P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会参議院1982/05/12

公害及び交通安全対策特別委員会 第6号

発言数
76
登壇者
15
会派数
7
開催日
1982/05/12

会議録

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を開会いたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  湖沼問題に関する件について、本日の委員会に成蹊大学名誉教授金沢良雄君、滋賀大学教育学部教授鈴木紀雄君、信州大学理学部助教授沖野外輝夫君、茨城大学農学部教授須藤清次君、滋賀県生活環境部長西堀茂平君及び手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表三ツ松要君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査のうち、湖沼問題に関する件を議題といたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本件調査の参考にいたしたいと存じます。  つきましては、議事の進行上、名簿の順でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。  それでは、まず金沢参考人にお願いをいたします。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) 湖沼の汚濁につきましては、自然湖沼ばかりでなく人工湖につきましてもあちらこちらで汚濁が進んでおります。特に富栄養化といわれる現象が見られるわけでございます。ところで、その水が特に上水に使われる意味での関係を持っている場合には、何はさておきその水質の保全が必要であります。  ところで、法律制度的に見ますと湖沼は大体において現在の法制では河川法の適用を受けております。これは河川管理一般でございますが、水質につきましては水質汚濁防止法の適用を受けております。ところで湖沼というもののいわば自然的実態を前提といたします場合に、果たして河川法あるいは水質汚濁防止法による規制だけでよいかという問題があります。その根本的な前提は、湖沼は河川と違って閉鎖性水域であるということであります。  この自然的状態を前提として考えてみますと、まず河川法についてはいわば河川は線というようなものでございますが、湖沼は面性を持っている、広がりを持っている。そしてそこには閉鎖性水域としての水の滞留ということがございます。したがって、湖沼については特別の河川法に対する特別立法をすべきではないかという考え方もございます。この点につきましてはわれわれも従来研究会を設けまして任意の研究会で研究を続けているわけでございますが、まだ最終的結論を出すには至っておりません。しかし琵琶湖につきましては実態調査をさしていただきまして、それに関連する報告はいたしてございます。  そういたしまして、湖沼の場合に河川法的な考え方でよいかという点につきまして重要な考慮しなければならない問題は、流域管理ということでございます。もちろん河川につきましても流域管理というものの重要性がございます。明治二十九年に旧河川法ができましたときに、当時の為政者は、当時は洪水対策が中心でございましたが、治水三法と言われたものの中に河川法、森林法、砂防法というのがございます。まことに卓見でございまして、森林は水源涵養はもちろんでございますが、土砂扞止防止林、その他洪水対策としても最も基本的なものでございまして、その法制が治水三法と呼ばれたわけでございます。これは河川の管理には流域管理が必要であるということを規定しているものでございます。  さて、湖沼につきましては河川にも増して面的なものであり、かつ閉鎖的であるという意味において流域の管理が必要であり、特にその汚濁につきましては周辺の土地利用をどうやっていくかということが根本的な問題であろうかと存じます。したがいまして、その点につきましてはもちろん土地利用については自然環境保全法あるいは自然公園法あるいは都市計画法あるいは都市緑地保全法などございますが、そういうものは湖沼との関係において考えられているものではない。湖沼の水質保全の重要性に思いをいたすならば、湖沼の水質を保全するための土地利用の規制というものが必要になってこようかと存じます。そういう意味において、湖沼の水質保全のための、あるいは環境保全のための立法が必要であるということは言えると存じます。  次に、閉鎖性水域であるということから考えられることは、現在の基準、特に排出基準でありますが、これでよいかという問題がございます。瀬戸内海環境保全特別措置法におきましては総量規制を導入いたしました。あのときいずれ同じような閉鎖性水域で水質の悪化が進んでいる霞ヶ浦、琵琶湖あるいは中海であるとか、また諏訪湖、そういうものについても総量規制の必要があるということを私どもは申しておったわけでございますが、残念ながらそういうことは今日に至るまでもございません。その点において、瀬戸内海環境保全特別措置法にならって総量規制の導入が必要であると存じます。  また、流域との関係におきましては土地利用の規制が環境保全的立場から必要であるということを申しましたが、特に富栄養化の問題を考えたときに、農畜水産業、特に畜産業の影響がかなりございます。霞ヶ浦の周辺における畜産業、また人工湖にいたしましても、たとえば木津川上流の高山ダム、向こうでは先般参りまして伺いますと、流域には人口三万人、豚千八百頭、牛千頭、こういうことです。豚は御承知のように人間の十倍の排せつ物を出しますので思い余るものがございます。  そこで、そういった特に畜産につきましての規制をどうするかというのが富栄養化対策として重要なポイントになってまいります。この点につきましては現在法律制度上の規制はございません。工場につきましては水質汚濁防止法がございますけれども、畜産業についてはございません。これは何らかの方法で、たとえば地方条例の形において規制をしていただくというような方向が望ましいのではないかと思います。  それから規制をだれがするかという問題でございますが、これは湖沼というものは、県際湖沼は別といたしまして、大体において地元住民と密接な関係を持っておる。そこでそういうようなきめの細かい規制は、特に湖沼はそれぞれ地域地域に応じて個性を持っております。同じものは一つもございません。これを画一的な規制、運営でやっていくということはできるだけ避けていく、その実際の規制のやり方を都道府県知事にお願い申し上げる、そういう方法が望ましいかと存じます。  最後に一言申し上げたいことは、日本の公害対策は非常に科学的である、何ppmというようなことで非常に科学性を持っておるということは世界の評価するところでありますが、かつてOECDの日本レビューのときに言い残していったことがある。それは何かというと、日本は公害との闘い、その場合はバトルという言葉を使っておったけれども、戦闘には勝利を得たが、生活の快適性、生活の質の向上との、今度は戦争、ウォーという言葉を使っておりますが、ウォーにはまだ勝利を得ていないということを言い残していったのでございますが、この生活の快適性、アメニティーとよく言われている、それ以来アメニティーがはやり出しましたが、その問題でございます。  先ほども申しましたように、湖沼というものは地元住民の皆様方のまさに心のよりどころである、そこに快適なる湖沼周辺、あるいは湖辺の環境を維持していくことによって地域住民の皆様方の心のよりどころとしての生活の快適性を与えていかなければならない。これは何ppmとか排出基準とかいうものを超えたもっと大きな問題であり、われわれが努力をしてそれに向かっていかなければならない問題かと存じます。  以上で終わります。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ありがとうございました。  次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木紀雄滋賀大学教育学部教授

○参考人(鈴木紀雄君) 滋賀大学の鈴木と申します。時間も限られておりますので、若干琵琶湖の現状と、いかに湖の環境を一刻も早く改善していかなければならぬかということについて少し意見を述べさしていただきたいと思います。  実は琵琶湖で赤潮が発生しておりますけれども、湖の状態が悪くなる兆しがあらわれてまいりましたのは一九五九年であります。そのころから大体琵琶湖の歴史、特にプランクトンの変化を見ておりますと、大体七年から十年の段階を追って一段一段と悪くなっていることがわかるわけです。一九五九年に実はプランクトンが大発生いたしまして、比較的きれいだと言われております北湖でもクロステリュームというプランクトンがふえたわけでありますけれども、そのときに水道水のろ過障害が起こっております。  そして途中経過をちょっと省略いたしますが、さらにその十年後、一九六九年に臭い水が発生しております。これはシネドラ・ルンペンスとかあるいはホルミデューム・テヌエというプランクトンが藍藻類とか珪藻類でありますが、そういうプランクトンが増殖してその死骸が下にたまって、そこにいろいろな微先物がついてその微生物から異臭物質を出した、そういうふうに言われております。  さらに一九七七年、これはかつて琵琶湖では小さい規模の赤潮は発生しておりましたけれども、一九七七年に大規模な赤潮が発生いたしました。そしてさらに一九七八年、これは私は赤潮以上に深刻な状態にきているというふうに考えているわけでありますけれども、アナベナ・マクロスポーラという種類のプランクトンはかつて琵琶湖にも多少出ておりましたが、それと違った変種のプランクトンが大増殖いたしました。  琵琶湖で赤潮が発生するというのは、一ccに三百群体以上になったときに赤潮が発生したというふうに言われておりますけれども、そのアナベナ・マクロスポーラというプランクトンは一ccに三千群体、しかも湖面一円にわたって増殖しております。赤潮の場合には集積しておりますので部分的に出てまいりまして、ほかの部分もそう多くないわけでありますけれども、そういう意味で、ある特定の、しかも琵琶湖であらわれたことのないような変種のプランクトンが大増殖したということは、ある意味では非常に重大なできごとであるというふうに私たちは考えているわけであります。  さらに昨年一九八一年でありますけれども、これはまたちょっと違った変種でありますが、アナベナ・マクロスポーラ、同じ名前でありますけれども、一九七九年と多少違っておりますが、それが大増殖いたしまして飲み水に臭い水を発生させたというようなことが起こっております。これは新しい型の臭い水であるというふうに言えるわけであります。  そういうことでプランクトンの変化が非常に激しく変動しておりますが、現在大きな問題になっておりますのは、最近注目されましたトリハロメタンの問題であります。現在琵琶湖の状態、特にプランクトンが非常に増殖したような状態でそういう水を使って水道水で塩素処理をいたしますと、平均して五〇ppbのトリハロメタンが検出されます。最近国の方で一〇〇ppbの算定基準が設置されましたが、もともと発がん性物質であるトリハロメタンに基準を置くということはある意味では問題があるかと思いますけれども、一応国で決めた一〇〇ppbの半分になっております。プランクトンの飼料となりますクロロフィルの量から推定いたしますと、いまのような状態でプランクトンがふえ続けますと、あと十年先には恐らく発がん性物質であるトリハロメタンが国の基準一〇〇ppbを超える危険性があるのではないだろうかというふうに考えているわけです。  さらに海では有害物質を持ったプランクトンが発見されておりますけれども、外国では淡水にも有害物質を持ったプランクトンが水が汚くなってまいりますとたくさん出てまいります。そして水生生物に大きな被害を与えております。  現在の琵琶湖のプランクトンの状態を見てまいりますと、いままで余り出たことのないようなプランクトンが、しかも汚水性のプランクトンが急に増殖するような傾向が見られております。そういう状況を見ておりますと、場合によりますと有害物質を持ったプランクトンが琵琶湖でも大増殖をするという危険性も大いにあるのではないだろうかというふうに思っております。そういうことからプランクトンの面から見ますと、これは一つの例でありますけれども、琵琶湖の水は特に一千三百万人の水源になっているだけに、ある意味では危機的な状況にきているというふうに私たちは認識しているわけです。  さらに、今度は漁業の方について少し目を向けてみますと、セタシジミというのが琵琶湖の特産の貝としてたくさんかつてはありましたが、一九六〇年、セタシジミが大体四千五百トン漁獲されておりました。ところが現在はその五分の一であります九百トンのセタシジミに減少しております。ちょうど五分の一に減っております。  さらにフナ、このフナは本来湖が汚くなってまいりますと、これはフナというのは汚いところに出てくる魚でありますので、ふえても構わない魚種の一つであります。ところが一九六一年、約千トンの漁獲量がありましたフナが現在では六百トンから七百トン、大体六割から七割になっております。  さらにモロコ、これは一九七〇年が一番最高でありましたのですが、モロコの量が四百八十トンとれておりました。ところが最近はその半分以下であります二百トンに減っております。  この事実は、琵琶湖はかつてたとえば二千五百ヘクタールの干拓が行われた、そのために内湖、内湾が約三分の二失われてしまったということ、それから三百七十一ヘクタールにわたる埋め立てあるいは人工島の造成、そういうことによって湖岸が破壊されたということと深い関係があるというふうに考えております。そういうことで自然破壊が生物に大きな影響を与えているということは事実であろうというふうに考えるわけです。  ところで、ヨシあるいは水草地帯というのは、皆さん御存じのように、言うまでもないことでありますけれどもきわめて重要な場所であります。たとえば西ベルリンではヨシ群落保護法、そういう法律が制定されております。これは一九六九年に制定されております。これを見てみますと、ヨシの中に入ることができない、あるいはボートでヨシの近くに近づくことが禁止されている、あるいはヨシの近く二メーター以内のところでボートが停泊することも禁止されております。もし違反者があった場合には五百ドイツマルク、日本円にいたしまして大体五万円の罰金が科せられるという非常に厳しい法律であります。そういうような法律さえできているわけでありますけれども、現在わが国ではそういう水草地帯に対する保護が非常に不完全な状態である。  現在琵琶湖で大きな問題になっておりまして、これは琵琶湖総合開発の一環として行われようとしておりますけれども、たとえば琵琶湖南湖の東側でありますが、ここは琵琶湖の中では比較的自然に恵まれたヨシのたくさん生えたところでありますけれども、そのヨシが湖岸堤、これは琵琶湖の水位が上昇するために洪水になる、その洪水対策として湖岸堤をつくる計画が進んでいるわけでありますけれども、その湖岸堤によって水草地帯が四〇%破壊されます。琵琶湖に残っている、一番最後に残された自然の一つの象徴でありますヨシが四〇%そのために破壊される。そういう状態になっているわけであります。  それからさらに、これは私たちは非常にゆゆしい問題だと考えておりますけれども、琵琶湖総合開発の基本となっております水資源開発の結果、水位がマイナス一・五メーターまで下がる、そういうことになってまいりますと湖辺は著しく破壊されてまいります。水草地帯が破壊されて魚の生息場所が失われる、あるいは水位が下がって水質が悪くなるというような問題が起こる可能性が非常に大きいわけでありますけれども、そういう問題を抱えております。そういうことで、私たちは現在刻々と汚染が進みあるいは自然環境が破壊されている中で、一刻も早く琵琶湖の環境状態をよくしていく必要があるというように考えているわけです。  と同時に、私たちは自然科学の面だけではなくて、たとえば昔かつて湖岸で子供たちが魚を追いかけ貝をとり、水草とたわむれながら遊んでいたそういう子供たちの姿を思い起こすわけでありますけれども、そういう場所が湖岸が破壊され水質が悪化したためにすっかり様子が変わってしまいまして、子供たちはそれらの遊ぶ場所で自然からいろいろなことを学んでいたわけですが、自然の複雑な仕組み、あるいはその豊かな自然の中で豊かな人間性が形成されてきた、そういう教育の場所でもあったわけでありますけれども、そういう場所がすっかりなくなってきている。少し極端な言い方をすれば人間が育っていく基盤が失われつつある、そういうふうに考えております。そういうことで、水質や魚介類やあるいは人間そのもの、あるいは人間の生活そのもの、そういうものがどんどん改変されて、将来ある意味では人類の存亡にもかかわるような状態を一刻も早く改善していく必要があると思っているわけであります。  最近、これは全国的に大きな話題になったわけでありますけれども、琵琶湖富栄養化防止条例が制定されました。しかしこれは一つの手法であって、ほかの環境条件が改善されなければ、たとえ窒素、燐がある程度規制されましても琵琶湖そのものはなかなか改善されない。しかも諏訪湖とか霞ヶ浦と違いまして非常に水の多いところでありまして、水がなかなか入れかわりません。十年あるいは二十年かからないと水質が改善されない。そういうような湖であります。したがいまして、私たちは十年先の湖がどういうことになるのかということを踏まえながら、現在私たちは何をなすべきかということが必要でないだろうか、そういうことを考えることが必要ではないだろうか、そういうふうに思っております。  そういうことで、対策が遅くなればなるほど改善はむずかしくなってまいります。そしてまた改善のための経費は膨大なものになってくるだろう、そういうふうに考えております。そういう意味で、国レベルにおいて一刻も早く琵琶湖の水質が改善され、そして自然の破壊が防止され、あるいは自然が回復されるというような状態を強く国レベルの方で対策を講じていただけるように希望したい、そういうように考えております。  時間が参りましたので、一応これで終わらしていただきます。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ありがとうございました。  続いて、沖野参考人にお願いいたします。

沖野外輝夫信州大学理学部助教授

○参考人(沖野外輝夫君) 信州大学の沖野です。  湖の汚染といいますと非常に広い範囲でありますし、重金属とか、それからほかのいろいろな植物に至るまで入りますが、きょうは富栄養化ということにしぼって意見を述べさせていただきます。  先ほど金沢先生がおっしゃいましたように、湖というものは半閉鎖型といいますか、やや閉じた形のていをなしておりますので、それが原因になって富栄養化が起こってまいります。ですから、人工的に起こる富栄養化以外にも自然でも富栄養化現象というものがあるわけですけれども、現在問題になっております富栄養化現象というのは、いわゆる人為的にいろいろのものが流れ込むことによって起こる現象ということで理解されるかと思います。諏訪湖は、霞ヶ浦もそうですが、わが国の中で最も富栄養化した湖の代表的な例でありまして、私がたまたま住んでおりますので、諏訪湖についてモデルとしてお話をしていきたいというふうに考えます。  諏訪湖が現在どの程度富栄養化しているかということを端的に示しますものに、いま資源衛星が飛んでおりますが、そこからリモートセンシングで写真を撮りまして諏訪湖を映像解析してみますと、映像解析した結果は陸上の草原よりも草原らしく写るということのようです。これは夏場に限っての例ですが、それは内容はどういうことかと言いますと、地元の方でアオコと言っておりますが、非常に大量のプランクトンが湖に発生しまして、それが表面に浮くために草原と同じような色調で写るということであるかと思います。ですから、湖というよりも草原に近いというような状況が空から見られるという、それほどに富栄養化が進行しているということです。  これを湖に出てはかってみるとどうなりますかと言いますと、湖の栄養度を調べますのに透明度というのがございますが、三十センチぐらいの白い円板を湖に沈めましてそれが見えなくなるまでの深さを透明度ということで、要するに透明度が低いほど湖の栄養度が高いということ。諏訪湖で夏場に極端なときにそれを沈めてみますと、沈めたと同時に緑色になってしまいまして、透明度ゼロセンチメートル、ひどいときには上に盛り上がっていますのでマイナスだと言う人もいますが、それほどの状態に湖が富栄養化をしているのが現状です。  そういうようにプランクトンがふえる原因というのは一体何かということですが、これは植物性のプランクトンでして、陸上の野菜や何かを育てるときに栄養を与えまして、燐とか窒素を与えて野菜を育てますが、それと同じように水の中に窒素とか燐という栄養物がふえるためにそういう植物プランクトンが非常にたくさん生えてくるということになります。  本来の湖にはそういう窒素や燐という物質が少なかったために、余りプランクトンがふえなかったから水が透明であったということですが、そこへ非常に大量の栄養を与えたことによって植物がふえてしまった。その結果として、いま言ったように、陸上の草原のような形に湖がなったということになります。ですから、原因はもう明らかでありまして、周辺から入ってくる窒素、燐というものが主因になっております。  先ほど金沢先生もおっしゃいましたように、そういうものがどういうところから入ってくるか、当然湖に入ってくる水が集まってくる地域の中にそういうものが加えられて河川を通して湖に入ってくるということですから、私どもの言葉で、先ほど金沢先生は流域とおっしゃいましたが、湖の場合に集水域と申しますけれども、要するに集水域で人間がいろいろな活動をすることによって湖の方に結果としてそういうものがあらわれてきたということになります。  では、一体どのぐらいの量のものが諏訪湖のような場合には湖に入っているかということを計算してみますと、窒素にしますと一日当たりにしまして毎日毎日三千キログラムぐらいの窒素が入る勘定になります。それから燐にしますと二百から二百五十キログラムのものが毎日毎日入ってくる。そういうふうな形で連続的に河川を通してそういう栄養を湖に供給している結果として、湖の富栄養化が極端に進行しているということになるわけです。これは諏訪湖だけではなくて、原因は琵琶湖でも霞ヶ浦でも同じことでして、世界各国共通の問題となっております。  そういうような窒素や燐が人間活動の結果として出てくるわけですが、それぞれにやはり発生源は主なものは違います。たとえば窒素で言いますと、一体窒素の大部分のものはどういうところから出てくるかと言いますと、半分に近い量、三〇%ぐらいのものは耕地を経由して出てくるという結果が出ております。それから燐の方で見ますと、燐の方は日常生活にかかわるような家庭から出てくる雑排水であるとか、それから屎尿処理の結果から出てくる排水であるとか、そういうものから加えられて、これが半分ぐらいになるだろうということが計算上出てまいりますので、対策を立てる場合に窒素の場合にはどういう対策、燐の場合にはどういう対策と、それぞれにきめ細かい対策を立てないと湖の富栄養化を防止することはできないということになります。  現在諏訪湖では幸い下水道計画が進行中でありまして、一九七九年十月からそれが一部稼働開始になりました。では下水道ができた場合に湖がどの程度一体回復するだろうか。これは文部省の科学研究費の方でいろいろとデータを集めてシミュレーションを行ってみた結果でいいますと、その前提条件としていまの下水道計画が一〇〇%完成すると、窒素にすると五〇%ぐらい、それから燐にすると七五%ぐらいのものが処理場の方へ収容可能という計算になります。  これをもとにしましてシミュレーションを行うわけですが、実際の仮定としましては、現在の処理場でそういうような窒素、燐が除去できるという仮定において湖に対する影響を見てまいります。そうしますと、一体いまの湖の状況がどのくらいになるか。先ほどゼロセンチメートルという非常に極端なことを言いましたけれども、夏場でいきますと、大体三十センチぐらいが平均的な値です。この透明度がどの程度回復するか、アオコの量がどの程度少なくなるだろうかということを、負荷量を、集水域から入ってくる窒素や燐の量を変えてみましてシミュレーションをした結果ですと、下水道が一〇〇%完成した場合に、現在のアオコの発生量の最もひどいときの半分ぐらいになるだろう、透明度でしますと、せいぜい四十センチぐらいよくなるだろう、ですから現在三十センチですから七十センチぐらいの透明度に夏場なるだろうというのが結果として出てまいります。  これはあくまでも処理場で一〇〇%そういうような窒素、燐が除去できたという仮定でありますので、そういうことがされない限りは湖の状態は余り変わらないということになります。そういうわけで、処理場での現在の処理方法にやはり窒素、燐を除去する方法を加えることが必要であるという形になります。  現在、それでは諏訪湖の場合はどういうことになっているかということですが、諏訪湖の場合には一九七九年十月に稼働開始になりまして、昨年いっぱいで大体日量一万五千トンぐらいのものが処理場の方へ汚水が流入しております。さらに、その汚水の中にいままでの負荷源の最も大きいところでした屎尿処理場、まあ衛生センターと言っておりますが、その排水が下水道に取り込まれることに変更になりまして、結果として衛生センターからの排水は一〇〇%下水道へ入りました。そして窒素、燐がどのくらい減った勘定になるかといいますと、ほぼ三〇%前後ぐらいのものが以前よりも減った勘定になる。結果としては、昨年は比較的地元の人たちも少しよくなったのではないかというふうな印象を受けております。琵琶湖に比べますと非常に汚い、まだまだ汚れているわけですが、諏訪湖にしてみますと、私どもで生産量という言葉を使いますが、それで夏場でほぼ二〇%ぐらいの減少が見られています。  そういうような現象が出てきたのはどういうことかといいますと、先ほど窒素、燐を除去しなければと申しましたが、現在の処理場では窒素、燐の除去をしておりません。これがどうしてそういうふうに効いてきたかといいますと、現在はその処理場からの排水を、諏訪湖の場合には天竜川が唯一の流出河川ですが、その直上に排水しております。ですから諏訪湖の方にはもどらないような形でもって処理場の排水が排水されているために、高度処理をして窒素、燐を一〇〇%除去したと同じような効果が出てきておるわけです。これは事のよしあしは別でして、下の方の住民はどうなるのかという話が出てまいりますが、諏訪湖にとって見ますとそういう形で、三〇%ぐらいの除去率でもある程度の回復が見られてきているということがあります。ただ、先ほども言いましたように、窒素五〇%、燐七五%ぐらい処理したとしても、現在のアオコの発生量が半分にしかならないわけですから、そうしますと、地元の人が要求しているような湖沼の回復にはほど遠いということになります。  そうすると、もう一つは、やはり発生源でもってより効果のあるような除去対策をもう一つ加えていかなければいけない、下水道対策だけでは湖がなかなか回復しないのだということが言えるかと思います。その一つとしては、各家庭の排水から出る燐を少なくしていくとか、それぞれのほかのところの農地から出るものを少なくしていくとか、そういう形で個々の発生源での対策がこれから必要になってくるだろうというふうに考えております。そういう意味で、湖の浄化ということを考える場合には、先ほど金沢先生がおっしゃいましたように、集水域、流域でのいろいろな物質の管理をこれから厳しくしていかないと、一ところのものは減っても片一方の方ではふえてしまって、もとのもくあみになりかねないということが言えるかと思います。  それから、富栄養化を離れまして、もう一つ湖で大事なことは、先ほど鈴木先生もちょっとお触れになりましたけれども、やはり水辺環境の保全ということが必要かと思います。これはいままでの水質汚染の経過を見ていますと、いわゆる臭い物にはふたをしろという式でもって、いろいろな汚れた河川にふたをしていきました。それをすることによってだんだんとそこに住んでいる人たちが水から離れていってしまう。水から離れることによって水の大事さというものが忘れられていった結果として、いろいろな水が汚れてしまったということにつながっているかと思います。それを回復するためには、いろいろな人が水辺に行って、水にじかに親しむことができるような環境をつくることによって改善していくということがこれから質的には必要になるかと思います。  それからもう一つは、湖の中の生き物の立場から言いますと、水辺のそういうような水草であるとか、先ほどのヨシであるとか、それから水の中に沈んでいる草であるとか、そういうものは水の中にすんでいる魚の小さい時期の隠れ家になったり、それから産卵の場所になったりということで、湖の生態系を維持していくために一つの質的な役割りを持っているはずのわけです。ただ人間から見ますと余り役に立たない、お金にならないということで無視されがちですけれども、湖全体の保全ということを考える際には、いわゆる水辺の質的な役割りというものにもう少し注目して、かつ人間がこれから水に親しむことができて、水を回復していくための手段としてでも水辺の保全というものを強力に推し進めていくことが必要であるかというふうに考えます。  以上です。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ありがとうございました。  続きまして、須藤参考人にお願いをいたします。

須藤清次茨城大学農学部教授

○参考人(須藤清次君) 須藤清次でございます。私は霞ヶ浦の状態を通して湖沼の問題について触れてみたいと思います。  霞ヶ浦も、先ほど話が出ましたように、琵琶湖と同じように現在毎秒四十トンの水資源開発が進められております。それで昭和四十二年ごろから急に水が悪くなりまして、環境基準のBを突破して、現在CODで一〇ppm前後の状態になっているという次第です。  それで、私どもでは霞ヶ浦の研究をするに当たってどういう問題が重要かということを考えたわけですが、それはいままで水質問題、環境問題というものは、汚濁物質あるいは毒物の排出源があって、それを究明するというような考え方が非常に大きかったと思います。それは四大公害裁判を通してそういうものが環境問題の中心として議論をされたときがあるからです。ところが湖の有機性汚濁というのはもともとこれは栄養物質で、先ほどからも出ておりますように窒素や燐というものは本来これは植物を支えるもの、やがてそれをまた動物も食べていくわけですが、栄養物質なのですが、過剰にあることによっていろいろな害をもたらしているわけです。そうしますと、その出口を抑えるという考えではなくて、栄養物質が集水域、流域内を循環する過程を追って調べなければならないのじゃないか、そういう考え方で次のような問題を考えてみたいと思います。  それは霞ヶ浦の周辺は雨が非常に少なくて、一年間に千三百五十ミリぐらいなんですが、そのうち六〇%は蒸発して四割が霞ヶ浦に流れ込むわけです。そうしますと一年間に十三億トンの水が流れているということになります。雨の水も非常に何となくきれいなような気がしますけれども、霞ヶ浦でも窒素で約八ppmぐらいですね。農林省では農業用水も一ppm以上じゃよくないと言うくらいですから、相当の窒素が天から降ってくるわけです。  それで、それが山林に降り農地に降るわけですが、霞ヶ浦は回りが、茨城県内だけですけれどもいわゆる関東平野で、筑波山地の二〇%を除いてはいわゆる平野です。うち六〇%が洪積台地で、海抜二十から三十ぐらいの台地なわけです。その台地が余り水がなかったためにいままでその開発がおくれている。現在学園都市とか工業団地などができておりますが、それがいま非常に都市開発が進んでいるわけです。そういう平地であるために耕地率が非常に高くて、四四%が耕地になっているわけです。  それで、また豚が多いのも非常に有名です、先ほども話が出ましたけれども。豚も六十万頭ぐらいいる。先日の新聞によりますと、いままで茨城県が全国一だったのですけれども、今度は二位になったという話ですが、非常に多いので有名です。  そういう条件の中で霞ヶ浦の汚濁源の分析をしてみますと、工場や事業場から流れ出す汚濁物質であるCODは四一%、窒素は五四%、燐は七〇%と、大部分がそういう特定な排出源を持っている大口の点源と言うべきものから出ています。あとは農村や農地、山林からのそういう面源ですね。OECDでもポイントソースとディフューズソースという言葉で私どもと同じような分類をしていますけれども、面源からのは非常に少ないわけです。それがまたどういう意味を持っているかということを各河川ごとに分析してみました。  霞ヶ浦はいま約五十の中小河川で流れ込んでいるのですが、大体その三分の二ぐらいをカバーする川について見ますと、川の流域当たり単位面積当たりの負荷、つまり比負荷と申しておりますけれども、比負荷とそれから人口密度、それから農地の密度、豚の密度というものを比べてみますと、人口密度の高いところは水質もそれに比例して悪くなっている。ところが農地の面積の高いところや豚の密度の高いところは低くなっているわけです。つまり非常に農村的な景観を持っている流域の水がきれいで、都市化しているところは悪くなっている。  これは特に私どもは農学部におりますから農業のことについて関心を非常に高く持っているわけですけれども、農業以外の分野から農業が非常に汚しているという攻撃が非常に強いわけです。そういう点で、この分析を見ますと農業的な条件にあるところはいいということになってしまうわけです。ところが農業といえども先ほどの湖の汚濁源である窒素や燐を大いに使うわけですから当然汚すわけです。ところが現在進行している汚濁というのは、そういうレベルの問題じゃないということだと思うのですね。  その問題についても、OECDで昨年の陸水モニタリング計画でおもしろい図を出しておりますけれども、天然の面源はコントロールできない、それから農地みたいなところから出てくる面源のは非常にウエートが少ない、大きいのは都市化、工業化によるもので、真っ先に抑えなければならないものはそれであるということを言っているわけですが、それと同じようなことが言えるのじゃないかと思います。  農業といえども汚すわけですが、現在の累進的な水質の悪化とはそういうものではないということが言えると思います。累進的悪化というのは、これは滋賀県並びに茨城県でつくった富栄養化条例の中で使っている言葉なんですけれども、これはどういう意味なんだということもありますけれども、これはやっぱり現在の都市化、工業化に伴う最近の急速なる悪化のことを言っているのだろうと思います。そういう問題が現在の水質問題の特徴をあらわしている。  ですから、これは水質問題の初期のころ、たとえば建設省関係の報告によりますと、琵琶湖の窒素源の理由は山林であるというような報告が最初の場合には出たときがあるわけです。トータルでは、総量だけで考えると山林から流れるのが面積が多いですから非常に高く見えるわけですね。ところが質の問題を抜きにしてそういうことを考えるわけにはいかないと思います。  山林や農地、そういうものがどういう役割りを占めているかということを申し上げますと、山林では一ヘクタール当たり十キログラムの窒素が雨によって入ってきます。これは大体雨の濃度が八ppmぐらいというところで計算するわけですが、それが出るときには三キロになりまして、差し引きマイナス七キロだけ森林はきれいにしているという作用を持っております。  それから畑では、畑も水を入れませんから、畑では雨の水で十キロの窒素が来るわけですが、出るときには肥料などをやりますから十九キロで、差し引きプラス九キロの窒素を負荷します。増加させます。  水田では雨が十、それから流入水によって、灌漑水によって八十入ってきて、出るのは九十、差し引きプラスマイナスゼロ。水田は管理の仕方によって変わりますけれども、全国の各農事試験場でやっているのを分析してみますと、平均するとプラスマイナスがゼロ、水田に入ってくる水と出る水の窒素はただ通過するだけであるという計算になります。  霞ヶ浦全域について、都市を含めた全域では入ってくるのは雨だけですから十で、出るのは二十一、全域ではプラス十一、つまり雨の二倍の濃さぐらいの水を霞ヶ浦に出しているという計算をすることができます。こういう点で山林や水田の水の循環の中における役割りというものが非常に大きいのではないかと思います。  次に、そういう状況で水質が形成されるために、どういうことからその対策をしていったらいいかということを考えてみますと、これは現在水質汚濁防止法、それから各県の公害防止条例、また富栄養化防止条例などでやっているように、人為的点源を抑えるということは当然やらなければならないことだと思います。  それから、今度の霞ヶ浦の場合にはことし、それから琵琶湖の場合には二年前ですが、富栄養化防止条例というのが水質汚濁防止法を若干踏み出した形で窒素、燐の規制ということをやっておりますが、それで生活洗剤まで規制するということをやって、そういう問題が現に滋賀県、茨城県で行われているわけですが、そういうこともある意味で実行可能ですし、当然しなければならないことだと思います。  三番目には農地の問題です。農地は現在の累進的な悪化への寄与は非常に小さいわけなんですが、それでもこれは汚濁源になっていろわけです。そういう点では施肥及び灌漑用水の管理を改善すれば相当これを抑えることができるのじゃないかと思います。  特に農地が攻撃される場合には、昔から霞ヶ浦は汚れていたという表現がときどき使われるわけです。しかしながら、私どもよりももっと若いぐらいの年の人でも霞ヶ浦で水泳をしたし、それから飲料水も湖から取ってきたという習慣があります。したがってそんなに汚れているはずはないわけですね。もちろんときどきアオコが発生したときはあるのですが、霞ヶ浦は復元不可能じゃない問題だと思います。現在茨城県の水質審議会では復元不可能で八ppmにしよう、十年前に茨城県では三ppmにしようということを方策を立てたのですけれども、それを変更しまして八ぐらいがやっとだと言っておりますけれども、私はそんなことはないのじゃないか、そういうふうに考えております。  それから四番目は、先ほど申し上げましたように、霞ヶ浦の周辺の地形というのは二〇%の筑波山系、それから六〇%の台地、それから二〇%の谷津田を中心とした低平地があります。そういうものを通して、地形配列を利用して水の自然的浄化作用を促すということは非常に可能なのじゃないかと思います。特に湿地的条件は窒素について言えば脱窒の条件ができますし、世界的にもそれが認められております。それから、燐の問題は、土を通すと燐は削減されますから、特に茨城県の場合には台地は全部火山灰で覆われていますから、これは燐を固定してしまいます。それから、そういう点で現在進められている流域下水道みたいな形で集中的に管理するやり方は、それを土浦の出口で放流するというようなそういうことだけに頼るということは非常に片手落ちの方法じゃないか、そういうふうに考えております。  五番目に、水の利用の節約が重要だと思います。水を使うということは汚すことであり、また新しい水資源開発を迫られるわけです。そういうことはまた流域の条件の生態系を破壊するし悪循環を進めることですから、それは節約することは現在もできますし節約ということがやっぱりわれわれの課題になると思います。  六番目に、最後に水が天を含めて地表を循環するわけですから、その最も浄化能力のある山林の保護保全、開発の禁止、それから農地水田の適正な位置づけ、それから水辺での浄化作用の確保、そういう土地利用の面での規制ということ、これは茨城県の富栄養化防止条例では考慮するという言葉を使っておりますけれども、考慮する以上に規制するということが湖という流域と水と一体となっている条件での水質の形成がされる場合には非常に重要なのじゃないかと考えます。  これで終わります。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ありがとうございました。  では、続きまして、西堀参考人にお願いをいたします。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) 私は滋賀県がこれまで琵琶湖にとってまいりました環境行政、それを中心に話を述べさしていただきたいと思います。  御承知いただいておりますように、琵琶湖の水量というのは非常に大きくて二百七十五億トン、こういった湖でありますけれども、古来より四囲の風景の美しさと水の清澄さ、それが価値でありました。琵琶湖の生成は約二百五十万年とも四百万年とも言われているわけでございますけれども、したがって世界で三番目に古い湖である、これが非常に汚れが目立ってきたというのは琵琶湖の悠久の歴史から見ますればまことに一瞬の時間であります。といいますのは、二十年前からこの湖が汚れ出したということでございまして、われわれの生活あるいは生産活動が起因している、こういうふうに見られないこともないと思うわけであります。  琵琶湖が私たち人間に与えてくれる恩恵というものは古来より数多くあるわけでございますけれども、とりわけ重要と思われておりますのは、やはり近畿千三百万人の飲料水源である、それがもし使えなくなったということになれば多くの人々の命にかかわる問題として琵琶湖の問題が重視される、こういうことであろうと思います。  まず、そのデータから見ますと、先ほど鈴木教授からもお話がありましたが、ややダブりがありますけれどもお許しをいただきますが、透明度につきましては昭和十年代の北湖は大体十メートルから十三メートルぐらいありました。二十年代には八メートル前後、そして五十年には、北湖と南湖と分けて指標をとっておりますが、北湖の平均が五・七メートル、南湖が平均二・三メートル、五十五年に至りましては北湖が四・八メートル、南湖平均が一・九メートル、このように悪化をしていっております。また汚濁の一つの指標でありますBODの四十一年の値と五十二年の値を比較しますと、北湖平均は〇・六ppmから一・〇ppmへ、南湖平均は一・二ppmから一・五ppmへそれぞれ悪化をしております。  また、現象面といたしましては、昭和四十四年には水道水もカビ臭が起こり始め、四十六年には年間の三分の一の長期発臭ということになっておりますし、漁獲量におけるシジミの減少は三十九年以降であります。またレクリエーションでは、水泳場が南湖で四十七年と五十一年に閉鎖をする、こういう事態に至っております。  このような琵琶湖の富栄養化の要因物質には窒素、燐のほか珪素、カリウム、鉄などの十数種の元素やB群ビタミンなどがあるというふうに言われておりますけれども、窒素、燐の中でも燐が最も重要であります。このことは琵琶湖流域の状況から窒素、燐の負荷量とプランクトンの量的質的変化には相関関係が見られますので、これが判断されるところであります。  こうした状況に対して県としても決して無策でいたわけではありません。昭和四十七年の県公害防止条例の全面改正におきましては、水質汚濁防止法の排出基準より有害物質では十倍、生活環境項目では約二、三倍、排出量に至りましては五十トンを三十トン以上と非常に厳しい上乗せ規制を行いますとともに、琵琶湖の環境保全の計画を策定いたしまして総合的な取り組みをいたしました。にもかかわらず水質悪化が進行してきたというのは閉鎖性水域特有の富栄養化現象、これは先ほど金沢教授もおっしゃいましたが、そういうものに対する国の研究のおくれがあったのではないか、そういうことも一つの要因ではなかったかというふうに見ております。  また、本県におきましては、ただいま申し上げました県公害防止条例の全面改正の際に、水質汚濁と窒素、燐のかかわりを検討するよう県水質審議会の付言がございました。したがって、昭和五十年三月には同審議会に対しまして窒素、燐の規制はいかにあるべきかという諮問も行う科学的な解明に着手をいたしました。と同時に、当面の対策といたしまして窒素、燐の湖中への流入遮断ということを目指しまして農業肥料の適正施肥、畜産糞尿の土壌還元、有燐合成洗剤の使用節減など実行可能な面で対策の推進を図ってきたのであります。  こうした努力にもかかわりませず、昭和五十二年には琵琶湖に初めて淡水赤潮が発生し、県民に衝撃を与えてきました。この赤潮は、いままでの琵琶湖の汚れを漠然としか感じなかった県民に天の声のようにきわめて具体的に啓示したものというふうにとっております。  ここに至りまして県民の中から何とかしなければ本当に琵琶湖は死んでしまうのではないか、琵琶湖をよみがえらせなければという声が県内全域にこだまをしてまいりました。  そこで、県は昭和五十二年十一月に合成洗剤対策委員会を設置し、富栄養化の主因物質を含む合成洗剤の使用削減について論議をしていただいたのであります。昭和五十三年六月に、同対策委員会は県民がいますぐだれにでも実行できる洗濯用洗剤を有燐洗剤から粉石けんへ使用転換を進めるべきであるとの提言を行ったのであります。  これを受けまして同年八月には、県域の消費者、事業者、行政組織によって、びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動県連絡会議が結成されて、家庭排水から燐を排出しない、しかもコストのかからないいわゆる排水のゼロ次処理運動が全県下にうねりを起こしたのであります。この結果、一年後の昭和五十三年十一月には粉石けんの使用率は約三二%、五十四年四月には約四〇%と上昇、驚異的な普及を見るに至ったのであります。  この時期、昭和五十四年の三月には県の水質審議会におきましても、先ほど述べました窒素、燐の規制のための琵琶湖水質の将来シミュレーションの作業が進行しておりました。そこで水道水源として果たす琵琶湖の重要性にかんがみて、燐の昭和六十年の目標値を昭和四十年代の初期から中期程度の水質が維持できるよう、また窒素については昭和五十年の水質より悪化させないという考え方に立って窒素二三%、燐四七%の発生負荷量を削減すべきである、こういう中間答申をいただいたのであります。くしくも有燐洗剤の追放と工場、事業所の窒素、燐の排出規制という大きな潮流がそこでドッキングいたしまして、琵琶湖の富栄養化防止を図るための総合条例の誕生を見る基盤が確立したのであります。  とはいいますものの、条例制定に至るまで決して平たんな道のりではございませんでした。全国流通商品である有燐合成洗剤を環境保全上の観点から一地方自治体が販売、使用を禁止するというものでありますから、洗剤メーカーの結社である日本石鹸洗剤工業会は猛烈なキャンペーンを行い、県下何万という世帯にダイレクトメールが配布され、あるいは県内の一流ホテルに陣取って対策本部を設置するなど、企業の社会的責任を疑わしめるほど激しいものでありました。  また、法制面からも種々の問題が提起されましたが、一番の焦点は合成洗剤の販売禁止が憲法で保障されている営業の自由を侵すおそれはないかということでありましたが、学説や判例を中心にさらに法律の権威者の御意見を拝聴して、問題なしという結論を持つに至りました。  いま一つは、排水処理の技術水準から見まして、工場、事業所に脱窒、脱燐の高次処理施設をどのように設置させるかという問題でありまして、資金面やランニングコストの問題等々筆舌にあらわせない障害と辛苦を味わってまいりました。  が、幸い滋賀県民百万余の琵琶湖を守ろうという偉大な声援によりまして、武村知事は昭和五十四年九月県議会に琵琶湖の富栄養化防止に関する条例、いわゆる通称琵琶湖条例というものを提案することを決意するに至った次第であります。  いよいよ五十五年七月、条例施行に当たりまして、またまた問題もたくさんありました。その二、三を申し上げますと、一つは水質によって粉石けんが使えない地域があることであります。カルシウムやマグネシウムを含むいわゆる硬水地帯がそれで、その地域の各家庭にはイオン交換樹脂の軟水器を取りつけ、その費用を全額県費で負担することにいたしました。  二つには、家庭内に残る有燐洗剤をどうするかという問題であります。これは条例施行後約一カ月をかけまして、約三万箱、六十七・七トンを個人の自発的な意思によって回収をさせていただきました。  三つには、さきに申しましたが、中小企業者の窒素、燐の処理施設の設置に必要な資金手当ての問題であります。これは低利の融資制度を創設し、今日まで三十三件、約十億二千百万円の貸し付けを行っております。  さて、条例施行後の状況でありますが、有燐の合成洗剤は県内約二千三百の販売店からはほぼ完全な形で姿を消しております。また家庭におきます有燐洗剤の使用は全くゼロであるというふうに判断をいたしております。工場、事業所につきましても規制対象が五百十四工場あるわけでございますが、施行後約一年の猶予期間を置きましたので、その間四百八十八の工場が設備を完了し、今日ではもう十三カ所を残すという予期以上の御協力を企業からいただいております。  こうした条例施行の結果、最もの関心は琵琶湖の水質の状況であろうかと存じますが、現時点では効果を判定するのははなはだ困難であります。といいますのは、琵琶湖の滞水時間、湖水の滞水時間が五・三年、全部入れかわると予想されるのが十九年から二十年かかると言われている大きな器の湖でありますから、息の長い努力を続けなければならない。ただデータを見る限り、五十五年の南湖の燐の濃度が前年比で約二〇%、住宅地を流れる特に都市河川の燐濃度は三分の一から三分の二減少をいたしております。まことに好ましい傾向だと考えております。滋賀県といたしましては、さらによりよい琵琶湖の環境を目指して、琵琶湖の水質保全に特に配慮した環境アセスメント制度も導入し、一層の努力を今日はいたしている次第であります。  以上、琵琶湖の状況を申し上げましたが、環境庁の調査によりましても全国各地におきます湖沼は同様な富栄養化問題を抱えておりまして、各自治体にとって大きな悩みであります。したがって昨年九月に関係都道県によりまして全国湖沼環境保全対策推進協議会を結成し、湖沼環境保全に関する総合対策法の早期制定を要望してきたところでありまして、今国会に提案されるということに大きな期待を寄せていたのであります。にもかかわらず政府は各省庁間の調整がつかないという理由で、湖沼法案の提案を断念されたことは、まことに私は一人の関係者として残念に思います。  地方自治体が一生懸命湖沼保全のために努力しているにもかかわらず、国においてその基本となる法律すら制定されないということは、霞ヶ関と地方との間の現状認識のずれの大きさに驚くと同時に、政治の怠慢ではないかというような疑念すら抱かざるを得ません。一日も早く有効適切な湖沼基本法の制定を心から念願し、私の陳述を終わります。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ありがとうございました。  次に、三ツ松参考人にお願いをいたします。

三ツ松要手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表

○参考人(三ツ松要君) 千葉県の手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議の三ツ松でございます。  最初に一市民としての感想から申し述べさせていただきます。  昨年一月、中央公害対策審議会が環境庁長官に対して湖沼環境保全特別措置法を制定すべきだと答申したときの喜びと期待が大きかっただけに、本年四月九日、原長官が法案の今国会への提出を断念したとの報道に接しまして非常に残念に思うとともに、一体国は国民の生活を本気でよくしようと考えているのだろうかという疑問と憤りにとらわれました。もともと環境庁が湖沼の環境保全という中公審の考え方を後退させまして、水質保全にしぼっていたことに私は不満を抱いておりました。それすら見合わせたというのですから、やる気がないのだろうかと言われても仕方がないでしょう。  ついでに、もう一つ言わせていただきますと、それならば国会議員の皆さんが議員提案という方法でお出しになったらいいのではないのだろうか。私はそれほどわが国の湖沼環境保全は喫緊の課題であると考えて、きょうここへ出席させていただいたわけです。  さて、日本一の汚染沼と言われている手賀沼がどのように破壊されてきたかを報告させていただきます。  手賀沼という沼は、いままでお話がありましたような湖と違いまして小さな沼で、多くの人たちは御存じがないだろうと思いますが、最近は汚れが日本一だということで、日本の湖沼を代表する沼になってしまいました。残念でなりません。ちょうど都心から三十キロの円周を描きますと、それにまたがる小さな細長い沼です。小さいといいましても水面積は六・五平方キロ、つまり東京都下の田無市や狛江市がすっぽりと入る大きさです。  かつてこの沼のあたりは北の鎌倉と呼ばれておりました。大正から昭和の初めにかけて志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦、杉村楚人冠など多くの文人墨客が住みついて旺盛な執筆活動をしたところです。当時の沼は清澄そのものでした。いまでも漁民が言っている言葉ですけれども、昭和二十年代までは舟で網を打ちながら、のどが渇くと沼の水をすくって飲んだそうで、それほど水はきれいでした。もちろん子供たちはこの沼で泳ぎながら成長いたしました。  手賀沼は淡水魚の豊かなところで、ここでとれたウナギはアオという愛称で親しまれ、江戸の食通たちに喜ばれていました。沼は浅くて平均水深が一メートル弱、水は澄んでいましたから、舟の上から竹ざおを入れますと、水底で口をあけていたカラスガイがそれをくわえる。そして子供でもできるようなカラスガイの漁法ということで、みんなが楽しんでいたものです。  その手賀沼がいまどうなっているかと申し上げますと、まず漁民はおかに上がってしまいました。現在でも手賀沼漁業協同組合と手賀上沼漁業協同組合という二つの漁協がございまして、漁業権は共有しているわけですけれども、実際に漁だけで生活をしている人はおりません。わずかに養殖漁業と釣り堀の経営をしている人がいるだけで、あとは全くおかに上がってしまったわけです。汚濁に強いコイやフナ、タナゴ、テナガエビなどがすんでおりますので釣り人たちは集まりますが、釣り上げた魚を食べる人はおりません。手賀沼漁協の調査によれば、魚の種類は三十四種類から十七に半減しております。その十七のうちの十種類はやっと見かける程度だということです。  昆虫類は完全に姿を消してしまいました。  水生植物の現状はどうか。手賀沼を語るために私はいつも水生植物の問題を出すのですけれども、手賀沼は藻の宝庫と言われていたのですが、いまではどうなっているかといいますと、沈水植物、これは水の中にあるいわゆる藻ですが、この沈水植物は昭和四十七年から八年にかけて完全に死滅してしまいました。それから、水上に、水の表面に葉っぱを浮かしている浮葉植物、これもその五年ぐらい後に見られなくなってしまいました。いま残っておりますのは、いわゆる沼の周辺に群生しているヨシ、マコモ、ヒメガマ、この三種類だけでございます。  水質について申し上げますと、CODで言いますが、昭和五十四年度の平均が二八ppm、昭和五十五年度が二三ppm、環境基準は五ppmですからその約五倍の汚れ方です。先ほど来お話がありましたほかの湖の水質と比べていかにひどいかということがおわかりいただけるだろうと思います。窒素は六・三、燐が〇・八六ppm、これは昭和五十四年度の値ですが、これらの数値は測定点によってもちろん多少の違いがありますし、年間を通しての平均値ですからいつもこの状態だというわけではありません。むしろ、たとえば昭和五十四年度の最高CODは七八ppmという、もう驚くべき異常な高さで、そんなときに沼の魚たちは一体どうやって生活していたのだろうかと想像すると、心の寒くなる思いがいたします。  このように手賀沼は沼一般に共通する生物の生息条件を破壊されておりまして、いまではプランクトンが支配する世界に変わってしまっております。これを学問的に何と言うのか私はわかりませんが、ともかく沼の生態系が変わってしまったとしか思えないわけです。ミクロキスティスなどの植物性プランクトンが大量にはびこっておりまして、アオコが広がります。このアオコ、夜になると酸素を吸うので、水中が酸欠状態になって魚がし斃死いたします。昼は腐敗して強いにおいを発するというわけで、いまではアオコのことを水の華などと文学的に表現する人はだれもおりません。  それでも人々は手賀沼に集まります。人間はだれでも水を求めるものなのでしょうか。水のほとりに立つだけで心がなごむ思いを感じます。水面を渡るやわらかい風は何か希望を運んでくるような気がいたします。そこがたとえ日本一の汚染沼であったとしても、水の見える生活は日々の疲れを解きほぐしてくれるものなのでしょう。  それでは、一体どうしてこんなに汚れてしまったのか。いままでの先生方のお話を承っておりましても、それに限ると思いますが、もうはっきり言えることは、人間の生活、人間の社会が手賀沼をずたずたにしてしまったのだということなわけです。  それでも、くどいようですが申し上げますと、第一の理由は埋め立てでした。手賀沼の場合、それは米増産のための干拓事業ということで、非常に長期間にわたって行われました。完成したのはいまから十五年ほど前です。干拓によって沼の面積はほぼ半分に減りました。このときの埋め立てによって生ずる浮遊微粒子が汚濁第一号だと漁民たちは言っております。そのための濁りが干拓終了後二、三年は続いておりました。しかし干拓による沼の被害は、そのときの沼の汚れというよりもむしろ自然の浄化力を半減させたということにあると思います。  第二の理由は、沼周辺の都市化の進行です。いわゆる高成長時代の始まりとともにこの地域の宅地開発は急速に進み、人口増加率が時には全国一、二位を争うほどの勢いでしたから、それ以前には自然浄化されて沼に入っていた水がコンクリートの水路を経て浄化されないまま落ち込むようになってきました。しかも、その汚水の量は年とともにふえる一方で、昭和五十五年度の千葉県の調査によりますと、全汚濁負荷量のうち七七%が家庭雑排水、一六%が工業、農業などの産業系排水、残り七%が自然汚濁だということでございます。  流域人口と沼の貯水量の関係を見ると、いかにこの沼が人間社会の圧力によって汚濁されているかがよくわかります。手賀沼の貯水量はわずか約五百六十万トン、それに対して昭和五十五年の流域人口は三十六万六千人でした。ですから貯水量を人口で割ってみますと、一人当たりの水量が十五・三トンになります。つまり手賀沼は一人当たりわずか十五・三トンの水しか貯水していない沼であって、これを琵琶湖と比べますと、琵琶湖は一人当たり三万トンの水になります。したがって琵琶湖の二千分の一、逆に言いますと手賀沼は琵琶湖の二千倍の人口圧力を受けているということになります。  私はこんな試算をしてみてふと気がついたのですけれども、手賀沼は日本一の汚染沼だというだけではなく、恐らく日本一の人口圧力を受けている沼ではないのだろうか、それならば、もし手賀沼に自然を取り戻すことができるならば、日本じゅうどの湖沼もきれいにできるはずだ、手賀沼の浄化は私たち手賀沼周辺住民の問題だけではないのだというふうに考えました。  それから第三の理由は、人口増加に伴う自然保護対策が十分にとられてこなかったことです。人がふえれば水の使用量がふえる。家庭や事業所から出される排水の量もふえる。このあたりまえのことに気がついたのは、すでに手賀沼の汚れが目に見える状態になってきてからでした。しかしその後も汚染の源を絶つ施策はとられておりません。汚れた沼の弊害が出てきて初めてどうしたらいいのかとあわてだしたわけですが、たとえば手賀沼クリーン作戦という、名前だけはりっぱな運動も始まりましたけれども、それは手賀沼に浮いている空き缶やビニールやごみをどうやってさらうかといったような、自分が汚しておきながら、人間が汚しておきながら、それを目に見えるところだけできれいにしようという運動にしかすぎませんでした。汚染を発生源で絶つということをしないで、汚れてしまった水をどうするかといった対症療法なわけです。  しかし、それにしても対症療法はもちろんやらなければなりません。そのために昨年は燐や窒素を大量に吸収するホテイアオイという浮葉植物を植栽いたしました。これを植栽しますと猛烈な繁殖を行いますので、燐や窒素が減るだろうというふうに考えたわけです。燐や窒素を入れないというのじゃなくて、入ってしまったものを仕方ないからどうやって減らすかという実験をしたわけです。まだ県の方で最終的なその実験の結果が数字で出されておりませんが、相当その部分での効果はあったようです。  ですから、またことしもホテイアオイの植栽を行うということを言っておりますが、こういう対症療法だけではなくて肝心かなめの汚濁発生源をどうやって絶つかということを本気で考えなければいけないのではないのでしょうか。私たち住民は、まあやっとのことですけれども、そこに気がつきまして、じゃ自分で何ができるのだろうかというふうに考えました。自分自身が毎日の生活の中で汚れた水を沼に落としているわけですから、何とかして自分の家庭の中で汚さない方法はないのだろうか。  そこで行いました運動が合成洗剤をやめる運動です。それは家庭雑排水の中で最も危険な物質が合成洗剤だということに気がついたからです。しかし合成洗剤は大変便利な商品でございまして、それを石けん利用に切りかえる運動というのはなかなか並み大抵ではありません。少しずつ広がってはおりますが、それが果たして汚濁が増していく元凶とあわせてどっちが駆け足で言うと速いのだろうかということがまだわかりません。きっぱりと合成洗剤を全面的に断ってしまえば、恐らく浮葉植物までが死んでしまうような水の状態は変わるのではないのだろうかというふうに思いますけれども、しかしなかなかそれができないで住民運動としては苦労を重ねているところです。  そこで、この燐、窒素の規制の問題とあわせて国や地方公共団体が本気になって合成界面活性剤、LASやASについて野放し状態にしないで、どうしたら環境に対する悪影響を除去できるかという調査と実験を行っていただきたいということを強く要望いたしたいわけです。燐や窒素が直接富栄養化に与える影響を持っているわけで、それを除去するのは当然ですけれども、魚や昆虫、さきに述べました水柱植物などを殺してしまうような有害な物質、そういう物質を放置しておいていいのだろうか、一日も早い対策を講ずるようにお願いをしたいと思います。  冒頭にも申し上げましたけれども、わが国の環境行政の中で水環境への施策は最もおくれている一つではないかと思います。今国会で湖沼法案が直接審議されないことについて私は非常に残念に思っております。それが一日も早く実現するように国会議員の皆さんの御努力を心からお願いをいたしまして、私の報告を終わらせていただきたいと思います。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  速記を中止してください。    〔速記中止〕

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 速記を起こしてください。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、参考人の皆さんには、各委員の質疑時間が限られておりますので、大変恐縮でございますけれども、簡潔にお答えをくださるようお願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 参考人の皆さん、御苦労さまでございました。先ほどは貴重な御意見を賜りまして、私たち委員会の委員として今後の湖沼問題について審議をするにつきまして大変参考になりましたし、また激励もいただき、また御批判もいただいたところでございます。  そこで、皆さん全員の方にそれぞれ基本的な問題でお伺いしたいと思います。  湖というと、私もまず美しい風景というものを連想いたします。しかしいま琵琶湖、諏訪湖、霞ヶ浦に手賀沼も加えて、代表的な湖が死滅しつつあるという現況報告をされました。そういうことを考えてみるときに、昨年の一月二十七日、中央公害対策審議会が湖沼環境保全のための特別な制度をつくるべきだということを当時の鯨岡環境庁長官に答申を行った、それも当然であろう、このように思うわけです。しかしながら、その後の状況は、先ほど西堀参考人あるいは三ツ松参考人もおっしゃいましたけれども、残念ながら湖沼環境保全特別措置法という法の制定の準備をしながらも、建設通産両省の圧力によってその国会提出も見送られ、しかも内容も湖沼水質保全というふうに後退し、そして流産したという結果でありまして、私たちはこの国会の中で何とかこの湖沼法を提出させなければならないということで、本委員会でたびたび環境庁長官の決意を促し、また長官の方からもその努力について表明をされておったのですが、ついに提出を見ないまま今日の事態を迎えました。  このような経緯を踏まえてそれぞれの各参考人にお伺いをしたいのでございますが、まず第一点、環境庁の現在内閣におけるさまざまな問題は別にして、中公審の答申に沿って法制化をすべきだ、それは環境庁の逃れることのできない責任なんだというふうに私たちこの委員会に所属している委員は思っているのですが、まずその点について皆さん方の御意見をひとつお伺いをしたいと思います。  そして二番目に、環境庁が責任を持って法制化すべき法案は、やはり中公審の答申どおりの湖沼環境保全法というものでなければならぬ、何かそれを薄めたような形の水質保全法というふうなものであってはならぬ、このように私は思うのですが、この点についての御意見はいかがでしょうか。  それから三点目に、法制化を断念した環境庁は、断念はしたけれども「今後の湖沼環境保全対策について」ということで、いまから御紹介申し上げます二点を発表いたしております。  まずその一点は「リン、窒素の環境基準及び排水基準の設定を急ぎ、湖沼の富栄養化防止を推進する。このため、湖沼の富栄養化防止に係る環境基準の設定について、来週中にも中央公害対策審議会に諮問する予定である。」というふうに、まず第一点言っております。  それから第二点については「都道府県に対し、湖沼環境保全計画を策定し、これに従って次の各種対策を総合的に推進するよう指導する。また、このため関係省庁の協力を要請する。」ということで、下水道の整備、それから雑排水処理、あるいは工場の排水規制、農畜水産業に係る排水の規制、あるいはしゅんせつ、導水、曝気等の浄化事業、湖沼の自然環境保全に資する諸制度の活用等々について、これからしっかりやるから法制化しなくても大丈夫だと言わんばかりの現状であるわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。  それから四点目につきまして、私たちはどうしてもこの湖沼環境保全の法制化をしなければならぬ、内閣がしないならば議員立法化をもってでもこれを制定しなければならぬ、このように強い決意を持っているわけですが、その際、参考人の皆さん方はすでに御承知の内容と思いますが、現在行っている中公審の答申の内容以外にさらにこういう点を重視する必要があるのではないかということで、皆さん方が特に重要とお考えになっておられますことがございましたら、それについて御意見を賜ればありがたい、このように思います。  非常にたくさんのことを申し上げましたが、四点ありますけれども、そのうちの皆さん方が言いたいと、おっしゃっていただける点だけでも結構でございますから、ひとつ金沢参考人からずっと順次三ツ松参考人まで御意見を賜ればありがたい、このように思います。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) まず第一の、中公審の答申の線に沿って政府が立法すべきではないかという点でございます。  これは法律論的に申しますと、中公審は環境庁長官の諮問機関でございまして、諮問というのは、法律論的に申しますと御承知のようにそれを政府が実施しなければならない法律上の責任というものはない、それはいわば政治的道義的責任であるというふうに理屈はなっているわけだと思います。しかし実際問題として、今日国民の多くの人たちが要望しているようなことについて中公審が答申した場合には、それを実現していただくのがやはり大臣としての重要な責任であるというふうに考えております。  この点につきましては、何がゆえにああいう審議会ができてきたのか、できているのかという審議会の本質論の問題にもなるわけでございますが、その点で私の思いますことは、あの審議会は各専門の方々が集まっておられるわけでございます。ということは、それは政治と行政に人間の英知を反映するためのものであります。ところが、それが無視されるということはこの英知に対する国会の尊重の念がないという批判を受けてもやむを得ないかと思います。たとえばアメリカの議事堂、キャピトルに参りますと、そこらここらに上がっている額は偉大なる思想家、偉大なる科学者の胸像とか額が上がっております。わが国会にそういうことがございますでしょうか。  第二点は、水質保全という名前と環境保全という名前のどちらがいいか、環境保全をとるべきではないかということでございますが、私の考えといたしましては、先ほども申し上げましたように、これは環境保全ということで通すべきであるという意見でございます。  その次の第三は、今後燐、窒素の環境基準を決めるという問題でございますが、この点と、それから都道府県に総合的な保全計画を立てていただき実施するという方向はどうかということでございますが、これはいずれも必要でございまして、特に富栄養化のための基準項目、まあ項目はございません。そこで、これを新たに定めていくということと、そういうことに基づいて、地元の問題でございますから都道府県知事に総合計画の実施をお願いするという方向、知事というのは総合行政庁でございます。各省ばらばらになっておらない、知事のもとにその地域の行政が総合されていく立場におられるものでございますから、その知事さんにお願いしていくということが筋かと存じます。  それから最後は、特に議員立法でもやっていこうということでございましたか……

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私が四番目にお尋ねしましたのは、法律をつくるについて、中公審の答申はありますけれどもこれは特に重要だ、これだけは入れなければだめだとおっしゃる御意見があればということでございます。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) その点はつまり環境保全という立場に立っていただきたいと思いますので、環境、いわば周辺土地の利用とかそういうもの、この水質保全、環境保全という見地からの土地利用についての規制が総合的に行われることを期待しております。

鈴木紀雄滋賀大学教育学部教授

○参考人(鈴木紀雄君) 時間の関係もございますので、四つそれぞれ相関連している内容かと思いますので、ちょっと順序不同になりますけれども、そういう形でまとめてお答えさせていただきたいと思います。  私、先ほど申しましたように、環境の状況というのは日を追って悪くなっておりますので、一刻も早く国のレベルにおいて対策をとっていただきたいと常々考えているわけです。ところが、今回出されようとしておりました湖沼水質保全特別措置法、その内容を見させていただきますと、これはいろいろな経過があるということは聞いておりますが、かつては湖沼環境保全特別措置法という形になっておりましたのですが、これが建設省の反対がありまして、建設省の反対と申しますのは、湖沼といいますか、湖辺は治水利水、環境保全と一体のものである、したがって切り離すことができないので、こういう問題一つ切り離して環境庁が関与するというのはけしからぬというような意味の内容の反対があったというふうに聞いております。  それから、さらに水質だけにしぼりましても中小企業の対策は云々というようなことなどがあって出せないというようなことなどもあって、今国会に提案されなかったというふうに聞いているわけでありますけれども、私はもともと水質の問題、先ほど来からずいぶん議論されておりますけれども、富栄養化の原因となる窒素、燐などを規制する、これは当然必要なことだと考えております。しかし窒素、燐を規制さえすれば湖はよくなるかと申しますと決してそうではございません。湖辺の環境の保全というものは同時に水質保全につながっております。  しかも湖沼環境保全の法案の内容をちょっと見させていただきますと、単なる湖辺の環境ではなくて森林も含めて集水域全体の環境の保全ということになっております。そういう意味で湖辺並びに森林を含めて集水域の自然環境を守るということは同時に水質改善につながる、したがいまして、そういう環境保全というものだけを切り離して水質保全をすることが果たして可能であろうか、単に窒素、燐などの規制だけで十分であろうかというふうな疑問を持っております。したがいまして、本当に水をきれいにするならば、最初に出ております湖沼環境保全法でなければ意味がないのじゃないだろうかというふうに考えます。  それから、さらにこれは地方自治体の役割りというのがありまして、これは国のレベルだけで、基本的な観点は国のレベルで規制するということは重要だと思いますけれども、それぞれ地域に対応した対策ということが必要だと思うのです。  また、いろいろな地域に特殊な条件がございます。手賀沼は日本で一番汚い、それと比べますと琵琶湖はきれいであります。しかし琵琶湖がどういうように利用されているかということから考えてみますと、あるいは歴史的な背景から考えてみましても、これは手賀沼と比べてきれいだから少し安心していいというようなものでもないわけです。そういう意味で各地方あるいは各湖沼に対応した形で対策をとることが必要であるという点から、地方自治体にある程度いろいろな施策がとれるような、そういう余裕をとっておくことが必要だというふうに考えます。  それから、下水道とかその他いろいろな対策がそれぞれ必要だということでありますけれども、実は滋賀県において流域下水道がいま整備されつつありますが、その流域下水道そのものがまた新たな環境問題を起こすというような点がありまして、流域下水道のあり方、大規模であるいは工場廃液を入れるような流域下水道が果たしていいのだろうかという点もきめ細かく対応していかないと、機械的に下水道をつくればそれでいいというようなことにはならないだろうというように考えております。  それから、特に留意しなければならない点、これは先ほど申しましたように湖辺の環境の維持、これは水質の改善に非常に重要でありますから当然必要になってまいります。と同時に、先ほど来からも出ておりますように、森林を含めて集水域の環境を保全するということは、これは当然必要だと思いますが、現在琵琶湖総合開発事業が進みつつありまして、琵琶湖条例が一方でできておりながら片方では自然破壊、特に水質悪化あるいは生態系の破壊を引き起こすような、そういう事業が片方で進行しております。こういうことでは結局県民挙げての富栄養化防止条例ができたにもかかわらず、それが水泡に帰してしまうというようなことになりかねないわけであります。そういう意味で開発そのもののあり方を考えていく。しかもその開発のあり方を考える際に、基本的には人間の生活様式そのものももう一度問い直していく、あるいは考え直していく。  たとえば特に琵琶湖総合開発の問題はいま水需要の問題と関係しておりますが、水需要が果たして将来ふえるだろうか、そういう根本的な問題を含めて検討していく必要があると思うのです。その際に、いま仮に水需要が高くなるということになったといたしましても、どうすれば水の需要を高くすることがなくて済むか、少ない水需要で済ますことができるかというような問題、これは一つの例でありますけれども、生活様式という一つの例でありますけれども、そういう問題も含めて考えていかないと、具体的にあるいは実行可能な対策というのはできないのじゃないだろうか、そういうふうに思っております。  そういう観点から基本的かつ根本的な問題を含めたそういう内容を持つ法律密つくっていただきたいというふうに考えております。

沖野外輝夫信州大学理学部助教授

○参考人(沖野外輝夫君) 第一点目ですが、水は生き物にとって最も重要なものでありますから、やはりそのもとになっている湖の水というのを保全することは非常に重要だと思うのです。湖の富栄養化というのはすでにもう原因も結果もその対策も大まかなところはわかっているわけですから、現在法制化するというのは遅きに失してはいるものの早いということはないので、早急にすべきであると考えます。  それから、第二点目は湖沼環境保全ということですが、湖というのは水ためではないので、いわゆる湖という機能、構造を持っているものですから、湖という一つの生態系というものを頭に置いていろいろなことを考えていく必要がある。という意味からいきますと、後背地を含めて全体の環境保全という形でもって法案をまとめるべきであると考えます。  それから、三点目は、一、二点がされれば問題はなくなるわけですが、仮に環境基準というものを決めていくとしますと、湖といいますのは全国の湖がみんな一律に同じ湖ではありません。いろいろなタイプの湖がありますから、そういうことを考慮した上で基準をつくっていく必要がある。そういう意味で各県へ総合的な指導ということであれば、そういう点のきめ細かい指導が必要になるかと考えます。  それから第四点目は、申しわけありませんが中公審の答申の中身を全部覚えているわけではありませんのでよくわかりませんが、湖というものは先ほどお話ししましたように湖だけで独立してあるわけじゃなくて、いわゆる集水域の中の結果としての湖ですから、集水域全体にかかわるようなことを含めたものにすべきであるというふうに考えます。

須藤清次茨城大学農学部教授

○参考人(須藤清次君) 湖沼に関する法律というのは、現在の環境容量、その環境を利用する人間の生産活動あるいは生活の環境容量が問題になったということで独立な法律を求められているのだと思いますね。ちょうどいまも外国でやっておりますけれども、十年前にもかけがえのない地球、ただ一つの地球という言葉が出ましたけれども、それは環境容量の問題が現在問題になっている歴史的段階であるということだと思いますね。そういう点で湖沼法はまた独立の現在的な意義があるのだと思います。ほかでかえられないのじゃないか、そう思います。  それから、環境の問題は、いままで皆さんと同じようにこれは富栄養という言葉はいままで水質問題ではなかったのですね。いままであったのは、毒物とか汚れを出すなという問題で水質汚濁防止法なんかもでき上がっているわけです。ところが窒素や燐は毒物じゃありませんから、多いことによってそれが湖という中で有機汚濁を再生産するというメカニズムですから、これが違った意味を持っているわけですね。これは全環境のもとで成立しますから、私は湖辺だけでなく山のてっぺんからの問題を考えなければならない、そういう点で環境全体の問題とすべきだと考えます。  それから、N、Pの問題も触れてしまったわけですが、そういう点で窒素や燐の規制ということはいままでの水質汚濁防止法で言っているような規制とは違った意味を持ったものだということで、湖沼法の存在ということが浮かび上がってくるのじゃないかと考えます。  それから、中公審のお考えの中にも各地域ごとの特殊性の問題が触れてありますが、それはいろいろないままでの諸法制との関連でうまくやらなければならない問題があるということなんだと思いますが、一つの問題は各自治体で土地利用の問題を制限するという問題があると思います。これは現にいままでも都市計画法、私余り詳しく読んでおりませんけれども、都市計画法あるいは農振法などは土地利用計画を制限しております。で、土地とか水とかというものは営業の自由などとまた別な特別な意味があるわけですね。そういう点でいまでも人間の自由を制限している法律というのはうんとあるわけですね。  それで、流域全体の開発あるいは土地利用の制限という問題が出てくるわけですけれども、そういう問題も、初めに述べましたように、現在環境容量の問題が社会的問題になっているのだという観点からすると、当然土地利用の制限ということは触れないわけにはいかないのだと思いますね。これなしには環境の問題を議論できないのじゃないか、そう思います。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) まず、一点の中公審答申による法制化の問題でございますけれども、私は審議会の答申を読ましていただきまして、当然あるべき問題を全部掘り出して網羅されているというふうに感じておりますので、その内容で法制化を進めていただきたいというふうに考えております。  当然そうなりますと、内容は第二点の水質と水辺、当然一体となった管理法でないと意味をなさない、こういうふうに思います。  次は、法制化断念後の環境庁の方針に対してでございますけれども、当然N、Pの環境基準と排水基準は早期に設定をしていただきたい。私の方と茨城県とは独自のN、P基準を設定し努力をしてまいりましたけれども、なお他の湖沼ではなかなかそういう作業が複雑でございますから、設定しにくいという問題もございますから、早期にこの環境基準と排水基準の設定の努力をしていただきたい。  次に、第三点目の二点になりますが、湖沼環境保全計画を都道府県知事に策定さすということでございますけれども、私はそういうことを当然地方自治体としてやるべきであろうと思いますけれども、四番とかかわりがございますけれども、現実そういう計画を策定いたしまして実効を上げるには、とにもかくにも財政的な特別負担を保証するということがなければ、単に都道府県知事に環境保全を押しつけるということでは効果が上がらないし、各県知事も策定に積極的にならないであろうというふうに感じております。  したがって、四点の議員立法をお考えいただく際には第一点の中公審答申を当然守っていただく内容であり、かつ財政面につきましても御配慮を賜らないと、たとえば屎尿あるいは工場、事業所の高次処理に対する非常な高額経費がかかっているものに対する対策については、さてどうするかということになりますと、ざる法になるような法律では困るということでございまして、その辺を強く要望もし期待もいたしておりますので、よろしくお願いをいたします。

三ツ松要手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表

○参考人(三ツ松要君) 第一の問題については、環境庁は当然中公審の答申を尊重すべきであるというふうに私は考えております。  それからしたがって、第二番目の問題ですけれども、中公審の環境保全を行うという内容で法制化すべきであるというふうに考えます。  それから、第三の問題については、いま西堀さんの方からもお話がありましたが、実際に自治体が具体的な施策を行うことができる保証があるのだろうかということで心配をいたしております。特に私のところなどは手賀沼ですから、五市三町一村という直接関係のある自治体があるわけですが、そこに具体策をとるに当たっての権限を特たせるような方法がとれないのだろうか。ただ県でというだけではなくて、直接関係する自治体が権限を持つというふうな方法がとれないのだろうか。それは私はどうしたらいいかわからないわけですが、その辺をぜひお考えいただきたい。  それから、環境基準はつくっても実際に規制ができなければだめなわけですから、総量規制をやはり思い切って導入していただきたい。  それから、議員立法に当たって何かということですけれども、これは第三の問題と絡むわけですが、私の考えでは自治体の権限を尊重するような立法にしていただけないだろうかということを繰り返して申し上げたいわけです。  そこで、地方自治体という場合に、よくそれは市役所のことだというふうな考えがあるわけですけれども、私は自治体というのは執行部と議会とそして市民が一緒になってつくっているのが自治体だというふうに考えておりまして、市民の協力、まあ協力といいますか、むしろ市民が行うべき役割り、環境保全に当たって市民が行うべき役割りということが非常に重要なんだというふうに思っております。役所任せということじゃなくて、一体市民に何ができるかということを議員立法に当たってはぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 ちょっと誤解があったらいけませんので申し上げておきますが、私が四番目に申し上げましたのは、議員立法するについてと言ったのじゃなくて、政府がどうしてもこれは責任を持ってやらなければならない問題で、それはあくまで追及していきますが、それでもなおしないとすれば議員でもやらなければならない問題だろうと、まあこういう立場で申し上げておりましたので、ひとつそれは誤解のないようにお含みいただきたいと思います。  そこで、金沢参考人にお伺いをするのですが、先生の論文を少し読ましていただいたのですが、その中に、先ほどもおっしゃいましたけれども、湖沼の流域保全を含めた湖沼の環境保全でなければならぬという立場で、現行の自然公園法あるいはまた自然環境保全法、この二法律を適用するのみで果たしてできるかどうかという、現行ある自然公園法、自然環境保全法との関係で湖沼の環境保全という問題について言及されておられる部分があったわけですが、この点につきまして少しお考えをお聞かせ願えればありがたいと思うのですが。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) 自然環境保全法とか自然公園法はそれぞれ適用地域がございます。それで、その中にも特別地区とかいろいろ規制の厳しい地区もございますが、その適用地域の中にその湖沼が入っておれば自然環境保全法とか自然公園法でも対策が講じられる、あるいは規制が講じ得るということになります。  しかし、その法律自体の目的からいきますとそれぞれ違うわけです。自然環境保全法は自然公園法のカバーしないところをさらに保全していこうということであれはできたかと思いますが、それぞれの法律あるいはその法律に基づく行政目的はそれぞれ違うわけなんですね。ですから同じ規制対象あるいはこの法律の適用対象の中でも行政目的が違う場合には、それぞれの行政目的に適合した立法が行われるという例はほかにもいろいろございます。そういう意味で、やはり湖沼を中心とした環境保全ということになると、その法制度の中に盛り込んでおくということが必要である。  問題はその場合の行政運営上の調整の問題になってくると思います。で、調整の問題は従来の例を見ますといろいろな協議会を設けたりなんかして、わが国の行政官は非常に優秀でございますので、非常にうまくそれを調整していかれるのが行政実態、行政実務の実態だと思いますので、やはり湖沼環境保全特別措置法というもので、先ほど先生おっしゃった集水地域であるとか湖辺であるとかいうものを含めて、その目的をはっきりしたところへ焦点を合わせた制度化が必要である、こういう考えであります。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 ありがとうございました。  それでは鈴木参考人にお伺いをするのですが、先生の文献も二、三読ましていただきました。先ほども御意見の中に琵琶湖総合開発の問題がございまして、そして先ほどの意見の中にも水需要という問題を人間生活の中でどうとらえていくのかということも一方で考えていかなければ、水がそれではもう無限大に需要するという立場に立っていったらどうなるのだというふうな御意見もあったように思いますが、その琵琶湖総合開発という問題が一方にあって、そして一方でその琵琶湖の湖沼環境保全という問題があるわけですね、裏表の関係で。ここの問題、先生の立場は若干琵琶湖総合開発のいまのあり方について疑義ありという御意見じゃないかと思うのですが、率直なひとつ御意見を伺えればありがたいと思うのですが。

鈴木紀雄滋賀大学教育学部教授

○参考人(鈴木紀雄君) 実は琵琶湖総合開発特別措置法案、これは十年延長されまして、ことしもう一度再出発したわけでありますけれども、その目的のところに書いてありますのは、自然環境を保全しながら汚濁した琵琶湖の水質を改善しというふうに書いてあるわけです。そういう意味で、本来琵琶湖総合開発の掲げられている目的からいきますと、環境保全が主要な役割りを果たすということになるわけでありますけれども、一部そういう内容のものが入っております。  しかし、私たちが琵琶湖総合開発全体の事業をずっと見回してみますと、経費が非常にかかっております事業、たとえば水資源開発にかかわる問題、その中にはしゅんせつの問題とかあるいは湖周道路、まあ湖周道路という言い方はしていなくて治水のための湖岸堤、しかしその湖岸堤は幅十五メーターで観光道路に使われるのじゃないだろうかというふうに考えておりますけれども、そういう湖岸堤の建設、あるいは下水道をつくるために、これは流域下水道で非常に大きな規模の下水道をつくるために土地がない、そういうことで人工島をつくる。七十四ヘクタールの人工島がすでにつくられてしまっております。  また、その人工島をつくるために琵琶湖の底を掘りました。いままで四メーターだった深さが十四メーターに掘られてしまいまして、底の方は夏になりますと酸素がゼロになっております。一番底の方で汚いのは実は比較的きれいだと言われております琵琶湖の北湖の方でありますけれども、その北湖以上に汚い部分を人為的につくり上げてしまったというような問題があります。それからまた、人工島と湖岸の間の水路ができたわけでありますけれども、その水路が琵琶湖で一、二を争うほど汚い水質になっております。そういう点で琵琶湖総合開発事業が環境に対して悪い影響を与えていることも事実だと思うのです。  それからさらに、次から申し上げます問題は多少いろいろ議論があると思いますけれども、たとえば河川改修をするとか、あるいは圃場整備の中で用水路と排水路を分離する、そしてその水路が三面コンクリート張りになるというようなことで自浄能力は低下するというような問題もございます。  それから、その他幾つか例を挙げてみますと、環境に対して悪い影響を与えるものがあるわけでありますので、たとえば合成洗剤をやめる、これは確かに意味のあることでありまして、お金もかからずいますぐ手っ取り早く水質を保全するための、あるいは水質を改善するための一つの手だてとして重要だと私は思うのです。と同時に、お金をかけずにいますぐできることは、現在ある残り少なくなった自然を破壊しない、これもお金をかけずいますぐできることだと思うのです。一方で合成洗剤、特に合成洗剤というのは大きな問題になっておりますが、工場も多少あるのですが、県民だけが琵琶湖を汚している、つまり琵琶湖を汚す犯人は県民であるという形で規制いたしますと、これは比較的容易であります。  ところが、行政側が環境に対して悪い影響を与えるような事業をやる場合についてはこれはなかなか規制されにくい。もちろん行政側は直ちにそういう問題をすぐに解決するということは非常に困難であることはよくわかっております。しかし、これもたとえば湖沼環境保全立法ができるとか、あるいはその他いろいろな手だてを経ながらそういう環境に対して悪い影響を与えるような事業は少なくともいまやめるべきでないだろうかというふうに考えております。  以上です。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 最後に、いま琵琶湖の問題が出ましたので西堀参考人にお伺いするのですが、西堀参考人は全国湖沼環境保全対策推進協議会の会長をしておられますですね。御苦労さまでございますが、それで、四月二十八日も総会を持たれていろいろ協議をされておるようでございますが、この協議会が一つの大きな力になって、湖沼環境保全法の制定なり、あるいはまた都道府県各市町村自治体が湖沼環境保全にかかわるそれぞれ自治体としての権限と責任において、その仕事を遂行していくということについての国との関係でいろいろな論議をしていくいい場じゃないか、こう思うのですが、これを今後どのように運営し、いま私が言いましたような立場に立って活動をしていかれようとしているのか、その点のひとつ御意見をお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) この組織は各府県の実務レベルの組織でございまして、それぞれ環境担当の部長を構成員といたしております。協議会発足は昨年の九月でございますけれども、ちょうどそのときの参加府県は二十二でございまして、湖沼の環境基準を制定している府県でまだ参画をされなかった向きもあったわけですが、その後、いまお話がありました協議会総会までに六県が入りまして二十八都道府県というふうになりまして、あと環境基準を制定している未加入県は三県というぐらいこの問題に対する関心の高まりがあるわけです。  そこで、私たちは、これは設立の当初から富栄養化というものは、先ほどから先生方のお話もありますように湖沼の個性によって状況がずいぶん違うわけなんですね。したがって、この場は情報連絡を常とするということと、それによっていろいろ問題点が出たものにつきまして政府への施策の迫りをする、こういう立場をとっております。したがって湖沼法につきましても重大な関心を持っております。  その場で出ておりますのは、先ほど来私が申し上げ、他の先生方も申し上げておられるように、やはり湖の環境と取り組み、さらに国の財政的なあるいは行政的な制度を確立することが一番根本的なことであるというようなことでございますので、この協議会はいま申し上げましたように実務レベルでございますから運動をやる団体ではございません。したがって行政がとるべき対策についての具体的なものの情報を交換し、できるものは早期に実現し、国で実行を迫るものは直ちに国の方で政策としてお取り上げをいただきたい、こういうような行動をいたしたいというふうに考えております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 終わります。

山東昭子自由民主党

○山東昭子君 金沢先生にお尋ねいたします。質問の内容でいままでの中で幾分重複する点もあろうかと存じますけれども、その場合にはいままでの御意見の中で言い残されたことをおっしゃっていただければ幸いでございます。  最近のわが国の水質汚濁の状況を見ますと、閉鎖性水域における水質汚濁の改善が進まず、とりわけ湖沼の水質が大変悪くなっております。昭和五十五年度の環境基準の達成状況を見ましても、海域八〇%、河川六七%に対しまして湖沼は何と四二%しか合格しておりません。また湖沼を水源とする水道水のカビ臭の発生であるとか、あるいは水産業への影響、景観的価値の低下など水質汚濁による障害の事例も多く報告されております。  このままの状態は非常に憂うべき状況だと思いますけれども、湖沼は言うまでもなく私たちにとっては大変重要なかけがえのないものでございますけれども、なぜこのように水質汚濁が進行し、また改善が進まないのか、その原因について先生はどのようにお考えかお聞かせ願いたいと存じます。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) 原因でございますが、これは先ほどどなたか先生もおっしゃいましたように、環境の破壊あるいは汚濁というものは自然にも行われるということでございますが、ここでの問題はやはり人為的な環境の汚濁だと思います。そういたしますと、やはり汚濁は人間活動を通じて発生してきております。  その中でも特に産業の、この産業と申します場合には工業、農業、畜産業、水産業すべてを含むわけでございますが、それの発展に伴って排出物が出る。排出物が出るというのは生産活動の一つの私は生理的現象だと思うのです。それは決して病理的な現象ではない。どうしてもそれは物を食ったら出るというようなもので、出るものでございますが、その出方をどういうふうにして規制していくかが問題でございますが、原因はそこにある。  それともう一つは、一般の市民がやはり汚濁源になっておる。これは見逃すことのできない現象でございます。特に最近は戸外レクリエーションが発達するとともにモータリゼーションが発達しておりますが、そういうものがまき散らす汚染というものは相当なものでございます。  琵琶湖を例にとって申しますと、湖岸道路、先ほどのお話のように湖岸道路はこれは当然その上を自動車がたくさん走るわけでございますが、その自動車からあの湖岸に投げ込まれているところのもろもろの空き缶であるとかビニール製品であるとかいうものは、まことに残念でございますが非常に多い。それが湖水の流れによりましてあるところへそれが集積して打ち上げられているというような状態でございます。  ですから、要約いたしますと、原因は生産活動と市民の日常活動から出てきておる、原因はそこにあると思います。

山東昭子自由民主党

○山東昭子君 次に、湖沼の水質汚濁を改善し、あるいはこれ以上進行させないためには湖沼の保全対策はどうあるべきか、先生のお考えをお伺いしたいと思います。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) 湖沼の環境保全対策を考えます場合に、大きく分けますと二つの面があると思います。  その一つは湖沼そのものについて改善していくというやり方でございまして、たとえばしゅんせつであるとか、曝気であるとか、そういった方法がございます。あるいはごみの清掃であるとか、そういったものが一つございます。これはやり方によってはかなり大きな効果を発生するものでございまして、中にはボランタリー活動によってこれが行われているというような例もございますが、それが一つある。  それからいま一つの対策は、先ほど申しました原因としてそこへ流入していくところの汚染物質を流入しないようにするということが必要である。結局それは市民の活動を、まあ市民といいますか生産活動等を制限することになりますが、その排出基準を決めて規制していくというやり方が必要であるということでございます。これ以上汚濁を起こさないようにするというのにもいまの方法が非常に有効でございまして、そういう方法があると思います。

山東昭子自由民主党

○山東昭子君 湖沼の環境保全のための新たな法制度のあり方について中公審より昨年答申が出されたわけでございますけれども、その中で従来の個別対策のみではその効果に限界があり、それぞれ湖沼ごとの特性に合わせた新たな措置の導入と総合的かつ計画的に諸施策を推進するための制度の確立が必要であることがうたわれております。私も基本的に賛成でございますけれども、湖沼保全のために新たな法制度の必要性について、ここで改めて先生のお考えをお伺いしたいと存じます。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) その点につきましては、でき得べくんば湖沼環境保全という観点から広く総合的に立法をしていく、そしてその立法の必要性は現行法と比較いたしました場合に大いにあるということを先ほども見解で申し述べましたとおりでございますので、御了承いただきたいと思います。

山東昭子自由民主党

○山東昭子君 湖沼環境の保全対策として、環境庁は湖沼法による新たな制度の確立を図ることのほか富栄養化防止対策、そして環境基準や排水基準の設定等を考えていると聞いておりますけれども、このことについて先生のお考えを最後にお尋ねをしたいと思います。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) その点は、湖沼についての環境基準、特に排出基準についてはやはり新たに制定すべきである、その場合にいわゆる富栄養化というものが大きな問題になっておりますが、その富栄養化を規制するような項目でございますね。たとえば燐とか窒素とかそういうものを決めていく必要があるということと、いま一つは総量規制の仕方を用いるということでございます。  その点に関しまして委員長、ちょっと委員長におわびなりお願いなりがございますが、先ほど私が見解を述べましたときに湖沼については総量規制がない、瀬戸内海環境保全特別措置法には総量規制がございますので、あの方法を導入すべきであるということを私は申し上げるつもりで、うっかりして瀬戸内海の特別措置法でなしに琵琶湖総合開発特別措置法と申しましたので、これは全く私の意のないところでございますのでよろしくひとつ御訂正を願いたいと思いますので、委員長にお願い申し上げたいと思います。  以上でございます。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 後で議事録を調べまして、そこの部分は整理をしておきたいと思います。

金沢良雄成蹊大学名誉教授

○参考人(金沢良雄君) 恐れ入りますが、本当に心にない、少しこういう席に呼ばれますと上がりますので、うっかり琵琶湖総合開発特別措置法と申しました。どうも申しわけございません。よろしく御訂正いただきたいと思います。

山東昭子自由民主党

○山東昭子君 どうもありがとうございました。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 すでに多くのことが述べられまして、大変今後の参考にさせていただきたいと思います。  私がお尋ねしたい点は、条例が先にできましたところの滋賀県、茨城県につきまして鈴木参考人、須藤参考人、西堀参考人になお御意見があったらお聞かせいただきたいと思いますが、それは先ほど来お話のように国の方がなかなか湖沼環境保全法というようなものが進まない、進まないときに一歩先に進んでおやりになっていらっしゃるということ。もう一つ環境影響事前評価、これについても国の方では相変わらずもたもたしておりますが、すでに進んで実施している自治体もあるような観点からしまして、従来の経験を踏まえたりあるいは成果の面から、こういう点がよくなった、こういう点がまだ不満足だというような点がありましたら率直にお聞かせいただきたいと思います。  特に先ほども出ておりました財政面の問題、それからこれは外国の例でもありますけれども、ある湖の周辺で土地利用計画を非常に熱心にやっているのを私たちも参考にお聞きしたことがありました。こういう点についてのお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

鈴木紀雄滋賀大学教育学部教授

○参考人(鈴木紀雄君) 琵琶湖富栄養化防止条例、これが滋賀県で一番最初にできたわけでありますけれども、私も多少合成洗剤対策委員会に入っておりました関係上、そういう経過について非常に深い関心を持っているわけですが、どうして国に先駆けて滋賀県でそういう条例ができたのか、これは私たち十分な解析、今後の環境問題を考える上であるいは環境問題に対する対策を考える上で非常に重要なことじゃないかというふうに思っているのです。  実は合成洗剤問題は全国的にもう二十年前からいろいろ問題になっておりまして、これは環境問題だけではなくて人体に及ぼす影響も含めて問題になっておりますが、たまたま滋賀県で一九七七年に赤潮が発生した、これが非常に大きなきっかけになったのじゃないかというふうに考えております。もしも琵琶湖で赤潮が発生していなかったとするならば、現在果たして富栄養化防止条例ができただろうかというようなことも考えているわけです。そういう意味で環境のよくわかるような形での大きな変化がきっかけになったのじゃないだろうか、そういうきっかけによって滋賀県で富栄養化防止条例ができたことがさらに全国的に大きな影響を与えたのじゃないだろうかというふうに思っております。  ただし、先ほど西堀生活環境部長が言われたのですけれども、たとえば昨年、発表されましてちょうど一年を迎えたわけでありますけれども、昨年の七月、一年を迎えたわけでありますが、燐が減った。これを琵琶湖における燐の変動をグラフにあらわしてみますと、確かにこの減ったといいますのはおととしの昭和五十五年のときの燐が減っているわけです。去年の燐はまだどうなっているかわかりませんが、五十四年と五十三年、ちょうど五十五年から一年前と二年前は特に燐の濃度が高くなっておりました。そういうときと比べますと確かに減っておりますが、赤潮が発生する前の状態、ちょっと何年か忘れましたのですが、五年ほど前だったと思いますが、そのときの燐の濃度よりはなおかつまだ高い状態であります。そういう意味で確かに一年前と比べて燐が減っておりますが、果たしてこれからあのような調子で減り続けるかどうかということに関しては疑問です。  したがいまして、私は当然富栄養化防止条例ができて、そして合成洗剤、その他工場からあるいは農業排水から燐あるいは窒素が入らないようにする、これは評価すべきことだというふうに思っておりますが、それだけがすべてでない。  たとえば下水道の問題で、これ三次処理をしなければ富栄養化対策にならないというように言われております。この場合に、先ほど申しましたように、ただ流域下水道さえつくれば問題がないかといいますと、いろいろな問題がございます。これは先ほど出ましたように経済的な面でも問題があるというふうに言われております。私ちょっとその辺の専門家じゃありませんのでよく過程はわかりませんが、結論から申しますと、小さい規模の下水道を幾つかつくった方がまたより経済的であり、なおかつ早く下水道が整備されるというような報告もございます。  ところが、私は基本的には、下水道を一つの例にとって申し上げますけれども、土地の利用ということも含めてなんですが、環境問題を考える基本はやはり生態系を基準にして考えていかなければならない、たとえば人口の配置がどうなのかということも、これは生態系にかかわる問題でありますし、それから下水道も、もともと本来人間の排せつ物は田畑に還元されてそれが作物になって再び人間に利用されるという物質の循環形態があったわけです。下水道をつくることによってそういう物質の循環が切り離されてしまう。もちろんこれは農業形態にもよりまして化学肥料が使われているということとも深い関係があるわけでありますけれども、そういう形で生態系が破壊されてしまっている。  だから、生態系を維持した形の下水道とは一体どんなものかということになりますと、たとえば二次処理をしてそれを田畑に還元するような、そういう新しいシステムの下水道をつくるべきじゃないだろうか。もちろん汚泥については田畑に還元するということは考えられておりますが、二次処理した水そのものも農地へ還元する、あるいは山地に還元していく、そういうふうにすれば三次処理は必要ないわけです。非常に人口の集中しているところは三次処理は必要かと思いますけれども、どこでも三次処理をする必要はない。  そうなりますと、経済的に三次処理の場合には非常に大きな経費がかかると言われておりますが、そういう経済負担が減ってまいります。そういう意味で、生態系を維持するような形の総合的な対策をとるということが必要じゃないだろうかというふうに考えているわけです。  以上です。

須藤清次茨城大学農学部教授

○参考人(須藤清次君) 茨城県では昭和四十八年に公害防止条例の抜本的改正が行われたわけです。それで、国の水質汚濁防止法では排水路の水質というのはCODで一六〇ppmということなんですけれども、茨城県ではそれを二〇ppmにしたわけです。つまり活性汚泥法の技術的限界を追求したわけです。そういう改正があった後に、昭和四十八年から大体その水質は非常に回復し始めたわけです。私ども測定してみまして、五十四年までだんだん下がってきたのはやはり効果はあったのだなと、こう思っていたのですが、現在はまた一〇ppmぐらいに非常にはね上がっているというわけです。  そういうふうな条件の中で非常に市民運動も強かったし、県の努力、それから水質審議会などもいろいろな努力はあったと思いますが、滋賀県にならって去年の十二月に富栄養化防止条例をつくって、今度はN、Pを規制するという問題をやったわけです。  滋賀県の場合と比べて特徴は、後からつくったから若干改善されている点があると思うのですけれども、富栄養化防止条例は七つの章から成っているのですけれども、滋賀県の場合にないものが一つあるわけです。それは第二章に「富栄養化の防止に関する基本計画」という章がありまして、そこで計画をつくったら県民に公表するということを九条でうたわれております。それから七条では、流域の開発に当たっては環境から「配慮する」という言葉で、規制はしていないのですけれども、開発の配慮という言葉が使われている点が実は進んでいる点だと思います。  それから、富栄養化防止条例における排出水量の規制は琵琶湖よりも少しきつくて一日二十トンの排出水量から規制しているわけです。これは茨城県の先ほど申し上げました四十八年の公害防止条例の中の改正にならったわけで、そのときに排出水量は国が五十トンですけれども二十トンにしましたから、それを踏襲して、あわせて県の公害防止条例と同じような形で二十トンを富栄養化防止条例に適用したというわけです。そうしますと、そういうことは地方の条件によってできるわけです。そういうことが非常に大切なことなんじゃないかというような気がしております。  それから茨城県内の問題としましては、これは霞ヶ浦の集水域というのは県内の面積の三分の一を占めているわけですが、水戸市の方はそれに入っていないわけです。水戸市の方の市民運動としてもそれは県民の問題として同じ対象にせよという問題が起きました。これも非常に参考になる問題じゃないかという気がします。これは本当に集水域の中の人々だけがその問題に関心を持っているのじゃなくて、自治体として、県内の問題として、日本の国土の問題という形で意見を出している市民団体があるということは非常に大切なことなんじゃないかというような気がします。  それから疑問に思う点は、水質汚濁防止法あるいは県の公害防止条例の線に沿って流域下水道ができているわけです。県南の霞ヶ浦の流域下水道は二つありまして、湖北流域下水道というのと常南流域下水道というのがあって、学園都市は霞ヶ浦の流域なんですけれども、これは南の方に布川、現在の利根町で終末処理場があります。その流域下水道の問題との関係を一言も触れていないわけです。富栄養化防止条例というのはそれはN、Pを規制するという独立の制度と言えばそれまでですけれども、非常に水質環境の問題で重要な役割りを占めている流域下水道問題を一言も触れていないというのは非常におかしな感じがするわけです。  また、さらに対象となる施設はいろいろな工場、事業場等あるわけですけれども、それが当然のことですけれども流域下水道の終末処理場も対象になるわけです。ところが終末処理場というのは水質環境を保全するためにつくっているのが、またそれが対象になるというのは論理的には非常におかしなわけです。というのは、終末処理場はCODは出さないけれども、N、Pは出すから、そういう論理的な矛盾が少しあるわけです。処理施設自身また対象になるというのは、これは結構なことなんですけれども、それは流域下水道そのものがいかに水質にとって不完全なものであるかということもまた証明しているのじゃないかという気がします。  以上です。

小平芳平公明党・国民会議

○小平芳平君 もう一つぜひお聞きしたいことがありますので、沖野先生にお伺いしたいのですが、アオコが減ったというふうに地元の人が言うのを私も聞いたことがありますが、それは感じで減ったという感じがするという程度なのか、それとも何か客観的にはっきり確かに減ったというふうに言えるものがあるものなんでしょうかということが第一点です。  それは減ったというが、とにかく諏訪湖はもう臭くてたまらなかった。花火大会も鼻つまんで天だけ見ているという、臭くてたまらなかった。それが幾らかよくなったということはどういう原因か、アオコの発生自体いろいろな原因が複合して起きてくる現象でしょうと思いますので、一言には言えないでしょうけれども、概略してどういうことが考えられるか。よくなったとすればどういうことが考えられるかという点をお伺いしたいと思います。  それから第二点は、諏訪湖の方では、合成洗剤の負荷量とその対策で条例による使用禁止、そういうようなことが切実な問題となっておりませんかどうかという点。  それから第三点としては、諏訪湖の治水事業によるしゅんせつがありました。それで諏訪湖そのものを埋め立ててやっておりましたが、そうすればその分はきれいになるでしょうが、そういうようなことで、今後どうしますかという点です。今後のヘドロ対策としてはどういうふうな考え方がありますでしょうかということをお伺いしたいのです。  それから、西堀参考人にさっきの御意見がありましたら伺いたいのですが、特に琵琶湖サミット、湖沼サミットなんてやりまして、環境庁でも環境庁長官が先に立ってやって、大いに機が熟したと思ったにもかかわらず今日のような結果になったのは非常にわれわれも残念に思っておるのですが、お考えがありましたらお述べいただきたいと思います。

沖野外輝夫信州大学理学部助教授

○参考人(沖野外輝夫君) 第一点の諏訪湖の現状がどの程度改善されたかですが、私ども一九七七年とそれから昨年度同じような方法で測ってまいりまして、夏場のアオコの出たときだけの透明度で比べてみますと、七七年、まあ一番ひどいときと考えていただけばいいのですが、平均で透明度が大体三十センチぐらいのものが昨年は七十センチぐらいになっておりまして、データ的にも非常に改善されていることは確かです。それからアオコの発生量もほぼ半分ぐらいに去年なっております。  その原因ですけれども、これは全部下水道によるということであれば非常にありがたいのですが、いろいろと生き物の方は天候の関係がありまして、年度ごとにいろいろな増減がございます。そういうようなものも相乗的に作用して、下水道の効果もプラスされたということだろうと思います。  その理由としましては、一昨年は冷夏と言われておりまして、その前も冷夏というようなことで、いろいろ植物の方の繁殖も悪かったわけですが、やはりアオコも少なかったわけで、そのときの状態と非常に近い状態になっております。昨年は気象的にはそれほど冷夏の状態でありませんので、そういう意味で気象的な条件と重なって下水道の効果もあったと見ていいのではなかろうかというふうに考えます。その理由は、先ほどの屎尿処理場の排水が入って、一挙に窒素、燐が三〇%削減された形になっているということがあるというふうに考えます。  それから、二点目の合成洗剤ですが、下水道の対策といいますのは、先ほど鈴木先生もちょっと触れられておりましたけれども、非常に時間的に長くかかります。一九六六年ごろからいろいろ下水道のことが考えられ始めて、七九年に初めて一部分が流入できるということですから、そういうことを考えますと、発生源でより早くに対策の立てられるような方法をとることによって湖の回復も早くできるということですから、諏訪湖の場合七九年から一部始まっておりますけれども、同時に合成洗剤の方の対策もとればもっとより効果が上がるということが言えますので、そういう意味で、早急に湖を回復するとすればそちらの方の対策も含めてやるべきであると考えております。  それから、三点目の治水事業ですが、しゅんせつが湖の浄化に果たして役に立つかどうかというのは論議の分かれるところでして、いわゆるヘドロという言葉の定義もあいまいですし、いわゆる非常に汚れているような泥、たとえば非常に汚れている川が入っている直後のところの湖泥みたいなものは非常にいろいろなものを含んでいて、いわゆる腐泥になっていますから、そういうものを除去することは必要かと考えますが、湖全体の湖底にある泥がヘドロというふうに解釈するのは誤解ではなかろうかというふうに考えられます。  ですから、一部分の局部的なそういう非常に汚れている泥を取ることは効果があるというふうに考えますが、じゃ、諏訪湖でしゅんせつ事業が行われてどの程度湖の浄化に効果があったかというと、その判定は非常にむずかしくてわかりません。あったのかないのか、果たしてマイナスだったのかということもわかりません。  で、一つしゅんせつで問題になるのは、ちょうどしゅんせつをするところというのは湖岸に沿ってでありますけれども、その辺は水草帯がありまして、いろいろな魚やなんかの産卵の場になっていたり、それから生育の場になっているわけですが、そういうところの水草を泥と一緒に取り去ってしまうということで、湖の水がめ化みたいな形をとって、生態系の破壊ということに影響が出てくる可能性がありますので、そういうものをプラスマイナス考えますと、果たしてしゅんせつ即よいということにはならないようなふうに私は考えております。  では、今後のそういうようなしゅんせつのあり方はどうしたらいいかといいますのは、いまも言いましたように非常に汚れた川が入ってくるようなところのいわゆる腐泥についてのみそのしゅんせつを行う、それから同時に、流入するごみが非常にありまして、湖が汚いというのはごみのせいが多いのですけれども、そういう浮遊して入ってくるような流入固形物を河川が入るところで除去していくことが必要であろうというふうに考えます。  以上です。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) 琵琶湖の富栄養化防止条例の評価につきましては一定の世間からの御評価もいただいているわけですが、この条例はNとPの規制を主体といたしております。したがって、この条例の施行によって琵琶湖が直ちにきれいになるとか、回復が促進されるというようなものではない、ブレーキをかけるぐらいの役目しかしないのではないかという判断も私はいたしております。  そこで、湖沼法が断念されたことについてでありますけれども、私たちが湖沼法に期待をいたしておりますのは、各自治体の条例ではできがたいもの、現在の法体制の中ではどうしても突破できない問題があります。  たとえば滋賀県の土地柄は非常に琵琶湖とのかかわりが大きいというのは、行政区域と琵琶湖の集水域がほぼ一致している、いわゆる集水域は県土の九二・六%、こういうウエートでありますし、流域の人口は九七%、ほとんど一〇〇%近いのが琵琶湖流域の住まいであります。したがって、先ほどから御意見が出ておりますように、金沢先生が御主張なさっておりますように、何とか琵琶湖の汚れを防ぐということになれば、土地利用の規制をやらないとなかなか問題は解決しない。したがって特別法の柱立てもそういう中身でやってほしい、地方自治体の条例ではどうしても私権の制限はできないということであれば国の方でそういう面に対する配慮をする立法が必要ではないか、そういうところに期待をかけておりますので、ただ一例で申し上げましたけれども、N、Pに限らず他の施策が必要であるから総合基本法の制定をお願いしたい、これが現在の条例施行二年ほど経過をいたしました心境でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 六人の参考人の先生、どうも御苦労さまでございます。大変限られた時間でございますので、二、三点お聞きをしたいと思います。  最初に須藤先生にお伺いをしたいのですけれども、湖沼の汚濁対策を立てていく上で、汚濁の実態を明らかにするということが前提だと思うわけでございます。先生の著書によりますと富栄養化等の汚濁が実証的に解明をされておられるように思うわけでございます。そこで、その汚濁の実態のうち、先ほども御説明がございましたけれども、補足するべきものがあればひとつお聞かせを賜りたいと思います。  それからもう一つは、現在の湖沼の汚濁というのは、いろいろな現行の法制度が存在し機能している中で進行してきておるわけでございます。で、今後における湖沼の環境保全対策というのは、これは新規立法が当然要るということは、金沢先生を初め、皆さん方の御意見が強くうかがわれて大変心丈夫に思っておるわけでございますが、そういう点で須藤先生に、そういう実態の解明という上に立ちまして水質保全の面と湖岸周辺の土地利用規制、まあ開発規制でしょうが、そういう二つの側面で法規制等について必要とお考えになる点をひとつお伺いをしたいと思います。時間が限られておりますから概括的で結構でございます。  それから、西堀参考人にお伺いをしたいと思いますが、幸いにして行政の担当者がおいでいただいておりますので、これは非常に滋賀県では条例をおつくりになって大変な御苦労をなさっておられることを私どももよく存じ上げております。いまも少し出ておりましたけれども、県の段階で条例をおつくりになって、あれほど御苦労なさっておられるわけだけれども、なおかつ隘路が非常に多いという点を知事さんからもお聞きをしたことがございますが、そういう点で、どの面どの面でという点、いま一例をお挙げになっておられたようでございますが、そういう点での隘路と思える点ですね。県段階の条例の範囲での隘路と思える点の主な点だけお伺いをさせていただきたいと思います。

須藤清次茨城大学農学部教授

○参考人(須藤清次君) 実態の問題で、これは各県でも、茨城県でもよく調査されていると思います。ただ、その表現するときにいろいろな圧力があるのじゃないかと私は考えているのですね。私どもは大学でやっている場合には、これは自由にできますけれども、官庁でやるとなかなかそれがうまく言えない場合があるのじゃないかというような気がします。  それは茨城県でもそうなんですが、これだけ霞ヶ浦については相当のことが県でも資料あるし、私どももやってきてわかっているのですけれども、これは富栄養化の原因の究明となりますと、いろいろな家庭排水から農業用水、それから工場排水等それが全部並列に書かれているのですね。ところが環境庁自身で翻訳したOECDの陸水モニタリング計画自身、環境庁が翻訳してそれを各県に配っているもの自身で順序がつけてあるわけです、どうやって現在の水質悪化が進んでいるかというのが。これは先ほど皆さんからも議論されたとおりでありまして、うっかりすると自然の負荷までが悪いのだというようなかっこうになりかねぬように、並列的にその原因がどれが何%何%となっている点があるわけです。山から来る水などはこれはきれいにしているにもかかわらず、これが汚濁の負荷の一因として計算されるというようなこともあるわけです。  そういう点で、各県でそういうはかっている人がそういうものを非常に技術的な観点から自由な整理ができて発表ができるようなことが行われたら、もっと環境問題がはっきりしてくるのじゃないかという気がいたします。  それから、規制のいろいろな問題ですけれども、これは先ほども申し上げましたが、湖沼の問題は現在での社会の環境容量の問題であるということ、それからあと、そういう点から独立に法制が決められて、環境容量の問題ですから流域全体の規制がされなければならないと思います。それが一つありますと今度は環境アセスメントが非常にうまくいくのじゃないかと思います。  環境アセスメント法案自身もこれ難航していますけれども、これがたとえば霞ヶ浦についてもそれが行われたわけですが、それは行われたけれども生産のためのアセスメントですね。漁獲が水がめ化をするとどのくらい減るかというような形で、それの補償が今度されるというような形でそういうアセスメントが行われるのですが、環境という立場から行われるためには、それを行うためのスタンドポイントがなければいけないわけですね。そういう点で湖沼とその集水域に関する現代的意味ということを規定する湖沼法案みたいのがあれば環境アセスメントも非常にうまくいくのじゃないのか、そういうふうに考えます。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) 条例施行上の隘路と申しますか、先ほど一例を申し上げましたが、いま一つは条例の中で規制対象としております合併浄化槽は五百一人槽以上でございますけれども、これを適用猶予いたしております。  と申しますのは、現在の合併浄化槽の技術水準といいますか水処理の技術水準、そういうものでN、Pの除去を格安に装置するということが開発されてない。したがって滋賀県は人口急増県に位しておりますけれども、どんどんと京阪神のベッドタウン化が進んでおるわけですけれども、そこでのいわゆる屎尿処理がくみ取りでなくて合併浄化槽という団地ができますと、それが公共用水域に窒素、燐が排出されるということが悩みで、条例の中身がまだ動いてない。こういう技術開発についてももう少し積極的な国の力をおかりをいたしたい。  さらに、先ほど圃場整備が進みまして水の利用形態が変わって用排水分離になっているから排水がストレートに琵琶湖に流入する、こういう問題何とか農業用水の反復利用をしたいということで設計も組んでおりますが、国の補助制度が反復利用の補助制度になってない。そうしますと、それがすべて農民負担にかかってくるということになれば、やはり農業者も経営でありますから一定の工事費オーバーするようなことについてはなかなか理解がしがたい。それを単独県費を投入するということになりますが、膨大な経費の支出になるという問題、部分的に湖辺流域の一番近接なところでは反復利用の形態をとるなど地形上の配慮をしながらやっておりますけれども、なかなかこの問題も理解が国の方でしていただけない問題ということになっております。  そのほか、細かい問題は単独浄化槽もそうなんですね。文化生活を得るということで単独浄化槽をどんどんおつくりになりますけれども、それは直ちに屎尿がもう排出される。NとPが排出されるということですから、その問題も合併浄化槽と同様、現在大きな問題として解決については非常に悩み多き問題となっております。  以上です。

中村鋭一民社党・国民連合

○中村鋭一君 参考人の皆さん、きょうは本当に御苦労さまでございます。  きょう皆さんの御意見を伺いまして、われわれ立法府が怠慢であるということを本当にみずから反省してその責任を痛感した次第でございます。本日の意見陳述を機会といたしまして、委員会としても何らかの形で湖の環境を保全し、国民みんなの貴重な財産でありますきれいな水を取り戻すために、海を取り戻すために、われわれもがんばっていくことをお誓い申し上げたい、こう思うのでございますが、西堀参考人にお伺い申し上げますけれども、私も個人的には県の出身者といたしまして今回のいわゆる琵琶湖条例、洗剤条例が全国に先駆けて制定された、そのことを大変誇りにしておりますし、まずそのことについて、みごとに実施をされたことについて心から敬意を表しておきたい、こう思う次第でございます。  以前、この委員会でも私は前任の鯨岡長官に、滋賀県が行政としてこういう条例を制定したことはすばらしいではないか、こう申し上げましたところ、鯨岡長官は、なるほど知事さんも行政の当局も一生懸命やったけれどもこれを可能にしたものは滋賀県の県民の総意である、何よりも行政ではなくて県民自身がきれいな琵琶湖を取り戻そう、そういう熱意でこの条例になったのだ、そのことを指摘しておきたいということを鯨岡長官もおっしゃいまして、私もいまさらながら県民の皆さんのそのすばらしい湖をわれわれの財産として子孫に伝えなければいけない、その熱意に対して打たれた次第でございます。  で、先ほど来からお伺いしておりますと、いま沓脱委員もお尋ねでございましたが、いろいろな隘路があります。その隘路を克服するためにも、たとえば軟水器を取りつける、あるいは工場等に補助をするということを着々と実施されてきたわけですが、西堀さん、いつか新聞で見たことがあるのですけれども、回収された洗剤ですね。この量はどれぐらいで、いまどこかにそれは保存しておられるわけですか。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) 先ほどもちょっと陳述の中で申し上げましたが、六十七トン余りを自主回収いたしております。しかしこの回収は自主回収でございますから、個々人の善意といいますか琵琶湖を守ろうという気持ちからお出しになった商品であります。したがって、その商品の始末をどういうふうにするかということはその提供者の気持ちも十分くんでこれは処置しなければいけないということで、現在県の施設に保管をいたしております。  これは燐を含んでいる合成洗剤は他の府県で流通をいたしておりますので商品としての価値はあるわけですけれども、その商品を他の県へ流出するということは他の河川、海を汚すということにつながるということから、商品利用については差し控えるべきである。国外へというお話もございましたけれども、いずれにしましても水を汚すということには間違いないわけですので、処分については今後いかようにするか検討をいたしておりますけれども、これを燐だけの除去をするということになりますと製造費よりももう少し高くつくということで矛盾もありますので、しばらく県民運動の金字塔といいますか、そういう意味も持ちまして保管をいたしている、こういったことでございます。

中村鋭一民社党・国民連合

○中村鋭一君 これは核廃棄物と一緒で、いまおっしゃったようにこれをよそへ持っていくとよそが困りますし、金字塔とおっしゃいましてもあの洗剤の山がそのままいつまでもありますと困りますし、いずれ何とか、これは参考人、たとえば穴を掘って埋めるとか何かしかるべくやっぱり処置をしなければいけないと思うのですが、そのこと一つをとってみても言うはやすく行うはかたし、なかなかこの洗剤条例一つにしてもいろいろな問題があるのだなということを私痛感する次第でございます。  さて、先ほどから鈴木参考人も何回か指摘をしておいででございますけれども、琵琶湖総合開発特別措置法ですね、これは従来から鋭意滋賀県としてはおやりになっていたのでしょうけれども、事業量の残量およそ五〇%を残してこの法律が期限切れになりまして、先般国会におきましてさらに十年の延長が議決されたわけでございます。それにつきましてたとえば鈴木参考人の御意見としては、洗剤条例は結構だけれども、たとえば琵琶湖の総合開発によっていろいろなデメリットが出ているじゃないか、こういう御指摘もあったと思うのです。  率直に西堀参考人、ひとつこの琵琶湖総合開発というものと、たとえば洗剤条例を実施することによって琵琶湖の水質を保全し良好な状況を取り戻すということの整合性について一言御意見をお伺いしたいと思います。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) 滋賀県人といえども日本人であります。他の地域で文化的な生活を営んでおられる、あるいは工業社会が発展してその恩恵に浴する、そういったことはだれしも望むところであります。したがって琵琶湖総合開発は自分たちの土地を有効に利用し経済的にも文化的にもということで、一つの方向を目指しているわけであります。  その中に琵琶湖の水質を保全するという流域下水道が非常に大きなウエートで位置づけをされております。今回の延長に当たりましても四つの水質保全の事業を政府でお認めいただきまして、したがってそれが新しい事業として組み込まれるわけでございますが、私は自然保護か開発かという二者択一をすべきでない、やはり開発をするけれどもあるいは経済の発展を望みながらそこで環境をいかに守り影響を少なくしていくか、こういうことが行政マンとして最大の努力をすべきことであろう、したがって滋賀県民の受けとめは自分らも経済的にも文化的にも向上することを望んで琵琶湖総合開発に賛同をし、また破壊を伴うようなことがもしあればそれは予防策を講ずべきであるというような形をとっておりますので、私はこれは人間の生存の中のバランスの問題であろうというふうにとらまえておりますので、一面的な面でこの問題を論ずることについてはいささかという感じがいたしている次第です。

中村鋭一民社党・国民連合

○中村鋭一君 おっしゃるとおりだと思います。  ただ、鈴木参考人の御意見もあることで、それはやはり県民の中にもうシジミもとれなくなったし、まあ私も子供の時分からようモロコ釣りしました。そのモロコが、子持ちモロコが本当にこのごろ釣れなくなりました。それはやっぱりヨシ原がなくなってモロコが産卵の場所を失っているということとも大きな関係があると思いますので、ひとつこれは私からのお願いでございますけれども、琵琶湖総合開発をこれから着々と実施されるに当たっては、着々と実施すると同時にそういったいわゆる自然の生態系を破壊することのないように、県民の憩いの場所としてのすばらしい湖岸を残していただくように調和を保ちつつひとつ配慮をしていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  最後に、先ほど来から各委員もお尋ねでございましたけれども、今回の湖沼法提出断念に至りました結果として、滋賀県として、地方自治体として国に対して要望する点をひとつ端的にお示しをお願いしたいと思います。

西堀茂平滋賀県生活環境部長

○参考人(西堀茂平君) 先ほど一部申し上げましたけれども、いわゆる条例施行に当たってN、P処理技術がなかなかまだ開発されてない、そういうものの技術開発をまず急いでいただきたいということ。なお、下水道につきましてはいわゆる湖沼のランクづけをしていただきまして、重要湖沼については下水道予算を優先配分して水質保全にいち早く取り組めるようにしていただく。  さらには燐、窒素の高次処理をやりますとかなりの財政負担が、たとえば屎尿処理場におきます負担におきましても、滋賀県の全県尿処理場のプラントが昭和六十年に稼働をいたしますと、三億七千四百万の多額の、一般処理費よりも多くの支出を公共負担しなければならないという問題がございます。したがって高次処理に対する財政援助の方策をひとつお願いをしたい。これと同様なことが工場、事業所でも行われておるわけでございますから、財政金融面で特別の配慮をして、いわゆるコストが非常にかかってその商品が売れにくくなるという企業の負担を避ける配慮をしていただきたい。当面条例を施行いたしましてそのことをひしひしと感じ取っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

江田五月新政クラブ

○江田五月君 参考人の皆さん方お忙しいところ本当にありがとうございます。  貴重な御意見あるいはおしかりをいただきまして、皆さん方が皆そろっていまの日本の湖沼の状況に対して警鐘を鳴らされている、国が湖沼法をなかなか熱意を示していかないことにいら立ちを覚えていらっしゃるということをお聞きをして、がんばらなきゃならぬと改めて思った次第ですが、湖沼の問題、富栄養化防止と窒素、燐という問題はいま大きく問題になっておるわけですが、三ツ松参考人お一人が合成界面活性剤のことについてお触れになっていらっしゃいましたので、三ツ松参考人にこの合成界面活性剤についてもう少し敷衍して説明していただきたいと思います。

三ツ松要手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表

○参考人(三ツ松要君) 先ほども申し上げましたが、私どもが生活しております手賀沼というのは非常に小さい沼で、すでに植物も死んでしまったということを先ほどお知らせしたわけですけれども、植物が何で死んだのだろうかということについて、たとえば環境庁にせよ千葉県にせよ、まだ本気で調査検討、結論を出されていないわけですね。  私どもは日常その周辺で生活をしておりますから、こうじゃないかああじゃないかということをいろいろ推測するわけですけれども、特に沈水植物が死んだ原因についてはいろいろたとえば水が濁って植物が光合成ができなくなる、つまりもう呼吸困難になってしまうということが理由じゃないのだろうかというふうなことは言われるのですけれども、それじゃ水面に葉っぱを浮かべている浮葉植物が死んだ原因にならぬじゃないか、浮葉植物は光合成はいつでも太陽光線受けているわけですからできるわけで、そこで何らかの毒物が作用しているに違いないというふうに私どもは考えているわけです。  それはいろいろな調査の結果、合成の界面活性剤ではないか、なぜならば合成の界面活性剤はたん白質を変性するといいますか、言ってみればぶち壊す毒性を持っているわけで、それがたとえ微量であれ、常時水の中に存在しているということは生き物に対して悪い影響を与えるのはもう当然だというふうに考えております。そういう意味で、合成界面活性剤のもっと系統的な水環境に対する影響というものをぜひとも環境庁としても、あるいは自治体としても検討をしていただきたいというふうに思っておるわけです。

江田五月新政クラブ

○江田五月君 三ツ松参考人、手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議の代表ということですが、職業の方は何でいらっしゃいますか。

三ツ松要手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表

○参考人(三ツ松要君) 柏市民生協という生活協同組合の役員をいたしております。

江田五月新政クラブ

○江田五月君 としますと、いまの合成界、面活性剤も、一市民の立場からああでもないこうでもないといろいろお考えになっているということで、これはどうなんでしょう。いまのような三ツ松参考人の認識というのは学者の立場から見るとそう言えるというのか、あるいは違うのか。どなたかそうした方面の研究をなさっている方、たとえば鈴木参考人、簡単で結構ですから。

鈴木紀雄滋賀大学教育学部教授

○参考人(鈴木紀雄君) 合成洗剤の問題は、一般的に申しますと人体に及ぼす影響が一つ。それから二番目は、生物の生態系に及ぼす影響が二つ。それから三つ目が合成洗剤の中に含まれている燐が富栄養化を促進する。もちろん界面活性剤そのものが赤潮の発生につながるという調査報告もありますが、一応それは別といたしましても燐が富栄養化を促進する。そういう三つの問題があるというふうに思います。  それで、ただいまの御質問は第二の問題でありますが、これは実は実験室の中で、たとえば一〇ppmというのは、これはちょうど家庭排水、洗濯した後家庭排水が出てまいります濃度とほぼ等しいわけでありますけれども、その濃度で魚が死ぬかどうか調べてみますと、一時間で合成洗剤は死んでしまいます。ただし石けんの方はその濃度では死なないわけです。そういう意味で、生物に対する影響がある。その他植物や動物についていろいろ実験室の中でやっております。ところが議論の問題は自然の環境の中でそういうことが果たして起こっているかどうか、この辺が大きな議論になっております。  それはどうしてかと申しますと、たとえば魚の場合には川の水がある程度汚くなってまいりますと、先ほどお話がありましたようにたん白と結合してそれで毒性が低くなるので、魚に対しては影響ないのだというような反論がメーカー側から出ております。確かに実験やりますとそういう点はございます。しかしその前提は川が汚ければ害がないというようなことになるわけでして、もしも川がきれいになれば毒性があるということで、本来非常に矛盾したことだというふうに考えます。  それで、実は私も自然環境に対して実際どういう影響を与えているだろうかということに関心がありまして、たとえば現在下水道が整備されていない段階で、家庭から出てまいります非常に小さいような排水路がございますが、その排水路で合成洗剤を使うのをやめまして石けんに切りかえますと、たちまちイトミミズが増殖いたします。もちろん三面コンクリート張りの場合はちょっとむずかしいのですけれども、普通のような溝の場合でしたら大量のイトミミズが発生いたします。それでいろいろ調べてみますと、夏、少なくとも夏はかなりの濃度の有機物質を分解して水の浄化に役に立っております。  そういう意味で合成洗剤が生物に対して毒性を与えて生物が死んでしまう、そしてそれが間接的に環境に対して浄化能力を低下するという意味で悪い影響を与えてくる。手賀沼の場合に実際どういうことか、合成洗剤がどういうふうに影響してどうかということについては私実際に調べておりませんのでそれはわかりませんが、一般的に申しますと、合成洗剤そのものは環境に対して悪い影響を与えているというふうに考えております。

江田五月新政クラブ

○江田五月君 窒素、燐、これを規制していくことはもうもちろん早急にやらなければなりませんが、同時に合成界面活性剤についてもそろそろ注目をしていかなければならぬぞという、そういう御指摘だと思いますが、そうしますと、三ツ松参考人は生協の役員で、生協もこれ事業活動をやって、もちろん合成であるかどうかは別として洗剤なども売らなければならぬことになるのだろうと思いますが、合成洗剤追放ということを掲げていると生協の事業活動に差しさわりがあるのか、あるいは差しさわりがなくて逆に生協というものの一つの使命を全うしていく道になっていくのか、住民とのつながりは一体どういうことになっていくのか、そのあたりについて体験を交えてひとつお考えをお聞かせ願います。

三ツ松要手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表

○参考人(三ツ松要君) 事業活動には直接影響はありません。  というのは、洗剤は合成洗剤ばかりじゃないので、石けんがございまして、私どもの生協では幸い初めから石けんだけを事業の中に入れておりますので、直接事業には影響ありません。生協ですから組合員がつくっているわけですが、むしろ組合員が自分たちが石けんによる生活を行っていることによって環境破壊にくみさないでいられる、自分自身の生活のあり方をこの問題を通じて考え直すきっかけにするという意味で、非常に問題そのものは組合員には有効な影響を与えていると思います。

江田五月新政クラブ

○江田五月君 最後に、いまのお話で、とにかくやっぱり住民の意識の変革というものが自然を守っていく最大の力なんだということなのだと思いますが、三ツ松参考人のお話ですと、人口圧力膨大な手賀沼、そんなに人がいっぱい住んでいる真ん中にある沼ならば、汚れて困るのならばなくしてしまって、いっそのこともう埋めて川にしてしまえというようなことを言う人があるいはいるかもしれない。現にその昔、千葉県の有名な代議士川島正次郎先生あたりはそういうことをおっしゃっていたということも聞くのですけれども、こういう御意見についてどうお考えになるか。どういう怒りをお持ちになるか。これを伺って終わります。

三ツ松要手賀沼を守ろう=合成洗剤追放市民会議代表

○参考人(三ツ松要君) 先ほども申し上げましたが、小さいと言いながら面積は都下の狛江市よりもやや大きいぐらいの面積を持っております。もし埋め立てれば六万人か七万人の人口を軽く収容できる土地利用がきっとできるだろうと思うのです。  しかし、もうどなたも御存じのように、環境に対する人間の反応といいますか、これは先日も何か文化庁の方でたしか調査をされて、そのアンケートの結果が新聞に出ていたのですが、ちょっとその資料どこか置いてしまいましたが、人間生活の中で自然環境を要求する度合いというのは、むしろ逆に人口が稠密であればあるほど自然環境を欲するという結果が文化庁の世論調査では出ているわけで、数字はたしか一平方キロ当たりの人口密度で二千七百人を超しますと、緑が欲しい、もう窓から見える緑だけではどうにもならない、自分自身が行動を起こす、自然環境に接触したいというそういう反応を示すのだそうで、人間生活にとって自然環境というのはいかに大切であるかということを如実に示していると思います。  あの周辺でもし六万人の新しい住宅地ができてしまったら、そこに新しく住む人たちが一体どんな自然を求めるだろうかという矛盾を生ずるわけで、私はどんなことがあってもあの自然は残しておかなければいけないというふうに考えております。

美濃部亮吉一の会

○美濃部亮吉君 参考人の皆様方にはいろいろ有益な御意見を伺いましてまことにありがとうございました。私持ち時間わずかに十分でございまして、皆さん方に御質問をいたしますと、一人二分としても十二分でオーバーをいたしますので、皆さん方のお話をお聞きをいたしまして私の印象あるいは考えたことを述べさせていただきたいと思います。  憲法でも国民は健康にして文化的な生活を送る権利を有すると書かれております。逆に申しますれば、行政は国民に対して健康にして文化的な生活を守る環境を与える義務を持っているということになるだろうと思います。私は知事十二年をいたしまして、こういう考え方からして、何とかして公害をできるだけなくして、そうして都民に対してできるだけ健康な環境を与えたいと思って努力をしてまいりました。もちろん十分ではございませんで、まだまだよい環境のもとに生活できるような状態にはならなかったと思いますけれども、相当によくはなってきたというふうに思います。  そうして、いろいろの公害のうち水質を改善する、つまり東京で申しますと隅田川の水質を改善する、多摩川の水質を改善する、それから東京湾の水質を改善する、こういうふうな水質の改善というものは、いま与えられている条件のもとにおいて改善を進める、あるいはよくするということが可能である最大のものであるというふうに思います。たとえば自動車の排気ガスによる二酸化窒素とか悪臭であるとかあるいは騒音であるとか、    〔委員長退席、理事本岡昭次君着席〕 そういう公害になりますと、現在与えられている条件のもとにおいては少しはよくすることができるかもしれませんけれども、それにはおのずから限界があると言わなければならないと思うのです。しかしながら水の質をよくするという点においては、その気になりさえすれば、そうしてまたその気を実現するだけの条件がそろえば、水をよくするということは可能であると思います。  というのは、第一には、先ほどからもたびたびお話に出ましたけれども、下水道を完備する、そうして三次処理までとにかくやり遂げる、そういうことで下水道を整備するということと、逆にはその水質を汚染する物質を防衛する、そういう両面の作戦で非常によくするということが私は可能であると思うのです。  そこで、先ほども西堀さんがお話しになりましたように、自治体ができることは自治体自身の条例でなすべきであって、国の法律によっては財政的な援助であるとか自治体の権限の中においてはできないというようなこと、それを国の法律でやるべきであって、何といいますか、指導性を持つのは国の法律ではないかと思います。それでありますから、東京都でも公害条例というものを最初につくりました。それでありますからアセス条例、アセス法というものもこれは国のアセス法よりは地方自治体の条例に基づくアセスメント法というのが本体になるべきであって、自治体にできないことだけを集約したものが国の法律ということになるべきであろうと思います。  それでありますから、湖沼の環境法が今度議会に提案されないということはまことにふがいないことであるし、非常に困ったことではありますけれども、それにはめげないで、条例をその点において大いに整備していくということに努力をすべきであろうと思います。  そうして、琵琶湖その他の湖沼問題で自治体において大いに活動をされている学者の方々及び行政に携わっている人、それからまた市民運動の代表者、そういう方々に非常な敬意を表して、きょうはどうも貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。    〔理事本岡昭次君退席、委員長着席〕

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 以上で本日御出席いただきました参考人に対する質疑は終わります。  参考人の皆さんに一言お礼を申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表しまして厚く御礼を申し上げます。  速記をとめて下さい。    〔午後四時三十九分速記中止〕    〔午後四時五十四分速記開始〕

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 速記を起こしてください。  この際、山東君から発言を求められておりますので、これを許します。山東昭子君。

山東昭子自由民主党

○山東昭子君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び一の会の各派共同提案による湖沼環境保全対策の促進に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     湖沼環境保全対策の促進に関する決議(案)   湖沼は人の心をなごませ、また、飲み水などの水資源や漁業資源を提供するなど人間生活に多くの恵沢をもたらしてきた。   しかるに、近年、高度経済成長都市化の急速な進展の過程で水質汚濁と富栄養化が進み、また、湖沼周辺地域の開発行為の進展もあつて利水及び親水機能の上で障害を生じている。   このため、中央公害対策審議会は、昨年政府に対して湖沼環境保全のための法制度を速やかに確立すべきことを答申しているところである。   しかしながら、答申後一年有余を経過したにも拘わらず未だに法案提出に至つていない。   政府は、現在の湖沼の危機を深く認識し、早急に左記の措置を講ずるよう最大限の努力をされたい。  一 中公審の答申の趣旨に沿つて湖沼環境保全のための法制度を確立すること。  二 右の措置と併行し、   イ 湖沼の富栄養化防止を推進するため、リン、窒素の環境基準及び排水基準を早急に設定すること。   ロ 湖沼の水質保全に資するため、産業系の排水対策を充実強化するとともに下水道整備及び雑排水処理等生活排水対策を計画的に掘進するよう所要の措置を講ずること。   ハ しゆんせつ、導水、ばつ気等の浄化事業を推進するとともに淡水赤潮の発生機構の解明、湖沼の自然浄化機能の研究等を促進すること。   ニ 湖沼の自然環境保全を図るため、現行関係法令等諸制度を活用するとともに、必要に応じて施策の充実強化に努めること。   右決議する。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) ただいまの山東君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 全会一致と認めます。よって、本会議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石川環境政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。石川政務次官。

石川要三自由民主党環境政務次官

○政府委員(石川要三君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に沿い、今後十分に努力する所存でございます。  なお、ただいま環境庁長官は海外出張中でございますので、御決議の趣旨につきましては私から報告をすることといたします。

坂倉藤吾日本社会党

○委員長(坂倉藤吾君) 本日はこれにて散会いたします。午後四時五十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗