予算委員会 第21号
- 発言数
- 280 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/06/24
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。正木良明君。
○正木委員 私は、公明党・国民会議を代表して、現在当面する政治上のいろいろな課題について、若干政府の考え方をただしたいと思います。 まず最初に、いま非常に大きな問題になっておりますIBM産業スパイ事件についてお伺いをしたいと存じます。 一昨日、米司法省連邦捜査局、FBIが、日立、三菱のIBM産業スパイ事件について、両社の社員、日本人でございますが、六人を逮捕して、十二人に逮捕状を出したと伝えられております。 まず、総理はこの事件について報告を受けていらっしゃいますか。そして同時に、その報告をお受けになったとするならば、その内容についてお話しをいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、外務省の方にそういうアメリカの州の裁判所で裁判を受けたという報告が総領事館の方からあったようでございますが、その点につきましては、外務大臣から御報告をいたさせます。いまのところ、それ以上の具体的な公電の連絡はございません。
○櫻内国務大臣 外務省への連絡といたしましては、在サンフランシスコ総領事館からの報告によりますと、二十二日午後、サンフランシスコ連邦地裁において、本事件の被逮捕者に対する最初の法廷手続が行われ、五名の容疑者が出廷し、判事より右五名の逮捕理由として、米国内における盗品を日本に持ち出すことを謀議した容疑である旨の説明があった、こういうことでございます。 なお、容疑者のうち井上国正氏は、保釈金二十万ドルを支払って保釈された由でございます。 また、本件の予備審理は、七月一日にサンフランシスコ連邦地裁にて開催される予定とのことでございます。
○正木委員 日本とアメリカの間には犯罪人引き渡し条約というのがございまして、逮捕状が出されておる十二人について、その引き渡しは、向こうの国務省からこちらの外務省へまず要請があるようでございますが、この点はどうですか。
○櫻内国務大臣 現在、まだ身柄引き渡し請求のようなことは、何ら外交ルートを通じては申し越しておりません。
○正木委員 申し越してくるであろうと予想されますが、それについての対応でございますが、それは窓口は外務省になり、その後、法務省の所管になるだろうと思うわけでございますが、条約があるのでありますし、逮捕状が発行されているわけでありますから、当然アメリカ側から日本側に対して犯罪人の引き渡しということで請求があるに違いないと思いますが、あったとしたらどういう態度をとるかということについて、外務大臣と法務大臣からお願いいたします。
○櫻内国務大臣 引き渡し要求があったらば、こういう前提のお尋ねでございますが、一般論としては、米側より犯罪容疑者等の身柄の引き渡し請求を行ってくる場合、この請求は、日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約に基づいて、外交ルートを通じて行われることとなると思いますが、当方としては、右条約に規定する諸案件を勘案しつつ、引き渡し請求に応ずるか否かを決定することとなると思います。 右条約第五条は、「被請求国は、自国民を引き渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる。」と規定しております。わが方としては、本件事実関係の正確かつ詳細な把握を行うことがまず必要であると考えており、引き渡し請求に応ずるか否かは、その上で判断するのが適当であると思います。
○坂田国務大臣 ただいま外務大臣からすでにお答えになりましたように、犯人引き渡しの要請がまだ参っておりません。しかしながら、事はきわめて重大であるというふうに思います。したがいまして、われわれの方といたしましては、まず事実関係を正確に把握をする、そうして起こるべきあらゆる事態に対処できるようにしたいと考えております。 詳細につきましては、刑事局長から御答弁申し上げます。
○前田(宏)政府委員 ただいま外務大臣、また法務大臣から御答弁があったとおりでございまして、私どもといたしましては、まだ事実関係が十分わからない点が多々あるわけでございます。したがいまして、引き渡し請求もまだないわけでございますけれども、その場合にも備えまして、いろいろな問題を検討していきたい。すでに先ほど外務大臣からお答えになりましたように、自国民引き渡しの問題のほかにも、いろいろ双罰性、つまり両国が犯罪として処罰し得る行為であるかどうかというような問題もございますわけで、そういういろいろな検討すべき点があるわけでございますから、その点を慎重に検討いたしまして、外務省御当局とも御協議の上、適切に対処いたしたい、かように考えております。
○正木委員 大体アウトラインはわかったのですが、確かに事実関係をよく調べてみなければここで結論めいたことは言えないというのは、よくわかります。ただ、仮定の問題でございますけれども、伝えられるところによると、引き渡し条約第五条においては、被請求国は——被請求国というのは請求された国でありますから、この場合は日本ということになりますが、自国民を引き渡す義務を負っておらず、被請求国の裁量によって引き渡しを拒否できるようになっているようですが、この裁量の余地ということは、どうも伝えられるところによるとFBIのおとり捜査でこの問題が起こっている、この犯罪が引き起こされている——犯罪が引き起こされていると言うべきなのか、引き起こされたことを犯罪と認められていると言うべきか、こういう点については非常に問題があると思うのですが、一般論として、この場合のおとり捜査と第五条で言う裁量の問題は、法務省はどういうふうにお考えになりますか。
○前田(宏)政府委員 一言でおとり捜査と申しましてもいろいろな場合があるわけでございまして、従来の例でも、たとえば麻薬取締法違反等につきましてはある程度のおとり捜査と言えるような行為も許されるわけでございますけれども、その他の場合につきましては、一般的には相当の問題のある捜査方法だというふうに考えられているわけでございます。 ただ、本件の場合に、先ほど委員も仰せになりましたように、どういう形でおとりと言われるような行為があったのかということがまず先決でございます。その点がはっきりいたしませんと、それがいわゆるおとり捜査になるかどうか、また、それが違法な捜査になるかどうかということも、結論が出ないわけでございます。したがいまして、それが前提でございますが、その問題が仮に適当な方法でないということになりました場合には、仰せになりました自国民引き渡しをすべきかどうかという問題と、さらに、先ほどもちょっと触れましたが、そういう行為が犯罪として処罰し得るかどうかという面からも問題が起こるわけでございますので、その両面から慎重に検討しなければならないことになろう、こういうふうに思うわけでございます。
○正木委員 そこで、もう一つこの点でただしておきたいことがあるのですが、いま刑事局長がおっしゃった捜査方法が正しいのか正しくないのかということについては、専門家の話を聞きますと、どうも日本では麻薬捜査以外はおとり捜査は許されていない、しかしアメリカにおいては、おとり捜査というのはもういわば常識化された捜査方法であるというふうに聞いております。間違っているかもしれませんが、そう聞いております。 そうすると、その捜査方法が間違っていたかどうかということについて、そこにポイントがあるとするならば、日本を基準として間違っていたのか、アメリカを基準としてこの捜査がおかしいのかという基準はどうなりますか。
○前田(宏)政府委員 その点も、内容がどうかということにかかわることでございますので、この段階では明確なことが申し上げかねるわけでございます。 ただ、それは、先ほども申しましたように、裁量の問題もございますけれども、裁量以前の問題として、両方の国で処罰し得る行為でなければならないという、まずその要件が先にあるわけでございますから、その辺にも問題が絡んでくるわけでございますので、そういう意味でも、まずいろいろな面から実態を把握することが先決である、こういうふうにしか現在では申し上げられないわけでございます。
○正木委員 現段階ではもう少し事態の進展を見てみなければわからないでしょうが、基本的に、捜査に対して協力するという体制は日本政府側にありますか、それだけ、簡単で結構ですから。
○前田(宏)政府委員 この問題につきましては、逃亡犯罪人の引き渡しの問題のほかに、いわゆる捜査共助という問題がございます。この点につきましては、国際捜査共助法という法律が最近でございますができておりますので、米国の方からその定められた手続に従いまして捜査共助の要請があった場合には、それに対応するという体制が整っております。
○正木委員 結構です。 私は、これは冷静に対処をしなければいかぬ問題だとは思うのですが、新聞の報道を読んだときに直観的に頭にひらめいたのは、どうも露骨な政治的意図があるのではないかというふうにも感じたわけです。しかし、私どもがそういうふうに言い切ってしまうと、これは日米摩擦をますます激化させていくことになってしまいますから、できるだけそういうふうに思うまいとしていますがね。 ただ、御承知のように、いまアメリカは相当強い日本に対する防衛努力の要求をしておりますね、これはGNP一%というようなものは超してもいいんだという。これは後ほどやりますが、日本側にもそういうことを言っている人がいる。もう一つは、やはり何だかんだ言ったって、まだまだ貿易摩擦、経済摩擦というものは全く解消されたとは言えない。 もう一つ、最近の日本の経済情勢について、政策選択を非常に狭めているアメリカの高金利というものがあります。これはサミットでも相当総理が要請されたのだろうと思うが、こういう問題がある。しかも、これは日本だけではなくて、突出したドル高で、円も安い、マルクも安い、スイス・フランも安いというような状況の中で、いわばこのアメリカの高金利というのは、国際経済場裏においては相当な批判の対象になっている。 そういうことをかわしたり、もっと本質的には、日本の先端技術というのが、技術革新がどんどん進んできている。そういう中である種の脅威を感じて、ここで日本に対して暗いイメージ、ダーティーなイメージというものを与えるために意図されたのではないか。おとり捜査と言われておりますから、よけいそう感じるのですが、そういうふうに実は私は感じているのです。 政府も同じように考えなさいという意味で申し上げたのではないが、一応はそう直観的に考えるけれども、しかし、このことが日米関係の関係悪化というものにつながっていくということを非常に私は恐れるのでございます。したがいまして、こういう点についてはきわめて冷静に対応していかなければいかぬと思うのだが、これの関係といったら、総理と外務大臣と通産大臣と法務大臣か、ちょっと簡単に一言ずつ、これからどういうふうに対応していくかということを言ってください。
○鈴木内閣総理大臣 この問題は、正木さんの御指摘のように、非常に私どもとしてもショッキングな出来事でございます。ただいま関係大臣から御答弁を申し上げ、また政府委員からもお答えをいたしましたように、事実関係を十分慎重に調査、検討をいたしまして対応しなければならない、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、こういう問題は日米の友好協力関係にひびが入らないように十分配慮していかなければならないもの、このように政府としては考えております。
○櫻内国務大臣 正木委員からこの事件の背景についての一応の御見解があったわけでございますが、私は、日米の同盟関係からいたしまして、今後、技術協力についてどう取り進めていくべきであるか、今回のような、おとり事件とは言うもののスパイ容疑のようなことは、これは好もしくないことは言うまでもないのでございまして、そうでなく、世界経済の将来を考えていく上に先端技術は非常に重要であります。その先端技術について相互にどのような協力ができ得るのかというような見地から考えていくべきではないか。 したがいまして、正木委員もおっしゃいましたように、この事件につきましては、事実関係を確認し、冷静に対処していきながら、また技術協力については、協力についての行き方というものを、両国がその間にいろいろ問題のないような行き方をして、そして将来の産業発展の上に寄与するというような考え方がいいのではないかと思っております。
○安倍国務大臣 この問題は、事実関係がもっと明らかにならないと判断のできない点もあると思いますが、アメリカの政府もこの問題を政治的にどうしようという考えはないということを言っておりますし、またアメリカの新聞等を見ておりますと、日本は技術の点についてはあらゆる技術を十分入手できるような立場にあるので、こうした問題が起こったということは全く特殊なケースではないかというふうな冷静な報道もしておるわけでございます。 私たちとしては、この問題がさらに日米の経済摩擦を拡大をするというようなことになったり、あるいは日米のせっかくのハイテクノロジーについての技術協力が、いまスタディーグループなどをつくって進行しようという状況にありますから、こういう日米の技術協力等に悪い影響が出ないように、これからわれわれとしても十分冷静に対応していきたい、こういうふうに考えております。
○坂田国務大臣 冷静かつ慎重に対処いたしたいと思います。
○正木委員 一つ尋ね忘れているのですが、通産大臣、これは通産大臣の所管かどうかよくわからないけれども、三菱と日立とを呼んで事情は聞かれましたか。それで、その内容がわかれば、ちょっと言ってください。
○安倍国務大臣 通産省では、昨日二度にわたりまして日立、三菱両社から事情を聴取いたしました。 日立の説明によりますると、現在支払い金額等詳細については引き続き調査中であるが、米国の調査会社よりIBMの技術情報の熱心な売り込みがあり、これを盗品とは知らないで購入した事実はある、こういうことでございました。 また、三菱の説明では、伝えられたようにIBMの技術情報を購入した事実はなく、金銭を支払った事実もないと確信している、こういうことでございました。
○正木委員 これも事実調査が進んでこないと明確にならないでしょうけれども、ロッキード事件のように、隠してばかりいて、後でぼろぼろ事実が出てくるということのないようにひとつしてもらいたいと思います。 それでは、IBMの事件はこれで一応終わりたいと思います。 さて、今国会、特にこの予算委員会で一番大きな問題になっているのは、これはやはり政治倫理の問題だと思うわけですね。特に、六月八日に東京地方裁判所がロッキードの全日空ルートの裁判で、橋本、佐藤両被告に対して、受託収賄罪で、これは執行猶予がついておりますが、有罪判決を下しているわけです。 この裁判で直接裁かれたのはこの二人でありますが、しかし、こうした汚職を生み出す政治の腐敗構造というものについては、私も政治家の一人として厳しい反省をしなければいかぬというふうにも考えているわけです。また、二人だけの問題ではなくて、国民の政治不信というものは、政治家全般にというおそれがある。そういうことから、こういう不祥事が二度と繰り返されないようにしなければならぬと思っておるし、それは政権政党である自民党の鈴木総裁以下、やはり考えてもらわなければならぬところがあると思うのですね。 この二人の罪状というのは判決理由にるる述べられているわけでございますが、判決理由の最後にこういうことが書かれている。行政に対する国民の信頼を著しく失墜させ、同時に国民に政治不信の念を抱かせた点も見過ごしにはできない、こういうふうに言っておりますね。 この二人には控訴の道が残され、控訴をなさったわけでございますが、これは最高裁まで行くのかどうかわかりませんが、仮に行ったとして、その結論が出るまでは犯罪であるのかどうであるのかわからない、これは一般的な常識として存在することは私はわかるのです。しかし、民間の人であるならばその弁明は成り立つであろうけれども、少なくとも国民の選良として国会に議席を有する、それはそれは深い、大きい政治的な立場ということから考えますと、政治家と国民との間の信頼関係というものが政治をよくしていく道であるとするならば、私はやはりこの一審の判決ということで辞職をされるべきであろう、こういうふうに思ったわけです。 しかし、これを要求するということではなくて、本人が自発的にそれをなさるというのが最も賢明な道である、こういうふうに考えて、その当日、私どもの書記長から出ました談話においてもそのことを述べているわけであります。ところが、そうでなかったわけでありまして、どうしてもやめないということになってまいりますと、これはわれわれとしては、われわれが国民に対する姿勢を明らかにするためにも、やはり所信に従って、国会議員の職を辞職されることが好ましいのではないかという勧告をしなければなりません。そのために、その勧告の決議案というものを提出をいたしました。 そういうことで提出はいたしましたが、これはもう野党全部提出をいたしておりまして、これが議運で取り扱いの協議がなされているわけでございます。 これは国会の問題でございますので、総理大臣としては答えられないとおっしゃるかもわかりませんが、私は、やはり自民党の総裁という、また政界全体に対して投げかけられている大きな問題として、国会議員の一人として、鈴木総理から、この取り扱いについて自民党としてどうなさるのか、どういう態度で進まれていくのかということを明らかにしていただきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 全日空ルートの六月八日の判決は、長期にわたって慎重な審理、検討の上に出された判決でございまして、しかもその末尾に、いま正木さん御指摘のように、国の行政なりあるいは政治なりあるいは国民に与える重大な影響ということも指摘をいたしておるわけでございます。私は、この判決は政府としては厳粛に受けとめておるところでございます。 そこで、一審有罪の判決を受けた現職の佐藤議員が辞職をされるかどうかという問題でございますが、私は、基本的には、これは御本人が自分の職責なりあるいは国会の権威なり、そういうものを十分考えて出処進退について判断をされるということが一番望ましいことである、このように考えておるところでございます。 野党の方の皆さんから、議員辞職勧告という決議案が提案をされておるということも承知をいたしておりますが、私は、この勧告決議案は本人にとっても非常に重大に受けとめられておるのではないか、こう思っておりますが、自由民主党といたしましても、この問題につきましては、国会議員の身分、それから選挙民によって選ばれた議員としての立場、また国会全体の権威の問題、政治に対する国民の信頼の問題、総合的な判断をしなければならない重要な問題である、こう考えております。 これに対しては、いずれ党として十分慎重な検討を加えた上で態度を決めたい、こう思っております。
○正木委員 要するに、よく似ているのですね、私たちの考え方といま総理がおっしゃった考え方と。よく似ているのです。本人に決めさせればいいのではないかというところは一見似ているのですけれども、要するにやめるもやめないも本人次第だ、本人に決めさせればよろしいというのが総理の立場なんです。私たちは、やはりやめるべきである、やめるについて強制されないで、みずから責任を感じ、深い反省のもとに、みずから国会議員を辞職するという身の引き方をするのが正しい、居残るというのはいけない、こういう考え方なんですね。ここらにちょっと見解の相違があるわけであって、私はやはり佐藤さん、おやめになるべきであろうと思います。 と同時に、総理は自民党の総裁として、現在自民党の党員ではないかもわかりませんけれども、しかし、この決議案については、辞職勧告決議案については自民党もそれを提案するんだ、まあ自民党は提案しないにしても、野党が提案された辞職勧告決議案には自民党は賛成するんだ、そうして態度を明らかにするんだということが必要ではないかと私は思うのです。 特に、身近な最近の事例がアメリカでございまして、御承知だと思いますが、アメリカの議会でいわゆるアブスカム事件というのがありました。これに対する対応の仕方というものは、やはりわれわれとしては十分に参考にし、注目しなければならぬと思うのですね。確かにこの事件は捜査段階ではおとり捜査と言われているのですが、しかし、連邦地裁で罰金及び拘束の有罪判決を受けた議員に対して、議会は除名決議を討議している。その結果、下院議員一名が除名決議を受け、他の二名が除名決議を免れるために辞職し、上院議員一名も除名決議を免れるために、決議される前にみずから身を処するということで辞職をいたしております。 私は、アメリカのやり方がすべて正しいと評価するつもりはございませんけれども、しかし、少なくとも、議員としての出処進退を明らかにし、そして議会の権威の失墜を未然に防ぐ、国民の信頼をつなぎとめる、こうしたアメリカの議会の対応というものは、やはり学ばねばならないことではないだろうかと思うのです。したがって、そういう立場から、やはり先ほど申し上げましたように、総理が、現職の議員では佐藤議員でございますが、この佐藤議員の辞職勧告ということについて積極的にそれをおやりになるべきではないか、自民党としてそれをおやりになるべきではないかというふうに私は考えるのです。 私は、この問題が起こったときに思い出したのは浜幸さんのことなんです。あの人は賭博の問題があってあれしましたけれども、しかしやはり、あれはまあ自民党の党籍のある人でございましたが、どなたが説得されたのか、陰の話として聞いているが、表はわかりませんけれども、明確にされておりませんけれども、少なくとも彼は彼なりに責任を感じて議員を辞職した、また、そういう彼の自発的意思を慫慂する何らかの働きかけが自民党の幹部の中で行われたということは、私は非常にりっぱだったんじゃないかなという気がいたします。ばくちは悪いですよ、ばくちはいいと言っているわけではありませんが、しかし、身の処し方ということについては正しかったのではないかと私は思います。 そういう意味からいって、私はこの際、鈴木総理が自民党の総裁として、この勧告決議案問題についてわれわれと考えを同じくされることが望ましいと思うのですが、どうでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 正木さんのいろいろ事例を引かれての御意見、お話がございました。私も貴重な御意見として拝聴しておるわけでございますが、自由民主党がこの勧告決議案に対してどのような対応をするかにつきましては、党内におきましても、先ほど私が申し上げたように、慎重にいろんな角度から検討を進めておることだけをお答えいたしておきます。
○正木委員 それは、総理は指示はなさっていないということですね。総理はしばしばいろんなことで指示をなさるのだけれども、この問題については党内の論議に任している、そういうように解釈していいのですか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど私、申し上げたのでありますが、野党の皆さんから辞職勧告の決議案が提案をされておるということは、御本人も大変重大に考えておるであろうということを申し上げたわけでございますが、いろいろ本人の心境等につきましても、御友人もおられることであろうし、最終的な結論を出すまでにはいろんな角度から検討すべきものだ、このように考えております。
○正木委員 私は非常に恐れることは、本人が決めることである、やめるもよし、やめないもよし、それが本人の意思ならば、ということになりまして、そうして結果的にはやめないということでその態度を貫いていくということ、それを是認することは、その考え方と同じだということになってしまうのです。私は総理のために非常にそのことを惜しむのでありまして、総理がそういうことを、もともと、政治的信念からいってもまたその人柄からいっても、そんなことを是認できるような人ではないと私はかねて尊敬しているのだけれども、しかし結果的には、やはり国民の目には鈴木総理も同じように佐藤さんの態度に同調したんだ、国民の目から見たときには、それは責任を本当に感じたことにならないんだということになるわけなんですね。あなたは指示はすぐなさるわけですよ。きのうは、まあ大出さんに大分問い詰められて指示をなさったようだけれども、少なくとも拘束名簿式比例代表制の全国区改変は成立させろというような指示はなさったわけだから、それぐらいの指示はなさった方がいいのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 この問題は議員の身分にかかわる問題でもございますし、先ほど来、私、いろんな角度から検討を加えるべきことであり、また本人につきましても、いろんな御友人もおられることであり、いろいろ話し合いも進めておるということでございまして、野党のこの勧告決議案の提出ということは御本人も重大に受けとめておるように私、聞いております。この決議案に対する自由民主党の態度につきましては、党議を十分尽くして結論を出したい、こう思っております。
○正木委員 それじゃ、もう少しちょっと問題を分けまして、私は自民党も提案しなさい、提案した、当然賛成と言いましたけれども、百歩譲って、野党のこの決議案を上程することについて自民党総裁として協力しますか。
○鈴木内閣総理大臣 これは先ほど来お答えをしておる内容を踏んまえて、国会対策等において十分相談の上で対応したい、こう思っております。(「総裁に伺っている」と呼ぶ者あり)総裁といえども、これは独裁者でございませんで、十分党内の議論を尽くして、その上において判断をする、こういうことを申し上げております。
○正木委員 そこで、この問題はどうも私の感触では総理自身が非常に消極的であると判断をせざるを得ません。これは国民が恐らく判断するでありましょうから、ここで押し問答したってどうしようもありませんから、貴重な時間を食われるだけですから。しかし、やはり総理は、国民の目、国民の考え、こういうものを恐れるという気持ちになっていただきたいことをお願い申し上げておきます。 それから、これは答えられるかどうかわからぬけれども、どうもよくないですな、国会で答弁しているのとまた違う動きが党内でばたばた起こってくる。きのう大出委員が、灰色高官の証人喚問問題で、きわめて前向きの、きわめては取らぬといかぬかもわからぬが、前向きの答弁を総理から引き出した。総理もその決意を述べられた。だから、ゆうべの夕刊の各社の論調は非常に総理にとっていい論調だったですよ。ところが、けさまた新聞を見ますと、灰色高官の弁明、議運の委員会でやる自民党の方針やと、こう書いてあるのですな。これはどないなっとるのですか。 要するに自民党の方針というものは、総理が政権政党の総裁として、そうして総理として、国民を前にしてこの公式の委員会で言明されたことと違う動きが出てくる。ここではこう書いてあるのですね。きのうは証言法の改正というものを積極的にやって、今国会に証人喚問するということについてあなたも前向きに、積極的に行動していくということをおっしゃって、われわれも非常に喜んだわけでありますけれども、ところが、これは新聞の報道ですからわかりません、私はこの会合の中に入ったわけではないからわからないのだけれども、まあこの新聞の報道が正しいとするならば、結果的には議院証言法の改正が仮にできたとしても、またこれができるまでには相当な曲折を予想しているようでございますが、どっちにしても、鈴木、由中両派内や党執行部には現職幹事長を喚問するわけにはいかぬという、特に田中派、鈴木派の中にそういう意見が強い、したがって、実際問題でのこの議院証言法の改正や、つまり証人喚問は見送る方向で党首脳間の意見が一致した、こう書いてあるのですね。証人喚問問題がずるずると尾を引いて局面が打開できないと、延長国会の最大のテーマである公選法の改正案の行方が微妙に絡むから、一応二階堂、加藤両氏を議院運営委員会に出席させて、与野党の委員との間の質疑応答で証人喚問問題の決着を図ろうとしている。聞いていますか。お聞きになっておりますか、総理、あなたも首脳だろうから。
○鈴木内閣総理大臣 私は、きのう大出さんにお約束を申し上げましたように、田村国対委員長に直ちに、そういう各党のお話し合いの上に立って、信義の上に立って予算委員会も審議が進められておるということを踏まえて促進をしなければいけないということを、重ねて国対委員長に指示もいたしておるところでございます。 私は、新聞は詳細に見ておりませんが、党役員会とか党首脳とかでそういういまお読みになったようなことを協議した事実は全くございません。全くございません。このことは明らかにいたしておきたいと思います。私は、いま田村国対委員長が、私との話し合いの上に立って党内でそういう方向で努力しておるというぐあいに承知いたしております。
○正木委員 そうすると、昨日この予算委員会で総理が言明されたことは、そのまま実行されていくのであるというふうに了解してよろしいですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、きのう大出さんにお答えをしたとおり、党内に対しても指示をいたし、その方向で党も進めておる、このことを申し上げておきます。
○正木委員 まあ、この問題は私の後、坂井弘一理事があす質問に立って詳しくやると思いますので、一つだけお聞きしておきたいことがありますが、この辞職勧告決議案の問題、それから証言法の改正、そうして証人喚問という問題は、この事件に限定された形で問題処理がなされるということが基本になっていますね。もちろん周辺の問題はやるわけでありますけれども。しかし、私はやはり再発防止ということが非常に重要な問題である。そのことは、総理が昭和五十五年十月に就任された後初めての所信表明演説でも、政治倫理の確立と綱紀の粛正が何よりも必要である、安定した政治の運営は国民の信頼を得て初めて実現できるものである、清潔な政治、規律ある行政は国民の信頼を得る原点である、こういうふうにおっしゃっていますね。そして、翌年昭和五十六年の通常国会の施政方針演説でも同趣旨のことをおっしゃっているわけでございます。 このことから考えますと、すでに政治倫理委員会ということが政治課題としてずっと浮かび上がって長い時間がたつわけでございますが、航特委、航空機輸入調査特別委員会、それと恒久的な問題として、議員の政治倫理というものを確立するという立場でのこの倫理委員会の設置というようなことについて、まだなかなか具体化されてきておりませんけれども、この点については総理、どうお考えでありますか。
○鈴木内閣総理大臣 お説のとおり、この倫理委員会の設置の問題、そして議院証言法の改正の問題、それを踏まえての議員の喚問の問題、こういう問題は今回の問題に限ったことではない。むしろ、あのようなことが二度と起こらないようにいたしますために、必要な制度面からの、また国会のあり方としての面からの姿勢を正す、また、それを確立をする、こういうところに重要な意味がある、このように私は考えておるわけでございます。 私は、いま正木さんがおっしゃったような御見解と全く同じような考え方でこの問題に取り組んでおるところでございます。
○正木委員 いや、まあ取り組んでいらっしゃるのでしょうが、倫理委員会というのはおつくりになりますか。そういうお考えですか。これは国会の問題ではありますけれども、やはりこれも総裁という立場で非常に積極的な態度で臨まれるのかどうかというのが問題だと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 この問題は、私が、議会制民主主義を擁護するためには、国会自体においても、個々人の議員の自粛自戒はもとよりであるが、制度的にも国会としてそういう機関等を設けて常に政界の浄化を図っていく、姿勢を正していく、こういう観点から、私が倫理委員会の設置の問題と議院証言法の改正の問題、これを問題提起をいたしまして、そして党の方にも検討を指示した経緯もございます。私はいまでもそのように考えておる次第であります。
○正木委員 この問題は、先ほど申し上げましたように、坂井弘一君があすまたさらに深く議論を進めるであろうと思いますので、一応これで終わります。 それから、財政問題について申し上げてみたいと思うのですが、ちょっと大蔵大臣と経済企画庁長官、聞いておってくださいね。この表は、これはまだ大分後になりますが。 特に非常に重大な問題は、増税なき財政再建、五十九年には赤字国債ゼロと、非常に強い、ある一面では評価できるスローガンで財政運営を進められていることはそれは結構なんですが、しかし、五十六年度のあの赤字は大変な赤字でありまして、昨日の議論の中からも、補正予算後で二兆九千億からプラス・マイナス一千五百億ですか、ですから補正前だと約三兆三千億ぐらいになるのじゃないかというような気がいたしますが、四千五百二十億足さなければいけませんからね。ですから、それだけの大きな赤字が出てきた。その理由は何か。これは本会議でも議論されましたが、テレビをごらんになっている国民の皆さん方のために、経企庁長官、この沈滞の理由を言ってください。
○渡辺国務大臣 財政、歳入の問題でございますから、私から先にお答えをさせていただきます。 御承知のとおり、五十六年度の予算は一年半ぐらい前の時点で一応原案をつくります。そのときは名目成長九・一というような経済成長を考えまして、大体そういうことで土台としてやったわけでございますが、世界の景気の後退、日本における内需の不振、思いがけない急速な物価の鎮静、円安、いろいろなことが重なりまして、結局それだけの税収を得られなかった、税収見積もりが一〇%ちょっと、見積もり違いが最終的に出てくることがほぼ確実になったということでございます。何が原因かと言われましても、結局いま言ったようなものの総合的なものである、そういうように考えております。
○正木委員 経企庁長官、この経済見通しが達成できなかった理由。
○河本国務大臣 昭和五十六年度の経済成長、当初見通しよりも相当低い水準に終わったわけでありますが、大体の原因はいま大蔵大臣がお述べになったとおりだと思います。 もう少し具体的に申しますと、五十六年の経済の一つの特徴は実質可処分所得がずっとマイナスであった、これが相当経済に影響を及ぼしております。特にそのために消費と住宅、中小企業に厳しい影響が出てまいりました。それから、アメリカの高金利のために金融政策が機動的に運営できない、こういう問題もございましたが、昨年の後半から、戦後最悪と言われる世界不況のためにわが国の輸出が落ち込んでまいりまして、これも相当足を引っ張ったと思いますが、幾つかの要因が重なりまして、残念ながら三%弱、こういう経済成長に終わった、こういうことでございます。
○正木委員 恐らくその三つでしょう。可処分所得のマイナス、中小企業の民間設備投資の減退、世界的不況による輸出の落ち込み、その三つでしょう。それはまあ、その話を聞いておりますと、ごくごく自然にそれが起こったような感じを受けるわけです。大蔵大臣がおっしゃったように、物価は予想外に鎮静をした。物価が予想外に鎮静したのに可処分所得がマイナスになったということは、これは賃上げ率が低かったか、ないしはサラリーマンの減税ということが行われなかったために当然税負担が大きくなって、可処分所得がマイナスになった。そうじゃありませんか、長官。
○河本国務大臣 実質可処分所得がマイナスであるということの背景は、いまお述べになったとおりかと思います。
○正木委員 これがやはり原因となって、個人消費の伸びが非常に悪くなってきた。そのために民間住宅建設というものが非常に予想外に落ち込んでしまった。それに関連する中小企業の民間設備投資というものも落ち込んでしまった。輸出の鈍化、落ち込みというのは、これはこれとは直接関係ないのかもわかりませんけれども、そういうことで、やはりこの間に、私は政府の施策というものが非常に大きな原因になっていると思うのです。しかも、それはやり間違いです。そのために国民生活に対して非常な実害を与えておると私は思うのですが、一つは、やはり先ほどの所得の目減りと増税です。これは総理府の家計調査報告によりましても、勤労者世帯では名目実収入の伸びは五%、五十年以降では最低です。可処分所得——可処分所得というのは、皆さん方はわかるけれども、テレビを見ている人はわからぬから、自分で勝手に使える金です。これは名目が五十年度以降最低の三・九%、実質は五十五年に続いてマイナス〇・一%。家計調査始まって以来、要するに昭和三十七年以来の二年続きのマイナスであった。覚えておってくださいよ、いまこれを検証しておるわけですから。 それから、中小企業の不況です。企業倒産の件数、負債金額ともに五十二年、五十五年に肉薄して史上第三位を記録した。これは商工リサーチで出ているのです。 また、労働省の毎月勤労統計調査によると、常用労働者賃金、これは現金給与総額でありますが、これの伸びは中小企業に働く労働者ほど低いのです。五十六年平均六%の賃金上昇に対して、従業員五人から二十九人のところは、いわゆる中小規模の中小企業ですが、四・二%しか上がっていませんね。これは労働省の調査ですよ、私が勝手につくったのじゃありません。このために中小企業の倒産が続いていった。中小企業の不況、同時にまた、そこに働く人たちの実質賃金の低下ということがどんどん起こってきているということになるわけであります。 それから、国債減額二兆円の公約違反、これがありますね。これは、私は財政再建の崩壊だと思いますよ。五十六年度は当初の見積もりで史上最大の一兆四千億円の増税をしました。所得税の減税見送りによって実質所得増税二兆七千億円、そのほか福祉の後退だとか公共料金の値上げ、こういう国民に対する負担強化、しかし、三兆円を超える歳入欠陥によって、国債減額は実質的にもう崩壊した、負担増のみ残った。 住宅無策です。国土庁の地価動向調査によりますと、五十六年度の地価上昇率は七・二%。消費者物価の上昇率四%や家計調査によるサラリーマンの所得の伸び五%に比べると相変わらず住宅関係の伸びが高い。住宅価格と所得の乖離を拡大して住宅不況を招いた。もっと具体的に言うと、三大都市圏の平均で見ますとマンションの取得限界、要するにマンションを一戸買うのに大体年収の四倍と言われていたのがいまは六倍です。六倍出さないと買えませんから、手が出ません。一戸建ての分譲住宅で、三大都市圏の平均で年収の五倍と言われていたのが、いまは七倍出さないと。これでは住宅は買えません。これほどの大きな実害を与えてきたのですが、どうですか、そのとおりでしまう。
○河本国務大臣 いま中小企業、住宅の現状についてお話がございましたが、大体そのとおりだと思います。
○正木委員 いろいろあるのですがね。 そこで、その結果、きのう大蔵大臣が言明したように、相当大幅な歳入欠陥が起こるわけです。歳入欠陥というよりも、まだこれは不用額とかなんとか出てきますから、税外収入の問題もありますからあれですけれども、税収減と言いましょう。これはちょっと収拾のつかないぐらいの大変な税収減なんです。 そこで、この表になるのです。委員長、これをちょっと使わせてもらいます。
○栗原委員長 はい、どうぞ。
○正木委員 この表をごらんいただくとわかるのですがね。税収の動向は、五十六年度、五十七年度は当初予算が決まっておりますから、五十六年度の税収は三十二兆二千八百四十億円、これは当初予算です。これはもう補正されておりますけれども、四千五百二十四億円減っておりますが、それで大体、大蔵省の推定で二十八兆九千三百四十億円の収入しかない。そうすると、歳入不足というか税収不足が三兆三千五百億円。五十七年度は、五十六年度の当初予算に対して一三・四%の伸びだというふうに当初予算を組みましたから三十六兆六千二百四十億円。こういうふうに予算に計上されているのですが、この大蔵省の推定の二十八兆九千三百四十億円という五十六年度の税収結果、これは明確ではありません、七月の最初にならないとわかりませんが、同じく一三・四%の伸びと見ると、もう発射台が低くなっていますから三十二兆八千百億円なんです。ところが、四月末の税収結果は九・四%の伸びだと言われていますから、仮にこれを九・四%とすると三十一兆六千五百億円。この差がどれだけ出てくるかというと、五十七年度では三兆八千百四十億円、これは一三・四%伸びたとして。五十六年度と同じように九・四%の伸びならば四兆九千七百四十億円の歳入減になるのです。これと同じようなことを続けていきますと、五十八年度一一・九%、これは中期展望でそういうふうに書いてある、四十兆九千七百億円。ところが、発射台が低くなっておりますから、一一・九%伸びたとしても三十六兆七千百億円。九・四%の伸びに対して五十八年度一一・九%の伸びとしても、発射台がさらに低くなっておりますから三十五兆四千二百億円、その差四兆二千六百億円であり、五十六年度実績をそのまま踏襲すると五兆五千五百億円。五十九年度も同じく一一・九%の伸びでございますから、それぞれこうなるのです。 ただ、ここで申し上げておかなければならないのは、何にもしないのですよ、いまのままがずっと延長されたということです。ここで景気対策をやったり何かしたら変わってきますよ。しかし、このままだとこうなる。そして、要調整額、中期展望の中で明らかに赤字であるというふうに明示されているのが、五十六年度、五十七年度は予算ができましたから、五十八年度では三兆三千七百億円、五十九年度では五兆六千八百億円、この要調整額、赤字がある。それをこの税収不足とプラスしたらどうなるかというと、これはえげつないことになるのです。五十七年度においては、要調整額というのがありませんから、歳入不足だけぽんとびっしり残ってくる。五十八年度にはこの要調整額、要するに予想された赤字分をプラスすると、七兆六千三百億円か八兆九千二百億円になる。五十九年度に至っては驚くなかれ十兆四千四百億円か十一兆八千九百億円。こんなの予算を組めますか、こんな減。しかも、ここには、この赤字を、要するに五十六年度で出た赤字、五十七年度で出る赤字を仮に赤字国債で埋めるとするならば、その分は入っておりますか、入っていません。ここへプラスしなければいかぬ。こんな実情なら、いま何らかの対策をしなければならぬとお考えになりませんか。経企庁長官、大蔵大臣、御両人。
○河本国務大臣 いまお述べになりました背景には、戦後最悪と言われる世界不況がございまして、その影響が日本経済にも覆いかぶさっておる、こういうことがございますので、そこで、とにかく現状を打開しなければいかぬということで、とりあえず本年度の予算が成立いたしましてから、公共事業、これは中央の関係で一般会計が政府機関等を入れまして約十四兆、地方の関係で約十兆、これを合わせまして二十四兆でございますが、これを上半期最大限前倒しをしていこう、そして、それを景気回復の誘い水にしたい、こういう政策をいま進めております。何分にも政策選択の幅が非常に狭くなっておりまして、財政上の問題もございますし、それから金融政策につきましては、先ほど申し上げましたとおり、アメリカの高金利のために金融政策がお手挙げの状態になっておる、こういう状態でございます。貿易は、世界不況のために、幾ら優秀な商品であっても世界的に購買力が減退しておりますから、昨年の十一月以降ずっとマイナスが続いておる、こういう状態でございまして、さしあたってやれます政策というのは公共事業の前倒ししかないというので、いまそれをやっておるわけでございます。 そこで、昨日来問題になっておりますのは、八〇%近くも前倒しをして後半一体どうなるのだ、こういうことでございますが、私どもの期待しておりますのは、後半は世界経済も少し立ち直るのではないか、それからアメリカの高金利も若干は修正されるのではないか、このように考えておりますので、民間の力がある程度出てくるであろう、こう思っております。しかし、それが出てこないということになりますと後半はどかんと最終需要が落ち込んでまいりますから息切れがしてくる、こういうことになりますので、息切れがしないようにこれをつないでいかなければならぬ、こういう大きな問題がございますが、さしあたっては前倒しをいま懸命にやっておる、こういうことでございます。
○正木委員 僕ら戦争中育ちましたから、あなた方も覚えているでしょう、乾パンというのがありましたね。乾パン一袋もらいますね。きょうは腹減っているからそれを食わなければいかぬ。次の乾パンはあしたやるぞと言ったらその日食えますよ。しかし、次の乾パンいつくれるかわからぬと言ったら、これはちびちびちびちび食っていかなければいかぬ。これはだれが考えたって常識ですよ。それは公共事業も一緒ですよ。八〇%近い前倒しはしました、これは景気刺激だと言っているけれども、これは乾パンと一緒なんです。後どうしてくれるのかということがわからなければ、そんなもの、いまどんどんどんどんやれるわけのものじゃありませんよ。そうすると、当然だれが考えたって、八〇%近い前倒しを公共事業でやったとするならば、後半、下半期は息切れしてくるというのは明確なんですから、そこで九月まで待ちなさいなんということを言っているから夢も希望もなくなってしまって何とか食いつながなければいかぬ、先は不透明だから設備投資もちょっと手控えようかと中小企業は考えるのですよ。どうですか、理屈でしょう。理屈というよりもそれは常識でしょう。どうですか、思い切って言いなさいよ。 私がこんなことを言うとほかに影響があるかもわからぬけれども、河本さんの経済政策についてはかねて私は尊敬しているのだから、私と同じことを考えているのだから、私がかわりに言ってもいいが、私は企画庁長官と違うから言えませんけれども。言いなさいよ、わかっているはずですよ。
○河本国務大臣 いま問題が二つございまして、その一つは、前倒し計画、これが順調に消化されませんと計画倒れに終わりまして、これはどうにもなりません。だから、どうすればせっかくの前倒し計画が順調に進むか、順調に消化できるかということが一つの大きな課題だと思います。それから、第二の問題点は、先ほども申し上げましたように、後半息切れをしないようにしなければいかぬ。息切れをしますとせっかくの前倒しが線香花火に終わってしまいます。そういうことのないようにしなければならない。その二つの点が問題点であるということは政府も十分承知しておりますが、何分にも経済の激動期でございますから、もう少し様子を見ながら、とにかく後半息切れがしないようにするということだけは、これはどうしてもしなければならない、このように考えておりまして、これからそういう方向に従いまして政府部内でいろいろ調整をしていきたい、このように思っております。
○正木委員 あなたは総理と相談して九月にしたということが新聞に出ておったけれども、それはどういうことなんですか。なぜ早くしてはいかぬのですか。あなたは早くしたいのでしょう。
○河本国務大臣 現状は、先ほど申し上げますように、消化さえ順調にできますと、上半期の仕事量は十分あるわけです。上半期の公共事業が八〇%近いということになりますと約十九兆円、下半期は五兆円でございますが、上半期の仕事量は十分あるわけです。したがいまして、後半息切れがしないようにするということを明確にすることによりまして関係者の間でこの前半の消化に協力してもらいたい、こう思っております。 それでは、なぜいま公共事業を具体的に何兆円かを追加するということを明らかにしないかというのがいまのお話でございますが、何分にも経済の激動期でございまして、新しい年度も始まったばかりでございます。今月の十一日にようやく五十六年度の大体の経済の実績が出てきた、こういう状態でございますので、もう少し様子を見ませんとことしの後半の経済の動向が明確になりません。そういうことで、いつごろになればこの大体の判断ができるかといいますと、九月の初めごろにはいろいろな経済指標も整ってまいりますので、そのころには判断をしようと思えばある程度の判断はできる前提条件が整うのではなかろうか、このように考えております。 現時点におきましては、先ほど申し上げますように、後半息切れをしない、最終需要が断層を生じない、こういうことを明確にすることによりまして上半期の消化に協力していただく、こういう考え方でおります。
○正木委員 経済企画庁長官の話を聞いていますと、拡大均衡か縮小均衡かという二者択一を迫られたときには大体拡大均衡でいこうということでしょう。ところが、いろいろな雑誌を読んだり何かしていますと、自民党の議員さんの意見がいろいろ出ているのですが、中には縮小均衡的な人がいるのですよ。世界は全部不景気、日本だけいいということはありません、だから、いまはじっとしている方がよろしい、これは縮小均衡ですが、その人はこれを見てないからで、これを見たら恐らくびっくりして変えるかもわかりませんが、こんな状況になるのです。何にもしなかったらこうなるのです。だから、やはり拡大均衡でなければならないのじゃないかなという気がいたしますけれども、経済企画庁長官は大体そういうふうに考えているのだろうということはわかりますが、総理はどうですか、持っていく方向は。じっとしているのですか。
○鈴木内閣総理大臣 世界経済全体の中における日本経済、これは正木さんごらんになっておるとおりでございます。しかし、私どもは五十七年度予算の編成に当たりましても、ぜひ内需を中心とした経済成長を図っていきたいというようなことであのような予算を編成したわけでございます。 しかし、実際にこの予算の執行の経過を見ておりますと、第一・四半期経過をしたばかりでございますけれども、先ほど来経企庁長官等からいろいろお話がございましたように、内外の経済環境が非常に厳しくなっておるというようなことでございますので、思い切った公共事業の前倒しをやる、五十七年度予算の与えられた枠の中でとにかく最大限の手を打っていこうということでやっておるわけでございます。 なお、その後における公共事業等の問題につきましては、私も外遊から帰ってまいりましてから早速経企庁長官、大蔵大臣、官房長官等と協議をいたしまして、今後の財政、経済運営についても相談をいたしたわけでありますが、情勢を十分注意深く見ながら機動的に財政、金融の手を打っていこう、こういうことで今後やってまいりたい、このように思っております。
○正木委員 何もしないとこうなりますよと、これは数字は幾らか違ってくるかわからぬけれども、そんなに大して違いありません。そうすると、五十七年、これは何らかの形で政策転換をせざるを得ないでしょう。やっていけないじゃないですか。そうすると、当然この五十七年で何らかの形で、恐らく公共事業の追加というのはせざるを得ないだろうという意図でしょう。そのほかに、われわれとしては考えがありますけれども、政策転換は必要だ、五十七年度において政策転換は必要だという考え方はございませんか。このままじっとしていてそうなりますか。
○渡辺国務大臣 正木委員から出された税収の展望でございますが、この要調整額というのは、御承知のとおり、わかりやすく言えば不足額ですね。不足額というのは歳入と歳出のギャップということでございますから、仮にこれは当然歳出面において出るお金を、いままでの制度、そういうものをそのまま温存をしてお金を出していけばということで書かれているわけですね。ですから、当然ここで五十六年、五十七年というのはかなり歳出カットをしたりいろいろなことをして要調整額を解消をしているわけです。したがって、その一つとしては歳出の削減、これはどんどん伸びていくという前提でつくられたものですから、どんどん伸ばしていったのじゃ大変なことになるわけですから、だから当然歳出の削減ということが加わってまいります。だから、予定の展望に示されたことのスピードで歳出は伸ばしません。そういうところで実は圧迫しますから、要調整額はその点で小さくなってくるということは事実でございます。 それから、税の面ですね。税の面は、御指摘のような心配があることは普通の考えとして考えられることである、私はそう思っております。しかしながら、これも五十六年度のように決定済みのものは別として、五十七年度以降はまだ二カ月しか経過していないということもございますし、ことしの経済という問題については、日本の経済というものは世界の経済と連動いたしております。日本だけが長年にわたって独自の経済繁栄を、かけ離れてするということは、それは願望であって、理想でございますが、世界の経済に足を引っ張られることも事実だと私は思います。したがって、それらのことを考えると、悪いときには悪いけれども、世界の経済がことしの後半からよくなる、去年の後半からよくなるわけでよくならなかったじゃないかと言われれば、それは見通しが世界じゅう間違ったと言えば間違ったわけで、それは事実でございますが、ことしはそれらのことも勘案しながらことしの後半からよくなるというのが、OECDとかIMFとか世界機関が学者先生いっぱい集めてそれはやっているわけですから、それは全然当てにならぬのだと頭から決めてしまえば別だけれども、一応そういう状態にあるのじゃないか、大体落ちつくところへ落ちついて、それからもう回復基調にきているという見方は信用していいのじゃないか、私はそう思っておりますし、それと同時に、やはり国内においては、いま長官がおっしゃったように、いろいろな機敏な手を打っていきたいということです。 私は、一番期待をかけておるのは何かといいますと、要するに去年は非常に物価が安定した、その裏には何があったかというと、可処分所得が足りなかったのじゃないかというようなこともあり得ますが、消費節約なんですね。一方、金融資産が一年に三十五兆も個人だけでふえて十一・何がしというものが現実に預貯金という形でふえちゃったわけですから、それは使わなかった。物価高もあったでしょう。それがだんだんことし鎮静して、去年マイナスの実質消費支出が、ことしに入ってから愁眉を開いて実質の消費支出というものが三%台に伸びてきているわけです。したがって、私は、物価の安定が個人消費支出の拡大につながるということは非常に期待をいたしております。去年はそういうことはなかった。だから、何といっても二百七十数兆という大きな経済を動かす国民総生産、その中で六割近いものが個人消費支出ですから、公共事業といったって一〇%に満たない。個人消費支出は六〇%近いということになると、それをわれわれは期待していかなければならぬ。それにはやはり物価の安定というものを頭に置いて経済の問題を考えないと、間違って余り物価を押し上げるというようなことの政策については景気の問題やなんかでむしろ裏目に出る危険性もある。ここはやはりじっとがまんするところはがまんをして、そして着実な個人消費支出の伸びをどうして考えていくかということを基本に政策を運営すべきじゃないか、そう思っております。
○正木委員 だから、僕は書き物にして渡したのです。あなたの何となくもっともらしい話にみんなごまかされてしまうから。だから、あなたの言い分を通しましょう。それで、中期展望で言うところの要調整額はゼロになったとしてごらんなさい。歳出カットなんて、そんな僕はできるものじゃないと思うけれども、それは五十八年度で三兆三千七百億円、五十九年度で五兆六千八百億円も歳出カットなんかできるとは思わないが、あなたがしますと言うのだから、仮にできたとしましょう。したって、税収減、あなたもお認めになったようにあるのですよ。しかも、あなた方が当初に予想なさったように一三・四%、五十七年度で五十六年度に比べて伸びるとして、発射台が低いから、これは三兆八千百四十億円は絶対的に減になるのです。そのほかにどたっと自然増収が出ればいいけれども、そんなことは考えられぬわ。もし仮に出るとするならば、出るような政策転換をしなければだめです。確かに朝の来ない夜はないし、春の来ない冬はありませんがね。季節や時間は待ってれば勝手に来るが、こんなものは政策的に手を打たない限り春は来ませんぞ。私はそう思う。あなたの話は、何にもせぬ、ぼちぼちようなってきておりますからそれに期待しておりますということでしょう、結局の話が。違いますか。言いたいことがあったら言いなさい。あなた方、言いたいことを言わないでごまかそうとするからそうなる。 だから、これは政策転換をせざるを得ないのです。政策転換をせざるを得ないということになるならば補正予算を組まざるを得ないのです。補正予算を組まないような政策転換なんかありません。だって、この後やりますけれども、この赤字の埋め方だって補正予算必要なんだから。言いなさいよ。通常国会に当初予算を通して、そのときにすでに補正予算のことを言及するのは見識にかかわる、それは常の話。こんな大事なときには言うべきです。 そこで、いま言った何らかの手を打たなければならぬという中に、一つは、公共事業の追加がありますが、これは時間がありませんから言及しないでおきましょう。 もう一つ、やはり所得減税やりなさい。大蔵大臣、あなた、五十六年にわれわれ野党が集まってやれと言ったときに、財源がありません、世界的に見て税金の水準は低いですの何のかのと言って逃げ回った結果、これですよ。これはちょっと経済的にどういうふうに計測するかということはいろいろな手段、方法があっていろいろな説があるけれども、しかし、少なくとも野党の要求を聞いて一兆円の減税を五十六年度にやっていたら、こんなひどいことにはなっていません。それはもちろん一兆円という財源が必要だし、それは引き続いて五十七年度も一兆円の減税になってくるからずっと引き続いていくんだから、課税最低限の引き上げということになってくると。であるが、こんなにひどい可処分所得の低下ということによって個人消費が伸び悩んだということにならぬだろうと私は思います。だから、所得減税やりなさい。これはいま減税小委員会でやっておりますが、五十七年の最後にやりなさい。 もう一つは、これは大蔵大臣と通産大臣だけれども、通産省からかつて出した表をいろいろ調べてみますと、中小企業に対する投資減税問題というものは、何らかの形で投資意欲、しかも、これは時限じゃないとあきません、いつでもやったると言ったらなかなかしょらぬから。しよらぬと言ったらいかぬ、なさいませんから、要するに二年なら二年、三年なら三年に限って、この間に設備投資をやったら税金まけてあげますよという形をとることが、非常に中小企業の民間設備投資を促進していく上に有効だと思うのだが、この三つ、減税、公共事業、投資減税——投資減税はどうですか。 通産大臣、あなたのところは推進者のはずですよ。
○安倍国務大臣 いま経済情勢が全体的に悪い中で、特に中小企業が冷え込んでおることは事実でございます。中小企業の設備投資等はやらなければならない状況にあるのですけれども、なかなか経営者に意欲がわかない。これはやはり先行きの見通しが不透明である、こういうことじゃないかと思うのです。 われわれとしても、先ほどから政府がいろいろと答弁をいたしましたように、意欲をわかせるためには息切れのしない経済政策、経済運営をやっていかなければならない、こういうふうに思うわけですが、中小企業については、御承知のように、いろいろの優遇措置をとっております。金利につきましても特別な配慮をいたしておりますし、また、機械であるとかエネルギー等につきましては特別償却制度等もやっておるわけでありまして、さらに、これに対して新たに投資減税というようなことをやれば、確かに勢いは出てくることは事実であろうと思うのですけれども、財政等の状況もあるわけですから、そういう方向は期待はしても、財政状況等も踏まえながらこれは判断しなきゃならない、こういうふうに考えるわけです。
○渡辺国務大臣 財政との関係もちろんございます。しかし、一兆円公共事業がいいのか、まあ一千億でもいいでしょう、一千億円公共事業がいいのか、一千億円投資減税がいいのか、どっちが景気に効果があるか、どっちに財政負担が少ないか、いろいろ問題があるでしょう。 私も実は正木委員と同じようなことを考えまして、かつて事務当局に言ったことがあるのです。ドイツでこれをやったことがございまして、その結果余り御利益がなかったという結果が出ているわけですね。そんなことはないはずだから、もう一遍研究してみなさいということは言ってはおるのです。ドイツでやった結果は余り効果がなかった。なぜ効果がなかったのか、それらの点もよく検討をしてみなさい。いろいろな点について検討はいたしていきたいと思っております。
○正木委員 所得減税は。
○渡辺国務大臣 景気対策としての所得減税ということは私は余り——額にもよりますよ。何兆円というような大きなものだったら話は別でございましょうが、金額がばかでかい、ばかでかいと言うとしかられるかもしらぬけれども、うんと大きなものは、現実の財政事情から何らかの身がわり財源を一緒に考えていただかないと現実はむずかしい、そう思っております。 しかし、現実の問題として、課税最低限等を五年にわたって据え置いたために重税感があるという現実は、私もちゃんと認識はいたしておるわけであります。したがいまして、五党間で話し合いの結果、国会において減税小委員会というものをこしらえて、中長期にわたることも踏まえていかにあるべきかということを目下検討の最中でございますから、それについてはそれ以上言及することを私は差し控えたいと存じます。
○正木委員 時間がないので、これまたあした頼みますわ。やってください。 そこで、先ほども経済企画庁長官がおっしゃったのですけれども、要するに、金融政策については政策の選択の幅が非常に狭められてしまって機動的な運用ができなくなっている。これは私は事実だと思います。これは一にかかって、アメリカの高金利でドルの突出したドル高ということだろうと僕は思うのですが、そのために、こういう不況のときには公定歩合を引き下げて、そうして景気刺激をしていくというのだけれども、これ以上下げるとますます円安というものが起こってくるというので、金融政策というのは非常に制限された形でしかできないということがあります。 これはある意味ではちょっと怨嗟の的になっているのですね、ヨーロッパ諸国もEC諸国もそうなんですが、アメリカの高金利。恐らく総理はサミットで、アメリカの高金利問題ということについては相当強い批判もし抗議をなさっただろうと思うのですが、それで、この通貨問題について介入協議機関というのができるのでしょう。これは附属文書か何かでやったのか、ありますね。ところが、この介入協議機関というのがサミットで合意された翌日にまた円安なんですよ。これはなめられているという感じだな。 そこで、いままでアメリカは為替相場の問題については不介入方針というのをとっておったようでありますけれども、これで不介入方針を一応転換して見直しをして、介入協議機関というものを設置することに合意したと聞いているのですが、これはどれぐらい実効があるものですか。
○渡辺国務大臣 介入で機関をつくるということを決めたわけではございませんので、共同宣言に書いてあるように、IMFの協定の中で四条かで決められておる市場の混乱に対応して介入が必要だし、それをやる用意があるということを宣言ではうたっておるわけです。したがって、いままでのように全然知らないよということとはアメリカも変わってきている。その実態についてはいずれ日銀総裁から聞いていただきたいと思いますが、やはり国際通貨の急激な変動というものはどこの国も困るというところから、それについてはみんなで安定するように、安くしようとか高くしようとかいうのではなくて安定して——高くなる、安くなるのはある程度は仕方がない。だけれども、それはそうでなくて急激な投機的なものとか何かのちょっとしたはずみで、デマとか何かでかなり金が動く場合がありますから、そういう場合にはみんなでともかく考えていこうという方向で動きつつあるということは事実でございます。
○正木委員 円安ということで私たちが非常に心配するのは、円安というのは、御承知のとおり輸入代金がずいぶん高くつくわけですから、現に石油製品の問題、石油化学製品の問題、それから飼料ですね、その他牛肉だとか豚だとか鶏だとかいうものに全部影響してきます。これは先ほど大蔵大臣が物価の安定ということが大変なのだ、こういうふうにおっしゃっていた。僕はその姿勢は正しいと思うのですが、円安をこのまま放置しておきますと、輸入代金が上がってくるのだから、いま需給が緩んでいるから直接にはぴんぴんと物価の上昇にはね返ってはきていないけれども、これは十分警戒する必要があるので、円安対策というものについては徹底的な措置をとっていかなければいかぬのですよ。 その一つが、やはりアメリカの高金利にあるということなのですから、アメリカがみずから何らかの措置をとらなければいかぬけれども、これは下がりようがないみたいな感じだね、現在まだ。これはきのうの論議の中から見ても、アメリカの財政赤字というものが大きな影響を持って、そしてアメリカの金利の引き下げということがなかなか思わしくいかない、むしろプライムレートが上がってくるというような状況がある。ですから、そういう中で何らかの措置をとらなければいかぬ。 それは介入の問題がありますが、いわゆる俗に資本の流出抑制のための為替管理の有事規制、これはきのう総裁、記者会見で発表してしまいましたか、どういうことですか。「有事規制発動も辞さず」というのが新聞に出ているけれども、日銀総裁。
○前川参考人 昨日、私は午後記者会見をいたしましたけれども、有事規制について発言をした記憶はございませんが、円安を防止するために内外金利差を拡大しないようにする、あるいは非常に極端な変動のある場合には介入を強化するということは基本的に考えております。有事規制自身につきましては、前にもたびたび質問を受けたことがございますが、必要があればいつでもやるけれども、現在直ちに発動する考え方はないという意味のことは、従来も答えたことがございます。
○正木委員 有事規制を発動いたしますと、その周辺に起こってくるリアクションというか、いろいろな問題が起きてくるでしょうから、有事規制というものはなかなかむずかしいと思うけれども、少なくとも日銀総裁は、現在は有事規制を発動するというようなことについては、その時期ではないというふうにお考えですか。
○前川参考人 有事規制は、言葉どおり有事の場合ということでございまして、いまの為替管理法は自由取引を原則にしておる。ただ、非常に緊急の場合にはそういう権限も留保しておるということでございまして、非常に大きな影響のあることでもあり、また法律の全体のたてまえから申しますれば逆の方向でもありますので、そういうことを発動する場合には慎重に利害を判断してから発動すべきものであるというふうに考えております。
○正木委員 これらの一連の問題、このほかにもまだあるのですけれども、OECDが二十二日に対日審査をやっている。円安対策というものについてOECDから強い注文が出るのじゃないかというふうに言われているのですが、この内容、結果というものは八月にならないと発表されないらしいけれども、私は、円だけが安くてほかの通貨が全部高いとするならば円が攻撃されるということがあるかもわからないけれども、先ほど申し上げたように、マルクもスイス・フランも軒並みに為替相場が安くなってドルだけが高いという状況だから、日本だけ集中的に攻撃されるということはOECDではないだろうと思うけれども、しかし、どうなのでしょうか、大蔵大臣としてこの円安対策については何らかの措置をとらなければならぬと思うのだが、そうでないと物価に対する影響がありますし、また円安というものはデフレを呼び込んできますから、ますます不況になるということになってくるので、円安についての対策というものを、これは大蔵大臣、それから企画庁長官関係ないですか——関係ない、じゃ大蔵大臣から、できるだけちゃんとした話にしてほしいのでよろしくお願いします。
○渡辺国務大臣 ちゃんとした話を申し上げますが、為替相場を自由に動かすということは、これは不可能に近いものでございます。これは原則です。したがって、できる範囲は適時適切な介入、これは必要であります。しかし、それは本当に実勢が変わってきた場合、そんなにいつまでも持ちこたえられるものではありません。やはり国力を回復することであります。 一番の問題は、アメリカではなぜドルが高いか。高金利だ。なぜ高金利か。それは財政需要が多くて赤字がうんと出る。したがって、政府が金を先取りしてしまうのじゃないか。高い金利で政府が優先的に金を借りてしまいますから、金利が上がりっぱなしで下がらない。この問題は、財政赤字をなくす、それが終わらなければなかなか金利が下がらない。そうすれば、相場にも影響がくる。同じようなことが日本でも言えないことはないのでありまして、国債がうんと増大していくということはある程度金利が上がるということにつながりかねませんから、われわれとしては、日本の財政体質それから経済の体質、こういうようなものを総合的によくしていくことが日本の円を強くすることである。 もう一つは、世界の動乱をなくしてもらいたい。動乱があっちこっち、特にスエズ等で起きるとどうしてもドルが強くなる。これは理由がないんですね。動乱が起きたら必ずドルが強くなる。これは現実ですから、やはりわれわれとしては平和外交を通して、それは遠い目標かもしらぬけれども、できるだけ世界の平和の確保をしていくことは、円安防止にえんきょくだけれども大きな影響があるということも事実であります。
○正木委員 ちょっとぴんとこないのですがね。私は、大蔵大臣考えておるように、そんなに日本の国力が劣っているとは思いませんよ。僕は不当な評価だと思うのです。日本の国力に対して、ドル高という問題は評価がちょっと不当だと思いますよ。それは不自然な何らかの形のものが働いているからだ。その最たるものは高金利だと僕は思うけれども、むしろ体質改善してもらいたいのはアメリカの方だ、私に言わせれば。 だからといって、それじゃ、そのままこの円安対策というものは手をこまねいて待っているよりほかに道がないのかどうか。たとえば資本の流出が過大であってそのために円安という問題が起こっているわけですから、資本の流出だけではありませんけれども、それも一つの大きな原因でありますけれども、それに対する何らかの手を打っていくことがこの有事規制の問題とかなんとかなんだから、私はこのまま二百七十円なんということになってくると物価に影響せざるを得なくなってくるだろうと思う。だから、僕は反対に、このことで手を打たない、手の打ちようがないというのかもしらないけれども、手の打ちようがないということを名目に手を打たないのは、これだけ抱えた借金を何とかインフレにしなければ返せないから、政府は意図的にそれを考えておるのじゃないかなと勘ぐりたくなるようなことさえ思うようになって、だから、この円安対策というものについてはあると言えばあるし、ないと言えばないという問題だけれども、しかし日本はそういう意味での自衛の措置というものはとっていかざるを得ないのではないか。そういう点、私は総裁に、有事規制の問題とは、いま有事じゃないんですかということをお尋ねしたわけなんだけれども、あの人はまだ有事じゃないと言うてはるけれども、そういう点はここで問答しておっても時間がありませんからこれで終わりますけれども、これは十分に対応してもらわないといけないと思うのです。これは総裁もよろしくお願いいたします。 そこで、まだたくさん聞きたいことがあるのだけれども、五十六年度の歳入不足、これは大体確定的です。この穴埋めをどないするかということですわ。これはどう考えたって——歳出の不用額というものがどれだけ出るかわかりません。できるだけたくさん出てもらいたいと思うが、大体歳出の不用額が出たって、二兆九千億程度のものは、通常二千億ぐらい出るから二兆七千億になるか二兆八千億になるかということでしょう。いま手段としては決算調整資金の取り崩しというのをやらないかぬな。これはやるでしょう、そのためにあるんだから。その後は、決算調整資金法の附則の第二条にある国債整理基金からの借り入れということになりますね。これはだれが考えたってこうだわ。 ここで問題があるんだけれども、ここの国債整理基金からの借り入れについては五十七年、五十八年で返さないけませんね。これをもっと分割して延納しようという考え方があるらしいな。そんな気はありますか、法律を改正して。
○渡辺国務大臣 そういう気は、目下ございません。
○正木委員 それが問題だ、目下というのが。私は、これは決算で出てきた欠損について、赤字について、その救済手段を考えるということはしようがないと思いますよ。しようがないと思うけれども、実は私たちはこれは反対したけれども、決算調整資金法というあの法律によって、これがあるから大蔵省、あなたはなかなか補正予算を出さない。 それともう一つは、三月期決算を当年度へ取り込んだ。これは翌年度の収入になっていたやつの三月期決算を取り込んだ。このことが、いまだって八月にならぬとわかりません、わかりませんと言っていたのは実はここに原因があるのです。だから、補正予算は組めませんということになる。 変な話だけれども、この間新聞でちらりと見たんだけれども、大蔵大臣の中で歳入不足をした大蔵大臣は全部総理大臣になっているんだな。田中角榮蔵相は総理になりました。福田赳夫蔵相、歳入不足、そうして大平さん、あなたのところの亡くなったおやじさんも総理になったが、出している、全部。だから、渡辺美智雄大蔵大臣は総理大臣になるジンクスの中にいま、いるわけだ。 しかし、僕はここで問題にしたいのは何かというと、これはそのときの法律もいまとはちょっと違うんですけれども、少なくともこの三人の総理大臣になった赤字を出した大蔵大臣は、全部補正予算で後始末をしているということです。ところが、大蔵大臣、あなたはしてないのです。しなかったのです。それは理由はあるでしょう。理由はあると思うけれども、現に山口主計局長が課長のときか何のときかしらぬが、この法律のときにあなたが答弁に立って、まず補正を出して国会の承認を得ます、それで足らぬ場合は決算調整資金です、なおかつ足りないところは国債整理基金ですということを言明している、あの法律の説明の中で。これがあたりまえの、いわゆる財政民主主義と言われるやり方なんです。やってないのです。しかも、今度は国債整理基金は五十七年、五十八年の二カ年で返さなければならぬという法律になっているのにそれを延ばそうという動きがある。これはもう二重三重に財政民主主義というものをじゅうりんすることになると思うんだが、これだけはやらないでもらいたいと思うのですが、どうですか。苦しければ苦しいでいいからそれをきちんとやるべきです。どうです。
○渡辺国務大臣 私は、現行の法律によってやりたい、そう考えております。
○正木委員 だから、この補正予算の問題を本当は言いたいんだよな。補正予算できなかったというのは、恐らく主計局長以下、主税局長もみんな言うだろうと思う、まあ福田さんおらぬようになってしもうたけれども。きのう阿部さんがおやりになりましたけれども、あれだって本当におかしいよ。予算どおり入ります——あなたなんか、私は専門家だから任せなさいと議事録にあるが、素人がごちゃごちゃ言うな、歳入不足やとかなんとか。それで、予算成立した明くる日かまた明くる日に、足らぬと言い出したものだから、こんな無責任な話はない。まあこれ以上責めませんけれども、あなたは一生懸命やってるんだから。しかし、補正予算を出さなかったことは問題ですよ。 十二月の決算は二月にわかるのです。もうその十二月の決算から五十五年度に比べてずっと落ちてきた。どうしてこんなに落ちてきたか。いま経企庁長官がおっしゃったように、輸出ががたんと落ちてきたからです。ましてや三月にはその次の決算期があるわけだからわかるのです。だから、補正予算を出そうと思ったら出せるのだけれども、なぜ出さなかったか。いや、あるはずや、金は入ってくるはず、法人税は入ってくるはず、足らなんだら決算調整資金と国債整理基金で埋めりゃええわという安易な気持ちになってるから、ここに問題があると言うのです。これが財政民主主義の問題なんです。それをあえてまた今度は延ばすというならば、それはとてもじゃないが賛成はできませんぞと言うのです。 それで、五十七年度。五十七年度は僕の計算によったら、発射台が低くなってるんだから一三・四%の税収の伸びからいったって三兆八千百四十億円足らぬようになりますよ。予算どおりの伸び率を見てですよ。どうします、これは。 僕は一回、覚えでずっと書き出してみたわけです、私の頭の中に出てくる埋め方。これは順序不同ですが、一つは、歳出の減額。ばさんと切る。これは補正でばさんと切ればいいのだから。切れるかどうかは問題だけれども、切るという方法がある。 国債の増発がある。この国債の増発の中で聞いておかなければならぬことは、いま資金運用部が抱えておる国債を一部日銀へ持っていって、あの枠で、余裕の資金で国債を、新しい増発債を買うというやつ。要するに、市場消化が非常に困難だと思うからそういう方法を考えている、国債増発でそんなことを考えてるかどうか。 それから、年度内増税というのがありますな。やれと言っていないぜ、方法としては年度内増税という方法がある。 それから、税外収入の拡充というのがある。電電公社やら専売公社やら、それから中央競馬会とかなんとかから新しく召し上げるわけです。考えられる方法ですよ、これをやれと言うのと違うよ。 それから、特定財源の一般財源化というのがある。これはやかましいわ。たとえば道路財源として目的財源がありますね。要するに、一般会計の赤字を埋めるのに建設国債では埋められない、赤字国債しかないが、五十九年赤字国債ゼロという総理の公約を何とか守りたい。これを言うとすぐ、鈴木さんは五十九年までやるという保証をおまえは与えるのかと言う人があるけれども、そんなことはよろしい。だから、そういう税を、法律を変えて、一時的に、三年なら三年、五十九年なら五十九年まで、六十年以後また戻しますということにして、ぽんと一般会計へ持ってきて、そうして道路の方はそれだけ財源が足りなくなるから建設国債をその後へぶち込んで道路の方はちゃんとやりますというやり方、要するに、建設国債の代替。 それから、補助貨幣回収準備資金、これはこの前わしら、大内さんの知恵ですけれども、大内さんの知恵で減税の財源を出した。 それから、外為会計の取り崩し、これもある。 それから、国有資産の売却というのがある。 最後に、恐ろしいのがあるのや。いわゆる徴税強化というやつです。これはもう税務署を総動員して全部調べさせて、取れるだけ取るというやつですね。 考えられる方策というのはこのほかにあるかもしれません、僕のない知恵の中で考えたのはこれだけなんだけれども。五十七年のことは先のことやと言うが、歳出の減額なんてやるとするならば、これはやらにゃいかぬ。この中でどんなことが頭にありますか。これを考えてないと言ったら、考えてないと言いたいだろうけれども、そのときに考えますと言いたいだろうけれども、そんなことを考えてなきゃ大蔵大臣の資格ありませんよ。総理大臣になれませんよ。
○渡辺国務大臣 五十七年度の予算の補正ということはいまの段階で考えておりませんが、要するに収入の問題についてそういう懸念があるじゃないかという御指摘は、謙虚に私は受けとめていかなければならぬ、そう思います。 もし、そういう場合はどうなんだということですと、やはり人の知恵というのは大体似たり寄ったりである。しかしながら、私の考えつかない知恵もいま御示唆を願いまして、十分に検討させていただきたいと思います。
○正木委員 もう一問だけやらせてください。済みません、ちょっと時間を超過するけれども。 一つ聞きたいのは、政策転換としての、要するに景気対策に政策転換するという場合の補正予算、これは大体やるような、口が裂けてもやるとは言わぬだろうが、これはやるような雰囲気ですな。やらざるを得ぬだろう。 もう一つ約束してほしいことがあるのです、大蔵大臣。ことしはこれだけの大きな税収不足があったのに補正予算を出さなかったのです。一回出した、四千五百二十四億だけ。あれは財政民主主義の立場から言うならば、少なくとも三月にはそのある程度の見通しを立てて、そうして、その税収不足分を何らかの形で補てんするという補正予算を出さなければいかぬと思うのです。これは国会に対してのあなた方の誠意だと思いますよ。国会に対することというのは国民に対することですからね。これは約束できますか。
○渡辺国務大臣 五十六年度のお話でしたね、いまのお話は。五十六年度で要するに四千五百億税収見積もり足らなかったじゃないか、もっとたくさん見積もるべきであったという御指摘に絡めまして、五十七年度においてもそういうような見積もりがはっきりすれば当然に補正を出すべきではないかという御指摘だと承りました。私は、やはりそういうものがはっきりした数字としてつかまえられるという段階になれば、財政民主主義の立場から補正を出すというのが正直な姿である、こう考えております。
○正木委員 以上、まだまだ質問したいことがたくさんありましたが、時間が制限されておりまして、その質問ができません。 やはり何といっても総理にお願いしておきたいことは、政治倫理の確立ということについてはもう最大限の努力をしてしかるべきであると私は思うことと、それから、いま国民も中小企業も大変な不況の中であえいでいるわけでありますから、その点について何らかの政策転換をするべきである。そのことが再びまた税の自然増収を生んでいく原因になっていくというような意味において、政策転換をしていただきたいと私は思うのであります。このことについて一言だけお答えをいただいて、終わりたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 政治倫理の問題につきましては、国会の御意見を私も重く考えております。誠意を持ってこれに取り組んでまいりたい、こう思っております。 景気の動向につきましては慎重な配慮が必要でございまして、内外の経済動向その他を見ながら、財政、金融両面にわたって機動的に効率的な措置が講ぜられるように配慮してまいりたい、こう思っております。
○正木委員 ありがとうございました。
○栗原委員長 これにて正木君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。大内啓伍君。
○大内委員 私は、民社党を代表いたしまして、幾つかの問題について御質問をいたします。 まず、本論の質問に先立ちまして、昨日来問題になっておりますIBMの産業スパイ事件について二、三お伺いをしたいと思うのです。 まず、法務大臣の方にお伺いをいたしますが、日米犯罪引き渡し条約に基づきまして、第五条によって自国民を必ずしも引き渡さないでもよろしい、これはやはり自国民を相手国に引き渡すという問題は非常に重要な問題でございますし、また、現時点においても、この問題がアメリカの司法当局においてどう決断されるか、これは日米の外交関係にも響く非常に重要な問題でございます。 そこで、もちろん具体的な事件の内容が究明されませんと、どう判断すべきかのその裁量の基準がはっきりしないとは思うのでありますが、まず、この際、仮に身柄引き渡し等が行われるような、そういう原則というものがあればお聞かせをいただきたいのであります。
○前田(宏)政府委員 お尋ねを正確に理解しているかどうかと思いますけれども、そういう引き渡しの請求をするかどうかという原則というようなものはないわけでございます。事案によって当該国が請求すべきだと判断した場合には請求してくるということになるわけでございます。
○大内委員 一般論としてはどうですか。
○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、その当該国が捜査をしておりましてそれなりの必要があるということになりますと、その本人が外国におります場合にその外国に請求をする、こういうことになるわけでございます。
○大内委員 今度はおとり捜査という形で逮捕というところまで入ったようでありますが、アメリカの場合と日本の場合と幾らか事情が違う。しかし、アメリカにおきましてもいわゆるエントラップメントの理論というのはたしかございまして、初めから誘導的なやり方でおとり捜査をやった場合には、そういうおとり捜査についても否定されておりますし、しかし、そうでない、途中からそういうおとりが入ったというような場合には、これは有罪になるケースが多いようであります。今度の場合もその実態がよくわからないわけでございますが、こうしたおとり捜査に基づく逮捕といったような問題について、日本側としては何らかの考え方を持っておりましょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのおとり捜査の問題でございますが、ただいま大内委員も仰せになりましたように、いろいろな態様があるわけでございます。したがいまして、一概におとり捜査であるというふうにきめつけるわけにもまいりませんし、また、それが違法であるということも、その内容なりやり方なり、事案によっていろいろと結論は違ってくるだろうと思うわけでございます。 それで、いま御指摘のような、いわゆるわなの理論と申しますか、そういう理論もあるわけでございまして、先ほど申しましたように、いろいろなその内容によって結論は違ってまいりますが、一般的には必ずしも好ましいやり方ではないということが言えると思います。
○大内委員 私は、この問題は非常に根が深い。特に先端技術をめぐる日米の競争、さらには、そこから派生してくる相手国との技術摩擦、さらには、そういう問題が防衛技術の一つの基礎を形成いたしまして、そして、よその国に流れていく、そういうものを何とか防ぎたいといったような問題が背後に含まれているだけに、非常にむずかしいわけでございます。しかし、少なくとも日本の政府といたしましては、日本国民の利益を守る、こういう立場に立って私はこの問題にぜひ対応していただきたいと思っているわけであります。 ところで、刑法の二百五十六条によりますと、日本国民の国外犯として立件し得る余地がございますが、そういう問題については、どういう対応が考えられるのでしょうか。
○前田(宏)政府委員 具体的な対応自体は、先ほどもお答え申し上げましたように、相手国から請求があるかどうかということから始まりまして、その請求がありました場合に、いろいろな問題を検討しなければ結論が出ないわけでございますが、まず国外犯かどうかということだけについて申し上げますと、刑法の総則の規定がございまして、贓物罪の規定は国民の国外犯であるということでございますから、国民の国外犯として処罰し得るということではあるわけでございます。
○大内委員 さきのロッキード事件の場合は、御存じのように、コーチャン氏らに対する嘱託尋問、これは司法共助の範疇に入ってくると思いますが、そういう可能性も考えられますか。
○前田(宏)政府委員 国際的ないわゆる捜査の共助につきましては、ロッキード事件のころには特別の法律がございませんでしたけれども、その後に国際捜査共助法という法律の御制定をいただいておるわけでございまして、それによりまして、制度といたしましては外国からの要請によって捜査の共助ができるという制度になっております。
○大内委員 私はこの問題でそう時間をかける余裕がありませんので、最後に総理、この問題は非常に重要な背景を持っておりますので、やはり外交ルートを通じて、アメリカに対しても、上げたこぶしがおろせないような、そういう拙劣なことをさせないように、そして今後の日米関係の重大な亀裂に発展することのないように、ぜひ御配慮をいただきたいと思うのですが、この問題の処理の仕方についての総理の見解を聞いておきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 この問題は、御指摘がございますように大変波及する分野が広いし、また日米関係いろいろの分野に影響を及ぼす心配のある問題であると私ども重要に受けとめております。真実をあくまでただして、そして国益を踏まえながら、その上で日米間の友好協力関係を損なわないという大局的な立場を十分堅持しながら対処していきたい、こう思っております。
○大内委員 あるいは順序がちょっと逆になりましたけれども、通産大臣、これは先端技術の日米間の技術交流あるいは技術開発交流という問題のルールづくりにとっても非常に重要な問題を秘めているのと、それから最近はアメリカから軍事技術の供与といったような問題もございますので、いまそのプロジェクトチームをつくって検討されておりますが、そういう日米の技術交流のルールづくりという問題が、この問題を契機に、より一層重要になってきたと思いますが、通産大臣、御見解を承りたいと思います。
○安倍国務大臣 この問題については、まだ実態をもう少し見きわめる必要があると思いますが、技術につきましては、各企業等が情報収集をやるのは当然でありますが、これが非合法な形でやられたということならば非常に残念だと思うわけであります。しかし、こうした不幸な例外的な事件によって日米間の技術交流あるいは技術協力が阻害をされるということがあってはならないと思うわけでありまして、日米間ではすでにワーキンググループ等もつくりまして、いよいよ先端技術の問題についての共同作業が発足をする寸前になっておりますから、これはこれなりに影響がない形で何とか推進、発展をしていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
○大内委員 この問題は非常に根の深い深刻な問題でございますので、いつかまたまとめて御質問する機会を得たいと思っております。 きょうの本論は、一つは、やはり政治倫理の問題、あの六月八日の判決を中心にいたしまして、今日までマスコミ等を通じましても、また国民の世論の中でも、この問題に対する非常な関心が高まっていることは御存じのとおりであります。 そこで、まず総理にお伺いをしたいのでございますが、あの六月八日の判決の後にいろいろな動きがございまして、一つは、加藤六月氏が、身の潔白を証明するためにぜひ証人喚問に立ちたいという趣旨のお話がございました。かつて自民党の二階堂幹事長も、その種のことを再三述べられてきたと思うのであります。たしか六月十四日であったと思いますが、二階堂氏が、それぞれ福田元総理、三木元総理を訪ねられまして、この問題についても意見の交換を行っているわけでございますが、そのとき私どもが少し注目をいたしましたのは、三木元総理がこういうふうに二階堂幹事長に言っておられました。君が国会に提出した上申書と判決内容は、食い違いが大き過ぎる。党のため、君自身のためにも、証人として国会に出て疑惑を解く責任がある。これは元総理の発言としても非常に重みのある発言として見聞きしたのでありますが、同様に、同じ日に会見をされました福田元総理も、加藤六月氏の問題に関連いたしまして、本人はいまを逃したら身の潔白を証明する場がないと考えている。したがって、証人喚問を含めて弁明の場を設けるように要望したいということを幹事長に伝えられた。 総理にお伺いしたいのは、この三木元総理が、上申書と判決内容とでは大きな食い違いがあるので、ぜひ国会に出て疑惑を晴らしてほしい、こういうことをおっしゃっているのでございますが、総理も同感でございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 六月八日の判決は、これは橋本、佐藤両氏に対する判決であるわけでありますが、それに関連いたしまして、三十ユニットの配分の問題で、いわゆる灰色高官等に触れておるものでございまして、直接それを犯罪として、あるいはまた事実行為が最終的な段階まで断定的に述べられておるようには私は読んでおりません。 かねて二階堂氏が国会に対して上申書を出しておったことも承知をいたしておりますが、これは二階堂氏が、自分としては身に覚えのないことである、自分は全くその点については天地神明に誓って間違いを犯してはいない、したがって国会において自分の立場をはっきりと説明をし、誤解を晴らしたい、こういう趣旨の上申でありますから、確かに三木さんが御指摘になったように、その間には食い違いがある、こう思っております。私は、そういうことで、加藤六月氏にしても二階堂氏にしても、議院証言法あるいは国会の議員喚問についての条件が満たされれば、堂々と出席をして、そして自分の所信を、信念を述べたい、こういう気持ちには変わりがないもの、こう思っております。 なお、一方におきまして、当予算委員会におきましては、すでに理事会において各党でお話し合いがなされまして、これを議長の諮問機関である議会制度協議会に意見を具申をして、そして、これを早急に実現をする、こういうことで予算委員会の御審議に入っていただいておるということでございまして、自由民主党におきましても、二十五日までに自民党案をこの協議会に提出をして、前向きでそれに対処していく、こういうことでいま進めておる段階でございます。
○大内委員 私は、この二階堂氏の上申書を拝見しながら、やはりここの主張は通させるべき点が幾つかある、こういうふうに思っておるのであります。というのは、この昨年の七月十四日に議長に対してなされました二階堂進氏の上申書を拝見いたしますと、私は全く身に覚えのないことである、ロッキード社の航空機売り込みに関して何人からも政府報告に言うような金銭を受け取った事実はないんだ、したがって、そうした事実を公表する以上は反対立証の機会を十分に保障すべきである、そうして国会は検察当局に抽象的な報告を求めるべきではなくて、全資料を提出させるべきだ。私はこれは当然の要求だと思うのですよ。そうして、同時に二階堂氏は、その後の——その後という意味は、事件が発覚した、そしてロッキード委員会におきまして秘密会においていろいろな公表が行われた、その後の五十一年十一月四日のロッキード特別委員会における弁明で一層はっきり自分の立場を宣明されていると思うのです。 それは、一つは、天地神明に誓ってそういう金銭を受け取ったことはない、二つ目には、したがって丸紅の伊藤宏専務とは一回も会ったことはない、そうしてロッキード社の航空機売り込みに関して尽力されたい旨の依頼を受けたことも全くない。そうして、さらに重要なことは、私に金銭を渡したという者がいるなら私はいつでも対決する用意がある、私が金銭を受け取ったということを公表する以上は、政府は当然資料を公開しなければ片手落ちである、そうして自分は、自分の人権と名誉の回復とここで言っているのはそれだけじゃなくて、広く一般国民の人権と名誉を守るためにも敢然として闘っていきたい。私は、これはそれなりのりっぱな決意であると思うのですね。 しかし問題は、刑事局長といえども政府の一員ですね。そうして政府は、二階堂氏の問題について国会に対して政府としての報告をやっている。政府というのは、最高責任者は総理ですよね。問題は、その政府の出した報告書、そこには天地神明に誓ってそんな金はもらったことはないということとは全く逆のことが書かれている。そうして、いま灰色高官と言われる方々は裁判にかかっているわけじゃありませんから、身の潔白を証明しようがない。したがって、この判決を契機に、加藤六月氏の場合も何とかして国会において証人喚問で呼んでほしい、でなければ私自身が身の潔白を証明できないじゃないか、私は二階堂幹事長でも同じだと思うのですね。 これを調べてみますと、たとえば昭和五十一年十月十五日法務省の中間報告、これは政府報告ですね。二階堂氏のこの上申書で言う政府報告、ここでは金銭授受があったと認定されているのですね。そして、当時のこの問題の責任者である稻葉法務大臣は、検察当局の捜査処理に全幅の信頼を置いている、私は内容についてはこれは信頼している、政府はそう言っている。そうして、二階堂幹事長がこれを否定している。これはどこかで明らかにしなければ本人にとっても気の毒ですよ。それから、政府報告が一体どれだけの根拠を持ってそういうことを認定したのかということについても、やはりはっきりさせなければいけません。 これは法務大臣にお伺いいたしますが、稻葉法務大臣と同じ評価をされていますか。
○坂田国務大臣 検察当局を私は信頼いたしております。
○大内委員 いまの法務大臣の御答弁でおわかりのように、五十一年十月十五日、二階堂氏に対して金銭授受が行われたというこの検察当局の報告に対して、つまり政府報告に対して、現在の法務大臣もそう信頼している。 金銭の授受の認定は、それじゃ何を根拠とされたのですか。
○前田(宏)政府委員 ただいまの御質問の中で、いわゆるロッキード特別委員会の秘密会での報告というお話がございました。それと五十一年十月十五日の中間報告、この二つのことの御指摘があったわけでございますが、前のいわゆる秘密会につきましては、従来からも申し上げているところでございますけれども、私どもの立場といたしましては、秘密が保持されるという前提で、国会の御判断の資料を提供するという趣旨で御説明を申し上げた、こういうふうに理解をしているわけでございますので、その状態は現在でも変わっていないわけでございます。 一方、五十一年十月十五日の中間報告のことでございますが、具体的な人の氏名はその報告には掲げられていないということを念のために申し上げておきたいわけでございます。 そこで、その中間報告につきまして申すわけでございますが、その当時捜査当局がいろいろ捜査の過程で得られました証拠によってそういう事実が認められるということで御報告をしたわけでございます。 その資料といたしましては、当然のことながら、事件の関係者の供述調書あるいはいわゆる嘱託尋問調書等がその資料になっているわけでございますが、その資料は、その後、今回の六月八日の判決がなされましたその事件の公判におきまして当時の資料が多く公判に提出され、また、その当時の資料と同趣旨の証言が行われたというような経過をたどっているわけでございまして、判決自体の内容、つまりどこまで認定されているかというような問題につきましてはいろいろと御議論もございますけれども、少なくとも今回の判決が、いま申しましたような当時の資料あるいはそれと同趣旨の証言等を根拠といたしましてああいう判決をしたということでございまして、そのことは、いわば当時の中間報告というものがそれなりの資料によってなされたものということが言えるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○大内委員 いま前田局長述べられましたように、この五十一年十月十五日の中間報告、つまり政府報告で具体的な名前は示しておりませんね。しかし、こう言っていますよね。「ロッキード社から流入した金員そのものの授受はあるが、証拠上職務に関する対価であることが認定できないため収賄罪の成立は認められないが、右金員授受の趣旨がロッキード社の航空機売り込みと関連があると認められるもの 二名」、そしてあと、これはいま前田局長自身でありますが、ことしの二月十六日、参議院の予算委員会で灰色高官と言われる方々に対する金銭の授受という問題について、具体的に名前と額を国会で述べられた。 つまり、そういうものを総合いたしまして、この中間報告が、たとえば二階堂氏に対しても金銭授受が行われた、こう言われていることはもう周知のとおりなんですが、私が聞きましたのは、何の証拠でそういうことを認定されたのですか、こう聞いているわけで、物的証拠はあったのですか。
○前田(宏)政府委員 物的証拠と申しますと、例は悪いかもしれませんけれども、殺人罪の場合の凶器というようなことになるわけでございますが、そういうような意味での物的証拠というものはないというふうに御理解いただいていいと思います。 ただ、この事案につきましては、当事者のみならずいろいろとその関係者があるわけでございまして、そういう直接の当事者のみならず、それのまた間接的な関係者というようなことがございますので、そういう人たちの供述、証言というものが中間報告での事実の裏づけということになって いるわけでございます。
○大内委員 これで少し明らかになりました。十月十五日の中間報告での金銭授受というものを認定した一つの根拠は、要するに検事調書ですな。それからもう一つは米国の嘱託尋問、証人尋問、 この調書でしょう。そうなんでしょう。
○前田(宏)政府委員 証拠と申しますか、資料としての直接性あるいは間接性の問題はございますけれども、それぞれの関係におきまして、いまのような調書等が資料になっているわけでございます。
○大内委員 そうしますと、これら灰色高官の中で、特に二階堂氏の場合は、内外のそういう検事調書とアメリカの嘱託証人尋問で、物的証拠はないのだ、こういう意味で理解していいですね。
○前田(宏)政府委員 先ほども申したところでございますが、どこまでを証拠と見るかということもあるわけでございます。直接的なものもございますし、間接なものもございますし、さらに間接間接というようなこともあるわけでございまして、そういうことになりますと、物的というものが、先ほど申しましたように、凶器のようなものであるということにおいてはないわけでございますが、書類的な意味の物的といいますか、そういうものは非常に間接的な面におきましては一部あるわけでございますけれども、それは非常に間接的なことでございまして、いわばお尋ねの直接に近いものといたしましては、当時の検察官の調書というふうに御理解いただいた方がいいと思います。
○大内委員 そういう立場に立って、総理、政府の責任において実は中間報告がなされ、しかも、いま坂田法務大臣は、この検察当局の金銭授受があったという認定を含んだ報告というものを信頼している。そうすると、総理もそういう立場に立つのですか。これは中間報告というのは政府の報告です。そうすると、総理もそういうことをお認めになるわけですか。
○鈴木内閣総理大臣 中間報告につきましては、担当の責任大臣から御答弁があったことを私も認めるものでございます。 ここで問題は、六月八日の橋本、佐藤両氏に対する判決に関連して二階堂氏にも触れておるわけでございますが、そのことと二階堂氏のかねて議長に提出をしております上申書との間には大きな開きがございます。これは大内さん御指摘のとおりでございまして、これを明らかにするということが必要である、本人もいまだにその心境には変わりはない、こう思っております。 また、自由民主党の総裁の立場で申し上げますが、自由民主党におきましても、先般の当予算委員会の各党の話し合いに基づきまして、これを二十五日までに議長の諮問機関である議会制度協議会に提出をして審議を促進をし、そして、この国会中にそういう証言の機会をつくる、こういう方向で努力をいたしておるところでございます。
○大内委員 私は、先ほど述べましたように、先ほど来の議論でおわかりのとおり、検察当局の一方的な判断に基づく報告を許すべきではない、こういう主張が二階堂氏にあるのですね。そして、その金銭授受の問題についての認定も、大体検事調書、これが主たるものである。物的証拠がない。そうすると、これは二階堂氏なりにやはり言い分を通す余地を認めなければ、この問題というのはなかなか真相がわからない。他方においては、政府の責任において政府報告と称する中間報告が国会の要請に応じて出てくる。これは私は政治家個人の名誉のためにも、また鈴木内閣にとっても、そういうものをうやむやにすべきではない。ですから、私どもは、予算委員会の理事という立場からもこの問題を鋭意努力して議論いたしました。そして、できるだけ今国会中にそうした真相を明らかにするための証人喚問を実現すべきではないか。 そして、その前段階として証言法の改正という問題が起こっているのですけれども、必ずしも証言法改正という問題が実現しなくてもそういうことをやった例がありますよね。あの問題が起こってからも証人喚問をやりましたし、私自身もやりました。この場でやることなんですから、私は、各党の良識とそれに基づく合意によって、必ずしも証言法というものが改正できなくてもそういう問題はできる余地は十分ある。お互いの各党の話し合いによって、人権を侵害するようなこういうやり方はやめようじゃないか、法律ができなくてもそういうものはできるし、法律を殺すことは許されない。ですから、もちろん各党の合意によりまして証言法が改正されて、そして証人喚問が実現されていくということは好ましいことでありますが、必ずしもそれだけにとらわれる必要はない。まして、いま判決が、第一審と言え、直接関係ではございませんが、橋本、佐藤両氏に対してなされた。そして、この問題について世論が喚起され、重大な関心を持ってこの問題の行方を見ている。もし、この国会が九十四日間も延長されて、その間に、この問題についての究明というものはこの論議だけでは御存じのとおりできないわけです。その証人喚問すらもできないという状態になれば、私はやはり政治が国民に対して果たす責任を負うことにはならぬ。鈴木総理も恐らくそのお考えだと思うのですよ。その意味で、私は今国会中にぜひ証人喚問というものを実現する、これがやはり鈴木内閣の使命だと思う。 いま、外にあっては貿易摩擦あるいは防衛努力の要請、私は、ある意味での第三の開国の時代に直面しているのではないかと思うのです。あの明治維新、そして戦後の民主化、そしてひたひたと、そうはでではないが、日本に対して経済的な面で市場開放を求められる。そして、世界第二のGNP大国としての安全保障についての責任を求められている。今度の技術供与、技術交流という問題もそういう側面を含んでいると思いまして、春の予算委員会で議論をしたわけですね。そして、内にあっては財政再建とか行革とか、まさに中曽根行管庁長官が言うように平和革命だ、それに匹敵するようなそういう大問題が出ているときに、一番重要なことは国民が政治に信をおくということですよ。その問題がうやむやになっていれば、国民の協力を得ていまのような国民的な課題を克服していくことはできない。どんなに鈴木総理ががんばったってできるものではない。日本の政治の最大の欠陥というのは、残念ながら、国民の政治に対する信頼感というものが必ずしも十分でない。いつでも国民と政治、政府との間に信頼感が欠如しているというところが大きな問題であるとすれば、この問題はもちろん個人的な問題ではない。また、私自身の心境としましては、お互いにこのことを謙虚に反省し合い、本当に襟を正して政治家の役割り、任務を果たさなければならぬ、その一助にしたいと思って、私、この問題を議論しているのです。 そういう意味で、今国会における証人喚問、たとえば一般職の公務員というのは犯罪を犯さなくたって懲戒処分を受けるのですよ。ここにいろんな資料を持っておりますけれども、たとえば国家公務員法第八十二条、そこの三号にはこう書いてありますよ。「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」懲戒を受けるのですよ。政治家の責任というのはもっと重いです。したがって、この証人喚問というのは、そう私は党利党略で判断していただきたくない。 総理の決意をお聞きしたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま、政治倫理の問題につきまして、いま日本が置かれておる内外の重大な時期に当たって、外に日本の信用を高め、また国内で困難な諸問題を処理していくというためには、政治に対する国民の信頼がその基礎である、そういう観点からこの問題について真剣に取り組まなければならないという御指摘については全く同感でございます。そして、そういう趣旨からいたしまして、先般の当予算委員会の理事会において各党間でお話し合いがなされた、これは各党間の信義の問題でございます。ここでお話し合いなされて、そして、それに基づいて予算委員会が円満にこうして進行しておるわけでございますから、自由民主党におきましても、それを踏まえて、この議会制度協議会等に対して二十五日に党案というものを提出をして誠意を持って努力する、今国会中に証人喚問ができるようにしたいということで前向きに努力しておるということを御了承いただきたいと思います。
○大内委員 私は、あえて総理の決意をお聞きしたいと申し上げましたのは、手続的にはいま総理のおっしゃるとおりだと思うのです。各党において話し合いをやっておりますから、これを十分見きわめてこの問題を処理したい、対応したい、これは手続的にそのとおりだと思うのですね。私がやはり総理に問いたい、あるいは問わなきゃならぬのは、こういう問題は政治と人心をどう直結さしていくかという重大な問題であって、そういう国会の動きについてもちろん総理は十分配慮しなければならぬが、総理のお気持ちとしていま申されたのと非常に開きがありますよ。二階堂氏や加藤六月氏、私は先ほどちらっと見ましたら、加藤六月氏の証人喚問を与党の幹部に対して要求するという動きが散見されました。そのくらい熱心にみずからの潔白を主張したい、片方では君は灰色だ、片方はそうでない、この問題に決着をつけるのは証人喚問以外ないです、いまのところ。ほかに適当な機会はないです。ですから、そういう国会の動きは動きとして、総理としてはこれらの人人の自発的な意思というものを十分尊重されて、証人喚問にぜひ立たせるように今国会中に配慮したい、そういう決意は表明されないものでしょうか、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、そういう趣旨のことを申し上げておるつもりでございます。 私は、各党間の話し合いによりまして議長のもとに制度協議会でこの問題を取り上げて、そして、この国会で証人喚問等ができるようにということでせっかく努力をいたしておるわけでございますから、自由民主党総裁としてもそういう方向で全力を尽くしておるところでございます。
○大内委員 総理としてこの予算理事会における一つの結論というものを重く受けとめられまして、ぜひ今国会中に証人喚問がなされるよう、自民党総裁としてもそのリーダーシップを発揮していただきたいと思うのです。 もう一つの今度の判決の直接的な課題として、佐藤孝行氏の辞職勧告問題がありました。 私どもは、一人のりっぱな人間に対して腹はどうやって切るんだということまで指図するのは失礼であろうということから、みずからの出処進退については判決後明らかにしてほしい、こういう要望を出しておったわけなんであります。ところが、その後、佐藤孝行氏が新聞のインタビューあるいはテレビのインタビューを通じて、私は議員をやめる意思はない、つまり本人としての意思が非常に明確になったわけです。 そのよしあしはいろいろ判断がございましょう。しかし、そういうことになると、一体、政治家が政治的・道義的な責任を全うするということはどういうことなんだろう。有罪判決があった、そして国民の皆さんも本当に嫌な思いをした、そして、その政治家は一体どういう政治的、道義的なけじめをつけるんであろうかと見守っていた。総理はよく選挙の洗礼を受けるというお話をされるんですが、これも一つ私は重要なことだと思うのです。しかし、その選挙というのは、私はお金というのは一切もらったことはない、もちろん賄賂性のお金なんてもらったことはないということを通じて選挙民の審判を受けているわけなんです。しかし、いま判決においてそのことが、第一審にせよ、はっきりされたという段階においての政治家の出処進退というのは、また違うと思うのですね。しかし、残念ながら佐藤議員は議員をやめる意思は全くない。いままでと全く変わりはないのです。 総理としては、この場合の政治的、道義的責任のけじめのつけ方、これはどうあるべきだ、本人の意思が明らかになった後においても、それは本人が決するべきことだというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 大内さんのいまお述べになったことと私は大方考え方を同じゅういたしております。
○大内委員 切腹をして、次は介錯——解釈がいまのはなかなかむずかしいですね。しかし、非常に含蓄あるお言葉として受けとめさしていただきましょう。 この問題は、過去に起こった事件の究明だけではもちろん済まされないですね。そこで、恐らく総理も、総理に就任された早々、あの五十五年の七月十八日の記者会見で、倫理委員会の設置という問題を提起されました。しかし、その後、航特委の廃止等々の問題が起こりまして、それが果たして変わり得るかどうかと思っておりましたが、自民党の大勢は消極的でした、私どもも予算委員会その他で折衝に当たった範囲において申し上げますと。総理としては、この倫理委員会の設置については、なお情熱を持ってこういうものが必要だ、こういうふうにお考えでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私、党総裁に就任をいたしました際に申し上げたところでございまして、いまでもその考えに変わりはございません。また、幸いにいたしまして、衆議院議長みずからもいろいろ御配慮をいただきまして、そういう方向で御検討を院の方で進めていただいておるということでございまして、ぜひ私が総裁就任当時提起いたしましたこの問題が実現いたしますことを期待をいたしておるところでございます。
○大内委員 この問題はさらに次の機会に質問させていただきたいと思いまして、時間が詰まってまいりましたので、次の問題に移らせていただきます。 言うまでもなく、財政問題、非常に重要な段階に入ってきております。資料を配ってください。委員長のお許しをいただいております。 いまお手元に、私どもが作成をいたしました「昭和五十八年度財政事情の試算」というものを差し上げてありますが、後で説明をしながらごらんをいただきたいと思うのです。 歳入欠陥の予想でございますが、これは、私どもの資料の一番最後のページをちょっとごらんいただきますと出ております。私どもは、この数字のはじき方はわりあいに常識的な数字のはじき方であろうというふうに思っておりますが、この一番最後のページで明らかにいたしましたように、もちろん幾つかの前提がございます。たとえば、昭和五十六年度の税収総額の当初見込み額の比は大体一〇%ぐらい不足するであろう、あるいは税収の過去の平均的な伸び率というものを前提として、今後の、五十八年度の税収の総額等々をはじくというような幾つかの前提がございますが、私どもの計算では、五十六年度が大体三兆二千三百億ぐらい。これはもちろん生き物でございますから、幾らか変化があると思います。そしてさらに、五十七年度は四兆と少し。五十八年度になりますと、四兆五千億を超えるような歳入欠陥というものが予想される。恐らくこの数字は当たらずとも遠からずで、ほぼそういう状況に入っていくと思うのでありますが、大蔵大臣、この歳入欠陥予想についてはどういう予想をされていますか。
○渡辺国務大臣 一年分もなかなかわからなくておしかりを受けておるところでございまして、二年、三年先までは私はなかなかわかりませんが、一つの前提のもとでこういうような見方もあるということは承知いたしております。
○大内委員 私は、この歳入欠陥というのは財政再建の根幹を揺るがす重大な事態だ、こういうふうに見ているわけなんです。だからこそ、実は春の予算委員会におきましても、皆さんが歳入欠陥予想というものを出しまして、そして、そういうものが出たら財政再建計画もだめになってしまう、そのときはきちっと責任をとらなければだめだぞ、こういう議論がなされたわけであります。 きょうもおられますけれども、社会党の藤田委員はその辺を非常に厳しく詰められました。そして、ここでは渡辺大蔵大臣、こう言っていますね。「結論が出てから、私がしかるべき責任をとります。」もちろん、その前に、福田主税局長は、この責任は自分にあるということをおっしゃっているわけですね。何回も何回も、きのうも論議がありましたので、繰り返しませんけれども、それで鈴木総理は、「財政再建は必ずやります。」これはきのうは、鈴木総理は先制攻撃をかけて、自分で速記録をお読みになったですね。「それに対しては、私は政治責任を、やれない場合はとります。」こうおっしゃったのです。こういう積極的な姿勢はいいですね。問題はとり方です。言いっ放しじゃだめですね。言うときはものすごく威勢がいいけれども、結果が出て、いざ責任をとることになるとなかなか言ったようにならない。大蔵大臣としては、これは結論がもう出そうですね。出たに等しいわけです。三兆円になるか、三兆二千億になるか三千億になるかは別にして、まあ大体そんな近辺でしょう。「結論が出てから、私がしかるべき責任をとります。」どういう責任をとられるのですか。どういう責任のとり方があるんですか。
○渡辺国務大臣 やりとりの中で、これはできるのか、できないのかという論争がありました。御承知のとおり、歳入は見通しでございますから、見積もりであります。これは経済情勢というものを一年半前に見越して組むわけであって、大蔵省としては、その方の専門家が何十人も集まって、いろいろなデータを基礎にしてやってきたわけであります。そこで、国会の答弁においては、福田主税局長が、私が見積もった最高責任者である、したがって、そういうときには私が責任をとりますという答弁があって、大蔵大臣はどうなんだとおっしゃいますから、部下の責任は上司がとるのはあたりまえのことでございますから、私はしかるべき責任をとりますということを申し上げたわけであります。 したがって、歳入の問題全部手続が終われば、それはしかるべき責任をとることは当然だと私は思っておるわけであります。どういうふうにしかるかは、そのときのしかり方によって決まることでございます。
○大内委員 法律によりますと、七月十五日で大体出ますね。まさかそういうことをおっしゃっているんじゃないでしょう、きっと。つまり、大体の結論は出ていますよね。出ていないと言えば、これは形式論です。ですから、私が問うているのは、私はいろいろな責任のとり方があると思うのですよ。というのは、これは渡辺大蔵大臣のいいところかもしれないのですけれども、その後相当大胆にいろいろなことをおっしゃる。例のヘチマ論というものですね。ヘチマコロンではないですよ。ヘチマ論というものですね。これは五月の二十五日にやりましたね。相当威勢がいいですね。経済は生き物だから、見通しが狂ったからといって、食言だヘチマだと言われても困る、こうやっていまして、ヘチマ論です。これは二月三日の発言とは相当違うのですね。これは結論が出たらしかるべき責任をとります。五月になったら、そんなものは、そんな食言もヘチマもあるか。これはきのうも言葉遣いが少し、これは渡辺大蔵大臣のいいところかもしらぬですよ。ですから、やった方がいいかもしれないのですけれども、しかし、これは幾らか差しさわりがありますよね。 私があえて責任のとり方はどうするのですかと聞いているのは、その後の発言はどうも一貫性がないので、歳入欠陥が出た、こういう理由なんだ、それはこういう面で不可抗力であった、したがって、これからはこういう点を注意して大蔵大臣としてはやっていこうというのも、私は一つの責任のとり方かもしらぬですよ。あるいは、結果が出てしまったから、この際、私は大蔵大臣としての責任をとりたいというのも、一つの責任なんですね。ですから、その時期になったら責任をとります。これは後で藤田さんの方で詰めるべき問題ではありましょう。ですから、私が余り詰め切ってはいかぬということは重々承知しておりますけれども、しかし責任のとり方ぐらいは私も問う権利はある、こう思っているのですが、いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 それは当然だと存じます。
○大内委員 どういう責任のとり方があるのですかな、ちょっと教えてください。
○渡辺国務大臣 それは皆さんからお聞きしたいと思っております。(「おかしいよ、あなたがどうするか聞いているのだ」と呼ぶ者あり)私は、独断、独善的にやろうという考えは持っておりません。やはり皆さんの意見を聞いて、どういうふうな責任をとったらいいか、それは慎重に真剣に考えてまいりたいということを申しておるわけでございます。
○大内委員 渡辺大蔵大臣の、なぜ歳入欠陥がこんなにたくさん起こったか、こういう理由の中に、物価が予想以上に鎮静化してしまった、もちろん国際経済、世界経済全体の不況という問題もありますけれども、何かこう物価に余りにも責任を転嫁されているように思うのですけれども、なぜこんな歳入欠陥が起こったと思っているのですか。
○渡辺国務大臣 これはいろいろ私は原因があると思いますが、一口で言えば、それは経済の見通しというものについて甘かったと言えばそれは甘かった。しかしながら、世界じゅう間違ったのも事実でございます。IMFでもOECDでもいろんな各国の見通しをみんなやって、去年の後半から世界の景気はよくなるという見通しを立てたわけですから、そういう違いがあったことは事実でございます。 日本は世界の中においては、経済的に一番いいということはこれも事実でございまして、各国から非常に羨望されておるということも事実なんです。やはり景気の停滞とか輸出の鈍化とか、あるいは賃金上昇率が少なかったとか、いろいろありますが、その中で日本が一番よかったことは、実は私は消費節約だと思っているのです。 要するに、たとえば石油の消費節約というものがここ二年間で約二〇%、大幅な節約が行われた。このことがある意味では、石油があれほど値上げをされたけれどもだぶついて、むしろ値下げをしなければならぬというような状態にまでなってきた。ところが、これが石油だけにとどまらず、要するに物はもったいない、いわゆる省資源、省エネルギー運動、これは企業間においては徹底的に行われたことは事実でございます。これは各家庭にも響いた。消費は、可処分所得が少ないという面と両方まって非常に少なかったことも事実。その反面、個人の金融資産が普通どおりにふえたことも事実でございます。こういうようなものが景気全体に影響があったということも事実だ。 そこで、端的にそれがあらわれるのが、わかりやすく言えば物価なんですね。過去のやつを見ましても、四十八年のときにも二%の卸売と思ったらば二二に上がっちゃったとか、二〇%もよけいに税収がふえたとか、逆に五十年には、七・九のインフレが続くと思ったところがWPIで一・九に下がっちゃった、ところが二〇%も税収の見積もりに違いが、これはマイナスで出てきたというようなことを考えて、非常に敏感に影響が出ておるという過去の数字を見まして、どうしても名目的なもの、税収というものは名目課税でございますから実質に課税するわけではございません、名目所得がふえれば、インフレ率を差っ引いて課税なんということでなくて名目にやっぱり課税するというようなことで、わかりやすく言えば物価の急激な鎮静というものは賃上げにも影響が出てまいります。したがって、そういうもののために賃金も比較的上がらなかった、思ったより、当初よりもだんだん後の決定ほど下がったということも事実でございます。 そういうような物価の急速な鎮静、つまり名目所得、名目の物価、そういうものの鎮静が物品税、印紙税あるいは在庫、そういうようなものにみんな影響して大きな見積もり違いの原因の一つであるということは間違いない、そう考えて私はわかりやすくシンボリックに表現をしたわけであります。
○大内委員 大蔵大臣は、そのときどきによって幾らか矛盾したことをおっしゃるのですね。というのは、昨年の一月二十六日の財政演説ではあなたはこう言っているのですよね。わが国のこれからの景気につきましては、「今後、物価の安定とともに個人消費の回復が期待され、次第に明るさが増してくるものと考えます。」これから物価が安定して下がってくればくるほど、消費の回復が期待されて景気は次第に明るくなってくるのだ、こう言っているのですよ。 そして、物価が下がると名目成長率が下がる、したがって税収が減る、ですから今度もそういうことになる、それは過去のデータでもたくさんあると言いますけれども、逆のケースも御存じのとおりたくさんあるのですよ。たとえば昭和五十二年だって昭和五十三年だって五十四年だって、政府の見積もりよりか少なくなっているのですよ。そして、税収は上がっているところもあるのですよ。たとえば五十四年の場合は、税収は一一〇・四%と上がっているのです。ですから、物価だけに責任を負わせようというこの論法は責任転嫁だし、もし、そういうことになると、物価の見通しの計算を間違った経済企画庁の責任になりますよ、長官。あるいは経済成長率の見積もりを誤った経済企画庁長官の責任になりますよと言わんばかりの論法がいつでも大蔵大臣から行われてきている。 そして、税収なんというのは上げ下げがたくさんあるのだ。おっしゃるとおりですよ。しかし、それはきわめて形式的な分析ですよ。たとえば税収減が起こったのは、昭和四十年です、昭和四十六年です、昭和五十年です、昭和五十二年です、この四回しかない。そして、三兆円を超える税収の欠陥が出たのは昭和五十年です。それ以外にありません。昭和五十年というのは、皆さん御存じのとおり、昭和四十八年十月六日にあの第四次中東戦争が勃発して、かつて経験のないような石油ショックに日本も世界も直面したのです。その翌年の昭和四十九年にはマイナス成長。したがって、五十年の財政は枯渇する。したがって、五十年は公債発行をやらなければならぬ。異常事態ですよ。そこで初めて三兆五千八百億余の税収の欠陥が出たのです。いまと全然条件が違うのです。 しかも、重要なことは、その昭和五十年には補正予算を政府は十月九日に国会に提出しているのです。ことしの一月二十五日とは違うのです。十月九日に補正予算を提出しているのです。そしてこれは、十一月の七日に成立しているのです。そして、三兆五千八百億あった税収欠陥は補正後は黒字に転化している。いままでこの四回、いま私が挙げました歳入欠陥があった四十年、四十六年、五十年、五十二年、これは全部補正をやっております。全部補正後は黒字です。今度のは違うのです。一月二十五日に補正予算を出して、そして四千五百二十四億の補正をやって、そして、その後に二兆八千億もの税収欠陥が出る。これは幾ら何だって見込み違いもいいところです。それを物価の責任にしちゃう。あるいは国際経済の責任にしてしまう。私は、これは責任転嫁だと思うのですよ。 それで、たとえば、そんなこと言ったって税収の見積もりなんというのは国際的に違うのだ、国際的に見たってこれは大変なんだ、どこの国でもそういう増減があるのだ——だって大蔵省は、イギリスや西ドイツやフランスへ行って調べてきたのでしょう。そして、いわく、欧米の方が非常に正確に税収見積もりを出して、非常に勉強になりましたと言っていますよ、調査に行った方は。そして、アメリカやカナダについては文書で調査したのでしょう。過去十年間、つまり日本と同じ時期にどのぐらいの税収見積もりの欠陥があったか、誤差があったか。大蔵大臣は、だれも知らないと思って、国際的に見たって各国だって同じなんだ、そんなことはありませんよ。各国で税収の見積もりが違った例というのは、七%以上はないです。日本の場合は二〇%前後ですからな。今回は一〇%、あるいは一〇%強、こういう例は諸外国にないですよ、主要国家には。 そういう問題を見てみますと、私は大蔵大臣も腹の中ではよく御存じだと思うのですよね。あんまりよそに責任転嫁しちゃいけませんよ。物を公正に見る。物価が下がった、したがって名目GNPが下がった、したがって税収は、それは結果論です。なぜそういうことが起こったかということが問題なんですよ。私は、その辺は大蔵大臣におかれても謙虚に反省をしていただきたいと思うのです。私の言っていることはそうむちゃなことじゃないと思うのですが、いかがでしょう。
○渡辺国務大臣 私は、決して責任転嫁をしておるわけでも何でもございません。一年半前の見通しについて、非常に経済情勢の変化があった。現実には、この予算委員会等におきましても、五十六年度予算を上程したときには、有力な方々から、見積もりが足らない。速記録を見れば明らかでございますが、見積もりが足らないと言う。党内でもそういう議論がいっぱい行われました。その当時は、みんなそういうふうな人が多かったのですね。 ところが、いま言われるように、それならば、急激に世界の情勢が変化したのならば、それに対応して、補正予算のときに四千五百億なんという見積もりでなくて、もっと二兆円も二兆五千億も、わかったのなら見積もり減を立てて、そこで赤字国債を出して直しておけばよかったじゃないかという御主張だと私は思うのですね。それは私は、一つの見識ある見方だと思います。私といたしましてもずいぶん検討いたしました。 そこで問題は、しかしながら、いままでの情勢を見ると、細かいことは事務当局から説明してもらいますが、必ずしもそんなに落ち込むと考えられない。ただ、はっきりしていることは、毎月の月報ですね。たとえば物品税とか印紙税とか源泉税、毎月二月おくれぐらいで月報が上がってくる。この部分はわかる。だから、確実に減ると思われる部分については約四千五百億円である。だから、それはひとつ直しましょうということになって、それは幾ら二兆円減額といっても実態に合わなければ困るわけですから、それは直したわけです。 ところが、そのうちに国会が始まってきて、ちょうど十二月、一月ぐらいの税収は一二%増とか一〇%増とかと意外とよかったのです。それが二月、三月に……(「ごまかしちゃだめだ」と呼ぶ者あり)いやいや、それはもうずっと統計を見てもらえばすぐわかりますから。そこで、国会でそういう答弁をしてきたわけです。ところが、三月の末になって二月のやつが、急激に二月から落ち込んでいるということがわかってきて、三月の末にはその懸念を国会でも、参議院の予算委員会、衆議院の大蔵委員会等では私は申しております。数%の話も、そのとき実は非常に懸念をしているのですと、しかし、はっきりした数字はわからない。 特にわからなくなったのは法人税なんです。法人税というのは、昭和五十三年までは、要するに三月までの見通しを立てるということであったが、それが変更になって、先取り先取りをやったものですから五月いっぱい……(「だれがやった」と呼ぶ者あり)それはわれわれの責任ですよ。(「制度改正するからだめなんだ」と呼ぶ者あり)ですから、そういう制度改正があって、わかりづらくなったことが一つ。それから、年二回の決算が商法改正で大部分のところが年一回、三月、九月という決算が三月決算というようなことになって、四月の段階で、その年のはっきりした申告が十一月ごろまでに出てきて、予算編成のぎりぎりまでにはかなり参考になることが実際つかめなかった、そういう実態もございます。 しかし、それは言いわけみたいな話になりますから私はやめますけれども、いずれにしても、要するにそういう見積もりの違いがあったということはまことに残念なことで、それは私は率直に違いがあったことを認めておるわけでございます。
○大内委員 言いわけして、もう言いわけはしないと言うのですからそれは了といたしますけれども、大蔵大臣、たとえば五十六年度の税収動向というのは大蔵省はずっと把握していたわけですよ。もちろん経済企画庁も、したがって間接的に知っていたわけですね。五十六年度の租税収入の動向をみんな月例報告で知っていたでしょう。 たとえば昭和五十六年度の四月から八月までの累計は九・一%です。そして、九月九・七%、十月に至ってやっと一〇%、十一月九・八%、十二月一〇・三%、一月一〇・五一%、いまおっしゃった二月は累計で一〇%ですよ。二月になってからがたんといったのだと言うが、累計でずっと租税収入の動向は出ていたじゃありませんか。一貫して租税収入は、九%と一〇%のところを行ったり来たりしていたのです。したがって、その段階で当然二兆円以上の歳入欠陥というのは見積もられたのですよ。昭和五十年のときには、十月の段階で見通しているのですよ。 経済成長だって、五・三%だ、四・七%だ、四・一%だ。三月になっても大丈夫かと言ったって、四・一%、大丈夫だ、そして末になったら二・七%でございます。そして、大蔵大臣に聞くと、いや物価の見通しが予想以上に鎮静化した、成長率の見積もりが余りにも高くなり過ぎていた、私はそれは事実だと思いますがね。そうすると、これは経済企画庁長官の責任だな。 経済企画庁長官は、こんなに物価の見通しを誤り経済成長率の見通しを誤って、税収がこのように欠陥が出るという状況を招来した、その責任をどうお感じですか。
○河本国務大臣 五十六年度の経済の特徴を簡潔に申し上げますと、私は、大体三つあったと思うのです。要するに、一つは、世界不況がなかなか回復しない、貿易に大きな影響が出てきた、それから可処分所得の問題、ずっとマイナスであった、それから中小企業の設備投資が非常に減ったということ、こういうことが背景にあったとも思いますが、いずれにいたしましても、年度間を通じては三%弱の成長にしかならなかった、この辺、大変遺憾に思っております。
○大内委員 経済企画庁長官が負うべき責任か、あるいは大蔵大臣が負うべき責任か、これはむずかしい問題があるのですね。 しかし、河本経企庁長官は、昨年五月六日、参議院におかれまして景気底離れ宣言、これは公にそういうふうに評価される、そういう宣言をやったのですね。そのときに経済企画庁長官はこう言っているのです。「景気は、昨年の夏ごろから相当悪い状態が続いておりましたが、おおむね現在が底ではなかろうか、ようやくいまは底からいい方向に向かいつつある。」これが景気底離れ宣言として当時大々的に報道されたのです。以後一貫して景気回復論が政府の首脳から打たれていくのです。そして、他方においてデータは、税収不足がさっき申し上げたとおり大体九%から一〇%。一三・四%なんという政府の見通しは全然狂っていた。そして、そういう状況の中にあって野党も心配し、歳入欠陥という問題をついていった。そして、一月二十五日に補正予算が出た。その段階でもまだ名目七%、実質四・一%は大丈夫です、一貫して強気強気の発表をしておったわけなんですよね。 そして、その結果が、いま私が初めに指摘したような歳入欠陥が出てきた。しかもそれは、財政再建の根幹を揺るがす非常に膨大な欠陥が出てきた。しかもそれは、五十六年度だけじゃなくて五十七、五十八と続くがゆえに、鈴木総理の言う五十九年の段階において財政再建の一つの問題である赤字国債ゼロを達成したい、この目標すらもがたがたにするような状態が出てきているんですよ。 税収見積もりの手法というのは一体どうやっているんですか。いままでは税収見積もりというのは、経済の成長率と大蔵省の独自の各税日ごとの調査の両方に基づいて大体やられていると聞いております。そして、主として、どちらかと言えば後者を参考にしている、こういうふうに聞いておる。だからこそ、二月三日の段階で福田主税局長は、その見積もりの責任は私にあるんだ、こう言い切ったんですね。この歳入欠陥の見積もり、この政治責任というのは、もちろん後でもいろいろな方から詰められると思うのでありますが、一体だれが責任を負うのか、ちっともわからないようなやり方はよくありませんよ。しかも、あるときには責任をとると言ったと思うと、いや、そんなヘチマはないというような議論までされると、一体何のためにこうやって議論しているのかということがわからなくなってくる。(「ヘチマみたいだ」と呼ぶ者あり)本当にヘチマみたいだ。 ということは別にしましても、そのことを、こういう問題の衝にある大蔵大臣そして経済企画庁長官、というのは、五・三%の経済成長が二・七%に落ち込むことによって国民の皆さんがどういう苦しみをしているかというんです。私もきのう、おとといと、中小企業の零細な業者と会ってみましたよ。仕事がない、仕事があってもほとんどマージンがもうなくなってきている、先行きの見通しはほとんど立っていないで受注がどんどん減ってきている、一体これはどうやってくれるんですか、先生。これは本当に切実な叫びだと私は思うんですよ。 もちろん渡辺大蔵大臣のおっしゃるように、経済は生き物ですよ。専門家が相当英知を集めても狂うときはありますよ。しかしそれは、これくらいであれば、そういう状況であればいたし方ないな、そういう納得があるものでなければいけませんよ。私は後からも少し立証したいと思っておりますけれども、大蔵大臣は、これは経済運営の失敗ではないとおっしゃった。しかし、失敗の面もあるんですよ、見込み違いの面も大いにあるんですよ。もう少し慎重に配慮をしておけばもっと打つ手はあったという点がたくさんあるんですよ。 そういう意味で、総理も、財政再建については私も政治責任をとる、こうおっしゃったんですよ。いま私の若干のやりとりをお聞きになって、私は決してこじつけや押しつけの議論をしているつもりはない。そういう問題について総理の決意を聞きたいのです。
○鈴木内閣総理大臣 歳入欠陥の問題につきまして、先ほど来いろいろな角度から御指摘をいただいておるわけでございますが、このような予想を超える大きな歳入欠陥が生じましたことはまことに残念でございます。この点につきましては、私ども、今後の経済、財政運営の中に大きな反省の材料として生かしていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。 したがって、五十七年度の予算の執行に当たりましては、公共事業の思い切った、かってない前倒しをやり、また住宅の問題につきましても、これを喚起するようにいろいろな面から努力もいたしておるところでございます。今後、この景況の動向につきましては十分細心の注意を払い、財政運営と金融政策の面等で機動的に効率的な運営ができるように、十分いままでのことの反省の上に立ってやってまいりたい、こう思っております。
○大内委員 私は、今度の衆参におけるこの問題についてのやりとりを聞いていました際に、総理が一貫しておっしゃられておりましたのは、この原因というのは、世界経済の停滞、円安あるいは物価の鎮静といった予想外の情勢のためだ。私は、それほど形式的なことではないと思うのですよ。それにも、もちろん大きな原因があったことは事実ですが、そういう状況の中で動静が十分察知されながら機敏な対応を怠ったという、つまり経済運営のまずさというのが主体的にはあるのですよ。 それがたとえば国際経済であったり円安であったり物価であったら、責任はみんな相手にいってしまいますよ。それなら初めから、見通しなんというのは責任を負わないとおっしゃればいいんですよ。しかし、あの五十年の大きな経済、エネルギーの変動期とは全く違うのですよ。ある意味での通常の状態で進んできたのです。不況なら不況、好況なら好況、その予測し得る範囲内の状態の中で世界経済も進んでいったし、物価の動向もあったのですよ。ですから、そういう安直な分析で問題を過ごそうという形では、これからの財政再建はできないと私は思うから言うんですよ。 第一、では昨年の十月二日の経済対策閣僚会議の決定を読んでみましょうか。十月と言えば、いいですか、十月から十二月期というのは、御存じのとおり成長がマイナスに入ったのです。年率で三・五%のマイナス成長になったのです。その直前に出された経済対策閣僚会議のこの「経済見通し暫定試算」、見てごらんなさい、この甘さ。「現在、緩やかな回復過程にあり、その拡大テンポも概ね昭和五十六年度政府経済見通しにおいて想定された線上にあるものと判断される。」そして、あえて言えば、物価の安定によりさらに個人消費支出の着実な伸びを期することが必要な程度であろう。何ですか、これは。 そして、その後に出された一月二十五日の閣議決定、これも何ですか。明らかに日本の経済の成長率が急速な鈍化を歩み始め、七%の名目成長というのはなかなかむずかしい。したがって、四・一%の経済成長率もむずかしい。ここで相当の何らかの対策が必要である。補正も四千五百二十四億なんという、そんなちゃちな補正で収支とんとんにつけることはとうていできないというのが、もう専門家の間では目に見えていたのですよ。そういう中でことしの一月二十五日の補正予算を出した閣議決定では、七%の名目成長と実質の四・一%の経済成長、これは大丈夫だと言い切った。それは予算が出ておりますから、それをもし修正すれば数字を全部入れかえなければならぬという配慮が恐らく優先したのでしょう。しかし、そのことは、そのことの余り国民の皆さんに対してうそをついたことになる。中小企業に対してうそをついたことになる。 そういうような形で、一貫して政府の五十六年度の姿勢というのは楽観主義に終始したのです。楽観論に終始したのです。その出発点が一月二十六日の先ほど挙げた大蔵大臣の財政演説であり、五月六日の河本経企庁長官の景気底離れ宣言であります。そして、十月二日の経済対策閣僚会議のこの甘い分析であり、そして本年一月二十五日に当たっての閣議決定である。補正予算の提出である。しかも、さっき私が申し上げたとおり、月例の経済の租税収入の動向というのは一貫して九%、一〇%という低迷の状態にある。そんなことがわからないはずはない。われわれ野党にでもわかることが大蔵省という大きな官僚機構を持った政府にわからないはずはない。私はそういう意味で、政府のこの景気動向に対する見通しというのは、したがって税収見通しについての誤りというのは明白であった。 しかも、私は経済運営の失敗がなぜ起こったかというと、これはもちろんいろんな分析の仕方ありますよ。しかし、いま大蔵省や経済企画庁の物の考え方は、家計赤字を解消するときの発想と一緒ですよ。家計で赤字が出ればまず切り詰めるでしょう。それから、増収を図るための何らかの措置をとるでしょう。その発想で財政の赤字を解消しようとしているのではないですか。だから、一般歳出についてはゼロシーリングで締め上げる、国債の減額も、できれば二兆円近いものもやって、この面でも締め上げる。そして、去年は一兆四千億の増税をやった。それも結局は、増収を図るというこの家計的な発想が逆に不況を深刻化し助長した。だから、税収減に結びついている。歳出を締め上げて税収減、増税で税収減。経済理論に反しますよ、これは。そういうことをやったから五三%が四・七%、四・一%、二・七%までどんどん下がっていった。そして、危ないというので、五十六年度はあの上半期に公共事業を、いまやっていると同じように、上半期に集中しようじゃないか、そして実績でも七〇%ちょっと超えています。そして、上半期に集中した。その結果、下半期に残ったのは三〇%弱、そして、その手当てを怠った。当然その公共事業という面でも手当てをしなければならぬ、そういうときに手当てをしなかった。それが、四・一%大丈夫です大丈夫ですと言いながら二・七%まで急速に下がった。それは海外要因もあった、輸出もあった、住宅のあの建設の問題もあった。これ、どう見たって経済運営の失敗じゃありませんか。 もし、財政理論でいくならば、政府の中のむだ遣いというものを最大限に切って、財政節約をやってみる。つまり、政府のむだ遣いによる赤字にはそれでいい。しかし、不況に対する税収不足に対しては、つまり赤字に対しては何らかの大幅の公共投資等をやらなければならぬという立場にあった。それが逆に増税で足を引っ張った。そして、その結果、いままさにびっくりするような、三兆円を超えるという五十六年度の歳入欠陥。しかも、それは五十七年度の財政そのものも揺るがしてしまう、五十八年度の予算編成というものを重大なピンチに追い込む、こういう事態をつくったのですよ。だから、私は財政再建の根幹を揺るがすものではないか、こう言っている。 大蔵大臣、この失敗を認めますか。部分的には失敗あったでしょう。私は、全部物価や国際経済や円安の責任にするのは余りにも政策責任者としてひきょうだと思う。これでは国民は黙っておれない。中小企業の皆さん苦しんでおるのに黙っておれないですよ。これは、大蔵大臣においても経済企画庁長官においても、その責任の痛感がなくしてどうしてこれからの野党の協力を求めた経済運営ができますか、財政再建ができますか。いかがでしょう。そう無理じゃないと思うのです。
○渡辺国務大臣 私は、全部満点にいったなどとは夢にも思っておりません。おりませんが、世界の経済はつながっておるわけでございまして、要するに日本がもっとうまくいったんじゃないか、もっとやりようがあったじゃないかという御批判がありますが、世界のサミットの会議に行っても、日本はどうしてそんなにうまくいっているんだ。それはインフレ率においても、失業率においても、金利においてもみんな半分以下で、同じ石油を使っておりながらよくうまくいっていると言って褒めてくれる人もあるわけです、実際は。現実はそれは細かい問題等についてはいろいろと御指摘のような点もあったろうと思います。思いますが、総体的に見れば、私は決して日本の経済が全体として世界の同じ条件の中で失敗したというようには考えておりません。 それから、もう一つ問題のあるところは、いま実は大論争のあるところなんです。この間も、サミットでもいまのような話が出ました。要するに公共事業で景気をつけるというやり方、そのやり方が余りにも安直になり過ぎたために、結局は政府が金を出せば一時はふったかるが、政府が金を出さなくなったらまたぽしゃる。そこで、また政府が金を出す。結局は金だけは、借金だけは返済せずにどんどんアメリカの場合はたまってしまった。これを繰り返しておったのではインフレ政策になってしまう。この根本にメスを入れる必要がある。したがって、民間活力をどうして持たしていくか。要するに政府がてこ入れするといっても、それは税金か借金しか実際問題としてない。だから、政府の借金というものをもっと減らすように歳出カットを思い切ってやって、政府が民間資金を圧迫するほど吸い上げる、こういうようなことを直すことの方が先決だというのが大体大勢でございました。 私は、今後の経済運営については、やはり物価安定というものを主眼にしていったらいいのじゃないか。GNPの中に占めるシェアというのは、公共事業は二三%か二四%ぐらいでしょう。個人消費支出は五八%か六〇%か、その程度の大きさを持っております。物価が安定すれば消費が伸びると言っても伸びなかったじゃないかという御質疑がありました。しかし、それにはタイムラグがあるわけでして、時間のずれというものがあるわけでございます。ことしの二月、三月に入りましてからやっと、マイナスであった個人の実質消費支出というものが三%プラスに転じてきた。私はこのことはいい傾向であって、これが仮に賃金も上がったが物価も上がったというような状態と比べると、世の中が現在の方が静かであるということも私は事実じゃないか。したがって、その両面から考えていかなければならない。一方においては財政の赤字も解消することをやっていかなければならぬ、いろいろむずかしい組み合わせがあると思います。しかしながら、大内委員のおっしゃった中にはわれわれの痛いところをずいぶんつかれているところもございますから、謙虚に反省もし、そして今後一緒になってお知恵も拝借をして、一党だけでどうこうするものじゃないのですから、国民の全体の理解と協力がなければとうてい財政再建などうまくいくはずがない。したがって、私どもは謙虚に各党の皆さんの意見も聞いて、どういうふうに現実的にやるべきかということを私は相談をしていかなければならない時期に来ておる、かように考えております。
○大内委員 外国の例を引き合いに出されながら、日本は比較的にうまくいっているというお話がありました。それはそれなりに事実ですが、私が問題にしておりますのは、そういう厳しい状態の中で政府がそれなりの目標を掲げているのですから、余りかけ離れたような実績が出たんではこれは失敗ではないかという意味で申し上げているんで、私は外国との比較は、演説ではいいんでありますが、政策の是非を論ずる場合はまた別の論じ方があると思うのですよ。私はぜひ反省していただきたい点が四つぐらいあるのです。 一つは、経済の成長率を高く見積もり過ぎた。これが税収の誤算の最大のものですよ。ですから、たとえば五・三%とか五・二%と言われたときに、われわれは口を酸っぱくして政策の裏づけを出してほしいと言ったものですよね。 もう一つは、財政理論から外れた家計的な発想に基づいて安易な一兆四千億の増税に踏み切った。 三つ目は、民間の消費支出の誤算。これは御存じのとおり、GNPの約六割近いです。これが誤算を起こせばそれは不景気になっちゃうのです。民間の消費支出の誤算、これは四・九%が一・四%になっちゃった。そうすれば、民間消費支出をどうすれば上昇させ得るかという政策が必要だったのですよ。その一つの議論が例の所得減税の問題なんです。しかし、これはお金がないお金がない一点張りで、ないそでは振れぬ論でこれをかわした。そのためにどういう状況が起こったかといいますと、国民の皆さんの実収入中の税金とか社会保険料、これはむずかしく非消費支出と言っておりますが、これが異常に膨張した。たとえば実収入に占める非消費支出の割合というのは、昭和五十年時は八・七%でした。去年はどうかというと一三・六%にも達した。これでは消費が鈍るのはあたりまえですよ。ですから、これが先ほど河本経企庁長官がおっしゃったように、消費の面で悪くなり、住宅という面で悪くなり、さらには民間投資という面で悪くなった。だから、たとえば住宅でも四・三%のものがマイナスの〇・四%になっちゃう。民間の投資でも七・三%のものが〇・七%にいってしまった。これが三つ目に、政策を欠如させた結果がこういう問題が起こってきた。 そして四つ目が、公共事業の前倒しで、初めはいいけれども、行きはよいよい帰りはだめになってしまう。下半期めちゃくちゃになっちゃう。だから、中小企業でもあるいはその他の中堅企業でも、昨年の前半はいいけれども、もう後になってくるとだんだん悪くなるという現象が起こってきちゃった。それを見ながら機敏な政策の手を怠った。私はこれは政策の失敗であった、こう思うのですよ。その結果が、五十六年の三兆二千億前後の歳入欠陥である、こういう認識に立たないと、これからの政策成り立ちませんよ。総理が五十九年赤字国債を幾らゼロにすると言ったって、これをどうやって埋めるのです。 これをちょっとごらんください。これは幾つかのケースを実は出しております。これも非常に常識的なケースです。 鈴木総理は、五十八年度大幅な増税はやらない、一貫して大蔵大臣も言っておられました。ですから、五十八年度は増税を実施しない、こういう原則に立つ。それから、特例公債の減額については、財政の中期展望で示されているような一兆九千六百億はやる。そして、一般歳出の削減だけによって予算編成をしようとしますと、大蔵大臣、この上のところだけ見ていただけばいいです、数字はわれわれなりに相当はじいたものです。上の文章だけ見ていただけばいいのですが、五兆五千四百億円の削減が必要なんですよ。一般歳出でですよ。二二・九%のマイナス。これは大蔵省にもすでに事前に示してありますね。われわれのこのはじいている数字というのはそんな非常識的なものでないということは、大蔵省の主計局も恐らくお認めいただけると思うのです。これはできますかね。一般歳出を五兆五千四百億も削減するなんということは普通ではできませんね。これが一つ。 次のページを見ていただきますと、同じように、五十八年度の増税を実施しない。それから、一般歳出の伸びをゼロにする。ことしは、御存じのように、一・八%伸びたわけですね。これをゼロにする。そして、特例公債のみで五十八年度の予算編成のつじつまを合わせようとすれば、同じように五兆六千九百億円の特例公債を増発しなきゃならぬ。これはもうすでに中期展望で言われている一兆九千六百億円のほかですから、総計では七兆六千五百億という膨大な赤字国債を発行しなければ予算編成はできないですよ。こういう前提に立った。 三つ目。では、増税でしからばやろう。渡辺大蔵大臣もあるいはその近辺を模索しているかもしれないので、申し上げておく。これも同じように一般歳出の伸びをゼロとする。これはマイナスシーリングをやったって、ゼロという状況に恐らくなるでしょう。そして、総理が公約されている一兆九千六百億円の特例公債の減額をやる。そして、お金が足りないからそれじゃ増税でやろうとすると、どのぐらいのお金が必要になるかというと七兆三千六百億円の増税が必要になるのですよ。この数字はインチキな数字ではないのです。いま考えられる相当常識的な数字なんです。 その試算の前提等につきましては、その次のページに書いてありますので、後で主計局あるいは主税局等で御検討いただきたいのです。 ここで言っていることはどういうことかというと、政府がいまやろうとしているようなやり方ではもう予算編成、財政再建はできませんよということなんです、よほどの非常手段を使わなければ。第一、赤字国債の発行、これは昭和五十八年と五十九年度一兆九千六百億円ずつの減額をやれば目的を達成するのじゃないんですよ。財政の中期展望では、五十六、五十七、五十八の赤字国債の発行を幾らにとどめると言っていたのです。五十六、五十七、五十八の赤字国債の発行は幾らでとどめると、おたくの方で出した、つまり大蔵省で出した予定では言っていたのです。総額幾らです。
○山口(光)政府委員 ことしこの委員会にお出しいたしました財政の中期展望では、五十六年度の特例公債発行額が五兆四千八百五十億、五十七年が三兆九千二百四十億、五十八年度が一兆九千六百億というふうにお示ししてございます。
○大内委員 そうですね。そうすると、政府の予定ではこの三年間で約十一兆ちょっとですね、赤字国債の発行は。そこで初めて、五十八、五十九年度一兆九千六百億ずつ減額をやって赤字国債の処理をやる、これが基本だったんです。 しかし、五十六年度歳入欠陥が出たんでしょう。決算調整資金を取り崩すでしょう。国債整理基金から借り入れて五十六年度は穴埋めする以外まあないでしょう。その額は二兆三千億前後でしょう。これは赤字国債ですな。すでに補正で三千七百五十億の、いま言った以外にもう赤字国債を出していますな。そうでしょう。それに、五十六年度が二兆三千億赤字国債の追加をやらなきやならぬでしょう、借り入れるんですから。そして、五十七年度は、私どもがいま出した、きわめて常識的な数字ですと言って申し上げたこの数字でも、これはGNPは一番低く見積もって六・四%しか計算していません。税収の伸びについても、五十八年度については一二%ぐらいの伸びです。それでも四兆円以上の追加が必要なんです。歳入欠陥です。これを仮に赤字国債でまるまる見なきゃならぬとすると、五十八年の四兆五千億、これを足してみれば、これでおわかりのとおり十兆円を超える。十一兆ですよ。政府が予定していた十一兆の三年間における赤字国債の発行が、これから五十六、五十七、五十八で追加しなければならぬのが十一兆に上っているんですよ、皆さん。破産じゃありませんか。五十八と五十九年度だけ国債の減額を予定どおり、つまり財政収支見積もりで言っているようなこの額だけ減額すれば赤字国債問題は片づいたなんというのは大間違いですよ、これは。そういう重大な事態。 しかも、赤字国債の実質的な面はもっとやっていますよ。五十七年度予算だって、厚生年金の国庫負担の減額二千六十二億円、これは六十年に返す。厚生年金におんぶした事実上の赤字国債じゃありませんか。同じじゃありませんか。地方交付税交付金の減額一千百三十五億円、これも事実上の赤字国債じゃありませんか。住宅金融公庫の利子補給金を財投から借りて支給した五百十七億円、これも事実上の赤字国債。総計三千七百十四億円。こんな財政再建計画なんてあったものじゃないですよ。私は、そういう意味ではこの財政再建計画というのは事実上破綻した、こう断ぜざるを得ません。いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 非常に財政事情が厳しいことは事実でございます。事実でございますが、ここでおっしゃるように、確かにそれは歳出カットだけで七兆円も五十八年で切れるか。実際問題としてむずかしい。そんなに切れるとはだれも思わない。しかしながら、それではそのまま放置しておくわけにはもちろんいかない。したがって、これはできるだけ切るということをまず主眼にしなければならないと思います。 そうすると、それではその不足分はどうなるのかという話になります。また、全額を増税でやれば五兆円の増税になる、こう言われていますが、全部増税でやるなんということはこれもできることではない。赤字国債を全然発行しないで、じゃやれるか、それもなかなかむずかしいというのも現状でしょう。 そこで、われわれとしては、まず歳出カットを極力やる。これは国民の許容する限度のぎりぎりまでやる。それでも足りなければどうするかという問題については、やはり財源がなければ支出ができないわけですから、それは公債でいくのか、他の適当な負担を求めるのか、方法はその二つしかないわけですから、だれがやったってそれしかないわけですから、私はそこらのところは今後の御相談である。 ただ問題は、景気の問題もございます。しかし、これとても、計画経済だってうまくいかない、そのとおりにならないという状態ですから、政府が強っ張りで高く見積もってみたところで、また見積もっただけになるのではないかという話もそれは言われるわけでありますから。しかしながら、できるだけのことは、景気の維持発展のために有効な手段、それは私は使ってまいりたい。ただ、線香花火のようなことで、一時的にぽっと火がつくけれども政府がその援助をやめたらすぐにもとのもくあみみたいなことで借金だけが残っちゃったというやり方は、もう永久に政府が拡大政策をとってどんどん金をつぎ込んでいかなければならぬということになりますから、その結果はアメリカのようになってしまう危険性が多い。だから、これらは、事前にわれわれは前車の轍を踏まないように、新しい考え方——私はケインズ方式がオールマイティーと思っておりません。その中にはケインズ的なやり方を安易に利用したために財政赤字がふくらんだというのもあるわけですから。 ですから、いろいろな試行錯誤の中で、世界じゅうが苦しんだ失敗例がたくさんございますその中で、もう少し原理原則に返ってこの財政問題というものは検討する必要がある、私はそう考えております。
○大内委員 本当はもっと順次にきめ細かく詰めたいのですが、余り時間がありませんので、最後に、できるだけ結論的に聞いておきたいと思うのですが、ただ歳出をうんと締める、そして足りない分は増税で考える、これだけでは恐らく財政再建はなかなかむずかしいと思うのですよ。ですから、私もこれまでいろいろな案を示しましたね。それらを一応御検討いただきたいことと、この際、積極的な財政運営という問題についても十分検討する必要がある。 たとえば歳入欠陥の処理でも、これはなかなか大変でしょう。そして、その問題について補正を出すのか出さぬかという問題もあります。しかし、少なくともここで大蔵大臣に約束してもらいたいのは、政府はいま五・二%という経済成長率を達成するんだと出しています。そして、これは恐らく高過ぎるでしょう。しかし、その中でも、いま経企庁でもあるいは通産省でもあるいは建設省でも、いまの経済の実勢をほっておくと三%台に終わるであろうと見ているわけです。その中で、さっきのような家計的な発想ではなくて、財政理論に立った経済運営というものを考えるならば、一定の時点ではっきり積極的な財政運営というものを考えなければならぬ。そのためには、この秋の段階で場合によっては建設国債を発行しても支えるべきものは支えていくのだ、その決意が国民に示されなければならぬ、こう思うのですよ。 そこで、まとめて伺いますけれども、一般歳出のマイナスシーリングはどの程度を考えるかということが一つ。その結果、一般歳出の伸びはどのくらいにしたいと考えているのか、これが二つ。それから三つ目、ことしは六・二%でしたが、一般会計の伸びは大体どのくらいでおさめようとしているのか。別枠としては、何を別枠として認めようとするのか。この四つを端的に答えていただきたいのです。というのは、私は最後にもう一つ質問して終わりたいのです。
○渡辺国務大臣 実は、具体的な数字がまだ詰めに入っておりません。国会中でございまして、予算委員会が終わり次第、人事異動も終わったから早急的な詰めに入りたい。 別枠は設けざるを得ない。これはどうしても、減らすとしても現実に減らせないという問題がございます。大体前年と同じような物の考え方をせざるを得ない。ただ、その他のものについては極力大幅なマイナスシーリングを採用したい、そう考えております。
○大内委員 増税問題ですね。増税なき財政再建といいましても、増税なきというのがよくわからないのですよ。ですから、これは実は総理にも後で最後に締めくくりにお答えをいただきたいと思っておったのですが、五十七年、ことしの四月二十六日に参議院の決算委員会で、発想の転換を歳入歳出面でやらなければならぬ、こういうことをおっしゃっているのです。その内容がよくわからないでいろいろ誤解を生んでいる面もある。ですから、その点を最後にお答えをいただきたいのですが、その前に、大蔵大臣は、増税なきという意味を明確にしてほしいということと、それから減税については来年度、つまり五十八年度は政策的に必要であると考えているのかどうか。臨調は財政の節減をやってその分を減税に回せという提案をしたこともありますが、そういう問題にとらわれなくていいです。これからの経済運営、財政運営として、減税が来年度は政策的に必要かどうか。さっきちょっと言っておりましたが、その場合には見返り財源が要るのかどうか、それらをひとつまとめてお伺いをいたします。
○渡辺国務大臣 増税なきとは行革の理念であると考えております。(「理念て何だい」と呼ぶ者あり)理念——いま簡潔に答弁しておりますから。(大内委員「もう少し具体的な面で言ってよ。増税なきという意味をさ」と呼ぶ)増税なきという私の理解は、これは行政改革をするに当たりまして最初から増税をするというようなことでは、行政改革、歳出削減になりません。したがって、安易にそういうようなものは考えない。もう大型、新型増税は念頭になく歳出カットをするということと私は理解をいたしております。 それから、来年の減税の問題については、身がわり財源について御理解が得られるかどうかというところに大きな問題があろうと存じます。
○大内委員 総理にお答えいただく前に、大蔵大臣に一つだけはっきりさせていただきたいのは、いまの増税なきの中に、たとえば不公平税制の是正という問題を含むかどうか。それからもう一つは、直間比率の変更、これはたとえば物品税という問題にもかかわってくるのですが、そういう問題についてはどうなのか。この二点は、いま新税の問題に触れましたね、新税は考えていない、それじゃ、その他のたとえば租税特別措置の厳しい見直しを含む不公平税制の是正、それから直間比率の是正という問題については来年度手をつけるのかつけないのか、そこです。
○渡辺国務大臣 まだ基本的な方針は党とも相談をいたしておりませんが、私といたしましては、いま言ったような直間比率の問題などは、不公正税制の是正は、ある税目がふえてある税目が減る、それは増税なきに反するものではない、そう考えております。
○大内委員 私は、いろいろ聞いてまいりましたけれども、最後に、いま総理に申し上げましたように、歳入歳出面での発想の転換とは具体的にどういうものを指しているのかということが一つと、それから、やはりいま国民の皆さんが一番注目しておりますのは、この二・七%に落ち込んだ経済をどうしてこれを引き上げてもらえるのだろうか、自分の周りにどうやって仕事を与えてくれるのであろうか、その景気をいつ直してくれるのであろうか、これは国民がいま一番知りたいところです。ですから、この景気対策については一定の必要な段階で必ず機敏な手を打つんだ、そして必要であればそれは補正、建設国債の発行という問題も含むんだ。それらの点について総理としての御方針をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 順序が変わりますが、第二点の方からお答えいたします。 この点につきましては、ただいま五十七年度予算の執行に当たりまして、最近の景気動向等を勘案いたしまして、思い切った公共事業費の前倒し等をやっておりますことは御承知のとおりでございます。したがって、下期におきましてそれが息切れをする、断層を起こすのではないかということ等がその執行を円滑にできなくしておるという心配がございます。 そういう点につきまして、私、外遊から帰ってまいりまして早々、経企庁長官、大蔵大臣等と相談をいたしまして、それらの問題を十分相談をし合ったわけでありますが、いま大蔵省その他に命じて、データその他、いろいろ資料は練っております。しかし、ここで申し上げることは、大内さんからもお話があり、党内にも強い御意見がございます。下期に行って公共事業等で急にがたっと落ちないようにこれは十分考えていく必要がある、そのタイミングを失しないようにやる必要がある、こういうことは十分考えていきたい、こう思っておるわけでございます。 それから、これからの財政、経済の政策について発想の転換が必要であるということを、私、参議院で申し上げたわけでございます。これは基本的には、私はもう高度経済成長、中成長というよりも、低成長の時代に世界経済は入ってきておるのではないか、こう大勢として見ておるわけでありますが、そういう中で、成長率等をいままでのようにあのように高く五十八年度以降もすることが適当であるかどうか、これは経企庁長官とも御相談をしておるのでありますが、現在の経済社会発展七カ年計画の見直しをやることにいたしております。この年末あたりまでには新しい経済社会発展計画を策定をいたしまして、世界経済の動向等に合うようなものにいたしまして、それにのっとった経済、財政運営をやっていく必要があるのではないか、こういう点が一つございます。 それから、税制の問題につきましても、いろいろ、増税という意味ではございませんからその点は間違いなくお聞き取りをいただきたい。一般消費税のような大型新税、こういうものは私の念頭にはございません。しかし、租税特別措置の改革、改善をやりますとか、直間比率等の問題につきまして、全体の枠の中でその辺をどうするとかいうことは専門家の間にもいろいろの御意見があるわけでございます。こういう税制面等につきましても、これは私は十分検討に値するのではないであろうか。 それから、財政につきましても、私は思い切った歳出カットが必要である、税負担等を国民の皆さんに重くお願いができない状況下にございますから、思い切った歳出の削減、ゼロシーリングというもの等についても考える必要がある。 そういうこと等を含めまして、私は発想の転換が必要だということを申し上げておる、こういうことでございます。
○大内委員 終わります。
○栗原委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。 次に、正森成二君。
○正森委員 六月八日に初めてロッキード事件で政治家に対する判決が行われました。五十一年に事件が明らかになってから、六年たちました。五十一年当時、まさに朝野を震撼した事件について政治家に判決が下されたわけでございますから、私たちとしては、厳粛に身を引き締めてこの問題について考えなければならないと思います。 〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕 そこで、ロッキード事件の原点に立って総理に伺いたいと存じます。 当時の衆議院の決議では、「今回の米国上院外交委員会多国籍企業小委員会における証言にかかるロッキード問題が、わが国の国民感情に与えた影響は甚大であり、その真相の解明は徹底的かつ迅速になされなければならない。」「本院は、本問題に関するすべての疑惑を解明することが、真の日米友好にとっても重要であり、国民の要望にこたえる道であると確信する。」要旨、こう述べております。 また、当時のわが国の総理の米大統領あて書簡では、こう述べています。「大統領閣下、昨日、日本の国会は、重大なる決議を行ったが、これを同封し貴政府に伝達する。憲法の定めにより、国権の最高機関とされている国会が、こうした異例の決議を行ったことは、それほど日本の国会が、今回のロッキード事件の事態究明を重大視しているからである。日本政府の関係者がロッキード社から金を受け取ったという米上院の多国籍企業小委員会における公聴会のニュースは、日本の政界に大きな衝撃を与えた。その関係者の名前が明らかにされず、この事件がうやむやに葬られることは、かえって、日本の民主政治の致命傷になりかねないとの深い憂いが、いまの日本に広まりつつある。私もその憂いを共にする。」こう述べております。 さらに、その後国会でいろいろ問題があった後、正常化が行われましたが、そのときの衆参両院議長の裁定では、「国会は、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的道義的責任の有無について調査するものとし、国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」こう述べております。 私があえて時間を費やしてこれを要旨引用しましたのは、いまこの初心に返ってわれわれ政治家がこの問題を考えることがきわめて必要だからと考えるからであります。 言うまでもなく、ロッキード事件は、アメリカの軍用機生産会社であるロッキード会社から総計約三十二億円のお金が日本の政界各界に贈られたという事件であります。うち約二十四億円余りは児玉譽士夫に贈られました。それから先は、彼が病気になったために、十分解明されておりません。五億円、これは田中角榮元総理に賄賂として贈られたことが裁判でいま明らかにされつつあります。残り二億七千万円ないし八千万円が種々なルートで全日空に流れ、そのうちの三十ユニットと呼ばれる三千万円のうち五百万円が橋本登美三郎氏、二百万円が佐藤孝行氏に贈られたというのが今回の事件の内容であります。 ですから、ロッキード事件全体にとってみればこれはまさに氷山の一角にしかすぎず、われわれ政治家はこの三十二億円全体について解明すべきは解明し、みずからの姿勢を明らかにして国民の信頼を回復しなければならないことは明らかであると言わなければなりません。 ところが、二十一日の衆議院本会議答弁で総理は、今回の判決は、二階堂幹事長等に対する判決ではありませんから、司法的にはすでに決着済みであると考えています、こう述べておられます。昨日、大出委員にも一定の弁明をされましたが、司法上起訴されていないから決着済みというなら、まさに国会がなすべき政治的道義的責任、すなわち議長裁定や国会決議を全く無視することになるではありませんか。私どもは断じてそういう立場を認めることはできないわけであります。この点について、政治的道義的責任についてどう考えておられるか、まず総理に伺いたいと存じます。
○鈴木内閣総理大臣 六月八日の橋本、佐藤両氏に対する判決、これにつきましては政界に身を置いた方々に対する判決でございますので、私も厳粛にこれを受けとめておるところでございます。 その中におきまして、橋本、佐藤両氏のほかに、三十ユニットの配分の問題に関連いたしまして、いわゆる灰色高官と言われる方々についても触れておるわけでございますが、この点については起訴とかそういうような司法的なことはなされていない、そういう意味合いで、私は、この問題については司法的には一応の決着がついている、しかし、残る問題は政治的道義的責任の解明、こういう問題であろうかと思うのでありますが、この点につきましても加藤六月君はみずから進んで証言をしたい、こう言っております。また、二階堂進君も上申書を議長の手元に提出をしておる、こういう経過は御承知のとおりでございます。 そして、この問題につきましては、当予算委員会におきましても各党、あなたの方はちょっと違いますが、各党理事間におきまして合意がなされて、そして、これを議長の諮問機関である議会制度協議会の方に、早く議院証言法その他の証言ができるような条件を整えてほしい、そして、この国会中に証言ができるようにしてほしい、こういう要請がなされておる。その線に沿うていま各党各会派において前向きで取り組んでおる。 〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕 自由民主党におきましても二十五日までに党としての案を制度協議会に提出をする、そういう方向でいま鋭意努力をしておりますし、私もそれを鞭撻しておるところでございます。
○正森委員 いまの答弁は、政治的道義的責任についての解明を否定するものではないという前提での御答弁であると承りました。 これらの問題については大出委員あるいは先ほど大内委員等もお触れになりましたが、私は次の段階で詳しく触れさしていただきますが、その前に、私は佐藤孝行氏の問題についてまず伺っておきたいと思います。 政治的道義的責任については、司法上、刑事上一審有罪となった佐藤、橋本両被告についても同様で、判決があったからそれで済むというものではありません。まさに本人と国会がけじめをつけなければならない問題であります。 そこで、法務大臣に伺います。六月二十二日、検察当局は両名について控訴したようであります。有罪判決になり、事実はすべて認められているにもかかわらず、なおかつ検察側が控訴したにはそれなりの理由があるはずであります。執行猶予がつけられたのが不当だということでありますが、その理由はいかがでしょうか、御答弁願います。
○坂田国務大臣 検察当局は去る六月八日の橋本、佐藤両氏に対する有罪判決につきまして、検察官からも控訴すべきかどうかということを検討いたしました結果、執行猶予が付されておる点が相当でないといたしまして、量刑不当の理由によりまして控訴したと聞いております。(正森委員「その理由は」と呼ぶ)理由は刑事局長からお答え申し上げます。
○前田(宏)政府委員 検察官から控訴しました理由は、ただいま大臣からお答えがありましたとおりでございまして、控訴の理由はこれから正式に控訴趣意書で述べるわけでございますから、まだこの段階で申し上げるのは早いと思いますけれども、若干関係して申し上げますと、要するに、六月八日の判決では執行猶予になっておりまして、その理由として前段では、先ほども御質問にありましたが、いろいろな事情から刑責が重いということを述べられました上で、一つは、本件でことさら不当な職務行為を行ったものとは認められないというようなこと、あるいは賄賂を期待していたとは認められないというようなことを述べておるわけでございます。もちろんこれは判決要旨でございまして、全文がまだ出ておりませんから、あるいはもう少し詳しいことが述べられるかもしれませんけれども、現段階では要旨について考えるほかないわけでございます。 その点につきまして、先ほど大臣が申し上げましたように、そういう見方もあるいは一部あるかもしれませんけれども、判決で挙げておられますような理由というものは、必ずしも本人たちにとって有利な事情というふうに見るのは相当でないんじゃないかというようなこと、また、被告人側におきましてすでに控訴の申し立てもしておって、争われるというような態度が示されているというようないろいろな事情を総合勘案いたしまして、控訴に踏み切ったというふうに理解しておるわけでございます。
○正森委員 いろいろ言われましたが、報道機関の報道によると、その理由のほかに、いま最後に、二人が争っているという表現でやわらかに言われましたが、公判で現金収受を真っ向から否定していささかの反省もない。二人は、判決後も代議士にとどまったり、再立候補の意向を示しており、再犯のおそれもある、こういうこともその理由である、こういうぐあいに報道されております。 私は、通常の検察官ならそういうように判断するのは当然であると思います。執行猶予がつくのは、金はもらったがこれこれこういう理由があったとか、悪かったと言った場合にいままでは大体限られているわけであります。真っ向から、おれは金をもらっていない、こういうことを言い、したがってまた、有罪判決を受けても代議士はやめない、また、これからも何遍も立候補するんだと言うているようでは反省の色がないし、第一、それではまた金をもらうおそれがある、こういうことで控訴した。恐らく控訴理由にもそういうことが書かれるでありましょう。現にそう報道されております。 私は、これは国会としてきわめて重視しなければならないことであると考えております。つまり、われわれの同僚である議員が、裁判所で詳細に証明されたにもかかわらず、金の趣旨どころか、もらったことさえ真っ向から否定しておる。責任をとって国会議員を辞職しようともしない。そういう態度は法治国家として許されないというのが控訴の恐らく一つの内容であろうと思われます。 ですから、私たちは、国会議員は、普通の一般の公務員ではなく、国民から選ばれた代表であり、その政治的道義的責任と進退は一般の公務員より一層明白でなければなりません。本人が辞職しないという場合に、現にそう言っておる、国会は何もしないでいいんでしょうか。国会はみずからの自浄作用を発揮して、自律権に基づいて、どうしてもやめないと言うなら、君は国民に対して責任を負ってやめるべきであるという勧告をするのが国会として当然の責務であるというように私は考えるわけであります。 総理、あなたは、行政の責任者としてとやかく言うべきでないという意味のことを本会議で言われましたが、一人の衆議院議員として、そして自由民主党の総裁としては、議員辞職勧告についてどういうように思われますか。
○鈴木内閣総理大臣 いま正森さんの御質問には二つあったと思いますが、一つは、検事控訴の問題でございます。これは三権分立の立場からいたしまして、私がその問題についてとやかく意見を申し上げるということは差し控えた方がいい、こう思っております。 それから、佐藤孝行議員の議員辞任勧告の決議の問題でございますが、私は、これは本人が一番真剣に深刻に考えておるであろう、こう思っております。特に野党各党からああいう勧告決議案というようなものが提出をされるということにつきましては、相当重く考えておられるのではないだろうか。また、友人の皆さんもいろいろ心配をされておるということも聞いておるわけでございます。 私は、したがいまして、これは党総裁の立場で申し上げるのですが、自由民主党といたしましても、党内でもいろいろ御意見があるようでございます。いま申し上げたようなこと等を総合的に勘案いたしまして、いずれこの議員辞任の決議案の処理につきましては自由民主党として態度を決定しなければいけない、このように考えておるところでございます。
○正森委員 私は、若干含みのある答弁であるというように伺いましたが、さらに、人事院総裁お見えになっておりますか。 人事院に伺いますが、一般公務員の場合、昭和五十六年の統計は全部出ていないかもしれませんが、昭和五十四年、五十五年の免職数、うち刑事事件で起訴されないにもかかわらず免職となった数、並びに起訴されたが、裁判係属中、すなわち確定前に免職となった者は何人ありますか。
○藤井(貞)政府委員 お答えをいたします。 前段の懲戒免職の総件数でございますが、これは昭和五十四年が二百十人、五十五年が百六十九人ということに相なっております。 なお、第二点の国家公務員法第八十五条には、懲戒に付さるべき案件について、刑事事件に係属をしておる場合でも、これは行政罰としての特殊性がございますので、懲戒の手続は進めてもよろしいということに相なっておりまして、これに基づいて、結審を、裁判の方で結論が出ておらない前に懲戒免職の処分を講じましたのは、五十四年には二十一人、五十五年には十五人ございました。
○正森委員 総裁、恐れ入りますが、もう一問お願いいたします。 こういうように国家公務員法八十五条で規定しておりますのは、刑事事件の確定を待っておっては、国家公務員法に規定があって、当然に解職となるんですね。そうしますと、退職金やら年金を場合によっては払わなければならない。そういうことは非常に不合理であるから、裁判係属中で刑事裁判上決着がついていない場合にも、なおかつ任命権者としては懲戒すべきは懲戒して官紀を維持する、こういう趣旨ですね。
○藤井(貞)政府委員 専門の先生でございますので、私からるる申し上げることは簡単にいたしますが、懲戒罰とそれから刑事罰、これは昔は、懲戒事犯がありました際に、刑事事件になった場合は手続を停止するということに相なっていたのでございますが、これは刑事罰と行政罰の立脚点の相違がございます。また、いまお話がございましたように、刑事事件の終結を待ちますには時間が余りにもかかり過ぎるということに相なりますと、事柄が非常に重大である、放置できないというような場合に、綱紀の粛正その他の面からいって非常に適当でないということがございますので、その点はやはり両立をして、独自の判断で懲戒は懲戒として進めるというのが趣旨であるというふうに理解いたしております。
○正森委員 総理、いまお聞きになりましたように、一般の国家公務員、地方公務員でもほぼ同様でありますが、刑事事件で起訴されなくても、あるいは刑事事件で起訴された場合にもその裁判の確定を待たなくても、任命権者は、これは綱紀維持上許せないという場合には懲戒処分をし、その場合に一番重い懲戒免職になっているケースがそれぞれ十五人なり二十一人なりあるということをいま人事院総裁は言ったわけであります。 私は人事院から資料を取り寄せました。全部は申しませんが、こういうケースがあります。大蔵大臣、国税庁が何回も出てきますが、気にしないようにしてください。 たとえば、五十五年には、国税庁で何名か免職になっております。その内容を見ますと、現金等十三万余円収受、二万円相当の供応受領、受託収賄、これで首であります。もう一人は、現金等十四万余円収受、四万八千余円相当の供応受領、これでまた首であります。あるいはまた、あっせん収賄で現金等二十七万余円収受、二万五千円相当の供応受領、これも同じく首であります。 あるいは、昭和五十四年のケースを見ますと、一人は郵政省。建築工事請負業者から四万円ないし百六十万円の収賄の収受等で、約十名が収賄で首になっております。建設省、一人が現金等二百三十八万余円収受で、収賄でこれまた首になっております。 つまり、ここで言えることは、一般公務員の場合には、私が読み上げた範囲では、一番多いので二百三十八万円、少ないのは十三万円ぐらいで、けしからぬということで首になっているわけであります。 それなのに、国民の代表であり、国民の師表であり、国民にかわって国政壇上で清潔な政治、国民のための政治を実現しなければならない、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者であってはならない、そういう国会議員が、五百万円、二百万円、しかもアメリカ大統領との間に書簡のやりとりがあり、国会決議があり、議長裁定があった重大な事件について有罪判決を受けておるのに、情として恥じない。そんなことで国民が納得しますか。議会制民主主義に対して信頼を持つでありましょうか。私は、そういうことは絶対にないであろう。本人が未練にも切腹できないというなら、国会が全体として、圧倒的世論を背景として、国会の意思として介錯をするということが当然じゃないですか。それが武士の情けです。本当ですよ。 伺います。中曽根行管庁長官、国会でこういうことを聞くには忍びないけれども、佐藤孝行氏はあなたの方の政治団体と非常に深い関係があると聞いております。無所属議員であるにもかかわらず、あなたの方の政治団体の会合にしばしば出席しておる。そういう場合に、行管庁長官で行政の筋を通すべきあなたが、まず自分の影響力ある議員に対して、あなたはこの場合辞職すべきである、そういうことを言うのが当然じゃないですか。それをやらないで国民全体に犠牲を強いても、だれも納得しない。ここで答弁してください。
○中曽根国務大臣 私が所属しております政策科学研究所というところは、議員だけではなくて一般の学者等も入っております。したがって、自民党所属の国会議員だけでなくて無所属の方も入る。そういう形になって入っておるわけで、門戸開放されておるわけであります。 それから第二番目に、佐藤君の進退の問題でございますが、確かに道義的政治的責任というのは法律的責任よりも上にある問題で、法律的責任がないからといって政治的道義的責任を免れるものではない、そういう性格であることは私も承知しております。しかし、佐藤君の場合は、国会議員という重要な仕事をおやりでございまして、しかも日本の裁判制度のもとにいま裁判を受けておる。それで、そういう選挙民から直接投票を受けて、信託を受けて国政に参画しておる。選挙民の皆さんは、こういう事件で裁判所に係属されておることを知っていながら、あえて投票して国会に送っている。そういうことを見ますと、議会制民主政治、あるいはその中における議員の重み、国民の、その選挙民の信託に対する責任、そういうようなものと、あるいは一般的に言われる政治的道義的責任のどっちを重くとるか、そういう判断の問題があると思うのです。これは私は御本人が決めてしかるべきことであろう、そう判断をしておるところでございます。 また、日本の制度は三審制度でございまして、一審においてはいまのような判決を受けましたけれども、佐藤君の判決の内容等を見ますと、いまいろいろ御議論がありましたように執行猶予等もあり、判決の最後の部分等々を見ますと、あるいは二審、三審において攻撃、防御の方法が変わってきた、あるいは変化があるという場合には、あるいは裁判官の判断にも変化が起こる可能性なしとはしない。私は法律には未熟でございますが、判決の内容をよく読んでみましてそういう可能性も否定し得ない、そういうことも感じておりまして、御本人の決断に任せるのがしかるべきである、こう考えておるわけであります。
○正森委員 本人の決断に任せるだけで、本人が出処進退を行うことができないから、私はここで質問しているわけであります。 私は、いま中曽根長官が、本人が選挙で選挙民の信頼を得て通ってきていることは、国会議員の身分の重さからいっても尊重されなければならないと言われたことに注目しております。これは二階堂進氏についても、総理が本会議で答弁された内容とほぼ同じであります。 しかし、私はあえて申しますが、選挙民の御意向というのは重大であります。けれども、二階堂進氏にしても佐藤孝行氏にしても、五百万円受け取りました、二百万円受け取りました、しかし、私は反省して政治家として出直しますから、どうか御信頼くださいと言って選挙に勝ってきたものではありません。天地神明に誓って金はもらっておらない、アリバイが崩れておるのに、おれはアリバイがあるのだ、こういううそをついて、そのうそで選挙民に対して訴えて当選してきているんじゃありませんか。いわば政治的詐欺を行って当選してきているんじゃないですか。国民に対して、そういう真実に合致しないことを言って二回当選しても、三回当選しても、それは政治家としての罪が重くなるだけであって、決して免罪されるものではありません。国民は皆、そう思っているでしょう。後で私は国民の投書を読み上げますが、皆そう書いている。そういう中で、政治家としてどう考えなければならないかというのは、当時の総理大臣のフォード大統領あての書簡でも厳粛に考えなければならない問題であるということを私は申し上げたいわけであります。 そこで私は、二階堂進氏と加藤六月氏の両君について伺いたいと思います。 本会議での総理答弁で、総理は、司法的にすでに決着済みの問題については、いま御趣旨の御弁明がございましたが、それ以外になお三、四点、この問題について御意見をお述べになったようであります。この御見解はもう一度言っていただいてもよろしゅうございますが、時間の節約上、変更されておられないでしょうか。(鈴木内閣総理大臣「言ってください」と呼ぶ) あなたは、基本的には政党の人事の問題で、党員多数の合意を得ている、世論を謙虚に受けとめている、選挙でも連続当選をしている、こういう三つ、あるいはほかにあったかもしれませんが、私の理解ではそういうように言われたと思います。
○鈴木内閣総理大臣 そのことは申し上げた記憶が明確にございます。
○正森委員 私は、この三つの理由は、いずれも理由にならない理由であるというように思います。 まず第一に、基本的に政党の人事の問題、党員多数の合意だと言われる点について、わが党も、あるいは他党も、国民も、自由民主党の一つ一つの人事について介入しようなどとは、だれも考えておりません。それは自由民主党が決めるべきことであります。けれども、これは国会決議で問題になった重大事件の関与者だから、やむを得ず言っているわけであります。そして、政権党の幹事長であり、政策、人事の事実上の総裁に次いで重大な決定権を持つ人物だからであります。 現に最近のサンデー毎日では、あなた方の元総理・総裁である三木武夫氏が公職選挙法について、「金のかからない選挙を実現しなくては。市町村まで金権選挙がはびこっている。これが政治腐敗の原因だ。参院全国区だけでなく、地方選挙も考えてほしい。キミが決断すればなんでも出来るだろう、キミは権力者なんだから。」二階堂進氏に三木元総理・総裁、自民党の最高顧問がこう言っているのです。そういう人物だからわれわれは黙っておることができない。党員多数の合意なら何をしてもよいということにはならない、こう言っているのです。いかがお考えになるでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、二階堂進氏は司法的に起訴されたとかあるいは裁判中であるとかあるいは有罪の判決を受けたとか、そういうことではない。そして、本人は、天地神明に誓ってそういうものを受け取った覚えはないということを衆議院議長に上申書まで提出をされておる、こういうことでございます。そして、世論の厳しい批判の中で常に身を正して、党のため、国家のために努力をしておる、こういうことでございまして、私は他党の人事にいろいろ批判を加える、注文を加えるというようなことはいかがかということを申し上げた。自由民主党は共産党の重い人事に対しても容喙したこともございませんし、批判したこともございません。
○正森委員 それはどういう意味でおっしゃったのかわかりませんが、共産党であれ社会党であれ、他党の人事に介入しないのは当然であります。しかし、共産党であれ社会党であれ、もしロッキード事件に関連して起訴されて有罪になっている場合には、他党から辞職すべきが当然である、なぜその党はしないのかと言われても、それは必ずしも党に対する介入ではありません。国会議員である以上、そういう言葉が出てもわれわれは……(発言する者あり)他党の人事に介入したことはないと言われますが、ロッキード事件のように重大な事案について万が一これらの党の間に、他党のことを言うのはいけませんが、わが党の間に関係者が出た場合には、それについて世間や他党からいろいろ進退について言われても、それは一概にその党に対する政治介入とは言えません。そのことを私は言っているわけであります。
○鈴木内閣総理大臣 二階堂進氏は起訴もされておりません。その点が、いま正森さんのおっしゃる点は違う。私はそういう点で、先ほども明快に申し上げたように、本人は議長に上申書まで出して、そうして天地神明に誓ってさような金は受け取ったことはない、こういうことを言っております。そして、選挙におきましても、国民の、選挙民の皆さんの信任を二度、三度と受けて当選をしてきておられる。正森さんは先ほど、選挙民はまるで━━━のようなことを言った。(正森委員「そう言っているのじゃない」と呼ぶ)だまされておる、詐欺されておる、そういうようなことは、これはあの選挙区の多数の選挙民に対しては大変失礼千万のことではないだろうか、私はこのように思います。
○正森委員 何ということを言うのですか。私は、本人がうそをついて、政治的にいわば選挙民をだますようなことをやっていると言っているのですよ。何も選挙民を非難しているんじゃないです。選挙民は、本人がどういうことを——本当のことを言った上で判断を受けるのが当然であります。ところが、そういうことをやらないで当選してきて、洗礼を受けたと言っても、それは十分に国民を説得することにはならないということを言っているわけであります。 さらに私は、あなたがそう言われるから次に進みますが、上申書で、天地神明に誓ってもらっていない。伊藤宏なる人物に一遍も会っていないへこう言う。大出さんがきのう言われたから詳しく伊藤宏の証言を引用することはやめますけれども、伊藤宏は、二階堂さんに官邸でちゃんと会うた、薄茶色のハトロン紙に百万円の束を五つ包みましたというようなことまで詳しく供述しているんですよ。ですから、一度も会っていないというなら、責任ある政治家なら、伊藤宏を国会に証人喚問してくれ、自分と対決さしてくれ、そういうことを言って、身の潔白を正すのがあたりまえじゃないですか。それは逃げ回る。そして、ロッキード事件の裁判で橋本登美三郎氏の公判について刑事上の証人に出てくれと言ったら、一たんはうんと言いながら、それをどういうわけだか証人申請を取り下げて、弁護団と相談して、証人に出ない。自分の身の潔白を晴らして伊藤宏を弾劾する絶好の場をみずから放棄する。みずから出した民事裁判についても、堂々と損害賠償を求め、名誉棄損に対するそれを晴らすすべを求め、伊藤宏を本人として呼び出し、自分自身も民事とはいえ、法廷で弁明する機会があるのに、それもいつの間にかわけのわからぬ理由で取り下げる。こういうことをやっておいて、どうして政権党の幹事長として国民の信頼をつなぐことができるでしょうかということを申し上げているのです。 世論を謙虚に受けとめるということを総理は二回、三回と言われました、本会議も合わせて。ところが、二階堂氏はどう言っているか。判決に対して、第一、公然と批判して、私に関する限りはあたかも金銭を受け取ったかの印象を与える判決文は人権無視の不当なもので、非常に不満、こう言っている。判決は触れたくて触れたんじゃない。三十ユニットの一連の金の流れの中で二階堂氏が否定している。そのままおいておったんでは肝心の橋本、佐藤両氏についても有罪を立証することができないから、やむを得ず検察も立証して、裁判所もそれ相応の認定をせざるを得なかった。それをこういうぐあいに逆恨みしておる。また、裁判所で一度も証人や参考人として呼ばれないのに、無視されて残念だ。みずから証人として申請されながらそれを取り下げるのを黙って見ておる、こういうことをやったではないですか。 あるいはまた、「二階堂氏は「脚下照顧」を繰り返し「国民にわびる気持ちはさらさらない」とはっきりいってのけて席を立った。」と書いてある。これでどうして国民に対して謙虚であるとかいうことができるのでしょうか。傲慢不遜ではないですか。私は総理の弁明には承服できません。いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、何も弁明をあなたにする必要はさらさらないわけでございます。 いまいろいろおっしゃったわけでありますが、各党間で、この予算委員会の各党間の理事間でお話し合いがつきまして、そして早く議院証言法の改正その他条件を整えて、この国会中にでも喚問、証言をひとつ求めよう、そういうことで合意をしまして、そういう方向でいま努力をしておるし、本人も、また加藤君やなにもぜひ出て自分の立場を明らかにしたい、こう言っておるわけでございますから、別に逃げも隠れもしておるわけではないだろう、私はこう思います。
○正森委員 その問題についても昨日から大出委員その他、大内委員も御質問になりました。そして、大内委員も言われたように、議院証言法の改定を待つのでなく、現行の議院証言法でも十分証人喚問できるはずであるという意味のことを他党の議員も言っておりますし、参議院ではそういう御意向のようであります。 総理、議院証言法は現に生きている法律であります。そして、それに基づいてロッキード事件の五十一年だけでなくて、五十二年から五十四年にかけて、ここにおいでの中曽根康弘氏も証人に出られました。松野頼三氏も出られました。有森氏もあるいは海部八郎氏も出られました。有森氏の場合には各党合意によって、法律上の規定ではございませんが、弁護人をつけて、その弁護人と、委員長の了承を得て休憩をして相談することまで認めて円満に証人喚問をやり、その後どこからも非難は出ておりません。ですから、現行法で当然できるはずではありませんか。それをやらないというところに問題があります。 そして、あなたは各党間で協議が行われるように執行部に指示したと言われておりますが、それを受けとめる執行部の一番偉い人が当の張本人の二階堂氏ではないですか。そんなことでどうして国民が納得するでしょう。いま議運の小委員会で審査をしている人物もまた同じようなグループに属する人ではありませんか。ですから、私たちは、これでは国民の納得を得られない。私は、現在の議院証言法に基づいて速やかに各党の協議を経て証人喚問をするべきであるし、それが十分にできるはずであるということを申し上げたいと考えるものであります。 次に、田中角榮氏の問題に移ります。 田中角榮氏は、請託を受けて五億円の賄賂を受領したということで現に係争中であります。しかし、今回の六月八日の判決でも一千万円受領についてその謀議があったこと並びに伊藤宏証言、調書が認められたことによって、一千万円の受領にりいても裁判官が認定したと考えるのがこれは通常の判断であろうと思います。ところが、この田中角榮氏はいまも活発に政治活動をしておられ、それが政権党の自民党に重大な影響を与えております。三木元総理さえ、各紙の報道では、首相とのサミット帰国後の会談で、自民党は田中角榮君に支配されている姿が出ている。田中元首相は個個の政策や政権の命運、衆議院解散の予定などについて公言してはばからない。首相は、党の総裁として党の団結のためにリーダーシップを発揮して党を健全な姿に変える努力が必要だ。それができないならば、私も自民党と日本の民主政治のために闘わねばならない、こう言っております。これは各紙に出ております。これは自民党内でさえ憂慮する声が出ているということではございませんか。総理のこの問題についての御意見を承ります。
○鈴木内閣総理大臣 田中角榮氏の問題につきましては、ただいま裁判で係争中でございますからその問題に触れるわけにまいりませんが、その自由民主党が田中氏によって大変な影響を受けておる、あるいは解散の時期だとかあるいはいろいろな政治問題について意見を述べている、それがいかにも自由民主党の大勢を動かしておる、そういうような事実はございません。私が総裁として党の責任をしょっておるわけでございますから、そういうことはないということを明確に申し上げておきます。
○正森委員 幾ら明確に言われても国民はなかなか信用できない。たとえば六月十五日の各紙の報道によれば、六月十四日の夜、都内の赤坂の料亭で開かれた田中派幹部のしあわせ会、これは六期以上の議員の集まりのようでございますが、そこで、景気対策のための補正予算は必要ない、少々のことでは景気はよくならないからだ。したがって、秋の臨時国会はない。五十八年度政府予算案は年内編成にこだわらなくてもいい。五十八年一月まででいい。来年の参議院選が終われば衆議院の候補者は、いつ解散になるかとまるで熱い鉄板の上をはね返るようなことになる、こう言って来年の衆参同時選挙の可能性を示唆した、こういうように言っております。 この会合に出席した自民党の六年生以上の議員十数名おられますが、その中には松野国土庁長官、箕輪登郵政大臣がおられます。 お二人に、この会合でこういう話が出たのかどうか、あなた方はどういう趣旨でこれをお聞きになったのかをお答え願いたい。
○箕輪国務大臣 そのしあわせ会に私は出席をいたしました。ただ、出席をいたしましたが、先約がございますので、ごあいさつをして皆さんにお別れしてそちらの方に参りましたので、そのような発言があったかどうかは私は存じ上げておりません。
○松野国務大臣 私も、箕輪大臣同様出席いたしまして、いろいろ皆さんから御意見が出まして、いろいろやりとりのあったことも、全部ではありませんけれども大体記憶しております。しかし、いま総理がお答えになりましたように、総理は自民党の総裁でございまして、私たちはすべて総理の指導のもとに団結して国政に当たっておるということを申し上げておきます。
○正森委員 まさか現職の閣僚が総理の指導のもとにやっていないとは言えないでしょうからそれは当然のことでありますが、お二人ともこの会合に出席しているということはお認めになりました。そういうところで、こういうようなまさに政局の焦点になるようなことについて、そうなる、こういうように言っているのですね。あるいはその翌日の十五日夜、これは自民党の若手議員の集まり、これを行って、その中で今度は、来年は衆参同時選挙になるということを改めて強調した。あるいは同時選挙後三年間は国政選挙がないので、その間に赤字対策を徹底的にやればいい。財政の立て直しは税制と国債制度を抜本的に見直せばできる、税制を改正して増税することだとかあるいは国債制度を抜本的に変えて、やり方までここに書いておるようでありますが、そういうことを言うておる。五十八年度には、五十六年度からの累積分を含め、歳入欠陥は十兆円を超えるものになる、こういうことからいまのようなことを言っておられる。 そのほかに、私は単に言っているということだけでなしに、それを無所属の刑事被告人である方が、自民党の現職大臣や自民党の大ぜいの議員を集めて言っておられることを言うておるわけであります。無所属議員でも、国会議員である以上、その政見をどこで述べようとそれに干渉しようとは思いません。けれども、これは余りにも慎みがないことではないでしょうか、皆さん。現に朝日新聞がこう言っているのです。「政治汚職容疑の刑事被告人、しかも党籍を離れた人物が相変わらず政治に強い影響力を持ち続ける。政党もそれを是認する。そんな例が他の民主主義国にあるだろうか。指弾されるべき田中問題の本質はいまや、ロッキード事件の容疑にもまして、逮捕以後の常軌をはずれた政治行動にあるといってもよいであろう。」こう言っているのです。これは正森成二が言っているのじゃないのです。一般新聞である朝日新聞が責任ある社説で六月の二十日にこう言っているのです。 こういう事情は、われわれは、自民党の皆さん方も議会制民主主義を尊重される気があるなら決して放置できない問題です。無所属の議員が二百八十名の政権党を事実上リードするかのごときそういう言動をしておられる。言いませんが、五月二十八日宮崎市内のホテルで演説会があったようですが、そこでは、田中角榮氏が軍団を引き連れて、箕輪登氏、小坂徳三郎氏が一緒に壇上に立って演説をしておられる。私どもは、こういうようなことについて総理に十分お考えいただきたいというように考えるものであります。 そこで、私は総理に申し上げたいと思います。政治倫理の確立ということは、総理、本当にわれわれが心しなければならないことであります。総理は前回総選挙のときに、どういうように総選挙後の衆議院で言われ、また、当時総理ではございませんでしたが、五十五年の選挙で自由民主党がどういうスローガンを掲げて選挙をされたか、御記憶でございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 自由民主党は、戦後長期にわたって政権を担当してまいりました。その間、国民の信頼を得て、そして戦後の復興、日本の今日の繁栄のために、党員が力を合わせて今日まで努力をしてきたわけでございます。自由民主党は、今後においても懸命に国家、国民のために働きます、こういうことで選挙をやってまいりました。
○正森委員 それは決して誤りではございませんが、それだけではありません。ここに五十五年選挙の法定ビラがあります。この中で、自由民主党は「一つの誓い 三つの安全」というスローガンであります。一つの誓いとは何か。「誓います!新しい政治倫理の確立 自民党が政権を担当する政党としての責任をいまほど強く自覚したことはありません。たとえ一瞬といえども、国民生活を不安と混乱にさらしてはならない。そう考え、国民のみなさまの信頼を回復するために、厳しい政治倫理の確立と党紀の厳正につとめる決意を新たにしています。」こう書いているのです。 そして、表には、大きな字で、 楽しい時も 苦しい時も みなさまと共に歩んできた 自民党。 いま、自民党は 結党以来の危機です。 しかし、この危機を 厳しい反省のうえに立って 乗りきってみせます。 わたくしたちは 清新で多彩な 人材の参加を求め 「清潔な政治勢力」として 自民党をよみがえらせます。 新生自民党を約束します。 と書いてあります。 これはなぜかといえば、ロッキード事件で多くの批判を受けたことによって、清潔な政治勢力としてよみがえらなければならない、こういうことでこういうことをお書きになったのでしょう。ところが、ロッキード事件で灰色高官とされている二階堂進氏が幹事長になるようで、どうして清新な政治勢力、清新で多彩な人材と言えますか。私は、こういうようなやり方は、予算についても後で聞きますが、粉飾予算だと他党の方も言われましたが、まさに国民を欺く粉飾選挙をおやりになったと言われても仕方がありません。もし、今回のロッキード事件で、厳粛に判決に基づいて身を正さないなら、国民がそう言われてもやむを得ないであろうということを申し上げておきたいと思います。 そこで、予算委員長にお願いがございます。すでにわが党の理事が予算委員会の理事会でお願いしたかと思いますが、国民の信頼にこたえるために、私どもは、議院証言法の改定を待つまでもなく、現行の証言法において証人喚問はできるし、なさるべきであると考えております。したがって、田中角榮、二階堂進、加藤六月の諸氏、伊藤宏、大久保利春、若狭得治、副島勲の諸氏、この七名について、私からも証人喚問を申請いたしますので、当予算委員会が終わる二十六日までに証人喚問が実現できるように計らわれることを要請したいと思います。
○栗原委員長 理事会で協議することにいたします。
○正森委員 それでは、時間がございませんので、次に、歳入欠陥の問題について伺いたいと思います。 歳入欠陥問題について総理に伺います。 私は、政治家にとって欠くことのできない資質の一つは誠実さだと思っておりますが、総理もいかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○正森委員 わが党は、この国会を通じて、私自身もそうでありますが、五十六年度には巨額の税収欠陥が出るであろう、それは目に見えておる、こういう予算案の姿のままでいくと、五十七年度予算案を組むと大変なことになる、こう言ってまいりました。ところが総理は、五十七年度予算の編成に当たりまして、五十六年度の税収の推移を十分見きわめまして四千億の補正をした、今後においても、私どもは、あの補正で税収はどうにか大きな変化はない、こう思っております、こう断言されました。けれども、それが大きく狂ったことはいまわれわれが見るとおりであります。 大蔵大臣は、きのう来、補正後二兆九千億円プラス・マイナス千ないし千五百億、ですから二兆九千億としておきましょう、二兆九千億は出る、こういうようにお認めにならざるを得ませんでした。なぜ税収がこんなに落ち込んだのかと言えば、われわれは原因ははっきりしておる。勤労者の所得がふえない。少しふえても税金や社会保険料や公共料金に持っていかれて、手取りは逆にマイナスになる。史上初めて勤労者の可処分所得が二年連続マイナスだから、国民の消費支出も二年連続マイナスになった。これが深刻な消費不況を引き起こした。だから、税がふえない。これは河本長官も大筋においては認められているところであります。だから、われわれは、国民の購買力を引き上げなさい、国民生活関連の公共事業に重点を置きなさい、こういうことを言ってきたわけであります。 そこで、総理に伺います。 配っていただけましたか。——私が問題にしますのは、大蔵大臣、当初予算に対して一〇%、二〇%の見込み違いができたということを聞いているのではありません。蔵相がしばしば言われているように、昭和四十八年、四十九年あるいは五十四年というように、当初予算に対して一〇%、二〇%の見込み違いが出たということはないことではありません。けれども、補正後さらにそういう見込み違いが出たということは、これは絶えてないわけであります。四十八年、四十九年、五十年という激動の時代でもない。五十三年に法人税を取り込んで予測が非常にむずかしくなったという以後でもない。なぜ本年に限って補正予算後、いいですか、補正予算後、こういう二兆九千億円というようなべらぼうな歳入欠陥が出たのかという問題こそが、解明されなければならない問題であるというように思います。 お手元に資料があります。総理もごらんいただいたらおわかりと思いますが、五十四年度、五十五年度、大体十一月の累積の税収がほぼ五月の税収の動きになります。ですから、十一月が一月にわかる、あるいは二月、三月になればもうこの大勢は動かしがたい。これを変えようと思えば、突如として一月、二月から二七パーとか三四パーとかいうような、天井を向くような勢いで税収がふえなければならないということは非常に明らかです。ですから、われわれはすでに一月二十六日に、二兆数千億円の税収欠陥は必ず出ますよと言って発表をしてきたのです。 それがなぜこんなに大きい見込み違いが起こるのですか。その理由は、大蔵大臣、ただ一つしかない。他党の委員もいろいろ言われましたが、それも一部は当たっているでしょう。しかし、本当の原因は、五十六年度の歳入欠陥を認めたら、それを発射台とする五十七年度予算案を組めなくなる。五十六年度の歳入欠陥がもし四千五百億じゃなしに、三兆円は言えないにしてももし二兆円歳入不足になるということになれば、五十七年度の予算案も同様に少なくとも二兆円は減らさなければならない。そうすれば、総理の言う三年間で赤字国債をなくす、五十七年度も一兆八千六百億円減らす、こういうことができない。できないから、わかっておっても税収を多く見て、そして赤字国債をその分減らすということをやり続けて、三月、予算案の審議が終わるまでそれで押し通したんじゃないですか。 それ以外に、補正後こういう欠陥が出たことについては絶対に申し開きできない。五十七年の一月にはいろいろなことがわかっていた。輸出が十分大きな頼りだったけれども、その輸出がどんと鈍化したということもすでに一月にはわかっておった。鉱工業生産が四・何%落ち込んでおることもわかっておった。それなのにそういう粉飾予算を組んだのは、鈴木内閣の国民に対するいわゆる公約ができるかのような外観をとる、そのため以外にはない。そうじゃないですか。
○渡辺国務大臣 そういうように解釈されても困るわけでございまして、実は五十七年度の予算につきましては心配はあったのですよ。したがって、七千億円程度最初よりも少なく見積もろう。したがって、その分は増税をお願いをするという作業をやっておったわけですから、五十七年度が五十六年度よりも非常に楽になるとばかりは私は思っておりません。問題は、五十六年度の問題についていろいろそういうふうな議論があったことは事実でございます。それは民間でも国会などでも育った人がございます。 しかし、それは、どれくらいのものがしからば見積もれるか、幾ら減収になるかというと、その数字がつかめないわけですよ、一兆円になるのか三千億になるのか。そこで、これは専門家でないから私はわからぬわけですから、専門家が、はっきりした数字としては先ほど言った毎月月報、二カ月おくれの月報で出てきた源泉税、物品税、印紙税、そういうようなものでともかく確実にこれは少なくなる危険性があるという四千五百億ですか、四千五百億を十二月の中ごろ取り込んだということは事実でございます。 しかし、そいつをわざと隠すためにとかそういう悪意じゃなくて、それで一つは期待もかけておった。物品税が急に十二月でよくなりそうだとか、現にずっといい数字も出たわけですから、一時的には。それが線香花火のようで、予算の編成時期だけよくて、またそれがすとんと実際は落ちてしまった。そういうところに見込み違いがあったということは事実でございますから、それは大変不明であったということを私はおわびをしておるわけであります。
○正森委員 大蔵大臣としてはああ答えるよりほかはない、非常に苦しい答弁ですけれども、その答弁をもってしてもなおかつ、四十八、四十九、五十の激動の時代にも補正後は歳入欠陥が出なかった。五十四年も出なかった。それなのになぜ本年に限って出たかという、その理由を説明する材料にはならない。それは非常にはっきりしていることであるということを私は申し上げておきたいと思います。 結局、二兆九千億円としますと、決算調整資金で二千四百億、不用額で恐らく二、三千億出るでしょう。五千億としますと約二兆四千億円、これは国債整理基金から現金として繰り入れなければなりません。 そこで、理財局長に伺いますが、国債整理基金というのは、いま私の伺っておるところでは、時間がないから省略しますが、二兆五千三百億円ぐらいある。五月末までに、もう入っていると思いますが、定率繰り入れ五十六年分が約九千五百億円入ってくる。合わせて三兆五千億円しかないわけであります。その中から二兆四千億円も出すということは大変なんですね。仮に、大蔵大臣が二兆九千億円補正後歳入欠陥があると言うておられるのですから、それを前提にしますと、ほぼ二兆四千億円繰り入れなければなりませんから、大蔵省答えていただければいいと思いますが、九千五百億円はまあ現金、恐らくTBで使っているんでしょう、ある。また、七千億円ぐらいはTBで、ある。しかし、一兆八千億円は長期国債で持っているんじゃないですか。
○渡辺国務大臣 担当局長が見えませんから詳しいことは申し上げませんが、全部遊ばしておくわけじゃありませんので、長期と中期と短期といろいろまじっております。しかし、長期はできるだけ残す。中とかTBとか、そういうようなもので対応したい。その中身についてはいま報告できないことを遺憾に思います。
○正森委員 私は、すでに大蔵省の理財局から資料をもらっていますから、主計局長や主税局長にお答えさせるのは気の毒ですから私が答えますが、長期国債が一兆八千五十八億円ある。中期はないのです。あとは皆TB、短期証券だけですね、大蔵証券。ですから、これはすぐ現金にかわりますが、長期国債の一兆八千五十八億円というのは売らなければならないのです。そして、これに手をつけなければ、私の見るところでは、大臣の言う二兆九千億円の歳入欠陥があるとすれば、この一兆八千億円のうち六千億円ないし八千億円に手をつけなければ、年度末の歳入欠陥をカバーできないのです。 現在、それでなくても国債というのは値が下がって、金利が上がって困っているのです。国債整理基金というのは、そういうように値が下がったときに、それを支えるために買い出動するということも一つの目的なんですね。それを七月の八日ごろに歳入欠陥が明らかになれば、七月三十一日のたった二十日ほどの間に逆に売らなければならない。国債市況を逆に悪くする、こういう原因を総理、つくっているのですよ。そして、これは現行の法律では一年以内に返さなければなりませんが、本当に返すのですか。返して五十八年度予算が編成できるのですか。新聞には一部には、一年で返すというのは骨だから、数年以内に返せばいいということで繰り延べよう、こういう意向がありますが、大蔵大臣、そんなことは絶対にしないと言えますか。やるかもしらぬのでしょうが。
○渡辺国務大臣 現在のところ五十七年、八年、どちらの年度で返済するかということについては決まっておりません。今後の税収の見通し、景気の動向、五十八年度の予算の編成の問題等々あわして、全額五十八年度以降にするか、一部するかも含めまして今後慎重に検討してまいりたい。非常にむずかしい問題がたくさんございます。
○正森委員 申しわけございませんが、もう一問伺います。 国債整理基金というのは、国債の償還のために準備しているものですね。それが大蔵省の資料によっても、六十二年にはもうゼロになってしまう。返すに返せない。ところが、六十年からもし赤字国債の償還が始まれば、これは借りかえができないからどんどんふえる。それでは困るから、五十九年までに赤字公債発行をやめようというのが総理の財政再建の公約なんですね。ところが、国債整理基金に二兆四千億円も手をつけるということになれば、その肝心の国債を償還しなければならないところに手をつける。これがもし返せなければ、六十一年にすでに国債整理基金はゼロになってしまう、こういうことなんです。財政再建どころか、財政危機をさらに重大にしているのです。それがいかぬから、法改正せずに速やかに返さなければならないということになれば、これが二兆四千億円新たな歳出原因を加えることによって、ますます五十九年度赤字公債発行ゼロはできなくなる。こういうエントベーダーオーダーの非常な苦境に立つのですね、どちらかというと。 総理、こういう事態を招いておいて、本年度だけ税収欠陥があったからといって、総理が責任をとったり大蔵大臣が責任をとったり主税局長が責任をとったりする必要はない、こう言って澄ましておれるのでしょうか、伺いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 国債整理基金の埋め戻しの問題、これはただいま大蔵大臣が御答弁申し上げましたように、五十七年度の補正でやるか、五十八年度予算の際にやるかということをいろいろこれから検討していく、こういうことでございます。
○正森委員 私は、いろいろ検討すると言うだけで、結局総理の公約をお守りになるということは困難であろうと思います。そういう中で、なおかつ軍事費だけは突出されようとしておる。これでは国民は絶対に納得しないでしょう。 軍事費の問題に絡んで、核軍縮の問題についてこれから伺いたいと思いますので、関連質問をお許し願いたいと思います。
○栗原委員長 この際、金子満広君より関連質疑の申し出があります。正森君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金子満広君。
○金子(満)委員 私は、核戦争の危険、それから核兵器の完全禁止、使用禁止の問題を中心にして、主として総理の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。 御承知のように、昨年来、わが国を含め、ヨーロッパからアメリカから、世界の各地で史上かつてないと言われるほどの反核運動が広がりました。その中心的なスローガン、要求は、核戦争を絶対に起こさない、核兵器をなくしていく、そして米ソは核軍拡競争をやめろ、世界に平和を、これが大体中心のスローガンであったと思うのです。わが国においても、三月に広島で二十万人、五月には東京で四十万人の、これまた日本でもこの種の集会では前例のない大規模な集会が開かれて、核兵器の廃絶、核兵器の使用禁止を訴えました。同時にまた、そうした中で、現在も国連軍縮特別総会が開かれておりますが、六月の十二日には、一千万を超えるあの大都市ニューヨークで、百万人を超える、これもまた全米史上最大のデモにあの町が終日包まれたわけであります。 さて、そうした中でわが国では、「第二回国連軍縮特別総会に核兵器完全禁止と軍縮を要請する国民署名」が行われました。たくさんの学者や文化人、そして平和諸団体、社会団体、労働団体などなどが、俗に言う三千万署名でありますが、この署名を行いました。総理も御存じのことと思いますが、改めてその課題四つを申し上げます。 「一、広島長崎および核実験による被爆の恐ろしさ、被爆者の苦しみを世界の人びとに知らせること。一、核兵器の使用を人道に反する犯罪として禁止する国際協定をすみやかに実現すること。一、核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず、核攻撃を認めない非核地帯を世界各地に広げること。一、軍縮のための条約をつくり、期限をきめてきびしく実施すること。とりわけ、核兵器の完全禁止を最優先させること。」この署名は二千八百万を超えて、六月十日、私もその場に臨みましたが、国連のデクエヤル事務総長に手渡されました。いまこの署名はさらに続き、三千万人分に到達をしようとしています。まさに日本の人口の三分の一近くがこれに署名をしているということになります。署名の総数は世界では一億を超えました。 そこで、総理に改めて伺いますが、この四項目について総理は賛成であるかどうか、その点を伺っておきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 第二回の国連軍縮特別総会を前にいたしまして、反核の運動が世界的な広がりを見せました。わが国におきましても、大きな運動としての盛り上がりがあったわけでございます。私はその際に、署名運動をおやりいただいた各団体の代表から、いま金子さんおっしゃったような内容の署名の御説明も伺いました。また、その他の団体の、学者の皆さんの御提案の御意見も伺いました。さらに、各党各会派の代表の方々から、国会の御意見も伺いました。さらに、衆議院、参議院の両院の決議、これは国民を代表しての国会の決議でございますから、私はこれを特に念入りに、私の特別総会における演説にも反映をさせたいということで努力をしたわけでございます。 そのように、私は国連に出席をし、演説をするに当たりまして、全国民的な御意見、立場というものを反映してこれを訴えたいということで、その点につきましては努力をいたしたことは御承知のとおりでございます。
○金子(満)委員 総理、私が伺っておるのは、この四項目の内容を支持できるかということなんです。その点はいかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 ですから、いま四項目だけでなしに各方面の意見を私は代表して、国連特別総会で日本の総理として演説をした、訴えた、こういうことを申し上げておるのでありまして、その一つ一つをいまどうこうということを申し上げるより、全体として国民的な立場で訴えた、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○金子(満)委員 これは非常に具体的な問題でありまして、国連総会でも、また六月十二日のニューヨークのデモでも、この四つの基本的課題というのは圧倒的支持を受けたわけです。これは総理、それ以上答えなければ、時間もありませんから、具体的に一つ一つの問題で明らかにしていきたいと思います。 私は、ことしの一月二十八日の衆議院本会議の代表質問の中で、広島や長崎で亡くなった幾十万の人たちがいま原爆をなくせという声を上げることができないとすれば、生きてこの政治の衝にあるわれわれこそ、核兵器の完全禁止を初め当面の緊急課題を訴えるべきであり、第二回国連軍縮特別総会に対してはその点で具体的な提案をすべきであると述べました。国連総会で総理の演説も聞きました。 そこで、具体的に伺いたいのですが、核兵器の使用問題です。レーガン大統領は、しばしば核兵器の先制使用はあり得るということを公言しておりましたが、同時にまた、アメリカのロストウ軍備管理軍縮局長は、この二十日にも、つまり国連総会が開かれているそのさなかにも、核兵器の先制使用があるという立場を公言されました。これは非常に重大なことだと私は思います。 そこで、総理は、この春の本院の予算委員会で次のように答弁をされました。議事録もございますが、核兵器は絶対悪である、核兵器の使用というのは人道に反する、絶対に阻止しなければならない、このように言われましたが、いまでもその立場に変わりはありませんか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、そういう基本的な考え方に立ちまして、国連の総会におきましても、二度と核の惨禍を繰り返してはいけない、核兵器を廃絶しなければいけない、こういうことを訴えた次第でございます。
○金子(満)委員 いや、私が聞いているのはそのことでなくて、この春の本院で総理が答弁されたこと、核兵器は絶対悪である、核兵器の使用は人道に反するんだという、このことは変わりないですかと言っている。
○鈴木内閣総理大臣 それを是認した上で、国連でこういうことを述べたということを言っておるのです。
○金子(満)委員 ところが、総理は、六月二十一日の衆議院の本会議で、わが党の瀬長副委員長の質問に対する答弁の中で次のように述べています。つまり、この核兵器の先制使用の問題です。欧州のように、ソ連が通常戦力の分野で圧倒的優位に立っている状況でアメリカが核の先制使用はしないことを表明すれば、米国の柔軟かつ効果的な防戦態勢に対する信頼性を失わせ、抑止力を損なうということが西側諸国の一致した基本認識である、わが国としても、これを理解している、こういうように言いました。これはいま総理が言った、特に、核兵器が二度と使われることのないよう云々ということと矛盾することだと思うのです。先ほども総理は、国会の決議の重要性について触れました。これはもちろん政府も総理も拘束するものでありますが、その国会の決議の中には「核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとる」、こういうことになっていますが、これも真っ向から否定して先制使用というものを理解する、認めるということになっていると思うのです。これは核兵器の使用というものを通常兵器に対しても容認したことであり、核戦争を肯定すると言っても言い過ぎではない。これは被爆国の政府にとってはあるまじき答弁だと私は思うのです。こういう点で、核兵器の先制使用あり得る、これを理解するという点では、いまもそういう考え方を持っているのですか。
○鈴木内閣総理大臣 瀬長さんの御質問が、私がベルサイユ・サミット、軍縮総会等に出席した後におきましてございました。 このベルサイユ・サミットにおきまして各国首脳の間でいろいろ意見の交換がなされたのでございます。その際に、西独の首相にしてもあるいはフランスの大統領等にしても、ソ連の圧倒的な地上兵力……(金子(満)委員「通常兵力」と呼ぶ)通常兵力、これの前に常に脅かされておる、そして、これを辛うじて抑止しておる、戦争、侵略を抑止しておるのは核兵器だけである、こういう立場で、戦争を避けるためにこれはやむを得ざるものである、こういうことが西側諸国の一致した意見でございまして、戦争というものをわれわれは絶対に避けなければならない、戦争の抑止というような観点から理解を示した、こういうことでございます。
○金子(満)委員 つまり、先制使用あり得るという立場を理解したという、そういうことだと思うのですね。ここでは、瀬長副委員長に対する答弁ではヨーロッパという限定はありますが、これはアジアの場合も同じような意味にとっていいのですか。アジアも同じだ、こういうように理解してよろしいですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、基本的に核の使用ということは反対でございます。これはあってはならない、こういう立場でございますが、圧倒的な通常兵力軍でもって侵略をされるような一大勢力があった場合、その抑止力としての存在というものは、ヨーロッパの指導者の人たちが多数の国民の生命、財産を守っておる、平和を希求してそういうことに対して対処しているということについて理解を示したということでありまして、アジアの場合についてどうこう申し上げておるのではございません。
○金子(満)委員 ロストウ局長は、そういう中で二十日には、米国の核の使用を辞さないという問題は、米国が欧州と日本に対して一貫して核の傘を提供してきておるのはそういうためだということで、先制使用あり得るということを否定していないのですね。いまの総理の考え方の中に私は非常な危険があると思うのです。つまり、通常兵器に対して核兵器で対抗する。つまり、それは抑止力だけではなくて先制使用あり得るということは、通常兵器がなくならないうちは核兵器もなくなりません、使用もあり得るのですということの証明だと思うのです。これでは核兵器の脅威から人類を解放するということはとうていできません。そうして総理、口では何と言おうと、通常兵器と切り離して核兵器は完全に禁止しなければならない、これが最優先課題なんだ、そして使用はどのような場合でも絶対にだめだ、これが被爆国の国民の共通の願いであり、私は国会決議の立場であり、また、国連の軍縮総会がどういう最終文書をつくるか、いま作業の過程であろうと思いますけれども、そういう点で多くの国々が核兵器の全廃と使用禁止を訴えておると思うのです。これを、通常兵器に対して核兵器でも対抗するんだ、そういう攻撃があり得るんだという立場で臨むことは大変なことだ、こういうように思うのです。 したがって、私は、いかなる場合においても核兵器の使用はさせない、核兵器の使用には反対である、これが国会の決議の立場であり、総理はそれを踏まえるということですから、核の使用には反対だ、どういうような場合でも反対である、先制攻撃ということでも使用はだめだという立場をここで表明されるように私は望みたいと思いますが、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 国会の決議は、私は非常に重要に受けとめております。核兵器の不使用、そのためには私は、核兵器そのものを削減をし、そして、なくするようにしなければいけない、これが根本でございます。そういう方向に向かって一歩一歩努力をしていかなければいけない。言葉はきれいであっても、一足飛びにそういうところへ行けない現実が存在するわけでございますから、日本としてはそれを着実に実現ができるような方向で国会決議の精神に向かって努力をしていくということを申し上げておきます。
○金子(満)委員 たまたま国会の決議が引用されますから、着実に一歩一歩ということとか、あるいはまた国連総会で、総理は、言うはやすく行うはかたいとか、千里の道も一歩とか、いろいろ言われました。しかし、国会の決議というのは、御承知のように、これまであった究極的には核兵器を廃絶するというその個所から、究極的という文字を全部削除しました。したがって、その中で「人類共通の崇高な目標である世界の恒久平和と安全に到達するため、被爆国日本国民の悲願である核兵器の廃絶を求め、」というので、これは直接求めているのです。だから、一歩一歩とかそういうことでなくて、いま核兵器を廃絶するというのは緊急の課題である、軍縮の中でも核兵器の廃絶、全廃というのは緊急にして中心の課題である、こういう立場が明確になっていると思うのです。したがって、一定の段階を置いてしかる後にというのは、総理はこの国会の決議の前の段階の見解だと私は思うのです。 それは外務省の五月に出した「軍縮問題と日本 第二回国連軍縮特別総会に臨んで」というパンフレットの中にも同じようなことが書いてある。これは多分国会の決議がされる前に出したのだと私は思いますが、それにしても外務省の考え方は、「単に核廃絶を訴える——それはそれとして大きな意味はあるのですが——それだけでは、効果をすぐに期待できるものではありません。」これは核兵器の全廃というのを後景に追いやっている、こういうことの裏返し、具体的な問題だと思うのです。したがって、総理は改めてその点を、核兵器の全廃ということが緊急の課題だというその位置づけを、国会の決議を踏まえるということで明確にされるように求めていきたいと思うのです。 そういう中で、もう一つ具体的に伺っておきたいと思いますが、軍事力の均衡論、国連で使った総理の言葉で言えば、力の均衡というその上に平和が保たれているという表現を国連で総理は主張されました。国会決議の中に、力の均衡論というのがあるのですか、ないのですか。お読みになったと思いますので、それは総理も拘束されるので、その点を明確に答えていただきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 私は、現実の世界情勢、軍事情勢、そういうことをあのくだりで言っているのでありまして、国会の決議をそういうぐあいに歪曲したり曲解したりして申し上げておるのではない、そういう厳しい国際情勢にある、それに対処してわれわれは恒久的な平和と安全を確保するためには、軍縮を、軍備管理を進めていかなければいけないし、それから生ずるところの余力を第三世界等の経済発展なり福祉の向上等に向けていかなければいかぬということにも触れたわけでございます。
○金子(満)委員 大変重大だと思うのです。私がいつ歪曲したのですか。私がどこでこの決議を歪曲しましたか。歪曲したのは総理だと私は思うのですよ。
○鈴木内閣総理大臣 いや、私が国会決議を歪曲してああいうことを国連で申し述べたのではございません、こう言っておるのです。
○金子(満)委員 だから、総理が歪曲して言っているのじゃないと言うけれども、総理の言っている力の均衡というのは、この国会決議の中にはどこにもないのです。ないだけではないのです。よろしいですか。「すべての核兵器保有国に対し」ということで、すべての核保有国は、アメリカであり、ソ連であり、イギリスであり、フランスであり、中国である、この五カ国であることは明白なんですから、それに対して核兵器の廃絶を、つまり究極的を取った廃絶を要求するんだということが明確になっているのです。だから、核兵器の廃絶という問題が緊急課題としてこの国会決議の中にある。ところが、それを総理は国連の演説の中では明確に出さなかった。そうして、いろいろの措置をという形で、この核兵器の廃絶の問題をずっと後ろの方に追いやってしまったというのが実際の状況だ、私はそのことを申し上げているのです。 こういう中で考えると、国会決議を踏まえてやると言われる中で、その国会決議の中にないことを力の均衡という形で、その上に保たれる平和という形で総理が国連で演説をしたということは、国会決議からの脱線であると言わざるを得ないと私は思うのです。力の均衡の上に保たれている平和ということであれば、その力の中には核兵器があることは当然ですよ。広島型の原爆の百万発分だと言われている。個数にしては約五万個近い核爆弾が米ソを中心にして核保有国の中にある。その五万個の核兵器の上に平和が保たれて、その上にわれわれがいる。核兵器と人類というのは共存できないんですから、そういう意味で私はこの力の均衡論の上に立っての問題というのは大いなる間違いである。 同時に、力の均衡というのはだれがはかるんですか。こっちとこっちが均衡したということをだれがはかりますか。絶対的均衡というのは、それこそ絶対ないんです。これは結局優位を競い合うということであって、軍拡競争に拍車をかけることになる。 総理がそういうようないろいろのことを言われますけれども、ことしの三月に総理が言われた中でこういう問題があります。これは総理が、ワインバーガー国防長官が来日した折に、日本の総理としての基本的見解というのを向こうに伝えたというのが当時新聞に出ております。その点でいくと、まず第一に、「西側が軍事力の面で優位に立つことは、」優位ですよ、「優位に立つことは、軍事的抑止力となり、軍縮交渉にも役立つと理解している。それには西側の結束が大切であり、米国は西側のリーダーとして、西側の結束が緩まないよう十分配慮してほしい。」こういう点でアメリカが軍事的な抑止力、軍事力で優位に立つことを激励している、こういうことだと思うのです。したがって、この力の均衡というものが結局は軍事力の優位競争であるということになるし、現に総理もそのように言っているわけです。こういう点について、この均衡論というものがどういう結果を生むか、その点を伺っておきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 私は、今後この軍縮、軍備管理を進めてまいります場合に、世界の現状、これを踏まえて、そこの中から核軍縮を最優先に考えながら軍縮、軍備管理をやっていく、こういうことを申し上げておるわけでございまして、力の均衡、そういうものをこれから形成をして、つくって、構築していかなければならぬということを申し上げているのではない。そういう現状というものをわれわれはとらえて、そこから核軍縮というものを最優先に考えながら削減をしていくという方向に努力をしなければならないということを申し上げておるわけでございます。
○金子(満)委員 言葉が違うだけじゃなくて、全然意味が違うんですね。核軍縮を最優先ではなくて、核兵器の廃絶を最優先、こういう立場でやるというのが世界の世論であり、日本の国会の決議の方向だ、私はこういうように思うのです。 それでは、ひとつ総理に伺いますが、国会決議が行われた直後の六月二日の外務委員会で、これはわが党の野間友一議員が外務大臣に質問をしておるのですが、アメリカが一万七千発の核弾頭を新しくつくる、こういう計画がある、このことについてどう思うかということに答えて、櫻内外務大臣は、「増強ということは好ましくございませんが、軍事力均衡の上からやむなくとられておる措置とするならば、理解をしなければならないと思います。」これはいま総理は、均衡をやってからということでなくて、いまの現状を踏まえて核軍縮をと言われたけれども、櫻内外相の言うこの点については同じ見解ですか。
○櫻内国務大臣 しばしばこの席上でも、核の抑止力の問題が取り上げられてまいったわけでございます。その核の抑止力の上からいって、現在、核及び通常兵力を含めての均衡の上から、もし、その均衡が破れるという事態があるならば、そのことによる憂慮すべきことを念頭に置きますならば、やむを得ない措置としてそういう核の増強も考え得られるということを申し上げたのであったと思います。
○金子(満)委員 外務大臣、あなた、そうすると、アメリカがいま核でおくれているからそこまで追いつくために一万七千発の核弾頭をこれからつくるということもやむを得ない、理解できるということで、アメリカがおくれているということをあなたはおっしゃるのですか。
○櫻内国務大臣 東西の核戦力についての優劣というものについてはいろいろ論議がございます。ただ数だけでいくのか、能力を考えていくのか、いろいろな見解があると思うのであります。ただ、お尋ねのことについてはただいま申し上げたような見解を私が申し上げた、こういうことでございます。
○金子(満)委員 これは総理も聞いておいてもらいたいのですが、とんでもないことだと思うのですね。それは外務大臣が何と言おうと、これはアメリカの第二次戦略兵器制限交渉、いわゆるSALTIIの首席代表を務めたウォーンキ元国防次官補がことしの四月に言っておる。「レーガン米大統領はソ連の米国に対する核の優位を主張して米国世論を誤った方向に導いている」「ソ連が核で優位にあるとの発言は無責任であり、START」、これは今度新しく発足する核兵器、今度は削減交渉の方ですね。「STARTを危うくする」「米国の戦略的核戦争遂行能力がソ連に劣っているという認識が基本的に誤っているため、兵器削減のために軍備を増強するといった考えになる」と言っている。これは専門家が言っているのです。 こういう中で一万七千発の核弾頭を新しくつくる、こういう点に賛意を示し理解を示しているということ、これは総理、いまお聞きのように、私は間違いである。こういう点は総理の言う核軍縮にも反しているし、ましてや核兵器の全廃にも逆行している、こういうことになると思いますが、どうですか。
○櫻内国務大臣 お尋ねについての私の答弁は、理解を示すということであるわけでございます。しかし、いろいろの御質問があって、現に米ソ間で中距離核戦力の削減交渉であるとか戦略兵器の削減交渉が行われておって、私が繰り返し申し上げておることは、そういうことが速やかに行われて、そして低いレベルの均衡に到達するようにしてもらいたい、こういうことも一方においてるる述べておるわけでございまして、その一部だけを取り上げて何か私が核廃絶というものに逆行して核戦力を増強するためにいろいろ言っておる、そういうとり方というものは、質問の全体あるいは繰り返しこの場で言われておるところをよく御理解をしていただかなければならないと思います。
○金子(満)委員 私も、理解するとかしないとかじゃなくて、現実に数字を挙げて一万七千発の増強計画ですよ、核弾頭ですよ、それでどうですかと言ったら、増強ということは好ましくないけれども、均衡を保つということであれば理解をしなければならないというので、核軍拡の方向に賛意を表したということは事実なんですね。こういうことは前後を見ても同じなんです。前後を見てもそのことを支持したことに変わりはないのですから。こういう点は明確にしておきたいと思うのです。 そこで、時間も参りましたから最後に申し述べておきたいし、答弁を求めたいのは、総理は国連でも、日本を含めたアジアの限定核戦争の危険ということについては触れられませんでした。しかし、実際には、アメリカが八四年から太平洋艦隊に核装備、核弾頭をつけた巡航ミサイルを配備するということは公表しています。これと同時に、ソ連はどうかと言えば、ソ連のペトロフ科学アカデミーの極東研究所の日本部長は、これに対して、一年、二年後にはソ連も同様の対抗措置をとらざるを得ない。これは米ソでどんどん中距離核ミサイルを極東アジアに配備するという、この競争になると思うのです。まるで核ミサイルのジャングルの中に日本が置かれるような状況になる、日本が核戦場になる。ですから、私はこういう中で、アメリカに対しても巡航ミサイルの配備は絶対にするな、反対である、同時にソ連に対しても極東からSS20を撤去せよ、この両方を同時に要求をすべきだ、この点を総理に伺っておきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 私は、ベルサイユ・サミットの開催の直前にレーガン米大統領と個別会談をいたしました。その機会に、戦略核兵器の削減交渉、それから戦域核の交渉、特にヨーロッパにおけるところのアメリカが提案をしたゼロオプション、これを日本は支持しておる、したがって、この交渉に当たっては、ヨーロッパだけを考えるのではなしにアジアに対してもぜひそういう考え方で米ソ間で話し合ってもらいたい、特にSS20の極東配備、これを絶対に避けるようにしてほしい、こういう要望を強く求めておいたわけでございます。(金子(満)委員「アメリカに対しては」と呼ぶ)アメリカに対してそれを言ってある。アメリカとしては、そういうSS20を極東に配備をソ連がしなければ自分の方でもやる考えはないということは言っておりますし、根本は、日本は非核三原則をあくまで堅持しておりますし、日本に対する巡航ミサイル等の配備などは日本としては絶対に受け入れるわけにはいかない。事前協議は必ず、あった際においてはノーと拒否をせざるを得ないという立場も明らかにしてあるわけでございます。
○金子(満)委員 最後に一言。西側の一員の立場で発言をされて、答弁をされておりますけれども、被爆国日本というのは世界に一つしかありません。ただ一つの被爆国であります。その政府は、被爆者、被爆国民の側に立って、アメリカにもソ連にも、核保有国のすべてに対して、核兵器の廃絶、これが緊急の課題であり優先的な課題だ、使用禁止はすぐやらなければならない、この立場を要求する、このことを政府に強く求めて、質問を終わりたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど正森議員に対する答弁の中で、不適当な私の用語がございました。この点は取り消しさせていただきたい。今後十分注意したいと思います。
○栗原委員長 これにて正森君、金子君の質疑は終了いたしました。 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 私は、一番最初に、日立、三菱電機産業スパイ問題について一言だけお伺いをいたしておきたいと存じます。 大内委員も取り上げましたけれども、この問題に関連する法的な問題としては、いわゆる日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約及び関係文書、これの第二条の一項、それから、これに基づく国内法の逃亡犯罪人引渡法、これの第二条三号及び四号、それから国際捜査共助法、これの第二条第二号、いずれもこれは日本とアメリカ双方に犯罪が成立しないと引き渡せないことになっていますね。 そこで問題は、果たして今度の犯罪と言われるものが日本の刑法に触れるかどうかでありましょう。真相の全貌がわかったわけではありませんけれども、今日までの新聞の報道等を総合してみますと、どうもアメリカでは窃盗と言っておりますけれども、日本の刑法では窃盗ではないように思われる。これはあくまでも前提があります。それは、FBIの捜査官がIBM社から合意の上で所持したものを日立等の社員に渡したという前提で考えるならば、これは日本の刑法第二百三十五条に規定する「他人ノ財物ヲ窃取シタル者」には該当しないわけであります。 また、これも新聞によるものでありますけれども、米国の司法省、これは盗んだ産業情報の運び出しの企画は五年以下の懲役及び一万ドルの罰金であるとしておりますけれども、これを日本の刑法で考えれば、第二百五十六条第二項の「贓物ノ運搬」には該当しない。なぜならば、この場合もFBIの捜査員がIBMから正当に手に入れたものであるから贓物ではないのである。盗んだ情報の受領は十年以下の懲役、一万ドルの罰金であるとしておりますけれども、このように盗んだものでないものを受領して対価を支払っても、日本刑法第二百五十六条第二項の規定する贓物の故買罪には該当しない。 したがって、本件の場合は、日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡し条約第二条の規定及び逃亡犯罪人引渡法の規定からも、引き渡しの問題とはならないと考えますが、法務大臣、いかがでありましょう。
○前田(宏)政府委員 今回の問題につきましては、ただいま仰せのような問題ももちろんあるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、何分にも事実関係がまだはっきりしていない現段階でございます。こういう段階でいろいろと申し上げますと、誤解と申しますか混乱と申しますか、そういうことも起こるような気もするわけでございます。 先ほど御質問いただきましていろいろお答えをしたことが先ほどの夕刊に出ておりましたが、何か私が引き渡しには消極的で、共助なら何とかなるというようなことを示唆したというような見出しがございましたが、私はそういうことを申したようなつもりではございませんで、共助なら共助の法制があるという程度のことを申したつもりでございます。 そのようなこともございまして、事実関係がはっきりしておりません現段階で具体的にいろいろと申し上げますと問題も起こるのじゃないかというふうに思いますので、そういう問題も含めて慎重に検討いたしたいという程度にさせていただきたいと思います。
○楢崎委員 次に、政治倫理の問題に入りたいと思いますが、昨日総理は、大出質問に答えて、灰色問題は司法的には決着済み、その根拠として総理は、五十一年十一月二日ロ特の刑事局長の報告、これを根拠にして、職務権限なし、あるいは時効にかかっておるから起訴はできなかった、それをもって司法の方は決着済みだ、そういう答弁をなさいましたね。間違いありませんね。その根拠は、五十一年十一月二日のロ特における当時の安原刑事局長の報告のように答弁されましたね。
○鈴木内閣総理大臣 司法的には決着という意味合いの中には、いろいろ私は考えているわけでございますが、六月八日のあの橋本、佐藤両氏に対する判決、その中に引用されておりますところの二階堂、加藤六月氏等に対してのあの部分、そういうようなものも総合的に判断をいたしまして申し上げたつもりでございます。
○楢崎委員 五十一年十一月二日のロ特における安原刑事局長の報告にしろ、いまおっしゃいましたいろいろな根拠にしろ、時効にかかっておる、職務権限がない、したがって司法的には決着済みだというところだけを引き抜いて認識されては困るのですよ。その前段に金銭の配付があったということが全部一体となっているのです、あの報告でも何でもいままでのものは。その点はお認めになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 いま楢崎さんおっしゃったようなことがそういう点に触れておるということで、それは承知しております。
○楢崎委員 法務大臣は何か本会議の答弁で、あの六・八判決のいわゆる灰色高官と称せられる者に対する金の配付については、直接の表現を避けておるゆえをもって、判決が金の配付を認定したとは法務大臣は思ってないのですか。どうなんです。
○坂田国務大臣 参議院本会議におきましての私の答弁なんですが、金銭授受の事実は六・八判決によって裏づけされたと受けとめてよいかという質問に対して、今回の判決は橋本、佐藤の両氏に対するものでございますし、他の政治家につきましては、右両氏に対する有罪認定との関連において言及はしておるけれども、これらの政治家に対する金員授受の事実自体は直接的には認定されておらない、なお、しかしながら、橋本氏及び佐藤氏の有罪認定の証拠とされた伊藤宏証人及び副島勲証人の証言の信用性に関する判示部分において、他の五名の政治家についても触れているところがあるが、何分にもお尋ねの点については判決言い渡しに際して配付された判決要旨の上では明示されておらない、だから断定的なお答えはいたしかねますというふうにお答えをいたしたわけであります。
○楢崎委員 そんな形式論理なことではだめですよ。いいですか。もともと本件は三十ユニット領収証に相当する三千万円の配付の問題であって、だから、これは七人とも関係者は一体不可分の関係にあるのですよ。いまおっしゃったとおり、伊藤らの調書が採用されましたね。そして、その判決は、その伊藤らの調書の中で橋本、佐藤両被告に対する部分だけがたまたま信用性があるなどということじゃないのですよ。冗談じゃないです。これは全体が一体のものとしなくては判決は書けないのですよ。だから、もともとこれは直接の表現は避けたかもしれないが、事実上五人の灰色高官に対する、うち一人は田中元総理ですけれども、灰色高官への金の配付は事実上認定されたとしなければおかしいと私は思うのです。どうでしょう。
○坂田国務大臣 判決要旨の記載につきましては、読む人によりましてそれぞれ受け取り方があるというふうに思いますけれども、私は、これに記載されておりますところをできるだけ客観的に申し上げたつもりでございますし、そのことは判決要旨を文字どおりお読みいただくならば御理解がいただけるものだと思うのでございます。
○楢崎委員 かって、先ほど申し上げた五十一年十一月二日のロ特の安原刑事局長の報告にもきちんと出ているのですね。そして、元法務大臣の稻葉さんも信憑性をきちんと言明している。あなたのいまの答え方だと、その点は稻葉さんと非常に違いますね。それはそれとしておきましょう。 私は、いわゆる五十六年七月十四日の二階堂氏が議長あて出された上申書の点について触れてみたいと思うのであります。総理は読んでおられますね。もちろんそうでしょう。党の要職である幹事長に据えられるくらいだから、当然読んでおられると思う。 この上申書が、どういうわけか知らぬけれども、議事録に掲載された。この議事録に掲載されたということは、これは国会によって二階堂氏の潔白証明がなされたというふうに総理はお考えですか。どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、衆議院議長のもとにそういう上申書が二階堂氏から提出された、こういうぐあいに認識しております。
○楢崎委員 私は、これがどういう理由か知らないけれども、ほかの野党委員の反対を押して議運委員長がばたばたと議事録掲載を小沢委員の動議によって決めたのですね。野党は全部議運委員会で反対した。 この上申書は、要約してみると、ポイントは、いまも言われましたけれども、まず天地神明に誓って潔白である。それから、自分に資料の検討、反論、反対立証の機会を十分保障し、国会の責任において事実の確認の手続をとる必要がある。具体的な反論弁明することはできないのか。これが二番目です。本員のこうむった名誉棄損の問題は、本員個人の問題であるにとどまらず、議会制度と国政調査権の行使にかかわる重要な基本問題である。そのとおりです。これが三番目。よって、四番目、名誉回復の方途について議長はしかるべき措置を講ぜよ、そういう上申書であります。 私は、この上申書はまことに身勝手な言い分であると思う。果たしてここで言うとおり、二階堂さんが主張するとおり、身の潔白を法的に争う場とチャンスがなかったであろうか。私は、その場とチャンスは、少なくとも私の知る限りにおいては二回あった。法的に二回あった。そして、そのチャンスと場をみずから放棄した。だから、この上申書の弁明の機会が与えられないというのはうそである。これは先ほど正森委員も指摘をしましたが、さらにこれを明らかにしてみたいと思う。 五十三年四月三日の伊藤証言に対して、二階堂さんは直ちに名誉棄損として一千万円の損害賠償の民事訴訟を起こしたはずであります。このときの伊藤証言とは、まさに全日空ルート第四十七回公判における証言であります。そして、例の、二階堂先生の場合は官邸の下の方、坂を下ったところで官邸の同じ屋敷内、官房長官公邸であります、本人に会いました、応接間で会いました、そして金を差し上げました、先生は自然にそれを受け取られましたというくだりの証言です。これに対して名誉棄損としていわゆる損害賠償請求がなされた。この結末はどうなりました。
○前田(宏)政府委員 民事裁判のことでございますので私どもの所管ではないわけでございますが、結論的に申しますと、原告の方から訴えの取り下げがあって終局に至ったというふうに承知しております。
○楢崎委員 このときの取り下げの理由は、新聞報道によると、自分は公人で相手は民間人である、だから、こういうことで目くじら立ててやるのはどうかと思うので引き下げたというふうな取り下げの理由のようであった。しかし、公人であればあるほど、逆にこれは明らかにする必要があるのじゃないですか。公人であるから民間人と争えない。公人であるからこそ、逆にはっきりする必要があったのである。なぜこれを取り下げたのか。絶好の機会じゃありませんか。民事といえども自分の身の潔白を証明する絶好の機会である。なぜ取り下げたんでありましょうか。これは真相解明が法廷で裁かれること、これを避けられたのではないか。これはわかりません。本人から聞かないとわからない。 二番目に、橋本裁判に関して、橋本弁護団はたしか五十五年七月三十一日、二階堂氏を証人として申請した。なぜ申請したか。結局、その橋本事件も三千万円のうちの五百万円をもらった事件。二階堂さんもその中から五百万円もらっておる。しかし、二階堂さんはそれを否定している。だから、証人として申請してそれを主張してもらえば、橋本裁判も有利になるのではなかろうかという橋本弁護団の要請によって証人申請されたのです。これは結末はどうなりました。
○前田(宏)政府委員 結論から申しまして、五十六年の一月にその証人申請が撤回されたと承知しております。
○楢崎委員 撤回されるかわりに、何か証拠申請をしたのじゃないですか。
○前田(宏)政府委員 そのかわりということが当たるかどうかと思いますけれども、国会のロッキード特別委員会におけるいわゆる弁明といいますか、その議事が掲載されている議事録、これが証拠申請されたと承知しております。
○楢崎委員 それは採用されましたか。
○前田(宏)政府委員 それ自体は採用されております。
○楢崎委員 ここでも相争う機会があった。これは二回目です、法的に。あったのですよ。ところが、これはみずから放棄したのじゃないですか。つまり、もし私が疑う点が違うのだったら、本人、ここへ来てもらいたい。なぜか。いいですか。本来ならば堂々と自分の潔白を証明するチャンスでありますから、やればよかった。ところが、なぜか証人申請して二カ月たったころから、だんだん申請の取り下げ運動が始まった。これはうまくいかなかった。そこでやっと、いま局長が報告したとおり、五十一年十一月四日のロ特における二階堂氏の弁明が載せられた議事録を証拠として、取り下げるかわりに申請したのですよ。これは申請した。なぜこういうことをやるのか、もし自信があったら。これは私はわからないのです。 そこで、こういう疑いが起こるじゃありませんか。もしこれが私が間違いであれば、本人がここへ来て言ってもらいたい。いいですか。もし証人として申請されて、私の身は潔白です。あそこで証言したとする。証人台に立って、宣誓をしてですよ。もしそれが虚偽であれば、直ちに別の刑法第百六十九条偽証罪、三カ月以上十年以下の懲役に処せられる。これが恐ろしかったんじゃないですか。それ以外に考えられない。こんなに上申書で、身の潔白を証明する場所もない、これほど開き直っておりながら、どうして過去二回、そういうりっぱなチャンスが法的にもあったのに、なぜでしょうか。だから、この上申書の潔白を証明する場がないというのはうそである。少なくとも、うそである。そうでしょう。どうですか、総理大臣。
○鈴木内閣総理大臣 ちょっと、私に聞かれましても御答弁のしようがございませんが、お許しを願いたいです。
○楢崎委員 なかなか答えにくいのはわかりますよ。しかし、これは事実です。事実なんだ。だれだってこう思いますよ。恐らく、テレビをごらんの皆さんもそう思われると思う。私もそう思いますよ。 そこで問題は、この五十一年十一月四日のロ特の弁明議事録が証拠として採用された上、六月八日、証拠能力がないということになってああいう判決が出たんじゃないですか。そう思わざるを得ないでしょう。信憑性があれば採用して、その証拠を尊重したかもしれない。全然ほごのごとくその信憑性はついえ去った、これが六月八日の判決要旨の一つの問題点でありましょう。 そこで、私はもう一つわからないことがあるのです。総理は先輩ですから教えていただきたい。いいですか。この上申書の内容と五十一年十一月四日の二階堂さんの弁明は同じなんだ。だから、五十一年十一月四日の弁明が信用性がないということになると、同じである上申書もこれはうそだ、こうなる。それを議事録に載せた。うその上申書をわざわざ議事録に載せたということになる。これは国会の権威においてどうなるのです。しかも、その内容たるや、まさに六・八の判決要旨と対立するものである。国会の権威と、司法の独立はありましょうけれども、これは相対立する。国会の権威にかけて、これは少なくとも黒白をつける責任があります。国会の権威にかけて、これは黒白をつける必要がある。 それは、証言法が改正されるまで証人は喚問されない、そういう時間的な余裕はありませんよ、国民の皆さんに対して。できないならともかく、できるじゃありませんか。先ほども言われたとおり、中曽根さんだって松野さんだって、現行の証言法で出たのでしょう。そして、今度に限って改正されなくちゃ嫌だなんというような政治家は、一体どういう政治家なんです。これはしかし、予算委員会で申し合わせをしております。それから、国対委員長の申し合わせもありましょう。現在、議院運営委員会小委員会で話し合いが続けられておるという事実は認めます。しかし、事態は急を要するから、それまでの間、じゃこれを解明するその手だてはないのかどうか。私はあると思う。 それは、かつて五十一年十一月四日、関係灰色高官と言われる人、四人出てまいりました。これは国会法による委員外議員の発言であります。私は、証人喚問が実現するまでの前段の予備審査として、この過去の慣例に基づいて、どうしても二階堂さんにここに来てもらって、委員外議員として発言をし、いま私が言った疑問点に答えてもらいたい。 これはその後、田中伊三次元ロ特委員長が、予算委員会、この場で、問題が起こって、福田ピン、いまの議長さんが法務大臣のときに……(「福田ピンとはだれだ」と呼ぶ者あり)失礼しました。福田一議長、そのときは法務大臣、の失言問題があって、田中伊三次ロ特委員長がやはり委員外議員として出席をされて、ここで質疑応答をやった経験があるのです。 これがロッキード事件の少なくとも二つの委員外議員発言の、これは慣例です。できないはずはない。 委員長、どうでしょうか。ぜひひとつ、これは申し合わせ事項に反することじゃないですから、これは理事会で検討していただきたい。どうでしょうか。
○栗原委員長 理事会で検討いたします。(「それは検討したよ」と呼ぶ者あり)
○楢崎委員 いや、委員外議員の発言は検討していないですね。 そこで、私は、中曽根長官にちょっとお伺いをしておきますが、中曽根長官は堂々とこの委員室に出て、現行法による証人喚問に応ぜられました。この証人喚問を受けて身の潔白を弁明、釈明されたわけであります。出ておってよかったと思われますかどうか。
○中曽根国務大臣 私は証人として証言いたしましたが、現在の証言法には非常に多くの欠陥がある。特に、刑事訴訟法あるいは民事訴訟法における手続から見ると、神聖な国会における証言法としては著しい欠陥があり過ぎる。したがって、こういうことをやるのは私を最後にしてほしい、そういう条件をつけ、また、そのことを強く要望いたしまして、そのとき原さんが委員長をしておいでになりましたが、了承していただいたものと考えております。
○楢崎委員 それはよく承りました。そこで、いま改正が行われておるのでありましょう。 私は、もう一つお伺いしておきたいのですけれども、加藤氏の問題であります。 加藤氏は、自分で証人喚問に出たいと言っている。(「加藤もたくさんいるよ」と呼ぶ者あり)これは加藤六月氏であります。証人として出て身の潔白を証明したいと言っている。これは個人の人権の問題であり、政治家として名誉の問題である。これを党で縛るなどということができるのですか。総裁として御意見を聞いておきたい。
○鈴木内閣総理大臣 私は、加藤六月議員のそういうお考えを党が抑えておる、阻止しておるというようなことは聞いておりません。
○楢崎委員 これは抑えることはできないと思うんですね。私は、加藤議員の潔白を証明したいというこの希望は早急に満たされるべきであると思う。 それで、加藤六月議員と先輩、後輩の間にある安倍通産大臣の御見解を承っておきたい。
○安倍国務大臣 加藤六月議員は、御承知のように、無条件で証人喚問に応じたい、どんな場でも出て身の潔白を証明したい、こういうことをはっきり申しておりますし、われわれにも言い続けております。したがって、私は友人の一人として、そういう場が与えられることを心から期待をいたしております。 ただ、その件に関しましては、いま党内でいろいろと相談をしておられる、こういうふうに承っておりますので、その経過を見守りたいと考えております。
○楢崎委員 先輩としての心情は理解をすることができます。 そこで、私は、この問題の最後に、総理にひとつ決意をお伺いしておきたい。 いま何度も確認されたとおり、誠意を持って各党が議院証言法の改正に取り組んでおる。そして、今国会中に証人の喚問を実現したい。総理もそれを指示するとおっしゃった。もし一定の段階で、この証言法の改正がなかなかできない、それで証人喚問が今国会中に間に合わないと思われる段階が来るはずです、情勢を見ておれば。それはそうでないことを望みますけれども、仮定の問題として、もしそういうことが明らかになりた段階で、私は、今国会中に証人喚問を実現をするという総理の決意に照らして考えれば、間に合わないと思われるときには、いま与野党で合意をしておる六項目は運営の中で十分生かされるのですから、少なくともその六項目は運営の中で生かしていくということを条件にして、現行法ででも、今国会中に証人喚問を実現する、こうでなくちゃ、この国会がもし外れたらもう次はどうなるのです。国民から見れば、国会、何やっておるんだと思われますよ。だから私は、この国会中に証言法が早く改正されることを望むけれども、それができないという判断が立ったときには、いま言ったとおり各党の合意六項目は運営の中に生かすことを条件にして現行法で証人喚問を実現する、このことについての総理の決断をひとつ促したい。
○鈴木内閣総理大臣 もうこの問題についての経過は、私、繰り返すことはこの際省きますが、当委員会における理事会で各党合意に基づいて、これを議長の諮問機関である議会制度協議会に要請をするということで御意見の一致を見て、それを踏まえて国会対策委員長の会談なり、あるいは議院運営委員会、協議会等におきましてこれを取り上げていただく、こういうことになっておりますし、自由民主党におきましても、二十五日までに自由民主党としての案をそれに提案をするという、前向きに取り組んでおるわけでございます。 私は、そういうように関係者の議員の方々が真剣に真摯に取り組んでおりますから、これが合意に達して、この国会中に証人の喚問がなされること、これを強く期待をいたしておるところでございます。
○楢崎委員 私が言っているのは、その改正がどうも今国会中に間に合いそうにないというのはいずれかの時点で判断できるわけです、そうならないことを望みますけれども。もしそういうときには現行法で、さっき言ったとおり、おやりになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 いま申し上げたように、関係者がみんな一生懸命努力をしておる際に、私が、できないかもしらぬというようなことを前提にしてお答えをするわけにはいかない。そういう時点でまた御相談いたします。
○楢崎委員 それじゃ、そういう時点のときはまた相談するということでありますから、その判断は各党がすることになると思います。それで、この問題は、何とか当場を逃れて先送りして解決する問題じゃないんですね、総理。そうでしょう。先送りして解決する問題じゃないのです。だから、こういう問題は早く決着をつけなければいけない。そうしないと、政界はもちろん社会全体もだんだん灰色になってしまいますよ。いや、本当ですよ。私は、これは早く決着をつける必要がある。どうも総理の言い方を見てみますと——私は総理を信用していますよ。あなたはいい人だ。仏の善幸と言われているいい人ですけれども、この問題の取り扱いは、私は、総理の政治倫理に対す作るいわゆる言動を実際に証明する試金石である、あるいはリトマス試験紙であると思うんですね。それで、その点を強く要望をしておきたいと思います。 次に、歳入欠陥の問題に移りたいと思いますけれども、大体もう各党がおやりになりまして、問題の所在はわかっておると思うんですね。それで、われわれの試算によっても大体同じです、少しの違いはありますけれども。われわれの試算によれば、五十六年度は当初予算に対して三兆二千三百億円程度、そして補正後二兆八千億程度の歳入欠陥がある。それから、五十六年度の名目成長率が七%から五・二%に下がった。これをそのまま五十七年度に直して計算すれば、大体四兆五千億程度の歳入欠陥が出るであろう。あるいは五十八年度は、このまま進めば六兆円ぐらいのあれが出るのではないか。各党大体一致していますよね。だから、この点はくどく申しません。 私は、この問題が、あなたがしばしば言われるとおり、予期せざる問題が起こってこういうことになったのなら、まだ責任問題は起こらないと思う。問題は、果たして予期せざる事態でこうなったのかどうか、あるいは予期されておったのではないか。もし予期されておりながらこういうことになったとすれば、政治的な責任は免れない、こう私は思うわけです。 それで、なるたけ重複を避けて申し上げますけれども、これは起こるべくして起こったのではないか、こういうことですね。総理は粉飾予算と言われたことに対して大変反発をされました。これは実業界の経験がおありの河本長官、粉飾決算とか粉飾とか言うときは、大体意図的に、入りもしない収入を入るかのごとくやってつじつまを合わせる、そういうことが粉飾じゃないんですか、教えていただきたい。
○河本国務大臣 大体そういうことだと思っております。
○楢崎委員 いいですか、そうしたら税収を希望的観測によって過大に見込んで、そのために無理してGNPを上げる、そして欠陥が出る、これを私どもは粉飾予算ではないか、こう言っておるのです。では、果たしてこれは予期せざるものであったかどうか、これが問題なんですね。 それで、先ほども何回も皆さんおっしゃっていますけれども、もしもこのGNP過大見積もりが政治的な意図に基づくものであったとすれば、まさに人為的につくり出されたものになるわけです。その疑いがわれわれにはある。なぜならば、たとえば五十七年度予算で見る限りは、御承知のとおり野党が事実はこういうことになります、ずっと各党とも追及したでしょう。そして、これは去年の十一月ごろからわかっておったんですね。だから、民間の方も、民間の調査機関も全部低目じゃないですか。低目にしている。GNPを大体三%ぐらい。全部そうじゃないでしょうか。それなのに、なぜこのように政府と民間との見込みの乖離ができたのでしょうかね。そこに問題があると思うのです。だから、突如として起こった問題じゃない。民間の方も早くから指摘している。野党の方も早くから指摘している。ただ、聞かなかったのは政府だけである。私も傍聴して聞きましたけれども、これが最善であると言い続けてきましたね。 そこで、早い時点で歳出を切るとかあるいは何らかの手を打っておけばまた救いようがあったかもしれないという悔いが出てくるわけです。 そこで、私は、各党ともおっしゃっているとおり、早く補正を組むべきである。そうしないと対策がおくれる。それを十二月ごろまでもし模様を見る模様を見るで行かれて、十二月に入って補正をされるというようであれば、またまたいまからそれまでの政策的な空白ができるのではなかろうかということを心配する。いまから模様を見て景気対策でもやりますとおっしゃっているけれども、総合的な対策がその空白のためにおくれるのではないか。それを私は心配するわけです。そういう私の指摘に対して、そういうことは全然ないんだと大蔵大臣はお思いでしょうか。
○渡辺国務大臣 経済は生き物でございますから、そういうことが全然ないなどという大それたことは私は申し上げません。過去のなにから照らして税収に不足が出るのではないかという心配があっても、私は少しも不思議ではないと思っております。しかしながら、再三言うように、たった四、五というのですが、五月までの収入というのはもう前年度に入ってしまうわけですから、事実上は六月から来年の五月いっぱいの収入、スタートしたばかりでございます。世界の景気もことし後半からよくなるという見通しで、大体IMFや何かも全部そうでしょう。したがって、断定的に、ことしといっても幾ら幾らそれじゃ少なくなるんだ、仮にたとえばの話、いまの予算を直すというからには幾ら直すんだ、それは幾ら直すんだかわからぬ、大体少なくなりそうだからその分といっても、やはり説明するためには幾ら直すのかという問題が一つ出てくるわけでございます。 そうなりますというと、経済見通しはそのままにしておいて、早急にそれは変わったんだから税制の方だけ直してしまうということも実際はできない問題でございます。したがって、そこの点は、九月になりますと一応の年度の経済見通しの見直しというのも例年やっておることでもございますから、前半はできるだけの景気対策はいまやっておるわけですから、それが出たならばなるべく早い時期に、もしそういう場合には、仮定の場合でまたしかられるかもしれませんが、そういう場合には何らかの適切な措置を講ずるということは当然しなければなるまい、しかし、いまのところはそこまでは考えていないということを申し上げておるわけでございます。経済は生き物ですからどう転ぶか本当にわからないというのが真相だと私は思っています。(「どう転ぶかわからないとは何だ」と呼ぶ者あり)どういうふうに展開をしていくかということです。
○楢崎委員 いや、どう転ぶかわからないからどうしようもないんだ、それだったらだれでもできるじゃないですか。私だってひょっとしたらできるかもしれない。 それで、もう一つ私は心配するのは、確かに五十七年度の予算ではゼロシーリングをやられましたよ。そして、一般歳出の方では伸びを一・八、全体では六・二%に抑えられたのは評価しますよ。ただ、実現困難な高目のGNPを前提とされたために、実は優先度が低い歳出項目をもそのために温存することになったのではなかろうか、歳出がそのために十分いかなかったのではなかろうか。で、厳しい歳出カットの要請を一時的にこのために回避されたのではなかろうか。それを私はもう一つ心配するのですね。それでこういう結果になったのではないか、これを心配をするわけです。 そこで、これからの問題としてこの歳入欠陥の解決の問題について考えなければならないのは、赤字国債と歳入欠陥との関係も真剣に私は検討してもらわなくちゃいけない。それで、先ほども大内さんがちょっと触れられました参議院において総理がおっしゃいました見直しの問題ですね。この中にはいわゆる隠し資産というものをある程度取り崩すというようなことも考えなさいということがあるのじゃないかという気がするのです。それで、公明党の正木委員がこういう積み立てがあるということをずらっと言われましたよね。 その際に注意しなければならないのは、その取り崩し方いかんによってはこれがインフレマネーになるということじゃないでしょうか、私はそう思うのです。たとえば、だれかも指摘されたとおり、資金運用部の金を、十六兆国債持っているんでしょう、これを日銀に買わして、そしてまた新しく資金運用部が買い込むなどということはまさにインフレマネーの象徴ですよね、こういうことをやるのは。市中で消化すればそれは防げる。だから、こういうことはひとつ厳に慎んでもらいたい。インフレマネーになることだけは慎んでもらいたい。その点の見解のほどを聞いておきます。
○渡辺国務大臣 これからの経済の運営をどういうふうにやっていくかという点につきましては、私はかねて申し上げておりますように、まず、せっかく安定している物価に火をつけるということは困る、極力物価の安定を図りながらじみちな経済の運転といいますか、そういうように持っていきたい。したがって、十分にそれには気をつけていかなければならない。 いずれにいたしましても、歳出はできるだけ詰めるけれども、どうしても詰め切れないというものについては、何らかの財源は手当てをせざるを得ないわけですから、これはだれが考えても。だから、その財源をどうするかという問題については、まず不急不要のものがあればそれも売り払う、あるいは積立金も取り崩す、あるいはできるだけのことはまずやらなければならない。そのほかに国民にどういうような受益者負担を求めていくのかどうかという問題もこれは検討しなければならない問題だ、そう私は思っております。
○楢崎委員 それから、私は、下半期のいわゆる景気対策としての問題について若干の危惧を表明しておきたいと思うのです。これはちょっとほかの党と違うかもしれませんけれども。 これは河本長官にお伺いをしておきますけれども、建設国債で与党の方から一兆ないし三兆の追加の要請が出ておるようであります。結局、国債が過剰、これは言わないでも皆さん御存じのとおりです。この供給過剰が続きますと、構造的に非常に高い長期金利を続けさせることになりますね。そうすると、このことは景気回復の上で最も期待されておる、たとえば住宅投資あるいは設備投資、これの動向にも大きな制約が出てくるのではなかろうか。それで、景気刺激のためということで建設国債を発行することが、運用いかんによったら景気回復の足を引っ張るというような懸念なきにしもあらずという感じがするのです。この点について河本長官のお考えを聞いておきたい。
○河本国務大臣 これからの経済運営の基本的な考え方について簡単に申し上げたいと思います。 一−三月の経済動向を先般発表いたしましたが、大体三・三%見当の成長が続いております。また、五十六年度の経済、成長率にいたしますと御案内のとおりでございますが、GNPの規模にいたしますと、政府の方では二百五十五兆強の経済規模になるであろう、このように想定しておりましたが、大体二百五十一兆強の経済になりまして、経済の規模としましては約四兆見当の相違が出ております。 現時点の経済の動きを見ますと、ことしは二百七十兆強の経済規模を想定しておりますが、それに対しまして現時点の勢いが続きますと、ざっと五兆ぐらいの最終の需要不足になるのではなかろうか、このように思われます。 そこで、それでは困りますので、上半期公共事業を最大限前倒しをしていこう。これを誘い水にいたしまして、下半期に民間経済の力が出るようにしたい、こういう作戦をとっておるわけでございます。公共事業というのはGNPに対しまして大体九%であります。しかし、個人消費の方はGNPに対しましては五十数%でありますし、それから民間の設備投資はことしはGNPに対しまして一六%を想定をしております。また、住宅投資はGNPに対しまして約六%、それから輸出の方はGNPに対しまして一三%ぐらいを想定をしておりまして、これらの民間経済の規模というものは公共事業の十何倍かになるわけでございまして、この分野で力が出てまいりますと、国全体としての最終需要は十分拡大をするわけでございますので、そこで、この誘い水としての公共事業の前倒しが民間経済全体にどのような影響を及ぼすのか。もし民間経済に力が出てまいりますと、それは何も追加をしなくても国全体としての最終需要は十分賄える、こういうことでございますけれども、もし力が万一出てこないということになりますと何らかの追加政策が必要である、こういう判断でございます。 しかし、その場合にインフレを起こしちゃいかぬという御注意でございますが、政府の方といたしましては物価政策を最重点に考えております。幸いに現時点は大体二%前後の物価水準が続いておりますので、この点は大変やりやすいと思っておりますが、物価政策最優先ということで政策を進めてまいりたいと考えております。
○楢崎委員 軍縮の問題について総理にお伺いをしておきます。 私も九日の日、国連総会で総理の演説を聞きました。大変りっぱな演説です。私もそう思います。で、終わられて各国の人から盛大な拍手が起こったこともこの目で見ました。私は、訴えられたこと、そのことは大変評価いたします。ただ、その一面、演説がりっぱであればあるほど、国内における日本の核問題に対する対応が違い過ぎる。演説内容と実際の言動が乖離しておる。そのことに私はひそかなむなしさを感ぜざるを得ませんでした。もちろん、私はあの会場では大いに拍手をしました。握手もしたいぐらいな気持ちでした。しかし、それは外国ですから、国内ではこれはやはり厳しく言わなければならないところは言う必要がある。そこで、どこでむなしさを感じたかというと、幾つもありますけれども五つぐらい挙げてみましょうか。 まず、反核を訴えられておるのです。ところが、実際、日本はその核の抑止力に頼っておられる。あなたは先ほど核は絶対悪だとおっしゃった。しかし、核抑止力に頼るというこの思想は、核はやはり必要悪なんだ、こういう思想に立っておるわけですね。だから、この二律背反、この矛盾と申しますか、これを克服しない限り、いかに反核を訴えても私は説得力がないと思う。二番目に、核が二度と使われることのないようにと総理は訴えられました。その反面、今度は核の不使用決議が出ると反対をする、実際には。そして、日本国内では、地方議会が反核・軍縮の決議をしようとすれば、与党の方から圧力がかかって、そんなことはやめろ、決議なんか行わないようにしなさいという指導が行われておるやに聞いております。それから、四番目に、軍縮を訴えられておる。ところが日本では、この財政困難のときに、防衛費は別枠として防衛力の増強路線をとっておられる。これは一体どうなのか。そして、五番目には、広島、長崎の原爆の被害の悲惨な資料をあの国連に提示する場をつくってくれ、そして、これが世界の皆さん方の参考になれば、それが反核運動に非常に貢献すればいいことだと訴えられました。私は感銘しましたよ。ところが、一方において、文部大臣どうですか。教科書ではそういう被害の悲惨なところはだんだん抜けていっているんじゃないですか。だから、そういう訴えられておることと現実の行動の乖離というものに対して私はそらぞらしさを感じたのです。 それで、私はこの問題について総理に一点お伺いをしておきますが、西ドイツのシュミット首相は、あのSS20とパーシングIIのはざまにある、だから戦域核の削減について米ソがその交渉をやってくれという提案をなさいましたね。それが実現したのでしょう。そして、始まりましたね、削減交渉が。だから、日本の総理大臣も、あなたはせんだって環太平洋の平和五原則というものを提案されました。その中に平和の海ということがある。いまや日本海、西南太平洋を中心にして核の海になっている。実際はSLBMの海になっている。だから、この際、西ドイツのシュミット首相と同じように、平和の海を主張された以上は、具体的な行動として、このSLBMが太平洋や日本海で削減されるように、そして、やがてはなくなるように、米ソに対して交渉を始めることを訴えられることを考えていただけませんか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、ベルサイユ・サミットの機会に、レーガン米大統領と個別会談をいたしました。その際における最も私が重要な問題として取り上げましたのは、ニューヨークの国連特別総会に出席をする直前でございましたし、この機会をぜひ利用してレーガン大統領に訴えておきたいということで、この極東の地域からもソ連のSS20の配備、絶対にこれを撤去するように、そしてアメリカもそれに対応して巡航ミサイル等の配備をやらない、日本は非核三原則を堅持しておりますから、そういう立場でアメリカのゼロオプション、これを私は支持しておりますから、ぜひそういう方向で米ソの間で話し合いをしてもらいたい、こういうことを訴えた次第でございます。日本の考え方というものはよく承知をしておるから、今度の交渉においては最善を尽くそうということをレーガン大統領は約束をしてくれたところでございます。
○楢崎委員 ぜひ努力してもらいたいと思います。 それで、時間がありませんから、最後に緊急の問題としてひとつぜひ御考慮をいただきたい問題がある。それは、先ほど国会を通過した、いわゆる総理が軍縮総会に行かれる一つのおみやげとして、われわればそう審議をする時間なくいわゆる軍縮関係三条約を上げました。だから、質問が十分でなかった。実はたとえばあの特殊通常兵器禁止については、ナパーム弾とか枯れ葉剤とか、これはだめだ、こういう条約ですね、それに一部関係している問題でしかも緊急を要することがありますから、一つだけ訴えたいことがあるのですけれども、私はいまから十三年前、昭和四十四年の七月二十三日の外務委員会でこういう事実を明らかにしている。 それは、当時ちょうどベトナム戦争中で、そして、そのベトナム戦争で使われておる焼き尽くし、殺し尽くし、破壊し尽くすという兵器の重要な一つである枯れ葉剤、これが実は日本の工場でつくられておるという事実を訴えたのです。それは、アメリカの「ビジネス・ウイーク」という本がそのことを明確にしたからです。これは三井化学の大牟田工業所、いまの三井東圧ですね、ここでつくっておる。成分は二・四・五Tあるいは二・四Dという成分であります。これがそのとき工場で大事故があって、これは猛毒なものですから、約三十人の工員が製造過程において被害を受けまして、皮膚炎やら、血圧が下がったり、がんになった人がおる、白血球が移動が激しくなる、肝臓障害を起こしておる、実は現実にこういう問題が起こったのです。そこで私は、この二・四・五Tというのは一体何だと、その成分の調査を頼んだ。ところが、その後うやむやになった。 ところが、いま、この三井東圧が性こりもなく、これの一連の系列であるMO、三井・大牟田を略してMOというのでしょうね、MOという水田に使う除草剤を市販しているのです。いいですか。これが、やはりダイオキシンが、ダイオキシンは種類はたくさんあるけれども、この成分のCNPというやつからダイオキシンが検出された。そうですね。農林省、知っているでしょう。そうして、いま福岡では久留米で訴訟が起こっている、これの工場で、工場の被害で。そして実は、この成分、これは東京都の衛生局の調査です。東京の水道の中に、このMOの成分であるCNPが検出された。いいですか。大問題です、これは。蛇口からも、水そのものからも実際に検出されたのです。東京湾のハゼ等からもこれは検出されています。 そこで私は、だから、これは早急にひとつこの実態を調査してもらって手を打たないと大変なことになると思うから、まず一つは、三井東圧に対してMOというやつ、CNPのとりあえず製造禁止、市販を禁止、そして、その間調査を進める、まずそれをしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○森下国務大臣 農林大臣がちょうどお許しを得て出ておりますので、厚生省に関係する部分だけ申し上げたいと思います。 この御指摘の除草剤に含まれておる毒性につきまして私どもの承知しておりますのは、この水田除草剤には発がん性を有すると言われる二・三・七・八テトラクロルパラジベンゾダイオキシン、これは含まれておらないという見解でございます。ただし、今後における当該除草剤の使用につきましては、農林水産省の所管でありますが、これに関連する食品衛生上の問題、また水道等の問題、こういう問題につきましては、農林省ともよく緊密な連絡をとりながら対処をしてまいりたい。 なお、私の方へ日本消費者連盟の方からもこの陳情が参っておりまして、なおよく調査もしてみたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○楢崎委員 農林省の所管であると思いますが、 これはCNPの中から一・三・六・八TCDDというダイオキシンが出たのですよ、大臣。そうして、これはいま三井東圧との間に論争になっている。もし三井東圧が安全性が高いということであれば、その分析結果を私は出してもらいたい。出さないのです。だから、とりあえずはMOの製造禁止、市販の禁止をしてください、毒性がはっきりなるまで。それをお願いしているのです。
○森下国務大臣 いま御指摘の、私、先ほど申し上げたのは同じような構造式でございますが、二・三・七・八の方ですが、御指摘の一・三・六・八テトラクロルパラジベンゾダイオキシン、この分については、いま御指摘のとおりであるようでございます。そういうことで、よく調査をいたしましてまた報告いたしたい、このように思っております。その毒性が入っておれば、これは私は大変な問題であると思っておりますけれども、まだ十分調査もしておりませんので、私どもは二・三・七・八の方だと思っております。これには含まれておりません。 以上でございます。
○楢崎委員 二・三・七・八TCDDというのはどのくらいの毒性があるか御存じですか、あなたは簡単に、これは含まれておりませんでしたとおっしゃいますけれども。いいですか。これは核兵器と同じくらいの、核と同じくらいの効能を持っているのです。これは大変なダイオキシンの毒性なのです。だから、たとえば、CNPからダイオキシンの分析をしようと思うときには、その分析員は、それがひょっと出たら生命に関係するから、いわゆる特攻隊を募るぐらいの気持ちで募って分析したのですよ。そして、なお危険があるから、分析した装置は、分析が終わって焼却したのです。いま出ているのは、先ほど言ったとおり一・三・六・八TCDDで二・三・七・八TCDDほどはないけれども、これが出たら大変なのです。だから、これは徹底して分析研究してもらわぬと、東京都民は大変なことになりますよ。これはおどしじゃないんだ。だから、いま消費者団体の運動が起こっているのですよ。現に被害を受けた人がおるから、このために訴訟が起こっておる。あのPCBと同じなんです。ぜひこれは、少なくともその製造と市販は当面禁止してもらいたい。もう一遍お伺いしておきます。
○森下国務大臣 御指摘のように、前にポリ塩化ビフェニルの件で私も調査に行ったことが実はございます。この問題は、直接は農林省の問題でございますので、私の方からも農林省によく連絡いたしまして、どういうことになっておるか、よく聞いて申し上げたい。 また、水の問題につきましては、私どもの所管でございますので、その点についても私の方でよく調査いたしたいと思います。
○楢崎委員 時間が来ましたからやめますけれども、いまの問題は、環境庁と農水省と、それから厚生省と、三省でよく相談をして適切な措置をとっていただきたい。これを要請して終わります。
○栗原委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十三分散会