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96回国会衆議院1982/02/27

予算委員会第四分科会 第2号

発言数
362
登壇者
42
会派数
6
開催日
1982/02/27

会議録

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中総理府所管について審査を進めます。  経済企画庁について政府から説明を聴取いたします。河本経済企画庁長官。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 昭和五十七年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、百十九億一千万円となっており、これは前年度予算額に比べて一億七千七百万円の増額であります。  また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、二千二百二億円を予定しております。  以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一に、経済政策の総合的機動的推進に必要な経費として、三十五億七千八百万円を計上しております。  この内訳の主なものは、物価の安定を図るための調整費等であり、生活必需物資の需給、価格動向の調査監視、物価に関する適確な情報の提供、その他各省庁の所管する物価対策を機動的に実施するための経費として、三十二億三百万円を計上しております。  また、内外の経済動向を調査、分析するための経費として三億一千七百万円、基本的経済政策の企画立案を進めるための経費として二千一百万円を計上しております。  第二に、国民生活行政の推進に必要な経費として、二十七億五千三百万円を計上しております。  この内訳といたしましては、国民生活センターの機能を充実するとともに、消費者行政を推進するための経費として二十四億六百万円、省資源、省エネルギー型生活の定着を促進するための経費として二億三千九百万円、国民生活政策体系の検討等のための経費として一億七百万円を計上しております。  第三に、経済社会に関する長期的総合的な調査研究に必要な経費として、十八億八千三百万円を計上しております。  この内訳といたしましては、わが国経済社会の長期的進路の検討等のための経費として五億二千五百万円、総合研究開発機構の行う総合的な研究開発を推進するための経費として六億七百万円を計上しております。  また、世界経済の動向予測に関する研究、新国民経済計算体系の整備等のための経費として七億五千一百万円を計上しております。  第四に、経済協力等対外経済政策の総合的推進を図るための調査、検討等に必要な経費として、一億六千三百万円を計上しております。  最後に、海外経済協力基金でありますが、昨年一月に定めた新中期目標に沿って政府開発援助の拡充を図ることとし、そのため同基金の事業規模として、五千三百五十億円を予定しております。  この原資は、一般会計からの出資金が一千四百七十億円、資金運用部資金からの借入金が二千七十二億円、政府保証債が百三十億円、自己資金等が一千六百七十八億円となっております。このうち一般会計からの出資金は、大蔵省に計上しております。  以上、五十七年度における経済企画庁の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 以上をもちまして総理府所管中経済企画庁についての説明を終わりました。     —————————————

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願い申し上げます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 経済企画庁長官は予算委員会の総括、一般質問、そういう中でたてまえ論ではなしに、逃げる答弁といいますかそういうことではなしに、てらうこともなく非常にまじめに大胆にわかりやすく答弁をされておるというふうに、与党の皆さんもそうでありましょうが、野党の諸君もそういうふうな評価がございます。もしあなたが総理におなりになるともっとパワーが出るのではないかという私語も聞くところであります。そういう意味で長官に素直にお聞きをいたしますので、わかりやすく御答弁をいただきたい、こういうふうに思うのであります。  総括なり一般の中でお話がありましたが、日本の経済というのは、アメリカやEC、世界各国に比べて安定的に成長しておるのではないか。常に世界経済と日本を比較をして、これならばいいではないかという御答弁がございましたが、今日安定的な成長を続けておる根本的な原因は、長官等の力量にまつところもあろうと思いますが、その根幹というものは一体どこにあるのか、まずそのことをお尋ねをしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 外国の経済と日本の経済の違いは幾つかございますが、やはり一番大きな点はインフレと失業の点にあろうかと思います。  わが国は物価が安定をしておりまして失業者も非常に少ない、そういうことでありますから、外国に比べると比較的国民生活は安定しておる、こういうことでございます。満足すべき状態ではありませんが、外国に比べると、こういう意味でございまして、その関係で労使関係も安定をしておりますし、国民の貯蓄率も高い。その結果、金利水準も世界で一番低い水準でございます。そういうことから投資も進んでおりまして、国際競争力も非常に強い、こういう点が日本経済の持っておる特色ではなかろうか、このように考えておりますが、私どもといたしましては、こういう日本の持っております力を今後最大限に伸ばしていきたい、そしてわが国経済を安定成長路線に定着するような方向に持っていきたい、このように考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 インフレと失業も比較的少なく、経済も安定的に成長したということでありますと、その根本はどこなのか、その根幹はどこにあるのかということをお尋ねしておるわけです。特徴ではなしに根幹です。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 やはり私は、わが国は第一次石油危機のときには対応が必ずしも適切でなかったと思います。そういうことで三〇%を超えるインフレ、いわゆる狂乱物価ということになりまして経済が大混乱に陥りましたが、第二次石油危機の際はその際の経験を生かしまして適切な対応ができた、こういうことであります。  たとえば、生産性向上のための投資等も第一次石油危機の後相当進んでおりますし、それから省エネルギー等も非常に進んでまいりました。そういうことで海外の、原料高ではありますけれども、それを生産の工程で吸収することが可能になった、こういう点がひとつあろうかと思うのでございます。  もう一つは、やはり国民の皆さんの対応だと思います。第一次危機のときは非常に混乱をいたしました結果買い急ぎをする、こういうことがございましたが、第二次危機のときは、日本においては必要な物はいつでも手に入る、こういう安心感等がございまして、前のような混乱はなかった、こういう幾つかの点があろうかと思いますが、そういうことで、失業はふえないで、しかも物価は安定的に推移しておるということではなかろうかと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 行政のあり方なり経済の進め方については一応理解ができるわけでありますが、この間、久しぶりにテレビを見ておりますと、長官の顔が大映しに出まして、外国から、なぜ日本はこういう成長率が出てくるのかと聞かれたら、長官は、それはやはり軍事支出が少ない、その根幹はいまの憲法にある、こういうことを言い切られておったわけでありますが、その根幹は平和憲法といいますか、現在の憲法を遵守するところによって経済成長の根幹がある、こういうふうにお答えになりました。それについては、そのとおりと考えてよろしゅうございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 そのとおりだと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 それでは、長官は憲法を遵守をするということでございますね。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 平和憲法を守っていく、こういう立場であります。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 きょうの新聞を見ますと、いままでの高成長から低成長に変わって、資金が窮迫をしておったものが資金に余剰が出てきた。したがって、日本銀行としては資金吸収のために長期国債等を六兆円程度売却をする、こういう動きが検討され始めております。大蔵省としては、これが長期国債であれば切りかえといいますか、借りかえといいますか、そういう国債を発行してつないでいけますが、市中に出ていけば現金決済ということになって、資金に大きな影響が出る、こういうことで批判的な見解も出ているようでありますが、これについて経済企画庁長官はどのように評価し、どのようにお考えになっておりますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私はそのことはよく承知しておりませんけれども、しかし日本銀行は、資金の需給等を考えまして調整機能を果たすということは常に行っておるところだと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 やはり売らなければさらに円安が加速化する、こういうふうに理解していいわけでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は、為替の動きを決めておるものが三つあると思っております。一つは、日本経済の基礎的な条件が一体どのようにいま動いておるのかということだと思うのです。それからもう一つは、国際情勢の変化。日本は油その他資源を外国から全部買っておりますので、国際情勢の変化が微妙に為替相場に影響してまいりますし、最近は一番大きな影響はアメリカの金利問題だ、こう思っております。これ以外の要素は、あるにいたしましても非常に軽いものではなかろうかと思っております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 日銀としては、金融市場の金利が大幅に低下することを恐れておる。そうせぬと、資金余剰がたくさん出てくるという状況になってくる。一方、大蔵省としては、国債の発行金利というものは市中に出回っていけば安くなる、こういう見解をとるのは当然だと思うのですが、どちらの方が必要なのか、その調整についても企画庁長官としての見解をもう一度はっきりお聞かせいただきたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私どもが日本銀行にお願いしておりますことは、現在はアメリカの高金利等によりまして低金利政策がなかなかやりにくい、こういう状態にありますので、金融緩和の状態で金利が上がらないように、そういう金融政策をできるだけ進めてもらいたい、こういうことを日銀にお願いしておるわけでございますが、日本銀行もその趣旨を受けまして、大体そういう方向でやっていただいておると私は思うのです。だから、私は、いまの日本の金融情勢から考え、景気動向から考えまして、金融が緩和するということは望ましい、こう思っております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 それから税制調査会、あそこでは直接税と間接税の比率についてもいろいろ検討したいということが新聞に流されておりますが、日本の場合はたしか七二対二八程度だと思いますね。常に大蔵大臣というのは、もうちょっと差を縮めたらいいじゃないか。しかし、これは一概にどの国がこうだからフィフティー・フィフティーにしなければならないというものではないと思います。日本の場合は、この直間比率については現状で大体推移をすべきだとお考えか、それともこの比率を縮めるべきだというふうに、長官は日本の経済の現状から見てどうお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 昨年の年末の政府税調からの総理大臣に対する答申を見ましても、この際、直間比率を見直したらどうか、こういう答申が出ております。  それはそれといたしまして、わが国の税制の経過、直間比率の推移等から見まして、現在は少し偏っておるのではないか、やはり私は、この際適当な時期に直間比率を見直すということは一つの大きな課題だと思っております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 経済の安定、経済企画庁としては経済七カ年計画に基づいて、国民生活の安定、充実ということが主題目的でありますから、そういう意味ではいまの直間比率は、減税を断行するということに重点を置くのか、直間比率の縮小ということになれば、消費税といいますか、間接税を導入をする——よく五十八年度に減税と一方では消費税の導入ということが口にされるわけでありますが、長官としては、減税はやらなければならぬ、こういうふうにお考えで、また、それに伴って一般消費税は入れるべきだ、こういうふうにお考えでしょうか。いまの行政改革を徹底して、増税のない行政改革を進めるべきだという臨調、財界の意向もあるようでありますが、財界をバックにしておられる長官としてはどうお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 これは予算委員会等でも総理から御答弁になっておりますが、政府としては現段階では大型新税は導入しない、こういうことは何回か明確に言い切っております。したがいまして、大型新税を導入することによって直間比率の改善をする、税制を検討する、こういうことではないと思います。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 経済企画庁は、いまもお話があったようにわずかな予算、わずかと言うと変でありますが、全体から見てわずかな予算で進められるわけですが、経済を見て税制というものが考えられるわけですね。これだけ財源が必要である、三十八兆円必要であるということから経済の見通しを立てるわけではないわけだと思いますが、経済の動きを見て、それに合わせて税金というものは考えるものですか。端的に言えば、経済が先行して税収というものが考えられる、税収を考えて経済を考えるということではないと思いますが、そのとおりだと考えてよろしゅうございますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 五十兆の一般会計の財源を見ますと、その大半が税金でありますが、その残りはほとんど国債等によって調達されておるということでありますから、国債は民間で消化するということがたてまえでありますから、経済の動きいかんによっては税金の額が違ってきますし、国債が消化できるかできないか、こういうこと等も当然大きな影響が出てまいります。したがって、私は、やはり経済と財政は表裏一体の関係にある、景気が悪くなりますと、税収は減りますし、それからまた国債の消化等もやりにくくなる、こういうことでありますから、やはり表裏一体の関係にある、このように考えております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 そうしますと、経済の動きによって財政、そういう表裏一体の関係にあるわけですが、どちらが主でどちらが従であるかというと、経済の伸展がなければ財政はなかなか確立できない、こういうことになるだろうと思うのです。  そこで、長官としての推定、見込みというのは国の財政にも非常に大きな影響があるだろう、こういうふうに思います。したがって、閣内でも、いまの不況の実態、そういうものを踏まえて、長官は、景気対策をもっと適切に行っていまの不況を脱していかなければならない、一方では行政改革等強く進めて、まずそのことが先だというふうに分かれておると聞き及んでおるわけですけれども、長官としては、両方をとるというような答弁でなしに、どちらに重点を置くべきかという意味も含めて御答弁をいただきたいと思うのです。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 行政改革を成功させるためにも、あるいは財政再建を成功させるためにも、やはり経済が活力を維持拡大をするということが絶対の前提条件だと思います。少々財政面で節約合理化をいたしましても、何分大きな財政のことでありますから、とてもそれだけではうまくまいりません。やはり景気が維持拡大されまして、そして、そこから政府の想定しておるようなそういう税収が入ってくることが絶対の条件でありまして、税収が見込みどおり入ってこないということになりますと、これは財政再建もできませんし、行政改革も成功しないということでありますから、私は、そういう意味からも、ぜひとも景気の維持拡大ということが必要である。もちろん財政再建と行政改革はどうしてもやらなければならぬ課題でございますが、といって、それだけを考えておりますと、うまくいかない場合がある。やはり経済全体のことも考えていきませんと、いまさっき申し上げましたような結果になるのではなかろうか、こう思っております。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 議論されたところでありますが、五十六年度経済見通しは、当初予想されたのは五・三でしたか、いまの実績見込みとしては四・一だ。今度は、五十七年度は実質五・二%の経済成長率、こういうことでありますが、外需が一・一、内需が四二。この現在の不況感、長官は、いまは曇りだけれども、秋は薄日、来年になれば天気晴朗なり、こういう話をお聞きしたことがございますけれども、いまのアメリカの高金利、動向は最近様子がちょっと変化をしておるように思いますけれども、こういう状態のときに公定歩合を下げるということもでき得ないという状況で、このとおりの推移が、見込みどおりいく、こういうふうにお考えでしょうか。何らかの景気対策は、いまお話があったように、とっていかなければならぬ。その景気対策は、政府がとる方法としては公共事業の前倒し、この程度ではないかと思いますが、今日の情勢から見て、この見込みが確定的にできるという自信がおありでしょうか。その辺はどうでしょう。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 五十六年度の成長見通し、一昨年の年末に発表いたしました、その際は五・三%でありましたが、これは四十五年基準の指標で出したものですから、途中で五十年指標に改めました。そういう結果、五十年指標に直しますと四・七%、こういうことになります。したがって、四・七%と五・三%というものは、中身は一緒でございます。それを昨年末に四・一%と修正した、こういう結果になっております。  そこで、現在の日本の景気をどう考えるか、それに対する対策は一体どうか、公共事業の前倒しはどうするのか、こういうお話でございますが、いま日本の経済の足を引っ張っておりますものを大きく分類いたしますと、大体四つあるのではないか、私はこういう感じがいたします。  その一つは、世界的な大不況、第二次石油危機の悪い影響が全世界を非常に厳しく覆っている、こういう状態でございます。したがいまして、最近は輸出も減っておるという状態でございます。また、ちょっと日本の輸出がふえると方々で袋だたきに遭う、こういう状態でございまして、この世界的な大不況のために非常にやりにくいということが一つでございます。私は、根本はここにあると思うのです。  それから第二が、アメリカの高金利。日本は財政力がいま大変弱いわけでありますから、どうしても金融政策をもう少し自由にやりたい。国内の物価は安定してきましたので、国内の条件は整っておるのですけれども、アメリカの高金利のために、ややもすると逆の方向にいきがちである、これに大変苦しんでおります。  第三は、公共事業が、いろいろな関係もございまして、横並びになっておる、こういうことが一つございます。  それから第四は、やはりここ二カ年間、可処分所得が伸び悩んでおる。ときにはマイナスになっておる。したがって消費が伸びない、家が建たない。消費と住宅は中小企業と表裏一体の関係にございますので、結局、中小企業の関係は非常に悪くなる。その悪循環が繰り返されておる、こういう感じがいたします。  だから、日本の経済が、いま非常に落ち込み、停滞しております理由ははっきりわかっておるわけでございますから、それに対する対策をやはりいろいろ考えていくということが必要である、こう思っております。  それでは、現在日本政府としてとり得る対策は何かといいますと、結局、この一月から住宅は新しい条件でいま募集を始めております。それから災害の復旧、これは非常に大規模な内容でありますが、これを思い切ってことしから繰り上げていくということで、もうすでに実施に移しております。  このことのほかに、今回御審議をしていただいております予算の目鼻がつきました段階で、技術的に可能な限り公共事業を繰り上げていきたい、こう思っております。どのくらい公共事業を繰り上げるかということにつきましては、いま関係各省の間で調整しておりますが、繰り上げること自身につきましては政府部内で合意ができておりますので、あとは技術的な検討だけだ、こういうことでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 時間がなくなりましたので、端的にお尋ねをします。  いま四つの条件をお挙げになって状況をお話しいただいたわけですが、住宅の建設にしても、新しい方式といいましても、たとえば住宅の金利は十一年目からは引き上げるというような姿で、五・五、六、七ですか、そういうふうに三つの方式が出て、従来よりも個人個人には楽になった、そういうことは言えないと思います。本年度は百十五万戸程度であります。来年度百三十万戸は無理じゃないかというのが一般的な予測です。  そこで、お話がありました中小企業の設備投資というのも、去年の八月以降は、製造業一つをとりましても前年対比一六・一%落ちておる、こういう状況であります。しかも、連日テレビで放送しておりますように、不況感は日本全土を覆っているというのが現状と言わなければならないと思います。そういう意味で四項目に挙げられました可処分所得が減っておる。社会保険料は引き上げられる、税率は変わらない、こういう中で、名目賃金は上がったとしても実質賃金、可処分所得というものはずっと減っておるというのが現状であるわけですから、いま減税問題が山場を迎えようとしておるわけですけれども、この減税について可処分所得を上昇させる。そういう意味で長官はどうお考えだろうか。まあ自民党内閣を離れて、離れてと言うとぐあいが悪いのですけれども、長官としてはどういうふうにお考えであろうか。これが一点。  二点目は、この間もきょうの委員長席にお座りになっておる武藤さんからお話があったように、日経連はアップ率は四・一だ。それなれば、消費者物価が四・七ですからそれよりも下回る。しかも生産性で、成長率は内需は四・一だ。こういう状況の背景があるのに、そのような姿になれば日本の経済的な安定あるいは不公平の是正というものはこの辺でできるのではないかというふうにお考えのようでありますが、雇用の所得は六・九%必要だ。これは時間外やその他も含めてです。大体いい環境づくりをしてもらわなければ日本の経済にも重大な影響を及ぼすだろう、こういうふうに思うわけでありますが、この減税の問題、そして景気浮揚、経済の安定、国民生活の充実という経済七カ年計画の大きな目玉を進めるためには、それらの点については長官はどうお考えでしょう。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 減税問題は、これは事情が許せばやりたいというのはやまやまですが、ことしの財政状態を考えますとやはりどうしても無理だ、私はこういう感じがいたします。そこでこの問題につきましては政府と与党で十分検討をしたのですけれども、ことしは無理だ、しかし長年所得税の税率は据え置きでありますし、負担も非常に重くなっております、だからこれは長く放置することはできない、来年度以降できるだけ早く——この意味は、来年度にやるという意味じゃありません、来年度以降できるだけ早くという意味でありますから、条件を整えていく、ひとつこれをやってみようじゃないか、こういうことを政府と与党の間で合意をいたしました。  条件とは何ぞやといいますと、一つは、財政再建のめどをとにかくつけよう、それからもう一つは、財源を何とか工夫してつくり上げよう、この二つの問題の目鼻がつけばできるだけ早くやる、こういう方向でひとつ今後検討しようじゃないか、こういうことで合意をいたしておりますので、五十七年度の減税というのはこれはもうむずかしいというように私は考えます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 あと賃金はどうですか。二番目の、いまの春闘も山場を迎えようとしておるわけですけれども、これらの背景づくり、そしてどの程度、日経連は四・一と言っておるということでお答えになっておりますけれども、相当の姿がなければ、税制も変わらない、減税もやらない、そういうことになれば可処分所得が減になって、これを景気浮揚にするための措置としては賃金のアップしかないじゃないかということになるわけでありますから、しかもサラリーマンの八割五分は税金を取られておる。こういう現状の中で可処分所得は減収しておる。これを引き上げる方途としては、ある程度の賃金アップをやらなければ、日本の経済にさえ消費の拡大をやらなければならない。そういう状況の中でありますから、その辺の環境づくりなりその見込みとしては、七、八%程度はどうしても必要ではないかというふうに思うわけです。七%なり八%なり九%なりは必要ではないかと思うのですが、どうお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 可処分所得をふやすためには、これはもうだれが考えましても三つの方法しかないわけです。一つは根っこの所得がある程度ふえること、一つは公的負担が余り重くならないこと、もう一つは物価が低位で安定すること、この三つがそろって初めて可処分所得がふえるわけでございます。  第一の問題につきましては、政府は一人一人の雇用者所得がどうなるか、あるいは国全体としての雇用者所得がどうなるかということについては見込みは出しておりますけれども、ベースアップそのものにつきましては一切発言はしない、労使の間で決めていただく、こういうたてまえでございます。

野坂浩賢日本社会党

○野坂分科員 時間が参りましたので終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 先ほどから御討議の続いている問題でございますから、ちょっとその先を議論させていただこうと思っております。  まず、景気の非常な落ち込み状況というのはもう言語に絶するものでございまして、簡単な例で一つ申しますと、私の住んでいる神戸では約五百軒の飲食店、飲み屋のたぐいがございますが、毎日三軒ずつつぶれていく。こういうケースというのはいままでに例のない状況であります。浅草の焼き鳥屋では一日八十人のお客があったところが、いま三人しかお客が来ない。酒屋さんでは、いま酒屋さんで立ち飲みするのが大はやりでございまして、飲み屋さんのところへ行けないのですから、ネクタイを締めた高級官僚とおぼしい人までが酒屋さんに来てジョッキを一杯傾ける。そしてそこで缶詰のおかずを食べて過ごしていく。局長、こちらの席があいています、などという声が聞こえるようになったというふうに最近は言われているわけでありますが、そこまで落ち込んでいる。  データ的に言えば、可処分所得は前年度対比の伸びで言えば、五十年から今日に至るまで一四・七、五・五、六・一、六・五、四・二とまでどんどん下がっている。貯蓄の方は、対実収比率は一四・一、一三・〇、一二・四、一一・六、六・九、これは総理府の家計調査でありますが、そういうふうに横すべりに下がっている。貯蓄の内容も下がってくる。可処分所得も急激に低下していく。その数字は専門家である皆さんにとりましては、特に大臣はこの辺痛いほど感じておられると思いますが、実生活上から言うと、いまや国民の中の怨嗟の声になりつつある。私は、この状況についての掌握が足らないのではないかという気がときどきするのでありますが、これはもう座して一年待てるようなテーマではないと私は思っているわけであります。  先ほど大臣は原因について、一つは世界不況である、もう一つはアメリカの高金利である、もう一つは可処分所得のマイナスである。それからもう一つ何か言われましたが、こういう言い方の中で、私は確かに世界的な不況とかアメリカの高金利とか、日本の政府としてはやりにくいテーマというのがあるのはわかるわけでありますが、この可処分所得がかくも下がっていることに対してどういう手を打つか、その気魂が今回の予算執行の中には見当たらなかったのではないかと思うのです。どうやっていけばいいと思われるか、まず総論的にお答えいただきたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 経済の実態につきましては、私どもも大体同じ認識を持っております。そこで実質可処分所得が伸びない、時にはマイナスになる、こういう問題についての御意見でございますが、政府の方としてやれますことは、いまのところは物価を低位安定させる、これしかないということでございます。公的負担を減すということも現状ではむずかしい。それから第一の問題、ベースアップ等の問題につきましては、民間の労使の間で決めていただく、こういうことにもなっておりますので、政府の方では一人当たりの雇用者所得がどうなるか、あるいは国全体としての雇用者所得がどうなるか、その見通しは出しておりますけれども、それはベースアップとおのずから違いますので、ベースアップそのものについては政府の方としては一切意見は言わない、こういうたてまえでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 これはこの間のNHKのテレビの中でも、大臣は、雇用者所得とベースアップというのは必ずしも連動するものではなくて、影響があるとしても半分だというような言い方で簡単に一言言われておりますけれども、ここのところでベースアップがうまくいって、非常に高い金額のベースアップができるとすれば非常にありがたいことは事実なんでしょうし、また政府はそれを誘導するだけの権限というか、能力というのを持ち合わせておられることは、今日までのいろいろなやり方でお互いにわかっていることでございますから、この問題については何一つ言わぬというのはおかしいのであって、こうあることが望ましいということは言えるのではないか、私はそう思う。この点、いかがですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 雇用者所得は一人当たり六・九と想定をしております。全体としては八・六、こういう想定でございまして、ことしは下半期景気がある程度回復に向かうであろうということでございますから、そういうことを想定いたしまして、以上のような見通しを出したのでございます。いま御指摘がありましたように、ベースアップそのものではございませんけれども、若干やはり連動はするのではなかろうか、こう思っております。しかし、これは政府としての試算でございまして、これを民間に押しつけようとかそういうものではございません。いま非常に微妙な段階でございますので、何を言っても誤解を受けるものですから大変言いにくい、こういうことでございます。     〔主査退席、植竹主査代理着席〕

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 微妙だから言わせたくてこっちはうずうずしているのでありまして、これはどうしたってここのところで、春闘の方のやられる方の立場から言えば、春闘が成功して膨大なベースアップが行われるというところに焦点が合わざるを得ない。ここのところへ焦点が一点だけ合うのです。春闘の結論というものは、国民の中の大きな騒擾、騒擾といいますのは国民の中の大きなもめごとに発展してしまうだろう。減税もできない、何もできない、かにもできない、先ほどから言われているのを聞いていると、悲惨な話ばかりで、答えがない答弁を一生懸命繰り返されている。  たとえば、中小企業が困っているのは、明らかにわかっているのは家が建たないからである、これについては新しい新型のやり方を考えておるとおっしゃいましたけれども、住宅建設が、土地税制がネックになっておるということはもうだれもがわかっていることで、そっちの方へ手をつけないでおいて、新型のやり方を住宅建設についてやったとしても、これはほとんど望めない、それは一番よくおわかりであろうと私は思います。新聞を見たって、毎日、住宅、マンションの建設の広告が山ほど載っているあの姿を一つ見たって、どれぐらい売れてないかわかっておる。そうすると、どこにネックがあるのかというと、何もしないことにネックがあるんだと私はあえて言いたいわけです。逃れる道としては、減税をするのか、給与を上げるのか、どこかを突破口にしなければならない。  ところが大臣は、微妙な時期であるから、給料の値上げについては何一つ述べないというのであると、経済を調整する官庁として、景気動向に一番責任を持つ官庁としてはちょっとおかしいんではないか、私はそう思うのです。どこに視点を置いてこれを突破されようとするのか、私は疑わしいと思います。だから、いま減税は必要なのかどうなのか、そして皆さんの給与は上がった方が望ましいのか望ましくないのか、そしてまた住宅建設については大きく期待ができるのかできないのか、国民の知りたがっているポイントはまさにそこです。その動向に対して大臣はどう考えておられるか、承りたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 政府の方で全力を挙げておりますのは、やはり物価の低位安定でございます。五十六年度に引き続きまして、五十七年度もやはり物価政策を最優先してやっていきたい、こう思っております。  幸いに現段階、昨日も発表いたしましたが、三%の中ごろで推移しておりますが、ややことしよりも高月に一年を通じての物価を想定しておりますのは、現在は非常に低い水準で安定をしておるけれども、後半、世界景気が各国政府が発表しておるとおりの回復に向かえば、ある程度影響もあって、物価は若干上昇するのではなかろうかということで、上半期は低位安定、下半期はやや上がりぎみ、こういうことで一応の想定はしておりますけれども、しかし、一応の目標は出しましても、やはりそれ以下におさまるように全力を上げたい、こう思っております。これは最優先課題としてやっておるところでございます。  雇用者の所得については、政府は見通しを出しております。これは先ほども申し上げたとおりであります。その見通しが実現することを想定をして経済政策を立てておるわけでございますから、多分ことしの下半期を通じての景気動向から考えますと、下半期には、景気の回復に伴って残業その他もふえるのではなかろうか、こういうことを想定して、一人当たり六・九ということを一応想定した上での経済見通しである、こういうことを重ねて申し上げておきたいと思います。  住宅につきましては、これは十二月二十八日に予算の最終段階で相当思い切った内容にいたしております。建設省の方も概算要求を引っ込めまして、改めて要求をし直すというぐらいに、中身は現段階ではやれる最大限をやった、私はこう思っておるのです。一月は、その一部の条件を先行させまして募集しておるということでございまして、税制その他それ以外の条件はすべて法律等の関係もございますので、新年度以降の問題になりますけれども、私は、住宅金融それから土地税制それから中古住宅政策等の相当な内容によりまして、これまで落ち込んでおりました住宅建設もある程度回復に向かうのではなかろうか。これは私は期待していただいていいのではないか、こう思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 私は、いま物価の低位安定というお話を聞くと、非常に心強く感ずるわけでございますが、実際的に言うと、この五年間の自然増収を考えてみますと、十三兆五千億ぐらいでございますし、そのうちの所得税というのは半分として六兆七千億の増収、消費物価指数というのは一・二六倍というふうになっております。これで見ますと、実質で五兆三千億、これと六兆七千億の差額一兆四千億というのは、インフレの増徴分であります。このインフレの増徴分に対して何もしていないということは、実質的な大増税、実質的な可処分所得の目減りという最大の原因であったと私は思っているわけであります。  いま抜かして言われましたが、減税の問題についてどうされるおつもりか。物価の低位安定は今年について限って言うならいいことかもしれませんけれども、この数年にわたる経済政策の結果として、特に低所得者層における収入の目減りというものははなはだしいものがある。この点についてどう考えられるかをお話しいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまも過去の所得税のふえ方につきまして数字を挙げて御説明がございましたが、私どもも大体その見当はふえておると思うのです。過去五年の間にざっと所得税の総額は二倍見当になっておりますから、いまお述べになりました数字は正確だと思います。  そういうことがございますので、そこで政府としましては、とにかく数年間税率を据え置いておる、これは何とかしなければならぬ、そこまでは意見は一致しておるわけでございます。ただ、ことしはどうにもならぬ。そこで、五十八年度以降できるだけ早く何とかできるような条件を整備しようではないか。条件とは何ぞやというと、財政再建のめどを立てることととにかく財源をひねり出すということ、この二つだ、このように考えております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 これはもう全く町の意見ではありますけれども、五十九年に赤字公債をゼロにしていくということに縛られていて、そして一つでは増税なき財政再建という言葉に縛られていて、国民の生活というのを無視するのはある限界を超えているのではないかという話を聞き、胸を打たれるものが私もございました。実際にこれほどまでに国民生活が窮迫してきつつあるのに、財源の問題については、私はまだ、考えようがないのではなくて考えようがあるのではないか。また将来とか、五十八年以降とか、やりたいお気持ちはわかりますけれども、大臣御自身が今年初頭にいろいろな場所でお述べになっておりますように、景気の落ち込みについてはもうどうにもこうにもならぬほど落ち込んできている、これは重大問題だとおっしゃっておられるのをそこらじゅうで見ているわけでございます。これは何とかすべきテーマではないかと私は思いますが、いかがですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ただ景気対策としての減税問題ということになりますと、私は、日本の経済、ことしのGNP二百七十七兆と想定しておりますので、やはり相当規模の減税をしないと景気対策にはならない、こう思います。アメリカがことしの後半以降景気が相当回復すると言っておりますが、その原動力として三つ、四つの理由を挙げておりますけれども、その中の一番大きなものが所得減税、約七百五十億ドルの所得減税だ、こう言っておるわけであります。アメリカは日本の経済のざっと倍でありますから、倍の経済でその見当の所得減税をしますと、それはアメリカ経済は非常に大きな影響は出てくると思います。したがいまして、いまの日本の景気の動向や経済の規模から見まして、景気対策として減税をやるということであれば、相当大規模なものでないと効果はない、一兆円やそこらでは効果はないのではないか、私はこういう感じがいたします。  だけれども、これは別の角度から、さしあたりは国民生活が非常に苦しいので少しでもよくするのだ、こういう観点であれば、これはもう当然話は別でございます。この点は評価をしなければならぬと思いますが、ただ残念ながら、繰り返して恐縮でございますが、ことしの財政ではどうにもならぬというのが現状でございます。したがって、五十八年度以降できるだけ早く、こういうようなことになるわけでありますが、ただ、財政再建が終わってからやるということではございませんで、政府の統一見解は、財政再建のめどがつけば、こういうことでございますから、その点は御理解賜りたいと思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 私は、公共事業の前倒し等いろいろなことをおっしゃっていますが、減税のみで単独でやるには確かに相当の金額が要ることは明らかでありますが、私たちが日本でたぐいまれなる合理的な福祉政策へ向かって進行している途中、こうした世界的な景気の落ち込みにぶつかっているわけでありますけれども、いまかばわれている、国民の所得の少ない方の層に対しては、この減税効果というものは非常に大きな力を持ってくるのではないか、また、そういうように運用するやり方があるのではないかと考えているわけであります。したがって、一兆円規模は確かにひけ目はあるわけでありますけれども、右を見ても左を見てもいいニュースのない現在において、私は一兆円規模の減税というものは非常に大きな効果を発揮するもの、こう考えておるわけでありまして、この辺の程度はひとつお考えになっていいのではないかと思うわけであります。ただ政府でお決めになったことですから、いま直ちに別の見解を表明されるわけにいかぬと思いますけれども、粘り強く努力されて、この減税問題についての一定の新しい方針を出されるよう私は希望したいと思います。  それから、景気回復の機関車として一兆円の災害対策費を従来三、五、二で行っていたところを六、二、二でやると大臣は表明されておられますが、これに加えて公共事業もやろうと言われておるわけでありますが、こういうものを実際に扱っておる請負業者たちの話を聞いていますと、二つネックがある。  一つは、まことに恐縮ですけれども、前年度あるいは前々年度、こういう前倒しが行われた年度の後半は、結局仕事の発注がどかんとなくなってしまう、入札もなくなってしまう、何もなくなってしまう、下手すると仕事が食いっぱぐれてしまう、そしてえらい不安な思いをしなければならない。前倒しというのを政府のえらい人が言うのはおもしろいだろうけれども、われわれ中小企業にとってはなだらかにいつも安定して仕事が十分に出ていくというのが一番うれしいんだ。それは景気対策としてはそうかもしれないけれども、えらい人の言うことはわかるけれども、私は、われわれとしては前倒しと言われるたびにどきんとするということを中堅業者の幹部から聞きまして、ああ、なるほどなと思った次第なのでございます。今回もまた、その前倒しに対する配慮がある意味で行われませんと、中堅業者から下の業者はなかなか大変なのではないか、一つはそう思います。  もう一つ騒動が起こっておりますのは、談合問題であります。私は談合問題についての見解をここで述べるのは控えたいと存じますけれども、談合問題についてのきちんとしたルールが確定しないために、いろいろな問題についての話し合いあるいは入札その他の業務が全部停止しております。談合問題についての話ができないのに、後ろから前倒しでどかんとやるとどういうことになるか。私は、ブレーキをかけておいて後ろからアクセルをかけるのと同じような、つんのめるような状況が起こってくると思います。この辺の問題についても早く何かの結論を出さなければ、私は何一つ進まないのではないか、この二点について御見解を承りたい。また御努力をお願いしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 公共事業の問題につきましては、そこが一番大きな問題だと思います。いま御指摘の二点が一番さしあたっての問題だと考えております。  そこで、いま政府としてとり得る有効な景気対策というのは、結局公共事業の前倒ししかないわけですね。それで、ことしの後半、世界全体の景気もよくなる、日本も後半は立ち直るであろう、また立ち直るようなことを考えていかなければならぬと思っておるわけでありまして、世界経済全体がよくなりますと民間の力がまた出てくる、こういうことでありますから、前半は公共事業の前倒しを誘い水にして何とか景気の回復を図っていきたい、後半は民間経済の活力の拡大につないでいきたいと思っておるわけであります。それじゃ、もしそれが計画どおりいかなければどうなるかということについての御心配でございますが、そのときは、これはまたその時点で改めてどうしたらいいかということを考え直す必要があろうと思います。  いずれにいたしましても、景気が回復いたしませんと行き詰まってしまうわけでございますから、ぐあい悪いのに両手を挙げてほっておくというわけにはまいりませんから、その時点においては有効な手段をいろいろ考えていかなければならぬと思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 談合の問題については、どういうようにされますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 この問題につきましては、建設省の方でいろいろ検討しておられますので、私からは答弁は差し控えた方がいいのではないかと思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 長官は、ここで経企庁長官としてだけではなく、一人の国務大臣として政府を代表して座っておられるわけでありますから、政府を代表しての御答弁を求めたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 この談合問題につきましては、やはり厳しい批判もございますし、これから公共事業の執行に大きな影響等もございますので、政府を代表するという立場で、建設省の方で一体どういう対策を立てたらいいのであるかということについて目下検討しておるわけであります。その時点において私がああでもないこうでもないと言うのは、これはちょっと行き過ぎのように思いますので、もう少し推移を待ちたい、こう思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 おっしゃることはわかるのですけれども、この談合問題についていつ決着がつくかわからなければ、業者の中の不安というのは抑えがたいものがございますでしょう。それは決して賢明な策ではない。建設省が討議をされているのはわかるけれども、建設省は早く答えを出さなきゃならない。今年後半まで建設省が引っ張ったとしたら、先ほどからあなたが意気込んでお述べになっております前倒しだって消し飛ぶのでありまして、そんな長く検討されておったら、とてもじゃないけれども間に合わないのであります。時間との勝負があるんではないでしょうか。私、その時間的要素をお尋ねしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 五十七年度の公共事業をどの程度前倒しするかということにつきましては、これは結論が出るのはそう長くないと思うのです。その結論が出ました際に、いまおっしゃった談合問題の取り扱い等についても一向結論が出ないということであれば、前倒しの作業は進まぬわけでありますから、私は、前倒しの作業と並行して当然結論を出してもらいたい、こう思っています。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 その前倒しの作業の結論が出るのがここ一、二カ月と思われますが、そうすると、それとほぼ合わせてこれについても結論が出ると、こういうようにお述べになっていると理解してよろしいですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 前倒しの作業はできるだけ早くやりたい、こう思っておるのです。いつということは言いませんが、二カ月ということはないと思います。もっと早い時点で結論を出したい。(渡部(一)分料員「一カ月ですか」と呼ぶ)一カ月とかそういうことは、いま予算がまだ御審議の最中でございますから、これは言えませんが、しかし、条件が整い次第、できるだけ早く、このように考えまして、現在内々で相談をしておる最中でございます。これは内々のことでございますが、もうすでに相談は進んでおる、こういうことでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 意欲的な御答弁を伺いましてちょっと安心しました。私はこの間からちょっとあきれ返っておりまして、災害対策費は前倒しにするわ、公共事業も前倒しにするわ、談合問題は片づけないで、来年の予算執行のときには何とかしようなどというよからぬうわさを聞いておりまして、それじゃ何にもならないんじゃないかと実は勝手に心配しておったわけでございまして、意欲的な御答弁を私は評価したいと思います。ぜひ、そうやって国民の不安を取り除いていただきたい。  それから、いま大臣がやはりお述べになりましたように、結局、前倒しにして、今年後半になったときに、世界の景気が上向きになってくればまだ話はうまくいくわけでありますが、上向きにならなかったら——去年を見ても、おととしを見てもそうならなかったわけでございますね。だから、当て事とふんどしは向こうから外れると言いますけれども、当て事のたぐいだと私はちょっと思っておるわけなんです。もし上向きになったとしても、今年後半、事業が発注されなかった関連業界に対しては相当の落ち込みが来てしまう。そうすると、結局は政府が建設公債等を今年後半になって新たな立場で用意する。そして、不況というものを回復するためには仕方がないとか、あるいは、今年こういうふうになるのはやむを得ないとかという口実のもとにそういうふうにやられるということを考えておられるのではないか。事実は、そういうことを予測されているのではなくて、おなかの中にもうそういうものをためておられるのではないか。私はためているのではないかとこの間から疑っているわけであります。私は、そうであるならば、むしろ国民の理解を早目に得るために、予算の中にも織り込んで話をするのが本当のやり方じゃなかったかと思うのでございます。その点、景気が上がらなかった場合、上がった場合、両面述べましたけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 実は、万が一計画どおり効果が出ないという場合には何らかの対策が必要であるというところまでは、認識は一致しておるのです。しかし、それじゃどういうことをやるかということにつきましては、公共事業の繰り上げ問題と並行しまして具体的な御相談もしてみたい、こう思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 今年後半になってから公共事業の繰り上げということは、来年度、その翌年次のことを考えるというお話でございますか。大臣、ちょっとお言葉が足らないで、ぱっとおっしゃったように思いますけれども……。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまの御質問は、秋になって景気が思わしくなければ建設公債を増発するのではないか、そのことによって公共事業の拡大を図って対策として考えておるのではないか、こういう御質問でございましたので、まだそこまでは相談はいたしておりませんと、何かしなければならぬということはほぼ合意はしておりますけれども、具体的な内容につきましては、どうするかということについては、これは公共事業の前倒しの結論が出るころと相前後してその相談に入りたい、こういう趣旨のことを言ったわけでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 そうすると、相談に入る時期についてお述べになったわけですね。非常に言葉を選んできちっとおっしゃっているのを伺いまして、大変ありがたく思っておるわけでございますが、この景気の問題について、先ほど大臣が一言おっしゃいましたけれども、公共事業の前倒し以外に余り適切なお話がないというお立場を私は感じているわけでございます。  どうしても最後のポイントとして減税の問題、この問題についてはもう一回、再度の御考慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 河本さん、私は前の方の質問を大分聞いていましたけれども、同じことを聞いてもあれですから、できるだけ違うようにお聞きをしたいというように思うのです。  私はわからないこといっぱいあるものですから、お教え願いたいという意味でお伺いするつもりですが、一つわからないのは、たとえばアメリカでもヨーロッパでもどこでもそうですが、物価が非常に上がってきておるわけですね。二けた以上上がっておるところもあるというようなことの中で、日本の物価が安定をしているというようなことが言われている。現実にそうかもしれませんが、そうでしょう。それは一体どこに原因があるというふうに考えたらいいんでしょうか。まずそのことです。それは一体日本の経済全体から見て——一時的な問題は別です。日本経済全体から見て、一体そのことはどうなんですかね。プラス要因、マイナス要因ということから考えると、どういうふうに理解したらいいのでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 一つは国際的なインフレでございますが、国際的なインフレが日本の国内インフレにならないように日本は成功しておる、こういうことだと思います。それはここ数年間、産業全体の近代化、合理化が非常に進みまして、海外のエネルギーとかあるいは資源が高くなった、それを吸収することが可能になった。製品が全然上がっていないかといいますと、そうではありませんが、しかしその上がり方がきわめて少ない。つまり国際的なインフレを波際で食いとめることができた、これが一つだと思います。  それからもう一つは、やはり国内の需要が非常に弱くなっておる。物が売れない。物が売れなければ、これは値段が上がりませんから、そこにもあろうかと思います。  それからさらに、最近は石油の需給関係が安定をしておる。これも若干は影響があるのじゃないか、こう思っておりますが、主たる原因は先ほど私が申し上げました二つじゃなかろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 前の方の原因は、日本の企業の合理化、労働者も協力しての合理化ということが大きな原因だというふうに思うのですが、二番目の需要が減っておるということ、これは結局消費が低迷をしておるというふうに言葉をかえて言っていいんじゃないかと思うわけですがね。ところが、日本の貯蓄率というのは大変下がっておりますけれども、世界でも有数ですね。二〇%以上になりますな。アメリカなんかは四、五%ですか、ヨーロッパなんかでも非常に少ないですね。だから、物を買う力があるけれども物を買わない、消費が低迷をしている、貯蓄だけは相も変わらずふえているところに日本の経済の一つの大きな特徴があるように私には思えるのですが、なぜそういうふうな事態が起きているのでしょうか。率直に言うと、一つは、物がある段階で飽和状態になっている、物を買う力というか品物が飽和状態になっているから必要がないという見方もあるでしょうし、それからまた、一つは将来どうなるかわからないということからくる消費マインドの抑制、そういうふうないろいろなものが絡み合ってきてそういう現象が起きてきているのではないか、こういうふうに思うのですが、そこはどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 日本の貯蓄率は以前は二五、六%、非常に高い数字でございましたが、最近は相当落ち込みまして、大蔵省あたりの話を聞いてみますと大体一九%くらいになっておる、こういう話でございます。しかし、アメリカあたりが昨年は四%くらいに落ち込み、いまはちょっと回復しまして六%くらいになったようでありますけれども、いずれにいたしましても率としては相当高いと思います。  なぜこれだけの貯蓄があるかということにつきまして、いろいろな見解はあるのですけれども、政府部内では確たる統一見解はないのです。日本の国民性も関係があるのではないか、こういう議論もありますしあるいは蓄積が非常に少ない、したがってそういう面から多少の蓄積をしなければならぬ、こういうなにもあるのではないか、いろいろの意見はありますが、ただ最近数%落ち込んでおることは事実です。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 確かに前から比べれば落ち込んでおるのは事実ですね。それはそうなのです。  そこで、さっきのお話の中でアメリカの話が出たわけですが、ことしの後半にはアメリカの景気も回復するだろうということの中で、大きな原因として減税の話をされたわけですね。私はそれもあると思いますけれども、もう一つはいわゆる軍需景気が軍拡予算からきて後半になって出てくるというのが大きな原因だろうと思うのです。  それはそれといたしまして、アメリカの場合は減税をやったら景気の回復になってくる、日本の場合には減税をやっても景気の回復にはならないという意味にお話はとれるのです。ということは、減税の幅の問題が一つの大きな原因になっておるあるいはその他の理由もある、こういうふうにお聞きをしてよろしいかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 景気対策として一兆円の減税、こういうお話をされたものですから、だから景気対策という観点からだけ考えますと、日本の経済は二百八十兆近い経済でございますから、一兆円の減税だけでは余り効果はないのではないか、アメリカはことしの所得減税が七百五十億ドルである、それで初めて景気刺激の効果があるのだ、こういう趣旨のことを言ったわけです。ただ、とにかく生活の苦しい人もあるから減税しなければならぬとか、長らく税率を据え置いて非常に不公平感もあるから減税をしなければならぬとか、こういう別の角度からの減税論であれば、やるやらぬは別として十分趣旨は理解できるのですけれども、ただ景気対策だけから考えますと、日本の経済の大きさから考えましてその程度の減税では余り効果はないと思います、こういう趣旨のことを言ったのです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 そうすると、いま言った景気対策としての減税となると、日本の財政の規模、経済の規模からいってどの税度の減税をやれば景気対策になる、景気対策という面からだけ減税の問題を考えることがいいか悪いかは別の問題といたしまして、前提をそこに置くとどういうことになるのでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 アメリカの税制と日本の税制は違いますし、アメリカの税制は所得税がほとんど全部である、こういうことから考えますと若干事情は違うのですけれども、それにいたしましても、アメリカの経済は日本の倍強である、日本が半分弱である、こういうことから考えますと、七百五十億ドルの減税、そのほかに非常に大規模な企業減税もやっておりますから、七百五十億ドルの減税というといまの為替レートに換算しますと十七、八兆ですか、これだけの減税をやる。そのほかにいま御指摘の軍需予算が非常に大きな規模になっておりまして、軍需景気というものが当然期待できる。それから、エネルギー関係の投資が非常に進んでおる、先端技術の投資が進んでおる、そういうことがアメリカの景気回復の原動力になると言われておるのですが、主たる背景は七百五十億ドルの所得減税が景気回復の原動力になる、こう言われておるわけです。  これを日本の経済に当てはめてみますとどのくらいかなという計算もできるわけでございますが、単なる算術計算はできません。したがって、私もどの見当が景気対策上効果があるのかということについてはにわかには申し上げかねますけれども、景気対策という観点から考えますと相当大規模な減税でないと効果はないのではないか。アメリカのやり方等が一つの参考にもなろうか、こういう感じがいたします。     〔植竹主査代理退席、主査着席〕

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 実は私もよくわからないのですけれども、いま不景気だという話が盛んに出ますね。これは一部の例かもしれませんが、私、この前、日曜日に東京に来るときに、いま宇都宮にいますから、宇都宮からグリーン車に乗ったわけです。満員で乗れないわけですよ。見たら、全部が若い人たちなのです。グリーン車ですよ。そして、それがシートを四つにしてトランプや何かをやっているわけです。スキーのあれを持ってグリーン車に乗ってやっているわけです。それを見ると、一体日本は景気が悪いのかいいのか、率直な話、私自身わからなくなってしまったのですよ。そこのところをどういうふうに理解したらいいのでしょうか。具体的な例を挙げて言うが、どうなのですか、それは。わからないからひとつ……。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 私もすぐにはお答えできかねます。ただ、お若い人たちは、独身貴族というようなことが言われまして、余り将来の設計等と関係なしに、それ以外の層に比べれば非常に消費しがちであるというふうなことがよく言われておりますので、そういう現象としてたまたま先生がごらんになったということなのか、あるいはまた、最近特に物というよりはサービスに対して人々の関心がいっている。したがって、たんすの中も物がいっぱいだけれども、事サービスに関しては非常にぜいたくになってきているということがよく言われておりますが、そういう面がたまたまグリーン車ということにあらわれておる、いろいろな解釈があると思うわけであります。これは一義的な解釈では言い切れない問題ではないかと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 私の見たのもたまたまの話でして——しかしたまたまでもないように思うのですが、どうもそこのところがよくわからないのですよ。不景気だ不景気だと言っているけれども、ああやってとにかく若い人がスキーを担いで、はでなかっこうして行っているでしょう。グリーン車がいっぱいですよ。ことに金曜の晩なんかゴルフの人とスキーでいっぱいですから。切符が買えませんからね。いろいろなことがありますが、余りそういうことをしゃべると誤解を招くといけないから質問をあれしますが……。  そこで、この前も私お聞きしたのですが、私には明確にわからなかったのですが、アメリカの高金利の原因がアメリカの軍拡予算というか大型予算にあるということ、それでインフレになってくる、それを抑えようとするというようなことがあるとすれば、それは構造的なものとして理解したらいいのかあるいは短期的なもの、一時的なものとして理解したらいいのか。構造的なものとするならばどの程度まで続くものとして見ていいのか、それによって日本の政策が全面的に変わってくるんじゃないか、こういうふうに思うのですよ。だからそこら辺のところを河本さんどういうふうにお考えなのか、お聞かせを願いたい、こう思うのです。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 アメリカのいまとっております高金利政策、これはやはりインフレ対策ということを一番主眼に置いていると思います。しかし、幸いにアメリカのインフレはおさまる方向に進んでおりまして、現在は八%台にようやく入っておる、こういうことのようでありますが、ことしの年度間の平均は、アメリカ政府は七・三%、こう言っております。来年は六%だ、こう言っておりますので、基本的にはインフレがおさまってまいりますと金利をある程度下げる条件はできるのですけれども、もう一つの条件としましては非常に大きな財政赤字だ。財政赤字が非常に大きいとどうしても民間資金がクラウディングアウトという傾向を生じますので、そこで資金の面からもある程度の需給関係を抑え込まなきゃならぬ、こういうことから、この金利政策も左右されるのではなかろうか、こういう議論もございますが、私は、やはり一番の根本はこの物価にある。物価が安定すると、アメリカも金利政策が相当やりやすくなるのではなかろうか、こう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 それはそのとおりなんですよ。いまのはアメリカの一つの見込みをお話しになったわけで、二つに分けてお話しされたわけですが、後の方の財政赤字というのは、アメリカが——アメリカ人というのはいい意味では理想主義者ですね。それから、悪い意味というとシンプルだということですよね。物事を善悪に分けて考えることの好きな国民です。だから、ソ連の脅威が非常に強まっているという形で、そしてパールハーバーを忘れるなということになってくる。そして愛国心ということをアメリカで言って、アメリカの国内をまとめていくということになってきておる。こういう関係になってくると、軍拡予算というものがどんどん続いていくということになればインフレになってきて、アメリカの高金利はある程度続く。結局そうなれば日本の円安ということになって、好むと好まざるとにかかわらず、そういう形になって日本の輸出は伸びざるを得ない、伸びていく。だから内需の四・一、外需の一・一ですか、外需の一・一というのはとても無理だ、これはどんどんまたふえていく。そして、それによってまた内需が減っていくという形になって、基本的に経済の計画というものが壊れていくんではないでしょうか。これはヨーロッパの会議でも全部そういう議論が日本に対して寄せられているのではないでしょうか。そこはどういうふうにお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 第一次石油危機が起こりましたときも、やはりこれからの世界経済はゼロ成長だ、あるいは一、二%の低成長しか期待できない、こういう議論が世界の非常に大きな意見だったのであります。しかし、幸いに三年たちまして、世界経済はまずアメリカをトップに回復をいたしまして、日本も五十三年、四年と回復したわけであります。で、大体世界全体が四、五%成長になって、やれやれと思っているやさきに第二次石油危機が起こった、こういうことでございます。そしてまた再びもう世界はゼロ成長しかできないのではないか、現にゼロ成長が進んでいるわけでありますから、第一次石油危機直後と同じような議論が出てきたわけでございます。しかし、私はやはりこの石油ショックが吸収されますと世界は安定成長に移行するのではないか、また安定成長に移行しませんとこの平和も期待できない、こういう感じがいたしますので、ことしで三年目を迎えますので、調整の時期がようやく過ぎたのではないか。ヨーロッパ、アメリカのインフレも峠を越しましたから安定成長の方向に行くことを期待し、各国政府も大体そういう見通しを出しております。権威ある国際機関等もそういう見通しを出しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いま消費不況が深刻化している、消費が低迷しているということの中で、その原因としては減税の見送りによる実質可処分所得の低迷、これは一つの理由になるでしょう、なりますね。それからもう一つは、公共料金の大幅引き上げによる家計への圧迫ということが理由になっておる。三つ目は、住宅ローンの元利支払いに伴う家計圧迫、こういうことが理由になっておる。もう一つは、さっき言った若い世代、三十代を中心として需要が一巡しておる、こういうようなことが理由になっておると言われておるわけですね。一の点についてはさっきお話があったわけで、これはまた別の、恐らく減税を中心とした集中審議があるでしょうから、そこで詳しい議論が出てくると思うのですが、第二の公共料金の大幅引き上げによる家計の圧迫、電気、ガス、水道料金などの見直しによって一兆円減税と同じような効果を家計に与えるというふうなことを主張する人も出てきているわけですね。そうすると、電気、ガス、水道料金などの見直しということは引き下げですね、それによって家計をある程度豊かにして景気を回復する、消費低迷を脱する、こういうことについてはいろいろな議論が出てきているわけですが、それに対しては企画庁長官としてどういうふうにお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 公共料金が消費者物価を一番大きく押し上げましたのは昭和五十五年度でございますけれども、二・二%ぐらい押し上げております。その前後は、大体政府予算関係の公共料金も入れまして、ほぼ年度間は〇・八%前後、〇・七%ぐらいに落ちついております。それにいたしましても相当な家計の圧迫でございますので、公共料金の引き上げにつきましては極力これを抑制する。できるだけ合理化でやってもらう、万やむを得ないときだけ認める、こういうことでやっております。ことしはいままでのところ政府関係の公共料金の引き上げは〇・二%見当でございます。それ以外の公共料金はまだ未定でございますので全体としてどれくらいになるかわかりませんが、過去、先ほど申し上げましたように五十五年度を除きまして大体〇・七、〇・八ぐらいの年が多かった、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 そうすると、お話は、いま言ったような公共料金の引き上げは今後はできるだけもちろん慎む。同時に、逆にその見直しについても検討すべきものはしていきたいというふうにお聞きしてよろしいですか。

廣江運弘経済企画庁物価局長

○廣江政府委員 公共料金でございますが、いま大臣が答弁いたしましたように、五十五年度は直接で二・二%上げまして、これが一番大きかったときで、このとき実は先生がいま言及されました電気とガスが上がったわけでございますが、その前の年、五十四年は〇・八でございます。五十三年も大体そのくらいの見当でございました。そして本年度、五十六年度はいまどういう状況かと申しますと、一昨年は二・二%押し上げたわけでございますが、現在の段階、一月までの段階で寄与度で〇・八%ことしの物価を押し上げているという計算になります。公共料金全体につきましては、徹底した経営の合理化を前提にいたしまして厳正に取り扱う予定でございますが、個別のものにつきまして引き下げまで含めて検討するかということになりますと、大きな意味でいろいろのものがございます。本年度、昨年でございますね、本年度におきましても御承知のように一部の電話料金等につきましてもそういう見直しがあったわけでございますし、全体として考えなければいけないと思いますが、個別の電気とかガスにつきましてはどうかと言われますと、いまそういう検討の段階にまだ至っていない、こういうふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 私は疑問に思いますのは、率直な話、一体企画庁というのは何をやる役所なんだろうかと、失礼な話だけれども僕はいつも疑問に思うのです。自由主義経済の中で、経済企画、企画という言葉がついているけれども、一体企画というのは何をやるんだろうか。何をやって、それがまたどれだけの意味を持っているんだろうかということを常に私は疑問に思っているわけですね。だから、ほかのいろいろな省庁のあれに聞くと、企画庁というのは非常にやりにくいということを言うんだ。余り仕事をすると怒られる、ほかの省から文句を言われる、やらないとまた怒られるということで、非常にやりにくいところだということを、ざっくばらんな話として聞くことがあるわけなんです。  いまもう一つわからないのは、物価をなぜ企画庁で扱うのかということも僕はよくわからない。ほかでもみんな扱えないから結局企画庁へ持ってきちゃったのかもわからないのですが。  それはいろいろな議論は別として、もう一つの問題は、公定歩合の引き下げ率に比べて非常に小さい民間住宅ローンの引き下げ幅を拡大修正する、そのことによって消費を拡大していくということも考えられるのではないかということは議論になってきているわけですね。これは実際はあなたに直接のかかわりはないかもわかりませんけれども、とにかく住宅ローンというのは日本の場合物すごく高いですよ。これは銀行の場合と信用金庫の場合、信用組合の場合、みんな違うのですが、恐らく元金と同じくらい、あるいはそれ以上のものが利子になってきておるんじゃないでしょうか。だから結局公定歩合の引き下げと比べてみたときに、当然民間住宅ローンの引き下げ幅というものも拡大することが必要ではなかろうか、こういうふうに思うのです。これはそこまで通告してなかったので、申しわけありませんが、どういうふうにお考えでしょうか。

井川博経済企画庁調整局長

○井川政府委員 現在住宅ローン、都銀の場合は八・三四になっております。確かに高い率でございます。最高の場合は五十五年五月以降でございますが、八・八八というのがございまして、それから〇・五下がった段階になっております。ただこれは全般的に長期の金融でございますから、長期金融となりますとどうしても金利が高くなるということ、それから、国も政策的な意味もあって住宅金融をできるだけ低目にというふうなこともございまして、たとえば公定歩合が非常に上がった場合にでも住宅ローンはそう上がらずに、上がり率を少なくするとか、あるいは上がらさずに置いておくというふうなことがございます。全体の金融体系の中でそういう考え方を実現しておるわけでございまして、現段階におきましても公定歩合あるいはそのほかの金利関係から八・三四、これは銀行の収支等々からやはり相当政策的に、国の政策的な意図を受けて下げたラインであるということになっております。これを下げた方がベターであるというふうなことはわれわれもわかりますけれども、全体の金利体系の中、しかも従来からそういう意味からいいますと低いベースでやってきているということで、なかなかそう簡単にはいかない問題があるということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 なかなか簡単にいかない問題があるのはあたりまえの話で、第一それは企画庁の所管ではないということになるのでしょう。  私はいつも疑問に思っておりますのは、銀行や何かが一体どうしてあんなにもうかるんだろうかということです。保険会社にしても信託にしてもどうしてあんなにもうかるんだろうかということが私は疑問でしょうがないのです。それでいまいろいろ研究しているところですけれども、どうもよく理解できない。本当にいまのローンの金利は非常に高いのです、これは直接企画庁の問題かどうかは別として。  そこでいまお話の中で、たとえば公共料金が上がって何%影響する、ああだこうだ、いろいろな議論がありますけれども、何%影響するなんてということが一体どこから出てくる数字なのかということのその統計のとり方が非常に違うと思うのです。  たとえば消費者物価のとり方でも、アメリカは今度変えましたけれども、アメリカの場合と日本の場合とで非常にいままで違っていたでしょう。アメリカはたとえば家を借りる場合の家賃なんかを物価に入れていたり、それから銀行ローンも物価の計算の中に入れてますよね、今度やめるのかな、そういうふうになっている。それが十年以上続いておったでしょう。だからそういうふうに計算の方法が違うわけですよ。そこら辺の消費者物価指数の計算方法が日本とアメリカでなぜそんなに違うのか。だからアメリカは日本より高く出るわけでしょう。日本は低く出るわけです。それからウエートのとり方を日本でも変えるわけですよ。ウエートのとり方を変えるものだから日本の統計でも実際よりも数字が低く出るわけですよ。いま言った日本とアメリカとの消費者物価の統計のとり方の違い、日本の消費者物価統計が非常に低く意識的に出ているのではないか、ウエートのかけ方、寄与率のかけ方によって低く出ているのではないか、こういう点について説明を願って、時間が来ましたので質問を終わります。

廣江運弘経済企画庁物価局長

○廣江政府委員 まず日本の消費者物価を中心にいたしまして御説明いたしますが、日本の消費物価は国際的にも広く認められた方式に基づいておりまして、各国それぞれ国情、社会経済事情等がありまして多少の違いはございますが、おおむね大体の国は日本と同じような方式だとお考えいただいてよろしいかと思います。  ただ、先生が言われましたような問題もございまして、国々でそれぞれの特色がございますので多少違っている点もございます。その中で一番際立ちますものが持ち家の費用をどういうふうに見るかということでございまして、アメリカはその点につきまして住宅購入費及び住宅購入ローンの金利を入れておるわけでございますが、日本はILOの、国際機関の会議の決定を尊重いたしまして帰属家賃方式で出しております。そしてアメリカも、先生が先ほど言われましたように来年の一月からこの帰属家賃方式に変えるわけでございます。それでアメリカの方が高く出るのではないかというお話でございますが、これは必ずしもそういうふうに結論できるかどうかということは疑問だと思います。  それから、先生は先ほどウエートの話もちょっと出されました。このウエート及び帰属家賃方式あるいは持ち家を住宅購入方式で、どちらをとるかということにつきまして、昨年ある銀行の調査部でそういうふうな方式にした場合には非常に高くなるという意見が出たということがございますが、ウエートのとり方についてはアメリカと日本は結論的には違っておりません。そして、日本の場合はウエートを五年に一遍ずつ変えてより新しい国民生活の実態に近づけるようにしておるわけでございますから、その点はより正確に出ているとお考えになってよろしいと思います。  その次に、持ち家のとり方を変えることによって高くなるのではないかというお考えでございますが、昨年発表されました銀行調査部の例は、計算の方法に適切でないものがかなりございますので、発表されたような差は出ないと思います。それでは具体的にどう出るかということになりますと、実際はこういう方式ではつくってないわけでございますから数字をもってお答えすることはできませんが、日本は先ほど言いましたように帰属家賃方式でつくっております。帰属家賃方式につきましては毎月発表されておりまして、その結果では、現在日本の統計局が出しておりますCPIと結論的にはほとんど変わってないということでございまして、五十七年一月で言いますと、一月の総合は前年同月比三・三でございますが、帰属家賃方式をもちましても三・三でございます。  結論は、家計調査を基礎といたしましてウエートをとっております日本のCPIの方式は十分に国際的にも認められた方式でございますし、御信用いただいて結構だと思います。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 最近、消費者ローンなど消費者信用による商品の販売が急速に増加をしてきております。オイルショック以降も毎年二〇%近い伸び率で、昭和五十四年には民間の消費支出の一〇%を超えるにまで至っているというふうに言われております。この消費者信用取引というのは、高額な商品を分割払いで購入できるという点では消費者にとっても有益な面はあると思うのです。しかし一方では、悪徳業者がこれを商品売り込みの有力な手段にしていく、そういうふうなところから多くの問題が出てきていると考えます。  これは最近の週刊誌の一つですが、「教材訪問セールス偏しのテクニック」「元営業マンが”内部告発”」ということで記事が出されております。この中にそのだましのテクニックの一つとしてこういうふうに書いているのです。「ここでも、一つのトリックがある。一括払いを認めないのだ。クレジット会社と契約していて、全部分割払いのシステムをとる。そうすると解約がしにくくなる。クレジット会社はこの契約には直接タッチしていないので、解約に取り合ってくれない。」こういうことで消費者をだますテクニックがあるんだというようなことも書いているわけです。こういうふうなのはほんの一例にすぎません。こういうクレジットなど、消費者信用取引はこのように消費者保護の上で大きな問題になってきていると思いますが、この点について経企庁はどのように認識をされていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 最近の消費者信用取引が増大しているのに伴いまして各種の問題が発生していることと、それにつきまして各種の消費者保護の手を打たなければならないということにつきましては、基本的にわれわれも認識しております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 この点については国民生活審議会消費者政策部会も「消費者信用取引の適正化について」と題する報告書を出しております。この報告書は、消費者信用取引については、消費者保護の観点から見ると、消費者信用の重要項目である金利あるいはその他の取引条件についても割賦販売法等により業種別に部分的な規制がなされているにすぎないというふうに述べておりまして、関係各方面の認識を深めた上で、経済的、実質的に信用供与の目的を達しようとするすべての取引を包括的に規制する消費者信用保護法の制定を目指すべきであろう、こういうふうに言っております。そしてさらに、消費者信用取引適正化の基本方向についての提言を行っているわけでありますけれども、政府は、この報告書が出されて三年半ですが、どのような御検討をされてこられたのか、お伺いをしたいと思います。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 御指摘のように、第七次の国民生活審議会消費者政策部会におきましてそういう検討がなされたわけでございますが、その後第八次の国民生活審議会では、この問題について実際どういう進展があったかと申しますと、包括的な消費者信用保護法をつくるかどうかという問題は非常に重要な問題でございまして、われわれとしては長期的にはこの問題は常に検討していかなければならないと思っておりますが、現実に各種の分野におきましてこの消費者信用に関係いたしましていろいろな問題が発生しております。特にそれぞれの業種におきまして約款に基づきましてこの問題が処理されております。そして、その約款というものは業種によりましていろいろに業態が違う。そのことから各種の業態に応じまして適正な約款の方向に向かっていくような検討を行いまして、昨年の暮れにこの審議会から報告が出ておりますし、われわれはそれを公表いたしまして消費者啓発をいたしますと同時に、各省それから業界の団体に働きかけまして約款の適正化を進めて  いくというふうにいたしております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 この報告書を見ますと、金利の問題から始まって消費者のプライバシーの擁護に至るまで非常に多くの問題があるが、私はきょうはここで特に消費者の信販会社など信用供与者に対する抗弁権の問題について質問をしていきたいと思うのです。  商品に欠陥があったり、極端な場合には商品が引き渡されていなくても消費者は信販会社に対して法律上、約款が一部改定されたと言われますけれども、現実にはほとんど文句を言ったりあるいは支払いを拒否することができない、抗弁権が十分保障されていないという問題があるかと思います。この抗弁権の切断は、どんな場合であっても結局消費者に支払いだけは強制されるという点で、消費者保護の上からこれは非常に大きな問題になっているわけなんですが、私はこの問題を考えるに当たって大事なことは信用供与者、つまり信販会社も売り主とともに消費者に対して一定の責任を持つべきだというふうに考えるわけです。  この点ではOECDの消費者政策委員会が一九七六年に採択した決議でも、貸し手が商品の提供者との間で商品購入者に融資する旨の事前の取り決めあるいは事前了解のある場合には、貸し手は販売者とともに不実表示やあるいは契約違反に関する商品提供者へのクレームについては、両者はその仕事から利益を享受し、彼らの役割りは別個に切り離しては取り扱い得ず、共同事業を営んでいるという事実から見て、信用の総額について共同で責任をとるべきであると考える、こういうふうに述べております。要するに、売り主と信用供与者は一体になって消費者から利益を得ているのだから、売り主だけではなく信用供与者、信販会社等も商品について共同の責任を負うべきだということを言っているわけです。  先ほどの御答弁にもありましたけれども、個別的にこの抗弁権の接続の措置を政府も進めていらっしゃるわけなんです。だから、当然信用供与者にも一定の責任があるということがその根底にあってのことだというふうに思いますが、この点について経企庁はどういうふうにお考えでしょうか。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 今回の第八次の国民生活審議会の報告には、一つ、一般原則といたしまして消費者信用が伴って商品を販売いたしましたときには、消費者は売り主に対して抗弁できるのと同じように貸し主に対しても抗弁権を認められるべきだという一般原則が書かれております。そしてその次に今度は各論といたしまして、ここで提示されておりますのは、銀行が消費者ローンをやった場合、それから自動車をローンで買った場合、それからクレジットカードで物を買った場合、このそれぞれにつきまして、この買いました商品に瑕疵がありましたときにはお金の貸し主の方に対してもその抗弁をすることができるというふうな約款の改正の方向を主張しております。  でございますから、先生御指摘のように、これはそれぞれ各論にはなってございますが、現状におきまして消費者信用を伴って消費者が物を買いました場合、その商品に欠陥がございましたときには、直接の売り主に対して抗弁権を行使するのと同じような権利を消費者も持つようになってきておりますし、現実に企業もそれから通産省等の行政官庁もそういう方向で現実にこの問題は取り扱っておると考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 信用供与者にも責任があるという立場をはっきりとっている、こういうふうに言われるわけですね、そうですね。しかし実際には、個々の問題になってまいりますと、消費者が非常に不利な立場に置かれているということからいまトラブルが現実にあるわけです。その点については認めてくださいますか。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 御質問の御趣旨は、たとえばこの前の教科書、教材の会社……(藤田(ス)分科員「いや、一般的でいいですよ」と呼ぶ)一般的には、少なくとも物としての商品に瑕疵がある場合、これは消費者が情報不足のために誤解いたしまして不利な条件に陥るということはあるかもしれませんが、そうでない限り、物に瑕疵がありました場合には、現在の消費者の立場は以前に比べまして少なくとも強化されておるとわれわれは考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 私が尋ねているのは、はっきりと信販会社なども責任があるという立場をとっているのかということをお尋ねしているんで、瑕疵云々のことではないわけです。しかし、責任があるということを認めていらっしゃいますので、次に進みます。  そこで、先ほどちょっと言われましたけれども、一つの実例として挙げていきたいと思うのです。これはもう十分御承知だと思いますが、昨年の九月から十月にかけて近畿一円で三百カ所の学習塾を持っていた日本教育研究センターという会社が倒産しました。  この日本教育研究センターというのは、セールスマンに小中学校の校門でビラまきをさせて、それからその反応のあった子供の住所を聞き取ったり、いろいろな名簿を使ったりして家庭に誘いかけに行って、高校入試の率がいいんだとかあるいは夏休みや冬休みはずいぶん楽しいいろいろなレクリエーション、催し物があるんだとかいうような、非常に親子ともうれしくなるような誘いかけをやったわけです。それで、父母が入会に承諾をいたしますと、今度は、塾に入会をしてもらったらここで使う教材を買ってもらわなければならないということで、八万円を超える非常に高額な教材を信販会社の割賦販売で買わせたわけです。ところが、この日本教育研究センターは倒産をしまして、塾は閉鎖されてしまいました。教材というのはあくまでも塾と不可分のものです。一体のものです。入会をするということで教材を買った。買ったというより買わされたわけですね。ところが、教材だけが残った。まさに無用の長物になったわけですが、信販会社は支払いの方を請求してくる、こういうことで、被害者は六千人近い人数になっております。  私は、事は子供の教育に関することだと思うのです。これは学校の教育であろうと、家庭の教育であろうと、教育の問題だ、子供に非常に大きな影響を与えてくる問題だと思います。教えるときに教材として必要だと言って買わせておきながら、まともに使わないうちに倒産をして、そして教材の支払い義務だけを残した販売会社、日本教育研究センターの行為は詐欺にも等しいと考えますし、ここで明白なことは、消費者には何の落ち度もない、被害者だと考えますが、この点は長官、どうでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 確かにこれは、この事例に限らず、ほかの件でも消費者の問題というのはそうでございまして、ある便益が得られるものと思ってたとえばお金を払ったところが、倒産して、そう期待したとおりにできなかったという場合に、明らかに被害がございます。今回の場合、これは消費者信用を伴う場合でございますと、まだお金は全部払っておらないわけでございますけれども、後からその金を払わなければならないということになりますれば、それは被害があるということは確かなわけでございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 消費者は被害者であるというふうに認めていただいたと思います。それでは、信販会社の方はどうでしょうか。中国信販ですが、私はこの信販会社の責任も非常に大きいと思うのです。なぜなら、消費者は日本教育研究センターの単なるお客さんにすぎないわけですね。ところが、信販会社の方は日本教育研究センターと一定の契約のもとに、しかも継続的な関係を持っていたわけです。したがって、日本教育研究センターの経営状況も十分知り得る立場にあったはずだし、また、事実知っていたと思います。倒産すれば消費者がどういうふうな被害になるかは十分知っていながら、信販会社としては当然これに配慮を払うべきであったはずなのに、どんどん立てかえ払いの契約を結んで自己の利益だけを追求していたという点で私は信販会社の責任は非常に大きいと思いますが、この点についてはどうでしょうか。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 御指摘のとおりだと思いますが、ただ、普通の経済行動というものは、消費者に限らず、生産者にいたしましても、ある予測を持ってやりましたところがそのとおりにいかなかった、そのために損をするということはございますので、いわゆる民事、刑事的な意味においての責任というものを議論いたしますと非常にむずかしい法律の話になるかと思いますが、いまの御質問の趣旨で責任があるかどうかということに関しましては、いわゆる通常の常識的な意味における道義的な責任はあるかどうか、この場合、私は現実の問題にタッチしておりませんので、ここで判断を言うのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 ちょっとあいまいな言い方で困るのですよ。十分御存じのはずなのにあいまいにぼかされたら困るわけです。道義的な責任がある、少なくともそれはあるということはお認めいただいたと思うのですが、そうですね。けれどもといろいろ弁解されますが、もっと言えば、これは毎日新聞が取り上げた記事ですが、十月三日の記事の中に労働組合の発言が載っているのです。この中で、倒産の半年前から経営が危なくなっていたことははっきりしていたというふうに書いてあるのです。そして、私はこの中国信販の方に消費者とともに参りました。そうしたら、このときこう言ったわけです。そういうことは知っていたということは認めたわけです。そして新日本ソピック商事という会社がバックアップするから引き続き応援してほしいという申し入れがあって引き続いて契約を結んでいたんだということを認めました。これは大変なことだと思うのですが、もう一つは、経企庁のつかんでいる情報でも、信販会社自身の社員が売り込みに参加をしていたということも、私は聞いております。経企庁もそういうことも情報の一つとしてつかんでいらっしゃるというようなことなんですから、もう一度はっきりしてほしいと思うのです。確証をつかんでいないと言われるのでしょう。そのことは、この間はっきり私の部屋で聞いておりますから、もう一度、あいまいにしないで言っていただきたいのですがね。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 調べました結果、道義的な責任があることがはっきりいたしましたので、担当の官庁であります通産省が行政指導によりましてこの問題を解決していくようにということで、現在、処理を進めておられる途中であるというふうに聞いております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 行政指導の処理が進められているということも、私は承知しております。  しかしながら、現在の、消費者を保護する上で不十分さが、行政指導の上で、特に新約款の上であり過ぎるために、そういうふうな行政指導が進められながら、なおかつ消費者はふんまんやる方なき立場に置かれているということも御承知いただいて、この問題については、どうしても私はもっと消費者サイドで御指導をいただきたい。個別の消費者についても、よく意見を聞いて処理を進めていただきたいと思うわけです。  こういうふうなトラブルは非常に多いわけで、一定の範囲で、通産省も新約款で抗弁権を認める措置はとったわけですけれども、私は、質問主意書を十一月の、臨時国会の終わりに出したのですが、結局、いまも言われたように、消費者は犠牲者だ、そして道義的に信販会社の方は責任があるんだというふうに言われておりながら、実際には、抗弁できてしかるべきこの問題に対しては抗弁ができないという御回答であったわけです。こういうふうな抗弁権が行使もできない、こういう案件に対しても行使ができないということになりますと、新約款に、消費者保護の上から見て大きな欠陥があると言わざるを得ないというふうに私は考えるわけですが、経企庁の御見解をお伺いしたいと思います。

小金芳弘経済企画庁国民生活局長

○小金政府委員 御指摘のよう県消費者は非常に不利な立場にあったわけですが、まず、その抗弁権を認めるというところで、前は、貸し手と売り手が別の場合は、貸し手の方に対しては一切抗弁できないとなっていたのが、現状では、少なくとも物に関して、物に瑕疵がある場合は抗弁権を主張できるというところまできたわけでございまして、現在、ただいま先生が御指摘になりましたような問題は、教材そのものの欠陥というよりは、むしろ教材と一緒になったサービスの方に欠陥のある場合でございまして、われわれは、方向といたしましては、そういうサービスをも含めて欠陥があった場合、だんだんにこれに対抗できていくようにということを考えておるところでございます。現在のところはまだそこまではいっておりませんが、われわれの方向といたしましてはそういう方向に持っていきたいと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 この抗弁権の保障の問題は、長官、すでに世界的な趨勢でしょう。だから、国民生活審議会の消費者政策部会長の東大の竹内教授も、日本のシステムというのは、アメリカの法律やOECDの勧告とはずいぶんかけ離れているということを言っておられるわけです。アメリカやスウェーデンでは、いずれも法律で、買い主が売り主に対して行えるすべての抗弁を信用供与者に行えることになっております。だから、きわめて完璧な内容になっているわけです。しかし、今回はサービスと商品とがセットになっているというような問題の中で、日本では問題が起こっている。アメリカや恐らくスウェーデンでは、こういうふうな問題は、もう完全に守られる網の中に入っているというふうに思うわけです。したがって私は、そのほかの信用供与形態についてもあるいはアウトサイダーというような問題についても、いろいろ問題が起こっております中で、この国民生活審議会の報告にもあるように、やはり早急に消費者保護法の立案を考えるとともに、抗弁権の接続の法的な措置をとるべきだと考るわけでありますが、その点についての御答弁をお願いしたいわけです。  時間がございませんので、もう一つ重ねてお伺いをしておきますが、消費者保護の法整備が非常に不十分であるためにこういう不利益をこうむっているという点で、私は行政が、特にこの消費者保護を大きな任務にしている経企庁がもっと積極的に、そういう面で個別の問題についてもその観点を貫いた行政指導をしていただくべきだと思いますが、そこのところでの決意もお願いをしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまのお話をずっと聞いておりまして私が感じましたことは、いま日本の社会はだんだんと消費者金融が拡大して、アメリカと同じようにローン社会になりつつある。したがって、そういう社会では消費者の保護に特別な配慮が必要である、そういうことで、いま具体例を挙げて御説明がございましたが、私もその点は同感でございます。  やはり消費者の保護ということについては特別な配慮が必要か、このように思いますが、これは通産省の方でも管轄をしておられますことでもございますから、通産省ともよく打ち合わせをいたしまして、消費者の保護には万全を期していきたい、このように考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)分科員 終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管中経済企画庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 次に、通商産業省所管について政府から説明を聴取いたします。安倍通商産業大臣。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 昭和五十七年度通商産業省関係予算案等の予算委員会分科会における御審議に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  わが国をめぐる国際環境は、まことに厳しい情勢にあり、わが国といたしましては、国際社会の責任ある一員としての自覚を持ち、自主的、積極的な役割り分担へと抜本的な姿勢の転換を図ることがきわめて重要な課題となっております。  また、国内面では、来るべき高齢化社会に向けて、活力とゆとりにあふれた福祉社会の建設を進めるべく、みずからの知恵と力によって発展の原動力をつくり出していくことが求められております。  かかる基本方向を念頭に、現下の内外諸情勢を展望するとき、解決すべき課題は決して少なくありません。  その第一は、自由貿易主義の堅持と円滑な対外経済関係の構築、第二は、民間活力の活用等による内需中心の安定成長、第三は、脆弱なエネルギー供給構造の改善等エネルギー安全保障の確立、第四は、独創的な科学技術の振興と産業の創造的知識集約化の推進、第五は、中小企業の発展基盤の確立、第六は、魅力ある地域経済社会の形成と一国民生活の質的向上であります。  これらの課題の達成のために、私は全力を挙げてまいる所存であります。  昭和五十七年度通商産業省関係予算案及び財政投融資計画の作成に当たりましても、このような基本的方向に沿いまして、一般会計七千九百十一億七千万円、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計五千四百三十五億五千百万円、電源開発促進対策特別会計千八百四十二億二千六百万円、財政投融資計画五兆七千八百五十八億円等を計上しております。  以下、この通商産業省関係予算案等の重点事項につきましては、お手元に資料がお配りしてありますが、委員各位のお許しを得まして説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 ただいま安倍通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。     —————————————

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願い申し上げます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 私は、金の先物市場をめぐる問題について質問をいたしたいと思います。  東京金取引所が来月の二十三日にオープンするというふうに聞いておるわけでありますが、これは余り各界がもろ手を挙げて賛成したとは言えない。むしろ、通産省も突如として賛成に回ったような感がありまして、前からいろいろとこの問題については指摘したわけであります。全国の金の流通量の四分の三を取り扱っていると言われております金地金流通協会は参加を見合わせるということであります。その理由は、簡単に言うと、金は投機商品としない方がいい、ではない、したがって客に危険を売るようなことはできない、こういうことだろうと思うのです。それから、まず金の現物での市場を広げて、金に対しての一般大衆の理解を深めてから先物市場を考えるべきではないか、こう言っておるわけであります。日本弁護士連合会とか悪徳商法被害者対策委員会等においても、この金の先物市場開設は非常に危険である、私もそう思いまして何回かいろいろ指摘をしてきたわけであります。したがって、ここからこれ以上またブラックマーケットを退治するという意味で開設をして、なおかついろいろなトラブルが生じるということになりますと、通産省の責任は非常に大きいというふうに思います。  そこでひとつお聞きしたいのは、またこのトラブルが非常にふえておるわけでありますが、これに対してどういう対策を立てようとしているのか、その辺のところをお聞きいたしたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 金をめぐりましていろいろとトラブルが多いというふうなことは、つとに指摘されてきたところでございます。それでいわゆるブラックマーケットというふうなものを何とか取り締まっていかなければいけないというふうなことが前々から言われておったところでございますが、そういった状況も踏まえまして、ただいま御指摘がございましたように、金を正式に取引所に上場するということになったわけであります。この辺の経緯につきましては先生よく御存じのとおりでございますが、そういったことによりまして、びしっとした金の正式の市場をつくりまして、そこでまたいろいろとトラブルが起こらないように十分な監督をして進めていくというふうなことを、昨年来の審議会の答申等も経まして今回踏み切ったわけでございます。  こういった状況を踏まえまして、私どもといたしましてはいま金の市場につきましてはすでに設立の許可を終えまして、来月の下旬から発足させるべく準備中でございますが、これが発足した暁におきましても客に対してトラブルが起こるような勧誘等が起こらないようにしていきたい、そういうことで、いま問題の起こらないりっぱな市場をつくるべく準備中という段階でございます。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 そのりっぱな市場をつくる具体的なことはどういうことなんですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 たとえば取引所ができますと会員を募るわけでございますが、会員につきましては現在取引所の会員資格審査委員会におきまして厳正に審査いたしまして、それで会員を加入せしめるということをやっているわけでございます。これにつきましては幾つかの要件がございまして、たとえば金の当業者であるということ、これは法律で決まっているわけでございますが、さらには従来私設の金市場におきまして一般の投資家に被害を与えていた等々の者でないこと、さらにはまた純資産額が最低二千万円を有することというふうな要件を踏まえまして、この資格審査委員会で審査を行いまして、それを理事会で決定するというふうな段取りで会員を決定するということもその一つでございまして、さらにこれから商品取引員の許可というふうなことも行いまして、りっぱな取引に持っていきたい。さらには、その後のことになりますが、たとえば勧誘のときには、いわゆる危険であることの開示を行わしめるとかいうふうなことも含めまして、できるだけ一般の投資家の紛議を避けていきたいというふうに考えているわけでございます。     〔主査退席、植竹主査代理着席〕

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 会員を決める場合、厳重な審査をするということでありますが、どうも僕の知っている限り、第一次、第二次、いままで百幾つかの会員が決まっているようでありますが、その中にひどいのがずいぶんいますね。具体的に名前を挙げればいいのだろうけれども、たとえばエース交易であるとか太陽商品とか富士商品とかゼネラルとか、ろくなのがないんだ。こういうのを厳重に審査しても、結局いままでのことを見ると、どうもきちんとした取引にならないんじゃないかというふうに思うのです。通産省にも大分風当たりが強いというのか、頼む頼むと頼み込む。特に政治家なんかが介在して、取引員にしてくれとか、会員にしてもらってその次には取引員にしてくれとかいうようなことが行われているということを仄聞している。こんなのは全く言語道断で、こういうところから汚職のにおいというのがぷんぷんしてくる。それから、そういう点では商品取引所の方の、いま審査をやっているそうですが、ここには通産省としてそんなに介在をすることはむずかしいかもしれませんけれども、しかし、監督官庁としては、ここにも書いてあるように商品取引の監督の義務が実際あるわけですから、したがって、そういうところには十分な行政指導を私は行うべきだというふうに思うのです。そういう意向はないですか、どうですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 仰せのとおり、これからしっかりした取引所あるいは市場をつくっていかなければならないと思いますが、ただいま申しましたように、会員につきましては、百十数名というのがすでに取引所の自治組織である審査委員会で通っておるわけでございます。これからさらに商品取引員につきましては、定款では四十名という定員がございまして、これにつきましてはさらにこの審査委員会でも審議し、それを経由いたしまして通産省の方に申請がされることになっております。これにつきましては、先ほどもちょっと触れましたが、要件がございますので、その要件に照らしまして厳正に審査していきたいというふうに考えております。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 当業者主義でいくわけでありますが、当業者のうちの先ほど言ったように地金業者は入らない。それで鉱山業者とか何か入りますね。入るけれども、どうもよく見てみると、通産省あたりから補助金か何かもらっている団体は、通産省に何となく入らないと悪いと思って入っているような感じが僕はしてならないわけですよ。そういうところが本音じゃないかと思う、実際には。別にやらなくてもいいものを始めたという感じが強いわけです。通産省の方も、ずいぶん入ってくれ、入ってくれと一生懸命頼んで、そして入ってもらったような形もあると思う。それでないと、取引所を開いても何にもならないということでそうしたんだろうと思いますが、それだけに私は、先物市場の問題というのが、もっと違った面での内在するものが非常に多いと思って心配をしているわけです。  地金業者に言わせると、いまのところ、金についてはヘッジの必要はないんだと、こう言っているんです、実際に。それで、したがって、金の先物の売買についてはやはり純然たる投機者になってしまうのではないかということを言っておるわけです。アメリカなんかでは非常にこれが成功しているそうでありますが、実はアメリカはうんと広くて、金持ちが多いからそういうこともあるだろうけれども、日本ではそんなに投機をする人はいないんじゃないか。そうなりますと、投機をさせる対象というのはやはり一般消費者になりがちで、そこにいわゆる勧誘というものが起こってくる、そういうところに非常に私は危険性があると思いますが、この点についてはどういうふうにお考えになっているか。それから、先ほど私が話をした、いろいろ圧力といいますか、会員にしてくれとか、あの業者を入れろとかというようなことは、通産省では一切ないと言い切れますか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 金の地金業者が今回会員に入らなかったというようなことで、あるいはまた日本の場合、取引がどういう人がするのかというふうな御質問でございますが、地金業者につきましては、従来から現物をやっているというふうなことから、今回は入ることにつきましては一応差し控えるということでございますけれども、この取引所で受け渡しの行われる金の供用品の監査、検査等につきましては積極的に協力するということでお願いすることになっております。  それから、一方またいわゆる総合商社等の中からも、国際的な金の状況を踏まえまして積極的に参加したいというふうな意向もございまして、必ずしも今回の金市場が、皆さんはやりたくないのを無理にやったということではないというふうに私どもは思っておりますが、しかしいろいろ御指摘のように、この問題、特に金というものが国民に非常に関心の強いものであるだけに問題をはらみやすいということはございますので、今後とも、特に一般の投資家についての勧誘等につきましては、十分な監督をしていかなきゃならないというふうに考えております。  それから、いわゆる会員なり何なりへの圧力といいますか、そういうものはないかということでございますが、私どものところへいろいろ問い合わせなり御照会なりというものがあることは事実でございます。しかし、私どもといたしましては、やはりこの問題は、いまおっしゃられましたような趣旨を踏まえてりっぱなものをつくらなければいけない。それからまた、基準はこういうふうなことであるということで、私どもの立場をよく御説明いたしまして、できるだけ納得していただくというふうにしております。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 危険開示義務の問題ですが、いままでのものを見ると、一枚の紙っぺらの後ろに、拡大鏡でもないとわからないような字で書いて持って歩くわけです。こんなのを読む人はいないですよ。だから、これはちゃんとしてもらわなければ私は困ると思うのです。そういうことはぜひやってもらわなければいけないと思うのです。  それから、委託証拠金率は、当初三〇%ぐらいにするというふうなお話だったのだけれども、これは幾らにするわけですか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 これにつきましては、たしか私も二〇ないし三〇というふうなことで御説明したことがあったかと思いますが、今回当面私どもは二〇%ということで発足したいと考えております。もちろんこの二〇%というのは、先生御指摘のように現在のいろいろな上場されている商品につきましては四%から六、七%というのが普通でございまして、これに比べますと二〇%というのは大変率の高いものでございます。しかも私どもといたしましては、今後の取引の実態を見まして、それに応じましてさらに弾力的にこれを考えていきたいというふうに思っておりますが、当面は二〇%というところを考えているわけでございます。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 いま私の手元に資料がありまして、昨年の九月の金上場の政令指定、それ以後また大分ふえてきているのですね。五十五年の一月から五十五年の十二月に三百十一人あったのです。それから五十六年の一月から九月までが百九十五人の被害者があるわけです。平均して五百万円ぐらいの被害金額になるわけですが、このうちに女性が三七・四%含まれているのです。そしてその上場指定があって以後ことしの一月までで、百六人また被害者が出ているわけです。そしてそのうち六四・二%というのが女性なんです。だから、ねらってきているのはそっちになっているわけですね。いまはブラックマーケットはできないわけですから、そこでどういう形になるのか、結局現物まがい商法とよく言われているようなやり方をして勧誘をしているのだと思っておりますが、これだけふえているわけです。ですから、このまま金ができても、不当な勧誘というのはどうもなくならない。むしろ、金が魅力があるから、公認をされたんだからという形でふえるのじゃないかという心配を前から僕はしているわけです。この辺のところを、取り締まりの方法というものをひとつ、どういうふうにするかということを回答していただきたいと思うのです。  それからもう一つ、これは時間がないから話しますが、業界の自主規制の問題がありますね。新規委託者の保護管理と規則とか、取引員間の自主規制とかあるわけですが、こういうものを本当に効果あらしめるようにするのにはどうしたらいいかということについても、ひとつ御回答いただきたいのです。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 ただいまの被害の数字につきましては、私ただいま同じものを手元には持っておりませんが、取引所の委託にかかわる紛議等につきましては、先ほど申しましたように、今度金につきましては正式な市場を発足させまして、そして十分審査をいたしまして取引員も限定的に認めていく。そういう中で、たとえばただいまも御指摘のあった危険の開示制度というふうなことも積極的に進めていく。これは虫めがねで見なければわからないような書き方ではなく、わかりやすく大きな活字で書かせるというふうなことも含めまして、できるだけ紛議をなくしていくように、従来以上に私どもはりっぱな取引所に仕立てていきたいと考えているわけでございます。  特に金の取引につきましては、御承知のように国際的に海外でもございまして、今後は国際的な一つの取引の一環になるということもございますので、国際的に見ても恥ずかしくない市場にいたしませんと非常にまずいと考えておりまして、そういった意味では従来からの取引所についても同様でございますけれども、今回はさらに、こういったことで発足するわけでございますから、十分りっぱなものに仕上て上げていきたいと考えております。  それから自主規制ということでございますが、一般的に申しまして、商取引でございますから、できれば政府が介入しないで自主的にいくのが望ましいわけでございますので、そういった見地からは、私どももできるだけ自主的にできる部分はそうやるように進めてもおり、また協会等も通じて、りっぱな行動ができるように考えているわけでございます。しかしながら、現実論といたしまして、なかなか自主的なことだけでは十分にりっぱにならない面のあることも事実でございますので、そこいらは私ども行政としても常に目を光らせる、一方において自主的にやっていく方向を強力に進めるという二頭立てでいくより仕方がないのではないかと現実的には考えているわけでございます。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 金の取り扱いについては資源エネルギー庁でおやりになっていると思うのですが、いまの被害者に対するいろいろな問題、これはどうしてもPRが一番大切だと思うんですね。これを抜きにしてはだめだと思うのです。だから、やはり少しお金をかけて、そうして国民に対する啓蒙活動をやってもらいたいと思うのです。これは大臣にお願いしておきますが、少しよけいこっちへ予算を回してもらって、そうしてPRをしてもらって、被害のないようにしてもらいたい。ここに二十五日のがありますが、被害額六億円を超えておると出ているわけですよ。その点は十分お願いをしたいと思うのですが、いかがですか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 先生から先ほどお話がございましたように、先物取引が禁止されますと、今度は現物まがいの取引という形で、女性その他素人の方が被害を受けるという問題が確かに出てくる点はあるわけですので、そういう一般の人たちにどうしたらいいかということで御理解をいただくためのいろいろのPR活動、これが一番大事だと思っております。特に、きちっと信用のある店で現物を現金で取引してもらうというのが基本でございますので、こういう観点から、すでに民間といたしましては日本金地金流通協会というのが五十四年の十二月に設立されまして、登録店制度というものを設けております。登録店は現在もうすでに三百三十五店ということで全国的にほとんどの地域にございますけれども、そういう店で、しかも現物を現金で買ってもらうということで、そのためのPRをするということで講演会を開きましたり、新聞に広告をしたり、登録店はもちろん登録店の看板を掲げておりますし、さらに、特に女性の被害者が多いということで女性の関係の雑誌にもそういうものをPRする、また購入の仕方をいろいろな記事等にも載せるというようなことも考えまして、できるだけそういう被害者が少なくなるように業界自身、それから私どももそれをバックアップした形で今後ともPRを徹底していきたい、かように考えております。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 いまこれは私のところへ送られてきた株式会社東邦というところの資料ですが、これはやはり七十近い女の人がひっかかっちゃったんですが、勧誘に来て六時間ぐらい粘るわけですね。だから何とも方法がないんです。それで、もうしようがなくて契約するわけですね。そうすると、倒産をしてしまうかっこうにしてみたり、ひどいのになるとスイスに金を預けておくからとか、香港の市場に預けておくからとか、それから、どうせ値段は上がりますから一割は先に上げますということで、たとえば一キロ三百万とすると三十万先にくれちゃう、それで二百七十万持っていってしまう、そして先物だから五カ月、六カ月先になったらこれを上げます、戻ってきたらそのときはもうかりますから、こう言われますね。だからひどいんです。  そこで、いまここに来ているのはプラチナなんです。金ばかりじゃなくて、プラチナから銀から、これは実を言うとホワイトなんです。ブラックじゃないですね。プラチナの方は市場はホワイトなんです。というのは八条の逆転解釈以来、ホワイトになってきたんですよ。だから金はこれからもし市場があるとすれば、取引所以外のはブラックですけれども、あとの貴金属はみんなホワイトになってしまうわけですから、これがどんどん出てくると思うのです。プラチナだけでもうすでに十六件出てきております。ですから、これをどうやって取り締まっていったらいいのかということになりますと、これはどうしても八条の解釈をもう一遍もとに戻す以外に方法がないのじゃないかと思うのです。  そこで、昨年の十月に大津地裁での裁判があったわけです。そのときの判決では、従来の解釈がやはり妥当であるという判決が出ている。それから、通産省内の商品等の取引問題研究会でも従来解釈が多数意見だったと私は聞いているわけです。したがって、早急にこの対策を立てるために、新法にするのかあるいはもう一回逆転するのか、どういう方法を考えるのか、その辺のことをやる必要があるのじゃないかと思います。  それからもう一つは、まがい商法と一緒に、香港等の海外市場を中心にしていわゆる勧誘が行われておるわけです。したがって、これに対する対策を一体どうするのか、ここをひとつきちんとやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 取引をめぐる紛議問題で二つの問題をいま御指摘になりました。一つは、八条のいわゆる逆転解釈に伴って国内において非上場商品を扱うことが必ずしも取引所法違反でなくなったという問題、それからまた、国内でいろいろと商品取引の上場等の規制をすればそれが今度海外へ流れていくという問題、この二つでございます。  この二つにつきましては、私ども現在商品取引所審議会に今後の規制のあり方について諮問しておりまして、それの審議中でございます。結論から申しますと、その審議の結論を踏まえまして今後の対応を考えていきたいと思っております。いままでの検討を見てみますといろいろとむずかしい点もございます。しかしいま鋭意検討しておりまして、これをどうするか、できるだけ近い機会にその結論を出したいというふうに考えております。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 最後に一つですが、いまお話があった新しい対策といいますか、それについて、現在の商品取引所法、まあ罰則規定もあるし、かなり詳しくはなっておりますけれども、しかし、実際問題としては、やはり流通経済法といいますか、そういうものですから、結局、消費者保護の段階に入ってない。先ほども消費者保護の問題が討議されていたようでありますが、そこで、商品取引に関して新しい法律体系といいますか、これについてこれから必要があると私は考えておりますが、必要があるとお考えになっているかどうかということと、もう一つ、近い将来それに取り組むというお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 この問題の取り扱いにつきましては、法律をつくるといたしますと、いわゆる経済法の体系としてつくるか、あるいは紛議その他の規制法という観点からつくるか、その点二つあると思います。御承知のように、現在の商品取引所法は、これはむしろ経済法の流れでございまして、今後、たとえば香港等の問題とかあるいは国内の非上場商品の問題、この問題につきましては、いわゆる取り締まり法の観点からアプローチするという可能性も非常に強いのではないかというふうに思っております。  いずれにしましても、いま審議会でいろいろと御審議いただいておりまして、私どもは、そういう審議会の検討を経まして、どういうふうに持っていくか、法技術的にいろいろとむずかしい点もあるようでございますが、その辺をもう少し勉強させていただきたいというふうに思っております。

上坂昇日本社会党

○上坂分科員 金のいわゆるブラック市場については、これは十分罰則が適用されるから、これから少なくなってぐると思うのですが、いまのその他の貴金属のホワイトについては、これは警察に言っても取り締まる方法がないわけですね。詐欺罪としていくのかどうか、いままでほとんどだめなんですね。ですから、民事裁判が最近非常に多くなってきているわけです。ですから、これはどうしてもやらないと大変なことになる。いまの法律体系では、どうしてもホワイトの方はきちっと取り締まれないわけですね。僕はしゃれで言っているわけじゃないんで、白金だからホワイトと言っているわけじゃないんで、それを十分取り締まれるようなところで消費者を保護できるように研究をしてもらうことを要望して、私の質問を終わります。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて上坂昇君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 通産大臣にお伺いをするわけですが、いま問題になっております日本とアメリカの貿易摩擦のことなんです。  私はどうもよくわからない点がいろいろあるのですが、それは、なぜ貿易摩擦だけを取り上げて問題にするのか、全体の経常収支をとってみるとそんなに大きな問題にはならぬのではないかというふうに考えるのです。だから、貿易収支とそれからインビジブルのものを入れて、全体の経常収支との関係で日米の貿易関係といいますか、それがどういうふうになっているかちょっと御説明を願いたいと思います。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉政府委員 日米関係の正確なインビジブルの統計はないので推定でございますが、御承知のように日本側の統計だと百三十億、アメリカ側だと百八十億というのが貿易関係でございます。インビジブルの方は四十億ドル前後向こうが黒字だと思います。したがって、経常で考えればそれを差し引いた額ということに相なろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いま言ったインビジブルの方は、外務省の牛場さんなんかに言わせると五十億ドルというようなことを言っています。これはもちろん正確な計算の方法もないし、当然統計のとり方があれですが、そうなってくると、そんなに問題はないのじゃないか、私はこう思うのです。  それから、一つの点はこういうことですね。これは通産大臣、日本がアメリカから買う物、あるいは買える物というか、一体何があるというふうに考えられるのでしょうか。日本がアメリカから買う物。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉政府委員 やはりウエートから言いますと、広い意味の製品が圧倒的に多いわけです。四割以上になっているわけですが、農産物なんかがその次に相当多い。製品といいましても非常にバラエティーに富んでいるわけですが、率直に言って最近強いのは、基礎石油化学品あるいはアルミとか、そういう基礎資材部門、それから医療機械とかあるいはコンピューター、LSIという先端産業、航空機ももちろん入りますが、そういう部門。弱いのは、消費財的部門はやや弱いようです。したがいまして、工業製品でもまだかなり輸入するものがある。もちろん石炭というような原材料も相当入ってきます。ということで、伸びる余地はかなりまだあろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 日本とアメリカの貿易摩擦の問題が急に起きてきたような印象を私は受けるんです。これはアメリカの中間選挙の関係もあると見ていいと思うのですが、日本の議会とアメリカの議会と、それはみんな選挙区を大事にするのですからだれでもそうですけれども、その度合いが大分違う。アメリカの方が選挙区を大事にする度合いが非常に強いということから、結局議会筋でそういうことを強く言い出してきた。これは対選挙区向けの考え方が非常に強かったというふうに私は初め聞いておった。政府そのものはそんなにそのことを言っておったわけではないように思うのです。そういうふうに私は理解をしておるのです。  そこで、今度江崎ミッションが行かれましたよね。私、何でいまの時期に——この前、あなたがワシントンへ行ってこられたわけですからね。それは議員外交は必要かもわかりませんが、こういう時期に、十分な備えを持って、こちら側の強い主張が相手方を説得できるだけの資料なり何なりを持って行ったのなら大きな意義があると思うのですが、ただ何ということなしに、漠然と行ったおけでもないでしょうけれども、議員外交で行ったところで、相手方の理論というかそういうものを説得できるものなしに行ったって私はどうも意味がないような気もするし、時期も悪かったのじゃないかというふうに考えるのですが、この点、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 私が行ったときはちょうど休会中でして、アメリカの議員は余りワシントンにはおらなかったのですが、しかし、行く前にこちらにずいぶんやってまいりまして、日本でアメリカの議員の連中と会ったときは、議員は大変深刻な危機感を持っておりました。それで、相互主義をどうしても実現するんだということを口々に言っておりました。そこで、議会の方は相当燃えておるという感じがしたわけですが、アメリカではちょうど休会中で、ほとんど議員が来ておらなかったものですから、ワシントン全体として燃え上がっているということじゃなくて、政府の方は冷静に対応したということじゃないかと思います。  もちろん、百八十億ドルということで、いまインビジブルとかいろいろのことを言いましたけれども、結局経常収支とかあるいは長期資本収支とかそういうものは日本が赤字なんですけれども、それじゃなくて貿易収支だけをとらえて、どんどん伸びてきた、一年間で百億ドルが百八十億ドルになった、ずいぶん伸びてきたということで、政府の方も非常な批判を持っていることは事実です。しかし、相互主義、こういうことは何とかやりたくないということは言っておったのですが、議員がみなワシントンに集まって議会が始まった、そこで全体の空気がますます強くなって、いわば政府の方が議会のそういう空気に押されてしまっておる。そういう状況の中へ江崎ミッションが行ったということなんでしょうけれども、日本はこれまで東京ラウンドの前倒しをやったし、それからまた一月じゅうかかってああした六十七項目にわたる改善措置をやったわけでありまして、そうした日本がやってきた努力というものを江崎ミッションの場合も向こう側に説明をし、ずいぶん向こうにも誤解があるわけですから、そういう誤解の点も議員個人と話し合えば相当わかってもらえるのじゃないか、こういうことで行かれたわけであります。  ちょうどそういう燃え盛った中に飛び込んだような形にはなったのですが、日本側の立場といいますか努力を説明をし、また、アメリカに対してやはり求めるものは求めてきた。たとえば高金利政策についての批判とかあるいはまたアメリカにもっと輸出努力を求めるとか、そういう点はちゃんと言ってこられたわけですから、相当厳しい対応にはなったけれども、アメリカのそうした空気をわれわれが把握する意味においては、またこれから対応していく上においては非常に意味があった訪米ではなかったか。いずれ、きょう帰ってこられますから、お帰りになって報告を受けて、今後の対策を協議しなければならぬと思いますが、私は、それなりの意味がやはりあったと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 その点は、わざわざいまの時期に、しっかりとしたものを持っていくのならいいけれども、それだけの腹構え、資料なんか持っていかないで行ったというか、私は余り意味ないように思うのです。  それから、問題として考えられるのは、日本の貿易が伸びた、だからそれがアメリカの失業者を増大をさせておるというような議論、これは全然話が違うのじゃないですか。一つのアメリカという考え方、これがすでにもう間違いなので、アメリカは、非常に景気のいいアメリカがありますね。たとえばヒューストンなんかいますごいでしょう。人口も一千万人を超えているのじゃないですか。それでエンパイアステートビルよりももっと大きなビルをつくっているわけですからね。自動車とか繊維とか鉄鋼とか、それは日が当たらないかもわからぬけれども、大きく分ければ二つのアメリカがある。あるいは五つのアメリカがある、九つのアメリカがあると言う人がおる。余りわかりませんが、それがすべて日本の責任だというような考え方、これはもう間違いであって、自分たちが努力もしないでおって、それであれだということで日本へしりを持ってきたってしようがない。いろいろな問題がありますよ。裏に底流があることはわかりますし、十月に選挙もあるのですから、そうすると、やはり十月の選挙を過ぎれば情勢も恐らく変わってくるのじゃないでしょうか。そこをどういうふうにごらんになっていますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 確かに、一つはインバランスの問題をアメリカは大変気にしておって、それがますます拡大をしているということに対する批判があるわけですが、もう一つは日本のいわゆる貿易障害といいますか、日本がいろいろなことを努力をしておってもまだ十分でない、まだ日本は市場が非常に閉鎖的であるということを彼らは特に言っておるわけで、アンフェアだということを大変強調しておるようであります。ですからこの貿易摩擦の問題というのは、いま国会へちょうど法案が出ておりますし、公聴会なんかもこれから行われますし、なかなか容易ではないだろう、ますます厳しい事態になる可能性はあると思っておるわけです。  しかし、このまま放置しておれば法案等が通る可能性はあるのじゃないかというふうに私は心配をしておりますので、江崎ミッションなんかのお話や、実はきょう大河原大使なども帰ってきておりますから、アメリカの全体的な実情等も承って、その上でどういうふうに対応していくかということでこれから政府としても対策を講じなければならない。とにかく相互主義法案だけは何とか阻止したい。幸いにしてEC諸国もカナダもこの相互主義法案には非常に反対でありますから、いわば共闘してでもアメリカに反省といいますか、その法案のあれを求めたい。同時にまた、日本としてこれからできることはやはり検討しながら進めていかなければならない、こういうふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 これはアメリカ全体がそうでしょうけれども、ことにレーガンは自由貿易主義ということを一つの国策にしているわけですね。そういうことからいって、相互主義ということをやればこれはアメリカが世界じゅうから非常に何というか憎まれ者になるということもあって、その点はわかっておるのじゃないかと思うのですが、とにかくシビアに受けとめなければならないし、同時に、シビアに受けとめるようなポーズを含めて日本は対応しなければならないということだと思いますが、そこを余り言うと日本の手のうちのカードがわかってしまってもなんですから、この程度にします。  そこで、私よくわからないのはアラスカの石油の問題なんですよ。これは二階堂さんが櫻内外務大臣にこの問題について話をされて、それから、恐らく安倍さんがワシントンへ行ったときもその打ち合わせでアラスカ石油の問題が出てきたと思うのですが、アラスカは一つの州になっているわけですね。そこの石油を日本が買いたい、こういうふうなことを前々から言っておる。それに対して結局出てくるのはあれでしょう、大体アラスカ石油は日産百六十万バレルだ、こう言っていますね。そうすると、一二・五%がいわゆるロイアルティーオイルというのですか、アラスカ州の取り分になる。ところが売ろうと思っても売れないというようなことをいろいろ言っている。しかし、アラスカ州としては売りたいということを言っているのではないでしょうか。日本としてもそれを全部買うと、全部というのは別としても、買えば大体多ければ三十億ドル、少なければ二十億ドルぐらい、そこら辺のものを買えるということになると思うのですね。  それで、日本が買いたいと言っているのにアメリカは売らないその理由ですが、お聞きするのは、まず一つは、いわば一種の保護貿易主義的な輸出管理の法律というものがどうもはっきりしないのですね。あるようなないような、はっきりしない。経済閣僚が集まって国益の関係で外国には売らないという決議をしたようなしないような話もあるのですね。その辺がよくわかりません。これはわかるのですよ、西海岸の方とパナマ運河を通って東へ行くでしょう、その割合なんかもよくわかるし、それからパナマ運河を通るためには狭いから小型タンカーでなければ運べないわけですけれども、それが日本へ来てしまうと東部へ運ぶ小型タンカーが失業してしまうといういろいろな問題が出てきますね。そういう関係もあって売らないということなんですが、実際は一体どういう理由で日本がアラスカ石油を売ってくれと言ってもアメリカは売ろうとしないのか。それからまた、日本が買える場合に日本として一体どういうメリットがあるのか、そういうような点についてひとつ説明を願いたいと思うのです。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 いま先生からお話がございましたように、アラスカ原油自身は八〇年実績でも大体百六十数万バレルということになっているわけです。ただ、これが実際に使われておりますのは西海岸で大体六割ぐらい、それから大体三割がパナマ運河を渡っておる、その他が一割ということになっております。それからアメリカ全体としてみますとアメリカは現在石油の輸入国になっておりまして、相当量輸入しておるという問題がございます。ですから、安全保障上の観点から油を外国に売るべきかどうかということが一つございます。それからもう一つ、石油のユーザーのサイドから見ますと、アラスカの油が日本に出るということになると、需給関係その他からいって買い手側が不利になるのではないかという話が一つございます。さらにもう一つは、先ほど先生からお話がございました海運業者それから海運組合の関係で、そのジョブを奪われるというような問題も含めましていろいろ議論されておるということでございます。そういうことで、いままでも一応安全保障上の観点から、輸出管理法によって米国からの油の輸出は全面的に禁止されておるという状況であるわけでございます。  ですから、今後こういう問題がもし解きほぐされるとすれば、アラスカの原油が日本に出た場合に、アメリカがその見返り分をどこかで手当てできるかどうかというふうな問題が一つあるところでございますし、それから先ほど出ました海運関係者の問題もございます。そういうことでございますので、アメリカの国内問題としてこれがどう処理されるか。特に、非常事態となった場合の安全保障上の観点からの議論がやはりアメリカ内部でもかなりされておりまして、先ほど先生が言われました天然資源関係閣僚協議会が、レーガン政権になりまして昨年の十一月五日にアラスカ原油の問題は検討したのですが、検討の結果としてこれはやはり輸出すべきでないという結論を出しているわけです。そういうこともございまして、現在はアメリカの国内問題になっておる。  ただ、先生おっしゃいましたようにアメリカの中にも、日本に売ったらどうかという意見は昔からいろいろございます。ですからこの議論は何回かされておるわけでございますが、日本の立場からいたしますと、もちろんアラスカ原油については価格の問題、それから重質油であるとかいろいろの問題がございますけれども、油を買う地域をできるだけ多角化するという立場からすれば、これが買えるようになるということは日本としてみればいろいろ意義のある点だというふうに思います。ただ、いずれにしても、日本の場合にも価格の問題とか油の質の問題、それからこれは民間が買うという問題がございますので、具体的に買える状況になればその段階で検討することになりますが、エネルギー政策の立場からすれば、多角的にアラスカとかその他の地域から油が買えるというのは日本にとっては非常にメリットがあるというふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 ちょっと名前をど忘れしましたが、いま議員でない人、その人なんかは、アラスカ石油を日本に買ってもらえ、日本がそれを輸入するようにというようなことを熱心に主張しているわけですね。フレートは中東から持ってくるのとそうば違わないと思いますが、それを買えば、要するにシーレーンの確保の問題での日本の割合といいますか、日本の場合はいま七五%を中東からなにしているわけですから、防衛上の問題としてのシーレーンの確保がそれほどいかなくてもいい、その割合が日本としては減ることになってくるというメリットが日本にはあるわけでしょう。いまあなたの言われた安全保障というのはアメリカの安全保障という意味だと思いますけれども、やはりアメリカはそのシーレーン確保という問題で日本のウエートがそれだけ減ってくるというか、減ってくるという口実が日本に与えられるということもあって、それをいやがってそういうふうなことを言っているのではないか、こう私は考えるのですがね。これが第一点です。  だからアメリカばおかしいんじゃないですか。自由貿易、自由貿易と言っていて、自分の都合の悪いときになると今度は保護貿易にしてしまう。そんなのはちょっと勝手過ぎるんじゃないですか。私はそういうふうに思いますがね。アメリカの態度はちょっといただけないですな。これはもっと強く主張すべきですよ。安倍さんはワシントンの会議でも主張したわけでしょう。そうすると向こうは断るのでしょう。断りはしなかったですか、そこのところはちょっとお聞きしたいと思うのですが、それだけではないのですね。あのときは、アラスカからの問題では杉丸太も入っているでしょう。それからアラスカは天然ガスの問題もあるのですよ、アラスカは。こういうふうなものを日本が買いたいと言ったって、アメリカとしては自分の方の便宜のためというか、いろいろな問題があるでしょうけれども、売らないというのはちょっとおかしな話なんで、それを買えば、三十億ドルとなれば日本円で五、六千億ですか、それだけ減るわけですから、ずいぶん違います。そういう点をどういうふうに考えておるのかが一つ。  それから安倍さんにお聞きしたいのは、ワシントンの会議で主にどういう話が出たのかということ。それから、一緒にやってしまいますが、あなたの竹村健一との八時半のテレビの対談を見ていました。非常におもしろい。竹村健一は自分一人でしゃべってばかりいて、自分のペースヘみんな巻き込んでしまって、自分の意見に反対なのはしゃべらせないんだから、あれはいかぬよ。国会もああいう態度をとるべきじゃないと僕らも思いますがね。あのときもあなたのお話の中で、ヘイグ国務長官は非常に個性の強い人だという話をあなたはしておられましたね。これはどういう意味だったのか、どういう話がヘイグさんからあったのか、お聞かせを願えれば、こういうふうに思うのです。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 アラスカ石油の問題については、私が大統領にこれはぜひともひとつお願いをしたいということを言ったときは、大統領は考慮するということで、ノーでもないイエスでもない中立的な返事であったと思いますが、私はいま稲葉議員もおっしゃいますように、インバランスを非常に盛んに向こうが主張されるわけですから、それなら日本が欲しいものを売ってもらえればそれだけ改善するということで、インバランス改善の一つの大きな方策としては、日本が欲しい石油、アメリカのいろいろな国内的な制約はあるとしてもこれを輸出してもらうことが大きく改善に役立つということを、例の一つとして取り上げて主張したわけであります。いろいろとアメリカ側には制約があると思いますけれども、これはやはりインバランスを解決するには非常に効果的な品目であろうと思います。これからもひとつ事あるごとに主張してまいりたい、アメリカ側にもひとつ要請をしてまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、ヘイグさんとの会談は、別に特別な、あそこで発表されました以外のことが含まれておるわけじゃないのですけれども、感じとして、何かあの人がアメリカのナポレオンなどと言われておるということを聞いたわけですけれども、確かに見るからに軍人上がりの非常に個性の強そうな感じであったということを言ったわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 この問題は二階堂さんが非常に熱心なのですよ。これは御案内だと思いますけれども、非常に熱心にいまのアラスカ石油の問題を主張されておりますので、この点について、おっしゃったような形でアメリカに対しては言うべきものをはっきり言わないといけないですね。イエスだかノーだかわからないような、前向きに検討しますとか善処しますなどと言ったってわからないのですよ。イエスかノーか、アンダースタンドか。アンダースタンドというのもイエスなのかな。日本語のわかりましたというのは、イエスの場合とノーの場合と両方ありますね。余りやかましくなると、わかりましたと言って追い返すときに使うのだけれども、どうもわけがわからぬから、はっきり言うべきものを言った方が私はいいと思うのです。  それから、時間の関係もありますから、一つお願いをしたいのは、これは私、去年九月にニューヨークからアルゼンチンへ行きまして、それからブラジルへ行ったわけです。そうしたところが、ニューヨークは親戚の者がおって、ニューヨークでいろいろ話をしたのですが、それは直接関係がないかもしらぬな、いまの話には。南米なんかに行きましたら、メキシコなんかにずっと行きましたら、こういう話なんですね。  日本の二人の大臣、一人は非常にスリムな方ですね。一人はちょっとファットな方だ。それが一週前に一人の大臣、通産大臣が来るわけですね。  一週間前にメキシコからアルゼンチンへ行って、アルゼンチンからブラジルに行きました。そうすると一週間たって、今度は外務大臣が同じところに行っているのですよ。だから向こうの人たちは、一体何なのだろうか、日本というのはよくわからぬと言うわけだ。通産省と外務省というのは  一体どういうわけなんだろうといって、非常に不思議がっておったのですね。リオデジャネイロの海のところで、スリムな方の人がジョギングしていましたがね。それはいいですが、非常に不思議なんですね。だから、そこら辺のところは外務省と通産省というのはどういう関係なのかよくわからぬ。たとえば「経済協力の現状と問題点」とかいう厚い本がありますね。あれをもらったとき、初め僕は外務省で出しているのだとばかり思った。そうしたら通産省で出しているのです。だから、経済協力なら経済協力という仕事は一体通産省の仕事なんですか外務省の仕事なんですか、どうもよくわからないですな。それが一点です。  それから、経済協力に対して一つの基準がありますね。その基準との関係で日本はまだ足りないのじゃないでしょうか。政府開発援助は一九八〇年において実績が三十三億ドルですか、前年より二五%伸びた。ただ、GNP比では〇・三二%で、DAC、開発援助委員会加盟国の平均が〇・三七、これを下回っておる。それから援助の条件も最も厳しいというようなことを言われているのですね。私は、GNPですべてのことを決めるというのは、余り納得がいかないというとおかしいのですが、感心しないところがあるのですよ。たとえば、自分の秘書、給料を払っている秘書と結婚して女房にするでしょう、そうするとGNPは減ってしまうわけでしょう。そればかりじゃありませんけれども、一つの例ですけれども、とにかくGNPで比較する以外にないとなれば、いま言ったように、政府開発援助でも世界的な平均よりも下回っておる、それから同時に、それが条件が厳しいということを言われているのですが、それは事実なんですか、事実とすれば将来どういうふうに改善するということになるのですか。

若杉和夫通商産業省通商政策局長

○若杉政府委員 冒頭おっしゃった、南米に行かれた御経験なんですけれども、あれは確かに前大臣のときに、外務大臣と御一緒に、若干時期がずれて行きました。しかし、現地ではみんな歓迎していただきましたです。めったに来ないですから、何人来ても結構だということで非常に喜んでいただいた経験があります。  それからGNP比の問題でございますが、おっしゃるとおりの議論がございますが、数字は先生がおっしゃったとおりでございます。ただ、絶対額では日本も相当なところまでいっていますけれども、比率では余りよくない。  それから援助条件ですけれども、これは逐次先進国並みになっておりまして、ソフトローンをかなり出しておりますから、そんなに遜色はないのですが、ただ無償援助の比率は、相対的でございますが、まだ若干先進国に比べて少ないというか、そういう面はございます。ただ、無償援助という問題と有償援助という問題といろいろございまして、人道的な立場でやる場合は無償援助、食糧とか医薬品とかいう立場もあるわけですけれども、実際問題として技術とか経営資源とかをトランスファーするということも後進国にとっては非常に大事なんです。そういう場合には、どちらかといえば設備とかそういうものもありまして一概に言えません。言えませんけれども、あえて言わせていただければ、無償援助の比率がまだ相対的に低い、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 もう時間がありませんからあれですが、ニューヨークで私いろいろ会って話を聞きましたときに、こういう話が出るのですね。それは、通産省はジェトロを持っているというと語弊があるけれども、ジェトロと連関はありますね。大蔵省は日銀と同じ建物にありますね。そういう関係であって、通産省は経済とか貿易関係の情報というのは非常に入りいいのですよ。それから大蔵省は財政金融ですかな。ところが、外務省はそういう点が、ざっくばらんな話、非常に落ちるのですね。だから安倍さん、ひとつあなた方の方でも今度は外務大臣を助けて、この前の二人は、こんなことを言っては悪いけれども、この前は非常に個性が強かったけれども、今度は皆紳士というのかな、とにかくあれだから、よく連携をとってひとつお願いしますね。  いまのあなたの話、確かにそうなんだ。表面的にはそうですよ、だれもいやな顔をする人はいないんだから。一週間おくれて行って、そして同じ話をされるのでかなわぬというのだ。もう勘弁してくれ、何て日本というのは不思議な国だろうと言っている人が多かった、二人が張り合っていたかどうかは別として。そういうようなことがありますから、外務省と通産省というのはいろいろな問題で、ことに外務省の経済局というのは何をするのか、ぼくも率直に言うとよくわからぬ。手下がないのだから、手下というと語弊があるけれども、バックがないのだから。それはそれとして仲良くやって日本のいろいろな大きな問題に対処していってもらいたい、これは要望だけしておきます。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 私は、産炭地域振興について若干お尋ねをしてみたいと思います。  産炭地域振興の大幅な立ちおくれから、石炭関係六法の延長法案がただいま石炭対策特別委員会で審議がなされているはずでございます。これが成立すれば石炭鉱害復旧法あるいは鉱害賠償法等は十年間延長をされることになるわけでございますが、しかしわれわれは非常な不安を抱いているわけでございます。なぜならば、残存鉱害量は五十四年度価格でまだ六千六百七十億、そのうち七五%から七六%がわが福岡県にあるわけでございまして、この炭鉱鉱害等の産炭地の深刻さというものは産炭地域の者でなければとうていわからない、そういう深刻なものでございます。その一例としまして、典型的なところが福岡県の宮田町、私はこの宮田町の問題を提起いたしまして、きょうは通産大臣に特段の助成を望みたいところでございます。  御承知のとおりに、この宮田町にありました貝島炭砿、これは昭和五十一年に倒産したわけでございます。その後更生会社となりまして、その更生計画に基づきましていま弁済の努力が払われているわけでございますが、その更生計画がさっぱり計画どおりに進まないのです。たとえば昭和五十二年から五十七年、これは五カ年計画になっているわけでございますが、この危険防止のための工事費等のいわゆる諸雑費が予定共益費という言葉で出ております。四十一億三千万となっておりますけれども、もうすでに計画の四年が過ぎている。五年間のうちの四年が過ぎているのですけれども、この五十六年三月末の実績で見ますと、その実施率は十七億九千八百万円で、四三・五%です。鉱害危険防止対策費十六億四千万円の中で実施率は四千八百万円と、わずかに三%でございます。住民の安全を守る危険防止などが最重点的に施行されねばならないことは当然でございますが、こちらの方は軽視されまして、資産、跡地の売却処理のみにきゅうきゅうとした結果が出ているわけでございます。  この露天掘りの跡地には水がいっぱいだまりまして水位が上昇し、あるいは流出の危険があるし、また周壁の崩壊や地すべりあるいは露天排土地の土石の流出など危険状態がいっぱいなんでございますが、通産省はこうした宮田町の実情を把握しておられるかどうか、まずお尋ねをしておきたいと思います。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○福川政府委員 御指摘の貝島炭砿につきましては、五十一年の六月に更生計画の認可決定以降、管財人を中心にいたしまして更生手続が進められております。いま御指摘のとおりに、土地売却が予定どおり進まないという事態がございまして、それで現在、鉱害復旧の処理と並びまして、この露天掘りの跡地の処理ということが一番大きな問題に相なっておるわけでございます。  このような事態に対応いたしまして、私どもとしては昭和五十四年度に福岡県に委託をいたしまして、その協力のもとに宮田地区の露天掘り跡地の安全性と開発可能性に関する調査ということを実施いたしまして、宮田町で土地利用計画をおつくりいただく、こういうことに相なっておるわけでございます。別途、貝島の清算手続は、いま先生御指摘のとおりにおくれておるわけでございまして、最近、二月二十日でございましたか、更生計画の変更の認可申請を裁判所に出した、こういう事態になっておりますが、これもいまの宮田町の跡地利用計画ということと調整を図りながら、恐らく、多分さらに五年程度になろうかと思いますが、更生計画の変更が行われる、こういう事態になっておるわけでございます。  私どもも、この鉱害復旧の促進と並びまして、この跡地問題をどのようにしていくかという点につきまして、通産局を通じまして重大な関心を払っておるわけでございますが、今後、地元地方公共団体がいろいろ行ってもまいります諸事業との連絡調整を図りながら、現行の諸制度を十二分に活用しながら、できる限りこの復旧の処理と跡地の問題あるいは清算ということに取り組んでまいりたいと考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 そこで大臣によく聞いていただきたいのですが、何せこの宮田町の中央部に町の全面積の九%を占めるほどの産炭地域の炭鉱跡地があるわけです。この開発は、町の百年の大計からして、開発決定というものは最重大問題であるわけです。そういうことから、町は、更生会社と福岡通産局と福岡県当局の協力によりまして、宮田地区露天掘り跡地の安全性と開発可能性に関する調査、これを依頼して、もう実際に実施されました。そこで宮田町はこれに基づきまして宮田町貝島露天掘り跡地等土地利用計画を策定いたしまして、各方面に陳情これ努めてきたところでございます。  つまり、この実現に当たりましては、とてもとても町の財政能力をはるかに越えているものでありまして、難事中の難事でありますとともに、単に更生会社の土地処分による民間サイドの自由な開発に任せていたならばこれまた大変なことになる、このような認識に立っているわけです。なぜならば、いままではいい土地がどんどん売れてきたわけですけれども、あとはあそこここと飛び飛びにいい土地があって、ほとんど荒廃した中にそういうところがあるわけですから、いいところだけぽつりぽつりと売却されていきますと、まるで虫食い状態というようなかっこうになりまして、とても町の開発計画などには乗れない。こういうことから、関係機関にはその事情を必死で訴えているわけでございます。  そういうことで、いまもお話がありましたように、更生計画期間が五十七年から六十二年までさらに五年間の延長がなされるところでございますけれども、町といたしましてはほとんどこれに期待をかけられないというのが実情でございます。事実、いままでの五年間の計画期間のうち四年経過した現在、問題になっております炭鉱跡地、これは百四十万坪あるわけでございますが、これが五十六年三月の実績でわずか三十四万坪しか、すなわち計画の二四・三%しか実績が出ておらないわけですね。残り百六万坪、あと一年しかないということになっていたわけでございますが、この百六万坪の状態というものはきわめて悪い環境の中に置かれておりまして、資産価格はもうほとんどないと思われるほどの荒廃地であるわけです。そういうことで、宮田町は困りに困り果てまして、昭和五十六年六月に、ついに福岡地方裁判所第四民事部に貝島炭砿の更生計画に対する上申書をもって実は訴えたわけでございますが、中でも、更生会社の土地処分を一時中止していただきたい、民間サイドの自由な土地利用に歯どめをかけてください、なぜならば、先ほど言ったような虫食い状態になって、とても町の再建計画はできません、そして計画的な再開発をするためには、更生会社の債務をむしろ宮田町が引き受けます、自後資産管理、安全対策についても町の責任で実施してまいりますので、そこでお願いしたいことは、ということで強調をいたしておりますことは、いま残っております六十三億のいわゆる債権者である政府機関の新エネルギー総合開発機構、石炭鉱害事業団、日本開発銀行、このところがこうした実情を理解していただいて債権六十三億を大幅にまず減縮していただけませんか、そして弁済期間も長期にしてください、これ以外に宮田町の再開発もなければ、民生安定の道もないんですと、こういうことで必死で実は訴えているわけでございますが、通産大臣いかがでございましょうか。  いろいろ長々と私いまその事情を述べてきたわけでございますが、こうした産炭地域の中でも特に典型的な状況に置かれている宮田町の実情にかんがみまして、適切かつ特段なる助成をお願いしたいと思うのでございます。特に先ほど申しました三つの政府機関の債権者に対してそうした助言をしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○福川政府委員 いま御指摘のような状況でございまして、私どもも十分承知をいたしております。そのような観点から、私どもも五十六年の九月以来、福岡通産局に県と協力をいたしまして貝島問題の懇談会を開くといったようなことで、関係者を集めまして地元関係者の意見調整をする組織をつくり、またその努力を図ってきたわけでございます。  いま御指摘のように、債権額六十三億、政府関係機関の六十三億を縮減して、弁済期限を長期にしながら宮田町に肩がわりさせることができないかという御意見がございました。それで二月の二十日に管財人が裁判所に提出いたしました更生計画の変更の内容にも、いま御指摘のような点の内容になった計画変更が出されておるわけでございます。これにつきましては、今後裁判所の御判断に従いまして、そのようなことの御判断が示されるわけでございます。私どもといたしましても、地元の御要望もいま申し上げましたような通産局での組織等を通じて、いろいろ地元の関係の調整を図っておるところでございまして、いま御指摘の点も踏まえまして、これは最終的には裁判所の御判断ではございますけれども、関係者の合意の得られるような、納得の得られるような方向でその点は解決いたしますように、私どもも先ほど申した懇談会を通じて努力はしてまいりたいと思っております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 大臣のお気持ちもいまの局長と同じかどうか、一言で結構ですから。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いま石炭部長からお話をいたしましたような立場で、何とかこれが円満に処理されるように努力をいたしたいと思います。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 ところで、宮田町の鉱害関係の町内会長さんと二十四名の方が、二月の二十三日にこの窮情を訴えて、福岡の通産局あるいは事業団に陳情に参上いたしております。当然御報告が入っていると思いますけれども、宮田町の鉱害復旧家屋、つまり貝島関係だけでもまだ二千戸あるわけですね。農地復旧が三百町歩ございまして、その復旧費は五百億を超えるわけですな。先般鉱害事業団が、二千戸の中の約半分に当たります犬鳴川の左岸地帯の密集地帯、約千戸あるわけでございますけれども、このうち五十六年度からまず三十七戸だけは復旧していただくことになったわけでございます。宮田町に対する石炭鉱害復旧関係予算額は五十六年度は三十億六千四百万円であったわけでございますが、この程度の予算でまいりますと、仮に法律が十年延長されましても、とてもとても宮田町の鉱害復旧はおぼつかないという計算になるわけでございまして、そういうことから、五十七年度からは全面的に事業団で施行していただきたいということでございます。この点、ひとつ大臣の方からも温かいお言葉を賜りたいと思うのですけれども、いかがですか。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○福川政府委員 ただいまその鉱害予算の点とそれから施行の点について御指摘がございましたが、確かに御指摘のとおり、この貝島地区というのは重鉱害地の一つでございまして、なお相当の鉱害量が残っておるわけでございます。鉱害復旧予算の地区の配分につきましては、鉱害の計画的な復旧を図るという観点から、地区ごとに鉱害量、工事の緊要性、他の公共事業との整合性等を考えながら実施いたしておるわけでございますが、いまの鉱害、貝島地区の状況を見ながら、今後とも予算の配分につきましては配慮をしてまいりたいと考えております。  それから二番目に、五十七年度からの鉱害復旧の施行体制の点について御指摘がございましたが、従来鉱業復旧工事につきましては、賠償義務者でございます貝島炭礦が施行いたしておるわけでございます。その理由は、地元の事情に精通をしておるということと、それから鉱害事業団にも施行上の能力の限界がございますというようなことから、賠償義務者でございます貝島が施行いたしてまいったわけであります。ただ、いま御指摘の犬鳴川左岸の農地の一部につきましては、その復旧工事に高度の技術を要するということで事業団が施行しておる。そういうようなことでやっておるわけでございますが、今後とも一応私どもとしては、現在の施行体制のもとで、その地区の鉱害復旧が円滑に行われますように関係者間で十分調整をとりながら、早期かつ効率的な鉱害復旧ができますように努力をしてまいるつもりでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 先ほど申しましたように、貝島関係だけで二千戸あるわけですね。とにかくこの家屋復旧というのは大変な仕事で、また関係住民の皆さんの強い要望であるわけですね。そしていま申しました犬鳴川左岸の地域にはその約半分である千戸があるわけでございますが、先ほど申しますように、ようやく三十七戸だけは事業団の方でめんどうを見てくれるかっこうになったわけでございますけれども、とにかくまずそういった家屋復旧が先決問題ですから、そちらに五十七年度から事業団の方で全面的に進んでいくような強力な姿勢をとっていただきたい。大臣、どうかこの点、強力な指導をお願いしたいのですけれども、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いま石炭部長が申し上げましたように、十分ひとつ配慮をしてまいりたい。特に、五十七年度予算が成立した暁においては注意してまいる考えであります。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 宮田町の五十七年度の鉱害復旧予算は確か四十三億円要求していたと思うのですけれども、実際どれだけつけられる予定ですか。

福川伸次資源エネルギー庁石炭部長

○福川政府委員 まだ五十七年度の配分は私ども検討途中でございます。御要望の、五十七年度四十三億ということの御要求は私どもも承知をいたしております。予算自身が当初私どもの要求いたしましたよりもある程度縮減をされておりますので、これが果たして幾ら宮田町に配分できるか、いままだ私どもとしてもお答えできる時期に至っておりませんが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、地区ごとの鉱害量と工事の緊要性あるいは他の公共事業との整合性等を考慮しながらその配分を考えていきたいと思っておるわけでございます。  貝島につきましては、御指摘のような重鉱害地の一つでもございます。なお相当の鉱害量がございますので、予算の配分に当たりましては、その辺の実情には十分配慮してまいりたいと考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 実は、まだ未認定の鉱害家屋がかなり残っているわけですね。これについても早急に認定を促進していただきたい。そして家屋復旧予算の増額について特段の配慮をお願いしたいわけです。特にこれは通産大臣、宮田町のことについては特段に頭の中に入れておいていただきたいと思うのです。  次に、これは現実問題なんですけれども、鉱害家屋の復旧のあり方について根本的に見直しをしてもらいたいことがあるわけです。それは、福岡県の嘉穂郡庄内町関係なんですけれども、麻生産業を通じまして五十一年の四月に石炭鉱害事業団九州支部に申請がなされまして、その八月に受理されておりますが、それからずっと日数がたちまして、五十二年の三月十六日に復旧鉱害家屋として認定をされたわけです。認定されっ放しで三年も実はたつわけでございます。そうして五十六年の五月、ついこの前ですけれども、やっと現場調査があったわけですね。それで、じゃすぐ復旧作業に入るのかなと思いましたら、いやそれはまた別だ、予算がつかないと着工するわけにはいかぬのですという話ですから、一体いつのことになるんだろうか。認定されて、ずいぶん日数がかかって現場調査があって、なるほどこれはやらねばいかぬという状況になりながら予算がつかない、いつのことかわからない、これでは話にならぬわけであります。そこで私は、こういう形を根本的に洗い直す必要はないかと思うのでございますが、どうですか。

町田幹夫石炭鉱害事業団理事長

○町田参考人 鉱害の復旧につきましては、認定申請の申し出がございまして、私の方でいろいろ調査をいたしました。その上でお役所の方の認定を受けるわけでございますが、認定をいたしましても、なかなか予算の関係もございますし、それから認定をしましたものの中のどういう順序で復旧をいたすかということになりますと、いろいろ技術的な点あるいは家屋の損傷度の点とかあるいは浸水とか、そういういろいろな点を顧慮して地区を決めるわけでございますが、現在九州関係で発表いたしております量が年間二千八百戸ぐらいでございます。ところが認定残が現在一万戸以上あるわけであります。それだけでも四年間以上の残がある。そのうちから逐次復旧工事に着手するというわけでございますので、なかなか時間がかかるということも承知いたしております。しかし、いま御指摘の点につきましては、ひとつ十分調査いたしまして、どういうふうになっておりますか、なるべく早く復旧にかかれるように努力いたしてまいりたいと思っております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 やはり皆さんは、下々と言っては失礼な言い方かもしれませんけれども、末端現場の姿は一々御承知ないと思いますけれども、現場の関係者にとっては大変待ち遠しい話ですから、極力スムーズにいくように努力を払っていただきたい。  ただ、もう一つ私はここで問題を提起しておきたいのですけれども、先ほどの地域からわかったことですが、鉱害家屋の地域の人々が、復旧するために組合をつくるわけですね。たまたまその組合に入った人たちの中ではその順位を暗黙のうちに決定していくのだそうでございますが、何だかんだ言いながら組合に入っていればその順位に従って逐次改良されていくわけです。ところが組合に入ってない人は全く無視、軽視されているという実情があるのです。これはやはりいかぬと思います。組合をつくって申請手続だとか何だかんだとお世話なさることについては決して私は異論はございませんが、やはり復旧工事は公平に、組合員であろうとなかろうと、していかねばならぬと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

町田幹夫石炭鉱害事業団理事長

○町田参考人 現在、鉱害復旧につきましては、ほとんどいわゆる代理者と申しますか委任状を受けた代理人が交渉する、あるいはほとんどが組合に組織されておる、そういうものが事業団なりあるいは行政庁と交渉しておるのが実情でございます。  そこで私たちといたしましても、先生御指摘のようにできるだけ公正に、そういう力に押されないようにやりたい、こういうふうに努力をいたしておりますけれども、そういう押されております事実が絶無とは私は申しません、やはりある程度あるわけでありまして、そういう点につきましては現在の委任のシステム等も十分正常化しなければいかぬ、こういうふうに思いまして、現在九州支部の方でいろいろこういう委任の方法というようなことも検討しておるようなわけでございまして、できるだけそういう声が起こらないように、正直者がばかをみないようなことに努力しなければならぬと考えておるわけでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 それじゃ最後に、大臣、産炭地域というところは想像以上に疲弊しております。その中で一生懸命生きるために頑張っております。どうか大臣、ぜひともこの産炭地域をつまびらかに御視察を願えればありがたいと思うのですけれども、いつということは申し上げませんが、ぜひお願いしたい。最後にそのお気持ちのいかんをお聞きして、終わりたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 私も郷里が山口県で、やはり産炭地域を持っております。隣の九州の産炭地域の実態等についてもある程度承知をいたしておるわけでございますが、こうして通産大臣という職責を担ったわけでございますから、今後ともひとつさらに実態をきわめながら、産炭地域の振興のために努力をしてまいりたいと考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋分科員 時間が参りましたので終わります。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。  次に、横手文雄君。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 私は、現在大変な不況に悩んでおります合繊織物の不況対策の問題について御質問を申し上げます。  御案内のとおり、この織物業界は四十九年に大変な不況がございました。そして、労使挙げて、さらにまた通産省の指導のよろしきを得て、この不況を何とか乗り切ってきたのであります。そしてさらに、この産地の人たちは、みずからの根性を持ちながら、世界の産地としての誇りを持ちながら、今日まで鋭意努力をされてきたわけでございますけれども、ここへ参りましてその主力である輸出が全くとだえてしまったし、あるいは内需も冷えてきた。こういうことで、四十九年の不況にもまさると言われるぐらいの不況の中にあるわけでございます。  この打開のために、いまそれぞれ努力がなされようとしております。この現状について、まず大臣の対応に対するお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 福井県あるいは石川県等の北陸産地の合繊織物業は、昨年の十月以降、一時的な為替の円高傾向、あるいはまた米国、中東、中国等主力市場の需要の減退によりまして、輸出成約が減少いたしました。また、それに伴いまして工賃が下がってくる、こういうことがあって、経営環境が非常に悪くなって今日に至っておるということでございまして、いま石川あるいは福井の産地組合におきましても、自主減産等の不況対策の実施を検討いたしておるわけでございますが、通産省としても、繊維産業に占めるこの北陸の合成繊維織物の産地の重要性というものは十分承知をいたしておるわけでございますから、県ともこれから連絡を緊密にしながら、十分にひとつ情勢を把握するように努めまして、できるだけの支援を行って守っていかなければならない、このように考えております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 大臣御指摘のとおりの状態の中にございます。そういうことで、この不況を乗り切っていくためには幾つかの方策が考えられるわけであります。大きく分けますと、当面緊急避難的な措置、さらには恒常的な対策、こういったことが考えられると思います。  そこで、いま大臣から御指摘ございましたように、産地におきましては、自主減産措置、つまり操短を行うことによってこの苦況を乗り切っていく、そして何とか工賃の引き上げがそれに伴ってくる、そこに当面生きる道を見出していきたいということで努力がなされているわけでございますけれども、監督官庁としてのこれらの問題に対するお考え方をお聞かせいただきたいというぐあいに思います。  さらには、いまそういうことで産地同士で相談がなされておりますけれども、操短の始まる時期をめぐって必ずしも足並みがそろっていないような状況であります。恒常的な対策を組む、こういうことになりますれば、それぞれの産地あるいは地域によって多少の前後のずれがあったにしてもこれはやむを得ないことだと思いますけれども、しかし緊急避難的な操短、こういったいわゆるカンフル注射的な効力を求めようとするならば、それら産地が足並みをそろえてこれに対処していく、そこに大きな成果が期待できるものだというぐあいに考えておりますけれども、これら足並みの乱れ等について、通産省の考え方、そして今後の指導のあり方、この点についてお伺いを申し上げます。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、北陸地区の最近の不況の状態につきまして、私どもも大変胸を痛めているところでございます。そこで、これに対する対策といたしまして、先生おっしゃるように、短期的なカンフル注射的な対策とそれから中長期的な構造的な対策と、二つに分かれるだろうと思っておりますが、現在、地元の方におきまして、いわゆる自主的な操短を中心といたします当面の対策、これをいろいろ検討されているところでございます。  私どもが承知しておりますところでは、福井県の産地におきましては、四月から二〇%前後の自主操短に入るということで一応まとまってきているというふうに承知しております。それに対しまして、石川県の産地におきましては、若干テンポがずれておりまして、現在のところでは、遅くとも六月には実施できる方向で話を進めてまとめていきたい、こういうことで地元の方でいろいろ検討を進められているというふうに承知しております。  こういった当面の需給対策という面から申しますと、先生おっしゃいますように、これはできるだけ効果を発揮させるという意味におきましては、足並みをそろえていくということが望ましいというふうに私どもも考えております。ただ、現在地元の方でお考えになっておられる対策と申しますのは、ただいまも申し上げましたように、事業者が自主的に判断をして操短をする、こういう考え方のもとで議論が進められて、大体そういう方向に進んできておるということでございます。また、先生御案内のように、産地によっていろいろ事情が違います。したがって、私どもといたしまして、できるだけ足並みをそろえていくことが望ましいわけでございますけれども、そういった現在の対応の内容あるいは産地の事情の違い、こういったことを頭に入れながら私どもとして適切に産地に対して指導をやっていく、こういうことが必要ではないかというふうに思っております。いずれにいたしましても、できるだけ足並みをそろえていただくということの方が効果が上がるということは、これは申し上げるまでもないことでございます。  そういうことで、当面のカンフル注射的な対策というものが今後進んでいくでございましょうし、それに対しまして、私どもとしても、先ほど大臣から申し上げましたように、できるだけの支援措置を必要に応じて講じていきたいというふうに思っておるわけでございますが、それと別に、やはり構造的な対策ということも長い目で見ますと必要でございます。これは、従来から構造改善ということでいろいろな対策を進めてきていることは御案内のとおりでございまして、知識集約化であるとかあるいは高付加価値化あるいは設備の近代化、そういったいろいろな対策を今後とも続けていくということが必要であろうというふうに思っております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 いまお述べになりましたように、こういった緊急避難対策というものは産地が足並みをそろえるということが大変大事なことであると思います。あくまでも緊急避難でございますので、それは短期間に効果が上がるような措置をとっていかなければなりません。そういった意味においても産地の足並みがそろうということは私は大変大事なことだと思いますし、いまそれがそろうように指導をしておる最中だということでございますので、その成果に大きく期待をさしていただきたいというぐあいに考えます。  さて、その操短を実施するということになりますれば、業界の市況回復あるいは工賃回復のためには成果があると思いますけれども、一方では副作用があるということもまた事実であります。  考えられる幾つかでございますけれども、まず一つは、金融政策が大変なことだろうというぐあいに考えるのであります。今日の状態では立ち行かなくなってしまう、このままでは死んでしまうということで始めるわけでございますので、最初から余裕があってやるわけではございません。そこへ持ってきて減産をするということになりますれば、当然のこととしてその収入の総額は減ってくる、そして支出そのものは余り減ってこない、こういうようなことがあることは事実でございます。特にそういった意味で、中小企業、地元産業の経営者の皆さん方に対する金融措置というものをお考えになっておると思いますけれども、どういった金融措置を発動させようということをお考えなのか、そしてその対策についてはどの程度まで進んでいるのか。  さらには、この緊急避難のために、おおむね四—六ということが考えられているようでございますが、その間におけるつなぎ融資というのでしょうか、そういったものはどの程度必要なのか、この点についてお伺いを申し上げたいと思います。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 実際に減産に入りますと、おっしゃるようにいろいろな資金手当てが必要になってまいります。そういう面で金融上の支援措置というのが必要になってくるというふうに私どもも考えているわけでございまして、具体的な対策といたしまして私ども現在考えておりますのは、中小企業体質強化資金助成制度の活用、あるいは中小企業信用保険法に基づきます不況業種の指定、不況業種の指定を受けますと信用保険の面でいろいろな恩典が受けられるわけでございますけれども、そういった対策というものを講じていったらどうだろうかということで現在考えております。  現在、地元の方からも内々にいろいろお話が参っておりますが、具体的に今後の取り運びといたしましては、たとえば中小企業体質強化資金助成制度ということになりますと、これは県のお金も必要になってまいります。したがいまして、まず地元で県と業界とでよくお話しになって、その上でひとつ具体的な計画をまとめていただいて、それを私ども御相談いたしまして国としても所要の資金的な手当てを講ずる、こういう段取りになってまいります。したがいまして、現在、地元の内内の御意向を受けまして私どもとしても検討を内内に進めておりますし、また、これは具体的には中小企業庁の問題になってまいりますので、中小企業庁の方にも私どもの方からいろいろ話をしているところでございます。  なお、どのくらいの所要資金になるかというお尋ねでございますけれども、ここのところは、業界の方として現時点での一応の御希望、考え方はある程度まとめつつあるというふうに承知しておりますけれども、ただ、この点につきましては、県の方と業界とよく相談をしていただいて、実際にどのくらいのお金が要るかという点をよく詰めていただくということがまず先決だろうというふうに思っております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 金融対策としては体質強化資金と不況業種指定による信用保険、これは無担保で貸し出すという制度ですね。この二本を柱として発動したいということで、いま内々にその準備は進めつつあるということでございますし、地元の皆さん方とも相談をし、あるいは県当局とも相談の上で進めておられるということでございます。その点について、まず皆さん方にしてみれば、このことに踏み切るために、踏み切ったそのことによって倒れっ放しというようなことにならないように、また再び立ち上がるのだ、その間は何とかつないでもらえるんだという前提があって初めて思い切ってやれることでございますので、その点についてさらに地元業界の皆さん方の意向を十分参酌をしながらお進めをいただきたい、そして確実なものにしていただきたいということを、重ねて御要望を申し上げる次第であります。  その操短を実施した場合に考えられる二つ目は、従業員対策でございます。御承知だと思いますけれども、ゼンセン同盟福井県支部は、先般、福井県繊維構造改善工業組合の理事長に対して「織物業界操短計画に対する申し入れ」こういうことをいたしております。  その中で四つほど申し入れておりますが、一つは、操短される場合には必ず事前に相談をしてください。二つ目は、操短される場合には首切りを伴わない。雇用を守っていく。三つ目は、従業員の賃金の保障を行う。通常賃金の一〇〇%の保障を行う。四つ目は、今次操短は一部の機械をとめるというようなことよりも、この際、週休二日制度の未達成の組合については今日の社会情勢にかんがみ休日増加の方向で本問題を乗り切るのが適当だ、こういうぐあいに思う、したがって、こういったことについて申し入れをいたしますという申し入れが出ておるわけであります。  こういう申し入れを受けながら地元の構革組合としてもこの計画は進められておることだというぐあいに考えておりますけれども、通産省として、これらの問題に対するお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと存じます。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 私どもといたしましても、操短が実施される場合に雇用面への悪い影響が起きかねないので、十分心していくべきであるというふうに思っております。  具体的な先生からお話がございましたゼンセン同盟からのお申し入れにつきましては、これは地元の組合において、その組合の方と代表でお話をされながらやられていくだろうと思っておりますけれども、私どもといたしましても、ただいま申し上げましたように基本的にできるだけ雇用に影響がないように十分心して操短を実施していくということが必要であろうと思っておりまして、そういう面から、組合の方に対しましても必要に応じて私どものそういった気持ちをよく伝えていくようにしたいと思っております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 四番目の、操短の場合に一部の機械をその期間だけとめるということではなくして、おくれておる企業についてはこの際週休二日制度等を実施をして、そして操業時間を短縮をしていく、こういった方向をとるべきではないかという提案をしておりますけれども、この点に対する通産省のお考え方はいかがですか。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 現在地元の方で、具体的な操短のやり方というような点につきましては、組合の方でいろいろ検討されているところというふうに思います。  いずれにいたしましても、どういうやり方で操短を実施していくかという点につきましては、地元の方でよく御検討していただくことが必要だと思います。その過程において組合の方と全然同盟の方といろいろお話し合いがあるものというふうに私ども思っております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 その操短の結果考えられる三つ目の心配というのは、操短をする、そうすると需給バランスがいま崩れておるのが均衡になってくる、さすれば市況も回復するであろう、こういう目的でやられるわけでありますが、その市況回復が目に見えてきたといったときに輸入がどっとふえてくる、そしてせっかく立ち上がろうとしたときには輸入によってその分が埋め立てられてしまっていた、もう立ち上がりようがない、こういったごとが考えられるわけであります。かつて絹織物でそういうことが何遍かございました。操短をした、そうしたら市況が回復をした、さてフル操業にというときに輸入物がどっと入ってきて、そしてまたもとのもくあみになってしまったということがあったわけでございます。これは操短に踏み切る場合にはそういうことが大変憂慮されることだと思いますけれども、この点について通産省のお考え、いかがですか。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 確かに先生が御指摘になりましたような事態ということも可能性としては考えられるわけでございますが、ただ合繊長繊維織物という面から考えてみますと、先生御案内のように日本の合繊長繊維織物の輸出というのは生産の約七割ということで、きわめて輸出競争力の強いそういう分野でございます。現在講じられようとしております自主的な操短にいたしましても、その理由と申しますのは、その七割も依存していた輸出の制約が減少してきた、そういうところから発生してきた問題でございます。したがいまして、そういう面から考えてみますと、この操短の結果輸入がふえるという可能性というのは、ほかのたとえば綿織物とか綿糸とか、そういうあれに比べますと比較的少ないのではないかというふうに思います。  ただ、いずれにいたしましても、輸入の動きにつきましては私ども常日ごろからよく注視をしているところでございまして、そういう輸入の動きに対する対応というものについては、私ども今後とも引き続いてとってまいりたいというふうに思っております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 いま産地の人たちは、そういうことでこの市況回復のためにみずからの肉を切ってそして再び立ち上がろう、こういう決意を固めておられるところであります。御質問申し上げてまいりました、そして御答弁をいただきましたように、その操短に対する、入る段階における十分な措置、そして操短に入ってから考えられるもろもろの問題に対する対処、こういったものについていまそれぞれお述べをいただきました。まだまだほかに派生してくる問題もあろうことと思いますが、せっかくそういったことでいま申し上げましたようにみずからの身を削ってこれに取り組もうとしておられる産地の皆さん方に対して、全力を挙げて御支援をしていただきたいということを私の方からも特にお願いを申し上げておきたいと思う次第であります。  次に、これは緊急避難対策でございまして、したがって恒常的な対策ということもやがてその第二段階として、あるいは第一段階を進めると同時にそういった青写真というものが描かれていなければならないことであろうと思います。そういった中で考えられますのは、多くの対策が考えられると思いますけれども、一つは設備過剰の問題がある、こういうことであります。したがって、これをやがてかつて行ってまいりましたように設備廃棄の事業にまで発展させていかなければならないのであろうか、こういうことも考えておることでございますけれども、その点についていかがですか。  時間が余りございませんので、続けて御質問を申し上げます。  そうしますと、設備廃棄事業に取り組もうとしますと、現在の村区分の問題が出てまいります。いま合繊織物関係は、それぞれの村区分で分けられておる織機の種類、綿あるいは麻その他の種類、それらも合繊は織ってもよろしい、こういうような形になっておるわけでございますので、合繊の問題について設備廃棄に取り組もうとすると、当然のこととして村区分の問題が出てくるのではないかというぐあいに考えられるわけでございますが、その問題とどう関連づけていくのかということであります。  いま一つは、設備過剰というのは、織機の台数がやたらにふえてきたということよりもむしろ革新織機がふえてきた、つまりウォータージェット等がどんどん入ってきた、私はこれは大変必要なことだというぐあいに思っておるのであります。たとえ操短に踏み切らなければならないような事態を招いたにしても、やはり機械の更新、刷新というものは図っていかなければその産地はやがて沈んでしまう、こういうことにつながります。そういった観点からいまもウォータージェットが導入をされておるわけでございますが、種類によっていろいろ違いますし、見方によって違います、その企業の操業形態によっても違いますけれども、現在のフライシャトルとの換算率、これがおおむね一対五ではないか、こういうようなことが言われておるわけでございますけれども、現実にいまウォータージェットを設置をしようとするときには、フライシャトルの織機との換算率は二・四の換算になっておるのであります。こういったところにもメスを入れていく必要があるのではないか、こういうこと。以上、大まかに言って三つの問題が考えられると思いますけれどもいかがでございますか。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から過剰設備について共同廃棄というものを将来考えることが必要になるのではないかという御指摘がまずございました。これについてまずお答え申し上げますが、御案内のようにこの長繊維織物業につきましては、昭和五十二年度から五十五年度にかけまして、四年間かけまして実はすでに設備共同廃棄事業を実施しております。これは大体廃棄前の設備に対しまして約一一%、一万九千台の廃棄を行ったわけでございまして、私どもといたしましては、これによって相当な効果があったものというふうに理解をしております。しからばさらに今後共同廃棄ということをやる必要があるかどうかという点でございますけれども、もし仮に業界の方でそういう御要望が将来出てまいりましたら、私どもとしてはその段階でまた検討させていただきたいというふうに思っております。  二番目の御質問として、その共同廃棄をやる場合に、設備登録のいわゆる村区分として合繊の村区分を設けることが必要になるのではないか、こういう御指摘でございますけれども、ただいまお答え申し上げましたように、すでに現在は村区分がないわけでございますけれども、その中で共同廃棄事業をすでに実施してまいっております。したがいまして、必ずしも共同廃棄と村区分の問題というのはリンクをしていないというふうに私ども考えておりますが、それはそれとして、合繊の村区分を設けるべきではないか、こういう御指摘というのが業界の一部にもあるというふうに承知をしております。ただ、新しく合繊という村区分を設けるということにつきましては、先生も御承知かと思いますけれども、設備登録制度のあり方そのものにつきまして従来からいろいろ議論がございます。また現実問題として考えてみましても、すでに綿、麻、毛へ絹、こういったそれぞれの工業組合というものがございまして、したがって新しい村区分というものを設けるということになりますと、これとの関係というものは大変複雑な問題が出てまいります。それから個々の事業者の方を見ましても、いままではたとえば綿織物を織ってもいいし合繊織物を織ってもいい、こういう形になっておるわけですけれども、そこをぴしゃっとやりますと、事業を弾力的にやっていくという点でいろいろな問題が出てくる可能性もございます。したがいまして、私どもとしては、この点については慎重に考えていく必要があるというふうに思っております。  それから換算率の問題でございますけれども、先生からお話がございましたように、現在ウォータージェットと普通の織機との換算率が一対二・四ということになっておりまして、これは五十四年に換算率をそれまでの二・二から二・四に変えたわけでございます。私どもとしては、おっしゃるようにスクラップ・アンド・ビルドによって設備の近代化を図るということは必要だというふうに思っておりますが、同時に、それによって過剰能力に達してくるということにつきましてもやはり慎重な配慮が必要であるということで、実は毎年この実態調査をいたしまして、その調査をもとに、この織機の能力調査委員会というのを織物業界の方あるいは織機メーカーの方などを集めて組織しておりまして、その委員会においていろいろ調査をいたしまして、どのような換算率がいいかというのを実は毎年検討しております。これは五十五年あるいは五十六年においてもやってまいりましたが、先生御指摘のように一対二・四というのがややおかしいんじゃないか、こういう御意見もあるわけでございますけれども、そういったことも頭に入れながら、ことしにおきましてもまた能力の実態調査をいたしまして検討してまいりたいというふうに思っております。

横手文雄民社党・国民連合

○横手分科員 いろいろとお伺いをしてまいりました。長い歴史を持つ産地でありますし、世界に冠たる地位を築いてきた日本を代表する長繊維の産地でございます。私もまた地元の一人として、さらに繊維産業で今日まで生きてきた人間として、これからもこれが栄えていくということをこいねがうものでございます。それだけにまた、むずかしい問題もたくさんあろうと思います。私どもも一生懸命にがんばってまいりますが、どうか通産当局におきましても、業界の発展のために今後ともに大きく御努力いただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。  次に、簑輪幸代君。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 私は、コンピューターに関連する幾つかの問題をお尋ねしたいというふうに思います。  最初にちょっと概要を申し上げてみたいと思うわけで、しばらくお聞きいただきたいと思います。  わが国のコンピューターは、ここ十数年の間に非常に著しい成長を遂げて、保有台数ではアメリカに次ぐ世界第二位というふうになってまいりました。今日、経済社会の多方面に影響力が及んできています。政府はこれに対して積極的な振興策をとり、その開発のために莫大な補助金を出すなど、それから今後も第五世代開発のための予算が組まれ、五十七年度予算は対前年度比二十八・四倍という四百二十六億円を計上しております。ほかにも、融資とか税制とかいろんな面で至れり尽くせりの手厚い配慮がされております。財政再建ということで軒並み福祉や教育などが削られている中で、異常ともいうべき大企業優遇の施策であって、きわめて不当であるというふうに私は考えております。  こうしてしゃにむに開発を進めてきたコンピューターですけれども、今日、このディスプレイ端末機、VDTと言われているものが一体どれくらいあるのかわからないというほど各職場に広がってきております。航空界、新聞、銀行、金融、証券、官庁、社会の隅々に大量に普及されてきました。そのために、このディスプレイの端末機を見ながら仕事をするという人々もずいぶんふえてまいりまして、システムエンジニア、プログラマー、オペレーター、キーパンチャー、いろいろありますが、急速にふえているという状況です。  それで、これらの人々の間にさまざまな健康障害の問題が発生して、またその危険も指摘されるようになってまいりました。新しい分野であるだけに新しい問題も生まれてきているわけです。この問題を理解する上で、こうした実態の一部を申し上げますと、外国でもいろいろな問題がすでに出ております。  データメーションという雑誌の八一年五月号によれば、アメリカでは、IBMの機械に関連して、レーザープリンターのトナーの中に含まれているトリニトロフルオレンというのが発がん性のおそれがあるというようなことを指摘して、これは近々解決される見通しというふうに聞いております。カナダでは、トロントスターという新聞社で働く四人の婦人が、四人とも障害児を出産したというようなことが報じられております。また、オンタリオ州の政府で働く婦人の労働者、このビデオディスプレイの前で働く婦人も白内障を起こしたというふうにも言われております。そのほか、このVDTによっては眼精疲労、頭痛、背筋痛、こういった調査があるということを伝えております。ウォール・ストリート・ジャーナルの八〇年の十月二十七日号によれば、VDT労働者たちは眼精疲労、視力減退、目まい、首、背、足の痛みなどに悩まされている、それから、頭痛や目のちらつきよりもさらに心配な問題は、端末機が有害な放射線を出している可能性があるのではないかというようなことを伝えております。  こうした問題が生じるのは、ビデオディスプレイ自体のスクリーンの上の電子ビームによるちらつきを初め、照明や採光、作業時間、姿勢などの作業環境から生じてくるというものもございます。その結果、視力低下、眼精疲労、胃腸障害などというのも起こしているということです。  このオンタリオ州政府の前職員のダーレン・ワイスさんという人は、白内障を起こしたということで賠償の訴え、裁判にまでなってきております。彼女を診察した医者は、これはVDT使用の結果であるというふうに言っておるわけですが、放射線との関連が問題にされていくと思います。一方、トロントスターの四人の婦人労働者の、人、キャシー・ボーリングさんという人は、心臓に障害のある息子を持ったわけですけれども、放射線は一度に有害な量を出さないかもしれないけれども、蓄積効果があるのではないかというようなことを語っております。  こうしたいろんな問題がこのVDTから発生してきているわけですが、日本でも、電算労、電算機関連労働組合協議会の職場アンケートによれば、健康であると自覚するような人々が年々減ってきておりまして、一二・五%という記録になっています。特に著しいのが視力が落ちたという問題でして、システムエンジニア、プログラマーでは四三・九%、オペレーターでは四六・二%、パンチャーでは四七・二%が視力が落ちたというふうに訴えております。そのほか、胃腸の不調や目が疲れる、疲れが取れない、いらいら、集中力や根気がなくなったなどというようないろんな症状があるわけです。プログラマーになって三年たつある女性は、三年前には視力が両方とも一・五だったのに、いまは〇・一と〇・二になってしまったというふうに訴えています。また、電算労アンケートでは、残業の問題でも、一カ月に最高四百三時間、三カ月連続百五十時間以上というような人のことも報じております。これらが健康破壊につながるであろうことは当然のことだろうと思います。  こうした実態に対して、すでに対策もあちこちでとられ始めている例がございます。  アメリカでは、NIOSH、国立労働安全衛生研究所というところで目の検査あるいはオペレーターに一時間ごとに十分間の休憩をという勧告をする運びというふうに聞いておりますし、西ドイツでは、生命保険会社で労使の合意で、妊婦はVDTオペレーターから外す、その仕事につかせない、それから、一時間の仕事の後十五分の休憩、一日では六時間以上仕事をさせないというようなことが双方で合意されているというふうに伝えられております。  日本航空でこの問題がいろいろと指摘されていることも御承知かと思いますが、一九七一年からいろいろ調査や研究がされておりまして、目の疲労をなくすために作業環境、照明や採光などの問題がいろいろと改善をされてきているようです。特にテレビ画面のCRTというのについては、見やすい文字とか色とか、ちらつき防止装置とか画面反射を防ぐつや消しのブラックフェイスマスクとか、画面の角度、反射防止フード、それからつや消しのキーなどいろいろと工夫がされたわけです。ディスプレイ作業のための机といすの関係などのためにもワンタッチで操作するいすを設備するなど工夫がこらされてまいりました。一方、作業時間や休憩についても、昼休み時間以外に休憩をとる、体操をする、十五分や二十分のコーヒーブレークを別室でとるとか、そういういろいろな改善措置がとられてきました結果、四十八年には六、七〇%目の疲れがあると言っていた人が、五十五年の調査では二三%に減ってきて、適正な対策を講じることがいかに効果的であるかということを示している。  このことは朝日新聞でも報じられているわけですけれども、VDTにまつわるこうしたいろいろな問題があって、いまや放置できないところに来ているのではないかというふうに思います。そして行政の面でも、これに対し何らかの適切な対策がとられるべきだというふうに考えておりますが、こういった事実を十分認識しておられるかどうか、そして、それに対する対応はどうか、通産省、労働省の御見解を承りたいと存じます。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○豊島政府委員 情報産業において情報処理技術者が果たす役割りは非常に大きいわけでございますが、大方の企業は福利厚生面でも十分な配慮が行われておるものと考えております。また、労働障害の防止面におきましても、労働関係法令等にのっとり、御指摘のような問題は生じないように対処されておるものと思います。  ただ、業界が何分にも新しい産業分野でございますし、業態もいろいろあるということで、私どもとして十分実態を把握してない面があるのじゃないかということを感じておる次第でございまして、私どもとしましては、五十三年から情報処理技術者問題総合調査ということを実施していろいろな調査をいたしておりますが、五十七年度からは、新たにその人事管理体制等について調査研究をさらに進める。それでその場合には、各方面の専門家に加えまして、特に労働界の代表の方々も委員に加えて検討していきたい、このように考えております。

福渡靖労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○福渡説明員 お答えをいたします。  基本的にはいま通産省の方からお答えをいただいたとおりでございますが、私どもの方も、何しろ新しい分野であるということで、学会で幾らか発表されつつある知見の集積に努めているというところでございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 確かに新しい問題提起でございますので、その対策がおくれているということは問題だと思いますけれども、特にこのVDTに関しては、通産省の方のお話を伺いましても、機械だけでは何ともならない、これとかかわる人があってこそ初めて生きていくものである、この業界にとっては特に人は宝と言うべきものだというようなお話もいただきました。それで、知見の集積に努めているということは当然でございますけれども、これはゆっくりゆっくりやっていると大変な問題になるというふうに私は警告をしておきたいと思うのです。  すでに労働組合では、このVDTについての作業環境基準、表示装置の規格、品質並びに対策、使用上の問題点について明らかにする必要性というのが指摘されておりますし、過去にもキーパンチャーの問題については腱鞘炎というのが多発いたしまして、遅まきながら一九六四年にようやく労働省通達で基準が設けられたということがございます。この労働省の通達などもすでにあることでございますし、これをもとにいたしまして、新しい分野であるプログラマー、システムエンジニア等についても早急に基準を設けないとゆゆしい事態になるのではないかというふうに私は心配をしておるわけでございます。直ちに基準を設けることはむずかしいということであれば、速やかに実態調査を進められて、一日も早くこの対策を講じるということをお願いしたいと思います。  その点に関する通産大臣の御意見も一言お聞かせいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 情報処理産業というのは、これからのわが国の経済の発展の上には欠くことのできない産業であると思います。したがって、政府としてこれに対していろいろ協力をしていく、助成をしていくということも大事なことである、こういうふうに考えておるわけですが、情報処理技術の問題については、五十三年度から情報処理技術者問題総合調査を実施して、情報処理技術者を取り巻く諸問題について調査を行っておるところでございますが、さらに五十七年度からは新たに情報処理産業における人事管理体制等の調査研究を行うこととしておるわけでございます。なお、来年度の調査からは各分野の専門家に加えて、労働界の代表の委員も加えることにいたしております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 いまお話を伺いましたけれども、これは通産省と労働省と双方絡まってくる問題だというふうに思います。このコンピューターの今後の発展というものも、労働者の安全、健康管理を抜きにしては考えられないと思います。その意味では両省の協議、連絡を密にしていただきまして、速やかに対策を講じていただくよう、そして実態調査の結果なども後ほどまた御報告をいただけたらというふうに思います。この点での今後ともの御尽力をお願いして、次の問題に移りたいと思います。  このコンピューターの関連の業界では、実は半分くらいの労働者の人たちが、みずから採用された企業ではなく、別の会社に出向やら派遣やらというようなことで非常に不安定な身分にさらされているという実態がございます。  ここに一つチラシがあるわけですが、「鳴呼 花のレンタル人間」という表示で、「コンピューター、人貸しされて西東」というような状態がこの業界にはあるわけです。仕事の性質上おのずと派遣されるという場合があり得るとは思いますけれども、それに関する基準等について全く野放しの状態では、職業安定法四十四条に触れる問題が発生するのではないかというふうに懸念されるわけです。この職業安定法四十四条をこの業界に当てはめて考えた場合、どのように理解していったらいいのかという問題がかねてから指摘されております。労働省の御見解をひとつ伺っておきたいと思います。

田代裕労働大臣官房参事官

○田代説明員 お答え申し上げます。  いま先生おっしゃられましたように、情報処理産業では仕事の性格から自社内で仕事に従事するだけではなくて、先方へ行って仕事を行わなければならないという必然的な部分を持っております。いまのお話では、職業安定法四十四条との関係ではどうかというお尋ねでございますが、四十四条は御案内のように労働者供給事業の禁止規定でございます。したがって、現在でも通常のいわば派遣と呼ばれる業務の形態の一般は、委託ないしは請負という形態でもって、先方との間の契約に基づいて請け負った業務の処理を行うという形をとるわけでございます。  ただ、先生おっしゃられるとおりに、何せ自社内での作業でなくて先方へ行って仕事をする、しかもソフトウエアの場合はその開発に関連して先方と十分打ち合わせをしながら進めなければならないというような内容を持つ場合が多うございますので、そういった場合にも、労働者供給事業の内容としまして、いわば先方の指揮命令という中で仕事が行われないようにという点ではそれぞれ十分配慮をしてもらっているところでございます。したがって、現在通常行われているものは労働者供給事業に該当するものではないと判断をしておりますけれども、非常に違反のしやすい形態になり得るという点では、従前から私どもも、こういったいわば新しい産業部門、こういうコンピューター業務だけでなくて、先生も御案内だと思いますが、たとえばビルメンテナンス業務みたいに、これも自社内で仕事をするということは非常にむずかしい仕事でございます。いずれも他の施設領域の中で仕事をするという宿命を負っているものでございますので、そういった中で労働者の保護に欠ける面が出てくることについては問題があるということで、一昨年から労働者派遣問題ということの調査会をつくりまして、これには学識経験者のほかに使用者側、労働者側からもそれぞれ代表の御参加をいただきまして、現在、そういったものの今後の取り扱いについて、労働者保護面から特に制度的な問題をいかに扱っていくかということの検討を行っている状況でございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 いま一昨年から労働者派遣問題調査会というので検討されているというお話ですが、それは一定の結論に到達しているんでしょうか。

田代裕労働大臣官房参事官

○田代説明員 現在、全体の審議を続けている段階でございます。したがって現在の段階においてはまだ結論を得てはおりません。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 それでは、その調査会の中でこのコンピューター関連の派遣問題についてどんな点が議論されているのかということは、先ほど答弁された問題が議論されているということになるわけでしょうか。

田代裕労働大臣官房参事官

○田代説明員 いま申し上げましたとおり、現行の職業安定法の規定上は労働者供給事業の禁止をいたしておりますので、そういった意味で現実に他の施設領域内でお仕事をする場合に問題の起こりやすい形態があるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。そういった場合に、労働者が不利な立場に置かれやすいという点に一つの問題点がございます。  たとえば他の施設で作業をするといいますと、施設を管理する側と、それから現実に雇用して、労働者の指揮監督を含めて身分上でもそれから労働上でも責任を持つべきいわゆる雇用主との関係、こういったものも複雑になるわけでございます。したがって、そういった形になるビルメンテナンスあるいはこういったコンピューター業務、その他にもそういった類似のものがございますが、それらの問題点を解明して、制度的な問題としてどう詰めていくことがよろしいかということが基本の問題でございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 このことに関連して、労働組合の方でも派遣労働者の労働条件の改善ということで、派遣期間の制限とか一定人数以下の派遣の規制、メーカー、大ユーザーでは独立した作業場所の確保、派遣先の勤務形態は自社を下回らない、作業の指揮管理は自社の責任で行う、作業のための机を各人専用に確保する、作業場の仮眠設備の設置、一斉退社日などの下請への適用など具体的に問題が指摘されているわけですが、こういうような具体的な問題がその調査会の中で論議されているでしょうか。

田代裕労働大臣官房参事官

○田代説明員 当然ながら、派遣される労働者が強制的な立場でもって、つまり強制される立場でもって労働に従事するということは厳しく戒めていかなければならない問題でございます。そういった点でも、先ほど先生おっしゃられた中にもございましたように、どういう条件のもとに初めにどういうことを契約上明らかにして、つまり雇用される会社と派遣される条件というようなものに対して明らかな、たとえば文書による契約等、そういったものを含めて一定の担保を行うことがどうであるかというような問題を当然含めて検討しているわけでございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 ところで現実には、採用された企業から指示を受けて別の会社に長期間、一年以上もそこに行きっ放し、そして仕事の内容についてもその派遣先の指示、指揮命令にしたがって言われたとおりに動くというようなととが非常に多いように私どもは聞いているわけです。そうした場合はいまおっしゃったような派遣事業ということになる懸念、疑問が非常に強いと思うのですが、その具体的な実態は把握しておられるでしょうか。

田代裕労働大臣官房参事官

○田代説明員 一般的な形態としては承知しておりますけれども、具体的な実態で、個々のたとえば企業としてそういった問題提起としては、私どもの方はいままで業務の取り扱い上では受けておりません。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 この調査会の中で一般論を論じられるのも結構でございますけれども、やはり個別の問題点を厳しく実態調査をされて論議をされるべきだと思います。そして、こういう派遣労働の問題について労働省がそういう調査をされておりますことは承知いたしましたけれども、通産省の方としてもこのコンピューターの今後の進行の過程で労働問題があわせて重要な問題であるというふうに認識されていると思いますが、この派遣問題について通産省としてはどのような御理解をされておるでしょうか。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○豊島政府委員 先ほど労働省の方から御説明があったと思いますが、職業安定法違反にするような形でのいわばユーザーの指揮命令を受けてやるというようなものにつきましては、当然法律違反でございますから、そういうことのないように十分指導しておりますし、かつてはそれに近いものがあったように聞いておりますが、現在そのようなものは余りないといいますか、いろいろ調査しておりますけれどもわれわれの耳には入っておらない。  ただ、そもそもどうしてそういうことになるかということになりますと、結局、それを供給するたとえばソフトウエアやその他がみずからの力を持ってないということがどうしてもそういうことになりがちであるということでございまして、いわゆる情報処理産業の実力を会社としてといいますか企業としてつける、そういうことがこういう問題を生じないような基本になるのではないかと考えておりまして、そういう意味での処理産業の振興ということをやっていくことが大事ではないか、このように考えております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 この問題については切実な要望として、ぜひ事前協議というものを制度化してほしいということがございます。派遣期間とか派遣場所、勤務条件、仕事の内容、管理責任者、こういうものをはっきりさせて、そして職安法違反でないような身分の安定を図ってほしいという非常に強い要望があるわけで、これはやはり業界の指導も含めまして通産省としても厳しく対処していただかなければならないと思うわけです。通産省は、先ほど申し上げました労働者の健康管理、安全衛生という問題も一つ、それからもう一つの派遣の問題についても、労働省と絶えず協議をとられながら適切な対応をとられるのはもちろん、関連の業界に対してもそのような指導をされる責任があるのではないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○豊島政府委員 先生おっしゃるとおり非常に大事な問題でございまして、この問題につきましてはいろいろとわれわれのわからない実態もあろうかと思いますが、それを十分調査をし対策を考えていきたい、このように考えております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪分科員 いままでいろいろなことを申し上げてまいりましたけれども、これからこの問題はますます重要なことになってくるだろうというふうに申し上げておきたいと思います。それで、所管の大臣であられる通産大臣はこの問題を一層御理解をいただきまして、健康管理並びに労働者派遣問題について適切な対処をとられますよう重ねて要求をいたしまして、最後に大臣の御決意のほどを伺いまして終わりたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 十分実態を踏まえながら、ひとつ今後とも適切に対処していきたいと考えております。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて簑輪幸代君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 通産大臣、御苦労さまです。  大臣がおられるのですから、最初にまず大臣にちょっとお伺いしておきますが、いま貿易摩擦が非常に厳しくいろいろ世上に乗っておるわけですが、もし相互主義法案がアメリカで通ったときに、日本に与える影響はどういう業界でどういうふうな影響の仕方をするか。三十分の持ち時間でありますから、ひとつ簡潔にお答えいただければ幸いだと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いまアメリカの議会ではいろいろの相互主義法案が出ておりまして、一々それを論ずることは適切じゃないと思いますが、いずれにしても、この相互主義法案が一つでも二つでも通ればそこで自由貿易体制の一つに風穴があくということになってしまう、こういうふうに考えておるわけですね。したがって、われわれとしては何としても相互主義法案が議会を通らないように努力しなければならぬ。いまの状態をこのまま放置すれば、通る可能性はある。いままでになく有力な議員がバックアップしている。それから、議会の空気も非常に燃え盛っておるということでございますから、これはなかなか容易でないと思いますので、こういう状況に対して、ECとかその他の国々とも相提携してアメリカの議会に対して反省を求めて、通らないようにひとつ善処してまいりたいと思っております。  また同時に、日米関係でいろいろ指摘されておる諸問題に対して、日本としてもこれまでもやってまいりましたが、今後ともひとつ前向きに取り組んでいって、できるものはできる、できないものはできないわけでございますから、そういう点はきちっとしながら、アメリカにも理解を求めて貿易摩擦の解消を図っていくということではないだろうか、こういうふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 その問題の決着はこれからもずっと引き続き続くのだろうと思いますね、いまのような輸出入の状況から見ますと。大体一つのめどのつく時期を、通るという見通しと通らないで済ませるという方法と二つありますが、どの辺に時期を設定してお考えになっておられますか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 ただいまちょうど国会が始まっておりまして、そろそろ公聴会が始まる状況になってきておりますが、大体四、五月ごろが山場になるのじゃないだろうか、こういうふうに考えております。それからまた、経済摩擦の問題はパリのサミットが行われるころまでには何とか好転をせしめるようにやっていかなければならぬ、全体的にはそういうふうな判断を持っているわけであります。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 では、次の予定した議題に入ります。  ガスの事業の目的、使命というものについて、これは事務の方で結構でありますが、ガス事業というものは日本のいまのエネルギーの状況の中でどういう使命的な役割りを持っているのか。もっと極端に言えば、経済七カ年計画の中における日本の国民の生活実態の中に、このガスの需給計画というようなものはどの程度の割合を目途にしているのか。全然考えていないのか、イエスかノーか。それと、あとは数字だけ言ってください。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 お答え申し上げます。  ガスというのは都市ガス、LPガス両形態があるわけでございますけれども、これは基本的にはわれわれ国民生活の重要なエネルギー源ということですが、同時に、都市ガス、LPガスそれぞれ産業用その他、LPガスについては運輸その他非常に広範に使われておりまして、今後のわが国の生活、産業両方を通じましてエネルギー源の確保という観点から見ましても、都市ガス、LPガスの占める重要性というのはますます重要になってくるのではないかというふうに考えております。  現在の規模といたしましては、都市ガス事業の場合には、全国で大体千七百万世帯の需要家に対しまして九十三億立米という非常に大きなガスの供給をいたしておりまして、これも今後は毎年度大体六%ぐらいの伸び率で伸びていくのではないか。昭和六十年度には百二十四億立米ぐらいになる、かように想定をいたしております。一方、LPガスの方でございますが、これも全国で約千八百万世帯に対しましてガスを供給しておりまして、そのガス供給量はトン数で千四百万トン、これを立米に直しますと百六十八億立米、都市ガスの九十三億に対しましてLPガスが百六十八億立米ということになっております。これも産業用、交通運輸用、そういうものが今後は主体になると思いますが、毎年平均して九・六%の伸びで、昭和六十年度には二千二百十万トンに達するということでございます。  こういうことで、今後とも非常に重要なエネルギー供給源でございますし、さらに脱石油その他の問題も考えますと、今後ますますこの面でのガス事業の円滑な進捗をぜひ図ってまいりたい、かように考えております。  それから、先ほど先生から経済社会発展七カ年計画の中でどうかというお話でありますが、これはガス事業を特別に経済発展計画の中で位置づけてはおりませんけれども、非常に大事なエネルギー源ということで、私どもといたしましては長期エネルギー暫定見通しの中でその位置づけを行っているということでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 単価でちょっとお伺いいたしますが、たとえば将来の省資源、省エネルギーというような立場に立って、ガスの耐用年数、ガス管の敷設費その他を加えての耐用年数、それのいわゆる単価あたりの金額、それからLPガスの持っている、これは非常に単純に短い期間で循環するわけでありますが、それのいわゆる一単位当たりの単価、そういうものについてはどういうふうに評価をなさっておられますか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのそういったところまでも含めました単価というものは、私どもとっておりませんし、LPの方もちょっとそれはわからないのじゃないかというふうに思います。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それは大臣、このくらいなことが調査してなくてはエネルギーを語る資格はないですね。それはどちらが得なのか損なのか、日本の国策の上にとってどちらがプラスなのかマイナスなのかの判断の材料を持ってない、これはもう情けない話なんで、後でひとつ調べてくれますか、どうですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 都市ガスとLPガスそれぞれに特性を持っております。都市ガスの場合はわりあい需要密度が高いわけでございます。したがって、そういったいろんな地域特性とか需要構成とかをいろいろ考えてみませんと、一概にLPが高いあるいは都市ガスが高いというふうな計算というのはできないのじゃなかろうかというふうに思います。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 無理に逃げているのではないかと思うのだな。短期な物の見方と長期な物の見方を二つ私は挙げているのだから、ケース1、ケース2で考えれば出るわけだから、将来のエネルギー対策の面から見てどうなのかということを考える指標として私はお伺いをしたわけなんで、それをわざわざ出さないというのはよくないことだから、ひとつ後で一応試算して、どういう見解でも一応信用して、将来のエネルギー対策の面から見てどちらがプラスなのかマイナスなのかひとつ出してもらいたい。  続いて、都市ガスの功罪、それからLPガスの功罪、メリットとデメリット二つずつで結構です。都市ガスにはこういうプラスとこういうマイナスがありますというのを、二つずつ挙げてみてください。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 非常にむずかしい質問なわけでございますが、先ほど公益事業部長からも答弁申し上げましたけれども、都市ガス、LPガス、それぞれ特徴があるわけでございます。ですから、どちらがどうということは言えませんが、都市ガスの場合には集中的な地域に対して導管をもって供給するわけですので、そういう面で非常に供給が安定しているという面とか、それからガス源その他についても非常に多様な対応ができるというような面がございます。それから、LPガスの方は、逆に非常に分散している地域に対しましてこれを供給するという意味では非常にメリットが大きいわけです。さらにまた保安その他の面、これはどちらとも言えませんが、両方とも保安というものは非常に大事でございますので、それぞれの特性に応じた保安体制を整備しながら保安の確保を図るということでございます。  それから、料金その他の問題につきましては、先ほどもお話し申し上げましたように、それぞれの地域に応じて対応しておりますので必ずしもどちらが有利かということは申し上げられませんが、それぞれの需要家の特性に応じてそれぞれの特徴を生かして供給体制をしいておるということでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それでは続いて、第十六条に決まっておりまする供給義務の範囲というのは、たとえば東京瓦斯を例にとれば、この供給義務の範囲をどこからどこまでと設定されているのですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 ガス事業法の十六条で申します供給義務、これはガス事業法に基づきまして設定された供給区域の中に供給義務が発生する、そういうことでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それでは、供給義務の範囲については一つの面積でやってあるわけですね。その面積の中にはLPガスとは混在しない、これは当然都市ガスが普及されなければならぬ区域である、こういうふうに解釈してよろしいですか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 供給区域内については都市ガスとしては供給義務があるわけでございますけれども、同時に実際の需要家サイド、これは消費者が具体的に都市ガスを選ぶかLPガスを選ぶか選択するわけでございますので、供給区域内においても消費者がLPガスを選択すれば当然LPガスの供給も行われるということで、両方が並立する形になっております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それは、事業法から言うと義務ではなくなってしまうんじゃないですか。選択はいいですよ。だけれども、少なくとも敷設をする義務はあるわけですね、利用するかしないかは別問題として。そうでしょう。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 それは需要家からの要請があればそれに応じて敷設するわけですが、当然今度は逆に需要家サイドの負担の問題ということもございますので、実際にそういう中で行われるわけですが、一応供給区域については需要家の要請があり、合理的であれば当然供給義務が発生しておりますので、都市ガスとしては供給を果たしていく努力をすべきだというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 だから、混在しようが何しようが、法律で決めてこれだけ計画範囲に決めましたと言えば、その中には、営業もしなければならぬだろうし、当然そこまで敷設をしていく義務を、東京瓦斯で言えば東京瓦斯は持っているということでしょう。そういうことでしょう。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 需要家から求めがございましたら、当然そういった供給をする義務が発生いたしております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それは違うんじゃないですか。この法律で言う供給義務というのは、需要家が求める求めないにかかわらず会社が担っている義務を言っているんでしょう。法律にただし書きついていないでしょう。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 あくまでも買う買わないは消費者の自由でございます。消費者の選択でございますが、消費者の求めがなければ供給するというわけにはまいりません。求めがあった場合には、その供給区域についてはガス事業者としては責任を持って供給の義務を果たしていく、こういうことでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 それは実際論であって、では会社が、たとえばどの地区にガスを引いてもよろしゅうございますか、どの程度御希望がありますかということを現実にやってますか。ちっともやってないでしょう。やっている例があったら示してください。私は埼玉県なんだが、埼玉県のそんな例、聞いたことない。そんなのやってないじゃないですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 供給区域というのが設定された場合あるいは拡張された場合、これは公聴会にかかりまして、公聴会でいろんな御意見を伺うということもございます。その前に公示ということもいたします。  ではそれ以上に宣伝や広報をやっているかということでございますが、先生も御承知のように、LP業者との間の微妙な紛争の問題もございます。したがって、われわれの方は、非常に不当な行き過ぎた広報とか宣伝は慎むようにということは事業者の方には指導しておりますけれども、そういった意味で、供給区域というのに含まれているかどうかというのは大体消費者の皆さんは御存じじゃないかというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 その御存じじゃないかということで黙して語らずということは、これは会社である限り営業活動としてはナンセンスなんだね。確かにいまLPガスが紛争になる、それに巻き込まれたくない、だから逃げ回っているというのがいまの通産省のガスへの対応なんだ。そんなことで将来の日本のいわゆる生活の条件整備あるいはエネルギー対策、そういうものを含めて展望ある仕事をやっているということにはならないでしょう。これは私らも皆、いろいろ意見が出てくるでしょう。車検延ばすことだって抵抗があるのですよ。免許証延ばすことにだって抵抗があるのですよ。しかし、よりよい生活をするためにどうあるべきかということが政治でしょう。現状は現状、しかし、それより幾らかでも進んでいかなかったら何にもならないでしょう。それに対する展望がその話では全然ないじゃないですか。  では、いままでの三年の間に、東京瓦斯だけ例にとっても結構ですが、LPガスも、全国でもいいですが、この三年の間にLPガスはどの程度伸びて、都市ガスはどの程度伸びたのか、年度ごとの実績を言ってください。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内政府委員 LPガスについて申し上げたいと思いますが、LPガスにつきましては、総需要で、五十年度から五十五年度までの年度平均で六・一%伸びておりまして、そのうち家庭、業務用につきましては、二・五%各年平均で増加いたしております。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 一般ガス事業の方は、五十三年二・九%、五十四年七・一%、五十五年七・八%ということで数字が挙がっております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 では、店の数ではどの程度LPガスは伸びてますか。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内政府委員 家庭用、業務用のLPガスにつきましては、販売事業者につきまして法律に基づいて許可制になっておりますが、これは五十年度末が四・一万件でございましたが、五十五年度末で四・〇万件と若干減少ぎみでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そうすると、〇・四というのは幾ら……。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内政府委員 ラウンドナンバーで申しますと、五十年度末で四万一千件、五十五年度末現在で四万件でございます。したがいまして、家庭用、業務用の販売事業者件数は減少ぎみでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 そうすると、分量がふえて販売店が減っているということは、一店当たりの販売量が非常にふえてきている、こういうことになりますね。

野々内隆資源エネルギー庁石油部長

○野々内政府委員 そういうことでございます。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 都市ガスの問題で、これは市町村にある程度事務委託するかどうか別といたしまして、市町村段階でガスの供給を市民にとらせたり何かするということは、これは指導はしないんですか。それとも任意に任してあるんですか。それとも、もうガス会社に自粛をしろということですから余り動かないということなんですか。その辺はどうなんです。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 ただいまのガスの普及ということの啓蒙でございますが、これは先ほど長官が申し上げましたように、消費者の選択の自由ということでございまして、任意に任してございます。特に市町村等を通じて広報をするというふうなことはやっておりません。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 だから、任意に任せる以上は、どちらが得か、どちらが安全か、あるいはどちらが将来日本の国のためになるのか、少なくともこの三つくらいはわかるようにしなければならぬと思うのですね。その点はどうなんですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 都市ガスの場合には、確かに最近、原料が天然ガス化が非常に進んでおります。そういう意味で、いわゆる石油代替エネルギー化という意味においては非常に貢献していることは事実でございます。ただ、個々の消費者にとりまして都市ガスがいいのかあるいはLPガスがいいのか、これについてはやはり最終需要家の自由な選択にゆだねるというのが一番望ましい方向ではないかというふうに考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 だから、自由にゆだねるならば、その判断をする材料を少なくとも示さなければ判断ができないでしょう。だから、それにはいま先ほど質問した功罪というか、プラスの面は何でマイナスの面は何だということをそれぞれ出さなければならぬが、単価はどうなりますか、安全率はどうなりますか、あるいは日本の国の将来のエネルギー政策の上においてはどちらがどういうプラスがあるんですか、マイナスがあるんですか、少なくとも国民が判断をする材料、それを知らせる義務があるでしょう。どうですか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 それは、都市ガス事業者は都市ガス事業者として、供給区域内の住民その他に都市ガスのいろいろな供給条件その他についてのPRが当然行われておるわけでございますし、またLP事業者はLP事業者として、各家庭に売り込みを行う段階でそれぞれの特徴、保安体制、それから料金その他の問題について十分そこでネゴが行われておるわけですので、そういう形で両者の競争が適正に行われるということで、消費者は十分選択ができる、私どもはかように考えております。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 大臣、最後ですがね、縮まった分だけ余裕をつくりますからね。二、三分は余裕をつくるつもりで終わらせますがね。  こういうふうに逃げ回っているかっこうなんですよね。それは国会議員の中にもいろいろ関係があることはもちろん私も承知しているのです。しかし答弁がもうとにかく、ウナギじゃないが、どうやったら逃げられるかと逃げ回っている姿勢なんです。いわゆる積極的にこうだという政府としての方針というものが成り立っていない。これはいわゆる燃料対策として、燃料政策としてきわめて幼稚ですね。ですから、きょうはこの程度にとどめておいて、いずれ改めてこの燃料政策というものは根本的に見直していかなければならぬ時期が来るだろうと私も思っております。で、またそれに対応して、いわゆる国の方針として燃料対策をどうすべきかということを基本的に考えなければならぬ時期にも来るだろうと思う。  そういうようなことを踏まえて、やはりいま言ったような答弁じゃなくて、じゃ、どちらがどうなんだ、それは業者にいろいろ影響があるでしょう。あったらあるで改善する道があるんだよ。それを黙っていれば改善もできない。やはりメリットはこういうメリットがあり、デメリットはこういうデメリットがある、そのデメリットを業者はどうなくそうとするかという努力をするわけですよ。それをオブラートに包んじゃって、需要者が選択、需要者が選択と逃げ回っているようなこんなざまで、あなた方に悪いことを言うようだけれども、それじゃ給料を払って置いておく意味がないんじゃないかという気がするんです。やはり国民に、こうですよ、どちらを選ぶかは皆さん選んでください、こういう姿勢を示さなければならぬのではないかというふうに思います。  この点はいままでの質問を通じてちっとも前進のある回答もない。わざわざレクチュアした意味がない。わずか三十分の間ですから、私も簡単に明らかにしていこうという気持ちになったんだけれども、その内容はちっとも具体化されてこないし、方針も不明確である。  大臣、そういう実態です。しかし、この実態を踏まえて、いま申し上げたような方向が何らかこの燃料対策という面において一つの指針が出るように御努力を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いま議論をいろいろと承っておりまして、やはりなかなかむずかしい問題でもあろうかと思いますが、しかし、あらゆる角度から検討を進めてまいりたいと思います。

沢田広日本社会党

○沢田分科員 きょうは、予算委員会のときに通産大臣がほかの委員会に用があってやらなかったもので、さっきの貿易の問題も質問したわけですからね。じゃ、きょうはこの辺で、三十二分までなんですが、五分間休憩をお与えすることにして、私の質問はやめます。

植竹繁雄自由民主党

○植竹主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 私は、初めに具体的な問題から入りまして、そして構造的な不況業種としての紙パルプ産業の政策の問題をただしてまいりたいと考えております。そこで、大臣には後ほどお答えをいただくことにいたしまして、具体的な問題から入らせてもらいたいと思います。  私も通産省に参りまして、去年以来いろいろと要請をいたした事項でございます。紙業課長を初め局長のところにも参っておりますのでお答えをいただけるかと思うのでございますが、出水製紙という会社が昭和三十二年に設立されまして、鹿児島県の出水という四万ぐらいの小さな農村の町でございますが、そこの第一号の誘致企業でございます。今日まで土地のあっせん等もいたしながら、市費を一億四千八百万円つぎ込んでおりまして、やがては、原料部門であるパルプだけでなくて、製品部門の紙の方まで持ってきてくれるだろう。設立をいたしました当時にはそういうような約束もされていたというふうに市長の方は言っているわけでございます。ところが、原料でありますパルプだけの単品メーカーとして今日までやってまいりました。四十五年ごろまでは黒字でございましたが、五十二年の決算によって繰り越し累積で十四億円という赤字を生じた。そこで、合理化が五十三年五月に提起をされまして、基本給の一〇%カットをいたしたり、いろいろ対応したわけでございますが、五十六年一月十四日には東京地裁に会社更生法の適用の申請をいたしました。そこで、出水製紙の労働組合を初め出水市民は大変なショックを受けまして、この問題については、署名簿もたくさんそろえまして、東京地裁の方に一日も早く会社更生法の適用がされるように請願がなされました。また、県議会あたりでもこの問題を取り上げまして、ぜひ解決へ向かって努力をしてもらいたいという要請、意見書も出されたわけでございます。しかしながら、残念なことには、十條製紙と三井物産が出資金の八四%、たしかそうだったと思いますが、実質的に支配をしている。その債権額も四十一億というふうにずば抜けて大きいわけでございますが、この大きな二つの会社が再建に必要な資金の融通を断ってまいりました。  こういう中で、結論としては自己破産の手続をせざるを得ないということで、昨年の六月二日に破産宣告がされたわけでございます。組合側は東京高裁に破産宣告に対する即時抗告の申し立てをするなどの措置もとりました。また、地位保全あるいは賃金支払いの仮処分の申請等も鹿児島地裁にいたしましたけれども、いずれも却下された。こういう中で債権者集会等も開かれて、この問題はもう企業の再建という問題から離れて、現実の問題としてはそこに働いております労働者がどうしたら生活できるか。二百五名の組合員に全員解雇の通告がなされた。下請関係の沖田産業というところも七十名が引き続いて同じような失業の状態に入りました。その近くにあります山林関係の約二百名も生活のすべを失うという状態が生まれてまいりました。まさに不況のあらしが吹く中でそういうような状態に立ち至ってまいったわけでございます。  そのような状態になりました今日の段階において、この紙パルプ業種で再建をすることは不可能であろうという判断もありまして、企業の誘致を大口債権者であります三井物産と十條製紙に要請をいたしてまいりました。努力をいたしますという答弁はいずれの会社側からもなされているわけでございますが、今日依然としてその企業の誘致もできないでおる。そういう中で、三月十日ごろにはほとんどの労働者が雇用保険が切れる、こういう状態に立ち至っているわけでございまして、まさに地元の誘致企業の再建もならずして労働者はちまたにそのまま放たれるようなかっこうに立ち至ってまいりました。  そこで、そういうような問題を踏まえまして、労働省もお見えでございますが、具体的な問題として、一体この債権額というのはどういうふうになっているのか、その中の労働債権が幾らになっているのか、離職者の中で職を求めている人たちの就職状態はどういうふうになっているのか、また職業訓練を受けている人たちもおりますが、そういうような者は一体どのようになっておるのかという現状の説明をまずいただきたいと思うのです。

八島靖夫労働省労働基準局賃金福祉部企画課長

○八島説明員 出水製紙の退職労働者の件でございますけれども、この方々につきましては、賃金の支払の確保等に関する法律に基づきます未払い賃金の立てかえ払いがすでに行われておるところでございます。すなわち、破産管財人の証明によりまして、昨年十二月九日に、退職労働者のうち百九十七人の方々から請求があり、その請求に基づきまして十二月二十一日の時点で総額九千百四十万八千円の立てかえ払いを行っております。  私どもが承知しております範囲内で申し上げますと、いわゆる普通の賃金につきましてはすべて支払われておる、未払いはないというふうに私どもは承知しております。結局、賃金関係の未払いと申しますのは退職金でございまして、約八億円ほどの退職金がまだ未払いの状態である、こういうことでございます。この退職金が未払いでございますために、私どもの方で、先ほど申し上げました立てかえ払いを行ったということでございます。

若林之矩労働省職業安定局業務指導課長

○若林説明員 出水製紙とその関連下請企業の離職者につきまして、就職指導状況につきまして御説明を申し上げます。  出水製紙と関連下請企業二社からの計二百七十六名の離職者がございまして、そのうち二百五十名、このうち出水製紙関係は百七十九名でございますが、二百五十名が出水公共職業安定所に対して求職申し込みを行っております。出水公共職業安定所におきましては、鹿児島、宮之城、川内等の県内の近隣公共職業安定所と水俣、八代といった熊本県内の隣接公共職業安定所から求人情報の提供を受けますなどの協力を求めてまいりまして、一方で所内に特別求人開拓班を編成いたしまして、求人の確保に努めてまいりました。さらに、何回か管理選考、集団選考といったものを積極的に実施いたしまして、求職者の再就職の促進に努めてまいりましたが、この結果、本年二月二十日現在で八十九名が再就職をいたしております。  ただし、現在雇用保険受給中の方は百四十一名となっているわけでございますが、いま先生の御指摘のございましたように、本年三月中旬までにはそのうち多くの方が支給満了ということになるわけでございますので、これまでのきめ細かな職業指導等の対策に加えまして、必要な者には雇用保険の訓練延長給付措置を適用をいたしまして、雇用保険の受給期間を延長しながら職業訓練を実施するなどによりまして、これらの方々の再就職に最大限の努力を払ってまいりたいと考えておるわけでございます。     〔植竹主査代理退席、主査着席〕  ただいま申し上げました訓練でございますが、まだ具体的に訓練を受講している者はございませんで、本年二月二十日の段階では五十三名の方が公共職業訓練の受講を希望しておられますので、これらの方々に対しまして四月一日から職業訓練校に入校できるよう、受講指示等の措置を近々公共職業安定所において行うという予定でございます。  いずれにいたしましても、私どもできる限りの行政努力を傾けて、これらの方々の生活安定に努めてまいりたいと考えております。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 出水製紙の債権額でございますけれども、私どもの承知しているところでは、担保債権、一般債権、共益債権、合わせまして大体六十八億円ぐらいではないかというふうに思っております。  なお、私どもも、先生初め地元の方々からかねてからいろいろ御要望を承っておるところでございまして、本件について胸を痛めているところでございます。私どもといたしましても、十條製紙、三井物産、両社に対しまして、雇用の確保等について万全の努力をするようにという要請をいたしております。私どもが承知しておりますところでは、この両社から関係企業等への就職のあっせんということで、いわゆる就職口と申しましょうか、そういった口を七十五名程度のリストを出したようでございますけれども、現在までのところ、実際その提案に沿って就職された方は少ないというふうに承知しております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 安倍通産大臣、これはやはりこの雇用の形態というのが、自分の土地をその会社に提供しまして農業では食っていけない、そして、そこから離れられない、そういうような人たちが存在をするからこそ、なお九十名おるわけです。訓練手当を支給される人もおりますが、計算をしてみると、なお九十名はどうにも動きがとれない。他県に行って同じ業種に就職をしようということができない事情の人たちが百人近くおるということです。なるほど雇用のあっせんを三井なり十條はやってくれましたけれども、なかなかそこに行けない条件が存在をする。そこで地元としては、出水製紙は市街地の真ん中にあり、立地の面はその近くに鉄道の駅もあるわけで、非常に便利な場所にあって広大な敷地がまとまっている、それで何かこれにかわる企業を持ってきてもらいたい。これは市の方でも再三、東京に参りましたたびに言っているわけでございますが、なかなかこれがむずかしいわけです。  そこで、通産大臣におかれては、そういうようないわゆる不況による倒産、そして現実に生じている問題等について、労働者の生活を守るというのは労働省の方でやってもらうとしても、そういうような企業の誘致という問題を特別に御勘案をいただきたいと考えるわけでございますが、その点について御所見をひとついただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 地域に基盤を置くところの産業は、いま言ったように、やはり地域の人を雇用するわけですから、その企業が倒産すると、おっしゃるように、あちこちに出て再就職することがむずかしいという面は確かにあるわけでございますから、なかなかこれはむずかしいことでございます。しかし、いま国とか県とかで努力もそれぞれしておるわけでございまして、できるだけそういうことで対処していかなければならぬわけですが、どうしても動けないという人たちもおることは事実でありますし、やはりいまお話しのような点を踏まえながら、何か新しい工業立地といいますか、産業立地といいますか、そういうものを考えていかなければならぬ。産業の誘致というようなことをやっていかなければ、完全にそういう面については再就職対策はできないわけですから、いろいろと通産省でもそういう面は努力しておりまして、今後ともひとつ積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 そこで、これは志賀局長の方からお答えいただきたいと思うのですが、紙パルプ産業というのは一体構造不況なのか、それとも循環性の不況なのか、いわゆる消費不況というとらえ方をすべきなのか、この点についての見解を承っておきたいと思うのです。  と言うのは、紙パルプ産業というのは重要な基礎素材産業でございまして、不況の原因というのは需要の低迷、それから特に石油ショック以降の原燃料価格の高騰というところから来た問題であるとわれわれは考えているわけでございまして、科学技術の発展とかあるいは貿易上のそういうような問題から来る制約によりまして構造的な不況業種ということになったのではないんじゃないか。今日までこういう状態が出てきたのは、やはり企業側の需要先行型の投資の形態というものと、それから通産省が指導をされる需要見込みというものが狂ったというところから生まれて、測定が狂ってきたのではないか。そういうところから設備投資が実需に対してうまく機能しないような形になったその責任の一端は、通産省の需要見通しの誤り、仮需に迷わされた不的確な需要の把握にあったのではなかろうかという感じでございますが、この点についてどういうような感触をお持ちでございますか。通産省の責任者の御見解を  一応いただきたいのです。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 現在、御案内のように、紙パルプ産業は大変な不況にあるわけでございますけれども、この現在の不況の原因といたしましては、やはり基本的には構造的な問題があろうと思います。ただ、その上に循環的な問題が重なっている、こういうようなのが現在の状況だろうと思います。  長期的な問題、構造的な問題として考えてみますと、紙パルプ産業、紙の需要というのはオイルショックの前までは年率にして大体一割ぐらいの伸びを示してきたわけでございますけれども、オイルショックを境にいたしまして内需の伸びが非常に鈍化いたしました。恐らくそういったオイルショック後の需要の屈折というのは、これはやはり原燃料価格の高騰あるいは石油の値上げに伴う所得の移転、そういったことに伴う構造的な問題ではなかったかというふうに思っております。他方、同時に、加えまして、燃料価格がオイルショック以後非常に上がりました。それからまた、チップにつきましても、五十五年のいわゆるチップショックによりまして非常に高騰したわけでございます。そういった原燃料面でのコストアップ要因が需要の伸びの低下に重なりまして現在の不況をもたらしておるというふうに思っております。  ただ、同時に、先生からちょっとお話がございましたように、オイルショック後一時仮需が発生したことがございます。そういった仮需の動きに、平たい言葉で申しますと迷わされるということになるかもしれませんけれども、設備投資が非常に活発に行われてしまったということで大きな過剰設備を抱えておるということ、そういったことで非常に現在の紙パルプ産業は不況に陥っておるというふうに存じております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 現在は、この消費不況を背景にいたしました今日の不況に対応する対策は、上質紙三紙の不況カルテルと行政指導によります設備の新増設抑制措置、この二本立てだと思いますが、今後こういうような問題の処理は、たとえば特安法の改正によりまして過剰設備の処理をするという考え方でございますかどうですか。

志賀学通商産業省生活産業局長

○志賀政府委員 紙パルプ産業に対します対策といたしまして、循環的な短期的な問題としては、先生からお話ございましたように、不況カルテルを三品種について実施したわけでございますが、その後カルテルの効果によりまして在庫調整が進みました。それで、二月十五日までをもちまして三品種とも不況カルテルを打ち切ったわけでございます。ただ、その後なお実需に見合った形で適正に生産が行われていくということを確保していくことは、紙パルプ産業の体質を強化していくという意味から重要なことでございます。そういう観点から、先般、紙に関します需給協議会というものをつくりまして、そのメンバーとして、ユーザー業界あるいはメーカーあるいは学識経験者、流通業界、各方面の人々に集まっていただきまして的確な需給見通しを立てて、それをガイドラインとして紙パルプ産業に提示いたしまして、それによって適切な需給の均衡を図っていこうということで現在行っているわけでございます。  あわせまして、やや長期的な問題といたしまして、昨年の九月、新増設の二年間自粛という方針を産構審の紙パルプ部会に諮りまして打ち出したわけでございます。  現在、そういうことで対応を進めているわけでございますけれども、他方、過剰設備をどうするかという問題がもう一つございます。この点につきましては、現在業界の方でいろいろ過剰設備処理について検討を進めているところでございます。私どもといたしましては、そういった業界の動きをにらみながら私どもとしての対応を考えてまいりたいと思っているわけでございます。  他方、例の特安法の問題があるわけでございますけれども、特安法の扱いにつきましては、現在、関連基礎産業のあり方について産構審におきましていろいろ検討を進めておるところでございまして、その結論を待ってその必要な対策の中から法律の内容に織り込むべきもの、織り込む必要はないもの、そういったものを取捨選択いたしまして、要すれば新しい法律を検討していくということで産業政策局の方において作業を進めておるところでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 この問題は、何か大手十六社で二〇%くらい過剰設備のカットを考えたらどうであろうか、その場合のいわゆる稼働率は九〇%くらいに置いてというような話が進められているということを私は聞いておるのですが、そういう特安法の措置によって措置をするというやり方は、成立をしまして三年たっておるわけでございますが、ここら辺で見直しを考えられるのが適当ではないだろうかと思うのです。  それはなぜかといいますと、過剰設備の処理を大手が進める、そういうスクラップ・アンド・ビルドみたいな形になりまして、首切り、雇用の問題というものが次に出てくる、中小企業がつぶれていく、こういうようなケースの中で大手だけが生き残っていくという寡占状態をつくり上げる中で再編成をやろうということにつながるわけでございますが、そういうような意味では本質的な改善策というのは忘れられて当面の対策を糊塗するものではなかろうか。したがって、原料問題がこれは一番大きな問題でありますし、エネルギーの問題もそうでございます。そうすると、紙の原価構成の中で賃金というものがどういうような割合を占めているかというと、これもそんなに高くない。高いのはやはり管理費であるとかエネルギー費であるとか原料費が高いというのが現実的には出てきているわけです。生産の集中性というものも日本は果たして低いんだろうか。グループ化、系列化を要素の中に入れて考えますとそうとも言えない。そういうような問題で高度寡占状態の問題に持っていく方法を相変わらず踏襲をするというようなやり方はこの際再検討を願いたい。そしてまた、通産省のそういうような指導に当たりましても、指導というのはむずかしいわけでございますが、需要の見通しの誤りあるいは仮需に迷わされたそういうような不的確な需要把握というものが存在をする、そうして今日の経済の低迷の中で高度成長というのはもうあり得ない、安定成長もどの程度期待ができるかというきわめて微妙な経済状況の中にあります。そういうような問題をぜひ御検討いただいて、総合的に紙パルプ産業の将来をひとつ安定したものにしていただくように、アメリカあたりからのクラフト用紙の輸入の問題等も安倍通産大臣が行かれたときに迫られているやに承るわけでございますので、この点については通産大臣の方からひとつそういう観点も踏まえて抜本的な検討を願いたいと思うのでございますが、一言でよろしゅうございますので、御答弁を願います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 紙パルプ業界を初めとする不況産業の問題につきましては、産業構造審議会等の意見も聞きながらいま個別対策を進めておるわけでありますが、しかし、これは構造的な面があるわけですから、さらに産構審の答申も踏まえて、紙パルプだけでなくて基礎素材産業全般にわたって、いまのエネルギーコストの問題をどうするかとか、あるいは金融の面、あるいは税制の面、そういうものを踏まえた法的な対応が必要じゃないかというふうに考えておりまして、六月に答申が出ますから、それを踏まえて総合的な対応策をひとつ鋭意考えてみたい、こういうふうに思っております。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、菅直人君。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 予算委員会の分科会ということで、きょうは通産省の関係の事項について幾つかお尋ねをいたしたいと思いますけれども、分科会ですので、少し具体的な問題を特許庁を中心にお尋ねしたいと思います。  現在、公のいろいろな資格と民間の資格との間でいろいろなトラブルがよく起きておりまして、ついせんだっての交通安全対策特別委員会の中でも、たとえば交通損害保険士とか交通事故管理士とか、そういうものが弁護士関係の仕事といろいろ抵触するのじゃないかとか、いろいろな議論がなされておりました。実は工業所有権に関係しても公的な資格としての弁理士という資格があるわけですが、それに類似する民間資格として、特許管理士とか特許診断士とか特許コンサルタントとか特許製図員だとか、いろいろなことが民間の資格として現在存在をしているわけです。そんなことを含めて、こういう問題ですから特許庁の長官にお尋ねをしたいと思うのですが、そういった特許関係をめぐるいろいろな民間の資格の問題について長官としてはどんなふうに認識をされていて、それに対してどういうふうな対応をされようとしているか、まず御所見を伺いたいと思います。

島田春樹特許庁長官

○島田政府委員 いま一般論で、特許関係でいろいろな何とか士あるいはいろいろな民間の資格というものについてどういうふうに認識しているかというお話がございました。  私どもも雑誌その他いろいろな資料で、そういった民間の資格というのがいろいろあるということはすでに耳にしておりますけれども、正確な実情というのは必ずしも把握はいたしておりません。たとえば特許管理士という名前のものがございますが、これにつきましては私どもある程度承知しておるところでは、三十九年ごろからスタートし、四十七年ごろから独立した団体として、任意団体で特許管理士会というところが試験を行い、一定の資格付与を行っているというふうには私ども承知しております。いずれにいたしましても、私ども工業所有権行政を進めていく上で、その一翼を担うものとして弁理士制度というものがございますので、こういった弁理士制度の健全な発達というものを考えるように日ごろから心がけているつもりでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 いま長官の方から、私が例示した中で特許管理士の問題を多少御説明いただいたのですが、その問題に少し入っていきたいのです。  特許管理士という一つの民間の資格を持っているグループがかなり活発に以前から活動していることはいま長官もよく御存じのようですけれども、たとえばここに「特許管理士受験案内」なんというものがあるのですが、この中の特許管理士制度の概要という説明を見ますと、たとえば「特許庁審判部の数名の方から、米国のパテントリエゾン職制のような制度にしてはどうかとの指導を得て、それを研究し、現在の特許管理士制度をつくったのである。」ということが最近出ている受験案内のような中にも書いてあるわけです。この書き方も非常に微妙な書き方ですから何とも言いにくいのですが、特許庁としてこの特許管理士について指導されているとか、または何らかの関係があるとかいうことがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

島田春樹特許庁長官

○島田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、特許管理士会と申します団体は任意団体でございます。したがいまして、私どもの方としては直接の関係はございません。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 以前、この特許管理士の資格が発明学会という財団法人によって発行されていたということがよく言われるのですけれども、いま科学技術庁の方にも来ていただいておりますが、発明学会に対する監督責任とこの特許管理士会に対する監督責任といいましょうか、そのあたりの関係は科学技術庁としてはどういうふうになっておりますか。

吉田豊麿科学技術庁振興局奨励課長

○吉田説明員 発明学会は昭和四十七年の四月二十八日に科学技術庁所管の公益法人として認可されました発明奨励団体でございます。しかしながら、この業務の中に特許管理士に関係するものはありませんので、発明学会と特許管理士あるいは特許管理士会の間に委託関係はございません。したがいまして、特に科学技術庁とのかかわりもないわけでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 そうしますと、これはちょっと古いデータですけれども、昭和五十年の参議院商工委員会の議事録の中で、当時の齋藤長官が、この問題を当時の森下委員が問われていることに対して「特許管理士制度につきましての運用その他、これは正式に申し上げますれば科学技術庁の方になると思いますけれども、」云々とあるわけですが、これは当時の事情と変わったか変わらないかは別として、現在は少なくとも特許管理士制度について、科学技術庁はその責任も指導も一切関係がないと理解していいわけですか。

吉田豊麿科学技術庁振興局奨励課長

○吉田説明員 ただいま先生のお話しのとおりでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 役所としてはそういう立場のようですけれども、たとえばこの特許管理士制度の先ほどの受験案内なんかを見ておりますと「運営については、頭初特許管理士会の自主運営であったのを、昭和四十二年社団法人発明学会に吸収移管され、試験合格者を登録制として、会員の監督指導の強化をはかった。昭和四十七年、組織の拡大とともに、社団法人発明学会より分離独立して現在に至った。なお、会員の資質向上については発明学会に指導を得ている。」いまでも発明学会の指導を得ているということがこの特許管理士会というものから出ているものにあるわけです。ですから、直接の関係とは言えないかもしれませんが、間接的には、これを見る限り科学技術庁所管の財団法人の指導を得ているということになるわけですけれども、このあたりは科学技術庁としてはどういうふうにとらえられるわけですか。

吉田豊麿科学技術庁振興局奨励課長

○吉田説明員 この点につきましては、発明学会が発明奨励の観点から特許法、特許制度あるいは工業所有権制度等に関する各種のセミナーあるいは講習会等を催しておりますので、それに対して特許管理士の方々が自主的に参加をされているということはあるかもわかりません。しかしながら、これは特に発明学会と特許管理士あるいは特許管理士会の間に格別の関係があるということではないと理解しております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 ないと言われても、あるというふうに書いてあるのですがね。つまり、学会の指導を得ていると書いてあるわけですからね。いかがですか。

吉田豊麿科学技術庁振興局奨励課長

○吉田説明員 その点に関しましては、特許管理士も他の特許管理士でない方々と全く同様の扱いで通常に行われる講習会、セミナー等に参加されているものと理解しております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 かなり細かいことに入ってきましたけれども、この問題で私が申し上げたいのは二点あるわけです。一つは、民間の資格というものが自主的にいろいろな講習会をやられるのはいいのですけれども、中には講習会そのものの宣伝のために資格という形が使われているようなケースがあって、その民間の資格を得たからといって必ずしも予想されたような十分な効果がなくて、受講した人自身が何となく期待を裏切られるというようなことが一点。それから逆には、その民間の資格を受けてそれを活用しようとする行動が、公的な資格の法律的な規制を結果的に侵すことになるということがもう一点。この二つの点があると思うわけです。  主査、ちょっとこのコピーを配ってよろしいですか。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 どうぞ。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 警察庁の方も来られていると思うので、ちょっとこれをお願いしたいのです。できましたら特許庁の方も科学技術庁の方も見ていただきたいのですが、ここの特許管理士会といういま問題になっている会が——実は右左同じものにコピーしましたけれども別々のものなんです。この右と左、別々の用紙になっているのですが、一緒にコピーしてお渡ししました。これを見ると非常によくできているのですけれども、論理としてちょっとおかしいところがあるわけです。つまり、左側に、合格率一〇〇%を追求する特別セミナーをやっているのだ。特許管理士の受験講座をやるのだ。下の方には、合格率が三、四〇%だから、この講座を受けたら九〇%以上合格するからこれを受けたらいいですよという一種の受験講座の案内になっておるわけです。それはいいのです。しかし、今度右を見ると、その特許管理士という資格自身を出しているのがこの受験講座をやっている同じ特許管理士会なわけです。つまり、合格率一〇〇%を追求するとか、現在の合格率が三〇%から四〇%であるとか、初歩の人も九〇%合格するとかというふうに書いてあるわけですけれども、実際にこの合格率を決めることができるのもこの講座をやっている当事者なわけです。合格率を一〇〇%追求したかったら、全員合格させてしまえば当然合格率は一〇〇%になるわけですね。ちょっと形は違いますけれども、大学の入試で言えば、大学自身が、その資格を出すところ自体がその資格の合格率を高めるために受験講座をやっている、実際は合格率は自分のところで決められるという形ですね。これはあたかも、見ると、この講座を受けると非常に有利なようになっていますし、事実有利なのかもしれませんけれども、どうもこれが正常な広告になるのかどうか。これは微妙なところですけれども、警察の方来られていると思いますが、軽犯罪法の第一条の三十四号ですか、それに、こういうふうな広告の仕方というのがどうも怪しげな感じがするのですが、該当するかどうか、どういうふうにお考えか、ちょっと御意見をお聞かせください。

本多義光警察庁刑事局保安部経済調査官

○本多説明員 お答えいたします。  ただいま見せていただきましたこの資料でございますけれども、軽犯罪法第一条第三十四号の虚偽広告との関連でございますけれども、一般的に申しまして虚偽または誇張した事実ということが要件になっております。この資料の内容をもって直ちにこれに該当するということはちょっと断定いたしかねる点があろうかと思います。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 確かに直ちに断定はむずかしいかもしれませんけれども、合格率一〇〇%を追求するのが合格率を決めるところだというのがどうも宣伝としては何かマッチポンプのような感じがすると思いますけれども、いかがですか。

本多義光警察庁刑事局保安部経済調査官

○本多説明員 事実関係といたしましてそういう宣伝もいろいろあろうかと思いますけれども、犯罪の構成要件としての適用ということになりますと、事実関係の不自然さと犯罪構成要件というものは直ちに一致しない場合もございますので、先ほど私はそういうふうなお答えを申し上げたわけでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 この種の問題は、先ほども言いましたように、いろいろな資格について起きているわけです。先ほど問題になりました発明学会自身も、ここに特許製図員という資格をまた新たにつくりまして、発明学会自身がやはり講座をやって試験をしているという形になっているわけです。これなども講座をやられるのはもちろん自由なんですけれども、そういう資格をこの発明学会というところが新たにまた発行しているということで、もう一度科学技術庁にお聞きしたいのですが、科学技術庁の振興政策というのは発明振興というふうにお聞きしているのですけれども、こういう一種の特許出願にかかわるような手続等について監督をされている学会が、そういう講習をやったりするということは結構なことだと思っておられるわけですか。どういうふうに思われておるわけですか。

吉田豊麿科学技術庁振興局奨励課長

○吉田説明員 科学技術庁の所管しております事項は、発明の奨励並びにその実施化の促進ということでございますけれども、特に実施化の促進という観点から見た場合には、すぐれた発明が生まれた場合でもそれが権利化されるというようなことがスムーズに行われませんと実施化に結びつくための困難が生ずるという場合が多いかと思います。したがいまして、それを権利化するためのいろいろな手続等について講習を行うというようなことは直接的ではないかもしれませんけれども、やはり発明の実施化の促進に結びつく一つの手段として望ましいことではないかと考えております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 ということは、発明学会がそういう特許管理士自体は切り離したけれども、こういう特許製図員なんかの講義をやって、さらにそれの資格を出していること自体は望ましいことだというふうに考えていいわけですか。

吉田豊麿科学技術庁振興局奨励課長

○吉田説明員 毎年私どもが所管の団体から提出を求めております事業計画並びにその事業報告等で見ます限り、現在私どものとっております資料には特許指導員についての事業が行われていることについての記載がないので詳細はわかりませんけれども、この内容を十分検討いたして不適切なものであればしかるべく措置したいと考えております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 時間も余りありませんので同じ関係のことで少し先に行きますけれども、もう一つ、これも資料をちょっとよろしいですか。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 はい、どうぞ。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 お手元にあるかと思いますけれども、少し古いあれですけれども、特許管理士がいかにお金になるかというふうな宣伝が出ています。この中に「お金になりそうなアイデアも特許庁に出願しなければ何にもならない。この特許庁に提出する書類を作って役所に郵送してくれる職業が弁理士であり、これの実務的な面を受け持つのが特許管理士である。弁理士の資格試験はきびしいが、特許管理士の資格は通信教育だけでとれるので便利だし将来性もある職業」と、「今週のもうかります!」というような欄に広告がされているわけですけれども、先ほど申し上げたもう一つの問題ですね、特許管理士という民間の資格を取られるのは自由でしょうけれども、取った場合に、実際にこういうふうな仕事をやったときに結果的に弁理士法にかかるという問題があるわけで、実際には一度告発を受けて有罪、有罪と言いましょうか罰金刑が出た事例もあるわけですけれども、こういう問題について特許庁としては、特にこの問題自体についてどういうふうな対応をされようとしているのか、お聞かせください。

島田春樹特許庁長官

○島田政府委員 まず、いまの問題でございますが、先生もう十分御案内のように、弁理士法の二十二条ノ二で、弁理士にあらざる者は、報酬を得る目的をもって特許等に関して、特許庁に対してなすべき事項の代理等を業として行うことを禁止しておる。まあ若干簡略に申し上げましたが、そういう規定がございます。したがいまして、特許管理士という名前の者が報酬を得る目的をもってこのような行為を業として行う場合に、当該特許管理士が弁理士法二十二条ノ二の規定に違反すす。ですから、これは、具体的にはいかなる行為が行われるかということで、具体的にその行為の内容との関係でケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないかというふうに考えるわけでございます。  私どもといたしましては、基本的には、広く一般の人、特に企業における特許管理というものを充実していくということは、それ自体非常に重要なことであるというふうに考えておりまして、そのために特許庁におきましても、従来からいろいろな説明会の開催だとか、あるいは最近では、特に企業に対する出願の適正化指導というようなことを通じましてこういった考え方というものを推進いたしておりますし、こういった施策は今後とも充実していきたいというふうに思っておるわけでございます。特に、実際企業において特許管理をやっていく場合の人材の養成というのは非常に重要な問題でございますので、そういった人材を養成するようにいろいろ企業の方としても努力してもらう、私の方としてそれは望ましいというふうに考えております。ただ、それを具体的にどんなかっこうで企業がおやりになるかというのは、あくまで基本的にそれぞれの企業の問題ではないか。私どもとしましては、そういった特許管理という考え方の徹底を図り、そのために必要があれば講習会の開催とかそういう指導を通じて、広く一般の人に工業所有権制度の内容というものをできるだけ理解してもらう。そういうものがだんだん浸透していけば、おのずからそういったいまいろいろ出てきているような問題につきましても、一つの方向が出てくるのではないかというふうに思います。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 私も、いま長官が言われたように、企業の中でそういう特許管理なんかをやられる人がどんどん養成されてくること自体は大変結構なことだと思うのです。いま弁理士法の二十二条ノ二の問題が出ましたけれども、特許管理という言い方は、普通はわれわれは、特許になったものの管理から特許になるもののいろいろな出願手続等を含む言葉として理解をしているわけですが、二十二条ノ三に非弁理士の名称使用の禁止という項があって、よく御存じだと思いますが、弁理士以外は、「弁理士、特許事務所其ノ他之二類似スル名称ヲ使用スルコトヲ得ス」という形があるわけです。この特許管理という一般名称として使われるのはもちろん構わないわけですけれども、特許管理士という言い方で、民間で公然といろいろな出版物を出している。重々御承知だと思いますが、特許法の中には「特許管理人」という、外国人が日本へ出願した場合の管理のそういう言葉も入っているわけですけれども、そういう意味で、特許管理士ということを名称として使うこと自体が二十二条ノ三の名称使用の禁止に当たるということで、たとえば東大のある学者の方なんかはそういう意見を持っておられるようですけれども、主管官庁としての御意見はいかがですか。

島田春樹特許庁長官

○島田政府委員 弁理士法の二十二条ノ三は、弁理士でない者が利益を得る目的で弁理士、特許事務所その他これに類似する名称を使用することを禁止しておるのはいま御指摘のとおりでございます。いまお尋ねの点につきましては、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、かつて、弁理士法二十二条ノ二と二十二条ノ三によりまして東京地検に対して告発されたケースがございますが、これにつきまして、二十二条ノ二の規定に違反した者として起訴され、罰金刑に処すとの略式命令が発せられたわけでございまして、その際、二十二条ノ三についての判断は見送られたケースがあるというふうに聞いております。  特許管理士という名称が本条に言います「其ノ他之ニ類似スル名称」に該当するかどうかという点につきましては、社会通念上どういうふうに判断するかという問題であろうかと思いますが、そういった社会通念上どういうふうに判断していくかということになりますと、特許管理士の活動の実態等ともかかわり合いがあるというふうに考えられますので、一般論として直ちにいずれかということは申し上げにくいのではないか。したがいまして、具体的な事例に即しまして判断されるものだというふうに考えております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 いま長官の言われた略式起訴をされたケースについて、長官も御存じのように、いま言われたとおり二十二条ノ二で一種の罰金刑が決まったわけです。私もその理由書とか全部取り寄せてみたのですが、これは略式起訴なものですから、二十二条ノ三の方にひっかけて判断をしようとすると当事者だけの問題ではなくなるわけですね。つまり、二十二条ノ二は、御存じのように、実際に何をやったかということまで全部証拠立ててやりますから、それは証拠があって決まった、二十二条ノ三ということになればその当事者だけの問題ではないので、略式起訴には余りなじまない、当事者がオーケーしたからといって略式で済ませるにはなじまない、そういうことで検察庁も、二十二条ノ三の規定については判断をしなかったというふうに理解されるわけです。  ですから、いま長官は実際の形態ということを言われましたが、二十二条ノ二についてはまさに実際の形態なんですけれども、二十二条ノ三というのは名称ですから非常にはっきりしているわけですね。こういうものを見てもはっきりそういう名称が出ているわけです。名称使用の点についてはやはり特許庁が主管官庁として判断をしていただかなければなかなかはっきりしないのじゃないか。その点で、常識的に考えてと言われましたけれども、まさに常識的に考えてこの条項には十分該当するという可能性が高いように思うのですが、もう一度二十二条ノ二と三を分けてお答えいただきたいと思います。

島田春樹特許庁長官

○島田政府委員 御指摘のように、確かに二十二条ノ二と二十二条ノ三とは別条で、二十二条ノ三というのはいわば外形的な規定になっておるかと、個人的な意見になりますが、思います。ただ、この判断をする場合に、やや繰り返しになって恐縮でございますが、「之ニ類似スル名称」といった場合に、どういう場合に「之ニ類似スル」というふうに考えるかということになりますと、結局この規定の目的というのが、一般の国民が弁理士にあらざる者をあたかも弁理士であるかのごとくその名称から誤認をするおそれがあるというようなところになるのではないか、そういうことで禁止をしているのであろうかというふうに思うわけでございます。そういうことから考えますと、ある名前というものがあった場合、その名前を聞いた場合に、社会通念上それは同じようなものであろうかどうかという判断を一般の人がする場合に、先ほど申しましたように、どういったような活動の実態になっているかということからの一つのイメージも出てくるかと思います。したがいまして、先ほどお答えしたような考え方で答弁を申し上げたわけでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅分科員 時間ですので最後にしますが、かなりきょうは細かい問題ばかり取り上げて特許庁の方に答弁いただいたのですが、こういう問題もあることはもう重々御承知だと思いますけれども、こういう業界が非常に出願件数が多くて特許庁もお困りのようで、そういう制度的な問題にまで反映するとすればまさに特許庁の方で政策論として議論をされるべきで、こういう民間の、何といいましょうか、やや脱法的な形でこういう既成事実がどんどん積み重ねられていくことを放置しておけば本来の制度そのものがまた崩れていくことになると思いますので、そういう点で特許庁や関係省庁の方にも、政策的な形はそれとして、いまある法律規定については十分しっかりとした判断をお願いをしてきょうの質問を終わりたいと思います。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。  次に、野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間分科員 通産大臣と通産省の方にお聞きしたいと思います。ローカル的な問題でもありますけれども、非常に重要な問題だと思いますので、よく簡潔にお答えをいただきたいと思います。  高度経済成長の時期には、企業の地域に対する進出等は公害の問題等々大変大きな問題がありました。同時に、その地域に対する寄与と申しますか、地域経済とのかかわりということにつきましては、たとえば鉱工業生産の割合が、大企業製品あるいは中小企業製品、この割合が逆転するというふうなことで経済のバランスの問題でもかなり大きな問題を醸し出し、いまも現にそういう事実があるわけですが、私きょうお聞きしたいのは、低成長、不況のもとでもう一つの問題と申しますか、企業が過剰設備を抱えて経営不振に陥るというようなこととか、あるいは不況産業の合理化あるいは企業の縮小というようなことで、地域の経済とかあるいは下請などの中小企業、それから労働者の雇用問題、こういう点で非常に深刻な問題が現にありますし、また今後もこれが大きな問題となる可能性がたくさんあるわけであります。  そこで最初に、認識の問題としてお聞きしたいのは、こういうことについて通産省はどういう認識を持っておられるのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○植田政府委員 不況問題、いろいろな面からあるわけでございますが、特に最近構造不況問題という点につきましては、とりわけ石油ショックの後を受けまして基礎素材産業を中心といたしまして大変な不況的な状況があるわけでございます。これにつきましては、日本の産業を支える重要な産業でもございますので、私どもといたしましては、今後の方向につきまして、産業構造審議会におきまして業種ごとの対策等をいろいろいま検討しているところでございまして、そういった各業種のあり方を踏まえまして今後構造的な不況の問題としてその対策を考えていきたいということで、現在そういった業種につきましては検討をお願いしているところでございます。

野間友一日本共産党

○野間分科員 いま私が申し上げたようなこと、そういうことについての認識は、では、いまの研究の中でどうなのかということ、地域経済とか……。

神谷和男通商産業省立地公害局長

○神谷政府委員 企業そのものの経済活動が高まったりあるいはいろいろな事情から足踏みしているということが地域経済に一定の影響を及ぼすことは否定できませんし、また、その影響の大きさあるいはこれがどういう地域に関連する企業であるかによって、その態様、範囲、影響等も異ってまいりますので、基本的にはその地域の公共団体が、この地域に及ぼすいろいろな問題に関して検討をし、あるいは関連企業と協議し、相談をし、対策を考えていくというのが第一義的な対応と考えられます。私どもは、これらの地方公共団体の対応等に関しましては親身になってこの相談に応じながら、私どもとしてできますことを、これは先ほど申し上げましたように、個々のケースで対応内容は異なってまいりますので、できる限りの御相談に応じ、努力に努めたい、こういう考え方でございます。  また、特定の企業が倒産その他急激な変化を起こした場合におきましては、関連中小企業等につきましては、その態様に応じて地元の公共団体との密接な連携のもとに、中小企業対策強化資金の活用であるとかあるいは下請企業振興協会による下請取引のあっせん等々によりまして、急激な悪影響を最小限にとどめるべく、これはこれに応じた所要の措置をとってまいるという方針でございます。

野間友一日本共産党

○野間分科員 アフターケアとかあるいは事後処理についてはいずれ必要があればお聞きしたいわけですけれども、そうでなく、そういうことのないように、そういう危険性をはらんだいまの情勢ですから、どう対応していくのかということを私の方はお伺いしておるわけであります。アルミとかあるいはパルプ、造船、さまざまな産業の中でその対策が急がれるということも事実でありますけれども、きょうお伺いしたいのは石油産業についてであります。  時間が大変限られておりますので、産業そのものについての施策とか今後の方向等についてそうそうるる言われますと時間がなくなりますので、ひとつ端的にお答えいただきたいと思いますけれども、石油産業の中で、たとえば円安の問題とかあるいは消費の停滞、低迷、こういうことから、特に民族系の資本の石油産業の中で大変不況な状態を醸し出しておるということは事実のようでありますけれども、こういうことについて通産省としての認識なりあるいはこれに対する対応、対策、これはどういうことになっておるのか、時間の関係もありますので、ひとつ端的にお答えいただきたいと思います。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 先生からお話ございましたように、現在石油産業は非常に需給が低迷しておりますために、それからさらに原油価格が、最近は値下がりしておりますが、一昨年から昨年にかけまして相当値上がりした、こういう状況の中で経済的にも非常に苦しい状態に追い込まれているわけでございまして、そのための対応策を検討するということで、昨年石油審議会を開きまして、石油審議会の石油部会の中間的な報告ということで石油産業の今後のあり方についての答申もいただいておるわけでございます。その中で、特に最近の需要動向その他踏まえまして、現在相当な過剰設備を抱えておる、また元売りの企業の数も多い、こういうものについて相当思い切った体質改善をする必要があるのではないかということで、今後の石油産業のあり方を検討しろということになっておりますので、あわせまして現在の需給動向、これが非常に揺れ動いているわけでありますので、これにつきましては石油供給計画の適正な運用によりまして需給調整を図りながら、その中で長期的な観点に立った体質改善を進めていく、こういうことで現在の苦境を乗り切っていきたいというふうに考えております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 いわゆる特安法、特定不況産業安定臨時措置法、これはあと一年で期限切れですか、これらと石油産業との関係等について何か検討はされておるのですか、どうですか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 特定不況産業安定臨時措置法は限時法でございまして、すでにこの業種に指定できる期間というのはもう過ぎておりますので、私どもとしては石油産業を直ちにこの法律の対象業種に指定するということは事実上も不可能でございますので、考えておりません。ですから、現在は石油産業自身については石油業法に基づきますいろいろの指導その他がございますし、先ほど申し上げましたように、石油審議会の答申もいただいておるわけでございますので、その答申の線に沿いまして今後の石油産業対策を進めていきたい。将来その進めていく過程におきまして立法措置その他が必要であるということでございますれば、今後通産省全体としての素材産業その他、広い意味での立法措置その他が検討されるとすれば、それとの関係での検討は今後進めていきたいと考えております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 一定の地域に完全に同化と申しますか溶け込んで、しかも地域経済の中で非常に重要な部分を占めておるというような産業、企業、こういう場合に、先ほど申し上げたような石油ショック以降のいろいろな事情のもとでこれの合理化、撤収等も含めていろいろ出ておるわけでありますけれども、こういう点についても十分実態を踏まえた上で、事後処理とかそういうものはともかくとしても、未然にそういうことのないように行政としても対応しなければならないと私は思うわけでありますけれども、そういう主張に対してはどうお考えなのか、一言だけ……。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 石油の需要全体が五十五年、五十六年と落ち込んでおりますし、今後の石油の需要動向についても、一方で脱石油ということでエネルギー政策も進めておりますので、そういう中で石油需要についてはかつて考えたような大きな伸びは期待できないということでございます。そういう前提に立ちますと、現在の石油産業自身が抱えている設備能力は、これは答申にも出ておりますが、少なくとも過剰であるということになっておりますし、今後石油業界の体質を強化してまさに産業としてりっぱに自立できるようにするとすれば、元売り段階の集約を含めた産業の体制整備がどうしても必要になってくるわけでございます。こういうことで、当然各企業ごとにそのための再建計画が進められるわけでございますが、それに伴って地域、関連中小企業、また雇用その他にいろいろの影響が出てくる問題につきましては、当然企業自身が考える問題でありますが、同時に、地域の問題としては地方公共団体といろいろ相談を進め、また関連中小企業の問題につきましては中小企業対策その他、地方公共団体との連携を密にしてそういう関連する問題についての処理を適切に図りながら、一方で企業が経営改善その他を進めるための施策を、環境との調整を図りながら進めていかざるを得ない、かように考えております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 少し具体的になりますけれども、和歌山の下津町にあります丸善石油、これは元売り精製の会社であることは御案内のとおりでありますけれども、特に四十数年来、和歌山生え抜きと申しますか、和歌山で生まれ、地域とともに発展した企業ということで、地方へ行きましてもミカンと石油と文化の町というような標識すらあるところなんです。ここでいま合理化、身売りの問題が下津町を中心とした一定の地域に大変に大きな衝撃を与えておるということは御案内のとおりだと思いますけれども、具体的に下津の製油所をどういうふうにしたいという計画を持っておるのか、一言で結構ですから、おわかりならお聞かせいただきたいと思います。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 現在、お話のございました丸善石油が経営面で非常に苦境に立っておるという中で、その再建ないしは今後の経営の確立を図っていきますために、合理化のためのいろいろな施策が社内で進められるということは私どもも承知をいたしております。その中の一環として下津製油所の取り扱い問題が出ておるわけでありますが、その方向としては、会社がこれからいろいろ検討する問題ではございますが、一つの方法として閉鎖という問題も検討され、また閉鎖された地域については跡地利用の問題の一案として関西電力に今後の発電用地として売られるというような計画もある。ただ、これもまだ検討段階で、今後そういう問題についていろいろの議論がなされる過程であると承知をいたしております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 通産大臣、いまお聞きいただいたとおりなんです。  そこで、お聞きするわけですけれども、冒頭にも私、申し上げたように、この丸善石油という企業は典型的な、地域経済の中に溶け込んで、その地域の中で不可欠のかかわり合いを持つ企業なんですね。  具体的に申し上げますと、たとえば雇用面で考えてみますと、下津の製油所には丸善石油の従業員が六百三十九名、それから構内の下請企業三十七社の従業員が六百十六名、ほかに関連する納入業者等数百名を入れましたら千数百名がこれに依拠して生活をしておる状況であります。  ちなみに下津という町の人口は一万七千人、約四千四百世帯でありますけれども、雇用面における非常に大きなウエートを持っておるということ。さらに、では地域経済の中にどのような位置を占めているのかと申しますと、たとえば工業出荷額では五十五年度で下津町が千三十二億四千万、このすべてが丸善石油なんですね。これが撤収されましたら町収はゼロになることは明らかであります。それから商業、小売商業の売上額が約百十四億円。これが五十四年度ですけれども、商工会の皆さんから話を聞きますと、この中で二〇%ないし三〇%の比重を占めておると言われております。町財政に占める役割りを見てみますと、町税収入の約二〇%強、これだけ大きな位置を占めておるのが丸善石油であります。  そして、町の声を私、幾つか聞いてきたわけです。たとえば陸上の運送会社、これは下請ですけれども、会社は心配するなと言うけれども具体的に何も説明がない、あるいは船舶会社に聞いてみると、考えたら本当にノイローゼになる、こういうことで非常に苦渋に満ちたことを言っておりました。また、「つばめ会」という下請の関係のある役をしておる方に聞いてみると、これは鉄鋼関係の方ですけれども、丸善と「つばめ会」、協力会の団体とは親子の関係だ、親が大変なのはよくわかるけれども、子に死んでくれと言われても、そうですかとは言えない、もう十一月中旬から新規の仕事もほとんどない、下請の具体策は会社から示されていない、こういうことを言っております。それから、中小小売商、これは衣料品の小売のあるおばさんに聞いたところが、周辺のスーパーの進出で売り上げが非常に減っておる、その上にこれがなくなれば大変なことだ——先ほど申し上げたように、商業についての役割りの割合が二〇%から三〇%だということですから、これは大変なことであります。  いま私、若干のことを申し上げたわけですけれども、こういうようなかかわり合いの非常に強い、こういう地域の中での丸善の位置。これはいま長官も言われましたけれども、撤収の問題が現に提起されている、これは大変深刻な事態になることが予測されるわけであります。  先ほど長官は、これから議論とか研究という段階だと言われましたけれども、そういうのを踏まえて、これはいま町ぐるみ、党派を超えて、町民の十割近くが、出ていかないでくれ、ここに存続してほしいというのが町ぐるみの運動になっているわけです。下請関係では五千七百八十四の署名、港湾振興会、これはその周辺の港湾で丸善石油に携わっている関係の人ですけれども四千三百六十一、それから区長会、これは町民の組織ですけれども一万九百五、先ほども申し上げたけれども、ここの人口が子供も入れて一万七千ということです。この中で、いま言ったのを足すと二万一千五十名の署名が集まっている、こういう状況であります。  こういうことについて通産大臣は、感情的でも感覚的でも結構ですけれども、どういう所見を持たれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いま非常に不況の状況になっております。特に石油産業も大変むずかしい事態に直面している。そういう中で、丸善石油は特に問題が起こって、下津の製油所を閉鎖しなければ再建できないというようなところまで追い詰められておるわけでありますが、この下津製油所というのは、いまお話しのように、地域経済と非常に密接に結びついておる。中小企業だとか、さらに雇用関係とか、そういうことで非常に結びついておるわけですから、これが撤収ということになれば非常に地域の経済、地域そのものに重大な影響が出てくることは明らかでございますが、しかし会社側としてはこのままではどうにもならぬということで、再建するためにいろいろの方策を考えておるし、その一環として下津製油所の取り扱いについて地元の皆さんといろいろと話し合っておるようでございますが、通産省としても丸善石油が今後とも関係者の理解と協力を得るように誠心誠意話し合うということがまず大事なことではないか。これまで長い間製油所は地元とおつき合いをしてきたのですから、この基本方針といいますか、この製油所をどうするかということについてはまさに根本的な課題ですから、誠心誠意話し合いをして、そして何とか話し合いの中で道が開かれるということを私は非常に期待をいたしておるわけでございますが、現在は話し合いも行われているようでございますからその状況を見守っていきたい、こういうふうに考えておりますけれども、いずれにしても大変むずかしい事態に直面をして地元の皆さんは本当に大変であろうというふうに、そういう意味で心から同情をいたしておるわけでございます。しかし、会社は会社として再建の道を歩んでいかなきゃならぬ、こういうことで、会社は会社として努力しているように判断をしているわけであります。

野間友一日本共産党

○野間分科員 労働省にお聞きしますけれども、下請と合わせますと千数百名、まあ二百名ぐらいになると思うのですけれども、これもこの地域からしますと、特に数は、この数は確かに絶対数としてはともかくとしても、地域とのかかわり合いでは非常に大きな問題でありますけれども、具体的に雇用不安がないように、調査してそれなりの手だてをしてほしい、こういう要求がありますけれども、この点についていかがですか。

中村正労働省職業安定局雇用政策課長

○中村説明員 下津の具体的な件につきましては、先ほどからお話のございますように、会社と組合あるいは会社と関連企業との間にいろいろな話し合いが進んでおるということでございますので、その結果いかんによってどうなるかということが私たちの問題でございます。軽々に判断して動けないという状況はありますけれども、下請関連企業の影響というものが大きく及ぶということについては雇用安定上問題がございますので、まず第一には、状況をしっかり把握していきたい。この観点から、通産省ともよく連絡し、地元ともよく連絡をとっていきたいと思っております。必要となってきた場合には、雇用安定という観点から事業主等に御理解と御協力をいただきたい、こう思っております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 結果が出た場合にどうなるか、どうするかということは別の問題で、先ほどもいろいろ答弁がありましたけれども、いま申し上げたように、地方ぐるみの存続を要求するという声をどうしても私は、通産省としてもそういう方向で努力をぜひしてほしいというのが質問の趣旨であります。  いま通産大臣からいろいろお話がありましたけれども、たとえば松山の製油所は、一〇〇%丸善石油が出資して系列会社をつくる、これで再建するという。下津の製油所の場合にも初めはそういう案だったのですね。ところが、途中で変わりまして、いまの案ではどうやら関西電力のLNGの基地に売る。その場合には全部掃除をして持ってこいというのが関西電力の意向のように聞いておるわけですけれども、果たしてそうしなければならないものかどうか。たとえば不用の不動産等々財産を処分するとか、あるいはその他いま申し上げたように別会社を組むとか何か、まあそれはたとえでありますけれども、こういうふうな形で深刻な打撃を与えないようにできないのかどうか。通産大臣、ここら辺も、具体的な会社の案が出てきた場合に私は一つの問題だと思うのです。  そういうのを含めて、また同時にエネルギーを扱う省庁として私は行政上の問題も非常にあると思いますので、具体的にたとえば下請あるいは労働者、あるいは地域、町、そういうところとの話し合い等について、先ほどは会社とそれぞれの関係者との間で話し合い云々という話がありましたけれども、やはり必要があればあっせんなり調整をすべきじゃないか。しかも、その場合には存続を前提としてできるだけの手当て、努力を私はしてほしいという要求を持っておるわけですけれども、この点についてひとつ答弁をいただきたいと思います。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 現在、丸善石油自身が会社の再建計画ということでいろいろの合理化案を出しておるわけでございまして、その一環として、下津につきましても現地の県、町と相談し、また製油所の従業員、関連中小企業の皆さんともいろいろ相談をしているという段階でございますし、会社自身も当然従業員については配置転換その他そういう雇用問題については最大限の考慮をするという言い方もしておりますし、また関連中小企業につきましても仕事その他の面で会社としてもできることはしたいというようなことを言っております。こういうことで今後関係者の間で話し合いが進められていくわけでございますが、その間でできるだけ調整が図られ、また関係者の理解が得られてこの件は進められるのが一番私どもとしては望ましいわけですが、その関係の段階におきまして、国といたしましてもまた地方公共団体と相談しながら中小企業者対策、また波及するいろいろの問題についてはその解決の方向についてできるだけの努力をしていきたい。いずれにいたしましても、まだこれから検討される段階でございますので、その推移を見守っていきたいというふうに考えております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 時間が参りましたのでもう終わりますけれども、検討の段階だからこそ非常に大事だと思うのです。これが具体的な実施の段階になりましたらもう手おくれになりますからね。もう特に繰り返しはしませんけれども、るる申し上げたように、さまざまなそういうかかわり合い、いま大臣からいろいろむずかしい重要な問題を含んでいるという答弁もありましたけれども、そういうことをきちっと位置づけて、国の行政としても、やはり関係者が納得しないまま、同意がないままに勝手に撤収するということは許されない。特に企業の社会的な責任、これを持ってもらって、入るのも出るのも自由だ、これは一つの企業エゴになりますから、その点を踏まえて、社会的な責任を果たさせるという点で強い通産省の行政指導を期待したいと思いますけれども、もう一度このことについて答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 会社としては関係者と十分話し合ってその理解を得られる努力をするというのは当然のことでございますので、今後とも会社が誠心誠意関係者と話し合って、その理解が得られることを私どもとしては期待しておりますし、その過程におきまして国としても最大の努力をしていくということで本件を考えたいというふうに思っております。

野間友一日本共産党

○野間分科員 終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて野間友一君の質疑は終了いたしました。  次に、岡本富夫君。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 私は、本論に先立ちまして、ちょっとこれは通告してなかったのですけれども、通産大臣に、あなたが経験されたことでありますし、また現在ぜひ考えておかなければならないことでありますので、先にちょっとお聞きしたいのですが、これは日米間の貿易摩擦の問題であります。  去る十五日、米国のフロリダ州のキービスケーンのホテルで三極通商会議をされたそうでありますが、それについて、どういう目的でどうなったのか、また、そのときにレーガン大統領にお会いになったそうでありますが、その状況についてひとつお話しいただきたいのです。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 去る一月の十四日からアメリカに参りまして、十五、十六両日間にわたりまして、フロリダのキービスケーンで三極会議を行い、引き続いてワシントン、ニューヨークに参りまして、アメリカの政財界の首脳の皆さんと日米間の問題について話し合ったわけであります。  フロリダで行われました三極会議は、かねがねアメリカのブロック通商代表が要請をいたした会議でありまして、日本、アメリカ、ECの貿易の責任者が一堂に会して、世界の貿易のあり方について具体的にフランクに話し合いをしよう、こういうことで開催をされたわけでございますが、カナダが参加をいたしましたので、実は三極会談というのが四極会談になったわけでございます。  その会議は二日間でございまして、お互いに今日の世界の直面しておるところの困難な経済の問題あるいは経済摩擦について率直に意見の交換をいたしました。最終的にはやはりお互いにいろいろと困難な事態もあるけれども、どうしても自由貿易体制というものを守り抜いていかなければならない、こういう合意に達しました。そういう意味では非常に意義のある会議であったと思っておるわけでございます。  その後、ワシントン、ニューヨークに参りまして、レーガン大統領初め政財界の首脳に会いまして、日米間のいろいろな問題を話し合いましたが、特に貿易摩擦については、アメリカ側から、日本からの貿易のインバランスが非常に拡大をしておる、同時にまた日本の市場開放が十分でない、こういうことについて日本の努力を求める強い要請がなされたわけでございます。私は、これに対しまして、わが国としては東京ラウンドの前倒しを初め、輸入手続等の改善等についても最大の努力をしておるし、今後とも市場の開放にはできるだけの努力をしていきたい。せっかくその努力をしておる最中である。同時にまた、貿易のインバランスについては、ただ日本のインバランスを主張するだけでなくて、この背景にはやはり円安というものがある。その円安のよって来るところはアメリカの高金利政策にあるわけで、高金利政策についても一つの反省を求めていただかなければならぬ、あるいはまた輸出についても日本が輸出努力をすると同じようにアメリカにもさらに一層の輸出努力をしていただけば、インバランスを改善する一つの大きな前進になっていくのではないか、こういうふうなことでいろいろと議論をいたしたわけでございますが、率直な感じといたしましては、当時はまだ国会が始まっておりませんでした。国会議員はワシントンには少なかったわけでありますが、その少ない国会議員と会った段階では、アメリカの議会が相互主義ということで非常に燃え盛っておる。政府の方は何とかこうした相互主義法案が成立することは避けたい、こういうふうな気持ちを持っておるわけですが、議会の方が相当な勢いである。これはやはり議会に対していろいろと対策を講じないと日米の貿易摩擦というものが非常にむずかしい状況に追い込まれるというようなことを率直に感じまして、こちらに帰っていろいろと報告をいたしたわけでございますが、今日は議会で火がついたのがさらに政府にも及んでおる。いわば政府と議会が一緒になって日本に対して迫っておるという感じをひしひしと持っておるわけであります。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 きょうの朝日新聞の報道を見ますと、江崎訪米団が出発に際して外人記者に、米国に行っていい手はないかと聞いたところが、最良の策はいま米国に行かないことだというようなことを言っておるわけでございますが、結局相当なことを言われ、そして結局本音を浴びせられて厳しい状態で帰ってくるのではないか。  そこで、通産大臣としては、いま日本の市場が本当に閉鎖性なのか、まだそれを開放する余地があるのかどうか、これは閣僚として相当よく考えなければならぬ問題だと思うのですが、対外国のことでありますから、余り明らかにはできぬと思いますけれども、いま大臣の率直な考え方はどうなんだということが心配なので、お聞きしておきたい。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 全体的に見れば、日本の市場の開放というのは以前に比べれば相当に進んでおるのじゃないか。関税なんかで言えば、全く世界の水準に達しておるわけでありますし、あるいは残存制限品目につきましても相当整理をいたしまして、ECなんかに比べますと、日本の方がうんと少なくなっておるわけでございます。しかし、アメリカと比べるとまだまだ残っておることは事実でありますが、あるいはその他の非関税障壁についてもこれまで相当な努力をして改善が行われてきておると思うのでございまして、いまここまで燃え盛っておるような、そして、ここまで厳しい批判が加えられておるような日本の実態というものは、それほど閉鎖的ではない、こういうふうに思っておるわけでございます。しかし、日米関係から見れば問題が多少残っておることも事実でございますから、これをどういうように調整していくかということが今後の課題であることもわれわれは認めざるを得ない、認めなければならない、こういうふうに思うわけであります。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 この問題は日米間の問題でありますけれども、非常に重大な問題になろうと思うのです。きょう江崎さんが帰ってくると思いますけれども、何の権限もない議員が行ったわけですから、言われっ放しだということにはなるかもわかりませんけれども、強力にいろいろと考えて、貿易摩擦を何とか切り抜けるように特段の要請をいたしておきます。  それでは、本論に入りますけれども、五十四年度に総合エネルギー調査会がまとめた長期エネルギー需給暫定見通し、これがいよいよ見直しの時期に入りてきたのではないか、こう考えるわけですが、この見直しはいつごろ行うのか、また、どのような大綱になるのか、ひとつお聞きしておきたい。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 現在、総合エネルギー需給の暫定見通しにつきましてはその見直し作業をやっておるわけでございますが、総合エネルギー調査会にその検討を依頼しておるという段階でございます。確かにこの前暫定見通しを決めた以後エネルギーの需要動向というのは非常に大きく変わってまいりまして、特に代替エネルギーの開発導入、省エネルギー、これが相当進みまして、脱石油というのが私どもが当初考えたテンポよりもわりあいに早く進んでおる。さらに、最近の需給動向、エネルギー多消費産業の動向その他を踏まえますと、現在の暫定需給見通しが必ずしも実情を十分反映するようなものでなくなってきているということでございますので、これを見直すということで、現在総合エネルギー調査会の中でいろいろ御検討をお願いしておるわけでございますが、今後の経済見通し、さらには、その中でのエネルギー弾性値をどう考えるか、さらに、石油を初めとする代替エネルギーの位置づけをどうするか、非常にむずかしい問題がございますので、慎重にいま御検討いただいておる段階でございます。私どもといたしましてはできるだけ早くそこから御報告をいただきたいということでお願いをいたしておりますが、現在の見通しとしては春以降にならざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 やはり私は余りゆっくりしておるわけにいかないと思うのですね。なぜかならば、やはりエネルギー源というものの対策がいろいろとあろうと思うのです。いま、五十四年度の見通しによっていままで対策をとってきたわけですが、それが狂ったわけですから、今度は次をどうするかという見通しをなるべく早く立てていただく、ひとつそれを要求しておきます。  そこで、エネルギー源の安定のためにわが国においては一番有利なのは、やはり何と申しましても山岳地帯やあるいはまた降雨量の多い水力発電、これがやはり私は一番有利ではなかろうかと思うのです。そこで、水力発電の促進についての具体策あるいは将来計画、こういうことをひとつお示しいただきたい。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 現在の水力開発の状況は、一般水力で大体千九百万キロワットということで、それから揚水発電が千八十一万キロワットということで、全体としまして、発電設備全体の中で二一%、発電電力量では大体一六%ということになっておりますけれども、最近になりまして大規模の地点がどんどん減少いたしてきておりますのでどうしても小規模化するということもございまして、かつて三十年代は年間七十から八十万キロワットの開発が進められておったのですが、最近ではそれが二十数万キロワットぐらいに落ち込んでいるということもございまして、できるだけ水力は、先ほど先生からも御指摘がございましたように、クリーンな国産エネルギー安定供給として非常に大事なエネルギーでございますので、この割り高な面を解消して今後の水力開発を促進しようということで水力開発促進のためのいろいろな助成措置を講じまして、その結果五十五年以降一般水力の開発はまた徐々に活発になっておりまして、五十五年度で大体四十二万キロワット、五十六年度の着手見込みは三十万キロワットということで、五十三、五十四年と十万キロワットぐらいのレベルに比べまして急速に高まってきておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、今後の長期見通しとしてはこの水力をできるだけ開発を促進したいということで、現在、先ほど申し上げましたように、一般水力の開発目標というか、いまの水準が千九百万キロワットですが、これを昭和六十五年までには七百万キロワットふやしまして二千六百万キロワットまで持っていきたいということでいろいろの開発計画を進めておるわけです。その一環として、現在第五次包蔵水力調査というのをいたしまして、それについて未開発の包蔵水力というものの調査計画を進めておりますが、現段階で、中間的ではございますが、千三百万キロワットぐらいの未開発包蔵水力があるというふうに考えておりまして、これを中心に今後とも開発を進めまして、六十五年の二千六百万キロワットを目標に努力をいたしたいというふうに思っています。ただ、先ほどもお話がありましたように、最近のエネルギー需給の変化の中で代替エネルギーの供給目標その他についても現在見直しの作業をいたしておりますので、水力につきましても、その一環として今後の具体的な計画についてはそこで見直しを行い、計画を立てたいというふうに考えております。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 いろいろこの施策の点について若干申し上げたいことがありますけれども、時間がありませんから、これはまた次の商工委員会か何かのときにいたしまして、きょうはちょっと提案を申し上げたいのですが、その前に、兵庫県の北部、日本海に流入しているところの円山川、この有効利用を考えたらどうか、これについて建設省はいままでずいぶん調査をしておるわけですが、建設省からこの状況についてお聞きしたい。

広瀬利雄建設省河川局開発課長

○広瀬説明員 お答え申し上げます。  円山川は、先生御案内のとおり、私ども建設省で昭和三十一年から直轄管理を行っている一級河川でございますが、円山川流域は比較的水量に恵まれまして、その上まだ水資源開発が余り進んでいない地域でございまして、私ども河川総合開発事業を行っている者から見ますと、大規模な水資源開発を行えば相当量の水資源開発は可能ではないかというふうに考えている地域でございます。また、近隣の地域では水不足という声も聞きますので、私どもは円山川の治水並びに水資源開発の有効利用という観点から円山川の総合開発の調査を行っているわけでございます。しかしながら、水資源開発は地域性が非常に強いものでございまして、特に円山川の水を瀬戸内の方に分水するということは、その円山川流域の将来の展望を踏まえて関係地域の御理解と御協力を得なければならないというような点がございまして、私ども調査はいたしておりますけれども、今後どういう計画で事業を推進するのだというようなことを申し上げる段階には至っていないというのが現在の状況でございます。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 西宮に在住されておりますところの松宮さんという人は、これは元関西電力の技師さんですけれども、この人が、十八年間、この円山川の余剰水を利用して、そして阪神間の方の水不足を補う、その間において電力発電所をつくる、この人のこういった分厚い松宮構想というのですがね、これを見ますと、一カ所は五十万キロ、あるいはまた二カ所目は五万キロですか、あるいは三カ所目は八千キロというような、非常に実地調査をして示唆に富んだ構想を出していらっしゃる。  私は、この構想を読み、また話を聞き、また、この人は、いま盛んに、豊岡市を中心にした市町村に、この余剰水を向こうに渡して、そして、それだけのメリットをこちらの方にもらうというような、まあ過疎地ですし、いろいろ説得もして、各市町村では話が非常に乗ってきたというわけです。これは政府がやることをこうしてこの人が一人で執念に燃えてやっておるわけでありますけれども、こういう開発こそローカルに任さずに国としてやっていかなければならぬではないか。その場合、縦割り行政というのが非常に悪いわけでして、建設省はただ川の管理だけだとか、あるいは国土庁に至っては、聞いてみると、県にまたがっている川だけ管理しているんだなんてきのうも言っておりましたけれども、何をやっているのかわからない。  したがって、通産大臣にも私は提案なんですが、こういう発電と河川の開発というものをまとめるところがなければ、これはうまくいかないと思うのです。あるいはまた両省において話し合って開発していく。特に兵庫県、阪神間におきましては、御承知のように、琵琶湖の水がもう非常に汚染されて将来非常に困るというようなときでありますから、余剰水であるこういった大切な資源がむだになっている、これを何とか両省で話し合って開発できるように、有効利用できるようにひとつ検討をいただきたい、こう思うのですが、これはひとつ大臣にお聞きしておきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 なかなか苦心をされた、苦労をされた御計画であるようでございますが、しかし具体的に実行しようとすればいろいろと問題もあるのじゃないか。縦割りの行政というだけではなくて、地元との関係等もあって、いろいろな問題も起こってくる可能性はあると思うわけでございますが、しかし今後、兵庫県における水の需給計画の策定に伴いまして、円山、市川両水系の治山治水、利水を含めた総合的な水資源開発計画が検討され、具体化した場合には、発電部門としてもこれに積極的に参加することを基本として発電計画をさらに検討し、水力エネルギーの有効利用を図っていきたい、こういうふうに考えております。いろいろの角度から検討はしてみなければならぬ、こういうふうにも思うわけです。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 大臣、その書いてもらったやつを読んだって、それはだめですよ。こっちが言うていることを聞いておってもらわぬといかぬですね。  これは、近畿地建では四十九年から兵庫県と共同で本格的な円山川導水路の予備調査を開始した。ことしも円山川総合開発調査費として一千二百万円を計上している。これは五十六年の報道でありますけれども、円山川導水路はまだ構想段階で原案も固まっていないというように報道をしておりますが、このときに大阪通産局の発電課の話では、採算に合わない、こういうようなことを言ってけ飛ばしておるようですね。ですから、この治水計画ができたら発電については積極的に取り組むというのではなくして、両省においてひとつ検討していただいて、そして、この開発を何とか物にできるように、いま行革の最中ですからなかなか大変だと思いますけれども、いまから両省において真剣に計画調査、これをやっていただいてちょうどいい時期になるのではないかと思うのです。したがって、いまのような答弁ではちょっと納得できないので、ひとつ建設大臣とも話してがんばっていただきたいと思うのですが、どうですか。

広瀬利雄建設省河川局開発課長

○広瀬説明員 先ほど御説明をさせていただきましたが、若干補足をさせていただきますと、先生いまお話しのございましたように、建設省としましては県と共同いたしまして、四十九年から引き続いて調査をいたしているわけでございます。その調査のいろいろの段階で構想が出てまいりますが、その段階におきまして、先生の御指摘もございますので、通産省の方とも非公式に……(岡本分科員「公式にやればいいんですよ」と呼ぶ)相談をさせていただきまして、できるだけ早く調査結果をまとめたい、かように思っております。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 きょうは、このくらいにしておきます。  最後に、これは四十六年、四十七年ごろに盛んに問題になったPCB問題なんですが、このPCBがいま兵庫県高砂市にある鐘淵化学の工場の中に約五万五千トン、液状のまま置いてあるわけです。この処理について、私たち委員会であるいはまた科学技術でもやりましたのですが、洋上焼却しかほかに方法がないだろうということで、いままで何遍か通産省の方で検討をいただいた。ところが、いまだにもってそのままになっておる。もう十年になる。これはそこに閉じ込めてあるからいいじゃないか、こういうことでありますけれども、何かがありますと、この市は大変なことになる。したがって、住民の皆さんあるいはまた周囲の方が非常に心配をしておる。一日も早くこの処理方法を見出して、それは処理するのは企業でありますけれども、この点についてどうなっているのか、明らかにしていただきたい。

神谷和男通商産業省立地公害局長

○神谷政府委員 御承知のように、政府の方といたしましてはこの洋上焼却方式——陸上焼却であるとか化学分解であるとかいろいろな方式もやはり並行して検討はしなければいけませんけれども、有力な方法の一つといたしましてこの方式についての技術上の問題点を検討をさせて、皆が納得した形での処理を促進したい、こういう観点から、産業公害防止協会に政府の方は委託をいたしまして、学識経験者等を中心にいろいろ検討を進めてまいっておるわけでございますが、他方、この洋上焼却を進めるに当たりましては、先生も御承知のバルカナス号の関連したいろいろのデータをどうしても入手したい、こういうことで従来いろいろアプローチしてまいりましたが、満足というよりもほとんどデータの入手がいままで行われていないという状況でございます。  他方、米国におきましては、昨年の十二月から世界で初めてのPCBの試験的な洋上焼却の計画をスタートさせておりまして、現在進めており、一部のデータをアメリカの環境庁に提出しておるというふうに聞いております。これが成功いたしますと、次は本格的焼却にいくわけでございますが、わが国ではアメリカにアプローチをいたしまして、現在アメリカで進めておる洋上試験焼却の結果得られたデータはできるだけ当方にいただきたい、こういうことを要請をいたしております。この試験焼却が終わりまして分析結果が出る時期は必ずしも確定はできませんが、この結果の得られるだけのデータはやはりいただきたい、外交チャネルを通じて申し入れておりますので、何らかのものが得られると思っておりますが、それらを踏まえて、再度学識経験者等にそのデータを含めて検討を願う、こういうことで進めたいというふうに考えておるところでございます。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本分科員 このPCBの製造を許可したのは通産省ですよ。まあこれは会社にも責任がありますけれどもね。したがって、これはやはり処理についてももっと熱心に、この委員会であるいはまた国会でやかましく言うて初めて動いているような感じがするのですね。十年間もほってあった。したがって、僕はひとつアメリカにも、向こうの大使館にも、これを扱っているのは環境庁ですか、ひとつ督励をして、一日も早くその結果を掌握して適切な焼却方法あるいは処理方法を示してやってもらいたい、これを特に要求いたしまして、きょうは終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて岡本富夫君の質疑は終了いたしました。  次に、栗田翠君。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 私、初めに国がつけています原発広報等安全対策交付金の使途について質問をさせていただきたいと思います。  この交付金は、五十五年、五十六年それぞれ八億円台が予算計上されておりますし、五十七年度予算でも八億九千九百万円が計上されていると思います。この使い道なんですけれども、交付規則に基づいて交付はされていますが、もっと使途について細目を定めているわけですか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 先生からお話のございました原子力発電の広報のための広報・安全等対策交付金でございますけれども、これは国が一般的に行います広報活動とあわせまして、実際に発電所のあります地域での都道府県ないしは関係市町村を対象にこの交付金が交付されているわけでございまして、これらの自治体が実施をいたします周辺住民に対する原子力発電に関する知識の普及とかまた安全対策等に関する費用について使わせるということにいたしております。  具体的な使途でございますが、これは交付要領その他に決まっておりますが、原子力発電に関する講演会の開催とかパンフレットの作成等の地元住民に対する広報活動、それからさらに、原子力発電所の安全性に関します情報収集、調査、それから連絡調整費、こういうもののための業務の費用に充てられるために各地域の実情に応じて使えるように関係都道府県、市町村等に交付するものでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 そうしますと、ある程度地域の実情に沿った裁量というのが許されると思うのですけれども、しかし、その裁量の範囲というのはやはり目的に沿ったものであるということですね。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 そのとおりでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 ところが、私が調査をいたしましたところ、どう考えてもこの交付金の大半が目的に沿わない使い方がされているのではないかという事実が出てまいりました。たとえば飲んだり食べたり、そういうところにかなり流用されているように思うわけでございます。  ここに静岡県浜岡原子力発電所周辺地域に対して出されている交付金がどう使われているかというその例を出したいと思いますが、たとえばこれは大東町でございます。五十五年度大東町、これは交付金額百七十万円出ています一それから、小笠町がやはり百七十万円出ておりますが、小笠町の場合、視察、研修等に九十二万二千五十円使われておりまして、これは交付金全体に対して五四・二%が視察、研修です。それから、相良町の場合には交付金額四百六十万円、それに対して三百十九万二千五百四十円、六九・九%が同じく視察、研修に使われているわけです。御前崎町、交付金額四百六十万、視察、研修二百九十三万七千三十円、六三・八%。それから、一番の現地であります浜岡町には千八百万出ておりますけれども、視察、研修に使われているのが千六百五十五万五千円、何と九一・九%は視察、研修に使われております。  ところで、一、二の例を挙げてみたいと思います。  これは小笠町が使った視察、研修の中身でございます。六十五万六千二百円、このときはその予算を使っているのですけれども、五十五年の二月十七日から二月十八日にかけて研修旅行をやっております。どういう行程で旅行をしているか。ここに全部日程表が出ているのですが、二月十七日の午前七時半小笠町役場を出発いたしました。菊川インターチェンジ、浜名湖サービスエリア、養老サービスエリアというふうにずっと行きまして、米原、そして敦賀へ参りました。敦賀で昼食を食べまして、目的であります敦賀の美浜原発の視察は十三時から十四時三十分、一時間半だけ視察をいたしました。続いて、敦賀インターチェンジから南条へ行き、加賀へ行って、この晩は何とまだ日も高い十六時四十分、加賀温泉郷に宿泊をしています。次の二月十八日朝、宿泊地を九時に出発、金沢西からずっとこう行きまして江戸村、ここで十時四十分から十一時三十分まで江戸村におりまして、次に兼六園公園、十二時十分から十三時三十分。金沢西のインターチェンジに戻り、養老から浜名湖サービスエリアというふうに通って小笠町役場に二十時着。六十五万六千二百円の交付金を使って二日間にわたって——町内会長などが動いているわけですけれども、原発の視察は一時間半、あと加賀温泉郷だとか兼六園公園だとか、二日にわたってずっと見て歩いている。まあ観光旅行というよりほかないと思うのですね。こういう実態がございます。  こういう動き方というのは目的にかなったものでしょうか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 いま先生御指摘になりました具体的な研修旅行の経費については私ども承知しておりませんけれども、一般に地元あるいは隣接市町村の方々が原子力発電所等に研修旅行に出かけられるということは、広報・安全等対策交付金をそれに充てるということにつきましては、私どもは適当と考えております。ただ、現実の使い方、これは、こういった金というのはそれぞれに市町村において予算に計上されるわけでございまして、その市町村が自主性を持ってその予算の執行をなさるということがございます。私は、いまの件につきましては、中身の実態はよくわかりませんけれども、一般的な旅行という意味におきましては妥当なものだと思いますけれども、いまおっしゃったような中身そのものがどうかと言われますと、もう少し中身を調べさせていただかないとちょっと御返事ができないというふうに考えます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 私はいま町が出しました旅程表そのものを読んだんですから、お調べになると言っても恐らくこのとおりに消化したであろうと思いますので、もう少し調べなければとおっしゃいますが、結局一時間半ちょこっと視察だけをして、後は主に観光旅行に多額の予算を使っているという点では問題だと思います。  もう一つ例を挙げます。これは現地である浜岡町なんですけれども、この浜岡町では各町内会の班長一人に一万円、それから各地区長、一地区当たり二十五万円出しておりまして、各町内会当たりでほぼ四十万円から五十万円のお金を出しているそうです。そして、それ以外に、ある町内会では、これは町内会の名前も私わかっておりますが、榛原町のホテル長尾に一泊して、この晩ここでどんちゃん騒ぎをやったそうです。そして、翌朝浜岡原発のPR館にちょっと寄って解散をしております。皆さんは余り地理がおわかりにならないかもしれませんけれども、この榛原町と申しますのは、浜岡町の隣の町なんです。自分の住んでいる町でないお隣の町へ行きまして、一泊して飲めや歌えをやりまして、翌日自分の町へ帰ってきて、自分の町の中にある浜岡原発のPR館をちらっと見て帰った、こういうことですね。  これもなかなか多額の予算を使っているようでございます。こういうのはいかがですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 浜岡町で町内の住民の電源地域調査のために、十五地区でございますが、それにいま先生御指摘のような約四十五万円という補助金が交付金の中から出されているということは、五十五年度の実績報告書の中で出てまいっております。私どもといたしましては、地元の住民の方々の原子力に関します知識の普及に資するという観点から、こういった交付金がいまおっしゃいましたような研修旅行に使われることは本来の交付金の趣旨に合致しているというふうに考えておりますけれども、その旅行の中身等につきましては、先ほどと同じようなことで、もう少し中身を調べさせていただかないと、問題だと思いますけれども、要するに、交付金の指針に著しく逸脱するようなものはやはりわれわれとしても何らかの措置は考えなければいかぬのじゃないか、そういうふうに思っています。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 調査をしなければとおっしゃいます。どうぞ御調査いただきたいと思いますけれども、いまのことが事実ならば、いかがですか。これは目的に沿っておりませんね。わざわざ隣の町へ行って一晩ホテルに泊まって大騒ぎをやって、翌日自分の町へ帰ってきてPR館を、ふだん見ているのですけれども、それをちょっと見て戻ってくるわけですから、主たる目的は夜の隣町のどんちゃん騒ぎが目的であって、自分の町でのPR館というのは一応これを使うためにつじつまを合わせたものだとしか考えられませんけれども、いかがですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 いま先生御指摘のように、一人当たりの金額等は小さいものでございますから、恐らくそのあとの部分がどこから出ているか。したがって、たとえば宿泊費等が個人持ちであるかもわかりませんし、もう一つは、先生は前のケースでも御指摘のように、確かに一時間半の見学は短いじゃないかというお話もございましたが、単に施設を見学するというだけでなくて、いろいろな意見交換をしたり情報交換をする、そういうこともこうした研修旅行を催しました一つの意義になっておりますので、その辺も含めて総合的に判断する必要があるかと思います。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 誤解をしていらっしゃるようですが、最初出ていたお金というのは別です。それはそういうふうに分けている。それ以外にこういうことをやっている。これは全部交付金の中でやっているのですよ。ですから、話し合いとおっしゃいますけれども、事実は飲んだり食べたりですから、話し合っている暇もない。しかも、隣の町へ行って話し合うごとはないじゃありませんか。そういうことなんです。いまいろいろ慎重に答えていらっしゃいますけれども、私はこれは目的に沿ってないと思いますね、もっと本当の意味での研修をするのならいいけれども。しかも、浜岡町の場合には研修旅行が九一%占めていて、本当の広報的な活動としての文書類などは五%ぐらいしか使ってないわけです。これは他の町でもそうです。いま行革ということが言われていて、予算の節減をしなければならないと言われています。その血税が使われている中で、こういう形で予算が消費され、しかも原子力発電所が安全ではないのではないかという声を抑えるためのお金に使われていくのだとすれば、これは問題だと思います。  いかがでしょうか、大臣、これをお聞きになってどうお考えになるのか。静岡だけではないようです。直ちに調査なさるべきだと思いますが、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 お話を聞いてみまして、その中でどれだけどの部分が交付金なのか、調査しなければはっきりわからぬ面もあるのじゃないかと思います。中にはやはり多少行き過ぎの面もあるかもしれませんけれども、しかし全体的には予算はそれぞれ有効に目的に従ってほとんど使われておるのじゃないか、こういうように判断しております。しかし、政府としても全体的にいろいろな面で調査する必要もあるかと考えております。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 ぜひ調査していただきたいのですが、なかなかそういう使われ方はしていないということだと私は思っております。  それでは、時間がありませんので次の問題に移りますけれども、清水市の三保の真崎というところ、元日本軽金属のあった敷地の跡にいま中部電力が火力発電所を設置する予定でいろいろ準備を進めております。通産省としては、まだ火力発電所施設計画書なども提出されていないということで具体的な計画は御存じないと思います。しかし、清水市に対しては一応電源立地促進調査補助金を出していらっしゃるようですから、清水市にこういうものができるということは御存じだと思いますけれども、いかがですか。

小松国男資源エネルギー庁長官

○小松政府委員 そういう計画があるということは聞いております。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 いま住民などに対しても中電がバスで他のLNG基地を見させたりいろいろなことをやっておりまして、そういう動きが盛んになってきているわけですね。  ところで、この場所についていろいろな住民の不安が出ています。まず、人家に非常に近い。二百メートルぐらいしか離れておりません。それから、敷地と塀一つ隔てて工場がありまして、七、八百人くらいの人が働いている三保造船というのがあります。それから、危険物を製造している三井フロロケミカルだとか清水火力発電所もありますし、日本軽金属のタンク群なども周りにあるというこういう地域でございます。  ところで、こういうLNGタンクの安全問題については電気事業法によって決められているというふうに聞いておりますけれども、タンクの保安距離、特に学校のような第一種保全物件とか人家、第二種保全物件などとの距離はどんなふうになっておりますか。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 ただいまの清水の御質問でございます。  私ども、計画はあるやに聞いておりますけれども、果たしてLNGになるものやらあるいは石炭になるものやら、あるいはそのほかのものかということはまだ存じておりませんで、恐らく具体的な計画が固まった段階で許可申請あるいは認可申請というかっこうになってこようかと存じます。そのプロセスに応じまして、私どもは特に安全問題は厳正に審査してまいるつもりでございますが、ただいま一般論としての御質問という理解でお答えいたしたいと思います。  御質問の保安距離でございますけれども、御存じのように、LNGあるいは石油等におきましては、貯槽と敷地境界までの離隔距離、これは人的な被害とかあるいは重大な物的被害を防止する目的で定められるものでございますが、発電所につきましては技術基準に定めが一つございます。これにつきましては、高圧ガス取締法の一般高圧ガス保安規則と同一の基準を定めておるところでございます。さらに、近年、新たな工学的な知見が蓄積されますのに伴いまして、評価方法等につきましても新たな提案がなされておりまして、これらも十分勉強いたしておりまして、これによる評価も行い得ますように、通達等によりまして、さらに、この保安距離の強化を通達でもって決めておりまして、業界、事業者をそういう指導通達によりまして指導してまいっておるところでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 時間が少ないので、ぜひ端的にお答えいただきたいと思いますが、いま私の聞いていますところでは、ここに置かれるLNGのタンクは七・五万キロリットルのもの四基というふうに聞いています。たとえば七・五万キロリットルといいますと、これは目方に直すと三万キログラムぐらいだと思いますが、そのぐらいのLNGタンクがあった場合、じゃ人家との距離は、また、その第一種の保全物件との距離はどのくらいですか、その点だけをお答えください。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 先ほどお答えしました指導通達によりまして、約百八十メートルになろうかと思います。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 百八十メートル、そうですか、私がちょっと持っていたものよりは長いように思いますが、いまの百八十メートルは第一種ですか、第二種ですか。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 これを決めておりますのは、若干技術的な詳細な式によって決めております。お時間があればお答えしてもよろしゅうございますが、主としてタンクの容量、それからガスの種類、温度等によっていろんな係数が変わります。それによって算定されます離隔距離でございます。御質問の、LNGであって、七・五万キロリットルの場合には、百八十メートルになるということでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 石油類、たとえばガソリンなどは消防法で決まっていると思いますけれども、ガソリンタンクの場合・同じぐらいの容量のタンクで保安距離はどのくらいかということと、それからガソリンとLNGの場合ですね、たとえば漏れ出して火がついたりしたときにはどちらが危険なのかという、いわゆる物性といいますか、それぞれの性質などもちょっとあわせてお答えいただきたい。

藤田康夫消防庁危険物規制課長

○藤田説明員 石油タンクについてのお尋ねでございますが、まずは保安物件に対する保安距離でございますが、住宅等につきましては十メートル、こういうことになっております。  なお、敷地内の距離でございますが、これは引火点によって相違がございまして、原則によりますと、タンクの直径の一・八から一・〇までということになっております。  それから、物性についてのお尋ねでございます。ガソリンにつきましては、常温で液体でございまして、蒸気密度は三ないし四でございまして、比重が〇・七から〇・八でございます。したがいまして、蒸気は空気より重く、液状では水より軽い、こういう性質を持っておるわけでございます。引火点はマイナスの四十三度、着火温度は約三百度でございます。それから、発熱量でございますが、キログラム当たり一万から一万二千キロとなっておるところでございます。  LNGにつきましては、通産省の方からお答えいただきたいと思います。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 LNGにつきましては、先ほどお話ししたとおりでございまして、これは電気事業法あるいは高圧ガス取締法等いろいろございますが、先ほど申し上げましたように、離隔距離は、ガスの種額及び温度によって決まる値、それからタンクの容量等によりまして一定の式がございます。その式によりまして個別に決めていくわけでございます。御質問の約八万キロリットル相当でございますと、約百八十メートルになるということでございまして、第一種、第二種というような区別は特にいたしておりません。LNGであれば、そういう式であるということでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 保全物件について一種、二種があるはずです。  それから、伺ったのは、いま物性について伺っておりますので時間がありませんから、余り別のお答えされますと、私、時間がなくなって困っているんですけれども、結構でございます。  LNGは、マイナス百六十二度で貯蔵されますから、非常に冷たい温度で、ちょっとでも万一外の熱が入ったときには、すぐ沸点に達してしまうという大変なものでありますし、そういう意味では慎重に扱われなければいけないし、それから燃焼速度というのはガソリンの何十倍という速度だということも言われておりますし、貯蔵、運搬がきわめて大量だ、そういう意味ではガソリンに比べても十二分に安全を期さなければならないものだというふうに私は理解しております。ここに、日本学術会議の「先見性のある科学・技術政策の確立のために」という本がございますけれども、これは一九八〇年十二月に出されていますけれども、これを見ましても、LNGの事故は、大量のLNG海上流出は人類の未経験の問題であり、地上で事故が起これば大惨事となる、うかつにまだ扱うべきではないということが書かれているわけです。それから、さっきもお話が出ておりましたけれども、まだまだ十分な研究というのがされていないのがLNGだということ、それは今後も改善をしていくということをおっしゃっておりましたけれども、アメリカのカリフォルニアの州議会では、一九七七年の九月に、LNG基地の条件として非常に厳しい条件を決めております。基地を、候補地の中で最も人口の少ない地点とする、緩衝地帯を設ける、それは基地周辺一マイル以内は人口十人、一平方マイルに対して十人、それから四マイル以内は人口六十人ということなんですね。ところが、この四マイルぐらいになりますと、清水市ですと二十四万都市のほとんど中心地全域にわたってしまいまして、六十人と二十四万人という違いが、カリフォルニアの場合と清水市の立地という場合で出てくるわけですね。こういう大きな違いがあるということ。ですから、非常に慎重に扱っていかなければならないし、いま清水市のような人口密集地にこういうものをつくるということについて、私たちは大変危惧をしているわけです。  残念ながら時間がなくなってまいりました。もう一つ、住民が心配しているのは耐震設計の問題です。  これは、東海大地震が言われている静岡県の、しかも地盤の最も軟弱な地域が清水市でございまして、特に三保の真崎というところは、過去のいろいろな地震のたびに地盤が隆起したり、また沈下したり、それを繰り返していたところです。宝永の大地震のときには、三保の真崎で約千メートルにわたって陥没をした、三尺から四尺ぐらいの周りのある太い松の木が沈んでしまって、海の中からこずえだけしか見えなかったという記録が古文書にあります。安政の大地震のときには、貝島江湖地域一帯が隆起して、真崎は再び陥没をした、吹合は百二十メートルも陥没をしたという古文書の記録があるのですが、まさにこういう地盤の変動のあるところ、それがいま予定地とされている三保の地域なんですね。  それともう一つは、大きな地震が来るということで、こういう地盤の問題ばかりでなく、津波の問題があります。  それからもう一つ、そもそもの耐震設計がどうなっているだろうか、これが非常に大きな問題になっているわけです。私、時間がないので申しますから、そのとおりならその芝おりだとおっしゃっていただきたいのですけれども、きのう、LNGタンクの耐震設計についてのガイドラインに準ずるものをいただきまして、計算をさせていただきました。この三保の地域というのは、いま言ったような地盤、それから、その他についても最も危険な地域ですので、こういう立場に立って計算をしてまいりますと、まずLNGというものの重要度が一番高い。それから、地域区分は特Aに当たる。それから、地盤は埋立地で第四種地盤に当たる。どれも最悪の条件になっておりまして、これを計算式に合わせていきますと、大体地震が来たときの水平加速度は三百ガルで計算されている。垂直の加速度は百五十ガルで計算されているというのがこれを見ての私の計算ですが、そのとおりでございますか、お答えだけ端的にお願いします。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 すでに御存じのように、その地域によって起こり得る最大の地震を前提にして計算するわけでございますが、現在どういう地震を想定して、想定地震として、あるいは設計地震動としてやるかということにつきましては、審査の段階で決まる問題でございまして、現在そういうことについてお答えできる立場にございません。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 そうしますと、いま中電側が安全基準に沿って建設の計画もいろいろ立てているわけですけれども、審査のために書類などが出てくると思います。その審査をなさるときの審査の通産省側の基準はどれをお使いになるわけですか。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 一般論でお答えいたしますと、まず一般的な耐震設計についての基準がございます。それと同時に、その地域で過去にどういうような地震があったか、最大地震があったかということを詳細に、歴史地震も含めまして、あるいは直下地震も含めまして、そして、どういう地震動をとろうかということを決めるわけでございます。それにつきましては、浜岡発電所の例で先生は御存じかと存じます。途中で地震動が変わりました。そういうことでございまして、現在決められない、こういうことでございまして、中部電力からどう言っているか知りませんけれども、申請の段階で詳しく審査いたします。  もう一つ、アメリカのカリフォルニアの例が出ましたけれども、私は、日本は日本の技術の進歩、信頼性をベースにして、日本として最適の基準を考えてまいりたい。アメリカ追従型でなくて、日本の技術とそれから環境、そういうものを総合して独自に判断してまいるのが私たちの仕事かと存じております。それと同時に、先生御指摘のように、安全は、特にLNGに限らず、ああいう爆発物は安全が第一でございますので、もちろん慎重に審査していくということはおっしゃるとおりでございます。

栗田翠日本共産党

○栗田分科員 一言だけ最後に言わせていただきますけれども、まだ直下型地震の震源地の真上にある場所の地震動というのは、研究の中で正確にとらえられた例がないということが言われておりまして、浜岡原発の場合でも、私は去年それを取り上げましたけれども、地震予知連の会長を前にしていらした萩原先生なども、二十キロ離れたところまでの記録はあるけれども、真上の記録はない、そして千ガルぐらいの地震の加速度が起きている例もあるわけであって、いまの研究の状態では、とうていどんなものが起きるかわからないから、そういうところに危険なものをつくるべきではないということをおっしゃっているわけですね。ですから、いま場所によって適切にやっていくというふうにおっしゃいましたけれども、そういう記録というものがまだないということをひとつ申し上げたいと思いますし、何よりも、地震による被害率九三%と県なども想定している、そういうところにこういう危険なものをつくらせるべきではない。住民の安全のためにはまずそういう立場で処理をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。そのことだけお答えをいただいて、終わります。

高橋宏資源エネルギー庁長官官房審議官

○高橋(宏)政府委員 具体的な計画が電気事業者から申請がございました段階で、安全につきましては十分慎重に審査して処置してまいりたいと考えます。

武藤嘉文自由民主党

○武藤主査 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る三月一日午前九時三十分より開会し、農林水産省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四分散会

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