予算委員会 第22号
- 発言数
- 259 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/06/25
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。 去る二十三日、藤田高敏君から要求がありました資料「財政運営についての対処方針と検討の方向」が、本日政府より提出されました。お手元に配付いたしてあるとおりであります。 この際、質疑を許します。藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私、一昨日、阿部議員の質問に関連をいたしまして、政府に対して、財政再建に向けての具体的な資料を要求いたしておきましたが、まず、その資料を提示してもらいたいと思います。
○山口(光)政府委員 お手元に資料を提出してあると思いますが、簡単に概略御説明申し上げます。 「財政運営についての対処方針と検討の方向」でございまして、まず第一点は、「五十六年度決算見込みと対処方針」でございます。 五十六年度の決算見込みでございますが、歳入面におきましては、税収は、すでにこの委員会で申し上げておりますとおり、二兆九千億円の三角、プラス・マイナス千億円ということでございます。それから、税外収入におきましては、千二百億円の増収が見込まれます。二番目が、歳出の不用額でございますが、二千六百億円の不用額がございます。このうち予備費の不用額は確定いたしておりまして、二百二十三億円でございます。予備費以外の歳出の不用額が約二千四百億円程度ございます。差し引きいたしますと、歳入歳出決算上の不足額は約二兆五千二百億円プラス・マイナス一千億円の不足額となる見込みでございます。なお、税収のほかの税外収入、歳出の不用額につきましても、計数はまだ概数でございまして、今後若干の異動はあろうかと思います。 上記の不足額に対しては、まず、決算調整資金からの組み入れ二千四百億円。決算調整資金の残は三月末で二千五百二十八億円ございますが、預託金の約定期間満了前払い戻しのために目減りいたしますので、組み入れ可能額は約二千四百億円でございます。残余が国債整理基金からの繰り入れによるわけでございまして、二兆二千八百億円プラス・マイナス一千億円ということでございます。 二番目が、「五十七及び五十八年度の財政運営に関する検討の方向」でございます。 まず第一に、歳出の節減合理化でございます。一般歳出が中心でございますが、歳出全般にわたりまして節減合理化を一層徹底的に進める。このため、五十八年度一般歳出の概算要求枠につきましては、五十七年度の場合よりも一層厳しいものにしたいということで、目下検討中でございます。 第二点は、今後の税収動向は明らかでございませんが、税外収入において増収が図れないかどうか、幅広く検討を進めてまいりたい。 どういう項目かと申しますと、第一点が、補助貨幣回収準備資金の取り崩しでございます。五十七年度末で一兆二千億円弱ございます。うち、運用部預託金の残は約一兆円弱でございます。従来も御説明申し上げておりましたような制度の趣旨、沿革あるいは財投原資に使っているというような問題点はございます。それらも含めまして、幅広く検討してまいりたい。 それから、二に書いてございます国及び特殊法人の資産処分、三にございます特別会計からの一般会計納付、四に書いてございます特殊法人からの国庫納付、これらにつきましても、発想を新たにして検討を進めてまいりたい。 それから、次のページに参りまして、以上のほか、臨調の第一次答申に盛られました改革方策、なおいろいろ宿題がございます。これを最大限に尊重し、実施に移すよう努めてまいりたいと思います。 これらの以上申し上げましたような検討を行って、特例公債への依存を極力縮減してまいりたい、こういうことでございます。
○藤田(高)委員 いま「財政運営についての対処方針と検討の方向」ということで資料提出がされたわけでありますが、いま説明を聞きながら私、感じましたことを率直に申し上げたいと思います。 八分程度の私自身の質問時間でございますので、一括する形で質問することになると思いますが、まず第一は、「五十六年度決算見込みと対処方針」についてであります。 これは、先ほども御説明がございましたように、初めて五十六年度の赤字決算についての額が非常に明確になってきたということがこの特徴であろうと思います。 繰り返すまでもないのですけれども、念のために申し上げますなれば、この補正を行った後、二兆九千億プラス・マイナス一千億の歳入欠陥が生まれるということが一つであります。そういう状態の中で、歳出の不用額あるいは税外収入による歳入の増額等によって操作をしても、結果的には約二兆六千億程度の赤字になることが非常に明確になってきた。そうして、その処理として、決算調整資金と国債整理基金から合わせて約二兆六千億程度の財源をもって穴埋めをする、こういうことでございます。 私は、この五十六年度の決算見込み額がこういう形で正式に当委員会に出されたことによって、私どもがことしの二月以来問題にしてまいりました財政当局の政治責任の所在というものが一層明確になったということを、具体的に指摘をいたしておきたいと思います。 まさにこれは決算調整資金の対応の仕方、あるいは国債整理基金からの充当のあり方につきましては、これも一括して申し上げておきますが、ことしの二月の予算審議の段階で、私自身が、あるいは同僚の岡田利春議員からも指摘をいたしておるところでございますけれども、この決算調整資金の運用については、たしか五十三年度であったと思いますが、この制度ができましたときに、私は本委員会において、大きな歳入欠陥が生まれるようなときには、こういう制度をつくることよりも、臨時国会を開いて補正予算の措置を講ずることが財政法の基本的な立場じゃないか、こういうことを主張しておきましたが、まさにそういう事態が今日あらわれてきた。また、最終的に出てまいりました二兆六千億程度の赤字、これは一昨日来この委員会においても各党から意見が出ましたが、予見しがたい租税収入の減少ではないのですね。ここが一番問題なのです。これは、決算調整資金から充当する場合には、「予見し難い租税収入の減少等」と、こうなっておる。果たしてこの歳入欠陥の処理は予見しがたかったものかどうか。これはもう二月の段階で、みんな具体的に指摘をしたことであります。そして、特に社会党は、補正予算をもって措置すべきじゃないかということまで具体的に提案をした。しかし、四千五百億以上の補正はする必要なし、そこまで財政当局が自信のある答弁をしたわけですけれども、結果的にこういうことになってきた。この責任はまことに重大であります。これが一つであります。 二つ目の問題は、五十七年、五十八年度の財政運営に関する問題については、あれこれ書いておりますけれども、集約して言えば、私の理解によれば、一つは歳出の削減、二つは税外収入の増収、そして、そのほか行革絡みの合理化によって財源を浮かしたい、この三つに集約されると思うのです。 ここでいま気づいたわけですが、当然今後の財政運営にとっては不公平税制の是正を中心とする、たとえば問題になっておるグリーンカード制の問題等も、これは方針どおり実施するのだ、こういうぐらいなことが具体的に出てくると私は思っておったのですが、そういうものさえ出てきていない。私が求めた資料としては、全く不満足きわまるものであるということを申し上げておきたいと思います。 そこで、時間がありませんので、私のいま一つの質問を申し上げます。 私どもはいろいろな角度から検討いたしておりますが、五十七年度、これからどれぐらいな歳入の見込み違いが出るだろうかということを検討いたしますと、五十六年度並みの成長率であった場合には、政府見通しのままでいきますと三兆五千億程度でございますが、一昨日来からも論議しましたように、とてもじゃないが、そういった成長は見込めないということになりますと、五十六年度の実績よりもGNPの伸びが約一%伸びるということになれば、年度後半において公共投資を仮に二兆円程度ふやしたといたしましても、その歳入欠陥見込みは五兆二千億ぐらいになります。いわんや、五十六年度並みのようなことになったとすれば、驚くなかれ五兆五千億程度の歳入欠陥が生まれることは、これまた今日段階において非常に明確であります。問題は、五十八年度の予算編成に向けてどれぐらいな歳入見込みがあるだろうかということを検討いたします場合、これはいろいろな手法がありますが、一つの視点としては、財政当局がすでに提示いたしております財政の中期展望を一つの試算として検討しますと、中身は省略しますけれども、これまた四兆円程度の歳入欠陥がこのままでいけば生まれてくる。しかも、大蔵省がすでに出しております財政収支試算、この中期展望の枠を約五兆円程度財政規模を縮小しても、なおかつ四兆円程度の赤字は出るだろう。五十六年度はいま言ったようなことで、事のよしあしは別としても処理をする、こういうことになると、五十七年が約五兆円、五十八年が四兆円、そして国債整理基金から借ったものは翌年度は返さなければいかぬわけですから、いま説明があったように、二兆三千億を合わせますと十一兆円から十二兆円、こういうものが五十七年度、五十八年度の間に歳入欠陥として生まれるわけであります。 総理、鈴木内閣になって以来せっかくの努力をされて、五十五年一兆円、五十六年、五十七年と予算の上では約五兆円の赤字国債を減額することをいたしましたが、せっかくこの三年間にやったことは何にもならなかったという結果になるわけですよ。しかも、後に五兆ないし六兆円がまるまる、どんなに見積もっても歳入欠陥として生まれてくるであろう、このような見通しの中で、いま提示された抽象的な三項目で五十九年度の赤字国債発行ゼロにつないでいくということは、やろうとしても現実的にはできないのじゃないか、こういうところにまで今日の財政状態は直面したというふうに私は判断をするわけでありますが、財政当局並びに総理の御見解を聞かせていただき、総裁選挙なんというものにこだわらないで、早急に補正予算をきちっと出して、そして、ここで鈴木内閣自身の政治責任を含めた決着をつけるべきじゃないか、私はこのように思いますが、いかがでございましょうか。
○渡辺国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、五十七年、五十八年における財政の見通しというものは非常に厳しいものがあることは、全くそのとおりだと私も認識いたしております。 したがいまして、いろいろと御批判もあるところでございますが、われわれとしては、最大限に歳出の削減、抑制というものをやってまいる。その次には、ここに書いてあるような、いままでタブーといいますか、財政当局としては余り考えておらなかった貨幣回収準備資金の取り崩しとか、そういうようなものについても検討せざるを得ない。また、国有財産の払い下げというものは、いままでは普通財産をやっておったわけですが、行政財産であっても、それが実際に使われていない、ただ普通財産には回っていないが管轄上各省庁にまたがっておって、それを自分だけで握っておって離さないというのがたくさんあると言われておりますから、そういうようなものについてもわれわれはもう一遍考え方を変えて、やはり政府自身が売るようなものがあれば売らなければならぬし、むだというか遊ばしておくようなものは活用しなければならぬ、そういうようなことで考えてまいりたい。だから、特殊法人その他の資産についても、これは国から援助を求める以上はまず自分自身で、たとえば国鉄なんというのはその一番いい例でございますが、財産の売り払いというようなものも検討してもらいたい。特別会計からの納付金、それから特殊法人については、この前、電電とか競馬会とかいうようなものをお願いしたわけでありますが、ほかにもないかということについてももう一遍角度を変えて検討していきたい。 もう一つは、何といっても景気の持続、発展ということを図っていかなければならない。もちろんこれにも、日本の経済は世界の経済と連動いたしておりますから、日本だけで特別なことをりっぱに、すばらしくといっても、それは言うべくしてなかなかむずかしいでしょう。むずかしいでしょうが、極力それもやって税収の確保に努める。そういうことを全部やって、臨調答申も踏まえて税の増収、不公平是正というような点からの増収ということも、実際問題として避けて通れない問題ではないか、私はそう思っております。 そして、やはりせっかく五十九年度からの赤字国債脱却という旗を掲げてやってきておるわけでございますから、それだけの最大限の努力をする前からこれをおろしてしまうということになれば、なお一層ぐうたらになりかねないという危険性もございますので、非常に厳しいという御指摘はわれわれも十分認識しておるわけです。しておるわけではございますが、なおあえてそれに挑戦をして最大限の努力をしていきたい、こう考えております。
○鈴木内閣総理大臣 今後の財政運営についてでございますが、いま政府側からも、当面御提出できる範囲で御説明を申し上げましたように、情勢はきわめて厳しいものがございます。また、御指摘もいただいたように、今後の対応というのは相当の決意を持って当たらなければならないということも御指摘のとおりでございます。 きのうも経企庁長官から申し上げましたように、九月ころになれば一応の経済諸指標等も出てまいるわけでございますから、その状況を見ながら今後の補正その他の対策等も考えたい、私はこう思っておるわけでございます。当面は、五十七年度予算の与えられた枠内で、公共事業の前倒し等最善の努力を払って対処してまいりたい、こう思っております。
○藤田(高)委員 時間が参りましたので、同僚議員に迷惑をかけてはいけませんのでこれでやめますけれども、私の一番大きく求めました政治責任の問題については何ら触れない、こういう無責任な態度自身が今日の大きな歳入欠陥をもたらした最大の要因になっているのじゃないか。そういう意味合いからも、引き続いて質問をする同僚議員とともに、この政治責任の問題については継続して追及していくことを留保いたしまして、私の質問を終わります。
○栗原委員長 次に、稲葉誠一君。
○稲葉委員 総理、長い間外遊をされて、いろいろ国政のために尽くしていただきまして、私も心からお礼を申し上げる次第です。 帰ってこられましてから、総理が三木元総理、福田さんもお訪ねになりましたが、そのときに三木さんからはどういうような話があったのでしょうか、それをお聞かせ願いたい、こう思うわけです。政治倫理に関連をするということでいま質問いたしておりますから。
○鈴木内閣総理大臣 私が帰ってまいりましてから、最高顧問の方々に、ベルサイユ・サミット、国連の軍縮特別総会、ペルー並びにブラジルの報告、これを締めくくって御報告をしたわけでございます。 その際に、三木さんからは、ちょうど六月八日の判決の出た後でございましたが、政治倫理の問題は議会制民主政治確立の上から最も重要な問題であるという御趣旨の強調がございました。と同時に、自由民主党の党の運営ということにつきまして、三木さんの見ておられるところをお述べになったわけでありますが、私も、党の最高長老としての御意見につきましては、十分耳を傾けて今後の参考にいたしてまいりたい、こう考えております。
○稲葉委員 自民党の運営という問題について三木さんからお話があったということは、単に党内だけの問題ではなくて、今後の日本の政治全体の大きな問題だというふうに私は思うわけです。いま総理は、そこのところを非常に抽象して話されたわけですね。 だけれども、私は、新聞をそのままあれするわけじゃありませんが、その後の、新聞記者が鈴木さんのところへ行ったときのあれなんかを見ておりましたときに、三木さんからは、自民党は田中角榮君に支配されている姿が出ている。田中元首相は個々の政策や政権の命運、衆院の解散予定などについて公言してはばからない。首相は党の総裁として党を健全な姿に変える努力が必要だ。それができないなら、私も自民党と日本の民主政治のために闘わなければならない、これは六月二十日の朝日の社説ですけれども、要約するとこういうようなお話があったというふうに承ってよろしいのでしょうか。そこをもう少し詳しく御説明を願いたい、こう思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 私は、いまの御質問に対して二つに分けて御答弁をしたつもりでございます。 一つは、政治倫理の確立を図ることは、日本の議会制民主政治を守っていく、健全に発展をさせていくゆえんである、これが非常に大事だということを三木さんから強調されたということを第一点申し上げました。あとは、党運営についていろいろ三木さんの見方について私にお話がございました。 私は、党の長老としての三木先生の御意見につきましては、党総裁として十分耳を傾け拝聴して今後の参考にしてまいりたい、こう思っております。
○稲葉委員 総理は、いまの話を二つに分けられていますけれども、これは一体なものではないでしょうか。議会制民主主義を守り、政治倫理を守るということに関連して党の運営ということがあるのだ、そういう形で三木さんはあなたに、私がいま読み上げたようなことを言われたのではないでしょうか、要約しますと。それに対してあなたはお答えにならないのですね。これは党の運営のことだから、そんなことは答える必要はないとおっしゃるなら、そういう答えをしてください。それも一つの答えの仕方だ、私はこう思うのです。だから、あなたは、三木さんから言われたことはどういうことだということを私どもは、国民はみんな聞きたがっているわけですよね、それを意識して避けておられる、こういうふうに私にはとれるのですよ。だから、そう別に遠慮をすることはないから、三木さんからこういうふうに言われたのならこういうふうに言われたのだと。だけれども、あなたはそれは違うと言うのでしょう。そんなことはないと言うのでしょう。ないならないの後の話で、三木さんから言われたことはどういうことかということを聞いているのですよ。それは党の運営であり、同時に議会制民主主義の問題、政治倫理の問題等も絡まった問題じゃないでしょうか。そこら辺はもう少しフランクに話してくださっていいのじゃないでしょうか。私は決してそのことについてかれこれ、落とし穴を設けて何かするとか、そういうふうなあれじゃありませんから、それは大丈夫ですから話してくださいよ。(「危ないからね」と呼ぶ者あり)
○鈴木内閣総理大臣 いや、危ないという声がありますが、私は稲葉さんに対しては、そんな警戒も何にもしていない、きわめてフランクに話をしております。 大事な点は、わが国の議会政治の確立の問題、政治倫理の確立の問題、これは三木さんが多年政界の大長老として主張してこられたことであり、非常に高い立場でおっしゃっておりますし、私はこれに対しては身を粛然として御意見を拝聴したわけでございます。あとは党内の、現在こうなっておるんじゃないかとか、こういう運営がなされておるんじゃないかとか、そういうことはこれは三木さんの見方もございますし、現実等、私がやっていることとは違う面もございます。そういう点を稲葉さんに一々申し上げる必要はない。 それからまた、私と三木さんのやりとりがそのまま新聞に出ておるわけでもございません。私が帰ってきてから新聞記者会見等でお話しになったのも出ているかもしれません。そういう点は、これは自由民主党の総裁として私が十分党長老の御意見を拝聴し、参考にして今後の党の運営に生かしていきたい、こういうことでございますから、御了承を賜りたい、こう思います。
○稲葉委員 私は了承できないのですよ。三木さんが言われたことがあなた自身の痛いところをつかれているということ、そういう認識があるものだから、それをここで言うと非常にぐあいが悪いということを考えて党内の運営の問題というふうにすりかえておられるのだけれども、三木さん自身は議会制民主主義を守るために、抽象論を言われたわけじゃないでしょう。あなたは党の運営という形で分離してしまってそれは答えようとしないわけですよ。答えたらえらいことになると思っている。波及する効果が大きいというふうに考えているからあなたは答えないわけですよ。 僕は、それはちょっといただけないですな。もっとフランクにお答え願いたい、こう思うのですが、あなたはなかなか答えない。答えると党内でいろいろぐあいが悪いこともあるのかもわかりませんね、これは。そうでしょう。私は、あなたがもっとそこのところをフランクに答えてくれると思っていた。そしたら、それに関連していろいろ聞こうと思っていたんですよ。答えないものね。答えないものを答えろと言ってもしようがない。だから、なぜあなたが答えないかということは、聞いている皆さん方が判断していただけばいい、それ以外にないわけですね。抽象論を言っているわけではないですよ。具体的な事実について三木さんは言っているわけですから。しかし、それはいまここで論議してもあなたは答えないわけですから、無理に答えさせるわけにはいかぬでしょう。これはしようがない。 そこで、私は具体的なロッキードのこれに関連して聞いていきますから、ずっと聞いておっていただきたい、こう思うのです。 まず、法務省にお尋ねをいたしたいこと、関係ですね。これはどういうことかといいますと、橋本さんと佐藤さんに対する判決が出て、その前に検事の論告があったわけですね。それから弁論があって判決、こういうふうになるわけですが、この論告の中に、「伊藤は、官房長官公邸において二階堂に対し現金五〇〇万円入りの包みを手交した」、こういうのが論告要旨の百四十六ページにあるのですが、起訴もしていない二階堂さんについてこういうようなことを一体どういう理由から書くのか、ちょっとここら辺のところを法務省当局から説明を願いたい、私はこう思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は前にも申したことがあると思いますけれども、稲葉委員は専門家でありますから詳しく申し上げませんけれども、この事案は、御案内のとおり、三十ユニット、合計三千万円の金が、もとは一つでございまして、それが七人の方に配分されたという形の事案一でございます。それが二つといいますか三つに分かれておるわけで、伊藤宏証人が担当した部分と副島勲証人が担当した部分とそれから二人が一緒に行った部分と、こう大きく分ければ二つというか三つといいますか、そういうことになるわけでございまして、そのことがもともとの共謀といいますか、相談といいますか、そういうことに基づいて行われた、こういうことでございます。したがいまして、まあよく言うことでございますが、その関係は密接不可分というか一体不可分というか、言葉は適当かどうかわかりませんけれども、そういう関係にあるということで主張もし立証もしてきたわけでございまして、その立証の総まとめが論告と、こういうことになるわけでございますから、その立証のまとめを論告で要約する。そのことは判決の例の信用性の問題とも関連するわけでございますけれども、そういう事実、つまり起訴されている方々に対する事実認定との関係でそういうことがいわば間接的な意味を持つということになるわけでございまして、そういう観点から立証上必要だ、また立証の必要上やったことをまとめた、こういうことになるわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、ここに伊藤宏証人の五十三年四月三日の証言が引用してありますね。それから、伊藤の検事調書もここに引用してあるわけですね。これはどうしてこの二つを引用したわけですか。一つだけでも足りるのではないかと思うのですが、どうして二つ引用したわけですか。
○前田(宏)政府委員 恐らく稲葉委員のおっしゃいますことは、論告の該当部分の締めくくりのところに括弧して伊藤証言と伊藤の検事調書の表示がある、そこを指しておられるのだろうと思いますが、それはそのくだりの全般についてのことでございまして、その前の三行くらいだけのものではないわけでございまして、その前からの一項目のことに関してのことでございます。 そこで、伊藤氏の公判廷における証言、これで大体のことは立証されておるわけでございますけれども、その一部におきまして、やや具体的に申しますと、橋本氏に対する供与状況における言動、これの点につきまして検事調書と若干相反する証言をしたということで、そういうことからその部分だけがいわば三百二十一条による証拠ということで提出をされ、証拠調べをされた、そういうことでございますから、両方が相まってといいますか、一体となってその部分の証拠となる、こういう理解でございます。
○稲葉委員 伊藤宏証人の証言というのは五百万円の授受が行われたということは認めておる。ただ、その趣旨についていささかはっきりしない点があったからということで、三百二十一条一項二号ですか、この形で検事調書が出されてきた、こういうことでしょう。
○前田(宏)政府委員 先ほどもそういう趣旨でお答えしたつもりでございます。
○稲葉委員 そうすると、この判決の要旨がありますが、要旨の「第三 被告人両名関係」、特に金銭の授受のようなところで、「被告人橋本のほか、自己が金員の配付方を分担した二階堂についても、その交付状況等を具体的に供述していること」、こういうのが出ておる。このことは出ていますから間違いがない。じゃ、具体的な供述というのはどういうことかというと、私から一応説明をいたしますと、こういうことではないでしょうか。 その法廷において最初伊藤宏は、何といいますか、証言をしたくないようなことを言ったわけですね。そうしたら、当時の金裁判長が諭して、司法の権威において真実を追求しなければいかぬ、こういうようなことで供述をしてくれということから始まってきた、小林検事が尋問に立ってきた、こういうふうな経過があるわけですね。 そういう中で出てまいりましたことは、その橋本氏に対して金を渡したといわれる茂木秘書のまず名刺ですね。名刺は捜査の中で出てきたのだと思いますが、その茂木秘書の写真を示す前に、茂木秘書というのはどういう人かということを聞いておる。そうすると、小太りで四十歳ぐらいの人だということを答えておる。検事が写真を示すと、この人のうちどの人かと言ったら、一番右の人だということを言ってそこから始まってくる、こういうことですわな。 二階堂さんについては、これはまたここで、起訴されていない人だから言いたくないということを言った。そうしたのだけれども、結局言うようになってきた。そういう中で出てまいりましたのは、アポイントメントをとって、松岡克浩というのかな、その運転手の車で橋本さんのところへ行って、それから官房長官の公邸ですかへ行った。坂の下のところをずっと行ったとかなんとか言っておりますけれども、そこへ行って会ったときにその最初の話というのは、二階堂さんが出身だからということで鹿児島の埋立地の話をしましたな。埋立地があって、そこを何かして、丸紅の糧穀というのですかな、そのセンターみたいなものにした、そこで鹿児島県の知事から表彰を受けた、こういうふうなことを述べて、それから五百万円を渡した、こういうように伊藤宏は公判廷において供述をしておる。大体そうだったと思いますね。 そういうふうなことで、伊藤の二階堂さんに対しての交付状況等を具体的に供述しておるということがこの判決の要旨の中に出ておる、こういうふうに私は理解するのですが、それはどうですか。
○前田(宏)政府委員 ただいま伊藤宏証人の証言の内容につきまして稲葉委員から、御説明というとどうかと思いますが、御引用的なお話があったわけでございますが、そのことは当時新聞報道等にも詳細に報道されたところでございまして、まあ細かい言葉の端々まではどうかと思いますが、大筋においてはただいまのような証言がなされたということは事実でございます。
○稲葉委員 私、二階堂さんという方は存じません。話したこともございません。この前初めて、衆議院の法務委員会へ出てこられまして二階堂さんが質問した。私も理事をやっておったものですからそこにおったわけですが、これは五十二年五月二十四日の衆議院の法務委員会。いろいろなことを言われて、これは質問というよりも演説でしたが、演説をされたわけですね。質問ですか、それはそれでいいのですが、そういうふうな中で二階堂さんは、自分はもらっていないということを言われておる。天地神明に誓ってもらっていないということを言っておりながら、民事訴訟を起こしたわけですね。一億円のうちの一千万円ということで伊藤宏を相手に訴訟を起こした。何にもしない。ただ新聞の切り抜きだけ証拠に出しておいて、二回か三回休止になって取り下げてしまった、こういうような状況になっておるのです。 そこで、それはそれとして総理にお伺いをいたしたいのは、総理、あなたが二階堂さんを幹事長に起用されたわけでしょう。そういうわけでしょう。田中さんが二階堂さんを幹事長にしたわけではないでしょう。そうでしょう。それはまたあなた逃げるわけだ。いや、それは党内の問題だ、党の運営の問題だからここでお答えする理由はないというふうに言われるかもわからぬけれども、私が政治倫理の問題として聞くのは、あなたは二階堂さんの五百万円の問題が出ていたということをまず知っておられたのか、知っておられなかったのか、任命するときに。それをまず先にお聞かせ願いたいと思います。これは答えられるでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 その問題につきましては、今度の橋本、稲葉……(発言する者あり)橋本それから佐藤両氏に対するところの判決ですね、それに関連して三十ユニットの問題として触れておるということを私、あの判決によって承知をしたということでございます。その前の段階におきましては一方の検察の方の問題としてそういう問題が指摘をされておった、こういうことでございますが、最終的にはやはり裁判によって両方の意見を十分聴取をし、資料その他にも基づいてああいう裁判の判決が出た、こういうことで……(稲葉委員「二階堂さんは裁判になってないのですよ」と呼ぶ)いやいや、そのいまの稲葉さんと言ったのは間違いでありますが、佐藤君と橋本君の裁判に、判決に関連してそういうことを裁判所が出した、こういうことでございます。 それはそれとして、私は、この自由民主党の党三役、幹事長とかあるいは政調会長とかその他の役員の選挙につきましては、党内の世論、またその指導力、また党全体の役員の配置、仕事の性質等々を総合的に勘案をしまして判断するわけでございまして、これは党の総務会等にお諮りをして、そして総務会の承認を経て任命をされる、こういう仕組みに相なっておるわけでございまして、その点は御説明を申し上げておきます。
○稲葉委員 いや、私の聞いていることに答えていただきたいのですよ。あなたのところは岩手県でしょう。もう新幹線が走るようになったんだからもう少し早く答えてくださいよ。よけいなことばかり言っているが、違うのですよ。 私の聞いているのはそんな手続じゃなくて、二階堂さんを幹事長にしたのはあなたが責任を持ってしたわけでしょう。田中さんがしたわけではないからあなたがしたのでしょう、それはあたりまえの話。そのときに、二階堂さんが五百万円をもらったとかもらわないとかという話をあなたは知っていたのですか、こう聞いているのですよ。知っていたなら知っていたと、知らないなら知らないと答えてくださいよ。
○鈴木内閣総理大臣 新幹線的に答えます。 もらっておったとかもらっていなかったとかいう議論があったことは承知しています。
○稲葉委員 そうすると、もしそれが、そういうことを知っていてあなたはあえて二階堂さんを幹事長に起用したと——ちょっと待って、余り焦らないで。まだ質問が終わらないんだもの。そう焦ると、あなたがいかにも弱点があるように見えていけないですよ。それはそうだけれども、いや、だから私が聞いているのは、あなた知っていたと言うのでしょう。知っていてあえて——じゃ、あえてという言葉をつける。あえてあなたは二階堂さんを幹事長に起用したということですね、これはだれが見てもね。あえてじゃないの。これはあえてになるよ。 それが一つと、あなたは裁判の中で二階堂さんが出てくると言うけれども、二階堂さんは裁判をやっているのじゃないですよ。二階堂さんがシロだとかクロだとかなんとかかんとかいうことは、この裁判の中で出てきませんよ。あたりまえの話ですよ、そういうことは。ちょっとそれはあなたの認識が違います。失礼な話だけれども、ちょっと違いますよ。 だから、私の聞いているのは、もし二階堂さんが五百万円もらったということが何らかの機会に明らかになる、どういう形で明らかになるかは別として明らかになったときに、二階堂さんを幹事長にした政治責任というか政治倫理の問題について、国民の間に大きな不信感を起こしたということについて、あなた自身は一体どういう責任をとられるのですか。いや、そんなことはおれは知らない、こうおっしゃるのですか。そんなことは知らないというなら知らないと答えてもいいのですよ。どっちなのかはっきりお聞かせ願いたいということなんです。わかりますか、私の言うことが。
○鈴木内閣総理大臣 御承知のように、もらったとかもらわないとかいう議論がございました。そういう中で二階堂氏の幹事長就任ということが党の手続を経て決まったわけでございますが、私が裁判のことに触れたことは、今度の橋本、佐藤両氏の裁判の判決の中で、三十ユニットの配分に当たってそれが触れられておる、こういう意味で申し上げたのでございます。
○稲葉委員 裁判の中で触れられたというのはそれはそのとおりですね。そこはまた理解の仕方がなかなかむずかしいですよ。あなたのようにそういうふうに簡単に言われると、これはいろいろな問題が起きてきますね。 それはそれとして、あなたが二階堂さんを幹事長に任命するときには、二階堂さんが五百万円をもらったかもらわないかということで議論があったことは知っていた、それはわかりました。第一段階はわかった。 その次に出てくるのは、そのことに関連をしてあなたの部下である法務省は、国会に対して二階堂さんは五百万円もらったのだ、だけれども官房長官としての職務権限はなかったのだということの報告をすでにしておったのじゃないですか。あなたの部下ですよ。 いいですか。そのことを知っていてあなたは任命されたのですから、裁判とは違うのじゃないですか。裁判は、二階堂さんの裁判があったというなら、二階堂さんが起訴されてそれで裁判やったというなら直接の関係はありますけれども、それはそうじゃないのですから。その前に政府がちゃんと責任を持って、秘密会かどうかは別として、秘密会であっても二階堂さんが五百万円もらったということを報告しているじゃないですか。中間報告には名前は出てないとしても報告しているのじゃないですか。だから、そのことがもうすでにあって、わかっていて、あえてという言葉を僕は使うけれども、あえてあなたは二階堂さんを幹事長に選んで国民の世論というか政治倫理に挑戦をしたのだ、こういうふうにだれでもとるのがあたりまえじゃないですか。どうですか。そうとりませんか。私はそうとりますよ。 そこで、二階堂さんが、どういうふうにしたら一体もらったかもらわないかわかるのですか。まず、検察庁はそういうふうに認定しているけれども、これは不起訴にしちゃったからあれでしょう。民事裁判はやったけれども、全然進みもしないで取り下げちゃったでしょう。ほかに方法は何があるか。方法は二つあります。ひとつこういうことをお聞きしましょうか。 政治倫理というものは元来政党が自浄作用、みずから清める作用といいますね、自浄作用というものを中心として理解をすべきだというのが私の理解です。このことはあたりまえだと思いますよ。それじゃ、あなたの党が灰色高官についての公表基準案というものをつくっているわけですね。これは御存じですか。どういう経過でこれはできてどうなったのですか。いまでもあるのですか。生きているのですか、生きていないのですか。あなたの党がつくったのですから、どうなのです。一番大事なことですよ。そこで自分の公表基準案、確かに議論があったのです。ロッキードの特別委員会か何か、あなたの方のやつですよ、濱野清吾さんがあれの。それでやって瀬戸山さんも新聞記者会見しているのです、瀬戸山さんも。やっているわけでしょう。それが総務会でもめたわけですよ。 余り内部のことに立ち入って悪いですけれどもね。五十一年九月六日にできてそれが九月八日の総務会でもめた。反三木勢力か何かがわあわあ騒いだとかなんとか出てましたけれども、それはそれとしてまとまったのでしょう。 それでどういうことがまとまって、それに基づいてあなたの党としてはどういう自浄作用をやったのか、これをひとつ御説明願いたいと、こう思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 自由民主党におきましては、いま御指摘のようなことにつきまして党内でもいろいろ真剣な意見を交換し討議をいたしました。党員は再びこのような世間の指弾を受けるような事件が発生をしてはいけない、党員からはそういう党の自粛自戒をすべきであるという声が非常に高まってまいったわけでございます。そういうようなことを踏まえまして、一昨年の党大会におきましても党の倫理綱領というものを全党的にこれを決定をいたしまして、そして自粛自戒を党員が心を一にして努力をしておる、こういうのでございます。私は、問題は今後このようなことが二度と繰り返されてはいけない、そういう気持ちで党の指導と運営に当たっておるところでございます。
○稲葉委員 私は政治倫理の問題で質問しているわけですよ。あなたの方でこのロッキード事件に関連して、ロッキードの関係の政治倫理の問題ですからね、公表基準案というものをつくったでしょう。あなたは内容を御存じないようですね、失礼だけれども。私の質問に答えないのだから御存じないわけでしょう。顔色変えないで。うんともすんとも言わないけれども——それは失礼、いまのはちょっと失礼。おかしいですね。いまのあなたが言われた倫理綱領というものをつくられた。なるほど、じゃ倫理綱領というのは具体的にどういうことが書いてあるのですか。(「党のことだ」と呼ぶ者あり一党のことじゃないよ。これは政治倫理の大きな問題だもの、党のことじゃないよ。
○鈴木内閣総理大臣 そういう資料が必要であれば、ただいまから取り寄せましてそれを説明をいたします。
○稲葉委員 いや、私はその資料をくれと言っているんじゃないですよ。あなたが総理大臣として、政治倫理というものは自浄作用が第一の問題ではないですか。あたりまえの話じゃないですか、政党として。(「アメリカを見てみろ」と呼ぶ者あり)いまアメリカを見てみろと言うけれども、アメリカは政府倫理法をつくっているんですよ。やかましいですよ。百ドルをもらっても首なんです、アメリカの議員は。アレンなんかそうでしょう。非常に厳しい法律をつくっていまやっている。あなたの方が公表基準案をつくっているんですよ、ちゃんと総務会を経て。その内容もあなた御存じないじゃないですか。 一体、倫理綱領、倫理綱領と言うから、前にも言われた、きのうかおとといも言われた、あなたはその内容をある程度わかっていなければおかしいじゃないですか。私の言うのは無理ですか。(「無理じゃない」と呼ぶ者あり)無理じゃないでしょう。無理じゃないと言うのだから無理じゃないですよ。ただ、私も反省するのは、ちょっと意地が悪かったですよ。意地が悪くてそこまでの内容をあなたの方には通じていなかった。政治倫理の問題ということでお話ししていた。だから、いいですよ、そんなものを読まなくったって。あなたがそういうことをわかっているか、わかっていないかを私は聞いたんだ。そんな詳しいことはわからなくたって、総理・総裁としてある程度のことはわかっていなければいけないじゃないですか。だから、公表基準案というのは一体何なんです。 公表基準案というのはこういうことでしょう、あなたの方のあれでつくったのは。一つは、犯罪成立だが時効で不起訴になった者、二は、軽微または情状で不起訴になった者、三は、金品を受け取ったが職務権限外の者、こういうふうな者について公表基準案を決めているじゃないですか、総務会を経て。それならば、この基準案の第三に基づいて二階堂さんがこれに当たるか当たらないかということを、一応法務当局ではこれに当たるというふうに見ているわけですから、それならばあなたの方として、自浄作用として当然二階堂さんなりだれなりを呼んで詳しく自分の方で調べて、結果としてこうなったんだと言うのが政治倫理の筋ではないですか。あたりまえの話じゃないですか。それを何もしないでただ国会でやる。国会でやることも、後で話をするけれども、これまたなかなかいろいろある。 そういうようなことは、私はおかしいと思う。政治というのは自浄作用ですよ。自浄作用を第一段階として考えなければいけない、私はこういうふうに思っているのです。その内容、そんなことはわかりきっている。あなたがどの程度それを知っておられるかということを私は聞いたわけです。知らないんですから。ということは、政治倫理に対しての自浄作用というものに対してほとんどと言っていいくらい無感覚だ。それだけでも無感覚だと言うし、熱心さが足りない、熱意が足りないということを皆さん方がお感じになったのじゃないかと私は思うのです。 私が勝手にしゃべっていてあなたに答弁させないというのも、これも民主主義に反するからあなたの方から御答弁願うのはいいのですが、どうもそういう点足りないですよ、あなたの方が。できないんですよ、あなたの方で。できない理由があるのです。なぜ理由がある。それはあなた、失礼だけれども、田中派の力をかりなければ鈴木総裁、鈴木総理大臣というものは今後もたないんじゃないですか。そういうことじゃないですか、ざっぱな話をすると。(「内政干渉だ」と呼ぶ者あり)内政干渉じゃなくて、だから、二階堂さんの問題についてはあなたの方としては余り触れてもらいたくない、ほおかぶりしよう、ほおかぶりしようとは言わぬだろうけれども、とにかくそれができないようにできないようにしよう、こういうことじゃないですか、それ。あなたとしては二階堂さんがこの上申書を出しておられるのを御存じでしょう。いいですか。上申書については、「国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると思います。犯罪の疑いありとして起訴された者は、法廷において十分反論反証の機会が与えられています。」確かにそのとおりなんです。だから、国会に出てきて、その二階堂さんが堂々と自分の所信を述べて、必要な資料を出すなら出して、そして伊藤氏と対決したらいいじゃないですか。そういうことをやることが政治倫理の一番大きな問題だ、私はこう思うのですよ。 まず、自浄作用の問題、そして二階堂さんの国会での喚問の問題、そのことについてあなたはどういうふうにお考えになっているか。このこと自身は、私、二階堂さんの人権を守るためにも必要だと思うのですよ、上申書でそう言っているのだから。守るためにも必要だ、私はこう思うのです。二階堂さんだってやりきれないですよ、言われっ放しで。言われっ放しでやられてはかなわないでしょう。あなたの方でやるならいいがやらないようだから、国会の場に出てきて対決してやる以外にないじゃないですか。どういうふうにお考えですか。
○鈴木内閣総理大臣 自由民主党の政治倫理に対する自浄作用について触れられました。倫理憲章であるとかそういう問題についても触れられました。あなたは非常に微細にわたって、条文に一々目を通して御質問をなさっておりますから、そういう点に漏れるところがあるとすぐ私もまた追及を受けるということもございますので、大筋を申し上げておくわけでございますが、ここに党の倫理憲章その他規程がございます。これは時間を省略いたしますが、こういうものまでつくって、自由民主党としてはあなたのおっしゃるいわゆる自浄作用というものについて党員が努力をしておるということをここではっきり申し上げておきたいと思います。 それから、もう一点、二階堂氏がこの上申書を議長に提出をしておる、それを国会の場で明らかにするという機会を与えるべきではないか、また、与えることが人権を尊重するという立場からいって必要である、全く同感でございます。そういうようなことで、幸いにして当委員会の理事会におきましても、この国会中にそういう証人の喚問ができるようにひとつこれの促進を図ろうではないかということで各党の理事の話し合いがなされて、これがいま議長の諮問機関の議会制度協議会において取り上げられ、そして、この国会中にその証言ができるように、こういうことで前向きで各党が努力をしておるというのが現状でございます。
○稲葉委員 そうすると、あなたの決意は、総理として今国会中に、二階堂氏の人権を守るためにも、この上申書にあるとおり、「国会の責任において事実の確認の手続をとる必要がある」、こう言っておるのですから、そういう手続がとられることを強く希望する、こういうふうに承ってよろしいですか。
○鈴木内閣総理大臣 二十五日までに自民党の案をまとめたものを協議会に提出をする、こういうお約束にもなっておりまして、きょうがその日でございます。そこで、今朝も私は党のそれぞれの責任の衝に当たっておる諸君に、電話をもって進行状況並びにきょうじゅうにその党の案を提出するように強く指示をいたしておるところでございます。したがって、ぜひこの協議会におきまして各党の御意見が一致をされて、そして、この国会中に証言がなされるように強く希望をいたしております。
○稲葉委員 そのほかにもいろいろこれに関連して聞きたいのですけれども、それじゃ別に一つ、いま加藤六月さんが盛んに証人に出たいというふうなことを言っておられるわけですね。これはどういう意味で言っておられるのか。これはだれに聞いたらいいかな。これは安倍さんがいいかな。あなたが一番いいのじゃないかな。 加藤六月さんが証人に出たいというふうなことを言っておられる。これは本当に出たいという意味ですか、あるいは芝居でそういうことを言っているのですか。一体どういう意味で言っているのですか。本当に出たいというなら出すような手続をあなたも閣内においてずっと進めていただきたい、こう思うのです、国会の中においても働きかけて。どうでしょうか、安倍さん、国務大臣として。
○安倍国務大臣 私から答弁をいたしますのはちょっと筋違いではないかと思いますが、きのうも楢崎委員から御質問がありましたのでお答えをしたわけですが、私は加藤君の友人ということでお答えをさせていただきますけれども、加藤君が判決の後の記者会見で、どんな場所でもいいから無条件で出たい、出て潔白を証明をしたい、証言をしたい、こういうことを言ったわけであります。そして、その後ずっと彼は言い続けておるわけでございますので、私も友人として、彼のそうした心情、切望を何とかかなえるような場を設けていただきたい、そういうことを期待をいたしております。 これに関連をして、いま総理もお答えになりましたが、党内においていろいろと相談をしていただいておる、こういうことでございますので、その結果を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○稲葉委員 いまの総理なり、まあ安倍さんに聞くのはちょっとあれかもわかりませんが、あれとして、そこで、ちょっと別なことをお尋ねをしたいのです。 よくわからないといいますか、官房長官、官房長官所管だと思うのですが、内閣所管、内閣官房の中に報償費というのがあるのですね。十四億五千八百十六万四千円かな。これは前の年と同じですね。これは官房長官の方の関係が十二億二千二百万、内調関係が二億三千幾ら、こう二つに分かれるわけですね。内調の関係は別として、官房長官が持っておるというか何というか、この十二億幾らの金というのはどういう性質の金なのですか、どういうふうに使われているのですか。
○宮澤国務大臣 ただいまおっしゃいました金額、そのとおりの金額が報償費として五十五年、五十六年、五十七年度同額でございますが、計上されております。その予算、報償費のところに説明がございますけれども、その意味は、報償費は、国が国の仕事を円滑に推進するために、状況に応じて最も適当と考えられる方法で機動的に使用されるべき経費でありまして、一国の総理として、広く内政、外交の円滑な推進を図る上において、これに関する協力、努力、功労に対し、あるいはそれらを促すため、望ましいと思われる場合において、状況に応じて支出される経費というふうに承知をいたしております。
○稲葉委員 その金がどういうふうに使われたかということは明らかにできるわけですか、できないのですか、どっちですか、細かく全部。いや、ことしのはまだ無理だろう。五十六年度なら五十六年度、全部明らかになるのですか、ならないのですか、どうなのですか。これは会計検査院は簡易検査ですね。
○宮澤国務大臣 経理につきましては会計検査院の検査を受けております。ただ、報償費はきわめて高度の機密を保持しながら経理する必要がございます経費でございますので、内訳については申し上げかねます。しかしながら、会計検査院の検査を受けております。
○稲葉委員 官房長官、あなた、そういうふうに言われるけれども、会計検査院の検査というのはいろいろ方法がありますね。これはいわゆる俗に言う簡易検査ですね。これは御案内のとおりでしょう。 そうすると、この内容は明らかにされないわけですね。何に使ってもいいわけですね、高度の機密と言うから。これはよくわからぬけれども、伝えられるところによると、いろいろな議員に対する俗に言うせんべつであるとか、あるいは盆暮れの何とかかんとか、ああだとかこうだとかいろいろな形の金にこの金は使われていることもあり得るのですか。それが高度の機密の中に入るのですか。一体どうなんですか、それは。それはまた別なんですか。どうもそれがよくわからないのです。それはどうなっているんですか。
○宮澤国務大臣 報償費の目的と使途につきましては先ほどお答えをいたしました。それが適正に支出されておるかおらないかということはモラルの問題でございます。適正に支出されておると考えております。
○稲葉委員 よくわからないな。だから、私は会計検査院の検査の方法をまず聞いているんです、会計検査院呼んでなかったけれども。これは簡易検査ですね。もらった方の受取は要らないものでしょう、これは。何に使われているかわからない。党内のいろいろな運用の費用とか、党内と言うと差しさわりがあるかもわからぬけれども、議員のいろいろな運用の費用、派閥の運用にも関係するかもわからぬけれども、そういうような費用にも使われておる。それも高度の機密の中に入ってくるんじゃないですか。やましいところがないなら明らかにしてくださいよ。高度の機密って一体どんなことなんですか。やましいところがないなら明らかにしてください。会計検査院の検査を受けていると言ったって普通の検査じゃないですよ。俗に言う簡易検査というのです。受取なんか要らないんだ。自分で受取を書けばいいんだから、やった方が書けばいいんだから。そういう検査の仕方じゃないですか。やましいところがないと言うならば全部明らかにしてくださいよ、五十六年度のものを。何に使われているのかわかりゃしない、この金。おかしいですよ。答弁が宮澤さんらしくない。具体的にどういうふうに使われているんです。明らかにしてください。
○宮澤国務大臣 会計検査院の検査を受けておるわけでございますから、その検査の内容につきましては会計検査院よりお尋ねをいただきたいと思います。 なお、機密であるということはそれ自身の目的があるのでありまして、やましい、やましくないに関係ありません。
○稲葉委員 やましい、やましくないに関係ないということは、やましいこともあり得るということですね、あなたのお話だと。そういうことに聞こえますよ。これは宮澤さんらしくないですね。私も言葉じりをとったような質問でちょっと私らしくないけれども。 いいですか。外遊に行く先生方が総理のところへうんと行きますね。僕はよく見ているんだ、あの小さな欄を。だれが行ったかよくわかる。この次大臣になりたいというような人はよく行っているわ、名前は言わぬけれども。それで、帰りに官房長官のところへ寄ってせんべつや何かもらってくるんじゃないですか。その金もこの中に入っている。否定はしないでしょう、あなた。それも高度の機密、どうですか、宮澤さん。
○宮澤国務大臣 使途につきましては機密にいたしておるということは先刻申し上げたとおりでございます。
○稲葉委員 だから、私の言うことは否定はしないですね。積極的な否定はしないですね。宮澤さん、どうですか。
○宮澤国務大臣 機密でございますから、内容については申し上げません。
○稲葉委員 そうすると、秘密であって内容について申し上げられないというものは、今度の予算書の中で一体どこにどのくらいあるのですか。これはちょっときょう質問通告していないからいますぐとはいかぬ。大蔵大臣、あなたにいまここで聞いてもあれだから、それは悪いから聞かない。聞かないけれども、どこにどういう金があるかですね。これはいろんな方面にあるのですよ。だから、僕は宮澤さんの言うのを聞いていると、この金が、私が言う党内のいわゆる議員操縦というか、操縦という言葉は悪いけれども、いろんな形の中に使われていると考えざるを得ない。あなたはそれは否定しない、そういうわけでしょう。あなたがそれをもし否定するとなると、次の質問が今度は出てくるでしょう。そうすると、だんだん壊れていって、内容がだんだんわかってきちゃうから、あなたとしても答えられないということになると思うのです。それはわかりますけれども、どうもこれは私にはわからぬ。この金が党の中の、たとえば自分の派閥を伸ばすための資金として使われているのじゃないのですか。そういう点についてもあなたは機密だから申し上げられない、こういう答えですか、どうでしょうか。派閥という言葉を使うと悪いかもわからぬ。村というのか何とか会というのか知らぬけれども、それも答えられないということでしょうか。まあそうでしょうね。(「稲葉さん、そんな質問して、困っているんじゃないの」と呼ぶ者あり)いや、僕の方は関係ない。それはわかっている。新聞の小さいところを見たってわかる。総理大臣のところへ行っては帰りに寄っていくのですよね。これは本当に興味深いですよ。小さい行事の欄があるでしょう。どの代議士が訪ねていったというのを僕はいつも見ているのですよ。本当におもしろい。これを見ていて、この次大臣になりたいという人がずいぶん行っている。これはよけいな話ね。(「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)まじめにやっているのです。 そこで、質問に移りますが、今度はローカルな政治倫理の問題。いま私は政治倫理の問題の一つとして官房の報償費ということについても取り上げたつもりです。答えない。答えないからおかしくなってくるのですけれども、私、ローカルな問題として質問しますと、たとえば私のところの県に鳥山という町がある。これは僕と渡辺氏は県会議員から一緒ですから、それで同じ選挙区なんでよく知っておりますが、そのときの県会議員が町長になった。そして、そこである中学、境中学というのですが、そこの建設工事の指名委員会というものをつくった。これは五月二十五日につくって大手二十社を入れた。ところが、五月二十九日になって町長が単独で三つの会社を入れてしまった。そうして、五月三十一日になったらまた二つの会社を入れた、こういうこと。これは単独ですよ。指名委員会に関係なく入れてしまった、こういうわけですよね。そうして、これは選挙のお礼なんですよ。選挙のお礼で土瀬建設というのですか、それがその仕事を三億五千万円で請け負った。これは来年の二月二十八日までにつくらなければならないのだから、大手でなければできないと言われていた。それをある業者たちは町長のうちまで行って、やらせよといってがんばってやらしている。そういう関係でいまもめているわけですが、これは私、一つのローカルな例として言っているわけですよ。自民党系の首長ができたときに、その選挙のお礼として建設工事や何かを請け負わせる、こういうようなことがある、一つの例として私は言っているのです。 この間のことについて自治省の方で調べていると思いますから、自治省の方で内容の説明を願って、どういう点が問題で今後どういうふうに行政指導をしていくのか、そういうことについてお答えを願いたい。これは二十社を指名委員会をつくってやったのですよ。全然別のものをつくって、そして、そこで一発でその地元の業者に入札させているのですよ。その間の経過や何かを含めて自治省としてはどういう態度、どういう行政指導をとるのか、それをひとつ説明願いたいと思います。
○砂子田政府委員 ただいま栃木県の烏山町に係ります中学校の建設問題の御質問がございました。 お話しのとおり、鳥山町の境中学校、これの改築工事を行いますために指名競争入札を行うことになっておりまして、これに参加します指名業者を二十社ほど、庁内にあります課長でつくっております選考委員会で選定をいたしました。いまお話がございましたように、この学校の工事の規模は大変大きいということもございまして、烏山町の町外の大手業者を指名するということがこの選考委員会で決定をされております。その後町長の指示によりまして、地元の業者育成ということのために五業者を指名いたしました。それはお話しのとおりでございます。入札の結果、追加指名をした業者が落札をいたしております。町議会におきましては、この契約議案を提出いたしましたが、町長の行いました業者の指名追加について問題があるという質問が議員の中から出てまいりまして、議会で特別委員会を設置をいたしております。この特別委員会にこの議案を付託いたしますとともに、調査をすることを議会で決定をいたしております。町長は、この町議会におきまして中学校の建築を優先させるべきであるということで、この議案を議会にやはり諮っていただきたい、しかも詳細については特別委員会において説明をするという答弁をなしております。 現在、この特別委員会を中心に調査が行われて、おりますが、この調査のために町議会の会期を七月十日まで延長いたしてございます。 この契約の締結議案は、先ほど申し上げましたように、特別委員会の調査結果をもってさらに議会において検討することになっておりますが、私がこの委員会に参ります前に県からの報告を受けましたところによりますと、昨日、この特別委員会においてこの議案については否決をするということが出されたようであります。 この否決をされた理由というのは、県からの報告によりますと、全部指名の段階からやり直したらどうかということで否決になったと聞いております。したがいまして、二十八日にこの鳥山町の議会で本会議が開催されますが、そこで、ただいまの否決になりました案件につきまして委員長の報告がなされるというふうに聞いております。
○稲葉委員 私、なぜこういうことを取り上げるかというと、いまお話がありましたように、指名委員会というのをつくったわけですね。それはちゃんとした委員会をつくってやったのですよ。それでなくて、選挙でその事務長をやった人と特別関係のある土建会社ですよ。名前は言いませんけれども、ある県会議員がその町長の事務長をやったわけだ。それと特別関係のある土瀬建設というのが落札しているんだ。三億五千万円、一発で落札しているのですよ。 私は、これは一つのローカルな問題として取り上げるのですけれども、そういうようなことが選挙のお礼として各地で行われているように考えられるのですね。こんなことが一体あっていいことかどうかということを私は聞いているんですよ。非常に不明朗じゃないですか。だから、そのことについて自治省としてはどういうふうに指導するのか。事実経過はいま局長からのでわかったけれども、どういうふうに指導していくのかということを聞いているわけです。
○世耕国務大臣 地方公共団体の行う契約事務というのは公正でかつ適正でなければならない。そこで、地方自治法におきましてはいろんな規定を設けているところであります。また、議員が兼業をすることを禁止している規定がございます。これは地方議員の役割りがきわめて重要性を持っているというところから、議会運営の公正を保障し、事務執行の適正を確保するために設けられているところでございます。したがって、かかる諸制度があるということをよく趣旨を理解して、この衝に当たる人たちは住民の批判を招いたり信頼を失うことのないように、みずからを厳しく律する必要があるかと思います。われわれの方ではその線を強調いたしまして、各自治体を、都道府県を通じまして厳しく指導してまいる所存でございます。
○稲葉委員 いまのは一つのローカルな例として挙げたんですよ。これもちょっと極端なんですね。余りローカルな問題をここで大きく取り上げるのもあれですから、一つの例として言ったんです。町長が、ちゃんと指名委員会ができているのに別な人を、自宅へ押しかけられたので、その結果としてかどうか、別な人を単独で三社指名しているんですよ。そしてまた、あと二社。そのうちの一人が三億五千万円でやっているんでしょう。あの工事は来年の二月二十八日までにできなければいけない工事なんです。学生ですから、卒業するのだから、それに間に合うか間に合わないかわからないですよ。こういう小さななんと言っては悪いけれども、それはあれですが、問題がありますよ。いま自治大臣がそういうふうに言ったから、私もこれはしばらく推移を見守ります。本当にいかぬですね、こういうやり方は。私はそういうふうに考えますね。まだほかにもありますけれども、余りローカルな問題ばかり取り上げるのもどうかと思いますので、また別な機会に、これは地方行政なり何なりの中で取り上げるということにさせていただきたいというふうに思います。 そこで、まだいろいろ問題がありますが、一つ問題としてこれは法務省関係に——法務大臣、どこにいるのですか。あんな後ろの方にいるのですか。もっと前に出ていらっしゃいよ。これも問題なんですね。国籍法の改正の問題が長い間論議のもとになっているのは御案内のとおりですね。いま父系優先主義ですから、これを両系主義に改めよう、こういう動きが各団体等から、ことに婦人団体その他から起きていることは大臣も御案内のとおりですね。これは奥野先生がいらっしゃいますが、奥野先生、非常に熱心にやっていただいたものです。後で先生の答弁なども読まさせていただきますが。 そこで、今度それに関連をした東京高等裁判所第十五民事部で判決が出ました。これは六月二十三日の言い渡しで、新聞などに報道されたものですが、父が外国人、母は日本人ですが、その判決の中でいろいろなことが言われておるのですね。高裁の判決を読んでみますというと、「本件において、裁判所は、違憲立法審査権の行使の一結果としては、日本国民母の子は日本国民とする旨の規定を創造することはできないが、本件の場合はいわゆる法の欠缺の一場合と考え」られる、はっきりとここで指摘されていますね。それから、いま日本がとっておりまする「父系優先主義を採用することは、今日の社会的諸条件の下においては、必ずしも充分に合理的であるとは云い難い。」こういうふうにはっきり言っていますね。それから、最後のところで、「要するに、国籍付与制度自体の違憲性を論じ、合憲の国籍法を制定するのは、国会の権限でありかつ義務であって、」こういうことをはっきりこの高等裁判所の判決の中で指摘をされているわけですね。 このことから考えましても、当然過ぎるくらい当然に、国籍法のいまの父系優先主義を両系主義に改めるということを急いでやらなければならないというふうに指摘されておるのですから、当然過ぎるくらい当然だと私は思います。 五十六年の十月十四日の法務委員会ですが、ここで私がこの国籍法のことに関連をして質問をいたしておりますが、当時奥野さんが法務大臣であられたわけですが、これは奥野さんの御了解を得ませんけれども、これを読んでもいいですね。——読ませていただきますが、いろいろ質問がありまして、「だから、あなたとしては、大臣としては、部下を督励して必ず再来年の国会に出せるように十分努力するということの決意を述べていただければ結構です。
○奥野国務大臣 事務当局も私にそう答えてくれております。ぜひ再来年の国会には出せるように努力したいと思っております。」これは五十六年ですから、再来年の国会というと来年の国会になりますね。これには出せるように努力したいと思っておるということを言われておるわけです。 法務省の中では、民事局の五課長とそれから五課長から二課長に行った人と、これらが中心になり、法制審議会の中でこの国籍法の部会を設けて検討されておられるのはわかりますけれども、いま言ったような判決もあり、父母両系主義というものが世界的な一つの流れである、こういうことから考えても、当然過ぎるくらい当然に、もっと急いでこれを制定をしてもらいたい、こういうことを強く私どもは要望するわけですが、この点に関連しての法務大臣のお答えをいただきたい、かように存じます。
○坂田国務大臣 今回の判決は、先生御指摘のとおり、父系優先主義かあるいは父母両系主義か、立法政策上複数の選択肢が考えられる場合には、そのいずれを採用するかは立法府である国会にゆだねるべきである、裁判所がこれを選択決定するということは許されないとしております。結論におきまして私も同感でございます。 しかし、判決も指摘いたしておりますとおり、現行の国籍法の父系血統主義は、現在の社会情勢のもとにおきまして十分に合理的であるかどうか疑問であるとの意見があることは承知しております。すでに昨年十月に、法制審議会に国籍法の改正について諮問をいたしておりますし、審議会の答申を得まして改正案を国会に提出する方針は、今回の判決がございましても変わりません。今後、先生の御指摘のとおりに早期に改正法案を国会に提出できるよう、なお一層努力する考えでございます。 この点につきましては、奥野前法務大臣からのお話もございましたし、ただいま法制審議会国籍法部会は、先ほど申しましたように、昨年の十二月二十五日の第一回部会以来、もうすでに部会四回、小委員会三回の審議を重ね、今月二十九日にはさらに部会が開催される予定でございます。なるべく早い機会に答申を得まして、できるならば来年の国会に改正案を提出したい、ぜひそうしたいと考えております。
○稲葉委員 私、いまのあなたのおっしゃることはよくわかるのです、坂田さん。後にくっつくのがいけないんだね。できるならばというのが必ずくっつくんだよ。これがいけないんで、これを削除してください。わかりますか。必ず来年の国会に出すように努力する。できるならばというのは役人の書いたものでしょう。それをあなたは政治家として削除してください。いいですか。どうですか。
○坂田国務大臣 来年の国会に提出できるように最善の努力をいたします。
○稲葉委員 坂田さん、もう一つ問題があるのです。実はこれ私もちょっと新聞で見たのですが、行管からいろいろ何か調査があって指摘された中で、法務局の登記所、これが何かサービスが悪いとかなんとかというふうな話がありましたね。しかし、考えてみると、法務局の方の事件数というものは、甲、乙、あるいは商業登記ありますが、どんどんふえておる。そして、人員はふえてはおりますけれどもとてもそれに追いつかない。こういうようなことがあって、本来、不動産登記法のたてまえからいけば、謄抄本というのはその日のうちにすぐおりなければならぬことになっているのです、条文はね。しかし実際は、場所によってはそうじゃないわけです。 そういうようなことを考えると、その登記所関係の人員の増加といいますか、そういうことを中心として、現在の状況は一体どうなのか、どういうふうにしたら国民に十分なサービスができるようになるのか、こういうことについて法務大臣からのお答えをいただきたいと思います。
○坂田国務大臣 登記所の窓口におきます行政サービスの向上につきましては、これまであらゆる機会にその重要性を指摘し、職員に対する指導の徹底を図ってきたわけでございますが、先般、行政管理庁から御指摘のような低い評価を受けましたことは、まことに遺憾に考えておるわけでございまして、そのサービスの改善には全力をふるわなければならぬ、なお一層努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。 ところで、その閣議の席上でも、私は中曽根長官にもまたその他の閣僚にもお話し申し上げたわけですが、現在の登記所におきましては、昭和二十五年と現在とを比べてみますると、実に甲号案件につきましては三倍、それから乙号の件につきましては百九十五倍、しかるに人員はわずかに一・五倍しか実はないわけです。これは素直に計算いたしますと四千人ぐらい必要だ、こういうデータもあるくらいなんです。 そこで、今日、また一面、至上命令がございまして、行政改革をやらなければならぬ。しかし、果たしてこの人員で本当に行管から御指摘があるように、国民の方々に笑顔をもってサービスができるような状態に立ち至るかと申しますと、私、幾つかの法務局を見ました、先生もごらんになったと思うのですけれども、現在の状況ではとても笑顔で接するというような状況にない。パーキングもないし、まことに法務局それ自身狭隘でございまして、この点につきましては多少のやはり人員とお金とをちょうだいしなければ、この行管庁の御指摘にこたえられない。また、それに耐えてサービスに当たっておりまする職員というものは本当にかわいそうだというような実感を私は持っておる次第であります。
○稲葉委員 坂田さんは非常に温厚だけれども、しんの強い方ですから、しっかりがんばってもらいたいと思います。 そこで、国鉄総裁、お忙しい中をおいでいただきまして恐縮ですが、この前東北新幹線の話が総理との間で出たのですけれども、盛岡へ今度行くことになりましてあれなんですが、そこで私がお聞きしたいのはこういうことなんですよ。 いま大宮発でしょう。大宮発だから非常に不便なわけですね。そういう点はおわかり願えると思います。だから、いつごろから上野発なりあるいは東京駅発になるという計画なのかということが第一点。 それから、もう一つ大きな問題としておりますのは、騒音対策の問題です。騒音対策の問題でまた栃木県の衛生環境部でいろいろな調査をやって、七地点で測定して国鉄に防止の申し入れをしておる、こういうわけですけれども、これは計算のやり方がいろいろありまして、この県の測定がそのまま正しいかどうかちょっとあれですが、特に黒田原、あそこのところなんかは八十二・二というのが出ているのです。これは駅からのメーターのはかり方によって違うわけですけれども、いずれにしても、この騒音の問題について国鉄では、開業後三年以内は七十五ホンですか、五年以内は七十ホン、開業時は八十ホンですか、そういうような環境基準があるわけですね。この東北新幹線のいま言った環境基準というか騒音対策に対して、どういうふうになっておってどういうふうに対処するか、このことを国鉄総裁からお答えを願いたいと思います。
○高木説明員 最初のお尋ねでございますが、現在のところでは上野駅での開業を五十九年度中にはぜひ実施したいと考えております。上野駅と東京駅とを結ぶのにつきましては、いろいろ御議論もございますが、私どものただいまの計画といたしましては六十一年度にはつなぐことができるようにさせていただきたいと思っております。ただ、これはもちろんまだ土地の問題、地権者との話し合いの問題等が、一部のところではございますけれども残っておりますことが一つと、それから、当然、予算の規模といいますか、私ども借入金で工事をいたしておりますが、お金を貸していただけるかどうかという問題があるわけでございまして、いろいろな面から考えまして、経営的には相当問題がありますけれども、何としてもいま申しました時点までには完成をいたしたいと考えております。 第二の環境の問題でございますが、これはかねがね新幹線が騒音あるいは振動について沿線住民に御迷惑をおかけするということで、環境庁ともよく御相談をいたしまして、環境基準をお示しいただいておりますので、あくまでこの環境基準を守ることができるように技術的に研究をいたしますし、また対策をとるという前提で進んでおります。 ただ、東北新幹線につきましては、まだ走り出したばかりでございまして、少し走ってみませんといろいろな条件がはっきりしてまいりませんので、従来からも調査をいたしておりますが、ことしの十一月に本格開業になる前後を中心に十分調査をいたしまして、音が出るあるいは振動が出るところについては完全な対策をとるつもりでおります。
○稲葉委員 国鉄の問題については、別の委員から別の日にやられることになっておりますので、その点はきょうは聞かないわけです。 そこで、いろいろお聞きしたいことがあるのですが、一つは、労働省にお尋ねをいたしたいのです。 実は、労働省が所管しておられることなんですが、パートタイマーの問題ですね。パートタイマーの問題について、行政管理庁が出向いて調査をやられたわけですね。そういうような調査の中に、この数字をそのまま受け取っていいのかどうかちょっとわかりませんけれども、パートの雇用、ことにこれは御婦人の方が二百五十万以上おられますか、男の人が百四、五十万おられるのですか、そういうふうなパートの雇用の中で、八三・八%の事業主が、労働基準法なり最賃法なり労働安全衛生法など労働関係法にいま違反をしておるというような意味の報告が出ているわけですね。 そこで、労働省にお尋ねをいたしたいのは、一体この実態はどういうふうになっているのか、ことに婦人のパートタイマーに対してどういうふうになっているのか、それを今後どういうふうに指導し、どういうふうに是正していきたいと考えておるのか。特に、働く婦人の地位を守る、立場を守るためにどういうふうにやっていきたいと考えておられるのか。これは労働大臣なりあるいは婦人少年局長でも結構ですが、お答え願いたいと思います。
○初村国務大臣 先生御承知のとおりに、五月二十九日に行政管理庁からパートタイマー等に関する実態調査の結果の通知があったわけであります。したがって、このパートタイマーの労働条件確保対策の改善について実は指摘を受けております。 そこで、労働省としては、かねてからパートタイマーについては、行政の重点分野の一つとして認識して、労働諸法規の遵守、就業規則の整備等による労働条件の明確化等を重点にやっております。今回の指摘点も含めて、労働条件の確保、改善に努めてきておるわけでありますけれども、これは労働基準局の監督機能の整備の問題とは切り離して、行政管理庁からの通知内容も含めて、今後、対策のより一層の充実を図っていかなければいけない、かように考えておるわけであります。特に本年度は、雇い入れ通知書の普及とか、パートバンクにおけるパートタイマーの労働条件あるいは労務管理に関する相談への対応等、施策の推進を図っていくという考え方をいたしております。 ところで、監督官が三千百八十四人おるわけでございますが、監督の事業所が三百二十二万事業所あるわけなんです。したがって、一人当たり千十一カ所の監督をしなければならないというようなこともありますけれども、そういうことはさておいて、できるだけフルに回転して実態調査をしなければならないということを考えております。 大体パートタイマーの比率は、女性の方が三分の二、男性の方が三分の一の比率でございます。そこで、パートタイマーについては、労働省で実施している各種の定例調査及び特別調査によって、就業実態及び労働条件について今後とも必要に応じた実態把握に努めてまいるという考え方をいたしております。特に婦人労働者に対しては、労働条件の向上、男女平等の確保等に必要な施策を充実して実施していきたい、かように考えております。 また、特にパートタイム労働については、円滑な就業のための相談指導を実施するとともに、労働関係法規をパートタイム労働者についても遵守するように監督指導をしていきたい。おしなべて、企業の方についてもあるいはパートにつく方々についても、大体法規を余り知らないのですね。そういうことで、今後ともそういう関係を十分、雇用の安定とか労働条件の確保等について詳しく指導して、そういういろいろな指摘のないように努めていきたい、かように考えております。
○稲葉委員 きょうは厚生大臣がおられないので、政府委員で結構ですが、私は多年難病対策というものに非常に取り組んでいるつもりですが、新しい病気が次から次へ起きてまいる、その原因もよくわからない。これは大蔵大臣にも特別な御配慮を願って、いろいろお願いをしてやっておるわけですが、近ごろまたいろいろな病気が出てくるのですね。 たとえば、いま問題になっている川崎病というのが出てきますね。何で川崎病と言うのか私はちょっとよくわかりませんが、川崎病というのは一体何で、どういう対策を立てておるのか、それが今後なくなるようにするためにはどうしたらいいのか、こういうようなことをお答え願いたいのが一つです。 それから、第二点は、難病対策で特定疾患の認定がずいぶんふえてきたわけですけれども、この難病対策については今後とも、これは何か課が廃止になるとかなんとかという話が一応出ておるわけですが、そういうようなことのないようにしたいし、また、どうなったとしてもその難病対策というものが——どんどんかかる方がふえているわけですね。ことに若い御婦人なんかもずいぶんかかっておられるというようなこともありまして、そういうふうな日本に出てきておるこういう病気、この原因を究明し、その対策を十分立てていただきたいということを希望すると同時に、それが現在どういうふうになっておるのか、今後どうするのか、こういうことを厚生省の方にお尋ねしたいと思います。
○幸田政府委員 前段にお尋ねのございました川崎病でございますが、これは日本赤十字医療センターの川崎博士が昭和四十二年に報告をされました、主として四歳以下の子供に起こります疾病でございます。残念ながら現在までのところその原因がはっきりいたしておりません。 私どもといたしましては、原因究明のための研究とそれから治療費につきまして、健康保険の自己負担分につきまして全額国費負担をいたしておりますけれども、今後の問題といたしましては、何よりも原因の究明にあろうかと思います。 この病気で一番問題になりますのは、子供に心臓障害が残る、こういうことがございまして、この点につきましては、最近かなり的確な治療方法が発明、発見をされまして、死亡率も相当に減少をいたしておりますが、何分にも原因究明が、いろいろ昭和四十五年以来研究費を助成をいたしておりますけれども、いまだ明らかになっておりませんので、この面につきましてなお一層の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
○三浦政府委員 難病対策全般につきましての取り組みの御説明を申し上げますが、難病対策につきましては、いままでにも調査研究の推進、それから医療費負担の軽減、それから医療機関の整備、この三つを柱にして総合的に対策を推進してきたわけでございますが、昭和五十七年度におきましても引き続きこの三本の柱で推進していきたいと考えておりますが、特に医療費の公費負担の対象範囲の拡大を考えておるとか、あるいは難病病床等の拡充を図る、こういうことで今後とも難病対策の充実に一層努力をしていきたいと考えておるわけでございます。 ただいま課の話が出ましたが、参議院でいま御審議いただいております老人保健法案、これが可決されますと、また厚生省の設置法の一部改正が可決されますと、難病対策課というのが結核の課と合併になるわけでございますが、この点につきましても、私ども難病対策が少しでも損なわれることがないように最善の努力をしていきたいと考えております。 なお、予算額につきましても、五十七年度の厚生省全般の難病対策関係予算五百九十一億ということでございまして、前年度に比べまして一二三%の増ということに相なっておるわけでございます。
○稲葉委員 もう一ついま大きな問題となっているのは、人工透析の問題があるわけですね。これは私も病院へ行って実態をよく見たいと思っておるのです。その患者の方とは、いろいろお話を聞いておるのですが、大体いま毎年五千人ぐらいふえている、こう言われるのですね。それで、いろいろな問題があるのですが、医療費の改定問題でいろいろな問題が、施設に対するというか、患者に対するしわ寄せが来ているわけです。これはまた別の機会に詳しく申し上げますが、国公立病院に透析設備のないところが非常に多いのですね。大体八〇%が民間施設で透析設備があるわけでしょう。だから、国公立の病院にも透析設備というものをもっとつくるようにこれはぜひしてもらいたい、こういうふうに思うのですが、これに対して一応厚生省はどういうふうに考えておるのか、その後のまとめた答えは大蔵大臣からお願いしますが、また質問します。
○大谷政府委員 先生御指摘のように、確かに民間病院が三分の二を占めていることは事実でございますが、国公立におきましても従来非常に力を入れて整備してきております。今後とも、不足の地域につきましては、国が中心になりましてその整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
○稲葉委員 大蔵大臣にはこの問題についていろいろ御配慮願っておって、私も感謝しておるわけですが、いま言った川崎病の問題、あるいは難病の問題、人工透析の問題、その他たくさんのこういう問題が起きているわけですね。そういうことについて、十分こういう方々に対する配慮を、これはゼロシーリングでもマイナスシーリングであっても、そういう方々に対する配慮というか温かみというものを今後の政治の中に、財政の中にぜひ生かしてもらいたい、こういうふうに思いますので、大蔵大臣から最後にその点についてのお考えをいただいて、質問を終わります。
○渡辺国務大臣 難病のように、国がやらなければ民間ではやらない、現実には非常に原因もよくわからぬというようなものについては、今後とも厚生省とよく相談をして、十分に配慮してまいりたいと考えております。
○栗原委員長 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。 午後零時五十分より再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ————◇————— 午後零時五十四分開議
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。横路孝弘君。
○横路委員 主としてロッキード六月八日判決と、それから国連軍縮総会における総理の演説にしぼって議論をいたしたいと思いますが、その前に一つ。 今月の二十八日から日教組の定期大会が長崎県で開かれる予定であったわけですが、右翼の妨害が大変ひどい状況になっているわけです。この点に関して二、三お尋ねをしたいと思います。 当初は島原市の文化会館というところを借りる予定で市の方とも契約ができておったわけですが、右翼がこの島原市に入りまして、ホテルそのほかに嫌がらせを行って、市議会で決議が行われ、市長はその約束を取り消すという事態になっているわけです。事は、やはり一つは、憲法で保障されている集会の自由という問題ともかかわり合いを持つ大変重要な問題だというふうに私は思うのです。ドイツのワイマール憲法の末期に、やはりこの種集会が、ヒトラーの率いる勢力によって妨害を受け、今度は集会をする方も力で集会をやるというような争いにだんだんなっていったということを想起せざるを得ないわけですが、こういう右翼の行動は、先日も真昼堂々、日教組の本部に乗り込んでピストル発射によって傷害事件を引き起こす。あるいは参議院においても、右翼の妨害において徳永参議院議長が登院できないというような事態も国会周辺に生じているわけであります。 こういう最近の右翼の行動について、警察当局の警備体制あるいは取り締まりの体制というのはどうも弱いのではないかというようにわれわれ思われるわけでございますが、一体この辺のところ、どうなっているのか、この二つの点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○山田政府委員 お答えいたします。 最近の行動右翼の行動は、自主憲法制定とか北方領土返還ということで積極的な運動がございまして、その過程で、御指摘のような違法事案、暴力事案というものもしばしば見受けられるわけでございます。 警察としましては、こうした右翼の違法行為、これにつきましては、特に厳正適確な取り締まりを行うという方針で、昨年一年間で申し上げますれば、三百四十九件、五百二十八人検挙いたしております。ことしに入りましてからも、五月末までに百五十一件、百八十四人を検挙いたしておるところでございまして、御指摘の日教組の長崎大会につきましても、すでに事前の段階から島原市内等において行動しております右翼につきましても、厳正適確な取り締まりを行って、周辺住民の安全の確保に努めておるところでございます。 また、教育会館内におきます拳銃発砲事件につきましてもお尋ねございましたが、こうした重大悪質な事件を未然に防止するのがわれわれ警察の責務でございますが、謀議のうちにつかむということは、努力いたしておりますものの大変むずかしい情勢にもございます。したがいまして、本件につきましては、御承知のように、二十一日にすでに犯人を検挙いたしまして、厳重その背景等取り調べ中でございますが、今後におきましても、謀議のうちにその企図を把握して検挙に努めたいと思っております。 また同時に、警護対象者、右翼がねらう対象の方々に対する警護、水際において事件を防止するための警護措置もあわせて徹底してまいる所存でございます。
○横路委員 右翼だとかあるいは極左の連中に対して、わりあいと警察はマン・ツー・マンのシステムを最近採用してやっていますね。したがって、突然乗り込んでピストルを発射するなどという事件が発生するということがだんだん最近はなくなってきているというように考えておったわけなんですが、日常的な取り締まりというのは不十分なんじゃないですか。
○山田政府委員 右翼につきましては、比較的表面に立って行動しておる者も二万を超えるとわれわれ現在考えておりますが、虞犯グループ、虞犯右翼につきまして、すべてマン・ツー・マンでこれを視察し、取り締まるということは事実上困難でございます。したがいまして、先ほどその企図、謀議を事前のうちに察知する努力を行わなければならない、行っておるということをお答え申し上げたわけでございますが、マン・ツー・マンということは事実上困難であります。今回の教育会館内におきます事案につきましても、会館の警備は日教組御当局において自主的に行っていただいたわけでございますが、何ぴとでも自由に出入りできるという場所でもございました。残念ながら、今回は犯人の企図を事前に把握できなかったわけでございまして、遺憾ながらああいう傷害事件が発生いたしたわけでございますが、できる限りの努力は、事前の情報収集において努力してまいる所存でございます。あと、先ほどお答えいたしましたとおり、警護措置の強化によって事前防止を図りたいと思っております。
○横路委員 これは自治大臣になるのでしょうか、島原市の当局が、いわば右翼の圧力に屈した形で文化会館を貸す契約を取り消したということで、こういうことが続いていきますと、実質的に集会の自由という憲法上の権利が保障できなくなるわけですね。こういう事態についてどのようにお考えになっているか、御見解を承りたいと思います。
○世耕国務大臣 この件に関しましては、長崎県内で大会を行うということだけが先に決まりまして、具体的に場所が決定してないというふうに伺っております。われわれの方としては、いずれにせよ、長崎県以外から千人よけいに動員いたしまして、合計で三千人の警官の体制をしきまして警備をする予定を立てておる次第でございます。
○横路委員 問題は、その会場がそういう右翼の妨害に遭って借りられないでいるということなんです。これはホテルや旅館の関係の方はぜひ来てもらいたいということですが、場所が決まりますと、そこにプレッシャーがかかるものですから、すぐ取り消しになる、こういうことなんですね。私は、今日の日本の中でこういうことがまかり通るということは、大変な問題だと思うのです。 そこで、総理大臣、憲法に決められた集会の自由、これは非常に尊重さるべき大変大事な権利だと思うのです。これを力でつぶしてしまうというようなことが毎年繰り返されているわけですね。これは許すべからざる問題だと思うわけです。いま現地の方でも、県の当局などといろいろな交渉が行われているようでありますが、総理大臣として、憲法の二十一条を守るという意味での積極的な御姿勢をぜひ示していただきたいというように思います。いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま自治大臣、国家公安委員長、警備当局からも申し上げましたように、そういう不当な威圧その他で集会ができなくなるというようなことがあってはいけないということで、できるだけの体制をしいてそれに備えておるわけでございますが、今後一層、憲法に保障された集会の自由が確保されますように努力をしてまいりたい、こう思います。
○横路委員 その旨、労働省を含めて関係の省庁にもいま御努力をいただいているところでございますが、一層この権利が守られるように御努力を関係のところにおいてやっていただきたいというように思います。 それでは、ロッキード判決についてお尋ねをしていきたいと思います。 今日までこの予算委員会が開かれまして、いろいろな角度から議論をされてまいりましたが、この判決を佐藤、橋本という二人の被告と、それから三十ユニットを受け取った二階堂氏以下の灰色高官という、いわば議員個人の問題として主として受けとめられて議論をされてきたのじゃないかと思うのです。しかし、これは事件の流れ全体からいいますと、実は航空行政という運輸省の行政にかかわる問題の中で発生した事件でございまして、行政としてどう受けとめて反省するのかという角度からこの判決を受けとめるということも重要でございますし、いま議員の倫理規定あるいは倫理委員会の設置というようなことで、国会としてこういう事件が発生したということについてどう受けとめるかという議論も行われているわけであります。 それから、先ほどは稲葉議員から、特に関係者が当時はみんな自由民主党に所属する議員であったということも含めて、政党としてどう受けとめるのかという点に関して議論がございましたが、私もその観点から、先ほどの稲葉議員の質問を受けまして若干議論をいたしたいというように思うのであります。 まず初めに、三権分立という制度をとっているわけです。司法、立法、行政というこの三権作用の中に日本の民主主義の根幹があるわけですが、司法の判断というものは三権分立のもとで尊重されるべきだというように思います。総理大臣、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 横路さんのお説のとおりでございまして、三権分立の民主国家たる日本におきまして司法の権威、尊厳というものは十分尊重されなければならない、このように考えております。
○横路委員 昨日も総理は、二階堂さんの上申書と判決の間に重大な食い違いがあるということをここでお認めになりました。それから、先ほど稲葉議員の質問に答えて、昨年、幹事長に指名ですか任命ですか、されましたときに、いろいろ問題がある、議論されておるということは知っておるということを御答弁いただいたわけです。知っておりながらあえて任命されたのは、多分総理は、二階堂さん自身はシロだという主張をしている、自分はそのお金を受け取ってないという主張をしておる、どちらかというと、その主張をいわば信じられたから任命されたのと違うのですか。それとも、いや、これは金を受け取っておるという確信のもとに幹事長に指名されたんですか。そこのところがどうもちょっとはっきりしなかったのです。議論されておる、しかし、二階堂さんはシロと言っているから、自分もそのことを信じて幹事長に任命したんだ、こういうことなんでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、単純にそのような結論を出したものではございませんで、いまのように検察の主張と二階堂君本人の主張、そういうものも大きな違いがございます。と同時に、そういう状況下において、二度も選挙の洗礼を受けておる。そして、自由民主党内におきましても、その経歴、識見、手腕、力量、そういういろんな角度からいって党員多数の輿望も集まっておる。いろんなことを総合勘案をいたしまして決めた、こういうことでございます。
○横路委員 これは法律的に言いますと、要するに職務権限がないということなわけなんですから、クロかシロかということになれば、それは法律的には問題はないわけです。しかし、政治家というものは、その法律の上にさらに政治的なあるいは道義的な問題があるというところが議論されているんですね。ですから、私は、二階堂さんがそのお金を受け取ったということを認められて、それなりの弁明をしっかりされれば、それはそれで一つの行き方だったというように思うのですよ。いままでの公判の過程を見ても、この五百万というのは、何かロッキードのいわば航空機売り込みに関していろいろ二階堂さんの方に丸紅が頼みに行って、その謝礼としてお金が行ったというようなことは全然証拠として明らかにされていないわけですから、多分選挙の前ですから、選挙に使ってくださいというようないろんな意味を込めて丸紅は持って行ったんでしょう。ところが、問題はどこにあるかというと、そういうお金を受け取ったということを否定をして、否定するばかりでなくて、そのことをいわばさまざまな行動によって彼は明らかにしようとしているわけですね。そこの食い違いがあるわけです。 だから、私が鈴木さんにお伺いしたいのは、本人はシロだ。まあクロシロいろいろ議論があったけれども、いまの御答弁でもどうもはっきりしないわけですね。二階堂さんの識見を認めてということならば、それは二階堂さんの主張を総理は認められて任命をされたということなんですか。本人の識見を認めて自分は指名したんだということならば、そういうことでしょう。そうじゃなくて、いや、これはやはり検察の方が正しい、五百万もらっているけれども、しかし、あえて自分はそういう人間を幹事長にするんだということだったんでしょうか。そこはやはり私は非常に重要なところだと思うのです。明確にしていただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 その点は、もう先日来ここで大分議論されておる問題でございまして、六月八日の橋本、佐藤両氏に対する判決の中で、三十ユニットの問題に関連して名前が出ておるわけでございます。しかし、一方において、本人は、いまあなたがおっしゃるように、上申書で強く自分としてはさようなことはないということを言っておられる。そういう点を明らかにしようではないかということで、証人喚問の問題が起こり、当委員会の理事会においてもそういう話し合いで、いま各党間でその方向に向かって努力がなされておる、こういうことでございます。
○横路委員 それは国会の問題なわけです。これから証人喚問をやるかどうかというのは、国会の問題なんですね。私は、そうじゃなくて、政党としてどう受けとめるかということをお尋ねをしているわけですね。総理大臣は、二階堂さんの上申書を信じられるのですか、六月八日の判決を信じられるのですか。いまの時点でどちらをあなたは信じられますか。
○鈴木内閣総理大臣 判決につきましても、いろいろあなたも専門家ですから読んでおられると思いますが、的確に本人が受け取った、こういうことをきめつけておるわけでもないように私は見ます。いろいろこれは議論のあるところでございましょう。しかし、私どもは、この橋本、佐藤両君に対する判決につきましては、政界に対する警鐘とも受けとめて、厳粛にこれを受けとめておるところでございます。 そういうことで、中身については私は批判をいたしませんが、この二階堂君に幹事長に就任を願った、その前に総務会長にまずなってもらったわけでありますが、党総裁として、党内全体の党員の諸君の世論なり考え方、その他総合的に判断をして決めたということであって、あなたからおしかりをこうむる立場にはないと思います。
○横路委員 そうすると、鈴木総理の姿勢は、総務会長、幹事長というのはわかりますよ。判決の中で事実が明らかにされつつある、この六月判決以降も状況は変わってない、こういう認識なんですか。一番初めに、総理は、司法の判決というのは尊重さるべきだ、それは当然じゃないかということをおっしゃった。それから、きのうは、その判決と上申書の間に食い違いがあるということも自分は認めておるということを、総理自身ここで御答弁されたわけですね。ところが、いまの答弁を聞いていますと、六月八日の判決があっても、総理の認識というのは何も変わっていないわけですか。つまり、その食い違いというものが出てきたということじゃないでしょうか。私は、だから、六月八日以後の時点で、幹事長に任命された責任者としての総理は、当然とるべき方法があると思うのです。違いますか。事情は変わりませんか。去年の十二月、あなたが任命されたとき、あるいはその前に総務会長に任命されたときと、いまの時点、六月八日の判決後でもって事情は変わってないんですか。
○鈴木内閣総理大臣 繰り返し申し上げておりますように、六月八日の判決は、橋本、佐藤両君に対する判決であり、三十ユニットの問題に関連していわゆる灰色高官の名前が出てきておる。それにつきましても、伊藤証言というものが中心になっておるようでございます。これが尊重されておるようでありますが、本人が的確に受け取ったという明確なけじめ、そこまできめつけていないような面もございます。そうして、一方、本人は上申書も出しておる。この辺は確かに議論の分かれるところでございまして、私はそういうような観点から、先ほど来申し上げたように、自由民主党として措置しておる、こういうことでございます。
○横路委員 そこはもうすでに議論の中ではっきりしている点じゃないでしょうか、総理。判決の中でも八十九ページに、伊藤が「二階堂及び被告人橋本には自ら届けることを告げた。」そして、先ほども議論のありました判決要旨の百三十九ページで、「被告人橋本のほか、自己が金員の配付方を分担した二階堂についても、その交付状況等を具体的に供述している」と言って、これを証拠として採用しているわけですね。この点に関しては、すでにロッキードの特別委員会に当時の伊藤刑事局長から、その伊藤さんの証言について内容が報告がございまして、その報告によりますと、もうすでに何回も議論されているように、詳細な渡した状況を述べて、お金が渡っているという証言がありましたという報告がロッキードの特別委員会にすでにあるのです。 だから、私が総理にお尋ねしたいのは、前にこれは有名なケースですが、イギリスでプロヒューモ事件というのがありまして、当時のたしか陸軍大臣か何かだったと思いますが、女性のスキャンダル問題でやめたんですが、やめた理由は、議会の中でうそをついたということなんですね。これはどこの国でもそうですが、あなたはうそつきだというのは、これは一番大きな致命的ないわば批判の言葉なわけでありまして、この判決を受けた後、だから私は、国会に任せるのじゃなくて、総理みずから二階堂さんに、事を明確にするように、一体どうなんだということを総理が要求されるべきじゃありませんか。それがやはりこの判決を受けた今日の状況の中で、自民党の責任者として私は鈴木さんがやるべきことだと思うのです。国会に任せるのじゃなくて、一体どうなっているんだということをやはり明らかにしてもらうように、鈴木さんから二階堂さんにお話しされるというのは当然じゃないでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 判決の読み方につきましては、法制局長官から専門的に答弁をいたさせます。 それから、英国のスキャンダルの問題が出ましたが、あれは私の記憶では、スパイに機密を漏洩をしたというような問題であった、このように思っておるわけでございます。 一方におきまして、二階堂君の問題につきましては、先般来当委員会でもお話があり、議長の諮問機関においてもそういう場をつくって、そして証人の喚問もできるようにしょう、こういうことで、自由民主党もそういう方向で努力をいたしておるわけでございまして、私はそれを促進をしておるということでございます。
○横路委員 その促進をしているのはわかりますが、それはある意味で喜べと、国会の各党間の話し合いの問題なわけですね。しかし、あなたは自民党の総裁なわけですから、幹事長を任命された。しかも、これは重要なポストですね。野党にとってみると、みんな書記長というポストに当たる人なわけです。その人があるいはうそを言っているかもしれないというのが判決で指摘をされているわけです。そのことについて総理は少なくともやはり二階堂さんに、あなたはそのことについて明確にすべきだということをおっしゃらないのですか。
○鈴木内閣総理大臣 そういうことはよく話し合っております。
○横路委員 話し合って、どんなことになっているんですか。
○鈴木内閣総理大臣 国会でそういうせっかくわれわれの証言の場をつくっていただくように御努力を願っておるし、自分としては進んでそういう際には証言に立ちたい、こう言っております。
○横路委員 もし、受け取ったことが明確になった、本人がいままで言ってきたことはうそであったということが明らかになった場合は、どうなさいますか。
○鈴木内閣総理大臣 いまからそういう仮定の問題についてどうこうということは申し上げられません。
○横路委員 しかし、これは仮定の問題じゃなくて、総理自身のやはり政治倫理に対する姿勢の問題じゃないでしょうか。これから事を明らかにするということになるわけですが、しかし、もしうそをついていた、上申書まで出している中身がうそだったということになると、そのことの意味合いはきわめて重大であるという認識は総理大臣にはおありなんでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 重要に私は受けとめております。
○横路委員 いま、そのことはきわめて重大だというように総理大臣が受けとめられているということが明らかになりました。これは当然のことであります。 そこで、さらにこれは進めていきたいと思うのですが、上申書の中で二階堂さんは、国会は「全資料の提出を求めるべきであり、検察当局の一方的判断に基づく報告を許すべきではない」ということを述べているわけであります。 そこで、法務省にお尋ねをしたいわけでありますが、二階堂さんに金員が渡されたということを裏づける証拠、これは先日、民社党の大内さんの質問に対して、検事調書があるというようなことなどを述べておられましたが、法廷の証言、検事調書などがあろうかと思うのですが、法廷の中で、公判で明らかにされたものについて、この金員の授受という点に関連する証拠としてどんなものがあるか、お述べいただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねは橋本、佐藤両氏に対する事件の公判で、二階堂氏に対する金員の交付といいますか、手交事実につきまして、どういう証拠が取り調べられたかということであろうと思いますけれども、申すまでもなく、お尋ねの事件は橋本、佐藤両氏に対するものでございまして、二階堂氏が被告人ということになっているわけではございません。したがいまして、二階堂氏に対する金員の授受自体を立証するという形での証拠はないわけでございます。 それから、もう一点、これも御案内のとおりでございますが、この事件は被告人側、また後に検察官側からも控訴の申し立てがございまして、現に裁判が係属中であるという状態になっておりますので、その記録自体は裁判所の保管、管理に属しておるわけでございます。したがいまして……(横路委員「聞いてないこと答えたってだめだよ」と呼ぶ)そういうことを前提としてのお答えをしたいということを申しておるわけでございます。 そこで、公判調書の内容についてのお尋ねになるわけでございますが、それにはおのずからの限度があるだろうということを申し上げたかったわけでございます。従来からいろいろな御質問でお答えしているところでございますが、いま申しましたような意味で二階堂氏に対する金員の授受に関する部分と申しますか、そういうことにつきましては、これまでも申し上げておりますように、伊藤宏証人の証言というものが主たる証拠でございまして、それから先ほど稲葉委員の御質問にお答えいたしましたように、ごく一部、部分的に伊藤宏氏の検察官調書がそれの補充的なものになっている、こういうことで、ございます。
○横路委員 これは五十三年四月五日のロッキードの特別委員会で、伊藤刑事局長から副島並びに伊藤の証言の概要について報告がありますし、別の機会に大久保証言の概要についても報告をいただいております。 二階堂さんに金を渡したというのは、渡した本人と受け取った本人と、公判の中で明らかにされているのはこの二人でありますから、二人と、それから伊藤が金を渡すに至った経過を知っている人間、たとえば大久保であるとか副島であるとか、あるいは、もともとのところは若狭、藤原というのが四十七年の十月末に決断をして、藤原、松井と相談をして、大久保がコーチャンとクラッターと相談をして、丸紅にお金を持っていったと、いう経過の流れの中に、そのことを間接的に立証する証拠というものがあるわけでございます。 そこで、従来そういう法廷における証言、調書についても朗読しているわけでありますし、ここの部分ということでわれわれ要求した場合に、それに沿って提出といいますか、明らかに委員会の席上でされているわけであります。私はそのことを法務省に求めたいというように思いますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 その点は先ほどもお答えしたことと関連するわけでございますが、従来から国政調査権の行使につきましては、私どもといたしまして最大限の御協力を申し上げるという立場をとっているわけでございます。一方、先ほども申しましたように、その公判調書なら公判調書というものは現に裁判所に係属中の公判記録の一部となっているわけでございますので、そういう意味で、現在裁判が続いております場合の公判記録というものは、裁判が確定すれば別でございますけれども、訴訟当事者以外は閲覧はできないということになっていることは、これは横路委員もう当然御案内のとおりだろうと思います。 そういうような法律制度の枠内で国政調査権に御協力申し上げるということでございますから、記録そのものを資料として御提出するとかということは、そういう関係から問題があるというふうに考えております。ただ、いまのような意味で、たとえば、きのうならきのうこういう証言があったと報道されているけれどもその点は間違いないかとか、その要旨を簡潔に言ってほしいということでございますならば、いろいろな意味で支障があるかどうかということを考えまして、その支障がないという限度において御説明を申し上げる、こういう方針をとっているところでございます。 したがいまして、いまいろいろと公判で取り調べた書類なりあるいは証言内容につきまして、資料要求というか説明の要求がありました場合にどう対処するかというお尋ねでございますが、それにつきましてはいま申しましたような態度で対処いたしたい、かように考えております。
○横路委員 従来は、捜査の段階それから公判が始まった段階において、その資料がどの程度国会に提出できるのかということで、刑訴法の四十七条をめぐるいろいろな議論というものがあったわけであります。そのときに、四十七条の保護法益というのは何かということについてもいろいろ議論がございまして、一つは、そこで問題になっている本人の人権の問題、それから、もう一つは、捜査あるいは公判維持というようなことが四十七条の趣旨だろうということだったわけです。 しかし、すでに一審で判決がなされて、その間公判廷に出された資料については、本人がよろしい、本人がむしろ自分の人権を守るために出してもらいたいと言っているわけでありますから、本人がそのことを明確に要求をされれば、国会のいわば要請に従って提出をするというのは、従来の刑事局長の答弁でもあったし、それから公判の過程の中でも、何回かロッキード特別委員会に対して、証言の概要あるいは証拠物の要録についても、すでにいままで報告をいただいているところなわけであります。 私は、まず一つ限定してお願いをしたいと思うのですが、公判廷に出された、あるいは公判廷で証言をされたものについて、その調書を出せと言っているわけじゃありません。調書中の関連部分について、それをできるだけ詳細に取りまとめて、従来のような形でひとつこの委員会に御報告をいただきたい、そのことについて法務省の協力をいただきたいというふうに思うのですが、これはどうですか。国会から要求があれば、そのことに従来の方法で要求に従っていただけますか。
○前田(宏)政府委員 国会への御協力につきましては、先ほども申し上げたとおりでございまして、従来から差し支えのない限度で要点等を申し上げておるわけでございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、捜査中あるいは公判係属中という面はないと言えばないわけでございますが、逆に裁判は係属中でございまして、先ほども一つ申しましたように、公判記録というものは確定前は一般の方には見せられない、こういうことになっているわけでございますから、そういうような観点から、いま御要求が具体的にございました場合にはいろいろな点を勘案いたしまして、支障がない、御協力すべきものであるということになりました場合に、その限度で御協力をさせていただきたい、かように思います。
○横路委員 そこで、二階堂さんが上申書の中で言っていることは、要するに検察は一方的な資料で判断をしているということなわけですね。あたかも何か自分にとって有利な証拠があって、その有利な証拠は全然表に出していないんだという主張が裏に込められているように思うのであります。公判廷に出されなかった証拠というのが、たとえば調書があると思うのですね。二階堂さん本人の調書だとか、あるいは考えてみますと伊藤さんが官邸ですか、官房長官のところに行かれた丸紅の車の運転手の日報であるとか、間接的に裏づけられるもので法廷に出していないものもあろうかと思うのです。 ここから先は、ちょっと従来と扱いが違うところになるわけなんですが、これについても本人がともかく自分の権利を守るために、四十七条の趣旨そのものからいいますと守られるべき法益を放棄をして、むしろ出してくれ、こういうことを言っておるわけですね。しかも、一審判決そのものではそのことが、つまり二階堂さんに関する部分が審理の対象になっているわけではないわけであります。したがって、国会で証人喚問をこれからやっていく場合にも、できるだけそういう資料を国会の審議に必要な限りにおいて私は提出をしていただきたいというように思うのですが、これは法務大臣、いかがですか。私は、やはりこの二階堂さん本人の言い分をできるだけ尊重してやるということに立てば、本人の調書を含めて本人に有利なものも含めて——あるのかないのかわかりませんが、出してもらいたいというように思いますが、法務大臣。
○前田(宏)政府委員 大臣からお答えいたします前に、私から事務的なお答えをさせていただきます。 ただいま横路委員も仰せになりましたように、いわゆる不提出の記録等は、従来からたてまえとして御提出できないという方針をとっており、それがまた御了承されているというふうに理解しておるところでございます。したがいまして、新しい問題でございますので、従来の方針を変更して直ちにそういう変わった扱いをするということについては、御返事ができない次第でございます。
○横路委員 刑事局長、国会からその点について要求があったら十分検討していただけますか。これは、二階堂さんが一番主張しているのがそこなんですよ。自分の調書を含めて出してくれ、それを全く出さないで伊藤、副島の証言だけでやられるのはかなわぬ、こう言っているわけでありますから、国会から要望があった場合には検討していただけますか。
○前田(宏)政府委員 もちろん、国会からの御要求がございました場合には、私どもといたしまして十分検討はいたしますけれども、そういう不提出記録のうちこういう場合はいい、こういう場合は悪いというような基準をつくることもなかなか困難ではないかなというような感じを持っております。
○横路委員 その場合やはり問題なのは、対象になっている本人がそのことをいいと認めるかどうかというのは大変大きな要素だと思うのですね。本人がだめだと言った場合にやるということになりますと、これはまたいろいろな要素というのが——四十七条のただし書きでも公益の必要性というようなことが言われていますが、本人が放棄するという場合にはそれはわりと判断しやすいんじゃありませんか。
○前田(宏)政府委員 当面の問題について言えば、それだけのことのような感じもするわけでございますけれども、やはり不提出記録につきましてはいろいろなものがあるわけでございまして、その中からたとえばたまたまこういうことで出たということになりましても、それが一般の理解といたしましては、不提出というか公開されないという期待のもとにあったものが、どういうかっこうかわからないけれども出ていくというような印象を与えるということも、考えなければならないのじゃないかというふうに思います。
○横路委員 総理大臣、これは確かに裁判所における審理というのは一定のルールに従って行われているわけで、刑事訴訟法そのほかのいろいろな手続もありますし、人権に対する配慮そのほかも大変大事だということはよく承知をしているわけです。同時にまた、何が真実かということをはっきりさせるということも大事でありまして、われわれ法律的に黒白どうこうということを言っているわけじゃありません。これは法律的にはある意味で言うと、もう決着がついている問題なわけです、職務権限がないという形で。それははっきりしているわけですね。 問題は、お金を受け取ったかどうかということが政治家としての倫理として問われている。どうも本人の言っていることと、裁判所が認定している事実あるいはさまざまな裁判所の審理の過程における証言だとか検察官が出した証拠と食い違っているということで、そこがいままさに問題の焦点になっているわけです。 法務省の方からも、国会の要求があれば検討したい、あるいは従来提出していたような形では協力をしたいという発言があったわけです。 私は、これは総理大臣にちょっと決意のほどを聞きたいのですが、やはりこれはできるだけみんなで協力をして、何が本当なのかということを明らかにするということは大変大事なことだと思うのです。二階堂さんが上申書でいろいろ言っていることでもありますし、特にあなたが任命した要職にいる人のことが問題になっているわけでありますから、これは私は、総理大臣としてもこの資料の提出ということにひとつ協力できる態勢をとっていただきたいと思うのですが、総理、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 いま刑事局長から御答弁があったように、一定のルールと慣行その他非常にむずかしいあれがあるようでございます。御期待に沿うようなことになりますかどうかわかりませんが、政府としてもその際におきましては、できるだけの御協力を申し上げるという考えであります。
○横路委員 そこで、これは委員長の方にお願いなんでありますが、いま当面証人喚問——加藤六月さんはみずからしたいと言っているわけでありますし、二階堂さんも何か先ほどの総理の答弁ですと、証人喚問に出てもいいということをおっしゃっている。しかも、二階堂さん自身は上申書の中で全部の資料を、「国会は検察当局に抽象的な報告を求めるべきではなく、全資料の提出を求めるべき」だ、国会は求めるべきだということを二階堂さん自身が上申書の中で言っているわけですね。 したがって、私は加藤六月氏並びに二階堂さんについて、それぞれの金員が渡された状況あるいは渡されるに至った経過、経緯に関する全日空ルート裁判において法廷で明らかにされた証言並びに検察官の調書、あるいは証拠物があれば証拠物というようなものの−そのものでなくて結構です。これは従来からそのものを出しているわけじゃありません。これはロッキードの委員会の議事録をお読みいただくとわかりますが、詳細な報告が証拠物についてもなされております。一つは、従来の慣行に従ってそのことをひとつ委員長の方から法務省の方に御要求をいただきたいということですね。 それから、並びに、従来はこれはやっていないわけですが、全日空ルートにおける未提出記録中、加藤六月、二階堂氏のやはり金員の授受に関する部分並びにそれに至る経過について述べられているものが同じようにございましたら、それについても、要求があれば考えると言っているわけですし、総理大臣もできるだけ協力しようと言っているわけでありますから、ひとつ要求をしていただきたい。これはあしたで衆議院の予算委員会は終わりますから、できればちょっといまここで相談してもらってすぐ言っていただくと、用意されるのじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
○栗原委員長 理事会で協議したいと思います。
○横路委員 理事会で協議ということでこれはうやむやになっては困るので、これはきょうじゆうに理事会開いてやっていただけますか、あしたで委員会終わりなんですから。きょうじゅうに理事会開いて検討していただけますか。
○栗原委員長 与野党の理事の間でいろいろ御協議いただいて決めたいと思います。
○横路委員 それでは、理事諸氏を信頼いたしまして、これは明確にやっていただいて、要求していただきたい。これは二階堂さんがそう言っているわけですからね、国会は全資料の要求を求めるべきだと言っているわけですから、これは皆さんとしても最大限本人にやはり協力してやった方がいいのではないかというように思いますので。 そこで、このロッキード判決というのは、要するに運輸省の航空行政をめぐる問題なんですね。 まず運輸大臣、この判決をどう受けとめて、どういう点をどのように反省されていますか。
○小坂国務大臣 裁判所の見解が表明されたわけですが、これに対しては意見を申し述べることは差し控えたいと思います。ただ、航空行政は非常に公共性の強いものであるということ、したがって、これの運営につきましては、従来にも増して公正かつ厳正に行うべきであるというふうに考えております。
○横路委員 いや、私が言っているのは、佐藤、橋本両氏の有罪についてコメントを求めているわけじゃないのですよ。この中で指摘されているのはどういうことですか、運輸大臣。要するに、航空行政がきちっと本来の政策的な立場、安全保護というような立場から行われないで、いわばねじ曲げられて行政指導が行われた、あるいは通達が出されたということについて詳細に認定しているのがこの判決じゃないですか。それは運輸省の中からだれか起訴されている人間はいませんよ。それは政治家が関与して、本来事務当局や行政の立場からしっかり守るべきことが政治の力によってねじ曲げられたという点についてるる述べている判決なんですよ、これは要するに言えば。いまの話だと全く何か人ごとみたいな話ですが、まさに運輸行政そのもののあり方が問われているのがこの判決なんです。
○小坂国務大臣 ああした事件があったということはよくわかりますけれども、そのことによって運輸行政自身が非常にねじ曲げられたというふうに私は思っておらないのでございまして、したがって、先ほど申し上げたように、公共性に立って今後ますます厳正、公正にやるということをわれわれは強く決意をしているということをお答えしたわけであります。
○横路委員 あなた、ねじ曲げられていないと言ったって、この判決はどういうことを認定しているのですか。 たとえば橋本さんに絡む大型機導入の延期に関してはこんなことまでやっているじゃありませんか。この判決文を見ますと、需給見通しについて、ともかく延期を納得させるような資料をつくれということを担当者に指示をして、担当者の方からなかなかそんな資料はできないということで、資料のつくり直しになりまして、それを持っていったけれどもなおかつ日本航空の方からけられたというような、事細かく、行政指導をするために数字まである程度動かすような作業までやったということがこの裁判所の判決の中で認定されているじゃありませんか。 ねじ曲げられたことはないんだというのは、運輸省のいままでのずっと一貫した答弁だったですよ。しかし、現にこの判決の中で認定された事実は、行政指導そのものが、たとえば四十六年二月の大型機導入の行政指導ですね、これは若狭などの全日空の方が橋本運輸大臣に頼んで、橋本さんが町田次官に言って、町田さんが内村さんと住田さんを呼んで、そこでもって、ではやろうといって具体的に指示をしてやらせた。その過程の中で、需給見通しなどの資料についてもいろいろとやったけれども、どうもつじつまが合わない。これは全日空の例の雫石の事故があって、それで結局先に延ばそうということに日本航空の方も合意するわけですけれども、その間に至るさまざまな日本航空、全日空との間のやりとり、全日空の方はすぐオーケーするわけです。これは当然ですね。日本航空の方が抵抗していく。それを説得するために運輸省がどういう手段を使ったかということまで、判決の中で個々具体的に言われているわけですよ。そういう意味で言いますと、請託に基づいた行為に基づいて運輸省の方がいろいろやったということはもう判決の中で明らかじゃないですか。 運輸大臣、この判決読まれましたか。運輸大臣、この判決そのものを。これはほとんど全部運輸省の航空行政について述べているのですよ。最後の方でちょっとお金のやりとりのところの認定がありますが、ほとんどずっと運輸省の四十五年ぐらいからの航空行政で何が問題になっていてどうなったか、その中で当時の橋本運輸大臣、佐藤運輸政務次官がどういう役割りを果たしたかということが、るる述べられているのですよ。判決そのものはお読みになっていないでしょう、運輸大臣。
○小坂国務大臣 事細かには実は読んでおりませんが、しかし、そのやりとりの中に見られるように、必ずしも御両所のいろいろな指示によってすべてのものが最終的に決定をされてない。これについて、いろいろと事務当局の方も正しいと思うことを主張して、そして現在の形になっておるということを私は申し上げたいのでございまして、その点は私の申し上げたことは必ずしも間違ってはおらぬというふうに思っております。
○横路委員 これを議論していくと時間がなくなるのですが、実はいろんな重要な問題、行政として反省すべき点というのは、やはりこの判決から幾つかの点があるだろうというように思うのです。 たとえば、佐藤氏に対する請託というのは三回行われるわけですね。その舞台はどこかといいますと、自民党の航空対策特別委員会というところなんですよ。日本航空、全日空、東亜国内三社のいわば利害調整をどこでやっているかというと、その自民党の航空対策特別委員会でやっているわけです。そこに政務次官である佐藤さんが乗り込んでいって、航空会社のいろんな意見を聞く。まあ、それが今度の判決では請託という形で贈収賄の成立へつながっていくわけですが、こういう構造。本来ならば行政がやるべき問題でしょう。行政が安全なら安全というような立場から航空三社の現状を見てあるいはその体制を見て、そして、どういうぐあいにするかということを決めるべき問題を、自民党の航空対策特別委員会というのがそこへ首を突っ込んで決定していくという仕組みそのものがこの中で明らかにされているわけですよ。 これは議院内閣制だとかなんとかといういろんな言い分はあるだろうと思いますが、行政は行政として公正な行政をどういうぐあいに守っていくか。いわゆるいろんな団体ですね、特に営利団体からの自分たちの利益を守ろうという動きに対してどうやって公正な行政を守るのかという点は、大変大事なポイントだと思うのです。そこのところもこの判決は触れられているのですよ、運輸大臣。その辺はどういうぐあいにお考えになりますか。余りよく読んでいないということになりますと、まあロッキード事件は六年も前のことだということになるのかもしれませんが、しかし、歴代運輸大臣のずっとその点についての答弁がいままで重なってきているのです。
○小坂国務大臣 少なくとも現状におきましては、もちろん党もいろいろな関心を持ちます。そしてまた、政党としてのいろいろな役割りもございます。そうした面においてのいろいろな面からの意見を聞くことは、もちろん当然だろうと思います。また、官庁行政だけがすべて善であるというわけでもないのでありまして、こうした相互補完的な関係というものは、今後もなお続けていくのが公正な行政の基本になるというふうに私は考えておりますが、触れられたような問題につきまして、やや一方が深入りをし過ぎたということももちろん反省する点が多々あったと思います。現状におきましてはそうしたことは全くないのでございまして、公正な行政を進めるということについてあらゆる面からの協力を党からもらっているというのが現状でございます。
○横路委員 戦後の大きな疑獄事件というと、有名なのは造船疑獄事件ですね。これも運輸省が舞台ですね。今度のロッキードも運輸省が舞台。そのわりには、ちょっと反省の言葉が足りないように思います。従来からロッキードの委員会の議論を通しても、運輸省の立場もいまの運輸大臣の御答弁と同じ趣旨を繰り返してきたわけで、たとえば行政指導を一体だれがやったのかということさえどうも——今度の判決の中では、これははっきり指摘しているわけですね。内村航空局長、それから住田さん、当時の監理部長ですか、が中心になってやったというわけですが、運輸省の従来の答弁は監督課長がやったんじゃないか、その辺のところ、きわめてあいまいなまま今日まで来ているわけです。 そこで総理、ロッキード事件の再犯防止ということで幾つかの措置がいままでとられてきています。たとえばロッキード問題閣僚連絡協議会というところが五十一年の十一月十二日にロッキード事件再発防止のための対策についてということで、犯罪捜査についての条約の整備とか、日米の犯罪人引渡条約だとか、あるいは多国籍企業、海外進出企業の行動規制の強化であるとか、行政の公正確保のための措置の強化というようなことが出ているわけであります。 たとえば、いま問題になっております日立、三菱の問題も、まだ真実がよくわかりませんから何とも言えませんが、しかし少なくとも多国籍企業、海外進出企業の行動規制の強化というようなことがすでに昭和五十一年に一応言われているわけです。しかしながら、今度のようなことが起きてしまっているということですね。 それから、行政の公正担保のために、公正を確保するためにどうしたらいいのか。これは自民党の各部会と行政との関係というのも判決の中で指摘されている。私は、総理・総裁として考えなければいけない重要な点だと思うのであります。つまり、行政の責任者としてこの判決をどう受けとめて、これからどうしていくのかということですね。これもちょっと従来の議論の中ではっきりしておりませんので、そこのところをひとつ御答弁いただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 このロッキード問題が起こりましてから、政治並びに行政運営の上にいろいろ反省をすべき点が多々ある、いろいろ世論からの御批判もございまして、そこで大平内閣の際におきまして、再発防止のための行政並びに政治に関するところの措置につきまして方針を決定をいたしたところでございます。 行政関係、政府に関係する面につきましては、おおむね指摘をされましたような改善措置が講ぜられておるところでございます。政治面といいますか、立法府関係、議会関係、そういう面につきましては、これまた各党各会派において御協議が続けられており、改善がされたものもあり、いまだその途上にあるというものもあるわけでございまして、私どもは、今後におきましても、再発防止のための政官界のこの枠組み、仕組みというものについては十分検討を加え、改善措置を講じていかなければいけない、このように考えております。
○横路委員 この問題については当時からずっといろんな議論がありまして、問題点もピックアップされておりますので、特に行政の公正確保のための措置ということでは五項目にわたってロッキード問題閣僚連絡協議会で決められておりますから、これはさらに実現していくように御努力をいただきたいと思います。 ロッキード問題の質問の最後に、ロッキード関連裁判というのは小佐野ルート、児玉ルート、丸紅、全日空ルートということで、児玉譽士夫に対する判決がちょっと延ばされている。残されたのは丸紅ルートということなわけですが、この丸紅ルートの田中元総理に対する裁判の進行状況でございますが、いまどんなような状況なのか。現状についてちょっと御報告をいただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのいわゆる丸紅ルートの公判の進行状況でございますが、新聞報道等でもかなり詳細に報道されておりますように、検察官側の主張というものはおおむね済んでおるわけでございますが、いわゆる被告人側の立証、特にいわゆる職務権限に関する反証といいますか、そういう活動が続けられている状況にございます。
○横路委員 これは裁判所の方の話になるのですが、検察官の方としては、大体どんなぐあいにめどを、求刑の時期というか——被告の立証、もうそろそろ大体終わる時期じゃないのですか。
○前田(宏)政府委員 検察官側といたしましては、この事件に限らず、訴訟というものは一般的に早く進行すべきものということで考えておりますけれども、何分にも、何と申しますか、いわば相手のあることでございますし、現に被告弁護人側におかれましていろいろな立証を続けられておるところでございます。それがいつ終わるかということにつきましては、検察官側といたしまして、いつまでということを言うわけにもいかない立場にあるわけでございますから、今後どのような見通しになるかということを明確に申し上げる状態ではございません。
○横路委員 取り調べが終わって、あと検事の方の論告、求刑、それから弁論、判決ということになるのですが、これはいままで、大体どんなくらいに時間がかかっていますか。大体審理が終了して、論告、求刑までどのくらい、過去のケースについてはどうですか、過去のロッキード事件関連では。
○前田(宏)政府委員 過去の例につきまして具体的な数字をいま持っておりませんが、これは申し上げるまでもないことでございますが、事案事案に応じて内容が複雑であるということもございますし、その争点が多いという場合もあるわけでございますから、一律に、一概に申し上げられないわけでございます。
○横路委員 大体年内には間違いなくできるんでしょう、論告、求刑は。
○前田(宏)政府委員 先ほど申しましたように、いまは主として被告弁護人側の主張が行われているところでございますから、それがいつ終わるかということを検察官側で決めるわけにはまいらない状況でございます。
○横路委員 大分口がかたいのですが、大体そう遠くないうちに論告、求刑になるだろうというように私どもは見ております。 それで、今度の六・八判決と田中裁判との関係、まあ直接は関係ないのですが、大体検察官の主張どおりいままで認められてきていますね。したがって、今度の判決というのは、田中元総理、皆さん検察官の方は有罪を獲得するために一生懸命活動されているわけで、大体検察官のいわば思うとおりに事柄は進行してきているというように思うのですが、これはどうですか。
○前田(宏)政府委員 これは横路委員に私から申し上げるのもいかがと思いますけれども、事件は事件それぞれ別個でございまして、それぞれによって内容も違い、争点も違い、いろいろな問題もあるわけでございますから、ほかの関係のある事件がこうだから残っている事件がこうなるということを申し上げるわけにはまいらないわけでございます。
○横路委員 しかし、大分激励にはなったでしょう。
○前田(宏)政府委員 検察側といたしましては、先ほど横路委員も仰せになりましたように、公訴を提起しております以上、その公訴の維持に全力を傾けていることは当然でございます。
○横路委員 以上で、ロッキードの関係を終わりまして、次に、軍縮の問題についてお尋ねをしたい。 総理の軍縮総会の演説を中心にしてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、あの演説について、私も聞いておったわけですが、ある新聞は、「大みえ首相 国内での落差どうする」などと報道しておりました。私もあの演説を聞きながら、この演説を一番聞かせたいのは日本の総理大臣だなどと思いながら聞いておったわけですが、総理はもちろん内容をよく覚えておられることだろうというように思うのです。 私は、この演説の中で、まず初めに、国内の政治に積極的にわれわれの方から評価して生かしてもらいたいという点を中心に、最初お尋ねをいたします。もちろん幾つかの批判点がございますから、それは後の方で時間がございましたらやっていきたいというように思っております。 今度の軍縮総会に出席いたしまして、その前に各国の議員が集まる集会といいますか、三日間ほどのシンポジウムがありまして、軍縮議員連盟という国会の中にできているグループで十数名参加いたしまして、国連の中で広島の映画を上映いたしたわけであります。それから、ジャパンソサエティーで場所を提供していただきまして、やはりここでも広島の映画をやったわけです。どんな話よりも、みんなに核兵器というものについて関心を持っていただくには映画を見ていただくのが一番いいことだというように私、思いました。大変反響が強くて、ぜひこの映画を自分たちのところでもやりたいから、もらいたいという希望がいま軍縮議員連盟に殺到しているわけであります。 そこで、総理の演説の中で、やや形容詞の多い演説だったと思いますが、具体的に提起されている点が幾つかございます。その中で、私ぜひこの演説を生かしてやっていただきたいと思うことの一つは、この演説の十六ページのところにあります世界軍縮キャンペーンという問題であります。総理は、この世界軍縮キャンペーンが実りあるようにわが国としても協力をしていくということを述べておられますが、実は国連のあの軍縮総会の中で、インドとスウェーデンの代表は、その費用負担をするということを明確に述べられたそうであります。総理は、そこら辺のところがちょっと協力していくということだけなんですが、当然これは費用の分担もお考えになっているというように考えてよろしいでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 御承知のように、国連に対しましては日本は財政的な面では最大限の協力を申し上げておるわけでございます。特に軍縮に関するところの資料その他を整備するという問題につきましては、私自身があの演説の中でも提起した問題でございますから、できるだけのことをいたしたい、こう考えます。
○横路委員 これはちょっと国連局の方で御答弁いただきたいのですが、この軍縮キャンペーンについて国連の事務総長が計画案を提出したというように言われておるのですが、もし確認できれば、その内容がどういうような内容になっているのか、その内容についてわが国として、いま費用の分担について御答弁がありましたが、そのほかどんな協力が考えられるのか、ひとつ国連局の方から、外務大臣でも結構でございますが、御答弁いただきたいと思います。
○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。 お尋ねのございました国連事務総長の提案なるものが去る六月十一日付の国連文書で配付されております。この提案の中に提言されておりますキャンペーンに関する提案は、四項目から成っております。御紹介させていただきたいと存じます。 第一は、年鑑等の出版、テレビ、ラジオ番組の作成等を通じ、各国民、マスコミ、非政府団体に対する国連の広報活動を強化する。二、セミナー等の開催の形で影響力のある国内及び国際非政府団体との協力を実施する。三、軍縮週間を利用した特別行事として、キャンペーンに寄与した者の表彰、平和映画祭、軍縮週間コンサート等を開催する。四、世界軍縮キャンペーン自体の広報計画を実施する。以上が内容の大要でございます。 わが国といたしましては、ただいま総理からお言葉のございましたように、この世界軍縮キャンペーンの趣旨に沿うようにできるだけの協力をいたす方向で考えてまいりたいということでございます。 以上でございます。
○横路委員 その国連の中でやりました広島の映画を大川軍縮大使もごらんになりまして、どうも私の印象ではそれが初めてだったのじゃないかと思うのですが、ぜひ軍縮の代表部にもこの映画のプリントを二、三本用意しておきたい、やはりこの姿を見てもらうことがまず第一歩だということを大川軍縮大使もおっしゃっておられたのですが、各国からそういう希望も議員の集まりのときに大変あって、たとえば日本政府で、この広島、長崎のいろいろな映画がございますから、その中から適当なのを選んで買い上げて、日本の在外大使館、アメリカなりソ連なり中国なりございますね、そういうところに備えつけておいて無料でこれを貸し出しをするということも、広島、長崎の原点をみんなに理解してもらうという意味では大変重要なことじゃないかなというように思うのですが、そんなこともひとつお考えいただきたいと思うのですが、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 私も出発前に、各党の婦人議員の皆さんと一緒にあの悲惨な原爆の記録映画を見ました。本当にああいう記録映画こそ真に迫る、百万言を費やすよりも訴えるものがある、こういうぐあいに感じました。そういうような観点から、いまの御提案は大変貴重な御意見である、こう考えておりまして、今後政府におきましても研究させていただきます。
○横路委員 たとえば巡回写真展などというのも、広島市、長崎市の方で無料で貸し出しをして、ヨーロッパなどでもやっているのです。これも大変大きな反応なんです。今度の軍縮キャンペーンの中にも、たとえば映画の制作であるとか巡回写真展などというのもございますから、そういうのを含めてこれに対して大いに協力をしていただきたいというように思います。 同時に、国連は軍縮週間というのを決めておりまして、各国政府は自分の国の国民に対して軍縮のキャンペーンをやるように、十月のたしか二十四日から一週間ぐらい、その期間というのは決められているわけです。これは国連にどういうことをやったかということも報告しなければならぬことになっているのですが、従来のキャンペーンというと、そんなに大したことを政府がやっているわけじゃありませんから、これも軍縮総会に総理出られてあのような演説をされたということでございますから、ことしの軍縮週間はひとつもう少しみんなで知恵を出し合って、私たち軍縮議員連盟の方も協力いたしたいと思いますので、しっかり予算なども組んでやっていただきたい。これは一応は外務省の方でたしかやることになっておるのです、外務大臣。ですから、よくその辺のところも御協力いただきたいというように思いますが、総理大臣、この軍縮週間について一言。
○鈴木内閣総理大臣 軍縮週間を意義あらしめるためにどのような行事をどのように進めたらいいかという問題につきましては、軍縮議連等の御意見も拝聴しながら政府としても進めてまいりたい、こう思います。
○横路委員 それから、もう一つ今度の演説の中で私が注目したのは、国連の平和維持機能を高めるためにどういうことができるのか、わが国として何をなすべきなのか、具体的には何もございませんが、国連の平和維持機能ということを提起されたということだと思うのであります。何といってもわが国の外交の基本というのは、そんな意味で国連をもっともっと私たちが機能的にしていくということに、お金を出すだけじゃなくて、やっていかなければいけないだろう。そんな意味で言いますと、いわば西側の一員というよりも、もうちょっとより広く、世界の一員としての活動というのが国連の場における活動になろうかというように私は思うわけです。 ひとつこれもお尋ねしたいわけなんですが、平和維持機能についての、一つは、その費用の問題ですね。これはどういうような状況になっているのか。
○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。 国連の平和機能の具体的な形といたしまして、中近東におきましてはゴラン高原の監視に当たるUNDOF、それからレバノンに関しましては暫定軍、いわゆるUNIFILというのがございます。また、サイプラスについてはUNFICYPという国連軍による監視がなされている等々ございますが、これらに対しましては、通常予算を含めまして平和維持に関する分担金といたしましては、わが国の分担率に相当する九・五八%を供与といいますか拠出いたしておるのでございます。ただし、サイプラスに関しましては、通常の予算でございませんので、わが国の立場に即応した形での拠出を行っているという現状でございます。 ちなみに、昨年度の拠出の総額は約五十億円でございます。
○横路委員 平和維持活動というのは、平和維持軍とそれからいろいろな監視団というのがあるわけですね。費用の点もさることながら、何かこれに協力するというと、すぐ自衛隊の海外派兵といったような観点からの議論になってしまうわけです。そうなりますと、やはりこれは憲法上の問題になりますから、そうじゃなくて、国連の活動というのは、たとえば監視活動というのもありますね。軍事的なものばかりじゃなくて、たとえばナミビアで選挙がもしあるとすれば、その選挙の監視員をどうするかとかというようなこと、あるいは医療の問題であるとか通信の問題とか、いろいろな問題があろうかと思うのです。 そこで、国連への活動協力をどうするかという基本的な方針というものを、つまり国内の一つの受け皿みたいなものをつくって、国連協力法と言われる、まあ中身はともかくとして、そういうようなものをしっかりつくって、そして、それに基づいて協力していくというように私は構想すべきじゃないだろうか。この国連における、中で働いている日本人の職員あるいは各省庁から出向している職員に関するいろいろな問題もございますし、ともかくそんなような問題トータルに、国連に協力するわが国の受け皿みたいなものをしっかりみんなで議論してつくる。どうも国連の協力というと、すぐ何か自衛隊の海外派兵の問題に議論がされてしまうというのをきれいに切り離す必要が私はあるのではないだろうか。 そうしますと、やはりいま日本が国際的な活動の中で、ややもすると経済大国であと世界に何を貢献しているのだ、経済協力といってもそんなにDACの中で自慢できるようなことになっているわけでもありませんし、私はやはりその辺のところをひとつ明確にしていくということが今日の状況で大変大事なときに来ているのではないかなというように思うのです。具体的な議論をもう少ししなきゃいけませんが、総理のこの平和維持機能、本会議の答弁でも憲法の中で考えていきたいということですから、その憲法の中で考える方法としてそういうような考え方はいかがなものかというように思うのですが、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 申し上げるまでもなしに、国際社会において至るところで紛争あるいは小さな戦争のようなものが勃発をしておる、非常な危機感を人類は抱いておるわけでありますが、そういう中で国連の平和維持に関する力というものはいかにもどうも弱い、不十分である、何とかこれを強化しなければいけない、こういう強い要請があると私は思っておるわけであります。 そこで、私どもが国連の平和維持機能の強化について一体どのような協力が日本としてできるのかという問題になりますが、これは基本的には憲法の制約のもとにおいて、いろいろ財政的な援助のほかに、ナミビアのいまの選挙の際における専門家を派遣してそれに協力をするとか、あるいはまた災害とか疾病とか難民とかいうようなものが発生した際において医療協力をするとか食糧援助協力をするとか、いろんな行き方があろうかと思っております。そういう点、今後私は積極的に前向きでひとつ日本としては協力していかなければいけない、こういう考えでおりますので、今後御相談をしながら進めてまいりたい、こう思っております。
○横路委員 従来もそれはいろんな協力を日本としてしてきているわけですが、どうも個々ばらばらな形で、その姿勢とか理念とかというものはどうもはっきりしているわけではありません。 ですから、いま総理から積極的な御発言をいただいたわけですが、外務大臣、そういう国連に強力に協力を進めていくに当たって、やはりそういう根拠をはっきりさせるという意味での何か受け皿を日本の国内に一つの体系としてつくるということはどうですか、少し検討されたらいかがですか。
○櫻内国務大臣 ただいま総理がお答えしたように、国連の平和機能強化のために日本政府としても、横路委員のおっしゃるような何か受け皿をつくって研究したらどうか、これは大変結構なことだと思うのであります。特に、御承知であろうと思いますが、パルメ委員会が機能強化のための提言もいたしておりますので、それらを踏まえまして、現実に日本としてどういうことをやるべきか、総理のお答えもございましたから、よく検討してみたいと思います。
○横路委員 もう一つ、総理の演説の中で、まあ見ておりましたら演説後大分たくさんの人が鈴木さんの席に寄って握手を求められる。見ていますと、ほぼ何か第三世界といいますか開発途上国の人だったと思うのですが、あなたの演説のどこのところを評価されておったのですか。
○鈴木内閣総理大臣 私がどの点をどうかということを申し上げるのはいかがかと思うのですが、私、三原則を訴えましたが、その中で、二番目に、軍縮によって生じた余力で第三世界の民生の安定なり経済の発展なりに協力していくべきだ、それが世界の平和と安定に貢献する有効な道である、こういう点も訴えております。恐らくそういう点も共感を呼んだのではないだろうか、こう思っております。
○横路委員 そうだと思うのですね。特に総理は経済協力について今後も力を入れていくということをその演説の一番最後のところで述べております。つまり、日本がそのことを具体的に行うことを期待しているのと違いますか。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりだと思います。私は、ベルサイユ・サミットに参りましても、昨年のカンクンにおける南北サミットにおきましても、常に先頭に立ってそのことを日本の基本的な考え方として主張してまいりました。どちらかというと欧米諸国は援助疲れといいますか、経済的に非常に困難な状況下にある関係もございましょう、援助疲れという感を深くするのでありますが、そういう中におきまして日本が比較的順調に経済の成長発展を遂げております。その経済力を裏づけにして、おくればせながら積極的にそういう面で大いに協力をしていこう、国力、国情にふさわしい貢献をしていこう、こういうことを強調し、また先般の国連総会でも述べた。現実に足元のアジア地域、ASEAN等につきましては、具体的に日本がやっております二国間の援助の中でも七割はアジアに向けて、しかも域内の諸国の自助努力といいますか、それに協力をし、それとよくかみ合って相当の成果を上げておる。これは一つのモデルだと思うのでありまして、そういう点を踏まえて私はそういうことを訴えておる、こういうことであります。
○横路委員 第三世界が評価をしたとすれば、軍縮をして、それによって生み出された資源をいわば南北問題解決のために使おう、そして日本も経済協力をやる、こういうことを総理が御発言をされて、多分日本が率先してそのことをやるというようにみんなが受けとめているのじゃないかと思うのです。ですから、問題はやはり軍縮、これは予算の面でやはりある程度はっきり出てきて、たとえば日本がこれだけ軍事予算を減らして、それを開発途上国に回しましたなんということになりますと、総理に対する評価というのは一段と高まるわけなんですが、総理、これはちょっと来年度予算のことも聞きたいのですが、たとえば現在の日本の持っている軍事的な能力を低下させずに軍縮する方法もないわけじゃないのですね。 たとえば、陸上自衛隊というのは、自衛隊法で目標は直接侵略、間接侵略対応でしょう。間接侵略対応というのは何かと言えば、治安維持ということですね。いま警察の治安維持機能なんというのは大変高まっているわけなんで、全国の都市の周辺にこんなにたくさん基地を持って、しかも戦車を配置しているなんということは必要ないわけですよ。半分ぐらいに陸上自衛隊を減らしたって、別にどうということはないのですね。能力が低下するということではないのですよ。その点についてそういう議論もあるわけです。 だから、本当にその辺のところを、総理が前に指示されたのは、そういうことも含めてお考えになって指示されたのじゃないかと私は受けとめているのですが、いわば行政改革の一環としても少しそういうようなことを含めて考えてみる、これはいかがですか、総理。
○鈴木内閣総理大臣 これは横路さんのかねてからの持論でありまして、前々国会でありますか、あなたのそのお考えを相当詳細にお述べになりました。私もその御意見に非常に強く賛同すべき点がございまして、いろいろ私なりにも勉強をさしてもらっておるわけでありますが、日本は長大な国境を接した大陸国家ではない、海洋国家であるから、海洋国家にふさわしい防衛体制というものがあってもいいのだ、そういうようなことを私は申し上げたのも一つの考え方に基づくものでございますが、いまもお話がありましたように、今度のフォークランドの戦い等を見ておりましても、兵隊の数によって勝負が決まっているのではなしに、やはり相当装備の力、近代化というようなものが物を言っておるというような点もあります。いろいろな角度から、今後の制約された防衛費、財政の枠内でございますから、質の高い効率的なものにしていかなければいけない、このように考えております。
○横路委員 きょうその中身を議論する場ではございませんが、一発たしか二億程度のミサイルで、何百億という船が一発で終わりなわけですから、そういうような状況も、ひとつ軍事予算そのものを減らしていくということの努力をやはりしなければだめですよ、総理、こういうりっぱな演説をされたのですから。だから、来年度予算の中にこの決意が生かされることをわれわれは期待しておりますが、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 「防衛計画の大綱」の線に沿いまして、必要最小限度の防衛力の整備、これはやらなければならないと思いますが、いまのお話のように、できるだけこれを効率的なものにしていく、できるだけ少ない予算で質の高いものにしていくということにつきましては最大限の努力を払いたい、こう思っております。
○横路委員 そこのところが総理、総理の演説の次の日に、私はニューヨーク・タイムズを見てびっくりしたのですが、こういう見出しなんですよ。お読みになったかと思うのですが、要するに、国連で日本は軍備増強を説明した。これは総理、聞いてみますと、総理の演説を説明した外務省の人に対して、つまり、この国連の演説はわかった、しかし、日本が毎年毎年膨大な予算増を図っているのとどう関連をするのだということを言われて、どうもこの説明を見ますと、日本はまず軍事のレベルを上げるということ、ふやしてバランスを保ってから、それから軍縮するのだ、だから日本の軍縮の第一歩は軍事予算をふやすことだみたいな記事になっておるわけですよ。外務省の方であわてて投書をしたり何かしたということですが、まさにこういう記事になる背景といいますか、要素というのは、やはりいまの総理の姿勢の中にあるのです。 国連でこういうことを言った。みんな第三世界も、ああ、軍縮で浮いて、それを自分たちの南北問題解決のために使ってくれるのだというのぐ総理のところへ行ったわけですよ。ところが、どうもさっぱりそうではないということになるとやはり問題があるわけなので、私は、みんなが考えているのは、やはりこの総理の演説というものの趣旨をこれからの日本の国内の国政の中に生かしてもらうということが大変大事だと思いますから、来年度予算については、先ほど大蔵省の方からの試算でも、本年よりもより厳しくするということが出ておりますが、また軍事費だけ突出させるというようなことは、この趣旨からいってないでしょうね。
○鈴木内閣総理大臣 いまの財政事情からいたしまして、私は大変厳しい状況の中で諸施策を進めていかなければならない、こう考えております。したがいまして、防衛予算につきましても、必要最小限度のものを計上していくという考え方に変わりはございません。
○横路委員 もう時間もなくなってまいりましたが、最後に、ちょっと核軍縮のことについて。 総理は、演説の中で、核兵器が二度と使用されることのないように、核兵器国を初めとする世界各国が実効ある措置をとることを強く訴えると述べられております。この実効ある措置というのは一体何かということなんですが、ただ単に米ソの交渉に期待するということだけではなくて、各国の国連における議論を聞いていますと、大体低いレベルでできるだけバランスをとろうということについては、ほぼみんなが共通した議論なんです。 その低いレベルについて、たとえば中国は、五〇%ずつ減らしたらどうかという問題提起を外務大臣が国連の総会で言われております。それから、アメリカの国内ではどこへ行ってもフリーズ、つまり凍結、ケネディ・ハットフィールド法案というものが出されまして、何か先日下院の外交委員会でもこれは議論されたようでございますが、凍結ということがいま大変大きな焦点になっております。ことしの秋のアメリカの選挙の一つの大変大きな柱になるだろうと言われているわけですね。 この実効ある措置の中に、たとえばアメリカの国内でも言われているフリーズ、凍結する、まず現状凍結だという、この考え方はいかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、やはり核軍縮を本当に実効あるものにしてまいりますためには、米ソの核超大国が真剣にこの問題に取り組んで世界の世論にこたえていくということがまず第一である、このように考えます。そのために、アメリカは戦域核についてのゼロオプションを発表したり、いろいろやっております。ソ連はソ連なりにまた言っておるようでございますが、私どもは非核兵器保有国でございますから、国連演説で訴えましたようなことを、各国と連携をとりながら、国際世論を高めて、そういう方向に努力していきたい、このように考えております。
○横路委員 アメリカ国内の核凍結ということは、ニューヨーク・タイムズの世論調査を見ますと、七割から八割の人の賛成を得ているのですね。本当にこの半年くらいのアメリカ国内の世論の変化というのも大変大きいものがありまして、レーガン政権に対するいろいろな批判が、いま何か核凍結というところの問題に集約されてあらわされている。やはり世論というのはバランス感覚があるなという感じが非常にするわけなんですが、アメリカのいまのレーガン大統領の政策そのものは核凍結には反対なわけです。 しかし、こういう動向を見ながら、ただ米ソの交渉に期待するというだけじゃなくて、やはり日本としての核軍縮に対する、われわれはこう考えるという具体的な内容を発言されたらどうですか。別に日本が核持っていないからといって、そこは何も遠慮することはないわけでございまして、むしろ積極的に、米ソはこうすべきじゃないかという提案を核軍縮の措置としてやはり考えられるべきじゃないか。今度の演説でやや物足りなかったのは、そこら辺のところの具体的な提案が少しなかったなと。先ほど私が質問の最初の方で申し上げたような点は大いに評価されるべき点です。これから先はだんだん評価が低くなっていく点なんですが、やはり実効ある措置というのは何なんだ、これなんだというのを総理として少し御検討されたらいかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 貴重な御意見として、今後十分参考にしてまいりたいと思います。
○横路委員 もう一つ、これは私、この春にも質問をした点なんですが、先日またロストウ軍縮庁長官が、六月二十日ですか、日本であれヨーロッパであれ、ソビエトの通常兵力による攻撃に対して、場合によっては核を使用することもあり得るんだ、それがアメリカの抑止力だ、こういう発言をされています。この前、一月の議論の中では、その点に関して、日米間ではいわゆる五十年のときのですか、三木・フォード会談の四項目、「大統領は、総理大臣に対し、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合、アメリカは日本を防衛する」ということの中に、実は通常兵力の攻撃に対してアメリカは核を使うんだということについてもいわば日米間で合意があるという趣旨の御答弁があったように承っているのですが、それは間違いないでしょうか。
○松田政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、昭和五十年八月六日の三木総理大臣とフォード大統領の首脳会談におきます共同声明において、第四項で、わが国への武力攻撃があった場合、それが核によるものであれ通常兵器によるものであれ、米国としては日本を防衛する、そういうことを大統領が確言しておりますことの中にはあらゆる意味での措置が含まれておるという意味において、核の抑止力または核の報復力がわが国に対する核攻撃に局限されるものではないという趣旨と私どもは理解しております。
○横路委員 いまの答弁というのは、つまり政府間の解釈もそういう解釈で確定しているのですか。たしか当時宮澤さんが外務大臣だったと思うのですが、いまの答弁で、これは政府間でその辺の中身についても合意されているのでしょうか。つまり、その辺についての解釈として、通常兵力の攻撃に対してもアメリカは核を使うということを日本は期待しているのですか。
○宮澤国務大臣 ちょうどアメリカがベトナムから撤退をするというような状況のときでございます。核を使うということをいまおっしゃいましたが、政府委員はいわゆる核の抑止力というふうに表現いたしました。その方が適当な表現だろうと思いますが、両国政府間でそういうふうに了解しております。
○横路委員 そうすると、これは場合によっては、いま問題になっています核の先制使用ですね、これもアメリカの国内で四人の人たちが先制使用というのはやめようじゃないかという提案をしています。この核の先制使用に日本は期待をするんだ、こういうことになるのですね、総理大臣。
○鈴木内閣総理大臣 今度のベルサイユ・サミットで、西側の首脳を交えていろいろ国際的な、特にヨーロッパにおける緊迫した情勢等を中心に議論が大分なされました。その際に、私がいま非常に印象に残っておりますことは、ソ連が圧倒的な通常兵器戦力を保有しておる。これに対して西独初め西側は、通常兵器戦力においては非常な見劣りがしておる。こういうような中で、核の抑止力だけがかろうじてこのヨーロッパの平和と安定を確保しておる、こういう議論がなされておるわけでございます。 私は、核を先制的に使うとかなんとかいう問題でなしに、やはり通常兵器等のバランスが大きく崩れておる状況の中におきましては、それが一つの抑止力になっておるというようなことは、これはあの責任ある各国の首脳の議論の中に生々しく私は印象づけられてまいっておるところでございます。
○横路委員 ヨーロッパはどうあれ、日本の政策をいま議論しておるわけですが、私はそういうことで、日米間で、三木・フォード会談の中で、通常兵力の攻撃に対しても核の使用、つまり使用するということが抑止力を構成するわけですね、使用するぞということそのものが抑止力なわけですから、そうすると、先制使用ということになるわけで、これはこの前の国会決議とも反してくるわけです。 ちょっと時間がございませんので、最後にちょっと大きな問題を提起し過ぎたかというように思いますが、国会決議とその点は矛盾するんだということを私は指摘をしておきたいというように思います。 それで、時間がもうあと二分ほどになりましたので、最後に、ちょっと通産大臣にお尋ねしたいのですが、北炭夕張のあの大災害が発生して八カ月になるわけなんですが、災害の原因調査の報告がまだなされていないのですが、これはいつごろなされるのかということと、会社更生法に基づく管財人選任以来二カ月近くなるわけですが、更生計画の策定するめどはいつなのか、どういう点がその問題点になっているのか、それをお答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○安倍国務大臣 北炭夕張炭鉱の災害原因調査につきましては、昨年の十一月五日から事故調査委員会、委員長は伊木東大名誉教授でありますが、発足をいたしまして、これまで数次にわたる現地調査、探査ボーリングを初めとする各種調査試験を重ねてきた結果、現在調査結果の取りまとめに入っている段階であります。七月の初めには委員会としての最終結論が政府対策本部に提出されるという見込みになっております。 また、北炭夕張社の再建につきましては、現在、御承知のように、会社更生法の定めるところによりまして、大沢管財人の手によりまして、保安の確保と安定経営が可能か否かを判断基準として、技術的、経済的に検討を加え、何とか山を残すという方向で努力が払われておる、こういうふうに承知をいたしておるわけですが、昨日、御承知のように、札幌におきまして第一回の関係人集会が開催をされましたが、同集会におきまして大沢管財人から、保安の確保を前提として残炭十尺層、いま掘っておるところであります、それから平安八尺層及び北部十尺層の開発可能性の技術的検討及び経理的検討を、石炭業界の衆知を集めて行っているが、まだ最終的な結論を得るに至らず、引き続き検討中である旨説明があったというふうに聞いております。 政府としましては、この管財人の御努力によりましてできる限り早急に適切な更生計画が策定をされることを期待をいたしております。 問題は、いま申し上げましたような残炭十尺層、平安八尺層、北部十尺層の開発可能性の問題でございますが、そのためにも、御存じのように、膨大な債務の処理、特に労務債など大変なものになっておりますから、こういう問題との絡みでどういうふうに再建していくか、今後いろいろと管財人中心にやっていただきますが、できるだけ早い機会に更生計画が提出されるようにわれわれは期待をいたしております。
○横路委員 終わります。
○栗原委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。 次に、坂井弘一君。
○坂井委員 六月八日の判決が出まして、総理はこの判決に対しましては厳粛に受けとめておるとしばしば繰り返されております。 〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕 問題は、そうであるとすれば、一体いま政府、国会が何をしなければならないのか、今回の判決の反省なり教訓というものを、また将来に向かって政治倫理の確立なり再発防止ということに対して具体的にどうあるべきかというようなことに対して、直ちにそれに対する実効のある対策といいますか、そうしたことが行われていかなければならぬことは当然のことでございます。 そこで、まずは何よりも、今回の判決からいわゆる政治的道義的責任の所在を明らかにする。国会においてもけじめをはっきりつける。それがなされて、その後において政治倫理なり再発防止ということがなお全きを期することができるのではないかと私は思います。そういう意味では、端的に申し上げまして、やはり今回の判決で有罪の宣告を受けた公人である佐藤さんは、みずから進んで議員をおやめになる、これが一つの政治的道義的責任のけじめであろうと思いますし、また、いわゆる灰色高官と言われる人たちは、何回か繰り返し議論がございましたけれども、やはりその黒白につきましてはみずから進んで証言台に立って決着をつけるべき政治的道義的のこれまた責任あり、こう言わなければならぬと私は思います。 そういうことを申し上げながら、一昨日来この問題につきましてはいろいろな角度から質疑応答、政府の答弁がございました。したがって、二、三の点に要約をいたしましてお尋ねをしたいと思います。 最初に、総理の御認識として伺っておきたいのでございますが、今回のこの判決をなお東京地検は不服といたしまして、二十二日、量刑不当を理由に東京高裁に控訴をいたしました。御案内のとおり、両被告に対します受託収賄事件につきましては、検察側の主張がほぼ全面的に認められておる。そして、そういう中で求刑どおりの判決、こういうことになったわけでございますが、執行猶予、これを不満として検察側が控訴した。これは私は、やはりロッキード事件における政治家の公人としての国民に対するその責任のある立場、とりわけ国民から見れば非常に強い関心を持ちながらも政治家に対してはきわめて厳しい世論がある、こういうものを踏まえた検察側の厳しい姿勢を控訴ということによって示したのであろう、このように受けとめておりますが、総理はどうお感じになっておるでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 今回の六月八日の判決に対しまして検察側がこれを高裁に控訴の手続をとったということは、御指摘のとおりでございます。その理由の中には御指摘のような点も含まれておろうかと思いますが、なお法律的な裏づけ等もなければできないわけでございますから、その点につきましては法務当局から説明をいたさせます。
○前田(宏)政府委員 御指摘のように、六月八日の判決につきましては、検察官側からも控訴の申し立てをいたしておるところでございます。控訴の理由につきましては、これから正式に控訴趣意書で述べるわけでございまして、まだその内容は確定しているわけでもございませんので、この段階で詳しいことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、要するに、結論的には執行猶予になっている点がいわば法律的な意味で量刑不当だ、こういうことでございまして、それは若干申し上げますと、要するに、執行猶予の理由として、一審の裁判所が、判決の要旨でございますからさらに詳しいことはよくわかりませんけれども、その要旨の上でいろいろ述べられている点がございまして、その点につきまして、そのように見るのはいかがかというような点もあるところから高裁の判断を仰ぐということで控訴の申し立てをした次第でございます。
○坂井委員 このロッキード事件が起こりました五十一年に、実は公務員で汚職の疑いでもって起訴あるいは起訴猶予処分になった人が三百九人あったわけです。このうち三割近い人が、起訴と同時に懲戒免職になっております。通常でありますと、起訴されると休職ということでございますけれども、やはりロッキード事件が五十一年に起こりまして、この摘発といいますか追及の火の手が上がった。そういう折であっただけに、襟を正さなければならぬということで三割近い人が起訴と同時に懲戒免職、大変厳しい処分を受けた、こういうことだろうと思います。 申し上げるまでもなく、国会議員は一般の公務員より以上に厳しい責任を負っておる、厳しく律しなければならない。 〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕 ましてや、もう一方におきます一般的なサラリーマンが事件を起こしまして逮捕というようなことにでもなりますと、即座に首というのが世間の常識でもございます。そういうことを国民はよく知っておるといいますか、そういう理解をする中で、一体、国会議員たる者が有罪判決を受けながらなお、辞職勧告決議という野党側のそれぞれ勧告決議案も出されるというようなところに至りながらもなおおれはやめない、これでは、世間の常識というよりも国民の政治家なり公人に対するそうした厳しい要請といいますか、あるいは公人なるがゆえに一般国民が信頼をおいておるその信頼まで裏切るといいますか、何らそれに対して意を介さないような態度に対しては、それは断じて容認ができないというのが偽らざる一般庶民、国民大衆の気持ちであろうと私は思います。 そこで、そんなことを考えながら、今回繰り返されました議論の中で、総理は、野党側も辞職勧告決議案まで出す、こういう事態に際して御本人佐藤さんが一番真剣にかつ深刻に考えていると思う、こういう総理の御発言がございました。私は総理のこの御発言を伺いながら、総理も大変苦慮する中で、やはりそうした一般国民の感情といいますか、あるいは政治家、公人としてみずから律すべきときには毅然としたけじめをつけなければならないのだというようなことをずいぶん念頭に置かれながらの御答弁であろう、こう実は推測しながらお伺いしておったわけでございます。 総理は、これは佐藤さん自身の問題、本人が判断すべきことである、事柄の性質上そうではないか、国会議員の身分にかかわることであるから行政府の責任者として意見を申し述べることは差し控えたいとされながらも、なお昨日の答弁におきましては、佐藤さん自身が一番真剣にかつ深刻に考えているんではないかとおっしゃった。少なくともそのことは私は次のように受けとめたいと思います。 つまり、やめるもやめぬも本人次第だ、はたからとやかく言う筋合いのものではない、やめないでがんと居直ると言うならばそれもよかろうというような意味ではなくて、少なくとも総理の胸中には、念中には、このような事態を深刻に真剣に受けとめるならば、本人みずからの問題としてやはりこの際は職を辞することが好ましいのではないか、そういう総理の願望といいますか願いも込められた御答弁であったと私は受けとめたいわけでございますが、総理のひとつ御心中をお聞かせいただければ幸いでございます。
○鈴木内閣総理大臣 坂井さんからいろいろ私の心境、心情に触れてお話がございましたが、この問題については佐藤議員本人が本当に深刻に受けとめておられる、また親しい友人の方々も大変このことについて心配をされていろいろお話し合いもある、こういうことも実は聞いておるわけでございます。私はまた、函館市の市議会におきましても辞職勧告の決議案もなされたというようなことも聞いております。そういう点を十分御本人は重く受けとめておられるものと、このように存じておるわけでございまして、しばらく私はその御本人の心境、お考えというものを見ておるところでございます。
○坂井委員 私は深くは申し上げることを差し控えたいと思います。 ただ、いま総理の御答弁を伺いながら、予算委員会、本委員会のこうした論議を通じて総理のいまの御答弁等を通じながら、言うなれば佐藤氏に対する辞職の勧告を総理の気持ちとしてお述べになっていらっしゃると私は受けとめたい、こう思います。深く申し上げることはいたしませんが、そう受けとめたいと思います。 いま一つの証人喚問問題でございますが、もうるるやりとりのあったとおりかと思います。要は、いま総理の御答弁は、議会制度協議会小委員会においていわゆる証言法の改正問題、これが国会の合意ができて、各党の合意ができて今国会中に喚問が実現できるように強く希望する、こう述べられたわけでございます。 確かに現実問題といいますか、この証人喚問に対します経緯を振り返ってみますと、与野党国対委員長会談において合意を見まして、予算委員会理事会におきましてなおこの促進方を要望し、かつ今国会中において証人喚問が実現できるよう鋭意努力する、こういうことで来たという事実の経緯がございます。したがって、証人喚問につきましては、証言法の改正合意というのが証人喚問のあくまでも前提になってきた、このことは否定すべくもない事実でございます。ただしかし、これができないからといって喚問できないわけではなかろう、現行法でも喚問できるじゃないかという野党各党の意向もございます。それはそれとしまして、私は、現実問題としては証言法の改正ができなければ喚問はできない、これは与野党間の合意に基づくことである、したがって、これは尊重いたしたいと思います。 そういう立場で申し上げますならば、総理は今国会中の喚問を強く希望すると述べられる限りは、何らかひとつ具体的にと申しましょうか、総理が一この証言法の改正ができるということは大前提でございますから、きょう実は自民党案が出されるということで先ほどもちょっと伺いますと、何だかあと二項目を追加するとかどうとかということのようでございます、定かではございませんが。残念ながら、与野党間の合意はそう簡単ではなかろうと思わざるを得ない。しかし、その間与野党が歩み寄って何とか合意しなければ、事実上今国会における証人喚問ができなくなる。そういうことになっては相ならぬ。したがって、総理とすれば、何とかこの与野党合意が取りつけられるよう、そして証人喚問ができるように何がしかの御努力といいますか、それが総理に望まれる、お願いをしなければいけない。あるいは総理・総裁として、行政の最高責任者であり、政権与党のリーダーという総理のお立場からしても、みずからがそうした御努力をされるということが必要ではないか、大事ではないかと私は思うわけでございますが、総理はいかがでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 私は、この議院証言法の改正の問題、それから証人喚問の早期実現の問題、この問題につきましては、いま坂井さんから経過等を含めてお話があったとおり受けとめております。私は実は今朝も、わが党の国対委員長、また、この具体案を作成いたしております竹下委員長等関係者に対しまして早朝から電話で連絡をし、鞭撻をいたしておるところでございまして、きょうじゅうに当予算委員会の御要請の線に沿うて議会制度協議会の小委員会にわが党の案を提出する、そして各党とこれから協議を進める、こういうことで進めておるわけでございます。 わが党としては、決してこの議院証言法の改正について引き延ばしを図るとか、そういうようなことは毛頭考えておりません。私は党を鞭撻して、早期にそれが実現できますように努力をなおいたしたい、こう思っております。
○坂井委員 大変総理としては強い希望といいますか、同時にまたそうした指示もされていらっしゃる。大変よくわかるわけです。また、せっかく与野党間で精力的に今後努力をして詰めていきましょうということでございますから、いまからできる、できぬということを言うこと自体は非常に不謹慎なことかもわかりません。かもわかりませんけれども、ただ、これもそうたやすく合意が得られそうにもない、いままでの経緯からしまして。 そんなことを考えますと、何はともあれ今国会中に仮にも喚問ができないような事態、そういう事態になったならば、総理としてもこれはきわめて重大な責任を負わなければならぬことになる。当然のことだと思います。したがって、総理も、それ以上のことは押しつけがましく何を言うかと言われるかもしれません。しれませんが、それだけの責任を持って今国会中の証人喚問については決意をしておるんだとおっしゃることであろうと思いますが、それにしてもなかなかこの合意は簡単ではないのではないか。 つまり、最初の八項目にしましても、六項目までの合意が得られながら、二項目なかなかまとまりがつかない。そして、法務委員会においてはこれが自民党案だとされながらも、議会制度協議会にまいりますと、どうもこれが私案というようなことになり、そしてまた、今回はさらに二項目追加されて十項目となって出されてきた。これが果たして自民党案なのかどうなのか、私はそれもまだ定かに聞いたわけではございませんからわかりません。わかりませんが、何はともあれ最初の八項目、少なくとも法務委員会において自民党が提案されましたいわゆる自民党案、これにプラスもなければマイナスもないというものであれば、これは合意できるにはそう時間はかからない。しかし、これにプラスがつくということになってくると、なかなか至難であろう、困難だろう、こう実は私は危惧せざるを得ないわけでございます。 そういうようなことでございますので、今国会中にそれがまとまらないで証人喚問ができなかったという事態になったときには、これは重大な政府の責任、総理の責任というようなことになってしまう。したがって、それらを総理は十分心得られまして今後も強い希望を持ち、かつ総理として何らか具体的な御努力をさらに重ねられると思うのですけれども、重ねてひとつ御決意のほどを承っておきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 この問題につきましては、いままでの経緯からいたしまして、特に当予算委員会の理事会においてあのような合意がなされた、それに基づいて当予算委員会がこのように審議が円滑に進んでおるわけでございます。この各政党間の信義の問題にも相なるわけでございまして、当委員会の御要請が議会制度協議会になされたその経緯にかんがみましても、ぜひ早期に合意に達しましてこの国会中に証人の喚問ができるように、このように私としても最善を尽くしてまいる所存でございます。
○坂井委員 実は、今回の判決の教訓と申しましょうか、裁かれたのは橋本、佐藤、お二人の政治家だけではなくて、むしろこのような事件を生み起こすといういわゆる金権腐敗といいますか、あるいは政、官、財、三者の癒着構造といいますか、そういう政治の体質そのものにメスが加わってそこに下された一つの判決である、こういう受けとめ方を政界全体はしなければならぬのではないか。そういう意味を総理は、私を含めて各人が自粛自戒していかなければならぬということでおっしゃっているのだろうと私は受けとめております。しかし、なかんずく自民党の政権党としての責任、これの重大さというものはやはりまず第一義的に問わなければならぬ問題だろう、私はそうも思います。 同時に、そういうことから考えますと、確かに日常的にいわゆる陳情というものがありまして、陳情を受けた政治家というものがそれなりの仕事をするといいますか、陳情を聞いて動いた、それの見返りとして金を受け取る、これが政治献金である。陳情があって献金がある、これが私は政治の世界における日常的な、実際的な実態だろうと思う。そういう中から今回のこの判決においては、いわゆる受託収賄罪である、正当な職務行為であってもその行為に関する対価として金を受けとれば、それは賄賂であって収賄罪なんだ。ごくあたりまえのことなんですけれども、あたりまえのことがあたりまえとして認定され、判決が下った、こういうことだろう。 そういうことからこのことをよく考えていきますと、結論から申し上げまして、総理、私はやはり政界と財界というのでしょうか、政界と企業というのでしょうか、その間の日常的なそうした陳情なり献金という行為、これが節度あるものでなければならない。少なくとも意図的な、ある意図があって、その意図がその人の職務に関する何がしかをやってもらいたいという意図、それによって、その対価として献金を受け取る、これは全くの賄賂ですが、そういう企業との間のそのような賄賂性があるかないか、これはかなり微妙な問題だろうと思いますけれども、総理は先般来の答弁でも、企業献金が必ずしも悪ということは言い切れないということをしばしばおっしゃる。そういう意味では、個人献金だって悪の献金もあるでしょうし、確かにおっしゃることはよくわかる。わかりますけれども、少なくとも企業にはやはりそれなりの利益なり利潤、企業の利益のためにという意思、意図というものが往々にして働きがちであるということも否めないことだろうと思うのですね。 そういうことを考えていきますと、少なくとも今度の事件の一つの教訓としては、企業献金から個人献金に移行することが好ましいのではないか。実は、一昨年の十一月の十日の公選法特別委員会で、私は総理にそのような趣旨で質問をいたしました。総理は御記憶だと思いますが、そのときの総理の御答弁は、「できるだけ個人献金の方向を志向する、そういう方向に努力をする」という御答弁があったわけであります。 改めてこの六月八日の判決、今日の時点において、総理は、私がいま申しましたような企業献金、必ずしも悪ではない、おっしゃることはわかる、わかるが、しかしながら、やはり献金のあり方は個人献金の方が好ましいんだというお考えに立たれますかどうでしょうか、お答えをいただきたい。
○鈴木内閣総理大臣 私は、企業も社会の構成員として実在をしておるわけでございますから、企業献金は悪である、すべて悪であると言ってこれを否定をするということは、これはいかがかと、こう思います。しかし、坂井さんがおっしゃるとおり、やはり節度というものがなければならない、このように思うわけでございます。 そして、企業のほかにいろいろな団体がございます。いろいろな団体が存在をいたします。福祉団体もございますれば、恩給その他の団体もございます。教育その他の団体もございます。いろいろな団体もあり、それぞれ陳情もし、請願もし、政治活動もやっておる、こういうことでございまして、私どもは、そういう民主政治のもとにおいて、いろいろな陳情なり請願なりというものに対して、これに対処して民意を政治の上に反映をさせなければならないという使命もまたあるわけでございます。それと、対価を求めて、あるいは約束をしてそういうことをやるということは、これは許されないことでございます。いわゆる節度というものがなければならないと思います。そして、そういう意味合いからいって、できるだけ個人献金の方向に、個人の浄財を集めるような方向へ持っていくということが、私は理想の、われわれの目指す方向であろう、こう思います。 最近、大分、何々君を励ます会というのが非常に盛んになってきておるわけでございます。これも行き過ぎになりますと、大変、内心はどうも行き過ぎだなというような声もあるようでございます。 いずれにいたしましても、この政治と政治資金の問題、これは大変重要な問題でございまして、政治家として、また政党として、その関係につきましては、やはりけじめをつけて、姿勢を正していくということが必要であろう、こう思います。
○坂井委員 現在の議院内閣制におきまして、国会議員が内閣の閣僚として行政権の主体である内閣を構成しておる。それだけに、政権政党における有力政治家といいますかの場合には、たとえば大臣でなくても、当該省庁の行政処分に事実上大きな影響力を持っておる、これは否めない事実だろうと思います。こうした有力政治家というのでしょうか、直接あるいは間接的に当該省庁の行政処分に関与する、そして、その見返りとして政治献金を受ける、こういうケースがないとは言えぬだろう、実態的に、実際的に。ないとは言えないと私は思う。このようなケースというのは、いわゆる刑法に言う賄賂には該当しない、該当しません。したがって、現象の上では職務行為との関連が非常に薄い。したがって、法律には触れない。しかし、政治献金として、これがいわゆる全く白い金である、きわめて純粋無垢な、国民が納得する金であると言い得るかどうか。どう考えても、私はここら辺に、実は時間があれば灰色論議を少ししたかったわけですが、いま申しましたような意味合いからすれば、観点からしますならば、少なくともそうした真っ白と言えない、完全に白とは言えないような資金が、政治献金の名のもとに、日常的な献金として許されておる。これでは、国民に政治を信頼しろと言っても、どだい無理なんではないかというような率直な、実は気がいたします。国民の側から、視点から、そのように私は思うわけでございますけれども、総理はどうお考えでしょう。
○鈴木内閣総理大臣 有力な政治家、これはどこまでが有力な政治家で、そうでない政治家か、これ、区別は大変困難だと思いますが、政府といたしましては、そういうような観点から、国務大臣に就任をいたしました際には、民間の営利会社等の兼職を禁止する、これは自発的にそういうことを総理から提案をして、閣議で申し合わせをいたしまして、そのとおりに実行をいたしております。特定の企業と直接関係を断つ、そういう立場で公正に国政の運営に当たる、こういう姿勢を明らかにいたしておるところでございます。その他の政党における各党の首脳部、幹部、そういう方々、これは委員長といい、三役といい、有力でございましょうが、しかし、いずれも私利私欲のために動いておるものではない、国家、国民のために政治をやっておる。また、政党の運営のためにはある程度の資金も要る、これは純粋なものを協力を求める、こういうことは私はそこまでけしからぬと言うわけにはいかないのではないか。要は、その辺のけじめをきちっとすることが必要であろう、こう思っております。
○坂井委員 それでは、総理、いま兼職の禁止というのはよくわかりましたが、今度の判決の一つの教訓として、少なくとも大臣それから政務次官は、自分の指揮監督下にある企業あるいは団体からの政治献金は受けない、こういうようになさったらどうでしょうか。従来とも継続的にある政治献金、これはよろしい、しかし新たな指揮監督下にある企業、団体からの政治献金は受けない。 私は、なぜこういうことを申し上げるかといいますと、そのときはそういうまことに他意のない、意図のない献金であると思って受け取ったものが、たまたま相手方が事故があったとかなんとかというときには、その献金が白い献金ではなくて黒い献金、灰色の献金になる可能性、心配がある、おそれがある。したがって、転ばぬ先のつえといえばあれですけれども、大臣だ、政務次官だ、その大きな行政上の権限、それに対して、ともすると、やはり献金という名目で、実際の趣旨はそうではなくて何かの見返りを期待する。それが、事故のないときはそのまま献金として通用する、しかし何か事件に問われるということになりますと、そのときは献金でございましたでは済まなくなる。名目のいかんを問わず、やはりそういう将来においても心配がある、おそれがあるとするならば、大臣、政務次官は、就任すれば新たなそういう献金は受けないということにした方が私はよろしかろうと思う。いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 確かに坂井さんおっしゃるように、いろいろな事件に巻き込まれることが往々にしてあり得るわけでございます。現職の大臣である、政務次官である、ところが、その大臣、政務次官に就任する二年か三年前の選挙で陣中見舞いをもらったとか、そういうようなものが何らかの事故で巻き込まれる、こういう問題が往々にしてございます。そういうことはございますが、また一方において、献金という形ではなしに、多年にわたってこの政治家を育ててやろう、国家、社会のために大いに働いてもらおうということで後援会を組織されまして、そして月々何がしかの会費を出して後援をしてくれるというようなものもございます。 いろいろの態様があると思いますので、いまその点について、この点をこう政治資金規正法を改正すべきであるということを私、結論的に申し上げるわけにまいりませんが、いずれにしても、政治資金規正法によって受け取ったところの会費なりあるいは献金というものは、届け出をして、これを国民の目の前に明らかにしてだれでもわかるように、また批判もし、検討できるような姿になっておるわけでございます。したがって、この政治資金規正法をどのように改正するかという問題は今後の重要な課題であろう、私はこう思っております。
○坂井委員 政治資金規正法の改正につきましては、総理、私はもう基本的には個人献金への移行ということが一番好ましい、こう考えているわけですが、このことについての議論は別にしましても、いまの段階ででき得ること、また、しなければならぬことの一つとして御提案申し上げたわけなんで、大臣、政務次官については、そういうわけで、他意がなくても、本当に善意に解釈しても、うっかり政治献金と思って受け取ったものが後で賄賂と認定されるようなおそれもなしとしない。これは、今回のあれがそうだというわけじゃありません。これが直ちにそうだというわけじゃありません。過去においてもいろんな例があったわけですね。そういうことから、将来においても起こり得るであろう、そういう心配をしますので、御提案として申し上げたわけなんです。 かつて官房長官も、かなり前向きな御答弁をされたように私は伺っております。これは参議院でございましたか、内閣全体としてそのような心構えでやっていきたいというような趣旨のこと、検討さしていただきたいというようなことをおっしゃったようでございますね。したがって、総理、どうでしょうか、いろいろむずかしい面はあると思います、あると思いますが、少なくともそれは検討に値することではないでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 官房長官が当時どのような御答弁を申し上げておるか、いま私、速記等を見ておりませんし、聞いておりませんが、しかし、政治資金規正法は一定の期間の間に見直しをする、こういう規定に相なっておりますから、今後の重要な課題としてひとつ研究さしていただきます。
○坂井委員 政治倫理委員会の設置につきましては、総理は、わが党からも提案を申し上げることにいたしておりますと、本年二月九日の本委員会におきましてお答えになったわけですが、自民党が提案されようとしておる政治倫理委員会というのはどんな構想なんでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 これは具体的には、先般党内に竹下登君を委員長とする委員会を発足をさせまして、議院証言法の問題とともにいま鋭意研究を急いでおるところでございます。
○坂井委員 すでにわが党も、五十四年六月十三日に、航空機疑惑事件等の政治腐敗防止に関する提言、この中で政治倫理委員会の内容について触れておりまして、さらに五十四年九月二十一日には、政治倫理綱領案、同実施要綱案及び政治倫理委員会要綱案、これの提言をいたしてございます。そして、政治倫理委員会の設置を提唱したわけでございます。政治倫理の確立につきましては、これはきわめて国会としても大事な問題でございますし、一日も早くやはり倫理委員会の設置を見なければならぬ。しかし、その内容、趣旨等につきましてもなかなかまだまだのようでございます。願わくは、わが党もそうしてせっかく提唱をいたしてございますし、総理は政治倫理委員会をつくりなさいと強い御指示のようでございますので、公明党案も十分ひとつ参考に供して、早くまとまりを得られるように御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 公明党さんの提唱する政治倫理綱領案及び政治倫理委員会設置要綱案、私、けさからこれを拝見させていただいておりますが、大変いろいろ重要な問題につきましてお触れになっております。これは貴重な、有力な御意見として、私どもも今後わが党の検討の際に参考にさせていただきたい、こう思っております。
○坂井委員 問題を変えます。 実は、私は再三この委員会で指摘をし、申し上げてきたのですが、武器輸出三原則に絡むいわゆる技術協力なり武器技術の提供の問題でございます。このことにつきましては、特にアメリカとの間で日米軍事技術協力について通産省、外務省、防衛庁、この三者間でいろいろと検討をされているやに聞いております。しかし、過去におきますこの武器輸出三原則統一見解あるいは三木前首相のあの政府方針、その後の国会におきます質疑を通じても、アメリカだけ別枠にするということは、これは非常に困難、無理じゃないか。何だかんだ理屈をつけてみようとしましても、どうにも別枠扱いというのには困難がある、無理がある、そういう答えしか返らぬのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。 なお、政府統一見解案というのが大変おくれおくれになっているようですが、一体いつごろまとまるのか、今国会中にはまとめられるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 武器輸出並びに武器技術輸出につきましては、御存じのように、武器輸出三原則それから政府の統一方針があるわけでございますが、政府としましては、アメリカから要請がありましたいわゆる武器技術の輸出につきまして、あるいは共同開発等につきましていろいろと検討をいたしておりまして、これは非常に重要な問題でございますから、いろいろな角度から関係各省庁で集まって検討をいたしておりますが、現在までのところ、まだ結論が出てない。いろいろと議論が続いておりまして結論が出てないということで、いつごろ出るかと言われましても、いますぐここで申し上げることはちょっと困難じゃないか、こういうふうに思っております。
○坂井委員 次のようなことをやはりにらみながらやっておられるのでしょうか。 たとえば、この三原則、政府方針の枠内でアメリカに対する軍事技術供与はできる。それは対米提供はいわゆる慎むとしました解釈の拡大解釈でいけるんではないか。言うまでもなく、日米安保体制を重視をした同盟関係ということから、政策上の選択として三原則、政府方針の枠内でアメリカだけには武器技術の提供ができる、こういう解釈、これが一つ。それから、いやそうではなくて、もう全く三原則、政府方針の枠外で、アメリカだけは別枠にしましよう。これはやはり対米協力、同盟関係の姿勢をより明確にしなければならぬ。これは防衛庁あたりの意向がどうもこのような意向らしい。 少なくともこの二つの案の中で、アメリカに対しては、対米武器技術供与は何とかしたいという願望を込めながら、政府統一案づくりの作業を急いでおる、こう理解してよろしゅうございましょうか。
○安倍国務大臣 いまおっしゃいましたようないろいろな問題点について、日米安保条約との関連等も踏まえまして、どういうふうに結論を出したらいいかということで目下検討をしておる、こういうことでありまして、まだ結論には至っておりません。
○坂井委員 防衛庁長官、ちょっと伺いますが、第四回日米装備技術定期協議は今月中に開く予定だったのですか。これがいまの対米技術供与問題の政府方針がまとまらないものですから、延期になったということなんでしょうか。その辺のいきさつをちょっと御報告をいただきたいと思います。
○木下政府委員 日米装備技術定期協議は、第三回が昨年の十二月に開かれておりますが、その際、次回をどうするかということを協議しましたところ、一応六月ごろをめどにやろうかということで考えておったわけでございますが、そのときも適宜両当事者間で調整を行うということになっておったわけでございます。その後、諸般の事情から今日に至るまで、次回の協議をいつやるかということにつきましては、まだ日米間で調整を行っておりません。
○坂井委員 ですから、対米技術供与がどういう形でできるのか、できないのか、いわゆる政府方針というものがはっきりまとまりませんと、第四回の日米協議はいつまでたってもできないというようなことになってしまうのだろうと思うのですけれども、その辺どうなんですか。まとまれば早くやりたいのでしょうね。だから、少なくとも今国会中ぐらいには政府方針をまとめて、そして次の第四回の日米協議の日取りを決めたい、こういうことなんでしょうか。
○木下政府委員 日米の装備技術協議につきましては、いま申し上げましたように、日米当事者間で一番適当な機会に次の会合を開こうということになっておりまして、いまのところまだいつ開くという調整を行っておりません。 対米武器技術供与の問題につきましても、現在三省間で協議を行っておりますが、この問題とそれから装備技術定期協議のタイミングの問題とは、必ずしも関係がついているわけではございません。
○坂井委員 それでは、本筋に戻しますが、武器輸出三原則で言う三番目の国際紛争当事国、この国際紛争当事国という定義はありますか。
○福川政府委員 武器輸出三原則に言います国際紛争当事国またはそのおそれのある国に該当するか否か、こういう問題につきましては、私どもとしては、輸出承認の申請がございましたその時点におきまして、国際情勢に照らしまして、それぞれのそのときの諸情勢を見て、外務省とも協議をいたしまして、ケース・バイ・ケースで判断をしてまいるということで対応いたしていく考えでございます。
○坂井委員 ケース・バイ・ケースということですが、そうすると定義というものはないわけですな。三原則はあって、国際紛争当事国またはそのおそれのある国向けの場合と言って明文化されておりますが、国際紛争当事国についての定義というのはない、ケース・バイ・ケースで検討する、判断する、こういうことですか。
○福川政府委員 国際紛争という言葉につきまして一義的な定義が存在するわけではございませんけれども、一般的に国際紛争というふうに申しました場合には、広義に申しますと、国家間で主張の対立があって、それで争いが存在する状態を意味するということで用いられておるわけでございます。 この武器輸出三原則に関していいますならば、憲法の平和主義の精神にのっとりまして、武器の輸出によって国際紛争等を助長することを回避することを目的としたものであるということは、先生御高承のとおりでございまして、このような政策の意図に照らして考えれば、やや敷衍して申しますれば、国際紛争という言葉は、その抗争の形態といたしまして武力の行使を伴ういわゆる武力紛争というふうに解していいのではないかというふうに考えております。
○坂井委員 それでは、具体的に伺いますが、英国とアルゼンチン紛争、この二つの国は国際紛争当事国ということに当たりますか。
○福川政府委員 私どもといたしましては、その輸出承認申請があったわけではございませんので、そのときの国際情勢に照らして外務省と判断をいたしているわけでございますが、いま私どもとしては、これは外務省の方の御判断も伺った上で考えてまいることになるわけでありますが、仮定の問題といたしまして、この当時、イギリスあるいはアルゼンチンが武器輸出三原則に言う国際紛争当事国またはそのおそれのある国に該当するかどうかということにつきましては、そのときにそういう申請がありますれば、私どもとしてはそれに該当することになるものではないかというふうに考えておりますが、最終的には外務省と相談をした上でケースに応じて判断をしてまいる所存でございます。
○坂井委員 それでは、アメリカが国際紛争当事国になった例は、第二次大戦後ございますか。
○淺尾政府委員 先ほど来お答えいたしておりますように、具体的なケースに即してお答えしなくてはならないわけでございます。 いまの御質問の、アメリカが国際紛争の当事国になった例はあるかという御質問でございます。これは従来、この国会においても質問が出まして、当時の椎名国務大臣がベトナム戦争との関係でアメリカは紛争当事国であるというふうにお答えしたケースがございます。なぜならば、その際には、アメリカのみならず多数の国がベトナムにおいて長期にわたって武力の行使をしている、それは非常に明白な事実だということでございます。
○坂井委員 そうしますと、国際紛争当事国、A国とB国、これを当事国とします。それで、このA、B両紛争当事国に対してはわが国は武器輸出は禁止されておる。しかし、その紛争当事国であるAあるいはBに対してCという国がこの紛争を助けるための援助をしておる場合、C国に対しては武器輸出はできるかできないか、どちらでしょうか。
○福川政府委員 先ほど来申し上げておりますように、特定の国が武器輸出三原則に言う国際紛争当事国またはそのおそれのある国に該当するかどうかということにつきましては、その諸情勢に応じて判断をいたすわけでございます。 いま御指摘のA国またはB国に加担しているC国がどうかということでございますが、加担をしているその態様等によっていろいろケースに違いがあろうかというふうに思います。私どもとしては、先ほど申しましたように、国際紛争当事国またはそのおそれのあるかどうかということに関しまして、そのときの実情に即してケースごとで、先ほど申しましたような考え方で判断してまいりたいというのが私どもの考えでございます。
○坂井委員 さきの予算委員会で、実はフェライト、これは見えない戦闘機、爆撃機に使いましょうといういわゆるマイクロ波帯電波吸収塗料、これは汎用性のあるものだから、直接軍用戦闘機に使用するんだという使途がはっきりする中でこの技術の提供要請があった、その場合においても汎用性のあるものだからこの技術は出してよろしい、こういう趣旨の答弁であったと思うのですけれども、それはそのとおりなのか。 それから、もう一点。そうであれば、アメリカ以外の国、共産圏を除く国とした方がいいでしょうかね、共産圏を除く米国以外の国から提供要請があった場合、フェライトですね、軍用目的でという目的をはっきりして提供要請があった場合、この技術の提供は可能ですか。
○植田政府委員 ただいまの電波吸収塗料に関しましては、たしか二月ごろの当委員会におきましては、まだその件が確定して出てきておりませんので、仮定に基づいた感触というふうな答弁であったかと思いますが、私どもといたしましては、これはいわゆる物品の輸出に当たろうかと思います。この物資が汎用性があるかどうかということにつきまして、当該物資の検討によりましてそうなった場合には、従来から輸出につきましての承認のルールといたしまして、武器輸出につきましてはその物資の属性等に基づいて判断するというふうに行われてきておりますので、われわれもそういった物資が現実に出てくれば、その物資を具体的に検討した上で判断することになるというふうに考えております。
○坂井委員 時間がございませんので、この問題は、また機会を改めて質問をいたしたいと思います。 最後に、農産物の貿易交渉についてでございますが、去る五月二十八日にいわゆる市場開放策第二弾で一時休戦ということになったわけでございますが、この秋の十月からまた交渉が再開される。 そこで、農水大臣に伺いたいのでございますけれども、アメリカが日本に対する農産物輸出戦略にかかわる当面の、あるいは中長期のターゲットを一体どこに置いているんだろうか、アメリカの農産物輸出戦略に対して日本は一体どう対処するか、今後の日米貿易摩擦の一つの焦点かと思いますので、ただいま申しました点に対して政府はどのように考えておられるか、お答えをいただきたい。
○田澤国務大臣 ただいま坂井委員御指摘のように、対外経済摩擦解消のための第二弾対策は、困難な国内の情勢の中でわが国としては最大の努力をした成果でございましたので、過般のベルサイユ・サミットにおいても各国から高く評価されているところでございます。したがいまして、この秋行われるいわゆる牛肉、柑橘についての農産物交渉でございますが、これはアメリカとしてはかなり自由化の要求を強く迫ってくるのではないかと私たちも予想しております。しかしながら、私たちとしては、わが国の農産物をある程度保護する、あるいはまた食糧の安全保障という面から、わが国の実態をできるだけ紹介し、あるいはまた、これまでの農産物の開放措置を説明をして理解をいただくというようにいたしたいと思っておるのでございます。 そこで、いま御指摘の中長期的にアメリカの農産物の戦略いかんということでございますが、これは正式な機関で公表はされておりませんけれども、アメリカ政府の首脳、いわゆる国会での証言等を中心にして判断をいたしますというと、農産物の輸出の基本となるものは、アメリカはやはり貿易の自由化というものを促進する、その中でアメリカの農産物の輸出を拡大して、非常に混乱しているアメリカの農家の経営を維持向上させるというのが基本だと思いますので、したがいまして、封鎖的な市場は開放しなければならないというのが私はアメリカの一つの戦略だと思うのでございます。 したがいまして、私たちといたしましては、どこの国でも農林水産業というものは同じ条件にあるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、わが国の農林水産業の実態というものを極力アメリカに訴え、説明をして御理解をいただく。それともう一つは、やはり外交ルートを通じてできるだけアメリカとの折衝を密にするということ等をいたしまして、私はこの貿易の自由化という問題に対してはできるだけ手を染めずに対処をしていきたいという考えで今後も進んでまいりたい、かように考えております。
○坂井委員 終わります。
○栗原委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 民社党の渡辺でございます。お疲れだとは思いますけれども、いろいろお伺いをさせていただきたいと思います。 特に、私は、今回はサミットあるいは国連軍縮特別総会その他の外交案件に関連した問題に集中してお伺いをしたいと思っております。しかし、その本題に入る前に一、二総理にぜひ御所見を、あるいはお考えのところを聞かしていただきたい点がございます。 それは、恐らく日本国民がみんな心配している問題だと思いますけれども、近ごろ世界全体が政治、経済、軍事、あらゆる問題でがたがたしている。その中で総理は、たしかオタワ・サミットにも出席されました。カンクンにも会議に出られました。今回で三度目であります。そういう意味では、先進国、特に西側先進国首脳と忌憚のない話し合いをしてこられた。そうしますと、このように変動し、大きく変わっていっている世界情勢の中で本当に民主主義先進国というのが一体感を持って動いていっているのだろうか、その方向に行っているのだろうか、あるいはそうじゃなくて逆にバラバラになっていくんじゃなかろうか、この点が非常に心配をしている点だと思います。その点、どのような印象をお持ちになりましたでしょうか、聞かせてください。
○鈴木内閣総理大臣 激動する国際政治、軍事、経済諸情勢の中におきまして世界の平和と安定を確保していくためには、私は、アメリカを中心としまして西側の諸国が、連帯と協調をして、世界の平和と安定のためにあらゆる面で協力し合っていく、こういうことが一番大事な問題である、こう考えておりますが、この点は先ほど渡辺さんがおっしゃったオタワ・サミット、カンクン・サミットあるいは今回のベルサイユ・サミット等を通じて西側の首脳とお会いをして、個人的にもまた会議でもいろいろ突っ込んだ話し合いをいたしておるのでありますが、各国首脳共通のこれは認識である、こういうぐあいに私は確信をいたしておるところでございます。もとより個々の問題につきましては利害の必ずしも一致しないものもございますが、私は、これらの問題は十分話し合いによって調整ができる、協調ができる、また実際にそうしていっておるということでございます。
○渡辺(朗)委員 総理、もう一つお聞かせいただきたいと思います。 このたびの海外歴訪をしていらっしゃる間に、ちょうどフォークランド、マルビナス領有権をめぐるイギリスとアルゼンチンの国際紛争の真っ最中でもありました。私ども日本におりましてこの情勢を見たときに感じたことは、当事者同士が、いかに小さい国であろうともその主権に対して、領土権に対しては厳粛に真剣に取り組んでおり、断じて譲らぬというところが私ども感じられたところでございました。まして総理は、サミットにおいてはサッチャーさんから親しくいろいろお訴えもあったでしょうし、あるいはその後南米に行かれまして戦場に近い地域で会合も持たれたわけでありますから、恐らくはお感じになったところ、非常に大きなものがあったろうと思います。特にわが国、北方領土の問題がございます。まして、その問題については総理は恐らく深く思いをいたされたと思いますが、所感をお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 渡辺さん御指摘のとおりでございまして、主権の問題をめぐっての意見の対立、これをいかにして話し合いによって平和的に解決をするかということは、いろいろなそこにナショナリズムと申しますか国民的な感情というものも背景にございますので、非常にむずかしい問題であろうかと思います。しかし、私は、むずかしいからといってアルゼンチンがあのように武力に訴えて、そしてフォークランドの占拠を図った、こういうことはやはり国連憲章なり国連の諸原則に反するわけでございまして、このことは御承知のように、国連安保理五〇二号の決議において満場一致でこれが直ちに戦闘行為を停止をし、そして、これから撤退をして、平和的な話し合いによって解決すべきだ、こういうことに国連としての意思が決まったわけでございます。私どもは、安保理の一員といたしまして、この五〇二号の決議の趣旨に沿いまして、話し合いによる解決ということに今日でもなお努力をいたしております。国連事務総長の努力あるいはその前のアメリカのヘイグ国務長官の努力あるいはペルーの大統領の努力等々に対しましても協力をしてまいったところでございますが、今後におきましても、引き続きこれを、一応戦闘行為はあのような結果になったにいたしましても、領有権のこの主張の食い違いというものは依然として残っておるわけでありますが、この問題につきましては、話し合いによる平和的な解決、相当時間かかりましてもそういう方向で努力していかなければいけない、このように考えるものでございます。 私は、そういうことを実態を見ながら、日ソの北方領土の問題につきましても、やはり私どもは粘り強く国民世論を背景として北方領土の回復を図っていかなければいけない、このように考えております。
○渡辺(朗)委員 粘り強くというお言葉をおっしゃいました。同時に、先ほどフォークランド、マルビナスについては安保理事会に諮って、それで各国を動かして、そういう話もありましたが、北方領土についても同じようなお考え方で、根強く、粘り強く進めていかれるという考え方でございますね。もう一度その点確認させていただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 これはわが国固有の領土であり、ソ連がこれを不法に占拠しておるということは厳然たる歴史的事実でございます。こういう点を世界各国に私どもは理解を求めておりますが、年とともに日本のこの立場というものが理解をされ、支持されてきておるということがふえてきておりますことは心強い限りでございます。 しかし、この問題を解決いたしますためには、両当事国、日ソ両当事国の話し合いということがやはり根本でございます。私どもは、いままでの経過からいたしますと非常に困難な問題ではございますけれども、粘り強く今後も努力をしていきたい。特に、一九七三年モスクワにおいて田中、ブレジネフ両氏の会談におきまして戦後未解決の問題ということが確認をされ、これが共同コミュニケにも記載をされておるという事実、これは私は大事に考えておるわけでございます。少なくともこの点に返って、ここから話し合いを進めていくということが私は現実的なアプローチであろう、このように考えております。
○渡辺(朗)委員 さて、それではベルサイユ・サミットについてお伺いをさせていただきたいと思います。 最初に、大蔵大臣にお伺いしたいのです。 ベルサイユ・サミットの中で各国の共通の関心事というのは、何といいましてもアメリカの高金利政策、これがどのように是正されるかということにあったと思います。この問題についてはいかがでございましょうか。宣言文の中にもはっきり書かれておりますけれども、現在受け入れがたいほど高い水準にある金利を引き下げなければならない、こういうことをうたっております。 これについて、まず、そのような是正策というものは可能なんでしょうか、見通しはどのようにお持ちでございますか。
○渡辺国務大臣 確かに、各国ともアメリカの高金利のために大変に悩んでおるということは事実でございます。それは本当に受け入れがたいほどなのか、受忍しがたいほどなのかというような議論がたくさんありました。結局はアメリカ自身も、余り高いために自動車は売れない、家は建たない、政府も困っておるんだ。しかし、これはどうにもならぬのだ、連銀の話だから。何といっても財政赤字が膨大にあって、そのためにマネーサプライがもっとふくれ上がるという思惑がある、それでまた金融を引き締めるんだろうということで金利が高いのだ。だから、根本的には、要するに財政赤字を縮小していくという以外には、金利を下げるといっても下げる人工的な手はずはない。だから、いま議会と相談をしてやっているんだからもう少し待ってくれ。一口で言えばそういう議論でありまして、具体的にどういう方法があるかと言ったって、財政赤字を減らしていくこと以外にはないということでありました。 それがこの為替に影響が出てくるわけでございますが、それについてはまたお互いに助け合って、共同介入、こういう方向で、共同介入の効果があるかどうかというものも含めまして、なるべく早い、IMFのころまでにそういう検討を進めていこう、しかしながら、各国ともIMFの協定四条に定めるいわゆる市場の乱高下についての介入については、それをやる用意があるというのが共同宣言であります。
○渡辺(朗)委員 金利は相場だというレーガンさんの哲学もあるいはあるかもわかりません。が、実際問題、このままいきますと、まず外国為替市場の動揺というのはおさまらないで、どんどん進んでいくんじゃなかろうか。わが国においても円安の傾向というのは、何かどこまで続くぬかるみぞみたいな感じでございます。国民は、どこで一体どうなるのか、もっと明確な何かめどみたいなものを求めている、そのように思います。 その点、大蔵大臣、重ねてお伺いいたしますが、この円安対策、これはいまどのような形でとられようとしておられるのか、見通しをひとつ聞かせていただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 われわれも非常に最大の関心を持っているのは、円の行方という問題でございます。私どもといたしましては、日本の経済的な諸条件が現在のようによい場合になぜ円が安いのか、不当評価ではないかというように私は思っておりますし、世界の人も大体そう思っておる。しかし、これは一にかかってアメリカ高金利のための実質金利差、これが私は最大だろうと思います。御承知のとおり、向こうは預金金利にしても一三、四%、二けたのインフレのときなら仕方がないことでございますが、一方、インフレが鎮静してもう六%台にアメリカも下がったという中で二けたの金利政策をとっておれば、インフレ率を差っ引いても実質的な金利は六、七%あるわけですから、日本は六%程度で、仮に二・三とか二・四とかということになってもまだ三・何%というのが実質金利ですよ、インフレ引いても。したがって、その金利格差というものは、当然にそれはもうある程度円安という形でドルに流れるということから、円安の影響が出ていることは間違いありません。しかし、だからといって、ここで金利を上げるという政策を景気対策の面から見てわれわれはとるわけにはいかない。ということになれば、ここのところは急激なドルの変動というものが問題であるわけですから、それについてはともかく適宜適切な介入をしていく。それから、経済運営というものをしっかりして日本の経済がだめになってしまわないようにしておくこともやはり円安に対しては何といったって基本的な問題でございますから、それはやっていかなければならぬ、そう思っております。 世界各国とも非常にこれは大論争のあるところであります。現在のインフレという問題と各国通貨の下落という問題は、中には変動相場制のせいなんだという人もございますが、いろいろ問題点は多いと思っております。
○渡辺(朗)委員 渡辺さんにしてもどうも思い切った手が打てないようなお話を聞きまして、ちょっと不安になってきておりますが、ぜひぜひひとつ鋭意対策を実行していただいて、何とかこれは見通しのつく情勢というものをつくり出していただきたいと思います。 特にまた、私は通産大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、このまま円安が続く、そしてまた、わが国の需要の停滞が続いているという状況である場合には、貿易摩擦というのが再燃してくるのではあるまいか。そういうことになってくると、いまあるいは小康を保っているのかもわかりませんが、アメリカなりヨーロッパの保護主義、特に最近ではアメリカ議会における相互主義法案、そういったものの動きというものが非常に私は気がかりになります。これについての見通し、どのようにお持ちでございましょうか。一つは、貿易摩擦再燃の可能性、もう一つは、相互主義法案の問題についての見通しでございます。
○安倍国務大臣 いま大変な円安が続いておりますから、普通ならこれは輸出に大変なドライブがかかることになるわけなのですが、しかし、いまの輸出の状況は、アメリカを除いてはほとんどの国が前年対比でマイナス、こういう状況でございます。これはやはり相手の国が景気が悪いために購買力がなくなってきている、こういうことではないかと思いますが、しかし、これ以上どんどん続きますと、やはり輸出には有利ですから輸出が伸びていく可能性は出てくるのではないかとも思うわけであります。同時にまた、円安が続いておることによって輸入が相当減ってきておるわけでございますが、そうなりますとまた経常収支等の黒字が拡大をしていくということもありますし、この円安の状況が続くことは貿易上は、あるいは国内、内需の振興といった立場から見ましても決して好ましくないと思います。いまは第二弾の評価を非常に得ておりまして、一時的に鎮静といいますか小康状態にありますけれども、しかし、私は、このままで安心はできないのではないか、円安がこれ以上ずっと続いていって、また輸出が大きく伸びるというようなことになれば再燃しかねない、こういうふうに思うわけであります。 アメリカの相互主義法案は、アメリカ政府が日本の第一弾、第二弾について評価をした、こういうこともありますし、同時に、アメリカの議会でも、たとえばダンフォース議員なんかも第二弾について非常な評価を表明をいたしました。そんなことで、議会の空気も多少は日本に対しては変わってきたのじゃないかと思っております。ですから、あのままの状況でいけば、何十本出ておりました相互主義法案、相当きついのが国会をどんどん通るという可能性はあったと思いますけれども、第二弾によりましてやはり相当後ろ向きの相互主義法案についてはブレーキがかかったのじゃないかと思うわけでありますが、しかし、これもこれからいよいよ論議も始まりますし、完全に油断はできないのじゃないかと思っております。特に自動車なんかでは、ローカルコンテンツ法なんかについて下院等の動きもありまして、われわれは警戒をいたしております。しかし、全体的には前よりは対日空気というのはよくなってきている。 ですから、この際油断をしないで、いろいろとアメリカに対しても日本の立場をさらに説明をし、また第二弾のフォローアップをきちっとやっていって、そして相互主義法案、特に報復主義的な相互主義法案が国会で成立しないように、油断をしないで努力を傾注していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 いまお話があったような情勢を考えるときに、まことに懸念されるわけでございますので、通産大臣、ひとつこれまた保護主義の台頭ということを防ぐために精力的な御努力をいただきたいと思います。 次に、同じ問題でございますが、農林大臣にお伺いをしたいと思います。 従来からもそうでしたけれども、貿易の自由化、なかんずく農産物の自由化というものの要求は強まってくるのではないか。先ほども坂井さんへの御答弁の中でいろいろお話がございました。特に私がお尋ねしたいと思いますのは、サミットがこの間行われた、その後でASEAN諸国の外相会議が行われている、そういうところでも話が出たやに聞いておりますが、たとえば日本に対して市場開放、特に熱帯産品の市場開放、これを非常に強く訴えてきている。その深刻の度合いは、累積債務などの大変な赤字を抱えておりますASEAN諸国、こういうものの実態を見るときに、日本に対してよりきついものが出てくるのではあるまいか。農林水産大臣として、農産物あるいは林業関係、こういうものでASEAN諸国からのそういう要求が高まってくるという可能性についてはどのようにお考えでございましょうか、お聞かせいただきたい。
○田澤国務大臣 対外経済摩擦解消のためには、昨年の暮れ、御承知のように、対外経済閣僚会議を開いて五項目にわたる対外経済対策を決めまして、それを基本にしながら、まず第一弾対策としてはいわゆる関税率の前倒しあるいは非関税障壁の緩和等をいたしたわけでございますが、その後もアメリカあるいはECの貿易自由化に対する要請が非常に強いものでございますから、先ほど来お話がありましたように、サミット前に第二弾対策を私たちは決定した。これが高く評価されておるのでございまして、ただいまの時点では農産物の面においてもいわゆる休戦状態になっているわけでございますが、これはどの程度まで維持できるかということは、私たちはこの外交ルートを通じてできるだけ話し合いを進めながら緩和対策を進めてまいりますものの、いま通産大臣がお話しになりましたような、いつどういう態勢になるかということはまだ明らかではございません。しかしながら、私たちとしては、常にわが国の農林水産業の実態というもの、あるいはまた市場開放の措置をできるだけ説明をして理解をいただくという態勢を整えているわけでございます。 また、先ほど申し上げましたような第一弾対策あるいは第二弾対策は、すべてASEANを含めてのことでございますので、特にASEAN対策というものはございませんけれども、ただいま御指摘のように、いわゆるASEAN地帯からは、主として果物あるいはまた木材あるいは水産物等に対する輸出の要求というのは非常に強いわけでございますので、これについては、私たちとしてはできるだけ国内の需要の調整をいたしながら、応じ得るものはできるだけ応じて、この要望におこたえしたい、かような態度で今後も臨みたいし、これまでも臨んできておるのでございます。
○渡辺(朗)委員 関連して外務大臣にも、いらっしゃいますので、お伺いしたいと思います。 先般のサミットに対して、ASEAN諸国においては、これはヨーロッパ中心の経済再活性化、そのための会議ではないのかというような疑惑と、日本に対する不信感が強く出たという報道を見ました。果たしてそのようなものであったのかどうなのか、その点、御出席された外務大臣にぜひ御印象を聞かしていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 そういう新聞報道を私も一部見たところでございますが、実際は、このサミットにおきましては、総理だけがアジアの諸問題につきまして各国首脳に対し御所見を言われたのであります。ASEAN諸国が、今日世界経済が直面する諸困難に対処するためには、自由貿易体制を維持する、経済の再活性化を図っていく、開発途上国の経済社会開発への支援が必要である、こういうASEAN諸国の立場につきまして総理が強調せられました。そして、ASEANの平和と安定、これはまた世界の平和と安定との間に不可欠である、こういうような点の各国首脳の理解を求めたわけでございまして、また、このことにつきましては、私がASEAN諸国の会議に出ました折に、日本がASEAN諸国の意向を体して総理が種々意見を申したということを伝えてあるわけでございまして、それに対してASEAN諸国から、そのことを多とするというあいさつはございましたが、サミットが何かASEAN諸国にとっては種々不利な相談をした、あるいは見解をとったというような批判は、そういうことはなかったと思います。ASEAN諸国もサミットの成果をやはり私が申し上げたことによって評価をする、そして自由貿易体制の維持というものの必要ということについて相互に理解をした、こういうような次第でございます。
○渡辺(朗)委員 いまお話を聞いてやや安心をしたのでありますが、ともすれば、どうも鈴木総理、私の率直な感想を言わしていただきますと、鈴木総理はアジア志向ではなくて欧米志向型であるやに感じられるわけであります。いかがでございますか、ASEAN諸国に対しての近い将来何らかの計画、歴訪されるような計画でもお持ちでいらっしゃいますか。
○鈴木内閣総理大臣 私が総理に就任いたしまして最初の訪問地は、ASEAN五カ国でございました。昨年の一月に五カ国を訪問をいたしまして、そしてASEANとの友好協力関係を確認をいたしますと同時に、日本が対外経済協力、技術協力の最重点地域としてASEAN地域を選んでおるということも率直にお話をいたしましたし、事実、実績からいたしましてもそのようになっておるわけでございます。 ASEANにおきましても、自助自立の精神が非常に横溢をしております。私は、そういうみずから立つという気概、機運ということが大事だと思うのでありまして、それにわが国の経済技術協力等がうまくかみ合って、初めてダイナミックなASEANの発展というものが期待できる、こういうように思っておりまして、私はカンクンのサミットにおきましても、またベルサイユ・サミットにおきましても、これは世界のモデルとして、開発途上国等に対する協力のモデルとしてこれを強調したぐらいでございます。 また、先ほど来、今度の一連の市場開放対策について、ASEANを忘れておるのではないかという印象があってはいけない、これはごもっともなお話でございます。あのような東京ラウンドの二年分の前倒しでありますとか、あるいは輸入手続の簡素化でありますとか、これは世界の国々漏れなく均てんをする問題でございます。第二弾対策もそうでありますが、ただ、これは渡辺さんも考えておられると思うのでありますが、アジア、ASEANは特恵関税が多いですね。それで、一方特恵以外の関税がずっと今度第一弾、第二弾の開放対策で低まりましたから、その開きが狭まってきたということは、これはもう事実あり得るわけでございます。そういう点も私、考えまして、江崎ミッションをASEAN五カ国等に行っていただくという計画をいま立てまして、自由民主党においてもその計画をいま具体的に進めていただく、こういうことでございまして、われわれの隣組であるアジア、ASEANというものはやはり大事に考えていきたいという考えに変わりはございません。
○渡辺(朗)委員 次に、私は、このサミットで世界経済の再活性化、これが中心課題だったと思いますけれども、OECDの報告書などを見ましても、今日の世界の不況あるいは失業、こういうものの深刻な姿が描かれております。一体どのようなこれからの見通しが立てられるものであろうか、日本は一体どうあるべきだろうか、短くて結構でありますが、河本長官に御所見をいただきたい。世界再活性化の問題でございます。
○河本国務大臣 いま世界経済は戦後最悪の状態にある、このように私は判断をしております。先月のOECDの閣僚理事会等におきましても、参加二十四カ国の失業者は三千万人と言われております。昨年の六月の会議では二千四百万だったわけでありますから、一年の間に六百万人もふえておるわけであります。それから、参加二十四カ国、日本を除きましてほとんどの国がゼロ成長またはマイナス成長にいまなっておりまして、各国の共通の認識が、先ほど申し上げました第二次大戦後最悪の状態にある、こういう認識でございます。 さて、これからの見通しはどうかということでございますが、第二次石油危機が起こりましてからちょうど三年を経過しまして、インフレだけは大体峠を越した、このように言われておりますし、それから石油価格は小康状態がずっと続いております。それから、世界的に見た場合に在庫調整がある程度進んでおるということ、そういうこと等もございまして、OECDあるいはIMF等の権威ある国際機関の見通しなど、IMFはこの間発表されましたが、OECDは大体作業が終わりまして、来月早々発表すると言っておりますが、現在のマイナス成長がことしの後半は大体二%ぐらいの成長になるのではないか、それから来年につきましては、IMFは二・五%成長ぐらいであろう、OECDは大体三%弱ぐらいの成長であろう、このように言っております。 アメリカの高金利という問題も残っておりますけれども、以上申し上げましたような幾つかの景気回復の条件が熟しつつありますので、私も、おおむねそういう方向に行くのではないであろうか、この世界経済の回復の見通しがようやく出てきたということが、昨年の経済運営とことしの経済運営との大きな違いではなかろうか、このように判断をいたしております。
○渡辺(朗)委員 さらに、サミットに関連してもう一つ、再度通産大臣にお伺いしたいと思います。 サミットの中心課題の一つに対ソ制裁問題がございました。このサミット宣言は玉虫色の宣言でございました。しかしながら、その直後にアメリカ側が強い対ソ制裁措置というものを打ち出してきております。EC外相会議あるいは西ドイツ首相などの反発も、この数日間強くあらわれてきたというようなことを聞かされております。特に、わが国としてはサハリン沖の石油天然ガス開発、こういうものに対する制裁措置の適用除外を求めていた、そういう観点からいってこの問題まことに重要な点であろうと思います。どのように対応していこうとしておられるのか、御所見をいただきたいと思います。特にこれは方針を、ちょっとかじ取りを間違えますと、いまの世界経済の再活性化の足を引っ張るようなことにもなるかもわからない。どのようにお考えでございましょうか。
○安倍国務大臣 御承知のように、わが国としては、サハリンの御指摘のございました石油天然ガス開発についてアメリカのいわゆる輸出ライセンスを求めて、何回か強く要請をしてまいったわけでございますが、アメリカがヤンブルグとともにこのサハリンについては禁輸措置をとったわけでありまして、これはまことに遺憾千万だと実は思っております。 このサハリンの開発につきましては、これは七年前からわが国として協力しておるプロジェクトでありまして、アフガニスタンの問題が起こったときも二度にわたっての対ソ措置がとられたわけですが、その際もこの事業は継続して行われたといういきさつがあるわけでございますから、ヤンブルグの事業とは基本的に違っておると考えておるわけで、したがって、このサハリンの事業についてアメリカの輸出ライセンスをアメリカがストップしたということは全く意外でありましたし、これは総理も親書でレーガン大統領にも要請をした課題であるし、われわれは当然許可になるものだ、こういうふうに理解しておりました。 これに対しては、早速政府としてはアメリカ政府に対しましてこの禁輸措置を解除するようにいま強く再考を求めておる、こういうことでありますし、同時にまた、いま担当しております民間の会社もソ連側と協議をいたしております。何とか事業だけは継続をしていきたい、こういうことで努力を続けておる最中でございますが、われわれとしては今後ともアメリカに再考を求め続けまして、一日も早くこの禁輸措置が解除されるということを期待をいたしておるわけであります。
○渡辺(朗)委員 総理に、もう一遍その点で確認させていただきたいと思うのです。 いまアメリカの措置に対して解除ということを働きかける、この点は総理、それでよろしいですか。その際に日本国としてやるのですか、それとも西側との協調あるいは結束の中でアメリカを説得するというやり方でおやりになるのですか。
○鈴木内閣総理大臣 この問題につきましては、ただいま通産大臣から経過、いきさつ等を相当詳しく御報告を申し上げましたように、西側のヤンブルグの天然ガスのパイプラインの問題とサハリンの問題とはおのずから違う内容のものになっております。そういうようなことから、私は、日本は日本としての独自の立場から米側に再考を求めておるというのが適当な対処の方法であろう、このように考えておるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 時間が大変少なくなりましたので、はしょって前に行かしていただきます。 特に、私は、国連軍縮特別総会に出られました総理に、いろいろとお尋ねしたいと思っておりました。それは、わが国の平和戦略という観点から、核軍縮の問題あるいは国連の平和維持機能についてでございます。しかし、時間の関係で余りございませんので、一、二だけお聞かせをいただきたいと思います。 それは、わが国の平和戦略の中に総理も位置づけておられると思いますけれども、対外経済協力の問題についてであります。特にODAの問題についてでございます。政府は、ODAの中期目標というのを決めて、いわゆる五年倍増の方針を打ち出しておりました。ところが、計画の初年度に、一九八一年のODAの実績は前年に比して四・一%の減少という形で落ち込んでおります。この件について、いかがでございますか、まず先に私は外務大臣、ちょっと短くて結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいま御懸念の点は、国際機関に対する援助が、各国との歩調を合わしておりますために著しく減退をしておる、そういうことを含めて考えますと、この経済協力、ODAが予定どおりいっておらない、こういうことになりますが、しかし、そのほかの点につきましては予定どおりに消化をしておる。また、今後におきましてもそういう方針でいく。御承知のように、五カ年倍増、こういうことを目標にいたしておりますから、私は、単年度で見ますと御心配を受けるような事情がございますが、これを五年を通じて見るならば目的を達成することは至難ではない、かように考えております。
○渡辺(朗)委員 下がったのを調べてみますと、特に世界銀行だとか国際金融機関に向けての出資、これが四〇%近くも落ち込んでおるのですね。これはそこに主なる原因があったと思います。 そこで、大蔵大臣、ちょっと私はお伺いしたいのですけれども、これはどうなんでしょうか。第二世銀なんかに対して開発途上国の寄せる期待というのは非常に大きい。当初から政府としても、国際開発金融機関に対しては要請があった場合積極的に対応するということを言っておりました。大蔵大臣、いかがでございます。今後も国際金融機関に対する援助というようなものは積極的に進めていくんだという姿勢でおられますか。
○渡辺国務大臣 全くそういう姿勢で進めておるのですが、アメリカなど非常に財政事情が逼迫した国が出さない、あるいは後に延ばしてくれと言う。日本だけ払い込んでも、そういうふうな場合もありますし、日本だけじゃ持てませんから、足踏みという場合もあります。日本は世界に先立って世銀などの世界の経済協力機構については十分に責任を果たしておりますし、今後もそのつもりでやってまいります。
○渡辺(朗)委員 大蔵大臣の言われるのもわかります。しかし、いまも申し上げましたように、日本は当初から積極的にそのようなものに対応していくんだということを言っておりました。また総理も、先般のベルサイユ・サミットにおいては、南北問題についての積極的な発言がございました。そのように聞いております。また、国連の軍縮総会におきましても同じような趣旨の発言をしておられる。また、帰途ブラジルその他の国に寄られた際にも、新聞その他で私が見ている範囲内では、大変わが国の協力に対する期待が強いというようなものがあったはずでございます。 いかがでございますか、この政府開発援助の拡充というのは、これはやはりわが国の最重要事項の一つだ。そういう観点から、五十八年度の予算編成に際しても、ODA関連予算というのは特別の考慮を払うべきだと私は思うのでありますけれども、総理のお考えはいかがでございましょう。
○鈴木内閣総理大臣 この問題につきましては、厳しい財政事情の中ではございますけれども、日本の国情にふさわしい基本的な政策といたしまして、できるだけのことをやってまいりたいということでございます。
○渡辺(朗)委員 時間がどんどんなくなりましたので、またはしょっていきますが、国連で総理がお話しされました平和三原則、まことに私はりっぱなものだったと思います。そしてまた、演説そのものも格調の高いものでございました。 ただ問題は、一、二、三とおっしゃった中の一つ、国連の平和維持機能に対して、それを強化するとおっしゃいましたが、具体的にはどのようなものを構想し、おっしゃったのでございましょうか。たとえば、いまレバノン、そういうところであのような事態であります。国連においてのあの演説の中で、私は心を痛めていると総理はおっしゃっておられます。そうしますと、たとえば、あそこに平和監視団というようなものを形成する。いまどうもこれが機能しなくなってしまったのでありますけれども、そういうようなものも再編成する、そのようなことに積極的にこたえていこう、乗り出していこうという気持ちも持っての平和維持機能強化でございますか。その点、聞かしていただきたいのでございます。
○鈴木内閣総理大臣 この問題につきましては、先ほど横路さんにもお答えをいたしました。世界の各地に起こっております紛争の予防あるいは防止、あるいは紛争が起こった場合の早期解決、そういう問題等について、日本として国連の理事国としての立場から積極的に協力を行っていく。それからまた、ナミビアのあのような事態に対して、選挙の公正円満な実施ができるように協力をしていくとか、あるいは難民、さらに医療協力、いろいろな分野がございます。そういう面につきましても日本はできるだけのことをしなければいけない。国連に対する財政的な負担におきましては、恐らく日本はアメリカに次いで大きな協力をいたしておるわけでございますが、そういう分野においても、今後一層国民世論のコンセンサスを得ながらやってまいりたい。しかし、日本には一方において平和憲法、憲法の制約というものがございますが、その憲法の枠内においてそれをやってまいりたい、このように考えております。
○渡辺(朗)委員 時間が参りましたので、これをもってやめさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○栗原委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十八分散会