外務委員会 第11号
- 発言数
- 154 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/06/03
会議録
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として藤井孝男君が選任されました。 —————————————
○委員長(稲嶺一郎君) 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約の締結について承認を求めるの件、環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律案、以上四案件を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮澤外務大臣臨時代理。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、昭和五十五年十月十日に、ジュネーブで開催された国際連合会議において採択されたものであり、過度に傷害を与えまたは無差別に効果を及ぼす通常兵器の使用を禁止しまたは制限することにより武力紛争における文民等の一層の保護を図ることを目的としているものであります。 わが国がこの条約を締結することは、武力紛争の惨禍を軽減し、通常兵器の分野における軍備管理の強化及び軍備縮小を促進するための国際協力に資する見地から有意義であると考えられます。 よって、ここに、この条約について御承認を求める次第であります。 次に、環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、昭和五十二年五月十八日にジュネーブで作成されたものであり、広範な、長期的なまたは深刻な効果をもたらすような環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用を効果的に禁止することにより、このような使用が人類にもたらす危険をなくすことを目的としているものであります。 わが国がこの条約を締結することは、わが国の安全保障の強化に資するとともに、軍備管理の分野における国際協力に貢献し、軍備縮小を促進すべきであるとのわが国の主張をさらに推進する見地から有意義であると考えられます。 よって、ここに、この条約について御承認を求める次第であります。 次に、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、昭和四十六年の第二十六回国際連合総会の決議に基づき、昭和四十七年四月十日にロンドン、モスクワ及びワシントンにおいて作成されたものであり、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産、貯蔵等の禁止並びにこれらの兵器の廃棄により細菌剤(生物剤)及び毒素が兵器として使用される可能性を完全になくすことを目的とするものであります。 わが国がこの条約を締結することは、軍備管理及び軍備縮小のための国際協力に貢献し、軍備縮小を促進すべきであるとのわが国の主張をさらに推進する見地から有意義であると考えられます。 よって、ここに、この条約について御承認を求める次第であります。 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。 最後に、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約を締結するためには、同条約の実施のために新たな立法措置を講ずることが必要であります。 これを受けて、本法律案においては、生物剤または毒素の開発等が認められるのは、平和的目的をもってする場合に限るとの基本原則を定めるとともに、生物兵器または毒素兵器の製造等を罰則をもって禁止し、また主務大臣は、平和的目的以外の目的をもってする生物剤または毒素の開発等を防止するため必要な限度において、業として生物剤または毒素を取り扱う者に対し、その業務に関して必要な報告を求めることができる旨規定しております。 以上が本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で趣旨説明は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○松前達郎君 外務大臣がもうすでに出発されておるわけでありますので、また同時にこの三つの条約につきましては国連軍縮総会との関係があるわけで、そういう意味で今回この審議を行うということになったわけでありますが、この三つの条約とも、これは基本的にいえば人道的な立場からの問題を取り扱っているのと、それからもう一つは人間生存環境の問題ですね、これの保存といいますか、こういった非常に大きな、これはいますぐ起こることではないにしても、将来の問題としていまから手をつけておくという、そういう条約であろうと私は思いますし、この条約を読んでみますと、中にはやはり軍縮という問題が常に念頭に置かれてこういう条約が作成をされていると、こういうことであるので、この意義は非常に大きいものと私は思っておるわけであります。そして、この三つの条約について私としてもいろいろとまだわからない面等も多少ありますので、その点をひとつ質問さしていただきたい、かように思うわけです。 まず最初が、通常兵器関係であります。通常兵器といってもこの中に入ってくるのは地雷ですとかそういったような種類の兵器、しかもこれが文民に対して被害を与えるおそれがある、そういうふうなものについての制約といいますか、いろいろな取り決めを行っているんじゃないかと、かように私は理解しておるわけですが、まず最初に地雷、ランドマインに関して、現在この地雷敷設という問題から文民が損傷を受けているという実例がいまの世界の中であるかどうか、それについてひとつ御説明いただきたいと思うのです。
○政府委員(門田省三君) 現在、地雷が文民たる住民に対して使用されているかどうかというお尋ねでございますが、現状下においてのそういう使用というものについては情勢を承知いたしておりません。
○松前達郎君 いわゆる戦争目的といいますか、二つの国がお互いに戦争状態にあることをお互い認識しながら、その相手に対して損傷を与えるために地雷が使われているということは多分ないんじゃないかと私は思うのですが、実は以前にタイ国に行きましたときに、そこの病院に行ってみて驚いたのは、ほとんど足がちぎれたとか手がなくなったとかいう人がたくさん入院していたわけです、これは王立病院だったと思いますが。聞いてみると、やっぱりランドマインだと言うのですね。それはどこだというと、やはり戦闘状態に直接はないかもしれないけれども、恐らくラオスとの国境付近のゲリラ戦といいますか、そういった中でこの地雷が使われているんじゃないかと私はそういうふうに思っておるわけなんですが、これは特に文民がどうだったかはちょっとわかりませんけれども、いわゆる兵員の損傷、これについても相当の損傷があって、たとえば義足とか義手の技術が日本はすぐれているから、それに対して何らかの技術指導してくれという話まで私は聞いたことがあるのです。 こういうことで、やはりいまここの条約の中では「文民」ということになっていますけれども、地雷の上を歩くのは、文民と兵員が別々な道を歩くわけじゃないので、その辺恐らく無差別になってくる、そういう状態ではないかと思うのです。この条約では「文民」と規定しているのですね、たしか。
○政府委員(門田省三君) そのとおりでございます。
○松前達郎君 そうしますと、その辺がやはりちょっと昔の戦争みたいにはっきりと名乗って、おれは文民である、あなたは兵員であるというふうに、そういうことでやっているわけじゃないものですから、その辺が一つここで問題があるんじゃないかと、こういうふうに私は思ったのですが、これは文民に対してということでも結構だと私は思います。それが一つ。 それから次には、同じ通常兵器の関係で、たとえばベトナム戦争あたり、これでいわゆる森林の中に、ジャングルの中にもぐり込んでいる相手の兵力、これがあるから、これについて戦闘をしやすいような状態にするために焼夷弾というのですかね、専門的な名前わかりませんが、森林を焼き尽くすようなことが行われたというのは事実なわけですね。こういうふうないわゆる森林焼夷弾というのですか、これはほかの名前があるかもしれませんが、そういうものもこの条約では規制をされていくのかどうか、これについていかがでしょうか。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 この条約の一部をなしております議定書の第三でございますが、これはただいま仰せられました焼夷兵器について規定しているわけでございます。この焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書の第二条の第四項にただいまお尋ねの点が定められております。その趣旨は、「森林その他の植物群落を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは、禁止する。」というのが基本原則になっておるのでございます。「ただし、植物群落を、戦闘員若しくは他の軍事目標を覆い、隠蔽し若しくは偽装するために利用している場合又は植物群落自体が軍事目標となっている場合を除く。」ということでございます。 繰り返しますと、原則としては、森林その他の植物群落を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止するということをこの議定書は定めておるものでございます。
○松前達郎君 それは結構なんですけれども、そこで問題がいろいろ出てくるのですが、それは後にしまして、もう一つ言葉でブービートラップというのが出ていますね、これは具体的に一体どういう種類の兵器というのか、恐らく兵器というのじゃないかもしれませんが、どういうものなのか。ちょっとこれだけ。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 ブービートラップ、これは英語でございまして、本来ならば日本語を用うべきかとも存ずるのでございますが、なかなか適当な訳が見つからないということで原語を使わさしていただいているということでございます。 お尋ねの点につきまして、ブービートラップと申しますのはいわば仕掛け兵器とか、あるいはわな兵器とも言うべきものでございまして、一見した場合、つまり普通にそれを見たときには地雷とかといったような兵器とは見分けがつかない、たまたまそれに触れた場合に爆発をして被害を加える、そういうたぐいの兵器でございますので、きわめて無差別的にと申しますか、全く気がつかない状況において突然爆発が起きて被害をこうむると、こういうたぐいの兵器と御了解いただきたいと存じます。
○松前達郎君 そうしますと、日本語で言うと偽装兵器というのですかね、ときどきわなみたいなものがあるわけですね、ちょっとどういうものか私見たことないんですが。そういったようなものも含めて恐らくここで挙げているんじゃないかというふうに思います。 それで、この協定について署名国を見てみますと、アメリカ合衆国が署名してないですね、昭和五十七年一月二十七日現在。日本は署名をしていますが、アメリカが署名をしていない。 それからもう一つ、その一番最後に書いてありますが、「締約国(昭和五十七年一月二十七日現在)なし」ということになっておるわけなんですが、効力発生が五十七年ということで、しかもまだ未発効というのは締約国がないから発効してないと、こういうふうな意味なのかどうか。 それから、アメリカが今度この署名国に加わるのかどうか。その辺の問題はいかがでしょうか。
○政府委員(門田省三君) まずこの条約に加入している国でございますが、今日現在の時点におきましては、メキシコ、中国、フィンランド、さらにエクアドルも加わりまして締約国の数は四カ国でございます。 なお、お尋ねのございましたアメリカ等のこの条約に加入する見通しいかんという点でございますが、この点につきましては、昨年マニラで開かれました国際赤十字の会議の際に、この条約が委員御指摘ございましたように人道法にかかわる条約とも考えられる点もございまして、赤十字の方が非常に関心が強いということで、そのような国際会議の場で委員会の側からアメリカ等の意向を聞いてみたということがございます。その時点でのお話によりますと、アメリカもこの条約に加入することを真剣に考えている、また、英国も同様に加入の方向で検討を進めているということのように承っております。
○松前達郎君 いまおっしゃったアメリカの加入というのは、署名国の中にはないですね。最近アメリカは署名したんでしょうか。署名して加入する、加入というか締約を結ぶということになるんじゃないですか。
○政府委員(門田省三君) アメリカは去る四月八日にこの条約に署名をいたしております。
○松前達郎君 これは、アメリカももうベトナム戦争も終わったのですからね、恐らくそれ以前だとなかなかそう簡単にはいかなかったんじゃないかと思うんですが、この締約国の中にやはりアメリカその他先進国を含めて、戦争主導的な立場にあると言っちゃ悪いんですが、そういう力を持っている国がやはりぜひとも締約国の中に入るように、ひとつ日本側としても何かバックアップというか、プッシュをするということが好ましいんじゃないかと私は思うわけであります。 それから次に、環境改変技術に関する条約でありますけれども、これは読んでみますと、大分先のことを予測しての条約じゃないかというふうに思うんですが、しかもこの条約をつくろうという発意ですね、これが米ソ両国で行われたというふうなことがどこかに書いてあったと思うんですけれども、これは実際にそういうことでこの条約が提起をされてきたということですか。
○政府委員(門田省三君) 御指摘のとおりでございます。
○松前達郎君 そうしますと、やはり米ソの軍事技術といいますか、これについて恐らく将来環境改変の技術までそれが発展していくということを彼ら自身が予測をしているということで、余りにもその技術の発展が非常に高度になり、非常に規模が大きくなってくるということで、自分自身でこわくなったということかもしれないと思いますが、たとえばこの中で、環境を変えるということについて考えますと、核実験もその一つじゃないかと私は思うんですけれども、この核実験等についてはこれとの関連というのはどういうふうにあるのか、あるいは全然ないのか、その辺何か論議されたことがあるかどうか、おわかりでしたらひとつ。
○政府委員(門田省三君) この環境改変技術に関する条約におきましては、どのような手段——たとえばただいまおっしゃられましたような核兵器の実験ということでございますが、そういうことは特に規定をいたしておりませんで、むしろ自然の状況を人工的に大きく改変して、その結果、そのような行為が敵対目的に使われるということがあってはならないというような立て方でございます。ただ、ただいまも仰せになられました、核実験はどういうふうに考えるのかということでございますが、私どもといたしましては、すでに部分核停条約が一九六三年にできております。もちろんまだ加盟していない国があるわけでございますが、この部分核停条約の上にさらに全面的な核の実験禁止ということを国際的に確立するということによって、仮にもそのような実験によって自然環境が好ましくない形に変革されていくということは防止しなければならない、かように考えております。
○松前達郎君 核実験そのものが大体軍事目的ですからね、その軍事目的で、しかも、たとえば太平洋上の環礁でやれば、その自然環境が破壊されるという結果になるわけですから、しかしそれとリンクして考えてないということだろうと私も思います。核実験は核実験でまた別にやはりそれを取り上げて、今後の核実験に対する制限——制限というよりやらないようにするための努力ということがやはり国連の中でも行われるべきだと、こういうふうに思うので、これを使うわけにはいかないというわけですね、この環境改変技術の問題を。 それからもう一つ、これはもう夢みたいな話かもしれませんが、かつてソビエトの方から非常に問題になろうとしているのが天候の人工的調整に関する技術開発だというんですね。要するに相手の国の天候を人為的に悪くして、それで農作物の成育を妨害するとか、そういうふうな技術、これは軍事用にも恐らく応用できる技術だと思うんですが、そういうのがいま問題になっているのだという話を聞いたのですけれども、ちょっと日本ではそういうことは余り関係ないと思いますが、この点何か聞かれたことはありますか。
○政府委員(門田省三君) ただいま松前委員がお述べになられました事例につきましては、私承知いたしておりませんが、この環境改変技術の関連で申し上げさしていただきますと、現段階では一般に申して気象改変技術を除きましては、環境を大きく変えるという技術はまだないものというふうに承知いたしております。 との気象改変の部分につきましては、平和的目的の観点から技術が進んでおりまして、WMOにおきましては各国からの報告を取りまとめまして、各国の気象改変計画の登録を求めて、これを公表いたしておるということがございます。これによりますと、気象改変活動の活発な国としましてはアメリカ、ソ連、メキシコ、フランス等が挙げられるのでございまして、その内容といたしましては、農業、水資源涵養等のための降水量をふやす、雨の降る量を人為的にふやしていく、それから農業被害防止のためのひょうの抑制、冷害防止、また空港あるいは港湾等におきます安全の確保のための霧の消散、つまり、霧が深いと飛行機の発着あるいは船舶の港湾への出入、これが阻害されますので、霧を取り除くための手法を考えると、こういうことが行われているというふうに報告されております。
○松前達郎君 恐らくこれは将来の問題ですから、どういう問題が出てくるか。地震を人工的につくって、日本の場合はそれがもしやられたら大変だというふうなことも出ていますけれども、これはそう簡単にできるものじゃないと思うんです。恐らくそういうのは巨大なエネルギーが要るものだと思いますから、それには必ず核エネルギーがついて回るので、その辺との関連というのも別の方向からまた抑えることができるのじゃないか、こういうふうにも思いますが、これはまた別の問題として今後われわれ努力しなければいけないことじゃないかと思います。 次に細菌兵器の関連の条約なんですが、この中でまず最初にお伺いしたいのは、日本がいつ署名したか、ちょっとお伺いしたいんですが。
○政府委員(門田省三君) わが国がこの条約に署名いたしましたのは一九七二年でございます。
○松前達郎君 これは条約として作成されたのが昭和四十七年、大分前ですね、これは。作成されてすぐ署名したということですね、一九七二年ということは。効力発生が昭和五十年ですから、三年後にはもう効力発生している。締約国が非常に多い条約なんですが、今回のいわゆる緊急避難的な委員会のあれと関連するのですけれども、大分長い間外務省はこれをほっておかれたのじゃないかという気もするのですが、細菌兵器というのは比較的重要な、いまの環境の問題よりもっと身近な問題だと思うわけなんです。ですから、これについては私の方から要望ですが、こういう問題についてはどしどし出していただいて、批准するならさっさとしておくということをやりませんと、今回みたいなどさくさになってしまう可能性があるので、その辺はひとつよろしくお願いしたいと思います。 それで、その中で特に化学兵器ですね、これが切り離されている。恐らくほかに条約があるんだと思いますね、毒ガス等、化学兵器についてもっと古い条約で。これを切り離した理由というのは何か特別にあるのかないのか、これについてお伺いしたいんです。
○政府委員(門田省三君) まず最初に、松前委員から御指摘いただきましたように、今後このたぐいの国際条約につきましては、仰せがございましたようにできる限り迅速に御審議をいただき、御承認を仰ぐというように心がけたいと存じます。 その次に、お尋ねのございました化学兵器との関連について申し上げさしていただきたいと思います。 御指摘がございましたように、一九二五年のジュネーブ議定書というのがございます。これはいわゆるCアンドBと申しますか、化学及び生物の双方を内容とする戦時における禁止をうたった条約でございます。また、御指摘がございましたように、化学及び生物の両方の兵器についてジュネーブ議定書の上乗せとしてと申しますか、ジュネーブ議定書は使用の禁止をうたっている。この使用の禁止のみならず、さらに広範に禁止の網をかけるという試みがジュネーブの軍縮委員会におきまして一九六九年以降、七〇年以来行われてまいっていたわけでございます。わが国といたしましても、化学兵器と生物兵器の双方についての生産から始まりまして、貯蔵あるいは取得、保有等についても禁止をするという国際条約を早く結ぶべきだということで積極的に活躍しておりまして、一九七四年にはわが国独自の提案を行ったということがございます。 ただ審議の過程におきまして、化学兵器につきましては検証の点で非常に複雑な問題があるということになりまして、化学兵器の分野における検証問題を中心とする理由のために生物兵器の方の合意がおくれるということはいかにも残念であるというふうな認識が支配的になりまして、この際は、成立についての合意が見られた生物兵器だけでも取り出して国際条約化して一歩前進する。化学兵器につきましては引き続き交渉を続けていくということで対応するのが一番よかろうということになりまして、生物兵器を別途取り出して国際条約にした、こういう背景がございます。
○松前達郎君 この細菌兵器(生物兵器)といいますかね、これについて国内法もこれに関連して今回出てきているわけなんですが、これは厚生省がつくるのか外務省がつくるのか、大分その辺がいろいろあったのじゃないかと思います。しかし、いずれにしてもどこかがやらなければいけないということでこの国内法も一緒に提案されておるわけですが、それはそれとしてパルメ委員会というのがありますね。これは拘束されないフリーな委員会ということでいろいろと討議をした結果、いまの化学・生物兵器の制限という問題について打ち出した、今度国連の報告を出したわけですね。こういうふうないろいろな動きがあるわけですから、これらもわが国としてもいま努力されているということを伺いましたけれども、今後もこの問題については、恐らく化学兵器に関しては現在製造が行われているといううわさがあるわけですね。ですから、当面の問題なわけですから、これについては特に推進をしていかなきゃならない、製造の禁止とそれから保有の禁止の問題、これをやっていかなきゃならないと思うのです。 最近SIPRIの一九八二年版のイヤーブックを見ますと、アメリカあたりでは国防総省が新型の二元神経ガス兵器をつくる大規模工場を二つほど建設中であって、一九八三年には恐らく稼働するんじゃないかというふうなことも報告されています。これは真偽のほどはわかりませんけれども、恐らくこれはそうでたらめじゃないと私は思います。ですから、こういった問題はやはり緊急な問題になりつつあるんじゃないかという印象を持っておるわけですから、その点もひとつ外務省として今後さらに強力に推進方をお願いできればと、そういうふうに私は思うわけであります。 そのほか幾つかございますが、また次の委員会等の機会もあるということでありますので、きょうの私の質問はこれで一応終わらせていただきます。
○戸叶武君 大体この条約に対する質問の問題点は松前君から詳細に質問がなされたので、私はダブることも必要といたさないと思いますので違う角度から若干の質問をいたします。 今度のサミットの会はいろんな意味において世界の注目を浴びておりますが、米ソの核兵器制限に対する具体的な成果をどのように上げるかということはまだ今後にかかわっていると思います。しかしそれと同時に、いまヨーロッパで問題になっているのはエネルギーの問題よりもむしろ環境整備の問題であるので、それがためにいままで環境庁は各省の優秀な人が集まって、それぞれの熱心な努力によって成果が上げられておるにもかかわらず、国際社会に打って出て、そして意見を積極的にディスカッションするという態度が少し欠けているんじゃないかと思って心配しておったのですが、この間のアフリカの会等におきましては、やはり環境庁の方の大臣も、また前の大臣も行きまして、そしてヨーロッパの動向を見てきたようでありますが、案外やはり私は今度の先進国会議では核兵器の及ぼす後の処理の問題や何かでも、フランスでは積極的な態度で問題の解決に当たっておりますが、そういう点に対して政府では外務省を含めて、宮澤さんは非常に適任者だと思いますが、どういうような構えを持っておられるんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 戸叶委員がよく御承知のとおり、サミットの会議そのものは基本的には経済問題について議論をするということでございますけれども、しかし食事の時間あるいはその他正式の会議以外におきましては、当然政治問題も議論をされるということは従来もそのようなことがございましたし、今回もそうであろうと存ぜられます。そのような場におきましてただいまの核軍縮等の問題が、これは正式なアジェンダというものがございませんので話題になるかならないかということははっきり申し上げることはできない種類のことでございますけれども、わが国といたしましてはそういう問題につきまして、話題になるといたしますれば、レーガン政権がことに最近においてSTARTの交渉あるいはヨーロッパにおける戦域核の交渉等々で積極的な態度を示しておるということについては基本的にそういう姿勢を歓迎する。やはり米ソ両超大国の間でそのような軍縮の話し合いが行われること、ことに核兵器を中心にして行われることはきわめて望ましいことであるという態度をかねて持しておりますし、そういう表明をそういう場がございますればいたすことになろうかと存じます。 もとより問題は基本的には米ソという問題でございますから、ソ連がサミットにおいての構成国ではないということでございますから、交渉そのものがサミットで行われるということはもとよりないわけでございますし、これは米ソの相対の交渉であり、あるいは国連、ジュネーブ等々における多国間の交渉の対象でございまして、そのこと自身はサミットの話題でないことはもとよりでございますけれども、しかし認識としては、ただいま申しましたような認識を持っておるということは申し上げても間違いないと思います。
○戸叶武君 この間アルゼンチンにおける島の中に、一番小さな島にイギリスの主権が残っているというのでイギリス大使とのお話し合いをしたところが、東洋における香港とその二つだけしかもう植民地がイギリスにはなくなったんだと。原則的には植民地を返すけれども、現在の状態で主権が脅かされるような場合においてはこれを武力をもっても排除していくという伝統的な考え方から、いまのどうこうというのでなく、イギリスの伝統的な物の考え方は各地において平和裏において植民地を干渉を受けながら相当の成果を上げた後返しているが、アルゼンチンの場合は向こう側から仕掛けられたのでついにこれと対抗しなければならなかったのだという主権論を中心としての論理を展開しておりましたが、主権というものはきわめて今日の国際法においても重要な問題であります。 しかし、米英ソ三国が一九四五年二月十一日クリミアのヤルタで軍部の要請に応じて軍事的な秘密条約としてつくり上げたヤルタ協定というものがいまなお生きているのは、いろんな理屈があるであろうが、どういう論理によるのか。その後であれだけりっぱな国際連合憲章の宣言が世界の人々とともに合意を得てなされて、過去のそういうぎこちない主権論よりも、それを乗り越えて国際的な平和維持の調整を行わなけりゃならないという観点から世界の人たちにも呼びかけておきながら、いまだに他国の領土を無断でもって他国に譲る密約を結んだり、そういう主権を無視した考え方を平然として行っているというところに、今日の平和維持機構たるべくつくり上げ、育て上げようと世界の人がしている国連の存在というものを危うくしているのは米英ソの力の外交じゃないかと思うので、そういう点で観念的な法理論的な主権論というよりも、それを乗り越えてやはり問題を国際秩序の中に求めなければならないというのが今日の国際関係学あるいは国際法の前向きの姿勢と思うんですが、宮澤さんはどのようにそれを御理解でしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的にはただいま仰せになりましたとおりだと考えておりますが、国連憲章がいわゆる国連の平和維持の機能、やがては国連による平和維持的な国連軍といったようなものを創設することによって平和維持を図ろうというふうに志向をしておるわけでございますが、現実にはいろいろの事情からそこまでまだ国連が機能を強化するに至っていない、したがいまして、それに至る期間の問題として集団安全保障というものが認められておる。そういう集団安全保障のいわば段階に今日世界はいるということではなかろうか。そうなりますと、やはりその集団安全保障そのものは御指摘の一九四五年、あの状態から今日に至ります間、あのときのいわば力関係の残滓と申しますか、そういうものが残っておりますから、したがってただいま言われましたような米ソといった大勢力の対立という、そういう図式は根本的には変わらずにおるわけでございます。しかしながら、このこと自身が理想的な姿ではないのでありまして、国連憲章はやがては国連による平和維持ということが行われなければならない、そういうふうに志向をしておるものであり、またそうなることが望ましいものと考えております。
○戸叶武君 いまの答弁はきわめて明快で、やっぱり宮澤さんがシャープな頭と経験を通じていまの鈴木内閣に陰の方から非常に貢献しているということはよくわかることであり、前は、余り聡明過ぎるので宮澤さんはいつも逃げちゃうんじゃないかと言われたけれども、このごろはどうしてどうして、積極的にやはり日本の主体性確立のためには泥でも体でも張っていこうという意気込みが出ている点においては、いまの世界の危機の中における日本の外交、防衛のあり方をこの機会に自主性を確立しないと大変なことになるという私は危機感を持って受けとめておられるのだと思いますが、いまの集団安全保障の問題も国と国との関係において、地域との関係においてなかなか複雑であるのは事実であります。しかし、約二年間にわたって衆議院の方における憲法論争が奥野さんやあるいは社会党の稲葉君なんかでやられましたが、どっちも旧憲法的観念で、昔の高文を通った時分の御用学者の解釈から一歩も出ていないから、日本の憲法論というのは国会において一つも前進してないのだと思います。 やっぱり宮澤さんあたりが、ああいう感情論的な揚げ足取り論でなくて、多元的な国家観が大きく世界の政治学者の衷心を揺すぶっているときに、しかもそれがきわめて実証主義的な総合的な角度から、問題の流れの中からタイミングを逸せずに問題を具体的に展開しているときに、何か日本では昔の緋縅のよろいを着て、人形箱から出てきたようなお侍さんがやあやあという形の、こういう憲法論争をやってたらいつまでたっても日が暮れるのが早くて、いつでも日本という国はああいう論理的な低迷の中に埋没して、社会科学の方法論というのがまじめに検討されていないんじゃないかと私は外国からあきれられるんではないかと思いますが、あなたは余り私のように毒舌を言うのを得意としない逆な方ですからはっきりは言いませんが、私は本当にまだ憲法改正論あるいは憲法改正の必要が来たとは認められないんで、こういうようなときどき思いついたような形で、不用意な形における整備されない憲法論が展開されると、日本の政治家の頭脳程度はどこいらなんだろう。これは世界の、私はいま国連大学の学長なりあるいは副学長なりとも懇意でありますが、もっとはるかに進んだところにおつむの方は行っているようですが、あなたはこれでも心配ないと思いますか。いまの内閣はなかなかやっぱり常識的な慎重さは持っているけれども、論理の面においてはいつでも霧の中を歩いていく風景で、チャップリンの最後のあの霧の中の写真よりも少しお粗末じゃないかと思うんですが、どうですか。 自然科学は相当な発達をしたが、日本では社会科学における実証主義の方法論というものをもっときちんと整備していくような一つの社会科学というものが成立をしなければ、マルクスやレーニンの革命理論を引っ張ってそれが科学的な社会主義だなんと言ってもこれは化学的社会主義であって、本当に非常に権力志向型の論理の展開であって、ヘーゲルが真っすぐにいるのか逆立ちしたのかぐらいの違いで、私はやはりこの時勢の流れに沿うて、それに対応するような世界新秩序を求めるという気魄がこの社会科学の中にも躍動しないと、この二、三十年の動きを見ると、社会党もちょっとお粗末ですが、本当にこれはどうかしちゃっているんじゃないかという、一番コンサーバチブな一番動きのとれない状態が、自民党と社会党もひっくるめていまの日本の政治社会に横溢していると思うんですが、これは腐らないためにこういうふうにおつむをかたくしてしまっているのでしょうか。 日本の教育の根本からもう少し実証主義的な、これがこうなってこうだというプロセスの実証主義的な具体的な提示によって問題展開をされる一つのきっかけをつけないと、国会における論争というものはつまらないからスイッチは切っちゃおうやという、各家庭じゃ余り聞かない風が出てきたのじゃないですか。政治から国民が遊離したということを非難する前に、とにかく何かこれは聞かなくちゃならないという魅力と内容的な権威を伴わないような、議運だけでもって駆け引きをやるようなことをやっているから、今日、国会は実際眠っているのか生きているのか、植物人間になったのか、わけのわからないような状態で、自分たちの活路というものを見出さないと思います。 そこで結論的に、やはり民主主義に徹して、政権というものは長期にわたる政権移動がなければ、どこの国でも必ず腐敗してしまうんです。スウェーデンの総理大臣が二十年間政権を維持して、何の非難の打ちどころがなかったが、やっぱり選挙の洗礼を受けていままでの気分を一掃しなければならない。イギリスでは内閣制度をつくったウォルポールが、内閣制度を整備した人だと言われているけれども、あのときはいまの日本よりひどくて、とにかく金をもって買収するわ、勲章はやるわ、全くイギリスの政治がもうこれでは救いがならぬというときに、ピットが敢然としてやはり国会を通じて、言論の力で、堂々とやはりウォルポールの二十年政権を倒したのです。いまの日本にはそういうことをするやつはばかで、まあ当分マージャンかあるいはゴルフのかけでもやって、しこたまおいしいものでも食べていた方がいいというような風潮になって、国を憂うる気概というものが政治家の中にもなくなってしまったのじゃないか。 私はこの数日前までも朱舜水の碑を建てるために——もうたくさん時代じゃなくて、マルクスだとかレーニンだとかあるいはスターリンだとか毛沢東だとかもうたくさんだから、そういうような観念的理論でなく、王陽明学あるいは朱子学というようなものもそれぞれのやっぱり取り柄はあるけれども、もっと民族全体がモラルを確立して、道義生命力を日中両国でやはり躍動させなければアジアの復興はあり得ないという形で、非解放地域に入って、木に鈴なりのようになっているあの一番ラジカルと言われた土地であいさつをしてまいりましたが、中国はマージャンなんかやっているやつはいないです。マージャンやっちゃいけないと言うんじゃないんです。ゴルフをやっちゃいけないと言うんじゃないんです。しかし、いまのような形のこの退廃ぶりで、中国は黙ってとにかく日本から学ばなければならない。人のことをとやかくあげつらうよりもみずから現実路線を一歩一歩積み上げていこうというので、やはり一つの三千年来の道義生命力の躍動に中心を置いて、モラルの確立、人間性の確立、それから植物を愛し、人間を尊重して働けば、そこに生活に楽しみがわくというようなものを現実につくり上げようという意気込みは素朴であるが、私はりっぱだと思います。彼らが言うことは、われわれは日本の攘夷党以上に、長髪賊の乱なんかは外国のアヘンを入れることを反対して死にもの狂いの戦いをやったが、結局は負けてしまった。しかし日本は、この中国の悲劇を見ていて、そういう素朴なかたくなな態度じゃなくて、攘夷党も、あるいは蘭学をやって開国を主張した佐久間象山のような人も百八十度旋回して、政治の中枢部が腐ってしまってはどうにもならないんだ、中国は、宗の国もあるいは明の国も清の国もみんな中枢から腐ってしまって、志士仁人が生まれても崩壊は内部から来たのだ、これを気をつけなければならないと言っていますが、日本では完全に内部が腐り切ってしまったように見えますが、それまではまだ行っていませんか。宮澤さんはどんな診断を下しますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に広範な問題にお触れになりましたが、わが国が憲法のもとに戦後三十何年、敗戦から立ち上がってまいりましたが、もとより憲法自身は改正の手続も定めておりますし、それを改めるべきだという議論等々ございますことは、これはそもそも言論の自由のわが国として当然でございますが、政府としては現行憲法を擁護してまいるということを、総理大臣がしばしばお答えをいたしております。改正というようなことを考えておりません。ただこれにつきまして、先ほど戸叶委員の言われましたように、いろいろな議論が国内にございます一つの原因は、憲法前文に定められましたような情勢が世界的になかなか速く展開をいたしません。したがいまして、なかなか国際情勢がわれわれが安んじて暮らせるようなことになってまいらない、そういうところから、改正につきましてもいろいろな議論が起こる、それは一つの私は原因ではないかと思いますが、ただ長い目で見まして、三十年間の推移を見ておりますと、世界情勢は、明らかにわが国の憲法が志向しておりますようなそういうわれわれの願いというものにとりましては、有利に展開をしてきておるのではないか。大きな戦争が三十何年ないということは、その一番雄弁な証左であろうと思われます。したがいまして、余りあせらずに、われわれは憲法の目的とし、志向しておりますものに向かって、自信を持って進むべきではないかというふうに私自身は考えております。 なお、最後の後段のお尋ねでございましたが、いろいろなことはございますけれども、わが国自身が言論の自由というものを現に尊重し保障されております。そうでございます限り、国内的に多少の腐敗あるいはいかがかと思うような問題がございましても、これは自由な言論によって正されていく、そういう機能は十分にわが国の社会が持っておるのではないかというにふうに私としては考えております。
○戸叶武君 もう時間がありませんから最後に一点だけにしぼっていきますが、今回のサミット、今後の国際会議においては、やはりいまの総理大臣の鈴木さんなり、またなかなか櫻内さんも思慮の深い人になり、さらに思慮の深いのじゃあなたもおりますが、やはり軽率な言動じゃなくて慎重を要するという態度でやらないと、いまのような形で憲法改正をやれば何でもというようなことになると、恐らく政府はひっくり返ってしまいますよ。政府を倒すのに手は要らない。それはやはり子供を育てていき教育するのにも行き詰まってしまってどこにも光が見えないような、物価は高くなって婦人が怒り出しますよ。女が怒ったらこれは恐いです。あらゆる食糧暴動でもバスチーユのあの襲撃でもレニングラードにおける革命の発端でもみんなそうです。いま引き締められるところまで引き締めて、そうしてがまんをして貧乏人ほどがまん強くなっているが、金を持っているやつは一つも反省しない。ますます金がもうかるような仕組みになっている。 資本主義とか社会主義とか言うんじゃなくて、金融機関なり大企業なりの結託のもとにおいて不健全な国家体制がつくられているということは、社会主義とかなんとかと名づける必要はないけれども、やはり私は将来に対する見通しを正確に立ててその上に立って、ときには変更してもいいけれども、一年なり二年なり短期的なナショナルガバメントを通じて具体的な政策を打ち出して国民の審判を仰ぐというような形が正確に出てこないと、政治の中心はどこにあるのかわからない。ゆるふんならいいけれどもふんどしなしに道中歩いているような状態では物笑いになってしまうと思いますが、あなたのような聡明な人に説教は要りませんが、ひとつ聡明な人だけに気がついたら恥かしいところは余り出して歩かないように、そういうふうにひとつ、中国だってあれほど腐っては救えないところでも、あるいはリー・クアンユーのシンガポールにおいてでもあの住宅建設の明朗さによってもう淫売窟やアヘン窟はなくなっちゃったじゃないですか。そういう点を私はやはり具体的に示す政治を、外交も外国との関連においてよく他から学ぶべきものがあるものは取って、もう少し明るい具体的な解答をあらゆる面から出していただかれんことをお願いいたします。 以上で私の質問は終わります。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘の点はお教えとして十分に承りまして自戒をいたします。
○田中寿美子君 きょうは、総理大臣が国連軍縮特別総会において演説をなさいますその演説に間に合わせるように、この三条約を急いで審議して上げるようにという緊急の委員会でございます。したがって、私なども時間が全然なくて、この三条約の内容を十分に勉強しておりません。しかし、もちろんこれの締約国になることは、日本は平和を一番念願すべき国でございますから、当然よいことであると思っているわけなんです。わからないことばかりでございますから、多少何点かこの三つの条約に関連してお尋ねをしたいと思います。 本来ならば、総理が国連特別総会でなさいます演説の内容などを伺いたいところでございますけれども、きょうはそういうことはやめておきます。ただ、先般国会の軍縮決議をいたしましたときに、その軍縮決議の中に、今後努力するよう政府に対して国会側から要請しております中の第五項目に「国際人道法に反する化学兵器等の使用、開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄のための国際条約が早期に実現するよう強く訴えること。」というようなのが入っております。総理大臣は、国会の決議を体して国連でも自分の意見を述べてくるというふうにおっしゃっておりますので、この場合に「化学兵器等」というふうに国会では決議をしているわけでございますが、いま私どもが審議しておりますのは、その化学兵器を抜かして生物・毒素兵器禁止条約と、こういうふうに分離されているわけで、そのことに関しては松前委員が先ほど触れられましたし、なぜ十年間も日本がこの条約に批准をしないのかというようなことも先ほど御説明があったと思います。 それで、日本は一貫して化学兵器の禁止の主張をしてきた国だと思うのでございますけれども、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。そして、化学兵器というものは生物兵器と違って私はもっと広範に及ぶものだと思いますが、それらも御説明願いたいと思います。
○政府委員(門田省三君) まず、ただいま田中委員から御指摘がございましたように、化学兵器は生物兵器との比較におきまして広範な側面を持っているというふうに私どもも認識をいたしております。 化学兵器の禁止につきましては、わが国はこの問題がジュネーブの軍縮委員会で取り上げられて以来積極的に対応いたしておるものでございます。一九七四年にはわが国独自の提案を行っております。また、わが国としましては軍縮委員会におきます化学兵器の条約、国際合意の成立を目指すためには、作業部会を設けてこの審議を強く推進していく必要があるという観点から、つとに作業部会の設置を提唱しておりまして、この委員会が三年前にようやくできたのでございますが、第一回の作業部会の委員長にはわが国のジュネーブ代表でございますところの大川大使が委員長を務めまして、この作業部会の運営に積極的に貢献をいたしております。 また、作業部会の審議の過程におきましては、条約成立への道を早めるために合意が調ったものから条約案文に書いていくようにという提案をいたしまして、これは各国の同意を見るところとなっておるわけでございます。 このようにわが国は、化学兵器の禁止条約の成立につきましては高い優先度を置いて努力しております。このような事情にございますことを申し上げたいと存じます。
○田中寿美子君 したがいまして、今後も化学兵器の禁止に関してはずっと日本は努力していくものと思われますけれども、非同盟諸国などがどういう感じを持っているのか。化学兵器の禁止も含めろという主張であるように私は承知しておりますけれども、その点など今回の生物・毒素兵器のこの条約に対してどういう立場をとっておりますでしょうか。
○政府委員(門田省三君) 御指摘がございましたように、非同盟諸国の態度につきましては、総じて化学兵器の禁止条約もできるだけ速やかに成立させるべきであると、こういう態度であるように承知いたしております。 それで、ジュネーブ軍縮委員会におきましても七〇年の初頭の段階におきましては、化学兵器と生物兵器をあわせて国際条約化するということで検討を行っていたのでございます。ただ、化学兵器につきましては検証の点で複雑な要因がございまして、検証というものについては、いわゆる自国検証といいましょうか、ナショナル・ベリフィケーションと申しますか、そういう立場をとられる国もございます。というようなことで早期に合意を見る背景がございませんでした。そういうことで生物兵器がひとまず先にでき上がったということでございます。 このように化学兵器というものの性格からいたしまして生物兵器とはいささか違う面があるということが、今日のこの現実の姿、つまり化学兵器はまだ成立を見ていない、生物兵器はすでに発効しているということになっているものと存じております。
○田中寿美子君 この条約を批准した国は、現にもし生物・毒素兵器を持っていたら、条約発効後九カ月以内にこれを廃棄するとかあるいは平和利用の目的に転用するとかということが必要とされているわけですね。その廃棄するというのはどういうふうにするのですか。どこにどういうふうにして、一体だれがそれを見届けるのですか。
○政府委員(門田省三君) 廃棄をする場合の検証はどういうふうにするかというお尋ねでございますが、その検証の具体的な方法につきましては条約の上では規定しておりません。これは各国がこの協定の定めるところを遵守いたしまして、もし持っている場合には廃棄をするということでございます。これは現実におきまして、細菌兵器を持っているという国はないということでございまして、この点、この廃棄ということの検証の関連で特に問題が起きたということはございません。ただ、この条約におきましても、仮にも条約の定めるところに従わないで廃棄をしないというようなことになりますと、この条約の中に定めてございますところの国連の安全保障理事会によりますところの対応措置がとられるということになろうかと考えます。
○田中寿美子君 まあ検証の部分が欠けているということと、それから、本当にそういう生物・毒素兵器を持っている国がほとんどないだろうということであると、この条約そのものはそれほど大したものじゃないような気に思えてくるわけなんですね。それで大騒ぎして三条約三条約と言っているけれども、余りそれほどのものじゃない。むしろさっきの特定通常兵器の方は大変有害な働きをいままでもしたし、今後もする可能性があるからそれは大事だと思われるのですけれどもね。まあしかし三条約と言う以上は、総理大臣がこれをかざして演説をなさいますのでやはり必要なのでしょうけれども、五月十七日の毎日新聞によりますと、アメリカで化学兵器の生産を再開することになった、上院でわずか四票の差でレーガンのその計画が承認されたという記事が載っておりました。そしてその記事によりますと、米ソの化学兵器の競争も非常に熾烈である、そしてアメリカから見ればソ連の方が化学兵器は非常に強力なんだ、だからそれの抑止力として自分の方の化学兵器の生産の再開をしなければならないというのが理由のようでございますね。しかし、ベトナム戦争での枯れ葉作戦などで非常に問題を起こして非人道的なことをやったアメリカが、今度どのような化学兵器の生産をするのかわかりませんけれども、それに踏み切ったというようなことについては、外務省の方ではどういう情報を持っていらっしゃるんですか。
○政府委員(松田慶文君) お答え申し上げます。 米国が八三会計年度において化学兵器を開発する旨明らかにいたしましたのは去る二月でございます。内容的には複合兵器、すなわち単独では安全であっても二つ混合しますと致死性となるという化学物質を一つの砲弾なら砲弾に二つ詰めて撃つという形の化学兵器と承知しておりますが、御指摘のとおり、この開発に踏み切った背景といたしましては第一点として、米国は一九六九年以降化学兵器の生産を自主的に中止しておりまして、またその後七七年から八〇年までの間、ソ連との間に化学兵器の禁止についての交渉を行ってきたのでありますけれども、この間ソ連側における化学兵器の増強が著しく進みました。またその間交渉は全く進展いたしませんでしたので、このような状況を前にして二つのねらい、すなわち一つは、この分野における抑止力を確保すること、第二に、交渉の行き詰まりを打開するためという二重の目的を持ってこの開発に踏み切ったと承知しております。
○田中寿美子君 日本は一貫して化学兵器を禁止せよということを主張してきた国である、そしていま軍縮委に臨んで鈴木総理は、憲法の前文を入れるとかいうようなことを談話でも言っていられる、そして、いま一番優先されなければならないのは核兵器の禁止の問題ですけれども、同時に、日本がこの三条約を批准したということをおみやげのようにして持っていかれるのならば、こういう問題に関しても、これは米ソ両方に対してちゃんとこういうことについてやめるようにというような意見を述べられるべきだと思いますけれども、宮澤さんいかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国は従来軍縮委員会等々におきまして、ただいま田中委員の仰せられますような目的が促進されるようにという努力をずっと今日まで続けておりますことは先ほども政府委員から申し上げたとおりでございます。今回のアメリカ側の措置が、先ほど政府委員から申し上げましたように、使用なり配備をするということではない、いわばソ連との関連において考えられておるという、そういうことをそのものとして、そのことは大変称賛さるべきであるというふうに申しておるわけではございませんが、そういう現実の考慮からなされたものであろうということは恐らく米国の説明のとおりだと思います。したがいまして、それはそれとして受け取っておきますが、やはり全体としてそういうことは大国の間で自重をし、やがては禁止、廃棄等に進んでいってもらわなければならない、そういう努力を軍縮委員会等の場でわが国が続けておるということでございます。
○田中寿美子君 化学兵器に関しては、日本が特に軍縮委員会で努力してきたということを誇りとしているのですから、その点についてはぜひ主張を強くしていただきたいと思いますし、今後、化学兵器の禁止の方向に向かって努力をしていっていただきたいと思います。 それから、特定通常兵器の使用禁止の問題にちょっと触れさしていただきますが、いま通常兵器が非常に大量に第三世界に売られているわけですね、南の諸国に。そして、この特定通常兵器の禁止に関しては非同盟諸国の立場はどういう立場をとっておりますか。
○政府委員(門田省三君) 非同盟諸国の中で本条約を受諾いたしておりますものは、先ほど申し上げましたようにまだ数は少ないわけでございます。二カ国というふうに承知いたしておるわけでございますが、ただ、この条約につきましては、条約を採択すべきであるという決議を国連総会で行った経緯があるのでございますが、その際にはフランスが棄権したのみでございまして、あとは全会一致と申しますか、全員加盟国が賛成をしてこの特定通常兵器条約を国際条約化すべきであるという決議を行っております。このようなことからいたしまして、非同盟諸国もこの条約には賛意を表している、かように承知いたしております。
○田中寿美子君 先ほどの御説明にもありましたように、特定通常兵器といっても、いわゆるシビリアンを痛めつけることを特に保護しなければならないということが目的のようですけれども、私は戦闘員でもそうだと思いますね。人体に入り込んでガラスが取れないというようなもの、あるいはさっきのお話にあった地雷とかわなだとかそれからナパーム弾とか焼夷弾、これは空襲のときに焼夷弾で普通のシビリアンがずいぶんやられておりますから、私は全くこれは早く禁止しなければならないものだと思っておりますが、これも先ほどの条約と同じように、条約違反、まあ違反が起こればわかるでしょうね。だからといっても、検証についてどうもはっきりしないという問題が一つあると思うんですけれども、どうお考えになりますか。
○政府委員(栗山尚一君) 御質問の特定通常兵器の使用禁止・制限条約につきましては、これは御指摘のように生物兵器の問題とは若干異なりまして、持っていることあるいは開発すること自体の禁止ではございませんで、武力紛争におきましての使用について一定の制限を課しておるということでございますので、この違反が生じますれば、これはまあ客観的な事実としてその場で比較的明白に把握できるという性質のものでございます。したがいまして、これに対して違反が生じたときにはどう処理されるかということになりますれば、この条約自体には特に違反のときにどう処理をするという規定はございませんで、これは通常の戦時国際法と申しますか、国際人道法と申しますか、そういうものの取り扱いと同じことで、一般国際法によりまして、被害を受けた国の方から違反国に対して抗議をし、しかるべき損害賠償なり責任者の処罰を求めると、こういうのが違反の救済の手段としては考えられておると、こういうことでございます。
○田中寿美子君 最後に、環境改変技術の軍事的敵対的使用禁止条約のことですけれども、その中で先ほど松前委員が、核実験なんかも放射性物質をばらまくことになるから、これもこの中に入るのではないかとお尋ねになっておりましたけれども、私もこの条約にもかかわってくると思います。 それで、現在たとえば南太平洋にある小さな島々の付近でアメリカもフランスも核実験を何回も何回もやっている。そしてその小さな島の人の話では、島の人口たとえば一万五千人それごと別の島に行かせられたりしていると。しかし、それだけじゃなくて、その周辺の海が汚れて魚介類も食べられなくなる、そういうようなことが行われているわけですから、この点からも核実験がやっぱり禁止されなければならないというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(門田省三君) この条約との関連におきましては、そういう環境改変技術を敵対目的を持って使用するということで定めておりますので、いま御例示いただきましたようなケースが、直ちにこの条約と関係するかどうか疑義があると存じます。しかしながら先ほど申し上げさしていただきましたように、わが国としましては、核実験ということはこれは禁止されなければならない、全面核実験の禁止ということは声を大にしましてあらゆる機会において申し述べているところでございます。そういう観点からいたしまして私どもは、これは大気圏のみならず地下核実験も含めまして、早期に禁止さるべきであるという考えでございます。
○田中寿美子君 終わります。
○立木洋君 いま議題になっていますこの三条約については、軍縮にかかわるものであって、国際的な平和あるいは人道的な見地から見ても前向きのものであるというふうに評価できることは当然だと思うんですが、ただしかし、われわれ人類が要求している今日の軍縮という目的から見るならば、やはりこれは微々たるものである、それだけではなくて、それぞれの条約自体の内容を見ても不十分さがやはり残されている。ですから、どうしてももっと人類の目的にかなった軍縮をより実現していくための努力というのはますます強めなければならないし、それぞれの条約にある不備な点、不十分な点というのをより完全なものにしていく努力が私は当然求められなければならないだろうというふうに考えるわけです。そういう見地に立って、この三条約を批准するに際して、日本政府としての軍縮に関する基本的な見地といいますか考え方といいますか、こういう点について、まず最初に大臣から御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり基本的には核兵器をまず対象にいたしまして、その縮小そして廃絶ということに向かって進んでいくということが何としても大切なことであると思います。そのためには、実験の全面的な禁止というようなことが実現への手段として有効な方法であろうと思われますし、また核拡散を防止をする条約に保有国であろうと保有国でないとにかかわらず加盟をするということも大切なことであろうと存ぜられます。 それは核兵器についてでございますが、同じことは核兵器以外の特殊兵器、ただいま御審議をいただいておりますようなものがそうでございますし、化学兵器もそうでございますが、そういうものについての禁止、廃棄、それからさらに通常兵器につきましても縮小をしていく、そういうことから、全体を縮小のバランスの上に、やがては廃棄へというふうに向けていくというのがわが国の軍縮についての基本的な努力目標であると考えております。
○立木洋君 じゃ外務省の方にいまの観点から個々の条約について若干お尋ねしていきたいと思いますが、まず最初に、環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約ですが、これは外務省の方では、一種の予防条約的な性格のものであるというふうな趣旨のことが述べられているわけですね。この条約に関して、どういう点にやはりまだ不十分さ、不備な点があるというふうに外務省ではお考えになっているのか、そこらあたりの御認識があれば伺いたいと思います。
○政府委員(門田省三君) この条約が果たして完全なものであるのか、あるいはまた不備な点を持っているのかということのお尋ねかと拝察しておりますが、この条約は、ただいま委員がお述べになられましたように、将来への予防という面が非常に大きなものでございます。したがいまして具体的にどのような手段によってどのような事情が起きるかというようなことにつきましても、まだ未経験のものが多いという側面があるわけでございますので、そういった点を取り上げまして不備であるという御観察、これもあろうかとは存じますが、ただ、このような手段によって環境が改変されて、それが大きな被害をもたらすというようなことは避けたい、またそれが軍事目的に使われるようなことは未然に防止したいと、そういう願望をこの条約の中に盛り込んで国際取り決めとしたということ、それはそれなりの意味があるものと、かように評価いたしております。
○立木洋君 やはり、これは締約国が他の締約国に対しての使用を禁じているわけですね、締約国でない場合にはこれは使用禁止してない。あるいは軍事利用を目的とするための使用は禁じているけれども、開発は禁じてない。いろいろ問題があるかと思うんですね。また、どういう場合がこういう環境改変技術なるものなのかという、僕は最大の問題はそこだろうと思うんですよ。いろいろな評価がありましても、ここで問題にされておる「広範な、長期的な又は深刻な」という、これについてもコンセンサスがないわけですね。まあ、いろいろなあれは出されてはおりますけれども、完全なコンセンサスがまだ得られていない。そうすると、どういうものがどういう形で使われたときに、これに適合されて好ましくないものとして明確に対処されるのかというふうなことから厳密に考えていきますと、やっぱり問題がどうしても残っているんだろうというふうなことを思わざるを得ないんです。 そこでお尋ねしたいんですけれども、たとえば現実にベトナムで枯れ葉剤が使われた、これは大量に使われたわけですね。これについても、一部の人に聞けば、少量使えばこれは農薬だと。ところが大量に使うと大変な影響を与えるというふうな問題があるんですが、この枯れ葉剤などが大量に使われた場合には、たとえばこういう概念に適合されるのかどうなのか。これを軍事的な殺傷だとかその他戦争に使われるというようなことになれば、そういう軍事的使用というふうなことになるのかどうなのか。それは条約上の解釈はどうなんでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) 枯れ葉剤の使用につきましては、この条約で枯れ葉剤の使用そのものが直ちに禁止されているというふうに理解あるいは解釈すべきではないと思います。条約の審議経過から言いましても、そのような解釈はこの条約から直ちには出てこないであろうと思います。 他方、いかなる枯れ葉剤の使用であってもこれは自由であるかといいますると、そういうことではございませんで、先ほどの委員の方から御指摘がありました条約の表現上、一条に書いてあります「広範な、長期的な又は深刻な効果をもたらすような」という字句のあいまいさの問題はございますが、この一条、それから二条に規定しておりますような意味での枯れ葉剤の使用というものは、この条約で禁止されることになる。この点については異論がないところであろうというふうに思います。現に、アメリカ自身もこの条約の解説文書を軍縮庁で出しておりますが、その軍縮庁の文章によりますれば、私がいま申し上げましたような趣旨の枯れ葉剤の使用というものはこの条約のもとでは禁止されることになるというふうに、アメリカ自身も理解しておるというふうに承知しております。
○立木洋君 これは国連の環境管理計画一九八〇年度年次報告の中にも述べられているわけですけれども、これが大量に使われて、結局南ベトナムでは枯れ葉剤が千五百平方キロメートルの林を完全に枯死させた、あるいはさらに一万五千平方キロメートルにかなりの損害をもたらした、現在自然の回復が遅々としてはかどっていないというふうに述べられているわけですね。私、一九七九年に櫻内外務大臣と一緒に日本ベトナム友好議員連盟のあれでベトナムに視察に行ったんですがね。そのときに櫻内外務大臣も御一緒して、ずうっと見たのですが、もう大変なんですよ。木がみんな真っ黒になって、もうただずんぼうに、何か電信柱が立っているみたいなんですね、真っ黒になっている。葉もないし枝もない、そういう林がばあっと見る限りなんです。櫻内外務大臣も、これは大変だなあという話をしながら、車の中でわれわれ見ながらきたんですけどもね。こういう状態があるというのは、これはまさにもう当然禁止されなければならない。それから、この枯れ葉剤に使われてるダイオキシンなどが大量に散布されるということによって、テレビでごらんになったと思うんですけれども、頭が二つ出ている子供さんなんか、ああいうテレビを見ておって、これは大変だなというような感じを非常に強くしたわけですが、こういうようなものというのは当然禁止されなければならない。 ですから、この国連の一九八〇年度の年次報告の中でも、環境改変技術の軍事的もしくは他の何らかの敵対的使用の禁止に関する一九七七年の国際協定、ここで禁止されているものは、広範で永続的、もしくは著しく影響を与えるような使用であり、そうした影響を持つといってよい枯れ葉剤を含むというふうに理解されているということになってるわけですから、こういう問題に関してはやはり具体的に、これがどのものをどういう形では禁止されるべきだというふうなことも日本政府もよく検討して、やはりそういうことを主張していくというふうな立場をとって、何がそれに含まれているのかさっぱりわからない、ただ条約を批准したらそれで結構だということじゃなくて、そういう充実さしていくという努力もぜひともしていただきたいと思うんですが、この点はいかかでしょうか。
○政府委員(門田省三君) ただいまの御指摘の点十分念頭に置いて、加盟をいたしましたこの条約に参加いたしましてわが国の見解を述べる機会がある場合には、十分対応してまいりたいと存じます。
○立木洋君 まあ、述べる機会をみずから切り開いてつくるようにして、その機会を待つのではなくて、ぜひ努力をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思うんです。 次に、生物・毒素兵器禁止条約の問題ですが、先ほど同僚議員の質問で、これがなぜ化学兵器が切り離されたのかという点については、まあ検証の問題がなかなかむずかしいという趣旨の御説明がありました。しかし、この審議の経過を見てみますと、これはたとえば一九二五年のジュネーブ議定書ですね、これでは化学兵器も含んでいるんですね。そういう両者を含む内容として国際的にも議定書が交わされてる。ところが、実際に戦後問題になってきて、とりわけ一九七二年にあれされた今回の場合にはこれが切り離されている。その経過を見てみますと、日本政府は一括してやるべきだということを主張したけれども、とりわけ西側の方では、非同盟やなんかの強い反対もあったけれども、これはやはり切り離すべきだという主張があったというのですが、西側が特に切り離すということをとりわけ強烈に主張したのにはどういう根拠があったのでしょうかね。
○政府委員(門田省三君) 西側が生物兵器を切り離して、できるだけ早い時期にこれを国際条約化すべきであると申した理由は、生物兵器というふうな危険な兵器の禁止ということを実現していく上での第一歩を進める、この軍縮への願いというものが強かったものと、かように了解いたしております。
○立木洋君 だけれども局長、西側の態度を余り肯定的に評価されると日本政府の態度と矛盾してくるんですよね。日本政府としては一括してやりなさい、一括してできるんだと。だからあれの場合には提案国にはならないで賛成はしたけれどもという形をとっているわけでしょう。日本政府の場合には一括してできるんだということを主張されたわけでしょう。ところが、日本を除くアメリカやその他の国ではそういうふうな形には主張されなかった。だからどうですか、そういう一括してやるべきのが本来であってそういうふうにしないのはやはり間違いであると、そういうのは適切ではないというふうに日本政府は考えていたんじゃないでしょうか、どうでしょうかね。
○政府委員(門田省三君) 先ほども少しく触れさせていただいたのでございますが、化学兵器につきましては検証の問題が非常に困難であったわけでございます。特に東欧圏諸国におきましては、検証の問題という点につきまして外部による検証には応ぜられない、自国による検証ということを強く主張されてこれが大きなネックの一つであったというふうに承知いたしておるのでございますが、そういう点で前進が見通されない。他方、生物兵器につきましては成立についての合意があったということで、したがいまして完全を期すという観点からはあるいはこの生物兵器の条約の早期発足にも反対をすべきという考え方もあったのかと思いますけれども、わが方としましてはやはり一つでも早く実現を見るということに意義を見出したわけでございまして、そういうことで生物兵器の早期条約化、これに賛意を示したのでございます。
○立木洋君 ちょっとまだわかりにくい点がありますが、次に進んでいきたいと思います。 一九二五年のジュネーブ議定書の際ですね、これは一九七〇年にでしたか審議したときに、政府が出した内容を見てみますと、ジュネーブ議定書によって禁止されている化学・細菌兵器、その化学兵器の部類としては剤の種類として窒息剤、血液剤、びらん剤、神経剤、毒素等々が挙げられたわけですね、これは政府の資料によってですが。ところがその一九二五年から見ればもうすでに五十数年今日たっているわけですが、今日化学兵器というのは大変な開発がなされてきたという経緯が戦争中ありましたですから、いま化学兵器というのはどういうふうに把握されておりますか、化学兵器の種類というか内容というか、そういう点についてはこれは専門家の方はおいでにならないかどうかわかりませんけれども、一応どういう形として外務省としては押さえられているのか、いかがでしょうか。
○政府委員(門田省三君) ただいま立木委員からお話しございましたように、さきにジュネーブ議定書の御審議をいただいたときには、ジュネーブ議定書によって禁止されている化学・細菌兵器ということで資料を出さしていただいたわけでございます。その後、時代の経過とともにさらに広範なかつ新しいものが出てまいったのではないかというお尋ねでございますが、私どもとしましてはそれに関しましてはウ・タント氏が国連事務総長でいらっしゃった当時に、専門家が集まられて研究をなされた結果お出しになりましたところの報告書、いわゆるウ・タント報告、その中に書いているものがアベーラブルな形での権威のあるものではないかと、かように考えております。
○立木洋君 この日本政府が出している「軍縮問題と日本」という資料の中でも、大戦中に約六十種類もの化学兵器が開発されたというふうに書いてありますですね。さらにいま述べられたような詳しいものもあるわけですが、この化学兵器の禁止ということを重視するのは私は非常に重要な問題だというふうに考えます。これは殺傷、人類に与える影響という点から言うならば、いわゆる核兵器にも近い内容がある面ではもたらされるし、とりわけ広範な国々が持ち得るという点から見ても、これは核兵器より上だなんというような意味ではないですけれども、それに準じて私は重視されなければならない点だと思うんです。その場合には何としても、どういう化学兵器を禁止するかということがやっぱり明確になっていかないと、どんどんどんどんふえて、つまり常に禁止する対象がいろいろ問題になる、軍縮の場合でもどういう兵器を対象にするかというのは大変いつも問題になるわけですが、この化学兵器を禁止する場合でもそれはどういうものを禁止するかということは非常に私は大切な問題だろうというふうに思いますが、この点についてはどのようにお考えになっていますか。
○政府委員(門田省三君) ただいまおっしゃられましたとおりに、そのような甚大な被害を及ぼすような化学剤を使用した兵器というものは完全に禁止されるようにすべきであると思います。
○立木洋君 一九七〇年にこの一九二五年のジュネーブ議定書が審議された過程の中で、これは愛知外務大臣がお答えになっている点ですが、化学兵器のいろいろなガス兵器、催涙ガスだとか嘔吐ガスだとか神経錯乱ガスなどなどいろいろ出てきている、そういう問題に関してはこの議定書に入る以上は今後の立法論といいますか、解釈論についてどういう態度をとっていくべきであるか、できるだけ建設的に目的に沿うように努力していきたいというふうに述べておられたわけですが、それから十二年間こういうふうな化学兵器の禁止という点について日本政府としてはどういうふうな対応をとっておいでになられたのか、その点についてちょっと説明していただきたいと思うんです。
○政府委員(門田省三君) 先ほども申し上げましたように、化学兵器の禁止につきましてはわが国はここ十数年来軍縮委員会におきましても最も活発に貢献をいたしてまいっております。私どもの念頭にございますのは、化学兵器に関しましては単にその使用のみならず、開発、生産、貯蔵、取得、保有、このあらゆる段階にわたって、しかも検証の十分な形での国際的な取り決めというものの成立を目指して努力してまいるということでございます。
○立木洋君 私はさっき申し上げたように、どのものを禁止するかというこの禁止の対象ですね、これはやっぱり明確にするということは非常に大切なことだと思うのですね。これは国際的にコンセンサスが得られるかどうかという問題は別としても、日本としてはこういうふうにやるべきだと。たとえば、一九七四年の四月ですか、軍縮委員会に日本政府が提起している。だけれど、その場合でもいま述べられたようなことは提起されているけれども、しかし具体的に何を禁止の対象にするのか、このことが日本政府としてやっぱり主導的に出していくべきだと私は思うんですよ。ただコンセンサスが得られるか得られないかはこれは議論ですから。日本としては何を禁止するか、これを明確にしていくことがやっぱり重要じゃないかと、そういうイニシアを積極的にとるというふうなことは、私は必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(門田省三君) ただいま仰せられました点は十分考えさしていただきたいと存じます。この化学兵器の対象となります化学剤あるいは毒素と申しますかというものが、将来にわたってさらに進歩発達を遂げてくる可能性のあるものでもございますし、これらを総合的に包括しながらどのような国際取り決めの形に具現してまいるかというような点につきましては、専門家の御意見なども十分承りまして、十分検討してまいりたいと、かように存じます。
○立木洋君 ジュネーブ議定書ではやっぱり間に合わなくなっているからこそその後問題にされ、大きな点として日本政府としても努力されてきたと思うんですね。だから、努力されていくということは私は最も大切なことだと思いますけれども、しかし、アメリカが生産を開発するとか何とかというのにかかわりなく、これはアメリカがつくろうがソ連がつくろうが、悪いのは悪いわけですから、だからそういうことではなくて、やっぱり日本が積極的にイニシアをとって、こういうふうなものはこれは大変だと。これは先ほども言いましたけれども、国連事務総長の報告では、「二五〇トンの神経ガスを一五−一六機の爆撃機に搭載し、面積一、〇〇〇平方キロメートル、人口七〇〇万〜一、〇〇〇万の都市を攻撃すれば、人口の半分に致命的傷害を与えうる」と。「これは核兵器に匹敵する威力です。」というふうに、これは日本政府自身が書いている本ですからね。そういうことになれば、何を禁止するかということを明確にしていくという努力は、私は当然あってしかるべきだと。そういうことがないと、やはり先ほど言いましたように、環境の改変の問題、この技術をどうするかという場合でも問題が残っていると同様に、やはりどうしてもなかなか実効をより効果的にあらしめるという点から見れば問題が残されるわけです。そういう点での努力というのは、より私はやっていただきたいということを特に強調しておきたいというふうに思いますが、そういう先ほどの点とあわせてちょっと外務大臣、何か御所見があれば、具体的な内容の問題についての禁止の努力を。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから国連局長が申し上げておりますように、機会あるごとにそういう具体的な努力を続けていかなければならないわが国としては、当然そうしなければならないと思っております。
○立木洋君 これはちょっと、もちろん話はあれですが、先ほど来問題になっておりましたアメリカがいま化学兵器の生産を行うという、これは大変好ましくないことですが、それに対してどういう態度をとるかというのは先ほど答弁がありましたけれども、しかし、もちろんこういう化学兵器が仮にアメリカで生産されても、日本に一切持ち込みや通過などは絶対にさせないという点は、これはもう言うまでもないことだと思いますが、念のために一言聞いておきたいと思うんですが、何か大臣……。
○政府委員(栗山尚一君) ただいま御質問の点につきましては、立木先生御承知のとおりに、すでに昭和四十六年の十二月に、本院におきまして政府の見解を提示してございまして、そこにおきまして政府としましては、化学・生物兵器については、事前協議以前の問題であって、イエスの場合もあることを前提とした事前協議制にはなじまないということを申し上げて、ジュネーブ議定書で使用禁止の対象になっておる化学兵器については、安保条約上明文の規定はないけれども、ジュネーブ議定書の精神というものに従いまして、その日本国への持ち込みは日本政府としては認めないということを申し上げております。
○立木洋君 もちろん当然そうお答えいただけるだろうと思ったのですが、最近いろいろ情勢論との絡みで変わることがあるので、念のためにお尋ねさしていただいたわけです。 それから、これはちょっと条約とのかかわり合いになりますが、結局、宮澤さんがおいでになっているので、ぜひこの機会にお尋ねしておきたいと思うんですが、何か衆議院の外務委員会で、大臣大変りっぱな答弁を核の不使用の問題に関してはなさったということが新聞に出ておりまして、これは当然大臣がさようでございますとお述べになったのだから変わりはないだろうというふうに思いますが、核兵器を二度と使わしてはならない、使用を禁止する、使用すべきでないという点について、もう一度念のために大臣に、せっかくこうして顔を合わせる機会ができたわけですからお尋ねさしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の外務委員会でお尋ねがございましたときに、実はこれは非常に長い伏線を置いた御質問であったのでございます。で、最後の部分について政府委員がそのとおりでございますと申し上げ、私もそのとおりでございますと申し上げたのですが、それがずっとそこに至るまでの長い間の伏線、過程というようなもののどの部分にそのとおりであると申し上げたのかが文脈上、何と申しますか、私自身は非常にはっきりわかって申し上げておったつもりでございますけれども、ちょっと紛れを生じたように思います。 それでこの点につきましては、櫻内外務大臣が帰られましてお尋ねがありまして、改めて答弁をしておられます。その答弁とされるところは、われわれの理想である核の廃絶が達成されるまでの間、どのようにして核が現実に使用されるととがないようにするかということだと、こう考えると。で、この点についての政府の考え方は従来からいろいろ申し上げておりますと。このいろいろというところがこの場合にはちょっと省略をされておりますけれども、そのことの意味は、これは私がちょっと離れて申し上げることですけれども、核が現実に使用されることがないような状況をどのようにしてつくり上げていくかということが大事なことであると思います。使用しないという約束そのものは、客観的ないろいろ状況によって確保されなければならないと思いますので、それは生産の禁止であるとか貯蔵を減らすとか、そういう具体的な軍縮の措置で裏づけがあるということで初めて実効性を持つということになるのであろうと思いますので、そこでそういうことが前提になり、またそういうことが現実には生まれていない今日の場合には、わが国が核の抑止力に依存をしておるということは事実でございますから、そういうことも考えておかなければならない。そういうことはいろいろ申し上げたいことがございますが、一般的な考え方として、早く核廃絶というものを実現いたしたい、そうしてそうなるまでの間に核兵器が使われるというようなことがあってはならないではないかと、そういう物の考え方については同様に考えますというふうに櫻内外務大臣が御答弁をしておりまして、ちょうど私ただいま代理でございますので、本職と申しますか、本来の外務大臣が答弁をしておられることをそのままここで申し上げておきます。
○立木洋君 いや、宮澤さんのお考えをそのままお聞かせいただければいいわけで、そうするとつまり、何といいますかね、核兵器を使ってはならない、そういう気持ちはある。そうして使わしてはならないし、そうしなければならない。だけれど、これを一たん禁止する条約をつくるとなると、これは抑止力の問題があるからなかなかそうはいかないという、そういう分け方なんでしょうか。一般的には使ってはならないし、使わせないようにしたい。だけれど、さてそれを禁止する条約を結ぶとなると、なかなか具体的にはむずかしいから、そうではないという意味なんですか。その条約とのかかわりなんでしょうかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は条約、あるいはそれに至るまでもなく、国連の決議というようなことでしばしば御議論になるところでございますけれども、要するにこれは言葉の問題ではなくて、そのような意図あるいは合意が現実に実効性を持って確保されるかどうかということ、それが大事なのであろうと思われます。したがって、そういう確保されるための具体的なステップをやはり一つ一つとっていくということが大事なのではないか、こう思っておるわけでございます。
○立木洋君 そうしますと、日本政府が前に賛成しておりました、核の不使用ですね、核の使用は国連憲章に対する違反であり、人類に対する犯罪であるというふうなお考えは、いまの日本政府の立場として確認さしていただいてよろしいでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、そこのところから衆議院の御議論が起こりまして、大変に長い御議論になったところでございますので、ちょっと国連局長からその点を説明をしてもらおうと思います。
○政府委員(門田省三君) ただいま立木委員から仰せられましたように、一九六一年の国連総会で、通称核不使用決議と呼ばれる決議案が提出されたわけでございます。この決議案は前文と、それから主文第一項と第二項から成っております。
○立木洋君 局長、そこらあたりはわかっているんで、短くて結構です。お考えだけで。
○政府委員(門田省三君) そこの主文第一項の一番初めに、宣言部分において立木委員がお述べになられた文言が入っていたのでございます。わが方はこの決議案のその主文第一項には賛成をいたしたのでございますが、その趣旨はいろいろこの部分に書いてございまして、せんじ詰めれば、核の惨禍は二度と繰り返してはならない、こういう願望を表明したものである。これはわが方としては当然賛同し得るところであるということで、賛成をいたしているわけでございますが、主文二項の手続の部分につきましては一九六一年の決議におきましても棄権をいたしておる。その理由はやはり、十分な国際管理が伴わない限りは不使用決議のみならず、不使用条約を結ぶそのための国際会議を開くということになりましても、この点は十分検討の余地があるということで、まあ棄権をいたしております。こういう背景がある事実関係を御説明さしていただいたわけでございます。
○立木洋君 もう時間がなくなりましたのでこれで最後にいたしますけれども、もっともっと議論をしたいわけですが、今回この三条約、軍縮に関するこの条約、これも私たちもちろん賛成ですが、一番最初、冒頭に申し上げましたように、本当にこれからの軍縮の努力というのは最も重要ではないか、そういう点を見てみますと、やはり日本政府のいま進めておられる政策が、どうもそれと異なっておる。また、いまの御答弁でも、どうもだんだん後退をされる。そういうことが非常に気になるというか、より言って私は重大な点ではないだろうか。いま門田さんが願望としてこれに賛成したということを言いましたけれどもね。あのときの、当時の岡崎代表は願望だなんて述べてないんですよ、賛成した理由を。私はもう調べてきたんですから。願望なんて書いてない。局長はそういう言い方をされて、願望はいまも持っているけれども当時とは違うんだなんというようなつじつまを合わせるような御答弁ではやっぱり納得できない。私は本当に日本政府がいまの世界の世論に対し、また日本の国民が考えておる気持ちに立ってこの軍縮の問題を真剣にやっていただきたい。とりわけ宮澤さんは広島の御出身ですから、もう広島のことを言うまでもなく十分御理解なさっていることだと思うんですし、そういう点から、日本政府が本当にこれからこういう軍縮の方向に努力されるかどうかということは、日本国民のみならず全世界がやはり私は注目しておる点だと思うのです。それは核を持っている大国、これが大変なこと、重大な問題にあるということは私は当然だと思いますが、そういう中でも日本政府が果たすべき役割りというものを今後本当に真剣に考えていただきたいということを最後に強く要望を述べて、何か大臣御所見があれば述べていただいて、私の質問を終わります。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、わが国が唯一の被爆体験国であるという事実、並びに今日の科学技術の水準あるいは経済力から言えば、望むならば核兵器を持つということは決して困難だと思えないにもかかわらず、みずからそういう可能性は放てきをしておる。国際的に条約としてそれを約束をしておるということから考えまして、わが国こそはまさにそういうことを世界に向かって唱道する最も資格のある国である。また、わが国にとってそれは務めですらあると考えております。
○木島則夫君 核軍縮という人類の命題がいろいろな障害に遭って、核廃絶になかなか至らない。こういう時点で、さらに環境改変につながる未来兵器をも規制する条約を含めた三条約の審議をいましているわけでございます。大もとの核軍縮、そういうものがいろんな壁、障害、そういうものでさっき言った人類の理想である核の廃絶に至らない中で、環境改変技術、つまり未来兵器を規制する問題をも含めて、いま三条約の審議をする。何か私はそのもどかしさというと言葉が足りないかもしれないけれど、そういうものを感じているのであります。だからといって、この三条約が決して軽いものであるとは思っておりません。一つ一つ平和の道程を模索をしながら積み上げを行うその中で、究極の目的の達成に至らなければならない。そう考えるときに、この三条約も私は大変大事なものだとは思いますけれど、この三条約を審議をするに当たりましての宮澤大臣の率直な所感をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたこととやや重複をいたしますけれども、やはりわが国が第二次大戦の終わりに際しましていたしました体験というものは、これはわれわれだけが経験をしたところで、決して軽々に忘れ去ってはならないものであるということは国民的な合意がございます。そういう合意の上に立って憲法をつくり、そして今日までこの道を歩いてまいっておるわけでございます。 〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕 他方で、経済大国であり、技術的にもすぐれた水準にございます今日のわが国が、核兵器なり本格的な軍備なりへの道を歩むつもりがあれば、それは決して不可能なむずかしいことではない。にもかかわらず、われわれとしては核不拡散条約に加盟をして、少なくとも後二十年間、国際的にわが国のそういう不作為について約束をしておる、これがわが国の基本的な軍縮問題についての立場であると思います。 そういう立場で世界に呼びかけるということは、恐らく世界のどの国よりも説得力を持つわが国の立場であると考えます。そういうことの関連において、この三つの条約も私ども考えておりますし、またそういう関連で御審議を賜りたいと考えておるわけでございます。
○木島則夫君 先だっての国会の決議、それから核廃絶を求める日本の心というのは、いま一点に凝縮をされているわけです。そして、この三条約というものがその三位一体の一つにならなければならない。そこできょう、この場所においてこの審議が行われているということです。 で、国連の軍縮特別総会が開かれます。日本はもちろんでございますけれど、いま全世界がこれに注目を浴びせている。総理もけさ日本の心を担って旅立たれたわけでございます。日本政府はこの国連軍縮特別総会で何を一番お訴えになるのか、何に一番大きな力点、ウエートを置かれるのか、この訴えを抽象に終わらせないための具体的なアプローチは何なのか。もちろんこの問題については、本来ならば総理がお立ちになる前に率直にお伺いをするはずでございましたけれど、せっかくの機会でございますので、宮澤大臣からひとつ率直なお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国連軍縮総会におきまして、わが国がこの際訴えたいと考えておりますことは、先ほど私が申し上げましたような、わが国の立場に立ちましてまず第一に軍縮の促進、これは核軍縮を初めといたしまして、特殊兵器であれ通常兵器であれ、広く軍縮の促進ということでございますが、それが第一。 〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕 次に、このような軍縮によって生じますところの余力と申しますか、資源的な余力をこれこそいわゆる南北問題等々世界経済の発展に、世界の人々の民生の向上と経済の発展に振り向けるべきではないかという提言が第二でございます。 第三に、国連のいわゆる平和維持機能、長いこと言われながら国連が平和維持のためにもう一つ十分な機能を果たすことはできないのか、この三つの点を中心にわが国の立場を述べたいと、こう考えております。
○木島則夫君 きょうは三条約に限定をしてお話を伺うべきであろうと私は思いますけれど、いまおっしゃったことは大変、三点大事なことであろうと思います。国連の平和維持機能をもう一つ確固としたものに推進をしたい。 そこで私はお伺いをしたいんでありますけれど、そこで果たすべき日本の役割り、可能性、私はやっぱり非常に大きいものがあろうと思うんでありますが、裏づけのない訴えでは何もならない、政府としてその辺をどういうふうにアプローチをしていくか、具体的な裏づけというものを一体どのように考えておられるのか、宮澤大臣、政府としてはどんなふうにお考えであるか。
○政府委員(門田省三君) 国連の平和維持活動にわが国も積極的に貢献してまいりたいということは、私どもかねがね抱いている希望でございます。 しかし、この場合に念頭に置く必要がありますことは、わが国は他の国と異なりまして平和憲法を持っております。そういう観点から他の国がなし得る行為と同じものがなし得る状況には必ずしもないという事情がございます。他方、わが国は幸いにして見るべき経済発展を遂げておりまして、そういうことから財政面におきますところの国連に対する貢献という点につきましては、きわめて注目に値するものをなし得る状況にございます。 したがいまして、そういった面、あるいはわが国が特に持ち合わせております専門的あるいは技術的な知識、経験、こういったものをできる限り惜しみなく国連のために供与するということで努力ができるのではないか、かように考えております。
○木島則夫君 いまわが国が持ち合わせております機能というか可能性を惜しみなく発揮をする、もう少し具体的に私それを推測さしていただけるならば、たとえば核実験の停止にいたしましても究極的な目標は掲げながらもそれがどう遵守をされるか、そのための検証がどうなのか等、なかなか目指す理想には到達できないのが現状だと思います。こうした面でもっと日本の果たすべき分野、余地があるんじゃないだろうか、こういうふうに私はいまの局長のお言葉を解したわけでございます。 もう少し申し上げれば、科学技術においても経済力においても世界の最先端を行く日本として、もっとこれに積極的に取り組んでいかなければならない、取り組んでいくべきだと、こういうふうに解釈をしてよろしいのか、これは大臣からひとつ伺いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般的にそうお考えくだすって結構でございます。
○木島則夫君 局長、何か大臣のお言葉を補足する点がございましたら。
○政府委員(門田省三君) ただいま委員からきわめて直截かつ明快なラインをお示しいただきましたのでございますが、たとえば国連の平和維持機能と直接かかわり合いがあるかどうかは別といたしましても、核実験の禁止の関連におきまして、わが国が持ち合わせておりますところの非常に進んだ地震学の経験と知識、これはまさに惜しみなく提供し得るものかというふうに考えます。 また、平和維持機能活動に必要な財政的な面あるいは平和維持機能に必要な、たとえばいろいろな技術面、通信等々の面で、仮にそういった面でわが国が貢献し得ることがある、わが国はすばらしい技術を持ち合わしているわけでございますので、そういった可能性もあり得るかとは存じます。現実の問題とはなっておりませんけれども、そういったわが国が持っております知識と経験が世界から要望されるときにはこれを活用していただくように協力していくということは、まさに考えられるのではないかというふうに存じます。
○木島則夫君 私、局長のお言葉を別に細かくとらえるわけではありません。いまのお話、十分に理解できるのですけれど、世界から協力を求められた場合には惜しみなくそれを提供していくんじゃなくって、むしろ日本が世界で唯一の被爆体験という、こういう日本であるからこそ率先してそれを世界のために役立てていくんだというアプローチが私は実は欲しいんだけれど、その辺をもう少し前向きにお答えいただけないでしょうか。世界の要請があってやるんじゃない。だったら何のために何千万という署名が集まって、国会で決議をして、きょうこの三条約の審議をここでしているのかということにつながってこようと思うんですね。別に言葉じりをとらえようなんて、そんな私は小さい気持ちで言っているんじゃない。どんなものでしょうか。
○政府委員(門田省三君) 私の御説明に不備な点がございましたらおわびさせていただきたいと思います。 私が申し上げたかった点は、まさに木島委員がおっしゃられましたとおりに、可能な限り世界のために役に立つように努力をするということでございます。御了承賜りたいと思います。
○木島則夫君 出し惜しみをしないで、やっぱり積極的に私はやっていくべきだろうというふうに思います。こういうところでは遠慮する必要はないと思います。 さて、その三条約の審議でございますけれども、これは同僚委員へのお答えと重複するかもしれませんけれど、大事な点でございますので再度お答えをいただきたいと思うわけであります。 細菌・毒素兵器ということについては、生物・化学兵器、これを一括して禁止すべきであるという意見がありましたね。けれども、その化学兵器を切り離して、生物兵器、細菌兵器の方だけがいまここに出てきている。この辺の事情については一応の御説明があったのだけれど、本来なら一緒であるべきはずだと思いますけれども、これはなぜなのか。この点について御説明をいただきたい。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 木島委員仰せのとおりに、本来ならば化学兵器もさらに生物兵器も含めた形での国際条約ができるべきであった、また、できることが大変望ましかったと、私どももさように考えております。現実の問題といたしましてわが国は、ジュネーブの軍縮委員会におきましてこの化学兵器と生物兵器が一緒になって国際条約化されるようにということで努力してまいったことも事実でございます。ただ化学兵器につきましては、検証の面で複雑な困難な問題がございまして各国の合意を得ることがきわめてむずかしいという情勢が展開いたしました。 他方、生物兵器につきましては成立についての合意があったということで、それでは生物兵器についての国際条約化に協力しようということになりました。これが背景の事情でございます。
○木島則夫君 この条約は賛成百十ですね。反対なし、棄権一。フランスが棄権をしている。このあたりを聞かせていただきたいのと、同時に、この条約の作成が昭和四十七年、効力発生が昭和五十年、ことしは五十七年、ずいぶん時間的年月がかかっているように思います。これはどういうわけなんでしょうか。関連してお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(門田省三君) まず第一にフランスが棄権をいたしました理由でございますが、その一つには、フランスは一九二五年のジュネーブ議定書の作成に当たりましてはその中心的役割りを遂げております。いわばジュネーブ議定書の、自分は最も責任のある国であるというふうな感じを持っておるわけでございますが、この細菌・生物兵器はジュネーブ議定書から発生したものであるというような考えを持っておりまして、しかるに、この生物兵器においては使用についてあえて規定していないというようなこともございまして、必ずしもすっきりしない気持ちを持っていたのではないか。そういうこともありまして、実は私どもも、どうして棄権に回られたのかということを聞いた際の答えとしては、この条約にございますところの安保理の規定についてどうもすっきりしない面があるというような説明も聞いたことがあるのでございますが、いずれにしましても、それほど深刻な理由があってこの条約に関する決議が出た際に賛成しなかったということではないというふうに理解いたしております。
○木島則夫君 わが国でおくれた理由はどうですか。
○政府委員(門田省三君) わが国は、この条約には一九七二年に署名いたしております。その後十年経過していることは事実でございます。 このように長い年月を要しました理由といたしまして、一つには、この条約は政府のみならず私人をも拘束する内容を持ったものでございます。かつ、この対象といたしております生物剤は内容的に広範多岐にわたっております。したがいまして、このような生物剤のまず防止の面、さらには兵器への転用の面、これを国内的にどういうふうに規制していくかというきわめて複雑な問題が存在したことで、この点関係省庁と十分な検討を遂げさしていただく必要があったということでございます。 また、この条約が各国においてどのように運用されているかということもしさいに調べたいということがございまして、いろいろ各国事情も調査さしていただいていたということもございまして今日に至ったということでございます。御理解賜りたいと存じます。
○木島則夫君 限られた時間の中でありますから……。この細菌兵器とか生物兵器というようなものが最近使用されたり、あるいはどこかで事故が起こったりというような事例はあるんでしょうか。
○政府委員(門田省三君) 細菌あるいは生物兵器が使用されたという事実は承知いたしておりません。 ただ、お尋ねの後段にございました、何か細菌の関連での事故はなかったのかという点でございますが、二、三年前に報ぜられたところでは、ソ連のウラルの東方にございますスベルドロフスクというところで細菌が研究所から漏れて被害を及ぼしたんじゃないかというのがございました。ただ、この点につきましては、後刻ソ連当局の発表によりますと、これは牛の炭疽病であったということでございまして、果たしてこれが細菌兵器あるいは生物剤をつくっている、研究をしているということとかかわり合いがあったのかどうか、確かな証拠は私ども存じていないということでございます。
○木島則夫君 いまの局長の言葉をもうちょっと先に延ばしてまいりますと、いかに検証がむずかしいかとか、相手がどういう態度をとっているのか、どこでひそかにつくっているのかというような問題にもつながっていくわけでして、検証する方法がない。どこかでひそかにつくっている、もしつくっていたとするとまたそこで事故が起こったりする。そういった場合には後の祭りになってこれは大変なことになる。そういうことを防ぐ意味でもこの生物兵器禁止の条約があるはずだと、こういうふうに私は解釈をするのでありますけれども、検証がなかなかむずかしいところへもってきて、じゃ、あった場合どういう罰則があるのかという問題にもつながっていくのだけれども、これはどういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。
○政府委員(門田省三君) まずこの条約の規定上は、第五条に、問題が起きましたときには関係国の間で協議をする、問題の提起をする、話し合うということがございます。さらにそれに続いては、国連の安保理事会の役割りというものが定められているのでございますが、私どもの了解しております現状は、先ほど申し上げましたように、たとえば本件については、ソ連当局側の説明では、牛の炭疽病であったのだと、決してそういう細菌をつくっているのではないという説明でございましたが、それに対しましてアメリカの方では、引き続きさらに解明を求めるというふうな立場にあるものと理解しておりますが、これはひっきょうするところは、安保理にいく前の段階としての問題の提起、問題の検討あるいは協議といった段階にあるものかと、かように解しております。
○木島則夫君 これはなかなかむずかしい問題ですね。 それじゃ環境改変技術の軍事的使用禁止の問題に移っていきたいのですけれども、これは賛成が九十六カ国で反対が八カ国あって、棄権が三十カ国もあって、しかもこの反対、棄権をした国々というのは相当有力な国で、ここでもフランスがやっている、あるいはニュージーランドとかアルゼンチン、そういったところが棄権をしているというような事例がございます。この環境改変技術の軍事的使用というものに対してお尋ねをしたいんでありますけれども、なぜこんなにたくさんの反対があったり、それから棄権があったりしたのか。つまり裏を返せば、非常にむずかしいものだということの裏返しにつながると思うのでありますけれども、その辺をひとつ御説明をいただきたい。
○政府委員(門田省三君) 私どもの了解いたしておりますところでは、一つには条文で定めているところが必ずしも明確でないという点でございます。たとえば第一条の第一項に「広範な、長期的な又は深刻な効果をもたらす」というのがございますが、何が広範で、何が長期的で深刻であるかという基準がはっきりしないんではないかというようなこともございます。こういう条件をつけずに、条件なしに禁ずるということをしてはどうだと、そういう意見もございます。ただ、この案文は、米ソが合意をして出しましたいわば統一案のようなものでございまして、大勢はこの案文どおりでいくというようなこともございまして、そういうことでこの条約を結ぶべきという決議に必ずしも賛成しなかった。これは一例でございますけれども、そういう国々があったというふうに聞いております。
○木島則夫君 それではもう一つ、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約、ここへ進みたいと思うんですけれども、いままで伺ってきた生物兵器とかあるいは環境改変技術の軍事使用というものとどこか質的に私違うように思うんですね、その辺はどうなんでしょうか。何というんですか、戦争法規みたいな感じを私受けるんですけれども、そういう解釈は余りにも何というか、極端過ぎますでしょうか。
○政府委員(栗山尚一君) ただいまの木島先生の御指摘は、まさにそのとおりであろうと思います。この特定通常兵器の使用の禁止、制限に関する条約は、歴史的に申し上げれば、もともとは国際赤十字がイニシアチブをとったという経緯がございまして、それから国際赤十字の手を離れまして、スイス政府が主宰をいたしました国際人道法の再確認と発展に関する外交会議というところで、この種の特定通常兵器の使用の制限、禁止について条約をつくろう、こういう動きがございまして、しかしながらそこではついに合意に達することができませんで、さらに国連の場に討議が移りまして、最終的にただいま御審議をいただいております条約の形にまとまったというのが経緯でございまして、歴史的に見れば、木島先生御指摘のように、伝統的な言葉で言えば戦時国際法の一部をなしますいわゆる戦闘手段の規制、こういう性格を持った条約というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
○木島則夫君 この辺の関連につきましては衆議院で私どもの同僚委員からも触れておりますが、それをちょっとここで引用さしてもらいますと、わが国は一九四九年の八月十二日のジュネーブ諸条約、いわゆる四条約、これは加入しております。その後に昭和五十二年六月に採択されている追加議定書I、これは未締結ですね。この追加議定書というのは、ジュネーブ諸条約の作成後の軍事技術であるとかその発達、あるいは武力紛争の様態が非常に大きく変わってきている、そういうことに関連をして、諸条約、四つの条約の補完としてつくられたもののはずである。だからこれは非常に重要なはずなんだと。にもかかわらずこれが未締結であるということは片手落ちではないかということを言っておりますね。これはどうなんでしょうか。
○政府委員(栗山尚一君) ジュネーブ四条約を補足するものとしまして、いま先生御指摘の追加議定書というものが一九七七年にできたという経緯はそのとおりでございます。それから、その追加議定書に日本がいまだ入るに至ってないということもそのとおりでございます。 ただ政府といたしましては、この追加議定書はそれなりの意味があるとは考えておりますが、他方におきまして議定書の中身、これは本来的に言えば、いわゆるゲリラ戦争というものが戦後非常に多く武力紛争の一つの形態として存在するというようになりまして、そういうゲリラ戦の場合の戦時法規というものをどういうふうに補足強化していくかという観点からつくられた条約であるわけでありますけれども、非常にむずかしい議論を経て、いろいろ相対立する議論がありまして、妥協の産物としてできました条約でございまして、国際法学者あるいはいろいろな各国の政府におきましてもなかなか評価が分かれるところでございます。現に第一議定書につきましては、当事国になっている国が二十一にとどまっております。もう一つ議定書がありまして、第二議定書につきましては当事国が十九、しかも主要な軍事国と申しますか、そういう国も参加するに至っていない、そういう状況でございますのは先ほど私が申し上げましたような事情によるわけでございまして、そういう点も含めまして政府といたしましてはなお相当慎重にこの条約を検討いたさないと、入るべきであるかどうかという結論が出ないというふうに考えておりまして、なお各国の加入状況等も見きわめた上で政府の態度を最終的に決めたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○木島則夫君 この条約の中に、第六条「周知」というのがありますね、ございますね。「締約国は、武力紛争が生じているか生じていないかを問わず、自国において、できる限り広い範囲においてこの条約及び自国が拘束されるこの条約の附属議定書の周知を図ること並びに、特に、この条約及び当該附属議定書を自国の軍隊に周知させるため自国の軍隊の教育の課目にこの条約及び当該附属議定書についての学習を取り入れることを約束する。」というものがあるようですね。そうしますと、日本の自衛隊でもこういうことは周知徹底しているんですか。これは防衛庁が本当は所管なんだろうけれど、条約の問題だから外務省が知り得る範囲、お答えできる範囲でちょっと触れていただきたいんですけれど、これはどういう関係にあるんでしょうか、どういうことになるんでしょうか。
○政府委員(門田省三君) 自衛隊の関係についてお答え申し上げます。 自衛隊では本条約に関します教育の問題といたしまして幹部候補生課程、新隊員課程等において国際条約または一般教養の科目を課しております。その中で本条約の趣旨について教育を行うということで周知徹底を図っているというふうに私ども理解しております。
○木島則夫君 私は何も自衛隊の問題を出したからといって自国の戦争がどうのこうの、日本でどうこうすると、こういうことではないんで、たとえば捕虜虐待の問題であるとか難民条約の問題ともこれは関連してまいりますでしょう。そうですね。他国の戦争の問題においてすら日本が平和国家であるならばそれなりにそこらあたりを日本がどういうふうに承知をして対処していくか、こういうことを知っていないとやはりいけないと思っていま伺ったわけでありますけれど、どうなんでしょうか、その辺の確認をしておきたいと思います。
○政府委員(門田省三君) 仰せのとおりだと思います。この点は十分周知徹底しておくべき事柄だと思います。
○木島則夫君 以上で終わります。
○宇都宮徳馬君 外務大臣が見えておりませんが、官房長官を外務大臣と思って質問いたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。 鈴木総理が軍縮特別総会に近く出席されますね。そういうときの一つの手みやげという意味もあるんでしょうけれども、この条約が本日ここで委員会を通過する、そしてこれをひっ提げて向こうへ行かれるということは、この条約の意味の大小にかかわらず、これがやっぱり軍拡の方向でなく軍縮の方向、危険な兵器を禁止する方向、非常に結構なことだと思いますね。それで結局こういう条約が有効に作用するためには現在の、つまりこの平和のための国際組織である国連の特に安全保障理事会が有効に働かないとなかなかうまくいかぬということですね。現在、例のアルゼンチン・イギリス間の紛争なんか見ましても国連が十分に働き得ないような状況になっているわけですけれども、日本は戦後国連第一主義なんて言ったこともありますね。国連の機能強化を非常に重要視してきたわけですけれども、政府としては今度首相が出られるということも非常にいいことでありますけれども、現在の国連の状況についてどう考えられるか、国連の機能を日本政府として今後強化していくために、こういう条約なんか実際に有効であるためにも何か特別なお考えが現在あるかどうか承りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在の国連を政府としてはどう考え、評価しているかというお尋ねでございますが、国連が誕生いたしました当時理想として考えられてまいりましたような、いわゆる国連軍の創設というところまで国連が参っておりませんことは遺憾ながら事実でございます。したがいまして、集団安全保障というようなことがそれにかわって行われておるのが今日の世界の現状でございます。したがいまして、理想のとおりに国連は展開をいたしてはおりませんけれども、しかし、その国連ですらもし今日全くないということになれば、これはまたこれで非常にゆゆしいことであろうというふうに考えられます。わが国は、御承知のように国連中心主義ということで今日まで外交を進めてまいりました。またこれからもそうなければならないと思っておりますが、ただいま御指摘のようにたとえば安保理事会が今回のアルゼンチン・イギリスの紛争で十分機能していない、確かにこの紛争をここに至りますまでの間に平和的に解決し得なかったということはそのとおりでございますが、国連が全くなかった、安保理事会が全くなかったという場合を考えますと、これはまたこれで思い半ばに過ぐるところでございますから、不十分ではあったがある程度の機能はしておる、そしてまたこの段階でもう一遍国連に問題を返すかというような動きもございますことは宇都宮委員も御存じのとおりでございますから、まあこれが、まことに不十分ではあるが、しかし、なければまたこれも大変であったろうという、そういう率直に申しまして感想を持っております。 その国連の機能をそれならばどのようにして強化すべきか、政府はどう考えておるかというお尋ねで、これが第二段でございましたが、わが国としてはできるだけ国連の活動に財政的な支援をしてまいりたい。本来から申すならば、わが国のこれだけの財政的寄与から申せばもう少しいろいろな役割りも与えられてもいいぐらいに大きな寄与を財政的にはいたしておると思います。これは今後も続けてまいりたいと思います。 それから国連による事実の調査機能、ことに国連事務総長が特定の者を任命して事実関係がどうであるかというようなことについてもう一つ独立の立場から、独立と申しますか、やや自由な立場から事実関係の究明ができないのかというようなこと、あるいはそういう場合における事務総長の調査権限についての拒否権との関連、こういったものは少なくとももう少しは国連の独自の立場からの機能を与えられないものであろうかというようなことにつきましては、過去にも提言はいたしたこともございます。現在でも、わが国としては折に触れてそういうことを申しておるところでございまして、結論として申しますならば、まことに十分とは申しがたい、当初の理想とは遠うございますが、やはり国連というものは大事なところである。もう少し安保理事会の常任理事国の拒否権というものを、全部とはとても申せないことですが、事と次第によって自制をしてもらうことによって国連としての機能を強くできないだろうか、こういったようなことを考えております。
○宇都宮徳馬君 人類は、第一次大戦それから第二次大戦と、今世紀になりましてから二つの大戦を経験したわけですね。そして、結局この大戦は、要するに力によって国を守るとか、一国が武力によって利益を得るとかいうことはほとんどこれは実際上できない。だから、第一次大戦の後に国際連盟をつくった、第二次大戦の後に国際連合をつくったわけですね。力ではなく、やっぱり理性とそれから徳性といいますか、そういうものによって、話し合いによって平和を維持していくということが、これはもう今後の基本でなければならぬ、こういうわけで国際連盟ができ、これはまあ日本なんかは国際連盟を最初に脱退したりしたんですけれども、国際連合ができている。私は、今度は国会をしばらく休ませていただきまして、アメリカにちょっと十七、八日行ってきたんですが、多くの人たちに会いまして、そのときアメリカの政治家あるいは学者あるいは草の根運動家とか、いろいろな人に会いました。大体五十何人かに会いましたけれども、国会議員も十数人会いました。それで私が言ったのは、アメリカは日本に軍拡を要求しているけれども、日本人の平和主義というものをいいかげん甘く見ちゃ困るぞということを一つ申し上げたんですね。 それからもう一つは、アメリカ人は、第一次大戦、第二次大戦後の国際連盟とか国際連合とかいう機関を今後の平和維持機関としておつくりになった、イニシアチブをとったのはアメリカ人じゃないか、両方ともアメリカ人ですよ。それをいまあなた方は全然忘れかかっているじゃないか。それで日本に軍拡要請なんかしているのはおかしいじゃないかということで聞きました。そうしたら、たとえばマクナマラなんという人は、あの人はベトナム戦争のときの国防長官ですけれども、彼はこう言っていた。彼は慎重で非常に黙って聞いていましたけれども、最後に、やっぱり日本にアメリカが軍拡なんか求めるのは間違っている。むしろ日本には平和のための新しい構想を考えてもらって、それで積極的に動いてもらった方がいい、こういうことを言っていましたね。 具体的な数字としても、大体国連なら国連というものをアメリカは非常にいい意図でつくって、途中であきらめているようなことになっているけれども、大体国連がしっかり機能してくれなければ困ることは間違いないんで、そのためにその国連の予算を少し考えたらどうだということを言いました。たとえば、国連の全予算がトライデントの一隻分にもならない、おかしな話ですね、これは。それから日本の分担金が一億二千万ドルというとF15三機分にしかならない、おかしなことですね。 私は、国連の予算についてなかなか詳細な数字が得られないものですから、ひとつ国連局長、国連予算についてちょっと資料出してください。
○政府委員(門田省三君) 資料をお出しいたします。
○宇都宮徳馬君 現在大ざっぱな数字を言ってください。
○政府委員(門田省三君) 国連は二年度の予算を採用しておりますので、八二年、八三年の二年にわたる予算について申し上げます。 通常予算でございますが、全総額が十五億六百二十四万二千ドルということでございます。項目は十に分かれております。政策決定のための費用、政治安全保障のための費用あるいは経済社会、人道活動費、広報活動費等々ございます。
○宇都宮徳馬君 いずれにしても驚くほど少ないわけですね。とにかく世界の軍事費が総額少なくとも五千億ドルを超えている、こう言われているわけですね。それで、そういう軍事費が賄っているものは、たとえば広島に落とされた原爆の百万倍だなんて言われていますね。広島では十万人の人が即死したんですからね、だから百万倍というと一千億人算術的計算では殺せる能力をすでに持っている。それで軍拡、軍拡と言いながら、お金を使いながら戦後アメリカ人が、たとえばダンバートン・オークス会議なんてりっぱな会議を開いて理性と徳性によって平和を維持しようと思ってつくった、アメリカが中心になってつくった機関、これがいま言ったような予算案というのはまことにおかしいと思いますね。こういうことに対して日本はもっと積極的に主張すべきであると思いますが、外務大臣、どう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国としましては、事実問題といたしまして常任理事国のかなりの国よりはむしろわが国の方が多くの物を負担をしておるというのが事実ではないかと思います。これはそれだけわが国の国連への熱意をあらわすものでございますから、わが国としてとかく言われることはない、これはもう事実だろうと思いますが、いま御指摘の点は、結局国連というものがそれだけの費用に値する仕事をしていてくれると考えるか考えないかということにかなり帰着するのではないかと思っております。 わが国は国連中心主義ということで、このための費用はまあいわば何を後にしても負担しようという立場をずっととっておりまして、これは広く認められておるところだと思います。したがいまして、一つは国連がそれに値する機能をしているという評価をするかどうかという点、もう一つは、国連自身にも、やはり何と申しますか、行財政改革みたいな考え方が外からはございまして、職員がその給与にふさわしい仕事をしておるのか、ことにアメリカでございますが、一般の公務員とどういう関係になっているかというようなことがしばしば問題になっているように聞いております。
○宇都宮徳馬君 まあアメリカで、国連のつまり通常予算のうちの人件費なんかに対していろんな批判が出ていることは知っていますけれども、しかし、いずれにしても豆粒みたいな予算ですよね、その意味から言いますとね。日本は確かに世界で三番目の負担をしているわけです、一億二千万ドルぐらいやっていますね、そうですね。せいぜいこれは、先ほども申し上げましたけれども、F15三機分くらいじゃないですか。アメリカなんかとにかく二千億ドルを恐らく超えている軍事予算を出していて、国連の全予算がトライデント一隻分にも及ばない、半隻分にも及ばないくらい。そういう状況に対してやっぱりこれを変えていく。これは日本は実際言いますと、戦争はできません。だからそういう国家が、国際的な平和を維持するためにとにかく一番まず目をつけなきゃいかぬことは、やっぱり国連をどうやって強化するかということ、日本がたしか三番目に出しているんだからほかから非難される理由はないですけれども、むしろ日本が先導して国連予算を十倍にするぐらいなそういう計画を持って積極的に世界政治の中でやっていったらどうかというのが私の主張ですが、十倍にしたって百億ドルにならぬ、うっかりすると韓国の今度の借款要求と大差ないかもしらぬくらい。そういう重要な費用というものに対して、日本の平和主義はもうこれは絶対的なものですからね。それを維持し世界の平和を維持することなしには日本も生存できないんですから、その平和を維持するためにこんなけちなお金で、しかもなお一部では通常予算に対して行政改革が必要だなんて変なことが言われていますけれども、思い切った主張を私はなさったらどうかと思うんです、政府が。これはどう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに世界各国が軍事に使っております金額から申せば国連の経費というものはまことにわずかなもので、それは宇都宮委員の言われますとおりそのとおりだと思います。わが国などは、お認めいただきましたようにこれは一番大きな貢献を相対的にはしておる。したがって、国連がさらにふさわしい仕事をしてくれれば負担をすることはやぶさかではございません。問題はやはり国連がいましております機能についての評価、これが各国によってかなり異なっておるというところに一つ問題があるのではないか。ことにアメリカとの関係はそのように思われます。この点は両面からやはり考えていかなければならない問題ではないかと思っております。
○宇都宮徳馬君 アメリカ人がいままでの力による平和維持というものは結局は破滅的な戦争になるということから、第一次大戦、第二次大戦後につくった国連であることは間違いないんですね。アメリカというのは少し極していますからね。だからやはり友邦とが盟邦とか言う以上相当はっきりしたことを私は言っていいと思う。ソ連にまず言うべきだなんて話があるけれども、友達に話もできないでよそへ行って話したってよその方が聞きませんよ。だから友達にやっぱりしっかり話さなきゃいかぬと思うんですね。私どもは、平和に対する話し合いはアメリカの少なくとも国会議員の段階あるいは国会議員じゃなくても相当スケールの大きな政治経験者の段階で十分できる。日本に防衛力増強ばかり求めてきて、防衛力増強に応じないと日本は国際的な責任を果たさないなんていう議論というものはアメリカにおいては私はもはや古くなっているというふうに思いますけれども外務大臣、どう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は率直に申していろいろな意見があるというふうに私は受け取っております。いま宇都宮委員の言われましたような有力な意見もあることは承知しております。
○宇都宮徳馬君 アメリカの防衛圧力というものは具体的に言うとどういうものですか。
○政府委員(松田慶文君) 言うところの防衛圧力というものの実態は、これはなかなか定義しにくいものがございます。ただ私ども政府の立場から申し上げますと、日米安保条約の一方の締約国である米国が、わが国に対する武力攻撃に対しては防衛の責務を有しているわけでありまして、そのような条約上の義務を有する米国が日本の防衛力整備について関心を有するのはきわめて当然のことであると思います。したがって、わが国としてもこの防衛上の関係のある米国の考え方等についてはこれまた十分に理解し、協調する必要がある、私どもはこのような動きを圧力という言葉では表現いたしませんで、安保条約に結ばれた関係上の当然の相互調整の分野かと理解しております。
○宇都宮徳馬君 安保条約の話が出ましたけれども、これはもちろん安保ただ乗り論なんていう変な議論がありますけれども、こういうことはないですよね、実際言うと。相当日本も占領時代の実質的な権利をそのまま与えたりいろいろなことをしているのですからただ乗りなんていうことはもちろんないのだけれども、しかし安保条約という話が出ましたから私は一言申し上げたいのは、安保条約というのはやっぱり国連の機能というものを相当重視しているわけですね、安保条約自身が。安保条約の中に国連という言葉が幾つか出ています。特に安保条約の終了規定、古い安保条約においても新しい安保条約においてもその終了規定において、国連による集団安全保障のファンクションが日本の周辺に有効に成立した場合には安保条約はやめてもいいと、こういうことを言っているのですね。ですから、この安保条約の目的というものは結局国連による集団安全保障機能が日本の周辺に有効に成立するまでのものだと、こういうことなんですね。だから安保条約、安保条約と言うけれども、これはもう力によって何としても平和を守るんだ、場合によっては戦争するんだというものじゃなくて、とにかく国連の能力を高めながらその間無責任なそれこそ軍国主義勢力みたいなものがあってやってくるといかぬからアメリカと一緒に守ろうと。特に戦争直後にはアメリカが日本に武装解除をポツダム宣言によって求め、同時に平和主義、民主主義というものを日本に求めた。日本の平和主義というものは、私は三国が日本に求めたポツダム宣言、それを日本が受け入れた、受け入れたことは日本の彼らに対する約束でもあるし、同時に彼らの日本に対する約束でもあるわけです、日本の平和主義というものはね。ですから、そういう意味で国連による集団安全保障機能が日本の周辺に有効に成立する、そうしたら安保条約はなくなると。そういう意味のつまり防衛力とか武力とかそういうものを唯一の頼りとしている条約じゃないということだけはこれは明確に知っていなきゃいけませんね。何か軍事同盟みたいなもので、それでそういう同盟結んでいるのだからどうのこうのというようなそういう日独伊軍事同盟とかそれから日英同盟とかいうものと性質がもう根本的に違うということだけはよく知ってやりませんと、一時のアメリカの動きで軍事同盟みたいなものになってしまったり何かしたらやっぱりこれは日本の国益を私は損すると、こう思いますが、外務大臣どう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点はただいま宇都宮委員が御指摘になっておられますように、安保条約第十条ははっきりその認識を示しておるわけでございます。本来から申せば、国連が名実ともに国際の平和維持機能を持つということで国連憲章は考えられておるわけでございますけれども、残念ながら現実にそういうことになってまいらない。したがいまして、そこに至るまでの間、こういういわゆる個別的な集団安全保障と申しますか、そういうものが生まれておると、こういうこととして認識すべきだという、それはそのとおりだと考えております。
○宇都宮徳馬君 つまり、安保条約自身も国連の役割りが日本の周辺で有効に成立することを求めているわけですからね。だから、安保条約と国連第一主義というものは絶対的に対立するもので、片方は空疎な平和主義で片方は現実的な防衛論だというふうに、安保条約を見る限りはこれは分けて考えられない問題であると思います。これは日本政府はよく認識していなきゃならぬと思うんですが、どう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国連憲章並びにいわゆる国連中心主義のわが国の外交政策と安保条約というものは、もちろん矛盾せざるのみならず一つの方向を指向しているものである、政府はその点、従来からそのように考えております。
○宇都宮徳馬君 私はやっぱり、いわゆる古い意味の同盟国として現在の国際情勢——国際情勢というのは常に危機的なものですけれども、一時的な、過渡的な状況によって日本の平和主義、あるいは安保条約自身の持つ国連第一主義みたいなものを否定するような、そういう方向に日本の国政をもし導くというのなら、これは私はアメリカは非常によくないことをするというふうに思います。そういう点はやっぱり日本の外交をアメリカにはっきり主張すべきであると私は思います。 そういうこととの関連において、先ほどから国連強化に対して、日本はもっと積極的に動くべきである。一体、大体今年度予算でF15は幾つ買うことになったのです。だれでもいいですよ、答えてください。
○政府委員(松田慶文君) 手持ちの資料でございますが、現年度、昭和五十七年度防衛庁予算の中におきまする航空機の部分では、F15は二十三機調達予定と承知しております。
○宇都宮徳馬君 二十三機というのですが、その三機分しか国連に出していないんですからね。私はやっぱり、世界の政治の中にあるそういう非常識というものを日本あたりがはっきり訂正していかなければ、国連第一主義なんと言って、安保条約にも国連の安全保障機能の日本周辺における成立を期待しながら、F15を二十三今度は買うと言う。その三機分しか国連に一年に出していない。おかしいと思いませんか、これ。二十の半端だけ出している。二十三機分の三機分だけ出しているんですね。おかしいと思いませんか。非常識と思いませんか。どうですか、外務大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げておることを繰り返すようでございますが、わが国としては、国連がさらにその期待されている機能を果たすことによって、その結果もっともっと費用を必要とする、わが国としては喜んでそれに応じると、そういう状況であることを願っておりますことは、もう先ほど申し上げたとおりでございます。
○宇都宮徳馬君 私の申し上げているのは、要するにあなたのさっきおっしゃったことに不満だからもう少しはっきり答えてくれと、こういうわけですけれどもね。やっぱり国連強化なんかに対してもっと積極的に日本は寄与するぞということをアメリカあたりと協議したらどうですかね、予算面だけでも。おかしいですよ、いまの。国連が演ずべき国際的役割りと、現実に国連に出資をしている予算、おかしいですよ。もちろん国連の中にむだがあるとかなんとか言うのもこれはおかしいです、そういうことを言うのも。むだがあるとかないとか、この機能の重要な役割りから言えばほとんど意味をなさないお金ですからね、小さい。ここら辺は政府が少ししっかりしてもらいたいと思う。 それから軍備コントロール、軍縮というものはこれからいよいよ重大になってきますから、外務省の国連局の充実、あるいは軍縮課の充実等も考えていただきたいと私は思います。これはどう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはちょっとただいまの私の立場からお答えいたしにくうございますから、櫻内外務大臣が帰られましたら、そのような御発言のありましたことを伝えさせていただきます。
○宇都宮徳馬君 国務大臣、政治家として答えていただいてもちっとも差し支えないと思うけれどね。まあしかし、あなたは慎重だからお答えにならなくてもいいです。大した問題じゃないですよ、答えても。 時間がまだありますか。
○委員長(稲嶺一郎君) もう二、三分しかありませんからひとつまとめてください。
○宇都宮徳馬君 ああそうですか。 それでは最後に一言だけお聞きしたいんだけれども、私は今度はアメリカへ行きましてザブロッキという下院の外交委員長に会いました。それからロスというレーガンさんの非常に親しい上院の財務委員長にも会いました。この人たちは私の意見に反駁しません。いま言ったような意見に反駁しないです。日本の平和主義をなめられちゃ困るということで反駁しませんが、この人が特に聞いたのは中国問題について、一体台湾問題に対して中国はどう出るだろうかというようなことを二人とも非常に心配しておられました。これはいま米中両国の間でなかなかシリアスな問題になっていると思う。解決の方向に向かっていると思いますが、この問題に対して日本の外交はある程度の発言をしなきゃいかぬ。これはやっぱり日本の安全とも非常に関係しますしね。日米安保条約が存在しても、中国がソ連と軍事的一枚岩を回復するような状況になったら、これはもう本当は日本の防衛なんというのは初めから成立しない。そういう意味でアメリカも台湾問題を重視していまいろいろやっているようです、武器輸出に関連して。現在、このアメリカと中国との台湾の武器輸出問題に絡まるこういう問題に対してどういうお考えか、ちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたび中国の趙紫陽首相が来日をされまして、この問題につきまして鈴木首相との間で会談の中で取り上げられたことは事実でございます。趙紫陽首相のお話によりますと、先般米国のブッシュ副大統領が北京を訪問されて、この問題について自分との間でも会談が行われた。しかし、結論を得るに至らなかった。ただ、自分としてはこの会談は有益なものであったというふうに考えておる、こういうお話でございました。この問題につきましては、わが国は米中間で忍耐強く話し合いを続けられることによって満足すべき解決が得られることを希望をしております。もともとよその二国間のことでございますから、わが国として要らざる口出しをすべき問題ではございませんけれども、忍耐強く話し合いを続けられることで解決を得られることを期待しておるということは、すでにいろいろな機会に両国に伝えてございまして、そのわが国の立場は両国からアプリシエートされておる、こういうふうに承知をしております。
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、四案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(稲嶺一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十五分散会 —————・—————