外務委員会 第2号
- 発言数
- 222 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/03/30
会議録
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内外務大臣。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。 改正の第一は、在外公館の設置関係であります。今回新たに設置しようとするのは、大使館一館であります。これは、東欧のアルバニア人民社会主義共和国に設置するものであり、他の国に駐在するわが方大使をして兼轄させるものであります。昨年三月わが国は同国と外交関係を設定したものであります。 改正の第二は、現在米国にある在アンカレッジ領事館を総領事館に昇格させるものであります。 改正の第三は、これらの在外公館に勤務する在外職員の在勤基本手当の額を定めるものであります。 改正の第四は、最近の為替相場の変動、物価上昇等を勘案して既設の在外公館に勤務する在外職員の在勤基本手当の額を改定するものであります。 最後の改正点は、研修員手当の額を改定するものであります。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(稲嶺一郎君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○松前達郎君 最初に、ただいまの在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の云々という、これに関連して二、三お伺いしたいことがあるのですが、まず最初はアルバニア国なんですが、これはつい最近というか、数年前までは外交関係がほとんど持たれていない、特にその周辺の東欧諸国との間にも比較的何というかベールに包まれたような感じの国だったように記憶をいたしているんですけれども、このアルバニアの最近の外交関係について特に何か指摘することありましたら、その展開等について御説明いただければと思います。
○政府委員(加藤吉弥君) アルバニアは非常に特殊な外交政策をとっておりまして、外交関係につきましてもごくわずかな国、たとえば中国とか近隣諸国、フランスとか、そういう国としか外交関係を持っていないことは先生御指摘のとおりでございます。また中国とは外交関係を持ってはおりますが、一九七六年以降関係が非常に希薄になっております。一九七六年にアルバニアは新しい憲法を採択いたしまして、その中で諸外国との経済関係等につきまして、外国からの援助は一切受けないというような非常に変わった規定を設けております。こういう点から考えまして、アルバニアは非常に特異な国であるということは申せると思います。
○松前達郎君 これは、アルバニアに関しては、いまちょっとお伺いしたら、ごく特定の国々との間の外交関係ということ、そういうことだというふうにおっしゃったわけですけれども、東欧圏の中でのアルバニアの各国との関係というのはどういう関係にあるか、それをちょっと説明していただきたい。
○政府委員(加藤吉弥君) 東欧圏の中ではユーゴスラビアとはたしか関係を持っていると思います。詳しいことはいますぐ調べて、後ほど御説明さしていただきます。
○松前達郎君 いま設置しようとする大使館、この大使館の規模というのは一体どの程度のものを設置しようと考えておられるのか。
○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。 実はこの法律によりましてアルバニアに大使館を設置するわけでございますけれども、当面実館を設置することは考えておりません。現在のところ、近隣の他の公館の一つが在アルバニア大使館を兼任するということに当面考えております。
○松前達郎君 そうすると、一切事務所その他の建物等は準備しないということですか。
○政府委員(伊達宗起君) そういうことでございます。
○松前達郎君 そうすると、その他の国と兼務というか、兼担みたいなかっこうになりますけれども、その場合の兼担する国はどこか、まだ決まってないですか。
○政府委員(伊達宗起君) ただいまのところ在ユーゴスラビアのわが国大使が在アルバニア大使も兼任することとなると思います。
○松前達郎君 それから今度は給与の方なんですが、これは正式にはどういうふうに呼んでいいのかわかりませんが、外地手当みたいな感じで、国内における給与にプラスして外国に勤務する者については支給をするということになっておると思いますが、この国内の給与にプラスする特別のものについて、これは名称は何というのですか、また、そのものについての金額等の決定方法ですね、それから円建てで払うというふうに伺ったのですが、その辺になりますと、今度は円の為替相場の変動がありますから、大きく変動しなければいいんですが、その辺の問題、こういう問題についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(伊達宗起君) 在外公館に勤務する外務公務員に対する給与といたしましては、在勤基本手当という給与と申しますか、手当がございます。その次に住居手当、子女教育手当、研修員手当というような各種の手当がございまして、これも地域ごとにそれぞれ在勤基本手当と同様に、地域の事情を勘案いたしまして決められているところでございます。そしてこの決め方と申しますか、そういうものはその土地における物価の状況、全般的な住宅状況、それから物資の調達の難易度、そういうものを勘案いたしまして決めているわけでございますが、確かに先生もおっしゃいましたように、為替の変動というものは常に流動的でございます。最近、特にインフレ傾向の激しいような地域もございますので、やはりこの為替の変動と物価の騰貴に見合いました改定を、実情に少しでも合うように頻繁に改定していくということが必要になっているわけでございまして、今回の御審議をお願いしている改定もそのような趣旨からお願いしているわけでございます。
○松前達郎君 これはそうすると、たとえば変動が非常に激しい場合、どの程度変動したらこういうふうに対応していくのかということですね。そういう何かある程度の取り決めというか、一つのデータがあるわけですか。
○政府委員(伊達宗起君) 変動する場合、どのように為替が変動し、どのようにインフレが進行した場合に改定するかという客観的なめどというものは大変むずかしい問題でございまして、やはりそのときにおける為替の、各地におきます為替の変動率並びにインフレ率というものを勘案しまして、公平ということを旨といたしまして、またさらには、所要の必要とされる財源というものとのにらみ合わせにおいて改定していくという方法をとっているわけでございます。
○松前達郎君 それでは、先ほどの東欧圏との問題はどうですか。
○政府委員(加藤吉弥君) アルバニアの外交関係でございますが、現在、世界の大体九十カ国との間に外交関係を有しております。外交関係を持っていない主な国といたしましては、アメリカ、ソ連、英国及び西独でございます。東欧諸国とは外交関係はすべて維持しております。ただ、現実に大使が在勤している地域は少なくて、大体臨時代理大使のレベルで外交使節を交換している、かような状況でございます。
○松前達郎君 了解しました。 それでは次に移りますが、前にも私この委員会で申し上げたと思うんですが、在外公館とわが国との間の情報交換に関する連絡方法ですね。たとえばポーランドのときにも、ある程度重要な情・報を入手したいんだけれども、それがなかなか入手できない状況がしばらく続いたということがありましたけれども、情報連絡方法というものについての何らかの改善方法をとっておきませんと、情報を入手するというのは非常にこれは外交上も重要な一番基礎になる問題だと思うわけですが、そういうことで、この前もこの委員会で私が質問したと記憶しております。その後改善方法について何らかの検討をされたのかどうか、それについてお伺い申し上げます。
○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。 おっしゃいますように通信連絡と申しますものは、在外公館の、または本省の情報の伝達という点から非常に重要なものでございまして、私どもも常日ごろこの増強に意を用いているわけでございます。現在、本省と在外公館との間には専用電信回線と、もう一つはテレックスという二つの方法によって行われているのでございますが、先ほど先生も例に挙げられましたポーランドのような非常事態が生じました場合には、回線途絶のおそれがございますので、そのような場合に、緊急通信のために無線機をぜひ設置したいというふうに考えております。今国会に別途提出しております電波法改正というものが実現しました暁には、予算上の問題やまた各公館の立地条件その他の問題もございますけれども、しかし、逐次在外公館無線網の整備を進めてまいりたいと思っております。
○松前達郎君 いまおっしゃったとおりだと私も思うんですけれども、有線の回線というのが比較的簡単に切断をされてしまう。ですから、テレックスなどというのはこれはもう一般のだれでも使う回線ですから、電話と同じようにこれがとだえるのは当然で、まず最初に、恐らく問題が起きたらそれを切ると思うんです、どこの国でも。そういう意味でやはり電波を使うということの方がいいんじゃないか。これが、電波を使うということはだれでもまた情報をキャッチできるという、そういう逆の面もありますけれども、キャッチされても全然入ってこないよりはいいわけですから、そういう意味でこの前も私そういうことを申し上げたと思うんですが、ぜひ、全部にとは言いませんけれども、そういうことが予測をされるような在外公館に無線局を設置をする、こういうことで、連絡方法その他は暗号を使うとかいろいろあるかもしれませんが、それはそれにして、これは積極的にやっていきませんと、非常にこれから変動の激しい世界情勢の中で日本だけが情報的に置き去りになっていく可能性もある。大体いままでもすでに情報収集については、いろんな例で見ますと、日本の場合非常におくれているような感じがするわけです。ですから、それをひとつ、大幅な改善がこの手だてをすることによってできればというふうに思っておるわけなんです。 それで、電波法を改正しなければこれが国内的にはできないわけですね。日本にある外国の大使館あるいはその他の公館では、もう無数にアンテナを上げていますね、いま。これは恐らく彼ら自身として通信をやっているんだと思うんです。ただ、これは立ち入り権がないわけですから、それを確認するわけにいかない。そういうことで恐らくもぐりでやっているところもあるんじゃないかと私は思うんですけれども、その点の情報はありますか。
○政府委員(伊達宗起君) いま松前委員がおっしゃいましたように、若干の公館で無線通信をやっているのではないかと思われるアンテナでございますとか、送信塔のようなものが散見されるところがあるわけでございますけれども、残念ながら立ち入り権もございませんので、特に私どもとして確証を握っているというわけではないわけでございます。しかし、今度の改正によりまして電波法が、外国の公館にも相互主義を条件に許すということになりますれば、わが方も大っぴらに、その当該国の領域においてわれわれの外務省のための無線通信を行うことができることになるわけでございますので、ぜひともこの国会において電波法の改正を御承認いただきたいと考えているところでございます。
○松前達郎君 それから、今度は大臣にお伺いいたしたいのですが、最近核軍縮に関する問題が非常に世界的に、大衆運動も含めて広がりつつあるわけなんで、これは非常に当然のことだと私は思うんですけれども、この核軍縮の大衆運動も含めたそういう運動に対して、いろいろと一部ではこれにある程度の制約をしなければいけないという議論もある。特定の国だけを相手にするのは決してよくないというふうな議論もある。いろいろいまそのリアクションが多少出てきつつあるような気もいたしますが、こういったもろもろの運動に関する、あるいは国際会議その他も含めて、こういう活動に対するわが国の対応、さらに今後いろいろとこういうチャンスが、たとえば国連の場においてもあるでしょうし、いろいろあると思いますが、これらに対しての今後のわが国としての外交的な努力、これについて外務大臣はどういうふうにお考えになり、また今後の推進をどう図られようとしているのか、それについてお伺いいたします。
○国務大臣(櫻内義雄君) 最近の国際情勢を見ておりますと、非常に厳しさが見られるわけであります。鈴木総理も施政方針の演説の中で、東西陣営が競って軍備競争をする、そういうようなことになっては人類の幸せを望むことはできない、こういう御見解も言われておるわけでありますが、一方におきまして、現実的には遺憾ながら力の均衡ということが平和の安定を支えておるという、そういう状況にあると思うのであります。そういうことになりますと、その均衡の維持に努めなければならない。しかし、この均衡ということについては、昨年のオタワ・サミットでも先進国の中で同意ができておりますように、でき得る限り低いレベルで保つべきである。現在、核戦力について大変問題があるわけでありますが、しかし、米ソ間でも御承知のような対話は行われておるわけでありますから、ぜひとも低いレベルの均衡に持っていってもらいたい、こういう背景の中に反核運動、そういうようなものが国際的にも広がりつつあるわけでございますから、それはそれなりに評価しながら、ただいま申し上げたような、特に両大国の間の核軍縮が進んで、力の均衡が低いレベルで行われるということを期待してやまないわけであります。また、わが国が軍縮総会に臨むに当たりましては、被爆国の日本として核軍縮を中心とする軍縮の達成に努力をする、現在こういう立場をとっております。
○松前達郎君 核のバランス、戦略的にいったバランスの問題もあるのですけれども、片っ方がよけいにやるからといって、またこっちがそれに対抗してふやしていくというシーソー的なふやし方がどんどんと続いてきたのが今日までの状況だと思うんです。ですから、バランスを保つということは、結論としては確かに一つの抑止策としての方法かもしれませんけれども、そのバランスの保ち方に至る方法論的な問題からいえば、バランスを保つためにどんどんふやしていくのか、あるいは減らしながらバランスを保つのか。この減らす方が軍縮の問題だと思うわけですから、ふやしてバランスを保つということで努力をするというのは、ちょっと私は方向としてはおかしいんじゃないかと思う。やはり軍縮の方向でバランスを保っていく。これがなかなかうまくいかないわけですね。たとえば、西ドイツあたりが非常に努力をしながら米ソの間の戦域核を含めたバランスの問題にかみ込んで外交的手腕を発揮してきたと、こういうふうなことはある程度私は評価していいんじゃないかと思うんです。そういう意味も含めて、今後わが国として国連の軍縮総会で演説しただけじゃこれは何も軍縮になりはしませんから、それは意思の発表というだけにすぎない。やはり何らかの外交的なアクティビティーをわれわれとして発揮するべき時期が来つつあるだろうと思うので、そのアクティビティーについて外務大臣は何か御抱負がおありなのかどうかそれをお伺いしたがったわけなんですが、ひとつお願いします。
○国務大臣(櫻内義雄君) おっしゃるとおりで、核の均衡ということがエスカレートしたのではこれはゆゆしいことである。いま核は一体どういう状況かと米側の所見をもっていたしますと、デタントと言いながら核の増強に努めて、欧州においては三対一であるというようなことも言われておって、これでは困るのだという現実を注視しての意見があるわけでございますが、松前委員のおっしゃるように核の軍拡競争のようなことになってはいけないのでありますから、日本としては、先般のソ連との間の高級実務者レベルの協議の際にこの核の問題を取り上げて、エスカレートしないようにと、また対米関係についても現実の核の大きな格差ということがございますけれども、核の競争にならないようにということは機会あるごとに申しておるわけでありますが、同時に、先ほどから申し上げるように、米ソ二大国の間の核の削減についての交渉というものが現に行われておるし、また、引き続いてSTARTのような場合これも話し合おうと、こういうことでありますから、そういう機会ができるだけ持たれ、そしてその成果が上がるように、側面から日本を初めとして世界各国がその努力をする、いわば国際世論の中で核の削減を効果があらわれるようにやっていく、こういう必要があるのではないか、そのたゆまざる努力を続ける、こういうことだと思います。
○松前達郎君 これから外交の問題にどうしても必ず顔を出してくるのが核の問題だと思うんですね。たとえば核といってもいろいろな利用法があって、原子力発電などに使う平和利用と称しているやり方、使い方もある。たとえばその廃棄物を太平洋に捨てようとしている。これに対してミクロネシアが一昨年ですか反対をしてきた。今度はまたさらに環太平洋諸国代表会議というもので、この廃棄物の海洋投棄並びに陸上貯蔵については阻止をするんだという採決をやっていますね。これは平和利用という分野かもしれません。 しかし、それと同時に戦略的な方の、それと全く逆な利用法の一部として核弾頭というものがあるわけですが、一九八三年ですからもうあと一年、来年あるいは再来年ごろですね、恐らくヨーロッパでいま起こっている戦域核の配備と同じようなことがわが国の周辺に起こってくるんじゃないかと予測をされているわけです。まあこれは何年になるかはっきりしませんが、たとえば一九八三年から四年にはいわゆる中距離ミサイル、巡航ミサイル、こういうものがわが国の周辺に配備される可能性が出てきている。これは核をつけるとかつけないとかいうのはここでは議論しないことにいたしますが、そういった可能性、核をつけることができるミサイルですね、これを配備すると、これはロング司令官もそういうことをちらほら言っているわけですが、極東にそういうものが配備されるとなれば、今度やはりSS20とか、そういうものも含めた中距離、いわゆる戦域核のバランスの問題が出てきてしまって、これは全く現在ヨーロッパで起こっているような問題と同じような状況にわが国もなっていくのじゃなかろうか、こういうふうに私思うわけなんです。そのとき一体日本として何をやるのか。どういうふうに配備等についてお互いの間に入って、ちょうどブラントとシュミットがやったような努力をするのかどうか。そういうふうな問題がやはり外交というもののアクティビティーだと私は思っておるわけなんです。そういう意味も含めて、戦域核配備について現在外務省で情報をつかんでいるのかどうか。これについてちょっとお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(淺尾新一郎君) 他の委員会でも御答弁しておりますけれども、アメリカが核弾頭をつけたクルーズミサイル、これを攻撃型の原子力潜水艦に配備するのは一九八四年以降でございます。それをどこに具体的に配備するかということはまだ決まっていないというのが現状でございます。先ほど松前委員が八三年というふうに言われましたけれども、通常型のミサイルについては、ことしあるいは来年から逐次配備していく、こういうことでございます。
○松前達郎君 そこで、いろいろな問題がこれに派生して、さっき私は弾頭が通常弾頭か核弾頭かという問題が大きな問題となるということを申し上げたのですけれども、これはどっちの弾頭でもつけることができるわけですから、核弾頭をつけようと思えばそれはすぐつくわけですね。ですけれども、それはそれとしていわゆるクルージングミサイルの配備というもの、これについてはもうすでに配備するということはある程度はっきりしてきている、こういうことですから、こうなると当然その次の段階としては、一体じゃ、弾頭に何を使うのかという問題が当然出てくるんじゃないかと思うんです。そうなると、やはりまた関連して日米安保条約に基づく事前協議問題とか、そういうものがやはりどうしてもここで出てくるわけなんで、これもまた何だかおかしなかっこうになっております。アメリカは核の存在を明確にしない、日本では、明確にしないから事前協議の対象としない。申し入れてこない、申し入れてこないということは核を持ち込んでないと確信すると、こういうふうな論理になっているわけですね。しかし、これも恐らくこんなことじゃとても話にならないので、やはり日米安保条約を改定しようじゃないかという動きが最近どうやら出てきつつあるように私は見ているわけですが、日米安保条約の改定などの一連の動きについて、外務省としてどういう見解をお持ちなのか、これをちょっとお伺いしたいんです。
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいま松前委員が言及されました日米安保条約の改定の動き、これはアメリカとそれから日本と二つにあるわけでございます。ただ、第一に明確にしておくべきなのは、日米両政府当局ともこの安保条約を改定する意向は全然ないということでございます。 アメリカ側として議員さんの一部に、現在の日米安保条約はアメリカ側が日本を防衛する義務を負っているけれども、日本はアメリカを防衛する義務を負っていない、したがってそれをNATO型の双務的な安保条約に改定しようという意見がございまして、先般もアメリカの議会で論議があったわけでございます。他方、日本の国内においては百人委員会というのができまして、日米安保条約を双務的なものにしょう、こういう動きがある、それが現状でございます。
○松前達郎君 その辺が恐らく来年あたり煮詰まってきて、それぞれの動きが出てきて、そういうふうなことでいまの外務省としては安保改定する意思はないし、アメリカともその点は合意をしているということですね。ですからそれはそれで当分いいかと思いますが、将来恐らく核の問題が当然出てくるので、そのときにまたどういうふうに取り扱うか、これをどういうふうに対応していくかという問題があるいは出てくるんじゃないか、これは心配をしているわけなんですけれども、そういう意味でちょっとお伺いをいたしたわけです。 それからちょっと通告してなかったのですが、日中外交協議が行われるという報道があるわけなんですが、その中でタシケントでブレジネフが演説した中ソ関係修復の呼びかけですね。これに対して中国が留意をするという発言というか、報道があるわけですが、これはある意味で言うと、私は前から思っているのですが、中国とソビエトが非常に間に壁があって外交的にうまくいっていない、ですからと言ってわれわれは喜んでいるというふうな、そういうふうな状況で日本の外交態度を私は見ていたわけなんですが、私はそんなものじゃなくて、中ソというのは本来同じようなイデオロギーを持っている国なんだから、当然どこかでこれが国交といいますか、外交関係が修復するというのは時間の問題だと思っていたわけなんですが、どうやらそれがあらわれてきたような気がするわけです。ですから、中ソのいわゆる外交関係あるいは経済等の交流を含めた関係が修復されていくだろう、これはもう火を見るより明らかであろうと思うのですが、そのときに日中外交協議というのが行われていくということになるわけなんで、これに政府として、外務省としてはどういうふうに臨んでいくのか、それを最後にお伺いしたいと思います。
○説明員(秋山光路君) まずブレジネフ書記長の提案に関します中国側の反応というものは、まず外交部のスポークスマンが二十六日に発表しております三つのポイントがあります。これはまずブレジネフ演説の内容について留意するということ。それからその演説の中で、中国の批判なり非難攻撃をしたことに対しては断固拒否をする。それから実際に重要なのはソ連の実際的な行動であるというふうな報道が行われました。中ソの関係につきましてはいわば第三国間の問題でありますが、委員御指摘のとおり、中ソの関係の動向というものはわが国のみならず、極東全体に非常な影響を及ぼすということもございますので、われわれとしてはこれを注視している次第でありますが、現時点において、中ソの関係が抜本的に改善されるというふうな徴候はわれわれはまだ持っておりません。 それから、日中の事務レベルの会議でどうするかという問題でございますが、これは私ちょっと守備範囲外でございますので、恐らくこの問題は話し合いの中で当然触れられるかと存じております。
○松前達郎君 いまの問題ですが、中ソの関係というのがわが国にとって現在の状況の中では非常に重要である、これはわかります。しかし外交的に見ると、その中ソの関係というのを踏まえながら日米、日ソの関係というもの、あるいは中国と台湾の関係がいまちょっとまたこれは何かソフトボールか何かのあれがあって多少おかしくなりつつある。これはアメリカの影響もあると思います、武器の問題があると思いますから。こういうふうな常に変動している極東の外交情勢、これをたとえば中ソの外国同士の話だから関係ないというので知らぬ顔をするのじゃなくて、やはり当然やっておられると思いますが、これについても、かみ込む必要はありませんが、かみ込むと同等のやはり予測なり情報なり、あるいは先行きの展望をしておく必要があるんじゃないか、これはちょっと微妙なところですから、なかなかこういうところでばっちりとその結論を出すわけにいかないわけですけれども、そういったような一つの分析が必要なんだろう、かようにいま思っているわけなんですけれども、そういう意味も含めてちょっとお伺いしてみたのですが、ちょうど日中外交協議が行われるやさきですから、その辺の対応、これについてはひとつ十分展望を持った上での対応をしていただきたい。これを要望しておきたいと思います。
○戸叶武君 きょうは、桜がいつもの年よりも早く咲いたので日米ともに大分あわてているようでありますが、結構なことと思います。 櫻内外務大臣は、姓が桜にゆかりのある櫻内で、アメリカの日米協会の席上においても、私の姓は櫻内で桜に囲まれているという意味を述べておられます。桜の花も花ですが、桜の心をどういうふうに櫻内さんは受けとめておるか、やはりその辺から私はお伺いしたいと思います。 私は、日本の桜の名歌としては本居宣長先生の「敷島の大和心を人間はば 朝日に匂ふ山桜花」、これが一番桜の心を歌った名歌と思います。また、いまのようなあらしの時代に日本のデモクラシーの父、尾崎行雄さんは「花の下手綱緩めてめで行けば 世の波風もあらじとぞ思ふ」というふうに歌っております。これもりっぱです。大正の官僚、軍閥の専制政治の間違いを打破するために尾崎さんは護憲運動の先駆者となりました。大正デモクラシーの父は、次いで大正十年のワシントンの軍縮会議が、名前は軍縮会議だが事実上、米、英、独、伊、日本等の列強の軍拡会議に終わったような状態を非常に残念がりまして、その軍縮実現のために再び晩年立ってあらしの中で、この風流心を持ちながらも毅然として平和のために闘い抜いた方であります。 櫻内さんも、桜は内に咲いているか外に咲いているかわかりませんが、やっぱり内外に通じさせるのには尾崎行雄さんの持ったような、このような貫く精神がなければいまの日本の外務大臣としてはふさわしくないと思いますが、持っていかんとしていらっしゃるのか承ります。
○国務大臣(櫻内義雄君) 戸叶委員からただいま一、二の例を引いての御激励のお言葉と受けとめたわけでございますが、最近よく日米貿易摩擦というようなことが言われるわけであります。あるいは日米間がぎくしゃくしておるということで、そういう中での私の訪米でございましたから、最初から角突き合わしたりぎくしゃくしておったのでは円満な話もできないんじゃないか、ちょうど戸叶委員御承知のようにポトマック河畔のアメリカの恒例の桜祭りも近づいておって、その準備も大体整っているところにワシントン入りいたしましたから、そこで私の姓名をうまく使って、日米協会での演説とかあるいはその他の場合でもこれからの日米間、桜の花の咲くようにいこうじゃないですかというようなことも申し上げながらまいりましたが、要は、初めからお互いにらみ合った姿勢でもこれは話にならない。何とか空気を緩和して、よく腹蔵のない話をするのが現下の日米外交の上で必要だと、こういうことで臨んだという次第でございます。
○戸叶武君 そのねらいはまことに結構だと思いますが、それが相手に通じたか通じないかが問題であります。 私はアメリカを六回ほど訪ねており、特に昭和二十八年以来続けざまにオックスフォード・ムーブメントをやって、軍縮会議に失望した後において、軍備の武装でなく人間の心の構えが大切だというオックスフォード・ムーブメントの生き残りの方々の要請を受けてシヨラム・ホテルで演説したこともありますが、櫻内さんはポトマックの桜だけでなく、日米関係にも春をもたらすことを熱望するという意味のことを新聞記者会見でも語っております。その意図はよいですけれども、どうも今度国連の軍縮会議が行われるのに対して日本が毅然とした態度で、平和を求める春のうららな気持ちを持って日本がその席に臨むかどうか、春がすみがかかってさっぱりわからないので、その辺のかすみの中の心をひとつお問いしたいと思いますが、これは公害の関係でよく見えないといえばそれまでですけれども、そのところをひとつ率直に私はお尋ねしたい。そうでないと、日本人はどっちを向いて走っているのかわからない、どっちが表でどっちが裏か腹かわからないといいますから、その腹の方もちょっと示してもらいたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の第二回特別軍縮総会に臨むに当たりましては、日本がいち早く鈴木総理が出席をすると、各国首脳の中で出席を現時点ではっきり明確に打ち出しておるのはまだ日本だけではないかと思うのでありますが、これに対して最近、西独のシュミットさんあるいはイギリスのサッチャーさんもお出かけになるようだという情報が入りつつありますけれども、率先して、被爆国日本の総理として軍縮総会に出るのだと、こういう意気込みを示しておるわけでございます。また、かねて来この軍縮総会に臨むにつきましては、核軍縮あるいは核不拡散体制、これを確立する、あるいは化学兵器の禁止をしたいのだと、具体的にもいろいろ提起を申し上げておるわけでございます。 戸叶委員が桜もかすみの向こうではと、こういうお話でございますが、国際情勢はこういうむずかしいときでありますからそういうかすみもかかる、その桜のかすみは風情があってよろしいんですが、国際間でそういうかすみがかかることは余り芳しくないと思いますが、しかし、外交はそう単純でないということは私もかねがね承知しておるところでございまして、そういうような中で、どのように日本の主張を貫いていくかということがこれからの問題だと思います。
○戸叶武君 なかなか味のある答えですが、それだからといって、明るさとオープンな態度で話し合ってお互いに理解し合わなけりゃならない外交において、日本人もわからない、外国人もさっぱりわからない、腹を探ってみてもしっぽをなでてみてもわからないという日本の外交の複雑奇怪な形相というものは日本流の外交かもしれませんが、やはり光を求め平和を求める世界の外交の中において、私は非常に時代おくれな面を今後露呈するときが来るんじゃないかというのが心配です。 鈴木さんはシャープでないと言うが、なかなか冷徹でくせ者です、くせ者というのはいい意味で。やはり本当の腹は言わないけれども、やることは信念を貫くようです。 それからあなたも、自民党の中にいては、ほかの人がいままで飛び込まないようなベトナムにもあるいは中東にも、発火するような地帯には必ず櫻内さんは突っ込んでいる。その点では私は、非常に温厚なように見えるが、危機の、問題のポイントはどこにあるかということを模索し続けている人だと思います。 あなたの憲法改正と私の憲法擁護の意見とをアジア調査会で求められたときにも、私は融通無碍のこのような変化に富んでいる人を、固定した観念で討論会の形で拘束してはいけないと思いまして私はそれを避けました。 鈴木さんはもっと大胆に、私は鈴木さんがアメリカへ行くときに、答弁は要らないというふうに質問して憲法改正の問題にも迫ったのでありますが、内容には入りませんでした。しかしそのときに鈴木さんは、答弁は要らないという変な質問をやった私の質問に対して、天皇陛下の誕生日の日に宮中において鈴木さんは――答弁するといまの憲法改正を党の綱領に入れている自民党で動きがとれなくなってしまうと、かすみがとれちゃって何が何やら矛盾がそこに露呈してわからなくなってしまうと思って、国の最高機関である国会によって選ばれた総理大臣の責任において、総理大臣の期間中自分はどうするかということを答えればいいのだという余韻を残しての私の質問でしたが、彼は正直な人と見えて、私が総理大臣の間は憲法改正はしませんという名答弁をわざわざやってくれました。ベートーベンじゃないが、名答弁と思います。 そういう点で恐らくは櫻内さんも、何か桜の花の美しさをかすみの風情でもって、まだ出すべきタイミングじゃないと迷っておりますが、これは総理大臣と外務大臣は表裏一体の仲であります。 私は、北方領土の問題は後で質問しますけれども、できるだけ避けますが、いまのポーランドの民族の苦悩のほどを私は見ていられなくなりました。昭和四年の暮れに、私はポーランドには食糧暴動が起きると思って、イギリスの大学を捨ててポーランドへ単身飛び込んだことがありますけれども、何も悪いことをしないで、ヨーロッパの中原に国を持っているがためにいまのソ連、昔の帝政ロシアとナチスのドイツにいじめ抜かれて、なぜあのような民族が分断され、ヤルタ協定によって奴隷的な地位にまで突き落とされているか。これを世界の人々がソ連びいきだとかあるいはポーランドびいき過ぎるとかという、そういう語句の上の問題じゃなくて、人間としての心を持っている人はポーランドのような民族のいじめられ方をしてがまんすることができますか。米ソともにポーランドをえさとしてさいなんでいくような形相が出ているときに、ソ連もアメリカも戦時中に結んだ軍事秘密協定、ヤルタ協定をみずからの反省において自発的に解消するというようなことをこの機会にやらないと、一ポーランドの問題だけでは済まない。武力だけで、恫喝外交でもって、ソ連とアメリカの軍部がなれ合いでやっているとしか見られないようないまの核兵器の恫喝は、明治維新前における黒船の米、ロシアの恫喝と同じであって、あれがために明治維新のときには神奈川条約、下田条約、腰抜けの幕府、主体性のない幕府の主体性をさらに崩して、尊皇攘夷、開国攘夷入り乱れた中にあっても、高邁な見識を持つ開国派の佐久間象山なりあるいは攘夷党の吉田松陰なり、ともに胸襟を開いて、滅びゆく腰抜け外交に祖国をゆだねることはできないと言って井伊掃部頭を倒したじゃありませんか。別に私はいまの、いろんな苦悩しているところの鈴木総理大臣なりあるいは櫻内さんなりのこうべをはねろと言っているのじゃありませんが、せっかくもって輝く光を求めるその頭脳をしてもっと明快な態度で、光を求めてさまよっている人々に対して明快な回答を寄せなければ、あれは大ダヌキだったなんて言われたらあなたのためにも日本のためにも非常に残念だと思いますが、すでに腹は決まっていると思いますが、いま北方領土で物を言うことよりも、中国も日本も沈黙してこれを見守っています。ハンガリーもチェコスロバキアもバルト三国も北欧諸国も見守っています。軍事的介入をしたら必ずここに問題が落ちてくると言って、ポーランドの軍事政権の首脳者もソ連に申告しております。日本あたりがひとつアメリカあたりに、やはり将来を考えたならば、先にヤルタ協定解消を踏み出した方が世界の信頼をかち得ることになり、そうでないと、なれ合いの奴隷使役の戦争にアメリカもソ連もくみしているものじゃないかという要らぬ誤解を両国とも受けて世界から孤立する危険があるから、アメリカのためにもソ連のためにも、ひとつこの辺で腕をかしてやろうかというお考えはありませんか、どうですか。タイミングはまだ早過ぎますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) ポーランドの現状について大変な御心配に基づくいろいろ御所見がございました。これがヤルタ協定に遠因するということはその経緯からして認めなければならないと思うのでありますが、日本はこのヤルタ協定というものを、当時の三国の首脳が寄って話し合った私的のものである、これによって日本が何ら制約を受けておるものではないと、こういう見解に立っておるわけでございます。ただ、ポーランドがあの地理的な状況、戸叶委員の言われるとおりのヨーロッパの中原に所在しておると、こういうことで、ヤルタ協定の会談の線でずっとああいう困難な状況に置かれて、現在のポーランド人民の自由を奪われた形になっておる、これはきわめて遺憾なことでございまして、人道上の問題については、日本はポーランドに対して理解を示しつつも、ソ連の圧力のもとにある軍政に対しては批判もし、またこれに対する措置もとっておると、こういうことでございますが、このような不幸な状態が一日も早く解消される、こういう点について、もし御質問の趣旨がヤルタ協定のようなああいうものはどうかということでありますならば、ポーランドの現状の遠因になったヤルタ協定について、日本はそういうものを認めておらない、こういうことでございます。
○戸叶武君 櫻内外務大臣は慎重な人ですから、第一次世界大戦後のベルサイユ講和条約以後の国際法の理念の変化を私は百も御承知だと思います。あの当時から、すでに連合国とイタリアの間に一九一五年にロンドン協定なる秘密協定が行われ、イタリアに北亜といまのユーゴスラビアの地域の一部を割譲してやるというような参戦誘導の秘密協定が存在したのに対してウッドロー・ウィルソンもそれを認めて、この戦時中の軍事謀略協定というものはわれわれは認めるわけにはいかない。しかも、他国の主権を無視して他国の領土を分割するというようなことは次の戦争の原因をつくることであり、今後における平和条約というものは、次の戦争をなくさせる条件を具備して平和条約は締結すべきであるという理念によってそれを貫き、それが国際法の新しい理念になっていることはアメリカ、イギリス、ソ連といえどもレーニンの割譲主義のあの講和のやり方を見てもわかっているはずであります。 それを逆戻りさせるようなこと、アトランチックチャーターでは、アメリカもイギリスも毅然として、勝った国が敗れた国から領土を取るようなことはしないと世界に向かって誓っておきながら、その舌の根も乾かないうちに、アメリカのヨーロッパ及びアジアにおける軍部の首脳の報告によって、ドイツが敗れた後、日本を降参させるのにはあと二年間はかかる、百万人の壮丁を犠牲に供しなければならないとすると、アメリカにおいては反戦の空気が濃厚に出てきて、そうして婦人たち、母親、恋人たちのための女性の平和運動というものを抑えることはできない。ウッドロー・ウィルソンですらも、あえてなんじらの子弟を砲門の前に立たしめたるものは何かという共和党のあのスローガンによってこっぱみじんに敗られてしまった。アメリカ理想主義の限界はそこにあるという形で、背に腹はかえられない、選挙に勝たなければならないというような形で取り急いでやったのが私はあのヤルタ謀略協定だと思います。 そんな不可解な協定を前提に置いて、今後において健全な平和条約が達成されると思ったら、アメリカもソ連も大間違いです。いまわかっているはずです。武力を持っているけれども、世界自身がその恫喝に耐えながらも、軍縮の声、核兵器絶滅の声は世界から上がっているじゃないですか。アメリカからだって上がっているじゃないですか。いままで広島、長崎の問題は触れないでくれと言われた日本の腰抜け外交官の中からも、外交官でなくても、この間通産省の局長の人が大胆に問題を述べておりますが、ヤルタ協定はいまをおいて解消しなければ、米ソ両国とも引っ込みのつかない窮地に、孤立化に陥る危険性があるので、いまのうちに、アメリカとソ連に好意を示すために、つまらぬことはやめた方がいいですと言い得る絶好のチャンスを日本に与えられたので、日本は再び戦争をやらないというあの国連憲章に従って、国連を母体として生まれた日本国憲法も、日本の国もモデル的な国家です。マッカーサーに与えられた憲法じゃないんです。世界の、もう再び戦争はやるまいという誓いの中から生まれた憲法です。われわれが、ソ連の一部やアメリカの一部や日本の一部にもあるような、憲法を改正しあるいは国連をヤルタ体制の中に埋没させていいというふうな考えを持ったら、日本は世界のどこから信用を受けるでしょうか。この武器のない、自衛権はあるが国連のモデルとして生まれた日本が、全世界の悲願を受けて立ち上がって、日本の平和だけを求めるのじゃなくて、ポーランドといえども東西南北いかなる国のためにも、日本が広島や長崎で受けたような非人道的な悲劇を受けさせたくない。日本の安全だけじゃない。アメリカやソ連のためにもこれはやめるべきだという気魄がなけりゃ、総理大臣が私にも恐らく天皇にも報告していったかと思われますが、天皇は、「ああそう」と軽く受けられて政治には関与しなかったに相違ないですけれども、しかし、日本の外交が本当に世界において光彩を放つべき絶好のチャンスに、光を春がすみの中に隠してしまっているようなことでは、光は東方よりといっても東方からの光をだれも期待することができなくなるじゃありませんか。 櫻内さん、そういう意味においては、あなたの存在はいま貴重な存在です。あなたは世界じゅうの民族の悲劇を全部見て歩いています。私はそれを知っております。そういう意味において、人々の心をくみ取ることのできない政治は、造花の花と同じくにおいを放つこともできません。どうぞ「敷島の大和心を人間はば 朝日に匂ふ山桜花」と本居宣長が歌ったように、桜も若葉も一緒に太陽の光に向かって開いていくような、あのみごとな風情を外交の中に生かすのは、やはり私はいまの総理大臣といまの外務大臣というのは相当の苦労人で絶好のチャンスを迎えて、その絶好のチャンスに人類のために死をいとわない武器なき戦いのときに、政治家が万民にかわって命を捨ててかからなければ世界の新しい秩序なんかは生まれてこない。そういうつもりであなたに期待するところ大なるものがあると思いますし、私少し先走って物を言ったかもしれませんが、どうぞ国際会議が頻繁に開かれている中においても、われわれに国会で誓った、アメリカでもはっきりと物を言った総理大臣のやはり核兵器絶滅、根絶させるためにという発言は決して言い過ぎた発言でありません。日本だけのことを考えてじゃありません。いまのような状態で世界の人たちから信頼されると思ったら、アメリカもソ連も大間違いで気の毒だから、彼らを救うためにも、いま行き詰まった国際情勢のこの中で光をもって彼らの英知をもう一度よみがえらせることが必要で、絶好のチャンスを逸しては、政治は流れの中にタイミングということがきわめて重要です。 私は野党だから、少し先走って物を言ったかもしれませんが、私が言わなくてもあなたたちはすでに腹はできていると思いますが、どうもいまのところはらはらする面が多いので、どうぞそういう意味においてこの軍縮国連総会を序幕として、やはりベルサイユのサミットにおいて、国際連盟の時代に達しようとして達し得られなかった悲願を、いまこそ私は達成させて国際連合を強化し、再び戦争をしまいと誓った万民の心を心として、日本は新しい世界秩序の方向づけをやるぐらいのことはしなければ、何のための外務大臣か、何のための総理大臣かわからなくなってしまいます。どうぞそういう意味において、桜田門で殺された井伊掃部頭直弼は気の毒ですが、日本にも攘夷党の吉田やあるいは開国論者の佐久間象山、変革期においては右だとか左とを問わず大和心の中からは発するものがあったと思います。そういう意味においてもう少し光を鮮やかに描き出していただかれんことをお願いします。これはお願いですから、返事は要りません。返事をすると、またかすみがかかる危険性がある。かすみがかからないうちに質問だけします。 しかし今度は、最終的に貿易摩擦に名をかりて、ねらいは軍備拡張ではないかという説もありますが、官僚の中にも相当の侍がいて、通産省におけるところの若杉和夫君は、米欧が保護主義をとれば共産圏貿易を強化するという堂々たる御意見が、とにかく去る二十五日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の経済面のトップにその発言が載っております。何か外務省に怒られたというようなこともついでに新聞は伝えていますが、結構な話じゃないかと思うんですが、外務省が怒っているというのはどこですか。大臣にしゃべらせるのは気の毒かな。だけれど、これは大臣がしゃべらないと、外務省が怒っていると言うけれどもどの辺が怒っているのかわからないから、やっぱり怒っている外務省の首脳というお方はどなたでございましょうか。私は外務大臣かと思っていますけれども、やっぱりこのごろは官僚同士なかなか頭のいい人もあり先走る人もありますから、タイミングを外してこういう発言をやっていますが、これは重大な発言ですよ。
○政府委員(伊達宗起君) 二十五日でございましたか、若杉局長が発言されたことについて報道がなされまして、「外務省カンカン」とたしか書いてあったのを私は記憶しておりますが、考えてみまして、日本が今日、戦後三十年これだけの地位を築きましたのは、やはり先進民主主義社会の一員あるいは西側の一員として一つの自由民主主義という基本的な価値観をともにしてきたことによるものであろうと思うのであります。 そこで、まあこれは新聞報道によりましても全く仮定の問題だとか、あるいはそんなことはあり得ないということは十分言っておられるようでありますけれども、それにしましても共産圏貿易はともかくといたしまして、共産圏の中に入る、コミュニストブロックの中に入るというようなことになりますと、やはりわが国の自由主義陣営における一員としての立場というものにつきましての疑惑というものを生ぜしめるおそれがあるわけでございまして、その点についていささか軽率であったのではないかというふうに考えているわけでございます。 以上、お答えいたします。
○戸叶武君 時間が来ましたからこれでやめますが、やはり経済摩擦を名として、アメリカ及びECから相当の圧力がかかっているけれども、その裏に何か軍事的なもののにおいもするので、それとこれと絡みついているのは否めないですけれども、やはり別個に考えて物の筋を立てないと、今後における外交というもの、日本の政治というものは一体どういうふうな理論構成によって、信念によってやられているのか、さっぱりわからなくなってしまうと思います。いま、外務省の人におしかりを受けたという若杉和夫君の御意見を知るために、外務省からその資料の提出をお願いしたいと思いますが、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンはロンドン、チューリヒ、香港で発行されておるので、相当権威ある一つのものであります。その報道に対して時期が悪いとか、あるいはわれわれは自由主義国家圏に所属するのであって、そうしていままでの発達はこの自由主義国家のおかげだからという、そういうお考えもごもっともな点もありますけれども、アメリカとソ連はなれ合っているんじゃないですか。私は、あのキューバ事件の起きたときに佐藤榮作さんとちょうど国連で出会ったとき、ブラジリアにおける万国議員会議の会に出る途中でしたが、ヤルタ協定でもサンフランシスコ講和条約でも、あのときの危機でもなれ合い、ツーツーで両方はお互いに爆撃はしない、よその国での場合は別だというような、そういう表現はないでしょうが、やはり核兵器を開発するのには相当の金がかかる、アメリカだけでは持てない、それもごもっともです、いろいろありましょう。けれども、なぜ国際連合に堂々と議論して明快にそういう問題をやらないで、二重組織のヤルタ体制を維持して米、英、ソが組んで事世界秩序を維持する方が実際的だというような考え方にいつまでもずるずると引きずられていくときではないと思うんです。 私はポーランドの悲劇を見ることができないと言ったのは、日本が主張すると、あなたのような頭痛を仙気と間違えるようなとにかく受けとめ方をやられたら迷惑ですけれども、いまポーランド問題を解決するという焦眉の急に当たって、この際ヤルタ体制でなく国連の機構を生かして、そうして明るく堂々と世界新秩序をつくり上げるという体制ができなければ、どうしてグローバルな時代における明るい明朗な世界新秩序の方向づけが行われますか。方向づけだけでもやることが、混沌の時代における日本外交のいかなる腰抜けといえどもなさねばならぬ役割りじゃないかと思います。もっと資料を出して、私たちもこのポーランド問題に対してあるいは核軍縮の問題に対して、次のサミットの意味についてやはり日本が国連に対して、あるいは軍縮総会に対してどういうふうに対処していくのか、いままでのようなもうろうのかすみがかかったようなえげつない外交のマキャベリズムはもう終わりです。その意味だけを苦言を一言呈して、資料の提出を求めます。 次の機会にヤルタ協定の問題あるいは軍縮総会に臨む日本の態度の問題、米ソに対する日本の対応の仕方、ついでに中国との問題、そういう問題も国民がわかるような形でやっていかなければ、もう国民が承知できなくなったというぎりぎりの点が来ましたから、次には改めて今度は厳粛な論争として資料を基礎として質問を展開する、揚げ足取りの外交の時代じゃない、文明史観と哲学を持たない俗悪な政府にいまの政治を任しておくことはできぬという信念を持って、あえて政府並びに外務省に警告を発します。 防衛庁の質問はやめましたけれども、防衛庁の態度はこのごろは外務省より慎重のようで、やっぱりなかなかずいぶん出番を遠慮しているところもあるのだけれども、外務省がこういうふうな状態だと防衛庁は突っ張らざるを得ないし、自民党がいまのような反省がない状態だと、私は国民の意思に反する戦争への道を突入していくんじゃないかという危険を感じます。 以上で答弁は不必要、次に本格的な質問を予告して、もっと腰がすわってから答弁を聞こうという形で、戦端を開く予告だけをして私の質問は答えなくてもよろしい。 これで終わります。
○田中寿美子君 時間があれですから、私は一千海里シーレーンの防衛の役割り分担の問題、これだけにしぼってお伺いしたいと思います。このことは非常に重要なことを意味しております。アメリカのアジア戦略、いや世界戦略の中に日本がどんどん組み込まれていくということをも意味しかねないことであると思うからです。 鈴木総理大臣が、去る三月二十七日訪日されたアメリカのワインバーガー国防長官と会談をされました。その中身は日米貿易協力だとか、経済摩擦の問題などについて意見を交換したと報道されております。その会談でワインバーガー長官は日本の防衛予算の増額を求めるレーガン大統領の親書を手渡した。それからシーレーン一千海里の防衛並びに軍事技術協力の促進を改めて強調した。これらはきわめて注目すべき問題点であったと思うのです。シーレーンの問題は、夏にハワイで日米の安保事務レベル協議で具体的に協議されるということだそうなんですけれども、問題なのは一千海里防衛というのが日本の役割りとして非常に具体的になってきた。それが今後の日米協議の焦点となっていくということなんですね。アメリカ側が一千海里防衛を要求をするその根拠は何かと言いますと、昨年の五月、鈴木総理が訪米されたときの鈴木・レーガン共同声明の第八項で、防衛における適切な役割り分担、その中に日本の周辺海空域の防衛のことについて声明を出していらっしゃる。そうしてその後ナショナル・プレス・クラブで鈴木総理が演説をされた、そして質疑応答をしていらっしゃる。その言葉からであるというふうに思いますけれども、それはお認めになりますか、外務大臣。
○政府委員(淺尾新一郎君) まずその経緯について申し上げますと、防衛庁の方が見えておりますので、後ほどむしろ防衛庁の方からお答え願うのが適当かと思いますが、鈴木総理がナショナル・プレス…クラブで記者の質問に対して答えられたのは、自分の庭先について日本が防衛するのは当然であるということを言われて、憲法を踏まえながら、周辺数百海里、約一千海里について日本側としては防衛力を整備していくと、こういうふうに言われたわけでございます。 それから共同声明の役割り分担についてお尋ねがございました。この点については昨年国会でいろいろ御議論のあったところでございます。この役割り分担というのは二つ考えていただいた方がいいと思いますが、一つは日本の防衛のために日米がいかなる分担をするか、もう一つは極東の平和と安定のためにいかなる役割り分担をするかということに尽きるかと思います。日本の防衛、これについては御承知のとおり当然日本自身が守ることでございます。他方、安保条約との関係では、アメリカと日本が攻撃された場合には日米が共同対処すると、こういうことでございます。それから極東の平和と安全の確保、この関係では日本が軍事的に貢献できないこと、これは憲法上からも明らかでございまして、ただわが国としては米軍に対して基地の施設と区域の提供をいたしております。その限りにおいて、この中でもやはり日本の果たす役割り、軍事的な役割りということを言えばそこにあるわけでございます。しかし、主として日本がこの極東の平和のため安定のために役割りの分担をしていく、それはむしろ政治外交面、こういうことに相なっているわけでございます。 なお、先ほどの総理のプレス・クラブでの質疑応答での答弁、これは元来防衛庁の中に防衛計画の大綱をつくられる前からあったわけでございまして、特に総理が新しいことを言われたというわけではございません。
○田中寿美子君 いまおっしゃったように、確かにナショナル・プレス・クラブでの質疑応答の言葉の中に総理は、日本の防衛という立場の言い方はしていらっしゃるわけです。 海外の資源の輸送路の安全確保は、資源に乏しい日本にとり死活の問題である、第七艦隊はインド洋、ペルシャ湾海域の安全に当たっているため、日本周辺海域がそれだけお留守になっているのはやむを得ない、日本の庭先であるこの海域を日本が守るのは当然であり、日本は周辺海域数百海里範囲内で、そしてシーレーンについては一千海里にわたり、憲法の章条とも照らし合わせて、自衛の範囲内として守っていくという政策を今後も強めていく言い方としては確かに日本の防衛の立場からという言い方をしていられるわけなんです。けれども、この一千海里防衛という言葉に関しては、今日アメリカから日本に向かって要求されている根拠として非常に重大な意味を持っており、そのツケがいまきているという、求められているという感じがするわけです。いつも外務省あるいは総理は、いままで言ってきたこととそんなに変わっていないという言い方をなさいますけれども、アメリカはこれを対米公約というふうに位置づけて、そしてワインバーガーの言っていること、日本の記者クラブでも鈴木発言は対米公約であると。そして日本の空域と一千海里輸送路防衛のためには軍事能力の向上が必要である、それには現在の日本の防衛予算の伸び率を大幅に上げなければいけないんだ、支出の増額が必要だということも言っております。それから海、空に重点を置いた大幅な防衛力増強の必要というようなことも述べているわけですね。ですからアメリカの国防長官がそのようにあからさまに日本の防衛支出増額要求を表明し、それから防衛能力を高めることなどを要求しているというようなことは内政干渉にも等しい言い方だと思うんですけれども、もとをただせば鈴木総理のいわゆる対米公約に起因している。ですからいまワインバーガーは、そのツケを日本の国民たちに要求しているというふうに考え、日本国民はそのツケを払わさせられなければならないという状況にあるというふうに思うんですけれども、外務大臣はこのことをどうお考えになりますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 鈴木総理がプレス・クラブで言われたこと、これは一国の総理が口にされたのでありますからそれなりの責任は持っておられると思います。また鈴木総理は国会でしばしば申されておるように、一それではプレス・クラブのそういう発言というものは突然言い出したものかと、それはそうでない、国会でそれ以前にも取り上げられてきておるのである。私はプレス・クラブでそう言われたのについて意味合いがあると思いますのは、田中委員がおっしゃいましたように、中東が緊迫をして日本周辺におる第七艦隊がインド洋、ペルシャ湾の方へ出向いておるそういう際に、日本国民はひとしく中東からの油というものがどうなるかと、日本のエネルギーの七割をこの地域に確保しておる、このシーレーンはどうなるか、このペルシャ湾、インド洋は第七艦隊が出て、その後空白ができておると。こういう現実を眺めた場合に、総理が従来言われておる日本周辺数百海里、航路帯で言えば一千海里と、こういうことを口にされて、それらについての防衛努力をすると。しかもその防衛努力は日本の受けておる制約の中で、すなわち憲法とかあるいは防衛大綱とかの中で自主的にそういうことをやるのですよと、こう言っておるのでありまして、現在においてもこのことはそのとおりだと私は思うんですね。たまたまワインバーガー長官の演説などを見ると、この日本のシーレーン確保とか周辺数百海里についてもう一つ努力をする必要があるのじゃないか。これはそれなりの御所見だと私は思うのでありまして、今後シーレーンを確保する上に、また日本の貴重なエネルギーを初めとする資源を確保する上に日本としてどう現在の国際情勢に対応していくか。これはあくまでも日本自身の考えていくべきことだと、このように理解をしておるわけであります。
○田中寿美子君 外務大臣少し誤解をしていらっしゃいますが、それは鈴木総理の言われた言葉ですね。鈴木総理は、日本は油を海外から買っている、だから第七艦隊が中近東の緊張であっちの方に行ってしまったときには日本の周辺が空っぽになるから、だからそのためには日本の周辺海域数百海里の範囲内に、そしてシーレーンについては一千海里という言葉をお使いになった。だからそのことが非常に重大な意味を持ってきたと私は思うわけなんです。これまで防衛庁の見解で、周辺空域とは航空自衛隊が領空侵犯警戒のために用いる防空識別圏を意味しているというふうに私は理解しているわけです。ところが鈴木総理が、昨年シーレーン一千海里というようなことを言われたことは、これまでの周辺空域とかあるいは海域の概念を越えたものではないか、訂正せざるを得なくなったのではないかと思うのですけれども、防衛庁から。防衛局長おいでになりましたら。
○政府委員(塩田章君) まず、防衛庁が従来周辺空域というのは、われわれはADIZと言っておりますが、防空識別圏の空域を意味するのではというふうに言っておったという御指摘がございましたが、この点をまず御説明をさしていただきたいと思います。 ADIZ、防空識別圏といいますのは御承知と思いますが、外部からわが国に接近する飛行機がこの線まで来たときにわが方でそれはフレンドリーであるかあるいはアンノーン機であるかという識別をするための空域でございます。それ以上の意味を持っているものではございませんで、その範囲がわが国の同時に防空のための戦闘空域であるということを申し上げたつもりはございません。ただ実際問題としまして要撃戦闘機の行動能力、行動半径というもの、あるいは要撃戦闘機が地上のレーダーサイト等の指示を受けながら行動するという意味におきまして、実際問題としてこのADIZの空域を越えてまで行動することはなかなか困難であろうという意味において、私もおおむねという意味においてはADIZの線に一致するでしょうと言ったことはありますが、本来別のものでございます。その点をまず御理解いただきたいと思います。 それから、去年総理がおっしゃった周辺数百海里あるいは航路帯にあって一千海里ということはおのずからそういった従来防衛庁が言っておった空域と広がったのではないかというお尋ねでございますが、決してそういうことはございません。私どもが従来から言っておること、防衛計画の大綱なりあるいは日米ガイドラインで考えておるようなことを踏まえて総理もおっしゃっておられるわけでございまして、総理のお考えが、特に防衛庁が従来言っていることを、空域をさらに広げたというような意味はございません。
○田中寿美子君 総理はそのつもりでいられたけれども、言葉として周辺海域数百海里、シーレーン一千海里という言葉を使われたわけですね。これはワインバーガー国防長官が前から、グアム以西フィリピン以北の海域を日本は防衛分担せよということをしばしば言っている。そして今回もそういうふうな意味のことを言っていられると思うんですけれどもね。だから、いま説明なさった周辺空域というのは防空識別圏であったと、それを防空識別圏と言う場合には、日本が有事の際に京浜沖と阪神沖から延びる南東、南西の日本の航路帯、これを指して言うということですね。私が新聞で見た地図では、そのグアム以西、フィリピン以北というような広大な地域とはまるで違うものだと思うんですね。ですから、これまでの防衛庁の考えていた周辺空域というのにさらにもっとこれは広がってきた観念ではないか。昨年の五月の十二日ですか、衆議院の内閣委員会で社会党の上原康助氏が、共同声明で言う空域というのは航空識別圏を超えるものではないかという質問をしたのに対して、塩田防衛局長はいろいろ言っていらっしゃいます。 私はいま議事録を取り寄せてもらってちょっと見ていたのですけれども、ある場所では物理的な意味で同じだと考えると食い違いがあります。確かに私は同じではないはずだと思います。海上自衛隊が、海上を守るために海上自衛隊の航空機が追っていった場合に、どこまで行くことを考えておられたのか。それをずっと広げていけばシーレーン一千海里にまでなると考えていられたのか。塩田局長はそのときに上原康助氏に対して、元来周辺空域という場合は航空自衛隊の迎撃作戦で示されているレーダーサイトのレーダーが機能する範囲、迎撃機が迎撃能力を発揮できる範囲であるが、海域防衛で言う周辺数百海里という大きな範囲にはならないというふうなことを答えていらっしゃるわけですね。ですから、いままでの観念での自衛隊、防衛庁の考えていた周辺空域、海域、それをずっと広げていく、その範囲を拡大していくと訂正せざるを得ないのではないかという気がするわけです。 ただし、そのことに関してはまだこれから具体的にハワイの実務者会談で相談なさるのかと思いますけれども、ワインバーガーの言う海域あるいはシーレーン一千海里という場合の海域の概念、鈴木総理が考えてはいらっしゃらなかったかもしれないけれども、それの意味する海域の概念といままでの防衛庁の守備範囲と考えていた範囲とは違いはしませんか。
○政府委員(塩田章君) まず、最初におっしゃったワインバーガー長官はグアム以西フィリピン以北というようなことを言っているのではないかという点でございますが、アメリカ側はそういうことを言っておるわけではございません。私どもが言っておる周辺数百海里航路帯を設ける場合にあっては一千海里ということでアメリカ側も理解をしておるわけでございまして、今回も同じようなことを言っておりまして、別にグアムとかフィリピンとかいうことを挙げて区域を広げたようなことを言っておるわけでは決してございません。その点では意見が一致いたしております。 それから、先ほども申し上げたことでございますけれども、去年の上原委員の御質問にお答えしたとおりでございまして、航空自衛隊はレーダーサイトの機能する範囲を超えて行動しましても、それはめくらの行動にしかなりませんので、実際問題としては、レーダーサイトの機能する範囲でもって要撃戦闘を行うというのが実態でございます。周辺空域という場合には、実際問題としてただ飛んでいくだけなら飛んでいけますけれども、そういう意味合いにおきまして周辺空域というものはそういうものである。ただ、海上自衛隊の航空機の話が出ましたけれども、海上自衛隊では、わが国周辺数百海里あるいは航路帯にあっては約一千海里といいます場合には、もちろんその場合に海上自衛隊の航空機は対潜作戦あるいは対水上艦艇作戦等に協力いたしますから、そういう意味においては海上自衛隊の航空機が出ていくことは当然考えられます。一千海里の航路帯を、防護作戦を行う場合でも出ていくことは当然考えられます。それは、いわゆる要撃戦闘を意味するものではございませんので、その防空という意味の色彩はないわけでございまして、いわゆる海上護衛という意味における空からの護衛、これは海上自衛隊の航空機部隊の作戦としては考えられます。そういう意味でなら空域というものが、航空自衛隊が行う要撃戦闘の空域のみならずもっと広いではないかと言われればそれはそうだということも去年お答えを申したことがございます。それは、海上自衛隊の航空機が海上護衛作戦を行う範囲としては、それはもう少し航路帯にあって一千海里ぐらいまでは行って作戦をするということはあり得るわけであります。
○田中寿美子君 ワインバーガー国防長官がグアム以西、フィリピン以北の海域というふうなことを言ったことはないようにおっしゃいますけれども、これは昨年の三月二十二日、当時の伊東外務大臣が訪米されたときにワインバーガー国防長官が、防衛計画の大綱というものが制定された際の国際情勢と今日の国際情勢とは変わっているというふうに言って、その見直しを暗に要請したと、さらに同長官が日本の海上防衛力強化に関連して、その範囲としてグアム以西、フィリピン以北の北西太平洋ということを言ったと報道されております。それ以来このことはだれでもよく知っていることだと思うのです。ですから、アメリカの側の要望は、それだけの海域を日本が防衛を分担してほしいというところにあるかと思います。で、防衛庁の方はいまおっしゃったような考え方を持っていられるのだろうと、私はそれは信じますけれども、いまの日本の防衛能力でそのような途方もない広い海域の防衛が果たしてできるものかどうか、それは軍事技術上から言って一千海里防衛というようなことは可能なことなんですか。その一千海里というのが、いま防衛局長がおっしゃったように海上自衛隊の飛行機が、海を侵されたときにそれを追っていって一千海里ぐらいまでは行くのだというような御説明であったと思うのですが、それとワインバーガーの方が要望しているところの広い海域とは違うんだという意味ですか、それをはっきりさせていただきたいと思います。
○政府委員(淺尾新一郎君) 最初に、私の方から伊東・ワインバーガー会談について説明したいと思います。 いま田中委員が言われたように、伊東・ワインバーガー会談では確かにグアム以西、フィリピン以北という言葉が出ました。当時の伊東外務大臣がそれに対して、もしあなたの言っていることが海域分担ということであるならばそれは日本としては憲法上も、また基本的防衛計画の中からも、現在進めている防衛計画の大綱の上からもできないということをそこではっきり答弁されているわけであります。 先ほど田中委員の御引用になられました日本記者クラブにおけるワインバーガー長官の発言の中にも、鈴木首相はまた、日本はその憲法の範囲内で自国の領土、その周辺海域、空域及び一千海里までの日本の海上輸送路を防衛し得るということを言われたということでございまして、先ほどちょっと公約というふうに言われましたけれども、演説の中で言明したということでございます。
○政府委員(塩田章君) 後段の方でございますが、防衛庁の考え方につきましては先ほどお答えをいたしたとおりでございますが、それがいまの防衛力で軍事技術上可能なことかということでございます。 この点は先ほどのようなグアムとかフィリピンとかいうことじゃなくて、私ども言っている周辺数百海里、航路帯にあっては一千海里というわれわれの目標としております海域の海上護衛作戦につきましても、現在の海上自衛隊の能力をもってしてどれだけできるかということになりますと、これは決して十分とは言えません。ただ、防衛ができるかできないかということを、では逆に何をもって海上護衛ができたと言い、どういう状態ができないのかということになりますとなかなか議論がございまして、百パーセント防衛ができるということもむずかしい反面、全く何も手出しもできないということも実際問題としてはないわけでございまして、実際問題としてはある程度防衛ができる、それをどの程度高めていくか、こういうことであろうかと思います。現在私どもが防衛計画の大綱ということを目指して整備を図っておりますけれども、現状から仮に防衛計画の大綱の線までに到達することができたとしましたならば、われわれは現在の状況に比べてそういった海上護衛作戦というものが相当に大幅に向上するであろうというふうに考えておるわけであります。
○田中寿美子君 つまり防衛庁が言っていらっしゃる一千海里防衛という意味は、米側の言っているのとは違うということをいまはおっしゃっているわけですね、ワインバーガーの言っているのとは違うんだと。そしてその範囲においては防衛計画の大綱が達成されれば、鈴木総理の言われた日本の周辺の海域、空域、数百海里の空域とそれから一千海里のシーレーン等を守ることができると、そういう意味だというふうに説明なさったわけですか。
○政府委員(塩田章君) まず最初に、米側の言っていることと違うというふうに言ったと受け取っておられるようでございますが、先ほど北米局長からも言いましたように、去年確かにそういうやり取りはあったわけですが、そのときに当時の伊東外務大臣が、はっきりわが方の見解を示しておられるわけです。その後たとえば、今回ワインバーガー長官がお見えになりましたけれども、やはりわれわれが言っているのと同じように日本の周辺数百海里、航路帯にあっては一千海里の日本の防衛のことを期待しておるということでございまして、その点は完全に認識が一致しておりますので、その点はまず申し上げておきたいと思います。 それから、先ほど言いましたように、防衛計画の大綱が達成できればその海上護衛ができるということにつきましては、そのできるという意味を先ほど私が御説明したような意味において、能力を大幅に向上するという意味において御理解をいただきたいと思います。
○田中寿美子君 アメリカが、中近東が緊張した場合に第七艦隊をインド洋から西に派遣していく、そしてその後空白になった部分を日本に防衛を受け持ってほしいというこの要請というか要望は、今日までずっとあったと思います。それで、それに対して鈴木総理は、いわゆる専守防衛、ハリネズミ防衛戦略というような言葉を使われておりますけれども、専守防衛に徹するのだという言い方をしていられますけれども、私、その次の問題が、もうきょうはする時間がございませんけれども、先ほどもちょっとどなたかがお触れになりましたけれども、ワインバーガーと鈴木総理との会談の際にも、西側の優位を保たなければいけないということに対して合意していられるわけですが、そういう意味では鈴木総理の防衛問題に対する立場が非常に心配になるわけです。去年の共同声明の結果として、そして本当に専守防衛に徹するわけにはいかない、次第にアメリカの戦略の中に役割りを持たされつつあるのではないかということが心配されるわけです。それで、いまの一千海里のシーレーンの問題もどのように発展していくか、非常に心配されるところなんですが、このことに関して外務大臣の御意見を伺わしていただいて、もう時間がないので終わります。
○国務大臣(櫻内義雄君) シーレーンと言う場合、これは常識的に日本の船が石油を運んでくる、あるいは日本から輸出をする商品を載せてマラッカ海峡を通ってインド洋へ行く、その場合に、この船の安全ということを日本が自主的に考えるのですから、私が繰り返し申し上げておるように、日本の周辺数百海里、航路帯を設ければ一千海里までのところは日本でやりますよということなんで、これは、日本の必要ないろいろな物資を運ぶのを日本で防衛することは私は常識だと思うんですね。それは、何か大変広い範囲になったような御感触での御質問ですけれども、私は船は限られておると思うんですね。それは、船舶の数が多くなれば、これを防衛する上に、それに伴う努力は加わるということはあると思うんですけれども、少し論点を変えて米側から見れば、あなた方はそうは言っているけれども、それはちょっと守れてないじゃないかと言われれば、あるいは防衛大綱にのっとって着実に防衛力を増加していこう、ある期間をとればそこに空白がある、その空白は急いでお埋めなさいとこう言われれば、日本はやりますと言っておる。しかし日本は財政上、また現にある防衛大綱の中で考えていくというので、日本は日本でそういう主張のもとでいくわけでありますから、私は、昨年来のシーレーン問題が何か特別な問題があるというふうには思えない。あるとすれば、いまの日本の防衛力じゃ足らないじゃないかと、それは大綱によって着実に増加していきますというのが日本の考えだと思うのです。
○田中寿美子君 まだ釈然としませんけれども、またこの次にさせていただきます。
○委員長(稲嶺一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時五分休憩 ―――――・――――― 午後一時一分開会
○委員長(稲嶺一郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○渋谷邦彦君 最初に、ただいま上程されております法案について若干お尋ねを申し上げたいと存じます。 最近、在外公館も逐次一ころのことを思えば大変整備もされ強化もされてきているのではあるまいかという判断がございます。しかし、外務省本省としても常々悩みを持ちながら、しかも現在の行財政改革という大変厳しい情勢の中で今後多極化する国際情勢にどう対応するかという、そういう深刻な問題をやはり当面抱えていらっしゃると思うのです。そこできょう櫻内さんと初めての質疑、やりとりでございますので、今後さらに強力な外務省としての機能を発揮するために現在の在外公館のありようについて、大変失礼な唐突な質問でございますが、どのように認識をされていらっしゃるか、そのくだりから入ってまいりたいと存じますので、その辺をお聞かせをいただきたいとこう思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 今国会の劈頭の外交方針の演説の際に、外交体制の強化という一説を申し上げた記憶がございます。外交こそがわが国の平和と安定を守る上に重要な役割りであると、こういうことから考えますときに、百六十数国に及ぶ各国を相手に交渉する、話し合っていくという場合に、現在の外交体制ではどうしても欠けるところがある。こういうことから外務省としては五千人体制を目指そうと、こういうことで毎年皆様の御理解のもとに人員増も若干ずつ図られてきておるわけでございます。 御質問の中にもございましたように、行政改革の中で外務省が特に配慮をしてもらうということについてはなかなか困難なところがございますが、しかし、日本が今後国際場裏において活動をしていく上におきましては、何としても外交体制の強化が必要である。ただ単に人員増加のみならず、外交機能をどういうふうにしたらば十分発揮できるのかというふうなことを考えますときに、情報収集能力をもっと強化し、それから適切な陣容によりまして、それらの情報をいかに判断し利用していくかというようなこともございましょうが、要は外務省としては、何と言ってもこの人の配置の妙を得る必要があるのでございまして、それらの点を特に外交方針の演説の中で強調してまいった考えでございますが、今後とも皆様方の御理解のもとに、外交機能の強化ということにつきましては一層の御配慮を賜りたいと思っております。またそれに基づいて万遺漏のない体制をとりたい、これが私の心構えでございます。
○渋谷邦彦君 ただいまお述べになった認識につきましては私と全く同様であります。ただ現状を考えますと、遅々として進まないというそういういらただしさというものが、恐らく当事者である櫻内さんがだれよりも深刻にお受けとめになっておられるのではないだろうか。五千人体制というのはもう言われて大変時久しい時間が流れているわけであります。いまのような状況で進みますと、恐らく二十一世紀初頭でもいかがなものであろうかという疑念を持たざるを得ないわけであります。 行政改革の必要性は十分に私どもも理解をしているつもりでありますけれども、今後日本が生き延びる道の一つとして平和外交を主軸とした、いまおっしゃられたような方向へこれからも強力に歩みを進めようという場合に、やはり外交機能というものが当面の大きな課題であろうということは恐らく多くの方々が共通した認識であろう、考え方であろうと思います。そういった点を今後の厳しい情勢の中でもっと調整のとれる、人員の増加も結構、何もやみくもに人員をふやせばいいという問題ではないと思います。質的にもすぐれた人たちを配置するというのは当然考えなければならない問題であります。毎年のように百人足らずの人たちがふえていったとした場合に、一体これから現実に減るのもあるわけですから、物理的に考えましても大変だなというその辺は、将来――将来といっても近い、遠いという二つありますけれども、いまおっしゃられたそういう方向、目標に向かって改善されるという自信と申しますか、ございましょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 外交機能強化という場合に、人が中心であるということは御理解が得られると思うわけでありますが、外交官にふさわしい人を得る。また十分なる教育訓練をする。人数がふえないという上におきましては、一言で言うと外交能力を備えておる人を確保する、あるいはそういう人を訓練するというようなことが一つ。 それからやはり情報化時代になりまして、コンピューターを初めとしてそういう機械を使っていく場合が非常に多いと思うんですね。きょうも話題になっておりましたが、電波法を改正して、無線を必要な在外公館から逐次予算の許す限りでつけてもらおうというようなこともございますが、そういうできるだけの機械化の面、そうようなものをあわせ考えながら、五千人体制にいかなければいかないなりのそういう配慮が必要ではないか。あるいは従来もやっておりますが、各国出先の経済関係の団体や会社、そのようなところとの連携、一言で言えば民間との間をどういうふうに考えていくか、いろいろこれは工夫をして、そして外交機能を強化しなければならない、こういうふうに見ております。
○渋谷邦彦君 確かにこれは昨年私予算委員会でも申し上げ、いまおっしゃられたような問題についても提言したことがございます。これとても完全に現在整備されている段階ではなかろうというふうに思えてならないわけです。確かに人的な足りない面を補完する側面として、いまおっしゃられたようなことはこれから非常に必要になってくるであろう、それに対する当然のことながら予算措置もこれから考えていかなければならぬという問題が出てくるであろう。どうもその辺が後手後手になって、手の打ち方がいままで非常に遅過ぎたのではないだろうか。いま私があえてこういうことを申し上げずとも、当事者である外務省の方においては、神経質になるくらいにその辺を深刻に受けとめていたはずでありますし、また、かつて櫻内さんは衆議院で外務委員長もおやりになった、長いそういう一つの外交問題については豊富な経験をお持ちになっていらっしゃる。とするならば、もっともっと早い段階においてこういった問題の解消というものを手がけるべきではなかったのか。いま繰り言を申し上げてもせん方ないことでありまして、いまおっしゃられた方向に強力に、しかもできるだけ短時間の間に整備が図られるようにすべきではなかろうかというふうに思います。これは画一的にやるということじゃなくて、重要度の高いところから順次それをやっていく必要があるであろう。電波法の改正なんかもようやくいまその緒についたという段階でございまして、今後それが改善されれば、情報の収集というものがいままで以上に機敏に行われるであろうという期待感を私ども持っているわけであります。その辺はこれからも強力に推進していただきたいと思います。 さて、次に申し上げたいことは、こうした人的な補完というものは定員法の問題もございましょうし、国家公務員法というそういう法律の拘束もございますし、なかなか事ほどさようには、すぐ直ちに拡大ということは非常にむずかしい、また別の面の問題点もあろうかと思います。 外交官の方々は大体二年から三年に最近在勤の年数が延びたそうでございますね。ということは、しょっちゅうやっぱりいろんなところをお回りになる、おかわりになるということです。そこで、私はむしろ現地採用の人を定着させるというような方向で、専門的な知識を駆使しながらわが国外交に側面的に協力をさせる方法というものは考えられないだろうか、これはかねがね私の持論としていままで持っておりました。やはりいまそうした点についても、ただそれもやたらとどんな人でも採用すればいいんだという問題ではなかろうと思います。相当すぐれた能力を持った人をそれぞれの出先に配置をして、その人たちは五年、十年、二十年と住むわけでありますから、むしろその土地のいろんな状況についてはだれよりも知悉する立場に置かれているであろう。むしろ、そういった点に足りない面のカバーをすべきではないだろうか、これも一律にぱっとやるというわけにはなかなかいかぬだろうと思います、予算上の措置もございますし。そういう問題点については、外務大臣としてはどんな御抱負をお持ちになっていらっしゃいましょうか。
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。 外務省の職員が在外に勤務いたします期間といたしまして、ただいま渋谷委員から二年から三年になったというお話があったわけでございますけれども、現在の時点におきまして平均いたしますと、在外での勤務と申しますのは二年ちょっとというのが平均の期間になっております。この五十七年度の予算の組み立てをする際に関係当局とも相談をいたしまして、また情報収集の面からもなるべく長期に滞在した方がよろしいということもございまして、三年在勤ということを一つの目標として打ち立てたものでございます。そのためには、いろいろいま現在御審議願っている法律案にも盛り込まれておりますけれども、やはり何と申しましても不健康地等が多いものでございますから、そこにおきます休暇の面でございますとか、あるいは健康管理の問題というようなことに手厚く措置を講じなければ、瘴癘地において在勤期間を延ばすということも片手落ちであるという考えに立っているわけでございますが、まだ三年の期間が実現したわけではございません。これは一つの目標として考えているわけでございます。 それから、現地採用の者を長期に雇うということはまさに一つの考え方でございまして、現実の問題といたしまして、私の経験によりましても、各大使館において働いております現地採用の者はわりに長く大使館勤務を続けるという例が多うございます。ただ、先生がおっしゃいますのは、現地採用の中でもかなり高級な事務といいますか任務と申しますか、職務を行う者をお考えのようでございますが、やはり現地採用と申しますのは何と申しましても外国人が大部分でございまして、外国人にやはり外交面における職務をやらせるということは、公務の秘密保持等の点から考えましても必ずしも適当ではないのではないかということがございまして、現地採用の人は広報関係でございますとか、あるいは領事事務等においての差し支えない面でございますとか、そういうところで働いてもらうことにしております。その意味におきましては、広報ないし領事等の面では現地採用者の中でその質を高め、有能な人たちは出てきておりますので、そういう面では、さらに現地採用者に対する待遇面でございますとかそういうものを改善してまいって、なるべく長くわが在外公館におきまして有効に働いてもらうようにいたしたいと思っております。
○渋谷邦彦君 確かに地域によっては、その国の人を採用せざるを得ないという場合もございましょう。私はむしろ、在留邦人といったそういう言い方が正しいのか、あるいはそこに帰化している日系の方々で有能な方の方面にも道を開ける可能性はないのかどうなのか、あるとするならばそれも一つの考え方ではないのか。ただ機密保持という点を考えますと、これはなかなか非常に言うべくしてむずかしい問題があろうと実は思いますよ。しかし、大使館やあるいは総領事館あたりの事務量というものも決して少なくはないと私は思うんですね。広報と領事部門については恐らく携わらせることの可能性というものをいまおっしゃられた。それでもずいぶん、仕事の分担という意味においては機能発揮の上で役立つのではないだろうかという側面もあります。ですから、必ずしもその地域の、その国の方の採用ということも必要でしょうけれども、むしろ日系の方々の採用ということも考えの中に入れながら取り組まれたらいかがなものであろうかと思いますが、その点はいかがですか。問題点がありましたならば問題点をお教えください。
○政府委員(伊達宗起君) 長く現地に在住している日本人の中でよい者を採用したらいかがかという御示唆でございますが、これは私どもとしても考えてみたいと思っております。現に、若干の例でございますけれども、そういうような現地の在留者の中から現地採用をして大使館で働いてもらっているという例もございますので、今後検討をさらに加えてみたいと思っております。
○渋谷邦彦君 その際に、まあ一つの注文と言った方がいいのかもしれませんけれども、やはり長続きできる仕事をしてもらうためには、そういった方々に対する生活の保障というものがどうしても前提条件になるであろうというふうに思います。いままで私も少しく海外を回ってそれぞれの国の声を聞いてまいりました。大分いままで格差がひど過ぎた。最近の情勢はどこまでその格差が縮まったかわからない。やはり生活の保障というものがなされないと、せっかく有能な、優秀な人を採用いたしましてもほかのところへスカウトされて出ていってしまう。これでは労多くして功少なしと言われてもやむを得ないし、余りにもそれは無策に通じはしまいかというおそれが出てまいります。ですから、その辺も十二分に配慮した上で現地採用というものが進められることが望ましいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(伊達宗起君) 渋谷委員のおっしゃいますとおり、優秀な現地職員を確保するためには、やはり何と申しましても待遇面での改善が必要であることは言うまでもございません。大体、待遇は国によって千差万別でございまして、その土地における当該人の能力及びそれが働く仕事の性質というものを基準といたしまして当初の給与というものを決めているわけでございまして、それから大体定期的に毎年一回は定期昇給、それから特に優秀な者に対しましては特別昇給ということをやっているわけでございます。他方、待遇面ではもう一つの面といたしまして社会保障の関係がございます。これは、現地職員に対する社会保障制度というものはかなり充実いたしてきておりまして、当該職員の希望がある場合には業務災害保障保険を全額在外公館側の負担で加入するとか、あるいは健康保険ないしは年金の一定比率を在外公館すなわち日本政府が負担をして加入させるというようなことも図っているわけでございます。
○渋谷邦彦君 それから、こうした一連の公館職員についてもう一つ、この辺はどういうふうに整理して考えたらいいのかという点があるわけです。それは、各省から出向している職員がございますね。きょうは防衛庁の方いらっしゃってないと思いますが、特に防衛庁の職員、それがどういう肩書きで、どういう目的で、いま何カ国に一体派遣されているのか、その実態はどうなっていましょうか。
○政府委員(伊達宗起君) いわゆる別名で申しますと防衛駐在官というものでございますが、防衛駐在官と申しましても、これは外務省に出向してまいりました外務省の職員でございまして、各在外公館の指揮のもとに、主としてその派遣されました国における軍事情勢とかいうものの情勢をつかみ、調査をするということを任務といたしている者でございます。現在、二十五カ国へ三十二名の防衛庁出向者が配属されているわけでございます。
○渋谷邦彦君 二十五カ国三十二名。その目的というものが目的どおり遂行されているといいますか、実効が上がっているんでしょうか。
○政府委員(伊達宗起君) 私どもといたしましては、やはり専門的な立場から軍事情勢についての情報収集ないし調査をしてもらっているわけでございまして、やはり防衛庁からの出向者として来られている方々の実効は上がっているものと思います。
○渋谷邦彦君 私は、これも何カ国かの例でありますけれども、ほとんど一人、多いところで二人ということではないかと思うんですけれども、一人ぐらい置いておいて一体本当にその機能が発揮できるのかという――ちょうどいま防衛局長も来ましたから、ちょっといまやりとりを聞いておいてください。そういう疑問を持つのは素人の判断なのかどうなのか。何か聞くところによると、防衛駐在官と警備官と二つの職種に分かれるということを聞いているんです。じゃ、防衛駐在官はいまおっしゃったように軍事情勢と。じゃ警備官というのは一体何をやるんだと、私少なくともそういうふうに伺っているわけなんですよ。どうもその辺が一つの目的を達成する上から混乱が起きやしまいか、何を警備するのか、この点どうなっているのですか。
○政府委員(伊達宗起君) 防衛駐在官と警備官とは全く任務を異にする職種でございまして、警備官と申しますのは、ここ数年いろいろと各地においてテロ行為が発生いたしまして、在外公館に対する、これは日本のみならず諸外国の在外公館に対しましてもいろいろなテロ工作が行われたということにかんがみまして、やはり一国を代表している在外公館及び特にその国を代表するものとして、その国に赴任している大使及びその館員というものの生命の安全を守るということが必要であるという観点から、警備官という職種の方々を募りまして、これは主として防衛庁及び警察庁からの出向者でございますが、約百名ほどおります。そして、テロの発生しそうな治安状況の悪いところへ派遣しているわけでございます。 防衛駐在官と申しますのは、先ほど申したような任務を持っている者で、書記官ないし参事官、いわゆる在外公館の職員でございまして、それは警備官とは全く異なる任務に服しているということが申せると思います。
○渋谷邦彦君 先ほどおっしゃったように、二十五カ国三十二名、そのうち防衛駐在官が何名なのか。私がこの委員会に入る前に伺った話では、いまもおっしゃったけれども、防衛庁からも警備官というのは出ている。そうすると、三十二名中警備官は何人いるのですか。
○政府委員(伊達宗起君) 私が先ほど二十五カ国三十二名と申しましたのは、防衛駐在官に関する者のみでございまして、警備官のうち、防衛庁からの出向者についての数字はいまちょっと手元に持ち合わせておりませんので、それは御容赦していただきたいと思います。
○渋谷邦彦君 そうしますと、三十二名以外の先ほど百名ですか、警備官として防衛庁及び警察庁から派遣されている。両方そういう目的を持っておやりになっている。何か私は、警備官ならばそういうテロ行為やなんかだったら警察庁の方に所管される任務分担ではないのか、防衛庁とその辺の役割分担というものを明確にしていくのが必要ではないのかなという、まあ行政改革の問題が出てきているさなかでもありますので、そのあたりもきちんと明確に整理をされることが必要じゃないのか、何かこっちにもいる、こっちにもいる、そういうことでそれはそれなりに効果を上げているのだというならばまた別なんでしょうけれども、ちょっとむだがあるんじゃないかという感じがする。どうでしょう。
○政府委員(伊達宗起君) 先ほども申し上げましたように警備官として約百名ということで、やはり在外公館を警備するためにはそれくらいの陣容は必要だという判断でございます。しかし、警察の方から外務省に出していただく人数はそう無制限ではございませんので、したがいまして、やはり防衛庁の方にも警備という観点からの警備官を若干出していただく必要があったために、防衛庁の方にお願いして出していただいているわけでございまして、ただいまちょっと後ろの者に聞きましたところ、防衛庁からの警備官は三十名ちょっと、約三分の一ぐらいが防衛庁からの警備官ということになっているようでございます。
○渋谷邦彦君 重ねて、くどいようですけれどね、その辺は防衛庁、警察庁というふうにきちんと整理をされなくてもいい問題なんでしょうか。やはり両方とも警備官というものにはそれなりの、防衛庁出向の人は防衛庁なりのテロ行為に対する一つの対応をいろいろと分析もし考える、まあ警察庁は本職ですから。何かそこで、同じことを二つの省がやっておるということも大変奇異に感ずるのですけれども、別に奇異ではございませんか。
○政府委員(伊達宗起君) 警備官は大体一つの公館に防衛庁から行っている警備官、それから警察から行っている警備官と、警察出身の警備官というものではございませんで、出身のいかんを問わず警備という任務についているわけでございまして、各在外公館に複数いるという例はきわめてまれでございまして、一人ずつ配置されて警備に当たっているものでございます。
○渋谷邦彦君 もうそれ以上申し上げるのはきょうはよしておきましょう。いつになく歯切れがいい答弁が返ってきましたのでまあこの辺で終わらしていただきます。 そこで塩田さん、いまの軍事情勢の調査ということは、これは三十二名の駐在している自衛官がおりますね。どんな軍事情勢を調査しているのか、軍事情勢の調査をやっておるというんですが、効果があるかどうか、それが防衛庁にどういう一体これからの参考資料になっているのか、その辺をかいつまんで……。
○政府委員(塩田章君) 御承知と思いますが、防衛駐在官は外務省の職員ということで赴任いたしております。主たる任務が軍事情報の収集ということで外務省に得た情報を入れておりまして、それを私どもが外務省からもらう形で入手いたしております。実際の運用状況を見ましても、しばしばいろいろな情報を送ってきておりまして、私どもは派遣している効果は上がっているというふうに判断をいたしております。
○渋谷邦彦君 それは効果が上がっていないということは言われないでしょうね、ここは。ただそれが、私はそういう方々を出しちゃいけないということを言っているんじゃないんです。それは国によっていかがなものかという疑問が出てこないとも限らないような国に派遣している場合がないかということ、そういうむだをやっぱりこの際省いた方がいいんじゃないかという、そういういま細かいことのやりとりをしておりますと時間が経過するだけでございますから、この点やめておきますけれども、そういう点を、また委嘱外務委員会もございますので、そういったときにまた改めてこの問題をお伺いしたいと思いますからそれを含んでおいてください。 次に申し上げたいことは、現在、在外公館に勤務されておられます職員の中で病人は何人ぐらいいらっしゃいますか。そしてまた、その療養状態はどうなっているのか。どういう地域に病人が多く発生しているか。
○政府委員(伊達宗起君) 在外公館の職員で病気になったのは何人であるかというお尋ねでございますが、これは昭和五十五年度の不健康地における病気による療養者という数字が手元にございますので、必ずしも先生の御質問に全部お答えすることにはならないかもしれませんが、御参考までに申し上げたいと思います。 不健康地で在外の職員が二百六十五人病気にかかっておりまして療養しております。それから、その家族でございますが、これは四百六十三名が病気にかかって療養をいたしております。この療養につきましては、国家公務員の共済組合法というものに基づきまして在勤手当から掛金を出しておりますが、それを財源といたしました医療給付の対象ということで医療費を給付されているわけでございます。
○渋谷邦彦君 いま五十五年度の調査結果についてお述べになりました。あるいはもっとふえているかもしれない。そういう数字は決して少なしとしませんね。しかも不健康地帯に非常に多く発生している、こういったことを考えますと、公館員の居住の問題であるとか、いわゆる生活環境というものは果たしてどうなんであろうかという心配がもう一つ出てきます。そういったことから最近いろんな指摘がある中で、特にそういうところには行きたがらないというような風潮もあるやに聞いております。やはりそういう点から是正をしていきませんと、いまアフリカだって新しい視野に立って日本外交を進めていかなければならない地域であろうと私は判断をしておりますだけに、非常に重要な側面を見たような感じがいたします。決して少なくありませんね。しかも、それは短期、長期いろいろございましょうけれども、常にそういう不安感を持った状況の中で仕事をしなければならぬということは、やはりいま申し上げたような環境の非常な悪さ、特に住まいだとか、いろんな問題が連動して起こる問題であろうと。そういう点はやはり住宅であるとか子弟の教育、全部つながりを持つだけに、もっともっと具体的な対策というものをお立てになっていいのではあるまいか。でないと私は十分の機能を発揮できないと思うんです。せっかく向こうへ一つの目標を持ち決意を持って乗り込んだ、乗り込んだ瞬間にまた病気になって倒れた、これではもうどうにもならぬと思う。それでなくてもいま在外公館の職員は少ないんですから、さっき五千名にふやすというところへ、そうして倒れている人を今度引いたらもっと少なくなるわけです。その点はいまここで細かいことをやりとりしている時間がありませんので、もっともっと本気になって配慮してあげる必要があるのではないだろうか。そのための予算措置というものはきちっとやっぱりお考えになる必要がある、非常に厳しい状況の中ではあるけれども。口には平和外交の展開と言ったって、実際仕事をするのは在外公館の職員が先頭に立ってやらなくちゃならぬわけですから、その辺の配慮をもっと私はしていいと思うんですが、外務大臣、どうでしょうか、これは政治的な配慮が必要ですから。大分お疲れになっているようですが……。
○政府委員(伊達宗起君) 私どもの在外公館に勤務する職員に対する健康ないしは住居問題、あるいは子女教育問題等についての配慮というものについて御叱正を賜ったわけでございますけれども、私どもは渋谷委員のおっしゃることを一つの御激励の御叱正と受けとめまして、今後とも努力をしてまいりたいと思います。 時間がございますれば若干改善ぶりなどもここで申し上げたいとは思いますけれども、きょうは先生のお時間がないようでございますので、細かいことに入るのはやめさせていただきます。
○渋谷邦彦君 伊達さん、いま申し上げたことのやりとり、櫻内さんによく伝えておいてくださいよ。いまお疲れになっているようだし、ほかのことをお考えになっている場合があるかもしれない。一番大事なことをいま僕は申し上げたのですからよくお伝えください、意地悪を言うわけじゃございませんけれども。 それから、この在外公館の問題でもう一つ申し上げたい。それは大使の起用等について、われわれは人事に介入する立場にありませんけれども、これからはできるだけ四十代、四十代と言っても大体四十代半ばごろということになるんでしょうが、若手の起用というものをどんどんお考えになった方がいいんじゃないだろうかというふうに思いますが、これはむしろ外務大臣の所信を聞いた方が私はいいと思うんですよ。若手の登用というものをどんどん道をやはり開く必要があるんではないだろうか、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 私、外務大臣就任以来、各国の大臣あるいは大臣クラスをお迎えしたり、あるいは今度アメリカへ参りまして先方の外交官に接してみますと、中堅どころは大変若い有能な人が多いようであります。したがって、お話のような大使にも若手を起用しろということは、これはそれぞれの人の能力、適材適所ということもございましょうが、若いなりにそれは大いに御活躍が願えると思います。 いま就任以来、大使の配置を見まして、特に他省と比較してもう大分年をとって大使の肩書きをつけているんだと、そういうことは私はないと思っておりますが、お考えは十分尊重してまいりたいと思います。
○渋谷邦彦君 具体的にそれを実行に移していただきたい、これは私は願望を込めて申し上げたい。特に不健康地帯ですね、若い人も不健康地帯へ行けば病気になるかもしれないけれども、やはり活力が違う。そこへやっぱり年配者を向けるというのはいかがなものであろうか。幾らでもできる人は私はあり得るという面で、ぜひその道をどんどんこれからも推進をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、今回訪米されました。そしてその問題についてはすでに参議院の予算委員会等でもやりとりが行われておりますが、やっぱり一番ポイントになる問題は何かというと、経済摩擦の解消というものは可能性があるのかないのかという、国民も恐らくそれをいろんな形でどうなるのだろう、日本の将来はと。われわれがいろんな方々に会いましても、細かい面はお知りにならなくても、新聞報道であるとかテレビニュースを通して非常に心配をしている。それは何も農村や何かだけに限りません。景気は一体持ち直すのだろうか、さまざまなそういういま反応がわれわれの耳に入ってくることは外務大臣もよく承知をされていると思います。 さてそこで、ベルサイユのサミットも控えておる。まあ時間的にも非常に切迫をしております。果たして、具体的にできることもあればできないことも当然あるでしょう。また当面できることと、あるいは時間をかけてできることと、あるいは将来可能性があるということと、いろんなそういう見方が私は考えられると思う。アメリカがいま何を不満に思っているのか、何を一体摩擦解消してもらえば、いままでの誤解等のあったことも全部氷解して、これからさらにいままで以上にきずなを強めて日米の交流というのが図れるのかどうなのか。最近どの新聞を見ましても、米国側から入ってくる日本に対する突き上げというものが大変激し過ぎる。だから、いまこの段階になった場合に、よほど性根を据えて決断をしませんと、これからの日米関係にすらも非常に亀裂を生じさせるような行き方になりはしまいかという不安感がつきまとう。こういったことを私がいまあえて強調せずとも、実際にその衝に当たられた外務大臣としては、もう深刻にそれをお受けとめになっていらっしゃる。 さてそこで、いままでの予算委員会のやりとりを見ましても、具体的に一体この不安感を除去し、アメリカにもなるほどそうだという新たな理解と認識を与え、摩擦が解消できるか。これは実は大変抽象論が多くて、そこに一つの方向性というものが意外と示されていない。この辺、この機会に率直な櫻内さんの所信を伺っておきたいと私は思うんです。
○国務大臣(櫻内義雄君) いま国民の最大関心事、また日米間の最重要課題が経済問題であり、御質問で触れられておるいわゆる経済摩擦と、こういうことになるわけでございますが、私は今回、国際情勢についての協議の方が主で、二国間の経済問題はもちろんこれは出ることを覚悟して参ったのでありますが、その方が本来従になっておったわけでありますけれども、実際上はやはり日本側の反応も米側の対応の仕方も経済問題に焦点があったということは言うまでもございません。 そこで、米側の基本的な焦りと申しましょうか、経済問題に対して最も朝野を挙げて関心が強いというのは、やはりアメリカの現在の経済が思うようにいっておらない。昨年来の高い失業率、インフレ、伸び悩んだ経済成長、そういうようなことが非常に問題である。特に失業が一千万にも及ぶというところに広く国内の不満がある。それが日米間の貿易のインバランスに焦点が当てられておると、こういうことでありますが、ただ最近の状況をごらんいただきますと、アメリカも少し物価が落ち着いてきたようであります。また、米政府のとっておる経済運営が下期以降上向いて、明年度は成長率五・二%と、こういうことを言っておりますが、どうやらその傾向が出てきておるというわけでございます。そういう点から、多少昨年就任以来の折衝の感とは少し違ってきておると思うのでありますが、ただ残念ながら、本年は御承知の中間選挙という一方においてそういう政治情勢がございますので、議会側の厳しい批判があるわけでございます。 これらのことを頭に置きながら、でき得る限り摩擦なくどのように対処をするかというところが問題だと思うのでありますが、米側は、政府も議会も日本の市場開放ということを求めておるわけで、これらのことにつきましては一応の手は打ってきております。特に関税の前倒しというのは、私は非常に不思議に思ったのですが、これはそういう方針でいま国会で法案をやっておって、これから千六百五十幾つかのものを前倒ししようと、こういうのでありますが、それはもう計算済みになって、思い切った措置をとれと言えば、国際約束のものを前倒しして三年分一気にやるというようなこと、これこそ思い切った措置だと思っておっても、それはもう計算済みになっておりまして、この後、日米貿易小委員会で出ております問題を、たとえば農産物とか、たばことか、先端技術とか、いろいろ言っておりますが、そういうようなものを具体的にどう処理するかということがかかっておると思うのであります。われわれはそれらの問題点に誠意を持って当たっていくということによりまして、この日米間の摩擦を解消するように努力してまいりたいと思っております。
○渋谷邦彦君 予算委員会もさることながら、今回日米協会で発言されたごあいさつの内容、何回も何回も繰り返して私も読まさしていただきました。確かにいまずっと述べられた、集約されておっしゃられたわけですけれども、ただ努力をする、これはもう日本語というのは大変いい言葉でございまして、それで一体アメリカというのは納得するのかどうなのかという問題が現実的に迫ってきている。だから、いつの時点で一体努力したその効果というものは上げられるのだろうかという向こうの期待感がある。そういったことが非常に不鮮明なまま一応交渉ということですから、あるいはこれから事務レベルかなんかでそれを詰めるという段階になるかもしれません。しかし当面、やはりその俎上に上ったのは、いまおっしゃられたように牛肉であるとかあるいはオレンジであるとか、そういう農産物がもう表面に出てきておるわけです。こういったものの制限を解除しろと、場合によっては二十二品目全部を開放しろというようなことまで迫っているようなそういう雲行きがあるわけです。もうすでにNHKの討論会あたりでも、そういうやりとりの中で日本側としてはもう九〇%正論を吐いた、向こうの言っていることは非常にあこぎな言い方であると、終始そういうようなやりとりであったと思うんですが、いま正論というものは果たして通るのか。向こうはむしろそういう議論よりも感情論でもう沸き立っているのではないだろうか。議会筋も、あるいは議会筋から突き上げられた政府筋も、そういう考え方に大体歩みを一にしているのではないだろうか。 そういうような状況の中で果たして日本が色いい返事というか、それは私は日本の国内経済というものを考えてみた場合に、はい、さようでございますか、じゃ、全部開放しましょうと言うわけにはなかなか一挙にいかない側面がぼくはあると思うんです。しかし、事はもう迫っておるわけですね。恐らくベルサイユに臨む前にそういったことも整理をしながら、日本としてはいま可能なことはこれとこれとこれですと、もう具体的に表示をしなければならない、そういう切迫した段階に来ているのではないだろうか。そういったことが実際に解消できるのかどうなのか。向こうの不満は多少残っても、ある程度了解をしたというような反応が出るようなこれからの日本の方針というものを明らかにすることができるのかどうなのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) これはその衝に当たって折衝しておる米側は理解は私はできておると思うんですね。たとえば一番大きな関心品目である残存制限品目、これをどうするか、これは四月から作業部会でやりましょう、その結果は別としても、お互い合意の上で作業部会でやろうと。それから柑橘類や肉類については、本年の後半に相談しようというのを十月からやろうと。いずれもお互い合意で非常にはっきりしておるわけですね。それからたばこなどについては、これは日米間の合意に基づいて、現在たばこがアメリカから日本の市場に入ってくるが、まあ、アメリカから言えば、香港と比較してどうとか、いろいろ言われるものですから、これはこれで一つ取り上げて考えようというようなふうになっておりますね。日米貿易小委員会ではいろいろな問題点を、どこに米側の要望があるのかというようなものも、これは洗いざらい出ておるわけでありますから、今度私が向こうへ行っての経済問題に関しては、レーガン大統領やヘイグ長官は、ひとつサミットまでにできるだけやってくれと、こういうことを言っておるのでございまして、今回自由民主党の江崎調査団も帰ってきて、ヨーロッパでも大体同じようなことを言っておるようでございまして、けさ経済対策閣僚会議が行われて、それらの問題点をサミットまでにやれるものはできるだけやろうと、こういうことで臨んでおりますので、いよいよ総理が首脳会談へ行って、さらに日本は不誠意である、努力が足りないと、そういうようなことにはならない、できるだけの努力をすると、こういうことだと思うのであります。
○渋谷邦彦君 いま百八十億ドルの対日赤字を抱えたアメリカ側としては必死の思いであることもわからぬわけじゃありません。しかし、アメリカはアメリカとしてのもっと改善してもらわなければならぬ問題をたくさん抱えているわけです、金利の問題を初め。それはともかくとしていろいろなさまざまに伝えられる、それには信頼性があるもの、あるいはないものもあるかもしれません。しかし、いままで取り上げられたものを私なりに整理をしてみますと、恐らく日本というのは非常にいま厳しい側面を持っているということもある程度私は認識を持っているんじゃないだろうか。けれどもアメリカとしては、だからといってそれをすんなりのむわけにいかない。何とかバランスのとれた経済交流というものをやっぱりこれからも推進しなければならないという発想が恐らくあるであろう。それを日本側としては、大変追い込まれたと言えばちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、それでもって今度防衛力分担であるとかあるいは経済協力という、そういう肩がわり的な発想の中でそういった経済摩擦を解消する、あるいはその一部、まあ一部と申し上げた方がいいかもしれません、アメリカ側でもそういうことをねらったような発言というものが最近とみに表明されている。むしろここでうんと突き上げておいて、そして日本に対する防衛力の増強あるいは経済協力の面でも何とかやらせればいいというみたいな、そういう発想があるやに聞いております。 こういった点について、それは全くないとするのか、これは私はおのずから次元の違う問題であろうと思うんですね、あくまでも次元が違う。私はそう受けとめています。その辺の、いま非常に混乱したような、乱れたようなそういうやりとりの中で、あるいはいろんな人が表明しているようなそういう考え方の中で、日本政府としてもそれらを多少の非難は受けても、いや日本はこうだというやっぱり明確な一つの方向というものを示す必要がある。で、いま申し上げたようなそういう絡みの中で、そういうことに対する櫻内さんとしてのお考え方をお聞かせ願いたいと私は思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 渋谷委員の御指摘の点は非常に大事な点だと思うんですね。日本側のその折衝の衝に当たる私どもが一番心しておかなければならないのは、経済も防衛もあるいは経済協力も、だんごになってしまうとこれは問題だと思うんですね。ですから、あくまでも経済は経済で話し合っていく。外交面で防衛関係の問題も出ますが、それはあくまでも防衛関係で処理をしていく。この総合安全保障という表現で、その中に経済協力というものを日本としては取り上げておりますが、それをしぼられた何か安全保障との絡みでというようなことになってはいけない。その辺は十分注意をいたしまして、現在外務大臣として折衝している範囲においては、こっちをこれだけやってくれればこっちはよろしいとか、そういうやり方はしておりません。 それはもう明瞭に別々の問題としてやっておるわけでございまして、米側にはやはり言いにくいことも言っておかないとぐあいが悪いと思って、日本の最近における経済動向、昨年の十月以降成長率がマイナスになったと、そのマイナスの中身を見れば明らかに米側が理解をしてくれるような、内需はよくなったが外需が悪くて、そして十月から十二月のマイナスが出ておるわけですね。それから、日本側が本年になって歳入不足を補う上における補正予算をやっております。そして、しかも国会の論議では、さらに歳入欠陥が出るのではないかと、こういうふうに言われておる日本の経済の状況、これは米側は、日本が非常に経済がよくて、自分らは、あるいはヨーロッパが失業率は高い、インフレで成長率はマイナス前後、もうほんのわずかのプラスぐらいのところだという認識があるようでございますが、日本は最近においては経済は非常に落ち込んできておると、こういう面からも日米間の収支の上にはいずれあらわれてくることじゃないか。貿易の上でもそれは明らかにもう出てきておると思うんですね。 私は日本の経済をここ数カ月を考えてみますと、意外に早く悪くなるんじゃないか、そういうことから、この予算でも通って経済運営について経済企画庁がもう一つ考えなければならない段階が来ているのじゃないかということを言っておるわけでございますが、この時点ではずいぶんいろいろ言われる点がありますけれども、少し先を見ると、アメリカが少し上昇ぎみ、日本はへたをするとこのまま落ち込むおそれがある。そうなってぐると、だんだん経済バランスはこなれてくる傾向があると思うんですね。そういうようなことも率直に言っておきました。だんだん時日の経過とともに、当面の問題に対する日本の努力と、それからもう一つは、この経済運営が果たしてどうなるかというようなことで、アメリカとしてもそうやかましく日本にも言えぬぞというようなこと、これは余り好もしいことではないんですけれども、ちょっとそういう傾向もありますね。 それこれよく話してまいりましたが、いずれにしても両国の関係は六百億ドルという大きな貿易取引ですから、私はこの六百億ドルというと、これに関連しておる産業、商社というものを考えたら、ただインバランスということだけでどうこうというよりも、この関係というものは大変なものだよと、それから国際経済の中における日米のGNPに占める範囲というものは三五%近い、この日米の間がうまくいくことが即国際経済の活性化に向かって、それで案外そういうところからいまの問題というものがこなれるのじゃないかというようなことも話してまいりましたが、短期的に見てお互いに感情的になってはいけない、少し長期的によく分析して努力する必要があると、こんなふうに思います。
○渋谷邦彦君 いまの問題引き続き申し上げたかったのですが、防衛分担の問題、それから中米・カリブ海における経済協力の問題、軍縮の問題にはもう時間がなさ過ぎます。残余についてはまた次の機会に譲りたいと思います。
○宮崎正義君 私は大臣とは初めての委員会ですから、大臣に対して所信等いろいろ伺いたいわけでありますけれども、きょうはそういう面は割愛をさせていただきまして、法案の在外公館の問題だけにしぼってお伺いをいたしたいと思います。 午前中も同僚議員からちょっと触れられましたアルバニアの今度の新しい公館の設置についてでございますが、お話ですと、わが国の方の大使館はユーゴスラビアの方に置くということでありますが、アルバニアの方の設置個所といいますか、設置場所といいますか、そこはどういうふうにアルバニアの方は考えておられますか。その辺のところからお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(加藤吉弥君) 現在のところ、中国におりますアルバニアの大使が日本を兼轄する予定である、かように伝えられております。
○宮崎正義君 御案内のように、アルバニア人というのは過去の歴史の上からずっと見ていきましても、英雄と称せられる人たちがかなり傑出されている優秀な民族であると私は思えるわけでありますが、そのアルバニアの国情等のことにつきましては長くなりますから省略をすることにしまして、新憲法を設定して今日わが国との国交ができるということですが、そうした場合にわが国と中国の友好、それから今度は、いまお話しのように中国にとりあえず大使館をアルバニアが置く。そういう面におきます中国との話し合いといいますか、その辺の点はお話し合いをなさって進められてこられたのかどうか。その辺を伺っておきたいと思います。
○政府委員(加藤吉弥君) アルバニアとの外交関係の設定その他の話し合いは当初ウィーンにおいて、その後はユーゴスラビアにおいて話し合いを進めてまいりました。したがって、今後の外交関係の進め方、その細目につきましてもユーゴスラビアのわが国の大使館を通じてアルバニア側と細かい打ち合わせを進めていきたいと考えております。ただいま先生御指摘のとおり、アルバニアは非常に長い間鎖国的な政策をとっており、特に新憲法の二十八条では、外国からの援助を受け入れることを禁止する、外国との合弁企業その他も禁止すると、非常に厳しい規定がございます。こういう中で日本とアルバニアとの経済関係を進めることは確かに非常にむずかしいことであろうとは考えておりますが、長い時間をかけて少しずつ相手の心をほぐしつつ、アルバニアとの関係を順調な形に発展させていきたい、かように念願している次第でございます。
○宮崎正義君 ユーゴスラビアを中心にしていままで交渉してきたと言われます。そのユーゴスラビアの内紛がよくあるということを聞いておるわけですが、それらの地域にはアルバニア人の地域が主体になっているようにも言われておりますが、そういう中において、今後のいろんな折衝があるように思われますが、その辺のところなんかはどのようにお考えになっていますか。
○政府委員(加藤吉弥君) 昨年の三月から四月にかけましてコソボ事件というのが発生いたしました。これはユーゴのセルビア共和国の一部でありますコソボ自治州において暴動、反乱が起きた事件でございます。このコソボ自治州は大体人口の八割がアルバニア人でございまして、アルバニア人に対する配慮が十分でない、さらにはユーゴから、ユーゴの中でアルバニア自治国というものをつくりたい、さらに極端には、アルバニアと合併したい、こういうような要望が根源となってコソボ事件が生じたわけでございます。しかし、その後この暴動はユーゴ連邦政府の力によりまして一応鎮圧されております。同時に、連邦政府はコソボ自治州に対して相当額の経済援助を行い、その民情の鎮撫に努めているわけでございます。現在の情勢では大体コソボの問題は鎮静化していると、かように見ております。 アルバニアとユーゴスラビアとの関係は、そのようにかなり微妙な点も含んでいるわけでございますが、何と申しましてもアルバニアの隣国でありますし、多数のアルバニア人がいるということ、それからアルバニアの情勢について一番詳しいのがユーゴである、こういう観点から、やはり従来どおりユーゴスラビアを通じてアルバニアと当面いろいろの話し合いを進めるのが妥当であると、かように考えております。
○宮崎正義君 先ほど御答弁がありましたように、わが国との友好関係で、中国の大使が今度折衝に当たるということでありますが、たまたま午前中も一部同僚議員から話がありましたが、日中の事務協議がきょうあすと行われますが、米中友好と中ソ対立というものはわが国の外交のよって立つ大変な大事な今回の協議だと思うのでありますが、大臣は日中事務協議のきょうからあす行われる内容について柳谷審議官とお話をなさいましたでしょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 日中の関係できょう事務協議が行われるのでありますが、これらのことについては柳谷審議官中心で腹蔵なく意見交換をするようにということで、たとえばいま御関心を示されました中ソ問題あるいは米中関係、そういうようなことを特に話してこいというようなことは申しておりません。昨年十二月に日中閣僚会議はいたした後のことでございますので、高級事務レベルで腹蔵のない話をする、ようにということで、特に私から特定の議題を注文つけておることはございません。
○宮崎正義君 先ほどお話がありましたように、新憲法が設定されて借款の導入をしないという中において、わが国との貿易をこれからやるわけでありますが、貿易の品目の一番主なるものは、申し上げるまでもなくクロム鉱だと思うんですが、これに関する貿易の実態といいますか、詳しくいろんなことをお伺いしたいわけですが時間も限られておりますので、クロム鉱を開発していく共同事業、そういうふうなことを提供していきながら貿易を拡大していくのか、その辺のことも心配の一つでありますが、いずれにしましても、アルバニアから物を買ったその高によって今度はアルバニアが品物を買うというようないき方のように聞いておりますが、こういう面から考えていきましても、今後の貿易というものには非常に慎重な、しかも将来を見通してのあり方というものが大事じゃないかと思うのですが、その辺についてのお考えを伺っておきたいと思います。
○政府委員(加藤吉弥君) ただいま先生御指摘のとおり、アルバニアからの日本の輸入品の大宗を占めるものはクロム鉱でございます。昨年の実績で大体総輸入三百二十万ドル程度のうちの約三百十万ドル程度はクロム鉱によって占められている、かような現状でございます。このクロム鉱の開発、それから輸入について先ほども触れましたとおり、アルバニアの新憲法は外国企業に利権を供与すること及び合弁事業を設立することを禁止しております。このような条件では現地に合弁企業を設立するとかそういうことは非常にむずかしい。これは少しずつ長い時間をかけて相手を説得し、やっていかなければならない事業だと考えております。またアルバニア側は、外貨不足とか、そういう事情があるためと思われますが、コンペンセーションということでアルバニアの産品を日本が買い付ける、その買い付けの高に応じて日本の産品を向こうの方が輸入する、こういうシステムをとっております。これも日本とアルバニアとの貿易を飛躍的に拡大させるためには大きな阻害要因になっているわけでございますが、これも先ほどの合弁事業と同様長い時間をかけ、相手側との人的接触を深めつつ、お互いの相互理解を深め、そして貿易上の阻害要因をなくしていくという、そういう方向で解決を図ってまいりたいと考えております。
○宮崎正義君 時間が参りましたので最後ですが、ソ連との断交をいたしました、それから中国とは、中国が経済制裁をして今日冷却状態に来ておるということを伺っておりますが、わが国がアルバニアとの今後の貿易を遂行していく上において、過去のいろんな歴史の上から見ていって、二度とこういう国交が断交されるとか、あるいは蹉跌を生ずるとかというようなことのないような行き方をしなければならないだろうと思うんであります。ともあれ、そういう点に留意していくことが何よりも大事なことじゃなかろうかと思いますが、この点について伺っておいて私の質問を終わります。
○政府委員(加藤吉弥君) ただいま御指摘のとおり、アルバニアは社会主義の一国の中でありながら非常に孤立した行き方をとっております。特に超大国の覇権主義には強く抵抗するというそういう姿勢からソ連とも外交関係を有しておりませんし、中国との関係も非常に制約しておる、かような状況でございます。そういう中で、日本とアルバニアとは今後いかようにつき合っていくかという御質問でございますが、歴史上アルバニアと日本との間で大きな問題があったこともございませんし、日本がアルバニアの歴史に汚点を残しているというようなことは幸いにしてございません。日本の外交政策は体制のいかんによらず、また政治理念の差を超えて、いかなる国とも友好協力関係を進めていくということでございますので、これを旨といたしまして、もちろん覇権主義とか大国主義というものは日本としてはとれないわけでございますが、いかなる国とも友好協力関係を進めるという、そういう精神で先ほど申し上げたとおり、少しずつ相手の固い気持ちをほぐしながら関係を発展させてまいりたいと考えております。
○立木洋君 防衛局長時間が詰まっているようですから先にお尋ねさしていただきますけれども、先日ワインバーガー米国防長官が来られて、防衛庁長官との定期協議を初め一連の話し合いが行われたと思うんですが、いろいろ新聞で報道されていますけれども、きわめて厳しい対日要求が出されてきているというふうに思うんですが、まず最初に、米側ワインバーガー長官が出してきた対日要求というか、あるいは問題提起というか、どういうような問題が出されてきたのか、まずその点を最初にお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(塩田章君) 会議の内容のそのほかの点は省略いたしまして、いまお尋ねの点でございますが、国際情勢の話の後に米側から、わが国が従来から述べております周辺海域における交通保護といった問題について一般的に米側としての期待表明がありました。さらに、次のハワイにおける事務レベル協議でそういった点を話し合いたいといったような話もございました。 先生のおっしゃいます米側の対日期待要求という点にしぼって言えばそういった点でございまして、あと日米の、いままでやっております防衛協力のガイドラインに基づく研究作業でありますとか、共同訓練でありますとか、技術交流でありますとか、そういったようなことは現状の確認といいますか、話し合いということでございました。
○立木洋君 きょうは時間が限られていますから全面的にいろいろお尋ねすることはできませんけれども、ワインバーガー長官が来た時点でそういう要望がなされておることをめぐって、いままで防衛庁が述べてきた態度に変更があるのかどうなのかという点で幾つかの点で確認しておきたいんですが、まず最初に、いろいろ問題になっております一千海里の防衛問題といいますか、これについて、いままで、日本に対して外部から武力攻撃があった場合、自衛権の行使に必要な限度内で公海、公空に及ぶことができる、だから一千海里を防衛範囲とすることではないというふうに防衛庁としては述べられてきていましたけれども、これについて多少なりとも現時点での変化があるのか、それとも近い将来変化し得る可能性があるのか、その点についてお伺いします。
○政府委員(塩田章君) 全然変化もございませんし、変えるつもりもございません。
○立木洋君 この一千海里防衛範囲という考え方と、それから自衛権の行使に必要な限度内で公海、公空に及ぶことができるという意味での防衛という点で、米側が主張しているのはどちらというふうに塩田さんは受けとめておられますか。米側の主張です。
○政府委員(塩田章君) アメリカは別に自分の方から新しい提案をしておるわけではございませんで、日本が従前から、航路帯一千海里程度まで防衛力を整備したい、こう言っておることをそのまま支持しておるということだけでございます。
○立木洋君 ですから、アメリカ側はどちらの問題として受けとめておるというふうに向こう側の話を塩田さんは今度受け取っておるかという意味です。
○政府委員(塩田章君) ですから、日本がその程度の防衛ができるような防衛力を整備することを期待しておるというふうに受けとめておるわけであります。
○立木洋君 じゃ、次の問題ですが、日米間で双方で海域を分担するというようなことは集団自衛権の問題、つまり、憲法上の制約があるからできないというふうに述べてこられましたが、これもいささかも変化がないのかどうなのか。その点はいかがでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 変化はございません。
○立木洋君 それからもう一つ、ワインバーガー長官の話で、日本が北西太平洋における海と空の防衛を提供し得る能力を持つことは、同地域での米国の戦略及び通常戦力を補足することになるという見解については、防衛庁としては同意ですか不同意ですか。どういうふうに受けとめられておるのか。
○政府委員(塩田章君) この問題はアメリカの立場を表明しておると思うのですけれども、これはわれわれはいつも申し上げておりますように周辺数百海里、航路帯一千海里程度の防衛力を身につけたいということを言って、大綱の線に沿って整備をしておりますということを常々言っておるわけでございますが、われわれはあくまでもそういうスタンスでございますが、これをアメリカ側から見れば、そういう力が日本がつくことになればそれだけアメリカにとって、同じ西太平洋水域におけるアメリカにとっては、これはコンプリメントという言葉を使っておりましたけれども、まあ補完といいますか補足といいますか、そういうことになるという見解を述べたものであろうというふうに受けとめております。
○立木洋君 つまりいま局長が言われたのはそれはアメリカ側の主張であって、アメリカ側の言い分であって、われわれとしてはそういうことを考えているものではないが、結果としては彼らがそういうふうにとるのかもしれない、だからそういう意味では違っておる、日本側の考え方とは違うのだというふうに理解していいわけですね。
○政府委員(塩田章君) 要するに、日本の防衛のことを考えた場合に日米共同で対処するということでございますから、全体は同じことになるわけでございますが、その中で日本の力が整備されるということは、アメリカにとってそれは補完といいますか、そういう立場から眺めることはそれはあり得るだろうと思いますが、日本はアメリカの補完になるということで整備をするわけじゃなくて、日本は日本の必要性に基づいて整備をすると、こういうことを申し上げたつもりであります。
○立木洋君 ですから、その点塩田さんね、やっぱり私たちはもちろん賛成しているわけじゃないけれども、防衛庁が言っているのは専守防衛という立場で常々繰り返し主張されてきたわけですね。こういう米軍の戦力を補完するということになればこれは専守防衛でなくなるわけで、米軍の持っておる戦力そのものが、目的が違うわけですからね、それを補完するだとかなんとかということになればこれは全然専守防衛の枠ではなくなってくるわけで、その点は明確に違います、日本の防衛庁としては考え方は違うんですとはっきり言うことができませんか。どうしてできないんですか。
○政府委員(塩田章君) われわれは専守防衛ということを少しも変えておりませんし、先ほどの私の説明も全然変えたつもりで申し上げているわけではございません。要するに日本の防衛というものを、かねてから申し上げておりますように日本みずからの防衛力と米軍とによって共同対処で全うするんだと、こういうことを申し上げているわけですね。そういう意味で、いまのような見方がアメリカ側からすれば成り立つだろうということでございまして、従前のわれわれの考え方を少しも変えておるつもりではございません。
○立木洋君 じゃ、いまお尋ねした、一つは一千海里の防衛範囲ではないという言明、それからもう一つは海域分担は一切行わないという点、それからもう一点は通常戦力を補完するというものではないというこれらの点は、いわゆる極東有事の際も変わりない。つまり日本の有事ではなくて極東有事の際も、この言明はいささかも変更がないということなのかどうなのか、その点はいかがですか。
○政府委員(塩田章君) 極東有事の場合のことをそのようにお尋ねになる御趣旨がちょっとわからないわけですけれども、極東有事の場合は日本にまだ直接な関係がないわけでございますから、先ほどのわれわれの立場は少しも変わらないということでございます。
○立木洋君 もちろん、ですから平時の場合も変わらないという質問なんですよ、私の言うのは。日本にとって平時の場合も変わらぬのですねという意味なんです。
○政府委員(塩田章君) そのとおりでございます。
○立木洋君 きょうは時間がなくて大変残念ですが、またの機会にこの問題について引き続いてお尋ねすることにして、きょうはもう何か時間の関係がおありなそうですから。どうぞ、結構です。 外務省の機構の問題で大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、先般安保局を設置した方がいいというふうな趣旨のことが外務省の中でいろいろ話し合いが出されておるということを新聞の記事で私知ったわけなんですが、そしてそのつり合いとして国連局を何か格下げするというようなことと結びつけて提起されておるようなんですが、いま今日非常に重要なのは軍縮問題、こういう軍縮の問題こそもっと積極的に取り上げるべきではないかというふうな考え方を持っているんですが、安保局を格上げするだとか国連局を格下げするだとかいうようなこういう問題については、もちろん決まっていないということはわかっておりますけれども、大臣のお考えをいまの時点でお伺いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 私の手元には、立木委員の言われるような意見は上がってきておりませんし、また私の方から外務省の機構を検討しろというような、私から安保局の設置とか、国連局の格下げを言ったこともございません。どういう経緯でそういう記事をごらんであるかわかりませんが、私としては、いま外務省の機構についてそのようないじるようなことを考えてはおりません。
○立木洋君 それから、今度大臣が訪米されてアメリカ側と話し合った問題の中の一つに、中東情勢の問題が含まれておったと思うんですが、この中東情勢についてはアメリカ側がどのように述べられたのか、またそれに関して大臣がどのように話をされたのか、御承知のようにキャンプ・デービッドというのが事実上うまくいかなくなってきたということはもうはっきりしてきていますし、自治交渉の問題ですね。それから御承知のようにサウジの出した八項目の提案の問題についても、当初アメリカが乗り気であるかのような新聞の報道もありましたが、どうもこのごろ影が薄れてきた。さらにはミッテランのイスラエル訪問後の提案だとか、その他幾つかの問題がありましたが、結局どれも今日の中東情勢の事態を打開していくような決め手になるようなことにはやっぱりなっていない。そういう状況の中で話し合われたということを非常に注目しているわけですが、アメリカ側が今日の中東情勢をどういうふうに見、どういうふうに打開していこうというふうな話をされたのでしょうか。またそれに対して大臣がどのようにお話をされたのか、そこのところをちょっとお聞かせいただきたいのですが。
○国務大臣(櫻内義雄君) レーガン、ヘイグ、そのほかの方々と会談をしておりますので、特に米側がこう言った、私の方からこう言ったということは、一遍会談内容のメモでも見ませんと、大変恐縮ですが正確なことを申し上げかねるのであります。ただヘイグ長官との間では、私が触れましたことは、中東情勢の中でイスラエルの動向というものが日本としては非常に関心がある、日本は中東全体に対して包括的に恒久平和を願っておるのだと、そういうことからイスラエルの行動を見ていると、そのようなことに支障があるのではないか、これについてはアメリカがしっかりした指導をしてもらわなければいけないし、まあ私の一番気になったのは、イスラエルのシナイ半島返還後どういう行動に出るのか、そのことによって中東全体の大勢というものが著しく危険なものになっていく、そこのところを恐れての発言をいたした記憶がございます。
○立木洋君 イスラエルの今後の行動がどういう態度に出るかきわめて懸念であり、その点アメリカにもしっかりせよというふうにお述べになった。ところが去年の十二月十四日行いましたゴラン高原に対する日本政府の対応というのは、どうも私はこういう見地から見ると解せないという一語に尽きるわけですが、局長には後でお伺いしますが、その前に国連局長の方にお尋ねしたいんですが、この一九八一年十二月十七日安保理で採択された決議、これについては、結局イスラエルが行ったゴラン高原の併合ということは国際的な法的効力を有さないという立場が決定された。この行為に非難をするそうした決定を直ちに取り消すように要求するという安保理の決議に日本の政府は賛成をされました。この賛成をした理由はいかがでしょうか。
○政府委員(門田省三君) お答え申し上げます。 十二月十四日にイスラエルがとりました措置は事実上の併合とも言うべきものでございまして、これは国際法に反するのみならず安保理の諸決議にも反するということでございますので、わが国はそのようなイスラエルの決定を無効とする、そしてその取り消しを求めるこの決議には賛成したのでございます。
○立木洋君 ところが一月の二十日の安保理において今度同じゴラン高原の併合問題で、結局イスラエルのそうした併合問題に対する厳しい批判を行って、これがやっぱり侵略行為に当たるとし、それに対してイスラエルに対する併合措置をやめさせるとともに同国に対するすべての援助、協力を控えることを検討するよう決定する趣旨の決議案が出されたのに対して日本政府は棄権をしましたが、この棄権をした理由はどういう理由でしょうか。
○政府委員(門田省三君) ただいま立木委員がお述べになられましたその部分につきましては、わが方といたしましても特に異議はなかったのでございますが、その決議の中でイスラエルを非難し、そしてイスラエルに対して制裁を加えるという意味合いの項目がございました。わが国は従来中東問題の解決は当事者間の平和的な話し合い、これによって行われるべきであるという立場をとってまいっておりますので、その観点からすればこの決議が意図したところのイスラエルに対する制裁行為の適用という面については賛成しがたいということで棄権の投票を行ったのでございます。
○立木洋君 ところが今度二月の五日にゴラン高原問題で国連緊急特別総会の決議が上程された。まさにいま局長が言われましたように、イスラエルに対する孤立化、いわゆる制裁措置、こういうものを呼びかける決議が国連で採択されたわけですが、今度は反対をしたですね。先ほどは安保理で棄権をし、今度は反対をした。この反対をした理由は何ですか。 〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕
○政府委員(門田省三君) このイスラエルの行為そのものがわが国として容認し得るものでないということ、これは先ほど申し上げたところからおわかりいただけると存ずるのでございます。ただ、この緊急総会の決議内容を見ますと、イスラエルに対して制裁的行為を適用すべきである、制裁措置を適用すべきであるということが主たるねらいになっているわけでございます。つまり、イスラエルを国際的に孤立化させるということ及び国連の全加盟国に対しまして、軍事援助はもとよりその他の経済、財政、技術援助、これの停止を訴える、さらにはイスラエルとの外交、貿易、文化関係をも断絶することを呼びかけるということになっておりまして、イスラエルを国際社会から締め出す、国際社会から完全に追い出すということにこの決議がなっていたのでございます。それで、わが国政府といたしましては、やはり問題解決のためには国際的に孤立化させて対話の機会をなくしてしまうということではなくて、イスラエルのとった措置が容認できないということはあくまでも明らかにしながらも、なお話し合いの場において問題の平和的解決を図る、こういうことを考えまして反対の態度をとったのでございます。そういうことでございます。
○立木洋君 条約局長、イスラエルのゴラン高原の併合問題に関して櫻内外務大臣の談話が出されたのですが、これは占領地の法的地位の一方的変更を行うこのような行為は、国際法及び国連安保理決議二四二及び三三八に違反するものであり、わが国としては容認することができない。つまり併合は国際法違反だということを明示したんですね、どういう国際法違反ですか、これは。
○政府委員(栗山尚一君) 立木先生御承知のとおりにヘーグの陸戦法規におきましても、軍事占領を行っているものは占領地の現行法律というものを尊重して行動しなければならないということが陸戦法規に定められておりまして、この点につきましてはいわゆる戦時国際法に関します慣習国際法として確立しておるものであるというふうに私ども認識しております。したがいまして、そういう従来の戦時国際法規というものを踏まえましても、軍事占領を行っておるものが、その占領地の法的な地位というものを一方的に変更するという権利はいかなる場合にも認められない、そういう観点からイスラエルのとった併合措置というものは国際法違反であろう、こういう認識を大臣が述べられたものでございます。 〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕
○立木洋君 侵略の定義の第三条、つまりこれは占領している、もともとが占領したわけですから、軍事で、そして同時に占領地を一方的に併合して境界を変更するわけですから、これはまさに侵略の定義から見ても該当されると思いますが、端的に言っていかがでしょうか、該当されるのか、されないのか。
○政府委員(栗山尚一君) 侵略の定義の文書は、御承知のように国連憲章の七章のもとで安保理が行動する場合のガイドラインとしてつくられた文書でございまして、その中にいま立木先生の言われたような占領地の併合というものが侵略行為を構成するということがあるという規定がございます。本件の場合に、イスラエルのとった国内法上の措置が、それ自体が侵略行為を構成するかどうかということはこれは認識の相違があろうかと思います。従来から、武力でもって領土を併合するということ自体はこれは侵略行為ということは間違いないことだろうと思いますが、当初から軍事力を行使して占領しておった地域を、いまになって国内法上の措置でもって併合的な効果を生ずる措置をとること自体が侵略行為になるかどうかということは、それは安保理の判断の問題だと考えます。
○立木洋君 そういうのを何というか、日本語で言えば何とかの理屈と言うんですよ。そもそもが軍事力で占領している地域なんですから。その行為自体が侵略行為なんですから。 それで、この国連憲章の中の七章三十九条に「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」というのがあり、第一条の一の場合には、そういうふうなことがあれば有効な集団的措置をとることができると書いてありますが、当然そういう意味で言えば、イスラエルがこういうふうな中東における緊張を激化させる行為をとり、もともと自分が軍事的な武力によって侵略をした占領地を、一方的に併合する国内法の決定を行い、こういうふうなことに対して適切な集団的な措置をとる、つまり軍事力をもってじゃないんですよ。非軍事的なですよ、非軍事的な。これは、国連憲章の四十一条にも書いてありますが、集団的な措置をとるということはこれ自体はおかしなことではないでしょう。法律に反することじゃないでしょう。国際法上も認められている行為じゃないでしょうか。どうでしょうか。簡単で結構です。
○政府委員(栗山尚一君) お答え申し上げます。 いま先生の御指摘のとおり、三十九条の事態が存在するという安保理事会の意思がありますれば、当然四十条あるいは四十一条に基づいて安保理事会が適当な措置をとるということは憲章に従ったものであろうと思います。
○立木洋君 ところが、これは不可解なことなんですが、これは国連局長の方にお尋ねした方がいいと思いますが、第二回目、つまり一月の二十日の安保理の採択の時点に当たって日本政府は棄権をした。ところが、九票賛成が入るとこれは拒否権が発動されなければ決定されることになる。だから、賛成国が九国にならないように日本政府は棄権をするように賛成諸国に工作をして回ったという話を私は聞きましたが、そんな事実はあったのですか。
○政府委員(門田省三君) お答えいたします。 そのような事実はございません。
○立木洋君 これは、ある点で明らかにしてもいいと言って日本を名指しで非難する外交官もいるんですよ。ですから、これは局長よく調べていただかないと、今後の外交問題、櫻内外務大臣が、先ほどイスラエルが今後どういう行動をとるかということは、中東の問題にとってもきわめて懸念されなければならない、この点についてはアメリカにもしっかりせよということを言ってこられた、これが外務大臣の意思だと思うんですよね。 ところがそうではなくて、イスラエルのそいうう行動に対して制裁を加えるべきだ、そういうことを検討すべきだという問題に賛成しないように日本政府が仮に回っているなんということになったらこれは大変なことですからね。 それでもう一つ、最初これはゴラン高原の問題から出てきている。お話を聞いてみますと、最初はこれはけしからぬと言ったから賛成した、次には制裁を検討せよと言ったからこれについては棄権をした、もっと言うなら孤立化させる。ところが、実際には国連憲章から見れば、これらの提案というのもいささかも不当性はない。国連憲章の内容から見て、こういう問題が出されたらいかぬという根拠は一つもなく、それは正当性が認められ得る。にもかかわらず、賛成、棄権、反対というふうに変わっていったというのは私は全く解せないんですがね。一体この三つの決議に対して日本政府がとった、貫いておる基準は何ですか。何を基本にしてこういう賛成、棄権、反対というふうに変わったのか、いかがでしょう。
○政府委員(門田省三君) 先ほどお答え申し上げましたように、イスラエルの今回の措置は、わが方といたしましても、これは国際法に反するものであり、かつ安保理に違反するものであるという考えから、これは絶対に容認できない、こういう一つの立場がございます。 それと同時に、中東問題の解決は当事者間の平和的な話し合い、これによって解決されるべきである、それ以外に方法はない、これがもう一つの基本的な考え方でございます。 この二つの考え方を踏まえまして、いろいろな決議、その内容、これを検討いたしましてとった措置でございまして、その間に矛盾はない、かように考えております。
○立木洋君 局長、当時者間の話し合いを尊重すると言ったら、キャンプ・デービッドを日本政府は大々的に賛成して、あれは結構だと言ったじゃないですか。PLO、当事者間で参加してないんですよ。イスラエル、片一方の当事者側が賛成してない場合にはこれはだめだと言い、PLO、当事者が賛成してなかったらこれは結構だと、これでキャンプ・デービッドで中東がうまくいくようなあれが見えたなどというふうな、これは全く筋が通っているようで通ってないじゃないですか。一つも基準になってないですよ、局長いかがですか。 キャンプ・デービッドの場合に、PLOが排除されたのになぜキャンプ・デービッドを高く褒めたたえるような姿勢をとったのか。いまの局長の答弁に対して私は聞いているんです。あなたの言っていることに筋が通ってないから聞いているんです。別の基準があったのじゃないかと言うんですよ、国連で賛成するのに。あなた、新聞紙上で外務省の態度がたたかれたのわかっているでしょう。中東問題でどうしてこういう決定が出たのか。北米局長はかぜを引いたというから帰っていただいたのだけれども、風当たりのところがちょっと違うかもしれぬけれども、ひとつ局長答えてください。国連でとった基準にそういう基準をあなたが提示されることは、筋が通らないんじゃないですか。当事者の問題だからというふうに言われるのは、筋が通らぬじゃないですかと言うんです。
○政府委員(門田省三君) キャンプ・デービッドはエジプト、イスラエル、アメリカ三国の間の合意に基づいての話し合いが行われているもの、かように理解しておりますが、キャンプ・デービッドの話し合いは、やがて来るべき究極的な中東問題解決への一歩である、こういうふうに認識しておりまして、まさに当事者間での話し合いによってそういう究極的な目標に向かって一歩、二歩進んでいくということでございまして、このような試みは結構なことである。したがいまして、私どもの考えているところとは矛盾するところはない、かように判断いたしております。
○立木洋君 局長大変苦しい答弁なさいましたけれど、ここでやはり大臣にお出ましいただいて御答弁いただかないと困ると思うんですが、つまりアメリカは最初賛成したのですね。二回目はアメリカは棄権したのですね。三回目はアメリカは反対したのです。私はこれが西側の一員ということなのかどうか。アメリカがやると同じようなことをするのが西側の一員ということなのか。そういう意味で言うならば、先ほど大臣が言われたように、イスラエルが今後どういう行動をとるかきわめて懸念を持つ、こういうことが再びあってはならない。ところが現実に考えてみますと、七月に東エルサレムを併合した。それからまた、イラクに対する原子炉の爆撃もやった。次々と強硬的な措置をイスラエルがやってきている、何をやるかわからぬ。今度の場合もゴラン高原を併合した、これは大変なことだと思う。また、いま問題になっているのはヨルダン川西岸だとかガザの地域、これをまた併合するんじゃないかといってもう問題になってきているんですよ。こういう時期にきちっとやっぱりそういうことをやるべきではないと。私たちは何も軍事的な制裁をと言ってない、これも軍事的な制裁を一つもやれと言ってない、国連で。そうしたら、アメリカと違ってこういうふうな危険がある。アメリカに対してもちゃんとしっかりしてもらわなければ困るというぐらいであるならば、ここで日本が見識のある態度をとって、イスラエルのこういう行為は正すべきだと、やっぱり毅然としてこういう措置を再び許してはならないということで、最後にそういう措置に対しても二回目も三回目も賛成に回ったって私はしかるべきじゃなかったか。そういうふうな行動をとらなかったということは非常に私は遺憾だと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど私が訪米の際のヘイグ長官に申し上げたことを御披露を申し上げました。いまのいろいろないきさつは別として、それはもう全部置いておいて、私は中東における日本との特殊関係を考えると、この地域は包括的な恒久平和の達成ということが、これが最大の日本の目標であると、このように承知をしておるわけでございます。そういう見地からいたしますと、中東の諸国の関係は非常にすべて複雑でありますが、でき得るならば話し合いで解決をしていってもらいたい。その場合に、イスラエルが違った姿勢をとっておるわけでありますが、このイスラエルの非同盟の非難決議に反対をした際、これをもしその非難決議に賛成をしていくということになると、日本自身が従来主張しておる包括的和平達成の上に、話し合いでいけということをみずからがイスラエルとはもう話し合いをしない立場にしてしまう、そういうことについてはどうかと、こういうことで、当時のそのほかの諸情勢もございますが、これは反対してもやむを得ないものと。しかし、日本の立場はアラブ諸国には繰り返し説明をしておく必要がある、また、理解を求める必要があると。現在私の非常に残念に思っておるのは、アラブ諸国が何か日本のとった措置をいま申し上げたようなふうには理解をしてくれておらぬということは残念に思っておりまして、そういうことでは、またアラブ諸国と私どもの話し合いが非常にだんだん薄れていくようなこともいけないと、こういうことで、現在その辺の改善の努力をしておるところでございます。
○立木洋君 村田さんもうお尋ねする時間がなくなりましたが、非常に忙しい中であなたの書かれた本、大変興味深く読ましていただきました。もちろん賛成できない部分もありますけれども、しかし中東の情勢というのは非常に複雑で、歴史的宗教的その他いろいろな要素がありますから、これはまかり間違うと大変なことになるだろうと私は思うんです、これからの日本の外交を考えた場合。ですから私は、そういう意味では積極的に外務大臣を初め中東の具体的な状況や特徴や問題点や、やっぱり十分に理解していただくような努力を、私は中近東アフリカ局としては努力をしていただきたいということを局長に改めて御要望申し上げておきたいと思うんですが、大臣、最後に、いま反対したのもやむを得ないというふうに言われた。まあ進んで反対したということではなくて、やむを得ないという表現をされたことの意味を私は考えておきます、留意しておきます。ただ、そういう意味ではアラブの諸国がとっておる態度というのはきわめて厳しいです。これは本当に大臣、これからの日本のあり方を考えて、石油がなくなるとわっと騒いでアラブアラブ、中東中東、それこそ夜も日も明けずアラブと言って騒いだ時期を大臣よもやお忘れでは私はないだろうと思う。いまや石油がある、備蓄がたくさんあるからといって、やっぱりアラブの人たちが一体何を願っているのか、そういうことに全く目を向けようとしない行動というのは、私はやっぱり日本が非難されるそういう外交姿勢の問題点を含んでいるからにほかならないと思うんです。そういう意味で、この点最後にもう一度努力の方向を大臣にお示しになっていただいて、私の質問を終わらしていただきます。
○国務大臣(櫻内義雄君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、日本と中東の関係はエネルギー問題を中心として非常に大事な関係にあるわけでございますから、一番大きな目標は包括的な恒久平和であるわけでございまして、そういう方針のもとに冷静に対処していきたい、まあどちらかを立てるということでそこに複雑な空気が出たりいたしますが、それもしっかり腹をくくって乗り越えていくだけの努力をしなければならない、こう思っています。
○木島則夫君 世界百六十数カ国を相手として外交を展開し、日本が平和に生きる道を日夜求め続けている中で、在外公館で勤務をして努力をされている方々のお骨折りはまことに大変なものがございます。在外公館の勤務といっても生活環境に問題のあるところ、また経済的に生活しにくい国、あるいは政情不安などのために身の危険すら存在をするといったぐあいで、なかなかに複雑多岐であります。こういった中にありましても、いずれにしても日本外交を誤りのないよう展開をしてもらいたいということを冒頭お願いをして、実際的な具体的なお尋ねをしてまいりたいと思います。 外交官の給与の種類は、国内で支給される公務員としての給与のほか海外に在勤するために支給される給与、諸手当がある、これは当然でございましょう。在勤手当の主な種類は在勤基本手当、住居手当、配偶者手当、子女教育手当などがそれであります。 さてそこで、わが国外交官の待遇はほかの先進諸国と比較して一体どうなのか、一般的にはよいとは言われていないということでありますけれど、ひとつ具体的に例をもってお示しをいただきたいのであります。たとえば入省後十年から十二、三年、中堅の外交官と申しますか、一等書記官クラスで在勤地別に欧米との待遇の比較ができたらひとつ教えていただきたい。
○政府委員(伊達宗起君) わが国外交官の在外において受け取る給与の比較でございますけれども、やはり歴史的な制度でございますとかあるいは在外給与というものに対する考え方にぴったり統一された考えがあるわけではございませんので、諸外国の外交官の給与水準と比較するということはなかなか困難な点がございます。ただしかし、あえて一つの目安といたしまして、御質問にもございますので、私どもが試算をしたものがございますので御披露させていただきますと、たった二例ではございますけれども、アメリカのワシントンにある各国の大使館の中で、日本と西独、英国を比べてみますと、日本を一〇〇といたしますと西独は一二三、英国は一三三というところでございます。また、パリにおきます大使館の日本大使館、西独大使館、英国大使館、米国大使館を比べてみますと、日本を一〇〇といたしまして西独が一〇九、英国が一二〇、米国が一〇三ということになっております。これは冒頭にも申し上げましたとおり一つの試算でございまして、もちろん試算をする際にはできるだけ同様の基礎データをとりまして、比較に意味あらしめるようにしたものでございますけれども、やはり何といいましても単純に比較できるものではないということはあらかじめお断りしたとおりでございます。
○木島則夫君 今度の改定で、逆にその現行給与を下回ったところは幾つぐらいありますか。実は私、昨年中南米諸国を視察をさしていただきました折に、アルゼンチンといいブラジルといい、そのインフレ率というものは物すごかったわけでありまして、現地に参りますと、在外公館の方々の大変だ大変だという声が圧倒的に多かったものですから、そういうところが一体どうなったかということも聞いておきたいという、そういう意味でお尋ねをいたします。
○政府委員(伊達宗起君) 全体といたしましては在勤法の上昇は、たしか七・六%、平均いたしまして増額したわけでございますが、御指摘の減額されたところといたしましては南米のアルゼンチンと中米のコスタリカがございます。
○木島則夫君 そうですか、アルゼンチンは大変なインフレ率で、これはどうなるのかと心配をしていたところなんですけれど、いわゆる減額になったわけですね。それからブラジルとかメキシコはどうですか。
○政府委員(伊達宗起君) アルゼンチンの物価は御指摘のように大変上昇したわけでありますけれども、そのインフレの幅を超えまして、対円との為替レートが下落しております。したがいまして、在勤基本手当が減額ということになったわけでございまして、約七%ほどの減額になっております。それからブラジル、メキシコの点をお尋ねでございますが、ブラジルは相当の増額になっておりまして、二七・八%の増額でございます。メキシコも二〇・八%の増額になっておりますが、これは何と申しましても物価上昇率と対円為替変動率をかみ合わせまして在勤基本手当を算出いたします関係上、たとえばブラジルで申しますと、ブラジルの場合には物価上昇率が対円為替変動率をはるかに上回るものであったために二七・八%でございましたし、メキシコの場合はブラジルほどの物価騰貴率ではございませんけれども、対円為替変動率との関係におきまして、やはり増額しなければならないということで二〇・八%になったわけでございます。
○木島則夫君 聞くところでは、イギリスとかフランスの場合には赴任地に居住施設がきちっとあったり学校等が整備をされている、あるいはアメリカの場合には国務省の営繕部が家財道具などの調達を引き受けるなど生活面で相当厚遇をされているということであります。これも現地で私何人かの人たちに設問をしたのでありますけれど、日本の外交官から返ってくる答えは、自動車とか冷蔵庫といったこういった生活必需品を赴任早々から自前で購入しなければいけない、欧米の外交官とは大きな格差がこの辺にもあるのだ、したがって、つき合うときに身銭を切ってやる、そういうこともしなきゃならない、非常につらいんだが、しかしこれも日本のためですと、こう言い切ってはおりましたけれど、最初に、ワシントンあるいはパリにおける、日本を一〇〇とした場合の西独、イギリスあるいはアメリカなどの給与の額を伺った際にも、たとえばワシントンでは、日本が一〇〇の場合、西独一二三、イギリス一三三、こういった指数を見ましても、やはり少なくとも先進国レベルまでは追いついてもらいたい、それがやはり経済的な待遇の最低線ではないだろうかと思うわけでありますが、この辺いかがですか。
○政府委員(伊達宗起君) 比較という問題がなかなかむずかしい問題であることは先ほど申し上げたとおりでございますが、しかし、このワシントンにおきます西独一二三、英国一三三という中には、住居の支給といいますか貸与と申しますか、ないしは家具等の運搬費を官費支弁にするとかいうようなものは入っていないようでございまして、そういうものを加えるとまたこの指数は若干西独、英国が上回ってくるということにもなるものだと思います。 ただ私どもといたしましては、もちろん先生のお言葉もございますように、在外において勤務する職員の生活条件というものを何とか改善いたしたいと思っておりますが、いろいろ歴史的な事情もございますので、住居を英国のように全く官費で提供するとか、あるいは引っ越し荷物の全額を実費負担にするということは、これも一つの方法ではございましょうし、私どもも努力していかなければならないものと思いますけれども、にわかには実現できないことでございます。私どもとしましては当面、手当を改善したり、あるいは住居の一部国有化を行いまして館員の便に供したいと思っております。
○木島則夫君 もちろん、日本の財政事情あるいは行政改革など、問題があることは私も承知の上で申し上げているわけであります。 さて、その給与格差以上に問題がございますのが子女教育手当ですね。これもずいぶん現地の方方は頭を痛めている大きな問題でございます。日本の場合には子女教育手当が一万八千円各人に渡されるということでありますけれど、この一万八千円という額はどういう基準で設定されたのか。しかも、海外で授業料というのは平均どのぐらいの額なのか、これも算定は非常にむずかしいとは思いますけれど、参考のために聞かしてもらいたい。
○政府委員(伊達宗起君) 御指摘のように、子女教育手当といたしまして一人月額一万八千円を支給しているわけでございますが、子女教育費の実態につきまして一つの数字が手元にございますので御披露させていただきます。 小学校でございますと実費が、平均でございますが一万八千九百円ということになっております。それから、義務教育のもう一つの、上級でございます中学校でございますと、二万三千七百円という実費、実態でございます。 それにつきまして、これは一人当たり月額一万八千円の子女教育手当と申しましたが、その後、やはり地域によりましてはこの手当支給額を大幅に超過するようなところも出てまいりましたので、さらに一万八千円の上に一万八千円を最高限度として地域的な加算をいたしておりますので、実際に支給されている額を平均いたしてみますと、小学校におきましては平均一人につき一万九千三百十四円を支給している、中学におきましては一万八千八百六十九円を支給しているということでございまして、小学校の場合には若干、ほんの少しではございますけれども、平均におきましては実態、実費よりも上回っている面もございますけれども、中学におきましては、約四分の三が父兄の負担になって、四分の一が補助ということになっております。
○木島則夫君 詳しい問題については予算審議の折にもう少し詰めさしてはもらいますけれど、もう一つの問題点は、同僚議員からも指摘されておりましたように、在勤地での不健康地勤務の問題ですね。これは、熱帯性あるいは高地性気候の勤務地に赴任する外交官に対しては健康管理休暇利用などが実施をされているというのがそれであります。健康管理休暇利用等が実施されている対象公館の主なものと数ですね。それから、先進国に比べて日本の場合には一年半以上勤務しないとこういう資格が得られないという問題などがあるようであります。また、資格があってもローテーションそのほかの問題で実際に休暇がとれるかどうかわからないというような実態も私は聞いておりますけれど、時間がないので簡潔にひとつ答えていただきたい。どんな状態ですか。
○政府委員(伊達宗起君) 簡単にお答え申し上げます。 五十六年度におきまして特に勤務環境の厳しい地域にございます四十二公館について見ますと、健康管理休暇を希望した者につきまして全員について実施することができました。五十七年度につきましては、これは予算で御承認を得ればの話でございますが、私どもとしてはそのほかに六公館に適用の範囲を広げたいというふうに考えております。それと同時に、在勤期間の長期化を勘案いたしまして、従来は在勤期間中に原則として一回の健康管理休暇を許されるのみでございましたが、予算の御承認をいただければ、三年在勤する場合には二回、すなわち平均にいたしまして一年半に一回とることができるように予算を五十七年度に組みまして御承認を求めております。 実際はそういう制度になっているけれどもなかなか実行できないのではないかということのお尋ねがございましたけれども、これは以前はそういう傾向が非常に多かったのでございますが、先ほど申し上げましたように、五十六年度におきましては希望者全員について実施することができるようになりました。これは今後とも維持していきたいというふうに考えております。
○木島則夫君 外務省の定員を昭和六十年度までに五千名に拡充をする必要があるということでこれを目標に掲げているけれど、容易なことではないということは先ほどからの審議の中でも明らかになっております。やはりわが国外交の課題にこたえるためにも、最低の要求であるはずでありますけれど、果たして外務大臣、これは達成できるのかどうか。ぜひ私は達成さしていただきたいと思う。財政そのほかいろいろな問題点があることは百も承知でございますけれど、わが国外交が直面をしている難問あるいは難関を考えますと、外交体制あるいは組織の強化という点からすれば当然のことであると思いますけれど、外務大臣どんなものでしょうか。ぜひやっていただきたいと思う。
○国務大臣(櫻内義雄君) 正直に申し上げて、六年間に年平均二百七十名ずつの増員をしないと五千名体制にはいかない。今度の予算あるいは五十六年度の予算の際の実績からいたしますととうていこの目標には及ばないのでありまして、せっかく木島委員のお話で、私も五千名体制を一年でも早くいたしたいのでありますが、現実はそうなっておらないということを非常に残念に思うのでありますが、先ほどからの御質問にもお答えしておりますように、一つには外交官に適したいい人材を得るということ、あるいは外務省の情報活動その他に最近の機械を導入していく、無線を初めといたしましていろいろ考えるものがあると思うのであります。それから外務省自体の陣容以外に、外郭で外交活動に寄与するような面を、これは民間の経済界も頭に入れて考えていくというようなことで、何としても外交体制の強化、能力の向上、これらについて努力をしていきませんと、お話しのような現在非常に範囲の広い国際関係に対応する上に欠けるところがございます。一方において行革が進行しつつありますが、外務省の立場をよく説明しながら、足らざる中にもでき得る限りの能力を発揮できるそういう体制をとっていきたいと思います。
○木島則夫君 外交体制あるいは外交組織の強化という点では予算の審議の時間もあるようでありますから、そこでさらに問題を詰めさしていただきたいと思います。 かわって、ソ連のブレジネフ書記長の対日、特に対中国に対する国交修復の呼びかけがございました演説に対し、中国外務省スポークスマンは、この演説に対し「留意し、中国非難を拒否し、ソ連の実際行動を重視する」というコメントを発表をしております。世界はこの短いコメント、留意、拒否、重視の背景にある中国の真意を探り出そうとしていま懸命でありますけれど、簡潔で結構でありますからこのコメントに対する外務省の見解を改めて伺いたい。
○説明員(秋山光路君) いま委員御指摘のとおり、中国外交部は二十六日、スポークスマンによってただいまの発表がなされたわけでありますが、従来の中国の姿勢より若干柔軟性を持った姿勢が出たというふうに見てもよろしいと思います。と申しますのは、従来非常に簡単に先方のソ連側の声明に対して、反発をするか沈黙をするか黙殺をするかというふうな形で来ておりましたが、今回は若干柔軟な反応を示したと見られる節があると思います。
○木島則夫君 もう一度この短いコメントを繰り返しますと、この演説に「留意し、中国非難を拒否し、ソ連の実際行動を重視する」という三つの部分に重要点があるようでありますけれど、あなたはどこに一番の重要点というかポイントを見出されますか。
○説明員(秋山光路君) まず、ブレジネフ演説に留意するという発言と、それから重要なのは、ソ連側の具体的な行動であると、この点はやはりポイントであると私は思っております。
○木島則夫君 ソ連がこの時期にこういった呼びかけを行いましたのは、一つには台湾に対する武器の売却問題で冷却化している米中関係をさらに離反させようとするものだと見る説が一般的でございます。しかし、ブレジネフ書記長がこういった呼びかけを行うからには、それなりの下地と申しますか経過があったはずでございます。そういう目で見れば、ソ連側はことしに入ってから中ソ友好協会幹部を北京に派遣をしている、またソビエト・中国の関係正常化の会談をしておりますし、国境交渉再開の意図も打診しているやに伺っております。こういった一連の経過がはっきりとあるわけであります。こういった経過と今回の呼びかけとの相互性というものをさらに突っ込んで外務省としてはどういう分析をされるか、伺いたい。
○説明員(秋山光路君) ソ連側の動きといいますか、昨年の半ばぐらいから、人物交流、それからただいま御指摘のありました貿易の交渉とか協定とか、それからコンテナーの運搬に関します協定とか、そういうものが中ソの間で締結されてまいりました。そういう動きは確かにありました。これが果たして今回のいわゆるブレジネフ演説の平和攻勢とどういう関係にあるのかということについては、なおもう少し勉強さしていただきたいと思っております。
○木島則夫君 このソ連のブレジネフ書記長がタシケントで行った外交演説について、たしか外務事務次官が鈴木首相に報告をしております。これはあくまでも新聞報道でありますけれど、その中で、今度の中ソ関係改善の話し合いについても、最近の中ソ関係改善についての一連の情報がほとんどソ連サイドから出ている、また水面下での改善工作が順調に進んでいるなら、改めて最高首脳が呼びかける必要がない、こういう見方をされているやに伺っておりますけれども、これは外務省の見解でありますか。
○説明員(秋山光路君) その点、私は承知しておりません。
○木島則夫君 須之部外務事務次官が鈴木首相に報告をしたという表題で書かれておるけれど、どうでしょうか。御存じの方ありますか。
○政府委員(加藤吉弥君) 中ソ間には従来からいろいろな動きと申しますか、連絡があったことは事実でございます。たとえば国交交渉の再開、国交交渉は七八年に中断されておりますが、その再開を昨年八一年の九月にソ連側から申し入れております。そのほかカーピッツァというソ連の第一極東部長は毎年一回中国を訪問しております。こういうことで、中ソ間には政府を交えていろいろな人的交流があることは事実でございます。また交通とか航空機輸送、貿易その他非常にレベルは低いけれども従来から維持されていたということでございます。従来からあったそういう関係を今回のブレジネフ声明と結びつけて今後の中ソ関係に大きな変化があるのではないかという見方が一部にあることは私も否定いたしませんが、私どもといたしましては、そう飛躍的な変化ということは恐らくあるまいと考えております。この時期にブレジネフがこういう発言をいたしましたその根拠は、やはり先生御自身御指摘になりましたとおり、最近の台湾問題をめぐり米中間の緊張の高まり、あるいは日米間の貿易、防衛摩擦、そういうものを頭に置いての一種の行動である、むしろ外交的な宣伝工作のにおいが強いのではないかと、かように考える次第でございます。
○木島則夫君 来日をしましたワインバーガー長官が、このブレジネフの呼びかけに対しまして特に言及しておりますね。米中は今後とも友好的で防衛を含めて広範囲な関係を保ちたい。それからアメリカには台湾関係法があって台湾への義務も果たさなければならず、この点は中国側も承知していると述べたということでございます。 総理はワインバーガー長官に対して、中国を西側陣営に追いやることは得策ではないという見解をお示しになったようでありますけれど、こういう見解に対してアメリカ側の反応はどうであったか聞かしていただきたい。
○説明員(秋山光路君) アメリカとしましても、米中関係の持つ重要性を十分認識しておりまして、現在中国との間で話し合いを行っている旨の反応があったと、このように私どもは承知しております。
○木島則夫君 いま私が申し上げましたように、中国をして向こうに追いやることは得策ではないんだという鈴木総理みずからのこういう発言に対して、もっと積極的な発言はなかったのですか、反応は。
○説明員(秋山光路君) 先ほど申し上げた点以上に私は承知しておりません。
○木島則夫君 今回の呼びかけを契機に、アメリカが台湾への武器の売却等対中政策に何らかの修正を加える徴候が見られるかどうかということも今後一つの問題点であろうと思います。これを言葉を変えて言うならば、アメリカの秋の中間選挙と、深刻な経済問題を抱えたアメリカが現在以上の対中改善を図れるかどうか、保守派の支持を絶対条件とするレーガンであるために、中国がレーガン政権の現在の態度にどこまでたえられるかどうかということも私は重要なポイントではないかと思いますが、その辺の観測はどうでしょうか。
○説明員(秋山光路君) 本件につきましては、基本的に米中二国間の問題でございまして、現在、米中二国間で話し合いが行われているわけであります。政府といたしましては、米中関係が良好に発展することがアジアひいては世界の安定平和につながる、こういうことでぜひともこの問題が円満に解決されるということを期待しているというのが現状でございます。
○木島則夫君 今度の櫻内外務大臣の訪米に当たりまして、この種の、もちろんこの後での呼びかけでありますから、これ自体が出たということではありませんけれど、対中国、いわゆる米中との関係についてのアメリカ側の釈明なり説明というのはございましたでしょうか、外務大臣。つまりいわゆる国交がぎくしゃくしているというそういった問題に関する日本への注釈であります。
○国務大臣(櫻内義雄君) 私とヘイグ長官との間で、米中関係の説明が先方からございました。それは要約いたしますと、台湾関係法があってこれについては大統領も制約されるのだ。そういうことから米中関係が非常にむずかしいというお話でした。それで私は、日本は隣接国であり、中国はかねて一つの中国ということをいずれの立場においても言われておることで、この中国の関係の問題については私からいろいろ申し上げることを差し控えたいが、米中関係が引き続き友好関係を維持されるということは、これはアジアの情勢の上に、また国際的にも大事なことだと思うと、この範囲のことを申し上げた記憶がございます。
○木島則夫君 過去二十年にわたる中ソ抗争を根本的に変えさせる国際的条件は何かと言うと、ちょっと唐突なことになるわけでありますけれど、中国は一貫してソ連に対する覇権主義批判を続けておって、現在も基本的にはこの認識は変えていないものと私は思っております。その一方で、これは私の知る限りでありますけれど、ポーランド問題に対しては何かソ連の批判がトーンが低いような気がしてならないし、また鄧小平副主席がアメリカとの関係が後退しても構わないというようなことを言っていることなどから、米ソに対し微妙な変化が読み取れることもこれは事実であろうと思うわけでございます。 そこで、先ほどの櫻内外務大臣のお話を少し敷衍をさせていただまして、万一米中関係がさらに冷却化して悪化した場合に、日本としてはアメリカに対してさらに何らかの配慮をするように求めるお考えがあるかどうか。もう一つ、またそういった事態になった場合に、日本独自で何らかの対策をとり得るものであるか、この辺はどんなものでありましょうか。アメリカでこの話が出たわけでありますから、ひとつそこまで敷衍させていただきたいと思うわけであります。外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 私はいろいろな情報があり、いろいろな動きがあるその中にありまして、この米中関係へ日本が飛び込んでいくような、そういう行動を現在とることはこれは好ましくない、しかしながら両国ともに日本としては非常に緊密な友好的な関係にあるのでございますから、機会あるごとに米中関係が話し合いで円滑にいくようにという、そういうことはこれは申し上げていいと思っております。
○木島則夫君 そうしますと、もっと米中関係が悪くなった場合に、日本独自で何らかの対策というものは現在外務大臣の頭の中にはおありでございましょうか。これこれこういうことはやっぱりしなきゃいけないということはいかがでございましょうか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 私は、米中の国交回復の経緯からいたしまして、当初来この問題は抱えておって今日に至っておることでございますから、恐らく両国が各般の情勢を見ながら腹蔵のない話し合いをしてまいりますならば、この問題で大きく米中関係が阻害されるという見通しは持っておらない。これは米中の国交回復の経緯にのっとって私はそう見ておるわけであります。
○木島則夫君 これ以上はなかなかおっしゃりにくいと思いますが、念のために一つだけ伺っておきます。 過去二十年にわたる中ソ抗争を根本的に変えさせる条件というのは一体何かということでありますけれど、これはどうしいうふうに外務省は見ておりますか。アフガニスタンからの撤退、そのほかいろいろあろうかと思いますけれど、そういった面から外務省は、もし修復が行われるとするならば、その最低の条件と申しますか環境は何かということをおっしゃっていただきたい。
○説明員(秋山光路君) ちょっとむずかしい御質問でございますが、委員御指摘のとおり、中国が常に唱えておりますのはソ連の覇権主義というものでございます。したがいまして、まず中国から見れば、国境に張りつけたソ連軍隊の撤退とか、そういうことが行われるのかどうか、それからいま御指摘のありましたアフガンからの撤収が行われるのかどうか、並びにカンボジア問題をめぐるベトナムに対するソ連の支援がどのように改善されるのかされないのかというふうなことは、とりあえず考えられるかと思います。
○木島則夫君 きょうはこの辺にしておきます。ありがとうございました。
○宇都宮徳馬君 櫻内外務大臣、あなたは防衛摩擦とか経済摩擦とか非常に緊迫したというか、そういう状況の中でアメリカに行かれまして、そして新聞の記事のかげんか何か知りませんけれども、あなたが行かれて帰ってこられるころには何かばかに静かになってしまった、こういう感じがするんですね。 それで率直に言いまして、おっしゃれる範囲でいいんですけれども、一体防衛摩擦というのは、あなたいらっしゃっていろいろお話になった、どういうことなんですか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 今回私の訪米に際しては、ワインバーガー国防長官は事前に御不在であるということが明白でございまして、日本にお立ち寄りになるのでできればその方の問題は日本でと、こういうことでありましたが、せっかく訪米をして国防省を抜きにするというのもいかがかと、こういうことで、カールッチ国防長官代理がおられるということで私はカールッチ長官代理を訪問してお話し合いをいたしました。しかし、いまのような経緯でございますから、防衛問題については当面の内外の情勢についてのお話し合いだけで、それ以上突っ込んだお話をしておりません。いま御質問の防衛摩擦云々ということにつきましては、それに該当する何か協議をしたかというと、そういうことはなかったのであります。
○宇都宮徳馬君 向こうにいらっしゃって、いわゆる経済摩擦というものと防衛摩擦は非常に絡んで出てきている問題であるというふうにお考えになりますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどから他の委員の御質問にもお答え申し上げましたが、国際情勢一般についての意見交換が主でございまして、二国間問題としては貿易問題があったわけでございますが、お話のような貿易問題が何か防衛問題に関連して云々されたという、そういう事実はございませんでした。
○宇都宮徳馬君 今度は外務省の予算の審議が始まるわけですけれども、私どもは日本の周辺はどうしても平和でなきゃならぬと思っているものですから、だから防衛予算に比べれば本当に少ない増額ですけれども、外務省の予算増額は喜ぶ立場にいるわけなんです。今度の人件費増額なんかも大体F15一機分くらいであって、まことにささやかな増額である。しかし、外務省も元気を出してやってもらわぬと困るので、わずかな増額でも大いにこれが平和推進外交の激励になればいいと、こう思っているわけなんですけれども、日本の外交の中心というものは、アメリカだ、中国だ、ソ連だ、いろいろ相手国がありますけれども、やはり国連というものですね、国連というものが相当日本の外交の舞台として重視されると思います。近く国連の軍縮総会ですか、これが開かれる予定ですね。六月ころになりますと開かれますが、あなたの非常に親しい同士である園田前外相は二、三年前のこの総会に臨んで、私どもは当時の日本外交として目いっぱいの名演説をされたと、こう思うわけですけれども、国連軍縮総会に対してどういう方針で臨まれるつもりであるのか、あと二カ月後に追っていますからそれをちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 第二回特別軍縮総会については鈴木首相が率先して大きな関心を示しておるわけでございます。各国に先んじましてみずからこの会議には出席するということを申し、このことに対応をしてかいまのところシュミット、あるいはサッチャーの独、英の首脳も出られるのではないかという取りざたがされておるわけでありますが、せっかく鈴木総理も行かれることでありますから、各国の首脳もぜひ参加をされて、この特別軍縮総会が有意義に終始することを期待しておるわけであります。総理は施政方針の演説の中でも申しておりますように、被爆国の日本として核軍縮を中心としての軍縮の成果を上げたいという決意を持っておるわけで、私もそのとおりに感じておるわけであります。核軍縮達成の上に、まず第一にはその前提となる核実験を廃止するあるいは核不拡散体制を確立していく必要があると思いますし、また問題の生物兵器の禁止などについてこれが合意を見る必要があるのではないか、いろいろ考えさせられるところがございますが、いずれにいたしましても総理が陣頭に立ってこの総会に臨んで、軍縮の将来展望を切り開きたいと、こういうことでございます。
○宇都宮徳馬君 よく言うことですけれども、日本は平和憲法を持っている、非核三原則を堅持している、それから広島、長崎の経験がある、これは本当は冗談じゃないことなんですよね、実際を見ますと。大体平和憲法にしても日本が第二次大戦で惨たんたる結末になって、ついにポツダム宣言を受諾して降伏するわけですけれども、ポツダム宣言というのは、これは領土に対する規定を除きますと非常に重要な規定は、日本は民主的、平和的国家にならなきゃならぬということを、ソ連はそれに参加していませんでしたけれども、アメリカ、イギリス、中国とこの三つの国が要求しまして、ポツダム宣言を受諾して降伏したと。ですから、平和憲法はアメリカが与えたとこう言いますけれども、その前にすでにポツダム宣言においてあのような憲法をつくらざるを得ない、そういう状況が存在していたわけです。ですから、憲法改正論なんというのはありますけれども、あの敗戦の中でポツダム宣言を突きつけられて、そして平和国家、民主国家としてこれから生きていこうという民族の決心が平和憲法になったということでありますから、平和憲法堅持ということは鈴木首相もよく言われますけれども、これはちょっとそう簡単に平和憲法を変えるというわけにはいかない、基本的な原則を。 同時に非核三原則というのがある。私は非核三原則というのは大体第一次の安保条約を結びましたときに、そして第二次でも大体基本的には同じですけれども、日本は安保ただ乗り論なんということを言いますけれども、占領の実質を相当程度残しておるし、そして基地をアメリカに与えたわけですね。占領の実質をそのまま継いで基地を与え、そしてまた占領に伴ういろいろな諸特権を、いわゆる行政協定とか地位協定というもので与えているわけです。非核三原則というのは一体安保体制下においてどういうことか。それはアメリカは基地を自由に使用する権利を大体基本的には安保条約で認められているわけであって、ただ基地の自由な使用権というものが核に関する限り制限されていると、そういうふうにわれわれは考えているわけですね。そういう意味で安保条約と非核三原則とは非常に関連があるわけです。安保条約というものがなければ外国の核が入ってくるはずも何もないわけですから、だから非核三原則と安保条約は非常に関連があるものだと思います。ですから安保条約がアメリカに与えている基地の諸特権というもの、核に関する限り非核三原則は厳しく制限していると、こう見ていいわけですけれども、それはどういうふうに思われますか。安保条約というものが存在しなければ非核三原則もちろん必要ないわけですけれども、非核三原則の、基地使用権、それを核に関する限り制限しておるというふうに私ら解釈していますが、その解釈はどうですか。
○政府委員(栗山尚一君) お答え申し上げます。 ただいま宇都宮先生おっしゃいましたとおりに核兵器の持ち込みにつきましては、これをわが国の意思に反してアメリカが日本に核兵器を持ち込むというようなことのないように条約上の手当てをしようということで、先生御承知のとおりに新安保条約締結のときに目的の一つとして事前協議制度というものをつくって、核兵器の持ち込みについては日本政府の意思に反してそういうことが行われることはないということに、条約上の仕組みとして安保改定のときにしたという経緯がございます。その関連におきまして、非核三原則というものと安保条約ないしは事前協議制度というものとは関係があるということは先生御指摘のとおりだろうと思います。
○宇都宮徳馬君 つくらず、持たずということは安保条約とは直接関係ないですけれども、持ち込まずということはこれは安保条約の権利を制限していると、こういうことになるわけですが、この制限というものはアメリカは納得しているわけですか。安保条約のそういう持ち込まずという制限はアメリカは納得しているわけですね。
○政府委員(栗山尚一君) この点につきましては、先生御承知のとおりに安保条約改定のときの日米共同声明というものの中で、アイゼンハワー大統領の名前におきましておよそ事前協議、核の持ち込みに限りませんけれども、事前協議については日本政府の意思に反するような行動をアメリカはとらないということを明記しておることからも明らかなように、アメリカとしてはそういう条約上の仕組みというものは十分納得して受け入れておるものでございます。
○宇都宮徳馬君 核に関する限りは事前協議をするということを納得しているわけですね、核の持ち込みに関する限りは。
○政府委員(栗山尚一君) これは私から申し上げるまでもないと思いますが、事前協議は御承知のように核だけではございませんけれども、核兵器の持ち込みを含めておよそ事前協議にかかるものについては、日本政府の意思に反して行動することはないということは歴代アメリカの政権が明言しておるところでございます。
○宇都宮徳馬君 核の持ち込みを含む事前協議を納得しているわけですね。ですから、この非核三原則というものは二分の一原則とか何とか言わずにきちっとこれは守られるべきものですね、これは。アメリカも守るべきであるし、日本も当然それは信じてなきゃならぬ、それはそうでしょう、当然約束していることですからね。余りめんどうくさい議論しようと思っているんじゃないんです。それだけ言ってもらえればいいんですよ、あたりまえのことなんだから。
○政府委員(栗山尚一君) 先生のおっしゃっているとおりだろうと思います。
○宇都宮徳馬君 それで、鈴木内閣が平和憲法を守る、非核三原則を守ると、こう言っていることはこれは非常に当然なんですけれども、しかしそれに対して自民党内にいろんな動きがある。つまり、非核三原則は二・二分の一原則でいいとか、あるいは平和憲法は改めるべきだとか、まあいろいろ意見がありますけれども、それに対して外務大臣はどういうふうに考えられますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) 論議は自由で、いろいろな意見が出ることはこれは言論の自由がわれわれの基本的な権利でありますから、私はその場合いろいろな立場からあの意見はどうだ、こうだという批判は出ましても、論議の結果が大体うまく処理されていくものではないか。ですから、どういう御論議でもそれは謙虚に耳を傾けていっていいと思うのです。ただ問題は、一体いま政府の責任にある立場の者がそういう論議に耳を傾けるのか、それともそうでないのかと、そういうところが大事だと思いますね。自由民主党の中でいろいろ論議があって、それが大多数で党としての方針ということになれば、おのずからそれはまた党出身の者としては考えなければなりませんが、論議の過程におきましては、政府のとっておる方針の方が政治の上で重要だと思うのです。その点では、鈴木首相はかねて来憲法は当然これを守っていくのであると、閣僚は遵守すべきであると。したがって、宇都宮委員は御承知でしょうが、私は憲法のいろいろな点で欠陥もある、基本は基本としてですね。だから、改正論議者ではあるけれども、いま鈴木内閣の一員としてはそういうことは自粛をして、いまの鈴木内閣の方針にのっとって行動をしておるということを申し上げておるわけでございます。この非核三原則にいたしましてもまた論議はあると思いますけれども、現在政府は、この非核三原則は国会の決議であり、これを守っていく、いわばこれは国是であるとまで申し上げておることを御留意願いたいと思います。
○宇都宮徳馬君 そこでお尋ねしたいんですが、安保条約の話が出ましたから安保改定論、これに対してアメリカは特に軍の方でその必要なしと、こういうことを言っているということが新聞に出ていますね。それで、日本における安保改定論の中に、あるいはアメリカにおいてもあるのかもしれませんけれども、安保条約に双務性がないということが言われております。安保条約に双務性を与えなきゃいかぬという議論がありますね。安保条約に双務性がないという議論は、これは実は本当はおかしいんです。つまり、私ら岸内閣の安保改定の全いきさつを当時衆議院の外務委員会で委員として知っていますけれども、双務性を無理につくった条約ですよ、あの改定された安保条約というのは。どういうところに双務性をつくったかというと、これはアメリカの基地に対する攻撃を日本に対する攻撃とみなすと。基地に対する攻撃を日本に対する攻撃とみなすという新しい条項を入れて、それで双務性をつくった条約です。現在、双務性を与えよという議論がありますけれども、現在の安保条約ですでに双務性があると、こう思われますか、ないと思われますか。
○政府委員(淺尾新一郎君) 最近アメリカの下院の外交小委員会が開かれていろいろな人が証言しております。その中でアメリカの政府を代表する、その中には国防省の次官補代理もいます。この人もはっきり、アメリカ政府は安保条約を改定する意向はないということを言っております。それが第一点。 それから第二点は、アメリカの下院議員の討議の中で安保条約を改定せよという議論が出たのは、いま御指摘のとおりでございます。 それから三点の双務性があるかないか、これは何に着目して双務性があるかないかということによって、変わってくるだろうと思います。もし仮に日本がアメリカを助ける義務がある、攻撃されてないのに助ける義務があるということであれば、これは日本の日米安保条約というものは双務性はないわけでございます。ただ、安保条約の六条によって日本は米軍に施設あるいは区域というものを提供している、そういうことから言えばそれは双務性があると、こういうことになるかと思います。
○宇都宮徳馬君 基地を提供していること自身がすでに双務性があるのですけれども、しかし基地に対する攻撃は、平たく言えばアメリカに対する攻撃とみなすと読める条項がありますね、新安保条約の中に。やっぱりこれが双務性なんですね。新安保条約の双務性です。つまり、米軍の基地に対する第三国の攻撃ですね、これを日本に対する攻撃とみなすという条項がありますね。それが双務性である。しかし、いずれにしても基地を提供していること自体が双務性なんです。もしもいまの安保条約に、本当の意味の双務性を与えなきゃならぬというのであれば、これは日本の軍事力の強い弱いは別問題として、やっぱりアメリカ自身が日本に基地を提供する義務を負わなきゃ私は双務性じゃないと思いますね、本当言いますと。ですから、そこまで言えば切りがないんであって、すでに現在の安保条約そのものが十分に双務性を持っている。双務性を持っている以上ただ乗りという議論はできないんじゃないですか。 私が特にそういうことを言うのは、安保ただ乗り論というものが非常に強くて、ただ乗りしてけしからぬ、それでどんどん商売して金もうけしているなんてけしからぬというような議論が日本にもあり、その打ち返しかなにか知らぬけれどもアメリカにもある状況ですから、安保ただ乗り論というのをこの際はっきりしておかぬといかぬと思って言うんですけれども……。すでにこれは外務省の最近の調査でも、四億平米の基地を提供しているわけですね。その基地の費用、駐留軍費用を出しているわけであって決して双務性がなくはない、ただ乗りではない。にもかかわらず、ただ乗りしていると言って経済摩擦だとかなんとか、それから日本に対する軍備要求のときにしょっちゅうそのただ乗り論を出されるということがありますけれども、これに対して北米局長、どう考えますか。
○政府委員(淺尾新一郎君) いま御引用になりました施設区域を提供してそれに対して日本は、非常に大ざっぱに言って約十億ドルぐらい負担しているわけです。他方、米軍自身もアメリカの軍隊を日本に駐留するために相当な額の支出をしている、それは事実でございます。安保ただ乗り論について、アメリカの議会の中あるいはアメリカの国民の中で出てきているのは事実でございます。そこで出てきている議論というのは、要約すれば、日本は防衛に余り金をかけないでもっぱら他国に対する貿易に力を集中していると、そういうことがアメリカから見て困るのである、あるいはアメリカ自身が国防費に相当お金をかけている、その中には、自分だけを守るのでなくてヨーロッパあるいは日本という同盟国を守ると。したがって同盟国としてもそれ相応の負担をしてほしいというのがいわゆる安保ただ乗り論というふうになってきているんのはないかと思うわけです。それに対して私たちは、日本の経済の発展とそれからいまの日本の防衛費の支出が少ないというのは非常に短絡した議論であると、やはり日本がここまで経済的に発展してきたというのは、それぞれ国民の努力あるいは貯蓄というところに負うところが多いんだと、こういう議論を展開しているわけです。
○宇都宮徳馬君 そこで、ただ乗り論なんということは言われちゃ困るんであって、防衛費が総体的に少ないということは間違いないんですけれども、現在、安保ただ乗り論なんかで、経済摩擦の問題は別として防衛圧力というものが非常にかかってきているのですけれども、ソ連の脅威ということが言われているんですね。ソ連の脅威という問題もやはりいろいろ客観的に冷静に見ないと、私どもは第二次大戦に至る日本の外交の経過とか軍の動きなんか見ていますから、脅威論というのはしばしば誇張される、ある場合にはつくられるという要素もあるのであって、アメリカの言うソ連の脅威というものは一体何を言っているのか、北米局長、ひとつ答えてください。
○政府委員(淺尾新一郎君) アメリカ側のソ連を見ている考え方というのを概括して申し上げれば、この七〇年代の十年間にソ連というのは非常に軍備をつけてきたと、他方、アメリカは軍備の支出を少なくしてきたと。その間において、アメリカとソ連の軍事バランスが崩れつつある、あるいは崩れていると言う人もいるわけですけれども、このままほっておけば一九八〇年代の中葉において戦略兵力あるいは通常兵力を通してソ連が優位になるかもしれない。そこで、アメリカとしては国防力の充実を図らなければならないと、こういうふうに見ているのが第一点。 第二点は、このデタントという名前のもとに過去十年間においてソ連は、ヨーロッパ正面においては確かに緊張緩和ということをアメリカとともに、むしろ対決よりも対話ということに力を入れてきたけれども、アフリカあるいは中近東その他の地域はもともとこのデタントの対象ではないということ、そして実際の事実として、たとえばアフガンに介入する、あるいはポーランド問題が起きてくる、そういうことをアメリカはソ連の脅威というふうに見ているというふうに私どもは考えております。
○宇都宮徳馬君 それはアメリカの意見ですけれども、われわれは一九六〇年代に中国との関係の改善を図って努力したことがあります、ずっと努力したのですけれども、その際、櫻内外務大臣も御記憶と思うが、一九六一年に中国へ行ったわけです。それで、何かライシャワーさんが会いたいというので櫻内外務大臣と一緒に会ったことがありますね、ライシャワーが来たばかりに。つまり、ケネディ政権ができたときですから、会ったことがある。そのときに、ライシャワーという人はなかなか柔軟性のある人ですからね、当時から。しかし彼でも、現在のソ連は大したことないけれども中国が脅威であると。私ら、中国と何とか仲よくしようと、こう思っていたのだけれども、ライシャワーは中国が脅威であると、こう言うわけですね。そこで私ら言ったのですよ。いや、中国はあなたがおっしゃるように、アメリカ人がおっしゃるようにそれは非常に危険な猛獣であるかもしらぬ。しかし、日本は中国のそばだから遠く離れることはできない。もし中国が猛獣であるとしても、あなた方アメリカは一発で巨大な猛獣をしとめられるか。しとめられぬだろうと。しとめられぬとすれば、この猛獣がつめでひっかいたり歯でかんだりするのは日本じゃないか。日本列島をカリフォルニアのそばへ引っ張っていくのなら別だけれども、引っ張っていかないと、無責任に殺しもしないでけがさせたりしたらえらい目に遭うのは日本だ。だから、われわれはやっぱり中国との関係をいかにしても改善しなきゃならぬと、こういうことを言ったわけですね。また、事実改善され、米中の関係も非常によくなっているわけです。 そこで私が言いたいのは、どこの国でも脅威というのはしばしば変わりますよ。日本の言う脅威だって、かつてはアメリカが一番脅威であった。だから、何年かのうちには脅威はしょっちゅう変わるのだけれども、アメリカの言う脅威もこの二十年間に相当変わっているということはやっぱり知らなくちゃいかぬですね、外交に冷静であるためには。 それからもう一つ言わなきゃならぬことは、やっぱり当時のアメリカのペンタゴンあたりの思想の中には、中国とソ連が軍事的な一枚岩であったから、アメリカは軍事力を中太平洋まで引き下げなきゃいかぬという、そういう軍事思想があって、それを背景にしてニクソン・ドクトリンというようなものができ、ベトナム戦争のああいう解決の仕方が出たり何かしてきたわけです。ですから、中国と日本との現在の友好関係というのはいろいろな意味で非常にいま重要であるというわけです。特に、純軍事的に見た場合でも、かつての帝政ロシア人が敷設した東支鉄道というのは全く中国の主権下にあってこれを利用できないという状況にある。これはもう沿海州から来るソ連の軍事的圧力をどのくらい弱めているかわかりません。そういう意味で、ソ連の脅威なんというものは広く考えないと、そんなものに引きずられて、そしていいかげんな反平和主義、反民主主義をやると、私は日本を誤るものであると思いますけれども、櫻内外務大臣はどういうふうに考えられますか。
○国務大臣(櫻内義雄君) ソ連の脅威ということは外務省では使っておらないと思います。オタワ・サミットあるいは日米首脳会談で、アメリカの軍事力の増強についてそれらの事態を憂慮をするということを言ったことは記憶をしております。現在日ソ間では、本年も高級事務レベルの会議も持ったりしておりますが、ただ遺憾なことには、極東におけるSS20あるいは4、5の配備の状況とか、あるいは北方領土の軍事施設を考えると、これはやはり日本としては注意をしなければならない。日本としてはそういう意味合いから潜在的脅威というような表現はしております。 それから、日ソの間の領土問題を解決して安定的な関係に持っていきたいと、こういうことを念願として、しかも固有の領土の返還については、これは国民挙げての要望であると、こういうことで終始をしておるわけでございます。ことさらに両国の関係を悪くするような、そういう外交の持っていき方はいかがかと思っておるわけでございまして、ソ連の方もアフガニスタンやポーランドの問題、あるいは極東の軍配備などを考えていただいて、極力自制をしていただく、そういうことによりまして、今回のブレジネフ書記長のああいう平和攻勢的な発言もございますが、ブレジネフ書記長が本当に平和を望むのである、各国の関係を改善するのだということになりますと、反面やはりなるほどというものがなければならぬと思うんですね。そういう点が、これからの日ソ関係では注目をしていきたい点でございます。
○委員長(稲嶺一郎君) 以上で質疑は終了したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようでございますので、これより直ちに採決に入ります。 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(稲嶺一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(稲嶺一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十五分散会 ―――――・―――――