予算委員会 第11号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/02/16
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 開会に先立ち、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の出席を要請いたしましたが、いまだに出席がございません。やむを得ず議事を進めます。 この際、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 それでは、江藤隆美君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○栗原委員長 昭和五十六年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十六年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。 この際、鈴木内閣総理大臣より発言を求められておりますので、これを許します。鈴木内閣総理大臣。
○鈴木内閣総理大臣 十日以来の当委員会の審議について、十二日の閣議において意見の交換がございましたが、防衛庁長官から防衛庁の業務の執行に支障がないよう善処したいとの願望が表明され、これを了承しました。 なお、今後、国会審議に支障を来すことのないよう留意いたしますとともに、閣僚その他政府関係者の発言が誤解を招くことのないよう十分指導いたします。 また、特にこの際一言申し上げたいと存じます。 政府は、今後とも、従来からの大原則であるシビリアンコントロールについては絶対に遵守する所存であります。
○栗原委員長 これより理事会の協議に基づき、質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
○大出委員 理事会の御協議もあったようでございますから、三点ばかり質問をいたします。 第一問。今日までの予算委員会理事会等における協議の経過から見まして、五十六年度十三億、五十七年度八十五億のファントムの試改修に関する予算のうち、特に五十六年度の十三億の扱いなどはどうなるのか、お答えをいただきたいと存じます。
○伊藤国務大臣 お答えをいたします。 今回のF4ファントムの試改修につきましての五十六年度予算につきましては、その執行を停止いたしまして、その取り扱いにつきましては、今後引き続き御審議を賜りたいと存じます。
○大出委員 ただいま御答弁をいただきましたが、二問。 先般の私のファントムに関する質問の中で、政府は四十三年の増田防衛庁長官当時、爆撃装置はつけないと答えておりますが、F4ファントム試改修の五十六年度予算の執行停止とあわせて考えるときに、増田長官の発言は今日なお政治的効果がある、平たく言えば、今日なお生きていると理解をしたいと存じますが、いかがでございますか。
○伊藤国務大臣 今後検討した上においてお答えを申し上げたいと思います。
○大出委員 決められた質問時間でございまして、大変短いわけでございますから、いまの点は今後十分ひとつ本委員会で詰めて質疑をいたしたい、こう思います。 三点。F4ファントムの五十六年度予算の執行停止という点について衆議院の法制局の見解をただしてみましたが、執行停止という問題についてはいろいろな雑音がございますけれども、形式的には政府に執行権があるが、国会の意思に反するとすれば、政治的に執行停止はあり得るとの見解でございますが、政府もこの見解をお認めになるか、この点を明らかにしていただきたいと存じます。
○伊藤国務大臣 最初にお答えしたことで御理解を賜りたいと思います。
○大出委員 舌足らずな答弁でございますが、何しろ往復で五分という理事会のお取り決めのようでございますから、それに従わぬわけにはまいりません。私の質問を以上で終わりまして、今後十分また時間を使いまして質疑に入りたい、こう思っております。 以上でございます。
○栗原委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。 次に、鈴切康雄君。
○鈴切委員 総理、民社党、新自由クラブ・民主連合の欠席のもとに開かれた不正常な委員会は、一にかかってF4ファントムの改修問題に対する自民党の相次ぐシビリアンコントロールの形骸化と、そしてまた、それに対するシビリアンコントロール発言をめぐっての不手際から今日のこのような事態を招いたわけでありまして、実に遺憾と言う以外はないのであります。 そこで、このシビリアンコントロールは、形骸化された場合において、これは大変に大きな問題であるということはかねがね総理もおわかりだと思いますが、私はまず、シビリアンコントロールの上に立ったときに、この鈴木内閣は三つの大罪を犯している、それを申し上げざるを得ないわけであります。 まず第一に、少なくとも内閣総理大臣は、自衛隊法第七条に「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」とあります。にもかかわらず、鈴木総理は、十三日の昼、F4ファントム戦闘機の改修問題について、爆撃装置とか具体的内容までは聞いていなかった、全く知らなかったと言われた。知らなかったで済まされる問題でありません。自衛隊の最高の指揮官、指揮監督権を有する鈴木総理がこのていたらくだから、自衛隊内にもシビリアンコントロール無視の続出になっている。そういう意味から言うならば、全く収拾はつかない状態じゃないですか。武装集団をつかさどっている総理がこんなことではとてもシビリアンコントロールの実を挙げることはできない、このことをまず第一に私は申し上げなければなりません。 第二番目は、F4ファントムに爆撃装置をつけないとした昭和四十三年の増田防衛庁長官の国会答弁に対して、それを何の手続もしないで、防衛庁サイドでF4ファントムに爆撃装置を、五十六年、五十七年度に改修作業を行うこととした、これは全く国会軽視もはなはだしいです。かつて四次防の先取り予算というものが国会で論議され、そして、ついに最終的にはこの予算が凍結という状態になったことを私はいま思い出すわけでありますけれども、それくらい厳しいわけであります。 第三番目は、航空幕僚長は十二日の夕方の記者会見で、F4ファントム戦闘機の爆撃装置復活問題に関連して、改修後のF4は対地戦闘機、いわゆる攻撃として使う計画で検討中という記者会見があり、防衛局長の国会答弁と全く違うことを言われた。そこで、防衛局長に国会答弁とは違うじゃないかというふうに言われたときに、そのときにはまた航空幕僚長が、それは国会答弁でやむを得なかったんじゃないか、こういういわゆるシビリアンコントロールを逸脱した話が出ている。 こう三つ考えると、私はもうシビリアンコントロールを形骸化したこの問題というものは非常に大きな問題だと思うが、総理はシビリアンコントロールに対してどのような基本姿勢と見解があるか、そのことをまずお伺いします。
○鈴木内閣総理大臣 お答えいたします。 民主国家におきまして、政治の軍事に対する優先は絶対に確保されなければならないと考えております。わが国の現行制度におきましては、国防に関する国務を含め、国政の執行を担当する最高の責任者たる内閣総理大臣及び国務大臣は憲法上すべて文民でなければならないとされており、また、国防に関する重要事項については国防会議の議を経ることとなっております。 さらに、国防組織たる自衛隊も、法律、予算などについて国会の民主的コントロールのもとに置かれているのであるから、シビリアンコントロールの原則は貫かれているものと考えております。 政府としては、このような制度のもとに、自衛隊を厳格に管理しているところであり、今後ともこの点は十分配慮してまいる所存でございます。 今回の試改修は、F4ファントムを延命し、また同時に、F15と同様の機材を搭載してその能力向上を図るためのものであるとの説明を受けたと記憶いたしております。 この試作は、まず代表機一機に対して試改修を行うものであり、その結果量産体制に入る場合には、当然国防会議の議を経るなど、シビリアンコントロールの適切な措置がとられることとなります。でございますから、シビリアンコントロールははっきりと確保されておるということを御了承願いたいのでございます。 生田目空将の発言、空幕長の発言につきましては、これは戦闘機の機能につきましてるる述べておるところでございますが、防衛庁防衛局長の見解と私は違っておるとは考えておりません。
○鈴切委員 航空幕僚長と防衛局長との見解が、これが違っていないなんということ、これは明らかに見解が違っているわけです。しかし、その問題については、いずれにしてもシビリアンコントロールを形骸化したという一つの大きな事実を指摘したわけでありますから、シビリアンコントロールがもし働かなければ、武装集団であるいわゆる自衛隊をつかさどる総理のもとに、本当に危険な方向へ走らないとは限らないわけでありますので、その点、まず私は指摘をしておきます。 次に、先ほど御答弁がありましたが、F4ファントムに爆撃装置をつけないとした昭和四十三年の増田防衛庁長官発言に対し、現在も政府の方針には変わりはないか、その点について。
○伊藤国務大臣 昭和四十三年の国会における増田元防衛庁長官の発言は、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるような装備は保有しないという方針を述べたものでございまして、この方針は現在でも変えてはおりません。
○鈴切委員 すりかえてもらっては困るのです。F4ファントムに爆撃装置をつけないとした昭和四十三年の増田防衛庁長官発言に対し、現在も政府の方針に変わりはないかと聞いているわけであります。いわゆる爆撃装置をつけないとした昭和四十三年の増田防衛庁長官の発言でありますから、それについて正確に答えなさい。
○伊藤国務大臣 基本方針は変わりありませんけれども、先ほど大出委員にお答えしたとおりです。後ほど検討してお答えをさせていただきたいと思います。
○鈴切委員 基本方針は変わりはないけれども後ほどと言わないで、いまここで変わりがないとなぜ答弁できないのですか。なぜ答弁できないのですか。
○塩田政府委員 他国に脅威を与えないという意味の基本的な方針を変えないということは先ほどお答え申し上げたとおりであります。 それで、その具体的な装備につきましては、先ほども、これも長官からお答えいたしましたように、今後検討してお答え申し上げたいということを申し上げたいと思います。
○鈴切委員 私は、ファントムに爆撃装置をつけないとした昭和四十三年の増田防衛庁長官発言に対して、現在も政府の方針に変わりはないかと聞いているのですから、イエスかノーか答えてください。変わったのですか、長官。長官です。
○塩田政府委員 ただいまお答え申し上げたとおりでございます。
○鈴切委員 長官に私は言っているんですから、長官、ちょっとお答えください。
○伊藤国務大臣 私も先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
○鈴切委員 爆撃装置をつけないとした昭和四十三年のはどうなんだと聞いているわけですよ。変わったんですか、変わらないんですか、その点はどうなんですか。爆撃装置を取りつけようとしている五十六年度、五十七年度の予算は、私は当然削減すべきじゃないかと思うのですよ。修正したらどうなんですか。 かつて、当初予算は自民党がここで強行採決をしたんじゃないですか。そして、言うならばこのファントムの問題について、やはり瑕疵があるからこそそういう行動に出たと見てもしようがないじゃないですか。だから、この問題については予算を修正をすべきじゃないか。変わったというならどこが変わった、いつ、だれが、どういうふうに変えたのか、そのことを言ってくださいよ。はっきりしなくちゃしようがないじゃないですか。どうなんですか。こんなあいまいなことではだめですよ。
○伊藤国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたとおり、後ほど検討してお答えをしたいと思います。
○鈴切委員 後ほど検討するじゃ、予算審議をしているんでしょう。後ほど検討するなんというのはどういうことなんですか。いまここで答弁できないものを後ほど答弁できるわけないじゃないですか。どういうことなんですか、これは。これは納得いきませんよ。この点は明らかにしてくださいよ。これはいずれ必ず問題になる問題でしょう。だから、私はその点については明確にする必要があると思いますよ。いかがですか。(発言する者あり) 五十六年度予算の執行を停止しというようにあるのは、現在も政府の方針に変わりがないから、国会答弁に反した予算の執行を停止しなければならないのじゃないですか。そうでしょう。とするならば、当然、爆撃装置をつけないとした昭和四十三年の増田防衛庁長官の発言は、現在も政府の方針は変わりはない、こういうことなんでしまう。
○伊藤国務大臣 執行を停止をいたしまして、引き続き御審議を賜りたいということでございます。
○鈴切委員 何回も時間だということですが、私は納得しません。納得しませんけれども、時間だということでございますので、この点についてまた次回やります。
○栗原委員長 これにて鈴切君の質疑は終了いたしました。 次に、中路雅弘君。
○中路委員 今回のF4ファントムの爆撃装置の問題については、四十三年の国会で論争の末取り外されたわけですけれども、この四十三年の先ほど質問がありました増田長官の答弁、それから四十七年の当時の増原長官の「わが国の戦闘機の「爆撃装置」について」という見解、さらに、五十三年三月のF15を入れるときの論議、政府の見解、この問題の中で、先ほど増田長官の当時の約束、答弁について今後検討するというお話ですが、四十七年の増原氏の見解も、これを取り外したのは憲法上の制約からということを明記をしています。 今後検討するということは、この憲法上の制約から取り外した爆撃装置を装置をする、今後検討するというのは、この見解を変えられるわけですか。第一点、その問題をお聞きしたいと思います。 そして、こうした重要な憲法上の問題について総理も知らなかったということが報道されていますが、大変これは重要な問題と思うのです。その経過について、だれが責任を持っているのか、どこが知っていたのか、防衛庁の事務次官なのか、防衛局長までなのか、あるいは当時の防衛庁長官なのか、いまの伊藤防衛庁長官はいつこれをお知りになったのかという問題をお聞きしたいと思います。 また、先ほど答弁で総理は、F15の機材と同じものを搭載しているからとおっしゃいましたけれども、これは、五十三年三月四日のF15の論議で、当時特に伊藤防衛局長が答弁していますが、F15と全く違う能力ですね。この問題で答弁しています。総理の先ほどの答弁は全くごまかしだと思うのです。 さらに、もう一問お聞きしたい、まとめてお聞きしたいのですが、昨年の五十六年十一月二十六日の参議院の行政改革特別委員会連合審査において、秦議員がこの問題で質問をしています。F4ファントムについて当時の大村防衛庁長官は、「耐用年数を延長すると同時に装備の近代化を図る、二つのねらいがあります。」秦委員が、「国会でもさんざん問題になった例の爆撃照準装置、」こうしたものの換装も含まれるかという質問について、大村防衛庁長官は、「先生の言われたような点は含んでおりません。」ということを答弁しているじゃありませんか。これは全く国会にうそをついている、当時の防衛庁長官は、ということになるわけです。 こういう問題では、当然私は五十六年度のこの十三億、これは予算から削除すべきであります。少なくとも年度内は執行を停止をして当然不用額として扱うべき問題でありますし、五十七年度については八十五億円、これは当然削除すべきであると思いますが、いかがですか。
○塩田政府委員 昭和四十三年の増田元防衛庁長官の答弁につきましては、わが国は他国に侵略的、攻撃的な脅威を与えるような装備は持たないという基本的な方針を述べられたものでありますが、この方針は現在も変えておりませんということは、先ほど来何度も申し上げたところであります。 それから、総理が知らなかったではないか、どこまで知っておったのかというお尋ねでございますが、私どもは、ファントムの試改修を行いまして延命を図りたい、その延命を図ると同時に、F15並みの能力アップをしたいということは総理にも申し上げてございます。それ以上の具体的な、どういうコンピューターであり、爆撃装置につきましてもどういう爆撃装置を持つかといったような点につきましては、防衛庁長官に御報告を申し上げて、もちろん御決裁をいただいております。 それから、第三番目の秦先生の御質問の点でございますが、この点につきましては、秦先生の御質問に「F4EJファントムの改装をしていますね。」ということで、何のためかということがありました後で、「その装備の近代化の中に、たとえば対地支援のために国会でもさんざん問題になった例の爆撃照準装置、附属のコンピューターシステム、レーザー照射装置等の換装も含まれますか。」こういうお尋ねでありました。それに対しまして、当時の大村長官が、今度の試改装の二つの大きなテーマでありますところの「低高度目標対処能力、搭載ミサイルの改善」といったようなことを考えておるということを申し上げまして、「先生の言われたような点は含んでおりません。」とお答えをしたわけですが、これは、お尋ねが「国会でもさんざん問題になった例の爆撃照準装置、」及びその「附属のコンピューターシステム」ということでございますから、F4の当時議論になりました専用の爆撃照準装置のことと受け取られまして、そういうものは考えておりません。それから、レーザー照射装置というものはもともとございませんので、それは含んでおりませんというお答えをしたわけであります。
○栗原委員長 中路君、時間が参りました。
○中路委員 時間になりましたけれども、全くいまの答弁はすりかえだと思うのですね。「さんざん問題になった例の爆撃照準装置、」「さんざん問題になった」というのは、四十三年に大論争してこれは外したのでしょう。この論争になった問題であることは事実なんです。五十三年のF15のときもこれは大論争になった。いまのは全く詭弁だと思う。 最後にもう一問。先ほど増田長官の問題を言いましたけれども、四十七年の増原防衛庁長官の答弁資料で出されている文書ですね。「わが国の戦闘機の「爆撃装置」について」というのでは、明白に、憲法上の制約によって、わが国は最小限のものに限られるから、これは他国に脅威を与えるから同装置を施さないという旨を申し述べたものであるということを文書で回答しているじゃないですか。憲法上の制約だから外したんだということを言っているんです。それをこれからまだ検討するということは、私は、だから、これを変えるのかということを聞いておるわけです。当然取り外すべきだ、予算の執行は停止すべきだ、これは削除すべきだということを言っておる。防衛庁長官、答弁してください。
○伊藤国務大臣 先ほど来再三お答えを申し上げておりますように、後ほどよく検討いたしましてお答えをさせていただきたいと思います。
○栗原委員長 これにて中路君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、昭和五十六年度補正予算三案についての質疑は終了いたしました。 —————————————
○栗原委員長 これより昭和五十六年度補正予算三案を一括して討論に付します。 討論の通告があります。順次これを許します。木島喜兵衞君。
○木島委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました補正予算三案に対し、反対の討論を行います。 鈴木内閣は、本年度予算を財政再建元年予算と位置づけ、一兆四千億の増税と二兆円の特例国債減額を最大の特徴として国民に協力を訴え、一方、財政の前提となる経済については、内需を中心として景気の浮揚、雇用の安定、経済摩擦の回避、物価の安定等を国民に約束してまいりました。しかるに、半年も経過することなしに破綻が露呈し始め、以来、事態はいよいよ深刻の度を深め、当初の公約はことごとく崩壊し、政治生命をかけたという財政再建も、いまや完全に不可能という局面を迎えているのであります。 確かに、内需拡大を経済、財政の中心に据えた基本方針は誤りではなかったのでありますが、その基本方針と個別政策の不一致が破綻の原因であります。鈴木内閣の増税なき財政再建というキャッチフレーズにかかわらず、収入が一%ふえれば税金が二・五%ふえるという急激な所得税の実質増税が四年間続けられたため、勤労家計の可処分所得は社会保険料の増大と相まって上昇せず、政府の租税政策の失敗が景気回復の足かせとなって、それが税の減収となるという悪循環を引き起こしているのであります。 低い賃金の引き上げと、その大企業と中小零細企業間の格差の拡大は、購買力を刺激するわけはありません。また、政府が期待した民間住宅建設百三十万戸の目標はとうてい達成できませんが、その原因は、地価の高騰と所得の伸び悩みによる住宅の取得能力の低下であることは、政府の国民生活白書すら認めるところであります。民間の設備投資にしても、その不振は、個人消費と密接にかかわりを持つ中小企業の冷え込みが大きな要因となっています。したがって、失業者は増大し、完全失業者百二十六万人は、この三十六年間で最悪の状態を示し、完全失業率は政府の統計でも二・二%と、不況局面の指標となっているのであります。 このように、政府の内需中心の経済成長の意図は崩れ、依然として外需に依存して、経済摩擦はかえって激化の一途をたどり、政府の宣伝する日本経済総体の外需による良好さは、一方、国民生活の個々の分野の不況そのものという矛盾を露呈しているのであります。このようにして、総理の政治生命をかけた財政再建は破綻寸前にあります。 財政面では、不公平税制の是正が不十分なまま大衆の税負担、受益者負担が進む一方、たとえば公共事業をめぐる談合問題で明らかになりましたように、不当不要な支出にメスが十分に加えられないまま国債の大量発行という、財政再建と逆行する措置をとらざるを得なくなったのであります。その今回の国債も、全額を資金運用部資金で引き受けるという、金融的歯どめのあいまいな国債消化を行わざるを得なかったのであります。まさに、政府の経済、財政運営は限界を迎えていると言わざるを得ません。 以上の前提に立った補正予算三案でありますから、反対は当然であります。 最後に、総理が財政再建が達成できないときには政治責任をとると明言されたことを、しかと承っておくとともに、今回のF4ファントムの爆撃装置にかかわる問題は、わが党がつとに指摘したごとく、シビリアンコントロールの有名無実さを証明するものであり、政府の国権の最高機関に対する軽視、不誠実さのあらわれであり、憲法感覚の欠如であり、まことに許しがたく、今後引き続きわが党は追及することを申し添えて、反対討論といたします。(拍手)
○栗原委員長 次に、草川昭三君。
○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十六年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。 まず、冒頭に申し上げたいことは、本補正予算案審議中に、F4ファントム戦闘機の爆撃装置復活問題が明らかにされました。これは、防衛庁が事前に総理を初め国防会議にも説明せず、シビリアンコントロール、文民統制を全く形骸化したことを示すものであります。 思い出せば、そもそも五十六年度当初予算案は自民党によって強行採決をされたものであり、その非民主的手続が今回のF4ファントム爆撃装置問題につながっているということを忘れるわけにはまいりません。私は、その立場からも反対の討論を行うものであります。 反対する第一の理由は、本補正予算案は政府の経済運営の失敗を露呈するとともに、赤字公債の追加発行によって財政再建の根底を揺るがすものであることであります。 政府は、当初予算の編成に当たり、五十六年度を財政再建元年とすると称し、二兆円の赤字公債減額をするとしたのであります。そのために政府は、所得税の実質増税に対する国民の減税要求をあえて抑えつけるなど、財政再建の名において国民に幾多の犠牲を強いてきたのであります。ところが、政府は、今回の補正予算案では、政府みずからの経済運営の失敗によってもたらされた歳入欠陥を三千七百五十億円の赤字公債によって補おうとしているのであります。 私どもは、当初予算の審議に当たり、個人消費の停滞を憂慮し、課税最低限の引き上げによる所得税減税の実施を強く要求いたしました。しかし、政府は、物価が安定すれば個人消費は盛り上がり、内需主導の景気回復は実現できると強弁し、私どもの要求に耳を傾けようとしなかったのであります。果たせるかな、内需主導の景気回復は全くのかけ声倒れに終わり、五十六年度中にさらに赤字公債の再追加発行の懸念さえ強まっているのであります。内需拡大策をおろそかにし歳入欠陥に追い込まれ、赤字公債の追加発行を余儀なくされた政府の責任は、まことに重大であります。 さらに、本補正予算案における地方交付税交付金の減額措置も、歳入欠陥によってもたらされたものであります。地方財政の立場からも政府の経済運営の失敗を容認することはできないのであります。 反対する第二の理由は、歳入欠陥という事態に追い込まれながら、真剣な財源対策が講じられていないことであります。 政府は、昨年押し迫って、赤字公債の追加発行を突発的に決定いたしました。財政再建を至上課題とする政府としては、税収の推移を真剣に把握して早期に見きわめ、予想される歳入欠陥に対しては行財政改革の視点から経費の節減を徹底することをまず図るべきであります。 しかし、今回の補正予算案における既定経費の節減額は六百億円にとどめられてしまいました。この額は五十四年度、五十五年度を下回る低い節減額であります。五十五年度における三千七百十四億円にも上る不用額を見ても、節減の余地はまだ十分に残されていると言わざるを得ません。徹底した既定経費の節減も行わず行財政改革を訴えてみても、国民が納得するわけがありません。 さらに、私は人事院勧告の完全実施の見送りが決定づけられていることも納得できません。労働基本権の規制との見合いで設けられている人事院勧告制度はあくまでも尊重すべきであり、人事院勧告の完全実施は当然であります。 以上、反対する主な理由を述べましたが、昭和五十六年度補正予算三案に反対する態度を表明し、討論を終わります。(拍手)
○栗原委員長 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎委員 私は、日本共産党を代表して、昭和五十六年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。 F4ファントムの爆撃装置問題については、国会に対して、昭和四十三年十月、当時の増田防衛庁長官が内閣の方針として爆撃装置を施さないことを明言、四十七年十一月の確認に引き続き五十三年三月には、政府はわざわざ、要撃性能を主眼としたF15との比較で、爆撃装置をつけない方針を再確認しているのであります。さらに、昨年十一月には、参議院において大村防衛庁長官が、五十六年度予算に爆撃照準装置、コンピューターシステム、レーザー照射装置の取りつけを含んでいないと、疑問の余地のない答弁をしているのであります。 他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるものとして取り外されてきた爆撃装置を復活させる企ては、憲法にも反し、国会をペテンにかける行為であり、絶対容認できません。その支出は、当然削除すべきものであります。 以下、順次補正予算案に対する反対理由を述べます。 反対理由の第一は、本補正予算案が、軍事費を突出させた五十六年度当初予算の反国民的性格をそのまま引き継ぎ、その上さらに、戦後初めて消費支出の二年連続マイナスに示される深刻な消費不況と国民生活の困難に何ら有効な対策を講じないばかりか、逆に国民へのしわ寄せを一層強めていることであります。 五十六年度当初予算は、社会保障の伸び率を初めて上回る七・六一%に上る軍事費増大、一兆四千億円に上る大増税、福祉、文教の切り捨ての三悪をその特徴としていたのであります。この五十六年度予算は、四年連続の所得減税見送りによる実質増税、相次ぐ公共料金や社会保険料の引き上げで、可処分所得の低下に苦しむ国民に追い打ちをかけ、深刻な消費不況を招いたのであります。中小企業の経営難や失業者の増大は、最悪の事態を迎えています。 ところが、鈴木内閣は、さらにこの補正予算案で私学助成費十六億円、国立学校運営費五十七億円、国立病院運営費五億円など、国民生活に不可欠な歳出カットを強行しようとしているのであります。これは軍事費の思い切った削減と福祉、教育など国民生活優先を求める国民の切実な願いに、真っ向から挑戦するものと断ぜざるを得ません。 反対理由の第二は、本補正予算案が、当初予算成立に際し鈴木首相みずからが繰り返し強調した、財政再建元年予算として国債の二兆円減額を断行するとの公約さえも根底から覆し、財政危機をますます激化させていることであります。 政府は、本補正によって税収四千五百億円を減額し、赤字国債三千七百五十億円、建設国債二千五百五十億円、合わせて六千三百億円もの国債を追加発行しようとしています。 しかも、事態はより深刻であります。五十六年度の税収欠陥の見通しは、本補正予算案に計上された四千五百億円の減額程度ではどうにもならない巨額なものであるにもかかわらず、政府はその重大な歳入欠陥を覆い隠しているのであります。 今回政府が提出した補正予算案の税収見込みを達成するためには、対前年比一八・五%の税収の伸びを必要とするにもかかわらず、四月から十二月までの実績は一〇・三%にすぎません。このままでは、実に二兆二千億円にも及ぶ税収欠陥が予想されるのであります。戦後三十五年間、決算段階で赤字が生じたことはただの一回もありません。大幅な歳入欠陥が確実視されるこのような事態は、まさに異常と言わねばなりません。 これは、政府の財政再建計画と臨調路線の完全な破綻を示すものであり、鈴木首相が直ちに政治責任をとってしかるべき重大な問題であります。ところが、政府は、わが党のこうした指摘に対し、六月に入らないと税収の確かなことは言えないなどの答弁を繰り返し、財政の深刻な実態についての審議を回避し続けました。これは、鈴木内閣が国政と国会に対する責任をみずから放棄し、もはや政権担当能力そのものを失ったことを意味しているのであります。 反対理由の第三は、労働基本権を奪った代償である人事院勧告を大幅に値切った上、政府の責任による国債の追加発行を、事もあろうに、人事院勧告実施による給与改善費や史上最大規模の災害復旧のためなどという理由をつくり上げ、人勧や災害のせいにしていることであります。 もともと、従来の人事院勧告の内容や予算編成の慣例を無視して、わずか一%という常識外れの低い給与引き上げ分しか計上しなかった当初予算にこそ大きな問題があったことは明瞭ではありませんか。しかも政府は、この点に何らの反省も示さず、来年度予算の給与改善費をまたもや一%分しか計上していないのであります。 反対理由の第四は、この補正予算案が地方財政をさらに圧迫する内容を持っていることであります。 当初予算では、国の負担削減からくる地方財源対策として、地方自治体に対し、地方税の増税、地方公共料金の引き上げ、住民生活に関連する歳出の削減を強要する一方、それでもなお残る不足分を財源対策債によって埋めるという、地方財政の借金化を推し進めるものとなっていました。 今回の補正では、さらに地方交付税交付金を四百四十億円も減額しようとしているのであります。とりわけ重大なことは、地方交付金の減額がこの補正の範囲をはるかに超えて大きくなるのは確実になってきていることであります。先日大蔵省が発表した税収累計をもとにして計算しても、国税三税分の年度末の税収減からくる地方交付金の減額は七千億円にも達すると見られます。これによって地方財政が一層窮地に追い込まれることは必至であり、地方自治の立場からも、本補正予算案は絶対に認められないものであります。 以上、反対する主な理由を申し述べましたが、私は、重ねて強く反対の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
○栗原委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○栗原委員長 これより採決いたします。 昭和五十六年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十六年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和五十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決をいたします。 右三案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○栗原委員長 起立多数。よりて、昭和五十六年度補正予算三案は、いずれも可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○栗原委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前零時五十八分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕