予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 221 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/02/26
会議録
○砂田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。 本分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。小川文部大臣。
○小川国務大臣 昭和五十七年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 昭和五十七年度の文部省所管予算につきましては、いわゆるゼロシーリングのもとに、臨時行政調査会の第一次答申を尊重しつつ編成いたしたところでありますが、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、教育、学術、文化の諸施策について予算の確保に努めたところであります。 文部省所管の一般会計予算額は、四兆五千八百四十八億三千四百万円、国立学校特別会計の予算額は、一兆四千七百四十一億三千万円でありまして、その純計額は五兆二百二十億四千四百万円となっております。 この純計額を昭和五十六年度の当初予算額と比較いたしますと、千六百八十億八千四百万円の増額となり、その増加率は三・五%となっております。また、文部省所管の一般会計予算額の増加率は二・六%となっております。 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。
○砂田主査 この際、お諮りいたします。 ただいま小川文部大臣から申し出がありましたとおり、文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○砂田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔小川国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、昭和五十七年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。 第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数につきましては、昭和五十五年度から第五次改善計画が発足したところでありますが、昭和五十七年度におきましては、臨時行政調査会の第一次答申及び行革関連特例法の趣旨を踏まえて、この改善計画の第三年次分として、いわゆる自然増と合わせて九千三百四十二人の増員に係る経費を計上いたしております。 また、教職員の資質の向上を図るため、新規採用教員等研修、免許外教科担任教員研修、教員の海外派遣、教育研究グループ補助、教育研究団体への助成等、各種研修を引き続き実施することといたしております。 次に、小学校及び中学校における新教育課程の実施状況について、昭和五十六年度を初年度として四カ年にわたり総合的に調査研究を行い、将来の教育課程や学習指導方法の改善に資することといたしておりますが、昭和五十七年度におきましても引き続き調査研究を進めることといたしております。 生徒指導の充実強化につきましては、学校、家庭及び地域社会が一体となった生徒指導推進体制の強化を図るため、新たに中学校生徒指導推進会議を開催することとしたほか、カウンセリング技術指導講座を拡充するとともに、引き続き生徒指導推進校の指定等を実施することとし、さらに、人間性豊かな児童生徒の育成に資するため、新たに勤労生産学習研究推進校の指定を行うこととしております。 義務教育教科書の無償給与につきましては、引き続きこれを推進することとし、定価の改訂など所要の経費を計上いたしております。 幼児教育につきましては、特に私立幼稚園園児の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、幼稚園就園奨励費補助について、保育料等の減免限度額を引き上げることとしたほか、引き続き幼稚園施設の整備を図ることといたしております。 特殊教育につきましては、重度、重複障害児のための介助職員の増員を図るとともに、心身障害児の適正就学の推進等を行うことといたしております。 学校給食につきましては、魅力ある学校給食をめざして、学校給食施設設備の整備充実を図ることといたしております。 また、児童生徒等の健康の保持増進に資することとするため、日本学校安全会と日本学校給食会とを統合して日本学校健康会を設立するとともに、健康診断、交通安全教育の充実を図ることといたしております。 次に、公立学校施設につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、必要な事業量の確保と補助単価の引上げを図るとともに、危険建物改築補助基準の千点引上げ措置の継続、国庫補助対象経費の非木造建物の解体撤去費への拡大、たくましく心豊かな児童生徒の育成を図るための屋外教育環境整備に対する国庫補助制度の創設、小中学校クラブハウスに対する国庫補助の拡充等を行うこととし、これらに要する経費として、四千八百三十七億円を計上いたしております。 以上のほか、要保護、準要保護児童生徒援助の充実、地域改善対策としての教育の振興、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の充実、英語教育の振興等、各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。 第二は、高等教育の整備充実に関する経費であります。 まず、放送大学につきましては、昨年七月、その設置主体となる放送大学学園を設立いたしましたが、昭和五十七年度は、昭和六十年四月の学生受入れに向けて諸準備を進め、広く国公私立大学との連携協力の下に、放送を効果的に活用した大学教育の実施を推進することといたしております。 次に、国立大学の整備につきましては、従来から進めております大学、学部の創設準備等を引き続き行うほか、地方における国立大学を中心に教育研究上緊急なものについて学科等の整備充実を図ることとし、大学学部及び短期大学の学生入学定員を五百九十人増員することといたしております。 大学院につきましては、島根医科大学に新たに大学院を設置するほか、研究科、専攻の新設等により、七百四十三人の入学定員増を行うことといたしております。 また、附属病院につきましては、新たに岡山大学及び長崎大学の歯学部に病院を創設するほか、既設の附属病院についても救急部の新設等その充実を図ることといたしております。 なお、国立大学の授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和五十七年度にこれを改定することといたしております。 次に、公立大学の助成につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助等について、引き続き充実に努めることといたしております。 さらに、育英奨学事業につきましては、日本育英会の学資貸与について、大学院の貸与人員を増員するとともに、政府貸付金八百七十三億円と返還金とを合わせて千百三億円の学資貸与事業を行うことといたしております。 第三は、学術の振興に関する経費であります。 まず、大学等を中心とする学術研究の基盤を強化充実するため、研究設備その他研究条件の整備に努めるとともに、独創的、先駆的な研究を推進するための科学研究費について引き続き拡充を図ることとし、昭和五十六年度に対して二十二億円増の三百八十億円を計上いたしております。 次に、重要基礎研究につきましては、核融合などエネルギー関連科学をはじめ加速器科学、宇宙、地球環境の解明などの研究を計画的に推進するとともに、九州大学の温泉治療学研究所を改組し、生体防御医学研究所を設置するなど生命科学の研究についてもこれを推進することとし、これらに要する経費として、五百二十九億円を計上いたしております。 また、国の内外を通ずる学術協力、交流につきましても、各般の施策を進めることといたしております。 第四は、私学助成に関する経費であります。 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、臨時行政調査会の第一次答申もあり、配分方法をより効率的なものに改善することとして、昭和五十六年度と同額の二千八百三十五億円を計上いたしております。 また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましては、私立高等学校の生徒数の急減に対応する等のため、昭和五十六年度に対して二十億円増の八百五億円を計上いたしております。 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金二十億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金四百七十四億円を計上し、自己調達資金と合わせて昭和五十六年度と同額の八百五億円の貸付額を予定いたしております。 また、専修学校につきましては、教員の研修事業等に対する補助を引き続き行うほか、新たに専修学校に国費留学生を受け入れることとし、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。 第五は、社会教育の振興に関する経費であります。 まず、地域における社会教育活動展開の拠点となる公立社会教育施設の整備につきましては、補助単価を改善するとともに、図書館について補助対象館数を増加することとし、これらの施策に要する経費として、百五十三億円を計上いたしております。 また、社会教育において重要な役割を果たしている社会教育指導者につきましては、派遣社会教育主事の給与費の補助について、これを改善することとし、指導者層の充実に努めることといたしております。 さらに、社会教育活動の振興につきましては、新たに生涯教育推進事業を実施するなど社会教育の幅広い展開を図ることとして所要の経費を計上いたしております。 次に、青少年の健全育成に資するため、青少年関係団体に対する補助を充実するほか、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきまして、岡山県賀陽町に第七番目の少年自然の家を設置することとし、所要の経費を計上いたしております。 第六は、体育、スポーツの振興に関する経費であります。 国民の体力つくりとスポーツの普及振興につきましては、広く体育、スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設について、その充実を図ることとし、これらに要する経費として、二百二十九億円を計上いたしております。 また、学校体育につきましては、格技等の指導者の資質向上、人材の確保などに努め、格技指導推進校に対する補助の拡充を図るほか、学校体育大会の補助についても引き続き所要の経費を計上いたしております。 さらに、体力つくり推進校や少年、高齢者を対象とした生涯スポーツ推進事業など家庭、学校、地域における体力つくり事業の充実を図り、たくましい青少年の育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。 以上のほか、日本体育協会の行う国際競技力向上事業や海外スポーツ技術協力事業に対し引き続き補助を行うとともに、国民体育大会の助成等各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。 第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。 まず、地域社会における文化の振興につきましては、こども芸術劇場、青少年芸術劇場、移動芸術祭等各般の施策について、引き続き所要の経費を計上してその促進を図ることといたしております。 また、芸術文化創造の援助等につきましては、芸術関係団体の創作活動に対する補助、芸術家研修、芸術祭について引き続き所要の経費を計上するとともに、新たに中国引揚者に対する日本語教材を作成するための経費を計上いたしております。 次に、文化財保護につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝、重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査、史跡の整備、公有化を進め、また、伝統芸能等の保存伝承を図るほか、天然記念物の食害対策を充実することといたしております。 また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる文化会館や歴史民俗資料館等の地方文化施設の整備を引き続き行うとともに、国立文化施設について、国立能楽堂、国立文楽劇場の建設工事を進めるほか、第二国立劇場についても用地購入等に要する経費を計上するなど、その設立準備を推進することといたしております。 第八は、教育、学術、文化の国際協力の推進に関する経費であります。 まず、主として発展途上国への協力を促進するため、国費留学生の新規受入れを大幅に増員するとともに、各国の需要に応じて高等専門学校、専修学校への受入れを実現するなど、留学生の受入れ体制を整備するほか、ユネスコを通じた教育協力等を推進することといたしております。 また、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設、派遣教員の増員、教材の整備等を行うとともに、帰国子女受け入れ体制の整備を行うことといたしております。なお、新たに海外子女教育に関する施策立案の基礎とするため、総合的な実態調査を実施することといたしております。 次に、学術の国際協力を推進するため、日本学術振興会が行う研究者交流事業、発展途上国との学術交流事業を充実するとともに、日米科学技術協力事業、中国との学術協力事業等の推進を図ることといたしております。 以上、昭和五十七年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議下さいますようお願い申し上げます。 —————————————
○砂田主査 以上をもちまして文部省所管についての説明は終わりました。
○砂田主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、後藤茂君。
○後藤分科員 限られた時間でございますので、私は、対訳外国語辞書、この一点にしぼりましてひとつ文部省の見解を伺いながら質問をさせていただきたいと思います。 質問に入ります前に、わが国では国立大学あるいは私立大学で外国語の講座が開かれているわけでありますけれども、その外国語講座が一体何カ国国立の場合開かれているのか。私立は重複しておれば結構でございます。もし、国立の方で開かれてなくて私立の方で開かれているものがあればつけ加えてお伺いを最初にしておきたいと思います。
○宮地政府委員 わが国の大学におきます外国語学科の種類についてのお尋ねでございますが、昭和五十六年度、国公私立大学を含めまして世界十八カ国語関係の学科が置かれております。国立については十八カ国、英語以下それぞれ十八カ国語の学科がございますし、公立につきましてはそれらのうちの五カ国語の学科がございます。私立につきましては九カ国語の学科がございます。 以上でございます。
○後藤分科員 私立の方は、公立の中に含まれると同じ学科と見ていいわけですね。
○宮地政府委員 そのとおりでございます。
○後藤分科員 それはそれでいいのですけれども、私がちょっと調べてみますと、世界の言葉、世界の諸言語というのですか、これがアカデミー・フランセーズの調査を見てみますと、二千七百九十六、これはローカルな土語というものも入っているのでしょうけれども、言葉があるようです。それから国際補助語協会が推定したところによりますと、二千五百から三千五百、こういうように世界各国では言葉が使われている。いま御答弁にありましたわが国の国立大学で教えている外国語の数は十八カ国語ぐらい。これで大体用が足りるというようにお考えかもわかりませんけれども、最近の文化交流というものは非常にグローバルに、世界各国と直接にその国の言葉を通じて理解を深め、また文化の交流をしていくことが望まれている中で、十八カ国語では少ないのではないだろうか、そういうように私は考えるわけでありますけれども、局長、この件はどういうようにお考えでありましょうか。
○宮地政府委員 先生の御指摘は、文化交流を促進するという観点から大学の語学教育をさらに広めるべきではないかという御意見かと思うわけでございます。 従来わが国の大学におきます外国語教育は、御案内のとおり、主として英語、ドイツ語、フランス語等について行われてきておるわけでございます。今後わが国が国際社会において交流を積極的に推進し、国際社会に貢献していくためには、これら西欧諸国の言語について基本的かつ実際的な能力の涵養を図るばかりでなくて、御指摘のように、さらに広く各種の言語について教育、研究の機会を拡充していくことは必要であろうかと考えております。このためには、今後とも各大学にその改善、充実のための工夫や努力を促してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 なお、国立の大学におきましては、現在LL設備の設置でございますとか、あるいは外国人教師、講師等の配置や、そのほか外国語担当教員の海外派遣の措置というようなことをも通じまして、外国語教育についてはいろいろと施策も講じているわけでございます。またそのほか、外国語教育の実施体制を整えるための語学センターの設置というようなことも大学の要請に応じて行っているわけでございます。先ほど申しましたように、十八カ国の関係の学科が置かれているわけでございまして、たとえばインド・パキスタン語、インドネシア語、インドシナ語、タイ・ベトナム語、ビルマ語、アラビア語、ペルシャ語というようなところまで学科としては置かれているわけでございますが、先生御指摘のような、世界各国の言語の全体についてそういうような方向というものは、私ども、今後とも努力をしていくべきことであろう、かように考えております。
○後藤分科員 これは言葉を通じて交流するのが一番の早道でありますから、十八カ国語だけで済まさないで、それぞれの各国の言葉を講座として開設をしていく。そして、恐らく教授一人に生徒一人というようなこともあり得るかもわかりませんけれども、ぜひ先ほどの御答弁のように進めていただきたいなというように考えているわけであります。 私は、きょう実はいろいろと申し上げてみたい焦点というのは、世界各国たくさんの言葉があるわけでありますけれども、和英あるいは英和というように英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、こういったところはたくさんの辞書がございます。私も「世界の言語辞典目録」というのを調べてみて、世界各国から出ておる辞書の一覧表を手にしてみたわけでありますけれども、ほとんどが英語、ドイツ語、フランス語対訳辞典なんです。国会図書館の方で調べてみましても、世界の対訳外国語辞書というのは、わが国で市販されているものが約四百四十五冊、これは前後するかもわかりません。こういうようにたくさんの辞書が発行をされているわけであります。また「辞典の辞典」という出版物を調べてみますと、日本で出版されている辞典は約三千五百タイトルがあるうちの語学で約八百タイトル、そのうち外国語は約三百五十タイトルだ、こういうように言われておる。この中身を見ると、大体がほとんど英、独、仏あるいはロシア語等が中心でありまして、そのほかの辞書というものが非常に少ないことを私は発見をしたわけでありますけれども、局長の方はこういった辞書の現況を把握されておりましょうか、簡単にお答えいただきたい。
○宮地政府委員 御指摘のように外国語、特に利用者の少ない外国語辞典があるわけでございまして、私ども調べておりますもので申し上げますと、利用者の少ない外国語辞典の例といたしまして、チベット語が三種類、モンゴル語が五種類、アラビア語が三種類、インドネシア語四種類、デンマーク語一種類というような事柄は調べております。 御指摘のように、大学の教育におきまして英語、ドイツ語、ロシア語等のものは比較的多いわけでございますけれども、そういう少数民族の言語というようなものは種類が少なく、また日本語による辞典があっても必ずしも十分でないというようなものもあるわけでございます。それらについてはもちろん英語等による辞典が使用され、さらにそれぞれの国の国語といいますか、それで訳す辞典が使われているわけでございまして、それらの点は今後とも私どもとしても努力をしてまいらなければならぬ分野であろうか、かように考えております。
○後藤分科員 先ほど私が申し上げましたようにたくさんのリストがあるわけですけれども、これがほとんど英語・ドイツ語とかあるいはドイツ語・フランス語とかいうように、つまり外国語での対訳が非常に多いわけですね。国内においてもたくさんの辞書が出ているわけでありますけれども、私がびっくりいたしましたのは、和英というように日本語を外国語にしていくというのが大変少ないように思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
○宮地政府委員 私ども必ずしも十分調査が行き届いているとは思わないわけでございますが、おっしゃるように和英のような形のもので二、三申し上げてみますと、たとえばモンゴル語について和蒙辞典というようなもの、あるいはポルトガル語などについては日本語からポルトガル語への辞典というものがあるように承知をいたしておりますが、そのほか御指摘の言語について日本語を直接その言葉に訳している辞典が比較的少ないというのは、御指摘のとおりでございます。
○後藤分科員 私も実はこのことに調べているうちに本当に驚いたのです。たとえばことしの一月四日の朝日新聞に出ておったわけですけれども、三十五年かけて和伊辞典、つまり日本語をイタリア語にする辞典を三十五年かけてやっと作成をした。これが一月にイタリア書房から一万二千円という高い価格で売り出されていくということになっている。後でまた御指摘をいたしますけれども、英、独、仏あるいはロシア語等と匹敵する、市場があるいは狭いのかもわかりませんけれども、イタリア語なんかは、伊和あるいは和伊辞典等はとっくの昔につくられておると実は思っておったわけです。いまごろ初めて出てきて、しかもある一人の大変熱心な研究者が営々努力して、そしてやっと三十五年もかかって約七万語の和伊辞典ができた。これに実は驚いたわけですが、その驚きの上に、実は私はこの人にもお会いしてお聞きしてみたのですけれども、三十五年間営々と和伊辞典をつくっていくために努力していく過程での国の助成というものが全くないわけなんですね。後でこれは、いや助成はしているということを言われるかもわかりませんけれども、出版されるまでの過程は全くないのですよ。こういったことを私は改めて実は知った。 そこで大臣、お伺いをしたいのですけれども、昨年私はギリシャからブルガリアをちょっと歩いたわけです。あそこのソフィア大学の日本語科コースの教授をやっている人と一週間ばかりずっと一緒に歩きました。そのときに、その人は日本語が達者だし、また日本の古典文学、古事記や日本書紀なんかも読んでいるのだというのに驚いたわけですけれども、直接に日本の古典なりあるいは日本文学等もその人は翻訳できる。しかし、東洋なり日本に興味を持っておる人はロシア語に翻訳されたものを今度ブルガリア語に翻訳している。そういう経由をしていかなければならない。そういたしますと、本当に正しく日本の文化というのを伝えているのだろうかという心配があるわけです。もしこういった辞書が本当に充実しておれば、もっともっと文化交流というのはうまくいくんではないだろうか、こういう話をして、せひひとつ日本の国会でもこういった問題を取り上げていただいて文化交流の役に立ててもらいたい。少なくともそういった辞書が世界各国の重立った大学の東洋学科なりあるいは日本語学科のコースには備えつけられているというようなことがあってしかるべきじゃないだろうか。しかも、辞書は計画をして一年や二年で実はできるものじゃない。先ほど和伊辞典で申し上げましたように、この人は三十五年かかっておる。また共作でもどうも余り思わしくないようです。一人ないし二人の人が手工業的にまとめていくという辞書の方がいいようでありますが、大臣、こういったことに対していかがでございましょうか。
○小川国務大臣 国別の外国語辞典につきましては、文部省としてはその開発研究を推進していこうという目的で科学研究費補助金を設けまして出版の助成をやっております。昭和四十七年度から現在までにハンガリー語、ベトナム語、ビルマ語、中世スペイン語、イタリー語、それぞれの辞典の出版について補助を行ってきております。さらに、文化庁におきましては昭和五十四年度から、母語別の学習辞典、日本語の意義、用法を学習者のその国の言葉、母語によって解説したものの作成に取りかかっておりまして、当面インドネシア語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語の辞典を作成する予定になっております。 ただいま仰せの点は、文化交流という観点から考えまして非常に大事なことと心得ておりますので、国別の外国語辞典の研究開発促進に一層の努力をしてまいると同時に、あわせて外国に対してもその普及を図っていきたい、こう考えておる次第であります。
○後藤分科員 大変予算の額が少ないのです。もう細かいことは申し上げませんけれども、単に文部省だけではなくて、外務省所管の方の国際交流基金もちょっと聞いてみたのです。この国際交流基金では、日本文化の紹介をした印刷製本費等に対する助成が行われているわけです。ここで聞いてみると、辞書はいままで全くないのですね。これは所管が違いますけれども、こういった辞書は文化交流の一番の入り口ですから。 大臣も十分御承知だと思いますけれども、日本の歴史をひもときましても、物の本を読んでみますと、八代将軍吉宗の時代に西洋学術奨励の方針を立ててから、青木昆陽等が蘭学でオランダ語訳等に対する先鞭をつけてきた、こういうふうに言われておる。たかだか二百五十年ないし二百年の歴史ですけれども、いまだに学科としては十八カ国ぐらい。それから辞書としては、外国語の辞書はありますけれども、和−外国という対訳辞書等が大変少ない。こういう状況では文化国家と言われるわが国としてはまことにさびしいではないかということを私は特に強調をしておきたいわけであります。 そこで、先ほどちょっと御紹介をいたしました高橋さんの話を聞いてみますと、和伊辞典が発行されるのに部数どのくらいですかと言ったら、五千部発行する。一冊一万二千円ですから、これは六千万円かかるわけです。しかも、和伊辞典の市場というのは恐らく狭いだろうと私は思うのですね。しばらくの間ずっと在庫の本になっていくだろうと思う。しかし、それでも熱心なところが、学者だとか出版社等が御利用になる。これに対して、五十六年度予算でこの和伊辞典には助成が出たそうです。これは確かかどうか後でお聞きしてみますけれども、何か六百五十三万円ばかり、約六千万円の一割ばかりが出たというようにお聞きをいたしました。ところが、この出方というのは、科学研究費補助金の成果刊行費なんですね。つまり、これがずっとでき上がっていよいよ出版をされるということがはっきりしたときに初めて出る、こういうことになっているわけです。 そういたしますと、この方も資料集めに二十年かかった。それからそれの編集に十年かかった。さらにそれを出版をしていくのに五年かかっているわけです。その間にもし一人の熱心な人が結局成果刊行できる段階に至らないと、これはこれでおしまいになってしまう。しかも、事は小さな字を見ていくわけですから、こういう辞書等をつくる人は目を悪くするそうです。そして、失明する場合もある。こういうことを聞きますだけに、政府が、各国のいろいろな辞書等をつくる場合に、こういう助成をしていく予算を組んでおる、ぜひひとつ名のりを上げてこれを利用してもらいたいということを、成果が刊行される以前の段階でやる必要があるのではないだろうか、こういうように私は考えるわけですが、大臣いかがでしょうか。
○小川国務大臣 仰せはまことに御同感でございます。御期待の方向で努力をしてみたいと考えておりますが、現在までやっておりますることにさらに改善、工夫の余地があるかないかを含めまして、ひとつ真剣に研究をいたしたいと思います。
○後藤分科員 改善の方法があるかないか、もちろん検討されていかなければならぬですけれども、私は大変大切だと思うんですね。本当にいま貿易摩擦等が大変騒々しくなっている場合、文化交流というものに予算をつけていくということはみんなが賛成でありますし、こうした熱心な方々が努力をしておるものに対して助成をしていくために、今年度予算はもういま審議をされているわけでありますけれども、ひとつ積極的に進めていただきたい。 そこで、先ほどちょっと局長の方にお伺いしておりますが、この成果刊行費が助成をされている、これは印税をもらってはいけないといいますか、印税はいけないということになっているように聞いているんですが、どうでしょうか。
○松浦(泰)政府委員 仰せのとおりでございます。
○後藤分科員 これも、文化国家としては大変冷たいあり方ではないかと思うんですね。何もこの方じゃなしに、こうやって——これも朝日ですか、昭和五十五年の七月の「読書」の欄に、「新しい外国語辞書」というので、「がんばる“少数派”」といって、こういう記事がございました。 これを見ましても、ここではたとえばハンガリー語−日本語あるいは日本語−ハンガリー語の出版をなさった久保義光さんという六十七歳の方。これも、六年前にヨーロッパに行ってハンガリー語に触れて、そして全然辞書がないということで始めた。いまでは二千語足らずから一万語近くのハンガリー語−日本語の辞書をつくることができた。もうすべてをこの辞書づくりにかけ、精魂を打ち込んだ。いま日本で入手できる唯一のハンガリー語辞典ではないかと思うのです。これも恐らく、全く助成がなされていないのではないかと思います。 さらにこの記事を見ますと、ポルトガル語辞典、これも資金難で頭を痛めておる、上智大学のコエリョ神父の話が出ております。バザーだとかいろいろなことをやりながら協力していただいて、やっと何とかめどがつき始めてきたというような記事が出ております。 あるいはペルシャ語辞典等にいたしましても、熊本大学の縄田教授ですか、この人がライフワークで、収録語数七、八万語のペルシア語辞典を自費出版で二百五十部つくったとか、こういう努力をなさっている。 そして、この人々は、成果が成って刊行されるときに、その印刷費用は出されますけれども、これまでの努力というものに対しては全くない。印税を払うべからずということになっているというのも、政治としてはまことに冷た過ぎるじゃないか。世界各国たくさんの言葉があって、どこの言葉も、日本と相手国との対訳の辞書が、少なくとも国会図書館に行けば全部ある、世界の重立った各大学に行けばあるというような形にしていくためには、いまのような制度では、本当にわずかな好事家が趣味のような形でやるものに期待をしていくだけになりはしないかというように考えますが、この点の見直しというものは考えられませんでしょうか。
○松浦(泰)政府委員 先生仰せのとおり、このような辞書をつくっておられる方は本当に努力に努力を重ねてやっていただいておると思います。先ほど御質問ございました上智大学のコエリョ神父の日ポ辞典の関係につきましてもお話が来ておりまして、私どもある段階におきまして応援したいと思っておるわけでございますが、御質問の中心にございました印税関係のことにつきましても、十分に検討しまして努力してまいりたいと思います。
○後藤分科員 こういうことを全く考えなかったのでしょうか。私も昨年何回か外国へ行きましたけれども、初めてなのです。こういった日本の文化等に対して大変熱心に努力している、昨年の九月には東欧の日本研究の皆さん方が来日をされて、東京と京都でシンポジウムが行われた。局長等は出席されておられなかったと思いますけれども、大変なものです。日本の古典等に対しての鋭い分析に実はびっくりしたわけなのです。 私がブルガリアでお世話になったミレバというまだ三十代の若い女性ですが、日本語もまことに達者でありまして、いま芥川の「河童」を翻訳しているのだということで、私にその翻訳を見せた。もちろんブルガリア語は私はわかりませんけれども、そのときにやはりいい辞書が欲しい、そして辞書をつくっていこうとするとその過程では全く何の手だてもない。それからまた、そういう人々は助成を余りよく知らないのですね。辞書は全く国際交流基金から助成がなされていないということは知らないのだろうと思うのです。こういったたくさんの辞書が不自由で、これをつくればみんな喜ぶだろうと思って努力している人々に、印税と言うべきかは別といたしまして、そういった助成というものはなされていく必要があろうと思います。いままではそういう制度がないということでありますけれども、ぜひこれからの予算の中で大幅に計上していただきたいと考えるのですが、大臣、この点も明確にお答えを願いたいと思います。
○小川国務大臣 いろいろ承らせていただきまして、啓発をしていただいた点が多々ありますことを感謝申し上げております。 御趣旨はしかと伺いましたので、真剣に研究をさせていただきたいと思います。
○後藤分科員 時間が参りましたので、またいずれ文教委員会等で時間をいただいてもう少しこういった問題に対して御指摘もし、また積極的な政策を立てていただくようにお願いしたいと思います。 私も昨年旅行したときにそういった人に会って、それぞれ迂回して、イタリアを知るためには独伊あるいは仏伊というような形で回り回ってその国の文化を吸収していかなければならぬということは、経済大国と言われ、文化国家と言われておるわが国としてはまことに恥ずかしいだろうと思うのです。しかも、五年や十年で辞書づくりはできないということになってまいりますと、二十一世紀を展望いたしましていまからこうした予算を積極的につけていただきたい。いまの和伊辞典の出版でもたかだか五千部で六千万円ということですから、これを十カ国やっても六億で済むことであります。その予算をつけてもすぐにそれが使われるというような状況ではありませんが。 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、いま申し上げました諸点につきまして積極的な対応策をとっていただきますように要望して、私の質問を終わります。
○砂田主査 これにて後藤茂君の質疑は終わりました。 次に、横手文雄君。
○横手分科員 今日学校教育をめぐって多くの問題が議論されておるところでございまして、ことしの予算委員会の一般質問等においてもその問題が取り上げられたわけでございます。そういった全般的な議論というよりも、本日は特に義務教育、小中学校における学校事務職員の問題について文部省の考え方をお尋ね申し上げたいと思うわけであります。 御案内のとおり、こういった人たちはそれぞれの小中学校に配属されておりますけれども、採用時点においては行政職員といった形で採用される、そしてそれが学校に配属されておるわけでございます。しかし、配属された学校ではそれぞれ採用のときから学校事務職員という形で採用されておるわけでございまして、教育の現場の中にあってもなくてはならない人たちということに相なっておるのであります。しかし一方では、学校の先生方についてはその労働条件の中でそれぞれ幾つかの優遇措置がとられているわけでございますが、行政職員ということのためにそれらの恩典は何もない、したがって教育現場の中でかなり混乱を引き起こしている、こういう事実があるわけでございますけれども、これらの問題について、まず大臣の御所見をお伺い申し上げたいと思います。
○小川国務大臣 学校事務職員は非常に多岐にわたる、かつきわめて繁雑な仕事を通常一人で処理しておるわけでございますから、その勤務条件の改善あるいは資質の向上につきましては、文部省としても従来から意を用いてまいったわけでございます。 そこで、たとえば待遇改善の面では、ただいま仰せの決議も踏まえまして行政職の四等級への格づけ措置等の実現について都道府県を指導いたしました結果、昭和四十九年度では事務職員の四等級格づけを実施していた県が十九県でございましたが、五十五年ではこれが四十三県に広がっております。五十六年におきましては全県四等級格づけが実現しているというのが現状でございます。 さらにまた、資質の向上という点につきましては、都道府県の教育委員会等で実施しております研修と別に、文部省自身も学校事務職員の組織する研究団体へ助成をする、あるいは学校事務職員を対象とした研修会の実施というようなことを行っておる状況でございます。
○横手分科員 方針としてはそういうことかもわかりませんけれども、現実に現場へ行ってまいりました。私もそういった人たちとお会いしてきたわけでございますし、教職員組合にもお会いしてまいりましてその実情も聞いてきたわけでございます。大臣、そういうことの御答弁でございますけれども、実際問題として、たとえば研修等につきましては、行政職の研修は行われておるわけであります。 しかし、大臣御答弁のとおり、こういった人たちは現実には学校の中におりますし、子供たちも先生、先生と慕っておりますし、医務員が休まれたときにはその代行もしなければならないし、遠足にもついていかなければならない、あるいはまたクラブ活動等についても一緒に生徒とやらなければならない、教壇に立って実際に教育をすることこそなされておりませんけれども、日常の中にはそういう問題がたくさんあるのでございます。しかし、一般の行政職といった形の研修は行われているようでございますけれども、子供たちを教育しなければならないといった形の研修はほとんど行われていない。そして、それぞれの地域で自治体に対して要請しておるけれども、これが聞き入れられていない、こういう事実があるわけなのでございます。いま大臣の御答弁ではございますけれども、実態としてはこういうことでございます。その点についての文部省のお考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
○三角政府委員 大臣から申し上げましたように、文部省でもやっておりますけれども、各都道府県で学校事務職員の研修を実施しているわけでございます。その場合の研修の内容としては、当然事務職員の職務との関連におきまして企画を立てるということになるわけでございますが、やはり本来事務職員は事務をつかさどることでございますので、ただいま先生御指摘のように行政的な内容というものが本体をなすと思いますけれども、都道府県の教育委員会で研修を企画いたします場合には、その職務の場が学校であるということにも十分に留意をしてつくっておる、こういうふうに理解しておるわけでございます。 ちなみに、学校でございますから当然委員御指摘のように、児童生徒との接触という面で教育的な状況なり意味合いなりというものは事務職員の場合にも出てくるかと存じます。しかし、やはり教員の行います学習指導と事務職員の行います職務内容とはその専門なり責任の範囲を異にするわけでございまして、通常事務職員がいたしますのは、庶務でございますとか文書の収受関係でございますとかあるいは教員の福利の面あるいは保健の面、生徒の関係でございますと、生徒の入学、退学等の事務上の事柄、それから学校の規模によりますが、いろいろな意味の経費の収入支出関係等の業務、こういうようなことで、そのほか施設の管理等もあるかと存じますが、どちらかと申しますれば一般行政職の一環としての業務内容というものが主体であろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
○横手分科員 だから私は一般行政職に関する研修がなされておるということは申し上げたわけでございまして、いわゆる学校の先生ではないわけでございますので、先生に対する研修までもということを申し上げておるわけじゃないのです。 しかし、実態として学校の中ではそういった立場の中にあるわけです。子供たちも先生というぐあいに呼んでおりますし、先ほど具体的なことを申し上げましたけれども、それらにも携わっておられるわけであります。 そうなりますと、主体的ではございませんけれども、教育の補助的な者、もっと言えば一翼を担っておられるような面もあるわけでございます。それはやっておられると言われますけれども、ここに五十七年二月十九日のある要求書があるわけでございますけれども、教育長に対して「学校事務の複雑高度化が一層すすみつつあるなかで、事務能率の向上・増大をはかるためには、学校事務職員の研修制度を確立することが肝要である」こういった要求書が出て、その中には「体系的・計画的な研修講座を設置し、」そして受講ができるあるいは「実務関係」「一般教養」、こういったような研修内容でやってもらいたいというようなことをそれぞれの地方ではそれぞれの教育委員会に申し出が出ておるという事実があるわけでございます。 したがって、これがおっしゃるようにきちんとなされているのであればこういうことはないのだろうし、あるいは私どもが回ってその人たちに直接お会いをしてもそういった強い希望があるという事実がございますので、これらに対してどう対処していくのか。もし足らざる点があるとするならば、文部省としてどう対処するのか、こういった点についてお聞かせをいただきたい。
○小川国務大臣 仰せのように事務職員もまた先生と呼ばれておる。また、お言葉のように教育の一翼を担ってもおるわけでございますから、研修につきましては、ひとつ改善について研究をさしていただきます。
○横手分科員 ぜひ積極的に御指導をいただきたいし、それぞれの地方で工夫をこらしてやろうというような動きがあるとするならば、文部省の方も各都道府県の教育委員会を御指導いただけるものというぐあいに考えておきたいと思います。そういうふうにこれから進むものだという期待をさせていただきたいと思います。 次に、その待遇面の中で特に育児休職の問題がございます。これは学校事務職員の皆さん方は、年齢制限がございますし、特に女子の方が非常に多いわけでございます。産前産後の休暇、これは法律に定められておりますけれども、しかし育児休職の一年間という制度が学校の先生の中にはあるわけであります。同じ学校の中で同じような形で仕事をしながら、この事務職の人たちだけはその恩恵がないということについては、特に管理職の校長先生あたりも大変困っておられるようであります。この人たちはやがて自治体へ戻るとかそういう人たちじゃないわけですね。行政職の試験をパスして入られたけれども、これは最初から学校事務員ということで採用されて、もう帰っていかれることがない、ずっと生涯そこへおられるわけでございますので、この程度のことについては同じような待遇をすべきだというぐあいに考えますが、いかがですか。
○三角政府委員 ただいまの委員の御指摘は一つのそれなりの御意見だというように拝聴いたしますけれども、私どもといたしましては、学校事務職員というのは必ずしも一つの学校にずっといるということではなくして、むしろ私どもの指導といたしましては、ずいぶん以前より、学校事務職員も他の学校あるいは教育委員会事務局などの部局、そういうところとの人事交流を適切にやることが望ましいし、そのことが学校事務職員の処遇の向上、改善にもつながる、こういうふうなことで指導を続けてきておりまして、したがいまして、そういうことからいたしましても、この学校事務職員に限ってこれを育児休業制度の対象といたしますことは、他の分野のいわゆる一般事務職員との均衡上も問題が非常に大きいことでございますので、これは昨年来、この問題を取り上げられた機会が同じ国会の別の場所でもあったわけでございますけれども、私どもとしては非常に困難である、こういうふうに考えておるのでございます。
○横手分科員 お言葉を返すわけではございませんけれども、この人たちはほとんど異動はありませんよ。よしその異動があったにしても、学校単位ではあるかもわかりませんけれども、これはそれぞれの自治体との交流というのはほとんどない。これはあったとすれば、まさに例外じゃないか、まあ皆無ではないかもわかりませんけれども。そういったような状態だというぐあいに言えるわけですね。したがって、一遍そこへ就職をされたら学校事務職員としてずっとやっていく。しかも同じ学校で長いことやっておられる方がおられるわけです。 そういった中で同じような形で校長先生も見ておられるわけでございますけれども、片方が赤ちゃんを産んだら法に基づく産前産後の休暇だけ、先生は一年間の育児休職、こういうことでは学校の管理上も大変やりにくいことだし、そして特に校長先生等が言われるのは、今日まで、いま言われましたようにいろいろな国会の場におきましても学校事務職員の身分、給与等に関する件というようなことで決議あるいは附帯決議、こういったことが繰り返されて行われているわけでございますけれども、こういった附帯決議を踏まえてそれらの方向に向かって進んでいくという姿勢は全くないのでございますか。
○三角政府委員 同じ趣旨をまた申し上げることになりますが、育児休業の制度というのは、教員でございますとかあるいは看護婦というたような特殊の専門性並びに人材の確保の上でも何らかのこういった方途が必要である、こういう見地から設けられておるものでございます。 〔主査退席、宮下主査代理着席〕 したがいまして、学校事務職員と申しましても、これは当然一般の事務職員の系列でございます。確かに委員おっしゃいますように、どちらかと申しますと学校事務職員の場合には交流が少ないということは事実でございますので、私ども先ほど申し上げましたように、むしろ交流を促進するようにという指導をしておるわけでございますけれども、そういう実態はございますけれども、やはり制度のたてまえの上からは一般事務職員との均衡上の問題がございますので、大変繰り返して申しわけないのでございますが、現状でここの領域に育児休業制度を持ってくるということは非常に困難な問題であるというふうに考えておるのでございます。
○横手分科員 それではひとつ確認をさせていただきますけれども、交流を図ると言われるのですけれども、ほとんどないという事実はお認めなんですね。
○三角政府委員 ほとんどないというふうに表現するとちょっとどうかと思いますけれども、他の職場の職員に比べますと御指摘のように異動というものが少ないということは私ども承知しております。
○横手分科員 ですから、そういった交流をできるだけ促進をするとか、そういうことは今日までやられたけれども、それはほとんど行われていないという事実をお認めになっておるわけですね。一般事務職としての扱いだからできるだけ交流をしたいというふうなことを希望としては持っておられるけれども、現実の問題としては、ほとんどないという言葉ではございませんが、きわめて少ないという表現をされたわけです。 〔宮下主査代理退席、主査着席〕 ですから、同じところにずっとおられる人たち、学校の管理上大変困る、こういうことだから、この国会でもいろいろな、繰り返しこういった附帯決議だとかあるいは決議等がなされているんだというぐあいに考えるわけなんです。それに対して、これらについてはせっかくのこの決議だから文部省としてもこの線に沿ってというようなことも全くないのですか。
○三角政府委員 やはり事務職でございますので、私どもの考えとしては、いろいろな交流の機会が設けられまして、そして事務担当の職員としての視野なりを広げましたり、あるいは役場なり教育委員会の事務局のようなもう少し世帯の広いところでいろいろ経験を積むというようなことも望ましいことでございますし、そのことによって先ほど大臣からも申し上げました四等級への格づけ、これは本省の課長補佐クラスへの格づけでございますけれども、こういったことも交流というようなことを基盤にそういう処遇の改善を図っていきたい。もちろん、委員がおっしゃいますような、傾向としては停滞することもあり、その場合には一人あるいは二人くらいで仕事をしているという職場でございますが、通常の格づけといいますと、係長なりあるいは補佐なりそういう役職につきますと部下がいる、部下がいることによって給与も上がる、こういう形でございますが、学校の場合にはそういうことがなくても等級格づけを上げてほしいというようなことで積年努力を続けてきている。両々のことでやってまいりたいということでございますが、御指摘の育児休業の問題は、先ほど来申し上げましたような事情ないしは現況のもとにおいては、これを全く教員並みにそういうふうな改善を施すということは、現在現状では非常に困難であるということでございます。
○横手分科員 せっかくの国会決議等も何遍かなされておるわけでありますし、それはその都度それぞれの議員の皆さん方も賛成してこれをつけられたわけであります。したがって、学校職員ということではございますけれども、その人たちは一般の都道府県の人事委員会の採用の範囲内ではあるけれども、その内容は教育の一翼を担うものでありほとんど異動もない。そういった中で同じように赤ちゃんを産んでというようなことで、これでは学校の運営の中においても大変やりにくいし、そしてまたその人たちにはあるいは学校の先生に穴があいたときに事務職以外のこともいろいろお願いをしなければならない。こういった事実を踏まえてこういった決議が出てきたんだろうというぐあいに思うわけですね。やはりそういったものにこたえていく方向というものを、これは来年からやるとか再来年からやるとかというのはなかなかむずかしいかもわかりませんけれども、こういったせっかくの決議がついておるわけですから、これを尊重する方向でこれも検討していくというような姿勢ぐらいは出すべきではないかというぐあいに考えますが、大臣、どうです。
○小川国務大臣 事務職員の勤務条件の改善ということにつきましてはこれからも努力をしてまいるつもりでございますが、いまの育児休暇制度の問題につきましては局長からるる御説明を申し上げたとおりでございまして、まだその実が十分上がっていないにいたしましても、今後も交流を促進するという努力をすべきものと思っておりまするし、また他の分野における一般行政職とのバランスということも実際問題として考えないわけにはいかない、かように思いますので、御論旨もお気持ちも十分理解はいたしておりますけれども、なかなかこの場で仰せのように前向きに研究をいたしましょうとかお約束がいたしかねるということをはなはだ残念に思っております。
○横手分科員 それ以上出ないということであればきょうのところはこれはどうしようもないことかもわかりませんけれども、しかし繰り返し申し上げておりますように、県で採用するその採用の時点からあなたは学校職員ですよ、こういうことがもう決められておるわけですね。通常の場合でも、普通の会社の場合でも転勤があると多少工場によって労働条件が違う、そういったときには転勤先のことをできるだけやるというようなことが行われているわけです。この人たちは生涯にわたってそこへおる人たちなんですね、この学校事務職員の皆さん方は。そういった特殊な条件の中にあるわけですから、そして周りはそういった状態の中にある。あなただけ役所の人と均衡がとれませんから——この人にしてみれば、なるほど採用のときには人事委員会の採用であったかもわかりませんけれども、役所の人と同じだというような感覚は余りないわけなんですよ。学校事務員だ、私も学校の中における教育の一翼を担わさしてもらっておりますというこういった意識、これまた期待をしなければならないわけでございますね。そこはそういった実態の中にあって、私はもうちょっと研究を進めてもらいたいということを重ねて要望を申し上げておきたいと思います。 それから、定員の問題でございますけれども、まだ子供の員数が少ない、こういうようなことで教頭先生なりあるいは校長先生がそういった事務的なこと、あるいはほかの先生方が手分けしてこういうことをやるということで、まだこれが全部の学校に職員が配置をされていないわけでございますけれども、文部省の考え方としては全校にこういった事務員を配置をしたい、こういうことなんでしょうか。
○三角政府委員 事務職員の定数措置でございますけれども、現在は本校四校に対して三人あるいは六学級以上の学校に一人というようなことで積算をしておるわけでございますが、これの改善を図ろうということで昭和五十五年度を初年度といたします定数改善十二年計画、それの完成のときの姿として私どもが国会の方で御承認いただいておりますこの計画、これによりますと、四学級以上の本校には必ず一人置く、それから三学級までの本校のような小規模校におきましても四校に三人置こう、こういう計画を立てておりまして、これに必要な定数は六千三百九十二人、こういう計画でございます。
○横手分科員 計画はそういうことでしょうけれども、実際に充足率が増すような形になっておるのでございましょうか。あるいはこれは私の数字が違うかもわかりませんけれども、それらの人たちはことし四百四十九名、これは自然増ということであって、これにはまだそれぞれの義務教育のところに事務員が配置されていないところの充足率を高めようという数字は一つも入っていない、こんな数字を聞いてきたのですが、これは事実ですか。
○三角政府委員 先ほど御説明申し上げました第五次の改善計画によりまして、初年度の昭和五十五年度には四百五十人を措置しました。それから五十六年度には、それより一〇%減りましたが四百五人措置いたしまして、これらはいま御指摘の未配置校に配置をしよう、こういうことでまいりました。五十七年度から五十八、五十九、この三年度につきましては、御案内のように行政改革の法律ができまして、この期間は抑制をするということでございます。この期間が過ぎた後で、先ほど申し上げました全体計画に取り組む、こういうことにいたしております。
○横手分科員 それではいまそういうことで、行政改革の法律に基づいてこの期間は充足率を高めるということはストップする、しかしそれが過ぎたらまたこの充足率をさらに高めていくために努力をしていく、そういうぐあいに具体的に取り組んでいく、こういうぐあいに理解していいわけですね。
○三角政府委員 仰せのように考えておる次第でございます。
○横手分科員 いま申し上げてまいりましたように、私もこの人たちとお会いをしましたし、あるいは校長先生等ともいろいろ話をしてまいりました。御答弁の中には、それぞれの立場でそれぞれの見方で御答弁をいただいたわけでございますけれども、申し上げてまいりましたように、現場では必ずしもいま御答弁のような形になっていないということですから、しつこくくどく申し上げたわけでございます。どうかそういった実態を十分留意していただいて、教育の一翼を担う、まさに学校の先生方と両翼をもって子供たちの健やかな成長を願っておられるこの人たちに対する配慮をさらに進めていただきたいということを、最後に御要望を申し上げておきます。 最後の質問でございますが、無医大県の解消計画に基づきまして、福井、山梨、香川、こういうことで医科大学が設置をされました。そして、それに基づいていま学校がつくられ、生徒が入り、そして間もなく来年あたりからでございましょうか、病院が開設をされる、こういったようなことになっております。福井県もその一つでございまして、私の地元でも県民の皆さん方が大変期待をしておられます。わが県に大学病院ができる、こういうことでございます。 しかし一方では、こういった厳しい情勢の中にあって、病院はいま建築中だけれども、これが果たしてうまくいくのだろうかというような心配を持っておられるわけでございます。私はそういったことを聞かれたときには、そんな心配はないでしょう、これはきちっといくに違いないし、国の方針として医科大学のない県についてはこれを全部網羅しようという計画のもとにやってこられた、そしてその病院も建設にかかっておる、すでに生徒もおる、こういうことですからそれはもう間違いのないことでしょうということを申し上げておるわけでございますけれども、そういった点についてひとつ御回答をいただきたい、このように思います。
○宮地政府委員 いわゆる無医大県解消計画の推進ということで、医科大学の設置を順次進めてまいってきております。御案内のとおり、福井医科大学は五十三年十月に設置されまして、五十五年四月から学生を受け入れておりますが、病院につきましては学生受け入れ四年目に当たります五十八年度に創設することを予定して、諸般の準備を今日まで進めてきておるわけでございます。 先生御指摘のように、国家財政、予算、定員、いずれにいたしましても大変厳しい状況に遭遇いたしておりまして、私どもとしてもこれらの計画の推進についてはいろいろ苦慮はいたしておるわけでございますが、私どもとしては五十八年度に附属病院を開設できるような努力は十分してまいりたい、かように考えております。
○横手分科員 それでは、そういうことで人員配置等も含めて心配はないということで文部省は努力をしております、こういうことでございますね。
○宮地政府委員 予算も定員も大変厳しい状況下にございますので、私どもとしてはそれの確保について全力を挙げるつもりでございますが、大変状況は厳しいということだけはひとつ御了解をいただきたいと思います。
○横手分科員 わかりました。 ただ、申し上げてまいりましたように、もうすでに生徒がおるわけです。それで病院の建設も始まっておるわけですから、これは国家事業として進んでおり、地域の皆さん方も大変大きな期待を持っておられることでございますので、ぜひ文部省としてもお力を出していただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○砂田主査 これにて横手文雄君の質疑は終わりました。 次に、東中光雄君。
○東中分科員 私は、同和教育といいますか、同和推進校の関連についてお聞きしたいのですが、まず同和教育、同和推進校における教員の加配があるわけですが、その基準は一体どういうふうになっておるのか、お伺いしたいと思います。
○三角政府委員 公立の小中学校の教員の定数につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、このいわゆる標準法におきまして、各都道府県ごとに置くべき定数の標準を定めているわけでございます。それで、この標準法におきましては、主として学級数を基礎として算定する一般的な教員定数のほか、学校が所在いたします地域の社会的条件が教育上特別の配慮を必要とするという学校につきましては教員定数の加配ということを行っておりまして、御指摘の同和地区に所在する学校につきましても、この加配が行われておるところでございます。 同和加配教員定数の加配基準でございますが、これはただいま進行中の第五次定数改善計画で昭和六十六年度完成の目標といたしましては、次に申し述べますような決め方をしてございます。 これは、同和地区児童生徒の比率による加配を一ついたしておりまして、これは同和地区児童生徒が一〇%以上の学校には一人を加配いたします。 それから次に、同和地区の児童生徒数による加配がございまして、同和地区児童生徒が八十人から百六十人の学校には一人、百六十一人から三百二十人の学校には二人、これが三百二十一人以上在籍しております学校につきましては三人を加配する、こういうことをいたしております。 それから、こういう条件を満たさない場合のことでございますが、同和地区所在の学校で生徒の比率が先ほど申し上げましたところまでにいかない学校、あるいは生徒の実数がここまでいっていないという学校がございます場合には、それらの学校数三校につき一人の加配をする、こういうことをいたしておるわけでございます。 この配当基準によります教員加配定数は全国で三千百六十六人になるのでございますが、このうちの約半数余りの千六百二十人が第五次改善計画によりまして六十六年までの十二年計画で充足していこう、こういうことにしておるわけでございます。
○東中分科員 大阪の実情で申し上げますと、たとえば栄小学校というのがあります。ここは児童数は五百五人なんです。同和地区の人が何人かというのはよくわかりませんけれども、学級は十九学級あります。また一学級の編制は二十六・五七人、二十七人から二十六人ということになるわけですが、それに対して先生、事務職員じゃなくて教師が四十三人、これは八〇年であります。八一年は四十五人なんです。そうすると、十九学級で小学校で一クラス二十六、七人で、先生はその二倍以上配置されている。あるいは啓発という小学校がございますが、これは児童数で七百二十四人で二十九学級、一学級編制は二十四・九六人、結局二十五人ですが、実際の教員配置はやはり四十七人、これは八〇年であります。八一年度は四十四人、これも一クラスについて二人近くの先生が小学校で配置をされている。一クラスは非常に小さい、こういう関係になっておるわけであります。 中学校の場合で言いますと、灘波中学というのがありますが、五百十人の生徒数で十九学級、一学級は二十六・八人、先生の配置は五十一人、これは八〇年、八一年は五十二人というふうになっております。これも十九学級に対して五十人を超す先生ということになるわけであります。もう一つ中学校で例を挙げますと、八百四十九人の生徒を持っている淡路中学校ですが、これは二十七学級、一学級は三十一・四四人、先生は八〇年は七十五人、八一年は七十一人、こういうふうになっておるわけです。これは一学級は三十人ちょっと超しているわけですけれども、学級数に比べますと二倍をはるかに超して三倍近くの先生が配置されておる。 これは一般校と比べますとずいぶん違うのですね。四十人学級制あるいは四十五人学級制ということが言われておって、その中での学級数の関係で若干減るということはあるでしょうけれども、一学級は非常に小さくて、しかも学級数との関係で言えば二倍あるいはそれ以上もの先生が加配をされている。非常に異常な気がするわけです。 いま初中局長の言われた基準からはこうはならないのじゃないかと思うのですが、地域の出身者の児童数がわかりませんので正確には言えませんけれども、しかし、余りにも事情が違うのじゃないかという気がするのですが、こういう状態は御承知でしょうか、そしてどういうことでこういうことになるのか、お伺いしたいと思います。
○三角政府委員 ただいま具体的な小学校ないしは中学校についての状況のお話があったわけでございますが、私どもも一々詳細は必ずしもつまびらかにはしておりませんけれども、大阪府の場合にはいろいろな事情から、私どもが国庫負担の基準として先ほど御説明申し上げたような基準で計算する人数よりはかなり上回った人数を、同和加配として府の単独事業としてつけ加えて実施しておられるようでございます。
○東中分科員 その分が今度は一般校にしわ寄せがされるということになりかねないと思うのです。私、ちょっと計算をしてみたのですが、教員数と児童生徒数を、一般校と同和校との割合を計算してみたのですが、小学校の場合は、教員一人当たりの児童数は二十六・八六人、約二十七人という数字が出るわけであります。それから同和校関係で言いますと、同じく教員一人当たりの生徒数は十六・〇四以下というふうな、児童数でわからないところがありますので、結局約十六人、こういうかっこうになって、その差がずいぶん多いわけですね。それは教頭先生も校長先生もおられるから、この二十六・八六、二十七人という数字は低いようでも実際は余り低くないわけですけれども、しかし、同和校の場合は特に一対〇・六ぐらいの割合になってしまっている。中学校の場合で言いましても、一般校は約二十三人、そして同和校は十三人以下、これは概算でありますが、そういう計算になります。 これは地域の社会的あるいは地域的条件を考慮してと言うにしては、いま初中局長も言われたように、大阪の場合は特に余りにも逆の差別にさえなってきているということを思うわけでありますが、大阪府なり市なりが独自でやっておるということだけでいいものかどうか。文部省としては、それは独自でやっておるんだから金のことは知らないよということで済む問題でないような気がするのですが、そういう点についての全国の少々の違いというのは、それは地域の状況によってあると思うのですけれども、はなはだしく違うというのをそのまま置いておかれるのはどうかという気がするのですが、局長、どうでしょう。
○三角政府委員 まず、初めにおっしゃいました点でございますが、大阪の場合には、いわゆる同和加配については府の単独の仕事として措置をしておるわけでございまして、一般の学校がそのために基準以下の取り扱いをされたりしてしわ寄せが及んでおるということではないというふうに私どもは承知しております。 それから、その加配の状況が非常に過度であると逆差別ではないかという御指摘もあったわけでございますが、この点につきましては、大阪府なら大阪府という自治体と申しますか公共団体が、御自身の判断で、当該地域の実情なりあるいはその地域における教育の上での必要性を勘案して独自にお決めになっていることでございますので、見方はいろいろあるかもしれませんけれども、私どもの立場からは、この自治体の行っております措置について立ち入って意見を申し上げることは控えた方がいいであろう、こういうふうに思います。
○東中分科員 これは教育条件の問題ですね。教育内容の問題じゃないのです。しかも、文部省としては一つの基準を出しているわけでしょう。それも相当幅のある基準ですね。それは地域の条件に応じてある程度幅が出てくるということを含めてのことだと思うのですが、それからはるかに離れておる。局長自身も、相当離れておる、相当差があるということをさっき言われたのですが、そういう状態になっておるのを、そういうことが地域によっては必要なんだと言うんだったら、そういう基準を文部省がつくればいいじゃないですか。一応の基準をつくっておきながら、そこから相当離れております、しかしそれは独自でやっているんだからよろしいと。大阪府だって日本の文部省の管轄の中にあるわけですから、教育の状態にしては、そういう点では非常に悪い影響を与えるということをまず申し上げておきます。 しかも、こういう同和校でやられておる教育のやり方に非常に問題がある。私はいまここに、一九八一年五月二十日付の生江小学校の児童会の「児童会だより」というのを持ってきています。これを見ますと、「五・二三を全校でとりくもう!」という見出しなんですね。大臣、見てください。しかも、「五・二三とは 五月二十三日とは、今から十八年前、石川さんが、けいさつに別件で、たいほされた日が十八年前、昭和三十八年の五月二十三日です。」長くなりますから、あと「児童会でのとりくみ」という見出しのところを見ますと、「児童会としては五月二十三日に向けて全校でとりくむことがないかと相談し、次のようにきめました。1 一年から六年までの全学級でポスターをはる。各学級、二枚、内容は五・二三のこと、なにを書いてもいい。2 全学級でワッペンをつくり、むねにはる。内容は、狭山にかんけいがあること。ポスターのはる場所は一枚は教室の前の窓、もう一枚は運動場から見えるように窓にはる。」こういうのですね。これは小学生なんですよ。現に済んでおる事件あるいはすでに確定した事件についてのことなんです。 それから、ここにもっとひどいのがあるのです。これは一九八一年二月五日付の部落解放生江子ども会。これは生江小学校という同和推進校ですが、そこでは、「二・七狭山再審請求棄却一ヶ年糾弾!」とあり、これにはかなを振ってあります。これは横見出しで、縦見出しは、「高裁が異議申し立てを認めるまで子ども会は闘うぞ!」、そういう見出しで、「東京高裁四ッ谷裁判長は、子ども会の取り組みを無視して、二月七日、石川さんに対して、「もう裁判を行う必要がないといった」決定をくだした。」云々、こうなっているのですね、再審請求に対して。 これは小学生が知るわけがないわけですね。そういうものを教育の中へ入れたらいかぬというのは当然のことだと思うのです。判断能力からいったってもう問題外だと思うのです。こういうことが児童会でやられたり、先生が同和教育ということでやられるということは非常な問題があると思うのですけれども、そういう点について、これは文部大臣に。
○三角政府委員 先ほどの御質問の加配の問題でございますが、あくまで標準法は国庫負担の対象とする教員の数の基準でございまして、そういう範囲のものでございますので、具体現実にどのように教員を配置していくかということは、これは都道府県の権限と責任において行われることでございますので、ちょっと補足させていただきます。
○小川国務大臣 仰せの点は、狭山裁判の内容を批判するということだと存じますが、これは申すまでもなく、公教育として行われております教育活動として適切を欠くものだ、こう考えざるを得ません。
○東中分科員 これは適切を欠く、もう少しやりようがあるのじゃないかと。教科書論争がいまいろいろやられていますけれども、そういう枠内のものを超した、いわゆる大人の政治的運動ですね、それを児童の中へ入れていく、それに先生も何か加わっているというふうなことで、私は、単に適切を欠くというだけでない問題を含んでいるように思いますので、これは非常に重要な教育に対する、教育現場で教育が破壊されていくというような性質を持っているように思うのです。非常に意味深長で適切を欠くと大臣は言われたのだと思いますけれども、私の申し上げていることはどうでございましょうか。余りにもこれは逸脱し過ぎているんじゃないか。いかがでございましょう。
○小川国務大臣 仰せのとおり、教育の基本にかかわるはなはだ遺憾な事件だと理解いたしております。
○東中分科員 それで、この同和教育を担当してきた先生で、いま東淀中学というところで教頭先生なんですが、伊藤明吉という先生が、これは昨年のことになりますが、六月十三日に、運動会があった明くる日で、先生方が朝八時半に登校した、そうしたら、かぎを持っているその伊藤という教頭先生が来るのが遅かったということで、校長先生も皆待っていたわけですね、そこへ十分ほどおくれて見えたらしいのです。そうしたらある教師が、教頭先生、早く来てくださいよ、こういうことを言ったのですね。そうしたら、いや、おくれて済まなかったと言うのが普通の感覚なんですが、何を言うかというので、持っていた傘で数回にわたって腹なんかをたたいたという事件が起こりました。これは、児童も見ている、校長先生も見ているその前で起こった。それで、これは新聞にも報道されて非常に大きな問題になったのですけれども、この後の処置が非常にいかぬと私は思うのです。 この伊藤教頭というのは、あのときは腹の虫の居どころが悪かったんだというぐらいのことを放言しているのだそうです。それに対して教育委員会が文書訓告という処分をその後にされたようですけれども、そのままその教頭先生はいるわけですよ。殴られた先生は、余り大きくならぬ方がいいということで、いろいろ校長やなんかに言われて、もういいですよということになったようですけれども、見ているのは、中学生が見ているわけですね。 これは校内暴力が問題になった学校で、やっと父兄やなんかが努力しておさまった学校なんですけれども、近ごろは教頭ごっこというのがはやっているそうです。梅雨になりますと傘を持ってくるでしょう。その傘がいっぱい折れているというのです。そういう遊びをやるわけです。あれは殴ったってそのままじゃないか、教頭がそんなことをやっているのだからという。そうでなくても中学生ですから。そういう状態が起こっている。 こういうものがそのまま、しかも教頭先生に個人的な理由があって、それにしても暴力をふるったのはいかぬというのじゃなくて、全く自分の方に欠陥があり、むしろおくれていって済まなかったと言うべきところを逆に、非難したのでも何でもない、早く来てくださいよということを言うただけでそういう事態が起こった。これは教育現場に非常に悪い影響を及ぼすわけなんです。これは市教委がやるべきことをやっているということですけれども、同和教育との関連で、灘波中学という大変同和問題が問題になった学校を経てこられた、そして若くして教頭になられた先生なんです。それがそういう形でその後ずっと尾を引いているわけです。 一方では狭山闘争というような問題が出てきますね。そして一方ではそういう暴力問題が起こってくるというようなことがありますので、これは何としても正さなければいかぬじゃないかというように思うのです。教頭さんがそのままで、そして三月配転の問題について今度は先生方に非常に強圧的な立場で、おまえさん、かわるか、かわらぬかというふうなかっこうで出てくるというふうな問題が起こっていますので、私は非常に遺憾であると同時に、そういうものは本当に正さなければいかぬと思うのですが、文部大臣、どうでございましょう。
○三角政府委員 私ども、ただいま御指摘の事件につきましては詳しい状況を把握しておりませんけれども、ただいまのお話のあった限りでは、学校はそもそも暴力否定を基礎として教育を行う場でございますから、しかも生徒の面前、目前で教員同士で暴力ざたがあるということは、あるまじき行為としてはなはだ遺憾なことであろうというふうに思う次第でございます。 ただ、こういった教員についてどのような処分をするとかということは、私から申すまでもなく、市の教育委員会の人事ということでございますので、これについてただいまここで直ちに何らかの意見を申し上げるということは差し控えたい、こういうふうに思うのでございます。 なお、市の教育委員会からの詳しい報告を待ちまして、必要があれば指導助言をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○東中分科員 ちょっと常識で考えられないような事態を現職の教頭さんが教育現場でやっておる。そのときの校長先生というのが、これもやはり同和校の教師をやってきた人なんですけれども、この先生が保護者あてに出した文書を見まして私、驚いたのですけれども、これは教頭さんについては弁明の余地のないことだ。しかしその次に、新聞で取り上げられてわが学校の名誉を傷つけられた、そして皆さんに御迷惑をかけてはなはだ遺憾であります、そう書いてあるのです。私、この先生どうかしているなと思いました。 その先生がいま南椋会という——その先生だけではありませんけれども、これはこの地域の同和校で教鞭をとった先生方の会、解放教育を推し広めていく会だということでいま出されているわけです。この会の代表世話人というのは教員組合の書記長なんです。そして幹事世話人五人おられるわけですが、この中にこの学校の校長先生も入っておるわけです。そのほか世話人というのが十五人おられるのですが、この中に市教委から二人入っている。それから校長先生が八人入っている。二名は教頭先生だ。それで解放教育を推進していくのだということで、これは一つの会の運動をやっておられるわけです。 私は、教育現場がこういう形でゆがめられていくということについて——差別をなくしていく、それは非常に大切なことであります。しかし、それで暴力的なこととか運動的なこととかいうものが入れられて、それで校長先生や市教委や労働組合の一部の幹部の人たちが一緒になって、それこそもう労使一体で、しかも特別な関係で結びついてそういう会を進める、解放教育を広げていくというふうな動きは、よほど考えなければいけない問題じゃないか。教育の中立とかなんとかいう点からいいましても、教育現場で学校の集団暴力をなくしていくというような点からいいましてもそういうふうに思うのですが、もう時間がありませんので、文部大臣の御意見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○小川国務大臣 仰せのような事実でありますと、教頭が教育の現場で暴行を働いた、教職員にあるまじき行為だ、まことに遺憾に存じます。文部省としてまだ十分実態を把握いたしておりませんが、さっそく調査をいたします。
○東中分科員 最後に申し上げた全体の動きですね。そういう解放教育を広げていこう。同和推進協でもないのですよ。そういうような形で動いていくということについては、本当に慎重にやらなければいかぬじゃないかというふうに私は思うのですが、そういう点はどうでしょう。
○小川国務大臣 仰せは全く御同感でございます。
○東中分科員 終わります。
○砂田主査 これにて東中光雄君の質疑は終わりました。 —————————————
○砂田主査 次に、外務省所管について政府から説明を聴取いたします。櫻内外務大臣。
○櫻内国務大臣 昭和五十七年度外務省所管一般会計予算の概要について御説明申し上げます。 外務省予算の総額は、三千三百五十八億五千百七十九万九千円であり、これを昭和五十六年度予算と比較いたしますと、三百四億八千六百九十八万九千円の増加であり、一〇%の伸びとなっております。 激動する国際情勢下にあって、有効かつ機動的な外交の展開を図るためには、外交実施体制を一層整備、強化する必要があります。この観点から、昭和五十七年度においては定員の拡充、在外職員の勤務条件及び情報収集機能の強化等に格別の配慮を加えました。特に外交強化のための人員の充実は外務省にとっての最重要事項でありますが、昭和五十七年度においては、定員七十二名の純増を得て、合計三千六百三十五名に増強されることになります。 また、機構面ではオマーンに大使館を開設することが予定されております。 次に、経済協力関係の予算について申し上げます。 経済協力は、平和国家であり、大きな経済力を有するわが国が世界の平和と安定に寄与し得る主要な分野であります。中でも、政府開発援助の果たす役割りはますます重要なものとなっており、このため政府は、従来の三年倍増に引き続き、五年間にわたる新たな中期目標を設定し、経済協力の強化に努めておりますが、その一環として、五十七年度予算においては、無償資金協力予算を前年度より九十億円増の九百二十億円としたほか、技術協力関係予算、なかんずく国際協力事業団交付金を前年度比八・三%増の六百六十一億円とした次第であります。 このほか、海外で活躍される邦人の方々の最大の関心事の一つである子女教育の問題については、全日制日本人学校二校の増設を図る等の配慮をしております。 以上が外務省関係予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、お手もとに「国会に対する予算説明」とした印刷物を配付しておきますので、主査におきまして、会議録に掲載されますようにお願い申し上げる次第でございます。
○砂田主査 この際、お諮りいたします。 ただいま櫻内外務大臣から御説明がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○砂田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○砂田主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○砂田主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間は限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、城地豊司君。
○城地分科員 私は、いま外務大臣から一番最後に申し述べられました海外勤務者の子女教育の問題、さらには全然触れられませんでしたが、海外勤務者の医療の問題について質疑を行いたいと存じます。 本来、教育は文部省、そして医療の関係は厚生省ということになっておるわけでありますが、海外勤務者の問題については外務省がこれを取りまとめて所管ということになっておりますので、以下、幾つかの点にわたって御質問いたします。 最初に、大きな問題の点について外務大臣の御所見を伺いたいと思いますが、わが国の経済社会の国際化の進展は近年著しいものがありますが、国際協力の推進、国際的文化交流、さらには企業の海外進出の活発化など、この傾向がますます強まることは必至であります。その結果、海外で働く日本人は飛躍的に増大し、その数は昭和四十四年に五万人であったものが現在約二十万人に及び、その急増ぶりは目をみはるものがあります。 海外に職場を持ついわゆる海外勤務者は、特に最近は駐在期間が長期にわたり、しかも年齢層が中堅層の比重が高まるにつれて、いままで余り問題視されなかった帯同家族や残留子女をめぐる問題を含め、さまざまな困難に直面しています。とりわけ海外勤務者とその家族をめぐる医療と健康の確保、子女の教育問題が大きくかつ緊急の課題となっています。 これらの問題は、本人、家族や企業、産業の努力もさることながら、国としての積極的な施策の充実が強く望まれるところであります。しかるに、現実にはその大半が本人、家族並びに企業の自助努力にゆだねられているものが実態であり、政府の施策はまだまだ立ちおくれていると言わなければなりません。 特に、たとえば例を海外子女教育にとりますと、領事移住部領事一課から五十六年の八月に出されましたこの内容からいたしましても、たとえば子女教育の問題について「海外子女教育に関する政府の考え方」ということで、三つの点が十一ページに述べられています。 しかし、この三つの内容をつぶさに見てみますと、第一項の場合には、海外子女教育は義務教育かどうかという問題については、内閣法制局が憲法第二十六条の判断をめぐって、海外にある者は必ずしも義務教育をするというまでにはいかない、しかし、義務教育に近い教育を受けるように政策上配慮するということが憲法の精神であるというふうに言い、そしてその後段では、海外子女教育は、第一義的には父兄ないしは現地関係者の自助努力に基づいて行われるべきものであるというふうにうたっています。 また第二点には、日本人学校等在外教育施設の問題について触れておりますけれども、これらについても、具体的経費負担はいわゆる国というようなことで負担するよりは、むしろ現地にある日本人会等によって運営される、また、それに対して現地の在外公館は運営が円滑に行われるように指導すべきであるというふうに言っています。 またさらに第三点では、海外子女教育に対する政府の援助は、教育の充実のため最大限努力をする基本的立場をとるというふうに言っているわけであります。 この三点の政府の考え方からいたしますと、どうも海外の子女教育というものについては、あくまでも自助努力が中心であって、政府はその補助的な役割りを果たすんだというように聞こえてならないのであります。 私の考え方で申しますならば、日本の国が貿易立国ということで成り立っている。そしていま海外に約二十万人の勤務者がいる。そういう実態、しかもそれが日本の国の発展のために非常に大きな力になっている。とすれば、こういうふうに自助努力が中心であって政府はそれに援助を与えるべきであるとか、さらには、いろいろな施設もそこにいる人たちが一生懸命協力して建てるべきであるとかいうことではなしに、むしろ国の政策として企業や本人たちに負担を負わしめるのではなくてやっていくべきなのではないかというふうに考えるわけであります。 子女教育の問題と医療の問題は性格が違いますが、医療の問題にしても、それは海外のその国その国の実情によって、日本から勝手に医師団を派遣するというようなことがなかなかむずかしいという面もあるでしょう。しかし、私たちがいろいろ調査したところによっても、やはり日本語が話せるお医者さんが一番手っ取り早い。これはあたりまえのことでございます。だとすれば、そういう面でも病院は、日本人の手で日本人医師が日本人だけのために病院を開設することができなくても、たとえばそれにかわるべきいろいろな工夫ができないだろうか。 ということで考えていきますと、この海外の子女の教育、さらには海外の勤務者の医療の問題については、こういう一歩も二歩も後退した物の考え方ではなくて、日本の全体のためにその先兵的な役割りを担っている二十万人の海外勤務者並びにそれに付随して現在海外で教育を受けている、昭和五十六年で約三万二百人という子女がいるわけですが、そういう人たちに向かって、むしろ積極的な国としての援助政策といいますか、そういうことを出していくべきなのではないか、むしろ、国内にあるわれわれから見て過保護過ぎるんじゃないか、少し援助がいき過ぎるんじゃないかというふうに思われるようなところまでいっても差し支えないんじゃないか、むしろそれこそが国の施策として必要なのではないかというふうに私は考えるわけでございます。 別居生活とか、私ども別居生活ですが、国内における別居だけでなくて、海外の別居、さらには家族を帯同しての海外における生活というようなものの実態は、外務大臣も十分御承知だと思います。そういう意味では、これからの日本の国の発展を期する意味合いからも、考え方としてはむしろ前向きに積極的に、こういう子女教育や医療の問題について政府として、援助するとか自助努力にプラスして政府がというような考えではなくて、むしろ前向きでいくのが当然だと思いますが、それらについて外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○藤本説明員 ただいま海外の邦人の数が二十万近くになりまして、私どもといたしましても、この海外の邦人が後顧の憂えなく仕事ができる状態をつくり出したいということで一生懸命考えております。いずれ、この邦人の保護等を含めまして、基本的にどういうふうなガイドラインでいくべきであるかというふうな点につきまして、外務省なりの考え方をお示しできる時期があるかと思いますけれども、ただいま御指摘の二点、学校の問題及び医療の点につきまして、簡単にお答えいたします。 まず、自助努力ということを御指摘いただきました。これは確かに憲法二十六条の規定は属地的に働く規定でございますが、できるだけこの法のたてまえが実現されるようにということで努力しているわけでございます。御案内のとおりに、海外の学校は運営委員会で運営しているわけでございますが、私どもは、実は、これは民間主導型で非常にりっぱな成績を上げておるというふうに自負しております。 私どもがやっております海外の邦人のためのいろいろな企画の中で、日本人学校の運営という点につきましては、文部省の御協力も得まして、われわれの施策の中で最も整備されたものであろうかというふうに自負しております。と申し上げますのは、派遣の教員の人件費というものは全額文部省の予算で見てもらっておりますし、それから、校舎は大体において、大ざっぱに申し上げますと外務省の予算が半分を補助している、こういう状態でございます。したがいまして、端的に申し上げますと、海外の日本人学校の父兄の負担というものは非常に少なくなっております。大体毎月授業料二万円ということでやっておりますが、この補助の手厚さということは、この国際比較ということがもしあり得るといたしますれば、子供一人当たりの受取額というものは世界の先進国に比べて最高でございます。したがいまして、この自助努力はいい方に働いていただいている、民間主導型のいい方に働いていただいている、企業側ではこれは自分の学校であるという自覚のもとに一生懸命運営に努力しておられるというわけでございます。 また、医療の点につきましては、これは義務教育の充実という面とは若干違った面がございまして、受益者負担という原則があるやに承知いたしますが、にもかかわらず、ただいま外務省では予算項目といたしまして巡回医師団というものを毎年十チーム前後、五十六年度におきましては十二チーム出しております。この予算も年々、ゼロシーリングの厳しい状況にかかわりませず増額ということで予算案に計上していただいておる、こういう状態でございまして、将来とも学校及び医療の点については十分努力してまいりたいと思います。 以上でございます。
○櫻内国務大臣 海外で働いておられる方の子女の教育や医療のことについて、ただいま御所見を交えて御質問があったのでありますが、私は、その御所見につきましては大変参考になるところがございました。日本が国際的に大きく活躍しなければならない、そういう際における勤務者の子女の方々の問題でありますから、先ほどの御所見を参考にいたしまして、また、ただいま外務省当局からお答えをしたような実情にございますが、よりよくしてまいりたいと思います。
○城地分科員 いまお答えがありましたが、この子女教育の問題については文教委員会等でさらに具体的に詰めてやるべきであるし、この分科会では時間の関係もあってできないと思いますが、たとえば、いまお答えをいただきましたが、国際比較云々の問題などにつきましては、日本の置かれる立場とその国際比較される国の置かれる立場というようなものも十分考慮して行わなければならない問題であります。さらに、五人、十人海外に行っているのじゃなくて、現在二十万人海外に行っているという現実も目を覆うわけにはいかないのでございます。そういう意味合いからも、さらには、教員の人件費も全額文部省で出しているということで強調されましたが、これはあたりまえのことであって、国内の教員の費用は全部文部省で出しているのであって、それよりも一歩でも二歩でも突っ込んだ、むしろ国内よりもいいものを望むのが一般的な考え方だろうと思います。 そういう意味で、先ほど大臣が最後に言われました海外子女教育で、本年の予算で二校全日制の日本人学校を増設するという話をされました。毎年毎年外務省が中心になって努力をしているという努力の跡は、私も十分わかります。昨年度三校とか一昨年五校とか、毎年毎年努力している状況は理解できますが、そういう一般的に階段を登るような努力で果たして——現在海外子女が三万二百人もいる。それに対して昨年度で七十校全日制がありますけれども、五十六カ国に分かれている。その実情の中で、二校、三校、五校ぐらいずつ毎年増設していたのでは追いつかないと私は考えるわけであります。思い切って十校とか十五校とかということで増設をすべきではないか。私ども、具体的に細かい資料も準備しておりますが、それらは一応別にいたしましても、飛躍的に、この二十万の人、そしてその子女の教育のことについてやらなければならない時期に来ているのだ。国の政策として、先ほど大臣も言われた海外の経済協力も必要でしょう。しかし、海外の経済協力もさることながら、われわれ仲間の日本人が二十万人海外へ行っている、その人たちの医療や教育の問題も、またそれ以上に重要な課題であると思うのであります。とすれば、それらに力を注いでいくのがやはり政治ではないかと思います。 さらに、先ほど言われたことの中で幾つかの提案をして今後の検討をお願いしたいと思いますが、たとえば海外の日本人学校の教員の問題についてでございますが、昨年度も予定した人員よりも二十一人少なかった。派遣教員八百三十人に対して実際は八百九人しか行かなかった。二十一人少なかった。おととしもそうだというような状況がございます。これにはいろいろ原因もあるでしょう。しかし、私は、予定したら少なくとも予定数だけは満たしてほしいと思います。 さらに、この派遣教員の問題にしても、現地の人たちのいろいろな世論を集めたところ、おおむね平均で三年ぐらいである。できれば六年ぐらいいてほしい。こちらから行って現地で働いている人の期間は毎年毎年延びているわけでありますから、そういう意味では学校の先生の滞在期間も三年ではなくて六年ぐらいにしてほしいという要望がたくさん出ております。それをどういう形で三年を四年にし、六年にするかということについては今後の課題でありますから細かく触れませんが、そういうふうに考えているところであるし、さらに、派遣する教員の場合でも、派遣する前に講習を行って現地へ派遣しているという実情もあるようでございますが、私は、もっと思い切って、海外へ派遣する人は、その派遣する場所以外の、たとえば中近東へ派遣するならばヨーロッパで一年間ぐらい、フランスに二カ月間、ドイツ二カ月間、イギリス二カ月間というぐあいに一年ぐらい海外の研修をさせて、その後中近東で教員生活をしてほしい。というようなことにすれば、ただ自分が行ったところの教員生活だけでなくて、そういう研修期間も含めて、さらにそれらの教員の人たちの自後の活躍というようなことについてもかなり大きな効果を上げられるのじゃないかと思いますので、そういうことについても今後検討していただきたいということ。 それからもう一つの点は、これもわれわれの仲間が提案をしたことですが、海外へ行くときに、たとえば中学二年生であれば、海外へ三年間行ってくると高校二年になる。帰ってきて、自分の目指す高校に入れないという悩みがあるので、中学生の上級クラスになるとみんな親元から離して、じいさん、ばあさんに頼んでいくとかきょうだいに頼んでいくとかいうような実情もたくさんあるようでございます。また、海外の学校は九月の開校、日本の場合は四月という実情もありますが、そういうようなことを除くためにも、たとえば中学生が日本から海外へ行く場合に、あなたは三年後帰ってきたらこの学校へ入れますよというような、学校を指定する方式はどうだろうかということも考えてみたのでございます。私は茨城県の日立市ですが、たとえば日立市の駒王中学校の二年生である、三年して帰ってきたらすぐ近くにある日立第一高等学校の二年生に入れますよというようなことをあらかじめ約束することはできないだろうか。そうしますと、親の仕事も後顧の憂えない、子供の教育も後顧の憂えないというように考えるわけでございます。 そして、さらにそういうことでいくとすれば、その中学生の同じクラスの友人、たとえば五人でも十人でもいいのですが、組をつくって、海外へ行った友人との間にペンフレンド制度といいますか、そういうことで交流をする。そうしますと、日常の生活もいい。帰ってきてからも高等学校へスムーズに入れるわけで、中学の同級生とまた一緒に学べるというようなこともありますので、そういうことについても今後御検討をいただきたい。 また、時間の関係がありますから、医療問題についてでございます。 医療問題についても先ほど申し上げましたが、私どもの仲間の特に建設関係の調査を見ますと、中近東、主として開発途上国の場合ですが、昭和五十一年に調査をしたときに、あなたは今回海外へ行ってきたが、もう一度海外へ行ってくれと言ったらどうしますかという問いをいたしましたら、いやもう二度と海外へは行きたくないという人が二六%でありました。その二年後、昭和五十三年に同じような調査をしたら五一%になった。その最大の原因が医療に対する不安、不満であります。そういう意味では医療体制も、これは医薬分業その他海外のいろいろな事情もあるでしょうけれども、海外の主要都市なんかに診療所を設置できないだろうか。それから、先ほども説明がありました巡回医師団というようなものについても、非常に努力をして何組か巡回してやっておられる努力については敬意を表しますけれども、とにかく二十万人も海外へ行っているわけですからもう少し……。そういう意味で、アメリカ等では医師も二世、三世で非常に優秀な医師がいるので、アメリカでは余り苦労しないという話もございます。ですから、主として開発途上国を中心にしたそういうところについては、さらにそういう配慮をいただけないかというふうに考えるわけでございます。 時間がありませんので全部申し上げてしまいたいと思いますが、海外勤務者の関係で、私も十一月十八日に海外勤務者の多くの要望を持って陳情、要請に各省を回りました。海外勤務者ということで、先ほど義務教育の問題でも憲法第二十六条の解釈がありましたように、非常にむずかしい面もあります。外務省がその実際の担当である。しかし、教育という面で見ると文部省も関係する、さらには、医療ということであれば厚生省も関係するということでございます。そういう意味合いからして、外務省、文部省、そして厚生省という関係の役所の仕組みは細かくはわかりませんけれども、それらの関係をもう少し一元化できないか。たとえば外務省が所管をするのだとすれば、海外勤務者の医療の問題も教育の問題も外務省で所管したらどうだろうか。専門の人を配置して、何も治外法権でやれというわけではありませんが、全部そこへ行けば話が通じる、そこでアクションすればすべてが通ずるということにならないだろうかということを、素人ながら考えるわけであります。そういう点は今後の課題として御検討いただきたいというふうに考えます。 それから、先ほど大臣から御答弁がありましたが、私の所見について参考になるところがあるということでありますが、今後物の考え方を変えて、やはりこれも緊急にやらなければならない非常に大きな事業なんだということでいけば、もっともっと打つ手は出てくるんじゃないかというふうに思いますので、ぜひとも前向きで対処していただきたい。 さらに、各地でもって現地に日本人会というのをつくっています。これは子女教育や医療をめぐる互助組織並びに在外公館と日本政府や現地政府との連絡の窓口ということで日本人会というものをつくっているわけであります。しかし、この日本人会の調査を部分的でありますがした結果は、入会しているというのは約半分であります。入会していないというのが三割、地域に日本人会がないというところがその残りということでございます。そういう意味では、現地にそういう日本人会というような組織があることがいろいろな面でプラスになるということが言われているわけであります。しかも、日本人会のないというところは中南米等に多いようでありますが、そういう日本人会をつくる指導というようなものについては、現地にいる人たちの自助努力もさることながら、在外公館は腕をこまねいていないで、ぜひとも積極的にそういうものについて乗り出して、そういう組織をつくるようにお手伝いをしていただければというように考えるわけでございます。 何度も申し上げておりますように時間の関係がありますので、以上要望申し上げ、御答弁がありましたらお受けをしたいということで終わりたいと思います。
○藤本説明員 先ほどの御指摘のうちで一番最初に申されました巡回医師団の状況については、ぜひとも今後強力に努力したいと思っております。特に開発途上国におります邦人にとっては、この巡回医師団の役割りというのは非常に大きいという報告を受けておりまして、また各地で大変評価されておりますので、ぜひとも今後ふやしていきたいと思っております。 また、診療所につきましては、これは先生御承知のとおりと思いますけれども、医師の免許との関連で大変にむずかしい点が多々ございますけれども、私ども現在、在外企業協会の方でいろいろとお考えがあるようでございますので、もしいろいろ具体的な構想がございましたならば、そちらの方を支援申し上げたいというふうに思っております。また、この方向での御意見は労働組合の幹部の方にもおありというふうに伺っておりますので、私どももときどき意見を伺っております。 なお、外務省、文部省、厚生省、ただいま医療の問題にいたしましても教育の問題にいたしましても非常に緊密に協力しておりまして、私ども現在の事態できわめて効率よく機能しております点をお答えいたしたいと思います。 以上でございます。
○城地分科員 以上で終わります。
○砂田主査 これにて城地豊司君の質疑は終わりました。 次に、春田重昭君。
○春田分科員 最初に、貿易摩擦問題についてお伺いいたします。 米国からの日本の市場開放要求につきましては、一段と強まってきている感じがするわけでございます。江崎さんもアメリカでは大分御苦労なさっているみたいでございますけれども、日本側の対応は、それにしてはちょっとすっきりしないわけでございます。特に、米国からの要望が強いと言われております牛肉、オレンジ、この輸入自由化につきましては農水省が抵抗しておりますし、また、たばこの輸入拡大、銀行、保険、証券会社等の待遇改善につきましては大蔵省が難色を示している、こういう手詰まりの状況になっているわけでございますけれども、外務大臣としてはこの打開のためにどういう対応をなさろうとしておるのか、お答えいただきたいと思います。 〔主査退席、宮下主査代理着席〕
○櫻内国務大臣 江崎ミッションの先方に参りました模様は、お話のように、大変厳しい環境の中でいろいろ協議をされてきておるようでございます。私は、このミッションが帰りまして、そして詳細承りまして、いまお話の出ました牛肉や柑橘類やそのほかのことなどもございますが、ひとまず調査団の報告を受けて、そして何としても、現在自由化しておらない規制品目については、これは国内事情を勘案しながら、できるだけ市場の開放に努めるよう努力をしてみたい。しかし、十分御承知のように、農産物につきましては日本の国内の事情がございまして、果たして米側の要請のようにいけるかどうか、これはなかなか問題でございますが、しかし、誠意を持って対処したい、また、できないときにはできないということをはっきり言わなければならない、このように思っております。
○春田分科員 大臣は、訪米の御意思があるみたいでございますけれども、大体いつごろなのか。
○櫻内国務大臣 これは、現に予算の審議中のことでもございまして、大まかなところ春の連休とかあるいは五月の連休に際しまして、先方の首脳あるいは政府の高官の状況はどうかというようなことを打診をいたしておるところでございますが、いまのところ、国会の状況もまだ予算の見通しもなかなかつかないという状況でございますので、予算でも一段落いたしますれば、国会のそれぞれの担当へ御了解を得ながらこの日程を詰めていきたい、こう思っておるところでございます。
○春田分科員 大臣が訪米するまでには、当面三月の九日、十日ですか、日米の貿易小委員会があると聞いております。これで詰めができなかったならば、その後また随時の委員会が行われる、協議が行われると思いますけれども、いずれにいたしましても、大臣が訪米するときは大体の大枠を相手側に示すことができる、相手が納得いかないまでも日本の誠意がわかるような形の大枠は示すことができる、このような段階で大臣は訪米する、こうお考えになっているんですか。
○櫻内国務大臣 春田委員のおっしゃるとおりに、三月の九日、十日、貿易小委員会がございます。その際には、江崎ミッションの帰国後のことでございますので、外務省としても先方の事情がつまびらかになると思いますし、またお出かけをいただく米側の方々からも率直なお話がある。その機会にある程度の見通しが出てくるんではないか。そうであれば、それらを踏まえて、三月なり四月なり、国会のお許しが出て向こうへ参ります際に、そういうものをもとにいろいろ話し合ってまいりたいと思います。
○春田分科員 ところが心配なのが、いま問題となっております米議会に出ております相互主義法案ですね。これが裏側にあるわけでございまして、日本側が輸入の拡大ないし自由化をしなかったならばこの法案を通すぞという、一種のおどしがあるわけでございます。どうも、この法案の議会の通過が、三月ないし四月ごろが山場だと私聞いているわけでございますけれども、この点どのように御判断なすっておりますか。
○深田政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、相互主義の考えを含んだ法案が幾つか上程されておりまして、これについては、公聴会その他が今後活発に開かれる予定と承知いたしております。 私どもといたしましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、今後の貿易小委員会等を含めるアメリカ側との対話を通じまして、日本の主張は十分いたし、また日本側としてアメリカの要望を入れ得るものは入れるということで、十分の対策を講じたいと思っております。 相互主義法案そのものにつきましては、アメリカ国内でも大変議論があるようでございまして、一部には、これが保護主義につながるおそれがあるということで、アメリカの中で反対の声もあるようでございますので、この流れにつきましては十分これから見守っていきたい、このように考えております。
○春田分科員 もし通過するとすれば、大体何月ぐらいと読んでおられるのですか。
○深田政府委員 米国のことでございますので確定的なことはもちろん申しかねますが、通常、この種の法案につきましては数カ月かかるということが言われております。ただ、アメリカ国内の事情の変化等によりまして、必ずしもそういう時期を経ることなく、比較的早く成立する、あるいは案件によりましては、もちろん当然のことでございますが非常に時間がかかるということで、千差万別でございます。一般的には、法案が出ましてから数カ月ということが言われておるということをお答え申し上げます。
○春田分科員 一部では大体三月の公聴会で、早かったら四月ぐらいに通過するんじゃないかということも言われておるわけでございまして、そういった面からいったら、この輸入自由化の問題につきましては早急な対策が必要であると私は思うのですね。そういった面からも、大臣の三月ないし五月の連休の訪米というのは、非常に重要な立場になってくるんじゃないかと私も思うわけでございまして、早急な政府全体の対策が必要じゃないか、このように思っているわけでございます。 大臣といたしましては、この三月の連休ないし五月の連休に向こうが待っている中に飛び込んでいくわけでございますけれども、相互主義法案というものを絶対通さないだけの御自信があるかどうか、もう一回確認したいと思います。
○櫻内国務大臣 現に、アメリカの国会の方でこれから公聴会を持ったり審議をするという段階でございまして、一部の観測では相互主義法案、ダンフォースの分が一番、私どもとしてはこれが通ると容易でないなと思っておりますが、この通過の見通しがあるという、まあいまは取りざたされておるところでございまして、これからのわれわれの対応の仕方、また相互主義がわれわれの守ろうとする自由貿易体制に対して非常に大きな後退であるというようなことで、いろいろ交渉しておる中に打開の道があるのではないか、お話のような阻止もできるのではないか、かように思っておるところでございます。
○春田分科員 通産大臣の安倍さんはずいぶん御心配なさっているのですよ。きのうの委員会の中でも、ひょっとしたら通過するのじゃないかという御懸念をなさっているわけでありまして、いずれにいたしましても、政府の三月かの経済閣僚会議で対策が出るみたいでございますけれども、十分なる対案を出していただきたい、このように要望しておきます。 また貿易摩擦問題は、アメリカだけじゃなくして欧州だってあるわけでございます。昨年の実績、見通しでございますけれども、アメリカが百八十億ドルの日本の黒字、欧州では百三億ドルの黒字と言われておるわけでございます。しかし、欧州では米国の貿易量の半分でこれだけの額でございますから、いわばアメリカ以上の黒字になっていると言っても決して過言ではない。それだけに欧州からも相当強い圧力が出てくるのじゃないか、その心配が六月のサミットに出てくるのじゃないかと思うのですね。しかも舞台はパリということでございますから、こういった面からも私は、アメリカのこうしたいわゆる保護貿易的な非常に強い姿勢が出てくる、この背景からも、欧州でも同じようなことが出てくるのじゃないかという懸念を持っているのでございますが、この点、大臣はどうお考えになりますか。
○深田政府委員 先生御指摘のように、欧州との関係におきましても日本の黒字が大きいということもございまして、また欧州諸国の経済の困難という背景もございます。大変厳しい状況であるわけでございます。今後、サミットの会合までの間にECとのいろいろな形での意見交換の機会もございますし、またフランスにつきましては、大統領の訪日等の行事も控えております。そういういろいろな機会を通じまして、EC諸国との対話を深めて、適切な対策を講じていくということが必要であるというふうに考えております。
○春田分科員 五十七年度の経済成長の中で、経企庁は、この貿易収支の問題につきましては三百億ドルの黒字になっていくのじゃないかという見方をしておるわけでございまして、かなりアメリカ、欧州等におきまして輸出過超になるのじゃないかという見方をしているわけです。そうした、五十七年度もかなり黒字になっていくという見方をしているわけでございまして、先ほど言ったように、パリ・サミットではずいぶんきつい注文が出てくるのじゃないかと思うのです。五十六年度はこういう形、五十七年もさらに黒字となれば、相当な締め出しになってくるのじゃないかという感じを持つわけでございますが、大臣どうですか。大臣もサミットに行かれると思いますけれども、五十七年度でもそのように貿易収支を見ているわけでございますが、説得できる御自信はございますか。
○櫻内国務大臣 これは、基本は欧米ともに大変なインフレである、失業率も高い、経済の伸びもほとんどないというようなことから、特に日本との貿易関係でお話のような黒字が非常に目立つということから、貿易摩擦、貿易摩擦と言われておりますが、このベルサイユ・サミットにおきましては、それはそれとして議題となり、腹蔵のない意見交換をしなければなりませんが、さらに大事なことは、いまの国際経済にどう新たな活性化を求めていくかというようなことが他面非常に重要なのではないか。 昨年、鈴木総理がヨーロッパ六カ国訪問をいたしまして、その際に、経済協力、技術協力あるいは第三国に対しての提携というようなことも言われてまいりまして、それはそれなりに各国が理解を示しておるところでございますので、それこれあわせてサミットでは大いに協議をしたい、こういうふうに見ております。
○春田分科員 しかしいずれにいたしましても、欧州また米国がねらうのは、やはりほとんど貿易摩擦の問題ではないかと思うのですね。いずれにいたしましても、政府として十分な対処をしていただきたいと思います。 時間がございませんので、次に日韓経済協力問題について若干質問いたします。 この実務者会議が二月の十八日、十九日に開催されたわけでございますが、ここではどこまで話が詰められたのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○木内政府委員 先般の実務者協議におきましては、きわめて技術的な話し合いに終始いたしたわけでございまして、先方が要請いたしております十一のプロジェクト、それから希望しております商品借款の問題等について、事実関係につきまして主として意見を交換いたしたわけでございます。 すなわち、具体的に申し上げますと、個々のプロジェクトのフィージビリティーであるとか収益性であるとか、あるいはその五カ年計画との整合性であるとか優先度の度合い、所要資金の内訳等等について、先方の説明を聴取いたしますとともに、それについて種々質問いたしたわけでございます。
○春田分科員 その話し合いで合意は何点かされたのですか。
○木内政府委員 あの会合の性格上、合意という段階にはとてもいかないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、技術的な側面についての意見の交換ということでございます。
○春田分科員 外務省としては、この問題につきまして大体いつごろをめどに決着したいというお考えなんですか。
○木内政府委員 従前は外務省が主として当たっておったわけでございますが、先般は関係省庁と韓国側と初めて相接したわけでございまして、その検討にはかなり時間を要するものと思います。少なくとも先週以来、一カ月ぐらいは関係省庁との意見交換に時間を要するわけでございまして、その上での進行状況につきましては、私どもとしましてはできるだけ早くというふうに思っておりますが、事柄の性質上、そう簡単にはいかない側面もあるかと思います。
○春田分科員 第一回、第二回ではいずれも詰めの段階になってない。第三回以降の実務者レベルの会談の予定日ですか、そういうのは決まっているのですか。
○木内政府委員 現在、まだ決まっておりません。
○春田分科員 大臣の訪韓の計画といいますか御意思といいますか、それはあるのですか。
○櫻内国務大臣 二回実務者会議をやっておりますが、これだけの問題でございますから、最終的には外相会議の必要が出てくるとは思います。しかし、現在の進行状況でございますので、そういう外相会議がいつ持てるかということについては、いま申し上げるような段階ではないんじゃないか。ただ、私としては、誠意を持って、しかもできれば早くいたしたいという、そういう気持ちは持っております。
○春田分科員 行く意思があるということでございますけれども、大臣が訪韓されるときのいわゆる環境といいますか、どこまで進んでいったならば大臣として訪韓したい——一部、政治決着という問題が新聞でも出まして、実務者の間である程度詰まって、要するにかなり厳しい内容になるかもしれないので、それ以上の積み重ねは政治決着で大臣が行くという一部報道がされたわけでございますけれども、大臣がお行きになるときの環境はどういう環境でありましょうか。
○櫻内国務大臣 まあ新聞は観測として、外相会議があれば政治的な決着かというようなことを書いておりますが、従来しばしば申し上げておりますように積み上げ方式で、そして経済協力の基本方針の中で考えていこう。韓国は中進国なんで、また昨年の閣僚会議の折などで、できるだけ民間に移すということも言っておるじゃないかというようなことを言われておりますが、八〇年、八一年の韓国の経済状況などからいたしますと、いまの韓国に対して社会経済的なある支援というものは必要ではないか、こういうことを考えておるわけでありますが、基本はやはり積み上げ方式で、経済協力の基本方針の中で考えていかなければならないと思っております。
○春田分科員 韓国が提示した円借款の内容は、十一のプロジェクトで三十五億ドル、商品借款で二十五億ドル、合計六十億ドルという形で言われておりますけれども、これで間違いありませんか。
○木内政府委員 そのとおりでございます。
○春田分科員 商品借款でございますが、これは後進国につきましては従来例があったと聞きますけれども、いわゆる中進国にもなったこうした国には過去には例がないんじゃないかということも言われております。商品借款につきましてはどういうお考えですか。
○木内政府委員 お説のとおり、商品借款は、主として国際収支上の大きな困難に逢着した国というのが慣例になっておるわけでございますが、従来の例で申しますと、たとえばトルコであるとかジャマイカであるとか、韓国と同じ程度の所得水準の国にも出ておるわけでございまして、今回どういたすべきであるかということにつきましては、目下検討中の段階でございます。
○春田分科員 それは、いわゆる前向きの検討ということでこちらはとっていいのですか。
○木内政府委員 通常プロジェクト援助につきましても、三割ぐらいまではローカルコストの手当てをいたしまして、事業が円滑に進捗するような仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、その範囲内と申しますか、その程度のことは当然考えてよろしいんじゃないかというふうに外務省としては思っております。
○春田分科員 この十一のプロジェクトの中での借款でございますけれども、低利の海外経済協力基金が主となると思うのですけれども、すべてこの基金だけで三十五億ドルという向こうが出しております円借款になるのか、それとも民間の金が流用されるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○木内政府委員 御指摘のとおり、インフラ部門につきましては確かに基金の資金ということでございますが、比較的収益性の高いもの、たとえばLNGのターミナルであるとかあるいは地下鉄のための車両であるとか、そういったものにつきましては民間の資金、すなわち輸銀の資金ないしは市中銀行の資金ということで対応するほかはないんじゃないかというふうに考えております。
○春田分科員 民生安定、向上のための借款ということが大前提でございますけれども、これが一応原則となっているのですね。原則以外で考えられることございますか。
○木内政府委員 そういった原則に即応して考えるのが自然ではないかと思っております。
○春田分科員 たとえば、韓国で八八年オリンピックがあるわけでございますけれども、間接的な周辺整備の道路等、これがいわゆる民生安定、向上のための借款か、それとも民生安定につながる借款か、非常に判断がしにくいと思うのですけれども、たとえばオリンピックの費用に使うということになれば、政府としてはどうお考えになっておりますか。
○木内政府委員 現在、韓国側との折衝におきまして、オリンピックを念頭に置かれた経済協力要請はなされていないわけでございます。すなわち、第五次五カ年計画ということでございます。なるほど、その第五次五カ年計画で上水道あるいは道路を整備すれば、それがオリンピックに裨益するということは当然あるかと思いますが、オリンピックを主たる目的としての折衝はやっておりません。 〔宮下主査代理退席、主査着席〕
○春田分科員 従来、韓国への円借款につきましては、昨年が百九十億円、一昨年も百九十億円ぐらいになっているわけでございますが、今回五年間で六十億ドルといえば単年度十二億ドル、これは円レート二百二十円で計算すれば大体二千七百億、約十四、五倍になっちゃうと思うのです。これで決まるかどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても勢い他国への影響が出てくるのではないか。政府としては、五年間で倍増計画を立てておりますので枠は広がっておりますけれども、いずれにいたしましてもかなり他国への影響が出てくるのじゃないかと思いますが、どこの国に影響するのか。それとも、いま全体でアジア地域は七割、その他が三割になっておりますけれども、この七割、三割の従来の配分率は変わるのかどうか、あわせて御答弁いただきたいと思うのです。
○木内政府委員 引き続きアジア重視ということで、私どもはアジア七割というのは何としてでも確保したいと思っております。今度の韓国への協力が実現いたしまして、ほかの国に不測の影響があるかどうか。これは、六十億ドルという兼ね合いでは、影響が全然ないということは言えないわけでございまして、その辺ほかの国に不都合な影響が生じないようにできるだけ苦心いたしたいと思っております。
○春田分科員 総理の海外訪問計画にはまだこの韓国は入ってないわけでございますが、もし韓国との経済協力の問題が解決した場合は、総理のことしの訪韓はあり得るとお考えになっておりますか。
○木内政府委員 まず、外務大臣に御訪韓いただきたいというふうに事務当局としては考えておりまして、総理の御訪韓の問題はその先の事柄であるかと考えております。
○春田分科員 この日韓関係につきましては、残念ながら過去一部すっきりしない点もあったわけでございますので、その轍を踏まないように、この日韓経済協力問題につきましてはすっきりした形で決着をつけていただきたい、このように要望しておきます。大臣の決意を聞いて終わります。
○櫻内国務大臣 春田委員のおっしゃるとおり、今回の経済協力問題は非常に重要でございますので、何とか円満に妥結を図りたいと誠意を持って対処しておるところでございます。
○春田分科員 終わります。
○砂田主査 これにて春田重昭君の質疑は終わりました。 次に、和田耕作君。
○和田(耕)分科員 きょう私は、日本の国籍を持っておる在外日本人の子供たちの教育の問題についてお伺いをしたいと思います。 現在外国、世界国じゅうにいる、日本国籍を持っておる在外の日本人の数はどれぐらいになるのでしょう。
○藤本説明員 ただいま、日本国籍を持っております海外におきます長期滞在者は十九万人余りでございます。それからなお、永住者がございまして、日本国籍を持っております永住者が二十五万人余りでございます。
○和田(耕)分科員 現在完全なといいますか、全日制の日本人小学校のあるところは幾つぐらいあるのでしょう。
○藤本説明員 現在、日本人学校は全部で七十校あります。全日制の日本人学校でございます。それで、五十七年度の予算案に計上されております新設が二校ございまして、これはすなわちパラグアイのアスンシオンに一校、それからチリのサンチアゴに一校、つまり二枚の新設分が予算案に出ております。これがもし実現されますならば七十二校でございます。
○和田(耕)分科員 その七十二校の主な国々の名前を挙げてくれませんか。
○藤本説明員 簡単に申し上げますと、開発途上国を主体といたします首都、つまり大使館の所在しておりますところにはほとんどございますし、それからアジアには二十二校ございます。それから中南米には十四校、ヨーロッパに十六校、こういったところが主なところでございます。全体で七十二校でございます。
○和田(耕)分科員 私は、二年ほど前にロンドンに参りまして、ロンドンの日本人学校を拝見したのです。また、もっと前ですけれども、タイの学校、シンガポールの学校も拝見をしたのです。このロンドンの学校を拝見したときに、これはよくやっていると思ったのですが、その校長さんに聞きますと、ロンドンに住んでいる人だけですね。イギリスの地方の都市に住んでいる人の子弟はこの学校に入れないかと言ったら、入れないと言うのですけれども、現在の全日制の小学校は、大概そういうふうにその地区だけの小学校なんですか。
○藤本説明員 基本的には通える範囲ということになろうかと思います。 先生お尋ねの御趣旨は、辺地の地方にいる子供はどうかというお尋ねの御趣旨かと思いますが、通えない距離におります子供の場合には、まず第一に通信教育がございます。これは、海外子女教育財団を通じまして文部省の補助金で運営しております。それから、教科書の無償配付というものをやっております。また第三番目には、夏休みの期間に日本人学校の先生方が巡回いたしまして指導をしておる。これは限られた範囲でございますけれども、そういうことがございます。
○和田(耕)分科員 これから外国で活躍する日本の人たちはだんだんふえる一方だと思うのですね。そうしてまた、たとえば外務省の人たちにしても民間の商社あるいはその他の人たちにしても、いままではわりあい短い期間の交代をしておったようですけれども、これじゃやはり非常に不十分な点も出るので、もっと長い期間外国に駐在しなければならないというような傾向にもなると思うのです。そうなりますともっともっと、特に義務教育の関係ですね、小学校、中学校、いろいろあると思いますが、特に小学校の問題等についてはもっとりっぱなといいますか、日本の義務教育を経てあるいは中学校、高等学校、大学へ連なるような配慮が必要だと思うのですけれども、文部省いらっしゃっておりますか、そういう問題は現在どういうふうにお考えになっておられるのか。
○佐藤説明員 ただいま先生御指摘のように、海外にはきわめて数の多い子供たちがいるわけでございます。それで、実際には中学部の学生数というのは非常に少ない、生徒数というのは減っております。これはいろいろな教育の問題があるかと思うのでございますが、国内に帰ってまいりますときに、帰国受け入れにつきまして、普通の問題のないお子さんの場合には公私立の学校に入る。特に適応することに問題のあるお子さんを対象にいたしまして、国立大学の附属学校等で特別の学級を編制するというようなことをしながら、円滑な受け入れを進めております。
○和田(耕)分科員 この問題は、大使館の名前は挙げることは差し控えますけれども、ヨーロッパの二つばかりの大使館に働いている役人さんから、私は選挙区が東京なものですから、東京の私の選挙区内に住んでおる子供たちのことを大変心配しているのですね。あれをぜひともこちらへよこしたいと思うけれどもという人もあれば、あるいは任地におる子供たちの将来の問題を大変心配しておる人もあるのですよ。これは大使館の人たちでもそうですから、民間の人は非常にそういうことが多いと思うのですね。 そういうことで、まず第一にやらなければならぬことは、外国の任地ではロンドン、パリあるいはジュッセルドルフでも、そういうところでできるだけ日本の義務教育に近い教育が施されるような設備、あるいは先生の配置を考えていかなければならぬと思うのですね。それをしませんと、日本でたとえば高校あるいは大学との連なりを考えるにしても、実際問題としてなかなかむずかしいのですね。したがって、現在非常に急ぐ大事なことは、各現地現地でかなり日本に近いような義務教育の体制をつくり上げるということだと思うのですけれども、現在外務省あるいは文部省の、そういうことのための予算はどういうことになっておりますか。
○藤本説明員 全日制日本人学校の予算につきましては、外務省についておる予算、いま予算案として計上されております数字は十六億余りでございます。これはゼロシーリングにもかかわらず、がんばって増加を認めていただいたわけでございますけれども、主として校舎の借料の補助とか、現地で採用いたしました先生の給与の補てんということをやっております。ほかの数字は文部省でございます。
○佐藤説明員 文部省の方の予算でございますが、昭和五十六年度におきましては百六億六千二百万円、五十七年度の政府予算案におきましては百二十八億三千六百万円、こういう厳しい折でもございますが、二〇%強の予算案ということになっておりまして、充実強化を図るべくがんばっております。 その中身は、教員の給与関係、滞在費とかあるいは住宅手当とか、赴任したりあるいは帰国したりするための旅費、あるいは教員の研修のための経費とか、あるいは教育内容の研究をしております海外子女教育センターというのが大学にございますが、そういったところの経費とか、あるいは通信教育、教材の整備を行うための経費等を盛っております。
○和田(耕)分科員 この問題で、私がいろいろと外国の現地で聞いた話などから考えますと、大事な問題は二つあるのですね。一つは、先生の問題です。一つは、その地区だけでなくて、その地方に散らばっておる日本人のネットワークをつくって寮の生活ができるような、そういう施設をつくることじゃないかと思うのです。そういうふうな点から、全寮制といいますか、地方の人が子供たちを住まわすような寮、寄宿舎をつくっていくというようなことを考えたことはありますか。
○藤本説明員 御指摘のような全寮制が欲しいという御意見はしばしば伺うわけでございます。現在、ロンドンに立教学院がございまして、ここは全寮制でございますけれども、限られた子供の数で運営しております。この全寮制の施設をいまの段階で公の資金をつぎ込んでつくり得るかどうかという点でございますが、現在、日本人学校を新設してくれという要求がまず出てきておりまして、どちらが先かというふうな問題もございます。日本人学校をつくってほしいという非常に緊急に困っておられる邦人社会も六つ七つございますので、恐らくこちらの方にまず力を注ぐべきであろうかと考えております。
○佐藤説明員 教育的に見ますると、義務教育段階のお子さんが寮生活をするということにつきましても、なかなかこういう問題は慎重に考えないといけないと思っております。現在、数的に見ますと八〇%以上、九〇%近い数字が子供の中で義務教育段階の小学生でございますが、あと残りが中学生、こういうことになっておりまして、もしいまそういうことになりますと、小学生を主とすることになりまして、親元を離して寮に入れるということにつきましては、相当慎重に考慮する必要があるのではないかと思っております。
○和田(耕)分科員 考えなければならないことは、不完全な日本人学校をあちらこちらにつくる、これもある過渡期は必要だと思いますけれども、そういうものからもっと完全な全日制の義務教育のできるような学校をつくっていくという方向に次第に発展させていかなければいけないと思うのですね。そうしないと不完全な、たとえば日本の分教場にあるような、あるいは先生にしてもにわか先生のような、そういうふうなことも過渡期は必要な場合がありますけれども、できるだけ完全に近いような全日制の義務教育をやるためには、できるだけ早く寮の設備を整えて、それで先生もりっぱな資格のある先生をきちんと配置できるような体制を目指してやらなければいけないのではないか、そういうふうに私は思うのです。 しかし、そのためにはかなり大きな予算がかかりますね。そうしてまた、先生の問題でも、私、かねがね思うのですけれども、日本の先生たちを毎年外国に研修に出していますね、あの数はどれくらいですか。
○佐藤説明員 私の担当ではございませんが、私の記憶では五千名だというふうに記憶しております。
○和田(耕)分科員 これは毎年ですか。
○佐藤説明員 毎年そうでございます。
○和田(耕)分科員 この五千名の人、比較的優秀な人を出しておると思うのですけれども、この人たちを何か工夫して、全日制の義務教育の機関とリンクさせていくような、少し工夫をすればそういうこともできるのじゃないかと私は思うのですよ。そういうふうにすれば、日本の先生方が外国で研修するという機会も非常に意味のあるものになる。それはいまのような形でも意味があると思いますけれども。そしてまた、その期間の問題も、もう少しふやして延長させていくということも可能になる。かなりいろいろな意味で一石二鳥、三鳥の効果を働くような結果ができると思うのですね。そういうことを外務省の担当官と一緒に、ぜひとも工夫していただきたいと思うのですよ。 つまり、いま申し上げたように、不十分な義務教育の教育施設はできるだけ完全な義務教育の体制にしていく、そのための先生は文部省が毎年海外に派遣する研修員の先生たちと何か組み合わせにすれば、りっぱな在外教育の機関ができるのではないかと思うのですね。いかがでしょうか。この点、大臣、いままでのやりとりをお聞きいただいたと思うのですが、私、これは非常に大事なことだと思うのです。この問題について大臣の御所見をお伺いしたい。
○櫻内国務大臣 和田委員の御熱心な海外子女教育についての御意見をいま拝聴しておったわけでございますが、五千人の研修生をこの子女教育の上に役立てる何か工夫はないか、こういう御提案でございます。 この研修の先生方は先生方として、できるだけ多くの国を訪問するというような場合の方が多いのじゃないか、一国に集中して研修させるという場合と、幾つかの国を歴訪するという場合と、どっちが多いか実際を承知しませんけれども、多分数カ国を歴訪する方ではないかと思うのですね。しかし、和田委員のせっかくの御提案でございまして、こういう海外に行かれる先生を何か利用ができないか、活用ができないかということについて、これは担当の方で検討させてみたいと思います。
○和田(耕)分科員 この問題は、今後日本の外交の姿勢を現地の人たちに理解をしてもらうためにも非常にいいことじゃないかと思うのですね。日本国が自分たちの子供たちの教育のためにこんなに大きな犠牲を払っておるのだということの、つまりデモンストレーション、いい意味の効果というのは非常にあると私は思うのです。 また、これは日本の教育との関連もありますけれども、現在、日本の特に若い子供たちの中に、余りにも国際人過ぎるといいますか、どこの国籍かわからないような、そういう精神状態というものがあるのじゃないかと私は思うのですね。やはり日本人としての、日本の国籍——外国に帰化するということも大事なことですよ。これはいいと思うのです。しかし、日本人としての気持ちというものは、やはり日本の教育の場合に忘れてはならないこと、つまり本当に自分の国を愛するという気持ちを養わないと、無国籍的な感覚では、他の国を愛する、国際的に平和的に共存をしていくという気持ちが出てこないと思うのですよ。そういうような意味からも、民主的で、しかも世界のどこの国とも仲よく共存しなければならない日本であればあるほど、正しく民主的な平和な日本というものをしっかりと子供にも教えていかなければならない。これは日本の国の教育の問題とも関連をする問題ではありますけれども、私は、外国へ出ている子供たちの教育について、そういうことを特に配慮してもらいたいと思う。 私、こういうことを申し上げるからといって、何もよその国に行っている子供にまで、日本の国、愛国心を教えろとかなんとかいうことを言っているわけじゃない。そういう小さな気持ちで言っているわけじゃないのです。自分の本当の国を愛するような気持ちでなければ、実際、外国との平和的なあれはできないですよ。そういうふうなことで、外に開かれた、りっぱな日本人をつくっていく。そうでないと、いまの財界の人たちはもうければいいんだという感じ、いわゆるエコノミックアニマルという感じ、こういう感じも、日本人としての正しい生き方というものを教えることによってある程度チェックできると僕は思う。 そういうふうな意味で申し上げているので、誤解のないようにお聞き取りいただきたいと思うのですが、正しい意味の日本人の教育という問題について、政府としてももっとひとつ配慮をしてもらいたい。この点、予算が足らなければ、大臣、気張っていただいて、ぜひともりっぱな在外日本人の教育という制度を確立していただきたい。そのことをぜひともお願いをいたしたいと思うのです。一言、大臣から御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○櫻内国務大臣 海外子女の方々の教育に関して御高見をいただいたわけでございますが、確かに、外に開かれた日本人、国際的にりっぱな日本人として行動のできる、そういう教育をしたい、また、そういう教育を身につけるようにさせたい、こういうふうに思います。和田委員のおっしゃったことを一つの参考にいたしまして、これからの海外子女教育についてますます必要性がふえていくのでありますから、篤と考えていくべき問題だと思います。
○和田(耕)分科員 最後に要約をいたします。 ぜひとも、完全な義務教育に近い施設を整える、そして、その地区だけでなくて、その付近のネットワークを意識した寮のような施設を考えるということと、毎年毎年の外国へ出る日本人のりっぱな教師の人たちが、在外日本人の教育の問題と何らかのつながりを持って有意義に過ごせるような体制をつくっていただくということでございまして、どうかひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 ありがとうございました。
○砂田主査 これにて和田耕作君の質疑は終わりました。 次に、矢山有作君。
○矢山分科員 私は、この機会にブラジル・サンパウロ州のグアタパラ移住地の問題について若干お尋ねしておきたいと思います。 私の承知しておるところでは、グアタパラの入植地というのは、もともとオランダ人の入植者が、余りの条件の悪さに手を引いた土地だということを聞いておるのでありますが、果たしてそういう経緯があったのかどうか。また、そういうような移住地としてきわめて条件が悪いと思われる土地をわざわざ選んだのはどういう理由だったのか、それを承りたい。
○藤本説明員 グアタパラの移住地は、確かに御指摘のような外国人の所有に属していたという事実はございます。 グアタパラの移住地を入手した経緯につきましてごく簡単に申し上げますと、昭和三十二年に全国拓植農業協同組合連合会が七つの県の協力を得て購入したものでございますが、これをその後、移住事業団、移住振興会社あるいはその後の移住事業団及び現在の国際協力事業団に移した、こういうことでございます。
○矢山分科員 私がお尋ねしたことにあなたは答えてないのです。 オランダ人が入植しておって、余り条件が悪いというので手を引いて放棄した、その後、わざわざ移住地として選んだのは一体どういうことなのか、何か理由があったのかとお聞きしておるのです。
○藤本説明員 当時の拓植農業協同組合連合会の判断といたしましては、若干御指摘のような条件の悪いところでございますけれども、ここに特に低い、低湿地がございますけれども、これを含めまして、日本の農業技術でもってここをよくしていく、またいけるというふうに考えたものであろうと承知しております。
○矢山分科員 時間をとりますから、きょうはそれくらいでやめておきますが、この点、また改めていろいろと理由をお聞かせ願いたいと思います。 一たん入植したのですけれども、中途でやめてよそに出てしまった人あるいは帰国した人、つまり退耕者は、これも相当な数に上っておると思うのですけれども、一体どういう状況なんですか。それからまた退耕者のその後の追跡調査はやっていますか。
○藤本説明員 統計でございますが、当初入植いたしましたのが百六十二戸、家族を入れましての人数が八百五名であったわけですが、現時点では、定着数は百十六戸、五百八十八名の家族を含めての人数ということでございます。したがいまして、私が承知しておりますほかのところの移住地との比較におきましては、脱耕者はわりあい少ないのではないかというふうに存じております。
○矢山分科員 退耕者のその後の追跡調査はやっていますか。
○藤本説明員 退耕された方はいろいろな形でコロニーを離れたわけでございますけれども、日本に帰られた方もございますし、それから御承知のとおり、サンパウロの都会地に出られた方もいるし、あるいはほかの移住地に行かれた方もいるわけでございますが、特に都会地に行かれた方が多いやに承知しておりますけれども、サンパウロ方面に行かれた方についての追跡調査は、手段がございませんのでその点はできかねております。
○矢山分科員 二八%からの退耕者というのは、余り数が少ない退耕者じゃないと私は思うのです。そういう多数の退耕者が出るということは、入植した土地の条件がいかに悪かったかということを示すものであるし、また入植させるための基礎的な条件の整備がいかに不完全であったかということを示すものだと思います。したがって、こういう点については、私は今後の移住政策を進める上で十分考えていただかなければならぬと思うのと、それからもう一つは、退耕者の皆さんの中には、それなりに生活をしておられる人もあるかもしれませんが、相当生活条件の厳しい人たちもある。これはいままでの調査でもいろいろと指摘されておるところですから、移民政策というのは棄民政策ではないのですから、やはりこの辺は十分配慮なさってやられてしかるべきではないかというふうに思います。 次に進みますが、このグアタパラの入植の問題について、国際協力事業団の移住地概要、これは五十三年版ですが、これを読んでみますと、営農は、低地を利用しての水田及び蔬菜作と丘地を利用しての柑橘、雑作栽培を予定したが、必ずしも順調に進展せず、現在では営農形態が変わり、養鶏、養蚕、果樹の導入が図られて、これらの組み合わせで進められている、こういうふうに言っております。 それからさらに、現地の状況を一番伝えておると私ども思っている「グアタパラ通信」、これによりますと、主作物の米は一番早く始まり、水田工事ができないままに二年目には二万三千俵の多収穫を上げたが、陸稲方式であったために、地力の低下と低温多湿等のために三年目から急激に減収となり、五年目にはほとんど壊滅状態で、生産は二千俵足らずに落ち込んでしまった。 主作物であった米作に頼れなくなった入植者は何によって生計を立てるか暗中模索で、いろいろのものに手を出したが一番早く代替農産物として始まったのが養鶏である。また、養蚕は当初計画にはなかったのであるが、米作の不振と養鶏が必要とする資本力に応じ切れない農家が、ブラジル拓植銀行の融資を受けて始めたものである。こういうふうに言っております。 そうすると、入植させるときには、水稲、米作というものが中心ということで入植させたのだと思うのです。ところが、ここに指摘されておりますように、水田工事ができておらぬというような条件のところに入植したものですから、いまや米作は完全に崩壊してしまった、こうなっておるわけですね。一体入植させるときにこういったようなことを入植者に十分説明しておったのですか。低湿地で排水工事をやらなければならぬ、それに金がかかるのだというようなことを入植者には何も言わずに入植させておるというふうに、私どもは現地から帰国した人から聞いておるのですが、この点、どうなんですか。
○藤本説明員 この点、国際協力事業団の部長の方から説明をいたします。
○北村参考人 北村でございます。 先生のお話の水田の件でございますけれども、当初は確かに先生いま御指摘のようなことで、一時不作というようなことがございましたが、最近のお話でございますと、水稲といいますか、グアタパラにおきます稲の収穫が約三万俵ぐらいあるということでございます。そういうふうに聞いております。最近はかなり水稲も成績がよくなっておりまして、水稲におきましても非常な収穫を上げておるというふうに聞いておるわけでございます。
○矢山分科員 あなた、それは本当ですか。私がいま言ったこの「グアタパラ通信」というのは七九年ごろのですよ。そんなに一遍に水田作が回復するほど灌漑排水工事がどんどん進んだのですか。
○北村参考人 グアタパラ移住地の場合には堤防がございまして、低地におきましての水稲栽培の改良工事にいろいろ苦心をしておるわけでございますが、そういう意味で最近の状況は、水稲におきましてはかなりの成績を上げておるというふうに聞いておるわけでございます。
○矢山分科員 では、そういうふうにお聞きしておきましょう。 ところで、私の質問の要点は、入植させるときに水田工事が十分できていなかった、灌漑排水工事等をやるのに相当な負担が要るのだということを入植者には知らせておったのですか。行ってみたら聞いていた話とさっぱり違うということであったのじゃないですか。——わかりませんか。答弁できなければ、時間を食いますから、いずれにしても厳しい時間のうちでやっているのですから、そういった点はよく調べておいてください。もしきょうはっきり答えられぬのなら、このまま・では済ませませんから。先ほど言ったように、移民は棄民じゃないのですからね。 そこで、きょうの本論に移らせていただきたいのですが、国際協力事業団のブラジルの現地法人のJAMICとJEMIS、これが昨年の九月末で閉鎖されたということですね。私の承知している限りでは、ブラジルに三十五カ所以上の日本人集団移住地が造成されておりますね。そうして移住者への融資累計額も七八年までで七十四億円にも達するほど、この二つの機関が移住者の営農や生活資金の面その他で大きな支えになっておるはずです。今回のこの両機関の閉鎖で、かなり影響を受ける移住地あるいは団体や個人が出ておるのではないかと私は思うのですが、この実態を把握しておられるでしょうか。実はこれらの問題について資料を要求したわけでありますけれども、まだ参っておりませんので、もしそこでわかっておられればお伺いしたいと思います。
○藤本説明員 昨年の十月一日にJAMIC、JEMISが撤退したわけでございまして、清算業務が始まったばかりでございます。特に御指摘の三十五のコロニーの移住者が最も関心を持っておりますのは、営農資金の融資というふうなことが中心かと思いますけれども、私どもは融資の仕事は南米銀行に任せるということで、いま南米銀行と一生懸命、交渉はほとんど済んでおりますけれども、若干時間がかかっております。できるだけこれを早急に妥結したい、こう考えております。 また、この三十五のコロニアが現在どういう状態になっておるかという点につきましては、いまだ状況を把握する資料を持ち合わせておりませんが、清算業務の目鼻がつき次第全体の様子を調べてみたい、こう思っております。
○矢山分科員 これは二つの機関が廃止されたということで現地では相当いろいろな問題を抱えているようですから、ぜひ調べておいていただきたいと思うのです。 たとえば、私の手元に、現地のグアタパラの農事文化体育協会という現地法人だそうですけれども、そこからの請願書が来ておるのです。請願書という名前になっておりますが、来ておるのです。これを見ると、グアタパラ移住地の入植者は、JAMIC、JEMISの閉鎖で非常に大きな影響を受ける、いろいろな未解決の問題が残っておるんだということを言う中で、いろいろな問題を言っておるのですけれども、グアタパラの移住地の入植者の経営の状態というのをある程度把握できておりますか。
○北村参考人 経営の概況といたしましては、養鶏、養蚕、水稲というものが主たる作目でございまして、二戸当たりの平均農家所得が約二百万円でございます。それから総資産は、平均でございますけれども約八百十万円。それから借入金につきましては約百三十六万円、それに対しまして事業団分につきましては約四十五万円というふうな状況でございます。
○矢山分科員 私が現地は余りいい経営状況ではないということを言ったのは、五十六年十二月八日発信の「グアタパラ通信」というのがあるのですが、これを見るとこんなことを言っているのです。 「グアタパラ移住地入植農家の一九八〇農年の経済状況について」というので、「はげしいインフレの下で移住者経済の一例として去る六月に終った一九八〇農年の当移住地農家の営農実績は既報の通りで、生産の伸張率は三・六%、粗収入の増加率は九八・二%で、生産の伸張率は入植以来最低で、粗収入もインフレが一二〇%近くにも進行した年としては実質的には減収であった。計三〇戸は赤字経営と推定されます。計四一戸はまだ生計が成り立たず経営は未確立であります。」こういうふうに言っています。 そしてまた、「ジェミスの閉鎖に伴って事業団からの融資が南米銀行の所管となり、年利は一二%から四五%と著しく高くなり、非常に不利な状態に陥りました。日本からの原資の条件は変わらないのに取扱機関が変わって、今後はブラジルの一般農業金融と同じ条件となって了いました。どこが利益を受けることとなるかわかりませんが、移住者中に利益を受けるものはありません。」こういうふうに指摘しております。 そうして、現地融資の内訳は、事業団の融資が全体の二二・七%、コチアからの融資が全体の三八・三%になる。それから銀行は日系の南米銀行が三九%になる。「移住者が定着するに従って現地金融機関の融資で運営していくことになるのは必然で、移住政策もその方向を望んでいるのでありますが、移住者が一人前となるのは、一般に考えられているよりおそく、グアタパラの当初の計画では入植後八年たてば完全に黒字で負債がなく、余裕のある経営確立が出来ると予測されていましたが、現実にはとてもその線には到達出来ず、上記のように約四〇%が今なお経営の未確立に悩んでいるというのが実状であります。」こう言っている。 そうするとこれは、いまの状況が、生活実態あるいは農業の経営からいってもきわめて困難な状況にあるし、この二機関の閉鎖が相当な影響を及ぼすのではないかと、こういうふうなものを見る中で私は言っているわけです。閉鎖をすることは簡単ですが、それによって現地の移住者は非常に大きな影響を受けるとするなら、それをどう処理していくのかという方針というものがある程度立っておるのですか。立っておったらお伺いしたいのです。
○藤本説明員 御案内のとおりJAMIC、JEMISの撤退はブラジル政府の要求によってやむなく撤退する、こういうことになったわけでございます。大変私ども不本意でございましたが、これは仕方がないことでございます。 先ほど金利の御指摘がございまして、確かに一二%が四五%に上がったという点はその「グアタパラ通信」のとおりでございます。移住者はその点はお困りになっておられると思いますが、四五%という農業融資でさえも、これは農業特別融資の金利でございますけれども、これでも商業金利よりははるかに安いのでございます。ブラジルではインフレがございますので、この程度の金利ではいたし方がないかもしれないなというふうな、いわば移住者全般からの御理解は得られているだろうというふうに私ども考えたわけでございます。 ただ、御指摘のように移住者が困って営農に必ずしも成功してない農家が三割、四割おありになるということは、これはそうかもしれません。実はこの営農の問題は、時間があれなのではしょりますと、上手下手がございまして、これはほかの移住地でもございますけれども、上手な方の場合は成功しておられるという点がございます。そこで、いま移住地で階層分化が進行しているという事実がございますので御指摘いたします。
○矢山分科員 先を急ぎます。まあ上手下手で片づけられてはかなわぬですね、移住者は。その辺はよく検討して、この両機関の閉鎖によって大変なしわ寄せがいかぬように努力してください。 次に、グアタパラ移住地では、現在三分の一に当たる低湿地の改良工事に金と労力をかけながら、百三十戸中、百三十戸はないと思いますが、約半数の六十戸、数百名が生計のよりどころとしておるようであります。この低湿地はモジグワス川に沿う約九キロの長い堤防で雨季のはんらんから守られておるようであります。一九七〇年の大雨の際に決壊の惨事があって、村じゅう総動員でこれを防いで大事を免れたというふうに言われております。その後、その沈下、決壊の部分が事業団の手でかさ上げ工事があって直されて、堤防を水が越す、決壊するというようなこともなしに来ておるというのであります。 ところが、先ほど言った農事文化体育協会からの請願の一つは、この堤防の保全管理をJAMIC、JEMISの閉鎖の時点から移住者の手で資金を調達してやらなければならぬという問題に逢着した。一体これをどうしたものだろうかというのが入植者の人の大変悩みの種になっておるようです。これに対して何らかの方法を考えておられますか。
○細川参考人 ちょっと前後いたすかもわからないのですけれども、グアタパラ移住地の御説明をいたします。 グアタパラ移住地にいま約百二十戸ございまして、それが三分の一ずつ稲作と養蚕と養鶏をそれぞれ主体とする営農をやっているわけです。それで、いま先生から御指摘がありました、私ども低地農業と言っておりますけれども、低地では、日本の稲作技術を生かした水田作をやっているわけです。そこで移住者たちは、これまた先ほど先生の御指摘がございましたけれども、入植当初、稲作と柑橘と雑作という三つの営農の組み合わせで皆さんやってこられたわけです。労力を倹約するために、効率的に仕事をするために交換分合というのをやりまして、稲作をする人は低地をたくさん買う、柑橘をやる人は丘地の方へ入るというふうにしていったわけです。 そこで、問題となりますのは、低地をぜひやりたいという人が現在三十三戸くらい残っておりますけれども、その人たちを対象にいたしまして、できるだけ機械を入れて効率を上げるために一カ所に集めて、先生御指摘の工事を四十九年に行ったわけです。そこで、その低地の農業者たちが一番心配しておりましたのは、水田作でございますから排水工事及び用水工事、この両者をやっていかなければいけない、その維持管理がグアタパラ移住地の三分の一の低地農家にとって一番大きな仕事、と同時にわれわれの大きな仕事であったわけでございます。現在のところ、その工事をやった後、多少でこぼこがありますけれども、ほぼいまいいかっこうで進んでいるわけです。 そこで先生の御指摘の、将来、低地堤防が、これはそんなことはないと思いますけれども、万が一決壊するような事態があった、あるいは大雨が降って用水路、排水路が使い物にならなくなったときにどうするかという御質問だと思いますけれども、そのときに、JAMIC、JEMIS、これは日本人でございますが、日本人が撤退いたしましたときに、外務省の御意向で私ども考えておりますのは、融資につきましては南米銀行を通じてやっていきたい。 それから、一般の交付金の援護につきましては、向こうの地元にあります、各地に援護協会とか文化体育協会とかございます。それを通じて援護の業務をやっていきたい。 それから、特殊の交付金による援助が必要なもの、突発的に起こるもの、いま申しました堤防が決壊するような事態が起こったり、あるいは大雨によって道路が破壊されたり、あるいはそういう事態じゃなくても、何か学生寮をつくってほしいとか、そういう要望がありましたときには、その移住者の団体と申しますか、入植者の団体と申しますか、いわゆる受益者の団体を通じてお金を補助あるいは助成していく方法を考えていきたい、そういう方向で進んでいるわけでございます。
○矢山分科員 そうすると、たとえば堤防決壊事故が起こった場合には、その復旧に対しては補助をして復旧してやる、こういうことですか。現地は、恐らくそれがもらえぬのじゃないかというので、結局、堤防の維持管理をやるために何らかの方策を考えなければとてもどうにもならぬというので、未分譲の堤外地があるようですね、その堤外地をひとつ自分たちの負担にたえ得るような価格で譲渡してくれるなら、そこを耕作していけば幾らかの収入は得られる。その収入で万一堤防決壊のようなときにはそれを直す等の維持管理をやりたいのだが、そういう自分たちの負担にたえ得る価格でそれを払い下げしてもらうわけにはいかぬだろうか、こういうふうに向こうは言っているわけです。しかしながら、あなたの方で、いや堤防が決壊した場合には補助でやってやるんだということになれば、それはその心配はないわけなんです。どうなんですか。
○細川参考人 いまその意味で申したのではございませんで、先ほどちょっと申しましたけれども、まずこういうことはあり得ないという前提でお話ししましたけれども……(矢山分科員「いや、あり得ないって、堤防が崩れるかもしれない」と呼ぶ)これは私どもの方の誤りで……。実はグアタパラの移住地というのは、私どもJAMICが経営しておった移住地でございます。そこで、原則としてできれば移住者の団体でやっていただきたい。一応の工事が終わった場合にやっていただきたい。先ほど私が、もし決壊するような場合には補助金のことも考えられると言いましたけれども、これは必ずしもそうするのではなくて、その対象ともなり得るのじゃないかという私どもの考えを申しただけです。 それから、いわゆるグアタパラ移住者からの……。
○矢山分科員 時間がないです。 だから、それはあなたの考え方を申しただけなんだが、現地の方が言うのは、いままでは堤防の維持管理を現地の両機関がやってくれたから、事業団がやってくれたから困らなかった。しかし、もし堤防が決壊したら、今度は自分たちが維持管理をしなければならなくなるだろう、そうなると金がないんだ、だからいま言った堤外地で未分譲のところを自分たちの負担にたえる価格で払い下げてくれぬか、そうしたらそこを耕す収益によって維持管理ができるんだ、こう言っているんだから、それに対してどういう御見解ですかと聞いているんです。時間がないから、焦点を決めて答弁してください。
○藤本説明員 JICAの重要財産の処分については検討を進めておりまして、確かにおっしゃるとおり、堤外、低い湿地の譲渡につきましては、財政当局と相談しながら慎重に検討したいと思っております。
○矢山分科員 そこで、これの処分ということになると、恐らく最終的な処分の段階にいけば国有財産としての処理になると思うのですよ。そこで、外務省と大蔵省との間において、そういうことでいままで何らかの話し合いがあったのかどうか、そしてまた、大蔵省はそういうことに対して対応できる用意があるのかどうか、その点、どうなんですか。
○藤本説明員 ただいま重要財産の総整理、つまり再評価をやっております。これは清算事務の一つでございます。したがって、この再評価が全部終わりました段階で、大蔵省に相談に持っていきたいと思っております。現段階ではまだ大蔵省には持ち込んでおりません。
○澤島説明員 現在の段階では外務省からまだ何も聞いておりませんけれども、いずれ重要財産の処分ということで協議がございました段階で検討してまいりたいと存じております。
○矢山分科員 最後に外務大臣にお願いしておきます。 いま言いましたような事情で、現地では非常に多くの問題をその他抱えておるようですが、一点現地が特に取り上げてまいっておるのは、そういった堤防決壊のときの対策に困るということで、未分譲地の払い下げによってそれを維持管理していく経費を捻出しようと言っていますので、そういった点は特に大臣の方で十分御検討いただいて、大蔵省との間で現地の要望に応じるようにしていただきたい、そう思いますので、最後に御見解を承って終わります。
○櫻内国務大臣 私、初めて聞いたことでございますが、筋道を立ててのお話であり、堤防決壊に伴う現地の非常な御心配ということもわかることでございまして、ただいま担当の方がいずれ大蔵省との関係でよく協議をするということでございますから、その際矢山委員のおっしゃっていることをよく参考にして検討いたさせます。
○矢山分科員 ありがとうございました。
○砂田主査 これにて矢山有作君の質疑は終わりました。 次に、吉原米治君。
○吉原分科員 竹島問題について質問をしたいと存じます。 北方四島の返還問題が大きく政治課題になっております反面、この竹島問題は、歴史的にも法的にも日本固有の領土でありながら、しかも島根県隠岐郡五箇村に属する竹島でございますが、今日まで二十数年間、李ライン宣言からいいますと三十年に当たるわけでございますが、韓国の不法占拠が続いております。加えて、五十三年五月八日以降、竹島周辺十二海里内の海域から日本漁船を不法にも退去させて多くの漁民に不安と莫大な漁業損失を与えていることは、大臣、特に地元でございますからよく御承知のところでございます。 しかしながら、政府の口から余り大きく政治問題化されない、何かしら避けて通ろうとするような言動、そういう政治姿勢しかわれわれの目には入らないわけでございまして、時あたかも六十億ドル借款をめぐって、大臣、対韓折衝では大変御苦労なさっておられるようでありますが、ソ連と違って韓国とは昭和四十年の六月に条約も締結されておる、いわゆる同盟国だと思うのです。同盟国でありながら、なぜ日韓閣僚会議、定期的に行われておるようでございますが、この中で話し合いが持たれないのか、きわめて不可解に思うわけでございます。 そこで、大臣は竹島の現状についてどういう認認を持っていらっしゃるのか、現状ではもうどうしようもないという御認識なのかどうなのか、まず最初に大臣のお考え方をお伺いしたいと存じます。
○櫻内国務大臣 竹島が日本の固有の領土であるということにつきましては、それを証明する歴史的な事実があると思います。しかるところ、不当な占拠が行われておって、昨年の八月の巡視結果に基づきますと、従来よりもさらに一層施設などがふえておるという状況でございます。 そこで、この竹島の問題につきましてどう対処していくか、こういうことになりますが、御承知の一九六五年六月二十二日の交換公文によりまして、紛争の解決についてはっきりした書簡があるわけでございます。したがって政府は、一貫して平和的手段によって問題の解決を図っていこう、こういう基本的立場に立ちまして、外交上の経路を通じてしばしばその不当な事実を指摘しておるわけであり、また紛争の解決に努めたいということで終始しておる次第でございます。
○吉原分科員 交換公文で「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて」云々とこうあるわけでございますが、目下のところ、外交上の経路を通じて解決するという、そういう努力をしておると大臣はおっしゃったわけでございますが、どうもいままでの交渉の経過というのがつまびらかにされてない、何かはれものにさわるような感じを私どもは受けるわけでございまして、特に前々外務大臣時代、園田外務大臣時代にはこうした委員会で質問すら遠慮してほしい、こういうことも言われたことがあるわけでございまして、どうもいままでの外務省の外交上の経路を通じて解決するという努力は霧の中に包まれてしまって、われわれには一切明らかにされてない。いま大臣は、外交上のルートを通して目下折衝中なんだ、また不当性も追及しておるんだ、こういう御答弁がございましたが、実際に衝に当たっておられる外務省の方から、その経過について明らかにされる部分があればひとつ明らかにしていただきたい。どういうことを韓国は言っておるのですか。
○木内政府委員 御指摘のとおり、昭和五十二年の閣僚会議の際に、当時の園田外相と朴東鎮外務部長官とこの問題について話し合いを行われまして、その後の事実といたしましては、外相レベルでは昭和五十五年に当時の大来外務大臣がやはり同じ朴東鎮外務部長官が訪日されましたときに話し合いを行っておられます。一番最近では、昨年の三月に伊東外務大臣が大統領の就任式御出席のために訪韓されましたときに、盧信永長官とこの問題について触れられておるわけでございます。 私どものレベルでもこの問題については慎重に先方とやりとりがございまして、最近の例では昨年の十一月十九日に在京の韓国公使に対しまして私から、昨年の夏の海上保安庁の巡視船による竹島巡視についての報告に基づきまして口上書で抗議をいたすべく、口上書を手交したいきさつがございます。
○吉原分科員 そうしますと、定期閣僚会議の中では竹島の領有権、特に漁業権等につきましてはいままでに一回も正規の議題に上げて論議したことはないわけですか。
○木内政府委員 正規の議題ではございませんが、先ほど触れましたとおり、園田外務大臣が訪韓されましたとき、それから先方の外務部長官が来日しましたときに、この問題について言及いたしております。
○吉原分科員 なぜこれは閣僚会議で正規の議題に取り上げて論議ができないのですか。
○木内政府委員 先般の九月の閣僚会議に際しましては、話題の主たる分野が経済協力の問題に終始をいたしましたために、その席上では触れられなかった次第でございます。
○吉原分科員 経済協力問題が主たるものになって、この竹島問題は議題にならなかった、そんな話のわからぬ韓国などへの援助は打ち切るべきだという意見すらあるわけですよ。一方で経済協力、技術協力もそうでしょうが、いろいろな支援をする、協力をすると言っておきながら、自分たちの方の領土にいわば土足で踏み込まれておって、それが正規の議題に取り上げることができずに、経済協力問題だけが先行してしまうというのは、余りにも片手落ちな外交姿勢だ、こう言わざるを得ないのですが、どうですか。
○木内政府委員 先ほども触れましたとおり、私からも在京韓国大使館員に昨年の十一月にこの問題について抗議する口上書を渡してございますし、また本年に入りまして一月には、アジア局の審議官が訪韓いたしましたときに、先方とこの問題について話し合いを行っておるわけでございます。確かに非常に華々しいやりとりではないという御叱責は受けるかもしれませんが、この問題につきましては大変感情的な機微な側面もございますわけでして、したがいまして、引き続き慎重に対応するということが遺憾ながら最上ではないかと考える次第でございます。
○吉原分科員 何か感情的なものも絡んでくるというような御答弁でございますが、感情的なという意味はどういうことなんでございましょうか。韓国は、竹島をめぐって日本との間ではもう論争はないんだ、すべて解決済みだという、北方四島に対するソ連の態度と同じ態度でございますか。
○木内政府委員 結論から申し上げますと、韓国側の考え方はそういうことに立脚いたしておるわけでございまして、私どもとしては韓国側のそのような考え方には承服できないわけでございまして、先ほど外務大臣からも御答弁がありましたとおり、不法に占拠されておるということでございます。
○吉原分科員 どうも歯切れの悪い答弁で納得できないわけですが、解決済みだという認識を韓国が持っておるという意味の答弁をされましたけれども、一体どういう韓国と日本との間の交渉の場で、もうあれは済んだんだ、解決ついたんだという認識を韓国側は持ったのですか。一方的に向こうが解決済みだとか、日本との間で論争の余地はもうありませんとかいう認識を持つはずはないのですが、いつどういうときにどういう交渉をしたことによって韓国がそういう認識を持っておるのでございますか、もう一度お聞かせ願いたい。
○木内政府委員 李承晩ライン設定のときに、竹島を先方の李承晩水域内に編入いたしまして、以降独島というふうに竹島を呼称いたしまして、これが歴史的にも国際法上も韓国の領域に帰属するという論理構成を打ち立てておるわけでございます。 私どもとしましては、これに毫も納得いたしておるわけではないことは先生御承知のとおりでございまして、その後、国際司法裁判所に提訴するべく提案した経緯もございますし、それから先ほど外務大臣から言及がございました紛争の解決に関する交換公文に即しまして、これを外交上のルート、それがだめならば調停に付すべく先方と折衝を重ねておるわけですが、その過程におきまして先方が絶えず申すことは、この問題は存在しないんだ、韓国の領域であって解決済みの問題であるということで強硬な姿勢をとっておることは先生御承知のとおりでございます。
○吉原分科員 そうしますと、韓国の解決済みだとか日本との間で論争点はないんだという認識は、何らかの交渉によって生まれたものではなくて、一方的に韓国が思い込んでいるということでございますね。
○木内政府委員 その色彩がきわめて強い次第でございます。
○吉原分科員 交換公文の中では、そうなりますと自主交渉といいますか、自主的な交渉、当事者同士の交渉ということになりますと、どうも解決点が見出せぬのじゃないか。いみじくも交換公文の中にありますように、「これにより解決することができなかつた場合」、つまり当事者同士の外交上のルートで解決ができなかった場合には、「両国政府が合意する手続に従い、調停によつて解決を図るものとする。」ということになっておりますが、この調停によって解決を図るという問題については、第三者等にこの問題をぜひ調停してほしいというような働きかけを今日までされたことがあるのでございますか、どうでございますか。
○木内政府委員 そのような努力を重ねてきてまいっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、そもそもこの問題は存在していない、したがいまして日韓間の紛争としては存在していないのだという韓国側の主張に伴いまして、遺憾ながらこの交換公文に基づきます調停による解決という方向には至っていないわけでございます。私どもとしましては、にもかかわらず粘り強く外交上のやりとりを重ねまして、韓国側の翻意を引き続き求める努力を継続するのほかないと心得ております。
○吉原分科員 大臣、先ほど冒頭に申し上げましたように、せっかく六十億ドル借款をめぐっていろいろ折衝されておるようでございますが、今日までも相当の多額な経済援助を韓国にはしてきておると私は思います。今日までの韓国に対する、まあ技術的な面は評価できないでしょうけれども、経済援助額は一体どのくらいになっておるのか。少なくとも、一方で経済援助をしながらこの種の問題が何かしらぬ韓国側の一方的な意思によって押しまくられてしまうというのは何としても不可解千万でございますので、ちょっといままでどのぐらいの経済援助を韓国にしてきたのか、また経済援助を通じて、外務大臣、この問題は話の糸口といいますかそういうものの交渉といいますか、交渉のテクニックであろうと思いますが、そういう話は出せないものかどうなのか、あわせてひとつお答え願いたいと思います。
○木内政府委員 これまでの対韓援助実績は、昭和五十五年末までの累計で申し上げますと、無償の資金協力が三億三千万ドル、技術協力が約四千七百万ドル、円借款並びに古米の貸し付け、すなわち政府貸し付けでは合計九億四千八百万ドルとなっております。合わせまして十三億二千五百万ドルの数字に相なるわけでございます。
○櫻内国務大臣 吉原委員のおっしゃる経済協力に関連しながらということも、それは一つの考え方だと思いますけれども、私はそういう措置はいかがかと思います。やはり領土は領土である、またわが国の固有領土である、こういうことを私どもはかたく信じておるのでありますから、日韓の国交回復のときに交わしました紛争解決についての交換公文にのっとって、あくまでも粘り強くやっていく必要があるんではないか。従来どの程度になっておるかということを振り返ってみまして、一九五二年から一九八二年の一月まで五十八回の抗議を申し入れておるということになっておると思います。これからもやはりわが国の固有領土であるというそのかたい信念の上で繰り返し繰り返し話し合いをしていくという必要があるのではないか、このように私は思います。
○吉原分科員 経済援助をするからということで筋の通らぬ話を一方で出してみたって、それは物事の交渉でございますから、それはそれ、これはこれということになるのが落ちでしょうけれども、少なくとも私は、双方のそういった——われわれは当然、日本古来の領土であると、こう固く信じておるし、それなりの証拠を持っておるわけでございますが、冒頭申し上げましたように、どうして友好国であるはずの相手国との間でそういった話が円満に話し合いがつかぬのかなという点が不可解なんでございまして、特に、いま聞きますと、経済援助、技術援助合わせて十三億二千五百万ドルといいますと、多額な援助だと私は思います。そういう意味で、大臣は交換公文に従って粘り強くというお答えございましたけれども、いま島根県の漁民を挙げて、地元から外務大臣が御就任なさったので、ぜひひとつ櫻内外務大臣の就任時代に解決をしてもらいたいと期待を大きくしておるわけでございまして、いまの信念に基づいて積極的にこの問題はひとつ取り組んでもらいたいと思います。 ところで、時間も参りますから、当面する領土権の問題は時間がかかると言うなら、これもまたいたし方ないことでございますが、漁民が少なくともあの島の周辺で、昭和五十三年の五月でございますね、竹島の周辺で大変な漁業をやっておったわけでございますが、そこから退去させられた。いま聞きますと、竹島の島の上から肉眼で見えない範囲なら結構だ、こういうことにどうもなっておるようでございますが、肉眼で見えない範囲というのは、島から見ますとかなり遠距離になるだろうと思いますし、特に島の周辺は御案内のとおり大変優良な漁場でございますので、漁民が安心して従来どおりの漁業ができるような、そういう配慮ぐらいは韓国との間で話がつけられないものかどうか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
○木内政府委員 先ほど御指摘のとおり、農水省におきましては、竹島周辺水域の漁業関連経営安定特別資金に基づきます長期低利の御融資で、関係漁民のお困りの事情を何とか救済しようと御努力いただいておるわけでございます。 他方、私どもといたしましては、韓国側と竹島周辺の安全操業の問題についてできるだけ実際的な対応がなされるようにということで、韓国側と話し合いをいたしております。先ほどの、肉眼で見える見えないところ云々というのはその一つの所産でございますし、昨年の日韓定期閣僚会議に御出席いただきました亀岡農水大臣は、先方の担当の閣僚の方と安全操業の問題について意見を交わされておる次第でございます。
○吉原分科員 最後に、大臣、ひとつ決意のほどをお聞かせ願いたいのですが、近々閣僚会議も日韓の間で持たれるように承っておりますが、領土権の問題は置いておきましても、何としても漁業権の問題だけは五十三年四月三十日前の状況にぜひひとつ戻していただくような、閣僚会議でそれこそ正式の議題として取り上げてもらって解決をしていただきたい。せめて漁民の操業に差し支えないというところまでひとつこぎつけていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○櫻内国務大臣 吉原委員島根県の御出身で、また私も同様、島根県の出身のことでございまして、いまお話しのことは私としても十分心得て今後の日韓関係で対処してまいりたいと思います。 ただ、外相会議の折にいまおっしゃったような問題が今回議題というような扱い方でいけるかどうかということにつきましては、これはやはり長い外交上の慣例もあることでございますから、その辺はよく考えさせていただきまして、しかし私が竹島に関係のある島根県の出身者といたしましての行動は、これはしかるべくとりたいと思っております。
○吉原分科員 終わります。
○砂田主査 これにて吉原米治君の質疑は終わりました。 次回は、明二十七日午前九時三十分から開会し、大蔵省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時七分散会