予算委員会第四分科会 第1号
- 発言数
- 136 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/02/26
会議録
○武藤主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いを申し上げます。 本分科会は、総理府所管中経済企画庁並びに農林水産省及び通商産業省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省庁所管事項の説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 昭和五十七年度農林水産関係予算について、その概要を御説明申し上げます。 各位の御協力を得て御審議いただくに当たりまして、予算の基礎となっております農林水産施策の基本方針について御説明を申し上げます。 言うまでもなく、農林水産業は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食料の安定供給を初め、健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全などの重要な役割りを担っており、わが国経済社会の発展と国民生活の安定を図っていくためには、農林水産業の着実な発展を図ることが不可欠であります。 翻って、今日のわが国農林水産業をめぐる内外の状況を見ますと、食料消費や木材需要の伸び悩み、土地利用型農業部門の規模拡大や林業生産活動の停滞、就業者の高齢化の進行、農村社会における連帯感の希薄化、燃油価格の上昇による漁業経営問題などに加え、米国、EC諸国等からの市場開放要求の強まりなどその環境は一段と厳しいものとなっております。 このような状況にかんがみ、私は、農林水産業に課せられた役割りが着実かつ効率的に果たされることを基本とし、「八〇年代の農政の基本方向」と「農産物の需要と生産の長期見通し」を踏まえ、長期的展望に立って、各般の施策の積極的な展開に努め、総合的な食料自給力の維持強化と国民生活の安定を図ってまいる所存であります。 そこで、昭和五十七年度の主な農林水産施策について申し上げます。 第一に、農業につきましては、需要の動向に応じつつ生産性の向上が図られるよう、地域の自主性と活力を基盤とした総合的な生産対策等を推進するため、新たに新地域農業生産総合振興対策、畜産総合対策を実施することとし、経営規模の拡大等構造政策と相まって、中核農家等を中心とした地域農業生産体制の整備を図ることとしております。 また、農業の体質を強化する上で不可欠な農業技術の開発普及、統計情報の整備に努めるとともに、水田利用再編第二期対策の着実な推進、水田の汎用化、畑作の振興等に重点を置いた農業基盤の整備を図ることとしております。 さらに、農林漁業を基盤とする住みよい農山漁村を建設するため、総合的な環境の整備と地域社会づくりについての住民の合意形成を促進するとともに、農林漁業者の福祉の向上に努めることとしております。 また、価格対策、食品産業対策、流通消費対策の充実とあわせて、米等わが国の風土に適した食料を中心とした日本型食生活の定着を図るほか、備蓄対策の推進、開発途上国等に対する農業開発協力の促進に努めることとしております。 第二に、林業につきましては、国内林業の振興と森林の公益的機能の発揮とを調和させつつ、森林、林業施策を推進することとし、林業生産基盤の整備、治山事業の推進、間伐対策、松くい虫対策の充実に努めるとともに、木材不況の深刻化等に対処した木材産業の再編整備、林家の定住促進のための総合的な集落振興対策を推進することとしております。 第三に、水産業につきましては、二百海里時代の本格的な到来、燃油価格の上昇等の情勢に対処して漁業生産構造の再編整備を推進するため、漁業者等の負債整理のための資金を設ける等漁業経営対策を拡充するとともに、沿岸漁場や漁港の整備、栽培漁業の推進等によりわが国周辺水域の漁業の振興を図ることとしております。 以上申し上げました農林水産施策の推進を図るため、昭和五十七年度農林水産関係予算の充実に努めた次第であります。 昭和五十七年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めて三兆七千十億円で、対前年比〇・二%、八十五億円の増加となっております。 本予算におきましては、財政再建と行政改革の推進の方向に即し、予算のより重点的かつ適切な配分、補助金等の統合メニュー化等を図りつつ、農林水産行政を着実に展開するよう努めたところであります。 以下、この農林水産関係予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして説明を省略させていただきたいと思います。 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○武藤主査 この際、お諮りをいたします。 ただいま田澤農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略をいたしまして、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔田澤国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、予算の重点事項について御説明いたします。(生産性の向上を基本とする地域農業の展開) 第一に、生産性の向上を基本とした地域農業を展開するための予算について申し上げます。 需要の動向に応じた農業生産の再編成を行いつつ、農業の生産性の向上を図るためには、地域の自主性と活力を基盤とした総合的な生産対策等を推進する必要があります。 このため、従来各作目ごとに行われてきた生産対策等を統合メニュー化し、耕種部門につきましては新地域農業生産総合振興対策として、畜産部門につきましては畜産総合対策として実施することとし、生産性の向上の促進等を図ることとしております。 また、中核農家や生産集団を育成し、これらを中心とした地域農業生産体制の整備を図るため、農村地域農政総合推進事業を引き続き推進するとともに、地域ぐるみで農業の再編整備が図られるよう、地域農業再編整備資金の拡充を図ることとし、七百億円の貸付枠を予定しております。 さらに、中核農家の経営規模の拡大等農業構造の改善を促進するため、農用地利用増進事業に積極的に取り組もうとする地区において、作付地の集団化、農作業の効率化、農用地の利用関係の改善等を図る農用地利用増進特別対策事業について八十一億円を計上するとともに、新農業構造改善事業、農地保有合理化促進対策等を引き続き推進することとしております。 (農業技術の開発普及と統計情報の整備) 第二に、食料の安定供給、農業の生産性の向上等を図るために必要な農業技術の開発を長期的視点に立って積極的に推進するとともに、新技術の普及指導、統計情報の整備に努めることとしております。 このため、細胞融合、核移植等により新生物、新品種を創出するための技術開発に着手するとともに、転換畑作技術の高度化、超多収作物の開発等を推進するほか、畜産新技術、省エネルギー技術等の実用化の促進に努めることとしております。 また、普及事業をさらに効果的、効率的に推進するため、地域への一層の密着を主眼とした指導、情報活動の充実等を内容とした新普及システム推進事業を新たに実施することとしております。 さらに、地域統計情報を含め、生産、流通、消費の各分野にわたる統計情報の整備に努めるとともに、統計情報ネットワークの整備等を通じその活用を図ることとしております。 (農業生産基盤の整備) 第三に、農業生産基盤の整備であります。 農業生産の基礎的条件である農業生産基盤の整備につきましては、需要の動向に即した農業生産の再編成等現下の農業を取り巻く諸情勢に対応して、排水対策等水田の汎用化のための事業、畑作振興のための事業等に重点を置いて推進することとし、前年度とほぼ同額の八千九百九十七億円を計上しております。 なお、事業の実施に当たっては、今日の厳しい財政事情の下で事業効果の早期発現を期するため、新規事業を極力抑制し、継続事業の着実な推進を図ることとしております。 (需要の動向に応じた農業生産対策等) 第四に、農業生産対策等につきましては、地域の特性を踏まえつつ、需要の動向に応じて実施することが肝要であり、水田利用再編対策につきましては、第二期の枠組みの下で着実かつ的確に実施することとし、奨励補助金等として三千五百億円を計上しております。 また、麦、大豆、果樹、野菜等の農産物につきましては、生産性の向上を一層促進するため、先ほど申し上げました新地域農業生産総合振興対策を実施することとし、六百二十八億円を計上しております。 畜産部門につきましては、地域の特性を反映させつつ、生産から流通、消費に至る各種事業が総合的に実施できるよう畜産総合対策を実施することとし、三百五十二億円を計上しております。 なお、これらの生産対策等とあわせて、各種農産物の価格の安定、飼料穀物、大豆の備蓄量の確保等を図ることとしております。 (住みよい農山漁村の建設と福祉の向上) 第五に、農林漁業を基盤とする住みよい農山漁村を建設するため、生産基盤と生活基盤の一体的な整備を推進するとともに、地域住民の福祉の向上に努めることとしております。 このため、地域の特性に応じた住民の自主的な共同活動を推進するとともに、農村総合整備事業、農村地域定住促進対策事業、第三期山村振興農林漁業対策事業等の推進を図るほか、農業者年金の充実等に努めることとしております。 (食品産業対策、流通消費対策の充実) 第六に、食料品に対する需要の多様化に対応して、農産物等を適正な価格で安定的に供給するため、生産対策、価格対策等とあわせて、食品産業対策、流通消費対策の充実に努めることとしております。 このため、食品産業の一層の近代化を進めることとし、中長期の展望に立った食品産業政策の課題について検討を進めるとともに、食品産業の技術水準の向上を図ることとしております。 また、卸売市場の計画的整備、小売業の近代化、流通情報の活用等により食品流通の効率化を推進するとともに、JAS制度の充実、食生活改善のための消費者の啓発に努めることとしております。 さらに、国民の栄養バランスの保持、総合的な食料自給力の維持等の観点から、米等わが国の風土に適した基本食料を中心とした日本型食生活の定着促進を図ることとしております。 (国際協力の推進等) 第七に、開発途上国等における農業開発の重要性にかんがみ、農業開発協力を一層推進することとしております。 このため、国際協力事業団等を通じた調査、指導、資金の融通等を行うとともに、最近の協力案件の増大、大規模化等に対応して、農用地開発公団の活用を図ることとしております。 以上申し上げましたほか、農業金融の充実、農業災害補償制度の円滑な運営等により、農業経営の安定を図ることとしております。 (森林、林業施策の充実) 第八に、森林、林業施策に関する予算について申し上げます。 林業につきましては、国内林業の振興と森林の公益的機能の発揮とを調和させつつ、森林、林業施策を推進することとしております。 まず、林道及び造林事業につきましては、一千二百五十一億円を計上し、林業生産基盤の整備を進めるとともに、治山事業につきましては、新たに第六次治山事業五カ年計画を策定し、その計画的推進を図ることとしております。 また、木材不況の深刻化等に対処して新たに木材産業の再編整備を図るための低利融資を行うことを目的とした基金造成等の措置を講ずるとともに、林家の定住促進のため特用林産振興を主体とした総合的な集落振興対策を推進することとしております。 さらに、間伐対策の充実を図るほか、松くい虫対策につきましては、新たに被害木の特別伐倒駆除を実施する等により、総合的、計画的な対策を講ずることとしております。 このほか、新林業構造改善事業、林業の担い手対策、木材需給の安定対策等の推進を図ることとしております。 (水産業の振興) 第九に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。 水産業につきましては、二百海里時代の本格的到来、燃油価格の上昇等の厳しい情勢に対処して、わが国水産業の振興と水産物の安定供給を確保する必要があります。 このため、漁業生産構造の再編整備を推進することとし、新たに長期低利の負債整理資金を設ける等漁業経営安定対策を拡充することとしております。 次に、わが国周辺水域の漁業の振興を図るため、沿岸漁業構造改善事業、栽培漁業振興対策等を引き続き実施するほか、新たに第二次沿岸漁場整備開発計画を策定する等沿岸漁場整備開発事業の推進を図ることとしております。 また、漁港施設につきましては、新たに第七次漁港整備長期計画を策定してその整備を促進することとし、五十七年度は一千六百五十三億円を計上しております。 さらに、水産物の鮮度等を表示し、これを消費段階において保証するシステムの開発等水産物の消費拡大と流通改善対策を推進するとともに、引き続き水産物の価格安定対策を講ずることとしております。 このほか、漁業災害補償制度について対象の拡大等を図るとともに、漁業共済事業に係る不足金対策を講ずることとしております。 (特別会計予算) 次に、特別会計予算について御説明いたします。 まず、食糧管理特別会計につきましては、米の消費拡大やモチ米の需給安定を図るほか、本年四月から米の政府売り渡し価格の改定措置を講ずる等食糧管理制度の運営の改善に努めることとし、一般会計から調整勘定への繰入額を四千九百八十億円に減額したところであります。 また、五十四年度から計画的に実施している過剰米の処分に要する経費として、一般会計から国内米管理勘定へ一千四百二十一億円を繰り入れることとしております。 国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の経営改善を計画的に推進することとし、事業運営の改善合理化等の自主的努力とあわせて、国有林野における造林、林道事業に対する一般会計からの繰り入れを行うほか、財政投融資資金の導入の拡大を図ることとしております。 このほか、農業共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。 (財政投融資計画) 最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等による総額八千四百九億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。 これをもちまして、昭和五十七年度農林水産関係予算の概要の説明を終わります。 —————————————
○武藤主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○武藤主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げます。 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願い申し上げます。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
○関分科員 私は、これまで何度もイカの流し網漁船の取り締まりについて取り上げてまいりました。今度の予算の審議に当たりましても、やはり同様にこの問題についてただしたいし、また、物によっては大臣にも見解をただしたい、こう思います。 まず第一に、規制区域の中で操業することは適当ではないというしばしばの方針、警告にもかかわらず、規制区域の中で平然と操業が行われておる。イカの流し網漁船に対してどういう措置をとるつもりでおるかというのが一つございますが、その前に、これらの東経百七十度以東、そうして北緯二十度以南、ここには自由に出入りをすることができるというので、流し網の諸君たちは行ける。行けるわけだけれども、行くと称して、実態はこの規制区域の中で平然と操業しておる。ですから、基本的にはこのイカの流し網漁船というものを全面的に禁止することが必要であろうとこれまで再々述べてきました。ところが、水産庁においても政府においても、これらの許可隻数を取り締まるどころか、隻数を非常に増加しておる。ことしもまたさらに増加する傾向になるのではないだろうか、こう思うのです。これは明日が締め切りのようでございますが、その見通しはどの辺にあるかということも伺っておきますし、これらのものをふやす理由はない、縮小すべきである、私はこう思うのです。そういう意味において、イカの流し網漁船を規制することがどこまで可能か、規制できると思っているのか、規制の方法についてもどういう態度で臨むつもりであるのか。 その前に、およそ五百四十隻とか言われますけれども、それらの隻数、それからトン数別の隻数、県名別の隻数と明示していただきたい。実はこれは手元にメモぐらいは届くだろうと思っていままで待ったのだけれども、全然持ってくるわけでもないので、まことに残念に思います。これに余り時間をかけたくないのですけれども、そして県別に対して、どうしてそういうふうになってきているのかということもあわせてお答えいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 お答えを申し上げます。 イカの流し網漁業につきましては、多数の漁船が活動する日本近海で操業いたします場合にはイカ釣り漁業等との競合が問題になりますので、ただいま先生お話しになりましたように、操業区域を東経百七十度の線から以東の海域に限定いたしまして、イカ釣り漁船の主たる操業区域である日本近海からできるだけ切り離すということをいたしてまいったわけでございます。しかしながら、昨年におきましては、御指摘のように、本来入るべからざる百七十度以西の海域におきまして違反があったことは事実でありまして、私も十分覚えておりますが、昨年の十月に多くの漁民の方々が水産庁にもおいでになりまして衷情をお訴えになったことは十分頭の中に入っておる次第でございます。このようなことで、私ども今後ともこのような違反を繰り返さないようにということを十分指導徹底してまいりたいというふうに考えているわけでございます。 ただいまお尋ねのイカの流し網の承認隻数でございますけれども、昭和五十六年承認が五百三十四隻でございまして、これは五十七年度ふやすつもりはございません。それから、県別の内容につきましては、北海道が二百三隻、青森県六十一隻、岩手県六十九隻、宮城県七十一隻、福島県三十八隻、その他九十二隻でございまして、その内容はおおむね各道県の実績によってこれが承認をいたした次第でございます。 なお、これが今後の取り締まり方法につきましてはさらにお尋ねがあろうかと思いますが、私どもといたしましては違反防止の指導の徹底、それから総トン数百トン以上の船舶への移行の指導強化、効果的な取り締まり指導を総合的に行いまして、今後とも厳正にこの区域を遵守するように指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○関分科員 トン数別のお答えありませんので、いただきます。
○松浦(昭)政府委員 トン数別は、五十トン以上百トン未満三百七十一隻、百トン以上五百トン未満百六十三隻でございます。
○関分科員 この百トン未満の船が九月、十月、十一月等の言うなれば暴風圏に属する期間と申しましょうか、非常に操業上危険な時点に当たっているのですが、そういう時点でもこういうような船が行って差し支えない、こうお考えですか。
○松浦(昭)政府委員 イカ流しの操業区域は、先ほども申しましたように、東経百七十度の線の以東でございますので、これはかなり遠隔な水域であるということは事実でございます。また同時に、この操業区域はかなり荒天の際にはしけるということもよく存じておりまして、でき得れば百トン未満の船舶については余りこの操業区域では操業をしない方がいいのではないかという気持ちを私は持っております。このような船舶がこういう遠隔の水域に参りますと荒天時にはどうしても沿岸に寄りがちである、そのために違反も起こしやすいということもわかっております。ただ、この制度をつくりました際には各関係業界の調整も踏まえまして、百トン未満の船舶が相当おったものでございますから、そこで一挙に総トン数百トン以上ということを決めますことはなかなかむずかしい事態でございましたので、このような方々の面も配慮いたしまして、実は経過的に当分の間操業を認めるということにしたわけでございます。しかし、水産庁といたしましては先ほども申しましたように百トン未満の船につきましては種々問題があることは重々承知しておりますので、五十七年度のイカ流し網の承認につきましても早急に総トン数百トン以上にするようにということで指導するつもりでございますし、また全国イカ流しの協会に対しましてもこの趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○関分科員 そうしますと、ことしは百トン未満の船は九月以降の操業については規制する、こういう御方針ですか。
○松浦(昭)政府委員 直ちに五十七年度に全船百トン以上にするということはなかなか困難であると思いますが、その指導の要領の中でできるだけ百トン以上にするようにということで強力に指導したいというふうに考えております。
○関分科員 それは大変結構なことだ、こう思います。ぜひひとつその線は強化していただきたい、こう思います。 そこで、これまでの違反船の取り締まりの状況、結果、内容、この点については水産庁の方からと海上保安庁の方からと両方からいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 まず、水産庁の方から申し上げますが、イカ流しの漁業の違反船につきましては、これが違反の防止に強力に当たりまして、水産庁といたしましても監視船の増隻をいたしますと同時に、海上保安庁の方にお願いいたしまして巡視船にも十分な取り締まりをしていただきまして、また航空機等の利用によりますところの監視もいたしまして、現状といたしましては、水産庁で検挙いたしました違反船は昭和五十六年五隻、累計で五十年以降二十四隻となっております。それから、北海道庁がかつて二隻つかまえたことがございます。なお、海上保安庁の方は後で御答弁があるかと思いますが、五十六年に二十二隻、計七十七隻でございまして、検挙件数が全体で五十六年二十七隻、総計で百三隻ということになっております。
○野呂説明員 海上保安庁の取り締まりについて御答弁申し上げます。 海上保安庁のイカ流し漁業取り締まりにつきましては、太平洋海域における虞犯帯域に機動力のすぐれましたヘリコプター搭載型巡視船を配備するほか、入港漁船の立入検査の強化を図りまして違反船の摘発検挙に努めております。その結果、先ほどお話のありましたとおり、水産庁から引き継ぎを受けましたものを含めまして昭和五十六年中に二十七隻の違反船を検挙いたしております。今後もヘリコプター搭載型巡視船を主力といたしまして海、空よりの取り締まり、それから違反船の情報収集に努め、なお一層の取り締まりの強化を図ってまいりたい、かように考えております。
○関分科員 取り締まりをして処分をするという場合にどういう処分の内容で終わっているか御報告いただきます。
○松浦(昭)政府委員 従来処分をいたしました状況でございますが、昭和五十四年から申し上げますと、水産庁で停泊二十日の行政処分をいたしましたのは二十二隻でございます。これは五十四年に検挙した漁船について処分いたしております。五十五年は二十日間の停泊処分をしておりまして、これが十九隻。なお、より重い処分をいたしましたのが停泊三十日というのが一隻ございます。この二十隻は五十四年に検挙した漁船でございます。それから、五十六年は八隻、停泊二十日間の行政処分をいたしております。この八隻は五十五年に検挙した漁船でございます。なお、五十五年の一部及び五十六年の検挙漁船については今後行政処分を行うという予定でございます。
○関分科員 とにかく東経百七十度以東ということになりますと二千六百キロ以上の遠いかなたです。私ども青森県の陸奥湾の中でも密漁船がときどきありまして、これを取り締まろうとしてもなかなかむずかしいことは御承知のことかと思います。ましてやこの広い海域、そして遠い地域でありますから、取り締まろうったってなかなかむずかしかろうと思う。それで、これらの許可された五百四十隻というものがどのような実績を上げておられるのでしょうか、一隻どのくらいイカをとってきているのでありましょうか、そして、それぞれ五百四十隻がどのような活動日数をお持ちになっておるのでしょうか、このお調べがございますか。
○松浦(昭)政府委員 実は、承認漁業にいたしましたのは去年の八月からなものですから、まだ実績が出ておりません。出ました場合には、御要望によりましてお答えいたしたいというふうに思っております。
○関分科員 どうして報告ができないのですか。報告がないから調べようがないということですか。大体のことはどのくらいだということが言えませんか。
○松浦(昭)政府委員 漁獲報告の成績がばらばらと上がってきておりますので、確実な数字を申し上げられないということを申したわけでございますが、大体私どもの感じでは全体で、五百三十四隻で八万トンくらいの漁獲を上げているのではないかというふうに考えております。ですから、大体百五十トン前後、そんなものだろうと思います。
○関分科員 操業は十一月で終わっているのじゃないですか、どうなんですか。
○松浦(昭)政府委員 これは十一月で終わっております。
○関分科員 それで、私は、それぞれの流し網漁業の諸君にどれだけの活動をしたか、どれだけの操業をしたか、どれだけの運航をしたか、このトータルをひとつ早急に出していただきたいし、単に八万トンを五百で割って百五十トンだという御報告では資料にも何にもなりません。私がこんなことを質問するのは、許可はいただいているけれども、実際にその海域まで出ているということになりますとそんなにないであろう、名目はとっておるけれども実質はなかなかそうでもないんじゃないだろうか、こう思うことがあります。 それから、この許可を受けた船というものは、その地域に行ってイカをとるだけじゃなくてサケまでもとっているんじゃないだろうかということが言われておりますが、そういう混獲の傾向はあり得ませんか。
○松浦(昭)政府委員 そのようなうわさは耳にしたことがございますが、実際上はそのようなことはないというふうに承知しております。
○関分科員 とにかく青森県のイカ釣り漁業者の諸君たちは、イカを釣るにも流し網の網が邪魔になってとても仕事にならない、何とかひとつ目の前で違反行為をしている船をいい方法で片づけることができないでしょうか、こう言うわけであります。あなた方の方は、通知さえくれればすぐ飛んでいくと言うけれども、通知を受けて何日目に飛んで行きますか。そのときにはいないでしょう、夕方に網をかけて朝にとってしまうのですから。あなた方は、通知を受ければそれに間に合って処理しますなんという、言葉では言えるけれども、処理できますか。
○松浦(昭)政府委員 確かに先生おっしゃいますように、非常に広域の海域でイカの流し網の操業をいたしておりますので、なかなか効果的な違反防止策をとるのはむずかしい点はわかっておりますが、次のような観点から総合的に対策を講じますれば十分に違反を取り締まれるというふうに考えております。 その一つは、違反事実の確認を容易にする措置をとることでございます。第二は、漁業者への法令の遵守の徹底を図ることでございます。第三は、効果的な取り締まりを実施すること、この三点でございますが、実は違反事実の確認を容易にするために、五十七年度におきましては五十六年よりもより改良した措置をとりたいというふうに考えております。 それは何かと申しますと、昭和五十六年の承認方式におきましては単に衛星航法装置、いわゆる先生御承知のNNSSでございますが、これを設置せよということを言っておったわけでございますけれども、今回は五十七年度の方針で記録装置、プリンター、これをもつけさせまして、衛星航法装置を明示いたしましてかつ記録しよう、翌年度の承認を受けるときまでに船内に必ず保持するようにということを実は義務づけるようにいたしておる次第でございます。これが第一点でございます。 それから第二に、省令及び告示で定めておりますところの承認船のブリッジの周辺の塗装、これはより徹底をいたしますと同時に、特に昭和五十七年からは改めて承認番号を表示すべきブイにつきましては、通常ぼんでんだけではなくて、これからはラジオブイも含めて標識番号、承認番号を明示するようにという措置をとりたいというふうに考えております。 それからまた、操業区域からの出入域の報告につきましては、昭和五十六年はイカ流し網業界の指導を主体にしておりましたけれども、本年からは水産庁自体で操業上の注意事項、無線通信要領を定めて指導を徹底したいというふうに考えております。 また、漁業者への法令遵守の徹底でございますが、前年は経営者だけを相手にして講習をいたしておりましたが、今回は漁労長も対象にいたしましてこれが徹底を図りたいというふうに考えております。 また、取り締まりにつきましては、私ども最盛期には常時二、三隻の監視船を張りつけたいというふうに考えておりますし、また海上保安庁にもお願いをいたしまして、その緊密な連携のもとに巡視船あるいは航空機の投入をしていただきましてこれが徹底を図るということを考えますと同時に、また港湾の中におきましても、帰ってまいりました船を十分取り調べるといったようなこともやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○関分科員 大分積極的な方針をとられて臨むという気構えは把握できます。 私はもう一歩進んで考えていただきたいのはブリッジの塗料のことです。ブリッジの塗料を夜光塗料にして、そうして取り締まりの対象にさせること、またイカ釣り船にとっても、ブリッジが夜光塗料になりますと、来た、やっているなということもすぐわかります。通報するにも見つけることができなければ、識別することができなければ、幾ら通報しろといっても無理なんです。そういう意味からいきますと、見やすいような、夜間でも見れるようなそういうブリッジへの塗料をひとつやってほしい。こういうことについてのお考えが一つ。 もう一つは、網についている浮き、普通あばと言っているのですが、これだとか浮標灯、約一メートルぐらいの浮標灯が立てられていますが、この浮標灯に対してもそれぞれ船の名前を明記させること、こういうことがあると、直ちに何という船であるかということがわかる。そういう意味においては浮標灯に対する船名入り、あるいは浮標に対する船名入り、それからブリッジに対するいまの夜光塗料、非常にいいやり方だと私は思います。 さらにもう一つは、先ほどのお答えの中にもNNSS装置の問題がございました。NNSS装置がせっかくあって、それで調べればすぐわかるのに、記録の用紙を紛失したとか見えなくしたとかいって逃れる。海上保安庁においてもそこまでは調べることができない、そこまでは依頼もされていないということでなまぬるく当たっておっても困る。そういう点から、そういう科学的な装置というものも十分に生かして、先ほど義務化させると言っておりましたし、保存させると言っておりました。大変結構な方法だと思います。海上保安部においてもさらに突っ込んで、そういうことについてはいつでもできるんだ、いつでもやるんだ、こういう方針をとって臨むことが必要だろうというふうに思います。そういう点でのお答えを両方からいただきたいし、海上保安部は、水産庁から何にも頼まれていないからそこまではなんということではなくて、きちっとやる、こういうことでのお考えを公表いただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 お答えを申し上げます。 まず、夜光塗料でございますが、実は、私どももこの夜光塗料については検討をいたしたわけでございます。ところが、いわゆる純粋な夜光塗料、ちょうど時計に塗ってあるような夜光塗料でございますけれども、これは確かに光は発しますけれども、屋外では実は使えないのでございます。それから、蛍光塗料の方は、使用の可能性について検討をいたしてみましたが、光を当てないと当然発光いたしませんので、相当近くに寄りませんとこれは利用ができないという問題がございます。それから、余り耐久性がないものでございますから、このために相当塗料についても研究をいたしませんと、夜光塗料を塗るというのはなかなかむずかしいということがわかったわけでございます。 もちろん、研究の材料として今後検討いたしてみたいと思いますけれども、当面最も必要なことは、船が近づいてくるということよりもむしろ操業したということが問題でございますので、先生がおっしゃっておられますように、ブイなりぼんでんなりが違反操業の一番の目印になります。そこで、先ほどから申し上げておりますように、これに承認番号を付すということで一目瞭然どの船がやったということがわかるようにしたいと思います。 それから、衛星航法の装置につきましては、先ほど申しましたように、船内に必ず記録を保持するということを義務づけたいというふうに考えておりますので、海上保安庁の方にも十分御連絡を申し上げまして、違反の防止に努めたいというふうに考えておる次第でございます。
○野呂説明員 水産庁の方から御連絡を受けておりますので、私の方も、NNSSによる記録紙の義務化をしていただけますれば、立入検査の際、これを参考として取り締まりの強化に資したいと思います。
○関分科員 とにかく非常に積極的な姿勢で臨む、こう言うわけでありますが、ぜひひとつ言葉だけではなくて、本年の取り締まりに当たっては十二分にやっていただきたい。 それから、ことしまた隻数の申請があるだろうけれども、その際にはいま述べられたことを十二分に徹底して、その上で承認をするのだという方針というものを堅持していただきたいということ。 それから、このイカの流し網漁業というものが規制区域内でとにかく非常に多いということについて十二分に認識していただきたいということ。 その次には、いま一つ、規制区域外でムラサキをとるというけれども、表向きはそうなんだけれども、実際にとっているものはサケ・マスだと言われるようでは国際的な信頼にかかわる問題でもありますので、その点をも十二分に留意して当たっていただきたいという点を私は希望申し上げておきますし、農林水産大臣には、特にわが青森県出身の大臣でもありますので、青森県におけるイカ釣り漁業者の切実な声であるということをしかと胸の中に入れておいて、許可する場合においても、その方針等について大臣も十二分に目を光らして当たっていただきたい、こういうことで、おしまいに大臣からもこれについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 イカ流し網の操業区域は、先ほど来もうすでに東経百七十度以東、北緯二十度以北に設定して、これは承認漁業であるということですね。これが去年の八月に承認したものでございますから、実際日が浅いものでその趣旨が徹底していないということが大きい理由だと思います。したがいまして、先ほど水産庁長官から答弁させたように、あらゆる面で趣旨を徹底させてこれの違反のないように今後指導してまいりたい、かように考えます。
○関分科員 終わります。
○武藤主査 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。 次に、清水勇君。
○清水分科員 いま問題になっている貿易摩擦とわが国の農産物市場開放の問題にしぼって、大臣を中心にいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思います。 江崎ミッションが訪米して、連日米側首脳と会談をされている。きのうは商務長官のホイルドリッジから、農産物市場の開放等についてドラマチックな緊急措置を講ずるべきであるなどというような要求も突きつけられた。 ここに一月十四日、米国側の要求事項の写しがありまして、これは総理あてに出ておるのですけれども、農業貿易の自由化について、たとえばIQ二十二品目の自由化を推進しろ、あるいは牛肉、オレンジについては八四年四月一日から完全自由化、これを行え、本来ならば東京ラウンドの取り決めで八三年の秋ごろ協議すべきものであるにもかかわらず、ことし早いうちにやれ、まあそのほか輸入手続等の問題に触れて、あれこれとたくさんの要求が出されてきております。これは向こうから言われていることに一々びっくり仰天して周章ろうばいをしていたのではわが国の方向を誤るということにもなりかねないと思いますし、幸い大臣は農業問題担当という立場から日本の農業をいかに守り抜くか、こういう視点でこれまでも予算委員会等での発言をされておりまして敬意を表するわけなのでありますが、まず最初に、こうした一連の米側の要求について農林水産大臣としてはどういう基本的な姿勢で臨もうとされているか、お聞かせをいただきたい。
○田澤国務大臣 江崎ミッションがアメリカに出向いて、私たちはニュースを通じていろいろ交渉の状況を承っているわけでございますが、江崎さんがこっちにお帰りになってから、実際アメリカの要求が一体何なのか、アメリカは対外経済摩擦の解消にどういう方向で要求をしようとしているのかということが明らかになった上で、これは対策を考えなければならぬと思いますので、いまにわかにこれに対してどうしなければならないということは申し上げる段階ではないと思いますけれども、いずれにいたしましても、いま日本の農業を対外競争に対抗できるような農業にするために、生産性の向上あるいは農業の再編成等を図ってまいっております。そのためには、たとえば水田利用再編対策のように思い切ったことを農家あるいは団体の方にお願いしておるわけでございまして、そういうときに対外経済摩擦で動揺を与えるということは、国内農政の面から言って大きなマイナスだと考えますので、私はこの際IQ二十二品目についてはできるだけ手を染めたくない、こういう考えでおります。ですから、今度江崎ミッションがお帰りになってから、それを基本にしながら対策を考えていきたい、かように考えております。
○清水分科員 ところが、私がちょっと聞いておきたいことは、十九日付の日経なんですけれども、たとえばアメリカの通商代表部のマクドナルドが、一月末の政府の非関税障壁改善措置程度のものでは話にならない、そういう不満の意を表明しながら、かつ場合によればガットに提訴する、こういうことも言っておるわけですね。そういう動きと関連をして、農産物の市場開放について来月九日、十日に日米貿易小委員会があるけれども、報道によると農林水産省の幹部は受けて立つ、協議に応ずる、こういうことが実は伝えられておるわけですね。だから、この言わんとする意味は、IQ二十二品目はもとよりであるが、それは牛肉その他の問題もありましょう。しかし、当面はわが国の農業がある意味で外国とも太刀打ちができるようにしていくためにもこれはもう動かさない、そういう立場で農民にあるいは農家に動揺を与えないでやっていきたい、こういう趣旨から言うと、たとえばこういう報道というのは非常に動揺を与える性質を持っているわけですね。だから、私はこれはどうも誤報なんじゃないのかと思うぐらいなんですけれども、大臣がいま言われたこととこの報道との間に大変な乖離があるので、本音をちょっと聞かせてもらいたい、こう思うのです。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 実は昨年十二月に開かれました日米貿易小委員会の席上、アメリカ側は日本の残存輸入制限品目について協議を始めたいという問題を提起いたしました。それで、残存輸入制限品目のうち、牛肉と柑橘につきましては東京ラウンドにおきまして次の協議の時期に関する合意がございます。それで、柑橘の場合には一九八二年度後半前後、それから高級牛肉につきましては一九八二年度末前後ということでございます。それ以外の残存輸入制限品目につきましては、東京ラウンドの合意が別にございませんから、アメリカ側としてはいつでも問題を提起し得る立場にあるわけでございます。 私どもといたしましては、昨年十二月の日米貿易小委員会の席上行われましたアメリカ側の問題提起に対してまだ回答はいたしておりませんし、したがって三月の日米貿易小委員会のときに同じような問題が再度提起された場合の対処の仕方についてもまだ決定をいたしておりませんが、一般論として申し上げますと、私どもとしては残存輸入制限問題についてアメリカ側に対して日本の考え方を十分説明をするという態度で臨むべきであるというふうに考えておりますので、議論の進み方については、いろんなテクニカルの問題がございますが、原則としてはアメリカ側から問題提起をされれば日本側の主張を述べて応酬をするという態度で臨むべきものであるというふうに考えております。
○清水分科員 これは大臣には釈迦に説法ですから余分なことは言うつもりはないのですけれども、翻って経過を考えてみると、かつてIQ品目七十三でしたかございましたね。しかし、国際的な要請、そして、わが国の立場というものを勘案しながら、一口に言えば農業団体等の理解も求めながらぎりぎりの二十二品目にしぼってきている。しかも、いま残されている二十二品目というのは、まさに釈迦に説法ですけれども、基幹的な作目であったり地域農業の重要な特産物である。これが取っ払われるなんというようなことになって自由化すれば、文字どおりわが国の農業は壊滅的なダメージをこうむらざるを得ない。ですから、この点はよくよく踏まえて、いま経済局長からお話があったけれども、大臣としては臨んでもらうように、ひとつ所信のほどをちょっと聞かせてもらいたい、こう思います。
○田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、このIQ二十二品目、特に東京ラウンドで合意されました牛肉、オレンジについては農業に影響するところが非常に大きいものですから、いまは東京ラウンドの合意事項を実行しているのですからね。ただ、私たちの方ではこの合意事項を前倒ししたということは大変なサービスなんですね。しかもまた、六十七品目の検査手続を決定するなんということは大変な苦労なんです。この六十七品目だって、普通の状態だったら恐らく二、三年はかかるだろうと思うのですね。それをいろいろ心配して、こういう形で何とかならぬだろうかということで、農林水産省としては大変な苦痛、大変な負担をこの二つの面で払っているわけでございますので、こういう貿易拡大に対する努力をいわゆる相手側に理解していただく。それから、先ほど来申し上げておりますいわゆる日本の農林水産業の現状というものをよく認識していただいて万全の対策を進めたい、かように考えております。
○清水分科員 実はこの間、別の委員会で安倍通産大臣ともこの問題についてずいぶん議論をしたのです。いわゆる農産物の自由化の問題に関して言えば、文字どおりこれは農林水産大臣の所管事項であるから私から申し上げることは一切できない。だがしかし、考えられることがあるならばわが国も前向きに対応せざるを得ないのではないか、こういうこともつけ加えられているわけですね。そこで、私もあえて通産大臣に、たとえば今日のように集中豪雨的な工業製品の輸出の見返りに常に農産物の輸入枠が拡大をするということを通して、何か農業が工業の犠牲になっているのではないか。また、通産当局は工業優位政策がまかり通るために農業面では少しがまんしてもらわなければならないといったような、そういう誤解すら持っているのじゃないか。だから、この点は文字どおりわが国の置かれている農業をめぐる冷厳な事実というものを直視して、少々おどかされたからといって一歩後退することのないようにひとつむしろ農林大臣を盛り立ててやるべきものではないか、こういうことを実は申し上げております。 たまたまいま言われたような非関税障壁六十七品目の改善措置は、大臣言われるとおり大変なことだと思いますよ。ところが、あれこれとこれに不満を述べる程度ならいざ知らず、たとえばガット提訴なんというようなことも言う。これは大変だからというような話で、そこで一歩後退するようなことがあってはならぬと私は思うのです。 外務省からも見えていると思いますが、アメリカの場合にはいつもそうなんですけれども、かつて国務長官のキッシンジャーがこういう有名な言葉を吐いたことがあるのですよ、対日交渉に当たってはまずぶん殴れ、そうすれば日本は別のカードを出してくる、これが実は対日交渉の一つの基調になっているんじゃないか、ベースになっているんじゃないか。ですから、たとえば今度の江崎ミッションに対しても、僕らから見れば不当と思われるようなことが次々に出されてくる。そこで、たとえば一歩後退をするというようなことがあったのでは、これは悔いを千載に残すというようなことになると思うんですね。僕は、キッシンジャーの言葉というのは、日本の外交当局というものは恫喝をすれば一歩下がる、つまり弱腰であるということを言い当てて妙ある言葉じゃないのかというふうにさえ感ぜざるを得ないのですよ。この辺をひとつ外務省もよほど腹を決めてやってもらわなければいけないんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○深田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、アメリカの日本に対する働きかけには非常に厳しいものがあるということも間々ございます。私どもとしましては、しかし、わが国の国益ということを最先端に置きまして、また通商関係におきましては、それぞれの所管の関係省と十分御協議をいたしまして、日本としてできるだけ日本の利益が守られるように強い立場でいままでも折衝してまいったつもりでございまして、今後につきましても同様心がけてまいりたい、このように考えております。
○清水分科員 そこで重ねて、せっかく外務省から経済局長おいでですから、感想というか、所感を聞きたいのでありますけれども、実は最近しきりに米側では、わが国の農産物市場は閉鎖的である、こういうことを強調しているわけですね。私はさっきも触れたように、IQ品目についてもぎりぎりのところまで落としてきている事実がありますね。私も、去年秋にずっとEC諸国を回りましたけれども、現実にヨーロッパの国々の中にもかなりの輸入制限品目を残している国がございます。また、アメリカだって、肉などの問題について言えば、豪州との価格問題等があれば保護政策を採用するというような見地に立っている。だから、どこの国でも一定の農業に対する保護政策というものを採用しているわけですね。ことに、わが国の場合には世界有数の農産物輸入国である。恐らく世界貿易量の二〇%くらいを占めているんじゃないか。 そこで、そういう実態に即して、また農林省自身も、この前の牛肉やオレンジの東京ラウンドの取り決めをする場合でも、泣きの涙の農家を説得してでもあそこまで譲ったという経過があるわけですね。だから、そういう経過や実態を無視して、いわゆる貿易上のアンバランスがあるから、それは農産物の市場が開放されてないんだからというような短絡的な発想で攻めてくるやり方に対しては、僕はやはり一矢報いるという言葉も妥当ではないかと思うが、相手にきちっと現状を説明をし、理解を促す、そして相手側の主張に誤りがあればこれを撤回をさせる、僕はそういう態度があってしかるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○深田政府委員 私のことを申し上げて恐縮でございますが、牛肉、柑橘の取り決めができましたとき、ワシントン大使館に勤務いたしておりまして、その際、日本側が大変つらい交渉をいたしたということを身をもって体験いたして、そういういま御指摘のような事情は私ども外務省の者といたしましても十分心得ておるつもりでございます。 先ほど申しましたように、これらの問題の処理につきましては、農林水産省と十分御協議を、かねがねも申し上げてまいっておりますけれども、今後につきましても、そのようなことで国内の需要、外国の空気、あらゆる状況を十分勘案いたしまして適切な方針を立ててまいりたい、このように考えております。
○清水分科員 それから、これは閣議などで御相談をいただく場合に農林水産大臣にぜひ希望をしたいのでありますが、私は、率直に言って、今日アメリカが一千万になんなんとする失業者を抱えている、あるいは深刻な経済不況に見舞われている、これは日本のせいじゃないんですね。御承知のように、一九八三年の予算教書もこの間出ていますけれども、たとえば九百十五億ドルに達する赤字財政なんですね。だから、一面ではそういう思い切った、積極的な財政政策をとる。そうかと思えば、一面ではもう非常に厳しい金融引き締め政策をやる。これは必然的に、たとえば高金利という状態が生まれる、経済不振というような状況が生まれる。当然のこととして貿易収支の赤字といったような問題、だから保護主義が台頭するといったようなそういう傾向が生まれる。つまり悪循環が繰り返されているんじゃないかと思うのですね。ですから、そういう点についても——私は、アメリカの主張について耳を傾けるべき点はこれは傾けてしかるべきだと思います。同時に、その中でこれまでのわが国が過度な輸出依存という政策をとってきているという点に、たとえばわが国自身が反省をするというようなことも必要でしょう。当然そこからいわゆる秩序ある輸出といいましょうか、そういうこともそれは必要だろうと思いますが、いずれにしても、声の大きいアメリカから何か言われると、それに仰天をして一歩下がるというようなことがあってはならない。少なくとも今日のアメリカには、最近の一連の言動を通して私感ずるのは、イコールパートナーシップというような感じがどうもないんじゃないかというような気がして仕方がないのです。もし、しかしそうではないんだと言われるならば、わが国の外務省は率先をして、指摘すべき点があれば、いま私が申し上げたような点、率直に指摘をする、そして反省を求める。EC諸国だって、アメリカの高金利政策について大変影響を受けてあれこれと非難をしている現実があるわけです。ですから、そういうものを通しながら、私は、あれもこれもごっちゃになって、何か今日の貿易摩擦の元凶は農産物市場が開放されていないからなんだというような、そんな誤った短絡的な発想に日米間のこれからのやりとりが落ち込まないように、しっかり対処をしてもらわなければならない、こう思うのでありますが、ひとつこの点について……。
○深田政府委員 先ほど触れられました日米の貿易小委員会でございます、昨年の十二月の会合、私もここにおります佐野局長と一緒に出さしていただきましたけれども、その際におきましても、アメリカ側も先方の言い分をいろいろ申しましたけれども、日本側といたしましても日本のアメリカに対する注文をたくさん並べ立てまして、これは全く一方通行でございませんで、両方が言い分を言い合うという態度で終始したつもりでございます。 今後におきましても、アメリカは日本としてお互いに友人でございますから、これは率直に物を言い合うということは大変大事でございます。アメリカの、先ほど先生御指摘の高金利の問題につきましても、本当にこの高金利ということでアメリカの中でもいろいろ議論があるわけでございますし、また、そのために国際通商の面でいろいろな影響も出ておるというようなことは常に指摘をいたしております。そのようなことで日本側の言い分、主張、それからアメリカに対して再考を求めるべき点は十分これからも申し述べていきたい、このように考えております。
○清水分科員 いま外務省の経済局長からそういうお話を聞きましたから、しかとそういう姿勢で臨んでいただきたいということを強く要望を申し上げておきます。 そこで、最後になりますが、いずれにしても大臣、アメリカ側は大統領から始まって関係閣僚のすべてに至るまで、日本で言えば各省庁に至るまでそれこそ一枚岩のような形で一丸となっていま日本の閉鎖的な農産物市場を開放させるためにその自由化を推進せよ、こういうような言い方で迫ってきているわけですね。 ところが、これに対するにわが方はどうかといいますと、まあ農林水産大臣は先ほどから承っていると、日本の農業を守るためにもIQ二十二品目などには手を染めたくないと訴えておられる。ところが、必ずしも経済閣僚一致してそういう方向に向かっているともいわく言いがたいような状況があると思うのです。ですから、僕は、ここで大事なことは、せっかくの田澤大臣の決意といいましょうか所信といいましょうか、こういうものは、近く江崎ミッションが帰られて、来月早々また大臣等もその状況を聞いて、さてどう対応するかという御相談があるのだろうと思います。その際は、せめてアメリカに対応するにわが方もお互いに関係閣僚一致結束をして、そうしてこれは非常に厳しい状況ですから、相手のある話ですから一〇〇%こちらの思惑どおりにいくとは思いませんが、しかし譲れないIQ二十二品目とかあるいは牛肉の枠の拡大だ、オレンジの自由化だなどということについては十二分に関係大臣とも疎通を図って万遺憾なきを期してもらわなければいけないんじゃないか。いま大臣に期待するところ非常に大きいと思うのです。その点、最後に意のあるところをお聞かせをいただき、私の質問を終わりたいと思います。
○田澤国務大臣 いま清水委員御指摘のように、貿易インバランスの解消は何としてもアメリカ経済の再活性化にあるということは事実なんでございますから、したがいまして、それに対しては、わが国としてはやはり内需を拡大して輸出ドライブのかからぬ経済運営をするということが基本だと思うのですよ。ですから、これを基本にしながら貿易を総合的に判断して、江崎ミッションがお帰りになった段階に、アメリカは一体何を要求しているんだ、どういう形でこのインバランス解消のための、対外経済摩擦解消の要求があるのかということをもうちょっと全体的に分析してみて、その上で私は対策をすべきものだ。単に最初からもうIQ二十二品目は当然やらなければならぬのだというようなことは、私はいまニュースでは聞いておりますけれども、果たしてどうなのか。実際アメリカは二百億ドルになんなんとする輸入超過の問題を何とかしなければならないということじゃないかと思うのです。そういう点を私たちはもっと冷静に判断をしていかなければならないんじゃないか。そのためには私も最善を尽くしてみたい、かように考えます。
○清水分科員 終わります。
○武藤主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。 次に、新盛辰雄君。
○新盛分科員 水産業振興に関して、短い時間ですが、質問をしたいと思います。 率直に申し上げて、水産問題で議論をされる機会が余りないようであります。きわめて残念なことであります。ところが、こういう大事な問題について、すでに深刻化している二百海里以降の漁業経営、一体どういうふうに受けとめておられるのか。この経営危機打開のために、問題があれば金融措置で何とかしようとする。その結果が、御承知のように、いまや漁業生産額を融資残高がはるかに上回っているという現状であります。 大臣、食料産業の位置づけの中で、一体漁業というのはこれまでのような、構造改善事業いろいろございましたけれども、日本の食糧安全保障というそうした面からも、漁業の状況というものをこれからどう打開をしていかれるのか、またどう考えておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 食糧の安全保障につきましては、私たちはやはり長期の展望に立って、国内で生産できるものは極力国内で賄うということが基本でございまして、国民の需要の動向に応じて農業生産の再編成、農業の生産向上を図る、これが基本なんでございまして、特に水産業につきましては、これは国民の動物性たん白質の約半分を賄っておるわけでございますから、非常に重要な産業でございます。したがいまして、私たちはこれがためにはまず沿岸漁業の整備を図るということ、それから遠洋漁場を確保するために強力な漁業外交を進めていくということを柱にしながら今後進めてまいらなければいけない。もちろん、いま二百海里規制あるいは燃油価格の高騰等が遠洋漁業に与える影響というのは非常に大きゅうございますので、そういう点についても、また水産業全体の不況という点もございますので、そういう点を総合的に判断をしながら対策を着実に進めていかなければいかぬ、かように考えております。
○新盛分科員 制度、政策資金融資のあり方をどうお考えですか。
○松浦(昭)政府委員 本格的な二百海里体制に世界が入ってまいりまして、日本も大きな影響を受けておりますと同時に、燃油価格が高騰いたします一方、魚価が低迷をいたしまして、漁業経営が非常に重要な段階に入っているということは私どももよく承知をしておるわけでございます。このために漁業経営を安定させるという目的から、従来から漁業経営の維持安定資金なりあるいは漁業用燃油の対策特別資金等が融通されてまいったことは事実でございますが、先ほど新盛先生御指摘のように、これらの融資につきましては負債残高が生産額を相当大幅に上回っているというような状況でございまして、このようないわば応急、緊急の対策をもってしては漁業経営が立ち直れないのではないかというふうに考える次第でございます。したがいまして、今回五十七年度予算で御審議をお願いしておる中におきましては、私どももやはり構造的な対策というものを考えてまいらなければならないのではないかということでございまして、そのためには、やはり減船等も含みました漁業生産構造の再編整備ということを中心にしまして、そのための政策金融ということから、従来からの共補償資金枠の拡充ということもいたしますし、また、三百五十億の漁業経営負債整理資金制度というものを創設いたしたいと考えておりまして、このような角度から、構造の再編成も含めました金融対策を講ずることによりまして安定策を講じていくということを考えておるわけでございます。 また、基本的にはやはり、このような経営の安定を図りますためには経営コストを下げていくことが非常に重要であると考えます。そのためには、何と申しましても燃費が占める割合というものは漁業経営の中で、特に支出の面で多いわけでございますから、税制の特例等も含めまして漁船の省エネルギー化を推進いたしまして、燃油価格の変動に強い経営というふうに持っていきたいと考えております。 ただ、そうは申しましても、先ほど申しましたような応急、緊急融資を一挙に削ってしまうことは適当ではないと考えまして、これにつきましても、なお今後ともある程度まで継続していくということも考えておるわけでございます。
○新盛分科員 新たに長期低利の漁業経営負債整理資金三百五十億、これは新規のものとしてつけられたわけですけれども、このほかに遠洋漁業が非常に、今日のような入漁料の問題あるいはミクロネシア、南太平洋フォーラム諸国、すべて自分の二百海里以内では漁業を認めない、あるいはアメリカのブロー法案においてしかり、また日米漁業交渉はこれから始まるわけですが、すべて外洋における規制は厳しくなってくる。したがって、日本周辺水域の漁業構造改善事業だとか栽培漁業振興対策だとか、第二次の沿岸漁業整備開発事業とか、いろいろ新しくつくっておられるわけですね。しかし、それをしましても、先ほどから申し上げておるこの制度、政策の資金を貸し付けるという形、だから融資残高が相当莫大に出ているわけですが、この経営悪化の四業種をとってみましても、以西底びき網、遠洋カツオ・マグロ、近海カツオ・マグロ、イカ釣り漁業、これは三十トン以上ですが、各漁業すべて大変なピンチなんです。だから、前年度十億ぐらいの手だてをされた。しかし、これは結局は、負債整理の資金といえどもこれを融資、利子補給という形でかえるのでしょうけれども、例を減船の問題にとってみましても、残存者の皆さんが連帯保証あるいはそれに伴う共補償などというのでずいぶんと苦しんでおられる。この計画概要と資金対策、さらにはこれらに伴って本年度、特定漁業生産構造再編推進事業という形で十億から二十億の予算をもって措置されると思いますが、果たしてこの枠の中でおさまるだろうか、憂慮します。 また、減船、不要船の扱いを一体どうされるのか、これもスクラップして大型の魚礁に変えるとかいろいろしますが、価格的に見ましても近時の状況はきわめて、そう簡単にいかないんじゃないかという気がするわけです。一体、この種の問題をただ安易に特定漁業生産構造再編推進事業という形で、あるいは長期の負債整理をなくする、少なくともこれまで積もり積もって漁業経営者の融資残高は五十六年度で二兆九千九百億であります。こういう状況ですから、ただ単に融資政策あるいはその場限りの、問題があればそこに何とか手だてをするという式ではもはやどうにもならないのではないか。抜本的な対策を打ち立てる必要がある。それについて少し前向きの御検討をいただいているのかどうか、ぜひお間かせいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 まさに先生のおっしゃいますように、応急、臨時の手当てでは現在の状況は越えられないという角度から、私どもといたしましては、先ほども申しておりますように、資源の状態あるいは需要の状態に見合ったような漁業の生産構造に持っていかなければ、とうていこの危機は乗り切れないという気持ちがいたすわけでございます。 そこで、先ほども申し上げましたように、単にお金をお貸しする、急場をしのぐということではなくて、むしろ減船等も含みましたような形で業界側の自主的な努力によりましてその計画を立て、これを政府が支援していく。その場合には、先ほど申し上げました漁業経営負債整理資金、これを制度化いたしましてその対策を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。 この新たに設定されます漁業経営負債整理資金は、沿岸五%、遠洋六・五%、特にその償還期限は、漁業者十二年、特例十五年という非常に長い期間の措置でございまして、これは非常に抜本的な対策になると私ども考えておるわけでございます。 特に、その対象でございますが、このような生産構造の再編成を進めてまいります場合に、何と申しましてもこれに参加いたしますところの漁業者の負債整理を円滑化するということが重要でございますし、共補償あるいは自己資産だけではとうてい整理できないほどの負債をしょっておられる、そこに問題があると考えまして、そのような漁業者だとか、あるいは経営悪化のために共補償資金による減船も期待できないというような業種もございますので、この漁業者の負債を対象といたしまして、このような新たな負債整理に要する資金、これを融通することによりましてこの生産構造の再編成を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。 特にまた、ただいま先生おっしゃいました資金のほかにも、たとえば漁業信用基金協会による代位弁済、連帯保証人による保証債務の弁済等、これにつきましても別途手だてを今回の予算でいたしておりますので、その面におきましても新たな対策として相当な拡充をしていると御理解をいただきたいと思う次第でございます。 また、先生御指摘になりました、特に不要漁船の処理、これが非常に重要な問題になっていると思います。これにつきましては、先ほどお触れになりました特定漁業生産構造再編推進事業、この中で不要漁船の処理対策も考えられ得るようにしております。 また、沿岸漁場の整備事業のうちで魚礁の設置事業、これによりましても沈船の処理ができるということで目下検討を進めている段階でございまして、さような対策も相まちまして総合的にこの漁業の再編成を進めていくことを考えている次第でございます。
○新盛分科員 大蔵省、来ておられますか。——いま議論しております融資残高が生産額を上回っている、この状況の中で、相も変わらず償還の繰り延べ、期間の延長、金利を低くしていこう、こういうことで進めておられるわけですが、経営者は四苦八苦しておりまして、払えない、これ以上どうにもならないという状況が差し迫った問題として出てきているのです。いわゆる財政的な措置をという、これは水産庁が出すからただあてがえばいいというものではないと思うのですね。一体大蔵省としてこういうことについてどうお考えになっておられるか、御見解をいただきたいと思うのです。 それと、燃油の問題は後で申し上げたいと思ったのですが、実は最近、燃油がさらにまた上がってまいりました。四十八年のころ、キロリットル当たり一万五百円していたのが、あの第一次オイルショックでもって三倍に上がったのです。それから随時微増しまして、五十五年の一月までは六万五千円くらいで推移しました。その後、二月になって第二次ショックで一挙に七万二千九百円、それで推移して、七月、八月ごろまで七万台を維持してきているのですね。さらに、その後はまた六万三千円になりましたが、最近、五十六年、昨年の八月、七万四千六百円、十月で七万六千六百円、十一月、十二月では七千八百円を優に超えている。本年になりますと、八万円。これではどうにもならない状況ですが、省エネだとか、あるいは経営の共同化とか、あるいは魚の価格を云々とか、いろいろ総合的な問題はありましても、油の上がった価格差補償というのは一体考えておられるのかどうか。昨年は少しその手だてをされたようであります。しかし、いまになってみると、これから先、経営はもはやピンチに立つ、そういうことを含めて、どう処置されるのか、ぜひお答えをいただきたいと思うのです。
○千野説明員 お答えをいたします。 わが国の漁業が置かれております非常に厳しい現状というものにつきましての認識は、財政当局としても十分持っておるつもりでございます。 そういうことで、五十七年度予算におきましても、水産業経営対策につきましては、前年度の二百十億円に対しまして二百五十二億円といったものを計上いたしまして、経営の安定のために厳しい財源の中で努力をしたつもりでございます。 ただ、先ほど御指摘のような、漁業者の借入金残高が非常にふえておる、しかも状況はますます厳しくなっておるというもとで、これから一体どうするのか、この辺は非常に問題がございまして、そういうことで、先ほど来御説明を申し上げておりますような、むしろより基本的な漁業の生産構造の再編が必要であるという考えのもとにとりましたのが、今回の新規の施策でございます負債整理資金の創設でございます。これは、負債整理と申しましても、要するに経営の再建計画を立てまして、これに基づく減船なり、あるいは施設の合理化なり、実効の上がる施策をとります場合に、これに対して有利な資金を貸すということでございまして、これは生産構造再編に相当な効果があるものと考えております。 それから、燃油のお話でございますが、かなりまた厳しい情勢にあるので、これについて何らかできないかという御指摘でございますが、御承知のように、漁業用の燃油対策の特別資金の末端金利がどのくらいになっておるかといいますと、これは五十五年度には四%というものを五十六年度から三%に下げております。一部につきましては、五十五年度五・六%でございましたものを五十六年度から三・五%にしておるわけでございます。たとえば農林漁業金融公庫などの金利の体系を見ましても、ごく例外を除きまして、三・五%というのはもう最低の金利でございまして、それをさらに下回る三%の金利というものまできておるわけでございまして、いまの厳しい財政事情から申しますと、これ以上の引き下げというものはちょっと考えられないのじゃないか、かように思います。 返済の繰り延べといったようなことも、そういうお考えもあるかと思いますけれども、こういった点につきましても、相当な財政負担を伴うことになりますので、そういった施策はなかなかむずかしい。今回新規で認めました新しい、生産構造の再編のための施策が何とか効果を上げるように、われわれは強く期待をしておるところでございます。
○新盛分科員 いま積極的に進めておられる状況は把握できるのですがね。ここで、カツオ釣りのまき網への転換、二百海里時代で一本釣り漁業というのはもはや限界ではないか。あるいはまた、今度日鰹連あたりが中心になって、自主減船と同時に海まき転換への動きがあるわけですね。 この海まき転換の、五十六年度で三十三、こういう状況になりますと、資源はもう一網打尽です。そしてまた、一本釣りカツオの方は漁場縮小によって非常に大変だ。一体、こうした状況にあって、これからの、この海まき増加によって出てくる結果は、将来に明るい展望があるのだろうか。カツオは御承知のように、ここ最近、枕崎においても焼津においても高知におきましても、浜値が暴落をしております。もはや経営者は、もうすべて船を投げ出して、何とか食いつなぐために精いっぱいだ。調整保管事業もありましょうが、いまここで対策を立てなければ大変なことになるのじゃないか、こういうことなんです。一体、海まき転換の展望があるのか。現実に自主減船を百九十九隻、二年間にわたっておやりになる、その形の中でも経営が安定をしないというのは、これは大変なことであります。ここに働いている漁船員が、マグロの方で三千五百人、カツオの九百人、実はもうすぐさま離職をするわけですね。一体、こういう救済を含めて、考えておられるのか。この浜値暴落、魚価の低迷、こうしたことに対して早急な対策が必要だ。その原因は一体何であったろうか。輸出缶詰はストックしている、あるいはまた海まき等による膨大な量が一挙に入ってきた、そういうことになっているのかどうか、これを一日も早く解消してもらわなければ大変なことになりますから、ぜひ御見解を聞かしていただきたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 ただいま新盛先生おっしゃったのは、三つの点だと思います。 一つは、カツオ・マグロ業界における二割減船、これについての効果、さらにはそれに対する対策という点が第一点と、第二は、海外まき網漁業、これが三十三隻になりますが、それに対する影響、それに最近のカツオの価格の低落、この三つの御指摘であろうというふうに考えるわけでございます。 まず第一のマグロ漁船につきましての対策でございますけれども、これは、先ほど私が申し上げました、いわゆる生産構造の再編成というものをこのマグロの業界につきましていかにやっていくかということの大きな一環でございます。このままの状態で推移してまいりますと、海外の漁場が相当狭まっておりますし、また一番心配なのは、釣獲率が落ちていることでございます。したがいまして、二割の減船ということをやっていただきまして、その中で釣獲率も上げ、また一隻当たりの漁獲も上げていただきまして、そこで経営を安定させていきたいというのが念願でございます。このためには、先ほどから申しております共補償資金なりあるいは負債整理資金なりを十分に活用していただいて、この重要な時期を乗り切っていただくという考えでございます。 それから第二は、海外まき網の転換でございますけれども、これは、私ども決して一本釣りのカツオの漁業をなくしてしまいたいと考えておるわけではございません。しかしながら、このままで推移をいたしました場合には、これは、アメリカあるいは韓国等の漁業もこの水域で相当海まき漁業をやっておりますので、さような方面の考慮ということもいたしまして、一方で一本釣りを残しながら、全体としてのカツオの漁業というものを合理化していくことが必要ではないかと考えまして、三十三隻までの増加をしようというふうに考えたわけでございます。しかしながら、この場合におきまして、資源の状態が非常に懸念されるという先生の御指摘でございました。確かにカツオの資源につきましては、海まきは相当大きく漁獲をいたすわけでございますけれども、現在われわれの研究者の調べによりますと、カツオのMSY、いわゆる最大持続生産量というのは百万トンから百五十万トンと言われておりまして、五十万トン程度の漁獲量というものはさほど大きな漁獲量ではございません。したがいまして、カツオの資源にはまだまだ余裕があるというように考えております。また、キハダにつきましても、漁獲量は増大しているものの、かなりの余裕があるのではないかというように考えております。 それから、特に強調いたしたいことは、今回このようなことで、二年間でマグロから転換十隻、まき網船の大型化によりまして十隻ということで増加をさせていっておるわけでございますが、カツオ釣りからの転換につきましては、遠洋カツオ漁船五隻を減船して、それで一隻の海まきをつくるということでございます。また、まき網の大型化につきましては、大中型のまき網漁船、これは百十六トンでございますが、これを二隻つぶす。それからまた、遠洋カツオ釣りの三百トン型一隻、それに近海カツオ・マグロ甲の一隻の廃業ということを前提にいたしましてこのような大型化をしてまいりますので、漁獲努力量の増加はないようにということで配慮いたしておるわけでございます。したがいまして、資源的には大丈夫だ。さらにまた、漁場の調整につきましてもいろいろ配慮いたしまして、まき網の漁場と近海カツオ・マグロの漁場を双方ともうまく調整するということも考えておる次第でございます。さらに、当分この間の増隻はいたさない、三十三隻以上は増隻しないということも考えておりますので、今後問題が生じました場合には、十分意見調整を図りまして処置をしてまいりたいというように考えております。 最後に、委員御指摘になりましたカツオの値段の暴落、これは私ども非常に心を痛めておる点でございます。先ほどの先生の御指摘のように、実はアメリカにおける不況によりましてカツオの缶詰の需要が落ちたこと、これが第一点。それからまた、先ほどお話もございましたけれども、アメリカが高金利によりますところの在庫調整をやっているということからカツオの需要が、特に冷凍の需要が非常に落ちまして、これが浜値の暴落につながっているという状況でございます。また、海まき船につきましても、一時に水揚げをするという点については問題があろうというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在浜値で百九十円台まで落ちておりますので非常に心配しております。そこで私どもといたしましては、近々業界を集めましてこの対策は十分考えてまいるということで措置をいたしたいと思っておる次第でございます。
○新盛分科員 頼みますよ。 最後に、大臣、残存輸入品目二十二の中には漁業関係も入っておるのですよ。アメリカでは相互主義法案が準備されておるようですし、また漁業の関係におきましても、日米漁業交渉が始まるわけです。恐らく厳しい制約を受けてくると思われます。この件については江崎代表が帰ってこられてからいろいろとその感触を得られると思いますが、私が農林水産委員会で質問した際にも、どうも大臣の決意は非常におかたいのですね。農林大臣としては断固として残存輸入品目二十二は守りますとおっしゃるのです。しかし、全体的な貿易摩擦ということから見ればそうも言っておれない。レビューという言葉が最近出てきておる。そういう中で調整をされるのじゃなかろうか。やはり日本の市場は閉鎖的だということから、そのことの指摘が強くなれば一体どうするのか。私はこの間は、ここのところは職を賭してまでとは言いませんが体を張ってくれ、こう言ったのですが、今度はもう踏み込まなければどうしようもないのです。大臣、このことについて、水産関係を含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 残存輸入制限品目につきましては、農林水産委員会においても、また先ほど清水委員にもお答え申し上げましたように、農林水産業にとって非常に影響が大きいものでございますから、私は何回も申し上げておりますように、対外経済閣僚会議においても農林水産業の実態をよく説明をし、理解をしていただいて、新盛さん御指摘のような線をできるだけ貫いてまいりたい、かように考えておりますので、いずれ江崎ミッションがお帰りになってから、アメリカの水産物に対する要求等はどういう状況にあるのか、あるいはまたIQ二十二品目についてどういう意向なのか等をよく御説明を承った上で、そういう対策は慎重な態度で臨みたい、かように考えております。
○新盛分科員 終わります。
○武藤主査 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。 次に、草川昭三君。
○草川分科員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 私は愛知用水の二期工事の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、御存じのとおり愛知用水というのは愛知県下を中心とした地域の農業、工業あるいは諸産業、あるいは一般市民の生活を支える上水道の供給等で市民生活を支える大動脈として日増しにその重要性を増してきておるわけでございますけれども、何せ通水以来大変老朽化も著しくなっておるわけでございまして、かねがね改修工事としての二期工事の着工を望んできたわけでございますけれども、幸いにして予算もつき、いよいよ工事が始まろうとしてきておるわけでございますけれども、きょうはその二期工事の範囲、内容等についてお伺いをしたいわけでございます。 まず、二期事業の範囲はいかようなものか、お伺いをしたいと思います。
○森実政府委員 二期事業は一期事業で造成しましたダム、取水工、幹線水路、支線水路、調整池等のうち、幹線水路を主体に、一部に支線水路を含めまして整備をしようというものでございます。すなわち、幹線水路につきましては、全長約百十二キロメートルのうち、二期事業では約百七キロメートルを整備し、また支線についてはごく一部になりますが、六路線、約十九キロメートルを整備することを予定しております。
○草川分科員 幹線水路の百七キロというのは、やらないのが五キロでございますから大半、すべてと言ってもいいぐらいのことでございますが、支線の、いまおっしゃられました千十二キロのうちの約十九キロ、これは六つの路線だというようにお伺いしておりますが、その六つの路線の中身をお伺いしたいと思います。
○森実政府委員 支線名で申し上げますと、入鹿支線、三好支線、東浦支線、住吉支線、半田支線、師崎支線でございます。 〔主査退席、植竹主査代理着席〕
○草川分科員 大変恐縮ですが、師崎支線が何キロかという、キロの内容についてお伺いします。
○森実政府委員 入鹿支線が三キロ、三好支線が九・一キロ、東浦支線が〇・九キロ、住吉支線が〇・三キロ、半田支線が一・一キロ、師崎支線が四・六キロでございます。
○草川分科員 ちょっともう一回伺いますが、住吉支線は何メートルですか。
○森実政府委員 〇・三キロでございます。
○草川分科員 それで全体の事業量と目的別の負担というのですか、これはまだ全部のトータルの計画が定かではございませんから目的別負担の内訳というのはなかなかむずかしいと思いますが、当初の予算要求の積算というのですか、あるいは過去のいろいろな使用量の中身等は、農業用水が負担率というか割合が四六・八%、上水道が一四%、工業用水が三九・二%というように聞いておるわけでございますが、きょうは上水道の関係では厚生省と、工業用水の関係では通産省がお見えになっておられますが、この目的別の負担は大体どういう計画でやられるのか、お伺いしたいと思います。
○森実政府委員 予算上の総事業費は、いま千百三十億というふうに織り込んでおります。 そこで、問題は農業用水それから上水道、工業用水等の都市用水でございますが、目下の予算上における負担区分としては、農業用水が四六・八%で五百二十九億、それから上水、工業用水を含めた都市用水が五三・二%で六百一億と試算をしております。しかし、正確な負担区分につきましては今後決定すべき問題と思っておりまして、今後調整を要するものと考えております。
○田中説明員 愛知用水二期事業の費用の負担割合につきましては現在各省庁間で協議中であり、まだ決定されておりません。しかしながら、五十七年度の予算措置につきましてはとりあえず暫定的に水道用水は一四%の負担割合となっております。いずれにいたしましても、改築事業の負担割合につきましては今後各省庁間で協議の上、早急に確定することとなっております。
○三上説明員 工業用水道につきましてお答え申し上げます。 ただいま他省庁から御答弁がございましたように、最終的な負担割合は現在協議中でございます。暫定的に工業用水道につきましては約三九%の負担をいたしまして予算要求を行った次第でございます。
○草川分科員 そこで、一応予算では発表はされておりますが、千億程度の総事業費だと言われておりますが、正確な見積もりでは幾らになるのか、あるいは完成予定はいつか、お伺いいたします。
○森実政府委員 完成予定は六十五年を現在考えております。 それから、正確な事業費と申しますのは、千百三十億という数字を現時点では一応はじいているわけでございます。
○草川分科員 そこで問題は、これで幹線それから支線ということについていまお伺いをしたわけでございますけれども、補助率とか整備の範囲というのですか、いわゆる末端支線の水路の整備計画についてどのような対象になるのかお伺いをしたいと思います。それからなお、今後の整備方針ですね、お願いします。
○森実政府委員 御指摘のございます末端支線水路につきましては、現時点では一応県営及び団体営の灌漑排水事業で実施するという考え方を持っております。なお、これにつきましては現在愛知県が事業化のための調査を進めておりまして、事業内容、事業費等は今後積み上げられることになると思いますが、現在の単価、正確に申しますと五十五年度単価で試算しました数字では全体で約二百五十億円くらいではなかろうかと思っております。なお数字は動くものと思います。
○草川分科員 県営灌漑排水事業の国庫補助率というのが五〇%というようなことを言っておりますけれども、末端の支配面積はどのような単位になるのか、あるいは畑の場合どの程度になるのか、あるいは団体営、組合等の灌漑排水事業になりますと国庫補助率は幾らか、末端の支配面積は何ヘクタールになるのか、お伺いします。
○森実政府委員 県営灌排の場合はいろいろな態様に応じて実は採択基準が違いますが、一つは、一般の用排水施策の新設、廃止または変更につきましては、受益面積がおおむね二百ヘクタールでかつ末端支配がおおむね百ヘクタールということになっております。 それから、新規利水でございますが、新たに、現在農業用排水の利益を受けていない畑地を受益地とするものにつきましては、受益面積が百ヘクタール、末端支配が二十ヘクタール以上というふうにかなり緩和されております。 またさらに、いわゆる農業用排水施設の系統的自動化とか多目的利用を行うために必要とされます水管理施設を伴う農業用排水施設の新設または変更につきましては、受益面積が二百ヘクタール、畑地については百ヘクタールということになっております。 団体営は、一般に受益面積の一団地がおおむね二十ヘクタール、末端支配面積が五ヘクタール以上というのが採択の基準になっております。
○草川分科員 そこで今度は、二期事業の農家の同意をどのように取りつけていくのか。これは地元の方々にとりましては非常に重要な問題になってくるわけでございますし、現在説明を改良区の方々を中心に行われておるやに聞いておるわけですが、ルールというのですか手続というのはどういうことになるのでしょうか。
○森実政府委員 まず、ルールと申しますか法的な手続の側面で申しますと、主務大臣、この場合は農林大臣、厚生大臣、通産大臣になるわけでございますが、実施方針を作成しまして水資源公団に指示を行う。公団はこの指示に基づいて実施計画を作成し、主務大臣の認可を受けて実施するということになります。この場合、主務大臣の認可を受ける場合には、あらかじめ関係土地改良区の意見を聞くとともに、費用の負担について土地改良法上の土地改良区の同意を経なければならないということになっております。 なお、土地改良区の費用負担の同意につきましては、言うまでもなく総会の議決を経るとともに三分の二の同意ということが法制化されているわけでございます。実質面から申しますと、実は昭和五十五年十二月に事業促進期成同盟が発足いたしまして、市町村ごとに現在推進協議会が設立されております。これは市町村、市町村議会、農協、土地改良区等のリーダーの皆さんに参加していただいて構成しているものでありまして、これがいわばこの事業推進の母体になるわけでございまして、現在関係土地改良区が県と一緒になりまして、いま申し上げた協議会の協力のもとに関係農家への説明を実施しているところでございます。
○草川分科員 私どももその母体の会にもごあいさつにお伺いしておるわけでございますが、実は末端の農家の方々の関心が非常に強いわけです。対象地域の農家の概要についてお伺いをしたいわけですが、専業農家というのは非常に少ないということが一つ。それから、兼業の中でも、俗にいう親子代々のサラリーマン農家というのもたくさんお見えになるわけでございますが、一体、農家の、第一種というのですか第二種というのですか、農業所得が五〇%以上の方が一種と言われるのだそうですが、その割合はどんなことになっておるのでしょうか。 〔植竹主査代理退席、主査着席〕
○森実政府委員 専業農家が約六%、それから第一種兼業農家が約一〇%でございまして、御案内のような地域でございますので、専業農家、第一種兼業農家の比率が比較的低いことは事実でございます。農業所得はこの受益地域では、なべて平均いたしまして大体百万前後というふうに見ております。
○草川分科員 いま御答弁がございましたように、農業所得も余り豊かではないわけでございますので、問題は農家負担額の決め方になってくるわけです。それで、農家負担額の決め方でございますけれども、一体どういう形で負担額が決められていくのか、これは非常に重要な点になってくるわけでございますけれども、お伺いをします。
○森実政府委員 御指摘のように、これから一番重要な問題として展開していくことになるわけでございますが、段取りといたしましては、農業用水と都市用水の費用の振り分けを行う。この農業の負担額のうち国の補助を差し引いた分について、関係県つまり愛知県なり岐阜県がどこまで農業施策の一環として県費としても考えるかという問題を調整されまして、その結果、農家負担額が決まってきているというのが、第一期工事のときもそのようであったわけでございます。これからもそういう形になるだろうと思います。 その場合、私どもとしては、やはりいま先生御指摘のように、農家負担をできるだけ負担可能な限度に抑えるということを頭に置いて努力をしなければならないと思います。そういう意味においては、たとえば農業用水と都市用水の費用の割り振りにつきましても、従来、通水量の比率で見るというのが一般的だろうと思いますが、今回の二期工事では新規利水と既得利水とのかかわり合いが両方ありまして、そのかかわり合いの程度が施設の種類ごとにかなり違うという事情がある。さらに、工事は冬期間に集中して行われるという実態になるわけでございますが、仮設工事の場合の通水量なり、その後それぞれそれに対応した負担をどう見るかというふうな問題がありまして、こういった点でできるだけ合理的、現実的な調整を続けまして、農家の納得のいく方向で調整をし、決定をしてまいりたいと思っているわけでございます。
○草川分科員 そこで、通産省もお見えになりますが、たとえば工業用水の事業者負担の内訳なり補助率というのもあるわけでございますが、農家の方々から見る工業用水のあり方、これは非常にむずかしい。一般的な素朴な声でいろいろな要求があるわけでございますが、工業用水の方の負担はどういう形になるのでしょうか。
○三上説明員 工業用水道につきましては、基本的には利水の状況によりまして負担が決まってまいるわけでございますが、工業用水道の分としまして最終的なアロケが決まりますと、それに従いまして工業用水を受水する企業が最終的に料金という形で負担をする、こういう形になりますが、事業主体は御承知のとおり都道府県でございますので、都道府県が実施しました事業につきまして最終的には受水企業が料金の形で負担をする、こういう形になります。
○草川分科員 そこで、今度はまた農業用水に戻るわけですけれども、農業の場合の国の負担は原則的に何%持たれるわけですか。
○森実政府委員 国の負担は五八%でございます。
○草川分科員 県が二一%、地元二一%というような負担区分になっておるわけでございますが、これがただいままさしく話し合いというのですか、問題のところなんですね。ですから、地元の方としてはぜひ国の負担分の五八を一般会計で国営灌漑排水とかという、パイロットというのですか、国が持つ、一般会計の場合は六〇%負担というのがあるわけですから、それをぜひひとつ国が、めんどうを見るというと言葉が悪いわけですけれども、負担をアップすべきではないだろうかという要望が非常に強いのです。今日の財政再建上の折から、いま国としての御意見はあると思いますけれども、その負担の要望等についてはどうお考えになりますか。
○森実政府委員 実は公団事業の国の負担の五八%という比率は、国の直轄事業の特別会計の事業と同じでございます。特別会計の事業、公団の事業は、財投資金を活用いたしまして事業の早期発現を図る。したがって、建設利息、建設期間中の負担が少ないということで、実はそのメリットを考慮して、長い歴史的経緯を経て五八%という負担区分が決められておりまして、私ども一般論として申し上げるなら、物の考え方として、公団営事業の五八とか特別会計の五八は一般会計事業の六〇と見合ったものという見方をしております。 ただ、先生御指摘のように、私も農家負担額をどう決めるかは重要な問題だと思います。農民の諸君の納得のいく形で決着をつけなければならない。そのためには、やはり農業用水と都市用水とのアロケートをどう考えていくかという問題と、それから過去の実績や例等も頭に置きながら、県にどこまで支援態勢をとっていただけるかという問題があると思いますけれども、総合的にひとつ努力してまいりたいと思っておるわけであります。
○草川分科員 これは今後の問題になるわけでございますし、県のお考えもあるわけでございますし、県も限られた財政ということがあるわけですし、さりとて、農家の方々の現状ということも考えて、ぜひこれは円満な話し合いがつくようお願いをしたい、こう思います。 農家の負担額の償還条件ということもきわめて重要になってくるわけでございますが、どのような償還条件になるのか、お伺いしたいと思います。
○森実政府委員 これは現在の制度としては事業完了の翌年から十七年間、ただし、うち二年間は据え置きでございますから、十五年間に元利均等年賦償還で支払う。金利負担は、公団の資金は全部財投資金で賄っておりまして、この財投の実績利率によるということにしております。
○草川分科員 かなり長期のようではございますけれども、これは財投資金でございますから、当然のことながら利子がつくお金を借りてくるわけでありますから、先ほども御意見がございましたように一定の条件があるわけであります。そういう意味では、特別にこの償還条件をなるべく緩和する条件等も今後考えていかなければいけない問題ではないだろうか、私はこう思っております。ぜひその旨要望を申し上げておきたいと思うのです。 最後になりますが、この工事の実際上のあり方でございますが、これは今日の不況な段階の中で非常に大きなプロジェクトになるわけでございますし、しかも通水をしながら真ん中をカットするというのですか、通水をしながら半分だけ工事をするわけですから、安全上特別な配慮をしないと、事故があったらこれは大変なことであります。人命の事故ばかりではなくて、もし通水そのものがとまるということになりますと、大変な大事故になるわけです。その安全上の配慮というのは、これは十分のことだと思いますけれども、特別の配慮があると思うのですが、その点についての御見解はどうでしょうか。
○森実政府委員 いま御指摘がございましたように、通水しながら工事を進めなければならないという制約があるわけでございます。また同時に、もう私が申すまでもなく、大変都市化が進展しておりまして、人命の問題、都市交通との関係、都市排水とのかかわり合い等がたくさんあるわけでございまして、いずれも原因と結果が複雑に絡み合っているというのが今日の受益地区の現実だろうと思います。十分この点には留意いたしまして、仮設工事についても本体工事についても慎重を期してやると同時に、それぞれ地域社会の皆さんの合意を得ながら進めてまいりたいと思っております。
○草川分科員 最後になりますが、大臣に、愛知用水の重要性については当局の方はもう十分御存じのとおりでございますが、地元の方といたしましても、この用水の役割りというものは非常に長い歴史があり、しかも大変困難な中、戦後いち早く世界銀行からもお金を導入して完成したものでございますが、いま申し上げましたように、これは地域社会に非常に大きな役割りがあるだけに、この第二期工事というものはわれわれも重大な関心を持っておるわけでございまして、ひとつ大臣の方から二期工事完成についての決意のほどをお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○田澤国務大臣 愛知用水につきましては、今日まで当地域の生活及び生産活動の大動脈としてこの地域に大変な貢献をしてまいったのは御承知のとおりでございます。しかし、二十年経過した今日、大変老朽化しましたので、早急に第二期工事を始めようということになったわけでございまして、今後農林水産省としては、上水道あるいは工業用水等との関連がございますから、厚生省あるいは通産省と協議をして、さらに受益者とも十分協議をして、いま先生御指摘の点の心配のないような事業にしてまいりたい、工事にしてまいりたい、そのために最善を尽くしたい、かように考えるわけでございます。
○草川分科員 以上で終わります。
○武藤主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。 次に、小沢貞孝君。
○小沢(貞)分科員 きょうは主として御要請ということになりますが、実はここに武藤前農林大臣もいるわけですが、この農林大臣のときにはバッカス内閣で、酒屋さんばかり大ぜいいたわけです。あのときにさんざん私がやったわけですが、最後に言っているのは、竹下大蔵大臣が、おれが酒屋のときにそんなことやれと言ったって無理だぜ、こういう話だったわけです。その後根本龍太郎先生を会長に、それから社会党の角屋先生を会長代理に、副会長に自民党の農林水産委員長の羽田君、以下各党のベテラン二百五十七名を集めて、こういう奇妙きてれつな議員連盟をつくったわけです。米消費拡大純米酒推進議員連盟、これは本当は話の中で、いま一つ入れろや、こういうわけでしたが、それでは余りにも長くなり過ぎちゃう。米消費拡大日本酒消費拡大純米酒推進議員連盟。何でもいいわ、米がたくさん消費できることならひとつ何でもやろうじゃないか、こういうことからこういう議員連盟ができたわけで、私がその事務局長を仰せつかっております。この間も申し合わせで、この国会を通じてなるべく米消費拡大のムードを盛り上げていくように、各党代表が質問をしようじゃないかということになっております。私が一応の事務局長という責任がある立場なので、どういう趣旨でできたかということを、ちょっとくどいようでございますが、最初に申し上げておきたいと思います。 お手元に印刷物を差し上げてありますが、「米の消費を拡大する純米酒を普及するためには、醸造家代表や税収とも深い関りあいがあるのでこれ等の代表と充分協議し、かつ関係各省とも打合せを行いながら、概ね、次に掲げる諸項目について研究しつつ漸進的に所期の目的を達成するように努力する。」 一つは、「米不足時代にアルコール混入を認めた酒税法第三条第三項を削除する。」これは急にやれば大変なことですから、「激変緩和の措置を講ずる必要がある。」 二つ目は、「アルコールの混入量を決める酒税法第五十条第二項(承認基準)を計画的に引き下げる。」いま一トンの米に二百八十リッターのアルコールを入れてよいということを昭和四十七、八年ごろ決めたままですから、量をだんだん下げていこう、こういうことです。それにも激変緩和の必要がある。 三つ目は、酒税の税率をビール、ウィスキーなど消費の伸び率が非常に高いものと比較して相対的に引き下げて、なるべくお酒の消費を進めて間接的に米の消費を拡大しよう、こういうわけです。いま問題になっている例の関税前倒しという中にはウイスキーがあるわけで、これもまた一段と配慮をいただかなければならぬことだと思います。 四番目には、「醸造家と地域米生産農家との委託加工方式を導入し、地域の実情を考慮しつつ、計画的に進める。」これも酒販組合なんかで大変問題がありますが、問題が起こらぬようにして進めようじゃないか。 五つ目は、「純米酒拡大の方針に協力する醸造家に対し、その設備の近代化などに長期低利の融資等援助を行う。」 六つ目は、「純米酒の消費拡大の宣伝等のための施策を講ずる。」 七つ目は、「その他米消費拡大目的達成のための諸施策。」 こういう趣旨で実はできたわけで、二枚目は、そういうことから、われわれ役員会総会を開いて十二月十四日に申し入れをしたわけですが、前の方はちょっと長いので、これもその「記」から、昨年の暮れに、こういうことをやっていただきたいと、当面申し入れたことを読み上げてみます。 一つは、「米と米麹だけを原料とする純米酒の安定的な生産のため、この醸造業者への助成措置と醸造米の適正な確保を配慮すること。」 二つは、「純米酒の消費を拡大するため酒税の軽減を行うこと(なお、日本酒の真の品質を維持・向上させる措置を講じること。)また、官庁等の公式パーティーには、日本酒を主体に使用すること。」 三つ目、「米消費拡大の一環として、米飯学校給食の完全実施と回数の増加を推進するとともに米を中心とする日本型食生活の普及・定着を図ること。」 四つ目は、「食糧の安全保障を図るため、国による米の備蓄制度を確立するとともに、民間における備蓄を奨励する措置を検討し、適切な施策を講じること。」 五つ目、「その他、米ならびに純米酒の消費拡大に資する予算措置について拡充・強化すること。」 これが去年申し入れたことであります。大変食糧庁等の御配慮をいただいて、たとえばこの申し入れの三番目の、米飯学校給食の完全実施についても、従来二日であったものが二・五日になって、六十年目がけて三日にしようということで、農林省の予算の中の伸び率最高と思われるほど伸ばしていただいて、大変ありがたかったわけであります。 以下、当面の二、三の点について、お尋ねやらお願いをしたいと思うわけです。 なお、私は、ここに武藤さんが酒屋さんでいらっしゃるから言うわけじゃありませんが、私たちは最近、地方の時代ということをよく言われるわけですが、お酒屋さんはやはり村とか地域の素封家であり、指導階級の人です。そういう人と地方におけるお酒の消費とが密接につながるようなこと、それから、これは大変申しわけない話ですが、お酒屋さん、どうもウイスキー会社とかビール会社と違って、経営困難なところが多いというようなこともあって、その地域でうまく酒屋さんと消費者とが密着するようなことが、いわゆる地方の時代にふさわしい実践的なことになるのじゃないか、こういうことも実は願望の中にあるわけであります。したがって、以下申し上げるような当面の問題について、時間が少ないので駆け足で申し上げますが、御配慮をいただきたいと思うわけです。 まず、第一は、備蓄。去年の暮れの申し入れの第四項目にあったと思いますが、私は備蓄がぜひ必要ではないか、こういうように考えます。転作面積がだんだん拡大されて、いま農民が一番不安に思っていることは、第三次水田再編ときたら、これまた大変なことになるのではないか。長期計画等で見ると、生産と消費のギャップが、六十五年展望の中で毎年十五万トンずつある、こういうようになっていって、昭和六十五年には消費が一千万トンぐらい。生産性は上がるしするから、したがって毎年十五万トンのギャップということになると、第三次のときにはまた大変な作付制限をしなければならない、こういうことが農民の一番の不安の一つではないか、こう私は思います。それを防ぐために、実はこの議員連盟ができたわけであります。したがって、その第一のことは、ひとつぜひ備蓄をやっていただきたい。五十七年度の米の生産は千八十万トンで、需要量は千五十五万トン、こういうように計画されておりますが、景気の悪いときは米の消費がふえる、こういうジンクスどおりに進んでいるようで、こんなときに不慮の事故でも起こったら大変なことになるのではないか。このような現実を考えれば、いま私の申し上げた安定的確保のためにはここが問題だと思います。できたならば、食糧の安全保障ですから法文化された——食管法を改正するか単独立法か知りませんが、法文化された制度としての備蓄をひとつ考えていただきたい、こういうことが大きなことであります。 備蓄のことについては回転備蓄ではいかぬから棚上げ備蓄にしなければいかぬ、こういうような論議が食管法の改正のときとかあるいはまた何かのときに言われて、政府もそういう意向にだんだん傾きつつあるようでありますが、棚上げ備蓄でないと古い米を消費者に食べさせる、こういうことになるので、これはやはり棚上げ備蓄。こういうことになると、どうしても古米は恒常的に処理しなければならないという問題が出てきて、それがまた財政上の負担になる。七十万トンずつ古米処理という形になれば、トン二十万か二十五万として千五百億前後のものが恒常的に財政措置を講じなければならぬ、こういうことになると思うわけです。ぜひこれはひとつそういうことも国民の食糧確保という安全保障のためですから、なるべくならば法文化された制度としての備蓄、こういう方向で積極的に御検討いただけばと思うわけです。それが第一ですが、食糧庁でも大臣でもどちらでも。
○渡邊(五)政府委員 ただいまお話のございました備蓄の問題でございます。 米につきまして、これまでも不作といった事態に備えまして相当量在庫を保有いたしていくということで、いま御指摘のように、これまでは全量回転備蓄ということで実施してまいりましたが、この方法自体につきましても、農政審の農政の基本方向におきましても、最近の消費者の強い新米需要との間に問題がある、検討すべきではないかという点で、先生ただいま御指摘のような棚上げ備蓄方式ということも検討の課題ではないかという、まさにおっしゃるような御指摘もあるわけでございます。ただ、棚上げ備蓄をいたしましても、お話もございましたように、やはりいずれこれを安値で処分しなければならないという財政負担上の問題が一つございますのと、率直に申しまして、現在第二期対策を実施しまして需給の均衡を図るというようなこともしているときに、これの枠組みを変えてまでそうしたものをいますぐ取り上げるかどうかという問題もございます。また、この方式については、仕組み上検討すべき問題が相当あると思いますし、直ちに財政負担の問題となるのか、消費者の負担、あるいは生産者の方にも考えるべき点があるのか、いろいろな点もございます。仕組みの問題もございまして、現在これらの問題を農政審議会で総合的に食糧の備蓄に関します論議をいたしております。こうした論議の経過等も私たちは見きわめつつ検討を進めて、なるべく早期に結論を得たいとは思います。 ただ、最近の需給事情からの問題といたしましては、私どもも水田再編の基本方針を持ちつつも、五十七年産米に対しまして、今年度の実施につきまして四万六千ヘクタールの生産調整の緩和をいたすというような措置をとりまして、需給上のゆとりを持ちながら安定的な供給が果たせるような基本的な枠組みの中で私ども配慮しておるわけであります。基本的な問題は、さらに時間をかけて、御指摘の点は進めてまりいたいと考えております。
○小沢(貞)分科員 私はことし出された「米をめぐる情勢と課題 全国農業協同組合中央会」、これを読んでいて、いまの備蓄の問題で、私たち農家及び農協もそれには積極的に負担をする。負担をすると具体的には書いてはいないのだけれども、そういうことまでしていかなければならないのじゃないか。生産をふやしていく、こういうことに通ずるのだ、こういうように出ているのを見て私も感心したから、ちょっと読み上げてみます。 「国民食料の安全保障が備蓄の目的であり、それは国の責任において行うことが前提であることはいうまでもありませんが、棚上げ備蓄が、現状を大幅に上回る財政負担だけで実施しようとする場合、それが全国民的な合意を得られることかといえば、そうはいかないというのが現実と考えます。われわれが、この棚上げ備蓄を強く求めていくには、生産者・農協として、国民の合意を得られる内容を持ったものとして提案しなければなりません。それは備蓄米の生産とその保管等について、生産者と農協が、どのような負担と役割りを担うかを明らかにすることではないでしょうか。棚上げを前提とする備蓄米の生産は、現在の米の需給に新たな用途を開く、つまり生産の維持・拡大とつながるとすれば、その価格や管理経費について、新たな視点に立っての検討が可能と考えます。」だから農民、農協の方もみんな政府の負担だ負担だ、こうは言いません。われわれも積極的に参加しましょう、こういうように言っていますから、私のお願いしたいことは、これだけの提言があるから、ぜひ農林省、全中等と話して、なるべく、さっきから言うように、法文化された制度的なものとして確立することが日本の食糧安全保障のために必要ですし、減反を五十万トンでも六十万トンでもしないで済む、こういうことになると思いますので、これは要望ですが、ぜひひとつ積極的に御検討をいただくようにお願いをしたいと思います。 時間の関係で次に進みます。 新規需要の開拓が私は必要だと思いますが、その前に、去年の暮れの要望書にもありますが、官公庁のパーティーでは日本酒、できるだけ純米酒。これはこの間も毎月、月例でやっている無尽会に私が行ったら、私たちは純米酒だけです、それをコップで冷やでやって、これがいいです、ずっとこれっきりですと言う。なれてくればいいのじゃないかと考えますが、二、三十人集まっていた人が異口同音にいつもこればかりでございますと盛んに言っておりました。できたら閣議等で申し合わせるなり何かうまい方法はないですかね。大体農林省がウイスキーかビールなんか飲んでいないで——私は農協の幹部に何でビールやウイスキーばかりやっているんだと言っているんだが、このごろ大分変えてきたようです。どうぞ役所のパーティーは純米日本酒でいきましょうと言うぐらいは当然のことだと思うが、大臣、ひとつ積極的にやっていただくようにこれもお願いしておきます。 そこで、いま考えられている米の消費の促進ということで農協等が挙げているのは、一番が清酒、二番が工業用アルコール、三番がエネルギーアルコール、四番目にでん粉、それから五番目に加工食品、六が他の穀物食品。六つばかり挙げてあるわけです。うまくいけば二百万トンとか何万トンとか予定の数量が書いてありますが、ここに結論的に言っていることは、価格の問題があるからその可能性を検討すると、トン当たり十万か十二万円の水準で考えたとして百万トン程度の新規需要の開拓が可能だ、こういうようになっておりますが、そのトップに清酒が出ているわけです。これらのことはいろいろやるのに価格の問題や何かでなかなか容易なことではない。第三次水田再編までにはなるべく急いでやらなければいかぬことは、いまの備蓄で五、六十万トンの需要をふやす、その次にはぜひ米の消費の拡大のためにはお酒がいいんではないか。ちょうどはからずも主査に武藤さんが来られちゃったが、武藤農林大臣のときの古い資料をもう一回引っ張り出してきて、予算の効率というものを考えると、学校給食十万トンやるのに二百二十八億とすれば一万トン幾らになるか、二十二億八千万、これだけの金がかかる。それから転作のための予算は幾らかというと、転作のためには、これは当時と単価が違うわけですが、私のつくったこの資料では十二億ないし十六億かかっている。それから、古米処理には二十五億、アルコールをお米で醸造するときには十一、二億、こういうわけで予算効率上からもいいわけです。だから、ぜひひとつ積極的に御考慮をいただきたいと思いますが、大臣、ちょっと答弁……。
○田澤国務大臣 まず、米の消費拡大についてでございますが、私も就任してまだそんなに長い大臣ではありませんけれども、消費拡大は何としてもやらなければいかぬ。これは国民の意識革命ですから、思い切った転換をしていかなければならないということで、今回も学校給食を含めて思い切ったいわゆる日本型食生活の促進ということでいま進めているわけでございます。幸いにして最近は日本型食生活というものは国民の健康上非常にふさわしい、食生活のふさわしい形のものだということはだんだん言われておりますけれども、何せ基本的にどうも米の需要というのは伸びないのですね。そこで、やはり考えられるのは外食。われわれの食生活の中で外食の占める率はだんだん高くなりまして、いま六〇%以上なんですよ。これはすべていわゆる米以外の食に依存している場合が多いと思うのですよ。ですから、加工食品に思い切った力を入れていかなければならないという点から考えますと、いわゆるおかゆの加工品だとか玄米ミールだとかいろいろなものがございますけれども、それはそれなりに研究してもらいますけれども、同時に純米酒というのを、お酒で消費してもらうということは確かに必要でございますので、今後十分検討してまいりたい。 また、水田利用再編対策についても、一つは、米の消費拡大を積極的にやるということ、もう一つは、水田利用再編対策の定着化、集団化をして、その実態をできるだけ正確に把握するということ、それと備蓄を一体どうするのかという問題ですね。いままで過剰米というのがずいぶんありますけれども、だんだん過剰米がなくなってきているのですよ。五十六年で三百五万トン、今度は五十七年度、いま予定しているのは百五十二万トンでございますから、百五十三万トン程度になってしまう。もし、これが備蓄米であったら私たちにとっては食糧の安保の面からいって非常にふさわしい姿なんですけれども、スイスなんかは新米をまず備蓄して、古いものからちょうだいするという形になっているようですけれども、日本の国民はどうも新米、新米という考え方があるものですから、これについてもやはりこういう点は考えなければいけません。まず、二期対策の五十八年度までには備蓄に対してどういう考えを持たなければいかぬということはわれわれ考えていかなければいかぬ問題になってきているのですよ。ですから、いま御指摘のような点を十分参考にしながら、今後この点の二期対策以後の問題についても考えてまいりたい、かように考えます。 また、パーティーについては、これは実は先日も私の方である方々と懇談する場合にやはり純米酒を使いまして、それからハト麦しょうちゅうというものを使ったんですよ。これは非常に、がんにならないというので、小沢さん、どうかひとつ、酒を召し上がってもがんにならないというお酒、ハト麦しょうちゅうだそうですから、こういう点を農林水産省はいま積極的にやっておりますから、今後もそういう点では努力してまいりたいと思います。
○小沢(貞)分科員 時間がないので、せっかく資料をつくってきましたから、お手元に差し上げた資料の最後につづってありますが、「清酒製造における原料用アルコールを削減した場合の経費(試算)」これがあります。 これは、先ほど一気に申し上げたように、一〇〇%アルコール削減率をやれ、こういうことを私たちは申し上げませんが、仮にやった、こうした場合に、その欄の一番下にあるわけです。原料用アルコールが削減されて経費の削減額が二百六十一億、それから玄米の使用量は百二万九千トン、これは五十六万からそこに上がるわけです。したがって、玄米の消費量が四十六万七千トンふえるわけです。それから、玄米の購入額が三千八十七億になって増加するのが一千百四十二億、要するに千百四十二億よけい金がかかる、こういうわけです。それをみんな一升のお酒にやると百七十円高くつく。この百七十円高くつかれるのがこわいからひとつなるべく補助か何かでやってもらいたい。言うなら五〇%補助のときは半分でよろしい。一〇〇%補助のが、全くアルコールのないのが一番下であります。そのかわり、一番右のはじに五百四十六億は水田再編の費用が節約できる、こういう仕組みになっていますから、一番冒頭の二百六十一億のアルコールの削減と一番終わりの水田再編の削減五百四十六億を合わせると約八百億は浮くわけです。それで、千百億よけいかかる、こういうわけですから、言うなら八百億浮いて、千百億ですからあと三百億ばかりあればいいわけでしょう。三百億あって四十六万七千トンふえるというのだから、これは学校給食で一年間に十万トンいかないのに二百二十億ばかりかけているのと比べれば、これはまた予算効率上最高の問題になる、こういうわけですので、徐々でいいわけですが、ぜひこのことをこの施策の中に反映をしていただくようにお願いしたいと思うわけです。時間がもうこれで終わりなんですが、大臣からでもちょっと御答弁……。
○渡邊(五)政府委員 純米酒の問題もございますが、日本酒全体につきまして相当のアルコール添加がされておりまして、これに対しまして私ども食糧庁といたしましても米の消費拡大を図る観点から極力これを少なくする方向で御協力をいたしたいということで、関係者、具体的には国税庁なり酒造組合中央会といろいろ連携いたしておりまして、現在これら酒米につきましては主食用並みの、自主流通に対しましては自主流通助成措置を行っております。また、最近は特に政府新米を希望される、主食用並みの、いわば自主流通よりも安い政府新米価格で売却を希望されておりまして、それにつきましてもいろいろ要望を入れて、年々売却量もふやしてきております。こうした措置で、私どもとしては実情に応ずるように米の消費量を拡大を図りたいと思っておりますが、残念ながら、政府米の計画に対して実需がこれに伴わないと御要望の線には至らないという点もございますが、こうした点も、今後私どもとしては関係者とよく協議いたしながら進めてまいりたい。 ただ、酒米についてだけ特別の価格がとれるかどうかということになりますと、加工用につきましては、現在、過剰米処理の一環としまして古米の値引きなりはいたしております。そういう形の値引きはございますが、新米についてのそうした形は他の価格体系の中ではなかなか困難で、現在の対応はそういうふうにいたしておりますが、酒造業のお立場からの一つの考え方としては、やはりそこの酒造業種の中の対策としてひとつお考えをいただくように、私どもからも関係者の方にはお話をしておきたいと思います。
○小沢(貞)分科員 一番ポイントのところは、工業用米はトン三万円から十万円ぐらいでやっているわけでしょう。だからひとつ、準工業用と名前をつけていいか何とつけていいか、これは国の米を消費するための大方針ですから、幾らかでもいいから、値が上がらないような程度の酒造米の補助は将来検討していただきたい。これがこの議員連盟をつくった最高の目標でもあるので、これは予算的な問題もあろうと思いますが、予算効率上はさっき言ったように一番いいわけですから、ぜひ御考慮いただきたい。 それから、これは答弁は要りません。 三枚目ごろに「酒米(醸造用米)の確保方について」、日本酒醸組合中央会からこの文書が私の手元に出されたわけで、これについてもひとつお願いをしようと思いましたが、ぜひこれは食糧庁に読んでいただいて、食糧庁で考えているのと、また酒米の確保については酒屋さんはどうも違う意見を持っているようにもこれを読めば見れるわけで、それについても今後格段の御配慮をお願いしたい。 以上申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○武藤主査 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。 次に、横手文雄君。
○横手分科員 私は、蚕糸事業団の関係について大臣並びに関係者の皆さん方に御質問を申し上げる次第であります。 現在この事業団が抱えておる在庫量、そして、それは現在どういう傾向にあるのか、このことについてまずお伺いをいたします。ふえておるのか減っておるのか。
○小島政府委員 蚕糸砂糖類価格安定事業団が現在抱えております在庫量は十五万二千六百五十俵でございます。なお、来週早々に実需者売り渡し、三千四百二十五俵の引き渡しが行われることになっておりますので、これによりまして来週における在庫は十四万九千二百二十五俵、こういう数字になるものと思われます。 御承知のように、事業団在庫は昨年の九月に約十六万俵に達しまして、これがピークでございましたが、その後、実需者売り渡しの引き渡し、それから国産糸の買い戻しが若干ございまして、ただいま現在は減少の兆しを見せております。こういう状況でございます。
○横手分科員 これの在庫を抱えているわけでございますけれども、これに要する年間の倉敷、金利はおおむね幾らですか。
○小島政府委員 蚕糸事業団がこの九月末をもちまして解散をいたしましたので、四月から九月までの間につきまして決算が行われております。 それによりますと、四月から九月までの金利、倉敷等の諸掛かりは約六十九億円ということになっております。 いま申し上げましたように、多少の在庫の減少、さらに金利の低下もございますので正確には計算いたしかねますが、大ざっぱに申し上げまして、年間べースでは約これの倍、百三十億ぐらい、こういうふうに存じております。
○横手分科員 私は、去年もこの問題について御質問を申し上げた経緯があるわけであります。 〔主査退席、植竹主査代理着席〕 養蚕業者の皆さん方をこの制度によって救う。御承知のとおり、国際価格の約二倍というのが国産生糸の現状でございますので、これが、貿易が自由化される、輸出入が自由化されるということになるとたちまちにして日本の養蚕業者は全滅をしてしまう危険にさらされます。したがって、こういう形で、養蚕業者の皆さん方を救済をするためにこの事業団は必要であろうというぐあいに考えるのであります。 しかしながら、それが目的ではない。これは食糧ではございませんので、いわゆる一次製品でございますから、これに加工して初めて製品、商品となっていくわけであります。ために、このことのためのみにかかわって、いわゆる角を矯めて牛を殺すようなことがあっては断じてならないというぐあいにも考えます。 その問題については後ほど触れたいと思いますけれども、こういうことで、国を挙げてこれの救済措置をやっているにもかかわらず、日本の養蚕業者、養蚕に携わる農家の方々は年々減少の傾向にある。そして、その繭を使って製糸をしておられる製糸業界、これもまたいま不況のどん底にある、こういうような状態に追い込まれているのであります。 この業界ではいま設備廃棄の問題等が出ているようでございますけれども、このことに対しての今後の指導方針その他、現状についてお聞かせをいただきたいと思います。
○小島政府委員 国産の繭の生産量が傾向的に減っておりますので、国内の製糸業といたしましても、その状態に合わせまして体質の強化、合理化を図らなければならぬ点は御指摘のとおりでございます。 製糸団体といたしましては、昨年の六月から委員会をつくりましてこのための検討を続けてまいりました。これまでの検討におきましては、日本器械製糸工業組合におきまして調整規程をつくりまして、本年四月から三カ月間運転設備の二五%を封印をすることを決めるという運びに大体なっております。また、これに引き続きまして、中小企業事業団の設備の共同廃棄制度を活用いたしまして設備の買い上げなども行いたい、こういうふうなことになっておりまして、製糸業界としてもこの不況の波を乗り切るべく努力中であるというふうに存じます。
○横手分科員 これは業界救済のために避けて通ることのできない問題であろうと思いますし、この問題については経営者の皆さん方もそれぞれの立場でこの問題に真剣に取り組んでおられる、そしてまた、これの指導機関である農林水産省としてもこの問題に積極的に取り組んでおられるということをお聞きをしておるわけであります。 さらにまた、この中に働いておる人たちにとっても大変重要な問題であります。 せんだって、そういった観点に立ちましてゼンセン同盟は農林水産大臣に対しまして、製糸業に関する緊急対策についてということで御要請を申し上げたのでございます。 その中身につきましては、すでに御案内のとおりでございましょうから詳しくは申し上げてまいりませんけれども、以下四点の問題についてそれぞれ提起をしながら要請がなされております。生産及び設備調整について、さらには雇用の確保について、そしてまた、それぞれの企業が設備廃棄なりあるいは生産調整等を行うときには必ずその柱、突っかい棒となる金融政策、これが避けて通れない問題であります。あるいは、これを進めると同時に、事業団の在庫の削減等について要望をしておりますけれども、いま進められようとしておるこの問題とほぼ同等のような形のものでございますが、特にこの問題についての農林省当局としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○小島政府委員 ゼンセン同盟から農林水産大臣あてに出されております要請につきましては、おおむね私どもが常日ごろ念頭に置きつつ業界指導をいたしておるテーマであるというふうに考えております。特に御指摘のございました工場閉鎖等に伴う人員の削減等につきましては、極力配置がえ等を行いまして首切りというふうな事態が出ないように注意すべく指導いたしております。 それから、事業団の在庫の問題につきましては、糸価安定制度が正常に機能いたしますためには何と申しましても過剰な在庫を一日も早く軽くするということが先決と考えておりますので、その線に沿って運用してまいるつもりでおります。
○横手分科員 申し入れの中身については一々もっともであるので、この線に沿って努力していきたい、こういうような御答弁をいただいたわけでございますが、特にいまお断りのございました雇用の問題については失業者が出ないように配置転換等を考慮しながら、こういうことでございますけれども、その指導の中に何か具体的なものがございますか。
○小島政府委員 製糸業は長年にわたりまして各地域の養蚕業と大変密接な関係を持って存立をしてきた企業でございます。したがいまして、製糸業自体も工場の縮小、閉鎖に当たりましては地域との関係ということに大変意を用いておりますし、また雇用関係につきましても従来から大変注意をして運営しているところでございます。労使の問題でございますから私ども直接タッチをするというわけにはまいりませんが、そういうことで製糸関係者とは常日ごろから話し合いをいたしておるところでございます。
○横手分科員 そういった点について十分御配慮をいただきたいというぐあいに思います。 次に、先ほども少し触れましたけれども、絹糸を使って製品をつくる絹業者、これがいま大変な不況の中にあって、現時点では多少いいようでございますけれども、過去の歴史を見ても操短に次ぐ操短ということで瀕死の状態にあったようなこともあるのでございます。そこで、業界の皆さん方に言わせれば、この事業団が発足をするときに、養蚕業者を守るために生糸の輸入の一元化を図り、これによって価格の安定を図る。しかし、ユーザーの関係にある絹業者の立場に立てばそれではどうにもならない。国際価格の二倍の糸を使って織物をつくり、そして世界の市況と勝負をせよと言われてもどうにもならない。したがって、その人たちのためにはいわゆる実需者割り当てという制度をつくります、そして、その制度によって絹業者の生きる道をつくっていきましょう、こういうことで両方の肺をつけた飛行機を飛ばしたのであります。ところが、今日までその機能はほとんど果たしてまいりませんでした。このことに対して絹業者の皆さん方から大変な不満が今日まで出ていたわけでございます。こういった状態について農林省としてどういうぐあいにお考えでございますか。
○小島政府委員 確かに一元輸入制度の発足の直後におきましては、この制度が実需者売り渡しの正常な作動とあわせて製品に対する輸入規制のための関連施策というものを柱といたしまして、絹業者にもある程度の御不自由はおかけしつつも安い糸を適宜お渡ししていくということによって、蚕糸、絹業の一体的な発展というものを図り得た時期があったわけでございます。その当時、大体四十五万俵ぐらいの絹消費と言われておりましたものがわずか数年の間に十万俵も落ち込んだ。これには着物離れという構造的な要因もございますが、短期的には日本経済、特にその消費支出の落ち込みということも大きく作用いたしておるわけでございまして、その間に事業団はその供給過剰のものをカットするということで大量な在庫を抱えまして、また消費が全体的に不振でございますから絹業者の方にも大変な御不自由をおかけした、こういうふうなことであったわけでございます。 それで、昨年以来大変苦労をいたしまして、関係者の御協力を得ながら需給改善に努めてまいりまして、生産者のための支持価格水準の切り下げというふうなこともいたしました。また、海外からの輸入防遏ということについても力を尽くしまして、最近少し効果が出てきたという感じでございますので、一日も早く事業団の機能が正常に働きまして、養蚕関係者、製糸関係者、また絹業関係者にも余り御不自由をかけないで全体がうまく運営される、こういうことを期待いたしておるわけでございます。
○横手分科員 私は、別に揚げ足をとったりするつもりはございませんけれども、去年の質問の中でも同じような御答弁をいただいておるのであります。需給改善をするのが一番大事です、景気浮揚策の推進と糸価の上昇を待って、国産生糸の買い入れを停止したりあるいは輸入生糸の売り渡しをやっていくということで、逐次事業団の在庫が軽減することになろうと思います、こういう観測が述べられていたわけでございますが、たまたまいま糸値が高いということで実需者割り当てがスムーズに行っておるというような形でございます。これは先行きどうなることかよくわからないわけですけれども、しかし、いずれにしても国際価格の二倍であるということは事実なんです。したがって、国産糸がいつまでもそういった高値で行くものかどうかということについても大変危惧をされるような要素があるわけでございます。しかし、実需者割り当てが行われているといっても、これは五十四年度分がいま行われておるということで、機屋さんにとってみれば三年間もだまされ続けてきたという気持ちは払拭できないところがあるわけであります。 冒頭お聞きいたしましたように、十五万俵というのは国内における半年分以上の生産量である。そして、金倉が半年で六十九億ということは、年間約百三十億から百四十億といったようなことになっておるわけでございます。そして、絹業者の皆さん方からはいろいろな問題が出てくる、一方製糸業界ではやっていけないということでどんどん操短問題が起こってくる、一体全体事業団の将来展望はどうなるのであろうかということを考えるわけでございますけれども、この点について大臣いかがですか。
○小島政府委員 何と申しましても事業団の在庫が今日のように大変過剰なものを抱えておるという状況で、かつ、その需給関係も非常に悪い、こういう中におきましては、事業団といたしましては物を適宜放出をするということがなかなかできない。したがいまして、実需者売り渡しというのは一元輸入の絹業者に対する代償的な措置でございましたけれども、糸価が低迷しておるという時期のもとにおいては放出ができないということで、長年にわたって御迷惑をおかけしておるわけでございます。 そんな事態を踏まえまして、農林関係としてはほとんど初めてと申し上げてもいいような基準糸価の切り下げということをいたしまして、今日のようなやや需給に明るい見通しが出てくるような環境をつくり出したわけでございます。それによりまして在庫が短期的に大きく減少するということはないかと思いますけれども、若干の期間をかけて逐次在庫が減少してまいりますれば、ただいまの一元輸入制度を含む糸価安定制度も正常に作動する時期もあるのではないかということを期待いたしまして、ただいまの日常の仕事をやっておるわけでございます。
○横手分科員 絹業者の皆さん方の話を聞きますと、現在実需者割り当てが一応順調に行われつつある、これが将来的にも一定の量が一定の期日に確実にそれぞれの絹業者のところへ約束どおり届く、こういうことを保証をしてもらいたい、また三年間も実需がとまるというようなことがあったのでは、いまのものは単なるあだ花にすぎない、こういう危惧がございますが、その点についていかがですか。
○小島政府委員 私も農林関係のこういう政府関係機関の市場介入と申しますか、そういう他の制度に関与いたしたことがございますけれども、それらの制度に比較をいたしましても、現在の繭糸価格安定制度の糸の放出につきましては、大変厳しい規定が設けられているような気がいたします。これは恐らく生糸が先物取引が行われている商品であるということに着目をいたしまして、事業団放出が余り恣意に行われないというふうなことに対する歯どめとして、こういう制度ができておるのではないかと思います。 したがいまして、それはそれなりに意味のあることであったと思いますけれども、ただいまの実需者との関係ということを考えてみますと、糸価全体に非常に悪い影響を与える場合でない場合でも、一切の放出ができないというのは非常にきつ過ぎる制度であるという感じを実は持っておるわけでございます。具体的にどういうことにすればよろしいのかということについて考えがあるわけではございませんけれども、現在の制度の一つの問題点だ、かように認識をいたしております。
○横手分科員 いまお答えのありましたような、そのことについて絹業者の皆さん方が大変期待をしておられるところでございます。そういったことについて、ひとつ前向きな御検討をいただきたいというぐあいに思います。 ただ、私は冒頭に申し上げましたように、やはりこの制度がわが国における養蚕業者を守っておる制度としてはかけがえのないものだということを何も否定するものではございません。だからといって、いまおっしゃったように、放出をする基準というものががんじがらめになってしまっておる、こういうことでいいのだろうかという気がしないでもございません。その点について、何らかの方策をということをあわせて御答弁をいただいたと理解を申し上げるわけであります。 そういったような状態でやってまいりますけれども、私は、要は事業団と絹業者が相対立するような状態があったのでは、これは何にもならないことだというふうに思います。去年の大臣答弁の中にもございましたように、共存共栄の中にこそ繁栄の道がある、こういうことをおっしゃったわけでございます。さすれば、そのほかの道とは何であるか、これは絹織物の普及、そういうことが大変大事なことだというぐあいに考えます。 しかし、大変高いというイメージがございますので、なかなか消費者の方々も手が届かないのであります。これは極端な例でございますけれども、輸出をしておられる絹業者の皆さん方には、いわゆる保税糸というのが別枠で割り当てられておるわけでございますが、こういった人たちの話をお聞きをいたしますと、糸値の問題について解決さえあれば、絹というものはみんなが飛びついてくるところまで、何とか繊維の販売のシェアの中に入り込んでいけるものだ、こういったことも言っておられるわけであります。そういった意味で、直ちに価格がそこまで下がるかどうかは別にしても、絹織物の消費の拡大といったような施策も同時に進めていかなければ、これはいつまでたってもその二つだけでけんかするようなことになってしまうと私は思いますが、この点についてはどうですか。
○小島政府委員 絹消費が国内的には全然落ち込んできておりますけれども、最近伝えられる情報では、海外においては若干の見直し機運も出ておるというような話もございます。 日本の絹業というのは、もちろんコスト的には材料の問題あるいは人件費の問題、いろいろ制約がございますけれども、多年にわたる大変すぐれた技術内容を持っておる産業でございますから、輸出などに振り向けられるものも含めて、全体的な絹消費の拡大を図るということが何といっても先決であろうと思います。 御承知のとおり、事業団自身も若干の助成金を支出いたしまして、国内の絹需要の拡大のためのさまざまな事業を実施いたしております。もちろん絹業者にも大変な御協力をいただいておるわけでございまして、今後とも力の許す限りその種の仕事をやっていきたいと思っております。
○横手分科員 おっしゃるように、そういった努力もなされているようでございます。通産省としても、いろいろこれの販路拡大といいましょうか、そういうことで外国に対して絹織物の見本市を行う、それに対して一品目ごとにそれぞれの助成金を出しながらということでございます。私は、精神としてはそういう形で行うのが大変いいことだと思いますけれども、しかし受け取っておられる業者の皆さん方には隔靴掻痒の感がぬぐえないのでございます。 たとえば、福井県にも春江ちりめんという大きな団地がございます。ここに対して一品出せということで、その助成金が五十万円、こういうことでございます。新しい商品開発をしなさい、そして国際見本市というのでしょうか、そういうところへ展示をしなさい、そういうために五十万円ではどうしようもありません。機械の改造を一台しただけで、新しい製品を開発するということはとんでもございません。通常その品質を維持するために機械の改造もしなければならない、そのために消えてしまう金額であります。これは二階から目薬というのでしょうか、そういったような感じしか与えられていないのでございまして、積極的にお互いに一体になってというかけ声が大きいにしても、大きさに比べて、各産地に対する刺激度というものは大変小さなものだという感じを持ってきたわけであります。 だからといって、お金は幾らでも出すから、どんなものでもせよというのはなかなかできない相談だろうと思います。そういった点では、お互いに販路の拡大もやっていこうではないか、そのかわり絹織物業者の皆さん方に対しては、過去はいろいろの問題があって実需者割り当てが滞った、この問題についてはこれから約束どおりの期日に約束どおりの量をきちっと上げていきますというのがやはりその絹業者に対する張り合いの一番大きな突っかい棒だというぐあいに考えるわけですが、その点について、どういう形でその方針をとられるかをいま一度お聞かせをいただきたいと思います。
○小島政府委員 繭糸価格安定制度は糸値の価格安定ということが一番の生命でございますので、実需者売り渡しといえども価格の大変な低落を招来するような売り方ということは、やはり制度として自殺的なものであるということで、これまでもそういうことはやるべきでないという見解を持ってきたわけでございます。ただ、現在の放出に関する規定というのが、いろいろな意味で非常にシビアにできていることは、先ほどお答えいたしましたように痛感をいたしておるわけでございまして、実需者に対する販売の円滑化という問題も含めて何らかの検討が要るのではないか、こう思っております。
○横手分科員 最後の質問になりました。 まだこれはいろいろの審議会等で相談をなされることでございましょうけれども、ただ、それの行政主管官庁として、ことしの蚕糸の価格決定について、その蚕糸価格の決定の方針というものを大臣にお伺いいたします。
○田澤国務大臣 基準糸価格は繭糸価格安定法に基づきまして、経済の動向等をよく勘案しながら、例年三月に開催しておりますので、これは蚕糸業振興審議会の意見をも聞きながら、これから適正に決定したい、かように考えております。
○横手分科員 終わります。ありがとうございました。
○植竹主査代理 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十七日午前九時三十分より開会し、総理府所管中経済企画庁並びに通商産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時二分散会