予算委員会第三分科会 第4号
- 発言数
- 374 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/03/08
会議録
○海部主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中、厚生省所管について、前回に引き続き質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、これを許します。渡部一郎君。
○渡部(一)分科員 中国残留孤児のこのたびの親捜し、六十名の報道については、日本国じゅうに報道され、日本国民の魂を揺さぶる経験を巻き起こしておると私は思います。 私も、中国に終戦当時おりました少年でありまして、私の近所にいた中国人から、日本に帰国しないでこのまま残留し、そして日本の政治情勢がおさまってから帰国するように慫慂されたという思い出もございまして、早く帰ってきた一人の日本人として、いま祖国の肉親を求めている同胞に対し、哀感の情切なるものがございます。 その立場から、今回の政府関係当局者並びに自発的なボランティアの皆様方の取り組み、また中国政府の取り組みに対しては、まず深く敬意を表したいと思います。どれほど困難なことがたくさんあったか、言語に絶するものがあったと思いますし、また今日までこのような状況を盛り上げるために努力された日中両国政府当事者の過去の御努力に対し、敬意を表したいと思います。 しかし、問題はたくさんある。たとえば、新聞記事にも表示されておるところでありますが、現在名のり出た者で千四百、実際に日本に帰りたいか帰りたくないかわかりませんけれども、その千四百の方々がおられる。推計すれば一万ないし三万ぐらいおられるのではないかと思われる。その人々に対して、六十名ずつことしのように親捜しをするというのでは、当人の記憶も定かではない、そしてわからなくなってしまうではないかという批判があるわけであります。 〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕 また、本人たちが親捜しをしているという面と、それから国へ帰りたいあるいは一時帰国したいという要求とは全然別種類のものでありまして、その辺についての政府の諸施策は混線しているのではないかという批評があります。 また、帰られた方々が日本語教育、あるいは自分の実家を捜すだけではなく、就職先を探すという問題で多くの困難にぶつかっているということも事実であります。こうしたさまざまな問題、むしろこれから解決すべき問題が非常に多く存在しておると思います。 当予算分科会において、法務関係の御質疑の席上、法務大臣より、戸籍をつくるということに関しては、これは一歩前進せしめて、従来の例よりも早く戸籍を復活したい、こういう意欲的な御答弁がいただけたように聞いておるのでございますが、援護業務、引き揚げ業務を担当されている厚生省のお立場というのは一番問題のポイントを占めておられると思いますので、その点をお伺いしたいと思うわけであります。 順を追って御質問させていただきますが、まず、現在までの残留孤児、いわば総括して言えば中国方面からの未帰還者の実態についてはどうなっておるか、その辺からお尋ねしたいと思います。
○森下国務大臣 ただいま渡部分科員から、中国から今回お帰りになった孤児の問題につきましてお話がございました。私も同感でございまして、戦後処理の問題としても、また人道的な問題からしても、いまおっしゃっていただきましたような内容につきまして全力を挙げてやっていきたいと思います。 詳細な点につきましては、関係の援護局長より答弁させます。
○北村政府委員 中国に残留いたしますいわゆる孤児と言われる人々は、現在私どもが把握をいたしておりますのは、調査中の者九百十二人でございます。これはシステムといたしまして、自分が孤児だ、あるいは孤児ではなかろうかと思われる人から名のり出ていただくシステムになっておりますが、その数が先ほど先生お話しになりました千四百五名でございます。現在までに身元がわかりました者が約五百ございますので、残りの九百十二件が目下調査中ということになるわけでございます。 なお、そのほかにどれぐらいいるかということは、いろいろ説がございます。今後、私ども、中国に政府の調査団を派遣いたしました際に先方ともよく打ち合わせをしたいと思っておりますが、一つの寄る辺になります数は、現在未帰還者の中で戦時死亡宣告という手続がございまして、戦地で、外地で行方不明になった人が、もう死んでいるのであろうということで戸籍上処理をしたものでございますが、その中で十三歳未満の者が約三千四百人ございます。それが一つの当方としての足がかりになる数字ではないかと思っております。
○渡部(一)分科員 現在の調査状況につきましてお尋ねしたいと存じます。
○北村政府委員 ただいま申し上げました千四百五名のうちで、判明いたしました者を除きました九百十二人につきまして、今後計画的に中国政府と交渉をしながら日本に招きたい、そして親元を照会する手続を進めたいと思っておりますほか、先ほど申し上げましたように、新年度予算が成立いたしましたならば、中国に調査団を派遣いたしまして、先方でその孤児たちに当方の調査官が面接をいたしまして、身元を解明するに足るいろいろな情報を集め、そのほかビデオ、顔写真等を撮りまして、これを持ち帰り、報道機関にお願いして放映していただくほか、その顔写真集を各都道府県に配置して、親御さん、御親戚の方々に見ていただこう、そういうことを現在考えているところでございます。
○渡部(一)分科員 アメリカがベトナム戦争の終結時から今日に至るまで膨大な難民を受け入れているわけでありますが、これは立国以来受け入れている。平均して年に五十万人も受け入れている。日本側のやり方というのは、親捜しを克明に、芸術的に、詳細に行っているのは、精密に行っているのはわかりますけれども、精密過ぎて実情にそぐわないのではないかという思いが非常にするわけであります。いまのビデオとか顔写真とか、非常に結構であります。それは精密に行われることでございましょう。しかしながら、大多数の日本人孤児にとっては、記憶もはっきりしない、幾ら調べられても、もうある一定限度を超えてしまう。そして、親を捜せない人が泣きながら成田空港から手を振りながら去っていく。これは美しいドラマではなくて、日本人の狭量さを示すものであると私は思います。精密過ぎて、戦後処理の方式としては役に立たない。私は、その意味で、幾ら捜しても身元の判明しない人々に対する措置がなかったところが、いままでの問題点ではなかったか。政府もその辺意欲的に考えておられるようですが、その辺どうされるのか。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○森下国務大臣 おっしゃるとおりでございます。アメリカ等が受け入れております難民等と違いまして、特に旧満州地区におられた方々のソ連参戦後のあの悲惨な状況、もうすでに三十七年たっておりますけれども、まざまざとわれわれの胸中に浮かぶわけでございまして、一般の難民と違った方法で受け入れるべきである、私もそう思っております。ただ、受け入れる方といたしましては、個人対個人の問題でございますから、確かに自分の肉親であるという確証がないとやはり受け入れがたい。何人もの方がおいでになって確認をしながら、確証のないために心引かれながら両方が別れておる、そういう姿をオリンピック総合センターでわれわれも見せていただいたわけでございますけれども、それにかわって、里親制度とか何か受け入れ体制で、どうしてもつながりができない方に対しましては、やはり同じ日本人の血が流れておることは事実でございますから、肉親がなくても日本人として受け入れるべき温かい何かそういう里親制度のようなものをつくりまして、そこでお帰りになる場合には受け入れますよというような方向は、厚生省としても実は考えておりますし、また、中国政府の了解も得て、身寄りのない方が、そういう受け入れ体制があった場合に、帰りたい場合には日本国籍を与えていただくように、これも各関係省庁ともよく連絡いたしまして、そういうことができるように配慮したい、このように実は考えております。
○北村政府委員 昨年第一回の孤児調査を行いました際に、情報から見まして、日本人孤児であることはほぼ確認できたものの親元がわからないという方が何人かおられたわけでございます。その後、私ども、これらの方々についても日本に受け入れるべきである、そのための手続その他についてかねがね法務省にお願いをいたしておりましたが、先般、法務省の方から御見解が示されました。 それを簡単に申し上げますと、二つございまして、一つは、厚生省の調査によってほぼ、ほぼといいますか、確実に中国残留孤児であることを確認された者が第一の要件だ、それから第二に、親元がいないわけですから、親元にかわるべき、国内で身元引き受け、その他の諸制度の受け入れ体制が整っていること、そういう人に対しては入国も認め、日本の国籍を取得させることについて積極的にやりましょうということでございました。 そういう観点から、私どもといたしましては、現在、御審議中の予算案におきまして、明年度から里親制度、身元引受人制度を創設することといたし、一方、親元がなくて、そういう人たちを仲介に日本に帰ってこられた方々には、親元のある方と同様に生活援護、それから日本語の習得、それから就職あっせん等の措置を講じたいと考えております。
○渡部(一)分科員 もうちょっと具体的に言っていただかないと。 帰国に必要な諸経費の負担とか、受け入れ施設への収容とか、受け入れた場合の生活保護の適用とか、受け入れ施設に援護員を配置するとか、孤児の身元を保証する人がいない場合の公的な引き受けのやり方とか、その予算措置とか、そういうものが説明されないと、いまのお話もよくわからないのですが、ひとつお願いします。
○北村政府委員 具体的に申し上げますと、帰国受け入れのために中国での居住地から日本に到着するまでの旅費を負担いたします。そのほか、当座、日本に帰ってまいりましたときには、身の回りを始末する、物を買い調える資金が要ります。これの帰国手当の支給を行うことといたしております。これは各人ごとにいたします。 それから、親元がないわけでございますから、当面、社会福祉施設等の受け入れ施設に、個人個人で長さは違いましょうが、大体一年ぐらい収容いたしまして、最低限度の生活習慣の習得あるいは日本語教育の実施等を行うことにいたします。 これらの受け入れ施設には引き揚げ者の先輩のような方々に援護員を委嘱いたしまして、これらの方にお金もお払いしながら、そばで見ていただくというようなことを考えております。 そのほかに、ややなれてまいりましたらば、職業訓練、就職等のあっせんもすることといたしておりますし、それらの大前提になる生活保護につきましては、それぞれ帰国後直ちに生活保護を適用して生活費を支給するということにいたしております。 そのほか、全国からもずいぶんお申し出がございますが、これらの孤児の引受手になりたい、なってあげたいという方々につきましては、孤児引受手当を差し上げる予算を現在準備中でございます。 大体このような施策を講じることによりまして、早急に日本社会に溶け込んでいただきたい、そのように考えておるところでございます。
○渡部(一)分科員 居住地から日本へ帰られる費用というのは、本人が親元を探すために帰ってくる、現在支出されている費用とは別に、本人が日本に帰国したいと言われる場合に支給される費用のことですね。
○北村政府委員 そのとおりでございます。またた、一時帰国の際も同様でございます。
○渡部(一)分科員 そうすると、費用として支出されるのは本人が最終的に帰るといったときに日本に帰ってくる費用と、それから、当人が一時帰国で帰ってくる費用と、それから、今度のように、親捜しで帰ってくるときの費用と、三通りあるわけですが、最大限何通り、幾らまで出るように計画されているのですか。
○北村政府委員 細かいことになりますが、居住地から北京発の飛行機で帰ってくるといたしますと、北京までの、中国のことでございますからいわゆる硬座料金というのでしょうか、一等、二等とあったときの二等料金でございます。それから北京で、飛行機が出発するまでの準備期間が要ります、そのホテル代、それから東京までの飛行機賃、それから東京での必要な宿泊費、それから落ちつき先までの汽車賃、これは普通料金を計上いたしております。 〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕
○渡部(一)分科員 私が聞いているのは、今度のように、親捜しで一回帰ってくるとする、それからわかったとする、そして一時帰国で帰ってくるとしますね、一時帰国で、一回か二回か三回か知りませんが、帰ってくるそのときの費用、それから今度は最終的に帰国で帰ってくる、もう日本に帰ります、みんなと話し合いもつきましたと帰ってくる、そのどの辺まで、一時帰国は何回もできるのか。親捜しの分は政府が払っておられるのはいまわかっている、見てのとおりですが、一時帰国の分と帰国の分とありますね、さあそこで、何回分出すのですか。
○北村政府委員 失礼をいたしました。 結論から言いますと、何回でも出します。つまり、政府の招きで今回のように参ります場合にはその全経費を、いま詳しく申し上げましたのをまず見ます。それから、必ず一時帰国を前提にするケースばかりとは限りません。もうそこで全部親元とも話をし、職場もやめ、もう日本に永住するつもりで来る例が大多数でございますが、それは一回限り。それから、一遍一時帰国してみたいというような実情がございますときには一時帰国を経て、さらに永住帰国と、その都度費用を支出いたします。
○渡部(一)分科員 非常にりっぱに、きちんと考えられておるので安心しておるのですが、日本人の血統主義の考え方がありますので、本人はお金を出すよ、本人の家族なんてとんでもない、嫁さんもとんでもない、子供もとんでもなければ孫もとんでもないということになりかねない。また、向こうは大家族的な考え方があって、おじさんとかいとことかそういうのも一緒に来たいなんというケースもあります。この辺はどの辺で線を引かれるのですか。
○北村政府委員 私どもといたしましては、家族を連れて帰ってきたいという場合にはその御希望に沿うつもりでおります。具体的には配偶者、子供、それからまれなケースでございますが、どうしても養い親を連れて帰らないと向こうで一人になってしまうという場合にはこれも対象にすることといたしております。ただ、おっしゃいました一家眷族、おじさん、おばさん、おばさんの子供、おじさんの、などということになりますと、これは個別に判定をしなければならないと思っておりますので、個別のケースで御相談をすることといたしております。
○渡部(一)分科員 そうすると、あなたの言われるのは要するに直系卑属、自分より下の方ですね。配偶者と直系卑属及び時には養父母、こういうことですね。
○北村政府委員 原則としてはさようでございます。
○渡部(一)分科員 そうすると、こうした問題について中国側と丁寧に打ち合わせなければいけないのは、中国における生活基盤を無理やり引き離して——不幸にしてこれだけ長い時間がたっている場合は引き揚げるにも引き揚げられない、とどまっているわけにもいかないというような中途半端な状況というのが非常に多く出るだろうと思うし、中国政府とも御相談の上、これが第一条件ですけれども、日本人の認定について、中国側が認めている者については日本側としてはいつでも受け入れる用意があることを中国側にPRする必要が一つある。それから、今度は日本に帰ってきた人々に対して、法的にもあるいは援護措置としても戸籍上の措置としても、できる限りのシステムを効果的に運用するというシステム上の問題とがある。この両面については全力を挙げてやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○森下国務大臣 先ほど援護局長から答えましたように、できる限り中国政府ともよく相談いたしまして、本人はもちろん配偶者また直系卑属そしてまた養父母、この範囲内におきまして、日本において言葉の問題また生活、習慣の問題、そういうことになじめるようなすべての体制も考えまして、親捜しの過程で彼たちまた彼女たちの話の中にございます、われわれは母国また祖国に帰って非常にうれしいというような話の中で——ちょっと話がそれますけれども、初めの話に関連しますけれども、受け入れ側の感覚はやはり血のつながりというわけでございますけれども、孤児たちの考えは日本そのものが母国、祖国として、温かく入れたい、そういうことでございますから、そういう感覚の上に立って安心して帰れる、そういう環境づくりを全力を挙げてやりたいということであります。
○渡部(一)分科員 年に一回、今度の場合の最大の不満でしょうけれども、横で見ておりまして、六十人の人を丁寧にめんどうを見ているのはわかるけれども、千人もいるのを六十人ずつやると、これから何年かかるかというと十五年かかる。もう大体死んでしまう。それで決着にしようというふうに見えるわけですね。これは悪意なき殺人に近いやり方である。こういうのは決していいことじゃない。しかも、あのテレビを見ていて泣いて見ているのは日本人だけであって、あるアメリカ人が私のところにやってきて、あきれ返った、日本政府はなぜ即時に全部引き取ろうとしないのか、このでかいビルディングがたくさんある東京へ。それをお涙ちょうだいで日本じゅう見ている。耐え切れなくなった人がそこへやってきて、お金を持ってきたり、品物を持ってきたりしてやっている。日本人というのは、ああいうのをいたぶり痛めつけるのを喜ぶ民族なのか。残虐性というのが発揮されているんじゃないか。あのテレビを見ていると、アメリカ人の感覚からいうと、悲惨を通り越して日本人の残虐な性格、「菊と刀」の中にある刀の性格があらわれている、こう言ったアメリカ人がある。私はそれはわからぬではない。だって、六十人ずついびりながら、それこそもう一人ずつの悲惨さをみんなでおもしろがってやっているように世界的に見えるでしょう。これは行政のスピードというものがある程度以上遅いと、事態として悲惨なことになる典型的な例だと私は思う。だから、この六十人の数字は、悪いけれども、非常に不穏当な数字である。行政としてはシステム的にちゃんとできているにもかかわらず、これはきわめて不穏当かつ無慈悲、残酷のたぐいである。日本国の国際的な貿易不均衡も叫ばれている折に、日本人は要するにその国際的な責任をまともに果たしてないという批評に的確な論拠を提供すると私は思うのです。 なぜ早くやらぬか。六十人でなければならぬのか。六百人でやればいいじゃないか。六百人でだめなら千人にすればいいではないか。わが国の経済力というものを総動員すれば、わが国の経済の規模あるいは予算の規模からいえばそれは決してできないことではないはずだ。何で六十人ずつ刻んでいたぶりながら、テレビにかげながら、日本じゅうの涙をしぼりながら、国際的に評判を悪くしながら、ぎりぎりぎりぎりと残酷無残にやってのけるか。私は数字というものに対して憤りを禁じ得ない。 北村さん、まずあなたに伺うが、あなたも特定の悪意があられたんでは毛頭私は思ってないけれども、このレベルは急速に十倍、百倍、けたが違う。けたの違うペーパーをあなたが出されたら大臣でも判こを押さざるを得ないだろうと思うから、まず局長に伺うのですが、この数字は一気に拡大するのが妥当だと思うけれども、いかがですか。
○北村政府委員 この問題は早く解決しなければいけないと思っておりますのは私どもも全く同様でございまして、五十七年度におきましてはこの六十人を百二十人に増加をいたすべく準備中でございます。 そのほか、先ほど来申し上げておりますように、この九百人の身元を解明する手がかりがどの程度あるのか。それから、養い親の方が子供を預かった、もらったときの状況がどのくらいあるかということがわかりませんと、なかなか身元調査のあれがむずかしゅうございます。 したがいまして、今後政府の調査団を派遣いたしましたときに、その辺をめどをつけてまいりたい。それでやりますと、今度は、五十八年度には相当手がかりがつかめるのではないか。さらに数もふやして、短期に実施したいと思っております。
○渡部(一)分科員 いまの数字は明らかに前々から積み上げられたもので、百二十というのはそれでも一生懸命やったという数字だと思います。しかし、それは少な過ぎます。千人規模に引き上げなければだめだ。そして向こうでは名のり上げることのできた人は希有なるケースである。私が中国へ行って接触したケースでも、日本人で名のり上げてきた人がいる。そういう人たちは、名のり上げること自体がいままでの間、特に政治的な変動期にはマイナスになり、自分の就職先を失い、社会的ポテンシャリティーを失うものだから、言うことができない。数は十倍ですよ、軽く見積もったって。だから、ともかくいま名のり出た人はもう死にもの狂いで名のり出ているんだから、すぐ引き取るのは当然。そしてそのほかのわからない人に対して、肉親関係があるならある、ないならないというのを中国政府と早急に打ち合わせて判定することが必要じゃないですか。そのためにはこの援護措置全体を見直さなければならない。大臣、ひとつ本気になってやっていただきたい。レベルが低く、こんなに数が少なかったらもうどうしようもないのですから。これでは役に立たない。そして悲惨な思いだけを国際的にさらして、日本人、日本国政府はこんなに同胞に対しても残虐なのかという思いを世界に知らしむることが、この国際化時代にどういう政治的意味を持つか、私はひとつぜひとも抜本的な御対策をお願いしたい。
○森下国務大臣 私も実は引き揚げ者の一人でございまして、渡部分科員よりは少し年が上でございまして、一軍人としてああいうパニック状況、悲惨な状況を実は見ております。気持ちは同じでございますが、まず第一に中国政府との十分な打ち合わせ、そしてまた了解を得ないとこの問題は解決できないということでございます。それと、やはり一時期を越されてそして親捜しをする。中には、帰れるだけでいいんだ、やはり永住するのは中国に帰って永住するんだ、そういう方も実は過去の例でも今回でもあるようでございますから、内容的にもなかなか複雑な内容を実は持っております。気持ちとしては、一挙に大量日本に来ていただいて、そして親捜しをしていただく、肉親捜しをしていただく。その上で日本に永住されるか、また大陸にお帰りになるか、いろいろ本人の判断もあると思いますので、これは非常に複雑な、しかも国際問題を含んでおりますし、むずかしい問題でございますけれども、渡部分科員の御趣旨というものは私もよくわかります。これも始まったばかりでございまして、厚生省としてもまだ万全の体制を組んでおるとは私も言えませんし、特に中国政府とも十分話し合いをする、今回、日本からも訪中団を派遣いたしましてそういう点で十分相談、打ち合わせをして、御趣旨に沿うような方向に全力を挙げたいと思っております。(渡部(一)分科員「数の見直し」と呼ぶ)見直し等においてもいろいろ検討をさせていただきます。
○渡部(一)分科員 ありがとうございました。
○海部主査 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。 次に、中野寛成君。
○中野(寛)分科員 私は、ベビーホテルの問題について、昨年に続いてお伺いをしたいと思います。 昨年、児童福祉法が改正をされまして、これらの対策についてはその対策の端緒についたところでございます。まだ必ずしもその対策が十分行き渡っている状態ではないわけでありますが、その対策を講じつつ、なおやはり多くの問題を抱えてこれからより一層詰めた対応策を講じていく必要があるだろうと思いますので、お伺いしたいと思います。 私も大阪の方の出身ですが、この国会が再開をされる前、一月十九日の夕刊を開いてみてびっくりいたしました。社会面の三分の二ページを使いまして「幼女布団蒸し殺人 無認可のベビーホテル」ということで大変大きく取り上げておりました。これは神戸での出来事でございます。そして、これはいわゆる保育ママと言われるケースであります。ある公営住宅の一室を利用して、御近所のお子さんたちをある特定の奥さんがお預かりになっておられます。子供さんが泣くものですから、その子供さんが泣いてはほかの子供たちにも迷惑がかかるということで、思い余って、結局泣き声を消すために布団をかぶせた、それが結局、窒息死につながったというケースでございました。いろいろな問題を抱えながら、いまなおこの問題は尾を引いているわけでございます。 私は、ベビーホテルすべてが悪いという考え方は持っておりません。民間の力を大いに活用していく。また、ベビーホテルとか無認可保育所とかいわれるものの中にも、善意から出発をした施設がたくさんあるわけであります。このようなものも十把一からげにして全部悪いというふうにしてしまうにはやはり問題がある。まして、現在の国や地方自治体の力のみで保育行政がやれるならいざ知らず、そのことは財政的にもそしてまた人的にも不可能であります。そういうことを考え合わせますと、やはり民間の活力を生かしていく、その観点に立ってこれからの対策が講じられるべきではないだろうかというふうに私は思いますので、そのことについてお伺いをしたいと思うわけであります。 まず、いまお聞きいたしましたが、民間の活力を生かしていくという観点から保育行政のあり方について基本的にどのようにお考えになっておられるのか、児童福祉法改正以後の政府の措置等についてお聞きをしたいと思います。
○森下国務大臣 中野分科員から保育行政についてのお話がございました。私は、ベビーホテルの問題に入る前に、保育というもの、特に乳幼児の保育につきましては、基本的には母と子の触れ合い、これが一番いいと思うのです。しかし、いまの社会機構、また共稼ぎ等の機構の中で、そうはいかぬと思います。そういうところに公的な保育所とか、また、ときにはベビーホテルのようなものができまして、これも指摘されましたような非常に悪い面もまたございますし、また、中には非常にいい点のあったことも私は認めております。それを公的な裏づけをどうするかということだけの問題でございまして、同じマンションでお互いに預け合いするとか、そういうことは現に行われておるわけでございます。詳しいことは担当官より説明させますけれども、基本的には私はそういう考えであることを申し上げておきます。
○幸田政府委員 民間の活力を活用すべきではないかという御指摘でございますが、私どもも同様な考え方でございます。昨年の臨時行政調査会の第一次答申におきましてもそういった趣旨の御指摘をいただいておるわけでございますが、ただ、私どもいま先生御指摘のベビーホテルの問題に関連して申し上げますならば、やはり社会福祉法人というシステムを設けておりますので、そういった社会福祉法人の中で民間の活力というものの活用を図っていきたい、かように考えているわけでございます。 また、ベビーホテル問題、昨年の通常国会で児童福祉法の一部改正が成立、実施されました以降でございますが、私ども、昨年の十月から、延長保育あるいは夜間保育の実施に向けまして現在いろいろ努力をいたしておる最中でございます。新しい五十七年度予算案におきましても、相当数の延長保育の実施あるいは夜間保育実施の予算が計上されておりますので、今後ともこういった面での努力を傾注してまいる考えでございます。
○中野(寛)分科員 大臣のお答えになられた基本的な姿勢については、私も全く同感であります。それだけに私は、たとえば保育行政、そしてまたベビーホテルのような民間の施設を活用する場合にも、そこには、言うならば子供を預かり育てるというだけではなくて、そこに預けに来るお母さんなりお父さんに対して、育児のあり方について親を指導することもできる、そのような人をやはりその施設には置くということさえもやらなければいけないということも私は考えるわけであります。そのことは昨年も指摘したとおりでございます。ただ、残念ながらこういう需要がある。しかもそれはやむにやまれぬ事情のもとでの需要も決して少なくない、ということになりますと、やはり保育行政の充実はなお一層図っていかなければなりません。しかし現実には公立の保育施設だけでは、これは不十分であります。 ちなみに、昨年の法一部改正後、また私どもが指摘をいたしました後、どのようなことがなされたか。ここに四つの通達文書があります。これは児童家庭局長さんのお名前でお出しになっておられます。 順を追っていきますと、いわゆる児発第三百三十号、これは「ベビーホテル問題に対応するための乳児院の活用等について」ということであります。これがいけないというのではないのです。このことは大変結構な措置だと私は思うのですが、ただ、どれだけ効果を上げているかということになると、大変問題があると思っているわけであります。たとえばこの「乳児院の活用等について」その後、この通達に基づいてどういう効果が上がったか。私の調査では、この通達等を活用しながら実施されたいわゆる昨年の実態調査に基づいて、ベビーホテル長期入所児を乳児院に引き取られたというケースはただ一件だけでございます。しかもそれは、お母さんがいわゆるトルコぶろ回りをし、行方不明になっておる。お父さんが重度の結核患者で、麻薬患者でもある。ゆえに、ベビーホテル側が警察と児童相談所に三カ月間にわたって交渉してやっと措置されたケースでございます。このようなことで、たとえばこの通達が果たす役割りというもの、それはどれだけの効果が果たして上がっているか。実態として大変残念な状態がなお継続をされているということであります。乳児院に子供を預けることを忌避する国民の気持ち、それを甘えの構造と言って、そのまま見過ごしていいのかどうか、この問題も私は残されていると思うのであります。 それから五百六十六号、七月二日に出されております「無認可保育施設に対する指導監督の実施について」そして、その通達には「無認可保育施設に対する当面の指導基準」というのが添付されております。そして、この文章を見ますと、たとえば「保育に従事する者の数は、おおむね児童福祉施設最低基準第五十三条第二項に定める数以上であること。」二番目には「保育に従事する者のおおむね三分の一以上は、」そして大きな項目二番の中の二番「保育室の面積は、おおむね乳幼児一人当たり一・六五平方メートル以上であること。」数字が書いてあるところにはすべて「おおむね」とつくわけであります。それはそれなりの意味を持たせて、弾力的に経過措置として判断するためにつけられた言葉でありましょうが、しかし、おおむねという言葉は、たとえばおおむね十人と書かれておったときに、それが二十人であったという場合に、それではこれに違反していると明確に答えることができない実態が残されているわけであります。たとえばこのような基準についても、私はもっと明確にしていいんじゃないかと思います。このような実態ですから、結局それは結果的に守られないという状態になっている。このこともやはり指摘しなければならないと思います。ゆえに、先ほど御指摘申し上げました神戸の市営住宅で保育ママ形式で預かっていた、そこで子供を死亡させた事件というものもやはり起こってくるわけであります。 次に、六百三十五号「夜間保育の実施について」という通達が出されております。しかし、これも婦人の就労時間が二十四時間、いつの時間帯でも社会要求されている。労働基準法に違反しているという問題もあるかもしれません。しかしその労働基準法の枠内で婦人の労働時間帯をはかったとしても、やはり現在措置された内容では十分対応ができません。いわゆる地域点在性ということの配慮がなされませんし、まして一カ所に二十人、三十人の子供たちが夜間保育を望む数になるなんということは、大体考えられない。やはり夜間保育を望まれる子供なんというのは、きわめて少数であることは事実です。それを地域で割っていけば二人とか三人とか、せいぜい五人とかいう数字、それを一カ所に二十人、三十人集めて措置しようといったって、それはその数に達するはずがありません。ゆえに、先般、東京都中野区では、国や都の夜間保育事業を補完するという形で予算案が出されて、そして五人とか六人とか民間に委託をして、そしてそこで家庭的な雰囲気の中で預かってもらおうという措置が講じられましたが、むしろその方が実態に合っている、こう申し上げることができると思います。 次に、七百十七号通達「延長保育特別対策の実施について」いわゆる保育は一日八時間が適当であり、通勤時間を補う意味で朝七時から夕方七時までとしているが、婦人の仕事内容ではその時間に限らず、他方面の職種が婦人にも要求をされ、そしてそれに対応してやっていこうと思えば、この時間帯では実際これはおざなりとしか言いようがありません。たとえば夜間学校の先生は夕方四時から夜九時までの保育要求であり、看護婦さんは三日に一日は夜勤があります。女医さんは、患者の容体によっては一日じゅうの保育をお願いしなければならぬという実態が出てまいります。また子供が二歳、三歳になるころ、婦人の職場の地位も高くなり、独身時代からの職場での仕事内容も充実をし、出産を機に仕事が中断をされると再度の職場復帰はむずかしい。パートとしてしか認められない状態では、やはり御婦人方は当然不満を持たれることになるわけであります。これからの婦人の進出、そしてプロフェッショナルとしての仕事をやっていこうという意欲を持っている方々にとっては、これらの実施要綱では余りにも物足りないということになってしまいます。夜間保育等々についても、何も夜働いておられるホステスさんたちだけではないということ、そういうことをやはり十分考えながら対応していく必要がある。 以上、大変ぶしつけな御指摘を申し上げましたけれども、これらのことについては恐らく経過措置としておやりになったことだろうと思いますが、今後、抜本的にはどういう対策を講じていかれようとしておられるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
○幸田政府委員 いまいろいろ御指摘のございました乳児院の問題あるいは指導基準の問題、いろいろ御指摘のような面があることは、私も否定はできません。乳児院につきまして、短期入所という制度を設けたわけでございますけれども、必ずしもその利用状況が十分でないといったようなことは事実でございます。 ただ、私ども現在考えておりますのは、御指摘のございましたように指導基準にいたしましても当面の経過措置という考え方で決めているわけでございまして、将来は、現在の児童福祉施設の最低基準に少なくとも適合させたい、こういう考え方でございます。この点は通達でもはっきり指摘をしているわけでございまして、そういった意味で指導基準の問題「おおむね」ということがついているわけでございますけれども、私どもの当面の指導の考え方ということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。 また、夜間保育なり延長保育の問題につきましても、年度途中からの実施でございましたので必ずしも十分でない面がございますけれども、五十七年度におきましては各自治体でもそれぞれ必要な予算の計上を行うなどの措置によりまして、かなりの充実が図られるのではないかと思っております。 いずれにいたしましても、私ども、国で行います仕事にはおのずから限度がございますので、国と地方自治体あるいは先生御指摘の民間の活力というものが相まちまして保育の内容の充実が図れればと考えております。
○中野(寛)分科員 当面の経過措置ということはわかります。そして、昨年からことし、また、新年度にかけて予算措置が講じられていることも事実です。しかし、先日新聞にはこう報じられておりました。私も実態としてこの新聞に書かれているとおりだと思っています。すなわち「厚生省は、認可保育所の夜十時までの夜間保育二十カ所分について、昨年十月から急きょ予算をつけた。ところがこれまでに厚生省の求めに応じて実施した夜間保育所は、全国でたった三カ所。国の吹く笛にいっこうに保育所側は踊らない。いま審議中の五十七年度予算案ではさらに夜間保育所三十カ所分が計上してあるのだが……。」果たしてこれからどうなるだろうか。そして一方、全国に五百八十七カ所以上あると言われるベビーホテルでありますが、昨年末のある新聞では「ベビーホテルは“健在”」だ、つぶれても新顔が次々に出てくる、こう書かれています。いろいろな規制措置が講じられて、いままでやっていた人たちの中で恐れをなしてやめていったところもあるけれども、やはり需要に押されだんだん復活してくる、またふえてくる。一たん措置児童が減ったベビーホテルもまた二、三カ月もするともとに戻る。ですから、これをなくそうとしても実際は不可能なことです。そして一方、予算化されているように、失礼ですがあえて言わせていただければ、おざなりとしか思えないような公的保育所における措置等については、残念ながら現在の需要の形態にぴったり対応した内容とは言えない。ゆえに、このようにせっかく予算化してもそれを実施する個所は、たとえば国が二十カ所と言っても三カ所しかできないとかという無残なものができてくるということになるわけであります。 ちなみに、岡山県の夜間保育園の園長先生がこうおっしゃっている。「夜間保育を必要とする子供は、ほとんど午前中から預けられるため、結局、午前中の臨時職員が最低三人は余分に必要。」になります。二番目「国の補助は昼間の保育園補助をそのまま適用しているが、同じ給料で夜働く人はいない。どうしても夜勤手当などの手当がかさむ。」三番目「夜働くという条件のためか経験の浅い若い独身か年配の保母に限られ、質の高い中堅の保母さんが集まりにくい——。」もう一つ、京都市の保育園の園長さんのお話では「建設段階から厚生省との話し合いであれこれ計画が変わり、結局五千万円近くに建築費がかさんだ。」これは夜間保育をするための施設の改善であります。五千万円かかった。「ところが施設への補助は国と市で合わせて千五百万円。二分の一補助にもならない」こういうことなのです。だから、やろうとしてもたくさんの問題があるわけです。 そういたしますと結局、民間の保育所に夜間保育を委託するということになりますと、ある民間の保育所の方のお話によると、たとえば公立等の施設で一億円要るところ、私どもでしたら一千万円もいただければそれ以上の保育をやってみせますとはっきり断言している。これこそ行政改革ではありませんか、財政再建に一番役に立つことではありませんか、そしてそれは需要の実態に合った対策を講じてみせます、こうはっきり断言しておられます。それが実態ではないでしょうか。実際に厚生省としてもその辺のことは腹の中ではおわかりになっているのではないでしょうか。先ほど、社会福祉法人として対応しているとおっしゃった。しかし、それをやろうとして果たしてどれだけ対応できるのでしょうか。いつになったらそれだけ社会福祉法人がそろうのでしょうか。いつまでたっても不可能だと私は断言できると思います。 ここで提案をしますが、夜間保育園も含めて民間保育所を全部登録制にしたらいかがでしょう。認可という形ではなくて、登録制にしたらどうでしょう。そして、登録しているけれども未認可の保育園が民間にあるのだ。しかし、登録制ですから当然基準に沿わなければなりません。しかし、登録をしないところは徹底して取り締まってつぶしていったらどうでしょう。そして、登録したところはちゃんと組織化してきちっと指導していく、そしてたとえば夜間保育等についてはそこへ委託をしていく、そしてその水準が上がっていけばそれがおのずから最後は認可保育所になっていく、そのようなことが必要なのではないでしょうか。いま、ベビーホテルだからといってそれを全部つぶしてしまえと命令する権限は、残念ながらどこにもありません。しかし、子供といえども、宿泊を伴う保育をしている、一般のホテルと一緒です、そういうところであれば、当然どういう人たちを預かっているかというのはそれぞれ届けなければいけないはずです、一般のホテルや旅館業にしても。大切な子供の命を預かっている、そこが登録も何もなしでやられているということでいいのだろうか。ですから、せめて実態に合ったやり方をしようと思えば、そして民間の活力も実態に合わせて活用していこうと思えば、いま考えられることは登録制ではないかと思います。 ちなみに、先般私のところへ大変良心的だと思われますベビーホテルの経営者が大阪で四人お見えになりました。市役所へ一緒に行きました。私たち一緒にもっといいものをつくりたいと思います、市役所の御指導もいただきたいと思います。できれば仲間を糾合してお互いに勉強し合うことのできる場をつくりたいと思います、ついては市役所でそのリストをいただけませんでしょうか。市役所は出せませんでした。それはそうでしょう、登録制にも何にもなっていないのだから。結局、民間の皆さんが一生懸命努力をしようとしても、その芽をさえ摘むというのが実態です。まして、的確な規制さえできないという実態があります。子供たちのために、そしてより一層国のお金も有効に使いながら対策を講じていくためにいま申し上げた登録制、そして無認可とかそういうかっこうの悪いような名前の保育所というのはなくしていく、そしてまだ認可されていない、未認可ではあるけれども、しっかりと登録し、自治体なり公共機関の指導が受けられている、そこにはちゃんとそれなりのマークが貼付されればお母さんたちも安心して預けることができるでしょう、問題が起これば即座に対応できるでしょう、そういう措置がこれらの通達よりも一層効果が上がると私は思いますが、いかがでしょうか。
○幸田政府委員 先生御指摘の御意見がベビーホテル関係者の一部にあるということは、私どもも承知いたしております。ただ、私ども、ベビーホテルのいい悪いということを判断することは非常にむずかしい問題であるということ、それから私どもの立場といたしまして、個人が保育するということについては疑問がある。と申しますのは、事業の永続性あるいは保育の公共性という面からいたしまして、御指摘のたとえば中野区の個人ヘルパー、これは各家庭に一人ないしは二人の乳幼児を預ける、こういうことのようでございますけれども、こういった個人が行うことについては、私どもとしては疑問がある、こういう考え方でございます。したがいまして、私ども、個人のお互いに預け合うあるいは預かるというものについてまで国の行政として介入すべきかどうかという点については、必ずしも賛成しがたい面があるわけでございます。
○中野(寛)分科員 ちょっと待ってください。私の尋ねたことといまの御答弁、全然違います。 私も、保育ママ制度は先ほど神戸の事例を挙げて否定したはずです。一人のお母さんが二人、三人の子供たちを預かる、これは大変弊害が出てきています。これは危ないです、実際言って。そのお母さんがもし事故があって、たとえば急病になったとか発作的に亡くなったとしたら、子供たちは、全くだれもいない状態で、その部屋の中で過ごすということになります。ところが、こういういわゆる保育ママ制度に対して、ある自治体なんかではいまだに補助金を出しているわけですね。その方がベビーホテルよりよっぽどましだという考え方を持っている。それは危険です。やはりやめなければいけない。少なくとも健全な経営者がおり、資格を持った保母さんがおり、そしてその保育をフォローする人たちがおる、そういう複数の人が一つの団体として、グループとしてこういうものを経営していくということでなければなりません。 そして、そういうところが基準に基づいて、これだけのことをできました、ゆえに登録をいたしますという登録制度にしたらいかがでしょうかと言っているわけです。そして、そういうものでない限りは、もし登録もしないで子供を預かるというような状態があれば、それは厳しく取り締まっていくべきです。私、そのけじめをつけるべきだと申し上げているわけで、質問の趣旨に沿った御答弁でお願いいたします。
○幸田政府委員 そういったいわば任意の、複数といいますか、二人以上の方がお集まりになってやるということにつきましても、私ども、事業の継続性という面でいかがか、かように考えております。中野区の場合にも、そういった夜間保育事業の育成をする、こういうことも出ておりますけれども、事業の継続性あるいは保育の公共性という面から、私どもやはり、社会福祉法人という制度がございますから、その制度に乗ってやっていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
○中野(寛)分科員 時間が来ましたから終わらざるを得ません。しかし、個人といえどもそれを業としてやる人たち、そして登録をし、お役所の指導を受けながらやっていく、その中で、永続性についてそんなに神経質に心配しなければならないのでしょうか。むしろ、そういう方がやめるときには、その保育所の措置児童をどうしていくか、その施設をどうしていくか等々については、対応がきちんと講じられるはずなんです。それをしないで、現実に十分なる措置ができていないことの方が罪が大きいと思います。民間の力を活用せずして、いまの保育行政、子供たちを路頭に迷わせないでやっていけますか。それができないのが実態でしょう。きれいごとを言ってみたって始まらないというのが本物の姿ではないのですか。ならば、いまのような局長の御答弁では国民も納得しないし、実際に子供たち保護をすることもできないと私は思います。もっと弾力的な考え方を持って、この問題に前向きに研究を進めていくこと、そのことが必要だと私は思います。時間が来ました。大臣にお願いします。
○森下国務大臣 保育の問題について、中野委員から大変現実的な御質問また提言がございました。いまの法律は昨年の六月から実は施行されたばかりでございまして、当面その実施を見守っていきたいというような気持ちでおるわけでございますけれども、保育という問題は大きくて、国が主体になってやればすべて終わるのだという問題ではございません。人口問題、いわゆる質の問題にも関連する大きな国策的な問題でもございますし、ただいまお話しの問題についても、国がやるか、また地方自治体を主体にして考えていくかというようなことも含めて、弾力的にやるべく検討させていただきたい、こういう御答弁で御勘弁を願います。
○中野(寛)分科員 終わります。
○海部主査 これにて中野寛成君の質疑は終了しました。 次に、中馬弘毅君。
○中馬分科員 先日、予算委員会の一般質問で少し質問を申し上げたのですけれども、時間が短うございましたので、再度少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。 と申しますのは、これは老齢化社会を迎えるに当たりまして、老人ホームの位置づけというものが、どうも時代の趨勢にそぐわなくなってきているんじゃないか。それに対して、厚生行政は前向きの体制をとってないんじゃなかろうかという一つの心配から質問いたしているわけでございますけれども、まず、老人福祉法にうたわれております老人福祉施設としての養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、経費老人ホーム、そして老人福祉センターもありますけれども、この老人ホームのそれぞれの入所要件といいますか、どういう方々が対象になって、それぞれの区分けのこういう老人ホームの中に入れるのか、そして、現在そこで収容されている人たちは、全体の需要といいますか、そういう対象になる人たちのうちの何分の一くらいなのか、その辺を少し御説明願いたいと思います。
○金田政府委員 まず、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム等の入所要件についてお答え申し上げたいと思います。 まず、養護老人ホームの入所要件でございますが、これは原則として六十五歳以上の者であって、身体上もしくは精神上または環境上の理由及び経済的理由によって居宅において養護を受けることが困難な者ということになっております。ちょっとわかりにくかったかと思いますが、経済的理由というのは全体にかぶっておりまして、ともかく養護老人ホームといいますのは、先生御承知の市町村民税の均等割世帯以下の低所得世帯を入れるものでございます。 次に、特別養護老人ホームでございますが、これの入所要件は、原則として六十五歳以上の者であって、身体上または精神上著しい欠陥があるために、常時の介護を必要とし、かつ居宅においてこれを受けることが困難な者ということでございまして、いわゆる寝たきり老人を収容する施設でございまして、これは所得要件いかんを問いません。低所得の人からお金持ちの方まですべてでございます。 次に、軽費老人ホームでございますが、この入所要件は、低所得階層に属する六十歳以上の者で、家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な者ということになっておりますが、これは、最初に申し上げました養護老人ホーム、これが一番低所得でございますが、これよりもうちょっと上の低所得階層の方、そういった方が入ることになっているわけでございます。 それから、これらの各老人ホームの入所要件に該当する者がどのくらいいるか、需要がどうであるかということでございますが、まず養護老人ホームにつきましては、昭和五十一年以来入所者は七万人弱で横ばいとなっております。私どもの見ますところでも、ほぼ需要に見合う整備はすでに行われているものと考えております。 次に、特別養護老人ホームでございますが、その対象となる寝たきり老人は、昭和五十六年の厚生行政基礎調査によりますと、在宅の半年以上寝たきりの老人、これは六十五歳以上ということでございますが、これは約三十二万人いるわけでございます。この方々は、三十二万人といいますのは、在宅の方、それから在宅であって一時的に入院しておられる方を含めてでございまして、施設に入っておられる方は、ここには含めておりません。それに対しまして、寝たきり老人で施設に入っておられる方々は、昭和五十五年末の特別養護老人ホームの定員は八万人でございますので、これを足しますと、寝たきり老人の総数は約四十万人でございます。そのうち、約五分の一程度が特別養護老人ホームに入っておられるということになります。 それでは、特別養護老人ホームに対する需要でございますが、各年度における入所待機者の数は、各都道府県で調査をしていただいたものを集計いたしますと、約一万二千人ということでございます。そういう意味におきましては、今後とも整備が必要であると考えております。 最後に、軽費老人ホームでございますが、この軽費老人ホームへ入られる方々は、健康には問題はございませんが、家庭の事情等により居宅において生活することが困難な者を対象とした施設でございますので、昭和五十五年十月から、実は一方におきまして、建設省で公営住宅への老人の単身入居が認められるようになりましたが、こういったことがありまして、現在需要の予測は非常にむずかしいわけでございますが、今後ともまた調査をしてまいりたいと思っております。
○中馬分科員 収入の低い方々、市町村民税均等割以下の方々、これは、日本の経済がこれだけ進歩してまいりまして、わりあい少なくなっているのですね。それに比べて、ある程度の所得はあるけれども、だれもめんどうを見てくれないというような方々がふえてきていることは事実なんです。そうしますと、養護老人ホームのいまの収入の基準あたりが問題ではなかろうか。現実に、養護老人ホームではかなり空室も出ているようでございまして、むしろこの基準自体がおかしいのではないかと思います。その点についてはいかがでしょうか。
○金田政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、老人ホームにつきましては、その需要をそれぞれ区分いたしまして、寝たきり老人であれば、この場合は収入のいかんを問わず収容いたしまして、それぞれの方々の所得に応じて御負担いただいているわけでございますが、一方におきまして、ただいま先生がおっしゃいましたような養護老人ホームでございますが、これはかつて生活保護法時代に養老施設と言っていたものでございまして、これは市町村民税の均等割世帯以下ということでございますが、それぞれの方々の負担能力に応じて負担していただくということでございます。軽費老人ホームになりますと、それよりちょっと上の方でございますと、ある程度御負担いただけるわけでございますので、それぞれの階層に応じた負担でこういった施設を三種類、あと有料老人ホームというもう一つ上の階層がございますので、有料老人ホームと軽費老人ホームと養護老人ホームということでございますので、ただいまのところは、それでおおむね需要を満たしているのではないかと思います。 なお、従来から施設の整備の面も含めまして、中央社会福祉審議会というのがございますが、ここに老人福祉専門分科会という専門分科会がございます。この分科会で常時御議論いただいておりまして、この分科会のメンバーの中には施設経営者、施設長等も含まれておりますので、こういった方々の御意見を通じまして、需要については常時私どもは御意見を伺っているわけでございますが、できるだけ私どもとしては生活の場にふさわしい施設にしていくように、今後とも努力してまいりたいと思っております。
○中馬分科員 救貧対策としての養護老人ホームはもちろん必要でございましょうが、これに今後一層力を入れていくのではなくて、むしろ、これからは特別養護老人ホームなり軽費老人ホームの方に少しウエートを置いていかなければいけないんじゃないかと思うのですが、この特別養護老人ホームは、いま御答弁にもありましたように、需要が非常に多いにもかかわらず、五分の一ぐらいしか満たされていないわけですね。そして、これは収入のいかんにかかわらずということもありますけれども、どちらかというと、収入の低い方々から優先的にということの御方針はもちろんわかるわけでございますが、一方、ある程度の収入のある方々でも本当に寝たきりの方がおられる、それをできることなら家で看護してあげるのが一番いいかもしれませんけれども、しかし、それぞれの世帯主には一家を支えているようなことがございまして、これをずっと看護することもできませんし、また奥さんの方でも子供の方に手がかかって、とうていお年寄りまではめんどう見られないという方々が非常に多いですね。 そうすると、これを病院に入れられるわけです。病院に入れられますと、老人医療はいまのところ無料ですから、医療関係は無料にしても、付き添いが大体毎日一万円ずつくらいかかるのが現実ですね。そうすると、とうてい普通の家庭では維持できない形になってまいります。そうすると、やはり必要なのは特別養護老人ホームではないかと思うのです。 もう一つは、医療の問題にもひっかかってくると思うのです。そういう方々を病院に入れますと、かなり濃厚診療になるケースが多いのですね、お年寄りですから、どこか悪くなってくることは事実ですし。若い人で回復の見込みがあるのならば、いろいろな手当てをすることも必要でしょうけれども、そういう人たちに、断層写真を撮ってみたりレントゲンを撮ってみたり、あるいは鼻から食料を流し込んでみたり、こういうことをされることよりも、そういうお年寄りの方は、痛みだけは何か抑えて、精神的にいろいろな介抱をしてあげる方がむしろ幸せではないかと思うのです。 しかし現実は、特別養護老人ホームがほとんど満たされてないがために病院の方に入れられる。そこではそのようなかなりの濃厚診療ということで、それは保険の負担にもひっかかってくるわけでございまして、むしろ、現在の老人医療保険とこれとを両方少しミックスした形で、こちらにウエートを置いていくのがいいのじゃなかろうか、そのように思うのですが、その点は厚生省としていかがでございましょうか。
○金田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、病院に入っておられる御老人があることも事実でございますが、一応割り切って考えますと、その家庭の御意向は別といたしまして、私どもは、本当の意味における病人になられた方が病院であり、老衰等の方については、これはあくまでも特養の方でごめんどうを見ていくべきであると思っております。 また、私ども特別養護老人ホーム等へ行ってみますと、特別養護老人ホームというのは、保母さんとか指導員の人々が非常に手厚い看護を行っておりまして、病院と老人ホームと両方へ入ったことのある御老人は、病院では一般の人と一緒で夜なんかも十分な介護もしてもらえないから、特養の方がずっといいということを言っておられまして、そういう意味で、できるだけ私どもとしては今後とも設備の充実には努めてまいりたいと思いますが、私どもは、一般の御老人に対しては特別養護老人ホームの方が適切であろうと思っておるわけでございます。
○中馬分科員 大臣にちょっとお聞きしますけれども、お答えがありましたように、医療費全体を考えたとき、いま言いました、同じお金を使うのであれば特別養護老人ホームの方にもう少しお金を使った方が、逆に全体の医療費特に老人にかかる医療費が軽減されて、その国庫負担も軽くなるのじゃなかろうか、こういう考えが浮かぶのですけれども、その点いかがお考えでございましょうか。
○森下国務大臣 特別老人ホームにつきましては、過去四年間で大体倍増くらいになっておるわけです。ただしかし、需要にとうていこたえられないことも事実でございます。 老人対策の中で、特に医療対策の中で、特養それから病院それからいろいろな老人ホーム等の施設、いろいろなケースがございますが、いまも中馬議員からちょっと御指摘ございましたが、これからの一つの方向として、いわゆる在宅福祉の方向で、かなり所得のあられる方については多少の負担をいただきながら、自分の生まれた家、自分の住んでいた家で安らかに老後を送っていこう、そのためにはホームヘルパーを派遣してサービスをしていこう、こういう方向が、老人保健法がいま出されて参議院で継続になってますけれども、そういう考え方もあるわけでございます。いろいろな方法を講じまして、御老人が安らかに生涯を送れる、しかも財政的な負担ができるだけ少なくなるように、非常に欲張った考え方でございますが、新しい老人対策の一環として、そういうことも考えておるわけでございます。特養については、極力ふやすように努力してみたいと思っております。
○中馬分科員 財政的な負担だけではなくて、先ほど言いましたように、お年寄りが人生の最後を終わられる場面として、病院の中での濃厚診療が果たしていいのかどうかという問題も含めて、人道的な立場からひとつお考え願いたいと思う次第でございます。 それから、軽費老人ホームの中でA型とB型に分かれております。A型はもちろん収入の低い方ですけれども、しかしある程度は負担が可能な方、そしてB型の方は、もう少し健康で自炊ができる程度の状態にあるという方に限られていると言っておりますけれども、この区分けが私どもにはどうもはっきりわからないのですけれども、この辺はどういうお考えでございましょうか。
○金田政府委員 いま先生おっしゃったとおりでございまして、私どもとしましては、それぞれの御老人の御希望等がございますので、従来から需要等の調査をしていたわけでございますが、そういうことで一応A型とB型ということに分類して、現に収容しているわけでございます。
○中馬分科員 この基準自体も少し時代にそぐわなくなっているんじゃないかと思うのです。といいますのは、私も幾つかの老人ホームを見てまいりましたけれども、A型で建てながら、そこに入居しておられる方々は、お茶一つ沸かせないというのではなくて、やはり少し身の回りの簡単な食事ぐらいはつくってみたいというのが希望なんですね。お役所のしゃくし定規で、これはA型だ、この基準であれば台所は一切つけてはいけない、こういう形になっておる。しかし洗面所はよろしい。そうしますと、その洗面所を少し改造したような形で、表面は洗面所だけれども、若干の炊事といいますか、そういうこともできるように改造しておられるのですね。 僕は、その改造しておることは悪いとは言いません。法律とは少しは違うかもしれませんけれども、それこそ需要に見合った形でやっておられるわけですからね。最低の生活ができる状況の中にあって、この軽費老人ホームのA型というものは、一切炊事設備をつけてはいけないんだといったようなしゃくし定規の規定がいいのかどうか、私なんか疑問に思うのですけれども、いかがですか。
○金田政府委員 施設の方へ行ってみますと、最近は、共同の湯沸かし場をつくったり、いろいろ工夫をしておられることは事実でございます。そういう意味におきまして、私どもも、御老人の需要を考え、できるだけ弾力的にこれからも対処してまいりたいと考えております。
○中馬分科員 公団住宅でも、二DKには入り手がなくて三DKの方をみんな選ぶような時代でございますから、老人ホームだからといって、ほんの四畳半の一部屋でいいということではなくて、やはりそれぞれ皆さん方、長年の生活の中で持っておられる家財も非常に多くなっておりますので、その点は余りしゃくし定規に考えずに、時代に合って直していかれる方がいいんじゃないかと思っております。 これから上になりますと、有料老人ホームになるのですけれども、この有料老人ホームの位置づけというのが非常にあいまいになって、あいまいといいますか、何も決められていないと言った方がいいかもしれません。これは一般の民間の活力に任せるということで、しかも、それを設置しようという人は、つくってしまってから一カ月以内に知事に届けたらいい、こういうようなあいまいな規定になっております。 したがいまして、自分の土地を遊ばしておくのももったいないから、そういう人たちを収容する、収容するといいますか、そういう人たちのお金を目当てに、かなり利潤追求でやっておられるところもたくさんあることは事実でございます。この辺の厚生省としての取り組みはどうも余り積極的でないように思うのですが、この点、いかがでございましょうか。
○金田政府委員 有料老人ホームにつきましては、先生も御承知のように、向陽会サンメディックの倒産事件等もございまして、有料老人ホームをどのように考えていくかが、かつて非常に大きな問題になったわけでございます。 そこで私どもといたしましては、有料老人ホームにつきましてこの問題の懇談会を設けまして、約一年間、学識経験者あるいは施設の経験者等に御検討を願ったわけでございますが、昨年六月にこの結論が出まして意見書が出てまいりました。その結果、現在の監督をできるだけ強化すること、これに伴いまして、私どもは毎年一回実際の運営状況を報告を求めることにいたしました。従来は当初の届け出だったわけでございます。それから、関係者が集まりまして情報をできるだけ需要を持っている人に提供する必要があるのではないかということで、先般有料老人ホームの関係者が集まりました公益法人が設立されたわけでございます。 こういったことで、現にいろいろ手を打っているわけでございますが、今後、この懇談会の御方針に従いまして一定期間指導いたしてみました上で、必要があれば、さらに対策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○中馬分科員 先ほど述べましたように、たとえば軽費老人ホームでもA型とB型に分けて、それぞれの部屋の広さが何平米あるいは廊下の幅が幾らというように、非常に細かいところまで規定しておられるのですね。 ところが有料老人ホームになりますと、それが全くない。ですから、どうしても資格を持った看護婦さんを常駐させなければいけないだとか、部屋の広さは少なくともどれ以上ないといけないだとか、あるいは共通の談話室がないといけないだとか、そういったことの基準をつくる必要があるのじゃないですか。これが全く野放しなんですね。片一方は非常に細かく規定しながら、有料老人ホームの方はもう自由に民間の活力でやってください、こういうことなんですよ。これがどうも納得がいかないのですけれども、どうですか。
○金田政府委員 ただいま申し上げました有料老人ホームについての懇談会の意見書が出ましたのを機会に、私ども、従来の監督いたしておりますいろいろな通牒等も改正いたしまして、さらに規制を強化するように考えております。現に、有料老人ホームの場合はお年寄りでございますので、たとえば嘱託医を必ず設けなさいとか、協力病院を必ずつくりなさい、そういったことも言っております。また、施設の責任者を明確にしろとか、そういう細かい監督規定を設けております。 そういうことで、私どもとしましては、一方においては、しかし社会福祉事業の対象になるような経済的な弱者あるいは体の特に弱い寝たきり老人等と違いまして、社会福祉事業の対象には現になっていないわけでございます。そこで、お年寄り、老人というだけで社会福祉事業の対象にしていいかどうか、そこに問題があろうと思いますので、これからも有料老人ホームにつきましては、ただいま申し上げたような運営の規制とか監督の強化等を中心として考えてまいりたいというふうに思っております。
○中馬分科員 いまちょっとおっしゃいましたけれども、この有料老人ホームだけが社会福祉事業じゃないのですよ。そこがどうも私には納得がいかないのです。そして、お年寄りでお金があれば弱者じゃないというような言い方なんですけれども、それこそ、この間もちょっと申し上げましたように、お金があっても体が動かない、あるいはだれもめんどうを見てくれない、もうぼけてきている、そういう人たちは社会的な弱者じゃないのですか。
○金田政府委員 最後におっしゃいました、ぼけてきたような方は痴呆老人と言われておりますが、こういった方々に対しては特別養護老人ホーム等でお世話をしておるわけでございますが、先ほど申しましたように、公営住宅の単身入居制度等も認められましたが、健康でお一人でおられるような方もふえておるわけでございますので、そういった人とのバランス、あるいは経済的にかなり余裕のある方につきましては、そこまでの必要がないのではないかと考えております。
○中馬分科員 だから、社会福祉事業と認定しないがために、これがある意味では野放しになってしまって、結局何の基準もつくらずに、せっかく一生働いて退職金をもらって、それで有料老人ホームに入られた方々で、そのお金がパアになってしまうというようなことが現実に起こっているわけですね。これをちゃんと社会福祉事業と決めて、そして有料老人ホームというのはどういうような基準がないといけない、そしてそこに国が補助する必要も何もないわけですから、むしろ先ほどおっしゃいましたような民間の活力を、そしてそのアイデアを生かして老後の生活を本当に楽しくまた有意義に過ごしていただきたい、これこそ社会福祉事業じゃないかと思うのですけれども、そのあたりをなぜ位置づけないのか、どうも納得ができないのです。この辺を大臣どうお考えになりますか。
○森下国務大臣 各年齢層によってそれぞれ特質があると思います。御老人については、やはり老い先短いという孤独、そういうような精神的な弱者の状況にあると私は思います。現在の家庭環境とか社会環境は、まさに核時代で、自分の将来については非常に不安を持っておる。だから、有料老人ホームに入るような方は多少お金をお持ちになっておる方もおられるし、また、いろいろ有料老人ホームの中でも温泉がついております、医者のめんどうを見ます、一生心配ございません、だからこれだけの金を出してくださいというような誇大広告をして倒産するような例があったわけでございますから、中馬議員が御質問の内容の中には、それを福祉として見るべきである、もっと国がそういう点で十分注意をしてあげるべきである、監督をしてあげるべきである、お説ごもっともでございます。そういうことで、懇談会で一応結論は出たわけでございますけれども、現在の法律のもとで指導監督の強化を図る方向でやっておりますし、もう少しこの状況を、規制が必要かどうかということもあわせまして検討をしていきたいということを申し上げます。
○中馬分科員 温泉までもついて何千万もするような、すべての有料老人ホーム的なものを有料老人ホームと位置づけようというのではなくて、そのように一つの最低といいますか、悪いだけが最低ではないのですけれども、ある程度の平均的なところまではちゃんと国がめんどうというか、金銭的なことじゃなくて基準的なこと、あるいはそういう規定をつくって、それにマークならマークをつけて、ここはちゃんとした社会福祉事業として認定された老人ホームですよ、それ以外の何かデラックスなものは自由でもいいかもしれませんけれども、そこら辺の位置づけをはっきりさしていただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○海部主査 これにて中馬弘毅君の質疑は終了いたしました。 次に、辻第一君。 辻君に申し上げますが、あなたの残余の質疑時間は二十二分間でありますので、お願いします。
○辻(第)分科員 それでは、先週に引き続いて質問をいたします。 いわゆる福祉作業所や共同作業所の非常に重要な役割りについて先週述べたわけでありますが、授産施設や公立の福祉作業所が、その数からあるいはその地域という問題から見てみましても大変不足をいたしております。 〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕 ですから、それらを利用できない人がたくさんあるわけであります。そうなりますと、みずからの手で運営する福祉作業所や共同作業所しかないというのが現状であります。 この福祉作業所や共同作業所の実態、奈良県で私調べたのですが、奈良県下では精神薄弱者の作業所が現在、奈良市、大和郡山市、天理市、五條市の四カ所にあります。来年、生駒市にまたできるということであります。そのうちで、育成会を通じて補助対象になっているのは郡山だけであります。一つの施設の平均は七人の方、それから指導員は二、三名、こういう規模であります。そして県が、五名以上入所されているところ、それから指導員一名以上のところ、一カ所につき三百万円の補助をいたしております。それから、市が五十万円程度補助しているというのが現在の状態のようであります。 私、そのうちの一カ所を訪れまして、いろいろ見せていただき、お話を聞いてきたわけでありますが、そこは七人の方がおられるわけでありまして、指導員は二人。先ほど申しましたように県から三百万、市から五十万の補助が出ております。あとは寄附だとか財政活動ということで運営をされているわけであります。そこは、手をつなぐ親の会に入っていらっしゃるお母さん方が中心に、本当に大変な御努力や熱意の中でつくられてきた。普通の小さい二間、三問くらいの民家を改造されてつくられているのですが、驚いたのは、私は、もう少し暗いというような感じを自分で勝手に持って行ったのですが、非常に明るく、生き生きとしてお母さん方も運営していらっしゃるし、そこへ来ている子供さんも本当に明るく、生き生きしていらっしゃいました。元気がよろしゅうございました。まだ四年くらいなんですが、お母さんあるいは指導員の方に聞きますと、ここへ来てから子供が非常に元気が出てきた、楽しそうに仕事をしている。本当にそういう状態を私も目の当たりにしたわけであります。 ところが、運営していかれる点には非常に困難があるわけですね。いま県や市の補助だけでは大変な状況で、寄附だとか財政活動、いろいろやっていらっしゃるわけでありますが、そういう状況の中で、指導員の報酬が大体みんな五万円平均だということですね。そのことが、そこの経営、財政の状況がどんな状態だということをあらわしているということであります。まことに善意というのでしょうか、そのようなもので支えられてきている、こういうことであります。いろいろお話を聞く中で、やはり国としても、もっと助成をしてほしいというのが要望であります。 このように、私見てまいりました中で、国際障害者年、本当に社会への完全参加と平等、この精神が共同作業所の中で生き生きとして生かされているのを目の当たりに見てきたわけでありますが、しかし、その中のところでは、やはりこれから将来的に見ていっても善意だけではいかない問題がある、長期的に見れば、どうしてもそこで地方自治体の補助だけではなしに、国としても本当に助成されるべきではないか、こういうふうに私も強く感じて来たわけであります。いかがでしょうか、このような作業所への補助の問題について。
○森下国務大臣 御趣旨はよくわかります。活力ある福祉社会をつくっていこうということでございますから、いまお話しの、例を挙げられましたように生き生きとして障害者の方々が授産事業をやっておられるということは、私は非常にいいことだと思います。 ただ問題は、小規模であるために基準に合っておらないわけでございまして、この点、国の助成の範囲内にないということで、それを何とか県、市ばかりに任せず、国ももっとしっかりやれということだと思いますけれども、いまのところは、そのとおりいたしますという段階にまだございませんので、よく検討させていただきたいと思います。特に国際障害者年が去年で、今後十年間の行動計画を立てて、そういう方向づけはされておりますけれども、まだそこまでやりますという段階には至っておらない、まことに残念でございますが、そういう答弁で御勘弁願います。 〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕
○辻(第)分科員 ぜひ積極的な助成策を考えていただきたいということを強く要望しておきます。 さらに、いま私、奈良県で申し上げたのは精神薄弱者の施設でございますが、身体障害者や精神障害者の作業所についても国庫補助を広げていただくように、また、認可をされている授産施設、作業所などについても、さらに助成を拡大していただきたいということを強く要望をしておきます。 それから次に、町づくりの問題について質問をしたいと思います。 障害者の暮らしを本当に豊かにする町づくりの問題について、心身障害者の生活環境改善に関する施策は、厚生省の障害者福祉都市事業を初め、各分野にわたって取り組まれております。しかし、公共施設であっても、まだ全く改善されていないところも多いというふうに見ているわけであります。また、配慮に欠けている点もあるのではないか、こういうふうに思います。 奈良市では、一九七四年に当時の身体障害者福祉モデル都市に指定をされ、本当にいろいろと取り組みが行われました。しかし、一九七七年に新しい市の庁舎ができたのですが、障害者が点検をしてみますと、専用駐車場から玄関までの間に三センチの段差があったり、点字誘導ブロックは幅が広過ぎるとかあるいは途中が曲がっているのに停止標示がない、こういう不十分さがあったわけであります。また、全国的に見てみましても、たとえば点字ブロックの敷き方についても位置標示用と誘導用の区別がなかったり、取りつけ方がばらばらだったりしているということがあるわけであります。 こうした点から見てまいりますと、やはり国として統一した基準が必要ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○森下国務大臣 障害者の方々の完全参加と平等ということが国際障害者年の大きなテーマでございまして、完全参加のための家庭環境また社会環境の整備ということはもう当然のことでございますし、いろいろ全国的に、残念ながら環境整備の統一がまだ十分できておらないということでもございますし、この問題は厚生省だけの問題ではございません。建設省とか運輸省、各省にまたがる問題でもございまして、といって責任を回避するわけでございませんので、一日も早くこの環境整備ができて、完全参加ができやすいような状況をつくっていきたい。なお、中央心身障害者対策協議会においてこの審議もいただいておりますし、これも長期行動計画の中で十分対処してまいりたいということを申し上げます。
○辻(第)分科員 もう少し違う角度から申しますと、各地の自治体で、このごろ福祉環境整備指針というものやあるいは要綱というものがつくられてきておられますが、それを見てみますと、それぞれの部分で見ますと、寸法や扱い方について自治体ごとに違いがございます。様式が統一されていないということですね。 障害者の行動範囲がこのごろ広がってまいります。そうなりますと、自治体ごとに様式が違いますと、戸惑いと申しましょうか、そこに非常に困難、障害が生ずるわけであります。ですから、やはりもっと総合的な統一基準あるいは法的な裏打ちが必要だ、こういうふうに私は思うのです。ぜひ統一基準と法的な裏打ちをやっていただきたい、このように思うのですが、いかがでしょうか。
○金田政府委員 ただいま先生おっしゃいました、たとえば道路のブロック等につきましても、従来から身体障害者の方々の御希望等がありまして、若干各地において区々であった点もございますけれども、これから統一していきたいという御希望が、国際障害者年を契機として非常に強くなっておりますので、私ども、ただいま政府の対策本部において検討されております国内長期行動計画、あるいは身体障害者審議会で今後の身体障害者に対する基本的な方策が現在検討されておりますが、これらにおいて、今後十分関係各省とも相談しながら検討してまいりたいと思っております。
○辻(第)分科員 最後に、大臣に決意のほどをお伺いをしたいわけですが、いまの心身障害者の置かれている状況というのは本当に大変な状況でございます。どうしても、この状態を改善をしていただく御努力をぜひ強めていただきたい。ことに、昨年は国際障害者年でございまして、それを受けてのことしでございます。ぜひぜひ積極的な対応をとっていただきたい、強く要望したいわけでございます。その点について、大臣の決意のほどをお伺いをいたします。
○森下国務大臣 身体また心身障害者の方々に完全参加と平等という、いわゆる偏見また差別のない生活をしていただく、こういうことで、今後十年行動計画の中で予算づけをするし、また精神的にも応援をしていこうというのが実は大方針でございまして、総理大臣が本部長で、厚生大臣、私は副本部長で、総理府総務長官とともに、総理いわゆる本部長を補佐いたしまして、やはり福祉大国にふさわしいと言われるような内容のものをつくり上げて、これを実行するように全力を挙げることをお誓い申し上げます。
○辻(第)分科員 これで質問を終わります。
○海部主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時四十七分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○海部主査 休憩前に引き続き会議を開きます。厚生省所管について質疑を続行いたします。鈴木強君。
○鈴木(強)分科員 最初に森下厚生大臣にお伺いいたします。 大臣御承知のように、肉親捜しに来日をいたしました中国残留孤児の皆さんは、第一陣に続きましてきょう第二陣の方々も成田をたって帰国をされたわけです。第一陣、第二陣合計六十名帰国された方のうちで、四十二人の方々が夢にまで見た父母や兄弟や姉妹に再会できましてうれし涙を流されている場面を拝見いたしました。しかし、残念なことに十八名の方々は何の手がかりも得られないままに無念の涙をのんで帰ったと思います。まだ戦後は終わっていないなという感じを強く持ちますと同時に、戦争の悲惨さということをひしひしと私はいま身に感じておる次第でございます。 大臣といたしましてもいろいろ御苦心なさっておられると思いますが、いまこの時点で大臣はどういう御所見を持っておられるか。まだたくさんの方々が残留しておると聞いております。今後これらの実態調査等もおやりになられまして、これらの方々が再会ができますような措置をとっていただくために、日本政府としても中国政府とも十分連絡をとりつつ最善を尽くしてほしいと私は願っておるのでございます。そんな気持ちで御所見を承りたいと思います。
○森下国務大臣 鈴木分科員のお考えに同感でございます。私もかつて大陸から引き揚げた一人でございまして、戦争の悲惨な面また敗戦の際のパニック状況をつぶさに見ております。体験しております。今回六十名おいでになりまして、四十二名の方は肉親の方とお会いできたわけですが、残りの方は、手がかりもなしに悲しい思いで去っていった彼または彼女の方々は、祖国とかまた母国と、われわれが忘れてしまったような日本に対する非常に真情あふるる言葉が出ておりまして、われわれもそういう面でも受けとめぬといけないな、ただ肉親だけにすべてをお任せしてはいけないな、国を挙げて温かく迎えることこそ平和への道であるし、また中国が大変恩情ある態度を示していただいてこういう機会を得たわけでございますから、その恩に報いるためにも、ただ、ああいう一行事が終わったというだけではなしに、今後とも、ある情報では一万、二万の方がおいでになるんじゃないだろうか、わかっておる方でもまだ約千名近い方がおられますし、やはり前向きで、日本にお帰りになるときの措置またお帰りになってからの言葉とか生活、習慣、そういう問題すべてに雇用の問題まで含めて、温かく家族の方も含めて迎えられるような態勢に持っていきたい、こういう決意でおります。
○鈴木(強)分科員 ただいま大臣の誠意あふるる御答弁を伺いまして、無念の涙をのんで帰った諸君もまた勇気を持って来日されるでありましょう。また引き続いて帰ってこられる方々も希望を持って来られると思います。どうぞ一層の御協力によりまして戦後が完全に終わるような御配慮をいただきたい、お願いしておきます。 それから、私、実はちょっと、三月六日の毎日新聞を拝見しましたのですね。定年退官される小坂東大教授が最後の講義でもって「これが医の道…」というのでお話をされたようですが、残念ながらお医者さんを絶対に信頼しておる患者から見ると実に驚くべきことが講義されております。すなわち誤診率は七・二%である。かつて冲中教授が誤診率一四・三%、こういうことを御発表になっておりますが、これは十九年前のことでございます。日本の医学は世界に誇っていいと私たちは確信をいたしておりますし、病気になったらもうお医者さんを頼るよりほかないのでございます。にもかかわらずこういう誤診がありまして、そのたびにあるいはとうとい命を失ったかもしれないし病を重くした方もいらっしゃるかもしれません。こういうことがあっていいものでございましょうか。 この報道が出る限りにおいては厚生省として当然事実を把握されていると思いますが、担当する厚生大臣として責任をどう感じ、今後どのように対処していこうとされておるのか、この機会に承っておきたいと思います。
○森下国務大臣 詳細につきましては医務局長より答弁させますが、そういう事実があって誤診率がかなり多いようなことでございましたらこれは大変遺憾なことでございます。患者の気持ちになった場合にはやはり医師を絶対信頼という上に立ってやっておるわけでございますから、誤診率がゼロになるように厚生省としても指導しなければいけない立場であるわけであります。 しかし、一面、わが国の平均寿命もかなり向上しておりますし、そういう評価の一面、そういう問題が出ておるということ、先ほど申しましたようにはなはだ遺憾ということで、詳細につきましては医務局長より答弁をさせます。
○大谷政府委員 新聞に報道されております数字を拝見いたしましたが、ここで言われております誤診率というのは、いわゆる一般の誤診、つまり病気を間違えたために命に直ちにかかわるというふうな誤診率とは若干違うように思われます。それは非常に学問的に厳しい基準でございまして、これは沖中内科でかつてお決めになった学問上の進歩のために非常に厳しい自己反省の率でございます。たとえばがんができておりましたときに、これが初発であるか続発性であるかというふうな点も、これも誤診の一つに数えられているというように、これは現在の医学では確かに運よく診断できる場合があるかもしれませんが、非常に厳しい基準を課されているものでありまして、これはいわゆる東京大学医学部教授会というものの非常に厳しい学問上の姿勢を反映されているものでございまして、この数字をそのまますべて、医療の中でそれが間違って直ちに患者さんの命にかかわっているというふうには考えられないのではないかというふうに考えるわけでございます。 しかし、いずれにいたしましても医療におきます誤診、一般に言われております誤診ということがあってはならないのは当然でございまして、厚生省といたしましては、国家試験を厳正に実施する、また国家試験をパスいたしまして医師免許を取った後でも、研修指定病院というのを厳正に指定してここでの研修を厳重に行わせる、また最近では地域医療研修センターというものを病院に設置いたしまして、現場で働いているお医者さん方にその後の研修を行わせるように場を設定するというふうにいたしまして、できる限りそういった国民の皆様方の御信頼にこたえるような医療にいたしたいというふうに考えているわけでございます。
○鈴木(強)分科員 冲中教授にしてもあるいは小坂教授にしてもまことに勇気ある発言だと私は思うのですね。将来の日本の医学を考え、みずからの責任を感じてこういう講義を学生の前にされたのだと私は思うのです。何千万円も積んで私立の医科大学に入学するというようなことはよくわれわれの知っているところですね。金がなければ医者になれない。その国家試験のやり方についてもいろいろ私たちは聞いておる。ですから、あなたが言われるように七・二%がすべて死亡に通ずるような誤診だとは私も思いません。しかし、少なくとも誤診の率が七・二%であることは間違いない。これを素直にとらえて、そして再びこういうことがないようにやるのがあなた方の仕事じゃないですか。 大臣がその点ははっきりお答えになりましたから、私はこの程度にしておきますが、私の選挙区などでも、ある外科医に子供が二人ついていった。患者は階段から転げ落ちたんだ、大したことがない、お医者さんは、これはすぐ治る、ちょっと手術をすればいいからと言って、二人の子供は帰った。そうしたら二時間後に電話がかかってきて、危ないから来てくれ、行ったら、もう死んじゃった。麻酔の注射の打ち方が悪かったのか何なのか、だれも立ち会っていませんからわかりません。その子供たちは泣いておりました。いま裁判になっております。しかしこれはやはり患者の方が弱いのですよ。そういう事件はそれだけではない、たくさんある。私がここであえて取り上げたのは、小坂教授の勇気ある発言を非常に尊敬しまして、あえて私は発言したのですよ。 だから、お医者さんの数もどんどんふえて、質がどうなるかという心配も国民は非常にしているわけだ。そういうときにこういうものが出ると非常に不安を持つわけだから、たとえ一%であってもそれがないようにするというのがあなた方の責任じゃないか、これはそういう決意でやらなければだめです。大臣、その点はもう一遍ちゃんとここで記録に残しておかなければならない。
○森下国務大臣 死に至るような誤診もございますし、またわずかな誤診もあるかもわかりませんけれども、少なくとも患者に信頼されておる医師でございますから、誤診率ゼロ%になるように努力をすべきであるし、また厚生省といたしましてもそういう指導方針のもとに全力を挙げたいと思います。
○鈴木(強)分科員 それでは、時間がありませんから次に移ります。 健康保険の医療費の国庫負担分について、御承知のように臨調が、一部を地方自治体に肩がわりさせるという答申を出しました。私は本会議でも質問に立ちました。当時の村山厚生大臣も非常に熱心に国民の立場に立ってお話をしてくれました。テレビ、ラジオを聞いておった諸君が、ああいうふうに本当に大臣が国民の方を向いて答弁してくれるとありがたいと言っていましたよ。厚生年金の問題でもそうですよ。 それで、これは自治省も反対ですからね、結局結論としては大蔵省も折れて、三者が何か申し合わせをして、五十七年度分については一応やめよう、しかし十一カ月予算だよ。と同時に、大蔵、厚生、自治の三省間で合意事項というものを結んでおりますね。「国民健康保険等については、今後速かに、国、地方の役割分担を含め、医療保険制度等の全体の体系の中における制度のあり方について検討する。」こういう合意事項を決めておりますね。これは事実だと思うのですが、これに対して大蔵省から何か話がありましたか。 大蔵省は五十八年度予算では臨調の答申に基づいてやろうというふうに考えておるかもしれない。私はきょうは自治大臣も大蔵大臣も呼んでおりませんが、厚生大臣を信頼し、被保険者の立場に立ってがんばっていただけると確信をするがゆえに呼びませんでした。したがって、大蔵省からその後この合意事項について話があったか、あったとすればどういうことを言ってきたか、これをひとり明らかにしておいていただきたい。 〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕
○大和田政府委員 ただいまの経緯につきましては先生がおっしゃいましたとおりでございまして、五十七年度予算編成時に関係大臣間で「今後速かに、国、地方の役割分担を含め、医療保険制度等の全体の体系の中における制度のあり方について検討する。」という合意をしておるわけでございます。 実はこのために近日中に懇談会を設ける、こういうスケジュールになっておりまして、その懇談会におきましてこの問題について検討に着手する、そういう予定でございます。ただいま先生がおっしゃいましたいわゆる地方負担問題、これにつきましてもその検討の際の重要な課題の一つになる、このようなことでございます。
○鈴木(強)分科員 そこで大臣、厚生省としては、少なくとも臨調が考え大蔵が考えているような考え方について素直に従われるのですか。大臣の御所見をここではっきりしておいてくれませんか。この合意事項に基づいて恐らく三月中くらいに懇談会を開くと大蔵省は言ってますから、そこで必ず去年と同じようなことを言ってくると思いますが、その際に厚生大臣としてはどういう態度でお臨みになられるのかということです。それを聞かしておいてほしいのです、国民心配してますから。
○森下国務大臣 この問題は厚生省だけでは独断で決めにくい実は問題なんです。だから三省でよく相談して今回も決めさせていただこうということでいろいろお話し申し上げたわけですが、自治省には自治省の事情もございますし、また地方財政もなかなか大変だというようなこともございまして、十一カ月予算という多少やりくりをさせていただいたわけでございますけれども、この話はまだ三者の合意事項のように、残っております。厚生省としては、臨調でああいう方針を出されて、保険の問題ではなしにやはり今後、地方と中央との財政上の調整とか過去におけるいろいろな問題等も含めて負担の割合を見直していこうじゃないかという中で、保険のあり方はどうだということでございますから、やはり私は臨調の精神は尊重してそのようにさせていただきたいというのが考え方でございます。
○鈴木(強)分科員 一方では老人保健法をつくって医療の無料化を後退させていくという、あなたえらい時期に来たものだね、本当ですよ。やはりお年寄りを大事にしなければいかぬですよ。いろいろ批判はあるようですけれども、批判のあるところはよく話し合いをして、過度な診療その他の点について変えなきゃいかぬと思うのです。最近何かお年寄りがたくさん行っておって、若い人で働き手が行ってもなかなか診てもらえないというような話も聞きます。だけれども、病気でない者が医者へ行くということもないと私は思います。そんなことはないと思います。もしたくさんの人が病気で行っておっても、たとえば勤務のある人で時間を見てちょっと行ったという人がおったら話し合いで順番を少し変えてやるとか、そういうような配慮をしてやればそういう苦情はなくなると思うのです。 それは余談ですけれども、大臣これはちょっとへっぴり腰だな。それじゃだめですよ。国民から嫌われちゃうね。この問題については地方自治体も苦しめられているのです。知事会だってどこだって行ってごらんなさい、これはみんな反対ですよ。だから、三者の合意事項みたいなことでごまかす、ごまかすというと言葉が悪いけれども私は口が悪いものだから、そして問題を後へ送っただけであって本筋は変わっていない。臨調答申でいくんだということではこれはもう問題にならぬです。そんな地方自治体をいじめたり、それから被保険者をいじめるようなことではだめですよ。 ですから、あなたは大臣という立場で判こを押してありますからここではっきりしたことも言えないかもしらぬ。それは心情的にはわかるけれども、やはり国民の声、私の趣旨というものを十分肝に銘じてこの三者の中でやってくださいよ。いいですか。
○大和田政府委員 先ほど申しましたように懇談会を設けるわけでございます。この懇談会には学識経験者あるいは国保関係の方々が参加されまして、それでいろいろと大所高所から議論されるわけでございまして、そういう意味におきまして、何と申しますか、最も正しいしかるべき措置というものが検討されていくのではないかというふうに考えるわけでございまして、この懇談会の発足を急ぎたいというふうに考えておるわけでございます。ひとつよろしくお願いいたします。
○鈴木(強)分科員 時間が余りないものですから次に移らざるを得ないのですが、ひとつ筋短縮症の問題で伺っておきたいのです。 この件につきましてはいま患者を持つ親の会の方々が国と製薬会社と医師会を相手取って訴訟を起こしておりますので、係争中ですから、そのことについてはきょうは私は触れません。ただ、そうは言っても、現実に患者を持つ親たちにとってみるとかなり出費もかかりますし、大変なんですよ。 私、参議院におりました当時初めてこれを国会で取り上げて、不自由な子供さんにも来ていただいて、その子供さんの履いた靴、足がびっこなんですから、かかとも物すごく減っちゃうとか、これが注射のやり過ぎだということでいろいろ論議をしまして、口火を切った者の一人なんですけれども、残念ながらいま医療的には、育成医療制度という制度がございますね。それしかないんです。私の山梨県では、知事が最近そういう人たちのために最大の配意をしていただいて、たとえば病院なども、二里も三里も五里も遠くから——五里というのはいまの単位じゃないけれども、二十キロとか三十キロとかの遠くから行く人に対しても特別な措置をしてあげるとかそういうような配慮をしてくれているのです。ですから国としても、患者がどの程度あるか、これは医務局長の分野ですか、現状どんなふうな発生状況か、伺いたいのです。 同時に、園田厚生大臣のときに、私は大臣に直訴したことがあるんですよ。大臣が関係の皆さんを呼びまして私たちの前で言ったのは、何とかできないのかと。あの患者は、早いうちに手術をした方がいいという学説とちょっと年をとってからの方がいいという学説と二つありまして、早くした人とそうでない人といるわけですよ。それで、中学から高校に入って十八歳を超してしまうと育成医療の対象にならない。手術をしなかった人たちは困るわけです。ですから、制度が悪いなら制度を変えたらどうか、制度の中でやる方法があったら考えたらどうかということをみんなの前で言ってくれたのですよ。 患者の諸君は、かつてないいい厚生大臣だと言って感謝して帰って、その後かわってしまっているんです。村山大臣になり、森下大臣にかわってしまっているのですが、大臣におかれましても、現状の中でやり得る道があるかどうか、もしないとすればそういう方々に対して新しく道を開くことができないかどうか。後者の方についてはかなり政治的な高度の判断がなければできませんので、ひとつ患者のために誠意ある御回答をいただきたいなあと思ってこれを取り上げたわけですが、いかがでしょうか。
○森下国務大臣 園田元大臣のそういう内容の発言があったことはわれわれも聞いております。 育成医療と成人医療、すなわち成人と児童とが十八歳を境にしてその対象者の区分をしておる、まことに明暗異にするわけであります。そういう法制上の問題がございまして、御指摘の点につきましてはもう少し検討を続けていきたい、こういうことを申し上げる程度でとどめさせていただきます。(鈴木(強)分科員「前向きに検討してくれますか」と呼ぶ)前向きに検討をさせていただきます。
○鈴木(強)分科員 患者の発生状況を。
○大谷政府委員 昭和四十九年に診断基準を作成いたしまして、その後、乳幼児健康診査あるいは三歳児健康診査等でできるだけ把握するようにいたしまして、その報告をまとめましたものでは、昭和五十五年十二月末現在で大腿四頭筋拘縮症が三千四百六十九人、三角筋拘縮症が九百二十四人、臀筋拘縮症が六十一人、合わせて四千四百五十四人となっております。
○鈴木(強)分科員 これは潜在的なのもあると思いますが、ひとつぜひ今後も、医務局長さんもこれらの人たちのことを考えて、大臣の御答弁もありましたので、最善の御配慮をしていただくように私から特にお願いをいたしておきます。 時間がもう少しになってしまいましたので、成人病問題、がんの撲滅対策等もちょっと伺いたかったのですが、後にします。 そこで、ひとつ精神障害患者の問題でお伺いしておきたいのです。 これは刑法改正等の問題で、保安処分の問題との関連で非常にむずかしい問題ですが、私は、そういうむずかしいことでなくて、現に精神障害患者を持っている父兄の立場からお伺いしておきたいのです。というのは、確かに、なかなかむずかしい病気ですから、治療して退院される、退院された後また異常な状態に戻る、これは非常にむずかしいわけです。ですから、何か中間的な施設みたいなものがあって、そしてそこで少しめんどうを見てくれるような方法が国としてとれないだろうかということです。今度刑法改正の中で保安処分の問題について弁護士会がちょっと意見を出しておりましたけれども、これはなかなかむずかしいものですからちょっと質問をしにくいのですが、現に家族も、帰ってきて、自分の子供なりきょうだいなりですから一番愛情を持ってめんどうを見なければならぬわけですから当然やるわけですけれども、いろいろな仕事に追われたりして、つい患者に対して冷たく当たったりするようなこともなきにしもあらずなんです。ですから、何とかそういうように施設をつくってそこで温かくめんどうを見てくれるようなことはできないだろうか、そういう気持ちを持っている人たちがいるのです。 私の選挙区は山梨ですけれども、いま大体七千五百名の方が推定患者としてございます。そのうち入院しているのが二千六百、通院が三千七百。しかし、これは潜在がありますから、恐らくもっと多いかもしれません。県内に精神病院が県立一つを含めまして十あるわけです。そんなわけで、県の方でもかなり入院措置費の問題とか通院の医療費の問題とか法施行の事務費とか、そういったものも、かなり県費の中で出せるものは出してやっておるわけですけれども、なかなか県の力だけではうまくいかないわけです。何か聞くところによると、九州でございましたか、何かそういうような慈善事業的な施設があるということも伺っておるのです。そういうものもあるとすれば、その実態も十分御調査いただいて、そういったものが刑法上特に問題にならないような形で、本当に温かくめんどうを見てやっていただけるようなことができないものかどうかなということを私はずっと考えておったものですから、きょうこの機会にちょっとお伺いしたい、こう思って御質問するわけですが、いかがでしょうか。
○三浦政府委員 現在の精神医学から考えまして、社会復帰の促進ということが非常に強く言われておるわけでございまして、私どもも、先生も御指摘のとおり、なるべくひとつ医療保護から社会復帰の方向に進めていただく、早く治っていただく、こういう方向でおりますので、何とかひとつ中間施設をこれからふやしていこうという考えは持っております。 現在、デーケア施設だとかあるいは精神障害回復者社会復帰施設とかあるいは精神衛生社会生活適応施設、こういったものをテストケースとして全国的に、まだ数は少のうございますが設置を進めておりまして、今後ひとつこういう社会復帰施設、中間施設のようなものにやはり重点を置いていくべきじゃないかというふうに考えておるのでございます。
○鈴木(強)分科員 ぜひ何とか工夫して努力をしていただきたいことを重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。 それで、最後に大臣、いまがんと脳卒中と心臓病というのが御承知のように三大病と言われておりまして、全死亡者の死因の四割がこの病気だと言われておるわけです。最近、日本の研究班がアメリカに行きまして日米共同の研究会議をするというようなお話も承って、大変成果を期待しておるわけです。WHOのいろいろ食事なんかの摂取量の問題も私ども勉強しているのですけれども、日本人は塩分をとり過ぎる、そんなことで成人病が多いのだということも聞いております。早期の検診とかそういったものを含めまして、がんというとこれはもう死の宣告をされたと同じように言われておるのでして、何ぼ金がかかってもいいと言っては語弊があるのですけれども、ぜひとも最大限の国費を投じて、そしてこれが、がん研究所もありますし、大学でもやっておりまして、ちょっとばらばらのような気がしますから、これを統合して共同研究的な体制をつくって、その中で何とか一日も早くがん撲滅の道を開いていただきたい。昔は肺病というと死の宣告と言われたのです。いまは肺病なんというものは何でもないのですね。必ずこれは実現できると思うのですけれども、いま本当に困っているのはがんですよ。ぜひこのがん対策についてひとつ格段の配慮をしてやっていただきたい。各省とも連絡をとって、省を挙げてやっていただきたい。 時間がもう来ましたから、それを大臣からちょっと伺って、終わります。
○森下国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、成人病の中でもがんは死亡率も非常に高いし、また悲惨な状況になるということも事実でございますから、全力を挙げてがん撲滅のために研究体制を確立してまいりたい。幸い老人保健法は参議院で継続審議でございまして、四十歳から実は予防等を通じまして、特にがんの早期発見そして完全治療、またがんの特効薬等の開発のため、また研究のために全力を挙げて取り組むことをお約束いたします。
○鈴木(強)分科員 どうもありがとうございました。
○亀井(善)主査代理 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。 次に、武田一夫君。
○武田分科員 私は、二つの問題についてお尋ねをいたしますが、一つは精神障害者の問題、それから腎疾患者に対する問題です。 まず最初に、腎臓病の予防ですが、この問題について予防を含めましていろいろと透析など大変な御苦労をしている患者が非常にふえているようでございますが、総合対策といいますか、そういうものがどういうふうになっているかということをまず聞きたいわけであります。 いろいろとそういう方々にお会いしますと、何としても早期発見に力を入れてもらいたいという要望が非常に多うございまして、現実の段階においてはどうもこれが思うように進まないのじゃないか、そのためにいつしか重い病気になっている、こういうふうなケースが非常に多いわけでございます。ですから早期発見、それから治療、腎臓の移植といいますか、こういう問題、あるいはアフターケアの問題、こういう一貫した対応というもの、非常に早期な対応を迫られているのじゃないかというふうに私には思われてなりませんが、この点いまいかがお考えであるか、現状とあわせましてその状況をお聞かせ願いたい、こう思うのです。
○大谷政府委員 腎疾患の対策につきましては、先生が御指摘になりましたように、予防から早期発見、治療、社会復帰というものに至る一貫した対策が必要でございます。そういった観点で、厚生省では従来から腎不全患者につきまして人工透析治療の推進でありますとか、あるいは腎移植体制の整備というふうなことに力を入れてまいりましたし、また腎疾患の成因あるいは治療方法につきましても調査研究を推進するということでやっております。 特に、先ほど先生も御指摘になりましたように、やはり腎不全に至るまでにこれを断ち切るということが本当は大事なのでございまして、実際問題といたしまして、乳幼児の健康審査でありますとかあるいは成人病検診で多数の方々の検尿を実際においてやっておりますが、これが個人の健康管理、いわゆる腎疾患から腎不全に至る過程での健康管理で断ち切るというところが一番大事かと思いますが、その点につきましても、今後とも厚生省としてはそういった点に重点を置いてやっていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
○武田分科員 それで、いま大体四万人を超える透析患者がいる、それが年々ふえているようでございますね。私は宮城県ですが、宮城県でも非常にふえているということでその対応に非常に苦慮しているわけでありますけれども、どうも設備のしっかりしたものを持っている病院というのは不足ぎみだということは否定できません。そういうことで心配な上に、最近医療費がダウンしたためにやはりそういう機能を閉鎖しなくてはならないような病院も出てきているのだそうでありまして、何か全国的には二、三そういうケースがあるんだということも聞いておりまして、いつわが身の上にそういうことが降りかかるかという心配をしておるのも現実でございます。 そこで私は、こういう患者がふえているという事実をよくとらえまして、やはりこういう方々への対応というのは急いでほしいと思います。しかもこういう方々は、大体聞きますと、週二、三回透析のために時間が五時間ないし七時間ということでございまして大変な負担でありまして、働こうにも働けない。というのは、昼間働こうとしても五時間も七時間もとられますと、どうしてもそれはもう無理でございます。それじゃ夜にそういうことをやってくれる病院があるかというと、これはない、あってもきわめて少ない、こういう現実でございまして、この透析患者に対する対応にいかが今後取り組まれていくかという問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
○大谷政府委員 透析医療が普及いたしまして、現在患者さんの約六三%の方が透析を受けて社会復帰するようになっております。 しかし、先生が御指摘のような問題が非常にございますので、透析患者さんの社会復帰というものを促進できるように、人工腎臓の装置が十分整備されていない地域というものに重点を置きまして、そういった地域に整備の促進を図る、あるいは夜間透析の助長を図る、あるいはまた透析技術そのものの改良を図る、またこういった透析をやっている方々を雇用していただいている方々に理解を持っていただく、こういうふうなことで総合的に対処いたしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○武田分科員 それはしっかりお願いしたい。 ところで、そういう透析を担当する方はやはり専門的な知識、技術を持たなくてはいけないわけですから、各病院でそういう方々を研修といいますか勉強させているわけですが、専門のスタッフが非常に不足しているということもあります。これは急がなくてはいけないのですが、しかしながら、行革の影響かどうかわからぬですが、人工透析従事職員研修費がことし予算案の中では少なくなりましたね。五十六年が三百五十万、五十七年が三百三十万にダウンしている。これはどういうことでこうなったのかわからぬけれども、人が不足していまたくさんのそういう優秀な技術専門家をつくって、安心してそういう患者さんに対応しなければならないときに、これでいいのか。私は率直に言って疑問この上ないし、その現場にいる皆さんも、当然患者さんも、これはおかしいではないか、非常に納得いかぬ対応だということなんですが、これはひとつ納得いくような説明をしていただきたいな、こう思います。
○大谷政府委員 人工透析に従事する医師、看護婦等の専門技術者の研修ということは非常に大事なことでございます。したがいまして、国では昭和四十七年以来関係の専門学会にお願いいたしまして、専門技術者の質的向上に努力してきたところでございます。 ただいま先生御指摘のように、予算が若干ダウンしておりますけれども、これにつきましては、実態といたしまして、そういった専門技術者の研修が実質的にダウンしないようにできる限り努力いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○武田分科員 大臣、これは本当に深刻な問題ですから、要するに透析患者がふえているのです。ふえているときに、たとえ一つのことであろうと、そういう数字的に出てきた、実質的にはそういう内容にすると言っても、患者さん方というのは、昔から病は気からです、そういうことを見ただけで心配するわけです。これはいかぬと思うのです。大臣の方でもしっかと内容を検討して、そういう患者さん方が不安にならないような対応をしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○森下国務大臣 まさに、腎疾患の患者の方々が人工透析をされておる姿を見まして、悲惨という以外の言葉が私はないと思います。透析を受けた直後は非常に顔色もいいわけですが、切れかかると非常にお気の毒のような状態になっておる、こういうことを見まして、いまおっしゃいましたように、透析時間を短縮するとか、また夜間を利用して、昼間の仕事に支障のないようにするとか、また同時に、やはり一つの将来に対する希望というものを与えてあげる必要もあるんじゃないか。若くして人工透析によって生を保っておる方々は将来に対する希望も何もございません。やはりそういう精神的な面もございますし、幸いに橋本厚生大臣の時代に角膜腎臓移植法もつくっていただきまして、そういう希望も実は出てきたわけです。 われわれが聞いておる範囲で、たとえばスリランカなんか宗教的な理由で、日本のそういう方々に片一方でいいから腎臓を上げたい、ただ、向こうの出す体制ができておらぬものですから、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、そういうこともできるわけでございますから、せめて人工透析の一週間に何回というのを短くする、また、透析の一回当たりの時間も短くするとか、そういうことによって、先ほどの話もございましたけれども、がんの患者と同じように、生きておりながらまさに希望も夢も失っておるような方々のために、日本の医学もかなり進んでおりますから、そういう面でも全力を挙げていきたいということを申し上げます。
○武田分科員 ひとつよろしくお願いいたします。 それでは次に、精神障害者の問題についてお尋ねします。 百万人を超すと言われておるわけでありますが、これらの人々の社会復帰の問題を特に取り上げてお尋ねをしたいと思うのです。 大体いままで隔離対策が中心であった。ところが、最近はそれもだんだん改善されてきているということでありますけれども、復帰対策、福祉対策といいますか、これはまだまだ不十分のように思われます。私も友人に病院を経営しているのが二、三いるものですから、ときどき参りますと、いろいろその様子を聞かされまして、いま経営者も大変ですね。ですから、この病気は両方大変なんです。 そこで、長期入院患者の中に、長い間入っていたために病気が治っても帰るところがなくなった、また社会的な適応性が欠けるというようなこと、手に職もなく、やむを得ず長期入院せざるを得ないというケースもかなりあるようでございまして、こういう方々にもし早目に手を打っておけば、社会においてある程度働いて元気でやっていけるというケースもあるということでございます。ですから、そういう方々への対策は今後ますます必要になってくるのではなかろうか、そういうふうに思うわけであります。確かに、ああいう方々を見ていますと、人間関係の面でいろいろと挫折をする、対人関係というのは非常に大きいようでございまして、こういう社会の中に、あるいは会社の中になじめないようなケースも非常に多いわけでありますが、これはきちっとした指導、教育といいますか、そういうものによって、完璧と言わないけれども、相当治せる、そういうことでもありますだけに、私は、国がそういう方々への温かい配慮をすべきだ、こういうふうに思うわけであります。 そこで、総合病院の中に、初期の時点で対応できるようないわゆる精神科が余りないというわけです。というのは、やはり初期の方は、自分の家族の中で、ちょっと精神的におかしい、それを精神病院のところに連れていくのは物すごい抵抗を感ずる。これはわかると思うのです。総合病院の中でやると、いろいろの中の一つとして扱ってもらえば、そこに気軽に入っていける、そういう経験的な訴えがあるわけであります。こういう問題もひとつ解決すべきじゃなかろうかというのが一つ。 それから、退院を目指して一生懸命治療に励む患者さんのための社会復帰病棟というようなものも設置したら効果が上がるのじゃないか、そういうことも言われておりますが、この点、どういうものか。 それからもう一つ、精神衛生社会生活適応施設というのがございますね。先ほども、前の先生が質問なさっていたのはこれだと思いますが、それからデーケア・センター、それから職親制度とかいうようなもので社会復帰の対応をしていると思うのですが、この実情もちょっとお聞かせ願って、いまどういうふうになっているものか、今後どういうところに力を入れていこうとしているのか、この三点、ひとつまずお尋ねをしておきたい、こう思うのでございます。
○森下国務大臣 詳細につきましては公衆衛生局長より答弁させます。 基本的な考え方で一言前もって申し上げますが、精神障害者すなわち犯罪者であるという誤った考え方がございまして、これは私どもは、それではいけない、データ等を見ました場合にはそう多い実例もないわけでございます。 精神病でもいろいろ種類がございまして、第一の問題で、近親者としては非常にかっこうが悪いというような気持ちがあることも実は事実でございます。簡単に治るものでも、そのまま放置したために重くなってしまったということで、早期に診断してもらう必要もございますし、第一の点なんかはまさに御指摘のとおりでございます。 以下、局長より詳細答弁をさせます。
○三浦政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたが、精神障害者の社会復帰対策につきましては、これは厚生省といたしましては重点的にいま推進しているわけでございまして、デーケア施設、それから精神障害回復者社会復帰施設、あるいは精神衛生社会生活適応施設、こういったいろいろな社会復帰施設の整備を行っているわけでございます。また一方で、保健所とか、あるいは精神衛生センターにおきまして社会復帰相談事業も行っております。さらに五十七年度予算案の中に職親制度と申しまして、新しく通院患者のリハビリテーション事業が織り込まれておりまして、こういうものを通じまして、私ども社会復帰の促進を図っていこうと考えておるわけでございますが、先ほど、病院の中でいろいろできないかというお話がございましたけれども、病院の中でももちろん、いまは作業療法その他が、社会復帰のための分野があるわけでございまして、この点病院としてもいま精神医療の中心課題というのは、早く社会復帰をさせるという方向で動いておりますので、今後ともこれは推進していきたいと思っております。 それから、精神衛生社会生活適応施設のお話が出ましたが、精神衛生社会生活適応施設というのは、入院医療が必要ではございませんが、独立して日常生活を営むことができない精神障害者に対しまして生活の場を提供して社会適応に必要な生活指導を行う、こういう施設でございまして、これは昭和五十四年に予算化されまして、昭和五十六年に熊本県に開設されたところでございます。
○武田分科員 その事実、知っておりますが、熊本県のあかね荘ですか、かなり評判がいいのですね、聞きましたら。私はこういうものをもっと積極的に各ブロックに一つくらいをつくるくらいの気持ちになってほしいと思うのです。これは始まったのが新しいといいますから、そう急にできなかったということもありますが、これは今後各種の状況をよく踏まえながら推進してほしい。 それからデーケア・センター、これも少ないですよね。私も仙台ですが、仙台でようやく五番目が計画されているというわけですから、大体これも偏っているわけです。ですから、これも適切な配置まで考えまして、もっとこうした昼間通いながら訓練を受ける施設、デーですからね、こういうようなもの、今度は職親制度がさらに加わるわけで、かなり進んでいくわけですけれども、こういうものはこれから幾らたくさんつくっても対応できないだけの対象がいるということでございますから、ひとつ大臣もこの点に相当力を入れてほしい、私はこれはお願いだけしておきたい、こういうふうに思います。 そこで、もう一つお聞きしたいのは、退院をして働いている方々に対する夜間あるいは日曜診療の必要性というのがまた問題になっているわけです。大体一カ月に二回くらい通ってくるということでございますが、こういう方々に対する対応というのは、いままでどちらかというと私的医療施設に頼っていた傾向が余りにも強過ぎたということでございますし、これを公的医療施設の中で実施するべきじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、この対応をひとつお聞きしたいな、こう思うのでございます。
○三浦政府委員 退院者の指導につきましては、保健所の精神衛生相談員あるいはまた精神衛生センターの職員がいろいろ相談をしたり、あるいは訪問指導までいま行っておるわけでございます。先ほどちょっとお話がございましたが、精神衛生センター、まだ全県にそろっておりませんが、私どもは、これは老人保健との対策の絡みもございまして、六十一年までには全部そろえたい、こういうつもりでおりますし、もちろんこの中で、精神障害者の退院した方に、いろいろありましょうけれども、適切な指導をしていくということは、私ども重点的に考えてまいりたいと思っております。
○武田分科員 こういう病気は不幸なことにふえているわけでございまして、それがたまたま一つの事件を起こすと、大変だということで、また治療処分とか保安処分というような変な話まで出てきまして、そういう方々はそれでなくても精神的に大変動揺の大きい、何といいますか、非常に振動の大きい性格の方々も多いわけでありまして、そういう患者さんを持つ身内の方々というのはまたそれ以上に大変だという事実は、御承知のとおりだと思うわけであります。ですから、心配のないようにしてやればやるほど、治療以上に精神的な安定を与える方がこうした方々に対する最高の治療だと私は思いますので、そういう一つ一つの条件の不備を解消しながらこうした病気の根治のための努力をお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。 そこで、最後に法務省にお尋ねしますが、保安処分の問題ですね。あるいは治療処分というふうに言っているようでありますが、各方面からいろいろと問題を提起されまして、内容的にも相当な問題を抱えているというわけでありますが、慎重の上にも慎重を期して対応すべきであるし、現在の治療の体系の中でもそういう患者さん方に対してもっと別な形で一生懸命取り組めば——たとえば病院に入った方が大体六カ月くらいたって出されたときあたりが案外に事件などを起こすのだそうですね。ですから、病院でもうちょっと動向を見て、早期退院を警戒して治療に当たるとかというようなこと、まあまあ現在は措置入院という形でも行われているわけですから、いまさら——そういう事件がたまたま起こった、果たしてそれがまた精神障害の方だという、そういうしかとした判断はされてないわけですね。そういうことで、何か事件があると、全部そういう方々のしわざだというのは非常に心外だと言って不満を持っている方々が圧倒的に多いわけでありますから、このことについては十分なる配慮をしていかなければならぬ、こう思うのでありますが、この保安処分についてはどういうふうに考えているのかお尋ねしたい。 私は人間の一つの権利として、人間の生命の尊重、人権の尊重という点から考えたときには、やはりこうしたものを持ち出す前に、先ほど来私が質問しておりますが、精神医療の充実とかあるいはまた地域精神衛生運動の強化とか、そういうものをもっともっと充実する、それをまず最優先に考えるべきだというふうに思っておるわけであります。 そういう点で、最後に法務省の考えだけをお聞きしまして、質問を終わりたいと思うのです。
○土屋説明員 確かにおっしゃるとおり、精神障害者対策としましては、精神衛生法の措置入院の制度があるわけでございますが、御承知のとおり、精神衛生法の措置入院というのは患者の医療と保護を目的といたしておりますので、その犯罪防止あるいは犯罪者の処遇という点から考えますと、どうしてもおのずから限界があるわけでございます。 そこで、現在法務省といたしまして検討いたしております保安処分制度というのは、そういう精神の障害によりまして殺人、放火、強盗等の一定の重大犯罪を犯した場合でありまして、しかも再犯のおそれがあると裁判所が認定した場合に初めて言い渡せる制度でございまして、もちろん犯罪の危険があるとか、そういう危険性のためだけで施設に収容するというような制度では毛頭ないわけでございます。まず犯罪を犯したという前提に立つわけでございます。 それから、保安処分の手続について申しますと、これは、現在考えておるのは、刑事裁判と同じような手続で、しかも必ず弁護人をつけまして、そして必要的な鑑定を経まして、証拠の法則にのっとりまして、犯罪を犯したかどうか、あるいは精神の障害があるかどうか、またそれによって再犯のおそれがあるかどうかを慎重に裁判所が認定いたしまして、しかる上でこういう要件が認定された場合に初めて裁判所が保安処分を言い渡すわけでございます。 そして、その後も治療施設に収容いたしまして治療を行うわけでございますが、収容期間も短期間に限定されておりますし、またこれを更新する場合も裁判所の適正な司法判断を経るわけでございます。そして、治療を続けている間にその症状に応じまして仮退所させまして、そして療護観察というアフターケアで社会内処遇に万全を期して、本人の社会復帰を図るということで、本人の基本的人権あるいは人権の保護に十分配慮した手続を考えている次第でございます。
○武田分科員 これは大臣にお願いしたいのですが、やはりそうしたものが考えられているということによって精神障害者を危険視するというような風潮や傾向が出てきたらこれは大変だと思うし、いま出てないとは言えないと思うわけですね。それだけに、そうした風潮を社会の中から払拭するためにも、やはり先ほど申し上げましたもろもろの対応というものをいままで以上にしかとして、これは家庭のいろいろな協力等も必要でありますし、総合的にこうした問題の対応を、私は力をさらに、いろいろな難病がたくさんございますが、しかとお願いしたい、こう思うのでございます。 大臣の御決意をお聞きしまして、終わりとします。
○森下国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私は、やはり人権というものは尊重すべきであるし、先ほど申しましたように、精神障害者すなわち犯罪人であるというような印象を与えるとこれは大変でございますし、法務省の考えておられます治療処分は、いわゆる社会の安全を保護する、これはこれなりに意義があると思います。しかし、厚生省で考えております基本的な考えは医療及び保護を行う、そういうところにこれは食い違いがあるわけでございますけれども、この制度につきましては、適正な精神医療が確保されますように法務当局とも十分協議してまいりたいということを申し上げまして、御答弁といたします。
○武田分科員 わかりました。
○亀井(善)主査代理 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。 次に、玉城栄一君。
○玉城分科員 最初に、援護法上の問題についてお伺いしたいわけです。 御存じのとおり、沖縄県は去る第二次大戦で、わが国唯一、直接戦闘が行われたわけでございます。住民を巻き込んでの悲惨な戦闘が展開されたわけでございますが、いまなお当時の悲劇的な話が語られております。したがいまして、当時お亡くなりになられた方を初め被災者の方々は、いまもって苦しんでいらっしゃる方々がたくさんございます。そういうことを、厚生省とされましても沖縄の特殊な事情を考慮されて、援護法に基づいて救済措置を講じてこられたわけでございますが、その状況について概略御説明いただきたいと思います。
○北村政府委員 沖縄は何分大変な戦争の状況の中にあったわけでございますので、援護法等援護局行政の適用に関しましてはいろいろと特殊な問題がございます。資料整備その他の点につきましても、内地の県とは事情を異にするところもございますので、私どもは、いろいろなケースにつきまして、請求に際しましては個々の事例に即して必要な助力を行うなど適切な対応をとっているところでございます。
○玉城分科員 そこで、重ねてこの問題でお伺いしたいのですが、さっき申し上げましたような特殊な事情がありまして、そういう該当者ではないか、対象者ではないかと思われる方々がまだそういう対象になっておらないというケースを私たちも個々に知っておりますが、厚生省とされて、沖縄県の場合、いま私が申し上げましたような趣旨の対象者は大体どれぐらいいるというふうに見ておられるのか。
○北村政府委員 先生のお話は、恐らく今回援護法の適用を受けることとなりました沖縄の戦争の中で傷害を受けるるいは死亡をいたしました六歳未満の者についての年金その他の適用問題に関することではないかと存じます。 私ども、六歳以上の方につきましてはすでに援護法の適用をいたしておりますので、その例にならいまして、現在、県を指導いたしまして各地区で巡回相談などを行わせておりまして、よく趣旨が周知徹底できますように御説明を申し上げておるところでございます。いま沖縄県からこちらの方に正式に申請書が上がってまいる状況にございませんが、沖縄県庁の人に聞きますと、いろいろ円滑にこれが進んでいるということを聞いているわけでございます。
○玉城分科員 円滑というふうにおっしゃられておりますが、県の方は、巡回相談等を通して制度の周知徹底とかそういうことをいろいろやっておられるわけですね。それはやはり、こういう制度を知らないとか、いろいろなほかの理由もあって該当者がいると思われるからそういうことをやっていると思うのですね。いわゆる実態把握ですね。ですから、それを大体どれぐらいと想定——推定になるでしょうけれども、厚生省としては、沖縄県にそういう該当すべきと思われる方がいるかどうか、どのように見ておられるか。
○北村政府委員 何分、実情が、私どもといたしましても詳細な実態を把握いたしておりません。沖縄県庁の方にいろいろ聞いてみますと、傷害者が大体百件を下回るくらい、それから死亡者が、これも詳細はよくわからないのでございますが、二、三千件ぐらいといったようなことを県庁の方では把握をしているようでございます。ただし、これは、それぞれの巡回相談等を行いまして、各地区で説明をし、こういう要件ならば支給が受けられるということで御本人あるいは御遺族の方が具体的に役場の方にお申し出になってきませんと、詳細な数字はわからないと思います。ですが、私どもは、その数字のいかんにかかわらず、要件に該当する者につきましては、援護法の適用について鋭意努力をいたすつもりでございます。
○玉城分科員 そこで、いま傷害者の方々については二、三千件あると思われると県の方は言っておるという話ですが、そういうことで実態把握を努力しておられると思うわけですが、それがなかなかうまくいっていないというのは、一つは、請求手続が非常に繁雑ではないか。制度を知らせるためにそういう巡回相談というものをやっていらっしゃるでしょう。あるいはもう一つは、戦時中の戸籍ですね、そういう公的資料が焼けてなくなったということ等のために、制度の問題、手続の問題、あるいはそういう証明する資料が乏しいとか、そういうようなことも原因になっているのではないかという指摘もあるわけですが、それは、厚生省としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○北村政府委員 戸籍等の問題も確かにございますが、今回新たに援護法を適用するといたしましたケースは、沖縄戦中に六歳未満でありましても戦闘行為に従事したと思われる程度の状態にあったかないかということを判定の基準にいたしておりますので、当然御本人であればもう大人になっておられますし、亡くなられた方の御両親でありますと、自分の子供のことでありますので、その件についての資料整備は比較的容易であると思います。 むしろ、六歳未満であった方に、その状態がどういう状態であったかということについての説明資料なり何なりを、今後御申請いただく際に十分確認をしなければいけない。その後時間がたっておりますので、そういう状態にあったということを証明するのがなかなかむずかしい、そういうことではないかと思いますが、私どもは何分にもそういう全島戦場だったという特殊事情にかんがみまして、個々の事例に即して十分実態が把握できるように、きめ細かい確認をしていきたいと思っているわけでございます。
○玉城分科員 これは、当時六歳未満ということですから、いろんなこともあると思いますが、いずれにしても二、三千件傷害者として対象者がいるのではないかと思われるということからしますと、やはりまだまだいわゆる援護法を適用して何とか救済措置を講じる必要があると思われる方がいらっしゃるわけですね。それがなかなかうまくいってない。 それじゃ、去年の暮れ新しく適用しようということで申請されている数字は大体どれぐらいですか。そして、それが決定されている数字は。
○北村政府委員 先ほど申し上げましたように、県を経由して正式に厚生省に来ている申請件数はまだございません。ただ、仄聞するところによりますと、百件ぐらい、あるいはそれよりもうちょっと多いかもしれませんけれども、沖縄県庁まで来ている書類がある。沖縄県庁で、先ほど申し上げましたような戦争中の実態を証明する資料を、御本人とも十分お打ち合わせしながら整備中というふうに聞いております。
○玉城分科員 そこで、せっかく法務省の方にもおいでいただいておりますので、この件でちょっとお伺いしたいのですが、私たちもちょっと個々に聞いてみて、やはりそうかなというような事情も聞いているわけですけれども、法務省とされて、沖縄の方でそういう戦前あるいは戦時中の戸籍が焼失した、これは復活されていますけれども、それが漏れているというようなことで、いま厚生省の方に申し上げておりますようなケース、いわゆる裁判所に戸籍の復活整備の相談がされていることがあるかないか、いかがですか。
○大森説明員 お答えいたします。 まず、先生御質問の点に端的にお答えいたしますと、裁判所で現在そういう係属中の事件が何件であるかということにつきましては、これは私どもの所管でございませんので、その数については把握いたしておりません。 ただ、その前提といたしまして、若干御説明いたしたいと思いますが、御承知のとおり、戦災によりまして沖縄の戸籍は大半が滅失したわけでございます。その後、昭和二十七年の四月一日に琉球政府が成立いたしまして、それを機に戸籍整備法という現地法が制定されております。その法律に基づきまして、昭和二十九年の三月一日から再製作業が開始されたわけでございます。通常の戸籍再製作業は、戸籍の副本が本土ならば法務局に保管されている。したがいまして、その副本で容易に再製されるわけでございますが、当時はその副本その他の資料もほとんど滅失しておるということで、非常に困難な作業が続けられたわけでございまして、そういう現地の涙ぐましいといいますか、非常に困難な作業の結果、四十五年末には、沖縄在籍者で現に海外に在住されている以外の方につきましては、大体戸籍の再製作業が完了したというふうに私どもは報告を受けている次第でございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、再製資料が非常に乏しいということから、この再製の端緒は主として当事者の申告に基づくというようなことがございましたので、中には、まだ再製未了のものが絶無であると断言できる自信はございません。したがいまして、再製遺漏、こう申しているわけでございますが、もしまだそういう再製遺漏の戸籍がございます場合には、関係者の申し出によりまして、再製するに足りる資料がある場合には、非常に簡易に戸籍法二十四条で、監督法務局、地方法務局長の許可によって市町村長が職権で再製する。そしてまた、再製されているけれども一部のものについて記載遺漏があるという場合にも、同様の措置をとっております。ただ、残念ながらそういう資料がないという場合には、家庭裁判所の戸籍訂正の許可手続によりまして、記載遺漏については記載をするという取り扱いにしている次第でございます。 以上でございます。
○玉城分科員 法務省の方には御要望申し上げておきたいわけですが、そういうこともありまして、せっかく制度の適用によって救済がされようとするのがなかなかできないということもありますので、いまおっしゃる二十四条等、ぜひいろんな救済の便宜を講じていただいて、それが複雑にならぬような形でお願いしたいと思うわけです。 大臣の方にお伺いしたいわけですが、お聞きのとおり、冒頭に申し上げましたように、大臣も沖縄においでになられてよく御案内のとおりでございますが、できるだけそういう救済措置を講じていただきたいということで、これは制度の面でも柔軟な対応を——いろんな個々のケース、私たちもよく承知しておりますが、それも一歩前進をさした形で、せっかくそこまで持っていっていらっしゃるわけですから、該当できる方については積極的に誠意を持ってやっていただきたい。いま戸籍上の問題もあると言いますし、あるいは手続の繁雑さという問題もあろうし、あるいは制度の未徹底ということ等、いろいろの理由があろうかと思いますが、先ほどの数字もございましたけれども、まだ該当者は相当数いると思われますので、その点について大臣のお考えを承りたいと思います。
○森下国務大臣 沖縄につきましては、全島戦場という、まことに悲惨な状況にあったことは事実でございまして、一日も早く、本土並みというよりも本土平均ぐらいに引き上げるべく努力すべきである、実はわれわれこういう考え方を持っております。 ただ、沖縄の場合は離島がたくさんございますし、また、当時の状況が十分把握できないという問題もございまして、ただいまのような御質問の内容になったことだと思います。そういうことで、御指摘のように、いわゆる善意に、前向きに、戦後処理の問題、援護法の適用問題、その他福祉の問題等におきましても、全力を挙げて御趣旨に沿うように努力をいたしたいということを申し上げます。
○玉城分科員 法務省の方、結構でございます、私の質問に関する限りは。 今度は、別の質問になりますが、沖縄の医療の適正確保という立場から、沖縄県の医師の適正数というものをどのように見ておられるのか。これは、非常に離島県でありますし、沖縄県もことし復帰しましてちょうど十年ということで、厚生省も医療行政について大変力を入れでいただいていることはよく承知しておりますが、医師の適正数という面から全国平均と比べますとまだまだという感がするわけですが、そういう点、どのように見ておられるのか。 それと、沖縄県の国立療養所宮古南静園の医師の配置の状況はどうなっているのか、その点もあわせてお伺いいたします。
○大谷政府委員 適正医師数の算定というのは、大変むずかしい問題でございます。たとえば医療需要あるいは医師の地域の偏在あるいは診療科別の医師数をどうするか、いろいろ複雑な要素を勘案して決めなければならない問題でございまして、これに的確に答えるというのは非常にむずかしいことでございます。しかし、いずれにいたしましても、沖縄県が、復帰以来相当改善はされてまいりましたけれども、先生先ほどお話しのように全国平均を下回っているということは事実でございまして、私どもとしては、沖縄に適正な医療を確保するために、財政的裏づけの問題や沖縄県の意向等もありますが、できる限り国といたしましてこの充実を図るように努力をいたさなければならないというふうに考えている次第でございます。 それから、お尋ねの国立療養所宮古南静園の医師の問題でございますが、先生も御心配いただいておりますが、今度、三月一日付で本土の療養所から一名補充いたしまして、現在定員三名のところに二名の医師を確保いたしました。また、そのほか本島の方の国立療養所沖縄愛楽園あるいは近隣の医療機関というところから医療につきまして御協力をいただいておりまして、そういった点からも医療の確保ということに努力をいたしているわけでございます。
○玉城分科員 これも御要望になりますが、定員三名で、三月一日付でお一人の先生がいらっしゃる。たしかここは園長さん御自身も今月で定年。この先生の場合も、実は昨年が定年で、特別の考慮をしたというように伺っているわけです。延長して定年どおりということになりますと、三名中いま新しく入られたお一人しかいらっしゃらない。ですから、その辺、全国的にこういうお医者さんは非常にむずかしいという事情もありますけれども、やはりその間何とか厚生省で考えていただきたいということで、関係者は非常に要望が強いわけです。この点、重ねて、いかがなさるおつもりか、お伺いします。
○大谷政府委員 人事の問題でございますから、私から先のことをどうということは申し上げられないのでございますけれども、できるだけ厚生省といたしましても全力を挙げて宮古南静園の医師不足ということがないように努力いたしたいと思っております。また、国立らい療養所の所長連盟におかれましても、この問題につきましては非常に御関心をいただいておりまして、全国の所長連盟の問題として私どもに御協力いただいておりまして、何とかこの問題は解決いたしたいというふうに考えております。
○玉城分科員 次にお伺いしたいのは、沖縄県各地で戦時中疎開しました。台湾の方にも、近いというので大分行かれたのです。終戦直後、民間の栄丸という船に百五十六名が乗って、事故によってこの船が沈没したという事件があったわけですが、厚生省は御存じですか。
○北村政府委員 私ども伺っておる限りでございますが、戦争中沖縄から台湾に疎開していた沖縄島民が、終戦後の二十年十一月初めに船で沖縄に帰ろうとして、途中遭難された栄丸という船があることを存じております。
○玉城分科員 この関係者は、遺族の方々、生存者もおりますけれども、私たちは国の命令によって強制疎開させられた、したがって、帰るときにそういう事故に遭った場合は当然国としても何らかの補償をする必要があるのではないかということで、栄丸遭難者遺族補償獲得期成会というものをつくりまして、今後具体的に、県を通じ、国あるいは厚生省にこの問題解決を要望しようという段階に来ているわけです。その点、どのようにお考えになりますか。
○北村政府委員 戦争中の、言ってみれば沖縄防衛の観点から軍事協力の一環としてなされたようなケースではない、つまり、一たん疎開されて、戦争が終わってから沖縄に帰国といいますか、帰島されようとした場合の事故でございますので、私どもは援護法その他の適用をすることは困難ではなかろうかと存じております。
○玉城分科員 この方々の言い分、国が強制的に疎開させたということについてはどうですか。
○北村政府委員 私どもが知る限りにおきましては、戦争中に台湾の方に疎開されたということは伺っておりますが、その間、たとえば強制的に疎開させたのかどうか、その辺の事情はつまびらかにいたしておりません。
○玉城分科員 まだつまびらかではありませんようですから、これは確認ですが、その実態はいろいろ問題があると思いますので、これは所管として厚生省というふうに承ってよろしゅうございますか。
○北村政府委員 まだこの案件について具体的にどういう法律を適用するとかしないとかということが結論づけられておりませんので、この段階において何とも申し上げられないのでございますが、私どもといたしましては、援護法の立場から申しますと、国と一定の使用関係のあった者に対しまして国が使用者としての立場から援護の措置を講ずる法律でございます。本件のように終戦後疎開した先から国に帰られるときの遭難者につきましては、私ども、軍の要請に基づいて戦闘に参加した戦闘参加者と認めがたいと思いますので、現状におきましては援護法によって処遇することにはいささか困難があるのではないか、そのように考えております。
○玉城分科員 時間がありませんので、じゃ、この問題をもしそういう関係者から持ち込まれた場合は、厚生省ではこれは厚生省ではないと言いますけれども、まだ実態がはっきりわかっていらっしゃらないわけです。これは、第一義的には遺族の問題です。ですから、その辺はどこかの役所が受け付けてやっていただかないといかぬ。前に沖縄関係の学童疎開、例の対馬丸の事件、あの場合は私たちもよくわかります。これはあの問題とはちょっと質が異なる面もありますけれども、百五十六名中生存者が二、三十名、あとは全部亡くなったわけですから、その補償あるいはそれに類するようなことで遺族の方々がそういう会を結成して動いているわけですから、その点、大臣、いかがお考えになりますか。
○北村政府委員 広い意味での戦後処理の問題ではないかと存じますけれども、いま先生お話しの対馬丸のケースにつきましては、これは私ども伺うところによりますと、沖縄開発庁所管の事務になっているようでございます。
○玉城分科員 これは、沖縄開発庁所管ということはよくわかるわけですね。確かに問題は、本当に強制的に疎開がどういう要請がされたか、それが直接的なのか間接的なのか、その辺はよく調べていただかないことには、ここでお互いに議論をしても始まらない話で、ですから、実態についてはよく調べていただいて、関係者とも話し合いをされる必要があると思うのです。その上で、援護法上補償すべきなら補償する、あるいは援護法でなくて別の形なら別の形というようなことはその後で出てくる問題ではないかと私は思うのですが、そういう意味で大臣のお考えをお伺いします。
○森下国務大臣 いずれにしてもまことにお気の毒なことでございまして、私自身も、局長からいま答弁しましたように、国の意思によって強制疎開したのかどうかはっきりわかっておりません。だから、そういう点を早急に調査させまして、また御答弁もさせていただきます。
○玉城分科員 以上です。
○亀井(善)主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。 次に、田中昭二君。
○田中(昭)分科員 まず、いま新聞等で報道されておりますが、台湾の方々の旧日本軍人及び軍属としての補償の問題、これからお伺いしたいと思います。 太平洋戦争中に日本人と同様に戦地等で犠牲となった方々が戦後補償を求めて訴訟を起こしておられるようでございますが、裁判に持ち込まれて、先日、裁判の結果、救済する法的根拠がないというような判決になったと聞いております。その内容がいろいろ報道されておりますが、一言で言えば、この問題は国の国際的外交処理ないし立法政策にゆだねられるべきである、こういう指摘がされておるようでございます。私は、本来これは裁判以前の問題であろう、日本政府による決着を図るべき問題であると思いますが、いかがなものでしょうか。大臣からお答え願いたい。
○森下国務大臣 この問題も中国孤児問題と並行して起こりまして、まことに、私どもとしてはいわゆる戦後処理問題のみならず、人道的、道義的な問題として実はとらえております。 ただ、内容的に考えてみました場合に、いろいろ当時の日華平和条約とか、また蒋介石政権との国交が断絶したというような不幸な事実も実はございまして、取り上げられながらそういう外交的な問題で立ち消えになってしまった。だから、個人個人につきましては、われわれはまことにお気の毒でございますし、当然これは援護法に基づいて国内でそういう旧軍人等に処遇しておると同じようにやるべき問題だと思いますけれども、国際的な問題もございますし、まことに残念ながら、現状ではこの取り扱い方に非常に苦慮しておるというのが現実でございまして、詳細につきましては援護局長の方より説明をさせます。
○田中(昭)分科員 いまは大臣のお気持ちだけ一応聞いておきます。 この関係者の戦死、戦傷病等当時の状況を踏まえまして正確な調査と実態がわからなければならない、こう思うのです。わかってないとすれば、早急にこれは調査をしていただきたいし、そのために予算が要るのであれば予算もつけて、まずそういうことからやるべきだと思いますが、事務局の方からで結構でございますから、お願いします。
○北村政府委員 台湾出身者の軍人軍属の数でございますが、二十万人ほどでございます。そのうち戦死者が約三万余り、そのように承知をいたしております。
○田中(昭)分科員 そういう実態はどういう調査の内容になっておるのかわかりませんが、もう少し親切に、それをどう進展させようとしているのか、一緒にお答え願いたいと思います。 次に、この裁判の結果の報道等を見ておりますと、この関係者は、日本の政府の信義と誠意を求める、こういう主張をしておるようでございます。こういう主張をしておる補償請求について、ただ法的根拠がないと突き放すことは国家のエゴではないか、政府の政治責任、そして道義的責任は逃れられるものでない、信義にも外れる、だからしかるべき救済措置をとるべきではないか、こういうふうに言われておりますが、このことについて、大臣、また、先ほどの予算化も含めて事務局の方からもお答え願いたいと思います。
○森下国務大臣 一言で申せば、道義的にもまた心情的にもまことにお気の毒なことでございますし、また、国際信義にも反するわけでございますが、ただいま日本と台湾との間の国交が断絶しておる状況、また、中国は一つでありながら実態はああいうふうに二つのようなかっこうになっておるというような問題もございまして、これは厚生省だけで取り扱うには非常に重いという感じが実はしております。心情的には本当にお気の毒であるという気持ちだけではこれは解決しない問題でございますが、よく関係省庁とも相談したい、この問題については、黙って避けて通れないという問題として処理していきたい、このように思っております。
○北村政府委員 この問題は、援護法の国籍要件の問題に該当するわけでございます。わが国の法律で軍人を対象といたします恩給法と、私ども、軍属等を対象とします援護法は、いわば車の両輪のようなものでございます。恩給法、援護法ともに国籍要件を日本国籍のある者に限って適用するということになっておりますので、台湾人を含めまして、外国人につきましては同法の適用はないわけでございます。 なお、この問題は他の戦後処理の問題とかあるいは台湾との外交問題と密接にかかわっておりますので、現在、内閣審議室が中心になりまして関係各省で検討を続けている問題でございまして、厚生省だけで援護法の要件をどうこうというわけにはなかなかまいらない問題であると考えております。
○田中(昭)分科員 ひとつ、前向きで取り組んでもらいたいと思います。 次に、中国残留孤児対策。これは、大臣も大変自分のことみたいにがんばっていただいております。敬意を表するわけであります。 この孤児対策はことしになってからこのような大変な社会問題になり、全国民がテレビにくぎづけにされていろいろな思いをしたというようなことがございます。そこで、いろいろ孤児の人たちの言い分等を聞いておりますと、また、報道等を見ておりましても、孤児対策は今後は時間との闘いであるというように言われておる。これは、私もそのとおりだろうと思います。身元の確認と両親捜し、親族捜し、特に一番よく事情がわかっておる両親等は年齢が進んで、そして死去なされておる方も多いし、親族でもそうでしょう。だから、時間との闘いである。もしもそういう関係者が亡くなっておられるということになりますと、永遠にその手がかりが失われてしまう。そういうことによって、孤児がかわいそうな立場でおらなければならない。また、向こうの養父母もいつまでも生きるわけではないのです。 そういうことから見ても、いまのままでは、この問題には推定では大体今後十年くらいかかるのではないか、百人とか二百人とか毎年やっていても十年くらいかかるのではないか、こういうように心配されております。当局の方も十分そういうことはわかっておると思いますが、また、努力もされておると思いますが、今後の方針なり対策を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
○森下国務大臣 中国残留孤児の問題につきましては、日本国じゅうひとしく戦争の悲惨さ、また、平和のありがたみを感じたわけでございます。戦後、国内におきましても戦災孤児というものがたくさん出まして、ずいぶん苦労して大きくなった。ましてやああいう異郷の土地で、しかも、ほとんどが旧満州でございますから、非常に生活環境も悪いし、気象条件も悪いところで、よくぞいままで育てていただいた、また、今回の親捜しの問題についても、中国政府がよくぞ恩情を示していただいた、これは感謝に値するわけであります。 ただ、問題は、千名近くはっきりした方が残っておられるし、潜在的には一万とか二万という数字が挙がっておりますけれども、六十名とか百名では時間との闘いでございまして、なかなか大変だというような御心配もあちこちからいただいております。五十七年度は百二十名でございますけれども、その数で果たしていいのかどうか。しかしながら、厚生省といたしましては、全力を挙げて、中国政府ともよく御相談して、おいでになった方一〇〇%が肉親また縁者とお会いできるようにしなければ、今回も四十二名でございますから七〇%で、全然縁故のつながりのなかった方々は本当にさみしい思いでして、むしろ不幸の上に不幸を重ねたようなかっこうで、テレビでもああいうような日本国じゅうが感動を覚えた、同情を申し上げたというようなことになったわけでございますから、できるだけ早くそういう悲劇が少なくなるように全力を挙げたい、このような前向きな姿勢で今後とも続けていきたいと思っております。
○田中(昭)分科員 確かにいま大臣がお述べになったようなことがございまして、私もそれはそれなりに努力されたことはわかるわけです。ですから、こういう問題はもう本当にただ時間との闘いだ何だかんだと言っておるだけでは、せっかくやった措置が後で悔やまれる、また、後で国際的にも非難を受けるというようなことがあってはならないと思うのです。たとえば厚生省の予算にしましても、五十七年度は昨年の倍ぐらいつけてあるというふうに聞いております。それにしてみても、八千四百万ぐらいだ、こういうふうに聞いております。全体でも、本年度ですか、二億四千万ですから、わずかのものでございます。その反面、報道等も出ておりますが、インドシナ難民等に対しては政府全体として二百二十億ですか、そのくらいの金を出しておる。そういうことを考えれば、余りにも片手落ちではないか、こういう批判もなされると私は思うのです。 孤児の人たちは、祖国日本に経済大国としてやはり誇りを持って、日本人にも日本政府にも感謝の気持ちを持って帰っていくわけですが、こういう方々、また、日本に来れない方々、こういう人たちを失望させないためにも、希望を持たせるためにも、八千四百万とか十億とか二十億じゃなくて、もう少し思い切った予算をこういうときこそ政府はつけて援助してやるべきだと思いますが、いかがでしょう。簡単にお願いします。
○森下国務大臣 まさに同感でございます。
○田中(昭)分科員 じゃ、この問題はいままでもいろいろ答弁があったと思いますから、先に進みたいと思います。 次に、覚せい剤対策でございます。 これも、大変社会問題となって騒がれておるわけですけれども、まず、いまの状況から、世界的にも大麻とかヘロインとかそういう麻薬が主流でありまして、これは怠け薬とも言われるそうでございますが、いわゆる覚せい剤は興奮するための薬というようなことで、これがそのまま、人間のかっこうをしておっても人間じゃないような凶悪犯罪に結びつきやすい、そういうことが社会問題でにぎわしておるわけですが、この覚せい剤は、日本に入ってくるのが主になっておるそうでございますが、その理由と、そういう状態の分析はどのようになさって対策を立てておられますか。厚生省の方と警察庁の方にお願いしたいと思います。
○持永政府委員 御指摘のように、最近のいわゆる麻薬事犯では、覚せい剤事犯が日本の場合非常にふえているわけでございます。これが市民層なりあるいは青少年といったところまで浸透してまいりまして、社会的にも大変憂慮すべき事態にあるということは言えるかと思います。 日本の覚せい剤乱用が外国に比べてなぜ多いかという問題でございますけれども、なかなかこれといった定説というものはございませんが、一応厚生省として考えられる原因を幾つか挙げてみますと、一つは、暴力団組織、そういったものが覚せい剤の密売を最大の資金源にしているということじゃないかと思います。それからもう一つは、御指摘のように覚せい剤を乱用するようになりますとどうしても覚せい剤が欲しくなるというようなことで、自分が使う覚せい剤をひねり出すためにその覚せい剤の新たな乱用者をつくり出しているというようなこともあるかと思います。それからもう一つは、これは政府としても大いに反省しなければならないと思いますけれども、覚せい剤乱用の弊害、そういったものについての認識がまだ十分でないというようなこともございますし、あるいはそのほかに社会全体の享楽的な風潮、そういったものもあるかというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
○仲村説明員 ただいま厚生省の方からお答えがございましたが、警察の方でも日本で特に覚せい剤が多用されているその原因について考えているわけでございまして、その原因については必ずしも明らかではございませんが、ただいまお話がございましたように、一つは、暴力団がそのかっこうの資金源として覚せい剤に執着しているということ。それからもう一つは、日本が最初に乱用を経験した薬物が覚せい剤でございまして、麻薬等に比べまして覚せい剤に対する忌避意識が非常に弱いということ。それからもう一つは、韓国とか台湾、こういったところで覚せい剤が密造されておるわけでございますが、こういった国とわが国が地理的にも大変近いということで、人的、物的に交流が多いために、そういった国からの密輸入品が多い。こういうようなことで日本で覚せい剤が蔓延するということになっているのではなかろうか、かように考えておるところでございます。
○田中(昭)分科員 いま言われましたように覚せい剤の汚染が増大の一途をたどっておるわけですが、これが犯罪の増加とともに一般の市民層にまで入り込んで、大変な問題、そして家庭崩壊というような結果をもたらしております。政府は、薬物乱用対策推進本部ですか、それから厚生省の中でも対策を決めておられるようでございますが、覚せい剤の犯罪が増加するばかりでは、せっかくこういうものをつくられても実効が上がらないということでは意味がない。それではどうすれば根本的な解決になるのだろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○持永政府委員 先生御指摘のとおり、覚せい剤の乱用についての政府としての対応というのは、総理府に置かれております薬物乱用対策推進本部を中心にいたしまして、各省庁十分に連絡をとりながら行っているわけでございますけれども、実は昨年江東で発生をいたしました通り魔事件を契機にいたしまして、緊急に実施する覚せい剤対策というのをいま申し上げました総理府の推進本部で決めております。 この対策の内容といたしましては、一つは、国民に対する啓発活動の強化でございます。覚せい剤の恐ろしさについて国民に十分認識してもらうということが必要かと思います。二番目は、取り締まりの強化と、それに対する厳正な処分ということであろうかと思います。三つ目は、覚せい剤の乱用者に対しまして徹底した措置をとる。こういうような三項目が昨年の通り魔事件を契機といたしまして総理府の推進本部で決められておりまして、これに基づきまして、関係各省庁連携を密にいたしまして、総合的、積極的にこの問題を進めていこう、こういうことになっておるわけでございます。
○田中(昭)分科員 いや、そうやっておられるけれども余り実効が上がってないじゃないか、こう言っておるわけですよ。大臣も御存じと思いますが、ここ五十年から五十六年までに覚せい剤の犯罪として検挙されたものだけでも膨大な数になっておる。その中でも特にひどいのは少年ですね。これは十倍近くなっているのです。昭和五十年には二百六十人検挙されておりますが、五十六年は二千五百七十五人、これは検挙された分だけです。これでは、いま確かにそういうことをやられておりましても、国民が納税者の立場に立って求めておる行政の効果というものが疑われるのじゃなかろうか、私はこういう気持ちがしてなりません。これは、ひとつなお一層の努力をして、特に青少年の問題、これは国の宝、わが国の将来を決める大事な子供たちのことでございますから、特段の努力をお願いをしておきます。 最後にこの問題で伺いたいのは、いま刑法の改正等で保安処分が問題になっておりますが、何か報道によりますと、厚生省の言い分は、現行の措置入院制度などを改善していくが、それでも精神障害による犯罪を完全に防ぐことはできない、こういうふうに聞いておりますが、覚せい剤による精神障害を起こし犯罪を犯す可能性のある場合、どのようにすれば完全に防ぐことができると思っておられるか、お尋ねしたいと思います。
○三浦政府委員 先生お話しの法務省の方でいま計画しております治療処分というのは、これは重大な罪を犯した人の再犯防止ということが目的でございます。私どもの方の所管しております精神衛生法では、あくまでも医療、保護、それから社会復帰を目的としておりますので、治療処分とはちょっと次元の違った問題でございます。 ただ、こういう犯罪が次々に起こるということは重大な問題だというふうに厚生省も認識をしておりますが、私どもといたしましては、精神衛生法にございます措置入院制度を的確に運用することによってひとつ覚せい剤の慢性中毒患者の医療と保護、社会復帰とを徹底させよう、それが間接的には犯罪防止につながるのではないだろうかということで、精神衛生法の運用を的確にやっていくという方向で進めてまいりたいと考えております。
○田中(昭)分科員 最後に、この麻薬の問題について大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○森下国務大臣 麻薬、覚せい剤の青少年に与える影響は非常に大きゅうございまして、社会問題といたしましても、また、将来の日本を背負う世代の存在価値問題においても大きな影響を及ぼすであろうということで、厚生省としても、この問題については深い関心を示しております。 ただいま局長から申し上げましたように、法務省の見解は犯罪があった場合にそういうものから社会を守るという観点に立っており、厚生省は精神衛生法の立場から本人の治療あるいは保護ということで、少しくかみ合わない点が実はあるわけであります。これは、法務省ともよく相談いたしまして、どういう方法でやれば一番いいかという接点を見つけるべく今後努力をしていかなければいかぬ問題でございまして、現在のこの保安処分的な方法では厚生省の考え方とはかなりずれておりますから、いつまでもほっておくわけにいきませんけれども、そういう観点から、関係各省ともよく連絡をして、覚せい剤による犯罪防止、また青少年の心がむしばまれることのないように、全力を挙げてまいります。
○田中(昭)分科員 もう時間がなくなりましたから、福祉行政のことで一点だけお尋ねします。 最近、社会の変革といいますか、時の流れといいますか、そういう中で女性の地位が向上するということは大変いいことですが、家族観の変化もいろいろございますし、都市化の中においては予想もしないいろいろな事故等がございまして、離婚とか未婚の母がふえる、そういう中で、母子家庭並びに父子家庭というものも多くなってきておるようでございます。その中で、父子家庭の方が取り残されておるといいますか、大変おくれておるので、母子家庭並みに対策も進めるべきである。これは、地域によっては大分進めておるところもございますが、この辺のことの実態についてどのような把握をなさっておりますか、これが一点です。 それから、厚生省なりの対策がいろいろあると思いますが、一つは、国のいわゆる児童扶養手当を父子家庭にも適用するとか、さらに住宅の保障、それから仕事、就労ですね、また介護人の派遣制度等々、関係官庁にいわゆる母子家庭並みの対策を取り入れてくれるように、そういう働きかけがあったと思いますが、このことについてお聞かせ願いたいと思います。
○幸田政府委員 父子家庭でございますが、男親と十八歳未満の子供から成りますものは、昭和五十五年でございますが、国勢調査の結果では約十二万世帯と推定をされております。 その経済状態は母子家庭よりははるかに高うございまして、東京都の調査によりますと、これは昭和五十三年でございますが、二十三万円程度の月収で、その当時の勤労者世帯の全国平均の月収が二十四万円でございますから、そう遜色がないと思います。 問題は、一番困っておりますのが家事の問題あるいは子供の養育の問題である、こういうことのようでございます。そこで、私ども厚生省といたしましては、父子家庭につきまして昭和五十七年度から新たにヘルパーの派遣事業を実施をしたいということで、この予算案でお願いをいたしております。それから、やはり何といいましても、子供の養育の問題がございますので、相談体制の整備ということに今後力を注いでまいりたいと思っております。 そのほか、男親でございますために、外食が多いとかいろいろ経費がかかりますので、昭和五十六年度に所得税で、それから昭和五十七年には住民税で、それぞれ寡夫控除制度を設けたい、こういうことも考えております。 ただ、お話のございました児童扶養手当につきましては、所得が普通の一般家庭とさほど違いがございませんので、現在のところ、私ども考えていないという状況でございますが、いずれにせよ、総合的な対策が必要であると思いますので、関係各省とも協議をいたしまして、できる限りの施策を進めていきたいと思っております。
○田中(昭)分科員 それでいいのですが、いま何か寡夫控除と言われましたね、所得税、住民税。これは、寡婦控除と同じものをやるということですね。父子家庭についてもやるわけでしょう。だから、東京都では単身家庭と呼んでおるそうですが、それは名前はどうでもいいのですが、父子家庭についても寡婦控除と同様の控除を五十七年度からお願いするのですか。それをちょっと……。
○幸田政府委員 寡夫と申しますのは、字が同じようなあれでございますが、従来ございましたのは女の方の寡婦でございます。今度は、夫の方の寡夫控除が昭和五十七年度から住民税で行われるわけでございます。
○田中(昭)分科員 それでは、時間が来ましたから最後の問題をお聞きしますが、各省庁には官庁営繕費というのがありますが、その営繕関係の、官公庁施設の建設等に関する法律、こういうのがございまして、厚生省もそれに対応しておられると思うのですが、この第九条によりますと、大臣も認識がないと思いますからちょっと読んでみますと、これはまた詳しく決算でやりたいと思いますが、第九条には「各省各庁の長は、毎会計年度、その所掌に係る国家機関の建築物の営繕及びその附帯施設の建設に関する計画書(以下「営繕計画書」という。)を前年度の七月三十一日までに大蔵大臣及び建設大臣に送付しなければならない。」ただし書きとしては、総額百万円のものは要らない、百万円の修繕とかそういうものは要らない、こうなっているのですが、厚生省の営繕関係を調べてみますと、この計画書にないものに予算づけがなされているわけですね。これはどういうことですか。
○坂本政府委員 いま御指摘のありました官庁営繕の計画額と予算額の関係でございますが、計画額の方に載っておりませんが予算として編成されているものにつきまして、たとえば一般会計負担の場合には、国立らい療養所の営繕費というのがございます。また、特別会計におきましては、各社会保険における福祉施設、こういったようなものが、いま先生が御指摘になったようなものに該当するわけでございます。 こういった、計画額としては計上がされておりませんが予算額として予算がついているというものが幾つかありますので、そこにいま御指摘のあったような相違が出てまいっているわけでございます。
○田中(昭)分科員 それでいいですか。
○坂本政府委員 いま数字として食い違いが出ておるのは、主としてそういう理由によっておるわけでございます。
○田中(昭)分科員 それは、数字が食い違っておるから私はお聞きしましたよ。この法律の第九条では、営繕計画はちゃんと出さなければいけないんでしょう。ですから、それを詰めると厚生省またあれでしょうから、ひとつ大臣、そういうことがあるということで、決算委員会でまたあれいたしますが、これはちょっといまの答弁では私は納得ができないということだけを申し上げて、終わりたいと思います。 以上です。
○亀井(善)主査代理 これにて田中昭二君の質疑は終了いたしました。 次に、菅直人君。
○菅分科員 予算の分科会ということでありますけれども、厚生大臣には国会の場で初めて質問をさせていただきます。 きょうの御質問は、主に老人保健法の問題及びその老人を中心にした医療費の伸びの問題について幾つかお尋ねを申し上げたいのですけれども、さきの臨時国会で老人保健法が衆議院を通過いたしたわけですが、老人保健法についてはかなりいろいろと問題点が残っているように私も思います。そういう点について、ちょっと漠然としておりますけれども、まず大臣に、現在衆議院を通過し、参議院で継続審議になっている老人保健法について、大臣としてはどのように基本的にお考えになっているか、どういった問題点があるとか、またはどういうふうな期待を持っているとか、そういった全般に関しての御見解をお述べいただければと思います。
○森下国務大臣 老人保健法につきましては、前国会で修正をされまして通過をいたしまして、ただいま参議院で継続審議、こういう段階でございまして、一言で言えば、十月一日から実施できるように、私どもは全力を挙げたいと思っております。 高齢化時代に備えまして、これは財政面だけの問題ではなしに、将来健やかに元気で長生きをしていただこう、こういう大方針もございますし、そのためには、予防から始まりまして、治療、リハビリという問題を抱えた総合的な老人対策をいかにやるべきか、こういうテーマを持った老人保健法でございます。一日も早く参議院で通るように全力を挙げたい、このように思っております。
○菅分科員 私も社会労働委員会におりまして、さきの老人保健法の審議にもかなり携わったのですけれども、大臣にもぜひ聞いておいていただきたいのですが、この老人保健法の中で、幾つかの問題点の中の一つに、いわゆる拠出金を拠出する人と医療費を支払う実施主体とが違っているという問題ですね。つまり、拠出金を拠出するのは各保険者がいろいろ複雑な方式にのっとって支払うわけですけれども、医療費の支払いというのは各自治体が実施責任者としてやることになっているという制度です。 さきに衆議院を通過するときに、この問題で、特にレセプトがいままでのように保険者にすぐ行かないで、各自治体に回ってからさらに必要に応じて保険者に送られるということで相当な時間がかかるのではないかなど、いろいろ議論があったわけですけれども、その結果は、附帯決議の中に「特にレセプトが迅速に保険者に送付されるよう努めること。」という一項を入れて衆議院を通過したという経緯があるわけです。そういう点で、このレセプトの流れについて「迅速に保険者に送付されるよう努めること。」というものがどういう形で実現される見通しなのか。もちろんまだこの法案は参議院にかかっておりますから、これからの問題ではありますけれども、一応現段階においての見通しをお聞きいたしたいと思います。
○吉原政府委員 新老人保健法におきますレセプトの流れでありますけれども、いま先生からお話ございましたように、この新しい制度の費用拠出者は七割が保険者でございますので、保険者においてもできるだけレセプトが早く回ってきて内容的なチェックができるようにという御意見が、衆議院の審議の段階でもあったわけでございます。そういったことを踏まえまして、私ども現在検討しておりますのは、当初は、医療機関から支払基金、あるいは国保の場合には国保連合会ということがあるわけでございますけれども、専門の審査支払い機関にまず行く、その後市町村に行って、それから保険者の方に回すという乙とを考えていたわけでございますが、いまの段階では、むしろ市町村と保険者の順序を逆にいたしまして、支払基金から先に保険者の方に回して、内容のチェックをしていただいた上で最終的に市町村の方に戻るようにしてはどうかというような考え方で、現在、さらに問題点を詰めております。
○菅分科員 いまの審議官の見通しについては、私もそういう方が可能ならば適切なのではないかと思っていたわけですけれども、ぜひそういう方向で御検討をお願いしたいと思います。 大臣に、いまの問題は細かいことのように思いますけれども、一生懸命いま各保険者が通知運動ですとかいろんなチェックをしていて、なるべくむだな経費が出ないようにしている努力が、この老人保健法ができたために逆にすっぽ抜けになるようなことがないように、ぜひそのあたりも注意深くチェックをしていただきたいというふうに思います。 あわせて、拠出金の問題についてお尋ねをいたしたいのですけれども、さきの審議のときには、年度の問題もあって、五十六年度実績ないし五十五年度実績を根拠に拠出金等の数字が挙げられていたわけですが、現段階で、新しい、五十六年度実績でしょうか、それを含めて大体どういうふうな拠出金になりそうか。また、それと関連をして、各保険者の調整率などもさきの臨時国会の審議のときとは多少変わっているというふうに漏れ聞いているわけですけれども、たとえば雇用者保険の中に関して、組合健保、政管健保等で調整率が大体どの程度になり、拠出金総額がどの程度になるかという、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○吉原政府委員 五十六年度と五十七年度を比較しながら申し上げますと、まず、全体の医療費でございますけれども、五十六年度におきまして、五十六年度の当初予算に基づいて推計をいたしました五十六年度の老人医療費総額が二兆五千四百四十億であったわけでございます。五十七年度予算、現在御審議をいただいているわけでございますけれども、そこでの老人医療費の総額は約三兆二十億円というふうに推計をいたしているわけでございます。このように五十七年度におきまして老人医療費の総額が相当伸びましたのは、ごく最近までの老人医療費の実績に基づいて推計をしたということでございます。したがいまして、各保険制度からの拠出金も、五十六年度と五十七年度を比べますと相当額ふえるというような結果になっておりまして、被用者保険の保険料総額で申し上げますと、五十六年度で考えておりました保険料相当による拠出金が、五十六年度におきましては八千三百億でございましたけれども、五十七年度におきましては九千七百六十億というふうに推計をいたしております。 各制度別に、政管健保と組合健保について申し上げますと、政府管掌健康保険におきましては、五十六年度三千四百十億でございましたが、五十七年度においては四千五十億ということになります。それから、組合健保で申し上げますと、五十六年度は三千百六十億でございましたが、五十七年度におきましては三千八百億ということに相なります。したがいまして、仮に現行制度のままとした場合に比べましての保険料負担の増減でございますけれども、政管健保におきましては、五十六年度におきましては六十億程度というふうに見ておりましたが、五十七年度におきましては約百七十億、組合健康保険におきましては、五十六年度は約六百三十億と見ておりましたけれども、五十七年度は七百八十億というふうに見ております。
○菅分科員 調整率もあわせてお願いいたします。
○吉原政府委員 加入者調整率でございますけれども、加入者調整率といいますのは七十歳以上加入率というものを調整して拠出金に掛けるわけでございますけれども、まず、七十歳以上加入率が、医療保険制度全体として、五十六年度は五・七三%と見込んでおりましたが、五十七年度は少しふえまして五・八七%というふうに見ております。 各制度別の調整率でございますけれども、政管健保につきましては、加入率が五十六年度三・八七%、調整率一・四六、五十七年度は加入率が三・八八%、調整率が一・五一ということになります。それから、組合健康保険におきましては、七十歳以上の加入率が五十六年度二・九三%、調整率は一・九六、五十七年度は七十歳以上の加入率が二・九六%、調整率が一・九八ということでございます。
○菅分科員 これはかなり議論があちこちで出ておりますけれども、拠出金の伸びが、この一年間を見ても絶対額でも相当の大きさに上りますし、この調整率の変化も、まだほんの一年ということでも多少の変動を見せておりますし、そういう点で、この拠出金が一体どこまで伸びていくのかということが、実際に拠出金を出す側の人たちにとっての心配であろうというふうに思うわけです。 その話をさらに広げていきたいわけですけれども、さきの臨時国会の審議の中で、そうした支払いをめぐって、その支払い方式や点数制度のあり方というものをどのようにするかということで、大臣も御存じのように、最初の政府原案では老人保健審議会というものを設けてその中で審議をするということになっていたわけです。それに対して自民党を中心とした修正案が出て、そういった問題は中医協によって審議をしよう。ですから、この拠出金の問題も含めて、老人保健法に係る医療費の問題等は中医協である程度検討しようということに、現在の段階では、衆議院を通過した法案ではなっているわけです。そうしますと、中医協がそういう内容を審議する上で、いまの構成のままで果たして適切なのかどうかという問題が当然生じてくると思うわけです。御存じのように、現在は医療者側、支払い者側、公益側がたしか八、八、四という比率だったと思いますけれども、今回の老人保健制度が実施されることになれば、いわゆる実施主体というものが各自治体になりますから、そうすると、自治体の代表もどうしても出なければいけないということにもなると思うわけです。 そういう点で、これは大臣にぜひお聞きしたいのですけれども、中医協の構成は老人保健法等に関する審議、諮問をめぐっていまのままでいいと思っておられるのか、それとも何らかの変更が必要だと思っておられるのか、この点について大臣の御意見を伺いたいと思います。
○森下国務大臣 中医協には長い歴史がございますし、それぞれの部門におきまして意見があることから、御提案の措置を直ちにここでそういたしますと言うことは実は困難でございます。そういうことで、現在の中医協の構成でいかざるを得ない、こういうふうに考えております。
○菅分科員 ちょっと確認をいたしますけれども、いま直ちに変えるということは言えないということなんですか、それとも、変えないでやるということなんでしょうか。
○森下国務大臣 変えないでやるということでございます。
○菅分科員 そうすると、ちょっとおかしなことになるのじゃないかと思うのですが、先ほども申し上げましたように、今度の老人保健法の内容というのは実施主体が各市町村、いわゆる自治体になっているわけですね。その実施主体に対して相当の大きな役割りが課せられている。つまり、支払い責任者というのは基本的には自治体のわけです。しかし、現在の構成の支払い責任者というのは、中医協には各保険者が入っているわけですね。そうすると、老人保健制度の中の支払い責任者である各自治体を代表するメンバーが入らないということは、非常におかしな構成になってくるのではないかと思うわけですけれども、この点をどうされるつもりですか。
○大和田政府委員 中医協は、御承知のように診療報酬を審議をする専門機関である。現在におきましても、診療報酬につきまして審議をしていただいておるわけでございまして、現在、私ども月に一度の割りで審議を継続していただいておるわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいました点につきましては、支払い側委員の中に自治体、つまり、ある市の市長さんが入っておられるわけでございます。ただいま先生おっしゃいましたようなことにつきましては、支障なくできるのではなかろうか。さらに、拠出者、非常に拠出額が多いと先ほど来議論されております健保組合その他の代表者がこの中に入っておるわけでありまして、そういったような委員構成におきまして老人の診療報酬等につきまして十分御審議いただけると考えておるわけでございます。
○菅分科員 現在、確かに市長が国民健康保険の保険者という立場で入っておられるのだと思うのですけれども、それはあくまで国民健康保険の保険者という立場であって、老人保健制度の実施主体という立場で現在入っているわけではないわけですね。ですから、市長さんのこれからの仕事は二重性があるわけですね。ですから、どうあるべきかということを必ずしもいまの段階で確定的にお答えいただこうということではないのですけれども、少なくとも保健事業なんかを含めて、先ほど大臣も予防の事業とか、リハビリとか、いろいろおっしゃいましたけれども、それらの大部分は各市町村の実施主体に任されるということですから、単にこれまでのような国民健康保険の支払い責任を持つ保険者としての立場で何名かが出ておるということとはちょっと違うと思うのです。ですから、その点で、やはり何らかのこれに対応するための構成についての検討が必要ではないかと思いますけれども、もう一度、大臣に、何らかの検討をされる用意があるかどうかだけお聞かせいただきたいと思います。
○森下国務大臣 委員の構成につきましては、変更する予定はございませんが、ただ、この附帯決議の中では、診療報酬については老人の心身の特性等を考慮して、そして合理的なものにするというようなことで、老人の医療費の増加を最小限にしたい、いわゆるむだを省いていこう、こういうような附帯決議も入っておりますから、所期の目的は達成できるものと考えております。
○菅分科員 その点、若干納得ができませんけれども、それはそれとして、もう一つ同じ問題で、この中医協に老人保健制度に関しての諮問をする場合に、たとえば新しい点数表といいましょうか、そういうものをつくるような諮問をされるのか。もし諮問する場合にはどういう形でされる見通しなのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○吉原政府委員 老人の診療報酬につきましては、菅先生御案内のとおり、いろいろな御議論がございます。現在の支払い方式のあり方そのものについて検討すべきだというような議論もございますので、まず、中医協におきましては幅広い御議論をお願いをいたしたい。その上で、協議会での各委員の御意見等を踏まえまして、具体的な老人のための最も合理的な診療報酬の案をつくっていきたいというふうに思っているわけでございます。
○菅分科員 それでは、老人保健法から少し範囲を一般的にしまして、医療費の全体の問題、特にその中に占める老人医療費の問題について幾つかお尋ねをしたいわけですけれども、ことしの医療費総額の伸びの見込み、そしてあわせて、その中での老人医療費の伸びの見込み、この二つの見込みはいかがですか。
○大和田政府委員 国民医療費が実績として出ておりますのは、五十五年度、これが十一兆九千六百億という実績が出ておるわけでございます。さらに、推計といたしまして、五十六年、五十七年と出ておるわけでございますが、この推計で御説明をいたしますと、五十七年の推計が十三兆八千八百億、増加率といたしまして、対前年七・九%増、このように推計をされるわけでございます。
○菅分科員 その中での老人医療費だけの伸び率はどうなっていますか。
○吉原政府委員 老人医療費でございますけれども、五十六年度の老人医療費は二兆五千四百四十億円というふうに推計をいたしておりましたが、直近までの実績をもとにして見直しをいたしましたところ、五十六年度が二兆六千百二十億円程度になるものと考えております。 五十七年度はどうなるかといいますと、これは、最初に申し上げましたように、三兆二十億円程度というふうに見込んでおりまして、五十六年度の当初に対しまして一六一二%の伸びになっております。それから、五十六年度の見直しベース二兆六千百二十億円に対しましては一三・一%の伸びというふうに見ております。
○菅分科員 いまも数字で出していただいたように、全体の伸び率は確かに以前に比べれば少し抑えられているわけですが、それでも見通しとして七・九%医療費総額が伸びる。その中で老人医療費だけを引き出してみれば一六・二%、見直されて一三・一%ということですけれども、この老人医療費の伸びの中で、一つは、老人の比率といいますか絶対数がふえたことが原因にあろうと思います。もう一つは、一人当たりの医療費の伸びというのもあるのではないかと思うわけですけれども、一六・二%の方ですか一三・一%の方ですか、どちらでも結構ですが、老人医療費の伸びの中身、人口の伸びと内容の伸びについてはどういうふうに分析されていますか。
○吉原政府委員 一三・一%の原因でございますけれども、一つがいま菅先生おっしゃいましたように対象人口の伸びでございまして、対象人口の伸びといたしまして各制度を通じまして全体として三・二%の伸びを見込んでいるわけでございます。 〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕 それから、一人当たりの老人医療費の伸びを九・六%見込んでおりまして、全制度を通じまして一人当たりの老人医療費を、五十七年度におきましては四十二万七千円というふうに推計をいたしております。
○菅分科員 いま審議官の方から人口の伸びが三・二%で、一人当たりの医療費の伸びがその上に九・六%という見通しだということですけれども、現在医療費の伸びというものが国民的にも大変大きな負担になっている。しかも、その医療費の伸びが本当に必要なものに向けられているのならば、その負担も仕方がないと思うわけですけれども、その点かなりよく言われるように、薬漬け、検査漬けということが言われておりまして、特に老人の医療の中身についても、かなりそういったむだというよりは不適切なものも多いのじゃないかと思うわけです。この一人当たりを見ても九・六%という形で、この一般の七・九%——七・九%にも人口と一人当たりの変動がまざってはいると思いますけれども、どちらにしろ一人当たりだけを比べてみても、老人医療費の伸び率がそれ以下の年齢層の伸び率よりもかなり高いということになっているわけですけれども、これは主にどういうふうな背景があるというふうに考えられていますか。
○吉原政府委員 一つは、何といいましても老人の場合に入院医療費の比率が高いということでございまして、総診療費の中の入院費の割合というものを老人とそれ以外とで比べてみますと、五十四年の国保の数字でございますけれども、老人の場合には五一・六%、その他の場合には三八・四%ということになっております。入院と入院外、つまり通院の医療費の伸びというものを比べてみますと、両者でかなり大きな開きがございまして、これは全年齢を通じた五十年から五十四年までの数字でございますけれども、入院の場合自然増が九・三%程度、入院外の自然増が六・九%というふうになっております。こういったことから、老人の場合の一人当たりの診療費は主として老人についての比重の非常に高い入院費の伸びによるのではないかというふうに考えております。
○菅分科員 大体時間ももうすぐですのでそろそろ終わりにしたいのですけれども、いま大臣もお聞きになりましたように、医療費の伸びが全体に七・九%という中にあって、老人医療費の伸びというのがそれをかなり上回る一三%ないし一六%ということでありますし、また、その中身も人口の増大以上に構造的な医療費の伸びが大きいということがいまの返答の中でわかってきたわけです。 先ほど申し上げましたように、老人保健法というもの、保険制度というものが、先ほど大臣がおっしゃったように予防から治療、リハビリという形で、まさに健やかに老いていくという形になっていくことは国民だれしも望んでいることですけれども、現実の制度の中で老人の医療費の伸びが助長されていくようなことになったのでは、負担においても大変に厳しいものになっていくのじゃないか。そういう点では、これからの老人医療費のあり方、また老人医療制度のあり方というのは、ある意味では医療制度全般の中のあり方の非常に大きなウエートをいままで以上に占めてくるというように考えられるわけです。 そういったことを含めてもう一度最後に大臣に、こういったいままでの議論の経過を含めて、老人の医療のあり方について、これから老人保健法にも関連をして特にどういった点を注意されていこうとされているか、見解をお伺いをしたいと思います。
○森下国務大臣 老人医療問題は、保険財政だけの問題ではなしに、国家財政の問題にも大きく影響を与える問題でございます。したがって、高齢化時代に備えまして、また過去の老人医療のあり方等の結果を踏まえまして、画期的な老人保健法をつくりまして、健やかに老いていただこう、元気で長生きをしていただこう、それによって財政的な負担も軽くなることによって国庫財政にも寄与していこう、そういうような実は考え方で老人保健法は継続審議をしていただいておりますし、十月一日からぜひ実施できるようにいたしたい、このように思っております。
○菅分科員 終わります。
○海部主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。 次に、土井たか子君。
○土井分科員 三十七年ぶりに中国から日本に孤児の方々が親捜しに来られまして、連日このことがテレビで報道されております。私どもはその報道内容を見まして胸の詰まる思いがいたしますし、涙なくしては見ることのできない場面がございますけれども、先日、六日に大臣お忙しい中をわざわざお時間をとっていただきまして、日本へ永住帰国をされております代表の方々とお会いいただきまして、ありがとうございました。大変関係者の方々は感謝をされておりました。 その席で、引き揚げの旅費や経費について日本側が負担をする部分に男女の差があるということを大臣はお聞き取りいただいて、早くこのことに対しては改善をしたいと思うというお答えをそこでいただいているわけでございますが、これはできる限り早くお約束どおりにまず御実行願える問題でございますね。
○森下国務大臣 当然のことといたしまして、できるだけ早く処置をしたい、善処をしたいということを申し上げます。
○土井分科員 中身は、いらした方々から具体的な例を聞きまして、私どもも本当に気づかぬところでこれだけの苦労をしていらっしゃるのかと初めて驚いたわけであります。中身はいろいろございますけれども、要は、妻が日本人で夫は中国人というカップルで子供さんを伴い、中には中国人の養母の方を伴って日本に永住帰国をされている方の例について申しますと、日本に帰ってくることのための諸経費と旅費を用立てるために、退職金は言うまでもなく、家や家財を全部売り払い、それでもとうてい足りませんから、友人や知人から借金をしてやっとそれだけの金額を用立てることができたとおっしゃる例ばかりであります。 その中で、いまから二、三の例を申し上げますが、日本に帰国されるためには中国の地方から一度北京に行かれなければなりません。この北京で帰国手続をとられて、そうして飛行機を待機される間、妻である日本人の女性のためには宿舎が用意されますけれども、夫である中国人や養母にはその用意がないために、その待機の日時を同じ宿舎で過ごそうといたしますと、一人一日十元という負担費がかかるわけであります。もちろんこれは自費で支弁しなければならない。私が承りました例の中には、あの苦しい中から、決して裕福でない生活の中で日本人の孤児を育てられた養母についても同じ負担がかかるわけでありますから、四日間でこの養母の方と夫である中国人の方とで八十元。日本円に直しますと約一万四百円ですね。中国ではこれは大変多額の費用でありますけれども、それだけを自己負担しなければならないということになるわけです。長い例では十日間、北京で帰還の手続をとるために宿舎で泊まり続けたという例もございます。もっと長い例もあるだろうと思います。こういうことについては、やはり改善策をお考えいただかなければならないと思いますが、いかがでございますか。
○森下国務大臣 そういう実態を実は私も余り知りませんでして、率直に、養母とかまた夫の場合にも細かい配慮をすべきであった、このように実は思っております。 なお、貨幣価値の点におきまして、中国では日本円で大体一万円ぐらいで一カ月ぐらいの生活をしておられるということも実は認識をいたしまして、飛行機賃の七万円とか十二万円というのは大変な金額だなという感じを強く持っております。 詳細につきましては援護局長に説明させます。
○北村政府委員 引き揚げ者に対します、日本に帰ってまいりますのに必要な経費の支弁につきましては、私ども通牒をもってこれを処理いたしておりますが、原則として本人あるいはその留守家族、つまり日本に帰ってまいりました身元引き受けの親戚、父母でございますが、その方々が帰国旅費を支弁することが困難と認められる場合に限りまして国費を支給するというたてまえにいたしております。したがいまして、この前お話を伺いまして、今回身元の判明しない孤児につきましてもこれを受け入れるということになりますと、身元の判明しない孤児でございますから当然受け入れ親族がないわけでございます。したがいまして、これは大いに従来から事情が変わってまいりましたので、先般大臣から申し上げましたように、これを契機に枠を広げて、これらの方々にも旅費が支給できるように検討しているという実情でございます。
○土井分科員 いまのお答えは旅費の問題に限ってお聞かせいただいたようでありますが、私の申し上げたのは、旅費のみに限らず、中国で日本に帰るための待機をしているその場所での取り扱い方をいまお話し申し上げたわけなんです。それについても改善策を御考慮いただけるという大臣からの御答弁でございましたから、これはよろしゅうございますね。
○北村政府委員 支弁する役所は違いますけれども、帰ってまいりますについて必要な宿泊等は全部この中に含まれております。
○土井分科員 それで、借金をして帰ってこられているいろいろな例に当たりますと、これはいずれも大金なんですね。この借金の中身で、多少の差はございますけれども、大体平均すると千百元あたりは借金をして帰ってこられているという例が多いんです。千百元というと、中国の方々の平均年収からするとその二年分に当たる大金だというかっこうになりますから、この借金を持って日本に帰国されてから後、考えられることは、一日も早く働いて借金の返済をしなければならないという気持ちがまず何よりも先立つと皆さんおっしゃるんです。そのことのためにどうするかというと、やはり日本語は不自由でありますから、その日本語の研修をと気もはやるんだけれども、借金のことが気になって気になってどうしようもない。そこで無理な中からアルバイトをして、一生懸命にその借金を少しでも返済ということで努力をされるという例もあるようであります。 こういうことからすると、いろいろアルバイトをしてもというふうなことではありましょうけれども、アルバイトですから、それ相当の収入をそこから得るなんということはとても考えられません。まず職業につくということを考えてまいりましたら、きちっとした日本語の教育のシステムをつくって日本語の研修をするということが大事な問題になってまいりますけれども、いまどうでございますか、地方自治体にこの日本語の研修というのはそれぞれ任されておりますような体制でございまして、取り扱いの上でばらつきがあるようです。その日本語の研修について、きちっとした教育のシステムをつくって考えるというお考えはございませんか。いかがですか。
○北村政府委員 おっしゃいますように、一般引き揚げ者の場合でありましても、残留孤児の場合でありましても、日本語が不自由でございますと何も次に進めないわけでございます。日本語の研修につきましては、従来から外国語の研修ということで、文部省の方にもいろいろお願いを申し上げていろいろな措置を講じていただいておりますが、何分これは生活指導の一環というような観点からも、私どもが予算をつけて配置いたしております援護員の方が毎日お世話をしておりますが、その中でも事実上日本語の研修が行われている現状でございます。ですが、日本語を早く勉強できればその分だけ早く日本社会に溶け込めるという事情もございますので、関係各省とも十分打ち合わせをいたしながら、今後具体的な対応策について早急に検討を進めたいと考えております。
○土井分科員 さらに、職業についての訓練とか、それのあっせんというのにもいままでそれ相当の努力はなさっているようでありますけれども、しかし、やはり何と申しましても、日本の国籍を持っていらっしゃる場合とそうでない場合とでは、仕事の中身も当然のことながら違ってまいります。いまの国籍法からいたしますと、帰化する条件にもいろいろむずかしい条件がございまして、まず素行が善良でなければならないということと、やはり生計能力が問われます。それと、日本に対して何年間居住されているかという居住期間も問題になってまいります。そういう厚い壁のために、国籍を申請してもなかなか帰化できないという方が中にございます。したがって、とれが厚い壁になってしかるべき仕事を持つことができない、こういう段取りになっております。 要は、この帰化の問題の取り扱いは法務省でございますけれども、しかしそういうことからすると、事情が事情でございますために、ほかの例と違いますから、厚生省とされても、この国籍を取得するということのための一層の御努力方を私は望みたいと思いますが、大臣これはいかがでございますか。
○森下国務大臣 雇用の問題、また日本語習得の問題等におきまして、帰化のための条件整備、これに全力を挙げまして、帰化の希望がございましたら早速できるような体制にいたしたい、全力を挙げたいと思っております。
○土井分科員 住まいとかそれから生活条件整備とか、細々とした問題一つ一つを取り上げていきますと、やはりいろいろな点で男女差というのがあるのですね。先ほどは、日本に帰国するための旅費や経費に対して政府が支給をされる中身の問題でございますが、日本に帰ってこられてまずその夜寝る夜具、これの支給も日本人の女性の配偶者である中国人の男性には支給されない。また、ともに手を携えて日本で永住を決意して来られた養母にも支給されない。こういうことがあるわけでありますから、その辺のいろいろな取り扱いにも、それは家族ということを一単位に考えていただきますならば、男女差がないようにいろんな点での御配慮をひとつ改めてお願いしたいと思いますが、この点よろしゅうございますね。
○森下国務大臣 結構でございます。いままでは、昨年一時帰国された方もぼつぼつ家族をお連れになってお帰りになっておりますし、今回六十名予定になりまして、その方々が家族を伴って日本にお帰りになってくる、こういうケースもだんだんふえるわけでございまして、そういう点でも、そういう問題をいまからはっきりしておくべきであるということで、御指摘もございましたし、ただいまの夫並びに養母に対しての夜具等の御配慮につきましては、直ちに実施するようにいたします。
○土井分科員 それからさらに、これは三十七年ぶりでみんな日本に親捜しということでいらっしゃるわけですから、一番若い方ですでに三十八歳なのです。すでにと申し上げなければいけないと思います。それで、幸いにして肉親とめぐり会って日本に永住帰国なさる方々も、仕事を持つか、持つことができないか、これも一つの気がかりでございますけれども、老後の生活を考えますとまことに不安であるということは、これはもう想像にかたくない。六日の日にも厚生大臣に、老後の生活に対して年金という扶助が私たちにはどのようになるかということをお尋ねになった方もございますけれども、いまの年金法からすると、御案内のとおりに、沖縄のときにはあの条項を特にお考えになったといういきさつがございます。今回はこういう問題について、年金の仕組み全体が変わらないとどうにもならないとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり特例としてお考えになるという御配慮がございませんでしょうか。いかがですか。
○森下国務大臣 御趣旨はよくわかりますが、いまここで直ちにやりますというお約束はちょっとできかねます。もう少し検討させてください。ちょうど年金局長来ておりませんし、私が御趣旨はよくわかりますと言う程度の御答弁にさせていただきたいと思います。
○土井分科員 これは大臣、お役所仕事じゃできないのですね。やはり大臣が政治的に決断をされて、この問題に対してどういうふうに考えていくかという政治家としての大臣の所信が問われる問題になるだろうと私は思いますので、年金局長がここに御出席でないということもございますけれども、大臣のお気持ちのほどをひとつ承らせていただきます。いかがですか。
○森下国務大臣 この問題は一厚生省だけの問題ではないように私は思います。かなり高度な政治判断も要する問題でございますし、そういう意味で、私はここで胸を張って御答弁できないような、まことに残念な立場でございます。いろいろ個人の問題だけではなしに、戦後処理の問題でも、情的には同情できる方でもできない問題等もございまして、厚生省の考え方と必ずしも一致しない点も実はございますし、そういう点も私の頭の中にあるものですから、ここで年金問題については歯切れのいい答弁ができないのは、まことに残念なことであります。
○土井分科員 この問題について、やりますというふうな歯切れのよい答弁というのが、ある意味ではいただけると私は思っていたのですが、なかなかやはりむずかしい御答弁のようではありますけれども、しかしやはりお考えいただくという大臣のお気持ちといいますか、これからの努力をひとつ私たちも期待をしながら、この問題について具体的な数字なども挙げて、日を改めて私は問題にさせていただきます。 さて、先日来いろんな方からお電話や丹念に書かれたお手紙まで私はちょうだいするわけですが、この中国の残留孤児の方々は、戦争の犠牲者であるということはもう紛れもない事実ですね。そういうことからすると、この紛れもない事実であるこの問題に対して、私たちがどういうふうに対応しなければならないかということは、一つは、中国の養父母の方々に対してやはり日本の国民としてお礼を言う気持ちを忘れてはならぬという手紙やお電話のたぐいがこのところ多いのです。養父母の方々も、日本に一時帰国されたり永住されたりする日本の孤児の方々と日本に来ることを希望された場合には、もちろん同じように受け入れるということをお考えになるんでしょうね。いかがでございますか。
○森下国務大臣 希望があり、また中国政府が許可をされれば受け入れることができます。受け入れさせていただきます。
○土井分科員 いま中国残留の孤児というのはあと何人ぐらいというふうに厚生省としては把握をされていますか。
○北村政府委員 千四百人ほど本人からの申し出がございまして、これまで約五百人身元がわかっております。したがいまして、これを差し引いた約九百人が現在私ども調査中の対象数でございます。
○土井分科員 九百人の対象から漏れている方もまだあると思うのですね。そうして、北京から遠く離れた場所でどういう生活をなさっているかということもわからないまま、今日に至っているという例もあろうかと思うのですね。しかし、わかっている九百人に対してのこれからの対処というのはどういうふうにされていきますか。
○北村政府委員 当面、いま御審議をいただいております五十七年度予算におきまして、本年は六十名でございましたが、これを倍の百二十人を招く計画を立てております。 また、そのほかに政府から中国に調査団を派遣をいたしまして、残る人たちの身元確認のためのデータを集めるつもりでございます。それはもちろん、本人はもとより、養父母もおられることですので、さらに細かい事情が伺えるものと期待をいたしております。 なおそのほかに、ビデオその他を撮ってまいりまして、全国に配付したい、そのように考えておりますし、先ほど、まだそれ以外にあるのじゃないかというお話でございましたが、その辺も、この調査団が中国に参りまして、先方とよく打ち合わせをいたしますと、その概況がわかってくるのではないか、さように思っております。ちなみに、終戦後に内地に引き揚げてこられた方々から、外地で死に別れ生き別れた親族がいるよというので戸籍上の特別の手続で戸籍を消しました対象で、そのうち十三歳未満の者は約三千四、五百でございます。それも一つの判断の材料になるかと思います。
○土井分科員 その調査団というのはいつ行かれるわけですか。そして何人の構成でいらっしゃるわけですか。
○北村政府委員 相手のあることでございますので、予算が成立いたしました四月以降はいつでも行ける体制にわが方はあるわけでございますが、先方ともよく打ち合わせをいたしまして、事柄が事柄でございますので、できるだけ早く向こうに行って調査できますように折衝いたしたいと思います。人数は三人程度を考えております。
○土井分科員 これは三人ではなかなか大変な仕事だろうと思うのですね。特にこれは厚生省所管ということにはなかなかなりづらい問題ではありますけれども、今回来られましたのは遼寧と黒竜江省の方から来られた孤児の方々ですね。大体中国全土から見まして旧満州、いまの東北三省に特に多いのではないかということも常識的に考えることができます。そうなってまいりますと、そちらの方にいわばこの専門の部署というのを設けて、中国側の御意見ももちろんありますけれども、やはり日本として常置する何かそこに出先のようなものを置くということも一つの考え方として考えられなくはないんですが、こういうことは無理なんですか。いかがなんですか。
○北村政府委員 外務省当局、それから中国大使館の担当の外交官と従来からも緊密に連絡をいたしておりますが、何分ほとんどの方が旧満州地区の黒竜江省、遼寧省、吉林省、これに集中いたしております。今度調査団が参りましたときにいろいろお打ち合わせをいたしまして、いまおっしゃいましたような方法が今後とれるかどうか、十分実情を視察してまいりたいと思っております。
○土井分科員 肉親と幸いにしてめぐり会うことができたという結果になりました孤児の方と、不幸にしてめぐり会うことができなかったという孤児の方とでは、明暗も本当に両極端と申し上げていいと思うのです。テレビの画面なんかを通じてついに会うことができず中国にまた帰っていかなければならない方々の御心情を思うと、いても立ってもおられぬような気に実はこちらもなってまいります。 そういうことも含めまして、特に今後のいろいろな対策の問題は、先ほど来お伺いしている限りでも厚生省所管だけで賄い切れる問題では断じてありません。やはり外務省所管の問題もあり、法務省所管の問題もあり、労働省所管の問題もあり、また文部省の問題もございます。また、やはり大蔵省に逐一、経費の問題が絡みますから、連絡を常時とり合わなければならないということもございますでしょう。 そこで厚生大臣、先日もちらっと私申し上げたんですが、いろいろいままでは各省間でそれぞれの個別の問題について連絡会議をお持ちになったということを私も承知をいたしておりますが、ここらあたりで厚生省が中心になって各省を統括していく。そしてその中には自治体も入る、そしてもう一つ言うと、通訳は言うまでもなく、現場でいろいろなことに対して惜しみなく協力を払い、そしてともに生活の実態に触れておられるボランティアの方々も中に入ることができるような連絡会議のようなものをおつくりになる必要があるのではないかと私は思いますが、こういうことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○森下国務大臣 御指摘の各省の連絡調整につきましては、第一回は五十五年の十一月五日、第二回は五十六年五月十一日、これは厚生省が座長になりまして連絡調整をやっておりますけれども、今後これはますます頻繁に実施しないといけませんし、また一時おいでになってお帰りになって、日本においでになる方がたくさんふえると思いますので、ますます連絡を密にしていきたい。 ただ問題は、ボランティアの方とか宗教団体の方も実はいろいろ心配されて、われわれのところに電話で来たりまたいろいろアドバイスもございます。いまのところはそういう方を入れての調整機関をつくる計画はございませんけれども、将来の問題として考えたい。このように、すべてが総合的に援助の手を差し伸べる必要はあると思います。政府だけの手ではなかなかむずかしい点もございますし、また仮に、旧満州にかつておられたような方々から事情を聞く必要もあるかもわかりませんし、国を挙げて総合的にこの問題に取り組む必要がある、このように思っております。
○土井分科員 御所信のほどはわかりましたが、物にはタイミングというのが非常に大事でございます、大臣御承知のとおり。いま国民はやっぱりこの問題に対して、人ごとでないという気持ちになってきておりますし、それからいろいろな機関を通じて、今後やっぱり改善というのが具体的になされることを期待している気持ちも強うございますから、そういう点からすると、将来そういうことについて考えていきたいというふうなことでなくて、やっぱりできる限り早くこれの具体的な実現に向けていま御努力をいただくときじゃないかと私は思うのですよ。 大臣、いかがですか。これはできることでしょう、いましようとすれば。
○森下国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、先般来いろいろ孤児の方との接触、また私どももいろいろお話を聞いたり、あの雰囲気の中で、日本人の肉親を求めて来ておる、これは事実でございますけれども、それ以上にやはり母なる国、また祖国という言葉が盛んに出ます。それに対して、私も含めて日本人の感覚は、やはり肉親だけの出会いじゃないだろうかという小さな気持ちがあると私は思うのです。しかし、われわれも経験ございますけれども、海外にやはり思うのは母国、祖国でございまして、そういう大きな気持ちで帰ってきて、そして肉親に会った方、また会わない方、そこに明暗ができるわけでございまして、われわれももう少し、いわゆる母なる国、母国、日本としてこの問題に取り組んでいくべきである。そのためには、できるだけ早く処理に全力を挙げることが必要なんだなということを私も実は感じさせられております。 そういうことで、土井委員の御意思、よくわかりました。われわれ厚生省もできる範囲のことをやりたいし、ほかの関係省にも呼びかけまして、いま申し上げたようなことを、これは議論じゃなしに、また意見でなしに、行動をもって示していきたいということを申し上げます。
○土井分科員 最後に、これは先ほどもう御答弁をいただいたことのだめ押しみたいなかっこうで恐縮なんですが、日本に引き揚げて、そして永住される、また一時帰国される方々の経費や旅費について、国の方が支給をされる中身に男女差があることをひとつなくするという意味での改善をされるのは、今後にわたる問題は言うまでもありませんけれども、いままでにそういうことでたくさんの借金を抱えて苦労されている男性もおありになるわけですから、また養母もおありになるわけですから、いままでにすでに永住をされている方についてもこれはお考えいただけますね、改善のときには。
○森下国務大臣 制度の改善でございまして、遡及することについてよろしいと言うこと、やれますと言うことはちょっと御勘弁願います。
○土井分科員 しかし、これは不特定多数というわけじゃないんですよ。もう限られた人にそれはなってまいりますから、調べようとしたらできないことはないんですね。だからそういうことからすると、不特定多数についての一般論を言っているというわけじゃありませんから。それは法の遡及の問題についてはいろいろ問題点はあるかもしれませんが、これはほかのことと違いますからね。大臣、ひとつその点を勘案いただいて、これもお考えの中に入れていただかないと十全なる改善にはならないと思います。いかがでございますか。
○森下国務大臣 私は一般論を申し上げておるわけでございまして、その点につきましては答弁を避けたいと思います。
○土井分科員 答弁を避けたいって……。だけど、あらましのお考えだけを聞かしてください。それで私は終わります。答弁を避けたいなんというんじゃしようがないですよ、それは。
○森下国務大臣 そこ、これはさかのぼりますと、どこまでさかのぼっていくかなかなかむずかしい問題でございます。(土井分科員「それはおかしいな。それはかわいそうですよ。それ、また差ができるわ」と呼ぶ)それはちょっと答弁は御勘弁願いたい。
○土井分科員 ずいぶんしかし改善するということをお約束いただいたことに対して期待をかけ、そしてやはり森下厚生大臣なればこそという気持ちで私どもは胸ふくらむ思いをしたのですが、改善とおっしゃる以上は、いままでそのことのために非常にあえいで苦しんでいる人たちが現実にあるわけですから、その方々はもう済んだことですよと言うわけには私はまいらないと思うのですよ。大臣、ちょっと意のあるところをおっしゃっていただいて、私は終わりますから、もう一度お願いします。
○森下国務大臣 考えさせていただきます。
○土井分科員 終わります。
○海部主査 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。 次に、竹内猛君。
○竹内(猛)分科員 私は、六十年に茨城県の筑波研究学園都市で開かれる科学技術博覧会に関連をして、医療問題、宿舎の問題等について質問をいたします。 まず最初に、筑波の地にせっかく土地を買って研究機関が移っても、公務員が当初予定をしたように移転をしない、五十四年に概成はしたけれどもなかなか完成をしないという問題があります。その中に、教育問題、交通問題、医療問題、環境、こうありますが、教育の方は、高校も繰り上げで建設するということで一定の方向を見ましたけれども、交通問題と環境と医療の問題については依然として解決をしておりません。全国の平均を見ると、人口十万に対して全国では七・六の病院があり、茨城県では九・二、ところが筑波では五・七という形になっておりまして、ここは非常な医療の過疎地帯であるということはすでに厚生省でも認めている。これは逐次改善はされておりますけれども、なお過疎であることは間違いない。 そこで、六十年には、多いときにおいては一日に二十万人、少なくても十万人の観客が入ってくるという状態の中で、果たしてこのままでこの医療施設が十分にいけるかどうかという点については非常に心配なところがあります。そういう点からして、まず第一に医療問題についてどう考えられておるかということをお伺いしたいと思います。
○大谷政府委員 茨城県は病床数、医師数とも全国平均に比べて下回っております。先生御指摘のとおりでございますが、筑波の地域につきましては筑波大学附属病院がございますし、茨城県の平均よりは高い地域となっております。また、先生先ほど病院数でおっしゃいましたが、一般病床につきましては十万対八百二十四・七ということで、全国の七百六十五・九というのを上回っているわけでございます。しかし、医療体制の充実につきまして住民の側からの強い要望があることは十分承知いたしております。したがって、県が主体となって進めていく医療、教育体制につきましては、関係機関と十分協議いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと考えているわけでございます。
○竹内(猛)分科員 私は、六十年の科学万博に間に合う形で作業が進んでいるかどうかということを聞いているのです。
○大谷政府委員 科学博の問題につきましては、現在、財団法人国際科学技術博覧会協会というものが中心になりまして、厚生省や関係機関と協議しながら具体案を検討しているところでございます。厚生省といたしましても、科学博開催中の医療の確保につきましては十分万全が期せるように積極的に協力していきたいというふうに考えております。
○竹内(猛)分科員 きょう午前中に科学技術博覧会の問題について、特に交通問題などについて尋ねた中で医療の問題について触れたわけですけれども、これは厚生省の方にお願いしてある、こういう話なんです。いまの答弁からは、六十年というとあと二年幾らしかありませんが、何らそういうものは見出せない。 そこで、前々から提案をしてきているように、一万七千の公務員がいるところに広島でも高松でも国家公務員共済病院がある。ここはすでにもっと多いのですから、国家公務員共済病院をつくってほしいという要求をしばしばしてきた、ところが、金がないからできないということでいつも突っぱねる、こういうことですけれども、これについて大蔵省はどうですか。
○篠沢説明員 大変申しわけございませんが、ただいま共済の担当が直ちに駆けつけてまいりますので、追って御回答申し上げたいと思います。
○竹内(猛)分科員 一部には、筑波にメディカルセンターというものをつくって、県の医師会、土浦地区の医師会、それから筑波大学の医学部及びその関係者でこれについて処理をしていきたい、こういう考え方があって、二百五十のベッドを準備しようというようなことが昨年の暮れに公表されました。これについて、一月の半ばに、この地域の人々の中から、これは非常に危険であるということで、この構想についてはいま異議を唱えている。というのは、筑波大学病院には確かにベッドは八百ほどあります。あるけれども、これは研究の対象になるものであって、文部省の所管であり、厚生省の管轄下に入っていない。珍しい病気についてはかなり興味を持って取り扱うけれども、一般の病気は予約制、予約に外れるとなかなか診てくれない。救急医療の場合もほとんど手がつかないという状態だ。こういうことでは、人間を大事にするという立場からいってみた場合に、もとるではないかということで、問題にならないという形でいまこの構想に対する反撃が出ております。こういう状態の中で、これはひとつ厚生大臣に聞くわけですが、大蔵省としてはまだ担当官が来られないようですが、何遍も何遍もこの問題を取り上げているときに、依然として問題が解決できないということは人道上の問題でもある、何とかこれは解決してほしいということについての感想はどうですか。
○大谷政府委員 基本的には、地域の医療供給体制につきましては県当局が主体となって進めていくべきものでございます。しかし、私どもといたしましては、こういった国家的な行事を控えておりますので、茨城県と十分協議をいたしたいというふうに考えております。
○森下国務大臣 竹内委員から筑波地域の医療体制について御質問がございました。一応筑波大学附属病院があるということで、かなりいけるのではないかと思っておったのですが、いま内容をいろいろお聞きしたらかなり制限されておるようで、私も調べてみないと確信を持って言えませんけれども、そういうことを考えますと、実はかなり手薄のような感じがいたすわけであります。そこで、博覧会もございますし、よく茨城県当局また関係機関とも協議いたしまして、万遺憾なきを期したいと思っております。
○竹内(猛)分科員 そこで、土地がないからということをしばしば言われる。土地の問題についても、これもひとつ公務員の住宅の問題と一緒にお伺いをしますが、大蔵省はあそこに国家公務員の住宅を建てたはずですけれども、どれくらいの面積に何戸ぐらいこれを建てましたか。
○赤倉説明員 お答えを申し上げます。 筑波研究学園都市の地区内に公務員宿舎は現在約七千七百戸建っております。この地区の公務員宿舎は、従来の計画ですと約一万戸、面積で申し上げますと約百四十四ヘクタールというものを計画いたしております。しかしながら、現在のこの地区の公務員の宿舎状況、その需給状況を見ますと、現在の戸数をそれほど大幅にふやす必要はないだろうというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましては従来の計画を縮小するという方向で、宿舎用地の所有者でございます住宅・都市整備公団それから国土庁との間で御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○竹内(猛)分科員 私どもが調べたところによると、現地の調査によると約八%ないし一〇%の部屋が空き部屋になっている。その周辺から、ちょっと性格は違いますけれども同じ公務員がおりまして、なぜ同じ国から金をもらっている者がこの社宅に入れないのかという強い批判もあります。これについてはいま努力をしてもらっておりますけれども、それでも五百あるいは五百以上の空き部屋を埋めることは非常に困難だ。なぜそういうことになったかというと、これはやはり中年以上の者が完全に移転ができないということだと思うのです。それは定年制とかあるいは周辺の土地が高いとか、それから仕事をやめた場合に新たにそこに雇用の関係が持てないということがあるだろう。いま縮小という方向がありましたけれども、それならば今度はまた別な形で公務員が著しく移転をし出したら一体どうなるかという問題は考えたことがあるかどうかわかりませんが、そのときに一体どうされるか。そして、いま予定されている土地が今度は余っているわけですね。二十ヘクタールか三十ヘクタールぐらいの土地が余っているはずだ。その土地を一体どう利用されるかという問題が当然出てくる。 そこで、問題になってくるのがいまの病院の問題ですね。一挙に病院でなくてもよろしい、診療所から出発してもいい、何とかして公的医療機関というものが欲しい、こういうふうに言われている。あるいは、後で問題にしますが、P4といういま理研の取り扱っている日本で初めての研究、つまり遺伝子工学というものが問題になっていて、これは科学技術庁の取り扱いですけれども、これも先日以来大きな課題になっております。その土地もこれまた住宅地のそばにあって、挙げて住宅地は反対だ、地元の町会も反対を決議している。こういうような状態の中で、それではその空き地というものをどう活用するのかという問題はこれからの新しい課題になりますから、もし変えるのであれば、これはあわせて検討してもらいたい、こう考えますが、どうです。
○久保説明員 お答えを申し上げます。 ただいま先生から公務員住宅の空き家の例あるいは医療機関の問題を取り上げられまして、人口の定着が筑波研究学園都市で必ずしも順調ではないというようなことから、土地利用について一部まだ余裕があるではないか、したがって、見直し等を行うべきではなかろうか、こういうお尋ねがあったわけでございますが、筑波研究学園都市の計画は昭和四十年代にその大綱が定められておるということもございまして、その後の経済社会情勢の変化等によりまして、現在から見ますと必ずしもぴったりではないという面もないわけではないわけでございます。したがいまして、今後私どもといたしましては関係機関あるいは地元の地方公共団体とも御相談を申し上げまして、土地利用等について見直す必要があるのではないか、あるいは見直すとすれば、どのようにこれを考えるべきであろうかというようなことにつきまして今後取り組んでまいりたい、かように考えております。
○竹内(猛)分科員 ある新聞によると、国土庁の宮繁局長は、筑波の医療メディカルセンター、これは先ほど評判が悪いと言ったが、それに協力するというふうに言っておられるわけですね。そこで、医療に対しては協力すると言っているんだから、これは協力するなら協力するというふうにしてもらわなければ、局長が言っていることだから、すでに新聞にはっきり出ているわけですからいいかげんなことを言うはずはない。それはどうですか。
○久保説明員 医療機関の問題につきましても、私ども関係の機関と御相談をいたしまして、また地元の地方公共団体とも相談をいたしまして検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○竹内(猛)分科員 大蔵省、見えましたか。
○篠沢説明員 改めて共済病院の問題についてお答えさせていただきます。 筑波研究学園都市は、現在そこに勤務する国家公務員はかなり大ぜいになってまいったわけでございますが、そのためには、現在のところ、文部、農林水産、通産、建設及び林野、それぞれの各共済組合の診療所の設置という形で対処をしておるわけでございます。 先生おっしゃいましたように、六十年の科学万博等の問題もあって、国家公務員共済組合連合会の病院を設置するということになりますと、直ちにその資金の問題が出てくるわけでございます。資金といたしましてはどうしても年金の積立金を投下するという形にならざるを得ないと思いますが、その場合、年金の積立金は将来の給付に備えるという性質もございますので、ある程度の利息を生む、それに相当するようなもうけが出てくるというものではなければどうもぐあいが悪いのではないか。換言いたしますと、病院は、利息を払いまして、かつ独立採算が見込まれるという感じがぜひ欲しいのでございますが、そういう状況であるかどうかということにつきまして慎重に検討する必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。 なお、付言いたしますと、連合会といたしましては、現在、当面の整備計画といたしましては二十七病院の不燃化とかふぐあいの是正ということを最優先課題として計画いたしておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
○竹内(猛)分科員 そういうことになると、やる意思がないということになれば、それでは六十年の医療の問題は一体どうなるのですか、緊急医療というものは。一日二十万ないし十万平均で入ってくるその半年間の状況をどうカバーしますか。これは大きな問題じゃないですか。
○大谷政府委員 先ほども申し上げましたように、これにつきましては国際科学技術博覧会協会が中心になって進めておりまして、私どもといたしましては、ここと協議をいたしまして積極的に協力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○竹内(猛)分科員 きょうの午前中の話で、厚生省の方からその程度の話だったら、ちっとも話が進んでない。大蔵省は全くやる気がない。しかし、広島でも高松でも一万七千くらいの公務員のところでちゃんと国家公務員共済病院ができている。あるいはその前段として診療所という話もあるけれども、診療所ということになると緊急医療、救急医療というのは無理でしょう。そういうことになったら、これは人間の体ですよ、人間が来るのですからね。しかし、それは日本人だけじゃないですから。これに対してこの程度の話じゃこれは困るじゃないですか。もう少し前向きの話がなかったらこれは質問を進めることできないよ。どうですか。これは大臣からの答弁だな。
○森下国務大臣 詳しくは医務局長より答弁させますが、二つ問題があるように私は思うのです。科学万博は臨時的に大ぜいの方が、国内はもちろん諸外国からもおいでになるわけで、そのための医療体制、救護体制、衛生体制、そういう必要があると思います。人ばかりおいでになってそういう面で体制ができておらないということは大変なことでございますから、それは一応臨時の体制であると思います。しかし、筑波研究学園都市は将来またいろいろな官庁等も参るわけで、ここにやはり医療という問題が固定しなければいけないということも考えておりますし、具体的なことにつきましては、本当のこと言って実は私もそこまで知識はいまのところ持っておりません。ですから、二つの問題で考えるべきである。いろいろ科学万博のことにつきましてはそういう方面で研究しているのじゃないだろうか、私自身もそう思っておりますし、そうでなければ、そういう体制を組まないと、竹内議員おっしゃるようにこれは大変なことになりますから、ちょっと医務局長より答弁させます。
○大谷政府委員 科学博プロパーの問題でありますれば、一月に協会あるいは県を中心にいたしまして委員会を開催いたしまして検討しているところでございますから、確かに先生おっしゃるように遅いじゃないかというおしかりがあるかもしれませんが、私どもとしてはそういった委員会中心にした形で御協力を申し上げていきたい。 また、筑波地域の地域医療の問題、恒久的な問題につきましては、一番最初にも申し上げましたように、こういった問題につきましては、全国にらみながら茨城県当局の進め方というものにつきまして厚生省としても十分これに御協力を申し上げていくということであるというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)分科員 これは、先ほど公務員の宿舎を一万戸建てるということで七千台でこれをとめる、そして土地が余る、こういう形になって縮小していくということは、それは四十年代の計画かもしれませんが、実際つくってみて移る者がいない、こういうことでこれは後退をしているわけなんだ。二十万都市というものはなかなかできにくい、それを実証しているようなものでしょう。そこで、今度はまた医療の問題が出てきた。医療もいまのような状態から言えば、恐らくこれは救急医療を取り扱えるような医療体制はどうもできそうもない。こうなるとこれまた後退せざるを得ない。 そこで、もう一つ質問しますが、今度は図書館の問題なんです。図書館は確かに各研究所あるいはそれぞれの建物ごとにあります。それは大学にももちろんある。あるけれども、それは一般には閉鎖をされていて、従事する者しかこれを利用するわけにはいかないですね。一般に開放されていない。ところが、ここは学術都市でありますから、どうしてもやはり開放された、いつでもどこでも見れる図書館が必要だ。図書館情報大学もできました。これも開放されようとしておりますが、一体、図書館の問題についてはどうお考えになっているのか。茨城県ではいま県会が開かれていて、茨城県自体は全国で四十五番目か四十七番目、最低の状態であると言われている。医療も最低、図書館も最低、下水も最低だという、誇るべきことではありませんが、これはその最低のうちの一つだ。どうですか、図書館について何か考えがありますか。
○久保説明員 研究学園都市にふさわしい施設の一つといたしまして図書館を整備するという計画が研究学園地区の計画にもあるわけでございます。しかしながら、残念なことに現在のところ具体的な建設の案というものはまだないわけでございまして、今後人口の定着等に合わせまして関係機関と協議をして検討を進める、こういうことになろうかと思うわけでございます。 なお、お話ございましたように、図書館情報大学におきまして、現在、大学公開授業の一環として附属図書館に公開の図書室というものが付設されておるようでございまして、附属図書館の蔵書の一部を地域住民の利用に供している、こういう状況でございます。
○竹内(猛)分科員 これは研究学園都市ですからね。図書館をつくってほしいということを私は前にも申し上げて、これを検討するという約束をしているはずだ。これは文部省が約束をして、きょうは文部省は来てないようですが、関係者から文部省に督促をして、図書館については一般が活用するそういう図書館を、土地はあるのですから、これはあるということはさっきはっきりしたわけだから、そういう中でこれをどういうふうにして確立をして開放していくかという問題についてはなお一層前向きな努力をしてほしいということを、これは関係庁としては国土庁の学園の推進室が担当すると思いますけれども、もう一度はっきりした回答をもらいたいと思うのです。
○久保説明員 先生の御趣旨のように取り計らいたい、このように思います。
○竹内(猛)分科員 最後ですけれども、大蔵省の方にお尋ねをしますが、空き家ですね、すでに建築をしてあいている家がありますね。あれはだれが見ても愉快じゃないですね。これほど住宅が足りない、困っているときに、少なくとも建てたもののうちの一〇%に近いものがあいている。これをどのようにこれから活用されるのか、活用しようとするのか、これについて一言お答えをいただきたい。われわれもまた現地へ行って説明をしなくちゃならない。あれはどうなんだ、こういう説明をするに説明でき得るような回答をひとつ出してください。
○赤倉説明員 先生の御質問にございましたように、先ほどお話ございましたように、七千七百戸のうちまだ約五百戸ぐらいは未貸与の状態のものがございます。ただ、現在各省庁からの入居の予定、希望というのがございますので、この五百戸というものは順次解消していくというふうに私どもは考えております。この五百戸が生じた原因と申しますのは、先ほど先生から御質問の中でお話がございましたが、当初予定されていた、入居を希望しておられた方が子弟の教育等の関係で東京に残られる、あるいは筑波の近辺に自宅を購入した、そういうような方がございます結果そういうような未貸与のものも出てまいっておるわけでございますが、ただいま申し上げたような各省からの要望もございますので、これは逐次解消していくであろうというふうに私どもは思っております。
○竹内(猛)分科員 もう時間が参りましたが、先ほどから申し上げているように、科学博覧会というのは茨城県の仕事ではなくて国の仕事ですね、大きな仕事です。それから、この学園都市も茨城県がつくったわけじゃない。これも国として初めてつくった学園都市である。こういうものが本当に成功するかしないかということは茨城県の努力ではないですね。これはやはり当初の目的に沿って全力を挙げて努力をしてもらわなければいけないし、もしこれが失敗するようなことになると他に同じようなものをつくることはできないだろう、こういうふうに考えられます。特に医療の問題、図書館の問題等については特段の配慮をしてほしいし、同時に空き地の問題ですね、空き地利用についてはぜひ地元と十分に相談をしてもらいたい。そしていま大変いろいろな問題、次に出てくる問題があります。これはもう時間がないから申し上げませんが、そういう問題も処理しなければならないということを考えると、この空き地についてはどういうところがどうなっているかわかりませんが、この活用については配慮してもらいたいということをつけ加えて、私は終わりたいと思います。
○海部主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。 次に、春田重昭君。
○春田分科員 私は、医薬品の問題につきまして、さきの予算委員会一般質問で質問したわけでございますけれども時間切れでございましたので、きょうは具体的な問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。 薬価基準の引き下げが昨年の六月行われたわけでございますけれども、この改正によりまして薬剤費はどれくらい下がると厚生省は試算したのか、そしてその財政的効果はどのようになっているか、その調査をされていると思いますけれども、まずその辺から御説明いただきたいと思います。
○大和田政府委員 薬価基準改定によります財政効果、これは五十六年六月、これにつきましては国民医療費ベースで約七千六百七十億円と私ども見込んでおります。これは推算でございます。 それで、しからば具体的にこの財政効果が幾らということがわかりますのは、厚生省の統計情報部で行っております社会医療調査の結果からこれは積算されるわけでございますが、この調査がまだ出ておりません。その後の調査が出ておりませんので、ただいま申しました積算見込みということで約七千六、七百億、こういうようなことでお許しを得たいと思うわけでございます。 〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕
○春田分科員 一応試算では七千六百七十億の引き下げが行われるだろう、こう試算しておるわけですね。現在調査中であるからわからないということでございますが、しかし薬価基準の引き下げがどういう結果になるのか、これは非常に関心があるところなんです。六月一日引き下げになりまして、すでにもう八カ月たっているわけでございます。厚生省としても調査等を始めておられるわけでございますから、まとめた結果でなくとも、現在の調査の段階では、現時点では当初見込んだ方向に行っているのかどうか、それとも全く変わらないのか、またかえって上がっているのか。一部投薬量がふえたり回数をふやして、余り効果ないのじゃないかという意見もあるわけでございますから、現時点での感触という点を、大体わかっていると思うのですよ、お答えいただきたいと思います。
○大和田政府委員 私ども先ほど申しました程度の額の財政効果はあろうかと思いますが、ただ具体的な数字としては出ていない。ただ、六月そのものの医療費の推移というのを見てみますと、これはわりあいに落ちついた推移を示しておる。これは先生御承知のように、従来よりもかなり落ちついたペースで医療費が推移しておるということからいたしますと、この薬価基準の改定というのは、先ほど申しましたようにかなり財政効果というものが得られているのではないかというふうに考えておるところでございます。再度申しますけれども、具体的な効果というのはなお調査を待たなければならぬ、しかしながら医療費の推移というものを見ますと、かなりの財政効果があったのではなかろうかというふうに考えられます。 以上でございます。
○春田分科員 大手製薬十二社の中間決算が出ているわけでございますけれども、これで確実な判断ができると私どもは思っておりませんけれども、少なくともこの十二社の昨年九月の中間決算によれば、かなりプラスになっている会社が多いわけですね。マイナスの会社もございます。こういう点からしたら余り効果ないのじゃないか、先ほど言ったように、回数をふやしたり量をふやしたりして効果がないのじゃないかという見方もあるわけでございまして、非常にこの点関心が高いわけでございますので、ひとつ鋭意調査を進められまして、政府の望んでおられる財政効果があるように、終わった段階で指導しても遅いわけでございますから、そういう点が早急にわかったならば事前に指導すべきじゃないか、こう私は思うわけでございます。 そこで、この薬価基準の改正でございますけれども、五十三年に続いて五十六年にやったわけでございますが、これは今年度はどういうお考えなんですか。
○大和田政府委員 私どもといたしましては、現在薬価調査を実施しておるところでございます。薬価調査の結果を待ちまして薬価算定作業というものを行いまして、薬価基準の改定に着手をするというような段取りで進んでまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○春田分科員 これは、たとえば大体の結論が五月ないし六月出ますね。そこで厚生省の試算したとおりの引き下げの効果がなかったとした場合に、さらに薬価基準の改正、引き下げを行うのかどうか、その辺どうですか。まあ結果次第だと思うのですけれども、要するに財政効果があったならば五十七年度はやらない、政府の見込んだ財政効果がなかった場合はさらに五十七年度もやりたい、こういうお考えですか。
○大和田政府委員 若干先生のおっしゃっておられます観点とは違うというふうに考えておるわけでございますが、薬価基準の改定は御承知のように薬価基準を実勢価格に合わせる、こういう観点から薬価調査をいたしそれで薬価基準の改定を行う、こういうようなことでございまして、財政効果云々というのは、それは結果というふうに考えておるわけでございます。
○春田分科員 薬価調査は毎年行うのですか。
○持永政府委員 現在、先生御指摘のとおり薬価調査を行っておりますけれども、これは国会での御議論などを踏まえて毎年一回調査をやるということでやっておりますので、私どもとしては毎年一遍やるという方針で臨んでいきたいと思っております。
○春田分科員 そこで、国立病院の医薬品購入の入札制度についてこれから質問したいと思うわけでございますが、時間がございませんから、簡単に入札制度の概略について御説明いただきたいと思います。
○大谷政府委員 先生の仰せになっているのは、事務処理の流れでございますか。——事務処理の流れにつきましては、各診療機関の医師が自分の考え方でどういう薬を使うか、医薬品の使用請求を行う。その請求を受けて、国立病院の中に薬剤委員会というのが設けられておりまして、そこで医薬品の有効性、副作用、あるいは価格面での効率性、あるいは採用によって死蔵品を生じないか、いろいろな観点からその審査を行うわけでございます。そこで、薬剤委員会で審査を受けました医薬品につきまして、一定期間の使用数量を取りまとめまして、支出負担行為官、これは事務部長でございますけれども、これがさらに過去における取引の実例価格及び他の病院における取引実例価格などを調査検討いたしまして予定価格というものを決定いたしまして、そうして指名競争契約または随契ということによって納入する、こういう手順になっているわけでございます。
○春田分科員 随契の場合は金額幾ら以下なんですか。
○大谷政府委員 全国立病院の実態につきましては、これを調査するのは非常にむずかしいのでございますが、監査を実施いたしました十七病院につきましての結果では、指名競争によるものが六九・二%、約七割、随契が三〇%、こういうことになっております。
○春田分科員 私が聞いているのは、随契というのは契約金額は何ぼ以下かと聞いているのですよ。
○大谷政府委員 百六十万円以下でございます。
○春田分科員 それ以上は一般競争になるわけですね。 予決令の九十七条には、競争参加者は十名以上となっておりますけれども、実態はどうですか。
○大谷政府委員 実態も十名以上になっております。
○春田分科員 いま、国立病院の医薬品の購入の流れといいますか、フローチャートの説明があったわけでございますが、医薬品は薬剤委員会が大体決定する、こういうことでございます。これは当然医師の処方権という形で薬が決定されると思うのですけれども、この医薬品の決定は銘柄別なのか薬効別で選ばれるのか、その点どちらなのですか。
○大谷政府委員 銘柄別に行われております。
○春田分科員 銘柄別の場合、複数なのかそれとも単数で選ばれるのか、どちらなんですか。
○大谷政府委員 各医師が単数で要求するものでございます。
○春田分科員 薬は何種類とあるわけでございます。そこで薬剤委員会の医師が単数の銘柄、商品名を選ぶわけですね。先ほどの説明によりますと、この選んだ薬を物品使用職員とか物品供与官を経て支出負担行為担当官、いわゆる事務部長が数量と銘柄を挙げて、それを取り扱っている販売業者、卸業者の何社かを呼んで指名競争ということになるわけですね。卸業者の競争入札は行われるわけでございますけれども、薬そのものは銘柄で単数でございますから、どこどこ製薬のこういう薬ということで、公正競争の入札にならないわけですね。 これは先ほど言ったように医師の処方権という形で選ばれるわけでございまして、今日までそういう慣習で来ているわけでございますけれども、国立病院の場合には銘柄がほとんど大手の先発メーカーの薬になっているわけでございます。御存じのとおり、先発メーカーの薬というものは薬価基準では非常に高いわけですね。そしてそれに追随する中小メーカーの後発薬品があるわけでございますが、これは薬価基準が非常に低いわけでございます。こういうことで、先発、後発のメーカーの医薬品があるわけでございますけれども、国立病院については傾向的にはほとんど先発メーカーが多いのではないかという意見があるわけでございます。この点どうでしょうか。
○大谷政府委員 確かに先発メーカー品が多く使用されております。
○春田分科員 それはどういう理由ですか。
○大谷政府委員 医師が選ぶ場合に、患者の病状、体質あるいは医薬品の物理化学的性状、副作用の有無というふうなことでありますとか、あるいはその医師自身の臨床経験あるいは学会における発表の状況、こういった点を踏まえまして、その医師が患者に最も適当と考えられる医薬品を選択しているものでありまして、恐らく先発メーカー、後発メーカーというふうなことにつきましては全く考慮をしていないというふうに思うわけでございます。 しかし、この銘柄をどう選ぶかというのは医学上の問題でございまして、そこのところはやはり非常にむずかしいところでございますが、私どもとしては、そういった医師の選び方というものにつきましては優先性があるというふうに考えておりますけれども、現実に医薬品の購入に当たりましてはそういった医師の学問的な判断は尊重するけれども、また一方では経済性も十分考慮する、こういうふうなことで実は全国のそういった関係の会議におきましては指導をいたしておるところでございます。
○春田分科員 御指導はなさっているわけでございますけれども指導どおりいっていないというのが実態じゃないかと思うのですね。 そこで、国立病院の医療センターの場合どういう薬が使われているのか。先発と後発で分けた場合どういう傾向になっているのか。全品種を調べるわけにはいかないと思いますけれども、私がお願いした段階で何品目か出ているわけでございまして、その資料による先発、後発の品目を挙げていただきたいと思うのです。
○大谷政府委員 全国の国立病院で購入しております医薬品の品目は千七百種類にも及んでおりまして、これを先発メーカー、後発メーカーに分けて把握するということはなかなかむずかしいことでございますが、いま先生おっしゃいました一病院について申しますと、約千六百品目のうち薬価基準に価格差のありますのがそのうちの約一割、つまり百六十、その百六十品目のうち約八割が先発メーカーと思われる上位価格の医薬品で占められておるわけでございます。
○春田分科員 これは何年度の実態ですか。
○大谷政府委員 五十六年度の支出額でございます。
○春田分科員 厚生省は経済性を加味して後発品も購入しろということを御指導なさっているわけですが、これはいつごろからおやりになっているのですか。
○大谷政府委員 正確な数字はあれでございますが、四、五年前、医薬品のことが問題になりましたときから会議でこれを強調して指導しているわけでございます。
○春田分科員 先ほど医療センターの一部門という形で数字を示していただいたわけでございますけれども、一割の百六十品目の中で約八割が先発品ということで来ているというのですね。この実態をどう分析されているのですか。
○大谷政府委員 医師が薬を使う場合には、やはり自分で納得して自信を持ったものでなければ使えないと思うわけでございます。私も医師免許を持っておりますが、臨床は余りやっておりませんのでそんなに自信を持って言えるわけではありませんが、実態を見ておりますと、学会で発表されてどういう治験があってどういう副作用があってどうだった、こういうものをいろいろ見まして本人が納得して使われるわけでございますね。ですから、先発医薬品は数年間の先発権というものがありまして、こういった問題でどうしてもそういった点について明らかになっている、こういう点がございますから、私も一々そのお医者さん方の心情にまで立ち至って尋ねたわけではありませんけれども、やはり使う医師の選択はそういったデータがはっきりしたものについてどうしても使いやすい、また、自分の経験のある薬について使いやすいというような傾向があるのではないかというふうに思うわけでございます。
○春田分科員 要するに先発品も後発品も薬には変わりないわけですよ。同種同効の原則ということで薬事審議会を通っているわけですから、同じ原材料を使った薬は同じ効果があるということで、後発品だって同じ効果があるわけですよ。ただ、薬価基準の差が先発と後発で設けられているのは、当然先発品は研究開発費に相当な費用を注ぎ込んでいるし、副作用に関する試験的な臨床データも動物実験もいろいろやっている、簡単に言ったならば後発は模倣するだけであるということで投資費用も少ない、こういうことですから差があっても当然だと私は思うのです。ただ、先発品に関しましては特許権で十五年、また数年前までは先発権が三年だったのですが六年間に延びまして、この期間に資本投下したものは当然回収できる、こういうことで十五年あるいは六年の期間が過ぎたならば、これは先発も後発も同じ価格にして公正な競争をやるのが特許法の精神ではないかという意見もあるわけですよ。そういう経過を聞きながら、国立病院におきましては一医療センターのデータからいけば八割が先発を使われている、厚生省としては四、五年前から指導しているけれどもこういう結果になっている、こういうことでしょう。これは八割でやむを得ないとお認めになっているのですか。
○大谷政府委員 この問題は、医師がいかなる薬を使うかという学問上の問題とも——やはりどうしてもこれについて尊重しなければいけないという点がございます。そういった点を考えながら、しかし一方では先生のおっしゃるような経済性といったふうな問題もございますから、私どもとしては、現在の指導方針で、だんだんとそういう方向で改善していけばどうかというふうに考えるわけでございます。
○春田分科員 先ほどの五十六年度の医療センターの百六十品目の中の八割については、これでやむを得ないとお認めになっているのですか。もっと改善する余地があるのじゃないか、こうも思っておられるのか、どちらなんですか。
○大谷政府委員 これはやはり医療内容の問題にも関しますし、十分慎重に考えさせていただきたいと思います。
○春田分科員 この二割が後発品ということでございますけれども、後発品の中でも、さらに分析すれば、いわゆる大手メーカーの後発品もあるわけです。二十数品目の中でさらにこれを分析すれば——あなたの資料によれば、上位価格の品目が百四十三、中位価格の品目が十七、下位価格の品目が十二、合計百七十二という形で出ているのですね。したがって、この下位価格の品目はパーセントからいったならば六%しかいっていないわけですよ。この前も一般質問で言いましたけれども、セファレキシンでは、塩野義のある薬があるのですが、これは百四十七円。武田の中位の薬がありますね、これは八十円。武田は大手ですよ。中小メーカーの後発の薬価基準は三十五円という形になっているわけでしょう。この数字からいったら、完全な中小の企業等の薬というのは六%しか使われていないわけです。厚生省は四、五年前から御指導なさっていると言うけれども、経済性も加味して使いなさいと言っているけれども、実態はそのようになっていないわけです。 大手メーカーと病院との変なうわさというのもありますけれども、そんなことは私はここで言いませんが、そういうことがあるがゆえに、どうしてもそういう形に見られがちになるのですよ。そういう点で、やはり経済性も加味しながら入れるべきである。 たとえばアメリカでは、公金を使う場合においては当然安い薬を仕入れるという制度があるわけです。西ドイツだって、薬価で一〇%以上の差が出てきた場合は社会的な問題になるということも言われておるわけでございますし、日本だけがそういう古い慣習で来ている。これは国立大病院だってそうです。 そういう点で私は、いま財政再建で大変だという中において、やはり経済性を加味しながら後発のいわゆる中小メーカーの薬も入れるべきであると何回も主張しているわけですよ。再度、この点につきまして、どうですか。
○大谷政府委員 先ほどから何度も申しておりますように、これはまさに医師の処方権に関する問題でございますから非常にむずかしい問題でございますが、できる限り先生の御趣旨を踏まえた上で行政指導をいたしてまいりたいというふうに考えます。
○春田分科員 大蔵省、お見えになっていると思いますけれども、先ほど言ったように、アメリカで公金、税金を使う場合、安い薬を仕入れるというのが原則になっているわけですね。日本の場合は、そういう形でほとんど高い薬が使われている、こういう現況でございますけれども、大蔵省はどういうお考えでございますか。
○篠沢説明員 実際の薬の使用の問題につきましては、先ほどから医務局長がお話ししておられるような研究上の治験の問題でございますとか、いろいろな要素があろうかと思います。 ただ、私どもといたしましては、いずれにしても、そういうことの理由のもとに少なくともむだな経費が使われるということであっては困ると思いますので、先ほどから医務局長も、いろいろ先生のお話のような御趣旨も踏まえながらさらに指導していきたいと言っておられますが、私どもはそういうことの効果を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○春田分科員 会計検査院の方に来ていただいておりますけれども、現在の国立病院の医薬品の入札購入制度につきましていかなる御見解をお持ちか、時間がございませんから簡単に。
○水越会計検査院説明員 現在厚生省でとっておられます契約の仕方、これは、先ほど言いましたように、指名競争については七割、それから随契については三割程度ということでございますが、検査院としては、会計経理上当然それに納入の可能な業者を選定し、しかもそれが十社以上ということでしぼっておられる、なお、市場価格の調査、それから、周辺地辺の実績等を加味してそれらの業者を選定しているという面については、一応妥当な線ではないかというふうに思っております。
○春田分科員 検査院は、かつて、備品の高値買いという形で各省を指摘したことがございますね。それとこれとは全く同じケースとは言えませんけれども、いわゆる先発、後発は薬効上一緒である、しかしながら高いものが買われているという点で、むだとは言いませんけれども、やはり節約する意味においては後発品も入れるべきではないか、こういう考え方があるわけですね。そういう点で、高値買いを指摘した時点と今回の国立病院の薬のいわゆる先発品が非常に使われているという傾向について、検査院としてはどういうお考えですか。
○水越会計検査院説明員 一般的に申せば、物品の購入に際しましては経済的かつ効率的な調達が図られるのが当然だと思います。 しかし医薬品につきましては、各国立病院等において、先ほど来御説明がありましたように、医長等を中心といたします委員会で検討して購入しておりますけれども、結局は患者に対する適応性等について、診療に当たる医師が、その医学的知識あるいは経験等を踏まえまして、診療上適切と判断したものを購入するということで現在まいっておりますので、経済性のみの観点から医薬品購入の是非について判断することは困難であろうというふうに考えております。
○春田分科員 公正取引委員会の方がお見えになっておりますけれども、現在公正取引委員会は、大手製薬メーカーと卸業者のやみ再販の問題、メーカー同士のやみカルテルの問題、業者同士の談合問題等調査されておりますが、たとえば、先ほど言ったように、先発品と後発品の場合、薬効上からも同じなんですね。さすれば私は、独禁法の精神からいっても、公正自由な競争をする意味からも、当然後発品も入れてやるべきじゃないかという考え方に立っておりますけれども、公正取引委員会の御意見はいかがか、伺いたいと思います。
○山田説明員 公正取引委員会といたしましては、かねてから、価格の形成あるいは流通実態につきまして調査しております。 いま御指摘の国立病院等の医薬品の購入の問題についてでございますが、医師あるいは国立病院がどの銘柄の医薬品を選ぶかというのは自由でございますので、先発品を主として購入されているからといって自由な競争がないということは直ちには言えないかと思います。 ただ、一般論といたしまして、普通の商品でありますれば、良質廉価の商品を供給する企業というのが競争に打ちかっていくわけでございますので、医薬品の分野におきましても、このような市場メカニズムが有効に働いているかどうかというような点につきまして、現在の調査の問題を踏まえまして、特にまた、医療品の商品の特性あるいは医療保険制度というような特殊性もございますので、それらを十分加味しまして今後検討してまいりたいと思っております。
○春田分科員 要するに、先ほど言ったように、単数のいわゆる特定銘柄が薬剤委員会へ出てくるわけですね。したがって、卸業者の競合はありますけれども、メーカー同士の競合はないわけですね。これは独禁法にひっかからないのかどうか、この点。 最後に、大臣に、この問題につきましてどういう御見解なのか御見解をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。 まず、公正取引委員会からお願いします。
○山田説明員 先発メーカー品を医師が選ぶということによって直ちに競争がない、あるいは独占禁止法に直ちに問題になるということは言えないかと思います。一般的に私どもいま流通実態調査等をしておりますので、先生の御指摘の点も十分踏まえまして検討してまいりたいと思っております。
○森下国務大臣 医薬品の問題につきましては、まことに複雑な内容でございまして、私も春田議員の御質問につきまして明快にお答えすることはできませんけれども、とにかく医療制度が自由診療であって、その診療報酬が社会保険制度の上に立っておる。いわゆる自由経済と社会主義経済が共存しておるようなかっこうになっております。それと同じように、医薬品の問題につきましても約二千社近い大中小の薬メーカーがございまして、公正なる自由取引、これを破りますと、早速公取が入りましてけしからぬと言われるわけであります。しかも、その実勢価格によりまして薬価基準が決められる。その段階から、この薬価につきましても点数制で、いわゆる社会保険制度が適用になるというところに非常にむずかしい点があることは事実でございます。 ただ、問題は、先発、後発というハンディがありますけれども、それはやはり先発は先発なりに、ちょうど特許のように、それだけ特許があって、それを終わった後は、私は先発、後発の区別はすべきではない。 ただ、問題は、先ほど医務局長が話しましたように、医師が患者に、また病院でどういうものを使うか、これまでは厚生省としては干渉できない。ただ、大中小があって、同じ薬でございましたならば、われわれは、小企業もやはり同じような立場で扱っていくべきである。また、医療と同時に、薬業界も平均寿命が世界一になった大きな原因もつくっておるわけでございますから、大が特によくて小が特に悪いとかそういうような区別をせずに、やはり公平なる入札に参加をいたしまして、中小企業といえどもともに栄えていけるように、そういう気持ちは実は持っておるわけでございます。 私の所見を申し上げまして、御答弁にかえさせていただきます。
○春田分科員 大臣の意のある御答弁をいただきまして、非常に心強く思っておるわけでございます。よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
○亀井(善)主査代理 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。 次に、野坂浩賢君。
○野坂分科員 私は、最後でありますから、ごく簡潔に質問をして、お答えをいただきたいと思っております。 午前中にも若干議論がございましたが、現代の社会は高齢化社会、いわゆる高齢者の社会に入っておるというのが現状であります。厚生大臣の御説明では、御老人は健康で長生きをしてもらいたい、こういう願望と期待を述べられたわけでありますが、私は、とりあえず寝たきり老人問題についてお尋ねをしたいと思います。 現在の寝たきり老人というのは四十万人、こういうふうに御説明があったと思いますが、これに間違いがないかということが一つ。今後十年あるいは五年、統計、実績等で展望された数の増加はどの程度になるであろうか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
○金田政府委員 ただいま寝たきり老人の総数が四十万人であるかというお尋ねでございますが、そのとおりでございまして、私どもの厚生省の昭和五十六年の厚生行政基礎調査によりますと、在宅の半年以上の寝たきり老人、これは六十五歳以上でございますが、三十二万人でございます。これは在宅の者と一時入院している者でございますが、昭和五十五年度末の特別養護老人ホームの定員は約八万人でございますので、これらを合わせますと四十万人になるわけでございます。 それから、この寝たきり老人が将来どのような数になるかということでございますが、昭和六十年で三十五万四千人、これは施設に入っている者は除いております。昭和七十年で四十九万五千人、昭和八十年で六十四万五千人、昭和九十年で七十九万二千人というのがただいまのところの推計値でございます。
○野坂分科員 いまお話をいただきましたように、施設に収容されておる方々は、寝たきり老人のうちの五分の一ということになりますね。したがって、現在の三十二万人の皆さんの中で特別養護老人ホームに入所を希望していらっしゃる方、在宅の方がいいと言っていらっしゃる方、分けるとどの程度になりますか。
○金田政府委員 毎年私どもは、各県から特別養護老人ホームへ入りたいという、いわば待機者の数を聞きまして、これを集計いたしているわけでございますが、最近の調査によりますと、約一万二千人の方々が待っておられるわけでございます。 一方、毎年特別養護老人ホームはかなりの数がつくられておりまして、一年間にざっと、ここ何年かの平均では一万人前後の定員がふえている。新設あるいは増設でございますが、それだけ、一万人ずつよけいにいたしまして、なおかつ一万二千人ばかり残っているわけでございます。この中には、施設自体をつくりたいと思いましても、御案内のとおり、国の補助が二分の一それから地方負担が、県の負担が四分の一でございますので、四分の一の自己負担等の問題がございますので、希望していても直ちにはつくれないというようなケースもございますが、私どもは、特別養護老人ホームは各社会福祉施設の中でも最重点の整備の一つとして、各県等を督励して整備を進めているところでございます。
○野坂分科員 各県から要望があった場合は一〇〇%満たすということでございますか。
○金田政府委員 一〇〇%は満たしておりません。と申しますのは、私どもなりにいろいろ国庫補助がございますと審査等を事務的にいたしているわけでございますが、この中には、必ずしも土地の取得等が明確でないとか資金の造成が十分でないとか、そういったものがございます。ざっと一、二割程度でございまして、これはうっかり認めますと国庫補助が執行できないというような事態が生じまして、これは従来の経験からいたしまして確実でございます。
○野坂分科員 そういう条件が整備されたものは認めていく、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○金田政府委員 ただいま先生おっしゃったとおり、できるだけ認めていきたいと思いますが、ただし、各県の整備状況のアンバランスもございますし、まあ過剰状態というような県はほとんどございませんけれども、その県の実態を見た上ということでございますが、一般的には先生おっしゃったとおりでございます。
○野坂分科員 私どもの県は鳥取県でありますが、過疎地域なんですね。老人が非常に多いのです。お隣の島根県もそうなんです。財政規模、経済状態というのは全国最下位ですが、老人が多いというのは、いわゆる最高峰の方に位しております。で、私たちはしょっちゅう何人か頼まれるのです。あなたは二十一番目ですとか、あなたは三十五番目ですとか、普通の病院のようにあそこは回転がないですね。入ったら、最悪の事態のころまでいらっしゃるということになって、回転がない。したがって、どうしてもこの特別養護老人ホームの建設が必要になってくるという結果があるわけであります。いま毎年一万人収容の施設は建造しておるということでございますが、そういう待機組については十分対応して、施設は、アンバランスとか、その県の人口数ということよりも寝たきり老人の実態を把握して、それに対応していくべきだ、こういうふうに考えておりますが、そのとおりですね。
○金田政府委員 ただいま先生おっしゃったようなことをいろいろ私ども調査いたしまして、県の施設の整備計画あるいは寝たきり老人の数等を見まして補助を決定しておるわけでございます。
○野坂分科員 前後して恐縮ですが、寝たきり老人というのは、心身の欠陥なり、あるいは経済的な問題、こういう意味で入っておるわけですから、いわゆる病人というふうに理解していいわけでしょう。その辺はどうでしょう。
○金田政府委員 あるいは身体上の理由等によりまして寝込んだ人たちでございますが、病人という言葉が正確に当てはまるかどうか。たとえば明確な病名がついておりまして入院されるような方もございますので、もちろん特別養護老人ホームには嘱託医、あるいは協力病院を置きまして、お願いはしておりますけれども、老衰等のケース等もございますので、病人そのものと断定することはどうかと思います。 それから経済上の理由でございますが、経済上の理由につきましては、経済的な理由は一切問いません。
○野坂分科員 わかりました。 そこで、なぜ寝たきり老人の特別養護老人ホームへというのがあるかというと、それは釈迦に説法ですから、局長等は十分御認識だと思うのですが、夫婦で働いておる、おじいちゃんもおばあちゃんもいらっしゃる、在宅ではめんどう見なければならない、だから奥さんは勤めをやめます、御主人の給料だけではやっていけない、お年寄りの皆さんもそういう意味で寝たきりだから特別養護老人ホームに入れば少しでも家計が楽になるのじゃないのか、こういう状態が非常に多いというように認識をしておるわけでありますから、できるだけ速やかに待機組がみんな入れるように措置をしていただきたい、こういうふうに思います。お願いしておきます。 二番目に、介護料といいますか、付添看護婦といいますか、そういうような点についてお尋ねをしたいと思うのです。 実は、私のいとこもこの間四カ月ばかり入院して亡くなったのですけれども、大体一日に付添婦が一万一千円、食事料で大体三食で千六百円ぐらい、こういうことを言っておりました。きょうも、お医者さんから付添婦をつけてくれ、こういうふうに言われたのだが、家が貧乏で付添婦をつけることができない、こういう状況なんだが、何かいい方法はないか、こう言って県に問い合わせたら、県は、いまのところない、こういうふうな御答弁だったというふうに電話で聞いたのですけれども、付添婦については、基準看護病院ですか、あるいは普通看護病院とかいろいろありますが、その付添婦に対して政府は支払うという制度があるやに承知をしておりますが、御説明いただきたいと思います。
○大和田政府委員 ただいまの場合、寝たきり老人が入院をしたという場合を前提にして申し上げたいと思いますが、その病院が基準看護病院という場合には、その基準看護病院、つまり基準看護をとっておるという病院の場合は、その病院の看護職員によって一切の看護が行われる、こういう前提でございます。したがいまして、そこで付添看護婦をとるというわけにはいかぬ。したがって、仮に付添看護をとったとしたって、これは基準看護病院の側としては正しいことではないわけでありますし、また患者にとっては付添看護料は出ない、こういうことですね、基準看護病院に入院している場合。基準看護病院以外の医療機関に入院した場合、この場合は事情が変わってくるわけでありまして、主治医が療養のために特に必要であると認めた場合でございますと、特別にただいまのような付き添いをつけたという場合には看護料が支給される、こういう仕組みになっております。 この看護料につきましては、甲地A、甲地B、乙地、その他の地域といって段階があるわけでございますが、慣行料金に対しましておおむね九割近くまでは償還払いという形で返ってくる、こういうような仕組みになっておるわけでございます。これは、一たんお金を払いまして償還される、そういう仕組みに相なっております。 また、在宅の場合でもそういったような措置がとられ得るわけでありまして、やはり主治医の認定によりまして、その病状が重篤で、医師または看護婦が常時監視を行い、随時適切な処置を要するというような場合があるわけでありますが、そういった場合には、これは有資格の看護婦がつきました場合には看護料を支給する、こういうたてまえになっておるわけであります。
○野坂分科員 たてまえはいつもそう聞くんですよ。しかし、実態はそうじゃないのです。たとえば、いま私が言いましたように、私がいま言っておる場合は、主治医から付添婦をつけなさいと言われましたと言っておるわけですね。主治医が付き添いが必要であるという判断をした場合は、お話があったように、普通病院は健康保険で償還払いだ、九割だというふうにお話しになったのですが、四十八年の八月には七割と私たちは聞いておったのですけれども、その場合は、甲乙とかいろいろありますけれども、現状の付添婦料と、保険料で支払われる金額とは相当の差異があるだろうと思っておりますが、普通病院のときには幾らなんですか。 それから、判断をした場合には付添婦はつけてもらうわけですけれども、あなたつけなさいというのは間違いだろうと思うのですが、そのとおりですか。
○大和田政府委員 前段の御質問でございますが、たとえば甲地のB、そういうところでは慣行料金が、これは五十六年七月一日現在でありますけれども、六千九百九十円ということになっておるわけでありますが、それに対しまして、療養費払いが六千二百三十円で八九%ということでございます。それから乙地の場合は、慣行料金が六千七百九十円、それに対して、療養費払いが六千五十円、八九%といったようなことが出ておるわけでございます。 ただ、泊まり込みになりますと、泊まり込み給ということになりました場合は若干慣行料金と療養費払いの格差がつくわけでございまして、七五%と先生おっしゃいましたように、七五%程度の支払い状況になっておるということでございます。 それから、先生、後段の方がちょっと私よくわからなかったのでございますが、申しわけございませんが。
○野坂分科員 主治医が、この方は用便も、食事もとることができないから付添婦が必要だと判断をいたしますと、保険請求を行って、そして、いまお話があったように、六千九百九十円支払うと健保の方から六千二百三十円返ってくる、こういうことになる、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。前段のは、主治医が付添婦をつけなさいよ、こういうふうに言われて、はて財政難で困ったな、こう言っておるわけですよ。主治医が付添婦をつけなさいと言うのは、必要であると判断したことになるわけですから、それは、そう言われれば、判断したものとして請求をすればいい、こういうふうに理解していいのですか、患者は医者には弱いですから。
○大和田政府委員 主治医の判断、これは原則としてそのようなことでございますが、ただ非常に手がかかるからというのではない、いわゆる病状が重い、こういう判断がなければいかぬわけでありまして、どうも手がかかるから病状は軽いけれどもつけなさいよといったようなことでは困る。ですから、その辺のギャップがあるのではないかという気がいたしますが、病状が一定以上の重篤であるということであれば主治医が判断して付添婦をつける、その場合には療養費払いで償還をいたします、こういうことになるわけであります。
○野坂分科員 ちょっとしつこくて恐縮ですが、付添婦をつけるということを病状がどうあろうと主治医が判断して、その場合は必要であるという証明書を書くのですか、書かなくても口頭でよろしゅうございますか。
○大和田政府委員 証明書を書くことになっております。
○野坂分科員 それは、患者側から主治医の方に請求をして証明書をもらって、それを添付して保険請求をするということになりますか。
○大和田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○野坂分科員 それで大体わかりました。私のところに来るのは一万円程度支払ってそして六千円返してもらう、実質的にこういうことになりますね。その場合に、家族は看護ということにならない。有料職業紹介所といいますか派出看護婦会といいますか、そういう公式なところに頼めばこの六千九百円で来るわけですか、一万円で来るわけですか。これは標準価格であってこれ以上要求されても支払わなければならぬ、こういうことになりましょうか。
○大和田政府委員 慣行料金ということで私先ほど申し上げました額が、基本給でいくと甲地Bで六千九百九十円というようなことでございますし、それからこれは泊まり込み給ということになりますと、同じ甲地Bで一万円強ということで、これは慣行料金でございます。大体調査の結果、こういったことは上下は若干あろうかと思いますが、一応調査をいたしました慣行料金としてこの程度でございますので、それほど高い料金は取られていることはないだろうというふうに考えるわけであります。
○野坂分科員 それでは、これからは重症患者は医師にお願いをして、付き添いの必要があると判断をしてもらって証明書を書いてもらえば余り自分の出費がなくて済む、こういうふうに理解していいわけですね。
○大和田政府委員 基準看護病院以外の場合は当然でございますけれども、そういう場合はおっしゃるとおりでございます。
○野坂分科員 はい、わかりました。ありがとうございました。 それでは幼保一元化の問題についてお尋ねをいたします。 昨年の予算委員会で二月の二十日だったと思いますが、園田さんが厚生大臣、それからいまの自民党総務会長の田中さんが文部大臣のころでありましたが、園田さんは、十三年前から私は幼保一元化論の主唱者だ、したがってことし——その当時の言葉で五十六年度の九月ごろにはその結論を出したい、どっちが主管してもいい、縄張り争いじゃないだろうというようなお話をされておりますし、それから田中文部大臣は、両者を何とかして私は調整したいとせっかく努力をしております、こう言って両者一致したような御発言があったわけでありますが、その後いろいろ懇談会等の御意見等も聞かれただろうと思いますが、これからの幼保一元化論はしばらく留保するということになったのか、一体どのようになったのか、なった理由なりお話をいただきたいと思います。
○幸田政府委員 昨年の予算委員会で園田厚生大臣からそのような御答弁を申し上げておりますが、実は昭和五十二年の十月に幼稚園と保育所に関する懇談会というものを厚生、文部両省が相談をいたしまして共同で設置をいたしておりまして、それが御審議を続けておられたわけでございますけれども、いま御指摘のように、昨年の六月にその報告が取りまとめられまして提出をされたのでございます。この幼稚園及び保育所に関する懇談会の報告では、保育所は、児童福祉の立場に立って養護と教育とを一体として保育を行うべきである、それから幼稚園は、集団生活の中で子供の心身の発達を助長する教育を目指している、こういうことを前提にいたしまして、幼稚園と保育所とはそれぞれ目的、機能を異にし、必要な役割りを果たしている以上、簡単に一元化が実現できるような状況ではない、こういう御指摘をいただいたのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この幼保懇の御報告をそのまま受けとめまして、幼稚園と保育所の問題については、この懇談会で述べられているようなものである、かように考えている段階でございます。
○野坂分科員 文部省の見解、同じですか。
○内田説明員 幼稚園と保育所に関する懇談会の結論は、いま厚生省の局長さんからおっしゃったとおりで、私どもとしましても、この幼稚園及び保育所に関する懇談会の報告の趣旨を受けまして幼稚園の整備を図っていきたい、こういうふうに思っております。
○野坂分科員 そういうふうに書いてありますね、この報告には。 最後に、文部、厚生両省は「幼稚園と保育所の調整を目的とした会合を適宜開催すべきであり、」云々と書いてありますね。これはどういうことをやろうとしますか。
○幸田政府委員 随時私ども文部省と協議をいたしまして、具体的には保育所の保母と幼稚園教諭との相互研修を実施をする、こういうようなことでございますとか、あるいは保育園児と幼稚園児との交流、具体的には運動会を共催で実施をする、こういうなことを含めまして、できる限り連携をとるようにいたしてまいりたい、かようなことを考えております。
○野坂分科員 合同の体育祭あるいはお遊戯会、こういうものだということですが、幼稚園は保育所の機能を取り入れ、あるいは保育所はいわゆる保育が主体でありますが、幼稚園の教育というような機能を取り入れる、そういうことは全然考えていないということですか。そういう機能を取り入れて両者相まって就学前の教育ということについても、あるいは保育ということについても十分配慮すべきではないのかな、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょう。
○幸田政府委員 私ども保育所側といたしましては、いま御指摘のとおり、保育所が保育をしております児童はゼロ歳児から五歳児、学齢前まででございますけれども、そのうちの四歳児なり五歳児といった児童につきましては、就学前の教育ということも加味をいたしまして保育内容を定めているつもりでございます。
○内田説明員 私ども先ほどからお話がありました幼稚園及び保育所の懇談会の結論にもありましたように、幼稚園は学校教育法に基づく学校であり、保育所は児童福祉法に基づく児童のために、保育に欠けた乳幼児のための施設であるというふうになっております。ですから、教育時間、あるいは保育する者、すなわち幼稚園なら教員、保育所では保母さん、それぞれはっきり分かれておりますので、私ども、この二つはそれぞれ目的、機能が違うものであるというふうに認識しております。
○野坂分科員 機能、目的は違う、性格も違うということは承知しておるのですが、いま厚生省の方からの御答弁では、あなたのところの教育面についてのそういうところは保育行政あるいは教育面についても十分取り入れたいということですけれども、あなたの方は保育園のいいところは取り入れない、こういうことですか。
○内田説明員 ただいま申し上げましたように、幼稚園については、教育内容につきましては幼稚園教育要領、教員につきましては教育職員免許法による教職員の免状、あるいは施設等につきましては幼稚園設置基準、それから、これが幼稚園において十分行われているかどうかというような監督庁の指導、助言がある、こういうシステムでございますので、それがそういうことを前提にして考えますといま申し上げたことになると思いますが、保育所のいい点をという点に関しましては、やはりこの幼保懇談会において御提言がありました、幼稚園の教育時間終了後、幼稚園は四時間でございますから、それ以後につきましては、保育所の少ないところ等において、地域の実情にかんがみていわゆる預かり保育といいますか、二時間、三時間というような預かり保育を、保護者の御要望を受けて、それにふさわしい設備を持った幼稚園において行うというような提言がございましたので、そういうことについてはこれからも指導していきたい、こう思います。
○野坂分科員 取り入れていくわけですね。そうすると、確かに幼稚園は四時間、保育所は八時間、こういう時間の差はございますね。あなたのところはそのかわり授業料というのは年間が大体四万三千円程度、そういうことになっていますね。保育所の場合は高い方ではその十倍ぐらいになりますね。そのうちの半額の八割を国が見る。大体こういうことになっておるだろうと思うのですよ。あとは町村と県が見て、受益者負担が二分の一、これだと非常に懸隔があるわけです。ただし、幼稚園の場合は食事なんかありませんから、いろいろありましょうが、最高の場合は四万一千円ぐらい払っていますね。なかなか大変であろうというふうにも思うわけです。幼稚園へ流れていくというかっこうもございます。若干それらの保育料というものは、物価上昇の折でありますけれども、特に将来の日本を背負って立つ子供たちのことでありますから、この点は十分に配慮すべきではないのかな、検討する必要があるのではないのかな、こういうふうに考えておりますが、もう時間がなくなりましたから、厚生大臣の厚生保育の面に立っての御見解を承って終わりたい、こういうふうに思います。
○森下国務大臣 野坂議員からは、老人問題と幼児問題、保育問題、幼稚園の問題、まさに人口の入り口と出口という非常に重要な問題を提起されたわけでございます。 そこで、将来の生産年齢、いわゆる質的にも向上してもらわなければいけない生産年齢としての幼児、これは質的にもりっぱに育ってもらわなければいけないわけであります。幼児教育、また幼稚園教育、非常に大事な問題であります。私は、幼稚園と保育所を一緒にするという考えには全面的には賛成いたしておりません。共通する部分はたくさんございますけれども、時間的な問題、またいろいろ特徴がございまして、これは一緒にするよりも、それぞれの個性を生かして別々にする方がいいという考えでございますが、いま御指摘のあった負担の問題がいつも問題になるわけでございまして、四万幾らという高額の保育料では家計にもかなり響くということもよくわかっております。そういうことで、この保育料の問題につきましては、例年保育内容の改善や保護者の負担能力を勘案して改定しているところでございまして、今後とも従来どおり無理のない形で改定を行うように留意をしてまいりたい、このように思っているわけであります。
○野坂分科員 ありがとうございました。
○亀井(善)主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして厚生省所管についての質疑は終了いたしました。 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後五時四十六分散会