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96回国会衆議院1982/03/01

予算委員会第一分科会 第3号

発言数
164
登壇者
30
会派数
5
開催日
1982/03/01

会議録

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中、国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。荒尾衆議院事務総長。

荒尾正浩衆議院事務総長

○荒尾事務総長 昭和五十七年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十七年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、三百九十四億二千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億八千百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百七十四億七千五百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十二億八千七百万円余の増加となっておりますが、増加したものの主なものは、議員秘書及び職員の人件費並びに高輪議員宿舎第二期分の初度設備費等の増加によるものであります。  なお、議員秘書の勤続特別手当について、二十五年以上在職した場合、本俸の二五%を支給することといたしました。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十六億百万円余を計上いたしております。このうち主なものは、五十八年度完成を目途とする第一議員会館外装の改修費四億九千二百万円余、本館傍聴参観者施設改修費一億六千四百万円余及び五十七年夏完成を目途として建築中の高輪議員宿舎第二期工事新営費五千八百万円等であります。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億五千万円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費でありますが、三億四千三百万円増額して三億五千万円計上いたしました。  これは、現在、議員関係経費について第三者による調査会が設置され、検討中でありますが、この調査会の答申に対処するための経費であります。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。指宿参議院事務総長。

指宿清秀参議院事務総長

○指宿参議院事務総長 昭和五十七年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十七年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、二百三十四億六千八百万円余でありまして、これを前年度予算額二百二十一億五百万円余に比較いたしますと、十三億六千三百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、二百十八億一千万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し七億三千五百万円余の増加となっておりますが、増加の主なものは、議員秘書及び職員の人件費等であります。  なお、秘書の勤続特別手当につきましては、二十五年以上在職した場合、本俸の二五%を支給することとなりました。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十四億八千三百万円余を計上いたしております。その内訳は、昭和五十八年夏完成を目途として建築中の麹町議員宿舎第一期改築工事費十一億六千万円余及び本館その他庁舎等の設備改修費三億一千四百万円余であります。  第三は、国会予備金に必要な経費でありますが、一億七千五百万円を計上いたしました。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。植木国立国会図書館長。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 昭和五十七年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十七年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、百十億三千六百万円余でございまして、これを前年度予算額九十億二百万円余と比較いたしますと、二十億三千四百万円余の増額となっております。  次に、要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は、七十五億七千三百万円余であり、これを前年度予算額と比較いたしますと、四億六千八百万円余の増額となっております。  増額の主なものは、職員の給与に関する経費、立法調査業務を充実するための経費、視覚障害者に対する図書館サービスのための経費、国立国会図書館将来計画調査会関係経費(関西プロジェクト)その他でございます。  また、アジア・オセアニア国立図書館長会議経費、別館建設までの書庫内資料対策のための経費を新規に要求いたしております。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、四百万円余を増額いたし、要求額は、五億四百万円余であります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、別館新営と支部上野図書館の整備等に必要な経費二十九億五千九百万円余であります。  なお、別館新営に関しましては、国庫債務負担行為九十五億四千万円余を要求いたしております。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館歳出予算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。西村裁判官弾劾裁判所事務局長。

西村健一裁判官弾劾裁判所事務局長

○西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十七年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、七千六百七十四万円でありまして、これを前年度予算額七千二百九万一千円に比較いたしますと、四百六十四万九千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比べて増加となっておりますもののうち、主なものは、職員給与関係経費の増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。青山裁判官訴追委員会事務局長。

青山達裁判官訴追委員会事務局長

○青山裁判官訴追委員会参事 昭和五十七年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十七年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、八千六百三十一万六千円でありまして、これを前年度予算額八千二百十五万円に比較いたしますと、四百十六万六千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費の増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 以上で説明は終わりました。     —————————————

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 きょうは、公務員の週休二日制の問題と、それから休暇制度についてお伺いいたしたいと思うのですが、もう十五、六回給与とかいろいろなものを含めてやっておりますので、ひとつきょうはいいお答えをいただきたいと思うのです。  いま貿易摩擦が問題になっております。それは、やはり日本人が働き過ぎているとか、あるいは長時間労働、これが欧米各国の政府あるいは労使を問わないで厳しい国際批判の的となっておると思うのですけれども、たとえば労働時間について言いますと、欧米の各国が週四十時間であるのに対して、日本では四十から四十八時間という状態です。年間の労働時間で見ましても、日本は欧米各国に比しまして二百時間から四百時間長い。その長い原因の一つがどこにあるかと言いますと、休暇制度にあるのじゃないだろうか。日本の年次有給休暇制度というものは民間企業で六日から二十日であるのに対して、フランスでは四週間、イギリスでは三週間から四週間、西ドイツが四週間から五週間、これが実態だろうと思います。  そこで、もう一つ考えなければならぬことは、夏季等の長期の休暇ですね。日本では一週間未満が最も多いのに比べて、アメリカが一週間から二週間、フランス、イギリス、西ドイツで三週間から四週間、これが最も多いわけであります。しかも、完全週休二日制の国際比較で見る普及率でも、日本は非常に少ない、こういうことが言える。そして、西欧などでは、深刻な失業問題に対応するために、労働時間の短縮によって仕事を分かち合うというワークシェアリングという発想を進めてきている。  けさのテレビでしたか、江崎さんがアメリカに行かれて、そして失業率についてもアメリカは九%、イギリスは一二%、西ドイツが六%、こういうふうな状況になっておるという話がありました。  公務員について見ますと、昭和五十四年の週休二日制に関して人事院が作成した資料によって見ても、日本を除く先進国では完全週休二日制をすでに実施しておる。しかも、官民の実施順序では官庁が先行型であるという国の方が多い、こういうことであります。  そこで、事務総長にひとつお伺いをいたしたい。  昨年の十二月に実施をされました、公務員の労働者に対する「第十二回賃金要求・生活実態に関する調査」という数字がここに出ておりますけれども、「あなたは、八二年国民春闘で、政府に対して要求する課題のうち、どれに重点を置くべきだとお考えになりますか、次の中から二つだけ選んでください」という設問に対して、衆議院、参議院、それから国会図書館の職員組合の集計では、一位が「週休二日制の法制化」、これは五一・五%、二位が「所得減税と不公平税制の是正」、これは四九・九%、三位が「物価の抑制」で三四・一%、四位が「住宅政策の充実」ということで一六・一%になっているわけです。また、公務員全体で見ても、所得減税と物価抑制の生活要求とともに、週休二日制の要求が高位を占めている。たとえば、三七・六%という数字が週休二日制に対して出ているわけですね。つまり、週休二日制についての要求が非常に強いということじゃないだろうか。  昨年の三月から、国会職員についても四週五休制がスタートいたしました。これは事務総長に大変なお骨折りを願って、開会あるいは閉会中を問わず実施してもらったわけでありますけれども、この調査を見る限り、もっと完全な形で週休二日制を行ってほしいという要求がここに出ておるわけです。これは国会職員だけを先行して実施するというのはむずかしいかもわかりません。しかし、以前に他に先駆けて隔週週休二日制というものを実施したという経過があるということを考えると、衆議院当局として私は前向きに検討していただきたいと思うのですけれども、そのことについて総長としていかがお考えになっているのだろうか、まずお伺いいたします。

荒尾正浩衆議院事務総長

○荒尾事務総長 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、私ども衆議院事務局におきましては、昭和五十年から有給休暇振りかえ方式による隔週週休二日制を試しに行って、一昨年までやってみました。それから昨年四月からは、一般職職員においていわゆる四週五休方式による週休二日制が導入されたのでございます。私どもも勤務の特殊性をいろいろ考慮したのでございますが、開会中と閉会中と関係なく、一般職と同様の週休二日制を取り上げたわけでございます。施行後約一年が経過した現在、この方式によります四週五休方式が定着してきた状況にあると考えまして、当面はこの方式によって行ってまいりたいと考えております。  しかしながら、ただいまの御指摘にもありましたが、今後私どもといたしましては、一般職において四週五休方式に変更を生じた場合、あるいはそういったことを検討されるようなことがありましたならば、私どももこれに対応いたしまして、なるべくそういう方向に持っていきたい。もちろん、特殊な勤務状態でありまして、開会中と閉会中の非常に差の激しい勤務状態でございますので、国会審議等に支障のないように十分考慮しながら、そういうことについて積極的に検討してまいりたいと存じております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 先ほど申し上げましたように、そうして総長が言われたように、非常に複雑な仕事の状態がありますね。週休二日制に対しては、総長の方で大変お骨折り願って、いまお話があったように四週五休制をおやりになった。これは他に先駆けてやったわけでありますが、お願いしたいことは、週休二日制というものをひとつ完全実施するために事務総長の方では積極的にやってもらえぬだろうか。いろいろな複雑な状態があるかもわかりません。だから、そういう意味でひとつ積極的にやっていただけるだろうかどうだろうか、ねちっこいようですけれども、もう一遍お答えいただけませんか。

荒尾正浩衆議院事務総長

○荒尾事務総長 お答えいたします。  何しろ、一般職の公務員の勤務の状態と、私ども国会職員の勤務の状態といいますか、いろいろの各勤務体制といいますか、そういったものについては大体一般職に準じてやっているようなことでございますので、それを外れてわが方だけ特別にいろいろ措置をとるということは非常にむずかしい状態でございますが、なお多少そういうことについてこれからも検討していきたい、こういうことでひとつ御了承願いたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 橋本さん、お見えになっていますか。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 おられます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 急に御連絡して申しわけないのですが、昭和五十四年の八月に、新経済社会七カ年計画というのが決定をされましたね。そこで、その中に「欧米諸国並みの水準に近づくことを目途として、その一般化に努める。」これは週休二日制に関してです。「官公庁についても、民間の普及状況を勘案し、国民世論の動向等を踏まえつつ、週休二日制の導入を図る。」こういうふうになっている。その目標というものが、昭和六十年度を目標として欧米先進国並みの完全週休二日制に近づける、こういうふうに言われておるのですけれども、具体的な計画というのが進んでおるのか、あるいはこの方針は進展をしているのかどうか、その点だけひとつお聞かせいただきたいと思うのです。

橋本顕信総理府人事局参事官

○橋本説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、新経済社会七カ年計画におきましては、「民間の普及状況を勘案し、国民世論の動向等を踏まえつつ、週休二日制の導入を図る。」というふうにうたってございます。そこで、公務員の四週五休制でございますが、昨年の三月二十九日から本格的に導入に入ったわけでございます。現在、各省庁において、なかなか完全に四週五休はできかねるというふうな省庁もございますが、八十何%かは四週に一回は休めるという状況でございます。  そこで、まだ発足して一年もたっておりませんので、その状況をよく見きわめました上で、今後の動向を探りたいと存じておる次第でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 発足をして一年しかたってないと言うのだけれども、僕に言わせたら一年もたってしまったわけだから、そういう意味では、総理府の方でもひとつ具体的な計画というものを進めてもらいたい、そう思います。これは強い要望であります。  なぜそんなことを申し上げるかというと、すでに渡辺大蔵大臣は二月十八日、衆議院の予算委員会で、銀行の週休二日制について、四月の新銀行法施行に伴う政令の中に銀行の月一回土曜閉店を盛り込む意向を明らかにした、こういうふうに出でおります。つまり、先ほど申し上げたように、週休二日制については先進国では官庁が先行して、民間が後についてきている。ところが、日本の場合にはどうもそれが欧米の先進国並みにいっておらぬ。つまり、官庁の方が民間よりもおくれておるのではないだろうか、そんな気も実はするわけです。  そういう意味で、人事院にひとつお伺いしたいのですけれども、人事院の昭和五十六年度の職種別民間給与実態調査の中で、隔週または月二回以上の週休二日制を実施している民間事業者の割合は五二・七%となっておる。そして、民間金融機関と公務員の完全週休二日制の実情というものは、国民生活と全産業的な活動に及ぼす影響が非常に大きいという点もありますけれども、いま申し上げたように、金融機関の週休二日制については、最近では銀行が昭和五十九年までに完全週休二日制を実施する意向で、とりあえずことしの十月一日からは月一回土曜日を閉店とする方針である、そういうことが言われている。そして郵政省も、民間銀行が土曜日閉店を実施した場合には郵便局も週休二日制を実施する方針を持っておる、そういうふうに聞いております。  昭和五十四年の週休二日制に関する人事院の報告を見ますと、「なお、民間企業における週休二日制の動向は、漸次休日数の多い態様へ移行し、かつ、閉店方式の採用が増加するものと思料されるので、今後公務においてもこれらの点について諸般の情勢に留意しつつ検討する必要があるものと考える。」こうなっております。公務員の皆さんの方からは、四週五休が精いっぱいだから、当面隔週二日等の形で閉庁方式を試行する、そのようにひとつやってほしいという要求が出ているのです。これに対して人事院は、次回の勧告で十分研究をしてできるだけ前向きの方向を出したい、そういう話になっておるのですが、具体的にことしの勧告に盛り込まれるというふうに理解をしていいのだろうかどうだろうか、その点を私はひとつお伺いしたいわけであります。  と申しますのは、諸般の情勢があるかもわかりません。端的に言いますと、人勧の完全実施というようなことが危ぶまれてきた、あるいは臨調というものが出てきている。それでそういう影響があるかもしれません。しかし、このことは趨勢だろうと私は思うのですね。そういう意味で、今度の勧告に盛り込まれるというふうに理解をしていいのだろうかどうだろうか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。

金井八郎人事院事務総局職員局長

○金井政府委員 お答えいたします。  御承知のように、公務における週休二日制は昨年四月からいわゆる四週五休方式の二日制が実施されておるところでございます。人事院といたしましては、実施後、各省庁に対する指導等を通じましてその円滑な実施に努めてきたところでございますが、今後における週休二日制の展開に資するために、各省庁の一部官署について実施状況を調査しておりまして、おおむね一年を経過した時点におきましてその実施状況の報告を求めたいと思っております。これらの報告書を十分に分析いたしまして、さらに民間における普及状況あるいは社会経済情勢、国民世論の動向等も考慮しながら、週休二日制の発展に努めてまいりたいと存じております。  ことしの勧告に際して週休二日制の進展をどのように取り扱うかにつきましては、現在検討しているところでございまして、まだ明確に隔週にするとか閉庁という問題まで煮詰めてはおらないところでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 一昨年の三月五日ですが、金井さんは、山花分科員の質問に答えてこうおっしゃっているところがあるのです。これは速記録です。これは週休二日制に関してですよ。「たとえば年次有給休暇について見ますると、民間企業に比べまして公務員の方の日数がかなり多いという実情にありますし、その他の特別休暇につきましても、民間企業ではないようなものが公務員にはございます。ですから、結婚休暇一つだけという判断ではなかなかいきにくい面もございますので、いずれ週休二日制の問題がある程度決着がつきますれば、休暇制度そのものの整備ということを実現しなければならない」、こうおっしゃっている。  ところが、民間企業に比べまして公務員の日数がかなり多いという実情があると言うのだけれども、人事院の月報、七九年の九月ですが、これを見ますとこう書いてあるのです。「その結果によると、民間企業における週休二日制の普及率は、六九・三%となっており、隔週又は月二回以上の週休二日制を実施している事業所は全事業所の過半数に達している。」こう言って、「民間企業における年間休日数の平均は八十七・一日(公務員の場合は六十八日)」こうなっている。そうしたらおっしゃることと違うわけですね。間違っていたら教えてください。公務員の方が休暇の日数というのは少ないわけです。これは人事院の月報ですよ。  私は、先ほど申し上げたように、民間の方がもう過半数以上に達するのだったら、官庁の方もそのことにもっと積極的に取り組んでいいのではないだろうかという感じがするわけです。同時に、先ほども申し上げましたように、ヨーロッパの先進国では官先行で行われてきたという事実があるのではないだろうか。そうすると、少しばかりそういう意味では皆さんたちのおやりになっていることは怠慢ではないだろうか、こういうふうに感じるのですが、いかがでしょう。

金井八郎人事院事務総局職員局長

○金井政府委員 確かに御指摘のとおり、わが国の民間における週休二日制の普及の度合いは約七〇%近くに来ております。また、年間の休日総数につきましても、公務員に比較しまして民間の方が多いという数字が出ております。そういう意味から申しまして、確かに情勢適応の原則によって公務員の勤務条件として見るならば、さらに推進を図るべきだという御意見はごもっともだと思います。ただ、年次有給休暇等と違いまして、週休二日制の場合は、やはり国民にサービスを提供する行政サービスという点にどうしても重点を置き、念頭に置きながら勤務条件の改善ということを図らなければならない性質のものだと存じます。公務部内におきましては、民間と違いまして一日も欠くことのできないような業務、部署というものが相当ございます。そういうものを全部他の一般の事務に従事する公務員と一緒に同じように勤務条件を改善していくという立場から見ますと、民間の普及が高いからということで一挙に公務員全体をそれに準じた形で直ちに持っていくということはなかなか困難な状況があると思います。  そういうことで、過去においても試行を重ねて現在の四週五休制を導入したわけでございまして、今後もやはり行政サービスの低下ということを来さないようにしながら勤務条件の向上を図っていくというそのむずかしさがございますので、私どもの方といたしましても、今後種々前向きに取り組みはいたしますけれども、一挙に民間並みという形にいかない面があるわけでございまして、その点を御理解願いたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 そういうふうにお答えになるのではないかと実は危惧しておったのです。いいですか、民間における一週間の、要するに週の所定勤務時間というものは五十四年の四月で四十二・三時間ですよ。これはおたくの方の資料ですね。公務員の場合は四十四時間。四十二・三時間と四十四時間ですから、一週間に一・七時間ですか、これだけの差しかないのですよ。官庁がササービス、サービス。サービス機関であるから、一週間に一・七時間しか違わぬのが一体サービスなのかどうなのか、その辺ちょっと理解できないのですよ。たとえば一日に一時間とか二時間とかということで非常に差があるというならば、それはそれとしてある意味では理解ができるのです。しかし、一週間に一・七時間しか官民の間に差がないということは、あなたがおっしゃるようにサービスということにそんなにこだわっていいのかどうか、また、こだわることが理由になるのかどうか、私はその辺大変疑問なんです。  時間がないようですから、もう一つ問題がありますので一つだけお伺いしたいのですが、週休二日制に対してある程度めどを立ててきちんとおやりになるという御意向がおありになるのかどうか、その点だけお聞かせいただきます。

金井八郎人事院事務総局職員局長

○金井政府委員 いま先生のおっしゃいました四十四時間でございますけれども、現在四週五休制が導入されておりますので、平均いたしますと週四十三時間になっておるわけでございまして、そういう意味では、ますます格差が少ないからできるのではないかということにもつながるわけでございますけれども、現在私どもでやっております週休二日制の対象の約五十万の職員のうち、二割近くは、四週五休の指定方式から申しますと四週に一回でなくて、何らかの形で変則でやっておるという状況でございます。ですから、先ほども申しましたように、大部分のところでは時間の短縮ということはまだ可能だと思いますけれども、二割近くのところではいろいろ問題がございますので、私どもの方といたしましては、できるだけそういう点を今後関係省庁とも連絡をとり、解決を図りながら、時間短縮につながる意味での週休二日制の推進に努めてまいりたいと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 時間がなくて大変残念でありますけれども、産前産後の休暇の延長についてお伺いしたいと思うのです。  昨年の分科会で人事院総裁から大変前向きな御答弁をいただきました。これは非常にありがたいと思っておったのですが、実は期待に反して実現ができなかった。僕はそういう意味では大変遺憾だと思うのです。育児時間の拡大というものなどを含めまして、母性保護のためにも、婦人の働きやすい労働環境をつくるためにも、ぜひともこれは必要だと思いますし、総裁にも御理解をいただいた、こう思うのですが、この辺ひとつ明確にもう一遍お答えをいただきたい。それはいろいろな事情があるかもわかりませんが、しかしそういう事情について余り人事院としてこだわるべきではないだろう、こう私は思うのです。たとえば恐らく私の推測ですよ。人事院がはっきりお答えを出すことができなかったということについて、公務員制度の見直しの中でやりましょう、あるいは最近は公務員への風当たりが強いかもわからぬ、そういうようなことをお考えになった上でのあるいは慎重さがあるのかもわかりません。しかし、やはりあれだけのお答えをいただいたわけでありますから、ことしはやれなかったというだけのことで済まされるべき問題ではないだろう、私はこういうふうにも思います。したがって、その辺についてのお考えをもう一遍総裁からお聞かせいただけませんでしょうか。

藤井貞夫人事院総裁

○藤井(貞)政府委員 婦人の産後の休暇期間の延長の問題については、母性保護という見地から申しまして大変重要であり、またいろいろな情勢があるにしても、できるだけ速やかに実現をしていくという筋合いのものであろうという考え方は変わっておりません。いま御指摘になりましたように、率直なところ、私といたしましては、去年の分科会で御答弁をいたしましたその段階におきましては、少なくともあれから一年以内には実施をしたいと大変強い実は決心をいたしておったことは事実でございます。そういう意味では、申し上げたことと実際が伴わないということについては、これはおわびをしなければならぬということを率直に申し上げたいと思います。  しかし、その後いろいろ情勢の変化がございました。いろいろこれを列挙いたしますことは言いわけみたいになりますので詳しくは申し上げませんが、この問題については、一つはやはり民間の普及状況というものがほかのことと違ってきわめて実施率が低いという点がございます。これはもう少し伸びるのじゃないかという期待もございましたのですが、それが案外にいろいろな情勢からいって伸びないというような点がございます。それと、その後婦人の勤務条件、労働条件というものがどうあるべきかということを将来的展望のもとに、労働基準法等の改正適用の問題に絡んで根本的に掘り下げていこうじゃないかという動きも出てまいっております。それと、われわれの方で方針を打ち出して、何とかこれに対してやっていこうということで精力的に取り組んでおります中長期の公務員制度全般の見直しの問題、その他いま具体的にちょっと御指摘になりましたですが、臨調とか、その他の一つの動きといったものも全くそういうことは除外して考えておらぬというふうには申し上げません。そういうことが影響を来したことも事実であろうと思いますが、この問題については、ひとつもう少し時間的に検討の余地を与えていただきたいという気持ちに相なっておることは事実でございます。  ただ、これも御指摘になりましたように、事柄次第では公務員の方で民間準拠ということだけにとらわれずにやはり一歩進んでいく、そしてこれが民間を引っ張っていくというような場合もあってもいいと私は思うのです、物によりまして。そういうこともいままでやってきたこともございますけれども、この問題につきましては、いろいろなことをちょっと項目的だけに網羅いたしましたですが、そういうような点の配慮をいたしました結果、私としては、はなはだ言いにくいことでございましたが、ひとつもうしばらく検討の時期、暇をいただきたいという気持ちに相なったということでございまして、昨年の先生に対する御答弁と実は大変ニュアンスが違ってきておるという結果に相なったことにつきましては、私自身も申しわけないと思っておりますが、しかしこの問題は中長期のその過程においてでなければ結論が出せないという窮屈なことを考えておるわけではございません。その点を頭に置きながら、この問題についての前向きの対処というものは引き続きやってまいりたいというふうに考えております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)分科員 時間が参りましたので私はやめますけれども、情勢の変化ということがあることも僕は承知をいたしております。私自身そのことについてあえていろいろなことを申し上げようとは思いません。しかし、昨年のああいうきわめて前進的な答弁というものをいただいて、そしていま総裁は、官民ということにとらわれずに官が先行することだって考えられる、かつてそういうこともあったというふうなお話がありました。僕は、そういう意味ではあなたのお言葉をそのまま受け取っていきたいと思うのですが、官民ということにとらわれないで、この点については、私はぜひひとつなるべく早く結論を出していただきたい。労働省は育児休暇の見直しなどということも言っていますけれども、そういうことを含めまして、僕は、いま母性にとっては、働いている婦人の方々にとっては、そういうものが一番大きな問題になるだろうと思いますので、ぜひひとつお願いしたいと思います。  終わります。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。  次に、山花貞夫君。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 人事院が責任を持って発行しております人事院月報の三百六十五臨時増刊号に国家公務員の実像についての特集がなされております。この中で、中段以降の部分でありますけれども、全体の公務員制度の仕組みにつきまして、仕組み、研修、服務、公務員の給与等について詳細な分析と見解が打ち出されているわけでありますけれども、公務員の給与に関する第五項目に、公務員給与の実態として、給与水準その他につきまして同じく詳細な分析と見解が明らかにされております。  この中で私は、公務員全般に共通の問題でありながら著しくその傾向があらわれております衆議院職員の職員構成のかたまりと申しましょうか、山にいる職員の処遇の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  さて、いま申し上げました人事院月報の分析の中に、四十一、二ページでございますが、年齢別の職員の構成の実情などにつきましてグラフで示されております。これによりますと、平均年齢は四十・六歳、男子が四十一・一歳、女子が三十八・三歳とありまして、民間に比べてかなり高いわけであります。その要因は、終戦後の行政需要の急増に応じて採用された職員が多く、これらの職員が今日まで大きく減ることなく勤続し推移している、したがって五十歳前後のところに非常に大きなピークがあるからである、こう分析されております。参考のグラフを見ますと、四十八歳から五十三歳に最高の山がありまして、全体の二〇%がここに集中しているわけであります。また、行(一)職で五十歳以上の等級別の分布につきましても一覧表が出ておるわけでありますが、これでは三、四等級にその過半数が在級しております。これらの職員が戦後すぐの採用だといたしますと、必然的に高位号俸であることが想像できるわけでありますけれども、いま私がこの人事院月報を読み取りまして申し上げました認識について、誤りがないと思いますけれども、人事院の御見解をまず伺いたいと思います。

斧誠之助人事院事務総局給与局長

○斧政府委員 お答えいたします。  給与法適用職員につきましては、ただいま先生御指摘のように、年齢別構成、等級別の構成、それから平均年齢、五十五年時においてはそのようになっております。  平均年齢について申し上げますと、五十六年度では四十一・三歳とさらに伸びておるところでございます。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 いまの全体の公務員についてのお話を伺いまして、次に事務総長にお伺いしたいと思うのですけれども、私の手元に衆議院職員についての資料がございます。これによりますと、共通の傾向ではありますけれども、少し違った様子、さらに著しい特徴が出ているわけであります。人事院の資料では、四十八歳から五十三歳の五歳の範囲で山があるわけでありますが、その合計が全体の二〇%弱でございます。一覧表は二歳ごとに集計がしてありまして、そのおのおのが大体六%を超えている、こういう状況であります。衆議院の場合、手元の資料によって分析してみますと、六%以上というところが四十六歳から五十五歳の十歳の範囲でありまして、公務員全体についての五歳の範囲の山よりはさらに広い範囲で山ができております。合計が、全体の公務員についでは五歳の幅に二〇%、衆議院職員につきましては十歳の幅に三三・九%、約三四%を占めているわけであります。しかも、最高の山は五十歳、五十一歳のところに七・七%、百三十七名、約百四十名近くの方がいらっしゃいます。この大きな山にいる職員のほとんどは、一般職と同じように、戦後の機構改革と申しましょうか、国会の体制を急速に整える、そうした必要性の中から急増された方だと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。  また同時に、この山が、全体のグラフにして分析をいたしますと、今後もしばらくは続くのではなかろうか、こういうように見られるわけですけれども、この点についていかがでしょうか、事務総長にお伺いしたいと思います。

荒尾正浩衆議院事務総長

○荒尾事務総長 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおりでございます。私ども衆議院事務局におきましても、一般行政庁と同様に年齢構成上五十歳前後の職員が比較的多いという傾向にございますが、国会職員については長年の経験等を必要とする職が多うございまして、また他に転出する機会がない等の実情もありまして、平均年齢は一般職の職員と比較して高くなっております。また、年齢別構成におきましても下ピークをなしている年齢の幅も、ただいま御指摘のとおり一般職のそれよりも広い範囲に及んでいる状況でございます。実態はそういうことでございます。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 人事院は、先ほど私が指摘いたしました国家公務員の実像についての特集におきまして、今後の課題をいろいろと指摘されております。六十年度めどにというさまざまな問題がありますけれども、いま私が指摘いたしました給与あるいは職員の層という観点に関連いたしまして、この特集の十七ページあたりで触れているところですが、「近年になって顕著になってきた人口構造の高年齢化と高学歴化、生活意識の多様化、高度化社会移行への対応など社会経済情勢の基調が変化するのにつれて、人事管理諸制度も基本的には、こうした変化に適切に対応していかなければならない状況にあります。とりわけ、公務においては、組織の活力の向上を図って、その民主的、能率的な運営を確保していかなければなりません。」と指摘されております。また、四十一ページのあたりでありますけれども、先ほど指摘いたしました年齢別の職員の構成に触れまして、五十歳前後の職員についてここに非常に大きなピークがあるのであるけれども、「こうした職員のこれからの処遇をどのようにしていくかは大きな問題と言わなければなりません。」こういうように人事院は指摘されておるわけであります。  一つの問題は、人事院としては、こうした公務員全般の職員構成の中にある問題点について具体的にどのようなことを検討されておるのだろうか、その方向をもし具体的な検討がありましたならばお話をいただきたいと思います。同時に、昨年のベアの勧告の中におきましても、六十年をめどとして具体的に給与制度その他の改正作業に着手されておるということが指摘されているわけでありまして、その具体的な改正作業におきましては、その中に当然年齢構成の職員の高い年齢における山があるという問題につきまして、この点についても考慮されておられると思いますけれども、この点について人事院からお話を伺いたいと思います。

斧誠之助人事院事務総局給与局長

○斧政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘ございます年齢層の職員、最近言われております団塊的な年齢層と申しましょうか、こういう年齢層の職員につきましては、従来も実は昇給問差額について上位号俸の昇給間差額について考慮するとか、あるいは号俸数を延ばしていくというようなことでその都度必要に応じて対応してまいったわけでございますが、これらの職員を今後どうするかという点につきましては、ただいま先生御指摘の給与制度の見直しという中で実は検討したいと思っております。  それは、一つは職務の見直しということを考えまして等級構成を整備する、それから六十歳定年制が六十年度から実施されますので、そういう六十歳定年制度下における号俸構成のあり方、そういうものはどういうことがいいだろうかということで検討してまいるという考えでただいまおるところでございます。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 いま触れたこととも関連するわけでありますけれども、人事院のさまざまな指摘につきましては、一言で言いますと客観的な組織の活力という面での指摘、こうした傾向が強いわけでありますが、もし人事院の言う行政の効率化の要請、組織の活力、構成という観点からいたしますと、職員の主体の側から見ました熱意の高揚、こういう面も主観的には大変大事なのではなかろうかと考えます。この観点からいたしますと、長い間忠実に職務に精励しながら人的構成の多さから、それなりの配慮はしていただいているとしましても、全般的に見ると恵まれていない道を歩かせているのではないか、こういう職員について何らかの配慮があってしかるべきだ、こう考えるわけであります。いま二つの点からお話がありましたけれども、その主体的な熱意の高揚、こういう観点から人事院としてどのようにお考えか、実はこの分析の中でそういう点が若干少ないのではないかと思ったものですから、この点を重ねて人事院にお伺いしておきたいと思います。

斧誠之助人事院事務総局給与局長

○斧政府委員 最近の人事院勧告の際に、高齢層の職員と中堅層の職員につきましての民間給与の比較の表を常に出しておりますが、そういうことで高齢層職員、まだ五十二、三歳ですと、私たちは高齢層職員とは呼んでいないわけですが、やがてそういうところに入っていくということですが、この層の人たちの官民格差上からくる問題というのはわれわれも非常に問題にしております。  そういうことで大変問題はむずかしいところにあると思うのですが、しかしただいま先生おっしゃいましたように、職員の士気を高揚させるということが公務の効率化につながる大きな道でもありますので、そういうことの士気を阻喪させる方向での処理というのは人事管理上も大変問題があるのではないかということで、その点も十分留意したいと考えております。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 以上、公務員全般について伺ってきたわけですけれども、国会職員に関して事務総長にお伺いいたしたいと思います。  先ほどのお話でも、高齢化の要因といたしまして、一つには経験の必要性、もう一つにはいわば第二の務め場所といいますか、そういうことがない、こういう状況についてお話しになっておりましたけれども、昨今話題となっております天下り的な話は余り聞くことができないわけでありまして、このよしあしは別にいたしまして、要するに国会の職員としてお務めになった皆さんの場合には、大体多くの皆さんがそこで務め上げると申しましょうか、この永田町の一角で立法活動あるいは議会の活動、議会の運営などにつきまして潤滑剤的な役割りを果たし抜くわけであります。したがって、先ほども指摘いたしましたとおり、大きな山が崩れないで約十歳くらいの幅で年々高年齢層へと移っていくわけであります。こういう皆さんについて、年齢別、生年別の入職年次の調査を戦後から今日までについて見ますと、昭和二十二年ごろから職員の採用が急増しておりまして、二十三年七十二、二十四年六十四、以下年次別に二十五年五十四、二十六年五十九、二十七年四十一、二十八年五十六、このあたりまでが急増の時期であります。以下、二十九年、三十年ごろになりますと二十六、二十五、半分ぐらいになってしまいます。とりわけ二十三年、二十四年の七十二、六十四という数字は、去年、ことしまでの長い間を見ましても、これだけ急増した時期はないわけでありまして、こういう方が現在も、戦後の混乱期から長い間縁の下の力持ちとして御苦労されてきているわけであります。  国会におきましては、永年勤続の職員に対する表彰なども、二十五年、三十五年勤続でなされておるようでありますけれども、この表彰も給与面の特典といったことについては関係がないというように伺っております。  国会職員と一口で言いましても多くの職務がありまして、議会の運営とか委員会の関係、速記者、衛視さんのほかに、運転を担当されている皆さん、施設保守関係といった裏方的な方々もいらっしゃいます。機能の強化が求められている調査室の調査員の方々も大変多いわけであります。こうした各職務の中で、給料面におきましてはそれぞれ頭打ちになっているというような問題については、従来から分科会で指摘をさせていただきまして、それなりの御配慮をいただいているわけでありますけれども、特にきょう指摘しております十年の枠に入っておる大きな山の年齢者の方々に一番該当者が多いわけであります。  この点を含めまして、特に衆議院職員について公務員全般の傾向が特徴的にあらわれている職員の山、高年齢層のかたまりの皆さんにつきましての処遇改善につきましての現状打開策なり、事務総長の御見解をお伺いしたいと思います。

荒尾正浩衆議院事務総長

○荒尾事務総長 本院の職員は、ただいまお話しのとおり他に転出する機会がない等の特殊な事情から、いまおっしゃるような団塊的な傾向が顕著でありますので、これらの職員の処遇改善のために従前から特別の配慮をしてまいりました。  すなわち、毎年等級別定数の改定に当たっては上位等級の定数の拡大に努めておりますし、その結果、かなり大幅な定数を確保して逐次昇格を行ってきております。  しかし、一般職員の最上位等級であります行(一)の二等級から一等級へ行く道を開いてくれという要望が非常に強いのでございますが、職制の問題とか、処遇上の理由だけではこれは非常に困難でございまして、端的に申し上げますと、現状の制度上では役職者でない限り一等級へ行くということは無理でございます。それで、二等級適用者のうちから、一部の管理監督的な職を行う者については課長相当職として処遇できるように何とかしたいと努力しているというのが現状でございます。何とかそういう道が開けるようにこれからも努めてまいりたい、こう思っております。  なお、今後とも二等級定数の拡大にはなお一層努めますとともに、三等級以下の昇格についても職制の許す限り配慮していきたい、こういうふうに考えております。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 ただいまもいろいろ御配慮はいただいているということについてお話を伺ったわけでありますけれども、従来から継続した問題もいまの事務総長のお話の中にはございます。こういう問題につきましては、ぜひ衆議院の職員組合の皆さんとも継続した十分なお話し合いをしていただきまして、いろいろ問題点としてはなお残っておるようでありますけれども、今後とも御配慮いただきますことを要望しておきたいと思います。  関連いたしまして、いまのお話の中にもちょっと触れられておりましたけれども、要望的なことになるかもしれませんが、将来のことを考えますと、いま申し上げた十年の枠での山、これはだんだん崩れていく時期もいずれはやってまいります。そのようなときにはまた大量の採用が必要になってくる。戦後の一時期二、三年、特に大量の採用があったその山の皆さんが退職する時期というのがいずれやってくるときの問題であります。現在のような採用基準といいますか、新卒で一定年齢までという枠ですと、当然何年か先に行きまして同じ問題が起こってくるわけでありますから、この点をいまから考えておく必要があるのではなかろうかというようにわれわれは考えます。特にこれからの人口構成などを考えますと、常に所定人員を確保することにつきましては特段の努力が要るのではないか、こういうように考えます。  現在の問題といたしましては、予算定員ということでは、各省庁削減というような問題のある中で一応御努力をいただいていることについてはわれわれも認めるにやぶさかでないわけでありますけれども、これも考えてみれば国会の運営上の必要性ということが強いというところも理由があるわけでありまして、実際の人員が足りないということになりますと、職員の仕事の量、質の強化ということにもつながってまいります。当然年度当初には定員どおりとなると思うわけですけれども、そうした問題についても将来構想としてお伺いをしておきたいと思います。  要するに、第一は、将来の問題として、山が崩れた場合に一体どうするかという採用の制度的な検討をする必要があるのではないだろうか。  第二番目は、定員問題についての基本的なお考えをお伺いしておきたい、こういうことであります。事務総長にお願いします。

荒尾正浩衆議院事務総長

○荒尾事務総長 お答えいたします。  ただいま御指摘の点でございますが、私ども、従来からそういうときに不都合を来さないように、職務の遂行に支障を来しますと、それだけ先生方の御審議にもまた影響がありますと困るものですから、そういうことのないように日ごろから検討しておりますが、特にそういった高年齢者の一団のかたまりの人たちが十年にわたっておりますが、そういった人たちがやがて退職するときにそれらの補充の点を常日ごろからよく検討いたしまして支障のないようにやっていきたい、こういうことで日ごろから考えております。  それからまた、そういったことも含めまして、私どもとすれば、今後ともいろいろ職員の勤務条件とか、そういったものについて組合の人たちの意見も十分吸収いたしまして対策を十分やっていきたい、こう考えております。

山花貞夫日本社会党

○山花分科員 私はきょう、衆議院の職員の皆さんの個々の労働条件というよりは、むしろ今後大変大きな問題になるのではないかと思われます公務員全体の中に共通にあらわれている中で、衆議院職員の場合に強い傾向があらわれている高年齢職員層の処遇の問題についてお伺いしたわけでありますけれども、まだ本格的な検討は、先ほどの人事院の御説明あるいは月報の中における見解の表明からも、全般的にもまだこの点についての取り組みが進んでいないのではないか、こういう心配をいたしまして、特に傾向が強い衆議院職員の場合にはこの問題について今後本格的な検討をしていただき、本当に長い間御苦労された皆さんのその処遇ということでありますから、ぜひ積極的に、いまお話しありましたとおり、職員の皆さんからあるいは職員組合の皆さんから状況について聞いていただきまして、積極的な施策をできるだけ今後早い時期に打ち出していただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 これにて山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 思いつくままに幾つかの質問をしてみたいと思います。  きょうは図書館関係について、私も長年関心を持っておることでありますので、質問したいと思います。  まず最初に、厚生省の方お見えになっておられますか。ことしの一月、二月段階に一部新聞にも報道されたのですが、全国戦災地図というのが国会の中で見つかったようです。全国主要都市戦災概況図が昭和二十年の十二月、二十一年の六月の二回にわたって、当時の第一復員省によって作成されたというふうに聞いておりますが、私もちょっと見せてもらって、これは非常に貴重なものだ。去年の夏あたり、ずいぶん百貨店なんかでも、戦争の状況はどうだったんだろうか、自分の町がどうなっていたんだろうかということで展示されたりしておりました。当時の写真を見ながらこの地図とぱっと合わすと、いろいろなことがよみがえってくる。そういうことで、現代史の研究をしている人はもちろんのこと、空襲や被災の経験者などが、この記録を何とか保存をしてもらって、みんなに公開してもらえぬだろうかという強い気持ちで、これの公開が一日も早くされることを期待しているわけです。  ところが、目録がありますが、その目録と現にそろっているものと見ると、かなりまだ、二十都市分ぐらいがないようです。聞いてみると、厚生省の方にもこの地図があるようですから、それじゃ、せっかくこういうようなものが国会図書館の側に出てきているんだから、厚生省と力を合わせて早いこと整理をして、みんなに役立つものにすることはできないんだろうかということを私、感じましたので、それで、厚生省の方は手持ちの地図を図書館に移管するなり統一的に処理することができないものかどうか、お答えをいただきたいと思うわけです。

森山喜久雄厚生省援護局業務第一課長

○森山説明員 ただいま先生がおっしゃいました全国主要都市戦災概況図というのは、昭和二十年の十二月に第一復員省が、海外から帰ってくる方のために、その帰郷先の戦災状況などを知らせるという目的でつくったわけでございまして、厚生省の方に第一次調査分の約百五十ぐらいの都市の戦災状況を地図にしたものを保管いたしております。それで、第二次の補備調査というのをやったようでございますけれども、これがたまたま厚生省の方にはございませんで、国会図書館の方にあるということでございますが、お伺いいたしますと、これは国土地理院の方から国会図書館の方に移管されたというお話でございます。先生いまおっしゃいましたように、これは厚生省といたしましてはもうほぼ目的を達成した書類でもございますし、また、保管の面それから公開の面からいきまして、国会図書館の方で保管をしていただくというのがよりベターではないかということでございますので、早速国会図書館の方とも御相談を申し上げまして、そういうような方向で進めていきたいと考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 厚生省の方は移管をする気があるということをいまおっしゃったわけですが、現状、これは移していただいて整備をしなければいけないと思うのですが、大体いつごろから一般に公開をすることができるようになるでしょうか。ちょっと計画を聞かしていただきたい。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 実は私どもに受け入れておりますのは、昭和四十一年三月に国土地理院から相当数の地図類を受け入れましたときに、たまたま戦災地図の第二次調査分という二十六市町村分が入っておったわけでございます。本年になりまして、国土地理院から第一次の調査分として百三十六市町村分を受け入れました。  なお、厚生省の方には約百五十の地図があるということでございますが、内容的に見ますとあるいは重複しておるものがあるかもしれません。あるいは欠があるかもしれません。そこらを調査いたします。現物を見ますと、これは相当使われた地図でございまして破損度も相当にひどいものがございます。ここらの地図はもちろん修理をいたさなければなりませんが、最終的に利用者に閲覧を願うには全部マイクロ化をしてする必要があると考えております。したがいまして、その方向で今後作業を進めるわけでございますが、まだ具体的にそれをいつ、どうということは、これからもし厚生省から移管を受けましたら、その実態も見まして計画を立てたいと考えておるところでございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 一日も早くみんなの目に渡るようにぜひお願いしたいと思います。  それでは次に、この間図書館へ行きましたら、閲覧部長さんのお名前で去年の七月の掲示が出ていました。「博士論文閲覧停止について 収集資料の増加により書庫が狭隘となり博士論文を別置保管することにいたします。」その末尾に「不本意ながら別館建設が完成するまで閲覧を中止させていただきます。」こう書いてあるわけですね。これじゃ当分の間使えぬのだなという話です。  ちょっと聞きたいのですが、使わしていただきたいという人がないのかどうか。一人でもあるのだったら私は使わすべきだと思うのですが、使用状況は一体どうなっておるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 ただいま当館で保管しております学位論文は十八万五千人分でございます。うち医学薬学関係が十三万八千八百人分、その他四万六千二百六十八人分でございます。  利用状況は、五十五年度の実績を見ますと、利用者が二百四十九人、件数にいたしますと七百四十七件、一日平均〇・八八人が二・六五件の論文をごらんになったということでございます。ただし、これは同一人が同じ論文を何日もごらんになることがございますので、論文単位で見ますと一・六三件ということが実績でございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 それで、実は私のところに見られぬという話が来たものですから、気づいたのです。だからこれは何とか見たいという以上は、従来の計画で言うと別館というと五十九年ですか、だから狭隘になってきたから管理が非常に大変だということはわかりますが、それだけでは国会図書館としての使命を果たすことにならないのじゃないだろうか、改善する必要があると思いますが、いかがですか。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 論文の問題につきましては御理解願いたいことがあると思うのでございますが、現在書庫のあきが十万冊分しかございません。年間新刊図書類が入ってまいりますのは約七万冊でございますから、二年たちますと、明らかに五十八年には書庫があふれるということが実態でございます。そこで、十八万人分の博士論文を別に移しますと、そこで約十一万冊分のゆとりが出るわけでございます。私どもといたしましては、そのスペースをあければ別館建設までに約二十一万冊の収容能力をあけて何とか乗り切れるのじゃないかという考えでございます。  この論文は、いまの計画で申し上げますと、上野の支部図書館がございますが、そこの書庫を少し手を入れて整理いたしまして、そこに移して、そこで閲覧できるようにしたいということを考えております。また、本館においでになって、どうしても本館で論文が見たいという御要望があれば、これは一日、二日の余裕をいただきましたら、上野の支部図書館から本館に取り寄せてごらんいただこう、もっぱら論文は上野の支部図書館でお願いしたいというPRもいたす、そういうことで論文をごらんになる方に御迷惑をかけないようにいたすつもりでおります。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 そうすると、別館建設が完成するまで閲覧を中止させるんじゃないんですね。そうすると、あの張り紙はちょっと改善をしてもらわないと、一般の人には、あかんのやなということになると思うのですが、そこはぜひひとつ張り紙を直してほしいと思うし、いまのお話を聞いていますと、いよいよ別館が早急に望まれてくるわけです。あれは間違いなく五十九年度までにやらすようにしてもらわないと国民にとってぐあい悪いんですが、その点は関係省庁とも十分に意思統一して、やれるように計画は進んでいますな。ちょっとお答えいただきたい。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 掲示の点は、その時点におきましては、一応できたら中止をさせていただきたいと考えておったわけでございますが、その後われわれもいろいろ検討いたしまして、御迷惑をかけないようにいたすことにいたしましたから、これは至急に変更いたします。  それから、別館建設に関しましては、来年度約二十九億の予算がとれまして、来年度じゅうの工事はこれで十分できる見通しでございます。問題は、五十九年度末まで、昭和六十年の三月までに完成ということを目指しておりますので、あと二カ年の予算を大幅につけていただかないと完成しないということでございます。これはもちろん両院の図書館運営小委員の皆様の御了解も十分いただいておりますし、今後予定どおり完成すべく努力いたしたいと思っております。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 それじゃひとつ御努力のほどをお願いをするとして、次に移ります。  毎回、国立国会図書館月報というのを私もいただいております。一番新しい二月号に、図書館刊行物の無償配付を削減し、有償に切りかえたい旨のお知らせが書かれています。聞いてみたら、日本全国書誌週刊版とか「レファレンス」、これを無償で配付しているのを減らすのだと。どれだけ出ているのだと聞いてみたら、公共図書館に九十五出ているのを七十一にするのだ、大学図書館に百八十出ているのをゼロにするのだ。無償をやめて有償で買ってもらうのだというのですから、それはいろいろ予算上の合理的な配分とかいろいろな見解もあるかもしれません。  それで私は、こういうことになっていることに対して、本当にみんなどんな意見を持っているのかということで、電話でしたが、日本図書館協会なり全国公共図書館協議会なり国立大学図書館協議会、公立短大図書館協議会、私立短大図書館協議会などに聞いてみました。どの団体もまず、正式に聞いていないということがはね返ってきました。それから、各図書館の予算はきわめて悪い、日本の国というのは図書館に対する理解が薄い、国会図書館がむしろ積極的な音頭取りをやっていただいてありがたいんだから、ぜひ有料にせぬようにして一層活動してほしい、せめて基本書誌である日本全国書誌週刊版だけでも何とかならぬだろうかと、これに対する声は非常に高いんですね。だから、私もこれを聞いておって、相談したら、無償を有償にする話というのはろくなことにならぬとお思いになったから相談されなかったのか知らぬけれども、国会図書館というのは、これらの皆さんにとっては中心的役割りを果たしているだけに、十分こういう方々の意見を聞いてほしいというのが一つです。  それから、これは月報でぱぁんと出してしまっているんだから、いまさら聞いてもということになるのか知りませんけれども、特に昨年の一月号に、いまの全国書誌週刊版、こう書いてあります。「冊子体の詳細記入では唯一のものとなりますので、今後はこれを保存して御利用下さい。」僕はこれが値打ちがあると思うのは、一般的に出ている本の内容だけではなくして、国会図書館法に基づいて納本の義務を国民に課せているんだ、だから、そこには有償で出ていないところの本であっても、やはり国会図書館に納めなければいかぬのや。納めた本はすべてここに紹介してくれている。私は、これは納本の義務を課したことに対するところの国会図書館の側の責務だと思うのですね、みんなにお知らせする。  これをどの範囲に、どういうふうにやるかという、有償の問題は十分研究していただくことにして、一番重要な位置を占める都道府県なり、市町村に対しては打ち切るということはなかろうと思うのです、指定都市などの大きなところには。私が心配するのは、さっき配付しているという数字を聞いたら、九十何ぼのところにしか配付してないと言うんですね。そうすると、これは都道府県や指定都市を除いたら、わずかのところにしかいってないと思うのですね。そのわずかのところにしかいっていないというところのここを切るという問題について、せめて最低それは再検討してほしいと思うんです。  なぜかというと、これは市町村の、指定都市でないところに行って、やっている姿を聞いたら、本当に世間の理解のない中で図書館活動をやっているわけです。ですから、国会図書館からあの週刊版を送ってもらって、ああ、こういうものが出ているのかという関心を持って図書館活動をやっているというのは、日本の中で貴重な存在なんですよ。特別にくれと言っておられたところが二十何ぼあって、そこだけいっておったんだから、これだけ積極的な役割りを担っている人を激励してほしいと私は思うんです。全国の市町村図書館というのはもっともっとたくさんありますよ。だけれども、そこの中で、わずかのところ、せめてあれをくれよと頼んできて、あげておった存在だ、だから私はこの分野についてはぜひとも積極的に相談に乗ってほしい。その相談の一番大きい問題は、僕はこの週刊版だと思うんです。もうおたくの方で月報にああいうふうに書いてしまったから、いまさら方針変えられませんとおっしゃるのかどうか知りません。私は、そう言わぬと、この分だけは一ほかの分野についてはよく相談してもらって、理解してもらっていろいろ検討をしてもらったらいいと思うけれども、せめて市町村の奮闘しておられる諸君のそこのところの分野だけは、十分に再検討をやってほしいなということを強く私は感じますので、ちょっと所見を聞きたいと思うのです。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 私ども年に、地方公共図書館の協会の皆さんあるいは大学図書館の協会の皆さん、いろいろ図書館に集まっていただきまして、意見交換をいたしております。その際の御要望としては、基本的書誌類の刊行物については無償で配付してくれ、あるいはわが館が希望するものについては無償で配付してくれというような、無償配付の御希望が非常に強いものでございます。今回、それに逆行するような方針をとりましたことは大変恐縮でございますが、これは財政的な一つの問題もございますと同時に、館界におきましては、ある館に無償で、ある館には無償で配付しないというのは不公平じゃないかというような御議論もたびたび出てまいりました。そのようなことも踏まえまして今回再検討をいたしたわけでございます。  いま先生のお話の書誌については、われわれとしては、これはわが館の基本的な刊行物でございますから、できれば無償で配付したいということはもちろんでございますが、残念ながら財政上それは許しません。したがいまして、いまの計画では都道府県の中央館に限るということで考えております。ふえてまいりましたのは、それぞれの個別ないろいろな要望がございまして、だんだんにふえてきたわけでございます。したがいまして、いま先生のお話もございましたので、基本は都道府県の中央館ということにいたしまして、さらに必要なところというのをもう一度再検討さしていただきたいと思うのです。ただし、この場合には、ほかの図書館からまたいろいろと要望、苦情が出ないように、これは非常にむずかしいところでございますが、そこらも勘案しながら一度再検討さしていただきたいと存じます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 ぜひお願いしたいと思うのです。市町村の中で図書館活動をやっておられる人たちというのは貴重な役割りを担っておられるから、特別にお願いをしたいと思うのです。  最後に、たくさんあるのですが、時間がもう余りありませんので、今度は国会図書館のコピーの問題です。  これはまた値上げをするという話なんですね。値上げ何でも反対ということで私は言うわけじゃないのです。せっかく求めて来ておられる方々に対して、大体本は無料で貸し出すというのは図書館の非常に積極的な役割りだし、せめて実費でもってそれをコピーして差し上げたいということだろうと思うのです。ところが、そのコピー代が三十五円になるというのですね。どうしてもそういう実費がかかるものだろうか。と言うのは、私の息子なんかが大学の近所でコピーをとってくるのを聞いてみると、大学図書館でも中には高い大学もありますよ、だけれども、大体その大学の周辺を聞いてみたら、文房具屋さんでやってもらっても、たとえば早稲田の高田という店へ行ったら二十円でやってくれています。三田の石田というところへ行ったら三十円神田の日章堂へ行うたら三十円、新宿のカメラ屋では二十五円というふうに、大学の周辺のお店屋さんはわりあい安くやっているのですね。それと比べてみると、三十五円にせんならぬというのは、これは一体どうなっているのだろうかなと強く感ずるわけです。  そこで、私の党の事務所の方でも富士ゼロックスを使っていますから、カタログを見て、一体どのぐらいコピー原価はかかるものだろうか、使用量によって一枚何ぼぐらいになるか、トータルサービス料金というのを計算してみますと、八千枚までは一枚が八円につく、八千枚から三万枚まで六円三十銭とか、三万枚以上になってくると四円とか、まあ計算が出てきます。それで、おたくの方が年間大体何枚ぐらいとっておられるのかという計算なんかを含めて、いまのそのカタログから私なりに計算をして、トータルサービス料金が六円七十九銭、紙代が一円八十七銭、減価償却が六十三銭というふうに、ずっとそれなりに計算させてもらいました、悪いのだけれども。それからおたくの方の資料に基づいて、人件費をどう見ているのか、電気代やら庁舎貸付料をどう見ているのか、これも計算さしてもらいました。人件費が十七円十五銭になるし、電気料が二十銭、庁舎貸付料が二十五銭、合計しても二十六円八十九銭で済むのじゃないだろうか。そうすると、これは三十五円にしなければならぬ理由というのはどこから出てくるのだろうかなと私は思うておりました。  しかも、その人件費というのをさらに詳しく聞いてみますと、これがまた、何か若いお方を富士ゼロックスの方が雇って、日給が五千円のアルバイトを二十人とか、正社員が五人、一人が所長さんでやっておる。そうやってこの人件費の計算を見ると、正社員一人当たり年収九百万のお金を渡していることになるわけです。ほほう、人件費をそんなに食うものかなと、私、ようわかりませんけれども、どこから考えてもえらい高い数字になるのじゃないだろうか。積算がもうちょっと安ういけるのと違うだろうか。私、積算の細かいことはよくわからぬけれども、私なりにこうやってみると、値上げをせぬかていいことになるんじゃないだろうかというふうに感ずるのですけれども、そこはどうですか。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 料金の決定につきましては、業者からの要求が参りまして、これを内容的に厳しく精査をして決めておるわけでございます。過去四十年以降、本年までの経緯を見ましても、値上げをする場合もありますれば、あるいは値下げをする場合もある。大体四十円から二十五円の範囲でいままで決定してきておったわけでございます。  今回、業者の方からは、人件費の増の問題、傾向としての複写量の減少の問題、そういうことを主な理由としての値上げの要求が出てきたわけでございます。私どもでいろいろと精査をいたしまして、五円の値上げが適当であろうということで決めたわけでございます。  具体的に申し上げますと、人件費につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、社員五名、準社員二十名、年間経費が六千九百四万円、一人当たり約二十三万円、売り上げに対する比率が四七%、家賃、光熱費が二百一万円、その他、機器の償却代その他ということでございます。  従来とも、もちろん企業でございますから、若干の利益ということは考えなければなりませんが、不当な利益を上げないように、しかも閲覧者に不便をかけないように、最大の能力を挙げて事務を遂行してくれるようにという観点から協議をいたして、料金を決定しておるわけでございます。いま先生の御試算の数字につきましては、私どもちょっといまその細かいのを持っておりませんので申し上げられませんが、基本的にはそういうことでございます。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 ところで、このコピー代の中に破損料が五円入っているという問題があるのです。総額で修理費用を見ると、五十六年、五十七年は図書館の方で製本費として五千五百七十四万お組みになっています。ところが、コピー代から修理費が出てくるのが二千百五十万だというのですね。ですから、その比率というのは、全体で七千七百二十四万円の中の三〇%はコピー代で損料を払っている。それはコピーしたら本は傷むのだから傷み代を持ったらどうやと言われると、そうかいなという気もするけれども、何も本をコピーしなくても見方によってはやはり傷めますから、じゃあそっちも取らんならぬか、こういう理屈になってくるとおかしなものだ。だから、修理費というようなものは全面的に持つという立場に立つべきじゃないだろうか。コピーに必ず五円ずつ損料を入れていくという考え方自身を再検討していかなければいかぬのじゃないか。  同時に、私はちょっとこの際にお伺いをしたいのは、コピー禁止本というのがあるのです。中央公論や改造などの戦前の貴重なものが国会図書館にあります。これはコピー禁止本になっている。私らもあれをすぐコピーをとって勉強したいものなんです。だから、あれは何とかコピーできるようにしてほしいと思うのですけれども、あのままでやっておったら傷んでしまって後なくなりますから、ちゃんと別に復刻本をつくるとかあるいは何かして、それでコピーがとれるような状況にしなければいかぬだろう、私はぜひそういうふうにして、保存を一方で大事にしながら、一方にはみんなの便宜を図るようにしてほしい。  そこで聞きたいのは、さっきの五円のコピー代じゃないけれども、ああいう破損料というものを入れる物の考え方は改めてもらうということと、復刻版をつくったりしていまの禁止本をぜひ見せるようにしてほしいわけだけれども、するに当たって、その費用というのはまたコピー代のようにお客さんの方にかぶせるというようなことをせぬだろうなという問題について聞きたいのですよ。あんなものはやはりきちんと国会図書館の側で準備をすべき予算だ、私はそう思うのですが、館長さん、いかがですか。

植木正張国立国会図書館長

○植木国立国会図書館長 当館の製本費は、おっしゃるように年間五千五百万でございます。これは通常の図書館における製本費としては非常に率が少ないので、われわれはこの製本費の増加ということを常に要求いたしております。この製本費は、たとえば雑誌類でございますと第一次の製本、あるいは古い図書の製本その他に使っておるわけでございます。コピーによりましてそういう第一次に製本いたしましたのが破壊される、特に雑誌類の合本製本の破壊が大きいわけでございます。これが年間にしまして約五千冊のうち四千冊が雑誌を製本したものの破壊でございます。ここらのものを全部官費で補修するか、あるいはコピー業者の扱いの問題、あるいは何回もこういうコピーをしたのが原因によって壊れるという分については応分の負担をしていただきたいというのが、現在の考えでございます。  それから、例のゼロックス禁止本につきましては、現在図書が約三万冊ございます。逐次刊行物については、タイトルで申しますと約二千八百タイトルぐらいございます。これは将来の計画といたしましては、マイクロフィルム化をいたしまして利用者に供するということで目下考えております。この場合の経費はもちろん当館がやるべきものと考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前分科員 時間が来ましたので終わりますが、もう一度コピーの料金のあり方の問題を検討してくださることをお願いして、終わります。どうもありがとうございました。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、国会所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、皇室費、会計検査院及び裁判所所管について順次説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。

山本悟宮内庁次長

○山本(悟)政府委員 昭和五十七年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費の昭和五十七年度における歳出予算要求額は、二十八億八千八百六十九万四千円でありまして、これは前年度予算額と同額となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億二千百万円、宮廷に必要な経費二十五億五百十万六千円、皇族に必要な経費一億六千二百五十八万八千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億二千四百七十一万九千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億八千三十八万七千円でありまして、前年度に比較して百四十二万八千円の減少となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、百四十二万八千円の増加となっております。  これは、寛仁親王第一女子彬子女王の御誕生に伴うものであります。  以上をもちまして、昭和五十七年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、藤井会計検査院事務総長。

藤井健太郎会計検査院事務総長

○藤井会計検査院説明員 昭和五十七年度会計検査院所管の歳出予算案について説明申し上げます。  会計検査院の昭和五十七年度予定経費要求額は、八十七億二千二百五十万九千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として七十七億一千六百七十七万五千円を計上いたしましたが、これは総額の八八%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十人を増置する経費も含まれております。  旅費として五億七千七百四十五万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が五億六千百四十万六千円、外国旅費が七百八万円であります。  施設整備費として五千二百八十二万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、王子書庫外壁改修工事費三千二百三十五万一千円であります。  その他の経費として三億七千五百四十四万八千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑を図るための会計検査活動費五千二十万四千円並びに検査業務の効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費三千三百五十一万一千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和五十七年度予定経費要求額八十七億二千二百五十万九千円を前年度予算額八十三億七千二百四十三万円に比較いたしますと、三億五千七万九千円の増加となっておりますが、これは人件費において四億三千六百二万六千円増加し、施設整備費において、庁舎本館防災改修工事の竣工に伴い一億二千四万三千円減少したことなどによるものでございます。  以上、はなはだ簡単でございますが、本院の昭和五十七年度予定経費要求額の概要の説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 次に、矢口最高裁判所事務総長。

矢口洪一最高裁判所事務総長

○矢口最高裁判所長官代理者 昭和五十七年度裁判所所管予定経費要求額について説明申し上げます。  昭和五十七年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、一千九百八十一億九千三百二万六千円でございまして、これを前年度予算額一千八百八十億五千四百二十九万九千円に比較いたしますと、差し引き一百一億三千八百七十二万七千円の増加となっております。  これは、人件費において九十三億二千百八十五万一千円、裁判費において一億三百十六万四千円、営繕費において六億一千七百五十四万八千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において九千六百十六万四千円が増加した結果でございます。  次に、昭和五十七年度予定経費要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、人的機構の充実、すなわち増員でございます。  特殊損害賠償事件、民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理等を図るため、四十四人の新規増員及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づく定員からの二人の振りかえ増により、裁判所職員定員法上、判事八人、裁判所書記官六人、裁判所事務官三十二人、合計四十六人の増員をいたしております。  他方、定員削減計画に基づく昭和五十七年度削減分として裁判所事務官等三十八人、その内訳は、裁判所職員定員法の定員三十七人、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づく定員一人の三十八人でありますが、この三十八人の減員を計上しております。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判官等の執務体制の確立のため、中堅裁判官等の研修を充実する経費として二千六百六十万八千円、裁判運営の効率化及び近代化に必要なものとして庁用図書、図書館図書の充実を図るため、裁判資料の整備に要する経費として五億三千二百二十九万五千円、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計算機等裁判事務器具の整備に要する経費として四億九千八百四十七万円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十一億七千三百九万円、証人等の日当に要する経費として五億一百四十万五千円、刑事(拘禁)補償に要する経費として五千六百四十一万七千円を計上しております。  次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。  東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の新営に必要な経費として一百八億一千八百十八万五千円、その他の裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として四十四億七千八十八万四千円、合計一百五十二億八千九百六万九千円を計上しております。  以上が、昭和五十七年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、皇室費、会計検査院及び裁判所所管については終了いたしました。  この際、午後一時から再開することとし、休憩いたします。     午前十一時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議

近藤元次自由民主党

○近藤(元)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務省所管について審査を進めます。  まず、政府から説明を聴取いたします。坂田法務大臣。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 昭和五十七年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和五十七年度の予定経費要求額は三千五百九十五億四百十六万円であります。前年度予算額三千四百三十億七千五十四万四千円と比較しますと、百六十四億三千三百六十一万六千円の増額となっております。  さて、予定経費の増減について、内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増は百六十五億三千五百六十万六千円であります。これは、昇給等の原資として職員基本給の増額分が主なものでありますが、そのほかに、法務事務官、検察事務官等の新規増員四百二十九人及び部門間配置転換による法務事務官等の振りかえ増員十三人に要する人件費が含まれております。  ここで、一増員の内容について申し上げますと、一、特殊事件、財政経済事件、公安労働事件、暴力事件、公害事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、検察事務官百人、二、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯事件に対処するため、法務事務官百六十七人、三、刑務所における保安体制及び医療体制の充実を図るため、看守九十六人、看護士(婦)十人、四、非行青少年対策を充実するため、少年鑑別所教官十三人、保護観察官十七人、五、難民認定事務処理体制の確立並びに出入国審査及び在留資格審査に対処するため、入国審査官十八人、六、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官二十一人となっております。  他方、昭和五十六年九月の閣議決定に基づく「定員削減計画(第六次)の実施について」による昭和五十七年度定員削減分として、四百四十三人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと一人の定員減となるのであります。  第二に、物件費関係の増は二十一億五千五百二十八万五千円であります。  これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、積算単価の是正、事務の合理化、能率化を図るため、事務機器等の整備充実並びに保護司実費弁償金及び人権擁護委員実費弁償金の単価引き上げに伴う経費の増額等であります。  次に、主な事項の経費について概略を御説明いたしますと、一、法務局、地方法務局においで登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として四十四億九百十七万九千円、二、検察庁において刑事事件を処理する等検察活動に要する経費として二十七億六千六百七十四万二千円、三、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、教育、作業等に要する経費として二百四十四億一千八百三十二万三千円、四、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として三十六億五千三百五十二万七千円、五、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査、難民の認定等及び不法入国者等の護送、収容、送還等に要する経費として七億八万五千円、外国人登録法に基づく在日外国人の登録等の事務を処理するために要する経費として十一億五千八百十万六千円、合計十八億五千八百十九万一千円、六、公安調査庁における破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十九億二千五百十六万三千円が計上されております。  第三に、施設費関係といたしまして、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営、整備に要する経費として百八億五千二百五十七万七千円が計上されております。  最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。  昭和五十七年度法務省主管歳入予算額は七百十三億一千九百三十万三千円でありまして、前年度予算額六百九十七億二千四百五十一万四千円と比較しますと、十五億九千四百七十八万九千円の増額となっております。  以上、法務省関係昭和五十七年度予定経費要求の内容について、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

近藤元次自由民主党

○近藤(元)主査代理 以上で説明は終わりました。     —————————————

近藤元次自由民主党

○近藤(元)主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 詳細は法務委員会でやることになると思いますので、きょうは概略のことをお聞きしてまいりたいと思います。  最初に聞くのは民事局長ですか、たとえば明治の初めごろだったか中ごろにかけて「民法出テ忠孝亡ブ」という言葉がありましたね。これはどういう意味なんですか。

中島一郎法務省民事局長

○中島政府委員 明治二十四年の八月二十五日と記憶をいたしておりますけれども、その日付で穂積八束博士が「法学新報」に論文をお書きになった。その題名が「民法出テ忠孝亡ブ」というものであったと承知をいたしております。  そのころの時代としては、明治二十二年から二十三年にかけて旧民法が元老院によって成立をして公布され、二十六年一月一日から施行される予定になっておったわけであります。それについては延期派が一方にあり、一方においては実施断行派とも呼ばれる学派がありまして、両派非常に激越した文言を用いて自分の立場を宣伝しておった、そういう背景のもとに、穂積八束博士は、延期論の立場から、明治二十六年一月一日から施行が予定されております民法に対しまして、「民法出テ忠孝亡ブ」という論文をお書きになったというふうに承知しておるわけであります。  その趣旨は、一言にして言うのは大変むずかしいのでありますけれども、要するに先ほど申しましたような両派相争っておった、非常に激しい法典論争あるいは法典争議と呼ばれるそういう争議の中において、延期派の立場から、新民法が草々の間に起草せられたものであって、この民法が出たならば、日本の純風美俗である忠孝が滅ぶ、そういう趣旨のことをおっしゃっておるわけでありますけれども、必ずしも民法についての学理的な論文ということではなくて、そういう戦争状態において民衆なり国会なりにアピールをしようとする、そういう論文であると私どもは理解をしておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 穂積八束先生は民法の専門ではありませんね。憲法というか国法学というか、そういう専門ですね。どちらかというといわゆるプロシャ憲法ですね。オーストリアの憲法。伊藤博文や金子堅太郎が行ってきて研究してきた。まだそのころは伊藤博文なんかが向こうへ行っているときですか。二十三年ごろ行ったんだっけ、二十三年に憲法ができたんだっけ、ちょっと忘れましたが。そういう時期で、そういう考え方の人ですよね。だから、そのころの日本の民法は、明治の初めにルソーの民約論から始まって、中江兆民が「一年有半」とか「続一年有半」書いて、それが幸徳秋水につながって、そして大杉栄につながる、こういう一つのルートになるわけです。必ずしも直接にそういうふうにつながるかどうかは別として。だからフランス民法というものが日本の民法の源泉であった。これは、江藤新平がボワソナードを呼んできて日本の民法をつくらせたわけです。笑い話みたいな話があるのですが、日本の民法をつくってくれと言ったときに、ポワソナードが、一体どういう民法をつくるのですかと言ったら、とりあえず何でもいいからつくってくれ、フランスのナポレオン法典を直訳してもいいからつくってくれと言ったとかいう話があるのですがね。うそか本当かわかりませんよ。江藤新平を呼んでこなければわかりませんから。呼んでくるわけにはいきませんから。  それは別として、そこで私が聞きたいのは、いま言った穂積八束先生は民法の先生じゃありませんから、国法学の先生で国家権力を非常に強くしようとする動きのタイプの人ですよね。これが上杉慎吉先生につながっていく。片方において美濃部達吉さんの流れがある。美濃部さんの後を宮沢さんなんかが引き継いでいく、こういう流れになるかと思うのですが、それはそれとして、そこで問題となってくるのは、いまの尊属殺の二百条の規定をめぐってやはり同じような議論が出てきているわけですね、一部に。一部ですよ。一部に、法律のよくわからないというと語弊があるけれども、よく専門家ではない人たちの間に、尊属殺の規定を削除する、削除するというと日本の忠孝が滅ぶ。大臣、いま日本には忠というのはあるのかな。どうですか。忠というのはあるのかないのか、どうなのかな。——いいですよ、そんな話は。  そこで問題になってくるのは、そういう考え方が一部に非常に強いわけです。これは後からお聞きします。そこで、私は疑問に思いますのは、たとえば刑法の二百条の尊属殺に関連をして、いわゆる旧刑法と新しい刑法との間で非常に違いがある。実は、これも私はよくわからなかったのですが、大分前に聞いて初めて気がついたのですが、自己の直接血のつながっている父親や母親をあれした場合にはこれは別かもわかりませんけれども、そうではなくて、新しい刑法が明治四十何年にできたときには、自己の配偶者の両親あるいは養子縁組みした場合、それをも尊属というふうに考えて、そこで尊属殺というものの刑法二百条をつくった、こういうふうなことなんで、血がつながっていなくても、配偶者の両親、俗に言えば、これはお嫁さんから見ればしゅうと、しゅうとめとの関係ですね、これの問題もこの中に含ませて拡大をしていったということは、結局家を強化する、家族制度を守る、そういう関係のためにこの法律をつくったんだ、こういうふうに通常理解できるのですがね。だから、旧刑法と明治四十何年かのいまの刑法との二百条関係の違いですね。そうすると、二百条がいまのように配偶者の両親までも含めた形でできたということについては、尊属殺の規定を適用するようになったということについては、これはどういう理由によるのか、家の制度を維持するということとどういう関係があるのか、ここら辺をひとつ御説明願いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 尊属殺の規定に関しまして旧刑法と現行刑法との違いについてのお尋ねでございますが、ただいま御指摘にもございましたように、いわゆる旧刑法では三百六十二条というのがございまして、「子孫其祖父母父母ヲ謀殺故殺シタル者ハ」というふうになっていたようでございます。ところが、現行刑法ができます際に、いま御指摘のように、自己の直系尊属のほかに配偶者の直系尊属もその下に加えるということになっていること、これは事実でございます。  その理由につきましては、当時の政府提案理由書というものがございまして、その中では「現行法第三百六十二条第一項ヲ補修シタルモノニシテ更二配偶者ノ直系尊属二対シテ犯シタル場合二之ヲ適用スルハ我邦ノ家族制度二於テ特殊ノ必要存スレハナリ」、こういう言葉があることは事実でございます。ただ、いま申しましたように「家族制度二於テ特殊ノ必要存スレハナリ」という非常に抽象的なことでございまして、それ以上どうも詳しいことがないわけでございます。恐らくその背後にいろいろな議論があったのだろうと思いますけれども、表向きといいますか、結論的に書かれているのはそういう表現でございまして、稲葉委員のおっしゃいましたように、家族制度ということから配偶者というものをどのように考えるかということ、特に配偶者と当初の相手方の配偶者の尊属との関係をどのように考えるかという議論があって、いわば実の親子関係と配偶者の親子との関係を同視すべきじゃないかというようなことから入ったのじゃないかというふうに思われるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 血のつながった人、それは一つの理屈はあるいはあるかもしれませんけれども、そうでなくて、妻が夫の両親に対してこれを殺害したときにも尊属殺の規定を適用するというのは、これはもう明らかに、妻というものを家の中で一つの封建的な規制というかそういうようなものの中に加えよう、これが家族制度だ、こういう形になってきておるわけですからね。そうなってくると、戦後家族制度が崩壊したというふうなことが言われておる。家の制度がなくなったということが言われておる。となれば、この二百条の規定というものは当然なくなるというのが新しい民法からくる考え方の帰結ではないか、憲法からもきますが。そういうように常識的に考えていいのではなかろうか、こういうように思うのですが、これは民事局長かな、どうなんです。刑事局長かな。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、配偶者の直系尊属も含むということを加えたことは、家族制度との関係を考慮したということは事実だと思いますので、戦後の憲法の制定に伴って民法も改正されたということから、いわば尊属殺について特別の規定を設けることの理由の一つが薄くなったと申しますか、そういうことは言えると思うわけでございますけれども、昭和二十二年に新憲法下におけるいろいろな法律制度の改正がございました際に、やはり刑法の尊属殺等のいわゆる加重規定がどうあるべきかということも当時議論されたようでございまして、当時国会でもそういう議論がなされたように若干うかがわれるわけでございます。その際にもこういう尊属殺の規定を残すという方向で議論がなされ、その理由といたしましては、わが国における尊属に対する尊重敬愛という国民感情を認める必要があるという答弁も当時政府側からされておるわけでございますから、家の制度がいわば変わってきたということで直ちに尊属殺が廃止されるべきだということではなくて、やはり、家の制度ということも一つの理由ではございましょうけれども、もっと広い意味での尊属に対する尊重敬愛の念ということが実質的な理由になっていたわけであろうと思いますので、その実質的な理由はやはりその後におきましても存続しているということで、現在まで、例の判決がございますまで尊属殺ということが適用され、現行法の上でもそういう形にまだなっておるということであろうと思うわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 大臣、いまお聞きしておったと思うのですが、尊属という言葉はとうといという字ですね。それに対して子供や孫のことを卑属と言うんでしょう。卑という字は卑しいという字を書くのでしょう。これは英語で言うと何と言うのかな。ハンブルかな。どういうのです、この意味は。尊属だとか卑属だとか、そういう言葉を日本の法律の中に残しておいて一体いいんですか。子供は卑しいというのか。どういう考え方ですか。これはおかしいですよ。大臣、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。おかしいですよ、尊属だ、卑属だという、そんな言葉の使い方は。英語で言うと尊属は何という言葉で言うの。卑属は何という言葉で言うの。どういうふうになっているんですか。こういう言葉は使ってはいけませんよ、直さなければいかぬのだよ。これは民事局長だろう。

中島一郎法務省民事局長

○中島政府委員 確かに、尊なり卑なりという本来の漢字の意味はそういうことであったろうと思うわけでありまして、現在でも法律、特に民法でそういう呼び方をしておるということにつきましては折に触れて問題になるというようなこともあるわけでありますけれども、それではそれを先属と言い後属と言うかとか、いろいろ御意見があるわけでありますけれども、尊属なり卑属なりということは、本来の尊なり卑という意味はかなり薄れて、尊属としてあるいは卑属として一つのものを指すということで、かなり国民の間に定着をしておるんではないかというようなことで今日に至っておるような次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 定着しているかどうかは別として、言葉自身おかしいですよ。そんなこと言えば、あらゆる言葉はみんな定着しているんだから、それを直すのはおかしいという理屈になってくるんです。  わかりました。そうすると、英法なりあるいは仏法なり、独法でもどこでもいいですが、そういうふうなときには尊属とか卑属というのはどういう言葉を使ってあらわしているわけですか。どういうふうに言っていますか。

中島一郎法務省民事局長

○中島政府委員 そういう概念というものがそもそもない。妻の父とか、あるいは夫の子とか、そういう呼び方をしておるのではないかと、思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 それはアメリカのように戸籍のないところもありますからね。制度が違うから、一概に私の質問は当たらないと思います、戸籍がないんですから。そうすると、家が廃止されているのになぜ戸というものが残っているかということがまた議論になってくるんですけれども、戸とは何かということになってくるんですけれども、これはまた別のときにします。  そこで、いま私がお聞きいたしましたように、このことについては法制審議会の「改正刑法草案の解説」というのがあります。法務省刑事局から出ている本の二百六十三ページ「第二十三章殺人の罪」のところで、「尊属殺については、去る昭和四八年四月四日の最高裁判所大法廷判決により、……」ずっと書いてありますね。この判決がすぱっと違憲というあれではないものですから、量刑の関係や何かを中心として法律の規定の仕方を基準としている判決ですから、いろいろな見方が出てくるわけです。あそこでぴしゃっとしていればこれは問題ないんですが、それはそれとして、そこで「近時、ドイツ、ハンガリー等で尊属に対する殺人の加重規定を削除しており、」こう書いてありますね。ドイツが削除している。それだったら、ドイツでは尊属に対するあれがあったんじゃないですか。あったのをどういう事情で廃したのかということが一つです。それから、フランスではまだあるというんでしょう。それからベルギーだの、ポルトガルだの。これはフランスでどうしてこういう制度があるのか、私にもちょっとよくわからないのです。ああいう個人主義の国でこういう制度がどうしてあるのかわかりませんが、ただ法律があるというだけではなくて、実際にどういうように運用されているかということがどうなのか。ドイツはなぜ廃止をしたのか。フランスは法律はあるとしても、二百九十九条ですか、実際にどういうふうに運用されておるのか、これはわかっている範囲で結構ですけれども、お答え願いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 外国のことでございますから必ずしも十分なお答えはできないわけでございますけれども、たとえばドイツにおきましては、一九四一年の改正でいわゆる尊属に対する規定が改正されているというふうに承知しております。それまではといいますか、一般のいわゆる故殺でございますが、その法定刑が五年以上の有期懲役、そしていわゆる尊属に対する故殺の規定では、法定刑が無期懲役または十年以上の有期懲役ということになっていたということでございます。そして、その規定がいま申しましたように一九四一年の改正で削られたということでございまして、その理由につきましては、必ずしも十分ではございませんが、やはり法定刑が重過ぎるんじゃないかということが一つの理由になっていたようでありまして、いろいろな情状にもよるのであるから一般の殺人罪の刑で十分賄えるという、ちょうど日本でいま議論されていると同じような議論があったようでございまして、その結果、尊属殺に対する重い法定刑を定めた規定は削られたということでございますが、日本の場合に比べますとそれほどの差はないと言えばないわけでございますが、抽象的に言えばやはり刑が重過ぎるということが一つの大きな理由であったように思われます。ただし、一方では、たとえば二百二十三条では傷害につきまして尊属の加重規定がございまして、現にその規定は残っておるわけでございますので、そういうことから見ましても、全部尊属だからそれに対して刑を重くするのはいけないのだということではなくて、ちょうど日本で議論されているように刑の差があり過ぎるというようなこと、また反面から言えば一般の規定で賄えるというようなこと、そういうことがどうも理由になっているのじゃないかというふうに思われるわけでございます。  それからフランスでございますが、法律の上では死刑も一応残っているようでございますが、この前の死刑廃止の改正もあったわけでございますので、実際には死刑ということにはならないのじゃないかと思います。そこで、この統計も十分なものではございませんけれども、いわゆるフランスにおける尊属殺の運用状況を、一九七二年から七六年までの統計がございましたのでそれを見ますと、各年数名ずつの適用があって、この五年間で二十三件尊属殺の適用があるというふうに統計上はなっているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いまのお話の中で、たとえばドイツで尊属殺の規定を廃止したというんでしょう。ドイツの場合の尊属というのはどういう言葉で呼んでいるわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ちょっと現物でございませんで孫引きみたいなことになりますから間違うかもしれませんけれども、アツェンデンテントートシュラークという、むしろ大臣の方がお詳しいかもしれませんけれども……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 では大臣だよ。だって刑事局長は大臣の方が詳しいと言うんだから、あなたが説明しなければ筋が通らないよ。それはまずいよ。——まあ、それは後でいいですよ。  それで、結論的に言うと、あなたの方では結局こういうことですね。これは二百六十四ページですね。法制審議会の総会においてもこの考え方を維持するのが適当とされ、尊属殺のほか全部で五カ条ありますか、尊属殺のほか傷害致死なんか入れて全部を削除するということに決定した、こういうふうにありますね。この種の規定を存置している立法例は少数であるというようなことが考慮されて、あれしたということになっておるわけですね。このときには、この二百条の場合には法務省も幹事として出席しているわけでしょう、法制審議会の総会には。出席して、そしてこういうふうに削除を決定したのでしょう。これが第一。  それから第二は、その後の国会の中でも、法務大臣はこのことを踏襲するということを答えているはずですね。私も記憶がありますが、これが第二ですね。こういうことが事実かどうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 まず第一の法制審議会の審議につきまして、法務省の事務当局も、幹事としてまた事務当局として関与しておったことは事実でございます。  それから、その後国会で当時の大臣がどういう表現を使われたか、はっきり記憶しておりませんので、踏襲するというような言葉を使われたことはあるかなというふうに思うわけでございますが、法制審議会の議論あるいは法制審議会の答申に係る草案においては削除されているということを申し上げて、一時法務省としてもそういう案を出そうとしたことがあるというようなことは経過的に申し上げたことは恐らくあると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 これはそういうふうにちゃんと法制審議会で決定して答申しているのですよ。あの東洋法理というか日本法理について非常に御熱心な小野先生まで恐らくこれに賛成されてこういう答申をされているわけです。これは団藤さんも恐らくそのとおりですからね。そういうことは尊重しなければいけないというふうに私は思うのですが、これについては、いまここであなたの方でいろいろ答弁すると変なところへまた波及することになるでしょうから、これは一応この程度にしておきます。だけれども、これはこういう答申もあって、法務省当局も入り、前の別の大臣は踏襲するとは言っていませんけれども、こういうふうな規定があって、そういうふうな意味のことを言っておられることは間違いありません。議事録を調べてください。きょうはこれはこの程度にしましょう。  そこで、また別のことになりますが、保安処分のことに関連をしていろいろなことがいまも言われておるのですが、私がまず一つ疑問に思いますことは、この法制審議会の答申などを見ましても、不定期刑と保安処分と一緒にして、同じところでみんな論議しているのですよ。これを見てごらんなさい。賛成論も反対論も全部不定期刑と保安処分を一緒にして論議していますね。これはどういう理由からでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 別に一緒にして論議しているというふうにも思わないわけでございますが、強いて言えば新しい犯罪者処遇と申しますか、そういう問題としては共通性があると言えば共通性があるのではないかという意味で、新しい刑法で、あるいはいわゆる改正刑法草案でどういう点が改正されるというか取り上げられているかというような、まとめた説明をする場合に、事項的にまとめて挙げているということはあろうと思いますけれども、実質的に何か関連づけて説明しているわけではないというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いま不定期刑は少年にありますね。これも実質的には保安処分的な性格を非常に含んでおるというふうなことがあるからこそ保安処分と一緒のところで論議をしておる、こういうふうなことを言っていますね。  まずこれに対する刑法の全面改正を行うべきでないとする立場があります。これについては「不定期刑や保安処分などの新設の制度は、刑法理論のうえでも関連科学の立場からもきわめて疑問が多く、その実効を期することがほとんど不可能であるだけでなく、適用のための要件があいまいであるため適用の危険が大きく、拘禁の長期化による人権侵害を招くだけの結果に終わるおそれが強いこと」これが法制審議会の行うべきでないという方の議論ですね。だれがこういう議論をしているかということはわかっていますけれども、これは言いません。これはこちらの方の最後の切り札になってくるところです。きょうの切り札じゃないですよ。これはいま出してしまうとまずいから、後へしまっておきます。  それからこれに対する反論の方は、(4)のところで「不定期刑や保安処分は、再犯防止のための措置として新たに設けられた制度であるが、不定期刑は刑の適用に関する一般基準に従って量定されることになっており、また、保安処分は社会からの隔離よりも本人の治療に重点を置くものであって、不当に人権を侵害するおそれはない」こういうふうに言っていますね。不定期刑や保安処分は再犯防止のための措置としてというようなことを言っているのだから、これは広い意味の保安処分というふうに理解してもいいのでは——これちょっと書き方がおかしいですね。まあ書き方ですからどうでもいいですが……。  そこで、この保安処分というのは、社会からの隔離よりも本人の治療に重点を置くものだというふうにここに反論が出ておって、恐らくこの方を法制審議会は、法務省当局も出席していてとったのじゃないでしょうか、と思いますが、どうでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 まず、先ほど申しましたように、不定期刑と保安処分というのは、広い意味では再犯防止のための手段の一つである、それぞれがそういう目的なり機能を持つということでございますから、そういう意味で関連が全くないとは思いませんけれども、委員の御指摘のように、不定期刑も保安処分の一種であるということになりますとちょっといかがかなというふうに思うわけでございます。  それから、こういうふうに賛否両論がまとめられているわけでございますから、当然そういう考え方が審議の中でいろいろな面から議論されて、そういう反対論はこういうふうにまとめられる、賛成論はこういうふうにまとめられるということで、審議の状況を反映しているものというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 これは今後いろいろ問題になってくるところでして、余り深入りすると大臣、あなたのベースにはまってしまうということをわれわれ考えなければいけないのですね。前の大臣は非常にストレートな人だったのだけれども、あなたの方はなかなか柔軟であってなおかつあれですね、言いにくいものですからあれですが……。ここで言うように本人の治療に重点を置くということは間違いありませんか。この点はどうですか。ここに書いてあることは間違いないですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 結局、対象とする人が要件から見ましても精神に障害がある人でありまして、その結果一定の犯罪を犯しているという人である。また、当否の御議論はございますけれども、そういう精神障害のために将来再び犯罪を犯すおそれがあるということになっておるわけでございますから、当然その対象者がそういう治療を要する人であるということでございますので、治療を十分しなければならない、また、治療することによって本人の病気が治り、ひいては犯罪が防止されるということで、普通の刑罰とは違う、いわば対象者に応じた処遇をしなければならぬということを言っているものと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いや、私の聞いているのは、ここで社会からの隔離よりも本人の治療に重点を置くと言っているのでしょう。本人の治療に重点を置くということが維持されるのかどうかと聞いておるのですが、そういうことが維持されるということならば何も法務省でやる必要はない、こういうことに結論はなってくるわけですね。あなたの方も、そこへ結論が来るということがわかっておるものだからなかなかそういうふうに答えないわけだ。いろいろディフェンスを強くしている。こういうことなんでしょうね。これはあなたの方の自由だからしようがないでしょう。  そこで、問題となってきます一つは、いまいろいろ言われています厚生省との話は、大臣、これに関連をして一体どうなったのですか。新聞などでは、厚生省との話はもうデッドロックでやめになったというふうに出ておるようですが、そこはどういうふうになったのでしょうか。どういうふうにお聞きですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 厚生省とはいろいろな面で話し合いをしているわけでございます。したがいまして、結論から申しますと、いずれにつきましても厚生省との話し合いが終わっているわけではございませんで、現に話し合いが継続中であるということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 厚生省との話し合いが続く——終わったという答弁はまだいまの段階であなたはできないでしょう。それはそうです。  そこで、お話を聞きますと私はこういうことを疑問に思うのです。一体これ、何人くらいの人がいまの段階で対象になるというふうに法務省としてはお考えなのか。これは一万人くらい対象になるのかな、一万人くらい入れるような大きなものをつくるというふうにお考えなのですか、あるいは一人か二人なのか、五人か六人なのか、どっちかわかりませんが、一体どの程度の対象者がいるというふうにお考えなのですか。  これはいまの段階では非常にラフですよ。だから、私は保安処分の問題について交通整理ができてないと思うのですね。議論がかみ合ってないのですよ。一つのところでかみ合った議論ならばある程度価値があると思うのだけれども、全然かみ合わない議論をしておる点が相当強いのじゃないかと私は思いますが、いずれにいたしましても、いま言ったようにあなた方の考えている保安処分だとして、それで一体何人くらいがそれに適用されるというふうにおおよそ考えておられるのか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 結局、治療処分の内容いかんによるわけでございますので、その要件次第によりましてはおのずから対象者も変わってくるわけでございます。  そこで、現在考えておりますような罪種をしぼるとかいうことで一応の試算はしておりますけれども、問題の一つになっております再犯の危険性ということがございまして、従来の統計から、対象罪名に当たる者の数、またそれが精神障害のために不起訴になったり無罪になったりしている数というものは現にあるわけでございますけれども、それ自体で直ちにそれがこの制度ができました場合の対象になるというわけではなくて、どの程度の者がそういう要件を満たすことになるかということになりますと、科学的な面も含めて慎重な検討が必要であろうというふうに思っておりまして、専門家の意見も聞きながら、しぼったといいますか十分詰めた数を出したいものだというふうに考えておるわけでございます。  その点自体があいまいでございますと、内容につきましても批判を受けるようなことでございますので、その点はなお検討の上でお答えをしたいわけでございますけれども、何万人かどうかというようなお話になりますのであえて申し上げますけれども、たとえば五十五年中に検察庁で処理がなされあるいは判決の言い渡しがございました精神障害犯罪者の中で、心神喪失あるいは耗弱と認められた者は、全罪名で言いましても八百人余りでございます。さらに、六罪種の犯罪者は五百人余りでございますから、それよりもまたさらに下回る数ということに当然なるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 きょうここでそれを詰めるという意味承やありません。だから、いま言ったそういうふうな人数の中でどの程度が措置入院としてされておるかということです。そのフォローアップが必要だと思いますし、もう一つは、刑務所を出るときに当局の方で措置入院が必要だというふうに考えて意見をつけたのに、措置入院には二人のお医者さんが必要ですね、それが認められなかった例もあるし、また逆な例もあるわけです。そこら辺のところは、統計はまた別な機会にお聞かせを願いたい、こういうふうに思います。  もう一つの問題は、いまの人数にも関連するのですけれども、とにかく莫大な費用がかかるので、すね、物すごい費用がかかりますよ。  そこでお聞きするのは、ドイツの場合には、刑法で六十三条、六十四条は厚生省関係ですね、それから六十五条関係がいわゆる社会治療処分というのかな、そういう言葉で直訳すると呼んでおるようですが、これはその後延期になって、いまは八五年までとにかく延期をするというのですか、そういうふうに聞いております。その大きな理由は財政難だということですね。それからデンマークの場合には、精神病質者については、これも費用がうんとかかる、財政上の理由からこれは廃止したというふうにお聞きをしておるのですが、そこはどういうふうですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 これまた外国のことでございますから、本当のところはなかなかわからない点もあるわけでございますけれども、確かに、財政の問題も一つの理由ではあろうかと思いますが、もともとそれだけではなくて、たとえば西ドイツのいわゆる社会治療処分について言いますと、そういう処分が果たして必要かどうか、またその当否という問題も当然あって、それと一実際に実施いたします場合には、日本と違いまして、それぞれの州で実施をするというような状況になりますので、そういうことで足並みがそろわないとか、そういうこともあるように聞いているわけでございます。  それから、デンマークの方の問題につきましては、むしろ内容にやや問題があって、本来対象とすべき者よりも広く適用されているのじゃないかというような問題もある。と申しますのは、これは日本の保安処分とは違いまして、いわゆる精神病質者に対する特別監置処分というのが廃止されたわけでございまして、その他のものは現に残っておるわけでございます。ですから、一部廃止されたものは、その中のごく一つのものが廃止されたわけでございまして、その理由としては、いま申しましたような実態の問題、またそれが実施されて必ずしも効果が上がっていないというような批判とか、そういういろいろなものが総合されまして廃止されたわけでございますが、逆にそういう者は刑を科せられる、あるいは危険な犯罪者というグループの中に入れられて、いわゆる保安拘禁の規定が適用になるというふうにむしろ変わってきているということが実態でございまして、問題があるからその制度を廃止した、あるいは財政難であるから廃止したというふうな単純な問題ではどうもないように理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 あなたの方で、参事官か局付の検事か知りませんが、ずっと調査に行かれたわけですね。その結果が、報告書ではないけれども、いろいろな雑誌に出たり何かしておる、こういうようなことがあるわけです。アメリカへ行ったのは内田参事官かな、あれは出ていませんね。けれども、ほかのものは出ているというわけですが、これらを見ても、各国の制度はみんな違いますから、それはもちろん一概に比較するわけにいかぬし、法律の条文がこうだからといって、実際に行われていることと一緒かどうか、これまた別だからそう簡単に言えませんけれども、少なくとも西ドイツの刑法の六十五条が八五年まで延期になったということは事実ですね。これは間違いない、そういうわけでしょう。まずその点を確かめましょう。それは財政負担が一つの大きな理由になっているということはもう明らかな事実じゃないですか。そこら辺のところをはっきりさせてください。  それから、ギルダーを使っているのはどこだっけ、オランダだっけ、ベルギーだっけ、ちょっと忘れてしまったけれども、とにかく物すごく金がかかるね、あのギルダーを使っている国は。あそこは特別にそういうふうな施設に金を使う国だと言われているけれども、それにしても物すごい金でしょう。とてもやり切れないというので、いま悲鳴を上げているのが事実じゃないでしょうか。まずそこら辺のところをはっきりさせてください。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、ドイツの社会治療処分が延期になっているということは事実でございまして、私の理解では一九八四年末までということでございます。ただ、念のために申しますけれども、稲葉委員も先ほどもちょっと触れられましたように、ドイツの保安処分制度というのは、いま延期されているものだけではございませんで、むしろわれわれが考えておりますような精神病院への収容あるいは禁絶施設への収容というものが主たるものでございまして、その方は現に実施もされ、運用もされているわけでございます。さらに加えて、社会治療処分というものが考えられたけれども、その分だけは延期されているということでございますから、その辺は誤解のないようにお願いをいたしたいというふうに思うわけでございます。確かに財政問題も、さっき申しましたように、各州が実施するということも絡めて問題になっていることは承知いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いまのあなたの答えはちょっと違うところがありますよ。どこが違うかというと、刑法の六十三条、六十四条、これはドイツの場合は厚生省の所管です、法務省の所管ではありません。ドイツで法務省と言うのかどうかは別として、六十五条だけは法務省の所管のわけですよ。それが八四年末まで延期になっておるということです。だから、ドイツの場合には、いわゆる社会治療処分というものが現実には八四年末までは行われない、こういうように法律的になっておるということじゃないですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 細かいことになるかもしれませんけれども、稲葉委員のお言葉によりますと、精神病院へ収容するあるいは禁絶施設へ収容するのは厚生省の問題だとおっしゃいますと、日本に置きかえますといかにも精神衛生法みたいな感じになるかと思いますけれども、私が申し上げたのはそういう意味ではなくて、現に刑法で保安処分の一つ目、二つ目としてできておって、裁判所が言い渡しをしていわば刑事手続の中で行われていることでございますから、そういう意味で厚生省の問題だというわけにもまいらぬじゃないかというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 いまの問題はここだけで議論してもしようがありませんけれども、六十三条、六十四条というのは裁判所であれしますよ。するけれども、西ドイツの場合は所管は厚生省のはずですよ。六十五条が法務省の所管だ、こういうふうに私は理解しているのですが、これは別の機会にまたしましょう。ただ一つのところに行って一日、二日見てそれでわかるものじゃありませんよ、こういう問題は。そして塀が高いとか低いとか、中はきれいだとか感じがよかったとか、そんなことで議論をしたって始まらぬ問題でして、これはやはりきっちり詰めるべきものは詰めて、そして議論すべきものです。  これは、私がいま言ったように、賛成論の中に出ておりますような議論でも、治療に重点を置くということを言っているのですから、治療に重点を置くということは、何も刑事処分でやる必要はないのだということですね。といって精神衛生法はそのままでいいという意味でももちろんありませんよ。確かに、あのやり方にも問題があるということは考えられますけれども、いろいろな点がありますが、そこら辺のところは今後の問題にして、いずれにしても、これは大臣が再三言われておりますように、この問題については慎重に手続を踏んでやられるということですから、それを信頼して私の方もそれに対処をしていきたい、こういうふうに思っているわけです。  そこで、いろいろな問題の中で私どもの考えますことは、たとえばいま談合罪というものが非常に問題になっていますね。今度は徳島地検で起訴をした。これは「不正ノ利益ヲ得ル目的」というので徳島地検では起訴したようですね。これはずっと法律を調べてみますと、そういういわゆる目的罪というものが、「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的」とかというようなことは、最初の案では、これは戦争中ですけれども入ってないのですね。入ってないのが国会で修正されて入ってきたのです。いま二つの目的がありますね。「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的」というのは、両方一遍に入ってきたのではないのですね。いろいろな紆余曲折を経て入ってきているのですが、それはそれとして、談合罪、目的を二つ加えましたね。二項ですが、加えたために実際の適用というものが、いわゆる目的罪というものが非常にむずかしいですね。いま目的罪というのが背任ぐらいのものですから、ほかにもあるのかもわかりませんが、この目的というのはなかなか立証がむずかしいのです。  いずれにしても、徳島地検がこれを起訴されたのはどういう条項によって起訴したのかということが一つと、談合の場合、一体どこまでが適法でどこからが違法になるのか、これをわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 徳島の検察庁におきまして、最近競売入札妨害事件といたしまして起訴しておるわけでございます。ただ、この内容は、まだ起訴したばかりでございまして、冒頭陳述ももちろん行われておりませんし、立証ももちろん行われていないという状態でございますから、余り詳しく申し上げるわけにもまいらないわけでございます。  先ほどのお尋ねでなかなか捜査がむずかしいのじゃないかということでございます。どういうことから起訴できたのかということになりますと、本件の場合には、起訴状によりますと、「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的」という両方の目的があったというふうに起訴状で認めておるわけでございます。抽象的に申しますと、公正なる価格を害するということの証拠といいますか立証といいますか、なかなか困難でございますけれども、この場合につきましては、関係業者が自由競争をするような状態でいろいろ競り合っておったというような事情がございまして、それが結局話し合いによって一社にまとまったということでございますから、それぞれがそれなりの積算等もしておったというような事実もございますので、そういう観点からこの要件、目的が立証し得るに足りる証拠があるということになったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 これは原案になかったんですね。原案になかったものを国会で修正していまの二つの目的を加えちゃったんです。その経過、間違いないですね、これははっきりしているんだから。  それはそれとして、いわゆる目的罪というのは立証がなかなかむずかしいことはわかります。わかりますけれども、こうした事案が一つ出てきて、徳島地検で勇気を持って起訴しているわけですからね。これは多いわけですよね。だから、どこまでが適法でどこまでが違法かということはなかなか区別はむずかしいにしても、違法なものが相当多いことは、この一つの例から見てもわかるわけですから、そういう点については積極的に捜査をするということを、刑事局長の方からはっきり決意といいますか述べていただきたい、こういうふうに思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 その前提といたしまして、徳島の事件が起訴した希有な例じゃないかということになりますと、実はそうではございませんで、内容を具体的に全部承知しておりませんけれども、たとえば五十三年におきましては七十三件、五十四年と五十五年はたまたまかもしれませんが、二十九件ずつというような起訴の数も統計上は出ておるわけでございます。  確かに、目的罪ということで立証がむずかしい面もございますけれども、これはこれに限らないことでございますから、あらゆる要件の立証には努力しなければならぬわけでございます。また最近いろいろと社会問題になり、こうやって国会で御議論もあるわけでございますから、犯罪になるものにつきましては、当然のことながら厳正な態度で臨むべきもの考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 時間もあれだものですから、最後にちょっと変わったことを聞きますが、矯正局長なり保護局長、ことに矯正局長が検事でなければならないという積極的な理由は一体どこにあるのですか。どうもよくわからぬな。どういうわけ。

筧榮一法務大臣官房長

○筧政府委員 お答えいたします。  前段は先生御承知のとおりでございますが、法務省の事務の中で法律家としての素養ないし検察官の職務に精通していることが要求される官職がございます。そういうことでございますので、法務省設置法の附則十七条におきまして、当分の間、一定人数の者の職務を検事をもって充てることができるという規定が設けられて現在に至っておることは、御承知のとおりでございます。  そこで、矯正局長及び保護局長でございますが、御承知のように矯正局の所掌事務、犯罪人に対します刑の執行あるいは勾留の執行、あるいは被収容者に対する処遇ということでございまして、その処理に当たりましては、いろいろの面で法律的な素養を必要といたします。また、保護局の所掌事務、これは恩赦及び更生保護でございますが、いずれも、矯正もそうでございますが、刑事司法の一環として重要な国家行政作用でございます。その事務処理に当たりましては、やはり法律的な高度の素養が要求される、またさらに、この両者の事務は検察庁の業務と密接に関連いたしております。そのような観点から、両者の事務を円滑に処理する上から、現場の方は別といたしまして、これを統括する矯正局長あるいは保護局長につきましては検事をもって充てるのが必要であるということで、戦前は存じませんが、戦前もそうであったろうと思いますが、戦後は一貫して検事をもって充てております。ただ一つの例外はございますが、ずっと一貫して検事をもって充てておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉分科員 私が聞いているのは、積極的理由を聞いているのです。いまのは一応の理由なんです。営繕課長なんかもそうでしょう。営繕課長、何も検事でなければならぬ理由なんか一つもないですよ。会計課長は違う。大蔵省との折衝とかいろいろあるし、これはなかなか地位が上なんでしょう。そうでもないか。それは別として、そういうのは必要なんだけれども、ぼくは会計課長はいいと思うのですよ。営繕課長はそんな必要はないし、ことに矯正局長なんかもそういう必要はないですよ。保護局長もないわけですね。これは積極的な理由にはならない。いまあなたは一つの例というのを言われた。それは恐らく中尾文策さんのことを言っているのでしょう。こっちが聞こうと思っていることを気がついたな。中尾文策さんのときには下の人が、専門家ですし、人柄もいい人で、それに勉強家でもありますから中尾さんを非常に慕っておったということは事実なんですね。検事の場合は大体長くて二年でしょう。三年いかないでしょう。二年でほかへ栄転してしまうわけですから、本当に腰が据わるわけないでしょう。だから、積極的理由にはならないですよ。中尾さんが矯正局長をやられたこともあるし、ああいうときには下の方の者の非常な励みになったのですね。ですから、そういうふうなことで、矯正局長なり保護局長なり、ことに営繕課長も検事でなきやならぬという積極的な理由は、一応のもっともらしい理由は幾らでもくっつくけれども、そういう積極的な理由は何もないというふうに私は考えておる。これ以上は人事の問題にも関係しますから、大臣、よく考えていただきたいというふうに思います。いろいろまた別の機会にゆっくりやります。  終わります。

近藤元次自由民主党

○近藤(元)主査代理 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 何を質問するかと思いまして、法務大臣、道を歩きながら考えてきました。それで、何も事前に約束する必要はないので、質問も自由ならば答弁も自由です。  そこで、あなたに私は質問しますけれども、青山学院の入学の問題については法務大臣の資格でおやりになったのか、国会議員の資格でおやりになったのか。学生の入学のあっせんをされたというようなことで若干新聞紙上に出ましたが、私もあれを拝見いたしまして、大臣、意地悪い質問じゃないのですよ、私も頼まれているから同病相哀れむつもりで質問するのですから、あなたは安心して答えていいのですよ。  それで、そうしたら文部省が若干あわてて、何か青山学院の理事長ですか理事者を呼んだと言っているのだが、あの内容はどうなんですか。あれは大学自体がそういう学生の入学に若干の便宜を図るということ自体がいけないというのか、あるいは理事長あるいは学長が個人のワンマン的行為に基づいてそういう取捨選択をしているということがいけないというのか、何もかも含めて、やはり私立大学といえどもそういう学生の若干のあっせん、便宜を図ること自体がいけないというのか、この点をちょっとお聞かせをいただきたい。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 文部省の所管につきましては、私は所管でございませんので申し上げないのですけれども、ただお尋ねがございまして、そこで情実入学に関与しておった、それはいけないじゃないかという趣旨の御質問がございました。そこで、私といたしましては、個々の問題については承知はしてない。してないけれども、私の事務所には、地方から出てきて、こういうようなところを受けたい、どうなんだという話がある、それを紹介したということはある。その紹介をすることは、いま言われておる情実入学とは違うので、ただやはり大学当局としては大学当局としてのきちんとした制度があるし、そしてできなければ入れられないわけで、本人たちにも私はしょっちゅう成績をきちんととらなければだめだよと言うわけで、しかし紹介はしましょうということは申してきた、そういうことを申し上げたわけでございます。それが問題になったということでございまして、やはり私立大学といえども一つの入学試験制度という全学的な選抜の方針が決められておるわけで、それを破ろうなどということはいささかも私は考えていない。  しかし、同時に、私立大学においては、人間性であるとか適性であるとか能力に応じて、あるいはまた一定の能力があれば多少そういう多様性を持った者を選ぶということもあってもしかるべきではないだろうか。それでなければ、学校の先生も父兄も社会も何だかもうペーパーテストだけで判断して、それで人間一生決まってしまうということでは、勉強の嫌いな人あるいは数学の嫌いな人は一生浮かばれない。そうするとその人に非行青少年みたいなレッテルが張られてしまうのじゃないだろうか。そういうことはもう少し考えていい。特に心身障害者の人たちは、国立へいろんな条件で入れない。しかし、私立では、若干の人たちはうちの大学は入れるんだということを全学的意思の決定に基づいて、ちゃんとしたルールに従ってやるということはやはり大事じゃないだろうか。私はいま法務大臣でございますけれども、教育には先生御承知のとおりに長い間関与してまいりましたものですから、そういうような気持ちは持っておるということでお答えをいたしたわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 いや、いまおっしゃったとおりなんであって、あなたはたまたま法務大臣になったけれども、あなたの長い政治経歴は、文部大臣として教育については専門家である、あるいは防衛庁長官としてむしろ防衛問題については専門家なんであって、だから私も、しかし法務大臣ですから法律に引っかけないと悪いから、もしここに改正の余地があれば法律改正の問題も出てくるということで質問をしたわけですがね。  しかし、いまあなたがおっしゃったように、私学だから官学と違ってそれぞれの持つ個人の多様性を何か生かしてやろうという一つの入学のあり方があってもいいじゃないか、まあ私もそう思う一人なんでございますがね。  同時に、私学というものはやはり経営なんですな。私学というものは国立のように親方日の丸というわけにはいきません。それぞれの経営をしていかなければいけない。経営と言えば、いわゆる受験の手数料と入学金と授業料、大体三本立てで私学の運営をしています。とてもこれではできっこない。私も私立大学に若干関係いたしておりますけれども、できないから、そこで各大学が経営上の立場から、あなたのおっしゃる教育上の問題もありましょうけれども、一方の経営の立場から見て、まあまあ補欠でもひとつ若干学校に寄附をしてくれれば寄附金に免じて引き上げて入学させてやろうとか、あるいは医科大学なんかそうじゃないですか、学債というものを発行して、何千万円も学債を別口で買わせて、それでその子弟は入学させてやるとか、ときには、もう大臣も御存じでしょうけれども、戦後の経営困難のときなんかは教授自体に、おまえに二人分だけの学生を入れる権利を与えよう、二人だけはおまえに学生をあっせんする枠を与えようとかいって、教授は自分の縁故者なり頼まれた人を入れていたという長い伝統があったわけですね。その後、大臣が文部行政に関係されたころかどうか知りませんが、私学振興法という法律ができ上がって、初めて国家も私立大学にも応分の補助金を出すということから、金は出すけれども干渉はしないという原則でしたけれども、やはりそれは若干出すのですから経営にも幾らかの監視の目を届けるということから、放漫と言ってはなんですけれども、そういう多様化した入学制度というものもだんだん整理をされてきているようであります。ありますが、それにしてもやはり二流、三流どころの大学は経営難にぶつかって、そう文部省の補助金なんかもらえないから、やはりいろいろの手で学生を入れていますよ。入れていることは事実なんです。またそれが長い伝統でもう戦後三十年も続いてきているものだから、大臣のところへもあっせん願えないかと言ってくるが、われわれもともかく受験期になると、あっちの大学受けますからよろしく、こっちの大学受けますからよろしくという依頼事が来るわけです。これは文部省所管だと言えばそれっきりですけれども、私学振興法等も含めて、これは法律改正をしてでもきちっと禁止する必要が一体あるのかないのか。これは私はそのまま生に大臣にぶつけているのですから、大臣もひとつ思うところを言ってください。あなたの揚げ足なんかとりませんから安心して答えてください。一体どうお考えになっておるか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 事実関係だけしか申し上げられないわけでございますが、私は昭和四十三年の暮れから二年七カ月文部大臣をいたしまして、年来私は文教問題と取り組んでまいりました。日本の私学の果たす役割りは非常に大きい。量的に申しましてもかなり多いです。国立も大事だけれども、同時に私立も大事である。むしろ車の両輪のような形でいくべきものだ。しかし、経常費助成というものは憲法違反のおそれもあるというようなことがございましたけれども、一応これは解決を見ました。したがいまして、私は、私立大学に対しても経常費助成をやるべきである、そのことが日本の教育上よろしいという判断に基づきまして、たしか昭和四十五年だったと思いますけれども、時の大蔵大臣が福田さんでありまして、福田さんとやり合いまして、そして百三十二億の初めての経常費助成、しかも短大から大学までを計上することに成功したのであります。今日それが二千八百億を超えておるというふうに思っております。一面におきましては、私学の役割りから考えればよかったなと私はいまでも考えておるわけでございまして、私立と公立、国立というものを車の両輪のようにしていくことが非常に大事である。  日本の歴史を考えてみましても、律令政治の時代におきまして官学の、いわば帝国大学みたいな官吏養成機関ができました。そのときに弘法大師が綜芸種智院をおつくりになって、あの千何百年前に庶民のためのいわば高等教育機関をおつくりになった、こういう伝統があるわけでありまして、明治以降百年、日本は教育が非常に盛んになりましたけれども、やはりこれは国立だけではない、私立の役割りが大きかったために今日の日本の隆盛があるのではないだろうか、こういうふうに考えておる一人でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 あなたが昭和四十五年に、大学、短大に対する補助金を出すという道を開かれた。これは歴史に残る功績だ。ところが、いま行財政改革で、これを今度は打ち切ろうとか、削減しようとか、減らそうとかいうことなんです。私学だって人を使って、教授以下人件費が年々上がっていくのですから、年を追ってむしろ金を上げてもらいたいところを抑えられたのでは経営ができないという問題が一つあります。  そこで、一体私学振興法というものを盾にして——これは法務省じゃないですから、文部省の話をして悪いけれども、ともかく青山学院の理事長を文部大臣の小川さんが呼んで真相を聞いたりしているけれども、いままで何も私学に対するこういう指導理念を示してないんだ、学生の入学の仕方なんかは。いまだって私学は経営として、自分の名前を売るためには、片一方では寄附金を取ったりあるいは特別学債を出したり、金を取ったりしていますよ。同時に片一方では、体育だとかスポーツだとかの有名な選手だどか、これを入れれば学校の名を上げる者は、頭なんて悪くても特別の恩典をよこして、おまえは点数は落ちても入学させてやるとか、こういうまた別の意味の恩典を与えている。これはみんな私学経営の苦労です。  こうやって苦労しているんだが、政府も文部省も、そういうことに対していままで何も指針を示してない。たまたま青山学院の問題が飛び出して、やれ坂田法務大臣がこれをあっせんしたの、やれ福田さんが青山学院に学生の入学を頼んだのと言ったら、あわてふためいて、何かいいのか悪いのかわからないようなことをやった。これは法律を改正して、こういうことはもう絶対やらせない、官学並み、国立大学並み、公立学校並みにやらせない、純然たるテストならテスト一本でいくんだというなら、それで政府はもはや指導方針を出すべきだと私は思う。これは牽強付会になるかもしれませんけれども、やっぱり法の番人であるあなたのところでひとつきちっと指針を出してもらえないかと思うんだ。しかし、私学はやっぱりいままでどおり多様性でよろしい、スポーツの選手も入れて学校の名を上げるのもよろしい、金がなくなったら学債を発行して学校が幾らか借金をするのもよろしい、それでおやりなさいというならそういう指針を明確に示さなくちゃいけないですね。あなた、いま内閣の中で一番古いんじゃないですか。最長老じゃないですか、鈴木さんより古いんだから。ひとつ法務大臣の枠を離れても、最長老の閣僚としてこの問題をぜひやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 小林さんから御批判あるいはまた御激励みたいな、どちらととっていいかわからないわけでございますけれども、私も国務大臣の一人といたしまして私学の振興のためには尽くしたいと考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 これはまた場所を改めて文部大臣と議論することにします。  次は、談合問題に関連して、法務大臣も坂田後援会をお持ちになっているのかどうか、お持ちならば、その後援会に国や県の公共団体の事業を請け負っておるような建設業者が一体加入しているかどうか、これが一つ。  また、鈴木総理は、かつて自分の選挙に関連をして、そういう公共の仕事に従事している建設業者から選挙資金のカンパがあったということが明らかになったその節に、自分は気がつかなかったけれども、これは好ましいことではないということを言われているわけですが、それこれあわせて法務大臣の御見解を承っておきたいと思うのです。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私も、政治資金規正法に基づく政治団体、それはつくっております。したがいまして、いろいろの方から寄附を受けておるわけでございますけれども、やはり政治資金規正法その他法に触れることのないように今日まで努めてきたつもりでございます。したがいまして、どういうことになっているのか私よくわからないのでございますけれども、たとえば最近、県会議員の人でも業者になっておられる人がございますね。ですから、そういう方々が会員になっておられるというようなことはあると思いますけれども、しかしその方々から直接私のところにお金をちょうだいするというようなことは余りない。私は余り——実は少ない。そういうことがないので困っておる。困っておるというか、いままで——そうなんです。そういう実情でございます。(小林(進)分科員「総理についての御見解はどうですか」と呼ぶ)これは実態が私よくわかりませんけれども、ただ私は、今日企業と申しましても政治活動の自由は一面においてはあると思いますので、土建の業者の方々が政治家の後援会に一般的に加入をするというようなことについては、一概に何とも言えないと思います。しかしながら、また、私といたしましては、いまこういうような談合の問題等々もございますし、国民に疑惑を持たれるようなことがあちこちに実は起こっておるわけでございますので、政治家としては、やはりこの点は十分注意しなければならない点ではないだろうか。いまわれわれ政治家に求められているのは清潔な政治ということだろうと思います。もうできるだけひとつそういうふうにあってほしいと法務大臣としては思うわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 ここに某県の知事の後援会の名簿があるのですね。この名簿には、約百五十社の企業が加入をしているわけですが、その大半は土建業者です。見ていただければすぐわかる。この県の一年間の公共の土木関係の予算は大体二千億円前後。この県の県予算は六千億円から七千億円でございまして、その中に占める土木事業の総量が二千億円。その二千億円を知事が発注者になって、そういう土木業者に請け負わせるわけだ。その請け負うべき請負業者の県内のほとんど大半が、発注者たる県知事の後援会に入っている。そして寄附金あるいは会費を納めているのですが、これは自治省へ届け出ただけの金額でも——時間がないからくどいことは言っておれません。駆け足ですけれども、五十三年度が五千七百九十八万円だとか、五十四年度が二千二百万円だとか、五十五年が二千五百万円だとか、年間に二千万円から六千万円近くの金がこうやって後援会に集められている。これはどうでございましょうな。法務大臣として、請負業者と発注者、いわゆる後援会として寄附を受ける者、あるいは寄附金を出す者、こういう関係は好ましい姿であるといったようにお考えになるか、お考えにならないのか。いやいや、これはもう政治の常だとおっしゃるならおっしゃる、ひとつ明快な御見解を承っておきたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 ある程度政治にはお金がかかるということは小林さんも御承知のとおりであるわけでございますが、やはり知事といえども、知事になりました以上は国民あるいは県民の疑惑にかかわりがないような姿勢であってほしい。したがいまして、政治資金規正法やあるいは選挙の関係の法律等に違背しないように努めるべきものであるというふうに私は考えます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 大臣のお答えは非常に抽象的でございまして、私はなるべく具体的にいいとか悪いとかということをお聞きしたいわけなんですけれどもね。いずれにしましても、これは自治省へ届け出た、表面に出ただけの名簿であり、金額なんですよ。その陰にはまた幾ばくかのものが流れている。その十倍くらいの金が発注者のところへ流れているんじゃないかというのが世間の常識ですけれども、表へ出ただけでも、その後援会に入って年間七十二万円だとか年間六十万円だとか、こういうのを毎年やっているのですから。こう見てみますと、やはり大金を会費に納めている人たちが県内の土木事業をよけいもらっている。中には一年間十二万円という後援会費を払っている人がいるけれども、そっちの方は余り仕事が行かない。こういう関係です。  そこで、これがもしいまのような抽象的な言葉で終わるならば、こういうようなことがさらに発展しても、何ら政治道徳の歯どめにならないと思うのです。やはりこういう直接利害関係を持つような人たちは、県知事たりと、市町村長たりと、あるいは国のいわゆる行政の責任者たるべき者は、それは李下に冠を正さず、後援会には入れない、入っちゃいけないというような処置はできないものでございますか。法務大臣、できませんか。  私も後援会を持っていますが、私なんか野党です。あなた方のように国家の財政を動かす力がないけれども、私の後援会には——私の秘書がいま若干土建屋の末端の仕事をしている。これ一人入っているだけだ。これは私の秘書ですから、かつての秘書です。あとは一人も入っておりません。私は入れないのです。しかし、どうですか。これはやはりやむを得ませんか。必要悪でございますか。大臣、いかがでございましょうね。——いや、本当にこれは今度の国会においてわれわれが闘い取らなければならぬメインの、中心たるべき議題だと思っているんだ。国が一年間に出す公共事業の総枠は二十兆円だそうですね。大体だれに聞いても、そのうちの一割は、いわゆる政官財の三者癒着に基づく政治献金なり会費なりあるいは選挙資金なり寄附金だ。そういう形で浪費されている。これさえきちっとやってくれれば、行政改革なんて要らないという声が高いんですよ。本当に行政、財政改革をおやりになるとすれば、いまこそ内閣は腹を決めて、こういう問題に取り組んでもらいたい。  ずっと一覧したところ、大臣は二十一名いるそうです。その中で名実ともに清潔だというと、坂田さん、あなたをおいてほかにないんだよ。あなたは非常に清潔な一つのイメージをお持ちになっている。しかも、十五回当選でわれわれの先輩じゃないですか。いま閣僚の中で一番古いのはあなたでしょう。ならば、そう政治生命が長いわけじゃありませんから、ここら辺でひとつ腹を決めて、政界浄化のために乃公出でずんばというふうな勢いでおやりになりませんか。法律でもつくってきちっと規制をする、どうですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 先ほどから申し上げておりまするように、一概に、いまこれを一律に規制するということは、私は考えておりません。しかし、かといって、やはり国民の疑惑あるいは県民の疑惑を招くようなことがあってはならない。したがいまして、知事であろうと、市長であろうと、または国会議員であろうと、おのおのそのような疑惑のないように努めるべきものであるというふうに思います。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 とても三十分じゃ結論が出ませんが、あなたの御答弁だけ聞いておきます。  あとはいま一つ、時間が来ましたから駆け足ですけれども、いま刑法改正の問題で、前の稲葉君が治安か治療かというようなことで質問いたしておりましたから、この保安行政の問題はやめますが、ただ、刑罰の軽重といいましょうか、質と量の問題、これは時代とともに変わらなければならぬ。今度の法改正の中で、この問題を一体どう考えておられるのかりこれは刑事局長ですかね。われわれが古い改正前の刑法あたりをやっているころには、放火罪だの殺人罪だのというのが一番重いということになったんだけれども、それから時代がだんだん変わっちゃって、最近の刑罰などというものは、たとえばいま問題になっている——この刑法にはアヘン罪というのがありましたかな、麻薬というか覚せい剤というか、こういうものが、いまともかくもとをなして、不特定多数人を殺したり、極悪非道な犯罪みたいなことを犯しているわけだ。だから、やはり時代に沿うて、私は刑罰の内容というものは変わっていかなければならぬと思うんだな。久しぶりで刑法の本をひもといてみたら、依然として堕胎罪なんてあるんですな、ないかと思ったら。堕胎罪なんて実際に発動して、これにひっかかっている犯人なんかいるのですか。それから遺棄の罪なんて、いま社会保障、社会保障といって老人の晩年をどうするかというときに、遺棄の罪なんというのがまだ依然として刑法の中にあるが、こういうものはやはり時代とともに変わっていかなければならない。殺人だって、いまも言うように「人ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ三年以上ノ懲役二処ス」、いかにも人を殺すのは悪いは悪いけれども、社会主義国家へ行くと、こういう単独犯というか、被害法益の小さいもの、人が一人や二人殺したぐらいのものは大した重い罪じゃない。けれども、その被害法益が非常に社会全般に及ぼす、広い場合には非常にその罪は重く罰せられるのだな。  私は本当に時間がないから余り——ここで一番時間を割くつもりでしたけれども、来ちゃったからだめですけれども、たとえて言えば覚せい剤なんかどうですか。まさにこれは不定多数人に対する被害というものは無限に伸びていくのだ。そして国のもと、精神要素の根本まで破壊してしまうやつなんだ。もし法改正するとすれば、むしろ刑法なんかの条文は、いわゆる覚せい罪、麻薬罪とかあるいはアヘン罪を持ってきて、アヘンを輸入した者、製造した者、所持する者あるいは吸飲する者は死刑または無期、七年以上の有期懲役に処すぐらいのやつが、すぱっとこういうのが出てきて初めて時代に適合したいわゆる法律改正というものが生きてくるのだ。そこへいくと非常に法務省というのは頭が古くて、考えていることが本当に古いんだ。明治四十一年の監獄法というその名前一つもまだ改正できなくてもたもたもたもたしている。これが法務省の実態だけれども、こんなことは根本から私は改めなければいけないと思う。どうですか、刑法改正に関連して、刑罰体系というもの、軽重の関係、これをいま本質的に時代に適合するように考えていらっしゃるのかどうか、これを私はひとつ承っておきたい。いかがでございますか。堕胎罪なんかやめたらいいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 細かい点は別といたしまして、一般的には小林委員の仰せのとおりであろうと思います。時代が変わるに応じまして処罰すべき行為もおのずから変わってくると思いますし、法定刑の面も考えなければならないわけでございまして、法制審議会におきましての議論におきましても、法定刑の見直しということがなされたわけでございます。ただ、たとえば一例で申しますと、さっきおっしゃいましたように、多衆の者に被害を与えたという場合は当然重くていいじゃないかというような考えもございまして、そういうことも考えられていたわけでございますけれども、そうしますと、一部の批判的なお方は、刑を重くするのではないか、いわゆる重罰化であるというような御批判を受けて、そこでまた難航しているというような事態もあるわけでございます。したがいまして、小林委員のお言葉をいただくわけでございますけれども、せっかくいろいろな面で法定刑につきましても検討をいたして、時代に合うような、重かるべきは重く、軽かるべきは軽くという草案が早く実現したいもの、かように考えているわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)分科員 これで時間が来ましたからやめますけれども、ともかくいま覚せい剤とか麻薬なんというのは故意も過失もないのですから、初めから悪いことを承知しているのだから、しかもそれがどんなに大きく社会に悪影響を持ってくるのか承知をしながらやっているのですから、こんなものは裁判にかける必要もないですよ。それをまだ緩慢に処置をしているから、毎年毎年麻薬官をふやしたり警察をふやしたって、何にも効果があらわれていない。年々増加しているじゃないですか。それであなた方がやってくることは、それによってでき上がった結果論だけだ。その結果を保安処置にするの、いわゆる治安の対象にするのといって、そして厚生省へ行って断られたりあっちへ行って断られたりしているけれども、そんな結果を論ずる前に入り口をひとつふさがなければいかぬ。入り口をふさぐためにはこういう厳重法規もやむを得ないです。そこら辺は徹底的にひとつやらなければならない。反乱罪だの内乱罪というと、理屈なしにあなた方はみんなちくちくして厳罰処置で臨むことを知っておりながら、こういう麻薬犯罪なんかになってくると重罰にするといって笑ったり何かするけれども、内乱罪や反乱罪よりももっと大きな厳罰主義で臨まなければ処置できません。  これで終わります。

近藤元次自由民主党

○近藤(元)主査代理 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 時間が大変制約されておりますから簡単に質問をいたしますが、ひとつ明確にお答え願いたいと思います。  まず、外国人の登録問題からお尋ねをしていきたいと思います。  わが国では、九十日以上滞在する外国人には、法によって外国人登録証明書の携帯が義務づけられておるようですが、その際、証明書には指紋を押させる制度になっております。ところで、その指紋を押すことを拒否しておる方々がおられるようでございますが、これらの実態をどう法務省として把握していられますか。これが一点。  二点目は、その人たちの指紋押印に反対の理由の基本は、自分たちを犯罪人視する屈辱的な扱いだ、こういうふうに主張しておられるようでございます。なるほどわが国は罪を犯した者に指紋登録があります。そうしますと、この外国の方々がおっしゃる主張は、なるほどな、こう思うのですが、法務省としてどのような対処をしておられますか、お尋ねしたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいまお尋ねの第一点につきましては、北九州に住んでおります韓国人の崔昌華一家四人とそのほかに五人、合わせて九人が指紋押捺を拒否しているという報告を関係の市町村から受けております。  第二点でございますけれども、その理由は、単に押したくないという者もおるようでございますけれども、指紋を押捺させることは犯罪人扱いにするもので人権を著しく傷つける、こういうことを理由にしているようでございます。それじゃ私どもの方でどう考えているかということでございますけれども、指紋押捺はそもそも犯罪人扱いをするために押さしているわけじゃございません。なぜ私の方で指紋を押捺させているかといいますと、登録の一貫性と申しますか、同一人性を確認して登録の正確性を維持し、あわせて登録証明書の偽変造を防止するためであります。つまり、登録原票に登録されている人物が間違いなく登録証明書を携帯している、その同一人物であるということを確認するために指紋を押捺させているわけでございまして、これは本邦に在留する外国人の身分関係や居住関係を正確に把握することによって適正な在留管理を行う必要があるからで、まさにこれが外国人登録法の基本目的であるわけでございます。したがいまして、外国人登録上指紋押捺をさせましても、これを犯罪捜査のためにやっているわけじゃございませんし、また、犯罪を犯した者の指紋採取とも目的を全く異にしている、こういうふうに考えております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 日本的役所の発想があるといいますか、いまも言われておりますが、やっぱり時代はどんどん変わっておりますし、これは事務局で答えにくいでしょうから大臣の率直な考え方をお聞きしたいと思いますが、これは日本だけじゃなくて諸外国、そういう人から見れば、そういう犯罪人扱いする、人権を無視しているというようなことを考えるのも、私はいま世界にある各国の中でそういう考えを持つ人が大半だろうと思うのですね。ですから、これはどうかひとつ大臣から、簡単で結構ですから、どう考えるが伺いたい。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 ただいま御指摘のような気持ちはわからぬわけではございませんけれども、一面におきましては、そのことによってその外国人がちゃんとした人であるということを証明する一つの手がかりにもなるわけなんで、諸外国におきましても登録制度についてはやはりそういうようなことをやっておるというふうに聞いておりまして、昨年の七月、調査をいたしました。回答がございましたのは二十六カ国でございますが、十一カ国が指紋制度があるということが判明いたしました。それはアメリカ合衆国、インドネシア、韓国、フィリピン、オランダ、スウェーデン、英国、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、香港等でございます。  そういうようなことでございまして、日本だけが必ずしもそういうことに冷淡といいますか、あるいはセンスがないというふうには一概には言えないのではないだろうかというふうに思いますが、しかし、やはりわれわれの入管局におきましては、十分相手方に対しまして親切に、なぜこういうものが必要なのかということを知らせる必要はあるというふうに思います。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 後で聞こうと思うと大臣がお答えになって、私が聞こうとする方のことでは余りお考えを述べられなかった。大変残念であります。  それで、外務省来ていただいておると思いますから、外務省にお尋ねしますが、いまや国際環境が大変厳しい、また日本が厳しい状況に置かれております。いろいろな国の人たちの融和をいまこそ図らなければならない。そして、わが国は内外人平等を基調としたいわゆる国際人権規約を批准しました。その中には、何人も非人道的もしくは品位を傷つける取り扱いを受けない、こうございますね。この精神からも、この指紋制度は国際的に見てもやはり日本は閉ざされた社会であると見られると思いますが、諸外国との関係並びに外交面からも、外務省としてどうそれを受けとめておられますか、お答え願いたいと思います。

遠藤哲也外務大臣官房外務参事官

○遠藤説明員 外国人の登録に関しますいわゆる指紋制度につきましては、まず、関係国政府から本件の指紋制度につきまして外交的に問題にされてきたことはいままでのところございません。それが第一点でございます。  第二点は、いままさに田中委員御指摘のとおりの国際人権規約、ことにその中の市民的及び政治的権利に関しますB規約の第七条であろうかと思いますけれども、第七条の審議過程におきましても、この指紋制度それ自体としては取り上げられておりません。さらに、この指紋制度と第七条との関係につきましては、私どもの解釈では、これは国内の法体制措置に任せられておるわけでございまして、したがいまして、この人権規約との関係では、この指紋制度というのはそれ自体としては問題にならないのではないか、むしろ本件は国内政策判断の問題ではないかというふうに承知しておるわけでございます。ちなみに、この国際人権規約のB規約に関しましては、昨年の十月にドイツのボンでこれのいわゆる検討会議がございまして、わが方からも出席したわけでございますけれども、この委員会におきましても指紋制度自身は取り上げられておりません。  したがいまして、外交面といたしましては、先ほど申しましたように各国政府からいままで問題は取り上げられたことはないこと、それから、人権規約との関係におきましてもこれは国内法体制にゆだねられておる、こういうふうに解釈しておるわけでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 法務省よりもう一つ何かこう——いま説明を聞いておりますと、そういうことでは外務省はいまのわが国が置かれております立場からしてちょっと足りないといいますか、そんな感じがいたします。ちょっと足りないどころか、これは日本が国際社会の中で生きていく上に大きな一つの過ちを残す、誤った方向に行くというような感じがしてなりません。  短い時間で詰めることはできませんから、今度は法務大臣、このことにつきまして、いま諸外国の状況、またこの制度がいままで余り問題にされてない、私は余り専門家じゃないからわかりませんが、そういうことをおっしゃいますが、それもちょっと私は法務省としてどうだろうかなと思うのです。といいますのは、この登録事務を委任されております市町村では、この指紋制度の廃止を大変要望しておるところがございます。いま行政改革も盛んなわけで事務を簡素化しなければいけない、それで廃止を要望しておるところが多くございます。そうしますと、この際、国際的に見ても、先ほどお話がありましたように相互主義の米国を別にして十数カ国しか取り入れてないということでありますし、いまは入管、本省の机の上でのそういうことをおっしゃったと思うのですが、この事務を実際やっている国内の現場サイドでは反対している状況があるわけです。ですから、どうですか、先ほどの刑法の話じゃございませんけれども、決めじゃなくていいのですが、この制度は少し検討してみるようなことをやらないと、わが国が閉ざされた社会としてなおさらおくれていく、つまずく。そうじゃなくて、いまこそ逆に、進んでこういう問題について世界の中にリーダーシップを発揮しなければならない、こういうように私は思うのですが、大臣から一言お願いしたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 やはり登録の一貫性を確保いたしまして、登録証明書の偽造、変造を防止するというためには、指紋制度というものはむしろ不可欠なものではないか。むしろこの制度によりまして、所持人みずからも登録証明書の所持人であるということを確実に証明できるわけでございまして、これを廃止するというふうには私は考えておりません。そういうことでございまして、この指紋制度実施前はいわゆる登録証明書の不正入手利用が多発をいたしましたけれども、指紋制度実施以後はこの種の登録証明書の不正入手利用ということはまれになってきておる。こういうようなことを考えますと、やはりこれをいまやめるというようなことは考えないわけであります。  先ほど申し上げましたけれども、あの自由な国の、また基本的人権を大事にするアメリカ合衆国の場合におきましても、原則といたしましては、入国しようとする外国人はすべて査証発給前に登録及び指紋押捺をしなければならないというふうにされておるわけであります。ただし、非移民の中に、外交官等特定の身分により免除される者あるいは一年以下の短期在留非移民に対して相互主義に基づく免除があるということはございますけれども、そういうことでございまして、やはりこれは必要ではないだろうか。しかし、そのやり方等をもう少し周知徹底して、犯罪人に対してレッテルを張るというようなことでないということを明確にすべきだ、そういうことは先生のおっしゃるとおりでございまして、考えなければならないことだというふうに思っております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 その精神は、そういうことで世界から取り残されるようなことにならないようにということはおわかりいただいておるようでございますからいいのですが、しかし、ただ行政の実際の現場で反対があるということ、委任されている市町村でも反対がある。まあそういうことも御存じだろうと思いますけれども、それならそれなりの、廃止しないということに対するやはり説得といいますかPRといいますか、そういうものが行政の中にないから問題が山積みしていくということを申し上げておきます。  ところで、今度は大臣に大変よい返事をいただくことだと思いますが、実はいま問題になっております中国の残留孤児の日本国籍の取得の問題でございます。これも端的に入ってまいります。  中国の残留孤児の問題は、昨年以来大変な社会問題になりまして、毎日、テレビでも新聞でもやっている、国民の関心も大変高まっております。このことについては、坂田大臣の公私ともにわたるいままでの特段の努力も私も聞いておりますし、特段の御理解がある大臣であるという認識をしております。  具体的なことで申し上げますと、昨年、肉親捜しで日本に来られたが、結局わからなくて、別人ということになった。そのために、日本に永住も日本の国籍も取れない。この人は中国が正式政府機関として発行した日本人孤児証明書ですか、そういうものを持って日本国籍の取得の申し立てを裁判所にされたと聞いております。これも法的にむずかしい問題があると思いますが、現実には、中国の公的機関の証明書を法廷で云々すること自体がひとつまた問題があろう。そういうことは日中間にも大きな影響を与えるし、そういうことを考えますと、それではこういう方々に対する現実的な対応を求める、大臣がいままで努力してこられていろいろな温かい手を差し伸べてこられたようなそういう現実的対応等を求めるとするならば、こういう問題は裁判所で判断する以前の問題だ、私はこういうように思いますし、法務省としても何らかの救済措置をすべきではないだろうかと思いますが、いかがでございましょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 具体的につきましては政府委員からお答えを申し上げますけれども、先生御指摘のとおり、中国の残留日本人孤児がわが国での生活を希望する場合におきましては、これはもうできる限り希望をかなえてあげたいというふうに思います。したがいまして、これらの孤児のわが国への入国につきましては、法務省といたしましても最大限の努力を払ってきたところでございます。しかし、これらの孤児の受け入れに関しましては、いまお話がございましたように、身元保証人の確保を初めといたしまして、就職、日本語の習得あるいはわが国社会への適応というものを図る上でいろいろと困難な問題がございますので、法務省が主体となりまして関係省庁とも協議をいたしまして、また民間の御協力を得ながら、何とかひとつ解決を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございまして、先生方の御意見をも十分拝聴いたしまして適切な処置をとってあげたい、かように考えておるところでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 もう時間がございませんから、省略します。  そこで、この問題について大臣にちょっと最後に、それから外務省の方にも要望申し上げておきますが、やはりいまずっとテレビで見ておりましても、また昨年からこの孤児の問題でいろいろ政府がやっておる。政府としては、現段階ではやれることはやるというふうにもとれるんですね。ところが、現実に日本政府の温かい援助を受ける側の孤児は、テレビの放送にしましても、肉親のわかった人よりも、わからなくてさびしくしている人をというようなことが言われる。仮にわかった人でも、わからない人も含めて、その援助を受ける側の孤児には大変な不安がある。これはなぜか。一番大事なものを忘れているんじゃないか、こういうように思うのですが、大臣から簡単にひとつ。  それから、外務省は、これも今後の国際関係上問題になりますが、たとえばこの孤児の問題では、北京の大使館でいろいろ大変な御苦労をなさっている。私も行きまして、大変なお仕事だろうと思います。しかし、その北京の大使館でいろいろお世話をしていただいて、そして日本へ来てみる。日本へ来た孤児の中には、これは本当にがんばっている人にそういうことを言ってはどうかと思いますが、孤児の人が言った率直な感じですから申し上げますが、日本大使館は大変悪い、よくない、そういうことをはっきり孤児が言うようなそういうことになるのです、いまのようなことでは。それではせっかく孤児を受け入れよう——私も入れた経験がありますけれども、これはどんなことがあっても全面的にしなければならない問題です。これはあす、また厚生省にも聞きますけれども、何が一番欠けているのか、大臣の率直な御意見と、外務省もいまの指摘に対して何かございますれば、簡単にお願いします。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 これは、このたびの戦争の結果としてこのような方々が悲惨な目に遭っておられる、そういう方が自分たちの祖国に帰りたいというわけでございますが、それにしては余りにも迎える方の側、いろいろやってはおるようですけれども、本人たちにとりますと、期待が大きいだけにそこにやはり失望というものも出てきたのではないだろうかと思いますが、私どもといたしましては、十分そういうような人たちの気持ちをわかるようにいたしまして、適切な対応をこれからやっていかなければならない、かように考える次第であります。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 もう外務省はいいです。外務省も大体事務方の方ではそんな問題の回答はできないと思いますから省きまして、次に、いまの大臣の御答弁を聞いておりますと、孤児がここでいま私の質問を聞いておって大臣の御答弁を聞いたとするなら、いままで大臣が孤児に対していろいろやってこられたこととちょっと納得のいかぬところがあるように受けたんじゃないかな、こういうように思うのです。ちょっと意味がわからないようですが、大臣の秘書さんがこの前、去年ですか、秘書団の団長として行かれて大変なことをやられたということを、私の秘書も一緒に行ったものですから聞いていたんですよ。それで、それは秘書さんの善意でそういうことになったかもしれませんけれども、やはり親分である大臣の日ごろのそういう温情あるものがそういうものに出ている、こう思ったものですから、いま私のこの質問と大臣の答弁を孤児が仮に聞いておったとするならば、ちょっとさびしい思いをするんじゃないかなということだけ私は思うわけです。ですから、またそれはいずれにしろ努力するというところでひとつカバーしていっていただきたいと思います。  次に、先ほど問題になっておりましたが、覚せい剤対策の問題であります。覚せい剤の汚染が大変広がっております。その乱用の実態を法務省ではどういうふうに把握しているかということが一点、もう時間がございませんから。それから、特に一般市民層の中で少年や主婦にまでそういうことがふえておるのでございますが、その対策はどうなっておるか。それから、この凶悪な犯罪が行われておりますから、その取り締まりの具体的な対策はどのようになっておるか。そこの三点をまずお聞かせ願いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘のように、最近覚せい剤事犯歩数の土でもふえておりますし、また使用者層と申しますか、そういうものが、少年はもとよりのこと一般の家庭にまで及んでいるということは事実でございまして、私どもといたしましても深刻に受けとめておるわけでございます。この取り締まりにつきましては、検察当局だけではなくて、当然第一線の警察当局がこれに当たっておるわけでございますが、私どもといたしましても、いわば重点の一つといたしましてこれに取り組んでいるわけでございます。  私どものできますことは、警察から送られてくる事件につきまして十分な捜査をし、起訴すべきものは起訴をする、また裁判におきまして厳正な科刑を得るというところになるわけでございまして、その場合には、たとえば暴力団関係者が関与しておりますから、その点につきましても十分究明をする。また、覚せい剤事犯の根絶を図るには、やはり密輸入でありますとか、密売組織でありますとか、そういういわゆる供給事犯を取り締まらなければならぬということでございますので、そういう点にも十分警察等と協力をいたしまして取り組んでいるわけでございまして、最近は、たとえば起訴率等も従来になく高くなっておりますし、裁判の科刑の状況も従来以上にだんだん厳しくなっているということに理解しておるわけでございますが、今後とも努力をいたしたいというふうに思っております。

仲村規雄警察庁刑事局保安部保安課長

○仲村説明員 覚せい剤事犯の取り締まりの状況でございますけれども、昭和四十五年以降ずっとふえ続けておりまして、昭和五十六年昨年中では覚せい剤事犯で二万二千二十四人を検挙しております。これは一昨年に比べまして一〇・六%の増加、こういう状況でございます。  覚せい剤の乱用事犯は、従来どちらかといいますと暴力団やその周辺に限られておったわけでございますけれども、近年ではサラリーマンや主婦を初めとする一般市民層にまで浸透しておりまして、潜在的乱用者は数十万に上るのじゃないかというふうに予測されるところでございます、特に最近では覚せい剤を乱用する少年が大変ふえてきておりまして、昨年一年間では、一昨年に比べまして二六・八%の増加でございます。数は二千五百七十五人ということになっております。それで、全体の検挙者の中で少年の占める割合は一一・七%という状況になっているところでございます。  したがいまして、警察といたしましては、覚せい剤乱用を根絶するために、供給の遮断とあわせましてこういった需要の根絶が不可欠であるという観点から、あらゆる警察活動を通じまして、潜在的な乱用者の発見と、末端の乱用事犯まで徹底した検挙を実施していく所存でございます。特にこれとあわせまして、広く一般国民に対しまして、あるいは警察独自に、あるいはまた関係の機関、団体と協力をいたしまして、国民一人一人に覚せい剤の危険性について十分理解をしていただけるような啓発活動を推進いたしますとともに、覚せい剤相談電話あるいはその他の相談というものを積極的に推進いたしまして、覚せい剤の乱用を拒絶する社会環境づくりに努めているところでございます。  特に次代を担います少年に対しましては、学校警察連絡協議会というものがございます。そういったもの、あるいはまた職場警察連絡協議会、こういったものを通じまして、あるいはまた関係都道府県の教育委員会、そういった関係機関に働きかけまして、覚せい剤乱用防止のためのよりきめの細かい啓発活動を今後とも推進していきたい、かように考えているところでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 いまのお話の中にもございましたが、覚せい剤が暴力団を通じて一般に流れておる、これは大変重要視しなければならないと思うのです。そこで、そういう犯罪の裏には必ず暴力団があるということも私も聞いておりますが、暴力団の撲滅についていろいろ取り組んでおられる、また実績が上がっていることも私たちも報道でいろいろ聞くわけですけれども、別な面からこの暴力団の資金源を絶つことも、資金源といいますか、兵糧攻めに遭わせるような行き方も一つの方法としてあるのではなかろうか、その場合は、やはり警察あたりでそういう暴力団のいわゆる全体的な収入というものが国税当局なんかと連絡をとってやられておるのかどうか、私はそういう意味では兵糧攻めにするのは一つの方法ではないかと思いますから申し上げたわけですが、そういう連絡をとってなされたことがあるのかどうか。  それからもう一点。最後に、これは大事な問題ですからできれば法務大臣からお答え願いたいと思いますが、この覚せい剤の中毒者には保安処分制度を法務省で考えておられるというふうに聞いております。ところが、この保安処分施設については、厚生省の方で国立病院の使用なんかは困るというふうに言われておりますが、法務省としてどのようにそのことについてお考えになっておるか、それを最後にお聞きして、終わりたいと思います。

仲村規雄警察庁刑事局保安部保安課長

○仲村説明員 先生御指摘のように、暴力団の主要な資金源にこの覚せい剤がなっておるということは事実でございます。私どもも、取り締まりをした都度、特に課税通報する必要があるというものにつきましては通報するように指導しておりまして、現実に暴力団が覚せい剤を密売いたしまして、その結果得た不法な利益につきまして税務当局の方に課税通報をした事例を、これまでにも数件把握しております。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 覚せい剤中毒を含みます精神障害者による重大犯罪の防止ということは重大な事柄でございますので、その対策といたしまして、いわゆる保安処分の一つとしての治療処分制度というものを私どもで考えておるわけでございます。御指摘のように、その制度ができます場合に対象者をどこに入れるかという問題があるわけでございまして、その点につきましては、厚生省の所管に属します国立病院等を使うことができないかどうかというふうに考えておりまして、その点につきまして厚生省ともお話し合いをしている状況でございまして、その結論はまだ出ていない段階でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 終わります。

近藤元次自由民主党

○近藤(元)主査代理 これにて田中昭二君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 私は、在日韓国人の権益に関するお尋ねをさせていただきたいと思います。  日韓関係は、よく言われますように、一衣帯水の中にあって両国が理解をし合い、仲よくしていかなければならない、これは必ず使われる言葉でもあります。最近、経済協力六十億円の話がクローズアップされているところでありますが、このような外交関係とともに忘れてならないのは、日本に約七十万人とも八十万人とも言われます在日韓国人の処遇の問題であります。  日本に住む外国人と言われる人たちのおよそ九〇%を占めると言っても過言ではない状態でありますし、そういう方々の日本における法的な位置づけ、そしてまた彼らの権益の問題、このことがおろそかに扱われますと、これはそのまま日韓関係にゆゆしい問題を引き起こすことになると思いますし、同時に、そのような外交関係のことを抜きにいたしましても、少なくとも在日韓国人が今日日本で生活をしているその歴史的背景は、日本の軍国主義的な当時の政策によって彼らが日本に連れてこられ、そして日本人として扱われ、そしてまた彼ら本人の許可もなくといいますか、了解もなく韓国人として位置づけられるというふうな歴史的過程があったわけであります。当然これは私ども日本の問題として、日本自身が主体的に考えなければならない課題であると思います。そういう意味で、韓国政府から要請があるなしにかかわらず、このような事態をつくった日本自身が考えるべき課題だとして私どもは位置づけ、きょうもまたその質問をさせていただきたいと思うわけであります。  今日まで、この在日韓国人のことにつきましてはいろいろな努力がなされてまいりました。たとえば住宅公団及び公営住宅入居の差別撤廃措置、そしてまた国民金融公庫及び住宅金融公庫の貸し付け差別の撤廃、外国人登録法の一部改正、出入国管理令一部改正、そして国民年金法及び児童手当関連三法の一部改正というふうに、今日までいろいろな努力がなされてきたことは、在日韓国人ならずとも評価をしているところだと思うわけであります。しかしながら、反面、このような措置を講じながら、どこまでやればいいのだ、一体どこまでしつこく在日韓国人の処遇についてその改善が求められていくのだ、切りがないという印象を政府の中にもお持ちの方がいらっしゃる、このことも事実だと思うのであります。私は、そういう意味で、今日までこの数年の間これらの措置が講じられてきた、おおよそ行政措置としては、言い方によっては行政差別の面においては改善措置が講じられてきたけれども、意識差別の上においてはなかなかそれが解消するというところまで行っていないという指摘がなお強いことも、申し上げるまでもないと思います。  そういう意味で、こういう行政措置を講じつつ、根本的に在日韓国人の位置づけというものをどうしていくのか。今日段階では、日韓基本条約、そして在日韓国人に対する法的地位協定というふうなものによって位置づけられているわけでありますけれども、これらの見直しも含めまして、私どもいま抜本的に考えなければいけない時期に来ているのではないだろうか。二世、三世も多くいらっしゃることであります。われわれとしては、この在日韓国人を単なる他の国々からいらっしゃった旅行者と同じ扱いにするわけにはいかない。こういうふうな観点から、もう一度われわれとしては、この法的地位協定にも見られますように、内国人待遇と言われているそれを名実ともに実現していくための見直し、検討というものがいま望まれているのではないだろうか、こう思うわけでありますが、法務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 在日韓国人の問題につきましては、先生るるいまお話がございましたように、いろいろ改善が進められてまいりまして、行政的にはある程度満たされようとしておるけれども、しかし、まだ意識においては十分ではないではないかというようなことでございます。私もそのように思うわけでございます。ただ、この問題は両国、両国民の間におきましての長い経緯もございますし、これからお互いがやはり努力をしていかなければならない。特に日本におきましては、歴史的なことも考え合わせますと、一層努力を加えなければならぬ点が多いというふうに認識をいたしておる次第でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 大臣の基本的な御認識についてお聞かせをいただきました。私も全く同感でございます。  そうなりますと、具体的にどうしていくかという課題がやはり残されてくるわけであります。そこで、結局在日韓国人の皆さんのいろいろな御意見や御希望を聞きますと、少なくとも自分たちは日本国憲法にのっとって、そして日本国国民が課せられているのと同じ義務を今日まで果たしてきた、そしてまたそれは当然だと思っている。もう一つ、在日韓国人の皆さん、特に協定永住者等々は韓国へ帰る意思を持っていない人たちであります。そして、それが前提となって協定永住権も与えられていると思うのであります。言うならば、ロイアルティーは韓国にあるけれども、しかし住民意識は日本にあるわけであります。ゆえに、皆さんがおっしゃることは、まず在日韓国人にも住民としての座を与えていただきたい。具体的には、たとえば、とりあえず日韓法的地位協定に伴う出入国管理特別法が制定されたように、外国人登録特別法の制定をして、そしてこの協定永住者を初めとする在日韓国人に対して、その歴史と生活の実態にふさわしい地位を与えていただきたい、これが一点言われているわけであります。そして、住民としての座を与えられるということになりますと、当然外国人登録証明書の常時携帯や提示義務というふうなものが今日のような状態ではなくなっていく、住民登録によってその位置づけがなされるということになってこようかと思うのであります。  第二番目に望まれておりますのが、いわゆるマイノリティー政策も同化とか帰化とかいうふうな考え方ではなくて、民族性保持の視点に立って考えていただきたい。だから、日本は単一民族によって成り立つ国だ、こう言われているけれども、実態は少数多民族が日本の国を形成している要素となっているのだ、この認識をやはり持っていただく時期に日本自身が来ているのではないのか、こういうことであります。     〔近藤(元)主査代理退席、主査着席〕 そういう意味で、日本は今日まで単一民族国家としての考え方が基本にありましたけれども、これからはマイノリティー政策というものをもっと積極的に真剣に考えなければならない時代を迎えている。これはある意味では一つの国際化ということにもなるであろうと思います。これは難民の皆さんのことにつきましても同じことが言えると思います。  第三番目に、新しい時代に対応して、先ほど申し上げました法的地位協定等々、協定改正の準備もするべき時期に来ているのではないだろうか、こういう指摘もされているわけであります。これらのことが解決をされることによって、日本人の在日外国人に対する認識というものがおのずから改革をされていくことになると思います。そして、日本人の国際的な意識というものもより一層深められると思います。また、日本人に対する違和感または閉鎖性というものを指摘する諸外国からの認識も、そのことによって変わってくるだろうと思います。  このような新しい時代に対応した考え方というものを、一朝一夕にはいかないまでも、政府が検討を始める時期に来ているのではないだろうか、このように私は思うわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま中野委員から、韓国民が日本に在留している歴史的な経緯にもかんがみ、その特殊な地位も考慮して、特別な法律を外国人登録あるいはその他の面について考えたらどうかという御趣旨のお話がございましたが、法務省といたしましては、現在そういう考えは持っておりません。  一般的に申し上げまして、外国人が在留するに至りますいきさつによって外国人の管理について適用を異にする制度、特別法のようなものを導入しますことは、かえって不公平のそしりを受けるおそれがあるばかりか、私どもといたしましては、その合理性にも疑問があるということで、ただいま委員がおっしゃいました外国人登録のための特別法の制定ということは考えていないわけでございます。  なお、少数民族について特別な配慮をしてはどうかという御趣旨の御意見もございましたが、入管法、それから登録法、いずれにいたしましても、私どもは、外国人というものを把握するときには日本人以外の方ということで臨んでおります。したがいまして、すべての日本人でない方、そういう方々につきましては入管法、登録法がそれぞれ適用になる、そういうふうに考えておるわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 役所の立場からの御見解はそのようになるであろうことは、私も予測がつきます。ただ、先ほど来るる申し上げておりますように、日本人であると同時に、また一方、日本人でない方、そういう区分けをするのだとおっしゃったわけですけれども、しかし、その歴史的背景、そして一時は日本人だと日本国によって押しつけられた人たち、そういう存在があることも事実であります。そして、日本政府と韓国政府との協議によって協定永住権が与えられた、そのこともまた歴史的な背景があったればこそであります。  日本が今日までとってきた現実的な路線というものは、それはそれで私は否定はいたしませんけれども、新しい国際社会の中にあって、開かれた日本としての位置づけをこの世界の中で得ようとするならば、やはりその日本人及び日本人でない人という感覚の間に——アメリカの市民権とはまたおのずから違ったものになろうとは思いますけれども、少なくとも在日韓国人のような、またはいわゆる台湾を指しての在日中国人のような方々も場合によって含まれるかもしれませんけれども、新たな住民としての位置づけ、あり方というものは、私は、日本における高度な政治的判断、人道的判断、そのような観点から改めて考え直されるべき時期を迎えている、このように申し上げているわけであります。  そういう意味で、役所の立場からではなくて、いわゆる内閣の一員として、または政府を代表する、または日本国民を代表する法務大臣の立場として、大臣の御見解、御所見を伺いたい。いま即座にやれと言ったって無理なことです。しかし、少なくともそのような新しい感覚、物事の考え方というものがそろそろ始まってしかるべきではないか。難民条約の問題でも、やはり日本に対する諸外国からの大変閉鎖的だという非難もあったことは、記憶に新しいところであります。そういうことを考え合わせますと、国際情勢ともにらみ合わせつつ、現実の日本における在日韓国人のこともその中で考えれば、いま申し上げたような考え方が起こるべきではないか、こう思いますので、私は、役所の見解という形ではなくて、政治家坂田法務大臣の御見解をお聞きしたかったわけであります。大臣、いかがでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 法務省としての現実的対応につきましては、局長からお答えをしたとおりであるわけでございますが、しかし、先生がるるお話しになりました在日韓国人の問題、将来どういう法的な位置づけをしていったらいいのか、しかもそれが世界の中の日本としてどういう位置づけがいいのだろうか、こういうような考えもあるという非常に示唆に富むお話を承ったわけでございます。  私、十分把握をいたしておりませんので、いまここではっきりしたことは申し上げられないわけでございますけれども、日本という国は、大陸から離れました極東の島、しかも手数百年前には恐らくいろいろな民族がこの国に入ってきて、そしていろいろ闘争もあったでございましょう、しかし、それが落ちついて単一民族という形で現存しておるということ。ところが、アメリカの歴史を考えればまだ二百年そこそこということでございますし、これは先生御案内のような国づくりで、異常な多民族国家が一つのアメリカ合衆国という形で統一をされておる。言うならば、千数百年も同じ風土で、同じ食べ物で、そして同じ言語でやってきました民族とはおのずと違う。また、お隣の大陸国家とも違うわけです。それがお隣同士で、日本的な歴史的ないろいろの経過を経まして、在日韓国人のいろいろの問題が起こっておるわけであります。  今後は、やはり難民問題も恐らく日本にも押し寄せてくるだろうと思いますし、そういうことを考えなければならない時期に来ておるというふうに思います。その一つがやはり難民問題の去年の法律成立だったのではなかろうかと思いますし、それは一歩前進をした、そういう意味でこの問題も考えてほしいというお尋ねだろうと思うので、多民族と共存しながら、お互いの立場をちゃんと理解し合った上で共存していく、あるいは同じような権利をも享受していくということになれておりません日本民族が、今後考えなければならない大きな問題だということだけは私もわかるわけでございまして、今後ひとつ研究させていただきたいというふうに思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 この問題を私のような表現で日本の国会で取り上げるというのはこれが初めてのことでもありましょうし、大臣にいま明確な御答弁を求めること自身、それは無理なことでもあろうということはよく理解をいたします。ただ、いま大臣が最後にお触れになられましたように、日本だけ単一国家でございと言って済ますことのできる時代はもう過ぎ去りつつあるのだという認識をやはり持たなければならないと思います。人間は社会的な動物でありますから、当然おつき合いも必要であります。そういう中で、私たちは、在日韓国人ならずとも、同じような境遇にある方々をそのらち外に置いておくということはやはりできないと思います。在日韓国人は永遠のエトランゼでしかおることができないのでしょうかという、大変悲痛な声も聞かれるわけであります。  そういう意味で、ぜひともこの問題についてやはり前向きな御検討をいまからしでいただきませんと、日本は国際社会で大変大きな恥をかくということになる、このように心配をするわけであります。そういうことで、これ以上大臣にはっきりとお答えくださいと言っても、これはもう無理なことは承知でございますが、しかしそういう認識を持っていただくことを強くお願い申し上げて、具体的な質問に移りたいと思います。  さて、いまのような考え方を基本に置きますと、たとえば、とりわけ協定永住権者等に対する外国人登録証明書の常時携帯や提示義務というのは酷であるという考え方が在日韓国人の気持ちの中に生まれることは、当然御理解いただけると思います。また、一般旅行者と違って、在日韓国人が、特にその永住権者等が指紋押捺を証明書の切りかえごとに求められるということについても、その精神的な負担といいますか、その中での屈辱感といいますか、そういうふうなものを持つことも御理解がいただけると思います。登録の証明書については、現行三年ごとの切りかえというのは果たして必要なんだろうか。世帯単位の申請または代理申請を大幅に認めていいのではないかというふうなことも考えられるわけであります。また、住民基本台帳並みにこの外国人登録事項を簡素化するということも考えられるべきだと思います。  それから、もう一つ、犯罪を犯して日本でその執行を受けた人たちが、たとえば刑期を終えて出てきた、そして一定年限以上の刑を受けた人たちは強制送還をされるわけですね。ところが、この人たちは帰る場所がないんですよ、韓国人なんだけれども。名目上ロイアルティーとしては韓国人としての立場があるけれども、しかし彼らに帰れと言ったって、帰る場所があるわけではないのですね。やはり意識は日本人なんです。ですから、法律で決められたその刑期を終えた、そして強制送還、二重に懲罰を受けているということだという認識を持つことも、御理解いただけることだと思います。  そのほか、いろいろ項目がありますが、これはもう当局の方はどういう要請がなされているかは御存じのことですから、一々全部は申し上げません。これらのことについて、私はより一層、先ほど来申し上げたように、たとえば市民権的な立場を与えるとかなんとかということの検討は時間がかかるにいたしましても、これらの具体的な諸事項については、たとえば今度国立大学の教授としての位置づけについても、議員立法で大変前向きの考え方が与党の中でさえ示されている今日、これらの問題について考えようがあろうと思うわけでありますが、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま中野委員から、在日韓国人の強制退去の問題について御質問がございました。日韓地位協定におきましても、協定永住を取っても、七年を超える刑に処せられた者等につきましては退去強制ができることになっております。これは協定移住権を持っていても、日本国の利益または公安を著しく侵害した外国人に対しては退去強制ができるということは、わが国の国家として堅持すべきことであると考えているわけでございます。  しかし、他方におきまして、こういう在日韓国人の人たちが永住を許可された背景も考慮いたしまして、入管法第五十条の在留特別許可の拒否を与えるかどうかの判断に当たりましては、通常の外国人以上に人道的な配慮を行ってきておりますし、今後もその方針で当たるつもりでおります。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 ただ、運用の面でそのような配慮をしていただく、それはそれで評価をするのですが、しかしながら、制度上、やはり強制送還されるのではないかとかいろいろなことを考え合わせますと、その心理的な不安感、圧迫というのはどれほど強いか、その当事者になってみなければわからないかもしれませんが、おおよそわれわれ自身の推測として、その圧迫、不安感というものがどれだけ厳しいかということはわかるわけであります。ですから、やはりこれらのことについては制度的に考え直すべきだ。運用面でそれだけ配慮されているということは、法務省も、その意味があるのだということを認識されているからやられているわけで、当然そのことについては制度上も考え直すべきときではないのだろうか、こういうふうに思うわけであります。  個々具体的には申し上げませんけれども、地位協定についても、そういう意味で、これは韓国政府からもいずれその改正の要請があるかもしれませんけれども、しかし私は、この在日韓国人の今日の状態というものは、日本政府の責任において起こったということから考えれば、日本政府自身からむしろ積極的にこれらのことについて対応を考えておく必要がある、このように思うわけであります。そういう意味で私は総論的な基本精神について、いろいろな制度がありますので、その基本を持ちながら、それぞれの諸制度についてもう一度度具体的に洗い直して御検討をいただきたいというふうに思うわけでございまして、このことについて法務大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 先ほどからるるお話しをいただきました事柄は、非常に貴重な御意見だというふうに私は拝聴いたしておりまして、十分検討させていただきたいと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 何かきょうは私の質問で終わりになるようでございますので、もう一点だけ聞かせていただきたいと思います。  厚生省の方へお伺いいたしますが、昨年、国民年金につきまして、法的地位協定では除外をされておりましたけれども、難民条約との関係から在日韓国人に対する適用が行われるようになりました。私どもも大変評価をするところであります。しかし、これは三十五歳以下の方々についての適用であります。三十五歳以上の方々、実際に日本に連れてこられ、日本で強制労働をさせられたような一世の人たちは、それ以上の年代であります。言うならば、当然報われるべき人たちが報われないで、若い人たちがその適用を受けることになりました。  社会保障制度のいろいろな基本原則は十分承知をいたしておりますけれども、少なくともこの国民年金制度が発足をいたしまして、日本人自身には三次にわたって経過措置が講じられたことも事実であります。昨年の本委員会における私の質問に対して、当時の園田厚生大臣も、とりあえず国民年金に対するその外国人の適用のみをスタートさせてほしい、あと具体的なことについては、これでやめるのだというのではなくて、前向きに検討させていただくのだという御答弁でございました。厚生省としてそのことについてどのような御検討がなされているか。そして、今後そのことについて引き続いて、まだ結論が出ていなければ、前向きに御検討をいただくことのお約束がいただけるか、御答弁を最後にお願いをしたいと思います。

山口剛彦厚生省年金局年金課長

○山口説明員 先生御指摘のとおり、難民条約への加入を契機といたします国民年金法の改正によりまして、本年の一月一日から、在日韓国人の方に限らず、外国人の方にも国民年金に加入をしていただくことになったわけでございますが、先生いま御指摘の点については、この改正案を御審議になりましたときにも種々御議論がございましたが、結果的に一切の特例措置、外国人であるということに着目をした特例措置は講じないまま適用をするということになったわけでございます。  そういうことで、先生御指摘のような問題点があるわけでございますけれども、年金制度の基本からいたしますと、たとえば、今回外国人の方だけに特別に期間の短縮をするということになりますと、かえって日本人との不平等が出てくるという問題もございます。また、それではすべて期間を短縮するという特例がとれないかということになりますと、これはまた国民年金法の二十五年の資格期間を問うているという基本に触れる問題になります。また、先生御指摘のありました特例納付というような措置につきましても、これは被保険者期間を持っておられる方で保険料を納付しておられない方に特別にそういう措置をとったということでございますので、被保険者期間のない方についてそういう措置をとるということもできないということで、大変むずかしい問題でございます。  私どもといたしましては、そういう社会保険の原則がございますので、外国人であるということに着目をして特別な措置をするということはお許しをいただかなければならないと思っておりますけれども、外国人に限らず、日本人も含めまして無年金の方が現実におられることも事実でございますので、そういった方々に年金制度としてどう対応していくかという問題につきましては、そういう一般的な問題といたしまして今後の年金制度の課題であるということで御理解をいただきたいと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 時間が来ましたから終わりますが、いまの問題につきましても、在日韓国人の皆さんは内国人待遇、日本人と同じように考えてほしいのだ、この一点なんです。ですから、在日韓国人だけ特別扱いしてくれという要求でもないわけです。そういう意味で、この問題についてはなおわれわれとしても十分検討しなければならないし、そして実現をさせていくことが望ましいことではないだろうか、それは国際社会の一員としても日本人が考えるべき課題だ、私はこう思いますので、厚生省としても、また法務省としても、ぜひこれらの諸問題について大いに、そして前向きに御検討いただくことを強く要請し、また私どももともに勉強してまいりたいと申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。——速記をとめて。     〔速記中止〕     〔主査退席、近藤(元)主査代理着席〕     〔速記中止〕     〔近藤(元)主査代理退席、主査着席〕     〔速記中止〕

小渕恵三自由民主党

○小渕主査 速記を始めてください。  この際、主査より申し上げます。  各質疑者に対し、再三出席を求めたのでありますが、いまだに御出席がありません。  本日はこの程度にとどめ、明二日午前九時三十分より開会することといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会

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