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96回国会衆議院1982/02/01

予算委員会 第2号

発言数
261
登壇者
22
会派数
2
開催日
1982/02/01

会議録

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 私は、日本社会党を代表して、鈴木総理大臣並びに連帯責任を持つ各大臣とこれから討論をしてみたいと思います。  鈴木総理とちょうど一年前、去年の二月二日、この場所でいろいろ外交、防衛、経済全般にわたって大いに論争してみたわけでありますが、その後一年間経過して、一体鈴木内閣はいかなる施策を国民に実行したか、一体その功績はあったのかなかったのか、功罪はどうか、そういう点を一回反省してみる機会だと思うのであります。  総理は、一年半もう総理大臣をおやりになったわけでありますから、去年の予算委員会と今回では重みが違うと思うのであります。去年はわれわれも、まだ就任したばかりの総理大臣ですから、少々控え目にやったつもりでおるのであります。きょうは、もう一年半たったのですから遠慮なくひとつ総括をしてみたい、かように考えます。  総理、一年半の総理の任期で、これはおれは他の総理大臣に比較して劣らないすばらしいことを国民にやった、何か約束したことで実行できたことがありますか。ちょっとその功罪について、感覚を聞きたいと思っております。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま武藤さんから、鈴木内閣発足以来の功罪について自己採点をせよ、こういうお話でございますが、私が申し上げるよりも、官房長官にこれをさせたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 新聞によると、いまの内閣は鈴木・宮澤内閣だなどと新聞が書いておりますが、いまの総理の発言はまさにこれは鈴木内閣じゃなくて宮澤内閣かなという感じを抱かざるを得ませんね。  鈴木さんが総理に就任されたとき、また、その後の総理になられた当初は、三つの大きな主張をしておりました。一つは、政治倫理の確立、これはぜひ私は真剣に取り組んでやりたい、こういうことを言っていらっしゃった。第二が、行政改革と財政再建、この三本の柱が、鈴木内閣が国民に約束をした大きな柱だったと思うのであります。この三点、それぞれ効果が上がったのか。私の見る目では、さっぱり効果は上がっていない。  この間の本会議における各党委員長の質問に対して総理は、政治倫理の確立の問題は個々の政治家の良心の問題である、政治に携わる者は自粛自戒し、政治倫理確立に努めたい、こういう個人個人の政治家の倫理観に求めるということで逃げておるのであります。また、参議院の代表の質問に対しても同様なことをおっしゃりながら、ただ、党にお願いをしておる、証言法の問題について党にお願いをしてあるとして逃げておるわけであります。  われわれは、あのロッキード事件以降、政界の浄化問題についていろいろ具体的な提案をいたしておるわけであります。社会党が国会で提案をしている政界浄化のために必要な法律は、八本提案をいたしております。一つは、刑法改正案であります。これは第三者あっせん収賄、こういうようなものについて罰則をきちっと刑法に入れようという提案でありました。それから、天下りの国家公務員、高級官僚に対しての規制を国家公務員法改正案で内閣委員会に提案をいたしました。あるいはまた、国政調査権を強化するというために、議運に国会法改正案を提示いたしました。それから、国会議員、大臣、高級官僚の資産公開の法律案も提案をいたしました。会計検査院法の強化、これも決算委員会に法案として提案をしております。さらに、情報公開法を内閣委員会に出したわけであります。  社会党は、このように政界浄化のために国民が期待している諸手当てをきちっと法的に確立をしよう、こういうことで提案をし続けてまいったのでありますが、自民党の賛成がないために一本もこれが可決されないのであります。ああだ、こうだという難癖をつけて、とうとうこれは一本も物にならない。  総理、この現状を見て、自民党の総裁とし、また総理として、これで一体政治の倫理の確立に前向きの姿勢をとったと言えますか。この点、ちょっと御意見を聞かしてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 鈴木内閣の功罪とおっしゃいますから、私が答えると面映ゆい点もございますから、お答えを官房長官にと思ったのでありますが、具体的にお尋ねがございますから、逐次お尋ねに対してお答えをいたします。  まず最初に、政治倫理の問題でございますが、政治倫理の確立は、これは民主政治を守っていくための一番私は重大な問題である、こう心得ております。したがいまして、この政治倫理を高めて、そして国民の政治に対する信頼を回復をするということにつきましては、政治家たる者全員がこれに対して努力をしなければいけない、このように考えるものでございます。  そういう意味合いから、私は、究極のところ、政治倫理の確立は政治家個人個人が常に身を正し、政治姿勢を謙虚にこれを反省をして、そして、いやしくも国民の指弾を受けるようなことがないようにということを努力していかなければいけない、これは、私を含めて政治家たる者は常にそういう反省の上に立たなければならないということを申し上げてきたわけでございます。  と同時に、私は、制度の面その他でいろいろ改善、工夫を要する点があるのではないかという武藤さんの御指摘、これもそのとおりでございます。いろいろ国民から指弾を受け、疑惑を受けたりするのは、政治と金の絡みの問題がしばしば国民から御批判が出るわけでございます。その政治に金がかかり過ぎる、私は、特に選挙に、日本の場合には金がかかり過ぎるのではないかというような観点から、この選挙制度の改正ということも皆さんと御相談をしながら進めてまいったわけでございます。この一年半の間に公職選挙法の改正も一部行われました。また、政治資金規正法、政治資金の明朗化を図るという観点からいたしまして、個人に対する献金が、従来政治資金法上報告等がどうもルーズではないか、明朗化を欠くのではないか、こういう御批判もございましたので、この個人献金に対する政治資金法の改正も実現をしたことは御承知のとおりでございます。さらに、参議院の全国区制、これは金が非常にかかる。正常なPRをする場合に、自分の政見なり政綱を選挙民に知っていただくだけでも、百万人にそういうパンフレットなりを送るということになれば六千万円もかかるということが言われておるわけであります。そういうように選挙に大きな金がかかるということが、私はとかく金と政治の忌まわしい関係が出てくるというようなことから、これも改正をしなければいけない、こう考えて、いま継続審査として国会で御審議をいただいておるところでございます。  さらにまた、倫理委員会の設置の問題につきましては、私も党の首脳部に対してこれを要請をし、いま国会の制度委員会なり議運の場において、議院証言法の問題とあわせて御論議をいただいておる、こういうことに承知をいたしておるわけでありまして、各党各会派におきまして、そういう点につきましても前向きでひとつ早期に合意点が得られるように私も期待をいたしておるところでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 全くあなたの話を聞いておると無責任な、全然リーダーシップを発揮しようとしない消極的な態度。しかし、先ほど社会党が提案した八項目についてはそのとおりだと思うと答えたんですから、そのとおりだと思うと言うんだったら、いつごろまでに与野党協力して実行しようや、そういう姿勢がなきゃ、ここで言ってみるだけの話ですね。一体、刑法の第三者あっせん収賄罪の規定を新設するという社会党の提案について、じゃどう思うんですか。賛成ならば、速やかに今国会でやろうじゃないですか。国家公務員法の改正についても、天下りの極端なものを制限できるような法律をつくろうじゃないですか。国民はこれに怨嗟の批判をしているのですよ。あるいはまた、国会法の改正についても、国会議員の資産公開法案についても、自民党が賛成すれば一週間でできる法律なんですよ。問題は、絶対多数党の自民党が賛成しないためにこの八本の提案、提言が全部だめなんだよ。総理・総裁として速やかに、賛成と思うと言うんでしたら今国会に何本か提案するという確約をしてください。どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、政治倫理の確立のためにそういう制度的な改正も必要であるという御主張はごもっともでございます。個々の内容の問題につきましては今後わが党でも真剣に検討いたしますが、各党間で十分お話し合い願いたい、こう思っております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 たとえば政府が第一に掲げた政治倫理の確立という、あなたの総理になったときの国民への約束なんですから、政府案で出せるものはいっぱいあるわけなんですよ。たとえばいまの資産公開法とか国会法改正とか刑法改正、情報公開法、会計検査院法の改正、こんなものは政府が提案すべきだ。議院証言法と倫理委員会は各党で、議運で相談をしているんだからここでいいでしょう。他のものは政府がやろうと思えば政府案で出せるわけです。仮に政府で出すのが嫌なら、自民党がまず、よし出そう、総裁だったらそういう号令をかけて自民党案でまず案を出すべきですよ。そして、野党案と自民党案を一応検討してみて、よし、これは一致した、これでいこう、大方の大筋をそこで決めて早くやらなければ、もう何年たつんですか、こういうことが国民から早うやれと言われて。あなたは選挙法、選挙法と言うけれども、選挙に金がかかるから選挙法を変えろと言うんだったら、まず衆議院選挙から変えなければ余り効果がないのですよ。なぜ選挙にかかるかというと、同じ党で複数で立つからどうしても競争が激しくなる。そういうような制度を、では、あなたは本気で直すだけの政治力があるのか、本当に直せるのか。そういうことを考えると、口先だけの話ではだめなんですよ。これという成果が一年半上がってないというのはそういう姿勢にあるんじゃないですか。もっとリーダーシップを発揮して毅然として、これは国家国民のために正しいと思った判断は実行するように提案をしたらどうでしょうか。いつも受け身じゃ国民は歯がゆく思っているんじゃないでしょうか。そういう点について制度的な問題をきちっと改善をする、そういう前向きの答弁をいただいて次へ進みたいと思いますが、いかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほども申し上げたように、各党も御賛成をいただき、当面改善ができるものから着実にやっていこうということでございまして、すでに公職選挙法の一部改正でも、騒音公害であるとかビラやその他のはんらんであるとか、そういうような面につきましては各党の御賛成もいただいて、そして改正がなされ、東京都議会選挙でもこれは評価をされておる、都民からも非常に評価をされておる。それからさらに、個人に対する政治献金の届け出明朗化の問題についても、これもできたわけでございます。そういうぐあいに、特に選挙法の問題は各党各会派のそれぞれの党勢の命運と申しますか、消長にかかわるような問題でございますから、十分論議を尽くしてやっていただいた方がよろしい、こういう認識でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 いずれにしても、一年六カ月間の鈴木内閣の功績というのは見るべきものがない、こう言わざるを得ない。行革問題にしても、年寄りの医療費を一部有料にしたり、年金の物価スライド分を一カ月カットしたり、あるいは教育の予算を削ったり、学校建築費を五百億円も減らしたり、結局弱い者のところにみんなしわ寄せがいって、圧力団体のないところの年寄りや子供や婦人や老人、患者がいじめられて、何という行政改革か、これが行政改革かと国民はみんなががっかりしている。この一年半のやり方というのはまことにバランス感覚を失った政治の姿勢である、こう言わざるを得ない。しかし、時間が限られておりますから、次の第二項目の方の五十七年度の予算の問題について少し検討してみたいと思います。  五十七年度予算の性格を幾つか拾い上げてみますと、その特徴的な点は、ツケを後年度に回す予算、単年度主義、発生主義で編成をすべき予算が、後年度へツケをかなり回しておる予算であります。これが特徴であります。具体的には国保の負担金を十一カ月分しか計上しないで一カ月分は五十八年度の方へ行ってしまうのですね。これが千八百億円。あるいはまた、厚生年金など公的年金のお金を、四分の一補助金を一時切り詰めて、これで一千九百億円をまず削減したごとく見せかけておるわけですね。しかし、これは六十年度か六十一年度になったら返すというのですから、先へ支出を繰り延べているわけであります。あるいはまた、住宅金融公庫の利子補給についても、財投で五百億円を見てやるからといって、従来一般会計で補助していたものをそちらにツケを回して会計原則を逸脱しておる。地方交付税交付金のうち千百億円を、国の方が苦しいからちょっとこちらへ貸しておけ、一千百億円減額、借り入れですね。  こういうことをずっと見ますと、五十八年度にふえる分、あるいはやや六十年度ごろにふえる分というのは大変な金額ですよ。鈴木さんが総理大臣やめた後の総理大臣はひどい目に遭うのですな、これは。六十年度だけでいま返すと言うたものを計算すると、六千五百億円になる。こういうような後年度へツケをどんどん回してしまうようなやり方で、一般歳出は一・八%で抑えましたから行政改革の効果があるんですよなんて言い分になるのですか、これは。こういうやり方自体が私は財政法を紊乱するものだと思うのです。財政法は単年度主義で発生主義のはずであります。日本の会計原則も大体そうですよ。一年間に出た金、入った金、そういうものをきちっと経理して貸借対照表、損益計算書をつくるというのが会計法の原則なんです。ことしの予算案は、そういう会計原則を踏み外しておる。政府は何と答えるか、意見を聞きたい。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ただいま武藤議員から御指摘があったように、一部の費用について後年度に回ったということは事実でございます。しかし、御承知のとおり、五十七年度予算の編成に当たっては、大型な増税、新型な増税はやらない。五十六年度は増税と歳出カットと両面から予算を組ましてもらったわけでございます。ところが一方、中期展望にも示すように、二兆七千億円程度の要調整額があるわけでございますから、結局、年金、医療を初め人件費のアップその他どんどんふえていく。ふえていく二兆七千億円ぐらい財源不足といいますか、経費が多いというか、いずれにしても調整しなければならないものがあるものを五千七百億の中に全部押し込めるという作業を実はやったわけであります。したがって、その一部として非常に現在は苦しい、当面苦しいから一部余裕のあるものについては、たえとば厚生年金等も積立金が四十兆近くあるので、その中で五%分についてはとりあえず立てかえておいていただけないかというような措置をとったのは事実でございますが、しかしながら、それは全体でなくて一部の問題であります。  いずれにしても、いろんなことを用いて二兆七千億の不足分を削減したり、一部の増税がございますが、税外収入、歳出もカット、そしてまた一部の繰り延べというものを全部合わせてやったということでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そのやったととが何を意味するかということを私は質問している。これが五十八年度、六十年度、六十一年度に全部歳出にまとまって出てくるんですよ。だから、五十九年度赤字公債ゼロにすれば、他は野となれ山となれだというそういう予算編成なんだ、これは。そうすると、鈴木総理の約束した五十九年度赤字公債ゼロにできればいいということで、一応とにかく金の使えるものは皆借りておこう。しかし、では鈴木さんがやめた後の総理大臣は、このツケを全部予算に今度計上しなければいけないのですよ。そういう無責任なことをやっていいのか、ここを私は言っているのです。ですから、発生主義というもの、単年度主義というもの、この原則を踏み外しちゃいかぬということを言っているのです。いまのは、踏み外さざるを得ないという苦しい立場を大蔵大臣は言っておるのです。  総理大臣、そういう単年度主義、発生主義という会計原則、財政原則を踏み外すようないまの予算編成のあり方というのは反省しなければいかぬと思うのです。改めなければいかぬと思うのです。ことしはやりちゃったんだから仕方がないということだけれども、これは改めなければいけませんよ。もし、これを政府が改めようとしないなら、われわれは財政法の中へ発生主義ということをきちっと今度は財政法改正案を提案もますよ。どうですか、総理、こういうやり方は後世に禍根を残すんじゃないですか。後の人たちに一層の負担を、苦しみを与えるんじゃないですか、どうですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 まず、その法律上の問題を先に事務当局から説明させます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 私は、法律論争をいまやっているのじゃないのです。こんなのは常識の問題です。主計局長には聞く必要ないよ。本人が聞く必要ないと言うのに何言っているのだ。要らないよ。あなたには聞く必要ないと言うんだよ。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 五十七年度予算におきますところの負担の平準化その他の措置につきましては、個別にそれぞれ内容の検討をいたしまして、財政法のたてまえに抵触しないように極力内容についての検討を各省との間でも行っておりますので、全体といたしましては財政法のたてまえを尊重いたしながら、その許される範囲の中での負担の調整措置を行ったものだと考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 主計局長、そんな答弁をするなら私はあなたと少しやりますよ。  あなたは、財政法違反をどうするか。いいですか、総理大臣。財政法第二十七条によれば、予算案は、前年十二月中に国会に提出することを常例とする、常則とするとはっきり決まっておる。それを一月二十五日に予算案をわれわれに示されて、そして、一月二十七日に各党代表に質問しろと言うんだ。二日間しかない。しかも、予算説明書が出たのは恐らく二十八日だ。この財政法第二十七条の規定に対して大蔵大臣、大蔵省、財政法を無視しておるじゃないか。君ら、そういう盾突いて言うなら、二十五日間おくれて予算案を国会に提出したならば、予算委員会の審議は一カ月遅くなっていいはずだ。二十五日間おくれてもいいはずなんだ。自分たちはこういう法律を無視しておきながら、いまのようなやり方の予算編成しておいて何ら反省の色がない。予算は大蔵省のためにあるのではない。予算は政府のためにあるのじゃない。国民のために予算はあるのだ、もっと謙虚に、法で決められたとおりにやらなければいかぬ。大蔵大臣、財政法第二十七条についての常則とするを守らぬのはどういうわけか、明らかにしてください。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 財政法二十七条は、御指摘のように、予算は「前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」というように定めてございます。予算につきまして十分の御審議をいただきますためにできるだけ早く予算を国会に提出するべきであるのはもちろんのことでございますけれども、現実の予算編成におきましては、新年度におきます経済情勢その他を十分に見きわめをつけまして、それに即した予算を組んでまいりたいというようなことから、実際上は十二月の末に予算編成が行われているのが現実でございます。  私どもとしましては、なるべく早く予算編成を進めてまいりたいと考えますことのほかになおそういう実情でございますので、できる限り予算の内容等につきましては早い時期に資料を差し上げまして御審議の参考に供したいということで、昭和五十一年度以来、予算の総括説明書を作成いたしまして、おおむね一週間程度の間で国会にあらかじめ御提出を申し上げて審議の御参考に供しているところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 大体大蔵大臣、こんなことを主計局長に答えさせる大臣は思いやりがないし、けしからぬね。こんなのは政治の問題なんだ。これは当然財政法に決まっていることを守るのが常則なんだ。守らぬやつが間違っておることだけははっきりしておる。ただ事情でできない、今後はそれをできるだけ早目に提出するようにする、それにはどうするかということを検討してみましょうというのがあたりまえの話じゃないですか。いままでこのとおりやってきたから、例年どおりこれからも続けると言うのだったら財政法を直せ、大蔵大臣。十二月中に予算を提案するという財政法を直すべきだ。大臣、どう思いますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 御議論としてはそういうこともあろうかと存じますが、従来予算の編成というものは、四月一日からの予算を出すというようなことで、やはり経済事情等の見通しが得られるためには、なるべくその時期に近づいた状況の方が見通しが得やすいというようなこともあって、どうしても予算編成というものが十二月ぎりぎりというところまで来ておることは事実でございます。  一方、仮に予算の提出というものがそういうことでおくれるのならばもっと後へずらせというようなことになりますと、現実の問題として三月までに予算の成立をしていただきたい、四月一日から新予算は出るわけですから。そうすると、審議期間も短くなるというようなことも、これも困る。  そういうようないろいろな事情から、従来からして、財政法の違反かどうかという法律の論争については私もつまびらかではありませんが、いままでの解釈としては、「常例とする。」と書いてあるのは、法律上は十二月中に提出義務をつけているというのではないというふうに解釈をされてきておるわけです。したがって、そういう解釈に従って例年ずっといまのような予算の提出をやってきたということでございます。  それが好ましいかどうかということにつきましては、これはまた別な問題でございまして、財政法を改正しろというような御指摘もございますが、国会法第二条の常会の召集時期との関連もございますし、そういうようなことになれば今後とも各界の意見を十分にお聞きして慎重に検討してまいる必要がある、そう考えております。  それからもう一つ、先ほど武藤議員の言ったいわゆる後年度に送ったものがたとえば幾つかございます。それは決して好ましいことであるとは私は思っておりません。しかし、二兆七千億円というものを大きな増税にもよらず、歳出カットだけで全部を切れなかったということも事実でございます。現在でもかなり切り込まれたものもありますし、したがって、その一部についてともかく回せるものは、現金の金繰り上の問題もありますし、後年度に一部回したということは、決して好ましい状態ではない、それはよくわかっておりますが、やむを得ざるものがあったということも御了承願いたいと存じます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 よくないことである、やはり発生主義というものを守らぬのはよくないことである、そう反省しなければいかぬです。よくないことであるが、一体限度はどこまで許されるのか、主計局長。たとえば防衛庁の場合は、来年度八千六百億円ばかっと歳出がふえるのですよ、五十八年度一カ年だけでも。そうすると、いま言った先借りをして後回しにしておいてばかっとふえる年度が、限度も何もなくて、こういう発生主義を崩壊させて一体歯どめはどういうことになるのか、主計局長。どこまでの限度ならこういう発生主義を無視したやり方をやっていいのですか。際限ないのですか。大蔵省の裁量で勝手にそれはできるのですか。そんなことでは会計学の規則も財政法の原則もなくてもいいよ。どこまでが限度だと心得ているのですか。

松下康雄大蔵省主計局長

○松下政府委員 防衛予算につきましてのお尋ねでございますが……(武藤(山)委員「いや、防衛だけじゃないよ、いまの取り崩しも皆含めて発生主義を崩しておるのはいけない」と呼ぶ)いろいろの内容がございまして、ただいまの国庫債務負担行為につきましては、たとえば金額的にどの範囲を逸脱すれば原則上問題になるかという具体的な金目の枠というものは私どもも考えてございませんけれども、国庫債務負担行為そのものは、契約をいたしましてから引き渡しまでに何年もかかるというものの調達上これは必要な措置でございますので、私ども予算の査定に当たりましては、それを使用することは正常な予算査定でございますが、ただ、その結果が非常に後年度にことにアンバランスな負担を残すというようなことがございまして、後の年度におきます予算の編成を困難にする、そういうような状態は好ましい状態ではない、そういうことから後年度の負担の全体を極端にふやさない、あるいはなるべく平準化をした年度間の負担にしていくというようなことを方針としながら査定をいたしておるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 いずれにしても、時間が限られておりまして、通告がたくさんありますので、一つを詰める時間がありません。  まず、五十七年度予算の特徴だけをざっと先に拾い上げていま論じているわけですが、第二の点は、財政再建についての総理の公約はすでに破られた、そういう予算である。総理は、当初は二兆円ずつ赤字公債を減らしたいと言って、その次は、だんだん計算したら一兆八千億円程度赤字公債の発行を減らしていきたい。ところが、とうとう赤字公債の減額が、ことし五十七年度予算では一兆五千六百十億円、総理の言う一兆八千億円の目標はついに崩れた、そういう予算であります。  さらに、七カ年計画の税収見込みが完全に狂った、こういう予算である。  それから、所得税減税をやらない、年々一兆円以上サラリーマンの税金が重くなっておる、にもかかわらず減税をしない、大衆にはまことに過酷な予算である。  第四点は、経済見通しの成長率が大変過大でありますから、このまま推移すると、またこれ五十七年度に大変な税収不足を来す予算である。  五点目は、防衛費の後年度負担が極端にふえる。一兆七千五百億円の後年度負担額となり、五十八年度だけでそのうち八千六百億円が歳出化されるので、五十八年度の防衛費はかなり伸びる計算になる。まさに軍事予算が突出をした予算と言わざるを得ない。  六番目に、老人医療は一部自己負担、あるいは高額医療費三万九千から五万一千への高額医療費の負担増、あるいは米価の値上げ、国立大学の授業料の値上げ、あるいは年金の物価スライド分の一カ月分カット、こういうような国民、特に老人、病人、こういう人たちに大変思いやりの薄い予算。たとえば年金の物価スライド分一カ月分を合計しても百億円程度、P3C一機で百十九億ですか、F15という飛行機一機で百億以上だ。国民の感情からすれば、F15の戦闘機一機やめて年金スライドの一カ月分カットはひとつ何とか取りやめてくれ、こう言いたいのが年寄りの気持ちだと思うのであります。したがって、この予算はバランス感覚を失った予算である、これが第六点であります。  五十七年度予算のこれらの特徴点については、これから同僚の議員が次から次へ立って政府を追及し、国民の立場からよりよい予算書ができるような提言を行ってまいりたいと思っております。これらの予算の特徴について総理大臣、何か言いたいことがございますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 五十七年度予算につきまして全体にお触れになりまして御批判がございました。これは武藤さんおっしゃるように、これから具体的に当委員会におきましても検討、審議が進められることであろうと思いますので、その際に政府側として詳細に御説明を申し上げ、御審議に供したい、こう思っております。  ただ、私からここで申し上げることは、五十七年度予算は、与えられた条件の中で、つまり財政再建、行政改革、そういうような状況の中で、さらにまた国際経済のこういうような窮迫した状況の中で、日本経済の成長、またその内容等の問題、いろいろ関連がございますが、そういう厳しい中でつくられた予算でございまして、私は、総合的に判断をした観点からいたしますと、五十七年度予算は、これは政府としては最善の予算である、このように確信を持って御提案を申し上げておるわけでございます。  それからもう一点は、五十六年度の補正予算によりまして二兆円の特例公債発行減額というものが崩れたではないか、これで財政再建は崩壊したのではないかという御批判でございますが、私はそのように考えておりません。確かに、補正予算を組み、特例公債の追加発行という措置を講ぜざるを得なかったわけでございますが、これは大変残念なことでございます。物価等が思わざる低い水準に安定的に推移をしたというようなこと等もいろいろ原因があるわけでございますが、そういうような原因からいたしまして、この税収の見積もりが当初より狂ってきたということ等からそのような措置を講ぜざるを得なかったわけでございます。しかし、御承知のように、昭和五十五年度公債依存度が三四%程度あった、それが五十六年度におきましては二六%程度にこれが改善をされた、さらに五十七年度予算においては二一%程度に公債依存度が低下をした、こういうぐあいに財政再建に向かって着実に進められておるということでございまして、私は、五十九年度までに特例公債依存の今日のこの財政体質からの脱却というものを必ず実現をする、こういうことで、政府として真剣に全努力を傾倒しておるところでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 いまの問題を論ずるのは後の通告の中に入っておりまして、いまは予算の特質だけをざっとつまみ出した、まだ論争しようと思っていないのですが、しかし、総理はいま大変重要なことをおっしゃいましたので、少々論争せざるを得なくなったのですが、一兆八千億が一兆五千億の赤字減額にとどまったのは経済がそうならなかったから、物価が安定して余り見通しどおりいかなかったから税収が減っちゃった、おれの責任じゃない、経済がそうしちゃったのだという意味でありますね。まことに残念なことだ、こう言うのです。  それから、五十九年度赤字公債発行ゼロにする、必ず実現する、こういう必ず実現するという言葉なんですが、この発想が結局、総理が去年政治生命をかけると言ったことと非常に通じている物の発想なんですよ。元来、大蔵省の財政試算に基づいて——この財政試算そのものが非常な虚構な数字なんですから、そんな経済成長なんかしない。一一・七も名目成長があるとか、今度の改定でも九・九成長するなんという、日本の経済と実態が離れた試算なんですよ。あれは単なる試算なんですよ。こんなものは信頼できないのですよ。それを総理は信頼してへ結局政治生命をかけちゃったのですよ。だから、ここのところに総理、軽率だったと私は思うのですよ、政治生命をかけるという発言をしたのは。いま、必ず実現するなんという言葉も、五十九年に赤字公債必ずゼロにするなんということも軽率ですよ。できないです。もうできないです。後でこれは論争しますが、全く不可能なんです。  じゃ、新しいものだけはゼロにするが、年々足りなくなったからといっては決算時期にまた赤字公債一兆円も一兆五千億円も発行したのじゃ、これは減らしたことにならないのです。そういうことは、経済の実態をわかっている総理ならそんなことを言わないです。総理、虚構の数字に踊らされちゃっているのでしょう。これはだめですよ。国民から見たら、また大変なことを言うなという感じを受けますよ。必ず実現できないです。これはできない仕組みになっちゃった。だから、大蔵大臣の方が賢明だから、このごろ、完全にやるなんと言っていない。経済は生き物でありまして、どうなるかわかりませんなんて言い出したでしょうが。その方が本音なんだ。本当のことを言っているんだよ。  だから、そこのところをやはり——総理、あなたまじめな人ですから、あの数字にもう完全に命をかけるなんと、こう言っちゃっているのですね。これは大変まずいですよ。政治生命をかけるというのはどういうことですか。後でもって政治責任論をやりますけれども、そう軽率に政治生命をかけるなんと言うと、これは恐らく臨時国会で総理大臣を辞職しなければなりませんよ。だから、これは政治生命とは何かという論争までいかざるを得ない、そういう問題に発展するのです。本当に、五十九年度赤字公債ゼロ、必ず実現する、できますか、もう一回確認します。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 一つは税収の見積もりが狂った、私は、それは大変残念なことであったということを率直に申し上げました。この税収の見積もりというのは、これは武藤さんは専門家でいらっしゃるからよく御承知でございますが、その時点におきまする資料を基礎にいたしまして、専門家がいろいろな角度から検討して、そして税収見積もりというのは出すわけでございます。それが一年なり一年数カ月の間の経済情勢その他の推移等によりまして、そのとおりにいかない場合もあり得るわけでございます。  私は、この前の五十六年度予算の御審議をお願いした際におきましても、野党の皆さんから、税収見積もりは、これは過小ではないかというような御批判も受けました。しかし、私としては、これは、五十六年度におきましては一兆四千五百億の法人税、酒税等の増税もお願いしたことでもあり、その後において大きな自然増収が出たということになれば、これは国民の皆さんに対しても相済まぬことに相なるわけでございまして、厳しくこの税収見積もりというものは見たわけでございますが、先ほど申し上げたような経済の諸事情等もございまして、税収がそこまで伸びなかったということは本当に残念であるわけでございます。そのことを申し上げた次第でございます。  さらに、五十九年度までに、私どもは、五十八年度予算、五十九年度予算を通じまして、この目標達成に全力を尽くすということを申し上げておるわけでございます。(武藤(山)委員「さっきあなたは、必ず実現すると……」と呼ぶ)ええ、これは必ず達成をするということで全力を尽くします。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そうぐらぐらっと心境が変わったのでは、議論しても始まりませんね。先ほどは、必ず実現すると——私は、実現全く不可能な状態になっている、こういう証拠を出して、後で論争いたしたいと思っております。  次の内外経済の動向と経済運営のところでもまたいまの問題にぶつかるわけでありますが、総理、五十六年度の税収が過小でなかったかと論争したと。そうなんです、経済成長が高かったのですから。政府が勝手に経済成長率を二回修正したのですから。当初予算委員会で議論するときの成長率でずっといっていれば、ごっそり余ったわけです。途中で政府は、企画庁は二回も訂正しているのですから、見積もりが誤りだったと。そうなれば、税収が落ちるのはあたりまえの話なんだ。そういうことを頭に置いて答弁してくださいよ。野党のあのときの論争は間違っていたと言わんばかりの説明をするのはけしからぬ話なんです。経済見通しは下方修正すれば当然税収も減ってくるのです。そのときに同時に税収を減らした見積もりにするのが整合性のある財政措置なんです。それをやらないでおいて、年度末近くになってから大騒ぎになるんですよ。これはさっきの答弁だって、とても本職に聞かせる話じゃないですよ。  次の内外経済の動向と経済運営、国民が一番関心を持っている。これから一体国民生活はどうなるのだろうか、この五十七年一年間どういうことになるだろうかとみんな関心を持っている。特に北海道、東北、九州は大変不景気で困っている。皆、仕事量が減っちゃった。タクシーの運転手も、お客がいなくなっちゃったと、みんな悲鳴を上げている。日本のかなりの部分が不景気風で困っているんですよ。  倒産の状況を見ても、あるいは銀行取引停止処分の手形取引停止を見ても、これはやはり恐るべき数なんですよ。昭和五十四年が、個人も含めた銀行取引停止処分件数、日銀統計では二万三千九百四十五件。それが現在の水準、十二月までのを見ると大体二万四千件ですね。やはり五十四年の水準よりちょっと高い。資本金百万以上、一千万以上の負債で見ても、五十六年中一万五千三百件、五十四年が一万四千九百二十六件ですから、これも高い。全体を見ると、個人から大企業から零細から一切含めると、銀行取引停止処分は五十六年は五万七千件、五万七千の人たちが倒産だ。みんな銀行取引停止処分だ。五万七千件もあるんですよ。だから、ここに働いている人たちは大変なんだ。だから、失業者はふえちゃった。戦後最大の失業者になっちゃった、百二十六万人。物価は安定し、国際収支は黒字になり、パフォーマンスは非常にいいかもしらぬ。しかし、こういうところで泣いている人は、倒産が五万七千人もいるんですよ。そういうことをわれわれは考えて、これからの経済運営はいかにすべきか、こういう論点で少し論じてみたいと思うのであります。  河本企画庁長官、五十七年度経済見通しは、政府は名目八・四、民間の平均は大体五・五から六・五ぐらいです、私がはじいてみて。実質成長、政府は五・二、民間は三・二から四・二の間ですね、大体こう平均してみて。個人消費、政府は三・九、民間は三以下、住宅建設、政府は前年比一〇・四、民間は四%以下。民間と政府では、住宅建設の場合は大変な開きがあります。設備投資は、政府は七・七、民間は六%弱です。いずれを見ても、政府と民間の予想では大変な違いがあるわけです。私は、政府のこの見通しが高いとか低過ぎるとか言っているのじゃない。政府のこの目標が実現できないと、また税収ががたっと落ちる。失業者がもっとふえる。経済は、国民から見て、いいと言えなくなると思うのであります。一体、この目標値は実現、目標達成可能と考えるかどうか。この点をまず先に、どうするかは後で政策手段のところで論じます。まず、この民間と比較して、政府のこの見通しというのは一体目標達成可能だろうか、その点をまずちょっと見解を聞かしていただきたい。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまの経済情勢を判断をいたします前に、若干の経過を申し上げますと、第二次石油危機が起こりまして、一昨年の夏ごろから日本経済は相当落ち込み始めました。そこで、政府の方は一昨年の九月と昨年の三月、二回にわたりまして経済対策を立てまして、景気の落ち込みを防いだわけでございます。幸いにいたしまして、大体昨年の五、六月ごろに大底に達しまして、それ以降、緩やかではありますけれども、回復の方向に行っておると思います。最近は在庫調整もほぼ終わった、こう思っております。さらに、石油の需給関係も非常に安定をしてまいりましたし、世界経済全体も、私は、昨年からことしの前半へかけてが最悪の状態ではなかろうか、こう思っておるのです。先々月、十二月に出ましたOECDの見通しとか、あるいは各国政府の経済見通しを見ましても、ことしの後半から大体回復に向かうであろう、こういう見通しが出ております。  私どもは、そういう見通しを全面的に信用するわけではございませんが、第二次石油危機が起こりましてからちょうど三年目にもなりますので、大勢としては、後半回復の方向に行くというその判断は私は大体信用していいのではないか、こう思っております。そういう傾向の中にありまして、日本経済は欧米経済に比べまして幾つかの有利な点がございますから、そういう点を積極的に伸ばしていって、そして政府の経済成長目標である先ほど御指摘の実質五・二%成長、これを目標とする経済政策を進めてまいりたい、こう思っております。  ただ、何分にも経済の激動期でございますので、やはり経済情勢の変化に応じまして、機敏でしかも適切な経済運営をその都度進めていくということが当然前提条件になろうかと考えております。  民間の見通しと政府の見通し、いま御指摘のように大分違っております。民間の見通しの平均、大体三・八%平均だと思います。政府は五・二%でありますから、一・四%平均違っておりますが、民間の見通しが出ましたのは大体十一月から十二月の前半でございまして、政府の予算の決定する前、特にいま住宅の問題について御指摘がございましたが、住宅政策などにつきまして政府は相当思い切ったことをいたしておりますが、民間の見通しでは政府の住宅政策などは一応考慮の外に置いておる、こういうことでございまして、そういう点にも若干の違いがあろうか、こう思っております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 国際収支は大変好調な輸出に支えられて、政府の見通しは百二十億ドルの黒、民間の、私が信頼できるようなところの調査は大体二百億ドル、そして為替レート、円レートは一ドル二百円くらい、政府は二百二十円くらいを見ておるわけですね。そういう計算で一応これから貿易問題を考えるときに、貿易は前年比一体どのくらい伸びるのか。  安倍通産大臣、この間アメリカへおいでになってレーガン大統領とも会談をし、政府首脳と矢継ぎ早に会談をして、貿易摩擦問題について突っ込んだ意見を交換したようですね。新聞によると、その後通産大臣は、結局貿易摩擦解消は数カ月が山だ、先へ延ばしたら大変だ、そういう判断を持ったようでありまして、処理誤れば危険状態という見出しで日本じゅう報道されたわけですね。通産大臣が見るこの貿易摩擦解消策、これは一体どういう方法で、本当に決着がつくのはいつごろと考えるか。  総理大臣はきのうの新聞で、今度の非関税障壁の撤廃、改善六十七項目をやれば解決するのだというようなニュアンスの談話がきのう新聞に出ておったのですけれども、私は甘いと見ているのです。本当に貿易摩擦がなくなるためにどういうことを、いつごろまでに、どういう手順でやったらいいか、これを通産大臣、アメリカへ行ってきた一番ほやほやですから、アメリカの態度もわかっておるわけですから、ひとつ発表してみてください。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いま世界の貿易体制というのは非常に厳しい状態に陥っております。そして、自由貿易体制というのはこのまま放置しておくと崩壊をして保護主義貿易になってしまう、私はそういうふうな感じを非常に持っておるわけでございます。そういう観点に立ってアメリカでも三極会議が行われまして、お互いにいろいろと厳しい条件にはあるけれども、これを乗り越えて自由貿易体制を守っていかなければならぬ、保護主義の台頭を防がなければならぬということで一応の合意をしてきたわけでございますが、私が特に保護主義の台頭について懸念を持っておるのは、アメリカの議会で、御案内のように、相互主義という考え方が非常に強く浮かび出ておりまして、現在すでに法案も制限法案が次から次へと提出されているような状況でございます。この相互主義をこのまま進めると、いわゆる制限貿易そして報復主義にこれはつながっていくわけでございますので、何としてもそうしたアメリカの議会の動き、それがアメリカの政府を動かして保護主義の台頭につながるということを恐れたわけでございます。その動きは非常に急になっております。  そのためにどうしたらいいかということでありますが、私の感じとしては、やはり何としてもいま非常に疲弊をしておるところのアメリカの経済にしてもあるいはまたECの経済にしても、そうした経済の再活性化というのが一番大事ではないか。貿易政策でこの問題を基本的に解決するということじゃなくて、やはり経済の再活性化を進めていく。そのためにはやはり日本としても協力をしていくべきことは協力をしていかなければならない、こういうふうに基本的には思ったわけでございます。  同時にまた、日本の場合は、御案内のように、いまの経済の成長は外需に依存しているわけです。外需中心となっておりますから、これを内需中心に改めて、そして内需を振興することによって輸入の促進を図っていくということも基本的に考えていかなければならない。  同時にまた、日本がいろいろと国際的に批判をされておるところの非関税障壁等についての改善も図らなければならぬわけであります。もうすでに東京ラウンドの前倒しという思い切った措置もやったわけでございますが、先般三十日には非関税障壁につきましても九十九項目のうちの六十七項目まで改善を決定いたしたわけでございます。この日本の努力というものを速やかに諸外国に知らしめて、日本が一生懸命に努力をしておるという姿をやはり徹底をさせなければならぬと思うわけであります。  ただ、いまおっしゃるように、これでもってそれでは経済摩擦が完全に解消するかといったら、なかなかそうはまいらないのじゃないか。依然としてアメリカの議会の動きは急をきわめておるわけでございますので、日本としてもさらに残された諸問題につきましても、むずかしい問題はあるわけでございますが、やはり積極的に取り組んでいくという姿勢が必要じゃないだろうか。日本の自由貿易体制を堅持していくための市場開放をできるだけ進めながら、なおかつ世界との協力もさらに高めていく。同時にまた、内需の振興も図っていかなければならない、そういうふうに感じた次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 結局、いまの非関税障壁の撤廃をやっても、金額にしてはたかだか二十億ドルか三十億ドルの話だと私は思うのであります。やはり二百億ドルからの貿易里字問題をこういう手続の改善で解決できるとは思わない。結局生産性の競争が今日の不均等発展になっておるわけでありますから、これは長期的に考えなければなかなか解決できない問題であることはアメリカ自身も知らねばいかぬと思うのであります。  そこで、安倍さんを私はちょっと評価したのは、レーガンと会ったときに、アラスカの石油を日本に売ったらいいじゃないか、あるいは東部にある石炭をもっと共同開発して日本に輸出をしてくれれば貿易問題というのはかなり改善をするのじゃないか。結局アメリカは日本に資源を売らないわけですね。そして、アメリカの食品を買え、衣類を買え、生活用品を買えといったって、日本人、使うものないんですよ、実際。日本のものはいいもので、丈夫で、細かいところまで気を使って、家庭用品でも何でもみんなすばらしいのですね。ですから、こういう障壁を取っ払ってアメリカの品物がどんどん日本に流れ込むかというと、流れ込まないのですよ。文化も違う。生活様式も違う。ですから、中期的な日米貿易問題を考えるときには、安倍通産大臣が言うアラスカの石油と東部の石炭をアメリカが日本に売るということは大変日米関係をよくする道であって、私は、アメリカは法律でいろいろ制限があって資源を売らないようになっているようでありますが、これはひとつ政府間で執拗に、真剣に検討に値する提言だと思うので、この点アメリカ側はどう答えて、将来これを粘り強く折衝すれば幾らか可能性はあるのか、それとも、扉は全く開けないという感じを持ったのか、通産大臣の感じでいいですが、その辺どうアメリカ側は対応しようとしているかをちょっと説明してみてください。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いま日本とアメリカとの貿易のインバランスは、アメリカの統計によりますと百八十億ドル、それがさらに伸びるということが非常に批判の対象になっておるわけでございますが、そうした問題について議論をしたとき、これはやはりインバランスを一挙に解決するといってもなかなか困難であるし、また、インバランスといっても、これはいわゆる日本の円が安くなって輸出が伸びて輸入が減退した、その原因はアメリカの高金利政策にあるのじゃないか、私こういう指摘もしたわけでございます。  その際に、やはりこのインバランスについて、一つの改善策としては、いまお話しのように、アメリカのアラスカ原油、アラスカの原油はいま一応輸出が規制をされておりますが、これは場合によっては日本でも買い得るのじゃないだろうか、また、石炭は、大変な埋蔵量ですから、これは中長期にかけては、日本としては大きな目玉の輸入の商品ではないか、インバランスを解決する一つの方法としてそういう点をアメリカでもひとつ考慮していただきたい、こういう話をいたしました。これは、いまアメリカの法律で禁止をされておるし、なかなか困難な問題ではあるけれども、考慮をしようというふうなことでございます。  私は、これは、正式に日本とアメリカと話し合ってやっていけば、可能性のない問題ではないというふうに感じたわけであります。同時に、石炭については、これはいろいろと、奥地ですからインフラの問題もありますし、あるいは価格の問題等もありまして、いま右から左にというわけにはいかないでしょうが、これもまた中長期にかけてしんぼう強く話し合いをしていけば、大きな日本の輸入品目としての可能性はあるのじゃないか。ですから、これもこれからの一つの大きな交渉の課題として取り組んでいくべきじゃないか、こういうふうに感じたわけであります。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 ニューリーダー安倍通産大臣の将来の展望が開けるかどうかは、この辺の折衝成功のあけぼのを見出すことができるかにかかっているような気がしますので、一層ひとつ奮闘していただきたいと思います。  そこで総理大臣、いまの経済見通しからいって、企画庁長官の答弁でわかりますように、政府の見通しは民間よりはるかに高い。これを実現しなければ経済はおかしくなる。そこで、実現する道は何か。私は、次の項目しかないと思うのであります。その中で可能なものは何かをこれから少し論じてみたいと思います。  一つは、個人消費の拡大であります。内需の拡大の最大の要素は個人消費の拡大以外にない。第二は、住宅建設をふやす。第三は、可処分所得をふやすために減税をやる。他の政策の金利の引き下げ、公共投資の拡大、これはなかなかむずかしい。必要ではあるが、これはほとんど断行する余裕がない諸条件である。民間設備投資の増大も、中小企業がこう苦しい状況では、大企業先行で中小企業にまで広がりを持たないという状況であると思うのであります。そうなると、政府は、この八・四の経済成長率を実現して、失業を防ぎ、生活水準を高めるために本気で何をなすべきかがいま政策課題として問われておると思うのであります。  そこで、政府は何からどうしようかという考え方を聞きたいわけでありますが、先ほど企画庁長官は、住宅が一〇・四で民間と大変違うと言うが、何といっても個人消費が拡大されるためには大衆が物を買わなければだめなんですから、大衆のふところぐあいがよくならなければだめであります。可処分所得が年々マイナスでは個人消費はふえないのであります。五十五年度もマイナス二でありました。五十六年度も恐らくかすかすのところでしょう。年度末になって、可処分所得は一%マイナスになるか、あるいはかすかすのところ、とんとんでしょうね。これで物が売れるわけがないのであります。景気がよくなるわけがないのであります。したがって、個人所得がどうふえるかが一つの大きなポイントであります。それは春闘がどの程度で妥結をするかにかかっております。しかし、春闘は全体の勤労者の二五%ぐらいしかカバーしてないわけですから、あと七〇%からの労働者の賃金がどうなるか、時間外賃金がどうなるか、賞与がどうなるか、これにかかっているわけですね。政府の見通しでは労働者の賃金はどのくらいふえると見通しているかというと、五十七年度は八・六%伸びるというのであります。八・六%というのは、大企業の春闘主導の賃金がどのくらいになって、中小企業の賃金はどの程度になって、そして雇用者所得というのが百五十二兆八千億円になるのか。政府のこの見通しでいくと、賃金の上昇なり時間外手当なり、そういうものの状況はどうなると見ておるのか。これは企画庁ですか、どこが計算しているのですか、この政府見通しの国民所得のところは。企画庁ですね。ちょっと企画庁長官の答弁を願います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 雇用者所得につきましては、いまお話しのように、雇用者所得全体といたしましては八・六%の伸びを想定いたしております。一人当たりの雇用者の伸びは六・九であります。ただ、雇用者の数が一・六増大するものと考えておりまして、その分も入れまして八・六、こういう数字を考えております。ただ、この雇用者所得とベースアップと直接の関係はございませんので、念のために申し上げておきます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 直接の関係はないけれども、八・六雇用者所得が伸びる、しかも数字まで百五十二兆八千億だと言うからには、大体、積算の根拠から、ああことしはこの程度だなと出なければいかぬのだ。私は目の子算で、八・六雇用者所得が伸びるためには、大企業は九%以上の賃上げができなければ、中小企業の、いつも七〇%のカバーできないものを考えると、一・六引いてもこの水準にいかない。そういうような積算というのを考えると、ことしの経済もまた政府が思うようなわけになかなかいかぬぞ。財界は賃上げ四%論なんと言っておるわけですからね。こういう非常識なことを言っていたんじゃ、それはとても政府の見通しにも追いつかない。これはもうじり貧経済になりますね。その辺をまず、これからどういう結果になるか。  それから第二は、住宅建設百三十万戸。建設大臣、五十五年度の住宅建設は結局どのくらいになりますか、百十何万戸くらいになりそうですか、現在の実績からちょっと説明してみてください。

始関伊平自由民主党建設大臣

○始関国務大臣 本年度、年度が進行中でございますが、大体百十五万戸程度と見ております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理大臣、ことしは百十五万戸程度の予想で、百三十万戸にするには相当の努力、相当の政策手段を講じないと、とてもこれは実現しませんね。総理大臣どう思いますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来お話がございましたように、景気の改善のためには住宅建設が相当大きな役割りを持つわけでございまして、そういう観点から五十七年度予算編成に当たりまして、住宅の政策につきましては、いろいろ工夫をこらして百三十万戸をぜひ達成をしたいということで、努力をいま続けておるところでございます。住宅並びに土地税制等につきましても所要の改善を講じてまいる考えでございますし、また住宅ローンの関係、金融の面等におきましても、できるだけ住宅建設を促進できるような方向で検討を進めてきたところでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 何をやるんですか、具体的に。あの程度の土地税制緩和、どうも政府の今回やった措置ぐらいで百三十万戸できますかね。建設大臣、百三十万戸の積算根拠を明らかにしてください。首三十万戸どうやってできるか、積算根拠。

始関伊平自由民主党建設大臣

○始関国務大臣 お答えをいたします。  百三十万戸のうちで住宅金融公庫、公的金融によりまして増加をさせたいと思っておる戸数は五十四万戸でございます。昨年度に比べまして三万戸の増加になっております。それから公的住宅、地方の公営住宅、都道府県、市町村の公営住宅が五万五千戸ばかり。それから住宅公団等のやはり公共住宅でございますが、これが約五万戸ぐらい。したがいまして、百三十万戸のうちの残余は民間の全く自主的な発意によるわけでございまして、これにつきましては大蔵省の方にもお願いしまして、住宅ローンの金利を引き下げるとか、その資金量を確保するとか、てきぱきと解決してもらうとか、いろいろの方法を講じておりますが、なお厚生年金の基金からも相当な融資が期待されております。いろいろな方法を講じまして百三十万戸を達成いたしたい。また、かなり有力な政策手段がすでに予算上、それから税制上講じられておりますので、われわれがそれを的確に運営いたしまして、達成に努力してまいりたい、かように存じておる次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理、最近住宅需要というのは大変減ってきておる。それは新婚者の数もがくっと減って、いま年間八十数万人しか新規の若者の結婚組はないのですね。それで百三十五尺家をつくるという場合に、結婚の数からいって新築需要というのがそこまで一体到達できるのか、大変な疑問がある。もっと結婚させねばならぬが、適齢期の者がおらぬとなかなか数がふえない。だとすると、百三十万戸建設というのは並み並みならぬ工夫をしないとできませんよ、総理。したがって、新たに土地を買って家をつくるといったって、地価が高くて、政府の怠慢で地価低下の政策なんというのを全然とらずにおりますから、土地は相変わらず商品として売買対象になっておるから、これはもう経済の法則に従って年々どんどん上がる。もう土地は手に入らぬ。したがって、新たに土地を取得して住宅を建てようといっても無理がある。だとすれば、何が何でも政府の経済目標を達成させようというならば新工夫をしなければだめですね。どうするか。結局いまある屋敷の中へ、いまある土地の中へ、年寄りのために新規の二階家を建ててやる、あるいは勉強部屋も少々おごるが、二階家を同じ屋敷の中へ新規につくる、旧来の家の中へ足すようなことでなくて。そういうようなものを何か徹底的に奨励するとか、あるいは地方の市街地内で密集地の平家のごみごみしているところを、組合住宅で、五軒共同すれば特別メリットのあるようなものを出すとか、そういうような何か特別な徹底した工夫をしないと、これはとても百三十万戸できるものじゃないと思うのです。そういうものを本気で政府はやろうとしているのか。そういうことで、一体景気見通しが実現できるか、税収が落ちないで済むか、そういうことをもっと本気で政府は考えてやらぬと大変な結果がまた出てくると私は思うのであります。  いずれにしても、住宅問題はそういうことで政府は積算根拠も明らかにできない。そうなると、民間の設備投資もふえない。貿易はもう大体いまの水準で横ばい、これ以上とても貿易がふやせるという環境ではない。そうしてみると、結局、日本経済のことし一年間のキーポイントは住宅問題と個人消費。個人消費は賃上げ、仕事の時間、そして減税しかもう手がないのです。ここで減税問題は本気で考えてもらわぬと、政府の見通しそのものが達成できない、こういうことになる可能性は大であります。  総理は、減税問題について、飛鳥田委員長以下各党の委員長がいろいろ質問をした中で、財源がない、それから特例公債脱却の明白な見通しが立つならば、そして減税分の財源の手当てについて国民的合意ができるだけ早くできるようになったら、そのときに減税を検討したい。河本企画庁長官は、財源の確保のためには行革、財政改革、同時に税体系などの見直し、幾つかの対策の組み合わせが必要だ、財源がないと減税はできないという角度から、こういう三点からいろいろ検討する必要があるということを言っている。ちょっとニュアンスは違う。両方ともすぐ減税をやるとは言ってないが、減税はできないと言いながらも中身が違うのです。総理の方は、五十九年度の公債、特例公債がゼロになる目鼻がつかなければ減税しませんよ。これはもう当分これから十年ぐらい減税ができないことになってしまう、そういう状態が生まれてこない、この総理がここで答えているような。減税分の手当てはそういうわけでできない、こう言うのです。そうすると、これは減税しないという決意を述べたことに総理の方はなる。河本さんの方は、みんなでひとつ検討して、法体系などの根本的見直しまでこの際やってみて、できるかできないかを検討してみようではないかというニュアンスがあるのです。  さあ総理、みんなで論議してみて、減税財源がこれならなるほど合意を得られそうだというものがあれば減税断行に決断しますか。まず最初に、心がけのところをちょっと聞いておいてから、中身に入っていきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 本会議で私、飛鳥田委員長初め各党の代表の御質問に対してお答えしたとおりでございますが、その際にも触れましたように、今日まで五年間にわたって課税最低限を据え置いてきておる、また所得税の累進構造もそのまま放置できないような状況にあるということも私申し上げました。そこで、武藤さんから御披露がございましたような諸条件が満たされる、そういうめどが立つならばこの減税について政府としても考えたい、こういう趣旨のことを御答弁申し上げておりますが、いまもその考えに変わりはございません。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 所得税がいかに過酷な激増ぶりをしておるかということは、もう私が言わなくも、新聞、テレビで国民はよく承知をしているところですね。あえてそういう中身について論じる必要はないのでありますが、可処分所得がこんなにも毎月減っておるという実態から見ると、これはもう速やかに減税しなければ、景気問題もそうでありますが、結局財政再建というのは、サラリーマンがほとんどの部分を負担をし、犠牲になっている、こう言わざるを得ないのですね。だから、公平、公正あるいはバランス、そういう見地からも所得税減税は速やかにやらなければいけない。  可処分所得を見ても、五十六年一月から十月まで、一月が〇・八、二月はマイナス二・二、それから六月からずっとマイナスであります。マイナス二・八、マイナス〇・五、マイナス三・七。この勤労者の可処分所得がマイナスということは、結局税負担が、あるいは保険負担が重過ぎるのですよ。というのは、政府の新経済社会七カ年計画の今度のフォローアップの分を見ても、昭和六十年度に公的負担は、対国民所得の租税負担二六・五%程度で目標を定めているわけですね。これが政府の予算のすべての根本をなしている基礎なんですね。  この七カ年計画で見る負担というのは、税金は二六・五、それから社会保障負担が一一%を目指す、こういうことなんであります。ところが、もうすでに来年この二六、五になってしまうのですよ。租税負担が来年になってしまうのですよ、六十年よりも二年も先に。それでも税負担は軽いと言っているのですよ、大蔵大臣と総理大臣は。これはもう当然、この政府の七カ年計画に合わせるという立場からいったって、減税しなければならないはずなんであります。減税の必要性を私がここで申し上げなくとも、もう国民の大方の人は、四団体もこぞって、給与所得に対する減税は当然だと言っておるわけであります。政府は、財源がない、財源がないと言うだけで、逃げているわけであります。財源はあるのであります。政府がやろうとしないだけなんです、問題は。財源はあるのであります。その財源の問題を総理、少しやってみたいと思うのであります。  租税特別措置を洗っても財源の余裕がないということを総理大臣は答えている。総理大臣は、租税特別措置の整理合理化では多くの財源は期待できない、二番目には、行政改革もこれ以上やってももうないということ、各省庁の経費もこれ以上の削減は実際上困難である、衆議院の代表質問に対してこう答えているのであります。そうすると、総理は、もう租税特別措置でも財源はない、それから各省庁の経費の節約ももうこれ以上だめだ、こう言うのですよ。だから減税できない、こう逃げている。じゃ、行政改革も経費削減ももう大体頂上なんですね、こう答えているのは。それとも省庁の経費を節約してまで減税には回せないという意味なのか。しかし、新聞の答弁を全部拾ってみて、いま減税のところだけざっと見てみますと、そう答えているのであります。ですから、財源は新たに見つける以外にない、総理の見解に仮に従うとしても。  われわれは、不公平税制を直せば財源はまだたくさんある。租税特別措置法というのは何のためにできた法律ですか。これは、昭和三十二年ですか、日本の資本が弱いから、戦争後もっと資本装備を拡大しなければならぬから、「当分の間」こういう措置をとると書いてある。当分の間なんです。租税特別措置法の第一条に書いてある。当分の間がもう何年たちました。二十年以上過ぎたのです。だから、租税特別措置は全部一回やめていいのです、これは当分の間で来たのだから。全部一回やめただけでも大変な増収になります。  それから会社臨時特別税、これも取っていいですね。これはオイルショックのときに与野党一致でできた法律でありますが、いまはやめております。これ、復活していいですね。これは五億円以上の所得のある法人、ここには法人税に対して一〇%の付加税ぐらい取っていいですね。そういう所得の大きいところに、この際少し負担をしてもらう必要がある。というのは、法人税と所得税の伸びを比較しても、所得税はどんどん負担がふえておりますが、法人税の方は逆にどんどん少なくなっているのであります。いま所得税と法人税の実額が三兆円の開きがあるのです。ですから、やはり法人税にもっとウエートを移してもいいはずでありますから、これからいただくということが一つ考えられる。これだけでも、三千億円ぐらいは徴収できると思うのであります。  あるいはまた、退職給与引当金の積み増し停止問題も今回政府案からは落ちてしまって、価格変動準備金だけをいじることになっていまして、退職給与引当金はそのままですね。これも六兆円もあるわけでありまして、われわれはそれを全部取り崩せというのじゃなくて、そのうち新たに積み増す分を否認をするということですから、そう過酷なやり方ではないのであります。ですから、これでも三千億は出てまいりますね。  いまちなみに、五億円以上の利益の出た会社をちょっと計算をしてみましたら、五十四年度べースで、国税庁の法人企業の実態から調べてみましても三千八百二十社あります。そうして、所得金額は十一兆四千百九十五億円、その実効税率を掛けて出して、大体三千億は間違いなく税収になる。われわれは、会社臨時特別税で所得税と法人税のアンバランスになったのをバランスをとることも一つ必要である。そういうように工夫をすれば、不公平税制なりいまのでこぼこ、担税力のあるところから取らない大企業優遇、そういうようなものを少々手直しすれば、一兆円の減税財源はいとも容易に出すことができる。そういうことについて、総理、野党が一致していろいろ要求をしていることはもう新聞等で御案内のとおりであります。与野党が一致すればそういうことを検討して減税に踏み切る、こういう決意にはなりませんか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 先ほど総理からお話がありましたように、課税最低限あるいは税率構造を長期間にわたって据え置くということは、私は決して好ましいことであるとは思っておりません。しかし、御承知のとおり、あらゆる国の歳出というものは、しょせん突き詰めれば、ほとんどその大部分は税によって賄われるものである。したがって、税をどれだけ、国民が何を負担をするか、どう使うかというところが問題でございます。  問題は、いままで政府は税の伸び率以上に歳出を伸ばした。昭和四十九年ごろからそういう傾向が出まして、昭和四十八年対昭和五十六年では、税収の伸びは二・四倍だが、たとえば社会保障費は四倍になっているとか、文教費が三倍になっているとか、その他のものもほとんど二・五倍以上になっておるのが事実でございます。その結果が、結局国債残高として残ったわけであって、その利払いが公共事業費を上回るというような状態になっておりますから、これ以上借財をふやすということは、その利払いと返還に国民がだんだんたえられなくなる、一体何のために予算を組むんだと。すでに歳出の一六%も国債費が現にあって、社会保障費に追いつこうとしておるわけですから、こういう状態をふやすことはできない。したがって、その状態を直すことを最優先でやろうといって始まったわけであります。  でございますから、増税の問題はやはり財政再建上の大きな問題点であることは間違いありません。それで、五十六年度は一兆四千億円の増税をお願いをいたしました。しかし、二年も続けて増税をやるのはけしからぬというのが大多数の声でありまして、五十七年度予算編成に当たりましては、大型増税をやらないということで、税の手直し程度で予算を組ましてもらい、一方一兆八千三百億の国債減額をやったというのが実態でございます。  そこで、減税をやれということでございますが、景気対策としての減税ということになりますと、これはかなり大規模のものでなければ余り影響はないと思います。二百七十兆というような大きな国民総生産の中で、千億とか二千億とかという減税をやったからといって、国民経済に影響を及ぼすというような問題ではない。それでは、一兆円と言われるような減税ができるかということになりますと、もう財源の問題に全くなるわけであります。  その財源の問題について、武藤議員から特別措置をやめろ、これは一つの発想の転換であります。しかし、一兆円余の特別措置の減税額というものは、その大部分、約八割ぐらいのものが個人減税でございます。したがって、これをやめるというところまで与野党が一致するかどうか。利子の問題とか少額利子利得の何とか、それから持ち家制度とか、それをやめるというところで踏ん切れるかどうか、これはやはり政策判断の大問題だと私は思っております。決してその考えは間違いだなんて、一つも思っておりません。これは時代が変わったのだから、そういうようなものはやめたっていいんじゃないかという考えがあってしかるべきだと私は思います。しかし、そこまで財政当局としては踏み込めなかったというのも事実であります。  それから、会社臨時利得税、これはかつて狂乱物価のときにやりました。このときは、要するに在庫品や何かの物すごい値上がりというようなことで、卸売物価が三六%も上がる。いまは、四・一と見積もったら一・八ぐらいにも下がってしまったという状態で、全然その事情が違う。むしろ不況対策をやれという声すら出ておる中でございますので、ここで会社臨時利得税というものをやれる状態だと思っておらない。  それから退職積立金、これは一つのりっぱな御意見で、実は私も持論を持っておりまして、いろいろ考えてみたわけでございますが、今回は積立金をいじるかわりに、貸し倒れ準備金あるいはいま言った価格変動準備金(「貸し倒れ引当金だよ」と呼ぶ者あり)貸し倒れ引当金、それから要するに繰り延べ、延納をやめて、二分の一延納を四分の一しか延納を認めないというようなことをやりましたために、この退職積立金の問題には取り組まなかったということも事実であります。  したがって、一兆円減税の財源というものは、なかなか言うべくしてそうすぐには出ないというのが実情でございまして、やはり歳出カット等によって大幅に今後その減税財源をつくるということは、行革の精神にも合うことでもあるし、われわれとしては引き続きこの問題については、歳出歳入両面にわたって真剣に検討して、何とかそういうような減税の条件というものができるように努力をしてまいりたいと考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 やる気がないからへ理屈を長々と述べていますけれども、やろうと思えば完全に簡単にできる話なんですよ。というのは、いまのような経済状態で政府の見通しが民間のような見通しに落ち込んだときには、また赤字公債を三兆円ぐらい出さなければならないでしょう。いまの政府の、前年比九・八%しか税収の伸びが伸びていない、こういう状態でいったら、後これから二七%の勢いでふえない限り政府の見通しにならないのですから——後でこれはやりますけれども、どうしても景気てこ入れをしなかったら、これはもう本当にことしの経済は窒息しますよ。そのために、河本さんも減税論を口にしたと思うのです。  だって、減税以外他に手当てする方策がないんだから。住宅もだめ、貿易もだめ。そうなってくると、もう個人消費喚起しかない。国民の皆さんよ、貯金をやめてもっと物を買ってください。かつてオイルショック以前は、消費は美徳です、大いに使い捨ての時代です、物が売れなければ産業は発展しません、経済は成長しません、オイルショック以降は、いややはり二宮金次郎だ、みんな勤倹貯蓄だ、物は余り消費しないで節約しよう、資源が乏しいんだから、こうなってきた。消費行動ががらっと変わってきて、消費というものが以前のようにふえない。もちろん可処分所得もマイナスだからでありますが、そういう状況の中で、何かインセンティブを与えないと経済は本当に窒息しますよ。  結局、赤字公債を五十九年度までにゼロにすることに余りにも短絡的に、短兵急にそれだけを思い込んで、他の大山を見忘れる、そういう心配がいまあるのですよ。一兆円減税したからといって経済に何の役に立つかなんと言う大蔵大臣じゃ、経済の理論もへったくれもないな、これは。一兆円減税したら、やはり相当の効果はありますよ。それだったら、一兆円をこの際どんな工面をしてもやるべきであるというわれわれの言い分に対して、あなたはただできない、できないと言っておる。  じゃ、五億円以上の企業の利益がどのくらいあるかということをきちっと一回、最近のを出してみてくださいよ。恐らく、五十四年度と同じくらいの数あると思うのですよ。小さいところを取れと言うのじゃない。所得五億円以上あるような企業は、一社だって一千億も利益が出ておるのでしょう。銀行なんかだって、年間通算すると大体四、五百億、上下の決算でいままでも出ていたでしょう。そういうようなところには、大企業の五億以上のところも四二%の税率、二千万円しか利益の出ない中小企業も四二%国が取るというのは悪平等だよ。だから、こういうときにやはり会社臨時利得税で、五億円以上のもうけのあるところは取るというのが公平な政治のやり方じゃないですか。中小企業の皆さん、一千万以上あるともう四二でしょう。大企業も四二というのは、これは悪平等だと思うのですよ。  そういうのをやはり少々手直しをして財源をつくるとか、あるいは、もう一つ私は新しい提言をしたいと思うのでありますが、いまの所得税法、これは所得が出なければ税務署へ申告しなくもいいのですね。所得基準になっている。じゃ、所得が出たか出ないかはだれが決めるかと言えば、自主申告ですから、納税者本人が決めればいい。ですから、何か商売を始めた、ことしは一千万売り上げがあった、五千万売り上げがあったが、おれは残りが、手持ちがないから所得がないと思った、そう本人が思えば、税務署へ申告用紙をもらいに行かなくもいいんですね。所得申告は所得が出た人だけなんです。それは所得税法百二十条でその意味が書いてある。したがって、脱税をしている人は、つかまるまでこの規定で一応納めないでいるわけです。  記帳義務があるのは青色申告者だけであります。青色申告の場合は、記帳しなければ青色申告そのものを認めない。しかし、青色申告というのは、全企業、法人の中でも半分に達しない。それ以外に法人でない個人が幾らぐらいあるか、これを調べてみて、国税庁のいろいろな資料から、農業を除く自営業者、六百九十八万人おります。約七百万人ですね。このうち税務署へ申告しておる人は、五十四年度ベースで二百七万二千人、五十七年度の予算ベースで二百四十七万人しか税務署へ申告する予定がない。だから、かなりの人が、四百五十万人から四百七十万人ぐらいが、何か商売をやっているが税務署へ申告してない、こういう数字であります。これはやはり、所得基準だからしなくもいいんだ、自分が所得が出たと思わなければいいんですから。つかまったときに、しようがない納める、こういうことになる。  これをいま国税庁の実調率、実際に税務署がそれぞれ調べた、大企業を除いた営業所得者の調査結果、実調率と普通呼んでおりますが、その実調率で現在の申告してない人たちの件数を掛けて計算をしてみますと、調査件数が五十四年には十四万五千五百五十九件、実調率は五十三年が四・五、五十二年が四・二、だんだん実調率が上がってきているのですが、それの増差所得、調査によって出てきた所得が、五十三年度は三千九百三十二億円、五十四年は四千三百十一億円ですね。その増差税率をいまの件数の、申告してないパーセントで掛けて出してみますと、七百五十億と八百六十七億という増差が出てまいりますが、実調率の四・五を七百五十億円に掛けて出しますと、五十三年分のベースで見て一兆六千六百六十六億円、五十四年度分の計算でいくと一兆九千二百六十六億円が、税金を納めるべきものが納めてないという推算が成り立つわけであります。  いわゆる所得基準から収入基準に改めて、一定の収入、年収入三千万なら三千万以上ある人は全部税務署へ申告しろと、これは一千万にするか二千万にするか、ランクはこれからいろいろ検討しなきゃいけませんが、この収入申告制度に切りかえることによってかなりの増収になることは間違いない。いまの実調の数字だけで計算をしても、一兆九千二百億円という数字が出るのでありますから、これを全部収入基準で申告をさせることによって財源は十分ある。ドイツでもアメリカでもイギリスでも、いまや記帳義務がきちっとあって、そうして収入のある者は、アメリカなんかは全部申告させられるんだ。しかも、水準が非常に低い。だからアメリカは、ほとんど脱税はできない仕組みになっている。日本は、本人が所得が出たと思えば申告するし、出たと思わなければ申告しなくもいいという法律なんだ。恐らくこの所得税法百二十条が、河本企画庁長官が税体系などの根本的見直しも必要と言った点かなと、私はこう思って、なかなか河本さん見識高いなと、こう思ったのであります。  どうですか、こういうような方法を徹底的にやれば、野党が望む減税というものは受け入れることは容易ではないか。テレビを見ている国民は、なるほどそういう方法があるならいいではないか、鈴木さんかたくなに断らない方がいいよと、恐らくテレビでそう感じていると思うのですね。鈴木総理どうですか。これは大きな政治的な問題だから、これはまだ大蔵大臣の事務的答弁は要らないんだよ。これはまず総理大臣だ。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 まず、一応私からお答えします。  一つは、五億円以上の税率を上げろという話ですが、これはなぜ私がなかなか賛成しかねるかと申しますと、それは一千億円の会社、もう大手の企業といったら何千億という会社がありますから、その人が、仮に一千億が五十億円もうけたって、一割配当どころじゃない、二%くらいしか配当できないわけです。一億円の企業が一億円もうけたら一〇〇%の利益率ですから、したがって、ただ資本金額に関係なく何百億あったからといっても、その資本金が何千億という場合もございますので、一概に五億円以上はもう重課税ということを……(武藤(山)委員「そういうのがへ理屈なんだよ。やったんだから、オイルショックのときに」と呼ぶ)ともかくあれは臨時特例の措置で……(武藤(山)委員「そうだよ。臨時だよ、私が言っているのも」と呼ぶ)臨時特例で、要するにもうけ過ぎというようなことでありますから、この点は、現在のような経済情勢のもとで、どうもわれわれとしては賛成いたしかねるという考え方でございます。  それから収入基準、これは一つの考え方だろう。それから記帳義務の問題、これも一つの考え方だと私は思います。しかしながら、これとても政党としてそういうことがきちっと決められるかどうか、どの程度のなにができるか、もちろん政党には自民党もあるわけですから、そこらの点との相談がございます。この御提案は直ちに今度の国会でできるという筋合いのものではございません。(武藤(山)委員「やろうと思えばできるよ」と呼ぶ)それはそう簡単にいかないのですよ。しかしながら、これは方向としては私は真剣に考えていきたいと、そう思っております。  ただ問題は、いま言ったように、たまたま実調したものから上がった税の差額を実調しなかった人に延ばしてぶっかければそういう数字が出る、これは事実でしょう。しかしながら、実調というのは、大体人手が足りませんから、怪しげなところを、主として出そうなところを拾ってやるというのが現実で、非常にいい申告が出ているというようなところは極力調査を省略しているというのが現状でございますから、それだけの数字は単純には出ないだろう。しかしながら、脱税しておる者がいるのも事実だろう。したがって、これらについては脱税というものを極力、あらゆる情報をとらえてこれをふさいでいくように、防止をしていくようにしなければならぬ。その努力は、最大限にやらしていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 税の公平確保を図るということは、これは大変重要な問題でございまして、政府も税制面の見直しもやっております。それからまた執行面の改善、成果を上げるようにということで努力いたしておるわけでございまして、今後、そういう面につきましては一層努力をしてまいります。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理、いまの質問の中で、財源があればということを私は幾つか提起しておるわけだ。総理は答弁の中で、財源がない、財源がない、財源が何とかなるならばと、こう言っている。財源が何とかなるということを私は提言しておるのですが、これは与野党で相談して、なるほどそういう財源でよかろうということになれば減税に踏み切っていいですか、決断していいですか、それをちょっと、決意のほどを聞かしてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来私申し上げておりますように、そういう条件が整えば、私どもは減税をしないということにこだわっておるものではございません。したがって、そういう条件整備につきましては、私どももあらゆる角度から検討することにやぶさかでございません。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 その条件というのは何ですか。私がいま言ったようなことを言っているのか、五十九年度ゼロ、そして減税ができるような条件、これをいま言っているのですか、そういう条件というのは。それとも五十七年度、この国会で与野党が一致すれば一兆円減税に踏み切っていいということもあり得るという意味なのか。その条件とは、与野党の一致ということを条件という意味で言っているのか、どっちなんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来申し上げるように、減税をいたしますためには、まず第一に行財政につきまして徹底的な見直しをするということが一つでございます。  私は、五十七年度予算の編成に当たりまして、当面政府としてはできること、臨調の答申等も踏まえまして、最大限の努力をしたつもりでございます。五十八年度以降のこの行財政のさらに掘り下げた見直しというものは、臨調の御答申等見ながら、今後政府としてさらに取り組んでまいりますが、五十七年度予算に関する限りは、そういう行財政の改革の中では大きな、先ほど大蔵大臣も申し上げたように、一兆円の減税をするような財源というものは、なかなかそれは困難である、このように私どもは考えております。  なお、その他私どもが納得できるような、自由民主党としてもなるほどこれなら財源として適当なものであるというようなものがあれば、これは私はいまの減税等について検討してよろしい、こう思いますが、なかなかこの点もむずかしい。それから五十九年のめど、これも絶対に崩すわけにまいりません。こういう点を申し上げておる次第でございます。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 持ち時間があと一時間しかありませんので、かいつまんで大きな問題点だけ指摘して、あと石橋委員、さらにわが党の各委員から、各論については詳細お尋ねをしていただきたいと思います。  総理は、防衛予算は特別に突出した予算ではない、あるいは軍拡への道でもない、そういう答弁を再三いたしておるのでありますが、五十七年度予算を見る限り、社会保障費はわずか二・八%増、文教、教育関係も二・六%ぐらい、さらに一般予算全体の伸びは六・二%ですね。こういう他の項目の予算の伸びと防衛の七・八%とを比較して、これはどうしても防衛予算は突出をしておると見ざるを得ない。  しかも第二点は、後年度負担がどんどんふえる、継続費と国庫債務負担行為の激増であります。武器購入の新規契約分だけを見ても一兆一千四百十三億円。去年の新規契約は七千億円ですね。これと比較してみても、ことしの年賦で買うもの、いわゆるローンで飛行機や軍艦や買うわけですね、これを見て、防衛費は突出していないと——軍拡の第一歩を踏み出す危険のある予算だと思うのでありますが、総理いかがですか。そう思いませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 わが国の防衛は、御承知のように、憲法の定めるところもございますし、また、基本的な防衛政策に基づきまして、軍事大国になったり近隣諸国に脅威を与えたり、そういうものでなしに、必要最小限度の防衛力を着実に整備しよう、そして専守防衛に徹するのだ、こういう基本的な方針に基づいて、年々着実にこれを進めております。つまり、昭和五十一年に決定をいたしましたところの「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早く近づける、こういうことで進めておりまして、その結果、今年度は七・七五%の増、こういうぐあいになったわけでございます。  これはごらんになりますように、実際の増加額の中を見た場合におきましては、社会福祉関係が四四%も伸びておるのに対しまして防衛費の方はその半分程度、半分ちょっと、こういうようなことになります。全体のこの伸び率ということになりますと、九兆円に及ぶ社会保障関係と二兆五千億程度の防衛費の伸び率と、それを単に比較するわけにはまいらない、私はこのように考えるわけでございます。  また、後年度負担の問題について武藤さんはお触れになりましたが、私は、防衛庁、大蔵省に対しまして、今後、この債務負担行為の支払い等におきましても、できるだけなだらかにこれが行われるように、ある年度に集中して増高することのないようにということもお願いいたしまして、そういう方向で進めてまいる考えでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理、一時間しか持ち時間がないものですから、私の方もできるだけ短く要点を発言しますから、できるだけ私の聞いているポイントだけ答えてください。予定の三分の一午前中進まなかったのです。答弁はなるべく短くしてください。  いずれにしても、七・八%も防衛費がふえたということは、他との比較上アンバランスである、非常にバランス感覚を失っておる。なぜそうなったかという原因は、結局、共同声明に基づく防衛力を着実に伸ばしていくという約束が根底で、恐らく大村防衛庁長官とワインバーガー会談以降、さらに事務的な詰めの中で、アメリカ側はかなり強力に日本の軍事力を強化する要請があったと思うのであります。アメリカ側が日本に要求をしたその防衛の大綱は一体どういうものであるか、ちょっと資料を発表してみてください。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 お答えをいたしますけれども、日米安保条約に従いましてわが国を防衛する立場にある米国が、わが国の防衛努力について関心を持ち、期待を持つことは自然であります。  しかし、われわれはあくまでも、ただいま総理御答弁のとおり、憲法、財政状態等について勘案しながら自主的にやっているわけでございまして、アメリカ側からの具体的な話につきましては、特別ございません。また、やりとりにつきましては、公表できないのでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 新聞の報道によると、米側が日本側に求めた大綱の中身を見ますと、ミサイル護衛艦七十隻、潜水艦二十五隻、迎撃戦闘機十四個飛行隊三百五十機、支援戦闘機六個飛行隊二百機、早期警戒機二個飛行隊二十機、輸送機五個飛行隊六十機、地対空ミサイル・パトリオットの導入、弾薬備蓄は九十日分、現在は三十日分。この米側の要求は防衛大綱よりはるかに数が多いのであります。これを実現するとするならば、いまの価額に換算をして年々幾ら防衛予算をふやさなければならないか、当然そういう試算を防衛庁はしておると思う。アメリカ側の言い分をそのままいまの価額で見積もったら、幾らぐらいのお金になりますか。  それと五六中業見積もりとの関係がどうなるか。総理は、新聞報道によると、五六中業についてはすでに国防会議においてその基本方針を決め、指示した、それに基づいて防衛庁は目下作業を進めておる、こう新聞に出ておる。この中期業務見積もりとアメリカ側の要求とは数字の上においてかなり差があるのか、同様なものなのか、その辺の現在の作業の目安はどうなっているか、明らかにしてください。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 ハワイにおきましてアメリカ側がいろいろディスカッションの中で述べましたことを、いま先生具体的に報道の例を挙げてお示しになりましたが、私どもしばしばお断りいたしておりますように、そういうアメリカ側からの話はございましたけれども、その中身を公表することは差し控えさせていただきたいというふうに申し上げております。  いま、その線と五六中業の見積もりの現在の作業状況との比較はどうかというお尋ねでございますが、私ども、いずれにしましても、現在やっております中期業務見積もりの作業といいますものは、昨年の国防会議の決定によりまして「防衛計画の大綱」の線に早く到達したいということで、到達することをめどに作業いたしておりまして、「防衛計画の大綱」以上の線を現在考えておるわけではございません。したがいまして、アメリカがどういうことを言い、それに対してどれだけの金がかかるかということについて、私どもが金目の作業をしたことはございません。現在、五六中業におきまして、「防衛計画の大綱」に達することをめどの作業はいたしております。それで、現在はまだ作業中でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 アメリカ側と話し合いの中でそういう要望は出てきたが、正式な何か文書でないようなことを言っておりますが、恐らくメモしてあるのでしょうし、新聞にはすでに発表してあるのだから、国会に出せないはずはない。各新聞だっていいかげんに推察で書いておる記事じゃないのだから、これは当然資料として、アメリカ側が会議の中で出した数字はこうですと出してください、この委員会に。総理大臣、いいですね、出させてください。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 お尋ねの件は、ディスカッションの中でアメリカから確かに話が出たことは事実でございます。したがいまして、私どものメモはもちろんございますけれども、文書で出されたというものでもございませんし、それから話の中で、これはハワイにおきます日米の協議といいますものは、フリーディスカッションであるということでございまして、それを今後いろいろな場所で公表していくということになりますと、お互いのそういったフリーなディスカッションができないというようなこともございまして、アメリカ側との約束におきまして公表は差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 新聞に発表しておきながら、国権の最高機関のこの場に資料としてそのメモの中身が出せないとはどういうことですか。それは国会軽視ですよ。そんな資料が出せないようじゃ審議できないよ。委員長、出させてください、その資料を。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 先生いま、新聞に発表しておきながらとおっしゃいましたが、私ども新聞に発表したことはございません。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 新聞に発表してなくも、新聞にちゃんと報道されているじゃないか。そんな新聞に出ておるものがなぜ出せないのですか。発表できないのですか。防衛庁長官、あなたの責任において出すべきですよ。(発言する者あり)

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 いま防衛局長が答弁されたとおりで、私が防衛庁長官になりましてからそういう具体的な内容は聞いたことはありません。また、お話しのとおり、それは文書でもあったわけでもございませんし、やりとりの中で、継戦能力とかあるいは抗堪性とか、そういう項目を挙げての議論はあったのです。そういう議論のやりとりの中で一部そういう話があったということは聞いておりますけれども、まとまったこういうものだということではないのでございます。そしてまた、新聞で発表したこともありませんし、どういう推定に基づいたのかもわかりません。また、そういうやりとりについては従来とも公表はしないということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 防衛大臣、あなた先ほどは、そういうことは言われたことがないと言った。一番最初、言われたことがありませんと言ったのだよ。今度は、局長が出てきたら、いやそれは討議の中でメモとしてそういうものはありますと答えた。あなたの答弁と全然違う。それで今度は、いまここへ立ったら、局長の言うとおりでございます。では、あなた一番最初にやったのは食言だ。それは取り消せ。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 多少私が武藤議員の問いを勘違いいたしました。私に具体的な要請があったかということでございますので、私にはありませんでしたし、内容は聞きません、そういうことでございます。勘違いしたのでございます。(「大村・ワインバーガー会談とちゃんと質問者は言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)それは勘違いしたのはおわび申し上げます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そういうとにかく新聞に発表しておるものまでも出そうとしない態度は、まことに国会軽視であります。これはどうしても資料として要求いたしますから、次の理事会で十分ひとつ検討して、要求を実現させていただきたい。私の質問を留保しておきますが、委員長どうですか。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 理事会で協議をしたいと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理大臣、最近政府は、一月八日の日米安保協議委員会で、これからの「日米防衛協力の指針」に基づいて極東有事の研究を行う、こういうことが日米間で決まりました。この有事研究というものがいかなるものであるかは、石橋委員や大出委員、横路委員などから詳細質疑がまたあると思いますが、私は、これらの国民が心配をしておる問題の大きなところから見た有事について、少し総理とディスカッションをしてみたいと思うのであります。  総理、一体予想される有事というのはどういうことなのか。国民はどうも新聞を見て、有事有事と書かれておるが、有事とはどんなことを想定しているのか、その様相がわからない。総理の考える有事とはどういう場面でしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 日本以外の極東の地域におきまして起こる事態、これは特定のところを想定しておるわけではございません。そういう場合であって、日本の平和と安全に重大なかかわりを持つような事態、そういうものにどのように、米側から要請があった場合に日本が協力できるか。そういうような問題等につきまして研究を進めるわけでございますが、私が申し上げるまでもなく、憲法の制約がございます。(武藤(山)委員「そういうことを聞いてないのだ。有事とは何か」と呼ぶ)だから、集団自衛権に及ぶようなものはできないという制約がありますから、そういう中での極東のそういう事態ということを申し上げております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 起こる事態とか、平和と安全に重大なかかわり合いがある場合というのは、戦争ですか、戦乱ですか、あるいは戦争か戦乱に近づいている時間ですか。何を想定しているのですか、有事とは。それを聞きたいんですよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほども明確に申し上げておるように、わが国の平和と安全に重大な支障を来すような、そういうような事態ということを申し上げております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 平和と安全に重大なかかわりという状況は、日本から見た場合どういう場合ですか。それはどういうことですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 そういうことを具体的に、どういうことを想定するかと言うわけに私はまいらない。そういうような日本の平和、安全に重要なかかわりを持つような事態が現実に起こった場合に、それを判定をして、そしてそれに対する、在日米軍に対する協力関係がどういうぐあいにできるか、こういうことを申し上げております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 平和と安全が脅かされるということは、戦乱状態が起こる、戦争状態になる可能性、あるいはなった場合、そういう戦乱、戦争の状態じゃないですか、有事とは。違うんですか。何にもないのに、気持ちの中だけで、平和と安全が脅かされた、おっかない、おっかないとふるえている状態じゃないでしょう。様相と私は聞いているのですから、どういう様相を想定して有事と言うのか。これは防衛庁長官の方が明るいのかな。それじゃ防衛庁長官、有事とは何ですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 ガイドライン三項の研究は、いま総理からお答えになりましたように、日本以外の極東における有事の事態で、わが国の平和と安全に影響を与える場合ということでございまして、それ以上具体的にどういう場合ということを、いまここでこういう場合でありますというふうに具体的にお答えすることは、私は困難であろうかと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 防衛庁長官、第一、有事研究をやる人たちが、いま有事とは何かを想定することは困難でありますなんて言うて有事研究をやるのですか。結局、有事という言葉の意味を私はまず聞いているのですよ。有事とは何だ、どんな様相を想定するのか、それは戦乱状態なのか、戦争になった事態なのか、それとも戦争の危機がひしひしと迫っているという客観的な状態が生まれていることなのか、有事とは何かということをまず聞いているんだ。こんなのは、防衛庁長官、もう初歩でしょう。これは政治家なら大体考えるでしょう。局長要らぬよ。政治家としての防衛庁長官だよ、長官。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 総理からも御答弁がございましたように、わが国の平和と安全が侵略される、脅かされる状態を指して有事というお答えをしておるところでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 わが国が侵略されるおそれのある状態、ということは戦争の状態ですね、結局。いよいよこれは危ない、戦争になりそうだということだな。  総理大臣、戦争というのはなぜ起こるのでしょう。戦争はなぜ起こるか、戦争原因論、どういうことでしょう。総理の考える戦争というのは、こういう原因で大体起こるのだ、これは一体どういうことから起こるのですか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 総理または防衛局長からも再三お答えを申し上げておりますように、そういう事態をいま具体的に申し上げるまたは想定することは、なかなか困難でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理、戦争はなぜ起こるかという戦争原因論はいろいろ述べられておりますね。それは戦争は、昔は人種の違いとか集団の利益とかあるいは宗教上の違いとか、いろいろな理由で戦争というのが起こった。あるいはまたダーウィンのように、人間が動物である以上生存本能があるから、同種の生存のために戦って自分みずからは生き残ろうとする、本能的に戦争が起こるというそういう説もある。いろいろ戦争の原因論というのはあるが、現代の核戦争を想定して、核兵器ができた後において戦争原因というものを考えたときに、一体戦争原因は何か、これを知らずして防衛論も有事立法も有事の研究も私は意味がないと思うのです。  戦争とは政治の延長だと言われていますね。これは常識です。戦争というのは、政治目的を遂行するための政治の延長が戦争という事態に発展をしていくのである。したがって、政治を動かす権力が、大統領や総理大臣が政治目的をどこに定め、どうするかによって戦争に進むか進まないかが決まるのです。ですから、戦争の原因というものを、われわれは核兵器のできる以前と核兵器後の時代ではそういう原因の見方も変わってしかるべきであるし、変わらないと大変なことになると思うのです。  これからの戦争というのは、しからば一体どういう様相になるのでしょう、戦争を想定した場合に。この前の第二次世界大戦で日本人が死んだ、民間が三十三万人、あるいは家屋の破壊が八百万戸こう言われておる。しかし、あの当時の爆弾は十六万トン程度だと言われております。いま一発の原爆が、一番大きい二十メガトン、長崎、広島に落ちた原爆の一千五百倍も破壊力がある、長崎、広島に落ちた原爆の五万個分がある、こう言われている時代、そういう時代に、日本が有事を想定して、そして戦争に備えるということはどういう意味があるのか、それを総理に聞きたいのであります。  有事というのは戦争を想定しての準備でしょう。戦争が起こるという前提がないとしたら、有事の研究も必要ないのでしょう。必要があるのですか。そこのところをはっきりしてくださいよ。何のために有事研究をやるのですか。そこで私は戦争原因論をさっき質問したのであります。戦争が全然ないと認識するなら、そういう研究は要らないのでしょう。だから、どう見ているのですか。あなたの政治目的から見た軍事戦略というのは、一体何なんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 わが国は、日本国憲法に基づきましてわが国の方からいかなる問題につきましても、戦争をこちらからしかけるというようなことはございません。しかし、いま世界情勢を見ておりまして、現実にいろんな地域に戦争、紛争というものが起こっておる。しかし、おっしゃるように、核戦争ということにこれが発展をいたしますと、人類の滅亡にもつながりかねない大問題でございます。しかし、いまの通常兵器等によるそういう事態というものは現に起こっておるということでございます。したがって、わが日本国は、やはり独立国家として、自衛のための必要最小限度の防衛力を持つということはこれは当然のことであって、われわれは非武装中立というような、そういう立場には立っておりません。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 全然私が言っていることと違うのですね。私は非武装中立論は後でやります。一体あなたのやる軍事大国への道をどんどんどんどん、じゃ、どこまで軍備を、防衛のために、自衛のために、国を守るために、守り得る軍隊はどこまでいったらいいのですか聞きたいけれども、憲法の範囲内で。自分の国は自分で守る、当然です。それを武力で守るという場合に、どこまで軍事力を強化したら守れると思うのですが、ちょっと教えてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、当然平和国家でございますから、外交的な手段、努力、そういうものについて、平和と安全を守るために全力を尽くすということは、これは当然のことでございます。しかし、だからといって、自衛力の整備は一切要らない、そういう私は観念的な物の考え方は持っておりません。私どもは、現在の「防衛計画の大綱」というものはわが国の必要最小限度の基盤的な防衛力を整備しようとするものでございまして、これは際限がないとか、歯どめがないとか、さようなものではないということを明確に申し上げておきます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そうすると、際限がなくならない、ここに歯どめがある、当面はGNPの一%以内だと言いたいのでしょう。それから、防衛大綱の五三中業だ、目下は、当面は。しかし、これから五六中業に発展し、そして、いまのアメリカの要求や自民党内のタカ派の軍拡路線の言い分は、もっともっとこれをふやしていこう。どこに歯どめを置くのか、そういう問題。どこまでいったら国を守るだけの軍隊としての位置づけになるのか。制服軍人の言い分は大きければ大きいほどいいと言うでしょう。制服軍人から言わせるなら、軍備を持つからには勝つことを想定するわけだ。初めから負ける軍隊は要らないということになるでしょう。勝つためにはあれも欲しい、これも欲しい、ここまでいかなければだめだということになる。その制服組の言い分をどうコントロールするかがシビリアンコントロールだと言われるけれども、最近はシビリアンコントロールもどんどん低下しちゃって、だんだん骨抜きになりつつあるような感じがしてならない。  そういうときに、このように軍事費に傾斜していく傾向というものにきちっと歯どめをかけずして、一体真の日本の生存と繁栄につながっていくのだろうか。総理の考えは、恐らく米ソ戦争が起こらない限り日本が独自にどこかの国と戦争をやることはないだろうと見ていると思うのです。そうでしょう。米ソ戦争が起こったときだけでしょう、日本が戦争にはまり込んでいくのは。日本と朝鮮だけの戦争、日本と中国、日本とソ連の戦争なんという、そういう小さな戦争というものが起こり得るか。それよりも米ソ戦争になったときのみ日本は戦争に巻き込まれると見るのか。(発言する者あり)そんなことじゃないと裏の方でやじっていますから、それでないのですか、自民党の意見はどうですか、見通しは。総理、ちょっとその辺聞かしてみてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 自由民主党がタカ派勢力によってとめどなく軍拡路線を走っていくであろうなどということは、これはとんでもない議論でございます。自由民主党は、平和主義、民主主義の憲法を守り、そして今日まで日米安保条約を基軸として、そして必要最小限度の自衛力を整備することによって戦後三十数年この平和と安定を確保してまいりました。われわれは、自由民主党は、国民にその実績を評価していただいている、そういう立場で今後も対応していこうということでありまして、軍拡路線を走って、近隣諸国に脅威を与えるとか、そういうようなことは何人も考えておりませんから、御安心願いたい。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 防衛論争についていろいろやりたいのでありますが、持ち時間があと二十五分になってしまいましたので先に進みます。  鈴木総理は第二回国連軍縮総会に出席をして、核の廃絶を訴えると言われておりますが、このことは日本国民のすべての願いでありまして、大変結構なことなんでありまして、多とするところ大であります。  そこで伺いたいのでありますが、第一回国連軍縮総会では、園田前外相は、核兵器の使用は「どのような惨害がもたらされるかは、正に想像を絶するものであります。」こう政府を代表して述べております。さらに、第三十六回国連総会でも「全人類を一瞬にして破滅の淵に陥れる」と述べております。  総理にお伺いいたしますが、一たび核兵器が使用された場合、その国民は、老若男女を問わず無差別に苦痛をもたらし、死に追いやられるわけであります。そういう認識に立てば、核兵器の使用は人道に反するものと思うが、総理大臣、いかがお考えになりますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 武藤さんと全く同意見でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 核兵器を使用することは、人道に反するばかりではなくて、人類に対する犯罪行為だと思いますが、総理はどう考えますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、核兵器を使用するというようなことはまさに人道に反することである。これが抑止力として、戦争を未然に防止するという立場において平和のために機能するということもあり得るわけでございまして、しかし、核兵器を使うようなことは、これは人道に反する、人道的に全くこれは非難をされ、また、われわれはそれを絶対に阻止しなければいけない、このように考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理、核兵器の使用は、地球上の環境を破壊し、戦争とは無関係の世界の諸国民に対して、核兵器の使用によって生ずる害悪にさらされる。戦争当事国でない人まで被害を受ける。でありますから、ひとり敵国に対するのみならず、人類全体に対する戦争だと思いますが、総理はどう考えますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま武藤さんがおっしゃった御意見の中で、ある核超大国がすでに戦域核等を配備しておって、そして、それとのバランスを保持する、それが核戦争を抑止する道であるという場合等もあるわけでございまして、そういう点を総合的に勘案をして、世界平和に貢献するような形でこの核の問題は考えなければいけない、このように考えます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そうなりますと、いまの総理大臣の意見は、核兵器の使用は国際連合の精神及び目的に照らしても反するもので——国連で決議をいたしております。日本も賛成しております。その日本の賛成した決議に反するいま総理の答弁ですが、いいですか、いまの答弁で。総理は、核兵器とは一体どういうものと考えていらっしゃいますか。核兵器は絶対悪の兵器であると考えるか、必要悪の兵器と考えるか。総理はどちらを選んでおるのですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 これはもう議論の余地のない絶対悪である、人類の生存に対する大きな脅威である、このようなぐあいに受けとめております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理、絶対悪といまはっきり答えましたね。絶対悪だったら、国連で核兵器使用禁止の決議が出されたら当然その決議に賛成すべきじゃな、ですか。人類の敵であり、犯罪であり、人類を滅ぼす兵器なんだ。前段に私の意見に賛成した。そして、いまも絶対悪だと言うからには、国連の一九八〇年十二月十二日の「核兵器の不使用及び核戦争の防止」、これに次のように宣言しようという趣旨の決議案が出されている。「核兵器の使用は、国際連合憲章の違反であり、人道に対する犯罪である。(b)したがって、核兵器の使用又は使用による威嚇は、核軍縮が達成されるまでの間、禁止されるべきである。」この決議に対して、なぜ鈴木内閣になってから反対投票したのでしょうか。それまでは反対投票していない。鈴木さんになってから反対投票している。核兵器は絶対悪だとはっきりここで意思表明しておきながら、なぜこういう決議に反対したのでしょうか。

門田省三外務省国際連合局長

○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま武藤委員から御指摘になりましたように、国連におきましては、核の不使用に関する決議が出されております。核を使用しない、核が使用されないで済む、そういう時代が到来することはまことにすばらしいことでございます。私どももそういう時代の到来の一日も早からんことを期待するのでございます。しかしながら、現実におきましては、核の生産が行われる、核の貯蔵が進んでいる、これが現実の姿でございます。このようなときに、核が本当に使用されないで済むというためには、それに向かっての具体的な軍縮措置、これが講ぜられなければならないと考えるのでございます。  具体的には、核兵器生産の禁止、核兵器の貯蔵を漸進的に削減していく、あるいはまた核の実験を全面的に禁止する、核兵器をつくる原材料でございますところの兵器用核分裂性物質、これの生産を停止する、こういったような一連の具体的措置がございませんと目的が達成されない。つまり、実効性という点に十分配慮しなければならないのでございます。あわせまして、平和と安全の問題、これにかかわり合いを持つ核兵器の意味合い、これも考えなければならないのでございます。  したがいまして、委員がお述べになりました八〇年の決議案につきましては、御承知のように、七九年の十二月にソ連軍によるアフガン侵攻といいう事象がございました。これは国際関係に大きな影響を与えたのでございます。つまり、平和と安全、それにかかわり合いを持つ核兵器の意味、これが非常に重要であったわけでございます。したがいまして、それまで棄権でございましたが、この点に認識をいたしまして反対に回った、かような次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 鈴木総理、これは外務省の一官僚が答えるべき筋合いの問題じゃないのです。核は絶対悪だと言うからには、この論争は政治家の論争として、これは総理自身答えてもらわなければいかぬのです。というのは、自由民主党政府の池田内閣のときには、こういう決議をしているのですよ、国連で賛成して。一つ、「熱核兵器の使用は、国際連合の精神及び目的に反するものであり、したがって、国際連合憲章の直接の違反である。」国連の精神の違反だ、核兵器を使うことは。二は「国際法の諸規則及び人道法に反するものである。」人道法に反するのだ、核兵器というものは。三点、「敵国に対するのみならず、人類全体に対する戦争である。」とはっきり言っている。四点、したがって「人道法に反する行為を行い並びに人類及び文明に対する犯罪を犯しているものとみなされる。」この決議に池田内閣は賛成をしてきておるのであります。  これは核は絶対悪だという立場に立てば、この決議に賛成するのは事の当然なのであります。先ほどのアフガンがどうのこうのというのは、必要悪に転換したことを意味する。総理大臣の意思と違う決議に外務省の出先は投票している。しかも、鈴木内閣になるまでは反対はしていない。棄権をしている。鈴木内閣になってからこうなる。これは日本の長崎、広島に原爆を投下された国民から見れば、どんな理由があろうが、核兵器だけは悪である、断じて地球上からなくさせる努力をすべきである、これが全国民の強い願望であり、願いだと思うのであります。しかも総理は、この間のテレビで、あるいはまた昨年も八月六日、広島の原爆式典に参列したときの総理の演説、まさに国連憲章にかなった演説を原爆記念日には広島であいさつしている。国連の決議に反対したのとは全然格調が違う。これからあなたは国連の軍縮会議に出ていって核の廃絶を訴えると述べている。一方では国連で核戦争に賛成のような態度をとっている。核兵器は必要悪でやむを得ないと言わんばかりの態度だ、この決議に反対するということは。矛盾じゃないですか。そんな態度で国連に行って、あなたが幾ら長崎、広島の惨状を訴え、核兵器というものをやめようと訴えても、世界の多くの国民にはそぞろに聞こえますよ。  なぜなら、この決議に賛成をしている国は世界で百二十一カ国、反対をしている国はわずか十九カ国、日本はこの十九カ国の仲間入りをしているのであります。棄権をしているのは六カ国であります。これで、広島、長崎に原爆を落とされた日本の宰相として、何のかんばせがあって国連で演説ができますか。国連に核兵器の廃絶を訴えに行くと言うが、この決議と総理の演説とはどういうかかわり合いを持つと思いますか。事、重大であります。国民はこのテレビを聞きながら、総理がどういう答弁をするか、大変興味を持っていると思います。総理はこの矛盾をどう理解し、どう対処するか、意見を聞かせてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 核の廃絶、核軍縮、これはわが国としては一貫して唱えてきておるところでございます。いま投票で反対をしたではないか、こういうお話がございましたが、これは現在核の均衡の上に世界の平和が保持されておるという現実からいたしまして、これが破れた場合にむしろ核戦争になる危険すらわれわれは強く感じておる、そういうような観点を総合的に判断をして、私は、一番最初に申し上げたようなぐあいに究極の核の脅威から人類を守る、そういう観点に立って、核戦争になるような事態、これは避けなければいけない、こういうことを申し上げた次第でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 核兵器、核戦争を起こさせてはならぬと言いながら、アメリカの核の傘のもとに入って核で力の平和を維持しよう、こういう発想は結局、いまレーガンは戦域限定核戦争はあり得ると言い出したのですよ。いままでは核戦争というような、そんなばからしいことは起こり得ないから核をどんどんつくることによって戦争はできない、平和が維持できるんだという発想でしょう。今度レーガンは限定核戦争はあり得ると言い出したので、ヨーロッパは大騒ぎになっていま反核運動、二十万人、三十万人集会が起こっておるのでしょう。シュミットもアメリカへ飛んでいってこれは大変だと言ってレーガンに注意をしたのでしょう。それよりやはり軍縮だ。長崎、広島に原爆が落ちた日本の総理大臣が、核戦争は起こってもやむを得ないというような発想につながることを言っていたんじゃ国民は失望しますよ。いままで私は、鈴木さんはハト派で絶対平和主義を堅持して、核の使用なんということは断じて人類の敵だと拒否する総理大臣だと思っていたのです。幾らか期待していたのですよ、ルーツが社会党だったから。どうもこれでは失望せざるを得ないですね。  それでは、核による世界の平和のためにアメリカが核兵器を日本に持ち込んだり寄港したり、軍艦が核兵計を積んで日本の港へ着くことも拒否できなくなっちゃうのじゃないですか、そういう考えでは。ソ連のSS20という戦域核ミサイルがシベリアにかなり配置された。では、アメリカも日本近海に、日本に配置しようという論理になるのでしょう、力の均衡論というのは。これは際限なく雪だるま式に、日本の赤字国債みたいに雪だるま式に大きくなっていくのですよ、軍備というのは。行きはよいよい帰りはこわいで、帰りはもう帰れなくなっちゃうのですよ。昔は勝ってくるぞと勇ましくなんて出ていったけれども、いまはよそへ出ていくんじゃないのです。一発どかっ、ぴんになれば終わりなんです。そういう時代なんです、核兵器の時代は。  総理はいまの核兵器の二十メガトンというのはどの程度の破壊力を持っているか、おぼろげながらにも承知しておりますか。長崎、広島に落ちた原爆の一千五百倍の破壊力を持つのが二十メガトンだと軍事専門誌に書いてありますね。恐るべき兵器です。しかも、これが四千キロ、五千キロを中距離弾道弾でも飛んでくるのですよ、あっという時間に。そういうときに、核兵器の競争で世界の平和を保とうという昭和二十年以前のバランス・オブ・パワー、人類は闘争の世界であるから常に闘争に準備せよというこの発想では、真の世界の平和は生まれてこないのです。そこがこれからの日本の行くべき道として大変重要なんですが、あなたは依然として核のバランス・オブ・パワー論に乗るのですか、意見聞かしてください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 レーガン大統領並びに米政府の一部の方が核の限定戦争というようなことを言ったということが新聞報道で伝えられておるわけでございますが、これは、もしさようなことになれば大きな核戦争に発展するおそれがある、そういうようなことは絶対にあってはならないし、あるべきはずがない、そういうことを言っておるものであると私は理解をいたしておるところでございます。  また、わが国に対する戦域核の配備等の問題につきまして触れましたけれども、米側からわが国政府に対してそのような申し入れなり通告なり、そういうものは一切ございません。わが国は、御承知のように、非核三原則を堅持しております。したがいまして、仮にそのようなことがありましても、これを拒否することは当然のことであるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 鈴木総理、あなたは何でも総合的にみんなの意見を聞いて、風速の強い方へ従っていけばいいやというまとめ役では、日本国民は不幸になるのですよ。ワインバーガーがどういう考えで戦略を立て、レーガン戦略とは一体いかなるものか、そういうものをいろいろ書物で・これは内閣調査室で監修をしている国際情報ですね、これにもちゃんと書いているのですよ。いわゆるレーガン戦略というのを一口で言うと、ソ連といつかは戦争というものがあり得るという前提で、その場合には同時多発核戦略だという考えなんですよ。  ここに書いてあるのは「西側勢力が日本や韓国の周辺に防衛の覆いをかげながら、」さらに「西欧でのソ連の正面攻撃と戦える」ようにしておく。同時にまた「ペルシャ湾油田地帯への同時的なソ連の襲撃やけん制攻撃に備える」ようにすることである。したがって、「在欧米軍の実戦即応能力を強化すると同時に、」同盟国をいかにこの戦略にくみしていくか、そういう発想で、彼らは、同時に広い戦線において起こったときにアメリカ軍だけの力では足りぬ。中近東で起こったら、同時に極東でもそういう震源地をさらにやって、同時的にソ連を追い詰めるんだ。そして、向こうの力の分散を図っていこう、こういう戦略がレーガン戦略の基本をなしているということをワインバーガーがはっきり言っていることが報道されているのですね。  そういうことを考えると、日本はアメリカに核の傘のもとで核兵器は必要悪でやむを得ないんですなんという悠長なことで、一体日本の本当の平和が守れるのか。一挙にアメリカとの関係を遮断することはできないけれども、できるだけ軍縮軍縮という方向に世界世論を引っ張っていって、そうして米ソの中間に立って、アメリカの武器をやめなさい、ソ連の武器をやめなさい、核兵器はやめるべきだということを言える唯一の国民は、日本しかないんじゃないですか。原爆を落とされた日本がそれを国際舞台であらゆる場所で主張して、両国の平和共存の道を探る以外に、人類の真の平和は生まれてこないんじゃないでしょうか。総理はそういう点について、依然として核兵器を基本にしたバランス・オブ・パワーが今日日本に必要だと考えるのかどうか。  時間でありますから私はやめますが、他の通告もたくさんしてあるわけでありますが、割り当ての時間が終わりますのでやめますが、最後に総理の見解をきちっとひとつ国民の前に聞かしていただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、核の廃絶、核軍縮、これは世界平和のために、また人類の生存のために絶対貫いていかなければいけない、このように考えるものであります。そこへ到達する間におきまして、この現実というものをわれわれは全く無視するわけにはまいりません。しかし、核軍縮を初め、軍事力を低位に抑えて平和への道を探求していく、平和へ向かっていくということは、これは全く武藤さんと同じ考えを私は持っております。先般の、昨年のオタワ・サミットにおきましても、あるいはカンクンの南北サミットにおきましても、経済サミットではございましたけれども、先進国の首脳が一堂に会した際に私がその点を強く訴えたのも、そのゆえんでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 総理の答弁、まことに不満でありますが、割り当て時間で仕方ありません。  総理、いずれにしても、これからサミットがあり、軍縮への出席もあり、総理自身の行動が日本の将来の運命を決するのですから、リーダーというのは正しい判断、勇気、責任、これをしっかりひとつ肝に銘じて、日本民族の将来を誤らぬようにしていただきたいことを強く希望して、私の質問を終わります。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これにて武藤君の質疑は終了いたしました。  次に、江藤隆美君。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 私は、与党の立場から、当面する諸問題について、総理を初め関係大臣に対して質問を行いたいと思います。  最近、少し私は気になることがあるのであります。先般、昨年の暮れでありますけれども、アメリカのヤンケロビッチ社の世論調査を見ましたところが、アメリカの敵は一体どこだという問いに対して、イラン、ソ連、日本。日本は三番目であります。一番仲よくしなければならない隣の韓国の世論調査によると、一番嫌いな国はどこだ、北朝鮮、日本、ソ連。昨年の秋に経団連の代表団がヨーロッパ各国を訪れましたときに、ソ連と日本がこの地球上からいなくなったらわれわれはハッピーだと言われて、大きなショックを受けたという財界人もおりました。  特に気になりますのは、いままで同じアジアの人間でありながら、祖国を捨て、家族を捨てて安住の地を求めながら日本にたどり着いたベトナム人は、約五千人を超えます。その中で日本に永住を希望した者は、わずかに百八人であります。この正月明けにポーランドの船員が、あの祖国をやはり見限って日本の港で亡命を希望いたしました。皆アメリカを希望し、そしてオーストラリアを希望し、カナダを希望して、最後にはカナダに参る。日本に残りたいと言った船員はだれもおりませんでした。  平和外交を説くわが国が、多くの世界の中には、日本はいい国だと思っておる人もおれば、あるいは日本はすばらしい国だと思っておる人もたくさんあることは、私どもも知っております。私どもも、この日本の国はかけがえのないすばらしい国だと、国民一人一人が誇りに思っておるのです。しかし、どうして最近になってこういう批判が、全部とは言いませんけれども出てくるのであろうか。ソ連と日本が並んで出てくる。祖国を捨てたこの当てどもない亡命者たちが、四季おのおの花の咲き乱れるこの日本の国を選ばなかった理由というのは一体どこにあるのだろうか。私は笑い事ではないと思うのです。総理の率直な御感想をひとつまず承りたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 江藤さんから、ただいまアメリカのヤンケロビッチ社の世論調査につきまして、それを例に引いてお話がございました。私どもは謙虚にこういう点について耳を傾け、また反省すべき点は反省をしなければならない、このように思うわけでございます。しかし、同じアメリカのギャラップという有名な調査機関もございますが、そこでの世論調査はまた違った結果を出しております。西独の有名紙もやはり世論調査をいたしておりますが、日本を高く評価し、日本に学べ、こういうような結果も出ておるわけでございます。  しかし、私どもは世界の中の日本になった、世界のGNPの一割国家にまで大きくなったわけでございますから、それだけに日本に対する国際世論、あるいは批判もあれば期待もある、いろいろあるわけでございますが、そういう点を十分私どもは踏まえて、そして国際社会におけるわが国の責任と役割りを果たしていかなければいけない、また、国民一人一人も国際人として世界各国から尊敬をされるように、そういう国際人としての教養も行動もわれわれは身につけていかなければいけない、このように思うわけでございます。  江藤さんが高い立場から日本のあるべき姿というものを御指摘いただきましたわけでありますが、今後の施策の中にそういう点を生かしていきたい、こう考えております。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 総理から御答弁いただきましたが、ソ連は軍事大国となって世界へ侵略の意図を明らかにするにつれて、私は世界から孤立していったと思います。日本は経済大国になると同時に世界の国々から批判を受けるようになってきたことは間違いがありません。日本人はそんなに豊かになったと一人一人は思ってないのであります。ですけれども、少なくともいま世界じゅうから見ると、日本は豊かな国になったことには間違いはありません。私は、いま総理がおっしゃいましたように、世界の中の日本として生きていかなきゃならない日本でありますし、世界は日本を必ずしも必要としなくとも、日本は世界がなかったならば、この資源のない日本は生きていけない国であることも、これは事実であろうと思います。  しかるに、今日までわれわれが同盟国と信じておったアメリカから、常に、最近は国会を中心としていろんな日本に対する非難が寄せられ、けさもまたそういうふうなことが新聞にも出ております。ハワード・ベカーが鈴木総理と会って、日本にアメリカはどれほどの軍事支出をしたんだ、財政支出をしたんだ、そういうことを明らかにしながら、日米の防衛分担を明らかにせよ、こういう主張をしたとけさの新聞は伝えております。  顧みて、海を離れたドイツとイタリアしか同盟国がなかった日本が、いまや恐らく、外務大臣いかがでしょうか、在外公館の数でも百五十を数えるんではないかと思います。世界じゅうに友好国をつくって、この豊かな国をつくろうと努力をし、世界平和を希求してきた。ところが、アメリカから、あるいはまたヨーロッパ、EC諸国から、あるいは東南アジア諸国から、何となく日本に対する批判というものが聞かれるようになったということは、私はきわめて残念なことだと思うわけです。一体原因は何だろうか。改めて私は総理にお尋ねしたいのです。  日本にとっては、なるほど輸出振興策であり、あるいは経済力を豊かにする手段であったかもしれません。しかし、集中豪雨的という言葉をアメリカ初めヨーロッパ各国は使っておりますが、集中豪雨的なこの日本の製品の輸出によって、アメリカの自動車産業を初め家庭電器その他鉄鋼、ヨーヨッパにおいても同じ、どんどん失業者が出、倒産が出て、不況とインフレに悩むようになった。日本から見ればなるほど輸出であったかもしれないけれども、その他の同盟諸国から見れば、日本は失業を輸出してきた、日本のおかげで失業とインフレとそして国内不安が増してきた、こう思うようになったのは、私はあながちひがみばかりではないと思うのでありますが、総理大臣、いかがお感じでございましょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 そのような日本に対する批判が出ておるということも私、承知をいたしております。しかし、その根源は、いま西欧諸国を初め先進国の経済が非常に困難な諸問題を抱えておる、特に大きな失業を抱えておる、インフレに悩んでおる、国際収支の不均衡も出ておる、そういうようなところからいたしまして、そこに日本の輸出が出てまいりますために目立つ、また、その影響が過大に報道もされるということもあり得ることでございます。ヨーロッパにおきましては、日本の貿易のシェアは四%程度、こういうぐあいに私、聞いておるのでありますが、その四%程度のシェアしか持たない日本の貿易が、ヨーロッパ経済を侵略するような大きなものに喧伝をされておるということは本当に残念なことであるわけでございます。  しかしながら、これはもう江藤さんと全く考えを同じゅうするものでございますが、日本はやはり貿易立国である。そういたしますと、保護貿易主義的な圧力が高まってきて自由貿易体制が崩れるということになれば、これは日本にとっては重大な問題になるわけでございます。したがって、日本としてもこれに対して責任を感じて、そして自由貿易主義をあくまで維持発展をさせるという高い立場から、日本としてできるだけのことをしなければいけない、私はそのように考えまして、輸出面におきましては、集中豪雨的な、一地域に特定の品物が入っていくということは、その国の経済に大きな支障を、打撃を与えるということになりますから、そういうことは避けなければいけない、と同時に、先般東京ラウンドの関税の引き下げ、二年分前倒しを断行する、さらに非関税障壁、日本市場の開放、こういうようなことをわれわれは進んでこれをやろうということで、六十七品目に及ぶ製品の輸入手続の簡素化、合理化、そういうものもやろうとしておるわけでございます。われわれは、今後日本の国際間における立場と責任というものを十分自覚をして、世界と協調していけるような体制をとっていかなければいけない、このように考えます。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 外務大臣にちょっとお尋ねしてみたいと思います。  いま総理から、ヨーロッパ貿易に占める日本の割合はわずかに四%だ、こういうお話やら、いろいろ貿易関税取り除きの努力もしておるというお話があったわけであります。なるほど、私はそういう面が多分にあるのではないかと思うのです。関税率の引き下げをやったり、あるいはまた千六百五十品目に及ぶいわゆる関税の二年前倒しをやったり、あるいはまたいま総理が言われるように、六十七品目に及ぶいわゆる非関税障壁の撤廃のための努力をしたり、いろいろやっておることは、私は、わが国としては高く評価さるべきことだと思うのであります。  しかしながら、それで一体この貿易摩擦という大問題は解決するのであろうかどうかということについては、私は大きな疑問を持っております。欧米各国に言わせれば——日本はなるほど努力をしておる、われわれはこう思っております。われわれは一生懸命働いた、何も悪いことをしようとは思わない、みんな仲よくしようと思うし、みんな日本と関係の豊かな国にしてほしいと思ってわれわれは努力してきたと思っておるけれども、彼らは必ずしもそう受け取らない面があって、日本が象徴的に取り扱われてくる、そういう姿が私はたくさんあると思う。その根底には、いままで日本はこれだけ世界の中にあってどんどん経済的には豊かになってきたけれども、たとえて言うならば、アメリカでも一千億ドルの赤字と一千万人になんなんとする失業者を抱えておりながら、四十七兆という天文学的な数字の防衛費をもって自由社会を守ろうとしておる。ドイツにおいても、国民一人頭から見ると日本の三倍、イギリスにおいては五倍。みんな経済的には苦しい、失業を抱えておる、そしてインフレを抱えておる、不況に苦しんでおる、だけれども、われわれは自由社会を守るために一生懸命努力をしてきた。日本は何もやらぬだったではないか、ただ金もうけだけに専念して、われわれの自由な市場を荒らしてきたではないか、こういう受けとめ方があると思うのであります。かつて四年ほど前、東京ラウンドのときに、アメリカへ、あるいはまたニューヨークへ、ジュネーブへ、ボンに、私どもも一生懸命当時政府とともに走り回ったものでありますが、その当時から言われてきたことであります。常に言われてきた。おまえら何もしなかったではないか。最近になって政府も努力はしておりますが、国連の経済協力にしても、先ほど申し上げた難民問題にしても、あるいはまた発展途上国の援助の問題にしても、日本は余り努力を払わずに、ただ自分たちに失業を輸出してきたばかりではなかったのか、こういう批判が最近高まってきた結果ではないか。  ですから、いま当面しておるそれらのいわゆる関税を下げてみたり、あるいは貿易の手続を、入国の手続を緩和してみたりしただけで、日本と諸外国との信頼関係が直ちに戻って、貿易摩擦が直ちに解消できるとは私は考えないのでありますが、外務大臣、いかがでございましょう。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 江藤委員のおとりになっておる御観察は、私はそのように受けとめてよい部分が相当あると思うのです。しかし、鈴木改造内閣が発足後この二カ月間に、国際的な約束である東京ラウンド、それの前倒しをやって、三年一気に関税の引き下げをする、あるいは非関税障壁について自由民主党の御協力もちょうだいして、鋭意努力をして非関税障壁六十七項目を一月末までに約束通りに決めた、これはこれなりにその努力は諸外国も認めてくれると思うのですね。しかしながら、根本的な江藤委員の御指摘のようなそういう印象というものを諸外国が持っておるということは、十分頭に置かなければならないと思うのです。  それで、いま防衛費の問題についてのお話がございました。今回、予算提出後、本会議、委員会を通じまして野党からは厳しい御批判もちょうだいをしておりますが、しかし、日本が大変財政の困難の中でこれだけの努力をしたということは、またアメリカなどが評価をしておるということも事実でございます。したがって、これからの外交を進めていく上におきましては、ただいま御指摘のようなことを十分念頭に置きまして、そして各国との折衝をしていかなければならない、そうでなければ本当に日本が集中的な怨嗟の声を浴びる、こういうことになると思いますので、あらゆる面で各国との友好親善を深める努力をしてまいりたい、このように思います。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 私は、鈴木内閣になりまして、たとえば海外経済協力費を一〇%以上ふやしてきた、いろいろな努力を試みておられる、軍縮会議にも出席されようということでありますから、それは多とするものであります。しかしながら、私は何も外務省を擁護しようと思ってないのですが、外務省の予算一年間を見ますと、五十七年度三千三百億であります。一番おくれておると言われておる私の宮崎県の予算と余り変わりません。百六十カ国に及ぶそういう外務省がそれくらいの予算しかない。宣伝費を一体何ぼ持っているんだろうかと私、調べてみました。広報費三十億であります。いま日本のいわゆる企業が使う広告宣伝費は、何と二兆三千億であります。千倍からある。  ですから、いま私が総理に申し上げ、あるいは政府に強く要請したいと思いますことは、日本はこれほどの経済力を身につけてきたわけでありますから、その経済力を背景にしてこれから日本は世界に対して一体何をすべきか、日本という国家のプリンシプルは一体何なのか、そういう基本問題が私は問われておるときだと思うのであります。毅然たる態度をもって国際社会に臨んでいく、そういういわゆる国家の理念がいま問われておると思うのであります。  したがいまして、財政再建ということをよく言われるわけでありますが、そういう意味でこうした非常に厳しい環境の中で、私は、心構えとしては、総理が日本外交百年の年だ、これから百年の始まりだ、外交元年という観念を持って、そういう信念を持ってこれから外交に勇敢に取り組んでいかれるお考えをお持ちかどうかということを、この際確かめておきたいと思うのであります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 今年は、ちょうどサンフランシスコ講和条約を締結いたしまして日本が独立を達成いたしましてから三十周年になります。私どもは、これを一つの節目といたしまして——先ほど来お話のございましたように、日本も大きな経済力を持つ国になりました。国際社会の中で大きな責任と役割りを担うに至ったわけでございます。私どもは、友邦との間の連帯と協調、友好関係を一層増進いたしますと同時に、第三世界等に対する経済技術協力等を通じまして世界の平和と繁栄に貢献していかなければいけない、また、外務省はその先頭に立って日本のこの責任と役割りをこうして果たしていくのだということを十分PRする必要もある、こう思います。  そこで、御指摘がございましたように、現外務省の広報費あるいは組織と人員の確保、そういう面につきましても十分今後とも意を用いてまいりたい、こう思っております。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 日本がこれから生きていくのに大事なことは、平和外交の推進と、何者にも侵されない、いついかなる場合にも国家が国民の生命と財産を守り、国家の尊厳を守り通すことが私は大事だと思っております。ですから、外交、防衛というのは車の両輪だと私は思っております。そこで、防衛問題について少しく触れてみたいと思います。  まず、最近の国会の論調を初め、あるいはいろいろと世上言われておりますことは、五十七年度予算は福祉切り捨て、防衛費突出の予算だ、こういう批判を受けるのでありますが、大蔵大臣にお尋ねをしておきたいと思います。あなたは、防衛費だけ伸ばして福祉のどこを切り捨てになったのか、ひとつ具体的に例がありましたらお示しをいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 私は、福祉を切り捨てたという考えは持っておりません。したがって、どこと言われても困ります。  防衛費の問題につきましては、これは日本の防衛を着実に日本らしいところまで伸ばすという方針でありますから、非常にいままでおくれておる、GNPの一%にもちろん及ばないわけでございますので、そうかといって予算にも限界がございますし、そういうようなことでいろいろ検討をした結果、現在予算として提出してある程度が必要にして十分である、こう考えたわけでございます。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 日本の五十七年度の防衛費は二兆五千八百億、二兆六千億にならないのであります。仮に二兆六千億だったといたしまして、それはどの程度の予算かというと、日本の道路予算、それから住宅予算の方がまだそれでも七百億多いのであります。しからば、二兆五千八百億という日本の突出したと評されるこの防衛費というのは、一体他の類似のものでそのあたりにすり合わしてどんなものがあるかといいますと、国鉄が五十七年度に出すであろう欠損は、何と予算上でも二兆一千億であります。先ほど申し上げたように、日本の企業が使う年間の広告費は、何と二兆三千億であります。それから交際費——今度は交際費を認めない、全部税金を取りますということにしたわけですが、交際費を幾ら使っておったかというと、何と三兆一千億であります。防衛費よりか五千億多い。三兆一千億の日本の企業といったらどんなものがあるかといったら、日産自動車であります。トヨタ自動車は年間の売上高は三兆五千億であります。パチンコ、マージャンというのはとりようがありませんからわかりませんので、競馬、競輪、オートレース、ボートレース、これを入れるとギャンブルに使った金が一年に何ぼかというと、五兆円であります。社会福祉が九兆一千億であることは、これはもうお説のとおりです。それから医療費が、これは大蔵大臣は専門でありますが、十三兆。三菱商事の年間取扱量が十四兆円であります。  こういうものを見たときに、私は、一体これほど安上がりの防衛をやっておる国がどこにあるのかと逆に思うのであります。国会では、ややともすると防衛費を目のかたきにすればそれで事足れりとする議論が多過ぎる。しかしながら、国家というものは私はそういうものではないと思うのです。ですから、わが国と同じぐらいの経済力を持って、わが国と同じ程度の防衛費でもって国の安全を守っておる国があったならば、大蔵大臣でもあるいは防衛庁長官でもどちらでも結構でありますから、ひとつ教えていただきたいと思うのです。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 わが国と同じような経済規模あるいは一般的な国力というのをどこの国に決めるかはちょっと問題があるかと思いますが、まあたとえば西ドイツでありますとかあるいはフランス等に比べますと、日本の方が国民一人当たりにしましてもあるいは予算に占めるシェアにしましてもはるかに少ないことは、先ほども先生が御指摘になったとおりであります。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 よく伸び率ということが言われるのです。伸び率、GNPですね。ことしの予算の中で伸び率を言うのだったら、私は老人福祉等を含めた社会福祉でも一五%伸びておると思うのです、老人対策、身障者対策。あるいはまた、たとえば生活保護の引き上げ、東京あたりですと年間百七十五万三千円になるわけでありますから、われわれ田舎人から見ると米百俵分です。米百俵分。お年寄りだってことしの九月から遅まきながらもお小遣いが二万五千百円になっている。だから、そういうものは一五%伸びておる。私はシイタケをずっと抱えておるのですが、シイタケの予算なんか一七%ふえたんだけれども、だれも突出とは言わないのです。だから、どだい国を守るということについて、そういう伸び率とかGNPとかいうことの比率が本当に正しいのかどうかということについては、私は大きな疑問を挟むものであります。平和憲法を持っておるわが国のいわゆる防衛であることについては間違いないし、われわれはだれよりも平和を愛するものであります。この日本の国を、われわれの時代だけではない、子や孫の代に至るまで平和な豊かな国として私どもは残していく責任があるからこのことを論ずるのであります。そこで、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思うのです。  いま、日本はよく軍事大国になったと言われる。私の調査によると、第二次世界大戦でありますから、いまから四十年前。四十年前にアメリカが使った兵器がまだ自衛隊の中にたくさんあるのではありませんか。一例を挙げてみます。戦車十五両、迫撃砲、野戦砲千四百門、無反動砲六百門、これは一〇〇%です、全部。高射機関銃四十三門、これも一〇〇%。四十三門全部四十年前のもの。小銃M1ライフル五万丁、カービン一万丁、拳銃一万丁、機関銃一万丁、それから朝鮮動乱のときの払い下げのものが高射砲で二十八門。いまウラジオストクからバックファイア、超音速爆撃機が飛んでくるというとき、朝鮮戦争のときのこの高射砲で一体何を撃とうとしておるのか。これがいまの、こういうことの公開は私はいささかはばかるのではありますけれども、残念ながらこういう現実であることに間違いないと私は思うのでありますが、防衛庁長官、私が挙げたこういう実態は誤りでありますか。それから、これでもって防衛庁長官は隊員諸君に対して、君らは誇りと勇気を持ってこの国を守れと言われるにふさわしい兵器でありますか、御感想を承りたいと思います。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 内閣委員長もされました江藤隆美先生に御答弁申し上げますのは釈迦に説法でございますし、ただいま具体的な例も挙げていただきました。  お話のとおり、現在自衛隊が保有しております武器のうち、第二次大戦及び朝鮮動乱において使用されたと思われるものと同型の武器で主なものは、戦車約二十両、迫撃砲約千三百門、りゅう弾砲約七百門でございます。迫撃砲及びりゅう弾砲の全体の割合に占める率は、七〇%もこういう兵器で占められております。  けなげな努力をしております自衛隊員にひもじい気持ちをさせないために、御指導を賜りながら今回の予算をつくらせていただいたのでございまして、なお一層の御支援を賜りたいと思います。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 私はこの前、いわゆるよくこの国会で議論になります新しい戦闘機であるF15を見てきました。すばらしい戦闘機であります。そのときにふと耳に残ったことがあるのです。これはすばらしい戦闘機です、一年間に二百時間訓練しなければなりません、しかし実際は百四十時間やるのですと言うから、どうしたのだと聞きましたら、実は油代がないのです、燃料費がありませんから、これだけのりっぱな飛行機を買ってもらいましたが、二百時間の訓練ができません、百四十時間しか訓練ができません、そういう話を聞いて、何という情けないことだと私は思いました。  日本の弾丸は何日間撃ったら、防衛庁長官、なくなりますか。百二十日程度のものは国際的な常識だと思うのでありますが、私は、十日ぐらい撃ったらなくなるのじゃないかと思う。どかどか、どかどかと——そんなに撃ったらまたすぐなくなりますが、大体十日程度撃ったならば日本の弾はなくなる、そういう運命にあると私は思っておりますが、簡単に、そのような事実であるかどうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 先ほどの答弁でもだんだんおわかりいただいたと思いますけれども、大変不十分な状態でございますけれども、何日間ということをこの場所で申し上げることはできないのでございます。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 いやしくも長官がこうした場所で申されるのは、それは恐らく士気に影響することでありますから、御遠慮なさったのだと思いますけれども、しかし私は、決して私のそういう主張が外れたものであるとは思っておりません。その程度のものだ。これでもって、国家が国民に対して最小限度の自主防衛、専守防衛だけはやりますよ、外国を攻めたり外国と戦争をするのではありません、いついかなるときも自分の国だけは最小に守りますよ、そういうものにふさわしい、そういう装備であるかどうかということについて検討してみたときに、これはタカ派ならずとも、普通の、一般の良識ある国民の皆さんならば、そんな実態だったのかな、そう思う人が日本人の心だと私は思うのです。ただ防衛費を目のかたきにして、防衛費を削って減税に回せなどという議論に至っては、それはもう論外のさただと言わなければならない、私はそのように思うのであります。  そこで、先ほど来お話がじゅんじゅんとありましたように、いま政府は、防衛大綱に基づいて五六中業の作成中であります。まだ作業が進められておると承っておりますが、しかし、五十一年に防衛大綱を決めた時点と現在では、著しくアジアの情勢、世界の情勢が変わってきたのではないでしょうか。  第一、いまウラジオストクにいるソ連の原子力潜水艦は六十五隻と言われております。潜水艦百三十五隻、ソ連の所有する海軍力の三分の一がいわゆる極東に配備されておる。しかも、六十五隻は原子力潜水艦である、こう言われております。いわゆるSS20、戦域核も配備をされた。この前のある報道によると、バックファイア、すごいあの戦略爆撃機でありますが、五十機配置されたと伝えられておる。五十一年当時には、わが国の古来の領土である北方領土にあれほどの軍事基地はありませんでした。五年、六年の間に、ソ連は強大なる軍事基地をわが国の北方領土に築いてきた。ずいぶんと違ってきたと私は思うのです。様相が変わってきた。ベトナムはカンボジアに侵入する、ソ連はアフガンを侵略する、あるいはまたポーランドをいつやるかもわからない、そういう情勢にある。だとするならば、環境が変わったのでありますから、この防衛大綱というものは見直すべきではないかと私は思うのです。見直す時期に来たのではないか。これは総理にお尋ねをしたいと思います。  それからもう一つは、この国の最優先的に考えるべき——私は、防衛があってこそ福祉もあれば教育もあり、国民生活が保障されると思っておるのです。ですから、この大事な議論をただ単なる伸び率あるいはGNP、こんなものはしょっちゅう動くのですから、そういうものの中にわざわざ無理やりに押し込めて、そうして議論をしようとするから、すれ違いの議論が起こってくるのであって、もう少し政府もこの国会等を通じて進んで国民の理解を求め、あるいは国会の同意を得る積極的な姿勢が望まれると思いますし、あるいはまた、そのようないわゆる伸び率、GNPではなくて中身の問題、国民に対して責任がとれるものかどうかという中身の問題を議論する時代になったと思うのでありますが、総理の御感想を承りたいと存じます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 五十七年度の防衛予算につきまして、江藤さんから、突出予算であるという批判は当たらない、こういう御意見でございます。私もこの厳しい予算の制約、財政の中で、「防衛計画の大綱」を着実にこれを整備していく、しかも情勢は厳しいということで、これを半年でも一年でも繰り上げて達成をしたい、こういうような情勢からいたしまして、この予算というのは、私は、この時点におきましては最善の予算である、また、われわれが防衛に対して国民に対して責任を負い得る予算である、このように考えておるものでございます。  そして、GNPとの関係でございますけれども、GNPというのは、こういう国際経済の激動の中におきましてわが国のGNPが今後どのように推移していくか、これは大変動くものでございます。また、「防衛計画の大綱」を着実にこれを整備していくという観点からいたしまして、私はある年度に集中的に予算が累積をするということは適当でない、やはりなだらかにいきませんと、財政との関連、他の政策との整合性からいたしまして、できるだけこれをなだらかに進めていきたい、こういう観点に立ちまして、ただいま防衛庁が作業をやっております五六中業の作成に当たりましても、そういう観点で十分研究をしてほしいということを要請しておるわけでございます。そして、専守防衛に徹し、限られた防衛予算の中で最も効果的、効率的なことをやらなければなりませんから、質的な面を重視をしていく、こういうことが大切である、そして日米安保体制の円滑かつ有効な運用ができるようにということにも配慮していかなければいけない、こういう観点で防衛費の問題は考えておるところでございます。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 外交、防衛の問題についてお尋ねしてまいったわけでありますが、私は、日本の歴史というのは恥の文化だと一方では思っております。恥を知るというのが日本人の心意気だったと思うのです。最近の国際関係の中で、日本はアンフェアだ、日本はずるいと言われる意見のあることを私どもはこれからできるだけなくするように、国際社会の中でやはりやるだけのことはやっていく必要がある、こういうふうに思います。  時間の都合で次に進みたいと思います。行政改革について中曽根長官に少し承っておきたいと思います。  すでに昨年の行革国会で、行政改革はその第一歩を踏み出したと言えます。総理も、そしてまた行管長官も、政治生命をかけてこの行政改革に取り組んでいきますということを実は国会でも国民の前にも明らかにされたのでありますけれども、最近になって何かいろいろと、国会やらあるいはマスコミを通じて眺める限りにおいては、政府の行革の姿勢が後退したのではないかという印象を受ける面が多々あるわけであります。当初の決意と今後の実行についていささかの変わりもないのか、長官のお考え方を承っておきたいと思います。  それからもう一つは、私は、当初行財政改革と言ったのが、最近は行政改革ということになって、財という字が抜けたような気がしてならないのであります。行財政改革が行政改革とすかっとなったのはどういうことなのか、これからのスケジュールをあわせてひとつ簡単に御説明を賜りたいと存じます。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 行政改革に関する政府の考えはみじんだにも後退しておりません。総理を中心にしまして政府及び与党一体になってこの大目的を貫徹するために邁進する決意であります。最近新聞にいろいろなことが取りざたされておりますが、あれは誤解に基づく報道であると思っております。われわれは今度の行革については非常に大きな使命感を感じておるのでございまして、戦後三十数年経まして、ここで日本の行政体質の質的転換を行うときが来た、こう考えておるわけであります。  臨時行政調査会設置法第二条には、臨時行政調査会は行政機構及びその機能の改善を行う、基本的見直しを行う、こう書いておるのでありまして、つまり行政というのは、国家の統治の機能の中の立法とそれから司法を除くものはすべて行政でございます。つまり裁判所と国会を除くほかのことはすべて行政権でございます。その大改革をやろうというのでありますから、この中には外交も防衛も教育も福祉も経済も財政も全部入るわけであります。これらの国の大きな行政の制度及び機能につきましてここで相当大きな改革を行って、簡素にして能率的な政府をつくり、二十一世紀に向かった国の体制をつくっていこうというのがわれわれの考えでございまして、土光さんもそのためにいま挺身していただいておるわけでございます。これだけ国民の皆さんの御支持をいただいたことは戦後ございません。また、ジャーナリズムの皆さんの温かい御理解をいただいたこともございません。このときにこれができなかったら、もう二十一世紀まで永遠にできないとわれわれは考えております。そういう点からも、これだけの御支持に対してわれわれは本当に責任を持ってお報いしなければならぬ、これは自由民主党だけの責任じゃない、国の政治家挙げての共同の責任である、こういうぐらいに考えてやっております。  したがいまして、行政の体質の改善ということでありますから、財政というものは行政の一部でありますから、したがって、われわれはもっと大きな幹である行政の改革を目指しておる。もちろん財政というものは一つの機縁でありまして、行政改革を促す一つの重要なモメントであったことは否定できません。財政が緊迫してきて、お金が足りなくなったから、もっと効率的な政府に直せという意味においてはそうでありますけれども、単に財政のためにのみやっておるのではない、もっと大きな大きな夢を持って、この日本の体質改善をやろうとしておるのである、そういうふうにお考え願いたいと思っております。それで財という言葉を取りまして、行政改革という形で統一しているわけであります。  これからのスケジュールは、昨年六月のいわゆるシーリング設定というのをやりまして、約二兆四千億円ほど膨張するのを抑えました。それから、行革関連特例法を臨時議会で通過さしていただきまして、いよいよこの七月ごろ最大の答申が参ります。その前に、二月の中旬ごろ、現在やっておる許認可の答申が出てまいる予定でございまして、ここに例の車検あるいは自動車のライセンス、あるいはデータ通信の開放、あるいは原子力発電の簡素化等々の大きな問題が出てまいります。これらはいずれ検討の上、閣議決定いたしまして、三月に法律として提出するように努力したいと思っております。そして、七月ごろ答申をいただきましたら、これも同じく検討の上、最大限に尊重してこれを法律化し、断行すべく努力してまいります。  最終答申は来年の三月出る予定でございまして、それで今度の行革計画が一応終了する。その次は断行、実行の段階に入る、こう思いまして、私たちは総理を中心にして政府・与党一体になって、あくまで不退転の意志でこれを断行していく決意であります。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 決意とこれからの日程を大体承ったわけでありますが、国民はこの行革に非常に期待をしておるわけです。しかし、実際行革の結論が出てきましたならば、そうそう喜ぶものばかりではありません。むしろ改革は痛みを伴うものでありまして、今度は大きなる反対も異論も出てくることは間違いないことでありまして、総理が国会とよく相談してと言われることも私はむべなるかなと思う節がございます。しかしながら、総理はこの行革に取り組むに当たって、政治生命をかけて取り組むという決意を披瀝されてきたわけでありますから、今日もなお変わりはないのかどうか、念のためにこの際承っておきたいと存じます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いまや行政改革、そして財政の再建、これは国民的な課題でございます。二十一世紀を展望いたしました際におきまして、私どもはそれに十分対応できるような体制というものをいまから用意しなければいけない。そういう意味で、行政改革に政府と自由民主党が一体になって、この国民の期待にこたえていこうという決意を持っておりますことは、ただいま中曽根行管長官からも申し上げたとおりでございます。私も全力を尽くしてこの国民的課題に取り組んでまいる決意でございます。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 河本経済企画庁長官にお尋ねをしておきたいと思います。  私は、経済予測というのは非常にむずかしいものだなということを実はつくづく感じます。なぜかと言いますと、去年ちょうどこの予算委員会で、一体景気予測なり税収についてどういう議論が交わされておったのかな、こういうことを議事録をとって私は調べてみました。そうしますと、予算委員会ではほとんどの方が、触れなかった方もありますが、ほとんど述べられた方は、政府の見積もりは低いではないか、まだ一兆円以上の税収が見込めるではないかということを、こもごも立って政府を追及されたのであります。総理も大蔵大臣も、一生懸命、精いっぱいの努力をしてやっとこさですと。とうとう大蔵大臣は最後には困り果てまして、神様ではないからわかりません、こう言われた。神様でない以上わかりませんと言われるくらい、実は去年の予算委員会では議論された、もっとある、もっとあると。それだけに来年度の、五十七年度の経済予測なりあるいはまた税収を見積もるということは大変むずかしいことだなと。そういうことは後で同僚議員に譲ることにいたしまして、この機会に私は長官にひとつお尋ねしておきたいと思います。  五十七年度の経済成長は名目八・四を期待し、実質成長五・二%である、この上に立って五十七年度の予算が成り立っておるわけでありますが、その五・二%の実質経済成長のうちで、外需、いわゆる貿易に依存するものが一・一%、それから内需、いわゆる国民の個人消費にゆだねられるもの、あるいはまた企業投資にゆだねられるものが四・一%です。要するに、アメリカなりEC諸国が言っておることは、余りむちゃくちゃにおれたちに物を売りつけずに、国内で売るように内需を振興したらどうじゃい、国内でもっと消費するようにしたらどうだ、こういうことを言っておるわけでありますから、私はその意味においては国際世論にもこたえることであると思うのです。  そこで、昨年の暮れぐらいからアメリカを初めその他の国々の購買力が鈍ってきたが、こういう状態の中で、うんと売ればまた貿易摩擦を引き起こすし、さればといって、今日の経済不況状況を見ると、一体一・一%の外需は期待できるのかどうか、これが第一点であります。  もう一つは、内需が四・一%、こういうことになっておるわけですが、住宅建設のことは先ほど武藤さんからも触れられましたから、時間があったら触れたいと思いますけれども、とにかく百三十万戸の住宅をつくるということが何よりも先決でありますよ、このためには、もう政府を挙げてひとつがんばらなければなりません。私どもも、困難なことであろうけれども、百三十万戸の住宅建設がぜひ達成できてほしいと思うのです。そのために昨年の暮れには、私も税制調査会の末席を汚しながら土地税制改正の取りまとめをさしていただいたわけでありますが、土地税制の改正、即いろいろの手法を使って、住宅が建設をされ、そして木材を初め関連産業が潤うようにという、そういう願いを込めた、あれは土地税制の改正であります。したがって、この複合政策というものが功を奏して住宅が建設されるということについては建設大臣にあらゆる努力を通じてこれはお願いを申し上げたい。  しかし、私が経済企画庁長官にお尋ねをしたいと思いますことは、一つどうしても心配なことがあります。なぜかというと、国内の民間投資に期待します、設備投資に期待します、こう言われるわけですが、二十六日にアメリカのレーガン大統領が年頭教書でもって、高金利政策はやめません、継続していきますということになりました。そうすると、円安は続くものと考えなければならない。逆に言えば、海外から仰ぐ原料というものは安くならないと思うのがわれわれの素人考えでありましょうか、どうでしょう。そうなると、素材産業の投資というものは民間投資でもやはり抑えられて、いわゆる日の当たる輸出産業、近代産業を通じたもののみがそういう設備投資の対象になっていくのではないかと私は考えるのですが、このことはいかがでしょう。したがって、国内の内需のうちでも、そういう素材産業というのはいささか期待ができないのではないか。  それからもう一つは、公共事業が据え置かれたことによって地方における中小企業の落ち込みというのは、これは目を覆うばかりであります。この前労働省が発表した統計によりますと、地方の四人以下の事業所の給与所得というのは、一カ月間に、はたよりか二日よけい働いて賃金は五四%しかない。大企業に比べると、地方の四人以下の企業というのは、一カ月間に二日もよけい働きながら、賃金は五四%と少ない、こういうことが労働省の報告によって出ております。これくらい、一つの例でありますけれども、なかなか中小企業がうまいこといかぬ。それからもう一つは、農山漁村であります、それから商店街、そういうところがどうも四・一の足を引っ張るのではないか、私はこういうふうな気がしてならないのでありますが、企画庁長官はどのように見ておられるのか、ひとつ御説明を賜りたいと存じます。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 わが国の経済は、昨年の五、六月ごろ、中ごろから大底を抜け出しまして、ようやく回復の方向に向かったと思います。しかし、残念ながらその回復のテンポが非常に緩やかである、こういうことのためにいろいろな分野でひずみが生じております。いまいろいろ御指摘がございましたが、たとえば業種によりましてばらつきがございますし、それからまた企業の規模によりましてもばらつきがございます。それからさらに、地域によりましても非常なばらつきが目立っております。  そこで、いま政府は、外需中心の経済から内需中心の経済に切りかえようとしておるわけでございますが、その場合に特に気をつけなければならぬのは、こういうばらつきが非常に厳しい状態でなお残っておる、こういうことだと思うのです。  そこで、構造的に行き詰まっておるような業種に対しましては個別対策をしっかりと進めたい、こう思っております。また、中小企業の状態が、例外は除きまして概して悪い、こういう状態でございますから、中小企業対策もよほどの配慮が必要だと思います。  それからまた、地域によりまして相当悪い地域がございますから、そういう地域に対しては特別な配慮が必要である、こういうように考えておりますが、全体としての景気の回復を図りながらこのばらつきに対しても十分に気をつけていく、こういうことが必要だ、このように思っております。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 私は心配をしておったのです。国全体としてはなるほど五・二%経済成長しますよ、そうすると、そのうちに何とか地方も待っておったらよくなりましょうよという説明では、なかなか国民はあすの希望を持てるようにはならないと心配をしておったからお尋ねしたわけです。なぜお尋ねしたかといいますと、中小企業が非常に倒産が最近多くなったということは、先ほどもお話がございましたとおりであります。  もう一つ大事なことは、昭和五十五年度農業所得が一五・五%落ち込んでおるということです。また今年度、五十六年度においても、冷害その他、とにかく冷害であった。米価、乳価あるいは畜産物価格、木材あるいはシイタケ、こういうものがどうもふるわなかった。あれは予算が一七%ふえたので、値段が一七%上がったのじゃないのです。  それからもう一つ、多くの業種の中で、これはもう総理が一番御心配になっておると私は思うのですが、石油、原油価格の値上がりというものを、いかなる手段で努力をしても、生産性の中で吸収することのできない業種が一つあります。それは漁業であります。油が高くなった。そして、魚をとりに行った。行ってみなければ、とれるかとれぬかわからぬわけです。とって帰った。果たして高く売れるか安く売れるかわからぬ。ですから、特に困っておるのは農業と林業、漁業だと私は思っておるのです。そういうことで、さっき申し上げたような、地方における中小企業なり、あるいはまたひいては商店街の売り上げに最近は非常に大きな影が差してきた。  したがって、一方ではそうした周辺の農山漁村が、どうも公共事業の伸び悩み、農畜産物価格あるいは魚の価格の伸び悩みで非常にじっとしてきたのに加えて、片っ方では大型店舗が出てくる。そういうふうなことで、非常に商店街にかげりが出てきたということが、全体的に言うと住宅建設百三十万戸と言われて、民間に期待するところ大きいとは言われるけれども、それは公団住宅とか、あるいはまた県営住宅、市営住宅というのは建つかもしらぬけれども、一般の個人に期待する住宅が建ちにくい状況になるのではないか。そうすると、全体的に四・一%の足を引っ張るおそれがある。容易なことで四・一%の達成というのは困難ではないか。  しかも加えて、四・一と一・一、五・二%の経済成長というのは、できるとかできぬとかいう議論の前に、われわれは財政再建をし、一方では景気回復をするためには、これは政府がやらねばならない大きな課題だと思っておるのです。やらなければならない課題だ。やれるかやれないかわかりませんでは済まない。これはあらゆる力を振りしぼってやらなければいけないと思うのでありますが、総理にひとつ私はお尋ねをしておきたいと思うのです。  県民総支出の公共投資への依存度というのを、これは経済企画庁から出したのがあるのです。東京とか大阪とか神奈川とか愛知というような豊かなところは、公共事業が出ようが出まいがそんなに景気には関係がないのです。残念ながら、昭和五十三年を見ますと、総理の岩手県は二〇・六であります。わが宮崎県が一六・六。ちょっと低いのです。よかったな、こう思っておるのですが、ところが五十四年になりますと、今度は沖縄が二〇%、鹿児島が一八・六、岩手が一八・八、青森が一七・三、宮崎が一六・五ということは、結局発展途上国と言われるこの地方の県においては、いわゆる公共事業が行き渡らないというと景気の回復はできない、景気の維持はできない、その地方の経済は維持できないということを意味しておるのであろうと私は思うのであります。  したがって、長官が言われましたように、地域的に、業種的にばらつきがあります、こう認めておられるわけでありますから、これからの公共事業の配分を初めとして、万般の各細かい業種についての施策について、この一年間を通じて温かい思いやりと配慮が必要だと思うのでありますが、総理はいかがお考えでございましょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 内需を中心とした景気対策を進める、そういう際におきまして地域的な、あるいは業種間の、あるいは規模別のばらつきがあるということは御指摘のとおりでございます。特に、いま御指摘になりましたように、九州でありますとか、あるいは北海道でありますとか、あるいは東北でありますとかいうようなところは、地域的に非常に景気が冷え込んでおります。それに、昨夏以来の冷夏の影響等がございます。非常な不況が浸透しておるわけでございます。  そういうような観点からいたしまして、災害もそういう地域に多発しておる、多く起こっておりますので、災害復旧に当たりまして、これをひとつ前倒しで実行しよう、従来であれば三〇%程度を第一年度にやるというものをひとつ五〇%以上やろうではないか、こういうこともいろいろ検討もし、そういう方向で進めております。  それから、県並びに地方団体に対しまして、単独事業が実行できますように、起債その他融資等につきましても十分配慮をすることにいたしております。  さらに、江藤さんからいま御指摘がございましたように、五十七年度予算が成立した段階、配分の段階において、そういう景気が特に落ち込んだ地域に対しては特別な温かい配慮をするべきだ、こういう点も政府部内で十分検討いたしまして対処してまいりたい、こう思います。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 さっき私は、地方の中小企業は最近は非常に不況に陥っておるというお話をしたのですが、せっかくの機会ですから、大蔵大臣にひとつ簡単に承っておきたいと思う。  昨年の暮れの税制調査会で私ども議論をいたしまして、五十八年度には何とか実施をしたいなと言っておるのに、いわゆる中小企業の承継税制があります。要するに、跡継ぎをやるために実は相続税を払わなければいけない。事業用の財産を売り払ったり、あるいはまた借金をしたりして相続税を払うというようなことでは、どうもしようがないじゃないか、せめてこういうものについては特別の配慮をしていいではないか、こういうことと、もう一つは、いわゆる俗に言う同族会社の相続の場合には株式の評価方法がないわけでありますから、なかなか不合理な点がたくさんあるわけであります。こういう点もひとつ、こういう全体が何か暗いときですから、せめてお年玉ぐらいは上げられるように努力しようではないかということを、実は山中税調で私ども議論をしてきたところであります。  これについて政府においてぜひ、五十八年度を目標に実施されるもの、あるいはまた直ちに準備にかかってなるべく早い機会にこれを実行に移されるもの、いろいろあると思いますけれども、いずれにしてもこれからの中小企業の跡取りのために、いわゆる農村においては生前一括贈与という制度をとったわけでありますから、それに匹敵するような恩恵というものを考える必要があるのではないかと思いますが、大蔵大臣の取り組み方についてのお感じをお聞かせ賜りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 中小企業の承継税制については、二つ問題があります。  一つは、工場等の敷地の評価について、農業のように生産高、幾らとれるかということから逆算して評価しろということが一つ。これはもう農地と工場敷地とは大変違うのでありまして、農地は、自分のものであっても自分のものでない。農地法のかぶっているところは特にそういうことでございますし、もう一つは、農地の分散というものが日本の食糧政策上まずいとか、いろんな点から特別扱いをしております。したがって、これをそれと全く同じにするということは非常に困難である。  もう一つは、いま言った同族会社の株式問題。一般の上場会社は、必ずしも含み資産が株価に全部一〇〇%反映するとは限らない。しかし、中小企業の場合は、含み資産が株価にそのまま大体反映してしまうということに問題があるわけでございます。これも非常にいろいろむずかしい問題ですが、評価方法については非常に技術的な側面があるばかりでなくて、富の再分配機能という相続税の性格という問題とも関係がありますから、ここで断定的なことは申し上げられませんが、そういう御趣旨の陳情はたくさん来ておりますので、今後専門家の意見を徴して幅広く、みんな売らなければならぬというようなことのないように、延納で大体おさまるという程度にしなければならぬと、検討してまいります。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 実を言いますと、きょうは教育問題までやりたい、できるならば、年間二兆一千億赤字を出しておる国鉄財政問題について実は述べたかったわけでありますが、わずかな時間でありますからそれに触れることができません。  そこで私は、最後にひとつ総理にこのことだけはきちっとやはり念を押しておきたいと思いますので、お尋ねをし、お願いもまた申し上げておきたいと思います。  さきに政府が決定をいたしました千六百五十品目に及ぶいわゆる関税の二年前倒しについては、それなりに政府に事情があったことでありますし、少なくともこれほど厳しくなってきた貿易摩擦を何とかして解消しようという必死の願いが込められたものであると考えて、私どもは、個々の問題については必ずしもそれに同調するものではないにしても、それは政府の方針である、政府・与党一体という考え方からするならば、それをよしとしてこれからいわゆる貿易摩擦の解消に向かって努力をしなければならないと考えております。  しかし、そういう中で、一体この二年前倒しという問題は、過去東京ラウンドのときの厳しいあの交渉の経緯からすると、実はなかなか容易ではない話でありまして、このことがすなわち農畜産物、あるいはまたさっき申し述べましたような多くの水産物の自由化につながるのではないかという懸念が各方面にたくさんあるわけであります。  申し上げましたように、農村の景気も、一五%も農業所得は落ち込んでおる。あるいは五十六年度も落ち込んでいくでしょう。あるいは漁村においてもそのとおりです。片一方では、そういう不況に悩みながら必死にがんばっておる農山漁村に対して、またまたそうしたいわゆる貿易の自由化ということによって大きな波をかぶせるということは、私はいかがなものかと考えるのであります。なぜならば、すでに四年も五年も前からアメリカで言われておったことです。われわれは日米間のインバラが百億ドル以上超したならばがまんができない、こう言っておりました。がまんができない。しかるに、今年は何と百八十億ドルというのですから。しかし、それはだれの責任でもありません。日本の輸出の責任であって、それを一概にストレートに何で自分たちが後始末をしなければならないかという意見は、関係者の中から不満となってあらわれてきても、それはおまえたちの勝手だとばかりは言えないと私は思うのです。したがいまして、このいわゆる一括二年関税前倒しについては、決して自由化につながるものではないということについての総理の所信を承っておきたいと思うのです。  あの当時、農林大臣として、オーストラリアのシンクレア農林大臣と夜を徹して貿易交渉に当たられて日本を守ったその実績も、私は総理を高く評価しておるから、あえてこのことを申し上げるわけであります。お答えを賜りたいと存じます。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 東京ラウンドの関税引き下げ二年間前倒し、これは江藤さん御指摘のように、下から積み上げてまいりますと、これはなかなか結論が出ない問題であり、私が内閣改造の初閣議でこれを決断をし、政府と党で御検討をお願いをした、こういう経緯でございまして、農林水産業者、畜産業者の方々にも痛みを分かち合っていただくことに相なったわけでございます。九・一%の関税がことしは八・六%になることになります。そして、再来年の分まで前倒しいたしますから七・七%、こういうことに、〇・九%、一歩前に出るわけでございますが、こういう点につきましても御理解をいただきまして、御協力を願いたい、こう思っております。  ただ、江藤さんがいまおっしゃったところの農林水産物、畜産物関係の輸入自由化の問題につきましては、これは長いいきさつがございますし、また日本の農林水産業、畜産業の厳しい今日の現況というものをよく承知をいたしております。こういう点につきましては、関係国によく日本の農林畜産業の実情を理解もしてもらう。また、いままでの輸入拡大に対する努力もひとつよく評価をしてもらう。そういう中で、今後この問題については、全国の農林水産関係の方々が十分納得のできるように御相談をしながら対処しなければならない、このように考えておるわけでございます。農林畜産業の今後の再編成、そして生産性の向上を通じまして、日本農業の近代化と安定というものに対しましては、政府は全力を尽くして努力する考えでございます。

江藤隆美自由民主党

○江藤委員 総理のお考えをよく承りまして、ありがとうございました。  非自由化品目については、御承知のように、ノルウェーは四十九品目です。フランスに至っては四十六品目であります。日本は全部入れて二十七品目。だけれども、日本だけがいろいろと悪口を言われるんですね。私は驚いたことには、フランスという国は女性の下着まで自由化していない。男の下着からですね。大概の国が、ジャガイモ、いわゆるバレイショですとかへ所によってはお花、切り花ですね、そういうものまでそれぞれ国国によって特殊な事情のあるものであります。  私どもは、わがままを言おうとは思いませんし、これから合理化、生産性の向上について、必死の努力を怠ろうというのでもありません。しかし、日本はアメリカからの世界最大の食糧の輸入国であるということは、アメリカの人たちに知ってもらいたいと思っておるのです。穀物だけで二千万トン買っているのですから。米の生産高の二倍のえさをアメリカから買っているのは日本だけです。日本は、アメリカにとっては世界一のいいお客さんのはずであります。これからひとつ外務大臣、通産大臣、農林水産大臣、それぞれ関係閣僚におかれては、これらのことを篤とかみしめて、日本のそうした関係者が守られるように御努力を賜りたいと思います。  総理には、これからいろいろと行政改革大変でありましょうが、ひとつ勇気を持ってがんばってもらいたい。政治家が勇気を失ったときには、国民は信頼を寄せなくなります。大いなる勇気とりんりんたる気魄を持って今後国政に取り組まれることを強く望んで、質問を終わりたいと思います。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 この際、佐藤一郎君より関連質疑の申し出があります。江藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤一郎君。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 関連質問で時間もありませんが、私は、財政、経済につきまして少しばかり質問をさしていただきたいと思います。  まず第一の問題は、もうすでにさんざん総理からも御言明がありました再建計画についての確約でございます。これは何回もおっしゃっておるのですが、しかしなお、最近における減収、それから将来起こるであろう減税の問題、そしてまた財政支出の硬直化に伴う支出の増、こうしたものに伴いまして、なかなかそう口で言うほど簡単でないという予想から、とかくこの計画が守られないのではないかという危惧を一般に持っておりますのと、実は、これからの財政問題を組み立てていく上においてこの問題は基本でありますだけに、私は御質問を申し上げる次第でございます。  御存じのように、この問題は、実は選択できる問題ではないというのが私たちの考えでございます。と申しますのは、この再建計画が立てられたゆえんというものは、御存じのように、昭和五十年のときに出しました十年債の償還がいよいよ六十年から始まります。六十年代を通じまして、この償還額の負担というものは、大きな財政上の負担になってまいります。そして、四条債と合わせまして、大体五十八年ですでに公債の残高は百兆を超します。六十四年には百五十兆を超します。六十八年には残高は二百兆になります。  こういう財政の条件のもとにおきまして、そのうち弊害のあるところの赤字債を少しでも早く六十年が始まる前に返済しておきませんと、六十年以後の財政というものは完全に麻痺してしまう、予算の編成が行えなくなるのではないか、実はこういう心配がありまして、そういうところからこの再建計画が立てられておるわけでございます。したがいまして、そういう角度から見ますると、これは選択の余地がある問題ではない、もうこれは守らざるを得ないんだ、こういう問題であろうと私は信じております。  そういう意味におきまして、恐縮ですが、総理たびたび御言明でございますが、もう一回お考えをお示しいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 佐藤さんがおっしゃるように、六十年度から特例公債の償還が始まるわけでございます。特例公債の償還のためにまた特例公債を発行しなければその財源がない、こういうようなことでは日本の財政は大変な事態に突入することになるわけでございます。私どもは、次の世代にそういう赤字だらけの日本をそのまま受け継がせていくわけにはまいらないわけでございます。この際、いかに苦しくともこの事態というものはわれわれの手によって改善をしなければいけない、このように考えるものでございます。  そういう意味で、この避けて通れない五十九年特例公債依存の体質を改善する、脱却する、この方針を私どもは党、政府一体になって、また国会の御協力もいただいてぜひ達成をしたい、こう考えております。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 次に、この再建計画を守っていただくという前提におきまして、財政改革全体を進めていただくことになるわけでございますけれども、しかし、御存じのように、なかなか厳しゅうございます。これについては総理、大蔵大臣、さだめし頭を悩ましておられると思うのでございますが、しかし、いろいろ手が言われておりますけれども、何といいましても、やはり歳出を削減するということが財政再建の王道でなければならないというふうに私は信じておりますし、また、過去の経験からもそう言ってよろしいと思うのです。  特に、この財政再建の際にわれわれが考えなければならないと思いますことは、赤字債の削減抑制という立場からいたしますと、経常費、投資的経費にあらざる非投資的経費、あるいは移転費といいますか補助金といいますか、こうしたいわゆる公共的投資にあらざるところの経費の削減ということが中心にならなければならないはずでございます。これは率直に言いましてなかなかむずかしい問題でございますが、これらの歳出削減につきまして一部に、いわゆる行革デフレといいますか、歳出を削減すれば経済成長をそれだけマイナスにするのだという意向があるようでありますが、公債発行下におけるところの歳出削減におきましては絶対にそういうことはございません。  そういう意味におきまして、この歳出削減というものを思い切りやっていただく、こういうことになるわけでございますが、しかし、御存じのような財政硬直下の現状でございます。この毎年毎年の自然増というものは大変なものでございます。社会保障費その他が毎年、前の年にもう決まったからというので累増的に増加していく。しかも、いろいろな費目についてスライド制というものがついておりまして、これまた黙って上がっていく。  このスライド制につきましては、特にヨーロッパの諸国の財政難の大きな原因をなしているわけでございますが、しかし、こうしたことで見る見るうちに財政の硬直化が進んでおります。本年は当初の予算を、シーリング方式によりまして相当抑えていただいたのでございます。これはみごと一つの成果であったと思いますが、しかし、その結果を見てみますると、補助金は、実は件数こそ減っておるけれどもふえております。こういうようなことで、結果的にこの硬直化の改善というものがなかなか簡単には進まない問題であるということをわれわれは深く認識をしなければならないと思います。  そうして、それに対して先ほども議論がありましたが、したがっていま行革では、特に行革の中心を経常費の削減に置いておられます。この経常費の削減を本当にやってくれるということになりますと、行革というものが非常な大きな成果を上げていただくことになるわけなのでございます。そしてまた、とかく大福帳的な現在の財政というものを、近代簿記的な眼でこれを見て、そして、いま改革案を実行しておられる。民間の相当有為な人材が、拝聴しますところによると、夜中まで議論を闘わしてやっておられるようでありますから、私はこの行革の努力というものを絶対に無視してはならないというふうに感じておるのでございますけれども、その際に、政府がこの答申を受けとめられまして、さていかに実現するかという段階になりまして、やはり財政硬直化の問題とぶつからざるを得ません。したがいまして、せっかく国民の期待されましたところの行革の答申というものが政府の手に渡りましてからどういうふうに扱われるか、これこそやはり一番大事な問題でございます。  これについては、総理、大蔵大臣も非常に頭を痛めておられることと想像するのでございますけれども、ここで私はひとつぜひ提唱したいことは、ずっと予算編成の過程をわれわれも拝見をいたしておりまして、総理と大蔵大臣があらしの真っただ中に二人だけ立っておる、そういうような感じであります。こんなことでは、行革の答申を幾ら受け取りましても、本当にその答申のとおりに一体実現できるかどうか、これを非常に私は恐れるわけでございます。そういう意味におきまして、ぜひ総理におかれましても、予算編成のあり方についてここらで真剣に御検討をいただきたいと思うのでございます。総理のお考えを伺いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 佐藤議員から御指摘がございましたように、国債残高は着実に伸びる。五十九年度から脱却するという前提に立っても、いまおっしゃったように伸びてくるわけであります。したがって、毎年、国債費は一兆円程度のものがふえるわけです。去年よりことしは一兆二千億円もふえる。これがふえてくる。一方、税収がふえれば、自動的に三法の三分の一近いものが地方交付税でこれも一兆円ぐらいのものがふえてくる。そのほかに、人件費は着実にふえる。年金とか高齢化社会が進むにつれて年金、医療費は着実にふえるというような問題と、もう一つは、先ほど言ったように、海外経済協力も過去五年間の倍にするという国際の約束みたいなものが一つあるわけですし、エネルギーの問題も、日本にとってはこれはふやさざるを得ない。防衛の問題も非常に立ちおくれておるという現状でありますから、これも着実にある程度はふやさざるを得ない。  そこにおいて、要するに国債の発行を減額するということは、財源をその分だけ失うということでございますから、一方にふえるものがあって片っ方は財源を減らすわけですから、当然矛盾が出てくるわけでございます。したがって、これを増税でやらないということになれば自然増収だけが頼り、しかし、それだけ大きなものが自然増収だけで吸収できるとは私は思いません。したがって、どうしても歳出の構造に抜本的なメスを入れなければならない。それは言うべくして、これは受け取っておる方から見れば、総論は賛成だが、事自分に及ぶとなれば反対ということになるわけでございますから、ここが割り切り方でございまして、高度経済成長時代にはやれた施策であっても、このような時代になれば、それは国が支払いをしなくても、補助金をやらなくても自分でやっていただくか、あるいはもっと補助率を削減するか、受益者負担の原則をもっと取り入れるか、いろいろ抜本的に考え方を変えて、それに関連する法律も直していくということでないと、これは言うべくして大幅な歳出削減というものはむずかしいと私は思います。  そういうときに当たって臨調が第一次答申を出し、引き続き第二次答申を出してくれるということでございますので、そういうのと真っ正面から取っ組んで、一層歳出の削減合理化にはがんばっていきたい、そう思っております。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 次に、五十七年度の予算を拝見いたしておりまして、やはり非常に気になるところがございます。それというのは、経常部門、いわゆる経常費的な傾向の経費ですが、これがいま八%ふえておりますけれども、投資部門が二%減っております。それで全体として六・二%ということになっておるのでございます。これは、いま申し上げましたように経常部門が硬直化しているために、なかなかその肩をすかすことがむずかしい。結局、全体の予算の増額というものを、御存じのように、一般歳出を一・八に抑えました。一・八に非常に抑え込んだと思って見ますと、さていま申し上げたように、経常費の方では決して減ってない、八%の増になっている。結局、投資的経費を二%抑えることによって全体の圧縮の姿を一・八%というところにおさめた。これはいま申し上げた硬直化の結果ではございますけれども、しかし、こうした予算の編成を続けていく限り、景気回復は望めません。とにかく予算みずからが投資的経費を減らし、そうして経常的経費をふやしておるのでございまして、いわばこの予算自身が景気回復の足を引っ張りかねない、そういう要素を持っておるということでございます。  この点について二、三伺ってみたいのです。  一つは、これから大減収が起こると言われておりますけれども、その減収の中にも、この予算の組まれ方が一つの原因となっていると思うのでございますが、そういう意味におきまして、ちょうどことしの予算が組まれましたのは昨年の十二月でございますだけに、その後に起こった事情というものを勘案いたしますと、もう一回思い切って、年度が始まりましたらばぜひ歳出削減の問題を取り上げて、節約の問題を取り上げていただきたいと思います。もちろんまだ予算ができ上がらない審議の途中で不謹慎であると言われるかもしれませんけれども、そういうことを言っちゃおられない緊急事態でございます。そういう意味におきまして、思い切った節約をしていただきたい。  従来、主計局、大蔵省が節約というのを事実毎年やっております。これは人件費の財源をひねり出すとか、いろいろな要求から節約というものをやっておるのでありますが、この節約というものが実にわずかなものでございます。現にいま五十六年度の補正予算がこの予算委員会に提案されておるわけでございますが、あそこに三百億か四百億の節約財源が歳入として計上されております。四十六兆円の予算の中からひねり出した節約財源がわずか三、四百億であるということでございます。それで、もし新しい年の予算における節約の感覚が従来と違わないということになりますと、実は先ほどの歳出削減によって思い切った財源をひねり出そうというような話はとんでもない空中のことになってしまいます。よく聞いてみますと、たとえばことしの五十兆円の予算があります。この五十兆円の予算で、主計局が節約の対象にしておる経費は八千億とか、一兆円足らずなのです。五十兆の中の五十分の一です。それで、残りの四十九兆はみんな義務的経費である。地方交付税はもちろんのこと、ほかのいろいろな社会保障的な義務的経費、そうしたものが全部ある。名前は補助金とついておるけれども、たとえば国保の助成金なんかも補助金ですけれども、法律を見れば必ず出さなければならないという条文が入っておる。これを受けとめる主計局は、これは義務費であるから節約のときに手を触れてはいかぬ、こういうことになっておるのです。そして、一つ一つ項目を拾っていくと、五十兆円の中で節約対象の費目は実に八千億だ。一兆円に足らない。ですから、仮に八千億に五%の節約を掛けたって四百億しか出てこない。こういうどっちかというと旧来の事務的な考え方を、ひとつ大臣が高所に立たれまして、この非常事態の際でございますから、全体を見渡して歳出削減が効果的に行われますように、ぜひお見直しをいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 節約が非常に少ないとおっしゃられました。全くそのとおりでございます。これは御承知のとおり、五十六年度予算もかなりぎりぎり切り込んだ予算です。だぶだぶはしてないのです。五十七年度予算はゼロシーリングでつくったやつですから、節約しろといっても節約できるほど緩やかなものはない。たとえば庁費といいますか事務費その他、これらでも数年間ずっと据え置きですから、したがって、実質ベースでは七〇何%と、三〇%近い節約が行われておるというのが現実の姿であります。  それから、一般の経常費を切り込むということをしなければというのは、国債費とか地方交付税はいまの制度では切り込む方法がないわけですから、どんどんふえるのですから、一般のものを切り込むということになると大物からということにならざるを得ない。大物といえば社会保障、これはやるなという声が圧倒的に強い。それから文教、これも一〇%の予算構成比を持っていますが、これなども、切り込むといっても現実には私も非常に苦労しました。  たとえば、私立大学三千六百億円補助金があるのだから、中には土地ころがしもあったり、いっぱい寄附金を、三十億も取ったのもあるから、そういうのをばっさり切れ、こういうことになりましても、いざとなれば、いや二百四十億円実は人件費をふやしてもらわなければならぬ、だから去年と同じく、二百四十億円めり込ませるから勘弁してくれということになるし、教科書を五百億円切れといえば、これはもう絶対だめだとか、みんながんばってしまう。そうすると、もう一つは、今度は育英資金、これも八百億という大きなものを見ると、同じ八百億出してもいいから民間資金が四百億、国の資金が四百億、それを足して三・五%の利息と言っても、これもだめということになって、それじゃ人件費の伸び分をどうするのだということになれば、大学の建てかえとか小中学校の建てかえ率を数%落とすということで四百億円節約してきました、ゼロシーリングです、何とかこれで通してください。そんなこといつまでもやっておったのでは正月になってしまう。しかし、制限があるというようなこともあって、ゼロシーリングの中におさまったのであればやむを得ないかということになったら——これは一つの例ですよ。そのように、現実の問題とすれば、発想を変えない限りは大幅に切り込むといってもこれはなかなかむずかしい問題がある。  しかし、今後とも発想を変えて、こういう時代ですから、高度経済成長時代にできた制度、諸施策については、もう一遍見直しをさせていただかなければならない、私はそう思っております。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 たとえば、ことしの予算表を見まして一番感じることは、ことしは本当は歳入が三兆ふえているのです。ところが、三兆ふえた歳入のうちで国の財政には五千億しか潤いが回ってこないのです。残りの財源は、地方交付税と国債費で半々取られちゃっているのです。ですから、この表を見れば明らかなように、国債費は一兆一千七百億ふえております。地方交付税も一兆一千五百億ふえています。一般歳出は五千億しかふえていない。ですから、その伸び率が一・八になったわけでございます。歳入は六・二%、三兆ふえているのです。六・二%、三兆ふえていて、そうして一般歳出は二%以下の伸びにしかならない。  こう考えてみますと、大蔵大臣の御苦心もわからぬではないけれども、これから前途に横たわる財政難を考えてみますと、やはりここらでいままでのタブーに手を触れるという、そうしたお心構えがぜひ欲しいのではなかろうかということでございます。     〔委員長退席、三原委員長代理着席〕  いままでのようにただ毎年毎年積み上げていく、高度経済成長ではそれでよろしかったでしょう。私は先ほど申し上げましたが、六十年になりますと恐らく予算が組めなくなるおそれがあります。御存じのように、もちろんこれだけの公債の累増をもたらしたものはオイルショックにほかなりません。それで、オイルショックの以後、減収の分は赤字公債によって、景気対策の分は公共債の発行によってやっとここまで賄い、そうして、おかげで日本はパフォーマンスがいいといって称賛をされているのですが、実はそのツケは全部財政に回っていたという事実であります。そうして、この事実がいまになってだんだんのっぴきならなくなってくるというところに来ておるということでございましょう。でございますから、そういう意味におきましても、いままでの考え方でもってやっていただくのではこれはなかなか乗り切ってまいれない。早晩破滅的な現象が生じてくる。もし時間があったら私は減税の問題も触れたいと思いますが、しかし、なかなか厳しいと思います。そういう意味におきまして、総理、大蔵大臣にこの点をぜひひとつ十分御考慮いただきたいと思っています。  そうして、その次に、しからば何もしていないでいいというわけにはまいりません。そこでわれわれは、この不況の中にあっても、何とかしてこの不況脱却の道を探さなければなりません。そうして、自然増収の回復を一刻も早く図っていくということが必要なことは言うまでもございません。そういう意味におきまして、私はいま申し上げましたように、二つの方法を提案したいと思っています。  一つは、いま申し上げたように、タブーを破ってやはり歳出削減に踏み切っていただくという勇気を持っていただきたいということ。それからもう一つは、これは議論がいろいろあるところでございますけれども、私はぜひ、本年はもう早々から公共事業の思い切った前倒しをやっていただきたいと思うのでございます。     〔三原委員長代理退席、委員長着席〕  それで問題は、昨年の例にもございますけれども、公共事業の前倒しをしたのはいいのですが、秋になってから、その穴埋めというかその後始末を怠りました。これがやはり最近の不況に拍車をかけたことは言うまでもないと思います。そこで、この秋になりまして大きく前倒しをした公共事業の後始末に際しまして、ここらでもってぜひ四条債の発行に踏み切っていただきたいのでございます。これは一見矛盾しているようでありますけれども、赤字国債の方は計画どおりやっていただきたい。そうして、それに対して四条債の方の発行に踏み切っていただきたい。  このいわゆる公共債の発行ということは、先ほど申し上げましたが、全体としての公債は累増いたしております。しかし、御存じのように、四条債は借りかえがききます。先ほど総理がおっしゃいました赤字債は借りかえがききません。でございますから、一方においてタブーを踏み破った経費節減、それからもう一つ、四条債の発行によりまして何とか景気を刺激していただきたい。  これは経済企画庁の長官もおっしゃっておりますけれども、ただいまの景気は私は決して悲観すべきものとは思っておりません。いまや景気回復のいわゆる基盤というものは十分にできたと思っております。何しろ物価がすばらしく安定いたしております、これは世界的に見て第一番ですから。この大事な条件を守らなきゃいけないと思いますが、その上に立って、やはり実質賃金の増加も徐々に行われておりますし、そうして在庫調整はすでに、大企業中心の在庫調整は進んできておりますし、いろいろと見るべき要件が備わってきております。ただ、その中にありまして残念なのは、金利政策が景気政策としてとれないこと、動かないことでございます。これは二、三年前まではどんどん公定歩合も下げまして、そして、そのために公債の消化も順調にいったわけですが、今日はどうしても金利政策を動かすことができない。  そういうことを考えますと、残す手というものはほとんどないのです。その中にあって、わずかにやはり財政の面から四条債の発行をする、そして、いま言ったような景気の基盤が熟成しつつあるところへ大きな刺激をいただけば、私は景気回復は十分に成るというふうに考えているわけでございます。数字が五%になりますかどうかが問題じゃございません。いま恐らく景気の風速は四%台になったと思います。でございますから、この風速が四%台になっている現在からどうやって五%台に持っていくか、この際、やはりいまのこの点を一番重視しておるわけでございますが、ひとつそういう点についてのお考えがあれば伺いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 問題は、先ほど言ったように、国債費は年々一兆円以上ふえている。建設国債といえども、これは利息を生まないのなら結構なんですよ。建設国債といえども赤字国債と同じで、市場においては全く同じということになりますから、当然利息はふえます。  それからもう一つは、現在、日本の二百七十兆というような大きな国民総生産の中で、公共事業というのは二十三兆かそんなものでしょう。全体の九%ぐらいです。その中で、仮にさらに一兆、二兆ここでふやしてみても、それによって日本経済を動かす力はない、私はそう思っております。五兆も十兆もふやすのなら別ですよ。しかし、では仮に二兆、三兆でも、それは消化能力があるのか、増発して市場で売れるのか。なかなか売れません。増発することになれば、現在の国債価格が暴落しますから、利回りは高くなります。したがって、新規発行のものはかなり高金利のものでなければならぬ。ということになれば、これは国だけが高い金利で金を集めるのですから、民間も当然預金金利は高くなければならぬということになりますから、現在の低金利政策と正反対なことになる。わずかのシェアのために国全体の金利水準を上げるということが、果たして景気の回復にプラスになるのかどうかというような点も大きな問題点でございまして、これはもういろいろと検討いたしました結果、やはり公共事業については前年並みとせざるを得ないという方針で、災害を除き、そのような方針にさせていただいたものでございます。またいろいろ議論をして、本当に有効な手があってというならば、われわれもすぐにそれはもう反対するものではありません。  ただ、景気の問題は、世界じゅう、アメリカにもイギリスにも、どこにも学者もいればりっぱな政治家もみんなおって、みんなしていいことをやろうと思ってやっているんだけれども、現実にはそうはいかないというのが実情でございますから、あの程度、私はことしの後半、世界全体の景気の動きというものも横目で見ながら景気政策をやっていくべきものであって、ここで急激にアクセルを吹かして、そのデメリットというか副作用の方がでかく出るということを私はむしろ心配をしておるものでございます。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 非常に健全なお考えを伺いまして、私はもう実は内心安心いたしました。公共債の発行もいかぬ、こういうお話でございまして、大変健全でございます。  私が申し上げるのは、借りかえがきくということと、それから六十年代、最初に申し上げましたように、公債の累増はあるけれども、一方で赤字公債を予定どおり早く済ましてしまうということで、恐らく四条債の累増の問題が対策として考えられるのは六十年度も過ぎてからだと思うのです。  それから、金利は、もちろんこれだけの公債を出しておりますから相当上昇機運にあることは御存じのとおりでございますけれども、しかし、累次にわたる公定歩合の引き下げがありましたから、いまや金融は十分に相当の国債量を抱えるだけの順調な地合いになっていることも確かでございます。  そういうような意味において、私は最後に、アメリカの高金利につきまして、ヨーロッパでも非常にいま問題にしております。なかなか政府の言うことも聞かない中央準備でございますから急に下げるとも思いませんが、しかし私はだんだんあれも下がってくると思います。あのままがんばっているとアメリカのリセッションはかえってますます深くなります。  そういうような意味で、だんだん時期が近づいておると思うだけに、ひとつこの際、欧州の首脳部がアメリカにいま働きかけているようでございますから、日本におかれましても、総理からもこの高金利の問題についてはぜひひとつ一言していただきまして、できるだけこの高金利の引き下げについて促進を図っていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これは、機会あるたびにわれわれはアメリカ政府のリーガン財務長官などともお会いをして、数回にわたって話をしております。向こうは、金利を上げているんじゃないんだ、要するに、金がだぶついているから、それを引き締めると結果的に金利が上がるんだというようなことを言っておりまして、もう少し下がるだろう、下がるけれども景気が出てくればまた上がるだろうというようなことを言っておって、なかなか金利下げの政策に踏み切るというようなことはありません。しかし、これについてはヨーロッパの諸国も一斉に、アメリカはもっと低金利にしてくれということを口を酸っぱくしてみんなが言っておることも事実でございます。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 最後に、経済企画庁長官にお伺いいたしますが、例の経済社会七カ年計画です。大分いろんな条件が変わってまいりまして、七カ年計画もちょうど折り返し点になってまいりました。ここらでひとつこの計画を、これだけ条件が変化してきておりますだけに、御改定になるお気持ちがありますかどうか、それを伺って、私の質問を終わります。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 七カ年計画につきましては毎年フォローアップをいたしておりまして、五十六年度フォローアップもつい先般発表したばかりでございます。  これを今後根本的にどうするかという問題につきましては、経済審議会に長期展望委員会というものをつくっていただきまして、今後二十年間の日本の社会経済はどのように変化するかということについていま検討していただいております。ことしの中ごろにはその検討の結果が報告されるはずでございます。  また、同時に、臨調の方も六月ごろには抜本的な機構改革その他についての答申が出るように聞いておりますが、その二つの内容を見まして七カ年計画を根本的にどうすべきかという判断をしたい、このように考えております。

佐藤一郎自由民主党

○佐藤(一)委員 終わります。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これにて江藤君、佐藤君の質疑は終了いたしました。  次に、石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 防衛問題にしぼってお尋ねをしたいと思います。  本会議質問以来、防衛費の突出ということがしきりに指摘され続けてきておるわけです。これに対して、政府やいまの与党の質問者のように、決して突出じゃないという反論もあるようですが、客観的に見て、私はやはり突出と言うべきじゃないかと思います。それはやはり異常な伸び率が問題になっているわけなんです。特別扱いをされました概算要求、その七・五%という率をすら上回った、これを突出と言わないで何と言ったらいいか、私はそう申し上げる。財政当局としてもこのような例がつくられたことについて相当深刻な受けとめ方があってしかるべきだと思います。シーリングはシーリングだ、後でやりようによって何ぼでもふやすことはできるんだ、そんな慣例をつくって今後の予算編成に何の影響もないと大蔵大臣以下財政当局、お思いになりますか。  しかし、私は、自衛隊と言おうと何と言おうと、軍というものが必要だという立場に立てば、このようにどんどん軍事費がふえていくのは必然だ、かねがね言い続けているんです。先ほど与党の質問の中で、自衛隊の兵器は第二次大戦当時のおんぼろだ、朝鮮戦争のころのおんぼろをまだ使っている、弾薬も余りない、こういう指摘がございました。永久に続くんです、このような指摘は。常に近代的なよりすぐれた兵器を求めていくのが必然なんですよ、軍隊というものが要るとなれば。そういう意味で私は、経済大国は必ず軍事大国になる、軍事力というのは経済力に比例するものである、かねてから言ってきているんです。だから、こういう傾向が出てきても、そら言わぬこっちゃないということで片づけられよるかもしれない。しかし、そうは言っておれない。特に問題なのは、総理の変節といいますか、これの疑いがあるんですよ。  あなたは、防衛費といえども聖域としない、シーリングは上限であるということを国会を通じて国民に約束しているんです。それが結果的に裏切られている。私は、昨年の国会で、鈴木・レーガン会談の中であなたが二度目に主張したことが共同声明に盛られてないという不満を述べられた、支持しました、私は。あの考え方、私が支持した考え方というのは、財政再建優先の考え方だったからですよ。立場は違っても、いま日本の政府としてまずやらなくちゃならないのは財政の立て直しなんだ、そうそうアメリカに要求されても応ずるわけにはまいりませんという姿勢がかいま見えたから、私は支持したんです。みごとに裏切られたんです。聖域としない、せいぜいのところシーリングは上限だと言っているときまではその延長線上にあったんです。これがもう一つの問題点なんです。  なぜがんばれなかったんだろうか、ここにもう一つの問題があるんですよ。独立国としての安全保障というものを論ずるならばなおさらのこと、まず大切なのは自主性じゃないですか。独立国としての誇りじゃないですか。そこに疑問を持つからこそ、いまこれだけ論議されているんだと私は思います。  確かにアメリカの圧力というものは目に余るものがございました。アメリカの国会で安保税を二%課するといった法案が出されてみたり、GNPの一%防衛予算を計上すべきだといった決議案が出たり、言うこと聞かなければ安保条約をどうかするぞといったような全く妙ちきりんな決議案が出たり、一体どういうことですか。日本はいつ五十一番目のアメリカの州になったんですかと私は言いたい。  しかも、結果として、あなたはその圧力に屈しているんです。あれだけ財政再建優先と言いながら、五十九年度までに赤字国債をなくするということも見込みがなくなる。増税はしませんと言った約束もほごにしてしまった。先ほどから問題になっている福祉の切り捨てとか、あるいは教育予算の削減とかいう問題もありますが、もっと大切な、いま私が指摘したようなあなたの公約も裏切られてしまったんです。  これは、私は、安全保障という問題とかかわりを持つだけに、自主性の喪失という形で指摘せざるを得ないのです。あなたはじくじたるものがあるからだと思いますけれども、圧力はなかった、圧力はなかったと言います。しかし、あなたが幾ら圧力がなかったとおっしゃろうとも、客観的には大変な圧力がかかってきている。内政干渉が行われた、こう受け取るのが筋じゃないでしょうか。その辺についてのお考えをまずお伺いしておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 防衛費の問題につきまして、シーリングの七・五をさらに上回って七・七五になった、これは大変なアメリカの圧力に屈したものであって、大変なことである、こういう御指摘でございます。  このシーリングの中における七・五%の防衛予算の概算要求の上限、これは御承知のように、公務員の給与ベースのアップ、これが予定をされない時点においてシーリングというものが決まったわけでございます。で、その後におきまして二・四%公務員の給与が改善をされる、こういうことになったことは御承知のとおりでございます。そういたしますと、七・五%に二・四%をそのまま加えた場合には九・九%になるわけでございますが、われわれは、防衛費といえども聖域でないという観点から、極力七・五%の中にこれを圧縮をするという努力を、政府と党が一体になってこれを行いました。しかし、予算の中で人件費の占めるシェアの大きい省庁、たとえば裁判所でありますとかあるいは文部省でありますとか、そういうところもシーリングの枠を超えざるを得なかったわけでございます。防衛予算におきましても五〇%近いものが人件費である、そういうことから、この七・五%の上限の中に押し込むということが、〇・二五が残った、こういう結果でございます、〇・二二ですか、二三ですか。この点はひとつ、当初この委員会で石橋さんに私がお答えをした、その気持ちで努力をしたということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。  米側から具体的に、五十七年度予算についてこれだけ増額してほしい、防衛費をひとつぜひ確保すべきだ、そういうようなことはございません。米側がその後において、五十七年度防衛予算についてこれを評価したというようなことが言われておるわけでございますけれども、日米安保条約で結ばれておる日本との間で、この安保体制の円滑かつ有効な運営ということを考えておる米側として関心を持つのは自然のことであろう、私はこう思うわけでございまして、決して米側の圧力、そういうものに屈した、こういう予算ではないということは御理解を願いたいのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 昨年の十二月二十九日の西日本新聞ですけれども、「異例の突出となった防衛予算の編成に際し、アメリカのヘイグ国務長官、ワインバーガー国防長官がそろって日本政府に対し、重大な関心の表明という形で大幅増の実現を強く迫っていたことが、二十八日、明らかになった。複数の鈴木首相周辺および自民党筋が確認したもので、ヘイグ長官らの極秘のメッセージは、口頭で大河原駐米大使、外務省を通じ、首相に伝えられた。」こういう報道すら行われておるわけなんです。しかし、先ほど申し上げたように、総理は内政干渉だとか不当な圧力があったとかいうことはお認めになりますまい。軽々に口に出せない問題であればこそです。  しかし、もう一つ、私はわれわれの受けとめ方と総理の受けとめ方との間に違いがあるんじゃないかという気もし出したのですよ。それはどういうことかといいますと、やはり昨年の訪米に際して大統領と会談をしたときに約束をしたんじゃないか。そこでアメリカから矢の催促を受けたような感じになるんじゃないか。われわれが圧力と受けとめるものを催促される、約束の実行を迫られるという形で受けとめる部分があるんじゃないかという気がするのです。会談の内容についてはわれわれわかりませんから、その結果として内外に明らかにされた共同声明の文言を見ても、それを感ずるわけですよ。  総理がアメリカに対して約束したことは何だ。日米両国は同盟関係だという確認の上に立ってまず約束したのは、日本の防衛並びに極東の平和及び安定を確保するに当たり、日米両国間において適切な役割りの分担が望ましいこと。二番目に、日本の領域及び周辺海・空域における防衛力を改善し、並びに在日米軍の財政的負担をさらに軽減するため、なお一層の努力を行うよう努めること。三つ目に、日本の防衛に寄与することに対する共通の利益を認識し、安全保障問題に関するなお一層実り多い両国間の対話に努めること。四番目に、日本政府が新中期目標のもとで政府開発援助の拡充に努め、また、同政府が世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化すること。非常に抽象的ではございますけれども、このように約束してしまった。  そして、この両首脳の会談を受けて、その後もろもろの会議が持たれているわけですね。ここでさらに具体的な約束になってきているんじゃないか。たとえば大村・ワインバーガー会談、事務レベルの会談、あるいは日米安保協議委員会、あるいは装備に関する担当者会議。あなたとレーガン大統領の間の約束、このような抽象的な約束が次第にそういう会議を重ねる中で具体化していっておる。それが現状じゃないか。私はそう見るのが正しいような気がするのです。  そこで、あなたのレーガン大統領に約束したことに基づいて、以後の会談でどういう具体的な形で話し合いが進められてきておるのかということをちょっと私なりにまとめてみました。  その一つが、防衛予算の特別扱いによる増額。それは日本の財政も大変だろう、しかしそれはお互いさまだ、アメリカだって、NATO加盟国だってみんな大変なんだ、その中で軍事費の増額に努めておるのに日本だけそのような主張をしたって通らないよ、わかりました、とにかく一生懸命やります、これが第一番。二番目は、総理自身がこの首脳会談の後の記者会見で具体的に申しておるわけですが、日本の領域及び周辺海・空域における防衛力の強化、これが二つ目の約束。三つ目が、在日米軍駐留経費負担。四つ目が、極東有事研究の開始。五つ目が、軍事技術協力及び対米武器輸出。六つ目が、対韓援助。こういうふうにそれぞれのレベルで話し合いが詰められておるのが現状と見るべきじゃないでしょうか。  そして、外務省や防衛庁の意見は、これを実行しなければ日米関係はますます悪化します、総理大臣はアメリカの不信感を高めます、こういう立場をとっておるんじゃないでしょうか。この点について外務大臣と防衛庁長官の見解をお伺いしたい。陰に陽にそういう姿勢が見られるわけですが、いかがなものでしょう。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 石橋委員御承知のように、私、就任してまだ二カ月余でありますから、私のお答えがあるいは不十分かもしれませんが、私が外務大臣として、いまお示しのような予算の増額とか防衛力の強化とか、あるいは極東有事とか武器輸出とか対韓援助、いろいろ御指摘がございましたが、私は私なりに所管の事項については鋭意詳細検討したり、それから所見を述べたりいたしております。  しかしながら、その間に、いまおっしゃったように、こういうことがうまくいかないと日米の関係が悪くなるのであるとか、あるいはお話しの前提が何かアメリカ側からいろいろ言われておるんじゃないか、圧力というような御表現でございましたが、しかし、この二カ月余の間に私としてはそういうことを感じておりません。また、圧力らしきもの、いま直ちにここで記憶に上ってまいりません。  何か具体的にお尋ねであればまたお答えをさしていただきたいと思いますが、私としては、誠心誠意日本の外務大臣としての立場で国民の御期待にもこたえていきたい、鈴木内閣としても閣員の一人としてりっぱに対米関係もやっていきたい、こういうことで誠心誠意努めておるところでございます。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 まず第一点、アメリカ側の問題、先ほども申し上げましたけれども、日米安保条約に従って日本を守る立場にあるアメリカが重大な関心なり期待を持っていることは当然でございまして、それはそれでございます。  そこで、私は先ほど武藤山治議員の御質問に答えて、私が長官になってから何らアメリカからそういう具体的な要請もなかったものですから、質問の御趣旨は勘違いしましたけれども、私は思わず率直にそういうことはありませんでしたと。さらに、われわれがいま願っておりますのは、石橋委員とうに御承知のとおり、限定的な小規模な侵略事態に対処できる必要最小限度の防衛努力をできるだけ早くつくり上げたいということで念願をしておりまして、軍事大国とかそういうものを決して目指しているものではございません。現に私が防衛庁長官になりましてから早速の総理から御指示がございまして、そんなに大変な財政事情でございますので防衛庁予算だけ特別な扱いはできないよということを、僕が防衛庁長官に任命を受けたその瞬間に、一番最初の御指示がそうでありました。しかと覚えております。  それから、防衛突出の問題は何度も御議論があり、また総理からも御説明がございましたが、私が就任をいたしまして最初の仕事は、当然予算でございました。七・五%のシーリングはもらった。もらったとは言いませんけれども、それは大体よかりそうだ、努力をしなくちゃいかぬ。そこに人事院のベアの問題ができまして、それに要する費用が五百八十億円です。しかも自衛隊、防衛庁の予算はほとんど半分が人件費でございますから、その人件費五百八十億円がそのまま正面装備とか後方支援体制その他に食い込まれたのでは、これは私たちがいま目指しているそういう小規模な侵略に対する防衛大綱の予算にもなかなか到達できないんじゃないか、できるだけ早く到達したいというその確かな一歩をこの五十七年度で進めてみたいという念願のもとに、私は、新米の大臣でございましたけれども、諸先輩の方々を、新聞記者の経験もありますので歴訪いたしまして、御教示を賜りながら、御支援を賜りながら、しかも最初の総理の私に対する指示が、防衛庁だけがとてもそんなに特別なことは見られないよと。しかし、いまもお話しのとおり、七・五に、人件費の五百八十億円のアップというのは二・四%ということで九・九%だ、九・九%も取りたいというような気持ちでがんばり、また、最初の概算要求の内示は現に六・五%でございましたから、そこから積み上げていくのはなかなか大変でございまして、決してアメリカとの関連その他は私自身を含めましてなかったわけでございまして、最後には大蔵大臣、総理の御判断のもとに決まったわけでございますけれども、防衛庁としてもぜひひとつあの大綱に、五十一年に決められた大綱の水準に到達していないわけでございますから、できるだけ早く到達したいという願いを込めての今回の予算でありますことを平に御留意を賜りたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 答弁をできるだけ簡潔にしてください。  そういうふうに積極的にお答えになるのでしたら、これから聞くことを事務当局にゆだねないで、何ぼでも立ってください。肝心のことは事務当局なんということにならないように、このことをくぎ打っておきたいと思います。  とにかく、私としましては当面の問題としていま六点にしぼったわけです。したがって、きょうの質問もこの六点について順次やりたいのですが、とにかく時間が限られておりますからどこまでいきますか、二、三の問題点で終わるのじゃないかと思いますが、まず最初に、軍事技術の交流、対米武器輸出の問題を取り上げて質問に入りたいと思うのです。  第一に、総理は、民間、軍事両用に使用できる汎用品は武器輸出三原則にいう武器には該当しない、これを三原則の対象とするのは不適当と考えるといままで述べておられるようでございますけれども、間違いございませんか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、汎用に使われるものとして輸出をしたものが輸出先においてどういうぐあいに転用されるか、それは確認ができない、そういう事情もございまして、まず、日本から輸出される段階においてこれは汎用品であるということをはっきり確認をして、それによって貿管令なりあるいは外為法なりの定めるところによってこれを認める、こういうことにいたしておるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 汎用品だけではなくて、それはしたがって汎用技術についても同様の見解をおとりになるわけですね。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤政府委員 技術につきましては、外為令上の規制になっております。製品と同様に、技術の特性、形状、内容に即しまして判断するということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 汎用品と汎用技術の間に差があるのですか。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤政府委員 汎用品は製品の問題でございますし、汎用技術は製品をつくる技術でございますから、汎用技術と汎用品とは同様の考え方で処理しております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、汎用品、汎用技術については、アメリカだけではなくて、どこの国に対しても輸出、提供できる、三原則には違反しない、こうおっしゃるわけですね。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤政府委員 汎用品と汎用技術につきましては、武器三原則の適用につきましてはその適用の範囲外だ、こういうふうに考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは、汎用品じゃなくて、れっきとした武器についてはどうなんですか。この間、一月二十六日ですか、和田装備局長が記者会見で、アメリカ向けの場合には三原則の制限外だ、れっきとした武器といえども輸出できる、方法としては、日米地位協定十二条に基づいて在日米軍が調達して、日本の施設、区域内からアメリカに運び込んでいけば抵触しない、こういうことを言っておるわけですが、通産大臣としてもこの見解は支持するわけですか。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 私の発言でございますから、事実だけ確認させていただきます。その後で通産大臣にお願いいたします。  私が武器につきまして在日米軍施設を利用してできると言ったと言われたと思いますが、私はそのように申し上げてございませんで、私はもっぱら武器技術との関連で申し上げた次第でございます。そのときには、在日米軍施設を利用すればできるというようなお話もあるようであるがというふうに記者会見で申し上げたわけでございます。  以上でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は、新聞の記事で読んでおるわけですから、確認をしているわけなのです。  汎用品については、完成した汎用品も汎用技術も同じだとさつき答弁いただきました。武器については、今度は完成した武器と武器技術、軍事技術とは分けるのですか。どうしてそういうことができるのですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 武器輸出三原則あるいは統一方針に基づきまして、武器並びに武器技術はその対象になるということであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 はっきりここで確認しておきたいのですがね。装備局長の言っていることと違うのですよ。装備局長が記者会見の際に述べた見解というのは、新聞報道によれば、「共同開発と武器輸出三原則との関連」という形で、まず第一に、「日本国内で共同開発した武器や武器技術を正規の手続きで対米輸出する場合だけ三原則に抵触する」「日米地位協定一二条に基づき在日米軍が調達し、日本の施設区域内から米国に運ぶ場合は三原則にぶつからない」、こういうふうに述べておるのです。兵器も武器も軍事技術も正規の手続をして輸出ということにしようとしたらそれはだめです、しかし、米軍に日本政府が提供している施設、区域内で、武器であれ軍事技術であれ買って、そして直接アメリカに運んでしまったら、これは三原則に抵触しないと記者会見で言っているのですよ。それは間違いありませんかと通産大臣にお尋ねしているのですよ。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 申しわけございません。私、ここに記者会見のときの記録がございまして、私以外の人がとったものそのままでございますが、私はそういうふうに言った記憶がございませんで、もっぱら武器技術との関連でこのときは論ぜられたわけでございます。さっき申し上げましたように、在日米軍施設を利用すれば問題のない場合もあるという説もあるようであるがということをちらっと申し上げた次第でございまして、したがいまして、これをキャリーいたしましたのは、そのときに共同会見をされた多くの新聞社の方がおられましたが、一紙だけに取り上げられた、こういうことでございます。もし仮に、私がかようなことを申し上げたとすれば、多くの新聞の方がおられましたわけでございますから、全紙が報道したということになるかと思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 いまのようなあいまいなことを言えば、それはミスリードされる記者の方もおるかもしれません。しかし、もしそういうことだったとすれば、私は意識的にやっていると思いますよ。そんなにはっきりしたことを言ったのに——一紙だけであろうと二紙であろうと、こんな明確な断定がどうして下されますか。いいですよ、もう。だから、事務当局はいいです。大臣の明確な政府としての見解をお答えください。間違っているなら間違っているでいい。  防衛庁長官、あなたのところの局長ですよ。通産大臣と二人、この見解について明確にしてくださいよ。軍事技術を在日米軍が地域内で調達するなんということがありますか。調達するとすれば武器じゃないですか。両方並べておったって武器にウエートがかかるでしょう。武器輸出禁止の三原則からいえばいわば脱法行為です。それを政府が堂々と認められるかのごとき見解を述べるとすれば問題です。そういう報道をした新聞社があるなら、それじゃ抗議を申し込んだのですか、こんな大切な問題を、大臣として。防衛庁長官、どうでもいい問題ですか、これは。どうでもいい問題ですか。大臣、お二人の大臣が答えてください。(発言する者あり)

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 石橋委員に申し上げますが、ただいまの御質問を承っておりますと地位協定の関連のことのようでございますので、条約局長からひとまずお答えをさせます。

栗山尚一外務省条約局長

○栗山政府委員 地位協定の十二条の関連で石橋委員から御質問がありましたので、お答えいたします。  地位協定の十二条は、先生御承知のとおりに、在日米軍あるいは安保条約に基づきましてわが国の施設、区域の使用を認められている米軍が、わが国におきまして必要な物資を調達する、その場合に、それに対して制限を加えてはならない、こういう趣旨でございまして、また、武器を含みます米軍の保有物資というものをわが国から外へ持ち出す場合には、これをわが国の法令で規制するということは、米軍の機能というものに対しまして不必要な制限を課する、こういうことになりまするので、国内法令上そういう制限は課さないということで、米軍の物資搬出につきましては、これを国内法の規制の対象から外しておる、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、これはまたさっきの装備局長の答弁とも違うんじゃないですか。どうなんです、その点は。同じですか。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 私の答えといまの条約局長の答えは同じでございます。ただ私は、所管事項以外のことでございますので、ようでありますという言葉をつけ加えた次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、地位協定十二条によりますと、在日米軍は、完成した兵器であれ、軍事技術であれ、調達して自由に本国に持ち帰ることができる。武器輸出三原則というのは一体何ですか。まさにしり抜けじゃないですか。アメリカを経由しさえすれば、紛争当事国であろうとどこであろうとどんどん行きます、そういうしろものでございますか。通産大臣、そういうことなんですか。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 いまのお話のように、在日米軍につきましては輸出貿易管理令の義務または制限を免除しておるわけで、これはいまのお話のように、地位協定によるわけであります。しかし、いましり抜けではないかというお話がございますが、これはやはり地位協定の性格上、これが乱用とかあるいは悪用ということがされることはない、こういうふうに考えております。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○中澤政府委員 ただいまの大臣の補足をいたします。  在日米軍に対します武器技術の提供の問題でございますので、御説明をいたしますと、わが国の居住者が在日米軍に対して武器技術を提供するという場合につきましては、外為法第二十五条に基づき通産大臣の許可を要することになっております。したがいまして、万一、いままではそういう申請はございませんけれども、万一そのような申請がありました場合には、当該技術の提供が地位協定上の義務か否かにつきまして、外務省と十分協議いたしましてその是非を判断する、このように外為上の解釈としては考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それで私は大臣の答弁をお願いしているのですよ。堂々とそういうしり抜けを認めておるかのごとき印象を与えておりますから、そんなことはない、あくまでも政府としては武器輸出の禁止の三原則というものにのっとって処理をしている、これからもそうするとおっしゃるのか。それでなかったら、いまから研究しますなんてナンセンスじゃないですか。三省が集まって検討中、こんなことナンセンスじゃないですか。したがって、念を押しているのです。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 先ほど私が言いましたことで少し足らなかったわけですが、いま武器についての答弁をしたわけですが、確かに武器技術につきましては外為上の許可が要るということになっておるわけでございますが、それについては、いままでそういう例はないということでありますし、その際には条約上の問題もありますし、外務省と相談をする、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 また、それじゃ違うじゃないですか。  私は汎用品と純粋の兵器と分けて念を押したわけですよ。汎用品と汎用技術は扱いは同じですねと言ったら、同じです、武器と軍事技術とは同じですかと言ったら、結果的には同じですと言ったんだ。また違ってきたじゃないですか。どういうことですか、これ。(発言する者あり)いや、事務当局、聞けば聞くほどばらばらだから、統一して大臣でお答え願いたいんですよ、大臣。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 汎用品、汎用技術につきましては、三原則上、これは先ほども総理も答弁したように、これは別に差し支えはない、こういうことでありますが、武器技術につきましては、いまお話し申し上げましたように、これは米軍を通じるという場合においては、米軍を通じて外へ出る、こういうときには外為上の許可を必要とする。(石橋(政)委員「チェックができるということですね」と呼ぶ)チェックができると、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 完成兵器の場合はチェックできないということですね。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 兵器の場合はその貿管令の対象にならないわけでございますが、これは地位協定によるわけですけれども、しかし地位協定の性格上、そうした乱用というようなことはあり得ない、こういうふうに考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 まあ、後でまたこの問題に触れますから、先に進めます。武器技術について共同で研究開発しようという話がいま具体化しつつあるわけですから、一歩進めます。  そこでお尋ねしたいのですが、まず前提として、安田防大教授がその存在を指摘して、一月二十六日の記者会見でこれまた和田装備局長が確認をしました武器の研究開発に関する覚書というものについて質問したいのです。  昭和四十一年六月に防衛庁と国防総省の事務当局が取り交わした武器の研究開発に関する覚書というものは、あるのですか、ないのですか、防衛庁長官。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 いま御指摘がございました覚書は、昭和四十一年に防衛当局間で行いました研究開発に関する覚書のことと思われますけれども、これはございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これは昭和二十九年の日米相互防衛援助協定と、それに基づいて交わされた昭和三十七年十一月の日米軍事当局による技術的資料、情報の交換に関する取り決めの効率的運用を図るために、日米の担当者同士が考えを述べ合ったものをまとめたものだ、こういうふうにいままで説明がなされておるわけですが、この点は間違いございませんか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 そのとおりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうしますと、ここで問題になるのは、この覚書なるものの性格、拘束力といいますか、これがどうしても問題にならざるを得ない。  そこで、この覚書を手交した当事者、担当者はだれなんですか。日米のそれぞれの担当者をはっきりさせていただきたいのです。  安田氏によりますと、アメリカ側は国防総省代表ロー氏の法律顧問、こういうような説明がなされているわけですが、資格も名前もどうもはっきりいたしません。この辺をはっきりさせていただきたい。これに対応する日本の側の当事者もひとつ明確にお示し願いたい。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 お答え申し上げます。  まずこの覚書なるものは、たびたび申し上げましたように、議事録的な性格のものでございますが、日本側でこれに当たりましたのは、その当時、技術参事官をされておりました夏村氏でございます。それと、当時の装備局長の国井氏でございます。それからアメリカ側は、国防総省のローという方がおられます。その方が話し合ったというふうに聞いております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 外交文書としてどの程度の拘束力があるのですか。  その前に、外務省なり防衛庁の長官なり、どの程度これにコミットしているのか、これをまず確認しておきたいと思う。まず防衛庁の方から……。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 この間、一部で報道されましたときに、事務当局から報告を受けたという程度でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それは、あなたはなったばかりですからそうでしょうが、まさか参事官が独走しているわけじゃないでしょう。そのときの大臣がどのようにかかわりを持ったのか、そこのところをまず確認しているわけです。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 現在、この覚書について鋭意調査中でございます。何せ十六年前という非常に古いことでもございますので必ずしもつまびらかでない点もございますが……。  さっきちょっとお触れになりました拘束力の点でございますが、私どもはそういった拘束力が、法的には非常に厳密な意味の拘束力があるものだというふうには考えておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これも新聞によりますと、また新聞誤報だと言うのでしょうが、あなたの、装備局長の見解に従えば、共同研究開発への道が現在すでに大きく開かれていることになると結論づけているんですよ。いわば条約に準拠してつくられたメモなんです。拘束力があるのだ、いまでも軍事技術についての共同研究開発ということはこれに基づいてやれるのだ、そういう記事になっちゃってる、あなたはどういう説明をしたか知りませんけれども。あなたに聞いても、そんなことは言わなかったと言うでしょうから、大臣にお尋ねいたします。  十六年前のことだからわかりませんじゃ済みませんですね、いまさしあたり日米間で問題になっているテーマですから。軍事技術についての共同研究開発というのはもう始まっているわけですよ、やろうと。それに対して、もう十六年前からそんなものは決まっておるよと言う者がおるのに、そうだろうかどうだろうか、いま検討中、調査中、そんな外交折衝がございますか。防衛庁長官、いかがです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 十六年前に取りまとめられた議事録的なものでありまして、しからば今日までこれがどう作用したかということになるわけですけれども、大体が議事録的なものでもございますので、これに基づいて作動したということはございませんで、これから始めるという研究開発を行う場合には当然新しい取り決めが必要になるわけでございまして、そのスタートが先般ようやく始まったということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 いま三者の間で話し合いが行われているということなんですが、そういう意味から外務大臣と通産大臣に御確認をしておきたいと思うのです。  もうこれで道が開かれているなんて言ったら、ばかばかしい話ですよ、いまから三者で話するなんというのは。防衛庁長官としてはやや否定的な答弁を、いましました。外務大臣、あなたは、まずこの覚書作成にどの程度外務省はかかわりを持ったのか、それで外務省の見解として、軍事技術交流の共同研究開発というものはその覚書によってやれるなんという見解はとっておらないならおらない、明確にお答えを願いたいと思います。——あなたは外務省でしょう。大臣に聞いているんだ、私は。事務当局に聞いているのではない。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 石橋委員のお尋ねの件につきましては、大変不見識なことを申し上げて恐縮なんですが、私も新聞で読みまして、これは外務省の方にどのような関係があるか、こういうことで北米局長の方へ聞きました。そうしたところ、当時そのような話し合いがあったということは外務省の方でも聞いておる、しかしながら、それは防衛庁内部の作業ではないか、こういうことでございましたが、局長からさらにお聞き取りを願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 あなた、局長に直接聞けばいいのですよ。私は結論だけ求めているのですから。この覚書で軍事技術の共同研究開発ができるのかできないのか。政治家が、大臣が、そんなことが答えられないで任務が全うできますか。事務的な問題じゃないじゃないですか。あなたがいまから事務当局の話を聞くというのなら、その前に、それでは通産大臣、あなたの見解。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 武器技術の共同開発研究そのものは三原則の規制の対象ではないと思います。しかし、これに関連してわが国から武器や武器技術を輸出するという場合には、これが三原則に適用されることは当然のことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 もう一度お尋ねします。非常に重要な問題なんですよ。軍事技術の交流問題というのは、結局のところ兵器を共同で研究開発しようということに重点があるようなんです。それが武器輸出禁止の三原則との関係からあるいはその他の国内法の関係からできるのかできないのか、それをいま政府の間で検討している、こう言う。検討していると言うからには、できるとかできないとか、結論はまだ政府の間で出てないと考えるのが常識でしょう。それなのに、覚書というのが十六年前にもうできておって、できるんだというような説をなす者が出てきた。しかも、そう言ってないと言うけれども、政府の内部からそういうふうにとられるような発言が出てきている。そこで私、疑問を持っているわけですよ。だから、追及しようとかどうしようということじゃないのですよ。私は先に進みたいですよ。この覚書でできるのですかできないのですか、こう聞いているだけなんです。できるのなら、いまから研究する必要はないじゃないですか、結論がもうあるのだったら。いまのまま、覚書ではできないからこそ研究しているわけでしょう。どちらですかと責任ある三人の大臣にお答えを願っているわけです。いま三省で打ち合わせしているわけですから、その三省の最高責任者に私はできるのかできないのかとお聞きしているわけです。

安倍晋太郎自由民主党通商産業大臣

○安倍国務大臣 覚書の関係を私、通産省として、防衛庁の関係でございますからよく承知いたしておりませんが、しかし、いま申し上げましたように、武器技術のいわゆる共同開発研究というものは、そのものが三原則の対象にはならないのじゃないか。ただ、これによって武器や技術が輸出されるという段階になれば、もちろん三原則の適用を受けるということである、こういうことであります。  また、なお、武器技術につきましての交流問題については、いま御指摘のように、三省間で検討をいたしておることはこれは事実でございますが、もちろん結論を得るに至っておりません。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ただいまこの話し合いが、どういう外務省とのかかわり合いかということで申し上げましたように、外務省はこれは防衛庁の中でのお話し合いである、したがって、できるかできないかということについてのお尋ねでございますが、これはできないと私は思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 結構です。そうでなければ、私たちもこれは全くナンセンスということになるのですよ。結局十六年前と言えば、武器輸出三原則が確立する以前のことなんです。武器輸出禁止の三原則ができたときに、当然そういう有効なものがあるならば、防衛庁からでも異議が申し出されなければならぬ。そうおっしゃるけれども、実はこういう約束がもうすでにアメリカとあるんでございますからと、それ以来常に三原則の論議がなされるときにはついて回らなければいけないはずなんですが、そんなことは全然出てないのです。そういう意味では、この覚書でもう道は開かれているんだなどという解釈は成り立たない。外務大臣の答弁は非常に明快ですから、それで結構です。  そうしますと、この覚書は、相互防衛援助協定第一条による三十二の取り決めのうちの一つということになるのですかならぬのですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 細目取り決めではございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 この三十二の取り決めについては、要求者にすでに出しておられるかどうか、そのことを確認しておきたいと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 細目取り決め三十二件のうち、四件を除いて全部提出済みでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 四件については提出できない理由を明らかにしてください。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 四件について現在調査中でございますが、アメリカ内部の手続、すなわちそれが公表になっているか不公表になっているか、その点だけにかかっております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それが明らかになれば、追って提出するわけですね。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 公表文書ということが明らかであれば、もちろん御提出することはできます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ、もう一つ確認しておきたいと思うのですが、いままでに武器の共同研究開発というものが行われたことがあるのかどうか、この点について確認をしておきたいと思います。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 御質問でございますが、共同研究開発という言葉は非常ないろいろな言葉を含むのでございます。私どももいろいろなところを当たってみましたけれども、場所によりましてその定義が区々でございます。場所によりましてその内容がいろいろございます。一般的に考えられますのは、まず研究なり開発なりに必要な技術、それから技術者、人でございます。それから、どういうものをつくろうかという運用要求、これのすり合わせあるいは資金、あるいはこれを実際に研究開発をするための施設、試験設備とかあるいは試射場とか、そういったところでございます、そういったもの、あるいはその試作品をつくるための生産設備、そういったものをプールするというのが共同研究開発ということになるんではないかと一応考えられます。  一番理念型といたしましては、そういったすべてのものを持ち合う、しかも、なるべく平等に持ち合うというのが一番片っ方の端にありますところの理念型だと考えられますけれども、片や人と人とが会ってお互いに知恵を交換するというものですら共同研究と呼んで呼べないことはない、また呼んでおられる方もございます。したがいまして、共同研究開発の定義いかんによりましてお答えが違ってくるかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 じゃ、その両方の場合、あったのかなかったのか、分けてお答えください。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 たとえば、運用要求を運用二者がお互いに会いまして相談し合うというようなことを仮に共同研究と呼ぶということであれば、そういうことはあったかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 これは後ほどまた同僚委員が質問いたしますので、私は次に移りたいと思うのですが、この公表されました覚書なるもの、安田氏の発表したものを見ますと、非常に屈辱的というような条件をのまされているわけですね。計画の対象プロジェクトはアメリカの陸海空軍が実際に必要とする装備品の研究開発、そういうのに限られておりながら、開発経費は日米両国が半分ずつ持つ、しかも、その開発の結果生じた特許権とノーハウはアメリカが取得する、こういう内容になっているんですが、よもやいまから交渉が行われてこんなものがまた浮上してくるということはないでしょうね。この点を一つお尋ねをしておきたいと思いますが、これは通産大臣ですか。どちらになりますか。外務大臣ですか、防衛庁長官ですか。それじゃ、防衛庁長官、どうぞ。

和田裕防衛庁装備局長

○和田(裕)政府委員 まずお断りしたいことは、あの安田論文が絶対に正確であるという御前提のもとでの御質問かと思いますが、率直に申し上げまして、私どもの同僚職員の書いた論文でございますので、非常に言いにくいことではございますが、全体といたしまして、安田論文が覚書なるものの内容を正確に反映していると申し上げるには距離があるということを申し上げざるを得ないということをまず申し上げておきます。  その次に、非常に屈辱的云々ということがございまして、その屈辱的なものならつくらないかどうかというのが一つ、それから、そもそも覚書なるものをつくるかつくらないかという二点に分けられるかと思いますが、当然のことながら、われわれとしては、屈辱的なものをつくるのはどういう条件でもないということは申し上げるまでもないかと思います。  その次に、こういった覚書をつくるかどうかということにつきましては、それは全く仮定の問題でございますし、また先ほどからの御答弁にもございますように、やり方によっては共同研究開発というものは武器輸出三原則に抵触する場合があるわけでございますから、そこら辺の問題につきまして検討中であるということを踏まえまして、いまのところは答弁を差し控えさしていただきます。そういうように考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 防衛庁長官に政治家として見解を問います。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 ただいま局長からも申し上げましたとおり、決して屈辱的な内容のものにするつもりはございません。それから、ただいま始まったばかりでございまして、三省庁で検討中でございますので、具体的な内容についてはいま申し上げる段階ではございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 もう一つ、私、確認しておきたいと思うのですが、これは軍事技術に関するものじゃなくて兵器に関することなんですけれども、かねがねから日本において航空母艦を建造してアメリカに貸与するというような案が、昨年でしたか、ジョージ・ボール元国務次官、去年の十一月にはレーマン海軍長官がそれに似たような発言をしているわけです。米国は現在海軍力強化のための十分な工業力を欠いており、日本など西側造船先進国の助けを必要とする、米国が求めるのは優秀な設計、建造、情報、技術だ、それを裏づけるかのごとき発言がレーマン海軍長官からもなされているわけですが、一体こういうことが、やるやらぬは別として、日本の立場で可能なのだろうかという問題についてお尋ねしておきたいと思うのです。  少なくとも攻撃型空母というものは憲法上保有できない、ほかにも保有できないというものはたくさんあるわけですが、そういう見解が政府から常々述べられておるわけですけれども、そういうものは幾ら一緒にやろうなどと言われてもこれはやれない、こういうことになるのかどうか、確認をしておきたいと思います。

豊島格通商産業省機械情報産業局長

○豊島政府委員 航空母艦は、直接戦闘の用に供せられる武器そのものでございますから、当然武器輸出三原則及び統一見解に従って処理される、適用になるということですから、できないということです。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ、軍事技術の問題についてはこの程度にとどめて、次に極東有事研究の問題に入りたいと思います。  去る一月八日開催されました第十八回日米安保協議委員会において、「日米防衛協力の指針」に従い、安保条約六条に関する極東有事研究に着手することが合意されたと発表されておるわけです。非常に重大な関心を国民としても持っておるわけです。私どもも同様に大変関心を持っております。  そこで、一体極東有事研究というのは何なんだろうか、どういう事態を指しておるのだろうか、この辺からはっきりさせてみたいと思うのですが、要するに安保条約の六条が発動されるような条件、状態、それを予想しておるのかな、こういうふうにも感ずるわけです。すなわち、極東の安全と平和に寄与するために日本の施設及び区域が使用されて、アメリカ軍が作戦を展開する、行動を開始する、そういう事態において日本がどのような役割りを果たせるのか、協力できるのか、そういうことなんだろうかと私は考えているわけですが、間違いございませんか、そこからひとつ……。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 いわゆる六条研究、日本以外における極東の事態で日本の安全に影響のある研究については、これから実質的な話が進むわけでございまして、どういうふうな展開になるかということをここで具体的にお答えするのは時期尚早かと思います。いま石橋委員の御質問について、一般論で言えば、六条の研究といいますか、安保条約六条に基づいておりますので六条との関連が出てまいりますけれども、いまお尋ねの米軍の作戦行動ということ、これは安保条約上戦闘作戦行動というふうに限定されるわけでございまして、いま私たちがやろうとしているのは、日本とアメリカが直接軍事的協力に立つということではございません。その他の便宜供与ということをこれからやっていくわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私は、自分なりの把握の仕方を参考までに述べただけなんです。そこで、大臣として国民にわかるように、これからやる極東有事研究というのはこういうものでございます、安保条約のどのような部分に準拠して行われるのでございます、そういう点をひとつ明らかにしていただけませんか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 第十七回の安保協議委員会において「日米防衛協力のための指針」が了承されたわけであります。その中で自衛隊と米軍との間での共同作戦計画の研究は、これは開始されてずっと行われておるわけでございます。  それで、ただいま局長からお答えをさせましたが、日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に、日本が米軍に対しての便宜供与をどうするか、そういうあり方について研究をするものでございます。また、このガイドラインを決めましたときに、この研究は憲法の制約あるいは事前協議あるいは非核三原則、そういうようなものに触れない、それからまた研究の結果が行政上、立法上義務を負うようなことはない、こういういろいろな制約の中でこれから研究を進めていこう、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 結局、アメリカがどこかの国と戦争を始めたとか紛争を起こしたとか、そういう事態を念頭に置いているのだと私は思います。それがどこの国であれ、地域がどこであれ、わが国の施設、区域が使われるとかあるいは何らかの形で支援するとか協力するとかいうことであれば、これは非常に重大な問題であるわけなんですよ。どの程度の支援ができるか、協力ができるか、それをいまから研究するんだとおっしゃるわけですけれどもね。  特に私が重視をしたいのは、極東と言いますけれども、いまや極東の範囲というのは限定されていないのですね。それが中東地域における紛争であっても日本は応援する、そこまで広げられてしまっている。実際に当面の問題としては、俗に言う極東の範囲で紛争は起きるということよりも、中東あたりの方が可能性としては大きいという分析の方が正しいのじゃないでしょうか。何でしたら、朝鮮半島の現状なり台湾海峡の周辺なり中ソの国境付近なり、ひとつどういう情勢分析をしておられるかお聞きをしたいと思うのですが、この間の日米安保協議委員会におきます発言を聞いておりますと、アメリカの方が朝鮮半島においてはいまトラブルが起きる可能性はないと断定的に言っているようです。  どちらかと言うと、櫻内外務大臣の方が何かいかにも緊張しているみたいなことを言っているようですが、しょっちゅう変わるのですね、朝鮮半島についての分析は。日本の方で、防衛白書で、まあ朝鮮半島は大体安定している、こう述べておった。ところが、国防報告で、そうじゃない、北から南に南進する懸念があるなどと言ったら、すぐこれにまた同調していく。せっかく同調していったら、今度はまた向こうが大したことない。本当に正しい情勢分析が行われておるのじゃなくて、何か事実が先に先行しているのですよ。アメリカが、なぜ一ころ国防報告で朝鮮半島の緊張などと言い出したかというと、在韓米軍、在韓地上軍の撤退方針を在留方針に改めるために、情勢が厳しいということをつくり上げていった。事実が先行している。  わかってかわからないか知らないけれども、その都度アメリカの行政におくればせながら追っかけていってすかたん食っているというのが、日本側の分析のような気がしてしようがない。いま朝鮮半島にそんな差し迫った危機どころか、不安定な要因もないのじゃないですか。第一、全斗煥大統領が統一案を出したりしている。演習の相互公開を提唱したりしている。中期的に見ても、ソウルのオリンピックをやろうと言っている。そういうときに、危機などと言っても聞こえませぬと申し上げたい。  台湾海峡しかり。中ソの国境しかり。やはり一番いま何が起きるかわからないという危機的要素があると言うならば、それは中東だ。しかし、いまの政府の極東の範囲という解釈からいけば、それのもろに影響を受ける。そういう事態においても日本としてどのような協力ができるか、ひとついまからじっくり研究をし、結論を出そうじゃないかということで始まるのだと私は思うのです。  そこで、具体的にどういうテーマが取り上げられるのだろうか、これまた私が勝手にまとめてみました。参考にしたのは、ドネリー在日米軍司令官の記者会見における発言、これを中心にした新聞報道。したがって、正確なものでないことは言うまでもありません。しかし、いまの時点で極東有事研究として取り上げられるならこういうテーマだろうなと私なりに感じておるわけです。大体九つばかり挙げてみました。  一つは、自衛隊基地の提供。極東有事に際して自衛隊の基地を米軍に提供する。二つ目は、在日米軍基地の日本側による防衛。三つ目は、物資の調達、輸送及びその支援。これは国内における武器、弾薬、食糧その他の物資の調達、輸送及びその支援。四つ目は、米軍の国内における移動の自由確保。五番目に、国内の民間空港、港湾施設の使用。六つ目に、国内の航空、船舶運航の統制や通信、電波の統制。七番目に、救難活動、捜索活動やサルベージ活動。八番目は、米軍出動の自由。九番目が、米軍の戦略物資の輸送や米艦船の護衛。まだほかにもあるでしょうけれども、私がいま思いついたのはこういうものなんです。  そこで、こういうものがテーマとして取り上げられていまから討議が行われるということになると、どう考えても私は、現行憲法や国内法あるいは安保条約や地位協定、そしてまた非核三原則、そういうものの枠の中でやれるというふうには思えないのですよ。だからこそ、防衛庁長官もNHKの政治討論会で、米軍のための有事法制研究であり、結論が出れば自衛隊法や日米安保条約の交換公文の見直しにつながるというような発言をしたのじゃないでしょうか。私は正直な発言だと思う。総理大臣から呼びつけられてちょっと注意を受けたようですが、私はあなたがNHKで述べた方が本当だと思う。いま述べたようなテーマを枠の中でやれるなどということは私には信じられない。どうなんです。防衛庁長官、もう一度その点について御確認をしておきたいと思うのです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 これは防衛庁がというよりも、日本が米軍に対して行う便宜供与のことについて研究が始まるわけでございまして、防衛庁一庁だけの問題ではございませんで幅広い問題でもございますので、抽象的に考えれば、いま石橋委員御指摘のようなこともあろうけれども、現実には、具体的にはいま私がそういうことを考えておるということではございませんので、改めてはっきり申し上げて御了承賜りたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 いまのテーマについては、私が勝手につくったのですから、これについてどうこう言ってくれと私言っているのじゃないのです。こういう研究を恐らくするんでしょうと、結論が出れば国内法の改正とか条約に係る交換公文の見直しとかいうことが必要だとあなたはおっしゃったようだが、その点はいかがですかということをお聞きしておるのですよ。それだけ聞いておるのです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 いま申し上げますとおり、抽象的にそういうことはあるだろうということと、現実に防衛庁長官としてそういう可能性を示唆したということとは違うわけでございまして、私が、ここにもございますけれども、実際にこれからアメリカからいろいろ要望を聞くわけですけれども、その中には現行法上できないこともたくさん出てくるだろうへそういう抽象的な予見を申し上げたわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 できないものもたくさんあるはずなんです、現行法では。私が挙げたやつはほとんどできないのじゃないかと思うのですよ。これから時間いっぱい、余りありませんけれども一つずつやりますけれども。しかし、できるだけ協力する、そういう約束をして交渉を始めるわけでしょう。最初からみんな何もできませんよと言うわけじゃないのでしょう。いまの国内法あるいは交換公文というものを改正したり手直ししたりして協力するというところまで、積極的に考えているのですかということを聞いておるわけなんですよ。あなたNHKで答えたものだから、確認しているわけです。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 まず、アメリカ側の要望をよく聞きまして、それが現行法上できるかできないか、それはその後の問題でございまして、そしてまた、その判断をするのはこれからの問題であります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 あなたは討論会ではっきりおっしゃったのじゃないですか。米軍のための有事法制研究であり、もちろんですよ、それは。日本がどうして協力できるかというのですからね。結論が出れば自衛隊法や日米安保条約の交換公文の見直しにつながる、こうおっしゃっておる。それを撤回するのですか、それともこの主張は間違いないとおっしゃるのですかと聞いておるのです。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いま大臣がお答えいたしましたように、米側からは今後いろいろな希望が出てくると思いますが、その希望を受けまして、それが現行国内法上、条約その他の取り決め、国内法令上できるかできないかを検討いたします。その結果、日本側がもしできない、現行法令上できないというものについてどう扱うかは、これは別個の問題でございまして、この研究する場でそういうことを研究するわけではございません。法令上できるかできないかという研究はいたしますけれども、できないというものについては、これは別個の扱いになりまして、この研究の場ではそういう研究をするわけではございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは、総理大臣に確認しておきましょう。  結局、結論に達して、自衛隊法や安保条約の交換公文などを改めなければできないという場合には、そこまで積極的にやってでも協力するという積極的な構えでこの交渉に臨むのかどうか、ひとつお尋ねしておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 積極も消極もございません。正姿勢で臨みますが、それはわが国の憲法に抵触するようなことはできません。具体的には、集団自衛権に及ぶようなことは、これはできないことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そうでない限り、国内法ならやる、条約の改正でできることならやる、こういうととですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 そういう問題もあわせて、できるかできないか、具体的に米側から要請があった時点で検討するということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 非常に重要なんです。  そこで、一体その憲法の枠の中でできるのか、あるいは国内法を改正しさえすればできるのか、その辺を浮き彫りにするために、少し具体的に論議を進めてみたいと思うのですが、最初に、第一番目に私が挙げました自衛隊基地の提供とか在日米軍基地の日本側による防衛とか、こういう問題について考えてみましょう。  これは、もしアメリカがどこかの国と戦争状態に入っている、紛争関係にある、そういうときにこれをやれば、完全に日本の自衛隊なり日本が後方支援活動を受け持つことになるのですよ、兵たんであれ何であれ。そういうことが一体許せるのでしょうか、いまの憲法のもとにおいて、ましてや国内法において。私は断じてできないと思いますが、それじゃこのケースはいかがです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 せっかくの御質問でございますけれども、これからの研究に待つ事項でございますので、ここでできるかできないか、いろいろな事態があるかと思いますので、お答えすることは差し控えたいと思います。  ただ、一つ補足させていただきますけれども、この研究協議の場というのはあくまでも研究協議であって、その結果出てくる結果については両国政府を拘束するものではないということがガイドラインの中にも入っております。したがって、もし仮にそういう事態になった場合には、別途、より高いレベルで検討する、こういうことでないかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 そんな弁解を聞いているのじゃないのです。雑誌などでは、かつての防衛庁の有力な幹部あたりがいろいろなことを自由に発言しておりますけれども、いますぐ法の改正がむずかしければ、法案を用意しておいて、温めておいて、まさにその有事にばっと通せばいい、堂々と言っていますよ。これは亡くなった方だから、私、名前は差し控えます。ユニフォームなどはもっと積極的な発言をしています。三矢計画にはもっと具体的に盛られています。あなた方が何を考えているかぐらいのことは私はわかりますよ。現行憲法や国内法や現行条約の枠の中でやれることなら、いまさら相談しなくたって結論は出ているでしょう。そんなこともやっていないのですか。それではやれない部分をひとつ研究しようやというところに意義があるのじゃないですか。いまでもやれるようなことをいまから相談しなければならぬなんというような、そんなばかなことがありますか。ユニフォームの諸君に言わせれば、そんな甘い存在だと思っているのか、こう言いたくなるところでしょう。  一つの例として自衛隊基地の提供、これはドネリー在日米軍司令官が具体的に提起しているテーマですよ。私の想像じゃないです。在日米軍基地の防衛、どうしていまの憲法の精神や規定、自衛隊法の枠の中でこんなことができますか。  それだけではありません。国内の民間空港や港湾施設の使用、これもドネリー在日米軍司令官が口にしているテーマですよ。救難活動や捜索活動、サルベージ活動、こうなればまさに後方支援活動ではありませんよ、戦闘作戦行動の中に入るような行為じゃありませんか。  私は、非常に重要なことをいまからやろうとしているのだということを国民の前に明らかにしたい。あなたたちがそういういいかげんなことを言って隠そうとすればするほど、いかに事が重大であるかということを裏づけるものだと思います。そうじゃないなら、堂々と言えばいい。それはいまの国内法でやれません、いまの憲法のもとにおいてやれません、アメリカから支援要求があっても断りますと言えばいいじゃないですか。それほど重大なことをやろうというのですよ。時間がありませんから、少し具体的な質問に入ります。  九番目に私が挙げました米軍の戦略物資の輸送や米艦船の護衛、この項目です。いわゆる極東有事に際して、アメリカの戦略物資の輸送に直接日本の船舶が当たることが法的に許されますか。現在の憲法なり国内法の枠の中で、それは可能でございますか。お尋ねいたします。だれが答えるのですか、この問題は。  それじゃ、まずお尋ねします。この極東有事研究の責任者は、一体どの大臣でございますか。外務大臣ですか、防衛庁長官ですか、これからまずお尋ねいたします。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 それはどなたに対する質問ですか。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 官房長官で結構ですよ。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 六条研究協議は、一月の二十一日に開始いたしましたが、外務省が中心になりまして、防衛庁と両者でこれを研究協議する、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それじゃ外務大臣に以後質問いたします。  いま最初にお尋ねしているのは、アメリカの戦略物資の輸送に日本の船舶が直接当たることは法的に許されるかどうか、この点いかがです。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 御承知のように、二十一日からですか、この研究の最初の会合が開かれたのでございまして、きょう石橋委員から、一応九つぐらいの仮定で先ほどから若干の御意見でございますが、まことに恐縮でございますが、私、十分な知識を持っておりませんので、後日またお答えをさせていただきたい、こう思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 大臣が答えられないと言うなら事務当局の答弁でもやむを得ません。いわゆる極東有事に際して、わが国の船舶によってアメリカの戦略物資の輸送に直接当たることができるのかどうか、これが第一。二番目は、その船舶を日本の自衛隊の護衛艦や航空機というようなものが護衛することは可能なのか。三番目、その日本の船舶をアメリカの艦艇なり航空機が護衛することは許されるのか。四番目、日米の艦艇あるいは航空機等が共同して護衛することは許されるのか。以上の四点についてお答えを願います。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 四点のうちの自衛隊に関係がございます二番と四番でございますが、まず、アメリカの物資を日本の船舶が運ぶという場合に自衛隊が護衛できるか、こういうことでございますが、これは、前提としまして、五条事態でなくて六条事態でございますから、自衛隊がまだ動く段階ではないというふうに私は考えます。  四番目の日米共同についても同様に考えます。(石橋(政)委員「ではあと二つ、外務省」と呼ぶ)  どうも私の所管かどうかわかりませんけれども、第一点と第三点が残っているわけですが、第一点、日本の船舶がアメリカの物資を輸送できるかというお尋ねでございますが、これは日本の船舶を担当している役所、あるいは運輸省かもしれませんが、ちょっと私からお答えするのはいかがかと思います。  それから三番目の、仮にできるとした場合に、それをアメリカが護衛できるか、これはアメリカの自由意思ではないかと思います。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮) 政府委員 第二点と第四点は先ほど防衛局長からお答え申し上げました。  第一点については、これは実態がよくわかりませんが、契約において民間の船舶に頼んで、民間の船舶がそれを運ぶということは、別に法律上の制約はないように思います。  ただし、何か強制的に、昔やったように船舶を徴用してやるというようなことを石橋委員は恐らくお考えになっておられると思いますが、そういうことであれば、これは現行法ではできないと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 非常に問題なんですね。私が言っているのは、アメリカはすでに戦争状態に入っているわけです。あるいは紛争状態に入っているわけです。戦争と紛争とを改めて言うのは、宣戦布告の有無だけなんですが、そういう状態において、日本の施設、区域はもう使用されている、全面的に日本の支援体制がとられている、そういういわゆる極東有事に際して、非常に緊迫した状況の中で日本の船舶が米軍の戦略物資の輸送に当たっている。当然、戦争当事国、紛争当事国の攻撃対象になるのです。それができるかもしれぬ、アメリカの艦艇が護衛することもアメリカの意思によっては可能だ、こういう状況がいま浮かび上がってきた。さすがに、日本の自衛隊が護衛することはできません、ここまでははっきり言いましたけれども、そうじゃないケースを考えてみたって非常に大変な事態ですよ、アメリカはそれを期待しているのだから、シーレーンの確保というものの中にはそれが入るのだから。アメリカは中東の方に、ペルシャ湾の方に、インド洋の方に力を割かれるので、ひとつ日本に後を頼みますよ、わかりましたと言って、鈴木さん、あなたはオーケーして帰ってきたんだから、当然考えられるわけなんです、このケースは。  そうしますと、仮にそれが行われたとしましょう。アメリカの戦争当事国、相手側から攻撃された、そういう場合に、当然今度は自衛隊は出動の条件が整ったということになるのでしょうか、防衛出動の対象となるのでしょうか、その場合は。それも単発じゃなくてあちこちでやられた、こういう場合にはどうなるのでしょう。次の質問です。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 まず、その最初の前提があるわけでございますが、日本の船が仮にコマーシャルベースでアメリカの物資を運んでおるという場合であっても、とにかく日本の船舶がどこかの国から攻撃を受けたという場合に、これは日本としては、日本の国の船舶でございますから当然保護の対象になるわけですが、問題は、いつも議論になりますように、それが組織的、計画的な武力攻撃であるかどうかということによって、その時点で日本の自衛権の発動をするかしないかという判断にかかってくるのではないかというふうに考えられるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 非常に重大です。とにかく自衛隊が護衛の行動に出ていない段階においてすら、まさに危機的状態につながるおそれがある。はっきりしました。アメリカの敵国が組織的、計画的に一斉にやる、そうすれば防衛出動の対象になる。必然的に日本は戦争に巻き込まれるじゃないですか、そのアメリカの戦争に。こういう重大な事態なんですよ、いまから研究しようというのは。これはそんな、わかりませんとか、これから研究しますなんというのんびりしたテーマですか。極東有事という前提になれば、なおさらみんなわかりやすいのです。そうでなくても、一般論としてかねがねこれは提起されている問題でもあるのですよ。私も去年から質問を継続している問題であるわけです。  非常にはっきりしてきましたから、ドネリー在日米軍司令官の、横田の司令部における就任以来初の記者会見の際の発言を読んでおきます。これは極東有事に際してという前提はございません。そうでなくても、一般的な問題として彼は発言しているのです。  アメリカは、日本の防衛努力に不満を抱いているのではない。もう少し力を注いでほしいということだ。ことにシーレーンの防衛が重要である。中東を結ぶ南西航路、オーストラリアから来る南東航路のシーレーンを脅かされると、日本にとって致命的なものになることを知ってもらいたい。ソ連は、日本に対し直接攻撃せず、その前に日本に圧力をかけると思う。直接攻撃したらアメリカが日本を支援するからだ。このため、ソ連は、シーレーンを脅すなど日本の首を絞める方法がより効果的となるだろう。この場合、アメリカは安保条約により日本を援助できないからだ、こういう発言をしているのです。  極東有事の際は、さっき申し上げたように、日本の船舶がアメリカの戦略物資を運ぶという、ただそれだけの問題でも、もろに戦争に巻き込まれる可能性を持っている。そういう極東有事という状態を抜きにしても、日本の本土を攻撃しないで、日本の本土を攻撃したらアメリカが立つ、から、シーレーンをめちゃくちゃに攻撃してくる、そのときアメリカは応援できません、わかっておるのか、こういう発言をしているのですよ。非常に重大な問題です、どちらの側から考えてみても。私、時間がないので短縮してしまったわけですけれども。そこまでの御認識を総理や関係大臣はお持ちになっているのかどうか、私はまことに不安なんです。極東有事研究というものがどんなに重要な問題であるか、不安なんですよ。  総理は去年のワシントンのホテルでの記者会見で、周辺海域数百海里、シーレーンで千海里の防衛力強化を積極的に図る、これは個別的自衛権から当然だと断定的におっしゃっていますけれども、個別的自衛権がここまで及ぶなんという解釈が定着したら大変だと、私は去年から言い続けているのですよ。いまの一つの前段のケースを考えてください。後段でもそうなんです。組織的に、計画的に、集中的にシーレーンの破壊、海上交通路の破壊行為が行われたら、防衛出動の対象になると言っているのですよ、防衛局長が。  それじゃ、まずこれから、防衛庁長官、確認しておきましょう。事務当局じゃなくて、大臣として、いまの答弁は間違いないと確認してください。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 一般的に自衛権の行使の要件としまして、先ほど私がお答えしたようなことが言われていることはそのとおりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 大臣、組織的に、計画的に海上交通路の破壊行為が行われれば防衛出動の対象になるというのです。日本の船は世界じゅうから日本に向かっている、あるいは日本の港から世界じゅうに散らばっている。組織的に、計画的にこの海上交通路に攻撃がかけられたら個別的自衛権が発動される、防衛出動の対象になる、アメリカの応援は期待できない、そういう事態になるということも当然だとおっしゃるのですか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 防衛局長から正確にお答え申し上げましたとおり、そういう攻撃が組織的な攻撃である、そして、それが日本の安全と平和に大きな影響があると認められた場合には、防衛出動の対象となり得るケースだと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 それでは、前段にしぼりましょう。  アメリカの戦略物資を積極的に日本の船舶が輸送している、そのために攻撃を受けるのですよ。それでも防衛出動の対象になるというのですよ。大変な事態じゃないですか。それでも構わない、戦争に巻き込まれても構わない、そんなことを言うなら、事前協議なんてナンセンスじゃないですか、その程度でもやれるというならば。総理大臣、間違いありませんか、いまの見解は。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 一般論としては先ほども申し上げましたけれども、いま先生のお尋ねは、今度の研究でアメリカが、どういうことを言ってくるかわかりませんが、言ってきた場合という仮定を置いておられるわけです。その際に、アメリカが具体的にその輸送なりそういった問題でどういうことを言ってくるか、まだわかりません。したがいまして、その辺をよく聞いてからわれわれとしては判断していくということで、そのための研究でございますから、いまの時点でそれ以上の議論をここでしましても、私どもとしては、アメリカ側の言い分をよく聞いた上で判断したいというのが現在の段階でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 私も区別してお尋ねしているわけです。いわゆる極東有事という事態に際して、日本の船舶がアメリカの戦略物資を運ぶ、全面協力している、したがって、アメリカの相手国、紛争の相手国、戦争の相手国から集中的に攻撃を受ける、その場合には自衛隊も当然立ち上がれる、防衛出動の対象になる、戦争に巻き込まれてもやむを得ぬ、そういうことを言っておるのですが、総理大臣、構わないのですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、就任以来の国会でしばしば申し上げておるわけでありますが、わが国周辺数百海里、航路帯を守る場合は一千海里程度、これは何とか守るような海上自衛力なり航空自衛力なりを自衛上整備しなければならない、こういうことを申し上げておりまして、アメリカへ参りました際にナショナルプレスというクラブでも質問がございましたから、同様の趣旨のことを言ったわけでございます。  さて、そこで、一千海里の航路帯という場合におきましては、平和的に日本の船舶が航行しておるものを守っていくということは、これは海上自衛隊の任務である、能力に応じて、公海上においてそういう危険がある場合にそれを守っていくことは個別自衛権である、しかし、アメリカの艦船やなにを日本の海上自衛隊その他が守るということになりますと、これは集団的自衛権になる、私はそのように解釈をしておるわけでございます。  そこで、石橋さんから非常な応用問題をお出しになりました。アメリカの軍需物資を日本の船がチャーターをされて運んだ場合に、それを極東有事というような場合にどうするのか。これは前段に私が申し上げたこととは全く違う問題でございまして、これは本当に慎重の上にも慎重に検討を要する問題である、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 時間がなくなったので、私、非常に急いで、少しわかりにくくなったかもしれませんけれども、極東有事という場合の方がお互いにわかりやすいものですから、私は具体的な例として挙げたわけです。しかし、ドネリー在日米軍司令官が例示しているものは極東有事じゃないのですよ。もっと単純に、日本の海上交通路というものの重要性を訴えたかったんでしょうが、日本の施政下にある領域を攻撃しないで、海上交通路破壊というものに出てくる可能性がありますぞ、こう言ってきているわけです。そのときには、それじゃ個別的な自衛権の発動の対象になるわけですね。ところが、その場合には米軍は動けないのですね。一般の国民にしてみれば、日本の自衛隊が立ち上がるときには、必ずアメリカも立ち上がって助けてくれる、応援してくれると思っているのですよ。ところが、そうはいかないケースがありますぞということがはっきりしてきた。海上交通路の破壊、計画的に、組織的に船をやられたら自衛隊は立ち上がる、これは個別的自衛権の発動だ。しかし、アメリカは安保条約のたてまえからいって、それは日本の施政下にないわけですから立ち上がれない。応援できない。孤軍奮闘。海原元国防会議事務局長の見解によれば、自衛隊法のたてまえからいってもやれっこないよ、憲法のたてまえからいったら、なお個別的自衛権の対象なんかにならないよと彼は言っている。私、本を持ってきていますけれどもね。  ところが、いまの総理や皆さん方の発言でいくと、守るのは当然だ、そうやって息巻いておられる。海上交通路が計画的に、組織的にやられたら、立ち上がるのは当然だ。海原氏は、自衛隊法からいっても、そんなものできやしない、現行法ではできない、こう言っている。とにかくこの場合はそれじゃ立ち上がるとおっしゃるなら、アメリカの応援は期待できない、このことは間違いないですね。単独で戦う、それしか道がないということをお認めになりますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 そのとおりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋(政)委員 先ほど申し上げたように、極東有事研究として私がざっと頭で描いたものだけでも相当あるわけなんです。九点。どれ一つをとってみても非常に重要です。これから国会の審議を通じても国民の前に明らかにしなければ、大変なことになると私は思う。残念ながら時間の制約を受けて、一つ半ぐらいしかやれなかった。また同僚の皆さん方にもやっていただきます。私も機会を見てまたやりたいと思います。  終わります。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会

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