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96回国会衆議院1982/03/08

予算委員会第二分科会 第4号

発言数
357
登壇者
36
会派数
4
開催日
1982/03/08

会議録

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中文部省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水勇君。

清水勇日本社会党

○清水分科員 きょうから国会が正常化をしたわけでありますが、本題に入る前に、大臣にちょっと要望しておきたいと思います。  政調、政審会長会談でも申し合わせが行われ、かつ議長見解でも明らかにされているとおり、所得税減税問題については、国民の強い要望を認識し、早急に各党誠意を持って協議をしてその実現に当たる、こういうことが申し合わせをされ、これを踏まえて国会運営の正常化を見るに至ったという意味は非常に重いと思います。  そこで、有力閣僚の一人である文部大臣も、今後、与野党のそうした前向きの協議に対応して、国民の大きな願望にこたえる角度で大いに努力をしてもらわなければならない、そういう責務があると思うのでありますが、まずもって強くこの点を御要望申し上げ、もし何なら一言所信を披瀝していただきたい、こう思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 申し合わせの趣旨を体しまして、閣僚の一人として努力をするつもりでございます。

清水勇日本社会党

○清水分科員 それでは本題に入りますが、私はきょう、今日大きな問題になっております貸しレコード問題に関連をし、著作権法との関係等々に触れてお尋ねをしてまいりたいと思います。  ここに、文化庁で出された貸しレコード問題の資料があるわけでありますが、貸しレコード店は、昭和五十五年六月ごろ東京三鷹に大学生が始めた黎紅堂に端を発し、以後全国的に急速な普及を見て、現在全国一千店舗を超える状況にある、こういうふうに言われております。  そこでまず承りたいことは、四十五年の四月に著作権法が改正を見、現行三十条が新たに設けられているわけですが、その際に、果たして貸しレコード業が出現をするなどという予想をされていたかどうか、承りたいと思います。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 御指摘のように、四十五年の改正の際に私的使用の規定を検討いたしまして、従来は、機械的または科学的方法によらない複製を私的使用として認めていたわけでございますが、複製手段が発達をしてきたということを受けまして、そうした複製手段のいかんによる制限ということを廃止いたしまして、およそ個人的あるいは家庭内その他ごく限られた範囲内における利用を私的利用として認めたわけであります。このときには当然、その後における複製手段の発達に伴って新しい問題が生じてくるということは意識をしていたわけでございますけれども、貸しレコードというような営業の形態が今日のような形で出現をするということは、率直なところ予想をいたしておりませんでした。

清水勇日本社会党

○清水分科員 ついでに、当時、今日のようにたとえばテープレコーダーあるいは録音機器が簡便化をしたり高度化をする、そして一般家庭にこれほど普及をするというふうに予想をされていたかどうか。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 当時の衆参両院における著作権法案の御審議に際しましても、その点はすでに御指摘がございましたし、また附帯決議におきましても、著作物利用手段の開発は今日いよいよ急速なものがあるので、検討すべき課題が多々ある、よって、時宜を失することなく、そうした新しい課題に対応する検討を進めるべきであるという御指摘を賜っております。  われわれも、すでに当時から複製手段の発達は始まっておりましたので、そのことは予想しておりましたけれども、これまた率直に申し上げまして、複製手段の発達の速度は、われわれが予想したよりもより速いものがあったということは言わなければならないと思います。

清水勇日本社会党

○清水分科員 現在、一般家庭でどの程度録音機器が普及をしているというふうに見ていますか。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 録音機器に関しましては、すでに九〇%を超えて普及が見られておると思います。録画機器につきましても、すでに一〇%を超しているというように見ております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 通産省は来ていましたね。  そこで通産にお尋ねをいたしますが、レコード業に関してはあなたの方の所管ですね。現在、一千店を超す貸しレコード業が出現をしている、こういうことを通じて、たとえばレコードの生産メーカーあるいは小売レコード店等に多大な影響があらわれているというふうに思いますが、どのように掌握をしていますか。

山浦紘一通商産業省生活産業局文化用品課長

○山浦説明員 お答えいたします。  レコードの生産数量につきましては、調査いたしましたところ、業界の報告によりますと、昨年は、生産数量におきましては一三%の減、売り上げにつきましても六%の減になっておるというふうに報告をいただいております。特に、本年一月に入りましては、前年同月に比べますと、生産数量、売り上げにつきましても、一割以上の減というふうになっておるわけでございます。  この減少の原因につきましては、種々あるわけでございますが、一つの見方といたしましては、一昨年にレコードを値上げしております、その点から、昨今の個人消費の低迷と一緒になりまして、販売数量なりあるいは金額が減っておるという見方もあるわけでございますが、もう一つ、先生の御指摘のとおり、貸しレコード店の進出というものも、地域によりましては非常に大きな影響を与えているという見方もあるわけでございます。

清水勇日本社会党

○清水分科員 実は、御披露してもいいのですけれども、時間がありませんからいたしませんが、私の県の小売レコード商組合長であるとか、その他全国的にこの問題をとらえて、事態はきわめて深刻である、何とかしてもらわなければもうやっていけない、現に長野県の組合長の経営している店などでは従業員を半数に整理をした、整理をしたが、さて見通しはというと、これは全く立たない、こういう状況で、いま課長が言うように一割くらいの落ち込み、そんななまやさしいものではなしに、たとえば近隣に貸しレコード店が店開きをしたような地域では、平均をして三〇%、はなはだしい場合には五〇%程度売り上げがダウンする、お客さんは来ないわけじゃない、お客さんはどんどん足を運んでくれるが、レコードナンバーを控えてみんな帰ってしまう、だから結局商売にはならない、こういうことを訴えているわけですね。  中小企業庁も抱えている通産当局の場合には、そうした小規模零細な小売レコード業をそういう状況の中でどう救済をするか、これは重要な課題だというふうに思うのですが、どういう手を打っていますか。

山浦紘一通商産業省生活産業局文化用品課長

○山浦説明員 先生の御指摘のとおり、地域によりましては、貸しレコード店の進出による影響もかなり大きいものがあるということも十分予想されるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、他の経済的な要因もございますので、私の方も中小企業事業団に委託いたしまして、貸しレコード進出によるレコード店の小売の影響につきまして現在調査を進めている段階でございます。

清水勇日本社会党

○清水分科員 去年の秋ごろから調査をされているのじゃないですか。まだ大体の趨勢はつかんでいませんか。

山浦紘一通商産業省生活産業局文化用品課長

○山浦説明員 調査は昨年末に実施をいたしまして、ここ一月、二月におきましてほぼ回収が終了するというふうに予定しております。まだ、具体的にどのような影響があるかということをきちんとつかまえている状況ではございません。

清水勇日本社会党

○清水分科員 ついでに聞いておきますが、貸しレコード業というのは、通常のリース業あるいはレンタル業と同じ性質のものだと見ているのか、あるいは異質の商売だというふうに見ているのか、その点どうですか。

山浦紘一通商産業省生活産業局文化用品課長

○山浦説明員 この点につきましては、一般にレンタル業なりリース業におきましては、物を貸与することによりましてそのサービスを受けるということになるわけでございますが、貸しレコードの場合におきましては、借りた者が大部分それを録音するということになりますと、それの客体が録音化される、返した後も残るという点につきまして、著作権法との関係で非常に微妙な点が生じてくるというふうに考えておりますが、通常のレンタルあるいはリース業とはその点が異なるというふうに考えておるわけであります。

清水勇日本社会党

○清水分科員 著作権法との関係は文化庁の方へ聞きますけれども、通常のリースあるいはレンタル業とは違う、こう言われているわけですが、たとえばいま中小企業事業団を煩わして調査をしているその結果が集約されて、事態はきわめて深刻である、こういう場合には、あなたの方ではいわゆる貸しレコード業というものに対して何らかの、たとえば制約を行うなり行政指導を行うなりといったようなことを相談をされるわけですか。

山浦紘一通商産業省生活産業局文化用品課長

○山浦説明員 この点につきましては著作権法上非常に微妙な点がございますので、十分文化庁の方と連絡をとった上で対応していきたいと思っております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 長官、さっき言われているわけですが、現行著作権法第三十条は、個人が家庭内という非常に制限的な条件を付して録音をすることを認めるという性質のものなんですね。ところがこの貸しレコード業の場合、たとえば私の承知をしている、またあなた方の方の紹介をされている資料でも明らかなように、貸しレコード利用経験者のうち貸しレコードからテープに録音している者は九七・四%に達する、そういう見方があるわけです。そういたしますと、現行三十条が制限的に認めている許容の範囲をかなり飛び越えている、こういう感じがしてならないわけですけれども、この辺はどういうふうに見ているのですか。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 現行著作権法の三十条の規定がごく制限的に解釈されなければならないというのは、御指摘のとおりでございます。この貸しレコードの営業の場合には、現行著作権法では商業レコードであるとかあるいは書籍のような著作物の複製物を公衆に貸与する行為については、これを直接否定する規定がない。そして、貸し出しを受けた者が家庭内で録音をするということについても、三十条がこれを認めている。しかし、営業として貸し出しが行われ、その貸し出しの行われた状況というのが、いま御指摘のように利用者によって複製が家庭内で行われることを予想して行われるものである。この点に問題がある。現行著作権法上も全く問題がないとは言えないと私どもは考えているわけであります。

清水勇日本社会党

○清水分科員 そうしますと、たとえば著作権法の九十六条「複製権」ですけれども、いわゆるレコード生産メーカーの固有の権利というように規定をされていると思いますが、どうもその複製権にも抵触をしやせぬか、こういうことと、かたがた三十条にも抵触をするおそれがある。こういうことを両々相まって考える場合、たとえば四十五年法改正の際に、衆議院の文教委員会での附帯決議もあって、先ほど長官が指摘をされるように、録音機器等の普及と相まって十分なる検討が必要であると言われている。  そこで、時間もありませんからあれこれ言いませんが、いずれにしても、昨年の六月でしたか、著作権審議会の第五小委員会、私その記録を持っているのですけれども、そこでこの問題に触れて報告書を出しているのです。その結びを見るとこう言っているわけです。「今日における録音・録画機器の普及は著しいものがあり、これに伴う家庭内録音・録画が著作権者及び著作隣接権者に及ぼす影響をこのまま放置しておくことは妥当ではないと考えられるので、まずはこの問題に対する国民の理解を深めるため関係者及び文化庁は適切な措置を講ずるよう努めるべきである。」こう言っておるわけです。どういう措置を講じておられますか。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 私的録音、録画問題についての第五小委員会の報告、ことにその結びでの御指摘は、私ども大変重く受けとめております。具体的には、著作権関係団体によって組織されている社団法人著作権資料協会というものがございますが、この資料協会と協議をいたしまして、資料協会において、まず私どももまた機器のメーカー等も協力をいたしまして、著作権思想の普及のための活動を推進する。さらに、この資料協会に関係者による懇談会を設けまして、文化庁も参加をし、具体的に私的録音、録画問題について権利者と機器あるいはテープのメーカーとの間の話し合いを前進させる、そういう対応を現在とっているところであります。

清水勇日本社会党

○清水分科員 私は、これは大臣にもよく聞いてもらわなければならぬことだと思うのですが、予想せざる貸しレコード業が出現をする。しかも、レコードの小売店というのは全国で約八千です。通産省そうですね、約八千。それに対して、一千店舗を超える貸しレコード業が存在をする。ですから、全体の平均は一〇%かどのくらいかわかりませんが、少なくとも貸しレコード店舗の周辺の小売レコード業の場合は三〇%前後の落ち込みである。中には、私も貸しレコード業に転換をしようかしらと思い込むような傾向もなしとはしない。  しかし、静かに考えてみる場合に、貸しレコード業の影響を受けて、生産メーカーも一三%も生産量がダウンをする、小売レコード業者の売り上げも大幅にダウンをする。これはメーカーや小売店だけの問題じゃなくて、たとえば作詞者、作曲家あるいは演奏家というような著作権者の収入にも深刻な落ち込みを来すわけですね、収入減になる。そういたしますと、そういう著作権者等が収入を通じて新しいよい音楽を創造する、あるいはこれを広めていく、皆さんの立場で言えば、そういう文化政策の上に重大な支障をもたらすという懸念があると思うのですね。  だから、ひとりレコード屋が大変だから心配してやれなんという、そういうことだけではなしに、それも非常に重要なことですが、同時に、作詞家や作曲家や演奏家などが、さらによい音楽を創造する、わが国の文化や芸術を創造する、そういう活動に耐えがたくなるというようなことは、御承知のように世界第二の経済大国と言われながら、文化の面ではなおヨーロッパ諸国に比べて見劣りをしている、そのレベルがまだ低いのじゃないかと言われている、そういうときに、これは重大な問題だと思うのですね。  ですから、文化政策を担当する文部省の立場では、この問題をこれ以上放置をしておくということは、わが国の文化の上に大変なダメージをもたらすということにつながりはしないか。そういう認識についてどのようにお考えになっているか。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 御指摘のとおりであると考えております。  この問題は、もちろんレコード産業に重大な影響を及ぼすという点からの指摘があるわけでございますけれども、私どもは、作詞、作曲家あるいは実演家、レコード製作者、そうした著作権あるいは著作隣接権にかかわる権利者の権利がこのことによって不当に侵されてはいないか、そのことがひいては音楽文化というものによくない影響を及ぼしているのではないか、そういう角度からこの貸しレコード業の問題はとらえているわけであります。言いかえれば、著作物の利用手段の開発に伴って生じてきた新しい著作権制度上の課題である、正面からそういう問題として受けとめなければならないと考えております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 実は、著作権法案に対する附帯決議というコピーを持っているのですけれども、その第一項で「著作権法は、著作者等の権利の保護を第一義的な目的とすることにかんがみ、」と明確に言っているわけですね。が、しかし、一面著作権というものに対する国民一般の理解は必ずしも十分じゃない。だから、啓発をし、これを普及しなければならぬという課題を文部省がしょっていると思うのですね。  この附帯決議がなされてすでに十二年になっている。それぞれ努力をされていることは私も承知はしております。が、しかし、現実には本来の著作権法の趣旨に反する貸しレコード業等が出現をし、憂うべき事態を今日迎えている。そうだとすれば、大臣、たとえば著作権審議会等の中でも、可及的速やかにしかるべき措置を講ずるべきであるということを文化庁にも示している。しかも、私が指摘をしたような懸念もある。この際、ぼつぼつ具体的にこういう問題の打開のために——たとえば、録音機器の普及はある程度は予想したが、これほど、つまり九〇%まで各家庭に普及されるというところまでは予想していなかった。いわんや、貸しレコード業の出現などは法改正の際には予想もしなかった。しかし、予想もせざる事態が今日起こっているわけですから、そうだとすれば、一部には旧法に戻して全面禁止というようなことにしたらどうだ、こういう意見も私は耳にいたします。  しかし、これはいかがかという認識を私も持つわけですが、そうだとすれば、いまの三十条で予想をせざる事態が発生をしているわけですから、それに対応し得るようなたとえば法制度の一定の見直しなり補強なりというものをしなければ、なかなかこの種の問題を円滑に解決をすることにならないんじゃないかというふうに思うのですが、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 著作物の複製物を貸与するという行為につきましては、ただいま文化庁長官から申し上げましたように、映画の場合を除いて現行の著作権法には規定がございません。しかも、利用者の非常に多くの者は家庭内で録音をしている。貸しレコード業の店舗は、すでに一千軒を超えているという現状でございます。これを放置いたします場合に、仰せのように音楽作家あるいはレコード製造業者の権利を不当に侵害するという事態が起こり、ひいては音楽文化の創造に好ましからざる影響を及ぼすということになりかねない、こう考えて憂慮いたしておるわけでございますが、この問題につきましては、著作権法九十六条に規定いたしますレコード製造者の権利を侵害するものだという趣旨の訴訟も提起されておることでございまするし、通産省の当局からもお答えしましたように、現に調査もやっておるわけでございますので、確かにこのことは著作権法上の一つの大きな課題だと心得ておりまするが、それらの結果を見て適切に対応していきたい、こう考えております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 実は、非公式にこれまで関係省庁とも相談をしないではないのです。たとえば通産省から言わせると、著作権法との関係が深い、だから文化庁の一定のコメントといったようなものを抜きにして、通産が通産独自の判断で行政指導することは問題がある。また文化庁はどうかというと、いま大臣が言われるように、九十六条問題で東京地裁にいま事件が係属中である、司法判断が出る前に文化庁が何らかのコメントをするというようなことは多少慎重を期さなければならない。  しかし、現実に私も法務省等に当たってみますと、司法判断の出る時期はそう簡単じゃない。そんなにスピーディーに出るとも思えないという見方もなしとはしない。そうなりますと、みんな責任をあれこれに転嫁をするような感じで、百年河清などというオーバーなことを言うつもりはありませんが、どうもこのまま推移をしていくような気配もうかがわれないこともない。  が、しかし、先ほど来大臣も長官もこのまま放置はできない、関係者相寄って早急な対応をせざるを得ない、こうおっしゃっているものですから、それはそれで大変結構だと思いますが、私はこの際、速やかにこの問題に対する一定の政府としての判断を、とりわけ文部省の場合には、文化政策との兼ね合いで判断をする必要がある。また通産は通産で、中小零細規模の経営をどう守るかというような立場からも、速やかなる判断をする必要がある。また同時に、僕は、貸しレコード屋からレコードを借りてきて録音をして音楽を聞いて楽しんでいるという一般大衆、この存在も無視しませんが、しかし、やがてはいまのような状態が続いて新しいよい音楽が創造できなくなるというようなことになると、結局一般大衆のところへ火の粉がかぶさっていくわけですから、それやこれやを考えて、私は速やかなる対応をこの際お願いをしたい。その意味で、大臣の所信は承りましたから、文化庁長官、最後に一言。

佐野文一郎文化庁長官

○佐野(文)政府委員 民事訴訟が係属中である、その推移に留意をしなければならないということは当然でございますけれども、われわれは、先ほども申しましたように、この問題を著作権制度の新しい課題として受けとめて、これに制度上どう対応すべきかの検討を急ぎたいと考えております。  私的録音、録画の問題の解決ということと貸しレコードの問題の対応ということとは、深くかかわるけれども、一応事柄は別であります。私的録音、録画の問題についての協議の前進を図ることとこの貸しレコードに対する対応を制度上どのように考えるかということ、両方につきまして私どもは検討を急ぎたいと考えております。

清水勇日本社会党

○清水分科員 終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて清水勇君の質疑は終わりました。  次に、辻第一君。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 私は、いわゆる大規模校の問題について質問をいたします。  まず最初に、適正規模の学級数はどれぐらいなのか、お尋ねをいたします。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 小学校、中学校の規模につきましては、学校教育法の施行規則におきまして十二学級以上十八学級以下を標準とするということに規定されておりまして、必ずしも過大規模校はどのくらいの学級をもって過大規模校というかということは定かにはいたしておりません。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 十二ないし十八学級が適正規模、こういうことですね。  それでは、大体十二から十八学級が適正規模ということですが、十八学級よりかなり上回る三十一クラス以上の学校は全国で小学校、中学校でそれぞれどれぐらいあるのか、お尋ねをいたします。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 御質問の三十一学級以上、小学校につきましては全学校数の八・三%、二千四十二校でございます。中学校におきましては四・〇%、四百六校でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 相当の学校でいわゆる適正規模を大きく超えた三十一クラス以上の学校があるわけですね。私、その三十一クラス以上の学校の児童生徒の数はどれぐらいか、きわめて大ざっぱな計算なんですがしたのです。それは小学校では三十一クラス以上が二千四十二校、中学校では四百六校、全部三十一クラスとしてそして四十人学級としてという計算なんです。そうしますと、小学校では二百五十二万九千六百人おります。中学校では五十万三千人ほどおります。そうしますと、小学校では二一・四%、中学校では九・八%、こういうことになります。小学校も中学校も合計しますと三百三万人の子供、これが全体の千六百九十二万の児童生徒の一七・九%ということになります。大変なたくさんの子供さんが適正な規模を大きく超える三十一クラス以上の学校で勉強をしている、こういうことであります。大変な数字であります。  また、奈良県で見てみますと、これはちょっと計算の基準が違うのですが、去年の五月現在で小学校の何人ということははっきりしていますので、千二百人以上が大体三十一クラス以上あたりだと思うのですが、小学校で十七校です。そのうちで千五百人以上が八校あります。そこの小学校の児童数は合わせて二万五千二百八十七人です。全体が十三万二千二百二人ということで一九・一%の子供がこういう大規模な学校で勉強している。また中学校で見ますと、千二百人以上の中学校が十一校です。そのうち千五百人以上が五校ということで、そこに学ぶ生徒は一万七千十九人、全体が五万六千四百十三人ですから、何と三〇・二%の子供がこのような大規模な学校で勉強している。小学校、中学校ならしますと四万二千三百六人、全体が十八万八千六百十五人ですから、二二・四%という子供がこのような大規模な学校で勉強しているということであります。  さて、このような大規模な学校ではいろいろ深刻な問題が起こっているというふうに私ども見ているわけでありますけれども、実際に見たり聞いたりしているわけでありますが、文部省としてはどのように把握をされているのか、お尋ねをいたします。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 御指摘のようにそれぞれ各地に、全国津々浦々にわたりまして小学校、中学校が配置されておるわけでございますが、都市集中化、人口集中という大きな現象がございます。また、高度な産業経済社会の出現ということで土地の効用というものが多様にわたって高まってまいっております。そういうような中で小中学校の規模がかなり大きな規模での動向があるということは事実でございます。したがいまして、文部省といたしましては、人口急増地域におきます大規模校の分離に対する補助策の推進、また用地確保に対する補助の強化等の措置を講じまして、これらの面にいろいろな形で対応してきておりまして、各市町村での適正な規模における教育の充実を期していくということの指導と援助に取り組んでおるところでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 いま私がお尋ねした意味はそういうことではなしに、大規模な学校の中で、運動場が非常に狭くてとかいろいろ問題が起こっていますね。そういう具体的な大規模校の中での問題です。そのことについて、どのような状態が起こって、どのような御理解をされているのかということでございます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 御指摘のように、都会地の中心のようなところにあります学校は、地方の学校に比べますれば運動場などに十分なスペースを確保するということはおのずから困難がある、これは現実問題でございます。したがいまして、屋内での運動ができるようにするとか、あるいは危険を防止する措置とあわせて屋上を活用するとか、いろいろ工夫をやっておるわけでございます。その結果として、全国のいろいろなスポーツの大会で都会地の学校でも成績を挙げておる、こういうところもあるわけでございます。ただ、御指摘のことでございますが、申せますことは、確かに六学級以下のような非常に小さな規模の学校ではいわゆる校内暴力等のそういう事件が発生する例はきわめてまれであるということは申せまして、そういう小さな学校での事件というものは、いわば一種の、校内事件というよりは事柄の性質からは家庭内暴力に近いようなケース、ときにあるけんかのようなことは小さな規模の中でもあり得るかと思いますが、事実、少ないと思います。  ただ、それとあわせて御指摘のような非常に大規模な学校の場合には、これは構成員が大ぜいでございますから、まず教職員間の意思の疎通を十分に図るとか、その上で校長を中心として全教職員の一致協力体制を整える、そして大ぜいの児童生徒との間に好ましい人間関係を確立していく。こういう上で、数学級程度の小規模な学校に比べますと非常な努力を要するといいますか、払っていくということがおのずから必要であろうと思います。  ただ、児童生徒の非行とか校内暴力の原因とか背景というものは、やはり児童生徒自身の生い立ち等に基づく性格でございますとか意識がまずございますと同時に、やはり社会、家庭、学校、それぞれのいろいろな要素が複雑に絡み合っておりまして、これを一律に断ずることは非常にむずかしいのでございます。そういうことで、私どもとしては、必ずしも学校規模と児童生徒のいろいろな問題とが直接結びつくというふうには考えられないと思っておりまして、実際上、私どもの調べによりましても、これは最近の状況の調べでございますので必ずしも非常に長期にわたっての調査ではございませんけれども、校内暴力等の非行がわりと出ておりますのは、十九ないし二十四学級くらいの、どちらかと申しますと現状においては中規模の学校に非常に多い。また、それ以上の規模の学校になりますと、かえって、頻度と言うとおかしいのですが、逆に言えば起こらない度合いが高くなっておる、こういうことになっております。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 大規模校の現状の把握という点については、いま非常に淡々とお話をなさったわけですけれども、現場は深刻です。まず、こういうふうに学校が大規模になっていくという状況の中では、特別教室というものがありますね、そういうものがまずつぶされていく。その途中でまたプレハブの時期ができたり、いろいろな過程を経ていく。当初計画された教室がどんどんつぶされていって、あるいはプレハブというようなところでやられていく状態です。  それから、いま局長が申されました、運動場が非常に狭くなってまいりますね。ですから、一番発育期の子供が運動ができないような状態ですね。休みの時間には運動がほとんどやりにくいような状態になりますし、放課後も、特定のクラブへ入っている子供でも十分にやれない。ましてや、私も自分の子供で経験したのですが、中学校では運動会が一度に開けないのです。二度に分けて運動会をやるというようなことですね。本当に伸び盛りの子供、一番運動の必要な時期に運動ができないような状態。ですから、そういうことも影響して、それだけじゃありませんけれども、もやしのような子供とか、肥満の子供とか、すぐ骨が折れるとか、そういう状態を来している、その一助にもなっているというふうに思うのですね。  それから、学校の先生と子供というのが本当に、どう言うのでしょうか、何とも言えない信頼関係、心の底からの触れ合いということが必要だ。しかもクラスだけじゃなしに、全体としてそういうことが必要だと思いますけれども、こういう大規模になりますと、自分の担任とごくその周辺ぐらいしかわからない。学校の中でもそうですけれども、学校を出て会うても、うちの学校の先生だとか、うちの学校の子供だということがわからないというような非常に疎遠な状態になりますね。私はこれも大変なことだと思いますし、それから教職員が会議をなさるようなときに、マイクを使ってやらなくちゃ会議ができないというような状態が当然起こってきておるわけですね。これでは、学校で教職員の方々が本当に十分に意思統一して、しっかり団結をして学校の運営に当たっていただく、そういうことが保証されていないという状態だと思います。  こういうことの中で、いま局長が言われたような非行の問題、また校内暴力の問題、大変な状態ですね。私の身近な者が中学校の教職にあるわけでありますけれども、このごろ本当に体を張って学校に行っているのだ、こういうことも申しております。こういう状態で、学校の先生方の苦労、これまた大変な状態ですね。どうしても、学校の先生方が十分な意思統一をし、団結をし、そしてその上に子供にしっかりと血の通うた教育や指導ができるにはほど遠い状態になってきているというふうに思うのですね。ですから、子供が本当に健やかに成長する、しっかりとした学力、たくましい体力、豊かな情操や市民道徳、こういうものを保証するような状況とは本当にほど遠い状況になってきている。  その中身は、私も何カ所も見てまいりました、また聞きましたけれども、皆さん方の、先ほど局長は淡々と言いましたけれども、あんな状態ではありませんね。本当に深刻な状態にいま来ているというのが現状だと思います。しかも、その数が奈良県では、これは去年の五月現在ですけれども、中学校で言えば、約三割の生徒がこのような状況の中で勉強をしている。子供にとっても深刻な問題でありますし、親にとっても、先生にとっても深刻な問題であります。日本の将来を背負って立つ青少年の教育の場がこのような状態になっている。しかも、四十人学級は延ばされるというようなことになりますと、ますます大変な状況だというふうに思うわけであります。大臣、このような状態をどのように御理解いただいているのか、どのようにしてこの問題を解決していこうとされているのか、お尋ねをいたします。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 学校の規模が過大になりますと、ただいまのお言葉にもありましたように、教職員全体が一致協力の体制を整えていく上で、あるいはまた個々の生徒と緊密な人間関係を形づくっていくという上で相当な困難があるに違いない、このことが直ちに青少年の非行に結びつくものではないという判断を私たち持っておりますことは、局長が答弁申し上げたとおりでございますが、望ましい教育活動を行う上でいろいろの障害が出てきておるに違いない、こう考えるのであります。  大規模校を分離するということは、新設の学校の場所をどこにするか、あるいは学区制をどうするかというような事柄について、地域の住民とも合意を得た上でやらなければならない問題でございますから、市町村の当局にいろいろの苦労が存するところだと存じております。  目下の実態といたしましては、三十学級を超えるというところで分離の問題が検討されておる実情でございます。文部省といたしましては、一般市町村の場合は三十学級程度、児童生徒急増市町村の場合は三十六学級程度を上回る学校について校舎整備の申請がありました場合には、極力分離、新設するよう指導をいたしておるところでございます。さらにまた、過大規模校の分離につきましては、優先的に補助採択をするなど、解消の促進のために積極的に努力をしておるところでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 いまおっしゃったことは、これまで何年かずっとやられてきたのだと思うのですね。ところが、五十五年あるいは去年の五十六年度の状況の中で、まだこのようにたくさんの学校が大規模の学校である、それから、先ほど申しましたような深刻な状況がその中にあるという点から考えますと、いまおっしゃられたことは、本当に私としては納得できない。もっと積極的にこの深刻な事態を打開する方途があるべきであるというふうに思うわけであります。  しかも五十七年度の政府の予算案では、公立学校施設整備費、この補助金が五十六年度は四千六百七億だったのが、五十七年度は四千百十一億、大幅に減少いたしております。小学校、中学校の校舎で言えば、五十六年は二千百六十七億だったのが千七百四十一億、四百二十六億も減って、割合で言えば一八・二一%も減っているわけであります。このような大幅な予算の削減で、この深刻な大規模校の解消を本当に進めることができるのか、過大校分離を含む市町村の校舎整備の要請に十分こたえることができるのかどうか、その点をお尋ねいたします。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 先生御指摘のとおり、五十七年度の予算におきまして、公立文教施設整備費につきまして総額で八・一%の減がございました。このことは、臨調の答申におきまして、緊急性の高いものにしぼって大幅な事業量の削減を図るということの答申がございましたが、実態的に小学校の児童の数が減少してまいりまして、そのことによる事業量の縮小の動きがございます。また、すでに木造の校舎につきましては、全保有面積の一五%の低きに至るの実態まで耐久化が進んできております。そのような背景の中で、市町村の事業量がそれなりの縮小された対応になってくることが見込まれておりますので、これには十分対応できる予算を計上したというように考えております。特に、大臣が御答弁申し上げましたとおり、大規模校の解消につきましてはこれを優先的に扱うということで私どもも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  また、御案内のとおり、五十三年度にすでに小中学校の補助対象となる基準面積の拡大もして、それなりの教育の充実を期してまいりました。  また、その他具体の補助に当たりまして、単価の引き上げ、あるいは新設ができますと、旧学校の校舎面積に余裕が出ますが、この余裕につきましては、さらに各種の教育の展開にこれを活用していく。同時に、新しい学校で、従来その余裕の面積分は補助対象から削減しておりましたが、そのことは本年度から、新設校の必要面積はすべて補助対象としていくというようなことで取り組みをいたしました。  また、先生御指摘の子供たちの問題でございますが、文部大臣の御指示のもとに豊かな心を育てるということの施策の推進を図っております。  私ども管理局といたしましては、その中で特に校庭を、いわゆる昔の運動場ということの状態に復活していくということで、屋外環境施設整備費に初めて予算を計上いたしました。子供たちが教室の外で、授業の合間合間あるいは放課後におきまして、学校の運動場で跳んだりはねたり泥んこになる、そういう水の池もつくったり、木登りの丘を学校の中につくる、あるいはジョギング、アスレチックの場をつくるということで、本当に子供たちが上級生と下級生が群れをなして、また先生の指導のもとに群れをなした子供社会が学校の中に出現するという、私ども、動きの環境づくりと言っていますが、動きの中で子供は育つ、そういう場面展開を図ってきている。校地の拡充につきまして、周辺にもう住宅ができておりますから、なかなかその場ではできないというところは、少し離れたところに空き地があるのではないか。山がある。その山を学校体育の森にまでしていくというようなことの施策も考えていくというようなことの対応もいま進めようとしておるところでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 ぜひ、いまのような対応は積極的に進めていただきたいと思うわけであります。児童の減少それから各自治体からの申請というようなものを基準にして予算をつくられたというふうにも受け取るわけでありますけれども、学校の地方自治体からの申請というようなものは、いま新設されたもので十分だということではないわけですね。いろいろ先ほど言われました、もちろん用地の問題だとか、また学区割りの問題だとか、いろいろむずかしい問題がありますけれども、また財政の問題もありますね。そういういろいろな困難の中で、ことしはこれだけということで、もう十分なものが出されているということじゃないわけですね。こういうふうに児童生徒が減少してきたというような機会にこそ、自治体への国の援助をさらに改善強化をすべきである、こういうふうに考えるわけでございます。  ところが、現実は、それをもっけの幸いにして、大軍拡のための補助金の一割削減の多くを公立学校の施設整備に押しかぶせている。また、過大校の早期解消をするという文部行政の重大な責任を果たしてないのではないか、こういうふうに強く指摘をしたいと思います。  いま、いろいろ対策なども申されましたけれども、私はそういう対策はぜひさらに強化をしていただきたいということと同時に、やはり超過負担の問題ですね、これは地方自治体にとって非常に深刻な問題であります。積極的に超過負担を解消される、そのような予算措置を講ずるべきではないかというふうに思うのですが、その点ではいかがですか。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 先ほど申しましたとおり、まず、補助対象となる基準面積の問題でございますが、この面の拡充を図るということに五十三年に取り組んでまいりましたし、また建築と同時に行われますところの附帯工事、設備あるいは門、囲障等に対し、これを補助対象とするということも実現するなど、超過負担の解消に努めております。  また補助単価につきましても、厳しい財政の中でございますが、建築資材の上昇に対応する単価の引き上げを行ってまいってきておりますし、また基準資材の価格が地域によって異なります。その地域の格差を解消していくということにつながるきめの細かい地域別の補助単価の取り扱いというものもさらに進めておるところでございますし、また先ほども申し上げましたが、遊休面積につきましても、これを活用していく。同時に、新設校の必要面積はすべて補助対象とするというような種々の政策によりまして、超過負担の解消を図ってきている。もちろん文部省としてその努力を重ねるわけでございますが、最近各学校におきまして、学校の建設というのはそのときどきの大人にとりましても一世一代のことでございますから、よりよきものを期して、いろんな形での工夫で各市町村がこの問題に取り組んでいただいておるということは、私ども多としておるところでございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 いろいろ御努力をされているようでありますけれども、現実は、地方自治体からすればまだまだ超過負担というものは深刻です。私も何人かの地方自治体の方にその点でお尋ねをし、生の声を聞いてきたのですけれども、やはりもっともっと御努力をいただきたい。いろいろ資料を持ってきているのですが、時間がありませんのでその点については申し述べることができません。  最後に、大臣、この大規模校の問題、本当に現状は深刻な問題であります。どうしてもこれを早期に解消するというもっと積極的な方途をとっていただきたい、このように強く要望するものでございます。最後に、大臣の決意のほどを聞かせていただきたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 いろいろ御鞭撻をいただきましたが、この問題に取り組みます文部省の姿勢、またその方向で今日まで実行いたしてまいりましたことは、ただいまお耳に入れたとおりでございます。今後もこの問題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。

辻第一日本共産党

○辻(第)分科員 では、終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて辻第一君の質疑は終わりました。  次に、草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  私は、きょうは私立医科大学、なかんずく新設の大学を取り巻く入試問題あるいは寄附金問題あるいは国家試験の極端に低い合格率、これらの問題を取り上げたいと思うのですけれども、いま実は医科大学の問題は私立だけにとどまらなくて、国立にも非常に問題があるわけであります。  つい最近のことでございますけれども、大阪大学、神戸大学の医学部の教授、助教授らが、薬品メーカー等から多額のリベートを受け取りながら、それを確定申告しなかったというので、一人当たり一千万から三千万、追徴金トータルで約一億円、大学の医学部の教授が追徴されたという非常な腐敗が明らかになったわけでございますが、これは、私、事実とするならば文部省としても非常に重大なことだと思うので、ひとつ文部省の見解なり大臣の御見解をまず賜りたい、こう思います。

倉地克次文部大臣官房人事課長

○倉地説明員 五十三年から五十五年の所得につきまして御指摘のような報道がされたわけでございますが、ちょうど昨年、五十六年の三月でございますけれども、同じような新聞報道があったわけでございます。また、国会でもお取り上げになったわけでございますので、文部省としましてはその後、国立大学長会議それから事務局長会議、全国の国立大学病院長会議などにおきまして、いろいろ指導とか申し合わせなどを行いまして、服務規律の保持について強く指導を行ってきたところでございます。  したがって、昨年の五月以降につきましては適正な措置がされているものと考えている次第でございますけれども、今後ともさらに一層指導を徹底してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、今回の新聞報道された件につきましては、現在さらに大学の当局に事実関係の調査をお願いしておる次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 これは、私どももかねがね社会労働委員会でも指摘をしておるわけでございますが、白い巨塔というのでしょうか、いわゆる構造的な問題があるわけでございますから、今後ともこの問題については取り上げていくつもりでございますが、よほどの決意がない限り、いまの答弁では解決しない問題があると私は思うのです。大臣の御見解を賜りたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 事態を十分調査いたしまして、指導の徹底を期してまいります。     〔主査退席、宮下主査代理着席〕

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 次に、医師の増加傾向等で問題があるわけでございますけれども、いま急テンポで医師が増加しているわけでございますが、これは国民の医療サービスが増加をするという意味でそれなりに非常にいいことではないだろうかとは私は思いますけれども、需給関係等から考えてまいりますと、非常に問題になってきておるやに私ども承るわけでございます。  特に、臨床研修制度というのがいまあるわけでございますけれども、これは医師法によって、免許取得後二年間以上努めるということになりますが、新設医大の卒業生の受け入れ体制というものが必ずしもよくございません。既存校の方もどんどんふえてくるわけでございますから、これは大学病院以外にも地域に貢献するかなり大型病院で受け入れをするわけでございますが、新設医大の研修の受け入れが非常に悪い。  私がきょう取り上げます、私の地元ではございますが愛知県の愛知医科大学あるいはまた金沢医科大学等においても、非常にむずかしい、困難な条件があるというふうに承っておるわけでございますが、その点どのようにお考えになっておられるのでしょうか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 臨床研修制度の受け入れについてのお尋ねでございまして、御案内のとおり、免許取得後二年間大学附属病院または厚生大臣の指定する病院において臨床研修に努めるということが定められているわけでございますが、免許取得者の七六%が臨床研修を行っておりまして、そのうち八〇%が大学附属病院で研修を行っている。したがって、残り二〇%が厚生大臣の指定する臨床研修指定病院で研修を行っているというぐあいに把握をしております。  なお、御指摘の愛知医科大学の問題でございますが、四十七年四月に学生受け入れを開始したものでございまして、第一回の卒業生を五十三年三月に送り出しております。臨床研修受け入れ先の状況でございますけれども、これは愛知医科大学の場合でございますが、全体的には、五十五年三月及び五十六年三月、この二年間の卒業生については、七十六人の研修医のうち、四七%強の三十六人が大学附属病院以外の病院で受け入れられている、そういう状況になっております。  なお、愛知医科大学では、卒業者の臨床研修の一層の充実を図るために関連病院の設定その他、研修受け入れの円滑化については検討を進めているということを伺っております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 その関連病院の受け入れがいま非常に苦しくなってきておるというのが事実でございますので、これは全国的な問題もあるわけでございますが、ぜひ適正な処置、指導をお願いしたいと思うわけです。  それから続いて、私立医大の学生の納付金あるいは寄附金の経営に対する依存度の問題でございますけれども、これは経営実態がかなり苦しいわけでございますので、相変わらず無利子の学債への依存度というものが多くなりまして、繰り延べになる。早く言うならば、返却時期になりますと繰り延べを父兄に要望するというので若干のトラブルが愛知医大の場合にもあるというふうに聞いておりますが、私立医大の全国的な動向も踏まえてどのように考えておられるのかお伺いします。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 御指摘の私立医大の学債の募集状況でございますが、昭和五十五年度の私立医科大学医学部の入学時学校債の状況につきましては、募集学部数は十七学部、総額百十四億円ということになっております。全部の学部が学債を募集しておるという状態ではございませんが、以上のような状態でございまして、また、学校債につきましては十分な返還の見通しを立てた上で募集するよう文部省としては指導してまいっておりますので、現在までのところ、学校債の無利子、繰り延べ等による問題が生じておるということはまだ私ども承知しておらないという状態でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 現実に父兄の間からこの繰り延べについての不満というのが出ておるわけでございますので、この助成の問題等を含めて、いま一度私立医大の経営のあり方等についても考え直していただく時期ではないか、私はこう思うわけです。  そこで、この金沢医科大学の場合と愛知医科大学にしぼってお伺いをするわけでございますけれども、春と秋に医師の国家試験というのが行われるわけでございますが、合格率は、たとえば国立大学、公立大学、私立大学、それから私がいま指摘した両大学の合格率についてお伺いをしたいと思います。これは厚生省ですか。

吉田勇厚生省医務局医事課長

○吉田説明員 五十六年の医師国家試験の合格率でございますけれども、春は国立大学が八四・七%、公立大学が八一・三%、私立大学が六六・〇%、それから愛知医大は四二・五%です。それから金沢医大は五五・二%。全国平均といたしますと七五・六%でございます。それから秋の方を申しますと、国立大学は五二・二%、公立大学は五二・三%、私立大学は三九・二%、愛知医大は一九・二%、金沢医大は一七・五%、全国の平均は秋は四二・七%でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 これは両大学は、五十六年の春はワーストワンだとか、秋はワーストスリー、あるいは金沢の場合も同じような条件で非常によくございません。一体どうしてこのように状況が悪いのかということになっていくわけでございますが、それにあわせて留年の状況というのはどのような状況になっておるのか。留年の滞留年数が非常に多いのではないかと言われておりますが、この両大学についての現状がわかればお伺いをします。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 留年の状況でございますが、金沢医科大学の場合について申し上げますと、昭和五十七年一月現在の調査によりますと、全在学者八百五十三人の中で、最低在学年数、つまり医学部でございますと六年でございますが、六年を超えて在学している者の数は百四十二人でございます。その比率で申しますと一六・六%ということになっております。なお、全在学者八百五十三人の中で留年している者の数で申しますと三百二十七人ということでございまして、その比率は三八・三%になっております。  ほかの大学に比べますと確かに留年している者の数の比率が比較的高いということが言われるかと思うのでございますが、先ほど申しましたように四十七年度に学生を受け入れをいたしまして、五十一、二年ころまでは入学者が定員に対して相当大幅に上回って入学をさせていたというような事実もございまして、これらのものが全体の在学者の中から見れば留年者を比較的多く出している原因であろうかと思います。しかしながら、この金沢医科大学におきましても五十三年度以降の入学者については相当入学定員に対しての、いわゆる入学定員を上回る入学者の数をきわめてしぼっておりまして、その後、私どもといたしましては、金沢医科大学についてもそういう意味で大学当局が大学の質的な充実のために努力をしているという点は十分うかがえると判断いたしております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 質的に向上しておるということは愛知医科大学でも金沢医科大学でも同じだと私は思うのです。いろいろな事件を起こしておりますけれども。しかし、たまたま私の手元に入った資料によりますと、相変わらず不正入学が行われておるのではないだろうかという内部告発を私もいま受け取っておるわけであります。それを私なりに調べていきますと、結局補欠入学のあり方に一番問題があるようでございます。希望する大学に合格者が逃げる、そのために定員を確保するために下位の補欠入学が上位に繰り上がってくるわけでございますが、その繰り上げ方がいわゆる一部の有力者の恣意的な結果によって行われるのではないだろうかという疑問があるわけでございます。  一つの例では、入学式の三日前に合格発表がございましたという例が愛知医科大学の場合あるわけであります。私は学校の事務局長にその旨を尋ねました。そういうことはあるだろうという御意見でございました。しかし、私はこれは決して好ましいことではないと思うのですが、好ましいかどうかということを文部省からお伺いをしたいと思います。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 大学入試のあり方につきましては、私ども、かねがね大学入試についてのその適正を図るということで従来からも指導を続けてまいってきておるわけでございまして、特に私立の医科大学の入学試験の取り扱い方については昨年度も御指摘をいただきまして、全国の私立の医科大学すべてにつきまして入学試験の実情につきまして事情聴取をいたしまして、それを受けて、適正なあり方について私どもとしても昨年五月にもその徹底を図るよう私立医科大学に通知をし、かつ全国の私立大学にも同様の旨の通知をいたしましてその指導の徹底を期しているところでございます。  入試の適正なあり方については、これは各大学においてそれぞれ自主的になされるべきところでございますので、私どもとしては指導を十分徹底をいたしているつもりでございますが、いま御指摘のような事柄が適切かどうかというお尋ねでございますが、それぞれの大学において、あるいは合格者の中から辞退者が出るというようないろいろな実態についてはそれぞれ個々の大学においては区々でございまして、必ずしも一概には指摘できないところでございます。いずれにいたしましても、入試の適正については十分社会的な指弾を受けることのないようすべきことは当然のことであろうか、かように考えます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 私は、入学の三日前に合格者の通知が突如あるというような事態は決して好ましいことではないと思うのです。だから、そういう歯切れのいい御答弁をなされないと相変わらずこの種の問題は残る、こういう意見でございます。しかも私はたまたま、その三日前に合格をされたという方の在学の成績というのですか、試験成績表を持っておるわけでございますけれども、この中身を見ますと、名前を申し上げられませんから名前を申し上げませんけれども、A君の場合だと学籍簿の十九科目のうち半分以上のバツがある、ABCで言うならばDランクに入る、あるいは優良可で言うならば否に入るというような方があるわけでありますし、たまたま他のB君の場合を申し上げますと、これもいろいろな有力者の方々から、これは政界、財界の有力者の方々からの要望に応じて補欠入学をこれも入学式寸前に行われた、この生徒の場合も同様に留年になるというような具体的な例を私持っておるわけでございますが、これではうまくないと思うのです。  金沢医科大学の場合も、同じように内部の告発文書が来ておるわけでございますけれども、理事長なり複数の理事の方々が補欠入学の前に寄附金や学債の引き受けの諾否を父兄に相談をして補欠入学を決定している。その電話をかけたのは、直接試験委員が話をしておるわけですし、この内部告発の文書を見ますと、金沢医科大学正義の部課長有志で、部課長が責任を持ってそれを証明するというような文書も来ておるわけであります。しかも零点の者を入学させている、こういう具体的な例がことしの例であるというような通知が来ておるわけでございますから、相変わらずこのような事件が続くということについて一体どう今後指導なされるのか、いまの話はわかりましたけれども、これは大臣から一回答えてください。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 入学者の選抜に際して厳正を期すべしということにつきましては、今日まで繰り返し繰り返し指導をいたしておるところでございます。  いま仰せの事実につきましては文部省は把握いたしておりませんけれども、仮に外部からの圧力を受けて選抜が学校当局の恣意によって行われるということが事実だといたしますれば、きわめて遺憾な事柄だと考えております。さような事例を根絶いたしますように、これからも強く指導してまいる所存であります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 さらに私が指摘をしなければいけないのは、医学大学の場合は入試ブローカーというのがいるわけであります。これは、非常に少数のメンバーで塾を開きながら、そしてなるべく受験担当の、出題者の先生方をそこへ講師に招こうとする。これも愛知医科大学の場合ですけれども、教授に対して、少数のグループを集めるからぜひ講師に来ていただきたい、これは絶対部外秘であるからよろしく頼むというような手紙、これも私ここに持っておるわけでございます。たまたまあるブローカーと父兄との対話のテープがございまして、そのテープの翻訳を私ここに持っております。この文書を読みますと、ブローカーが責任を持って、七千万とか八千万出せばAという大学に入れますよ、Bという大学に入れますよ、Cという大学に入れますよというのでいろいろなコネを披瀝をして、金銭授受があった。たまたまそれが成功した例と、成功しないで後でトラブルがあったというのと、その写しを持っておりますけれども、私はこれは非常に遺憾なことだと思うのです。入試ブローカーというものが、塾を経営するという言い方で、それで父兄をつり、そしてそれが犯罪の一つの温床になるということがあるわけでございますが、かかる入試ブローカーの跳梁というものについて、これは文部省として何らかの規制が必要だと思うのですけれども、その点についてどのようにお考えになっておられますか。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 いま御指摘のいわゆる入試ブローカーというようなものの実態について規制をすべきではないかということを踏まえてのお尋ねでございますが、私ども、大学の関係者を通じて受験生の父兄に対して大学への入学のあっせんを働きかけるような、いわゆる入試ブローカーと申しますか、そういうものがいろいろ伝えられておりますが、実態は承知はしていないわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、大学の関係者が毅然たる態度で公正かつ厳正な入試を行うということが事態の解決のための大前提になろうかと思います。いま申しましたような対応でまいれば、言われるような入試ブローカーが存在をするということはあり得ないわけでございますが、御指摘の点については、私どもとしても、大学入試が公正、厳正に行われるためには、いま申しましたような大学関係者の姿勢を正すというような点で、十分に今後も指導を重ねてまいりたい、かように考えます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 それで、もう一回また愛知医大の例に戻りますけれども、いま愛知医大には文部省の経験者が二名理事になりあるいは事務局長になっておられるわけですから、相当管理監督がうまくいっておる方だと思います。  しかし、これは地元の愛知県会でも問題になっておるわけですが、救急センター、これは国からも県からも助成が出ておるわけですけれども、医療機器の購入問題について、入札値段よりも高い価格で器具を買っている例が具体的に指摘をされておるわけであります。この点については、やはり国、県のお金が使われておるわけでございますから、厳重な反省をしなければいけない、理事会においてもその後の対応策を立てなければいけないのですけれども、それがやられておりません。その点についての監督責任は重要だと私は思うのですが、見解はどうでしょう。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 先生お話しのとおり、元文部省の職員の方が二名愛知医科大学に就任いたしております。これは、先生も御指摘ございましたが、文部省におきまして教育行政に携わった者としてその知識、経験が有効に発揮されて学校の発展をもたらすことが期待されております。また、事実、学校法人の要請によって就任された方々でございます。  具体に御指摘の救急センターの医療機器購入の問題でございますが、これにつきまして大学当局に照会いたしましたところ、昭和五十四年十二月、同センターの設置に係る愛知県の昭和五十三年度補助金の補助対象事業である医療機器の購入に当たりまして、合計におきまして見積もりの低いものを購入いたしました。ところが、そのうちの一部の設備で他の見積もりよりも若干高いものがありまして、この点の指摘が愛知県議会でございました。その後、愛知県当局もこの点を調査をいたしました。その結果、理事長から知事に対し始末書を提出いたしまして、県はこれを了承したとのことでございまして、本件はこれによりそれなりの解決をしたものと考えられますが、今後、文部省での経験をされた方も学校法人の運営の適正に努力されておるところでございまして、かかることのないよう十分な適正化が期待されるというように考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 最後に、金沢医科大学の件でございますけれども、いま申し上げましたように、入試についての手続に非常に問題があるということ。  それから二番目に、昭和五十四年から五十五年度の入学者による学債、寄附金の報告を文部省に対して、学債の額を多く、寄附金の額を少なく報告している事実、いわゆる差しかえ、これは副理事長が複数の部課長に命令をしてそのような報告をしている。これはわれわれの方で明らかに裏を報告することができる、こういう問題がございます。  それから同じく三番目に、金沢医科大学のキャンパスの中で福井銀行の大学支店が設置されている。しかしこれは、私立学校法第四十二条にあるように、本来ならば評議員会で確認をしなければいけない、理事会でも承諾をしなければならないのに、理事会の場合は事後承諾、評議員会ではなされていないというわけで、キャンパス内に大学の支店が設置されるということは問題があるのではないだろうか。大蔵省は当然許可をしたと思うのですけれども、大蔵省にもその許可の前提が認められていないのではないか。ちなみに、その福井銀行の頭取は学校の理事の一人でもあるという問題提起があるわけでございます。  そのほか、レントゲンフィルムの現像液の処理が特定の業者にやられているし、それが学校会計の収入に上がっていないなど、さまざまな問題が出ております。この点についても私は黙って見逃すわけにはいかないと思うので、文部省としても厳格な調査方を要求したい、こう思うのでございます。  以上の点についてお答えをお願いいたします。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 最初に御指摘のございました入試の問題でございますが、五十四年度、五年度の入学者の選抜については、私ども五十五年二月から四月にかけて金沢医科大学から事情聴取をいたしまして、その選抜に当たって不正は一切なかったということは伺っております。しかしながら、追加合格者の決定に当たりまして大学当局が個々の受験生に電話で入学意思の確認を行っていたということは疑惑を招くおそれがあるということで、文部省としてはすでにさきの事情聴取の際に、入学意思の確認の上合格を決定するということではなくて、先ほど来申し上げておりますように、医学教育を受けるにふさわしい能力、適性等を備えた者を公正かつ妥当な方法で選抜するということについてはかねて強く指導を行ったところでございます。これらのことについては金沢医科大学がこれから質的な向上を図っていくためにもぜひとも必要なことでございますので、十分指導は徹底させてまいりたい、かように考えます。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 先生二番目に御指摘の学債、寄附金の報告の件でございますが、五十五年度のこの面の金沢医科大学からの報告を見ますと、学校債につきましては購入者二十七人、総額一億七千六百万、寄附金につきましては寄附者八十七人、総額十二億六千九百万という報告でございまして、御指摘のように学校債の額の方が寄附金よりも上回ったという報告にはなっておりません。文部省といたしましては、この報告は学校法人が事実を正しく報告したものであろうというように受けとめをしておるところでございます。  それから、第三番目の構内に福井銀行の大学支店を設置した件でございますが、およそ大学が事を行いますのに各学内におきまして教職員のコンセンサスを得る努力をするということは常に必要なことと存じますが、この銀行につきましては、学生、教職員及び病院利用者等の便宜を図るということのために大学の構内に銀行の支店が設置されたものでございまして、構内施設をこの目的で貸与するということにつきましては、先生御指摘の私立学校法四十二条で申します重要な資産の処分について評議員会の議を諮るということに必ずしも該当するとは言い得ないものがあろうかと思います。その限りでは直ちにこの私立学校法に反するというようには言えないと思いますが、しかしさきに申しましたとおり、一般にできる限りコンセンサスを得る努力ということは学校法人の運営において期待されるところであろうと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて草川昭三君の質疑は終わりました。  次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 大臣もおかわりになりましたので、私は、オリンピックの若干の問題と府県めぐり一巡後の国民体育大会、この二つの点について所信をお伺いしたいというふうに思います。  まず最初にオリンピックですが、一昨年のモスクワ・オリンピックへの参加をめぐる問題は、多くのスポーツ関係者や選手たちに、一時全くの虚脱状態に陥るほど深刻な打撃を与えています。幸い、柔道の山下選手やマラソンの瀬古選手などはその後復調して、最近では健在ぶりを示しています。しかし、あの事件を機会に第一線から引退した選手もかなりおりますし、また、男子体操やバレーボールなど、これまで日本のお家芸とまで言われた競技種目の衰退等々の事実も否定できないものがあります。そういう意味でのモスクワ五輪とその後遺症は、スポーツの振興という点から見て軽視できない問題であると思うのです。  昨年九月、八八年のオリンピックの開催地はソウルに決まりました。これについて最近一部にこういう動きがあります。軍事独裁政権のもとでやるのはオリンピック憲章の理念に反するという意見が国際的に出ております。そしてそこからボイコットをほのめかす国も出てきています。ところが、このような議論は、モスクワのオリンピック開催のときに、アフガンに侵略をしているソビエトがオリンピックをやるのはオリンピック憲章に反するではないかという意見が出たのと非常に似通った問題として出されているわけです。そして当時、JOCが政府の指導のもとにボイコットするという姿となってあらわれました。  だから、オリンピックに現実政治の問題を持ち込めば、オリンピックは存在することができない。キラニンIOC前会長は、オリンピックはわれわれの子供たちのためのものであると言っておられましたが、オリンピックはわれわれが子孫のために残していかなければならない人類全体の遺産としてとらえる必要があると思います。だから、当面の一時的な政治的及び経済的な利害を絡ませるということは決して正しいことではありません。  最近、IOCは、モスクワのオリンピック大会をボイコットしたような政治介入の再現を防止するために、国連に対して、オリンピックの地位保証のための国際条約の締結を要請することを決めたという報道が流れております。そこで、私は二つの点について聞きたいと思います。  まず第一点は、日本政府としてみずからも経験した問題として、このような協定を結びたいという動き、この気持ちに対して文部大臣としてはどういうふうにお考えになるだろうか。  第二点は、スポーツの発展のためには選手やスポーツ団体の自主性というものが絶対的な条件であります。スポーツに物質的に援助はしてもこれを政治的に利用してはならない、これが国のスポーツ政策の根本原則でなければならないと私は思うのです。スポーツ振興法もそういう点を明記していると思うのです。このスポーツに物質的に援助はしても政治的に利用してはならないという問題についてどういうふうにお考えになるのか。この二点について大臣の所信をお聞きしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 オリンピックは、スポーツを通じてより平和な世界の建設に貢献をしたい、国際親善を図りたい、さような目的で開催されるものと理解いたしております。政府といたしましては、このような目的にふさわしい環境下で開催されることが望ましい、このように考えておる次第でございます。政府といたしましても、恒久の平和を念願するという考え方におきまして究極の目的をオリンピックと分かち持っておるわけでございますが、具体的にどのようにオリンピックを運営していくかということにつきましては、これは申すまでもなくオリンピックが独自に決定をすべき問題だ、かように思います。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 だから、現実の政治をオリンピックの中に持ち込まないように、独立した地位の保証を国際的にも頼みたいということが提起されている問題についてはどういうふうにお考えになるのか。それから国内的には、財政的な援助をしてもスポーツに対してとやかく政府が言うべきではない、この点についてはどういうふうにお考えになるか、焦点の問題として大臣の所信をお聞きしたいと思います。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 IOC自体でそういう国際条約の動きがあることを新聞で伝えていることは承知しておりますが、正式のルートでそういう問題についての動きがわれわれにはまだ伝えられていないわけであります。そこで、この問題が正式なルートで伝えられてきた場合には、わが国のJOC自体においてまずいろいろな角度から論議されていく問題であろうと思います。そういう関係で、現在の段階で政府の態度をここで申し上げる段階でないと思っておるわけでございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 私の提起しているのは、スポーツ団体のことをとやかく言おうという話をしているのじゃないのです。政府の側からの態度の問題を聞いているわけです。  すなわち、スポーツが独立した地位を保全する、自分たちの子供や孫の代に残していくという配慮が政治的な側から要るのじゃないか、あるいは日本の国内においても、スポーツの諸行動に対して物質的な援助はしても、政治的にそれをとやかくするというようなことは政府の側からやるべきことではないという一番の原則的な問題について、私は聞いているのです。出てきた条約がどういうふうに出るかとか、そんなことに対する態度はその時点で決められることですから、そんなことを私は言っているのじゃないのです。大臣、重ねて御意見を聞きたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 オリンピックは、政治に従属すべきものではないと考えております。政治目的遂行の手段たらしめてはいけない、かように考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 六四年の東京オリンピックのマラソンで銅メダルをとった円谷幸吉選手は、その後のメキシコ・オリンピックで金メダルをとれという至上命令に対して、猛練習をやって、ついに体を壊し、もう走れませんという遺書を残して自殺をされたというのは有名な話です。日の丸を上げるという国家目的に選手が道具として利用されるというようなことの、そういう悲劇的な結末だと広く言われているわけです。モスクワ五輪のときは、政府がアメリカに西側諸国の一員であることのあかしを立てる必要から、選手がオリンピックに注いできた情熱をはぐというような、人権をじゅうりんするにも等しいような結果の圧力が加わっておったわけです。  形の上では、あるときはやれと言う、あるときはやめろと言う、そういうような近視眼的な国益に選手を使うというようなことが絶対にあってはならない。そういう意味で、私は文部大臣が、スポーツ界に対して財政的な援助はいろいろしても、政治的な介入を絶対にされないように、その地位を保全するように、今後も奮闘してくださることを切望しておきます。  そこで、これとの関連において、JOCの内部でもそういうことから独立問題がいろいろ言われてまいりました。IOC憲章の第三章では、各国オリンピック委員会は、その国を代表する「唯一の責任履行機関」であり、「完全な自主独立団体でなければならない」、こういうふうに決められております。ところが、日本の場合、JOCは体協の一内部機構にすぎません。したがって、JOCが行う事業についての国庫補助というのは、すべて体協を通じて出されているというのが現状になっています。  こうしたJOCの現状について内部でも議論が出ておって、体協からの独立ということが話題になっています。もちろん、JOCのあり方についてはJOC自身が自主的に決められるべき性格のものであります。今後JOCの関係者が総意に基づいて、日本のスポーツ団体を広く結集した組織として体協から独立するという方向に向かっていくということも私はあり得ることだろうと思いますが、このJOCがオリンピック大会やアジア大会への選手の派遣、そのための特別の強化研修、オリンピックアカデミーなど国際的行事への参加、オリンピックデー行事の実施といったJOCの固有の事業に対して、これは独立したところの日本のオリンピックへの参加の事業ですから、もしもJOCの諸君たちがこういう問題について、それは体協の事業としてやるのじゃないのだからJOCに対する援助をやってほしいという問題提起があった場合に、私は本来的にそうあるべきだろうと思うのですが、文部省としてはそういうときにはどういうことになりますか、御意見を伺いたいと思います。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 JOCの体協からの独立につきましては、内部でいろいろ論議があった乙とは承知しております。この問題は、最終的にはJOC自身が判断し決定すべき問題であるということで、政府の立場でとやかく申し上げるべき事項ではないと思っております。  そこで、現在のJOCの一応の結論といたしましては、検討はされましたけれども、いまの時期に機構を改革して独立することは適当でないという判断を、一応の結論として出されているようでございます。したがいまして、今後JOC自体が独立した形になった暁においては、助成のあり方についても考えていかなければならない問題であろうかと思いますが、現時点におきましては、体協を通じての助成ということで十分対応できるものと考えておる次第でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 ところが、そのJOCの独立問題はJOC自身が決められることではありますけれども、現状の民間スポーツ振興費の補助金の出し方に、現実的にはまた絡んでくる問題になっているわけです。スポーツ振興法の二十条四項では国庫補助が出ているわけですけれども、この民間スポーツ振興費等補助金というものが体協にだけ出すというのは、法律的にはなされていないことなんです。あるいは振興法の施行規則を見ても、そういうことにはなっていないわけです。問題は、文部省がやるところの補助金の交付要綱になってくると、そこに別表があるし、表題があるし、そこで初めてこの民間スポーツ振興費というのが体協とそれから武道館ですか、あの二つの団体というのですか、そこを括弧の中に指摘しているし、別表に指摘されてくるわけです。  私は、これはやはりちょっとおかしいのじゃないだろうか、体協に入っていなかったらめんどうを見ないというようなことは、これはスポーツ振興法の精神に反するのじゃないか。たとえば、現に今度ロスのオリンピックの種目にしようと言われている野球の場合を見たら、野球は体協に加盟していません。だから、それではオリンピックに参加するいろいろな強化費用とか、そういうものについてめんどうを見ないということに要綱の結果はなってしまうじゃないか。出たければ体協に入りなさい。それはスポーツ団体の自主性に対するところの侵害になるんじゃないだろうか。そういうことを考えたら、要綱のつくり方自身も、体協に参加している、参加していないを問わず、必要なものに対して補助をするというふうに要綱を改めなければいけないのじゃないだろうかと私は思うのです。  現に、一九七八年にバンコクで開かれたアジア大会に全日本ボウリング協会が選手を派遣していますが、ここは体協に加盟していないために、自費参加という結果になっているではありませんか。私は、この点について改善される要があると思うのですが、いかがなものでしょうか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 財団法人日本体育協会は、事実上明治四十四年に設立され、財団法人としては昭和二年に認可されてきたわけであります。その設立の趣旨、目的が、わが国のアマチュアスポーツの統一組織としてスポーツを振興し、国民体力の向上を図るという目的のもとにつくられたわけであります。  スポーツ関係につきましては、オリンピックの場合も同様でございますが、一つの国際的な基準、ルール、そういうものが統一されておりますので、IOCという国際の唯一の組織をつくり、それぞれの国内においてNOCをつくって、その傘下団体の中で参加させるという仕組みを国際的につくっているわけであります。したがいまして、わが国のアマチュアスポーツを振興する場合も、そういう伝統的な経緯をたどりながら今日来ているのが日本体育協会の設立であり、そして今日までの事業活動であります。  したがいまして、一般的なアマチュアスポーツの普及振興のために国が助成する窓口といたしまして日本体協に対して出しているということでございまして、それ以外の各種の団体を設立するかしないかの自由は、それはそれぞれの団体の、結社の自由がございますので、自由でございますが、国が国費で助成をするかどうかというのは、また一つの補助金行政として考えるべき別個の観点の課題であるわけでございます。  そこで、わが国の補助金行政といたしましては、日本体協を通じてアマチュアスポーツの振興を図ることが最も合理的な方法であるというような考え方で今日まで進めてきておりますし、いまの時点でそれを変更するという考え方はございません。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 そこがちょっと矛盾しているのじゃないだろうか。だから、最初に言いました各国の唯一の、JOCですね、日本のオリンピックへの参加の機構が唯一のものとして存在しておったら問題ないわけですけれども、体協の中の一内部機構にJOCがなっている。だから、体協加盟でなければ補助金の対象にならないという欠陥がある。体協に歴史的な経過の中から野球の諸君たちは入っていない。しかし、現実に国際オリンピックの課題にそれがなってきたときに、それじゃ、入っていないからといってここに派遣しない、そういうことはできないということになってしまうじゃないか。だからそういう意味で、日本のJOCがそういう体協の従属じゃなくして独立を必要とするという問題と、それからもう一つは、個々の団体に対してオリンピックに参加するという条件を保証するということが、やはり私は、それとの関連性において問題になってくるのは当然だと思うのです。  したがって、政府は、私は歴史的経過のあることを否定するものではないのです、ですから、筋道の通ったように、助成のあり方についても、そのために逆に拘束をしてしまわないように十分な配慮のある要綱の改善も今後検討してもらう必要があるのではないかということを、問題提起としてやっておきたいと思います。  次に、時間の関係がありますので、国民体育大会について聞きたいと思うのです。  ちょうど昭和二十一年から始まったのが昭和六十二年で終わって、ずっと府県を回るのが一通り終わってしまう。一通り終わった段階におけるところの国民体育大会のあり方、従来のあり方のままでいいのかどうか、やはり検討し直して、今後の国民体育大会のあり方をどう進めていくかということは、私は検討されてしかるべきだと思うのです。主催団体として政府もこれはかんでいる。スポーツ団体だけの問題では、これは、国民体育大会は違いますので、そういう意味ではやはり検討すべき段階に来ているんだということについてどういうふうにお考えになるのか、これが一つ。  そして、同時に、今日までの幾つかの問題があります。私は、時間がありませんので、二、三の問題だけにしぼりたいと思うのですが、まず施設の問題を、ここ十年間ずっとやってきたところを調査してみますと、ずいぶんお金をかけて施設を建設しているわけですね。千葉県の場合を見ると、県の総合運動場をつくって、ざっと三十五億かけている。四十九年の茨城の国体を見ると、いままでに四十二億かけているという、こんな調子です。最近では、宮崎の場合七十三億とか、栃木の場合五十五億とか、どこの府県とも大変なお金をかけてきたものです。お金をかけて、いざ今度は大会が終わった後どうするのかというと、今度は、大規模なもので維持管理が大変だという問題に直面をするというのが施設をめぐる問題です。しかし、施設がそれなりの大きな役割りをしていることもまた事実ですから、一面的な評価をするわけにはいかないと思うのです。だけれども、一巡後のあり方の問題のときには、施設に対する拘束力について少し検討してもいいんじゃないだろうか。  たとえば国民体育大会の開催基準要綱の中に、開会式は陸上競技場とする、観覧席は仮設スタンドを含めて約三万人程度を収容できる施設にする、その陸上競技場は日本陸上競技連盟公認の一種競技場で、一周三百メートルないし四百メートルのサブトラック一、云々というふうに要綱で規定をしてくるわけですけれども、一巡をずっとやって、それなりの体制をつくってきた段階ですから、これからのあり方としては、三万人入らなかったらだめだとか、そういうような基準についても再検討してもいいんじゃないだろうか。それぞれの都道府県のあり方を尊重してもいいんじゃないだろうかということを感ずるわけです。  それからまた、これは昭和二十九年に大問題になって、三十年に例の地方財政再建整備の法律ができるという過程の財政的に非常に困難な時期にあったから当然論議になったことですけれども、毎年やらなければならぬだろうかという問題がその当時も問題になっている。だから、一巡後のときもこれについてやはり再検討されてもいいんじゃないだろうかという問題があります。     〔宮下主査代理退席、主査着席〕  それから、私はもう一つ気になって仕方がないのは、各県の競争のために、特に教員の中にあらわれてくるのですが、たとえば和歌山の場合に、昭和四十六年にやりましたが、四十四年から四十六年の三年間に定数外で教員を二十四名採用しているのです。そのほかに体育指導員として九十一名採用しているのです。その結果が、和歌山県では昨年度まで十年間新規の体育科教員の採用はゼロだという事態がつくられてしまう。こういうようなことは何も和歌山だけではなくして、昨年の滋賀の国体を見ても、五十三年から三年間で八十名の教員選手を採用した結果、今年度の体育科教員の採用は試験も行われず、数年間は採用が無理だという状況になってきている。ことしの島根国体も同様な状況で、五十六年、五十七年に教員採用を四十六人やったために、県の話では、今後五年ぐらいは体育教師の採用は無理だと言っている。これは一面の役割りを果たすか知らないけれども、長期にわたって体育の教員を採用できない、こういう結果になってきているということは、不正常な運営との関係があるのじゃないか。これは都道府県対抗ということがこういう結果をもたらしている一つの要因になっているのじゃないか。この点についても検討をすべき性格ではないだろうかと思うわけです。  そのほか、成人の部の二部制の採用とか、中学生の参加とか、公開競技の拡大などいろいろ意見が出ておりますけれども、文部省としても広くあり方の再検討をしなければいけないと思うのですが、現段階におけるこれらの問題についての所見を聞きたいと思います。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 国民体育大会の二巡目の問題につきましては、論議の結果、毎年持ち回り開催という形で今後も国体を継続することが体育、スポーツの振興に大いに貢献するということで、その大方針がすでに決められたわけでございます。したがいまして、二巡目のあり方につきましていま種々の観点から御指摘がございましたが、これらの問題については改善できるものは改善していきたいということで、体協内部でもそういう問題の検討委員会をつくっているわけでございます。文部省といたしましても、そういう問題について前向きの姿勢で検討し、改善できるものは改善していきたいと思っている次第でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 時間が参りましたので、大臣に特別に最後にお聞きをしたいと思うのですが、私がいまちょっと言いましたような莫大な金がかかる、管理費が大変だ、この財政上の面から見ても、今後のあり方の問題としては従来と同じでいいのかどうか、それからもう一つは、教員が不正常な採用のあり方になってきているという問題ですね、これは私は、府県対抗のあり方そのものもちょっと検討していただく必要があると思うのですが、率直な大臣の感じを聞かしてほしいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 国体が一巡いたしますこの際に、今日までの経験を踏まえて、今後のあり方につきましては十分検討するつもりでございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 率直にいまの感じだけを聞きたかったのですが、検討するということですから、ひとつぜひ検討していただきたいと思います。  終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて寺前巖君の質疑は終わりました。  次に、武田一夫君。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 私は、二点につきましてお尋ねをいたします。  まず最初に、最近とみに心配されております学校内外における児童生徒の暴力、非行の問題でございますが、その原因をどのように分析をされているか、それから、それに対してどういうふうな対応措置をこれまでなさってきているか、その結果どういうふうな現状であるか、この点、まずお尋ねをしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 校内暴力の問題は、学校、社会あるいは家庭、それぞれのあり方に起因するいろいろな要因が絡み合って出てきている問題だと考えております。近年、核家族化が進行してきているということもあり、子供の人間形成にとって非常に大事な時期であります幼児期の養育がなおざりにされ、過保護に陥っているという事実がある。さらにまた、昨今の社会の環境、青少年の健全育成という観点から考えまして、いろいろな問題が出てきておりますことは御高承のとおりでございます。あるいはまた、学校におきまして、教職員一丸となって取り組むという姿勢において欠けておる学校もある、あるいは個々の生徒児童に対する配慮において欠けている学校もある、こういう背景のもとで、自己顕示欲が強く、その反面、耐性と申しますか、自己を抑制する力に欠けておる者が、校外の非行団体等の影響もあって非行に走る。きわめて一般的に申し上げまして、このような状況だと存じております。  したがいまして、家庭教育の面におきましては、子供のしつけについて学ぶ機会を提供しようということで、家庭教育講座というようなものも開催いたしておりまするし、多くの県におきましては家庭教育の相談事業、相当濃密な施策を実行いたしてもおるわけでございます。学校におきましては、教師の資質を向上せしめるためにいろいろの細かいことをやっておりまして、もし具体的にという仰せでありますれば、この点は事務当局からお答えを申し上げます。  いずれにいたしましても、根本は豊かな情操と申しますか、豊かな心を培うということが一番大切だと信じておりますので、先ごろ文部省内に事務次官を長といたします豊かな心を育てる施策推進会議というものを設けまして、文部省が従来やってまいりました施策を総合して、文部省一丸となってこの問題に対処していく態勢をも整えたような次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 いろいろとお話ございましたが、たとえば校内暴力が起こるその要因、大体子供自身の問題もございましょう、家庭環境もあるでしょう、地域の問題もあります。さらにまた、いま大臣のお話の中にもありましたように学校自体の問題もある。そういうものが絡み合って、いろんな問題を起こしていると思うのです。しかし、同じ地域にあっても、そういう中でしっかと教育しながら、そういう暴力行為や非行がない、非常に優秀な学校もあるわけであります。そう考えると、私は、もう少し深く掘り下げて、そうした非行あるいはまた暴力行為を起こして特に問題になっているような学校等については、しかとその中身を分析しながら指導、対応すべきではないか、こういうふうに思っておるわけです。  そこで、警察庁においで願っておるわけでありますが、警察庁が、校内暴力に見られる一つの傾向として、学校内の問題について何か二、三論及されていることがあると思うのですが、その問題をひとつお話ししていただければ、こう思うのです。

石瀬博警察庁刑事局保安部少年課長

○石瀬説明員 ここ数年、学校内における暴力事件というのは非常に多発いたしまして、私どもも心を痛めているわけでございます。実際の事件の取り扱いを通じまして感じますことは、何といいましても、こういう校内暴力事件というのは学校で起きておる事件でございますので、学校側の適切な生徒指導によって未然防止を図っていただきたい、あるいは、事件が起きましても、警察と緊密な連絡をとっていただきまして早期に解決を図っていただきたい、こういうことがあるわけでございますが、なかなかに思うようにいってないというのが現実ではないかというふうに考えています。  一昨年来これが大きな問題になっておりますので、学校側のこの問題に対する取り組みも非常によくなってきておりまして、私どもとの連絡も緊密になってきておるわけでございますが、いまだに事件が発生いたしましても教師の方からなかなか被害届が出ない、それで事件として処理できないために第二、第三の事件を誘発いたしまして、先般も東京都内で第三の事件として教師が腎臓破裂の大けがを受けるというような事件があったわけでございますが、これなども、第一の事件のときに学校と警察との連携がうまくいって第二、第三の事件を防止できておれば、こういう大けがを受けずに済んだというような感じがいたしております。  そういうことで、私どもいつも学校の教育現場にお願いいたしておりますことは、教師の方々が校長以下一体になって生徒の指導について共通の理解と協力をしていただきながら、非行とか不良行為の初期の段階から的確な措置をとっていただくということが、この問題の解決の一番決め手ではないかというふうに感じております。今後ともそういった方向で努力をしてまいりたいと思っております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 警察庁がいろいろと述べている、あるいはまたモニター調査などを見ますと、こういうようなことが言われているわけです。一つは、教師に対する暴力は計画的に行われているものが多い。これは六割以上である。それは教師に対して敵対感情を持つ、恨みを持っている、これは問題だと思いますね、こういう教師が多いということ。それから二番目、生徒の悪さを見て見ぬふりをしている教師が多い。自己保身の強いそういう教師のところに発生しているというケースが多い。それから、学校の体質として教師集団が分裂している学校に問題がある。いわゆる教師同士の不信感、教師の一体感がないところに多い、こういうようなことを挙げております。また、国政モニターのアンケート調査でやはり警察庁が行っていることについても、モニターの回答として、教師の資質や姿勢に問題があるという答えを出している人が二四%、教師が暴力に毅然とした態度をとらないからこういう事件が起こるんだという方が一六%、合わせて四〇%の方が教師自身の問題としてとらえている、こういうことが指摘されているわけであります。  私もいろいろな方に聞いてみますと、もう一つそこに管理職の問題があるのじゃないか、校長、教頭の姿勢の問題が非常に問題でないかと私は思う。やはりそういう先生方を指導監督できない、中には、前に新聞でも話題になりましたが、非行がこわくてうちに引っ込んで出てこなかった校長がいたとかなど、これは極端な例でございましょうが、こういう校長や教頭の管理職としての毅然たる責任ある姿勢に欠けているケースが、たまたま教師間の分裂あるいはまた不仲、あるいは同志的な協力というものを失わせて、そうした非行や暴力というものを防ぎ切れなかったんじゃないか、こういうような問題、私は考えざるを得ないわけでありますが、大臣としては、やはりこうした教員、そして学校自体の問題に対して、もっと一層の適切な対応、指示をしていくべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 ことごとく御同感でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 先ほど大臣から、豊かな心を育てる施策推進会議なるものを設けて総合的にそういうものをなくそう、こういう話もされましたが、その点にも触れたいと思うのです。  私立と公立と比べた場合、不幸にして、公立の方がそういう暴力行為、非行が多いというように私は思っています。たとえば高等学校の場合などを考えた場合に、私も以前私立の高等学校におったわけでありますが、私立の高等学校の場合は、やはり経営というものが一つの非常に大きな課題でもございますし、学校それ自体の評価、子供たちが一生懸命に勉強するという以上にそういう非行あるいは不祥事を起こさないということに一生懸命取り組んでいますから、指導担当の教員をきちっと張りつけていろいろとめんどうを見ている。カウンセリングというものを充実している。私のいた学校では、指導担当の教員が三人、授業時間は普通の先生よりも三分の一くらいに減らしていただいて、もっぱら子供のそうした相談やら対応に当たっているというケースがございました。  私は、いまの段階を見たときに、先生方の中でいろいろ問題を起こしたりあるいは学校で問題を起こすような方々の力不足は、これは否定できないと思うわけでありますが、そういうものを補う意味で、最近は何か、教師に元教官の知恵をかりるという横浜市教育委員会の話とか、あるいはまた東京都のある中学校では、アルバイトの学生さんを使いまして、一緒になって兄貴として遊び、いろいろと相談に乗るというような方向を考えているとかいうような、いろいろ努力をしているわけであります。  そういうことを考えたときに、やはりそういう指導をきちっとできるような体制として、カウンセラーといいますか、そういう制度を真剣に検討すべきではなかろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 御指摘のように、教育上あるいは生活指導上のいろいろな相談、これは学校の中の機能として非常に大切なことでございます。ただいまの私どもの仕組みといたしましては、それぞれの学校に生徒指導主事というものを置きまして、これに学校の先生方全体の生徒指導の仕事の一つの連絡、調整、助言に当たるかなめの役を果たしてもらうということにいたしております。  カウンセリングそのものにつきましては、これまで中央でカウンセリングの講習会をやっておりましたが、これが非常に重要なことでございますので、これまでは基盤もそう強力ではなかったのでございますが、だんだんに専門家の層が厚くなってまいりますし、より厚くしたいということで、明年度予算には、さらにこれを広げまして地区別にそういう講習会をやる、こういう計画にいたしておりまして、それぞれの生徒指導主事がカウンセリングの技術を十分にわきまえていくように、こういう配慮をいたしております。  なお、ごく専門的なことになりますと、これはすべての学校にということは現状ではむずかしゅうございますので、県の教育センターでございますとかそういうところに配置をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 その御配慮、ひとつしかとお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。  豊かな心を育てる施策推進会議、これは、いままでいろいろと事業を行ってきたのを総合的にやるということで対応しようということのようでありますけれども、やはり私は一言言いたいのですが、こういうものだけで、そういうものを総合的に機能させたからといって、非行が減る、校内暴力が減るというようなことだけに目を向けられるのはいかがかと思います。これは必要でないとは私は申し上げませんが、いままであったわけでありますから、ただ機能してないということで、しっかと機能を発揮させるということである、これは結構なことでありますが、それ以上にもっと個々の問題に対する目の配り方、やはりこの点に真剣に取り組んでほしいということをひとつ要望しておきます。  次に、私学の問題についてひとつお尋ねしたいのでありますが、残念なことに、五十七年度予算案では、福祉と並んでわれわれの国民生活に最もかかわり深い文教関係予算がばっさりやられた。そのしわ寄せは、文字どおり父母の方に大きく覆いかぶさっているわけであります。しかも、来年度予算案の中で第二臨調の答申にまことに忠実に従ってこの実現に努力したのが文部省ではなかったか、これはもう私はそういうふうに思わざるを得ない。臨調が要求したのは、義務教育の教科書の無償配付の廃止を含めた検討という問題、それから私立大学、高校の助成金を前年度と同額あるいはそれ以下に抑えるという問題、あるいは国立大学の授業料の引き上げ、育英奨学金の縮小、こういうようなことだったのですが、それは全部網羅されております。  そこで私は、この私立大学あるいは高校などの助成金、これは文部省が一生懸命増額を要求した、それが軒並みに切り込まれたわけでありまして、非常に遺憾だと思っているわけであります。せっかく少しずつではあるけれども、公立あるいは私立とのこういういろいろな格差の是正というものが行われてきまして、多くの国民の皆さん方が多少なりとも苦労から解放されつつある、それをこの五十七年度予算の中でぴたっと抑えられた、その動きがストップした、これは大変な問題だと思うのであります。  たとえば私立大学は、これは四十五年に私学助成が始まったわけでありますが、それ以来初めて前年度比伸び率がゼロに抑え込まれ、私立高校の場合はわずか二十億円の増、しかしこの二十億円といえども、これは何のことはない、これはひのえうま年生まれがことし入学する、その入学者の減のための措置であるということですから、実質的にはこれも据え置き、こういうことになる。  そうした中で、やはり学校は、特に私は私立高校のことについて触れたいのでありますが、人件費その他物価の上昇等々によってかなりの負担がありまして、経常経費はもう黙っていても上がってしまう、こういうふうな状況。そうするとどうするか。それは結局は父兄の方に、父母の方に負担として返ってくる。授業料の引き上げや入学金の引き上げ。そうすると、せっかく国公立との格差が是正されてきたのが、また開いてしまう。それにもう一ついま重大な問題は、バス、汽車の定期がどんどん上がっている。こういうのが二重、三重に私学に襲う問題としてあるわけでありまして、せめて文部省がいままで続けてきたそうした私学助成の努力というものは、ここで停滞をさせるわけにいかぬと私は思っております。  そういう意味で、ことしなどは初年度の大学の納入金というのは、平均すると八十万四千五百五十九円だ、こういうふうに、七八%以上の大学が値上げするというのですね。高等学校でさえも、これは東京都の場合ですが、値上げをする学校が全体の八〇%、しかも六十万円近い納入金です。私立の幼稚園においても、約六九%の幼稚園で値上げをする、そしてここでも納入金が二十六万円近く、さらに授業料を上げようという学校も出ております。こういうような問題を大臣はいかがお考えでしょうか。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 先生御指摘の私学助成につきましては、かねてよりわが国の学校教育に果たす私学の役割りの重要性にかんがみまして、その充実を図ってまいった次第でございます。  御指摘のとおり、五十七年度予算につきましては、大変厳しい財政事情の環境の中での取り組みでございましたが、臨調の御指摘が、私立大学経常費助成につきましては総額を前年度同額以下に抑制するという基本の答申がございまして、その中で前年同額の二千八百三十五億を維持できたということは、御批判ございますが、原則補助金は一割削減という環境の中での前年同額の確保ということでございまして、またそのことが私学側の自主的な努力を期待する条件づくりにもなりまして、いま御指摘でございますが、来年度の授業料等の学生納付金の額は例年にない低い伸び率で、六%程度のアップでおさまりそうな状態でございます。  今後とも私立大学側の努力を期待してまいりたいと思っておりますが、特に高等学校以下につきましては、厳しい状況の中でございますが、先生も御指摘のとおり、ひのえうまの生徒数の急減も含めまして、二十億の増を図らしていただいた次第でございます。この二十億、二・五%の増によりまして、直接国の補助金は八百五億円が計上されまして、さらに国の財源措置といたしまして、都道府県に対する地方交付税による財源措置がございますが、これが百二十二億円増、五・九%増で二千二百三億円が地方財政計画の中で計上されまして、先ほどの補助金と含めまして三千八億円の、三千億台の財源措置が図られたわけでございまして、この財源措置によりまして、人件費につきましては私立の高等学校はほぼ人事院勧告並みの給与の改善を行うことができる、それに必要な経費あるいは物件費の上昇に伴う分も見込まれまして、私立の高等学校等が今後さらに充実し、経営の健全化あるいは教育条件の維持向上、あるいは保護者負担の軽減にそれなりに努力していただくという状態になっているというふうに考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 私は、この経営の非常な厳しさというものを知ってもらいたいと思いますよ。特に過疎地域の私学というのは、これはもう大変ですわ。  一応、先生が給料をどのくらいもらっておるか、言ってみますか。これは宮城県の例ですが、三十七歳で十五万六千円というのです。五十歳で二十一万円です。こういう学校にいい先生が集まってくるはずはないですわ。どうするか。退職をした人を雇う。先生はアルバイトをやっていますわ。老齢の先生、年寄りは嫌いだと子供たちが言っているわけですな、いろいろなデータを調べますと。食うための心配はない、要するに、ぶらぶらしてもしようがないという形で生徒の教育をやるような先生も、たまにいると聞きますね。それは要するに、安い給料で講師として採用できる。常勤よりも講師が多いなんというような傾向がある。また、若い連中は、こういう給与を見まして集まってくるはずがない。これは問題だと思うのです。ちょっとよくても、三十七歳で二十三万三千六百円、五十歳で三十二万一千円、これはこの地域では努力している方です。ですから、こういうようにどうしても先生の面にも、給与等の待遇の問題にも関連してくる。  それだけにこうした助成というものはどうしても欠かせない、地域振興の中における大きな施策の一つにもなってくるわけです。ましていま東北などという、どちらかというと経済的に弱い地盤の地方は、優秀な人材をたくさん世に送り出して、その地域に定着させて、その地域の発展のために力となってもらわなければいかぬ、そのために教育の果たす役割りは大きい、いい先生も欲しい、しかしながらこういう状況では思うようにならない、こういう現実をもっとしっかり知っていただきたい。  ひのえうま対策に二十億円、これは当然の、要するに今回あった一時の現象的な問題ですよ。それを取り上げて私学助成をしてやったなどと言われたのでは、その場で働いている、しかもそういう先生方の働きというのは皆さん御承知かどうかわからぬけれども、子供を教育だけでなく、それ以上に、先ほども話したように、非行の問題等、校内暴力の問題等、どの学校よりも一生懸命力を入れている学校であるということも御承知願いたいわけであります。  時間がなくなりましたので、大臣に、こういう実情をもっと踏まえた、心の温かい対応をしていただくことが、まず何よりもいまの私学の振興、しかも、私学といえば、大学は八割以上、高等学校でも四割以上がその恩恵を受けているわけでありますから、私はこの機会に、いかに予算的にあるいは財源的に大変であろうとも、日本の将来を考える大切な人材が、しかも社会の中の中核として育っていく、そういう彼らのために十分なる御配慮をいただきたい。このことをお願いし、大臣の決意を聞きまして、質問を終わらせていただきます。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 過疎県の私立高校につきましては、御高承のとおり補助金の特例を設けておりまして、年々拡充に努めてきているところでございます。昭和五十七年度におきましては、私立高校の経常費助成補助金が、全体として二・五%の増になっておりまする中で、過疎県の私立高校に対しましては、対前年度比三三・六%増、金額にいたしまして七億一千百万円を計上いたしております。  仰せの点はまことに同感でございまするから、財政の状況もまことに厳しいものもございまするけれども、今後も御期待の方向で努力を続けてまいるつもりでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田分科員 終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて武田一夫君の質疑は終わりました。  午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議

砂田重民自由民主党

○砂田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 きょうは、中国の残留孤児の日本語教育の問題についてお伺いしたいと思います。  きょう、黒竜江省の人たちが成田を出発してお帰りになりましたけれども、遼寧省の人たち、黒竜江省の人たちの、こちらに来られてからのいろいろな話が出ております。マスコミにもずいぶんのりました。僕はそういうことを見まして、そこにドラマがあるかもしれない、しかし悲劇もあるだろう、結果的には戦争の傷痕が四十年近くまだ残っている、同時に、しかしそれは今後も残るであろう、こう思うのです。  そういうことについてお伺いしたいのは、いま申し上げたように日本語教育の問題でありますが、ここに一つデータがあります。それは、これまでに帰ってこられた人たちの生活保護適用状況の調べであります。これによると、五十一年に九十世帯の人がお帰りになって、生活保護の適用をされている人たちが五十一世帯、パーセンテージにすれば五七%であります。受けたことがあるがいま受けていないという人たちが三十五世帯、パーセンテージにして三九%であります。五十二年には四十九世帯の方たちが引き揚げていらっしゃって、生活保護を受けている方々がいま四十一世帯、パーセンテージにして八四%、受けましたけれども現在は受けておりませんというのが、五世帯で一〇%のパーセンテージであります。  もう一つここにデータがありますけれども、これは就業状況の調べであります。本人と言ったらいいのでしょうか引き揚げ者、配偶者、配偶者以外の同伴家族、こういう分類ができておりますけれども、引き揚げ者ということから見れば、総数五百六十二人のうち二百九十五人しかまだ就業しておらない。つまり、その他の残りの方々は無職であると言っていいだろうと思うのです。生活保護にしても、無職である人たちがかなりなパーセンテージだと僕は思うのですね。  大臣に、一体この原因がどこにあるかということをお伺いしたいわけであります。まず、そのことをお聞かせいただけませんでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 これは、とっさのお尋ねでございますから的確な御答弁をいたしかねるわけですが、一つの問題として、言葉の壁に隔てられて速やかな生活適応ができないということが確かにあろうかと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 大臣、僕にはまことに的確な御答弁だというふうに承るのですけれども、ひとつ実情を聞いていただきたいと思うのです。私も、遼寧省から引き揚げた三人の方々とお会いいたしました。その他の、これまでに引き揚げた方々についてもお会いをいたしました。と申しますのは、私は、これで五、六年ですか、残留孤児の問題についていささかのお手伝いをさせていただいた関係上、そういう機会があったわけでありますが、こういうことがあるのです。  これは新聞でも大臣はごらんになったと思いますが、岩手県で殺人事件がありました。あるいは、すでに生活をしておったんだけれども、どうも日本の生活がなじまないということで、中国にまたお帰りになった人たちもおります。現在住んでいる人の中で、こういう事例があるのです。これは、引き揚げた方は婦人なんです。御主人は中国人。それで、日本人である婦人はテレビを見ても幾らかわかる。だけれども、御主人は全然わからぬわけですね。ですから、テレビなんというものは、見たいのだけれども見てもわからない、結局ぶらぶらしている、こういう状態があるわけです。  あるいは、親と子のつながりを見ましても、親の方は日本語をなかなか覚えにくい、ところが子供の方は、日本語を覚えるのが早い、そして中国語をだんだんと忘れていくというようなことで、そこにまた親子の間に生活において違和感が出てきている、こんなことがあるわけですね。それを見ますと、大臣がお答えになったように、私はやはり、日本語というものが引き揚げた方々にとっては非常に障害になっていると言っていいだろうと思うのです。  そこで、私がきょうお伺いしたいのは、四十年近く向こうにおったわけです。環境の上からいっても、文化の上からいっても、社会体制の上からいっても、もちろん違いますね。そういうことがある中で、要するに、一日か二日の研修で四十年近い空白を埋めろといったって、埋められぬだろうと僕は思うのです。とすれば、一体それに対してどういう対応があるのだろうか。  引き揚げた人たちは、一つはやはり言葉の問題があるだろうと思うのです。次に来るのは、住宅の問題があるだろうと思う。そして、職業訓練の問題がある。それが終われば、就職という問題があると思いますね。そういう一貫したものが政府の対応としてあっていいのだ、私はこう思うのですけれども、どうもしかし、まず冒頭の日本語教育について、取り組み方が不十分じゃないだろうかという気がしてならぬわけです。  と申しますのは、文部省の場合には、日本語教育の担当が文化庁である。僕は、日本語教育の担当が文化庁であるということに対して、どうも何かそぐわないという感じがするのです。本来ならば、文部省のほかの管轄のところでやるのがあたりまえじゃないかという感じがするのですけれども、文化庁がいままでおやりになっている。  ただ、予算とかいろいろなものを見てみますと、「中国引揚者に対する日本語教育」ということで予算の要求を出しておりました。そして、「趣旨」の中にこういうことが書いてあります。「この中国引揚者の円滑な生活適応が言葉の面から妨げられている実情が日中孤児引揚問題関係者から強く訴えられており、中国引揚者の生活実態に即した適切な教材の作成が緊急に要請されている。」というのが趣旨であります。そして「事業内容」としまして、学習書「生活日本語」、それから日中対訳のカセットテープ、こういうものから成っております。  私は、一体こういうことで引き揚げた方々の日本語教育というものが適切であるかどうかということについて、御見解をお伺いしたいわけであります。果たして適切であるのだろうか、そして、それが文部省としての引き揚げ者に対する日本語教育の対応であるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 引き揚げてきた方々に対します日本語の教育は、その方々に対する援護ないし生活指導の一環として行うのが実際的でありますので、厚生省が中心になって、各都道府県の援護担当課を窓口として行われております。また、中国語に熟達したボランティアの方々の積極的な協力も得ておるわけでございますが、文部省といたしましては、文化庁だけがこれを所管しているわけではないのでございまして、学齢期にある児童につきましては、日本語学習の教材「日本の学校」というのを無償で配付いたしまして、日本語の指導について特別の配慮をいたしております。引き揚げた人たちの人数がややまとまっておりまする学校についてはこれを協力校に指定いたしまして、部分的には教職員の定数の増配というようなことをやっておるわけでございます。  成人の引き揚げ者につきましては、昭和五十七年度予算におきまして、実際的な日本語教材、カセットテープのついた学習書でございますが、これを開発して配付する、またこれを使った指導の研修を行いますために約一千七百万円を計上して、これによって帰国者が日常の生活場面で困ることのないように協力をしていこう、こういうことにただいまなっておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 いまお話がありましたように、文部省がおやりになっていることは教材が主だろうと僕は思うのです。あるいは教師の養成。ただ、これも大臣ごらんになっただろうと思うけれども、中国の帰国者に日本語教育というものをやっている。これは江東区でやっております。これは引き揚げ者がずいぶん多い。そのほかに最近では全国社会福祉協議会、東京のYWCAの砂土原センター、つい最近では拓殖大学、それからその他には宗教団体、民間の語学の学校とか、数えるほどしかないのですよ。これは日本語を教えるという、教育の問題です。私は、文部省がそれに本格的に取り組むべきじゃないか、こう思うのです。教材あるいは教師の養成もいいでしょう。しかし、引き上げた人たちに対して直接に日本語というものを覚えさせなければ、先ほど申しましたような障害が出てくることは事実なんです。ですから、先ほど申し上げたように、社会体制の違いとか環境の違いとかいうものがあると同時に、やはりそういうものを納得をしてもらう、あるいは知ってもらうということのほかに、日本語教育というものが帰った人たちには一番喫緊の問題だろうと私は思うのです。それがなされてない。  それは地方に行って、要するに地方でそういう体制を整えておる、こうおっしゃるのですけれども、最近の引き揚げた方々は全部と言っていいほど、つまり東京から出ていって全部東京に帰ってくるというUターン現象を起こしているのですよ。そしてそれが大部分とは言いませんが、かなりの部分が江東区の方へ行っている。あるいは、中国の方々が住まっているところへ戻ってくる。つまり、その人たちでなければ生活になじまないし、環境になじまないから、中国語を知っている中国の人々が集まっているようなところへ戻っていっているという現象がある。とすれば、帰ってきたときに多少の年月がかかっても、そこで日本語を覚えさせる、あるいは生活環境になじませる、そういう教育があってしかるべきだ、こう思うのです。そのことに対して、国と言った方がいいかもわかりません、あるいは政府と言っていいかもわかりません、文部省と言っていいかもわからぬ、そういう取り組み方が非常に一時的なものだ、あるいはテンポラルにしか考えていないというふうに思えてならぬわけです。  ですから、その辺について、環境の違いとか生活の違い、文化の違いというようなことを教える、と同時に日本語の教育をする、そういうパターンというものが一つあっていいだろう。その上で今度は住宅の問題、職業の問題、就職の問題というものを考えていく。それで最後は生活保護というものを外していくということを考えないと、いつまでたってもある一定の部分の人たちはそのままに、そういう言葉がいいかどうか知りませんけれども、無為のうちに生活を過ごしてしまう。そして、生活する意欲を失っていくのではないかという気がするわけです。それは、本当の受け入れの体制ではないだろうと僕は思うのです。  考えていただきたいことは、四十年間の空白後こっちに帰ってきた、今度は期待を持って日本で生活ができるのだと思って帰ってきた人たちが、無為のうちに生活を過ごすような、そういうことがあっていいのだろうかどうだろうか。僕は、政治というものはそんなものじゃないだろうと思うのです。だから、その人たちに意欲を持たせ、そして日本の生活になじませ、日本の活動に溶け込んでいくということがあっていいのじゃないでしょうか。  僕はなぜそんなことを言うかというと、昭和三十一年、一緒に大臣と国会の方々が行かれたときに、僕は随行して行ったことがあります。そういうこともあわせていま頭の中で浮かべながら、大臣にそういうことに対する対策がなぜとれないのだろうか、そして、それは単に厚生省とかなんとかいう問題じゃないだろうと思うのです。少なくとも日本語の教育の問題については、所管である文部大臣、文部省の方で私はお考えになるべきじゃないか、こう思うのです。そういう意味でお答えをいただきたいのです。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 日本語に熟達するということがいわば先決問題でございましょう。文部省として、今日まであとう限りのことをやってきたわけでございますが、山本先生のように長い間この問題に携わってこられた方からごらんになると、まだまだ御不満があろうと存じます。これはきわめて大切な問題と心得ておりますから、これからも日本語教育の改善充実ということには十分意を用いてまいりたいと考えております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 これは厚生省の方にもお考えがあったらお答えを願いたいし、文部省の方にもひとつお答えを願いたいと思うのですけれども、たとえば一年なら一年の間、引き揚げた人たちに対していま申し上げたようなめんどうを見ていく。そのために、定住することのできる定住センターといいますか、そういう施設ができないものだろうか。教育をし生活環境になじませるということですね。  私は、これは実態はよくわかりませんけれども、そういうものを改めて新設をする必要はないのじゃないだろうか。たとえば、文部省の所管の中には社会教育会館というのがあります。あるいは、厚生省所管の中では社会福祉会館なんというものがある。一、二カ所見てまいりましたけれども、そこではある程度の余裕があるのです。そういうところでいま申し上げたようなことがやれないものだろうか、お考えができないものだろうか。このことについて、厚生省とそれから文部省の方でお答えをいただけませんでしょうか。

岸本正裕厚生省援護局庶務課長

○岸本説明員 本日まで、先月の十八日から約三週間にわたりまして、中国から日本人の孤児を六十名迎え入れましていろいろと肉親探し調査をいたしました。皆様方、国民各界各層の広い御支援と御協力によりまして、四十二名の方々が肉親にめぐり会えるという成果をおさめたわけでございます。その際に、私どもが日ごろやっております施策に対しまして、いろいろな御意見、御批判、また御提案というものをいただいたわけでございまして、いま山本先生がおっしゃいましたようないわゆる定住収容センター方式を設けないかという御意見も、いろいろな方からお伺いをしているわけでございます。  私どもといたしましても、こういう機会に皆様方から寄せられました御意見をいろいろと検討してまいりたい、こう思っております。確かに、先生の御提案になりました収容センター方式というものが、一つの非常に有効な方法であろうかというふうにも考えるわけでございまして、メリットも大きいわけでございますけれども、いろいろと考えていきます場合にデメリットもあるわけでございまして、そういうものを検討してよりよいものをつくり上げていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 文化庁ではございますが、文部省の窓口になっておりますので、成人の教育の問題について申し上げたいと思います。  引き揚げ者が日本に参りまして、長年の生活習慣、言語、すべて違っておる中で、近隣の生活をし、また仕事についていく、そういう形でございますので、言葉だけでなしに、むしろ生活でかかわりを持つ方々、あるいは仕事にかかわりを持つ方々、すべてがやはり見守っていかなければうまく適応できないのではないかというふうに考えて、そういういろんな方々が言葉の問題についてアドバイスし得るように、実際的な教材の開発をやっていくことがまず第一に必要ではないかということで、文部省の施策として来年それに重点を置いているわけでございます。  先生がおっしゃられました引き揚げ直後にそういうセンターみたいなものがあればということは、援護の方式とのかかわりでございますが、厚生省でもしそういう援護の方式がとられるようでございますと、語学の面からいうと集中的にするということは効果が上がることでございますので、そういう援護の方式が可能でございましたならば、文部省としてもそれの中で取り組んでいくことは可能だと思っております。ただ、現実のところ一長一短という厚生省の御判断でございまして、身寄りのもとに引き上げていくという援護方式をとられておりまして、生活並びに仕事の各面で助けるという形で私どもは教育を受け持っておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 いま、文化庁の次長の方からお話ありましたけれども、援護の問題というのはなるほど厚生省の所管なんです。私どもはそういうものができたら、そのことについて協力をすることはやぶさかではありません、こういうお話がありました。しかし、文化庁だってこのままでは済まないということで、一つの考え方を進めていることは事実でしょう。教材だけじゃなくて、日本語教育の夏季の研修をやりたいとかいうようなことをお考えになっているようじゃありませんか。それは現職者の研修とか初級の研修とかいうのをお考えになっている。だから、そういう必要性というものはあなた方は認めているわけです。  ただ、私は、これは単独に厚生省が主管だからとか、文部省が主管だからとかいうふうに割り切っていいのだろうかどうだろうかと言うのです。引き揚げた人たちは生身の体ですよ。黒竜江省から引き揚げた人たちは、冬に履くものがなくて、つまり靴みたいなものがなくて荒縄で冬に足をずっと巻いて、そして履物がわりにしていたのです。そんな苦労をしてきているのです。そのことに対して文化庁の次長が言葉の問題で、援護というものが厚生省の問題だけであるとおっしゃるのだったら、一遍常盤療なり何なり江東区の療に行って実態を私は知ってほしいと思うし、聞いてほしいと思うのですね。それが政治じゃないのですか。文部省の省内におって頭の中で考えないで、体を運んで、そしてその人たちの要するに意見というものを聞いていただけませんか。そうしたら、あなた方の考え方がいかに実態とかけ離れているかということがおわかりになるだろうと僕は思うのです。  孤児の責任じゃないのです。残した人たちも、残して日本に帰った人たちも好きで残したわけじゃないのです。しかしその責任というものは、僕はやはり日本の政府が考えなければならぬことじゃないだろうか、そのことをひとつ考えてほしいと思うのです。そうしたら、あなたのような御答弁というのはできないだろう、僕はこう思うのです。だから、厚生省と文部省あるいは建設省も必要かもわかりません。各省が一体になって、そういう体制をつくってもらえぬだろうかというのが私のお願いなんです。大臣いかがでしょう。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 関係各省一体となってこの問題に対処すべしという御意見、私も同感でございます。そういう心構えで善処してまいりたいと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 あるいは労働省も関係があるかもわかりませんね。ですから、ぜひひとつそういうことで総合的な対策というものをしていただきたいと思うのです。  引き揚げた人たちの子供さんの問題で、教育の問題が関連してありますね。私がお願いしたいのは、高校の入学というものが出てくるだろうと思うのです。そして、現にそういうことが問題として起きてきている。そういう場合に、お金がないということがあるのです。先ほど申し上げたように、生活保護を受けておる人たちの実態というのはまだずいぶんたくさんあります。したがって、そういうことを考えた場合に、日本育英会の中に孤児関係の特別の枠を設けることができないのだろうか、そういうことを考えていただけないだろうかということが大臣に対する私のお願いなんですが、いかがでありましょう。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 ただいま具体的な御提案があったわけでございますが、御趣旨はよく理解できますから、研究をさせていただきます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 あと三分しかありませんから、最後のお願いになるかもわかりません。  引き揚げ者の生活実態調査の結果表、日本語習得の状況調べ、五十二年に引き揚げた人の中から百二十五人の人たち、パーセンテージで言えば五七%の人たちが日本語ができる、こう言っているのです。九十四人の人、つまり四三%の人たちが日本語ができない、こう言っているのですね。引き揚げ者の総数の半分近い人たちができない、こう言っている。そして、もちろんできるという五七%の人たちも、われわれが日本語を使っているようにはできないのです。たどたどしい日本語であることは事実なんです。あの人たちは日本に帰って、あの人たちなりの努力をしようとしているわけです。だから、日本語が話せますか、話せませんかと問われた場合に、できますという人たちは、かなりの程度無理をして言っていると僕は思うのですね。  もう一つ、五十二年度に引き揚げた人たちの読み書きができますか、できませんかという問いの中では、七十八人つまりパーセンテージで言えば三六%の人たちができる、こう言っている。これも完全じゃありません。できないという人たちがその倍あるのです。百四十一名、六四%の人たちが読み書きができない、こう言っているのです。  多くを言いません。そういう実態をお考えになったときに、私はやはり定住のセンターみたいなものを、それは先ほど申し上げたように、文部省なり厚生省なりそして労働省も含めて、私はそういう施設は新設する必要はないだろう、つまり政府が努力をすればそういう施設というものは、現存するもので利用することができるんじゃないか。その上に立って、ひとついま申し上げたような日本語の教育について取り組むことをお願いをしたいのです。大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 いろいろ承らしていただきましたが、引き揚げ者に対する日本語教育の改善充実を図る余地がまだまだあると存じます。一カ所に集中してという御提案もございますが、この点は厚生省の答弁申し上げたところにもございましたように利害得失という点、慎重に研究する必要があろうと存じます。この問題もあわせて研究をさせていただき、これからも御鞭撻いただきまして、日本語教育の充実に努めてまいる所存でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 ありがとうございました。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて山本政弘君の質疑は終わりました。  次に、藤原ひろ子君。

藤原ひろ子日本共産党

○藤原分科員 五十六年度の中学生の検挙、補導人数は、戦後初めて十万人を突破したと報道されております。その特徴は、第一に、従来から教育困難校と言われている学校よりも、比較的問題事象の少なかった学校にも突出してきたことです。第二に、こんな子がと言われるように、その底辺が広がっていることです。そして第三に、非行イコール中学生という図式から、いまや小学校の段階にまですそ野が広がっていることでございます。今日、非行、暴力問題から子供たちを救い、明るい学校を取り戻すということは、教育労働者や父母を中心とした国民的課題であります。  そこで、私は、青少年の非行、暴力問題をどう克服するのかという点について質問をいたします。  まず、幾つかの事例について述べてみたいと思います。一つの事例は、千人規模の京都南部の中学校で、A君とB君のいさかいは殴る、けるのけんかとなり、A君がけがをするという事件が起こりました。それは無視されたという簡単な理由でございますが、きわめて衝動的な行動の中に非行の芽が見られます。この学校では先生たちが職員会議で討論をいたしまして、すぐにこのような緊急アピールを出して、みんなと一緒に考え、よい解決方法を探したいと事件の全容を生徒に知らせました。非行に走る子供を単なる問題児として見るのではなくて、発達のゆがみを科学的に分析をし、全職員が一致して子供の苦悩する内面にまで迫るという指導を行ったわけです。  そして、生徒からアンケートをとってみますと、「とても残念だ」「とめられなかったのがいけなかった」こういうもののほかに、「本人の勝手だ」「何とも思わない」「先生なんか関係ない」という回答もありました。しかし、秘密主義を乗り越えた学年ぐるみ、学校ぐるみの粘り強い指導は、ついに緊急学年集会の中で悪を悪と認めたB君が、全員を前にして謝るという事態に到達をしたのです。  ここに持ってまいりました、B君の生の声がテープに吹き込まれているのですが、その一部を紹介いたしますと、「みんなが書いてくれた事件の感想にはこういう意見があった。けんかしないと男と違うとか、一対一のけんかなのに大げさ過ぎるとか。でも、そんな意見は僕のためにはならなかった。しかし、ほとんどの人は正しい方向に考えてくれた。また、何人かの人が、どうなったんと聞きに来た。その中の三人が僕をしかってくれた。そのとき、やはり本当の友達だと思い、非常にうれしかった。僕は、もうこれからは何があっても暴力は使わないとみんなに誓います。こんなことをしてしまって本当に済みません。」と発言をしております。  集会を終えまして、ある生徒は次のように感想を書いております。「とてもうれしかったのは、B君が反省してくれて謝ってくれたことだ。B君とは友達だけど、集会でもし謝ってくれなかったら、とても軽べつしていたかもしれない。」また、本人の勝手だと言っていた女生徒は「この集会で、私の意見はB君のためにはならなかったということがわかった。やっぱり暴力はあかんなあと思った。」と述べております。  また第二の事例は、京都市内の五百人規模の中学校で、教職員一致体制を背景に三年がかりで生徒会活動を立て直し、非行克服に立ち向かう子供の取り組みを組織した例を申し上げたいと思います。  この学校では、基礎学力の向上、落ちこぼれ克服ということで、生徒同士の教え合い、朝学習が始められました。それは、始業前五分から十分間という間に、生徒会の行事として漢字大会や計算大会を行い、その中で生徒の学ぶ意欲を高めてまいりました。その後のこの取り組みは、学ぶ意欲から生徒会の遅刻ゼロ運動に発展をしていったわけです。すると、いままでのように教師がこわい顔をして腕組みをして校門チェックということをしなくても遅刻が少なくなって、逆に全校生徒遅刻ゼロというような快挙をやり遂げたわけです。  私は、ただいま申し上げました二つの事例から、どんな小さな非行、暴力の芽も許さないという教職員の一致した毅然たる指導と同時に、すべての子供のすぐれた面を引き出し、みんなで正しく教化をすること、すなわち児童生徒の自主的な活動を活発化することが非行、暴力克服のためには大変大切だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 非行の状況なり、それに対する事件が起こった場合のそれぞれの学校の取り組みなり対応のための努力というものは、いろいろな状況といろいろな考え方があるわけでございまして、ただいま藤原委員が御紹介になりましたものも、一つの顕著な事例であろうかと思ってお聞きした次第でございます。  いま仰せになりましたが、そのようにやはり校長なり教頭なりを核として全校が本当に真剣に一致して取り組むということは、これは非行対策の一つの対応の体制として必須のことでございます。それから、やはり学校というのは一つの集団的な教育の場でございまして、そこに集まっている子供たちがお互いに仲よく子供たち同士のつき合い関係を深めていく、そして友情を育てていくということが肝要でございますので、その過程におきましては生徒たちの自発的な意欲といいますか関心というものが非常に大事である、こういうふうに考える次第でございます。

藤原ひろ子日本共産党

○藤原分科員 次に、私は、子供の非行、暴力問題を防ぐためにも、常に教師と子供の触れ合う時間が必要だというふうに思います。特に中学校では、一日の始めと終わりにホームルームを行って生徒と触れ合う時間をとる、これは荒れている中学校では大きな役割りを果たすのではないでしょうか。  そこで、授業時間の問題についてお尋ねをしたいと思います。  昭和五十五年四月一日号の「内外教育」で、当時の諸澤初中局長はインタビューに答える形で、この授業時間の問題に触れてこうおっしゃっています。「新指導要領には、四十五分、五十分を常例にすると書いてある。常例にするということは、基準とするというのに比べれば、はなはだ拘束性の薄い規定なんですよ。「普通は四十五分なんですよ」ということなんで、それでなきゃあならんということはない。」こう言っておられるわけですね。つまり、これは小学校ですけれども、中学校ではそれが普通五十分ということを意味するわけです。それで、一単位時間というのは、各学校が学校や子供の実情に合わせて主体的に決めるということだと思うのですが、当時のこの諸澤初中局長がおっしゃっていることに間違いはないのでしょうね、お尋ねをいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 文部省で、全国の公立中学校の第三学年について、教育課程の編成状況などにつきまして調査をして、集計をいたしたのでございますが、その状況について申し上げますと、一単位時間については、年間を通じまして五十分という学校が八千五十一校ございまして、これは八〇%でございます。それから、五十分と四十五分というのを併用している学校が千四百七十五校でございまして一四・六%、通年四十五分という学校が五百四十校で約五・四%、こういう状況になっております。  それで、中学校におきます各教科、それから道徳並びに特別活動の一単位時間につきましては、ただいまお話があったわけでございますが、中学校の学習指導要領におきまして、「五十分を常例とするが、学校や生徒の実態に即して適切に定めること。」こういうふうに示されておりまして、それぞれの学校では教育委員会の指導監督も受けながら、あくまでも教育上の配慮に基づきまして、学校管理運営の責任者でございますところの校長さんの権限と責任のもとで適切に定めなければならない、こういう仕組みのものでございます。  なお、つけ加えますと、基本的には通常の場合五十分とするのが適当である、こういうふうに私どもは考えておりますけれども、いま右に申し上げたとおりの定め方になっております。

藤原ひろ子日本共産党

○藤原分科員 諸澤局長は、文部省がどう言った、教育委員会がどう言ったということに余り拘束されない方がいい、こう言いながら、私は、そういう点でも教育委員会が学校の意見をよく聞き、地域なり学校の実情に合わせて主体的に考え、決めることが大事だと思う、こう言っていらっしゃるように、教育委員会から命令が行くのじゃなくて、教育委員会の方が学校の実態をよく聞く、そしてよく考えるということが大切だ。ですから、私は、一単位時間を学校の教育方針に基づいて決めることができる、こういうふうにすることが大切だ、そうでなければ、常例ではなくて基準になってしまうだろうというふうに考えるわけです。  時間の関係で次に進みたいと思います。  私がここに持ってまいりました「中学生とともに」という本ですが、この著者であります君和田和一先生と佐山喜作先生は次のように書いておられます。一部読み上げますと、   〈非行歴を重ねてきたY君がいいました。〉   数学の先公が、おれをよんで“つまるところ、お前はヤル気がないから駄目なんだ”といいやがる。いい返そうとしたら、“授業態度が悪い”とか“勉強ができないと社会にでたとき、どんなにみじめか、お前はわかってないんだ”と説教する。   なあ先生。学歴がないと、どんなにみじめかは、おれの親父をみればよくわかるのさ。「数学の先公より、おれの方がずっとよく知ってる」と、いってやりたい。   勉強ができないとたいへんだ。高校にも行けなくなる。ヤラナあかんと思っているんだ。おれだってヤル気はあるんやで。だけど授業がわからんかったらどないしたらええんや。女の子の大勢いる前で、おれがいちいち頭を下げて、「わかりません、わかりません。教えて下さい」なんていえるかい。そこの所がわからない先公の方がバカじゃないですか。 こういうふうに言っております。  これは、まさしく学力と非行は表裏の関係だと私は思います。非行問題解決の陰に隠されたかなめは学力問題にあると私は思うわけです。先ほどのY君の訴えは、汚い言葉のようですけれども、どんな子供も勉強がわかりたいと思っている叫びだというふうに思います。  文部省の五十五年の十一月の通達では、指導内容の精選、指導方法の改善を行い、児童生徒が興味、関心を持って意欲的に取り組めるように、個性、能力に応じた指導ということを強調しておられます。それなのに、臨調答申で四十人学級及び教職員定数改善計画の停止あるいは児童生徒の増加に伴う増員措置は大幅に縮減と、こういうふうにうたわれますと、国会で決めたこともやらない、また児童がふえることに伴います当然増であるものさえ五百人削減するという予算を組んでおられるわけです。これでは、私は人口急増地帯では一クラス四十五人、四十六人と、これをオーバーする状況が出てくることは明白だというふうに思うのです。学習の喜びをすべての子供たちに与えるためには、教師のわかる授業づくりが何よりも大切です。そのためには、一クラスの人数を減らして先生の数をふやしていくこと、行き届いた教育を行う条件整備をすること、このことが文部省のしていただかなくてはならない仕事だと思うわけです。任命制の主任手当には金を出す予算があるのなら、行き届いた教育を行うという教育条件の整備にお金を使うべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 確かに、学力の面でその進みぐあいといったようなことが子供の非行と関係がある場合もあるかと存じます。そして、数学なら数学で、ある点で理解ができずにそこでとまってしまうというようなことをできるだけなくしていくというのが、新しい学習指導要領のねらいの一つでもございます。ただ、非行にはいろいろな要因がございますので、学力即非行というほどには割り切ってきめつけるわけにもまいらないかと存じます。  いずれにしましても、私どもは、学力も含めまして学校の中で子供たちがそれぞれの持っておりますいろいろな能力を伸ばしていく、引き出していく、そういう取り組みが肝要でございまして、どの子も学校でそれなりの持っております値打ちというものを大事にして育てていってもらう、こういう体制をつくることが学校として平素心がけていかなければならない基本であると思っております。  そこで、ただいまの教員定数の問題でございますが、これは私ども国会で長年の御審議も経まして、第五次の教職員定数改善十二年計画というのをつくりまして、当時すでに財政状況の非常に厳しい事態の中に入っておりましたけれども、あえて昭和五十五年から発足させたわけでございますが、その後事情はさらに窮迫をしてまいりまして、臨調答申も出ましたので先ごろの臨時国会でお諮りをいたしまして、そして財政再建期間中の三年間は、緊急必要なものはとにかくとして、その余は抑制を図らざるを得ない。これはやはり国あっての行政でございますので、そういうことで、財政再建というのも一つの至上の課題でございます。しかしながら、この全体計画自体は私どもとしては堅持をする、そして、昭和六十六年度までにその実現を図っていくということは変えていないわけでございます。  なお、御指摘の当然増の分につきましても、答申の趣旨にかんがみまして、五百人という縮減抑制措置を明年度についてはいたすことにしておりますけれども、これによって、ただいま御心配のような人口密集の地域で四十六人学級ができるということは避けることが可能でありますし、そういう事態にならないように各都道府県を指導してまいりたい。現在、必ずしも学級定数だけの定数配置ではございませんで、それを上回ったいろいろな配置をいたしておりますので、その全体の中で県でしかるべき工夫をしていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  なお、主任手当につきましては、これはたとえば生徒指導主事というようなものも主任の一つでございまして、校内暴力あるいは非行が起こっておりますような学校では、特にこの生徒指導主事はもとより、教務主任、学年主任等、これらがやはり一つのかなめになりまして、そして特に規模の大きいような学校では、こういう人たちが校長のもとで全教員のチームワークをつくる上で重要な役割りを果たしていただかなければならない、こういうふうに思っておる次第でございます。

藤原ひろ子日本共産党

○藤原分科員 短い時間ですので、答弁を簡単に、重複しないようにお願いをしたいと思います。  いまおっしゃいましたけれども、五十七年度文教予算、これは学校施設整備費は大幅にカットする、学校体育施設を減らして、プールは八百四十カ所を八百九カ所に減らすとか、ふやすべき教材費は一〇%減というふうな状態ですね。ですから、学校施設整備費、こういうものにももっと予算を回すべきだということを強く私はお願いをしたいと思います。  それから同時に、いま文部省が生徒指導の充実という関係で新規の施策等を予算化されているわけです。けれども、これを見ますと、非常に管理主義の強化ではないかというふうに考えます。上からの管理統制体制というふうなものを強化することで、果たして今日の非行、暴力の問題が解決するのかどうか。上からの押しつけであるとかあるいは警察と学校が連携する、そういうものを強化する。私は、こういう取り締まりを強化するというふうなことでは、一時、事がおさまったかのように見えますけれども、子供の心を底から揺さぶるというふうなことはできないと思うのですね。ですから、力による管理主義というふうな指導を排して、先ほども申しましたような、もっと子供の自主性というものに基づく民主的な規律を確立させていくことが非常に大事だというふうに思うわけです。ですから、文部省はこういう活動をうんと激励して、より実践を広げるためにこそぜひお金を使っていただきたいと思うわけです。  私は、ここに計画の文書を持ってきたんですけれども、京都市では、去る一月の十八日から二十二日の勤務時間中に、管理の実態を視察し、経営者から管理に関する研修を受けるという目的で、幼、小、中、高校の園長、校長二百九十三人、この人たちを七班に分けまして、婦人下着のメーカーであるワコールとかお酒の宝酒造であるとかあるいは島津製作所、日本新薬、こういうところにおいて管理職の研修が行われたんですね。現場の先生が汗水流して非行、暴力から子供を救うために必死の努力をしているというそのときに、管理職である校長はわざわざ大企業に出かけて、経営者から管理に関してのお教えをいただいているというふうなことなどは全く言語道断だと思います。こんな研修をさせてもらっておりますから、次のような校長さんが出てきております。  京都の百七十人規模の小学校ですが、昨年夏休みに子供祭りというのに取り組んだんですね。これは教師集団や父母の皆さんが夏休みを返上して努力をした結果、五百人の参加で神社の境内で盛大に行われた。ところが校長先生は、この催しに顔も出さないどころか校舎を貸さない、いす一脚、マイク一本、ござ一枚の持ち出しを許さないというふうな、まことに非協力的な態度があったわけですね。ほとんど全校生徒児童の参加する地域での夏休みの行事にこんな冷淡な態度をとる校長は、私は教育者として資格があるのかどうか疑わしい限りだと思うわけです。校長さんの本来の任務は何か。教育現場の仕事に責任を持って、教師集団や父母の意見をよく聞いて、教育任務がより効果的に実るように指導助言をしなければならないというふうに私は思いますが、文部省では校長さんの研修のあり方についてどのように考えていらっしゃるか、簡単にお答えをいただきたいと思います。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 校長は、個々の学校の教育におきます最高の責任者でございまして、学校全体の取り仕切りをやる立場にある人でございますから、やはりこれまでの教育経験が豊富であると同時に、学校教育に対するしっかりとした見識を持っていなければなりません。と同時に、職員に対する指導力というようなものも大事でございます。またあわせて、単に狭い学校教育の中のことだけでなく、国内全般の事柄はもとより、国際的な視野も持って、そうして子供たちの指導についての指導助言並びに監督等も行う、こういうことが必要でございます。そのために私どもでは、校長、さらには将来校長の候補者でもあります教頭も含めまして、そういった立場にある人たちの研修については従来とも努力をしてきておる、こういうことでございます。

藤原ひろ子日本共産党

○藤原分科員 そのせっかくの努力が、先ほどのようなことになっております。学校も貸さないというふうなことで、どうして本当に地域の皆さんと話し合い、協力して子供たちを守ることができるでしょうか。  次に私は、いろいろここに持ってきておりますが、先生方は何とかして子供の非行、暴力をなくしたいということで、日夜がんばっておられる様子を示していきたいと思います。  ある小学校の先生は、母親は白内障で生きる意欲を失い、子供はその母親に暴力をふるう、万引きは常習だというふうな子供を担任いたしました。この先生は、まず何をしたかといいますと、油虫退治のゴキブリホイホイを持って家の片づけから始めるというふうな家庭訪問をずっと続けて、ついに母子ともに立ち直らせるというふうなことをやっているんですね。  それから、ここへ持ってきましたのは、三百人規模の学校で逮捕者が出た中学校では、PTAと協力をしてこういうポスターなどをつくって、ずっと張ってもらうというような努力もいたしております。それからまた、ここにありますこれは学級通信ですね。これは、生徒指導を行う上で家庭とのつながりが大変大切だというために、朝五時から起きて書いておられる先生方の努力の結晶だ。毎日毎日のをつづりますと、電話帳のような分厚さになるわけですね。大臣は、こういう先生たちの御努力に対してどう思われるかという御感想をお聞きしたい。  同時に私は、本日この質問を行うに当たりまして、大中小規模の学校にお邪魔をいたしまして、大ぜいの先生方の率直な声を聞いてまいったわけです。  八百人規模のある中学校の先生で学級担任、しかも週二時間持って生徒指導部長という五十二歳の男の先生はこうおっしゃいました。暴力事件が起こるとすぐ飛んでいかねばならない、事が起こっても行政は何とかしてやろうではなくて何とかせよだ、対症療法と教育とは違うんだ、教師に人間を育てる余裕をもっと与えてほしいと訴えられました。  ここに教職員組合がつくりました教職員の「健康白書」、京都教職員組合が組合員のアンケートをもとに分析をしたものですけれども、これを見ますと、今日先生方の生命と健康は大変深刻な状態になっているというふうに思うのです。後でまたぜひ大臣も見ていただきたいのですが、京都では昨年三十八人の現職の教師が死亡をしております。こういう中で、先生たちはいま何を一番望んでおられるのでしょうか。公共料金は上がる、物価が高いという今日、賃上げの要求というのは切実です。しかし、それ以上に、定員増の声が非常に強いということなのです。教職員の定数をもっとふやしてほしいという願いは、年配者だけではなくて、老若男女を問わずほとばしり出る先生方の声だったわけでございます。  大臣、子供たちは将来の日本を背負って立つわが民族の宝物です。今日、その子供たちの非行、暴力の問題が社会問題になっているというときに、これを克服することはわが国にとって重要な課題だというふうに思います。その青少年の非行、暴力問題を本当に解決するために、まず文部省にやっていただかなければならないことは、日夜これと真正面から取り組んでおられる先生方の定数をふやすことだ、学校や教師が子供に学力をきちんとつけて、非行克服に思い切って取り組めるという教育条件の整備に責任を持っていただくことだと思うのです。こういうことをやらないで、あなた方が幾ら豊かな心を育てる施策推進会議などで非行の問題を語っておられても、絵にかいたもちになるのじゃないか。  私は、重ねて四十人学級の早期実現、教職員の定数増を強く要望いたしますが、先ほどの先生方の取り組みに対する御感想もあわせて、大臣の御答弁をお聞きして終わりたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 四十人学級につきましては、先ほど初中局長からるるお耳に入れたとおりでございます。もとより、この目標を放棄しておるわけでもございませんし、そこに至る期間を短縮したわけでもございません。こういう困難な財政状況のもとでもあとう限りのことを実行いたしておりますことは、これまたお耳に入れたとおりでございます。  非行問題は、解決を要する非常に大きな教育行政の課題でございますが、それにつけましても、ただいま例にお引きになりましたような教員としての使命感に徹して、真剣に非行問題と取り組んでおいでになる先生がおるということは、まことに心強い限りと思っております。教職員の処遇の改善、勤務条件の改善ということにつきましては、今日までも力を入れてきておりますが、これからもそのつもりで努力をいたします。

藤原ひろ子日本共産党

○藤原分科員 終わります。ありがとうございました。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて藤原ひろ子君の質疑は終わりました。  次に、柴田弘君。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 私は、最初に、名古屋大学のプラズマ研究の諸問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  大臣も御案内かと思いますが、昨年、前文部大臣でありますところの田中文部大臣がわざわざ名古屋の方へお出かけいただきまして、いま名古屋大学の東山キャンパスにありますところのプラズマ研究所を御視察いただきました。非常に御理解をいただいたわけでございます。  そこで私は、第一点、これは大臣にお尋ねをしていきたいと思いますが、今後、わが国はもちろんですが、世界的な立場に立った場合に、いわゆる長期的なエネルギー源としてのこのプラズマ研究というものは非常に大事になってくるのではないか、こんなふうに私は理解をしております。それで、文部省としては、このプラズマ研究の持っている一つの意義、そして現在の名古屋大学のプラズマ研究所についての位置づけといいますか、そういったものについてどのようなお考えをお持ちになっているのか、これをひとつ、簡単で結構でございますので、まず御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 核融合の研究推進につきましては、御高承のとおり、昭和五十五年十一月に学術審議会が「大学等における核融合研究の長期的推進方策について」という建議をなさっておいででございます。名古屋大学のプラズマ研究所におきましては、この建議の趣旨に沿った核融合反応プラズマ発生準備研究を行っておるわけでございますが、現在、敷地が研究の遂行にも支障を来すほど狭隘なものであるため、これから研究を進めていく上におきましても新しいキャンパスへの移転が必要である、こう考えております。  なお、土地利用計画等の調査を行いますとともに、地元の十分な理解が得られますように文部省として配慮をいたしてまいりたいと存じます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 それで、いま大臣もおっしゃいましたが、いますでにありますところのプラズマ研究所は、実験装置がその後だんだんと設置をされまして、非常に狭くなってきておる。そこで、移転という問題になるわけでありますが、これはすでに御案内のとおり、岐阜県の土岐市へ移転をする、こういうような運びで、土岐市の土地七十五万平米を購入するという計画があるわけであります。  二十一世紀の新しいエネルギー源として期待されている核融合研究、これはいまお話がありましたように、アメリカやあるいはソ連、ECとも並んで、わが国においては最高水準であるわけであります。こういった関係で、この名大の東山キャンパスの移転について文部省は一つの計画があるかと私は思うわけでありますが、この計画に基づいてきちっとした移転をされて、長期的な視野に立ったエネルギー源の開発をしていかなければならない、こんなふうに実は考えているわけであります。  ところで、現実の問題といたしまして、文部省は当初、昭和五十七年度、五十八年度、五十九年度、この三カ年でこの土岐市の土地七十五万平方メートルを購入する予定であったわけです。ところが五十七年度には、残念ながら、この購入費の予算計上というのはなされてない。そして二千万のいわゆる調査研究費が計上されているにすぎないわけであります。しかもまた、文部省の計画によれば、五十九年度に用地の買収を終わって、六十年度から六十四年度までの五カ年計画で移転を完了する、こういうふうに私は聞いておるわけでございますが、大臣どうでしょうか、この計画どおり推進されるお考えがあるかどうか、これはここできちっと御答弁をいただきたい、こう思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 計画どおりにこれが進めていけますように、最大限の努力をいたすつもりでございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 そこで問題になるのは、土岐市の隣接市でありますところの多治見市の問題、つまり反対がここから出ているということが一つあるわけでございます。これに文部省としてはどう対応されるかということでございます。  多治見市の議会の中に特別委員会が設置をされまして、この名大のプラズマ研究所移転の問題についての中間報告をいたしているわけであります。それを見てまいりますと、第一点といたしまして、原子力平和利用三原則が必ずしも守られていなかったという疑念を表明している。第二点といたしましては、この移転は多治見市に利益をもたらさない。第三点といたしましては、七十五万平方メートルの開発による環境破壊が予想される。第四点は、本誘致は土岐市のみでなく、東濃学園都市構想の一環として、土岐市は関係市町と協議を行う必要がある。第五点は、トリチウム、中性子等の安全性についてトリチウムの環境への漏れ及び核融合反応の中性子による住民の被曝、放射性物質のごみ捨て場化等に対する安全評価が不十分であるとして、地域関係住民の不安感が述べられている。  そういったことが述べられておりまして、結論として、議会の当委員会といたしましては今後とも安全性について検討を要するので、名古屋大学プラズマ研究所、県、関係市町、関係住民との検討を重ねる必要がある。したがって、現時点ではこの研究所の移転については認めることはできない、こんなような中間報告の形で、あらあらの骨子でございますが、言っておるわけでございます。  岐阜県は賛成、それから現実に受け入れる土岐市も賛成というふうに私は聞いているわけなんですが、ところが、隣接の多治見市がこういった反対というのを言っているわけですね。だからこれについては、岐阜県あるいは名古屋大学等々がお話し合いになっているそうでございますが、文部省として、いま大臣が計画どおり移転を図っていくんだ、こういうような仰せであるならば何らかのこういったものに対しての対応をしていかれることが必要ではないのか、こんなふうに私は考えるわけであります。移転も迫っておるわけでございますが、こういった多治見市の対応というのを具体的にどうお考えになっておるのか、何か腹案があればさらに一歩進めていただいてお聞かせをいただきたい、こんなふうに思うわけであります。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 ちょっと事務的に御説明させていただきます。  先生御指摘のとおり、候補地が三つあったのでございますが、愛知県、三重県、岐阜県、その中でいろいろな条件から御指摘の土岐市が一番いいということになりまして、大学としましていろいろ地元側と折衝をいたしておりまして、土岐市の方でもぜひそれを早く実現してほしいというような要望が大学に出ております。また、御指摘のとおりに、岐阜県知事からも文部省に対しましてその実現促進方の要望が出ておるわけでございますが、多治見につきましても従来間接的にそういう動きが若干あるやに聞いておりましたのですが、昨年末の予算折衝の段階におきまして、いま御指摘の市議会のプラズマ研究所調査特別委員会中間報告というものが何か財政当局の方に出たということでございまして、私ども初めてその辺の状況を承知したのでございます。  ただ、大学とも相談しましたら、大学としましてもできるだけ多治見市の方にも接触をして御説明に行っております、それから県の方でもそのことについては何か協議会でもつくってできるだけ円満にその移転ができるよう努力したいというようなことを聞いておりまして、私どもその辺の努力に期待しておるわけでございます。御指摘のように、この多治見市議会の関係はまだ中間報告ということで最終的に議会として反対意見を表明したということではないのでございますが、できるだけこの辺の段階でいろいろな問題点につきまして理解を得まして円満に購入が進展するよう私どもとしましてもいろいろ事務的にも努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 それで、御努力をきれるということは結構でございますが、この五十七年度も本来で言うならば、これは財政事情等もあったわけでございますが、当初予算に用地買収の一部を組み込むことになっておったと私は思うのですね。ところが、現実にこの調査費が二千万だけであった、それであとは計画どおりやろうとすれば五十八年と五十九年の二カ年しか残されていない、こういうことになるわけでありまして、五十七毎度はだめにしても、五十八年度やろうと思えば、やはりこれは予算要求ということが大蔵省に対しても五十七年度に持ち上がってくると私は思いますよ。そうすれば、これはやはり六月か遅くとも七月の時点までにきちっと多治見市の問題は解決しておかなければ、また今度五十八年度、予算要求しようにもできないし、あるいはしたとしてもそういった問題がネックになってくるのじゃないか。私は実はその点を心配をいたすわけであります。  そこで、いまお話があったように、現実の問題として岐阜県や名古屋大学だけにこういった折衝というものを任してそれで事足りるのかどうか。それで十分対応していける、円満に解決できるというものであるならば私はこれ以上申しませんが、私がお聞きしているのは、やはり文部省としても何らかの対応というものが必要ではないでしょうか。その必要があるのでしょうか、ないのでしょうかということを、先ほどお話ししましたようにいよいよ時間的な問題もあるわけでございますので私はこのように申しておるわけでございますが、大丈夫ですか、重ねてひとつお聞きをしたいと思う。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 その点につきましては、できるだけ早く円満な協力を得られるよう解決することが望ましいのでございますので、私どもとしてもできるだけ努力してまいりたいと思いますが、概算要求の時点におきましては少なくとも、その前に解決するのが望ましいわけでございますけれども、万一その時点におきまして完全に打開はできておりませんでも、概算要求としましては購入費の要求をいたしまして、予算決定までにはその辺の円満な打開を図るというように努力をしたいと思っております。  先ほどちょっと申し上げましたが、県の方でもこのためにかかり切りで努力する人数を何人か用意しまして、そして地元関係市町村との協議によりましてできるだけ——県のおっしゃることでございますから私から余り確定的なことを申し上げられませんけれども、何としてでも解決していくよう努力したいというようなお話も聞いておりまして、私どもとしましてもよく連絡をとりながら努力してまいりたいと考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 それで、質問が後先になって恐縮ですが、この名古屋大学のプラズマ研究所の移転の概要ですね、これは私があなたの方からいただいた資料を見さしていただいておるわけでありますが、土地は先ほどから私は七十五万平米と言っておりますが、これは間違いないかどうか。それから購入費、これはちょっとこのお値段でいけるかどうかということですが、十七億六千二百五十万ですか、それから実際のプラズマ実験装置の建設計画、との概要は設備費、本体、計測装置、電源等を含めて四百九十八億、施設整備費、これは土地造成、建物建造等で百二十五億、こんなふうの資料をいただいております。これは確認の意味でお尋ねしておきますが、この理解でよろしゅうございますか。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 用地につきましては御存じのように土岐市の公有地でございまして、市の方からそういうような早期購入方の話が出ておるような状況でございまして、これで七十五万平米は確保していただけるものと思いますし、大学としましても将来の核融合研究の推進を考えますと、ぜひこの土地は確保したいという気持ちでございます。単価につきましても、いま先生御指摘のとおり私ども現在では承知しておるのでございますが、その辺につきましては一般の地価の関係もあろうかと思いますが、市がそういうふうにおっしゃっていただいておりますので、そのような値段で譲り渡していただけるのじゃないかと思うわけであります。  それから磁気の研究計画でございますが、これにつきましては、現在、名古屋大学のプラズマ研究所といたしましては磁気装置の準備研究というものをやっております。五十六、七、八の三年間で約三十五億円くらいかかる見込みでございますが、これにつきましては財政当局の御協力も得まして、予算を逐次いただいて進めておるわけでございます。  その先の研究につきましては、四百数十億というお話がございまして、いろいろとり方によりましてそういう計画も出るのでございますが、ただ、そこにつきましては、現在の核融合研究がいろいろな方式がございまして、その進展状況を加味しながら順次次の研究の発展を図っていくというようなことが学術審議会でも建議されております。そのようなことで、プラズマ研究所としての案もございますけれども、その辺につきましては、さらにもう少し全般の状況を加味しながらやっていきたい。その時点におきましてどのような装置をそこにつくるかということになりまして、規模その他がまた変わってくると思いますが、名古屋大学のプラズマ研究所の案としましては先生御指摘のような計画になっておるわけでございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 このプラズマ研究あるいは大学の研究所の移転ということと関連いたしましていま一点。  この核融合研究にとって大切な炉壁材料の開発、これは非常にむずかしくなりますので、私も専門家でないからよくわからないのですが、簡潔で結構でございますが御答弁をいただきたいわけであります。この炉壁材料の開発研究というのは核融合研究にとっては非常に大事な課題である、こういうふうに聞いておるわけであります。この分野の研究、これはどういう状態になっているかということが一つ。  それからいま一つ。これに関連をいたしまして、名古屋大学の工学部は、この炉壁材料開発の拠点となるべく研究活動を今日まで行ってきております。今後一層の発展を図るために、核エネルギー材料工学センターの新設というものを文部省に対して要望いたしておるわけでありますが、これについて今後どう対応されるか、この二点をお尋ねをいたしたいと思います。

松浦泰次郎文部省学術国際局長

○松浦(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、核融合につきましては炉の材料というものが非常に大切で、全くいままで経験をしなかったような状況のものが考えられるわけでございます。  御存じのように、磁場によりましてプラズマを閉じ込めました場合、核融合反応が継続的に起こるためにはプラズマの温度が約一億度以上なければならないというようなことが言われておるわけでございます。私ども、一億度と言われましても全く想像できないような温度でございますが、そういう状況によりまして中性子なども飛び出してくるというようなことがございまして、そのためには、経済的に見合うためにもそういう炉の壁がしっかりしていないと、何回かの核融合で炉がだめになってすぐ取りかえるということではいけないわけでございますので、これにつきましては各国ともいろいろ研究しておりますが、日本におきましては、いま御指摘の名古屋大学、東京大学、それから大阪大学等がいろいろそういう方面の研究に努力いたしておるところでございます。  名古屋大学は三十六年にできましたプラズマ研究所でございまして、核融合につきましては非常に実績もございますし、非常にすぐれた研究者も集まっておりますし、いろいろな、炉材料だけじゃございませんが、炉の材料につきましても非常に努力を傾けておるところでございます。そのために、研究に必要な装置等につきましては、五十五年度にイオンビーム表面解析装置、それから五十六年度に表面元素分析装置、それから五十七年度に核特性測定装置をいま予算案の中に織り込んでもらっておるところでございますが、そういうふうに、実際の研究には支障がないよう、私どもとしてはプラ研の研究をバックアップしていくというようなところで努力しておるわけでございます。  ただ、御指摘の核エネルギー材料工学センターにつきましてはいまだ実現しておりませんが、これにつきましては、五十八年度の大学側からの概算要求を待ってさらに検討を加えることといたしたいと考えておる次第でございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 それじゃ、ひとつ大学側の要請を待って適宜お願いをいたしたいと思うのであります。  それで、この問題の最後に大臣にひとつ御要望しておきますが、先ほど来御答弁がありましたように、非常に重要な研究であるということで、それで前文部大臣も御視察された。やはり文部大臣といたしましても、ひとつ何とか機会を見つけていただいて、より一層の認識を深めていただく意味においてもひとつ御視察をいただけないものか、こんなふうに考えるわけでありますが、これはいかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 将来、何とか時間を差し繰りまして御期待に沿いたいと考えております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 まだ時間も多少ありますので、別の問題をやらせていただきます。  一つは、私学助成の問題、それからいま一つは小中学校の児童生徒に対する教科書の無償配付の問題、これを大臣の御見識という意味で、ひとつお尋ねをしていきたいわけであります。  御承知のように、現在わが国におきましての私学の重要性につきましては、全学校、教育機関の在学者約二千六百万のうち五百万人程度を私学教育で受け入れておる、いまや私学の存在なくしてはわが国の学校教育は成立をしない、こういうふうに言われております。  現在、文部省といたしましては、私立学校振興助成法に基づきまして教育研究条件の維持向上ですとか父兄負担の軽減、こういったものに資するために助成をいたしているわけでございます。お聞きいたしますと、昭和五十七年度の予算におきましては、大学二千八百三十五億、高校が八百五億、このほか地方交付税の財政措置が二千二百億程度ある、こういうことでございます。しかしながら、この助成額というのは私学全体の経常費から申しまして三〇%程度のものであるわけであります。  こういう努力をしているわけでありますが、現実にいま国公立と私立との差を見てまいりますと、その教育条件あるいは授業料あるいは初年度の納付金といいますか、こういった問題にまだまだ格差があるわけであります。  ちなみに、教育条件、教員一人当たりの生徒数を見てまいりますと、昭和五十一年当時は、私学の場合、これは高校の例でありますが、二十五人に対して一人、五十六年度はちょっとよくなって二十三人に対して一人、ところが、一方、公立は十七人程度であるということで、公立の方が優位である。それから生徒一人当たりの校舎面積にいたしましても、五十一年度は私立は七・三平方メートル、そしてこれが五十六年度に九平方メートルになってちょっとよくなったわけでありますが、公立が十一・三でございますから、まだ格差がある。それから授業料の値上げにつきましても、私立高校は五十一年度、五十二年度、五十三年度はそれぞれ二けた台の値上げ率であったのですが、五十四、五十五、五十六は一けた台になって多少値上げの率は低下いたしておりますが、しかし、現実の問題として授業料には大きな格差があるし、納付金においては大体六倍程度の差がある、こんなふうに聞いておるわけであります。  こういった状況の中で、もし私学、具体的に申しますと私立高校が存在せず公立のみで私学在学者を引き受けることになれば、これは五十四年度ベースの計算でありますが、新たに約一兆一千五百億円の国としての財政支出が必要になる、こういうわけでありますね。この財政支出は、現在の国庫補助、地方交付税を合わせても二千三百億円程度でございますから、五分の一程度にすぎないわけであります。  臨調がねらうところは小さな政府、そして民間の活力を最大限に発揮させる、こういうことを言っておるわけでありますが、ともすれば不要不急の補助金の削減だけを問題にしておるわけでありまして、やはり民間の創意と活力を最大限に発揮せしめていく、そういった私学助成というようなものは積極的に拡充をしていくべきではないか、私はこんなふうな考え方を持っております。各都道府県も、この私学については相当予算を割きましてやっておる。やはり国としても今後ともより一層私学教育の重要性ということを認識をしてやっていく必要があるのではないかというふうに思います。これが一つ。  それからいま一つは、時間がありませんのであわせて御質問いたしますが、小中学校の教科書無償配付の問題、これはもう申すまでもなく憲法二十六条で「義務教育は、これを無償とする。」こういうふうに言われておりまして、これはわずか二千円か三千円程度かしれませんが、次代を担う児童生徒のために、こういったものはやはりその精神からいって無償にして、本当に国と子供とを結びつけていく一つの手がかりといいますか、そういったきずなというようなものにしていく必要があるのではないか。私は、わが国の教育、わが国の将来というものを考えた場合に、そういうことを痛切に感ずるわけでありますが、この問題につきましても、文部大臣の御見識をひとつお伺いをしておきたいと思います。  この二点ですが、これで終わります。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 お言葉にありましたように、今日私学の存在なしにはわが国の学校教育は成立し得ないというのが実情であろうと信じております。今日まで教育を振興する上において果たしてきました私学の役割り、これからも果たしていくに違いない役割りの重要性にかんがみまして、文部省としてあとう限りの努力をいたしまして、教育条件の維持向上を図ってまいるつもりでございます。  義務教育無償の制度は、これまた仰せのとおり、国と児童生徒を直接に結びつけているただ一つのきずなでございます。りっぱな国民になってくださいよと願いを込めて児童生徒に贈っているプレゼントでございますから、この制度はあくまで堅持してまいりたい、堅持していかねばならないと信じております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田分科員 では、時間が参りましたので終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて柴田弘君の質疑は終わりました。  次に、中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 限られた時間で欲張り過ぎた質問をしたいと思いますので、大臣は国政全般に豊富な知識をお持ちだから、簡潔に質問しますから、ひとつ簡潔にお答えをいただきたい。  まずお尋ねしたいことは、平和教育について、それから昇給延伸の扱い、学力テスト、それから主任手当の問題、義務教育について、もう少しありますけれども、余り欲張っても時間がありませんから……。  まず第一の平和教育についてですが、これはかつて砂田元大臣のときも質疑をして、私と意見が一致したというのか、かみ合ったのですね。原爆を教育の基本に据えろという主張を私はやっているわけです。申し上げたように、文部省は必ずしもそのことに否定はないのですが、肝心の私の県である長崎県、長崎市では、被爆県でありながら、なかなかこれが踏ん切らない。ところが、大臣、最近この新聞にあるとおり、「小学五年全員に平和教育 原爆資料館を見学」ということで、いい傾向が実はあらわれているのですね。御承知のとおり、反核運動の広がりというのは社会的な広がりをしておる。そのようなことを考えてみると、日本が軍事大国にならない、核保有国にならないというあかしのためにも、私はやはり原爆というものを教育の基本に据える必要がある。そのことが憲法であるとか教育基本法というものを基本に据えていくということを否定するものじゃないのです。私の考え方というのは御理解をいただけると思うので、その点についてお答えをいただきたい。  それから昇給延伸の問題なんですが、御承知のとおり、処分をされると、これはいまの給与法の仕組みから、一生ついて回るのですね。これは退職金にもそれから年金にもはね返ってくるのですよ。これは私は酷だと思うのです。人事院も検討の必要ありということを言っているように伺っているのですが、文部大臣はこの点に対する見解はいかがだろうかということです。  第三点の学力テストですが、この前全国的に実施をなさったのですが、かつてこれをやりまして失敗をしましたね。だから、失敗をしたのを何の目的で改めておやりになったのかということ。学校間の競争というのは激しいのですよ。それで準備教育、準備学習をやるのです。そこで今度は成績の悪い子供は、おまえ欠席しろといって欠席させるのですよ。なぜかというと、平均点を上げるためです。そういう弊害が生まれてくるということをお考えにならなかったのか。それらの弊害が生まれてきているというような点についてどのようにお考えになるかということを伺いたい。  それから、第四点は主任手当の問題です。御承知のとおり、くどくど申し上げませんが、北海道は主任手当を受給することを拒否している。供託をしている。その他の県においてもそうした傾向があるのですが、長崎県は教育予算というのが非常に少ないのだから、われわれはこの主任手当というのは要らない、だからひとついろいろテレビであるとかあるいはその他教材費に使ってもらったらどうかというので、その申し出をやるのです。その拠出申し出が八〇%に達しているのですよ。二千万円です。ところが、それは要らない要らないといって断っている。財政再建といったようなときに、これは要らないのだ、こう言うのだから、無理に押しつけないで、この際さらりとした考え方で、そういう申し出を検討をし直してみる必要があるのではないか。私はこれはやめた方が一番よろしいと思うのだけれども、やめられないとおっしゃるならば、いま言ったように起こっておる紛争、混乱というものをどういう形で終止符を打とうとお考えになっておられるのか、この点に対するお答えをいただきたい。  それから義務教育ですが、これは禅問答のようになるかもしれないけれども、大臣、義務教育というのは何か。これは義務、権利というのはわかっていますよ。ところが、義務教育の内容は何かということですね。私は、豊かな人間づくりというものが基本でなければならぬという考え方です。そういう考え方を持っているのですが、大臣はどうだろうか。  ところが現在はどうか。現在というか現状というものは、そういうことになっていないのですね。受験のための教育、受験競争、そういうことになっているのではないか。そこから結局、能力主義になって落ちこぼれという形になる。そしてこれが子供の心を荒廃させるといったようなことが現実に起こってきておる。校内暴力等の問題もこれとは無縁であるというようには私は考えない。いろいろ要因はあろうと思うのです。だからこの際、現在の教育内容のような教科書一本やりの教育のあり方というのではなくて、情報化社会ですから、だからいろいろテレビを見たり、いろいろな情報化の波というのか影響というものによって子供が非行化したり、いろいろな姿があらわれてきているわけだ。だから教材というものは、多様な教材をもって豊かな教育をしていくことが必要ではないだろうか、そのような考え方を持つのですが、一応この程度でお尋ねをして、お答えをいただいて、そこで再質問をしてみたい、こう思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 学校教育におきましては、教育基本法の一条が定めておりますように、平和的な国家並びに社会の形成者として必要な資質を養う、これを旨として行っておるわけでございます。したがいまして、小中高等学校、主として社会科におきまして、世界平和の必要性、あるいはまた、現行憲法がそれに立脚いたしております平和主義の理念ということについて教えておるわけでございます。  具体的に申しますれば、中学校の学習指導要領では、日本国憲法の平和主義についての理解を深め、わが国の安全の問題について考えさせる、これを基本とすることになっております。あわせて、核兵器の脅威に着目させ、戦争を防止し、平和を確立するための熱意と協力の態度を育てる、かような方針で指導をすることになっておるわけでございます。  こういうわけで、平和教育につきましては、憲法等に示されております平和主義の基本的な原則に従って推進されるべきものであって、原爆体験という特殊性を基本にすべきものでは必ずしもなかろう、このように考えておるわけでございます。  それから次は、昇給延伸のことについてお尋ねがあったと思いますが、公務員が違法なストライキによって懲戒処分を受けました場合に、結果としては勤務成績不良ということになり、給与の制度上、通常の昇給期間が延伸されることになるわけでございます。これは申すまでもございません。これはストライキに限らないわけでございまして、スト以外の違法行為あるいは全体の奉仕者たるにふさわしくない行為をいたしました場合も同様でございます。現行の給与制度が成績主義を原則としておりまする以上、当然の措置であると考えております。したがって、懲戒処分に伴う昇給延伸を回復するために特別のいわゆる復元措置を講ずることはこの原則から見て適切ではない、このように考えておるわけでございます。  それから主任手当でございますが、これは、校長を中心に全教職員が一致協力して充実した学校の運営を行うための重要な役割りをしているのが主任制度でございます。いわゆる主任手当は、教務主任等の主任が学校で各種の教育活動について連絡調整あるいは指導助言に当たるという職務に従事しているということに対して支給されておるものでありますので、これは当然必要なものであって、廃止することは考えておりませんし、この経費を他の教育費に振り向けるということについてもこれまた考えておりません。  それから、義務教育についての御質疑でございましたが、義務教育としての小中学校の教育は、生涯を通じての成長と発達の基礎を培うものだと心得ております。そこでは子供の成長過程に応じて基礎的な知識、技能を習得させ、豊かな情操を養い、りっぱな社会人として自立していくための意欲並びに能力を養う、これが義務教育であると考えております。  あと、学力テストについてお尋ねがございましたが、初中局長からこの問題は答弁をいたさせます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 中村先生学力テストとおっしゃいましたが、私どもの考えを十分御理解願ってないんじゃないかという気がいたしますので、簡潔に御説明申し上げます。  私どもはこれは教育課程実施状況に関する総合的調査研究、こういうことで立案をいたしまして、この二月の末にペーパーテストを一部実施いたした次第でございますが、この趣旨は、昨年から小学校の学習指導要領が新しくなりまして、本年度から中学校、それから明年度から高等学校が学年進行でいたしますが、この小中学校の新しい学習指導要領に基づく教育がどのようにして子供たちに理解されているか、これについてペーパーテストと、それから、内容あるいは教科によりましてはペーパーテストになじみにくいもの、これは各県に調査協力校をお願いいたしまして、そこで一つの実態的な、ケーススタディー的な調査研究を進めよう、両々相まちまして結果を集約したいということで、先生御指摘の、過去に行いましたようなテストではなくて、一%を抽出いたしましてそれについてペーパーテストをやる、こういうことで、学校間の競争はおろか、県の間の比較、こういうことも一切考えない、結果を私どもの方で県の教育委員会を通じて集約いたしまして、それを、私どもの方でいま委員会をつくっておりますが、そこで専門的に分析研究をしてもらいまして、その状況をまた県を通じて現場へお返しする、そういうことでさらに学習指導上の参考にしてもらおう、それからなお指導要領は、御承知のように、大体十年サイクルで改訂をいたしますけれども、次の改訂のときのまた一つの大切な参考資料に役立てていこう、こういう趣旨でやっておりまして、御心配になりました前回の学力テストとはやり方、ないしはねらい、ないしは私どもの考え方、これが違うのでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 いま初中局長がお答えになった点、私は弊害を挙げたんです。それでは、私が言ったのは、あなたの方で意図しないことですね。私も、質問するからには、ある程度の調査をやって質問しているわけです。準備学習というようなものがあってはいけない、いまあなたの言われる趣旨でやったのであるならば。それから、成績の悪い子供を欠席させるというようなやり方を学校がやることもよくない。現実にそういう姿があらわれているんだから、弊害があらわれてきているんだから、このことは、あなた方はこのテストを実施される場合に予想しなかったのか。現実に起こってきている問題を弊害として受けとめて、これをどう今後直していこうとお考えになっているのか。まあ、テストはもうおやりにならぬ。新指導要領を生徒がどの程度把握しているのかという形でやったというのだから、あとはやらないのだろうけれども、いま私が言ったようなことは問題だとはお考えになりませんか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ペーパーテストは先ごろ国語と算数を小学校でいたしまして、明年度は小学校の社会、理科、それから明年度は中学校も入りまして国語、数学、それから明後年度に中学校の社会、理科、外国語、こういうふうにやりますので、私どもはこのやり方についてはすでにもう一年近く前から各都道府県を通じてその趣旨なりねらいなりは徹底させたつもりでございますが、確かに、先生御指摘のようなことは前回のときには言われたことがあったような記憶がございますが、今回のところちょっと私どもそういうことはあり得ないと思っておりました。そして、そういうことをしても今回の調査のねらいとしては余り意味がないのでございます。ですから、先生もお調べになったというお話でございますけれども、私どもの方もよく事情を聞きまして、理解が異なっておるならば、まだ明年からもペーパーテストの計画がございますので、十分そういう意味のない考え方をしないように徹底したいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 国が教育統制ばかりやろうとするものだから、そのことによってどういうねらいがあるのかというような警戒心みたいなものがあるだろうし、だからしてそういう形になっているというように私は思うのです。  それから、結局テストをやったということは、自民党の小委員会で成績別の習熟度別学級編成、こういうことを検討しているのだね。小学校まで能力のある子供を別に教育しようというねらいがあるのだろうと私は思う。これとの関連があるのじゃないですか。その点いかがですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 御指摘のような手法は、成績別とか能力別という考え方ではございませんけれども、学校教育では教科の教育というのも重要な一つの柱でございまして、知育というのがなければ学校にはならない、そういうことで高等学校の場合に非常に多様な能力の子が入ってまいりますから、今回の学習指導要領の改正で習熟度別学級編成というものも考えることが望ましい、こういうことをいたしまして、なかなかいろいろな事情で数学なら数学が進まない子についてはそれなりの丹念な指導をするクラスを設けまして、そこでうまくいきました場合には、またクラス編成がえもするという弾力的な扱いにしようということで、これは明年からのことでございますけれども、すでに移行措置の段階で約八割に近い学校がそういう試みを始めております。  ただこれを、いまおっしゃいました小学校のような段階にまでやるかどうかについては、これは非常に大きな教育の方法なり教育内容のあり方の問題にかかわりますので、これは慎重に検討しなければなりませんが、ただいまの御質問の、今回のこの教育課程実施状況調査そのものを、そういう特定の方向づけのためにこれを手段としてやる、そういう考えは持っておりません。もう少し調査の結果は多角的に分析をして、そしてむしろ本来の目的は要綱にもうたっておりますけれども、各学校におけるそれぞれの教師の学習指導の上の参考に供する、こういうことがねらいでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 いずれにしても、私も調査をして質問しているのだ。だから、あなたの方でそういうことは意味ないと言うことは間違いだということなんだ。だから、そのためにはそれは是正させなければならぬ、調査もしなければならぬ。それはおやりになりますね。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 今回のこのプロジェクトはあくまでも一つの実態調査でございますから、もし先生のお調べになりましたような事柄があるとすれば、それは一つの人為的な有意的な操作が入るということになりますので、本来の調査自体の趣旨からいって、意味のないと言いましたけれども、大変問題でもありますので、それは県の教育委員会によく事情を聞いてみたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 文部大臣、事務当局が準備をしたのをあなたはお読みになったのだけれども、あなたからそういう答弁を受けようとは私は思わなかった。ずいぶん長い間あなたと同じ委員会に籍を置き、人柄もよく承知をしているので、心豊かな教育に対する方針を打ち出していこう、そういう考え方の上に立って私はお答えがあるのだと思ったんだけれども、意外だという感じですね。  いろいろ平和教育の問題、昇給延伸の扱いについての問題等非常に重要な大きな問題点を醸すような、これは木島専門家もいるんだけれども、後で問題になると思う。しかも給与は成績主義によって成り立っているというそういう考え方、本気にあなたはそういうことを考えているのですか。それから、犯罪人だって一定の年限が来たならばそれはシロになっちゃうのですね。それから、昇給延伸も地方自治体の方で一定の時期ぐらいにその処分取り消しをやっているのですよ。そういうこともしている。あなたの答弁から言えば適当ではないということになる。  それから、かつてストライキなんかに参加をした者は校長にもしない、教頭にもしないというようなことがある。そんなばかげたことがあってはならぬという、歴代の文部大臣の中にはそういう考え方を持っておった文部大臣もいた。しかし、事務当局はそういう考え方は持っていない。ところが、一年間ストライキをしなければ、そういう教頭とか校長にするということについては影響はないということになって、そういうこともやってきた。それらのこと等を考えるならば、人事院も検討の必要というのか余地があるというのか、そういう考え方もあるということなんだから、私はいつまでも、退職してからまで退職金にはね返る、それから年金にはね返るような一生ついて回るようなことをさも当然だという考え方であなたが言われるということについては納得できない。しかも違法であるとかなんとかいう問題になってくると、これは時間が何時間あってもしようがないのだが、これはやりとりをしてどちらが違法なんだ、どちらが憲法違反をやっているのかというような問題まではね返ってくるわけなんだな。だから、そういうかたくなな考え方というものはあなたは改められる必要があるということを私は申し上げておきます。  それから平和教育の問題についてもその特殊性ということ、平和教育というのは、戦争のない豊かな世の中を築いていくということでなければならぬ。それから核兵器の広がりということについても、あなた自身も非常に不安を持っていらっしゃるでしょう。ヨーロッパなんかにおける二十万、三十万、五十万デモ、あのような実態、国連の総会におきましてもこのことが大きく取り上げられることは事実でしょう。被爆国家であるところの日本、この日本において平和教育の基本に、この原爆の問題は特殊だからこれを据えないなんという考え方は、あなたは平和というものをどうお考えになっているのか、核というものをどうお考えになっているのか。そして私が申し上げましたように、いままで非常に闘った被爆県、被爆市の長崎においてもこのようなことを現実にやってきている。申し上げたように、砂田さんが文部大臣のときは、この基本に据えるということについては反対ではなかった。現在の教育基本法であるとか憲法によるところのこれを教育の基本に据えることを私は否定しているのではないと言っている。しかし、原爆というものの悲惨な状態、こういうことは再びあってはならない。そうした考え方の上に立って平和教育の基本に据えていくというような姿勢がなくてどうして日本が核を保有しない国、軍事大国にならない日本であるという信頼を国際的に得ることができましょうか。私は、文部大臣であるあなたは、これらの点についでもっと高い見識、そういう上に立って対処してもらうのでなければならぬというふうに思います。  まだ幾つもありましたが、時間の関係もありますから、以上の点に対してだけでもあなたは、事務当局の書いたそういうものじゃなくて、あなた自身の、にじみ出る平和に対する考え方、あるいは処分等の問題に対する考え方も、文部大臣としてのお答えがあってしかるべし、こう思います。いかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 教育のよりどころといたしましては、やはり平和主義という一般的、基礎的なものであることが望ましい、こう考えております。原爆というのは非常に深刻な体験ではありまするが、なおかつこれは一つの特殊問題でございまして、これを教育の基本に据えるということには私はちゅうちょせざるを得ません。その点は先生と見解を異にしておるわけでございます。  しからば、核兵器とか原爆とかいうことに全然触れていないかと言えば、決してそうではありませんので、先ほど核兵器については申し上げました。原爆につきましても、中学校社会科の歴史分野におきまして、第二次世界大戦の開始から敗戦までの経過を理解させる、こう書いておりまして、その際、広島、長崎に原爆が投下されたことに着目させる、戦争の惨禍が再び起こることがないように、平和な国家を建設することが必要であるゆえんを理解させることもやっておるわけでございますから、私は、先ほど来申し上げましたことを繰り返してお耳に入れるほかはございません。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 昇給延伸の問題。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 法律に違反するストライキをいたしました以上、懲戒処分を受けるのは当然でございます。何らの理由なしに漫然いわゆる復元をさせるということは、処分の妥当性そのものを否定することでございますから、やってはならないことだ、こう考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)分科員 どうもあなたが言われる何らの理由なしというようなことになってくると、もう何と言ったらいいのか、あなたの考え方、最近の子供たちの学校内におけるところの暴力の問題とかなんとか、非常にすさんできている。どこにそういう原因があるのだろうか。いま言うような管理体制化した実態、それからいまのこの処分なんかに対する扱い、これはただ相手を責めるということだけで、みずからやっている、国自体がやっていることに対するところの行き過ぎ、間違い、こういうことに対する反省もない。そこに私は砂漠のようなぎすぎすした状態が生まれてきていると思う。そこにいまのような大変な事態というのが生まれてきているのではないでしょうか。  そういう反省の上に立って、どうしたならば学校内の教育環境というものを、校内環境というものをよくすることができるであろうか。管理者と一般教師との間、あるいは教育委員会と学校、あるいは教師との関係、それらのいろんな問題に対して、私は反省をして、そしていい環境をつくり出していくというようなことでないと、人だけは責める、教師だけが悪いんだ、違法だなんというきめつけ方。みずから何をやってきているのか。正しいことをやってきているのか。教師が主張する、あるいは組合が主張する、指摘する、そういうような問題にも私は責任はある、十分あると思う。そういう反省はさらさらあなたの方はお持ちになっておられない。  時間が参りましたからこれで終わりますけれども、強く反省を促して、豊かな教育環境をつくり出すことについて、あなた文部大臣におなりになったんだから、本当にもっと勉強して努力をされることを強く望んで、質問を終わります。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 豊かな環境をつくり出します点につきましては、中村先生の御鞭撻もいただいて、一生懸命努力をするつもりでございます。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて中村重光君の質疑は終わりました。  次に、野口幸一君。     〔主査退席、宮下主査代理着席〕

野口幸一日本社会党

○野口分科員 私は、史跡指定地における現状変更の問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、史跡指定地というのは、どういう基準によって史跡指定地とされるか。また、特別史跡指定地というのに特別また区別されておりますが、どういう基準でそれが決められていくのか、まず基本的にその問題をお聞かせいただきたいと思います。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 たとえば貝塚でございますとか城跡、社寺の跡あるいはいろいろな記念碑、古墳、こういった過去の歴史上の遺産で、そのものがわが国の歴史を正しく理解する上で欠くことができないもの、かつその上に、その遺跡の状況から申しまして学術上非常に貴重なもので、これをこのままの形で後世に残していく必要がある、こういったものを文化財保護審議会で御審議の上、史跡というふうに指定して、これを文化財としていくわけでございます。  特別史跡というのがございまして、それはこういった史跡の中でも、学術上の価値が非常に高くて、ある意味でわが国の文化の象徴とも言えるようなもの、こういったものを特別史跡という形で指定して保護していく、このようにいたしております。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そういたしますると、たとえば現状変更の申し出がありまして、それを認可するに当たりましても、やはり史跡と特別史跡とでは、その審査の土台となります基準といいますか、そういうものは変わってまいりましょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 史跡あるいは特別史跡であることで直ちにそれが変わるということではございませんが、その置かれた状態をいずれも後世に残していかなければいけませんので、どのようにして維持していくかという観点から、文化財保護法によりますと、現状を変更することができないようになっているのが原則でございまして、通常一般的に申し上げますならば、現状変更というのが行われることは予想していないのだ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 現状変更という一つの定義でございますが、たとえば史跡地が平地になっていて、たとえばたんぼならたんぼでもよろしゅうございますが、とにかくその土地はたとえば川になるとか山になるとかというそのものじゃない。変わらない。しかし、外から見れば、その上に物が建つということは、これは現状変更とみなされておられるのか。土地そのものは全然変化ないのです。中も掘らないのです。その上に物が建つというのは、これは現状変更ですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 史跡の景観に重大な影響を及ぼしますので、現状変更でございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 私が教えていただいておりまする現状変更の際に、最低限といいまするか、一つの基準として考えなければならないものとして、一つは歴史的雰囲気の変更、もう一つは文化的資源の破壊、こういうことがないようにこの二つはぜひとも守ってほしい、これがいわゆる現状肯定の上に立ついわゆる現状変更にまつわるといいますか、それを考える際の基準であると承っておりますが、間違いございませんか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 いま御指摘になったような形の現状変更はあってはならないという意味において、そのとおりでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 ところが、実際は現状変更が非常にたくさんなされているというのが現実ではございませんでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 史跡の具体的な指定に当たりまして、完全にいわば更地というとおかしいわけでございますが、人間の他の住居等がない状態のまま史跡地に指定されているという場合はきわめてまれでございまして、すでにそこに家が建っているとかあるいは道がついているという状態の中で、最小限この範囲は史跡地として指定しなければならないという形で指定されているものがきわめて多いわけでございます。そういたしますと、たとえばそこに住んでいる家で小さな修理をするとか塀を直すというようなことまで禁止しましては、生活が成り立ちません。したがいまして、基本に直接かかわりません部分でしかも軽微なものでございますと、そういった変更を許すことがございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 ちょっと参考までに伺いますが、昭和四十年以降に文化庁が設置されておりますので、四十年というのは無理かもわかりませんが、少なくとも文化庁設置以降で結構でございますが、現状変更に対する申請数はいかほどございましたでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 現在、特別史跡になっておりますものは昨年現在で五十五件、それから史跡になっておりますものが千百三十三件でございますが、これは年々ふえておりますが、そういった史跡、特別史跡全体を含めまして、昭和四十五年以降全件数を申し上げますと、特別史跡において五百八十九件、史跡におきまして千二百八十四件、これが現状変更の許可申請が出てきております。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 単純に計算をいたしますると、史跡地においてはその指定された地に対して大体一件平均、それから特別史跡においては約十倍ということが言えますね。そのぐらい申請の数が出ている。先ほどおっしゃいましたように、すでに史跡地に指定をされる日以前に建っておるたとえば民家だとか建物について、それの修復あるいはまたそれを生活に欠くべからざる問題として増改築をするということについては認可を与えている、認可のいわゆる対象になっているんだというようなお言葉がございましたが、実際はどうなんですか、やはりそれだけじゃなくて、新設のものも許可をなさっているのじゃございませんでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 民家でなくても、公共的なものの既存のものもまた幾つかはございますし、それから新しく建てる場合には原則としては認めておりませんけれども、その史跡につきまして、長い目で見てどのような形で整備していくかという保存管理計画というものをつくっていただく。現在の施設がある上に新たにまた新築していくという形ではなしに、いま史跡地にありますどの部分は、たとえばこれが十年、二十年あるいは三十年、五十年という長期にわたりましてもあり得ることでございますが、将来どういうふうに移転し得るものは移転して整備していく、それからまた、史跡の活用という面から不可欠のものはこれを認めていく、こういう形で、長期的な保存管理計画を立てていただいて、そういう中で展望を持って、史跡の整備に長い目で見てプラスになるものあるいは支障にならないもの、これは許可してまいるというようなことで行ってきております。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そうしますと、先ほど申請件数は伺いましたが、そのうち、いまおっしゃったようないろいろな条件を付したということで認可をされました件数は、それも先ほどと同じ昭和四十五年以降で結構でございますが、史跡地においてはどのくらいあるいは特別史跡地においてはどのくらい許可になっておりますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 特別史跡地において許可されたものは五百七十九件、史跡地において許可されたものは千二百四十九件でございまして、この両方を足しました差は四十五件ございます。申請されますと、私ども審査いたしまして、避けられるものは避けていただくようにいろいろ相談して指導いたします。その結果、取り下げがございましたものが四十五件でございます。それから、これは長期的に見てやむを得ないあるいは差し支えないということで認めたものがそのほかでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 数字で見る限りにおいては、申請をされたものはおおよそ認可になっている、大体こう見るべきだと思いますが、そういたしますと、あらかじめ現状変更をしようとする者、仮に施行者というのですか、施行者からその管理団体に対して——管理団体というのは御存じのように市町村あるいはまた県庁の教育委員会等が窓口をやっておりますが、その窓口を通しまして、それ以前にいわゆる文化庁の一定の御意見を承って、いわゆるレクチュアといいますか、そういうことをやってから出しているので、そういう出戻りの件数が非常に少ないのだ、こういう理解をしてよろしゅうございますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 おっしゃるとおりでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そういたしますと、認可に当たってのいわば条件というものは、すでに申請を出す段階において申請者自身がある意味では理解をしてそのことに当たっている、こう理解してよろしゅうございますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 数度のわれわれとの意見交換の末、それじゃこういう方法でやりたいということで許可申請が出るのが通常でございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 それじゃ、これも主なもので結構でございますが、特に特別史跡地の場合のことが聞きたいのでありますけれども、認可に当たっての条件というものは、先ほどちょっとお触れになりましたが、恐らくケース・バイ・ケースでありましょうから違うと思います。したがいまして、一般的にとはなかなか言えないと思いますが、二、三の例を挙げて認可に当たっての条件をひとつお聞かせいただけませんでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 先ほどちょっと申し上げましたけれども、ごく最近におきましては、保存管理計画を立てていただく、つまり長期的にどのように整備していくのか、現在史跡地にあるどういう施設は将来史跡地外に移していただく、それからそれ以外にどういうものについては認めていく、こういう計画を立てていただいて、長期的な観点から行えるものについてそういう方向で認めていくということで、一般的に指導しております。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そうすると、まず条件としては長期的保存管理計画ができなければ、いわゆる現状変更の認可ということはおよそあり得ない、こう考えてもよろしゅうございますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 ごく小規模な、たとえば家の塀を直すとか堀をさらえるとか、こういったことはそういう長期的なものとは別でございますが、相当程度の規模の施設の増改築等につきましては、現時点では長期的な保存管理計画を立てていただいて対処するということで処理いたしております。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 具体的な問題についてお聞きをいたしますが、御存じのとおり私は滋賀県の彦根の出身でございまして、国宝彦根城の存在いたします土地でございます。ただ、昨今問題になっておりますのは、この城内、いわゆる特別史跡地内におきまして歴史博物館を建てたい、こういう市民の意向がございまして、市会で市会議員が市長にこの旨をただしましたところ、市長の答弁では、文化庁が難色を示している、こういう御答弁でございました。その難色というのはいかなるものかということがわかりかねますが、しかし、言葉をかえて言うならば、だめだ、こう言われたということでございましょう。  そこで、私が考えますのは、いまおっしゃいましたように、長期的保存管理計画というものが彦根市の場合には出ていないんだということを私ちょっと聞いておるのですけれども、それは本当でしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 特別史跡彦根城跡におきまして、保存管理計画の策定はまだでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そういたしますと、実は問題になってきますのは、同史跡地内におきまして昨今、何遍もいわゆる現状変更がなされているのでございます。これは私の母校なんですが、いま現在彦根東高校と申しますが、この彦根東高校はもちろん特別史跡地内にございまして、一番近いのは体育館を建設いたしております。しかし、本来ならば、これは先ほど来のお話によりますれば、長期保存管理計画が出ていないのだから許可されない条件に当てはまるのじゃないかと思いますけれども、許可になっているわけでございまして、その辺を私は非常に疑義に思うのでございますが、その辺の解釈はいかがなものでございますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 従来、そういう点につきまして、たとえば学校で体育館がない、教育上不可欠であるということから、万やむを得ないとして個別に認める、それからまた、校舎もどうしても緊急に入れなければならぬ、これも万やむを得ないとして、一つ一つは確かに納得する理由があるし、また緊急性も迫られているわけで、そういったものを個別にやむを得ないやむを得ないとして認めてまいりました結果、非常にふえる一方であるということの反省から、最近では、長期的な整備計画を立てていただいて、その中で全体に支障を来さないようにして認めていくという方向をとっているわけでございます。いま先生の御質問にありましたのは、そういうような経過の反省点に立って、現在そういったことで行われているということでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そうしますと、その認可に当たっての条件として、長期的保存管理計画というものを立てていただかなければ今後は簡単には認可をしませんよということは、実は私がいま端的な例を申し上げました滋賀県立彦根東高校の体育館というものを申請をした以後にそういう条件ができ上がった、こういうわけですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 この数年間、そういった反省の上に立ってそういう方針を立てております。また、ごく小規模のものでございますとかというものは、その都度やっております。  なお、歴史博物館を新たにつくるというのは相当大きな変更でございまして、先ほど先生がおっしゃられましたいろいろな学校はすでに史跡指定の段階前からあったわけでございまして、それで万やむを得ないということで少しずつ少しずつふえてくる、こういったものを全体としてどう考えていくか。私どもは現状変更のためだけに保存管理計画を立ててくださいと申し上げているわけではございませんでして、史跡の長期的な整備方針をはっきりしていただきたい、そこで保存管理計画を立てていただきたい、こう申し上げております。  そうしますと、先ごろ知事と彦根市長さん御同道でお見えになったわけでございます。それで歴史博物館を建てたいのだというお話がございましたので、事柄として、彦根城とそれをより理解するために歴史博物館を建てるというのは、これは意味のあることでございます。そういうものが史跡の外に建てられれば一番いいのでありますが、外に場所がないとすれば、こういうものは史跡の利用の面からいって考えられてしかるべき施設であろう、ただし、それでなくてもふえる一方でございますので、どういった施設については史跡の外へ出していくのだ、そういう全体計画をお立ていただきたい、このように申し上げているわけでございます。現に、たとえば近江高校でございますか、これはもう場所が狭いというので外へ出られるということが決まったそうでございますし、県立の高校についてもやはり同じように、ここではもう生徒増に対処できないということで、移転の方向が出ておるわけでございます。そういったものを全体ひっくるめてはっきり方針をお立ていただきたい、このように知事にも市長にも申し上げたわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 そういたしますと、繰り返すようですけれども、たとえばいま長期的保存管理計画というものを立てて、もちろん管理責任者は市当局ですが、市当局がそういうことをやりまして、既存の建物について、あるいは既存の建造物といいますか、あらゆるものについて現状を、現状というのは、築城当時といいますか、その史跡が今後とも歴史的な価値あるものとして保存されていく上に必要な措置といいますか、そういうために現在ある建物についてもいついつまでにどういう形にしたいというようなことがあらかじめ計画として出された場合においては、この歴史博物館についても認可をする要件あり、こう承ってよろしゅうございますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 まさに、おっしゃるような趣旨で知事さんと市長さん御同道のときに申し上げたわけでございますが、私どもが聞いておる範囲では、そういう歴史博物館を県立で建てるのか市立で建てるのか、まだ決まっていらっしゃらないようでございまして、県は県でお建てになりたい、市は市でお建てになりたい、同じようなものを同じ場所に、歴史博物館はなるほどわかりますなと申し上げたからといって、二つばかばかというようなことでも困りますので、そういうものを県と市で調整して、しかも全体としての管理計画を立てていただきたい、それから、歴史博物館と一口に申しますけれども、どんなものをお建てになるのか計画をお示しいただきたい、こういうふうに申し上げている段階でございますが、残念ながら、まだ具体的なプランは立っていないということでございました。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 過日行われました二月の県会で知事の答弁も、先ほど私が申し上げましたように、文化庁が難色を示す、こういう言葉でございまして、あるいは知事が具体的な計画とかそういうものが緒についていない段階の答弁として、ある意味で文化庁にかぶせているのかもわかりませんけれども、しかし、仮にいまおっしゃったように要件を整える、つまり認可条件としてのまず一番大切な長期的保存管理計画を立てて、そしてその上に立ちましての条件でございますが、いまおっしゃったように、県立だからどう、市立だからどうという意味ではないと思います。恐らく、二つも建つということについては賛成いたしかねる。  ただ問題は、博物館の内容に入ってまいりますが、ちょっと私が仄聞いたしたところでございますけれども、彦根城の歴史博物館、特別史跡彦根城にまつわる歴史博物館なのだから、いわゆる江戸文化と申しますか、彦根城が築城されて以降の、特に彦根城、井伊家にかかわる歴史的価値のある展示についてはいいが、それ以外の物を入れて並べるのだったらだめなんだよと、こういう御意見をちょっと聞いているのですが、そうなんでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 まだ歴史博物館の内容を聞いておりませんので何とも申し上げられませんが、私どもは、一般的に歴史博物館の趣旨というものを、その城の解説だけのための歴史博物館というふうに限定しては考えておりません。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 少なくとも私が考えますのは、城ができます前に、慶長年間以前でありますけれども、それ以前に、定かではありません、私は慶長と言いましたが違うかもわかりませんが、とにかく三百数十年前に建てられる前にありました、これは彦根寺という寺があったのですけれども、それを移築をいたしましてそこに彦根の城を建てたのでございます。それは皆さん方に申し上げるまでもなく、石田三成の居城の跡をもらった井伊直政がそこに移ってくるわけでございますが、そういたしますと、彦根城にまつわるとは仮に申しましても、その前のお寺の問題もございますし、民家もそういう状況でございますから、彦根城築城に当たってはいろいろな協力をいたしておりますし、いろいろな文化財も市内に点在をいたしております。また、それにまつわります古代からのいわゆる湖国の文化そのものも全然関係ないとは言えないと思うのであります。  そういたしますと、県が考えておりますのは、たとえば湖の底から出てまいりましたいわゆる古代の遺跡にまつわる諸文化財も一緒に入れたいという気持ちもあるだろうと思いますけれども、中身はそんなに、中でまさか非文化的と申しますか、どんちゃん騒ぎをやるような施設をこしらえるわけではありませんから、いずれにしましても文化施設の常識的な範囲を超えないものであるならば、中身がそう逸脱しない限りにおいて、これは井伊家関係あるいは彦根城固有のものであるからこそ認可するのだとか、あるいはほかに、いわば滋賀県全体にまつわる民俗資料とかそういうようなものが入るからいかぬのだという見解はないものと私は解釈いたしておりますが、その点はいかがでしょうか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 おっしゃるとおりでございます。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 時間がありませんので、最後に締めくくりをさせていただきたいと思います。  私は、いま文化庁が考えておられる方向について理解をいたしますが、同時に、いろいろな緊急やむを得ないということで個別的に認可されてきた、たとえば先ほど申し上げましたように学校の体育館だとかその他の諸設備、全体から見ますと、市民から見た場合に単純に考えますのは、どうして文化庁というのは物のわからぬことを言うのだろう。片方に体育館をどんどん建たせておいて、歴史博物館を建てるときにはどうして認可しないのだ。むしろ歴史博物館の方こそ早く認可をして、体育館こそやめろと言われるのが筋なのに、体育館の場合は案外スムーズに認可をしたじゃないか、これは市民感情としてそういう見方をするわけでございます。市民を代表する市会議員は、その点から考えておかしいじゃないか、文化庁、少しかたくなじゃないかという意味の質問をするわけでありますが、市長としては、全体的な意見のある中で、しかも文化庁の内容等も考えて答弁をしていると思います。  私は、その間に立ちまして一つ考えますのは、少なくとも今日の現状変更は、ある意味ではもっと厳重になさらなければならないだろうと思いますし、特に先ほど来申し上げておりますような歴史博物館等の建物の建設については、少なくとももっと前向きにお考えをいただく方がかえっていいのじゃないか、そういうことこそいわゆる現状変更に対する一般の認識を高めさせる結果になってくるのではないだろうかと思いますが、最後にこの点について御答弁をいただきたいと存じます。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 私どもが長期的な保存管理計画を立てていただくということを申し上げておりますのは、一つ一つの建物ができる段階において、これをつくるためにはこれを壊せ、一つ一つやっておりますと、いま言ったような問題が出てまいります。それで、プラスになる施設は、たとえばむしろ施設がふえても認めていくのだ、しかし、それはふえるけれども、全体として十年、二十年、三十年の間にこの史跡地はこういうふうにきれいになっていくのだということがはっきりしておりますれば、そういうようなものが取り払われる以前においても認め得るわけでございまして、いま言ったような地元の方の理解を増していくという観点からも、長期保存管理計画を立てて将来の方針をはっきりしていただければ、取りかかって差し支えないものはこちらでも対処し得る、こういう趣旨でいたしておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 それでは最後になりますが、彦根城のいわゆる歴史博物館建設については、文化庁は難色を示しているという答えは必ずしも当たらないということを確認してよろしゅうございますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 地元の受け取り方でございますが、保存管理計画をお立てにならないでそれはいいんだと言われても困るのですが、そういうものをちゃんと立てて、将来の見通しを立てていただければ、否定すべき施設とは思っておりません。

野口幸一日本社会党

○野口分科員 ありがとうございました。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて野口幸一君の質疑は終わりました。  次に、鈴木強君。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 私、小川大臣に最初にお尋ねしたいのは、現行の六・三・三の小中高の学校教育制度、さらに現行の大学制度の再編整備をしたらどうかという意見がありますが、小川大臣としては、この再編、変更、改革、こういう考え方に対してどのような御所信をお持ちでしょうか、簡単にお答えください。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 制度の問題は教育内容とも密接に関連をする問題でございますので、現行の制度について種々の意見がございますが、いずれにいたしましても、きわめて慎重に対処しなければならない問題だと存じております。  現行の六・三制につきましては、時代の変化に対応する初中教育のあり方いかんということで、ただいま中教審に諮問を申し上げておるところでございまして、私は、教育内容の御審議に関連をして、制度の問題についても御審議が行われるものと予想をいたしておるわけでございます。御審議の状況、あるいは結論を得た上で検討してまいりたい、こう考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 これはいま大臣のおっしゃったように、ただ年数をどうすればいいとかいうような問題ではないのでありまして、教育の内容に深くかかわってくることでありますから、中教審答申等もあるようでありますので、ひとつその中で十分な御検討をいただいて、揺るぎなき民主的な教育がこれからやられますようにお願いをしておきます。  次に、最近毎日新聞と読売新聞に、教科書について、毎日の方はすでに五十回、読売が二十六回と連載をしておりますね。私、この内容を見まして、実はびっくりしたり、あきれたり、憤激したりというような場面がたくさん出てくるわけですけれども、大臣はこの記事を御就任以来ずっとごらんになっていますか。なっておったら、その御所見を聞かせてください。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 記事は読んでおりますが、いろいろなことが書いてございますので、所見と仰せられましても、一口に申し上げるわけにもなかなかまいりかねます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 それはそうです。私もそれは承知で聞いているわけでありますが、一口に言って、要するに、いろいろな意味において、ああこんなふうにして教科書というのはでき上がってきているのかと、そこに介在する幾つかの具体的な例が出ておりますね。ですから、これは徹底的に改革しなければならぬところもあると思うのですよ。是正すべきところは是正する、そういう意味において、国民によく知らせられなかった部面というのがかなり詳しく出ているわけですね。ですから、そういう反省すべき点は反省して、これからの教科書の検定問題について、いま特に問題になっておるだけに、こういう記事の内容を十分に検討して、そしてあしきところは是正していくという態度がなければだめなんですよ。そういうことくらいはあなた答弁するだろうと思ったんだけれども、まるきり読んでいないんじゃないですかね。どうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 現行の教科書は、文部省の検定を経て採択され、使われておるわけでございますから、私の立場といたしまして、現に行われております教科書について論評することは差し控えるべき問題でございますが、各種の批判につきましては心をむなしくして受けとめまして、今後の参考にするつもりでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 私は、論評しろとは言ってないですよ。読んでみて、ここはおかしい、これは是正しなければいかぬという点があったら、あなたは文教行政の最高責任者でしょう。教育は一国の盛衰興廃にかかわるんですよ。これは大事なことなんですよ。だから、そのもとになる教科書というものがちゃんとしていなければいけないわけですね。そういう意味で私は言っておるのですから、私の趣旨も体してあれをよく読んで——忙しい大臣ですから、全部お読みくださいと言っても無理ですけれども、秘書にでも大事なところだけずっと連載を書かせて中身を見ていただいて、そしていまおっしゃるように論評ではなくて、こういう点はこうしたい、もし誤りがあればこれはこういう誤りだからこうしていただきたいとかという意見もあっていいと思うのですよ。  しかし、新聞の方もかなり詳しく追跡して書いてありますから、われわれ見たときに非常に勉強にもなったし、またあきれたり、驚いたり、憤激するようなこともずいぶんありましたよ。だから、私はそういう点を思っておりますので大臣に申し上げておるわけです。ですから、最高の責任者としてもう少しこの内容もごらんいただいて、正すべきは正す、そして日本の教育というものをしっかり守っていけるような体制をつくっていただきたい、教科書をりっぱなものにしていただきたい、こういう意味ですから、その点を酌んでおいていただきたいと思います。  それから次に、中学と高校などの児童生徒の非行問題について伺いたいのです。  本当は、時間がありますればずいぶん私も意見を言いたいのですけれども、実は私の郷里は山梨ですけれども、ここに山梨日日新聞というのがありまして「“卒業の春”と中学生の現実」という社説があるのです。その中身を見ますと「昨年末に警察庁がまとめた年間の少年事件の概要によると、中学二、三年生の刑法犯少年は全体の四五%を占め、刑法などで罰せられない十三歳以下の触法少年のうち中学一、二年生は、これまた半分以上の五五%を占める。このなかには“通り魔殺人”などの殺人事件も五十余件含まれ、教師に対する校内暴力も高校生よりはるかに多い。」こういうふうに論じられているわけです。  このような少年、特に小中高校生の非行が横行しております原因というものは一体どこにあるのか、そしてそれをなくするためには教育においてどういう点を直していけばいいのか。これは非常に短い時間でございますからちょっと無理な話かもしれませんけれども、警察官まで動員して、警察力によって中学や高校の校内暴力を抑えていくという事態もあるだけに、私たちは非常に心を痛めているのです。大臣の御所見を承りたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 青少年の非行あるいは暴力が最近増加してきており、またその年齢も低下していく傾向にある、私も先生と同様、この問題には心を痛めておるわけでございます。  きわめて一般的に申しますならば、家庭、学校、さらにまた今日の社会の環境と申しますか、教育環境の乱れと申しまするか、それらに起因するいろいろな要因が絡まってきておる、さらにまた児童生徒自身の性格とか意識という問題もございましょう。これは一刀両断で解決できる問題とは考えませんが、要は学校、地域社会、家庭、緊密に連絡して真剣に対処していくべき問題だと存じます。  家庭教育につきましては、近年いわゆる核家族化が進行しておる、また子供の数も大変少なくなってきておりまするので、非常に大事な時期である幼児期のしつけを怠って、過保護に陥っているということが確かにございましょう。それから今日の社会の風潮、先般も予算委員会でとんでもない雑誌を拝見したようなわけでございますが、青少年の健全育成という見地からきわめて憂慮すべき問題だと考えております。  本来この問題は、学校におきましても校長を中心として教職員が一致して対処すべきであるにもかかわらず、そういう態勢において欠けておる、あるいは個々の生徒についていろいろな悩みを細かく聞いてやるという人間関係を打ち立てることが必要であるにもかかわらず、これがなおざりにされておる学校もあると存じます。こういう状況下で、きわめて自己顕示欲の強い、その反面、耐性といいますか、自分自身を抑制する力を欠いた青少年が、暴走族のような外部の非行団体の影響を受けて非行に走る、ごく大ざっぱに申しまして、かようなことだと存じます。  したがいまして、家庭教育につきましては、子供のしつけについて学ぶ機会を提供するという趣旨から、家庭教育講座というようなものも開設いたしておりますし、あるいはまた、各府県で家庭教育指導相談事業というようなものも実行いたしております。また、今日の環境の乱れに対処いたしますために、PTAでありますとか地域の青少年団体とも連携いたしまして、こういう環境によってできるだけ青少年が汚染されないような努力も総理府に協力して実行いたしておるわけでございます。また、学校における生徒の指導につきましても、細かいことは省略させていただきますが、いろいろなことをやっておりますが、根本は豊かな心を育てるということだと信じておりますので、文部省におきましても事務次官を長として豊かな心を育てる施策推進会議というのを設けまして、従来やっております施策に新しい施策も加えて総合的にかつ省を挙げてこれを実行していこう、こういう態勢をも整えておるようなわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 確かに、戦後学校教育なり家庭教育なり、いろいろな面で大変な変革が出ております。私どものように教育勅語で育った者は、宿題を忘れ、女の子をいじめれば一時間立たされる、むちで殴られる。私たちは、当時はあたりまえだと思いました。悪いことをすればやられるし、いいことをすれば先生が褒めてくれる。ところが、その観念がいまは全然違う。家庭教育についてもそうですよ。親は自分が苦労しているから子供には苦労させたくない、自分は小学校しか出ていないから大学へやりたい、この親の気持ちがなかなか子供に映っていかない。共働きがある、家庭におけるしつけがなかなかうまくいかない、そういう面もあると思うのです。大臣おっしゃるように、社会的にも、大人がうそをついたり悪いことをしておって子供に善を説いてみても、子供はそれを聞きませんよ。ですから、これは総体として襟を正してやらなければ、われわれ時代を担っていままでやってきた者は、この後一体どうなるか非常に心配するわけですよ。  それをただ単に学校教育が悪いとか、そういうことで片づけてはいけない。であるならば、四十人学級というものをもっと推進して、教師と児童生徒との間に温かい血が通って、お父さん、お母さんのような気持ちでときには叱咤激励してやる。むちを打つかもしれない。かわいいから打つのですよ。自分の子だから、大事だから打つのです。いい子にしたいと思うから打つのですよ。そういう気持ちが子供に映るような、温かい血の通った教育がやられていますか。あなたはもっと四十人学級というものを促進すべき立場にあるはずです。臨調がどう言おうと、これは将来に向かって大事な教育問題だと私は思うのですよ。  そういう点を踏まえて、後に続く人たちがこんなことで日本の国は将来どうなっていくかということを本当に心配しております。気持ちは同じだと思いますけれども、大臣御就任以来大変御苦労いただいておりますけれども、ぜひ国民の期待にこたえて、こういう非行がなくなり、校内暴力がなくなっていくような施策を、金がかかっても、積極果敢にやってください。一言だけ……。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 御鞭撻のもとに、一生懸命やってみるつもりでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 次に、教科書の無償制度について大臣の御所見を承りたいと思います。  実は、第二臨調や財界の一部に、せっかく無償になった教科書を有償化しようという動きがございます。まことにこれはけしからぬことだと私は思うのでございます。憲法にも義務教育は無償と書いてある。したがって、私は、この憲法の精神からいいましても、せっかくここに定着した教科書の無償制度というものは絶対に存続すべきである、こう強く信じておりますが、大臣の御所見を承りたいのであります。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 教科書無償の制度は、憲法の規定しておりまする義務教育無償の精神をより幅広く実行するために設けた制度でございます。これは、次の時代を担う青少年に対する国の期待を込めて贈っておるプレゼントでございます。少国民と国家を直接に結びつけている唯一のきずなだと理解いたしておりますから、この制度はあくまでも堅持していかなければならないと信じております。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 りっぱな答えで安心いたしました。しかし、大変な動きが出てくると考えなければなりません。したがって、大臣、ぜひひとついまの所信を一歩も後退することなくやっていただきたい。お願いしておきます。  それから、ローカル問題で恐縮ですが、山梨医大の問題につきましてはかねがね大変お世話になりました。附属病院も、一時国立病院を使ってやったらどうかというようなとんでもない意見も出ましたが、幸いにしてこれも阻止できまして、山梨医大の附属病院の開設がいま進んでおるわけでございます。  そこでこの際、建設計画の内容、これは概要でよろしゅうございますから、同時に、いま工事はどの程度進捗をしておるのか、そして五十八年開院に向けて間違いなくこれはやれるのかどうなのか、これをひとつ説明してください。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 山梨医科大学、特に附属病院の開設の準備状況についてのお尋ねでございます。  山梨医科大学は、昭和五十三年十月に設置されまして、五十五年四月から学生を受け入れているわけでございますが、附属病院は、学生受け入れ後四年目に当たります五十八年度に創設することを予定しまして、諸般の準備を進めているわけでございます。  そこで、まず施設関係でございますけれども、病院施設につきましてはすでに五十五年度に建設工事に着工しておりまして、五十八年度に診療を開始するために必要な施設といたしましては、私どもとしては五十七年度末までに完成をする予定で作業を進めているわけでございます。  それから、教官、看護婦等の診療要員の確保でございますとか、あるいは病院運営計画の策定、医療機器の整備計画の策定等の開院の準備につきましては、すでに五十六年度においても若干の定員措置を行ってきておるわけでございますが、五十七年度においてもさらに必要な準備要員については定員措置を行っておるわけでございます。  附属病院の全体計画は、これまでの新設医科大学附属病院と同様の方針で臨みたいと考えているわけでございますが、ただ、先生御案内のとおり、現在の行財政の状態がきわめて逼迫している、特に財政状況が非常に厳しい状況に当たっておるわけでございますので、予算並びに特に定員の配置についても大変厳しく、全般的には抑制を求められているわけでございます。そういう状況でございますが、私ども、五十八年度に病院の開設ができますように最大限の努力を払ってまいりたい、かように考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 大臣、香川、山梨、福井というのは、一番最後まで医大の設置が認められなかったのですよ。これは最後なんです。みんな六百床なら六百床の規定の病床を持っているのですよ。いま、後回しにされておいて、その上に病床を減らされるなんというのは、筋が通らぬですよ。公平の原理からいってこれは許されない。私は、臨調にも行ってけんかしてきましたよ。そんな不公平がありますか。だからこれは、いまの情勢の中で局長としてはやむを得ないような答弁をしておるけれども、あなたは局長でしょう、大臣の指示を仰いで、少なくともほかの既設置の医大附属病院に少しでも差があっては困るよ、これは。  特に、山梨県は医療が悪いところで、これはお医者さんが全部あそこに定着するかどうかは別としても、あそこに病院があれば助かるわけだね。無医村がかなり多いのですよ。全国の中でも山梨県は多い。ですから、全体計画の中で五十七年度の定員も何人かはっきりしてもらいたいんだが、五十六年のときも、わずか二人、三人の定員を削ろうと言うので、これは関係の、県の出身の議員が一緒になって、みんなで行政管理庁まで行ってきたのです。中曽根さんも大体了承して、定員になった。  聞いてみると、文部省に対する意見もいろいろありますよ。あるけれども、少なくともこういう問題については国民ひとしく平等だ。遅くされて、その上にハンディキャップをつけられてはかなわぬからね。文部大臣、この点ははっきりこの場で言明しておいてください。そして、少なくともほかの既設のものに劣らないようにやるように最高の御配意をいただきたい。お願いします。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 ただいま局長から答弁を申し上げましたように、今日のこの状況下で思うに任せない点は多々ございますが、昭和五十八年度にはぜひとも開設できますように、あとう限りの努力を払うつもりでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 それから、局長ちょっと、定数を聞いたのにあなた答えてない。五十七年度の準備……。

宮地貫一文部省大学局長

○宮地政府委員 五十七年度におきまする準備要員といたしましては、さらに二十二人の定員措置を行うように予定をいたしているところでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 それから、これは大臣にお願いなんですけれども、御承知のように、山梨大学は旧工専で、工学部が主なんですね。単科大学みたいなものですよ。そこで、八十万県民が長い間、社会科学部をつくってもらいたいという要請をしておるのですけれども、ことしもその願いがかなわなかった。その裏には臨調ありだ、これは。そこで非常に残念で残念でたまらないわけですけれども、さらに来年度に向けて、五十八年設置ができますように御努力をいただきたいというので、これは大臣にお願いなんですけれども。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 学部を新設する問題につきましては、恐らく地域住民の方々、最も切実な期待をお寄せになっていることと存じますので、できる限りの努力をいたします。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 それでは、時間がありませんので、最後に図書館司書のことでお伺いしたいのですけれども、大臣、普通常識的に物を考える場合、当分の間というのは大体何カ月、何日くらいのことを言うのでしょうね。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 当分の間という文言が各種の法令に書いてございますが、法律的に申しますならばこれは不確定の期限でございまして、実際問題としては長い場合もあり、短い場合もある……(鈴木(強)分科員「常識的に言ったら幾らかと聞いているのだ」と呼ぶ)常識的とおっしゃいますと、当分の間は当分の間と申し上げざるを得ません。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 つまらない知恵をつけているのが横にいるから、そういう大臣の非常識な答弁が来るんですよ。  私がいま質問しようとするのは、学校図書館法の問題なんです。これは議員立法でできたものでして、昭和二十八年八月八日に公布されて、二十九年四月一日に施行されているのですよ。すでに二十七年間経過している。にもかかわらず、第五条に言うところの司書教諭は、当分の間置かないことができる、こういう条項を盾にして、そして今日この職員の配置がなされておらないということは、まことに職務怠慢、法律違反もはなはだしいことだと私は思うのです。  二十七年間は当分ですか。いま現在この法律に基づいて全国に何人の図書館司書が配置されていますか、それをまず聞きたいのです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 公立の小中学校におきます司書教諭の発令状況でございますが、五十四年五月一日現在の学校基本調査に基づきますと、小学校で百四十七人、中学校で百十五人でございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 全国には幾つの小中学校があるんですか。——まあそれは時間がないから、後で資料で出してください。  そこで、私の選挙区の山梨県の場合をちょっと見ますと、大臣、法律的に基づく司書は一人もいないのです。それから、小学校で市町村が負担をしている学校が三十一人、三十一学校、それからPTAが負担をしているのが四十校、それから中学校では、市町村負担が一つ、PTAが十六、高等学校では公立が県費負担で十二人、PTA負担で十九人、私立がその他で四人、こういうお寒い配置状況にあるんですね。しかも給与、身分その他についても、月に六万とかあるいは四万五千円とか、本当にこれは問題にならないようなことでやっておられる。  なぜこの法律に基づいて司書を配置しないのか、国民にはわからない。当分の間ということに名をかりてこういう職務怠慢をしてきたのは許せないわけですが、まず、そこのところをはっきり大臣から答えてもらいたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 小中学校の数でございますが、いま鈴木先生が問題にしておられます関係で言いますと公立だろうと思いますので、公立学校で申しますと、小学校が約二万四千七百、中学校が約一万百余りでございます。  それから、ただいまの問題でございますが、司書教諭というのは、司書教諭の資格を持つ教諭がおります場合に、その教諭に対して校務分掌として補職といいますか、職務命令により充てられるものでございます。この有資格の教諭は、文部省が毎月実施しております講習会などによりまして、法律制定当時に比べてもちろんふえてきているわけでございますけれども、有資格教諭の配置の状況、これは現在小中学校の約三割でございますが、これから見て、現在直ちにすべての小中学校に置くことが困難であるものでございますから、したがって、この当分の間というのをいつまでにするかということは、現在の時点では、まだ見通しの上からいって明確にすることはむずかしいのでございます。ただ、三割ぐらいおるわけでございますから、この人たちを司書教諭に発令をしてほしいということで、それは都道府県並びに市町村の教育委員会にいつも機会あるごとにこれを勧めておるわけでございます。  それから、もう一つのただいま御指摘のありました関係は、必ずしも司書教諭に限らず、公立小中学校の中で事務職員でもっぱら学校図書館事務に従事させる、そういう配慮に基づく施策も入っておると思いますが、これはいま御指摘のように、やはり県費負担の者もおれば、市町村負担の者もおれば、一部私費負担の者もおるわけでございます。私費負担の者は、このような職務の性格上、私どもは必ずしも好ましいことであると思っておりませんが、一方、学校図書館の重要性とその事務量というものを考えまして、現在の定数の配置の上では、三十学級以上の小学校とそれから二十四学級以上の中学校にはそれぞれ一人ずつ事務職員の加配を行っておる次第でございまして、その定数は、全国で申しますと、五十五年五月一日現在で小学校が二千三百八十人、中学校が千四百六人、合計で三千七百八十六人、こういうふうになっております。そういうような措置をしている次第でございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木(強)分科員 もう時間がないからこれで終わりますが、大臣、これは法律違反ですから、早くやってくださいね。それだけお願いして、終わります。

宮下創平自由民主党

○宮下主査代理 これにて鈴木強君の質疑は終わりました。  次に、四ツ谷光子君。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 まず初めに、大臣に図書館行政の理念についてお伺いをしたいと思うのです。  昭和二十五年の三月十日に初めて図書館法が国会で審議をされましたときに、当時の文部大臣は「社会教育法においても、国及び地方公共団体は、国民があらゆる場所、あらゆる機会を利用して、みずからの教養を高め得るような環境を十分に整備する任務を持っておる旨が規定せられているのであります。図書館は、このような意味における社会教育機関として、きわめて重要な地位を占めている」こういうふうに述べておられるわけです。  また、一九七九年に日本図書館協会の皆さん方が、「図書館の自由に関する宣言」というのを出しておられます。「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。」すなわち図書館は、憲法に定められている生存権あるいは教育を受ける権利、表現の自由、学問の自由など、あらゆる権利と自由を保障するために必要な資料を、利用者の求めに応じて公正かつ迅速に提供する責務を担っている、こういう理念に基づいて図書館行政というのは行われていると思うのですけれども、大臣、現実にそういうふうに図書館行政が行われておるのでしょうか。いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せの趣旨に沿って行われておると考えております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 それでは重ねてお伺いをいたします。  五十六年度の公立図書館の設置状況を見てみますと、全国の市に五百四十六カ所、それから町村に三百三十五カ所しか設置がされておりません。対象人員が八千六百二十九万人、日本の全体の人口から計算をしてみますと、人口の七三%にしかその行政が及んでいないというのが現状でございます。しかも、いままでの図書館行政に使われています国の予算を見てみますと、毎年三十カ所か四十カ所を整備しているにすぎない、こういうふうに思われるわけです。  それで、国土庁の方が調査をしているのを見てみますと、小規模でもよいから県内各市町村につくってほしいという要望が六五%に及んでいる。この現状から見ましても、ただいま大臣は、先ほどの憲法の理念に基づく図書館行政を進めているというふうにおっしゃったのですけれども、その理念からはやや遠いのではないかというふうに思うのですが、すべての市町村に公立の図書館を設置するには、この調子でまいりますと十年以上かかるのではないかと思うのです。早急に整備、促進をすべきだと私は思うのですが、文部省としては全国の市町村に公立図書館を設置するような計画をお持ちなのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

別府哲文部省社会教育局長

○別府政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど、全国の地方公共団体における図書館の設置状況について、先生御指摘がございました。とり方が若干違っている、時期の問題等もあるかと思いますけれども、五十六年度の状況でございますと都道府県立は八十館、市立が九百七十館、町村立が三百五十一館という数字で、合計千四百一館という数字が私どもの方で集計をいたしているところでございます。  特に市町村分について申しますと、最近では特に市におきます図書館の設置が大変盛んでございまして、規模には大小ございますけれども、全国の市の八一・五%が現在図書館を設置しておる。しかしながら町村になりますと、まだ一二・八%の町村しか図書館を設置していないという状況でございます。しかも、市町村と申しましても区域並びに人口にも大小ございまして、一つあればそれで全市町村民がカバーできるというわけのものではないわけでございまして、各市町村ともに図書館のネットワークが構成できるようにということを目途に、最近図書館設置の希望が大変強くなっております。  そこで、最近では大変財政上苦しくて、社会教育施設につきましてもなかなか予算の伸びが窮屈な時代でございますけれども、来年度、昭和五十七年度分におきましては、図書館については従来の三十六館から三十九館に増額をし、補助単価についても若干の引き上げを図っているという状況でございますが、まだまだこの程度では、全市町村にまで及ぶには大変時間がかかるという御指摘はごもっともでございますので、私どももさらに力を入れてまいりたいと考えております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 公立図書館の早期整備についてもう少し質問したいのですけれども、ちょっと時間がありませんので、いまの御答弁によりまして、やはり計画を立てて一日も早く住民の要求にこたえていただくようにお願いをしたいと思います。  さて、私は次に障害者の図書館の問題についてお聞きしたい、このように思っているわけです。  先ほどの図書館行政の理念、これでまいりますと、障害者への図書館サービスは図書館活動の中の真髄である、こういうふうに私は考えるわけでございます。  それで、障害者のための図書館サービスを具体的に検討してみますと、たとえば建物についてはスロープだとか障害者用のトイレ、エレベーター、それから備品につきましては、視力障害者のためにオプティスコープだとかテープレコーダー、あるいは図書としては点字本、拡大写本、子供のためのさわる絵本、大活字本、録音図書、それからソフト面としましては手話通訳の方あるいは対面朗読の問題、家庭配本、郵送サービス、こういうふうなものの機能を充実させなければ、障害者の方のための図書サービスが十分に行き渡らないだろうというふうに思うのです。  いま社会教育の面で、社会施設活動促進費とか教育方法改善費補助費などというものが行われておりますけれども、これらのものでただいま私が申し上げましたような障害者のための図書館機能の充実整備がうまく行われているのかどうか、その辺について御答弁を願いたいと思います。

別府哲文部省社会教育局長

○別府政府委員 先生御指摘のような社会教育施設に対します設備等の補助金につきましては、施設活動促進費という補助金また教育方法改善設備の補助金等がございます。  この中で施設活動促進費と申しますのは、公民館や図書館、博物館などの社会教育施設がさらに一層その機能を拡充して利用者にサービスができるような、そういう設備を整えるための補助金でございますが、図書館に対しますこの施設活動促進費の内容といたしまして、その中に、特に障害者のための施設といたしましては、点字図書あるいは盲人用録音テープ等の購入費も対象になることになってございます。  そこで、たとえば最近三年ばかりの実績を申しますと、昭和五十四年度では、点字図書が八館で千九十五点購入されておりますし、また録音テープが九館で二千二百九十五本購入されております。五十五年度は、点字図書が九館で二千七百三十点、録音テープが十四館で三千五百四十三本。また五十六年度は、点字図書が十四館で三千九百六十三点、録音テープは二十一館で五千百十六本というふうに、ここ数年間の経緯を見ましても、障害者対策に対する各地域の関心が高まるにつれて、この種のものがふえていると言うことができるわけでございます。  教育方法改善設備費と申しますのは、主として社会教育施設に対する視聴覚機器を中心とした助成でございますので、必ずしも障害者のための施設設備というのは余り多くはないわけでございますが、特に録音機器等につきましては視力障害者に対して利用できることもあるわけでございまして、そういったものがこの補助の対象に従来もなっているわけでございます。各地域におきます社会教育施設におきましては、利用者、地域住民の御要望等を十分に勘案して購入する品目を考えておるわけでございまして、私どもといたしましても、こういった地域の要望に応じてできる限りの配慮を加えてまいりたいと考えておるところでございます。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 ところが、だんだん前進をしているようなんですけれども、行政改革の関係で補助金をカットするというふうなことで、五十六年度予算で社会施設活動促進費が全国で五十七カ所ついておったものを、ことしの予算では五十四カ所に減らしているような現状ですから、こういうことではいま局長がお答えになったような趣旨とは相反しますので、いかに行政改革とはいいながら、こういう問題はそういうところで削らないようにぜひ大臣にお願いしたいと思います。  いま御説明をいただきました補助費の中に入るかどうかはちょっとわからないのですけれども、地方の都市の公立図書館で、大槻タイプと言いまして、かなでタイプを打ちますと点字とか黒字が出てくるタイプがあるわけですけれども、そういうものをぜひ公立図書館に購入したいという御要望があるところがあるのですが、そういうものを購入したいというときにはこのどちらかの補助費が適用されるのでしょうか。もし、現状では適用されないということでしたら、考えていただけるかどうか、お聞きしたい。

別府哲文部省社会教育局長

○別府政府委員 先生御指摘の設備につきましては、比較的最近に開発された設備のようでもございますし、現在のところまだ対象にはなっていないわけでございます。各地域におきます障害者の施策が進んでまいります中で地域から出てまいるようでございましたならば、今後の問題としては十分検討をいたしてまいりたいと考えております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 では、次は点字図書館を管轄していらっしゃいます厚生省にお伺いをしたいと思います。  現在、点字図書貸出等委託費、日本点字図書館とか日本ライトハウス等に対しまして毎年何タイトルの予算化がされているのか、これがお聞きしたい一点でございます。  それからもう一つは、このごろボランティアの方々の力によりまして、学齢前の視力障害児のためにさわる絵本というのが開発をされております。これは、視力障害者の子供にもさわりながら物体の感覚を教える、それから、いわゆる晴眼者の子供でもそれによってまたともに教育が受けられるというふうなもので、ボランティアの皆様方で相当このごろこの開発研究、あるいは実際につくられているというのが進んでおりますけれども、こういうものがいまの委託費の中に入っておりますかどうか、この二点についてお聞きいたします。

板山賢治厚生省社会局更生課長

○板山説明員 まず、点字図書館で作製いたしますタイトルでございますが、明年度の予算では、点字図書でおおむね二百六十タイトル、約一万八千冊、それに録音図書で三十八タイトル、カセットテープにしまして四万巻程度の作製を予定しております。  それから、いまお話のありました、手でさわる、手で読む絵本といったものも、こういうものの作製の中で必要があればつくれる。私ども、国から委託費を出します際には、点字図書館、ライトハウス等に、自由に、本当にユーザーの盲人の皆さんが欲しいものをつくれる、そういう形で委託費を出しておりますので、その編集委員会、企画委員会等でいまのようなものを取り上げようということになりますれば、つくることは可能であります。  ただ、現在、発泡スチロール方式という新しい方式が出ましたけれども、夏など汗をかいた手でさわりますと、それが欠けてしまうとか読みにくいとかいろいろな御意見がありまして、研究をしておるようでございますけれども、つくることは可能でございます。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 いまの委託費につきましては、厚生省もがんばっていただいているのだろうと思うのですけれども、普通の図書が年間三万点ぐらい新刊されますね。それに比べますと、視力障害者の方がお読みになりたいという本が現状ではなかなか手に入れにくいという点がございますし、また、そういう視力障害者の団体の方々からはぜひともこの委託費をふやしてほしいという御要望が出ておりますので、その点はぜひとも、行政改革に負けないでしっかりがんばっていただきたい、こういうふうに私は思います。  文部大臣に、いまのさわる絵本についてお聞きしたいのです。  いま、委託費を日本点字図書館とか日本ライトハウスにおろして、そこで自由にやっていただくようにということなんですけれども、これはただ単に、視力障害の子供にそういう本をさわらせてということじゃなくて、幼児教育、とりわけ学齢前の視力障害児の幼児教育の観点から、文部省としても、こういう問題には専門的な見地から御検討いただく必要があるのではないかと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せの御趣旨まことに同感でございますから、さらに研究をさせていただきます。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、ちょっと補足をさせていただきたいと存じます。  事柄の趣旨としては、盲児の教育では手の指によります触覚的な認知が非常に重要である、こういうことでございまして、そのためにはまず実物、剥製あるいは模型、こういったものを使うわけでございます。そうして、物に対する正しい概念というものを育てていくという方針でございます。  そういった指導とあわせまして、盲学校では必要によりまして、触覚により認知できる図でございますとか絵でございますとか、そういうものはすでにかねてより盲児に対する教育上の配慮として行っております。そのために、従来から盲児がさわって認知できるような図、絵、点字等の作製に必要ないろいろな機器、たとえば触図真空形成器、表面作図器、立体コピー、点字教材製作設備、こういったものの整備を図ってまいりまして、文部省からも補助を行っているところでございます。  そういうことで、さわる教材というものについてはすでにいろいろな角度から盲学校で活用されておりますが、先ほど大臣から申されましたように、今後ともその普及、利用について努力をしてまいるつもりでございます。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 いま障害児の教育の問題になりましたので、もう少し図書館の問題をお聞きするのです。  ちょっと順番を変えまして、いわゆる障害児の教育の問題について文部大臣に御質問したいのですが、私にきょう障害者の図書館の行政サービスについてこれを充実させるようにという、この質問をさせた理由が一つあるわけです。     〔宮下主査代理退席、木島主査代理着席〕  それは、去年の十月の三十日にある新聞の「編集者への手紙」というところに、「盲目の小学生の願い」という投書が載りました。大阪府東大阪市にお住まいの十歳の宮路美幸さんという府立盲学校の小学部四年生の子供さんからの投書です。読書感想文コンクールというのは文部省も後援をしておられますけれども、この課題図書に「長いながい道」というのが選ばれたけれども、すぐに手に入れることができなかった。そして、夏休みに入ってやっとその課題図書の点字が一冊できたそうなのですけれども、希望者が多くて、この宮路さんという子供さんが、せっかくこれを読んでコンクールに参加しようと思ったのに参加できなかった、こういうことで、なぜ盲人である私たちがこういう悲しい思いをしなくちゃならないのだろう、だから、これから読書コンクールに課題図書が決まったら、ぜひとも点字の課題図書を晴眼者と同じように早く手に入れられるような制度をつくり上げてほしいという趣旨の投書があったわけでございます。  毎日新聞の事業部が読書コンクールをやっておられますので、私は早速毎日新聞の事業部にも参りまして、この投書の趣旨を説明して、事業主体である毎日新聞には、ことしから何とか善処してほしいということもお願いをしてきているのでございますけれども、やはり文部省が後援をしていらっしゃる以上、国際障害者年のあの趣旨、平等と完全参加ということからいいましても、こういう幼い子供の気持ちが満たされるような読書教育というのですか、そういうふうなものはぜひ大臣としても考えていただきたいと思いまして、ことしのコンクールから、文部省が後援されるされないを問わず、こういうところに十分に配慮ができるような手だてを大臣としてぜひ考えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 読書感想文コンクールに視覚障害者が参加できるということ、これは非常に望ましいことだと存じます。  御期待に沿えればと考えますので、さしあたって関係の方々の御意見を承ってみたいと思っております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 大臣から検討したいというお答えをいただきましたけれども、本当に実現をするように、重ねてお願いをさせていただきたいと思います。  それで私は、こういう子供さんの悲しい思いというのが、いまのわが国の図書館行政の中にあらわれているのだろうと思うのです。といいますのは、私は、初め、図書館行政といいますと、全部文部省がおやりになっているのだと思っておりましたら、点字図書については、先ほど御質問いたしましたように厚生省が担当していらっしゃるということで、そういう観点からいいますと、やはり図書館行政というのは文部省が一括しておやりになる中で、障害者の方も健常者と同じように、憲法で保障されている図書館行政の中に参加をしていくことができるのだ、こういうふうに思うわけです。  今回国会図書館が、わが国で初めて点字図書それから録音図書の全国総合目録というのをつくりまして、この三月にこれを配付されるということに決まりました。これは、厚生省は技術的な面でいろいろと援助をしておられるようなのですけれども、国会図書館の方もお金が足りなくて、全部を無料で関係のところに配付するというわけにはいかぬということで、四百部は関係のところに配付する、二百部はある本屋さんを通して販売をするという形になっているわけです。これは、全国の点字図書の問題で活動していらっしゃる図書館の皆さん方それからそうした視力障害者の団体の方々は、この目録ができるということにつきましては非常に大きな期待を持っているわけです。そういう点で、文部省がどういうふうにこの問題に対応されるか、それをちょっとお聞きしたいのです。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ただいま御指摘の件につきまして、盲学校の関係でございますけれども、盲学校の図書館におきます点字図書の整備充実につきましては、従来から地方交付税によりまして財政措置を講じてきております。  お尋ねの点字図書総目録については、これは盲人の読書活動に対する情報サービスを円滑にする、こういうことを目的として編集、刊行され、一部は市販されると私どもも聞いておりまして、各盲学校においてこれらが必要に応じて適宜購入ということで、有効利用が図られるものと期待をしておる次第でございます。  それから、同じその目録につきましては、今後日本点字図書館において点訳されまして、これがまた盲学校にも配布される計画がある、こういうふうに聞いておりまして、この点字図書総目録は百六十九ページで約二千五百円ということでございますので、盲学校におきます交付税措置は一校当たり一般図書五十二万九千円、それから保健、理療系の点字図書四十三万二千円というような措置が行われておりますので、各盲学校で適宜配慮をされると期待しております。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 いまの局長の御答弁は、大変盲学校にだけ焦点が当たっていたようなんですけれども、ちょっと私の質問と趣旨が違うのです。

別府哲文部省社会教育局長

○別府政府委員 社会教育施設でございます公共図書館におきまして、先生御指摘のこの目録は、視力障害者の図書館利用に関して大変効果的な資料であると考えております。各図書館におきましては、一般の図書資料購入費でこれを購入することができるのはもちろんでございますけれども、先ほど先生の御指摘がございました社会教育施設活動促進費で国庫補助を受けて、これが購入できるように措置をしてまいりたいと考えておるところでございます。

四ツ谷光子日本共産党

○四ツ谷分科員 それでは、最後にちょっと文部大臣にお聞きいたします。  日本には、国立の博物館というのはありますが、国立の図書館というのはなくて、大体地方自治体に任されているわけです。ここで、先ほどの総合目録がなぜ皆さんから待たれているかということなんですが、総合目録ができますと、今後は重複政策のむだを省けるほか、各図書館間の相互貸し出しによる共同利用を進めることも可能となるというふうに、使い方が大変高く評価をされているわけです。  そして、昨年の十月五日、点字図書館部会、日本盲人社会福祉施設協議会、この目録に関する委員会というのがありまして、そこで「点字・録音・拡大資料等の相互貸借に関する申合せについて」という答申をしておられまして、図書館は、先ほど一番先に言いましたように、憲法に定められている生存権、教育を受ける権利、表現の自由、学問の自由などあらゆる権利と自由を保障するために必要な資料を、利用者の求めに応じて公正かつ迅速に提供する責務を担っているわけなんですけれども、この責務を遂行するためには、図書館は、通常の印刷物を読むことが困難な利用者に対して、その求めに応じて利用できる形態にならなければならないんだけれども、日本ではそれができていない。それで、お互いに図書館がそういうふうな資料を交換して、それが公立の図書館であれ点字図書館であれ、障害を受けていらっしゃる方々に十分に憲法の保障する権利を保障しなければならないというふうなことを申し合わせていらっしゃるのです。  アメリカでは、議会図書館がセンターになって、それから地方の各州の議会図書館にそれがおりていって、そしてさらにもう一つ下におりていくということで、視力障害者のための点字本あるいは録音本を国がつくる、そういうふうなことで全国的にネットワークができているわけなんですね。日本でそれをすぐにしろと言っているわけではないのですけれども、先ほどありました総合目録が非常に待たれているというのは、結局日本の行政の縦割りじゃなくて、横のつながりもできて、そして視力障害者の方が読みたいという本がここの図書館になくても隣の図書館に行けば、公立の図書館にあるんだ、大阪の図書館になくても兵庫県にあるんだ、そういうふうなものが相互に連絡がとれれば、もっともっと障害者の方々のそういう御要望にこたえることができるのではないか、こういうふうに私は考えているのですけれども、そうした障害者の方のための図書のサービスについて、ネットワーク的なものを文部省としてぜひお考えをいただきたいと思うのです。大臣、最後にその問題についてお答えを願いたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 私は、不勉強でありますために全く知らなかった事実をお教えいただいたわけでございますが、一般的に、これから先、図書館相互の連携を強化するということは非常に大事なことだと心得ておりますので、その方向で努力をいたします。  なお、今後も、厚生省の点字図書館との連携ということも含めまして、身体障害者に対する図書館サービスの充実ということにはあとう限り努力をしていくつもりでございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島主査代理 これにて四ツ谷光子君の質疑は終わりました。  次に、田中恒利君。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 大臣に、学校給食の問題について最初に御所見をお伺いしておきたいと思います。  最近、学校給食についての父兄なり国民の関心が大変高まっておるわけであります。給食法に載せられておりますように、これは明らかに教育の一環として進められておるわけでありますが、最近、給食施設が次第に集中化をし、大変大規模化をしていく、あるいは給食の民間請負、こういう方向も現場というか市町村段階ではあちこちに見られまして、これをめぐって父兄の間でも関係者の間でもいろいろトラブルも起きておるわけであります。特に行政改革という財政上の制約が加わって、臨調などもこういう方向を示唆するような議論がなされておる、こういうことも聞いておるわけでありますが、文部行政の責任者として、大臣は学校給食のこういう動き、流れについてどのような御見解をお持ちであるか、まず最初にお尋ねをしておきたいと思うわけであります。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 給食を共同調理場においてまとめて調理するか、個々の学校で行うかということにつきましては、学校給食の実施者でありまするそれぞれの地方公共団体が自主的に決定すべき問題だと考えております。どちらの場合にいたしましても、給食が円滑かつ適正に行われますよう、それぞれの地域の実情を勘案した上で実施をする、このような配慮をすることが必要だと考えておりますが、その際、臨調の答申、提言の趣旨を踏まえまして、地域の実情に即して効率的な運用がなされるように配慮すべきものと考えております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 いまの御意見をお聞きいたしますと、学校給食というものが生徒児童の心身の向上、発展に寄与し、しかも国民の食生活のあり方に大きな影響を与える、そういう給食法の目的というか、教育の一環としての給食制度の立場というものがどういうふうに生かされるのか。私は、いまの御答弁ではまだよく理解できないわけでありますが、やはりいまのように給食の施設が別個で、しかも私企業にゆだねられていく、こういうことになりますと、給食というのはただ学校で子供に食事を食べさせる、こういうことだけで終わってしまうのじゃないかと思うのですね。  いま給食の問題が非常に大きな関心になっておるのは、そのことを通して食物に対する子供の見方、しつけ、あるいはその食物がどういう形でつくられてきたのか、こういうこと等々について学校を通して子供に理解をさせていく、こういうことが大切なのだろうと思いますが、何か効率性とかあるいは給食制度に伴う国の予算なり地方自治体の財政負担なり、こういったようなものに重さがかかり過ぎて、そういう側面がだんだんなくなりつつあるのじゃないか、こういうことを私は非常に心配をする一人でありまして、これからわれわれが教育の中で取り上げなければいけない食生活、食文化、こういったようなものは、やはり学校の生徒児童の環境の中できちんとつくり上げていく、そういうものが大切なのじゃないか。そういう意味では、いまのこの学校給食の持つ意味に対して、文部当局が考えておる方向は、何となく逃げの姿勢が強いような気がしてならないのですが、その辺どうでしょうか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 学校給食は、いま御指摘のように、児童生徒の健康、体力の向上のために正しい食習慣を身につけさせる、あわせて国民の食生活の改善に役立つことを目的としているわけでございます。  そこで、具体的にそれぞれの学校で教育の一環として実施するわけでありますが、その場合に、調理する場所、それが学校という場所でなければならないのか、地域の実態によっては、どうしても調理場施設が学校につくれない、特に都市部においてはそういう傾向がございますが、そういうために共同したセンターで調理をするということで、他の場所でつくり上げるということの方途を講じていきませんと、小中学校に対する学校給食の普及というのはなかなか十分な成果を上げることができないわけであります。したがいまして、センター化によって調理をするか、単独校の調理場で調理をするかというのは、その地域の実態に応じて市町村が判断してやってくださいということを言っているわけです。  そこで、具体的に給食をいただく際に、いま御指摘にありましたように、わが国の食事に対するもろもろの問題ないしは食事を通じての心の触れ合い、そういうものは教師が生徒と一緒に食事をすることを通じて十分な教育効果を上げていくということをねらっているわけでございます。したがいまして、場所が学校でなければ十分な教育成果が上げられないというふうには考えていないわけであります。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 これは教育の本質に関する問題ですから、短い時間でなかなか議論はできませんが、いまの学校給食法というものが「努めなければならない。」こういう形で、必ずしも学校給食というものを学校でやらなければいけないのだというふうな義務的な規定になっていない、できるだけやるべきなのだという奨励規定になっておりますので、それだけに、金がかかるものだから、市町村などにおいては、本格的な学校給食の内容に接近しがたい側面が非常に強く動いておる、行革などになっていくと、文部当局もそういうものに引っ張られていく、こういう不安を私どもは強く持つものであります。  しかし、これからのわが国の教育のあり方あるいは食生活の問題、たとえばいま日本型の食生活という問題が大変やかましくなってきておる。これは、国際的な食糧の危機というものが背景にありますし、あるいは日本の米といったようなもの、魚といったようなもの、こういうものをどう評価するかという問題もありましょう。しかし、アメリカなどの事情を聞くと、日本人の平均寿命の延びといったようなものは、やはり日本の食生活が今日日本の風土や経済環境の中では最もいいのではないか、人間の寿命を延ばす再生産の基本になっておるのではないか、こういう意見も出ておるようでありまして、われわれは改めて日本の国土、風土に合う食事の体系というものを考えなければいけない。  もちろん、これは好みでありますから画一的なものではありませんけれども、少なくとも学校給食といったようなものの中で、そういうものについての方向づけをしていただくということが、いろいろな面で重要ではなかろうかと私は思っているわけであります。そういう意味で、日本の子供の食事の内容なりあり方などについては、今後十分検討していただきたいと思います。  時間がありませんから、具体的な問題に入らせていただきますが、昭和五十一年度から始まりました米飯給食、これはたしかことしで終わると思いますが、これから以降はどういう形でこの米飯給食についてはお考えになっておるのか、まずこの点を伺いたい。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 五十一年度から週二回を目標にして、五十六年度で一応定着させるという当初の目標でございました。現状は、まだ完全に週二回の目標に到達していないわけであります。そこで、五十七年度以降は、六十年代初期までにおおむね週三回まで米飯給食を実施するという一応の目標を掲げまして、地域の事情、実態に応じながら漸次米飯給食の普及率を高めていくという方向に考えているわけでございます。  とりあえず五十七年度は、週二回に定着していないところが相当ございますので、週二回に定着させるということで五十七年度は考えておるわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 五十一年度から始まりました米飯給食については、いろいろな諸準備というか、条件が大変ふぞろいなままに走った、こういう感じもするわけです。たとえば、米飯給食に必要な施設の問題、要員の問題、こういうものがおっぽり出されてしまって進められた。したがって、勢い民間の委託に任せていくつやっておる学校では、なかなか米飯給食というのは労働過重になってしまって、いろいろ問題が現場で起きておる、こういうことになっておるわけですが、これから考えられる第二次というか新しい考え方の中には、これらの問題を克服していく、こういう方向で取り組まれていらっしゃるわけですか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 御指摘のとおりに、学校の中で直接炊飯施設を整備していくところについては、国の補助金はそれに十分対応できるような助成措置を講じております。  ただ、いままで民間業者への米飯の委託という方式をとっているところもあるわけでございます。これは、パンによって三十年近く給食が維持されてきて、パン屋さんの生活上のいろいろな問題もあるので、パン屋さんが積極的に米飯の炊飯部門を受け持つというような地域がございますれば、そういうところに対しては米飯の炊飯委託ということを通じて給食の普及を図るというような政策をあわせてとっているわけであります。そういうことで、直接おやりになるところにはそれができるだけの施設設備の条件整備に対する助成を十分行っておりますし、それから地方交付税においてもそれに対して必要な財源措置を講じているところであります。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 これは自治省も来ておられると思いますが、地方交付税の中に学校給食の米飯委託料というのがありまして、二人ほど人件費を委託料という形で見ておるわけです。これはなぜ委託料といったような形で示されていくのか。これは給食要員の人件費でありますから、そういう項目でぴしっと明らかにせられた方がいいのじゃないでしょうか。

能勢邦之自治省財政局交付税課長

○能勢説明員 米飯給食についての交付税措置でございますが、先ほどお話がありましたような文部省の実施計画、五十六年度までに週二回でございますが、一〇〇%やろうという、あの計画を踏まえながら、交付税でも昭和五十一年度からずっと委託費を計算の単位費用の基礎に入れまして、委託方式で措置してまいっておるわけでございます。  その理由ということでございますが、理由は、委託処理による米飯給食が、学校の数におきましても、それから給食を受けている児童生徒数にいたしましても、過半数はそういう状況でございます。御存じかと思いますが、小学校の場合、委託方式でやっております学校数は五十六年の五月時点で五八%、生徒数、児童の数でいいますと六八・七%がそういう方式です。それから中学校の場合、同じように学校の数でいえば五六・八%、児童生徒の数でいくと六七・四%、そういう状況でございまして、そういう実態を踏まえてずっと委託費方式で措置をしてまいっておるということでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 それは見てみると大体半分半分ですね。中学校がちょっと多いのじゃないかと思いますけれども、小学校はかえって自校炊飯方式の方が多いのじゃないですか。

能勢邦之自治省財政局交付税課長

○能勢説明員 私ども文部省からいただいております五十六年五月時点の数字で申しますと、自校炊飯いたしておりますのが、小学校で児童数でいいますと二八・一%でございます。学校数でいいますと三九・五%ということで承知いたしておりまして、お話でございますが、実態としては委託方式の給食を受けている学校の数なり子供の数がずっと多いというふうに理解をしておるところでございます。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 そのとおりでございまして、自校炊飯方式よりも委託炊飯方式の方がはるかに多いわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 しかし、これはできるだけそれぞれの学校で炊飯をして、そこで温かい御飯が食べられる。いま委託をやっておるものの一番の不人気は、御飯が冷たくなってくるということなんですね。その方が食べる者もいいし、それはやはりさっきの話ではありませんが学校の教育的な視点に立てば、学校の中で炊事をしておる炊事婦の皆さん、私は実はそういう関係者とよく話をしてまいったわけですが、ほとんど四十代から五十代近い主婦でありまして、自分の子供に食事を与えるというような気持ちであそこで働いていらっしゃるわけです。そういうものと子供とがどう結びつくかというところに、この学校給食の持つ一つのうまみというか教育的な視点があると私は思うのです。そういうものがなくなってしまって、冷蔵庫のようなもので車で運ばれた御飯が教室にぱっぱと運ばれていく、こういうやり方が問題だと思うので、これは自治体に任すということでありますけれども、文部省の考え方としては、できるだけそういう味のあるやり方を進めるべきではないか、少なくとも指導の方向としては考えるべきじゃないかと思うわけです。  そういうところへ、交付税の問題などで委託料なんかと書きますと、これはもう委託するのはあたりまえだ、こういうことになってしまって、先ほど私数字、ちょっとこれは違っておったようですけれども、しかし、自校方式というのがだんだん下がっていっておるわけです。それはやはり、そういうものの中で進められているような気がしてならないわけです。ですから、これはぜひ検討していただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。  それから米飯給食では、たとえば地場米といったようなものがどれだけ活用せられておるのか。これは、ともすると従来古米なり古々米なりそんなものが流されておる、こういうところにも一つの問題があると指摘されてきたわけですが、やはりその地域にとれたお米を、しかも新鮮なものを使っていく、こういう方向を強く打ち出してもらいたいと思うのですが、この点はどういうふうになっておりますか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 学童に対する米飯につきましては、できるだけ新米で地場でとれたものを給するということで、基本的においしい米飯給食を実施するということで、農林省も大変協力していただいて、そういう方向で努力をしているわけであります。  なお、センターによって運ばれてくる炊飯米飯につきましても、保温の問題は十分注意をいたしまして、学校で炊く御飯と同じような保温を十分考えながらやっているわけでございまして、冷たいものを食べさせているわけではございません。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 あなたはそうおっしゃるけれども、やはり現場へ行きますと、あなたいまここで日本じゅう一括に言われるような状況にはなっておりません。われわれ現場の実際にやっていらっしゃる皆さんから聞きますと、地場米の消費もきわめて不十分であるという声も聞く。それから、そういう保温の問題などについてもやはり不十分である、こういう声もたくさん聞くわけなのであって、そういう面はひとつ一遍よく見直していただきたいと思うわけです。  それから、これも大分国会でも問題になっておるようですが、給食調理員の設置基準が昭和三十五年からほとんど変わっていないということであります。その後給食の内容も非常に豊富になってもくるし、米飯給食も入るし、こういうことで、現在給食調理員の昭和三十五年に文部省の方から通達として出されております基準を変えていく。こういうことについては、この前の国会ごろから多少文部省の方でも見直すというか検討したいというような御意向も一部流されておるわけでありますが、いまどういうふうな状態に臨んでいらっしゃるのでしょうか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 先ほど来論議がございますように、米飯給食の導入によりまして、自校でやる場合にかなり手間がかかるという問題もございます。しかし、まだ週二日というのが完全な形で定着しているわけではないのでございます。したがいまして、当面は地方交付税ではああいう形で財源措置を講じていただいておりますが、調理従事員の人員の問題につきまして、それに伴う作業量の問題につきましては、もう少し米飯給食が安定した段階で調査をして対応を考えていくことが基本的に必要であろうというようなことでございまして、そういう状況を見ながらその労働量の調査を考えていきたいと思っておるわけであります。  ただ、最近全般的に公務員の人員増というのは、財政事情もございますし非常に厳しい姿勢で抑制をしていくという国全体の考え方があるわけでございます。したがいまして、われわれとしてはできるだけ人員増をしないで、事務の合理化、改善によって救済できるものは救済していくという努力をしていかなければならないだろうと思います。そういう点では、調理器具の近代的な施設の導入というようなこともあわせて積極的に考えていって、従来示した配置基準が妥当かどうかということは、もう少し米飯給食の安定を見た上で調査をし、対応していきたいと思っております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 文部省の方で昨年の五月ですか六月ですか、調査をせられておりますね。毎年これはやっていらっしゃると思うのですが、実態が二十年前に出されたものと大分外れかけてきた、こういう傾向を示しておると思うわけです。標準施設規模、小学校の場合八百十人、十八学級で四人というのが、この調査で見ると四・六人になっておる。中学校は六百七十五人、十五学級で二人ということになっておるのですが、五・二人ということになっているのですね。こういうのは非常に大きな間違いがあるわけですね、交付税の交付の基準になった場合。こういうところを何とかいじるということはできないですか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 文部省の示している調理従事員の配置基準は一応の目安として考えているわけでございまして、要は、それだけの人で具体的な調理作業が適正な形で実施されているかどうかということが問題だと思います。ですから、いろいろなセンターの場合、単独校の場合、それからどういう内容の機械設備が置かれているかというような問題等をあわせて考えていかなければならないと思うわけでございます。したがいまして、現在の文部省の示している基準が、そういう意味では非常に大ざっぱな形で示されているわけであります。  そこで、全国の実態の平均を見ますと、大体それに前後しておりますけれども、実際はやや上回ったような形で配置されているというのが現状であるわけでございます。そういう点で、地方交付税はそういう実態を十分考えた上で、必要な人員その他についての財源措置を願うように毎年努力しているところでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 これは、自治省はどうなんですか。実態は標準より大体一人程度上回っておるわけですね。中学校の場合は、半分ほどしか学校給食をやっていないということで、交付税の性格から二人ということなのですけれども、学校給食をやっているところもいないところも同じような形で出ていくというのは、どう考えてもちょっと不合理なんですね。これは、やはり中学校の方が手間がかかるわけですから、これを五〇%、半分しかやれないから四人のところを二人分しか出さないのだというやり方は、交付税の性格とも絡んでくるようですが、これは何とか直せないのですか。

能勢邦之自治省財政局交付税課長

○能勢説明員 交付税におきます給食従事員の計算基礎のカウントの仕方でございますが、お話ございましたように、小学校の場合は標準団体で四人、それから中学校の場合は二人と賃金職員一人というのを基礎に入れておるわけです。  ところで、いま御指摘の学校給食の実施状況でそれを超えているじゃないかというお話でございましたが、私ども五十七年度の単位費用をつくる際も、文部省の方の数字と一回突合はいたしております。少し細かくなりますが、具体の数字でそのあたり御説明いたしますと、五十六年度の普通交付税で全体としてどれくらい入っているんだという理論上の数字を出してみますと、小学校の場合六万五千八十八名。実態がどうかということですが、小学校の場合、この数字に見合う賃金職員を外した職員がどれくらいいるかといいますと、これは五十六年五月の文部省の調査でございますが、五万九千六百九十一人という数字が出てまいるわけでございます。  中学校のお話がございましたが、中学校の場合で申しますと、先ほど言いました二人プラス賃金職員一人ということでやってまいりますと、全体として二万八千二十七人という数字が入ってまいります。全国ベースで二万八千二十七人というのが計算上出てまいります。それで、実態がどれくらいおるのかということで申しますと、賃金職員を含めて一万六千三百九十五人という数字でございます。  したがいまして、全体として交付税としては現在いる給食従事員、財源措置としてほぼ妥当な形で数字は入っているんじゃないかというのがわれわれの見方でございまして、さらに先ほど話がありました文部省の大ざっぱな目安、基準ということのようでございますが、そういったものと見比べましてもさほど不都合はないというようなことで、五十七年度も引き続き同じような人数を基礎にやってまいるという考え方でおるわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 どうもそれがよくわからないのです。従来からそういう答弁をされておるようですけれども、しかしこれは文部省の学校給食の昨年の五月一日に行われた調査を見てみると、明らかに設置基準の数よりも実態の数の方が多いわけですね。ですから、あなたの言われるような状態というのは一体どういうところから出てきておるのか。     〔木島主査代理退席、主査着席〕

能勢邦之自治省財政局交付税課長

○能勢説明員 重ねての御指摘でございますが、先ほど先生が、小学校で四・六人というお示しがございました。あるいは中学校で五・何人ということをお示しがあったわけでございますが、その数字は私ども詳細にはあれでございますが、恐らく給食を実施している小中学校で、しかもその内容が単独調理方式をとっておる、その学校についてだけ集めた数字じゃなかろうかというふうに考えられます。  交付税の計算の仕方でございますが、三千三百の地方団体のすべての小学校、中学校について画一的な方式で見てまいるというのが交付税のいまのやり方でございまして、単独調理方式をとっておる、とっていない、共同方式、あるいはミルク給食をやっている、やっていない、それぞれ給食の形態ごと、個々の学校ごとに見てまいるというのは、なかなか技術的にも、やはり補助金ではございませんので、交付税の場合は制約があるということでございます。  ところで、全体としては先ほど申し上げましたように、交付税でカウントしておる人数が全国に現におる調理員の数を上回るぐらいの数字で入っておるわけでございまして、先ほど申しましたように、まあまあ妥当な交付税の見方をしておるんじゃないだろうかというふうに、私どもは見ておるわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 いずれにせよ、あなたの方は交付税という性格からいって、全国的に見ればこうなっておると言うのですけれども、実際に給食をやっておるところはそれ以上の人がおるということは事実なんですよ。そこのところをやはり見ないと、それはやってないところもあるわけですからね。やっておるところはあなたのところ以上の人間が出ておるわけですから、そこのところを何か考えてやってやらなければ、これは自治省が計算をしてはじくときだけはいいでしょうけれども、その辺は交付税の持っておる一つの性格というか、本質的ないろいろな問題があるのだと思いますよ。しかし、やはりこの実態がそうでないということは事実であり、しかもその差がだんだん広がりつつある、こんな傾向なのでありますから、十分に自治省と文部省ともう少し詰めていだだいて検討していただきたい、こういうふうに考えるわけです。  それから、あと一問お聞きしておきますが、今度牛肉の給食が五円が五円二十銭ですか、これは果汁などの場合も同じですが、これはどうなりますか。二十銭分は父兄負担の増につながるわけですか。昨年も少しあったわけですが、それはいろいろ内部的にあれをして父兄負担にはつながらさない、こういう形の努力がなされたというふうに聞いておるわけですが、ことしの場合はどういうふうに処理されるおつもりですか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 昨年と同様に父兄負担を避けまして、流通の合理化その他に努めまして、価格の補助金の減った部分については父兄負担を避けながら対応していくという考え方でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 父兄負担させないで。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 そうでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)分科員 終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて田中恒利君の質疑は終わりました。  次に、竹内勝彦君。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 最初に、関西の学術都市、この問題に対して若干質問させていただきます。  わが国における文化学術、産業の振興と近畿圏の均衡ある発展を図るため、京都府の南部、木津川左岸丘陵地域、いわゆる京阪奈丘陵に文化学術研究都市を建設してもらいたいという要望がかねてより出ております。そして当面、近畿の学術研究の中核都市として位置づけられた同地域を対象として関西学術研究都市構想を早急に策定していただきたい、こういうことでお伺いしたいことは、この関西学術都市構想についていろいろな経緯があったと思いますけれども、現在のところまでどのような動きがあって計画としてはどこまで進んだのか、述べていただきたいと思います。

井上良藏国土庁大都市圏整備局整備課長

○井上説明員 お答え申し上げます。  国土庁におきましては、五十三年にできました近畿圏基本整備計画の位置づけに基づきまして、昭和五十四年度から関西学術研究都市の構想策定のための調査を進めてきているところでございます。昭和五十四年、五十五年度につきましては、近畿圏におきます学術研究機能の充実と学術研究都市整備の基本方向、また中核となる学術都市の位置選定等の調査を行ってきたところでございますが、学術都市を京阪奈丘陵に整備することが適当だという結果を得ているわけでございます。今年度は、前年度の調査結果を踏まえまして学術研究都市の基本構想、すなわち土地利用、施設配置の概略等につきまして調査を進めているところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 まず、この関西学術都市構想の位置づけとしてはどういうふうに考えておりますか。

井上良藏国土庁大都市圏整備局整備課長

○井上説明員 位置づけといたしましては、近畿圏にとりましても非常に重要な位置づけであろうかと思います。近畿圏につきましてはいわゆる相対的な地盤の低下等の問題が議論されているところでございまして、その近畿圏の振興、向上を図りますためにも非常に目玉となる一つの大きなプロジェクトであると考えているところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで、いま調査の状況等がございましたけれども、特に本年度、京阪奈丘陵、この木津川左岸丘陵地域ですね、これについて調査されておるようですが、どのような内容でございますか。

井上良藏国土庁大都市圏整備局整備課長

○井上説明員 先ほど申しましたように、五十五年度の調査の結果、京阪奈丘陵が中核都市をつくるのに一番適切な場所であるという結論を得たわけでございまして、そのところにおきまして、土地利用の概略あるいはそれに必要な施設配置の概略等の基本構想を現在検討している段階でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 国としてはこの構想に関して計画をいつまでに策定していくのか、その点明らかにしていただきたいと思います。

井上良藏国土庁大都市圏整備局整備課長

○井上説明員 来年度の予算におきましても計上さしていただいておりますが、五十八年度、基本計画の取りまとめを目途に進めてまいりたいと考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この立地する施設について国としての対応としていろいろ考えられますね。そこで、たとえば調査費なり研究費、こういったものを今後どういうところまで検討していくのか。そういう予算規模まで何らかのものがございましたならば述べていただきたいと思います。

井上良藏国土庁大都市圏整備局整備課長

○井上説明員 国土庁の行政部費といたしましては、来年度の予算といたしまして約千三百万円余りを計上いたしておるところでございまして、五十八年度を目途にと申し上げましたが、それにつきましてはまだ今後の検討ということになろうと思います。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この立地する施設について国としてはどういうように対応していこうと思っていますか。

井上良藏国土庁大都市圏整備局整備課長

○井上説明員 具体的な施設の内容につきましては五十七年、五十八年度の調査内容となろうかと考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで、ちょっと具体的な問題に入りたいと思いますが、第二国立国会図書館、仮称でございますが、こういう考え方で、京都府より、国立国会図書館の代替的機能を果たして、西日本の経済、文化、教育など各般の振興を図るために、第二国立国会図書館の建設の要望が出ておりますけれども、この要望はどんなもので、どのような考え方になっておるのか、明らかにしていただきたいと思います。

高橋徳太郎国立国会図書館総務部長

○高橋国立国会図書館参事 国会図書館の者でございますが、お答えいたします。  第二国立国会図書館を関西地域、特に研究学園都市に設けてもらいたい、こういうお話は、いまのお話に先行いたしまして昭和五十四年ころからいろいろ陳情等を受けておることは事実でございます。その結果といたしまして、昭和五十七年度から同件につきまして調査費を計上するという運びになっております。  設備の内容等につきましてはいろいろ御意向を承ってはおりますけれども、まだ内容についての具体的な御要望というところまでは話が進んでおりません。それは今後当館にプロジェクトチーム等をつくりまして五十七年度から検討を始めたい、そういうわけでございます。  以上でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 調査費と述べられましたけれども、どんな内容ですか、中身を。

高橋徳太郎国立国会図書館総務部長

○高橋国立国会図書館参事 お答え申し上げます。  ごく少額でございまして、われわれの国立国会図書館に将来計画調査会というものを設けてございますが、その将来計画調査会の運営費の中に関西プロジェクト関係といたしまして三百万円いただいております。これを運用いたしまして来年度に調査を始めたいというところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 同じく文化学術研究都市の中核的施設として日本のみならず世界の芸術に関する資料を総合的に収集、提供し、芸術文化の確立を図るために国立芸術博物館、仮称でございますが、これを建設されるよう要望が出ておると思いますけれども、この内容に関してどのようになっておるか、御説明ください。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 学術文化都市の構想というのは私どもの方の計画ではございませんので詳細には存じておりませんが、先般京都府の方から陳情にお見えになりまして、お示しのありました文書をいただいたところでございます。いろいろな国立の文化施設の誘致という問題がほかの県からも出てまいっておりますが、私どもの現下の財政の状況から、個別に具体的に検討する段階にまでは至っておりません。ただし、文化庁といたしまして全国の国公私立の文化施設の設置状況とか活動状況とかいうものを調査いたしておりまして、文化施設のあり方の調査研究をいたしておりますので、そういった際に一つの参考とさしていただきたいと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 いろいろな文化学術研究都市構想の中で、いま私が質問をさしていただきましたけれども、この要望を文部省として、今後のわが国における文化学術、産業といった面での京都の置かれた重要な立場、そういったものにかんがみてこの文化学術研究都市の建設が速やかに進んでいけるようぜひ全力を挙げていただきたいと思いますけれども、大臣としての所感を述べていただきたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 御高承のような財政状況でございますので、個々の案件につきまして非常に明確な答弁を申し上げることはなかなか困難でございます。御趣旨は十分理解をいたしておりますので、今後十分検討さしていただきます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 次の問題に移ります。  学校給食に関して先ほども質問がございましたけれども、若干私もそれに関連して質問をさしていただきます。  特に学校給食の中で中学校の給食の普及率が大都市においては進んでいっていない、こういう状況がございますけれども、どんな理由からでございますか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 中学の学校給食は、小学校に比較いたしまして十年おくれて具体的な普及が図られてきたわけでございます。したがいまして、昭和三十年代に入りまして始められたというのが一つ。それから、大都市においては給食施設をつくる十分な立地条件がそれぞれの学校でなかなか得にくかったというような状況が一つ。それから、一般的に大都市の食糧状況が、三十年代でございますから、ある意味では好転し始めてきている時期であったわけでございまして、学校給食を相当な経費を使ってやるべきかどうかというような問題がいろいろな面から出されていたというようなこと。また、学校の教職員の中にも中学校の学校給食に対して必ずしも前向きの対応がなかった等、いろいろな要因が重なり合って大都市における中学校の給食がおくれているというふうに理解しているわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 それじゃ中学校の問題で結構でございますが、代表的な大都市の普及率、そういったものも含めて、特にその中で京都の状況というのはかなりおくれておりますのでそれも含めて、概略で結構でございます、御説明ください。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 まず完全給食、補食、ミルクがございますが、完全給食で申し上げますと、札幌市が三四・二、広島が二八・四、福岡市が一〇〇ということで、ほかのところは大体において完全給食は実施されていないという傾向を示しております。牛乳だけの給食を実施しているところが、札幌で六五・八、川崎で一〇〇%、名古屋で九八・一、神戸市で九九・八、北九州で一〇〇ということで、ミルク給食はかなりの普及を示しております。  京都市の場合は、完全給食が〇・一、ミルク給食が〇・一ということで、総体的に指定都市の中でも京都の給食の実施状況というのはおくれているわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 いま御説明のとおり大都市がおくれ、京都におきましては非常に大きくおくれておる状況でございますけれども、どうでしょうか、今後の見通しとしてはどんなふうにお考えでございますか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 今後の見通しといたしまして、まず京都市の状況について申し上げますと、京都市では、一気に完全給食まで実施することは非常に困難であるということから、五十七年度からミルク給食を導入していきたいという方向で検討するということを当局の方から聞いているわけでございます。したがいまして、大都市に対しましてはミルク給食の普及をまずワンステップとして実施をしていくということが先決であろうと考えているわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 文部省として、この中学校給食に対する自治体の取り組みの姿勢及びその教育の効果をどのように評価しておりますか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 小学校は完全給食がほとんど一〇〇%の普及率を見ておりますが、中学校においては、いま御議論していただいているようにかなり格差があるわけでございます。したがいまして、そういうところに対しては、児童生徒の体位の向上ということも考えられますし、正しい食生活の習慣を身につけるというようなこと、ないしは、教師と生徒がともに食事をすることによる心の交流という意味で、給食による教育効果は十分に中学校においても発揮できると考えておりますけれども、各市町村における取り組みは非常にばらばらでございます。したがいまして、われわれとしてはそれらの市町村に対して、前向きに給食の実施を進めていただくことを願っている次第でございます。  なお、中学校において最近学校給食を実施したところで、青少年の非行問題、健全育成という観点からも非常な効果があったというような事例が新聞でも報道されておりますし、県の当局者からもそういう報告の事例を受けているところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 大臣、どうでしょうか。これは私、二年前のこの委員会におきましても、中学校の給食が特に大都市において大きくおくれておる、人格形成や教育という非常に重要な効果を上げていく、また教師と子供たちとの触れ合い、いろいろな面から重要なものであるという意味から、この前もここにおきまして要望しておきましたけれども、大臣として今後この給食に関してどこまで普及をさしていくのか、どう取り組んでいくのか、御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 学校給食につきましては、一般に言われておりまする各種の教育効果のほかに、ただいま局長から申し上げましたような当面の大きな問題であります非行防止にも役立ったという顕著な事例の報告もあるわけでございます。中学校における給食が小学校に比して著しく立ちおくれておる実態はお聞きしたとおりでございますが、文部省といたしましては、いろいろな困難があるわけでございますけれども、これまた申し上げましたように、さしあたってミルク給食から始めまして段階的に完全実施に向けて努力をしてまいりたい、こう考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 それでは、いまいろいろと効果が上がっていったという新聞報道等もあったとお聞きしましたが、簡単で結構でございますが、効果を上げている例があれば述べていただきたいと思います。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 これは福岡での報告で、五十六年三月二十九日付の朝日新聞で伝えられた記事でございますが、「“愛情給食”で非行追放 先生と親が体当たり」ということで具体的な事例が述べられております。この学校では非常に非行で学校の先生も親たちも悩んでいたわけでございます。そして給食が実施されていなかったために、結局、弁当を持ってくる子供はいいのですけれども、弁当じゃなくして昼食代を家から持ってくる、その昼食代で外の店に買いに出かける、買いに出かけたままなかなか帰ってこないというようないろいろな問題があったので、学校給食を実施していこうということで、学校、教育委員会、PTAの三者が一体になりまして、給食実施の体制をつくっていったわけであります。その結果、昼食の時間は安心して学校で、しかも先生、同級生と一緒に食事ができる、そしてその場を通じて先生たちとの交流の場が拡大していったというようなこと、また、あいさつが正しくできるようになった、ないしは金銭にまつわるトラブルが非常になくなったというようなことで、結果として生徒の非行の激減に大きい効果があったという事例が詳細に報道されたことがあるわけでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そうすると、いまの例から見ましても、比較的小単位のものでしたならば、そういった費用の面やいろいろな困難な面があるわけですけれども、それを乗り越えていくことができる、こう解釈していいのか。それで大都市のマンモスのところが、いままで給食をやっていない、それをいよいよやろうということになってきますと、いまの例のようなわけにはいかないと思うんですね。そういった面で、どうやっていったならばそこに突破口を開いていくことができるのか。どのようにお考えでございますか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 まず一つは、先ほども答弁申し上げたように、完全給食を一気に目指すということは非常にむずかしい問題がありますので、ミルク給食の実施から入っていくことが必要であろうと思います。このミルク給食の実施につきましても、ここ十年近くその普及の督励をしてきたけれども、なかなか大都市でミルク給食ですら定着しないという現況でございまして、ここに今後力点を置いて普及させることがまず第一であろうと思います。  それから第二段目は、本当に子供たちそして親たち、学校の先生方が学校給食を望まれる、学校給食の実施が必要であるというその給食の持つ有効性といいますか必要性という認識がないと、学校の先生は余りやりたくない、PTAもどうでもいいというような態度ですと、相当な経費を投入しての実施に市町村当局はなかなか踏み切れないということで、三者のそうした強力なムードがまず基礎になってくると思います。  それから、具体的な実施に当たりまして、一気にすべての学校ということはなかなかいきませんでしょうから、年次計画を立てて段階的に実施していくということが必要であろうと思います。ただ、立地条件によりましては、福岡市などで行われたように、学校の中ではなかなか給食施設を整備できない、共同調理場方式によらなければ敷地も確保できないというようなところについては、そういうセンターの活用ということもあわせて考えていくというようなことで実施していくことが必要であろうと思います。そういう幾つかの段階を踏みながら、中学校における給食の実施を図っていくことが大切であろうと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 それじゃ、余り時間もございませんのでこのことを伺っておきたいわけです。  二年前、五十五年三月、私がこの予算委員会第二分科会におきまして同じくこの問題に関して質問をいたしました。そのときの答弁といたしまして大臣は、「補助の体制につきましても、たとえば生徒数に応じるとか、施設の基準の面積、設備費等の算定の単価等々の問題について考えていくというような点につきまして、あるいはまた、人件費等の問題も大都市におきましては大きい問題がございますし、そういうことにつきまして今後ともに改善は続けてまいりたい、」との答弁がございました。その後、文部省としてどのような改善をされたのか、述べていただきたいと思います。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 まず施設につきましては、それぞれの基準面積の改善をすでに図ってきておりまして、施設の単価につきましては、毎年度小中学校の建物と同様単価改定を実施しているわけであります。また、設備につきましても、年々新しい機械の導入、そういうことを含め、また炊飯が必要であれば炊飯施設の導入に必要な経費、そういうものを考えながら設備に対する単価も上げてきたわけであります。したがいまして、今後ともそうした面で施設、設備の面は実態に合うように必要な単価の改定、そういうことを実施していくことを考えておる次第でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 先ほど京都の状況としても数字を挙げて御説明いただきましたけれども、同じく私はそのとき、ぜひこの中学校給食が進展できるようにということで要望しておきました。五十五年三月から五十七年の約二年間、京都の状況としてはどのような進展がございましたか。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 京都の進展は特にないわけでございますが、先ほど御報告申し上げましたように、五十七年度はミルク給食を実施する方向で積極的に体制をつくっていきたいという当局側の返事がございましたので、われわれも五十七年度におけるミルク給食の普及を期待しておるところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 いままで御説明いただいたとおり、国として大きくおくれておる大都市、なかんずく京都に対しても、非常におくれておる、こういった面から、助成金が隘路になっておるとすればそれをどう克服していく考えがあるか、助成金をどのように持っていく考えなのか、その考え方があれば御説明いただきたいと思います。

高石邦男文部省体育局長

○高石政府委員 施設設備の補助対象基準というのは、京都に特例をつくるわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、四十七、八年以降今日まで基準改定その他を実施してきておりますので、全国的に見ますとそういう面での問題点はおおむね解消してきていると思うわけでございます。  したがいまして、京都の問題はそういう補助金の金額というよりも、まず京都市自体で、親たちを含めて、中学校における完全給食をやる気があるかどうかというところがまず前提でございまして、その問題が解決すれば補助金の問題は他の都道府県と同様、他の市と同様、それを実施されるに必要なものの配分は考えていきたいと思っております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 終わります。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて竹内勝彦君の質疑は終わりました。  次に、川本敏美君。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 予算の分科会のしんがりを承って、若干質問をいたしたいと思うわけであります。  昨年の十二月十七日に、奈良の文化財研究所が奈良県の明日香村にあります水落遺跡の発掘調査を続けてきたけれども、その結果、これがいわゆる漏刻台といいますか、そういうものの遺構であるというようなことが公表されたわけですけれども、この水落遺跡の歴史的価値といいますか、文化財的な価値といいますか、それについて、まず文部省や文化庁はどのように考えておるのか、お聞きをいたしたいと思います。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 昭和四十七年から四十八年にかけまして、奈良国立文化財研究所と奈良県の教育委員会合同でこの地域を発掘調査いたしまして、大規模な正方形の石組みの溝とか、相当大きな建物があったと思われる柱跡の列を発掘いたしたわけでございます。  この前後の地層の状況その他から見て、七世紀後半という時代でございますと、これだけの大規模な建物、柱跡から見て大規模な建物というのは相当重要な施設だったということがはっきり推定できますので、その段階におきまして、これは律令国家の成立に関係いたします重要な施設であろうという推定のもとに、史跡に指定いたしております。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 奈良文化財研究所の発表を見ますと、この史跡は、日本書紀の記述に出てくる漏刻台というものとほぼ符合をするんじゃないか。七世紀後半といまおっしゃいましたけれども、日本書紀の斉明六年五月のところに、「皇太子(ひつぎのみこ)、初(はじ)めて漏剋(ろこく)を造る。民(おほみたから)をして時を知(し)らしむ。」こういうような記述があるわけですよ。さらに、同じ日本書紀の天智十年のところに、「夏四月(なつうずき)の丁卯(ひのとうの)の朔辛卯(かのとのうのひ)に、漏剋(ろこく)を新(あらた)しき臺(うてな)に置(お)く。始めて候時(とき)を打(う)つ。鐘鼓(かねつづみ)を動(とどろか)す。始めて漏剋を用(もち)ゐる。此の漏剋は、天皇(すめらみこと)の、皇太子(ひつぎのみこ)に爲(ましま)す時に、始めて親(みづか)ら製造(つく)れる所(ところ)なり」、「皇太子」というのは中大兄皇子を指すのだそうでありますけれども、そういうような記述と全く符合するんだというようなことを言われておるわけですけれども、文化庁としてもそのように考えておるわけですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 昭和五十一年に史跡に指定いたしました段階では、いま先生がお話しになったことはまだわかっていなかったわけでございます。しかし、その段階においても、柱跡の規模、数等から見て相当の施設であろうということで後世に保存することが決まりまして、史跡に指定されたわけでございます。そこを明日香村でもって買収をいたしまして、史跡として整備しようとして昨年から取りかかったわけでございます。そして、その中央の基壇のところを整備するために一度掘り返しましたときに、いまお話が出ましたような正方形の漆塗りの木の箱があったと思われる跡が出ましたり、それから木の暗渠のといが出たり、銅管が一部出たりしたわけでございまして、発掘に当たりました奈良国立文化財研究所の意見では、いま先生からお話がありましたように、これは漏刻台の跡であろうということを自信を持って発表いたしております。  ただ問題は、こういうものは学問的に大方の学界の承認が得られることが大切でございまして、文化庁としてまだそれ以前に断定できる状況ではございません。なおしばらく学界の論議を見まして、恐らく間違いないと文化財研究所の所長も自信を持って断言しておりますので、間違いないとは思いますが、学問的に断定できるのは、いましばらく時間がかかると思っております。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 そこで、いまお話にありましたように、基壇の遺構の中央部に漆塗りの箱のようなものが出てきた。その下部には木製の樋の暗渠といいますか、そういうものが埋設されておって、そこに直径二センチ七ミリ程度の銅管が一緒に出てきた。その周囲は炭で包んであった。恐らく冷えないように、暖めるために炭で包んであったのじゃないかということです。  前に明日香村では高松塚の遺跡も出てきて、この付近は大変こういう遺跡の多いところであります。この遺跡の評価については、いろいろな方がいろいろ言っておられるわけですが、新聞で拝見しておる限りでは、狩野部長は、全く予想もしなかった遺構で、本当にびっくりした、建物の規模や堅固なことから考えて、漏刻だけの施設ではなく、天文を計測する、星を占う台のような機能もあったのじゃないかというような意見とか、あるいは京都大学の藪内先生は、これは単なる漏刻台ではなく、渾天儀、リングを組み合わせた式の天文の観測器ですね、そういうようなものを備えつけるほどのりっぱな建物が建っておったんじゃないかというような推測さえ出ている状態です。  そういうような状態ですから、先ほどおっしゃったように、学説はいろいろあるから、これをまずきちっとはっきりしなければ文化庁としては断定できない、自信を持ってやっておるようだけれども断定できないということですが、その銅管がずっと延びていった先が、現在小学校の校庭に入ってしまっておるわけですね。ところが、現実にはその校庭の中まで入っておる銅管あるいは木樋の暗渠、そういうようなものについては調査がこの校庭との境目で打ち切られておるわけです。私は、やはりこういう重要な遺構であれば徹底的に調査をするべきではないか、このように考えるのですけれども、それはもうそんなことまでやる必要はないとおっしゃるのかどうなのか、その辺、どうなんですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 飛鳥の地域については、地下にいろいろな重要な遺物が包含されておりますので、相当いろいろな発掘調査を行わなければならないと思っておりますが、いま直ちに全部それを行うということよりは、いろいろな施設を建てるとかあるいは圃場整備をするというときに順次調査をしてまいるということで調査する方が現実的であると考えております。このといの先あるいは銅管の先についても、調査をしないで放置するということは考えておりませんけれども、いまお話のありました学校の校庭であるところというのは私有地でございまして、なかなか地権者の了解が得られないと調査することはできないわけでございます。いま直ちに調査にかかれる状況ではございませんけれども、文化庁として調査を断念するということはございません。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 そうしたら、文化庁は大体いままでから史跡とか私有地の遺跡とか言われるものの調査について非常に消極的ですね。たとえて言いますと、開発申請が出されたとかいう場合には、その調査費は開発者の費用負担でやるとか、あるいは県や市町村が道路を建設するとか公園を建設するとかいう場合でも、それを県や市町村の予算の範囲内でいわゆる調査をやるという程度で、政府みずから、国みずからが乗り出して、国民的な文化財、こういうものを調査をして、そしてこれを国民の財産として永久に保存していこうというような積極的な姿勢に欠けておると私は思うわけです。  そういう点で、この際もう少しお聞きしたいのですが、そうしたら、漏刻台かどうかまだ断定できないとおっしゃるわけですけれども、やはりこれは遺構として整備して保存すべきではないかと私は思うのですけれども、その点についてはどう考えていらっしゃいますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 学問的な学界での検討になお時間を待つ必要があると申し上げたことは、実はこれを漏刻台でないと言っているわけではございませんで、まずそうであろうということは間違いないと思うし、どういう形であろうと、発掘されたそのものは史跡でございますから、整備していかなければならないということは当然でございますし、いま県や村とも相談して、専門の学者の方々に入っていただいて、どういう形でここを整備していくかという検討に取りかかろうとしておるところでございます。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 せっかく大臣おいでですから、大臣にお聞きしたいのですが、こういう千三百年も前のわが国の文化水準を示す、そんな古い漏刻台が出たというのは世界の歴史上初めてなんですね。そういうわが国の文化水準を示すような遺構が出てきた。そしてそこには銅管も木製の暗渠の樋も出てきた。これは具体的なものがあるわけですよ。漆塗りの箱も出てきた。これを、学説がいろいろあるから、断定できないからということで積極的な姿勢を示していないと私は思うわけです。県や市町村、地元の明日香村と相談をしてというお話ですけれども、私は、いままで文化庁のこういう文化財行政というものが常に後手後手に回っている、積極性がないと思うわけです。それはまあ、予算が足らない、人員が足らない、こういうことからそういう姿勢を示しておるのか知りませんけれども、お隣の中国や韓国等のいわゆる埋蔵文化財といいますか、そういうものの発掘調査あるいは保存にかけている熱意や情熱、それと予算というものと、わが国の政府のやっておることは雲泥の差がありますね。文部大臣、こういう問題、やはり予算がなければ予算を獲得してでももっと積極的にひとつ進めるべきではないかと思うわけです。  一昨年ですか、明日香の特別立法ができましたね。その特別立法というものは、地元の住民に対する規制だけを厳しくして、そして調査も大変おくれておるわけですけれども、やはりもっと予算を拡大して、調査すべきところは早急に調査を完了して、国民の前に明らかにするとともに、その地域に住んでおる住民の方々に対する規制も、規制を加えて守るべきものは守る、そういう区域のなにをはっきりしなければ、いまみたいに保存の網をかぶせて、村じゅう全部保存しなければならぬような体制のままで、調査が終わるのには何百年かかるかわからぬ、こんなことじゃいけないと私は思うのですよ。そのためにもひとつ積極的な、このせっかく出てきた貴重な遺跡、漏刻台ですから、この漏刻台の予算の問題からまず手をつけていただきたいと思うのですが、大臣の決意をひとつお聞きしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 漏刻台の跡であるに違いないと考えられる遺跡が発見された、これはまことにショッキングな事実であると考えております。ただいま次長が答弁いたしましたように、これが漏刻台の遺跡であるということについて、学界一致の支持が得られると否とにかかわらず、現に奈良県あるいは明日香村と緊密に連絡をいたしまして、専門家を交えて検討をいたしておるわけでございますから、今後も適切な整備をいたしますように努力をするつもりでございます。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 そこで、今度はもう少し具体的なことをお聞きしますけれども、奈良文化財研究所の調査体制といいますか、人員の問題等も含めて現在はどういう状態にあるんですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 奈良の国立文化財研究所の内部の体制を申し上げますと、平城宮跡発掘調査部それから飛鳥藤原宮跡発掘調査部、そのほかに埋蔵文化財センターという施設がございます。これは全国の埋蔵文化財の専門家の研修を行う機関でございます。こういう平城、飛鳥藤原という発掘調査の組織と、それから全国的な、各都道府県の埋蔵文化財の専門家の研修機関としての両方の仕事を行っております。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 そうすると、平城宮跡の発掘調査に当たっている陣容、体制と、それから飛鳥藤原宮跡発掘調査に当たっている人員ですね、それはどのくらいおるのですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 平城宮跡の発掘調査部は二十九名でございます。飛鳥藤原宮跡の発掘調査部は十九名でございます。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 飛鳥藤原宮跡と言いますけれども、現在調査しておるのは藤原宮跡とそれからこの水落遺跡とだけじゃないですか。ほかにやっていますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 飛鳥地区につきましては、平城宮とかあるいは藤原富みたいに、いわば宮殿形式の集中した都市構成になっておりませんで、さらに前の時代でございますので、何々宮、何々宮というものが分散いたしております。それを順次発掘調査いたすわけでございまして、当時の官寺である、たとえば大官大寺とか飛鳥寺とか、こういうものを全部含めて順次調査しておるわけでございます。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 そうすると、飛鳥藤原関係が十九名、そこへ、ボランティアとかあるいはパートタイマーとか、いろいろなお手伝いといいますか、調査の人の補助もつくんだとは思いますが、この体制で飛鳥藤原関係の調査は大体何年ぐらいで完了するのですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 考古の発掘調査についてちょっと御説明が悪かったと思いますが、考古学会の強い要請もございます。それは地中にあるのが安全であるということでございます。中国の場合も最近は余り発掘しなくなって、学問研究のテンポに追いつく範囲で発掘調査をするというふうになっておりますが、わが国におきましても、考古学会からは、発掘調査の度合いが早過ぎると言ってむしろ批判があるわけでございます。学問研究のいわば討議なり、その研究の大方のあれが固まって一つ一つ発掘調査していく。たとえば私ども以外にも、奈良県で橿原考古学研究所がこの地域でずっと根気よく研究していてくれますが、発掘調査しながら学問研究し、学会で発表し討議して、それが通説として了承され、それを経てさらに次の発掘調査に、さらに下へ移っていくというかっこうで何層にもなっておりますから、これを発掘調査しましてその次に取りかかるには、まずこの層が承認されてからでないと、うっかりしまして先行きますと、これがみんな壊れてしまうわけでございます。そういう意味におきまして、余り発掘調査を急がないように学会から厳しい注文がついております。  しかし、そうは申しましても、あの地区に住む方々が生活上家を建てるとか、そういったいろいろな場合に、学問研究のテンポにないからだめだというわけにまいりませんので、それについては、私ども奈良の国立の研究所も持っておりますし、奈良県でも橿原考古学研究所を置いておりますし、明日香村も大学の先生に委嘱して発掘調査を行っておりますので、この三者がそろって手を合わせて協力しながら、そういう家の改築等に当たっては住民に支障を来さないように発掘いたしていきましょう、こういう体制で臨んでおりまして、私ども、決して発掘調査のお金がないからこれをしないということではございませんで、学問研究のテンポに合わせながらやっていくのが一つと、さはさりながら、住宅建築その他の住民のいろいろな要請があったときに、それに支障がないように最小限そこは緊急にやるという構えでいま仕事に対処いたしております。  じゃ、この陣容で完璧に十分であるかというと、必ずしも十分でないというふうには考えておりますけれども、昨年、昭和五十六年度も明日香特別立法との関係で二名充員したばかりでございます。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 県に橿原考古学研究所がある。そこの調査員が大体二十名ぐらいおる。あるいは、いまおっしゃったように、明日香特別立法に基づく基金制度といいますか、そういう中で——そうじゃない、これは一般財源でしょうね。一般財源で二名増員をしておる。しかし、奈良の橿原考古学研究所の体制というのは——奈良では五十九年に国体が開かれるのです。国体の関連事業で道路を建設したり、運動公園をつくったりということで、県下各地でいろいろな事業がいま大規模に始まっておるわけですけれども、それがたまたま私有地の遺跡があったり、古墳があったりということになると、全部事前に発掘をしなければいかぬということで、いま現在県の調査体制は、飛鳥とか藤原宮跡とか平城宮跡のプラスになるような活動はとてもできないのじゃないかと私は思っておるわけです。村で知った二名ふえたということだけで調査体制が大変強くなったようなお話ですけれども、私は、思い切って明日香村に考古学の、埋蔵文化財の調査員といいますか、そういうような発掘調査に当たる調査員を養成するような施設でも国でつくって、調査員を、地元の規制を受けて農業もできにくくなってきておる人たちがたくさんおるわけですから、その人たちの仕事、雇用、こういうものともにらみ合わせて、ひとつそういう養成所のようなものをつくって、年にたとえ十人ずつでも養成をしていく中で、こういう埋蔵文化財の発掘調査がもっと前進するようにしてもらわなければと思うわけです。  先ほどのお話のように、学問的立場、研究者の立場からは地下に埋蔵しておいた方が安全なんだということで、百年かかろうと二百年かかろうと構わないのだというような発想がある。ところが、その上には、現在生活しておる住民がおるわけですからね。現にそこにたくさんの住民が生活しておるわけですから。その人たちは、自動車を買いたくても、ガレージは建てたらいかぬ。家が古くなって傾いてきても、住宅は改築したらいかぬ。石垣が壊れても、一々許可が要る。これじゃ、その上に住んでおる人たちは、たとえば水洗便所一つつくりたいと思っても許可にならない。千三百年前と同じ生活せいたって、周囲の生活水準はもう変わっておるのですからね。そういう形のものになじませていこうというようにすれば、これはもう研究者中心だけでは片手落ちだと私は思うわけです。  だから、その辺についても配慮をしながら、ひとつ調査研究体制というものを充実強化をするとともに、いわゆる予算を早急にふやしてもらわなければ、いまのお話でしたら予算の問題じゃない、住民の生活の問題じゃない、言いかえれば学者の研究的な立場から見たらということで、学問研究中心で飛鳥問題あるいは文化財の保存問題、そういう問題が文部省や文化庁で考えられているとしたならば、これは私は大変な問題だと思うわけです。その点について文部大臣、ひとつどうですか。私の言うこと間違っていますか。政府の考え方はそれでいいと思いますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 これは学問の研究の問題でございますから、やはり必要な手順を踏んでいくべきものだと私も考えておりますが、さればと申して、地域住民の生活というものをまるまる無視するわけにもいかない。その調和を図りつつ、適切に対処していくべき問題だと考えております。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 もう時間がありませんので、最後に一つだけお聞きしたいと思います。  この漏刻台の関係の予算は、来年度の予算ではどうなっていますか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 史跡の整備を行うことにいたしておりまして、今年度から取りかかっておりますが、来年度は一応千六百万の補助の要望が出ております。今年度は明日香村に五百万補助をいたしまして、整備を行っております。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 明日香村に補助をして整備をするということになると、その整備をする主体は明日香村ですか。

山中昌裕文化庁次長

○山中政府委員 飛鳥地域におきますいろいろなこういう史跡の調査整備につきましては、国と県と明日香村が協力して行うことになっております。たとえば古墳などが出ましても、村としてむしろ調査したいということで大学の先生をお願いして調査するという場合もございます。これについては、調査は奈良の文化財研究所と県の方が委託を受けて調査しましたけれども、明日香村で公有化したいということで、村に補助して公有化したものでございます。それを明日香村として整備したいということで、私どもが補助をし、また、それの技術的な指導をいたしている、こういう形でございます。国としてやるもの、県としてやるもの、村としてやるもの、この協力で飛鳥地区の整備は行っております。

川本敏美日本社会党

○川本分科員 もう時間がありませんので、それならもう一言だけ言っておきたいと思うのですが、そうすると、この漏刻台というものは国の責任において整備、保存をすべき遺構ではなくて、村が整備して保存すべき程度のものだということに国民的には思われるのじゃないか。私は、やはりこういうものは国の責任においてやるべきほどの重要な文化財であると思うのですが、その点ひとつ、村任せで国は補助でということではこのような大切な遺構の保存やあるいは史跡の保存、文化財の保存ということはできない、この辺をはっきりと認識をいただいて、そして、その上に住んでおる住民が現在生きておる、その人たちの生活に規制を加えて、制限を加えて、それで遺構さえ保存されれば地下に埋まっておる方が安全だ、こういうような考え方だけで政府が、文部省が、文化庁が対処しておったのでは、私はこれは周囲の住民とのコンセンサスは得られないと思うわけです。だから、その辺について十分配慮しながら、今後積極的な文化財保存行政を進めていただくように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

砂田重民自由民主党

○砂田主査 これにて川本敏美君の質疑は終わりました。  以上をもちまして、文部省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会

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