予算委員会 第13号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1982/02/19
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原(亨)委員 第一番目にお尋ねしたい点は、予算の編成の仕方の問題であります。 五十七年度予算編成に当たりましては、周知のように、昨年の八月の概算要求までゼロシーリング、こういう方針を出しまして、防衛費その他若干の例外を設けました。そして、行革国会、秋の臨時国会におきましては行革特例法を出したわけですが、これをもって言うなれば行財政改革の突破口にするんだ、そして三カ年の間に完全に赤字国債をなくする、こういう方針をしばしば繰り返しまして、鈴木総理大臣も政治生命をかける、こういう話があったわけであります。 しかし、これらの予算の編成の仕方を振り返ってみますと、これは言うなれば今日の財政危機の原因をつくっておるいままでの予算の編成の仕方、こういうものに私はあると思うのでありますが、これは十年前のニクソン・ショック当時、佐藤内閣は辞任いたしまして、言うなれば田中・愛知財政が出発をいたしたわけですが、そのときもトリレンマということが言われたわけですけれども、そのことは後に回すといたしまして、この予算編成に当たりまして増分主義というのをとってまいりました。一定の比率で予算を抑えていく。言うなればその裏返しとしてのゼロシーリングでありますが、ゼロシーリングは実質上マイナスであります。マイナスシーリングでありますが、こういう予算の編成の仕方というものは、後に私が指摘をいたしますように、日本が低成長の中で言うなれば革命的な高齢化社会に入ったわけですが、それに対応する政策を進めていく上においては非常に大きな欠陥をもたらしたのではないか。ゼロシーリングという方式を昭和五十八年度、ことしの八月の概算要求から始まりますが、五十八年度においてもそういう方式をとっていくのかどうか、あるいはそういう方針を若干の点で是正する意思があるのかどうか、この点につきまして、大蔵大臣、場合によっては鈴木総理大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま大原さん御指摘のように、五十七年度予算の編成に当たりまして、臨調の第一次の中間答申を尊重いたしますと同時に、ゼロシーリングという新しい手法を取り入れてやったわけでございます。その結果、五十七年度予算案は、御審議をいただいておりますように、一般歳出におきましては一・八%の伸びということで、これは昭和三十年以来の超緊縮予算、こういうことに相なったわけでございます。 それから、ゼロシーリングのことでございますが、ゼロシーリングをとりながらも、中長期的に見まして、総合的な安全保障、日本の将来のことを考えまして、重点的な政策、重要課題につきましては、全体としてはゼロシーリングでございましたけれども、その中でも特別な配慮をしたということでございます。 それから、各省庁におきましてはゼロシーリングを受けまして、その枠内で、各省庁が行政の重要性、緊要度、そういう点を十分勘案をいたしまして、たとえば厚生省でありますれば老人福祉に特に力を入れるとか、あるいは身体障害者福祉に力を入れるとか、そういうぐあいに各省庁で重点を取り上げ、そして、この際は少し切り込んで差し支えないというような点等につきましては、そういう措置を各省の判断でこれを取りまとめるようにいたしたという点でございます。 従来は、大原さん御承知のように、全部、一から十まで大蔵省が査定をしておったわけでございますが、今回は、シーリングの枠内で各省庁に政策の優先順位等を十分判断させるという手法をとったわけでございます。この点につきましても、大原さんから見た場合に、どうもその結果は画一的なものになったのではないか、重要な政策もしからざるものも一律にカットするというようなことになったのではないか、こういう御批判があろうかと思いますが、決してそうではない。しかし、まだまだ、初めての試みでございますから、工夫の余地は十分ある、こういうことで、これは五十八年度予算の編成以降においてこの経験を十分取り入れて、改善をすべきものは改善をしていきたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 昨年の臨時国会、行革国会ですが、行財政改革に政治生命をかける、その突破口が行革特例法だ、こういう問題については臨時国会以来議論がずっとあったことですが、結局は行革特例法といいましても三十六の法律を改正する、大変膨大な作業であります。そして、その中で結局やりましたのは、二千四百九十二億円の国の負担を浮かす、そういうことのために、たとえばその中で千九百億円の共済年金、厚生年金に対する国の負担分を後に回す、ツケ回す。四分の一をカットいたしまして、表面上は一千九百億円を国の予算で浮かしながら、三年後には元利をつけて返す、こういう方式でいろいろとやったわけでありますが、その特例法案の内容を見てみますと、いままで言われましたように、児童手当の問題とか、あるいは年金だけではなしに、教育の面では四十人学級の問題とか、言うなればツケ回しとか繰り延べとかという操作だけでやったわけであります。 そういうふうにいたしまして、五十七年度の予算を含む予算編成の土壇場におきまして、御承知のように、昨年は七・六%の防衛費の成長率でありましたが、土壇場で七・七五四の成長率にいたしました。そして、後年度負担は一兆七千億円、いま議論いたしておるファントムの問題になりますと千百億円の問題も出てくるというふうな議論があるわけでありますが、そういう予算の編成の仕方というものは、最終的に防衛費が突出をいたしまして、そして、いびつな形でいままでの予算を、福祉の予算を切り詰めてきた。そして、五十七年度の予算のつじつまを合わした。こういうことについては、予算の編成の仕方といたしましては、政治の主導性というか、全部の分野から政治を眺めていく予算編成のやり方としては問題があるのではないか。これは大蔵省主導型の予算編成に、言うなれば限界が来ておるのではないか。五十八年度の予算案の編成においては、この考え方を変えなければならぬのではないかという点を指摘をいたしたのでありますが、この点は大蔵大臣、御答弁いただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 五十七年度予算で防衛費突出というお話でございますが、私どもはそうは思っておらないのであります。当初から七・五程度のものを考えておったのでございますけれども、諸般の情勢その他を検討いたしました結果、政府・与党の間で少しそれに上積みすることで決着をするということにしたわけであって、他の予算とのバランス等は十分に考えてやったわけでございます。 五十八年度はどういうふうにするかは、今後の問題として検討してまいります。
○大原(亨)委員 中曽根長官も御出席でありますが、日本のこれからの行財政改革の一つのポイントは、私は、やはり行政制度の内容の改革であると思うのです。その中で一番重要な柱になるのは、日本の、申し上げましたような本格的な高齢化社会を迎える、革命的な高齢化社会と言われておりますが、しかも低成長の中で迎えた、こういう困難な事態の中において、行政や財政の制度をどうするかということが非常に大きな基本的な問題であります。そういう基本的な問題を議論をし、方針を決めないで、そして、端から年金その他に対する国庫負担をカットしていく、ツケ回していく、こういうふうなやり方は非常にいびつなやり方であって、政治全体の方向を進めていく上においては大きな欠陥をもたらすのではないか。そういう面においては、だれが、そういう日本の政治の大きな方向についてやりながら、その中で予算編成をやるということについて方向を決定する役割りを果たすのであるかということについては、たとえば総理大臣であるかもしれない、あるいはいまの場合であるならば行管の長官であるかもしれない。そういう面から言うなれば、大きな問題を残しておるのではないか。 たとえば、一昨年厚生省が出しまして、国会でもしばしば議論になりましたが、日本の社会保障の水準は高いんだ、こういうタイトルでいろいろと出しております。私も指摘をいたしましたように、国民所得に対する社会保障の給付費は、日本は一二%程度でございまして、国際的な二〇%の水準から言うなれば低いのであります。低いけれども、あの文章でも指摘をしておりますが、低いけれども高齢化社会を迎えてどんどんふえていく、未成熟な年金制度がふえていく、こういう問題をはらんでおるのでありますが、しかし、それだけでは日本の高齢化社会に対応する制度をやることはできない。というのは、年金にいたしましても医療にいたしましても、医療費は国民は本年度は十三兆八千億円も負担するわけです。莫大な負担であるわけです。その給付の内容とか制度の上においてたくさんの欠陥があるわけです。これは大蔵大臣も厚生大臣を経験しておるから御承知のとおりです。雇用との関係をどうするか、住環境をどうするか、たくさんの課題があるわけです。 そういう問題について全体的にどうするかということを考えながら予算を編成していかないと、大蔵省主導型だけで、ぶった切るという方針だけでは、これから低成長時代に高齢化社会を迎えますが、社会的な緊張やあるいは不安を激化するのではないか。こういう点において、基本的な予算の編成の仕方について考えるべきではないかと思いますが、これは中曽根長官お答えいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 大原さんが御指摘になりました点は、非常に重要な点であると思います。臨時行政調査会におきましても、将来に向かっての日本の行政体系の視点の中で非常に大きくとらえているのが、いまの年金及び社会保障等の関係、特に高齢化社会に対する構えであります。そこで、いま臨調の第一部会におきまして、いわゆる総合部会におきまして、その問題が日夜真剣に検討されておりまして、世代間の公平であるとか、あるいは給付の内容の適当性であるとか、あるいは給付と負担との関係であるとか、あるいはこれを実施すべき機関の整合性とか統合の問題であるとか、そういうような総合的観点からその点がいま論ぜられております。それらに関しまする総合的な施策は、恐らく第三次答申、七月に出る答申、あるいは来年三月に出る答申の中に含まれており、それは非常に重要な部分をなすものと考えております。 そういうふうに、一方におきまして、臨時行政調査会において総合的観点から予算の編成の基本にかかわる部分をいまやっておりまして、それを横にらみににらみながら、政府はまた来年度予算あるいはその後の将来の問題について検討していくものと考えております。
○大原(亨)委員 いまの御答弁についても、いままで議論がかなりあったわけです。たとえば、七月には臨調が本格的な答申を出すというのでありますが、その本格的な答申は、私が指摘をし、長官がお答えになったようなそういう問題点について触れておるのかどうか。聞くところによりますと、言うなれば国鉄や三公社の問題、民営問題等を中心とするというふうに言われております。非常に苦慮しておる、作業は難渋しておるようでありますが、この七月に臨調の本格的な答申があり、政府が方針を決定する、そういうことで五十八年度の予算の編成も進む、こういう形にならなければならぬというふうに私は思うのであります。 七月の予想される答申、これは中曽根長官のところも密接な関係を持って進めておると思うのですが、どのような内容のものであるか、お答えいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 いまの社会保障関係が七月のいわゆる第三次答申に盛られるかどうか、まだ確実ではございません。いま真剣なる討議が、高齢化社会問題を中心に行われておる状況でございます。それで、臨時行政調査会におきましては、いわゆる七月の第三次答申をどういう形でつくるか、その点もいま論議しておるところでございます。四つの部会に分かれていろいろやっておりますが、その部会おのおのが自分の所掌の中でどれを重点に今度出すか、あるいは来年の三月に回すべきか、そのしぼりをかけておりまして、その部会のしぼりが出てきて、これを総合の第一部会でまとめ上げて、それがまとめ上がったものが、今度は調査会と正式に協議をしてそれで固まっていく、こういう段階で、目下のところはその部会でいろいろしぼりの論議をしておるという状況でございますので、いま具体的に何が出てくるかということは申し上げる段階に至っておりません。
○大原(亨)委員 総理大臣、いまお聞きのとおりですが、大体鈴木内閣は、そういう重要な方針を決定するのに臨調任せというふうなことがあるのですか。それは私は政治といたしましてはとるべきではないと思うのです。いま申し上げましたように、ゼロシーリングを二回も重ねます。これを見てみますと、渡辺大蔵大臣は五十八年度もゼロシーリングだ、マイナスシーリングだというふうに言われております。これは予算を査定する方の立場のデモンストレーションだと思うのですが、しかし、それにいたしましても、ああいうゼロシーリングのような形を何回繰り返しましても、日本の政治というものは本当の意味において前進をしない。そういう政治不在の予算編成になるのではないか。申し上げましたように、いままで増分主義というのが財政を硬直化させているのです。経済の変動に対応するような財政を組まなかった、そういうことが大きな禍根を残しているのですが、ゼロシーリングを重ねてまいりますと、予算の絶対額の多いところにしわが寄る、そういうことになりまして、内容をどう改革するかというところに重点がいかない。そういうところに政治不在の予算編成があると思うのでありますが、総理大臣は、その点について、国民がわかるような形で本年度の予算編成の重要な段階において方針を示すべきではないか。
○鈴木内閣総理大臣 まず、大原さんの御質問の第一点、政府は政策を進めるに当たって臨調の答申にすべてを依存しておる、答申任せではないか、こういう御批判でございますが、これはそのようなことはございません。個々の問題につきまして具体的な御答申をいたす場合もございます。そういう点につきましてはできるだけこれを尊重してやっておるところでございますが、全体の政策、それを集約したところの予算の編成という問題につきましては、閣議におきまして、自由民主党の方と十分連絡をとりながら、毎年度予算編成方針と基本方針を策定いたしまして、そして、それに基づいて、臨調の答申等も尊重しながら予算の編成に当たっておるというのが実態でございます。 そこで、ゼロシーリングとの関係でございますが、五十八年度予算の編成に当たりましては、まだ五十七年度と同じような手法をとるかどうかということは決めておりません。財政全般の問題あるいは経済の動向、そういう点、諸般の状況を踏まえながら予算編成方針として決めていきたい、こう考えております。 ただ、大原さんが常に御主張をいただいておりますところの社会保障関係の充実の問題につきましては、ゼロシーリングの中だからといって社会福祉関係を私どもは軽視しておりません。五十七年度予算におきましても社会福祉関係の予算が一番伸びております。実態的に伸びておることは御承知のとおりでございます。政策費として伸びた実質的な金額の面におきましては、文教費を含めまして社会福祉関係は四分の三、社会福祉関係でも四四%が伸びておるわけでございます。そういうぐあいに、全体から見ても、やはり大事な高齢化社会を迎えての社会保障関係につきましては、特別な配慮をいたしておるということを御理解いただきたいし、またさらに、厚生省の予算の中におきましても、所得の高い方々にはこの際所得制限等の御協力をいただきますけれども、経済的、社会的に恵まれない方々には特別な配慮をしておるということは大原さん御承知のところでございます。
○大原(亨)委員 大蔵大臣、後でもいいですが、やはり大蔵省主導の予算編成、財政再建だけの考え方では財政再建ができないのではないか、こう私は思うのです。たとえば、河本経済企画庁長官がある雑誌で専門家と非常にきめ細かな対談をしておられましたが、その一つのポイントは何かというと、七月に出てくる行政改革の中で数兆円ほど浮く。財政上プラスができる。そういうものにすべてをかけたような発言をしておられるわけであります。ですから、いまのまま進んでまいりますと、九月の臨時国会を開くのでしょうが、果たして鈴木内閣はもつのだろうかどうだろうかというふうな問題がたくさん出ておるわけであります。 私は、そういう問題の一つといたしまして、さらに論点を進める上において総理大臣に御質問いたしたいと思うのですが、いま国際政治の中で一番の大きな問題は何かと言いますと、軍備拡大だと思うのです。軍事予算の圧力が非常に大きくなったのではないかと思うのです。しばしば言われておるように、全世界の軍事予算は五千五百億ドルというふうに言われております。いまの日本の円に直して百五十兆円ぐらいですかね。アメリカは二千二百億ドル以上の予算を組んで、これは日本の予算、五十兆円に匹敵いたしますね。そして、五カ年計画で三百兆円ぐらいの軍拡予算で戦時予算を組んでいる。一方ではソビエトは、防衛のためと称しまして過剰防衛。片方はそれを上回る力の政策、力の優位、レーガンの政策でありますが、そういうことで伸びてまいりますと、たとえば、アメリカの経済自体を脅かしておるのはこのような膨大な軍事予算ではないのか。民間の活力をそいでおるのは軍事予算ではないのか。物と資源を軍需産業に集中する結果といたしまして、安倍通産大臣は眠っておりますが、アメリカへ行って話をする際に、私はそういう点を日本としては指摘をしてもらいたいと思うのです。民間の競争力や活力をそいでおるのは軍事予算ではないのか。瞬間的には景気に対する寄与率はあるのですが、しかし、全くの消費的な支出でございまして、これは再生産につながらぬのでありますから。アメリカの財政の赤字も高金利もすべて軍事予算にあるのではないか。このことを米ソが——ソビエトの中にも、計画経済の中には大きな欠陥や致命傷を与えておるはずでありますから、このことについて日本は十分指摘をしなければならない。指摘をすると一緒に、日本が五十七年度の予算を契機にいたしまして、防衛費突出と言われておるように、米ソの核軍拡競争の中へ巻き込まれて、日本が軍事予算を、後年度の負担を含めまして増大するという形、これは大きな軌道修正を要するのではないか、私はそう思うわけであります。 私は、国連総会に、この前は園田外務大臣でありましたが、総理大臣は出席されるわけですが、そういう点について、米ソを含めて全世界に正しい方向で問題提起をされて、そして日本の立場を鮮明にすることが重要なポイントではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○鈴木内閣総理大臣 大筋においては私は大原さんの御意見と同じような考え方を持っておるものでございます。ただ、現実に厳しい国際社会の中におきまして平和と安全が保たれておるというのは、東西の力の均衡の上にこれが成り立っておるということ、これも否定できない事実であろう、こう思います。ソ連はここ十年ほどにわたりまして毎年軍事力の増強を図ってきた。そして、東西間の軍事バランスが大きく崩れようとした。そこで、レーガン政権が誕生いたしましてから、軍事力のおくれを回復をして、そして力の均衡の上にこれを抑止として戦争の防止を図ろうという政策をとっている。と同時に、軍拡をお互いにやっておったのでは、大原さんのおっしゃるとおりになるわけでございますから、一方において、米ソの間におきましても、軍縮、軍備管理についての対話の窓口というものを閉ざさない、そして御承知のように、核軍縮の問題あるいは戦域核の問題等につきましていろいろ交渉を進めておるというのが今日の状況でございます。 私どもは、大原さんも御指摘になりますように、軍備競争では人類は救われない、世界の恒久的な平和は確立をしない、こういうことにつきましては全く同感でございまして、軍事的な均衡を図りながら、そしてお互いに軍縮、軍備管理に努力をして、低位にこれを抑えていく、その開放されたところの資源、余力を第三世界の経済発展なり民生の安定なりにも寄与する、また、お互いの工業先進国の中におきましても、経済の再活性化の方向にそれを使っていくということにつきましては、私は大原さんと見解を全く同じゅうするものでございます。私は、このような観点で、昨年のオタワ・サミットにおきましても、あるいは南北サミットにおきましても、経済サミットの場ではございましたけれども、こういう点を主張をいたしまして、日本の立場を鮮明にいたした次第でございます。
○大原(亨)委員 レーガンの政策について、私は、必ずしもこれは成功しない、そういうふうに判断をいたしております。申し上げたとおりでありますが、しかし、そのことをさらに詰めて議論をするのは、私は、引き続いてあしたから一般質問をやりますから、質問を進めてまいりたいと思います。 そこで、総理大臣は、武藤質問に対しまして、核は絶対悪である、こういうことを答弁になったと思うのです。国連総会において園田さんが発言をされておりますが、ここに演説がございますが、かなりりっぱな演説であります。これは福田さんが東南アジアへ行かれたときにマニラ宣言を出された、これに匹敵するような演説でありますが、今度は総理が行って演説をされるし、また実際に日本の平和政策を訴えるわけであります。 園田さんの演説の中ではっきりいたしておる点は、日本の非核三原則、そういう立場における非核三原則、こういうものを明確にいたしまして、核の持ち込みを許さないという点も強調されております。また、それを一歩進めまして、核の持ち込みを許さないということは、お互いにこれが横に連帯をいたしますと、非核武装地帯設置の提案にもなるわけでありまして、非核武装地帯の提案を呼びかけておられる。そしてさらに、その演説の中には、日本の武器輸出自粛、禁止、こういう問題にも触れておりまして、国際緊張を激化させる、そういう道はとらないということを主張されておるわけであります。これは国会における決議でもあるわけであります。 さらに、いま武藤さんは見えておりませんが、私も、OECDへ二人一緒に参りましたときに、国会議員のシンポジウムのときに一あれは自民党の武藤嘉文さん、二人でOECDへ参りました。そのときに私はこういう、武藤さんも全体会議で最初に演説をいたしまして、非常に反響を呼んだわけですが、四つの分科会に分かれまして、私も出たわけですが、そこで私は、中近東のエネルギー問題に関係いたしまして、日本は、エネルギーを獲得する手段として、いま米ソが行っているような武器輸出競争はしない、日本は、中近東のポスト石油、それに対処する国民の要求、それにこたえるような協力の仕方をすべきではないか。たとえば、海水の淡水化とかあるいは太陽エネルギーの活用、あるいは砂漠の緑化、そういうもので、言うなれば、石油を引き延ばして、そして中近東が石油の後でどういう国づくりをするか、そういう方針に協力することが日本の使命である。武器輸出禁止は、これは国会の決議として禁止を国是としておる、国の政策としている、こういう点を強調いたしまして、各国の代表の反応を求めたわけでありますが、すべての国々は武器輸出競争を皆猛烈にやっておるわけですが、全然これに対しましては反論をする余地がないということであります。日本が武器輸出に参加いたしましたら、武器輸出の市場においても非常に大きな威力を発揮するということを彼らは考えておったかどうかわかりませんが、私どもは、その国是について明確に、国連軍縮総会において全世界に訴えて、日本の立場を明確にすることが、貿易摩擦やその他の諸問題を正しく解決する道ではないかというふうに思いますが、総理大臣の決意を伺いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 今年の国連軍縮特別総会におきますわが国政府の鮮明にすべき軍縮、特に核軍縮を含むところの政策につきましては、いま大原さんからいろいろお話がございましたが、前回の園田外務大臣のとりましたところの政策、これは一貫して変わるところがございません。特に非核三原則の堅持、核実験の全面禁止、そして、それを通じての究極においての核の廃絶、そういう点を強く訴えたい、このように思っておるわけでございます。 私は、いかにして世界各国がこの核軍縮、全体の軍備の縮小について、現実的な効果のある、実効の上がるアプローチをするかという問題を具体的に考えながら、究極において核兵器の廃絶に向かって日本としては最善の努力を払うという方針につきましては、これは一貫してとっておる政策でございます。
○大原(亨)委員 これに関連しまして、ちょっと文部大臣にお聞きしたいのですが、私は、昭和四十二年、当時剱木さんが文部大臣をしておられました。古い方でありますが、そのころ文教委員会であったか分科会でありましたか出まして、質問したことがあります。それは原爆が落ちました直後、日本映画社がこの仕事をしまして、アメリカの軍と仁科博士等と一緒に原爆投下直後、広島、長崎の被害の実態というものを詳細にフィルムに撮ったのがあるのであります。これは占領軍はアメリカに持ち帰りまして、いろいろと分析をし、活用いたしておったようでありますが、そのフィルムがアメリカの国立公文書館にあるわけでありますが、その問題を取り上げまして、日本に持ち帰って、そして日本においてやはりいろいろな教育やあるいは行政に役立たせるべきである、こういう主張をいたしまして、一部をその年末に持ち帰りまして、そして一部をカットいたしまして公開をいたしました。これはノーカットで公開すべきであるという意見が各方面であるわけでありますが、これはコピーが文部省の倉庫の中にあるはずであります。国会の軍縮議連等でも話題になっておりましたが、大石会長も承知をしておられますが、国連軍縮総会に対応いたしまして、軍縮議連その他等で活用する一つの素材といたしましても、これを日本文に全文翻訳いたしまして、そして文部省はこの問題を広くそういう方面に提供すべきではないか、こういうふうに思いますが、関連いたしましてお尋ねいたします。
○小川国務大臣 昭和四十二年に仰せのフィルムが日本へ返還されるにつきましては、国会で質疑をなさる等、大原先生の御尽力があずかって力があったと伺っております。 このフィルムは、撮影に際して、学術記録として使用するのであって一般には公開しない、こういう了解のもとに被写体となった方々を撮影したという経緯がございます。そういう経緯もございますので、当時学識経験者の御意見も拝聴いたしまして慎重に検討いたした結果、英語版は学術研究用として、また一般用としては、明らかに人を特定できる部分を削除いたしまして作成しております。 当時からすでに相当の時間が経過していることではございますけれども、さような経緯がございますから、被写体となった方あるいはその御遺族という方々のお気持ちというものに対しては、これを十分尊重しなければならない。ノーカットの日本語版を公開せよという仰せでございますが、さような次第でございますから、これはよほど慎重に考えなければならない問題かと考えております。
○大原(亨)委員 これは、アメリカの国立公文書館は一定の手続をとれば公開をしているわけです。アメリカはそういう点は民主的ですから、一定の期間がたちましたならば、それはもう政策には関係なしに公開するわけです、データは。ですから、アメリカとの関係はないわけですから、全部のフィルムを、たとえば原爆資料館とかあるいは国会の軍縮議連とか、そういうところへそういうふうなことの活用をゆだねるというふうなことについては何ら差し支えない、これはいま現にできるわけですから、そしてノーカットの形で日本語版にして、文部省もそういう期待にこたえるべきではないか、こう私は思うのですが、いかがですか、もう一回。
○小川国務大臣 ごもっともの仰せでございますが、対米関係と申しますよりは、すでに時間が経過しておることではございますけれども、なおかつ人権尊重という観点から、これはよほど慎重に扱うべき問題だ、かようにただいま考えておるわけでございます。
○大原(亨)委員 もう全部出ているのですよ、部分部分はずっと。まとまったやつはあなたが持っているからそれを出しなさい、こう言っているのです。わかりましたか。そのことはもう出ておるのです。部分部分を要求いたしましたら、アメリカの方はもう出すわけです。一定の手続をとりましたらフィルムをくれるわけです。日本はそれを持っているから、日本の政府が持っているのをノーカットで全部公開しなさい、こういうことを言っているのです。お答えになりますか。
○小川国務大臣 文部省の立場はただいま申し上げたとおりでございます。私は実はそのフィルムをまだ見ておりません。御熱心な御提案でございますから、フィルムの現物をも見ました上で研究をいたしたいと存じます。
○大原(亨)委員 そこで、これらの質問を前提といたしましていよいよ本論に入るわけですが、日本の医療制度は、国民から見ますと非常に大きな費用の負担をいたしておりますし、問題を抱えておることは御承知のとおりであります。 先般、政府は老人保健法という法律を臨時国会に、行革の言うなれば一つの柱といたしまして出しました。衆議院では審議をいたしまして、そして私ども反対で参議院に回しましたが、参議院はなお審議に入っておりません。継続審議になった法律案は、当然衆議院に返ってくるわけでありますが、その後、老人保健法案を中心として、日本の医療制度をどうするかという問題について討議を進めてまいりますと、研究いたしますと、非常に大きなたくさんの問題があるということがはっきりいたしました。私はその問題について、重要な点を質問をいたしてまいりたいというふうに思います。 後で私が若干手を加えました資料が皆さんの手元に配付されますが、申し上げましたように、日本の国民医療費は、これは推定でありますが昭和五十七年度が十三兆九千億円であります。これが昭和六十年には十七兆六千億円になりまして、昭和六十五年には二十六兆円になるというふうに言われておるわけであります。その中に国庫負担もかなりのウエートを占めておるわけでありまして、行財政改革で言うなればこの問題が大きな問題になります。 その中で、七十歳以上の人々を対象にいたしまして、老人医療費については老人保健法案で新しい制度で出すということになります。老人の医療費は、五十七年は約三兆円でありますが、六十年度は四兆四千億円になりまして、それで私の推定では、昭和六十五年には、少なくとも最低七兆五千億円になるわけであります。七兆五千億円になりますと、二十六兆円の約二九%、三割、総医療費の三割を老人医療費で占めることになるわけであります。 この老人保健法案でこの費用をどういうふうに負担をするかといえば、大まかに言えば、その老人医療費の七割を現在の健保連とか政管健保とか共済とかいう各保険から出すわけなんだ。そして残りの三割を国と県、市町村が出すわけであります。保険者が出す七割の負担の仕方につきましては、拠出金という制度をつくりまして各保険者に割り当てるわけであります。そして割り当てましたのを、個人個人には老人保険料として一般の健康保険の保険料と一緒に賦課するということになるわけであります。 この拠出金と各人が出すところの老人保険料は、昭和五十七年が千分の十二、一・二%であります。拠出金は四千五十億円、これは政府の推定であります。そして昭和六十年は、厚生省かなり無理をして計算いたしましたが、千分の十五になるわけであります。拠出金は五千七百五十億円になります。お手元に配付される文書に出ております。昭和六十五年には、この老人の保険料率、それが千分の二十になるわけであります。拠出金は一兆八百億円になります。 一般保険料率は千分の七十三というふうに書いてありますが、これは非常に無理な数字であります。これにおさまる理由はないと私は思っておりますが、無理な数字であります。 この試算は、六十五年等は、私がいろいろな資料を集約をいたしまして出した数字であります。 問題は、この老人の保険料、拠出金ですね、保険者の出す拠出金。私は第一にお尋ねいたしますが、これは保険料であるのか税金であるのか。一定の基準に従って賦課する税金であるのか、あるいは社会保険方式に基づく保険料であるのか、そういう法的な性格をまずお聞かせをいただきたいということであります。
○吉原政府委員 新しい老人保健法によります拠出金の性格でございますけれども、従来の保険料と本質的に異なったものではない、従来のようにそれが医療費に充てられるわけでございますので、拠出金という形で各保険者から拠出をしていただきますけれども、法律上の性質は従来の保険料と本質的に違ったものではないというふうに思っております。
○大原(亨)委員 この老人保険料率は、ここに表示をしておりますように、五十七年度が千分の十二で六十年度は千分の十五であります。そして、六十五年度は千分の二十でありまして、これは政府管掌の健康保険でありますから、他の保険制度はそれぞれの機関においてこれに準じて決定をいたすわけであります。これは保険料と異なるものではない、こういうふうに言っておるわけですが、しかし、保険料というのは、金を出したものが給付を決定するのであります。保険者団体と、日本はその点が断絶しておるのですが、診療機関、医師会が言うなれば交渉、合意をいたしまして決定するのでありますが、この場合には出しっぱなしであります。拠出金を出しっぱなしにいたしまして市町村が主体となって運営するわけです。そして、診療報酬支払基金に委託をするわけです。審査、支払いを委託をするわけであります。こういうややこしい仕組みになっておるのですが、保険者の手を離れまして拠出金として出てまいりますと、そうすると保険者とは関係ないわけであります。言うなれば税金的なものであります。税金的なものでありますから、これは保険料であるというふうに解釈することは、私は非常に間違っておるのではないか、この老人保健法の制度は根本的な間違いがあるのではないかと私は指摘をいたしますが、いかがでしょう。
○吉原政府委員 新しい老人保健法の仕組みにおきましては、従来各保険者と各医療保険制度と、それから老人福祉法によりまして行われていた老人医療という制度を一本化してやっていこう、その事業の実施主体は市町村ということにしているわけでございますけれども、あくまでも現在医療保険がやっております老人医療というものを、各保険者が全体の七割の費用を共同で拠出してやっていこう、こういうことでございます。いままでの仕組みとその点におきましては本質的に異なったものではないというふうに思っておりまして、そういった意味から、先ほど申し上げましたように、その拠出金というものも従来の保険料とは違った性質のものではないというふうに思っておるわけであります。
○大原(亨)委員 租税ということになりますと、一定の基準、たとえば所得税ですと所得に応じまして一定の率で取っていくわけです。そして、国庫へ納付されますと、これを使うのは全然別個の政策で使うわけであります。保険料というのは、保険料を出しましたものが給付について決定をしていくという仕組みであります。日本はそういう点がいびつなかっこうになっているわけですが、あくまでもたてまえはそういうことであります。たとえば医療機関が請求書を出します、レセプトといいますが、それを出しまして支払い機関が一応の審査をいたしますが、これはほとんど有名無実でありますが、その後で保険者が点検あるいは支払い通知をする制度は、いまいろいろな議論をいたしましてとっておるわけですが、点検と支払い通知は、新しい老人保健制度ではだれが責任を持ってやるのですか、お答えください。
○吉原政府委員 新しい制度におきます医療費の審査でございますけれども、それは従来どおり被用者の分につきましては社会保険診療報酬支払基金に市町村が委託をして行うということを考えております。 それから、医療費の通知でございますけれども、これは今度の制度の実施主体が市町村でございますので、市町村の責任において行っていただくというふうに思っております。
○大原(亨)委員 このレセプトについて、従来は、政府管掌健康保険や健保連やあるいは共済組合がそれぞれ点検をやっておったわけですが、その点検とか、あなたの医療費はこれだけかかりましたよという支払い通知をやりまして、通知を受けました被保険者が、どういう費用をわれわれは分担しているということを知りながら、自分の健康の自己管理をやっていこう、こういう制度であります。でありますが、今度は市町村がやるということになりますと、市町村は医療費の支出について、これは全体の五%ですから、ほとんど関係ないわけです。関係ない市町村がそういう点検や支払い通知をやるということになりますと非常に事務量がふえる。だけではなしに、地域の医療機関の不人気を呼ぶことになりますから、これはほとんどやらないだろう、有名無実になるだろう。こういう点からいいますと、臨調が出しておる答申あるいは大蔵省がしばしば議論をいたしておりましたそういう点、そういう点からいいますと、そういうチェックする機能が後退をいたしまして、そして老人医療費は歯どめなしに増大するのではないか、こういう点が指摘をされておるわけでありますが、いかがでしょう。
○吉原政府委員 医療費のチェックの機能、そういったものが新しい制度におきまして現在よりも後退するというふうには考えておりません。むしろ現在以上にそういった機能というものを各支払基金においてもやっていく、同時に市町村においてもやっていくということを考えているわけでございます。
○大原(亨)委員 きょうは報酬支払基金の理事長が見えているはずですが、支払基金の理事長は、支払基金はそういう審査と支払いについて委託を受けるわけですが、この問題については、これは従来の例に従ってやると思うのでありますが、特にこの問題について、老人保健制度の中における支払いと審査を委託を受けるわけですが、支払基金は、新しい方針——ままでの方針について議論いたしません。五秒か六秒に一枚やるような程度ですから。そして、審査機関といっても、三者構成ではあってもほとんどが医師会の推薦ですから、これは実際上はできないような仕組みになっておるわけですが、これは支払いと審査について、支払基金あるいは国民健康保険の連合会でありますが、支払基金はどのようにこれに対処するのか、お聞かせいただきたいと思います。
○柳瀬参考人 支払基金は、先生御承知のように、医療費の審査、支払いを行っているところでございますが、基本的な考え方といたしまして、従来から、悪徳医の不正な手段によって不当な利益を得るということは、これは認めることはできないということと、善意のお医者さん方の医療費につきましては、適正な診療報酬を迅速に支払う、こういう考え方に基づいてやってきておるわけでございますが、具体的には、審査をいかに厳正公平にやるかということについては、審査委員を増員して審査体制を整えるとかあるいはいろいろと問題があるような医療機関あるいは高額な医療費の請求等々につきましては、重点的に審査をするとか、あるいは統計的な資料を整備して、そういうチェックシステムを強化していくというようなことで、平均的に一枚について何秒というような、機械的に計算すればそうなりますが、簡単なものは時間を少なく、重要なケースについては二時間も参事官もかけて審査委員が審査をする場合がございますので、私どもとしては十分審査の機能を果たしているというふうに考えておるわけでございまして、老人医療という問題が出てきましても、これも同様な考え方に基づいて処理していきたいというふうに考えております。
○大原(亨)委員 行管長官でもいいのですが、お答えください。 申し上げましたように、いま日本の国民は、国庫補助は税金ですが、税金とか保険料、自己負担を通じまして十三兆八千八百億円、五十七年度は医療費を負担するというふうな推計になっておるわけであります。よく武見さんは、これは三月にやめるわけですが、いろいろな座談会とか講演会等で言っているのですが、お医者さんの中で三分の一ははしにも棒にもかからぬ、こう言っているのです。欲張り医師だ、こういうふうに彼は言っている。歴代の厚生大臣はアイヒマンであるとか、暴力団であるとか、ぼんくらであるとか言った武見さんですから、言いたいことを言っているわけですが、自分の医師会の中の三分の一ははしにも棒にもかからぬ、こう言っているのだ。三分の一は非常にまじめだ。私もそのとおりだ、この点は武見さんと同じです。三分の一は非常に常識的だ、こういうふうに言っている。 十三兆八千億円の膨大な医療費を負担する。これから高齢化社会を迎える際に、政策を立てるのに二つの原則が要る。一つは、医療の資源を有効に活用する、むだを省く、これが一つ。もう一つは、いまの制度もばらばらであって非常に欠陥が多い。日本の社会保障の水準は高くないのです。欠陥医療です。その制度をいかに充実させるかということなんです。その一つとして、老人保健法を議論して取り上げておるわけでありますが、その目的を達成しないのではないかというふうに私は指摘をしておるわけです。そういうときに、十三兆八千億円の国民の負担をどうするかという問題を考えることは、行政制度の改革から、国民から見れば非常に重要なことであります。臨調はこれに対しましてどういう対応をしておるのですか。お聞かせをいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 医療問題は、臨時行政調査会が取り上げている大問題の一つでございまして、昨年の第一次答申でも医療費の合理的調整について所見を出しておりますし、老人保健法の問題につきましても所見を出しております。なお引き続いて、いまおっしゃるように十三兆数千億円に上る膨大な国民医療費の将来を心配しながら、いかにこれを合理的に改革していくかという点について検討を加えております。これらにつきましても、当然答申が出てくるものと考えております。
○大原(亨)委員 社会党は行財政改革については平和、福祉、分権という原則を立てましていままで議論を進めてきたのでありますが、臨調の医療に関する答申については、つまらぬところもあるのですが、かなり積極的な提案もあるのです。しかしながら、これを政治の上において実現をするという仕組みになかなかなっていない、そういうところに私は問題があると思います。 問題は、申し上げましたように、支払基金もおざなりである。私は、去年の予算委員会で近藤病院の大脱税事件で法務省やあるいは国税庁、全部のお答えをいただきましたが、これは後に回すといたしましても、私どもはそれを考えた際には、いまのままでございますと保険制度自体がパンクをするということになります。それを具体的に政治、政策に反映させる上において、老人保健法は非常に欠陥があるのではないか。支払基金の問題、あるいは市町村が点検をする、個人個人にこういう医療費がかかりましたと支払い通知をするといたしましても、これはやらない。市町村長はやらぬと言っています。こんなものは事務がかかってやらな、手がかかってできない、そして医者に嫌われるからやらない、こういうことを言っております。 そういうふうにいたしまして、老人保健法案は、だんだんと増大をいたします総医療費の中の老人保険料、こういうものが、この仕組みは、指摘をいたしましたようにたれ流しになっておるわけです。必要なだけ拠出金をおっかぶせておきまして、そうして、これを支払ってまいりますとたれ流しのようになっておるわけであります。そういたしますと、私が出しております推定以上に、これは保険料率が上がるわけであります。老人保険料率は千分の十二、千分の十五、千分の二十というようにどんどん上がっていく。これ以上上がっていくわけであります。そういうふうにいたしますると、これはいままでの制度よりも後退をするのではないか。五十七年度予算を編成する昨年の十二月二十八日、大蔵大臣と厚生大臣は合意、覚書を交わしたかどうかわかりませんが、合意をいたしまして、五十八年度の医療費の抑制についてもさらに厳しい措置をとるということを厚生大臣は了承したというふうに言っておりますが、どういう内容的な問題を議論して了承したか、どっちからでもいいが、お答えをいただきたいと思います。
○森下国務大臣 大蔵大臣との話し合い、合意の問題につきましては、財政逼迫の折から、健康保険のいわゆる十一カ月、会計年度変更についての話し合い、合意でございまして、これは自治省との関係もございまして、三者で今後検討課題としてやっていこう、こういうことでございまして、まだ内容については決定をしておりません。
○大原(亨)委員 そこで、質問を進めてまいりますが、ここに書いてあります老人保険料率は、政府管掌の想定し得る保険料率であります。老人保険料の保険料率であります。法律には、老人保健法にはこういうことは書いてないわけであります。拠出金の出し方、割り当て方、そういうものが出ておるだけであります。私は、そういう老人保健法案のような出し方というものは、言うならば、今日の医療改革の要求に応ずるものでないだけではなしに、憲法八十四条、財政法第三条、地方税法第三条、つまり租税法定主義、租税とか保険料とかあるいは国鉄その他の公共料金とか、そういう排他性の強い、競争性のない公共料金等についてもそうですが、これを法律で決定するという制度になっておるわけであります。租税法定主義、租税民主主義と言ってもよいでしょう。国民の権利を守るという点であります。その原則に外れまして、拠出金の算出方法を設定いたしまして、これを各保険者団体に頭から割りつけて、老人保険料を負担させるという仕組みをとっておりますが、これは、内容的にも制度的にも憲法違反ではないか。これに対する反論があればお答えいただきたい。
○吉原政府委員 新しい老人保健法のねらいでございますけれども、これはもう大原先生よく御承知だと思いますけれども、やはり今後、将来を考えました場合に、老人医療費というものは、老齢人口の増加等がございますので、増大は避けられないわけでございます。その避けられない老人医療費というものをできるだけ最小限のものにする、そのために壮年期からの疾病予防なり健康づくりというものに力を入れていきたい、これが新しい法案の最大のねらいでございます。 それと同時に、老人医療費というものを国民みんなが公平に負担していく仕組みをつくる、国も地方公共団体も出す、保険者からも出す、そういう老人医療費というものを公平に負担する仕組みとしてこの法案を考えているわけでございます。やはり必要な医療費というものはあくまでも公平に負担をしていく。現行制度のままですと、大変大きな不均衡なり不合理がございます。それを是正していく。その一つの方法として医療費の七割を各保険者に一定の尺度なり基準で御負担をしていただく、こういうことでございます。決して先生おっしゃいますように租税法定主義等の考え方に反しているというふうには私は思っておりません。
○大原(亨)委員 昭和五十四年に、いま控訴中でありますが、秋田地方裁判所が国民健康保険料、保険税の決定の仕方で違憲の判決を出しておるわけです。私は法文を細かに読む時間がないから少しはしょったわけでありますが、その判決の論旨というのは、法定主義というのは保険料率とかあるいは保険料の金額、税額、こういうものをきちっと明示をしなければいけない、大まかにこういうふうに取りますという方針だけではいけない。ましてや、老人保健法案は、改めて追加して申し上げますが、制度といたしましては全くちぐはぐなものであって、たれ流しの制度である。そういう制度に対しまして、ここにありますように、一般の健康保険料でありますと、政府管掌の健康保険の保険料率を法定いたします、議会で決定いたします、法律で決めますが、そのときには、たとえば千分の八十一というふうに料率を決定いたします。そして、たとえ弾力的に決定する場合でも、九十二から七十一の間で上がったり下がったりするように仕組みはしておるわけであります。法定主義であります。これは料率も何も決定しないで、必要なだけ取っていくという法律案であります。そして、千分の十二、千分の十五、千分の二十というふうにあるのですが、私は、これはここまで無理やりにいろいろな数字を推定して間違いないという数字を出したのですが、しかし、これは青天井になっておるわけです。上限も下限もないわけです。こういうでたらめな制度で、でたらめな決定の仕方をしていきますと、これは武見さんでも言っているが、数年でパンクする。そうすれば、保険料負担の限界が来るわけですから、保険制度崩壊、もとが崩壊しますよ。そういう議論は当然年金との関係で出てくるわけですから、高齢化社会において出てくるのですから、一般保険料に付加して老人保険料をやるというこの制度自体が問題である。そういう点から言いましても、いま裁判になっておる租税法定主義、申し上げましたような憲法や各法律等に明らかに抵触する問題である。しかも、青天井じゃないですか。要るだけ取るというふうな、そういう制度はない。取ったものは出したものと関係ない、こういう社会保険主義、保険制度のメリットは全然ないという仕組みでたれ流すということは、予算の審議上、黙認できない。あくまでもこれは租税法定主義の精神をじゅうりんするものではないか。もう一回答弁してください。
○吉原政府委員 新しい制度の仕組みにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども……(大原(亨)委員「いいから法定主義、法律論」と呼ぶ)法律論といたしましては、衆議院の社会労働委員会でも十分御説明、御答弁させていただきましたけれども、やはり新しい制度におきましては、増大する医療費というものを国民みんなが公平に負担していく、そして拠出の仕組みというものは法律の中にはっきり書いてあるわけでございます。料率としては書いてございません。それは料率ということになじまないから、法律の中に料率としては明示できなかったわけでございます。 この医療費というものは、必ずしも被用者保険からだけじゃございませんで、国民健康保険からも費用を拠出していただくことになります。国民健康保険の場合におきましては、保険料率という制度はございません。そういったこともございますので、幾つかの複数の制度から、医療保険制度全体から一定の基準なり尺度で拠出金を拠出していただくという形になりますと、やはり毎年毎年一定の金額を各保険者に割り当てる、それを出していただく、その割り当ての基準なり方法というものを法律にきちんと書いておく、そういうことでいいのではないか。また、法律上の問題も十分法制局と議論をいたしまして詰めたわけでございます。そういったことで、十分可能である、法定主義等には問題がないということで、こういった制度の仕組みにしたわけでございます。
○大原(亨)委員 これは法制局長官にも一応答弁してもらいたいのですが、法定主義になじまないと言うのですが、これは私が申し上げているように、政府管掌の老人保険料率をいまから推定をいたしてみますと、そういう料率になるわけですから、ですから政府管掌でこれを決定いたしますと、健康保険法では全部に直接、間接に一定の基準になるというふうな仕組みであります。そういう面において料率を法定しておるわけであります。しかし、老人保険料率については法定しないで、費用を出す仕組みだけを書いておるわけです。しかも、これは青天井であります。制限なしであります。そういうことは租税民主主義に反する、租税法定主義に反する、違憲の判決が出ておるわけです。国民健康保険料についてそういう抽象的な、大まかな枠組みで決定をいたしたことは、税率、料率あるいは金額について法定するという法律の精神に違反をしている、憲法違反である、違憲の判決が出ているわけです。これについて費用をみんなで負担する、何でどういう方法で負担するかということを決定するのが法律ですから、必要なだけ取り上げるというふうなのは、しかも官僚が机の上でつくっておいて、武見さんだってそうですよ、数カ年でパンクすると言っている。そのとおりだと私は思っている。そういう無責任な制度をつくって国民に負担を課しておきながら、この制度の仕組みを押しつけるということは憲法違反ではないか、こういうことを私は言っている。租税法定主義は明確にそのことを各法律を通じまして具体化しておるわけでありますから、いまの政府の答弁は、これはいただけない、納得できない。
○角田(禮)政府委員 租税法定主義を御引用になりましたが、確かに租税につきましては憲法でそういうことを要求しているわけであります。それに準ずるような強制的な課徴金とかいろいろな公共的な事業についての料金などについても、そういう八十四条の精神にのっとってできるだけ法律で決めていく、こういうことは無論憲法の精神にかなった措置だと思います。しかし、それぞれの課徴金なりあるいは料金なりあるいは負担金なり、ただいま問題になっている老人保健法に基づく支出金についても、それぞれの制度の性格なり実態に応じて法律である程度の枠を決め、そして実際にはそれを運用していくために必要な仕組みを任せるということも無論許されるものだと思います。その実態的な説明については、先ほど厚生省の政府委員の方から説明したとおりだと思います。
○大原(亨)委員 五十四年に秋田地裁は、国民健康保険料の決定の仕方について、税率や税額を明示しないそういう方法は違憲の疑いがある、違憲だ、こういう判決を出した。これは国鉄の料金とか専売料金でも法定するのですから。ですから、保険料も当然法定すべきなんです、健康保険法ではやっているのですから。一般健康保険料はそれでやっているのですから。そして、老人保険料をそれに付加して取って拠出金を出すのですから、拠出金を割り当てるならば、必要なだけ出していく、こういう仕組みは仕組み自体が違憲の疑いがある、私はそう思っている。法制局はよっぽど頭がどうかしているんだ、君は。 もう一つ話を進めまして、あとこれは結論で申し上げるのですが、国会におきまして自由民主党が法律の改正をしたのです、総理大臣。どういう法律の改正をしたかといいますと、老人保健法の中で非常にいい面というふうに言われておったのですが、老人保健審議会といって支払い側と診療側と公益側と実施主体の市町村、四者の構成の審議会があるわけです。その審議会の諮問事項、審議事項の中に、拠出金の出し方についての問題があります。もう一つは、診療報酬支払いについての事項があるわけです。それから保健事業、ヘルスサービスをやっている。この三つを総合的にやって、そして高齢化社会における老齢者、高齢者の疾病に対応するような総合政策をやろう、こういう審議会をやっておるわけです。ところが、自由民主党は突然、政府が審議をいたしておりますときにこの中から二つを引き抜いてまいりました。ヘルスサービス、保健事業は公衆衛生審議会の審議事項にいたしました。そして、診療報酬支払い方式の問題については、審議事項から外しまして中医協の方へ回していったわけであります。ばらばらにしたわけであります。そして、老人医療機関の指定制度、これをなくしてしまったわけであります。そういたしますると、老人保健法案の立法の趣旨というものは、これはほとんどざる同様になりまして有名無実になっておるわけであります。こういう制度をつくるのが一体行財政改革であるのかどうか、医療資源の効率的な活用に座るのかどうか、こういう点について、私は非常に大きな問題があるというふうに思います。 しかも、村山厚生大臣は、おられるかと思うのですが、法律が衆議院で通るときに、これは賛成しがたい、しかし国会でこれは通されるのであるならやむを得ない、こういうふうにいままで以上の厳しい見解を述べております。それはそうであります。審議中に、質疑応答の中ではこれらの問題は原案を前提にしてやっておるわけですから、それに対しまして対応して答弁しておる、審議をしておる。そして、最後の土壇場で議員立法で修正したわけであります。そういうことは議会制度もくそもないわけであります。いままでいろいろな懇談会とか審議会等がずっと衆知を集めて、老人保健審議会というのはそういう政策をインテグレートする、総合する、そういうことを通じまして高齢化社会に対応する制度をつくろうというふうにやったものを、全部ひっくり返したわけであります。 厚生大臣は賛成しがたい、こういうふうに答弁いたしましたが、賛成しがたいという内容について、厚生省は見解を述べてもらいたい。
○吉原政府委員 政府原案におきましては、いま先生がおっしゃいましたように、老人保健審議会において診療報酬の問題、それから保険者拠出金の問題、それからヘルス事業、予防事業のやり方の問題、そういったものを包括的・総合的に御審議をいただくということを考えていたわけでございます。 ただ、こういった時代でございますので、そういった新しい老人保健審議会をつくるよりもできるだけ既存の審議会等の活用ができないのかというような御意見がございまして、それから、やはり診療報酬の問題ということになりますと、中央社会保険医療協議会というのがございまして健保等の審議をしているわけでございます。そういったものとの関連を考えました場合に、やはり診療報酬については中医協で、それから公衆衛生の問題につきましては公衆衛生審議会でというようなことで、自民党だけではございません、公明、民社等の御賛成を得まして、院議として、衆議院の、国会の御意思として御修正をいただいたというふうに思っているわけでございます。
○大原(亨)委員 賛成しがたいと言ったのはどういうことかと私は質問しているのですよ。質疑応答の、審議の過程の中で答弁したこととはまるっきり違うことを修正しているのだから。そういうことはこの制度の整合性からいって許されるものかどうか、こういうことであります。その点について責任を持つのかどうか。 十三兆八千八百億円の本年度予想されるこの医療費の使い方について、新しい高齢化社会に対応する老人保健法をつくるときにこういうことをやるようでは、これは全く制度といたしましても政治といたしましてもおかしいのではないかと私は思います。 そこで、問題となっているのは、議論になりましたのは、全部の閣僚がおられるところで私は議論したいわけでありますが、診療報酬の支払い方式、この問題は全世界の各国が、先進国が非常に苦労しているところであります。苦労いたしまして新しい制度をつくっておるのであります。これは良心的な医師がまじめにやったならばその成果が得られるような、そういう制度を含めて制度は議論されているわけでありまして、私が申し上げましたが、三分の一ははしにも棒にもかからぬと武見さんは言っているのですが、資源の活用という面からいってこういう制度についてメスを加えないと全くたれ流しの歯どめのない制度になる、責任のある制度とは言えないと私は思うのです。 大蔵省は、臨調の答申もありますが、いままでこの問題についてかなり突っ込んだ議論を厚生省としながら五十八年度の予算編成に向けての一応の五十七年度予算の締めくくりをしたと思うのですが、大蔵大臣、診療報酬の支払い方式については、あなたもしばしばいろいろな見解を示しておられますが、いまの制度を変えなければならぬ、いろいろな案が出ておるが、改革をしなければならぬと思いますが、どういう見解でありますか、お聞かせいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 現在の出来高払い方式はいろいろ問題点があります。ありますが、さて、それをどういうふうにどの制度にするかと言ってもなかなか決め手が実際はない。しかし、これらに何らかの改善を加えられるためにはどうすればいいかを含めまして、検討はしていかなければなるまいと思っております。
○大原(亨)委員 一部新聞に報道されましたが、点数出来高払いについて点数逓減方式を採用したらどうかということがニュースになっておりましたね。大蔵省においては研究されたことがありますか。あるいは厚生省は研究しておりますか。その他たとえば登録制をとりながら人頭払いをするということになれば、老人保険医療機関の指定制度が要るわけです。議案にありました指定制度が要るわけであります。そういうホームドクターとかプライマリーケアということをいまどこでも専門家は言っているわけですから、やはりそういうことを通じまして順次診療機関、医療機関の機能を分化していくことが必要なわけであります。外国は全部、非常に苦労してやっているわけであります。こういう問題等を含めまして診療報酬の改革について具体的な検討をしているかどうか、そういう点についてお答えください。
○大和田政府委員 前段の御質問に対しましてお答えいたします。 先般の新聞に出ました診療単価切り下げ方式というものにつきまして検討しておるかということでございますが、私どもといたしましては検討はいたしておりません。こういう方式を考えるつもりはございません。
○大原(亨)委員 そういうことを言わないと、あそこへ座っている橋本君や医師会に怒られるということだろうと思うのです。そういうことで医療問題の審議ができるのかと言うのですよ、私は。後ろでぶつぶつ言っているから、言っているんだ。そういうことなんです。そういう主体性のないことで医療改革ができるのかということです。中曽根長官、御答弁ください。
○中曽根国務大臣 医療費の問題は非常にむずかしい問題で総合的にいろいろな要素で考えなければいかぬ問題であると思います。御意見は謹んで拝聴いたしました。
○大原(亨)委員 大蔵大臣、やはりいまの老人保健法でこれが実施をされましたら、私は、日本の医療費の中で出過ぎた点をチェックしながら、そして必要な医療費を充足するという、そういう制度にならぬと思うのです。いままで議論をしてきたとおりであります。これは大蔵大臣でも総理大臣でもよろしいと思うのですが、そういう主体性というか指導性のないことで、八〇年代あるいは二十一世紀へかけまして日本が直面する高齢化社会に対応する、この社会保障を本当に改革するということはできない、こういうふうに私は考えるのでありますが、総理大臣は感想があればお聞かせをいただきたい。
○鈴木内閣総理大臣 老人保健医療の問題は、これは高齢化社会を迎えております日本として、私は非常に重要な制度の創設である、このように考えておりまして、先ほど来厚生大臣その他から御説明を申し上げましたように、その趣旨は、壮年時代から十分健康管理もやり、また十分健康の診断等もやり、お年寄りが健康で快適な老後生活が送れるように、そうすることが医療費の節減にもなる、こういう趣旨からできておるわけでありまして、これには大原さんも、立法の趣旨には御賛同いただいておるものと思うわけでございます。 いま大原さんがおっしゃったところの老人保健審議会の取り上げるべきところの審議項目を一部のものは中医協に移したとかそういうような問題につきましては、国会審議の段階で各党間で十分掘り下げた御検討をいただいて、一党だけでなしに他の政党においても御賛同があったということで衆議院段階で改正をされたということでありまして、政府の原案は修正をされたことになりますが、国会の御意見というものを十分権威あるものとして私は尊重いたしておるところでございます。
○大原(亨)委員 これは一部負担の制度等をめぐりまして議論になった点の手直しをやっておるわけです。しかし、全体の法の構成からいいましたら、これは私どもが反対をし、参議院でまだ審議をしておりませんから、その後いろんな各方面の意見が出ているわけです。ですから、この仕組みについてますます重要な点が指摘をされておるわけであって、この問題について私どもが解決をしないと、これは非常に悔いを後に残すのではないか、こういう点を私は厳しく指摘をしておきたいと思います。 議会の制度からいいましてもおかしいのです。与党が突然だしぬけに提案いたしました本質をひん曲げるような修正案を出す、こういうことはおかしいわけであります。大体野党が修正するものだ。野党の要求に対しまして、これは一部を入れましたり手直しをしてやるべきものであるのに、ごっぽり性格が変わるようなことをするということは、私は、鈴木内閣の責任体制というものがどうなっているんだ、こういうことを指摘をしておきたいと思います。 それからもう一つは、これから時間の範囲内で進めてまいりますが、高齢化社会を迎えるに当たりまして、確かに大蔵省の文書にありますように、一部におきましては制度といたしまして日本の年金制度は国際水準に達しているところもある。しかし、日本の制度は非常に未成熟であります。これから成熟段階になるわけです。しかしながら、いままで議論をしてまいりましたように、六つの省に分かれて八つの大きなグループ、そして二十六の経営団体であります。分かれている。それぞれが独自の計算方式で前に進んでおりますから、われわれが指摘をし、世間でも指摘をしておりますように、これは四、五年ないし十数年後には行き詰まるのであります、この制度は。年金がばらばらでございますと、分母が小さいものですから一遍に矛盾が露呈をするということになるわけです。ですから、年金をどう改革するかということは、これから高齢化社会に対応する道といたしましては非常に大きい問題であって、行革特例法のときの四分の一の国庫負担を三年間召し上げておいて、そして後返していくというふうないびつな考え方では、とうてい日本の制度の改革はできないわけであります。 最近話が、研究が進んでおりますが、時間の関係で申し上げるのですが、国鉄共済は国鉄の再建の問題と関連をいたしまして議論をされておるわけですが、高木総裁、見えておりますか。——国鉄共済年金は、いままでの歴史的な過程、一番古い年金であります。そして、戦後は六十数万にふくれ上がったようなことがございまして、外地からどんどん鉄道関係の人が入りまして、そして雇用対策としても活用しておりまして、それらが一斉に退職の時点にあるか退職したかというところでございまして、年金は急速にバランスが崩れていくのであります。その問題を中心にいたしまして議論をしておりますが、それだけではなしに、専売その他も、地方公務員等におきましても十四、五年後には行き詰まるのであります。 この問題は国鉄再建と深い関係にあるのですが、国鉄共済については共済年金研究会の進行状況や、あるいは国鉄総裁としてのこれに対する考え方を現在の段階で率直にお述べをいただきたいと思います。
○高木説明員 先生よく御存じのように、すでに国鉄共済は成り立たない状態になっておるわけでございまして、積立金も非常に少ない。ここ数年は掛金率を上げること等によってとりあえず糊塗いたしておりますけれども、これも五十九年までがぎりぎりであるということでございました。そこで、長い間勤めていただいた先輩方に年金を約束どおり払えないということも許されないことでございますから、何らかの方法で解決策を見出さなければならぬということで、現在政府部内において御研究いただいております。 私どもの現在の考えとしては、比較的似た制度であるところの国家公務員を初めとする各公社関係の年金システムを一本化していただくことができないものだろうかというところぐらいから、徐徐に年金の統合問題に入っていったらいいのではないかということでございますが、何分われわれとしてはお願いであり、関係各組合にとっては御迷惑な話でございますので、今後いろいろ研究をしていただきますが、なかなかむずかしい問題であると考えております。しかし、これが同時に、国鉄の年金のシステムだけでなしに、現在のところ国鉄会計全体に非常に大きな負担になっておりますので、国鉄再建問題としてもこれをどのように取り組むべきか、いろいろと各御担当の間で御論議願いたい、そして早く結論を出していただきたいというふうに考えております。
○大原(亨)委員 一部の新聞の報道があるわけですが、共済年金研究会の結論ではないのですが、第二臨調では、この国鉄の再建の問題に関係をして国鉄の共済年金の処理は避けて通ることはできない、こういうことから共済年金合併論、こういうものを提案されておるというふうに聞いておるわけであります。これはたとえば厚生年金ほどではないのですが、やはり国鉄よりも十年ぐらいおくれまして電電共済年金等もピンチを迎えるわけであります、十数年で。たとえば電電の共済年金を掌理いたしております電電公社は、この問題についてはどう考えていますか。
○小川説明員 お答えいたします。 電電公社の共済年金につきましては、共済経理の現状は、五十五年度で見ますと収入が千八百十億程度でございまして、それに対しまして支出の方が八百八十億程度でございます。現在のところまだ九百三十億の黒字ということでございまして、現在のところ順調に推移をいたしております。 いま先生のお話にございます公企体の共済組合、さらに国家公務員等の共済組合、こういうものを一元化することについてはどうかという御質問でございますが、これらを単純に統合いたしましただけでは、やはり近い将来全体の財政面におきましてなお問題が残るということも事実でございます。また、私ども公企体、国家公務員、それぞれの共済制度というものは、それぞれ根拠法も違いますし、また歴史的経緯とかあるいはまた制度の仕組みも違いますし、財政状況等もそれぞれ異なっておりまして、直ちにこれらを一元化するということは、私どもとしては非常に困難だというふうに思っております。しかしながら、電電にとりましても年金の問題は社会保障制度全般にわたる重要な問題であるわけでございまして、今後国全体の問題としていろいろ十分に検討、御審議をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○大原(亨)委員 運輸大臣が三公社の年金を主管しているのです、機構を持ちまして専売、電電、国鉄を。たとえば第三セクターをつくる、民間へ移行すると言いますね。そうすると、本年度の共済年金に対しましては、追加費用といいまして、恩給部分や共済年金以前の負担ですが、軍属や軍人のつまり通算に伴う増加分、過去勤務債務追加費用といいますが、二千六百億円ぐらい使っておるわけですが、これが昭和六十年にはさらにふえてまいりまして、そして大体四千六百億円程度になるわけであります。そういたしますと、そういう制度というものはほっといて民営に移していくわけですかね。そういう年金の処理の仕方等については計算しておるのですか、どうですか。計算というか、政策を立てておるのですか、どうですか、それが一つ。 もう一つは、総理大臣、お聞きのように電電公社はちょっとえんきょくに言ったのですが、つまり合併いたしましたらいまの保険料率を上げなければならぬ。国鉄の赤字を埋めるために保険料率を上げなければならぬ。国家公務員もそうですし、郵政省もそうでしょう。他の方もそうです。そういうことは先のめどがないのにいやだ、簡単に言えば、こういうふうに言っているわけであります。そういうことは労使を問わず全部の意見ですね。 ですから、いまの年金制度をどうするかということの全体像を確立をしないと年金の処理は進まない、行財政改革も進まない、こういうふうに、私は状況に行き詰まっておると思うのです。ですから、年金の水準が高いのどうのというような大蔵省的な感覚ではなしに、日本の年金をどうするか、高齢化社会に対応してどうするか、長期安定にするためにはどうしたらいいかという議論になります。こういう議論を全体的にするところが政府の中においてはないわけです。研究会等でやりましても、大臣は一年ぐらいでかわるのですから。大体、アメリカの大統領制度のように、防衛庁長官にいたしましても厚生大臣にいたしましても、やはり四、五年はおらなければいかぬわけですよ。厚生大臣はこの一年半の間に五人かわっていますよ。ちょっとわかったかと思うと全部かわっちゃう。それでは医療だって年金だって、できるわけがないんですよ。大体あなたが総理大臣の座におるために都合がいいということを言っては怒るかもしらぬが、そういう組閣の仕方というのはいけないです。やはり総合的に長期的にどういうふうに政策を進めるかということを考えないと、当面の問題は処理はできないというところに行き詰まっておると思うのです。ですから、私どもが提案しておりますように、年金行政を一元化する、年金庁をつくる、そして制度全体を検討していくということが一つ。 そしてもう一つは、保険料の負担はもう十年余りで限界に来るわけですから。千分の百八十。国民年金はいま一カ月に五千二百二十円ですが、これは月一万円になるのはすぐです。これは制度全体を見直さなければ長期安定はできないのです。ですから、基本年金の制度を導入して、しばしば言っておりますが、そして全部の年金に通ずる基礎をつくって、共通点をつくって、その上にバラエティーのある制度を、積立金もあるのですから、どういままでのやつをやっていくかということを全体として考えないと年金制度は完全に行き詰まって、行き詰まってからでは改革はできない、だれも相手にしない、こういう重要なことになっておるのではないか。年金行政の一元化と基本年金の導入について政府としてもう少し責任のある体制で審議をし、方針を立てることが必要ではないかと思いますが、行財政改革の問題とも関連しておりますけれども、総理大臣としての所見を改めてお答えいただくように要望いたします。
○鈴木内閣総理大臣 年金制度の問題は、高齢化社会を迎えるこの時代におきまして所得保障の大きな柱でございまして、非常に重要な問題でございます。この問題につきまして抜本的な改革をせよ、一言で言えば、制度の一元化、それから基本年金構想、そして各共済年金等の特殊ないままでの歴史や特色というものをその上に付加して生かすべきだ、こういう大原さんの御意見、私は非常に傾聴に値する御意見として拝聴しておるわけでございます。 なお、この問題は政府においても重大な問題として真剣に取り組んでおりまして、いろいろ厚生大臣等閣僚がかわることがございますけれども、一貫して自由民主党内閣である、方針は一貫しておる、今後もそういう方針で臨むということだけを明確に申し上げておきます。
○大原(亨)委員 何も一貫しておらぬじゃないですか。あなたの答弁は、一貫しておるということを強調して、それで宣伝するというのですか。そんな無責任なことないですよ。全然一貫していないで、場当たりでやっておいて、いまや持ちも下げもならなくなっておるのでしょう。あなたの内閣の寿命というのは知れておりますよ。わかっておるわけです。それで政策の尺度を判断して、いまの場面だけを言い逃れをするようなことはいけませんよ。これは非常にまじめな総理大臣ですからそういうことはないと思うのですよ。ないと思うけれども、現象、結果として見ればそれと同じじゃないですか。そういう点で、私はやっぱりそのうちに自由民主党の政権担当の寿命は来ると思うのですよ。 実際に総合的に見て長期安定をやらないと、先行き不安がある。そして、財政的な見地から切るというだけじゃだめだ。そうでなしに、中身をどうするかということを考えてみないと、そういった費用とか資源の有効な活用もできないわけなんです。たくさんの年金がダブっておったら、ダブってもらう人もおるわけですよ。費用の面においても非常にむだがあるわけでしょう。ですから、それをどう改革するかということをやらなければいけない。そのことは臨調でも私は非常に大きな課題だと思うのです。年金行政の一元化と、そして基本年金を導入して全部の年金の共通部分をつくって、そして、保険料の負担には限界があるのですから、医療保険や所得税の負担をしておるわけですから、そういう点を考えながら財政上の措置についても公平な民主的な措置をする、こういうことを考えることが当然責任のある政府といたしましてはいまやるべきことである、そのことをやらないと国鉄共済やあるいは国民年金の行き詰まりを打開することはできない、こう思います。中曽根長官、見解を述べてください。
○中曽根国務大臣 大原さんがおっしゃるような方向でいま臨調の検討は真剣に進められております。
○大原(亨)委員 その中身について私どもが聞いた範囲においては、なかなか政府自体が方針を決めないと私はできないことだと思うのです。このことは大変に重要であるというふうに思います。 かなり時間も迫ってきたわけでありますが、高齢化社会に対応して年金とか医療とか雇用とかそういう問題をどう総合的に解決するか、住環境をどう解決するかというふうな総合的な政策の立案が必要であるし、実行が必要であります。そういう問題を基礎といたしまして全体の財政や経済政策が組み立てられるようにしなければなりません。特に雇用の問題は、高齢化社会においては決定的に重要であります。中高年齢者の雇用、出生率の低下、昭和四十九年以来、石油危機以来猛烈に低下いたしております。政府の見通しを上回って低下しております。これも大変なことであります。そして、雇用問題はさらに大変であります。中高年齢の雇用問題だけではなしに、雇用保障政策といたしましては、時間短縮の問題もあれば、定年延長の問題もあれば、年金との接続の問題もあれば、たくさんの問題がありますし、特に障害者の問題も多いわけです。障害者は急増しております。そして、非常に障害の程度が高度化しております。複合化しております。高年齢化しております。これをどうするかということを解決しないと、これは非常に大きな社会問題を残すことになるし、国際的には南北問題と同じです。南北問題と同じであって、格差と緊張を激化するということになって、社会的な連帯が崩壊するということになります。老人の自殺率は世界第一位ですよ。寝たきり老人対策はいまだに立っていないということでしょう。 そこで、最後に総理大臣にお尋ねいたしますが、昨年は国際障害者年でありました。そして、政府も一定の委員会や組織をもって対応したわけであります。一昨年の夏に中央心身障害者の協議会は、本部長である総理大臣に対しまして答申を出しておるわけでありますが、障害者年は過ぎたわけですが、国連の勧告に従う十年計画、長期行動計画をつくったわけでありますが、それを受け入れる体制あるいは政策の策定、そういうものは引き続いてどういうところでおやりになるかということをお答えいただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 障害者年におきまして、完全参加と平等という国際的な一つのテーマを掲げまして、障害者の方々の福祉の向上、特に今後十年間にわたる行動計画を作成して、これに取り組んでいくということをわが国におきましても決定いたしまして、いろいろの施策を進めてきておるところでございます。五十六年度、五十七年度の予算編成の中におきましても、非常に厳しい財政事情の中ではありましたけれども、心身障害者の方々に対する福祉の向上につきましては、きめ細かな配慮をいたしておるところでございます。 そこで、今後の対策を継続的に進めていくための行政上の受け入れ体制をどうするかという問題につきましては、いま審議会の御意見を踏まえて政府部内で検討を進めておる段階でございます。
○大原(亨)委員 ちょっと最後に。 たとえば、推進本部とか対策室、こういうふうなものをつくりまして国際障害者年に対応したわけです。しかし、新しい機構をつくるということは、必ずしも手放しでやることはできないと思うのです。しかし、障害者四百数十万人おるわけですから、障害者の雇用、年金、医療、交通、都市づくり、住宅、そういうものがたくさんあるわけであります。それらを総合的にやらないと障害者対策にならぬわけです。その内容というのは遺憾ながら薄まき、ばらまきなんです。だれかが言ったように、日本のは薄まき、ばらまきなんです。決して水準がいいのではないのです。高齢化対策でもそうです。 ですから、年金だけではない、医療だけではない、社会的なサービス、福祉、ボランタリー等を含めまして老人問題、障害者問題は長期の総合計画を立てなければいけない。そういう対策本部や対策室等も引き続き存続して、この長期行動計画について具体化する方法をやるのかどうか、私はこういう点を具体的に最後にお尋ねいたします。
○鈴木内閣総理大臣 今年度、そういう身体障害者の国際年を契機といたしまして、私ども総合的な対策を進めていかなければならない、こういう認識を持って取り組んでおりますが、その行政を調整し、総合化を図ってまいるという点については、私どもも全く必要であるということを認めておりますので、それをどのような形でやっていくか、行政改革の問題もございますし、そういう点を総合勘案して、しかし総合的に施策を進めなければいかぬということは十分心得て対処していきたい、こう思っております。
○栗原委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。 次に、横路孝弘君。
○横路委員 何か時間の都合で昼御飯抜きということでございますが、きょうで総括質問も最後でございますので、余り時間を気になさらないで御答弁いただきたいと思います。初めに若干外交の基本問題について議論いたしまして、あと防衛問題を主として議論いたしたいと思います。 初めに総理大臣にお尋ねしますが、レーガン大統領、レーガン政権が誕生して一年たつわけでございますが、強いアメリカということを目指して、特に米ソの軍事的なバランスが崩れているんじゃないか、ソビエトの軍事力が強まって、特に第三世界に進出しているというような危機感を持って出発した政権であるだけに、その政策はいずれも東西関係、特に対ソ強硬姿勢というものを軸として展開されてきているわけです。その政策、第三世界に対する政策、あるいは経済援助に対する政策、あるいは対ソ政策そのものをめぐってヨーロッパとの間にもいろいろな議論があるわけでございますが、どうも強硬姿勢だけで政策がないじゃないかという批判もあるわけでございますが、総理はこの一年間のアメリカのレーガン外交というものをどのように評価されておられますか。
○鈴木内閣総理大臣 レーガン政権は、御指摘のように強いアメリカ、世界平和についてのグローバルなパワーを高めて、そして世界の平和と安定に対するリーダーシップを確立しなければいけない、こういうような考え方に立って政策を進めておるように見受けられるわけでございます。そういう根底にありますのは、ソ連がここ十年余りにわたりまして年々軍事力の増強を図ってきた、その強大な軍事力を背景としてアフガンに見られるようにあるいは第三世界等に対して浸透しておる、こういうようなことに対して非常な懸念、心配をしておる、そういうことから、どうしてもこれは力の均衡を回復しなければいけない、それが東西間の力の均衡という形で、アメリカ自体も大きな軍事予算を計上いたしますと同時に、NATO諸国、同盟国等に対して軍事力の協力を求めてきておる、こういう形になって外交政策等が進められておるように見受けられます。 しかしながら、一方におきましては、ただそれが軍拡競争というような形になるのではこれは建設的でない、本当の平和への道でないという面も考慮をされまして、御承知のように、欧州における戦域核の削減交渉の問題あるいはSALT交渉の再開の問題等、軍備管理、軍縮につきましてもソ連との間に対話を再開していく、こういう努力も一方においてやっておるわけでございます。また、開発途上国等に対する経済協力等につきましても努力をしておるように思うわけでありますが、こういうアメリカの政策に対しまして、価値観を同じゅうするところの西側の諸国としてはやはり協調と連帯をして、そして東西の力の均衡を保持しながら世界の平和、安定に向かって着実に建設的にこれを進めていかなければならない。わが国もまた、そういう立場に立って西側諸国と協力していきたい、このように考えております。
○横路委員 どうもすべてよろしいという趣旨の御発言のようでございますが、具体的にお尋ねしていきたいと思います。 そんなレーガン政権の中で、日本に対して貿易問題あるいは防衛の分担を求める声というのは大変強くなっているわけですが、日本に対してアメリカの政治家の多くは、強いポジションをとることが日本を動かす唯一の方法だというように考えておるんじゃないか。どうもそういう考え方が強いようでございまして、それは逆に言いますと、アメリカのプレッシャーを日本がある意味で言うと簡単に受け入れてきているという事実の経過と、アメリカを説得し納得させるだけの日本としての独自の戦略とも言うべき考え方が明確でないということにもその原因があるのではないかと思うのです。 昨年来、アメリカの議会においてたくさんの決議案が出されております。ヘルムズ決議案から始まりまして、ザブロツキ下院外交委員長が出した決議案であるとか、ニール下院議員が出した決議案であるとか、レビン上院議員が出した決議案であるとか、こういう一連のアメリカの議会における決議案がたくさん出されているというこの現状については、総理大臣としてどのようにお考えですか。
○鈴木内閣総理大臣 アメリカにおきましても、議会にもいろいろのお考えを持っておる議員がおられるわけでございまして、しかもアメリカの場合は日本の場合よりも政党という枠で一つの方向づけをしてやっているという形でなしに、個々の議員さん方が、あるいは同調者を求めてそして決議案あるいは法律案等を提案をする、こういうことが非常に活発に従来からもなされてきておるわけでございます。 アメリカが今日、かつてないほどの経済的な諸困難に当面をしておる、またインフレもきつい、失業者も抱えておる、そういうようなこと等からいら立ちもあるというようなこともあろうかと思います。そして、日本には日本の立場がございますが、アメリカがあのような膨大な軍事予算を計上しておる中で、日本はGNPの一%以内というような形で、防衛努力についても、着実ではあるがとにかく歯がゆいというような見方をアメリカの議員さん方はやっているかもしれません。そういうもののあらわれであろうかと私は見ておりますが、しかし私は、日本には日本の政策がある。特に防衛政策につきましては、憲法並びに基本的な防衛政策というものが、国民的な理解と支持の上にこれが確立されております。でありますから、そのような決議がいろいろ出てこようとも、日本は独自の判断でやってまいるということに変わりはございません。
○横路委員 いまおっしゃったように、確かにアメリカの中に経済的問題が根底にありまして、日本に対して防衛力の増加を望むならば、経済問題を通じてプレッシャーをかけるというこの方法を通さなければだめじゃないかという意見もあるようなんですが、この経済問題と防衛問題、安全保障の問題とを絡めるアメリカ側の意見については、どのようにお考えですか。
○鈴木内閣総理大臣 アメリカ政府首脳におきましては、そういうような経済問題と防衛問題をリンクする、絡めるというようなことは決してしないということを私にも明確に話をされておられるところでありますが、議員さん方の言動の中にはしばしばそういうことが出てきております。私は、特に議員という自由な立場から、特に中間選挙も控えていることでもあり、いろいろな御意見が登場するであろうことはやむを得ないことである、こう思っておりますが、それはアメリカ全体の政策ではない、このように理解をいたしております。
○横路委員 確かにアメリカ側の、たとえばヘルムズ決議案などというものは、向こうの中で相手にされているわけではありません。日本のワシントン発というのは、そういういわば特異な見解をやや強調して報道しているきらいがないわけじゃありませんが、しかしいずれにしても経済的な問題というのが底流にあるわけですから、今日の貿易摩擦の問題を短期的並びに中長期的にどうやって解決をしていくのかということは、大変重要な問題ではないかというように思うのです。 そこで、ちょっと通産大臣に一言お尋ねしたいのですが、中長期に貿易摩擦を解消する、解決をしていくということになりますと、一つは、向こうでは日本の製品が出ていくということが失業につながるという意見があるわけでありますから、一つの方法はやはり直接投資の交流、雇用機会をアメリカないしヨーロッパでつくるということが大事だと思いますし、それからもう一つは、先端産業の分野での競争がこれから激しくなっていくわけでありますから、念を押しておきますが、軍事技術は除いて、技術的な移転というものがECあるいはアメリカ側の要望にもなってくるだろうと思うのです。ECとの間には産業協力ということの体制が進みつつあるようでございますが、アメリカとはどうもその辺のところが必ずしもうまくいっているようには思われないのですね。それば民間ベースの問題だということがアメリカ側の姿勢じゃないかというように思うのですが、この中長期の貿易摩擦の解消という点で、産業協力という問題をしっかり位置づけてやっていくということが必要じゃないか。同時に、さまざまな誤解があるわけでありますから、その誤解を解決をしていく仕組みを日米間並びに日本とECとの間でつくっていくべきじゃないかというように思うのですが、通産大臣いかがでしょう。
○安倍国務大臣 おっしゃるように、貿易摩擦解消の一環として、中長期的にはやはり産業協力を積極的に進めていく、あるいはまた先端技術の交流体制を確立をしてそれを進めていくということは、非常に大事なことではないかと思います。 産業協力につきましては、日米間におきましてもあるいは日本・EC間におきましても、いま相当活発に推進されておるわけでございますが、ハイレベル、ハイテクニックといいますか先端技術につきましては、日本とECの間ではおっしゃるように民間等の技術交流がいま相当具体的に進んでおります。しかし日米間におきましては、むしろアメリカ側が日本に対する一つの不安を持っておるというように感ずるわけでございます。したがって、日本としてはこの先端技術の交流を進めていくことは大事であるということも提唱いたしまして、日本とアメリカとの間でのいわゆる先端技術の交流についてのスタディーグループをつくろう、こういうことを提唱いたしておりまして、これに対しましてアメリカ側としても検討しよう、事務レベルの間でこの問題については具体的に話をしようというところまできておるわけでございます。 いろんな問題を解決しなければなりませんが、特にいまお話のありましたような産業協力、先端技術の交流というものは、これからの貿易摩擦を解消する上においても大変大事なことである、こういうふうに私も認識をいたしております。
○横路委員 総理大臣、アメリカとの間に、たとえばアメリカ側の意見を聞いてみますと、特に、自民党はこんなに多数を持っていてどうして軍事費を増強しないのだなんというような議論が出るわけですね。いや、野党がいるんだよということをわれわれ議論するわけですが、政治の政策決定される仕組みを含めてやはり誤解が相当あるわけです。 そんな意味では、貿易問題を中心にして経済的な摩擦が大きくなりますと、それがいろいろとほかのところにはね返ってくるという構造になっているのはやはり間違いないわけでありますから、私たちの立場から言っても、ともかく、その経済的な摩擦が大きくなって、それがさまざまな、特に軍事力の問題にはね返ってくるというのは望むところじゃございませんので、経済的な摩擦をしっかり解決していくということで、総理大臣としても、特に日米間でいま関税、非関税障壁の問題などを議論されておりますが、もうちょっと長期的な視野に立ったシステムというのをつくるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 いま横路さんおっしゃるように、貿易摩擦の問題は一つの日米間における大きな問題になっております。私は、この緊張を早く取り除かないといろいろな方面に影響を及ぼすものである、こう考えまして、御承知のように、先般来、東京ラウンド、これも、毎年、年次的に引き下げるべき関税を二年分前倒しでこれを行う。それから、さらに輸入手続等のいわゆる非関税障壁、これも、私は、日本の非関税障壁は、欧米で指摘するようにそんなに市場が閉鎖的とは考えておりませんけれども、なお謙虚にそれを受けとめて、先般来六十七項目にわたって改革をした、こういうことでございまして、全力をこれに傾けておるところでございます。 なお、私は、一番大事なことは、お互いに事情を理解し合うということでございまして、日本の市場等に対する非常な誤解、理解不足の点が実際問題として多々あるように思われます。そういうことでございますので、政府間におきましても緊密な連携と接触をいたしておりますが、先ほど横路さんからもお話がございましたように、アメリカの議会方面、民間方面でそういう誤解があってはならない、早くそういう誤解を解かなければいかぬ、こう考えまして、議員外交というものを私は重視いたしておるところでございます。これは、今後、与党だけでなしに野党の各位にも御協力をいただきまして、議員外交をひとつ大いに展開する必要がある、こう考えております。 それから、苦情処理機関。いろいろ問題がある、また不満があるという場合におきましては、それを具体的にひとつ日本側に提起していただきまして、それを一つ一つ可能なものは処理していく、こういうことが必要だ、こう考えておりまして、これは各級レベルにおけるそういう連絡協議の機関と、それから苦情処理機関というものを設置をいたしまして、問題の処理に当たっていきたい、このように考えております。 それから、大きくは、いまも通産大臣からも御説明を申し上げましたように、技術の共同開発研究の問題あるいは合弁企業の設立の問題あるいは投資の問題、そういう総合的な産業協力等につきましても今後積極的に行う必要がある、このように考えております。
○横路委員 アメリカばかりじゃなくて、世界各国に対して、議員外交という言葉を使われましたが、日本の政治の政策決定システムというのもやはり独自のものでございますし、野党の意見というのを各国に知ってもらうということも日本の政策全体を理解してもらうためには大変必要なことなわけでありまして、それには賛意を表しておきたいと思います。 ただ、これから鈴木外交についてちょっとお尋ねをしていきたいと思うのですが、われわれ対米外交を見ておっても、日本というのはどうも外圧に弱い、そういうように評価されているんじゃないか。そのことが、最近のたとえば韓国との借款問題でも韓国側の姿勢になってあらわれているのじゃないか。これは、周りの国がみんな日本というのは圧力に弱い国だというように考えることは、日本の安全保障にとってはどうも望ましい方向ではないということになるわけです。 最近、世界の中の日本の役割りであるとか国際社会の中で日本の経済力が大きくなった、その大きさに応じて責任を負うべきだというようないろいろな議論がございます。 確かに、今日の世界の状況の中で、日本だけが平和であって、日本だけが豊かであるということを望もうとしてもそうはいかないわけですから、やはり世界が平和でなければ日本も平和でないし、世界が豊かでなければ日本も豊かでないということになろうかと思うのでありますが、しかし同時に、それならば、日本の経済力の大きさというのは、石油ショックのときに認識されたように、いわば強いものじゃなくて脆弱性を持っていて、世界に依存をして初めて成り立っている日本の経済の仕組みだということも共通の認識になったわけです。それならば、日本が世界に向かって主張する独自のいわば目標とか世界観とかビジョンというものが、国の政策として、特に外交の場合必要になってくるわけであります。 ところが、鈴木内閣の外交というのを見てみますと、西側の一員という、どうも余り実体のないあいまいな観念にその立場を置いて、政策選択の基準としてこの西側の一員というのを置いて、これを国内並びに対外的な政策の説明手段にしている。過去の自民党内閣の外交をずっと見ていますと、たとえば典型的なのは、福田さんのときに、全方位外交ということを言うと同時に自主外交ということを主張されたわけであります。鈴木さんの西側の一員論の主張の中から、どうも言葉としても行動としても、自主外交という展開がどこにもなくなってきたのですね。全くアメリカの言うままに、中東外交にしても、対朝鮮政策にしても、対ソ政策にしても、あるいはさまざまな経済的な政策にしてもとっているのではないか、どうもそう受けとめざるを得ないわけでございますが、どうも鈴木さんになってから自主外交を放棄したのではないかという意見についてはどうお考えになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 鈴木内閣の外交の基本姿勢はどうか、こういうお尋ねでございますが、わが国はこのような小さな島国であり、一億一千万の大きな人口を抱えておる、資源も非常に貧弱である、こういう国が平和で豊かな国民生活を確保してまいりますためには、何といっても、まずもって世界の平和と安定がつくられなければいけない、そういう中において初めて日本の安定と繁栄が確保できる、国民の豊かな生活も実現できるわけでございまして、平和外交、これがわが国の基本的な外交の政策の柱であることは、これは繰り返し御説明を申し上げておるところでございます。 そこで、この非常に激動する複雑な国際社会の中でどうやって現実の平和と安定を確保するか、こういう問題になるわけでございます。そういう観点からいたしまして、アフガニスタンに対するソ連の侵攻、最近におけるポーランドの情勢等々からいたしまして、大平内閣当時から東西問題、これが厳しくなってきた。抽象的な平和外交ということでなしに、やはり価値観を同じゅうし政策を同じゅうする西側の陣営の一員として、十分連帯と協調を保ちながらこの問題、こういう厳しい国際情勢の中に対応していこう、こういうことになっておるわけでございます。もとよりその判断は、国益を踏まえ自主的にこれを進めるということには一貫して変わりがないということを御理解を願いたい。
○横路委員 東西関係が厳しい、だから連帯と協調という言葉を使われたわけですが、各国それぞれやはり自分の国の利益というのをどのように考えるかということを軸にして外交を展開していっているわけです。 総理は去年カナダとメキシコに行かれたわけですが、一つの典型的な例はカナダとメキシコの外交だというように思うのです。いずれもアメリカの隣国でありますから、アメリカとの協調というのを軸にしながらも、しかし、なおかつ独自の外交、たとえばカナダの場合ですと、アメリカと西欧あるいはアメリカと南の国というものとの間の橋渡しをどうやっていくのかという立場から、国連における中国の承認などということにはかなり積極的なイニシアをとったわけでありますし、メキシコも対米協調を軸にしながらも、いわば内政不干渉、民族自決ということを外交上の原則にして、どちらかというと第三世界の利益を代表する形でアメリカや西側と対応していこうという自分の国のポジションを決めて、そして目標へ向かった外交を展開しているわけです。 日本の場合は、どうもそのポジションが鈴木さんになってから、西側の一員という——余り実体がないわけです。東、西と言ったって、いまは何か。たとえば資本主義と共産主義というように西か東かというのを分けた場合には、中国などというのはじゃどういうポジションになるのかということになるわけでありますし、あるいは民主主義と全体主義というようなことで東西の区分をしたって、いわゆる西と言われている中には軍事政権だってあるわけです。ですから、東西という鮮明な二色によって分けるという分け方というのはどうも余り内容がないことではないだろうか。そうすると、たとえば、カナダやメキシコが自分の国の外交目標を持って展開しているような、そういうポジションというのをもう少し明確に決めてやるべきじゃないだろうか。 いま、平和外交という言葉を使われましたが、たとえば、東西の緊張が高まっている中で、じゃどのようにその東西の緊張を緩和していくような努力を日本としてしていくのかとか、そういう方向性が鈴木さんになってからどうもきわめて不明確になってきたんじゃないか。西側の一員という都合のいい言葉に全部逃げ込んでしまって、そこで国内的な説明、対外的な説明を行っている、こういう感じがするのですが。
○鈴木内閣総理大臣 カナダ、メキシコのお話がございましたが、私はカナダのトルドー首相とも、またメキシコのポルチーヨ大統領ともしばしば会談をいたしております。この両国はアメリカに隣接し、アメリカの影響を深く受けますと同時に、いろいろな面で独自の政策をとりたい、こういう意欲もまたあるわけでございます。そのためにはやはり経済的にもっと強くならにゃいかぬということから、それには日本の協力、日本と力を合わしていかにゃいかぬということがカナダ並びにメキシコの指導者の間にもはっきりと出ておるわけでございます。 そういうようなことで、日本も国際的な地位と役割り、使命というものが近年非常に大きくなってきておるわけでありまして、そういう自覚と責任の上に立って、先ほど申し上げたように、日本として行動していかなければいけない。特に、日本は、軍事的な面においては自分の国を守るという以外にはできないことでございますから、世界のGNPの一割国家としての経済力を背景とし、また高度の技術力をもって、第三世界等発展途上国の民生の安定、向上にも寄与していかなければいけない、それが世界の平和につながる、こういうことで対外経済協力等を大きな重点的な政策として掲げておることも御承知のところでございます。
○横路委員 つまり、カナダやメキシコの場合はスーパーパワーの素質はないとみずから認めて、いわば中級国家としてやっていこうということで、確かにそれは日本と連携を強めていこうという方向性にあるわけです。 それでは日本はどういうポジションをとるのかということが問題になるわけでして、メキシコ、カナダのそういう要望があれば、やはりそれにこたえていく日本としての方向性を出して、今日の東西あるいは南北問題という中で日本のポジションというのをしっかり決めていくことが必要ではないだろうかというように思います。 そういう観点に立った場合に、いまおっしゃったように軍事的大国にならないんだ、経済力を活用して自国と世界の平和と安定のために努力をしていくんだというならば、たとえば第三世界との関係においては経済協力、資金援助とか技術協力の問題ですね、それから先ほど言いましたアメリカやECとの関係では資本、いわば海外投資であるとか技術移転の問題、それから社会主義の諸国家との間にも資金援助あるいは技術協力あるいは海外投資と、言われるような分野の協力関係というものがあると思うのですね。そういうことをしっかり、日本のいわばポジションに立った位置づけをして展開をしていくということが大事なことだと思うのです。後でまた時間がございましたら、経済協力の問題は議論いたしますが、どうもそれがその場限りになっていて、アメリカが対ソ制裁決めたというとそれに従って右往左往する、そういう状況にあるんじゃないだろうか。したがって、日本のそういう第三世界に対する政策、アメリカ、ヨーロッパに対する政策、社会主義諸国家に対する政策というものをそういう観点から決めるということもできると思うのですね。ひとつそんな中長期な展望というのを持たれたらどうですか。
○鈴木内閣総理大臣 中長期の展望に立ってやっております。特に、具体的にごらんになれば、ASEAN諸国等に対する日本の経済協力、技術協力等は着実にこれが実を結び、開花しておる。これは国際的にも非常に評価をされておるところでございます。 私はそういうことに勇気づけられまして、今後経済協力等につきましては、これは日本として大いに力を入れていかなければいかぬなということで一層努力を傾けておるところでございます。
○横路委員 ちょっと具体的な問題に入っていきたいと思うのですが、ことしの施政方針演説の中に安全保障と軍縮という一項目があるわけですね。中身の関連性はどうも余りないわけでございますが、日本が果たし得る役割りの中にやはり東西間のデタントをどう進めていくかということが一つあろうかと思います。 軍縮ということについてお尋ねをしたいと思うのですが、従来は核軍縮を中心にして、いわば日本にとって好ましい国際環境をつくるという立場から軍縮の問題というのが考えられてきたと思うのです。むしろわが国自国の問題として考えるということじゃなくて、したがって国連の議論というものをフォローするという立場からのみ軍縮というのは考えられてきたんじゃないだろうか。国連局の中に軍縮課があるということも、そのことを物語っているのじゃないかと思います。 総理は就任後、安保の特別委員会で私が軍縮の議論をしたときに、日本の安全保障政策として軍縮を位置づけるべきだという主張に対して、有力な柱として位置づけていきたいというようにお考えになっているわけでございますが、今度の施政方針演説で安全保障と軍縮という形で一項目起こされたということを含めて、この軍縮ということを日本の安全保障政策として考えたらどうだろうかということについてはどのようにお考えでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほども前段でちょっと触れたわけでございますが、力の均衡ということは現実の国際社会で当面必要なことであるけれども、軍拡競争を重ねていっても決して世界の恒久的な平和は確立できない、人類は幸せにならない、こういう考えを持っておりまして、やはり軍縮、軍備管理というものを重視をし、国際的な世論を喚起して軍縮の方向に各国が努力をしていく、そして軍事力を低位に均衡させるということで、その生まれたところの資源、余力を第三世界、発展途上国等の開発振興に向けていく、また、いま経済的に非常に深刻な事態にあるところの先進工業国におきましても、やはり軍備という重圧から解放されていくことが世界経済の活性化のために必要である、このように私は基本的に考えております。 そういう意味合いから、日本は本当の世界の恒久平和を希求するという立場からも、軍縮、軍備管理ということに真剣に努力をする必要がある、こう考えております。
○横路委員 レーガン大統領のいわゆる平和のためのプランと言われているゼロオプションの提案をしたものですね、あの中身を見ましても、戦略核の問題と戦域核の問題、通常兵器の問題、米ソ間のお互いの信頼関係をどうつくるかという信頼醸成措置という問題、大体この四つの問題が提起されているわけですね。大体、軍縮といった場合に対象になるのはそういうことだろうと思うのです。 この北東アジアについての軍事的な状況というのはどうなっているかといいますと、一つは戦略核の分野では米ソが対決をしているという状況がありますね。それから戦域核では米ソと、ソビエトと中国が対峙をしているという形になります。それから通常兵力の面では朝鮮半島で南北が対峙している。それから国境を挟んで中ソが対立をしている。それから日本が、日本海とオホーツク海を挟んでソビエトと軍事的に対峙していると言っていいかどうかは別にいたしまして、日本とソビエトのそういう関係がある。 それぞれのそういう状況の中で、日本としてどういう軍縮——軍縮というのは広い意味の軍縮でございまして、軍備縮小のほかに軍備管理と信頼醸成措置というのを含んだ広い中で、ではどのように日本の安全保障政策の中にこの軍縮を位置づけたらいいのかというのが私のこれからの議論なわけでございます。個別ごとに尋ねていきたいと思いますが、初めに戦域核の問題についてお尋ねをいたします。 戦域核について総理大臣はこの委員会を通して、アジアの配備については何も聞いてないという答弁を繰り返しておるわけです。ところが、ロストウ軍縮庁長官の、たとえば十一月十日の発言を見てみますと、アメリカは目下のところ、日本や中国などを含めて同盟国と交渉ではないけれども協議を行っている、協議の過程は非常に満足すべきものである、こう記者会見でロストウ長官が発表されているわけです。これは外務省もその内容については御存じだと思うのですが、ここで明確に日本側と協議をしている、このように軍縮庁長官がみずから言っておるわけでありますから、総理大臣の、配備するよという話はなくても、何らかの配備をめぐる日米間の協議はあるんではありませんか。
○櫻内国務大臣 ロストウ軍縮庁長官の発言でございますね、横路委員の御認識と私が承知しておるところとは大分差があるのです。アメリカがわが国について具体的な何か協議をしたか、あるいは何かアプローチをしてきておるか、こういうことにつきましては、残念ながら私の責任の範囲ではそういうことは承知しておらないのであります。 また、戦域核の極東配備につきましては、何ら具体的な計画を持っておるとも私は承知しておりません。
○横路委員 あなたとの間に戦域核というその言葉の解釈をめぐって議論があるわけではないと思うのですが、前に北米局長も、ロストウ軍縮庁長官がアメリカの議会でテストを受けたときに、戦域核というのはもともとアメリカの問題というよりも同盟国の問題であるから、そちらの意見を十分に承ってやるんだという旨の証言をアメリカ議会でしておりまして、それを受けて安保委員会でも議論したことがあるのですね。この十日のロストウ軍縮庁長官の発言は、少なくとも協議を行っているという発言があったことは事実じゃないんですか。
○淺尾政府委員 前後の関係を読みますと、どうもアライズという言葉の意味が、やはり当時欧州で戦域核というものが非常に問題になっていたということで、その欧州を中心にしたアライズとコンサルトしている、ネゴシエートはしてないというふうに読めるのではないかと思います。 いずれにしても、日本に対しては、現在までのところ何らコンサルトないし協議というものはございません。
○横路委員 この問題についての政府の基本的な立場はいかがなんでしょうか。私たち社会党は、アメリカの戦域核のアジア配備に反対する、同時にソビエトにもSS20は撤去してもらう、こういう方向が一番望ましいという基本的な立場を明らかにして、アメリカに対しても、昨年でございましたが、ジュネーブの米ソの交渉の中ではこの問題に触れてもらいたいということを話をしてきたわけですが、日本の基本的な立場はどうなんですか、総理大臣。
○櫻内国務大臣 現実にはアメリカはソ連とこの種の問題の対話をしよう、こういうことで昨年の十一月三十日以来、中距離核戦力削減交渉を行っておるわけでございます。そして、この削減交渉のアメリカの姿勢からいたしますと、欧州また極東地域すべてについて削減交渉をしよう、こう言っておるのでありまして、そういう点からいたしますと、日本としては非常に好ましい交渉の姿勢でありますので、これを私どもは支持をしておるわけでございます。残念ながらソ連は、欧州地域における削減ということで、両国の主張が余り歯車が合っておらない状況でありますが、いずれにしてもヨーロッパといわず極東といわず、こういう戦域核というものが削減される、究極的にはなくなるということは、日本として非常に大事なことだと思います。
○横路委員 そうすると、基本的にはどうなんですか。アジア配備ということ、それから同時にソビエトの方もSS20を撤去してもらうという、そういう基本的な立場ということで確認してよろしいですか、配備には反対するということで。
○櫻内国務大臣 そこのところは慎重に考えなければならないと思うのですね。これは総理もしばしばお答え申し上げておるように、東西の軍事力の均衡ということを頭に置かなければならないわけであります。 そして、今度のアメリカにおける国防報告を見ましても、ソ連がデタントと言いながらもその間にどんどん戦力を増強しておる、このまま行けば八〇年中葉においては非常にむずかしい問題になる、こう言っておるのでございまして、核の抑止力というものが現実の世界においては非常に役立っておるということは認めざるを得ないのでありますから、核の削減交渉があらゆる面で行われていく、その努力を続けるが、しかし、一方においてそういう核の抑止力というものが働いておるということも念頭に置く必要がある。これが、現実的に物を考えるときに大事な点ではないかと思うのです。
○横路委員 ロストウ長官はその十一月十日の同じ記者会見の中で、アジアとヨーロッパを比較をして、そういう意味で言うとヨーロッパの場合はかなり差し迫った脅威になっている、しかしアジアはそうではないので、アジアに展開する方針はない、こういうことを言っておるわけでございます。つまり、現在アメリカの認識としては、アジアにおける戦域核バランスというものについてそう深刻に受けとめていないという表明が、このときロストウ長官からなされているわけです。間違いないと思うのですが、外務大臣、いかがですか。
○櫻内国務大臣 アメリカの責任者のそういう見解でございますから、それはそれとして価値がある、こういうふうに見なければならないと思います。 しかし、日本の実情からいたしまして、日本が最小限度の専守防衛をしよう、こういうことに努力をしておりますが、客観的に見ますと、横路委員も御指摘のようなSS20、SS4、SS5というものの配置も極東にされておる。こういう状況からいたしますと、日本としてのできるだけの自主的な努力をしながら、そして安保体制の中のアメリカの核の抑止力に依存する、こういうことだと思うのであります。 しかし、アジアにおける情勢は、ロストウ氏の言うように、アメリカ自身の判断は核についていまいろいろ配備をする必要がないということであれば、それはそれなりの価値があるのではないか、こう思います。
○横路委員 どうもよくわかりません。 防衛庁にちょっとお尋ねしますが、巡航ミサイルの配備についてのアメリカの計画はどうなっていますか。これは海、陸、それからB52につけるものというようにございますので……。
○新井政府委員 巡航ミサイルについてはまだいまの段階では全容はつかめておりませんが、私ども承知するところによりますと、非核トマホークにつきましては、八二年中に水上艦艇または潜水艦に配備するということを考えているようでございます。それからヨーロッパで問題になっている地上配備、これは言うまでもなく八三年十月からでございますね。他方、核のトマホークについては八四年以降というふうに承知しております。
○横路委員 八四年に核つきのトマホークの配備というのが考えられているのですね。アメリカのレーガン大統領の十月二日のあの計画の中にも明確に配備という方向が出ているでしょう、総理。ですからこれはもう八四年の話なんですよ。非核のトマホークは大体八二年、それから核の方は八四年、こういうアメリカの方針はもう明確に出ているのですよ。だから、それはアジアについてどうなるのかという問い合わせを当然日本としてはアメリカにすべきじゃないですか。
○櫻内国務大臣 横路委員のおっしゃること、ごもっともでありまして、私どももこの報道されたロングの発言につきまして、一月中旬に米側に対して確認をいたしております。巡航ミサイルの一般的な配備計画について照会をしましたところ、二月一日に回答を得ております。 回答の内容を言いましょうか。(横路委員「はい」と呼ぶ) 一、通常弾頭搭載の海上発射巡航ミサイルの配備は本年に予定されている。二、核弾頭搭載の巡航ミサイルの攻撃型潜水艦への配備は一九八四年以降計画されている。それから三、核弾頭搭載の巡航ミサイルの水上艦艇への配備は将来計画されている、こういうことです。
○横路委員 八四年以降というところの意味は、一つは、いまヨーロッパのジュネーブの戦域核交渉との関連がやはりあると思うのですね。総理大臣、この八四年というのは大事なところなんです。したがって、アメリカ側は、これを実質的に配備するかどうかというのはそのジュネーブの交渉を見ながら最終的に結論を出そう、しかし八四年以降はそういう計画を持っていますよ、これはもうはっきりしているわけですね。 そうすると、日本としてどういう対応をとるかということが問題になるわけです。一つは、先日の予算委員会でゼロオプションがアジアにおいても望ましいという発言をされましたが、このゼロオプションという中身はどういうことですか、総理大臣が使われた言葉の意味は。
○鈴木内閣総理大臣 米ソの間におきまして、中距離の発射ミサイルの配備につきまして、もしソ側がそういうものを撤去するのであればアメリカは配置をしないということをはっきり約束をしよう。これは欧州だけでなしにソ連全土を含む地域、極東も含むわけでありましょうが、その地域において中距離地上発射ミサイルを撤去するのであればアメリカは配置をしない、これがゼロオプションの内容だ、このように私は理解をいたしておるわけでありまして、極東においても撤去をする、その場合はアメリカ側も配備をしない、こういうことでございますから、日本としてはそのアメリカの提案を支持し、それを実現するように今後あらゆる機会に努力をしていく、こういう考えでございます。
○横路委員 それはアジアについても同じ考えだということを明確にアメリカの方針として出していますか。
○淺尾政府委員 総理の御答弁を若干補足させていただきますと、現在欧州において少なくともアメリカが中距離ミサイルの対象にしているのは、ソ連が地上に配備しているSS4、5、SS20、こういうことでございます。もしソ連がその配備をやめるのならばアメリカは予定されているパーシングII等の配備をやめるということでございまして、この関連で日本側が関心を持っているのは、SS20をヨーロッパだけから撤去されて、それがウラル以東に移った場合それは日本に対する脅威にもなるということで、すでにカーター政権時代以来、アメリカが中距離ミサイルの交渉をするのであればやはり全世界的な見地からしてほしい、こういうことでございまして、あくまでも対象は地上配備の中距離のミサイル、こういうことでございます。
○横路委員 したがって、総理、アメリカがアジアにおいても同じことを主張しているということは必ずしもまだ明確ではないのです。SS20の縮小の交渉については、アメリカの姿勢はグローバルに見てやろうということだけれども、ヨーロッパについてはアメリカはこういう方針で行きますよというのを明確にしているが、アジアについてどうこう、特にアジアにおける戦域核の配備について触れて発言をしているわけではないのですね。ですから、総理のゼロオプションが望ましいという答えは、まさにそのとおりだと私は思うのです。 したがって、いまのその立場を具体的に日本政府の行動として、たとえばアメリカやソビエトにお示しになったらいかがですか、総理がゼロオプションが望ましいと言って答えられてきたことをですね。いまの北米局長の補足説明だと、それはやはりヨーロッパの話なわけです。ですから、アメリカがアジアについても同じ姿勢をとるのだ。ただこの場合は、米ソだけの話でいかないのですね。やはり中国の核の問題が出てくるのです。ですから、中国を含めた話し合いがやはりアジアの戦域核については必要になってくると思うのですが、私はむしろ積極的にイニシアを日本政府はとられたらいいと思うのですが、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 その問題につきましては、昨年の秋に、園田外務大臣が国連総会に出席をいたしました機会に、ヘイグ米国務長官、グロムイコ・ソ連外相と個別に会いまして、そして、米ソの核超大国の間でこの核軍縮を中心として話し合いを精力的にやってほしい、日本としてはそれを強く要請をしておるのだということをそれぞれに申し入れておるところでございます。 と同時に、先般、柳谷審議官がモスクワにおいてソ連側と事務レベル協議をやりました際に、核軍縮の問題につきましても、日本側の強い要請としてこれを提起をいたしておるところでございます。今後におきましても、あらゆる機会をとらえてそういう方向で努力をしていきたい、こう思っております。 なお、中国の問題をお話しになりましたが、まず米ソの間で話し合いが熟してまいりませんと、ソ連は御承知のように、自分の方が先にこれを行使をするというようなことは絶対に考えていない、核攻撃を受けた場合の報復としての抑止の意味で持っているのであるという受け身の形での対応を常に示しておりますので、まず米ソの間で話し合いが煮詰まった段階で、この問題を中国にもわれわれは働きかけていきたい、こう思っております。
○横路委員 私が、その軍縮を日本の安全保障政策として考えたらどうかということを初めに申し上げたわけですが、一般的な核軍縮ということじゃなくて、まさに日本を取り巻く状況の中で中ソが核で対峙し、ソビエトの方は何も地上配備ばかりじゃありません、太平洋艦隊の潜水艦に搭載している戦域核もあるわけですね、それから米ソが対峙している、こういう状況なわけですし、ヨーロッパはヨーロッパで話が進んでいる。同時に日本は、一般的に軍縮を国際的にお願いしますよということだけじゃなくて、日本の安全保障のためにアジアにおける軍縮、特に戦域核の問題をどうするかという基本的な政府の姿勢というのが必要じゃないか。ですから、ヨーロッパで話しているのが実現するというのは、全体的にもちろん影響ありますよ、大きな影響はあるんだけれども、それだけじゃなくて、日本としても姿勢をもう少し明確にしたらどうだろうかと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 その点につきましては、前段で園田外務大臣が米ソ両国の国務長官と外務大臣にそういうことを強く申し入れたということは、これはもとより念頭においては、アジアの問題、日本の安全保障、そういう立場に立ってそれを両国に申し入れをしておる、こういうぐあいに御理解を願いたい。
○横路委員 日ソ事務レベルのときに話をしたというのは、どういうことですか。たとえば具体的に、SS20はアジアから撤去してもらいたいというような話でもしたのでしょうか。あるいは、ジュネーブの交渉の成功を祈るというような程度の話なのか。それは具体的にどういう内容だったのですか。
○櫻内国務大臣 日ソ事務レベル協議とは申しますが、二年八カ月ぶりに開催されましたので、柳谷審議官をして、この際、日本の主張すべきことはすべて大いに主張せよ、こういう指示をいたしました。 いまお尋ねの問題につきましては、SS20、4、5、そういうものを極東から撤去をしてくれと具体的に申しておるところでございます。
○横路委員 ソビエトに対してその撤去を要求されたというのは、大変結構なことだと思うのです。そういう立場を貫くとすれば、これはやはりアメリカの戦域核のアジア配備の方も困るという両方の主張をしないと一貫性がなくなりますね、総理。 私は、ともかくなくなることは、アメリカといわずソビエトといわず、あるいは中国の核だって、これはやはりない方がいいわけでございまして、いま日中間がわりとうまくいっているから余り皆さん方議論されないだけの話でして、二十年前はそうではなかったわけです。したがって、やはり核を全面的に撤去するという一般論と同時に、日本の安全保障の立場から、確かにいまジュネーブの交渉を開始したばかりでございますが、それを見ながら、場合によっては中国を含む話をアジアでやってもらいたいというような希望を表明して行動されるということも大事なことではない、だろうか。 昨年ですか、ソビエトのアルバトフという、これは何かアメリカ・カナダ研究所長という立場にあるアメリカ通の人らしいんですが、日本に来られたときに、何かそういう話し合い、交渉の用意があるというようなことを述べています。どの程度のポジションにいる人かよくわかりませんが、いずれにいたしましても日本としてきわめて大事なことでありますから、その基本線を貫かれて、日本がむしろイニシアチブをとって具体的な行動をするということが大事じゃないでしょうか。重ねてくどいようでございますが、総理大臣の見解をお伺いしたい。
○鈴木内閣総理大臣 米側との話し合いにおきましても、そういう趣旨を含めて申し入れをしておるところでございます。そしてアメリカは、ソビエト全土から地上発射の中距離ミサイルを撤去するのであれば米側も配備をしない、こういう方針を堅持しておるわけでございますから、アジアにおいて、極東においてソ連側がそういう撤去をするということになれば、われわれは米側に対してその実行をさらに強く迫っていく、こういうことにいたしたいと思います。 先ほど外務大臣から申し上げたように、ソ連がSS20やSS5、4というようなものを極東にも配備をしているという状況下におきましては、米側だけにそれを要求をするということは、これは全体の安全保障の観点から私どもはその成り行きを注目しながら対処していかなければならない、このように考えています。
○横路委員 私たちもヨーロッパの、ジュネーブの交渉が成功すること、並びにそのいい影響がアジアにおいて出ることを期待をしているわけですが、ただ望むだけじゃなくて、総理の積極的なイニシアチブを心から期待をするものであります。 次に、やはり核に関連して質問いたしたいと思いますが、私、昨年、社会主義インターナショナルの軍縮委員会というのがございまして、アメリカでロストウ軍縮庁長官といろいろ核軍縮について話をしたのです。そのときに、ロストウ軍縮庁長官はこういう発言をしたのですね。アメリカは、ヨーロッパと同様日本においても、もしソビエトが通常戦力で攻撃した場合には、場合によっては核を使用する、こういう発言をしたわけであります。これは当時ワシントンの日本大使館の方でも、じゃ、そういう発言があったかどうか国務省に確認をしてみようというようなことを言っておられまして、多分外務省でも確認をされていると思うのですが、この通常兵器による攻撃に対してもアメリカは核を使用するという点に関しては、日米間に合意並びに協議というのはあるのでしょうか。
○櫻内国務大臣 アメリカは安保条約によりまして、日本に御指摘のような緊急、火急の場合がありますときにはあらゆる面でその努力をする、こういうことを言っておりますので、核のことも念頭に置いておると思います。また、そのような責任者の発言があったと思いますけれども、いまちょっと手元に資料がありませんので、北米局長から申させます。
○横路委員 日米間に協議と合意があるのかということなんです。
○淺尾政府委員 横路委員よく御承知のとおり、アメリカは第五条によって日本防衛の義務を負っております。その防衛の義務の行使に際しては、通常兵力であれ核兵力であれ日本を防衛するということでございまして、ちょっと私ここにテキストを持っておりませんが、三木・フォード共同声明の中でその点が確認されております。
○横路委員 つまり、アメリカ側は通常兵器であれ核を使うということを私は聞いているのじゃなくて、じゃ質問をもうちょっと進めますが、核には核の傘というのが一般的な認識だったわけですね。防衛の大綱の中でも、核の脅威には米国の核、限定かつ小規模な侵略には自衛隊が独力で、もうちょっと大規模には日米共同でということで、これが共同のガイドラインになっていっているわけですね。 このガイドラインの中にこういう一項目があります。「米国は、核抑止力を保持するとともに、即応部隊を前方展開し、及び来援し得るその他の兵力を保持する。」この米国の核抑止力というのは一体何を言っているのでしょうか。
○塩田政府委員 ガイドラインの表現はいまお読み上げになったとおりでございますが、具体的に米国の核の抑止力の中身をガイドラインで言っているわけでもございませんし、私どものガイドラインによる協議においてもそういうことを議論しておるわけでもございませんので、むしろそこにある表現は、一般的な、先ほど来御議論になっておるようなアメリカの核抑止力というふうに御理解いただければよろしいのじゃないかと思います。
○横路委員 局長、従来は大体、戦略核だという国会の答弁だったのですが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
○塩田政府委員 その表現の場合、私は、必ずしも戦略核に限定してその表現を読むという必要はないのではないかというふうに思います。
○横路委員 どうもそこがはっきりしないのですね。宮澤・キッシンジャー会談というのが、核拡散防止条約、一九七五年のNPTの扱いのときにいろいろ議論になりまして、この宮澤・キッシンジャー会談の中身からやや変わってきたんじゃないかという感じがするわけですが、答弁はどうもちょっとあいまいではっきりしないわけです。 核には核という考え方は従来からあったわけですね。そんな意味では、アメリカの傘というのはある意味で言うとグローバルにかけられているという一般的、抽象的な議論だったわけです。それが、日本防衛のためのアメリカの核抑止力というのはじゃ一体何かというときに、ソビエト側の核に対してアメリカが核を使うということじゃなくて、ソビエト側の通常兵器の攻撃に対してアメリカ側は核を使い得るんだ、使うんだ、これが昨年のロストウ長官の発言の趣旨なんです。私は、そのことについて日米間で協議があるのか、こう言っているわけです。 この宮澤・キッシンジャー会談についての宮澤外務大臣の記者会見の内容というのは、米国の核の能力はわが国に対して考えられる攻撃に対して重要な抑止力であることというのがあるわけですね。このわが国に対して考えられる攻撃というのは、別に核だけにとどまらないわけですね、この言葉を見るだけでは。だから、いわば通常兵器による攻撃に対してもアメリカは核使用をするということをこのとき合意されたのかどうなのか。その間についての日米間の協議、合意というのはあるのですか、ないのですか。
○櫻内国務大臣 この日米共同新聞発表が該当すると思うのですが、昭和五十年八月六日の新聞発表の第三項及び第四項に、「米国の核抑止力は、日本の安全に対し重要な寄与を行うものであることを認識した。」これは総理大臣と大統領ですね。「これに関連して、大統領は、総理大臣に対し、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合、米国は日本を防衛するという相互協力及び安全保障条約に基づく誓約を引続き守る旨確言した。」こういうことであります。
○横路委員 その場合、相手の通常兵力に対して使い得るアメリカの核というのはどういうことが想定されるのですか。
○塩田政府委員 私どもはアメリカの核の使用あるいは核の所在そのものを全然承知しておりませんので、いまお尋ねのような、通常戦力の攻撃に対してアメリカはどういう核を使うだろうかということについては、私どもは承知する立場にございません。
○横路委員 しかし、従来の答弁はそれは戦略核なんだということなわけですから、核抑止力というのは戦略核で、これは宮澤さんも何遍も答弁していますが、戦術核というのは考えられない、非核三原則もあるしと、こういうことになっているわけですね。 そうすると、いまの日米の会談を受けて、じゃそこら辺のところは全く具体的な話はない、こういうことなんでしょうか、あるいは、そこはもう従来の答弁をやめて、戦術核から戦略核に至るあらゆる段階を、いわゆるNATOの柔軟反応戦略、NATOの戦略というのは、通常兵器の侵略に対して通常兵器で対抗して、支え切れなくなったら戦術核を使っていく、戦略核に至る幾つかの段階でどのようにでも対応していくというのがNATOの大体の考え方ですね。それと同じような考え方を日本では考えられているんだというふうに理解してよろしいのですか。
○淺尾政府委員 いまの御設問の点について日米間で話し合いがあったかということでございますが、これはございません。
○横路委員 ちょっとガイドラインのそこに関連する部分じゃないかと思われるところをお尋ねしますが、侵略された事態に対するアメリカ軍の対応の中で、海の場合は、アメリカ海軍部隊は機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦、それからアメリカの空軍部隊は航空打撃力を有する航空部隊の使用を伴うような作戦、こういうようにありますが、この両方について、それぞれ内容はどういうことを考えているのか、その内容の中にはアメリカの核攻撃というものが含まれているのかどうか。
○塩田政府委員 このガイドラインに基づきます共同作戦の計画の研究を現在やっておりますが、その際に、先ほど先生もちょっとお触れになりましたが、「核抑止力を保持するとともに、」云々という前提がありまして、この作戦計画の具体的な研究に入る段階で、さらに私どもは前提条件といたしまして、今度の研究は、通常兵器による攻撃に対しまして通常兵器による防御といいますか、通常兵器による防衛作戦ということを前提にして協議するということを初めに決めております。 したがいまして、いま御指摘のアメリカの海軍部隊の機動打撃力あるいは航空部隊の航空打撃力というものが来援してくるということは当然前提にしておりまして、そういうことによる作戦計画は立てておりますけれども、それはあくまでも、現在のアメリカ軍の持っております通常兵器による打撃力ということによりまして話し合いをし、研究を進めておるわけでございまして、核兵力のことについては、当然この研究の中では一切触れておりません。
○横路委員 それはどういう部隊なのか、ちょっとお答えください、海と空について。
○塩田政府委員 具体的に考えますと、海の場合、空母を中心といたします機動部隊が考えられます。それから空の場合は、戦術空軍等が考えられるわけであります。
○横路委員 空の場合、戦略空軍は入らないのですか。
○塩田政府委員 具体的にいまの計画の中でどういう部隊が来援してくる計画であるかということの御説明は差し控えさせていただきたいわけでございますが、先ほども申し上げましたように、あくまでも核を除いた通常兵器による来援であるということで、どういう部隊が来るかを御理解いただきたいと思います。
○横路委員 ちょっとその米軍の来援部隊というのは、アメリカの本土から来る部隊も入っているのですか。
○塩田政府委員 計画の中身になってまいりますので、どこの部隊がいつごろ、どれだけ来援に来るかということにつきましては、公表を差し控えさせていただきたいと思いますが、具体的にどこの地域から来るということにつきましては、いま具体的に協議はしておりますけれども、アメリカの本土の部隊であるかあるいはどこの部隊であるかということにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○横路委員 それはもうシナリオができて、アメリカの本土を含む部隊ということになっておるのじゃないですか。
○塩田政府委員 昨年の夏に、現在やっております一つの想定につきましての計画は概成をいたしたわけでございます。その中でどこの部隊が来るかということにつきましては、差し控えさせていただきたいと思います。
○横路委員 ちょっと確認しておきますが、いまの答弁の中で、通常兵器に対してアメリカ側も通常兵器を使用する、核は使用しないということをいわば前提にしてこのシナリオが成り立っているという点は、初めて明らかにされた点じゃないかというように私は思うのです。その点は間違いございませんね。
○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在一つのシナリオに基づく計画が概成をいたしておりますが、その最初に作戦計画の研究に入るときに、日米間で、先ほど申し上げましたように、通常戦力の攻撃に対して通常戦力の作戦を前提にして研究するというふうに前提を決めております。したがいまして、御指摘のように核につきましては研究をいたしておりません。
○横路委員 このアメリカの核に期待をする、核抑止に期待をするという場合に、日本の防衛のために米軍が核を使用するという場合に日米協議というのは、これはあり得るのですか、あるいはアメリカが状況を見て一方的に行うということになるのでしょうか。
○塩田政府委員 その場合に、いわゆる核の持ち込みにつきましては事前協議の問題があると思いますので、私の立場ではございませんけれども、先ほど申し上げました軍事上の作戦計画という点から申し上げますと、私どもは、米軍がいつ核を持ってくるとかあるいはいつ使うとか、そういうことにつきましては承知しない立場にあるわけでございます。
○横路委員 B52との共同訓練というのですか、この五十七年度予算の中に入っているようですが、来年度の日米共同訓練についてちょっとお尋ねしたいのですが、B52との共同訓練というのは行うのか、行うとすればどういう内容なのかということが一つ。 それからもう一つ、陸について、いま図上演習といいますか、やっていますね。これを来年度も予定されているというように聞いていますが、来年度の計画というのはどんな計画なのか、その規模を含めてお答えをいただきたいと思います。
○石崎政府委員 まずB52でございますが、これは前の国会でも御説明しましたとおり、B52と訓練をいたしたいと思っております。 どういう内容の訓練をやるかと申しますと、現代の戦闘で電子戦というのが大変重要なものになっておるものですから、航空自衛隊の電子戦能力を高めたいという希望を私ども持っておりまして、その場合B52は電子戦のいわば胸をかしてもらう相手としては非常に優秀な性能を持っておるということに着目いたしまして、B52を相手に電子戦の訓練をやりたい、こういうことでございます。 いつごろ、どこでやるかというようなことはいま検討中でございまして、まだ計画が固まっておりませんので申し上げられませんが、希望としていま申し上げましたようなことを持っております。 それから、陸上自衛隊の共同訓練でございますが、来年度やりたいと思っております主なものは、本年度もすでにやりました通信訓練、それから指揮所訓練、さらに、今年度はやっておりませんが、来年度はできれば部隊を使った実動訓練、これらをやりたいと思っております。
○横路委員 それはどの程度の規模でそれぞれ行うのですか。
○石崎政府委員 通信訓練、指揮所訓練、実動訓練、いずれもこれから防衛庁の内部で検討いたしまして、アメリカ側の都合とも突き合わせて相談をしなければならない状況でありまして、まだどのぐらいの規模でやるかということは全く決まっておりません。
○横路委員 指揮所訓練や実動訓練を北海道でやるというようにも聞いておるのですが、そういうような計画になっているのじゃありませんか。
○石崎政府委員 どこでやるかという場所も含めてまだ全く決まっておりません。これからゆっくり検討しようと思っておるところでございます。
○横路委員 そうすると、北海道でやる可能性もあるのですか。
○石崎政府委員 決まっておりませんから、理論的には可能性はもちろんあるということでございます。
○横路委員 総理大臣、いまのこの状況の中で、何もソビエトの目と鼻の先で、たとえばアメリカとの実動訓練とか指揮所訓練とかをやるのはいかがかというように思うのですが、総理大臣いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 これは文字どおり訓練でございますから、その点は各国でもやっておられることであるから、私は、そう神経質にならぬでいいのではないか、こう思っております。
○横路委員 日本じゃなくて、周辺の国はどう受けとめるかということが問題なわけです。 いまB52との共同訓練ということなんですが、先ほどの防衛局長の答弁ですと、戦略空軍じゃなくて戦術空軍という言葉を先ほど使われまして、B52をある意味で言うと明確に除かれたわけですが、実体の訓練としてはおやりになるというところで、私たちはどうも納得できないわけでございます。 非核三原則に関連をいたしまして、一つだけ確認をしておきたいと思うのです。この非核三原則を国際社会の中でも日本は主張してきているわけですが、特に周辺国家にこの非核三原則を認めさせるということが大変大事なことだと思うのです。アメリカはこれを認めて尊重するという態度を表明しているわけですね。日本の周辺諸国家に対してこの非核三原則を認めさせるという点については、いかがでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 わが国の国是ともいうべき非核三原則につきましては、ほとんど毎国会におきまして所信表明あるいは施政演説の中でも鮮明にいたしております。したがいまして、韓国に対しても中国に対しましてもあるいはASEAN諸国に対しましても……(横路委員「ソ連」と呼ぶ)ソ連に対しても、もとよりそれを主張いたしております。
○横路委員 主張しているということと、何か認めさせる努力というのを外交的になさっているのですか、いま挙げられた国に対して。日本はこういう政策を持っているよという意思表示は、国連の場所を含めてやっておられるわけです。しかし、アメリカとの間はそうではなくて、日米間の協議でもってなさっているわけでしょう。同じようなことを周辺諸国家に認めさせる、日本の非核三原則を。これは問題は、日本がそういう政策を表示することと同時に、周辺諸国家がそれをどう認識するかということが実は大事なポイントなわけです。そういう点はいかがでしょうか。そういう努力が、日本としての、鈴木さんのおっしゃられる平和外交ということの具体的なあらわれじゃないか。日本というのはこういう国だよということをやはり明確にして、明確に認識させる、理解をさせる、そしてその了解を意思表示をしてもらうということが大事じゃないでしょうか。
○櫻内国務大臣 非核三原則を国是としておるのでありますから、この事実については、わが国の周辺諸国においても十分承知しておるところだと思います。 現実には、その周辺諸国との間で日本の非核三原則について協議をするというような、そういう場は従来持っておりません。しかしながら、日本がそういう国是で一貫しておる。また、今度催されます特別軍縮総会、二回目でございますが、先ほど大原委員からもお触れいただいたように、この第一回の軍縮総会におきましても、広く世界に核の問題について日本の立場を主張しておるわけでございます。 こういう具体的な、いま問題のない折でありますから、これはやはり軍縮総会のような場で堂々と主張をし、繰り返してそのことを言う。特に、軍縮については、核軍縮ということをまず一番の基本にしておるわけでございまして、そして核の製造禁止、実験の禁止、核拡散の防止の徹底、こういうことを繰り返し国連の場を通じてやっておる、こういうことで、それぞれの国が日本のことを十分理解してもらっておるものと思います。
○横路委員 だから、一般的なそれはわかっているわけです。世界みんなわかっているわけです。そうじゃなくて、二国間の話の中で日本の非核三原則を説明して、それについてわかったということを言わせることを周辺諸国家との間に積み重ねたらいかがですか、こう言っておるわけです。
○櫻内国務大臣 従来、そういう日本側の主張するような場面はなかったということが私は率直なところだと思うのであります。今後において、横路委員の言われるようなことをやるがいいかどうか、それは機会があればやった方がいいと思います。
○横路委員 どうも何か、別に何も私の方でわなを仕掛けて質問しているわけじゃ全くなくて、ある意味で言うと、当然のことを国際社会の中で主張してきているわけですから、二国間の、特にソビエトや中国との会談のときにそういう意思表示をして、それを向こう側に了解をさせておくということは、従来とも大変大事なことではないかというように思いますので、いま外務大臣から、機会があればやるという方向性が出ましたので、総理大臣もよろしいですね。
○鈴木内閣総理大臣 そういう方向で、さらに念を押して努力いたします。
○横路委員 時間がなくなりましたので、ガイドラインの、五条の日本有事の事態について少しお尋ねをしたいと思うのです。 昨年の安保の委員会で私が質問したときに、防衛局長の方から、五条のガイドラインのシナリオの点について、「いきなり日本が攻撃されるというシナリオもありましょうし、どこかよその地区で起こって、それが逐次日本に及んでくるという場合もありましょう。」いろんなシナリオがあり得るのだ、そして御指摘のように、よその地区から発生して日本に及んでくる場合も当然考えなければならぬ、こういう御答弁があったわけですが、これはどんな場合でしょうか。どんなシナリオになるのでしょうか。
○塩田政府委員 御指摘のように、日本以外の地域で何か事態が発生して、その事態が日本に波及してくるというようなことももちろん考えられるわけでございますが、現在そういったシナリオにつきまして具体的に考えておる段階でございませんので、いまどういうことで考えられるというふうにちょっと申し上げかねます。 と申しますのは、そういったシナリオというのは、言うなれば幾らでも描けるわけでございまして、やはり意味がありますのは、具体的な研究に入るときに一定のシナリオを置くという場合に、初めてどういうシナリオを置くかということを考えるべきだと思うのですけれども、現在そこへいっておりませんので、ただ抽象的には、いま申し上げたように、どこかの地区で何かが起こったときに波及する場合としかちょっとお答えできないわけです。
○横路委員 その場合に、可能性としては、たとえば朝鮮半島であるとか中東であるとかというふうなシナリオも考えられ得るわけですか。
○塩田政府委員 いまの時点で、どこの地区で何が起こってどういうふうにというふうには、ちょっとまだ申し上げられるような具体的な検討はいたしておりません。
○横路委員 それは具体的な検討はしてないというのはわかるのです、つまり、どんな場合でも考えられ得るというわけですから、それは、物事は国際情勢の緊迫化から始まるわけですから。しかし、アメリカ側のペンタゴンでいろいろ聞いてみると、そのいろいろ考えられるというのは、かなり広く考えておるようなんですが、可能性としてはだからいろいろな事態が考えられ得るということなんでしょう。
○塩田政府委員 いまおっしゃいましたように、可能性としてはいろんな事態が考えられるというのはまさにそのとおりでございます。
○横路委員 そこでちょっとお尋ねしたいのですが、ガイドラインによれば、ある国際情勢が緊迫した状況で日米間の協議が進んでいきまして、調整機関ができるわけなんですが、日本の場合、いわば最後の自衛隊法七十六条の防衛出動にいく前、大体どんな段階を追ってそこに至りますか。ガイドラインとの関連でちょっと説明していただければと思います。
○塩田政府委員 ガイドラインとの関連ということでございますが、逆に考えてみますと、まず七十六条で防衛出動が下令されるという場合が、御承知のように、攻撃を受けた場合とおそれのある場合ということになっております。期間はわかりませんけれども、それよりある前の期間に七十七条の待機命令が出されるであろうということは通常の場合考えられます。それよりさらに、これも期間はわかりませんけれども、通常の状態としては、かなりそれは切迫した状態でございましょうから、その前にやはりガイドラインで言うおそれのある時期といいますか、それが考えられるんじゃないか。そこで、ガイドラインで言うおそれのある時期というふうに判断される状態が来ました場合に、やはりガイドラインの中に出ております日米の防衛準備態勢というものをそれぞれどういうふうにやっていくか、これは段階を追って、そのときの状況に応じて防衛態勢区分を高めていくということになろうかと思いますが、そういうふうな手順で、最終的には七十六条の事態になるだろうというふうに考えられます。
○横路委員 大変大事なところだと思うのです。従来は、自衛隊法でいって七十七条の待機命令、そして七十六条という法律的な枠組みがあるわけですね。今度はガイドラインでその前の段階ができたわけですね、いまのお話ですと。つまり防衛準備に入る段階があるわけでしょう。この防衛準備に入るという決断はだれがやるのかということが、去年も、そういう表現ではなかったけれども、同じような意味のことが議論されておったのじゃないかと思うのです。この防衛準備にいるという決断はだれが行うのでしょうか。これは日米間の問題じゃなくて、日本側の問題だと思うのですけれども。
○塩田政府委員 防衛準備段階につきましては、ガイドラインの中で、日米双方に研究をすることの一つのテーマになっております。両国政府の合意ということになっておりまして、それぞれの政府の手続によって決まる。 そこで日本側の場合、そういう防衛準備段階に入るのに、日本政府の決定というのはだれがどういう手続で行うかということが去年以来問題になっておるわけでございますが、その点につきましては、実はいま申し上げております防衛準備態勢の日米間の研究というものが余り進んでおりませんで、その内容、さらにまたその段階区分といったようなことがまだほとんど研究が進んでおりません。したがいまして、段階区分もできておらない状況でございますので、いまの時点で私どもはどういう段階に応じてだれが決定するかというようなことをまだ詰めておりません。ただ、従来からお答えいたしておりますことは、事柄の性質上きわめて慎重を要する問題でありますので、制服組にゆだねるということはあり得ない、政府の最高機関で決定すべき問題であるというところまでお答えを申し上げてまいっているところであります。
○横路委員 これは日米間で協議する問題じゃないでしょう。現行法の枠組みでガイドラインというのはやっているわけで、日本の防衛準備をするということなんですから、これは何もアメリカとの協議事項じゃないわけですね。防衛準備というのは現行法上の観念にないわけです。だから、これはどういう手続かという手続なんというのは、現行法の体系に全くないわけですよ。それを現行法の枠の中でやると言いながら実は現行法の体系になじまないようなものを持ってきているから、やはり結論が出ないということになっているのじゃありませんか。違いますか。
○塩田政府委員 防衛準備の態勢を日米間で整合したものにしておこうということは、先ほど来申し上げております。いま先生もお話にありましたように、実際に準備態勢に入ること自体は各国政府の問題でございますから、そのことにつきまして日米間で一致しなければできないというようなものではない、それは御指摘のとおりだと思います。
○横路委員 では、今度はその防衛準備は、日本の国内ではどんな手続でだれがやるのですか。これは日米間の協議事項じゃないわけです。これは日本の問題なわけですよ。
○塩田政府委員 その点が、先ほどお答えいたしましたように、基本的な考え方として政府の最高機関が決めるべき慎重を要する問題であるということまではすでにお答え申し上げておりますが、具体的にどの段階にだれにお願いするというようなことまでまだ決めていないという段階でございます。
○横路委員 いや、決めてないということじゃなくて、ガイドラインでもってそういうことをやるということでできたわけです。防衛準備という段階が出てきたわけです。これは日本側が現行法の体系の中でやるというわけなんだから、やはり現行法の体系の中で解釈できるならば解釈するということになるんじゃないですか。ともかく、いまの自衛隊法上にはそういう観念はないわけでしょう、防衛準備というのは。しかし、防衛準備に入ればそこからいろいろな作業というのはずらっといくわけだから、防衛準備に入るか入らないかという決断はきわめて重要なわけですよ。そうでしょう。軽々しくやれる問題じゃありませんね。だから、今度は現行法の枠の中に移しかえて考えれば、これはどうなりますか。
○塩田政府委員 防衛準備といいます場合に具体的にどういうことをするかということを考えてみますと、ガイドラインの中にも警戒監視の態勢から最高の作戦準備の段階というふうに書いてございますが、具体的には、たとえば作戦資材を購入したりするというようなことを考えてみますと、その資材を購入するということ自体は、通常の業務管理から言えば防衛庁長官の権限、さらにはもっと第一線部隊の権限でもあるわけです。そういうことで、個々の行為について見ますとそういうことでございますけれども、それが防衛準備として行うということになりますと、これは全然別な意味を持ってまいりますので、そこは慎重な配慮を要するということで、それにつきましては政府の最高機関の判断にまつべきものであるというふうに考えております。したがいまして、当然先生の御指摘のように、現行法体系の中でやることを考えておるということでございます。
○横路委員 現行法体系の中でやるというのが総理大臣、これは大変重要な問題なんです。 そこで、内閣委員会で五十四年の四月二十六日に原さんが同じような趣旨の、つまりおそれのある場合というのを日本の国内法に直した場合どうなるのかと言ったときに、当然「国防会議は開かれるだろうと思います。」こういうことを答えているわけです。日米間では四条の随時協議だということなんですが、これはただ国防会議の場合「防衛出動の可否」という最後のところだけかけられるようになっているわけですね。これはシステムとしてはおかしいのでありまして、「防衛出動の可否」の最後のところをいきなりかけたって、判断なんかできっこないわけでしょう。そうすると、当然本来ならば防衛準備の段階から国防会議にかけるということで、シビリアンが明確にコントロールするという手続をつくっておかなければいけないと思うのです。 現行法の枠の中で考えられないかといいますと、国防会議の「防衛出動の可否」の次に「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というのがあるわけです。だから、これは必ずそうしなければならぬということではないけれども、この規定を使って、やはり防衛準備に入るというのは大変大きな決断なわけですから、これを制服が勝手にやるということではなくて、現行法の枠の中で考えてみるという場合に、ここの点を使ってやるべきじゃないだろうかというように私は思うのですが、これは国防会議の方から検討を聞いて、ちょっと総理大臣にも、これは大変大事なところなんで、考えを聞かせていただきたいというように思います。
○鈴木内閣総理大臣 防衛出動の待機命令の前の段階ですね。 私は、防衛出動の待機命令につきましては、国防会議の付議事項には明確にはなっておりませんけれども、重要な問題でございますから、防衛庁長官の要請に基づいて善処いたしたいと思っておりますが、これは国防会議等にかけらるべき重要な案件である、事の性質上そうである、こう思います。 その前の準備の段階、防衛準備の段階につきましてはいろいろな態様が考えられると思いますから、具体的な態様によってそこは判断しなければならないのではないか、こう思います。どうも出動命令ということになりますと、これはきわめて事態が急迫をしてきておる、いよいよ行動に移ろう、こういうことですから、準備段階におきましてはその態様によって判断をせざるを得ない、そのときの状況、私はそういうぐあいに認識しております。
○横路委員 ただ、それは準備段階とおっしゃいますが、侵略のおそれという事態なんです。あくまでも日本に対する攻撃のおそれという事態なんです。そうして、防衛準備が始まりますと、もう後は一気に作業というのは進んでいくわけです。ですから、単なる何か隊内でもって適当にできるということではなくて、それをスタートさせるということは大変な決意なわけですね。だから、そこの判断というのは、私はしっかりシビリアンコントロールの枠組みの中におさめるべきだというように思うのです。いまの総理の答弁はケース・バイ・ケースでということですが、ケース・バイ・ケースということではなくて、現行法の枠の中にないことをともかくやっているわけですから、だからこれはどうですか、政府の方で検討されてきちっとまとまった見解を、防衛準備の点ですね、本当は法律体系にはないのですよ。ないのだけれども、それをやっちゃっているわけです。だから、ここを明確にして整理をされる必要があろうかと私は思いますが、総理大臣、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 非常に重要な問題でございますから、よく検討いたします。
○横路委員 検討して、現行法の体系の中でシビリアンコントロールの趣旨を生かせるような枠組みの中にそれをおさめてもらいたい、ひとつそういう統一見解をつくっていただくということで、もう一度確認しておきますが、いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 そういう趣旨で研究をいたします。
○横路委員 将来的な研究ではなくて、これは日米間で話が進んでいるわけですから、私は、委員長、これは重要な問題なので、この予算委員会審議の中にこの点についてひとつ明確に方針を出してもらうように、これは理事会の方でも検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
○塩田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、防衛準備の段階区分を含めた防衛準備の中身そのものがまだ研究進んでおりません。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、そちらの進展を見て、その中でいまの言われた問題は決めていくべき問題だろうというふうに考えておりますので、その点は御理解賜りたいと思います。
○横路委員 決めていくといったって、あなた、法律にないことをやるわけでしょう。問題は、現行法の枠の中にどうやってはまるかという問題なんです、はまらないことをやっているわけですから。はめなきやならないということが問題になるわけです。 たとえば調整機関といったって、調整機関が一体その七十七条の前なのか後なのか。これも、七十七条の前に調整機関つくるなんということになれば、これは大変ですよ。待機命令を出す前に日米間で調整機関をつくって作戦準備に入るということになるわけですから、これは大変ですよ。だから、つまり現行法の枠にないことをガイドラインがやっていますから、問題が幾つも出てきているわけです。 ここのところを少なくとも整理するためには、一つは防衛準備をまず決断をして、それから日米の調整機関あるいはその前か後に七十七条、七十六条ということになるわけですね。だから、防衛準備に入って何をやるかということは別にして、ともかく防衛準備に入るというのは日本として重大な決意をしたということなわけですから、その手続も何も今日全くあいまいだ、だれがやるのかもわからない、現行法との関連も全くないなんというのじゃ、こんな研究やめてもらうしかないですよ。 現行法の枠の中でやるというならば、現行法の枠の中のどういうところにおさまるのかということを明確にしてもらわなければだめです。だから、これから検討して悠々とやるなんという問題じゃなくて、これは本来は、出されたときにしっかり議論しておくべき問題だったのかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、去年も議論したけれどもあいまいなまま。これはあいまいなままどんどん進んでしまったのでは、シビリアンコントロールが全く有名無実になりますから、現行法の枠の中でしっかりどうやっておさまるかということを検討していただいたらいいと思うのです。総理大臣、いかがですか。これはそういう重要な問題ですよ。
○塩田政府委員 何度も申し上げておりますように、この研究は現行法の枠の中で行いますということは繰り返し申し上げます。それは前提として私どもはいろいろ研究を進めておるわけでございます。
○横路委員 だから、現行法の枠の中だというなら、じゃ、現行法のどこにそれがどういう手続に乗っかるのですか、自衛隊法やあるいは国防会議のいろいろな手続上ですね、ということを私尋ねているわけです。 総理大臣、ともかくこれはいろいろな問題点を含んでいる問題ですから、ひとつ十分に、ただ検討を続けるということじゃなくて、統一的な見解を明確にしていただきたいというように思います。
○鈴木内閣総理大臣 防衛局長から申し上げておるように、現行法の枠内ということをまず日米の研究協議の前提に置いておるわけでございます。したがって、現行法に違反するようなことではないということが当然裏づけされることになるわけであります。 それからいまの、どういうことが協議の中で研究の中で出てくるか、これもまだ固まっておりませんし、そのときの事態がどういう状況の中でどういう具体的なことが準備として要求されるのかというような問題等もございますから。しかし、横路さんおっしゃるように重要な問題でございますから、日米の協議と並行して、その推移を見ながらこの問題は政府として検討いたします。
○横路委員 これは日米間で協議したり並行してやる問題じゃないのです。いままでの答弁は、これは重要な問題だから政府の最高レベルで判断するという答弁はあるわけです。じゃ、その政府の最高レベルというのはどういうレベルで、どういう手続に従ってやるのですかということになると、その手続はないわけですね。あるいは七十七条事態なんだということで七十七条の事態ですよというならば、それは一つの答弁なんです。私はそれで引き下がります、七十七条でやるというならば。しかし、七十七条より前の段階だという答弁をしているわけですね。しかし、その防衛準備というのは、それに入ればそこから作業はずっと進行していくわけです。日本にとって重要な段階なんです、この防衛準備の決断というのは。その手続は現行法上ないわけですよ。 ですから、そこのところを日米間の協議と並行してやるなんという問題じゃないのです。これは日本の問題なんです。日米間の協議の問題じゃないわけです。ですから、たとえば国防会議の事項の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というように考えて防衛準備の決断は国防会議で行いますというならば、それも一つの答弁です。そうお答えになりますか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来御答弁申し上げておるように、防衛出動の待機命令、これは七十七条の規定によって、重要なことでございますから、国防会議にかけなくとも総理大臣の判断でできることでありますけれども、これは付議するということにウエートを置いて対処していきたい、こう私は思っております。 その前の準備段階のことですから、十分研究はしなければなりませんけれども、ケース・バイ・ケースでいろいろな場合が想定されますので、その点はもう少し研究いたした上で御答弁を申し上げます。
○横路委員 その前の事態といって気軽にお考えになっていますが、これは侵略のおそれのある事態なんです。つまり、ある意味で言いますと、このガイドラインの事態というのは七十六条、七十七条に匹敵する事態なわけですよ。そこの間というのはどれくらいの間があるのかというのは、これは答弁を聞いておってもよくわからないわけですがね。いずれにしても、七十六条や七十七条より以前の段階を含むんだという答弁があるから、本当はそこは差がないくらいの緊迫した事態だと私は思うのです。だから総理、何かはるかかなたの先にある事態じゃないですよ、防衛準備の決断をするというのは、侵略のおそれに対して、直接的な侵略のおそれに対してその手続が開始されるわけですから。 ですから、総理、これはこのまま私は投げておく問題じゃないと思いますよ。投げられる問題じゃないですよ。だから、そこを現行法の枠の中でやると総理おっしゃっているんだから、現行法の枠にどういうぐあいにはまるのか、それを御答弁にならなかったら、答弁になりませんよ。
○鈴木内閣総理大臣 具体的に防衛出動命令と同じような取り扱いまでやるかどうか、その辺のことを、ケース・バイ・ケースで、準備段階ですから、それを掘り下げて研究してみましょう、こう言っているのです。
○栗原委員長 時間です。
○横路委員 時間はわかっていますが、それは手続として政府の最高レベルがやるということですから、私はその手続を明確にしなければだめだと思うのですよ、一般的なことじゃなくて。これは法制局長官、どうですか。
○角田(禮)政府委員 横路委員は、防衛出動なり防衛出動待機命令についてはそれぞれの条文で、国会に承認を求めるとか、国防会議にかけるとか、そういうような一連の手続というものが規定され、あるいは予想されている、しかし、いま申し上げているその前の準備段階についてはそういう手続が法律的にはっきりしてないと言われておられるのだと思います。それは確かに法律の規定自体にその手続は明定されてないと思います。しかし、およそ自衛隊の活動というものについて、一つ一つについて全部一つ一つの手続を決めなければならぬということはないので、おのずから自衛隊に対する指揮監督権なり命令権を持っている者があるわけですから、それぞれの事態に応じてその指揮監督権なり命令権を持っている者が、自衛隊の行動について自分の判断で指揮監督なり命令権の発動としてやれば、それが手続だというわけになります。 ただし、いま問題になっている準備活動の面は、確かに御指摘のように非常に重要な問題でありますから、シビリアンコントロールという面から見て、当然、自衛隊法に規定されているとおり、第七条の内閣総理大臣の指揮監督権として内閣総理大臣が判断をするか、あるいは第八条で自衛隊の隊務統括権を持っている防衛庁長官が判断をしてやるか、そういうのが一種の手続だと思います。まさに内閣総理大臣も文民でありますし、それから防衛庁長官も文民でありますから、そういう意味において、先ほど防衛局長が御答弁申し上げたように、事柄の重要性にかんがみ制服にはさせない、必ず文民で統制をかける。ただし、事柄がいろいろ事態がございますから、それが恐らく、内閣総理大臣まで持っていくか、あるいは防衛庁長官限りでやるか、その辺のところは事態に応じてあると思います。 それから、もう一つつけ加えさせていただきますと、確かに準備活動というのは待機命令の直前まで含むと思います。しかし、準備活動の次に待機命令を出すことになれば、そのときには御指摘のような手続がちゃんとあるわけですから、自動的に待機命令が動くということはないということをつけ加えておきます。
○横路委員 これで終わりますが、いずれにいたしましても、現行法の枠の中でその手続がどうなっているか。いま一般的な指揮監督権のお答えがあったわけですが、事態というのは抽象的なことじゃなくて、防衛準備の決断をいたしますと、日米間の調整機関も設けられ、作戦準備に入るわけですね。その作戦準備の中には部隊移動まで含むわけです。ですから、防衛庁長官の指揮権だけでできることがあるのかどうか。しかも、日本としては、いわば防衛出動に至るまず第一の決断をそこでするということになるわけでありますから、これはこれからも議論していきますが、総理大臣から御答弁あったように、そこら辺のところをひとつ整理されて、手続を過ちなきように明確にしていただきたいということを私申し上げ、そのことをまた予算委員会の理事会の方でもぜひ御討議いただきたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
○栗原委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。 午後四時より再開することとし、休憩いたします。 午後一時五十一分休憩 ————◇————— 午後四時四分開議
○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 総理、きょうは余り時間がございませんので、非常に基本的な点だけお伺いをいたします。 総理が財政再建を最重要な政治課題にした、このことに対しては私も同感であります。そこで、総理がいままでたびたびお話しなすったことをもう一遍確認をさせていただきたいと思います。 第一に、特例公債は五十九年度までにゼロにする。第二に、そのための増税は行わない。第三に、特例公債、まあ赤字公債、これは借りかえをしない。すなわち、現金償還をするというこの三点は、たびたびここでお話しなすったことでございますが、これは間違いございませんね。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりに申し上げております。
○阿部(助)委員 重ねてお伺いをいたしますけれども、本当に五十年度以降大量に発行した赤字公債を現金償還することができるのですか、私は大変に疑問に思います。法律で書いてあるから現金償還をする、そういうただ単なる、失礼だけれども官僚的な答弁ではなくて、現実というものをもう少し見てもらいたいと私は思うのです。あなた方は、しばしば国家百年の大計と、こうおっしゃるけれども、赤字公債の現金償還は六十年度から始まるのですよ。もうこれは目の前なのです。本当に目の前ですよ。この大蔵省が提出をされた「国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算」、幾通りかのあれをやっておりますけれども、この仮定計算から見ましても、六十二年にはもう余裕財源はなくなるのですね。そうすると、その次からは、期限の来た赤字公債、もう一つは建設公債の利子というものを一般会計から繰り入れて返済をしなければならなくなるわけであります。大変な金であります。総理、そのことは御承知でしょうね。
○渡辺国務大臣 それは阿部議員の御指摘のように、これは考えても頭が痛いぐらいに大変なことなのです。しかし、御承知のとおりここで、現金で払うんだね一それは現金で償還するんですね、要するに借りかえはしないんですねといういま御質問ですね。法律がそうなっているんですから、別な答えを言えといったって言えるはずもないし、そうでしょう。それで実際問題として、われわれはそれを借りかえるというようなことはなお非常に困る。したがって、借りかえをしないで健全財政に持っていくように貫いて、歳出カットその他をそのためにやろうというわけですから、まず最大の努力をすることが先決であって、いまの段階では少なくとも法律に書いてあるとおり以外の答弁をしろといってもそれは無理なんですよ。われわれ、またその法律に書いてあるとおりやろうと思って最大の努力をしているわけですから、そういうことで御了解を願いたい。それはもう非常に大きな問題なんです。それはあなたのように、できないんじゃないかというようなことを言う人も、ほかにもいますよ、一人だけじゃなくて。しかし、われわれは希望を持ってがんばるつもりでおります。
○阿部(助)委員 大蔵大臣の言うのは半分本当ですわな。これは大変なんですよ。ただ、努力するだけで、その言葉だけで国民が安心をするわけじゃないんです。どうもいままでのお話を聞いておると、わが亡き後に洪水よ来れと言った王様みたいな話なんだ。皆さんは、鈴木さんだっていつまでも総理大臣やっておるのか、六十二年までやっておられるかどうかわからない。私自身も国会議員であるかないかわからない。しかし、六十二年というのは、また六十五年というのは、皆さんがよく言う百年の大計というものから見れば、もう目の前に来ておるんですよ。しかも、これは後で申し上げるけれども、大変な返済に要する金が要るわけですよ。ところが、どうなんです。増税はいたしません、財政再建はいたします、現金償還はいたします、かっこうのいいことだけいまおっしゃっておって、これからの日本が一体どうなるかということを私は真剣に考えなければいかぬのじゃないか、私たち野党もまた真剣でなければならぬと思います。だけれども、それ以上に責任のあるのは政権を担当しておる総理大臣、大蔵大臣、この方々がまず真剣に考えないで、最大の努力をしますなんということで、目の前にもうはっきり来ておるものをその程度の御答弁では私は安心ができないのであります。後は野となれ山となれということならば別であります。言葉だけ努力をしますと言っても、現実の姿は後は野となれ山となれというやり方じゃないですか。皆さんの政治的なお立場はいつまで続くかわからないけれども、国民の生活そのものはこれからさらに七十年、八十年続いていくんですよ。そのことに皆さんは心を痛めないのだろうか。うまいことだけ言って、やれ増税はいたしません、やれ財政再建はいたしますなんて言ったって、もうできないことは目に見えておるじゃないですか。そのことに心が痛まないんだろうか、私は不思議でならないんであります。もう一遍、総理からお答え願いたい。
○鈴木内閣総理大臣 五十九年度、特例公債依存の体質から脱却をする、六十年度から特例公債の償還の時期が到来をする、こういうことはこの財政再建に私どもが困難なスタートを切ったときからよくわかっていることでございます。これをやりますのに、ただ税収が少し減ったとかふえたとかいうようなことでは本当の財政再建ではない、こう私は思っておるのです。高度経済成長時代に肥大化したところの行財政、そして安定成長という時代に入っていくこの時期、また高齢化社会を迎える、こういう厳しい客観情勢、これを私どもは百も承知でそういう困難な航海に船出をした、乗り出したということでございます。これを、それならば財政再建をやるのに引き続き増税もいたしますとか、そういうことをやっておったんでは財政再建にもならない、こういうことになろうかと私は思うわけでございます。そういう意味合いから、この際、国民の皆さんにもその点をよく御理解を願って、歯を食いしばって思い切った歳出等の縮減合理化も図る等々の努力を積み重ねてこれを達成をしたい、こういうことでございます。
○阿部(助)委員 歯を食いしばってとか、やれ何だとかおっしゃってみたって、現実はそうなっていないということを申し上げておるのです。 それでは、もう少し詳しく申し上げますと、大蔵省の計算によりますと、余裕財源がなくなるのは六十二年以降ですね。一般会計の負担となる元金は六十七年までの六年間で二十四兆二千五百億円。二十四兆二千五百億ですよ。一方、国債の利子はこの六年間で五十三兆三千億円。合わせて七十七兆五千五百億、気の遠くなるような金が要るのですよ。これがもう目の前に来ておる。そういうときに、いま総理がおっしゃるような、歯を食いしばってなんというだけではない、もっと具体的な対策を国民に示さなければ私はどうにもならぬと思うのです。 一番ピークの六十五年度では、一般会計の負担分が元利合計十五兆三千八百億。十五兆ですよ。いま一兆円の減税ができるとかできないとか騒いでおるけれども、十五兆もの金を一般会計から繰り入れなければならないということになってくる。日本の財政はもう本当に危機的なところに来ておるのであります。それだけに、与野党とも真剣になってこの問題を考えなければいかぬ。そのときに政権を担当しておる総理が、最大の努力をするとか歯を食いしばってなどという抽象論を言っている段階はもう過ぎたのじゃないか。もっと具体的に、国民にもつらいことをお願いをしなければいかぬとすれば、そのためにまずどこからそれに手をつけるかぐらいのことをまず政治家が、そうして大きな責任を持っておる大企業の方々が、そういう者から初め、身を正し、そうして、この犠牲を負担をし、その上で国民にお願いをする以外に道のないところにもう来ておるのじゃないですか。 私は、その一番の核心は、やはりこの赤字公債を出すときから私が指摘してきたように、本当に償還計画というものをつけなかった——償還計画の核心は何といっても償還財源、この裏づけがなかったところに私は一番大きな問題があると思うのです。ここに一番大きな問題がある。一番最初に出したときの五十年度は、私は確かに反対はしたけれども、あれは緊急避難的なものだったと思います。大平さんはそのおつもりだったようであります。しかし、その緊急避難のつもりで出したのがずるずると毎年毎年やってくる。しかも、法律で明記をされておるところの償還計画もつけないというルーズさの中で続けられてきたところに一番大きな欠陥がある。 返せる当てがないのに借金する人もないだろうし、貸す人もない。返す当てもないでやればサラ金になります。国だって同じであります。その点を私は総理にもっと真剣に考えてもらいたいのです。ただ歯を食いしばってなどという抽象的なもので、われわれは後の人たちにこの財政を引き継いでもらうわけにはいかぬのじゃないですか。
○鈴木内閣総理大臣 阿部さんが御心配をされるように、わが国の財政は本当に危機的状況になっておるわけでございます。 そこで、この六十年から特例公債の償還に入るわけであるから、まず第一に、五十九年までに特例公債を発行するというような安易なことをやってはいけない、償還が大変なのだから、そのためにも赤字公債を発行することだけはやめよう、こういう決意のもとに進めておる。その赤字公債を発行しないようにするその財源は、大きな増税によって賄うのではなしに、行財政の改革によってこの特例公債を発行しないように、減額するように、その財源はそこから見出そう、こういうことをいまやっておるわけでございます。これは御理解がいただけるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○阿部(助)委員 行革もいろいろ問題があります。しかし、行革で削れる、節約のできる部面は、大蔵大臣もたびたびおっしゃるように、そう大きなものじゃないんじゃないですか。しかし、目の前に控えておる大変な返済を要する金はそんなものじゃないのです。総理が財政再建ということを言われた、そのために努力をするというその方向に対しては、冒頭に申し上げたように、私も同感であります。ただしかし、その趣旨はそうだけれども、そのための具体的なものは何も出てこないとすれば、これは政権を担当する総理としては私はいただけないということなんであります。
○鈴木内閣総理大臣 五十四年公債依存度が三四%ですか、そして五十六年が先般の補正を含めましても二七%、五十七年度二一%というぐあいに、とにかく公債の依存度を引き下げていっている。こういう努力を国会の皆さんの御協力もいただきながらやっておるわけでありまして、まず六十年以降の償還の問題等は、これは経済の動向その他を見なければわからぬわけでありますけれども、まず第一としてわれわれができること、これは五十九年までに、赤字公債を発行する、そういう安易な財政運営というようなものはもうやめよう、こういう決意でいま皆さんの御協力をお願いし、それを着々進めておる、こういうことを私は申し上げたいのでございます。
○阿部(助)委員 総理、あなたの代でないからおれは知らないというなら別であります。しかし、三〇%も三十何%も国債に依存する財政なんというものは、大体これはめちゃくちゃなんです。いま二〇%といえども、これは世界一でしょう。その努力をするのはわかるのです。だから、具体的にどういうことでやるかということなんです。五十九年度までにとりあえず赤字公債をなくそうという方向は、それはそれなりで私はわかります。しかし、それで済まないぞというのがこの大蔵省の計算の中ではっきりしておるじゃないですか。はっきりしておるのです。 もう少し申し上げるなら、建設公債には問題があるけれども、とにもかくにも国債整理基金特別会計法で前年度首の国債残高の百分の一一六、これを積み立てております。そこで知恵を出したんでしょうな、大蔵省は。逆算していくと六十年ということで、本当は六十年の耐用年数というのは私は少し長いと思うけれども、六十年ということにすれば、運用益を入れれば大体返せるという算術計算はできるのです。そういう点で、これも私は本当に厳密に言えば問題があると思うけれども、この国債整理基金特別会計法で幸いに百分の一・六を積み立てるというのから逆算したようであります。しかし、建設公債は六十年償還、それに積立金を用意しておるにかかわらず、赤字公債にはなぜ償還財源が準備されなかったのですか。建設公債は場合によれば橋が残るあるいは建物が残る、道路が残るということはあるけれども、赤字公債は何も残らないのです。それだけに、むしろ赤字公債だからこそ償還財源を準備すべきだ。当然のことであります。 なぜこの赤字公債に償還財源をつけなかったのか、償還計画をつくらないからであります。償還計画は、総理、財政法四条をもちろんお読みになって御承知だと思うのです。返済計画をつけなければならないという義務規定です。私は余り法律のことは詳しくないけれども、素人が読んでも、あれは返済計画をつけなければならないという義務規定であります。大体、財政法四条は公債不発行主義であります。そこで、やむを得ない例外として建設公債は認めておるけれども、赤字公債というのは大体認めていない。だから、皆さんこうやって財政運営に必要ななんという特例法を毎年出しておるのは、財政法が赤字公債を認めていないから毎年毎年赤字公債を出すたびごとにこの法律を出しておるんじゃないですか。そして、この法律の中で、どうです、第二条に、「政府は、第一項の議決を経ようとするとき」、赤字公債を出そうとするとき、「同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。」毎年これを書いておりながら、毎年償還計画の提出をサボってきた。これはわれわれは納得ができません。総理、この点はどうなんです。——皆さんの出る幕じゃないですよ。これは法律論、これは基本的な問題です。
○松下政府委員 特例公債の償還財源につきましてのあらかじめの積み立てを行っていないのはどういうことかという第一点のお尋ねでございます。 公債の償還財源につきましては、ただいまお示しがございましたように、建設公債を発行いたしましたときに、定めました百分の一・六の定率繰り入れを行うことといたしておりますほか、年々の剰余金の繰り入れを行い、さらに必要に応じまして予算繰り入れを行う、この三つの柱を財源といたしまして今後対処してまいるということで、このことを償還計画表の説明欄にも御説明申し上げておるところでございます。 そこで、十年間の期間で借りかえ発行を行わない特例公債について、この償還のための特別の予算繰り入れを行うべきではないかという御議論でございますけれども、これまで特例公債を発行しておるということ自体が異常な状況でございますので、私どもの何よりの急務は、できる限り早くこの特例公債を発行しないで済むような、そういう財政状態に持っていくことにある。したがいまして、まずこの特例公債から脱却するために歳出削減その他万般の努力をしているわけでございまして、これにさらにいま御指摘の償還財源を積むということになりますれば、それは積んでおる年度の歳出といたしましてはその分だけ歳出需要がふえるということになるわけでございます。私どもそういう考えで、とりあえずともかくまず特例公債から脱却をし、その期間に、予算繰り入れにつきましても、その後の財政事情等をよく考えまして、どういう形でこの第三番目に言う必要に応じた予算繰り入れをやったらよろしいかということをよく検討いたしまして、特例公債からの脱却ができましたならば、できる限り速やかに予算繰り入れによる負担の平準化を行ってまいりたい、そういう趣旨でございます。 なお、ただいま国債の償還計画、法律によって定められておるものを提出していないという御指摘でございましたけれども、財政法四条二項の償還計画及び特例公債法四条の償還計画、これは私ども同じもの、同じ様式、内容のものと理解をしておりまして、法律の解釈といたしましては、その年度に発行いたします公債の償還の予定表、何年後に幾らのものを償還するということを一覧でお示しをできるもので、法律上差し支えない、その財源の調達の内容について御説明をするということまでは法律の御要求になってないところという解釈で、今日まで予算書に予算審議の御参考として償還計画表を添付して提出をしておるところでございます。
○阿部(助)委員 大蔵省は何でもできるんですな。大蔵省というのは何でもできるのですか。法律でこれだけ明記をしてあるのを、なるほど二十八条にはこの償還表を出すことにはなっておるけれども、これで償還計画にかえるとはなっていないんですよ。こちらでは償還計画をつけなければならない。その一番の中心は、私は償還財源だと思うのです。償還財源のない償還計画というのはないんですよ。 大蔵大臣は何か十年債は、十年先のことは、経済は生き物だからみたいなことをおっしゃるけれども、長ければ長いほど返済計画はちゃんとしなければいかぬのです。住宅ローンを見てごらんなさい。ぎっちり担保を取って、毎月毎月の償還をちゃんとしておるのです。長い借金になればなるほど、返済計画というものはきっちりしなければいかぬのです。経済は生き物だから、経済は動くから、十年債は、十年先のことはわかりませんなんということで金が借りられると思ったら大間違いであります。世の中の常識を見たってそうであります。 いま、大蔵省の方でいろいろと苦しい答弁をしておるけれども、あれが償還計画とはならないのであります。一般財源の残ったときは繰り入れるとかいろんなことをやってみたって、そんなもので、冒頭申し上げたように六年間で七十七兆ですよ、そんなものが返せると思っておるのですか、大体。いまはこの国会を乗り切ればいい、あしたはあしたを乗り切ればいいということでは、国民生活は続いていくんです、だからこそ私は心配をするんです。私も、五千億や一兆円程度のものならば、それは経済の変動、税収の上がり下がりで何とかなるだろうという判断をしないわけじゃないんだけれども、六年間で七十七兆なんということになったら一体どうするんだ。もう六十二年、六十三年、六十五年なんというものは目の前に来ておるぞ。皆さんよく百年の大計と言うけれども、百年はおろか、もうすぐ目の前じゃないですか。五十九年にゼロにするなんということだけではどうしようもない、いまからこれは真剣に考えなければいかぬのじゃないか、私はこう言っておるんだけれども、ただ、努力する、真剣に取り組みますと言うだけでは私は納得はできません。国民はみんな心配だと思います。そのためには、やはりこの償還計画、財源の裏づけのある償還計画を出すべきであります。これは何といっても法律違反であります。私は、この償還計画をつけないで認めるというわけにはまいりません。 これをわれわれも追及はしたけれども、ある意味では、きっちりしてこなかったところに今日の財政危機を招いたと私たちも反省をいたしております。それだけに、もうここまで来れば、はっきりと大蔵省がこういう危機的なものを示された今日、私はこれを見逃すべきではないと思うし、政府もつらいだろうけれども、私は、これは償還計画を法律に従って出すべきだ、こう思います。総理、いかがです。
○渡辺国務大臣 これは、阿部議員の言うことは、理論としてはあり得ることなんですよ。ところが、現実の問題ということになりますと、要するに、国が収入、支出というものの計画を、では五年とか十年にわたってつくれるか。書くことはできますよ。しかし、実際は一年の経済見通しすらなかなか当たらないというのが現実の姿でありまして、何年先には収入が幾ら入って歳出が、どういう経費が幾ら、人件費が何ぼ伸びて剰余金が幾ら出て、その剰余金でこういうふうに充てていくんですというペーパープランは、それは書く気なら書けるかもしれません。しかし、書いてみたところで、それはなかなか現実的でないということが問題だと私は思うのです。 したがって、何年度に返す金額はこれだけあります、これはこれだけありますということは償還表で、何年度に返すものはこれだけという期限の来るものはもうわかっているわけですから、それはだから書いてあるわけです。それをもって償還計画表ということで私は言っておるわけでございますが、議員の言うのは、もっと詳しい、要するにその金を返すときには何で返すんだ、そこまではっきりしろ、こう言うわけですね。それには経済見通しがまずできて、それから財政計画ができて、それでなければ、現実問題としては、どこの財源で、どれだけの経費が切れて、どこで幾ら金が余ってというものでなければ説明はつかないわけですね。 確かに、普通の事業所等でたとえば金を借りるときに返済見込み書、返済計画をつくります。つくるけれども、それはどこまでもその企業の、要するにこれは何%ずつ伸びるだろう、こうだろうという想定でつくっておるわけであって、それはもう必ずしもそのとおりいくというふうには限らぬわけです。 したがって、われわれとしては、問題はそのときどきの経済情勢を見て、返すべき金が来るのはわかっているわけですから、だから赤字国債については、それはもう優先的に返さなければならぬ。それから建設国債については、返せる場合もあるし、それからまた借りかえをする、新しい借金に乗りかえていく、そういうこともやる。それはそのときの財政に応じてやっていこう。場合によっては繰り上げ償還ということだってあるわけですから。いろいろな電電公社や何かで金を借りた場合においても、電電公社なんか繰り上げ償還をやっていますわな。思ったよりも財政事情がいい場合には繰り上げ償還するとか、あるいはまたよけい金を借りるとかいうことをやっておるわけであって、そういう詳しいことを書けと言われても、実際問題として現実に合ったものは書けないということを申し上げているわけです。
○阿部(助)委員 そんなあいまいなことで世の中は通用しないんですよ。だから、建設公債の場合には、私が先ほど申し上げたように、曲がりなりにも六十年債は六十年で返せるように一・六%ずつ積み立てておるんですよ、財源を。これは当然のことなんだ。にもかかわらず、赤字公債にはそれは何も処置をしていない。そうして、私が申し上げたように、六年間で七十七兆もの元利は返さなければならないというところへ来ている。 私が一番心配をいたしますのは、苦しくなってくれば、十年間も現金償還はいたします、借りかえはいたしません——これにも、国債整理基金特別会計法の五条の規定による償還のための起債は行わない、これは書きかえをしないということです。この整理基金の五条は、建設公債の場合は借りかえができるのです。しかし、赤字公債は借りかえはしません、こう言っている。十年間も現金で返します、現金で返しますと、こう言ってきた。しかし、最近は新聞等でもちらほら見えるのは、一年で何兆円もの膨大な金を償還に回すと、やれマネーサプライが増大してインフレになるだとか、あるいはそんな大きな金が出れば金融秩序を乱すからなんという予防線がもうすでに張られようとしておる。 私がここで皆さんにしっかり腹におさめてもらいたいのは、十年間も国民に約束し続けて、その時点になっていろいろなへ理屈をつけて書きかえをするなどということになったら、これは国民の政治不信が増大をする。まさに銭金の問題ではない。政治そのものが信頼を失うことであって、私は断じてこれは許すわけにはまいらないわけであります。でなければどうなんです。この六十二年以降、六十五年度には十何兆という金を一般財源から繰り入れるとすれば、そのときになって大増税をやる以外ないでしょう。そんな大増税をその時点でやられたら、国民生活は一体どうなるのです。破滅をするじゃないですか。私は、そのことが目の前にあるから、いまこれだけ真剣に訴えざるを得ないのです。そのときになって、さあ大増税、十何兆の大増税なんということになったら国民生活は一体どうなるのですか。 私は、そのことがあるから、いまからもっと、かっこうのいい言葉だけ言っている段階はもう過ぎたんだ、ここで本当に政府は腹をくくって、具体的な政策を国民に訴えるときに来ておるんじゃないか。総理はどうお考えになっておるかわからぬけれども、総理、財政再建なんというものは、本当はこれは命がけです。かつて私たちの先輩、濱口雄幸、井上準之助、高橋是清、みんな命がけで、命を落として、この財政を何とかしょうとされた歴史を持っておるわけであります。私は、財政再建というものは、かっこうのいいうまいことだけ言って、それで財政再建なんというものができるとは毛頭思わないのであります。そういう点で私は、本当にいまのような姿勢には納得ができません。やはりこの償還財源をつけてもらわなければ、これはこの予算そのものが欠陥であります。法律違反であります。苦しいだろうけれども、つらいだろうけれども、これを出してもらわなければ、国民がこの予算を認めるか否かの判断の材料がありません。私は、この償還計画は、嫌であろうと何だろうと出していただきます。
○松下政府委員 法律の問題でございますから、私からお答えを申し上げます。 財政法四条二項に申します償還の計画とはどのようなものであるかということを議論いたしましたのは、昭和四十一年のことでございます。そのときに、私ども、財政制度審議会でも法律の専門家に種々御議論をいただきました。その結論は、四条二項の償還計画を出すべしという規定につきましては、公債の発行のときにその公債の償還財源調達に関する具体的な計画を示すということを要求しておると解することは困難でございまして、これは、公債の年度別の償還予定額を示すもので足りると解すべきであるという解釈をいただきました。その解釈に従いまして、四十一年度以来今日まで、償還の予定を年次別にお示しをします償還計画表をつけて御審議をいただいてきたわけでございます。 ただ、私どもも、もとより償還の予定表だけではなくて、今後何年間かの財政状況を数字的に御説明をいたしますために、財政の中期展望というものも作成いたしまして、今後当年度予算から後三カ年の歳入歳出の状態につきましても参考の計数をお示し申し上げ、さらにまた先般は御要求に応じましてそれ以後の昭和六十年代につきましても、幾つかの前提を置きまして、あらかじめの平準化のための予算繰り入れをしなければ、毎年毎年の公債償還のための一般会計繰入額がこのように非常に山の高い困難なものになります、ある種の前提を置きまして、あらかじめ予算の繰り入れを行いましてこの山をならすという考え方をとってみますれば、たとえばこのような形でこの山をある程度ならすことができますという、償還予定額の姿をお示しをいたしておるわけでございます。 何と申しましても、しかし基本は財政自体を健全化しまして特例公債から早く脱却するということでございますので、その目標に向かって私どもも最善の努力をしてまいる考えでございます。
○阿部(助)委員 いまの御答弁はいただけません。財政法は、ある意味では憲法に次ぐ重要な法律だとなっておる。どこかの審議会か何かで解釈を勝手にされては困るのであります。それならば、この重要な財政法そのものを皆さんはこの国会で提案をして変える以外にないのです。勝手に審議会やいろいろな会合でこういう解釈をしたからこれでいいなんというわけにはまいりません。財政法は、ある意味で財政法四条は、憲法の第九条を担保すると言われるほど重要な法律であります。それは、あの赤字公債の中、軍事公債を発行する中で日本は戦争に入った。公債なければ戦争なしという名言が吐かれたのは、この財政法のできたときであります。 そういう歴史的な経過を持ち、日本の憲法に次ぐと言われる財政法を、この国会でなしにいろいろなところで解釈を勝手にされては、国会審議はできません。そんな態度で国会を軽視されたんじゃ困るのであります。先ほど大蔵大臣は答弁で、財政法の四条で言うところの償還計画ができないというお話をなさったが、これはできないという解釈でいいんですか。大臣が言ったのだから大臣が答えてください。
○渡辺国務大臣 私が申し上げたのは、国会に提出してある償還計画表をもって償還計画にさせていただいておりますということを言ったわけです。したがって、歳入歳出両面を十年間とか何年間にわたりましてどれだけの収入が、何の収入があって、幾ら幾らのどういう歳出があって、その結果どれぐらいの余剰金ができて、この余剰金で幾らずつ入れていくというようなことを正確につくることは不可能に近いということを申し上げたのです。
○阿部(助)委員 結局は、償還計画はできないということなんでしょう。私の言うのは、償還計画の中心はやはり返済金を用意をしていくというのが当然のことなんです。建設公債だって、それはまあ不十分だろうけれども、百分の一・六ずつ積んでおるのですよ。そういうことを考えれば、私は、なおさら赤字公債は形が残らないものだからつけるべきだ、その財源がこの償還計画の中心でなければいかぬということを先ほど来申し上げておるけれども、一つも答弁にはなりません。これは法律違反であります。これがなければ、この予算自体が欠陥の予算であります。私はこれは審議をすべきではないし、審議はできません、そんなも一の。
○松下政府委員 先ほど私、財政制度審議会を引用してお答えを申し上げましたけれども、それは昭和四十一年度に初めて建設公債を発行するという事態を迎えましたとき、それまでは公債の発行がなかったわけでございますので、この財政法に言う償還の計画というのは何を指すものであろうか、どういうものを予算書に付して国会の御審議を仰ぐべきであろうかという議論がございましたときに、いろいろな法律論を集約して結論をお願いするために御審議を願ったといういきさつを申し上げたわけでございます。 その御結論をいただきまして、その後私どもといたしましては昭和四十一年度以来、予算書にそういう意味での年次別の償還予定表という形での償還計画をお出しいたしまして、そして予算の御審議を仰いでまいったところでございます。私ども、決して国会を無視したとか軽視したとかいうことでございませんで、あらかじめ財政制度審議会の意見も聞いて決めましたそういう表で、その後国会の御審議をいただいてきたという事情を御了解いただきたいと思います。
○阿部(助)委員 だから、その審議会やそんなものがやってみたって、これは国会が決めるものなんですね。税金は国会で決めると同じように、それ以上重大なんですよ。それを審議会等の勝手な解釈でごまかされては困る。だからこそ、今日これだけルーズにやってきたそのツケがいま目の前へ来ておる。先ほど来何遍も繰り返すように、六十二年から六年間で七十七兆もの金が必要だということになってしまった。それは、そのような勝手な解釈をし、ルーズにやってきたからこそこの事態を招いたということに、まず皆さん方は反省がないんじゃないですか。まずその反省から立ち直る以外、道がないんじゃないですか。私は、その反省がなさ過ぎると思うのです。 そして、もう目前に大変な事態を迎えておる。そのときになって、先ほど来言うように一挙に増税ができるんですか。多少経済を上向かせよう、それは努力をしてみたところで、これだけ膨大な金を返済するには大増税以外道がない。国民生活の破壊になることは、もう目の前に見えておるじゃないですか。こんなものに私たちは責任が持てないんです。つらいだろうけれども、ここで私は返済計画を出していただきたい。
○渡辺国務大臣 私は、反省をしてないわけじゃございません。国債の発行というものは安易に流れてはいけない。しかし、いままで、五十年などの非常な不況時代に突入をしまして、それで日本がいち早くこの第一次石油ショックから立ち上がるためにまた建設国債を大量に発行して、それで公共事業を広げて雇用の増大を図ってきた、これは事実ですね。 もう一つは、それと同時に、そうすれば一方はいいけれども、社会保障とかあるいは文教とか、そういうようなところも福祉元年の四十八年からスタートしたのだから、それも税収が落ち込んでも、やはりそのスタートしたものをどんどん育てろという強い御要望があって——本来そういうものは税収の中で賄うべきものだと私は思うのです。しかし、それを税収が少ないからといって急に、いままで伸ばしてきた社会保障や文教政策をがたんと落とすわけにはいかないということで、赤字国債、つまり特例公債を増発しながらやってまいりました。そのこと自体が、確かに少しはやり方が安易に過ぎたのじゃないか、もっと厳しく対すべきではないかという御批判があってしかるべきだ、私も強く反省をしておるわけでございます。 したがって、今後とも国債の発行というものは慎重の上にも慎重にしなければならず、そのときだけの一時逃れみたいなことであってはなりませんから、やはり国債を発行する以上は、当然それは利子をつけて返さなければならない債務の発生ですから、それは何で返すかと言えば、終局的にはほとんど大部分は税金でしょう、税金の中で借りた金は返さなければならないものなのです。ですから、そういう点で安易に陥ってはいかぬという阿部議員の御主張は、痛いほど私、よくわかっておるのです。 そこで、問題は、いま言った発行するときに国債の償還計画を出せと。これについては、年次幾らの国債を返済するようになります、それはこういうことで、返済の時期が来て幾ら幾らの金額がそうなりますということは、ちゃんとお手元に配ってあるし、一定の仮定のもとに、どれぐらいの運用益もできてどうだというような表もつくってお配りをしてあるわけなんです。ところが、阿部議員はそれではだめだ、もっともっと詳しいものを出せと。(阿部(助)委員「財源の裏づけ」と呼ぶ)財源の裏づけということになりますと、財源の裏づけというのは、終局的には、これがどれだけ収入があってどれだけの支出がある、その中で返せる余裕があるのかないのかというものがわからなければ、ただ何とか税金取りますよ、その税金は国債だけにしか使わないんだというような、国債税というようなこともいま考えているわけではございませんし、ただそういうものをつくってみたって法律もないのだし、なかなかいまのところでは考えようがない。 したがって、例年、ここ数年間同じ議論をしながらこの表を出して、その返済表、償還表を出して御承認をいただいてきておるわけでございますから、ここへ至りまして、ともかく全然別な、まるっきり発想を変えたものを出せと言われましても、それはちょっと、ともかくそれはまことに申しわけないができないのです。御了解を願いたいということを申し上げておるわけでございます。
○阿部(助)委員 いや、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな話をしたって困るんですよね。それは社会保障をやるためにやりました、いや、経済がどうなりましたなんという話は、これは別問題です。台風が吹けば土建屋がもうかるんですよ。それは片方で政治的なものは、片方でいけばその反対のものも出るのです。いまあなたが、大臣が考えようがない、これだけ知恵のある大蔵大臣がもうそういうのは考えようがないとすれば、この予算そのものが始末のつかない欠陥予算だということになるのですよ。財源の伴わないこれは返済計画にはなりませんよ。住宅ローンだって見てごらんなさい。ぎっちり担保を取って、長期になればなるほど返済の順序、金の問題は、好景気だから収入がよけいあったら住宅ローンを払います、不景気でちょっと収入が少なくなったり失業したら払いませんというわけにいかぬのですよ。そのためにこそ、国はちゃんと返済の計画を出し、その財源をちゃんと用意しておくということは、これは当然過ぎるほど当然なんではないですか。だから、私たちも反省し、私自身も反省しておる。 あの大平さんの五十年度予算のときから私はこの委員会へ出てきて、予算委員会でこの財政法四条の問題に触れないことは一つもない。ある意味で何とかの一つ覚えと言われるかもわからぬけれども、私はこの事態を心配したからこそ申し上げてきた。ある意味では本当に同じことを、私は毎年性こりもなく申し上げてきた。しかし、いま現実はどうかといえば、もう目の前に、先ほど来幾たびも申し上げるような大変な償還財源が要る。そのときになって一挙に増税じゃ、国民生活は破壊をするのですよ。だから、いまからつらくとも、ずばり言えば、結局増税以外にないじゃないですか。そのためには手順があると思います。それを、ただかっこうのいい、増税はいたしません、財政再建はいたします、現金償還はしますなんという、かっこうのいいことだけで今日を糊塗しようとするところに、この事態を招いたのだ。もう少し政治家ならば腹を決めて、この日本の命運を考えていただきたいということを私は申し上げておる。そのためには、法律で決めた償還計画というものをやはり出し、そこでそのために、書きかえをしない限り、増税が必要だと私は思う。そうすれば国民はつらい。国民がこれをやむを得ないと判断をするかどうか、国民の合意を求めるために皆さんは真剣に努力をしなければいかぬ。努力もしないで何とかなるだろうというのが、この結末です。私は、そんなことで国家百年の大計なんというものを口にしてもらっては困るのです。もうこの辺で私たちも腹を決めなければいかぬし、皆さん方自体がこれは腹を決めてこの財政再建を考えるときに来たのではないかということを、総理、私は申し上げておるのです。私は同じことを繰り返し、大変つらいことを申し上げておるけれども、その決意が総理にないならば、大変失礼だけれども、私はもう一日も早くやめてもらった方がいいと思います。どうなんです総理、これはもう総理の決断の問題です。
○鈴木内閣総理大臣 私はしばしば申し上げておるわけでありますが、五十九年度特例公債脱却、いま阿部さんが深刻に御心配になっておる六十年度以降の償還の問題、そういう問題を考えれば考えるほど、五十九年までには特例公債から脱却しなければいかぬ。それを、その減額するのを増税だとかそういうような安易な道でやるのではない、骨を削り身を削って、肥大化した行財政の縮減合理化によってそれをやろう。 六十年以降の償還の問題については、大蔵大臣がるるお話をしておりますように、当面大蔵省から出しておりますところの償還表、あれをお認めをいただいて、そして、私どもは六十年以降につきましては何とかあの償還表に基づいて償還をしてまいる、あらゆる努力をしていく、こういうことを申し上げておる次第でございます。
○阿部(助)委員 大体あんな表で金が返せると思っておるのですか。それならば、財政法を変える以外にないのです。総理、財政法を変える意思があるのですか。あれは償還計画と認めません。総理大臣が答えるんだ、これは大事な基本的な問題だから。
○松下政府委員 法律の問題でございますので、私からまずお答えを申し上げます。 財政法で償還の計画を国会に提出しなければならない、その償還の計画はいかなるものであるべきかという点につきましての私どもの解釈は、先ほどもお答えを申し上げましたが、この各年次ごとの償還の予定の数字というのは、現在の段階で将来十年を見通しまして確実に計算がすることができ、また、それをこのような計算でございますと言って国会の御審議をいただくことができる数字でございます。 また、それは、国会で御説明をして御審議をいただきました以上、その償還の予定表に基づいてこれを将来の各年度で償還をしていくということは、財政当局に課せられた非常に重い義務になるわけでございます。私どもは、将来、歳入歳出の状態と申しますものは、いろいろな経済情勢に応じて変わってまいるでありましょうけれども、この予定されましたところの国債の償還予定額というものは、何をおいてもまず第一にこれを実行していかなければならない、そういう性格のものだと受けとめて、償還予定計画を国会の御審議をいただいているわけでございます。 そこで、これが将来非常に大きな額に上るときに、それがどうかなってしまうのではないかというただいまの御懸念でございますけれども、申し上げましたように、これは何をおきましてもまず実行しなければならない私どもの義務でございますから、この償還をまず実行する。そのために、私どもは歳入歳出全般にわたってこれから財政再建期間中にも財政体質の合理化、健全化を図ってまいりますけれども、なお、その五十九年で仕事が終わったわけではございませんで、六十年代を通じましてさらに努力を重ねて財政再建によってこの国債の償還を可能にしてまいる、そういう決意でございます。
○阿部(助)委員 もう皆さんも同じことを繰り返す、私も同じことを繰り返す。これはもうしようがない。何としても、皆さんは決意表明だけなさるけれども、返済の裏づけは一つも出てこない。そうすれば、法律でこう決めてあるものを国会で直す以外にないのですよ。これは皆さんが何と言おうと、償還表だけで、裏づけの何もないこの表だけで返済計画などというものとは言えないのです。言うならば、やはり毎年毎年それに見合うものを積み立てていってこれで返しますという財源の裏づけのあるものでなければ、返済計画とは言えないのですよ。そのルーズさがいまここへ来てしまった、私はこう言うのです。その点で私たちはもっともっと抵抗をし、ここでこういうルーズな政府の姿勢に陥らないようにもっともっと私もやるべきだったという反省を込めながら、これからの六十二年以降、六十五年ごろのこの日本の国民生活が一体どうなるだろうかということを私は心配をしておる。総理は五十九年度までに云々とおっしゃるけれども、それ以降がむしろ大変な事態が来るということを考えれば、いまからその手当てを考えねばいかぬのです。 そこで考えられるのは、結局書きかえですよ。そして、皆さんはへ理屈をつけて書きかえをするだろう。しかしそれは、先ほど来言うように、十年間も約束をし続けて一挙にそれを覆すということは国民の政治不信が増大をするという、私はこれまた心配をせざるを得ないのです。私もそのときは議員ではあり得ません。だから、いま私は真剣にこの問題を皆さんと一緒に考えようとするけれども、皆さんはただ決意表明だけなさっておられます。私は納得をいたしません。皆さんもこれを真剣に受けとめて、つらいだろうけれども、国民はもっとつらいんだということをお考えになって、具体的な方策を一日も早く立てるべきだ、こう私は思います。 時間でありますから、残念ながら、同じことを繰り返しつつ私の質問を終わらざるを得ません。 これで終わります。
○栗原委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして総括質疑は終了いたしました。 次回は、明二十日午前十時より開会することとし、一般質疑を行います。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会