの利用が雇用や労働関係全般に及ぼす量的質的影響についての調査を国においても早急に実施してもらいたい旨の要望がなされております。 次に、産業用ロボットに関連して視察した個所について簡単に御報告いたします。 愛知県大口町にある山崎鉄工所は、世界最大のNC工作機械メーカーであり、特に昨年の十月末、新たに無人化工場を完成させ話題となっています。 このFMS、フレキシブル生産システムの新鋭工場は、総額四十億円で、ここでは産業用ロボット、複合工作機械のMC、モニターなどが多数組み合わされたものが、中央のコンピューターで集中制御されており、従業員は昼夜各六人ずつで、特に午前零時から八時までの間は全くの無人状態で機械部品が生産されております、 会社側の説明では、多品種少量品生産の自動化ということで、工作機械についてもFMSを導入したとのことで、こうした背景は、労働者の労働時間短縮や賃金の上昇が急速に進展する中で、国際競争力を維持する手段として労働生産性の向上が不可欠とのことでありました。 なお、FMSの人的省力効果は、NC機械との比較では三分の一くらいになるが、ソフトウェア、保守メンテナンス関係で十人程度の裏方が必要なため、全くの無人化になるとは考えられず、余剰人員は配転で吸収しているものの、同社の従業員全体では増大しており、それには売り上げの向上が前提になるとの説明でありました。 次に、トヨタ自動車工業においては、大衆車の生産部門である高岡工場において、プレス、ボデー、組み立てのラインを視察した後トヨタ会館において説明を聴取しました。 同社が四十七年に産業用ロボットを導入したのは、従来の自動化の手段では達成が困難と考えられていた工程における労働環境改善の手段として導入、実用化し、あわせて生産性の向上にも役立ててきたとのことで、その目的は必ずしも労働力の節減だけではないと言われています。 トヨタでは、産業用ロボットの定義を日本産業用ロボット工業会より狭義に解釈しており、プレイバック、数値制御、知能ロボットだけでも六百三十台が稼働しており、そのうちの九割近くがスポット溶接作業に使用されていますが、現在のところは産業用ロボットの導入による企業内失業等の摩擦は発生していないのであります。 最後にヤマハ発動機について申し上げますと、同社においては五十一年より導入が図られ、現在では百台の組み立てロボットが、ボルト、ナットの取りつけや締めつけのほか、シール剤の塗布、部品の圧入作業などを行っております。 その導入の動機は、生産性の向上、作業条件の改善の二点に要約されますが、その中では将来予測される高齢化対策、単純作業や時間外、交代勤務からの解放という説もありました。 これが雇用に及ぼす影響としては、現在のロボット導入についての思想や、技能労働者の絶対的不足といった労働力の需給関係、同社の人事管理方針等からして、従業員の失業等に発展することはありえず、ロボット導入に起因する配転もいまのところは皆無とのことでありました。 なお、ヤマハでは女子技術職の配置を積極的に行い、全従業員八千二百人中の千六百人が女子で占められ、特に視察したソフトバイクの組み立て部門は全員女子であるため、作業の工程編成にも特別な配慮がなされておりました。 また、身体障害者雇用にも積極的で、職場に指文字五十音写真集が掲示されていたのが印象的でありました。 今回のわれわれの調査では、産業用ロボットが雇用に及ぼす特段のマイナス面は認められなかったものの、これが将来及ぼすであろう社会変動については、今後政府としても十分対応を考えていく必要があろうかと思います。 以上でありますが、静岡県及び静岡市当局から提出されました要望事項の会議録末尾掲載方を委員長においてお取り計らいくださるようお願いいたしまして、報告を終わります。
○委員長(粕谷照美君) 御苦労様でした。 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、渡部君の報告中にありました要望事項等につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十分散会 —————・—————