P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会参議院1982/10/07

決算委員会 閉会後第4号

発言数
272
登壇者
22
会派数
7
開催日
1982/10/07

会議録

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。まず、委員の異動について御報告いたします。  去る九月二十九日、小笠原貞子君及び田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君及び三治重信君が選任されました。  また、三十日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。  また、昨十月六日、粕谷照美君、山田譲君及び赤桐操君が委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君、戸叶武君及び対馬孝且君が選任されました。     —————————————

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に本岡昭次君を指名いたします。     —————————————

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は法務省及び裁判所の決算について審査を行います。     —————————————

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要の説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 きょうは百五十分という時間をいただいておりますので、まず初めに外国人登録法の問題、それから二番目に一連の刑務所不祥事件の問題、三番目に裁判所における競売問題について、四番目に商法の改正にかかわる問題について、この四点について順次御質問をしていきたいと思いますが、法務大臣に最初一言だけお伺いをしておきたいと思います。  法務大臣は、休会中ヨーロッパを歴訪されて、帰国されたときの記者会見の中で、保安処分問題について、何か非常に強い関心を持ってお帰りになったというふうなことが報道をされていたのですが、昨夜中野で下宿していた人が、五人、その家族を含めて殺傷するというふうな事件が起こっていますが、私は、こうしたことと保安処分の問題が短絡的に結びついて出されてくることに、非常に強い懸念を持っている一人であるわけなんですが、大臣の欧州を歴訪された中でのこうした問題についての御感想のようなものを、ひとつここで伺っておけばと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私は、九月の十八日から十月の二日までヨーロッパ諸国におきます精神障害性犯罪者に対するいわゆる保安処分制度の運用の実情等を視察するために、ドイツ連邦共和国、スイス連邦、スウェーデン王国及びフランス共和国を訪問いたしました。各国の法務大臣等と会談するとともに、各国の治療施設を視察をいたしたのでございます。  今回の視察の結果、これらの諸国におきましては、精神障害者等により犯罪を犯した者に対し、その人権を尊重しつつ、同時にこれらの者による危害から一般市民を守るために、刑事裁判手続によってその者の治療施設収容等を義務づける制度が確立しており、フランス共和国におきましても、同様の考え方から制度を新設しようとしていることが明らかになったのでございます。また、この制度につきましては、これら諸国では一般国民、法律家、医師及び政界を通じまして一般市民の安全を守るために必要なものであるとして広く支持されており、このような犯罪者から社会の安全を守り、同時にこれらの者に適切な治療を与え、社会復帰を図るため、国民が相応の負担をし、協力をしていくというコンセンサスが確立しておることも看取できました。  また、保安処分制度をめぐる手続上の問題や、施設のあり方等につきましても、貴重な資料や意見を得ることができたと考えておるのでございます。今度の視察につきましては、詳細に報告書をまとめまして皆様方にも御報告を申し上げたいと思いますが、簡単な私の感想をいま要約して申し上げたような次第でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは外人登録法の指紋押捺制度の問題について幾つかお伺いします。  去る九月二十七日、神戸簡易裁判所で外人登録の指紋押捺を拒否した日系三世のアメリカ宣教師ロナルド・ススム・フジヨシさんの初公判が行われました。これは御存じだと思います。  このロナルド・フジヨシさんは、指紋押捺は個人及び在日外国人を犯罪者扱いにし人権を侵害するものであるという理由で、昨年十一月九日神戸市灘区役所で指紋押捺を拒否しました。灘区役所はこのフジヨシさんの主張に十分耳を傾けることなく、国の決まりである、だから仕方がない、こういうことで十二月十六日に告発をいたしました。告発を受けた検察庁が神戸簡易裁判所に六月十六日起訴し、九月二十七日の公判になったというこの事実でございますが、私が申しました経過について間違いございませんか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) ただいま本岡委員がお述べになりましたフジヨシ・ロナルド・ススム氏に関する事案の経過はそのとおりでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 ところで、一昨年、一九八〇年からことしにかけてこうした指紋押捺拒否者が全国で二十四人にも上っていると報道をされているのですが、正確なその人数、そしてそれはどの市町村で拒否されているのか報告をいただきたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) 指紋押捺の拒否は昭和五十五年ごろから報告をされるようになってきているわけでございますけれども、五十七年、本年の十月一日現在報告を受けておりますところでは、全国で指紋の押捺拒否をしている者は二十七名でございます。  この二十七名がいかなる地域に関する事案であるかと申しますと、まず最初のケースでございますけれども、これは昭和五十五年九月十日の事件でございますが、これは牛込の警察署に告発されております。  それからその次に、崔昌華氏一家が昭和五十五年から昭和五十六年にかけまして押捺の拒否をしておりますが、この人たちは北九州市に住んでおります。  それからその次に、昭和五十六年七月に金明という人が指紋押捺拒否をしておりますが、この人は京都市に住む人で、下鴨警察署に告発されております。  それからその次には、昭和五十六年の十月二十七日に姜博という人が川崎市で指紋押捺を拒否したのでございますが、この事件は現在岡山の裁判所に係属中でございます。  それからフジヨシ・ロナルド・ススム氏、これは昭和五十六年十一月九日に指紋押捺を拒否いたしましたが、その経過につきましては先ほど本岡委員がおっしゃいましたとおりでございます。  それから五十七年の一月十一日に韓基徳という人が指紋押捺拒否をしておりますが、これは札幌市に居住する人で、札幌の警察署に告発されております。  五十七年三月二十日に金龍河という人が、大阪市の生野区に在住しておりますが、指紋押捺拒否をいたしております。  それから韓聖雅という人が五十七年五月二十六日に、越谷に住んでいる人ですが、指紋押捺を拒否しまして、越谷警察署に告発されております。  それから梁容子という人が、これは五十七年の七月十六日に指紋押捺拒否をしております。この人は大阪市の東淀川区に住んでおります。  さらに五十七年の七月五日になりまして西ドイツの国籍を持っておりますアセルマンという婦人が指紋押捺を拒否いたしました。これは東京都の港区に在住しておりますが、赤坂警察署に告発されております。  さらに五十七年の七月二日に李仲湖という人が指紋押捺を拒否いたしましたが、この人は埼玉県の川口市に住んでおりまして、川口警察署に告発されております。  五十七年の七月二十一日に安日出守という人が指紋押捺を拒否いたしまして、これは福岡県の遠賀郡に住んでいる人でありますが、折尾の警察署に告発されております。  さらに五十七年の八月十三日に金榮植という韓国系の人が、これは北九州市に住んでおる人ですが、指紋押捺拒否をしております。  それから金昌圭という人が五十七年の八月十六日に指紋押捺拒否をしておりますが、これも北九州市に住んでいる人です。  韓亜由美という人が五十七年の八月二十一日に指紋押捺を拒否しております。これは東京都の新宿区に住んでいる人でございます。  それから韓祐志という人が五十七年の八月二十日に指紋押捺を拒否しましたが、これも東京都の新宿区に住んでいる人であります。  さらにアメリカの国籍を持っておりますキム・ヘーランという人が五十七年の九月六日に指紋押捺拒否をしておりますが、東京都の文京区に住んでいる人であります。  さらに五十七年の八月三十日になりまして金美佳という人が指紋押捺を拒否しておりますが、これは静岡市に在住する人でございます。  五十七年の八月七日に李相鎬という人が指紋押捺を拒否しておりますが、川崎市に住んでいる人であります。  それから五十七年八月七日に李敬宰という人が指紋押捺拒否に出ましたけれども、この人は大阪府の高槻市に住んでいる人です。  それから五十七年の八月二十八日に朴愛子という人、女性でございますが、大阪市生野区に住んでいる人で、指紋押捺を拒否をいたしております。  五十七年の九月九日にアメリカ国籍ですがモリカワという人が、女性でございますが、指紋押捺を拒否いたしまして、この人は神奈川県大和市に在住しており、現在大和警察署に告発されるところでございます。  それから鄭和江という人が、これは大阪市住吉区に住んでいる人ですが、九月十八日に指紋押捺拒否をしております。  最後に、辛仁夏という人がことしの八月十一日に指紋押捺拒否をしておりますが、横浜市の港北区に住んでおりまして、港北警察署長に告発されております。  以上の二十七名が指紋押捺拒否をいたしておりますが、そのうち現在裁判にかかっておりますのが二件——告発された者は全部で十件ございますが、裁判にかかっている者が二件、それから残りの十七件はいずれも市町村の方で現在説得中ということでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 また一方、自治体の方の対応も新しい動きがあります。兵庫県の西宮市など、自治体からも指紋押捺廃止の要望が市議会決議というふうな形で出されたりしておりますが、全国的な状況はどのようになっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) 現在までに全国の幾つかの市議会等で外国人登録制度の改正を求める意見書というものが出されております。その一つがただいま本岡委員が御指摘になりました西宮市議会のものでございます。このほかに、たとえば秋田市議会であるとかあるいは大曲市議会であるとか、さらに秋田県でございますが男鹿の市議会、さらに山形県の米沢の市議会等につきまして、私どもはそういう趣旨の決議が行われたということを伺っております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いま西宮、秋田、大曲、男鹿、それから米沢というふうにおっしゃって、最後、などということで語尾を濁されたんですが、正確に自治体のそれでは数として何市町あるのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) 私、最後に等と申し上げたのは、これはほかにもあるかなと思ったんですが、もう一度チェックいたしましたけれども、いま申し上げただけでございます。したがいまして、全国の市議会でそういう決議をされたのが五つ、それから請願という形でおやりになったのはもう一つ武蔵野市議会がございます。これがございましたので、などというふうに申し上げましたけれども、決議という形では先ほど申し上げました五つだけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 京都の八幡町というんですか、何か新聞に載っておりましたが、それはどうなっておりますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) その件につきましては私ども伺っておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 法務省として、一昨年からこのように拒否をする人が増大をしてきている、自治体側もこの指紋押捺問題については考え直してはどうかという市会の決議あるいは要望が上がってきている、こういう状況を踏まえて法務省としてどのようないまお考えを持っていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) 外国人の指紋押捺につきましては、その他の点とあわせまして、だんだん外国人登録制度が実施されてからもう三十年になりますけれども、制度が定着してきたので、だんだん外国人の負担を軽減する可能性がないかということは、この数年法務省といたしましても慎重に検討をしてきたところでございます。その結果、成案を得まして去る通常国会で外国人登録法の一部改正に関する法案を御承認いただきまして、これがすでに十月一日から実施されております。  この改正案の中で指紋押捺制度につきましては、指紋押捺制度自身を廃止することはできませんけれども、押捺の回数を減らすということをいたしました。具体的に申し上げますと、それまでは外国人は十四歳になると指紋押捺の義務があったわけでございますけれども、これを十六歳にいたしました。指紋押捺だけではなくて各種の義務年齢、各種の義務を課せられる年齢を十四歳から十六歳に引き上げたわけでございます。さらに、従来は新規登録その他の機会に指紋は四個押さなくちゃいけなかったんでございますけれども、今度の改正案ではそれを三個に減らしました。さらに、外国人登録に関しましては従来三年ごとに確認申請をいたしまして、そして新しい登録証明書に切りかえられていたんでございますけれども、この期間を五年に伸長いたしました。延ばしました。その結果、指紋押捺をする回数、個数は外国人一生のうちでいままでよりも新しい法律のもとでは四割以上減るということになったわけでございます。  こういうことで、外国人の指紋押捺を含めて、外国人の負担をできるだけ軽減するということを図りまして、それが現在十月一日からすでに施行されていると、そういう状況でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 法務省はそのようにおっしゃいますが、実際はそのように受けとめていませんね、外国人登録をしなければならない人たちは。というのは、今度の法改正はいまおっしゃったように、十四歳を十六歳にあるいは四指を三指に、あるいはまた三年を五年にというふうに部分的に緩和をされているが、依然として指紋を押捺しなければ告発されるという、このことは依然として変わりがないのですね。しかも、なお四十九年四月の通達でその新規登録の際押捺しておれば、指紋押捺はその後省略してもいいという意味の通達があったために、委託をされていた市町村がその窓口で四十九年から過去八年間、その更新時には指紋押捺をほとんど行わずに外人登録を更新してきた。ところが十月一日からの法改正に伴って新しい通達を八月二十日に出されている。その中では、これからは更新時も正確にその指紋の押捺をするようにと、こういうふうになってきています。だから実際の受けとめ方としては、表では形の上では緩和策はとれたけれども、実際は通達等で従来よりもより厳しく指紋押捺というものが強制されると、あるいはまた絶対に義務づけられて、違反すれば告発、裁判と、あるいは二十万円以下の罰金と、こういうことになってくるという認識を皆持っているんですが、なぜこの通達まで変更して、更新時にはいままでしなくてもいいということを、八年間続けていたものを、再びそれではそれをもとに戻すというふうなことをしたんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) 外国人登録法は、外国人の居住関係、身分関係を把握して外国人の在留管理に資するということを目的にしております。そのためには、外国人登録が正確に行われなければならないわけでございます。その正確の中の特に人違いがないということ、つまり同一人性が確認されるということが基本になります。その決め手は写真ではなくて、最終的には指紋によらざるを得ないのでございます。  そこで、現在わが国を取り巻く情勢といたしまして、非常に不法入国者が多い。さらに不法残留者というものもどんどんふえております。こういうときにやはり指紋制度を維持することによって登録の正確性、一貫性を確保するということがどうしても必要でございます。この枠の中でできるだけの軽減をしたいということで、先般の外国人登録法の一部改正を行ったわけでございます。  それでは、その個数につきまして、実際には通達によって厳しくしているじゃないかという御指摘がございましたけれども、四十九年から八年間、私どもは実際の取り扱いにおいては個数を減らしてきました。これはなぜかと申しますと、実は昭和五十五年に市町村が保管しております登録原票が、ちょうどまとめて全国から法務省に引き揚げられる、そういうことが予定されていたわけでございます。したがいまして、そういう情勢もあるので暫定的、臨時の措置として個数を減らしていたということでございます。ところが今度いわゆる確認申請、つまり登録証明書の切りかえが三年から五年に延びるという情勢もございますので、ここでもとどおり十月一日に新法が、改正法が施行されると同時に、その法律どおりに実施することが相当であると考えたわけでございます。なお、法務省がそういう指紋の原紙を保管する必要があるのは、これはその外国人の登録の一貫性を点検するというほかに、全国の市町村につきまして、市町村それ自身はまた登録原票の中で指紋を持っておりますけれども、いわゆる二重登録というものを発見するのは法務省でしかできないわけでございます。したがいまして、そういうことのためにもこの臨時、暫定の措置をやめまして、そして法律の定めるとおりに実行するということを決めたと、こういういきさつでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、もう一点の問題点は登録証の常時携帯義務というのがあるわけですね。この問題についてもひとつ伺っておきます。  常時携帯義務というのは、いつも持っていなければならないと。たとえば仕事から帰ってきて近所の銭湯へ行くときに、あるいはまたちょっとたばこでも買いに行くとかというふうなそういう外出時に、上着をかえるとかしたときに、その登録証が前の服に入っておってということですね。そういうときでも、この登録証の明示を求められたときに、いや私はいまちょっとふろへ行くときなのでそれは忘れたとか、いやたばこを買いに行くときなのでそれは家にあるのだというふうな状態でもやはり警察に連行され、そして上限二十万円という罰金というふうなものの中にこの常時携帯義務というものは入ってくるんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○説明員(大鷹弘君) 外国人登録証明書は常時携帯していなくちゃいかぬということは、これはその法律で定められているところでございます。ただ、この常時ということにつきましても、やはり常識の範囲内でというふうに考えるべきじゃないかと思うんでございます。したがいまして、たとえばすぐ目と鼻の先のたばこ屋にたばこを買いに行くあるいはすぐそばの銭湯に行くというような場合までも、果たして携帯する必要があるかどうかについては、これはその場その場のケース・バイ・ケースの判断によるところでございますけれども、常識の範囲内として判断されてしかるべきケースがあるんじゃないかと考えております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いまあなたのように常識の範囲内で——常識は人によってそれぞれ違うんでして、そういうふうなあやふやな形で登録証の携帯義務違反というものが、それぞれのそのかかわった警察官等々の判断によってやられたんでは、これは大変なことになりますよ。だから具体的な例を挙げるとこれは多くの矛盾が出てくると思うんですね、この携帯義務の問題も。  そこで、ひとつ法務大臣にお伺いするんですが、いま私のこの質問の中でお感じいただいていると思うんですが、冒頭の質問で、法務大臣がヨーロッパを歴訪されたと、その各国もみんなこの外国人登録の指紋押捺にかかわる問題が一体どうであったかということは御存じのはずですね。私たちの知る限りでは、先進諸国と言われている国の中では、アメリカが、アメリカ人が外国で登録するときに指紋押捺をさせられている国の人が来たときはさせるがという条件づきでやっておりますが、そのほかの先進諸国の主なところはほとんどこうしたことはやっていない。そしていま日本は国際化という問題を非常に大切にやっている。この間の教科書問題でも、言ってみればこれは国際的に日本の国民の物の考え方あるいは日本の国の閉鎖性、そうしたものが侵略問題等に絡んで問われたというふうに見るべきで、この問題も日本が本当に経済大国として国際社会の中に大きくこれから伸びていこうと、こういう立場、あるいはまた外国人が日本国内に居住しているというその事柄が、先ほど言ったように一人一人について二重登録がないかとか不法入国がないかとかいうふうに性悪説というふうな立場に立って見ていくと、特にその対象が韓国、朝鮮の人々がほとんどであるということを見たときに、これは最近改正された直後であるけれども、この問題については再び考え直さなければならぬ問題ではないかと私は強くこう思います。特に聞くところによれば、来年この更新時の何かピークに当たって、四十万人という人たちがこの外国人登録を更新すると。七十九万人のうちの四十万人ですから半数近い人がこれを更新を起こすんで、そしていまもすでに二十七人の人が拒否しているということで、これは増大していく傾向にあると考えなければならぬ。そうすると、やはりこの問題は国際問題に発展する可能性もある。アメリカの方、西ドイツの方ももうすでにいま聞けば拒否をしている、こういうことです。どうですか、法務大臣、この点について、いやもう最近改正したところだからと、こういうことじゃなくて、改めるべきところは率直に検討していくということが、国際社会の中に生きる日本の立場じゃないかと、こう思うんですが、法務大臣、いかがですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) この問題は外国人登録法の改正の問題が提起されましたときにも私から申し上げたとおりでございまして、確かに一面におきましてはその指紋押捺するということは繁雑であるし、いやであるという一面もこれはないわけではないと思います。しかし、同時に自分の身分あるいは住居等を明らかにする、いわば自分の権利を主張する唯一の方法だということであるならば、むしろ私はこれはやはり存続さるべきものであるというふうに考えるわけでございまして、その取り扱い等については考えなければならない点はあるかと思いますけれども、この基本は動かすわけにはいかぬというのが私の考え方でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 法務大臣なり法務省の考え方はわかりますが、これはやはり国際的な問題だと思うのですね。日本人も外国に長期間にわたって住まいをするときには登録をする。そしていま坂田法務大臣のおっしゃったような考え方を世界各国がとっているというなら別ですけれども、いま日本のような考え方が先進国の中では少数になってしまっているということでは、これは国際的な孤児ということになるわけで、日本が日本がじゃなくて、やはり国際社会の中で日本のあるべき一つの判断というものをやっていかなければ、法務大臣はせっかくヨーロッパを歴訪されて保安処分の問題は何か非常に感ずるところがあるということでございますが、この問題ももう少し目を開いて新しい対応をぜひ検討をしていただきたいということを再度お伺いしたいのですが、お答えは変わりませんか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) この基本の問題については、お言葉ではございますけれども変えるわけにはまいりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 これから起こってくる、いま私が申し上げましたようなことでの混乱というのですかね、また国際的な批判、こうしたものについてもこれから法務省は責任を持って対応しなければならぬと思うのですが、ここでそれをやりとりするもう時間もありませんが、でき得れば法務省内でいまの起こっている事態をいま一度正確に認識をされて、再検討をされることを望みたいと思うし、一方裁判で出た結果で法務省がそれに従わなければならぬということでなくて、法務省自身が行政の立場として国際化社会にふさわしい日本の外国人登録法というものを再度検討されることを強く要望をしておきたいと思います。  それでは、次に裁判所の不祥事件問題について幾つか質問をいたしたいと思います。  法の番人であり、かつ受刑者の社会復帰のために全力を注いでいかなければならない刑務所において、最近不祥事件が続発をしております。この問題についてこれからお伺いをしてまいります。  まず一つは、福岡あるいは府中の刑務所でこの受刑者たちが刑務所内で散弾銃の密造をやるとか、あるいはまた刑務所の幹部をハンマーで殴打して重傷を負わせるとか、あるいはまた刑務所内にたばこ、覚せい剤などの禁制品を持ち込んでいるということを証言する、この証言、告白というところからこれがニュースとして報道されて、国民が一体刑務所はどうなっているのだということで非常に大きないま注目と関心を寄せていると、こう思っています。  また、福岡拘置支所でもこの刑務官が暴力団の殺人事件の未決囚に脅迫されてたばこを差し入れるという、これはもう事実ですが、こうした事実が判明して処分されるという事態も起こっております。  そこで、端的にお伺いをするのですが、福岡の刑務所にたばこなどを持ち込み、あるいは銃密造の援助をしたのは、この刑務所内の生産作業の技術指導のため契約企業が送り込んだ作業指導員ではないかという疑念が持たれ、新聞では個人的にその人と会ってその人の告白というようなものが載せられております。こうした疑念が持たれたり、あるいはその事実行為として発覚した場合、こうしたたばこあるいはまた銃密造の必要な図面とか器具、あるいはまた覚せい剤、こうしたものを持ち込んだ作業指導員、これに対してどのような措置が刑務所としてできるのか教えていただきたいと思います。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) ただいまの幾つかの事実あるいは報道の御指摘がございましたが、このうち福岡刑務所で銃——散弾銃が密造されたという疑惑につきましては、これは銃の密造という重大な犯罪でございます。したがいまして、現在捜査当局におきまして捜査が行われておるわけでございます。新聞にはいろいろな事実あるいは証言と称するものが報道されておりますけれども、現在私どもといたしましてはすべて捜査当局の捜査にゆだねているというところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私の質問に正確に答えてくださいよ。私はそういう質問をしてないですよ。疑いが持たれたり、また事実持ち込んだりした契約企業から送り込まれた技術指導の作業指導員はどういう措置を受けるんですか、持ち込んだ……。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) もし刑務所と契約しておる企業の作業指導員が不正に物品を持ち込むというようなことがありますと、刑務所では出入りを禁止するということにいたしております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 出入りを禁止するということは、その企業そのものの出入りを禁止するんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) これは事情によるわけでございまして、企業から派遣されておる作業指導員の全くの個人的な非行ということになりますと、その作業員だけの問題でございますが、企業自体が十分そういうことについて調査をしない、チェックをしないというような企業そのものに体制があるという場合には、作業の契約をお断りするということになります。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 しかし、企業そのものがそういうことを作業員に命じたわけでもない、作業員の全く個人でやった行為であるというときはどうなるんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 事案によると思いますが、通常はその作業員をかえてもらうということになります。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、いままでに刑務所と契約している企業が刑務所に技術指導ということで作業員が出入りをいたします。そういう中で過去、いまあなたがおっしゃったように、指導員が持ち込んではならないものを持ち込んで、そのことが発覚して企業が契約を取り消されたり、あるいはまたその技術指導員がかえられたりしたという事件、事例はどの程度ありますか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 昭和五十三年から五十七年までについて調査いたしましたところ、全国の刑務所で三十二件ございました。このうち一番多い年は昭和五十六年の十二件、少ない年はこれは本年でございますが、まだ中途でございますが、二件でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 五十三年が六件、五十四年が五件、五十五年が七件、この数字にも間違いありませんか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) そのとおりでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それで、全国には刑務所が六十七あると聞いておりますが、そのうちでそうした作業指導員の不正な行為があって、企業に対してその作業員を入れかえさせたという事例が、現在で五十三年から見ても三十二件ある。過去にももっとあったと、こう見るべきですが、その数字はいまあえて問いません。そういう刑務所ですが、私の資料を読みますから、これで間違いないのかどうか、ひとつ確認してください。  府中刑務所、横浜刑務所、黒羽刑務所、前橋刑務所、大阪刑務所、京都刑務所、神戸刑務所、名古屋刑務所、金沢刑務所、広島刑務所、福岡刑務所、小倉刑務所、佐賀少年刑務所、山形刑務所、秋田刑務所、徳島刑務所、以上十六刑務所でこうした不正の事件が発生をして入れかえさせられたということですが、間違いありませんか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) そのとおりでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、その各刑務所で起こった三十二件をそれぞれここで一体何が起こったのかということを追及する時間的な余裕がありませんので、二、三特徴的な問題にしぼってお伺いをいたします。  まず、五十七年度、一番最近ですね、二件起こっている。一つは黒羽刑務所、一つは京都刑務所でそれぞれ一件ずつありますが、それでは最近のことですから、どういうことであったかということは、これは非常に記憶に新しいと思います。  そこで黒羽刑務所あるいは京都刑務所のそれぞれ一件は、どのような業者が、あるいはどのような業者の作業指導員が何を持ち込んで、そして作業員の入れかえをさせられたのか、これをひとつ示していただきたい。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 業者名等はちょっと調査いたしました際に聞いておりませんけれども、事案の概要を申し上げますと、黒羽刑務所の場合には物品の不正持ち込みが発覚したと、この場合は砂糖でございます。それから京都につきましては、ちょっとこの五十六年度にも一件ございまして、これと両方について報告があったものでございますので、その両方に関するわけでございますが、たばこ、ライター、甘味品等の不正持ち込みということで、さように処理したわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、刑務所の中で、先ほど言いました十六の中で一番多発している刑務所が名古屋刑務所ですね、五十三年に一件、五十四年に二件、五十五年に二件、五十六年に四件、計九件起こっております。先ほどから問題にしている福岡刑務所も五十三年に一件、五十五年に二件、五十六年に一件、計四件起こっているのですね。  このように多発する刑務所にはそれなりの問題がある、こう考えざるを得ないのですが、一体法務省としてはなぜ名古屋、福岡のこの刑務所でこうした不正行為が多発するのだというふうに押さえておられますか、現状をとらえておられますか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 直接の原因等については、まだ調査いたしておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 直接の原因については調査しておりませんって、ちょっと怠慢じゃないですか、それは。これほどいま問題になってるんでしょう。これだってね、その刑務所の中から報告があって初めて法務省はつかめる問題でしょう。実際は内部で処理したって全然わからぬ。だから、私はこの十六の刑務所というのは氷山の一角だと思っていますよ。六十七の刑務所に皆あったとしてもおかしくない問題ですよね。それに対して法務省が直接調査をしてないからなぜこのように起こるのかわからぬと。しかも五十六、五十五、五十四、五十三と連続して四年間続発しているということは、いまマスコミがこの問題を大きく取り上げて刑務所内部の問題に対して警鐘を鳴らした。あわてて法務省は一体どうなっているんだと調べた結果こういうことになったということでしょう。大変な怠慢じゃないですか。責任をどう感じられます、それでは。わからぬというなら責任を問いたい、放置しておいた。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 先ほど私のお答えが必ずしも措辞適切でなかったかもしれませんけれども、作業指導員が不正行為をするというのが九件というのは、相当ほかの刑務所に比べて多いわけでございますが、作業指導員の数とかそういう人たちの出入りする回数とかということから見ますと、大変少ない数でございます。少ないからいいというものではもちろんございませんで、もちろん施設におきましても、それから私ども本省におきましても、こういうことがないようには常々指導しておるわけでございます。  私が直接の原因がはっきりしないというふうに申し上げましたのは、この調査がまだ件数とかその具体的な違反の態様ということにとどまっておりますので、一体どういう状況でそういうのが出たということを現在の段階で把握していないということでございます。こういうことが起きますもとといいますか、作業指導員がこういうことになってまいります背景と申しますか、あるいは間接的な原因というのは幾つかあるわけでございまして、一つは、現在刑務所におきまして作業をすべての受刑者に行わせるためにはいろんな業者に入ってもらう、いろんな業者と契約をして作業を入れていただいて、これによって受刑者が働くということになるわけでございますが、最近の経済情勢等から言いまして、なかなかこの作業を提供してくれる業者を見つけることが困難な状況でございます。各施設においてはもう一生懸命その業者を見つけることに努力をしておるわけでございますが、その中で必ずしも相手の業者の実態あるいは業者に雇われている作業員の実態等について十分な調査が行われなかったためにこういうことになる場合も考えられます。それからもう一つは、作業指導員に対して受刑者の方からの働きかけが、時によって非常に執拗に行われると、それに耐えられなくて作業指導員が不正行為の手助けをするというような事態も出てくるわけでございまして、先ほど申しましたのは、個々の事件について直接の原因は把握していないということでございますが、遠因と申しますか、間接的な原因は以上のようなところにあるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いまの遠因とかあるいは直接、間接の原因ということについては、後ほど質問の中でただしていきたいと思っています。しかし、私がいま追及しているのは、名古屋刑務所が五十三年に一件、五十四年に二件、五十五年二件、五十六年に四件とこうずうっと毎年続いているということを、法務省の方がたとえば五十三年の時点でどういうふうになったのか、五十四年は、五十五年はとその年度ごとに刑務所内におけるこうした問題をきっちり監督官庁として掌握をして、そしてそれに対する適切な指導なり、いまあなたがおっしゃった背景なり原因を除去する方策を講じておられたら、このように順次出てこないんじゃないかと、一体何をしておったのかということを私は言っているんです。だから正直にいま新聞でこうした問題が明らかになったのであわててこう調べて、さあ一体どうするかと、いまから対策を考えているということの責任ははっきり認めなければいかぬでしょう、そういうことでしょう。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) こういう事件が生じたことにつきましては、もちろん私ども反省しておるわけでございますが、作業指導員が物品を不正に持ち込むということに加担することがあり得るということは、私ども十分認識しておるわけでございまして、すでに十数年前からこの作業指導員を選定する場合には、その作業指導員が果たして信頼できる人であるのかどうかということをまず十分に調査をして、その上で作業指導員として認めるかどうかということを決めるように指示しております。それからまた、作業指導員が刑務所内に入ってまいります場合には、その都度不正な行為が行われないような措置をとるべきことを指示いたしております。こういう指示に従い、それぞれの刑務所において指導員をお願いする場合、あるいは指導員の出入りについて不正が行われないようなチェックをしておるところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私はそんな一般的なこと聞いてないでしょう。名古屋刑務所というものが五十三年、五十四年、五十五年、五十六年と、五十七年は幸いまだゼロですが、これだって刑務所の方から報告なかったらゼロということになると思うんですが、こういうふうに年じゅうやっているのについて、名古屋刑務所についてそれでは毎年報告を受けておれば当然一体何がここでは持ち込まれているのか、どういう状態で持ち込まれるのかということを調査し、そういうことが起こらない対応というのをそれぞれの年度で、五十三年度で五十四年度で五十五年度でとこうやっておれば、こうならなかったであろうと私は言っているんですよ、名古屋刑務所ですよ。ずっと毎年でしかもこれがふえていっているということは、あなた方は全くこうしたことについては放置しておられたということじゃないかと、こう言っているんですよ。いま尋ねますが、名古屋刑務所の五十三年の一件、五十四年の二件、五十五年の二件、五十六年の四件は何やったんですか、そうしたら。何を一体これ持ち込まれたんですか、それを言ってください、具体的に。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 個々の件についての調査はまだいたしておりませんが、この全体につきまして不正物品の持ち込みというのが大部分でございまして、物品はたばこあるいは薬品でございます。一件だけは施設の門を勝手にあけたというのが一つでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 これでは、いまおっしゃったようにそういうことではありませんかということでは私納得できませんよ。責任もとろうとされないし、抽象的、一般的なことでごまかそうとすることについて私非常に腹を立てておるんです。だから、聞こうと思ってなかったんだけれど、それでは五十三年の一件は何ですかと、具体的に何が持ち込まれたんですかと、どの企業の作業員であったかと、五十四年の二件はどことどこの作業員が何を持ち込んだのかということをひとつここではっきり言ってください。あなたがはっきりすれば毎年毎年それをきちっと法務省は調べておったということについては私は了解できますが、いまみたいな話であれば何にも調べてなかったと、マスコミが取り上げたからあわてて調査をしたということじゃないかと、そうしたらその責任はどうするんだと言いたくなるでしょう。ひとつはっきりしてください。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) この業者の作業指導員による物品搬入等の不正行為については、従来その都度の報告をとっていなかったわけでございまして、この点について反省しているところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 その都度の報告も話もとってなかったというけれども、そうすると五十三年からはいまこう挙がってきましたがね、この以前にさかのぼればどういうことが起こっているか、全く法務省としてはこれは放置をしていた、もう刑務所の所長のしたいほうだいやらしておったと、それでしかしあなたはずっと以前からそういうことがあることは知っていたとあなたは言ったじゃないですか、そういうことをあったと。だから一般的な指導をしてきたと。あなた法務省でしょう、しかも、法に違反した人を厳格にそこにその法に違反したことをもってその罪を償わせるための、服役させるための刑務所でしょう。そこで起こっている問題に対して法務省がそのようなずさんなことで、このままマスコミが取り上げなければほおかむりできるときはずっとしてしまおうというようなことはこれは許されないと思うのです。私は、これが明らかにならぬ段階では質問を続行できぬですね、委員長、これ。大臣、いかがですか、刑務所の中ではこのようなことがずっと行われておったということ、そして、具体的に何らこの場で説明できない、これは決算委員会ですからね。五十四年、五年、一体何が起こったのかと、ここで明らかにしてください。でなければ質問の続行はできません。法務大臣に責任ある答弁を願いたい。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいまの御質問でございますが、私直ちに次官に命じまして厳重な調査をいたさせておるわけでございます。当面の対策また長期的対策等をも、この省内にしかるべき委員会を設けまして総合的にこれを判断しようというふうに考えておるわけでございまして、いまお尋ねの具体的な問題をずっと洗ってみたいというふうに考えております。責任を感じております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それは洗ってもらわなければなりません。そして、一体刑務所で何が起こっていたのかということを、少なくともこの国会の場で明らかにしてもらわなければならぬ、こう思います。  しかし、こうしたことが放置されておったということに対して、法務大臣としてこの刑務所を束ねる、それでは矯正局長ですか、その他関係者に対して法務大臣が責任を感じるだけではなくて、こうしたことを放置しておった責任そのものを具体的に明らかにしてもらわなければならぬと思いますね。ここになって何にもまだわからぬということで——、これからの問題をやってください、法務大臣は責任をもって。しかし、過去の問題についてこういうずさんなことが刑務所内で起こっておったと、しかもこれは氷山の一角だと思うのですよ、私これ本当に。そして、きょうあわてて午前十時から各矯正所の所長を集めて局長が訓辞をなさり、これからこういうことがないようにやれというひとつ指導をなさったという話も聞いているんですがね、そんな泥棒をつかまえて縄をなうというふうなやり方を法務省がやられたのではかないません。もう一度法務大臣、これからの問題はよくわかりました、責任をもってやってください。大臣も責任を感じておられる。しかし過去、こういうふうなことが放置されておったその事態に対しての責任を、どのように国民に対して、また国会に対してとらせようとお考えですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいまのお話の中で、けさ矯正局長会議を突然開いてやったというのは間違いでございまして、これは鑑別所の会同でございます。訂正ではなくて正確に申し上げておきたいと思います。  それから、ただいま私からお答えを申し上げましたように、この事件が起こりましてから、実は次官を中心としまして、もちろん矯正局長を中心として末端に、これまでどういうようなことであったかを詳細に調べさせておるわけです。調べさせましたあげく、どうすべきかを私は考えるべきだというふうに考えております。それまでお許しを願いたいと思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 調べさせる、と。それは当然やってもらわなければなりませんよ。しかし大臣として、こういうことが放置されておったというその刑務所内の体制の問題あるいはまた法務省と刑務所間における管理、監督の関係の問題、こうしたことについて明確な責任のとり方、そうしたものをまず前提としてはっきりさせてもらわなければ、そこの部分はうやむやにしてこれから明らかにするということでは決算の立場としては済みません。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私はただいまも何回も申し上げておるように、うやむやにするつもりはございません。徹底的に究明いたしたいと考えておるわけでございます。そしてまた当面の問題、長期的な対策ということをあわせて打ち出したい。そしてこのようことが再びないようにしたい、こう申し上げておるわけでございます。  私も府中刑務所、横浜刑務所、熊本刑務所を見ました。そしていろいろ実情を私なりに把握をしたわけでございますが、実を申しますと、府中刑務所におきましても暴力団関係が非常に多いわけでございまして、この受刑者の率がたとえばこういうことになっておるわけでございます。府中刑務所では三二・五%が暴力団関係受刑者であります。横浜刑務所が四〇・六%、福岡刑務所が三一・五%、これがいわばB級系統の刑務所で、それは全体といたしますと三九・一%、A級系統では五・八%ということでございます。  しかも、私は府中刑務所でずっと作業所を見て回りました。大体その暴力団関係者の受刑者が多い部屋、あるいは八割、九割というところも部屋によってはございます。それを一刑務官が実は管理をしておるわけでございます。私は防衛庁長官をやりまして自衛隊を視察いたしました。この緊張度というものは、それは自衛隊以上の緊張度であります。肉体的にも精神的にも相当の緊張がなければコントロールできない。そういう感じを私は受けたわけであります。一方、受刑者に対しては人間的な温かい気持ちというものをふだん持たなければこれはまた統制はできないと思いました。  したがいまして、私は所長にどうなんだということを聞きました。そうしますと、大体刑務官の亡くなるというのは若死にです。これも後で調べましたところ、大体こういうことに……生存期間五年未満、これが刑務共済組合で二一%に対しまして、法務省の共済組合は一一・五%ということであります。五年以上十年未満が刑務共済組合が二二%であって、法務省の共済組合二四・五%であると、こういうことでございますし、また、叙勲の問題につきましても一般は七十歳でございましょう。ところが六十五歳からやれるということになりますが、刑務官については……退職年金受給者のうち、最近二年間に死亡した者の退職から死亡までのいわゆる生存期間はただいま申し上げましたとおりでございます。叙勲に関しましては通常七十歳以上でございますが、刑務官は基準上は五十五歳以上、運用上六十歳以上にしておると。こういうことでございまして、私から言いますと、これはあのような状況で秩序を維持するというのは非常に困難になってきつつある。  しかし、それはこういうような不祥事が起こっては絶対ならない。これをどうするかということはやはり予算面あるいは人的配置等についても一面においてはこれは考えていかなければならないのじゃないか。たとえば年齢構成にいたしましても、そのとき調べたわけでございますけれども、大体四十五年で四十歳から四十九歳の一番熟練した人たちの層が三一・九%あったんです。五十年度にはそれが二三・六%になっております。五十六年では一五・八%に下がってきておるわけでございまして、若い人たちが非常に多くなっている。所長の話によりますと、これが大体二五%、二五%、二五%と、こういうふうに二十九歳以下、三十歳から三十九歳まで、四十歳から四十九歳まで、五十歳以上、これが大体四分の一ぐらいで平均するとわりあいに運営がやりやすいのでございますということでございまして、私はあれを視察いたしまして本当に政治家として責任を痛感いたしたわけでございます。何とか私のおる間にめどを立てなければならないというふうに感じました。  ただいま御指摘のいろいろの具体的なこの問題については責任を感じております。徹底的に私は調査をいたしまして、皆さん方にも御報告を申し上げ、しかるべき対策を立てたいというふうに考えておる次第でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そこまで大臣おっしゃるのでもう引き下がりたいのですが、大臣の言われることは私わかるんですよね。その刑務所の置かれている状態、そして刑務官が受刑者と接するその状況はどれほどつらく厳しく苦しいことか、しかも人間的な思いやりを持っていってやらなければいかぬと、そういうことから若死にも進んでいるというようなことをいろいろおっしゃった。その中で秩序を維持していくその刑務官のあり方というものをもっと考えなければいかぬと、私の責任でひとつそこはやってみたいということをおっしゃる。それはそのとおりやってもらわなければいけません。しかし、私はなぜそのようなことが起こったのかということを少しも責めているんじゃないんですよ、いまここで責めているのは。私が責めているのは、先ほど言ったこういう不正事件の発生するということがずっとあったとおっしゃっているんだから、そうしたらなぜ克明に、どこでどんなことがどういう方法によって起こっているのかということを監督する側、指導する側としては承知をして、そしてそのときどき的確な指導をやっていなければならないんじゃないんですかと。それが全然やられていないということがいま明らかになったその責任は一体どうなるんですかということを言っているんですよ、私は。そうでしょう。もしこれを、毎年毎年こういう調査をされて、刑務所長に報告をさせて、そして所長を集めていま法務大臣がおっしゃられるようなことをずっとやってきておれば、そうするとこの一つ一つの中身がわかるわけですよ。ああこれはどこの指導員がたばこをこういう形で持ち込んできたと、そういうことが起こらないようにするにはどうしたらいいかと、ああこれは覚せい剤なんだ、これは砂糖なんだと、これはコーヒーなんだというふうなことがここで報告できるという状態があって、初めて毎年それは精査はされていたということになると私は言っている。ところが、全然それがいま言えないということは、いままで全くそこのところは法務省として放置をしておったということになるではないかと。だけど、それは一つの一例でしょう。そうすると、いま法務省は、その矯正施設というのは、刑務所あり、それは少年院あり、また鑑別所のようなもの、またそのほか拘置所、いろいろそういう施設というものがあるわけで、そこで行われていることについて、言ってみれば法務省は全く施設任せであったということ。だからいまどんどんどんどん次々出ているんでしょう、後からまた質問しますが。だからそこの問題について、この決算委員会ですから、しかるべき責任ある発言、一体そういったことをそれでは法務大臣の責任においてどう処理するのか、その責任の衝にあった人、当然やらなければならなかった人たち、それに対して厳格な法の番人としての措置というものがなされなければ、うやむやにしておってもそのことの責任は、ああ済みませんでしたで済んで、また次からの対応をすればいいというふうなことは許されぬと私は思うんですがね。そこのところを言っているんです。だから、法務大臣が心を砕いておられること、心配なさっていること、それは後ほど私もこういうふうにしたらどうですかということは私なりに乏しい経験の中で申し上げてみたいと、こう思っているんですよ。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) ただいまの御指摘に関連いたしまして、釈明と申しますかあるいはおわびということになるのかもしれませんが申し上げたいと思いますが、これは作業指導員による不正物品の搬入等については、先ほども申しましたようにそういうことがあり得るものでございますから、その点については昭和四十六年に通達を出しまして、この作業指導員の選定あるいはこの作業指導員による施設への出入り等についての検査等について、こういう点を配慮するようにという通達を出しまして、各施設もこれに基づきましてそれぞれ自分の施設に適合した規則のようなものをつくって運営しておるわけでございます。  先ほど来御指摘のございました昭和五十三年来の三十二件については、最近になって報告を求めたものでございまして、その都度報告を求めなかったという点については、ただいま御指摘のような何といいますか、それを重視しなかったという問題があろうかと思うわけでございまして、もしこういう点についても常に報告を求めて、その個々の事例について指導していくかどうかということも、今後は十分検討してまいりたいと思っております。  多少弁解めきますけれども、従来この種の事件があった場合に、もし覚せい剤というようなことがございますれば、当然それは報告されていたわけでございますし、もしそれが非常に多発したというような事態があれば、当然刑務所長から報告が出てきたわけでございます。それを私ども矯正局といたしまして年ごとあるいは事件ごとに報告を求めなかったという点についてはただいま反省しているところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 反省をするということの前に、やはり報告を求めなかったということ、そしてまたある意味では、新聞紙上こうしたことがずっと報道されなければ依然としてあなた方は報告も求めなかったであろうということを考えたときに、いまの答弁では私は満足できないんです。やはり責任は法務省にある、そしてその直接の担当者である矯正局長に責任があるということをあなたは明確に言わなければだめでしょう。反省しているということだけでは私は納得できぬ。あなたに責任があるんでしょう。また、あなたの前任者も含めて矯正局長の責任という問題を明確にしてください。そうしたら次の質問に移ります。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) この責任ということの御趣旨でございまして、行政上の責任、監督責任ということ、法的なそういう意味での責任という問題もございますし、あるいはこのやり方が適切でないという意味での責任という問題もあろうかと思いますが、私がいま反省と申し上げましたのは、これによって法的な責任が出るということではなしに、さらに運用を適切にするということについて判断が適切でなかったということについての責任だというふうに申し上げたいと思います。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私は何もまだ責任をとってあなたにやめろなんて言ってないじゃないですか。  本来、各刑務所から報告を求めて、そして起こる可能性のあるものを起こらないようにきちっとやっていく、そういう責任が各矯正施設を束ねている矯正局長にあるのでしょう。だからそういう意味で、私に言わせてもらうならば、報告を求めず、なすがままに実態を放置しておったということについての責任は私にありますということについて、あなたはここで言うことであって、それが法律的なとかやれ行政的なとか、私そんな大したこと何も言ってない。いまの質問の関連の中で、この中身のことについてあなたが報告を求めなかったと、そして中身について依然として、いまもこの決算委員会でこの中身がつまびらかにできないということについて、あなたが責任を感じているということの一言がなければ、私はこの質問終われない。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 先ほども申し上げておりますように、従来十分な報告をとらなかったことについては責任を感じております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それではもう一つの問題点として、今度は福岡拘置支所の刑務官がたばこを暴力団の殺人刑の未決囚に持ち込んで渡したということは、これは法務省の方で事件として調べてもう本人に処分がされているということじゃないかと、こう思うんですが、この種の問題もそれではいままであったのかなかったのか、あるとすればどういう状態でいままで発生していたのか、ここで明らかにしていただきたい。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 福岡拘置支所の職員が被収容者にたばこを渡したという報道は、大変残念ながら事実でございまして、私どもは大変遺憾に感じ、こういうことが絶対に起こらないように十分注意をしてきたつもりでございますが、またこういう事件が起こって大変遺憾に思っておるところでございます。  この種の事件は、この種の事件が起きますともちろんのこと、私どもは報告を受けておるわけでございまして、それからそれについての対策、その事件の処理それからその後の対策ということをその都度考えてきたわけでございます。昭和五十二年以降に発生いたしましたこの種の事件としては、七件が報告されてきております。その多くはやはり収容者から執拗に依頼されあるいはおどかされるに近いような状況で収容者の言うことを聞いたというのが大部分でございます。  それから、先ほど福岡の事件について処分が終わっているのではないかと思うというお話でございましたが、現在この処分について手続中でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 その七件なんですが、ここで明らかにすることははばかられるんですか。五十二年にどことどこで、五十三年、五十四年、五十五年、五十六年。——それでは、私の方で言ってみますから、それで間違いないのかどうか確認してください。  五十二年には岐阜拘置支所ですか、それから高松刑務所の二件、五十三年はゼロ、五十四年は京都刑務所一件、大阪拘置所二件、宮城刑務所一件、計四件、五十五年はなし、五十六年は松本少年刑務所一件、計七件、以上私の知る範囲の内容は正しいですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) そのとおりでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、そのそれぞれの事件は一体何を持ち込んで受刑者に供与をしたんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) まず、昭和五十二年の高松刑務所の事件でございますが、この事件では、持ち込みということではございませんが、理髪夫をしておりました受刑者が、本人の、看守の調髪をしておりますとき、受刑者が看守のポケットからたばこ一箱を抜き取ったということを知りながら、そのままにしたという事件でございます。  それから、同じく五十二年のもう一件の岐阜拘置支所の事件におきましては、同じく看守が収容者から依頼されまして、注射器一本と注射針二本を不正に供与したという事件でございます。それに対して収容者の方から謝礼をしておる、こういう状況でございます。  それから五十四年の京都刑務所の事件でございますが、これは一つは収容中の暴力団員からその妻あての封書を預かりましてこれを届けたということと、たばこを供与したということでございます。  それから、同じく五十四年の大阪拘置所の一件の方は、数名の収容者からたばこを要求されて、約二十一回にわたってたばこを供与したという事案でございます。この点についても、後に収容者から謝礼を受けておるということでございます。  それから、同じく五十四年の大阪拘置所——同じ拘置所でございますが、これもやはりたばこを渡したということ、それから収容者と妻との間の手紙を授受させたという点、それから謝礼をもらったという点でございます。  それから、同じく五十四年の宮城刑務所の事件におきましては、一つは収容者が布団の下にたばこの吸い殻を隠していたのを発見しながら、適切な処置をしなかったということと、たばこ一箱及びライターを与えたということでございます。  それから五十六年の松本少年刑務所の事件では、たばこ一本とマッチ棒を収容者に与えたということ、それから勝手にあめ玉を与えたというような事例でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 こちらの方は職員の刑務官のことですから、詳細にいま報告をいただきました。大体たばこ類が中心になっているようなんですが、これからこうした刑務官までが、受刑者の要請によって物品を供与をする、本人の意思よりもむしろ供与せざるを得ない状態に追い込まれると見る方が至当だと、法務大臣もそういう状況を知り、胸を痛めているというようなお話が先ほどあったんですが、そこで、やはりこうしたその刑務所内で起こっている不祥事件の背景というものをしっかりとっかんで、一つの仕組みの中で、制度の中で、このようなことがこれからも続発しないように、なくなるように法務省として考えていかなければならないのじゃないかと思うんです。ただ厳しく取り締まって、管理体制を強めて、私はこの問題は解決しない、このように思っています。  そこで、福岡刑務所の問題は、そのほかの刑務所の問題と恐らくは類似していると思います。福岡刑務所の背景というものを、私は新聞等で知って愕然としたんです。それをちょっと申しますと、また後でその内容が正確であるかどうかは、ひとつ矯正局長の方から明らかにしていただきたいと思うんですが、受刑者が千四百五十人ほどいて、半数以上が暴力団並びにその準構成員、あるいはまた関係者で占められており、最大の問題は、それがその福岡刑務所周辺の、いわゆる地元の出身者で占められているということ、それと片や刑務所の職員の構成が所長以下幹部が、私は名簿をいただきましたが、四十八人おられるわけで、この幹部の方は各刑務所あるいはまた法務省の人事の中で異動をされるわけですから、この福岡刑務所に長年にわたって勤務されるということはほとんどありません。しかし問題はその下の職員、たとえば福岡刑務所であれば二百六十二人、看守部長であるとか、看守と言われる二百十五人と、技官三十一人、事務官十六人、合わせて二百六十二人というのが、ほとんどが地元の採用者、つまり地元出身者ということで、この福岡刑務所に退職するまで勤務をするということ、そしてそれは刑務所周辺の、たとえば福岡市であるならば福岡市の市民としての生活をこれからもやっていく。一方、服役した人、受刑者はやがて刑期が終えれば一般人として帰ってそこで市民生活を行う。累犯の人であれば、また刑務所に入ってくる。こういう一つの関係の中で、監督に当たる刑務官の人々は、一方では刑務官として刑務所の中で受刑者と接し、厳しい規則の中での仕事をやっていく。一方、外へ出れば市民として、家族も含めてですね、市民としてそこにまた服役した人たちと接する場がある。あるいはまたそれの関係のある人々と接する場がある。こういうことですから、この刑務所内における脅迫とかおどしとかいうものも、これは真実味を帯び、迫力があり、力を持ってくる、こう思うんですね。たとえば網走に服役をしておって、そしてその網走地域の地元の人が看守でいて、服役した人が沖繩の人であるという場合は、どう脅迫してもそれは刑務所内の問題であって、その人の私生活の問題、市民の生活の問題としてかかわってきませんから、脅迫、おどしはあったとしても、その内容が非常に弱まってくる、またそれも実行力を持たない、こういうことを考えますと、やはり一つの制度として解決の方法は、看守、監督の人たちを異動させるわけにはいきませんから、やはり服役する人々をどこに分類するのかという、いろいろな刑期の長短あるいは初犯か累犯か、いろんなことで分類をされているようですが、その分類をするときに、そうしたことを十分これから勘案して、服役する場所を決めるということをやっていけば、刑務官なりあるいはまた地元の作業指導員と受刑者との関係の中で、いま起こっているような不正事件というものは相当防げるんではないかというふうに、私は全くの素人でございますが、そういうふうに思うのですが、そうした事柄についてひとつ御見解を賜ればありがたい、このように思うのですが、いかがですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) この福岡刑務所における実情につきましては、ただいまお話のありましたとおりでございます。千四百余名の受刑者のうちに暴力団の構成員が三〇%強おります。しかも収容されている暴力団構成員の大部分といいますか、かなりの部分は福岡、北九州市等を中心とした地区の出身者でございます。他方、刑務所に勤めております看守の多くはやはり福岡周辺の出身者でございまして、そういうことからいろいろな問題が出てまいり得ることもただいま御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、看守になる人の第一歩は、いかにしてそういう誘惑あるいはおどしに屈しないかということに重点を置いて教育をいたしておるわけでございます。それからもう一つは、第一線の看守がそういう誘惑あるいはおどしに遭った場合には、必ずできる限り早く上司に報告をして、本人一人で対処するのではなくて、施設が一体となって対処できるようにするということを指導しておるわけでございます。それにもかかわらず、先ほど申し上げましたような事件が出ますことは大変残念なことでございますが、その一つの方法といたしましては、ただいま御指摘にございましたように、特に暴力団の構成員の場合、地元のあるいは出身地の刑務所ではなくて、別のところの刑務所に収容するということも考えられるわけでございます。現に私どもでは暴力団の構成員の中で非常に高い地位を占めておるとかあるいは影響力の強いと思われる人については、それぞれ施設からの上申を待って、たとえば福岡で有罪になった場合でも別の地方の刑務所へ入れるということを考えておるわけでございます。  ただ原則といたしましては、現在までのやり方を申しますと、できる限り本人の家族がいるところに近いところへ入れようという基本方針をとっておるわけでございます。現在、刑務所等を監督する中間監督機関として管区というのがございまして、これは高等裁判所あるいは高等検察庁と大体同じ管轄でございますが、その管区の中で、たとえば福岡県に例をとりますと、累犯の人が入るB級刑務所というのが福岡のほかにたとえば宮崎にございます。その中で、管区の中でまず調整を図る、できるならば家族の近いところに収容するというのを基本原則に掲げておるわけです。これはもちろん御推察のとおり本人と家族とのきずなというものをできるだけ守る、また家族と常に——常にと申しますか、常時接触が保てるということは、本人がよくなって社会に戻るということにも大変大きな役割りを果たすわけでございます。そういう意味で、できる限り出身地あるいは住居に近いところを考えておるわけでございますが、それで問題があるという場合には、まず福岡なら九州管内で別の刑務所を探す。さらにそれでも問題があるということになりますと、別の地方の刑務所の方へ移すということを考えてやっておるわけでございます。そういうふうにやっておるわけでございますが、ただ、ただいま御指摘のございましたようなことを考えますと、今後はもう少しこれを積極的に運用する必要もあるいはあるのではないかということで、さらに実情等を調査いたしまして、その上でいまの政策について再検討を加えたいと思っております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いまおっしゃいましたように、受刑者の人権の問題もありますし、更生ということにかかわって、いまおっしゃる家族の居住している近くということも非常に大事なことであると私も認識をしておりますが、そういう受刑者の人権の問題を一つの考え方の大きな柱に置き、そして  一方でいまおっしゃったように刑務所が受刑者と相対峙するときにおどしゃ誘惑に乗るなと、あるいはまた何か誘惑やおどしがあればその施設の所員が一体となってそれに当たればいいんだということ、それは一つの所内の問題としてできるんだけれども、しかしそれが市民生活に家族を含めての中で混在したときにみんなが負けるという、そこのところをどう断ち切るかという問題は、これからの受刑場所を分類するというときにひとつ新しい方法を講じて、刑務官の一つの、どう言うんですかね、立場というものを配慮した方法というものをぜひ検討して、これからこうしたことが起こらないように対応していただきたいということを強く要望をしておきます。  そこでもう一つの問題は、先ほどなぜこのような業者の指導員の持ち込みが起こるのかということの中で、何か非常に気になる答弁が矯正局長の方からあったわけです。それは、そうしたたばこだとか砂糖だとか、持ち込んではならないものを携帯して、隠して、まああの新聞によれば、柱をくりぬいてそこにたばこをずっとたくさん持ち込むというふうなことをする、その問題について企業の信用調査というものがそれでは本当にきちっと行われているのかということについての私は心配を持っておったんですが、矯正局長の答弁では、信用だけ先に置いて企業を見つけておったんでは、不況の中でなかなか刑務所が求める企業が見つからないというひとつ悩みのようなお話がいまありました。もちろん不況下で刑務所にまで仕事を持ち込むということ、なかなか中小企業の側もいまできないとは思いますが、さりとて刑務所として必要な企業だけは少々信用の問題の調査を甘くし、あるいはまた出入り業者のチェックをやかましく言って、こんなうるさくやかましいんなら契約はもうこちらから願い下げだと言われるようなことがあってはならぬというふうに、刑務所の側が契約企業との関係において本来厳しくしなければならない刑務所内の規律そのものを乱していくというようなことがあっては私は大変だと、このように思っているんですが、そういう意味で信用調査というのは、たとえば福岡刑務所なら刑務所で、あるいは宮城なら宮城でというように、それぞれ個々の刑務所で恐らくその信用調査というのは一定の基準を決めてやっているんじゃないかと思うんですが、どういう基準でもって信用調査というふうなものをやって、契約業者というふうに指定をしているんですか、ひとつ簡単に教えていただければありがたいと思うんです。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 先ほど私、業者の信用調査をするということを申しまして、ただいま委員からも信用調査というお話がございましたが、これはいわゆる信用調査といって、何といいますか、債務支払い能力ということだけではございませんで、果たしてこの業者が本当に協力してくれるのかどうか、あるいは何か搾取をするようなことを考えているんではないか、そういういろいろな面を考えて、この業者は作業の内容から見ても、あるいは業態の内容から見ても適当であるというように考えられた場合にあれするわけでございますが、個々の事例については非常に抽象的になりますけれども、その業者の過去の実績とか、そういうものを総合的に考慮いたしまして適切かどうかという判断をしておるわけでございます。  この業者の方があいまいと申しますか、業者に問題があるというようなことになりますと、これは私どもといたしましては危険を冒して作業を入れるか、あるいはやはり規律を守る立場からそういうのはあきらめるかという二者択一に追られる場合もございますけれども、こういう場合はもちろん施設の規律ということの方が大事でございますので、その業者はあきらめて別の業者をさらに探していくということに努めておるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 まあ全体的に生産作業を提供している割合は、何か国の方が二割ほどで、あるいは民間の中小企業の方が八割というふうな状況のように私は風聞をしているんですが、国が全部生産作業の内容を提供するということは不可能だと思いますが、やはり民間の活力というふうなことを盛んに使われますけれども、刑務所のそうした生産作業の内容というのは、できれば国あるいは地方自治体のそうした公的なものの生産活動というものをやはりふやしていくということの中で、民間のそうした中小企業の出入り業者という形の中で起こるトラブルを少なくしていくということも考え方の一つではないかと、このように思うんですが、その点はいかがですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) ただいま御指摘のとおりでございまして、国の機関でありますと一応そういう意味で信頼できるということが言えるわけでございますので、国あるいは地方公共団体から発注された作業をするということができれば、これは非常にいいことだと思うわけでございます。ただいま現状はちょっと私正確な数字は手元にございませんけれども、大体八割ぐらいは民間の業者からの受注でやっておりまして、あとの二割くらいが官公庁からの注文とそれから刑務所独自で製品をつくりまして、それを外に売るということでやっておるわけでございます。官公庁からの注文ということについては、私どももいろいろかけ合っておるわけでございまして、できればこれをふやしたいというように思っておりますが、現状はなかなか思うようにいかないというところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは最後に捜査当局に伺いますが、福岡刑務所における散弾銃密造事件についての調査は、現在行われているんですか。

前田宏法務省刑事局長

○説明員(前田宏君) 御指摘の事件につきましては、現在、福岡の検察庁におきまして警察当局と密接な協力のもとに真相の解明に努めている最中でございます。そういう最中の段階でございますので、具体的な内容は差し控えさしていただきたいわけでございますが、遺憾ながらまだ事実関係が十分把握されていないという状況にございます。しかし、大変重大な問題に関係することでございますので、できる限り速やかに事案の真相を解明すべく努力をしているところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私の聞くところによりますと、十月三日の夕方、地元福岡のテレビRKBで、銃を使った組員の親分と言われる方が、一昨年十一月二十九日の事件が起こったとき、その十日後に、私はその使用された銃が刑務所内でつくられたということを知っていたということを堂々とテレビでもって話していたということを私は聞いたんですが、それは事実でなければ私の聞き違いでいいと思いますが、しかし、優秀な捜査能力を誇っておられる日本の警察あるいは検察庁が、この問題についてなぜ一昨年の事件が解明できず、最近になって刑務所内ではないかという事柄についても、捜査の状況が非常に緩慢ではないかというふうなことを思って仕方がないんですが、そうした点についてはいかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○説明員(前田宏君) いわゆる暴力団同士の抗争事件がございまして、それぞれの派が相手方を攻撃するというような事件がございまして、その一つの中に散弾銃が使用されたということでございます。しかし、その散弾銃が当時現場に放置されていたというようなこともございまして、その後、製造元までの捜査が十分できなかったということは事実でございますし、また現在、ただいま申し上げましたように、福岡刑務所で果たして本当につくられたものかどうかということにつきまして捜査中でございますが、当時そういうような観点に思い至っていなかったという点はあるわけでございます。しかしながら、御指摘のように事が事実のとおりでございますと大変な問題でございますので、若干おくればせかもしれませんけれども、鋭意捜査に努めているところでございます。  ただ、いろいろな関係者も名前がいろいろ出ておりますけれども、中にはまだその人の所在がわからないとかいう者もございますし、また新聞等にいろいろと情報提供と申しますか、ということで、こういうことがあったあったというようなことを言っておられる方がおるわけでございますが、その多くがいわゆるまた聞きであるとかいうようなこともございまして、その内容の裏づけ、確認というようなことにつきましては、その他の関係者という者の取り調べも必要でございます。中には所在不明もございますし、また関係者と言われている人の中にはすでに死んだ人もいるというようなこともございまして、若干難航しているということは事実でございますけれども、最大限の努力をいたしたいということでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 新聞の取材の方が先行して警察が後を追っているというその実態を見るときに、やはり刑務所というのは法務省、法の番人の直轄するところであり、やはりそこには警察というのも若干手ぬるい面があるんではないかというふうな批判が起こらないように、これについては捜査を早くやって真実を国民の前に明らかにしてもらいたい、こういうことを要請をしておきたいと思います。  次に、府中刑務所で小田管理部長が受刑者に作業用のハンマーで殴られて頭部を九針も縫うという負傷事件が起こったということについて若干伺いたいんですが、この事件はいつ起こったのですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 本年九月十日の午前八時四十分ごろでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 そうしますと、もう一カ月たとうとしている状況ですから、事件の動機、背景、こうしたものの調べもほとんどできているんではないか、こう推察します。明らかにできない部分もあろうと思いますが、問題は非常に重要だと思うんですね。管理部長というふうな重職にある刑務所の幹部が、作業用のハンマーで所内で殴打されるというふうなこと、一体どういうふうに秩序がなっているんだということでございますので、その背景、動機、差しつかえない範囲でここで報告いただきたい、このように思います。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) その現場の状況でございますが、これは府中刑務所の工場内で管理部長が巡視をいたしました際に、管理部長がその工場を担当しておる看守から報告を受けておるときに、後ろから襲撃されたということでございます。とっさのことで避けられなかったというのが事実でございます。  一つは攻撃をした受刑者の名誉とかいろんな問題がございますが、この受刑者は覚せい剤で入っておりまして、現在違反行為で取り調べ中であったわけでございますが、犯行がありましてからかなり興奮等をいたしておりますので、本人の動機等については十分な調査がまだできていない段階でございます。どうも反則を犯して取り調べ中であったということと、それから覚せい剤事件で来ておる、その影響が残っていたんではないかと推測されることとが背景として考えられるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 まあ興奮状態で十分事情聴取もできないということですが、一カ月も興奮状態が続くというのもちょっと異常ですし、まあ刑務所内で起こったことだからこれは刑務所内で処理する、内部の問題だということではなく、やはりそうした重要な立場にある幹部が受刑者に殴られるというふうな状況の刑務所であってはならぬというのは、これは国会の立場では当然のことですし、また国民も刑務所のあり方に関して強い不安を抱くわけですから、一日も早くその動機、背景、そうしたものを明らかにして国民の皆さんに刑務所に対する不安、不信、そうしたものが引き続いて増幅しないような対応をぜひお願いしたい。きょうはそれで終わっておきます。また、次回必要なときに質問をさせていただきたいと思います。  それで、時間もありませんからちょっとはしょらしていただきますが、最後に富山刑務所の医療問題についてお伺いをしておきます。  富山刑務所の問題ですが、いま私が申し上げますことはすべて新聞報道で知ったことでございますから、それが果たして法務省自身が事実関係として調査をされたことと一致しているかどうか、それについて若干伺いたいと思います。  新聞では元受刑者の証言によればということで、開業医でもある医務課長は一日二時間しか所内にいないという。医務課長のいない大半の時間は看護士の資格を持つ刑務官の一人が治療をしていたという。しかも、模範囚の看病夫に薬剤を目分量で調合させていたという。また、歯科医療についても、毎週月曜日の午後だけ嘱託医が行うが、嘱託医が来ない日は看護士、すなわち刑務官が治療に当たっていたという、こういうことで、一体これは刑務所の医療体制、医療の組織というものはどうなっているのかと、このとおりであれば愕然とするわけですが、法務省が恐らくもう実態はつかんでおられると思うんですが、いかがですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 富山刑務所の問題につきましては、新聞に報道されまして直ちに私どもの方から実情がどうなっておるのかという報告を富山刑務所に求めたわけでございますが、その報告によりますと、お医者さんが施設の医師が兼業しておること、それから勤務時間が一日二時間程度であるということを除きまして、その他の、医師の免許のない者が直接治療に当たったり、あるいは抜歯をしたり、あるいはさらに受刑者である看病夫に薬を調合さしたというような事実はないという報告を受けております。しかし、刑務所におきます医療という問題は、受刑者の生命、健康にかかわる非常に重要な問題でございますので、この種の事実がもしあるということになればこれは大変なことでございます。したがいまして、ただ単に富山刑務所自身から報告を聞くだけではなしに、一層厳密で、かつ適正、中立的な調査を行う必要があるということで、ただいま名古屋の矯正管区から調査者を派遣して調査を行っておるところでございます。まだその報告は出ておりません。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、明らかになったことの中で質問をします。  そこの医務課長は開業医と兼業である、兼務をしているということと、一日二時間勤務ということは新聞の報道のとおりだということでした。そこで、全国の矯正施設では、医務課長という立場にあるお医者さん、これは富山の刑務所のようにほとんど開業医と兼務をしているというふうに考えていいんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 本年六月一日の、これは刑務所だけではなくて少年院、あるいは少年鑑別所等も含まれた矯正施設全体でございますが、勤めておる医師の総数が三百一人でございますが、このうち開業医——開業をしておるお医者さんは七十三人で、二四・三%ということになっております。手元に統計がございませんけれども、医務課長、特に医務課長の下にさらにお医者さんがいるという場合の医務課長は通常開業医ではございませんが、一人のお医者さんの場合に開業医であるという場合がございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それで、予算上は医師の定数は三百三十二人という枠でずっと昭和五十一年あたりから一貫して計上されていますが、そうすると三百三十二人いて現在三百一人、欠員が三十一人、しかも開業医との兼務をしておられる方が七十三人ということでは、矯正施設における医療体制というものがきわめて不十分だということがここに明らかになったと思います。  まず、三十一人定数があるにもかかわらず欠員となっているということは、要するに本来配置されなければならない医者が配置されていないという矯正所がどこかにあるということですよね。ゼロか、あるいは三人でなければいかぬのが二人と、二人でなければいかぬのに一人とかいうのがどこかにあるということですよね。しかも配置されていても、富山の刑務所のように一日二時間、開業医と兼務するという実態である。こういうことで、先ほどもあなたが受刑者の命と健康を守るということに対して、まことに寒々とした医療体制だと思うんですが、こんなことでいいんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 先ほど申し上げましたように、刑務所その他の矯正施設における医療が大事であることはわれわれは痛感しておるところでございまして、いかにすればこの医療体制を充実させることができるかということで、お医者さんあるいは看護婦その他のいわゆるパラメディカルといわれているような人たち、そういう人たちの採用ということに非常に大きな力を注いでおるわけでございますが、残念ながら現状は私どもが期待しておりますような形で、たとえばお医者さんにしましても、ただいま御指摘のように約一割の欠員をなかなか埋めることができないというような状況にあるわけでございます。このお医者さんの定員が埋められないという背景といたしましては、刑務所その他の施設の中での医療というものが、医師の立場から見て必ずしも快適ではないというようなこともございますし、あるいは施設の医療設備が必ずしも最新式ではないというような問題等いろいろございまして、そういうことが重なってこの一割という欠員を埋めることができないというのが現状でございます。私どもといたしましてはこれを補う趣旨で、非常勤の医師にお願いしてときどき来ていただく、あるいは必要があった場合に来ていただくという手も打っておりますし、それからまた施設に医師がいないあるいは施設の医師では十分な治療ができないという場合には、外部の病院あるいは医師に頼んで治療をしていただくということもやっております。それからさらに、全国にはたとえば東京近くの八王子医療刑務所のように医療を専門とする施設を設けまして、必要な者はその医療専門の医療刑務所へ送って治療をするということも考えておるわけでございます。大変現状は厳しいものがあるわけでございますが、その厳しい状況の中で最大限適切な医療ができるように努力しておるところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 苦しいお話ですから、それはそれでおいて、もう一つ、二つの問題を尋ねますが、そうすると歯科医はもちろん常勤じゃないんですが、新聞によるとこれは無報酬のボランティアですなんと言っているんですが、あるいはまた薬剤師も全然いない、こうなっています。  そこでお尋ねするんですが、まず医者ですが、開業医と兼務をしていると、しかしそれは医師の定数の三百三十二人の枠のうちの一人であると、そしてその方は予算的には医療職ということで、医療職の二等級か三等級か知りませんが、何かそうした国家公務員の医療職の賃金を兼業している人も同じようにもらっているのかということですね。兼業でなくて、刑務所で専業している人の医療職としての賃金の問題と、兼務している人の賃金の問題同じ定数の中にあって違うのか同じなのかという点。それと、歯科医が委嘱という形になっているときに、この歯科医が言っているように無報酬というふうなことでやらしているのか、あるいはまた薬剤師というものが定数の中にあるのかないのか、医療組織としての。ない場合はそれではどういうふうにして薬剤師というものを刑務所内では考えているのか。学校であれば学校薬剤師なんというものが、いてもいなくても、一応法律の中にあって特定の人を指名して必要なときには来てもらうというふうなことを学校関係ではとっておりますが、薬剤師というふうなものは一体どうなっているのか、こういった点ひとつお伺いします。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) まず富山刑務所におきます歯科の医師の問題でございますが、これはボランティアというようなことが書かれてありますが、これは刑務所の方から謝金を出しましてお願いする場合あるいは、多くはないと思いますが、受刑者本人が治療費を出す場合等がございます。  それからその次に医師の給与でございますが、これは御指摘のとおり医療職ということで給与を受けるわけでございまして、その減額というようなことは現在いたしておりません。  それから薬剤師でございますが、全国に現在三十五名定員がございまして、三十五名とも採用をいたしております。ただいまの三十五人というのは刑務所とそれから拘置所でございます。これらの人たちは大きな施設においてどうしても薬剤師がいないと困るというところに重点的に配置いたしておるわけでございます。薬剤師のいない施設におきましては医師の指示に基づいて調合するということになるわけでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 いま医師の定数の中で、枠の中にいる人は医療職としての給与が支払われているということですが、そうすると、刑務所内で終日常勤として仕事をしておられる医者も、それから開業医として兼務をしている医者で、まあ二時間刑務所内で勤務すればあとは開業医としての自分の仕事をやると、こういう人も給与体系上全く同じ給与が支払われていると、こういうことですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 残念ながら御指摘のとおりでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私は給与関係については詳しく知らないんですが、そのことはまた後ほど調べてみようと思うんですが、法律的にそのことは何ら問題があるとか疑義があるとか違反するとかということにはなっていないんでしょうね。それはいかがですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 大変お答えするのがつらいのでございますが、国家公務員法によりますと、公務員の兼業ということは原則として禁止ということになっております。特に勤務時間中にそういう場合には給与のカットということになっておるわけでございまして、現在、法律的に申しますと、そういう措置をとらなければならないというふうに私どもは理解しておりますが、こういうような状況でも、なおかつ刑務所の医師になっていただく方が足らないというような状況でございますので、やむなく目をつぶってと申しますか、あるいは法律上適当でないということを知りながら、やはり被収容者に対してできる限りの医療を施せるような体制をとっていきたいということをしておるわけでございます。  ただ、こういう状況が好ましくない、あるいはさらに進んで適法でないということでございますので、私どもといたしましては、そういう開業をしている人を施設のお医者さんになっていただく場合を少しでも減らそうということで努力しておるわけでございます。なかなか成果は上がっておりませんけれども、昭和五十三年にはこの兼業のお医者さんが百六人あったわけでございますが、それが現在まで、まあ成果がまだ見るべきものがないのかもしれませんが、それが七十三人ということで、少しずつ減らすという方向で努力いたしておるところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 法務大臣、いまの答弁非常に苦しそうにしておられるんで大きな声出したくないんですけどもね、私は給与の問題は余り詳しくないんですが、いま矯正局長のおっしゃったとおり、兼業を禁止されている一つの職種、職制と言うんですか、何か二等級以上は兼業を全くしてはならぬ、禁止。しかし、それ以下は兼業ということは認めるということはあり得ても、その給与の面で当然勤務していない部分、他において収入を得ている部分まで二重な支払いが起こるということについては私もおかしいなと、こう思っていたんですよ。だからこれをこのままやむなくとか、現状こうでもしなければお医者さんが来てくれないんだというふうな状態のままで放置するというわけにはいかぬと私は思いますね、これは。現状の置かれている問題からやむなくということと、一方、これほどいま厳しくこうした給与問題あるいはまた公務員の兼業問題等が指摘をされている中にあって、言いたくはないけれども、一方は医療職として国家公務員の賃金を全額もらい、一方では開業医としてこれも一人前の収入を上げていくという事柄は、どう考えても、個人のお医者さんを責めるわけじゃなくて、そういうことを法務省が黙認をしてやっているという事実については私は納得できませんね、これは。これは法務大臣、大臣もこういうことを御承知の上でやられている措置なんですか。大臣にお伺いします。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 私、就任しましてから八王子の医療刑務所を視察いたしましたときに、そのような実態を伺って、これは何とかしなければならない、しかし現状はやむを得ない、いま矯正局長から申し上げたとおりでございますが。さりとて、今度はそれをやめますと全然受刑者に対する医療行為というものができなくなってしまうというジレンマにも陥って、まあやむを得ない措置だと。しかし、これは何とかして抜本的な改正を図らなけりゃならない課題であるというふうに感じておる次第でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 学校の教員が塾で教えるとか、家庭教師をやるとか、アルバイトをするとか、これは地方公務員がそういう兼業してはならぬということで厳しく取り締まられて、場合によっては処分までされてやっている。もちろんそれは教育的な観点からもすべきでないと私は思います。しかし、それは教育的な意味よりもむしろ兼業禁止ということで厳しく取り締まりが行われているんですよね。これはどこでもそうだと思うんですよ。しかし、やむを得ずということが法務省内の刑務所で行われているということについては、これはどうしても私は納得できません、これは。だからだんだんと開業医との兼業をする人をなくしていきますと、もうしばらく待ってくださいと。それはその努力は当然やってもらわなければなりませんが、努力じゃなくって、いますぐこうしたことが、現在あることについて法律上疑義があり、問題があり、やってはならないことをやっているんだという立場から、明快なこれに対する判断、こういうものを示して、うやむやのうちに——やらないということをはっきりさしていただきたいと思いますね、明示して、国会の中で。少なくとも予算の中から支出されているんでしょう。こういうものがあるんだということを国会の論議の中で明らかにして、その上でやっていただきたいと思いますね、来年度の予算のときに。どうですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 私どもといたしましては何とも申し開きのできないような状況でございます。  この問題につきましては、過去数回国会においてもこの御質問を受け、あるいは御批判を受ける、あるいはさらに努力するようにという御激励を受けてきたところでございまして、私どもが現在できますことは、少しでもこの開業医が兼務するということをなくする方向で最大限に努力すると。その方法といたしましては、一つは大学の医局、これはそれぞれの矯正施設の近くにも最近は医学部等がございますので、そういうところと十分連絡をとりまして、比較的若いお医者さんでやる気のある方に来てもらうように働きかけるということ、あるいは医学部を卒業した後矯正施設で働きたい、働く意思のあるような人に奨学資金を出すというような制度を考えるとか、いろいろ考えておるわけでございますが、現状は先ほど申し上げたとおりでございまして、現在のこの段階で、たとえば抜本的にあるいは根本的にこの現状を変えるというようなお約束ができないのが大変残念なところでございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 また予算のときに明らかにさしていただきたいと思います。  それで、最後にもう時間もありませんから厚生省にお伺いするんですが、いま実態を調査中ということですから、医師法第十七条、歯科医師法第十七条、薬剤師法第十九条というところで、資格のない者が医療行為あるいは薬剤調合を行ってはならないということで、それを違反した者は罰則規定があるわけですが、富山の刑務所内でのこれからの調査が進んで、新聞に報道しているような状態がもしあるとすれば、これはいま私が言いましたそれぞれの医師法、歯科医師法、薬剤師法に触れる行為を刑務所内で行っていたということになると、こう考えるんですが、厚生省の見解はいかがですか。

三井男也厚生省医務局歯科衛生課長

○説明員(三井男也君) いまの御指摘の点でございますが、現時点におきましては、報道されるような事実についての把握がなされておりませんが、一般的に申し上げますと、先生のお話にございましたように、歯科医師の免許を有してない者が抜歯等の歯科医業を行うということにつきましては、法十七条に定められておるところでございまして、歯科医師でない者が歯科医業を行うことができないという禁止規定に違反をするというふうに考えられるところでございます。

黒木武弘厚生省薬務局企画課長

○説明員(黒木武弘君) 新聞報道のような、受刑者が直接調剤しているというような事実はまだ法務省において把握していないということのようでございますので、確答はいたしかねるわけでございますけれども、仮にそういうことが行われているとすれば薬剤師法違反の疑いはあると考えております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 それでは、あともう質問時間が十分を割りましたので、一応刑務所の一連の不祥事件問題はこれで終わって、あとちょっと競売問題をやっておりますととても残りの時間でできませんので、これは割愛をさしていただいて、また次の機会にしますので、関係の方、申しわけございませんでした。  それで、あと残り時間、商法改正問題について若干お考えを伺いまして終わりたいと思います。この改正商法は、十月一日から施行されています。そうして、その目玉の一つで、鳴り物入りではやし立てられている株主の権利行使に関する利益供与の禁止規定のこの実効性についてお尋ねをいたします。  四月二十四日に、昭和五十七年法務省令第二十五号、第二十六号、第二十七号が公布されており、これらもまた十月一日施行となっています。ところで、この省令二十五号は、商法二百九十四条ノ二の規定を実効あらしめるため、当初案で予定をされていた無償の利益供与の営業報告書への記載が取りやめになっています。聞くところによれば、財界とか経済界からの大きな圧力があってこれは取り消されたというふうに私は聞いているわけですが、直接こうした支出を記載する方法が指示されないままで、果たして鳴り物入りではやし立てられたこの利益供与の禁止というふうなことが本当に実効あるものになるのかどうか、お伺いしたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) ただいま御質問にございましたように、今回の商法改正に伴う省令におきましては、無償の利益の供与というものを営業報告書には記載しないということになっております。確かに商法改正が審議されておりましたある時期におきましては、試案の段階で、営業報告書に無償の供与の全額を記載させることにしてはどうかというような一つの提案がされていた時期はあったわけであります。しかし、試案というものの性質上、試案に出ておりますものをすべて法律あるいは省令に盛り込むということではございませんで、これはあくまで一つの提案でありまして、その提案について各界からの御意見をいただきまして、さらに検討をして結論を出すというものでありますために、私どもといたしましては、この試案をたたき台にいたしまして、各界からの御意見をいろいろといただきまして、そして現在のような形に落ちつけたということでございまして、私どもといたしましては、この省令のような態度でありましても十分に所期の目的を達成することができるというふうに考えております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 具体的に、それでは、営業報告書に記載されなくとも、こういう方法でできるということをひとつお示し願いたい。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) 今回の商法改正の一つの柱といたしまして、自主的監視機能の強化ということがございます。  会社にございます監査役あるいは会計監査人というような監査機次がございますので、こういうものを十分に強化することによりまして会社の経理をただす、無償の供与についても十分なチェックをするということが一つのねらいでございます。  具体的に申しますと、先ほどおっしゃいました省令の中に大会社の監査報告書に関する規則というのがございますが、その第七条におきまして、監査役が監査報告書を記載するに当たっては、会社が無償でした財産上の利益の供与については、各別に独立して記載しなければならない。それが、その当否について独立して記載しなければならないという規定を置いております。独立してその当否についての判断を監査役が示しますためには、その前提として、独立して個別にその問題だけ取り上げて検討しなければならないわけであります。  それを受けまして、省令の第二十五号、株式会社の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書に関する規則の一部を改正する省令の四十八条の三項でございますが、附属明細書に会社の「営業費用のうち販売費及び一般管理費の明細」を書くに際しては、監査役が、先ほど申しましたような無償供与についての監査をすることに参考となるように記載しなければならない、こういう規定を置いておるわけでございます。でありますから、監査役としては、無償の供与について各別にそれだけを取り出してその当否を判断しなければならない。そのためには、会社がそれに参考となるような附属明細書の記載をしなければならないということによって、ただいま申しましたような無償供与のチェックというものが十分にできる、こういう考え方でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 私も、いまその商法のあなたのおっしゃったところを読んでいるんですが、そこで、四十八条の一項の五号ですか、「営業費用のうち販売費及び一般管理費の明細」、この中に無償供与の禁止にかかわる問題を書けということなんですよね。そうじゃないんですか。ここに、具体的にその監査役が監査をしなければならないという会社が無償でした財産上の利益の供与、これをそれでは附属明細書のどこに書くようになるんですか。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) 無償の供与が起こってまいりますのは、原則として、ただいまおっしゃいました四十八条一項五号の「営業費用のうち販売費及び一般管理費」の中に出てくるわけであります。でありますから、その明細を書くわけでありますが、ただその明細を書くだけではなくて、その明細を書く場合には、監査役が無償の供与の監査をする、無償の供与の当否を判断するのに参考になるような記載をするということになるわけであります。どの程度にどういう項目について書くかということは、これは会社の実態さまざまでございますので、その会社の実態に応じた形で書いてもらうと。でありますから、それは監査役と取締役とが十分に協議をして、監査役が、こういう記載では自分は無償の供与についての十分な監査はできないということでありますれば、それにふさわしい記載をしてもらわなければならない、こういうことになるわけでありまして、この附属明細書の記載と、それを参考にした監査役の監査と、そして監査役の地位の強化、そういったものが相まって、今回の商法改正の一つの柱であります無償の供与についてのチェックというものを全うしてもらいたいというのが趣旨でございます。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 最後にお尋ねします。  いまおっしゃるように、取締役会と監査役、取締役と監査が力を合わせてということですが、私たちの知る範囲、監査役に相当権限を強化しても、やはり取締役と監査というものの関係というのは、力関係においてどうしても監査の方が弱いということは、これはもう常識であると思うんですね。だから、やはり監査の側から監査の権限を強化して、それを附属明細書へと、こう逆に持ち上げていく方向では、私はいまの監査と実際会社を運営している取締役あるいは取締役会、そうしたものとの対応の仕方でいまおっしゃったようなわけにはまいらないんじゃないか、こう思う。だから、やはり試案のとおり、営業報告書に書かれ、附属明細書の中にその一項目が設けられて、そういう一つの制度的なものが確立した上で、監査役がその権限を具体的に行使できるようになるんじゃないか、こう思うんですね。だから、言ってみれば全体的にざる法的なものにその点はなってしまって、総会屋を排除するんだということ、それはそれで当然大切なことなんですが、一方、一株運動とかいうふうなことにおいて、いろいろ公害問題等で一般国民大衆が企業の中に参画していくということも同時にこのことによって封じ込めてしまったということで、おっしゃるような商法改正が大きな成果を上げ得ないんではないかという私は考えを持ち、やはり当初の試案どおりの内容でもって無償の利益供与の禁止という法改正の趣旨を貫かれるべきではなかったか、このように思うんですが、再度御意見を賜って終わりたいと思います。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) 従来から監査役というものが取締役会あるいは代表取締役に対して無力ではないかというようなことが言われておったことは、ただいま御指摘のとおりでございます。でありますから、私どもは今回の商法改正におきまして、監査役の地位を高めるということに大きな努力をしたつもりでございます。大会社につきましては、監査役を複数置くというようなことにもいたしましたし、そのうちの一人は常勤でなければならないというようなこともいたしました。従来、取締役会で決められておりました監査役の報酬も、これは監査役が決めるということもしたわけでございます。そういうふうに監査役の地位を高めまして、そして会社の経理のチェックというものをまず自主的に監査役にやってもらうということを考えたわけでございます。  そのためには、監査役としても何かきっかけがないと困るということでありますから、取締役会の責任において附属明細書にいろいろな記載をしてもらう。その中の一つには一般管理費あるいは販売費ということで、無償の供与についても参考となる事柄を記載してもらうということでありますから、今回の商法改正の全体としての姿を眺めていただきましたならば、この程度で私どもは今回考えておりました計算関係の公開の問題あるいは会社の経理のチェックの問題というものも一応の目的を達したというふうに考えておりますので、この実績を見守りまして、その上でまた考えてみたい、このように考えております。

本岡昭次日本社会党

○本岡昭次君 終わります。

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題とし、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 私は、きょうは二つ御質問をしたいと思います。  一つは、先日から問題になっております——これは医療事故による人権侵害についてというふうに書いてございますが、ミドリ十字の先般から大阪で起きております事件と、それから、新薬の開発に関する問題この両方から質問をしたいと思います。それからもう一点は、法務行政のあり方についてということでございますので、午前中、同僚議員の方からもずいぶん質問ございましたが、あらゆる角度から質問ございましたので、この点は後ほど時間の許す範囲でやらしていただきたいと、そういうふうに考えております。  そこで、初めにわが国の血液行政の基本的な考え方、基本的な方針ですね、これはどういうふうになっているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) お答えをいたします。  血液事業の推進につきましては、昭和三十九年八月の閣議決定がございます。それによりますと、「政府は、血液事業の現状にかんがみ可及的速やかに保存血液を献血により確保する体制を確立するため、国及び地方公共団体による献血思想の普及と献血の組織化を図るとともに、日本赤十字社または地方公共団体による献血受入れ体制の整備を推進するものとする。」ということになっております。この閣議決定に基づきまして、以後、厚生省としては血液事業の推進に努めているところでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 国及び地方公共団体の献血制度の普及とともに、「日本赤十字社または地方公共団体」と、こういうふうになっておりますが、これはもう一歩踏み込みまして、国としてはどういうことをやってきたのか、具体的に。それから、地方公共団体としてはどういうことをやってきているのか。それから日赤としてはどういうようなことをやっているのか。これは三点分けて、一遍御説明をいただきます。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) わが国の血液事業は、ただいま申し上げたとおり閣議決定に基づいて行われているわけでありますが、さらに詳しく申し上げますと、国にあっては、血液事業の推進の基本的政策の決定、献血思想の普及、献血の組織化と献血組織の育成その他血液事業の推進に責任を持っておるところであります。また地方公共団体におきましては採血計画の策定、献血思想の普及、それから献血組織の育成を行っております。日本赤十字社におきましては献血思想の普及、献血の受け入れ、血液製剤の製造、供給を担当しております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 いまのお話を聞いておりますと、やっぱり国と地方公共団体、これは何か実質的に採血作業をやるといいましょうか、これは理論的なあるいは精神的な面、ほとんど国はその面を担当しておって、実際実質的に何をやっておるのかと。実質的にはやっぱり日赤とかそれぞれの出先機関に任されているのか、そこら辺のところをもう少し具体的に、実施している面はどういうところがやっているのか、その点ちょっと一遍お伺いしたいと思います。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 国の具体的な仕事についてのお尋ねでございますけれども、何分にも献血といいますのは、国民の広い御理解と御協力によっておるところが大でありますので、この献血思想の普及というものは大変重要な部分を占めるわけでございます。そのことにかんがみまして、私たちといたしましては、毎年七月一カ月間を「愛の血液助け合い運動」の月間といたしまして各種運動を展開するほか、またその時期に合わせまして献血運動推進全国大会を開くとか、また年度末には日本民間放送連盟という団体に御協力をいただきまして献血のキャンペーンに努めているわけでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それで、いまおっしゃるのはよくわかりますけれども、実際にその実施団体はどこなんですか。いまあなたがおっしゃっている思想の普及とかそういう精神的な面はいいとしまして、実際献血を庶民からあるいは国民から受ける実施団体、これはどういうところに国が委託しておるんですか。これはどういうふうになっているんです、そこら辺の組織は。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 実際の献血の受け入れにつきましては、一部二カ所ほど地方公共団体が直接採血所を設けておるところがございますけれども、残りの大部分につきましては日赤が実際に献血を受け入れているということでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 ですから、結局地方公共団体がやっておるところは二カ所だけですか。そうですね。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) そのとおりでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 日赤以外ではどういうふうなところがあるんですか。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 山梨県と京都でやっております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 いや、山梨県と京都というのは地方公共団体という意味ですね。それ以外のところは全部日赤。地方公共団体と日赤以外はもうないわけですな。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) ただいま申し上げましたのは献血の受け入れでございます。そのほか一部民間におきまして有償採漿ということを行っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それではもう一つ違う方向からいきます。  血液製剤の開発、これは実際問題として国の基本的な方針というのはあるんですか。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 血液製剤の開発についてのお尋ねでございますが、血液製剤の開発はわが国の医療の向上に大きく寄与するものでありますので、国といたしましても、難病など原因不明の疾病もしくは治療方法の確立されていない疾病などの研究開発に非常に困難を伴う薬剤とか、あるいは患者数が少なくて実用化いたしましても採算性の悪い薬剤など、企業にとって開発リスクの大きなものについて積極的に推進をしているところでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 日本国内には何社ぐらい研究開発に取り組んでいる会社があるんですか。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 現在何社がこの血液製剤の開発に従事しているかということにつきましては役所の方では存じ上げておりません。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 何社が取り組んでいるかわからないとしましても、あなたが、課長さんがつかんでいらっしゃるのは何社ぐらいあるんですか。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 現在血液を採取してそれを製剤にする仕事をしている会社は四社ございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これは、少なくとも難病の解消のために非常に大事な仕事であるというふうなお話も先ほどありましたね。そのわりにはつかみぐあいというか、指導といいましょうか、どういうことをやっているのかということの掌握しぐあいというのは非常に弱いみたいですね。  もっとそれじゃ違う方角から質問しますと、先ほども御答弁ございましたように、この献血事業は結局日赤がほとんど全部を日本国じゅうカバーしていらっしゃるわけですね。少なくとも日赤自身が血液製剤に対するたとえば意欲とか研究とかいうようなものは実際現在どういうふうになっておるんですか。日赤はそういうことに取り組む意欲はあるんですか。私は、少なくとも聞いている範囲では、日赤にはその血液製剤に対するたとえば研究意欲、技術開発、そういうような問題に対する熱意が非常にないと。したがってそのこと自体がやっぱり大きな問題だと。本来ならば国がもっと力を入れて、日赤がこの問題に本気になって取り組むべきだと。もっと簡単に言うと、この血液なんという問題は非常に大事な問題だから国が本格的に、意識の向上という面で取り組むことも大事ではあるけれども、それ以上に一歩踏み込んで血液製剤に関する研究開発という面についてもっと力を入れなくちゃいけないんじゃないかと。したがって、今回のこのミドリ十字の事件もその遠因を探ればやっぱり国にもある程度責任があるんじゃないかと。そこまでは言いませんけれども、私はね。言いませんが、少なくともそこら辺まできちっと踏み込んで国としては対策を考えるべきではないのかと、こういうことです。どうお考えですか。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 日赤の研究体制でございますが、確かに民間の方が技術的にも先行している部分が多くあることは存じ上げております。しかし、血液行政が、先ほど閣議決定のことについて申し上げましたが、そのとおりであるといたしますと、やはり日赤におきましてもそれらの研究に従事をして力を入れていかなければならないという理解は持っております。そういうことで、日赤におきましても、中央血液センターにそういう研究機能を設けまして現在鋭意そういう血液製剤の研究開発に努めておるところでございます。また一方、来年度には北海道の千歳に日赤の血液製剤のプラントが完成する予定でございますので、それも一つの日赤の研究の成果であるというふうに私たちは見ております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 まあ、これは余り細かいことをどんどん聞いておりますと時間だけたつだけで申しわけありませんので本題に入りたいと思うんですが、その前にもうちょっとだけ。  いま日赤の研究体制についてちょっとお伺いしましたが、この血液製剤の研究開発に対する国の研究体制、それからいわゆる研究機関、それから国の予算、これはどういうふうになっておるんですか。概略で結構です。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 血液に関する研究は広く、また従来から大学あるいは大学病院など研究機関等で行われてきておるわけでありますが、昭和五十年の四月に、血液問題研究会におきましてこの血液行政を検討する中で、わが国の血液研究のあり方についても検討が重ねられてきたわけであります。その結果、五十四年度におきまして国立予防衛生研究所に血液部門の強化拡充を図りました。そのほか昭和五十四年からプロジェクトチームによりまして血液に関する総合的な研究の推進のため研究費を予算化して研究を行ってきているところでございます。ちなみに申し上げますと、五十七年度の研究費の予算総額は約四千三百万円ということになっております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 まあそんなもので、これは民間の研究開発予算等から比べてみましても、役に立つようなものじゃないと私は思っております。  そこで、このミドリ十字社の問題については、もうこれは問題が幾つもありますので問題をしぼりたいと思います。そこで問題は二つあります。いわゆる人工血液の開発についての厚生省に申請をしておりましたこの申請の問題並びに申請データの改ざんの問題等を含めましてこの一連の問題と、それからもう一つは大阪のミドリ十字のいわゆる採血所、大阪プラントで採血したいわゆる採血ミスによる事故の問題、二つあると思うんですが、その両方についてまず厚生省の方からその間の状況、概況について御説明願いたいと思います。

代田久米雄厚生省薬務局審査課長

○説明員(代田久米雄君) それでは御質問のございました人工血液の問題について最初に御説明申し上げたいと思います。  いわゆるミドリ十字が開発いたしました血液代用剤、これはフルオゾールDAという商品名で申請がなされておりますけれども、この臨床試験に当たりまして、通常の治験の手順によらないで当初からがん患者に投与がされたという旨の新聞報道がなされたわけでございます。直ちに厚生省といたしましてはミドリ十字に対して事情聴取を行ったわけでありますが、同社からの回答といたしまして、当該製剤の治験のいわゆる第一段階で行うべきいわゆる健康人に対する臨床試験、これは第一相の試験というふうに呼んでおりますが、第一相の臨床試験が会社の社員を対象といたしまして昭和五十四年の二月に実施されておるわけでございますが、それ以前の五十四年一月にこの女性のがん患者にそういう薬を投与した事実があるということでございます。またこの症例に関しましては、このデータが昭和五十五年の五月三十一日に厚生省に対してこの品目に対する製造承認申請が行われました際の添付資料に含めて報告されておるわけでございますが、このがん患者の方のデータというものは、その治験の実施時期を五十四年の三月ということで二カ月間おくらせた形での、いわゆるそれよりもっと後の臨床試験という形のデータとして提出されたということでございます。こういう事実が判明いたしましたので、厚生省といたしましてこの製造承認申請に際して治験の実施期日を虚偽の報告をしたということ、あるいは通常の治験の手順を逸脱して行ったというような著しく配慮を欠いたようなこと、そういうことにつきましては大変遺憾でございますので、この申請資料につきましての信感性が疑わしいというふうに判断されましたので、この申請をミドリ十字に対しまして申請書及び一切の資料を返戻すると、返却するという措置を講じまして、なお一層今後の試験の実施につきましては社内の管理体制等につきましての改善を図るように厳しい指導を行ったところでございます。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) それでは採血関係の方について御説明申し上げます。  本件につきましては事件の当時の関係書類の保存期間が過ぎておりますので、すでに保管されておらないということなど、この事実関係の確認に手間取っているわけでありますが、会社側から当時の関係者に事情を聞くなどして現在まで知り得た事件の概要はほぼ次のとおりでございます。  この事件は、約九年半前の昭和四十八年三月二十六日に、株式会社ミドリ十字の大阪プラントにおきまして発生したものでございまして、担当看護婦の不注意により供血者の一人に対して採血後、血球と血漿を分離した後、血球の返還をするときに誤って他人の赤血球を注入したわけでございます。その結果、不適合輸血ということになりまして死亡をしたものであります。しかしながら、本件が看護婦の過失により供血者を死亡に至らしめたものであるにもかかわらず、会社の依頼を受けて医師が死亡診断書には不適合輸血について記載しなかったものであります。供血者は、本人申請の名前では高木一美として受け付けを行っていたため、死亡後身元が確認できなかったわけでありますが、このたびミドリ十字の方が大阪府枚方警察署に対して照会しましたところ、この供血者は森高義数さんであることが確認されたというふうに聞いております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 この二つの問題は、これは決して関連のない問題ではありませんで、非常に私は重要な問題を含んでいると思っております。特にこのミドリ十字という会社は、要するに私は非常に大事な仕事をしていらっしゃる、その点は認めるわけであります。それでまた、国にとっても必要な仕事をしていらっしゃるであろうと思います。しかしながら、それだけ大事な仕事をしていらっしゃればいらっしゃるほど、私は特にこういうふうな問題については手落ちのないように、やっぱりきちっと合法的に処理しなければいい薬はできないと思うんです。  しかも、私がきょうこういうふうに問題にいたしましたのは、特にこういうふうな問題が起きてからの会社の対応であります。これは新聞報道でしか私はわからないのでありますけれども、要するにすべて何事でもごまかして済まそうと、そういうふうな空気が至るところに見えます。特に初めに御説明がございました人工血液の昭和五十五年五月、百八十五の臨床例をもって厚生省に製造承認申請をしたこの事件につきましても、いわゆる新薬の臨床試験の安全性や効果を確認するためのいわゆる第一相試験、第二相試験、第三相試験といま先ほど御説明がございましたが、こういう順序を経てきちっとした臨床試験をしなければいけないのに、それを逆転さしてみたり、ごまかしてみたり、そういうふうな姿勢というのがこれは最近の事件であります。最近の事件ですけれども、ところがいま昭和四十八年三月二十六日のこの事件のことが同時に問題になっているわけでありますけれども、この当時から現在までこの会社の体質というのは変わっていないんじゃないか。いわゆる人間に対する考え方、人体実験とかいろんな問題が出てきておりますけれども、いわゆる人間の尊厳に対する考え方が変わってないんじゃないか。私はその点を今後のためにも問題にしなけりゃならないと思っているわけであります。  そこで、一遍具体的に幾つかお伺いしてみたいと思うのでありますが、この件についてまず警察庁はどういうふうに取り組んでおられますか、この大阪の方の事件ですね。

三上和幸警察庁刑事局捜査第一課長

○説明員(三上和幸君) 御指摘のミドリ十字の大阪の事件の関係でございますが、虚偽の届け出によって事件にさせなかったという点については、警察として時効の関係もありまして把握をいたしておりません。  当時の検視状況等について御説明を申し上げたいと思います。  昭和四十八年の三月二十七日午前五時ごろでありますが、枚方市の医師から、昨日、つまり四十八年の三月二十六日の午後三時ごろミドリ十字の待合室において男が倒れているのを職員が発見して東大阪病院に搬送したけれども、腎臓病の専門医がいないということで私のところに転送されてきたのであるが、治療中のところ午前四時十分ごろ急性心不全で死亡しましたという電話が大阪府警の枚方署にあったわけであります。同署におきまして直ちに捜査員をその医院に派遣をいたしまして、同医師からの事情聴取及び死体の検視を行ったところ、死体には外傷、圧迫痕、薬物反応等は全く見られず、また同医師から急性腎不全によります急性心不全を起こして死亡したという検案結果を得たわけであります。そこで、犯罪に起因しない死亡ということで処理をいたしたわけでありますが、この件につきましては、第一発見者でありますミドリ十字の看護婦からも事情聴取をいたしまして、その状況は昭和四十八年三月二十六日の午前十一時四十分ごろ、ミドリ十字の二階から三階に上がる踊り場でこの死亡者がうずくまっていたので、一階の処置室で医師が強心剤の注射と点滴等を行ったと。その後午後三時ごろまでの間に二、三回状況を診たけれども、容体がはっきりしないので、医師の指示によりまして東大阪病院に搬送したという供述を得ております。さらに東大阪病院についても捜査しましたところ、ミドリ十字から採血者が待合室で待っていたが、気分が悪くなりうずくまっていたので処置室に収容し点滴その他の手当てをしたが、入院させてほしいと依頼があったので、副腎皮質ホルモンの注射、点滴等の応急措置をしたけれども、腎不全の症状を呈して軽快せず、軽くならずということでありますが、また当日腎臓の専門医も不在であるということから、他の医院に転送したという事情が判明をいたしております。  以上のような経緯から、警察としては医師から届け出のあった状況により死亡したものと判断をいたしたものであります。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 そこでですね、これは法務大臣も聞いてもらいたいんですが、この問題はもうすでに新聞等でも相当報道されておりますので大臣も御存じだと思いますが、四十八年から約九年たちまして当時の採血の担当医師とかそれからもう一つは治療を担当した医師、この二人ともこの間テレビの報道の中にもありましたけれども、とにかく二人とも良心の苛責に悩まされ続けて一生涯気が晴れることはないと、そういうふうに非常に反省の意を示しておられるわけでありますが、その採血した医者、女医さんですが、この人と治療した院長さんとの一問一答というのが新聞に報道されておりますけれども、これ一遍ちょっと私も読ましていただきましたが、この中にいろんな問題が出てまいります。これは新聞記者との一問一答であります。   ——採血ミス死があった当時、あなたはその採血の責任者だったはずだが。   女医 事故は若い看護婦のミスで起きた。血漿(しょう)採取のセオリーを守っていれば起きなかったのに。あの事故が明るみに出たらミドリ十字は大変なことになる。私もただではすまない、と思っています。   ——事故の詳しいいきさつは。   女医 看護婦が名前を確認しなかったので、寝ていた三人の供血者の最後の二人の血球を誤って入れ替えてしまった。うち一人が血液型不適合でショック症状に陥ったのです。   ——その時、あなたはどうしたのか。   女医 知らせで駆けつけ介抱したが、体中の血を洗う必要があり、枚方市の人工透析設備のある医院にかつぎ込みました。   ——枚方の院長には本当のことを説明したのか。   女医 もちろんです。本当のことを言わなければ適切な治療を受けられないしウソを言っても医師同士だったらすぐに見抜かれる。院長は採血ミスの患者と知って治療をいやがったが、重役の大田黒先生=当時、常務=らと拝み倒してお願いしました。   ——死亡前後のいきさつは。   女医 院長がだいぶよくなったと言ったので、深夜になって私も帰りました。ところが二、三時間して院長から電話があり、駆けつけたが間に合わなかった……。   ——ミドリ十字の対応は。   女医 (「思い出したくない」「元の会社の恥だから」と渋りながら)当時「社名に絶対キズをつけるな」というのが内藤先生=当時、副社長=の強い意思でした。いわば至上命令。これを受けて、処理に当たった責任者が大田黒先生。院長に頼んで行き倒れだったように警察に届けてもらい、言葉は悪いが「もみ消し」をしたわけです。   ——その後、院長に金まで払ったと聞くが。   女医 あれだけの事を頼むのだからただではねえ……。でも私はあの患者にできるだけの手当てはしたのです。信じてほしい。   ——いまでは、あの事件をどう思っているか。   女医 事故後、すっかり人間不信になり、会社も辞めた。“社を守れ”の至上命令の前には仕方がなかったとはいえ、一生の痛恨事です。  これが女医との一問一答であります。  それから院長との一問一答もあるわけです。   ——採血ミス患者が運び込まれた時、どんな状況だったか。   院長 ミドリ十字の女医と大田黒さんや大阪営業所の責任者ら五、六人がいたと思う。女医が良心のかしゃくに耐えかねたように「自分の責任で採血ミスを起こした。どうか患者を助けてほしい」と頼んだが、幹部らがものすごいけんまくで女医をしかりつけその場から追っ払った。だから「事実が分からないと、治療のしようがない」と突っぱねたのを覚えている。   ——患者の死後、どうして警察に虚偽の報告をしたのか。   院長 「採血ミスを届けないでくれ」と大田黒さんらミドリ十字幹部に頼まれたからだ。「社名が大切だから」との理由だった。   ——あっさり承知したわけか。   院長 それは違う。私にも良心がある。断ると幹部らが「先生は見てもいない採血ミスのことを書くつもりか」と責めた。さらに「ウチの製品は今後一切(医院から)引き上げる」と脅してきた。私が人工透析のかん流液に使っていたのはミドリ十字の製品だけで、これを止められると治療はストップしてしまう。一時間ほど押し問答したが……。結局、私の意志の弱さ、医師としての倫理感のなさから押し切られてしまった。   ——あの事故にからんでミドリ十字と金の授受は。   院長 (苦しそうに押し黙っていたが)当時、通常の治療費はせいぜい五、六万円だったが、その十倍前後の金を病院事務長が受け取ったことは間違いない。現在でも二カ月に一回ずつ、ミドリ十字からプロパーが現金三−八万円を持って来る。不審な金なので、そのつどわけを聞くが「リベート」とか「原稿料」だとか言ってはっきりしない。〃口止め料〃のつもりだろうが……。   ——現在の心境は。   院長 大変なことをしたと悔やんでいる。遺族におわびしても解決がつくことではない。医師として本当に罪深いことをした。これまで心の隅から離れたことがなかった。全く、なんとも恥ずべき行為をした、としか言いようがない。  というのがこれは新聞に報道されている全文であります。  これは、実際その後のいろんな報道等から見ましてもほぼこのとおりであったというふうに私は聞いているわけでありますが、特にこれは非常に重要な問題を含んでおりますし、しかもこのミドリ十字の社長が同じこの記者の質問に対しまして、これは石垣八郎ミドリ十字社長の話としまして、  事件についての報告は受けていない。事実としても、以後は採血ミスをしていない。十年近く前のことだし、刑事事件としても時効になっているはずだから、いまさら問題にはならないと思う。  というのがこれは社長の談話であります。  結局この会社はこれだけではないんです。これに類したような事件がいっぱいあるわけです。これはそういうふうにして一つずつ何というかごまかしていく。それで問題が起きたら役員を交代させる。その当時の人がいなくなってしまう。これは新薬開発に絡んでずっと順番に出てきている。こういうふうな問題についてまず厚生省はどういうふうに考えていらっしゃるのか、それから警察庁としてはこういう問題について今後どういうふうに考えていらっしゃるのか、それから法務省の人権擁護局長さんお見えになっていらっしゃると思いますが、この問題についてどうお考えなのか、それぞれ御見解をお伺いしたいと思います。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) 採血ミスまた一連の今回の明らかになりました事実からいたしましても、きわめて遺憾なことばかりでございます。なお、現在まだ不明な事実関係につきましてもその祥細について鋭意調査中でございますので、その結果を待って厳しく対処していきたいというふうに考えております。このような事故につきましては、再度かかる事故が発生しないように社内の管理体制の再点検などを指導するなどいたしまして、採血業に関しましても厳しく指導をしていく考えでございます。

三上和幸警察庁刑事局捜査第一課長

○説明員(三上和幸君) なかなか検視等の状況において、こういったことを把握するのはむずかしい面もありますけれども、今後の検視等に当たりましては十分こういった事案のあることも頭に置きまして、適正な処理をするようにいたしてまいりたいと思います。また、法違反行為がありますれば、厳正に処理をしていきたいというふうに考えております。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木弘君) この種医療過誤関係事件につきましては、その事実関係の解明には専門的知識を要するところでございます。また、刑事司法の面では時効等の問題もあるようでございますが、現在厚生省におきまして医療薬事行政の観点から事実関係解明のための調査を実施されていらっしゃるようでございます。その結果、事実関係が解明されました段階で人権擁護の観点からも検討を加えまして、何らかの措置をとらなければならないというような事情が出てまいりました場合には、その時点で人権に関する啓発等の所要の措置をとることにいたしたい、かように思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 まず、警察庁にお伺いいたします。  これは確かに時効という問題がありますから、皆さんはこれどうも手のつけようがない感じがいたしますけれども、まず時効という点を除いて考えてみていただきたいと思います。もし時効という点がなければこれはどういう問題が起きてまいりますか。

三上和幸警察庁刑事局捜査第一課長

○説明員(三上和幸君) これまで御指摘のあったような事案というものを考えてみますと、採血者につきましては業務上の過失致死罪というものが考えられると思いますし、また診断書を書いた医師につきましては診断書等の虚偽記載罪というものが考慮されます。また、医師に対して義務のないことを行わせたような状況が明確になりますれば、強要罪というようなことも考慮されようかというふうに考えられます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 確かにいまおっしゃっていただきましたように刑法二百十一条の業務上過失致死傷ですね、これはそのとおりだろうと思いますし、また虚偽の私文書作成ということにもなりましょうし。また医者に対する強要なんという問題もいまおっしゃるような問題があると私思いますね。しかも、もっと、これは時効という問題は別にしましても警察もだまされているわけですよ、これね、言うたら。やっぱりそれなりの責任は私は全然ないとは言えない。そこら辺のところは十分今後こういう問題についてはそれなりの対応をしていただきたい、そういうふうに考えております。  それから厚生省にお伺いいたしますが、この問題については本格的には厚生省設置法のときに具体的にもっとやりたいと思っております。しかし、それまでの問題がありますので、いま現在調査中とおっしゃっておりましたが、これは確かに専門的な問題もありましょうし、いろんな問題があると思います。  私は、これはどこでどういうふうに調査していらっしゃるのかというのが一つ、いつごろまでに結論を出していただくのかというのが一つ。それからもう一つは、これはただ調査だけじゃいかぬと私は思うんですね。先ほど今後の会社の経営方針とかいろんなこともおっしゃっておりましたが、確かに僕は会社の体質そのものにも問題があるんじゃないか、経営者の姿勢ですね、やっぱり。これが改まらない限り、これは解決しないと私は思うんです。これは一連の一つ一つの事件が、たとえば前任者のこの人が血液製剤の研究のときにこういうふうにしておったから、あの人はこうやっていたんで、いまやめていないのでわからぬとか、そういうものじゃないと私は思うんですよね、もっと継続性があってしかるべきものだと私は思いますね。それがなかったら、これは大事なそういうふうな薬の研究開発なんてできないと私は思うんですね。そういう点も含めて、まず厚生省の方から御答弁いただきたい。

郡司篤晃厚生省薬務局生物製剤課長

○説明員(郡司篤晃君) いつごろ調査が終わるのかというお尋ねでございますが、私たちといたしましてまず一番関心があるところといたしましては、なぜ万全と思われている体制の中でこのような事故が起こったのかということがあります。ところが、その担当しておった看護婦が事故の直後退職をしておりまして、その者でなければわからないことなどがございまして、いま社の方に依頼をしまして本人の所在などを確かめるべく努力をしているところでございます。また、その他の関係資料などにつきましてもいろいろ取りそろえておるところでございますので、いまいつ終わるということで確定をすることはできませんが、われわれとしては早急に解決すべく努力をしているところでございます。  また、体質問題でございますけれども、血液事業全体は先ほど申し上げましたように、国民の理解と善意というものによって成り立っている事業でありますので、いやしくもその事業の中でかかる事件が起こる、あるいは繰り返し起こすという社があるとすれば、これはまことに遺憾なことでありますので、それらの改善も含め厳しく行政として対処をしてまいりたいというふうに考えております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 これはもう厚生省にもう一点、ちょっと一遍言っておかないといけない問題でありますが、これ要するに事実かどうかはわかりませんけれども、この会社の体質として、これは新聞報道でしか私も事実を確認したわけではありませんが、新潟大学の大西さんという先生が昭和五十四年の十月、日本病理学会でのいわゆる指摘、すなわちこのミドリ十字の開発した人工血液が副作用の危険性があるということを警告したというような記事が載っておるわけですが、要するに、ちょっとやそっと警告したりどうこうしたって全く知らぬ顔している、そういうふうな体質があるんじゃないかと心配しておるわけです。しかも、今回のこの調査も厚生省がこれは本気で取り組んでもらわないと困るわけです。会社に前に勤めた人がどこにいってるかなんて、そんな悠長なことを言っていたらいつまでたっても結論は出ませんよ、実際問題として。やっぱりこういう問題について本格的に取り組んでいただかないといけないということ。  それからもう一つは、これも先ほどのように初めの質問から関連があるんですが、いわゆる国の血液事業に対する基本的な考え方、これは閣議決定が先ほど初めに出てまいりましたけれども、そういうふうな問題とは別にもう一歩踏み込んだいわゆる考え方というのをきちっと再検討しておく必要がある。そうでないと、やっぱりこういう事故が起きてくる可能性がある。そういうことをやっぱりきちっとしていただきたい。これは皆さんはその責任ある立場にありませんからきょうは、この次の厚生省のときに具体的にやりたいと思いますので、それまでにきちっとしておいていただきたい、このことだけは申し上げておきたいと思います。  それから人権擁護局長さん、これは私は非常に重大な問題だと思いますし、特にこの亡くなられた森高義数さんですか、この方の問題は非常にこれはもう重要であります。しかもやみからやみに葬られて九年近くたとうとしておるわけです。これはやっぱり非常にそういうふうな面から考えてみますと、法務省の人権擁護局が乗り出してこの問題を正確に調査をして、やっぱりきちっとする必要がある、社会的にもそうしないといけないと私は思っております。この問題について局長の見解をもう一回お伺いしておきたいと思います。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木弘君) 先生のおっしゃるところの御趣旨よくわかるわけでございます。まあ、先ほど申しましたように、専門的知識を要することでありますし、古いことでもありますが、先ほど厚生省の方がおっしゃいましたように、早急に事実関係を解明なさるとおっしゃっておられますので、私どもの方はそれをお待ち申しまして、事実関係及びいろんな専門知識などをお教えいただいて、人権問題として何かが出てまいりましたら適切な対応をしてまいりたいと、かように思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 どうも歯切れの悪い答弁ですな。要するに、厚生省の調査を待ちましてと言うておるわけや、いまね。厚生省の調査はいつ終わるかわからぬわけや。いつ終わるかわからぬ調査を待って、それを見てなんて言ったらそれはいつのことかわかりませんで。局長は、この問題、これは非常に重要な問題であると、そういうような大事な問題であって、厚生省は厚生省として、法務省としてもこの問題についてやっぱり本格的に取り組まないといけない、そういうふうにお考えになっていらっしゃらないのかどうか、そこら辺のところはどうなんですか。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木弘君) 私どもの局といたしまして、この問題をやはり人権上非常に大事な問題だと思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 大事な問題だと思って、どうするのですか。ちょっとは大事な問題だと思って、この問題を調査をするとか、あるいは何とかするとか、やっぱりきちっと腰上げてもらいたいと思うんですよね。もう少し、もう一歩、もうちょっと何か言うてくれませんか。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木弘君) 私どもの方といたしましても、これを重要だと思っておりますので、いろんな情報収集はやっておるわけでございます。ただ、先ほども申しましたように、専門的知識が要りますので、やはり結局は専門家的な見解というものが信ずるに足る事実を確定する上におきましても必要でございますので、専門家的な立場からいろいろお調べになられる厚生省の事実調査をやはり非常に大事なものだと思っておりますので、先ほど来の答弁をいたしておるわけでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 大臣、この問題、いま局長もああいうふうにおっしゃっておりますけれども、やっぱり大臣からもうちょっとハッパをかけていただいて本格的にこういうような問題に取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣はいまこの問題についてお聞き及びだと思いますが、大臣のお考えを一遍お聞かせいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま人権局長から申し上げましたとおりでございますが、やはり事実関係が明らかになりませんと、人権問題でございますから、この点は私どもとしては非常に慎重に取り扱わなきゃならぬ。大事な問題であるがゆえに慎重に取り扱わなきゃならない。  しかし、調査をしないとか何とかということじゃなくて、強い関心を持って調査に当たるということでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 ぜひそういう姿勢で、事実関係は大事です。大事であるだけにきちっとして調査をして、その上で対応していただきたいと、このことだけは要望しておきたいと思います。  さて、刑務所の問題でありますが、これは大臣、実は午前中から同僚議員の方からずいぶん質問がございました。大臣も先ほど一生懸命御答弁になりました。私も相当質問をつくってきたんです。それで、どうしてもいろいろ質問せにゃいかぬと思っておりましたけれども、どうも私の納得のいかぬのは、大臣も御存じのとおり、この刑務所での不祥事という問題については、当決算委員会で何回も取り上げられているわけです。それで、しかも大臣がおっしゃることは私よくわかるんです。私も法務委員会に何年か所属していたこともございますし、また刑務所をずっと、そういう施設を回ったこともございます。したがいまして、刑務官の皆さん方が非常に苦労しながらがんばっておられる様子も見て知っておるわけです。  ですから、そういう事故を起こした人たちを処分したってだめなわけです。何で事故を起こしたかということをもう少し踏み込んで事情を聞かないといけないわけです。矯正局長が何ぼ書類の上で読み上げたって、事故が何件あったとか、そんなことを言ったって、そんな問題じゃなくて、特に暴力団関係の人たちが関与しているそういう施設にはやっぱり足を運んでいって、具体的にいろんな問題を聞いて、ただ口で説明できない問題もいっぱいあろうと私は思うんです。  そういう実情も十分承知の上で私はこれからちょっと大臣に言おうと思うんですけれども、ほんまにけしからぬのは大臣なんですよ。何でけしからぬかと言うと、大臣も気がついておられるかしれませんが、ほんまにけしからぬ。何でけしからぬかと言いますと、大臣、覚えていらっしゃると思いますが、ことしの一月二十日、当決算委員会におきまして昭和五十三年度の法務省の審議がここであったわけです。当時、社会党の粕谷先生とわが党の鶴岡先生が、多少問題の質は違いますが、大体同じような趣旨の質問があったわけです。もちろん当時は会計検査院の指摘に基づいての、いわゆる刑務所の中でつくった品物をどうこうするという問題等を含めての答弁でありました。また、うちの鶴岡もたばこ持ち込みとかいろんな問題ずいぶん指摘をいたしました。そのとき、大臣は答弁をしたわけです。その答弁が、私きょうここで大臣の同僚議員への答弁聞いておりまして、どこかで聞いたようなことを言うているなと思って聞いておったわけです。そしたら、前の一月の委員会の答弁と同じ答弁を大臣きょうはしてはるんです。  それで、その答弁が、大臣こう言うてはるんやな、要するに。この種の事件は「まことに遺憾千万だと思います。」と。きょうもこれと同じようなことを言いはったわな。その次ですね。私は大臣に就任して刑務所を回りました。熊本と府中とを見てまいりました。——きょうも同じことを言やはった。そうして、しかもその刑務所の中でのいわゆる累犯の話もされました。そうして、大臣は「私防衛庁長官もやりまして、自衛隊の諸君を視察をしたこともございます。」。きょうは「視察をしたこともございます。」とは言いませんでしたけれども、防衛庁長官をやっておりまして、という話でね。それで、その当時は「二十四時間のスクランブル体制におる自衛官、それ以上の緊張の連続が刑務官に課されている。それでなければ保安が保てない。非常に緊張感を持っておる。」と。当時こういう答弁をされた。きょうも同じことを言わはったな、大臣。その後の話もまた一緒や。これ、大臣、要するに法務省の一般の職員は恩給の話——きょうも恩給の話されたでしょう。それで、恩給を受ける人の受給の関係。それから、その次の年休の関係。当時そういうふうなことをずっといろいろ話し、説明していらっしゃるわけですね。私もこのことわかるわけです。大臣がおっしゃることはもうそのとおりだと私は思うんですよ。  しかも、一月二十日のこの質疑を踏まえまして、わが決算委員会といたしましては警告決議というのをつくったんです。大臣は覚えていらっしゃいますか。その警告決議で「政府は、刑務作業という、行刑施設における処遇の基礎とされ、」——いろんなことをいっぱい書きまして、警告決議をわれわれやっていますね、中身はちょっと違いますがね。それで、大臣はその警告決議に対して善処をするという約束もここでしていらっしゃるわけです。要するに、あのときに大臣がきょうと同じようにそういう調査体制を明確にして、そして本気で取り組んでいらっしゃれば、今回の一連の事件は余り起きてないわけです。まあ起きてたかもしれませんが、対応ができているわけですよ。しかも、その当時の局長さんも同じ局長さんですな、これ。矯正局長さんも当時鈴木さん、同じですね。これ、どないなっておりますまんねん、法務省というのは。  要するに、このわが決算委員会で何回同じことを言っても一つも変わんない。大臣がおかしいのか、大臣を補佐している事務局がおかしいのか、大臣の答弁を書いて持っていく人が同じことを書いて持っていったのかなんか知りませんけれども、非常に私はけしからぬと思うんです。幾らわれわれがここで口を酸っぱくしていろんなことを言ってもどうしようもない。解決しませんよ、本当に。  細かい問題がいっぱいあります。どうしようもない問題がいっぱいありますから、そういうような具体的な問題については私はその刑務所の刑務官の皆さん方が非常に苦労していらっしゃることもわかっているわけです。だからそれだけが悪いとは言いません、われわれもね。それだけに、私はやっぱり法務省の大臣以下皆さん方が本気でこの問題に取り組んでこれを処理しようという決意があれば、もうとうに解決している。  また、きょう実は何で私がこんなことをわざわざ言うかというと、大臣が先ほど御答弁されました。それで、局長もまたこれから調査されるでしょう。しかし、きょうの決算委員会さえ終わればほおかぶりして終わり、何にもなし、また来年の決算委員会のときに同じことが言われる。私はこんなことじゃこれ本当にあかんと思うんですよ。そうじゃなくて、やっぱりこの決算委員会で一つ一つ議論されることは本気で取り組んでいただきたい。そうでなければ、本当にわれわれ一生懸命指摘したりどうこうすることがいかぬと私は思うんです。意味がないとは私言いませんけれども、何遍でも何遍でも直すべきことは直すように一生懸命言わないかんと私思います。意味のないことだとは思いませんが、それでも一生懸命われわれが議論をしていることがむなしくなってしまいます。そういうふうな意味ではこういうふうな問題、これは実はそれだけじゃないんです。行政管理庁にしても、たとえば刑務官の配置の問題にいたしましても、もう何回も指摘をしておるわけです。そういうふうないろんな問題いっぱいあるわけです。ですから、そういうような問題本当はきょうは私の言っていることに対して大臣どういうようにお考えか一遍御答弁をいただいて、これは委員長、理事会を開いて一遍どうするかきちっと対応していただきたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 峯山さんおっしゃることはまさに胸にこたえるわけでございます。しかし、私が一月答えたことといま答えておることは一貫しておるわけでございまして、私自身何とかこれはしなくちゃならぬ、しかしそれは必ずしもすぐ一朝一夕にできることでもないとも私は心得ておるわけでございます。この点はひとつ峯山さんも認識をしていただきたいと思うわけでございまして、やはりいま行政改革も一面においてはやっております。それから、財政がこういうような状況であります。しかし、私の認識から言うならば、もう少しやはりこれは人員を配備すべきではないだろうか。それでなきゃもう限界に来ているんじゃないだろうかという気がしてならないわけです。そのような気持ちを一月も申し上げたわけで、これを変に限度を超して、なおかつ人員を整理しろあるいはどうだとやられたら、もう私は秩序維持ができないんじゃないかとすら私は思った、その気持ちを私はここで申し上げた。申し上げた気持ちはいまもあのときも変わらないわけで、改革しようという気持ちはいささかも変わっておりません。しかし、それがまた一朝一夕にできるとも思っておりません。そこはひとつ私を信じていただきたいと思います。法務省にもいろいろ不如意なところもございましょう。皆様方のおっしゃることをすぐさまやれないというようなこともあろうかと思いますけれども、私は誠心誠意を尽くして、全力をふるって一歩でも前進したいという決意だけはひとつおわかりいただきたいと思います。少し言い過ぎたかと思いますけれども、気持ちだけを申し上げたわけです。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 もう一言だけ。大臣ね、大臣の終始一貫変わらぬというそういう言い方もあるんやなと思って聞いておりましたけれど、それはそのとおりかもしれませんが、大臣がこういう問題を解決するために本気で取り組むというその気持ちは私はわかるんです。何でことしの一月おっしゃったときに、そのことを局長なり何なりにびしっと言っておかないのか。そのときにもっとこういう一つ一つの問題について取り組んでおれば、きょう同僚議員から質問されてもびしびし答弁出てくるわけです。そうですわな。そのときに気がつかなくても、警告決議のときにもうひとつ大臣が決意していらっしゃれば、これはもっともう一歩前進した何らかのものが出てくるのじゃないか、実際ね。そう思うわけですよ。まことに言い過ぎて申しわけありませんが、本当、もうよう事情がわかっているだけにそう思うんです。したがって、これは私もこれ以上はもう言いませんが、本当にこれは大臣、きょう私はいろいろと質問するつもりでおりましたけれども、だんだん意欲がなくなってきましたからこれはできませんがね。しかし、これは本当に指摘された中身というのは、私はたとえばこの間の、一月の委員会における質問の中身、これはもう大臣も聞いておられたから私が改めて言うまでのことはないと思いますが、刑務所で受刑者がつくった品物のいわゆるピンはねですな、言うたら、ある面での。ああいうようなことを職員がやる。それでそのお金をためて、それは悪いことに使ったかどうかわかりませんが、いずれにしてもそういうようないろんな一つ一つの事件というものは全部これはつながっておるわけですよ、ほんま言うたら。だから、そういうふうな事件も今回の一つ一つの事件も、これはこういうことをなくするために本気で取り組む。そして、そのためにはどうしたらいいか、確かに人数の少ないところもあるわけです。またしかし、受刑者がいなくなっているところもあるわけです。ですから、そういうふうな意味では検討しメスを入れるべきところは刑務所の中だけじゃなくて法務省の中にもある、そういうふうに受けとめて、やっぱり全体的な調整をやらないといけないんじゃないかと思っているわけです。  そういうような意味で、さっき委員長に私言いましたけれども、いずれにしてもこの問題は後ほど理事会で検討していただきたいと思います。きょう委員会をストップして検討するまでのこともないと私は思いますがね。しかし、本当にもうそういうふうに本気で思っておるということです。大臣の決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 峯山さんおっしゃるとおりでございまして、一月のときも同様に考えておったのでございますし、もちろん矯正局長にもやかましく指示をいたしまして、二度とこのようなことがないように万全の施策をやれということをやって、なおかつこういうふうなことが出たことについてはまことに遺憾なことだと思っております。  特に、私は受刑者の人たちを社会復帰させるということも非常に大事なことだし、同時に矯正の一つの手段といたしまして作業ということは非常に大事なものなんで、これなくしては恐らくあの人たちを社会復帰させることはできないとさえ思っておるわけなんです。この点につきましても私は非常に重大に実は考えておるわけで、この前ヨーロッパを回りましたときにも、あちらでどういうふうにしてやっておるかということも若干見て回ったような次第でございまして、作業ということは刑務所に服役しておる人たちをむしろ秩序維持を保ち、だんだんまともな人に変えていく一つの有力な手段である。このことに対して、やはり政府としてきちんとして作業を実施させなきゃいけないんだということなんで、それで私がついああいうようなことを強く申し上げました意味は、諸外国の人たちが日本の刑務所を見て実は感心するわけです。これだけの、二千四百人の、しかも暴力団がこれだけおる中に、丸腰で一刑務官が六十人単位でこうやって、よくもおさまっておりますなということなんですね。私はそれを考えるときに、本当に世の指弾を受けておることもわかりますし、そのことはびしっとやらなきゃならぬけれども、何とかこの人たちを本当に一生懸命仕事に熱中させるためにはどうするかということを、実は考え続けてきておるわけでございまして、決して私はそれを怠っておるわけではございません。一日も忘れたことはございません。このことだけはひとつおわかりおきを願いたいと思うわけでございます。  そうして、私だけの知恵で足りないところは、皆様方のこういうことをやればいいんじゃないかという具体的な案をお示しいただきたい。むしろそれを待っておるというようなことでございまして、きょうの真剣な御討議も私は本当に耳を傾けておるつもりでございますので、どうぞひとつ今後も御指導、御鞭撻のほどをお願いいたす次第でございます。

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 峯山委員の御要望については、後刻理事会でお諮りいたしたいと思います。     —————————————

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     —————————————

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 最初に最高裁にお伺いをいたしますが、鬼頭事件、安川元小倉簡裁判事の女性交際問題、東京地裁を舞台としたゴルフ場破産事件、大分の判事補事件など、最近裁判官の不祥事が相次ぎ、司法に対する信頼というものが薄れるという事態を招いていることはきわめて遺憾と言わなければなりません。  そこで、裁判所当局としてこれらの問題に対してどう受けとめ、どのような対策を現在講じておられるのか、まずお伺いいたします。

矢口洪一最高裁判所長官代理者最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま柄谷委員から、近時裁判官の不祥事という御指摘がございまして、私どもといたしましても裁判所及び裁判官の信用を著しく傷つけた問題であるとしてまことに申しわけなく、遺憾に存じておる次第でございます。  私どもといたしましては、そのような不祥事が生起いたしました都度、必要に応じまして事務総局内に調査委員会を設けて、どうしてこういう不祥事が起こったのかといったような原因の究明に努めますとともに、不祥事を惹起いたしました裁判官につきましては、必要に応じて最高裁判所長官から裁判官訴追委員会に訴追の請求をするなど、必要な措置を講じてまいったわけでございます。と同時に、全国の裁判官に対しましては繰り返し自粛自戒を求めますとともに、各人が二度とこのようなことの起こらないように自粛自戒いたしまして、裁判所及び裁判官に対する国民の信頼を回復することに全力を挙げるべきであるということを呼びかけたわけでございます。  先月の三十日に退官いたしました服部前最高裁判所長官及び翌一日新たに就任いたしました現寺田最高裁判所長官、いずれも退任、就任のときに当たりまして国民にごあいさつを申し上げたわけでございますが、その中で不祥事の問題に触れまして、重ねて遺憾の意を表しますとともに、この上はいかなる手段を講じても信頼の回復に努めなければならないという決意を表明いたしております。前長官はその決意半ばで退任することを非常に心苦しく述べられたとともに、現長官は前長官の決意を受け継いでその施策に邁進するという所信を表明いたしたわけでございます。  事務総局といたしましても、長官のこの御決意というものを受けましていろいろの施策を講じてまいっております。裁判所及び裁判官に対する信頼なくしては裁判に対する信頼というものはあり得ないわけでございますので、もうこのことは重ねて申し上げるまでもないところでございますが、そのことのために事務当局といたしましてあらゆる努力を今後もいたしていきたいというかたい決意を持っております。  具体的な施策といたしましては、不祥事の起こります都度その原因の究明とともにこれまで講じてまいったわけでございますが、大きい点を一、二挙げてみますと、事件処理等の手続の問題といたしまして基本的に改められなければならないと考えられました破産事件、これは別の言葉で申しますと非訟事件というふうに申しておりますが、そういった事件の処理について全面的な見直しを行って対応策を改善したということが一つございます。  さらに、結局人の問題でございますので、裁判官の全般的な自粛自戒、その中に、職業倫理をさらに確立するという観点から司法研修所に新たに裁判官研修の専門の部門を新設いたしまして、これまで比較的若い判事補の裁判官それから簡易裁判所判事に限られておりました研修というものを全裁判官に及ぼしまして、中堅裁判官、高等裁判所あるいは地方、家庭裁判所の裁判長クラスの方あるいは支部長クラスの方、そういった方にも研修を行うということにいたしておるわけでございます。  なお、過日新聞にも一部報道されましたが、部外の機構に裁判官を研修に出しまして、社会教育といいますか、まあいまさら社会教育と言われるかもしれませんが、そういった外の世界を見る、そういうことによって自己修養に努めその結果を後輩裁判官にも及ぼしていくというような施策を講じてまいっておるのが現状でございます。  重ねて申し上げますが、私どもといたしましては、失われた信頼というものはそう簡単には回復できないということはよくわかっておりますが、その回復のために今後とも全力を挙げる覚悟でごごいます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 裁判官の失われた信頼を回復するために、いま総長が述べられました対策を進められておる、その成果が上がることを期待するものでございますが、いま申されました対策の一つとして、任官十年から十五年の中堅裁判官二人ずつを、新聞社に一カ月派遣するといういわば部外研修を今秋から実施するということが新聞に報道されておりました。私はこうした試みが、とかく裁判官が他の職業との交流がなくて、司法の分野だけに閉じ込もりがちである、したがって視野が狭いのではないかという一般の批判に対して、裁判官が法律の世界を離れて研修する、それは長期的に見れば私は閉鎖的な裁判所を変化させるという意味で有意義であるということは否定いたしません。しかし、現在計画されているような短期間、しかも年二人程度という少人数で部外研修を行う程度で、果たして裁判官の認識、態度というものが根本的に変わるのであろうかということについては、いささか疑問を持つものでございます。  そこで、私なりに調べてみますと、たとえばフランスでは、司法官の研修所配属期間のスケジーュール編成を三期制に分けまして、第一期十二カ月間はボルドーの研修所で講義、研究指導、セミナー、演述技術指導、グループ討議などいわゆる基礎的修習を行う。その後第二期では十四カ月間、控訴院管轄区域の地方裁判所での実務修習のほかに、準裁判修習として警察、行刑、教育観察、さらに非裁判修習として行政庁、企業、銀行、ヨーロッパ共同体などで修習を実施する。そして第三期で仕上げの修習、卒業試験、任官内定後の配属先の勤務に関する修習を行うという仕組みになっていると承知いたしておるわけでございます。  また西ドイツにおきましても、三年の基礎教育、二年間の実務学習、そして一年間の深化教育という三段階に分けまして、その中間の実務学習では、連邦または州の立法機関、行政、財務、労働もしくは社会裁判所、公証人、労働組合、使用者団体もしくは経済、社会、職業上の独立行政機関、企業、汎国家、国家間もしくは外国部局または外国弁護士のもとで教育を受ける、そのような形をとって裁判官としての広範な識見というものを修習期間中に養っていこうという試みをしておると、こう理解するわけでございます。  そこで総長にお伺いいたしたいわけでございますが、いま直ちにということはこれできないとしても、現在とかく、失礼かもしれませんが、現在起案訓練中心の修習制度というものをこの際抜本的に見直しまして、日本の将来における研修制度というものを改革する必要があるのではないかと私は思うのでございますけれども、そのような視点で見直し、検討を行われる用意ありや否や。まして私は法曹一元のたてまえからしても、本筋としては任用前の修習期間中にそのようないわゆる部外修習を行う、これが筋ではなかろうかとすら思うわけでございます。いかがでございましょう。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいまのまず御質問の中でフランス、ドイツ等の法曹養成の現状についてお触れになりまして、それと関連して日本の法曹養成がどうあるべきかということについてお触れになったわけでございますが、まず、ただいま御指摘になりましたフランス、ドイツ等の養成の問題、私ども必ずしも十分つまびらかにしておるわけではございませんが、ただいま先生御指摘になりましたように、まさにこれは裁判官、検察官、弁護士等になります前の、つまり法曹になります前のその養成過程でのいろんな研修にお触れになったわけでございます。フランスでもいま御指摘になりましたようなことがございますようですし、たとえばドイツなども最近では改正の機運があるようでございまして、ただいま御指摘になりましたようなドイツのやり方も、現状と申しますよりは昨年あたりから幾つかの州で試行的にそういうことが行われておる。たとえばいままでは大学とそれから大学を卒業しましてから試験を受けてさらに養成に進むという、そういう二段階の養成のやり方から、一段階にいたしまして、全部で六年ぐらいをまとめてやろうというふうな機運もあるようで、そういうことで一貫しての教育ということで、ただいま御指摘になりましたようなことをドイツの幾つかの州で試行的にやっておるということも耳にしておるわけでございます。  私どもといたしましても裁判官、先ほど総長申し上げましたようにいろいろこのごろ不祥事も起こっておりますということを考えまして、裁判官の研修、養成についていろいろ検討すべきことがあると感じまして、現在いろいろ検討をしておるところでございますが、さしあたって先ほどお触れになりました裁判官を、最近報道されましたように短い期間ではございますが新聞社へ派遣するというふうなことも、これは裁判官になりまして後のこととしてそういうことを計画してみたわけでございます。この点も実はフランスでも同じようなことがございまして、フランスでもこれは裁判官になりました後たしか八年くらいの間でございますが、その間に合計四カ月ぐらいの研修を受けさせる。そのうちの一つといたしまして、各種の司法機関へ行きますとか行政官庁へ参りますとか新聞、金融機関、航空会社等の民間会社等へも一週間とか十日参りますとかというふうな、そういう研修のカリキュラムがあるようでございまして、そういうことを参考にいたしまして、いわばフランスと同じような形で一応やってみようということにしたわけでございます。確かに短い期間でございますし、非常にわずかの人員でございまして、まずやってみようということで始めたわけで、即効的な効果があるというふうには私どもも決して考えていないわけでございますが、ただ社会を見るということでこういうことを引き続いてやっていきますれば、長い目で見た場合にはやはり何らかの効果があるのではないかというふうに考えておりますとともに、ただいまことし始めました数名の者を新聞社に派遣するということにとどまらず、今回のそういう研修の実施の状況、それから受入先がどういうふうに受け入れていただけるかということをもいろいろ勘案いたしまして、人数それから派遣場所その他、今後ことしの状況等も見ましてますます充実強化、拡充していきたいというふうに実は考えておるわけでございます。  裁判官になりまして以後の養成、研修の問題につきましてはいろいろ計画しておりますが、裁判官になります前の、つまり法曹資格を取得させる前の研修は、御承知のように現在では現在の裁判官養成、検察官養成、弁護士制度と関連いたします。さらに、その前の司法試験の問題、その前の大学の法学教育の問題、いろいろ関係いたしまして、裁判官になりまして以後の研修の問題よりははるかに大きないろいろの問題が関連いたしております。ただ裁判官も検察官も弁護士も同じように現在の司法研修所で二年という、そういう教育を受けてなってきておりますが、それについて検討すべき問題がないかどうかというふうなことになりますと、確かに検討すべき問題はあるわけでございますけれども、いま申しましたようにそういう他の司法試験、大学の法学教育、その他いろいろの問題に関連いたしておりますために、早急にこれをどうするということはなかなかできるものじゃございませんけれども、なおいろいろと検討をさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私もこの雑誌、法律専門雑誌等で外国の実態を知るのみでございます。果たしてそうした先進諸国の裁判官になる前の修習制度がどういう利点とどういうデメリットを持つものか、それをわが国の修習制度と対比してどう改革していくことがいいのか、これは非常に基本的な問題でございますから、いま直ちに最高裁の答えを求めましてもこれはすぐに出るものではない。ただ明治以来伝統的な一つの修習制度という、いわゆる象牙の中に閉じこもるだけで果たして裁判官の信頼回復というものを基本的に改革する道につながるかどうか、こういう点に対しては一考も二考も要する問題だと私は思うのでございます。  また、私はことし初めの決算委員会でも指摘したところでございますけれども、たとえば弁護士経験者、それから行政官、そして企業の法務部などにはいわゆる有資格者というのがたくさんおられるわけでございます。これらを裁判官に深化教育を行い、登用することによっていわゆる多様化を進めるという方法も真剣に検討に値する問題ではないか。いま多くの不祥事件が出ているこの過程で裁判官の自粛・自戒を求め、いわゆるびほう的と言っては失礼でございますけれども、対策を講じ、かつ前長官及び現長官が決意を表明するだけで果たして十分と言えるかどうか、このことに対しましては総長もたとえば先進国に調査に係を派遣をしてその実態を把握して、わが国法曹界にこれを受け入れる余地はないかどうかという実態の把握に努めるなど、この際伝統的な修習制度、これについて基本的にメスを入れてみたいという積極的な意欲だけはきょうお漏らしをいただきたい、お示しをいただきたいと、こう思うんです。いかがです。これは総長からひとつ。

矢口洪一最高裁判所長官代理者最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現在、裁判所も英、米、独、仏等に裁判官を約一年ということで数名の裁判官を毎年派遣をいたしております。現にこれらの裁判官に対してそれぞれの派遣されておる土地の法曹教育というものが現実にどのように行われておるか、そしてまたそれはどのようなメリットとデモリットを持っておるかというようなことを真剣に検討するように申しておりまして、そう急に回答が返ってくるとは思えませんけれども、できるだけ速やかに回答をもたらせということをすでに申しております。ただ逆に、長年の伝統ある法曹養成制度でございますので、早急の改革というものがそう言うはやすく行うはむずかしい問題でございますが、その辺のところも十分踏まえまして、また必要があればこちらから調査団というものを派遣するということもやらなければいけないかと思っておりますが、前向きで検討いたしていきたいと考えております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 その前向きの対応というものが、ただ言葉だけの前向きにならないようにこれは期待をし、また機会を見て発言させていただきたいと、こう思います。御多用だと思いますので、総長は結構でございます。  次に、福岡刑務所の服務者による散弾銃の密造とその持ち出し事件、私も質問しようと思って相当用意してきたんですが、前の二人の同僚委員によりまして深く質問されておりますので、問題をしぼってこの点質問いたしたいと思います。  そこで、まず警察庁にお伺いいたしますが、さきの質問によるお答えでは、福岡検察庁でも警察と緊密な連携をとりながら鋭意調査中である、現在捜査の段階であるのでその内容を明らかにすることはできないと、こういう趣旨の御答弁であったと思うんですが、一応確定的なことは言えないとしても、現在までの捜査段階で、福岡刑務所でこの散弾銃がつくられたという可能性ないしは疑いはきわめて濃いということは言い得ますか。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) 結論的には、現段階におきましてはいま先生が御指摘のような推測を述べる段階には至っておりません。報道されたような形の銃というものは、実は昭和五十五年十一月に福岡県下で発生をいたしました暴力団の抗争事件に使用された手製の銃がございまして、大変今回の報道と類似をする銃でございます。この五十五年の事件につきましては、暴力団が対立抗争いたしまして、双方で死者三名、負傷者七名を出すような大変大きな抗争事件でございましたが、犯人はいずれも検挙いたしまして、手製の散弾銃も押収をしております。これの出所につきましては、当時福岡県警が極力捜査をしたわけでございますが、その抗争に参加した者のうちの射殺をされて死んだ者、これから入手をしたという供述しかなくて、当時は捜査がそこで行き詰まっておったものでございます。今回のこのような一連の報道に基づきまして、警察といたしましても検察庁あるいは刑務所当局と緊密に連絡をしながら、前回の抗争事件の容疑者、被疑者、これらにつきまして現在鋭意再捜査を進めておるところでございますが、いま御質問のように、ある程度この報道が真実であるかどうかの見通しがついたかという点につきましては、現段階におきましてはまだそこまでいっていないというお答えをせざるを得ないものでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 精力的に鋭意捜査を進められまして、これはきわめて重要な問題でございますから、その事実が速やかに明らかになることを期待しておきたいと思います。  そこで私は、作業指導員による物品持ち込み等による不祥事件、昭和五十三年以降三十二件、これに対する今日までの監督官庁たる法務省の対応が不十分であった、しかも峯山委員からの指摘もございましたように、当決算委員会の指摘にもかかわらず今回の事件を契機として初めて実態調査の把握が始まる。これは大臣の決意とはうらはらに、今日までその大臣の決意が具体的に生かされていなかったということを物語るものでございまして、私も前二人の委員ともども、このことに関しましてはきわめて遺憾であり残念であるという意思をこの際表明しておきたいと、こう思います。  そこで、九月二十七日付のこの毎日新聞夕刊で、福岡刑務所の現職刑務官が毎日新聞記者とのインタビューに応じまして、規則どおりやっていたら暴力団から家族ぐるみで殺されるとおどされた、暴力団幹部から高級クラブでもてなしを受けたり忘年会に招待されたことがある、それは実態上誘われたら断り切れないということもあるんだという点も告白をして、今回の不祥事件の背景と指摘される刑務官と暴力団との癒着の実態というものを報道したというきわめてショッキングなマスコミの記事がございました。私もきわめて厳しい環境のもとで職務に精励しております刑務官の実情をよく知っております。しかし、ただいままでの質問であきらかにされましたように、たとえば福岡刑務所の場合、受刑者千四百五十人のうち三一・五%が暴力団員である。準構成員を含めれば六割近い暴力団関係者で受刑者が占められておる。しかもその大半が地元出身者であり、三分の二がしかも累犯者である。こういう実態の中で、刑務官の必死の努力にもかかわらずこういう事件が生まれてくる背景というものがあるんだという実態は、この毎日新聞の報道の正否は別として、問題点を浮き彫りにさしていると私は思うのでございます。  そこで、この問題の背景を取り除くといいますか、是正するために、ただいままでは受刑者の服務場所について、本人と家族とのきずなを考えることは必要ではあるけれども、しかし現在の大半地元というこの制度についても見直す必要があると、こう局長は答弁されました。私はそれも一つの大きな検討の課題であろう、こう思うんですが、もう一つここで考えなければならないのは刑務官の人事でございます。上級者は二年ごとぐらいで大体転勤しておるのが通常だと思いますが、下級者という表現はどうかと思いますが、一般の看守、刑務官の方々はほとんど転勤がない。いわば土着的、閉鎖的人事が行われているというのが実態ではないか。こうした人事の実態が下級刑務官の地元暴力団の圧力というものに抗しきれないという一つの要因を生んでおるとも思いますし、また、二年ごとに転勤していく上級者が一線の刑務官の苦しみ、悩みというものを本当に把握できておられるのであろうかどうか。この告白の中にも上級者には報告をした、しかしそれ以上の対応はなかったということがここへ書かれているわけですね。  こうして考えてみますと、受刑者の服役場所の検討とあわせて人事のあり方というものも一応メスを入れる必要があろう。さらには法務大臣も二十四時間スクランブル発進に備える自衛官よりも厳しい条件下の勤務である。とするならば、果たしてその刑務官の待遇というものがその厳しい勤務の条件というものにマッチするものかどうか、この面の検討も必要であろう。私は、禍を転じて福となすという意味で、これらもろもろの問題について法務大臣としての真剣な取り組みと、そしてその対策の確立というものがいま求められていると、こう思うものでございます。まあ自民党の総裁選が近づきまして、坂田法務大臣引き続き法務大臣をやられるかどうかこれわかりませんけれども、私は、仮に大臣が更迭されましても、これはきわめて重要な申し送り事項として法務大臣の責任において解決しなければならない問題であると思考するわけでございますが、大臣の決意だけ一点をこの際改めてお伺いしておきたい。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 柄谷先生のいまの御指摘は私も全く同感でございます。そういう視点で、実はいま当面の問題、長期的対策をどうするかということを考えておるわけでございますが、まず第一にやっぱり人事の問題、おっしゃるように、現場のあの刑務官の人たちとこれをコントロールしておる上の段階の人たちとに意思の疎通が十分行われているだろうか、形式的には行われているに違いないけれども、その実態あるいはいま背負っておる人たちのその本当の生々しい気持ちが果たして伝わっておるだろうかということは、ちょっと私も先生の御心配のような気持ちを実は持っておるわけでございます。したがいまして、ここをやっぱりよく今後は現場の人たちの話を聞くようにと言って実は局長にやらせていまおるところでございます。現場のまず一番さしあたり府中の所長を呼びましてその実態を聞かせたところでございます。やはり実態把握ということがまず第一、それはやはり人事に関連してくると、こういうふうに考えます。  それからまた、これは局長からも答弁いたしましたとおりでございますが、服役場所の問題、これも将来の矯正の教育あるいは社会復帰ということを考えれば、やはりその家族から近いところということがこれは原則かもしれません。しかしながら、こういうような実態を考えますときには、いま少しこの点は考えなければいけないんではないだろうかというふうに思います。  それからまた待遇の点につきましても、かなり刑務官に対しましての処遇は普通の者、公務員よりも待遇はされてはおると思いますけれども、しかしたとえば休みをとるとか、休養をとるとか、それからまた全体の人員ですね、受刑者の人数に対しての、これが果たしてこれでいいのかどうなのかというような問題、それからもう一つは、先ほど申しましたように、かつて四十五年ごろ、十年前はこの構成比が大体二十歳代が二五%、三十歳代が二五%、四十歳代が二五%と、こういうふうになっていたわけです。それがだんだん三十歳代の一番中堅のところが細くなってきておる、しかも若いところはやめる率が多くなってきておるというようなことを考えますと、やはりこのバランスを保つような努力を数年かけてやらなきゃいけないんじゃないか。そうしなければ、あそこの秩序維持はできないんじゃないだろうか、あるいはいろんな脅迫等に対して対抗できないんではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、先生の御指摘は全く私同感でございます。これをどうやって具体化するか、私は、私がおるにせよやめるにいたしましても、これを引き継ぎの重要事項として次の方にもお願いをして、数年の後にこのようなことがもう起こらないような体制を打ち立てたい、かように考えておる次第でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 次に、商法改正中の利益供与禁止条項について若干の質問をいたします。  商法改正中の利益供与の禁止、すなわち第二百九十四条の二と第四百九十七条は、いわゆる総会屋の排除を目的として寄附を禁止するという趣旨でございまして、政治献金、株主の権利行使と関係のない一般寄附ないしは正当な広告の掲載等については何らの制約を受けない、こういう趣旨と理解してよろしゅうございますか。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) ただいまおっしゃったとおりでございまして、二百九十四条の二という条文は、あくまでも「株主ノ権利ノ行使二関シ財産上ノ利益ヲ供与スルコトヲ得ズ」と、こういうことになっておりますので、株主の権利の行使に関係のない財産上の利益の供与は、二百九十四条の二、ひいては四百九十七条に関係のないことでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 警察庁は、この商法が十月一日から施行されたということを契機にこの問題について行政指導を行っておられると、こう漏れ聞いておりますけれども、第一線に対してどのような指導をしていらっしゃいますか。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) 商法を警察庁が所管しておるわけじゃございませんので、商法の施行そのものについての行政指導ということにはあるいは当たらないのではないかと思いますけれども、警察といたしましては、犯罪の捜査、予防等の事務を所管しておる関係上、従来から総会屋が企業に対しましていろいろな口実を設けて金品を要求する行為、このような行為につきまして、犯罪の予防あるいは捜査、あるいは企業の相談に乗っておる、指導しておると、こういうことをやってまいりました。今回の商法施行に際しましても、いろいろ企業からも相談がございまして、従来の総会屋が今後商法の規定に違反してそういった利益の供与を要求してくる場合に、どのように企業が対処をしたらいいか、あるいはまたそれを拒絶した場合にいろいろな被害を受けるおそれがある、そういう場合に、警察はどのように対応してくれるのかということにつきまして、いろいろ不安を持っておるようでございますので、そういう点につきまして不安のないように、自信を持ってそういった違法な供与を行わないように、また商法に関係なくとも、恐喝事件等につきましては、被害があった場合には積極的に届けるようにというような指導を各県警に行わしているところでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 いま趣旨と警察庁としての指導の内容はお伺いしたわけでございますが、私のところにいろいろ来ます陳情、要請等を聞いておりますと、たとえば具体的な会社の名前を挙げることは避けたいと思うんですが、わが国において伝統あり、しかも権威をもっておるたとえば経済誌等においても、将来は復活しますよという約束は与えられたものの、一時商法改正実施を契機に広告の掲載は打ち切らしてもらいたいという要望が来たと。これはマスコミにかかわる会社としては営業活動に重大な支障を及ぼすので困っているとか、また私も職掌柄政党の役員もいたしておりますけれども、政党の正規の定期刊行物に対する広告掲載についても、いわば商法改正に籍口して拒絶を受けるなどの事態が生じつつあるわけでございます。これは民事局長の言われた法律改正の趣旨とも逸脱するものでございますし、また警察の指導とも逸脱するものであると思うんです。われわれは総会屋が会社に対して議決権の行使に関連し、または株主でないのに何らかの口実を設けて金品の供与を強要しておる、そういう社会的弊害を排除するという趣旨から商法改正に賛成したものでございます。また、今後総会屋が商法改正を機に雑誌社や政治団体に衣がえをして財産上の利益の供与を強要し続けるということにつきましては、これは厳にチェックをし、排除していかなければならない問題である。しかし、それが行き過ぎて正当な政党の政治活動や、またマスコミ等の営業活動にまで及ぶということが生ずるとするならば、これは本法改正の趣旨とは異なると断ぜなければならないと、こう思います。  そこで、法務省としていまのような問題について今後具体的にどのような指導をされますか、あわせて警察庁からも同様の答弁をいただきたい。時間の関係がありますから簡潔で結構です。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) 確かに実質は株主権の行使に関する利益の供与でありながら、あるいは広告料名義に、あるいは印刷物に対する講読料名義に偽って仮装して金品を受け取るというような例もないわけではないというふうに考えておりますので、その辺の事実が果たして株主権の行使に関する利益の供与であるかということの判断は、個々のケースごとにしなければならないわけでありますが、法律の趣旨はあくまでも二百九十四条ノ二にいたしましても、四百九十七条にいたしましても、株主権の行使に関するものに限って規制の対象にしておるということを私どもは機会あるごとに申し上げておる次第でございます。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) 株主権の行使に実態として関する供与ということにつきましてはいまの御答弁のとおりだということで、警察庁としても都道府県警察を指導しております。  もう一つの問題は、商法の直接の問題ではございませんが、先ほど先生が御指摘になりましたようないろいろな口実を設けて企業から金品を獲得しようとする動き、こういうものについての指導でございます。これにつきましては、本来寄附とかあるいは新聞の購読料とか広告の掲載料というものは、そういうことをする企業の側が自由な意思に基づいて行うべきものでございまして、この意思に反してそういった金品を獲得しようという行為につきましては、警察は今後とも恐喝罪の容疑をもって監視をしてまいらなきやならないというふうに思っておりますけれども、決して行き過ぎた指導をしてそういったごく正常な寄附なり購読料なり広告料の請求についてまで、行き過ぎてこれを介入していくというようなことは毛頭考えておりません。いま申し上げましたようなことでございまして、中には雑誌社とか新聞の方面から、こういうものについては寄附してもあるいは購読料を支払っても広告掲載料を支払ってもいいというようなことを線引きをしてくれないかというような問題提起もございますけれども、警察といたしましてはそのようなものは本来広告なり購読なりをする方の自由意思の問題であるということで指導をしておるところでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 次に、政治倫理の確立についてお伺いしますが、まず大臣にお伺いいたします。  法務大臣はことしの春の衆議院予算委員会でわが党の大内議員の質問に対しまして、ロッキード事件の捜査処理に関する中間報告、これは五十一年十月十五日でございますが、それに続く五十一年十一月二日の秘密会における安原刑事局長報告を踏まえて、検察当局の捜査については信頼しておるという旨の答弁をされました。くどいようでございますが、改めて法務大臣にお伺いいたしますが、捜査当局に全幅の信頼を置くというお気持ちにはお変わりございませんか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 全く変わりはございません。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 そこで、ロッキード事件三十ユニット関係の判決書、これ相当分厚いものですが、これが九月三十日に印刷、発表されました。私はその全文を入手いたしましたので、この際改めて灰色高官の政治的、道義的責任についてお伺いをいたしたいと、こう思うわけでございます。  稲葉法務大臣の五十一年十月十五日、ロッキード問題に関する調査特別委員会における捜査処理に関する中間報告、これでは三十ユニット中二千三百万円について国会議員五名について金員の授受があったと、こう明記いたしております。そこで、特別委員会の要請に応じまして政治的、道義的責任に関する国政調査に協力する、こういう趣旨で十一月二日に秘密会が開催されまして、その場で安原刑事局長は、国会議員五名とは田中角榮、佐々木秀世、加藤六月、二階堂進、福永一臣という五名であるという具体的名前を明らかにいたしました。資金が手交された状況を明らかにされたわけでございます。そして、検察当局はその捜査結果を踏まえて公判に臨み、論告求刑においてもこの事実関係を明らかにしておられます。  そこで、ここでお伺いしたいんですが、この秘密会における安原刑事局長の話を全部見ますと、全部こういうことになっているんですね。これを認定した理由は、証拠関係は「ロッキード事件の捜査の過程において得られた資料、すなわち全日空関係者及び丸紅関係者の供述と米国における嘱託証人尋問の結果」——そこに「等」と入っているんですね。「等」に徴してこの「認定がなされた」ものでございますと、こう報告されております。したがって、この「等」という中には何らかこの供述を裏づける物的証拠というものが含まれているのかどうか、この点をお伺いします。

前田宏法務省刑事局長

○説明員(前田宏君) まずお断りでございますけれども、いま御指摘の五十一年の十一月二日のいわゆる秘密会のことでございますが、これはやはり秘密会ということでお話をしたということでございますので、その点を念のために御理解を賜りたいわけでございます。したがいまして、私どもの立場といたしましては、そのことについて詳しいことを申し上げかねる立場にあるわけでございますけれども、その後いま御指摘のように、いろいろ裁判の過程でそのような事実関係について触れているところがございますので、そういう観点を踏まえて若干の御説明をさしていただくわけでございますが、いま御指摘のように、問題の案件につきましてはいわゆる金の流れに関与した方々が何人かおるわけでございます。そして、そういう方々の供述の一致しているというようなことが大きな直接的な裏づけになるわけでございますけれども、やはり供述だけでは十分でないというような面もないわけではないわけでございまして、そのすべてについて直接的にいわゆる物的証拠というようなものはこういう事案の場合にはなかなかないのが通常でございます。しかし、いろいろな関係者の供述等がございます場合に、それの部分、部分につきましてその供述を裏づけるような状況があるということがその供述の真実性、信用性の支えになるわけでございまして、そういう意味での間接的な裏づけというものは当然あるわけでございます。本件について申しますと、すでに柄谷委員も判決書をごらんいただいているようでございますが、いま申し上げましたような意味での直接的な物証、たとえば殺人罪の凶器というようなものはもちろんないわけでございますけれども、供述の部分、部分を裏づけるような意味での証拠といたしまして、たとえば議員会館の面会証であるとか、あるいは名刺であるとか、そういうようなものが、断片的なことになりますけれども存在しているわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 大臣にお伺いいたしますが、大臣は捜査当局に対して全幅の信頼を置いておると、こう述べられました。その捜査当局が特別委員会で中間報告をされました。中間報告には、灰色高官に対する金品の授受があったと認定されております。しかも、きょうは時間の関係でこの判決文の関係個所を読むのは省略したいと思いますけれども、この判決書によりますと、二階堂、加藤に対する現金の授受に関して伊藤、副島証言は「十分信用に値するもの」とこういう認定を下しておるわけでございます。ということは私は、三権分立下における裁判所も両氏に対する現金授受の事実を肯定いたしまして、捜査当局が行いました中間報告が正しかったということを裏づけたものと受け取るのがこれは常識であろうと思うんですが、大臣の認識も同じでございますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) これはいま刑事局長から答弁いたしましたとおりにお受け取りいただきたいと思います。私といたしましては検察当局を信頼いたしております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私はこれ非常に意図を含まず客観的に見れば、捜査当局が国会に対して、政治的、道義的責任を明らかにする資料にしたいという委員会の要請に基づいて、現金授受の事実はあったと、こう報告された。裁判所も、直接のこれは被告人ではございませんけれども、その橋本、佐藤両氏に対する論告、求刑の中に、その一部分として、二階堂、加藤両氏に対する金銭授受に関する証言はいわゆる真実性ありと、こういう判断を文書の中で示されたわけですね。したがって私は、この中間報告の真実性というものが判決書の中で裏づけられた、こう受けとめるのは当然だろうと思うんですね。  そういう現段階において私は、大臣が両氏に対する、いわゆる灰色高官に対する現金授受の事実があったということが、捜査当局の中間報告が司法により認定された、したがって現金の授受はあったとこの際明確にされることが、私は政治倫理確立の出発点にならなければならない。そのことに対して異論があるならば、証人喚問等の中で堂々とその事実を述べられればいい。それなくして現金授受の事実がなかったと言うことは、私は司法といわゆる捜査当局に対する挑戦である、こう受けとめて大臣はもっと怒らぬといかぬのではなかろうかとすら思うのでございます。  この問題はもっともっと判決文をひもといてやりたいわけでございますが、時間は守りたいと思います。その大臣の認識をこの際明らかにしていただきたい。それを承って、私はまた機会を改めて判決文一項一項をひもときながらその事実の究明に当たってまいりたい、こう思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 先ほど申しましたように、間接的には多少そのようなお話もあるかと思いますけれども、直接的にはそういうことは言ってないというふうに私は受けとっておるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 公安調査庁の調査官の詐欺事件についてお伺いをいたします。  東京の開業医から現金三千万円をだまし取った山梨地方公安調査局係長の鈴木美晴、それから関東公安調査局調査第一部第二課長補佐の沼尻佶、この両名ですが、八月三十日と九月三日に詐欺容疑で逮捕され起訴されております。この事件は、職場の上司とそして部下の関係にあった者、こういう者が結託して、しかも公安調査庁職員の肩書きを使うという形で組織的に行われた犯罪だというふうに思い、大変悪質であろうというふうに思っております。  過去にも国会で再三にわたって公安調査官の犯罪的行為が追及されておりますけれども、今回こういう不祥事件を起こしたことについて、法務大臣とそれから公安調査庁の長官は一体どのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか、御所見をまずお伺いいたします。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 公安調査庁の職員が今回のような不祥事を起こしましたことについては、まことに遺憾に考えておる次第でございます。今後このような事件が二度と起こることのないように、職員の管理と指導に努めなければならないと考えておりますし、公安調査庁長官にそのことも指示しているところでございます。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) 当庁の職員が今回の不祥事を起こしたことにつきましては、まことに遺憾に存じておるところでございます。    〔委員長退席、理事本岡昭次君着席〕 二度とこのような不祥事を起こさないよう職員の指導監督に一層注意してまいりたいと存じます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 鈴木美晴ですが、これは過去に国会で名指しで、違法な調査をやったと追及をされております。それは昭和四十八年六月十三日の衆議院の法務委員会、私どもの正森委員が質問をいたしております。  これは四十八年二月十日に、参議院の職員に対して、Mという人ですが、この奥さんの実家に行って、結婚詐欺——結婚詐欺というのは、これは公安調査庁の調査する権限外の仕事だと思いますけれども、そういう件でこのMさんの仲人の住所を教えてくれと言ったと。お母さんが何も知らないので住所を教えた、そういうことを手がかりにしていろいろな調査をやっているというふうなことを挙げまして、これは破防法の二条、三条の精神から言っても許されないことだというふうに追及をいたしております。それに対しまして当時の川井公安調査庁長官は、よく調査をした上で、適当な判断と、適当な措置を講じたい、こういうふうに答弁をなさっておられますが、どういう措置を講じられましたでしょうか、お尋ねいたします。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) いまの問題につきましては、本日、御指摘がなかったものですから調査してまいっておりませんので、改めて調査した上でお答えいたしたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 とんでもないことでしょう。私が何もやっていない人のことをいきなりここでお尋ねしたんじゃなくて、これだけ世間を騒がせている、大不祥事を起こした人の過去もお調べにならないんですか。こういう事件が起こったときに、過去どうであったかというふうなことはきちんと調べるのがあたりまえではありませんか。そういうこともなさらないというのは、国会で追及をされてもあなたたちは、答弁をそのときすればそれでおしまいだというふうに思われるのか、あるいはこういうふうな破防法二条、三条の精神、これを踏みにじるような違法な接触の仕方をやって、調査の仕方をやっても、それは局内ではあたりまえのことなんだと、こういうふうに思っていらっしゃるか、どちらかとしか思えないんですが、なぜこういうふうな態度をおとりになっていらっしゃるんでしょうか、重ねてお伺いいたします。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) まことに御非難ごもっともでございますが、確かにこの鈴木のことにつきましていろいろ前歴等の調査も行っておったわけでございますが、調査の不備でございますか、その点についての記録が私のところに上がっていなかったということでございまして、改めて調査の上お答えいたしたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私は、そういうふうに一つ一つのずさんなやり方というのが今回の事件を引き起こしたと思うんです。今回の事件につきまして、両名の起訴、それから懲戒処分でこういうふうな事件は終わったとお考えなんでしょうか。    〔理事本岡昭次君退席、委員長着席〕 事件の再発をさせないというふうにおっしゃいましたけれども、そういう再発防止とか管理責任、この追及についてはどのようになさるおつもりなんでしょうか。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) 確かにこのような事件ができたことにつきましては、職員間の特に監督者の監督不十分によるところが大であろうと考えまして、現在、当時の監督者につき監督の実情、問題点等を調査中でございまして、これらにつき、それが明らかになり次第、監督者についての監督責任をとらせる予定でおります。  なお、そういった監督のあり方にかなり問題があったのではないかということで、それらの調査の上で恐らく問題点が出てくると考えておりますので、これについてその具体的な監督指導のあり方につき具体的な指示を出したいと考えております。  なお、この十月一日にとりあえず八公安局の局長を集めまして今回の事件を知らせると同時に、監督上問題があったと思われるので、その部下の監督になお一層注意を払うよう指示したところでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 今回の事件の経緯、これを見てみますと、起訴された両名はもちろんですけれども、私は関東公安調査局の幹部、この態度にも大変重大な問題があろうかと思います。鈴木の場合ですけれども、昭和五十四年から五十五年にかけまして開業医から三千万円だまし取っておりますけれども、さらに昨年の五十六年に新宿の喫茶店主からも五百万円をだまし取っております。これで追起訴をされております。関東公安調査局は、鈴木がこれらの事件をそれぞれ引き起こしたということをいつお知りになったでしょうか。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) まず、吉田医師の三千五百万円の件につきましては、昭和五十六年、昨年の十一月でございます。五百万円の件につきましてはことしの一月ごろというふうに承知しております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 追起訴されております喫茶店の件ですが、この詐欺事件について検察庁、お伺いいたしますが、どのようにしてお知りになりましたんでしょうか。これは過去に告訴でもあったのでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○説明員(前田宏君) 御指摘の事件につきましては、委員も御案内のとおり、両名とも捜査を遂げまして、公判請求をし、現に裁判が裁判所に係属中でございます。まだ立証にも入っていない段階でございますから、内容につきまして余り詳しいことを申し上げるわけにもいかないわけでございますので、その点も御理解いただきたいわけでございますが、私ども承知しておりますところでは、いまのようなお医者さんとの関係等で両名が逮捕されたというふうなことから、別ないまの御指摘の件につきましても、被害者から申告があったというようなことが理由で発覚したというふうに承知しているところでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 今回の事件があって、それを知った被害者が届け出してきたと、こういうことでございますか、そう承っていいんですか。

前田宏法務省刑事局長

○説明員(前田宏君) ただいま申し上げましたのもそういう趣旨でお答えしたつもりでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 少なくとも昨年の十一月、そしてことしの一月、関東局で鈴木が官名を利用して詐欺行為を行っているという、こういうことは十分に承知をされているわけです。それなのに、引き続き埼玉とか山梨とか、地方の公安調査局の第一線の調査に当たらせるというふうなことは、常識では考えられないことです。こういうことをなぜなさっておられたんでしょうか。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) 確かにこのような事実があったということを知ったのは、先ほど申したとおりでございますが、関東公安調査局におきましては、直ちに吉田医師から事情を聞き、鈴木、沼尻からも事情を聞いたわけでございます。ところがその当時、この鈴木、沼尻、これはいずれも全くそのような事実がないというふうに極力否定いたしまして、そればかりか吉田医師はむしろ誣告をしていると、誣告罪で訴えるんだというような、強い否定をしていたわけでございます。関東公安調査局では、関係者等について事情を聞きながら、その被害者の言われる詐欺の事実があったのかどうか、これは懲戒処分にかかわる非違行為の存否を確定するために調査を続行していたわけでございまして、その調査の過程にあったということでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 刑訴法の第二百三十九条二項「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」、確定する以前にそういうことを思料するときは告発をしなければならないと、こうはっきりなっております。だから私はもっと真剣に、過去にも国会で名指しをされた人であると、そういうことがあれば、そして今回のこういう告発があれば、当然こういう方は第一線の仕事から退けて、思料するときは告発をするという厳正な態度に立たれてあたりまえであったのではなかろうかと思います。この両方の事件とも公安調査官、こういう権限をちらつかせておりますね。そういう人が山梨に転勤した。ことしの四月に、またまた山梨の勤医労ですか、この石和リハビリテーション病院、ここに行って法務省の者だと、こういうふうなことを名乗ってスパイ工作を行って抗議を受ける。もう事件を重ねているということは、これは本当に常習的にこういうことを行っている人だというふうに思うわけです。それもやっぱりなれ合い的に、いろんなことを部下の犯罪は隠してしまおうというふうなやり方をやられてきたからこそ、こういうふうな事故がどんどん起こってくるというふうなことになったわけでしょう。私はなぜ刑訴法の立場にはっきりとお立ちになれなかったのかと、そのことを重ねてお伺いしたいです。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) 刑訴法の規定はよく承知しているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、犯罪があったのかどうかということを関東公安調査局としてはまだ判断できなかった。かなり調査に当たった人たちは疑問を持っていたわけでございますけれども、それを断定するまでには至らなかった。その調査の過程において告訴が出されたということが明らかになりましたので、その捜査結果を待たざるを得ないと判断したのでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 誣告罪でっていうふうなことをおっしゃっておりながら、別に誣告罪で告訴もされていないわけでしょう。だから私は何とおっしゃろうと、やっぱしそれは言いわけにすぎないと思います。  私、管理監督の責任でさらにお伺いをいたしますけれども、ことしの四月に被害者の医師から事件を告訴された。その二カ月後の六月二十四日、鈴木らの上司、関東公安調査局の長沢潔第一部長ですね、この方が告訴した医師を訪れておられます。この件が明るみに出ると、鈴木はやめざるを得ない、退職金も少ないし、乳飲み子を抱えて路頭に迷うことになる、何とか告訴を取り下げてください、お願いしますと、こういうことを言って、告訴を取り下げるように要求をされております。これは明らかに事件のもみ消し工作、しかもこの長沢第一部長というのは検事のはずです。刑事事件について公訴を行う、そして裁判所に法の適正な執行を請求すると、こういう立場にある検事の方が、刑事事件のもみ消しに奔走する、私は許されないことだと、言語道断だと思います。監督責任について現在調査中だとおっしゃいましたけれども、こういうことも含めて、じゃ調査中でございますか、お伺いいたします。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) ただいま御指摘の点でございますが、私どもがただいままで調査した限りで理解していることとは多少違うようでございます。と申しますのは、吉田医師の方から昨年十一月に届け出があったときに、このようなけしからぬことをしている者がおたくの職員の中にいると。このような者が公務員として働いていることはまことにけしからぬので、大至急調べてやめさせてほしいというのが申し出の趣旨であったそうでございます。御指摘のように、それは単なる非違にとどまらず、犯罪行為にも当たる行為でございますので、これについて調査を進めていたわけでございますが、先ほど申したようなことで、公安調査庁の調査の力ではこの否認の状況で事実の究明ができない。そこで結局これは捜査機関にゆだねざるを得ないということをお話ししたこともあるやに聞いております。そのような中で、鈴木の方から、自分としてはそのような事実はしていないけれども、いろんなことで役所に迷惑をかけたので、この際、任意退職いたしたい、辞職したいという申し出があったわけでございます。しかしながら、御承知のようにこのような非違事件の疑わしい状況で任意退職を認めるわけにいきませんので、ただそういった申し出があったことを吉田医師の方にお伝えするとともに、申し出があっても現時点ではやめさせることができないというようなこと、なおその際、鈴木の方で吉田医師との間でこの事実関係についてはよく話し合ってみたいという申し出があったので、その意向を伝えに出向いたというのが趣旨であったというふうに報告を聞いているわけでございます。したがいまして、われわれとしては検事である一部長がそのようなもみ消しの意図で出向いたというような事態は全くないものと理解しているわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 それでは、重大事件で、もみ消し工作というのはこれは実名で新聞報道もされているわけです。ということは、重大な名誉棄損です。これは公安調査庁にとりましてもこういうもみ消し工作をしたと思われることは重大なことではありませんか。私は、名誉棄損でお訴えになるのかどうか、そのあたりもお伺いしたいです。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) その点についてはこれまで考えておりませんでしたけれども、御指摘ですので、一度検討をしてみたいと考えます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 ばかにしないでくださいね。名誉を棄損されて怒るのは本人であるおたくの方なんでしょう。私はそんなことを平気でいままで考えてもみなかったと御答弁なさることにびっくりいたします。私は、やっぱりもみ消しをしていて、それをまたもみ消す答弁をなさっているとしか思えないわけです、そういう態度をおとりになるとね。いままで私は、犯罪行為を行ってきたと、国会で何度も追及したと、しかしいろんなことをやっても結局は上司がもみ消してくれると。そうすれば何をしても大丈夫だというふうなことで、そういう体質が公安調査庁の中にしみ込んでしまっている。だから今回の事件も起こってきたと。今回の事件の根本原因というのは私はそこにあると思います。国会で指摘されたときには知らぬ存ぜぬで押し通すと。先ほど私が正森委員の国会の追及、これを申し上げましたけれども、これについても、こんな事件が起こっているにもかかわらず本人の過去をちゃんと調べてみようともなさっていないと。国会を軽視なさっているのか、それはもう国会で答弁すればそのままでよいか、あるいはいいことをしたと思っていらっしゃるのか、それは知りませんけれども、私はどちらにしても無責任な態度であり、犯罪を隠蔽していく態度であろうと。犯罪を調査するという、一応そういうたてまえになっている官庁としては大変私は許せない態度だというふうに思います。疑惑というのは徹底的にやっぱり追及する、そして管理者とか監督者の責任を明確にして、やはりそこに責任があるというふうなことになれば厳重に処分をする、そういう立場にお立ちになるべきだと思いますけれども、こういうふうな反省に立って、再び不祥事件を起こさないような根本的な措置を大臣おとりになるでしょうか、お伺いいたします。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) もう何とも申し上げることができません。本当にまことに遺憾なことでございまして、二度と再びこのようなことが起こってはならないし、また十分私も監督を行き届かせるつもりでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 さらに調査官が調査対象に接近するに当たりまして、この鈴木という方が四十八年に国会で追及されたときにも、大変詐欺的な形で近づいていると。そして身分を偽って近づくというケースが大変多いと。公安調査庁としてはこういうことを容認されておられるんでしょうか、お伺いをいたします。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) その具体的な事例を承知していないので抽象的なお答えになって恐縮でございますが、われわれの仕事の性質上、最初のうちから公安調査庁の職員ということで出向いた場合に、御協力を得られない場合が多いわけでございまして、やむを得ずある種の仮称を用いたりするということがあるわけでございまして、これはある程度やむを得ないものと承知しているのでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 何がやむを得ないんですか。そういうことは法を踏みにじる態度ではありませんか。破防法の三十四条、「公安調査官は、職務を行うに当って、関係人から求められたときは、その身分を示す証票を呈示しなければならない。」と、こういうふうにはっきりなっております。そして協力を得られないというふうなことで人をだまして、そして詐欺まがいの行為で接近していく、そして脅迫あるいは買収、スパイ行為の強要と、こういう犯罪の繰り返しの中でしかあなた方の調査活動というのでしょうか、そういうものが行えないというふうな仕組みになっているという、こういうことが犯罪を犯しても何とも感じない、もう官庁ぐるみ何とも感じないという麻痺体質ができ上がっていて、今回のようなことが私は起こってきたと思うんです。私はしかもこれが組織ぐるみで行われてきたということを申し上げたいのです。それはゴルフの問題、これも報道されておりますので詳しくは申しませんけれども、五十五年の三月の連休に千葉県の野田市の川間カントリー、こういうところで関東公安調査局の課長の送別コンペが行われたときに十六人分の費用十三万円、これを医師に払わせるとか、あるいは五十四年の暮れには鈴木が、赤羽近くには公安調査庁の駐車場がないから世話をしてくれと、一カ月一万四千円の駐車場を半年間にわたって契約してこれも払わせるとかと、こういうふうに本当に官庁ぐるみでたかり行為をやっているというふうなことについては、本当に怒りにたえないわけなんです。こういうことも御存じでこういうことも調査をなさっているのかどうかということが一点です。  それから今回の事件を引き起こした鈴木という人は、参議院の衛視だったというふうなことなんですが、いろいろな経歴を経ておたくの職員に採用が決まっているというふうに思うんですが、そこで資料をお出しいただきたいのです。上級職を除きまして公安調査庁の調査官の全体の構成について年齢別、学歴別、それから前職別の資料の提出をお願いをいたします。  先ほどの御答弁を求めまして、私これは大臣にもよく聞いていただきたいのですけれども、まあいままでの御答弁を聞いておりますと、口では申しわけないとか、そういうようなことはおっしゃいます。しかし過去の問題どれ一つとってもきちっと処理もなさっていらっしゃらない。そしてどこに原因があるのかという、そういう私は真剣な反省もないと思います。そもそも公安調査庁というのが根拠法たる破防法、それが憲法に基づく国民の自由とか権利を抑圧すると、こういう違法なものだから、その捜査方法、調査方法というのもやはり国民生活に何らの益がないばかりか、それを破壊すると、そういう活動しかできないというふうになっていると思うんです。しかもいま政府は行革を口にしております。ところがこういう組織に依然として二千人もの定員、それから百十八億円、ことしはさらにそれをふやして百二十億、人員もさらに増員を要求しておりますけれども、行革どこ吹く風なんです。これは世間でもそういうことは通らないというふうなことで、今回の事件を報道した週刊誌で週刊ポスト、これでは公安調査庁そのものが時代おくれのシステムだ……

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 安武君、時間が来ておりますから結論を急いでください。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 「行革の対象とせよ」というふうに言っておりますし、「「暴力活動を目指さない共産党を、ザル法ともいえる破防法で規制なんてできない」の言を待つまでもなく、その現在的存在意義を問われている公安調査庁は「治安の抑止力」か「時代の遺物」かを洗う。」というふうにリードで書いてあります。それから公安調査庁という情報官庁は、国家に対して暴力的破壊活動を行う可能性のある団体として、いまでもまじめに日本共産党と在日朝鮮人総連合会を考えていると、こんなアナクロとしか思えない立場で情報活動をしていたら、内部の人間もばかばかしくなるはずだと、要するにこんな役所、いまの時代には無用の長物ではないかというふうにいろいろ書いてあるわけです。私はやはり法務省では人員の足りないところというのは法務局とか、入管とか、深刻なところがあるわけですし、こういう世論にも真剣に耳を傾けて、むだの典型とも言えるこういう公安調査庁、この廃止を真剣に考えていただきたい。これは御答弁をいただくんではなくて、時間をせかされておりますので、先ほどの私は資料をお出し願いたいということと、先ほど御答弁をいただきたいというこのゴルフ、駐車場、この件を調査の対象になさっていらっしゃるかどうかと、承知なさっていらっしゃるかどうかと、その御答弁をいただいて質問を終わります。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) ゴルフ問題、駐車場問題についてももちろん調査の対象にいたしております。  なお、今回の事件があってこのようなことを申すのはまことにおこがましいことではございますけれども、ただいまの御質問の中で、従来われわれのやっていた調査活動について、しばしば日本共産党の方からそれが詐欺的な行為である、人権無視である等の御批判がございました。しかし、それらにつきましては、その都度われわれの調査活動として説明してきたつもりでございまして、したがってこれが、本件の明らかな犯罪行為がその体質として出てきたという批判については、われわれとしては納得し得ないものを感ずるのでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 資料出してもらえるかどうか。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) 資料につきましては、検討いたしましてお出しするようにいたしたいと思います。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 私は、改正商法、会社法改正につきまして二、三点お伺いしたいと、かように思います。  今回の商法の改正は、これは株式制度の問題、それから株主総会、さらにまた取締役、取締役会、監査役の権限強化の問題、会社計算の公開の問題等々ございますが、その中で大きな一つの改正と申しましょうか、目玉の中で特殊株主、言うなれば総会屋、この総会屋の最近の現状、近況、そういうふうなものをお伺いしたいのでございますが、警察にお伺いする前にまず法務大臣に、今回の改正をも踏まえまして今後の総会屋対策、これらにつきまして大臣から所信、認識の一端をまず冒頭ひとつお伺いしたいと、かように思います。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) まず、私からお答えさしていただきますが、今回の商法改正の一つの眼目といたしまして、いわゆる総会屋に対する対応と申しましょうか、これを規制する、そして、株主総会を活性化するということがあったということは、ただいま御質問にあったとおりでございまして、私どもといたしましても法改正後の総会屋あるいは株主総会というものがどういう形になるか、果たして商法改正において私どもが考えておりましたような方向に進むのかどうかということは大変重大な関心を持って見ておったところでございます。ただ私どもは、この商法に基づいて企業を指導する、行政指導する、あるいはいわゆる総会屋なる者に対して指導するという立場ではございませんので、新聞の報道あるいは経済界の人たちとお話をいたします場合に耳にするというようなことで、その実情を承知することになるわけでありますけれども、企業の方も非常にこの商法改正について、特にこの総会屋の問題につきましては、商法改正の趣旨を十分御理解をいただきましてその方向に進もうという意欲があるというふうに承知いたしております。また、警察庁なども非常にその方向に力を入れていただいておりますので、私どもの承知しております限りでは、商法施行前からいろいろと準備をして総会屋を排除し、株主総会の活性化を図ろうという新しい商法の趣旨というものはそれなりに実現を見ておるのではないかというふうに感じておるわけでありまして、今後ともこの方向がさらに強まりますように、私どもとしては商法改正の趣旨を機会あるごとにPRしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) ただいま民事局長から御答弁申し上げましたとおりでございまして、このたびの商法改正の趣旨を十分に生かすように見守りたいと考えておるわけでございます。  先ほどからるるこの改正問題についての御議論がございましたが、一つはやはりこの監査の主体性といいますか、そういうものを非常に確立をした、確立するようにしてもらいたいということが一つの眼目になっておるわけで、この点は私、今後将来必ずやいい成果が出るものだというふうに期待しておるわけでございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 これは先ほど来柄谷委員の方からもすでに御質問があったかと思いますが、商事法務研究会でございましょうか——商事法務でよろしいんでしょうか、法令でしょうか、この八一年版の総会白書によりますと、六百九社ほど調査対象として企業を選んだ。まあそういう中で企業の、言うなれば総会担当者でございましょうか、これらの方々が最も力を入れているのは総会屋対策だというふうな記事を私目にしたわけでございます。六二・六%の会社は総会屋対策にとにかく腐心しているというふうな記事でございましたが、いずれにしましても今回の改正によりまして、賛助金であるとか協力費であるとか研究会費でございましょうか、いかなる名目を問わず、結局総会屋に対する支出というふうなものはこれはすべて違法になるというようなこと、二百九十四条の二項ですか、四百九十七条でございましょうか、こういうような規定のようでございますが、ごく最近の、直近の総会屋の動向、近況、これらにつきましてひとつ警察の方からその実態をお伺いしたい。実は資料たくさんちょうだいしておりまして、若干古いものは私も相当持っておるわけでございます。したがいまして、今回の改正商法、これが十月一日にいずれにしても施行された。この周辺で特にいわゆる総会屋、この辺の動きがどういうふうに変化したか、最近の新しい状況、これをひとつお聞かせいただきたい、こう思います。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) 御質問は施行後のごく最近の状況ということでございますが、警察といたしましても施行後におきましては利益供与行為が法令違反になるわけでございますので、鋭意注目しているわけでございますが、十月一日以後にこれといって目立った動向を掌握しておるものはございません。もう少し前からの動向でございますが、総会屋、ごく一部分はこの商法の改正を機会に廃業をするというような動向もございましたし、また一部には、商法が変わっても自分たちの商売はかえないというようなことをうそぶいている者もあったわけでございますが、多くの総会屋は施行後はいろんな新聞や雑誌を発行をいたしまして、企業からその購読料を取る、あるいは広告掲載料を取る、こういうような方向へ転換をする、こういう動向を多くの総会屋は示しておりまして、恐らく今後そういう傾向がはっきりしてくるだろうと思いますけれども、法施行以後現在までにおきましては、特異な動向につきましては掌握をしておりません。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 ちょっとその辺のことは実は私どもも十分わかっておるわけなんですね。昨年六月、この法律が成立された、その辺の時点から、いまたまたまおっしゃったように、総会屋の廃業宣言をしたとか、あるいは機関誌を発行するような形で出版会社をつくったとか、あるいは調査機関をどうしたとか、これらの問題は私どもも大体わかっておるわけでございますが、もう少しその辺を突っ込んでお聞かせいただきたいと思うんですよ。警察関係ですでに相当内部に細かい資料はお出しになっておることと思うんですよ、過去の問題でしたら。ですから、ごく最近の状況把握というふうなものをもうちょっとされておってもいいかと思うんですが、いかがでしょうか。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) ごく最近という御指摘でございますが、新法が施行になった以後、たとえば何か犯罪を認知したかとか、そのような御質問かといま承ったわけですが、特に目新しいものについていまここで御報告するようなものを掌握しておりません。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 それじゃちょっと別な視点からお伺いしますが、この四月五日ですか、刑事局長名をもって「総会屋対策の推進」についてというふうな通達が出ておりますね。そのまず第一番目は、これは、「総会屋の取締り体制の整備、強化」、それから第二は、「企業に対する指導の強化」、それから三番目が「企業の被害防止等の推進」、それから第四番目は、「検挙措置等の推進」、こういったような問題について、都道府県、県警本部、これに指導がなされておるわけですね。これはことしの四月ということになるわけですね。そうすると、この後の警察庁としての都道府県あたりから上がってくる状況といいましょうか、実態といいましょうか、その辺はどんなふうになっておりましょうか。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) 都道府県警察がどういう活動をしているかということの状況の御質問であろうかと思いますが、都道府県警察といたしましては、第一には、新法施行後、商法の規定に触れる犯罪を認知した場合には検挙の体制をとっております。それから、各企業が総会屋からの不法な要求を拒絶した場合におきまして、いろいろ暴力行為等を受けるおそれがある、あるいは総会を荒らされるおそれがあるというようなことにつきましては、警察としてはそういった訴えなり相談なりを受理する体制をとっております。また、現実に急速を要する場合には直ちに出動できるような体制をとっておるわけでございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 それでは改めて伺いますが、商法改正と今後の総会屋対策、これにつきましていろいろお書きになった方々の資料の中からですが、昭和五十六年末現在、全国で約六千三百人、いわゆる警察の方で把握されておる総会屋の数、そういうようなことを私は承知しておるわけでございます。五十一年にはそういう中で総会屋に占める暴力団員の割合が一割程度にすぎなかったが、五十三年には二割を超えたと、それから昨年末には約千七百人となったと、全体の四分の一以上を暴力団員が総会屋の中に占める割合、そういうふうな数字になったというようなことをちょっとある資料で拝見したわけなんですが、この辺の実態はいかがでしょうか。

森廣英一警察庁刑事局捜査第二課長

○説明員(森廣英一君) いま御指摘のとおりでございまして、総会屋としまして警察が警戒をしている者の人数といいますのは、五十年には五千人余りでございましたが、昭和五十六年におきましては六千三百名余りにふえておるというふうに認識しております。また、総会屋のうち暴力団に所属する者の数といいますのは、いま先生おっしゃるとおり、昭和五十年におきましては九%程度の者であったものが、昭和五十六年には二六%余りになっておる、これは事実でございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 結構でございます。  それでは、次に同じく商法改正の問題につきまして法務省の方にお尋ねしたいわけでございますが、これはもうすでにこの参議院の法務委員会等でも何回か問題になっておる点でございますけれども、今回の商法改正というのは言うなれば全面改正ではなかったと、部分改正であったと、まさにそのとおりであったと思います。これまでに問題にされておりました基本的な研究課題というのが大体三つぐらい残されておると思うんです。その一つが企業の社会的責任の問題、それから二つ目が企業結合、合併、分割、そういったような問題、それから三番目が最低資本金制度の問題、それからしょっちゅう問題になっております大小会社の区分の問題、これは法制審議会のいろんな御意見もあろうかと思いますし、大体この部分改正になったという経緯、経過等を私たちが仄聞する限りでは、非常に中、長期的な視野、感覚の中でこれらの問題は煮詰める必要があるというようなことで、その辺はよくわかるんですが、これは法務省のお立場としてこの辺につきまして、大臣の私見でも結構でございますけれども、今後残された課題をちょっとお聞かせいただきたい、かように思います。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) まず私からお答えさせていただきますけれども、確かにただいま御質問の中にもございましたように、今回の改正は、当初全面的改正ということで問題点を総洗い出しいたしまして、その検討を進めておったわけでありますが、そのうちの幾つかについてまず取り上げるということで部分改正の形になったわけでありまして、社会的責任の問題と企業結合の問題と大小会社の区分の問題というような重要な問題が残されておるわけでございます。今回の商法改正、省令の改正、制定も含めましてようやく一段落いたしましたので、残りの項目について法制審議会において検討を継続される、こういう段階になっております。  幾つか残されました問題のうちでは、まず事柄の緊急性ということから考えまして、大小会社の区分という問題を取り上げるという法制審議会の御意向のようでありまして、先日、九月の八日でありましたか、の会議におきましてその方向が打ち出されて一歩進み出したというような段階にあるわけでありまして、まだその内容と申しましょうか、その問題点というようなことにつきましてはいま法制審議会の各委員で自由な討議をされまして、その問題点をいろいろと洗い出しているというような段階でございますので、私どもといたしましては一日も早くその問題点を整理していただきまして、その問題点ごとに法制審議会の審議を進めていただきたいということを期待しておるような状況でございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 おっしゃるとおりだと思いますね。私は、残された三つの問題の中で中小会社が実態にふさわしいような意味でのやはり法規制、そういった実現を図るというようなことが今後残された一つの大きな問題じゃないかと思うんですけれども、これ法務当局としていかがなものでございましょうかね、こういった全面改正、まあこれも仄聞するところによると、五年先になる、六年先になる、七年先になるかもしらぬというような声をときどき耳にするんですが、どんなものでしょうかな、大臣あたりお考えになって、この全面改正がなされる、要するに後編が、続編が完成するというようなのが大体いつごろになるか、どうでしょう、お見通しは。

中島一郎法務省民事局長

○説明員(中島一郎君) 大小会社の区分というふうに申し上げれば簡単でありますけれども、実は現在の国内における会社が約百万数社あると、いわゆるここで中小会社というふうに呼ばれるものはそのうちの約九十九万までがそうであるということでありますから、現実の問題といたしましてこれはいろいろと複雑な問題点を含んでおるわけでありまして、あるいは株式会社の資本の限度というようなものについても検討を加えなければならないということになりますと、現存しております会社にどういう影響を及ぼすかということを十分に考えなければならないわけでありまして、国民的コンセンサスを十分に得なければならない問題かと考えております。  そうなりますと、そう簡単に法制審議会の結論が出る、答申をいただけるというふうにも言えないわけでありまして、前回のと申しましょうか、今回の改正、部分改正でありますが、全面改正の分量的に言いますならば約半分か三分の二ぐらいの分量のものであろうかと思いますけれども、それが四十九年から始まりまして、法律が成立いたしましたのは五十六年ということでありますので、そういったことから御推察をいただきたいというふうに考えます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 大変ですね、これはたしかおっしゃるように。考えてみますと、特例法の適用会社、今回の、の大会社というのも何かどうもぴんとこないですね、はっきり言いまして、その区分が。そんな感じがしてならぬわけですが、やはり今後の全面改正ということになりますと、これは現在の特例法そのものによるところの大会社というふうなものの区分というふうなものもおのずからまた変わってくるかと思いますし、そうしますと次の商法改正でこの辺がまた大きく変わってくるような感じがしないではない。いずれにしても、これが数年先になるかどうかは定かでないにしても、またまた、まあ仮に数年後とすれば数年後にこの商法の大改正が行われるというようなことになるわけですが、いかがでしょうかね、その辺につきまして大臣何か私見でも結構ですがお考えがありますれば、数年後にはまたまたこの大改正がなされるんだというような見通しかどうか、その辺いかがでございましょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) まことに歯切れが悪いわけでございますけれども、ただいま民事局長から申し上げましたとおりでございまして、法制審議会におきましても全くもう少し十分にこれ検討せなければならない課題、そしてまた広く国民のコンセンサスを得てやるべきこと、重要なことということは承知しておりますが、それだけにまた慎重を期したいと考えておる次第でございます。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 終わります。

中山千夏一の会

○中山千夏君 最初に刑務行政について少々お伺いいたします。  十月の三日付の毎日新聞に府中刑務所で暴行事件があったという記事が出ておりました。これ九月十日に管理部長が受刑者に殴られてけがをしたということなんだそうですが、これはどういう事件だったんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) ただいま御指摘の事件は、本年九月十日午前八時四十分ごろ、府中刑務所の管理部長が所内を監督巡回いたしましたところ、某工場に入りましたところ、その工場に就業しておりました一名の受刑者が作業用の金づちで部長の後頭部を背後から殴打し、傷害の程度は全治約四週間という診断でございますが、現在までに報告を受けたところによりますと、後遺症等の発生はないということでその点は安心しておるところでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 この事件を矯正局長がお知りになったのはいつごろでしょうか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 事件当日であったか翌日であったか記憶が定かでございませんが、いずれにしろ事件直後に報告を受けております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 受刑者のいわゆる管理者に対する暴行事件というのは年間せいぜい一、二件で、しかも、所長経験まである方だそうですね、この被害を受けた方が。そしてマンモス刑務所の幹部が襲われたというようなことは初めてだというふうに伺っておりますが、そうなんでしょうか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) これは府中刑務所の管理部長という、ただいま御指摘のように所長経験まである幹部が襲撃され傷害を受けたということは、ちょっと私調べておりませんけれども、恐らく初めてと申しますか、あるいは非常に珍しいまれなことであると理解しております。  それから、ただいま矯正職員に対する受刑者の傷害事件が年に一、二件というお話でございましたが、これは一、二件という統計は少し重いものを考えて一、二件ということでございます。大体死んだ場合とそれから全治一月以上要するという場合についてこれを普通殺傷事犯と呼んでおります。それより軽い傷害はもう少し数がございまして、ただいますぐ資料が出てまいりませんけれども、これは暴行も入れた場合でございますが、年に二、三百件の事例について受刑者等、収容者の懲罰が行われております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 私なんかが考えましても、普通の世間で暴行事件を起こすのとは違ってまして、はなからつかまっているわけですね。そこで管理側の幹部なんかをひどく殴ったり傷つけたりしたら当然その罰といいますか、つかまることは当然最初からつかまっているわけだし、逃げられっこないし、こういう行為に及ぶというのはよくよくのことがあったんじゃないかと思うんですよね。これの動機ということはどういうことだったんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) この襲撃事件がありましてから、この受刑者は少し興奮いたしておりまして、なかなか本人からどうしてこの管理部長に対してそういう行為をしたのかということの動機を尋ねるまでに至っておりませんけれども、われわれが背景として考えております点の一つは、この受刑者が覚せい剤取締法違反で入っておりまして、かなり覚せい剤の中毒がひどい状況にあると。その中毒の後遺症と申しますか、あるいは影響というものが残っておるのではないかということが一つでございます。それからもう一つは、この受刑者はときどき職員に対して暴行をする気勢を示したことが前にございまして、本件が起こりましたときもしばらく前にそういう事案がございまして、調査中と申しますか、懲罰等の必要があるかどうかということの調査の対象になっていたという背景がございまして、そういうようなことがこの事件の背景として考えられるわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 いまのお話ですと、まだ当人からいろいろ調査して聞いてはいないということなんですか。警察とか、当然司法警察とかが調査に入っていると私は思っていたんですけれども、そうではないんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 刑務所の職員のかなりの者が特別司法警察職員ということで、捜査権を行使することができるわけでございますが、そういう意味で、いわゆる反則としての調査ということも可能でございますし、それから犯罪としての捜査もできるわけでございます。これは重大な事件でございますので、事件が起こりますと、翌々日だったと思いますが、早速東京地方検察庁八王子支部の方へ報告いたしまして、どういうふうに扱ったらいいかということの指示を仰ぎながら調査を進めてきたわけでございますが、最近得ました府中刑務所からの報告によりますと、近く調査を終わりまして、検察庁の方へ事件送致をしたいと、こう言っております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 そうすると、取り調べの進行状況といいますか、回数とか、そういうことわかりますか。ちょっとそれわかりましたら。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) その点について、現在のところ報告を受けておりません。

中山千夏一の会

○中山千夏君 その取り調べの最中、受刑者はどういう扱いを受けているんでしょうか。つまり、いままでと変わらないのか、あるいは懲罰を受けてしまうのか。その辺いかがでしょう。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 取り調べは懲罰あるいは犯罪捜査のために行われるわけでございますが、これは懲罰そのものとは別でございまして、犯罪になる場合はまたこれ別でございますが、たとえば犯罪にならないような反則の場合ですと取り調べを終わってそれから懲罰と、こういう関係になるわけでございます。まだこの受刑者については懲罰もいたしておりません。  それから、懲罰の手続と申しますか、懲罰の取り調べでございますが、通常は独居室に移しまして、それから工場等にも出しませんで取り調べをして事実を確定するということでございまして、管理部長を襲撃した後では独居に入れまして取り調べをしておるんでございますが、先ほど申しましたその前の、刑務所の職員に暴行の気勢を示したという点につきましては、現在この府中刑務所で独居室が大変不足しておりまして、本来ならばそういう懲罰のための調査というときは独居室に移して取り調べる必要があるわけでございますが、現在この独居室が大変不足しておりますので、普通の雑居室に入れ、かつ昼は工場に出しながら調査をしていたと、こういうことでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 近々検察庁へ送るということは、大分取り調べが進んでいるわけですね。それでもまだ動機とかについて当人がどう言っているかということはわからないんですか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) まだどういう動機でこういうことをしたのかという点については、私ども報告を受けておりませんので、申し上げかねるわけでございますが、こういう事件の捜査ということになりますと、刑務所の職員も司法警察職員としての捜査権限はあるわけでございますが、やはり捜査の専門家である検察庁あるいは警察の方にゆだねる方が正確を期する上でベターではないかというように考えております。なお、犯罪事実の外形そのものは一種の現行犯のようなものでございまして、はっきりしておるわけでございます。

中山千夏一の会

○中山千夏君 私は、早く矯正局長などが動機なり何なりをおつかみになった方がいいと思うんですよね。事件から一カ月近くたっているわけですね。その中で、何でやったかわからないと。覚せい剤というのは想像ですからね。まだ本当に、全く覚せい剤のためだったのか、あるいは別の加害者なりの何か考えがあったのかということは、とてもこれから行政やっていらっしゃる中で大事なことだと思うんです。  それで、この暴行を受けた小田勉管理部長という方が大変厳しい管理で、いわゆる受刑者間に小田勉といえば泣く子も黙るというような言われ方で非常に有名だったということなんです。そういう話は御存じでしたか。

鈴木義男法務省矯正局長

○説明員(鈴木義男君) 泣く子も黙るというようなことは私聞いておりませんが、矯正施設の職員を管理している者といたしまして、この小田管理部長は大変厳正ではありますが、収容者の身になって考えて処遇をしていく職員であるというように判断いたしております。

中山千夏一の会

○中山千夏君 ちまたで聞いたことですけれども、この事件が出た途端に、それは逆恨みかもしれませんけれども、機聞社なんかに電話がかかってきまして、そして、よかった、あれが殴られて本当にすっとしたなんという、被害者の方からすれば不謹慎な電話ですけれども、そういうものがいっぱいかかってきたりしたそうなんです。そういうこともやっぱり、どれが正しいかということは別にしまして、受刑者の側から見たらどうであるかというようなこともやっぱり掌握していらっしゃる必要があると思うんですね。それから、事件の動機をまだ知っていらっしゃらないとか、それからきょうのいままでの質疑の中でいろいろな刑務所の中での事件について矯正局長が御承知のことなどを聞きましても、やっぱり実態について少しのんきに構えていらっしゃるんじゃないか。もう少し近くで知るようにしていただきたいということきょう強く感じました。  それから、これは法務大臣にちょっとお伺いしておきたいんですけれども、昨今ずさんな管理体制というようなものが問題になっていますね。そして、私がすごく心配しますのは、こういう問題が出てくるととかく、それでは管理を厳しくしようという方向へ行きがちなわけですよね。それはちょっと現状にそぐわないと思うわけです。というのは、やっぱり一部の管理者とか、一部の受刑者とかという者の中に非常にまずいことをしてしまう人たちがいて、その人たちを管理するためにほかの人たちの人権がまた抑圧されるというようなことがあっちゃならないと思うんですね。現在でも、やっぱりちょっと人権軽視じゃないかというような発言が受刑者の中からもありますし、それから富山刑務所の医療問題ですか、ああいう受刑者の人権無視をしているという例があるときですしね。むしろ一連の事件は、管理の甘さというよりも、管理が不適当だったというふうに理解するべきだと思うんです。さっき法務大臣もおっしゃいましたけれど、管理側の方たちの労働条件の問題というのも大変大きいと思うんですね。そういうことも含めて、むしろこれはいたずらに管理を厳しくするということではなくて、管理する側の人権尊重を基礎にした刑務行政に対する認識、それから体制というものをいま立て直す必要があるんだ、そういうふうに思うんです。いたずらに管理を厳しくするようなことはないのだということを、ちょっと法務大臣から伺っておきたいと思うんですが。

坂田道太自由民主党法務大臣

○国務大臣(坂田道太君) 大体いま中山さんがおっしゃったとおりなんでございますが、ただ、あなたの文言をそのまま言うわけには私はまいらぬわけでございまして、本当に、私がこの前、一月も、そしてまた今度も同じことを言うとおしかりを受けたわけでございますが、それは私の気持ちでございまして、ただ単にやかましく強化すれば足りる、事終われりというものでないという認識を私は申し上げたわけなんです。その点は、むしろ中山さんの認識と私は一致するわけなんです。したがいまして、ああいう管理体制に厳しい労働条件のもとにおいて、どうやって秩序を保持していくかという、そしてまた、諸外国の人たちが見れば、本当にこれだけの人数で、しかもこれだけのたくさんの人、しかも暴力団が半分もおるというところで、よくもやっておるという、むしろ称賛の言葉をわれわれは聞くわけです。私は当然だろうと思っておるんです。しかし、これも限度にきてますと、環境条件が、人的にもあるいはいろいろの面においても。これは皆さんに僕は国会を通じてあるいは国民の皆さん方に訴えて、そうして法務大臣しっかりしろと。やはり人員も必要な限度においてやらなければ秩序は危ないよということの応援を求めたいから、私は同じことを実は繰り返しておるわけでございます。  それからまた、これもまた皆さん方のおしかりを受けるかと思いますけれども、言わざるを得ないわけでございまして、大体、この監獄法と刑事施設法というのは明治四十一年にできたわけなんです。刑法改正四十年。それをなぜわれわれが改正しようと思うかというならば、まさに中山さんが指摘されるようなことをやらなければ、これは今日の実態に合わないのじゃないだろうか、受刑者にとってもそれはよくないんじゃないだろうかということで、あのような刑事施設法を提案をしておるわけでございまして、収容中の人権の保障の拡大の面、新聞、書籍の閲覧を権利として認めるとか、外部の人との面会や手紙のやりとりの制限を大幅に外すとか、あるいは収容中の生活、教育の充実を図るとか、学科、職業教育の充実を図るとか、社会復帰のための施策の充実をやるとか、あるいは外部通勤作業、外泊、外出なども一定の制限はありますけれども、これをやるとかいうようなことをもって、建設的にわれわれは提案をしているわけです。したがいまして、これについても、皆さん方の率直なる御議論を賜りたい、それに対してわれわれも十分意見を聞いた上で、われわれの施策を進めていきたい、矯正行政を進めていきたいというのがわが法務大臣の考え方なんで、中山さんのいまの指摘は私賛成です。

中山千夏一の会

○中山千夏君 私は、後半のお話はちょっと異論もいろいろあるところがあるんですが、やっぱりそういう貴重な時間の中を宣伝に使われたのは非常にしゃくだなという気持ちがしますけれども、人の問題というのがやっぱりとっても重要なんじゃないかという気が私はするんです。だから、法の整備、それから体制の整備も大事ですけれども、どんなにいい法があっても、その中で働く方たちが荒れていたら不祥事は絶えないですよ、それは。だから、その面はいまの法律でもきちんとやっていけることなんですから、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。  時間がないので次の問題に移りますが、公安調査庁ですね。大変先ほどからも話題になっておりますけれども、一九七六年以来、調査活動費というのがだんだんに上昇を続けているんですね。団体等調査旅費と、それから公安調査官調査活動費というのを足してちょっと見てみたんですけど、七六年が十二億円、次の年が十二億五千万というふうにずんずんと上がりまして、それから一九八二年の予算では十六億三千万、これが果たしてむだじゃないかどうかというあたりにはかなり問題があって、先ほどからも指摘がありましたけれども、これは調査庁ではないんですけれども、警察白書というのを読みまして私びっくりしたくだりがあるんですが、こういうところです。日本共産党は、次期国政選挙に勝利し、民主連合政府構想を軌道に乗せ直すために、党勢拡大に全党を挙げて取り組むものと見られると書いてあるんですね。これがどうして問題になるのだろうかという気がとってもするんです。伺いますと、調査庁でもやっぱり共産党などもその調査対象に入れていらっしゃる。そうすると、今度起きました山梨の事件なんかにしましても、そういう一般の常識から見ると非常にむだといいますか、適当でないといいますか、やり過ぎというか、そういう調査の副産物によってああいう事件が起きるんじゃないかという気がすごくするんですね。  この間、臨調の第三次答申に対する回答を法務省の方で新聞の方に発表してらっしゃいましたけれども、その中でもちょっと、この公安調査局に触れていらっしゃいます。  お伺いしたいんですが、私はやはり法務省の中で臨調に対応して力を入れるべきところといいますと、この公安調査局だと思うんですね。やっぱり法務省というのは人の人権を守るところですから、大体においてこの調査局の仕事というのがどうも私などから言うと、法務省のイメージとそぐわない。いまも読みましたように、警察白書なんかを見ましても、警察でも同じような仕事に大変力を入れてやっていらっしゃるんですね。こういうものを法務省がやることはないんじゃないかという気がするわけです。そこで、臨調の第三次答申に対する具体的な整理、合理化計画というのをちょっとお聞かせいただきたいんですが。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) いろいろの問題を含んでいるかと思いますが、まず、いまの御質問必ずしも正確に理解しなかったのかもしれませんけれどこも……

中山千夏一の会

○中山千夏君 時間がないので、質問にだけ答えていただけませんか。申しわけありません。

鎌田好夫公安調査庁長官

○説明員(鎌田好夫君) 公安調査庁と警察とが同じ仕事をしているという認識が前提におありのように理解いたします。この仕事を警察のみで行うか、二つの機関をつくってやるかということは、破防法成立のとき以来しばしば問題になっているところでございまして、その成立のとき以来、戦時中の治安維持法当時における特別警察の前例にかんがみて、二つ置いておく方が国民の人権を侵害することが少ないという認識に立って、二つの機関が分担するというふうになったと理解しているわけでございまして、それを警察だけでやればいいというのは、その点について十分御理解をいただきたいというふうに考えるわけでございます。  現在われわれといたしましてどのような案を出しているかというのは、現在臨調と詰めている段階でございまして、非常に不確定の段階でございますので、現在確定的には出していないと申し上げたいと思います。

中山千夏一の会

○中山千夏君 そうすると、まだなかなかそういう計画は具体的には出てないということなんですね。そうなると、やっぱりいまお言葉がございましたけれども、きょうは時間がなくてやれませんけれども、相当むだがあったり、それからさっきも週刊ポストか何かの指摘がありましたけれども、私も同じ意見でして、こんなことを調査してどうするんだろうと思うようなことをやっている。その結果が国民から見て非常にわれわれの人権は守られているし、あのお金の使い方はむだじゃないなと思えることならいいんだけれども、非常におかしな使い方をしているなと思われてしまうような仕事のあり方ですし、それから、今度の山梨の調査局の犯罪などにしましても、仕事の性質上ああいう犯罪が出てきたんじゃないかと思われるようなところがあるわけですね。そういうところは、折が折ですからなるべく整理を急がれた方がよいと思いますし、ぜひ整理をしていただきたいというふうにお願いをしておきます。  それから、最後にせっかく裁判所に来ていただきましたので、時間がなくなっちゃったんで申しわけないんですが、一つだけお伺いしておきたいと思います。  昭和三十九年に、臨時司法制度調査会の意見書で、訴訟遅延の原因として裁判官の不足が指摘されまして、それからどうも改善されたと朗らかに言えるような状況にはなっていないように思います。現状では、ざっと計算しますと、一人の裁判官が年間約二百件の裁判を抱えなければならない、一件につき平均十六・七カ月という、関係者にとっては大変負担ではないかというような数字が出ているわけなんです。その中で配分を見ますと、司法試験、これも大変むずかしい狭き門ですけれども、そこを通られまして、そうして二年間修習なすっていわゆる有資格者になられた、そういう方のほんのちょっとの方しか裁判官にはなっていらっしゃらない。そして、簡裁などには有資格者の裁判官というのが非常に少ないですね。その一方で、最高裁の事務総局のほとんどは有資格者だし、それから調査官など、どっちかといえば事務的な仕事かなと思うようなところに有資格者がいっぱいいらっしゃる。むしろ簡裁といっても一般の人々に近くあるべき裁判所ですし、近いだけに簡裁などに有資格者が行くべきなんじゃないだろうか。せっかくそれだけ有資格者がいらっしゃるんだから、簡裁などにぜひ行っていただいた方がいいんじゃないだろうかと私は思うんです。ここ不思議でしようがないんですけれどもどうなんでしょうか。

大西勝也最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) まず、お答えを簡単に申し上げたいと思いますが、臨時司法制度調査会で訴訟遅延の問題等取り上げられまして以後、状態は余り変わってないではないかという御質問がございましたが、実はそのころよりかなりの程度の裁判官の増員というものをしておりまして、訴訟遅延状況も、やや口幅ったい言い方でございますけれども、若干ずつはよくなっているという状況でございます。  それからもう一つは、たとえば修習生が五百人も卒業する中から、裁判官が非常に少ないのではないかということでございます。  確かに非常に少のうございますが、これはいろいろ問題があるわけでございますけれども、現実に最終的に裁判官を志望する方がそう多いわけではないわけでございます。志望される方は大体採用しておるという状況でございますが、それはいろいろな理由があるかと思いますけれども、それは任地の問題、転任の問題、それから最近自由業にあこがれるという一般的な風潮の問題、それから司法試験に合格されます方が、司法試験がむずかしいということもございまして、相当何遍も受けた上通って、年をいってから修習生になるというようなことで若い人が非常に少ないとか、そういういろいろな要素が絡み合いまして志望者が少ないという状況があるわけでございますが、私ども完全にいまの状況に満足しているわけではございませんけれども、まずまず……、それと裁判官の素質の問題もございます。そういうことを総合勘案いたしますと、もうちょっと来ていただいた方がいいがという感じはございますけれども、まずまず何とか少しずつは状況も改善されており、裁判官もふえてきておるという状況でございます。  もう一つ、最後に残りました簡易裁判所の有資格の問題でございますが、これも詳しく御説明すると長くなるので簡単に申し上げますけれども、簡易裁判所というところは、法律自体が大体有資格者もおってもよろしいわけですが、本来そういう有資格で法律の勉強がそれほどしてなくても、もっと円満な社会的常識を持った方を入れてやる、そういうむずかしい事件もこないわけでございますから、そういう裁判所としてそもそもが構想されておりますために、そういう形になっておるわけでございます。それは裁判所の組織そういう制度そのものが裁判所法でそういうことになっておりますことと関係するわけでございますが、ただ、私どもも有資格者がもうちょっとおってもいいという感じはいたしておりますけれども、まずまずその辺もいまのような状況で、そうはおかしいということではないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  ちょっと説明が足りない部分もございますけれども、時間の関係もございますので、いずれまた機会がございましたら申し上げたいと思います。

中山千夏一の会

○中山千夏君 ありがとうございました。  終わります。

竹田四郎日本社会党

○委員長(竹田四郎君) 他に御発言もないようですから、法務省及び裁判所の決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗