決算委員会 閉会後第5号
- 発言数
- 292 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1982/10/13
会議録
○委員長(竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨十月十二日、戸叶武君及び宮之原貞光君が委員を辞任され、その補欠として山田譲君及び大森昭君が選任されました。 —————————————
○委員長(竹田四郎君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。 本岡昭次君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に山田譲君を指名いたします。 —————————————
○委員長(竹田四郎君) 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題といたします。 本日は農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。 —————————————
○委員長(竹田四郎君) この際、お諮りいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(竹田四郎君) 質疑通告のない中野農林漁業金融公庫総裁は退席していただいて結構でございます。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山田譲君 それでは、私はこれからこの農林水産省のいろんな問題につきまして御質問をしたいと思います。 大臣もいろんな、総裁の辞任やなんかの問題で心落ちつかないこととは存じますけれども、ひとつきょうは最後の御奉公と思って、みっちり聞いていただきたいと思います。なかなかいろいろな問題があって大変だとは思いますけれども、きょう一日大事な決算委員会でありますからね、ひとつそれはそれとして忘れていただいて、ゆっくりいろいろお答え願いたいというふうに思います。 最初に、農林水産省関係の補助金の問題についてお伺いしたいと思うんです。多少細かい点にもわたりますから、大臣じゃなくて結構でありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。 これは前からのいろんな懸案であったわけでありますけれども、たくさんある補助金をできるだけ一つにまとめる、そしてメニュー化にして、そして事業を実施する相手方が非常にやりやすいようにしようというふうなことは前々から話があったわけであります。そして、農林水産省におかれましても五十六年から五十七年にかけましてかなり大幅に補助金の件数を減らされたと、こういうことで、私が調べた限りでは五十六年度に千百二十六件あった農水省の補助金が、五十七年度に六百件に減った、約半分に減ったということでございますけれども、これは非常にそれなりに評価をするものでございます。この数字が間違いないかどうか、まずお聞きしたいわけでありますけれども、これはいかがですか。
○説明員(角道謙一君) いま御質問のとおり、昭和五十六年度千百二十六件ございましたものを、五十七年度におきまして六百件に統合いたしております。
○山田譲君 そこで、問題はただ件数を減らしゃいいというものじゃないわけで、件数を減らして多くの、たとえばA、B、Cとあった事業を、それをAという一つの補助事業にするということは当然件数が減ったことになるわけでありますけれども、それと同時に非常にメニュー化されて相手方がやりやすくなったと、事業についてですね、こういうことでなきゃいけないと思うんです。単なる形式だけの件数が減ったというんじゃなくて、本当の意味のメニュー化がやられ、そしてまたいろんな手続もそれによって簡素化されてきたと。ただ、補助申請のかがみが一本になったと、三本であったやつが一本になったというだけじゃこれ仕方ないと思うんですけれども、この辺は十分にメニュー化されたと、そして相手は非常にやりやすくなったというふうに考えておられるかどうか、そこをお伺いしたいと思います。
○説明員(角道謙一君) いま御指摘のとおり、私ども統合化に際しましては各種の補助金につきまして一件ごとの施設補助等はできるだけメニューに統合いたしまして、各補助申請者の方の実態に即するように補助対象を選べるという形でメニュー化をいたしております。そういう観点で統合、メニュー化によりまして補助を受ける方々にとっては実態に即した事業を選べる、また手続につきましても、かっては一件ごとに申請をしなきゃいけなかったものが一本化できるという意味で、補助を受ける方々には非常に便利になったというように私どもは考えております。
○山田譲君 そこで、実は私もこの前、つい一週間くらい前でありますけれども、地方行政委員会の視察があって山口県と広島に行ってまいったわけであります。そこで知事さん以下、いろいろな幹部の方とお会いしていろんなお話を聞いてまいりました。そうすると、これは必ずしも農水省関係だけということじゃなくて、補助金全体に言えることだと思うんですけれども、メニュー化はされた、メニュー化されたとおっしゃいますし、事実件数も減っているわけでありますけれども、実際にやる実施主体の方から見ると、どうも余りメニュー化とは言うものの、余り従来のやり方と変わりがないと。たとえば幾つかまとめたにしても、やはり一件一件についてかつてやっていたと同じような手続がやらされている。申請書のかがみこそ一本かもしれませんけれども、持ってきて、そしていろいろ説明するとか、あるいは書類を出すに当たっては従来と同じものをやはり出さなきゃならないんであると。そしてまた都道府県知事としても、メニュー化されたわけでありますから、どれを選ぼうと勝手である、あるいはまたどれを優先的に扱おうとか、そういうたとえば優先順位なんかつけてみましても、なかなか全国的な均衡を考慮して、これは必ずやらなきゃいけないとかと言われちゃって、内容的には全く昔と同じような状態でやらされているんだと。これはやっぱりメニュー化されたとはいうことでも、実態的に見ますとその点が余り効果的とは言えないんじゃないかということが両方の知事さんとも言っておられたわけであります。それで、こういう「国庫補助負担金の改善合理化方策 統合・メニュー化、総合化、事務手続の簡素合理化について」という、これは五十七年の七月に地方自治確立対策協議会——知事会だとか市長会だとか議会議長会とかこういう人たちが集まって要望書を出していますね、これは御存じだと思いますけれども。これを見ましても、これはもちろん農林省だけじゃありませんけれども、全体的に見てそういう意味ではなかなか本当の意味のメニュー化になっていないんじゃないか。もっともっと都道府県があるいは自治団体が補助金を受けた方がやりやすいようなことにしてもらわないと困る。ですから、やはりメニュー化になったからにはその中で一本にされたからには中をどういうふうに使おうと、かなりそこに自由が出てこないと本当のメニューという意味がないんじゃないか。メニューというのはレストランなんかで言うように、たくさんあるやつを一つ選ぶとかこれとこれをくれとかと、こういうことの自由があるのがこれはメニューということだと思うんです。ただ、その実際の中身になってくると、従来と同じように一つ一つの補助事業と同じような形でもって一切合財やらされている。たとえばヒヤリングにしても、事前のヒヤリングにしても従来やってきたような各課ごとにばらばらでやらされる、あるいはまたその補助率なんかにつきましてもかつてやっていた補助事業ごとの補助率がそのまま残っている。ですから、一本の補助事業ではあっても中身を見ていきますと何ら昔と変わらないんじゃないかと、こういう話が、話といいますかこういう要望が出されているわけであります。もちろん農林省の問題についてもここに出ておりますがね、こういう点についてどうでしょうか。
○説明員(角道謙一君) ただいま御指摘の点でございますが、何分にも初年度でございますので、審査手続等につきましては若干のふなれ等あったかもしれませんけれども、私ども地方農政局に地域担当官を設けるとかいうことでできるだけ各課間、受ける方の担当課は従来どおり分かれております関係で地域担当の調整官のようなものを設けまして、そこでできるだけ調整をしながらやるということをやっておりますし、ヒヤリング等につきましてはそれぞれの事業担当の課でやはり従来どおりやるということはあるかもしれませんけれども、そういう地域担当官を通じましてできるだけ調整をしていくということをやってきておりますので、今後ともそういうことがございませんようにできるだけ努力をしてまいりたいと考えております。
○山田譲君 たとえばA、B、Cという三事業でそれぞれ従来補助がやられたやつが今度三本一緒になって一つの補助事業になりましたというときに、A、B、Cの中の事業のやりくりというふうな自由はあるんですか。つまり相互の流用といいますかね、そういうことの自由は従来以上に、何というんですか、やりやすくなったということは言えますか。
○説明員(角道謙一君) 具体的な事業ごとに若干は違うかと思いますけれども、全体といたしまして私どもはその自由は認めております。具体的にたとえば新地域農業生産総合振興対策であるとかあるいは畜産関係の事業であるとか、そういうことによって若干の差はあるかと思いますが、全体としては私どもそういう方向で考えております。
○山田譲君 いや、そういう方向で考えているというのは、いままでは別々な補助事業ですからこっちの補助事業の金をこちらの補助事業の方へ回すということは恐らくできなかったと思うけれども、今度は三本が一本になったわけでありますから、その点は自由ですかということなんです。
○説明員(角道謙一君) 自由にいたしております。
○山田譲君 自由といったってあれでしょう、その補助率がたとえば違うものも一本になっているわけだから、そう簡単に自由になりますかね。
○説明員(小島和義君) ただいま官房長から申し上げました新地域農業生産総合振興対策、これは私どもの局の方で予算を計上いたしておる事業でございますが、内容につきましては従来非常に細かく分かれておりました主として作物関係の予算を統合・メニュー化いたしたものでございます。もちろんその中身につきましては幾つかの大くくりがございまして、麦、大豆関係でありますとかあるいは養蚕関係でありますとか、果樹、花卉関係でありますとかあるいは野菜関係とか、大きなくくりとしてはもちろん分かれておるわけでございまして、その項目ごとに各地の予算を、需要を充足できれば一番よろしいわけでございますが、実行段階におきまして各柱ごとの過不足がどうしても出てまいるわけでございます。これは単一の補助金でございますから中での流用と申しますか、これにつきましては従来別々の補助金でありましたときに比べますれば、地方農政局段階、最終的には本省段階で予算の柱ごとの枠を乗り越えまして調整をしてやっていくということでいままでにも増して弾力的にやっておると、こういうことでございます。
○山田譲君 いま局長おっしゃったようなことですとこれは非常に結構なことで、いままでは別々な補助事業でしたから、たとえばこっちの小麦の方の関係の事業が金が余ったとしても、その金を簡単にこっちの養蚕の方へ持ってくるということはできなかったはずでありますけれども、今度一本になったから、だから一応別々ではあるけれども、その一本の中でありますからこちらの小麦の金を養蚕の方へ持ってくるという自由はあるということですか。それは一概にはなかなか言えないと思うのですけれども、原則としていままでよりはその点便利になったということは言えますか。
○説明員(小島和義君) おっしゃるとおりでございまして、本年度はいわば初年度でございますけれども、現実にそういう実態が出てまいっておりまして事業の柱ごとの調整をやって進めておるわけでございます。
○山田譲君 それはぜひやっていただきたいと思うんです。そうしませんと、せっかく半分近く件数を減らしても、あるいはメニュー化がそれだけなっても、実際やってみるとなかなか従来と全く同じだというふうな事態になりますとこれは問題なんで、事実回ってみましてもそういう知事さんから、あるいは幹部の人たちからの要請が非常に強かったわけでありますから、そこのところはぜひ考えてやっていただきたいというふうに思います。 その次に、この知事の要望書なんかもありますし事実聞いてまいったんですけれども、せっかく一本化されたけれども実際は窓口が従来と同じでばらばらになっている。だから一本の補助事業であってもこの問題についてはこの課に行かなきゃいけない、この問題についてはこの室に行かなきゃならないとか、こういうことで実に不便——不便というか、いままではそうだったわけだけれども、いままでに比べてちっともその点じゃ便利になっていない。こういうふうなことがこれは両県の知事とも言っていましたけれども、その点はいかがですか。
○説明員(小島和義君) 先ほど官房長からお答え申し上げましたように、従来ヒヤリング等も個々ばらばらにやっておったものでございますから、多少そういうしきたりがまだ抜け切ってないといううらみはあろうかと思いますが、私どもの方では地方農政局が第一次的な窓口といたしまして県からの要望を受けとめるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、窓口を一本化いたしまして県からのヒヤリングにつきましても関係のありますところの連合の審査、こういう形をいたしております。もちろんこれは作物関係の事業が主でございますので、内容にわたりまして多少技術的、専門的な分野がどうしても出てまいります。したがいまして、連合審査を終わりましてまた個別に多少の追加的な質問等があるというケースが全くないということを申し上げるつもりはございませんけれども、いままで数回にわたっての手間暇がかかりましたものをできるだけ一遍で済ませるようにということがこの予算統合の目的でございますので、地方農政局に対しましてもそのような指導をいたしておりますし、また県以下の段階におきましてもできるだけそういう態勢に早く習熟していただきまして、御不便が少なくて済むようにいたしたいと考えております。
○山田譲君 ぜひそういう方向で努力していただきたいと思うんです。もちろんそれは中身は違うものもたくさん入れてあるわけだから、専門化となりますとばらばらになってもある程度しようがないと思うけれども、それにしても何か一緒にやれるようなそういうことをぜひ考えていただきたい、こういうふうに思います。 いまたまたま出先機関、農政局の話が出ました。聞きますと農林省関係の補助金というのはほとんど全部農政局長に任せてある。ですから、たとえば広島県なら広島県の申請書は岡山の中国農政局に持ってくればそこで用は足りるということのようでありますけれども、ところが実際はなかなかそうはいかない。ですから、申請書は出しますけれども出したところにもちろん行って説明しなきゃならないが、それと同時に東京へ出てきて本省の皆さんの方にちゃんと説明したりそこで了解を得ないとなかなか農政局だけではらちが明かない。こういうふうなこと、これは知事の要請にも出ておりますけれどもその辺はどういうことですか。これはやっぱり農林省関係でもそういうことはあるのかないのか、その辺説明していただきたいと思います。
○説明員(角道謙一君) 私ども現在補助金の大体九割強は地方農政局に専決委任をしておりますので、私ども実際問題としては、たてまえとしても地方農政局限りで処理できる実態でございますけれども、中には国営土地改良事業のように国が直接やらにゃいかぬものは、これは当然本省の方でヒヤリング等をやります。しかし、それ以外のものは大体原則は農政局どまりでございますが、実際問題といたしまして県あるいは地元の方々が本省の方に陳情においでになるというようなことはあろうかと思いますが、手続としてそのヒヤリングが当然必要であるということは専決部分については排除はいたしております。
○山田譲君 いまの、九割方は農政局で扱っているけれども、あとの一割はたとえば本省でやると、こういう場合でも本省へ来れば用が足りるのか、そのときでも農政局へ一応ごあいさつに行かなければならないかということはどうですか。
○説明員(角道謙一君) 本来的にはやはり地方農政局限りでできるものでございますから、本省へ来てさらに地方農政局とか、そういうことはございませんし、むしろ地方農政局限りで足りるものでございます。それは本省の方に陳情等にお見えになるということかと思います。ただ、あとの一割程度のもの、これにつきましてはむしろ国で直接県からヒヤリングをするというようなことは、あるいは農政局からヒヤリングをするということはやっていると思います。
○山田譲君 これは農林省関係の補助金に限らないと思うんですけれども、せっかく農政局をそれぞれのブロックに置いてある場合は、やはりそこのブロックの人たちはそのブロックの局に来ればいいと、こういうことでないと本当に意味がないと思うんですね。どうも実態的に見ますと、形式は別として、実際はやはり両方へ来てちゃんと説明をしなければなかなか言うことを聞いてもらえないというふうな実情があるわけでして、そういうことがやはり都道府県にとって、あるいは市町村にとっても非常にやりにくいと。市町村の場合なんかさらにそれが多くなって、県へ行って県でやると、それから農政局長のところへ行くと、さらには本省まで出てこなければなかなか決まりませんというふうな状態では、非常に問題があるというふうに思うんですね。これは行政改革のいろんな問題にも関連してくると思うけれども、ぜひそこのところはできるだけ形式的に、農政局長に少なくとも委譲したものであれば、実質的にもそこで解決できるようにひとつがんばっていっていただきたいというふうに思うんです。 それから、その次に、大蔵省の方見えてますか。——これは、補助金適正化法の関係はおたくでやっているわけですね。補助金適正化法というのは御承知のとおり三十年ころできまして、そして二十数年たっている。私もちょうど補助金できたころ本省にいたわけで、補助事業やっておりましたから、いろんな手続を適正化法に合うように様式をつくったりなんかした経験があります。そしてまた、県庁にも行ったことがあるから、県庁の方の出す立場になってやったことも何回かありますね。それで、まあ確かに三十年ころといえばまだまだ地方財政が非常にルーズというか、そういう問題がありまして、お互いにせっかく国の金を補助しながら、なかなかきちんと始末されていなかったというふうなことがありまして、適正化法ができたのはよくわかるわけであります。 ところが、そのときも感じたんですけれども、適正化法の内容を見ますと、実に詳細な手続が書かれている。その当時はある程度やむを得なかったとはいうものの、二十七年たって、そしてかなり地方もそういう面でもしっかりしてきている。国もちゃんとしてきた。こういうふうになりますと、どうも二十七年たった現在、適正化法がやや実情に合わなくなっているんじゃないか、こういうことが感じられてならないわけです。まあ、この知事の要望書にも適正化法のことがるる書いてあります。これはもう御承知のとおりだと思いますけれども、とにかくまず最初にヒヤリングが始まる、これはもう適正化法の問題じゃないかもしれませんけれども、年度内にヒヤリングが始まって、ある程度様子を聞いて、そのときにも相当の書類を持っていかなければいけないわけでありますけれども、それがある程度話し合いがつけば、今度は四月になってから内示がある。内示が終わって、今度は交付申請書を出します。今度その中身が多少変わるというふうなことで変更申請書を出す。そしてまた、それに対する交付決定をなさる。それに対して今度は実績報告書みたいなものを出さなければいけない。事業が完了すれば完了報告書を出さなければいけない。こういうことで、それは国の金のことでありますから、やたらにでたらめに使われたら困るのはわかるけれども、それにしても実際の書類の中身を見ますと実に細かいものが要請をされているわけです。農林省関係でも、ここに出ていますが、農道の整備事業というふうなものに対する補助金の例が一応書いてある。これを見ますとわかりますけれども、本当にもう嫌になるほど克明にいろんな細かいことを、何回も何回も同じようなことを出さなければいけないというふうなことになっております。 それで、実際私どもやってみてよくわかったんだけれども、たとえばこの実績報告書なんというのは、これはもうやっぱり要綱によるとたくさん書かなければなりませんけれども、大体本省の人はそんなもの見ないと思うんですね、一々こんなものを。実績報告書なんというのは、都道府県にいて私もわかるけれども、大体実績なんというのはむしろ要請どおりに書けばいいだけの話で、そんなものを出したって果たして見る方だってろくに見やしない。形さえ整っていればいいというふうな、そういう形になっている。これはまさしく今度の臨時行政調査会でも言っておりますけれども、適化法とは言っておりませんけれども、やはり「補助金等の交付申請、交付決定、実績報告等の事務手続については、補助要綱等を見直し、ヒヤリングの簡略化、添付書類の簡素化、記載要領の統一化、重複した審査の改善等、一層の改善を推進する。」ということを臨時行政調査会も言っております。 それで、大蔵省にお伺いしたいのは、こういうことでありますから、ひとつ、もとは何といっても適化法にあるわけですから、この適化法をこの際思い切って考え直す、見直す、そしてもっともっとこの臨調の線に沿って簡略化していく、よけいな書類なんか出さなくてもいい——もう膨大な書類を出さなければならないわけですね、一つの補助事業をもらうとしたら。そこら辺について適正化法の内容を多少でも検討するようなお考えがあるかどうか、そしていまのような実態はこれは従来どおり続けるべきだというふうに考えられるかどうか、その辺をお伺いしたいと思うんです。
○説明員(兵藤廣治君) お答えを申し上げます。 補助金適正化法は、もう先生御承知のとおりでございます、さっきおっしゃられたとおり税金でございますので、もともと三十年には国会の御決議をちょうだいをいたしまして、国民の血税が厘毛たりといえども不正不当に支出されるごときは許すべからざるところである、検査院の指摘の累加まことに遺憾のきわみである、政府は速やかに措置を講ぜいという御決議をちょうだいをいたしましてつくられたものでございますので、その趣旨はこれは没却をすることはできないのは申すまでもないところでございます。 御指摘の、適正化法ではそういった意味で交付の適正な執行のために、申請それから補助事業の遂行、先ほど申されました実績報告等、基本的な事項を定めておりますけれども、各省各庁にわたるきわめて一般的な手続でございますので、基本事項は定めてございますが、具体的な手続は、先ほどの臨調でも御指摘をされておりますように、各省各庁の長が定めます補助金交付要綱の中でいろいろ御指摘の添付書類等について定めておるところでございまして、適正化法では個別具体の書類の内容まで実は定めておりません。申請をせい、あるいは実績報告をせいということは定めておりますけれども、内容にわたることは各省各庁の長が定めます補助要綱のところで定めておるところでございます。 私ども、いろいろ補助金の申請手続なり、それから報告手続なり、非常に煩瑣であるということを御指摘をちょうだいいたしまして、私どもと各省の連絡会議、補助金等適正化連絡会議という各省関係行政機関の連絡個所ができておりますけれども、その場で、御指摘をいただきましたような点、より簡素化を図っていただくようにということを要請しておるところでございますし、また引き続いてそういった要請は可能な限りしていただくことは必要であろうと思っております。
○山田譲君 二十数年前の話ですからね、いまどうなっているかわかりませんけれども、実は実態はあなたがいまおっしゃったようなことじゃないんですよ。適正化法はそれはその程度のことしか書いてないことはわかる。ところが、交付要綱をつくれとか、あるいは実績——まあ交付要綱の中でしょうけれども、実績報告書をこうしろとか、あるいは交付決定書はこうしなさいとかって、こういう中身はこれは全部大蔵省の補助金係ですか、当時補助金係と言った、そこへ行って全部お伺いを立てないとだめなんですよ。そうすると、その補助金係の——当時の話ですからいま違ってりゃ結構だけれども、当時は少なくとも一つ一つみんな見まして、これは足りないからもっとこれをつけろとか何とかと言われて、私たちも何十回一つの補助要綱をつくる、とりわけ新しい補助事業を起こしたときの話ですけれども、補助要綱をつくるのに苦労したかわからないんです。それは適正化法だったらこんなことまで要らないだろうと思うことまで大蔵省の補助金係ではチェックする、それでもっとこれを入れなさい、あれを入れなさいというふうなことで膨大なものになっていってしまうわけですよ。だからそれは適化法はそうかもしれませんけれども、実際の運営に当たっては意外に大蔵省の補助金係——いまあるかどうか知りませんよ——の人たちが絶大なる権限を持っていて、そこへ行って一々やらなきゃならない。この結果こういう非常な煩瑣な書類ができてくるわけで、そこら辺はいまそうなっているのか、なっていないのか、二十数年前とは違いますというなら非常に結構だと思うんですけれども、その辺どうですか。
○説明員(兵藤廣治君) 私どもなるべく簡素化ということを申しておりますので、各省から御協議を受けた場合におきましても、極力簡素化の面でそういった審査をいたしておるのでございます。その点は大分、最初その補助金適化法ができた当時は、あるいは御指摘の向きがやっぱりきちっとしてほしいということがございました点はあるいは否めないかもしれませんけれども、ただいまなるべく簡素化、簡素化というふうに申しておりますので、そういう点はないと思っております。
○山田譲君 これはやはり補助要綱をつくる場合には、大蔵省に行って一々その中身を見せなきゃいけないということになっているわけですか、いまでも。
○説明員(兵藤廣治君) 予算の執行の面でございますので、従来のそのままの補助金ですとずっと——一たん御協議いただけばそのままでいいわけでございます。あとは簡素化をしていただければいいんですが、新しい補助金が生まれました場合におきましては、一応先ほど申されました補助金係が見せていただくというふうなことで、最初に補助要綱をつくるときに私どもと相談をしてということになっております。
○山田譲君 予算的に来年こういう補助事業を新しく始めようというときには、その陰でもう物すごい資料をつくって予算査定を受けて、そして決まるわけでしょう。それで来年それじゃ一億なら一億の補助事業を起こしてよろしいと、その内容はこうですと、そのときだってすでに補助要綱を持っていって見せなきゃそれはなかなか査定官も査定してくれない。そういうことで決まった補助金について、それを執行するのはやはり各省に任せたらどうかと私は思うんですね。さらに補助金係がいて、そこへまたさらに一々行かなきゃ補助事業が実行できないというふうな話は、本来的に私はおかしいと思うんです。でもそれは、適正化法ができた当時はある程度おっしゃったとおりやむを得ない面もあったと思うけれども、いまこれだけ補助金適正化法が定着をして、その線で各省ともかなり苦労をしてやっているわけですから、ですから余りそんな内容まで、内容というか一々そんな書類のところまで大蔵省に相談しなくてもいいように考え方を変えていくつもりはありませんか。
○説明員(兵藤廣治君) 極力簡素化の考え方で補助金の交付要綱の審査をいたしておりますつもりでございます。御指摘の点十分踏まえまして対処してまいりたいと思っております。
○山田譲君 これはぜひ対処していただきたいと思うんですね。各省どのくらい苦しんでいるかわからないんですよ、その補助要綱つくるだけでもね。もうすでに予算的にもらったものなんだから、後は適化法に従ってやっていけばいいと思うんだけれども、それにもかかわらずまだまだ大蔵省の補助金係が隠然たる勢力を持っていて、そこでいろいろチェックしなきゃ補助要綱ができないというふうな事態はどうしてもおかしいと思うんで、まあそれはある程度執行の面だから見るというのも結構ですけれども、余り細かい、この書類この書類というふうな、そういうチェックの仕方は、ぜひ大蔵省も今後考えていただきたいというふうに思うのでございます。 そういうわけで、その適化法は、おっしゃったとおりで、そんな細かいことまで書いてあるわけじゃありませんけれども、ひとつ臨調も言っていることでもありますから、この辺については適化法の一つに関連する問題として十分考えていただきたいというふうに思います。 それから、同じことの補助金の問題について、これもこの間山口県と広島県に行って、両県が同様に言いましたことは、いわゆる景気対策ということで公共事業の前倒しをしなきゃならない。そして、その結果を私、数字的に見ましたらどちらもあんまり進んでいないわけですよ。かなりいっていますけれども、前倒しがね。どうして前倒しが完全にいかない、まだ達成されないんだということで聞きましたら、両県の知事が異口同音に言いましたことは、公共事業について農林省からの補助金が、金が来ないんだと、なかなかおくれてしまう、そのために上半期に前倒しをやろうとしても、その分がどうしてもおくれてしまったということを両県の知事が同じように言ったわけですね。だから、私はそれは大変な問題だから、ちょうど決算委員会があるからよく聞いてこようと、こういうことで帰ってきたわけです。ですから、どういうことで私は知事が言ったか、細かいことまでは聞いてきませんでしたけれども、いずれにしても農林省の関係の金が来ないんでおくれているんだと、こういう話だったわけです。それはどういうことでしょうかね、もしそういうことはないというなら、ないでいいですがね。
○説明員(角道謙一君) 山口、広島の問題につきまして、私ども中・四国農政局の方に照会をいたしましたけれども、具体的に補助金の支払い等については遅いものはないというふうに報告を受けております。 私ども実際に公共事業の採択等をやります場合、交付決定をいたしますと、すぐ九割の概算払いをいたしております。そういう意味で県の申請が何らかの形で遅いのか、その辺の実態につきましては、私どももう少し調べてみたいと思っておりますが、昨日の電話連絡では実際上おくれていることはないというように報告を受けております。
○山田譲君 おくれていなければそれで結構ですけれども、少なくとも一つの県の責任ある知事が、そういう間違ったことを私は言うとは思わないし、言うとしたら何かの誤解があるんじゃないかと、こういうふうに思いますので、これは農政局の方に任してあることのようですから、ひとつ農政局と両県と、よく連絡をとっていただきたい、こういうふうに思います。いずれにしても、そういう話があったものですから、私も詳しいそれ以上のことは突っ込んで聞きませんでしたけれども、同じように両県が言うものですから、これは何か農林省だけがそういうことになっているのかなと、何か事情があるのかなということで帰ってきたわけです。ですから、これは誤解があると悪いですから、ひとつよく両県の知事と相談をしていただきたいというふうに思います。 それから、これは別な話になりますが、同じくこの臨調の答申を見ますと、地方公務員に対する補助、これは二年以内に原則として一般財源措置に移行するということが言われております、この臨調で。そして、さらに新規事業については人件費補助は認めないというふうな言い方を臨調は言っております。これに対して農林省はどういうふうにお考えになっておられるか。農林省関係で、まず最初にどのくらいの人数の人件費補助をやっておられるか、それをまず最初にお聞きして、そしてそれを今度二年以内に一般財源化するというふうな臨調の方針どおり実施することができるのかできないのか、できないならこういう事情でできないとか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。
○説明員(角道謙一君) 現在、農林省で人件費補助をやっておりますのは九件でございますが、この九件につきまして、臨調の方からは原則的には一般交付税その他の方法で人件費補助をやめろというような御指摘がございます。私ども、内容につきましては、非常にむずかしいものもございますので、いろいろ個別事項ごとに検討をいたしておりまして、明年度はとりあえず四件ばかりは人件費補助を打ち切る方向で予算要求を現在行っております。あとの五件等につきましてはなお今後慎重に検討いたしたいと思っておりますが、この中には無論法律改正を要する問題もございますので、なお慎重に検討いたしたいと考えております。
○山田譲君 全体で何人いるか答えていただきたいと思うんですが。 それと、その打ち切るという話ですがね、打ち切るのはいいけれども、都道府県にとっちゃあるいは自治体にとっては打ち切られっぱなしじゃ迷惑だと思うんですよ。その打ち切った人間をどうするんだと。そのまま県庁として恐らく抱えておかなきゃならないわけだから、農林省からお金が来なくなるとその分だけ都道県が負担しなきゃならないということになる。ですからその他の別な方でもって手当てができるのかできないか、しようとしているのか、そこのところはどうですか。
○説明員(角道謙一君) 先ほど九件と申しましてちょっと失礼をいたしましたが、十三件でございます。法律補助のものが八件でございます。明年度予算要求で一応廃止を検討したものは四件ございます。これにつきましては、中身は土壌保全調査職員あるいは農地調整職員あるいは農業改良研究員、漁業調整職員等でございますが、現状におきましてはそれぞれの事業の実態から見ましてほぼ事業効率等を達成しているものもございますし、それぞれ私どもといたしましては別途何らかの調整ができるものがあれば考えたいと思っておりますが、原則的にはほぼ県の方の負担で賄い得るものというように考えておるわけでございます。
○山田譲君 いまのあれですね、お話のあったのは何ですか、法律で補助をしているやつですか、それとも予算補助だけかどうか、大体率はどのくらい補助していたかということを教えてください。
○説明員(角道謙一君) 法律で補助をいたしておりますのは農業改良研究員一件でございまして、あとの三件は予算補助でございます。補助率は大体二分の一でございます。
○山田譲君 そうすると、農業改良研究員ですか、これは法律を改正するわけですね、そして出さないことにするわけですか、補助金は。
○説明員(角道謙一君) 農業改良研究員につきましては法律補助でございまして、これは現在共同事業ということで県と一緒にやっておりますが、これにつきましては法律補助率は三分の二でございます。これは今度農業改良助長法の改正を行いまして、全体としては、全県一人でございますので、各県一名ずつ、合計いたしますと四十七名でございますが、これについては県の方で御負担をいただきたいというふうに考えております。
○山田譲君 そうすると、その法律補助も含めまして予算補助のものも来年は打ち切るということは、その分は都道府県が負担しろと、こういう話ですか。
○説明員(角道謙一君) 原則的にはその方向で考えております。
○山田譲君 さっき一番最初に御質問した件でお答えいただいてないんですけれども、農林省関係で補助している人数というのは全部で何人いますか。
○説明員(角道謙一君) 昭和五十七年度におきまして全数で二万二千三百九十五名、このうち法律補助によりますのが一万九千二百五十一人、予算補助が三千百四十四人という内訳になっております。
○山田譲君 そうするとそのうちのごく一部だけ来年そういう形で切ってしまうと——知事の要請なり臨調、そういうことを言っているのじゃなくて、それは一般財源の方で都道府県でめんどう見てやりなさいと、人件費補助というやり方はよくないと、こういうことを言っているんですけれども、あなたが言っているようにただこっちが打ち切ってしまうということじゃ都道府県がたまらない。いまの最初やろうとしている程度の人数であったら、なるほどそう大した金額にならないかもしれないけれども、二万人という人たちの、これをみんな二年以内に人件費補助をやめてしまう、そして一般財源化するということを一応言っているわけだけれども、それについて農林省としては二年以内にやられるだけの自信があるかどうかという問題で、あるいはまたこれはどうしても補助事業として人件費も法律補助でやらなけりゃいけないと、一般財源にするわけにいかないというものもあるだろうと思うんだけれども、その辺はどういうふうに考えておられますか。
○説明員(角道謙一君) 先ほど申し上げましたように、十三件のうち四件は私どもの検討の過程で一応予算補助あるいは法律補助は打ち切るというように考えておりますが、あとの九件につきましては実態的に見て非常にむずかしいものもあろうかと存じております。臨調の報告も、原則として人件費補助は廃止という線でございますが、個別の補助金等につきましては、今後大蔵省あるいは行管とも相談しながら検討してまいりたいと思っておりますが、非常にむずかしいものがあるんではないかと考えております。
○山田譲君 むずかしいものがあるということは、大半は非常にむずかしいということですか、あるいはある程度これはもう一般財源化して、何らかの方法で別に自治省あたりから流れていくというふうな形にしても構わないというものも、その中にはたくさんあるというふうに考えられますか。
○説明員(角道謙一君) 残り十三件のうちの四件はあれでございますが、九件のうち予算補助が二件、法律補助が七件でございまして、このいずれもなかなか問題としては多いんではないかというように考えております。 なお、個別にもう少し私ども関係省とも相談しながら検討したいと考えております。
○山田譲君 これからの問題でありますから、臨調が言ったからといって簡単にそのとおりにするということもないと思いますけれども、いずれにしても言いたいことは、断ち切るのは結構ですけれども、今度向こうの相手方に迷惑がかかるようなことをやってもらっちゃ、それは地方財政ただでさえいま逼迫しているときに非常に困ると思うんですね。補助金がなくなったから首切るなんということも当然いまできないわけですから、ですから、こちらで打ち切ったからにはその金は何らかの形でやはり向こうへ渡るというようなことを考えていただきませんというと、地方行政にとってはたまらない、こういうことだと思います。その辺十分おわかりのことだと思いますけれども、要望しておきたいと思います。 それでは補助金の問題はこの辺でやめまして、次に臨調答申と農政の問題について御質問をしていきたいというふうに思います。 まず最初に、これは大臣にぜひお伺いしたいんですが、臨調が農政に対していろんなことを言うております。その中でトップに「基本的考え方」というふうな言い方で、これは後で詳しく説明を求めていきますけれども、幾つか挙げております。細かいことはともかくとしまして、臨調の農政に対する基本的考え方について農林大臣としてはどういうふうに理解しておられるかどうか、これをまずお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(田澤吉郎君) 臨調の考え方でございますけれども、これは産業として自立し得る農業の確立ということを基本にしながら、各般にわたるやはり指摘をしているわけでございまして、しかし行政改革の理念の中ではやはり食糧の安定供給だとかあるいは環境保全の問題だとか、あるいはその地域の雇用の場の提供等のために非常に農業というのは重要な役割りを果たしているんだということでございますので、基本的に私たちは臨調も農業に対して理解を持っていただいていると、こう思うのでございますけれども、具体的な内容については非常にむずかしい点がございます。たとえば逆ざや解消のための奨励金の廃止だとか、あるいはまた転作奨励金の問題等については、これはいま直ちにこの問題を処理するということは農業にとって非常に重大な問題でございますので、これは長い時間をかけてのことに相なりますので、そういう具体的な問題になりますと、私たちは十分検討してまいらなければならないと思いますけれども、基本的にはかなり農業に対する理解を得ているものと、こう理解いたしております。
○山田譲君 具体的には非常にむずかしいけれども、基本的にはというお話、基本的な考え方についてお伺いしたわけですからそれでいいんですけれども、しかし具体的な問題になっていくと、逆に今度は、どう考えても本当に大臣がおっしゃるような意味でもって日本農業の発展を考えて物を言っておられるかどうかということが疑わしくなるわけであります。 そういうことで、一つ一つ今度具体的にお伺いしていきたいと思いますけれども、まず農業、臨調が基本的な考え方として次のような問題があるというふうなことを幾つか述べておりますが、その中で、一つは生産性が非常に低い、「国際水準より相当低く、農業者の所得確保等のため、多くの財政負担を要している。」、こういうことが一つの問題点であるということで指摘しております。 そこで、これは大臣でなくて結構でありますけれども、生産性が国際水準より相当低いと言っておりますけれども、一体どのくらい低いのか。そしてまた、その生産性がどうしてそんなに低くなっちゃったのかということについて御説明をお願いしたいと思うんです。
○説明員(角道謙一君) 臨調の基本答申におきまして、問題点といたしまして、「生産性特に土地利用型農業の生産性は国際水準より」低いということを指摘してございます。これは私ども従来農業の生産性向上に努めてきておりますけれども、いわゆる施設型農業、果樹であるとか家畜、特に中小家畜でございますが、こういうような施設型の農業につきましては欧米先進諸国に比肩し得るほどの生産性向上を上げてきておりますけれども、土地利用型農業、特に穀類等でございますが、これにつきましては非常に国際水準とはかけ離れている点があるかと思います。たとえば五十六年度の内外の価格比、これを調べてみますと、米の場合にはたとえば国際相場と比べまして約三倍、小麦で三・九倍、大豆でこれは約三・八倍、牛肉は一・六倍というように、土地利用型の農業につきましては価格が外国のものに比べまして相当高いということは事実でございます。その理由といたしまして、特に問題がございますのは、外国の場合には大規模経営、土地利用型の場合には経営規模が非常に大きくて機械化が可能である、そういうような実態がございますが、これを数字で見てみますと、日本の場合の農家一戸当たりの農地面積は一・二ヘクタールでございますが、アメリカの場合には百八十二ヘクタール、西ドイツの場合でも十五ヘクタール、フランスで二十六ヘクタールというように、経営規模が日本の何十倍というように非常に大きくなっております。この原因といたしましては、特に土地価格、これが日本と外国の場合に非常に大きな差がございます。たとえば十アール当たりの農地価格、これも日本の場合にはいわゆる市街地区域を除きましたいわゆる農業振興区域だけでございますが、田でたとえば十アール当たり平均で百二十万円、畑で八十四万円でございますが、アメリカの場合には、同じ年度で見ますと十アール当たり三万四千円、西ドイツでも三十六万六千円というように、農地価格が非常に低いということがこういう規模拡大を容易にしている大きな原因であるというように考えりおります。また、労働の面でも外国からわりに安い雇用を随時雇用し得るというような条件がありますけれども、日本の場合にはなかなかそれもしにくいというような点がございまして、やはり私ども今後生産性の向上を図っていくためには、土地利用型につきましては規模拡大ということが一番重要であろうというように考えております。
○山田譲君 価格が高いということが直ちに生産性が低いという話にはならないと思うんですよ。たとえばお米の場合にしたって、一反歩五百キロくらいというのが大体世界水準で、日本を追い越したなんて言って喜んでいる国もあるわけだけれども、大体五百くらいのものだろうと思うんです。そうすると、その生産性そのものは少なくとも外国に比べて低いということにはならないんじゃないですか。だから、価格の問題とは一応別じゃないかと思うんだけれども。
○説明員(角道謙一君) いま山田先生おっしゃいましたのは、まさに土地生産性といいますか、収量当たりで見ますと技術的にはそういう点は私ども大体そういうあれが得られると思いますけれども、具体的にはやはりコストの関係で見る生産性というのがこの臨調の報告のベースになっているかと思います。物的生産性といいますよりもコスト面から見た生産性が低いという点がこの指摘の内容になっていると考えております。
○山田譲君 その点はわかりました。 そういうことで国際水準よりも生産性が非常に低いと。そういう前提で、そのために農業者を保護しなきゃならないと、こういう観点から多くの財政負担を要していると。「多くの財政負担を要している。」と言ってますけれども、これは農林省としては現在、額にして多いことはわかりますけれども、つまり多いことが悪いことだという考え方の発想だと思うんですけれども、これは必要に基づいてそれぞれ農林省が出してきたお金だと思うんですね。その財政負担についてやっぱり多過ぎるというふうに考えておられるか、それとも適当であると考えられるか、それとも不足しているというふうに考えるか、この三つしかないと思うんだけれども、そのうちのどれを農林省は考えておられますか。
○説明員(角道謙一君) 私ども農林水産業の現況から見まして、やはり生産性を上げていったり、あるいは農林水産業一切が、たとえば水のようなものも、たとえば水田を見ますと、水利そのものは自分自身ではなかなか水量を確保できない、共同でやらなきゃいけないと。また、その水利事業につきましても公益性の高い、たとえば今回の災害におきましても、水田によりましてたとえば洪水等が相当防がれるというような公益的機能を相当持っているというような点に着目いたしまして、私ども現在の農業をまり生産性の高いものにするために、あるいは農業の免れがたい特性から見まして、私ども財政負担をしているということを考えておりますので、臨調の指摘の財政負担が多いという点につきましては、私ども必ずしも同意はいたしておりませんで、現行の補助は必要不可欠のものであると、また最小限のものに私ども限っているというように考えております。
○山田譲君 そうすると、臨調は何となく財政負担が多いことはよくないことだという観点でこう言っていると思うけれども、農林省としては現在の財政負担は必ずしも臨調が言ってるように多い、多過ぎるというふうには考えておられないというこことですか。
○説明員(角道謙一君) 御指摘のとおりでございます。
○山田譲君 それでは、その次の問題点として指摘している基本的な考え方の一つとして「主要作物である米の需給が構造的に不均衡である」ということを言っておりますね。それで、米の需要に見合って生産されているかということについて農林省どうお考えか。つまり、減反政策を実施することによって一応需要に合わせて米をつくっているんじゃないかというふうに思います。いま一千万トンそこそこのお米は大体需給関係に見合ったようにつくっているわけで、それにしてなおかつ臨調が需給に見合ってないというのはどういう意味ですかね。どういうふうに考えておられるかどうか。
○説明員(角道謙一君) 御指摘のとおり、私ども転作政策をとりまして、米の需給均衡を毎年度達成をしていくという方向で現在考えておりますが、転作奨励金等の一種の助成、転作につきましての助成措置を講じておることが大きな柱になっているわけでございますが、この理由といたしましては、米に比べますと他の転作作物はやはり収量的にまだ気象条件の変動があれば必ずしも安定した収入が得られないとか、あるいは新しく転作をするという場合には、いままでやっていた水田から全く新しい作物に取り組むものですから非常に危険が伴うとか、また技術もふなれであると、さらにまた収益差、米と他の作物につきましては収益の差が非常に大きいというような点もございまして、私ども現在転作奨励金を出しながらこの転作を進めると。ただし、これには私ども転作の定着ということに現在主力を挙げております。臨調の方の考えでは、やはり転作は必要であるということは認めながら、できるだけ財政負担の観点から転作奨励金を早期に打ち切れというようなことを言っておられるわけでございますが、私どもいま仮に転作奨励金を打ち切った場合には、現在の転作にいそしんでおられる農家の方々が、やはり転作には精進しなくなると。将来の方向を考えましても、転作作物として私ども今後重視しております飼料作物あるいは麦、大豆等につきまして、こういう転作の定着ができなくなるということにつきまして、私ども非常に心配を持っております。そういう意味で、この転作奨励金がなければ、農家の方々としては転作に定着していただかなければやはり米に返っていくという点で、基本的に米の需給均衡は必ずしも構造的に達成されているというようにはまだ私ども見ておりません。その点は臨調も同じでございますが、やはり臨調の方はこの定着化をできるだけ急ぐと。また、そのためにも——そのためというのは言葉は悪うございますが、転作奨励金は財政負担の観点からできるだけ早く打ち切れというのが臨調の方の指摘になっていると考えております。
○山田譲君 それでは、やっぱり基本的な考え方として臨調が言っておりますところで、要するに生産性向上を図らなければいけない、そして内外の価格差を縮小していかなきゃいけませんと、そしてその次に言っている言葉なんですが、「産業として自立し得る農業を確立することが重要である。」と。これは大臣にぜひお伺いしたいんですが、先ほどの話にもちょっとあったことに触れますけれども、農業が産業として自立し得るというふうに確立できるかどうか、そういう状態が日本において実現するかどうかについて大臣どう考えていらっしゃるか。臨調はとにかく産業として自立する農業にすると、こう言っておりますけれども、大臣としては日本の農業というものは産業として自立する農業になれると思っているか、なれないと思っているか、いかがですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 産業として自立し得る農業の確立をするためには、先ほど来いろいろお話に出ております生産性の向上を図るということでございます。その生産性の向上も私たちの国でできるものはできるだけ私たちの方で賄うという原則、もう一つは国民の需要の動向に応じた農業の再編成をしてまいらなければならないわけでございますから、そういうこの二つの条件を前提にしながら生産性の向上を図ると、そのためには先ほど来お答え申し上げておりますように、経営規模をまず拡大しなきゃいかぬ、それから基盤整備をまず徹底しなきゃいかぬ、それから技術の開発をすると、しかもそのことは中核農家を中心にして意欲的に農業をやる方にそういうことをしてやるべきだという考えなんでございますが、そういうことにしてまいりますると、その方々は私は必ず自立し得る、いわゆる産業として自立し得る農業が確立できると、私はこう考えます。むしろ私は輸出産業としての農業にまで発展さすべきであるという考えで、私はむしろ農業という産業は自立できる産業であるという確信を持っております。
○山田譲君 むしろ輸出するくらいの農業を発展させるべきであると、いろんないまおっしゃられるような前提があると思いますけれども、要するに結論的にはやっぱり日本の農業といえどもそういうふうなやり方をしていけば完全に自立し得る、そして自立し得るどころかもうどんどん輸出もできるような、そういう農業に日本農業は発展していく十分その下地があると、こういうふうにおっしゃるわけですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) そのとおりでございます。
○山田譲君 そうしますと、そうなった暁に、これは全部全廃というわけにいかないと思うけれども、農業に大体十兆くらいの生産に対して三兆くらい補助金を出していると、こういう状態は確かにいろいろな問題があると思うけれども、この補助金というふうなものはその自立された暁には、全廃まではいかないかもしれませんけれども、相当減らすことはできる、こういうふうな自信がおありですか。
○説明員(角道謙一君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在私ども出しております財政負担あるいは補助金等につきましては、個人的なものにつきましては私ども一切補助はいたしておりません。あるいは価格政策の面で負担しているものは相当ございますけれども、私どもの財政負担あるいは補助金の主流を占めておりますのは公共事業に対する補助金等が主体でございます。やはりこれは個別の農家を越えた水利用、その他土地利用の観点から公共的な投資を目的とするもの、あるいは公益的な機能に着目してやるもの、あるいは共同的な作業を進めるためにやるものという意味でやっておりますので、全部が全部将来仮に大臣申されましたように、農家として自立し得るといたしましても補助金が全廃し得るというような状態にはならないというように考えております。
○山田譲君 ぜひ、さっきの大臣のお言葉で私も非常に力強く感じたわけですけれども、いろんなむずかしい前提があるにしても、やっぱり将来的には日本の農業も自立し得るんだと、またそのために農政もがんばっていかなきゃいけない、こういうひとつ前向きの姿勢で農政をやっていただきたいと思うんです。 ひとつ聞いておきたいんですけれども、いまのところから考えていきますと当然、ある程度わかってまいりましたけれども、農業というものは弱い産業であるという考え方と農業は強い産業であるという考え方があると思うんですけれども、どちらかと言うといままでの日本の農政は、いままでというか最近の農政は弱い農政というふうな観点から、弱い産業ですか、この農業を見てきた、その分を補う方法として補助金というふうなものが出てきたんじゃないかという感じがしてならないんですけれども、いま大臣がおっしゃったようなことからいくとむしろ弱い産業じゃなくして、そんなに強いと言えるかどうか問題があるにしても、とにかく決して弱い産業ではないんだと、りっぱに自立し得る産業であります、こういうことになりますと、そういうことのためにひとつ補助金というものを使っていっていただくことが必要じゃないかと思うんですけれども、この点大臣いかがですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 私は、農業という産業は弱い産業じゃなく強い産業なんだと。しかもアメリカ等では先端技術産業並みの農業に研究開発投資をいたしているわけでございますので、しかもその気候風土に合った作目の研究開発投資をしているわけでございます。したがいまして、アメリカではあの風土から言ってトウモロコシ、大豆、これが非常にあの風土に合っているというので研究開発をしまして、十アール当たりたしか七百九十キロ生産している、生産性を上げているという統計等を見ますというと、私はその中にアメリカの農業があるんだなということを感じます。したがいまして、日本の農業もやはり日本の風土に合った作目、これはお米であり、あるいは草でございましょう。しかし、その次のものは何かと言えば大豆だと私は思いますので、そういういわゆる日本の風土に合った作目を研究開発して、それに思い切った投資をするということによって私は強い産業としての農業が確立できると思うのでございます。そのためには何としても人的資本というものをもっと養成していかなければならないと思うのでございます。いま農業に従事している方は兼業農家であり、あるいは老齢化した方々が農業に従事している。この方々も当然農業を担当していただかなければいけませんけれども、もっと若い、しかも頭脳的な人が農業に従事していただいて、そして頭脳産業としての農業を確立するということが、私は強い農業を確立する根本の問題であろうと思いますので、そういう意味ではやはり人的資源をまず確保する、そのことによって新しい農業が私は確立されると。そのもとに経営規模を拡大し、あるいは基盤整備をし、さらに技術の開発をしていきますならば、私は必ず輸出産業としての日本農業というのは確立できると思うんです。現にいま輸出できる、国際的な価格の面で輸出のできるものは卵でございます。卵は、鶏卵はこれは大体国際的な水準以下の価格を維持しております。次は中小家畜だと思うのでございますが、これは先ほど官房長からお答えしたようにヨーロッパ並みからちょっと落ちているという状況でございます。しかし、これから果物だとか花卉類、こういうもの、あるいはまた種ですね——タキイの種などはもうすでに野菜の面では輸出をいたしておりますが、これから穀物等の問題、あるいは球根だとか、そういういろんな品目は国際的にある程度対応できる品目があるわけでございます。したがいまして、私はこれから中核農家、いわゆる本当にやる気のある頭脳的な人材をそこに、農業という産業に従事していただいて、そのことから経営規模あるいは基盤整備、あるいは技術開発を進めるならば、私は活力ある産業として十分成り立つ産業である、こう考えますので、そういう目標を農家の方に示しながら、そういう目標でわれわれは農業をやるんだということを示し、指導しながら、将来の新しい農業を確立いたしたい、かように考えておるのでございます。
○山田譲君 大臣の非常に積極的な、前向きな、しかもかなり具体性のあるお話で、私も力強くお聞きしました。ひとつそういうことですから、大臣も、今度の内閣改造もやめないで続いて農林大臣をぜひやっていただきたいというふうに思います。もし万が一やめることがあっても、次に来た農林大臣によく教えておいていただきたいと思うんですよ。農林省も、せっかくこんな積極的な大臣がいらっしゃるんだから、それは大臣の意を体して積極的にやっていただきたい。決して農業は弱い産業じゃないんだという考え方でやっていただきたいと思うんです。 特に、私、農村地帯などを歩いてみましても、本当に嫌になるくらい萎靡沈滞をしておりますね。それで、だれに聞いても、だれというか、多くの人が、とにかくおれはもう農業をやるのが嫌になった、一体政府はどうしてくれるんだというふうなことしか聞かれないわけです。やっぱりそういう人たちをふるい立たせるような農政をやるのが、これからの農林省の仕事じゃないか。農業は決して弱い産業ではないという、頭を使ってちゃんとやっていけばりっぱに太刀打ちできる産業なんだと、こういうことでぜひ農民の人たちにもよくよく指導をしていっていただきたいというふうに思うんです。いま本当に農村地帯を歩けばそういう点で嫌になってしまう。いま大臣がおっしゃったようなそういう農政をきちっと一般の人たちに、農民の方々に教えてやる、そしてそれなりの指導なりそういうことのためのお金というふうなものはどんどん使っていっていいんじゃないか、こういうふうに考えます。 そこで、次に食管制度に臨調が触れております。それで、先ほどちょっとお話にありましたけれども、この食管制度については、とりわけ転作奨励金ですね、これは第三期対策においては具体化するというふうなことを言っております。これは、この前に出された第一次答申に比べて——第一次答申ではそこまで言っていないわけでありますけれども、はっきりと具体化するというふうなことを臨調答申として言っております。そして、何を具体化するかと言えば、結局転作奨励金をやめていく方向を具体化させる、こういう言い方になるわけですけれども、これが一体どういう方法でもって——第三期対策と言えばもうじきでありますけれども、やろうと考えておられるか。こういう点でお伺いしたいと思うんです。 この前の新聞によりますと、農林大臣が——これは盛岡ですか、でもって記者に話された。そして、農林大臣の発言に農林省内が当惑していますというふうな記事が載っております。それで、減反面積を広げないというふうなことを果たしてどういうおつもりで大臣おっしゃったか、これはもう恐らくそうしたいというふうな信念なり希望を申されたと思うのでありますけれども、やっぱりどう考えても減反面積は、現在の米の需給動向、お米のこれから十年後、五年後を見たときに、現在一人一人の消費量はさらに減っていく、六十キロそこそこになっていくというふうなことになりますと、これはどうしても米そのものを減らしていかなければならないということになると思うんですけれども、大臣のこれをおっしゃった真意と、これは大臣でなくて結構でありますけれども、こういう転作奨励金をやめることに具体化するというふうな臨調の答申をどう受けとめていらっしゃるか、これをお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(田澤吉郎君) いまの水田利用再編対策は二期対策を進めているのでございまして、これは五十八年度までなんでございます。そこで、五十八年度までに、私たちはこの集団化そして定着化をいま促進さしておりまして、これがもし定着いたしますというと、いまの生産性を考えていきますというと、大体需給関係のバランスがとれるのじゃないだろうか。もしそれ少し余分に生産されたとしても、備蓄の問題だとかその他考えますというと、一応二期対策が目標どおり定着するならば可能なんじゃないだろうか。しかし、これからこの作柄等いろいろ考えてまいらなきゃなりませんけれども、一応私は、五十八年度で目標を達成し、それが定着化したならば、ある程度この水田利用再編対策の目的が達成されるんじゃないだろうか、こう思いまして申し上げておるのでございまして、そういう意味で、私は、できるだけこの集団化と定着化にこの際思い切って力を入れるべきであろう、こう考えて申し上げたのでございます。
○説明員(小島和義君) 臨調答申で言われております、「転作奨励金依存からの早期脱却を図る。」また「このため、第三期対策においてこれを具体化する。」という、そういう御指摘があるわけでございますが、これにつきましては、私どももかねてから水田利用再編対策につきましては、奨励金に依存しない転作営農の確立を期するというのが基本的な考え方でございます。そうは申しましても、長年灌漑農業を基本的な体質としてやってまいりましたわが国の農業の特質から見まして、また、米と他作物との収益性の格差、それから転作物についての技術水準などを考えますと、早期の脱却というのはなかなか容易ならざる課題であるというふうに考えております。したがいまして、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、この転作、実施しておりますただいまの二期対策の過程を通じまして、転作条件の整備を一層進めてまいりまして、奨励金依存からの脱却の方向に向かって最大限の努力をするつもりでございます。 また、五十九年度からは水田利用再編対策の第三期目に入るわけでございまして、第三期どういう数字になるかということは現段階、具体的には申し上げかねるわけでございますが、ただいま大臣からお答えいたしましたような方向を十分踏まえまして、五十九年度の予算編成までの間に、米の需給動向、転作の定着化の状況等を総合的に勘案いたしましてその枠組みを決めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。 また、米の需給ギャップがどれぐらいになるかという問題につきましては、非常に長期の見通しの場合と、この二期対策あるいは三期対策の期間を通じましての見通しとは多少趣を異にしてまいるわけでございまして、昭和五十五年に閣議決定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」、これは昭和六十五年度を想定いたしておるわけでございますが、大体七十六万ヘクタール程度の調整が必要なんではないか、こういう見通しになっておるわけでございますが、もちろん需要の動向がどうなるかということにもよりますし、ただいま進めておりますようないろんな政策の成果がどういうことであらわれるかということによっても変わってまいるわけでございますので、見通しがこうなっておるからということでしゃにむにその線に持っていくというつもりでは決してございません。
○山田譲君 転作が、大臣さっきおっしゃったけれども、かなり定着しつつあるというふうに大臣は見ておられますか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 私も各所をこう視察をいたして、水田利用再編対策の実態を視察をいたしますと、必ずしも定着はいたしていないのでございまして、大豆等ではいいとこでは約三〇%というような状況でございますので、これの定着にはもっともっと積極的にやらなきゃいかぬ、こう思っております。もちろんこれも、前までは、農家の方々も、水田利用再編対策というのは緊急避難的な考え方でこれを扱ってきたのでございますが、最近、やはり水田利用再編対策というものは新しい農政をつくる基本なんだという考え方に最近変わってきておりますんで、その促進の速度はある程度進んでおりますものの、依然としてやっぱり三〇%程度じゃないだろうかと私は見ておるのでございますので、今後一層促進をしてまいらなければならない、かように考えております。
○山田譲君 この「農政の基本方向の推進」というやつを八月に農政審議会が出しましたよね。これで見ますと、「米の需要と生産の見通し」というところを見ると、先の話だということですけれども、五十三年度と六十五年度を比較してみますと、たとえば米の一人当たりの消費量が五十三年度は八一・六キロであった、しかしこれがさらに六十五年度には減って、六十三キロから六十六キロぐらいになるだろうと、こういう見通しを立てていますね。そうしますと、当然水田面積もずっと減っていかなきゃならないというふうに常識的にはそう考えられるわけでありますけれども、そうしますと、さっき大臣のお話のように、転作はこれだけで減反面積はもう広げないと、こういうふうにおっしゃっても、やはりどう考えても、これは、計算上はたんぼは減らしていかざるを得ないんじゃないかという感じがするんですけれども、この点はいかがですか。
○説明員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、昭和六十五年度におきましては七十六万ヘクタール程度というのがただいま私どもが持っております長期の見通しでございます。この第二期対策の間を通じまして目標をどうするか、あるいは、その後に続きます昭和五十九年度から始まります第三期の対策における目標をどうするかという問題は、必ずしもその七十六万ヘクタールに向けての直線上にあるということではないということを申し上げておるわけでございまして、あくまで五十九年度開始以前の状況を踏まえまして、その時点においての米の需給状況、在庫の状況、転作の状況、それから先ほど大臣がお話しになりましたような備蓄というふうな問題も絡んでまいります。そういったことを総合的に勘案いたしまして、五十九年度から始まります第三期の目標を決めてまいりたいと考えておるわけで、その数量目標が当然七十六万ヘクタールに向けての線上に位するということをいまから断定してかかっておるわけではないと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○山田譲君 しかし、そうは言うものの、毎年毎年米の一人当たりの消費量というのは減っているわけですね。ですから、特別に人口でもふえない限り、やはり、これは全体の需要としてはずっと減っていくというふうに見ざるを得ないと思うんです。最終的には恐らく六十三キロだとか六十六キロと言っておりますから、これ以上に下がるということはまずないというお考えだとは思いますけれども、そうなるとやはり現在でも毎年毎年減っているわけでありますから、そのときそのときの米の需給状況を見てとかいろいろおっしゃるけれども、やっぱり考え方としては減反の方をふやしていかないと勘定が合わないと、そう思うんですけれどもどうですか。
○説明員(小島和義君) 長期の動向としてはおっしゃるとおりだと私どもも考えております。ただ、その五十九年度から始まります一定期間の目標としてどうするかという問題になりますと、これは、やはりそのときの米の需給ないしはそれに関連いたしますいろんな施策というものを総合的に踏まえまして五十九年度以降の目標をどうするかということを決めてまいると、かようなことを申し上げておるわけでございます。
○山田譲君 そこで、その次にお伺いしたいのは、臨調はこの答申の中で、さっきの「転作奨励金依存からの早期脱却を図る。」と、そして「第三期対策においてこれを具体化する。」と、こう言っております。そしてこの「食糧管理の今後の在り方」というところで「食管制度については、その運営において一層市場原理を導入する」と、こういう言い方をしております。そして「市場原理」とは一体どういうことを指すのか、この点をお伺いしたいと思うんです。
○説明員(山田岸雄君) お答え申し上げます。 市場原理の導入と指摘されておりますのは、価格の形成に行政が直接介入するということではなくて、需給の実勢に応じた価格の形成がなされるように配慮しろと、こういうことではないかと私は理解しておるわけでございまして、その具体的な措置といたしましては、過剰基調のもとにおきましては生産者米価を抑制的に定めるとか、また、売買の逆ざやといったようなものは解消すべしとか、自主流通米の導入により、かつまた、その数量を拡大するとか、適正な品質格差を実現するようにしろとか、こういった点ではないかというふうに理解されるわけでございます。
○山田譲君 いまの具体的なお話に移りたいと思うんですけれども、まず最初に、食管会計の問題について、市場原理を導入するというふうなことを言いながら、今度はその売買逆ざやについても、「売買逆ざやは早期に解消する。」、「コスト逆ざやの縮小に努める。」というふうな言い方をしておりますが、売買逆ざやの問題について早期に解消すると言っております。これは、売買逆ざやの解消のために一体どういう方策を考えようとするのか、そうしてまた、売買逆ざやの解消というのはどういうことか。つまり、売り値と買い値が全く同じにしろという意味なのか、コスト逆ざやの問題は別としまして、売買逆ざやだけについて言った場合に、全く同じにしろという状態を考えておられるのかどうか。そうしてまた、ついでに自民党と政府との間でもって五十一年七月十六日に了解事項ができて、この売買逆ざやの解消に努めるというふうなことを了解しておられますね。この点はその後もずっといまも生きているのか、こういうことについて御質問したいと思います。
○説明員(山田岸雄君) お答え申し上げます。 売買逆ざやと申しますのは売りの価格と買いの価格の差額というふうに御理解いただければよろしかろうかと思うわけでございまして、現在は政府の買い価格の方が高くなっておりまして、それで売り価格の方が安い。したがいまして、その間の逆ざや率と申し上げますと、現在五・四%ぐらいになっておる。この比率をできるだけ少なくしろ、こういうふうに理解されるわけでございまして、その売買逆ざやにつきましては、財政負担の要因となるばかりでなく、物の価格のあり方といたしまして本来不自然なものではないかと、こういうふうにも考えられますし、広く国民の信頼の支持のもとに食管制度を健全に運営していくというためには、その解消に努める必要があるんではないか、このように考えておるわけでございます。このような観点から、五十一年度以降、米の売買逆ざやは段階的に縮小されてきているところでございます。 いま先生御指摘の政府と自民党の申し合わせにおきましては、今後おおむね五年以内をめどに売買逆ざやを解消する基本方針を確認する、こういうふうなことになっておるわけでございますが、若干、その方向に従いまして、五十一年におきましては売買の逆ざやは二三%ぐらいございましたが、現在は五・四%になっておる、こういうことでございます。
○山田譲君 この売買逆ざやの問題でありますけれども、これは、解消するというのは、先ほどのお話のように、結局、売り値と買い値を一緒にしなきゃ解消できないはずですね。そうしますと、私は、縮小する、その差がだんだんなくなっていくというのとまるっきり同じにしちゃうというのでは、そこに基本的に考え方の違いが出てくると思うんですね。売買逆ざやの問題を見ましても、三十五年から比較して見て、確かに逆ざやはずっと減ってきている。さっきおっしゃったように、五・四%になっておりますと。去年は四・二%、これは間違いないですかな。
○説明員(山田岸雄君) はい。
○山田譲君 大体そんなことで、ですから、ことしは去年よりもちょっと売買逆ざやは広がっているような感じですが、これは、かつて四十九年あたり七五・二%なんという高いときもあったようですね。しかし、いずれにしても言えますことは、その差の大きい小さいということは別としまして、全くゼロにはなっていないわけですよね、ゼロには。そうすると、ゼロになるということは、何回も言っておりますように売り値と買い値が全く同じだということで、そうするとその解消する方向というのは結局ゼロにしろということを言っておられるかどうか。そうすると、ゼロにするためには生産者価格をできるだけ下げて、まあ下げるということはできないだろうから上げることはやめて、そして消費者価格を上げるということしか考えられない。そうしないとどう考えたってそれは一緒になれないわけで、そういうことを考えておられるのかどうかということをまずお伺いしたいと思うんです。
○説明員(山田岸雄君) 先生御指摘の売買逆ざやの解消ということはゼロではないか、確かに御指摘のとおりゼロということが解消ということになるわけでございますが、近年その幅がかなり縮小をしておりますし、逆ざやの解消の進め方によりましては食管運営のあり方に相当の影響を及ぼすものと考えられますんで、今後とも改正食管制度の適正な運営に努めると、こういうことで対応したいと思っておりますし、具体的な取り扱いにつきましては、生産なり流通なり消費等、各般の面に及ぼす影響、財政事情などに十分配慮いたしまして判断していかなければならないと、こういうふうに思っておるわけでございます。 その解消する場合の措置の方法でございますが、確かに売買の価格差でございますからその両者の間の関係からゼロにするということでございまして、方法としては、生産者価格を据え置けば消費者価格の引き上げで接近させると、こういうふうな手段になろうかと思うんでございますが、こうした具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたような生産なり流通なり消費、それから財政事情、こういったものを考えながら具体的には判断していかなきゃならないんじゃないかと、こういうふうに思っております。
○山田譲君 さっきも言いましたように、この差がだんだん縮小していくということと全くぴったり同じになるということは私、質的に違う問題だと思うんです。つまり食管会計についての考え方——過去二十年以上振り返ってみましても、逆ざやがないときはありませんね、その幅の大小は別として。そうしますと、食管会計というのはやっぱり高く買って、できるだけ農民からは、そして消費者には安く売りましょうと、こういう基本的な考え方が私はあったんじゃないかと思うんです。間違っていたら教えてもらいたいと思うけれども。そうすると、ますます財政状況によって差が出てくるのは仕方ないにしても、これが全くゼロになるということは、やっぱり従来二十年以上やってきた食管会計の基本的な考え方を崩すものじゃないかというふうに私は思うんです。食管会計というのはそういうものじゃないとおっしゃるならそれはまた別ですけれども、少なくとも過去二十年以上のやり方を見てますと、私はやはりそういう考え方のもとにやってきたんだと。当然そのときの財政状況によってそれは多少は差があるとはいうものの、まるっきりゼロにして同じ値段で買って同じ値段で売りますよというのならば、何のために食管会計あるかというふうに私たちは考えざるを得ないんだけれども、その点はどうですか。
○説明員(山田岸雄君) 売買逆ざやでございますが、一応物の価格のあり方といたしましては、先ほど申し上げましたように不自然でございますし、先生いま御指摘の逆ざやがなかったことはないんではないかと、こういうことでございますが、三十年代におきましては売買逆ざやがなかった、順ざやのこともございますんです。したがいまして、基本的にはやはりこれは解消する方向で対応するのが必要なことではないかと、こういうふうに考えております。
○山田譲君 三十年代って、私は三十五年からの話を申し上げたわけですけれども。その前の話、よく知らないけれども。そうすると、ゼロであったこともある、あるいはプラスであったこともあるんですか。
○説明員(山田岸雄君) 昭和三十二年でございますが、そのときから三十五年、この段階では逆ざやはプラスでございまして、比率で申し上げますと、約五%程度のプラスの順ざやになっております。
○山田譲君 そうしますと、この二十年、三十五年以降、少なくともこの表で見る限り、三十五年がプラスになってあとはずっとマイナスになっております。そうすると、このプラスからマイナスに転じたときは一体どういう考え方だったんですか。
○説明員(山田岸雄君) これは両方の価格を決定するに当たりまして、生産事情等におきますコストが相当増大したと、こういうふうな観点から生産者価格の引き上げということも行われました結果、逆ざやということになったんではないかと、こういうふうに考えております。
○山田譲君 そうすると、いまのような考え方で、ずっとそれ以降はその考え方できていると、こういうことになりますか。
○説明員(山田岸雄君) 御指摘のとおりだと思います。
○山田譲君 そうすると、年産者の価格が上がったのはわかるけれども、どうしてそのとき消費者価格を上げなかったかということなんですね。たとえば、いま五・四%の差をこれからずっと縮小していくということは、言いかえれば、いまの論法でいきますと、生産者価格の方のコストが安くなったということなのかどうかですよ。
○説明員(山田岸雄君) 生産者価格は、生産費、物価、その他の事情を参酌して農家経済の安定を期すという考え方のもとに決定されておりますし、また消費者価格につきましては家計の安定、こういうことを旨として決めると、こういうことになっておりますし、双方の事情が異なる際におきましては逆ざやということも出てこようかと思うわけでございます。
○山田譲君 そうしますと、食管会計というのは、過去二十年は別として、基本的にはそういった高く買って安く売ってやると、こういう消費者のことを考えたり、あるいは生産者のことを考えたり、そういうものじゃないということですか。
○説明員(山田岸雄君) ちょっと私、御質問の趣旨を履き違えておるかと思うんでございますが、食管制度におきます買い入れ価格、それから売り渡し価格、これはそれぞれ生産者の立場、それから消費者の立場、いろいろの経済事情等を勘案して定めると、こういうふうになっております。
○山田譲君 この問題だけで余りくどく言うつもりありませんが、いまのお考えでいきますと、そうすると過去二十年以上というものはやっぱりそういう考え方で決めてきたと。それはたまたま、それが売買逆ざや、マイナスになったということは一つの結果でしかないんだと。目的じゃないということですね。そうすると、これからだんだん減らしていってゼロにすると。そうすると、場合によっては生産者価格の方が今度は低くなると、前にプラスのときもあったようですから、そういうことにもなり得ると。食管制度というか全量買い上げとかこういう制度というのはそういうものなんであって、必ずしも逆ざやがなくてもこれは食管制度は維持できるんだと、こういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(山田岸雄君) 先生の御指摘のとおりでございまして、売買の逆ざやになるというふうなことは結果的になることでございまして、当初からそれが予定されておると、こういうことではないわけでございます。
○山田譲君 そうすると、財政状況によっては——私がどうしてこんな質問するかというと、やはりいままでそう財政状況が悪いからとかなんとかということが問題にならなかったと思う。やはりそれなりに客観的に生産者価格あるいは消費者価格というものを決めていったと思うんですけれども、今度は別の財政再建というふうな要因が入ってきて、その結果、従来二十数年やってきたようなやり方を変えていこうと、こういうところがどうもいままでとちょっと違うんじゃないか。いままでもそういうことありましたか。
○説明員(山田岸雄君) いままであったかということでございますが、従来からそのときどきの財政事情等も配慮して決定されたものだと私たち理解しておるわけでございます。
○山田譲君 プラスのときもあったしということで、それでこれからは解消させていくという方針でやっているようでありますけれども、どうもそのもとになる考え方が、やや従来と変えて財政再建というところの方にこの食管会計を奉仕させる、犠牲にするというふうな、こういう考え方が露骨に出てきているんじゃないか、この臨調の考え方というのは。臨調は従来のやってきたやり方がいかにも悪であったというふうな、その結果これだけの借金になっちゃったんだから今度はそれをやめていかなきゃいけないと、こういう単純な財政だけの考え方で私はこの食管会計の従来のやり方というものが変えられるのはおもしろくないと、こういう感じなのです。 それで、それじゃその次に行きますが、同じく食管会計の問題で、臨調答申によりますと、「自主流通米については、その助成の縮減合理化を図るとともに、量的拡大を図る。この場合、政府米と自主流通米の機能が一体となって発揮されるようにする。」と、こういうことを言っておりますけれども、お伺いしたいのは、この「量的拡大」というのは一体どの程度まで拡大を考えておられるかどうか。そしてまた、その政府米と自主流通米の機能が一体となるということを言っておりますけれども、これは一体どういう意味であるか。これについてお伺いしたいと思うのです。
○説明員(山田岸雄君) 自主流通米につきましては、消費者に対しまして好みに応じ良品質の米を提供することを通じまして良質米の需要の拡大が期待できる、そしてまた、生産者には結果的に政府買い入れによって実現される以上の農家手取りを実現することが可能になる、こういったメリットはあるわけでございますが、その流通量が無秩序に拡大いたしますと政府米の市場規制力が弱まりますし、需給及び価格の安定が阻害される、こういう問題があるわけでございますので、私たちといたしましては、単に自主流通米の数量的な拡大を求めると、こういうことではなくて、市場の自主性に応じた合理的な流通の実現を図る必要があるのではないかと考えておる次第でございます。 なお、どの程度かと、こういうことにつきましては、なかなか画一的に何%とか何割ということは申しかねるような状態でございまして、良質米の好みなりその生産なり、そういったものの状況を見ながら適正な流通量というふうなものにしていかなければならないと考えておる次第でございます。 なお、政府米と自主流通米の機能が一体となって発揮されるようにしろと、こういうことでございますが、現在、政府米の流通量それから自主流通米の流通量、その比率を見ますと、政府米が約六割でございますし、自主流通米の方が約四割と、こういうことでございまして、自主流通米につきましては良質米志向の高い消費者等に供給されると、またそれを生産される生産県で生産が行われておると、そのほかに政府米が六割あるわけでございまして、これも各生産県から消費県に売却されておるわけでございますが、その需給操作におきまして政府米と自主流通米が相互補完的に計画的な流通が確保されるようにしていかなければならないと、こう考えておるわけでございます。 そのことを御指摘いただいているのではないかというふうに理解しております。
○山田譲君 この問題に多少関係ある問題で、最近問題になったやみ米の問題です。 新聞によりますと、日曜ごとに大特売ということで、何か埼玉の戸田の近所のあるスーパーの横に広いところがあって、そこにテントを張ってそこでもってどんどんやみ米を売ったというわけです。これは価格の方も物すごく安くて、ササニシキが四千百円、十キロ、コシヒカリ三千九百八十円。これは普通の米屋で買うよりは確かに千円以上安いわけです。それでいっぱい飛ぶように売れたと、こういう話が出ています。これは明らかに改正した食管法への公然たる挑戦であるというふうにしかとりようがないわけで、食管法改正のときにもいろいろ議論がありましたとおり、やみ米が横行するようになるのじゃないかと、こういうふうな議論が何回か出ましたね。ところが、この新聞に出ておりますように、つい最近の話だと思いますけれども、日曜ごとに大特売をやっている。それを近所の人たちもみんな知っていて、そして何回も来て同じ米を何回も買っていくというふうな、こういう状態になっているようでありますけれども、こういうことについては農水省どういうふうな考えでいらっしゃいますか。
○説明員(山田岸雄君) 改正食管法の円滑な運営を図っていくためには、いま先生御指摘のような不正規流通につきましては撲滅していかなければならない、こういうふうに考えておりまして、昨年以来積極的に都道府県、それから各都道府県にございます私たちの出先の食糧事務所の職員を通じまして、不正規流通の防止に懸命になっておるわけでございます。 現在までのところ、不正規の流通業者として私たちがリストアップを昨年いたしましたものの約八割につきましては、全部中止をさせた、ないしは中止しますと、こういうところまで追い込んでおるわけでございます。なお、若干残っておるものにつきましても、今後ともより積極的にそうした不正規流通の撲滅対策ということを進めてまいりたいというように考えております。
○山田譲君 何となく不正規流通米についてはもう徹底的に取り締まるというふうな話であったわけです。事もあろうに街道で白昼堂々と日曜日ごとにこんなことをやっている。これについて何か取り締まりか何かやられたんですか。
○説明員(山田岸雄君) いま先生御指摘の点は、多分埼玉県におきますところの不正規流通の記事ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この埼玉県の不正規流通業者に対しましては、県及び食糧事務所がいま協力いたしまして、県警とも相談しながら、どのようにしてそれを撲滅するかということで対応しております。
○山田譲君 それじゃ、まだこの売っていた男はつかまってないんですか、これは。
○説明員(山田岸雄君) その記事に出ております案件につきましては、日曜日ごとに早朝からどこからかわからないんですがトラックで参りまして、それで数時間売ってさっと引き揚げる、トラックのナンバーその他全部隠して売っておるという実態のようでございまして、これをいかにしてはっきりとどういう人であり、かつその原料の玄米等がどこから供給されているか、その給源をいかにして断つかということにつきまして現在調査中でございます。
○山田譲君 この問題に限定しませんけれども、一般的にこの種のお米の流通といいますかね、それはどういうふうになっていると思いますか。つまり、だれがどこでつくって、それがどういうふうに売られてきて、そしてどこで不正規流通米となってこのような形でもって業者がやっている。何か新聞ですから、どうも余り目つきのよろしくないというふうなことも書いてあるから、何というんですかね、場合によったら暴力団みたいな人がやっていることも考えられるわけでありますけれども、その点についてどういうふうに、一般論としてで結構ですから。
○説明員(山田岸雄君) 不正規流通の流通ルートなり形態でございますが、非常に千差万別といいますか、いろいろの形態があるというふうに私たち認識しておるわけでございますが、大まかに申し上げまして、生産者段階から不正規のルートに入りまして、といいますのは、不正規業者がそれを集荷し消費地に持ってきて売る。その売る際も不正規の販売業者を通じて売るといった場合と、過去におきましては正規の小売り業者等にもそれを持ち込んで売ると、こういった生産地からずっと流れてくるものが一つございます。 そのほかに、販売業者間におきまして食糧庁が売却したお米のうちで売れ残ったようなものを横流しする、それを不正規の業者が買い集めまして、それを不正規ルートで売る。こういったいわば販売ルート段階から出てくるものと、それから産地の生産者段階から出てくるものと、こういった二つの大きなルートがあるんではないか、こういうふうに私たちは理解しております。
○山田譲君 いずれにしても、食管制度のこれは根幹にかかわる問題であるだけに、ぜひこれは厳重に一層取り締まるようにしていただきたい、こういうふうに思います。 それからその次に、同じく臨調の問題ですが、消費者価格の問題で、「消費者価格について指導価格等による行政介入を緩和する。」と、こういうことを言っておりますね。それでお伺いしたいのは、消費者価格の問題ですが、「指導価格等による行政介入を緩和する。」と、これはどういう意味ですか。
○説明員(山田岸雄君) お答えいたします。 精米の販売価格につきましては、昭和四十七年物価統制令の適用が廃止されまして以降、原則といたしまして確一的かつ直接的な価格の指導はお米については行ってないわけでございます。しかしながら、米の食味でございます、味でございますが、普通の味でよいから割安なお米が欲しい、こういった消費者の要望にもこたえるべく物価統制令の適用を廃止しましたときの経過措置といたしまして、標準価格米制度を設けておるわけでございまして、その標準価格米につきましては、末端価格について指導価格を設けるということでやっておりますし、小売店に標準価格米を常置しておくような義務を課しておるわけでございます。この標準価格米につきましては、引き続きその存続を求めるといった声もあるわけでございますが、最近におきましては良質米の志向が非常に強まっておりまして、そのウエートがだんだん低下しておる、こういうことでもございまして、種々問題が生じておりますので、この標準価格米のあり方につきまして、現在、今後どのようにしていったらいいか検討しておる状況でございます。
○山田譲君 いや、そういうことじゃなくて、臨調が行政介入を緩和すると言っていますね。ですから、これをどういうふうに理解しておられるか。それから、「指導価格等」とありますが、この「等」というのは何の意味なのか、これはどうですか。
○説明員(山田岸雄君) 消費者価格について、「指導価格等」の「等」といいますのは、これはいま申し上げました標準価格米につきましての常置義務、必ず小売店に標準価格米を置いておけという義務を課しておることでございますが、そのことを意味しておるというふうに理解しております。
○山田譲君 そうすると、この「緩和する」というのは、いまそういうふうにやっているけれども、これはやっぱり問題があるんで、要するに緩めていくということでしょう、「緩和する」というのはね。そうすると、いままでのような標準米は三千九百円ですとかと、そういうきちっとした指導はこれからは余りするな、しないようにしていくという、こういうことをねらっているわけですか、臨調は。
○説明員(山田岸雄君) 臨調の御指摘の点は、いま先生御指摘のように、私たち標準価格米については、先ほど申し上げましたように、価格指導なり常置義務を課しておるわけでございますが、そのウエートがだんだん低下していっておるということもございまして、価格指導なり常置義務といったものもなくていいんじゃないか、こういうふうな御指摘ではないかというふうに理解しております。
○山田譲君 それに対して、そちらとしてはどういうふうに考えておられるかということです。
○説明員(山田岸雄君) 標準価格米の今後のあり方につきましては、精米流通研究会というものを、これは長官が依頼した研究会でございますが、現在学術経験者をもって構成して、その場におきまして、今後どうすればいいかというふうなことを、この問題だけではないんでございますが、精米全般についての流通を適正に行うためにどうするかと、その一環といたしましてこの標準価格米の価格指導なり常置義務、こういったものについても現在検討しているわけでございます。
○山田譲君 その次にこの臨調が言っておりますのは、「中長期的には」という言い方ですから、いろんな前提を言った上で、結論として、「現行の全量管理方式の見直しを行う。」と、こういうことを言っております。現在は全量管理方式である。これを中長期的にはやめていけ、やめていけとは言わないけれども、見直しを行うという言い方をしておりますけれども、これは一体どういう考え方でしょうか。それに対して農林省としてどう考えておられるか。
○説明員(山田岸雄君) 臨調の御指摘は、中長期的には米の生産なり食生活といったものも変化するであろうから、その変化を踏まえて、米の需給なり備蓄なり価格安定、またそれに弾ずるコスト等総合的に勘案して、現行の全量管理方式を見直したらどうかと、こういうふうに私理解しているわけでございますが、全量管理方式の見面しにつきましては、米の流通の一部、または全部を自由市場にゆだねるといたしますと、全体として数量管理が行えないために、需給調整と価格安定が困難になるとか、緊急時におきまして米の円滑な流通の確保が困難になるとか、こういった問題が生じ適切とは考えておりません。 政府といたしましては、本年一月に食管制度を改正したばかりでございますし、今後実態に適合した食糧管理方式の弾力的な運営は十分可能である、このように考えておりまして、当面その円滑な運用に全力を挙げてまいりたい、こう考えております。
○山田譲君 これは非常に重大問題でありますから臨調もかなりのいろんな前提を置いた上で、しかも「中長期的には」というふうな言葉を使っておりますから、そうすぐにというふうな考えじゃないと思いますけれども、いずれにしても現在やっている全量管理方式というものをやっぱり見直すなんということになると、これは大変なことだと思うんですよ。ですから、いまおっしゃられたような線で、ひとつ現在やっております全量管理方式についてはそう簡単に見直しなんてしないでいいから、これをむしろ徹底してやっていっていただきたい。しかも、食管法を改正したばかりでありますからね。ですからこれをきちんとやる、さっきのやみ米の話じゃないけれども、そういうことでやっていただきたいというふうに思います。 それから、その次に、この基本的な考え方以外に、「生産性の向上」という問題について臨調がるる言っております。 最初に、経営規模を拡大しろというふうなことを言っております。そこで、稲作につきましては、「中核農家の生産シェアが過半を超えるようにする。」と、こういう言い方をしておりますね。ここで言っている「中核農家」というのは一体どういうものなのか。それから、「生産シェアが過半を超えるようにする。」と言っておりますけれども、現在どのくらいになっているか、この点はいかがですか。
○説明員(角道謙一君) 中核農家と申しますのは、農業に対しまして高い意欲と能力を持ちまして、農業で生活をしていこうという、そういう農家を私ども考えているわけでございますが、現在稲作につきましては、生産のシェアは大体三三%程度でございます。したがいまして、臨調といたしましては、こういうような中核農家が生産のシェアにおきまして過半数を占めるようなところまで中核農家の規模拡大と、規模拡大を通じまして中核農家を育成していくということを考えているようでございます。
○山田譲君 そこで、ちょっとこの定義といいますか、概念をお聞きしておきたいんですけれども、この「推進」というやつですね、八月に出ました報告、これの九ページによりますと、中核農家というのは、下に注がありまして、「十六才以上六十才未満の男子で年間自家農業従事日数が百五十日以上の者のいる農家」、これが中核農家とうことになっている。そうすると、いまあなた言われたように、必ずしも耕作面積とか何とかによらないで、ただ年齢だけで、そしてもう一つは農業従事日数だけでもって中核農家というものを把握しようとしている。この点といまあなたのおっしゃった中核農家というものの意味はやや違うように思うんですけれども、それはどういうことかということと、五十七ページにありますように、中核農家というのは五ヘクタールに将来する、現在三・四ヘクタールだと、こういう言い方をしておりますけれども、この定義というもの、概念がちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども、この点はどうですか。
○説明員(角道謙一君) 私どもいままで中核農家というものにつきまして、概念的には、先ほど申し上げましたように、技術や経営能力にすぐれて、高い生産性と農業所得を上げると。いわば農業を本業とするような農家というように概念的に言っておりますけれども、実はこれは統計上把握します場合、こういう抽象的な概念ではなかなか中核農家をつかまえにくいというようなこともございまして、便宜的な統計では、いま御指摘のように、「「十六才以上六十才未満の男子で年間自家農業従事日数が百五十日以上の者のいる農家」」というようなものとして統計的につかまえております。 現在、これが大体百万戸ぐらいございますが、これが将来、規模拡大等を通じまして、あるいは農家の年齢構成も変わってまいりますし、あるいは農業の構造も相当程度変わってくるということで、将来私どもとしましては、農政審のこの報告では、将来この百万戸程度の中核農家が七十万戸程度に減少するのではないかというような、戸数としては縮小の方向を見ておりますけれども、反面、中核農家に規模拡大を通じまして経営規模が拡大をしていくと。その平均的な面積といたしまして、先ほど御指摘のように、三ヘクタールから五ヘクタールというように、今後中核農家の規模は拡大していくのではないかというふうな推計を農政審の方ではしたということでございます。
○山田譲君 そうしますと、統計上の便宜から、さっき言ったような十六歳から六十歳までで百五十日以上働いている人を中核農家と言うと。統計的にはそういうことになっているけれども、およそそういう人たちというのは、さっきからあなたがおっしゃっておられるように、農業を一生懸命やって、それで大体、面積についても三・四ヘクタールぐらいは持っている人の数と同じであろうと、こういう考え方ですか。
○説明員(角道謙一君) 完全に統計的に一致するということではございませんで、今後の農地の流動化によりまして相当程度の面積が流動化していくと思っておりますが、それは中核農家に集積をされていくと、その結果平均といたしましては五ヘクタールですか、そういうような程度のものになっていくであろうというような一つの推計でございます。
○山田譲君 さっきのこのシェアの問題ですね、これは現在三割何分とおっしゃったけれども、この五十七ページの農業構造の展望の総括表によりますと、経営耕地面積に占める中核農家のシェアというのが五割弱ということになっておるけれども、これとさっきの三割とは違うわけですね。
○説明員(角道謙一君) いまお話しの数字は面積の問題でございまして、これはさらに、たとえば稲作であるとか、あるいは大豆であるとか、麦であるとか、それぞれに分かれてまいります。そういう意味では、先ほどの三分の一、三三%と申しますのは現状での問題でございますし、また、農地面積についても、そこの点は違っていると思います。
○山田譲君 その次に、経営規模の拡大ということを盛んに言っているわけですけれども、農林省として現在把握しておられる経営規模の拡大についての傾向ですね、傾向は一体どうなっているか。それから、将来の見通しはどうであるか。つまり、将来にこうなるであろうという数字がここには出てますけれども、どういう方法でここへ到達させようとしているか、この点はどうですか。
○説明員(森実孝郎君) 御指摘の規模拡大の方向でございます。先生も御案内のように、現状では所有権の移転による規模拡大ではなくて、利用権の集積による規模拡大、さらには高能率の生産組織、つまり作業受委託を通じた規模拡大というものが中軸になってくると思います。これは地域によってかなり差がございます。しかし、二年前に農用地利用増進法が制定され、農地法が改正されて以来、その速度は急速に加速されております。そういう意味では、たとえば五十一、二年までは五千ヘクタール前後であった賃借権の設定という動向も、たとえば五十五年の例で申しますと、三万七千ヘクタールというふうに年々かなり加速されている動向が出てきております。 私どもとしては、やはりこの現実と趨勢をどうやってとらえながら加速させていくかということが必要だろうと思います。その意味では、施策の方向としてはいろいろございますが、やはり三つの点に重点を置いてまいりたいと思っております。 一つは、農用地利用増進法の制定の際に想定されております、いわゆる土地の効率的利用改善を図るための農用地利用改善団体と申しますか、地縁的な土地利用についての話し合いの機構を整備し、その調整活動を強化していくことでございます。そこで、来年度の予算におきましても、実は大体全国の四分の一程度の集落を対象に、この地縁的な集団としての地域農業集団の育成ということに積極的に取り組んでまいりたいと思います。その場合は、個人の利用権の集積による規模拡大、それからもう一つは、高能率な生産組織の育成ということが柱になりますが、同時に、単に利用権が集積されるだけではなくて、その利用が面的に集積されませんと、生産性向上の効果は十分上げていけないわけでございますから、この点を重視してまいりたいと思っております。 二番目は、何と申しましても、やはり流動化の促進の前提であり、また、機械化導入の物理的前提でございます基盤整備の推進ということだろうと思います。そこで、現在の第二次の土地改良長期計画がことしで終わりますので、来年を初年度とする第三次の土地改良長期計画ということで、三十七兆という投資規模を想定いたしまして、予算要求とあわせて要求をしているわけでございます。この第三次土地改良長期計画を策定し、土地改良事業の計画的進展を図るということがやはり基本的前提だろうと思います。 それからさらに、いわゆるモデル的な構造改善の実現できる地域を各地域においてつくっていくという意味においては、構造改善事業の果たしている先駆的役割りは非常に大きいと思います。そこで、現在実施中の構造改善事業についても基本的な見直しを行いまして、ある程度土地改良事業の進んだ地域を対象に、それから、先ほど申し上げました地域農業集団の育成が進む地域を対象にいたしまして、重点的に、特に先ほどから論議の行われております稲作等の土地利用型農業の構造改善ということに重点を置いて施策を実施すべく、現在後期対策について予算を要求しているところでございます。 いろいろ政策手段はあると思いますが、特にその三点に重点を置いてわれわれは取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
○山田譲君 その問題、直接関連、必ずしもないかもしれませんけれども、たまたま群馬の状況をちょっと私が見てみましたら、非常に特徴的な——特徴的といいますか、どちらかというと、いまおっしゃったような方向で進んでいるのじゃないかと思われるような統計が出てきたわけです。つまり、専業農家につきましては一万六千四百戸となっておりますが、これは去年に比べて三%ふえている。専業農家が三%ふえているということです。それから耕地の移動につきましては、借入地のある農家数というのが三万一千四百戸となっておりまして、これは去年に比べて一〇・四%ふえているということが、たまたま群馬の場合でありますけれども、こういう例が出ております。 私がお聞きしたいのは、こういう傾向は日本全国的な傾向と見てよいかどうかということなんですけれども、その点どうでしょうか。
○説明員(森実孝郎君) 基本的には、通勤兼業機会と申しますか、その地域差がございますし、これがいわばサプライの方を決める要因でございますし、それからまた、それぞれの地域の耕地面積も違います。そこでかなり地域差が出ております。私どもは、現状ではこの地域差を頭に置きながら、やはりいま申し上げた規模拡大を進めていく必要があるだろう。たとえば大都市周辺等においては、むしろ中核農家群が非常に土地利用型農業については不足してきている。したがって、かなり広範な作業受委託等を進めていかなければならないだろうと。逆に、遠く九州等におきましては、やはり農業で自立しようとする希望を持った方もかなり多いと。そういった中で構造政策を進めるとすれば、やはり個々の規模拡大ということに重点を置いて考えていかなければならないし、また、手を挙げる方と申しますか、そういう意欲を持った方の中でも、ある程度選別が行われていかなきゃならぬと。こういう地域差はあることは事実だろうと思いますし、またそれを受けとめていくことが必要ではなかろうかと思っております。
○山田譲君 そうすると、そう簡単に、群馬がこういう傾向であったから全国的にもそういう傾向ですとか、そうでないとか、そういうことは言えないということですね。つまり、日本国全体としていま言ったように農家戸数はふえているか、土地を借りる人たちがふえていますかと、こういうことは一概には言えないことはわかるけれども、日本全体として見た場合にはどうですか。
○説明員(森実孝郎君) 先ほど申し上げました数字は全国的な数字でございまして、地域によって多少差はございますが、全国的な傾向と私は見ていいと思います。ただ、その進める段取りや、規模の問題や、その形についてはかなり地域差があるということを申し上げたわけでございまして、規模拡大にもいろいろ手法があるわけでございますから、そこら辺は考えていかなければならぬ、こういう意味で申し上げたわけでございます。
○山田譲君 それでは、やっぱり臨調の問題でありますけれども、農業基盤整備ということでちょっと二、三行触れていますが、その中で「生活環境施設整備は抑制する」という言い方をしておりますね、臨調が。それで、これは一体どういうことかと。やはり実際に農村の生活環境というふうなものを都会と比較してみましても、道路の改良率からいってもあるいは舗装率からいっても自動車通行不能の道が多いとかという問題から、あるいは上水道、下水道の普及率というふうな問題を比較してみましても、それ以上は一々言いませんが、まだかなり町村というのは中小都市に比較しても劣っているわけですね。それにもかかわらず、どういう意味で臨調がこういう生活環境整備を抑制しろというふうなことを言っているのか、そこら辺がちょっとよくわからないんですけれども、その点についてはどうお考えですか。
○説明員(森実孝郎君) 私どももいろいろ伺ってみますといろいろな議論がございまして、それがこういう形で集約されたように伺っております。たとえば一つは、こういう財政が非常に厳しい状況にあるときだから、生産に直結した生産基盤の整備に国の助成を行い投資を行うことはともかくとして、生活基盤整備の投資は少し遠慮したらどうだろうかと、抑制したらどうだろうかという財政論の立場から行われている議論もあると思います。さらには、むしろこういう事業は国の補助事業としないで、市町村なり何なりが、自治体が独自の立場でやったらいいじゃないかと、国がそこまで助成しなくてもいいではないかという御議論もあったように聞いております。またしかしそれについては、しからば自治体の財源手当てをどうするんだという議論もあって、なかなか簡単ではなかったようでございます。 私どもとしては、やはり先生もいま御指摘がありましたように、地方の生活基盤の水準、生活環境水準というものはまだやはり都市に比べるとかなり劣っていると、今日のわが国の社会状況ではそれに対する不満もかなり多いという現実があるわけでございます。それから私が申すまでもなく、農業生産というものは農業集落というか健全な農村生活によって支えられているという本質があるわけでございます。ところが、今日の状況では、やはり何と申しますか、通勤兼業農家と専業農家の間には土地利用、水利用等についての考え方にも差が出てきている、さらに大都市周辺では混住化現象が進んで農業と非農業の対立もあると。そういう中ではことさらに生活環境整備という問題は重要な意味を持ってくるだろうと思います。そこで私どもとしては、臨調で議論されました経緯も踏まえて、抑制すべき点は抑制するが、しかし同時に生活環境の整備についてはやはり基本的には農村地域についてはこれを推進する必要があるという考えで取り組みたいと思っております。ただ、先ほど申し上げたように、臨調のいろいろな御指摘もあり、また本委員会でも御議論になったことなどもございまして、私どもやはり効率的な簡素なものということに重点を置いて考える必要があるだろうと思っております。そういう意味においては、集会施設等のある程度投資限度には上限を画していくとか、設備等の単価等は限度を決めていく、さらに建設単価とか規模等についても審査基準をつくっていくというふうなことで、特に上物と言われております集会施設等については抑制的な考え方をとってまいりたいと思っているわけでございます。
○山田譲君 いろんな財政事情もあると思いますし、全く農村と都市を一緒にしろということもどうかという感じはありますけれども、しかし臨調の言うように、そう簡単にむだじゃないかとかというほど、まだまだ日本の農村の生活環境というものはよくなっていないのじゃないかというふうに、これはいま申し上げたこの資料からもうかがえるところでありますね。ですから、ひとつそういう点で今後も、臨調はそう言っているけれども、やはり農村の生活環境整備のためには一層努力をしていっていただきたい、こういうふうに思うわけです。 それで今度は、その次に大きな問題になりますけれども、日本農業の将来、先ほども農林大臣からいろいろ伺ったわけでありますけれども、将来について、たまたま農政審のこの報告などを中心にしながら少し御質問していきたいと思います。 最初に、基幹的農業従事者数というものが現在四百十三万人いるというふうに言っております。これを六十五年までに二百七十万人程度にすると。するというのか、なるというのかわかりませんが、こういうことを一応描いている。一体、現在四百十三万人いるのがどんなふうにして二百七十万に減らしていけるのか。そしてまた、減らされた人間ですね、この差の人たちは一体どういうふうになるであろうかというふうに考えていらっしゃるか。ここら辺からまず御説明願いたいと思うんです。
○説明員(角道謙一君) ただいま御指摘の基幹的農業従事者数の問題でございますが、これは農政審におきまして、将来の農業構造というものを考える上におきまして現在の農業従事者、特に従事者につきましては年齢構成、あるいは農家数、あるいは今後の経済成長率、その他諸般の情勢を前提にいたしまして、過去のトレンド等をとりながら、将来どうなっていくかということを、シミュレーションと申しておりますが、いろいろモデルをつくりながら推計をしていった、その結果がここに掲げたものでございまして、これを、意図的にこれを減らすとか、そういうことは考えておるわけではございませんで、現在の農業従事者の年齢構成あるいは農家状況等から見ますと、六十五年には現在の四百十三万人から二百七十万人程度に減少するのではないかというように見ております。 この一番大きな理由は特に年齢構成でございまして、五十五年におきまして大体五十歳から五十九歳の者が約二九・七%、六十歳以上が二七・八%というように約六割近くが五十歳以上である。したがいまして今後十年うちには、この五十歳以上の方が六十歳以上になれば高齢ということで恐らくリタイア、農業からは引退していくのではないだろうかというようなことが一番大きな要因であろうかと考えております。
○山田譲君 その次にお伺いしたいのは、世界の食糧事情ですね、この将来は一体どうなるかということなんです。それで、この農政審の報告を見ましても、たとえば十二ページに「世界の食料需給については、技術進歩の可能性などの要因はあるが、総じて厳しいものがあり、一時的に緩和する時期もあろうが、中長期的にみるとひっ迫基調を強め、不安定の度合を高めるとみられる。」、こういう言い方をしております。要するに、この農政審も将来的にはやはり厳しくなるであろう、こういう見方をしているようでありますけれども、一方、いろいろな本なんか最近見ますと、将来の食糧事情はむしろ飽和状態になっていく。食糧が多過ぎて、多過ぎるのが一つの問題になるのじゃないか。足りないのじゃなくて、むしろ多過ぎる方が問題になりはしないか、こういう言い方をする、説を唱える学者なんかもいらっしゃる。ですから、そこら辺は農林省としてどう考えておられるか。まあ、大体農政審と同じだとは思いますけれども、とりわけ、この「一時的に緩和する時期も」あるということをわざわざここへ入れたのは一体どういう意味があるんだと、こういうことについてお伺いしたいと思います。
○説明員(角道謙一君) まず第一の、世界の食糧需給事情の見通しでございますが、私どもの農林水産省におきまして、将来の世界の食糧需給事情につきましてやはり先ほどと同じようにシミュレーションを行いまして、一定のモデルをつくりまして推計をいたしております。 これによりますとやはり長期、二千年ごろを一応頭に置いているわけでございますが、人口がたとえば現在の四十二億から将来二〇〇〇年には六十二億に増加するとか、あるいは工業部門では年間四%増加するとか、あるいは耕地は逆にこれから二〇〇〇年までの間にわずか四・一%しか伸びないと。人口の伸びが年率一・七五%ですから耕地面積としては非常に伸びは低いというようなことがいろいろ前提としてございますが、こういうものを前提にしながら、将来の需給見通しをやったわけでございます。中長期、二〇〇〇年ごろを考えました場合には、その間むろん豊凶の変動はございますから、あるいは需給緩和の時期もありましょうが、長期的に見ますと、先ほど申し上げました耕地制約の強まりあるいは単収増につきましても相当程度テンポが鈍化をしていくという反面、人口は相当大幅に伸びていく。また特に発展途上国の人口増が非常に大きいわけでございまして、またこれらの国におきましては食生活の向上というようなこともございまして、長期的に見ますならば、私どもとしては逼迫をしていくんではないかという見通しを持っておりまして、これにつきましてはFAOあるいはアメリカ農務省の見通しも大体同じような方向ではないかと思います。 ただ、今年は御承知のようにソ連が四年連続不作、あるいは豪州も不作でありますけれども、反面、米国、カナダ等主要穀物生産国は天候に恵まれまして非常な豊作になってきておりまして、前年に続きまして増産になっておりますために当面の需給は非常に緩和をし、また過剰が出てきております。したがいまして、穀物の世界市場価格も現在非常に低落をしておる状況でございます。 そこで、アメリカにおきましては今後の農業所得の確保あるいは農業対策という意味におきましても現在セットアサイド、いろいろ生産を休耕と申しますか、これを現在やっております。こういうものが今後もこの私どもの見通しにおきましては二、三年程度はこのセットアサイドは続くのではないかというふうに考えております。 そうしますと、主要国におきましてこういうセットアサイドをやっていく場合には、一九八〇年代の後半にかけましては在庫減から一時的にはどうも逼迫基調に転ずるんではないか。この逼迫基調を見ますと、さらにこの逼迫基調を背景にしまして価格上昇等の要因が出てまいりますと、一時的にさらに生産制限を緩和するというような事態があるんではないかというような想定をいたしまして、この一時的に需給が緩和するんではないかというのは、一九八〇年代の後半一時的にそういうことがあるんではないかという一つのプロセスをこの時期に書いたわけでございまして、中長期的、大体私ども二〇〇〇年を頭に置いておりますが、その時期にかけましては、やはり今後逼迫基調に推移していくのではないかというふうに見ているわけでございます。
○山田譲君 非常によくわかりました。将来のことですからわかりませんけれども、お考えはよくわかりました。 その次に、そういう世界の食糧事情の中で日本における食糧自給率の問題に移りたいと思うんですけれども、食糧の自給力といいますか自給率か、これを維持強化すると。この方法は一体どんなことがあるかということになります。 この農政審の報告の資料の方の十六ページを見ますと「食料の自給率(国際比較)」というのがあります。これで見ますと、穀物については日本は確かに三三%で、西ドイツ、イギリスはずっと高い。スイスが三九%というような低い率になっている。そしてあとの豆類もこれは極端に日本は七%ということですから低いわけです。ところが、あとの野菜九七%、果実八一%、牛乳八六%、肉類八一%、卵類九八%、さっき大臣がおっしゃったけれども、こういう状況ですから、これはほかの国に比較しても遜色はない。 それで、問題はいわゆる穀物自給率の三三%ということだと思いますけれども、この内訳を見ますと、食用の穀物が六九%ということになっている、約七〇%に近い。そうすると、この数字はイギリスの七四%と余り差はないということになるし、スイスの五三%なんかよりははるかに高いということになりますね、自給率が。そうすると問題なのは、同じ穀物でも飼料穀物というやつが、これは二%しか日本はない。これはほかのどの国に比べても、一番低いスイスでさえ二九%あるということに対して、飼料穀物が二%というのはどう考えても低いと、こういうことになろうと思うんです。そして穀物のこの三三%の自給率というけれども、この飼料穀物と平均してしまいましたから三三%になるんであって、食用穀物だけを考えると六九%でまあまあの線にいっている。こういうことを考えますときに、問題になる飼料穀物二%を一体どういうふうに今後しようとしていくか、そうすれば穀物の日本の三三%というのはかなりそれだけでも上がるわけで、ほかの食糧については、豆を別としましてかなりいい線いっているんじゃないか、こういうふうに思いますと、食糧自給率の向上ということについて一体どういうふうに農林省としては考えるか、そしてまた国会なんかでも議論があった食糧自給率を向上させるということですね、これについてはどこをどういうふうに何年後ぐらいにどのくらいにしようというふうに考えておられるか、この点はどうですか。
○説明員(角道謙一君) 穀物の自給率につきましては、いま御指摘のとおり食用殻物につきましてはおおむねイギリス並みの現状でございます。ただ、これにはまた米と小麦、麦類におきまして自給率が非常に変わっております。米は大体完全自給は可能でございますが、小麦の場合には現状では五十三年がこれ基準になっておりますが、大体六%程度、最近ようやく転作等によりまして、あるいは麦作振興によりまして一〇%ぐらいになってきておりますけれども、まだまだ麦類の自給率は非常に低い。 それからさらに飼料穀物につきましては、これは主として畜産物のえさ、豚とか鶏が主体でございますが、これの今後畜産物の消費がふえていきますとやはり飼料需要がふえてくるということもございまして、飼料穀物につきましては今後とも相当程度は外国に依存しなきゃいかぬというような現状でございます。また肉用牛あるいは酪農につきましても最近はこういう濃厚飼料というものに依存する傾向が非常に強くなってきております。 こういう状況で、飼料穀物に対する依存度が今後もふえていくというように考えておりますが、私どもやはり食糧自給を確保していく、食糧の安定供給という観点からは、やはり飼料穀物につきましてもできるだけ自給率を高めていく方向を考えているわけでございますが、この一番大きな方法といたしましては、やはり大家畜、あるいは中小家畜でもそうでございますが、できるだけ穀類に頼っておりますものを牧草等に変更、切りかえていく、濃厚飼料を自給飼料依存型に変えていくという方向にできるだけ大家畜について私どもそういう施策をとりたいと考えておりまして、現在飼料全体として見ますといま二九%でございますが、これを自給飼料、牧草等中心にしました自給飼料の増加によりまして、将来は三五%程度まで飼料全体としての自給率を高めていきたいというように考えておりますが、残念ながら穀物だけにつきまして、飼料穀物について見ますとこれはほとんど海外依存型の形は変えられないわけでございます。 そこで、問題といたしまして、私ども現在一方では水田につきまして転作ということを大幅に進めておりますが、この転作の対象といたしましては私どもまず麦であるとか大豆であるとか、先ほど申し上げました飼料作物、これを主体に今後とも転作を進めていくという方向をとっていきたいと考えております。 また、もう一つの問題といたしまして、転作の面積につきまして、先ほどいろいろ御議論、御意見ございましたが、一部農家につきましては第二期対策の現在六十三万一千ヘクタール、明年は一応目標といたしましては第二期の六十七万七千ヘクタールというふうな面積をとっておりますけれども、この転作におきましても北陸等、あるいは湿田あるいは排水不良田等におきましてはどうも転作が限界だというふうな声もございますので、この水田に米をたとえば飼料であるとか、そういうものに使う方法はないであろうかということで、昨年来多収穫米の、超多収米と言っておりますが、これの試験研究、品種の開発等進めております。こういうことを通じまして第三期対策に飼料穀物あるいは加工用の米であるとか、あるいは場合によりますればアルコールであるとか、そういうような他用途に使えるような米をできるだけ導入するようなことは考えられないかということを現在検討いたしておりまして、これは農政審の報告にも第三期までにこれについての検討を完了しろというふうな指摘がございますが、私ども第三期の一つの課題といたしましてこの超多収穫米を中心にしまして他用途にどの程度米を使えるか、またそれが転作の仕組みの中に取り込めるかどうかということを検討してまいりまして、それによりましてまたこれは飼料化が可能であるということができるならば、私どもそういうことに取り組むのも一つの方法であるというふうに考えているわけでございます。
○山田譲君 いろいろお伺いしたわけですが、一口に自給率の云々といっても、なかなかその内訳が問題になると思うんですけれども、私の考えでは飼料穀物なんというのは幾ら日本ががんばっても、現在の二%というのをそんなに何十%と上げるわけには私はまず無理じゃないかと思うんです。 そこで、お伺いしたいのは、時間もありませんから簡単でいいんですけれども、いわゆる穀物三三%という自給率。まあ食糧と飼料があるわけで、この内容は。食糧についてはさらに麦とお米があるという話ですけれども、大ざっぱに言って穀物三三%というのをいまあなたがおっしゃったような方法でやると、日本の自給率は何年ごろに何%ぐらいがぎりぎりのところであるというふうに考えておられますか。この三三%の問題です。
○説明員(角道謙一君) 端的に申し上げまして、食用、飼料用含めました自給率は、六十五年度におきます見通しといたしましては三〇%に低下をするというように考えております。
○山田譲君 さっきあなたがいろいろ言ったことは、やっぱり自給率を上げるための施策としてやっておられるわけでしょう。それをやっても減るということですか。
○説明員(角道謙一君) 今後の食生活の方向がやはり米の減少を畜産物で補っていく、一種の代替関係がございまして、将来ともやはり畜産物の需要はふえていくというように見ておりますので、その関係におきましてはやはり中小家畜を中心にしました飼料穀物に対する需要が非常に強い。したがって、そういう飼料化穀物の輸入量等から見ますと、残念ながら全体としての穀物の自給率は三〇%程度にダウンをすると思っておりますけれども、穀物だけ見ました場合には現状の大体七〇%前後のものは維持されるというふうに考えております。
○山田譲君 農林省としてはやはりそれである程度しょうがないんじゃないか、いいんじゃないかというふうな、たとえばおととし出された農政審の最初の答申を見ましても、もう飼料穀物についてはある程度がんばっても仕方がない、どんどん安いものを輸入したらいいじゃないかというふうな考え方があると思うんですけれども、いまあなたのおっしゃったような三〇%に減るということについて、これはある程度やむを得ないし、それでもってある程度日本国としてはやっていけるんじゃないかというふうな考え方ですか。それともこれは非常に低い、ますます低くなるわけだから、これは問題であるから何とかしなければならないという気持ちがあるのかないのか、その辺はどうですか。
○説明員(角道謙一君) 大体将来の見通しとしまして三〇%程度のものはやむを得ない。また、日本人の今後の食生活の内容等考えてまいりましても、やはり妥当なものであろうというように考えております。
○山田譲君 そうすると国会の決議というのは、あれは一体どういう内容というふうに考えていらっしゃいますか。
○説明員(角道謙一君) いまお答え申し上げましたのは、もっぱら穀物につきましての自給率でございまして、総合的な食糧の自給率につきましては、食用農産物といたしましては基準年次で大体七三、昨年は七二でございますが、これを大体七三%、現状よりも若干上げる方向に持っていきたいというように考えております。
○山田譲君 最後になりましたから一問だけお聞きして終わりたいと思います。 一つ、例の機構改革の問題でありますけれども、もうすでに農林省としては臨調に機構改革案を報告されたと思いますけれども、この内容はどんなものですかということと、それに対する臨調のお考え方はどうですか。これだけお伺いして私の質問を終わります。
○説明員(角道謙一君) 臨時行政調査会の方からは、行政組織の整理合理化案につきまして一定の考え方を示されまして、九月末に提出しろということがございまして、私ども一応の考え方を臨調に出しております。 まず、基本的な考え方といたしましては、私ども農林水産省におきましては従来から社会経済情勢の変化に対応いたしまして、内部部局なり付属機関なり地方支分局というものについて相当大幅な再編、合理化を数次にわたってやってきております。 ごく最近におきましては五十三年に農林省を農林水産省に改めておりますし、その前には昭和四十七年に従来のどっちかといいますと米麦中心の縦割りの行政機構を畜産と農業に分けまして、農業につきましては、機能別にたとえば構造改善局であるとかあるいは食品流通局であるというふうな形で大幅に整理統合しております。 また、定員につきましても従来最も高い定員縮減等を行ってきているということもございまして、臨調の指摘されているような考え方から見ましても、私ども行政機構の骨格については基本的に変える必要はないというように考えております。 ただ、具体的な問題といたしまして臨調の部会、特に地方支分局につきましては、ブロック機関がある場合にはその下の都道府県単位の出先機関は整理をしろというふうなお話がございます。また、これを担当しております第二部会あるいは第三部会の討議の中で各種の指摘が行われております。この中にはたとえば統計情報事務所を県単位のものを廃止をするとかあるいは本省につきましても食糧庁自体を、いま外局でございますが、これを内局化したらどうかとか、農蚕園芸局の普及部の部制を廃止したらどうかとかというふうな個別の指摘がございますが、私ども基本的には先ほど申し上げましたように本省機構につきましては、変更のあれはないと思っております。 また、統計情報事務所につきましても現在の農林水産統計はもっぱら県単位に整理が行われておりますし、また、県市町村の統計需要は非常に多いということもございますし、また、現実に県には都道府県あるいは市町村にはそういう統計の整理収集する機構がないということから、私ども統計情報事務所については、これは必要であるというふうに考えております。 また、食糧事務所等につきましても何らかの改善措置ということは要望されておりますけれども、これはすでに私どもさきに閣議決定におきまして、現在の米の食糧の検査官を大体一万三千人からおおよそ六、七年のうちに半減をするというふうな大幅な業務の合理化を通じながら定員縮減をやっていくとか、あるいは支所の整理統合というふうなこともやってきておりますので、これらの問題について鋭意進めていくということを考えております。 また、林野庁につきましては、国有林野事業のあり方につきまして特に経営改善を促進すべきではないかというところから、現在の本庁あるいは林野庁、営林局、営林署というふうなものにつきましての機構改革も要求されておりますが、これはさきに五十五年の閣議決定におきまして営林局を一つ五十九年度末までに統合をするということを決めておりますが、これは現在行っております国有林野事業の経営改善というものに即しまして、経営改善の進展に従いながら考えていくということを私どもやっておりますし、現在五十九年度末までに一応国有林野経営改善計画というものにつきましても、もう一度見直しをするということを現在やっておりますので、この見直しの過程におきまして林野庁の機構あるいは営林局なり営林署というものにつきましても考えていくというふうに臨調の方にお答えしております。 ただ、先週臨時行政調査会の担当部会におきましてヒヤリングがございましたが、時間が非常に限られておりました関係で質問そのものは非常にわずかなものでございますが、やはりいま申し上げましたような臨調の指摘事項については、基本的に臨調としてはなかなか強い整理の御意見があるようでございますが、今後部会あるいは合同分科会におきまして担当の調査員がおられますので、その方々がさらにヒヤリングをするということでこれからの進捗を考えておりますから、私どもこの過程を通じまして農林水産省の行政の現状あるいは組織の実態等よく御説明を申し上げ、御理解を賜りたいと思っております。
○山田譲君 終わります。
○委員長(竹田四郎君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 —————・————— 午後一時三十二分開会
○委員長(竹田四郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題とし、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鶴岡洋君 きょうは農産物の自由化問題、それと畜産問題、さらに十八号台風の被害等についてお伺いいたします。 最初に、農産物の自由化問題でございますが、日米農産物交渉は政府が発表した五月の市場開放第二弾で、米国側が完全自由化を一時的に棚上げしたその経過を踏まえて、今月の二十日からハワイで開会される予定になっておりますけれども、特にこの定期協議は牛肉とオレンジ、果汁交渉が中心となると思われますが、その前に九月三十日、十月一日と両日、ワシントンで穀物の定期協議が開かれましたが、この会議の持たれましたその内容について御説明をしていただきたいと思います。
○説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。 九月の三十日に行いましたのは、これは日米間で毎年やっております農産物定期会合という行事がございまして、穀物及び大豆について需給事情等の意見交換、情報交換を行うというものでございます。これは経過を申し上げますと、元来は例の安倍・バッツ合意の流れをくむものでございますが、そのちょうど期限切れのときに今後どうするかという話になりまして、大平・カーター共同声明の中で今後こういうことをやるということを合意しまして、それ以来毎年行っているものでございます。 ことしの場合、米側が特に強調をいたしておりましたのは、何と申しましてもことしの空前の大豊作の結果、目ぼしい農産物について軒並み需給関係が超緩和、農産物価格低迷、加えてことしの場合は輸出市場も縮小傾向にございまして、久方ぶりのことでございますが、本年は輸出の減退、対前年比減ということを覚悟せざるを得ないような状況にある、そういう中で、ことに最近の新しい動きといたしましては、そういう農業経営の実態を反映いたしまして農地価格も低下傾向にございまして、そのために農場の担保価値が低落して農家の資金繰りを非常に窮迫させておる。かなりの数の農家が、言うなれば倒産という事態に直面をしておる、そういうアメリカ側の窮状をるる説明をし、そういう事態の中で、さらに需給関係の均衡を回復するために、来るべきクロップイヤーには転作奨励金付の生産調整政策を実施せざるを得ない事態になっておる、そういう話が中心でございました。 その翌日、十月の一日に通商代表部の次席マクドナルド大使と会談をする機会を持ちました。これは九月三十日に私が訪米をするということを聞きつけまして、USTRの方でしからば五月の二十四、二十五日の協議のときに、未決着であった案件についてのその後の検討状況を聞かしてもらいたいという話がございまして、それを受けて行ったものでございます。 まずIQにつきましては、五月の段階で未決着のままになっております商品というのは六品目ございます。柑橘以外の果汁、トマトジュース、トマトケチャップ及びトマトソース、これが一くくりです。それからフルーツピューレ・ぺースト、これがまた一くくりです。それから落花生と雑豆ということで計六つになりますが、これについてどうだという話でございました。私どもとしても、何とか歩み寄りはできないかと思っていろいろ検討してみたのであるけれども、五月のときよりも前進することはきわめて困難であるという事情を率直に話をいたしました。ほどほどであきらめてくれないかということを申したわけでありますが、アメリカ側としては大変いたく失望しておる、何とか前進をしてもらえないかというようなことを申しておりました。 それから、関税につきましては、五月の段階で検討してみるけれども、何とも言えないという物について、さらに第二弾対策でリストアップされております十七品目に追加して、引き下げの可能性を検討中であるということを伝えてございます。いずれにいたしましても、これらの案件についても二十日からのホノルル協議の際、引き続き協議をしようということにいたしました。先方からはホノルル協議につきまして、米国内で保護主義的な潮流が日増しに強まっておるという背景のもとに、牛肉、柑橘についてはIQの完全撤廃ということを要求するという、そういう立場で協議に臨まざるを得ないのであるということを予告編的な発言をいたしておりました。 以上が九月三十日、十月一日の概要でございます。
○鶴岡洋君 その中で、佐野経済局長御出席になってたわけですけれども、この六品目の点ですが、いまのお話ですと、局長側としては五月より前進することはできない、いわゆるゼロ回答というんですか、それを向こうに話したようですけれども、米側のそれに対する反応と今後どういう出方をしてくるか、その辺は局長としていかが感じられたか、いかがですか。
○説明員(佐野宏哉君) 私どもはただいま先生が要約なさいましたような立場を先方に伝え、先方は日本側の考え方に失望したと、不満である、何とか考え直してくれということを申しておったわけであります。私は、二十日からのホノルル協議で再度この問題が議論されるわけでございますが、アメリカ側の態度は恐らく五月協議のときの立場からは日本側に歩み寄るということには恐らくならないだろうというふうに思っております。
○鶴岡洋君 いまお話しのように、この六品目の交渉ですけれども、二十日からの交渉に向けて枠の拡大等について先ほどもちょっとお話ございましたけれども、米国側に検討結果を通報すると、そういうお話をされたようですけれども、いま向こう側の出方と申しましたけれども、今度はこちらの六品目の扱いについてこちら側、日本の政府側としてどのような方針で臨まれるのか、あくまでも先ほど話があったようにゼロ回答でいくのか、それとも何らかのアクションがあるのか、その辺はいかがですか。
○説明員(佐野宏哉君) これは私どもまだ省内で具体的には検討中でございまして、さらに歩み寄る可能性がないかどうかということを吟味はしてみておりますが、ただいまのところそういう可能性はきわめて乏しいように思っております。そういう意味では余談にわたることは差し控えさしていただきますが、恐らく五月の立場を目に見えて変えるということはまずできないだろうというふうに思っております。
○鶴岡洋君 まあ検討中と言いますけれども、一週間後でございますし、交渉ということは相手もあることでございますけれども、確認の意味でこの六品目について腹づもりは大体決められているんじゃないかなと、こういうように思いますけれども、もう一度お願いしたいんですが。
○説明員(佐野宏哉君) 腹づもりと申しますと何でございますが、これらの商品の需給事情から見て決して無理なような譲歩はすべきものではないというふうに考えておりまして、検討するにしてもそういう制約の中での検討であるというふうに考えております。それが私どものいまの時点での心づもりであるということでございます。
○鶴岡洋君 次に、二十日、二十一日に行われるこの日米牛肉、柑橘類協議についてでございますけれども、アメリカの上院外交委員会の対日貿易問題公聴会でロドウィック米農務次官は、一九八四年までに日本が牛肉、オレンジ、果汁輸入を完全自由化するよう求めると、こういうふうに表明しておりますし、マクドナルド米通商代表部次席代表もこの公聴会で、この点については最大の関心品目であると、こういうことも述べておるわけでございます。この牛肉、オレンジ、果汁の輸入障壁の撤廃を求めているわけでございますけれども、さらに日米農産物協議が失敗すればガットに提訴すると、こういうことも言っておるわけですけれども、この二十日、二十一日に臨む政府の基本姿勢、先ほど言いましたようにもうすでに一週間後でございますから、決定しているのかどうなのか、またどう考えておるのか、この辺はいかがでございますか。
○説明員(佐野宏哉君) 私どもの基本的な考え方は、それぞれ該当の農産物の需給事情を的確に判断をいたしまして、そのもとで国内農業の健全な発展と調和のとれたような形で対処をするということが基本でございます。したがいまして、このような見地から眺めてみた場合に、まずIQの撤廃という要求にとうてい応じ得ないというふうに考えておりますが、そこから先の話につきましては、ただいま申し上げました原則的な立場に立って慎重に対処をしてまいりたいと思っております。
○鶴岡洋君 この交渉でございますけれども、牛肉、オレンジ、ほかの品目ももちろんそうですけれども、非常に日本の農家にとっては関心の深いことでございますし、前国会でもいろいろこの面についてはお話をしたわけですけれども、いま言ったように八四年までに牛肉、オレンジについては完全自由化するように向こうから要求があったと、こういうことでございますけれども、それに対して農水省としてはこの交渉は非常に長期化するだろうと、こういう見通しであるということを新聞で私読んでおりますけれども、その長期化するだろうというその理由は何なのか、また長期化しても、いずれにしてもこの交渉の段階で何らかの形で締結をしなきゃならない、話を決めなきゃならないと、こういうふうに思いますけれども、そのめどはどの程度に考えておるのか、その辺はいかがですか。
○説明員(佐野宏哉君) 私どもとしては交渉期間の長短につきまして予言をするということは、能力もございませんし、率直に申して気が進まないわけでございますが、ただ新聞紙上、ただいま先生がおっしゃいましたような形で役所側の感触が伝えられておるといたしますると、それは恐らく私どもとしては、目下米側の交渉当事者が輸入数量制限の撤廃というそういう方針を現実的に修正をする、そういうきっかけをどういう形で米側の交渉当事者がきっかけをつかめるであろうかということについて私どもとして見通しが立てにくいと、そういう心境でおるということが新聞紙上に反映をされておるということであろうと思います。これは御高承のとおり、ローカル・コンテント法案など、現在の米議会では非常に保護主義的な潮流が強いわけでございまして、その中で私どもの見ますところ、米国の行政府と議会との関係もなかなかぎすぎすした面があるように見受けられるのでございまして、なかなか米側交渉当事者といたしましても現実主義路線に転換をするということはどうもむずかしそうに見受けられるわけでございます。 それで、しからば一体どういう形で妥結のめどを立てておるかというお尋ねでございますが、そこは私どもとしては、何としても米側の交渉当事者が現実主義的な対処方針でわれわれとの協議に臨むというふうに交渉方針を転換してもらわないと何ともならないわけでございまして、どうも私どもの方の工夫でどうにかなるというものではないように思います。ただ、私どもとしてもできるだけ米側の交渉当事者がそういう現実主義的な交渉路線に転換しやすいような零囲気を形成するのに有益なことであれば、私どももいろいろやってみなければならないというふうに思いますが、やはりそのためにはわが国の農業の実情や、あるいはわが国が従来とってまいりました市場開放措置について繰り返し丁寧に説明をして米側の理解を求めるという以外にいまのところこれといって有効な手だてはないのではないかという感想を持っております。
○鶴岡洋君 私がしつこく聞くのは、日本の畜産農家、またオレンジ等のいわゆる農家、栽培している農家等にすれば非常に関心も深いし、ただいつまでその交渉が延びるのか、またどういうふうになるのか、非常に関心深いし、反面非常に不安定なわけです。そういった意味で、もちろん交渉ですから相手があるわけですから、その場合行ってこうなったそうなったと、結果は別問題として、いわゆる政府の態度としてこういう方針でいきたいという、いわゆる確固たる確信というんですか、それをお聞かせ願いたいわけです。 それはそれとして、交渉がもし暗礁に乗り上げた場合、米国がガットに提訴すると、こういうことも考えられますけれども、先国会でもこの話があって、そのときは受けて立つというような話も聞いておりますけれども、政府の対応はこうなった場合にどうなさるのか、その対応はいかがでございますか。
○説明員(佐野宏哉君) 先生先ほど引用なさいましたように、マクドナルド大使が議会の公聴会で、先ほど御指摘のような趣旨の証言をしたことは私どもも承知をいたしておりますが、ただ、私どもは現在の時点でアメリカ側がガット提訴ということを、次のステップはガット提訴であるというふうに決めてしまったというふうにも判断をしておらないわけであります。 そこで、そういう状況のもとで、私どもとしては、アメリカ側がガットに提訴した場合いかなる対応をするかということを前もって立ち入って議論をするということは、これからのアメリカ側との協議の上で果たして得策であるかどうかということについて、率直に申して疑念を持っております。私どもといたしましては、少なくとも現在の段階ではアメリカと日本という二大通商大国がガット場裏において相対決するというような事態を招来するということは、ガット自体にとりましても、またガットによって秩序づけられております自由な通商秩序全体にとりましても、決して好ましいことではないわけでございまして、まずそういう形で日米間がガットの紛争処理手続にのっとって争うというような事態を回避することに、最大限の努力を尽くすべきものであるというふうに思っております。
○鶴岡洋君 それでは大臣にお聞きしますけれども、これまでの米国の主張を見ると、いまお話あったように、非常にむずかしい問題であり、向こうからの要求は非常に強いようでございます。経済関係との関係で日本側に要求する傾向はますます強まっているように思われます。その端的な例が先ほどちょっと局長からお話あったローカル・コンテント法案、いわゆる自動車部品現地調達義務法案、こういうことになってるわけです。農産物の市場開放問題の焦点というのは、アメリカが国内の保護主義の台頭を初め、ガット提訴などを含むいわゆる強硬な姿勢で自由化を求めてくることは、いまになれば明らかになっておるわけでございます。そこで、今後重大な局面を迎えるわけでございますけれども、もし交渉が難航すれば、昨年末の内閣改造直後に政治決着をした、いわゆる関税の前倒し引き下げ決定、こういう措置がまた抜き打ち的に決められることはないかと、こういうふうに心配するわけでございますけれども、大臣としてこの政治決着が再び起こらないよう政府に強く要請して、そしてハワイ会談に臨むべきだと、私はこのように思いますけれども、大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) いま経済局長から答弁したように、九月三十日の農産物定期協議あるいは十月一日の通商部代表との協議にも見られますように、アメリカは非常に農産物の自由化、完全自由化を主張しているのは事実でございますので、これに対応するためには、私たちは日本の農業の現状あるいは市場開放の実態というものをこれまで以上に説明をして理解をいただくと。それからもう一つはやはり日本の経済が東京ラウンド当時とはかなり様相が変わっているんだということなどもよく説明をしなければならないと私は思います。 しかし、幸いにしてこれまでの日米交渉は、農産物については農林水産省が窓口になって責任を持って交渉を達成してまいったのでございますので、今後も私は農産物交渉については農林水産省が責任を持ってこの交渉に当たり、その結論を得るんだということで進みたいと、かように考えておりますので、今後いわゆる第一弾対策のような抜き打ち的なことがあってはなりませんので、そういう点は対外経済閣僚会議あるいは閣議等でこの点はきちっと農業の実態を説明して、農産物の自由化はしてはならないということを強く主張して、そういうことのないようにいたしたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 まあ農林大臣も経済閣僚の一人でございますから、その点は期待をしておるわけでございます。 次に、総理府が十月の三日ですか、外交に関する世論調査をまとめて発表いたしました。その中で、市場開放に関する質問が今回初めて加えられているわけでございますけれども、その調査結果を見ると、いわゆる市場開放派が四〇%、保護派が三一%、こういうことで開放派の方が多くなっているわけです。市場開放した方がいいという内訳を職業別に見ると、サラリーマン、管理職が六九%、商工サービス業者が五三%、農林漁業者が二〇%、こういうふうになっているわけですけれども、これは世論調査ですから、こういう世論ということで、これに対して農水省はこの世論調査に対してどんな見解を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○説明員(佐野宏哉君) 私どもといたしましては、今回の調査結果も民意の動向を示す一つの資料というふうに受け取っておりまして、このような調査結果の集積を通じて民意の動向を的確に把握して、長い目で見た行政運営に反映をさせていくと、そういう心がけで臨みたいというふうに思っておりますが、今回の調査結果だけを取り上げて、四〇対三一であったというふうに思うのはいかがなことであろうかというふうに思っております。
○鶴岡洋君 それでは、関連してもう一つ、ことしの四月ですか、農産物のいわゆる段階的自由化をせよと、こういうことで経団連が政府に要求しておりますけれども、この点については、この考え方ですか、農水省としてはどんな受け取り方をしておりますか。
○説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。 段階的自由化という問題は、これは経団連からおっしゃっていただくまでもなく、米側からもうすでに何回も議論を吹っかけられている問題でございまして、私どもといたしましては、少なくとも現在の状況のもとでは段階的であろうと即刻であろうと自由化というのは論外であるということを繰り返し申しておるわけでございまして、経団連の御意見につきましても私どもは同様の見解を持っております。
○鶴岡洋君 最後に大臣に決意をお伺いしたいんですが、市場開放のいわゆる拡大自由化、今後のわが国農業にもしこれが完全自由化されるということになると仮定した場合に、壊滅的打撃を及ぼし、ひいては国民食糧の安全を脅かす、こういうことになるわけでございますけれども、そのために全国農業協同組合中央会もアメリカに直訴に行ったり、それから各種農業団体も自由化反対運動を精力的に進めておりますし、日本農業の実態の理解を懸命に説明等を含めてやっているわけです。農林水産省としては、国民にいわゆる市場開放における日本農業の立場を訴え、実情をよく話をし、さらに国民の理解を求める努力をもっともっとすべきではないか、こういうふうに思いますけれども、交渉再開を目前にして農水省のその決意、どういうふうにしていくか、いまもやっておるわけですけれども、その再確認を大臣にしたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) きょうも農業団体が街頭で農産物市場開放反対の運動を展開しておられるようでございまして、私たちの方も、農林水産省としても感謝申し上げておるわけでございますが、農林水産省としても、やはり経団連との関係を密にして、できるだけ農業の実態あるいはまた現在市場開放の状況等を説明をして経団連にまず理解をしていただくということが一つ、それから地方農政局を通じてできるだけ市場開放の実態やら農業の現状、それから市場開放することにより農林水産業に与える打撃等についていろいろ説明をし理解を求める、さらには県の農林部長会議等によってできるだけこの実情を説明をして、各県において国民に理解を求めるような方法をとりたい、かように考えておりますし、その他いろんな広報活動を通じてでも国民に理解を得るような形を積極的にとってまいりたい、かように考えております。
○鶴岡洋君 最後に要望ですけれども、そういうことで大臣も努力をされておるし、実は先日、私、農林水産委員会で九州に行ってまいりましたけれども、各県どこへ行っても——大分なんかは畜産県でございますから特にそうでしょうけれども、この農産物の自由化問題については非常に深刻であります。そういったことで、佐野経済局長もいわゆる交渉の担当者でございますけれども、いままでがんばってこられたのもよくわかりますし、そういう点を含めて、さらに一層農家を守る立場ということでがんばっていただきたい、御要望いたします。 次に、畜産問題についてでございますが、全国にある畜産、酪農の農家、言うまでもなく畜産価格の低迷や生産費の上昇によって多くの農家が負債の累増により経営危機となっているわけでございます。加えて、いまお話しした農産物の市場開放問題の再燃、米側の強い要求で全国の畜産農家は経営の先行きに大きな不安を抱いているのが現状でございます。 そこで、農水省にお伺いしますが、この畜産農家の負債状況はいまどういうふうになっておられるのか、数字を挙げて御報告していただきたいと思います。
○説明員(石川弘君) 最近の最も新しい数字はまだ出ておりませんが、五十五年度末を農家経済調査を使いましてやってみますと、これは平均値になるわけでございますが、酪農経営、これが北海道と内地ではかなり規模が違いますので、北海道、内地別に申し上げますと、北海道で戸当たりが約二千百万円程度の負債がございます。都府県になりますとこれが五百九十万程度、約四分の一ぐらいになろうかと思います。それから、肉用牛の肥育経営は戸当たりで申しますと大体三百九十万ぐらい、それから養豚経営は戸当たりで大体五百五十万、ブロイラーが戸当たり四百万というのが大体の数字でございます。これが五十六年度になりますと、多分若干この数字よりも大きな数字が出ると思っております。 いま申し上げましたのはあくまで平均的に出てくる数字でございまして、これはこの平均的数字で見ます限りは、これに見合う、あるいはそれ以上の大きな資産を持っておりますので、資産と負債の関係はバランスがとれているわけでございますが、御承知のように、畜産農家の中で、近年価格も比較的上がりにくくなった、そういう事態で急速に投資を拡大しました農家の一部には、これを大変上回っておるような金額のものもございまして、いろいろとここ数年来このような数字あるいはその動向等を頭に置きまして、いろいろな負債対策を考えているわけでございます。
○鶴岡洋君 負債もふえているけれども資産もふえている、売り払えばツーペイになる、こういうお話のようでございますけれども、負債は負債であって、あくまでも借りたものは返さなきゃならないわけですから、大体三百万とか五百万——去年ですか、私、北海道へ行ったときも、一千万、二千万、多いところは六千万とか七千万とか、こういう負債を抱えている畜産農家が多いわけでございます。 そこで、その見通しはどうかというと、明るい見通しは全然ない、こういう状況で、この負債農家に対する再建計画といいますか救済対策、これはどのような指導をしておられるのか、どういうふうにしたらいいのか、その辺はどう考えておられますか。
○説明員(石川弘君) 御指摘のような事態が地域によって発生いたしておりますので、私ども、三つの対策を現在実施中でございます。 一つは、御承知のように自作農維持資金の中で負債整理ができることになっておりますが、これにつきましてはかなりの資金投入をすでにいたしておりますが、五十七年度では約二百億程度の資金を予定をいたしておりまして、これは農業経営の再建整備を図る農業者に対しまして、既存債務の整理あるいは経営の再建整備を図るということで、農林漁業金融公庫から据え置き期間三年、償還期限が二十年という非常に長期の資金を貸すことにしておりまして、貸付限度額も五十六年から特認につきましては特に八百五十万という限度アップをいたしたわけでございます。 この一般的な施策のほかに、御承知のように、酪農につきまして需要が伸び悩んだ、あるいはそれ以上に生産が伸びたのを計画生産で抑えてまいりまして、先ほど申しました比較的後期に資本を投下しました畜産農家が資金的に大変容易ではないという事態がございましたので、昨年、酪農の方々のための酪農経営負債整理資金というものを新たに設けまして、これにつきましては五十六年以降五カ年間に総額約三百億程度の資金を予定をいたしまして、五十六年度に約百六十億ばかりの資金をすでに投入をいたしております。この資金につきましては利率が五%でございますが、特に経営改善を必要とするものはさらに三・五まで地方公共団体との利子の補給をいたしまして、特認は三・五、償還期限も三年据え置きで十五年という有利条件の資金をつくりまして、現在実施中でございます。五十六年に続きまして、五十七年についても必要な資金を投入すべく、現在各地で経営改善計画を精査中でございます。 それからもう一つ肉畜関係でございますが、これも御承知のように比較的畜産物価格を上げない形の中で経営をやってまいりましたが、資材費等の高騰が若干ございまして、やはり急速に規模拡大をいたしましたものにつきましては資金的にも問題が出てきているという実情にかんがみまして、本年の畜産物価格の決定の時期にこれも借入金の償還が困難な肉畜経常、これは肉用牛とそれから養豚とブロイラーでございますが、これにつきまして金利五%、これも特別に必要なものは特認といたしまして三・五%まで、それから償還期限は肉用牛につきましては一年据え置きで七年償還、その他の養豚ないし養鶏につきましては一年据え置きの五年償還という資金を総額で融資枠一千億を用意いたしまして現在各都道府県を通じまして改善計画を作成させているわけでございます。私ども単に有利な資金に乗りかえるというだけでは将来の経営改善ということについて問題があろうかと思いますので、個別の農家につきましてどのように経営を改善していくかという計画を立てさせますと同時に、特に最近の肉畜経営等につきましては農協の資金の貸し付けの仕方なりあるいはえさの売り方といったようなものにもやはり問題があろうかと思いますので、単に個別経営の改善だけではなくて、農協等がその農家をどのように指導していくかということについても改善の計画を立てるということで現在進めておりまして、近日中に貸し付けが開始されるような状況でございます。いずれにいたしましても価格それから資材費、そのようなものの関係が今後どうなってまいりましても十分経学的に耐えていけるような効率の高い農家へ誘導していくというのが基本でございますので、そういう観点に立ちまして事態を十分慎重に見ながらこの資金を活用していきたいと考えておるわけでございます。
○鶴岡洋君 次に、これは新聞に出ておるんですけれども、豪州、オーストラリアは史上最大の干ばつに見舞われて五千五百億円に上る甚大な被害を出しておりますし、牛肉の国際価格は異常に高騰しているようでございます。この影響によって畜産振興事業団の買い入れ価格も八月から九月、この一カ月約三〇%強の値上がりという異常事態になっておるわけでございます。これにはいろいろな原因があると思いますけれども、世界の牛肉貿易量の底の浅さが原因ではないかと、こういうふうにも言われておりますけれども、この異常事態に対して農林水産省は国際牛肉価格の上昇の原因についてどう分析し、そして今後の見通しとしてどうなるだろうと考えておられるのかお伺いいたします。
○説明員(石川弘君) 肉牛の生産につきましては、先生御承知のようにまあいわばキャトルサイクルというような十年周期ぐらいで大きく変動をしてきたわけでございます。まあ日本に輸出をいたしてきておりますのはアメリカと豪州、まあ量で言いますと豪州が圧倒的に多いわけでございますが、アメリカにつきましては大体数年前、一九八〇年ごろに生産が最低に来ましてそれから若干回復をしてくるという予想をいたしておりました。ただ、御承知のようにアメリカは大変現在高金利等でございまして、畜産に対する投資も必ずしも十分に行い得ないような状況でございまして、八〇年ごろを底にしてどんどん生産が上がってくると見ていたわけでございますが、実際は余りそう大きく上がってこないんで、現状横ばい程度の推移ではなかろうかというのが一般の見方でございます。 それから先生いま御指摘がございました豪州につきましては、これはもうちょっと先の、まあ現時点に近い一九八二年ごろが底で、それから回復するであろうということが一般的に言われていたわけでございますが、実は御指摘のような大変な干ばつがございまして、まあ向こうは草だけで牛を飼っておるわけでございますから、草がないということは家畜を屠殺をするということでございますので、通常一九八二年ごろから好転するであろうと言われておりましたものが、現在は一九八六年ごろまでは生産はむしろ下がっていくんではないかという、大変われわれにとっても注目すべき状況になっているわけでございます。豪州で干ばつになりまして、牛を殺せばそれだけ一時的にはどっと牛が出てくるわけでございますから、普通ならばその一時期は値段が下がるという見方もし得るわけでございますが、実は現状はそうではございませんで、その屠殺されました牛が米国も生産が回復しないということがございまして、一時的にアメリカの方に流れが強くなってまいりまして、前年大体五十三万トンか五十四万トン程度のものを購入しておりましたアメリカに対して、すでに五十九万トン前後のものが流れていくと、これで逆にアメリカの方は御承知のように食肉輸入法を発動するぞというようなことも言いまして自主調整をしたわけでございますが、結局豪州からの輸出はアメリカ向けにはふえたわけでございます。 それからもう一つ、韓国も輸入量を相当ふやしておりまして、そういう意味では牛がよけい殺された割りには値段は下がらずに、むしろ上がってきている。いま先生御指摘のありましたような数字もございますし、荒っぽく私どもが試算いたしましても——いまのは牛の値段そのものでございますが、もう一つは、日本が買います場合には御承知の円安問題がございます。この二つが相乗的になりまして、昨年の平均的な買いと、ことしの九月ごろの価格を比べてみますと、たとえば比較的高級部位と言われるようなストリップロイン等では七割方上昇してきている。それから豪州のチルド等でも四割方上昇しているということで、そういう意味で外国に完全に依存した場合のこわさというものをつくづく感ずるわけでございますが、幸いに、御承知のように国内の牛肉の供給は、七割は国産でございまして、あとの三割がこの輸入肉でございますので、この現在の畜産振興事業団を通じます輸入というものを通じまして、外国の輸入肉が上がりましたことが直ちに国内の牛肉の価格に上がらない仕組みをとっているわけでございます。コストは上がりますけれども、いろんな形での調整をいたしておりますので、国内の価格はそのような外国の購入価格のアップが直ちに入らない条件に現在はなっているわけでございます。 長期的見通しとしまして、先ほど申しましたようにキャトルサイクルその他を考えまして、どうも需給が余り楽観できない事態になろうかと思います。そういう面では、国内の供給につきましても極力努力をいたしますと同時に、いまの事業団の輸入のシステムを使いまして、極力安定的に入れてまいりまして、国際価格のアップが直ちに国内の牛肉のアップにつながらないような措置をとってまいるつもりでございます。
○鶴岡洋君 そこで、そのために畜産振興事業団があるわけですけれども、畜産酪農農家は経営管理能力の向上と経営内容の質的充実、これを図るために農用地の有効利用、農業機械、施設にも改善策を進めているわけでございますけれども、したがって畜産振興のための特殊法人である畜産振興事業団、この使命というのは大変重要な立場にあるわけでございます。 そこで、この事業団のことでございますが、まず最初に五十五年度のいわゆる決算の概要、二つ目、政府の出資金、五十五年度にどのくらいか、それから三つ目、国からの交付金はどのくらい出ているのか、この数字を挙げていただきたいと思います。
○説明員(石川弘君) 畜産振興事業団が五十五年にその指定助成対象事業といたしまして支出しました額を申し上げますと、出資で五十七億九千三百万円、それから補助で二百五十二億七千五百万円、総計で三百十億六千八百万円でございます。 それから、国が畜産振興事業団に交付しました資金につきましては、これは御承知のように学校給食の助成に使います学校給食用牛乳供給事業交付金と言われておりますものが百七十二億八千五百万円でございます。それから、例のバターとか脱粉をつくります加工原料乳の不足払いの原資として国から交付されておりますもの、これは加工原料乳生産者補給交付金でございますが、四百六十六億六千五百万円、両方合わせますと六百三十九億五千万円でございます。
○鶴岡洋君 この事業団は乳製品や食肉の売買、それから債務保証、各種の助成事業、多くの業務を行っているようでありますけれども、この事業団の会計はそれぞれの業務に対応して一般勘定、輸入牛肉勘定というように区分されていると聞いておりますけれども、それぞれの勘定別にどんな事業を行っているのか説明いただけますか。
○説明員(石川弘君) 御指摘のように、業務に応じまして勘定区分をいたしておりまして、その勘定区分といたしましては、一般勘定、それから債務保証いたしますための債務保証勘定、それから助成をいたします助成勘定、それから先ほど言いました補給金等の勘定、それから輸入牛肉でこれ差益を出すわけでございますが、輸入牛肉の勘定のこの五つの勘定に分かれておりまして、それぞれ区分経理をいたしております。 仕事といたしましては、一般勘定はその最終的な一般の業務の執行でございますし、債務保証は債務保証でございますが、助成勘定の中では、学校給食用牛乳供給事業とそれから指定助成対象事業、これはいろんなことに対する補助をやりましたり、あるいは出資をいたしましたりする勘定でございます。それから輸入牛肉のところはその輸入牛肉の売買で差益を出すところの勘定でございます。学校給食の補給のための財源はもっぱら国が交付しているわけでございまして、国から交付を受けたものを使うわけでございます。 それから指定助成事業でどういうことをやったかということでございますが、主要な事業といたしましては、肉用牛等の肉畜生産に使いました対策というのが一つの大きな項目でございまして、これは子牛の生産の奨励の事業だとかあるいは繁殖豚の脂質向上のための特別の資金融通事業といったようなものが中心でございます。 それから酪農生産、これは肉の方で資金をつくりながら酪農という御指摘もあろうかと思いますが、実は日本の肉畜生産の量的に言いますと三分の二近くはこの酪農から出ておりますので、この酪農生産対策といたしましては先ほど申しました酪農経営の安定推進資金、先ほど申しました負債整理の原資等もここから出されております。それからもう一つは、直接消費者の方に極力安い牛肉を食べていただくという感覚でつくられております牛肉等の流通消費改善対策がございますが、これの中で国産牛肉の特別販売事業だとか、あるいは消費改善普及事業といったようなもの、こういうものがこの対策に入っております。
○鶴岡洋君 そうすると、助成勘定というのは中身はわかりました、この財源というのは政府からの交付金、これは少ないようですけれども、 〔委員長退席、理事山田譲君着席〕 他勘定、つまり輸入牛肉勘定からの繰入金でございますけれども、これ調べるところによると、五十一年度が三百七億、五十二年度が三百九十二億、五十三年度が四百五十四億、五十四年が四百二十一億、五十五年度が二百四十二億、こういうふうになっているわけです。こうしたいわゆる多額の輸入牛肉勘定の利益金が助成勘定に繰り入れられて、この勘定でいわゆる協会など各種団体へ補助金や出資金として支出されているようでございますけれども、そこで、五十五年度末でこの勘定から出資しているいわゆる法人数、出資額合計、補助金を受けている団体どんなものがあるか挙げていただけますか。
○説明員(石川弘君) 現在、畜産振興事業団が出資をいたしましたりあるいは助成をいたしましたりしているものは相当ございまして、これは畜安法の三十八条第一項第六号で、「主要な畜産物の流通の合理化のための処理若しくは保管の事業、」とか、あるいは「畜産の経営若しくは技術の指導の事業、」とか、「肉用牛の生産の合理化のための事業」といったようなものを例示をいたしておりまして、そういうものに対して必要な助成をするというようなことが書いてございますが、これに基づきまして毎年いろんな形での助成をいたしまして、五十五年までに出資をいたしましたりあるいは助成をいたしました数を概数で申し上げますと、出資先の法人の数で申しますと全体で百四十九団体、二重に出ていることがございますので、延べで申しますと百六十一団体でございます。大半が公益法人でございますので、うち、公益法人で実数で百二十四団体、それから延べで百三十六団体でございます。それから株式会社、これは大半は県等が出資しました食肉公社等でございますが、そういうものが二十五団体ございます。出資額を総計して申し上げますと全体で三百九十五億二千九百万が出資をされております。 〔理事山田譲君退席、委員長着席〕
○鶴岡洋君 その事業団から出資を受け助成金を受けている団体のその一つに畜産環境整備リース協会、こういうのがあるわけです。この法人は、いわゆる畜産振興事業団の助成事業である畜産環境整備リース事業と、こういうことでリース事業をやっているわけでございますけれども、事業団のいわゆる助成金で運営されているわけでございますけれども、このリース制度を利用して畜産農家と機械納入業者が競合して不正利用している事実があるわけです。この畜産農家は家畜ふん尿発酵槽リースを受けているはずであったのに、実際はその発酵槽を導入せずに、発酵槽のリース料を目的外に、ほかに転用使用されているという、こういう事実でございます。この件について農水省から調査されたか、その結果を報告していただきたいと思いますけれども、調べていますか。
○説明員(石川弘君) 御指摘のように、畜産環境整備リース事業の中で、これは畜産経営、特に環境問題が重要なことになってまいりましたので、新たなそういう環境整備のため、これはふん尿処理施設といったようなものが非常に多うございますが、それを入れますときに、このリース事業を使いまして入れるということにしておったわけでございます。問題は、五十三年に岡山県の中央牧場というところが、いま御指摘のありましたように、このふん尿処理機械装置であります発酵槽をつけるという申請をいたしまして、現実に上部団体であります酪連等を通じまして申請が参りました。それで、そういう施設を納入することが適当であるという前提でそのリースを認めたわけでございますが、御指摘のように、これは実はその施設を入れませんで、その資金を他のものに流用したということが後に発覚したわけでございます。大変この制度の趣旨から言っても適切を欠くということで、直ちに処置をとりまして、まずその納入業者につきましては、代金の全額、五百十六万円を返還させますと同時に、違約金として百九十二万四千円を徴収したわけでございます。さらに、そのように故意にそのようなことをやったということで、そこの会社の施設につきましてこのリース事業の対象にしないという処置をとりました。さらに、そういう事実の発覚につきまして、本来上部団体でございます県酪連が当然熟知をしていなければならなかったはずでございますので、厳重な注意をいたしますと同時に、再貸し付けの手数料の返還を命じたわけでございます。それから、こういうことが起こりました問題は、実はそういう貸し付け等をいたします際に、当然その現物の確認という意味で検収をするわけでございますが、その検収が安易に流れたということがございますので、リース協会に対しまして検収方法の改善、特に現物の確認なり、そのための必要な手続等を行いますとともに、職員について相当の処分をしたわけでございます。せっかくの畜産農家に喜んでもらえるということでやっておりますことが、目的外に使用されたということは大変残念でございますので、今後このような事案が再度出ないように厳重に注意をし、行政的に指導してまいるつもりでございます。
○鶴岡洋君 検査院に一言お伺いしたいんですが、このいまのリース協会の事実を指摘してきましたけれども、検査院はこの事実を確認しておりますか。
○説明員(磯田晋君) ただいま農林水産省の方から御説明のあった問題でございますが、ことしの私どもの検査で問題になったことでございます。現在農林水産省あるいは畜産振興事業団の御意見を承って、鋭意検討を進めている段階でございます。
○鶴岡洋君 要するにこのリース業というのはそれは結構なことですけれども、業者にすれば品物を、機械を売ろう売ろうということで一生懸命これは商売ですからやるわけです。農家の方とすれば生産性を上げようということで、また近代化しよう、合理化しようということで機械が欲しいと。そこで業者と農家が結託をしてこういうことになったと。それにプラスして検収制度、これがずさんなためにこういう結果になったと。もちろんこの不正を起こした原因というのは農家といわゆるリース業者の姿勢の悪さもありますけれども、検収制度にも私は甘さがあるのではないかと、こういうふうに思うわけです。これは発見されたのは一件ですけれども、先ほど言ったように助成事業というのは多岐にわたりたくさんやっているわけですから、私は恐らくもう何件か出てくるんじゃないかなと、悪く解釈すればそういうことも考えられるわけでございます。 そこで、この検収官の教育でございますけれども、この検収官は県酪連などから委託を受けて、いわゆる単位農協の組合員が代行していると、こういうふうに聞いておりますけれども、どうしても代行業務となると仕事がずさんになるというか、教育が徹底しないというか、そういうことになりがちなわけでございます。 検収官の教育については再検討し、義務的な教育ではなくて、検収官の質の向上、こういういわゆる教育方針を徹底していただきたい。先ほどちょっとお話しございましたけれども、具体的にはどういうふうな教育をしていくのか、また制度を変えていくのか、この辺はいかがですか。
○説明員(石川弘君) 御指摘ございましたように、結果的にリース協会自身としまして、大きな手足を持つわけにはまいりませんものですから、たとえば酪連等の職員、そういう者に実際の手続を頼んでいるわけでございます。県等につきましても、いろんな苦心等をさせておるというような事態もございますが、やはり今回のそういう事案にかんがみまして、検収のあり方についてもう一度見直しをしてみたいと思っております。いやしくも、本来農家なら農家にしてぜひ必要であるということでリースしたものが、違ったものに充てられているということでは制度の目的が達成できませんので、その点はさらによく詰めてみたいと考えております。
○鶴岡洋君 最後に大臣にお伺いしますけれども、そういう不正事案が出たということは、これは残念なことでございますけれども、いずれにしても畜産振興事業団というのは言うに及ばず畜産農家の振興発展、それから経営の健全化、さらに消費者にとっても存在意義というのはこれは大であると私は思うわけです。自由化問題、畜産経営の厳しい状況を踏まえてより一層の健全な、効果的な畜産振興事業団であらねばならないと思いますけれども、大臣の畜産振興事業団に対する基本的な考え方、これを最後にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘のように、畜産振興を今後も積極的に進めてまいらなければならないのでございますが、その畜産の振興を進めるためには、いまのわが国の畜産の現状から言いまして、どうしても畜産振興事業団の健全な育成がなければ私は畜産の振興があり得ない、こう思いますので、今後とも御指摘になりましたいろんな点等を配慮しながら、畜産振興事業団の育成のために努力をしてまいりたい、こう考えます。
○鶴岡洋君 時間が余りありませんので、次は十三号、十八号台風の被害状況についてお伺いいたします。 この十三号、十八号の台風でございますけれども、その前の七月の梅雨前線の影響による豪雨、それから台風十号、それと台風は台風ですけれども、形の変わった全国的な被害を受けた台風でございます。 最初に、農業関係、林業関係、漁業関係、関係別に被害状況を簡単に説明していただきたいと思います。
○説明員(大坪敏男君) ただいま先生御指摘ございました台風第十三号と台風第十八号によります農林水産業の被害状況について御説明申し上げます。 まず、台風十三号でございますが、この台風は八月二十七日に九州、四国の間を抜けて北上いたしまして、九州、中、四国地方を中心に被害をもたらしております。また、台風十八号につきましては、九月十二日、静岡県の御前崎に上陸いたしました以降、関東、東北地方を縦断いたしまして、東北、関東、東山、東海等を中心に被害をもたらしたわけでございます。 その被害の状況につきまして、これまで関係都府県からの報告によりますと、まず台風十三号についてでございますが、農林水産業関係合わせまして被害額が六百九十一億円でございます。そのうち農業関係は四百三十億円でございまして、その中で農作物につきましては水陸稲、野菜、果樹等を中心に二百八十億円の被害、さらに農地、農業用施設につきまして百三十九億円の被害が発生しております。また、林業関係、林地荒廃、林道等に対する被害でございますが、これにつきましては二百十七億円、また漁港、水産物等の水産業関係が四十四億円と、こういう状況に相なっておるわけでございます。 また、台風第十八号によります被害でございますが、農林水産業合わせまして、総額で千百七十九億円でございます。これを農林水産別に申し上げますと、農業関係は八百五十六億円でございまして、その中で野菜、水陸稲、果樹等を中心に農作物関係が三百三十四億円、農地、農業用施設が五百十億円となっております。また、林業関係につきまして二百九十六億円、水産業関係につきましては二十七億円となっておるわけでございます。
○鶴岡洋君 農林水産省は台風十号等の災害に対しては災害対策連絡会議を設置して、その対策について指導をしてきておるわけです。具体的には病害虫の防除だとか落下果実の加工向け利用促進等の技術等があるわけです。十八号台風というのは、先ほど申しましたように東海から関東、東北、北海道の一部、全国にまたがって被害をもたらしているし、特に農林水産漁業、この関係に多大な被害を及ぼしているわけです。この十八号台風による被害についての対応はどうなっているのか。いま言ったように、十号台風のときの病害虫の防除等を含め、金融面では関係市町村の努力によって激甚災の指定、天災融資法の発動、自作農維持資金融資枠の確保、これは十号台風でやっておりますけれども、十八号台風の被害について農地、農業施設の激甚災の指定の見通し、それと農産物の被害状況に対する自作農維持資金の資金面と、それから共済措置についてどうなっているのか、この具体的な例と、金融面ではどういうふうになっているのか、また見通しはどうなのか、あわせて時間がございませんのでお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(大坪敏男君) 台風第十八号によります被害に対する農水省としての対策の取り組みについてでございますが、先生御指摘のように、七月の豪雨並びに八月の台風十号による災害の発生に際しまして、省内に関係部局から成る連絡会議を設けたわけでございまして、それ以降十三号、十八号、十九号と相次いで台風に見舞われたわけでございますが、これらにつきましても、この連絡会議を中心といたしまして省内連携を保ちながら対策の検討、実施に努めている次第でございます。 ただいま先生御指摘の点につきましてかいつまんで御説明申し上げますと、災害発生直後、直ちに技術面の指導といたしまして、いまおっしゃったようなことを含めまして、農作物の被害の軽減のための各般の技術指導を農業改良普及所を中心として実施してまいっているところでございます。また、農地、農業用施設あるいは林野関係の施設の復旧につきましては、発生早々応急工事、復旧工法の指導等の指導に努めたほか、査定業務の簡素化等にも努めておりまして、すでに緊急査定に着手している次第でございまして、査定終了次第、工事に着工するという心づもりでおるわけでございます。 なお、御指摘の激甚災の指定の問題でございますが、この点につきましては、目下関係県から被害の数値の報告を求め、取りまとめ中でございます。被害の数値がまとまった段階で精査した上で、激甚災指定の基準に照らしできるかどうかを判断いたしまして、その上で指定すべきものと判断された場合は所定の手続を進めてまいると、かように考えている次第でございます。 また、共済の問題につきましては、損害評価並びに共済金の支払いの迅速化ということが要請されている次第でございますので、この点につきまして関係県、関係団体に対しまして強く指導をしているところでございまして、特に必要を要する現地につきましては、職員を派遣いたしまして現地指導に当たらせている次第でございます。 また、資金面の問題でございますが、御指摘のように天災資金あるいは自創資金の融通の問題があるわけでございますが、これらの資金面の手当てにつきましては、被害の状況並びに被災農家の資金需要の実態等々を把握した上で適切に対応したいと考えておりまして、いまのところ資金需要につきまして調査を行っている段階でございます。 以上、主要なことをかいつまんで御説明を申し上げましたが、いずれにいたしましても、先ほど申しました連絡会議を中心といたしまして被害状況に応じ適切な対策の実施に努めてまいる、かような考えでいるわけでございます。
○鶴岡洋君 もうちょっと詳しく聞きたかったんですけれども、時間がございませんので。 最後に、政府が先日、十月八日ですか経済対策閣僚会議で景気対策を決めました、額は二兆七百億ですか。特にことしは土、日のたびに台風が来るということで台風の当たり年でございましたので、この災害復旧事業として特別に復旧率を六割以上、普通ですと三割、五割、二割と、こういうことでございますけれども、六割以上ということで方針を決めて、その復旧事業費の総額は七千五百億と、こういうことになっておるようでございますけれども、このうち農林水産省関係、いま言った被害の復旧事業費、この比率はどのぐらい占めるのか、事業費としては幾らになるのか、その辺はいかがでございますか。
○説明員(森実孝郎君) 政府の方針といたしまして、七千五百億程度の災害復旧事業の実施ということを決めております。しかし、具体的にはまだ査定作業も進行しておりませんで、それぞれ各省が所管しております災害復旧事業費がどの程度になるか、さらに災害復旧に関連して出てまいります関連工事等をどの程度見るか。それからもう一つは、当年災をスピードアップする以外に過年災、つまり五十六年災の二年目のスピードアップも図るという問題もありまして、ここら辺は現在査定業務の進捗状況も見ながら調整中でございまして、各省どのくらいになるか、また事業費目ごとに幾らになるかということについてはまだ御報告できる段階にはきておりません。ただ、きわめて常識的に申しますと、いままでの報告額等を頭に置いて考えますと、農林水産省関係は四分の一弱程度ではないかというふうな推計もございますが、これはあくまでも推計でございまして、これから個別に事業の必要性と消化の可能性等も頭に置きまして十分詰めさせていただきたいと思っております。
○鶴岡洋君 四分の一弱程度ということでございますけれども、私はちょっと腑に落ちないんですが、この七千五百億を決める、七千五百億という数字ですけれども、これは内容のない数字じゃないでしょう。ですから、農林省関係は幾ら、それから国土庁関係は幾らということで積み上げてきたのが七千五百億になって、いわゆる閣僚会議でことしは台風が多かったのでこれだけいわゆる景気対策として予算を組みましょうと、こういうことだろうと私は思うのですけれども。それがその比率もよくわからない、農水省の方で幾ら復旧事業対策費にもらえるのかわからないということになると、何だか全部国土庁に任せっぱなしだと、災害は任せっぱなしだと、もらっただけで復旧事業をやると、こういうことになると、農家は期待しているわけですから、すぐに困るわけです。そういうことでことしは六割と、普通だったらさっき言ったように三割、五割、二割とこういうわけですけれども、ことしは六割やろうと、こういうことでお金もこれだけふえたんだし、またそういうふうに決めたわけですから、その辺が私腑に落ちないんですけれども、この計算というのはどうなっているんですか。
○説明員(森実孝郎君) 政府全体といたしまして、いままでの被害報告額をベースにいたしまして、それから過去の実績からとった査定率を一応使いまして最終的な事業費を推計いたしまして、これを大体初年度六割前後ぐらい実施するとすれば幾らかかるだろうかと。それから五十六年災が、これは北海道、東北たくさんあるわけでございまして、これも御案内のように昨年補正を通じて通常の三、五、二の比率を五、三、二の比率に変えたわけでございますが、この三の比率をどのくらい上げられるだろうかと、仮にそれを幾ら上げれば幾らだろうかという推計をいたしまして出したわけでございます。ただ、その後被害報告はさらに動いてきております。 それからもう一つは、補正でお願いする話になるとすれば、具体的な地域ごとの消化の可能性のめどもつけなければなりません。さらに、狭義の災害復旧事業だけに限るのか、関連する事業もある程度考えるかどうか等の問題がございまして、金額と率としてここで肯定的に申し上げられるような状況ではないということを申し上げたわけでございますが、五十七年災、当年災の災害復旧進度についてはおおむね六割程度、場合によってはそれより幾らか高い数字という進度率を全省平均では考えている。それから、さらに過年災である五十六年災についてもかなり二カ年完了に近いところまで持っていくことを考えているということは事実でございます。ただ、数字的に確定したことになっておりませんで、そこでおおむねという数字になっておりますし、また事業費として出しておりまして、国費としてもまだ出していないということなんでございまして、その点は御理解賜りたいと思います。
○鶴岡洋君 終わります。
○柄谷道一君 農政審議会が八月二十三日に「健康的で豊かな食生活の保障と生産性の高い農業の実現をめざして」、このような副題をつけて八〇年代の農政の基本方向の推進について報告されております。 その報告の中では、農地が流動化し、中核農家の育成が進んでいると分析をされているわけでございますけれども、しかし私は、基本法農政下において農地の流動化が地価の高騰による農家の資産保有傾向に阻害されてきた実情というものに対する分析がやや欠けているのではないか。そして、このような実情を直視した政策手段が新たに示されていないということについては残念であるという感じを申し述べざるを得ません。 そこで、全国稲作経営者会議というのがございますが、八月三十日に「稲作経営者として勝ち残る道」という提言をしております。それによりますと、稲作経営目標は基幹労働力一人につき十ヘクタール、夫婦二人の家族経営で二十ヘクタールを目標として、経営形態としては、水田、機械、労働力を通年して効率的利用を図るためには、稲単作から複合経営が望ましい、こういう目標を示しておるわけでございますが、しかし、今後借地を主流として規模拡大を図るに当たって、一つは安定した他産業への就労の場の確保、第二に農地流動化と経営権の安定との関係、特にひ弱な借地経営に対する保証、第三に圃場の分散による生産性の低下への対応、第四に買いかえ取得による地価上昇の拡散対策、第五に公共用地、企業の土地取得による地価上昇対策、六、転作奨励補助金が実質休耕や捨てづくりでも標準小作料や実勢小作料を上回る補助金政策の見直し、そして第七に農政における地域主義と経営主体育成との調整、こういう項目を具体的に挙げまして、この規模拡大が阻まれているという実情を指摘しつつ、今後の構造政策を求めているわけでございます。 さきの同僚議員の質問によりましても、経営規模の拡大と農業の生産性の向上はきわめて重要である、このような答弁があったところでございますけれども、農林大臣として、これらの規模拡大と農地の流動化に対する基本的な御見解と、これに対応する政策のあり方について、これは基本問題でございますが、細かなことは時間の関係でよろしゅうございますが、一応お示しをいただきたい。
○国務大臣(田澤吉郎君) いまわが国の農業の置かれている現状というのはまことに厳しゅうございまして、農産物の需要の停滞から兼業化が進み、あるいはまあ混住化社会になり老齢化の傾向が非常に強い。また、対外的には市場開放の要求というのが非常に強い。こういう中で新しい農業を確立するということは非常にむずかしいことでございますけれども、私たちは農政審の八〇年代の農政の方向の推進という報告書をいただきまして、その報告にのっとって、やはりやる気のある、意欲のあるいわゆる中核農家を中心にして経営規模の拡大をする、あるいは基盤整備を行う、あるいは生産性の技術の革新を行うということを基本にして、これからの農政を進めようといたしているわけでございまして、その観点から考えますというと、何としても経営規模の拡大というのは一番大きい問題でございます。したがいまして、その経営規模のためにはいわゆる農用地増進法を含めて、いわゆる農地の流動化を促進をしてまいらなければならない。先ほど指摘いたしましたいわゆる兼業化も、あるいは老齢化も非常に悪い条件でございますけれども、ある意味ではいわゆる農地の流動化につながる一つの要因でもございますので、私たちは今後もいわゆる農用地増進法を基本として、農地の経営規模の拡大に積極的な努力を払ってまいりたい、かように考えております。
○柄谷道一君 そこで、まあその施策の一つなんでございましょうが、五十八年概算要求の中には地域営農集団構想というのが打ち出されております。私はこの地域主義的な合意形成という視点から見ますと、これはまことに同感の面もございます。しかし反面、自立経営を志向する専業的後継者の側から、かえって中核農家の農地集積が進まないのではないかという危惧の声が上がっていることも事実でございます。 さきに指摘しました全国稲作経営者会議の提言の中にも「中核農家は「むら」の中で少数派になり、「むらの留守番役」となっている。」、こう書き出しながら、農政も地域主義、地域農政ということで集落ぐるみの対策が中心となっているが、そこでは経営主体の育成という観点が明確でなく、むしろ兼業農家対策、転作の促進に重点が置かれつつある。しかも地域がもっぱら集落としてとらえられておるけれども、集落では小さ過ぎる。農用地利用増進事業にしても、このような小さな規模での地域主義のもとでは効果がないのではないか。むしろ集落を越え、さらに市町村を越えて規模拡大を実現しようとしておるエネルギーというものを大切にすべきだ、こういう提言をしておるところでございます。 そこで私は、このような指摘にもありますように、この地域主義と経営主体育成との関係をいかに調整するか、これはきわめて重要な政策課題であると思うわけでございます。特に、借地を主体として経営規模を拡大しようとしております将来の農業の担い手の育成を強力に推進する、こういう視点からしますと、私は従来とってきた農水省のこの地域主義そのものについても見直す必要が生じてきておるのではないだろうか。また、たとえば借地農家経営安定資金を創設するなど、本格的な専業農家へのてこ入れ策というものを予算化する必要がいま生じているのではないか、こう思うものでございます。いかがでしょう。
○説明員(森実孝郎君) 御指摘の点は、私、具体的な構造政策手段を展開していく過程で、それぞれの地域の実情に応じまして十分考慮して具体的な解決を図っていかなければならない問題だろうと思います。 ただ、基本的に矛盾するという見方をする方もごく一部にはいらっしゃいますが、私はその点についてはいささか疑問を持っておりまして、やはり基本的には、広範に存在している通勤兼業農家の土地利用というものを中核農家に段階的に集積していくということが、今日の土地の需給なり地価の動向、それから土地所有に対する意識から見てやはり現実的な解決だろう。そうすると、やはり地域ぐるみの話し合いを通じて土地利用の調整を図るということが、一番着実に広い範囲でそれを可能にする手法であるということは現在も変わっていないし、これからも変わっていかないだろう。問題は、その展開過程でどういうふうな配慮をしていくか。つまり、先生御指摘のいわゆる自立性を持った活力のある中核農家の意欲なりなんなりを生かしていくのにどうしたらいいかという問題だろうと思います。その点は私どもも大変重視しております。その意味では、端的に申し上げますと、今回の地域営農集団の育成に当たっては一集落、一団地、一集団という考え方をとりませんで、やはり地域の実情に応じて考えていく。と申しますのは、やはり農業労働力の需給関係、土地の需給関係にはかなり地域差がございまして、やはり広範な地域を対象にすることが自然条件、経済条件から見て適当であるという場合もたくさんあるわけでございまして、一地域、一集落というふうな観念では考えていかないということが言えるだろうと思います。 それからもう一つは、この利用権の集積過程において賃貸奨励措置等の措置を講じているわけでございますが、この措置に当たってはある程度中核農家を浮き彫りにするということに奨励措置の重点をしぼっていきたいと思っております。それからさらに、賃貸奨励措置におきましては、土地の利用の集積、単なる利用権の集積だけではなくて、現実の利用が集団化されるという実態のあるものについて、これを優遇する措置を講じたいと思っております。 それからまた、先ほども申し上げました構造改善事業の実施に当たりましては、特にその点を議論として取り上げまして、やはり現実にはまだ当主でなくても、後継者であっても、やはり活力を持った、今後中核農家となる人々の意見を計画に必ず取り入れるということ。それから、また事業の実施等についても、その人の意見を聞くというふうなことを考えて方針を打ち出しているわけでございます。確かに御指摘の点は、われわれがこれから構造政策の具体的展開を図っていく過程で、地域の実情に応じてやはり重視しなければならない問題だと思いますので、十分この点はこれからも配慮してまいりたいと思っているわけでございます。
○柄谷道一君 大臣、私は将来の日本農業のビジョン、それを実現させるための対策、これを考えた場合、現実この集団化というものを阻んでいるもろもろの要因というものをさらに深くメスを入れなければならない、私はそういう背景を的確に把握をして、経営規模の拡大、そして生産性の向上ということによって初めて日本農業の活性化の道を見出すことができると、こう思うわけでございます。 そのためには、たとえば優良農用地の確保とか、農地流動化の条件の醸成、買いかえ取得のための現行制度の見直しと税制の改善、離農対策の充実、圃場の集団化促進、構造改善政策の推進のための補助金及び融資制度の是正、多くの総合的政策というものが確立されなければならないと、こう思うわけでございます。私に与えられました時間五十分でございますから、これらの内容を逐一議論しておりましたらこれはもう時間に限りがございません。 そこで、われわれは、いま私が述べました視点に立って、現在のこの問題点を一々分析をいたしまして、いかにして日本農業を活性化するかと、いま具体的政策を立案構築中でございます。大臣いつまで農林大臣をやられるのか、これはわかりませんけれども、ひとつわれわれの考えがまとまりました場合、テーブルを一つにして、これは日本農業全体の問題ですから、与党、野党という場を超えて、これらの問題を真剣に語り合う、その必要性がいまあるのではないかと、こう思いますが、大臣が引き続き農林大臣であれば心強いわけでございますが、おかわりになりましても後任大臣にその用意あるかどうか、これだけをきょうは伺っておきたい。
○国務大臣(田澤吉郎君) お話のように、いま日本農業の現状というのは活力がないんですね、問題は。ですから、活力ある農業にしていくためにはどういう要素を加えたらよろしいかという問題は、いろんな角度から私は見てまいらなければならないと思うんです。もちろん農地の、経営規模の拡大だとか、あるいはまた基盤整備だとか、あるいは技術革新等のいろんな面、また経営規模拡大の面ではいま御指摘のようないろんな角度から見てまいらなければならないと思いますので、これは広くやはり農業に本当にメスを入れ、現状の農業にメスを入れて、そして対策を考えていかなければならないと思いますので、御指摘のような点は、もちろん私が農林大臣をやっている間はそれを進めたいと思いますし、将来また農林大臣をおやりになる方にもこのことは強く訴えてまいりたいと、こう考えております。
○柄谷道一君 次に、十月から日米農産物交渉が再開されますけれども、私はその前途の見通しというのはきわめて厳しいと見なければならないと、こう思います。私は、政府は農政審答申を受けて、基本的にはEC並みの価格水準を目指す方向で施策を進められることと思いますけれども、国際社会における日本の立場から見て、農産物市場だけは絶対に非自由化を貫くという姿勢だけでは、国際世論を理解させることは困難な情勢になってくるのではないか。 そこで私は、この二十二品目の非自由化農産物は何年後に門戸を開くのか、開かないのか、こうした長期対策を、目標を立てまして、その間に構造改善や生産対策を強力に推進するという立場をとるということは、決して農業軽視の姿勢ではないと、こう思うわけでございます。そのような長期ビジョンと、それを実現させるための施策を確立することは、日本農業を取り巻くいろいろの規制から見て困難とお考えでございますか。
○説明員(角道謙一君) いま御指摘のように、今後の農政につきましてはこの八月には農政審議会から長期ビジョンをいただいておりまして、私どもこの方向に従いまして今後とも生産性の高い農業というものを実現する方向で、規模拡大あるいはその他の構造政策に重点を置きまして、今後の施策を進めていくつもりでおります。ただ、いま御指摘の非自由化品目二十二品目につきましては、私どもはこの残された二十二品目は、かつて昭和三十年代の後半、特にガット十一条国及びIMF八条国移行以来自由化に努めてまいりまして、現在残されているのはわずか二十二品目でございまして、これは諸外国と比べましてもそう大きい数字ではないと考えておりますし、この内容につきましては、わが国農業の基幹をなす作物であるとか、あるいは地域的に非常に重要なものであるとか、いまの農政を進めていく上におきまして、非常に重要な作物でございますので、現在これにつきまして自由化あるいは自由化のスケジュールというものをお示しすることは非常にむずかしいと考えております。
○柄谷道一君 私は、アメリカが日本の農産物に対して輸出圧力をかけてくるこの背景には、高金利等による生産資材の高騰、農作物の価格低迷というものが一九三〇年以来農業不振の背景になっている。こういう事実を知る必要があると思うわけです。そうしたこういう背景の上にアメリカの中間選挙という政治情勢が折り重なってきておると、こう私は思うのでございます。 そこで、私はこの日米穀物定期協議に続く農産物枠拡大の協議再開に際しては、第一にいま非常にむずかしいと言われましたけれども、長期計画の樹立という視点、さらに食糧自給力強化という国是、これを踏まえまして厳正な姿勢で対米交渉に臨むことが必要であろう。特に第一点としては、トマト加工品など六品目の協議につきましては、消費の低迷、国内在庫の現状から見て輸入枠拡大の余地がないということを明確に申し述べるべきである。またこの自由化というものを行っても競争力において必ずしも優位にないアメリカの利益に結びつくものではない。むしろこれはわずかな赤字減らしにしかすぎず、逆に牛肉の自由化等による穀物輸入の減少等のマイナスがあるという面も、さらに強くアメリカに説明する必要があるのではないか。そして個々の問題よりも、これは私の提言でございますけれども、アメリカ農業の真の安定的発展ということを考えるならば、たとえば米国産農産物を用いた発展途上国への援助の拡充、穀物備蓄の積み増し、リビア、イラン等に対する輸出の、これはアメリカは直接輸出することがいま非常に狭められている現況であるわけですから、これを日本総合商社への肩がわり、国際的食糧備蓄機構の創設など、むしろ大局的な立場に立った日本の提言をアメリカに示すということが、より有効ではないだろうかとすら考えるものでございます。農林大臣の交渉再開に当たる基本的姿勢と私の提言に対する御評価等ございましたらお知らせをいただきたい。
○国務大臣(田澤吉郎君) いま官房長からの答えにもありますように、残存輸入制限品目二十二品目につきましては、わが国の農業の基幹をなす品目でもありますし、また、その地域の重要品目でもございますので、これは自由化はどうしても認めるわけにいかぬというのは、これまでもとってまいりましたし、今後もこれはとらざるを得ない、こう思います。ただ、私たちは単に市場開放や貿易の自由化を阻止するというだけじゃございません。これからも生産性の高いわが国農業というものを確立しなきゃいかぬ、そのためにはもちろん長期の展望に立ってわが国農業の長期計画をやはり確立する必要があろうと思いますので、そういう点には努力をしてまいります。また、食糧の自給力の強化ということも国民は非常に心配しておるものでございますから、こういう点をも私たちは強くアメリカに説明存してまいらなければいけない。また、消費の低迷でございますが、これはやはり御指摘のように東京ラウンドの時代と日本の現在の経済の状況というのはかなりの変化を来しておりますので、そういう点はやはり十分説明をすべきものであろうと思っております。また、この市場開放が必ずしもアメリカの農業に直接利益を与えるというものでもないということなども説明をしてまいりたいと思っておりますが、問題は、これまでもかなりアメリカに対して日本の農業の実態あるいは農産物の市場開放の状況等を説明してまいりましたけれども、まだ理解を得てない、本当の意味での日本の農業の実態というもの、本当の意味での日本の市場開放に対する態度というものをアメリカは理解していないところに、私は大きな問題点があろうと思いますので、もっと積極的に、もっと意欲的に私たちはこの日本の農業の実態あるいは市場開放の状況等を、それからただいま申し上げましたいろんな問題等を含めて説明をして理解を得ようと、かように考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたが、農産物交渉についてはあくまでも農林水産省が責任を持つという形で私は今後もこの交渉に当たりたい、かように考えております。
○柄谷道一君 大臣の御決意、まことに高く評価するものでございますが、いま大臣の言われました項目のほかに、世界的規模における食糧の安定、その中におけるアメリカ及び日本農業の果たすべき役割り、こういった視点から日米の友好関係というものが持続しなければならないわけでございますから、むしろ説明をし、理解を求める、それは当然やってもらわなければならない。同時に、いま全世界的規模でアメリカ農業は何をなすべきか、日本はそれに対していかなる協力というものをなし得るのか、こういった視点からの大所高所に立つ提言というものを私は期待をしたいと、こう思うわけです。いかがでしょう。
○国務大臣(田澤吉郎君) その点については、たしか私が就任早々でございますけれども、河本経済企画庁長官といろいろ話し合った問題でございますが、いま一九九〇年までに世界の飢餓人口というのは大体五億数千万になるだろうということで、年間五千万の人が餓死するだろうということが推定されておりますだけに、やはり世界の食糧事情というのは非常に悪化するだろうと、こう推定されておりますので、これに対する対策としては、やはりアメリカも日本もある程度食糧の余分な部分が出ているわけでございますから、この部分をできるだけそういう食糧の不足している地域にやはり提供する必要があろうと思うのでございますが、この問題はOECD等においても、市場メカニズムではこれは処理できない問題だと、したがいまして二国間の農産物の交渉ではなかなか処理できないものであるから、国際的な機関を何か設けるべきじゃないだろうかということがいま言われておりますが、しからばその資金は一体どうするのかということになりますと、世界の経済はこのように低迷をいたしておりますしあるいはオイルダラー等もいま余り期待できない現状にございますので、その機関をつくること自体が非常にむずかしい状況にございますけれども、私は、将来やはり一つの国際機関を設けて、これを市場メカニズム以外の対策を持つべきものじゃないだろうかと思うのでございます。たとえば私は就任して早々、五月でございますが、バングラデシュの農林大臣が私のところに参りまして、七月の雨季前に日本のお米をバングラデシュの港に着けていただけませんでしょうか、そうしないとバングラデシュには多くの餓死者が出ます、雨季前に何とかお米を届けてくださいというお願いでございました。ところがバングラデシュに私たちの余剰農産物を、いわゆる過剰米を届けるためには、これはもちろん市場メカニズムでいっているわけじゃございませんので、したがいまして経済協力でいくもんですから、これはタイ国の了解を得なけりゃいけません。あるいはアメリカの了解を得なければこれをバングラデシュに送るわけにいかぬという現状なんですよ。そのためには一月、二月のいわゆる時間がかかるわけで、交渉が必要なんでございますので、そういう点を考えますというと、何かそういう複雑な機構を、もう一つ国際機関を設けることによってそういう問題を処理できないものだろうかということを、私はいま河本経済企画庁長官ともいろいろ話し合いながら、これをできるだけ国際会議で主張して、この実現を期そうじゃないかということを話し合っているわけでございますが、具体的にまだ何ら進んでいるわけでございませんけれども、そういう構想もあるということだけ御理解いただきたいと思うのでございます。
○柄谷道一君 次に、漁業権の問題につきまして水産庁に一問だけ御質問いたします。 海面に道路等の公共事業を行おうとする場合に、漁業権の存在ということが事業が円滑に進まない原因になっておるという事例が各地に生じております。私はこれ素人でございますので、愚問かもしれませんが、養殖漁業等のケースを除きまして海岸にきわめて接近しておる。そういう海にはほとんど漁業資源がないところが多いわけですね。そこで開発を円滑に進めるという視点から、いま一般的に言われておる漁業権というものを見直す必要があるんではなかろうか、私全国を回りましてそのような意見を多く聞くわけでございます。水産庁の御見解と一応対処方針を基本的にお伺いいたしたい。
○説明員(松浦昭君) 沿岸漁村におきましては、その地先水面におきまして、その漁業生産力はかなり地先水面に依存しているという状態が多いわけでございます。しかも漁業権は長い慣行の上にでき上がっておりまして、今日におきましては沿岸における漁場利用のいわば基盤になっているという状況でございます。それからまた漁業法に言う漁業権につきましては、共同漁業権あるいは定置漁業権、あるいは区画漁業権といったいろいろな漁業権がございますけれども、これはいずれも沿岸におきますところの漁業秩序の維持と、それから沿岸漁村の地元経済及び生活の安定に欠かすことができないというものにつきまして、これを認めている次第でございます。したがいまして、この漁業権というものを私どもの立場で申しますと非常に重要なものでございまして、これを軽々に消滅させたり、あるいは変更するということは非常に困難であるというふうに考えるわけでございます。さらに加えまして、最近いわゆる二百海里時代に入りまして、なかなか遠洋漁業で漁獲量を確保するということがむずかしくなってまいりました。最近におきましては特に沿岸漁業をいわゆるとる漁業からつくる漁業へということで変更していきたいということで、ただいま先生ノリのお話をなさいましたが、ノリ、ワカメあるいはハマチといったような養殖漁業、さらには今後は栽培漁業と申しまして、タイとかクルマエビ、アワビといったようなものをこの沿岸の地域に放流をいたしまして、そこで漁業を振興していくという政策をいま進めているわけでございまして、沿岸漁業はそういう面で非常に重要性を持っているという状況でございます。 そこで、ただいま御指摘の公益的な事業との関係でございますけれども、このような漁業権の免許に当たりましては、私ども漁業法に基づきまして水面の総合利用を図り、漁業生産力を維持、発展させるということと、それから漁業調整その他の公益に支障をしないと認められるという状況を前提といたしまして都道県知事に免許をさせ、かつ五年ないし十年で見直しをやっているという状況でございます。したがいまして、公共事業との関係におきましては漁業権のこのような性格を踏まえまして、一方でこのような漁業権の重要性を踏まえると同時に、他方では公益との調和を図るという観点から、現実に都道府県知事が免許をいたします際に、関係官庁とも十分相談をいたしまして免許をするということでございまして、私どもは今後漁業権制度の運用に当たりまして、沿岸漁業において果たされている漁業権の重要性と、それから公益面とのバランスをうまく図っていくということで、この問題に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○柄谷道一君 誤解を受けてはいけないんですが、私は漁業権を軽視するものではございません。その重要性というのは十分に承知いたしております。 ただ、全国各地の中に現状における漁業資源ですね、それから将来の漁業資源の見通しというものと果たして漁業権というものが関連づけて位置づけられているのだろうか。公共事業との調整が運用面で果たして円滑にいっているんだろうか。これは全国各地でいろいろ問題が出ておるわけでございます。私たちももう少しこれ勉強いたしまして、また改めて質問に取り上げたいと思いますが、当面いま長官の言われましたこの運用面において十分の配意を尽くしていただきたいと、このように求めておきたいと思います。 そこで、次に農政審議会の報告にまた戻るわけでございますが、「ゆとりとやすらぎの国土空間の形成」と称しまして、初めてこの緑資源の機能の重要な役割りを強調されております。そして、緑資源の維持培養についての重要性は今後さらに高まるであろうと、こう指摘しているわけです。ところが、現状について、にもかかわらず、「緑資源を形成する農用地、森林等の面積は、」市街地の拡大を背景に蚕食が進んで、「四十七年の三千二百九十万ヘクタールから五十五年に三千二百三十五万ヘクタールへと国土利用計画の想定を大幅に上回って減少している。」、こう指摘いたしまして、「無秩序な開発」、「緑資源の減少」が「河川の容量を超える流量増加、土砂崩壊危険地域の増加」、「大気汚染による農作物の被害、」、生態系への影響等国民生活にも重大な支障を生じておる、このように緑資源の現状を分析しておるわけでございます。さらに、その中では森林の管理につきましても、最近木材需要の低迷、林業経営費の増高、造林利回りの低下等による林業経営意欲の減退や不在村者所有森林の増大、林業労働者の高齢化と後継者不足等の林業労働力の弱体が起因となって林業生産活動が停滞し、除間伐のおくれなどによる森林の粗放化、荒廃が進んでいると、こう分析しておるわけでございます。私もまことに憂うべき現状であると思うんでございますが、大臣の御認識はいかがでございますか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 農政審の報告にもありますとおり、農用地、森林などの緑資源は食糧あるいは木材の供給ばかりでなくして、水資源の涵養のためにも、あるいはまた治山治水等の面から、災害防止の面から公益的な機能を有していることは御指摘のとおりでございますが、ただいま御指摘のように、やはり緑資源の管理の粗放化等から多くの緑資源がだんだん少なくなっているのが現状でございます。したがいまして、私たちはやはりもっとこの緑の資源に対する関心を高めると、理解を得るための多くの対策を進めてまいらなければなりませんし、また具体的にやはり緑資源を確保するための予算的な措置もしてまいらなければならないと思うのでございます。私たちはやはりこの資源の不足な日本としては、やはり教育によって人をつくり、やはり木を植えることによって資源を、木材を確保する、あるいはまた森林を、山を緑にするということは大きな文化であろうと、こう考えますんで、そういう点では今後一層緑資源の確保のために努力をしたいと考えております。国民全体としてはかなり緑資源に対する関心、理解というものは深まってまいりましたけれども、しからばこの資源をやはり具体的に進める面においてどうしたらよろしいのかということになりますと、いろいろな問題があるわけです。間伐をしなきゃいかぬ、あるいはそのための林道を開拓しなきゃいかぬとか、いろいろな問題があるわけでございまして、そういう点の対策を一層強めていかなければならないと、こう考えます。
○柄谷道一君 私は今年四月二十一日、当委員会でこの緑資源の問題について御質問いたしました。その際も大臣はただいまのような答弁、特に国有林の持つ公益的機能というものはきわめて重要である、場合によっては採算を横に置いても充実を図っていかねばならぬと、こういう趣旨の御答弁をされたのです。私はその際、林野特別会計が五十六年末で累積六千八十億円の赤字、五十七年度末では七千六百五十四億円の赤字、累積借金ですな、借入金を持つに至っておる。そして、そのために借金の返済額ですね、五十三年百三十九億、五十四年二百三億、五十五年二百八十一億、五十六年四百五十一億、五十七年六百二十五億と、いわゆるこれではサラリーローンにも似た姿ではないか。いま造林経費の利回りは、私はその際私なりに計算しまして、造林して五十年の成木になる、いまの価格からしますと利回り率は三%台しかない。しかし、財投資金を借りておりますから七%台の金利を払わねばならぬ。これはいま大臣の強調されました緑資源の重要性というものとの認識とはうらはらに、とうてい回転し得ない借金によって国有林事業は何とか前へ進んでおる、こういう状態では問題ではなかろうか、そこで予算編成のあり方について根本的な再検討を求めたわけでございます。大臣は、十分念頭に置きながら検討したい、まだ大臣に就任して五カ月であるので今後十分に勉強したいという旨の前向きの答弁をされました。それから相当たったわけでございますが、大臣、何かお考えまとまりましたか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 国有林特別会計の問題でございますけれども、私はこれをできるだけ公益、公共性のものは一般会計から繰り入れて森林、林業の育成を図らなければならないということをこの予算要求の五十八年度予算の面でもできるだけこれは実現したいと、こう思っておるのでございまして、いま森林、林業は新しい秩序をつくり上げなければならないときでございますので、ことしは公益、公共性のものはできるだけ一般会計から繰り入れてやるということに重点を置いて大蔵大臣にもよく説明をしてその実現を期したいと、かようにいま考えておるわけでございますので、その点御理解いただきたいと思います。
○柄谷道一君 ぜひその視点が実現されますように期待いたしておきたいと思います。 そこで、林野庁にお伺いいたしますが、林野庁では資源政策的観点に立つ現在の森林法の森林計画制度とは別に、林業振興に関する都道府県基本方針の策定、林業振興を図るべき市町村の指定とその計画の策定、林業振興市町村への権限の付与、分収造林及び特定分収造林の推進、森林基金の設置、公庫法第十八条の改正、森林計画特別控除、法人における植林費の取り扱い、森林の相続等のいわゆる林業関係税制の改善等を含めた検討を進められていると、こう私は聞き及んでおります。内容は時間的に余裕ございませんが、これはいつごろ政策がまとまるんですか。
○説明員(秋山智英君) 先生御指摘のとおり、最近林業生産活動停滞いたしまして、特に除間伐の管理等が適正でない、非常にふえております。したがいまして、私ども地域の実情を十分踏まえまして、その林業施業の促進あるいは分収造林を拡充するとか、いわゆる森林整備が適正に管理するような方途を目下検討中でございます。現在関係省庁とも連携をとりながら具体化してまいっておりまして、次の国会に成案を得るように鋭意努力をしておるところでございます。
○柄谷道一君 そこでもう一点お伺いしたいのは、深刻な木材、木材製品製造業の現況にあるわけでございますが、見落としてはならぬことは高齢化現象ではないかと、こう思うんでございます。昭和四十五年と五十五年を対比しますと、この十年間に就業者総数は二三%減少いたしております。その中で四十五歳以上の占める割合を見ますと、昭和四十五年度ではこの年齢層は四十五歳から五十九歳が二八%であったものが現在四三%を占めておる。逆に十五歳から二十九歳は二一%から一一%に、三十歳から四十四歳は四一%から三三%に減っておるわけでございます。十年間著しい高齢化現象が進んだということをこの統計は物語っていると思うんです。 そこで私は、将来にわたって産業の活力を維持していくためには、若年層の労働力確保ということがきわめて重要な課題になってくると思うんです。いま財政の仕組みは大臣非常に前向きの答弁をされたわけでございますが、私は経営後継者を確保する、若年労働力を産業に投入していくというためには、たとえば相続税の改正とか就労者確保のための労働条件の見直し、山村の居住環境の整備といったような総合施策というものが伴わないと、この面からも林業及び木製品製造業は活性化がますます薄れていくんではないだろうか、こう思うわけでございます。この点に対する施策はお持ちなんですか。
○説明員(秋山智英君) 将来にわたりまして林業経営者を安定的に確保するというためには、何と申しましても山村地域の定住条件を整備し、林業そのものを魅力のある職場に持っていくということが基本的な問題だろうと思います。そこで私ども従来からこの問題につきましては、総合的に取り組んでまいっておるわけでございますが、特に後継者を確保するという側面から申し上げますと、やはり教育指導体制と申しますか、その整備とか、あるいは林業後継者のグループを育成強化する問題とか、また基幹林業技能者の育成というふうな、いわゆる林業士と呼んでおりますが、そういう人たちを養成するというような対策を現在鋭意進めておるところでございます。それからやはり何と申しましても雇用関係の近代化とか、あるいは就労の安定化というふうな、やっぱり労働条件の改善ということが重要でございまして、これも取り組んでおるところでございますが、さらにはやはり山村地域の生産環境条件の整備ということが非常に重要でございますので、これまでも林業構造改善事業を初めといたしまして、各種の生産基盤の整備事業を進めてまいっておりますが、これをやはり今後さらに鋭意努力してまいりたいと思っております。 それから相続税の話が出てまいりましたが、これまでも立木の評価に当たりまして特別な評価の方法をするとか、あるいは森林施業計画で計画的に仕事をする場合におきましては延納制度を設けておるとか、あるいは保安林につきまして特例を設けるというようなことで、林業の安定経営に対しましての措置を講じておるところでございますが、これにつきましてはさらに前向きで取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
○柄谷道一君 私は林野庁が今日までそのような政策に取り組んでこられたという御努力は承知もしておりますし、また評価もしております。しかし、この十年間の労働力構成の推移というものを見ると、その御努力にもかかわらず政策効果がまだ十分に発揮されていない、むしろ逆に老齢化現象が進んでいるという皮肉な現状を示しているわけです。 そこで大臣、これは私は林野庁サイドの問題じゃないと思うんですね。いま大臣が言われました財政の仕組みと相並行して、この問題は農林省の本省においても十分意を用うるべき政策課題である、こう思うんです。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘のようにわが国の林業の現状は、需要の低迷だとか林業経営諸経費が非常に高まっているとか、あるいはまた林業労働力が老齢化しているというような関係で、林業生産が活力を失っているのは事実でございますので、それを進めるためには何としても若い人のエネルギーを、若いエネルギーをその産業につぎ込むことが一番重要だと思います。そのためには何としても林業でやはり定住する条件を完備してやるということが一番重要だと思うのでございます。そのための総合的な対策はいま林野庁長官から説明させたとおりでございますが、今後やはり林業全体の秩序、新しい秩序というのはどうあらねばならないかということを、私たちはいまさらに考えていかなければならないときだと思うんですね。水産も同様でございます。林業もやはり新しい秩序のもとにこれをどう活性化させていくかということを、われわれはいま本当に真剣に考えていかなければならない時期だと、こう考えておりますので、いま具体的にどうしようということはございませんけれども、そういう点についてはやはり単に林野庁のみならず農林省全体としてこの問題は考えていかなければならない問題だと、こう考えます。
○柄谷道一君 時間が参りましたので、あと一問だけいたします。 私は、いま申しました諸施策の実現を求めるものでございますが、これとあわせて、木材価格が外材輸入価格によってその主導権を握られている、こういう実態からすれば、私は、木材輸入を秩序化するという政策も必要でございましょうし、除間伐がおくれておるという要因の一つに小径木の価格の低迷というものがあるわけでございます。これらに対する十分の施策も必要である。これらに対する当局の姿勢をお伺いいたしまして、他に通告した事項は多うございますが、質問を終わりたいと思います。
○説明員(秋山智英君) 現在の一番の課題は、先生御指摘の間伐の促進によりまして森林の管理を適正にするということでございます。そこで私ども五十六年から間伐の促進の総合対策というのを打ち出しまして、具体的な間伐林道等の開設はもちろんでありますが、やはり需要開発、さらには流通加工体制の整備というふうな問題がきわめて重要でございますので、さらに五十七年におきましてはこの需要情報のデータバンクをつくりまして、それと生産をリンクさせていくというふうな方法をとり、さらにまた国産材産業振興資金の中に間伐材のためのファンドも設けるとか、さらには間伐材によりますところの各種の展示をいたしまして、これを積極的に活用するというふうな方法をとっておるわけでございますが、要はやはり川上から川下まで森林所有者、林業生産者、素材生産業者、さらには製材業の関係の皆さんが一体になりまして、地域の特徴を持った国産材の基地を造成するということが、やはりそこに定住条件を整備することに相なりますし、また一方におきまして、生産材を安定的に供給するということから、逆に今度は全体の木材需要の中での国産材の位置をはっきりさせ得る関係もございますので、そういう点に今後は取り組んでまいりたいと思っております。一方におきまして、やはり現在三分の二が外材でございますので、この外材の輸入期間が価格あるいは需要等に相当大きな影響をもたらしますので、私どもこれにつきましては四半期別に短期の木材需要の公表をいたしまして、業界を指導しながら進めておりますが、こういう分野におきましてはさらに一層流通安定の面を配慮しつつ対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○安武洋子君 日米農産物交渉についてお伺いをいたします。 今月の二十日からのハワイ協議で牛肉、柑橘類、トマトジュース、落花生など残存輸入制限六品目——これなどいずれもわが国の農業にとりまして非常に重要な作物でございますが、こういう品目の輸入問題がテーマとなりますけれども、大臣そして農水省、私は断固たる日本農業を守るという態度で交渉に当たっていただきたい。最初に強くこのことを要望しておきます。 そこで、日米農産物協議に向けまして、一時沈静化いたしておりましたアメリカのわが国に対する輸入自由化の圧力、これが近ごろ一段とエスカレートをいたしております。ブロック通商代表とかあるいはボルドリッジ商務長官、こういう人たちが市場開放要求を述べております。事実上の第三弾の市場開放措置を要求する発言を行っておりますし、ロドウィック農務次官に至っては、牛肉、オレンジ、これは八四年度以降は完全な自由化を求める、こういうことも言っております。交渉を前にしまして、日本市場の閉鎖性を非難することによってアメリカ側は要求内容を正当化して日本に譲歩を迫るというやり方なんですが、アメリカのこれは私は常套手段であると思います。一連のこういうアメリカの発言、新たな私は圧力のエスカレートだというふうに思いますけれども、これを一体どのように受けとめておいででございましょうか、お伺いをいたします。
○説明員(佐野宏哉君) ただいま先生御指摘のような各種の発言が、ことに議会で政府側証人によって行われておることは、ただいま先生御指摘のとおりでございます。それで、私ども繰り返し申し上げておりますように、わが国は、世界の、なかんずくアメリカの農産物の最大のマーケットでございますし、アメリカの農産物の輸出に対してとりたてて重大な障害を構築しているということでもないというふうに考えておりますので、この種の対日批判というのは当を得ない発言であるというふうに思っておりますが、米側が最近ことに強いトーンの発言をするようになっております背景といたしましては、やはり何と申しましても一〇%を超える失業、あるいは農業の分野について見ますと、一九三〇年代以来と言われるような豊作貧乏、そういう状況の中で、議会内では、たとえばローカル・コンテント法案のような、そういう潮流が強まってきておりまして、行政府としても、こういう事態への対応上、日本に対して一層強い姿勢で臨まざるを得なくなっておるというふうなことがあろうかと思います。しかしながら、私どもは、日米間の貿易、農産物の貿易関係につきましては、最初に申し上げたような認識を持っておりますので、私どもとしては、日本の農業を防衛するという見地から毅然として対応をするつもりでおります。
○安武洋子君 アメリカ側は防衛の問題にしろ経済の問題にしろ、共通した手口で圧力をかけてきているというふうに私は思っております。ことしの五月二十八日の市場開放第二弾措置に関連をいたしました鈴木総理の、外国製品や外国資本を歓迎する——これは工業製品を指しているとは思いますけれども、しかし、こういう市場開放を宣言した発言というのが交渉のてこに使われるのではないかというふうなことで、総理の談話を懸念しないわけにはいかないわけです。 私はここにアメリカの下院の外交委員会の報告書を持ってきております。これはアメリカの下院の外交委員会のアジア・太平洋問題小委員会が行ったセミナーをもとに対日折衝の方法についてまとめたものです。この中で、日本の政策を米国の利益になるように転換させるためには、日常的に圧力をかけ、説得をし続けなければならない、つまり、対日交渉では圧力をかけ続けて譲歩を引き出すのが一方法だというふうに述べております。農産物問題を振り返ってみましても、いままで一貫してこのような方法がなるほどとられてきている、日本はやはり譲歩をしてきているというふうに思うわけです。現に鈴木内閣になりましてからも、全面的な市場開放には抵抗はいたしておりますけれども、昨年末に、肉類、柑橘類、この関税率の引き下げの繰り上げ実施、これを認めたりとか、あるいは残存輸入制限二十二品目、これについての交渉に応じるというふうなことで譲歩を重ねてきております。この報告書を読んでみますと、過去の対日交渉の総括、それから日本の政策決定の経緯、こういうふうなことがさまざまな分析が行われているわけです。 少し長くなりますが、たとえばカリヤーン・コロンビア大学教授が、「日本の貿易政策——一九七七年−七八年の農産物交渉の教訓」こういう題名で、ぺ−パーを米のこの下院の外交委員会に提出をしております。これを読んでみますと、「農産物交渉は、海外からの圧力が日本の政策決定システムをより自由な貿易体制のために変えられることを示した。外からの圧力を効果的に使うために、アメリカの政策決定者は日本のシステムをもっと研究しなければならない。特に重要なことは、アメリカの役人は、外からの圧力が日本の政策決定システムに与えるさまざまな形を理解することである」、こう述べた後で七七年−七八年にかけての交渉経過、それから日本国内の動きを詳しく分析しているわけです。その中では七七年十一月のリバース・ミッションの訪問から七八年一月の日米経済協議での合意までを農産物交渉の第一段階だと、こう位置づけております。この中で「柑橘類、牛肉の輸入割り当ての限定された拡大という譲歩を得たが、これはアメリカの圧力の結果である。しかし、十一月から一月という短い期間であったため、これ以上の譲歩を引き出すのは無理であった」と、こういうふうに総括をいたしております。そして一月のこの譲歩は不十分だというふうなことで、七八年を通じて行われた農産物交渉を第二段階だと位置づけておりますが、ここでは「協議時間が少ないという問題が克服され、話し合いは農民の怒りを静める交渉という形に変化した」というふうに述べているんです。そして「七八年六月のジュネーブでの牛場・シュトラウス会談、九月の中川農相訪米などの重要な交渉が行われた」と述べておりますけれども、その後で、「アメリカでは、日本には交渉解決の動きがないとしていたが、日本では譲歩のための準備がなされていた。」と、その間の日本国内の一連の動きが分析をされております。結局、交渉は七八年十二月に牛肉、柑橘類の輸入割り当て枠の拡大で合意、こういうことになったわけですけれども、この間の教訓として「着実で確固たる特別なアメリカの圧力が日本の譲歩を引き出した。」と、「第二段階での重要な違いは、譲歩が必要だとするコンセンサスづくりのために十分な時間があったことだ。」と、「自民党は依拠するグループの圧力には特に弱いが、党の指導は幅広い国益が求められるなら、最も重要な支持グループの利益に反する行動をとることもある。だが、そのためにはコンセンサスづくりに十分な時間が必要ということは忘れられない。」、「また、アメリカの圧力の効果的な使用が最終結論となった。特に農業の場合は、アメリカの圧力は特別であり、第二段階では十分な時間があった。話し合いの間じゅう、着実な圧力がずっとかけられた。特に柑橘類、牛肉の重要性が繰り返し強調された。アメリカの特別な圧力は日本の官僚が国内の農民グループを取り扱うのを容易にするためにも重要であった。」と、こういう分析を行っております。このほかにも「日本の民族的な感情を刺激するような圧力のかけ方はうまくない」とか、「二国間の圧力ではなく、国際経済の自由主義体制を守る立場からの交渉の型をとる圧力が望ましい。」とか、こういうふうなことで、交渉相手である日本への圧力をどのようにかけるのが効果的であるかということを農産物交渉を挙げて詳細に分析して教訓を引き出しているわけです。 そこで伺いますが、このようにアメリカ側の圧力というのは、非常に、いま私が申し述べたように分析をして、その分析に基づいて圧力をかけてきているわけです。ですから、大臣は、エスカレートしているアメリカの圧力をどういうふうに受けとめて、私はこれを断固はね返していただかなければならないと思いますけれども、どういうふうにしてこの圧力をはね返されるというふうな決意をお持ちでございましょうか、お伺いをいたします。
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かにアメリカの市場開放の要請というのは非常に強うございます。完全自由化の要求が非常に強いわけでございまして、それに対して、私たちは、この委員会でも何回か申し上げましたけれども、私は、いまの日本の農業の現状からしていわゆる残存輸入制限品目はわが国の基幹をなす品目でもあり、またその地域によっては重要品目でもございますので、これは自由化できませんということをはっきり申し上げると。さらに、ねばり強くやはり日本の農業の実態というものやら、あるいは市場開放の状況等を説明をするということが一番重要だと思うんです。日本の農業なり日本の状況等を余り理解していない面がかなりある。したがいまして、そういう点をねばり強く、私は説明をして理解を得るということが一番だと思いますので、さらに、農産物交渉でございますから農林水産省が責任を持つということでございます。他の省庁のいろんな干渉があってはいけませんので、私たちは常に農産物交渉については農林水産省が責任を持ってやるんだというこの態度でこれから交渉に当たりたい、かように考えております。
○安武洋子君 ねばり強く実態それから農業の状況を説明して、必ず強い態度をとっていただかないと、向こうはねばり強く圧力をかけ続けてきているわけなんです。断固たる姿勢をとっていただきたいということで、九月の三十日、それから十月の一日、これはワシントンで開かれました米通商部の代表との農産物協議でも、アメリカから自由化に対する強い態度が打ち出されているというふうに報道されておりますけれども、交渉に当たられた佐野経済局長、帰国後の記者会見で、ハワイ協議に向けて、大きな苦痛なく譲れるものは譲るべきだというふうな基本姿勢を述べたというふうに報道されております。これはどういう内容を指しているんでしょうか、お伺いいたします。
○説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。 それは私が十月の四日に農政クラブの記者会見で行った話だと思いますが、私が申したかったのは、譲歩の可否というのは品目別に各論的に検討されるべきものであって、やれるものがあればやるし、やれないものはやらない、そういう態度で各論的に決めていくよりしようがないという考えを述べたものでございます。私どもとしては従来からそういうつもりでやってきたつもりでおりまして、特に新しいことを申し述べたというふうには思っていないわけでございます。
○安武洋子君 では、その各論で譲歩できるものというのはどういうものをお考えなんですか。
○説明員(佐野宏哉君) これは、各論的に決めて判断していくべきものであるということを一般的に申し上げたわけでございまして、私自身まだ各論をやってみているわけでございませんから、いまここでどの品目なら譲歩できるということをお答えする用意があるわけではございません。
○安武洋子君 制限されている残存品目すべてについて強い農民の反対がある、そして大臣の御答弁の中でも、それは日本農業の本当に基本的な大切な品目であって、各地域に局地的に打撃を与えるものであるというふうな御発言がある中で、おたくのそういう姿勢というのはずいぶん最初から何か譲歩を交渉前から持っているというふうな態度に受け取れるじゃありませんか。それはおかしいんじゃありませんか。
○説明員(佐野宏哉君) 私どもは、五月の第二弾対策の段階におきましても、ニシンを初め四品目のIQ物資についてアメリカ側と合意をしたわけでございますし、それから十七品目について関税引き下げの用意があるということは第二弾対策の段階ですでに明らかにしているところでございまして、日本側としてそういう各論的な検討をやっておるということ自体は別に新しいことでもございませんし、公知の事実であるというふうに思っております。
○安武洋子君 従来からとってきた態度で珍しいことでないというふうにおっしゃいますけれども、そういう態度だからいままで譲歩に譲歩を重ねて、私は、譲歩せざるを得ないと。自由化に反対している農民の態度が硬直しているとでもいうふうにお思いなんでしょうか。農民はもう譲れないところであるというふうなことで一生懸命がんばっていると。大臣の御答弁でもそれがうかがえるのに、そういう御態度で私は重大なことだというふうに言わざるを得ないと思うんです。これはもう交渉の前からアメリカの圧力にはまり込んでしまっている、作戦にはまり込んでしまっていると言わざるを得ません。そもそも農産物の対米貿易という点で見てみますと、日本は閉鎖的どころかアメリカやECよりも関税率はずっと低いと。それから五十六年度の農産物輸入総額に占めるアメリカからの輸入は四二%だと、こういう過去最高になってもおりますし、九十億ドルもの赤字貿易になっているわけです。ですから農民の立場から見れば、アメリカに譲歩を求めこそすれ、日本側から譲歩しなければならない義理、そういうのはどこにもないわけです。こういう立場を鮮明にして交渉に臨むべきだと私は思いますけれども、一体こういう点をどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○説明員(佐野宏哉君) 私は従来から、現在の二十二品目の中で輸入制限の撤廃ができるものがあるとは思っておらないということは繰り返し申し上げているところでございまして、輸入制限撤廃の可能性があるなどということを私は毛頭考えているわけではございません。したがって、自由化反対という農民の皆さん方の姿勢が硬直的に過ぎるというふうに思っているわけでもございません。 それから、農産物につきまして日本の市場がすでに十分開放された市場であるということは、これまた米側に対して従来から繰り返し主張をしておるところでございまして、その点につきまして安武先生と私ども見解を異にしているわけではございません。 ただ私どもといたしましては、アメリカ側と交渉をいたします場合に、だめなものはだめだと言うにいたしましても、何とか可能性がないかということをいろいろ検討してみたけれどもやっぱりだめなものはだめであると言う方が、断わり方としては一見強硬そうに見える門前払い的断わり方よりは、はるかに頑強であるというふうに思っておりますので、私がそういう各論的に判断をしていくべきものであるという認識を申し述べたということが、日本側の交渉上のポジションを弱くすると、そういうことはないと思っております。
○安武洋子君 断わり方のテクニックの問題ではなくって、やはり交渉に臨まれる私は日本農業を守るとした断固たる姿勢というのが必要なのではなかろうかということをつくづくと痛感いたしますが、先ほど私が挙げました米下院の外交委員会の報告書、これでは、圧力をかけ続けることのほかに、日本側と交渉するに当たっては政府、議会が一体になって共通の戦略を持って当たることの重要性も指摘しているわけです。この点につきましても、防衛問題、経済問題を問わず、アメリカは政府、議会が公式、非公式といろんな発言の役割りを組み合わせまして巧みに使いわけて、そして日本側に要求して譲歩を迫るというやり方をとっております。ところが、農産物交渉について見てみますと、日本政府部内が率直に言って一丸になっていないと思います。その典型がブロック書簡問題での通産省のように、自分の所掌のところの工業製品の輸出確保のためには平気で独自の裏交渉を、裏舞台で外交交渉をやるというふうなことまでやる。このような政府部内の不統一な状態ではアメリカの圧力に押しまくられるということは、もうこれは火を見るよりも明らかなわけです。交渉に先立って政府部内、それから大臣、閣内といいましてもいま閣内、大変がたがたとはしておりますけれども、しかし基本的な姿勢として、これは政府部内とそれから閣内の意思を明確に統一して交渉にあたるということが、農水省が責任を持つんだとおっしゃいましたけれども、この意思統一も私は絶対必要だろうというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(田澤吉郎君) 対外経済摩擦の解消の問題はわが国の重要課題でございますので、したがいまして昨年の暮れ、対外経済対策閣僚会議を開いて五項目にわたる対外経済対策を決定して、それに基づいて市場開放第一弾対策あるいは第二弾対策を決定してきているわけでございまして、したがいまして対外経済閣僚会議の中でいろいろ農林水産省の立場を主張できるわけでございますので、私は対外経済閣僚会議あるいは閣議等において、いま置かれている農業の現状、さらに市場開放のできない状況、あるいは開放をしている現状等をやはり閣議の場においてよく説明をして、強く主張して今日までまいりましたが、今後もそういう点は強く主張して理解を求めようと、かように考えております。
○安武洋子君 先ほどの私の要望の主な点というのは、やはりブロック書簡に見られるように、通産省は自分の所掌のところは裏面で外交工作をするというふうなことでは、実際にアメリカがどんどん圧力かけてきている中で、農産物交渉としては日本が譲歩を迫られるということは目に見えているわけです。ですから、政府部内、閣内の意思統一ということがまず何よりも必要であろうということを申し述べております。 私は兵庫の選出でございますけれども、私の県内にも和牛を中心に畜産がやられております。この春も、自由化の問題、この交渉が取りざたされただけで競り価格が下がると、もろに影響が出るわけです。したがって農業関係者からも、自由化を認めることは農業、農村の前途を閉ざしてしまって衰退に追いやることだと、ですから安全保障の見地から見ても断じて許されないというふうな要請が寄せられております。 今回の交渉対象になっている牛肉とか柑橘類とか、それから六品目、これはわが国が土地資源に制約のある中で山間の傾斜地の草地とかあるいは果樹園を利用するとか、こういう減反のもとで転作をするとかというふうなことで有力なわが国の作物なわけですね。これらの農民の方々に犠牲を強いることのないように、私は日本政府はあくまでも日本農業を守るという自主的な態度を貫いてきっぱりした態度で交渉に臨んでほしいということを再三要求するわけですけれども、きょうまた地元の方からも、それから全国的にも、オレンジ、柑橘、果汁の輸入の自由化の枠拡大の阻止についての要望とか、あるいは農産物輸入自由化の枠拡大に関する要請とかというふうなことが寄せられております。これは別に私の方に要請の参った農業協同組合の中央会だけでなくって、日本生協連、あるいは主婦連、地婦連、消費者団体連合会、こういうふうな消費者団体からも自由化反対ということでほぼ意見が一致をしているわけです。 わが国の食糧自給率が、穀物自給率で三〇%、カロリーベースで五〇%というところまで落ち込んできている現状の中で、これ以上の自由化が促進されれば国内農業というのは一層の危機に瀕すると、国内での安くて安全な食糧生産の確保が危うくなると、こういう懸念が率直に消費者の中にしみわたっているからだというふうに思うわけです。ですから、私はアメリカ側がいかに圧力をかけてこようとも、やっぱり日本の消費者の意思もそういうことであるということを十分踏まえていただきたいと思うんです。こういうことをいままでに御説明なさったかどうか、それに対してアメリカはどう言っているかというふうなことをお伺いし、そして断固として日本農業を守るということで交渉に臨むという大臣の御決意をさらにお伺いをして、時間が参りましたので私の質問を終りたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘のような事項については、十分説明をして理解を求めるために努力をいたしております。したがいまして、私はこれからの農産物交渉に当たりましては、自由化に手を染めずに対応するように努力をしたい。そのためにはやはり政府の見解を一つにまとめなければいけませんので、私は関係閣僚会議あるいは閣議等においてわが国の農林水産業の実態を説明をして、農林水産省が責任を持ってこの交渉に当たれるような環境をつくって、そうして交渉に臨みたい、かように考えております。
○森田重郎君 御提出しました質疑事項は、ほとんど同僚委員の方々から指摘されたというような状況でございますので、重複する部分をなるべく避けまして何点か大臣並びに関係者にお尋ねを申し上げたいと思います。 まず最初に、これは大臣にお伺いしたいのでございますが、米の国際価格に対して大臣どういうふうな御認識を持っておられるか。この一点を伺いたいのでございますが、米の輸出国ベストスリーというのはタイ、米国、パキスタン、これら三カ国で約六〇%を占めておるというようなことを伺っておりますが、その数字は別といたしましても、この米の国際価格は、タイ国の貿易取引委員会が発表するタイ米の本船渡し価格、FOBでことしの六月でございますかトン当たり二百八十三ドル、当時の円換算一ドル二百五十五円で換算しますと約七万二千円ぐらいになるらしいのですが、言うなれば日本の生産者米価の四分の一、外国のお米が。こういう価格差というものに対する大臣の御認識をちょっとお伺いしたいと、かように思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘のようにわが国の米価は国際価格と比較して確かに高いのでございますので、これを何としても国際価格の水準に向かって引き下げていかなければならないと、こう思っております。しかし、それはなかなか食管制度等がございますので、非常にむずかしい問題でございますけれども、それに向かって私たちは努力はしなければいかぬ。そのためには生産性の向上をできるだけ図ってまいらなければならない、かように考えております。 特に私はそういう意味で、今回ちょっと国会の閉会中に岡山の国定さんという篤農家の家、あるいは石川県の竹本さんという方の農場をも視察いたしました。この方々は、国定さんは稲作の直播で米づくりを進めておりまして、三人の自家労働力ですべてを二十三ヘクタールの耕地を経営しておりますものですから、非常にコストの安いお米を現につくっておられます。また、竹本さんもやはり自家労力で二十四ヘクタールを経営しておりまして、この方も水稲でございますが、それなりにコストの低いお米をつくっておられますので、わが国の水稲も研究のしようによっては、あるいはこれからの努力によっては私は相当程度国際価格に近い稲作、お米というものは生産できるものと思いますが、それを進めるためには、いま現に食管制度等もありますものですから、その点の中で極力国際価格を目標にして下げていかなければならないと、私はかように考えております。
○森田重郎君 せっかくの御努力を願いたいと思います。 次に、これは説明員の方どなたか御専門の方にお伺いできればと思いますが、これは、ある雑誌ですか新聞で拝見したんですけれども、昨年の日本の単位面積当たりの平均収量が五百六十キロというふうに私は承知したわけでございますが、これは韓国に次いで二位だというふうに実は書いてあった資料を拝見したわけでございますが、韓国が現在多収量品種の開発に非常に努力しておる。これは作柄等は大変不安定なようでございますが、いずれにしてもそういう意味の努力を非常に払っておるというようなことをちょっと承知したわけでございますが、この辺の韓国の実態等につきましてどなたか御専門の方にちょっとお聞きしたいと、かように思います。
○説明員(小島和義君) 御指摘ございましたように、過去数年間国際的な比較をとってみますと、これはもみの重量でございますが、一九七六年から七九年までの四年間ではいずれも韓国の方が日本よりも三十キロないし四十キロ上回っております。逆に一九七五年それから八〇年、八〇年は、これは冷害の年でございますが、日本の方がかなり上回っておる、こういう状況でございます。 このことをどう考えるかという問題でございますが、韓国と日本とは食糧の生産対策の段階を多少異にするのではないか。韓国は、御存じのように、食糧が絶対的に不足しているという事態の中で目下増産運動に取り組んでおる最中でございますから、とにかく収量のたくさんとれる品種、それから肥料の増投、加えてセマウル運動を中心といたしました大変労働集約的な作業、これをベースにいたしまして増産に努めておるわけでございます。 日本におきましても、現在韓国が上げております程度の単収を上げるということは決してむずかしくないことでございまして、現在余り使われておりませんけれども、たとえばレイメイ、フジミノリあるいはレイホウという品種を中心にいたしまして大増産運動に取り組むということになりますれば、韓国の収量を上回ることはいとも簡単でございますけれども、日本の場合はすでに単に量を確保するということよりは、良質のお米を消費者の嗜好にこたえてつくっていく、そのために多少の単収を犠牲にすることはやむを得ない。また、生産者の段階におきましても単に単当収量を上げるというよりはコストを引き下げていく、こういうことに力点が置かれておるわけでございまして、先ほど大臣からお話ございました石川県の竹本さんというような人は、かつて単収の日本一にチャレンジをした方でございますけれども、今日ではむしろ単収を多少減らしましても大面積を低コストでつくる、こういうことに取り組んでおるわけでございます。そういう状況でございますので、一概に日韓単純な比較というのはむずかしゅうございますが、わが国の技術が韓国に比べて非常に劣っているという印象は全然持っておりませんで、むしろ韓国自体も最近ではこれまで使っておりました多収品種、これは非常に冷害、病害に弱いという特徴もございますので、最近はジャポニカ系を取り入れまして、収量はむしろ安定型を志向する、こういうことになっておりますので、韓国の米づくりも多少変わってくるんではないかと、かように考えております。
○森田重郎君 わかりました。 次に、ちょっと話題を変えたいと思うんですが、連作障害というようなことが最近ちょいちょいと新聞紙上に出ておるわけでございます。これは北九州を襲った豪雨の結果というわけか、その辺は私も定かではございませんが、レタスの生産地あるいはまた北海道のトマト、この辺で連作障害という問題が大きく取り上げられておるというふうなことを伺っておるんでございますが、この連作に対する農水省御当局の指導と、それからその障害といいましょうか、災害といいましょうか、その辺の実情をちょっとお聞きしたいと、かように思います。
○説明員(渡邉文雄君) ただいま先生御指摘のように、最近野菜の産地、特に長年同じ野菜を集団的につくっている産地につきまして、病害虫の多発とか、あるいは生産量が減るというような、いわゆる連作障害と私ども言っておりますが、そういった問題が起きておることは事実でございます。たしか御指摘のように、ある新聞にも北海道の例あるいは九州のレタス作の例等が載っておったこと私も記憶してございますが、いずれにいたしましても、こういった同じ土地に同じ野菜を長年にわたってつくるということはよくないことでございまして、なかなかそれはわかっておっても経営規模が小さいとか、あるいは野菜の産地が特化する、銘柄品として定着するというふうなことで、ほかの野菜作に切りかえにくいというようないろいろな事情がございまして、現実にはときどきそういったことが問題になるわけであります。このため、従来から私どもといたしましては集団産地の育成事業の指導を通じまして、有機物堆肥をたくさん入れるという形によりましての地力の維持増強あるいは病害虫防除の徹底等に努めておるわけでございますが、特に昨年度から連作障害防止のために総合的な対策としまして、野菜作柄安定総合特別事業というものを予算規模約十億円をもって新規に始まったところでございます。悪い例もございますが、たとえば岐阜県のある地区、大根の産地でございますが、こういったところでは、同じ地区の中で従来牧草をつくっておったところへ従来の大根をつくるようにして、従来大根をつくっていたところに牧草を入れるというような形で、みごとに連作障害を克服したところも事例としてはあるわけでございまして、今後私どもそういったいい事例をより多く育てるように着実な努力を重ねていきたいと考えております。
○森田重郎君 これは冒頭大臣にお伺いしましたが、米の国際価格についての御認識というような問題と大変これ関連が深い問題で、あるいは見方によっては同じような質問になるかと思いますが、これもあえて大臣にお伺いしたいのでございますが、年間千五百万トンにも上る飼料穀物消費のすべてを海外、それも米国に依存しているような現状には私どもも大変不安を感ずるわけでございます。穀物輸出国の米国、カナダ、豪州、この辺と日本の生産者出荷価格、これにはやはり先ほど申し上げましたように、米と同じように五、六倍の値開きがあるとされておるわけでございますが、この辺の認識につきましても再度大臣の御所見をちょうだいしたい、かように思います。
○説明員(石川弘君) 私からちょっと先にお話しさせていただきますが、飼料穀物につきましては、御承知のように基本的にはトウモロコシ、マイロといったもの、あるいは麦の中の小麦、大麦がある程度使われるわけでございますが、こういうものは何と申しましても土地の広がりが絶対的な要件でございまして、いま御指摘のように国内でこういうものをえさ用につくるというのは非常にむずかしゅうございます。ただ、粗飼料は御承知のように穀物だけではございませんで、粗飼料と申しますか国内でつくっておりますのは、たとえば草でございますとかあるいは飼料用の穀物でも青刈りにするといったような場合には、それほつくってやっておるわけでございますが、そういう意味で極力私ども飼料を自給します場合に、飼料作物を国内でつくれるときはどんどんつくっていくという乙とで、御承知のようにいまから約十五年、四十年代の初めごろは五十万ヘクタール程度の飼料作物の作付でございましたが、十五年間で約二倍、百万ヘクタールを超える飼料作物をつくっておるわけでございます。したがいまして、そういうところで極力草をつくっていくとかあるいは青刈りのトウモロコシだとかあるいは麦等も新しくホールクロップサイレージ利用をやるというようなことはやっております。 ただ、最終の穀物にいたしますと、どうしても、何と申しますか、向こうの広大な土地を使った農業に対応できない。これは若干私どももえさ麦というのを相当の助成をして生産者につくってもらっているわけでございますが、日本の場合、穀物になりますと、どうしても食料品の穀物の価格が農家の手取りといいますか、頭にございまして、なかなか飼料穀物というところにはいってないわけでございますが、そのためには、御承知のように収量を増すとか、あるいは非常に省力化した体系でやるとかという努力が必要でございますので、そういう方の努力もやります一方、やはり国内で極力できます草、草地利用あるいは青刈り利用といったようなところに相当比重をかけていく。それから、海外に依存しますことに対する危険につきましては、飼料穀物を必要に応じて備蓄をするとか、あるいは価格安定基金制度を設けまして暴騰、暴落に対応するとか、そういう施策はやっておりますが一穀物自身を国内で自給する度合いにつきましては、やはり若干、相当の時間と、さらに技術的な努力も要るんではなかろうか。しかし、そういうこともじみちに続けていくつもりでございます。
○森田重郎君 いまの御答弁に関連しまして、この飼料用穀物の本格生産というのは、どだい日本ではそれはとっても言ってみてもとうてい不可能だというような考え方が非常に強い。しかも、農林省内部にもそういう考え方が随所にあるというようなことをうかがっておりますが、その辺についていかがですか。
○説明員(石川弘君) 現にえさ麦というのも制度として組んでおりまして、ことしの予算でも十八億程度の金もつけておるわけでございます。ただ、膨大な輸入量をそれで代替するということになりますと、日本の耕地規模がいまの数倍、あるいはそれを超えるような規模が要るというような計算にもなりますので、これで何か完全に代替できるというものではございませんで、かつて日本の農業の中でやはり麦をつくって、自分の家で家畜を飼ったということもあるわけでございます。そういう意味で、麦にしろ、あるいはこれは将来の問題として米の問題にしろ、そういう穀物でどこまで努力ができるかということを時間をかけながら前進をさせているということでございまして、決して全くあきらめ切っているわけではございませんで、現に施策の中にも入れているわけでございます。ただ、問題が非常に膨大な量でございますので、そういうものと直ちに置きかわるというものではないというつもりで申し上げたつもりでございます。
○森田重郎君 その問題にまた関連するかと思うんでございますが、えさ米についての農林省の姿勢というのが、これはまあ現時点でよくわかりますが、これは、農林省のかつての大先輩でお名前申し上げなくてもすぐわかるかと思いますが、ある方が、えさ米の生産に踏み切るというぐらいの気力、気魄があるならば、飼料用向けの大麦あたりにひとつ大いに力を入れたらどうかというような話をなさっておる方もあるようですが、その辺はどんなふうにお考えでございましょうか。
○説明員(石川弘君) えさ米はまだ、何と申しますか、ある程度長期を見通して研究をしている段階でございますが、実はえさ麦はすでに相当前から予算措置もございまして、飼料用麦流通促進奨励対策事業というのがございます。これは農家が麦をつくりました場合に、これは食用に回しますよりも農家の手取りは若干は下がりますが、国の助成だとか、あるいは外国から入りましたえさの販売のときに出てきます若干の差益等を組み合わせまして、農家には、まあ食べ物として売るより若干手取りは少ないかもしれないけれども、ある程度の手取りを確保し、また畜産農民にとっては外国産の飼料と余り変わらない値段で手に入るという事業をやっているわけでございます。 ただ、これは御承知のように格差が大きいものでございますから、事業量を拡大しようと思いますと、かなり大きい財政負担がつきまとってくる。私どもの方としては、麦をつくります生産農民については、これはえさでございますから、調整の仕方その他作付等について極力省力化をしてコストを下げていただく、したがって、食べる麦よりも若干手取りは下がるかもしれないけれども、そういう努力をしていただくと同時に、畜産農民の方についても自分の周辺のそういう麦作の農民が作ったものを極力使えるようにということで、実は予算措置も五十七年度で十八億円というものを組んでおりまして、数量につきましても約四万五千トン程度のものはそういうことをやるということをやっておりますので、そういう意味では、先生もいま御指摘のように、米よりも少し前にこの麦の話が少しでも定着できればと思っているわけでございます。
○森田重郎君 時間もございませんので、最後にこれ大臣にお伺い申し上げたいと思うんでございます。 牛肉の自由化の問題でどうも余り私自身よくわからないことが多いんでございますが、この牛肉の場合は、アメリカは、言うなればこれは世界最大の牛肉の生産国であるし、一方また世界一の輸入国、毎年七十万から八十万トン、これはオーストラリアあたりから輸入しておる。しかし、食肉輸入法を盾に、輸入については実質的なやっぱり制限、これを現在やっておると。アメリカの牛肉輸出は、これはわずか六万トンぐらいじゃないかと思うんですね。そのうちの五、六割というのは日本一国に結局輸出をしている、こちらは輸入していると、こういうことになるわけですが、考えてみますと、日本での輸入が仮にアメリカサイドで言われるように自由化されたというようなことになりますと、これはどうしても競争力の強いオーストラリアあたりから輸入が激増する。そういうことになりますれば、これは日本市場をやはり失うというようなことにもなる。そういうようなことになりますと、これは日本の畜産にも大きな打撃を与える。ただいまいろいろお話のありましたような形で、飼料穀物も激減をするというような形の中で、一体アメリカが牛肉の自由化を求める真意というのがどこにあるんだろうかと。もちろん、これは自由化すれば、日本国内の価格というものが下がる、需要もアメリカ並みになるかならぬかわかりませんが、一対十ぐらいの開きがあるようですが、日本国内の価格が下がる。そのこと自体はわからぬじゃないんですが、一方ではオーストラリアからの輸入拡大、こういうふうな問題もいろいろ関係してくるというような中で、アメリカが特に輸入の自由化という問題について声を大にしてわが国に要求しておる、その辺の真意というのがどうも余りよくわからないんでございますけれども、大臣、その辺をどのように理解されておられるか、御答弁いただければありがたいと思います。
○説明員(佐野宏哉君) ちょっと、やや繁雑な点もございますので、私からお答えさしていただきますが、アメリカの牛肉の輸出が実績六万トン程度で、その過半が日本に向けられておる。アメリカは最大の牛肉輸入国である、そのような事情につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、確かにアメリカの牛肉生産者の立場から見て、果たして日本に完全自由化を要求することが彼らの利益であるかどうかということは、大変疑わしいと私も思います。 ただ私どもとしては、一つの見方でございますが、現在アメリカの、たとえば通商代表部の交渉当事者の立場に立ってみますと、そうむずかしい理屈よりも、端的に国内的に説明しやすい立場をとるのが一番通商代表部としての対処の仕方としては都合がいいと。実は完全自由化を要求しないでこういうふうにやった方が得なんだと言っても、その間の理屈というのは大変回りくねっておりまして、そう簡単にわかってもらいにくい。何だ、おまえらダラ幹の交渉をやっておるのではないかというふうに言われがちなんで、そういうのよりは、もう完全自由化と言っている方が、まず対内的に説明しやすいということが一つはあると思います。 それからもう一つは、彼らは、日本の牛肉の消費につきまして相変わらず価格弾性値が相当高いというふうに思っており、かつ、ブロイラーとか豚肉についての影響というのをどうも余り念頭に置いていないようでございますから、仮にオーストラリアの牛肉のシェアの方が相当伸びることはあっても、全体として牛肉輸入量がふえれば、シェアが多少オーストラリアが伸びても、差し引き損になることはまずあるまいというふうに、どうもそういうふうに考えているという気配がございます。 それから第三点といたしましては、飼料穀物関係者が、そういう乱暴な日本へのアプローチについて心配しないわけではないわけですが、どうも最近の事情から見て、飼料穀物関係者がそういう憂慮の念というのを余り大きな声で言い立てない、そういう事情が絡み合って現在のような対日態度をとっておる。 どうも、しさいに分析してみて、やっぱり完全自由化の方が得だという分析を踏まえた上でそういう行動をとっているのかどうかという点については、私どもも大変疑わしいと思っております。
○森田重郎君 終わります、時間が参りましたので。
○中山千夏君 水田利用再編対策について少々お伺いしたいと思います。 五十五年度に会計検査院の方から、この奨励補助金に関して指摘がございましたね。これは五十三年度から五十五年度までの十一府県管内三十二市町の九十九土地区画整理事業施行地区内の水田等の奨励補助金、総額が三億八千四百十二万余円、水田等延べ面積七百九十四万七千余平方メートルについて調査をしたと。そうすると、その中の三百七十九万三千余平方メートル、ここに一億九千五百二十五万余円という補助金が交付されていたそうなんですが、これがどういう土地かというと、道路の高さ以上に盛り土、整地された上に、側溝、縁石が設けられていたり、道路に上下水道管やガス管が埋設されていたりするなどして、容易に住宅地等に転用される状態になっているものであったと。こういうものは水稲からほかの作物への転作の促進とその定着性の向上を図ることとした水田利用再編対策の本旨に沿わない不合理なものである、そして市街地開発の施策と整合性を欠くことにもなる、適切ではないという指摘があったわけですね。これに対してはどういう処置を講じられましたか。
○説明員(小島和義君) 御指摘のようなことが会計検査院から指摘されているわけでございまして、従来、水田利用再編対策につきましては、土地区画整理事業の終わったところの対象内の水田については対象としないという明確な通達がございませんで、区画整理の区域内におきましても、その土地を宅地にするか水田にするか、あるいは畑として使うということについては、関係者の自由にゆだねられておったという問題が一つあるわけでございます。 それからいま一つは、転作を進めるために、水田に盛り土をいたしまして、畑地状態にして転作をする、これは転作のやり方としては水田状態で転作するよりはむしろ安定性のある方法でございますので、現状が畑地化したから直ちに転作奨励金の対象とはしないということにはしていなかった、こういう二つの事情があるわけでございます。その二つの事情を重ね合わせますと、土地区画整理事業の対象地域内で盛り土しましたところについて畑作物を植えております場合、もとが水田でありますると転作奨励金の対象になる、こういうことが結果的に出てまいったわけでございます。しかし、検査院の御指摘もございますように、国費を費やしまして土地区画整理事業をやっておりますのは、速やかにこれを宅地化するという政策意図のあらわれでもございますし、政策の整合性ということから考えてみますと、盛り土等の状況によりまして、これを水田として認めて奨励補助金を交付するということはなじまないものと考えますので、水田利用再編対策の第二期対策、これが五十六年度から開始いたしておりますが、二期対策の開始の際におきまして取り扱いを改めまして、今後そのようなものについては奨励補助金を交付しないということを明定いたしております。
○中山千夏君 全くそういう事態ですね。つまり、宅地にすぐそのうちなってしまうんだというような土地に対して奨励金を支払っているという事態に全然気がついていなかったというわけではなくて、気はついていたんだけれども、何というんですか、法律上といいますか、要領の要綱なんかの上でこれに支払うのは当然であるからというふうに支払っていらしたんでしょうか。その辺がちょっと疑問なんですけれども。
○説明員(小島和義君) 水田利用再編対策は全国各地域で大変多くの農家及び農地を対象にして行われております。関係者の数で申しますと三百万人、土地の筆数にいたしますと一千万筆、こういう大変広い対象にいたしておりますので、政府の扱い上、奨励補助金の対象とはしないということにしておりますものの中に、まま誤って対象とした、あるいは申請者側において故意に事実関係を隠蔽いたしまして奨励補助金をもらう、こういうケースがございます。これは明らかに不正、不当な事案でございますので、発見し次第、たちどころにこれを返還させるというふうな措置を厳重に講じておるわけでございます。ただいま御指摘のありました事案は、いわば制度の盲点みたいなものでございまして、その五十三年から五十五年にかけまして、このことが現在の制度上直ちに違法あるいは不当という事案になるものではございませんが、検査院からの御指摘もございまして、内部的にも種々検討いたしまして、今後は扱いとしてこのようなものは対象から除外するということに新たに決めた。したがいまして、これまでやってまいりましたものにつきましては、その時点におきましては一応合法的なものであったものとして認めざるを得なかったということでございます。
○中山千夏君 ちょっとさかのぼりますけれども、五十二年度にも奨励金に関して指摘がございましたね。農地保有合理化法人が無償で一時貸し付けをした水田を交付対象として、四十九年から五十二年度末までに七億四百三十五万余円ですか、これを交付していたと。これが、水稲以外の作物を栽培することを条件として無償としているのだから、この一時貸し付け中の水田についてまで奨励補助金を交付しているのは適切ではないという指摘だったと思います。これについても処置は講じられたんですよね。
○説明員(小島和義君) この件も同様に、その当時の扱いといたしまして直ちにこのことが不正、不当であるということにはならないわけでございまして、もともと水田でございましたものにつきまして、都道府県の農地保有合理化法人がそれを買い入れをいたしまして経過的に持っておったわけでございますが、その土地を一時的に借りました耕作者が、もちろん水稲以外の作物をつくるということを条件として借りておったわけでございますが、その転作物について転作奨励補助金の交付を受けたというものでございます。しかしながら、この農地保有合理化法人の買い入れ保有しております土地につきましては、買い入れ資金の段階で国が利子負担などをいたしておりますし、また、その一時借り入れの際に水稲以外のものをつくるということを条件として、しかも無償で貸しておるという事態がございますので、制度の扱いとしてはこのことを積極的に除外するということにいままでしていなかったわけでございますが、すでに国費を投じて水稲以外の作物をつくることを条件としております以上、重ねて奨励補助金を出すというのは一種の二重投資と申しますか、こういうそしりを免れないという検査院からの御指摘もございまして、五十四年度以降、制度改正をいたしまして、このようなものは対象にしないという扱いにいたしたわけでございます。
○中山千夏君 その調査の報告の中では、四十八年度に本人の申し出により農地保有合理化法人が水田を買い入れて、その後同じ人がその水田を法人から無償で借り受けていて、そして交付金をもらっているというような人もあったと書いてあったのでびっくりした、これは二重どころじゃない、三重取りという感じだなと思ってびっくりしたようなわけなんですが。 それからもう一つ、五十三年度には実質的に水田面積の減少を伴わずに水田から畑等に地目変換されたものに補助金を交付していたという事例が指摘されていますね。これもやはり適切な交付の仕方ではないという指摘でした。これについても処置をなさいましたね。それをちょっと御説明ください。
○説明員(小島和義君) 本件につきましては、土地改良事業によりまして田畑の集団化、これはたんぼはたんぼで寄せる、畑は畑で寄せるというふうなことをいたしまして、その後の農作業を能率的にやろう、こういう事業でございますけれども、その場合に奨励補助金の交付対象水田の取り扱いが要綱上、つまり水田利用再編対策の事業を進める上の要綱上、不明確でありましたために、交付が適正に行われていなかったという事案でございます。これにつきましても五十五年度以降通達を整備いたしまして、その取り扱いについて明確に定めております。
○中山千夏君 ただいまの件では、五十二年に六千七百七万余円、五十三年度には一億三千八百九十二万余円、計二億五百九十九万余円が交付されたというふうに聞いております。大臣ね、ただいまの事例をずっとお聞きになりまして、私は私でこれを知ったときに思うところがあったんですけれども、大臣はどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 水田利用再編対策の当初ですね、いわゆる五十三年から五十六年までの農家、農民のこの対策に対する考え方というのが繁急避難的な考え方で、いまにお米はもう一回つくれるだろうと。とりあえず奨励金だけちゃうだいして、水田利用再編対策に余り協力する態勢じゃなかったわけですよ。そういうこともありまして、いろんな事犯が出たんです。私も直接、青森でもそういういろんな事犯を、違反の事犯をよう見たのでございますが。ですから、それに対して五十六年度からはいろんなそういう、ただいま先生御指摘のようなことを踏まえながら、新たなる対策を進めているわけでございまして、当初はやはり繁急避難的にこの対策を見てきたというところに私は問題があろうと思うんですよ。したがいまして、私はこれからは水田利用再編対策というのは単に繁急避難的な扱いでは困りますと、これこそ日本農業の新しい姿をつくる基本なんですよと、非常に重要な補助金なんですから、有効に使って新しい農業をつくってくださいということをいま主張し、それもそのことによって農家の方々も理解を示してきておりますので、最近はかなり水田利用再編対策の成果も上がっているというのが実態でございますので、ただいま御指摘の点については今後もそういうようなことのないように注意はいたしてまいりたい、かように考えます。
○中山千夏君 いまちょっと確かめたいところがあったんですけれども、緊急避難的に考えているというのは政府の側じゃないですね、農家の方々が緊急避難的に考えているということですね。
○国務大臣(田澤吉郎君) 農家の方です。
○中山千夏君 わかりました。 それで、政府としては五十三年度から大体十年間、十年計画で腰を据えて取りかかるんだという、そういう姿勢を持っていらっしゃるというふうに承知してます。その中でこういう事例が起こると、これは検査院の指摘のとおりに非常にむずかしいものですが、読んでみますと、なるほどこれはお金のむだ遣いだなと思われる交付なんですね。それをやっぱりそうお思いになるから、皆さんの方でもそれに対する措置を毎年打ってこられたんだと思うわけです。当然適切ではないけれども、先ほどのお話でもあったように別に不正だというわけでもないわけですね。そうするとこの支払ったお金、交付したお金というのはむだであったけれども取り戻すというわけにもいかないわけですよね。いま大臣のお話で非常に農家の方たちの協力が得にくいということがあったんですけれども、私いつも水田利用再編などに関連したことについて思いますのは、やはり農家の方たちは大変だなと思うんですよね。というのは、われわれもそれぞれ仕事を持っておりますけれども、物をつくる仕事の場合、自分がこれをつくりたいと思うものを、必ずとはいかないけれども努力すればそれをつくれるようになっているけれども、なるべくこっちをつくりなさいと半ば強制されるわけですから、なかなか協力しにくいというのも無理ないと思うわけです。ですから、そういうところは行政の側が見越して、五十五年の例でちょっと先ほどそういう状態を御承知だったのか、それとも全然お気づきでなかったのかというふうにお伺いしたのは、こういう制度の盲点というようなことはもっと早くに皆さんの方でわかるんじゃないかと思うわけです。それが五十二年度にしても五十三年度にしてもそれから五十五年度にしても、検査院がちょっと調べて指摘をすると、それからようやくああそうかという感じで手を打つ、手を打ったときにはもう払ってしまったお金、むだに払ってしまったお金というのは返ってこないというわけですよね。これはやっぱりちょっと最初の体制の立て方が余りにも雑で、むしろ政府の方が何となく緊急避難的に、いいかげんに考えているから盲点ができちゃうんじゃないだろうかという疑いを持つんですが、その辺いかがですか。
○説明員(小島和義君) この水田利用再編対策につきましては、先ほど申し上げましたように全国各市町村におきまして大変多数の関係者の方々に御協力をいただいておるわけでございまして、想定し得るいろんなケースというものを大体基本的な要綱等に盛り込んでおるつもりでございますけれども、各村々の具体的な事例というのは私どもが想像しなかったような事態で発展する場合が多いわけでございます。その中には関係者が多少悪意を持ってやった場合と、関係者自身が全然そういう問題意識なくしてやった場合といろいろございまして、それらのケースについてあらかじめ想定して扱いを決めておくということはなかなかできにくかったという事情もひとつ御了察願いたいと思います。 もちろんこの事業は、多額の国費を投じましてやっておる事業でございますから、そこにむだがあってもいいとは私ども考えておるわけでございませんで、今後ともそのような問題事案が出ませんように関係の都道府県並びに市町村にもよく協力をお願いいたしまして、むだの発生防止に努めてまいるつもりであります。
○中山千夏君 大変むずかしそうだということはわかるんですけれども、素人考えでちょっと見てみましても、一時貸し付けした水田の件ですね、そこに奨励金を交付していたと。こういうのなんかはちょっと読んでみましてもむだだというふうにわかるんじゃないかなと思うんですね、どうしてもね。だから何とか、もう済んでしまったことは仕方ありませんから、何とかこれから、先に、検査院に指摘をされるよりも前に手を打つ、行政を整備しておくということがどうしてもむだを省くためにはとても大切だと思うんです。大臣いかがでしょう、これ。
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに農林水産省が率先してそういう実態を把握して、これはいけませんよという注意を促すことが私は先決だと思うのでございますが、そのためにはやっぱり市町村が協力していただかなきゃいかぬ、また農業団体も協力していただかなきゃいかぬと思うんですね。霞が関でやはり全国の水田利用再編対策をくまなく見るというのはなかなかむずかしゅうございますから、そういう点では市町村の協力をいただかなければいけない、こう思うんですね。 そこで、私は、先ほど申し上げましたように市町村が水田利用再編対策を、当初、五十三年当時水田利用再編対策に対する態度というのは、割り当てを消化すればいいんだというような考え方ですね、それが新しい農業につながるんですよということ、それから国民のニーズに沿うた農業の再編成をするんだというような考え方が非常に薄かった時代に、そういう問題が私は出てきたのじゃないだろうか、こう思います。いまは市町村の担当者はやはりいまお米が余っているんだから、しかも新しい作目に切りかえていかなければならない時代なんだから、これは私たちが率先してやらなきゃいかぬという考え方にだんだん変わってきておりますので、そういう意味ではこういう問題、いま御指摘のような問題がだんだん少なくなっているということですし、また農林水産省も過去の、いま御指摘のようなことが各方面にありましたものですから、私たちは注意をしてそういうことのないように努力をしているというのが現状でございます。
○中山千夏君 いずれの件にしましても、通達を出して実施要領を変更するというようなことで手を打っていらっしゃるわけですね。そうすると、やっぱり指摘をされる前に実施要領なり何なりを十分に検討していただいて、どっか抜け穴がないかしらということをまず確かめていただかないと、今後むだな交付というのはどっかから出てくるんじゃないかという心配があるんですよね。 そこで今後の問題なんですけれども、いまのところ今後こういう不適切と検査院に指摘されかねないようなそういう交付が行われる、そういう不備はないですか、絶対大丈夫でしょうか。いかがです。
○説明員(小島和義君) 私どもこの対策を当初仕組みましたときから、ありとあらゆるケースを想定いたしまして基本的な扱いを決めたつもりでございますけれども、農村の現実は私どもの想定する以上にさまざまな複雑なケースが出てまいりまして、気がついたたびごとにその抜け穴をふさいでいっている、こういう状況でございます。今後とも想定し得るようなそういうケース、あるいは具体的に市町村段階において発見されましたようなケースにつきましては、その事態事態に応じまして適切な措置を講じてまいるつもりでございますけれども、何分にも大変数の多い対象でございますので、また例外の例外的なケースが全く出てこないということを断言するだけの実は自信もないわけでございます。 問題は、大臣から申し上げましたようにこの対策をいわば金をもらって目標面積をこなす事業であると理解をするか、日本農業の長い将来を見越しまして需給の動向にマッチした作物をつくって農業生産力を維持発展さしていく、こういう対策であるかということの認識の問題になってくるわけでございますので、手続的な問題もそうでございますが、対策の本旨につきまして十分関係者に周知徹底せしめまして、こういう問題が起こらぬように努めてまいりたいと考えております。
○中山千夏君 確かに大変だと思いますけれども、ぜひ、本当は少なくとも自分たちの立てている体制の方では、悪く利用されちゃうとわからないけれども、悪くなくこの自分たちが立てている体制の中で行われている限りは、絶対にむだは起きないんだというふうに断言できるぐらいな対策、体制を立ててぜひ臨んでいただきたいとお願いします。 それから最後に、やはり五十五年の指摘なんですけれども、「今後このような事態のまま推移すると、多額の国費を投じて実施されている本事業の効果が発現しない状態が依然として継続することとなる。」という、これは大変重大な指摘がされていると思うんですね。こういう指摘に対して今後どう対処なさいますか。
○国務大臣(田澤吉郎君) したがいまして、二期対策が五十八年度まででございますが、この二期対策までに一つの減反目標がございますから、これをできるだけ集団化させて、それから定着させるように努力をしていくということが一番補助金をむだにしない一つの方法だと思いますので、それにいま一生懸命努力をしているということでございます。
○中山千夏君 どうもありがとうございました。終わります。
○委員長(竹田四郎君) 他に御発言もないようですから、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時一分散会 —————・—————