決算委員会 第2号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/01/20
会議録
○委員長(和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨十九日、下田京子君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。 —————————————
○委員長(和田静夫君) 次に、昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。 本画は法務省及び裁判所の決算について審査を行います。 —————————————
○委員長(和田静夫君) この際、お諮りいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(和田静夫君) それではこれより質疑に入ります。 質疑のある方は順次卸発言願います。
○目黒今朝次郎君 新法務大臣にお伺いしますが、ことしはロッキードの年と、こう言われておりますが、いよいよ相次いで判決が予定されておるわけでありますが、巷間いろいろ第二次鈴木内閣並びに自民党の党役員をめぐって、いろんな世論が出ておるわけでありますが、新法務大臣としては、ロッキードの判決については、国民の負託にこたえるように、厳正、公正に対処してもらいたいと、このように私も要望し、国民も要望しておるわけでありますが、大臣のロッキード判決に臨む決意のほどをまず冒頭聞かしてもらいたい、こう思います。
○国務大臣(坂田道太君) 私、法務大臣に就任いたしましてから、申し上げておるとおりでございまして、厳正、公正に対処したい、このように考えております。
○目黒今朝次郎君 じゃ、そのようにお願いします。 同時に、きょうは最高裁長官をお願いしたんですが、来れないそうでありますが、私は公害についてずいぶん関心を持っております。特に大阪空港の公害判決、それから名古屋の新幹線公害判決、しょせんは大企業側に味方して、公害に悩む住民を本当に法の保護のもとに置かなかったという判決でありまして、非常に遺憾に思っておるわけであります。こういう公害判決の例が示すように、最高裁長官として裁判について、もう少し苦しんでおる庶民の立場で、企業寄りでなくて庶民寄り、国民寄りの立場で判決に当たってもらいたい、こういうふうに希望しておるわけでありますが、最高裁長官の見解をロッキードとともにお聞かせ願いたい、こう思います。
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいま空港訴訟判決についての御意見もございましたが、個々の裁判に関しまして、私どもの方からお答えはいたしかねますので、この点は抜きにいたしまして、ただいまのロッキード裁判云々というお話がございましたので、その点についてお答え申し上げたいと思います。 御承知のとおり、憲法七十六条には、裁判官は良心に従って独立して職権を行い、憲法と法律にのみ拘束されるというふうに明確に規定されておりまして、裁判の独立をうたっております。これは裁判官の職責の根本をなすものでございまして、その職責を果たすために裁判官は日ごろから研さん、努力を重ねているところでございます。 申すまでもなく、訴訟は厳格な訴訟法の規定によりまして、当事者が主張し、立証活動をいたすわけでございまして、裁判官は、裁判所はその法廷に適法にあらわれました証拠に基づいて、事実を認定して判断をいたすというわけでございまして、もっぱら憲法と法律の精神に従いまして、そして裁判官の良心ということで、何物にも左右されないで、虚心に結論を導くということでございまして、いかなる圧力とか、そういうものに一切影響を受けないというように努力しているところでございます。私どもといたしましても、裁判宵がもっぱら憲法、法律、その精神を適法に、虚心に取り組んでいる、公正な裁判を目指しているということについては、いささかも疑いを持っておりませんし、またそれは確信しているところでございます。 そういうことでございますので、ロッキード裁判につきましても、厳正、公正に裁判が行われるものというふうに確信いたしております。
○目黒今朝次郎君 何物にも左右されないという、そういう不動の精神を持ってやってもらいたいということを改めて要望しておきます。 きょうは、私はヤクルト問題と刑事案件二つの問題について集中的にやりたいと思います。 時間もありませんから、新大臣に、委員長と理事さんにお願いして、いままでの質問の経過、五回やっておりますから、これを法務大臣にお渡し願いたいと思います。 それで法務大臣ね、五回、約十点に、わたって質問を今日までやってまいりました。議事録については法務省の事務局の方に要点を摘出してやっておりますから省略いたします。それで、法務大臣にお願いしたいのは、このヤクルト問題は、私は決してヤクルトに恨みを持っておるものではありません。ヤクルトおばさんの一枚の投書から、ずいぶんひどいことをやっているなあと、こう思って、うちの関係者を動員して調査した問題点を提起しておるわけでありますが、法務省も一生懸命やってくれていると思っておるんでありますが、国税局、大蔵省、特に証券局などのいろんなことがあって、なかなか前に進まない、むしろ憤りを感じておる次第でありますが、法務大臣にお願いしますが、このヤクルト問題については、そこに問題点を出していますから、これらの問題については厳正、公正、しかも迅速に物事の処理に当たってもらうように、法務大臣として、あるいは国務大臣として関係各省を督励してもらいたいということを、まず冒頭大臣にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 目黒委員の御質疑につきまして、前もってわれわれの方でも検討をいたしております。今回が六回目の御質疑でございます。まあ一般的に申しまして、検察官が必要と認めますときには、みずから犯罪を捜査することができるとされておるわけでございます。現在まだその段階には至ってないというふうに承知いたしておるわけでございます。
○目黒今朝次郎君 そのように誠意を持ってお願いしておきます。 私は九月十八日、ヤクルト球団の問題を中心にいろいろやってから雑音が激しくなりまして、私の家内に変なやつから電話は来る、事務所には電話は来る、社会党本部には電話は行く、勤労本部には電話は行く、世間が騒々しくなってまいりました。なぜこんなに騒々しくなったのかなと、私自身がおかしく思っておったんですが、そこである一冊の雑誌が送られてきました。これは「国会往来」十月号です。これを見て私はびっくりしました、ははあなるほど、これが雑音の証拠がなと。この「国会往来」見ますと、これはとんでもないこと書いてあるんです。「ヤクルトに詳しい情報通によれば」——これは九ページ。「ヤクルト球団を使って“裏金づくり”質問の資料と同時に目黒議員筋に持ち込まれ、それが外に流れたようだ。目黒議員筋の説明によれば、この献金一覧は五十二年から五十三年にかけてのもので、一つは衆参両院議員に向けてのもの、一つは五十三年に行われた参院選の際のものと御中元。リストは」云々ということで国会議員の名前が全部挙がってるんです。これは「国会往来」ですが私はこんな雑誌とっておりませんが、国会往来からわざわざ送ってきました、私に。いかにもこのリストは私が発表したようなかっこうで載っている。これがあっちこっちへ流れて、私の方に電話が来たり、追跡調査したり、私はこんなの一切してません、率直に言って。しかし、こういうものをばらまいて、ヤクルトにはこれだけの政治的な圧力があるんだぞと言って、私に有形無形の圧力をかけようと、こういう陰謀だと私は受け取りました。しかし、これが本当にあるんだろうか。岸信介、山口二区、七十万円、これはみんなあるんですね。これが本当にあるんだろうか。私をそんな政治的な陰謀で陥れようとするのはもってのほかだと、むしろ私はこのことを見て執念を燃やしました。それで、十月、十一月、十二月、この三カ月間執念を燃やしてこのネタを集めました。私はびっくりしました。これではヤクルトの松園社長が、目黒ごときチンピラ議員に負けるものかといばっている背景がわかりました、この政治対策資料で。これはまだ公開すべき問題ではないと思います。ただ参考までに私はこれを見せます。議員の名前は隠します。ちゃんとヤクルト本社のマークが入っています。ヤクルトの便せんです。全国区、地方区、何もないのは衆議院の候補です、衆議院の先生。全部名前が書かれています。リストアップです、これは。合格した議員の名前のそばには五十万とか百万とかなんとかという政治献金の金額が書かれています。合格しない人は空欄になっています。それからもう一つの空欄は、余りにも五十万、百万の金額では失礼だなという方は空欄。だから空欄にも二つがあります。いわゆる合格と不合格、合格の中でも五十万や百万では失礼だという特殊階層と。これで総額を決めて、今度はこれを入手しました。これまた巧妙ですね。私はびっくりしました。これはヤクルトの支店名です。こちらの方は全部これは営業所名です。それで、次に営業所の前に書かれている額は、営業所に割り当てた政治献金の割り当て額です。十は十万、五は五万、二十五は二十五万、全部書かれています。その次は営業所の名前。その次の空欄は、この営業所が贈る国会議員の名前です。遠くから見えないでしょう。私にはみんな見えます。全部が国会議院の名前です。その次の欄に、(済)、(済)と二つがあります、二つ並んで。前の(済)の欄は、営業所が政治献金を納めた、いわゆる納入済みの(済)、その次の(済)は、国会議員に渡した金額の(済)、中には空欄になっていますが、この空欄は、いわゆる先ほど言った選考に合格しなかった方は、営業所が金を納めても政治家には渡っておりません。これが終った後に、今度は各人別の贈り金額表です、これが「国会往来」にも出ておる。この「国会往来」のしょっぱな、岸信介、七十万、これはぴったり合っているんです、これ、この雑誌のコピーの表面と。それでその次は、政治団体、いろんな自民党さんを含め、各個人の政治団体がありますが、その政治団体に贈った一覧表です、この四つを私は収集いたしました。 それで、これで計算しますと、この「国会往来」に載っておる国会議員の延べ人員は六十一名。私がとったこの個人別の一覧表を計算しますと延べ八十三人。まだ全部照合しておりません。また私は照合する気もありません。これが本当かうそかなんて言われたら困りますから、照合する気はありませんが、これが六十一名、これが八十六名。これだけ金を贈っていれば、目黒ごときチンピラ議員には問題ないと言って私に食ってかかるやっぱり松園社長の気持ちも私はなるほどなと、こううなずきました。でも私は政治献金の問題を取り上げるのが商売じゃありませんから、もらった議員さんは皆、政治資金規正法、あるいは日本の慣行例がいろいろありますから、それをとやかく私は言う気はありません。ただ、松園社長あるいは松園一家といいますか、裏金づくりが余りにも上手で、その裏金をヤクルトおばさんの待遇改善に使っておるならいざ知らず、私腹を肥やしたり、それを合法化するために政治献金をしたり、政治圧力をかけてみたり、そういうことは絶対に私は社会党の国会議員として、目黒個人としても許せないと、こう思っておるのであります。 でありますから、法務大臣にお伺いしますが、こういう八十何名の、ヤクルト議員団という言葉を使っておるようでありますが、ヤクルト議員団の政治圧力があっても、これに屈しないで、私は厳正にやってもらいたい。法務大臣、国税庁、大蔵省、通産省、いわゆる政府関係機関は、毅然たる態度を持って、シロはシロ、クロはクロ、疑いは疑いというふうにきちっと持って私は対応をしてもらいたいと、こういうふうに要請いたしますが、こういう具体的な事実の中で、法務大臣に、政治圧力には屈しないというぐらいの毅然たる態度を持ってもらいたいということをお願いしたいと思うんですが、法務大臣の見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○国務大臣(坂田道太君) 法務大臣という職は、やはり法の番人と言われる職でございますので、先ほど申しましたとおり、厳正公正に処したいと思っております。
○目黒今朝次郎君 国税庁、大蔵省、通産省、同様に私は要望しておきます、来ておりませんけれども。 この問題は、私はいまの大臣の言葉を信用して、これを公にする気持ちはありません。ヤクルトの追及の法務省、大蔵省の取り組みの状態を見て、必要があれば私はこれは公開します。それで責任を追及します。しかし、それが目的じゃありませんから、これは私はずっと自分の金庫に当分しまっておきます。政治対策の関係書類一切、コピーを持っておるということだけはきちっと確認しておきたいと思います。 それで、次にヤクルト問題の本質に入りますが、労働省にお伺いします。 労働大臣は、ヤクルトおばさんの問題が発端ですから、ヤクルトおばさんの労働条件については確かに悪いと、したがって、労働の地位を確定することが必要だということを大臣答弁しています。事務局に調査を指示しておると言っておりますが、今日まで約一年たっておるわけでありますが、労働省がヤクルトの労使関係、労働条件、どういう調査をしたのか、調査をしたらしたと、しなかったらしなかったと。調査をしたならば、その具体的内容について御提示願いたい。同時に、その内容を今後どういうふうに待遇改善に具体化するか、そういうことについてもこの際労働省の見解を聞かしてもらいたいと、こう思います。
○説明員(岡部晃三君) ヤクルトおばさんの契約関係でございますが、これが雇用契約の関係であるのか、あるいはまた請負的な関係、あるいはまた売買取引関係というふうなものであるのか、明確にすることが大事であるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、労働省といたしましては、この契約関係を明確にするようにヤクルト本社に対しまして指示をいたしたところでございます。 その結果、ごく最近の状況でございますが、ヤクルトの第一線の販売従事者総数は、五万七千四百二十三名でございますが、そのうちヤクルトにおきまして雇用関係であるというふうに認定をいたしまして、労働者性を明らかにいたしましたのが一万三百七十一名でございます。そのほかに明らかに雇用契約関係ではないと見られる者もございますが、いわゆる一般的なヤクルトおばさん四万六千三十八名につきまして、その中でもただいま申し上げました雇用契約関係に近い者もあるいはまた残っているかもしらぬというふうなことで、線引きをさらに明確化するように指導を行っているところでございます。いずれにいたしましても、従来からセンターマネージャー、あるいは嘱託、いろいろな名称がございますけれども、ヤクルトとの関係が濃密な者、つまり雇用関係であるというふうに考えられる者が一万三百七十一名が確定を見たという状況でございます。 そこで、もし、一般のヤクルトおばさんという方々の中で、これが請負関係、あるいは独立の売買取引関係と申しますか、そういうふうなものになる者が多いわけでございますが、しかし、そういう請負なら請負としての実体を明確に備えるようにする必要があるわけでございます。 その点につきましては、たとえば業務遂行の自由が確保されていなければならないとか、あるいは履行補助者の使用の自由がなければいけないとか、あるいは売買取引量の決定の自由、あるいは販売価格の決定の自由というふうなことが考慮要素になるわけでございます。ただいま申し上げましたように、人数的にどういうものが雇用契約関係にあり、どういうものがそういう独立した売買契約関係にあるかということが、だんだん線引きが明らかになってきておりますので、第二弾の対策といたしまして、そういう独立の売買取引関係にあるというものならば、それらしく実体を備えなければならないという点につきまして、今度は質的な面について指導をさらに重ねてまいりたいというふうに考えております。
○目黒今朝次郎君 私はこの前に労働大臣とやりとりしたのは、実態はいま課長が言った四万六千三十八人、特徴は請負という形式をとっていながら、いま言った四点の自由が確立されていない。むしろ請負という名目だけども、内容は雇用関係以下に抑えられているというのが実態だと、そこに私は、労働大臣がなるほどそれはひどいと、ヤクルトおばさんの地位の向上が必要だと。地位の向上という言葉を、私が使わない言葉をわざわざ藤尾前労働大臣が使ったのは、請負の実態を洗って、あなたが言うような請負なら請負らしく、人間らしい生活ができる、いわゆる請負体制ということを制度的にも、協約上からも、契約面からも確立すべきだということを、私は大臣が地位の向上、確立と、こう言ったと私は理解しておるんです。したがって、一万三百七十一名の方々は、まあどういうのか知りませんが、労働組合もあるだろうし、それなりに団交もやっていますから、私はそれなりに改善の道は開けていると、こう思うんです。問題は、この四万六千三十八人のこの問題について、いま課長の指摘は当たっていますから、早急にそういう問題について、私は確立なり、調査なり、あるいは業界の指導と、そして最低賃金法の関係、あるいは労働基準法の関係などを踏まえて、少なくも家内労働法もあることですから、そういうあらゆる面を総合して、ヤクルトおばさんの仕事の自由と、生活の保障という点をやってやるべきじゃないかと、こう思うんですが、私の見解が間違っていなければ、そういう方向について最大限の努力をしてもらいたいと、こう思うんでありますが、いかがでしょうか。
○説明員(岡部晃三君) ただいまお答えを申し上げましたとおり、さらに調査が続いている段階でございます。そしてまた、この量的な面の線引きに続きまして、この内容の面に至りまして、さらに労働省といたしまして必要な指導を重ねてまいるというふうに考えている次第でございます。
○目黒今朝次郎君 また適当な機会に質問しますから、その質問に間に合うように最大限の努力をしてもらいたいと、こう思って要請いたします。 次は法務大臣お伺いしますが、この前、九月十八日の質疑のときに、法務省の飛田課長さんが裏金の問題について話したんですが、課長の答弁は、裏金をつくるそれ自体は問題じゃないと、それをどう使うかが問題だと、犯罪を構成すると、こういう意味の話をされたんですが、これは法務大臣、私は素人としてお伺いしますが、世上裏金というのは、かかあとおやじの間の裏金もありますが、それはまあマージャンでもうけたり、パチンコでもうけたりいろいろあるでしょうが、ここで言っている裏金というのは、やっぱり法の盲点をくぐっているか、違反するか、それぞれが、世間に出ては余りよろしくない金を裏金と、私はこう規定しているんですがね。脱税であるとか、あるいは売買の裏金であるとか、あるいは架空のものをつくって金をつくるとか、そういうこと、脱税、架空合併、そういうことに出てくるのが私は裏金だと、こう思っておるんですが、法務大臣、この裏金の目黒議員の認識が誤っているでしょうか。この前課長から聞きましたから、きょうは大臣に裏金の定義をひとつ教えてもらいたいなあとこう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(坂田道太君) いまおっしゃいました裏金というもの、これはちょっと私は定義が私自身にはできかねるわけでございまして、法律的に、具体的にこういうものは裏金がどうかということならば、一応の判断はできると思うんですけれども、一般的に裏金はどうなんだと言われましてもちょっとお答えはできないわけであります。
○目黒今朝次郎君 まあ大臣も首ひねるんですから、目黒議員ごとき小学校出が首ひねるのあたりまえですね、これ。 そこで具体的にお願いですが、この前私は香港ヤクルトから松園さんのところに六千万の裏金が動いたと言って質問したんですが、その答弁は余りありませんでした。しかしその後、九月十八日の質問後、松園社長さんと久世専務が新聞の談話で見たんですが、談話として、台湾人の件は全く知らない、事実無根であると、こういう新聞発表をしたのを見ました。 それで私はさらにお伺いしますが、これは戦前のプロゴルファーで、福岡市東区大字和白六百三十六の三十に在住する張反東という人が持っておる長崎市田手原町四十九の七、これは山林、ほか十八筆の土地を持っておりました。この土地についてはヤクルト本社が買収に積極的な意思を持っておったようであります。この際、張氏は、この土地は大体当時の金で八億とも十億とも言われた土地であります。この持ち主の張さんが幾つかの条件出した。その条件の一つに、八千万円の裏金をくれと。契約額面は三億八千万でよろしいと。三億八千万の契約のほかに裏金を八千万円くれと。実質金の動きは四億六千万ですね、四億六千万ですが、売買の関係の税金その他は三億八千万、こういうことで要求したと。これを松園さんはオーケーということでのんだと。そうして、八千万の裏金を工面するに社長はいろいろ苦労して、いままで手持ちの金の中から八千万を出して、それを当時の副社長であったH氏——きょうは名前を言いません、これは人権にかかわりますから。H氏に頼んで、H氏が直接この台湾人の張さんのところに届けに行った、それで八千万の現金を渡したと、こういう事実があるわけであります。 その後、松園社長はこの八千万の金を埋めるために、いわゆる、この前九月十八日指摘した、香港ヤクルトに積み立てておった金から六千万円を五十三年の十二月、日本に持ってきて松園社長に渡したと、これが事実であります。 大臣ね、土地売買の裏金、香港ヤクルトから六千万持ってきた裏金、これは裏金だと思うんですよ。この裏金については渡したHさんという方——名前は秘します、このHさんという方が私に対して、必要があれば国会の証人に出てもよろしい、検察庁に出頭して証言してもよろしいと、そういう証言をいただいております。したがって、私は事実無根だという会社の談話には遺憾ながら疑念を持っております。必要によったらHさんを私は国会の証人に呼んでもいいというぐらい思っております。こういう裏金の動きがこの前の六千万の動きなんです。こういうことについて法務大臣、先ほど裏金の定義はむずかしかったですが、こういう土地売買の裏金、香港ヤクルトの裏金、日本にやみで持ってきた裏金の動き、そういうことから見ますと、この裏金の動きは一般論としていかがでしょうか、捜査の対象にならないでしょうか、法務大臣の見解をお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
○政府委員(前田宏君) 御指摘の香港ヤクルト関係のいわゆる裏金の問題は、この前の当委員会でも御質疑があったところでございます。またさらに本日はやや詳しい御調査の結果の上でのお尋ねだと思うわけでございますが、御指摘のような金の流れがあったということになりますと、それにつきましていろいろ問題もないわけではないと思いますけれども、お示しの事実だけで直ちにどういう犯罪が成立するかどうかということになりますと、直ちには断定いたしかねるわけでございます。この問題につきましては、前回の御質疑もございまして、検察当局といたしましても、その事実は承知しておるところでございます。一般論としては先ほども大臣がお述べになりましたとおりでございまして、必要があると認めた場合に、検察当局において捜査を行うということは、これは当然のことでございますが、いろいろと問題になっている具体的な案件につきまして、捜査をするとか、あるいはしないとかいうようなことを、こういう公の場で申し上げるということ自体、事柄の性質上適当でないわけでございますので、その点は御理解を賜りたいわけでございます。
○目黒今朝次郎君 私も道楽や楽しみでやっているんじゃありませんからね。これだけつかむにはこれだけの努力と精力を使っているわけですよ。一国会議員が国政調査権とかと言ったって、先ほど冒頭言ったとおり、いろんな妨害があって大変苦労しているんですよ。だから問題を提起されたら、あとはあなた方の良心に任せますが、やはり先ほど法務大臣が言った問題と同じように、やっぱり誠意を持って対処してもらいたい。捜査の必要上H氏の名前が必要だというならば、私は非公式に、おたくの方に協力する意味で、H氏の名前と住所は私は提示する用意があります。ですから、やっぱりあなた方の良心において対処してもらいたい。 それから、国税庁にお伺いしますが、仮に三億八千万で契約して裏金が八千万動いたと、合計四億六千万、こういう売買が現に行われておったということになりますと、これは国税庁の調査はどうなるんでしょうかな。中小企業とか、あるいは弱い者いじめには税務署というのはうんと強いんですが、こういう大企業にも中小企業をいじめるぐらいの心臓と度胸を持って取り組んでもらいたいと思うんですが、こういう売買契約だったら、これを再度税務署段階でチェックしてもらいたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(谷安司君) お答えいたします。 土地の譲渡に伴いまして裏金が動くということはしばしばあるわけでございますが、そういう事実関係を把握いたしまして、適正に処理をしているというのが現状でございます。御指摘の点につきましても、そういう事実関係について調査をいたしまして、適正な措置をするというのが国税庁の立場かと思います。
○目黒今朝次郎君 国税庁ね、このH氏がちゃんと八千万持っていったと言うんですからね、これは。ロッキード問題の榎本さんじゃないけれども、現に持っていった本人が生きているんですから。私はいつも証人に立っていいと言うんですから。少しあなたも誠意を持って、検察庁と同じように、国税庁が必要なら八千万持っていった人を紹介しますから、誠意を持って調べてくださいよ。いかがですか。
○説明員(谷安司君) 土地の譲渡につきまして、これは売った側に課税関係が発生するわけでございますから、その売った側につきまして、仮に幾らかの裏金が別途収入としてあるということであれば、それにつきまして課税関係が発生するんじゃなかろうかと、こういうふうに申し上げたわけでございます。他方、支払った側にさらに裏金があったということについて、それが直ちに課税関係を発生するかどうか、これは疑問に思う点でございまして、なおこのヤクルトの関係につきましては、当委員会でしばしば議論されたところでございまして、国税当局といたしましても、ヤクルト関係につきまして適正な処理をしているところでございます。
○目黒今朝次郎君 それを期待します。 それから証券局にお伺いしますが、ここに「株式上場の手引き」五十三年九月山一證券というのがあるんですが、二十ページの(ロ)の項に、「上場申請日の直前決算期の一年前の日以降に、申請会社等が次の行為を行なっているときは上場申請を受理しないものとする。」ということでありまして、(a)として「株集めについて」「申請会社の特別利害関係者等が、本所が不適当と認める当該会社の株集めを行なっている場合」、こうありまして、その(注)として、「特別利害関係者等とは、特別利害関係者(役員その配偶者および二親等内の血族並びに関係会社およびその役員)、主要株主並びに引受証券会社およびその役員とし、名義のいかんを問わずその計算が実質的にこれらの者に帰属することとなる場合を含むものとする。」、こういう証券取引の手引きがあるんですが、これは山一證券だけじゃなくて、野村證券など、大体証券界の共通の認識だと思うんでありますが、これ間違いありませんか、間違っていますか、証券局。
○説明員(金成圭章君) いま先生がおっしゃいました点につきましては、取引所の上場に当たっての要請として徹底をしております。したがって、そのような基準がございます。
○目黒今朝次郎君 間違っていないということになりますと、私はこの前の質問したいわゆる架空会社の合併、ペーパーカンパニー湘南食品株式会社とヤクルト本社との合併問題については、おたくの方では問題がないと、この前の議事録では問題ないという答弁あったんですが、いまの私が指摘したことがそのとおりだとするならば、いわゆるこの前私が言ったこのヤクルトの場合の本社の合併は、五十五年の一月上場前、五十四年の三月三十日に湘南食品と合併をして、同年七月一日の合併が承認されている。この湘南食品はこの前も言ったとおり、人間が一人もいない、家賃収入だけだ、実際はヤクルト系が自分で握っている、そういう特殊関係にある会社じゃありませんか。私は特殊関係にあるとすれば、この上場を受理してはならないというこの条項に当てはまるんじゃないかと言ってこの前問題を提起したんです。これは当てはまらないんですか。
○説明員(金成圭章君) いま先生の御指摘の点でございますが、その湘南食品は、実は職員は一人おったそうでございます、その後調べましたところ。それで実態のない会社だというお話でございますが、設備を賃貸しておった会社でございまして、これはこの前も申し上げましたように、株主総会の議を経て合併をしておるわけでございます。 それで、先ほど先生がお話になりました株集めというのは、そういう特殊関係者がこうした手続によらないで、株を集めているということでございますので、このような正式の合併手続を経ましたものにつきましては、これを株集めに該当するということには当たらないと私どもは考えております。
○目黒今朝次郎君 そうすると湘南食品は特殊関係にないという認識ですか。ないと言うなら、ないという根拠を具体的に、きょうは答弁要りませんから、この取引の特殊関係にないとあなたは言っている、あるいは株集めに当たらないと言っているんなら、その根拠を具体的に文書で私に出してください。きょうは時間がないから答弁要りません。後ほど文書で株集めでないという問題と、特殊利害関係にないという、証券局がこんなにかばおうとするんなら、証券行政としては、ずいぶんあっちこっち私資料持っていますが、社会的問題になると、証券局は指導中であるとか、あるいは指導しなきゃならないとかと、新聞発表で逃げていますが、こんな歴然としたものをなぜそんなにかばうんですか。しかも、四百万株も松園さんにころがっているんでしょう、ころっと、一晩のうちに四百万株。そんなになぜこだわるんですか、あなた。ぜひ、私が言ったことは間違いだということを文書で出してもらいたい。いかがですか。
○説明員(金成圭章君) その点に関しましては、私どもの考え方を別途御説明申し上げたいと思っております。
○目黒今朝次郎君 だから文書でくれというのに、何でそんなにこだわるの。文書で出してください。文書で書けないということは、やっぱり何か暗いところがあるんですか。文書でやれ、文書で。どうですか。
○説明員(金成圭章君) 先生の御要望に沿うような方向で御説明申し上げます。
○目黒今朝次郎君 その他私は、外国トマトジュースのからくり問題についても、九月十八日ですね、当時の厚生大臣と環境庁長官に国務大臣として聞いてほしいと。国務大臣として聞いて、通産大臣と農林大臣に伝えますと、そういう御答弁をもらって終わっておったんですが、きょう質問しようと思っていろいろ調べたら、通産省も農林省もそんな話は聞いてないと、こういうことなんですね。九月十八日、この本委員会で大臣が約束したことを農林省も通産省も聞いてないというんですから、これはもう困った食言大臣だと思うんですな。きょうは、ここで抗議すると同時に、早急に政府委員の方で九月十八日の議事録を読んで、通産省と農林省にその事実関係を調査してもらって、そして次回にその問題は私はやりたいと思っております。 そのほか、法務大臣にお願いしますが、ヤクルトが上場の際に手にした約三億円の金を部長、役員にばらまいたんですが、その当時はそんなことはないと言っておったんですが、その後の新聞とか情報を見ますと、どうも私の指摘が当たっておって、これは脱税になるから全部借用書に切りかえろと言って、どうも借用書に全部切りかえた事実があるようであります。こういうことについても私は、法務大臣なり、国税庁の方にもう少し本委員会での提案については真剣に取り組んでもらいたいということを要望しておきます。 同時に、きょうは私は、もうヤクルト問題の締めくくりとして、最後に、五人ほどの証人を、社長さん以下関係者をここに来てもらって、参考人としていろいろ巷間に言われている問題について集中的にやりたいと、こういう希望を持っておりました。しかしきょうは、新大臣でありますから、新大臣が先ほど誠意をもって取り組むと、こういう答弁がありましたから、参考人については、新大臣の努力の成果を見てから判断したいと思いますから、きょうは参考人の召喚については提起いたしません。そういうことでぜひ法務大臣、最大の努力をしてもらいたい。あるいは関係者の努力をお願いしたいと思います。ヤクルト問題終わります。 次に、私は警察の方にお願いいたしますが、昭和五十五年の九月二十二日八時四十五分に発生した、動力車労働組合の教宣部長に対するいわゆる傷害事故についてお伺いいたします。 本件の事件は、五十五年の十月十六日、法務委員会において寺田議員が質問して、当時の法務大臣は、凶悪な事件であるから全力をもって捜査に当たると、そういう答弁をされました。その後、去年の五十六年三月二日、決算委員会で私が約一時間問題点を提起いたしました。それから同じく五十六年の三月三十日、予算委員会の第一分科会で、同じく問題を提起いたしました。それで、本件問題は、発生以来一年三カ月たっておるわけでありますが、今日までの捜査状況について、まず法務大臣なり、関係者から御報告願いたいと、こう思うんです。
○説明員(国松孝次君) お答え申し上げます。お尋ねの事件につきましては、事件発生当日、事件発生地を管轄いたします大崎警察署に、署長を長とします捜査本部を設けまして捜査を開始したわけでございますが、現在に至りますまでその捜査本部体制を推持いたしまして、鋭意諸般の捜査を実施しているところでございます。
○目黒今朝次郎君 それだけではお粗末ですな。 じゃ、私が去年の三月二日に提起した幾つかの問題についてどうなっているのか、一つ一つ一問一答で聞きます。 まず、事件発生当時の警察日誌の点検についてはどうなっているのか。これは点検しましたか。私の言った一時間のずれ——一時間のずれというのは、これは犯罪の初動捜査というのは非常に大事なんですがね、この警察日誌が一時間もずれているということを私が指摘しましたが、これは確認しましたか。
○説明員(国松孝次君) お尋ねの一時間のずれ、警察日誌ということでございますけれども、当日の初動捜査のことをいろいろお尋ねでございます。先般の先生の御質問にも出ております。私それを読んでおります。存じ上げておるわけでございます。
○目黒今朝次郎君 確認したかどうかというんだ。
○説明員(国松孝次君) 確認いたしております。
○目黒今朝次郎君 私の言ったとおりですな。
○説明員(国松孝次君) はい。
○目黒今朝次郎君 わかりました。 それから盗難車のキーの問題、キーの問題も鋭意捜査中だと言っておりましたが、これは捜査はまだ捜査中ですか、結論が出ましたか。
○説明員(国松孝次君) 一応の捜査上の結論には達しております。
○目黒今朝次郎君 これは内容はここで言えないから、後で部屋にでも来て説明してください。 それからもう一つは、車ナンバ一の取り扱いについて、寺田に対する答弁と目黒に対する答弁とが食い違っておったんですが、これは目黒に対する答弁が正しいということを再確認されましたか。
○説明員(国松孝次君) そのとおりでございます。
○目黒今朝次郎君 それから、カタログというか、車の写真を二枚出したというのは、これは制服警官と私服警官が勤労の組合員の指摘に対して食い違った答弁をしておったと、どっちが正しいのかと、こう言ったら、私服の方は、実は同じ型の車がないんで、別な型の車を写真とって出したんだと私服はこそこそっと組合員に言ったんですが、私は私服の方が正しいと思うんですが、制服警官の方が正しいんでしょうか。犯行に使った車の写真を出すのに、別の車のを出して、捜査に御協力くださいと言ったって、別な車の写真だしてどう協力するんですか、これはナンセンスだと私は思うんですがね。これはどっちが正しかったんですか。私は私服警官の方が本当のことを言っていると、こう思っておったんですが、いかがでしょうか。
○説明員(国松孝次君) お尋ねの件につきましては、事件発生後、犯行に使用した車を周辺の住民の方々などが見ておられないだろうかということで、これはとにかく急ぐ捜査でございますので、立て看板を出しました。そのときに載せたものにつきましては、犯行に使用された車両というのは五十四年型でございましたけれども、それがございませんでしたので、一年新しいやつを出したというケースはございます。これは現場の臨機の措置でございまして、その型式その他につきまして見ましても、五十四年と五十五年とどこが違うかと言えば、ほんのちょっと窓のところの夜光塗料の塗り方が違うというだけでございますので、それでいけるだろうということで出したわけでございます。 ただ、先生のお尋ねにお答えいたしますれば、私服・制服といいますと、私服の方で申しましたのは、ちょっと臨機で別のを、急ぎますので出したという方が事実に合っておるということでございます。
○目黒今朝次郎君 私は、これに類似した車というぐらいにやった方が、本車でなかったらね、この型に類似している車というふうに、ただし書きをつけてやるのがやっぱり親切じゃないかなと、こう希望的に思っております。 それから、近所の住民の皆さんにうちの組合の皆さんがいろいろ聞いておったんだけれども、大崎警察から言われて云々ということでね、最初は気楽に言ってくれるんだと、二回目に調べたら、全部箝口令しかれて、もごもごしていると、東北人の私らしく。まあ高橋圭三先生は別。東北人の私みたくもごもごやっていると、こういう住民が多かったんですね。こういうことは、捜査がむずかしいというだけに、やっぱり証言は端的に聞くということが本当じゃないでしょうか。私はこの警察の初動は間違っておると思っておるんですが、いかがでしょうか。
○説明員(国松孝次君) お尋ねの件につきましては、どのことについてお尋ねなのか、ちょっと先生のあれと違うのかもしれませんが、私どもといたしましては、当時住民の皆様方その他の方からもいろいろと御協力をいただきまして、御協力いただく部分につきましては、いろいろな形で住民の方から御協力をいただいておるというように理解をいたしております。
○目黒今朝次郎君 そこが私と認識が違うんですが。それで、結論として大崎警察の方に、いま第三課長が捜査がなかなか困難しているという話があったんですが、困難している原因はやっぱり警察の対応の仕方にもあったんじゃないか。一番最初の初歩的調査の際にいろんな食い違いがあって、問題をむしろこじらかしてしまったということになっていると思うんですよ。 それで、もう一つお伺いしますがね、この前の質問のときに、これは警察庁の鈴木警備局長がこういうことを言っておりますな。本件類似行為でむずかしいのは、被害者が協力しない、それから加害者の方が秘密性の高い非公然の軍事組織というふうな表現を使っているんですよ。いま捜査中だと言うんですが、まず、この小谷さんという方は捜査には協力すると幾らも言っておるんですよ。ところが、私もおととい本人に会って、どうだ、その後会ったかと言ったら、いやメグちゃん——メグちゃんて変だけれども、私はメグちゃん、メグちゃんて言われているから、いやメグちゃん、ないやと、こう言っておるんですな。結局、被害者が協力しないと片一方で言っていながら、被害者が幾らでも協力しますって言っているのに、なぜ事情聴取に行かないんですか、被害者の本人に。もう退院して、ぴんぴん働いているんですから。 それからもう一つ。にせナンバーとかキーとか、いろいろな証拠物件収集していますね。その証拠物件をなぜ被害者に見せないんですか。どのパイプでやられた、どのキーでやられた、どのナンバーがどこにあった。それはやられた本人が、痛い目に遭った本人が一番知っているじゃないですか。どんな顔しておった、どんな覆面しておった、どんなかっこうだ。それを被害者が協力するって言っているのに、なぜ被害者にいろんな事情を聞かないんですか。聞かないってことは、裏を返せばやる気がないって言われてもしようがないじゃないですか。何を根拠に捜査するんですか、被害者と証拠物件を無視して。この点はどうですか。
○説明員(国松孝次君) 被害者の小谷さんは、事件の発生の後すぐ重症で入院をされたわけでございますけれども、入院先でいろいろ御協力いただきまして、三回にわたりまして事情聴取をいたしております。そして、私どもといたしましては、小谷さん自身も急に襲撃されたということで、余り詳しいことは御存じなかったわけでございますが、存じておられることにつきましてはいろいろお尋ねいたしまして、私どもの方といたしましては、被害者から聞くべき事項と申しますか、被害者から事情を聴取するということについては、一応その目的を達成しておる。その事情をお伺いしたことを参考にしながら、現在捜査を進めておるわけでございます。もし、今後また捜査の進展に伴いまして御説明をいただくということで必要がございますれば、また御協力をいただきたいと思っておるところでございます。 なお、お尋ねの二点目の遺留品その他を見せなかったではないかという御趣旨の御質問でございますけれども、これにつきましては、捜査は本来秘匿性と申しますか、犯人まだ未検挙でございますので、結局収集いたしました証拠資料と申しまますのは犯人との対決用といいますか、犯人に対して示し、それを具体的にやっていくということでございますので、捜査の過程におきまして、すべてのものをいろんな方にお見せするということはなかなかできにくい事情があることもあるわけでございます。もちろん、御協力いただく場合に、いろいろその資料をお見せするということはあるわけでございますけれども、場合によっては被害者の方に対しましても、いろいろとその物を示して御説明するということは、ちょっと遠慮さしていただくという場合があるということは、捜査の特殊性上御理解いただきたいというように思うわけでございます。
○目黒今朝次郎君 三回ほど聞いたということは私も聞きました。でも、やっぱり問題のポイントということになると、なかなか、これは本人の感覚ですが、問題のポイントになるとそれているという感覚を本人が持っているようです。それから、ある物を見せてもらえばまた思い出すこともあると言って、本人が記憶を、頭をやられたんですから、本人がその物件を見れば思い起こすこともあるということで、証拠品を見せてくれという希望もあったんです。ですから、そういう捜査上やっぱり前向きにプラスになる場合は再度聞いてもらうし、あるいは証拠品を見せてもう一回思い出してもらいたいという場合には、非公式にでも証拠品を見せて記憶を思い出してもらうということも私は捜査線上の前向きの姿勢で必要なことではないかとこう思うので、その辺のことについてはいかがでしょうか、前向きに取り組んでもらえましょうか。
○説明員(国松孝次君) 捜査の進展につきまして必要がございますれば、また改めてその具体的な状況に応じまして御協力をお願いすることはもちろんでございます。
○目黒今朝次郎君 法務大臣、この前、浅間山荘の求刑もあったんですがね。警備局長が「秘密性の高い非公然軍事組織」、こういうような東北人の私などはべろが回らないようなむずかしい言葉を使っているんですがね。しかし、中身はやっぱり大事なことだと思うんですよ。この「非公然たる軍事組織」をそのまま放任しておくというのは、これは法務省、警察庁のメンツにかかわる問題じゃないですか。やっぱり全力を挙げて、これは犯人の捜査と実態の把握に努めるというのが法務大臣の当面の最大の任務じゃないかとこう思うんですが、大臣の見解を聞きたいと思うんです。
○国務大臣(坂田道太君) およそ自己の主義主張を貫徹するために、法を無視したり、あるいは暴力手段に訴えて殺傷に及ぶというような行為は、法治国として容認すべからざることだというふうに思います。今後とも法務当局といたしましては断固たる態度でまいりたいというふうに思います。したがいまして、過激派によるこの種の襲撃事件につきましては、犯人の検挙に種々の困難は伴うかもしれませんけれども、御指摘の事件につきましても、鋭意犯人検挙を目指して努力をしておるところでございます。
○目黒今朝次郎君 それから最後に、国鉄の公安本部長が来ていますからお伺いしますが、今日まで、線路の上に石を置くぐらいは子供のいたずらだという程度でありますが、枕木やブロックを本線上に置いたり、踏切の遮断機を妨害したり、それから本線上の信号を、赤の信号を青に操作したり、あるいは本線の犬くぎ、調節板を抜いたり、松川事件の二の舞いを踏むような列車妨害が出ておって、ずいぶん提起をしたはずです。それで、去年の決算委員会でも、特に成田燃料輸送の列車襲撃事件、機関車二両が全焼した、こういう悪質な事件をずうっと提起しておったのですが、今日まで、私の聞くところでは依然として、どの事件も犯人が検挙されていない、こういうことを聞いているんですが、その事実が本当かどうか。同時に問題点がどこにあるのか、簡単で結構ですから、鉄道公安本部長の立場から見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○説明員(塩飽得郎君) 目黒委員御指摘のとおり、鉄道妨害が相次いで起こり、またゲリラで列車も襲撃されるという、まことに遺憾な事件が起こっておるわけですが、これにつきまして鉄道公安としましても、警察御当局と協力しながら、捜査を続けているわけでございます。公安のやれる範囲のことは一生懸命やっておりますけれども、有力な捜査の端緒がいまだにつかめていないのはまことに残念でございますが、相手がゲリラ的に出没するということで、これは通常の事件以上にむずかしい面がございまして、努力にもかかわらず、残念ながら検挙に至らないということで、今後ともまだ努力していく所存でございます。
○目黒今朝次郎君 時間がありませんから、ひとつ乗務員が安心して乗れるように最大の努力をしてもらいたい、こう思うんです。 それで法務大臣、きのう行管の関係がありましたから、中曽根長官に国鉄の公安官と、それからいわゆる警察、警察と公安官競合しているが、あれは一元化がどうかという意味のお話をしたんですが、行管長官は、鉄道公安官といえども聖域でないと、いわゆる合理化の対象だと、そういう発言をしたんです。ところがいま聞くと、鉄道公安本部長が言ったとおり、鉄道本来の事故が起きておるのに、いまの陣容だけでもどうにもならぬ、こういう現状だと思うのですが、警察全体がいま鉄道公安本部長と県警本部長が人事の交流をしたり、そういう点では警察本部と鉄道公安というのはある面では表裏一体の関係にあると、こう思うんですが、私も実際乗務員の経験から見ますと、やはり鉄道公安官の強化という点はこういう犯罪の捜査にも必要だと見ておるわけですが、法務大臣として、この行革の対象だという中曽根長官と、鉄道公安官の強化が必要だという皆さんの関係で、どういう考えを持っておるか、法務大臣の見解をぜひ聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○国務大臣(坂田道太君) 中曽根長官が行管長官として、当面政府としては行政改革を行うということ、これも私はよくわかるわけであります。同時にまた、同じ公安維持のために働いておられる、職務を遂行しておられる鉄道関係の公安官の職務も同時にやはり大事なことである、警察において、警察の立場で秩序維持のために働いておられる、職務を遂行しておられる、これもやはり必要な方々だと思うのでございまして、おのずとそこにはある程度の限界はあるんじゃないか。だから行政改革も必要でございますけれども、その必要最小限度のものはやはりおのおのの立場において確保すべきものでなければ、国全体としての法の秩序は保たれないというふうに私は考えます、具体的に言いますといろいろ問題はあるというふうに思いますけれども。
○目黒今朝次郎君 最後に、警察庁のだれか言ったか、課長か知りませんが、私はこの前の予算での質問で、いま法務大臣の鉄道公安官の必要性と、それから一般の警察の関係、これは国鉄の逆転事故が発生した際に、運転事故の調査に鉄道の専門家がおるんですから、鉄道専門家のところのわかるやつは鉄道公安官に任してもらって、それで鉄道公安官にわからないところは一般でやるということは私も理解するんで、この前、五十五年の十月二十三日、上越線の五六七〇列車、五十五年十二月十五日、日豊線のタクシーが飛び込んできた事件、それからまあマグロって変でありますが、自殺ですね、こういう問題について必要以上に、三時間も四時間も機関士とか運転士を列車をとめたまま調べるというのは、私は越権行為だというふうにちょっとこの前指摘したんですが、こういう問題の調整については、やっぱり鉄道公安官は鉄道公安官の立場があるんですから、その点を有効に、機能的に活用して対処してもらうと。それで、一時間も早く、一分でも早く列車は所定の運行に乗ると、そういう対応をぜひしてもらいたいということを要望しておったんですが、この点はどうなりましたか、関係者ちょっと言ってください。
○説明員(塩飽得郎君) 鉄道の事故の場合など、一刻も早く正常な運行に戻したいという問題と、それから捜査上の問題とが絡んで、いろいろ現場で困ることもあるかと思いますが、鉄道公安の方で専門的な知識でやるべきことは公安の方でやるし、また、それ以外の警察でやることが適当な分野については警察がやるということで、捜査、事故の処理につきまして、現場でよく相談をしながらやっておるのが実情でございます。また、警察の方にもそういった点をよく御理解をいただきまして、一刻も早く、なるべく円滑に運行が確保されるような方針で御協力もいただいておりますので、今後ともよくなお相談をしながら、協力し合って、適切な措置を進めていくように進めたいと思います。
○粕谷照美君 昨日の決算委員会で、同僚議員の方から新潟遊園と東京ニューハウスの合併、そして新たにできました新潟遊園と田中金脈との関連、あるいは税金の問題などについての質問がありました。私は、現に毎月の歳費の中から市民税を払っている新潟市民として、今回の問題は腹に据えかねるものがあるわけであります。それに関連をいたしまして、冒頭に若干の質問をいたします。 昨日、佐藤三吾委員から節税目的の逆さ合併というやり方は、巧妙な脱税ではないかという立場に立っての質問がありました。これに対して、国税庁の方では赤字会社が黒字会社を合併するのは、税法上特別な取り扱いはない、ただ休眠会社を利用し、黒字会社の繰越金を目的とした合併の場合は、税務計算そのものを否認したことはあると、こう答弁をされておりますが、よろしゅうございますか。
○説明員(渡部祐資君) そのとおりでございます。
○粕谷照美君 今回の例は、このままその年度内にすんなりと土地代金が入ってきたというのでは課税をされる、それで、入ってくるであろう九億円近い金のうち、半分ぐらいは税金に取られていく、こういうことから、その税金を払うことを回避するために、市側の支払いを無理に議会の承認を得て繰り越しをして、そして翌年度に支払わせた、その間に赤字会社と合併をさせて、その後に、ほんのわずかの日にちのうちに、前の商号と同じ商号にあえてするという、いわば故意に税金を免れようとする意図は隠しようがないわけでありまして、一般的な赤字会社と黒字会社の合併というふうに見ていたのでは、私は納得がいかないと思うわけであります。 現に、私自身も支持をして、いま市長になっていらっしゃる川上市長のそのもとで、市議会は具体的に五十五年度に新潟遊園に対して予算を支払うように決定しているわけでありますから、そこへ相手方の役員が来まして、来年度に延ばしてもらいたい、来年度に延ばして同じ会社の名前で払ったところが、実質的には内容が違っていたという、こういう何ともやりきれない事件であるわけですから、この事件の経過がすべて事実とした場合は、このことについてはきのう理事会預かりということになっているわけですから、そのこと自体は私も承知をいたしておりますが、国税庁は、この税務処理を過去の事例に照らして認めるのか認めないのかという点について、御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(渡部祐資君) 赤字会社が黒字会社を合併いたしまして、赤字会社の方を存続会社とする例につきましての税法上の取り扱いにつきましては、昨日お答えをいたしましたけれども、過去の私どもの実際の取り扱いの例を見てみますと、昨日もお答えいたしましたように、営業活動を全く行っていない、いわば名前だけの休眠会社を利用いたしまして、これを存続会社としてもう一つの方の黒字の会社の方の利益の方を相殺して消してしまうと、そういうようなものにつきまして、過去にそのような税務計算を否認した例はございますけれども、それは非常にわずかな例でございます。一般的に申しますと、一口に赤字会社であると言いましても、その実態が非常に千差万別でございまして、決算上は赤字であるけれども、実は多額の含み資産があるというようなものもありますし、それから、赤字会社と黒字会社が合併をいたしまして赤字会社の方が存続会社となるという場合でありましても、赤字会社の方が黒字会社よりもはるかに規模が大きいというような場合には、赤字会社の方が存続会社になるというようなことにつきまして、相当の理由があるというふうに解される場合もございます。そういうようなことで、一体その合併が果たしてどういう目的のために。行われたのか、その合併自身に一応経済的な、合理的な理由があるかどうか、その辺がポイントになろうかということであろうと思っております。
○粕谷照美君 いまの答弁もう全然逃げていますね。それでは具外的に、東京ニューハウスがどういうものであるか、この答弁は全然ないわけであります。新潟遊園というのは、私なんかもよく遊びに行きますから知っていますけれども、現実性があるわけですし、現に存在しているわけですからね。その辺のところについては理事会預りで実態を調査をするというのでありますから、きちんと調査をして出していただきたいと思います。 では、一般的な例として伺いますけれども、逆さ合併にはやっぱり問題があるということはみんなが認めている。それでは、税金逃れの合併であったというときには、税法上はどういう措置をとるんですか。合併をした会社はそれぞれ別個に税金を支払うということになるのでありましょうか。
○説明員(渡部祐資君) 昨日も御答弁いたしましたけれども、本件のような赤字会社が黒字会社を合併する、いわゆる逆さ合併と言われておるようでありますけれども、このこと自体を特に規定をした税法上の規定はございません。そういうことでございますので、果たして税金逃れであるかどうかというような抽象的なことだけで、私どもの取り扱いを決めるというようなわけにはまいりませんので、あくまで事実関係をよく調査した上でないと、その取り扱いが決まってこないということでございます。
○粕谷照美君 それでは、事実関係が明確になった時点でまた質問をしていきます。 次に、法務省にお伺いをいたしますけれども、今回の合併に関しては、新潟交通の役員については特別背任罪が成立をするのではないかという点でございます。 新潟交通の子会社であります新潟遊園は収支とんとんで、しかも近々九億円近いお金が市から支払われるということが明確になっていたわけでありますから、株主である新潟交通としては決して損をすることがなくて、持ち株に応じた配当が期待ができて、経営が苦しいこの社にとっては大変大きな利益であるはずであります。大変経営が悪い悪いということで、どんどんバス料金なども値上がりをしておりますしね。電車部門なんかもありますけれども、その電車の道路も非常に悪い条件になっていますが、それを直すこともできないような経営状態だなどと言っているところでありますから、できるだけ黒字にしていかなければならない、経営状態をよくしていかなければならないという課題があるわけでありますのに、この新潟遊園を東京ニューハウスと合併させることで、解散をすることになるわけで、東京ニューハウスという幽霊会社で、かつ赤字を十数億円も抱えているという会社の株を、いわば二束三文の株を新潟遊園の株主に同等で交付をしたということは、新潟遊園の株主であった交通にとっては、あえてもうかる株を捨てて、もうからない株を手に入れたということになるわけでありまして、こういう会社に対して故意に損害を与えたということになると思いますが、このようなことに同意を与えたという取締役、会社役員には特別背任罪が成立をするのではないか。この辺はいかがですか。
○政府委員(前田宏君) ただいま、いわゆる赤字会社と黒字会社、いろいろ実態もあるようでありますけれども、その合併について大蔵省の方からも御答弁がありましたが、赤字と言われましても、内容によってはいろいろなものもあるということは先ほども御答弁のとおりでございます。したがいまして、いわゆる逆合併と申しますか、そういうことだけで背任罪になるというわけにもまいらないんじゃないかというふうに思うわけでございます。 御案内のとおり、背任罪の成立要件といたしましては、他人のために事務を処理する者が、自己あるいは第三者の利益を図る、あるいは会社なら会社の損害を招くことを目的として任務に背いた行為をするということが要件になっておるわけでございますので、いまのような要件を果たして満たしておるかどうかということによりまして、結論が出るわけでございます。
○粕谷照美君 それでは、この理事会預かりになっている実態調査というものが進みまして、事件が解明をされていけば、このことについて調査をなさるというお考えはあるのですか。
○政府委員(前田宏君) 先ほどからもお話がございますように、いろいろと事実問題を明らかにしなければならない点があると思いますので、その上で考えてみたいと思います。
○粕谷照美君 そこで大臣にお伺いをいたしますけれども、本来、会社というのは商法に基づきまして設立登記によって成立をし、法人としての経済活動を行い、第三者に対しては法的な保護、規制を行い、そして、この登記によって会社の営業内容や、経済的基盤などを第三者が知り得ることとなりますので、取引関係に立つ者に、相手会社の信頼性を得る上で、非常に重要な手段となっているので、そういうのが商法上の会社登記制度だと思うのであります。 ところが、この登記制度を今回の場合は私は悪用したと断言をしてもいいのではないかと思うのですが。悪用したのが今回の事件であります。特に、新潟市から入る土地代金が新しい新潟遊園に入って、税金を支払わないというだけではなくて、ロッキード事件でいま保釈中ではありますけれども、刑事被告である、そして、その元首相の田中金脈のところにつながっているという、この辺のところが問題になるわけでありまして、元の大蔵大臣をやられた方が、節税とはいいながら、脱税そのものというような行為を指導されている、そして、商法による会社登記制度をそのように利用して、国に税金を払わない方法を率先をしてやっていらっしゃる、そしてみずからの収入にされようとしているというようなことについては、国民は納得がいかないわけであります。 法務大臣として、こういうような政治家のあり方について、政治倫理上、まあ人の道とは申しませんけれども、どういう見解をお持ちか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) ただいまお尋ねの問題につきましては、私先ほどから伺っておるわけでございますけれども、いずれも事実関係がはっきりしてないということなんで、事実関係がはっきりいたさない現段階でとやかく倫理上の問題も私言えないと思います。
○粕谷照美君 しかし、現実には登記簿なども明確に写真でいろいろなところに報告をされているわけでありますし、新潟市議会が五十五年度に払う予定のお金を、わざわざ決議をし直して五十六年度、翌年度に支払っている。その間にそのような工作が行われたということは事実なわけでありますから、大臣がそういうふうに答弁をお逃げになることは、大臣自身のお考えですから、私は大変不満でありますけれども、事実を早急に解明の上、きちんと対処をしていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。 それでは次に移ります。 まず最初に、会計検査院の決算報告によりますと、昭和五十三年、四年、五年、三年度にわたって連続して職員の不正行為による損害が指摘をされているわけであります。五十二年度は釧路の刑務所、収入官吏の補助者が二百七十九万円余りを一年十カ月間にわたっての仕事であった。五十四年度は釧路の札幌法務局の関係五出張所、十年余りにわたって、しかもこれは管理職の方でありますけれども、千九百九十六万円余りを問題を起こしている。五十五年度は福井、金沢、富山法務局関係、しかも四部局にわたりまして九年余りにわたって八千二百六十万円、こういう問題を指摘をされているわけであります。会計検査院からいただきました資料によりますと、五十五年度に問題を起こしました島田某の事件は、便宜的に預かった現金で起こした問題が四百三件、三千万円を上回っております。それから、収入印紙でもって起こした事件は三百四十六件、五千百万円を上回っているのであります。 私は、こういう多額の不正行為がどのようにして実行することができたのか、また、どのようなことで実行してきたのかということを報告をしていただきたい。それと、こういうことを行うことができた原因というのは一体どこにあったのかということもお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 法務局関係の分について最初に申し上げたいと思いますが、ただいま御指摘ございましたように、五十四年度の事件と五十五年度の事件がございます。 五十四年度の事件というのは、元法務事務官の渡辺某という者の事件でございますが、渡辺某が四十四年から五十四年まで北海道の釧路地方法務局及び札幌法務局の管内に勤務しておりました間に、登記の申請等を受けました際、登記申請書に張りつける収入印紙の購入代金として、便宜登録免許税相当額の現金を預かります。あるいは登記申請書に張りつけてあった収入印紙を消印をしないではぎ取るというようなことをいたしました。そうなりますと、申請書に印紙が張りでないことになりますので、受理した登記申請書にはすでに登記済みの他の登記申請書からはき取った消印済みの収入印紙を張りつけるというような方法によりまして、現金及び未消印の収入印紙計一千九百万円余りを領得したという事件でございます。 それから、五十五年度の事件というのは、ただいま御指摘ございましたように、元法務事務官島田某という者の事件でございます。島田某が四十六年から五十五年まで、福井、金沢、富山の各地方法務局の管内に勤務しておりました間に、登記申請書等に張りつけてあった収入印紙、あるいは張りつけることを依頼され受け取った収入印紙等を領得いたしまして、これを隠蔽するために、登記申請書には偽造した収入印紙を張りつけるなどという方法をとっておったというものでございます。 このような事件が起こりました原因ということについてもお尋ねがございましたが、やはり当該職員の倫理観の問題というものが根本にあろうかというふうに考えますけれども、管理者の部下職員に対する指導、あるいは管理体制にも問題があったのではないかというふうに反省をいたしております。また、長期間にわたってこういった不正事件が発見されなかったということからいたしますと、監査のやり方にも問題があったのではないかというふうに考えております。
○政府委員(鈴木義男君) 矯正局関係について申し上げます。 御指摘の昭和五十三年に釧路の刑務所で会計課の歳入係をしておりました職員が、歳入係として歳入の徴収及び現金の収納に関する事務を補助しておりました職員が、刑務所の作業製品の代金として会計課の窓口へ持参された現金、あるいはこの職員が債務者のところへ赴いて集金した現金等を受け取りながら、収入官吏に引き継ぐことなく、約二百八十万円横領したという事件でございます。 事件の原因は、一つは、入ってまいりますお金の受領事務を一人の職員だけに任していたということが一番大きな原因ではないかというように思われます。通常、現金を扱う場合には、二人以上の手を通すということによって、相互に牽制させるということが必要でありますが、本件当時はそういうことが行われていなかったということでございます。それからもう一つは、部内での定期の検査が形式的に流れて、そういう事故があったのを見過ごしたということが原因になっているものと思われます。 この種の事故を防止いたしますためには、矯正局の方から通達を出して、そういうことのないようにという注意を喚起いたしましたほか、矯正施設の良の全国的な会議、あるいは施設の会計関係の職員の講習会、あるいは研修会等を何度も開催いたしておりまして、この種の事故がないように注意するとともに、また会計事務のあり方について教育をいたしております。そういうことをいたすとともに、他方、職員の質の向上を図り、あるいは上級官庁からの監査を厳しく行うことによりまして、再び起こらないようにということに気をつけておるところでございます。 なお、この種の事故は、その後は発生いたしておりませんので、つけ加えさしていただきたいと思います。
○粕谷照美君 五十三年度の釧路の事件は一年とちょっとの間でありますね。そして御本人から申し出をしてきたというようなこともあり、刑務所のお役人が刑務所に入って懲役一年間という、これは非常に厳しい処分も受けているわけでありますけれども、この五十四年と五十五年の分につきましては十年間、この間わからないというのはどういうことですか。そして、特に五十五年の島田某は、福井でまず二千三百九十一万円です。地方法務局で千百三十六万円、金沢の宇ノ気へ行きましたらもう四千五百一十四万円、富山はわずか二カ月の間に二百七万円、もうしたいほうだいのことをやっているわけですね。特にこの宇ノ気の出張所にいる約三年間の間に四千五百万円、一年間に千五百万円ぐらいずつ自分のふところに入れていくわけですから、金がそれだけ入るということは私生活の面でもずいぶん変わった、目立ったことなんというものは出てくるというふうに思うんですけれども、その辺この十年間余り気がつかなかったというのは、単に監査が行き届かなかったなんというものでは説明がつかないのではないかと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) ただいま御指摘の点一つ一つごもっともでございまして、私どもといたしましても、期間も長く、金額も非常に高額に上っておりますので、どうして発見できなかったかと不思議にも思い、非常に残念にも思っておるわけでありますけれども、当時といたしましては、結局管理者の部下に対する指導の不徹底、あるいは監査のやり方にも徹底を欠いたものがあったと、それも無理からぬ点もあったかと思いますけれども、結果的にはそういうことになるわけでありまして、これを教訓といたしまして、管理者には部下職員に対する指導と、管理体制の強化を期するように、あるいは監査のやり方を抜本的に見直しまして登記事務監査の重点が不正、不当事件の早期発見と防止にあるということを明確にして徹底をさせたというような次第でございます。
○粕谷照美君 そんな通り一遍なことを言ったってだめなんですよ。実に原則的な、初歩的なことが守られていないと、こういうことなんじゃないですか。
○政府委員(中島一郎君) 結局そういうことになるわけでありまして、職員の倫理観というよりもむしろ倫理観以前の問題と、きわめて初歩的な問題と、こういうことになろうかと思うわけであります。結局その職員の倫理観を高揚させ、そして指導管理体制を強化し、そして監査を徹底すると、言葉で申しますとこういう通り一遍のようなことになりますけれども、個々具体的なケースケースの場合もあるわけでありまして、その基本的なことを具体的な場合に当てはめて、要するに事故の起こらないように、起こった場合には早期に発見できるようにということで、私どもも繰り返し繰り返し注意を喚起し、徹底を期すということ以外にないということで努力しておる次第でございます。
○粕谷照美君 収入印紙の張ってない登記申請書を不備を承知で預かるということは一体どういうことなんですかね。それでもよろしいというふうにいままで指導があったからこそ、十年余りこういうことが続いてきたのじゃないですか。あわせて、収入印紙代といって現金を預かりますね、そういうことは一体どう法務省としては判断していらっしゃるんですか。そして、またそういう不備な申請書を預かるということのチェックをどのようにいままでしてこられたんですか、お伺いします。
○政府委員(中島一郎君) 収入印紙の張ってない申請書を預かるということでありますけれども、それは収入印紙の売りさばき所が近所にない、本来は収入印紙を買ってきてもらって、それを張ってもらって申請書を出してもらうというのが原則でありますけれども、それではということで、収入印紙の購入代金相当額の現金を預かって、その現金で収入印紙を購入いたしまして申請書に張ると、こういう扱いがときどきは行われておるというふうに聞いております。ただ、申請書にはその登録免許税の金額を書きますので、それでもう問題が起こるということは少ないわけでありますけれども、しかし、余り好ましい方法ではございませんので、こういう方法をとらないようにということで、私どもとしては指導をいたしております。しかし、申請者の事情によりまして、ぜひにということで、そういう扱いも行われておるということも事実でございますので、こういう事件の教訓にかんがみまして、ただいまのような方法をなくしていくように、さらに一層努力しなければならないというふうに考えております。
○粕谷照美君 それから、本人の倫理観とは言えるでしょうけれども、登記申請書等に偽造した収入印紙を張りつけたというんですね、お金の偽造と同じ意味を持つわけでありますけれども、こういうことが平気でできるような状態なんでしょうかね。 それから先ほど質問いたしましたように、本人の私生活が八千二百万円を超す収入があって全然変わらないで疑問を持たなかったという、プライベートな面についてのいろいろな介入というのは問題ですけれども、おかしいなというような雰囲気はなかったのでしょうかという質問についてはまだお答えいただいていません。
○政府委員(中島一郎君) 未消印の印紙をはぎ取りまして、それに消印済みの印紙をもう一度消印して張りつけたという例は、ずっと以前にはないことはないというふうに聞いておりますけれども、偽造の印紙をつくらせて、それを張りつけたというケースは全く前代未聞でありまして、私どもも全く考えもしなかったケースということになるわけであります。 それから、ただいまの私生活の問題でありますけれども、このごろの御時世でありますので、管理者側で職員の私生活と申しましょうか、そういうものを調査をして、あるいは、そういうものから得られた情報によって職員を監督する、管理するというようなことに、かなり遠慮があるように私どもも考えておるわけでありまして、しかし、純然たる私生活は別でありますけれども、こういう職務上にも関係を持つ可能性のある面につきましては、十分に注意をするようにということで指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
○粕谷照美君 それで、国に対して損害を与えた部分としては、この島田某は残り七千九百万円——八千万円ほどあるわけですね。本人が何も返済してないで、何か収入印紙を買った方から二百数十万円返済をさせたというんですけれども、この八千万円近いお金は今後どうするのですか。あるいはまた五十四年度のまだ返済をしてない額が一千幾らあるわけですが、その辺についてはどのように考えていらっしゃるんですか。
○政府委員(中島一郎君) 債務名義を得ておりますので、本人の資力を見ながら回収を図っていくというふうに考えております。
○粕谷照美君 では見通しはどうですか。
○政府委員(中島一郎君) 全額回収はそう容易な話ではないというふうに思われます。
○粕谷照美君 そういう、本当に内部の監査体制が不備であった、本人のモラルもさることながら、そういう状況を十年間も放置しておいて、八千万円も国に損害を与えていた、私は皆さんの方でも一生懸命にやっていらっしゃって、そして発生原因はこうだ、今後はこうしたいという国会に対する説明書などもありますけれども、真剣にこれはやっぱり取り組んでいただかなければ、国民としては税金が不足しているから、だから減税ができないんだ、サラリーマンの怒りなんというものはもう極度に来ているわけですから、本当に姿勢を正していただきたい、そういう指導もしていただきたい、特に要望しておきます。 それではその次に移ります。 会計検査院、昭和五十五年度決算検査報告は、刑務作業製品展示即売会における販売代金等大体三千四百六十三万円を歳入に組み入れずに、別途経理をしていたことについて、不正経理であり、経理が著しく紊乱していると、こう指摘をしております。この不正経理であるということは会計法違反であると、こう理解してよろしいわけですか。
○説明員(堤一清君) そのとおりでございます。
○粕谷照美君 法律の番人であるべき法務省の役人、特にその中でも法律を犯して刑を受けている者の矯正施設における製品を販売をしたその額を不正な経理をしたといって指摘をされている、違法であると、こう指摘をされているということは、非常に重大なことだというふうに思うわけで、刑務作業の現場で働く人々は本来の任務を遂行できないのではないか。受刑者に対しても、お前だって違法行為やってるじゃないかと、こう言われたら、私は説明もできない、頭も上げられない状態になっているのではないかというふうに思います。昭和五十六年十二月四日の日経や毎日や朝日や読売などの見出しを見ますと、「刑務所が裏金作り」、これは朝日ですね。読売は「製品代三六〇〇万円を流用」「一部飲食費に?」、こう書いてありますね。毎日は「職員飲み食いも」、こうなっています。日経は「刑務所がごまかす」と、こうなっていますね。こんなことが事実であるとすれば非常に私は問題だというふうに思います。そういう意味で、この内容について新聞報道は事実かどうかお伺いいたします。
○政府委員(鈴木義男君) ただいま御指摘がございましたように、刑務作業の製品の販売に関しまして、三年間に約三千四百万円が別途経理されておりましたことは事実でございますし、またそれがこの会計関係の諸法令に反しますことも事実でございまして、こういう事態が出ましたことはまことに遺憾かつ残念なことと考えております。ただ、先ほど新聞の見出しをお読みいただきましたんでございますが、こういうことが出ました原因はどういうことかと申しますと、昭和五十年代に入りましてから大変不景気な産業がふえてまいりました。刑務所におきましては、刑務所の作業といたしましては、業者から材料を受け取りまして、その材料に加工して業者に引き渡すと、これを私どもは賃金作業と呼んでおりますが、そういう作業と、それから刑務所の方で材料を購入してまいりまして、その材料に加工してこれを刑務所の方で販売すると、これを製作作業と呼んでおりますが、この二つをやっておったわけでございますが、刑務所へ賃金作業を依頼してくる業者は中小企業が大部分でございますが、そういう業者の業績がなかなかふるわない。したがって、賃金作業の方が伸びない、あるいは落ち込んでくるということでございますので、製作作業の方をできる限りやらなければいけないというように考えたわけでございまして、その製作作業になりますと、注文を待って製作をするということになりますと、大変時期もおくれますし、業績も上がらないということですので、ある程度需要を見越しまして製作して、それを一定の時期にまとめて売る。その方法として即売会というものを設けたわけでございます。 即売会をいたします場合には、会場を借りまして、そこへ製品を運搬し、さらにお客様に集まってもらい、一般の人たちに集まってもらいますために一種の広告、チラシ等を作成しなきゃいかぬわけでございます。こういうことはもちろん予算の範囲内で行われなければならないわけでございますが、この多くの施設、これは調査いたしましたところ約四十の刑務所がございますが、この多くの施設では、この作業が足らない、作業の成果をもっと上げたいという非常な熱意もありまして、予算で定められたところ以上に即売会をやって、これによって、この作業成績を上げるとともに、受刑者の励みにもしたいということを考えましてやったわけでございます。 先ほどの新聞の中には、何か刑務所の職員が作業の成果の上前をはねたというような趣旨の見出しが大分あるわけでございますが、これは新聞の中で細かい字で書いてあるところをごらんいただきますと、必ずしも見出しと内容との趣旨が一致していないわけでございます。飲み食いというのも言葉の問題でございまして、こういう即売会をやるにつきましては日曜等も返上いたしまして、またその分について超過勤務を出すということもなかなか制限がございましてできないわけでございます。そういうときに、職員が一日、あるいはその準備のために働いてくれたことに対する慰労ということで、大体が飲み食いとありますが、昼飯代を出しておるという程度が大部分でございます。この三千四百万円を全部そういうように使ったわけではございませんで、その中の宮崎刑務所というところでは、非常に作業にハッスルいたしまして、ここでは屋久杉という材料を使って家具をつくっておったわけでございますが、この家具の材料の屋久杉が大分上がりましたために、思うように生産ができないということもありまして、屋久杉でつくりました家具を売った際に、その代金の一部を国の収入といたしませんで留保いたしまして、それでもって今度はまた屋久杉を材料として買ってまいりまして、それに加工してまた売るというようなことをしていたわけで、これについてほぼ二千万円ぐらいの結果から見ますと不当経理、不正経理が出たわけでございます。 刑務所におきましては、作業というものは処遇の基礎でございまして、受刑者が作業をすることを通じまして、勤労の意欲、あるいは習慣を養うことになりますし、また整然と作業が行われることによりまして、所内の秩序も保たれるわけでございます。また、それが、少額ではございますが、受刑者に対する作業員与金という形でもまた働いた受刑者は励みを受けるわけでございます。 さらに、即売会ということを行いますと、そこに一般の人たちが参りまして、作業製品を買っていただくわけでございますが、その際に、刑務所ではどういうことをやっておるのかということについても、一般の方々に理解していただくという趣旨で、いろいろな企画、施設の見学であるとか、あるいはパネル等をつくって、刑務所の中の実情であるとか、あるいは職員がいかに苦労しておるのかということを宣伝といいますか、PRいたしておるわけでございまして、そういう意味でこの作業は大変大事なことでございますし、それと一般の方々の刑務所、あるいは矯正に対する御理解を深めていただくという意味をも含めまして、即売会というものは大変いい役割りを果たしておるというように私ども考えております。したがいまして、今後はもちろん会計法令に違反するようなことは厳重に注意しておりますし、もうそういうことは行われておりませんが、今後とも刑務作業製品を、即売会という形で売りさばきを実施することは続けてまいりたいというように考えております。 結局、要約いたしますと、成績を上げるために勇み足をしたというように私ども理解いたしておりますので、その点よろしく御理解をお願いしたいと思います。
○粕谷照美君 刑務作業の目的、運営の方針、それから展示即売会が非常に重要な意義を持つんだということもわかりましたけれども、しかし、いいことをやるから会計法に違反してもいいんだということにはならない。これをチャンスに本年度からはこれがなくなったと言うんですけれども、そういう別途会計をしないでも済むような状況になったというのは、やっぱり会計検査院の指摘が一つの何というんですか、引き金になったというように理解をしてよろしいですか。
○政府委員(鈴木義男君) 会計検査院からの御指摘がありまして、こういう事態の存在することがわかりましたので、それはもうしないようにということにいたしたわけでございます。
○粕谷照美君 しないようにというだけで終わるものであれば、もともとやらないでも済んだのではないかというふうに思いますけれども、私はやっぱり予算が問題なんじゃないかというふうに考えるんですね。たとえば即売代金、三年間合わせまして六千六百万円余りですね。そして、別途経理が二千四百万円余りですから、売り上げに対して別途経理が三六%です。それから、宮崎で見ますと、この宮崎の売上金に対して屋久杉など材料を購入したお金約千五百万円というのは、これもう八〇%近くに該当するわけで、こういうものこそ予算できちっと見てやらなければ、受刑者に対する問題点は私は解決をしないというふうに思うんですけれども、大臣どうですか、その辺のところで今回の予算とも関連いたしまして、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) この種の不正事項、これはもう続発しないようにしなければいけません。もうまことに遺憾千万だと思います。会計検査院に指摘をしていただきまして改善をしたということでございますが、今後はこういうようなことが絶対にないようにしなければならないというふうに思います。 しかし一方、私刑務所二つ、実は熊本とそれから府中の刑務所を見てまいりました。たとえば府中の刑務所でございますと約二千四百名程度の累犯の人たちが収容をされておるんですが、その五三%が実は組織暴力の人たちであります。しかも、それを幾つかの班に分けまして、そして作業をさせているわけでございますが、大体平均いたしますと六十人を一人で見ている。しかもドアをシャットアウト、そしていろいろの器具を使いながらこうやる。たまにはけんかというようなことも起こり得る。それからまた、これは数年の間ではございましょうけれども、めがねを割りまして、これで頸動脈を切るとかあるいははしを二本タオルで巻きましてこうやれば、これ自身がもう凶器になる、またそれで傷つけたという例も実はあるわけです。そういう中で、私防衛庁長官もやりまして、自衛隊の諸君を視察をしたこともございます。しかし、二十四時間のスクランブル体制におる自衛官、それ以上の緊張の連続が刑務官に課されている。それでなければ保安が保てない。非常に緊張感を持っておる。したがいまして、後で所長から、一体この人たちの恩給の受給状況はどうなんだと聞きましたら、非常に短いわけでございます。後でうちでも調べましたところ、法務省の一般の職員は二三%、受給関係でございますが、しかし看守以下は約二七%ということ、恩給受給期間が五年未満の者でございますね、そういうこと。それから年休の取得日数が、普通一般の公務員は十二・一日、それがここの場合は八・六日ということ。それから叙勲の年齢にいたしましても、一般は七十歳以上、しかし、刑務所職員につきましては五十五歳から受けられるというような状況で、かなり緊張の連続という、しかも先ほど矯正局長が申し上げましたように、受刑者を社会に復帰させる、更正させるやはり一つの大きい手段、方法といたしましてこの作業が行われておる。所長のお話によりますと、まず食事、これがきちんとしていなきゃいけない。二つ目は、適当な運動を与えるということ。三つ目は、適切な作業を行う。これがきちんとしておらないと非常に不安な状況が出てくるおそれがあるということでございまして、一面こういう不正事件は再び起こらないようにしなければいけませんが、同時に刑務所のこのような仕事に携わっておられる人たちの処遇については、十分政府として、法務省として考えていかなきゃいけないというふうに思いました。 それから、法務局の問題、これは個々の問題については私はまだ突っ込んで聞いておりませんから何とも申し上げられませんが、一般的に申しますと、先生方も御承知のとおりに、法務局の仕事、特に登記の事務というものは、この十年間約二倍以上になってきておる。しかも、質的にも複雑になり、あるいはマンション等もできて、非常に労働が過重になっておる。にもかかわらず、定員は一・一二ですか、ほとんど変わらない。そういう人員でこの仕事をやっておる。サービスはきちんとやらなきゃならないのにそれはできない。しかも、法務局をあちこちを私最近見て回りましたけれども、たとえば板橋の法務局出張所のごときは狭隘で、いま新しくつくり始めておりますけれども、あそこの中であれだけの仕事をやっておる。なかなか監督なんかもできないような状況じゃないだろうかというふうな一面もあるということ、これは私法務大臣といたしまして、やはり法務局を新しく近代化していくと、そして仕事をきちんとやれるようにしてあげるということも、やはり犯罪、このような不正なことが行われない前提ではなかろうかというふうに思って、自分に言い聞かせておるようなわけでございます。来年度の予算におきまして、この点にどうこたえていくかということも一面において私考えておるわけでございます。 以上でございます。
○粕谷照美君 大変実情に理解の深い大臣を得て、法務省の公務員の皆さん大変喜んでいらっしゃると思いますけれども、しかし、指摘された問題点が解消されたということは、やっぱり予算との関連ですから、しっかりがんばっていただきたいと思うのですが、特に法律を守る法務局でもって、展示会やるのが日曜、休日になると。そうすると休日出勤、日曜出勤しなければこの仕事ができない。その超過勤務手当も正規に払うことができないような状況を黙って許しておくというのは、私はやっぱり問題があるのではないかというふうに思うんです。だから、そういうことができないからこそ、たんすをあそこのマンションに運んでくれ、ここのうちに運んでくれ、売れたこのたなをあそこへ運んでくれと言ったときに、運んでくれと言った人が、おまえ、じゃ、これ途中でジュースを飲めと言って出したのが、この飲食費の中に含まれているわけでしてね。そういう不明朗な会計を実施しないでも済むような状況というものをぜひつくっていただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。
○委員長(和田静夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時五分まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(和田静夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○円山雅也君 きょう私は法務省の方に、法律扶助制度の現状と申しますか、それから、法務省がそれについてどうとらえておられるか、そんなことを御質問したいと思うんですが、その前に、その前提となるごく基本的な問題について、大臣の御所見を一、二お伺いしたいと思います。 日本は、御承知のとおり法治国家でございますし、それから、法令の数はもう万を数える、学問的究明も、これはもう世界に冠たるものだと思います。つまり外形上、形式上は非常なりっぱな法治国家と言えると思います。ところが、じゃ実態はどうかということでございますが、ひとつ大臣に具体的にいま例を申し上げますので、その件についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。 たとえばここに非常に貧しい若夫婦がいたとする。奥さんがおなかが大きくなった。そこで夫の方は、女房のお産に一生懸命備えなきゃいかぬというんで、超過勤務なんかを、夜勤までして一生懸命貯金をし始めた。三万円ぐらいたまったところで、その夫のところへ友人が来まして、おまえ、聞くところによるとお産の費用で三万円ためているそうじゃないか、まだお産は先じゃないか、おれはいま実に金に困っているんだ、だから、おまえがお産までに返すからその三万円貸してくれと言う。それで人のいいその夫の方は、それじゃ気の毒だというんで友人にその三万円貸した。ところが、この友人が悪くてお産が近づいたって返さない。返してくれと言うと、そんな金は借した覚えない、第一、借用証なんかないじゃないかと居直る。こんな場合、いまの先ほど申し上げた外観上の整備からすると、確かにそういう場合は貸し金請求権、返還請求権があるんだよ、民法で。しかも、相手が返さないならば、日本全国どこにも裁判所があるんだから裁判所に訴えなさい。そうすれば裁判所が判決して、執行吏役場で相手の財産差し押さえても回収ができるようになっているよ。これは完全にたてまえではそうなっております。とこるが、じゃ実際問題として、そういう外観上完備した制度が利用できるかといいますと、三万円の貸し金の取り立てに、相手がしかも否認しているというような場合、どうしたって裁判を起こさなければいけません。ところが、御承知のとおり民事裁判というのは非常に専門分野でございます。だから素人ができるものじゃないとなれば、どうしても弁護士頼まざるを得ない。ところが、三万円のために取り立て裁判起こして、判決もらって、強制執行して相手を差し押さえようなんといったって足が出ちゃいます、とても。だから、そうすると、結局は自分でもできない、弁護士も受けてくれない。結局この善良な夫の三万円は夫の方が泣き寝入りをして、ずるい、悪賢い友人の方が保護されてしまう、結果的には。ここまでなら大臣、まだいいんです。一般の庶民から考えますと、それだけでも不合理だと思うんですが、たとえば、じゃここに殺人はする、強姦はする、放火はする、もう社会に、害悪をまき散らした極悪人がつかまったとします。本人も全部自供している、もう判決すれば死刑に決まっています。だからおれは弁護人なんか要らない、どうせ死刑だからと言っている。この社会に害悪をまき散らした極悪人には、国民の払った税金でもって嫌だと言ったって、必要的弁護ですから、国選弁護人がついて、極悪人の権利の保護に当たるわけです、税金でもって。それから、たとえばここにもうかっている企業があるとします。一千万円売り掛け代金が焦げついたという場合、もうかっている企業だったら、一千万どうしても回収しなくても、損金で落とすという方法もございます。ところが、その一千万の回収となれば弁護士は群がります。弁護士が欲があるからしゃなくて、実益が伴いますからね、一千万の回収ならば。そうしますと、いまの三つの例を比較いただきますと、日本の法律というのは、もう社会に害悪をまき散らした極悪犯人には税金でもって嫌だと言ったって弁護をつけて当たる。それから、もうかっているお金持ちの大企業の方は、どうでもいいような一千万でも回収可能。本当に困っている、ささやかな自分の善意でもって友人に貸したこの三万円の取り立てが実際上は不可能でございます。 こういう状態で、しかもいまの例だけではなくて、じゃ、仮にある人が被害を受けた、その人も貧しい人だった。そうすると、被害の弁償、損害賠償をしようにも、やはり弁護士頼まなきゃならない、お金が要ります。そうすると、やっぱりお金がないと泣き寝入りせざるを得なくなる。これが、歴代の法務大臣の方々はいつも御就任なさると、日本は法治国家である、法治国家の威信にかけてと言っておられるんですが、一番おひざ元の民事の裁判の実態というのは、また刑事の裁判も含めまして、極悪人の保護とか、一部のお金持ちの権利行使には積極的でございますが、多くの一般庶民のいわゆる少額の財産の保護、これも重要な憲法で保障された基本的人権だと思いますけれども、そういう保護がおひざ元で欠けている。この現状について、大臣、まずちょっと御所感をいただきたいと思う。
○国務大臣(坂田道太君) いまいろいろと御指摘いただきましたわけでございますが、恐らく、法治国家と言いながら、実は貧しいがために正当な裁判をやることができない。そのために泣き寝入りになってしまうという、あるいは公平な裁判が行われないということはやは力問題であろうというふうに思います。したがいまして、まだ私こちらに参りまして日も浅うございますが、こういう貧しい方々に対しましても、国としてこの裁判、民事また性行政訴訟に必要なその経費を法律扶助制度によって何とか賄っていくといったてまえが実はとられておると承知しておるわけでございます。しかし、それらの予算が微々たるものでございまして、本年度の予算におきましてもわずかに八千四百万、八千万に四百万プラスしたということでございますけれども、先生おっしゃるような状況を解消するには至っていないんじゃないかというふうに思っております。
○円山雅也君 もう確かに大臣、学問的に刑事の弁護ですね、国選弁護の場合は確かに国と国民と権力関係の場ですから、だからこれは確かに国がかなりの予算をほうり込んで対等の立場にしなけりゃいけない、だから民事の場合と違うんだという御意見もあると思うんです。だから、刑事の国選弁護みたいに民事はいかないんだという御意見はあると思うんですけれども、たとえば憲法の三十二条では裁判を受ける権利が保障されておりますし、それから十四条では国民の法の前の平等ということもうたわれております。だから直接国がそういう民事の不平等をなくさなきゃいけないという、なくさないことが、現状が憲法の三十二条とか十四条とかに違反しているとまでは申しませんけれども、少なくともそういう憲法の精神に反しているんじゃないか。また、少なくとも法治国家として胸を張るにはその辺を真剣に解決をしていただかなきゃいけないんじゃないか。そういう意味で、きょうこれからひとつ大臣、いまの法律扶助制度の現状がどうなっているのか、法務省にこれから細かくお尋ねをいたしますから、ひとつお聞きをくださいまして、後ほど総括的な御意見をいただきたいと思います。 そこで局長に聞きます。 まず、五十六年度の法律扶助協会に対する補助金額はお幾らですか。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 昭和五十六年度におきます補助金は八千万円でございます。
○円山雅也君 ことしの予算、一応これから決まるわけですけれども、五十七年度の予算はどのくらいになりましたですか。
○政府委員(鈴木弘君) 五十六年度同額の八千万円のほかに、これは非常に重要なことと思いますが、法律扶助事業の国民への周知を図る、そのための経費といたしまして広報宣伝委託金四百万円、これを計上していただいております。
○円山雅也君 ゼロシーリングのときにほんとに、四百万円といえばスズメの涙かもしれませんけれども、御努力をいただいたことに対して本当に敬意を表したいと思います。 そこで、じゃ過去少し振り返りまして、この法律扶助に対する国庫金の推移でございますけれども、たとえば昭和四十一年度六千万、それから十五年間の昭和五十六年度に至るまで、途中でこぼこはあるにしろ、五十六年度、先ほどおっしゃられた八千万。といいますことは、日本がこの経済成長が非常に大変なときに、十五年間で約三割ちょっと、二千万円しかふえていないんですね、国庫補助金が。しかも、これは国家の総予算の増大に此べたら大変なおくれでございます。 それから、特に昭和四十八年から五十五年の七年間に至っては、六千四百万そのまま七年間据え置きでございます。この間、扶助協会としては法務省に恐らく何回も、何とかふやしてもらえないか、これじゃやっていけないということや、何回も陳情をし、法務省も御努力をされたと思います。それがこのような惨たる状態に終わったのはどこに原因があるんでございますか。つまり、予算がこういうふうにふえないということの原因はどこにあるのですが。つまり、大蔵省が金出すんでしょうからね、そうすると大蔵省はどういう理由でもって、法務省さん無理だよ、それは出せないんだよと言っておられるんでしょうか。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 先生御指摘の数字はそのとおりでございます。私ども補助金の増額については大いに努力してまいりましたし、それなりの成果は上がってはおるわけでございますが、ところでこの際、もう先生御承知とは存じますが、御認識いただきたい点と申しますのは、補助金と申しますのは立てかえの制度をとっておりまして、立てかえたお金は償還していただいております。その償還金と申しますのが、また新しい事件についての立てかえ資金になっていると、こういうことでございまして、年年補助金がございますので、結局立てかえて戻ってきた分、また新たに補助金として国から予算として組んでいただいた分と、こういうものがございますから、それが年々増加してまいりまして、昭和五十五年度の立てかえ金総額は三億三千六百万円余になっております。昭和四十年度を見ますと、立てかえ金総額は七千万円でございまして、これも関係の皆様方の非常なお力添えと御支援のおかげで、ただいま申しました五十五年度における三億三千六百万円ということになっておるわけでございます。 なお、法律扶助制度というものは非常に私重要なものだと心得ておりますので、努力は続けてまいりたいと思っております。
○円山雅也君 私も、いま局長が御答弁になったように、かつて大蔵省の担当の方に、どうしていかぬのだ、こんな重要なことが、法治国家の体面を維持するのにもう少し出してもらえないかということをお話し合ったことがある。そうしましたら、やっぱり一つの理由はいま局長が言われた、先生、冗談じゃないじゃないですか、一回は少ないかもしらぬけれども、過去十何年間累積すれば十何億になっちゃっている、だからその分は国が十何億出しているのと同じなんですよ。つまり、立てかえ金制度なんだから、戻るんだから累積していくはずだ、だから総額では大きいんですよという答弁と、それからもう一つ、じゃ現実に扶助件数がふえていますか、扶助事件が。ふえてないじゃないですかと。この二点から、だから大蔵省としてもそんなに予算出せませんと、こういう御説明を受けたことがあるんです。 そこで、局長どこれからその辺を詰めたいんですが、まず立てかえ金ですが、つい最近法務省が御協力をいただいて、協会と実態調査やりましたな。この実態調査の結果では、つまり訴訟費用を立てかえる、貸し付ける、その貸付金の回収額、回収率は大体七〇%ちょっとぐらいという調査結果が出ました。そうしますと、交通事件やなんかの取り立て裁判が減ってきますからね、これからどんどん。すると、確認訴訟とか、つまりお金が入らない事件、離婚であるとか、確認とか、お金の入らない事件もふえてくると思います。そうすると、恐らく今後の回収率は多く見積もっても七〇%ぐらいだと思う。そうしますと常に三〇%は未回収を見込まなきゃいけないわけです、事の性格上。そうすると、いま局長がおっしゃったように、最近のあれは年間約三億、貸付金が。すると、三億のうちの約三〇%、九千万は本来もう事の性質から未回収なんですね。これを回収できるというふうに大蔵省がお考えになるのはこれは間違いだと思うんです。事件の性質を知らないと思います。そうしますと、扶助費はことし八千四百万にしていただきましたけれども、補助費として出るのはたしか七千二百万でしたね。そうすると、九千万常に未回収があるんだから、そこに七千二百万ぶっ込んでも毎年二千万近い赤がどんどんどんどんふえていく、現状では出るはずなんです。すると、それをほかの面で賄わなきゃなりませんね。だから、ぼくは立てかえ金だから、だから累積が当然生じて、その間ずっとその累積の足したものを総額で見るべきだというお考えは、少し、その三〇%の目減りをお考えにならない御意見じゃないかとまず思うんですが、そこでまずどうなんでしょう、局長もいま私が申し上げた三〇%の月減りというのは、これはもう事の性質上しようがないとお思いでしょうか、それとも、いやそれは協会がルーズだから、回収を怠っているからだめなんだという、どっちでしょうか、その辺は。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 もともとは法律扶助事業と申しますのは、貧困者に対する援助でございます。したがいまして、資金力のない者が多いと、こういうことでございますので、したがいまして、現金で入ってくるような事件でございますと償還は順調にまいるわけでございますが、先生ただいまおっしゃいましたように、お金にならない事件というものもこのごろは非常にふえております。離婚事件なんかふえておるわけでございます。そういうものは結局お金にならないものですし、もともと貧困な方ですから、どうしても返せないというような方、これが非常に多いわけでございます。そういうことに、なってまいりますと、とにかくがんばって返すと言いましても、もともとが貧困でございますので、仕方がないといったらおかしいんですが、貧困ということから支払いの猶予をする、あるいはもう生計に困るというような人に対しましては、免除という制度もあるわけでございまして、当然のことながら目減りがいたすわけでございます。その目減り分はやはり補てんしてまいりませんと、現在の事業というものを維持していくということができないことになるわけでございまして、もうこの目減りの補充というのはぜひとも必要だと、このように思っておるわけでございます。 ただ、一言つけ加えさしていただきますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、償還率というのが七〇%ちょっとというようなことでございまして、大体そうだとは思うわけでございますが、もう少し高いところに目標も置けるような、このごろは非常に扶助協会の方におきましても、きちっと事業を締めてやっておられますので、返してもらうべきものは返していただく、免除すべきものはもちろん免除すると、こういうことで、償還率もおいおい高くなってくるんじゃないかと思いますので、単純に三割減ってしまうというほどではないわけでございます。でも、目減りがあることは確かでございますので、その点だけ一言申し上げておきます。
○円山雅也君 それから、もう一点の需要が伸びないんじゃないかという点ですけれども、総理府の調査の結果、そういう法律扶助制度をあなたは知っていますかという国民に対する問いかけの調査でございますけれども、昭和四十年の調査では、そういう制度を知っていると答えたのは二・八%、それから昭和四十六年に至りまして、それから六年たっても三%、恐らく現在でも一割ぐらいしか、この扶助制度というのが存在しているのを知っている国民というのはいないんじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(鈴木弘君) 私ども、先生がおっしゃいましたように、こういう制度をつくりましても、やはり周知徹底を図りませんと、本当に救助を必要とするという人がおっても、協会の方に持ってこないというようなことがあっては、これは非常に憂慮すべき事柄でございますので、周知徹底を図る必要があるんだと、かように思っているわけでございます。潜在需要というのがどれくらいあるか、これは非常につかみにくいものでございまして、現在のところ一応は需要を満たしているんじゃないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、制度を知らなければ、必要があっても持ってこないということもございますので、この点については、本当に真に救済を必要とする方方に対する救済を与えると、そういうことで啓発、広報、これに努めたいと思っております。実は、昨年の人権週間におきましても、総理府の広報でやらしていただいたわけでございますが、法律扶助制度があるということを、十二チャンネルでございますか、あそこで三十分物で、まあほかの事柄も若干出たわけでございますが、法律扶助について相当の時間をとっていただきまして広報をやっておると、こういうことでございまして、これからもひとつ御支援をお願いいたしたいと思うわけでございます。
○円山雅也君 たしか扶助協会にいただく補助金の中のPR費というのは、ことしの予算でも四百万ですか。四百万じゃどうしようもないですね、PRできないから。ぼくは国民の周知徹底は確かになかなかむずかしいと思うんです。そこで仮に、私の推論で、四十年二・八%、四十六年三%と、こうくれば、それからまた十年たった現在でも、多く見積もったって一〇%じゃないかと思うんです。そうしますと、九〇%の国民が知らない制度にしておいて、そして需要がないからそんなに予算が組めないよというような大蔵省さん側の言い分も、これもおかしいと思うんです。ちょうど何か泣き寝入りさしておいてから、それでもって需要が少ない少ないと言っているようなものでして、ぼくは周知徹底すれば、いま局長が潜在需要がどうかと言われましたけれども、これは大変な潜在需要だと思うんです。と申しますのは、後でお問い合わせをしたいと思うんですが、諸外国との比例において、周知徹底すれば諸外国並みにぐんとふえてくるんじゃないかと思うんです。つまり、その分だけ泣き寝入りしている人間が多いということになるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(鈴木弘君) 制度を知らないがために、裁判したくてもできないという方は、これは恐らくあると思うわけでございます。それに対する救済というのは十分考えないといかぬと思っておるわけでございます。 ただいま先生外国の制度のことをおっしゃいました。確かに英米仏等の諸外国におきまして、法律扶助につきましての国庫負担というものが、わが国のそれを相当上回っておるということは聞き及んで承知しておるわけでございます。ただ、わが国と英米等の諸外国とは国情も違います、司法制度の仕組みも違います、あるいは権利主張が非常に強いという欧米なんかでは、裁判にすぐ持ち込むというような点、日本と比較してそういう面が感じられるわけでございまして、実情が相当違う面もございまして、それに応じて、法律扶助の内容というものも変わってまいる。したがいまして、単純に比較するわけにはいかないとは思います。しかし、先ほどから申し上げておりますとおり、扶助制度というのは、裁判を受ける権利、憲法上保障された権利につながる問題でございまして、非常に重要だと思っておりますので、なおそれら外国の諸制度というもの、事情というものを参考にさしていただきまして、この制度の安定、充実に努力してまいりたいと、かように思うわけでございます。
○円山雅也君 局長は御承知と思いますけれども、運営に当たっている扶助協会の現状を申し上げますと、たとえば昭和五十一年にはもう扶助費が足りなくなっちゃって、銀行から三百万借金をする。五十二年には千四百六十万銀行から借金をする。五十三年には、つまり保証金を積んで仮差し押さえ、仮処分をする事件、これはもう一切、立てかえる保証金がないから、もう保証金を積む事件は一切やめてくれという指令を出している。それから最近も広島から、八十万円の保証金を積めば絶対権利の確保、救ってやりたい事件があるんだけれどもと協会の方に言われました。全然金がない。だから広島に保証金がないからだめだよと断わった、広島の方でもおかしいじゃないか、扶助協会があって何で援助してくれないんだというんで、やり合ったというようなケースもあるぐらい、そのくらい実態は金がなくて困っている、協会は。つまり、現在の日本の法律扶助制度の発展を阻害しているのは、結局は絶対的な資金不足にあるんじゃないんでしょうかね、どうでしょう、局長。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 先ほどちょっとお話が出たわけでございますが、真に訴訟救助を必要とする人の需要というもの、これがいままでのところこれ需要にこたえているかどうかと申しますのは、非常に評価がしにくい問題でございまして、したがいまして、幅の広い判断になってしまいますが、まあ何とかやってきておる、一応需要は満たしておるんじゃないかとは思っておるわけでございます。かつて先生御指摘のように、あるいは借入金があったとか、あるいは保証金について制限をしたとか、いろいろそういうことがあったようでございますが、現在はもうそういうことは非常に問題でございますので、そういう問題は起こっておりませんが、それでもなお先ほど申しました潜在需要とか、そういうものがございますので、そういうものを考えますと、なお法律制度の安定充実ということについては、これ努力していかなければ、本当に救助を必要とするのに救助されないというような問題が起こってまいりますので、そういうことはないように、これからも努力してまいりたい、かように思うわけでございます。
○円山雅也君 そこで、法務省はいまの日本の法律扶助制度について、基本的にどういうとらえ方をされているのか、その辺をお尋ねしたいと思うんですが、このとらえ方はいろいろあると思うんですね、たとえば、国民が貧しいために裁判が受けられない、それから、または国が法律で国民に与えた権利が絵にかいたもち、空文化してしまうという事態は放置しちゃいけない、法治国家として放置できないことだ、これはここまではどなたも異論がないと思うんです。 そこで、じゃ放置してはいけないとするならば、それは国の義務なのか、それとも他の福祉制度みたいに、いや貧しい人への恩恵的な、国の恩恵なんだと、法務省はどっちをとられますか。つまり、義務としてとらえているのか、いや、恩恵なんだ、だから国の予算が余っているときに、その分だけやればいいんだ、どっちのとらえ方をされますか。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 法律扶助というものは、決して私恩恵的なものだとは思っておりません。これはまさしく先ほども申し上げましたが、国民の裁判を受けるという権利を実質的に保障するという問題につながる問題でございまして、何度も申しますが、真に救助を要する人が救助されないということがないように努めてまいる責務がある、かように存じております。
○円山雅也君 ありがとうございます。そういうお考えは本当に結構だと思います。 そこで、ネックになっている先ほどの立てかえ金ですね、八千四百万円のうち七千二百万がいわゆる立てかえ金で出ているわけですね、だからお返ししなきゃならないという。そこで、この法律扶助について、たとえば大蔵省側と折衝して、たとえば当分の間もっと財源がたまるまで、立てかえ金じゃなくて、他の補助金みたいにもらいっぱなし、それをプールしてどんどんというような、つまり、立てかえ金だから先ほど言ったように累積すればこれだけ十何億になるんだから、それ以上出す必要ないんじゃないかというような考えにつながりますけれども、出しっぱなしなら毎年なくなっていく金なんだから、つまり、会計上の問題なのかもしれませんけれども、法律扶助に対する国庫補助を、立てかえ金じゃなくて、しばらく基金が安定するまでもらいっぱなしとか、そういうようなとらえ方にはできないんでしょうかな、不可能なんでしょうか、会計法上。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 制度の問題といたしましては、もらいっぱなしというようなことも考えられるわけでございまして、外国には現にそういう制度をとっている国もあるわけでございます。将来検討すべき問題であろうかとは思いますが、何せ非常に貴重な国費を使わしていただいている。ましてこの厳しい行財政改革というような問題もあるわけでございまして、そういたしますと、立てかえ制度をとりまして、なるべく多くの方々に御利用願いたいとこういう考え方、これがやっぱり非常に現実的な考え方だと思われます。 それから訴訟につきましては、先ほど申しましたように、婚姻等々金銭に連ならない事件もふえてはおりますが、何と申しましても、大概は金銭等の財産供与につながる問題でございまして、金銭も入ってくるというような面もあわせ考えまして、現在やはり立てかえ金制度でいくしか仕方がないんじゃないかと、かように思っているわけでございます。
○円山雅也君 じゃ最後に国庫の補助金額ですがね、大変御努力いただいてこの厳しいさなか、四百万円でも足していただいた、この努力はもう本当に敬意を払う次第なんですけれども、余りに他の国と、いわゆる法治国家と称する他の諸外国との比較において、余りにも局長、日本の場合国の出す金が少ないと思いませんか。たとえばスウェーデンあたりと比較したら一千分の一でしょう、あんなちっちゃい国だって一千倍、人口一人当たりの比率でいくと。アメリカだって四、五百倍、イギリスだって五百倍、どの国だって何百倍ですよ、人口一人当たりに計算すると、補助金の額は。つまり、これが他の国が二倍とか、三倍というならまだこれは話はわかる。だけれども、スウェーデンあたりと比べると一千分の一です、日本は。アメリカなんかと比べたって四、五百倍。余りべらぼうに差があり過ぎる、これで向こうの国と同じように法治国家でございますと言えるのかなと思うんです。けたが違うんです、外国との比較で。 それから国庫負担率だって、じゃ扶助協会が他から、団体から集めるお金も含めたそれとの比率だって、アメリカあたり国庫全額出資ですわな、他の団体、民間団体なんかから出させませんよ。その負担率からしてもべらぼうに少ない。総額にしても人口一人当たり何百分の一、何千分の一、これでいいんだろうか国庫補助金、妥当なんでしょうかね、これだけ違っていても、どうなんでしょう、ちょっとその辺。
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。 先生のおっしゃいますとおり、わが国と諸外国、英、米、仏等の諸外国と、法律扶助における国庫負担というものに大きな差があるということは聞き及んで承知しているわけでございます。ただこれも先ほど申し上げたことではございますが、国民性の相違とか、あるいは司法制度の仕組みの違い、たとえば日本では協議離婚があるけれども、外国では協議離婚は許されずに、全部裁判所に持ち込む。しかも、最近のように離婚が非常は多いというようなことが世界的な傾向のようでございまして、そういうことで利用の仕方というものの相違もあろうかと思います。そういうことで、需要の相違からして法律扶助の内容というものも変わってまいりますが、それにいたしましても、やはり額の差が多うございますので、私どもこれから先法律扶助制度というもののいろいろ研究をやっていかなければならないと思いますが、その際当然のことながらそういうことも参考にさしていただいて、安定充実した法律扶助制度を確立していきたいと、かように思っているわけでございます。
○円山雅也君 ひとつぜひ御尽力をお願いいたします。 そこで大臣、いままで大体お聞きになって現状おわかりいただけたと思います。 よくいま日本で新憲法になってから、人権人権という言葉がもうしょっちゅう流行語のように言われております。ところが、ともすればマスコミでも、その他でも、人権というと、国家権力との関係においてのとらえ方をする。ところが、そうじゃなくて、庶民のささやかな財産権を守ることも、これは憲法で保障された基本的人権でございます。どうも民事の方が非常にじみなせいか、国家権力との対抗において国民の権利というと、物流ごく重大視いたしまして、だから一例を申し上げますと、日本の場合でも、刑事の国選弁護は二十億予算を出しております。民事の方は先ほど言ったような八千何百万、それは先ほど申し上げましたように、刑事と民事とは質が違いますけれども、余りに人権とい立言葉が権力との結びつきにおいてとらえられ過ぎて、ともすれば、そこのもっとじみな、本当の庶民のささやかな財産権とか、そういうものが、ついじみなもんですから、潜在化しまして、マスコミにもなかなか脚光を浴びないということで、それがどうもそういうとらえ方が、何か扶助制度に対して、非常に関心もなければ、何か力の入れ方が弱くなってくるんではないかと思うんです。 そこで、たとえば先ほども申し上げたとおり、大臣ね、日本の場合は成文法国としては、法令の数が万を数えるというほど大変なりつばな国でございます。学問的研究だって、恐らくぼくは日本の法律学者の研究は世界に比例ない、比べても遜色ないと思います。だけども、幾ら、何万の法律をつくろうが、それが実効性がなければ、全く絵にかいたもちでございます。一方の法律よりも、実効のある千の法律の方がはるかに庶民にとったはいいことでありまして、おまえらこういうふうに法律できちっとやってやるよ、やってやるよと言って絵にかいたもちだけ与えても、いま実際は小さい額の訴訟、それから弁護士を頼むお金のない人の権利というものは、全部民法や一切の条文では権利として認められながら、その権利行使ができないです。つまり絵にかいたもちに終わっているわけです。 そこで、それを突破する一つのかぎとして、昭和三十三年に法務省と弁護士会とが協力を申し上げて、やっとこの法律扶助制度ができたわけです。この法律扶助制度をもう少し活発に動かすならば、そのような絵にかいた空文化の部分がずいぶん埋まるんではないか、実効性を持つんじゃないか。それが埋まってこそ、ぼくは本当の意味の法治国家と言えるんで、国との権力関係だけが脚光を浴びて本当に私人間の庶民のささやかな財産権が守られなければ、これは大臣、一番法秩序の実現をする場は、究極的には刑事の裁判が、民事の裁判でございます。そのおひざ元の民事の裁判において、これだけの空文化が行われている、絵にかいたもちが行われている、おひざ元の民事で。ぜひひとつこの辺御認識をいただいて、御理解をいただきたい。法律扶助制度についてもう一回改めて御理解をいただきたいと思うんです。 最後にそういう私の見解も含めまして、大臣の御所見を伺って、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(坂田道太君) 円山先生の御指摘は全く私同感でございます。きょうはずいぶんいろいろとお教えをいただきまして、私といたしましては、もう少しこの法律扶助制度の充実、そして本当に裁判を受ける権利が貧しい人であっても、実質的に受けられるということを実現しなければならないんじゃないか。そのために予算措置を今後どうするか、またそれに対する説得力のある理屈をどういうふうに考えていくか、部内でもひとつ検討をいたしたいと思いますし、また先生方の外部からのお知恵も拝借をいたしたいと考えておる次第でございます。
○鶴岡洋君 きょうは矯正施設における医療問題、それに関連して諸問題をお伺いしたいと思います。 その前に、法務大臣に一点だけお伺いしたいんですが、第二次鈴木内閣の法務大臣としての所信の一端をお伺いするわけですが、大臣、先日一月六月でしたか、熊本で記者会見をされ、刑法改正に対する御意見を述べておられますけれども、この刑法改正に対する大臣の見解をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 刑法の改正につきましては、昭和四十九年五月、法制審議会から答申を受けて以来、日本弁護士連合会、その他からの批判的な御意見も含めまして、各界、各層の意見を聴取しながら、事務当局におきまして検討を重ねておるところでございます。 また、関係省庁との意見調整等も行った上、今回の国会に改正法案を提出する目途で、所要の作業を進めておるということでございます。でございますけれども、一面におきまして、刑法というのは国民の日常生活に非常に密接にかかわる基本法の一つであるというふうに考えるわけでございます。しかも、明治四十年以来の大改正ということでもございます。そういうようなことを考えますと、やはりできるだけ広範囲の合意が得られるということが望ましいということは申すまでもないことだというふうに思います。 そういうわけで、昨年の十二月の二十六日に私が就任いたしまして、初めての日弁連との会合を持ちましたし、それからまた、今月の三十日に第二回目の日弁連との会合、従来からの関係を申しますると、第五回の意見交換会ということでございますが、この話し合いを通じまして、できるだけひとつ意思の疎通を図り、そして、全体としての合意というもの、できるだけの合意を積み上げていくということがどうしても必要だというふうに考えておるようなわけでございます。
○鶴岡洋君 それでは、今後の見通しとして、いまお話があったように、四十九年の五月の答申以来大分たっているわけですけれども、端的に申し上げて、今後の見通しとして、今国会に提出されるのかどうか、これが一つ。 それから、問題はたくさんございますし、また今回の改正は大改正、こういうことで慎重の上にも慎重を期さなきゃいけない、これは承知しておりますけれども、もう一つの問題として、検討課題として残されている保安処分——治療処分、こういうことになったようでございますけれども、それと尊属殺の取り扱いについて、大臣の見解はいかがなものか、お伺いいたします。
○国務大臣(坂田道太君) やはり慎重の上にも慎重ということではございますが、同時に、一応は三月をめどに提出すべく努力をしておるということでございます。しかしながら、いま御指摘がございましたように、一番の問題でございまする治療処分の問題、この点につきまして、一応われわれの法務省といたしましての案といたしましては、厚生省の国立の施設をひとつ使わしてもらいたいということなんでございますけれども、ただいまのところ、まだ厚生省が同意をするというふうなところまで、実は至っておらない段階でございます。 したがいまして、そういうままではなかなか提出は困難、しかし、それじゃ厚生省との関係がどうしてもできないという場合は一体どうするのかという問題も実はあるわけです。ですから、いずれにいたしましても、私の方でやるといたしましても、また、向こうさんの施設でやるといたしましても、それに携わるお医者さん、あるいはまた当然のことながら精神医学関係の学問的な一つの意見というものが満たされなければ、実は治療処分ができないということにもつながるわけでございまして、もう少しこの点につきまして、つまり、厚生省との話し合いというものはまだ断念いたしておらない、もう少しひとつお話を続けたい、こう思って部下を督励しておるという段階でございます。 尊属殺につきましては、昭和四十八年四月の最高裁判所におきまして、違憲の判決が出されましたことに伴いまして、この規定を削除するか、あるいは法定刑を修正するかのいずれかの措置を講ずる必要がございます。改正刑法草案におきましては、同条とあわせまして尊属傷害致死、尊属遺棄等の規定を削除することにいたしております。しかしながら、この問題につきましては、親子関係をめぐる道徳に関連する困難な問題が背景にございますし、これらの規定を削除することによって、親に対する尊重報恩の倫理を低下させるおそれが生ずるという意見も二万にございますので、法定刑を合理的なものに修正することの可否を含めまして、なお慎重に検討を行って対処することとしたいと考えておるわけでございます。
○鶴岡洋君 もう一点だけ。 大臣、就任早々日弁連との意見交換をされたと聞いておりますし、また今月の三十日にされる、こういうことでございますけれども、この日弁連との会合を合意が得られるまで、最後までお話し合いを続けていくつもりなのかどうなのか、その点をもう一点お伺いいたします。
○国務大臣(坂田道太君) 私が就任いたしましてからまだ第一回、そしてまたこの一月三十日で第二回でございますから、もう少しやはりこの話し合いを進めないと何とも申し上げようがない。しかし、やはり日弁連との話しは非常に私は大事な問題、あるいは大事な手続だというふうに考えておるわけなんで、やはり公平な裁判が行われるというのは、一方に検察の罪の追及があると同時に、これを弁護する弁護団と申しますか、そういうものが相まって初めて裁判官としては公正な判断がなし得るということなんで、この刑法が施行されまして、そしてこの法案が施行された暁におきまして、やはり日弁連、いわゆる弁護をされる方々との協力関係なくしては、公正な裁判を期しがたいということを一方に考えますときに、やはりここは慎重に話し合いをするということは大切ではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
○鶴岡洋君 次に、矯正施設における医療問題についてお伺いをしたいと思います。 矯正施設は生身の人間を拘禁している施設だけに、被収容者の医療体制は施設の管理運営の重要な基盤をなすものであると思います。しかし、昨今の社会では医師が不足している、都会の方は多少余裕が出てきたようでございますけれども、そういう現状、特に僻地においては無医村の問題を初め、住民の医療対策が非常に困難をきわめている、こういう現状であります。そこで、矯正施設もどちらかというと都会ではなくて僻地に多いわけです。この医師の確保は相当深刻ではなかろうかと、数字の上から見てもそのようにうかがえるわけでございます。医師の定員はそちらからいただいた資料によりますと三百三十二人、こうなっておりますけれども、昨年、五十六年の十二月現在の矯正施設の種類別の定員、充足率、これでいきますと、定員が三百三十二人、現員が三百五人、充足率が九一%、欠員が二十七名、こうなっておりますけれども、これはこのとおりですか。
○政府委員(鈴木義男君) そのとおりでございます。
○鶴岡洋君 欠員が二十七名でありますけれども、これは常勤の医師の数ですね。五十一年には二十三人、それから五十二年が二十一名、それから五十三年が三十一、五十四年が二十四、五十五年が二十、こういうふうになっておりますけれども、一般の病院と異なって、被収容者が相手であるという特殊性もありますけれども、採用を希望する医師が少なくて、その確保には大変苦慮しているように聞いておりますけれども、実情はどうなんですか。
○政府委員(鈴木義男君) ただいま御指摘がございましたように、矯正施設で医師を確保するという点については、いろいろな隘路がございます。現在私どもが主としてやっております方法は、矯正施設の近くにございます大学の医学部、あるいは医科大学等の協力を得まして、そこで勉強をなさったお医者さんに矯正施設の方へも来ていただく、これは一生そのままいていただくというのが一番いいわけでございますが、それができません場合は数年ということで来ていただいて、それから、その方がまた大学等へお帰りになった場合には、また新しい方を矯正施設の方へ差し向けていただく、こういう方法をとっておりまして、それが一番主なお医者さん、医師の採用の方法でございます。 ただ、実際にはそういうような方法で採用いたしましても、それからおやめになる医師の方もずいぶんおられるわけでございます。恐らく国・公立病院等と比べました場合、矯正施設が医師にとって必ずしも魅力がないと申しますか、むしろ国・公立病院の方を希望なさる主たる理由といいますのは、一つには、研究という観点からいたしますと、どうしても国・公立病院、あるいは特に大学の附属病院等の方が有利な地位にあるということと、それから刑務所等の矯正施設の中で一番要りますのは、やはり内科系統でございますが、内科系統以外の方は、なかなか専門に常勤の医師として勤めていただくことができないような状況がございます。 それからもう一つは、矯正施設の中の物的設備と申しますか、あるいは人的設備と申しますか、たとえば看護婦さんがどのくらいいるか、あるいは医療機械がどの程度最新式のものを使えるのかという点にどうしてもおくれが出てまいります。この点は看護婦、あるいは看護士の採用も含め、医療機器の改善ということとともに、現在毎年努力して、幸い財政当局の御理解を得て、少しずつ改善しておるわけでございますが、そういう医療に従事する環境が必ずしも整備されていないという点等もございまして、なかなかお医者さんに来ていただくということはむずかしい状況でございますし、また一度来ていただいた医師の方もおやめになるという場合が少なくないのが現状でございます。
○鶴岡洋君 実情はお話聞けばわかりますけれども、現実の問題として、施設別に言うと、刑務所で八カ所ですか、少年院で九カ所、それから少年鑑別所で三カ所、合計二十カ所が欠員が出ているわけです。いま看護婦さんとか非常勤の方とかということで、それを補充しているようでございますけれども、欠員であることはこれは間違いないわけです。先ほど言いましたように受刑者も生身でございますから、そういうことで、実際に受刑者の健康管理には支障はないのかどうなのか、その辺はいかがですか。
○政府委員(鈴木義男君) ただいまお話のございました二十の施設で医師の定員が欠けておると、こういうことでございますが、このうち医師が全くいないところは八施設でございまして、その他の施設は医師の定員が複数でございまして、そのうちの一人ないし二人が欠けておると、こういう実情でございます。 御指摘のように、矯正施設では、犯罪を犯したわけではございますけれども、国民を預かっておるわけでございまして、こういう人たちに、矯正施設に入ったから体が悪くなった、あるいは治療が受けられなかったということでは、これは国の責務を果たしたことにならないわけでございますので、万全を図っておるわけでございます。ただいま御指摘のような定員が欠けておる庁、特に一人もいない庁につきましては、近くのお医者さんにお願いして非常勤の医師として定期的に通っていただく、またそれができない場合には、たとえば施設から外部の病院等に収容者を連れていくということもやっておるわけでございます。また定員が全部充足していない庁、こういう庁におきましては現に勤めている医師に多少の御無理、すなわち超過勤務等をお願いしてカバーし、それで足らないところはまた非常勤の医師、あるいは外部の病院等に頼っておるわけでございます。このほかに支所等については、もう全然定員そのものがないところもございますが、こういうところにつきましては、近くの非常勤の医師に頼むことももちろんですし、近くの大きな施設の医官に見てもらう、あるいは先ほど申しましたように、病気の性質によっては病院にお願いすると、こういうことで万全を尽くしておりまして、これで満足すべき状況だというところまではなかなか言えないのかもしれませんけれども、最低限度のことは現にやっておるつもりでおります。
○鶴岡洋君 人的の面ではいろいろな方法をとって、いま局長さんのおっしゃったようにやっておられるようですけれども、先ほど話の中でちょっとあった物的面ですね、これは予算もあるでしょうけれども、たとえば、医療施設の改善とか、そういう面では具体的にはどうですか。
○政府委員(鈴木義男君) これは医療機器の新たな導入、それから医療機器のリースによる借り受け等につきまして、年々改善を加えておるところでございまして、この点については、毎年予算の増額が——そう大きい数字ではございませんけれども、認められておるところでございます。特に医療刑務所におきましては、相当整備された設備、機器を用いておるわけでございまして、たとえば東京管内で申しますと、八王子の医療刑務所におきましては、ほかの施設ではちょっと治らない、あるいは治療できないというような人たちを移送いたしまして、そこでかなり完全に近い措置ができるようになっております。ただし、これも医療刑務所のまあ収容能力と申しますか、処理能力に限界がございますので、全国の者を集めてということはできませんけれども、そういう東京には八王子の医療刑務所、大阪には大阪の医療刑務支所というのがございまして、相当充実した医療のための刑務所になっております。
○鶴岡洋君 それでは、矯正施設の医務関係予算を見ますと、矯正医務等の充実の項で、五十五年度は九千五百万ですか、それから五十六年度は九千八百万と、こうなっておりますけれども、これはどのように使われて、内容はどうなんですか。
○政府委員(鈴木義男君) この医療関係予算として、五十五年度及び五十六年度に九千五百万及び九千八百万円が計上されておりますのは、医官の待遇に関連する経費でございまして、ほぼ五つの項目に分かれております。 一つは、医学部の学生で将来行刑関係の医官になる希望のある者、あるいは見込みのある者に対して、いわゆる奨学金を貸し付ける制度でございます。もしこの最初の奨学金をもらったのにかかわらず医官にならないということになりますと、それを返していただく、それから医師になった場合は、この奨学金を受けた期間の一倍半の期間勤めていただくということにしております。 それから二番目は、刑務所の支所等の医官のいないところの施設におきます非常勤の医師に対する謝金ということでございます。 それから三番目には、常勤の医師の研究費、あるいは研究のための旅費というものでございます。 それから四番目に医学関係の図書の購入費用。 それから最後に診療用の被服等の購入費に充てておるわけでございます。 申し上げるまでもなく、このほかに医療関係の予算としては、収容者の医療に直接要する薬であるとか、そういうものの費用と、それからもちろん医師の人件費があるわけでございます。
○鶴岡洋君 その中の矯正医官の修学資金貸与法というのがございますね。この貸与法の目的というのはどういうことなのか、それとこの貸与を受けている者ですね、月大体どのくらい受けているんですか。
○政府委員(鈴木義男君) この貸与法は、先ほどもちょっと申しましたけれども、矯正関係の医官になっていただく方が大変少ないものでございますから、奨学金の貸与ということによりまして、将来矯正医官になっていただく方を確保しようというのが一番大きな目的でございます。
○鶴岡洋君 月どのくらいか。
○政府委員(鈴木義男君) 失礼いたしました。 年に約十名程度、現在十三名でございますが、その程度の数の者に貸与いたしておりまして、月額二万数千円であったと思います。
○鶴岡洋君 いま御説明のあったように、いわゆる医学を専攻する者で、将来矯正施設に勤務すると、こういうことに奨学金の目的で二万円、現在十二、三名ということでございますけども、この実行率でございますが、どういうふうになっておりますか。いわゆる貸与法が施行されて、貸費制度ができたわけですけども、この実行率というのはどういうふうになっておりますか。
○政府委員(鈴木義男君) 実行率という点を申しますと、実は私ども大変残念でございますけれども、先ほども申しましたように、毎年十数名でございますが、これは結局四年に分けますと、毎年度二名ないし五名ぐらいに貸与を開始するということになっておりまして、従来の、昭和三十六年から昭和五十六年までの採用者は百四十一名ございますが、このうち現在矯正施設に勤務している医師は三名という結果になっております。
○鶴岡洋君 これもそちらからいただいた資料でございますけれども、貸費制度の実行率は五十年は三四%、パーセントでいくとこうなっているわけです。五十一年が、この場合は全部貸与したということで一〇〇%、五十二年が六五%、五十三年が九〇%、五十四年が九〇%、五十五年、五十六年は大体一〇〇%お貸ししているようでございますけれども、いまおっしゃったように、百四十一名貸与して、勉強をして、そして医師になって、現在在職しているのが三名だと、こういうことですわね。そうすると、この実数は非常に少ないわけです。貸与制度というのは、そういうところからいくと、生かされていないんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。この生かされていない、また在職者が少なくなっていると、極端に少ないと、こういうことにはいろいろな原因があると思います。まあ就職した、しかし給料が少ないとか、先ほど局長のちょっと言われた魅力がないとか、いろいろあると思いますけれども、今後の対策として、こういう制度を含めてどうなさいますか。
○政府委員(鈴木義男君) まず、先ほど私現在勤めておる者が三名と申しましたけれども、このほかに一度勤めて途中でその後やめたという方が三十四名ありますので、それぞれの医官の勤務年限についてただいま詳細を存じておりませんけれども、したがって、採用されたのが三十七名で、そのうち現在まで続いて医官をしておるのが三名と、こういうことになりますので、申し上げたいと思います。 まず将来の問題でございますが、先ほど申しましたように、矯正にとって医療ということは最も重要な措置の一つでございますので、これを充実させる、そのための医官を採用するということには、今後も引き続き努力を続けていきたいと考えております。貸与金の制度につきましても完全に効力がないということではございませんで、ある程度の効果は上げておりまするので、この点は今後ともこの制度の趣旨を十分大学、それからこれを受ける希望のある学生等に説明して、その趣旨をさらに生かしたいと考えております。その地先ほど申しましたように、矯正施設の近くにございます大学との間の連携、あるいは連絡というものをさらに緊密にいたしまして、大学の方から医師を派遣と申しますか、矯正の方へ回していただくという点についても、さらにこれまで以上の努力をいたしたいと考えております。 それから、あと矯正施設における医療の魅力をふやすという観点から補助職員、先ほどは看護婦あるいは看護士の問題を申し上げましたが、その他に薬剤師、あるいはレントゲン等の技師の問題と、それから設備を充実することによりまして、働きがいのある職場にするということでも努力を続けてまいりたいと思っております。
○鶴岡洋君 いま貸与された医師のことで申し上げたんですけれども、一般の矯正施設の医師の退職状況ですね。これを見ても、数字からいくと、五十五年度中に退職した医師は三百十二人のうち六十二人、一九%、それから五十四年度中に退職した医師は三百八人中五十一人、一六%、それから五十三年度中は三百一人いたけれども五十六人、一八%、こういうふうになっているわけです。なぜこのような多くの医師が退職をしていかなければならないのか。これは先ほどからいろいろ局長さんからお話があったわけでございますけれども、私が申し上げておるのは、先ほども申しましたように生身でもありますし、大体矯正施設ですから、処罰を与えるばかりがこれは能ではない。こういう時代でございますので、矯正して、そうしてまたりっぱな社会人として社会で働けるように、これが私は矯正施設だと思うんです。そういう面からいって、過保護ということは、これは当然困りますけれども、この医師については十分なる配慮をしていかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。 それともう一つ。いま行政改革ということで、国を挙げてこれやっているわけですけれども、もちろん日本のいまの状況からいって、肥大化したこの社会において、行政面においても、財政面においても、これは考えていかなきゃいけない、行政改革はやらなきゃいけないと、これは私もそういうふうに思います。ただし、行政改革といっても、短兵急にそこも削れ、ここも削れ、ここは要らないだろうということではなくて、やはり効率的に、効果的にそうして国民のための本当に行政をしていくのが私は行政改革の目的ではなかろうかと、こういうふうに思うわけです。そういう意味でやはり削るところは削らなきゃいけない、むだを省くところは省かなきゃいけない。しかし、時代は変わっておるし、また進んでおるわけですから、そういう面からいって、ふやすところはふやさなきゃならない、こういうことで、私は皆さんの方に悪いところは悪い、足らないところは足らない、こういうふうにはっきり言っていただいて、そうしてそれを補充していくというのが私はこの場の議論ではなかろうかと、こういうふうに思うわけです。そういった意味で、退職者の理由はこういう理由があるんだと、また貸与法ができているけれども、実際にこれは学費が少ないためにこうなっているんだとか、そういうことをはっきり私は申し上げてもらいたいと、こういうふうに思うわけです。重ねて申し上げますけれども、この退職理由はどうなっているのか。またこの防止策をどうしたらいいのか、この点はどういうふうに考えておられるか、もう一度お伺いします。
○政府委員(鈴木義男君) 一たん矯正施設へお勤めになられた医師の中で、退職される方が必ずしも少なくないという理由につきましては、先ほども申し上げましたように、やはり勤務状況というものの比較ということが一番大きいんではないか。特に、先ほども申しましたことのほかに若干つけ加えますと、たとえば矯正施設が昔は比較的都会に近いところ、あるいは都会の中にあったわけでございますが、それが最近ではかなり都会から離れたところにございますので、そういうところで勤めなきゃいかぬという問題、それからもう一つは、普通の病院、あるいは開業医等の場合には、やはり患者が医師を頼って、本当に医師を信頼してあれするわけでございますが、矯正施設におきましては、中へ入っておるのが好きとのんで入ってきたわけではないということもありまして、お医者さんとの関係も通常の病院、あるいは町のお医者さんのようなふうにはいかない。中にはお医者さんをだますと言うと言葉がなんですが、仮病を使って、それを利用しようという人たちをも相手にしなきゃいかぬ、そういう面もございますので、そういう点で医官になる方が少ない、あるいはやめる方が多いという原因の幾分ががあるのではなかろうかというように考えております。先ほど来繰り返しておりますように、こういう勤務条件を少しでもよくする方向に努力したいと思っておりますが、財政当局の方の御理解も得まして、年々少しずつ改善の方向に向かっております。 それから、なお退職する割合が高いという中の一つの理由は、これはもう少し分析が必要でございますけれども、先ほど申しましたように、大学からお医者さんを派遣していただく、派遣していただいたお医者さんが数年たちますと今度交代ということで、また同じ大学から別の医師に来ていただくということもありまして、それが相当目立った退職率に影響しているのではないかと思いますが、細かい資料の点はいま持っておりませんので、御要求があり次第何とか調べてみたいと思っております。
○鶴岡洋君 これもそれに関係するんですけれども、つい最近一月十七日の毎日新聞によると、新潟刑務所の受刑者が病気治療などを受けられず、国を相手に損害賠償を訴えたと、このように報道されておりますけれども、こうした例を見ても、受刑者の治療の不備の一端がうかがわれるような感じがするわけです。この事実関係がどうなっているか、御報告いただきたいと思います。
○政府委員(鈴木義男君) 毎日新聞に出ておりました記事のうち、訴訟は提起されたのかどうかという点、あるいはどういう理由で提起したのかという点はまだ私ども詳細を得ておりませんが、新潟の刑務所の方へ照会いたしましたところ、新聞に載っておりましたような理由、すなわち十分な歯科の治療をやってくれなかった、あるいは刑務作業によって視力が低下したということは事実根拠がないという私どもは報告を受けております。それから、あとは何か英語の通信教育を妨害したとか、不服申し立てを妨害したということも新聞によれば主張しておるようでございますが、この点についても適切な方策をとって、そういう妨害等の事実はないという報告を受けております。
○鶴岡洋君 この問題について大臣いろいろお聞きになっておわかりだと思いますけれども、いま指摘したように、矯正施設における医師不足というのは、これは大変深刻な問題であると私は判断をしております。被収容者だから安易に考えているとは思いませんけれども、先ほどから申しましたように、健康管理には万全を期するということが何より大切であると思います。行刑施設での被収容者の不服申し立て件数もこれに加えて、もちろん医療施設が不備だということばかりではございませんけれども、非常にふえております。五十一年には九百五件、五十五年にはそれが千九百八件と約二倍にふえております。そのうち医師と被収容者士のトラブルが原因で不服申し立て件数も倍増しております。監獄法第七条による大臣請願申し立て件数のうち、五十一年から五十五年まででも約半分が医療に関ずみ不服申し立てになっております。大臣はこの実態を十分に把握し、医師の充実に努めなければならないと、こういうふうに考えますけれども、この医師の件について大臣はどういう見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 申すまでもなく、受刑者にとりましても健康管理を適切に行うということは非常に大事などとだというふうに思います。それにつけましても、ただいま御指摘がございましたように、かなり医師がやめるというのが非常に多い。しかし、その多い理由は、ただいま矯正局長から申しましたとおりに、大学から若い医者が来て任務につく、でございますから、また研究室に帰っていくということの繰り返しが、あるいは退職ということにもつながっていくというふうにも思いますが、同時にやはり刑務所におけるお医者さんになるという、一般のお医者さんの何といいますか、進んでやってやろうというところまでには至っていないんじゃないかというふうに、実は私も心配をいたしております。それだけに、この刑務所それ自身も、やはり社会的ないろんな変化に対しまして対応する施設設備、特に医療施設の近代化等も、行財政で節約したり、人員を減らしたりしなくちゃならないという大義は一面においてございますけれども、しかし、必要最小限度のものは、やはり社会の変化に応ずる体制を整えていかなければ、いま御指摘のようなこういう受刑者の健康管理というものが十分に全うできない、そのことはまた受刑者をして社会復帰をおくらしめるということにもなりかねない、あるいは保安上の問題にもつながりかねないということでございまして、私といたしましてもできるだけひとつ医者を確保できる道を検討をしてみたいというふうに考えておる次第でございます。
○鶴岡洋君 それでは次の問題に入りますけれども、やはりこれも矯正施設の問題に関してですが、いわゆる差し入れの品物の検査体制でございます。監獄法施行規則第百四十二条には、差し入れ物の制限規定があり、拘禁の目的に反するもの、監獄の紀律を害するものと、こうありますけれども、具体的にはどういう品物を指してこれを言っているのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(鈴木義男君) 私どもが理解しておりますところでは、拘禁の目的に反するというのは、主として自殺、あるいは逃走その他拘禁そのものに害があるようなもの、たとえば、やすりであるとか、くぎであるとか、あるいは劇薬、毒薬であるとか、こういうものを考えております。また、監獄の紀律を害するというものとしては、たばこであるとか、あるいはこれに使うライター、マッチ、それから酒、麻薬、覚せい剤、その他刑事施設の中で所持等をしてはならないものを中心に考えております。ただ、純法律的に言いますと、その両方の間に多少のダブリと申しますか、どちらにも入り得るようなものはあるだろう。と思っております。
○鶴岡洋君 この点をお尋ねする理由は、ここ二、三年で行刑施設に不正品といいますか、いまおっしゃった、そういう差し入れ事件が発生して国民に大きなショックを与えていると、こういうことでいまお尋ねしたんですけれども、法務省の、そちらで調べた結果、過去五年間に行刑施設、少年院等の矯正施設に不正品が差し入れられた件数というのはどの程度ございますか。
○政府委員(鈴木義男君) あらゆる不正物品につきまして、全国のすべての施設から報告を求めるということはいたしておりませんものですから、いまお尋ねの点についてのお答えはちょっとできかねるわけでございますが、私どもでとらえておりますのは、一つは、覚せい済関係につきまして、これは必ず報告さしておりますので把握しております。それかももう一つは、東京の拘置所とそれから大阪の拘置所、この二つは不正物品を一番入れてもらいたいと思うような人たちが入っておるところでございますが、そこで、昭和五十二年以降について調査をいたしております。 それによりますと、覚せい済につきましては、これは全国の数字でございますが、昭和五十二年はゼロ、五十三年五件、五十四年二件、それから五十五年二件、五十六年四件、合計で、昭和五十二年以来十三件という結果になっております。また、東京拘置所と大阪拘置所の過去の三年間の統計を見ますと、東京拘置所では五十四年五件、五十五年四件、五十六年二件、合計十一件でございますし、大阪拘置所では五十四年、五十五年が各二十件、五十六年十件、合計五十件ということに。なっております。
○鶴岡洋君 具体的に一つ二つ例を挙げてお尋ねしたいんですけれども、まず五十三年の七月に一、大阪の拘置所において覚せい済が持ち込まれた、相当数のいわゆる在監者がそれを使用したと、こういう事件がございました。また、その翌年、同じ大阪拘置所で、二重封筒の中に覚せい済を入れて郵送してきたケースもあったと、このように記憶しておりますけれども、行刑施設にまで覚せい済が入り込むということは考えられないことですけれども、現実にはこういうふうにあったわけです。矯正当局としても、差し入れ物に対する検査は厳しくチェックしていると思われますけれども、この大阪拘置所のその後の対策はどういうふうにしたのか、どういうふうに指示したのか、その後はないと思いますけれども、その辺はいかがですか。
○政府委員(鈴木義男君) ただいまの大阪拘置所の点でございますが、昭和五十三年に一回ございましたので、その後チェック係を非常に厳重にいたしました結果、この五十四年の事件は中へ入ってきたんじゃなくて、差し入れようとしたのを発見したと、こういうことで差し入れを未然に防止したわけでございます。これは職員の研修、それから覚せい済その他の不正物品の差し入れを受けそうな受刑者に関する十分な観察等々を通じまして、不正な物品が入ってきそうな場合については、厳重な検査をすることによって、チェックしようという体制をとっておるわけでございまして、むしろ五十四年の事件はその効果があったというように見ておるわけでございますが、その後はこういう事例は出てきておりません。
○鶴岡洋君 もう一つ、一飲食物の検査でございますけれども、監獄法施行規則を見ると、第百四十七条第二項ですか、この規定によって、医師が立ち会う、こういうことになっておりますが、先ほどから申し上げているように、医師の不足している状況の中で、これが確実に検査が実施されているのかどうなのか、その点はいかがですか。
○政府委員(鈴木義男君) 監獄法施行規則の規定は、被収容者の親族等から直接食料品を差し入れるということを考えていた時代に、そのことを前提としてできたわけでございますが、衛生問題、それから先ほどの不正物品をたとえば食べ物の中へ隠して入れるというような問題等もございますので、現在では、すべて、食品については差し入れ屋を通じまして差し入れさせる、すなわち、普通の許可を得て食堂を経営のできる者を指定いたしまして、そこから差し入れさせるということをいたしておりますので、入ってくる物の衛生ということについては、特段の問題がございませんので、医師の立ち会いということは省略いたしております。
○鶴岡洋君 そうすると、医師が立ち会わなくてもいいということにしてあるんですか。
○政府委員(鈴木義男君) 医師の立ち会いの趣旨を考えますと、一つには、よくわからないところから入ってきた物が果たして衛生的に大丈夫かどうかということを見るのが一つでございますし、それから、もしそういう入ってきた物を、たとえば刑務所の職員がその検査ということで手でさわるというようなことがあった場合に、それが衛生に害があるというような結果になることを防ぐという意味で、医師の立ち会いということが考えられたのでございますが、現在はそういう方法をやっておりませんので、その点はこの施行規則に抵触するという問題ではないと理解いたしております。なお、差し入れ業者の方につきましては、施設の医師が定期に検査、あるいは指導ということに当たっております。
○鶴岡洋君 いずれにしても、私の聞いたところによると、東京拘置所、大阪拘置所を例にとれば、東京の場合は一日の差し入れが大体九百五十四件、大阪が四百六十八件、東京では約千件、大阪では約五百件近くあるわけです。この検査をする保安要員というんですか、これも、そちらから聞いた報告によると、四名ずつ、こういうことになっているわけです。これで果たして先ほど言ったようないわゆる不祥事件ですか、起きないとも限らないわけでございますので、この点については、要員の増加ということもあるでしょうけれども、厳重に注意をしていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。 それから、これに関連して、そのような差し入れが多いわけでございますので、人が見るというのがこれが一番確実でございますけれども、そのほかに、運輸省で行っているハイジャックの防止対策、エックス線の透視とか、こういうのがありますけれども、こういう不正品の差し入れ防止策は考えてはおるんですか。
○政府委員(鈴木義男君) 現在までのところ、透視機による検査を実施している庁が七庁ございます。非常に大きな拘置所においてこれを利用いたしております。それから、その他の施設におきましては、この透視による検査ということはいたしておりませんで、いわゆる金属探知器を使って、これも非常に小型のものでございますが、中に金属類が入っているかどうかを確かめる、これは衣類その他のものに入っているかどうかを確かめるわけでございますが、残念ながらまだ覚せい済というようなものについて、それを簡単にチェックするというような技術は開発されておりませんので、透視機器、あるいは金属探知器等を用いますだけでは、どうしても不正品が入ってくるのを防ぎ切れません。したがいまして、従来どおり保安職員の経験あるいは勘による検査というものをやめるわけにはいかない状況でございます。
○鶴岡洋君 時間が来てしまいましたので、まだ何点かお尋ねしたいところがあるわけでございますけれども、午前中には粕谷委員の方から刑務所の職員の不祥事事件が取り上げられましたけれども、これはいわゆる刑務所自体の内部の経理の問題ですけれども、それと似通った看守と刑務所職員、また受刑者との間の贈収賄ですか、こういう事件も過去に何回か発生しております。お聞きすると、五十四年には三件、五十五年には一件、五十六年にも発生しておると、こういうことを聞いておりますけれども、たとえば五十三年の十月、神戸刑務所で看守が服役中の人物から数回にわたり手紙の運搬を頼まれて、そうして謝礼として現金二十万円を受け取った、こういう事件がございますね。その後どういうふうに処理したか、この点もお聞きしたいし、また五十五年には、宮城刑務所医療課員が仙台拘置所に拘置されていた人物に、拘留の執行停止手続がとれるよう病状を有利に報告し、出所に便宜を図ってやると、こういうふうに持ちかけて三十万円を受領した収賄事件が起きています。この二つのケースはきわめてまれなケースであるかもしれませんけれども、行刑施設の職員のモラルの問題でありますが、矯正当局も今後一層こういう問題が起きないように、教育、訓練、指導をすべきだと、こういうふうに私は思いますけれども、その点についてどのように指導をされ、また教育をしているのかをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(鈴木義男君) 行刑施設だけではございませんで、刑事、司法に関係する機関の職員から、この種の不祥事が出るということは絶対にあってはならないことだというように私どもは考えております。この点につきましては、もう口が酸っぱくなるほど、会同等の機会があるたびに、こういう例があったような場合にはそういうことがあるんだから気をつけろと、部下にその点の指導を十分にしてほしいということを伝えております。 そういう口で言っていることのほかに、ただいま考えておりますことは、一つは研修、あるいは訓練の科目として、従来比較的技術的、要するに法律の知識、あるいは処遇の技術、そういう知識を得る面に重点が置かれ過ぎたというきらいもないわけではございませんので、カリキュラムの中へ、公務員、特に矯正職員としてどういうあれでなければいけないのかという面を、もっと深く教えるという方向に進めたいと考えております。 それからもう一つは、こういう不祥事件が起きます一つのもとは、やはり特定の施設である職員が孤立してしまうということが一つ考えられると思います。そういう意味からいたしまして、それぞれの施設における職員の一体感、これは施設の長を初め、末端の職員に至るまで一体となって働く気風を、現在もそういうのが私は日本の矯正の非常に大きな特徴だと思っておりますが、そういう気風をさらに強め、末端の職員であっても、言いたいこと等は常に上司の方へ言っていけるというような雰囲気づくりをさらに強めていきたいというように考えております。
○柄谷道一君 ロッキード丸紅ルート判決、いわゆる田中裁判の第一審が大詰めを迎えようといたしております。私は今日までの検察当局の御健闘に敬意を表するものでございますけれども、ここで思い出されますのが、かつて造船疑獄の際発動されました検察庁法第十四条に基づく法務大臣の指揮権発動の問題でございます。 そこで、法務大臣にお伺いいたしたいわけでございますが、仮にロッキード裁判の第一審判決で無罪、あるいは量刑が余りにも軽かった場合、検察側は当然今日までの公判における姿勢からして、控訴する方針で臨まれるものと思います。その場合、いわゆる法務大臣が指揮権を発動して控訴を取りやめさせる、こういう可能性はあるのかないのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 指揮権発動の問題は、これは法律には規定があるようでございますけれども、一般的に申しまして、みだりにこれを発動すべきものではないというふうに私は考えておるわけでございます。 また、ロッキード事件に対しましての判決がなされるというお尋ねなんでございますけれども、これはやはり仮定の問題でございますので、ただいま私はお答えを差し控えたいというふうに思いますし、私は検察当局というものを信頼をいたしておりますし、検察当局の判断を全面的に尊重してまいりたいと、かように考えております。
○柄谷道一君 検察当局の判断を全面的に支持したいと、その御答弁で理解しておきたいと思います。 そこで、この判決が各種選挙の時期との関係で、日本の政局に大きな影響を与えるであろうということは衆目の一致するところでございます。とりわけ、来年は統一地方選挙及び参議院の半数改選が行われ、世上、総選挙も同時に行われるのではないかという風評もございます。そこで、この判決の出る時期というものが、政治に対して与えるインパクトというものは非常に大きいと、これは客観的に言うべきであると思います。 そこで、今日までロッキード丸紅ルート判決の時期につきましては、世上六月ごろ求刑、十一月ごろ結審と、こう言われておったわけでございます。ところが、最近のいろいろ報道をしておりますところによりますと、田中さんの弁護団が三月結審、九月判決に持ち込もうとしているという報道やら、その他いろいろの風説が飛んでいるわけでございます。 私は、この問題について、一応どのように見通しておられるのか、法務大臣としてはどうお考えなのか、この点について率直に御見解を承りたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘のいわゆるロッキード事件の公判の中で、いわゆる丸紅ルートと呼ばれている関係の公判状況でございますが、いままで百五十二回公判が開かれておりまして、御案内のとおり検察官の主立証を終えて、弁護側の反証、最近は主としていわゆるアリバイ問題がございますが、その反証が行われ、さらにこれに対しまして検察官側の再立証、またこれに対して弁護人側の再反証というようなことが続けられておるところでございます。 その点は一応終わったような状態になっておりますけれども、今後どのような動きになるかということになりますと、弁護人側、被告人側の今後の立証方針ということによって大分違ってくるわけでございますので、そういう観点から今後どういうふうに公判が進行するかという見通しにつきましては、現段階におきまして、はっきりしたことは見通しがついていないというのが実情でございます。
○柄谷道一君 そこで、いま現在見通しは明確についていないということでございますけれども、法務大臣として、明年度のいわゆる政治スケジュールというものを踏まえまして、公判進行方針を早め、もしくはおくらせるという指揮権を発動されるというお考えはお持ちになっていない、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(坂田道太君) 判決は、もう当然なことながら、裁判所で御決定になることでございます。私といたしましては、政治的な配慮から具体的事件の訴訟の遂行に関しまして介入することは全く考えておりません。
○柄谷道一君 そこで、検察庁法第十四条の解釈でございますが、指揮権は、検事総長が法務大臣に請訓して初めて発動できるものであるから、個個の法廷戦術にまで指揮権は及ばないという解釈があると、私はそう承知をいたしております。この点に対する大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいまの点につきましては、委員も御案内と思いますけれども、検察庁法に十四条という規定がございまして、その規定の上では「個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮」できる、こういう条文に相なっておるわけでございます。そして、この「個々の事件の取調又は処分」ということの意義につきましては、捜査はもちろんのこと、公訴の提起さらには公判審理のいずれについても、これを含むものである、こういう理解をいたしております。
○柄谷道一君 その場合、いわゆる法務大臣の指揮権というものは一体どこまで及ぶのか。もし及ぶとするならば、その程度は一体何なのか、この際、お教えをいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいま申しましたように、検察官の職務は捜査から、公判からいろいろあるわけでございますが、その個々の内容につきましては、いま申しましたように抽象的にはすべてについて、ただし検事総長に対してのみでございますけれども、指揮できるわけでございますが、その精神からいたしまして、大臣が総長に対して指揮するということも、それ自体異例のことでございますから、一々細かい捜査の内容であるとか、公判の進め方であるとか、そういうことまで実際に指揮されるということは通常考えられないことであるというふうに思っております。
○柄谷道一君 そうすると、くどいようでございますが、この庁法第十四条の解釈でございますけれども、法務大臣は、検察事務に関して、「検察官を一般に指揮監督することができる。」、その「一般に」とは、いわゆる一般的にという意味であって、具体的に相対する概念である。したがって、検察事務の処理方法に関する一般的な基準を指示したり、犯罪防遏のための一般的方針を訓示したり、法令の行政解釈を示したり、個々の具体的事件について報告を求める、そのことが一般的な指揮監督の範疇に入るものであると、こういう解釈はそのとおりと理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(前田宏君) そのように御理解いただいて結構でございます。
○柄谷道一君 次に、いわゆる指揮権発動と検事総長のこれに対する態度についてお教えをいただきたいと思います。 私は、坂田法務大臣も検事総長も公平無私、人格、識見に卓抜された人材であると考えておりますから、法務大臣が具体的事件について指揮をした場合、検事総長がこれを不当として、大臣の翻意を求めたにもかかわらず、相互の意見が対立して、その場合、大臣が命令服従を強いるといういわゆる指揮権発動の事態は万々ないものと信じております。しかし、一般論として意見対立の場合、検事総長としてはどのような対処が可能なのか、お教えをいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいまも仰せになりましたように、総長と大臣との関係は、規定の上ではいわゆる指揮権を大臣がお持ちになっているわけでございますけれども、それぞれ当然のことながら、その職にふさわしい方々が就任されておるわけでございますから、いまのお話にもございましたように、お二人がお話し合いになれば、そういう対立が当然なくなるというのが通常であろうと思います。したがいまして、あくまでその意見が一致しないというようなことを想定すること自体いかがかと思うわけでございますが、あえて申しますならば、その場合には、事案に応じて総長が大臣に従う場合もございましょうし、また、それに従わないで、総長としての考えに基づいた措置をとることも場合によってはあり得るということしか申し上げられないわけでございまして、いずれにいたしましても、そういう事態が起こった場合に考えなければならないことでございますので、一概には申しかねることではないかと思っております。
○柄谷道一君 仮定の問題としてお聞きしておってもなかなかこれは問題が進まないと思います。そこで、私はただいままでの大臣の御答弁をお伺いし、かつ私も坂田大臣の人格を知る一人でございますので、私は検察に全幅の信頼を置いて、本問題に対処していかれる、世評かつて造船疑獄の際に問題になったような、指揮権の発動というものは法務大臣としてお考えになっていないと、こう理解したいわけでございます。私のその理解に間違いがございますでしょうか。
○国務大里(坂田道太君) 私がただいま申し上げられますことは、検察を信頼しておるということでございます。その一語に尽きます。
○柄谷道一君 くどいようでございますけれども、奥野前法務大臣は、さきのロッキード公判で検察批判とも取れる発言をされまして、世間の批判を受けられました。私はこれに対しても、かつて質問として取り上げたことがあるわけでございますけれども、私はこの発言は国民に対して法務行政への不信感を招くものではなかったか、こう受けとめております。私は、新大臣として、このようなことは万々ないとがたく信ずるものでございますけれども、大臣の率直な御所見をこの際お伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 私は、前の奥野法務大臣の事柄につきましてはコメントをいたしません。差し控えたいと思います。 ただ、私といたしましては、先ほどから何回も申し上げておりますとおり、検察を信頼をいたしまして、そうして法務大臣としての職責を全うしたいと考えておる次第であります。
○柄谷道一君 この問題の最後ではございますけれども、最近いろいろ新聞、雑誌がいわゆる観測記事を書いておるわけですね。これは、民主主義の時代でございますから、その記事というものに国民が深い関心を抱く、これは当然のことであろうと思うのでございます。当初、この第一審判決は、早くて十一月、遅くても五十八年の一月ごろであろうというのが一般的な観測でございました。ところが、田中弁護団は三月結審、九月判決に持ち込もうとしている。それは、厳しい論告の直後で選挙が行われると、十一月総裁選で無条件で鈴木再選に協力という損な立場に立つとか、判決から選挙まで間がなく、自民党に対するダメージが大きいとか、いろんなことが観測記事として書かれておるわけでございます。 私は、この判決の時期というものについて、坂田法務大臣が早めるとか、遅くしろとか、そういうことを指揮されることは万々ない、こう信頼いたしておるものでございますが、そう受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(坂田道太君) そのとおりお受け取りいただきたいと思います。
○柄谷道一君 大臣の人格を信じまして、この問題に対する質問は以上でとどめますけれども、やはり国民注視の裁判でございます。いやしくも法の権威というものが、法務大臣の言動によって失われるということになりますならば、私は法治国家としてゆゆしき問題を惹起すると思います。大臣を信じてまいりたい、こう思うわけでございます。 次に、談合罪についてお伺いいたします。 静岡県における公共事業入札に関する談合につきまして、公正取引委員会による摘発は行われておりますけれども、これについては刑法の談合罪の観点からは、警察も検察も動いてないようでございます。 最近の事例をいろいろ見てみますと、昭和五十四年、専売公社の工場解体をめぐる談合問題、さらに昭和五十五年、熊本地検にかかわる問題でございますが、市長の収賄まで発展いたしました建設業界ぐるみの長期にわたる談合問題、そして、最近では、公害防止事業団の植栽工事にかかわる福岡の強制捜査の問題などですね、その事例というのがきわめて少ないわけでございます。これについてどう大臣御認識になっていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(前田宏君) まず事務的にお答え申し上げますが、いわゆる競売、あるいは入札妨害の罪でございますけれども、最近の新聞等で六件とか、七件とかいうような報道がなされておるわけでございますけれども、私どもの把握しております統計によりますと、たえとば五十三年におきましては起訴された者が七十三名ございますし、五十四年と五十五年はたまたま同数でございますが、二十九人というような数字も上がっているわけでございまして、この数が多いか少ないかということはあろうかと思いますけれども、一けたの数字ではないということがまず前提でございます。
○柄谷道一君 この談合罪につきましては、一般に言われておりますことは、かつて大津判決が出たために検察当局の姿勢というもの、動きというものが鈍っているんではないかという風説があるわけでございます。 そこで、この談合罪の中の公正な価格を害する目的というものの解釈でございますけれども、従来、最高裁は、昭和十九年四月二十八日でございますけれども、「「公正ナル価格」とは、その入札において公正な自由競争によって形成されるべき落札価格をいい、公正な自由競争によりもっとも有利な条件を有する者が実費に適正な利潤を加算した額で落札すべかりし価格をいうのではない。」と、いわゆる結果が適正であるかどうかと言うんではなくて、公正な自由競争によって形成されたか否かにあるというのが最高裁の判決であったと、こう思うわけでございます。ところが、その後、大津判決が昭和四十三年八月二十七日に出ております。これは長い判決文章でございますけれども、一言で言うならば、いわゆる話し合いが行われたということは認めながらも、結果として、それが原価プラス適正な利潤であるからという理由で、これは無罪判決になり、検察側はこれに対して控訴もしていないわけでございます。この二つの相異なる判決というものを私はいろいろ勉強をいたしまして、どうもわからなくなったわけでございますけれども、当局としては、一体、談合罪とは何なのか、それは最高裁の判決というものを中心にお考えなのか、大津判決を中心にお考えなのか、もし最高裁判決を妥当とするならば、なぜ控訴の手続を大津裁判でとられなかったのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいまいわゆる談合罪に関します裁判例について御紹介もあり、また御意見もあったわけでございますが、結論から申しまして、私どもといたしましては、最高裁の判例、一件のみならず何件かあるわけでございまして、先ほど御引用になりましたような内容でございますので、その解釈に従うべきものというふうに考えておるわけでございます。 そうなりますと、四十三年に大津の地方裁判所でなされました判決の解釈というのは、それに反するような点が見られるわけでございますので、そういう意味ではこの判例の解釈に反する一審判決ではないかというふうに言えると思いますが、すべて裁判は具体的な事案についてのことでございまして、単に抽象的な文言だけで比較することも必ずしも適当でない面もあるわけでございます。結論的には、いま申しましたように、最高裁の示しておる解釈が正しいというふうに考えておりますけれども、ではなぜ大津の地方裁判所の判決について控訴しなかったかということになろうかと思います。この点は何分にも大分前のことでございまして、その控訴しなかった経過といいますか、理由といいますか、その点は余り定かではございませんけれども、一応私どもの理解しております限りでは、法律解釈というよりも、この談合罪の規定に当たるかどうかということ、その事件そのものが当たるかどうかという立証の問題といたしまして、証拠が不十分といいますか、立証が困難であったという観点から、これを控訴いたしましても有罪の判決を得る見込みが薄いというような現実的な判断から控訴しなかったというように理解しているわけでございます。
○柄谷道一君 すると、これは確認いたしたいと思いますけれども、今後談合罪につきましては、いわゆる最高裁判決、その結果というものが、いわゆる適正価格——すなわち原価プラス適正利潤というものであるかないかということではなくて、談合そのものが問題であり、談合が行われたという事実をもって、この談合罪の適用がされるというこの最高裁の考えに当然検察当局としては立たれると、こう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(前田宏君) その点は先ほどもお答えしたところでございますが、あるいはただいまのお尋ねを取り違っているかもしれませんけれども、談合行為のみで犯罪になるわけではないということは、改めて申すまでもないわけでございまして、いわゆる「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ」という目的がなければならない、その要件は当然にあるわけでございますから、その立証といいますか、その事実があって、それが立証できなきゃならないということは当然でございます。
○柄谷道一君 最近この談合問題に対する国民の関心というのは非常に高まっているわけでございます。そこで、この問題につきましては、弱腰の姿勢をとらずに、当局として積極的に対処してほしいというのが国民大方の期待であろうと、こう思うわけでございますが、大臣として、この際談合罪に対する御理解と、基本的な姿勢というものを明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 検察当局といたしましては、この種の事件につきまして、従前から適正な捜査、処理に努めてきたところでございますし、その姿勢は今後とも変わるべきではないというふうに思っております。
○柄谷道一君 問題を移しまして、次に商法改正に伴う法務省令の制定についてお伺いいたしたいと思います。 来る五十七年の十月から施行される商法及び商法特例法の一部改正でございますが、五十六年の十月九日、法務省は民事局参事官室から「法務省令制定に関する問題点」を公表しておけれます。私は、この法務省令の改正作業が進む中で、なお法制審で紛糾いたしておりますのは、問題点「三 附属明細書」の十六に記載されております「営業費用中一般管理費に属する財産上の利益の無償の供与で饗応接待以外のものの明細」、この取り扱いだと承知いたしております。特にこの点につきましては、経済界の反対がきわめて強くて難航しておる、このように聞き及んでいるところでございます。私は、株主により多くの情報を公開することによって、会社不正を浄化する、あわせて企業に対する国民の信頼を回復し、個人株主の増加を図る、こういう意味からなるべく積極的な開示が望ましい、こう考えるものでございますが、いま法制審で審議中ではございますけれども、当局としての基本的な御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 省令制定作業のいきさつにつきましては、ただいま御質問の中にもございましたように、参事官室から問題点というものを公表をいたしました。この問題点につきまして、法制審議会の商法部会における審議が行われておる、また一方、この問題点に対しまして、各界から意見が寄せられておるというような点につきましては、ただいまおっしゃったとおりでございます。「営業費用中一般管理費に属する財産上の利益の無償の供与」につきましては、これを附属明細書の記載事項とすべきであるという積極的な御意見とともに、消極的な意見も法制審議会においてないわけではございません。また、各界から寄せられております意見の中にも、積極的な意見もございますけれども、消極的な意見もないわけではないというような実情でございまして、ただいま紛糾とか、難航とかいう言葉をお使いになりましたけれども、そこまで言うのはちょっと語感が強いかと思いますけれども、両説あるということは事実でございます。この問題につきましては、法制審議会商法部会の意見を聞いてそれを十分に尊重をして省令作成に当たるべきであるという国会の附帯決議等もございますので、私どもはそういうことを考えておるわけでありますが、その商法部会における取りまとめのための審議が近く行われるという予定でございますので、その結果を見て結論を出してまいりたい、このように考えております。
○柄谷道一君 私はまあこの審議会はつまびらかにその内容を承知いたしませんけれども、なかなか全会一致の答申というものがむずかしいんではないかとも言われておるわけでございます。その場合、当然多数意見が中心となっての答申ということになろうと思うわけでございますけれども、これは仮定の問題でございますけれども、全会一致の答申でなくても、その場合は、もうこの施行期日が迫ってきておるわけでございますから、法務省としては多数意見に従い措置をする、こう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(中島一郎君) 商法部会における御審議の結果を伺いまして、そのうちとるべき意見はとるということで結論を出したいと考えております。
○柄谷道一君 そのとるべき意見とはどういうことですか。
○政府委員(中島一郎君) 商法改正の当初からの目的というようなものもございます。これに関する国会の審議におけるいきさつというようなものもございます。そういうものを考えまして、今回の商法改正が実現しようとしておる目的は那辺にあるかというようなところを探りまして、そして、最終的に法制審議会における審議の結果を見まして、私どもの結論を出してまいりたい、こういうことでございます。
○柄谷道一君 それでは、次に従来証券取引法に基づく財務諸表規則、それから商法に基づく計算書類規則、さらには税法による会計、この間には必ずしも私は整合性がとれていないのではないか、また世上そういう議論もございます。そこで、今回の省令の制定に当たりましては、その点どの程度の配慮をしておられるのか、いわゆるその整合性というものを保つということでの議論を詰めようとしておられるのかどうか、その点をお伺いします。
○政府委員(中島一郎君) 商法における決算処理の方法は、その大枠は商法において規定されておりまして、それと、それから証券取引法に基づく財務諸表の記載方法との間には、従来は若干のそごがあったということは否定できないところでございます。そういう意味におきましては、むしろ問題は省令の問題ではなくて、商法そのものの問題であったということにもなろうかと思うわけであります。しかし、今回の商法改正におきましては、引当金その他の問題におきまして手当てがされまして、基本的な相違点というものは解消されたわけでございます。これを受けまして、今回の省令制定に当たっては、商法における計算書類の記載と、証券取引法における財務諸表の記載との間で、できる限りの調整を図りたいというふうに考えておるわけでございます。 ただ、税法との関係につきましては、税法には固有の政策的な配慮というようなものがありますために、調整には若干困難な面がございますけれども、一般的にはでき得る限り両者の調整を図るように配慮してまいりたいと、このように考えております。
○柄谷道一君 この問題の最後でございますけれども、省令制定に向けての今後のスケジュールについて、この際明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 先ほど申し上げましたように、取りまとめのための法制審議会の審議が、来る二月の三日に開かれるように予定をされております。この結果を見まして結論を出してまいりたいわけでありますが、先ほど御質問にもございましたように、改正法の施行が十月の一日でございますので、大きな改正でありますので、それまでにかなりの準備期間も必要であります。そこで、三月末までには商法の省令改正の運びに持っていきたいと、このように考えております。
○柄谷道一君 最後に、法務局機能の充実に関してお伺いいたしたいと思います。 最近、住宅というものが高層化の度を強めております。したがって、一軒の建築物が区分所有されるということによる登記件数は増大をいたしておると思います。また、最近景気が余りぱっといたしませんので、そういう時期にはかえって担保設定の登記件数がふえるという傾向もあらわれてきておると、こう私は理解いたしておるわけでございます。事実昭和四十一年度を一〇〇とした登記件数を私の手元でいろいろ調べてみますと、昭和五十四年度には三三七と、三倍強にふえているわけでございます。しかし、同じ年度で職員数を対比いたしますと、一二〇という係数になっております。もちろん私たちは行財政改革の推進、そして公務員全体としての定数の純減というもりを主張しておるものであり、またそれは実現しなければならないと考えているわけでございまして、当然作業の効率化、これを前提として、事務量が純増いたしております部分については、しかるべき措置が必要であろう。また新規人員増が困難な場合には、積極的な配置転換によって対処をすることも考えなければならない、このように考えているわけでございます。 そこで、いま冒頭申し上げました登記件数及び職員の実態というものを考えまして、この際法務局の機能充実に関して、大臣としてどのようなお考えを現在お持ちであるのか、またどう対応していこうとしておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) いま先生御指摘のように、この十年事務量は非常に多くなりましたし、また同時に複雑になってきている。それから人員はわずかしかふえてない、しかも、法務局の出張所のごときはかなり狭隘であるということで、ずいぶん労働過重の面が一面においてある。しかしまた、よく考えてみますると、登記の事務を今日の科学技術の進歩に基づきまして、何か近代化というものがある程度できないのか、そうすることによって事務を迅速化することもできるだろうし、また職員の負担を軽減するということにもつながるんではないだろうかということで、板橋の出張所の狭隘なのにかんがみまして、付近に新たな施設を実は設けて、年内に完成する。ここでひとつ登記の近代化の実験をやって、もしこれが成功すれば、これを全国に及ぼしていくということをただいま考えているということでございます。というわけでございまして、いろいろ考えさせられることが非常に多いと思います。ただ、日本の登記というのは独特のものもございまして、どこまで近代化ができるのか、これはなかなか頭で考えるだけではだめなんで、実際的にやっていただいて、そして実験してみないと、これまたうまくいかない。かつて板橋の場合でも、近代化のつもりで、下のところに倉庫があって、そしてそれをエレベーターで上げて、そして仕分けをすると、こういうことをやっているんですが、いまは逆にこれが非常に事務の渋滞を来しておるという面もあるものでございますから、頭で考えるだけじゃいけない。やっぱり実際に行ってみて、そして果たしてこれは事務の迅速化にもつながるし、あるいはきちんとこの事務がやれるかどうかというものも確かめた上で、これを普遍化していくということを考えなきゃならぬのじゃないか。いずれにいたしましても、法務局の登記事務というのは、やっぱり国民の非常に権利確保の上において、維持する上において、保全する上において大事な仕事である。しかも、これを迅速にやるかやらぬかで、ずいぶんもうけたり損したりというような、利益不利益を及ぼすことにもつながっておるということでございますので、少し長期的な展望を持って、もちろん従来法務局でもお考えであったようでございますが、せっかく私も法務大臣になりましたので、そういうような視点でもう一遍見直してみたいというふうに考えております。
○安武洋子君 私は、まず最初に青山学院大学の裏口入学の問題についてお伺いをいたします。 本日の赤旗の報道ですでに御存じと思いますけれども、青山学院大学の情実入学に坂田道太、海部俊樹、田中龍夫の元文部大臣経験者が関与されていたことが明らかになっております。青山学院大学の成績整理委員である、ある入試担当者によりますと、大木金次郎院長の推薦名簿の中に、推薦された受験生氏名の冒頭に、成績のランクを示す一重丸、二重丸、それが打たれて、氏名の後ろの備考欄に、政治家の推薦だけは推薦議員の名前が書かれているということです。この中に坂田、海部、田中元三大臣——文部大臣ですね。経験者のお名前が出ている。坂田大臣の場合は、最近の推薦名簿の備考欄にもお名前が出ております。この推薦名簿は、ある学科の教官全員にも回されております。これを見た教官のほとんどからは、これはひど過ぎるという声が上がったというふうに聞いております。歴代の文部大臣が、文部大臣という、あるいは文部大臣だったという、そういう地位を利用なさって、情実入学の手引きをするというふうなことは、私は政治的、道義的にもその責任は重大だというふうに思います。 坂田大臣にお伺いを申し上げますが、この青山学院大学の裏口入学のあっせんをなさったという事実をお認めでございましょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 赤旗はまだ読んでないのでございます。ただ、青山大学に何々にどういうふうにしたのか、そういうようなことは私承知しておりません。ただ、一般的に申しまして、長い間われわれのところに地方からここの大学に入りたいというような申し出はずいぶんございます。したがいまして、私といたしましては、秘書の連中に、とにかくできることならば入れてあげたい、しかし、やはりこれを受けとめる大学側の試験の制度もあるし、そういうところは十分考えた上で、無理のないようにしなければいけないよということはかねがね実は申しておるわけでございます。でございますから、青山学院の場合は個個については知りません。知りませんけれども、あるいはその中で受けた者もあるかもしれません。あるいはその中で入った者もあるかもしれません。それが情実になるのかどうなのか、成績がよくて入ったのかどうなのか、私はつまびらかにいたしておりません。
○安武洋子君 私はやはりいまの大臣の御答弁は重大な御答弁だと思います。成績がよくて入ったのかどうかは知らないとおっしゃいましたけれども、事実をよく確かめてないとおっしゃいましたが、青山学院大学の裏口入学については、いまのところマスコミがずいぶんと報道いたしております。大臣は文部大臣の経験をお持ちでございます。その大臣が、たとえ秘書さんに注意をして、十分配慮をしてやりなさいとおっしゃっても、やはり大学に声をかけるということは、文部大臣であられたということで、ずいぶん大学側は圧力を感じると思います。それが情実入学につながっていくというふうに私はなると思います。ですから、そういうことは慎まれるのが当然だというふうに思いますけれども、大臣はいかがお考えなのでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) 私は大学当局も常識があるんで、そんなにめちゃくちゃな者を入れるというふうには考えないわけでございます。でございますから、これは私だけではございませんで、自分の選挙区の人たちが大学を受けたい、大学の事情はどうかというようなことを聞いてくるときに紹介をするというようなことは、やっぱりこれは常識じゃないだろうかというふうに思っておるんです。しかし、それが金銭をもらうとか、何とかというようなことにつながれば、これは問題だと私は思いますけれども、大学当局がやはりそこは入れてもこれはどうにもならない、あるいはほかとの均衡上これは余りにも成績が悪いという場合は、恐らく入れてはいただけないものだというふうに思っておるわけです。
○安武洋子君 ますます重大な御発言で、大学には試験制度があるわけです。ですから、そこに大臣経験者、こういう肩書きをお持ちの大臣から声がかかるというふうになれば、試験制度をゆがめるというふうな、文部大臣としてはそういうことがあってはならないというふうな立場にあられたわけでしょう。それが試験制度をゆがめるというふうなことになることをなさるわけです。私は本当にいまのような御答弁をいただいてびっくりいたすわけですが、ここで文部省にひとつ私は御要求申し上げます。文部省はきょうから事情聴取に青山学院大学に入っておられますけれども、文部大臣経験者が裏口入学に関与しておられるというふうな中で、いま御答弁がありました、悪いことだと余り思っていないというふうなことでございますけれども、しかし、こういうことは世間では許されないことだということです。だから、こういう事実が明らかにされるのにちゅうちょもあろうかと思いますけれども、やはり私は国民に対してこういう問題を明らかにすると。こういう本当に大臣経験者が三人もかかわっておられて事実が明らかになるんだろうか、国民の疑念を払拭する意味でも私は厳正な調査を行ってほしい。私の申し上げたことも、問題の推薦名簿、教官に回されておりますから、これを手に入れていただければ一目瞭然になることでございます。ですから、この名簿を入手されて、必ず公表していただいて事実をはっきりさせてほしい。文部省にお伺いいたしますが、いかがでしょうか。
○説明員(齋藤諦淳君) 本日、青山学院大学の学務部長から実は事情聴取をいたしました。それで、学内では院長とか、あるいは教職員等からの推薦が、あるいは学部長等になされているかもしれないけれども、大学としては資料としてはそれを持っていないという、こういう報告であったわけでございます。なお、いずれにしましても、合格者の決定は、大学の学内の入試整理委員会、教授会及び学部長のところで責任を持って行っているところであるという、こういう報告も得ておるわけでございます。
○安武洋子君 文部省ね、第一回のきょうは事情聴取をなさったわけでしょう。私は明らかにこれは公然の秘密、もう青山学院の中ではこういう名簿があり、そしてそれが教官の中にも回されたということで、私はさらにもっと厳密な調査をして、必ずこれを手に入れていただきたい。ないということで済まされる問題ではないと思います。私どもの方で関知しているわけですから、さらに文部省にも強く調査をちゃんとやると、厳正な調査をやるということを御要求しておきます。よろしゅうございますね。
○説明員(齋藤諦淳君) いま学内で疑惑を持たれた措置についての改善について検討をしておるようでございますけれども、その雲行き等も見まして、必要に応じて事情聴取等はさらに行いたいと、こう考えておるわけでございます。
○安武洋子君 いずれにしても政治家と大学の癒着というふうなことを国民の前に、はっきりして、やっぱり断ち切らないといけないと思います。そういう点からもちゃんとしていただきたいということで、時間の関係上、次に移ります。 登記関係の業務量というのが近年大変増大しております。職員の増員がこれに追い着かずに、行政サービスが行き届かない問題とか、あるいは職員の労働過重の問題とか、これはいままで再三国会でも取り上げられております。ところが、事態は改善されるどころか、年々深刻になってきておりますので、改めてお伺いいたしますけれども、年が明けましたので、ちょうど一昨年になりますけれども、神戸地方法務局管内の明石、西宮、宝塚と、こういうようなところで連続して登記簿の原本が改ざんされるなどの事件が起こっております。当時の報道によりますと、登記簿の閲覧を装って、すきを見てバインダーから原本を抜き取ると。そして、所有者の欄の改ざんや面積欄の水増しを行って、再びバインダーに戻す。そして、その謄本を請求するとか、あるいは原本に架空の登記用紙をはさみ込むなどとか、こういう手口が使われていると報道されております。いずれにしても犯人は間もなく逮捕されておりますけれども、この年は近畿一円で同様の手口の犯行が行われていると聞いております。こういうことが行われる原因というのは、地面師たちの暗躍の背景として、十年間で登記簿閲覧者や、それから謄本申請者が急増している、登記窓口が常時混雑している、だけども職員はほとんどふえていない、閲覧中の監視の目が届きにくい、こういう点を指摘しておりますが、過去問題が起こるたびにこういう点が指摘されているわけです。土地などは登記原本を唯一の信用、よりどころにいたしまして取引が行われているものだけに、安易にこういう事件が起こるという状態を、長期に放置しているということは、私は重大なことだと思うわけです。五十五年に連続して事件の起こった神戸地方法務局管内を見てみても大変な状況です。私はお伺いして事実をいろいろ調査をさせていただきました。五十年から五十四年までの五年間に、甲号事件、これが一〇九%、乙号事件、これが一四五%にふえております。なのに、従事職員数はわずか一〇三%です。私が見せていただいたときも、女子職員が書庫に入りまして、そしてバインダーの重たいのを持ってきて出すと、そしてもう済んだのを片づけるというふうなことで、本当に書庫と閲覧者の間を行ったり来たりしております。大変なお仕事だと思う。たな一つ間違いましても、後々大変なことになりますから、もとに戻すのも大変、それから、出してくるのも大変というふうなことで、この傍ら監視の月を届かせるということは至難のわざではなかろうか。先ほど大臣の御答弁の中で近代化というふうなことをおっしゃっておられましたが、近代化をする、それも職員の過重にならなくて、定数を減らすというふうなことでなくて、そういうことをお考えになるのも結構ですが、それまでいまの状態を続けるということになりますと、これはやっぱり人員の面で考えていただかなければならないと思うんです。しかも、事件が起こっておりますけれども、その翌年の増員というのも純増でわずかなんです。二名なんですね。問題なのは、法務省全体を見てみてもそうなんです。十年間で甲号事件一一一%、乙号事件一九三%、年々急増しております。ところが、登記部門の職員数が一一三%の微増と、こういうことです。この増員のベースがダウンしてきているんです。たとえば、昭和四十八年から五十年は年間百数十名の純増です。ところが、五十一年から五十四年は九十名台に落ち込むと。五十五年から五十六年は九十名の半分の四十名台に落ち込むと。さらに、先ごろ決定した五十七年度の定員、これはついに純増三十二名という、こういう状態になってきてしまっております。これでは定員不足は年々深刻になるばかりなんです。昨年の国会ではこれらの部門の大幅増員の請願が採択されております。ところが、なさることはこの採択と逆行する方向です。これでは私は請願の趣旨が生きないところか、国会の意思も生きないということになると思います。公務員の定員につきましては、昨年九月の閣議で一律五%の削減の方針というのが出ているということは承知はいたしております。しかし、国民と直結して行政サービスの低下が許されない部門、こういうことについては、断固として必要な人員を確保する必要があると思いますが、大臣いかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、きょうの午前中からも申し上げておるとおり、何とかして人員を確保していかなければ、労働の過重を来すし、また市民に対するサービスも低下していくと、こういうふうに考えておるわけで、一段の努力をいたしたいと考えております。
○安武洋子君 大臣、ずいぶんと努力していただかなければならないと思うんです。といいますのは、法務省は定員不足を補うために、賃金職員で窓口の整理員を配置なさったり、また複写事務の下請化を図ったりされております。窓口整理員というのは、昭和五十年から毎年十八名から二十名ずつ増員しておりますが、現在八十五庁百三十四名になっております。民事法務協会への下請、これは八十一庁四百三名になっております。一方で定員を削減すると、そうして現実には仕事ができないから、賃金職員とか下請職員でカバーをしている。そして、その数が何と五百三十七名、これは比率でいいますと定員内職員の五・六%にも達していると。きわめて不正常な状態と言わざるを得ないと思うわけです。本来ならば、きょうは行管庁にお越し願って、私はこういう定員不足を下請化したり、あるいは賃金職員でカバーをするというような不正常な状態について、つじつま合わせの定員削減というふうなことをやるということについて是正を求めたいと思っておりましたが、きょうは何か出張するということで、おいでではないので、ここでしっかりと大臣に私はもう一度要請をしておきますけれども、こういう不正常な状態ですから、単に努力というだけではなくて、やはりこんなことをしなければ仕事が回らないというふうな不正常な状態を、一日も早く直して、国民のサービスを低下させないようにといまおっしゃいました。国民のサービスを低下させないように、そして職員が労働過重にならないように、そしてこういう不正がまかり通るようなことにならないように、しっかりと増員についてがんばっていただきたい、こう思いますので、もう一度御決意のほどをお伺いいたします。
○国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、私も同感でございますので、一層の努力をいたしたいと考えております。
○安武洋子君 では、この問題については行管の方にも私の方から要望をしておきたいと思いますので、大臣もぜひここはうんとがんばってください。 時間の関係で次に。移ります。 障害者の裁判傍聴の問題について最高裁にお伺いをしたいと思います。 昨年の本委員会で私がお伺いをいたしましたときに、最高裁としては障害者の傍聴に当たり、車いすや盲導犬の入廷を認める方向であること、あるいは各種裁判所施設において、障害者の利用しやすいよう施設改善を進める、こういうことで御答弁をいただいております。これらの点について、その後の進捗状況どうなっておりますでしょうか、まずお伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 私の方から、入廷の状況についてお答え申し上げます。 昨年三月二十六日の第一小法廷のいわゆる堀木訴訟事件におきまして、二十二人の傍聴者が来庁されましたが、そのうち手押しの車いすの利用者がお一人、盲導犬帯同者がお一人おられ、それぞれ車いすのまま、あるいは盲導犬帯同のまま法廷に入られまして、平穏に傍聴を終えたというふうに聞いております。 そのほかでは車いすの利用者、あるいは盲導犬の帯同者はお見えになっておりません。
○最高裁判所長官代理者(原田直郎君) 施設面からお答え申し上げます。 昨年、委員から御質疑を受けました時点において、新営をする場合と、既存施設と二点に分けてお答え申し上げたわけでございますが、その後、そのお答え申し上げた線に沿いまして、徐々に手配りをしておるところでございます。 この問題は、すでに昨年以前から手がけているところでございまして、現時点までに設備の改善を行った序数を御報告申し上げたいと思いますが、玄関スロープ、これは八十五庁、自動とびらを設けているのが九庁、呼び出し設備が五十一庁、身障者用の便所が七十五庁と、こういうことになっております。 厳しい財政状況下ではございますが、なおこの点につきましては十分な目配り、手配りを加えていきたいと、このように考えておる次第でございます。
○安武洋子君 御答弁のように、確かに施設改善につきましては予算が伴うものです。だから、いろいろと困難なことがあろうかと思います。私も先日、神戸地裁に行きまして、担当者の方からいろいろお話も聞かせていただいて、下級裁は下級裁なりに努力もなさっていらっしゃると。それから最高裁の方も努力をしてもらっているというふうなことでお話は聞いております。今後も引き続き努力はお願いいたしとうございますが、障害者の傍聴につきましては、下級裁におきましても、車いすや盲導犬の入廷が認められているところもあります。ところが、その回限りとされたり、車いすを職員が施設が改善されていないので担いで上がるとか、あるいは盲導犬についても理解が十分でないとかというふうなところもあるというふうに。聞いております。既設の連物につきましても、車いすが十分機能できないというふうなこともありますので、私はその整備を本当に急いでいただきたいと思います。 それから、聴力障害者にとりまして、手話というのは傍聴の上では欠かせないものと思います。要請があれば、これにこたえられるようなやっぱり体制づくり、これを最高裁がまず先んじてつくっていただく、そして順次障害者の先ほど申し上げた入廷の件も含めまして、下級裁に最高裁に準じた措置がとれるように、やっぱりやっていただきたいと、そういうことを御検討願いたいということで御要望申し上げますが、いかがでしょうか。時間が参りましたので、その御答弁を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 最近私どもの方で調査いたしました結果によりますと、車いすや盲導犬を帯同した方の傍聴の希望があったのにかかわらず、これを認めなかったという例はほとんどございません。また幾つかの庁、下級裁におきましては、車いすや盲導犬帯同者の傍聴者に、いかにスムーズに法廷に入っていただくかといったようなことについて、綿密に検討をして、執務要領をつくって職員に配っているという庁もございます。私どもとしましては、それらの執務要領を、そういったものをつくっていない庁にも配付いたしまして、受け入れ体制が整うよう、側面から配慮してまいりたいというふうに思っております。 最近、これも私どもの方で調査いたしましたところ、下級裁の法廷における耳の御不自由な聴傍人につきまして、自主的な手話通訳を認めた事例の方が多うございます。法廷の傍聴につきましては、終局的には裁判長が法廷の主宰者として秩序維持に当たるということになっておりますので、私どもからこうすべきであるというふうなことは申せませんけれども、また、裁判官の中には、傍聴席で手話通訳が行われると、審理に集中できないという御意見の方もあるやに、聞いておりまして、いまだ必ずしも十分なコンセンサスが得られていないようにも見受けられますけれども、私どもとしましては、認めた事例を紹介するなどいたしまして、十分な認識を持っていただくように相努めたいというふうに思っております。
○安武洋子君 私ね、最高裁としてこの手話などは体制をつくってほしい、そういうことをまず最高裁が手がけてほしい、裁判長の裁判指揮の中でそれを行うのでなくって、そういう方いつ来るかわかりませんから、傍聴に来たと、そういう要請があれば、最高裁自身としてこたえられるように、そういうことでお願いをしているわけなんです。ですから、そういうことを一度検討してみてくださいという質問です。
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 手話通訳者の養成につきましては、現在のところそれが問題となりました件数もきわめて少のうございますし、例外なくボランティアの方が御一緒においでになっておりまして、果たして独自の養成が必要とされるほどの事務量があるかどうかという問題もございますので、しばらく事態を見守りながら、慎重に研究させていただきたいというふうに思います。
○中山千夏君 きょうは釜ケ崎あいりん地区に設置されているテレビカメラの問題と、それから死刑廃止についてお伺いしたいと思うんですけれども、何しろ時間がないものですので、お答えの方もその辺御協力をお願いいたします。 昨年の八月二十五日に、大阪西成のいわゆる釜ケ崎あいりん地区へ行きました。労働者の方の案内で、あいりんセンターを見学しましたり、それから、釜ケ崎の方たちとお話をしたりしてきたんです。そのときに労働問題とか、それから医療問題とか、もうそのほかとても私なんかの手には余るようなむずかしい問題をたくさん皆さんからぶつけられました。皆さんに聞いたところによりますと、余り政治家とか、それから行政に当たっている方々に意見を言う機会がないんだそうです。それで、本来ならもう少し力のある人にぶつけたい問題を、とりあえず私にぶつけるという形になったんだろうと思います。 その中でいろいろ問題はあるんですけれども、私自身も不審に思いましたし、それから皆さんにもぜひこれは国会で聞いてほしいと言われた問題を取り上げてみたいと思うんですが、あいりん地区に行きますと、街路とか、公園とかに、テレビカメラが設置されているんです。このテレビカメラについてちょっと御説明をいただきたいんですが。
○説明員(佐野国臣君) あいりん地区につきましては、比較的泥酔者の要保護事案といいましょうか、警察的に見ますと保護しなきゃならぬような問題だとか、あるいはけんか、暴行傷害といいましょうか、その種の事案が比較的多いところ、事件としては多くございますので、警察官がパトロールをする。あるいは立って監視をするというふうなことの間隙を、やはりこういった補助的な手段を使った方が効果的であろうという面もございまして、現在あいりん地区で十二台ほどそういった防犯カメラを設置しておるという状況でございます。
○中山千夏君 それで、このモニターが原則として西成署にあるということですね。設置の時期は昭和四十一年からというふうに聞いております。 目的の中に救護というのがありますけれども、私が聞いているところでは、いまでも冬をピークに二千人から三千人のいわゆる行き倒れの方々が出ている。それを聞きますと、ちょっと余り救護の役には立っていないんじゃなかろうかという気がしまして、主に防犯目的であろうと思うんですね。これは、テレビカメラで防犯をするというのは、警察にとっては非常に効果の高いという見方、評価があると思うんですけれども、人々にとっては、町へ出ると年じゅう監視されているという形になってしまうわけです。それで、どうしてわれわれだけが町へ出たときに年じゅう監視されていなければならないのかと怒ってるんですね。私も、それはどうしてなんだろうかという気がすごく強くするんですが。
○説明員(佐野国臣君) ちょっといま数字を、私十二台と申し上げたんですが、十四が正確のようでございますので訂正さしていただきます。 それで、むしろその問題につきましては、じゃあ現実にどれだけ機能しているかという具体的な数字でむしろ誤解を解へ方がよろしいかと思いますんで、具体的な数字を申し上げてみたいと思います。 たとえば五十六年の一年間でございますが、この監視テレビによりまして、警察が有効に対応できたという事件、ないしは事案を申し上げますと、刑法犯の事件につきましては、昨年一年に二十一件取り扱っております。それから、その他といたしまして、これはやはり一番多いのは、保護が五十件ございます。それ以外にも、けんかの仲裁、あるいは中には火災の発見なんというやつも入っておりまして、その他的なやつが七十八件、合計しますと九十九件でございますか、一年間にそういう形で防犯カメラが機能しておったという点は、警察的にはどちらかといいますと、相当な効果があるというふうに見ざるを得ないかなと思っております。 それから、地域の方の反発というふうな御指摘もいまございましたんですが、私どもも、これを設置した場合に、設置されてもまた酔っぱらいや何かにすぐ壊されているようでも困りますし、また、せっかく、パトロールのお巡りさんのかわりに、そういった機能を果しますよということをやっておるならば、それはそれなりに地域の住民の方にも知っておいていただいた方が、当然、安心感あるいは防犯的な効果もあるというふうな観点から、この種のものをやる場合には、地区の自治会、それから商店会とか、それから警察的には防犯協会なんていうものもございますが、やはりそういった団体に、いま言ったこれのカメラがどの程度の効果があるのか、あるいは、その写す範囲としましても、一般的には、何といいましょうか、どなたでもわかる公共の場所の範囲だよというふうなこと、あるいは、それを監視していることによって、効果がこれだけ生じますというふうなこと、そういった、誤解を生んだりすることのないように、あるいは、安心感を持たしてあげるという面での寄与する面、そういったこともありますので、まず原則的には地域の方々には、そういう御説明をやっております。それから、他の府県におきましてもこういった問題は多少あるわけでございますが、やり方といたしましては、私どもの耳に入ってきますのは、同じようなやり方でやっております。それから、むしろそういったものが設置されて、非常に何といいましょうか、確かに安心感を持てますから、もう少し設置数をふやしてくださいというふうな意見ももちろん一方にはございます。そういう状況でございます。
○中山千夏君 恐らく先ほども申しましたように、私がお会いしたのは、なかなか行政をしている方々に意見を聞いてもらう機会がないという方方の意見ですから、その辺できっとそちらに入ってくる意見と、私が受けた意見の食い違いが大分あるんだろうと思います。だけど私が信じておりますのは、私が会ったような方々、いわゆる労働者の方々というのが、あいりん地区では大半を占めていると思います。ほかの地区でもこのような形でテレビを設置している町ですとか地区とかというものが何ケ所かございますか。
○説明員(佐野国臣君) 現在私の方に手元に入っております数字で申し上げますと、全国的には九十五台いま設置されておるようでございます。地区のブロック別で、やや代表的に申し上げますと、近畿地区が三十二台、それから中部地区が二十七台、東京、警視庁管内が二十一台というのが主要な設置個所でございます。
○中山千夏君 公共の場所に、カメラを設置して、監視といいますか、警察が見るということは普通の状態だとお考えですか。それとも何か特別な状態であって、できればそういうことはなくしたいというふうにお考えでしょうか。
○説明員(佐野国臣君) やはり場所的には繁華街であるとか、それからいま申しましたように警察的な事象が比較的多いというふうなことで、警察官がきめ細かくパトロール、行って見張りをするとかというふうなことができないようなところを、こういった機会的な補助的な手段でやるということがベターじゃないかというふうには考えております。
○中山千夏君 常時どこでもどの町でもついているというものではないわけですね。あいりん地区にしましても、四十一年からつけられて、その前にも事件があったことはあったわけですね。そうすると、これは将来外すということも考えていらっしゃるのか、それとももうずっとつけっ放しだというふうに決めていらっしゃるのか、どちらなんでしょうか。
○説明員(佐野国臣君) 設置の目的なり、理由が、先ほども申しましたように、警察の責務を果たす上での個人の生命、身体、財産の保護という、そういった観点からのものでございますので、そういった事犯がほとんどないようなところに特別にお金をかけてそういうものを設置しても意味はございませんし、やはり現場のそういった実態的な必要性なり、効果と申しますか、そういったもの等を常に比較考量しながら考えていきたいと。ただいま申しましたようにあいりん地区の関係につきましては、御指摘のような点があったということを十分われわれも念頭には置いてまいりたいと思いますが、いまの状況でございますと、なおしばらくこういった形を続けさしていただければというふうに考えております。
○中山千夏君 私は、基本的に公共の場にカメラを据えて監視するというような形が、どこにせよ、そういう形で監視が行われるということについて反対なんですよね。公共の場にそういう設備をつけるというのは、治安維持の方法としては行き過ぎなんじゃないかというふうに考えています。治安というものを考えますときに、治安はやっぱり政治のよしあしが非常に大きく影響してくると思うんですよね。釜ケ崎なんか見ましても、あらゆるところに行政の無気力というのが私には感じられました。職安なんかはあってなきがごとき状態でして、これなんかは、釜ケ崎で医療活動とか、それから労働者の救済活動なんかに取り組んでいる民間の運動家たちがたくさんいるんですけれども、その人たちの熱心さと比べると、行政の無気力というの、がものすごく目立つんですね。むしろ行政がその地区の生活向上に力を入れることで、ずいぶん治安というのはよくなるというふうに、これはどなたでも考えられると思うんです。ですから、警察もむしろテレビカメラを設置して治安を守るというような方向よりも、その地区に住んでいる人々の基本的な人権と、生活向上に資するという方面にももっともっと力を入れて、治安を確保していただきたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○説明員(佐野国臣君) 警察事象という形でできる前に、やはり何らかの行政的な施策というふうなものが先行した方がいいということは御説ごもっともでございます。したがいまして、私どももいろいろな場面、あるいはいろいろな機関と緊密な連絡をとりまして、いろんな行政的な施策というものを働きかけてはおります。ただいまも申しましたように、こういった具体的に酔っぱらっちゃって、冬寒いときに寝込んでそのまま凍死せぬかというふうな場面、あるいはけんかとかというふうな、こういった緊迫な場面になってまいりますと、やはりそこは警察が正面に出て対応せざるを得ないといいましょうか、あるいはそれが住民の方からやはり期待されているという面もあるんじゃないかという気がいたしますので、先生の御指摘も十分念頭には置いてまいりますが、いまのあいりん地区の関係のカメラについては、なおしばらく活用を回らせていただければと、かように考えておる次第でございます。
○中山千夏君 時間がありませんので、またこの問題については次の機会にお話申し上げたいと思います。 次に、死刑制度についてちょっと伺います。大臣、私は死刑は廃止すべきだというふうに考えております。これは一つには人命を奪うことを禁止している法律が、片方で合法的に人命を奪ってしまうということは不合理だというふうにも思いますし、それから犯罪の抑止力にはならないと、これたくさんの学者たちもそう言っていますことですし、私もそう考えます。それから刑罰は何か被害者のかたき討ちの肩がわりであってはならないのではないかというふうに考えています。それから死刑そのもの、刑罰そのものが非常に人々の心を痛めるというような、そういうことからいろいろな反対意見を持っている人たちと運動をしている、そういう立場なんですけれども、法相の死刑に対する御意見を伺っておきたいと思うのです。ただし、奥野前法相のような紋切り型ではなくお答えいただきたいし、それからもう一つ、一昨年の十月に行われました総理府の世論調査によったお答えは避けていただきたいです。と申しますのは、これ非常に意図的な調査で、分析であるというふうに、これは私だけの意見じゃありませんで、当時の新聞を見ましても、「調査結果を“勝手読み”」というような、これは毎日新聞ですか、それから「誘導尋問の色濃いが…」という、これは日本経済新聞なんかにもちょっと批判のあったことがあります。坂田さんの御自身の死刑制度に関するお考えを、率直なところをお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) この問題はなかなかお答えがむつかしいと思います。それから個人坂田の考えもあるかと思うのですが、いまは法務大臣という立場もあるわけでございます。したがいまして、これには学者の中にも、あるいは各国意見まちまち、あるいは最近はだんだん死刑をなくする方向にあるのではないかというふうに思います。私自身もでき得べくんば死刑がないような世の中を望んでおるわけでございますけれども、現実はなかなかそういうわけじゃない。それからいま総理府の統計は余りここで言わない方がいいということですけれども、しかし、やはり主権者たる国民の大多数がどうなのかということの、やはりそれは一つのまた表現でもあるわけで、これを無視するわけには私はいけないというふうに思います。そういたしますと、大体廃止する必要はないというのが、五十五年で六二・三%、廃止した方がよいというのが四・三%であると、こういうデータも実は出ておるわけでございまして、特に最近世の中が非常に複雑化し、科学技術が進歩し、あるいは麻薬あるいは覚せい済等々が使われるというようなことで、また今度はハイジャックみたいな凶悪な犯罪、それからまたこの間の浅間山荘事件のような問題、あるいはまたリンチ事件とか、まあいろいろそういう死刑のない世の中を願いながらも、一方においては、これが一体人間のすることだろうかというふうに思うわけなんで、いま抑止力にはならないとおっしゃったけれども、私はまだやっぱり抑止力になっているんじゃないかというふうに思います。それがやはり素朴な国民の総理府の調査にも私はあらわれておるというふうに思っておるわけでございます。
○中山千夏君 いろいろなところでいろいろな人に死刑についてお話をしますと、私が一番感じることは、世論調査でいろいろ聞きますと、それなりに答えなきゃならないから答えますけれども、ほとんどの世の中の方たちは残念ながら死刑という問題については非常に無関心だということなんですね。 これは、一つには政府、法務省の姿勢に非常に問題があると思うんです。というのは、毒死刑になりますと、法務省はその事実を非常に隠す傾向があるんですね。私などが死刑について事実を質問しましても、たとえば執行数はというふうにお尋ねしましても、過去三年間に三人執行されたというようなごくあいまいなお答えが、それも非常に渋々返ってくるという状態で、死刑について考えたい、研究したいと思っている民間の人たちが問い合わせをしましても、なかなかお答えになっていただけないんですね。なぜ死刑の事実をそうやってお隠しになるのかというところが非常に不思議なんですが、そこはいかがなんでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) それほどに私は死刑の執行というものは厳粛なものなんだということじゃないかと思う。 中山さんは私と同じ熊本県ですね。肥後の細川重賢公というのを御存じだと思うんです、名君と言われた方。この方が宝暦四年に刑法の改正をされた。それまでは死刑と追放の二つ、これがまあ正刑——正しい刑、それ以外なかったわけです。中国のいろんな制度を勉強された結果、堀平太左衛門という家老がおりまして、この人がなかなかりっぱな人で、それでむち打ちとそれからいまの懲役と、それから入れ墨の刑を加えたと。いまから考えればずいぶんむちゃくちゃな刑法だとおっしゃるかもしれないけれども、その当時としては死刑、追放の二つしかなかったのを緩和した。 そして、重賢公は、その死刑につきましても、一回持ってこられてもノー、二回持ってこられてもノー、三回持ってこられてもノー、そして四回持ってこられたら黙っておられる。黙っておられるのは、ノーとおっしゃらないからということで執行した。しかし、執行した日はちゃんと身を慎み、そして何といいますか精進をされたと。私は人の生命、たとえ罪を犯した人であっても、その人の命を絶つということがいかに厳粛なものかということを、あの時代においても、封建制度の中においても、名君と言われる人は心得ておられたということを私は読みましてね、ちょっと考えさせられておるところでございます。 したがいまして、中山さんの御質問は非常に私にとってはお答えがむずかしい、ただし、気持ちはそういうことでございます。
○中山千夏君 ちょうどその名君の立場にいま国民がいるんだと思うんです。国民は死刑について考え、そして、たとえ罪を犯した人であっても、その人が刑に服して、そして亡くなっているのだということを知って少しも構わない。むしろそれを知る権利が国民にあるんだと思うんです。 いま特に法務省は、死刑存続を世論が支持しているということを言うわけですね。それから、死刑は残酷刑ではないと主張する。そして、死刑存続を進めようとしているわけです。これはある意味で言えば、世論というものに死刑の責任を負わせていることにもなるわけです。だけれども、人は物事を、事実をちゃんと知らなかったら、的確に判断は下せないわけですね。人々に何も知らせないでおいて、そして世論調査をやって、その結果に基づいて人々は死刑の存続を望んでいるという結果を出して、死刑の存続をするというのは、かなりインチキな手段ではないかと私は思うんです。ですから、せめて、国には広報の費用だってあるわけですから、死刑についてまじめに考えたいという人々、あるいはちょっと聞きたいという人だって一向に構わないと思うんです。せめて執行数々らいは知らせることがあったって、それは何も死者を傷めることにはならないし、死刑の問題をまじめに考えるんであれば、死刑になった方方を傷めることには私はならない、おもしろ半分に扱うのでなければならないと思うんですね。ですから、ぜひその辺すごく世論は死刑を支持しているんだという言い方と、それから、もうとてもとても隠そうとする姿勢とは大変うらはらなんですよね。ですから、情報をもう少し、人々が死刑の事実というものを、個々の事実じゃなくたっていいですから、死刑の事実というものをちゃんと知ることができるように広報活動をするお気持ちはないでしょうか。
○国務大臣(坂田道太君) この点については、まあ私が非常に年とってしまったからかもしれません。あるいはゼネレーションの開きでわからなくなったのかもしれないのですけれども、どうも中山さんの説には私はすぐさま賛成ができない。むしろ私の気持ちは、やっぱり非常に慎重にすべきものだというふうに思います。
○委員長(和田静夫君) 他に発言もないようですから、法務省及び裁判所の決算については、一応この程度とし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十八分散会 —————・—————