公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1982/04/14
会議録
○委員長(上田稔君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る九日、円山雅也君が委員を辞任され、その補欠として杉山令肇君が選任されました。 また、本日、中村啓一君、井上学君及び杉山令肇君が委員を辞任され、その補欠として円山雅也君、梶原清君及び楠正俊君が選任されました。 —————————————
○委員長(上田稔君) この際、御報告申し上げます。 本委員会の運営につきましては、理事会において協議いたしましたところ、次のような合意を得ましたので申し述べます。 委員以外の議員の委員会出席に関する理事会申し合わせ 公職選挙法の一部を改正する法律案の審査中、本委員会に委員の割当のない第二院クラブ及び一の会の所属議員各一名の委員会出席を認めるものとする。 この場合、あらかじめ委員長にその氏名を届け出るものとする。 以上のとおりでございますので、御承知おきください。 —————————————
○委員長(上田稔君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明につきましては、前国会におきましてすでに聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○円山雅也君 きょうは提案者の方々に、本改正案の憲法上の問題、それから制度的な問題できわめて総論的と申しましょうか、間口の大きな問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。 まず、憲法問題でございますが、今度の改正案は当然のことながら政党本位の選挙制度を前提としております。ところが、現在の憲法は政党については全く規定がなく、政党について憲法上特別の地位を認めていない、そういう点から、ともすると今度の改正選挙制度は現憲法の容認しない制度ではないかというような批判が起こっておりますけれども、この点についてまず提案者の御説明をいただきたいと思います。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御指摘のように憲法には直接政党に関する規定はございません。しかし、わが国の憲法は御承知のように議院内閣制度をとっております。これは当然に政党の存在を前提とするものだと私どもは考えております。また、昭和四十五年に最高裁判所が大法廷におきまして政党について判決をしたものがございます。この中に明瞭に、憲法は政党の存在を当然に予定しておるものというべきであり、議会制の民主主義を支える不可欠の要素であるということを指摘いたしております。私は、これはわが国におきましてはほぼ憲法と政党に関します解釈の問題として通説と申してよろしいのではなかろうかと思います。したがいまして、政党を前提といたします選挙法が作成されたといたしましても、これが憲法に抵触するようなことは万ないと、かように存じます。
○円山雅也君 いまの問題に関連いたしまして、私もこれには異論があるんですけれども、現在の憲法上は、何か憲法の規定から個人選挙に限られているというような誤解のもとに、今度の改正法が政党本位の選挙制度を導き入れたのは憲法違反じゃないかというような御批判も間々耳にいたしますが、この点はどうでございましょうか。つまり、現憲法上の解釈として個人選挙、つまり個人の候補者に対する投票という形の選挙制度しか認めてないんだというような解釈がどこかから出ましょうか。その点もちょっとお尋ねをいたします。
○委員以外の議員(金丸三郎君) わが国は明治以来の個人本位の選挙制度をとってまいりまして、制度として政党本位の選挙制度をとったことがございませんので、そういう点から御指摘のような御意見が多く出るのであろうと思います。 しかし、ただいま申し上げましたように、憲法が国の政治の制度として議会制の民主主義をとり、かつわが国におきましては議院内閣制度をとっておることから考えますというと、政党の存在は当然であり、それが選挙制度の中に制度として取り上げられてまいりましても憲法に抵触するようなことは万あるまいと、私どもはそのように考えております。
○円山雅也君 もう提案者の方はとくに御研究済みと思いますけれども、現在の憲法の四十七条は選挙に関する事項を法定をしておりまして、「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」というふうに規定をしておりますので、この点ではいわゆる個人選挙にしようが政党選挙にしようが、政党選挙自体を本質的に現憲法が容認しておるならば、この四十七条とあわせますと当然にそれは個人選挙にするか政党選挙にするかは憲法の四十七条で立法事由の方に任されているんではないかと、四十七条の解釈から、そう思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 全くそのとおりに考えております。
○円山雅也君 そうしますと、今度の改正案は、現憲法上政党選挙は容認できる、かつ個人選挙に限るというような規定もないとなれば、政党選挙でかつ政党に投票するという今度の改正案については、少なくともその点では憲法上疑念がないというふうに思いますけれども、もう一回確認をさせていただきます。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 憲法上私どもは支障がないと考えております。
○円山雅也君 それではこの問題は一応終わりまして、次にやはり憲法問題でございますが、こういう御批判があるんです。現在の改正案でいくと選挙権及び被選挙権の侵害にならないか、ということは、その点で憲法違反にならないかというような御批判があるようでございます。そこで選挙権と被選挙権について分けてお尋ねをいたしたいと思います。 まず、選挙権でございますが、今度の改正案では選挙権の行使、つまり投票方法が当然制限をされますけれども、これは憲法上の選挙権の制限、つまり侵害にならないかというような御意見が強く出されておりますけれども、この点ではいかがでございましょうか。つまり、今度の改正案によりますと、たとえば政党に投票するとか選挙権の行使に関して改正案がある程度の制限をつける、その改正案による制限が憲法上認められた選挙権の侵害、選挙権を侵すことにならないかというような御批判が、たとえばこれは弁護士会あたりからも出ておるようでございますが、この点はまずいかがでございましょうか。被選挙権については後ほどお尋ねいたします。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私から申し上げるまでもないことと思いますけれども、選挙権はいわゆる基本的な人権ではございません。わが国の過去を見ましても婦人には参政権が与えられておりませんでした。また納税資格が選挙権の要件であったこともございます。だから選挙権は法律によって定められるというのが私は通常の国におきます制度となっておると思います。で、個人名を書くか書かないかということは選挙権自体の問題では私はないと思います。それは投票の方法の問題でございまして、それは先ほど御指摘がございましたように、憲法の四十七条によって私どもは法律をもって規定ができるのであると、かように考えます。
○円山雅也君 これはもう確かに選挙権が自然発生的な人権なのか、いわゆる憲法上で言う基本的人権なのかどうかについてはいろいろ論議があったところだと思いますけれども、私も少なくとも憲法の条文を読む限り、権利というよりも選挙権は一つの法律によって生ずるところの資格であって、本来的な権利ではないというふうに認識をいたしておりますが、その点はいかがでございましょう。権利と資格との問題。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 法律論としては御説のとおりだと思います。ただ、選挙制度を持っておりますいわゆる立憲主義の体制のもとにおきましては、政治的な意味において選挙権が基本的人権のように非常に大切なものであるということからそのようなことが言われるのではなかろうかと思いますが、それは私は政治的な観点であって、法律的な論議といたしましては御説のように資格であると、このように申してよろしいと思います。
○円山雅也君 そこで、いわゆる選挙権の侵害というような議論が出てくる根拠といたしまして、憲法の十五条一項の公務員を選定し罷免するのが国民の固有の権利であるというような規定があることから、この条文を根拠にやはりこれは基本的人権に属するつまり固有の国民の権利じゃないのかというような議論が出ておるようでございますけれども、いわゆる憲法十五条一項の公務員の選定、罷免権とそれからいま問題にしております選挙権とは、どういうふうにこの二つをとらえられて本改正案に臨まれたのか。ちょっとその辺をお聞かせいただきたいと思います。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 選挙権は先ほど申し上げましたような基本的な考え方に基づいて私どもは解釈をいたしております。この憲法の十五条第一項の規定は私どもは選挙権とは考えません。むしろわが国におきましては立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、こういう考え方の方が通説であるように考えます。
○円山雅也君 確かに私も、十五条一項のこの規定から生ずるところの権利は国民すべての持っているところの基本的人権であり、一つの権利だろうと思います。だけれども、選挙権というのは、先ほどから御質問の、またお答えの中に出てまいりましたように、たとえば憲法の四十七条でもって特別な法律によって生ずる資格みたいなものだとするならば、これは十五条一項の規定の権利と選挙権とは全く別物であって、この十五条一項を根拠にして、だから今度の改正案が選挙権を侵害するものだというふうには考えられないと私も考えておりますが、その点重ねてお尋ねをいたします。
○委員以外の議員(金丸三郎君) おっしゃるとおりでございまして、第十五条は公務員の罷免に関する国民の基本的な権利を私どもはうたったものであり、選挙につきましてはむしろ十五条の第三項、普通選挙制度を保障したということに意味があり、憲法上もわざわざここに書き分けておるのではなかろうかと、かように解釈を考えております。
○円山雅也君 それでは、選挙権については一応問題がないとして、次に被選挙権に関してお尋ねをいたします。 今度の改正案では被選挙権の行使がやはりこれが制限を受けます。たとえば政党の候補者名簿に載らなければ立候補できないとかその他こういう制限、これは憲法上の被選挙権の制限、つまり侵害にならないかというような御批判も間々耳にいたしますが、この点はいかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) これは憲法の第四十四条に明確になっておりますように、両議院の議員の資格は法律でこれを定めると、「但し」という条件はございますけれども、第四十四条に明定されておるとおりだと思います。
○円山雅也君 確かに被選挙権に入ってまいりますと、明らかに憲法四十四条でお答えのように「資格」とわざわざ憲法が書き分けてございますね。それだけではなくて、私はたとえば国民のすべてに選ばれる権利があるということはあり得ないことでして、未成年者もございますし、だから被選挙権というのは選ばれる権利というふうに解すべきではなくて、選ばれる法律上の資格にすぎないんだというふうに解すべきだと思いますけれども、この点いかがでございましょう。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御説のとおりでございます。
○円山雅也君 そうしますと、選挙権及び被選挙権に関して今度の本改正案がそれを制限したからといって、それが憲法上保障された選挙権及び被選挙権の侵害には当たらないというふうになりますが、その点確認をいたしておきますが、いかがでございましょう。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 全く御説のとおりと思っております。
○円山雅也君 ただ、ちょっと気がかりになりますのが、昭和三十年の二月九日の最高裁判例と昭和四十三年十二月四日の最高裁判例が、何か傍論にせよ、選挙権、被選挙権は基本的人権であるというように理解されるような表現をとっております。もっとも昭和三十年二月九日の補足意見の中では、明らかに選挙権を書き分けまして、これは資格なんだということで論じておりますし、それから昭和四十三年の十二月四日の最高裁が選挙権や被選挙権を基本的人権としてとらえる根拠としましては、先ほどから問題にしました憲法十五条一項から、それを論拠にしてあたかも基本的人権のように論理を展開している。この点では、いま質疑をいたしました点で、少なくとも四十三年十二月四日の最高裁の判例は、その意味で憲法十五条と選挙権、被選挙権を混同する議論ではないか。それから三十年二月九日の判決は補足意見の中に明らかに選挙権と資格とを書き分けております。そこで、この二つの最高裁の判例があるからといって、選挙権、被選挙権が基本的人権——憲法で保障された自然権的基本的人権の一つであるんだというふうな考えは出てこないんではないかと思うのですけれども、その点はいかがでございましょう。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 二つの最高裁の判決は御指摘のとおりでございますが、三十年の判決が基本的人権のように述べておりますけれども、御指摘のように、またその中で資格ということが言われておるとおりに、私どもはいわゆる基本的人権ではないと、このように考えております。四十三年の最高裁の判決は、先ほど来お答えを申しておりますように、十五条第一項はそうではないので、選挙権については十五条の第三項が基本規定と申してよろしいのではないかと、ただ普通選挙権を保障しておりますけれども、いろいろなほかに人種とか信条とかで差別をしてはならないというような制限はございますけれども、やはり十五条の第三項に基づくと解するのが正しいのではなかろうかと、かように考えております。
○円山雅也君 そうしますと、いわゆる選挙権、被選挙権の面からの憲法上の違憲問題ということもあり得ないということになりましたので、問題を少し移しまして、こういう御批判もまた耳にするのです。つまり、今度の改正案ですと政党をつくらないと立候補できない、これは結社の自由の反面の結社しない自由も憲法で保障している、結社の自由の保障は当然でございますけれども、結社しない自由も憲法で保障しているんだから、結社しない限り立候補はできないということは、結局結社の自由を保障した憲法二十一条に違反をしないのかというような疑問も間々耳にいたしますが、この点はいかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、冒頭の御質問にお答えを申し上げましたように、個人本位の選挙制度を政党本位の選挙制度に改めようというのが根本の考えでございまして、政党の存在を憲法は容認しておるという前提に立って制度をば考えておるわけでございます。したがいまして、政党に所属しなければ立候補ができなくなるということは、個人本位の選挙制度を改めまして政党本位の選挙制度をとります以上は、これはやむを得ない結果である、かように考えるわけでございます。
○円山雅也君 確かに選挙制度について憲法上も、これは四十四条でもっていわゆる立法事由であるけれども立法の分野に任じておる。そこで、大もとの比例代表制の選挙制度自体が憲法が容認するところの制度であるとするならば、そこで合憲の歯どめはかかっているんだから、その合憲に基づいて新立法をして、四十四条に基づいて選挙制度の立法をして、その中で生ずるところのある程度の制限は、これはそれがよほど何といいますか、公共性を害するとか別な面での基本的人権を侵害するとかいうことでない限りは、当然やむを得ない制限として少なくとも違憲論の問題は起きないと思いますが、重ねてお尋ねをいたします。
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
○円山雅也君 それから、結社しない自由が、この今度の改正案からしない自由が侵されるという意見でございますが、自分が結社をしないで無所属であろうとすることの自由は一応保障をされておりますね、これは。それから参議院の地方区または衆議院の立候補はこれも認められておることだし、とすると、そのことからそういう自由が、それだけの大幅な自由が残されている場合に、それでも結社しない自由が侵されたということになるんでしょうか。その点ちょっと私もわからないんですが、その辺はどうお考えでございましょうかね。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 結論的にはお尋ねの御意思と全く同じように考えております。 やはり新しく一つの制度をつくります場合、積極的な面として政党をつくらなければならない。しかし参議院の制度としては御指摘のようにいわゆる地方区の制度と比例代表制とあるわけでございます。衆議院の制度は別といたしまして、参議院の制度としても二本立てになるわけでございますので、一面においては、地方区については何ら関係がない、従来のように個人本位の選挙制度である。比例代表制の方が政党本位になってくる。それはある程度結社についての条件が伴ってまいりますので、その限りにおいて拘束を受けるということになるだけであって、私どもは憲法上何ら支障がない、かように考えております。
○円山雅也君 いまの結社の自由に関連いたしまして、今度は信条の自由の面から結社しない信条の自由、そういうものが、まあ何といいますか、これは言葉がないんですけれども、強いて言えば無所属主義とでも申しましょうかね、結社しないという信条の自由が侵されるという意味で憲法違反にならないかという信条の面での憲法違反論はどうお考えでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) その点はいろいろなお方々が論じていらっしゃるところでございますし、私どもも慎重に検討いたしたのでございます。信条という解釈自体につきまして実は二通りの解釈がございます。ただ単に無所属で立候補したいというのは信条じゃないのだと、実は新憲法制定の当時はそういう有力な意見がございました。最近になりまして、いやそういうような考え方も信条に該当するのだという意見が多くなっていると申しましょうか、そういう意見がまた強いことも私どもも承知いたしております。したがいまして、個人として立候補をしたいのだ、政党その他の団体には加盟したくないのだと、これが仮に信条だといたします。その場合、過去に四%の得票がない団体は政党になれない、議員が五名以上なければ政党としては認められない、候補者が十名なければ政党と認められない、私どもの案では一応そういう枠組みで政党を決めておるわけでございます。だから、そのような政党の枠組みに入らない団体は政党としての活動ができないわけでございますから、そこにやはり差別が出てまいります。信条をそのように解釈をいたしましても、いまのいわば小さな団体とある意味では程度の差と申しましょうか、いうようなことになるのではなかろうか。私どもは、基本的には個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に転換をしていくんだ、そしてその政党としてはこのような条件に該当する団体が政党なんだというような考え方をとりまして、そのいわば結論として、個人として立候補したいのだという信条の方がおいでになりましても、比例代表の選挙の部分と申しましょうか、そのいわば全国区の部門についてはもう立候補ができなくなることもこれはやむを得ないのではなかろうか。そういうふうに割り切らなければ拘束式の比例代表制という制度は成り立ってまいらないので、これは憲法が政党を容認すると考える以上はその論理的な帰結としてやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
○円山雅也君 私は、いわゆる結社しないというか、結社しない自由というよりもむしろ結社しない信条の自由というものが、そういうものがあるとすれば、これはやはり憲法の言っているところの信条には当たらないのではないか、それは単なる政治上のお立場、主義と申しますか、と私は思うんです。 そこでただ、いま提案者の後段の仮に信条になるとしてもやむを得ない制限なんだというところの御説明ですけれども、これはちょっとよくわかりにくかったのですけれども、要は、もし信条の自由というのは憲法で保障された基本的人権だから、これが結社しない信条の自由というものが認められるとするならば、仮にですね、仮に認められるとするならば、それは憲法上の基本的人権だから、それが侵される、少なくとも多少でも犠牲になるとするならば、その犠牲にされてもやむを得ないという憲法上の理由がなければいけませんと思います。 その憲法上の理由というのは、今度の改正案がいろいろな意味から、つまり比例代表制というものがいま社会のいろいろな事情から現在の時点では最適な、ベストとは まあよりいい参議院の全国区の選挙制度だということに結論づけられて、かつそれが、そういう制度が合憲として憲法で受け入れられるならば、これは仮にという信条の自由が基本的人権にそれが侵害されてもやむを得ないという結論を出すためには、やはり結局は公共の福祉でしょうかね、どうでしょう、その点は。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 簡潔に申しますならば、御指摘のように私どもも憲法の十二条でございますとか十三条でございますとか、国民の基本的な権利も公共の福祉に違反しない限りにおいてという大原則に私どもは従うべきである。したがいまして、るる先ほど政党について申し上げましたけれども、別の言葉で申しますならば、公共の福祉によって信条が制限されることもやむを得ないんだと、こういうふうに考えております。
○円山雅也君 きょうはきわめて最初に申し上げましたとおり窓口と申しますか、大まかな点で御質問しておりますので、あとの細かい憲法論は後日に譲らせていただきます。 そこで、制度つまり今度の改正案が予定しています選挙制度自体について、いわゆる窓口と申しますか、総論的な御質問をさせていただきたいと思います。 まず、もうこれはいろいろな点から御批判を耳にする点でございますけれども、今度の改正案は参議院の独自性を失わせて政党化を促進するものではないか、参議院の政党化を促進するものではないか、とするならば参議院の本来の姿に反しないかというような御批判がありますが、この点はどのようにとらえられておられましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 今回の改正案につきまして政治的な側面から一番問題にされておりますのが参議院の政党化の問題であろうと思います。私どもが自民党におきましてこの十年来いろいろ検討いたしてまいります過程におきまして、ざっくばらんに申しまして賛否両論あったわけでございます。やはり一方には参議院の政党化をなるべく避けた方がいいと、これは私どもも参議院の望ましい姿の一つとして決して反対ではございません。しかし、現実の参議院が新憲法下に生まれましてから今日までの経過をずっとしさいにたどってみますというと、政党化の方に向いてまいっておることはもうこれは厳然たる事実でございます。これは選挙制度自身にまたその根本の原因がございますし、参議院の運営にいたしましても政党あるいは会派によって運営をされておるのが現実でございます。政党本位の選挙制度になることによってさらにこれが促進されるのではないかという御懸念があるわけでございます。なるほどごもっともな面もございますけれども、私ども政党に所属する人だけを名簿に載せて政党が選挙に臨むというふうには考えておりません。やはり広く人材を求めて、政党が推進力になって参議院議員に送り込めるようにすることは参議院のあり方からいいまして望ましい姿ではなかろうかと、かように考えまして、だから候補者の選択の面につきまして参議院にふさわしい人を選ぶということが一つでございます。 それから、本会議の御質問にもお答え申し上げましたが、参議院の独自性を保ちますのには、参議院議員の被選挙資格が三十歳になったりしておりますように、選挙制度の面でやる面もございますけれども、やはり参議院の委員会の制度でございますとか、その他参議院の運営のいかんによって私は参議院の独自の機能が達成できると、かように考えるわけでございまして、参議院の機能を達成するのには選挙制度の問題と運営の面と両面から考えていくべきではなかろうか。私どもは、現在の参議院の全国区の選挙の実際から申しまして、私どもが提案いたしておりますような案に改めるのが適当であろうというような結論に達しましたので御提案を申し上げておる次第でございます。 政党化の問題は、ただいま申し上げましたような面から、十分にこれは全参議院議員がお互いに知恵をしぼって努力をしていってしかるべき大事な問題ではなかろうかと、かように考える次第でございます。
○円山雅也君 確かにたとえば参議院の政党化を防ぐ一番ストレートな直接的な方法は党議拘束を解くとかいろいろな他に別な道で求められますですね。 そこで、ただ選挙制度に関して、本改正案に関してよく参議院という言葉が出ると、私もまだ日が浅いんですけれども、緑風会という名前が出てきます。何か背の緑風会の姿が一番参議院の本来の理想的な盗みたいなふうな御主張、御意見も耳にいたします。ただ、どうなんでございましょうか、いまの御答弁のように社会の現実の推移で、つまり議会制民主主義が進んでいって政党化が進んできないまの時点で、あのような緑風会の姿の議員をいまの選挙制度で選び出せるものでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 結論的に申しますと私はそれは不可能になってきたと、このように思います。やはりむしろ政党本位の選挙の実情に即して、そうして私はできるだけベターな制度を考えることが妥当ではなかろうか。いまの地方区、全国区の制度を見ますというと、やはりどうしても政党化してまいっておると思います。私どもはこの現実に即して考えていかざるを得ないと、かように考えております。
○円山雅也君 現在の参議院は、確かにお一人の力でもって当選をされてきた議員の方でも、国会活動を現実におやりになろうとすれば一人では不可能でございますね。だから、いろんな院内会派をおつくりになってある程度の力を、数の力をお持ちになってより立法府の場にお仕事、つまり力を発揮されようというふうにしているという事実、これはもう否定できないと思うんですね。そうしますと、つまり緑風会にあこがれるところのそういう細かい実情を御存じない一般の国民の素朴な願いというものを達成するには、逆にもしも今度の改正案でもって党が選ぶ人がすばらしい有識者であり政治的な、つまりそれこそ参議院の良識の府にふさわしい人たちを名簿で選ぶことができるとすれば、もっと緑風会の実現には近づくんじゃないでしょうか。その点いかがでしょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、この制度が通ったことを前提としてのお答えになるかもわかりませんが、そこはやはり各政党が名簿候補者を選択なさる際の良識と申しましょうか、いろいろ遠くあるいは将来をお考えになってりっぱな候補者をお選びいただければ、そういうことも決して不可能ではないと申しましょうか、非常に広い範囲から自由に候補者が選べられる制度として逆用ができると、かように考えております。
○円山雅也君 ですから、私はいまなぜこういう御質問をしたかといいますと、つまり本改正案が参議院の政党化につながるんだというような御批判はむしろこの法案の当否を決する問題ではなくて、この法案の運用の面、今後の運用の面にかかっているというか、名簿作成が良識的になされるとか、そっちにかかっている問題であって、法律自体の良否、当否の批判の問題じゃないようにちょっと次元がすりかえられてこの問題が論じられているように思われて仕方がないんです。この点、つまり運用面の方じゃないかなと思うんですが、運用面よろしきを得るならば、本来のこの法律案としてはいいもの、つまり参議院を必ずしも政党化するものではないんだというふうに言えないんでしょうか。その点もう一回確認をさせてください。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私も全く運用のいかんだろうと思います。
○円山雅也君 それでは、この問題は一応ここでおきまして、次の問題でございますが、今度の改正案についてこういう御批判がまたございます。つまり立候補者側の都合のみを考えた改正案ではないか。たとえばお金が全国区はかかり過ぎるからというような問題はそれは立候補者側の都合じゃないか、だから本改正案の力点はどうも選ぶ方の都合よりも立候補者側の都合のみを考えているんではないかというような御批判も耳にいたしますが、その点はいかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、わが国の現在の全国区の制度のような外国に類例のない選挙制度はないと思っております。憲法が制定された当時はまだでございますが、現在では有権者が八千二百万を超しております。そして五十名の議員を選びます。候補者は百名内外にもなるわけでございます。選挙区は北海道から沖縄にまで及んでおります。候補者と有権者の間のつながりというものは、話を問いたこともなければ顔を見たこともないというのがほとんど——九九%と申しますと申し過ぎかもわかりませんけれども、大部分であります。これが参議院の地方区であれば、ある程度人柄がわかります。知事選挙しかり、五大都市の市長選挙しかり、都道府県や市町村長、市町村の議員もしかり、これは全部有権者と候補者の間のある意味のつながりがございますけれども、わが国の現行の全国区の制度は有権者のサイドから見ましても候補者との間にほとんどつながりがないわけであります。私は、世界じゅうにこんな珍しい選挙制度はないので、したがいまして選挙区の大きさでございますとか有権者が候補者を選ぶ難易とかというようなことを考え、そして政党の働きを考えまして、国民と選挙される参議院議員との間に政党が介在をしていい候補者を選ぶようにして、そしてその名簿を見て有権者が投票するようなことにいたしますことは、有権者のサイドから見ましても一歩合理化を進めるものではなかろうか、かように考えるわけでございます。
○円山雅也君 確かに八千万人を超える方に、百人ずらりと名前を並べてその中から選べということになると、確かにおっしゃる意味では不可能というのが実情だと思います。それがもし可能であるとすれば、それはその方の政治的な信条とか主義主張とか識見とか、そういうものを知って選んでいるのではなくて、つまり人物を知って選んでいるのではなくて名前を知ってるからというんで結果的にお書きになるということの弊害もかなり明らかかと思います。 私も五年前に自分で選挙をやりましたときに、ある候補者とすれ違いましたら、その方は御自分の名前をおっしゃらないで自分の出ているテレビの番組だけ一生懸命連呼をされていた。この番組へ出ている何々でございます、御存じですか、この番組でございます、零細の宣伝みたいなもの。それもまあ一つのあれかもしれませんけれども、いわゆるそれが国民が本当に仕方なくてそうなっているんであって、つまり知る方法がないから名前をたまたま知っているので書くんであって、決して国民の方が名前だけ知っているから書こうということで満足しているんではなくて、やはり国民の真意は、その人の識見とか政策とか政治信条を理解した上で投票したいというのがこれは間違いないあれだと思います。 そうしますと、そういう形でいまの全国区を、選挙を国民の方よそういうあれで選びなさいと申し上げたって現状のままでは本当に不可能ではないかと思うんですね。そうしますと、やはり選ぶ人の方の——つまり先ほど言ったように金がかからないようにする、つまり今度の改正案は立つ方の都合ばっかり考えているじゃないかという御批判もあるかもしれないけれども、だけれどもこの改正案というのはむしろそれは傍諭であって、本質はやはり何とかしてそういう国民の本当のこの人こそ参議院の良識の府にふさわしい人を送り込みたいのだと、そういう国民のニーズに何とか選挙を近づけるという努力の一つのあらわれだとしてとらえるべきじゃないかと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) まさに御説のとおりでございます。できるだけそのような方向に私どもも現在の選挙制度を一歩でも近づけなければならないと、そのワンステップだと思っております。
○円山雅也君 いまの質問に関連をいたしますけれども、こういう御批判もあるんです、お金の問題が出ましたので。金がかかる、つまりいまの参議院の全国区は金がかかるのではなくて金をかけ過ぎているのだと、候補者の方が。だから現にかけないで当選している方もいるじゃないかと、だから金がかかる選挙じゃないんだと、立候補者が自分でかけ過ぎているのだという御批判がありますが、この点はいかがでございましょう。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私はかけたくてかけてやっている方はいらっしゃらないと思います。金はできるだけ使わないで当選をしたいのですけれども、現実に非常に金がかかるのだと、このように思います。金がかからないで当選していらっしゃるりっぱな方も大ぜいいらっしゃいますけれども、制度として考えました場合にこれはやはり特殊な方でございまして、多くの人はいまの選挙制度で八千二百万の有権者を相手に北海道から沖縄までの選挙区で金をかけないで競争してみよと言われましても、これは言うべくしてなかなか実際には行われないで、多額の目に見えない経費が、候補者御本人がおかけになりませんでもいろいろな見えないお金がたくさん私はかかっておると、このように思います。
○円山雅也君 確かに、現実にある非常に識見のあるりっぱな人、それがどのような人かわかりませんけれども、一つの設定をいたしまして識見も高くて参議院にふさわしい人がいました。これは無名でございました。その方がよし参議院議員としておれは日本をよくしようと思って立候補された場合、その人にいわゆる地盤、看板とか伺にもなければ、自分の名前を知らしめるだけでも、信条どころか自分の名前を知っていただくだけでも恐らく大変な金がかかる。翻ってたとえばマスコミでもって——私もある程度マスコミでもって名前を売った方でございますけれども、これを仮にコマーシャル料に換算いたしましたらこれは大変な額でございます。それからたとえば組織に乗っかっておやりになる方でも、自分のお金は出さないけれどもその組織が動く、それを換算したら大変な額でございます。そういう計算をしてまいりますと、結局は自分が出すか他人が出すか、またはそれまでの投資をしているかだけの問題であって、結論的にはいま現にその選挙で一銭も使わないということは表現の差であって、やはりこの制度は金がかかって初めて当選が可能になる政治じゃないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御説のとおりだと思います。
○円山雅也君 そこで、私が先ほどから申し上げているのは、つまり国民の大当のニーズは、本当の気持ちは参議院議員としてふさわしい人を送り込みたいというのはこれは争えない事実だと思います、良識の府に。そうしますと、つまりそういうおれは参議院議員としてこういうことをいたしましょう、こういう政策を持っています、こういう信条を持っていますということを訴えて、それだけで当選をするとしたならばいまの制度は大変な金がかかる。たまたまお金を現実に使わないで当選されてきた方は、そういう面で訴えて金を使わなくて当選したんではなくて、全く別な活動でもってたまたまお名前が売れて、つまり参議院議員として、私はこういう人間でございます、ふさわしい人間でございますと言ってPRをし、それを知らしめてお金を使わないで当選したんじゃなくて、全く別な違うお仕事の面でもってたまたま名前が売れて当選をしたと、それで金を使わないと、(「そんなこと言えない。」「それはおかしい。」と呼ぶ者あり)いやいや、そうじゃない。だから結局は……
○委員長(上田稔君) 私語を慎んでください。 質問を続けてください。
○円山雅也君 はい。 やはり本来国民が本当に望むような、私は参議院議員に立候補いたします、私は参議院議員としてはこういうことをいたします、私の政策はこうでございます、私の人間はこうでございますということを訴えて、その面で国民の審判を受けて当選してくるためにはやはり金がかかることは否定できないんじゃないでしょうかね、その点では。再度お尋ねします。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来申し上げておりますように制度を考えます場合は特殊な人を標準にしては考えられませんので、私どもは百名ぐらいの候補者がございます、そういう人を念頭にして、これだけの広大な選挙区で選挙運動をやるといたしますと、あるいはおっしゃいますように一年前、二年前から全国をずっと回って自分の政治的な考えを述べながら支援者を集められるというような方もあろうと思います。そういうことを念頭に置いて考えてまいりますというと、現在の選挙の制度は余りにも金がかかり過ぎると、これは私はもう否めない事実で、このことを否定なさる方は私はいらっしゃらないと思います。
○円山雅也君 それでは、がらりと問題を変えまして少し総論の中のちょっと各論みたいな形の御質問をさせていただきます。 たとえば今度の改正案は拘束名簿比例代表制をとっております。ところが似たようなものに非拘束比例代表制がございます。非拘束の方をとらないで絶対拘束の方を今度の改正案に取り入れられた御意図はどういうことでございましょうか。
○委員以外の議員(松浦功君) 御承知のように現在の全国区制度にはいろいろの弊害があると言われております。先ほど金丸先生からお話がございましたように八千万人の有権者が百人を超える候補者の中から広大な日本の地域全体において一人を選び出す、これはもう選挙人と候補者との間のつながりがまことに希薄でございます。そういう選挙制度としての問題、さらには先ほど先生から御指摘をいただきましたむやみに金がかかり過ぎるじゃないかという問題、あるいは候補者個人にとっても毎回死人や病人が出るような過酷な状況になっているじゃないか、こういった各種の御意見があるわけでございます。こういう問題点を除去する形で何とか考えられないかということでこの問題を検討いたしたわけでございます。 ところが、非拘束の名簿式にいたしますと、結果的には現在の全国区制度とほとんど変わりがなくなってしまうわけでございます。ただ多数の得票をおとりになった平均点以上の余剰の票を死票を殺すために少ない方に移譲していくというだけでございます。したがって、個人本位の選挙というものはあくまで貫かれるわけでございますから、どうも現在の全国区について言われている弊害が除去できない。これを除去するためにはどうしても個人本位の選挙を改めて政党本位の選挙に持っていく以外に道がなかろう。ということになれば、結論的に拘束式名簿比例代表制に持っていかざるを得ない、こう考えて拘束式を採用するということにいたしたわけでございます。
○円山雅也君 これは投票をする国民の方々のきっと素朴な疑問の一つかもしれませんけれども、拘束名簿にいたしますね、そうしますと、たとえば——自分の例で恐縮ですけれどわかりやすくいたします。たとえば私——丸山を当選させたいと思って自民党という投票をされた方がいたとします。ところが私の順位が非常に下なものですからおっこっちゃった。そうした場合に、その私を入れたいために自民党と書いた方の票が私につながらないで全然別な人を当選させる票につながるわけです。これが一票や二票なら——一票、二票構わないというそんなことありませんけれども、何十万とありました場合、そうすると何十万人がおれはそういうつもりでやったんだけれどもそれは別な人のところへいっちゃったと、別な人を当選させだというのは、これをやった場合にきっと国民の方々の素朴な疑問として出てくる問題の一つじゃないかと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
○委員以外の議員(松浦功君) 御承知のように御提案申し上げている制度の中では各政党から名簿を提出いたしていただくわけでございます。したがって、選挙の告示の日に名簿を提出いたしますけれども、その名簿には一番から何番までというふうにちゃんと順番がふってあるわけでございます。そうすると、いままでの得票関係その他から見まして、選挙人の方から眺めまして好もしい人物が並んでいる政党に投票するという選択もできるわけでございますし、あるいは政策がいいからといって政党を選択するという道もあるわけでございまして、そこは選挙人のおおらかな判断でお決めをいただくということになると思います。その点は私は心配ないんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
○円山雅也君 わかりました。 そこで結局、(発言するものあり)
○委員長(上田稔君) 私語を慎んでください。
○円山雅也君 これもきわめて基本的な御質問になりますけれども、今度の改正案の比例代表選挙の性質でございますが、これはもう一般の国民の方々も混乱を起こすと思いますけれども、政党を選ぶ選挙なのか、それとも、名簿が出ますからね、だから候補者個人をやはり選ぶ選挙、従来の選挙なのか、この性質の問題でございますけれども、そこら辺はどういうふうにとらえられておられるか。
○委員以外の議員(松浦功君) 御承知のように本案では投票方法は政党名を記載することによって行うと書いてあるわけでございまして、個人名を書きました投票は当然結果的に無効になるわけでございます。したがって、比例代表選挙の性質は政党選挙であるというふうに御理解をいただきたい。ただ、政党を通じて個人というものが選ばれてくるということは付随的な結果として当然出てくる、こういうふうにお考えいただいて結構かと思います。
○円山雅也君 そうしますと、何といいますか、政党選挙と個人の選挙とのいわゆる渾然一体化した制度なんだというふうに理解をした方がよろしいのか。そうすると、やはり本質は政党選挙なんで、ただ個人が政党を評価させる一つの何か素材みたいな形で出てくるというか、その辺ちょっと補足をお願いします。
○委員以外の議員(松浦功君) 御指摘をいただきましたように本質は政党選挙であるというふうに御理解をいただくべきではなかろうかと考えております。
○円山雅也君 そこで、この改正案がここまで上がってくる以前にもいろんな各党からの御意見もあったり、またいろんな意見があったと思いますが、もしも全国区制度が、先ほどから提案者の言われているように、全国という広大な地域のためになかなか適正な選挙が行えないんだというのであるならば、その折衷案として、じゃブロックみたいなものにしてブロック選挙をやったらそれでもってその面は片づくんではないかというような御意見もありますが、その点はどうでございましょう。
○委員以外の議員(松浦功君) 私どももそういうお説があることを承知をいたしまして本案を作成する過程において各種の検討を加えました。しかし、わが国においてブロックという観念がきわめて実生活の上において定着をいたしておりません。中央官庁のいわゆるブロック官庁と言われても所管の都道府県が違っているようなことになっておりますし、またブロックといういまの中央官庁の出先機関等から判断をいたしますと、四国というような四百数十万の人口しかないところから、関東では二千数百万というようなことになって、まことにアンバランスな面も出てくる。こういった実態を考えまして、日本においてブロックを基礎とするという考え方をとるのはいかがなものだろうか。さらに、ブロックにいたしましても地域が狭くなるだけであって、関東というようなことになりましたら全国区とほとんど変わりがなくなってしまうんじゃなかろうか、こういうことも配慮をいたしまして、ブロックということについて、私どもはブロック制度を設けるということについては問題点が多かろうということでこれを採用しなかった。 なおかつ、このブロックの問題につきましては、選挙訴訟の問題あるいは選挙管理機関の問題、こういった問題が現在の制度からは全くなじまない、新たにつくらなければならないというような問題等も私ども選挙をやっておりました者にとりましてはわかっておりまして、非常にむずかしい問題だということでこの案を採用しなかった、こういうことでございます。
○円山雅也君 結局、ブロック制もそういう一つの障害の排除としてお考えになったけれども、いろんな壁に突き当たって結局はいまの本改正案のような形になったんだと、十分な前提としてはその面も御検討になったということでございますね。
○委員以外の議員(松浦功君) そのとおりでございます。
○円山雅也君 先ほどやはり今度の改正案は本質的には政党本位の選挙というお答えがございました。そうしますと、ただ今度の改正案では名簿に載せる人を政党本位ならば党員に限っていいはずですね。それを党員外にまでも広げたその御意図は何でございますか。
○委員以外の議員(松浦功君) 先ほど金丸先生からお話がございました。また先生からも御指摘がございましたように、できるだけ参議院にふさわしい有為の人材が参議院議員として席を置いていただきやすいようにする、それが一番望ましいんではなかろうか。ということになりますと、非常な識見を持っておられ政策通の方がおられましても自民党には入党をしたくないという方もおいでになるはずでございます。しかし、入党しないでも名簿に載せて参議院議員の比例代表区の選挙に出してもらえるというならおれは承諾するという方もおるはずでございます。そういう方については、党が推薦をした場合においては名簿に載せれるということにいたしたわけでございまして、繰り返してお答えを申し上げるようになりますけれども、それによって有為な人材をできるだけ広く集めたいという趣旨を実現したい、この考え方に基づいてこういうことにいたしたわけでございます。
○円山雅也君 そうしますと、先ほどから論議になっております本改正案の論点じゃなくて今後の運用の問題だというふうに私は指摘をいたしたんですが、いわゆる名簿登載者の選定、これについて何か基本的な考え方といいますか、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
○委員以外の議員(松浦功君) 政党本位の選挙でございまして、政党がそれぞれ自党に対する当選人の枠をたくさんになるようにという形で御運動をいただくわけでございます。そういうことを前提に考えました場合に、政党自体にその政党の良識に従って候補者の、名簿登載者の選定をしていただくというのが筋道であろうと思います。しかし、わが国においては政党法というようなものがないわけでございますので、どういう形でやったかということを選管に報告する程度の規定を設けまして、後は政党の良識にお任せをいたした、こういう考え方が基本の原則になっております。ただ、私は政党を信用しておりますからそういうことはないと思いますけれども、もし不心得な政党がありました場合には困りますから、その公正を担保するために若干の罰則規定を設ける、これによって不公正な名簿の選定が行われないように配慮していきたい、こういうことで法案を制定をいたしておるつもりでございます。
○円山雅也君 そうしますと、この選定については、本法案としてはいわゆる公正を担保するような外枠というか、そういう罰則とか、そういうもので押さえることによって、ただ中身のあれは政党の良識に任せるという形でございますね。
○委員以外の議員(松浦功君) それも法律的にどうこうということは決めておりません。どうやって選定をしたか、あるいは選定の経過がどうであったかというようなことを選管に報告をしていただくという程度の規制でございまして、実質的な規制は法律において政党に何ら及ばない。ただ、その間に金銭の授受、そういった問題があって、名簿の順位が上へいったり下へいったりというようなことがありますと、日本の政治の中枢でございまする政党のイメージを傷つけます。そういうことのないように、それについての担保のために若干の罰則規定を設けておる、こういうふうに御理解をいただければ結構でございます。
○円山雅也君 そうしますと、また政党本位にこだわっちゃうみたいな御質問ですけれども、政党が名簿を提出いたしましてそれで選挙に入った。ところが、まあそういうことはめったにないんでしょうけれども、一つの理論上の問題として、その間今度は政党が解散とか分裂とか合併しちゃったというような事態になりましたらその辺の取り扱いはどうなるんでしょうか。
○委員以外の議員(松浦功君) これはなかなか複雑な問題でございまして、政党法の規定がございません。したがって、政党が分裂をしたのか合併をしたのか、そういうことは選挙管理機関には一切わからないわけです。公証をされる制度がないわけでございます。したがって、本選挙制度のもとにおきましては政党からの届け出を待って処理をする、こういうことを中心にすべてを論理づけていくということにいたしております。たとえばある政党が二つに分裂をいたしましたといたしましても、届け出がない限りは選挙管理委員会は分裂したという認定はできないわけでございます。こういうふうに二つに分かれましたということを申し出ていただいて初めて選挙法上のルールにのってくる、措置になじんでくる、こういう考え方で処理をいたすことにいたしております。
○円山雅也君 それから、やはりこれは先ほど金丸さんおっしゃったように政党選挙にまだなじんでおりませんね、個人選挙でずうっとやってまいりましたから。そうすると、今度急にこれをやるとして、政党名を書けと言ってもなかなかなじまない。そうすると、名簿に登載された個人名、ああ、あの人知っているから個人名という場合は、個人名を書いたら今度はだめでございますね。そこで、どうして政党名だけに限らなくちゃいけなかったか、今度の改正案が。その点はどうでございましょう。
○委員以外の議員(松浦功君) この問題はいろいろこの制度を検討している過程において、政党名を書かせるか個人名を書かせるか、個人名を書いたものをその者の所属する政党の政党得票とするかというようないろいろな議論が長時間かけて議論をされました。しかし結果的には、あくまで選挙人の立場を考えました場合に、選挙制度としてながめましても、政党名でもいい個人名でもいいということになりますと、選挙の技術的にも論理的にもなかなか筋の通りにくい面が出てまいります。ましてや個人名を書いても有効であるということにいたしますと、結果的にはまた全国を走り回って松浦功というふうに書かれた投票をたくさん集めようとするのがこれは人情だと思うんでございます。そうなりますと、全国区の弊害を矯めていこうという目的に沿わないような形になってまいります。そこで、思い切って政党名を書くということに割り切って、政党本位の選挙というふうに理解をしながらこの制度を立てたというふうに御理解を賜れば幸せでございます。
○円山雅也君 そうしますと、どうせのことなら、じゃ政党名を統一したんなら、たとえば投票の実際の場合ですね、自民党それから社会党、共産党と、こういうふうにやってそこへ丸つけた方が楽にもっと選挙民には便利なようでございますけれども、これは自書しなきゃいけないんでございますね、政党名。これはそれにこだわられたのは何か意味があるんですか。
○委員以外の議員(松浦功君) これは主として選挙管理上の理由によるものでございます。現在の政党は私ども知る限りでも数が限定されております。いわゆる政党と言えるものは限定されておると思います。したがって、記号式、これも一つの方法がと思いますが、金丸先生からさっき御説明ございましたように、国会議員が五人あるいは前回の選挙における得票が四%以上あるいは候補者が十人、候補者が十人というのは議員が要らないわけでございますから、これはごく簡単に政党を名乗り得るわけです。そうなりますと、五十も六十も政党が出てくるということになりますと、投票用紙がこんなに大きくなってしまう。これはもうとてもたえられないことでございます。 そういう危険性がございますことと、さらには非常に問題なのは、政党選挙でありながら自書式にいたしませんと、いずれにしても記号式にする場合には政党名が順番を追って書かれるわけでございます。いままでの選挙の経験からいって一番前に書かれた政党に非常によけいに投票が行くという傾向がございます。そういうことから果たして記号式で選挙の公正が担保できるだろうか、こういうこともあわせ考えてやはり自書式がよくないだろうか。 さらには、個人の名前が書けるんであれば、自由民主党あるいは日本社会党と、このくらいのことは選挙人の方にはみんな白書していただけるはずだということから自書式に統一をするということにいたしたわけでございます。
○円山雅也君 最近、新聞などで拝見いたしますと、他の野党の方々のいわゆる比例代表制の修正意見みたいなものが新聞の紙上に載っております。そこで、今度の本改正案はいわゆるドント方式。そういう修正の御意見の中にはサン・ラグ方式をとった方がいいんじゃないかというような御意見も出てまいっております。そうすると、サン・ラグ方式をとらないでドント方式をおとりになった何か確たる根拠がございましょうか。
○委員以外の議員(松浦功君) そもそも比例代表制というのは死票をなくして得票の数に応じて議席を配分するという制度でございます。したがって、一番公正な考え方というのはあくまで比例配分だと思うんでございます。しかし比例配分でございますと非常に端数の処理についていろいろむずかしい問題が出てくる。そこで、これは諸外国の多くで行われておりますドント式という方式がございますが、比較的そういった端数の処理に理解しやすい算定方式と言われておるものでございます、そういう方式がございますのでその方式を採用することにいたしたというわけでございまして、国会等におきましても私が伺っておる限りではいろいろな配分にこの方式をお使いになっておられるということを聞いております。私ども過程においてもちろんサン・ラグあるいは修正サン・ラグ、これらの方式も検討いたしてまいりました。しかし一番わかりやすい、しかも世界の多くの国で行われている方法、それで端数処理に問題が起きないと、こういうことからドント式を採用させていただくということでこの中に盛り込んでおるというふうに御理解をいただければ結構かと思います。
○円山雅也君 先ほどから、この政党本位の選挙でもって有権者の方もじゃ政党を選んだと、逆に今度は昔の選挙と違ってこの政党にこの方がおられるからとかそういう政党との関連を強く意識されて投票されたと、そしたら均選してきたらその議員さんがその政党から離れちゃった、離党しちゃった、こういう場合、いわゆる政党選挙の本質を貫くならば本当は何とかそれをしなきゃいけないところだろうと思いますけれども、離党されてもいまの本改正案では議員の身分をそのまま維持されますですね。この辺は何か理由があったんでしょうか。
○委員以外の議員(松浦功君) 議員は選挙によって全国民の代表者たる公の地位を有する者でございますので、たとえば憲法五十五条の議院による資格争訴の裁判、あるいは五十八条二項の議院の議決による除名、あるいは国会法百七条の議員の辞職、そのほかに幾つか事例がございますが、こういう憲法または国会法で定められる事由によってのみその地位を失う場合のほかは、単なる政党の除名あるいは離党ということによってその地位を失わせることは適当でない、こういう考え方に基づいておるわけでございます。所属政党の離脱の場合につきましてもやはり憲法四十三条あるいは五十一条、こういったところで保障されておりまする議員の選挙人からの独立性、こういったものを害することはいかがかということで、この法律においては除名をされましても離党いたしましても議員の身分を失わない、こういう考え方を貫いていくということにいたしたわけでございます。
○円山雅也君 この法案のとおりの選挙をやった場合、当然また補欠選挙ということも考えなきゃいけませんが、この比例代表制のもとにおける補欠選挙というのはどういうことになりましょうか。
○委員以外の議員(松浦功君) 比例代表制選挙の場合の補欠選挙、これは現行制度の考え方を踏襲をいたしまして、半数改選でございますから五十人でございますが、その四分の一以上が欠けた場合、こういうことはまずないと思いますけれども、法律制度としてやはりそれは必要だと思って書いておりますが、四分の一すなわち十三人以上の方が欠けた場合においては一つの独立した選挙という形で補欠選挙を執行していただく。それ以下の欠員の場合においては半数改選の次の選挙の間までは補欠選挙を行いません。そして次の五十人の選挙が行われるときにそれに上乗せをして、何と申しますか、五十人のところへ仮に三人補欠がいれば五十三人が選挙だよということで上乗せをした形で補欠選挙という形であわせて執行していく。こういうことを現行制度とほとんど同じ形で考えております。
○円山雅也君 そこで、とにかく革命的な改正でございますので、恐らく選挙運動と一口に言ってもかなりきっと概念が変わってくるんではないかと思うんですね。そこで、ところが地方区の個人選挙もありますし、いわゆるこの比例代表制のもとでの選挙運動の定義といいますか概念といいますか、それと個人選挙の場合の選挙運動の形、定義といいますか、そんなものとの差といいますか、これはどういうふうにとらえられていますか。
○委員以外の議員(松浦功君) 選挙運動というのは当選に役立つ票を集めるために各角度から展開する行為、行動を言うというのが一般の選挙運動の考え方だと思います。したがって、個人選挙の場合においては、先生の場合でございましたら円山雅也と記載した投票がたくさん出るように各般の御運動をなさるわけでございます。ですから個人の氏名を書かせるための諸行為だと思います。今度は比例代表になりますと、その主体が変わりまして政党名を書いてもらわなきゃならぬわけでございますから、政党が自分の政党に対する投票をふやすために行われる諸般の行為、行動だと、こういうふうに御理解をいただいて、違いは個人と政党の違いであると、それだけにお考えいただくのがわかりやすいんではなかろうかと私は考えております。
○円山雅也君 そうしますと、それに関連いたしますけれども、当然地方区と今度の選挙、本案の改正の選挙と二つが重なるわけでございますけれども、その二つのつまり地方区の選挙運動とそれからこちもの方の選挙運動との重なりといいますか、これはどういう形になりましょうか。
○委員以外の議員(松浦功君) 本来は比例代表の選挙運動とそれから地方区の個人本位の選挙運動とは別々であるのが論理的には正しいのかもしれません。しかし、現実の問題として同じ時期に、同じ選挙期間に展開されるわけでございますから、これは法律の規定がございましてもなかなか取り締まりも困難だ、そういった角度から考えまして、いずれにしても地方区の場合においてもほとんどの候補者が政党を名乗ってお出になるわけでございます。政党の推薦を受け公認を受けて立候補なさるわけでございますから、そういう方々におかれましては、円山雅也という個人名を書いていただきたいという選挙運動をすると同時に、私が所属する自由民主党に対して投票してくれという運動を並行して行ってもいいという形でこの制度を割り切ってまいりたいということで法律の規定を設けております。
○円山雅也君 いわゆる選挙訴訟はまたこれもちょっと姿が変わってまいると思うんですね。選挙訴訟はどういう形で展開されることになりますかね。
○委員以外の議員(松浦功君) この点はまことにむずかしい考え方にせざるを得ないんでございますが、ちょっと条文を見てみたいと思いますが、選挙訴訟につきましては、比例代表選出議員の選挙にあっては名簿提出制ということになっておりますので、ほかの名簿に載っておる方が候補者というような資格で選挙訴訟を出すことはできない、選挙訴訟はあくまでその主体は政党である。もちろんこれについて選挙人という立場での行動は一般の選挙人の方と同じでございます。その点は御注意いただきたいと思いますけれども、本当の意味の選挙に直接関係しておった候補者がやれるというような地位では選挙訴訟は認めておりません。政党に認めるということでございます。 それから当選訴訟につきましては、これは法律の規定をごらんいただけはおわかりいただけると思いますが、「不服があるもの」でございますから、当然名簿に載っておる者も出せる、政党も出せる、両建てで考えるようにいたしております。 非常に複雑でございますので、また機会ございますれば、条文をごらんをいただいたらある程度おわかりをいただけるんではなかろうかと、こんなふうに考えておる次第でございます。
○円山雅也君 終わります。
○委員長(上田稔君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。 次回の委員会は十六日午前十時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十三分散会 —————・—————