予算委員会第三分科会 第2号
- 発言数
- 300 件
- 登壇者
- 39 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/02/27
会議録
○海部主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中自治省所管について政府から説明を聴取いたします。世耕自治大臣。
○世耕国務大臣 昭和五十七年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一に、一般会計予算でありますが、歳入は千九百万円、歳出は九兆七千八百五十五億一千九百万円を計上いたしております。 歳出予算額は、前年度の予算額八兆九千七十三億九百万円と比較し、八千七百八十二億一千万円の増額となっております。 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆七千六百四十七億九千二百万円、消防庁二百七億二千七百万円となっております。 以下、主要な事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。 よろしくお願いを申し上げます。
○海部主査 この際、お諮りいたします。 自治省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○海部主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔世耕国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。 最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、九兆二千三百九億二千百万円を計上いたしております。 これは、昭和五十七年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額九兆二千四百五十一億二千万円から昭和五十五年度の地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額百四十一億九千九百万円を控除した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。 次に、借入金等の利子の財源の繰り入れに必要な経費でありますが、四千五十六億百万円を計上いたしております。 これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金の利子の支払い財源を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。 これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し助成交付金を交付するためのものであります。 次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。 これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し調整交付金を交付するためのものであります。 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、五百十七億三百万円を計上いたしております。 これは、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するためのものであります。 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として百三十二億三千三百万円を計上いたしております。 これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。 次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、十八億一千万円を計上いたしております。 これは、地方公営交通事業の再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するためのものであります。 次に、再建地方都市バス事業の車両更新費の補助に必要な経費でありますが、十億八千七百万円を計上いたしております。 これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業の車両更新費の補助に必要な経費であります。 次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百七十五億円を計上いたしております。 これは、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債の利子相当額について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、百十八億六千六百万円を計上いたしております。 これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するためのものであります。 なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。 次に、広域市町村圏等の整備の推進に必要な経費でありますが、十一億八千二百万円を計上いたしております。 これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設の整備計画の策定に対する補助及び当該施設の整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十億八百万円を計上いたしております。 これは、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動を推進するために要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。 以上が自治本省についてであります。 次に、消防庁について御説明申し上げます。 まず、大震火災対策に必要な経費として四十六億二千万円を計上いたしております。 これは、震災等大規模災害に備えるための消防防災無線通信施設及び耐震性貯水槽、コミュニティ防災センターなど震災対策のだめの諸施設の充実を図るとともに、防災知識の啓発及び消防防災対策調査を推進するために必要な経費であります。 次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として百四十五億六百万円を計上いたしております。 これは、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽など消防に関する施設及び装備の充実と高度化を地域の実情に応じて重点的に整備するとともに、石油コンビナート等における防災対策の推進を図るために必要な経費であります。 第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。 自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管の交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は十八兆二千四億八千百万円となっております。 歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計かちの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。 以上、昭和五十七年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 —————————————
○海部主査 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○海部主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りたいと思います。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
○岡田(利)分科員 きょうは、俗に言うウタリ対策の問題についてお尋ねいたしたいと思うのです。自治省の分科会の審議でこの問題を提起することはどうかと思うのですけれども、現在まで、ウタリ対策の問題は各省全般にまたがっておる問題であり、また、地方住民の問題でありますので、そういう意味できょう、自治省の分科会で御質問をさしていただくわけです。 まず冒頭に、わが国は単一大和民族によって構成をされている、こう言われておるわけであります。しかし、日本における先住民の問題としては古くからアイヌ人の問題が取り上げられて、かつては旧土人法によって保護もされてきたという経過があるわけです。ですから、現在、日本列島の中で先住民の問題として、このアイヌ人以外にわが国の先住民問題というものがあるかないかという点について、まず第一点お伺いをしておきたいと思います。
○世耕国務大臣 私、勉強不足でございまして、わが国にウタリ以前の民族がおったかどうかというのは余り詳しくないのですが、九州では——いろいろあんまり言うと差し支えがあるし、ちょっと私も自信を持ってお答えすることはできませんが、多分、大和民族かどうかわからないけれども、原住民がいたというふうな記憶を持っておりますが、確かではございません。
○岡田(利)分科員 北海道の場合には、わが国が支配するようになってからきわめて新しい歴史なわけです。近代国家として開拓使を置いて以来まだ一世紀ちょっとより時間を経過いたしていないわけです。もちろんアイヌ民族の問題は、東北アイヌの問題あるいはまた八戸アイヌが北海道にも居住したことがあるというような経過もありますから、一番新しい先住民問題としてはやはりアイヌ人問題にしぼられてくるのではないかと私は思うわけです。したがって、そういう意味で考えますと、アイヌ人は先住人であると同時に、アイヌ民族として、民族の持つ生活、文化というものをわれわれは認めてまいらなければならないのではないかと思うわけです。したがって、今日ウタリ対策という表現でとらえられておりますけれども、北海道でいま、別にウタリと言わなくても、アイヌ人と堂々と言っても問題はないのであります。したがって、そのように考えてまいりますと、やはりウタリ対策すなわちアイヌ人は民族の問題だ。したがって、その民族の持つ生活、文化というものについてもわれわれは先住民として尊敬の念をもってこれを保護し、その民族の文化を継承させてやらなければならない、こういう点についてはどういうお考えを持っておるか、承っておきたいと思うのです。
○世耕国務大臣 先生おっしゃられるように、多分松前藩のころ、あの北海道へ派遣がありまして、それからずっといわゆるアイヌの方々がだんだん圧迫されるような形で、それから明治以後に統合されて日本国籍に入ってこられたというふうに聞いております。 現在、すでにもう日本人になっておりますので、日本人としての扱いになっておって、ただ、過去のいろいろな歴史的ないきさつからいきましてどうしても生活水準その他の面でいろいろ格差が出てきておる。これはいろいろな平等の立場から、それに対して温かい格差是正、国民的課題の一つとしてやはり生活環境、生産基盤の整備を進めていくように国の責任においてなさなければならない、そういうふうな考えからウタリ対策が実施されているものと考えております。
○岡田(利)分科員 北海道に限って結構ですが、先住アイヌ人は最盛期でどの程度居住したという御判断をお持ちか、これはウタリ対策の担当の窓口である開発庁の方からでもお答え願いたい。
○宇山説明員 アイヌの人たちの最盛期の人口ということにつきまして、北海道在住のウタリの過去の人口の推移につきましては、資料等に制約がございまして正確な把握が非常にむずかしいのでございますが、過去、昭和九年に北海道庁が取りまとめた資料によりますと、明治五年には一万五千二百七十五人という数でございます。大正五年には一万八千六百七十四人、昭和五年に至りましては一万五千七百三人という数が数えられているという記録がございます。なお、参考までに最近の数字でございますが、昭和五十四年の十月に北海道が実施した調査によりますと、二万四千百六十人ということになっております。
○岡田(利)分科員 考古学者とかアイヌ民族の研究者の意見などを総合いたしますと、鎌倉時代から北海道アイヌとの交流があったわけですが、最盛期には大体三万四千人前後ではないか、こういう説も実はあるわけであります。しかも狩獲民族でありますから、その分布はシカとサケの分布に大体比例をする、そういう分布状態であるということが実は述べられておるわけです。 そこで、本土においては同和対策の法律の改正、延長問題等が今日またあるわけでありますけれども、同和対策とこのウタリ対策の相違点というものがあると私は思うのです。したがって、同和対策とウタリ対策の相違点は一体何なのか、この点ひとつ伺っておきたいと思うわけです。
○世耕国務大臣 同和対策とウタリ対策はおっしゃるように非常に似ておりまして、つまり個人に対していろいろな政策がなされるのではなくて、地域単位でいろいろな施策が行われているという点が非常に似ているわけでございます。その一番基本になるのは生活環境の改善と社会福祉の充実、教育の充実、そういった点を中心にいろいろな施策がなされている、この点が非常によく似ていると思います。
○岡田(利)分科員 同和対策とウタリ対策の内容を比較検討してまいりますと、それぞれ各省にまたがっておって、文部省、労働省あるいはまた住宅問題では建設省と、それぞれウタリ及び同和対策の予算が計上されておりますが、しかし政策の相違点というのがあるわけですね。たとえば補助率等を見ますと、同和対策が優遇されておってウタリ対策の方は補助率が低い。問題は、同和対策とウタリ対策というものをどう認識をするか、それによって政策の視点というものは変わってこなければならないと私は思うのです。 歴史的な経緯から考えますと、特にアイヌ人は固有の文化も持っておるわけでありますが、そういう意味ではオーストラリアへ参りましてもアボリジニーの先住民族がおりますし、またニュージーランドへ参りましてもマオリの先住民族がおる。そしてその国家は、いずれも少数民族であり先住民族であるという観点でそれなりの積極的な保護政策をとっておるのが通例であります。いわば先住民族の問題で政策的にぴしっと視点の定まっていないのはどうもアメリカと日本ではないか、こう国際的によく言われておるわけであります。 ニュージーランドやオーストラリアの歴史と北海道の開発の歴史はそう違いがないわけでありますから、私は同和対策を越えろとは言わないけれども、少なくとも同和対策の水準、そういう視点でこのアイヌ人対策をやる、保護をするということはきわめて当然ではないか、こう思うのですけれども、同和対策とウタリ対策でどうして対策の方向が違うのか。これは各省に分かれておりまして、文部省のたとえば奨学金の問題についても補助率は違いますし、労働省の関係においてもそうだと思うのですが、それぞれどういう視点でこの違いが出てくるのか、お答え願いたいと思うのです。
○中島説明員 文部省といたしましても、ウタリ協会の方からの御要望もございまして、現在二分の一でございますが、これを三分の二にしていただくように毎年の予算要求に際しましては要望をしておるわけでございます。予算面で今日まで充実をしてきておりませんが、今後とも各省連絡協議会の場等を通じまして、ウタリ協会とも連絡をとりながら一層検討してまいりたい、こう思うわけでございます。
○菊田説明員 労働省の補助率も文部省と同じように、毎年の予算要求の際には同和と並べての予算要求ということで改善に努力をしているところでございますが、引き続き努力をしてまいります。
○中田説明員 建設省のウタリ対策としては住宅関係の貸し付けがあるわけでございますが、これは、北海道の市町村がウタリ住民の方々に住宅関係の貸し付けを行う場合に北海道がその原資の四分の一を補助する、その北海道の補助に対して国が二分の一を補助するという制度でございます。一方、同和対策の場合には、市町村が行います同様な制度の原資の二分の一を国が補助するということで、国が補助する補助率は若干違っておりますが、末端の個人に渡る場合の貸し付けの市町村に対する補助率でまいりますと、いずれも四分の一ということになっております。
○岡田(利)分科員 自治大臣、同和対策とウタリ対策でこのように違うわけですね。しかし、よって来る歴史的な経過を考えますと、まあ同じ日本人でありますから、政府は民族問題とはぴしっと言わぬでしょうけれども、しかく先住民族の問題ですね。それが同和対策の水準に達していないということについて、これは政策の方向性から言って問題があるのではないか。ところが、この連絡の事務局は北海道開発庁ですけれども、各省にまたがっているものですから、なかなからちが明かないといいますか、実はまとまった御意見を求めることができないわけなんですね。しかし私は、自治省がこの点について政策の整合性という面である程度の発言をなしてしかるべきではないか、こう思うのですけれども、御感想はいかがでしょうか。
○世耕国務大臣 お答えいたします。 確かにそういう差があります。これはこれからいろいろな協議会を中心にして話し合っていかなければならない点でございますが、こういうふうな形で開きが出てきました一つには、同和関係の場合は関西とか九州、四国というふうに非常に地域が散らばって広い分野にあるということ、それからウタリの場合は北海道のある地区におられる。こういった地域の広さの問題も確かにあるのではないか。それからもう一つ、差別、被差別ということに対する反応といいますか受け取り方ですね、そういうところにかなりいろいろな違いがあるのではないか。そういうことからいろいろな形で現在のような方向に来ているのではないか。先生おっしゃるように、いろいろな歴史的ないきさつから見ますと、これは大いに検討に値する問題だと思います。
○岡田(利)分科員 私は、それぞれ諸外国の先住民問題等の扱い方等を考慮してみますと、自治区を与える、アメリカあたりでもそういう例があって問題が起きておるわけでありますけれども、概してニュージーランドのマオリ人に対する政策、このことが私は一番参考になるのではないかなと思うわけです。オーストラリアの場合には、アボリジニーの場合には居住区を与えているという方式をとっていますけれども、どちらかといえばニュージーランドのマオリ人に対する政策、これが参考になるのではないかなと実は私は思っておるわけであります。そういう意味で、この問題については今後の問題としてぜひ検討していただきたい、私はこう思います。 この点、自治大臣は国務大臣として、特に同和対策、ウタリ対策、まあ北海道の場合は北海道として一県だといいますけれども、また北海道という単位は何なのかという問題もあるわけですね。十四支庁あって、面積でいえば、これは東北六県プラス新潟の面積、南でいうと九州、四国、山口県プラス沖縄の面積が北海道の面積でありますから、その範囲からいうと非常に広いわけですね。しかも分布の状態も調べてまいりますとそういう状況にあるということでございますので、ぜひその点は国務大臣としても、政策の整合性といいますか、そういう観点で御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○世耕国務大臣 おっしゃることもよくわかりますので、いろいろな点から、いままでその声がなくはなかったのでございますが、いろいろ北海道庁、それから各省にまたがることでもございますので、わが省の方も加わりまして、いろいろ検討しながらやっていきたい、こういう気持ちでおります。 〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕
○岡田(利)分科員 昭和五十年の七月に東京都の企画調整局調査部で東京在住ウタリ実態調査が行われて、調査報告書が出されておりますことは、これは自治省として御存じでしょうか。
○小林(悦)政府委員 自治省としては承知いたしておりません。
○岡田(利)分科員 これは非常に時間をかけて実態調査をして、調査の過程の報告の内容もここには含まれておるわけです。なぜ東京都はこういう在住ウタリの実態調査をしたかということは、東京に在住するアイヌ人が、ぜひアイヌ人として北海道のウタリ政策と同じようにわれわれにもひとつ適用できるものは適用してほしい、もし組織が必要であるとするならば関東ウタリ協会というものがすでに結成をされておるわけであります。ですから、同和の場合には確かにそれぞれの地域に、地域指定でありますけれども、同和は法律によって実は指定され、しかも予算が組まれておるわけですね。しかし、ウタリの問題は予算措置で、しかも北海道に限って政策を進めておるという点で、ウタリと同和対策の違いが実はあるわけであります。 先住民として認める場合には、やはり同和とは違ってその生活文化がある。また、ニュージーランドのような場合には、その地域以外の都市に来ても、たとえば公営住宅とかそういうものに優先的に入居させるとか、あるいはまた就職あるいは進学等についても、その先住民に対して一定の政策を行っておるというのがニュージーランドなどの場合の政策なんですね。 したがって、先住民問題で考える場合には、適用できないものを別に適用せよという意味ではありませんけれども、固有に適用できるものについては、私は適用してしかるべきではないか。また、そういう要望がすでに国会にも陳情書として出されていますし、東京ではそういう実態調査が行われておりますし、またアイヌ人の組織も、関東ウタリ協会という組織が形成されているわけですから、そういう意味では一歩進めて、これらについても固有に適用できるものについては適用するという点について検討願いたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○宇山説明員 現在政府におきましては、北海道のウタリ対策につきまして関係各省の連絡会議を設置いたしまして、その窓口として北海道開発庁が各省の緊密な連絡のもとにウタリ対策を実施してございますが、この北海道ウタリ対策は、北海道に居住しているウタリの方々に対するものでございまして、いまも先生御質問ございました、道外に居住する方々にどのような対策を講ずるかということにつきましては、基本的には地方公共団体の主体的な対応を尊重いたしまして、地域の実情に応じて行うことが必要であろうか、こう考えられます。したがって、現在国が協力して行っております北海道のウタリ対策も、このような観点から行っているものでございますので、御理解いただきたいと思います。
○岡田(利)分科員 その実態を把握するということは非常に時間のかかることであり、問題がまだ多いわけであります。私は、そういう意味では、原則はあっても、政策を展開する場合に、具体的な適切な手段、方法がなければならないと思うのですね。したがって、それぞれの自治体に住んでいるアイヌ人が、その自治体に対して、ぜひこういう固有の政策についての適用を受けたい。その自治体は、これはもちろん自治体が大体二分の一補助するわけでありますから、財政負担が伴うわけであります。しかし、財政負担が伴っても、自分の住民である以上、そういう要望について、国の方で政策を認めるならば結構ですということになって上がってきた場合は、私は適用ができるのではないかな、こう思うわけであります。 しかし、そういう実態がないのに、私は、一般論としてこれをやれ、やるべきだ、こう主張するのではないわけです。したがって、もちろんそういう場合には、アイヌ人はアイヌ人としてその自治体に登録をされるでしょう。しかも、自治体の意思として、それは自分の住民であるから、この点については北海道と同じように、道庁と同じように予算の財政負担をする、そういうように居住者のアイヌ人と自治体が合致をした場合にはその道を開くということがあってもしかるべきではないのか。 しかも、先ほど述べられておりますように、ウタリ協会の会員も、この政策が進められてから会員登録が多くなってきたわけですね。会員登録をしなければこの政策の対象にならぬものですから、したがって北海道ウタリ協会に登録をするわけです。関東ウタリ協会の場合でも、北海道ウタリ協会との連絡があるわけであります。ですから、その適用をされるアイヌ人と自治体の意思が合致した場合についてはその道を開いていいのではないか。そんなに数が多くないわけであります。先ほど申し上げているように、数については限定されているわけです。しかし、同和とは違った、先住民としての生活文化を持っておるわけであります。それを継承していきたいという熱意が関東においても実はあるわけであります。この点もあわせてひとつ検討していただきたいと思うのですが、自治大臣いかがでしょうか。
○世耕国務大臣 いまの規則でいきますと、つまりウタリ対策というのは、北海道のウタリの地域に対するいろいろな政策を行うわけで、それが道外へ出た場合の個人のような形の場合に当てはまるものというのは、いまのところたしかないのではないかというふうに思っております。これは同和対策の場合も恐らく同じような適用だと思いますが、これは自治体全般の問題になってくるので、これはよく検討してみなければならないと思うのでございます。やはり道外におられるウタリの方々に対しては、住んでおられるところの関係地方団体、公共団体の今後の対応の仕方を見ながら、必要があれば政府部内でいろいろな角度から検討をしなければならないのではないか、そういうふうに考えております。
○岡田(利)分科員 各省連絡会議があるわけでありまして、私はこの分科会を選んだということは、文化人である自治大臣が一番適切ではないかと思ってこの分科会に実は参ったわけです。したがって、いま私の述べましたように、文化の継承というのは相当長期にかかる問題です、短期な問題じゃないわけです。生活改善ということはある程度一定の目標に達すれば終わるでしょうけれども。そういう意味で、法律が必要なのか、必要でないのか。そしてまた、同和政策とウタリの政策についての整合性の問題というのはどうなのかという問題。それから最後に、いま大臣が述べられたこの問題についても、自治体とアイヌ人との間に、ウタリの会員の間に合意があって、ぜひそういう対策をしてほしいという実態が浮かび上がってきた場合には、その点についても、この三点については、ぜひこれからのウタリ対策の問題として御検討願いたい、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
○世耕国務大臣 おっしゃられることはよくわかりました。われわれも、このウタリ文化というのかアイヌ文化に対する詳しいあれはないのでございますが、何か一つの別な形のものを持っておりますので、これはやはり滅ぼしたくない、こういう念願を持っております。 しかしながら、先生のおっしゃる、道外へ出たウタリに対する対応の仕方というのは、おっしゃられることはよくわかりますので、政府部内でこれもいろいろな角度から検討しまして、何とか対処できるような方向で検討して、その結果をまたいろいろあっちこっちへ相談して決めていきたいと思っております。
○岡田(利)分科員 どうもありがとうございました。 アイヌ人の問題は、民族の相違だけではなくして、人種が違うわけですから、白色人種と黄色人種の人種が基本的に違うわけでありますから、そういう点で、せっかく国内にもいろいろな政策があって、その整合性がないという点についてはやはり私は問題が残ると思いますので、いまの大臣の御答弁で、ぜひひとつ御検討願いたいということを申し上げて終わりたいと思います。
○亀井(善)主査代理 これにて岡田利春君の質疑は終了いたしました。 次に、有島重武君。
○有島分科員 私は、行政区画の変更の条件は何かということと、災害の予防ということ、二点について質問をいたします。 戦後三十七年を経て、全国各県、各自治体、その居住人口もずいぶん変化をいたしておるわけです。それから、道路の整備等によって交通事情もずいぶん変わってまいりました。それから、河川工事というようなもので昔の区域が昔の川に隔てられておったのがいまでは大分事情が変わっておるというようなことがずいぶんあろうかと思うのです。行政サービスの上で行政区の区割りのあり方につきまして検討を加えていくお考えがないかどうか。
○砂子田政府委員 市町村の社会的な状態、そういうものの一体性というものをどういうふうに見るかという問題でもあろうかと思います。おっしゃられますように、最近のように河川の流れが変わってみましたり、あるいは人口の集団のあり方が大変変わりましたり、そういうことで、いろいろな形で町村の中の区割り、そういうものを考えなければならぬのは当然だと思いますが、ただこれは、そこへ住んでおられる住民の方々の生活と非常に関連の深い問題でもありますので、基本的にはそういう市町村の中における議会なり、あるいは住民の意向というものを十分把握しなければならない問題だとも思っております。生活の実態がどうしてもいまある町村よりも他の町村の方にはるかに近いのだというのであれば、そういう問題は恐らく地域的には提起されてくる問題だと思いますので、そういう問題を慎重に考えながら境界の変更なり、あるいは町村の合併なり、そういうことを進めていって合理的に直す方法はあろうと思いますが、ただ、昭和二十八年ごろございましたように、町村合併促進法がありましたように、政府が旗を振ってそこまでやるかどうかという問題になりますと、大変いろいろなむずかしい問題もございますので、いまのところ町村合併について旗を振ってというところまではまいりませんが、やはり住民との間の生活関連からいいますといろいろな問題がございますから、常々そういうことについては、そこの地域住民と行政体との間でよく話し合いをしながら進めていくべき問題だと思っております。
○有島分科員 全国で年間どのくらいそういったような問題、話があるのか。また、都内で、東京都内、一番いろいろ激しく動いているところであろうかと思うのですけれども、行政区画の変更等の事例がありましたらば教えていただきたいと思います。
○砂子田政府委員 わりあいに、東京都という中を見てみますと、町村合併促進法のときもそうでございましたが、余り合併が進まないという地域であるように思っております。しかも御存じのとおり、東京都は戦後三十五区ありましたものを二十三区に編成がえをいたしましたり、いろいろなことをしてやってまいりましたが、その後におきましても、最近でも都内における境界変更というのは他の県ほど多くはございませんで、四十二年に土地区画整理事業を行いました足立区と葛飾区の境界変更、あるいは昭和五十五年に土地区画整理事業を実施しました福生市と西多摩郡羽村町との境界変更、この二件かと記憶いたしております。
○有島分科員 合併とか、編入とか、あるいは組みかえが実現するためにはどういうことが条件になるのか、教えていただきたい。
○砂子田政府委員 行政区画を変更するというのは、一つは手続の問題がございますが、これは地方自治法に定められております規定に従いまして、議会の議決を経て知事が決定をするというのが一般的な市町村の境界変更あるいは廃置分合の手続の仕方であります。ただ、こういう合併なり境界変更が行われますのには、先ほど申し上げましたように、その地域における住民の意向、あるいは行政をしておる側からの、いろいろな他の市町村とのかかわり合い、そういうことを考えながらやっていくというのが一般的でありましょうが、一般的には、先ほど申し上げましたように、その生活の実態、あるいは社会的実態というものがどういうふうにその中に存在しておるかということを見きわめてやるのが普通だと思っております。 ただ、そのほかに、いま普通に行われております境界変更というのは、条件と申し上げますよりも、先ほどの東京都の例で見られますような、区画整理事業でありますとか土地改良事業とかいうのが大変多うございまして、それに従った入り組みを是正していくというのが大部分のいまの境界変更の態様でございます。
○有島分科員 どうもありがとうございました。 次に行きます。災害の予防につきまして、二つあろうかと思うのですね。ハードの面とソフトの面といいますか、設備の面と人の面といいますか、質問をさせていただきたい。 せんだって、二月八日未明にホテル・ニュージャパンの火災がこのすぐ近くでもって発生をいたしました。死者三十二名ということで、亡くなった方には御冥福をお祈り申し上げたいし、御遺族の方々に本当にお悔やみを申し上げたい。大変な惨事でありました。私もその日のうち、消えてからでありますけれども、すぐ現場に行って見てまいりました。コンクリートづくりのビルの火災としては延焼が非常に早かったし、広かった。テレビの報道も非常に生々しく報道されておりましたので、これは全国的に非常に有名になって長く記憶に残るものではないかと思うのですけれども、こういうことがありました。このことを後々の一つの大きな教訓としていかなければならないと思います。 報道によりますと、これは消防の方から防災対策の欠陥がずっといろいろ指摘されまして、消防庁もこの建物については改善の指示をたびたびやってきたのだ、しかし、その期待を裏切ってというか、あるいは案の定というか、今回の火災が発生したわけです。それでこの種の問題の施設といいますか、まだまだ都内だけでも相当数ある。全体の三分の一、三百四十一のホテルがまだ不十分なものである、不適格である、こういうような勧告がある。改善をせよというような勧告がある。ところが改善されない。この実情について消防庁の方としてはいろいろ御反省もおありになろうし、今後の対策もおありになろうと思うのですね。一体これはどうしていったらいいのか。とにかく一生懸命勧告はしますね、注意はしますね。だけれども一向に行われない。行われないうちに事故が起こっちゃったということですね。このことについて一体どうしようとしておるか。
○石見政府委員 お答え申し上げます。 去る二月八日未明、ただいまお示しにございましたように、ホテル・ニュージャパンで大きな火災が発生をいたしまして、死者三十二名を含みます人的被害を出した、ないしは物的被害を出したわけであります。これにつきましては、火災直後から所轄の東京消防庁におきましては、これまでのホテル側の対応あるいは東京消防庁におきます対応等を含めまして、実地検証を終えて検討を重ねておるわけでございます。 ただいまの御質問にございました問題点、今後の対応ということでございますが、問題点と申しますか、火災の原因のホテル側としての問題の第一点は、もうすでに御案内のとおり、消火設備の中でもスプリンクラーが未設置の部分があった、いわゆるハード面での不備があったという点が指摘されようかと存じます。 それから第二番目は、ホテル側におきます平素の自衛消防組織、自衛消防体制というものが不備であったということも言えようかと存じます。 三番目は、火災が発生いたしました当夜のホテルにおきます初期消火あるいは避難誘導さらには消防機関に対しまする連絡通報がまことに不十分であった。この三点。 さらに申し上げますれば、あの建物自体の建築構造上の問題点というものが指摘されようかと存ずるわけであります。 一方、私どもといたしましては、ただいまお話もございましたように、東京消防庁といたしましては、あの建物のそのような不備あるいは管理上の不備に、従前からそれを承知をいたしておりまして、改正法が適用になりました昭和五十四年以降、三度にわたりまして改善警告書を発し、あるいはまた年二回、定期の査察を行ってまいったわけであります。その不備事項の是正を図ってまいりましたが、その進捗状況がはかばかしくないということで、実は昨年九月に最後の切り札とも申すべき消防法十七条の四の規定によります措置命令をかけたわけであります。一年を限りましてスプリンクラーの完全設置を要請してまいりました。実は一年間の猶予期間を置いておったものでございますから、ことしの九月末には完成するということをホテル側とも話し合いまして進めてまいったやさきの事故であります。 東京消防庁といたしましては、その時点その時点の対応はしてまいったわけでございますけれども、それにいたしましても、法施行後、措置命令が出ますまでの間約二年半余りを経過しておるわけでありまして、この間余りにも時間がかかり過ぎたではないかという御批判に対しましては、この点は厳しく受けとめてまいらなきゃならぬというふうに存じております。 今後このような火災が二度と発生してはならないわけでありまして、私どもといたしましては、その後全国の消防機関に一斉に通達を発しまして、年二回の査察を徹底して行うということ、それからさらにまた、昨年五月から発足をさせております旅館、ホテルの例の適マークの交付の作業を早く進めるということ、それから第三点には、ただいま申し上げましたような中で、いわば悪質な消防法違反の旅館、ホテルに対しましてはちゅうちょなく措置命令を発する。と同時に、措置命令に従わない悪質なものに対しましては公表あるいは告発という厳正な手続をとることを強く要請をしてまいっておるわけでありまして、各消防機関におきましても、いまそのような方針での一斉の——特に東京消防庁におきましてはその後、旅館、ホテルの一斉点検をさらに重ねて現在やっておる最中でありますが、このような法に基づきます厳正な措置を機を失せずとることによりまして、今後再びこのような事故の起こりませんように精いっぱいの努力を重ねてまいりたいというふうに存じておるところであります。
○有島分科員 自治大臣に、いまの消防庁長官の方からの御説明を聞きながらお伺いをしたいのですけれども、消防庁としてはいろいろな分析をして、反省をして命令なども強化していこう、万全を期していきたい、こういうことでございますけれども、実際問題といたしまして、勧告や命令を出してもずるずると工事がおくれておるというのは、資金調達が困難であるという点が一番ではなかろうかと思うのですね。そうすると、改善のためにそれじゃ借り入れをしましょう、これは返さなければならない、そうすると経営が成り立たないというようなことがある。これは現実問題としてありますね。こうした状況の中でもって消防庁としてはこうせよ、こう言うわけだ。そう言われた方じゃ、ないそでは振れないというようなことになるわけですね。できないことでもとにかく言っておかなくちゃならぬ、言っておけば責任逃れにはなるだろうなんという、そういうことではないと思うのですけれども、結果としては事故が起こった。言っておいたのだ、こっちの責任じゃない、こういうようなことの中でもって被害者がまた新しく出てくるというようなことではしようがないと思うのですね。こういった点について、技術的な問題とは離れて、どういうふうに今度は措置をしていってよろしいのか、この辺のことをひとつ自治大臣から承りたい。
○石見政府委員 大臣がお答えになります前に、ちょっと事務的に御答弁をお許しいただきたいと存ずるわけでございます。 ただいま先生お示しにございましたように、消防用設備というのはいわば収益につながらない投資であるという考え方が一般にあろうかと思うのであります。私どもは、決してそうではございませんで、やはり旅館、ホテルというのは、いろいろな設備をなさる際にこのような防災設備というのは当然のこととしておやりいただかなければならないわけであります。しかも、それは消防法令に設置が義務づけられておるものでございますから、これを履行していただくことはけだし当然だろうと存じております。 しかし、そうは申しましても、ただいまお話にございましたように、その資金の問題というのがあろうかと存ずるわけであります。この点につきましては、スプリンクラーの設備でございますとかあるいは自動火災警報装置というような、いわゆる消防用設備の積極的な促進を図りますために、国におきましては相当以前より中小企業金融公庫等のいわば政府系の金融機関におきます特別融資制度を設けておりまして、長期、低利な資金の貸し出しをやっていただいておるわけでございます。また、別途現在、いま申しました中小企業金融公庫のほかに、国民金融公庫あるいは環衛公庫、医療公庫それから中小企業事業団などでもこの種の防災設備に対する融資を行っていただいておるわけであります。そのほか、各都道府県あるいは市町村におきましても、独自の融資制度あるいは利子補給制度等を設けておられる向きもかなりありまして、現在四十七都道府県、十政令市の中で、四十四の団体が独自でこういう制度もすでに設けられているわけでございます。このように、いままでもいろいろ融資について国あるいは地方団体でも努力をしてまいったわけでありますけれども、今後このような設備がやはり早急に設置せられなければならないということも事実でございます。私ども、なお、この融資制度の拡大につきまして、今後とも関係方面と精力的に接触をして、その枠の拡大あるいは対象事業の範囲の拡大等につきまして努力を重ねてまいりたいというふうに存じておるところでございます。
○世耕国務大臣 ただいま長官が言われたようなことになるわけでございますが、日本のホテルとか、こういう関係の消火設備、防火設備というのは、以前の建築法の基準に合った建物のところへ、以前は適法であったのですが、防火上、防災上非常に問題があるというのでそれを見直しをした結果、これじゃいかぬというので、ここを直せあそこを直せ、後からいろいろな命令が出まして改善しなければならないところが非常にある。つまり、いままでのものを壊して中にパイプをつないだり、いろいろな工事をやりますので、その点が非常に問題になるので、十年間の期間を置いて命令を、いわゆる防火設備のあれをやったわけでございますが、なかなか業者の方もそれに資金的についていけないということで、いま言ったようないろいろな政府機関の金融を優先的にやっていく方向でやってきたわけでございます。それでも足りませんで、結局、現在規則で決められているものをやると、まあそのホテルが倒産してしまうとか、これだけ金がかかるなら廃業した方がいいというような例が、横浜のシルクホテルなんか廃業してしまったわけでございますが、そういういろいろな事情がありまして、なかなか思うようにいかないというのが一つの難点であることは確かであります。 しかしながら、いろいろな災害を未然に防止していくためには何としてでもいまの法規を守ってもらっていくように仕向けていかなければならない。この点で、今後ともわれわれの方も民間に対してそういったいろいろな資金が活用できるように図っていかなければいけないのですが、ただ、余り悪質の、再三の命令に対しても聞かないようなホテル、いろいろな指示に対して全然それを守っていく意思のないようなところには、今度は逆に、資金は貸さないというような方向になっておりますので、その点が今後ともいろいろ問題になっていくところだろうと思います。悪質なものには貸さない、それから少しでも前向きに設備をつけていくようなところには貸す、こういう面があるわけでございます。これがどういうふうにこれから影響してくるかという点が、今後の一つの問題だと思います。
○有島分科員 そういった問題点があるわけです。これはやはり早急に関係当局、建設省もあるでしょうし、それから大蔵省もあるでしょう、積極的に詰めて検討を急いでいただかなきゃならない問題ではなかろうかと思います。ぜひともそれは急いでいただきたい。そのタイムリミットというようなものもあろうかと思うのですね。いかがですか。
○世耕国務大臣 これを公表の形をとりますと多分お客が行かなくなって倒産するおそれもなくはないのですが、どうしてもいろいろな社会的な責任もあるものですから、悪質なところは公表——この前衆議院の予算総会で理事会に公表しろといって、私はこれは全部公表するといろいろ社会問題になる面もありますので、だから悪質なところから公表に踏み切ろう、こういうことで、いまそれをリストアップしてやっていって、かなり強硬な措置をとっていかないとなかなか進まないのじゃないか、こういうことで決意を固めている次第でございます。
○有島分科員 私のもう一つの角度といたしましては、今度は人の問題なんです。もう時間がなくなってしまいましたのでまたのチャンスにまたやりたいと思いますけれども、あそこに行ったら、シーツとベッドカバーのようなものをつないで、窓からたれ下がっておりました。あれもテレビに映っておりましたけれども、あれをやった方はずいぶん心得のある方だと思うのですね。私だったらあんなことはとてもできないで、あわてて、煙に巻かれておったと思うのです。ああいう勇敢かつ沈着なことがとっさにできる、山岳部かなんかでもって鍛えたような方ならこれは別であろうけれども……。一方には、ハードの面でもっていろいろ防災設備をやっていく、これは大切なわけでございますけれども、人の防災訓練といいますか、避難訓練の問題ですね、これは何か現実的な訓練のマニュアルというようなものがあるのか、私は寡聞にして知らない。実はないのだ。いろいろ訓練をやっていらっしゃるのを見ております。災害の中でも地震災害というような角度もあるわけでございまして、これは、発生した一分の間はどう、三分間はどう、五分間はどう、ずいぶん違ってくるわけですね。それから後、終わってから、ほとぼりがさめちゃってからの問題もあるわけですね。人に対しての心得の問題といいますか、これが非常に大切なんじゃないかと思っておるわけです。それで、たとえばコンサルタントグループのようなものを指定するお考えはないかどうか、というようなことがあるわけだ。これもお考えいただきたい。 私は議員会館の七階にいるのですよ。四階から火事があったらどうしたらいいんだろうと思うわけ。だれと相談したらいいかというわけ。会館の事務の人に相談したって、さあ、とこうなんですね。ロープがあるか、縄ばしごがあるか。ある場所も知らない。多分ないでしょう。それからロープなんかの場合、ぼくたち素人がやれば必ずやけどをして途中でもって放します。上着でも外とうでも、あるいはベルトに一発はさんで、それでもっておりるというのが心得なんですね、腕に巻きつけながらおりるというのが。これ一つ知っていればそれでもって助かるわけ。そういう現実的な生々しい訓練というものは何一つないのですね。たまに何か袋の中ですっとおりるような、あんなことがいざとなったらできるのかしらと思われるようなことはやってある。それから煙に巻かれたときに、下から煙がどんどん上がってくる。その中で姿勢を低くしながら階段をおりることができるのかどうか、どんなふうにやるのか。ころげ落ちてけがをしてでも、命だけは助かるというようなこともあろうと思うのですね。そういうような生々しいコンサルタントがあってもよろしいのじゃないかと思うのですね。 それで、これは全部に強制するわけにはいかない。学校や何かでもってこういうことを教えろといってもあれかもしれないけれども、必要に応じてそういったコンサルタントが欲しい。だから派遣するというようなこともあってもよろしいのじゃないかと思うのですが、こういったお考えはありませんか。それで終わります。
○石見政府委員 ただいま御指摘がございましたように、火災が発生いたしました場合、とりわけビル等の火災におきましての一番大切なことは、初期の訓練だろうと思うのであります。 一つは消防機関に対しまする連絡通報、二番目は初期消火、三番目は避難ないしはその誘導ということが大変重要なことであることは間違いない、御指摘のとおりだと思うのであります。とりわけ避難誘導につきましては、一般旅館、ホテルにつきましては旅館、ホテルの従業員によります避難誘導訓練というものを必ず義務づけてやらせるということをやっておりますと同時に、宿泊客に対しましては宿泊の際に非常口の所在あるいは懐中電灯の所在等を明確にホテルの方で皆さん方にお示しをするというような方法をやっております。 それからなお、一般のデパート等におきましては、同じようなことで、企業におきます自主防災組織を通じましてお客の避難誘導等をやっておるわけであります。 ただ問題は、それぞれ各人がそういう知識、技術を身につけていただくということがこれはぜひ必要なことでございます。しかし、この訓練というのはなかなか、趣旨はよく理解をいたすわけでございますけれども、どういう方法で皆さん方の御理解をいただいてそれをやるかということなんであります。 この点につきましていろいろ、たとえば年二回の火災予防運動でございますとか、あるいはその他それぞれ地域に自主防災組織というようなものをおつくりになっておりますので、その際には必ず消防職員が出向きまして具体の指導をし、あるいはまたいろいろと教示をするというようなことをやっております。しかし、それでもっていまのいろいろなビル火災につきまして完全に国民の皆さん方がそのことが身についておるかといいますと、それは私は大変疑問だろうと思っております。今後具体的にそれぞれの国民の方々に、その際の、先生いまおっしゃいましたように、たとえばロープで逃げます場合でも、裸でロープを握りますと必ずやけどをして途中で手を放さざるを得ない。洋服に巻きつけますとか手袋をはめますとか、具体の問題として取り上げてまいらなければならぬと思っておるわけであります。今後、このようなことについてそれぞれいま申しましたように、その施設の管理者のいわば防火管理体制の一環としての訓練とあわせまして、国民の皆さん方に対しまするそのような日ごろの訓練あるいは認識を深めてもらうということを、消防機関としてはいろいろな機会を通じて努力してまいらなければならぬと思っております。 ただ、最後のコンサルタント業というものはできないかということでございますが、これはちょっとそういう向きを検討したことはないのでございますけれども、そういうことの訓練をしたいということでコンサルタントに頼むということに応ずる、そういうコンサルタント集団業だろうと思うのでございますが、よほどの消防についての知識、技能、訓練を経た方でなければ、なまじっかな知識では非常に危険であります。したがいまして、いまそういう人たちの集団グループをつくるということは、ちょっと検討したことはございませんが、なお今後の一つの研究課題だと存じておりますけれども、当面は何と申しましても、やはりそれぞれの消防職員が地域の方々の御要請あるいはそういうような企業の方々の要請に応じまして出ていきまして、いまいろいろとお手伝いをしておるというのが実態でありまして、こちらの方にも並行しながら力を入れてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○有島分科員 大臣がお聞きのとおりでございますけれども、たとえば消防庁に言わせれば、初期消火、はい消火栓、ここは消火器、こうなるのですよ。ところが実際には、何か見たら上着でもいいし座布団でもいいし、何でもいいから火を抑え込め、こういうことのはずなんです。お湯でもいいし水でもいいのだ。こんなコップでもいいのだ。本当に出たての火ならばコップ一杯で消せるわけですよというような、そういった具体性、現実性というものが非常に欠けておる。消火器というものは何か三分間ほどシュルシュルシュルと出るわけです。逆さにするとかいろいろな式があるとか、そんなことをやっておって幾ら訓練したって、あんなことでもってどうなるのかなという気持ちが半分あるわけですね。そういうようなことがあろうかと思います。 それから、私、「防災対策のために」という一つの提言をしたことがあるものですから、ひとつ差し上げますから、御参考にしていただければありがたいと思います。 それから消防庁さん、一遍私の議員会館の部屋にどなたか来ていただいて、万が一のとき、これは具体的にどうしたらいいのだろう、隣の部屋の人を助ける場合にはどうしたらいいのだろうと、具体的に一遍教えていただくようなことできますか。これをお願いしたい。
○石見政府委員 東京消防庁の所轄署とは十分連絡をとりまして、先生の御趣旨に沿えますように、東京消防庁と十分話をしてみたいと存じます。
○有島分科員 終わります。どうもありがとうございました。
○亀井(善)主査代理 これにて有島重武君の質疑は終了いたしました。 次に、野坂浩賢君。
○野坂分科員 自治大臣のほか皆さんにお尋ねをしたいと思っておるのですが、まず、来年度の地方財政計画は四十七兆五千四百二十二億、こういうふうに定められておると思いますが、そういうふうに確認してよろしゅうございますか。
○世耕国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
○野坂分科員 いまの第二次臨調で、地方交付税の率の問題についても財界の中で議論がある、こういうふうに聞いております。きょうの新聞等でも、国以上に地方公共団体は緊縮予算を組んでおるというのが全国的に紹介をされております。 私たちは従来、参加の時代、地方の時代と言われる最近の情勢の中で、交付税率を高めて、そのことによってむしろ、国民生活の安定充実が政府の基本目標でありますから、生活環境が整備されるという意味で交付税率の引き上げ、さらに一昨々年から私どもが提唱しております第二交付税、言うなれば公共事業中心に進める、こういうものを新たに一〇%程度、そういうものを考えたらどうなのか。最近では民社党もそれぞれ方針に挙げられておりますが、そのことの方がむしろ国全体から見て国民生活の安定に寄与するんではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでありますが、自治大臣としては最近の臨調の動き、そしてそれに対する見解、第二交付税設置問題へそれについてどのような御見解をお持ちですか。
○土屋政府委員 いろいろお話がございましたが、確かに昭和五十年度以来地方財政は収支の不均衡が続いておりまして、その間において、交付税法の規定に基づいて交付税率を引き上げなければならないような状況もございました。私ども、毎年度そういったことで大蔵当局とも話をしたわけでございますが、国も御承知のような大変厳しい財政状況のもとでございましたので、五十三年度以降、交付税特別会計における借り入れ、実質その二分の一を国が負担するということで実は今日まで来たわけでございます。 しかし、最近、おととしぐらいから、御指摘のように財界の一部でも交付税率の引き下げ問題が出ましたり、いま臨調で、交付税率の引き下げ問題が直接出ているとは聞いておりませんけれども、いろいろと地方財政のあり方についての議論の中でそういったことが取り上げられるような情勢もございます。しかしながら私どもとしては、五十七年度の地方財政計画において、収支が単年度としては均衡する見通しではございますけれども、五十七年度末においては、地方債の残高でも三十四兆、交付税特別会計の借入残高が約八兆ぐらいになる見込みでございまして、四十二兆ぐらいの借金をしょい込む、こういうことでございますから、簡単に地方財政がよくなったとは思っておりませんし、交付税率の引き下げなどは、いまの財政状況等から見て私どもとしては論外であるというふうに考えておるところでございます。 なお、第二交付税の問題についてもいろいろと御提案があるわけでございまして、私どもとしては、国、地方を通ずる行政の簡素合理化という点では補助金についていろいろと検討する必要があるし、特にその中で公共事業にかかわる補助金というものを一括して第二交付税的なものにしたらどうかといったような御提案も承知をしております。いま申し上げました地方の自主性、自律性を高めるといった意味で統合を図ろうという趣旨は十分理解できるわけでございますが、補助金の中には、国の全般的な施策、一定の行政水準を維持する必要がある、そういった意味から設けられておるものもございますので、直ちに相当多額な公共事業関係、建設事業関係の補助金を統合してしまうのがいいかどうか、これについてはいろいろ慎重に検討しなければならない面もございますので、その点については、従来から余り積極的なお答えは実はしてないわけでございます。 ただ、基本にございます補助金の整理統合といったような意味の意義というものは十分私どもとしても理解をいたしておるわけでございまして、今後そういった方面についてなお研究を続けたい、かように考えておる次第でございます。
○野坂分科員 五十七年度の予算をながめてみても、財政効率、経済効率というものを十分考えていかなければならぬ。しかし、政府は五十兆円に上るこの予算の中で、縦割り行政、たとえば庁舎一つをつくるにしても、通産省も建設省も農林省もみんな入って、縄張りで取っていこう。地方公共団体の場合は限られた財源でありますから、まず財政効率、これが一番緊急で必要だ、これは二番目だ、こういうふうに一応割り振りができてきて、効率はむしろ地方公共団体の方がいいだろう。そういう意味で第二交付税というものを、現状よりもさらに小さな政府という意味で、活力は都道府県あるいは市町村、地方公共団体に持たせた方がむしろ発展するんじゃないだろうか、こういうふうにいつも思いますので、十分御研究をいただきたい、こう思います。 そこで、いまも財政局長からお話しいただきましたように、交付税は、所得税なり法人税なり酒税なり、三税の三二%ということになっておるわけですから、国の税収というものについては、自治省としても異常な関心をお持ちであろう、こういうふうに思いますが、そう考えてよろしゅうございましょうか。大臣どうですか。
○世耕国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○野坂分科員 そうすると、五十六年度の税収見込み、十二月までの税収の伸びというのは大体一〇・三%でございますね。当初の目標を達成するためには、一月から五月の間二九%の速度でこれが伸びていかなければ当初目標を達成することができない、こういうことになっております。五月といいましても実質三月ということが大半でありますから、前の分を、二分の一を四分の一にしてこっちに引き取る、こういうこともございますが、いまの状況では、田中元総理の新聞発表によりますと、あらゆるコンピューターを駆使して、一兆円なり一兆五千億程度の税収不足が出るだろうということを述べられておりますね。政界に大きな影響を及ぼすだろうと新聞は報道しておりますが、まあこれは別にいたしましても、いまの状況から考えると、税収不足はあり得る、こういうふうに判断をしておりますけれども、自治大臣はどうお考えでしょうか。
○世耕国務大臣 私どもとしては、政府の経済見通しは、いま現在において行われる最大限の努力をして、いろんな経済指標とかそういうものを積み重ねた上でなされたものでございまして、実際はいま十二月までのあれは御指摘のような状態でございますが、三月末までのあれでは予定どおりの見通しが可能ではないか、このように考えておる次第でございます。
○野坂分科員 これは非常にむずかしいということを、あの強気な渡辺大蔵大臣も半分肯定をしておるわけですね。いまそれを、これだけ不足をするということになると予算委員会が混乱をいたしますから、なかなか言えない、済んだら言う、こういうようなことを言っておりますけれども、いずれにしても六月末にははっきりするわけですね。 あなたは地方公共団体を預かる最高責任者として、間違いなく税収不足がない、こういうふうに断言できますか。
○世耕国務大臣 これはいろいろ努力をしなければならないのでございますが、いろんな経済施策をやったり財政的な手を打たなければならないと思いますが、予定どおりいくものと期待しているものでございます。
○野坂分科員 すれ違いになりますから……。防衛庁書のよう期待と願望だけでは——そういうことはありませんが、私たちもそれは期待しておりますけれども、むずかしいということだけは申し上げておきます。間違ったときにはあなたの見通しは誤りであるということになりますから、その点は御銘記をいただきたいと思うのですね。 五十七年度の経済見通しは五十六年度の実績の上に立って組まれております。いまの貿易の状況なり輸出輸入の状況から見て、一ドル二百十九円で計算されておりますね。実勢は、きょうは幾らか知りませんが、二百三十円台だろう。そういう見通しの中、その点が一つ。 さらに、五・二%の実質成長を言われておりますけれども、内需四・一というのは非常にむずかしい。一つ、住宅の問題をとりましても、百三十万戸は恐らく実現不可能であろうというのが世評で言われておることであります。民間はみんな一斉にそう言われております。 そういう中で経済成長が四・一%というのは、たとえば先ほど私は経済企画庁長官と議論をしてきたのですが、公共事業の前倒しや災害復旧を当面やって対策を打ち立てなければむずかしいでしょうなあということでありますけれども、自治大臣としても、経済成長が、たとえば名目成長たしか八・四だったと思いますが、それが一%減になるということになると、税収というものはどの程度響くだろうか。一概に弾性値一・二だとか一・四とかを掛けましても、一つ一つやるわけですが、過去の実績からして、経験をお持ちの自治大臣なり財政局長は、それらを掛け合わせて、一%減になれば税収はどのくらい響くか、その点はどうお考えですか。
○関根政府委員 租税の弾性値につきましては、増減をいたします税目がどこへ集中するかによって大分変動いたしますが、従来の私どもの経験で一般的に物を言う場合には、地方税につきましては租税弾性値一・一というものを一応とっておりますので、一%落ち込むというときには、従来のそういう一般的な経験から言いますと、一・一%程度落ち込むということになるだろうと思います。
○野坂分科員 そうすると、金額にしてどの程度落ちてまいりますか。
○関根政府委員 こういう問題をずばり金額で申し上げるというのは誤解を受ける可能性があるわけでございますけれども、私どもは来年度十九兆の地方財政計画上の収入見積もりを立てておりますので、一・一%ということになりますとまあ二千億内外という数字が自動的に出てくるだろうと思います。
○野坂分科員 いまのお話を承りますと、地方税もそうですが、国から入る交付税はどの程度出てまいりますか。税収が三十八兆円として、どの程度影響がありますか。三二%で計算をして、一・一%をそのとおり掛けていいですか。
○土屋政府委員 なかなか正確には申し上げにくいわけでございますが、国税の中で交付税に影響しますのは国税三税でございます。これは非常に弾性値が高いわけでございまして、一・三にはなると思いますので、ちょっと三十八兆の中の三税部分の動きがどうなるか、にわかに数字は出しにくいのですが。
○野坂分科員 概略で結構です。大まかに教えてください。
○土屋政府委員 正確には申し上げにくいのですが、概略一千億前後ではないかと思います。
○野坂分科員 たとえば五十七年度二兆円の税収不足が出るという場合は、三二%掛けまして六千億ということになりますね。それで大体一千億程度ですか、たとえば二兆円税源不足が出た場合。
○土屋政府委員 二兆円減るという場合にどの部分が減るかということが交付税とは関連してまいるわけでございますから、二兆円減るといううちの、二兆円が全部三税でございますとまさに三・二%分がそっくり影響するということになるわけですね。六千四百億ぐらいは影響するということになります。
○野坂分科員 わかりました。相当な懸隔、差がございますけれども、ざっと地方税も交付税も相当の影響が出てくるというのが現状の見通しであります。 そこで、いまお話がありましたように、ことしは八年ぶりにとんとんになってきたということですけれども、この借入残高というのはすべてをくくると大体四十二兆円ある。いままでは二年据え置き八年償還ということでしたですね。五十六年ですか、五年据え置き十年償還ということになったのですが、そうしますと、いま厳しいからこういうことになった。償還に入って、六十二年から六十五年というのは大体一兆円近いものを返していかなければいかぬ、こういうことになりますか。どうでしょう。
○土屋政府委員 いまお示しのございましたように、五十六年度の地方財政対策を講ずる際に、五十、五十一、五十二年度の各年度に借り入れました額について、二年据え置き八年償還を五年据え置き十年償還、こういうことにしたわけでございまして、そういった形でピークが従来よりもずっと伸びて六十五年になるわけでございますが、そのピーク時において総額九千九百億円程度でございます。そのうち、実質的に二分の一は国が負担をすることになっておりますので、五千八十五億程度が地方団体の負担ということになっております。 いまお示しの六十二年度あたりは七千三百五十億円、六十三年が八千二百億円ということで、六十五年に九千九百億のピークになる。ただ、地方負担だけを申しますと、五千五百億になります。
○野坂分科員 地方負担の方が問題なんです。私の方は鳥取県といって、日本でも一番小さいところでして、交付税が動きますと、三割自治、二割自治と言われておる弱小県でありますから、重大な関心と重大な影響を持つということで心配をしておるわけです。 いまの情勢から見ると、地方債で借り入れる、それから特会から借り入れていく。特会の分は、半分はあなたの方、あなたというか自治省の方が見て、半分は県が見るということになっておりますね。そうですか。
○土屋政府委員 借り入れた部分につきまして実質的に二分の一ということでございます。実際に借入残高がふえる分の二分の一ということになっておるわけでございます。 ただ、この償還計画の中には、たとえば国の政策減税によって減税したものを借り入れて、返すときは国が全額持つとかいろいろなものがございますので、正確には二分の一とは申せません。しかし基本的には、おっしゃったとおりでございます。
○野坂分科員 ことし、五十七年度は、いままではそういうことだったけれども、あとは、だんだん財源が大変になれば、とりあえず地方公共団体持っておってくれ、後からめんどうを見るというようなことで、その場は何とか糊塗しますけれども、だんだん地方財政が圧迫されるのではないか、こういうことを心配しておりますが、そういうことは心配しなくてもよろしい、こういうふうに言えますか。
○土屋政府委員 先ほども申し上げましたが、五十七年度はいろいろと節減もいたしましたり、ある程度税収の伸び等も期待した結果、単年度で収支が均衡いたしましたが、交付税特別会計の借り入れも五十七年度末では八兆円ということになりますし、そのほか普通会計債が三十四兆円ぐらいに上りますので、今後その償還というものが大きな負担になってくることは事実でございます。 ただ、その結果地方財政がどうなっていくかということになりますと、今後の経済情勢等がどうなっていくかということもございますので、現段階において私どもは確たる見通しを申し上げるわけにはまいらないわけでございます。 しかしながら、私どもとしては、なるべく地方財政の健全化を図っていこうという考えが基調でございますので、今後の経済情勢、地方財政の状況を見て、必要な場合には一般財源の強化をする。その場合に私どもとしては、借入金の増加ということではなくて、やはり交付税等についても堅実な形で確保したい、そういう気持ちを持っておるわけでございますが、どのようにするかということになりますと、そのときの諸般の状況を考え、また国の財政状況等も含めて総合的に判断せざるを得ないと思っております。
○野坂分科員 いまもお話がありましたように、皆さんは地方公共団体の味方だと私は思っておるのです。大蔵省というのはなるべく削っていこう、こういう国のことを最優先に考えて、国全体のことを考えないで国家財政だけを考えておるというところに問題があるわけでして、見ておると、自治省の方が弱いんじゃないかと思ってはらはらしていつも見ておるわけですね。そういうことではなくて、この四十七兆五千億というものはことしは動かないし、そしてそのことを確保するために財源を特会なり地方債ということになって、それを認めるということだけで、あとはみんな府県や市町村に押しつけてくるということになればとてもやりきれない。 公共事業をようやらぬものですから、補助金まで切っておいて単独事業をやれ、県単独や市町村単独事業で景気浮揚をやれ、まことに勝手なお話でありまして、財源の多い大都会やそういうところはいいわけですけれども、われわれのような二千億や一千五百億程度の予算規模を持っておる公共団体、町村なんか、非常にわずかですが補助金も切られ、そして単独事業をやれと言われても、裏づけがないわけですからとても伸びがなかなかない。 きょうの新聞等をごらんになったと思いますが、読売か朝日だったと思いますが、非常に厳しいことが書いてある。こういう状況ですが、いまの県単独事業あるいは市町村の単独事業というのは予定どおり差がなく、最高は二二・五%もやっておるところがあるようですけれども、全体として地方公共団体の単独事業というものは進められておる、こういうふうに承知してよろしゅうございますか。どういう状況でしょう。
○土屋政府委員 いまのお尋ねに直接お答えします前に、先ほどお尋ねになったことでちょっと言い漏らしておる点をちょっと補足さしていただきたいと存じます。 五十六年度私どもとしては期待の国税三税の収入があることを望んでおるわけでございますけれども、実際に現予算の中では、必要な交付税というのは組まれておるわけでございますから、変動がございましても、本年度においては交付税の必要額は確保できるわけでございますので、その点は心配要らないと思っておるわけでございます。 そこで、五十七年以降の問題になりますが、特にいまお尋ねの単独事業につきましては、私どもとしては公共事業が三年連続横ばいといったような情勢の中でもございまして、地域によっておっしゃるようなところがございます。そこで、社会資本の計画的な整備と地域経済の安定的な発展に資するということで地方単独事業を八・五%伸ばすことにしておるわけでございます。この点については過去の実績等から見れば必ずしも十分に達成できてないという面もございます。 ただ、現実に五十六年度になりますと、公共事業が二年も横ばいであったということから、都道府県について見ますと、かなり積極的に予算に組んでおりまして、九月における補正の結果を見ても対前年度一〇、六%伸ばしておる、年度末にはもうちょっと伸びるのではないかと思っておりますので、府県においても、地方団体においてもそういうところへかなり力を入れてきたということが察知できるわけであります。 五十七年度は一体どうなるだろうか。私どもも、せっかくいま申し上げたような趣旨から単独事業を伸ばそうとしておるわけでございますが、ぜひそれを実効あらしめたいということで、できるだけ地方交付税、地方債等によって財源措置をしながら、一方では地方団体もできるだけ効率的な財政運営によって重点的にそちらへ財源を向けてもらいたいということを強く指導しておるわけでございますが、地方団体がやりやすいような仕組みというものを私どもも真剣にいま考えておるところでございまして、ぜひ実行させたいと思っております。
○野坂分科員 自治大臣なり財政局長からは非常にまじめな御答弁をいただいておるわけですが、御案内のように、地方公共団体も非常に厳しい状況であるということは意見の一致ができるわけでありますから、この点については十分御配慮を賜らなければならぬだろう、こういうふうに思っております。 特に、われわれのようなところは過疎地帯というものをたくさん持っておるわけであります。過疎地域はとられませんけれども、市町村は一般的に上乗せの分は六分の一というものを補助金を切られる、過疎と行政の格差が出てくる、こういう状況でありますから、特別交付税等は災害その他特異の事項の場合に出てくるわけですけれども、特に過疎地域における特交、そういうものについても十分御配慮をいただきたい、こういうふうに思っておるわけでありますが、最後に、現在の地方公共団体の財政の状態、財政の効率的運用は自治省から御指導いただいてもできないという中でやっていかなければならぬわけですから、勢いそういうことになっておるというのが現状でございますので、十分御配慮の上、過疎県、過疎地帯、こういうところについての行政的な格差が出ないように十分の御配意を賜りたい、こういうふうに思いますが、自治大臣の御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
○世耕国務大臣 過疎地域に対しては過疎債などをもって充てるわけでございますが、そのほか実態に応じまして弾力的に十分な配慮をしながら措置をしてまいりたいと思います。
○野坂分科員 これで終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて野坂造賢君の質疑は終了いたしました。 次に、金子満広君。
○金子(満)分科員 消防庁とそれから自治省に対して都市の防災、特に危険物である石油基地の問題について具体的に伺いたいと思うのです。 まず東京都の問題ですが、たくさんの石油基地があると思うのですね。古いもの、新しいもの、大きいものから小さいものからたくさんあると思いますが、消防庁は定期的にこれを検査し、また報告を受けていると思うのです。そういう中で不備なものあるいは改善、改修しなければならぬもの、そういうような点がたとえばこの一年間どのような状況であるか、概略で結構ですから最初にお答え願いたいと思うのです。
○石見政府委員 恐縮でございますが、数値につきましての御質問でございますのでちょっと御容赦いただきたいと存じます。お答えいたしますが……。
○金子(満)分科員 常に完璧ではなくて、若干の不備なもの、改善を要するものがあるということは私どもの調査でもわかるんですが、そういう上に立って具体的に伺いたいんですが、石油基地というのは万々が一にでも爆発あるいは火災を起こした場合に非常に大きな災害になるということは、一九六四年の新潟地震のときの昭和石油の火災、あの大惨事を見ても明らかだと思うのですね。これはもう三百五十二時間、十四日以上も燃え続けるという大惨事を引き起こした。それからまた、去年は横浜で米軍基地の中の燃料タンクが火災を起こしてこれも大きな惨事になり、世間にその危険の実態というものがどういうものかというのを再認識さしたと思うのですが、そういう中で特に人口密集地帯、過密都市における危険物の規制を一層強めていく、こういう点が各方面から望まれていますけれども、特に新しい基地をつくる場合は慎重の上にも慎重でなければならない。そういう点で、業者から申請があった場合に、許可するまでの経路といいますか、何を調査して、どこでどう見て最終的に許可するのか、しないのか、こういう経路と内容を簡単に概略説明していただきたいと思うのです。
○石見政府委員 危険物の設置につきましては、御案内のとおり、消防法の規定に基づきましてそれぞれの消防機関が許可をすることになるわけでございます。その際には、消防法にそのような危険物の設置につきまして非常に厳しいかつ細かい技術的規定を置いておりまして、その基準に合致をしておるということが当然の条件でございます。と同時に、あわせまして、単にその基準に合致しておる以外に、諸般の周囲の状況等も考慮いたしましてそれぞれの消防機関が許可をするという法律上の構成になっております。
○金子(満)分科員 そこで、諸般という言葉が出ておりますから関連して伺いたいと思うのです。 つまり、その石油基地それ自体の安全だけでなくて、たとえば周囲の生活環境とか、防災上どういうものであるとか、河川の保全の上からどうかとか、すべての面を総合的に見ていくことが必要だと思うのです。 そこで、具体的なことでありますけれども、これは東京都台東区橋場一丁目、隅田川べりに新しく三四物産株式会社が石油基地をつくるという問題なんですね。 これは足かけ三年になりますけれども、現在八百八十八キロリットルの貯蔵施設はあるわけなんです。これに対して、昭和五十四年の一月に、つまり三年前、所管の日本堤消防署に新設の下相談を出し、そして同年六月に設計計画の書類を提出して、五十四年十二月に許可されたというものです。それによりますと、現在の八百八十八キロリットルにプラス一千キロリットル、こういうことになるわけです。そうしますと千八百八十八キロリットルですが、その量というのはどのくらいかというので他との比較で申しますと、東京の都心部、台東、文京、中央、港、新宿、千代田の六区の中にある石油基地では佃二丁目の共同石油の三千キロリットルに続いて第二の貯蔵量を持つ大きな基地になる、こういうことになるわけです。しかも、都心部でありますから、共同石油の方は東京湾の十五号埋立地に自分の方から移転したいという意思表示を東京都の港湾局の方に申し出ている状態なんですね。私は非常にそれは良心的だと思うのですが、これに引きかえて三四物産の方はここに強引に基地をつくろうとしている。 御承知のように、この地域は靴履物産業という地場産業の密集地帯なんです。その周辺に八つの町会がありますけれども、町会全部反対なんですね。賛成ゼロなんです。これはこの種の問題では珍しいことなんです。全く党派抜き、全部反対という状態があるわけです。八町会内で約二万五千人生活しているわけですけれども、すでに足かけ三年になり、東京消防庁それから自治省や消防庁にも中止を要請するようにそれぞれの地域の代表と一緒に私も伺ったことがありますけれども、そこで大事な問題は、これが許可されたすぐ翌年、十二月に許可されて一月でありますが、三四物産の消防署に対する許可申請の中にうそがあったということが、だんだんわかってきたわけです。 そういう中で、一つは、五十五年一月二十二日に台東区の建築部長浅野英雄さんも入って三四物産とその地域の反対同盟の代表との間で、確認書が交わされた。若干紹介いたしますと、肝心なところは「今回の工事について、いままで三四物産の態度は遺憾であった。地元住民に理解していただかなければ、なかなか工事計画は進まない。御理解いただけるために最大の努力をいたします。なお、話し合いのつくまでは工事はいたしません。」強行突破をして始めたのですけれども、これで話し合いがつくまではやめるということを言い、「工事現場の現況は穴を掘っているがこの穴は即刻に埋める」こういうことで、昭和五十五年一月二十二日午後五時、三四物産株式会社取締役社長竹井省之助、三四物産石油基地建設阻止同盟委員長幅栄次、立会人台東区建築部長浅野英雄、こういうことで確認がとられ、今日まで至っているわけです。そしてこの確認書ができて間もなく、一月二十六日に東京消防庁に実は中止の申し入れに町会代表の皆さん、各党の代表も含めて私も同行しましたが、百三十名ばかり行っていろいろ実情を聞いてもらったわけです。東京消防庁の方からは総監の代理で総務部長、それから危険物担当の方も出席をされたのですが、実は三四物産の申請には地域住民に反対がないからということが書かれて出てきた、きょうこんなに反対があるとは全然思わなかった、公の席で東京消防庁の方は三四物産にだまされた、驚いたということまで出るような状況があったわけですね。 これは後でいろいろ調査してみますと、東京消防庁の日本堤消防署は、許可する前に前後三回にわたって三四物産に対して地域住民との話し合い、合意を得てくれということをさんざん言っているわけですね。ところが、それを実行しないで、三四物産の側は反対がないといううその申請をしてきているわけです。もちろん、消防法そのものには地域住民云々はありませんけれども、これは行政という上から見れば非常に大事なことだと思うのですね。東京都は、御承知だと思いますけれども、五十三年に中高層の建物にかかわる紛争の予防、調整に関する条例というのをつくっております。これは地下タンクですから中高層じゃありませんけれども、そういう新しいものをつくり、地域の住民にいろいろのトラブルが起こるときには調整に関する条例というのをつくりまして、少なくともどういうものをつくるかというのは地域住民に公示しなければならぬ、それでいろいろ紛争が起きた場合には説明会も開いてやらなければならぬ、知事にそれを報告しなければならぬという条例があるわけですね。もちろんこれはあるなしにかかわらず、そういう地域では住民の意思を尊重しなければならぬのは当然だと思いますけれども、これをやっていない。しかもうその報告をしている。所管の消防署を三回もだます。これは悪徳業者であり、私はペテンだと思うのですね。こういう点を行政上どういうように見るか、長官、ちょっと伺いたいと思うのです。
○石見政府委員 ただいま御質問のございました三四物産の件につきましては、いまお話にございましたように、三四物産の方から地下タンクとしてさらに重油を二基、灯油を二基、合計一千キロリットルのタンクの増設をしたいという意向表明が五十四年六月ごろに所轄消防署に来ておったようであります。そして許可の申請書が出てまいりましたのが五十四年十一月二十日でありまして、東京消防庁におきましては技術的な審査を加えまして、同年十二月一日に許可をしたわけであります。 その許可の際に、ただいまお話にございましたように、署といたしましては、この種の問題につきましては住民の方々とのいろいろなトラブルが間々起こるということも十分懸念をいたしまして、会社に対しましては、これを着工するに際しては住民の方々の同意を十分得てからにしてくれということを三回にわたって指導し、警告をしてまいっておったわけであります。そして会社の方もそのことを了解をしたという意思表示がありましたので、やるであろうというふうに考えておりましたところ、一方会社の方から同じく五十五年の一月二十二日に、いまお示しにありましたように住民の方々に対しまして、話し合いがつくまでは工事を再開しないということも確約をされたわけであります。 東京消防庁といたしましては、三度にわたるこのような指導を了とし、しかも会社の方では直接住民の方に話し合いがつくまではやらないということを言っておりましたのにいきなりやる構えを見せたということでございまして、その辺はだまされたと言っては非常に語弊がございますが、やはりそれだけの指導をし対処してまいったのに、そのような手続を経ずにいきなりやられたということは非常に残念に存じておるわけであります。 と同時に、御案内のとおり五十五年の一月二十六日には、地元の方々から都知事に対しまして、この処分の取り消しを求める審査請求が出ております。そして現在都知事の手元でこの審査請求の審議をいたしておりまして、やがては結論を出すと存じます。一方地元におきましては、すでに先生御案内のとおり、現在台東の区長さんを中心にいたしまして東京消防庁も入り、現地で会社の方と住民の方々を交えまして十回余りにわたって精力的に話し合いが続けられておりまして、伺いますところでは本日もその話し合いが続けられるということでございます。 いま申し上げましたような経緯でございまして、会社の方で住民の方々の了解が取りつけられるまでは工事はやらないと言われた約束は約束として守ってもらうということは当然のことだと思っております。またそれだけの努力をしなければならぬだろうと思っております。いきなりやるということについては、住民の方々も大変な不信感を持たれるということは事実だろうと思っているわけであります。現在そういう形で精力的に現地でいろいろ会合が持たれ、一方都知事に対しまする処分取り消しのいわば準司法手続的な審査請求も出されておりますので、私どもとしましては、この問題は何としても納得のいく円満な解決がなされますことを期待をしておるわけでありまして、そのような方向での東京消防庁からの相談をいろいろ受けておりますし、あるいは技術的な助言もいたしておるというのが実態でございます。
○金子(満)分科員 いまの長官の、話し合いがつくまでは工事はいたしませんということを守ることが大事だと言われる点は、地域の関係住民も大変心強く感ずると思うのですね。こういう問題は絶対ごり押しをしてはならない。そういう点で一層指導を強めていただきたいと思うのです。 それから同時に申し上げておきたいことは、この地域は近くに東京都がつくって指定した防災拠点白髪西地区というのがあるのですが、三四物産からその入り口までは二百五十メーターぐらいしかないのですよ。その防災拠点は約十三万人の人が避難できるということで、東京でも有数の近代的な拠点になっているわけですね。ここは台東区の方が四万二千、その他荒川、足立を入れて約十三万人になるわけですけれども、隅田川に面した三四物産の前の道路というのは現在でも緊急啓開道路になっている。緊急啓開道路というのは、緊急な事態があった場合には物資を運べるように障害物を取り除いて道をあける、そういう道路に指定されているわけです。さらにことしの九月には、これは防災関係の方々から常に言われていることでありますが、東京都がこれを避難道路に指定するという状況も出ているわけですね。同時に、避難道路になろうがなるまいがその道路は隅田川に面しているということで、関東大震災のときもそうですけれども、みんな川に向かって逃げてくるわけですね。そして今度は防災拠点に入るわけですが、そこを通過する人の数はおおよそ二万人から二万五千人になると思われるのですね。ところがそこに千八百八十八キロリットルの基地ができますと、これを運ぶタンク車ですか、タンクローリーもいっぱい出てくるわけです。 こういう中で住民がこれほどこぞって反対をしているのに三年越しに一歩も引かない、硬直状態だ。聞くところによれば区長も、三四物産がよければその土地を買い取ってもいいという話まで出るほど区を挙げてやっているのです。ところが、先ほどもお話がありましたように、もう話し合いを打ち切って早く着工したい着工したいということでありますけれども、この点は危険物の取り扱いということだけではなしに、特に過密都市における都市計画という立場からも、それから隅田川の河川の環境保全という観点から見ても、また隅田川は東京の名所でもあるわけですから、そういう美観を損ねないという点からもそうだし、何よりも防災拠点の目の前に、普通ならば小さい基地でもあるのを取り除くのがあたりまえなところを、都心六区の中で第二番目のものをつくるなどというのはとんでもない。 したがって、いまお話にありますように、これは総合的に見ていかなければならぬけれども、往々にして縦割り行政になりがちなんですね。どうも横が弱いという面などもあるわけです。幸いきょうは自治大臣もお見えになっているので、どなたもどこかの自治体でお世話になっているわけで、自治体以外のところで生活している人はないわけですね。生活の基盤は縦割り生活というのはないので、全部総合的にやっているわけですね、そういう点で言えば政府においても、総理大臣は当然ですけれども、総合的に全体のバランスをとって見るという点では自治大臣は非常に責任もあり、またそれをやっていかなければならない。自治大臣は総合大臣と言ってもいいくらいで、すべての面で矛盾も何も皆そこへ集中してくると思うのですね。こういう点を考えて、住民があれだけ反対をしているのですから、この住民の声を聞いて業者のごり押しは許さない。これはただでできるわけですから予算は一銭もかからないわけですね。そういう点では行革にも来年度予算にも全く触れないで指導でできることですから、その点を縦、横を総合的にやってもらう。私もずいぶん相談を受けたことがあるのですけれども、こんなひどい業者は初めてです。住民はみんな怒っているわけですから、住民の声を聞いて業者にごり押しをさせない。 同時に、いま長官も言われましたけれども、これは区長も入って再三やっているのですね。ですから自治省、消防庁も、こういう大事な問題ですから、ここの問題ばかりではなくて、今後過密都市あるいは全国にもいろいろのケースが出ると思うのですね。そういう点からひとつ現地の実情を直接把握するために、具体的に現地と言えば区当局とか町会の方々とか、もちろん三四物産とか、こういう三者の声を聞く、あるいは現地を調査する、こういう点でもひとつ積極的な姿勢を示してもらえないか、こういうことで、まず長官の方から伺いたいと思います。
○石見政府委員 三四物産の問題につきましては、ただいまも御答弁申し上げましたように、あるいはお示しにございましたように、現地で区長さんを中心にして大変御苦労をおかけしながら、精力的に話し合いを進めておられるところでもございます。一方また、都知事に対しましての審査請求というようなものも出ておる状況でございます。 私どもは、具体的には、東京消防庁とはいろいろ情報をいただき、あるいはまた御意見等も申し上げている仲でございますが、直接私どもの係官が現地に参りますかどうかというようなことにつきましては、今後、その辺の推移を見まして十分対処いたしたいというふうに存じておるところでございます。 なお、先ほどちょっと御質問がございまして、数値の御答弁がおくれたのでございますが、五十五年度の調査で、東京都内で危険物施設が、これは危険物施設と申しましても消防法上のいわゆる危険物施設でございますが、三万五千二百四十六カ所ございまして、これにつきまして、若干の問題ありということで消防機関で警告を発しましたものが八百十六件ございます。この八百十六件の中には、五十五年度内に四百八十三件がすでにもう是正をされております。残りますものは、なお引き続きそれぞれの所轄消防機関で精力的にその是正方の指導、努力をいたしておる状況でございます。
○金子(満)分科員 前の方の、推移を見てということでいいわけですけれども、推移とは将来のことではなくて、おっしゃるとおりきょうもやっているわけですよ。そうして、ああいう乱暴なものというのは、私も何回も現地に行っているのだが、見たことがないのですね。ほかの党の議員の方もみんな行っているわけですよ。とにかくもう話は打ち切りだ、打ち切れば、話し合いがつくまでというのはほごになるわけです。それでも突破しなければやっていけない、そういう形になっているので、東京消防庁、それから東京都も当然かんでいるわけだし、台東区の区長が一番骨を折っていると思うのですよ。正直、腹の中では厄介なものが起きたと思っていると思うのですね。それでも、あれだけ地域の住民の結束がかたい、全然崩れないほどかたいのですよ。そして、これだけでかい基地ができますと、これは大臣も推察できると思いますけれども、危険物があそこにあるからということで地価が下がるのですよ。こういう大変なことまで部分的には出てきておる。それで、もう早いところ引っ越した方がいいとか、いろいろな話まで出るくらいですから、その点はぜひ本庁としても、いま現地の声を聞く、そしてまた調査ということについては検討するということですから、その検討するということを進めていただきたい。このことも地元の人たちは強く望んでいるのですね。私は、そういう場合に、自治省、消防庁から係官が来て三者の意見を聞くだけでも、また聞きとか文書による短い報告というのじゃなくて、生の声が聞こえるし、やはり行政というのは現地まで出ていくというのが一番親切であるだけでなくて、生かされた行政になってくるという意味で、ぜひその点をお願いをしたい、こういうように思うのですね。その点は、後で大臣一言触れていただきたいと思います。 それから、いまの警告を発した件数は、私どもが予想したより多いのですね。これは、軽微なものももちろんあると思います。せんだってのニュージャパンの火災ではありませんけれども、起きてからでは済まないわけですね。私は、そういう点では、自治省、消防庁も大変努力をされ、そしていやがられることでも相当無理して言っていると思うのですよ。それはよくわかります。わかるけれども、今度のように石油基地を都心の真ん中に、しかも第二のでかいものをつくるなどというのは、これは一度つくってしまったら壊すわけにはなかなかいかぬですよ。だから、つくる前が大事なんです。賛成は三四物産のひとりなんですから。反対は全町会が反対で、行政の方も買い取っていいという声が出るほど真剣なんですからね。こういう点で、ひとつ行政上の指導を強めていただきたい。 その点、最後に大臣の所見を伺って、私の質問は終わらせていただきたいと思うのです。
○世耕国務大臣 こういう基地を建設するときは、どうしても周辺の住民の方々、それから自治体の方面に十二分な相談をして、何回もいろいろ討論をして、危険性が全然ないか、それから住民の方々が納得するかどうか、こういうことを十二分に慎重に配慮しながら、企画の側と住民の側と、それからそれを認可する自治体の側と、連絡をとりながら十分審議しなければならないと思います。 この場合は、まだ住民との協議が十分でないし、その過程でいろいろな問題が起こってきておるので、これは東京消防庁が直接の管理担当になりますので、こちらとしましては東京消防庁と十分打ち合わせまして、成り行きを見ながら、その協議の方向を見ながら、いろいろな方向でこちらも十二分に検討しながら手を打ってまいりたいと思っております。
○金子(満)分科員 では、積極的に対応してもらうということで、大臣、よろしいですね。
○世耕国務大臣 わが省が直接飛び出してあれするというと、事はなかなかむずかしいとは思うのでございますが、東京消防庁にいろいろ相談しまして、積極的にこの問題に対応していく所存でございます。
○金子(満)分科員 終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて金子満広君の質疑は終了いたしました。 次に、安藤巌君。
○安藤分科員 私も、自治省それから消防庁にお尋ねをしたいと思います。 ホテル・ニュージャパンの火災のことはしばしば出てまいるのですが、そのほかの日航機の墜落事故、こればかりではなくて、全国各地で消防署の職員の皆さん方は、国民の生命、財産を守るためにいろいろな御苦労を重ねておられるわけです。そこで、私は、消防職員の皆さん方の勤務条件、さらには勤務体制の問題についてお尋ねをしたいと思います。 その前に、大臣に一つ確かめておきたいのですが、それは、第八十七国会の当院の決算委員会で、私が当時の澁谷自治大臣に、地方交付税の算定の基礎となっている人数が、消防庁がつくっている消防力の基準、これよりも少ないという問題を指摘したのに対しまして、澁谷自治大臣は、消防は国民の生命、財産、身体を守る重大な使命を持っているわけだから、今後とも消防が目指している基準の達成に向かって一層の努力を傾けるという答弁をしておられるわけですが、こういうような基本的な考え方あるいは努力の方向、これはいまも間違いないというふうに思ってよろしいかどうか。
○世耕国務大臣 先生御指摘のとおりでございます。
○安藤分科員 そこで、その後三年近くたっているわけですけれども、どういうような努力をされたのか。そして、その結果いまどういうような状態になっているのか。これは、消防力の基準は人口十万について百十人になっていますね。ところが、その当時地方交付税の財政需要額の算定基準が十万に対して百三人であったわけですが、どういうような状態になっているか、お尋ねします。
○石見政府委員 ただいま先生御指摘をいただきましたように、五十四年の八十七国会で御指摘を賜りましたときには、まさしく消防力の基準によります消防職員数百十人に対しまして交付税算入百三人であったわけでございますが、その後、財政当局ともいろいろ折衝いたしまして、現在では百五人というところまで認めていただいておる次第でございます。
○安藤分科員 幾分か努力をしていただいたということは認めますが、まだ五人足らぬわけですね。 そこで、これは名古屋市の事例なんですが、具体的に、名古屋市の場合こういうふうにまだ不足しているのです。基準消防力三千三百八十人。ところが、現有消防力、これは職員の数だけですが、二千百六十九人。だから、まだ千二百十一人不足しているわけです。これは早急にという、いろいろな努力もしておられるのですが、このうち三百五十人だけは早急に当面充足したい、こういうふうにいろいろ努力しておられるのですが、これはまだ引き続いて消防力の基準を達成していただくように、それから、また後からもお尋ねしますが、それだけではどうも足りそうもありませんので、さらに努力をしていただけるのかどうか、重ねてお尋ねをしておきます。
○石見政府委員 名古屋市消防局を例に挙げての御質問であったわけでございますが、先生お示しにございました数値と名古屋市消防局が私どもに報告をしてまいっております数字は、ちょっと違っておるのでございます。その辺は、なお私ども今後名古屋市消防局とも十分詰めなければならぬと思っておりますが、若干違っておりまして、先生お示しの数字では基準に対しまして約一千二百人ぐらい足らないということでございますが、私どもへの報告では七百くらいの数値が出ておりまして、その辺、なお精査をしてみたいと存じております。いろいろこれは数値のとり方だろうと思うのでございますが、それはいずれにいたしましても、名古屋市消防局におきましても、足らないことは、まだ満ちていないということは事実だと存じております。最近の御案内のとおりの行政改革の中で、消防職員の増員というのはきわめて厳しい状況にあることは私ども十分承知をいたし、理解をいたすものでございますが、お示しございましたように、消防というものの特殊性から見まして、そのような中でもこの充実というものは図ってまいらなければならぬだろうと思っております。 人口十万都市の職員数を見てまいりますと、ただいま申し上げましたように、実際は交付税では百五名という見方をしておるわけでございますけれども、人口十万の都市、標準都市を見ました場合に、実態はまだ百名に満たないという状況なんでございます。したがいまして、結論から申しますれば、せっかく基準財政需要額の方で百五名は見ておりますが、実態は百名に若干足らないというような状況でありまして、交付税で見ておる額すらまだ確保ができてないという状況であります。それはもとより厳しい財政状況のもとでございます。同時に、消防についてどのような装備をし、職員を配置するかというのは、もとより市町村の市町村長さんあるいは市町村議会の御判断でございますので、私どもがその数値をもって悪い、いいという価値判断をするのは若干早計だろうと存じますけれども、そのような実態にございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほどの名古屋の問題ももとよりでございますが、全般的に今後消防職員の充実につきまして各市町村に強くお願いをしてまいりたいと存じておる次第でございます。
○安藤分科員 消防力の基準にまだ達していない地方公共団体もあるという話は、この前のときも議論があったのです。しかし、そういうところもあるけれども、ほとんどの都市は、特に大都市はもう九九%から一〇〇%までいっているし、そのために一生懸命努力しているという話を私の方からしまして、澁谷自治大臣が努力します、こうなっているのですから、話は蒸し返さないようにしていただきたいと思うのです。 そこで、消防の職員の皆さん方の勤務体制ですが、これは交代制がほとんどで、八〇%だ。これは後で、そうならそうと言っていただけばいいのですが、そして、そのうち一五%ぐらいが、東京都もそうらしいですが、三交代制をとっている。八五%はまだ二交代制の隔日勤務、こういうような状況になっているということですが、これは、そのとおり間違いありませんか。
○石見政府委員 現在、二部制、三部制をとっておりますのは、吏員数で見ました場合には、二部制をとっております消防本部に属します吏員の数が、割合にいたしまして六七・五%であります。それから、三部制をとっておりますのが一一・三%であります。これがいわゆる交代勤務でありますので、交代勤務をやっております職員の合計数は七八・八%となっております。したがいまして、全職員数から見ました場合、残りの一二・二%はいわゆる毎日勤務者でございます。
○安藤分科員 私がいま言った数字は、地方自治体の数で言ったので、あなたは職員の数でいかれたから、日勤者の分は減るわけですね。だから、そういう違いがあるんだろうと思うのです。 ところで、二交代制隔日勤務が相当厳しい労働条件だということは、私が申し上げなくてもいいと思うのですが、時間の関係もありますけれども、一、二だけ。 実態は十分調査しておられると思うのですが、中央労働災害防止協会の衛生管理士、医学博士の上野という人の昭和四十九年の調べで、ちょっと古いのですが、「名古屋市消防職員の「自覚的症状調べ」について」という研究結果があるのです。 これは、身体的状況の問題、それから精神的状況、それから神経感覚的症状というようなものを幾つか群に分けて調べておられるのですが、時間の関係で身体的状況の関係だけを申しますと、日勤者と消火、救急業務に従事する人たちとの間には、出勤してきて仕事をして退庁するとき、出勤したときと退庁時でどれだけ訴えの増加があるかというようなことを調べたのですが、非常に大きな差がある。 日勤者の方はプラス三・三%に対して、消火、救急業務に従事する人たちは一二・七%、実に四倍の負荷の高まりがある、こういうような指摘があるわけです。そして、その中身としては、一番高いのが、眠い、これは当然だろうと思うのですが、四六・六%。それから、目が疲れる、四〇・六%、頭がぼんやりする、四〇・〇%、全身がだるい、三八・一%、こういうような訴えが高いというのはやはり作業負荷の度合いの厳しさを示しているんだ、こういうふうに評価をしておられるわけなんです。ほかのところは省略しますけれども、こういうような相当な厳しい条件に置かれているということを御理解していただく必要があると思うのです。 そこで、東京都の場合も、しばらく前から勤務密度を高める、それから職務能率を向上させるというようなことで、途中に日勤の日を含めて変則三交代制と言われているようですけれども、先ほどおっしゃったように三交代制をとっておるところもあるのですが、まだ名古屋の場合あるいは大阪なども二交代制隔日勤務体制、二十四時間勤務、休み、また二十四時間勤務と、こういうような状態になっておるわけですね。だから、この関係について、どれほどの手続で、あるいは体制というか何かでもって消防庁の方から各地方自治体に対して物が言えるのかどうかは、一つ問題があろうかと思いますけれども、先ほどの消防力基準達成の問題についても、いろいろ強く要請をしたいということを言っておられたのですが、この勤務体制を二交代から三交代にするというようなことについては、消防庁としてはどちらの方が望ましいと思っておられるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
○石見政府委員 区々の実態にもよるわけでございますが、一般論として申し上げますれば、二部制よりも三部制の方が消防職員にとっては勤務の実態は楽と申しますか、その負担は軽くなるであろうということは、当然のことながら申せようかと存じます。ただ、その場合に、もし三部制をとりました場合、非常に大きな財政負担と申しますか、増員を必要とするということも、これは事実でございます。したがいまして、一般的方向としては、私どもは三部制というのはそのような意味での職員の勤務を楽にするという意味では好ましいと存じておりますが、すべてを三部制にする必要があるかどうかというのは、またそのような観点からの問題点。 それからもう一つは、何と申しましても、消防の出勤頻度が高いか低いかということも十分勘案しなければならぬ問題だと思っております。二部制でもって十分対応できるような消防本部で、あえてこの厳しい財政状況の中ですべて三部制をとれというのもいかがかと存じます。しかし、出勤頻度が高いとかあるいは連続勤務が常態のようになっておるというような部門につきましては、必要に応じまして三部制をするということも、私ども実態に即した解決方法として十分考慮できるのではないか。 ただ、いま申しましたように、これは非常に区々でございます。その部門につきまして、三部制がいいのか、あるいはまたその他の勤務条件の改善をやっていくのか、いろいろな問題とかみ合わせながら、あわせて財政問題ないしは最近の増員が非常に厳しい中を十分考慮しなければならない問題であろうと考えておる次第でございます。
○安藤分科員 おっしゃるようなことだろうと思うのですが、三部制にしますと、東京都の場合のように日勤の日が入ってくるわけですね。この日勤の日というのは、一般家庭の防火査察、これは第四種の査察というふうに言っておられるようですが、予防という意味ではこれは非常に大きな役割りを果たすと思うのですが、いまの状態でいくと、名古屋の場合で、一つの消防署当たり一年に二つの小学校区しか現在の二交代制の場合は回れないというのです。だから、これは一巡するのに数年から十年かかるというのです。こういう状態を一日も早くなくしていって三交代制にして日勤を入れれば、その日勤の日に、ほかにもいろいろ仕事があろうかと思いますけれども、一般家庭の査察ということに振り向けていけば、そういう予防という面でも大きな成果を上げることができるのじゃないかと思っておるのです。 そういう意味から、いまおっしゃったような出動頻度の問題等々、いろいろな状況があろうかと思いますけれども、さしあたっては三十万、四十万以上の都市とかあるいは五十万以上の都市とか、そういうようなところは三交代制の勤務にするようにというような方向でいろいろ物を言っていただくというようなことは必要じゃないかと思うのですが、どうでしょうかね。
○石見政府委員 ただいま申し上げましたように、各大都市にはそれぞれの実態がございましょうし、それぞれのまた財政状況を抱えておるわけであります。私どもが大都市に対しまして一律にそのような指導をするというのは、現実問題として非常にむずかしい問題もあるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、従来から全国消防長会を通じまして、全国消防長会の中にそのような職員の勤務条件についてのいろんな研究会を設けております。そういう場を通じましていろいろ大都市の実態というものを分析し、そして把握をして、何らかの方向づけと申しますか、お互いが納得できる結論を出したいということで、いろいろと従来からも研究を重ねてきております。 ただ、申し上げますれば、余りにも勤務実態が区々でありまして、いろんなことをいたすにつきましても、まず出発点をそろえなければならぬわけであります。現在、大都市のそのような抱えております勤務の実態というものを分析をいたしまして、そのようなことで全国消防長会と一緒になっていま研究を進めておるという次第でございます。
○安藤分科員 いまおっしゃったような経過を踏まえて、勤務体制の問題についても物を言っていきたい。そして、指導というのはちょっと何とかというお話ですが、それぞれの特別な事情があろうけれども、一般論としては二交代制よりも三交代制の方が望ましいと考えているということは、確認してよろしゅうございますか。
○石見政府委員 一般論として申し上げますれば、二交代制よりも三交代制の方が職員の勤務条件というものは軽くなるであろうということは、十分理解をいたしておるところであります。 ただ、いま二交代制でやっておりますところを三交代制に切りかえる、あるいは切りかえるにつきましても、全部切りかえるのか、特殊な職種だけを切りかえるのか、その際の増員はどうするのか、財源的にはいかがか、あるいはまたその他の市長部局職員全体の増員問題をどうするのか、いろいろな問題点がございますので、その辺は十分実態に即して検討してまいらなければならぬ問題だろうというふうに存じておるところでございます。
○安藤分科員 そこで、今度は労働時間の関係についてお尋ねをしたいんですが、これまで消防の職員の人たちは、労働基準法三十二条の一日八時間、週四十八時間の制限に対して特例の措置が設けられておったわけですね。それが来年の三月までで、四月一日からは適用がなくなって原則に戻る、こういうことになるんですが、その関係では消防職員の人員増というものは必要がないとお考えですか、あるいはあるというふうに消防庁は見ておられるのでしょうか。
○石見政府委員 消防職員の労働時間の問題につきましては、いまお示しにございましたように、六十時間という特例措置が、五十八年、来年の三月末で切れることになるわけでございます。消防庁といたしましては、これに対しましてかねがねどのように対応するかということにつきまして、全国消防長会とも十分話し合いを続けてきております。と同時に、その時点で一気にと申しましてもなかなか大変な問題点が生じますので、できるところから徐々に崩していって、五十八年三月三十一日にはこの特例規定の廃止に適応できるような状態に持っていくべきだということで努力をしてまいってきたわけであります。 これは五十五年四月一日現在でございますが、約二年ほど前の調査によりますと、全消防本部九百六本部の中で、四十八時間を超えます労働時間を定めておりました消防本部は五十九団体であったわけでございますが、いま申し上げましたように、かなり時間をかけてこれの崩しを始めてまいったわけでございまして、現在では、この五十九団体というのは、最終的には約半分の三十団体程度にまで減ってきておるだろうというふうに報告を受けております。なお、この三十団体につきまして、来年の三月までにどういう形で処理をしていきますのか、まだ問題が残っているわけでございますけれども、私どもはどのような処理方法をするか、直ちに増員と結びつけるのかあるいはいろいろな勤務の諸手当等によって処理をしていくのか、いろいろ実態があろうかと存じておりますが、いずれにいたしましても、労基法の特例の規定が来年の四月に切れるものでありますから、これには問題の生じないように十分指導してまいりたいというように考えておるところでございます。
○安藤分科員 いろいろの自治体でも努力をされていまおっしゃったような実態になっているということですが、先ほどお尋ねしたように、十時間、六十時間ではない、原則に立ち返った勤務時間ということになっているところはいいのですが、そうでないところが、先ほどの隔日勤務の二交代制という関係からすると、これは勤務時間が十時間が八時間に減るわけですからね。そうすると、いざ火事というときには出勤しなければならぬ、そういう待機の姿勢といいますか、それも拘束時間に入るわけですが、そういう時間はやはり確保しておかなくちゃならぬ。そうなると、拘束時間は一緒で、そのうちの勤務時間が短くなる。だから、相対的に勤務時間でない拘束時間というのが長くなるというようなかっこうになるのでしょうか。
○石見政府委員 一例を申し上げますれば、二交代制をとりましたときには、もう先生すでに御案内のとおり、一日ごとに出勤、休み、出勤、休み、こうくるわけでありまして、最後に二日続けて終日休みがぽんとくるわけであります。そこで、一日二十四時間を考えました場合、いまのような勤務形態では、たとえば十八時間勤務掛ける一週間で三日でありますから、それは五十四時間勤務、仮にこうなっておったといたしました場合、一日の二十四時間中十八時間勤務で六時間休憩、こうなっておった場合には五十四時間勤務をしておったわけであります。それが四十八時間になるわけでありますから、一日の二十四時間中十八時間の勤務時間を十六時間にいたしまして、それを掛ける三倍でありますから、四十八時間というふうにいたします。したがいまして、一日の勤務実態を見ました場合には、十八時間の勤務が十六時間勤務になって、休憩時間が六時間であったものが八時間に延びる。結局、たとえば五十四時間勤務しておった場合には勤務時間であったものが、毎日二時間、休憩時間に振りかえられると申しますか、休憩時間になるというような扱いになってくるだろうと存じております。
○安藤分科員 そこで、拘束時間も休憩時間、休憩一斉の原則というのはまだ特例で、一斉に与えなくてもいい、これは勤務の職種からいって当然だろうと思うのですが、いざというときにはとにかく数分以内に出動しなければならぬわけですから、幾ら休憩時間だといっても、私服にかえたりあるいはパジャマにかえて休むとかいうわけにもまいらぬというわけですね。だから、相当緊張を強制されると思うのですが、この拘束時間は、いろいろむずかしい問題があると思うのですが、労働時間だというふうに認めるという方向では、全く消防庁としては議論になっておりませんか。
○石見政府委員 休憩時間はやはり休憩時間であろうかと存じておりまして、ただ、先生おっしゃいましたように、休憩時間でございましても、火災出動いたしますときには直ちに出動しなければならないわけでありますから、その間はいわば拘束されるということになると思います。その点につきましては、労基法の施行規則の三十三条で、消防職員、警察職員は、もうすでに御案内のとおり、休憩時間といえども拘束しても構わないということになっております。そこで拘束時間になるわけでありますけれども、私どもは、拘束してもいいとは申しましても、根本はやはり休憩時間でございますので、その休憩時間中は、おふろに入るとかあるいは仮眠をするとか皆でしゃべるとか食事をするとかというようなことには自由に使っていただくことをいろいろ配慮しようと申しますか、しておるわけであります。したがいまして、先生御指摘ございましたように、休憩時間を労働時間にカウントするということはちょっとできないだろう。しかしながら、基本はやはり休憩時間でございますし、可能な限り、職員が一定の場所から離れてもらうことは困りますけれども、それ以外は、いわばいざのときに出動することさえできれば自由に過ごしていただくということをやっておりますので、それを直ちに労働時間にカウントすることは非常に困難、できないだろうと存じておるわけでございます。
○安藤分科員 その問題は、いずれ労働省の方ともいろいろ議論をしていきたいというふうに思っておるのです。 今度、私どもはきわめてけしからぬ話だと思うのですが、地方公務員の定年も六十歳ということになったわけですね。ところが、名古屋市の場合もそうですが、多くのところで消防署の職員の皆さん方は五十五歳あるいは五十六歳がどうも退職勧奨年齢というふうにいまなっておるようですが、六十歳ということになれば、これは逆な話ですけれども、延びるわけですね。そうなった場合に、これは名古屋のある署でアンケートをとった結果ですが、五十歳以上の人は、そんなに五十六以上六十まで働いたら殺されちまうというのがあるのです。だから、これはさっきの三交代勤務のこととも関連するのですが、そういう人たちに対して、いままでの火災あるいは救急に出動していくというようなことの回数を減らすとか、あるいは別の日勤の勤務につけるとか、そういうような方向で打開を図るというようなことは、消防庁としてはお考えになっておられませんか。
○石見政府委員 さきの地方公務員法の改正によりまして、昭和六十年の三月三十一日から六十歳を基準とする地方公務員の定年制が設けられたわけでございます。したがいまして、消防職員につきましても、原則として六十歳定年制が適用されることになるであろう、これはもちろん条例で決めることになるわけでありますけれども、そのように理解をするわけであります。しかしながら、いまお話にございましたように、消防職員は火災現場におきます警防でありますとか、救急あるいは救助のような、いわば非常に激しい仕事であります。日常の訓練等につきましても、われわれのような一般職員とは違った厳しい訓練を重ねなければならない職種でございます。したがいまして、今後私どもといたしましては、昭和六十年までの間におきまして、消防本部の規模でございますとか職員の構成割合、構成の状況あるいは在職年数等々の実態を十分踏まえまして、今後、お示しにございましたように、職員の配置転換、同じ消防機関の中での配置転換あるいは適切な勧奨制度の運用とかいうようなものも含めまして、六十年以降人事管理が消防機関としておかしくならないように現在十分指導しておるわけであります。 この点につきましても、東京消防庁を中心にいたしましての全国消防長会におきましても、各消防機関でこの辺どのように対応するかということもいろいろと検討を重ねておる状況でありまして、先生のお話の向きも踏まえまして、今後定年制制度というものによって特に職員構成なり消防力の低下というようなことが起こりませんように、十分指導してまいりたいと存じておるところであります。
○安藤分科員 時間が来ましたので最後に一問だけ、労働省からも来ていただいておるので、簡単に質問をいたします。 消防職員の団結権に関して、ILOの方から、団結権が認められるよう適切な措置をとることを希望するということを含めていろいろ意見が出されておるのですが、これに対してはどういうふうに受けとめておられるのか、お尋ねをして、これで質問を終わりたいと思います。
○齋藤説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、ILOにおきまして、わが国がすでに批准しておりますILO八十七号条約に関連をいたしまして、消防職員の団結権の問題がいろいろと言われております。日本政府といたしましては、関係省庁で構成をしております公務員問題連絡会議というのがございますが、そこにおきまして長期的な視野に立って慎重に検討を行うということにいたしておりまして、そういう趣旨でILOにも再三御報告を申し上げておるということでございます。
○安藤分科員 終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて安藤巖君の質疑は終了いたしました。 次に、阿部昭吾君。
○阿部(昭)分科員 選挙の問題と、それから地方事務官の問題についてお尋ねをいたします。 まず、選挙の問題でありますが、来年は地方統一選挙。この統一選挙につきまして、たとえば統一選挙の日取りに合わせて、その前後にあります市町村議員の選挙の投票日を仮に四月の何日かに定める。そういたしますと、従来三月に任期の来るもの、これを四月に選挙をやるというわけにはいかぬでありましょう。しかし、五月ないしはそのあたりにあるような選挙は一つにまとめよう、こういうようなことが毎回の選挙のときに起こってくるのでありますが、今度の場合もちらほらそんなような動きが伝わってまいります。自治省としてはどういうような対応をしようとなさっておるのか、お伺いをしたい。
○大林政府委員 明年に統一地方選挙を控えまして、また統一選挙の特例法を出すことになろうかと思いますが、従来四年おきに統一選挙が行われてきましたのを振り返ってみますと、御承知のように、昭和二十二年に一〇〇%の統一選挙が行われて以来四年ごとに経験したわけでありますけれども、その間、長の退職あるいは死亡、町村合併、いろいろな事情によりまして統一選挙に参加する選挙の数というものが次第次第に少なくなってきているのは御承知のとおりであります。これが統一選挙のあるべき姿として将来どういうふうに考えるかというのは、従来からの一つの懸案事項ではございました。そこで、明年に統一選挙を控えましていろいろ御意見が出ておるところであります。私どもも、いろいろな方面の御意見を伺いながら、来年の統一選挙をどうすべきか考えてまいりたいと思います。現在の段階では、まだ案というものを持っておるわけではございません。
○阿部(昭)分科員 まだ案はまとまっていない。余り先のものまで一つにしぼることは実際的でないと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
○大林政府委員 そのあたりの問題がほどほどの問題ということになるのでありましょうけれども、現在は三月、四月、五月、この三カ月の間に任期満了になるべき選挙を四月に行っておる、こういう姿になっております。 そこで、いろいろ御意見はございます。少し数をふやすために周辺を拡大してはどうかという御意見もあれば、あるいは数年前に地方制度調査会から御意見もございましたように、一年に一遍、一年間の選挙を全部一括してやるべきではないかという御意見もいままで出ておったわけでありまして、そういったいろいろな御意見を踏まえて、今後勉強をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○阿部(昭)分科員 法律的にはどういうことになるのでしょうか。たとえば、五月に任期が来るというようなものを四月の統一選というのは、法律上、原則論的には余り問題がないと思うのであります。しかし、三月に任期が終わるというものを四月にやるということになると、法律上これは問題なしと割り切っていいのかどうかという疑問を私は常々持つのでありますが、自治省はどういうふうに考えておるのか。
○大林政府委員 三月に任期が切れたのを四月に行いますと、一カ月あるいは一カ月ちょっと空白期間というものができるから、これはおかしいではないかというお話は前々からございました。そこで、従来、統一選挙の法律と申しますのは、一応三月の任期満了になる選挙についても四月に行い得るということにいたしておりますけれども、もし空白というものが起こって非常に混乱が起こっては困るという趣旨から、三月の任期満了の選挙については、別途本則に戻りまして、一カ月前以内、たとえば二月でございますね、二月に選挙をすることもよろしい、こういうふうな姿にいままでの特例法がなっておるわけであります。
○阿部(昭)分科員 もう一つ、最近、統一地方選挙と参議院選挙をダブルで行こうというような問題も伝えられておるのでありますが、参議院議員の半数の皆さんの任期、これと統一地方選挙の——いま統一地方選挙をある期間内にあるものはしぼろう、統一しようという問題等々考えますと、参議院議員の任期のところまで参りますと、相当の時間的なずれが出ます。これなども、参議院議員の任期の二カ月ないしは二カ月半くらい前にやってもまあまあとおっしゃるのかもしれませんけれども、実際の政治の運営としては、たとえば参議院議員が統一地方選挙とダブルでやられまして、四月中に参議院の選挙をやってしまいました、五月、六月ないしはもうちょっと任期が残っておる、しかしながら選挙は終わってしまいました。そういたしますと、その期間というのは、選挙はもう次はたとえば落選をいたしました、あるいは次は立候補いたしませんでしたということになりますと、実際上の政治の運営には相当すきっとしないものが出てくるというふうに思うのです。したがって、そういう意味で、私はおのずから限度というものがなければならぬのではないかというふうに思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。
○大林政府委員 参議院の選挙に関連してのお尋ねでございますが、そういう問題は別といたしまして、統一選挙自体のことを考えます場合に、余り早く選挙をやって、任期満了はまだ数カ月先であるというような姿は、これは恐らくはたとえば実質的に新しい長であるとか古い長であるとか、新しい議会、古い議会というものが事実上併存するような感じを持つということになりまして、地方行政に支障を生ずる面も出てくるであろう、こういう感じは私どもも持っておりますし、また、そういうことがないように、いままでは四月に選挙をするのであれば、せいぜい五月までの任期満了というものを対象にして一カ月くらいを後に残す、こういう姿で参っておるわけでございます。
○阿部(昭)分科員 私は、私自身の選挙を九回戦いました。大ぜいの同志やいろいろな皆さんの選挙というものにも長い期間かかわってまいりました。そういう意味で考えますと、選挙というのはやはり余り恣意を加えないで、もっと自由に伸び伸びとやっていいものなのではないかというふうに思うのです。特に自治体などの場合は、任期をまだ相当残しておって、その前にもう選挙が終わってしまいましたということになりますと、一面では、選挙では実際はたとえば首長がかわってしまっておるのです。残任期は相当あります。この期間は、実際上非常に迫力のない政治運営になると私は思うのです。民主政治の土台はやはり選挙であります。民意を問うて、その結果に基づいて政治運営を行うというのは、民主政治の基本だろうと私は思うのです。そういう意味で、選挙というものはそう一つのところにまとめ上げるとかいうことではなしに、もっとフランクにゆだねていっていいものなのではないかと思います。 選挙の運動面の問題でありますけれども、最近、特に各自治体で、本当は地方選挙でありますから、ポスターなどもそれぞれがみんな選挙法で定められておる枚数を張り出すことができるようになっている。そこのところは、自治体の中で、あるいは選挙に出ようという者がみんな集まって、公営掲示板一つにしようじゃないかというようなことでまとまりますと、地方でちゃんとそのとおりにやっておるところも案外たくさんあるわけであります。そういう意味で、法律というものは非常に重要な基本でありますけれども、特にいまの統一選挙を、相当まだ残任期があるのにぐっとしぼるとか、参議院議員選挙とダブルにするとなれば、相当無理をした仕方をやらざるを得なくなる。たとえばヨーロッパなんかに参りますと、第一回投票、第二回投票というのがわずかの期間内に二回も整々と繰り返されておるというようなところから見ますると、選挙というものは余り型にはめてびしびししぼり上げていくという形態はどうも望ましいものでないのじゃないかと思うのですが、大臣、そこはどうでしょうか。
○世耕国務大臣 お答え申し上げます。 私も、選挙は伸び伸びやった方がいいように思っておりますが、統一選挙の功罪といいますか、一つには、統一することによって選挙の数が多くなるし、候補者がいろいろな形で多くなってくる、それから活動がにぎやかになってくる、そういうことで一般の選挙民の意識を高める、こういう点を考えているということがあると思います。 それからもう一つは、各自治体の中で、選挙に対するいろいろな準備とか、選挙の事務上の手続をするためにいろいろな資金がかかるわけでございますが、この資金を二回に分けて選挙をやるよりは統一した方が経済的な効率がいい、こういうようなことから統一選挙ということが言われるのではないか、そういうふうに私は考えております。これは、それがいいか悪いかは別でございます。
○阿部(昭)分科員 日本も新憲法下三十数年間経過をいたしまして、それなりに民主的な、本当に民意が反映するようないろいろな状況はだんだん高まってきておると私は思います。大都会に参りますと投票率が非常に低い、地方に参りますと投票率が高いというあれはありますけれども、それじゃ都会の皆さんが選挙に無関心なのかというと、必ずしもそうではなくて、やっぱり何かがありますと、物すごい投票率になる場合もあるのであります。投票しなかった方々が選挙に全然関心がないのかということになると、そうではなくて、むしろ立候補する側の当面の政治課題に対する立ち向かいの仕方というか、そういうものの中で、実際都会の皆さんも決して無関心なのではなくて、投票しないのもまた政治に対する民意、いまの政治はだめよという意思表示の一つにもなっておる。 そういう意味で、いま統一選挙あるいは参議院とダブルにするとかいう問題になりますと、実際の問題としては、任期との関係では、逆に政治運営に好ましくない、いろんな影響の方が大きいという感じを持っておるのであります。したがって、特に参議院選挙などのことになりますと、これは各党間のところでなどということをよく歴代政府の方は言われてきておるのでありますけれども、ぜひひとつそういう面を配慮をしていただきたいということを希望申し上げておきたいと思います。 次に、時間がございませんので、地方事務官の問題。 労働省あるいは厚生省、運輸省等々あるわけでありますが、この問題に対して、従来、地方制度調査会あるいはいまの臨調等々の中でいろいろなことがやられておりますけれども、基本的には自治省としてはどういうふうにお考えになっておられるのかということを、ぜひ大臣にまずお伺いしたい。
○世耕国務大臣 この前から各省庁の責任者が集まって、この問題をいろいろ論議されたところでございますし、これは臨調でいろいろ御審議願っているところでございますけれども、自治省といたしましては、これはあくまで地方自治団体の上に立って、同じ側に立って物を考えていくものでございます。地方自治体は、この地方事務官をぜひ地方公務員にしてほしいという念願が強いものでございます。そこで、われわれの方は、運輸とか厚生とかいろいろございますけれども、ほかの省庁と若干違いまして、地方事務官はせっかく地方自治体の要求が強いので、臨調の答申を待った上で、臨調の方がぜひ地方公務員として扱っていただけるような結論を出していただきたい、こういうことを期待申し上げている次第でございます。
○阿部(昭)分科員 きょうは、本当は厚生省だけじゃなくて、労働省の方も運輸省の方もと思ったのでありますが、厚生省だけお願いしたのでありますが、厚生省の方のお考えはどうか。
○新津説明員 地方事務官の問題は、厚生省の関係では、先生御承知のように、健保とか年金とか、国営の社会保険を経営しているわけでございます。そういうことで、国営保険で収支を安定させるとか効率的な運用をするとか、そういう経営責任のある国にぜひ組織、機構、職員の身分も一元化したい。つまり、これも先生御承知のように、高齢化社会になってまいりまして、健保とか年金、いよいよ大事な時期を迎えているわけでございますし、細かいことになりますが、保険庁で集めております保険料収入も十兆二千億と十兆円の大台を超えている、これを国民のためにいかに効率的に運営するか、収支を安定させる、事務も正確にやる、そしてサービスもよくする、そういうことをやるためにこの仕事がどういう組織、機構、職員の身分でやるのが一番いいか、そういう観点から臨調で御審議を賜りたいと思っておりますけれども、これを機会にこの制度を廃止する——申し上げるまでもなく、地方事務官という名前ですが国家公務員でございますけれども、現状のままでこの制度を廃止するとすれば、国家公務員として国の一元的な体制で経営努力をさせていただきたい、かように思っている次第でございます。
○阿部(昭)分科員 大臣の方と厚生省の方では相当綱引きだという感じを持ちます。 基本的に行政の及んでいく先は全部住民なのですね。いまの時代は分権自治、そこに視点を求めていろいろな行政は展開をされるべきだ。そうでないとどうもコミュニティーというのがだんだんいろいろな意味で、いまのように縦割りでというのではなくてやはり地方で主になっていろいろなものをやっていくというのがこれからの時代なのではないかと思います。私の認識としては、厚生省も運輸省も労働省もこの分権自治というローカルな地方体制の中で、高齢化の問題も行政の中だけでは簡単にはカバーし切れない。特に福祉の問題なんかになりますとボランティア等いろいろなものを総合的に組み立てなければならない時代に入ってきたのではないか。そういう意味では厚生省の方も大胆に、清水の舞台から飛びおりるつもりで転換していい時期じゃないかと思うのですが、やはり縦割りでずっときておりますからなかなか簡単にはいかぬのだと思うのですけれども、再度……。
○新津説明員 先生のおっしゃることよくわかりますし、福祉サービスとかそういうものは、物によってむしろ自治体がやらなければいかぬものが今後ふえてぐると思います。ただ、これはあくまでも仕事の性質でございまして、たとえば年金を例に挙げますと、先生御承知のように、山形あたりでは冬場東京に出稼ぎに来る。そうすると、向こうで農業をやっている間は国民年金に入っている、東京に出稼ぎに来ますと厚生年金になってくるという例で、あるいはもう少し長い目で見ますと、年金というのは三十年、四十年働きまして、その間に職業も住所も転々とするわけでございますが、それを全部国で一元的に管理しておきまして高齢になったらその記録をつなぎ合わせて即年金を交付するという仕事でございまして、福祉行政や何かの多くが今後国と地方の機能分担でより地方で考えるという面があるのは重々承知しておりますが、事の性質、仕事の性質から見て、年金などはどうしても一つの国営の企業体としてやっていく以上、そしてまた、いま申し上げましたような職業や住所が移るというような前提を考えますと、年金などはぜひ国で一元的に経営体としてやらせていただきたい。しかし、その他のいろいろな問題については十分御議論のあるところでございましょうし、おっしゃることはよくわかるわけでございますが、保険として一つの形態としてやる以上は、年金に関しては国で一元的にやらせていただきたいというのが真意でございます。
○阿部(昭)分科員 たとえば私、地方の社会保険事務所などにもときどき出かけていって勉強するのでありますが、そういう意味で見ますと、実際は地方の市町村当局と物すごいコンセンサスをとりながら仕事を進めておるというのが実態なのであります。確かに社会保険事務所の第一線の仕事というのは大変な仕事です。事業所ともいろいろやらなければいかぬ、また自治体ともいろいろやらなければいかぬ、大変なあれがあるのでありますが、私の認識しております限りでは、社会保険庁、社会保険事務所の仕事もここまで年輪を重ねてきまして市町村と一体の方がいい、こういう考え方が高まってきておると私は思うのです。 しかし、日本の役所というのはみんないままで縦でずっとやってきておりましたから、あそこはおれのほうの縄張りであった、おれの方のあれであった、それが市町村や何かに行ってしまうのはかなわぬなということが上の方に行くほど強まるというのは、いまの時代に入ってくると一つの転換を遂げるべき時期なのではないかと思うのですが、重ねて……。
○新津説明員 私の説明があるいは不十分だったかもしれませんが、大上段に振りかぶった言い方で恐縮でございますけれども、健保なり年金なりというものがどういう組織、機構で運営されるのが一番国民のためにいいかということで最後は御議論いただかれるべきものだと思います。 そういう中で、繰り返しになりますが、たとえば国民健康保険なんかは市町村長が経営者になっております。こういうものは市町村の職員でやっているわけでございまして、保険としてやる場合にどういうやり方が一番効率的かということでございますが、どこで経営責任を負うか、国と地方の機能分担という場合にも国が経営責任を負うなら国で一元的にやる、あるいは医療保険など、たとえば都道府県営で医療保険をやる場合にはこれは都道府県の職員でやる。企業的な色彩が強いだけに、取る方も経営努力をしなければいけないし、給付も医療費の適正化など適正な給付をしなければいけない。社会保険というのは専門職でございまして、どうしてもかなり専門的な技術が要りますだけに、どこが経営責任を負うかということで、たとえば県営の医療保険をやるという場合にはこれは県でやるというふうに、経営責任との関係で考えていくのが妥当ではないかと考えておるわけでございます。
○阿部(昭)分科員 いまの段階でそう歯切れよくすぱっと言われない経過と事情も私は十分承知をいたしております。しかし、いまの時代の大きい流れは、第一線の現場業務が日常展開されておる形態等々から見ても、地域に生活しており、老齢化は老齢化、いろいろな意味で現状組み立っておる姿のほかに、今度はどうしてもボランティア、市民のパワーなども大いに生かしてこなければやっていけない時代に入ってきておる。そういう意味で見ると、いまのずっとあります縦を生活の第一線の場でどのように横の面で一つに仕上げていくかという時期に来ておるなと私は思います。 そういう意味で、いずれこの問題はまたしかるべき機会にぜひ御意見をお伺いしたいと思いますけれども、日本の行政の中にあります縦系列のものからできるだけ現地の現場にゆだねていく、現場で責任も持て、こういう姿に変えていくべき時期なのではないかと思いますので、希望を申し上げて、ちょうど時間になりましたので質問を終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて阿部昭吾君の質疑は終了いたしました。 次に、加藤万吉君。
○加藤(万)分科員 きょうは、海上自衛隊の基地における火災事故と消防法の関係についてお伺いをいたしたいと思います。 まず、防衛庁に先にお聞きしますが、五十七年度概算要求の中で海上自衛隊の厚木基地燃料タンクの増設をお聞きいたしました。その後新しい二基の燃料タンクの増設の計画が予算上確定をしたと思いますが、予算額とその規模、増設個所とその時期、さらに三つ目にはこの増設する理由がP3Cの新たな五機の配置の問題、加えて中期防衛計画の見直しの計画と関連があるか否か、以上四点について先にお聞きいたします。
○及川説明員 五十七年度厚木基地におきます燃料タンクの増設につきましては、ただいま二基というお話でしたけれども、一基分四千キロ、金額は約三億六千万を予算要求いたしております。 それから、五十八年度以降の計画については未定ということになっております。 それから、その工事の時期等でございますけれども、五十七年度予算でございますので、できることなら一・四半期には執行したいと思っておりますけれども、最終的には五十七年度末、五十八年三月までには完成させたいと思っております。 それから、中期業務見積もり計画との関係でございましたけれども、今回計画しております五十七年度のタンクは、直接は関係ないわけですけれども、一応五三中業というのには計画として載っております。
○加藤(万)分科員 増設する個所、それからいま一つは、先ほど五十八年度以降は未定だとおっしゃいましたが、中防計画、この見直しの中でP3Cの新規購入がいろいろ計画され、新聞でも報道されているわけですね。このことと関連して、あるいは、ファントムでもいいのですが、戦闘機の増機の問題と関連して、さらに五十八年度以降燃料タンクを増設する可能性というのはありますか。
○及川説明員 五十八年度のP3Cの配備計画につきましては現在検討の段階でございまして、未定ということでございます。燃料タンクにつきましても増設計画についても未定であるということです。 P3Cは五十六年の三機は厚木に配備する、それから五十七年度五機という予定は決まっておるわけでありますけれども、五十八年度以降は未定ということです。
○加藤(万)分科員 消防庁は見えていますね。長官にお聞きをいたしますが、実はいままで米軍の燃料タンクの火災がしばしばありまして、一番大きいのは最近小柴の事件でございますが、実は厚木の基地、今度海上自衛隊が配置をする場所は、いま基地がありまして、そのフェンスの北側から二百六十メーター、西側から三百五十、東側から百メーター、これは現在設置されている二基の状況でございます。今度防衛庁にお聞きしましたら、その隣に一基、四千キロリッターの——私二基と言いましたが、これは間違いで四千キロリッターの増設をするという計画なんです。ところが、これは五十一年度、当初の二基が計画されるときに、地元の市と——いまでは市ですが、当時は町です。いろいろやりとりがございまして、できる限りフェンスより内側、すなわち住居、住民地域よりも内側につくってほしいという相当なやりとりがあって、先ほど言いました地点になったわけであります。 ところが、この小柴の海軍燃料タンクの爆発事故がございまして、実はそれでずっと半径を引いてみました。そうしますと、おおむねいまの自衛隊の燃料タンクから見ましても五百戸ぐらいが火災延焼になる可能性がある。さらに加えて米軍の燃料タンクは実はそれよりもずっとフェンス寄り、いわゆる住民が住んでいるところに寄っているわけであります。小柴の場合には、幸いにいたしまして燃料タンクと住居との間に相当距離がございました。おおむね五百メートルくらいあったわけであります。 ところが今度の場合は、自衛隊の増設もそうでありますが、燃料のタンクのことですから、もし一つが爆発すれば誘発する可能性もあるわけであります。誘発しますと、これはいま言いました旧海軍飛行場、航空隊の燃料タンクを使用しているわけでして、ちょうど小柴の爆発した燃料タンクの構造とおおむね似ているわけです。これがフェンスから見て百メートル前後、すなわちそこを半径にしてぐるっと円周を描きますと約千戸ぐらいが実は火の海に入る、こういう状況にあるわけであります。 したがって、私は施設庁長官とお話をした際に、これから増設する燃料タンクは——私ども増設を認めるというわけじゃございませんが、基地の撤去が第一に重要であるということを申し上げると同時に、不幸にして今日の日米安保条約との関係から見てどうしても設置をする場合に、たとえば山と山との谷合い、私どもは谷戸という言葉で呼んでいますが、その地点が基地内にあるのであるから、そういうところに増設をするという計画をすれば、いま言いましたように半径五百メートルで円を引いて一千戸も火の海の中に入るという状況は免れるのではないか、こうお話を申し上げたわけです。 今後についてはいろいろ考えておきましょう、考慮に入れましょうというお話をいただいたのですが、実は五十一年の海上自衛隊の燃料タンクをつくるときに、当時の横浜防衛施設局長と綾瀬町長との間に念書が入っておりまして、「厚木海軍飛行場の燃料タンク六基を今後再建設する場合は、地元の要望を尊重し、安全性確保のため現在位置より更に内側に建設するよう米軍と調整し、これが実現に努力する。」こうなっているわけであります。これは防衛庁の方も、こういう念書のもとに実は五十二年に設置された当初の海上自衛隊の燃料タンクがあるということをよく認識をしておいていただきたいとまず第一に思うわけです。 第二、きょうは消防関係が主でございますから消防関係のことに話題を移しますと、その際に、同じく消防関係についても実は町当局と防衛施設庁の間にやりとりがございまして、最終的には同じく覚書の中に「新設燃料タンクについては、安全管理のため消防法に基づき消防署の監督及び検査を受けます。」実はこうなっているわけであります。これは海上自衛隊でございますからわが国の消防法が適用されて、その管理監督を受けるのは当然でございます。ところがいま申し上げましたように、もしも自衛隊のタンクが米軍側のタンクの爆発によって誘発をするといった場合には、一体この処置はどうなるのかということに疑問が残るわけであります。 大臣、御承知でしょうが、安保条約では警察、刑事に対する捜査権は条約上定められておりますが、実は消防上の定めというのが一つもないわけでございます。結果といたしましては、基地司令官とそれぞれの当該市町村との間に消防の契約がそれぞれ締結されているわけです。横浜でもございますし、それぞれ基地にはございます。ところが、これはいわば消火活動なんです。消火出動要請があった場合に、米軍の消防隊とわが国の消防とがどういう密接な連携行動をとるかということは書いてあるのですが、いま言いました管理監督ということになりますと、米軍の基地内における火災事故に対しては一切触れてないわけです。 どうでしょうか長官、いまのような場合、事実、小柴の燃料タンクが爆発した場合、しかも日本の自衛隊の燃料タンクと三百メートル前後しか離れていない。この場合、米軍の——共同出動は要請すればできますよ。それに対する監督権ないしは再発防止のための調査、そういうものについては今後どうお考えになっていらっしゃるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
○石見政府委員 米軍基地内の施設につきましては、ただいまお示しにございましたように消防法令が適用されておりません。したがいまして、消防といたしましては、ただいまお話にございましたように、万が一の出火の際にはお互いに、米軍と地元消防機関とが相互援助協定を結びましてこれに対応するということで、現にまた横浜の小柴の場合もそのような対応をいたしてまいったわけであります。 ただ、いまお話にございましたように、事前の、予防と申しますかそういう点については、米軍側の了解がなければ消防機関としては立ち入り調査というようなことができないわけであります。したがいまして、消防機関といたしましては常日ごろから米軍側といろいろ接触を持ちまして、その実態と申しますか、いろいろな情報交換をし、あるいはまた災害が発生しました場合の対応等につきましても、事実上常々接触を持ちまして対応してまいってきておるというのが事実でございます。 私どもといたしましては、今後、このような事故の発生に備えまして、地元消防機関といたしましては米軍に直接、あるいは状況に応じまして防衛施設庁にもお願いをいたしまして、そのような実態の把握なりを十分して、いざというときの対応に抜かりのないように措置をしてまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
○加藤(万)分科員 情報交換をされてふだん抜かりないようにしておる、こういうことですが、たとえばいまの厚木の基地の中で、四十九年の九月三十日、五十六年の五月一日、それぞれ油漏れがございまして、しかもそれが米軍側から通報されて住民が退避したのではなくして、実は民間からの情報で、どうも油漏れがある、しかもこれは火災になる可能性があるということで米軍側に知らせまして、結果として警察及び消防署からそれぞれ至急に住民に退避せよという要請も出されたわけですね。 こういう幾つかの事例があるわけでしょう。情報の交換が、たとえば厚木基地だけをとってみてもこの二つの状況があるわけです。しかも、油漏れをしたタンクは、小柴の燃料タンクと同構造、しかも同時期程度の、いわば古くなったものでございます。これだけの事件があれば、これはどこでもそうですが、今度の大火災事故でも、幾つかの小さな火災があって、あるいはぼやか、あるいはそういうふうになる可能性があったその積み重ねがああいう大火災に発展をしておるわけですね。ですから、事前の防止というものは、一つ一つの事件、そういう事件があった場合には一つずつ調査をし、検証をして、火災の再発防止の条件を整えなければならぬわけでしょう。 どうなんですか。この二つの事件がございましたけれども、これも消防庁は、この厚木基地には限定しませんけれども、幾つかの事件があった場合に、米軍との緊密な連絡というのはどういう形でとられているのですか。
○石見政府委員 地元消防機関と米軍との連絡あるいは日ごろの情報交換、接触というのは、私どもまだそれぞれについてすべて承知をいたしておるわけではございませんが、ただいま御答弁申し上げましたように、消防機関といたしましては、できるだけその機会を多く持つ、そしてそのような情報をできるだけ提供してもらう、あるいはまたいざの場合の警防活動に十分役立てたいということでせっかく努力をいたしておるところでございます。 今後、私どもといたしましても、やはりそれぞれの消防機関に対しまして、このような接触をできるだけ深く持つ、あるいはまた防衛施設庁のお力もかりるということを重ねてまいらなければならぬだろうというふうに存じておるところでございます。
○加藤(万)分科員 小柴の爆発事故がございまして、住民の人は小柴へ駆けつけたそうですね。もしあの火災事故があったらおれの家はどうなるのだろうか、当然そういうことが想定され、いままではなかったから、いやそんなことはございません、消防法上きちっとなっています、米軍側でもその意思を体して、それぞれ火災が起きないような条件は整えています、こう言っていままでは済んだわけです。しかし、昨年の小柴の事故があって以来、それが言葉の上でなくて現実になったものですから、住民の不安は率直に言って消えてないのです。 大臣御承知かもしれませんが、この厚木基地は第一次接収、第二次接収とございまして、蓼川というところの住民はその中に住んでおったのですが、だんだん追いやられて、基地の拡大とともに自分が一遍転居したその家に基地が近づいてくるという条件の中でいま生活が営まれているわけですね。そういう意味で、私は、いまの幾つかのささいな事件が起きた場合でも、消防は、米軍に対するないしは、自衛隊はまだございませんけれども、自衛隊の燃料タンク等のそういうささいな事故に対しても監督をする、あるいはときにはそれを調査をする、ぜひそのくらいの態度で臨んでいただきたい、こう思うのでございます。そこでいま一点お聞きをいたしますが、実は神奈川県には米軍基地は沖縄に次いで第二番目に多いわけですが、幾つか事故が発生いたしました。たとえば鶴見の貯油所ですね。これは五十四年七月二十七日ですが、エリア二の三〇六号というタンクに実は雷が落ちまして、この燃料タンクが爆発をいたしました。そのときに、実は七月二十七日に発生をいたしまして、その事故に当該消防が調査に入れたのは同年の八月三日です。ですから約一週間近くですね。この間に入って、どういう火災事故があったのでしょうか、それがたとえば避雷針の問題を含めてこうこうこういう処置が今後必要ではないか等々の話し合いが米軍との間に行われたわけであります。 ところが、今度の小柴の場合は、五十六年十月十三日に発生をいたしまして、消防署が入ったのが五十七年一月十九日なんですね。この間約三カ月ですよ。これはだれが見てもわかりますように、火災現場がそのまま保存されているということはほとんどないわけですね。三カ月たてば大体片づけが終わって、火災原因の追及あるいは調査などということは実際問題としてできない。ところが警察の方は逆に、十月十三日に発生をいたしまして、十月十七日に実は入っているわけですね。これは捜査権、いわゆる安保条約上の捜査という条件がありますから、それに基づいて、人為的なものではなかったかどうかという捜査を含めて恐らく調査が行われたと思うのですね。 この最大の欠陥は、安保条約の中にいろいろな地位協定がございますが、その不備だと私は思うのですね。結局、警察の捜査権は刑事その他を含めて入るけれども、消防に関しては、先ほど言いましたように当該市と米軍の基地司令官との協約になっていますから、結果的にはハイレベルの日米合同委員会まで話を持ち上げませんと、実は消防としてはその火災原因の追及と再発防止のためのいろいろな協議が行われない。ここに問題があるのではないかと思うのです。 ここでひとつ大臣に御答弁をいただきたいと思うのですけれども、鶴見の貯油所の場合には一週間前後で入れたわけですから、これはいいにしても、米軍基地の中の火災事故あるいは災害事故へのわが国の消防なり警察なりの対応が時間的にだんだん延びてくるというこの原因について解決するとすれば、日米合同委員会なりあるいはその中における、地位協定におけるいろいろな小委員会がございますから、そこに問題を上げない限り問題の解決はできないと思う。これは自治大臣に要請するのはどうかと思いますけれども、当然関係閣僚会議その他がございますでしょうから、この問題について御見解をお示しいただきたい、こう思います。
○世耕国務大臣 御指摘のように、米軍の油その他を貯蔵している施設というのは、当該の市町村と在日米軍との間の消防相互援助協定が結ばれていて、それによって運営されているのでございますが、御承知のようにこれは消防にとっては立入検査を直接やるというようなことができませんでその市町村を通じたり、あるいはもう一つは外務省とか防衛施設庁などを通じまして申し入れをして検査をさせてくれ、こういうふうなことになってくると聞いております。そこで、こちらは要求するんですが、受け入れる側の方はそれによってその都度いろいろな返答がありまして、仮に軍事機密に属する部署とか、それから火災の原因がどういうふうなことで発火したとなると、これは米軍の方で調べて、直接日本の消防庁の方の立ち入りはなかなか、延ばされるとか、いろいろな向こう側の答えとか判断がありまして、時間が、発生してから長引いてくるというようなことも起こっているようでございます。 そこで、うまくいっているときと、いま御指摘くださいましたようにずいぶん長引いているときと、いろいろ千差万別なようでございます。これは、日米合同委員会どうかというようないま御指摘になりましたこと、これも当然これから検討してまいらなければならないと思うのでございますが、今後その現地の方から援助協定について何か問題提起があった場合、その都度外務省、それからいろいろな、いままでも防衛施設庁を通じてやっていたんですが、これがどうしてもうまくいかないという場合、これは御指摘のような合同委員会というようなところに持ち込めるようなシステムにするということも今後十分検討していくべき問題だろうと考えております。
○加藤(万)分科員 うまくいかなかった場合——きのう第一分科会の方でうちの同僚の伊藤議員が、例の緑区の米軍戦闘機の墜落事故、せんだって奥さんが亡くなってしまったわけですが、実はこの問題を質問しているのですね。私も同じ基地から飛び立ったものですからよくわかるのですが、常に米軍から来るものは報告書でございますね。いわゆる事故原因に対する解明というのではなくて、こうこうこういう結果として事故が起きてしまいましたという報告書なんですね。 大臣、御存じでしょうけれども、あの場合にも、どこに起きたのか、たとえばエンジントラブルならばエンジンそのものを日本の技術陣に、神奈川県なら神奈川県に引き渡してもらって調査をしたいという申し入れをしたのですが、これまたけられているわけですね。せんだって私どもの藤沢では、民家からちょっと六メートルばかり離れましたけれども、飛行機の脚足のカバーですね、何というんですか、ちょっとここに資料を持っていませんが、落ちまして、これまた当該市からは厳重な抗議とその原因究明を要求しているわけですが、いまのところまだ全然返事がございません。 要するに、現地から問題が提起されたらじゃなくて、問題はもう何カ所か提起をされているわけです。それがどこかで行き詰まっている。そのどこかで行き詰まっているところが、どうも最終的には日米合同委員会や、あるいは航空機の場合には航空機事故調査委員会の方がどうも機能していない。火災の場合には私は当然小委員会が持たれておると思うのですが、その中に問題が持ち込まれ、また解決の道が見出されていない、そこに問題があるのじゃないでしょうか。 ぜひひとつこれは大臣、小柴の事故を一つの契機にいたしまして、私は消防署と、消防というものが単なる消火活動の出動の契約でなくして、地方自治体と米軍基地との間に結ぶものが、いわばその再発防止のための監督、監査、いわんやいま言ったように米軍のタンクはこれは入れませんけれども、日本の燃料タンクについては消防法上監督あるいは検査をします、こういうお互いの念書が交わされているわけですね。これは事によれば一つのパイプでつながっているのかもわからないわけですから、そういう面から見て、そこの接点の中で私は米軍側に問題を提起していくというのも一つの方法ではないか、こう思うのです。ぜひひとつ大臣から閣僚会議その他でこの問題の提起をお願いしたい、こう思うのです。
○世耕国務大臣 おっしゃられましたこと、今後とも大変重要な問題だと思いますので、いろいろ私の方から問題を提起しながら、関係省庁閣僚と協議をしてまいりたいと思います。
○加藤(万)分科員 最後に施設庁にお聞きをしておきたいのですが、横浜施設局と地元で結びました新たなる燃料タンクを増設する場合にはフェンスより奥行きに入ったところ、いわゆる基地の内側に入ってやりましょう。これは海上自衛隊の二基の新設をしたときの念書、対象は米軍の燃料タンクでございます。今度新しく新規のものが一基増設される。これはこの念書があるにもかかわらず、当時、先ほど言いましたように、北側から西側から東側からの何メートルの地点だから、それが町民と合意されているからいいという意味でその隣接地につくられるんだと思うのですが、私は、五十八年度以降いまのところはわかりませんというお話でございますが、もし五十八年度以降さらに防衛庁で言う基地機能の強化ないしはP3Cの問題の新しい増機計画、ファントムの問題を含めて増機計画等があれば、当然これは従来の三千キロリッタープラス四千キロリッターですか、四千キロリッタープラス三千キロリッターですかね、それでは間に合わない可能性もあるわけですから、その場合には、私は施設庁長官にも図でお示しをいたしましたけれども、ぜひそういう住民の住居地域と並んだ地点ではなくして、先ほど言いました谷戸のようなところに、多少工事費がかかっても、私は住民の不安な気持ち、先ほどの小柴の事件等を考えれば、新たなる条件として考慮されてしかるべきではないか、こう思うのですが、いまのところ未定だから答えができませんと言えばそれまでですけれども、そういう答えではなくして、もしも新規の増設がある場合ないしは米軍の燃料タンクの新しい構築、改築がある場合には、そういう点も考慮して建設の計画を立てる気持ちがありますかどうか、最後にお聞きしておきたいと思います。
○及川説明員 自衛隊の関係の燃料タンクでございますと、たまたまいま先生から御指摘ございました場所は、米軍専用地区の場所でございます。したがいまして、自衛隊としては現在のところそこに建てるといううわけにはまいりませんので、検討するにしても、相手の米軍のあれがありますから、交渉はしてみたいと思いますけれども、いろいろなむずかしい問題ではなかろうかと思っております。
○加藤(万)分科員 終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。 この際、午後一時三十分から再開し、厚生省所管について審査を行うこととし、休憩いたします。 午後一時九分休憩 ————◇————— 午後一時三十分開議
○亀井(善)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 主査が所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。 厚生省所管について、政府から説明を聴取いたします。森下厚生大臣。
○森下国務大臣 昭和五十七年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。 昭和五十七年度厚生省所管一般会計予算の総額は九兆百六十八億円余でありまして、これを昭和五十六年度当初予算額八兆七千六百四十二億円余と比較いたしますと、二千五百二十五億円余の増額、二・九%の増加率となっており、国の一般会計予算総額に対し、一八・一%の割合を占めております。 御承知のとおり明年度予算は、行財政改革の基本路線を堅持し、財政再建をさらに強力に推進するという厳しい状況のもとで編成されたものであり、厚生省予算につきましても歳出内容の徹底した節減合理化、限られた財源を最大限有効に活用するため各施策について優先順位の厳しい選択、給付の重点化、負担の公平化等の見直しを行い、将来にわたり社会保障制度を安定的かつ効率的に運営していくことを編成の基本方針としたものであります。 幸い、厚生省予算は、各方面の絶大な御理解と御協力によりまして社会福祉、社会保険、保健衛生等各般の社会保障施策の推進に必要な予算措置を講ずることができ、これにより福祉水準は全体として維持されたものと考えております。 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにして、国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力を傾注する決意であります。 昭和五十七年度の予算編成に当たりましては、真に必要な分野に重点的かつきめ細かい配慮を加え、各施策の合理化適正化を図ることといたしましたが、この際、私の特に留意した点を申し上げたいと存じます。 第一に、本格的な高齢化社会の到来を控え、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保並びにこれに必要な費用負担の公平化を図るため予防、治療、機能訓練等を総合的に実施する老人保健制度を本年十月に創設することとし、特に保健事業について重点的に配慮することとしたことであります。 第二に、昭和五十六年度の消費者物価上昇率は五%を下回る見込みでありますが、所得保障の中核であります年金制度におきましては、厳しい財政状況下ではありますが拠出年金の物価スライドを特例的に実施し、福祉年金及び遺族年金等についても改善を図ることとしたことであります。 第三に、低所得階層、心身障害児・者、老人等社会的、経済的に弱い立場にある人々に対しては引き続き着実にその福祉の増進を図ることとし、生活保護基準の引き上げ、身体障害者社会参加促進事業の充実、老人家庭奉仕員の増員等による在宅福祉対策の拡充強化を図るとともに、社会福祉施設運営の改善等を行うことといたしました。 第四に、国民の保健医療を確保するため、僻地医療体制の計画的な整備、救急医療、医療従事者の養成確保、母子保健対策、精神衛生対策の充実を図ることとしているほか、国民の健康づくりの推進、保健所等の整備充実、難病対策等の拡充を図ることといたしております。 以上のほか、生活環境施設の整備、原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、医薬品安全対策、血液、麻薬、覚せい剤対策、環境衛生関係営業の振興等につきましても、その推進を図ることといたしております。 以下、主要な事項につきましては、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。 何とぞ、本予算の成立につきましては、格段の御協力をお願いいたす次第であります。
○亀井(善)主査代理 この際、お諮りいたします。 厚生省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀井(善)主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔森下厚生大臣の朗読を省略した部分〕 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費であります。 生活扶助基準につきましては、昭和五十七年度における国民生活の動向等を考慮し、前年度に比し、六・二%引き上げることとしたほか、高齢者や傷病障害者等が大部分を占める少人数世帯の処遇改善、最近の男女の消費実態の格差縮小傾向に即した男女差の縮小、教育、出産扶助等についての所要の改善を行う一方、暴力団関係者等による不正受給には厳正に対処し、制度の適正な運営を推進することとし、一兆四百五十六億円余を計上いたしておりますが、これは前年度予算に比し五百三十七億円余の増額となっております。 第二は、社会福祉費であります。 心身障害児・者の福祉につきましては、昨年の国際障害者年を契機に一層の充実を図るため、障害者社会参加促進事業、在宅デーサービス事業、障害者福祉都市推進事業、心身障害児通園事業、精神薄弱者通所援護事業等の拡充に配意するとともに、特別児童扶養手当及び福祉手当の額を引き上げることといたしております。 老人福祉につきましては、在宅の寝たきり老人等に対する福祉サービスの拡充強化を図るため、家庭奉仕員の大幅な増員及び派遣対象の拡大を行うとともに、デーサービス事業、生きがい対策等についても引き続き充実することといたしております。 さらに、母子福祉につきましては、母子寡婦福祉貸付金の原資の増額、母子家庭等介護人派遣事業の父子世帯への派遣拡大、児童扶養手当の額の引き上げ等を行うとともに、妊産婦、乳幼児の健康診査、母子保健訪問指導事業、小児慢性特定疾患治療研究事業等を充実することといたしております。 社会福祉施設につきましては、特別養護老人ホーム、心身障害児・者施設等需要の多い施設の整備、老朽施設の改築等を積極的に推進するとともに、デーサービス施設単独型の整備、母子福祉センターの設置主体の拡大等利用施設の重点的整備に必要な予算額を確保いたしております。また、運営の改善に関しましては、職員の勤務時間の短縮に必要な業務省力化等勤務条件改善費を計上するとともに、入所者の処遇の改善につきましては、一般生活費の引き上げ、痴呆性老人のための精神科医雇い上げ費及びベビーホテル問題に対処するための夜間保育、延長保育等の経費の新規計上のほか、無認可保育所の査察を強化することといたしております。 以上のほか、児童館、母親クラブ等の児童健全育成対策の拡充、民間社会福祉活動の推進、地域改善対策等につきましても所要の措置を講ずることといたしております。 なお、児童手当につきましては、行革関連特例法に基づき所得制限基準額を引き下げるとともに、六人世帯の場合、年収三百九十一万円以上五百六十万円未満の被用者に対し月額五千円の特例給付を行うことといたしております。 以上申し上げました社会福祉費の総額は一兆七千百九十九億円余でありまして、前年度に比し二千二百四十億円余の増額となっております。 第三は、社会保険費であります。 まず、社会保険国庫負担金でありますが、政府管掌健康保険につきましては、七十歳以上の老人及び低所得者の場合を除く高額療養費自己負担限度額の改定、昭和五十七年度十月からの老人保健制度の創設を予定した国庫負担五千五百六十七億円余を、船員保険の疾病部門につきましては、二十七億円の国庫補助を計上いたしており、日雇い労働者健康保険に対する国庫負担等を含め総額六千六百八十一億円余を計上いたしております。 次に、厚生年金及び船員保険国庫負担金につきましては、昭和五十六年度の消費者物価の上昇率は四・五%と見込まれておりますが、特例的物価スライドの実施による給付の改善及びスライド実施時期の繰り上げを行うこととし、また、行革関連特例法に基づき保険給付費国庫負担金の一部を一時減額することとし、その経費として五千七百五十六億円余を計上いたしております。 また、健康保険組合に対する給付費臨時補助金につきましては十五億円を計上いたしております。 次に、国民年金国庫負担金でありますが、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆九千百八億円余を計上いたしております。 このうち、拠出制国民年金につきましては、特例的物価スライドによる給付改善及びスライド実施時期の繰り上げを行うことといたしております。 福祉年金につきましては、老齢福祉年金の月額二方四千円を九月から二万五千百円に引き上げることとしておりますが、扶養義務者の年収が六人世帯で六百万円以上八百七十六万円未満の場合につきましては二万三千三百円とすることといたしております。 障害福祉年金及び母子・準母子福祉年金の年金額につきましてもこれに準じた引き上げを行い、また、老齢、障害福祉年金の本人所得制限限度額を引き上げることとし、所要の経費を計上いたしております。 国民健康保険助成費につきましては、総額二兆二千三十七億円余を計上いたしております。厚生省としては予算要求に当たり当初現行の療養給付費に対する四〇%の国庫補助のうち五%相当額について都道府県の負担を予定したところでありますが、政府部内で協議の結果、特別児童扶養手当及び児童扶養手当とともに五十七年度は地方負担の導入は行わず、国民健康保険等について今後速やかに、国、地方の役割り分担を含め、医療保険制度等の全体の体系の中における制度のあり方について検討することとなり、これとの関連において、療養給付費補助金等については、会計年度所属区分の変更を行い、十一か月分の所要額を計上することといたしました。 国民健康保険助成費のうちには、療養給付費補助金、財政調整交付金、臨時財政調整交付金、国民健康保険組合臨時調整補助金などの経費が含まれております。 以上申し上げました社会保険費の総額は五兆四千四百二十八億円余でありまして、前年度に比し五百四億円余の減額となっております。 第四は、保健衛生対策費であります。 まず、生涯を通ずる健康づくりのための施策を引き続き総合的に推進するとともに、特に明年度からは、来るべき本格的な高齢化社会に対応し、国民の老後における健康の保持を図るため、壮年期からの疾病の予防と健康づくりをはじめとする総合的な保健事業の実施を内容とする老人保健制度を創設することとし、この事業の実施に必要な額を計上することといたしております。 また、地域医療対策につきましては、救急医療体制の整備、僻地中核病院等を中心とする僻地医療体制の計画的整備を推進するほか、医療資源共同利用対策の強化、医療情報システムの導入及び普及を図ることとしております。 また、循環器病、がん、脳卒中リハビリテーション等の専門医療機関の整備充実を図るとともに、新たに腎移植の推進を図るため腎移植オンラインシステムを整備することといたしております。 看護婦等医療従事者の養成、確保につきましては、看護婦養成所の整備、処遇の改善等を図るほか、看護研修研究センターに新たに助産婦養成所教員養成課程を設置することといたしております。 さらに、国民健康づくり対策の推進につきましては、保健所及び市町村保健センターの整備、市町村栄養改善事業、婦人の健康づくり活動等の推進、市町村保健婦の増員を図ることといたしております。 原爆被爆者対策につきましては、被爆者手当交付金について、医療特別手当等各種手当の改善及び被爆者介護手当の引き上げ等を図ることとし、所要の経費を計上いたしております。 難病対策につきましては、調査研究の推進、特定疾患治療研究費の対象疾患の拡大、小児慢性特定疾患治療研究費の対象範囲の拡大等の措置を講ずることといたしております。 以上のほか、精神衛生費については、新たに精神障害者の社会復帰促進のため通院患者リハビリテーション費を計上することとし、公的病院の助成、保健衛生・医療施設等の整備費などを含めて、保健衛生対策費は、総額四千二百三十一億円余でありまして、前年度に比し百三十三億円余の増額となっております。 第五は、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護費であります。 戦傷病者戦没者遺族等に対する年金につきまして、恩給の改正に準じた額の引き上げを行うとともに、中国に残留する日本人孤児対策の充実強化を図るため訪日孤児の増員のほか新たに調査団の中国への派遣、永住帰国受け入れ対策を講ずることといたしております。 また、引き続き遺骨収集、慰霊巡拝等を実施することとし、遺族及び留守家族等援護費として総額一千五百四十五億円余を計上いたしておりますが、これは前年度に比し七十三億円余の増額となっております。 第六は、環境衛生施設整備費であります。 まず、水道施設整備費につきましては、簡易水道、水道水源開発施設の整備等を引き続き推進するとともに、水道広域化施設につきましては、高料金対策として新たに広域化促進地域上水道施設整備の経費を計上することとして、九百二十三億円余を計上いたしております。 廃棄物処理施設整備費につきましては、第五次廃棄物処理施設整備計画に基づき整備を促進するとともに、引き続き広域廃棄物埋め立て処分場の整備を行うこととし、六百四十八億円余を計上いたしております。 以上のほか、食品、医薬品等の安全対策の強化、環境衛生営業の指導体制の整備促進、血液、麻薬、覚せい剤対策の推進、国際医療協力の拡充等につきましても所要の経費を計上いたしております。 以上、昭和五十七年度厚生省所管一般会計予算の概要を御説明申し上げました。 次に、昭和五十七年度厚生省所管特別会計予算について申し上げます。 第一に、厚生保険特別会計につきましては、厚生年金国庫負担金につきまして、行革関連特例法の規定に基づき、現行法の規定により繰り入れるべき額の一部について一時減額を行い、一般会計から一兆二千七百九十八億円余を繰り入れることとし、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 第二に、船員保険特別会計につきましては、厚生年金と同様に、行革関連特例法の規定に基づき、現行法の規定により繰り入れるべき額の一部について一時減額を行い、一般会計から三百四十八億円余を繰り入れることとし、歳入、歳出予算を計上いたしております。 第三に、国立病院特別会計につきましては、一般会計から九百二十八億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 第四に、あへん特別会計につきましては、歳入、歳出とも十七億円余を計上いたしております。 第五に、国民年金特別会計につきましては、一般会計から一兆九千百八億余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 以上、昭和五十七年度厚生省所管特別会計の予算につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。 —————————————
○亀井(善)主査代理 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○亀井(善)主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
○池端分科員 私はスモンの問題にしぼってお尋ねをしたいと思うのであります。 昭和三十六年に北海道の釧路市で、当時は風土病ではないかと言われておりましたスモンの患者が多発をいたしました。その後、昭和四十七年の三月にスモンの原因が整腸剤キノホルムであることが確定いたしましてから、ことしの三月でちょうど十年目を迎えようとしているのであります。この間における患者や家族の皆さん方の苦しみはもう筆舌に尽くせぬものがあったというふうに考えますし、また、薬害根絶のために不自由な体にまさにむちうってがんばってこられたその姿に、私は胸打たれる思いがするのであります。 そこで、このスモンの原因が確定してから十年目を迎えた今日、患者の皆さん方の救済の状況はどのようになっておるのか、まずその現状についてお尋ねをしたいと思うのであります。
○持永政府委員 スモンの患者さん方の救済につきましては、先生も御承知のとおり、裁判所による和解という形で救済を図るという路線がお互いに合意を見ておりまして、そういった形で和解が進捗いたしておりますが、現在の状況を申し上げますと、二月一日現在で提訴されました患者さんの数が六千二百八十人ございます。このうちいわゆる和解の対象者という方々、裁判所のスモンという鑑定を報告された方々と、鑑定がまだなくても判決でスモンという認定をされた方々でございますが、これは五千五百六十六人に及んでおります。この中で二月二十七日きょう現在、きょう実は金沢地裁で和解が一件成立することになっておりますので、それを含めますと、和解済みの患者さんの数が五千三百五十五人でございまして、いわゆる提訴患者の六千二百八十人に対しましては八五%、それから和解をする対象となりました患者さん五千五百六十六人に対しましては九六%という進捗状況でございます。
○池端分科員 二月二十七日現在、きょう現在、提訴患者数の八五%に当たる方の和解が解決をしたということでございますが、なお、きょう現在九百二十五人の方が未解決のままとなっておるわけであります。確かに八五%の解決という数字をお聞きすれば、問題は前進しているなという感じを受けるわけであります。そのことは否定をいたすものではありません。しかしまだ未解決の九百人の方にとってみれば、これは文字どおり一〇〇%解決しておらないわけでありまして、何らの救済措置も現在受けておらない、いまなお呻吟を続けている、こういう状況でございます。したがって、八五%の解決率とはいいますけれども、いまだこの九百名以上の方が未解決になっている。この理由は一体何なのか、その辺の事情を明らかにしていただきたいと思うのであります。
○持永政府委員 御指摘のように、現在、提訴患者の方に対しましては、九百二十五人という方が未和解ということで残されておるのは事実でございます。先ほど申し上げましたように、これは裁判上の和解という形で進捗を図っていく、こういうことでございまして、その裁判上の和解を始める前提としてスモンという鑑定が必要でございます。これは裁判上の鑑定でございますが、そういう鑑定が必要でございます。いま先生御指摘のように、九百二十五人の患者さんの中には、先ほどちょっと御説明した数字を差し引きしていただければおわかりと思いますけれども、七百十四人の方々については裁判上の鑑定が出てないということで和解がまだできない状況にございます。裁判上の鑑定が出ていわゆる和解の対象者となっている方々が二百十一人おられるわけでございまして、こういう方々に対しましては当然和解を進捗すべき対象ということが言えるわけでございます。この二百十一人の方々も最近鑑定が出た者も一部おられますし、また原告が和解を拒否しているという方もおられますが、しかし、この中の多くは和解に必要な証拠資料、そういったものの収集が十分でないというようなことから和解が進捗してないというような方々だというふうに推定をいたしております。
○池端分科員 未解決の中には原告の事情による者、すなわち和解を拒否されている者もいらっしゃる、あるいは最近鑑定が出た者もあるということですが、すでに鑑定が出ておって未解決の多くは、証拠資料が十分でないということですね。察するにいずれの会社の製品か特定できない、いわゆるノーブランド患者というのですか、こういうものだと思うのであります。しかし、局長、実際問題として初期に発見されたスモンの患者は、キノホルム剤を飲んだのはもう二十年以上も前の話なんであります。キノホルムが発売そして使用ともに中止になったのが昭和四十五年の秋でございますから、新しい患者でも薬を服用してから十年以上も経過している。かなりの歳月を経ているわけでございます。そういう方に対して、いまになってどこの製薬会社の薬を飲んだのか証明せよ、こう言われても証明書のとれない患者が出てくることは当然のことではないか、私はこう思うわけであります。だからこそ、たとえば昭和五十五年の六月に出されました札幌高裁の和解の勧告の中にも、国が三分の一、田辺製薬が三分の一、武田薬品と日本チバガイギーが計三分の一を負担するというような方式の和解が勧告されて、それは国も受諾をされているわけであります。 私は、この方式というのはきわめてすぐれた現実的な解決の方法である、こういうふうに思っておるわけであります。要は、いかにして厚生省が指導力というものを発揮して製薬三社を説得するか、ここにポイントがあるのではないか。ここがかなめだ、私はこういうふうに思っておるわけであります。その意味ではまさに厚生省の存在価値が問われている大きな問題だ、こう思うわけでありますが、局長、見解はいかがでしょうか。
○持永政府委員 先生おっしゃるとおり、スモン患者さん方がキノホルム剤を飲んだ時点というのはいまから大変古い過去のことでございまして、おっしゃるような事情は私どもとしても十分承知した上でこの問題に取り組まなければならないという考えを持っておることは事実でございます。 具体的に先生いま御指摘の札幌高裁勧告の問題がございました。札幌高裁勧告で五十五年六月に四名の人たちにつきまして、ノーブランドというような形であるけれども、御指摘のように、国が三分の一持つ、田辺が三分の一持つ、残り三分の一をチバ、武田という形で持って、和解を成立したらどうだという勧告があったのは事実でございます。 その後この問題につきまして、私ども具体的な問題としていろいろ調査、立証をいたしまして、その後すでに先生も御承知と思いますけれども、四名のうち二名の方々については和解が成立をいたしております。これは、原告側が大変御努力いただきまして調査、立証いたしまして、従来は投薬証明がないと言われていた患者でございましたけれども、そういった立証ができたということですでに和解が成立しております。 また、本日金沢からも、ノーブランドの問題と言われる方につきまして二名の勧告が出ておりますが、その人たちにつきましては、すでに昨年の十二月に一人、きょう一人ということで二名の和解が成立しておるわけでございます。 私どもといたしましては、こういった形で具体的に患者さんの立証の努力あるいは弁護団側の立証の努力というものに大いに敬意を表しておるわけでございますが、会社側に対しましても、こういった古い、過去の問題でございます、したがいまして、会社側にとっても会社側の社会的責任というものを十分自覚した上で、そういった問題について弾力的な柔軟な対応をしてほしいということを私ども再々伝えておりますし、大臣からもまた先般、そういった趣旨で会社側に対する柔軟な態度、弾力的な姿勢を特に御指示いただいた次第でございまして、今後ともそういう方向でこの問題について具体的な現実的な解決の道を見出していきたいというふうに考えております。
○池端分科員 患者が投薬証明書を手に入れる苦労はそれこそ並み大抵のものではないわけであります。このことは局長も十分御承知のところであります。 ここに一つのケースがございます。これは現在札幌地裁に提訴しているAさんの場合でございますが、この方は昭和三十五、六年当時入院しておりました病院が火災に遭いまして、カルテ等はすべて焼失をいたしました。担当の医師も昭和四十四年に死亡ということで全く手がかりがつかめなかったわけであります。ところが、その後八方手を尽くした結果、ようやく当時の婦長さんを探し当てまして、その婦長さんの記憶から、当時その病院で薬剤師を勤めておられた方が現在静岡県の某病院の薬剤師をされている、こういうことを突きとめまして、そしてその薬剤師さんの証言で当時の担当医師がエマホルムを使用していたということが判明をした、こういう経過のケースでございますが、そこに至るまでも大変な努力を要したわけであります。 しかし、これなんかはまだ私はいい方だと思うのであります。患者さんに会っていろいろお聞きしますと、お医者さんから門前払いを受けた、こういったようなケース、あるいはすでに病院は廃業、お医者さんも死亡、こういうようなケース、あるいはまた当時の看護婦さんや問屋を調べる、こういうような必死の努力を重ねても患者にとって証明を得ることができないケースも多々ある。これが今日の状況でございます。 こういうような場合に患者の救済が放置されていいというふうには私は思わないわけであります。ですから、そのためにも厚生省がやっぱり強力な行政指導を行って、この患者救済のために尽くすべきである、そのために厚生省というものが存在をするわけでありますから、その権限を行使してこの患者救済に尽くすべきだというふうに私は思うわけであります。ひとり患者の責めに、立証責任があるからということで押しつけるというような方法をとるべきではないと思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
○持永政府委員 確かに先生御指摘のように、患者さんがこの問題について立証を得るというのは非常にむずかしい問題もあるかと思います。この患者さんあるいは弁護団の方々の苦労は大変な苦労があるかと思います。そういった意味で私どもといたしましてもできるだけ、こういった問題の具体的な解決に当たりましては、先ほど申し上げましたように柔軟な対応をしていきたいし、また、関係会社にもそういった旨の指示を機会あるたびにいたしておるわけでございます。 それからもう一つ、どうしても投薬証明のない患者さんの救済の問題でございますけれども、最初に申し上げましたように、このスモン問題というのは、裁判上の和解によって解決をするという、当事者間の合意の上に和解が進捗しているわけでございます。先ほど申し上げました札幌高裁の所見は、国三分の一、田辺三分の一、チバ、武田三分の一という勧告が出されておりますが、スモンの患者さんを一番多く抱えている裁判所は東京地裁でございます。東京地裁が実は五十五年の三月に所見を出しまして、立証を尽くしてもブランドの特定できないいわゆる投薬証明のない患者につきましては、国が三分の一、チバ、武田、田辺三社で三分の二という負担割合で和解すべきである、その場合の和解の基準金額そして製薬三社間の負担割合、そういったものについては別途協議する、こういうような勧告を出したわけでございます。この勧告につきましていろいろな経緯がございまして、これも先生御承知のことと思いますが、この勧告が三月に出ましたけれども、五十五年の十一月に製薬三社側がこの勧告を受諾して、いわゆるノーブランドの患者さん方の救済問題についての裁判所のこういった勧告についての協議をするテーブルに着こう、こういうことで一歩前進をいたしております。しかしながら、いま申し上げましたように、和解の基準金額それから製薬三社間の負担割合、つまり田辺それからチバガイギー、武田という両方の負担割合については別途協議する、こういうことになっておりまして、こういった問題について裁判上の協議を得るという形になっておりますので、厚生省といたしましては、できる限りこういった裁判上の協議が早く行われるように裁判所にお願いをする、そういった意味での努力を重ねてまいりたいと思っております。 なお、個別の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、立証に当たりましてはできるだけ柔軟に弾力的に対応していくということで、そういった少しでも取っかかりがあれば、それを私どもは機といたしまして会社側にもできるだけの説得をしていく、それで和解を成立させていく、こういうような態度で臨んでいるところでございます。
○池端分科員 昭和五十四年九月十五日には、あの画期的な、歴史的なともいうべき確認書が取り交わされたわけであります。その後も、一昨年昭和五十五年十月二十二日、当時の厚生大臣は園田さんでございましたが、園田元大臣と患者代表との会見の席上でも、園田当時の厚生大臣は、製薬三社に対して東京地裁、札幌高裁の勧告を無条件で受諾するよう求めている。遅くとも今国会の会期中——これは九十三臨時国会でございます。今国会の会期中に回答を取りつけ、年内にも——これは昭和五十五年でございます。年内にもスモン問題を解決していきたいということを明確に言い切っているわけですし、同様の趣旨は国会でも再三答弁をされているわけなんです。 重ねてお尋ねするようですが、私は、今日までいろいろ努力をされてきたということについて否定するものではございません。しかし、ここで言われておるように、年内解決はおろか、今日まだ依然として未解決の状況が続いている、これはきわめて遺憾なことであると言わなければならないと思うのであります。こういう状況を端的に厚生省はどのように考えておられるのか、ひとつ納得いくお答えをいただきたい、こう思うのです。
○持永政府委員 五十五年の段階で園田厚生大臣が、そういった形でできるだけ早く、年内に解決したいということを国会で申し上げたことも私ども承知いたしております。問題は、提訴患者の方々が現在六千二百八十人に上っておられますけれども、この患者の方々の提訴の状況を見てみますと、五十六年になりましてから提訴されました方も恐らく二百人以上というような状況でございます。引き続きことしも提訴が、一月にも新たに提訴されました患者の方もおられるというような状況でございます。したがいまして、そういう状況の中でこの問題を解決していかなければならないわけでございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、過去の古い提訴が、もうすでにかなり前にやられた方とかあるいはすでに鑑定が行われている方とか、そういった方々についてはできるだけ早く和解の進捗を図っていく、これが本旨じゃないかと思っております。 実際問題といたしまして、先ほど申し上げましたように、七百十四人の方はまだ鑑定も行われていないという患者さんでございますので、こういった方々については、鑑定が終わりました段階でできるだけ早く和解を図っていくというようなことになるかと思いますが、現在のところ、先ほど申し上げましたように、五十六年中にも二百人以上の方が提訴されており、また、ことしに入りましても提訴患者の数がふえておるといったような状況で、提訴患者の方々もそれぞれふえておりますので、そういった事態を見ながら全体としての対応を図っていかざるを得ないというような状況にあることを御理解いただきたいと思います。
○池端分科員 先ほど札幌高裁の和解状況の御報告がありましたが、確かに前進はしておるものの、なお二件が未解決のままでございます。原告の一人であります風端イソさんは現在八十五歳、もう一人の佐伯茂さんは七十五歳、いずれも高齢の方々でございまして、一日千秋の思いで解決の日を待ち望んでいるというのが今日の状況でございます。 そもそも和解の手続というのは、これは札幌高裁の石崎裁判長も言っておられるようでありますが、黒白をはっきりする手続ではない。黒白をはっきりする手続ではなく、いわばグレーで解決する手続だ、こう言われているのです。私もそうだと思うのであります。ですからこそ和解という方法をとっていると私は思うのであります。これら二人の方については、鑑定の結果も出ており、スモンの患者であるということははっきりしているので、次回の期日は三月二十七日だというふうにも聞いておりますが、やはり厚生省は積極的に製薬会社を説得して、ぜひともこの二件については三月中に解決するように全力を挙げて対処すべきではないか、私はこう思うのでありますが、厚生省の御決意のほど承りたいと思います。
○持永政府委員 先生御指摘のとおりに、札幌高裁におきましては、佐伯茂さんという患者さんと風端イソさんという患者さんが未和解のまま高裁に係属中、こういうことになっております。先ほど申し上げましたように、札幌高裁からいわゆるノーブランドという形での和解勧告が出ました患者さんのうちでも、すでに和解が進められておるものもございますけれども、この二人だけ残っておられるというのは事実でございます。こういった患者さんは高齢でございます。高齢でございますために、そういった患者さん方の心情というものは十分察した形で問題を進めていかなければならぬと私は思っております。御指摘のように三月にこの和解のテーブルがあるようでございますけれども、その折には、この二人の患者さんについては、先生のいまの御指摘もございますので、私どもの方としては、できるだけの努力を払いまして関係会社の説得をし、和解が進捗するように、そういうことで最善の努力を尽くす覚悟でございます。
○池端分科員 時間が参りましたので、最後に、森下厚生大臣にお尋ねをしたいと思うのであります。 厚生大臣は、薬事二法の際も社会労働委員会の委員長として大変な御苦労をされましたし、患者の苦しみというものは痛いほど御承知のはずでございます。昨年の暮れには解決の時期に来ているというようなことも言われておるわけでありますが、私は、このスモン問題というのはいまや一刻の猶予も許されない、そういう状況に来ているというふうに思うわけであります。患者の皆さん方は、投薬証明書のない患者の救済を含めて、今年度内に何としてでも全面一括の解決をという悲願のもとに、いま新たな運動を展開中でございます。この際、私は、この年度内解決に向けての森下厚生大臣の決意のほどをお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○森下国務大臣 御指摘いただきましたように、薬事法制定のときのちょうど委員長でございまして、スモン患者の方の実態、実情、陳情の内容、すべて存じておりまして、一日も早く全面解決するようにという祈りを込めてあの法案がつくられたわけでございます。 残念ながら、いま御指摘されましたように、全面解決に至っておらないのは残念でございますし、札幌高裁でも八十五歳の高齢者の方が一日千秋の思いでいい結果が出るようにとお待ちになっている心情もよくわかります。そういうことでございまして、とにかく和解でやっていこうということは厚生省としても前向きの姿勢でございますし、製薬会社にしてもかなり前向きの姿勢でやっておることはわれわれも認めております。年度内と日にちを切られますと、ちょっと私の方も発言にちゅうちょいたしますけれども、それはめどにして一日も早く解決できるように全力を挙げることをお誓い申し上げまして、御答弁といたします。
○池端分科員 厚生省の強力な行政指導、製薬会社に対する強力な説得、これをもう本当に心から私は期待をし、一日も早く患者の皆さん方に対する朗報が届けられますように御努力いただきたいことを最後に重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○亀井(善)主査代理 これにて池端清一君の質疑は終了いたしました。 次に、稲葉誠一君。
○稲葉分科員 難病対策の対処につきましては、私も大蔵大臣にいろいろお願いしておきましたが、厚生大臣も大変な御配慮をいただきましたことを、最初にお礼を申し上げます。 そこで、問題のところ、大筋としては、一つは難病対策の現状ですね。それと、今後の方向と申しますか、こういうふうな問題について大臣の方から御所見を賜りたい、こう思います。
○森下国務大臣 難病対策につきましては、従来から調査研究の推進、医療費負担の軽減及び医療機関の整備、この三つを柱にいたしまして、総合的な対策を推進しているところでございます。 そこで、昭和五十七年度におきましても引き続き調査研究を推進いたしますとともに、医療費の公費負担の対象範囲の拡大及び難病病床等の拡充を図っていくことにしておりますし、今後とも難病対策の充実に一層尽くしてまいりたいと考えております。
○稲葉分科員 そこで、いまいろいろな問題が出ているわけですが、たとえば研究班というものがいろいろできているわけですね。正式に研究班というのですか、プロジェクトというのですか、その現況はどういうふうになっておるのでしょうか。この点について御説明を願いたい、こう思います。
○森下国務大臣 公衆衛生局長が参っておりますから、私よりも公衆衛生局長の方が詳細の説明ができますので……。
○三浦政府委員 難病の研究班につきましては、現在四十三の研究班を編成して研究を行っておりまして、この研究班の編成につきましては、厚生大臣の私的諮問機関でございます特定疾患対策懇談会というのがございまして、これは専門家の集まりでございまして、この意見を聞きながら班編成を行って研究を行っておるというのが現状でございます。
○稲葉分科員 まず、難病の指定については、ことしふえて二十四になりますか、一つ指定がふえるわけですね。そういうふうなところと、それから、それに伴うところの研究班組織というのはどういうふうにして具体的にはやっているわけですか。各大学に委託して、そこでやっているわけですか。具体的にはどういうふうにやっているわけですか。
○三浦政府委員 難病の研究につきましては、治療研究と調査研究がございます。 治療研究につきましては、二十三の研究班が疾病に対しまして治療研究を行っておるわけでございますが、調査研究の方は、先ほど申し上げましたように四十三の研究班を設けてやっておるわけでございまして、今度、五十七年度の予算案の中に、二十三疾患を一疾患追加するという案が盛り込まれておるわけでございまして、これは、これから専門家の意見を聞きながらどの疾患を追加していくかということを御検討いただきたいものと思っております。 それから、研究組織の内容でございますが、これは大学とか病院の先生方、専門の先生方を主体に研究班を組織しておりまして、各研究班ごとに班長さんの下に幹事が設けられております。この幹事の皆さんが協議して、一つの病気につきまして、たとえば疫学研究班だとか、あるいは病理の研究班だとか、あるいは臨床の研究班だとか、細かく研究班を分類いたしまして、それを集めて総合的に研究を行っておるというのが現状でございます。
○稲葉分科員 いまのお話の中で、結局、そうすると研究班でいろいろ調査したのを報告をしておるわけですか。 それで、私が聞きたいのは、いろいろな難病がありますね。普通には、たとえば膠原病と言っているとか、あるいは自閉児とか、いろいろ言っていますね。それは、学問的にいろいろ名前が違うわけですね。一体そういうものの原因がどこにあるか、それに対してはどういう対処の方法があるかということについて、ある程度の結論というようなものは出ているのですか、出ていないのですか。これはどうなっているのですか。終わったものもあるのですか、あるいはこれからのものもあるのですか。
○三浦政府委員 この研究の報告でございますが、これも毎年研究報告をいたしておりまして、報告の結果は都道府県を通じて医療機関の方にもお知らせをするということで、その年の研究成果はなるべく皆さんに行き渡るようにということでやっておるわけでございます。 この原因でございますが、なかなか難病というのは原因がわからないものでございますが、たとえばパーキンソン病なんかございます。それから潰瘍性大腸炎、肝炎、こういったものにつきましてはかなり研究が進んでまいりまして、肝炎につきましては、ワクチンをどうするかというところまでもう研究が進んできておるわけです。
○稲葉分科員 膠原病はどうなんですか。若い女の人がかかっておられるのが多いですね。どういうふうにしたらこれが治療が完全にいくということの一つの対策というか、それはどういうふうになっておりますか。
○三浦政府委員 膠原病につきましては、たとえば代表的なもので全身性エリテマトーデスというのがございますが、これにつきましては、例のステロイド剤というのがございます。それから免疫抑制剤、こういうものの使用方法がかなり進歩してまいっておりまして、二十年前には三年間の生存率がわずか一〇%でございましたが、最近は五年生存率というのが八五%くらいになってまいったということで、かなり治療法の研究が進んだおかげで、その病気の治癒率もかなり上がっておるというのが研究の現状でございます。
○稲葉分科員 二十四の特定疾患それぞれが、いつごろになったらどういうふうな目安によって完治というか一〇〇%というか、とにかくそういうふうなことの一つの目安、プログラムというか、こういうのは一体あるんですか、ないんですか。これは医学的な問題ですからなかなかあれでしょうけれども、どうなっています。
○三浦政府委員 二十三の治療研究の方の疾病に対しましては、これは医療費の負担までいまやっておるわけでございますが、これが将来どうなっていくかというのは非常にむずかしい問題でございまして、まだそこまで目安がついておりません。 まして、四十三の調査研究の方の疾患につきましては、先ほど申し上げましたように、本当に研究の緒についたもの、それから肝炎のようにワクチンをどうかというところまでかなり研究が進んできているものもございまして、一概にここでいつごろと言うわけにはとてもむずかしくてまいりませんが、だんだん研究の目鼻が進んでいきますと、たとえばAという病気を研究している、それからもう一つの班でBという研究をしております。どうもAとBは同じような系統じゃないだろうか、討論の場を一緒にしたらいいじゃないか、こういうこともございまして、三年ごとに研究班の見直しをやっておりまして、三年目にまた再編成をしていく、こういうことで研究を続行しておるわけでございます。
○稲葉分科員 そこで、いま三年ごとの見直しの問題が出たんですが、私は、患者の人に会っていろいろお話を聞きますと、研究班のあるときは治療にしろ調査にしろ非常に親切に診てくれる。ところが、それが見直しでなくなってしまうと、そのお医者さんも、率直に言うと、気分的と言うと語弊がありますが、変わってきてというようなことを言われるんですね。だから、研究班を廃止した後における治療体制の問題、特に患者さんとの接触の問題、そこがどうも問題があるような気がしてしようがないんですよ。これは思い過ごしかもわかりませんけれども、そこら辺のところの治療体制、信頼感の問題というのは、今後どういうふうにしていくつもりですか。
○三浦政府委員 先ほど申し上げましたように、その点は患者さん方に不安を与えないように、十分私ども注意を払っておりまして、たとえば三年間で廃止された班がございます。昭和五十年から五十二年まで研究をしておりまして、若年性高血圧症調査研究班というのがございました。これは、やってみるとどうも腎臓に原因がありそうだということで、班編成はそこで解いて、新しく腎糸球体障害調査研究班、こういうものを設けてやっておりますので、いままでやってきた研究班が三年目に改組されたからその研究はもうなくなったんだ、決してこういうことではございません。その学問の進歩によって、どうもこれは二つか三つ合わせてやった方がいいなと思うものはそういう方向でやっておりますので、いままで研究を続行してきた研究テーマが打ち切られたという例はございません。
○稲葉分科員 それは、理論的にはそうなんですよ。ただ、お医者さんとしての患者に対する態度というか、それが変わってくる、患者の方も変わってくるということで、その関係がなかなかスムーズにいかないということが現実問題としては起きてきているということになる、こう思うのですね。やはり患者さんがその点非常に心配している。ですから、そういうことのないように今後十分していただきたい、こういうふうに思います。 それからもう一つ、官房長が来てないからあれですが、あなた答えられるでしょうけれども、老人保健法が通ったらの話のようですが、難病対策課というものを廃止して、そして成人結核課か、あれと一緒にするという話ですね。そのことによって難病対策というものが何か減少——減少と言うと語弊がありますが、そうなるんじゃないかという印象を与えていますから、どういう理由でそういうことをするのか、それから、それについてはそういうことは絶対ない、ならないということを、今後ますます難病対策には力を入れるんだということをはっきりさせてもらいたい、こう思うのです。
○三浦政府委員 現在、老人保健法を御審議いただいておるわけでございまして、これに伴いまして、公衆衛生局に老人保健部を今度つくるということになってまいっております。これに伴いまして、スクラップ・アンド・ビルドという観点から、結核成人病課というのが現在ございますが、この結核成人病課の成人病の部分を切り離しまして老人保健部の方に持っていくということになっておるわけでございます。そうしますと、いままでの結核と難病とを一緒にして、たとえば結核難病対策課ということをいま考えておるわけでございます。 これにつきましても、私ども、決して難病対策が後退するようなことはさせるつもりはございません。また、予算につきましても、五十六年度予算と五十七年度予算案と比較してみましても二〇%はふえておりますし、さらに難病対策というものは充実してやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉分科員 大臣、いま公衆衛生局長から答弁がありましたが、その点はまた内閣委員会で恐らく設置法のときに議論が出ると思うのですが、大臣からも、難病対策に関して今後も積極的に拡充強化してやっていくということを、ひとつ言明というか、お話し願いたいと思います。
○森下国務大臣 難病対策を軽視するわけでもなし、むしろ予算は二〇%増ということで、ますます力を入れていこうということでございますが、やはり難病対象者は非常に心理的にも不安な状況にございますし、おっしゃるとおりでございまして、この点強く、絶対にその解消または弱体化する方向にいかないんだ、ますます強化していくんだという啓蒙、啓発運動を強力にやっていきたいということを申し上げます。
○稲葉分科員 実は、私のところは宇都宮市なんですが、そこで白内障老人、老人性白内障ですか、これに対する手術費の問題で助成事業を始めることになった。六十五歳から六十九歳までのお年寄りで、所得制限はあるのですが、それは年間所得が老人医療費所得制限基準額内、たとえば老人二人世帯で年間所得百四十三万六千円以下の人を対象として、手術費、入院費、めがね代など、保険でかかる自己負担分の半額を補助する、こういう制度を始めるように新年度からなるのですが、実際、現在のところは、何か手術には自己負担が十五、六万円程度必要というように言われておるらしいんですね。 昭和四十五年から始まっているようなんですが、これはもちろん厚生省でも六十五歳以上に対して実施をしておる。実施をしておるならば、こういう制度、新しい市の制度は要らないはずなんです。ところが、条件が、所得税非課税世帯、老人二人世帯で年間所得八十一万以下と限られているため、これまでに市の申請者はゼロだった、こういうのですね。これは宇都宮市の場合ですが、ゼロだった、こういうのですが、老人福祉ニーズ実態調査をやってみたら、独居や寝たきり老人を合わせて三百人以上が、手術費の助成があれば利用したいんだ、こう言っているんですね。そうすると、せっかく厚生省がやってくれたいい案が、予算がついてやっておりながら、一つはPRの不足、一つは制限が厳しいということですね、こういうようなことがあって、十分に利用されておらないのではないかということが考えられるわけです。 そこで、質問は、老人性白内障というこの問題について、手術費の問題、これは制度はこういうふうにとられていますけれども、各市町村やなんかではどういうふうに現実に行われているのですか。それが一つ。 それから、こういうふうに手術費を半額補助している市町村はどの程度ふえてきているかということですね。その原因はどこにあるのかということ。厚生省の基準が厳し過ぎるからではないか、こういうようなことが考えられるのですが、これは今後どういうふうにしていこうと考えられるのですか。
○森下国務大臣 社会局長から。
○金田政府委員 ただいまお尋ねの老人性白内障手術費に対する支給事業でございますが、昭和四十五年からこの制度ができておりまして、老人性白内障の主として手術に要する自己負担額の負担能力のない、所得税非課税世帯に属する六十五歳以上の方々を対象として設けられたものであります。これに対しましては、国といたしまして三分の二の経費を予算補助いたしております。県、市町村、それぞれ六分の一を負担しているわけでございます。実施主体は市町村ということでございます。 ただいま先生お尋ねの人数の点その他でございますが、実はこの制度は、先生御承知の健康保険におきまして高額療養費支給制度、これは現在三万九千円が限度になっておりますが、こういった制度が四十八年にできたわけでございますが、それ以前にできた制度でございまして、たとえば白内障以外の場合におきましても、当時健康保険、国保等の自己負担額が総給付費の三割ということでございましたので、たとえば人工透析等の場合、三割といえども何十万というような場合がございましたので、それはお気の毒であるということで、どのような場合でも最高限度額は三万九千円というような制度ができたわけでございます。これは先生御承知のとおりでございますが、それ以前の制度でございますので、それ以後におきましては、七十歳以上の老人に対する医療費を軽減する制度等もできております。それ以後といいますのは、四十五年のこの白内障手術に要する公費負担制度ができた以後でございますが、そういったことで、実は現に支給されている方々は全国で大体千四百人程度と私ども考えております。 したがって、先生ただいま宇都宮市の場合を例にお引きになったわけでございますが、全国三千の市町村でございますので、宇都宮市にたまたまある年お一人も該当の方がおられないということはあり得ることではないかと思っております。先ほど申し上げましたようなことで、国民健康保険等に高額療養費支給制度もできましたので、したがいまして、三万九千円がもう支払いの最高限度ということでございますから、こういった制度ができました以上は、さらにこれ以上そういった対象範囲の方をふやす必要もなかろうということで、現段階では、所得税非課税以外の世帯にまで拡大することは考えてないわけでございます。 また、最後のお尋ねの各市町村でどういう実施状況であろうかというお話でございますが、実は、ただいまの問題は高額療養費支給制度ができまして以降は余り問題になったこともございません。したがいまして、まことに残念でございますが、各市町村でどういう実施状況であるかということはほとんど調べたことがございません。全国三千のうちあるいは一、二の市町村でやっているところがあるかもしれませんが、もし何でございましたら、先生御希望でございましたら、私どもまた調査はいたしてみたいと思っております。
○稲葉分科員 いまの点は、後で調べていただければ結構です。いますぐと言ったって無理ですからね。それは私わかるのですが、全体を通じて厚生省の仕事は非常に重要なんですが、一つの予算をつけて実施された後のフォローアップが何か足りないように思うのです。国が直接やっている仕事ならすぐわかるけれども、現実には市町村が主体でやっていますからなかなかむずかしいかとも思いますが、そういうフォローアップを十分にしていただきたい。これは希望しておきます。 これは私の方もよくよく調べてみます。いま言ったようなお話ならばこういう制度は必要ないようにもとれるのだけれども、全然知らなかったという人もいるらしい。手術費の助成があるということを知った三百人以上の人が、そういう制度があるのならやりたいと言っているというふうにも言われておるので、私の方もよく調べますけれども、あなたの方でもよく調べてあれしてください。 そこで、また問題は別になりますが、これはいまここで質問するわけじゃないのですが、去年の六月に医療費の改定があったでしょう。そうして人工透析の場合でも、夕方五時から始まるのとそれ以前のとで金額が違いますね。いま答えはいいですよ。そういうようなことでいろいろあったり、医療費のアップというより改定で逆になったのですね。そうすると、そのしわ寄せが患者のところに来ているということで、いま私の方も病院へ行きまして実態調査をしていますから、これはいずれ社労の中でその実態調査しました結果を——特に人工透析その他の問題でみんなしわ寄せが患者に来ちゃっているということですね。具体的な例がずいぶんあるのですよ。これを明らかにして、別の機会にお尋ねをしたいと思っております。ここで聞くという意味ではありません。 そこで、私、この前ある損保の会社に任意保険の問題で行ったのですが、結局こういうことなんですね。これは保険局長の管轄ですか。 お医者さんが莫大にもうけているということの一つの例として、交通事故の場合にお医者さんが保険がきかないということを言うのですね。保険がきかないということを言うと、自由診療でしょう。そうすると、一点十円のあれは一点三十円ぐらいになるのですね。そこで、お医者さんが莫大にもうけておる。そうすると、結局、自賠責の場合百二十万円でしょう。それがみんなそっちにあれされちゃうわけです。そんなことやいろいろなことがあって、結局、被害者の保護に少しもならないじゃないかということになっている。これは、あなた方の関係か運輸省の関係かよくわかりませんけれども、とにかく交通事故の場合には健康保険なんかが適用にならないということを医者が患者に言うのですね。僕らもよく相談を受けて聞かれるのです。交通事故の場合に健康保険なんかが適用にならないということをお医者さんが言うのですけれども、本当ですかと聞かれるから、いやそんなことはない、適用になるんだということを言いますと、医者がいやがると言うのですね。医者は一点十円と一点三十円で違いますから、もうからないからいやがってやらないということがあるのですね。北関東でずっと聞いてみたら、茨城県と群馬県——群馬県では適用になるということでチラシか何か配っているのですね。ところが、栃木県の場合はそれをやっていないらしいんだな。全部のお医者さんじゃないけれども、一部のお医者さんは保険がきかないでいわゆる自由診療でやっているらしい。これがちっとも徹底していないのですよ。あなたの方のあれなのか、運輸省の方なのか。きのう運輸省に質問する予定だったら夜遅くなっちゃったりしてだめだったのですが、実際はどういう指導をどこがしているのですか、また、すべきなんでしょうかね。
○大和田政府委員 この問題は大分前にも出ておりまして、保険がきくのかどうかという議論が行われたことがあります。これは当然きくわけであります。これは、当時は被保険者自体が保険がきかないのじゃないかといったような誤解に基づきまして自費を払うというようなケースが多かったのでございますが、わが方といたしましては、それは保険がきくのだということをできるだけ指導徹底を図っておるわけでございます。まだそういうような保険がきかないと言うお医者さんも困ったものだと思いますし、また、国民自体、これは保険がきかないというような誤解を持っておられるのも困るわけでございまして、機会あるごとに保険がきくのだという指導を徹底してまいりたいというふうに考えます。
○稲葉分科員 いまおっしゃるとおりですが、誤解じゃないのですよ。誤解というのはわかっている上での話なんだが、わからないのですからね。誤解かどうかわからぬですが、とにかくわからないで、お医者さんの方で保険はきかぬということを最初のときに言うんですね。だから、うんと高くついてしまうんですよ。三倍ぐらいになるでしょう、大体十円のが三十円になりますからね。それで、保険会社も困っているんだな。少しも被害者の保護にならないじゃないかというようなことを言っております。それは周知徹底していると言うけれども、余り徹底してないですよ。ちゃんとチラシを配っているところもあるんですよ。保険会社や査定所で配っているところもありますから、これはよく調査していただきたいというふうに思います。 時間が参りましたのであれしますが、最初にお話ししましたように、難病対策の問題についてはまだいろいろな問題がたくさんあるわけですが、大臣が前に言われましたように、これからもこの対策の拡充強化のためにしっかり努めていただきたいと思いますし、これらの患者の方々の気持ちも考えて、一日も早く——日本の医学は世界的にも相当進んでいるはずですからね。こういうふうなお金は惜しまないで使ってやっていってもらいたい。これは大蔵大臣にこの前話したんですよ。これは非常に重要な問題だから、めり張りのきくあれをやりたいからということであれしてくれたわけですね。だから、厚生大臣、大蔵大臣ともよくお話し合いをしてくださって、私も言いますから、ぜひ今後ともこの問題の強化といいますか、難病がなくなるようにお骨折りを願いたい、こういうことを要望いたしまして、質問を終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。 次に、薮仲義彦君。
○薮仲分科員 最初に、質問をわかりやすくするために、大臣と局長、管理官に資料を渡してもよろしいですか。
○亀井(善)主査代理 どうぞ。
○薮仲分科員 それでは、私は、本日は大臣に篤と歯科診療の実態を御理解いただきたい、そういうことで、いま問題となっていることを何点か具体的にお話をさせていただきたいと思いますので、どうか正確な御理解をいただいて、これからの診療報酬の改正等で御尽力をいただきたい。 最初にお断りいたしておきますけれども、私は、歯科医師でも、またそういう専門でもございません。私の地元の静岡県の医師会長さんや保険部長、あるいはこの問題に熱心に取り組んでいらっしゃる方々から静岡県の歯科診療報酬の実態等を伺って今日があるわけでございますけれども、その地元の問題は、厚生省を初め関係の先生方の御努力でその後改善の方向に進んでいることを私は評価をし、敬意を表する次第でございます。 さて、お手元に資料をお渡しさせていただきましたけれども、大臣のには特に赤書きをしておわかりをいただくようにさせていただきました。 昨年の歯科診療報酬の改定で、厚生省はそれなりに、いま問題になっております欠損補綴やあるいは幼児の加算等々改正をなさったようでございますけれども、私は、その前段としてまず大臣に御承知おきいただきたいのは、資料の一番上に出ていると思いますけれども、診療行為について、医科と歯科がどういうような診療内容になっておるかということです。 これを見ますと、表の一番上にございますように、医科の診療内容、点数と百分率が出ておりますが、医科の診療内容で一番パーセントの多いのは投薬でございます。三〇・一。二番目が診察、一四・七、三番目が注射、一三・〇、等々でございます。ということは、いま言われていること、薬漬け云々ということを、いいとか悪いではなくして、実態として見たときに、やはり投薬というものは診療内容で大きな部分を占めている。これは出ておるわけです。 逆に、歯科の実態は下に出ておりますから、ごらんいただきたいのですが、診療行為の中で百分率が一番多いのは、歯冠修復及び欠損補綴、いわゆる総義歯であるとか鋳造冠とか、つまり入れ歯をしたり補綴をするというのが四五・一%、一番百分率が多い。その次に処置及び手術、三二・四。逆に、医科の場合で一番高かった薬は三・二で、非常に低い。 ということはどういうことかといいますと、歯科診療に当たってはことごとく手で作業をして、実際の行為を行わなければ評価されない。いわゆる医科と歯科とを比べて何が大事かといいますと、やはり歯科の場合は技術料というもの、手を下さなければ歯の治療はできない。薬を上げて治す行為というものはほとんどない。その点が医科と歯科の診療内容で非常に大きく違う。私は、この点をまず大臣に御認識いただいて、資料の二番目をごらんいただきたいと思うのです。 これは、私が全国の歯科の先生、九州から東京、大阪、名古屋、地元の先生等からいろいろな話を聞きました。これは一つの流れですが、総義歯、入れ歯ですね、この総義歯の実態でございますけれども、細かいことは抜きにして、受付、それから歯科助手の方、歯科医の先生がどういうことをやるか。カルテの診査から、もう細かい手や指を洗うこと、問診をして口腔内診査をしてというような、一連の一日の作業内容をここに出しました。こういう作業内容の中で、一体どのような点がいまの診療報酬の中で適正に評価され、何が適正に評価されないか。 ということは、ここで私が申し上げたいのは、歯科の先生の一番重要な部分は、先ほど大臣に御理解いただきましたように、歯冠修復及び欠損補綴、そして処置及び手術ということでございますから、これをもとにして、この総義歯と、きょう私が問題にしたいのは鋳造冠、この二つを資料として、そこの三枚目、大臣、もう一枚開いてください、そこから御説明をさせていただきたいのです。 これは、総義歯の場合、何日間かかって、どれだけの材料を使って、いわゆる人件費で出すとどうなるかということを、昨年、私はこれをいわゆる技工士の技工料等々で出しまして、やはり総義歯というものは非常に不採算、赤字になっておるという実態を出しました。今回は、さらに具体的に人件費で、材料費で割り出していますので、ごらんいただきたい。大臣のは特によけいな数字が入っておりますので恐縮でございますが、まず、総入れ歯の場合に、一日目、二日目、三日目、四日目、五日目、六日目と、六日間の治療内容が出ております。そして、一日目には時間がどのぐらいかかるかということを書いて、合計で技工作業と同時に六百分という数字が出ております。六百分かかります。 もう一つ問題点は、歯科医師の給料をどの程度で見るか。 ここに出ております分当たり百二十四円というのは何かといいますと、大臣にちょっと御説明をさせていただきたいのは、これはお手元に資料がいってなくて恐縮なんでございますけれども、一つは日歯で出した資料と、これがあるんですが、中医協でつくりました昭和五十一年度の調査によります「医療経済実態調査結果表」というのがございます。これは大臣も御承知だと思いますけれども、これによりまして歯科並びに医科の先生方の給料が一体どうなっておるのかということが出ております。これの四十四ページに、歯科の場合は月収が二百十万五千五百二十五円、経費を引いて手元に八十万六百一円という金額がこの歯科の場合は出ておりまして、医科の場合は今度は違うわけでございます。医科の場合は、参考に申し上げますと、ベッドのない、無床の場合がここに出ておりますけれども、手元に残る金額だけで申し上げます。歯科は八十万でございましたけれども、医科の場合は百五十三万四千二百四十二円。これはおよそ六年前の統計資料、中医協がおやりになったことで、ざっと言って歯科の先生は八十万、医科の先生は百五十万の月収というようなことが言えるのでございますが、私は、ここで高いとか安いということを問題にする考えは毛頭ございません。一つの実態として、歯科診療報酬というのは、ある意味では非常に低いといいますか、困難といいますか、制限されている部分があるのかなという感がありますが、それはきょうは論じません。しかし、そういうことを通じまして、歯科の先生が一分当たり百二十四円というのは、希望する値段として出しますと月収百三十万ぐらい。これは医科よりも低いわけですが、一分間百二十四円で計算したのが大臣の資料三のP一と書いてあるもの。 二枚目をちょっと開いてください。これは同じ内容ですけれども、今度、歯科の先生の値段について日本歯科医師会の調査室でつくりました「経営分析法による歯科診療費用の算定」という正確な資料がございます。その中で処置別診療費用というのがありますが、その資料は大臣にいっていませんが、大和田局長や管理官はよく御存じだと思いますが、この中で院長の年収、分当たりのあれが出ているわけでありますが、これでいきますと、分当たり百二円というのが出ているわけです。それを、いま大臣のお手元の、同じところでございますが、歯科医師のところを分当たり百二円で置きかえました。これが総義歯の資料二で、お医者さんの給料が百三十万の場合、日歯の言う一分間当たり百二円の場合、これで計算しても総義歯が黒字になるか赤字になるかを出したのがこの表でございます。 大臣、恐縮でございますが、また一番表に返っていただけますか。総義歯の一です。 総義歯の一でいきますと、いわゆる歯科の先生がかかった時間に分当たりの百二十四円を掛ける。助手と技工士というのはどこから出したかといいますと、助手というのは、歯科助手がございませんので、これは人事院の「民間給与の実態」の中の准看護婦を例にして、これは給料を分当たり十六円七銭で出しています。技工士は、臨床検査技師の方から代表しまして十七円三十銭で出しております。この金額に分を掛けますと、以下、この表のとおりの金額が出てまいります。材料費は六千四百三円、歯科の先生は三万四千百円、助手の方は四千四百十九円、技工士の方は五千六百二十二円、光熱水道費も出ていますが、三千七百二十円、合計五万四千二百六十四円のお金がかかります。一番右端は、総義歯にかかる保険点数が何点かというのが出ておりまして、細かい点は局長、管理官よくおわかりですので省きますけれども、一番安い部分で三千三百四十五点でございます。これに基準材料の点数を加えて、点当たり十円ですから、これに十円を掛けますと三万四千八百七十円。これはAマイナスBは幾らになるかというと、一番右の欄にマイナスで出ています。総義歯一個つくると、この表でいくと一万九千三百九十四円赤字になります。一番安いのでいっても一万八千八百十四円赤字になります。一個総義歯をつくるとこうなってしまいます。これは月収百三十万でやりました。 日歯の資料でやったのが、大臣、二枚目です。二枚目の表を見ていただいて、下に出ていますAマイナスBが一万三千三百四十四円、一番安いのでいっても一万二千七百六十四円。このように総義歯をつくると赤字になるということを、日歯の先生がずっと叫び続けました。 この表の客観性を具体的に指摘するために、この時間についていろいろな意見があります。たとえば、技工士について三百二十五分は多い、技工士の方は百九十分でできるという意見を言っています。ところで、大臣、考えていただきたいのは外注技工。院内で、先生と院内にいる技工士がやる技工料というのは、外注技工に入ってないので、す。 日歯の先生が出された表で時間をどの程度見ているか、日歯の先生のあれを参考に申し上げますと、これは九州大学歯学部、九州歯科大学、福岡歯科大学の方々が出された表でございますけれども、たとえば総義歯の場合、ここに出ているのは六百分以上です。歯科医師の所要時間はちょっと少ないのですが、二百五十五分、技工士は逆に三百五十八分で出ているのです。合計六百十三分というのが日歯の資料にある時間なんです。ですから、私が知った約五十名近い先生方が個々に御自分の詳細な報告書からつくってくださった六百分というのは、私は客観性があると思うのです。これで計算しても総義歯が赤字になる。同じように、大臣の表のP三あたりからは、もっと細かい材料、その診療内容まで全部何分かかってどうなのかを出してあります。 同じく鋳造冠。大臣、資料四を見てください。この鋳造冠も一番問題なんです。これも、内容は、給料の中身は総入れ歯と同じでございますが、これで結論だけ申し上げます。資料四の一番下にAマイナスB、保険から実際かかったお金を引くと、この鋳造冠一個で二万一千八百三十八円の赤字になります。これは、月収百三十万で計算しました。 もう一枚目、資料四ダッシュを見てください。これは、いま言った日歯にあります一分当たり百二円で計算しても一万八千三百六十二円、鋳造冠、大臣がたとえば虫歯になって冠をかぶせると一個につきこれだけの赤字になりますというのが歯科診療の実態で、いわゆる鋳造冠あるいは総義歯については、今後も医療改正の中で十分検討していただけないかというのがまじめな歯科の先生方からの御意見でございますが、この点、厚生省の見解を伺いたいのであります。
○大和田政府委員 ただいま先生御説明くださいました総義歯、それから全部鋳造等の問題でございますが、これは医科も同じでございますけれども、診療報酬は、各診療行為の点数の均衡、それから全体として保険医療機関としての健全な経営と保険医療が確保されるという観点から設定をしてきたところでございます。これはもう御承知のとおりでございます。昨年六月の診療報酬の改定に当たりましても、このような考え方に基づきまして医療担当者と協議をいたしました上で決めてまいったところでございます。最近におきます医療費の動向等を見ましても、歯科の場合、対前年比かなりの伸び率でもって推移をしておるのは御承知のとおりでございます。そういったようなことで、昨年六月におきましても私ども努力をしてまいったつもりでございますが、ただいまこの資料を拝見いたしたわけでございますが、この資料を検討いたしまして、保険財政等も考慮いたしまして、今後、中医協の場におきまして十分検討はいたしたいというふうに思っておるわけでございます。 以上が私どもの考えでございます。
○薮仲分科員 検討は結構でございますけれども、いま私が申し上げたのは、具体的に総義歯並びに鋳造冠というのが不採算の中でも非常に大きいということです。私がなぜこれを言うかというと——昨年のそういうことをおっしゃるのでしたら私から一言申し上げますと、たとえば総義歯の中でポリサルホン樹脂を導入なさった。これは補綴学会からも、異論といいますか、十分検討されてないという指摘がある。あれは点数がたくさんふえていますよという御意見があるようですが、私は、金属床のかわりにそういう新しい材料を入れるという厚生省の見解はわかりますけれども、これが一番不採算部門ですから、ここの実態をよく確かめて、これは、大臣初め局長は日歯の先生並びにいろいろな関係の方からこの実態をお聞きになっていると思いますので、総義歯並びに鋳造冠の診療報酬の改定には十分力を入れていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○森下国務大臣 ただいま専門的に非常に具体的に詳細に御説明をいただきまして、実は私も認識を新たにした点がたくさんございます。局長からお答えいたしましたように、中医協の方で十分検討したわけでございますけれども、なお、歯科の実態、いわゆる医科とかなり違っているような点もございますし、歯科の実態をよく踏まえまして、歯科医療に万遺憾なきを期したいということを申し上げます。
○薮仲分科員 もう少し具体的に、これは時間が余りございませんから要点だけ申し上げますから、考え方をお答えいただきたい。 特に、総義歯の中で何が問題として歯科の先生、日歯の先生が言っていらっしゃるか。まず一番の問題は、これは資料がついてなくて恐縮でございますが、先ほど問題になりました補綴診断料と義歯設計料、歯が欠けている、それをどうやって治そうかというときに、一番最初の段階でいわゆる義歯の設計とかそういうものをきちんとやりますと非常にすばらしい歯ができてくるというので、補綴診断料と義歯設計料。いま、歯科診療報酬の中では義歯設計料はゼロで、補綴診断料七十三点の中に全部丸めてありますということでございますが、これは総義歯の中では非常に希望いたしております。 また、二番目には、咬合採得、いわゆる型をとる、この問題。 それから、特に問題になっておりますのは、一装着、入れ歯を口の中に入れる。これは厚生省の方もよくおっしゃるように、歯科技工の方がつくられたものが先生によって患者の口腔内に入って人工臓器として動き出すわけでございますから、この装着料というのは非常に高く評価をしてほしいというのが歯科の先生の希望でございます。 等々、これらの問題を見てまいりますと、この総義歯の中で先生方が言っていらっしゃる一番考えていただきたいという点、さらには、鋳造冠の場合に、具体的に申し上げますと、歯冠形成料といいますか、支台築造、歯間圧排、専門的な言葉になって恐縮でございますけれども、すばらしい型をつくって歯に合ったきちんとしたかぶせ物をつくるという、この歯冠形成というのが一番大事です。これが何といっても歯科の技術の一番根幹でございますので、高く評価していただきたい。あるいは、その冠をつくる、鋳造冠の作成技術料、同じく冠を装着する評価、こういうものは、先ほどの入れ歯と同じように高く見ていただきたいという希望が出ています。細かい点数は申し上げませんけれども、今度の改定の中でこれらのことを十分お考えいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○大和田政府委員 先ほど申しましたように、この診療報酬につきましては、全体としての保険医療機関としての健全な経営、保険医療というものが確保されるように設定してまいったわけでございます。ただし、先生いまおっしゃいましたようなことにつきましては、確かにいずれも総義歯の製作に当たりまして重要な診療行為であるということは間違いございません。したがいまして、その評価の点につきましては、関係学会から技術の難易度であるとかあるいは所要時間等をよくお伺いいたしまして、保険財政等を考慮いたしまして、今後、中医協におきまして十分御審議いただきまして、その御意見を踏まえながら対処してまいりたい、このように考える次第でございます。
○薮仲分科員 それでは、その問題はその程度にしまして、次の問題に移らせていただきたいのですが、これは、大臣も今後のために御理解いただきたい。これは、やはり非常に重要な問題でございます。 歯周疾患治療指針、これは、やはり日本歯科医師会でお出しになったものでございますが、われわれも初めて耳にする言葉でございます。 普通、歯が悪いというと歯の本体だけを治療するということをすぐわれわれは考えるわけでございますが、この歯周疾患というのは、歯の周り、歯肉、簡単に言えば歯槽膿漏等を含めたこういうものの治療というものが非常に大事ですということをここで建言しているわけです。しかも、この青本の最後の方で歯槽膿漏に対する指針というのが出ているわけでございますが、その中では、これも専門的で恐縮ですが、たとえば口の中の歯垢、歯石を取るのがスケーリングでございますけれども、これを六分の一顎ずつ一回やれば終わりになっているわけです。盲嚢掻爬といって、歯槽膿漏を切開して手術するということになっているわけでございますが、ここの中では、そういうことだけではなくて、今後、歯科診療の中でこういう歯茎も治していってほしい、歯槽膿漏等、歯周疾患が現在の保険診療の中でできるようにしてほしいという希望が出ております。 私は、非常に正しいと思います。この歯周疾患というのは、ここ二十年、三十年の間に急激に発達したといいますか、そういう学問でございますので、これを本気になってやっていくならば、ここに書いてございますけれども、私はすばらしいなと思いました。この中で、これによって「予防も可能になってきている。したがって、自分の歯で生涯にわたり食事をたのしむのも夢ではなくなった。自分の歯を生涯にわたり使用できるようにすることが、歯周治療の目標でなければならない。」さらに、今後これらの点を歯科診療報酬の中に入れてほしいということを言っておりますけれども、ここにこういうことが書いてございます。目的の中で、これを保険診療に導入してほしい、そして、国民が一人でもこの恩恵に浴せることが必要である、そのためにこれはつくりました、ただ、この趣旨に反して都合のよい取り入れ方だけはやめてほしいということが出ているわけでございます。 私は、この歯周疾患の問題は、これからの歯科診療の領域においては非常に大事だと思いますので、今後、歯科点数といいますか、の中で十分考慮していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○森下国務大臣 昔から、病は口からということもございます。それは、ただばい菌が口から入るという意味じゃなしに、りっぱな歯でそしゃくをして、それによって内臓の健康が保てるということであろうかと私は思います。したがって、ある年齢に達しますと、非常に歯の重要性と申しますか、身にしみて実はわかるわけでございまして、その点、歯そのもの、また歯の周辺の治療の問題、また健康の問題につきましてのただいまの御説明は非常によくわかりましたし、将来、検討課題として善処していきたいと思います。
○薮仲分科員 駆け足で恐縮でございますが、資料の五番目をちょっと大臣見ていただきたいのです。一番最後になっております。「年齢別う蝕のり患者状況」、年齢別に虫歯をどの程度保持しているかということが出ているのがこの表でございます。左側が乳歯、右側が永久歯でございます。この表でいきますと、七歳から八歳あたりから急激に虫歯がふえてくる。七歳、八歳、九歳、十歳のころきちんと治療しておけば、生涯健康な歯で、と考えるわけでございます。 きょうは、そのことは時間の都合で省きまして、いま厚生省で提案し、鋭意参議院で審議されております老人保健法の問題がございます。大臣、この表をごらんいただいて、ちょうど四十歳のところの齲蝕の罹患者状況は九六・七九、以下ずっと四十五歳、五十歳も九〇%台の罹患者がおるわけであります。今度の老人保健法の骨子の中に、四十台からの予防診療といいますか、そういうことが非常に重要であるということがうたわれてございます。私は、健康に年をとっていくということは、医学の最も理想とすることであろうと思うわけでございます。せっかくすばらしい法案をここで提案なさり、審議されているさなかでございますが、できるならば、いまの老人保健法の中にこの四十歳以上の歯科診療も入れていただけないか、検討していただけないか。いま歯科診療が抜けておりますので、これは十分御配慮いただきたいと思いますが、お考えいかがでございましょう。
○三浦政府委員 歯科保健の重要性につきましては、私どもも十分認識しておりまして、健康教育あるいは健康相談の場で歯科保健を取り上げるように配慮していきたいということを考えておるわけでございますが、ただ、五十七年度予算の中には健診事業が入ってはおりません。これにつきましては、もちろんマンパワーの問題もございますし、基盤整備、施設整備の問題もございまして、私ども、特に、日本の三大死因と言われております心臓病、がんあるいは脳卒中、こういうものをまず重点的に取り上げていきたいということでいま計画をしておりまして、当面歯科健診は考えておらぬわけでございますが、ただ、歯科保健事業の長期的な展望につきましては、またこの保健事業全体の枠の中で、ひとつ公衆衛生審議会等の場でいろいろ御討議をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○薮仲分科員 いまのはお役人のお考えでございますけれども、私は、一人の政治家として、やはりこの老人保健の中に、プライマリーケアとして、四十歳からの歯科診療というのを今後十分考えるべきだと思いますが、大臣のお考えを最後にお伺いしたいと思います。 もう一点、先ほど来私は短時間の中で駆け足のように、いまの歯科診療の実態を申し上げました。一部の報道機関等でお医者さんの問題がいろいろな形で取り上げられます。しかし、われわれ国民の周りにはまじめな先生が数多くいる。一生懸命一人の患者の病気と闘い、そしてその健康保持増進に昼夜を分かたず努力しているまじめな先生方のいることは、私この目で見てまいりましたし、肌で感じております。そういう意味でこの歯科の診療が、確かに一部言われるようなことがあるかもしれませんけれども、私の立場で言うと、歯科の先生はもっと技術料を、そしてまじめにやっている先生がまじめにやって報われるように、そしてわれわれ患者の方も安心して歯科診療にかかれるように私は大臣にとくとお願いをいたしたいと思いますし、先ほど申し上げました、政治家として老人保健の中で歯科診療をどうするか、その大臣のお考えを最後に伺って、質問を終わります。
○森下国務大臣 歯科の重要性、また歯科医のいわゆる認識の重大さということもよくわかっております。また、老人保健法の趣旨は、元気で長生きをしてもらいたい、健やかに長生きをしていただきたい、その中には当然この歯科の問題も大きな部門として入っておりますから、この部門につきましてはより一層検討していきたい、前向きでやりたいということをお約束いたします。
○薮仲分科員 終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。 次に、吉浦忠治君。
○吉浦分科員 私は、川崎病に関する一点だけにしぼってお尋ねをいたしたいと思います。 今月の三日のA新聞に「川崎病に五歳の命短く」という見出しの記事が出てびっくりしたわけでございまして、川崎病とは何だろうという点から、私ども公明党はイタイイタイ病以来一貫して難病対策を取り上げてまいった政党でもございますし、この新聞記事を読みまして私は大変胸を痛めたわけでございます。果たして川崎病というのはどんな病気なのかという点で、国民の皆さん、また乳幼児をお持ちのお母さん方、御父兄の方々は大変な関心だろうというふうに思うわけでございます。 川崎病というと何か川崎市の公害病じゃないかという受けとめられ方になりがちでございますが、そうじゃないということで、その病気の概要といいますか、その病気というものはどういうものであるか、まず最初にお答え願いたい。
○幸田政府委員 川崎病というのはどういう病気かということでございますが、いま先生御指摘のとおり、川崎市の公害病と間違われる危険性がございますけれども、決してそのような病気ではございません。実はこの新しい疾病を報告されましたのが川崎先生でございますので、現在日本赤十字医療センターの小児科の部長をされておられますけれども、その川崎先生のお名前をとりまして川崎病、こういう名前がつけられたわけでございます。 川崎病につきまして現在関係の学会の間で一応定説になっておりますのは、いわゆる症候群でございまして、幾つかの症状が重なって出ました場合に初めて川崎病という認定をいたすことになっております。 具体的に申し上げますと、以下申し上げます六つの症状のうち五つ以上の症状がありました場合に川崎病とする、こういうことになっているわけでございまして、その一つが原因不明の発熱が五日以上続く、こういうことでございます。主としてこの川崎病にかかられるのが四歳ないしは五歳以下の赤ちゃんでございまして、大体三十九度前後の熱が、普通でございますと二週間ぐらい継続して続くというのが一つでございます。それから第二番目が手足にむくみが出てくる、こういうことでございまして、特に手首、足首から先の部分が非常に腫れてまいります。これも一週間ぐらいというようなことでございます。それから三番目が発疹でございます。はしかに似たような発疹が出るのが第三番目でございます。第四番目、眼球結膜が充血をするというのが第四番目の症状でございます。第五番目は、口なり唇が赤くなりまして舌がイチゴ状になるというのが第五番目でございます。第六番目が、首のリンパ腺が異常に腫れてまいる。こういう六つの症状のうち五つ以上の症状が重なりました場合に川崎病、こういうことで認定をいたすことになっておるわけでございます。 特にこの川崎病が問題でございますのは、当初、予後はかなり良好であるというふうに考えられておりましたけれども、研究が進みました結果、約一〇%の患者さんにつきまして心臓に冠動脈の瘤が見られる、こういうことでございまして、時によりますと、先生御指摘の新聞にございましたように突然、死が訪れる、こういうことで新しい子供の病気として注目をされている、こういうことでございます。
○吉浦分科員 いまゼロ歳から四歳未満というふうな答弁がありましたが、特に一歳未満のお子さんが八〇%かかる率がある、こういうことでございますね。乳幼児をお持ちの方々に大変不安の点があるわけでございますが、これは日本で発見されたから日本にだけかと思いましたら、アメリカの小児専門書にも川崎症候群として記載されているようでございますけれども、外国の様子はいかがでございますか。
○幸田政府委員 昭和五十五年の九月にスペインで国際小児科学会がございました。その際に私どもの先ほど申し上げました川崎先生を座長といたします川崎病シンポジウムというものも開催をされたわけでございます。当初日本だけかということでございましたけれども、アンケート調査の外国の症例につきましては、アメリカを除きましてヨーロッパで約百例、こういうことでございます。特に私どもが聞いておりますのでは、たとえば韓国あたりにもかなりの患者がいる、こういうことを聞いているわけでございまして、必ずしも日本だけの病気ではないようでございますけれども、特に日本の場合に、人口数、子供の数に比較しまして患者数が多い、こういうことのようでございます。
○吉浦分科員 アメリカ、韓国、イギリス、フランス、西ドイツ、ギリシャ、トルコ、クウェート等が患者の発生を見ている、こういうことでございまして、いまお答えになりましたように、アメリカ等での一九七六年七月から七八年七月、二年間に二百六十一人の患者が発生をしている、こういう報告がございます。 後でまたお願いをしたいのですが、日本でもこういうように新聞で出てまいりまして実はびっくりしているのですけれども、東京の日赤医療センターの先生でございますから、そうなりますと、そういう患者さんは勢い先生のいらっしゃるところ、大阪であれば国立の循環器病センターというふうないわゆる専門ベッドがあるところへ集まって、こういうところのベッドが足りないんじゃないか。小児科の最近の病気はいろいろな治療が発達をしてまいりましたから比較的病床もあるようでございますけれども、その専門のベッドがいま満杯のようでございますが、この点はいかがとらえておられますか。
○大谷政府委員 先生お話しのように、国立循環器病センターにおきましても川崎病患者を収容しておりますが、国立循環器病センターはそもそも心臓疾患あるいは脳血管疾患、腎臓疾患、高血圧等の循環器疾患を専門に扱う機関でございます。現在、十一名を収容しているわけでございます。また、日赤医療センターにおきましても、小児病床の中に十七名の川崎病患者の方が収容されているわけでございますが、この川崎病のための専門ベッドを設ける、専門という意味は、川崎病だけのための専門ベッドを設けるかどうかという問題につきましては、先ほど来御討論がありましたように、川崎病そのものの原因あるいは治療方法といったものにつきまして大変進んでおりますけれども、もう一つ本体につきまして明らかでないという現状がございます。また、診断、治療の方法論にいたしましても、総合的なアプローチのできる病院に置くということでございまして、これだけのための専門病床をつくる必要があるかどうかという問題につきましては、今後もう少し検討いたさなければならないのではないか。 しかし、そういった現状の中で、私どもといたしましてはできる限りこういった病院の中で患者さんがお困りにならないように、収容するように、積極的に対応をいたしてまいりたいと考えているわけでございます。
○吉浦分科員 ですから、川崎先生のいらっしゃるような日赤医療センターでございますとか、私はそこを指して申し上げているわけでありまして、やはり患者さんの需要におこたえできるような専門ベッドが必要ではないか。それ以外のところまでふやせと言っているわけじゃないのです。ですから、その対策として手おくれにならないように、比較的大阪と東京の専門的なお医者さんのいらっしゃるようなところに対する手だてというものは厚生省で考えていただかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。 次に進みまして、この患者さんの発生状況と死亡者の状況というものが大変心配になるわけでございますが、この点についてお答えいただきたい。
○幸田政府委員 患者の状況でございますけれども、私どもが委嘱をいたしております研究班が全国調査を実施いたしました結果でございますけれども、昭和五十五年末で全国に二万八千八百名の患者の発生が報告をされております。なお、年間の患者発生数は大体三千名前後ではないか、こう研究班では推定をいたしております。 なお、現在までに死亡をされました方は、この調査によりますと合計二百二十八名、こういう死亡例が報告をされておりますけれども、最近かなり死亡率が低下をしてまいっておりまして、昭和四十年代の後半には大体一・五%前後の死亡率でございましたものが、昭和五十五年には〇・四%程度に下がってきている、こういう状況でございます。
○吉浦分科員 私のデータによりますと、患者さんの数でございますけれども、四十年以前は八十八名、四十五年八百八十七名、五十年二千二百十六名、五十三年三千四百五十九名、五十四年が急にふえまして六千八百六十七、五十五年は少なくなりまして三千九百三十二、こういう数でございますが、五十四年にちょうど倍に患者さんがふえているというのは、どういう状態でこういう現象になっているわけでございましょうか。
○幸田政府委員 ただいま先生御指摘の患者の発生数は、御指摘のとおりでございます。五十四年に六千八百六十七名とやや異常に患者の発生数が多いわけでございますけれども、これは一つには、先ほど申し上げました川崎病の認定の基準というものが確立をいたしまして、これが各地の医療機関に周知徹底をされるといいますか、あるいはそういった関係で、従来は川崎病でない、こういうことであったものがよりよく認定をされるようになったというようなことがあるのではないかと考えておりますけれども、現在までのところ、特に五十四年が異常に患者の発生数が多いということの原因ははっきりいたしておりません。
○吉浦分科員 また後でその点はお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど私、冒頭に申し上げましたように、二月三日のA新聞、これは東京の三鷹市の五歳の坊やの死亡でございますが、五十六年、昨年の五月にやはり青梅市で男子中学生がグラウンドを走っている間に突然倒れまして、そして急死をしております。その子はやはり十年前に川崎病にかかったというふうに報ぜられているわけでありまして、また、つい先日、私の知人の子供が川崎病にかかったということで、こういう報道がされますと、突然死について両親の心配は大変なものだと思うわけでございます。国としてその原因、治療対策がどのように進められ、その原因は何であるというふうに現在の時点でつかんでいらっしゃるのか、お答えを願いたい。
○幸田政府委員 昭和四十二年に先ほどの川崎先生から川崎病の報告をされまして以来、厚生省としましては研究班を組織いたしまして、昭和四十五年から原因究明に努めておりますけれども、現在のところその原因はなお明らかになっておりません。いろいろな説があるようでございますけれども、現在のところ、はなはだ残念なことに、まだ原因がはっきりしていない、こういう状況でございます。
○吉浦分科員 その原因がはっきりしていないというところに大変不安があるわけでございまして、原因がわからなければ予防も治療もないということになるわけですね。そうするとやはり川崎先生のいらっしゃるようなところに——先ほどへ戻りますけれども、そこの専門の先生にどうしても診ていただく以外にない、こういうことになるわけですね。世界じゅうから川崎症候群、正式な名称は小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群、こう言うのですか、これで正しい読み方でございましょうか、こういう正式名称がついているわけでございますが、研究班の方々も日夜努力なさっているわけでございます。二月三日の新聞記事等によると、子供の命を奪った川崎病が大変憎いということで、早くこの退治をしていただきたいということについて、最後に出版までされて結んでいらっしゃるわけですね。 そこで、研究班は大半が小児科の先生方でつくっていらっしゃるわけでございまして、研究費の不足からその研究が思うようにいかないのではないかと私は感ずるわけです。その現状はいかがでございますか。
○幸田政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和四十五年から研究班を組織いたしまして補助金を交付いたしているわけでございます。昭和四十五年以来、引き続いてこの川崎病の原因究明と治療方法の開発ということに研究費の助成をいたしているわけでございますが、先生御指摘のように研究費、昭和五十六年で申し上げますと四百万円でございます。この研究費のもとになっておりますのが心身障害研究費でございますが、この心身障害研究費の中では特に他の研究に比べまして少額である、こういうことではないと考えておりますけれども、いずれにいたしましてもお子さんを持つ親御さんの不安の解消という意味合いでも、今後とも私ども、研究費の助成ということについてできる限り努力をしていきたい、かように考えています。
○吉浦分科員 ある研究班員の方は、ほとんど小児科のお医者さんたちが無償で進めているとも言われていまして、医学に従事する方々から、私たちがこんなことを言うのもおかしいけれども、もう少し研究費があればというふうに思わずにいられないという声も聞いているわけでございます。こういう点について、同班の年間研究費は、いまおっしゃられたように四百万から五百万程度、これは毎年計上されているようですけれども、お医者さんが十一名、その他のスタッフの方を含めても四十人構成で、これは若干少ないんじゃないか、こう思うわけであります。私のいただきました資料によりますと、ほかの方の予算はかなりついているようでありますが、川崎病研究班は小児慢性疾患に関する研究の中の臓器系の中に含まれているようでございまして、いまおっしゃったとおり年間ほぼ四、五百万程度、こうなっておりますが、ほかのはまたほとんど一千万円以上、多いのになれば八千万というふうについております。そういうのから比較して、その金額だけ見ても、もう少し増額して研究を進めていただかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
○幸田政府委員 実は、私ども厚生省サイドは先ほど申し上げたようなことでございますけれども、文部省におきましても川崎病の総合的な研究をするということで、昭和五十六年度から同じような研究班をつくりまして助成を開始いたしております。私どもも限られた研究費でございますので、できる限り重点的な配分をいたしたいと思っておりますが、そういった文部省関係とも十分にまた相談をいたしまして、できる限りの手だてを尽くしたいと考えております。
○吉浦分科員 原因究明と治療方法の点について再度お願いをいたしたいのですけれども、予防対策に今後どのように取り組んでいかれるかという点で大変不安があるわけでございますが、先ほど私、数を挙げました厚生省から出ておる研究班の患者さんの数でございますが、五十四年の場合に急激にふえているということは、そのときが、私は委員会が農水の委員会でございますけれども、松くい虫等が大発生したのも大体似ているわけでございます。高温少雨ということが人間にまで影響するのか、松くい虫はよけいなことでございますけれども、暖冬異変と申しますか、そういうことが仮に影響しているならば、ことしもその暖冬というふうな面で父兄の不安というものは一層ふえるのじゃないかというふうに思っているわけでございまして、その原因が不明で治療方法が定まらないということでございますけれども、時間的に余り細かく詰めるわけにいきませんが、その後遺症として心臓疾患が冠動脈にできる瘤によることがはっきりしているわけですが、熱が出ると瘤ができる、そういう点おわかりであれば、部分的で結構でございますけれども、お答え願いたい。
○幸田政府委員 最初に申し上げましたように、心臓に瘤ができるということはわかっておりますけれども、それがどういうことでできるかということについてはまだ解明をされていない、こういうことでございます。
○吉浦分科員 これは一月二十八日の新聞でございますけれども、川崎病はダニが関係かというようなでかいトップ記事になりまして、これまたびっくりした。これを読んでいる時間はございませんけれども、北九州のお医者さんが、川崎病の原因は日本の家庭に多いダニが深くかかわっているとの報道がされておりますけれども、これは厚生省はどういうふうにとらえておられますか、お答えをいただきたいと思うのです。
○幸田政府委員 川崎病の原因につきましては、従来からいろいろな説がございます。薬の乱用でございますとか、あるいは中性洗剤のためではないか、あるいは水銀によるのではないかというような説がございます。そのほかに、ウイルス感染説とかアレルギー説等いろいろなものがありますが、いずれも現在のところ、研究班の報告では、これらを原因と考えることについては否定されている、こういう状況でございます。 ダニにつきましても、そういった説の一つとして報告がございますけれども、現在のところそういう証明はされていない、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
○吉浦分科員 党としてもこの問題に真剣に取り組んで、対策、方法というものを考えておるわけでございますが、研究班員の方々の充実なり、または経費の家族負担の軽減なりということを含めました、いわゆる難病法対策というものをこれから厚生省もお考えにならないといけないのではないかというふうに感ずるわけでございまして、この点についてまとめて厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○森下国務大臣 人口問題の中で、高齢化社会、その中で特に出産率が非常に低下しておるという心配をしておりますが、できるだけ乳幼児の死亡率がふえないように、生まれてきた乳幼児が健やかに、りっぱに育っていくようにということは、われわれの願いでございます。そういうときに、この川崎病のような、乳幼児のうちに心臓障害を将来起こすような、しかも原因が不明である、治療もできない、この大変な病気がどういう原因で起こってきたか、私は実は非常に心配をしています。 そういうことで、ただいまの御質問の内容でありますけれども、この問題につきまして、かかった児童につきましては、その医療費を小児慢性特定疾患治療研究事業において公費負担の対象として、患者家庭の経済的負担の軽減を図っておるわけでございます。 なお、一日も早く川崎病の本体が明らかになりまして、患者の不安が解消されるように、今後とも一層の研究促進を図っていく所存でございます。
○吉浦分科員 最後に、総理府お見えになっておりますね。総理府にお尋ねをいたして終わりたいと思います。 ソ連抑留者の帰還の問題でございますけれども、恩給法上恩恵を受けないでいる方々がたくさんいらっしゃるわけでございまして、救いの手はないものかどうかという意味でお尋ねするわけでございますが、特にシベリア抑留者の方々は、強制的な抑留の問題で問題にもなっておりますし抑留者の数が膨大でもあった、また死亡率も大変高かった、また奴隷的な強制労働の過酷さにおいて人類史上例を見ないほどのむごいものであったというふうに思うわけでございますが、やはり引き揚げ者の方々等は、自分たちだけが犠牲を強いられたという感情が強いわけでございまして、これの補償等が終わらなければまだ戦争は終わっていないかのように思っていらっしゃる方々がたくさんいらっしゃるわけでございます。 折しもちょうど懇談会の中に検討費というものがつけられまして、その対策を何らかの形で考えてあげようというふうな動きがあるわけでございます。私は大変これは喜んでおるわけでございますが、こういう点について、どういうふうに検討費がこの方々に対する手だてになり、引き揚げ者の方々なり抑留者の方々に対して補償の面にまで拡大できるような方向がとられるのかどうか、それが一つでございます。 もう一点は、時間の関係で申し上げますが、帰還した方々が内地へ帰りまして、そして、就職なさった場合に、公務員等に就職されると恩給の期間にその抑留の期間が加算されて、恩給的な加算になっているわけでございます。ところが、一般の百姓とかその他の地方の働かれた方々は厚生年金なり国民年金に何らその加算の方法がないわけでございまして、こういう点からも不公平じゃないか、同じ戦友として戦った者が、また帰ってくると官僚優先みたいな形でその就職先まで影響して、将来差をつけられて大変な不公平を感じている、こういう点で私のところにもたくさんその要望が来ているわけでございます。 この二点について、時間もございませんので明快にお答え願います。
○石川(周)政府委員 私は前段の方の問題につきましてお答えさせていただきます。 政府といたしましては、これまでソ連の強制抑留に遭われた方々を含めまして何らかの形で戦争の犠牲を受けられた方々につきまして、戦没者遺族あるいは戦傷病者等の方々につきまして一連の援護等の措置を講じてきたところでございまして、昭和四十二年の政府、与党間の了解もございまして、戦後処理に関する一切の措置はこれら一連の措置をもちまして終了していると考えております。改めてこのソ連の強制抑留者の方々の問題を含めまして給付金等の特別な措置を講ずることは適当でないと考えております。 しかし、戦後処理問題につきましては何らかの所要の措置を図るべきである、戦後三十六年を経まして一部にそういう強い御要望のあることも事実でございます。政府といたしましては、そういう御要望があることを踏まえまして、今般民間有識者による公正な検討の場を設けまして、これらの問題につきましてどのように考えるべきかを検討していただこう、こういうことにしたわけでございます。したがいまして、ソ連の強制抑留者の方々につきましていま補償する考えがあるかどうか、こう問われますと、政府としては考えておりませんというお答えになるわけでございます。 それから懇談会でその問題がどのように議論されるかどうかということに相なりますと、これは懇談会の先生方がどのようにこの問題を考え、検討し、処理していくかという懇談会の先生方の検討の仕方によりますので、政府の方として差し出がましいことはいまから申し上げるわけにはまいらない、こういうことかと存じます。
○山口(新)政府委員 後段のお尋ねにつきまして私からお答え申し上げます。 抑留中の軍歴等の期間につきましては恩給期間として見られる部分が確かにあろうかと思いますが、恩給制度につきましては現在の共済組合の制度に引き継がれたわけでございまして、そういう意味で共済組合の方は期間の通算をいたしておると思います。 一方、厚生年金につきましては、厚生年金の制度の流れをくみます旧厚生年金保険法あるいは労働者年金保険法時代はすべて通算をいたしております。その間には制度の流れが違うわけでございまして、現在の厚生年金のように労使の保険料から成り立っております制度、あるいは国民年金にいたしましても加入者の保険料を主体とする財源で制度を仕組んでいるわけでございますから、直ちに軍歴の恩給期間が現在の一般の年金制度の中において給付の対象としてつなげられるべきであるということは制度の筋としてはいささかなじまないのではないかというのが現在の私どもの考えでございます。
○吉浦分科員 時間ですから、終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて吉浦忠治君の質疑は終了いたしました。 次に、青山丘君。
○青山分科員 大分お疲れのところだと思いますが、ひとつしばらくおつき合いをお願いしたいと思います。 厚生省は六年に一回歯科の実態調査を行っているそうでありますが、昭和五十年歯科疾患実態調査によりますと、虫歯の有病者率というのが、永久歯だけを対象とした場合、男女総数の八五・五三%、乳歯プラス永久歯を対象にした場合は実に九七・二四%という高い有病者率を示しております。乳歯から永久歯に生えかわるという虫歯にかかりやすい時期であることを考慮に入れても、国民病とまで言われる歯科疾患は、ほとんどの人があの痛みを経験し、歯科医院の門をたたいていることになるわけです。 歯科疾患には自然治癒はありません。したがって、一度疾病を患いますともう二度ともとどおりの歯になることはできないわけで、いわゆる欠損補綴という処置を施さない限り、もとの歯と同じような機能を取り戻すことはできないわけであります。有病者の総数を一〇〇%とした場合の処置完了の割合は約二三%というデータが出ております。三十二年、三十八年、四十四年、五十年と調査のたびごとにその割合は乳歯、永久歯ともに高くなってきております。これは国民全体の衛生思想の向上と歯科医師の努力と医療行政の成果とも言うことができると思います。しかしながら、未処置のものが一六%、処置歯、未処置歯を併用するものが六一%で、約七割強の人たちが依然として虫歯を抱えていることになります。 そこで、厚生大臣にお尋ねをいたします。 有病者数が減少の傾向にあるとはいえ、歯に何らかの疾患を持っている、あるいは患ったことがあるという人が国民の九割方を占めている。この事実について、厚生大臣どう思われますか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○森下国務大臣 詳細につきましては関係の政府委員から申し上げますけれども、歯科の問題は歯だけの問題ではなしに、やはり胃を初め内臓にかなり大きな影響を与える。また、歯そのものだけではなしに、歯の周辺の病気も実はございまして、この治療にわたりましても、一般の医科と同じような評価をすべきであるということで、九〇%以上が虫歯を持っておる、歯が悪いということ等は、これはもう健康上また保健衛生上大変なことでございまして、これに対する対策にいたしましても、老人保健法でも四十歳から、遅いかもわかりませんけれども、そういう面でもいろいろと予防等についても配慮をしておるわけでございます。この点につきましてはなお一層配慮していきたいと思うのでございます。
○青山分科員 国民病という現実認識に立って歯科医療行政を進めていただきたい、こういう立場で質問をいたしました。 歯科疾患はゼロ歳児から高齢者にまで、それは実に広範囲に及びます。歯科の場合にも予防、早期発見、早期治療、こういう疾病における最も単純なプロセスが当てはまりますが、学校のように定期的に歯科検診を行うところはともかくも、一般の市民は痛みが起きてから医院へ行くというのが現状のようです。普通は歯科疾患にかからないためにという予防の指導はなかなか受けられたいというものだと思いますが、歯科疾患の予防については生涯にわたっての予防活動が必要かつ重要だと考えます。これについての厚生省の見解をお伺いいたしたい。あわせて、現在実施しておられる対応策あるいは準備中の対応策についてもお答えいただきたいと思います。
○大谷政府委員 歯科疾患の予防対策につきましては、虫歯が自然治癒をしないというような現実を考えましたときに、これは予防に最善の努力を払うべきだというふうに考えております。そういった観点から、厚生省では母子歯科保健対策というものに従来から非常に力を入れておりまして、これにつきましては相当なことをやっておるわけでございますが、その後の、先生の御指摘のような壮年期につきましても非常に大事じゃないか、こういった問題につきましては、保健所等の一般の公衆衛生施策の中で健康教育というふうなことでやってまいっておるわけでございます。 今回国会で御審議を願おうとしております老人保健法案の中でも、特に壮年期からの方々につきまして健康診断ができれば一番よろしいのでございますけれども、そういうふうなことはちょっといまの予算事情の中ではできないのでございますが、啓蒙あるいは健康教育という点につきましては、この老人保健法案の中で歯科につきまして相当重点を置いてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○青山分科員 予防と治療がきわめて大切である。とりわけ予防活動に力を入れてくださること、これが健康生活に最も重要でありますので必要でありますが、現実には国民のほとんどが歯科の有病者である。九十数%にも上っておるという実態から、予防対策をもっと強く進めていっていただきたい、こう要望しておきたいと思います。 昭和五十六年度の厚生白書によりますと、五十五年末現在で歯科医師数が五万九千人、同年十月の国勢調査によりますと、人口数との対比は、人口十万人に対して歯科医師五十人になりました。もちろんこれは全国平均で、都市部、農村部は数値が異なるわけであります。しかし、医師一人当たりにつき人口二千人という割合にはなってまいりました。 ただ、昭和五十五年四月現在、歯科大学は全国で二十九校、卒業生は年三千人を超えております。また、歯科大学を卒業する歯科医師の卵たちは年々増加の傾向にあるため、現在在学中の学生をも含めてまいりますと、歯科医師の適正数をはるかに超えることになってまいるのではないかと思います。厚生省が指標としておりました人口二千人に医師一人というのは、このままでいきますと昭和六十年を待たずに地方における歯科医師不足は解消して、全国的に見ると過剰の段階に入ってくるのではないかと考えております。歯科医師数の過剰は歯科医療需給のバランスを崩して、やがて乱診乱療という医療秩序の乱れを引き起こすことになりかねないと思います。 そこで、この需給のアンバランスに対して、政府としての速やかな対応策を望むものでありますが、どのような御見解か、お尋ねをいたします。
○大谷政府委員 先生御指摘のように、厚生省では歯科医師人口十万対五十人ということを目標にやってまいりましたが、昭和五十五年末にはこの目標がほぼ達成されるということになりました。 そこで、歯科医師の数が過剰であるかどうかという問題でございますけれども、これは医師の場合も同じでございますが、適正な医師数、歯科医師数といったものにつきましては、やはり歯科医療の動向あるいは社会情勢、こういったものを踏まえまして十分に慎重な審議が必要ではないかというふうに考えるわけでございます。先ほどもお話しのように、未処置の歯というふうな問題あるいは予防活動といったふうな問題を十分検討いたしませんと、こういった問題につきまして早々に結論を出すというのは非常にむずかしいことではないかと考えております。 したがいまして、厚生省といたしましては、現在文部省とこの問題につきまして検討会を開いておりまして、できる限り早く結論を出しましてこの問題に対処いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○青山分科員 歯科医師の過剰の問題が出てきております。イタリアあたりでは、聞きますと歯科医師の国家免許を持っている人がタクシーの運転手をやっておる、こんな事実もあるというのです。そんな時代になってくれば、これは大変な医療秩序の乱れを来たすという心配を持っておりますので、全体の動き、趨勢をひとつ御理解いただいて、早期に手を打っていただきたい。とりわけ東京の人口十万人に対して医師が八十二人、沖縄の人口十万人に対して医師が二十二人、こういう歯科医師の偏在についての対応策もあわせて考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大谷政府委員 先生御指摘のように、トータルといたしましては目標数に到達いたしておりますが、医師の多い県あるいは少ない県という格差は非常に大きいものがございます。こういった点につきましては、私どもといたしまして十分対処いたしてまいりたいというふうに考えております。
○青山分科員 昭和五十五年に行われました民間のある調査によりますと、歯科医療に対する市民の要望の主なものを見てまいりますと、料金が高くて治療を受けに行くのが恐ろしい気がする、保険の適用範囲内でもっとよい治療をしてほしい、毎日気をつけることなど予防の指導をしてほしいなどといったところで、安心して十分な治療を受けたい、そして歯科疾患にかからないための保健指導を住民は望んでいるのであります。 厚生省は、歯科医療に対して、通常必要とする歯科医療は保険でできると従来よりおっしゃっておられますが、歯科の治療にかかる高料金は巷間ではしばしば話題になるところであります。保険の適用は、通常必要とする歯科医療までとされております。つまり通常必要というのは、機能性のみに重きを置いた言葉であって、患者側が料金が高いと言う場合は機能性を超えた審美性あるいは貴金属による治療の場合だと思われます。この言葉の意味が十分に理解されていないことが、歯の治療は高いというイメージを生み出す原因になっているのではないかと思います。 そこで問題は、この歯科医療に対する市民の認識、どこに欠陥があるのか、たとえば歯科医師に責任があるのか患者側に責任があるのか行政側に責任があるのか、医師と患者側に特に責任があって行政には一切責任がないのか、その辺のひずみはないのか、バランスはとれているかという問題であろうと思うのです。いかがでしょうか。
○大和田政府委員 歯科診療の問題でございます。これはおっしゃいますように自由診療の面もございます。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、通常必要な診療は保険で給付する、こういうことになっておりますし、たとえばいま申されましたように、審美性に重点を置いた診療であるとか、あるいは前歯部以外に貴金属を使用した場合とか、そういったような場合については自由診療、根っこから保険の適用外。あるいは材料で、たとえば前歯部の鋳造歯冠修復にいい金属を使ったといった場合は、根っこは保険で見るけれども材料の差額だけは自費だといったようなことになっております。これはできるだけ自由診療から保険診療に導いていく、導入していくといったことが必要でございますし、数年前から逐次、医療費改定の都度保険診療の導入を図ってきているところでございますが、なおまだおっしゃるような自由診療という面あるいは差額徴収、そういう部分があるわけでございます。 そこで、いろいろトラブルがある一番の問題といたしましては、治療をしてしまった、その後幾らということで請求されるということになりますと、これは患者さんの方がびっくりする。そこで トラブルがある。こういったようなことはなくさなくてはいけない。したがいまして、自由診療の場合は事前に十分お医者さんと話し合うということが必要でございますし、そういったようなこと につきましては私ども十分PRをいたしたいということで、特に最近におきましては、昨年の秋からでございますけれども、全国紙の突き出し広告をするとか、それから婦人雑誌にも広告するとか、あるいはポスターでそういう趣旨を徹底するといったような方向で努力をしておるところでございまして、できるだけトラブルをなくしていく努力を今後とも強めていきたい、このように考えているわけであります。
○青山分科員 いま保険局長が答弁になりました材料差額方式の導入については私は大変評価をしております。 ただ、これもまだ問題もありまして、たとえばかぎで固定する義歯クラスプーこれは専門的になりますから、局長さん、別にいいですよ、よく聞いておいていただきたい。かぎで固定する義歯クラスプの場合、白金加金が一番いい。これは装着も、それから機能的にも医師の多くの人たちがそうおっしゃるのです。ところが、白金加金を使いますと、義歯本体までが保険給付の対象から外れる。よく調べてきますと、たとえば一本だけ残っておって一床十三歯の場合に、この白金加金が大体二万円から二万三千円、それから義歯本体も含めますと約七万円、技工料を払うのがそのうち五万円ぐらい。 そうしますと、通常必要とする機能性は保険料で見るということですけれども、よりいい材質が出てきておるということになりますと、多くの人たちがそれを望む。たとえば、かつてテレビが出たころ、私たちは白黒でよかったのです。ところが、いまどうですか。白黒のテレビを見ておられますか。ほとんどカラーテレビになってきておる。カラーテレビの方が実際の姿に近いわけです。 これはたとえはどうかと思いますけれども、白金加金が最も適当であるということになってまいりますと、せめて通常必要な機能を認める部分、つまり白金加金、プラスアルファ部分は、金パラジウム部分ぐらいは保険給付の対象にし、本体義歯はもちろんそれには加えていく。通常必要部分ぐらいまでは保険の対象にして、プラスアルファ部分は自由診療として患者の負担にしていくというような方向にでもせめて持っていかなければ、現実的ではないと思うのです。ぜひこういう点も検討の対象に入れていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○大和田政府委員 はい。
○青山分科員 時間がありませんので先へ進めたいと思います。 実は私の大変親しい堀井さんという歯科医師さんが、私が求めて資料を提供してくれました。 これは義歯の問題ですけれども、この歯科医師さんはごく普通の医院を開業しておられる方ですけれども、一カ月間にたとえば社会保険の本人で、女性で、年齢が五十歳、下の義歯、一床三歯、それから社会保険本人、男性、三十六歳の方、上が二千二十三点、下が一千八百六点、一床二歯、一床二歯というように、ずっと自分が診療、治療に当たったデータを私に実は出してくれました。 これを見てまいりますと、現場の実態を伝える大変貴重な資料だと思うのです。これは義歯だけですけれども、この月は二十七人四十二床の義歯をつくっております。総売り上げが五十九万七千百七十円、技工料が四十万七千百九十円、そして利益が十八万九千九百八十円になります。一個当たりの利益に換算いたしますと四千五百二十三円となるわけです。 しかし、この四千五百二十三円の中には従業員の給与、医療設備費、光熱費などの医院の経費が含まれておりますので、純利益になるわけではありません。一個の義歯をつくるための医師の技術、労力、経験等々必ずしも十分技術が反映された金額ではないと思いますが、いかがでしょうか。
○大和田政府委員 診療報酬につきましては、医科も同様でございますけれども、各診療行為の点数の均衡及び全体として保険医療機関としての健全な経営と保険医療が確保されるというたてまえで設定をされているところでございます。現行の点数は、昨年六月の診療報酬改定に当たりまして、医療担当者と協議の上、決めたところでございます。 御指摘の点につきましては、なお保険財政等を考慮いたしまして、今後中医協の場におきまして十分審議をしてまいりたいというふうに考えております。その意見を踏まえて、御指摘のような問題につきましても対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○青山分科員 巷間伝えられるところによりますと、歯科は高い、ずいぶん歯科医師が利益を上げておるのに違いないというような伝聞が流されておりまして、実は私もそうかなと思っていたのです。それで私の大変近い、親しい方に尋ねてみたら、いや、実態はそうではない、一カ月間あんなにたくさん義歯をつくっても一つ当たり四千五百円程度、そのうち経費を払っていくと一体どれぐらいの利益になるか。世間で伝えられることと実態とはずいぶん違うんだなという実感を私持ちました。こういうこともぜひ判断の中に入れておいていただきたいと思います。 それから、歯科技工士も、使いやすい義歯を、あるいは使い心地のよい義歯をと心がけて努力していますが、よい装着が得られない場合、そのやり直しは技工所の負担になります。技工士はいま全国で二万人にも上ると聞いておりますが、保険の技工料だけでは生活が苦しい、そのためにアルバイトで生活を支えている技工士もいるといいます。歯科技工料の料金適正化、またそれに絡んで歯科材料価格基準を常に適正化させていただきたいと思いますが、御見解を伺っておきたいと思います。簡単にひとつ……。
○大和田政府委員 この問題も繰り返しになるわけでございます。やはり全体としての経営といったようなことを考えながら、私どもといたしましては対処をしていくということになろうかと思います。十分その御意見につきましては承りながら、今後の問題といたしまして検討さしていただきたい、このように思っております。
○青山分科員 まだほかに質問を持っておりますが、時間がありませんので少し飛ばします。 義歯について難易度をつけるのが適当ではないかという声がたくさん出ておりまして、私、実は地域の歯科医師会の最高の指導者である、たとえば私どもの吉兼さんだとか中川さんというような高名な方のところに行きまして、いろいろ多くの人たちからどんな話が出るのか聞いてみたのです。 その中に、実は歯科の補綴の中でも老人にとっての補綴、義歯は大変重要な割合を占めている。歯科疾患の補綴が老人にとっても生きがいとも言えるわけで、人間というものは、ある程度の年齢に達しますと、多かれ少なかれ歯にも欠損が生じてくるわけでありますが、義歯あるいは総義歯に頼らざるを得ない老人の場合、えてして義歯の取りつけにくいことが多く、このような作業は非常に難儀をしているといいます。たとえば高齢であるがために、顎堤吸収というのですね、歯槽骨吸収が著しく、歯槽堤が低い場合、あるいは長期間にわたって欠損を放置したために義歯を装着しても正常なかみ合わせに戻すのが大変困難だ。あるいは稔転というのがあるのですね。それからたとえば神経質な患者さんに対して型をとる印象、これはなかなかむずかしい。それから補綴物を装着するということ、特に神経質な患者さんに対する装着後の指導もなかなか困難だ。こういうことで、こういう困難な義歯作成には技術の難易差をつけるのが最も妥当ではないかという声が強いのです。 そこで、現在口腔外科においては治療の難易度によって点数が異なっております。たとえば抜歯の場合、前歯、臼歯、難抜歯、埋伏智歯等々、いずれも点数が異なっておるわけです。義歯に関しても老人医療の特殊性を考慮して難易度によるランクづけをして、技術が適正に評価されるようになるのが最も妥当だと考えますが、いかがでしょうか。
○大和田政府委員 ただいま先生の御質問は、特に老人の補綴につきましては症例においてなかなかむずかしいのもあるし簡単なのもある、これはやはり差をつけるべきではないかという御質問であろうかと思います。 これにつきまして、昨年六月の改定におきまして、補綴の困難な症例について、新たに特殊印象であるとかあるいは検査という面で難易度に対応できるようにしてまいったわけであります。これは昨年六月に新たにそういうようなことで点数をつけたわけでございますが、これはこれで、ただいま先生おっしゃいましたことについて十分おこたえできたということではございません。これは第一歩ということで、先生のおうしゃいましたような方向に向かって進んだわけでございますが、これからも十分検討をいたしていきたい、かように思っております。
○青山分科員 終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて青山丘君の質疑は終了いたしました。 次に、栗田翠君。
○栗田分科員 私はきょう保育行政にかかわる問題について初めに質問いたしたいと思います。 五十七年度の予算案を見ますと、保育所関係予算が九十六億九千七百万円減らされておりまして、特に措置児数が五万一千人減と見積もられていますけれども、その根拠はどういうところにございますか。
○幸田政府委員 五十六年度に比べまして五十七年度予算案では九十六億四千二百万円減額になっておりますけれども、その理由は、措置対象児童数が約五万一千人程度減少するであろう、こういう見込みによるものでございます。
○栗田分科員 その見込みの根拠なんですけれども、それはどういうところにありますか。
○幸田政府委員 実は保育所の措置対象児童数でございますけれども、昭和五十五年四月一日現在、全国で百九十四万人おりましたものが、昨年の昭和五十六年四月一日には百九十二万二千人ということで、一万八千人の減少を見たわけでございます。幼稚園はもっと前から対象児童数が減少していたわけでございますけれども、保育所につきましても昨年初めて減少を見たわけでございまして、その背後には御案内の出生数の低下という問題がございます。 具体的に数字を挙げて申し上げますならば、昭和五十年当時、保育所が対象にいたします児童、いわゆる就学前の児童数でございますが、これが全国に千二百八十五万人いたわけでございますけれども、昨年の四月にはそれが一千八十四万人ということでございまして、二百万人を超える減少、率にいたしまして二割以上の減少をいたしているわけでございまして、出生率の低下ということが具体的なものとして出てまいりましたのが昨年の保育所の減員の現象でございますし、それは今後なお数年間続くであろう、かように考えております。
○栗田分科員 ところで、全国で保育にかける乳幼児の数というのは何人ぐらいおりますでしょうか。厚生省はつかんでいらっしゃいますか。
○幸田政府委員 私ども昭和五十一年の保育需要実態調査というものを実施いたしておりますが、その調査からの推計ではおおむね学齢前児童数の一八・六%、こういうことになっております。
○栗田分科員 そうしますと、それは人数にしますとどのくらいになりますか。
○幸田政府委員 先ほど上げましたように、昭和五十六年四月現在で就学前の児童数というのは一千八十四万人でございますから、それの一八・六%、こういうことでございます。
○栗田分科員 そういうふうにっかんでいらっしゃるわけですね。 それで自治省に伺いますけれども、自治省が毎年「公共施設状況調」というのを財政局指導課で編集して出していらっしゃると思います。つい最近も五十五年度のこの調査がまとまって出されておりますけれども、この中に「保育所整備の状況」という調査がありますね。ここを見ますと保育所対象者数というのが出ておりまして、五十五年度の場合には二百六十三万六千人になっておりますけれども、この対象者数というのは一体どういう数をまとめたものですか。
○木村説明員 お答えいたします 「公共施設状況調」の保育所対象者数でございますが、これは三十六年二月二十日付厚生省児童局長通達による児童福祉法による保育所への入所措置基準に該当すると見られる児童の数でございまして、これは市町村がそれぞれの実情に即して調査あるいは推計をいたして把握した数を報告いたしているものでございます。私どもは、この数字は保育所対象者の数でございまして、すなわち入所を希望する者であるかどうかということは把握をいたしておりません。
○栗田分科員 それはいまのお答えのような形で集計されているわけなんですけれども、この二百六十三万六千人と措置児数百九十八万ですか、私が厚生省からいただいた五十五年十二月の資料ですと、この方が四月より多いのですが百九十八万くらいになっておりますけれども、かなり差がありますね。つまり六十万余の差があるのです。つまりわかっている数で少なくともこれだけ保育に欠けているということになるわけですね。
○幸田政府委員 自治省と私どもの数字の食い違いということに関連してのお尋ねでございますので、私どもの調査をいたしております形を申し上げますと、私ども先ほど一八・六%と申し上げましたのは厚生行政基礎調査の世帯を対象にいたしまして、調査員が母親に直接面接をいたしまして、保育に欠けているかどうかということの事情を聴取いたし、判断いたしたものの積み重ねが一八・六%でございます。自治省の方の御調査は、いわば市町村を通じましたものでございまして、市町村によりますと、その当時の一八・六%、私どもが把握をいたしました数字を使いましたものもございますし、あるいは推計を加えたものもある、かように聞き及んでおります。したがいまして、私どもが現実に保育に欠けるということで必要なものは、先ほど申し上げました一八・六%、こういうことで考えているわけでございまして、この人員は二百五万七千人程度と考えております。
○栗田分科員 厚生省に伺いますけれども、いま無認可の保育施設、去年あたりから大きな問題になったベビーホテルだとか、ベビーホテルでなくても、共同保育所という形でやられているような無認可の施設だとか、それからその他保育に欠ける状態でありながら実際には保育所に措置を申し出ていない場合もあるやに思いますけれども、そういう数というものははっきりはつかんでいらっしゃいませんね。
○幸田政府委員 いわゆる無認可の保育所の数字というのは、私どもは正確な数を把握いたしておりませんけれども、都道府県の報告から推計をいたしますと全国でおおよそ三千カ所、利用しております子供の数は約十万人程度ではないか、かような推計はいたしております。 なお、保育に欠けるという問題についての対象児童数の御質問がございましたけれども、先ほど申し上げましたように、私ども就学前児童数の一八・六%、二百五万人余が保育に欠けているであろう、こういう推計をいたしておりますが、現在私どもが対象としております、認可をいたしております保育所の定員は二百十六万人でございます。
○栗田分科員 二百五万といいますと、収容定数をちょうど満たすくらいだという数が出ているわけなんですね。しかし、自治省の調査では六十万の差がある。やはり児童福祉法の立場に立って、本当に保育に欠ける子供がない状態にしていくためには、細かな調査をしていく必要がありますし、また大まかな概算だけで簡単にこれで足りたと断定してしまってよいのだろうかという問題があるわけでございます。 私、少し実情を申し上げたいと思うのですけれども、出生率は確かに減っていますが、働く若い母親はふえております。昭和四十八年に対して五十五年の数、二十五歳から三十四歳まで、幼児を抱えていると思われる婦人たちの就労者数ですが、七十万くらいふえているわけですね。子供が一人とは限りませんから、産まない方もあるけれども、そういうことでは逆にふえている面もある。そういうことを十分考えていかなければならないと思うのです。 そこで、昨年行管庁が「保育所に関する調査」をやっておられます。私も大変関心を持ちましてこの調査を見ましたけれども、これによりますと、一度保育所への入所措置が決まってから辞退をした状況というのが統計で出ております。これを見ますと、一番辞退をした理由で率の高いものが「保育料が高いため」で二〇・九%、その次が「家でみることにした」で一三・九%、それから「幼稚園に入園するため」に保育所の方をやめたというのが一〇・五%、「母親の就労中止」が九・二%、「祖父母にみてもらう」ことにしたが五・五%、あとは「児童の病気、入院」が五・二%、「送迎が困難」四・七%、「希望した施設でないため」一・八%、「保育時間が短い」〇・五%、こうなっております。 この中でトップにある「保育料が高いため」から続くあと四つの項目は、みんなもともとだったらこういうことはできないはずなのに、事情を変えたのかなと思うものがあります。「家でみることにした」、見られないから保育に欠けるはずだけれども、そうなった。それから「母親の就労中止」、就職がだめになったということもたまにはあるでしょうけれども、保育所に入れるよりは私が仕事をやめてと、こういうのもあるわけです。「祖父母にみてもらう」、これもいままでだったら無理だったけれども、見てもらうように無理をした、こんなのだけでも三八・一ぐらいあって、この中で本当に自分の都合というのは「児童の病気、入院」ということだけのように思うわけです。こういうふうに一度入所が決定され、つまり措置が必要だと思われながらやめている子供たちがかなりあるわけです。 私の調査でも、保育に欠けながら入所しない、また入所できない原因はどういうことかというと、いろいろ民間の調査もありますが、大きく五つに分けてあるように思います。まず第一に、保育料が高過ぎる。二番目に、入所措置基準が厳し過ぎる、三番目に、産休明けからのゼロ歳児を預かるところが少な過ぎる、そのために定員が足りなくて入れなかった、それから四番目に、保育時間などが労働条件に見合わなかった、それから五番目に、中途入所ができないために、途中で生まれたり、途中で必要が出た場合に入れなかった、こういうことがあるようでございます。 ところで、こういう全体を見ていく中で、その入所基準の適用というのが大変厳し過ぎると私は思っております。これは、保育に欠ける児童は措置しなければならないという児童福祉法の立場から言いましても、こういうのは一体どういうことなのだろうかと思う例がいろいろ出ているのです。 たとえば草加市の例がございます。この草加市は五十六年で定員が千七百名ですが、定員割れが百三十八名出ております。定員割れ以外に、希望したけれども落ちた人が二十八名いるという状態です。五十七年でも定員割れが百十一名出ております。つまり保育所にあきがあって入っていないわけなんです。それだったら需要がないのかという問題です。私立の無認可保育所は、五十人程度規模のものはどこもいっぱいになっているという一方の実情があります。 こういう手紙が私のところに来ているわけです。保育所入所について、特に最近に見られる入所基準の厳しい例を挙げておきますという手紙が来ております。たとえば三子目を自動的に保留児にする、定員にあきがあっても、窓口で、「三人目は無理ですよ」と切ってしまうというケースが多い。 厚生省に伺いますが、何人目であろうと保育に欠けるのは欠けるわけです。このときの理由というのが、税金を使っているのに、そんな何人も何人も預けるのは不公平だということまでつけ加わっているんだそうですけれども、こういう切り方というのは厚生省の指導による切り方ですか。いかがでしょう。
○幸田政府委員 草加市の実例については、私どもは承知いたしておりません。
○栗田分科員 私は、いま例を挙げましたので、このようなことが実際にあったとすれば、これは厚生省がよいとお考えになるやり方かと伺っているのです。
○幸田政府委員 御要望がございますれば、実情を調査をいたしてみます。
○栗田分科員 時間が短いですからぜひ的確に答えていただきたいのですが、三人目の子供だったら税金の使い方が不公平だから入れるのは無理ですよ、一人目、二人目はお母さんが働いているなり何なりで保育に欠けると認められて入れながら、三人目は入れないというのはどうなんですか。
○幸田政府委員 私は、その先生御指摘のことだけであれば、それは適当でないと思いますけれども、そのケースについて具体的にどういう事情があったかということを承知しておりませんので、コメントは差し控えたい、こう申し上げているわけでございます。
○栗田分科員 なかなか慎重なお答えをなさるのですけれども、このケースの場合には、結局市とお母さんがまた話し合い、交渉しまして、保育に欠ける条件があるのだから、三人目だって自動的に切るのは間違いだ。福祉部長のところへ行きまして、部長の言葉をとってやっとまた窓口に相談をして入れてもらった。だから、これは草加では調査をやっているわけですね。こういう切り方をしているとすれば、これは児童福祉法の精神に反すると私は思うのですね。 ほかにいろいろな例があります。自営業者が年度が変わって更新をするときに、商売の方、どうですかと聞かれたので、最近は不況で暇なんですよと言ったばかりに、じゃ幼稚園へ入れてくださいと言われたとか、それから内職の方は預かれません、外に働きに出なさいと言われたとか、それから育児休業の子供の場合、産休が二月二十五日に切れて後育児休業に入る。あと一カ月も措置しないで、もう卒園するというのに切ってしまったという、こんなケースもある。子供というのは本当に幼いうぶな心を持っていて、やわらかい心を持っているわけですから、あと残り一カ月足らずならば、友達もいるし、そのまま入れておくというような余裕があってもいいのではないだろうか、こう思っています。 そこで私、これは厚生省はそういうふうに考えていらっしゃらないけれども、しかし出先が勝手にそういうことをやっているのだというばかりではなく、入所措置を厳しくせよというような御指導もあるのではないだろうか、こう思っております。それはなぜかと申しますと、きょうここに、厚生省児童家庭局がお出しになった「保育所入所措置事務提要」、これは五十四年に出たものですけれども、それを持ってまいりました。こんな場合は措置したのは間違いであるという例がずっと出ております。 この例を見ていて私はびっくりしたのですけれども、たとえばこういうのがあるわけですね。四歳の男の子を保育所に入所させて、自治体でも入れたわけですね。これは必要だと認めて入れたわけです。母の状況、母親はテープレコーダー製作会社で働いている。勤務時間は九時から十七時まで一日働いているわけですね。第二次保育者の状況、おばあさんがいるわけです。しかし、祖母は病弱である。胃病だ。それで市町村の調査では、母親の就労証明書と祖母の診断書に基づき入所措置決定をした。ところが、これが指導の方なんですね。「祖母の病気は七年前胃潰瘍の手術をしており、経過をみるため、毎年二回、医師の診断を受けているが、投薬その他治療行為はない。」「診断書の記載事項からは祖母の病状の程度が判明しないので再調査を行ったところ、祖母の年齢もまだ若く、その健康状態も現在では比較的良好であり、日常の家事はほとんど祖母が担任していることからして、本児の保育もこなし切れるものと考えられる。」こうなっているわけですね。こういうふうにやりなさい、だからこれは入所措置をしたのはやり過ぎである、おばあさんにやらせるんだ、こうなっておりますね。 それからほかにもありますね。これは酒屋さんで、お酒のびんなどがたくさんあるので、販売店の中では危険で保育することができないとして申請がされて、おばあさんは病弱だということですね。市町村はそのとおりであるということで入れたわけです。ところが、こうなっていますね。「祖母は町内会の旅行等にも参加しており、健康も回復して、本児の保育所への送り迎えも行っている。」こういう例がずっと厚生省の措置事務提要という形で出ているわけです。 私、こういう形で保育対象児というのがいましぼられていっているのだろうかと実はつくづくと思ったわけです。大臣も、それから局長も、皆さん方それぞれ余り小さいお子さんを直接自分がお育てになったことはないと思うのですけれども、子供というのは育てるのは重労働です。特に寝ている赤ちゃん、むしろまだいいのですよ、大変だろうとお思いになるだろうけれども。ちょこちょこ歩くような子供というのは大変なんですね。抱きかかえても多少重くなっているし、自動車は来るし、おばあさんなんかが見たら、孫をけがさせてはならないというわけで、本当に大変なんですね。だから、ここに書かれているように、病弱だと言うけれども、家事をやっているから子供を見られるだろうとか、それから保育所へ送り迎えしているから見られるだろうという、こういう判断になってまいりますと、それは家事はできるけれども子供まではという、こういう範囲があるわけですね。送り迎えぐらいはするけれども、ずっと一日見ているわけにはいかない、こういうおばあさんというのはたくさんありまして、すっかり孫のめんどうを任せられて血圧が上がったなんという例がずいぶんあるわけなんですね。それをこういうふうに指導して、なるべく措置される子供を切っていくというやり方をもししていらっしゃるのだとしますと、これは大変、児童福祉法の精神からいっても、また最近の交通事情その他の環境からいっても見合わないのではないだろうかと私は思います。 そこで一つ伺わせていただきたいのですけれども、この入所措置基準というのは昭和三十六年に通達で示されたものだと思います。そしてそれ以後、変更されていないと思います。ところが、三十八年に中央児童福祉審議会から、保育に欠ける条件を緩和せよという答申がたしか出ておりますね。けれども、これは変更されておりませんね。答申を受けて変更されておりませんですね、うなずいていらっしゃるので、そのとおりだと思いますけれども。 昭和三十六年というのは、婦人労働の条件というのがずいぶんいまと違いまして、働く婦人たちもまだ未婚者が多かったのです。いまのように既婚者の方が数が多いということはないわけです。社会、経済の情勢も変わってきております。こういう中で、いま入所措置基準について中児審のこの答申にも沿いながら再検討なさる必要があるのではないでしょうか。新しく変わりました二十年たった情勢のもとでぜひ検討すべきだと思いますが、いかがでございますか。
○幸田政府委員 いろいろの例を挙げての御質問でございますが、実は私どもで保育所の問題を直接担当しております母子福祉課長は、小学校の子供と、それから保育所に自分の子供を預けて勤務いたしております。そういう意味で私ども、保育所の行政については血の通った行政が実例に照らして行われているもの、かように考えているわけでございます。 お尋ねの措置基準の検討の問題でございますが、三十八年の中央児童福祉審議会の中間報告は、実は保育所の入所基準を改めろ、こういう御指摘ではございませんで、子供の心身の発達に不可欠なものを、児童館でございますとか遊び場でございますとか、いろいろな広い範囲にわたって施策を樹立してやっていけ、こういう御趣旨の御提言でございます。私どもとしましては、こういった趣旨に沿いましていろいろな児童健全育成対策を含めて児童福祉の施策をやっているわけでございます。現在のところ私ども、昭和三十六年に決めております入所の措置基準を変更する必要はないものというふうに考えておるわけでございます。
○栗田分科員 いまのようなお答えですけれども、私、ここに中児審の答申を持ってきておりますけれども、「保育に欠けると思われる状況とはなにか」ということで、たとえば「保護者以外の家庭状況によるもの」、「学齢未満の兄弟あるいは同所帯内に学齢未満が四人以上いるもの」とか、部屋が狭い場合とか、仕事場に住居全体がなっている場合とか、父親が休養をとる必要があるのにその場所がない場合とか、それから「地域の状態が不適当であるもの」とか、いろいろありまして、そういう意味ではもっと幅を広げるべきであるということがここのところに書かれていますね。だから、最初出されていたものよりははるかに内容を充実させた形でこの答申が出されていると私は思うのです。だから、もうすでに全部やっていらっしゃるということではないと思います。いかがですか。
○幸田政府委員 いま先生御指摘のように、昭和三十八年の審議会の中間報告でいろいろな指摘がございますけれども、たとえばいま例に挙げられました「地域の状態が不適当であるもの」「近所に適当な遊び場がない」、こういうものでございますけれども、こういった問題につきましては、保育所で対応すべき施策ではなしに、児童館なりちびっこ広場なり、そういったような子供の遊び場を確保する、こういう施策で対応をすべきものだ、私どもはかような判断をいたしておるわけでございます。
○栗田分科員 残念ながら時間がなくて、私はまだいまのお答えでは不満足です。その他、家の状態だとか、母親かまたは父親が休む場所がないとか、そんなことまで考えていらっしゃるのだろうかと思いますけれども、時間の関係であえていまそれを言いませんが、決して十分になっていないし、児童館とか遊び場ができるまで、それじゃ子供をどうするのか、この問題もあるわけですから、それで対応すればいいのでその間は子供はほっておけ、こういうわけにはいかないのです。そこを十分考えていただきたいと思います。 時間がなくなりましたが、私はひとつ保育料のことについて、さっきも入所をやめた理由の最高が保育料金でしたし、時間があったら読みたいと思っていた、保育所に入所措置が決定されて保育料が決定されたら、またやめてしまったたくさんの例があるという園長さんのお手紙が来ております。 大臣に伺いたいのですけれども、前回、予算の総括質問のときに、保育料金の国基準の決定について、今後とも無理のないような改定をしたいというふうにお答えになっております。これは所得税減税がないために、国基準が税金の関係でどんどん上がっていくような場合などもお考えになって、来年度の国基準がもし非常に値上がりするようであれば、改定せずにおこうというようなお考えもおありなんでしょうか。また、大蔵大臣なども、そういうやり方でいまの所得税減税がない分を補う方法もあるではないかとおっしゃいましたね。その点について伺いたいと思います。
○森下国務大臣 保育料が非常に高い、いろいろランクに細かく分けておりますが、結局所得減税がないためにいろいろと負担が多くなるような計算になっておる点を御指摘されておると思いますけれども、この保育料につきましては、例年保育内容の改善や保護者の負担能力を勘案して改定しているところでもありますので、今後とも従来どおり無理のない形で改定を行うようにいたしたいと思っております。 なお、先ほどいろいろやりとりを聞いておりまして、賛成する点もございますけれども、この乳幼児の保育については、母と子の触れ合いということを考えました場合、働く御婦人の方々のためにこの制度を大いに活用すべきである、もっと伸ばすべきであると思う一面、ベビーホテルなんか、ああいう御迷惑をかけたような内容等のことを考えました場合、もう少し乳幼児の保育についてわれわれも考えさせられる面があるのじゃないだろうか。ただ、この数字をふやすことのみがすべてでないというふうに実は考えまして、先ほどのやりとりをお聞かせ願っておったわけでございます。
○栗田分科員 私も数だけをふやせということを言っているわけではないのです。だから、いろいろな延長保育などの多少の予算もつきましたけれども、質の充実ということもいま同時に必要になってきていて、そのために予算をばっさり削る、数が減った、即、予算を削るということではなく、もっと措置しやすいように、また入れやすいように、子供が健全に育つような、そういう質の充実も同時に必要だということを主張したいわけでございます。 時間があとほんのちょっとですが、ちょっと私、ここに写真を持ってまいりまして、お見せしたいのですが、ここに二つの大きな写真、パネルがございます。こっちは乳母車に子供がたくさん乗っておりますが、これは数えていただくと六人乗っています。一つの乳母車に六人、こういうふうに乗っております。こっちも六人の子供がいて、そのうち特に小さな子が御飯を食べさせてもらっているところです。これは静岡県内のある保育所の実際の写真なんですが、国基準どおりにゼロ歳児の保育をいたしますと、保母さん一人に子供六人になります。これは一月に撮ったものですから、去年の四月にゼロ歳児だったのですが、かなりゼロでなくなっている子供もいまして、一歳何カ月になっていますけれども、初めはもっと小さいわけですね。こういう状態なんです。一対六という保母さんの定数でやりますと、お散歩一つでもこういうふうになりまして、うっかり地面におろしますと子供がちょこちょこっと行ってしまって、あとの子を追いかけている間に自動車が来たというような実態で、地面に足をつけて歩かせることもできない。 それから、子供、特にゼロ歳児というのは、生後何カ月という月数でずいぶん発育が違いますから、まだ寝んねしている子供、お座りしている子供、はいはいしている子供、中にはよちよち歩いて外へ行きたがる子供もおりますね。もし一人の保母さんでそれを見た場合には、子供の発育に応じて十分にその手だてをとることができない、散歩などの場合、安全も守り切れない場合もあるというお話なんですね。 切実な訴えを私、受けておりまして、これなんかも、御飯を食べさせています。この子たち、わりあい大きくなっていますけれども、ミルクを飲ませていると次の子が食べたがって泣くとか、走り回るとか、これでぜひふやしてほしいということなんですね。 いま地方の単独事業で、ゼロ歳児の場合、保母さん一人に赤ちゃん三人の場合とか、四人半になっているとか、いろいろ地方が努力をしまして予算もつけているわけでございます。そういう予算が非常についていて、地方単独事業の持ち出しになっているということで、全国の市長会とか町村会などでも、そういう超過負担分を何とかしてほしいという陳情がかねがね出ているわけですね。こういう実態がございます。 そこで、今度の臨調の答申などを伺ってみますと、地方のこういう上乗せ福祉というのはなるべく切り捨てていくべきである、そういう余分な人件費はもうつけないようにしろ、そういうときには交付税も切った方がいいんじゃないかとか、いろいろな御意見が出ているようなんですけれども、いま質を充実させていく保育ということを考えていきますと、地方のこの努力というのはやはり尊重しなければならないし、地方自治の立場からもやはりこういうものを尊重していくべきであって、みだりに切り捨てるというやり方をすべきではない。できることならば国基準も改正すべきであると私思いますが、最後に大臣の、子供の立場に立ったお答えをいただきたいと思います。
○森下国務大臣 みだりに切り捨てることはいかぬと思います。ただ、従来の保育につきましては、一つの考え方、先ほど私がちょっと申しましたが、母と子の触れ合いをできるだけ大事にしていこう、ただ保育所に入れればすべて事足りるのだという考え方は、すべて私は正しくないように思います。幼稚園の場合は教育の問題でございますけれども、そういう観点に立って将来の保育、また保育所の問題、負担の問題を考えていくべきである。 いま地方単独の問題を聞かれましたが、この問題につきましては、地方団体が独自に国の基準以上に、保母さんの配置や保育料の軽減措置を行っておられることは承知しておりますが、残念ながらその全体の状況の把握までは実はしておらないわけであります。やはり地方団体で自主的に御判断なさって、それぞれやっておるわけでございます。これらの対応につきましては、各地方公共団体の判断にまつべきである、このように実は考えております。
○栗田分科員 以上で終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。 次回は、来る三月一日月曜日午前九時三十分から開会し、引き続き厚生省所管について審査を行います。 本日は、これにて散会します。 午後四時三十九分散会