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96回国会衆議院1982/08/19

法務委員会 第30号

発言数
297
登壇者
20
会派数
4
開催日
1982/08/19

会議録

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  理事太田誠一君が委員を辞任されたことに伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、太田誠一君を理事に指名いたします。      ————◇—————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 本日の請願日程第一から第二〇四の各請願を一括して議題といたします。  各請願の内容につきましては、文書表ですでに御承知のことと存じますし、また、先ほどの理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員の説明を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日の請願日程中、日程第二一ないし第三三、第四八、第一〇五、第一〇六、第一二七ないし第一三四の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、スパイ防止法の制定促進に関する陳情書外十一件であります。念のため御報告を申し上げます。      ————◇—————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  第九十三回国会土井たか子君外六名提出、国籍法の一部を改正する法律案  第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案  第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案  第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案  第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、刑法の一部を改正する法律案  第九十四回国会正森成二君外二名提出、利息制限法の一部を改正する法律案  第九十四回国会稲葉誠一君外五名提出、利息制限法の一部を改正する法律案  裁判所の司法行政に関する件  法務行政及び検察行政に関する件 並びに  国内治安及び人権擁護に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 きょうは大臣、今度の国会の最後ですし、一般質問ということですから、本当の一般質問で、きわめて一般的なことをお聞かせ願いたい、こう思うわけです。  まず最初にお聞かせ願いたいのは、これは憲法との関連で、この問題は各大臣みんなの所管だというふうに私は考えますのでお伺いするのですが、憲法二十条で俗に言う政教分離の規定があるわけですね。これが一体どういう趣旨でできたというふうに大臣としては御理解をされておられるのかを最初にお答え願いたい、こういうふうに思うわけです。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 これは私、法律のことは余りよくわからないのでございますけれども、恐らく宗教の自由ということを明確にしたものだと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 戦争が政教一体となって行われた、政治が宗教を支配して戦争が行われたというその反省の中からこの二十条が生まれた、こういうふうに理解をするのが普通の見方だ、私はこういうふうに思うわけですが、大臣としてはどうお考えでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 今度の新しい憲法というのは、やはり第二次大戦の反省の上に立って、あのような平和憲法ができたというふうに私は承知をいたしておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、反省というのとこの二十条とは、どういうふうに関連をするのでしょうかね。  では、ストレートに入りましょうか。靖国神社の参拝についての大臣の御所見を承りたいというふうに思うわけですし、それから、大臣が坂田道太というふうに署名されたということは新聞で拝見したわけですけれども、そこら辺の大臣の所見というか感想といいますか、そういう点をお聞かせ願いたい、こう思うわけです。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 靖国神社にはお参りいたしました。私は機会あるごとにお参りしておるわけでございまして、これは私自身のやむにやまれぬ気持ちでございます。と申しますのも、ちょうど私、戦争中に大学を終えたわけでございますが、われわれの同級生がたくさん戦地に赴きまして、そして二度と再び帰ることができなかった、あるいはまた、私の小学校の同級の人たちが出征していって、そして戦死をいたしまして、私はこうやって生き長らえておるわけでございます。そういうような人たちばかりではなくて、今度の戦争で亡くなられた方々に対しまして、生き残ったわれわれとしては、決してあなた方の死をむだにしない、平和な日本をつくるのだ、そういうことを私、決心いたしまして国会に出てまいったわけでございまして、言うならば、そういう方々に御報告をしておるというような気持ち、ひとつ御冥福を祈る、また、われわれも二度と再びあのような戦争を起こさないように全力を尽くしたいと思っておるということを、みたまに申し上げますと同時に、また、私への一つの誓いを毎年新たにする、そういう気持ちでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ほかの方が何々大臣というふうにお書きになったのに、坂田さんは坂田道太としかお書きにならなかったというふうに報ぜられているわけですから、仮にそれが事実とするならば、それはどういうふうなことからそういうふうにされたのでしょうか。そういうことをお聞かせ願いたい、こう思うわけです。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私は、サインをするときには、肩書きというのは余り好きじゃないのでございまして、坂田道太とよく書くわけです。あるいは坂田もとっちゃって、道太と書くのです。ただ、法務大臣と書いてくれと言われるときには、法務大臣坂田道太というふうに、これは賞なんかの話ですけれども、そういうことでございます。そういうわけでございまして、私は自然な気持ちで坂田道太と書いたわけです。しかし、坂田道太でございますけれども、これはやはり法務大臣であることには間違いないわけです。しかし、自然な気持ちで坂田道太と書いたわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、法務大臣としては、靖国神社へお参りしたことは私人としてのお参りだ、こういうふうな御理解でしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私とか公人とかいうことじゃなくて、坂田道太がお参りした、自然な気持ちでお参りをした。そして、先ほど冒頭に申し上げましたのが私の気持ちでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 同じことを質問していても同じ答えしか返ってこないわけですけれども、そうすると、靖国神社の場合は特別なものだ、こういうふうな御理解をされておられるわけですか。国から特権を受けてはいけないということが憲法にはっきり出ているわけですね。「國から特權を受け、」というふうに憲法で禁止してありますね。靖国神社が国から何らかの形にしろ特権を受けることについては、大臣としては反対なんですか、坂田道太としては賛成なんですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 これは法律を逸脱するようなことがあってはならないというふうに私は思っておるわけでございます。やはり法に照らしてきちんとすべきものはすべきであるというふうに思うわけで、ただ、靖国神社につきましては、非常に大多数の方々がやはり自然な気持ちからお参りになるというところがあろうかと思うわけでございます。  それからまた、私は、靖国神社にもお参りいたしましたけれども、同じ足で千鳥ケ淵の戦没の無名戦士のお墓にも実はお参りしたわけでございます。と申しますのも、ちょうど私が昭和三十四年厚生大臣をいたしましたときに、あの千鳥ケ淵の墓園が完成をいたしまして、初めて天皇陛下の行幸を受けたその責任者でもありまして、ときどき千鳥ケ淵にもお参りをいたしておるということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま、靖国神社の問題でも法律を逸脱しないというお話がございましたが、どういうことをしたら法律、憲法を逸脱したというふうになるとお考えなんでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 ですから、非常に明確な形において国が財政的な援助をするというようなことになれば、恐らく法律に、何といいますか、かかるということなのかどうなのか、私は常識的にはそういうふうに思っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 法律ではなくて憲法ですからね。そうすると、明確な形で国が財政的な援助をすれば憲法違反になる、こういうふうに法務大臣としてお考えだというふうに理解してよろしいですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 そのとおりに理解していただいていいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 では、それは奥野さんとは同じようかな、多少違うかな。  別なことをお聞きいたしますが、実は在留している外国人の公正な管理とか登録とか、そういうふうな問題は法務省の所管ですね。それは法務省の所管であることはわかっているわけですが、そうすると、たとえば日本における韓国人がきのう、おとといもそうですが、奥さんたちが、日本の歴史はうそを書いている、直せということで、非常に抗議のデモや何かをやっておられるわけですね。これは御案内と思います。これは在留外国人の公正な管理——管理という言葉は私は嫌いなんですが、公正な何なりという言葉が法務省の管轄の法律の中にあるわけですから、そういうことについては大臣としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。まあ無理もないことをやっておられるというふうにお考えなのか、あるいはいや、日本の歴史はうそをついていないのだというふうなことで、いま言ったのは在留韓国人の問題ですが、後からは中国人の問題に入るわけですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 日本と韓国との関係、特に朝鮮半島の方々との関係、これは歴史的に見ましていろいろなことがございました。したがいまして、そういうような感情をお持ちになるということもやはりわれわれとしては耳を傾けて、そして今後の友好関係をどうやってお互いの民族同士で築き上げていくかということを、真剣に考えてみる必要があるというふうに私は思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 日本には中国人の方もたくさんいるわけですね。そのことを考えますと、教科書の中で、ことに中国で日本の進出だとか侵略だとか、そういうようないろいろな議論があるわけですが、こういうことについてもいわば公正なレジストレーションということにつけるのは私もいかがかと思うのですけれども、そういうことに対しては大臣としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 これは世界の歴史を見ましても、また昔からいままで、自分の国の歴史というものに対して非常に誇りを持ち、そしてそれなりの記述をしてきたということはあろうかと思います。これは一般的に申してそうだというふうに思うわけでございますけれども、それであるがゆえに、第二次大戦の結果といたしまして、その反省の上に立って新しい日本を築いていくというわれわれといたしましては、中国あるいは韓国あるいは朝鮮半島の北の方々、そういうようないろいろの批判に対しては率直に、謙虚に耳を傾け、そしてまた、新しい展望のもとに専守防衛に徹しまして、二度と再びあのような軍国主義にはならないのだという誓いを立てておるこのわれわれの行き方というものをひとつ理解をしていただくように最大限の努力をしなければならない、かように私は考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これは自民党の中でもあるいは閣議の中でも問題になったかと思うのですが、大臣としては中国への日本のあれは進出というふうな御理解なんでしょうか、侵略というふうな御理解なんでしょうか、あるいはその両方は内容的にもちっとも違わないんだという御理解なんでしょうか、違うという御理解なんでしょうか、そういうものを含めてどっちの考え方が正しいというふうに国務大臣としてはお考えなんでしょうか、あるいは坂田道太としてお考えなのか、どうでしょう。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 これはいま直接教科書問題としまして、しかも担当大臣の小川さんが苦慮しておられるわけでございまして、余りこのことについて私は触れたくないわけでございます。でございますから、言葉の問題については私、ここで何とも申し上げないわけでございますけれども、しかし、少なくとも過った戦争、そして非常に痛ましいなかなか回復のむずかしいような精神的あるいは物的あるいは人的損害を与えたということは、われわれ日本民族といたしましてよく記憶すべきことであるし、また、こういうことは二度と再びしてはならないという気持ちを次の世代に伝えるべきだというふうに私は考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私は、別なことになると思いますけれども、大臣にまずお尋ねしたいのは、政治家というのはうそをついてもいいものでしょうか、どうなんでしょうか。どうお考えでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 これはうそを言わないということが政治家として一番の資格だというふうに思います。イギリスにおきましても、民主主義の一番基本は何かというならば正直であるということ——あなたもわれわれも小さいときに習いましたね。あの物語はそういう意味を申しているのじゃないかというふうに思います。私自身も政治家になりましてそのことを何とか、どこまでできるかはわかりませんが、私自身としては最善の努力をして、うそをつかない政治家になりたいとがんばっておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 法務省は、国会に対してロッキード事件に関連をして二階堂さんが五百万円をもらったと発表しているわけです。ところが、御本人はもらわないと言っているわけですね。これは法務省の見解をあなたは支持されるわけでしょう、法務大臣ですからね。そうなれば、二階堂さんはうそを言っているというふうにとられてもいたし方がないのじゃないでしょうか。その点については、さあどうでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 この点については、私、いろいろ意見を申し上げることは差し控えたいというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 意見を申し上げることを差し控えたいという意味が、どういう意味で意見を申し上げることを差し控えたいのか。それに合理的な理由があれば私も納得しますが、合理的な理由がなければ納得をしない、こういうことになりますね。あたりまえの話ですね。だって、あなた、法務省は五百万円もらったと国会に報告しているのですよ。あなたは、法務省が報告したことはもうでたらめの報告をしたんだ、こういうふうな御理解をいまでもされていますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私は、たびたび稲葉さんに申し上げておるとおりに、わが検察陣というものを信頼をしておるわけでございます。また、支持しているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうなれば、二階堂さんがもらわないと言っているのはうそだということに結論としてならざるを得ないのじゃないんですか。うそだと断言するとあなたが困るのはわからぬわけではないけれども、うそに近い——うそに近いという言葉も変な言葉だけれども、そういうふうに理解せざるを得ないのじゃないですか。あなたの立場はわかりますよ。答えにくい問題ですよ。だから、私は最初に政治家というのはうそをついてもいいんですかということを聞いたわけですね。そのとき、あなたはどういうことを考えられたかな。この次どんな質問が来るのかなというふうにお考えになったのじゃないかと思うけれども、そこまでわからなかったのかわかりませんけれども、最初から聞いたのじゃ本当のことを言わないから、そういうふうな煙幕をひとつ張って聞いたわけです。どうなんでしょうかね。言いたくないというところの合理的な理由は一体あるのですか、ないのですか。あれば御説明願いたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 先ほど私は、言いたくないとは申しましたけれども、いまは先生の重ねての御質問でございましたからお答えをしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたのおっしゃることは、部下を信頼しているというのでしょう。わかりました。それはもう間違いない。二階堂さんはそうではない。反対のことを言っている。そうすると、あなたからまた部下を信頼していると返ってきますね。そうすると、二階堂さんの言っていることはうそだという論法になってこざるを得ないです。だれが見てもそうじゃないですか。それが合理的な論法じゃないですか。論理学の基準としてそういうことになってくるのじゃないですか。そこのところははっきり言うのは勘弁してくれというけれども、何というか、あなたのおっしゃるとおりに理解されても結構ですという答えでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私は何回もお答えをしておるわけでございますが、私は検察を——検察も(稲葉委員「もというのは何ですか」と呼ぶ)検察を信頼いたしておるわけでございます。それでひとつ御了解願いたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 はっきりしないですね。検察を信頼しているというのか、検察も信頼しているというのか。いまの言葉はちょっと違いましたねをというふうに僕は聞きかけたら、もにもなったし、そこのところ、はっきりしないですな。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 検察を信頼しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 検察をだけ信頼をしておる、検察を最重点的に信頼をしておる、こういうふうに理解してよろしいですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 何と比較しておられるのかよくわからないのですけれども、私は検察を信頼しておりますということを申し上げておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 検察を信頼をしておる、最大限に信頼をしておる、絶対的に信頼をしておる——最大限と絶対的とは違いますけれども、絶対的に信頼をしておる、こういうふうにお聞きしてよろしいでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 十分に私は信頼をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは大分トーンが違うのですけれども、あなたの立場はわかりますよ、私もわかって聞いているんですから、なかなか言いづらいでしょうけれども。だから私が最初に言ったとおり、政治家はうそをついてはいかぬですよ。私はいままでの段階では、二階堂さんがうそをついているというふうに理解しているのですが、私の理解は法務大臣の理解とは違いますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私は、もう先生のおっしゃることはおっしゃること、そういうふうに理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、おっしゃることはおっしゃることというふうにディスタンスを置いて言っているだけでは話にならないです。それはロジカルじゃないんじゃないですか。私の言っていることが間違いだというならば、間違いを指摘していただいて結構です。あなたとしては、二階堂さんの言うことがうそだということをはっきり言うわけにいかない。立場は私もよくわかるんですよ。これはハムレットみたいなものだ。わかりますよ。わかるけれども、それを聞かなければならない私の立場というものも理解していただきたいのです。  大体いままでの質問、答弁の中で、一番最初の政治家はうそを言ってはいけないという大原則に戻って、問題は一応解決したのだというふうに理解してよろしいでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 この問題は、やはりある程度個人個人の道義的な問題でございますから、私がとやかく申し上げる——私自身については、うそを言わないということをはっきり言うべきことだというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 個人個人の道義というお話がございました。私は坂田さんがうそを言っているとは思いません。あなたはりっぱな方ですし、いまの自民党の中では——それはまずいな。それはまずい。自民党の中では良心的だというふうに言おうと思ったんですが、そうでない人がいるように聞こえますから、それはそう申し上げません。そうは申し上げませんが、いまの個人個人の道義の問題となると、ちょっと意味がはっきりしませんけれども、二階堂さんは二階堂さんの道義に応じて物をおっしゃっておられるのだろう、こういうふうにあなたも考えておられる、あなた自身の道義と二階堂さんの考えておる道義とは違うこともあり得るんだ、大変しつこくなって恐縮ですけれども、そう理解してよろしいでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私の道義に対する考え方は私自身持っておるわけですが、また稲葉さんも稲葉さん流に道義の問題をお考えになっていると思うのです。私の言っていることは不合理だというか整合性がないというか、何か論理的でないとおっしゃっておるわけですけれども、私は私なりにお答えをしているというふうに思っておるわけです。正直にお答えをしておるというふうにお認めいただきたいし、それ以上の御批判は、稲葉さんの一つのお考えでどのように御批判になろうとも結構でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 本当ならば、法案がかかっておれば、これで審議ストップということになるかもわかりませんけれども、これ以上のことは大臣の口からは御無理でしょうから、別の問題に移らしていただきたい、こういうふうに私は思います。  実は大臣が、保安処分というか、刑事治療処分でもどちらでも構いませんよ、それはどちらでもいいですが、ヨーロッパへ行かれるということですね。ヨーロッパへ行かれるという意味は、どういう意味を持って行かれるのでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 実はこの四月でございましたか、西独の法務大臣のシュムーデという方が日本に来られまして、その際に、日本はかつてドイツの法典をいろいろと参考にしながら制度づくりをやって今日の近代化をつくってきたということを私が申し上げましたところ、シュムーデさんは、昔はそうだったかもしらぬ、しかし、今日ではむしろ日本に学ぶべき多くのことがあるように思った、たとえば和解の制度であるとか調停の制度なんかは日本の方が発達しているように思う、特に保護観察の問題、保護関係の仕事もボランティアでやっておるというのは非常にユニークだ、こういうようなことについてはその方面の西独の専門家を日本に派遣したいんだというようなお話で、そういうような人的な交換というものは日独の関係において非常に有意義じゃないかというふうに自分は思うというような御提案もございまして、私もそう思いますというようなことを申し上げましたところが、ぜひ坂田大臣もドイツの実情を見てくれというようなお話もございましたし、かねがね、できるならば行きたいなと思っておりました。しかし、いま何せ国会がこういうふうに続いておることでございますから、国会が終わらなければ私は行けないということでおりましたら、国会もようやく終わるという見通しも立ちました。そしてまた、向こうからも正式な招待が参りまして、行くことにいたしております。  いまの予定では、九月十八日から十月二日まで約二週間、その間、日弁連の会長さんからかねがねお話を承っていたのですが、われわれの方でもぜひ見たいと思っている、だから外務省等にいろいろ御便宜を計らってもらいたいというお話でございますから、それは結構なことだと思います、やはりお互いがそういうふうにして保安処分を、私の方では治療処分と考えておりますが、こういう制度がどういうふうに運用されておるか、その運用の実態を、日弁連、そしてまた私たちも同じ対象を見てくるということは非常に意義のあることではないだろうかということで、そういう計画を立てておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 日弁連の方も行かれますけれども、ちょっと国が一カ所違っておりますね。イギリス、ドイツ、フランスは行かれますが、あと一カ所違っていますが、それはそれとして、行ってこられて、そしてそれを大臣としては今後どういうふうにされたいというお考えなんでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 一応事務当局から、西ドイツあるいはスイスあるいはオーストリア、それからその他の国々の保安処分の制度等について調査したことを聞いてはおりますけれども、やはりできるならば、どこまでやれるかわからないにいたしましても、現地に参りまして現地の施設等も見せてもらって、あるいは運用の実態等も質問をして、そして把握をするということは非常に大事なことではないだろうか。特に、最近精神障害による犯罪というものがだんだんふえてきておるというようなこと、あるいはまた薬による精神障害を起こし、そしてまた犯罪を繰り返すというようなことも激増しておる、特に覚せい剤等の犯罪というものは後を絶たないというようなことを考えましたときに、これらの犯罪の結果としてその被害を受けられた人あるいは家族、そういうような人たち、つまり被害者の立場になって考える必要はないのか。実はこの八月二十九日に国際的な被害者の学問的な会があるということで、恐らく稲葉先生もいらっしゃるのじゃないかと思っておりますが、そういうような観点から、被害者を守るために何らかの法的な制度というものはやはり必要ではないだろうか、そういうようないきさつ等があって、市民防衛という立場から保安処分制度ができておるんじゃないだろうかというようなこともいろいろ考えておるわけなんで、いずれにいたしましても、見てみぬことにはというような気持ちでおります。  また、それをどういうふうに取り扱うかということでございますが、一応それを整理いたしまして、そして、行く前に考えておったことと、実際見てきたときとどうなのか、その辺を考え合わせまして、今後日本で治療処分の制度をどういうふうにするかということの重要な参考資料にしたいというふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、イギリスの特別病院がありますから、恐らくそこへも行かれると思いますが、例のブロールモアですね、行かれると思うのですが、こういう問題があるのをひとつ研究してきていただきたいと思うのです。  これはきょうは厚生省の方も聞くだけ聞いてもらいたいと思っているわけですが、これは古田君が一番よく知っておられるようですけれども、実は五十六年十一月五日に、ヨーロッパ人権裁判所というのがあって、ヨーロッパ人権規約によってその裁判があったわけです。これは退院制限命令というのがあって、これはイギリスの場合には内務大臣のOKがなければ退院の制限命令というのは出せないらしいのですが、ちょっと入っているわけのようなんですが、これで関連をして裁判があって、イギリスの政府がこれは負けたのですよ。  負けまして、そこで問題になってくるのは、一体イギリス政府がどういうような主張をしておったのかということがまず第一ですね。これはいろいろ主張があるわけですが、それが一つと、そして、なぜイギリスの政府が負けたのか、こういうことを研究してもらいたいのが一つと、それからもう一つは、その結果として精神衛生法が、いま修正案がイギリスで上院を通って下院に入っているわけですが、その法案の中身がどういうものであるか、こういう点を十分研究してきていただきたいわけです。  厚生省の方は、きょうは質問するわけじゃありませんが、聞いておいてもらうだけでいいのですが、そのことが日本の精神衛生法の改正の問題にどういう影響があるかということを、厚生省は厚生省サイドでやるかもわかりませんけれども、法務省側としても十分検討をしていただきたい。これはヨーロッパ人権規約と国連の国際人権規約の問題にも絡んでき、あるいは人身保護法の問題なりいろいろな問題に絡んでくることで、今後非常に大きな問題になってくることですので、この点についても十分研究しておいていただきたい。いずれ別の機会に詳しく質問をさせていただきたいと思います。  いまその判決が大体できたのですけれども、まだ正式な印刷ができてないものですから、私どももそれを手に入れて、さらに全体の問題として追求といいますか、あれをしていきたいと思っております。これは要望といいますか、希望だけ申し上げておきます。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 ちょっと一言。実は今度は、イギリスはぜひ行きたいと思っておったのですが、時間の関係がございまして、実はイギリスは参りません。しかし、いま御要求の資料等については取り調べさせたいと思っております。と申しますのは、私は十四日でもう帰りますけれども、古田君を実はイギリスに差し向けることにしておるわけでございまして、先生の御指摘になりました資料等についても、十分ひとつこたえられるようにもらってきてもらいたいと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、いま問題が起きております現実の事件は、兵庫相互銀行の預金といいますか、これに関連する贈収賄の事件が起きているわけなんですが、これが現在どういうふうになっておるかということを、まず最初に、これは法務省の方から説明を願いたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねの兵庫相互銀行の事件といいますのは、尼崎市の出納役が兵庫相互銀行の支店長あるいは部長等から賄賂を収受した、こういうことで捜査をされている事件のことであろうと思いますが、兵庫の県警の方で捜査を始められまして、いま申し上げた収入役あるいは関係者を逮捕するというようなことで、事件は神戸の地検に送られてきております。そして、いままでに被疑者九名が警察から検察庁の方へ送られておりまして、そのうち五名を裁判所に起訴している、そして残りはまだ捜査中である、こういう状況でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま最初のところで出納役と言いましたけれども、出納役は県の場合で、後から収入役と言いましたけれども、普通、市の方の場合には収入役ですから。まあどちらでもいいですけれども。  そこで、なぜそういう事件が起きたのかということなんですが、そうすると、現在の問題はどうなっているんですって。何か収入役の人、前収入役に対して、これは一たん起訴しておりながら、また別の件で再逮捕しておるわけですね。普通そういうことはないとは言わぬけれども、あることもありますけれども、これはどういう事情ですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘の収入役が収賄ということで捜査の対象になっているわけでございますが、最初七月の二十日に一つの事実で逮捕されまして、そして勾留をし、そして取り調べの結果、八月の九日にまず起訴されております。しかし、いわゆる余罪というものが何件かございまして、その件につきまして改めて逮捕をしたという経過になっているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これは大蔵省の方にもお聞きした方があるいはいいのかもわかりませんが、どういう目的で——これは大蔵省じゃないな。やはり警察かな、法務省かな、どっちでもいいが、どういうことの目的でこういう贈収賄が起きたということになるのですか。ただ、あなたの、金をやっただけの話ではなくて、どういう目的で金をやったということになり、どういう目的で金を受け取ったのか、そこはどういうふうになっていますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、まだ事件は捜査中でございますので、詳しいことは申し上げかねる点もありますけれども、とりあえず起訴された事実について一応のことを申し上げますと、市の、つまり尼崎市の公金を兵庫相互銀行に預金してもらっているということ、それについてのお礼のような趣旨と、また、市の指定代理金融機関ということに今後なりたいといいますか、それを希望しているということで、そういうことについてよろしく取り計らってもらいたい、こういう依頼の趣旨と、そういうものが収賄といいますかになる職務との関係の趣旨であるというふうになっているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま二つの点が理由として出てきたわけですが、そうすると、指定の金融機関となると一体どういうような利便がその兵庫相銀にあるというふうに理解をしているわけですか。これは大蔵省に聞いた方がいいのかな。どこに聞いた方がいいのか、ちょっとはっきりしませんけれども。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 詳しくは大蔵省の方からお答えいただいた方がいいかとも思いますけれども、従来は、尼崎市の方に入ってくる金、これを扱うだけのような金融機関ということになっていたようでございます。しかし、いま申し上げました指定代理金融機関となりますと、受けるばかりでなくて出る方も扱うというようなことで、市の金を扱う幅といいますか、恐らく額もということになると思いますけれども、そういうものが広まってくるということで、銀行側としてはいろんな意味で有利だということであろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの指定代理金融機関の件ですね、この点については、これになるとどういうふうな利便があるかということについては、これは大蔵省の方からひとつ説明を願いましょうか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 お答え申し上げます。指定金融機関の規定は、地方自治法及び地方自治法の施行令に書かれてありまして、都道府県並びに市町村は、公金の取り扱い、収納及び支払いの事務を指定代理金融機関をしてさせることができるというふうになってございます。したがいまして、当該地方公共団体の公金の収納ができるという限りにおきまして、その時点におきます預金量が増加いたしまして、金融機関としまして運用いたします資産が増加するというふうな効果があろうかと思います。  なお、ただいま刑事局長からもお話がありましたように、支払い事務も取り扱うわけでございますから、その限りにおきましては預金等が減少するという場合もあるわけでございますが、それによりまして、たとえばいろいろな手数料収入というふうなものも受け取ることができるというふうなメリットも、メリットとして挙げれば挙げ得るのであろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 指定代理金融機関になれば、いまお話があったような利便といいますかありますけれども、なるほど支払いがあればその金は減るわけですけれども、どこへ支払われたか、土木事業なら土木事業、建築事業なら建築事業を請け負われてその先へ金が行ったことが指定代理金融機関だとわかるわけですね。いいですか、わかって、いま預金獲得競争が非常に激しいわけですから、そこへ行って頼んできて、すぐ金が要るわけではありませんから、その金を預金してくれ、こういうようなことを頼んで、そこで結局預金量がふえていく、こういうような利益と言うと語弊があるかもわからぬが、そういうような利便があるのではありませんか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 金融機関といたしましては、地方公共団体の取引にかかわりませず、金融取引をいたしております取引先との間におきましていろいろな関係がございますので、自分の商売といいますか、企業の活動を盛んならしむる意味でいろいろな努力をしていると思います。その努力そのものは、私どもは、自由競争裏におきまして公正に行われる限りにおきましては、特に問題ではないと思います。ただ問題は、それが不公正な形で行われたり過度にわたることによります障害が生じていないかどうかというふうなことであろうかと思います。  一般的に金融環境は非常に厳しくなってきておりますので、私たちといたしましては、高度成長期のように単純に量の拡大を求めるだけではなく、質的に、金融機関としての経営の実質的な内容を高めるように努力しなさいと、絶えず指導してきているところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 昭和四十三年に金融機関の合併及び転換に関する法律というのができましたね。これはそのとおりですが、ここでいわゆる銀行法による普通銀行と相互銀行とを区別していますね。これはどういうわけで区別をしているわけですか。どういう点が違うのですか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 お答え申し上げます。  相互銀行にも銀行という名前がついているわけでございますけれども、法律上で申し上げますと、普通銀行と相互銀行といいますのは違う点がございまして、相互銀行は相互銀行法に基づいて設立されております。その点は先生御案内のとおりだと思いますが、その他、一般に都市銀行とか地方銀行とか俗に呼ばれておりますものは銀行法に基づいて設立されております。そういうふうな設立の法的根拠が違います関係上、合転法におきましても文言を分けて書いているということでございます。  ざっと申し上げますと、相互銀行は普通銀行と沿革を異にしておりますし、特にその業務におきまして、中小企業に対します金融利便の提供ということを業務の主たる内容にすることが義務づけられております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの法律ができて、いわゆる転換という言葉が出ているわけですね。私も実は転換という言葉を初めて知ったわけなのですが、そこでお聞きをいたしたいのは、相互銀行が県の指定金融機関になっていることはありますか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 相互銀行が指定金融機関契約を締結しております例は必ずしも珍しくございませんが、先生ただいま御指摘になられました都道府県の指定金融機関に指定されております例はございません。市町村が先例ではございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 市町村でも大きな市、政令都市等では、相互銀行が指定代理金融機関になっている例はありませんね。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 私、ただいま手元に詳細な資料を持っておりませんけれども、市で指定金融機関になってございます場合が十市程度に上っております。ただ、その市がどの程度の規模のものであるか、申しわけございませんが、手元の資料ではわかりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これは常識的に考えて政令都市はない、きわめて小さな都市が沿革的ないろいろな理由でなっている場合はなきにしもあらず、こう思いますけれども、尼崎市のような場合、いま指定代理金融機関が太陽神戸ですね。そこで、いま刑事局長が言ったのは、指定代理金融機関になりたいというために贈賄したということがその一つの理由に入っているわけですから、ここが一つのポイントになるわけですね。指定代理金融機関になればいま話が出たような非常な利便がある、あるいは利益がある。となってくると、普通の場合相互銀行は大きな市ではない。いまあなたは十市の名前を言われませんでしたけれども、これは本当に人口の小さなところです。そうすると、尼崎のような場合には、普通銀行にならないと常識的に言って指定代理金融機関にならないというふうなことが理解されておるのではないかと私は考えるわけです。  そこで、相互銀行の中では西日本相互銀行が第一位、それから東京相互銀行、これが第三位、大体こういうふうになっているわけですが、二位と三位が入れかわったり何かしておって、何か預金量が二位であって一兆円を幾らか超えたのがいまは一兆円ぐらいですか、第三位になっている、こういうふうなことが事実かどうかということをまず第一点お聞きいたしておきます。  それから、西日本相互銀行と東京相互銀行、これは大蔵省なり日銀から役員が行っておりますか、これが第二点。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 二点のお尋ねがあったかと思いますが、その前に一言御説明申し上げておきたいと思いますが、指定金融機関を指定いたしますのはあくまでも地方公共団体でございまして、地方公共団体がどういう基準で指定金融機関を指定しているか、私たち正確には把握いたしておりませんけれども、普通銀行、相互銀行、それぞれ業態によりまして業務の内容なり沿革、組織等の違いがありますものですから、単純に相互銀行であるから指定代理金融機関として指定しにくいとか、地方銀行であるからしやすいというふうなものではなく、それぞれの地方公共団体との昔からの取引の実態とか内容、そういうふうなものが影響しているのではないだろうか、かように考えます。  まず第一点のお尋ねでございますが、ただいま御指摘がありました兵庫相互銀行の資金量でございますが、現時点におきましては資金量におきましては第三位の銀行でございます。先生御指摘のとおりでございます。第一位、第二位の資金量を持っております銀行も、ただいま先生御指摘の二つの相互銀行でございます。  そのそれぞれに日本銀行なりあるいは大蔵省に籍を置いた者が役員として出ているかどうかというお尋ねでございますが、双方にそれぞれから出ているかどうか、詳細承知いたしておりませんけれども、少なくとも一行には大蔵省の出身者が役員として就任しておりますのは事実でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ちょっと答えがはっきりしなかったのですが、それは役員という程度にもよるのでね、役員にもいろいろありますから。  そこで、問題になりますのは、まず尼崎市の指定金融機関は太陽神戸ですね。これは大きなところですね。これは石野さん、前の大蔵次官が頭取、いまでもやっていますか、大きなところですね。そしてそれに対抗して、指定代理金融機関にそれを追い落としてなりたいというわけですから、そうなってくると非常に大きな、いろいろな、何といいますか一つのネックがあるということは当然考えられる。それを解消しなければならないということもあったと思うのですが、私がお聞きをいたしたいのは、まず日銀の考査局長をやった人、それと大蔵省の国税庁次長をやった人が、いま兵庫相銀に、最初は顧問として入って、いまは役員——社長、副社長ですか、におられるということは事実ですか、どうですか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 先生お尋ねのとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これは疑問に思えませんかね。いいですか。大蔵省の国税庁次長、そして日銀の考査局長をやった方が、普通、相互銀行——相互銀行というといかにも私の言葉が変な響き、変なと言うとおかしいけれども、もうダウンというか、ダウンタウンのような印象を与えてはまずいですから、そういう点は気をつけますけれども、そういうところへ行って、そして指定代理金融機関になりたいということは、太陽神戸を押しのけてなりたいというのですから、これらの人に何かを期待をして、そして迎えたというのは私はあたりまえのことだろう、金融機関としては当然過ぎるくらい当然のことだろう、こういうふうに考えるわけですが、しかしそれを聞いても、私どもの方にその点聞かれても困ります、それはまた、そこまでよくわかりませんという答えになってくると思いますので、余り答えを先に考えてしまってもまずいのですけれども、それはそういう答え以外はないわね、そうだと思いますとも言えぬし、と思いますが、そういうことになってこざるを得ない。  そこで、私の聞きたいことは、相銀から普通銀行、地方銀行へいわゆる転換をするのは、具体的にはどういうような手続をまずとるのですか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 転換をいたします場合には、先ほどもお尋ねがありましたいわゆる合転法に基づきまして、大蔵大臣の認可を受けるべく申請をしてこなければいけないということになっておりまして、大蔵大臣はその申請を受理いたしまして、法律に定めております基準に適合するかどうかを審査した上、適合すると認められた場合には認可をする、かようになってございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは法律はそういうことになっておりますけれども、実際には銀行局長が権限を持ってやられるわけですが、これは近畿の財務局を経由するのですか、しないのですか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 その点につきましては、法律はもちろんのこと、政令、規則、通達等では必ずしも明確になっておりません。ただ、大蔵省の事務分掌といたしましては、相互銀行はまず本店の所在する財務局において一般的な監督をすることになってございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 この銀行が普通銀行になりたいという運動をしておったということは、あなたの大蔵省の銀行局の検査部長は近畿財務局長をずっと五年もやっておられたわけですから、よくわかっておられたのだと思いますがね、名前は言いませんけれども。ね、わかったでしょう。だから、その間の経過はよく知っていたはずだと私は思うのです。  そうすると、結論的には、いずれにしても大蔵省の銀行局が、これは銀行局長の最終的な権限ではなくて大蔵大臣の認可ではあるけれども、実際はそこでやるというふうにとっていいと思うのですが、そうなってくると、これはいろいろ大蔵省に俗に言う顔がきくという人が普銀転換のための運動をするということも、これは常識的にはあり得る、こういうふうなことになろうか、こう思うのですが、その点についてはどういう答えになりますか。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 お答え申し上げます。  まず、ただいま御質問いただいております兵庫相互銀行が尼崎市の指定金融機関になりたいという希望を持っておったか、あるいはまた普通銀行に転換するという希望を持っていたかどうかという点でございますが、前者につきましては地方公共団体と当該金融機関との関係でございまして、私どもといたしましては詳細承知するところではございません。ただ、そういうふうな希望を持っているというふうに聞いたこともないのは事実でございます。  次に、普通銀行への転換を希望していたかどうかということでございますけれども、これは転換するためには大蔵大臣に認可申請をしてこなければいけないわけでございますが、そういう認可申請が行われていないのはもちろんのこと、そういうふうな希望を私どもの方に話してきたということもございません。  なお、先生お尋ねの、そういうふうな希望を持っておった関係上、大蔵省なり日本銀行の経験者、出身者を役員に招じ入れたのではないかということでございますけれども、私どもといたしましては、大蔵省の出身者が、兵庫相互銀行に限りませず、金融機関の役職員に就職しております例はそれ以外にもございますけれども、これらはすべてそういうふうな特定の目的を持ってということではありませんで、大蔵省に職を奉じている間に培われました金融に関する経験とか知識を生かすべく金融機関の方から御要望がありまして、それにこたえて出向いている、そちらの方に就職をしているということでございまして、当該兵庫相互銀行につきましても、普通銀行転換のための準備あるいはその働きのために大蔵省からの人の派遣を要請されたというふうには考えておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはあなたの方の答えとしてはそう答えざるを得ないですよね。それ以上のことを答えるわけにいかないと思いますが、あなた方の知らない範囲でいろいろなことがあるいは行われておったのかもわからないですね。  まず考えられてきているのは、こういうことでしょう。いままでわかってきたことは、この尼崎市の場合は太陽神戸銀行が指定金融機関だ、これは間違いない。それで指定代理金融機関になりたいために金銭を収入役に贈賄した、これも一応間違いない。そういう意味を込めてしておったことは間違いない。そして、相互銀行が大都市なりあるいは中都市といいますか、そういうところでは指定金融機関になっていることはない、そういうところの指定金融機関になるためには普通銀行になるというのが常識であろう、こういうふうなことが考えられる。そうすると、普通銀行になるためには、大蔵省に対していろいろ働きかけをすることも考えられてくるではなかろうか。いまあなたの方では現在働きかけはなかったと言うけれども、それはあなた方の方では知らないかもわからぬけれども、どこでどういう働きかけがあったのかどうかということについては、失礼だけれども、これはあなたに聞いても無理だ、こういうことになってまいりますと、普通銀行への昇格ということ、転換を考えてこの二人の人を、最初顧問で入っておりますから、呼び入れたということも十分考えられてくるのではなかろうか、これが私の一つの議論の結果として出てくること、私は常識的な議論だ、こういうふうに考えるわけですが、いまそうである、そうでないということをここで議論したってしょうがありませんけれども。  そこで、まずお聞きをいたしたいのは、私は法務省に聞くのですが、これは神戸地検で三人の検事でやっているようですが、これだけ事件が拡大をし、将来拡大をしてくるという見込みがあるというふうに考えられてくるというと、この捜査の体制というものを、幸い、神戸は特捜部がないわけですから、大阪の特捜部は例のお医者さんの脱税事件二つ、大きなのがありましたが、これはもう起訴しまして、いま手薄と言うと語弊があるけれども、手薄じゃないかもわかりませんけれども、そういうようなことで余裕があるわけですから、そういう全体としてこの兵庫相互銀行の問題について、これは再逮捕までしておるわけですから、これは将来発展があるからこそ再逮捕ということを考えておると思いますので、これについて捜査の体制を今後どういうふうにしていくかということについては、私は拡大をし、大阪からも応援を求めてやるべきだというふうに考えておるのですが、法務省としてはどうですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 稲葉委員のお尋ねの中で、先ほど私のお答えしたこととちょっと違っているんじゃないかというふうに思われる点が一つございますので、それを前に申し上げたいわけでございますが、いま起訴されている事実の収賄の趣旨といいますものは、指定代理金融機関になりたいということであったということでございまして、指定金融機関になりたいということではないわけでございます。申し上げるまでもないと思いますけれども、三つございまして、現在は一番下のランクに属している、それを一段上のランクにしてほしいということでございまして、先ほどの御質問の中に出てまいります指定金融機関というのは、さらにもう一段上ということでございます。  そういうことでございまして、さらにそのことに関して、普通銀行でないと指定金融機関にならないじゃないかというようなお尋ねがありましたけれども、現在指定金融機関は、承知しております限りでは太陽神戸でございますが、当面の指定代理金融機関は、普通銀行のほかに信用金庫もなっているようでございますから、先ほど大蔵省からお答えございましたように、どこを指定するかは当該自治体の問題でございましょうけれども、現実の問題としてそういう実態にあるということでございますから、当然に普通銀行になる、普通銀行でなければ指定代理金融機関にならないということでもないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  それから、再逮捕までしているのだから将来拡大するであろう、こういうふうに仰せになりましたけれども、再逮捕は、先ほど申しましたように余罪ということがございまして、最初の起訴の後にそういうことをしなければならないという実態があったからでございまして、そのことから直ちにさらに今後拡大するというふうにも言えないわけでございます。もちろん捜査のことでございますから、捜査の進展によってさらに捜査の対象が広がるということも一般論としてはありますけれども、現在のところ、具体的にどういうふうにさらに拡大するかというふうにはなっていないわけでございます。したがいまして、将来当然拡大するから体制を整えておけというふうにおっしゃるわけでございますけれども、そこらはまだ今後の問題であろうというふうに思うわけでございます。  なお、現在神戸地検では神戸地検としての検事がそれなりにおりますから、それで十分賄っているというふうに承知しているわけでございまして、これも一般論でございますが、捜査の対象が広がった場合に、それに応じた捜査体制を整えるということは当然でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私も三つの段階があることは知っているのですが、それはちょっと私の方も、何といいますか誤導的な質問をしたわけで、これは私の方も恐縮に存じておるのですが、私がなぜこういうことを言いますかというと、普銀に転換をしたいということは、これはもう第三位のことですし、当然常識的に考えられるので、普銀になった方が、普銀というか地方銀行ですね、なった方があらゆる面で、ネームも違うし、有利だということはあたりまえのことなんですよ。みんな俗称をするときには、相互銀行の相互という名前を取って略称をしているのですよ。この銀行も何て言っているか知りませんけれども、恐らく相互の名前を取って略称は書いているはずですよ。恐らく兵銀と言っているんじゃないかと思うのですが、みんなそういうことをやっていまして、いま言ったようないろいろな面での非常に有利さがあるというようなことで、転換をしたいということでいろいろな運動があったということが言われているわけですね。  一部に報ぜられており、国会議員の名前なんかも私どもの耳に入ってくるわけですけれども、現在の段階で直ちにそれがどうこうということを私としては言えませんから、そういうことは私は言わないのですけれども、とにかく何かいろいろもやもやしたような空気がこの事件にはあるのですよ。それでなければ、どうも日銀の考査局長や国税庁の次長を招聘する理由がないようにも思うし、元来いろんな書類を全部押収してあるわけですから、それについては今後徹底的に調べをするということをまずひとつ約束をしてもらいたいというふうに思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほど来お答えいたしておりますように、まだ捜査中でございます。したがいまして、検察当局といたしましてはその調べの状況に応じて、犯罪の嫌疑があるというものにつきまして捜査を進めることは当然でございますが、嫌疑がないものについてまでやれないことも、また逆に事実であろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 大蔵省に最後にお聞きしておきたいのは、これはこういうことが言われているのですね。大蔵省が相当長い間検査に入って、そしてその間いろいろ接待を受けた。これは大蔵省から六人行って、近畿財務局から一人行っているのですか、それで五十六年十一月二十日から十二月二十日までですから、一カ月やった。これは二年に一回の定期検査のようですけれども、そのときにいろいろ料理屋で接待を受けたとかあるいはスナックで接待を受けたとかということが報ぜられておりますので、その点についてあなたの方としては調べたのか調べないのか、調べた結果どうだったのか、こういうことを最後にお聞きをしておきたいと思います。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 先生ただいま御指摘のような点が一部新聞等に報道された事実は承知いたしております。私たちは、そういうことが報ぜられたために、早速当該検査に行きました者を検査部長のところに呼びまして、個別に調査をしたわけでございますけれども、いずれもそのような事実は全くなかったということでございまして、私どもといたしましては検査官のその証言を信じているところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 時間が来ましたので終わりますが、こうした問題は特に相互銀行では非常に多いですね。ここら辺のところでも大光、徳銀、平和、それから今度もまた出てきたというので、相互銀行はいろんな事件が非常に多いものですから、これに対して今後どう対処していくのか、この大蔵省側の回答をいただいて、私の質問を終わります。

日吉章大蔵省銀行局中小金融課長

○日吉説明員 本件そのものにつきましては、現在捜査当局、司法当局において取り調べ中でございますので、今後その取り調べが進みまして事件の詳細な事実関係が明らかになった段階で適切な対応を行っていきたい、かように考えております。  ただし、いずれにいたしましても、本店の職員まで逮捕、起訴されるというふうな世間を騒がせる事態となっていることは、公共的な責任を有します金融機関としてはまことに遺憾なことと思っております。先ほども申しましたように、さなきだに経営環境が非常に厳しくなってきておりますので、私ども金融行政に携わる者といたしまして、なお一層慎重に、いろいろな点を配慮しながら行政をきめ細かく行っていきたいと思っております。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所川嵜民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 質疑を続行いたします。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 最初に、水戸地検の問題について質問をいたしたいと思います。  公訴事実を見ますと、   被告人田頭一規は、株木建設(株)の水戸支店副支店長兼営業部長、同花ケ崎勲は、常総開発工業(株)の常務取締役兼水戸支店長、同山口紀朗は、大都工業(株)の北関東支店営業部長をしていたものであるが、茨城県庁発注に係る五四国捕中小研究学園都市関連河川第一二の一号谷田川河川改修工事に関し、右各会社はいずれも競争入札指名業者として指名されたものであるところ、右改修工事の競争入札に先立つ昭和五四年一二月一七日、水戸市大町三丁目一番二二号所在の茨城県建設業協会会議室において、同工事の競争入札指名業者に指名された細谷建設工業(株)ほか七社の代理人から前記工事につき、茨城県庁との請負契約を辞退するとの意向を確認したのち、被告人らは共謀の上、同月一八日、右協会会議室において、公正な価格を害し、かつ、不正の利益を得る目的をもって、右工事につき、株木建設(株)に一億二、〇〇〇万円で入札させ、その他の指定業者は、いずれも右価格を超える金額で入札する旨の協定をして談合した。 こういうことになっております。  これで法務省にお伺いをいたしますが、私、これはこの要旨だけいただいたのですけれども、刑法九十六条ノ三第二項「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的」でという項に該当しておる旨の内容が記載されておりませんが、どういうことで第二項になっておるわけでありますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねの事件の起訴事実は、先ほど横山委員が御引用になられましたようなことでございまして、起訴状にも「公正な価格を害し、かつ、不正の利益を得る目的をもって」というふうに書いてあるわけでございます。その内容につきましてはこれからの公判で明らかにされてくる問題でございまして、まだ実は若干の捜査も残っておるような状態でございまして、まだ裁判が始まっているというわけではございません。したがいまして、これからの公判での問題でございますので、余り詳しい内容はこの段階では差し控えさしていただきたいわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 しかし、この要旨の中では第一項に該当するものであるという感じがするのですけれども、第二項に該当するという公訴事実について、地検としてはどういう論拠を持っているのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 刑法の九十六条ノ三は、御指摘のように二つの項に分かれているわけでございます。一項は「偽計若クハ威力ヲ用ヒ公ノ競売又ハ入札ノ公正ヲ害スヘキ行為」をした者、法定刑は二年以下の懲役または五千円以下の罰金、これは臨時措置法で引き上がっておりますが、二項で「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタル者亦同シ」、一項と同じ、こういうふうに規定されておるわけでございまして、水戸地検といたしましては、九十六条ノ三の二項の方に当たるという事実認定をいたしまして起訴している次第でございます。  この事案は、詳細はなるべく控えたいわけでございますけれども、起訴状にも出てまいります三社がいわゆる談合、話し合いをいたしまして、そして結局株木建設の名義で落札する、実際の工事は大都がやるということが基本でございまして、その場合に、談合でございますから、落札価格も内々話し合いができておるということで、その結果相当な利益が上がるわけでございます。その利益をこの三社で分配をする、こういう話し合いのもとに入札に臨んだ、そしてその話し合いのとおりに入札が行われて、結局は県との見積もり合わせが最後に行われまして契約が締結された、こういうことになっているわけでございます。  したがいまして、そういう談合と言われるような話し合いをした、その結果利益を三社で、山分けという言葉は適当かどうかわかりませんけれども、分配をするということにおいて、この二項にいう不正な利益を得る目的ということが言えるわけでございますし、また、そういう話し合いによって落札予定者が一億二千万円で入札をする、他の三社はそれを若干上回る金額で入札をするということによって話し合いどおりの結果を招く、こういうことでございますから、もしそういうことがなければもっと安い価格で落札が可能であったであろうというふうに言えるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、二項の最初の方にございます公正な価格を害する目的ということも認められる、その両方の目的による談合である、こういう理解でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 刑事局長、九十六条ノ三第一項に言う「偽計若クハ威力ヲ用ヒ」という偽計がなければ、威力がなければ、大津判決のように、単なる談合をやった、そして公正なる価格を害しまたは不正な利益を得る目的はなかったということであれば九十六条ノ三に該当しない。大津判決は非常に注目すべき判決のように思いますが、そう解釈なさるのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 九十六条ノ三は、先ほども申し上げましたように、一項は、偽計もしくは威力を用いる、そういう方法で競売または入札の公正を害する、こういう態様の行為をとらえているわけでございます。二項の方は、偽計とか威力とかいうことは関係なく、先ほど来申しておりますように、公正な価格を害しあるいは不正な利益を得る目的というその目的を要件とし、そういう目的で談合したということで二項の罪、つまり九十六条ノ三の罪の第二類型が成立するわけでございますから、偽計、威力とは関係ないことになるわけでございます。  そこで、先ほど仰せになりました大津判決といいますのは、大津の地方裁判所で言い渡された昭和四十三年の判決のことを指しておられるのだろうと思いますけれども、この判決では、この二項の公正な価格を害する目的に当たるかどうかというところが問題でございまして、偽計とか威力とかいう問題がそこで問題になっているわけではございません。そして、その公正な価格を害する目的ということにつきまして、若干特異な解釈といいますか、それを示しているわけでございます。それで、その解釈といいますのは、利益を無視したいわゆるたたき合いの入札の場合に到達するであろう価格を通常の利益、利潤の加算された価格にまで引き上げようという程度の協定は、ここで言う公正な価格を害する目的による談合とは言いがたい、こういうように理解されるわけでございます。  こういうふうに解した方がいいのではないかという考え方は一部の学者にもあるわけでございますけれども、判例は、これも横山委員御案内と思いますけれども、最高裁の判例がございまして、いまの大津地裁の解釈とは異なって、つまり公正な自由競争によって形成されたであろう落札価格を言うというふうに解しているわけでございます。したがいまして、実務といたしましては、最高裁の判例もあるわけでございますから、それに従って運用すべきものということで運用されている次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もう一度だけ伺いますが、九十六条ノ三の第一項「偽計若クハ威力ヲ用ヒ」ということは、偽計ないしは威力を用いなければ九十六条ノ三の第一項に該当しないという感じが刑法の解釈上は成り立つという論拠があるわけですね。だから、よき談合といいますか、九十六条ノ三の二に該当するような談合はいかぬけれども、一で偽計もしくは威力を用いない、したがって競売ないしは入札の公正を害すべき行為に至らなかったという談合はいい談合だ、刑法に該当しない談合だという解釈がちまたであるんですね、刑法上は。独禁法上は後で言いますけれども、そういう解釈をどう思いますか、もう一遍率直に。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 似たようなお答えになって恐縮でございますけれども、一項と二項が分かれておりまして、偽計もしくは威力を用いる、これが要件とされておりますのは一項の問題でございまして、一項の罪に当たるには、偽計または威力が用いられないと一項の罪は成立しない、これはそのとおりでございますが、二項は二項で独立しているわけでございまして、二項については偽計もしくは威力を用いるという要件は要らないわけでございます。そういう意味で、二項の罪に当たるかどうかは、もっぱら公正な価格を害する目的であったかどうか、あるいは不正の利益を得る目的であったかどうかということに帰するわけでございまして、二項の罪を論ずる場合には偽計あるいは威力の有無ということは問題にならないということになるわけでございます。  なお、御参考までに、これも御案内かと思いますけれども、この規定が当初、昭和十六年に国会へ出されましたときには二項に分かれておりませんで、政府の原案では一項だけといいますか、両方がまとまった条文になっておりました。それでは、「偽計若クハ威力ヲ用ヒ又ハ談合ニ依リ公ノ競売又ハ入札ノ公正ヲ害スヘキ行為ヲ為シタル者」ということで、偽計を用いる場合、威力を用いる場合あるいは談合による場合、こういうように方法が三つに分かれていたわけでございます。  その場合に、裸で「談合ニ依リ」云々となっておりましたことから、この談合というのは、必ずしも違法というか不正というか、そういうものに限らないのじゃないか、むしろそうでない談合というものもあり得るのじゃないか、こういうような御議論があったようでございます。そういうような御議論を経て、結局このままでは談合がすべて適当でないというふうに解釈されるおそれがあるので、むしろそれは取り出して、新しく二項を設けてはどうか、こういうような経過になりまして、そうなりますと、ただ「談合ニ依リ」というだけではまたいまの問題が解決いたしませんので、その談合の場合をいわば限定するといいますか、そういう趣旨を含めてこの目的を改めて書くことにした。そこで、いまございますように公正な価格を害しあるいは不正な利益を得る目的をもって談合した、談合がすべて違法ではなくて、そういう目的を持ってした談合が違法であるというふうに結論的になったということでございますから、談合についてそういう目的が要件であるということは事実でございますけれども、偽計、威力があるかどうかということは関係がない、こういうふうに御理解をいただきたいわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 建設省に伺いますが、これは昨年の十一月九日、参議院の議事録でございます。この当時はまだ事情を調査中であるということで、十分な答弁がされていないわけであります。  問題になりました点は、ここにあります三社の覚書と決算報告書を見ますと、利益の分配もきわめて明瞭で、しかも結局は常総開発が落札し、大都工業が一切を責任施工する、大都工業が施工する工事原価は請負金額の五四・八四%、利益率は四五・一六%とする、三社の利益配分は株木建設四〇%、常総開発工業、大都工業おのおの三〇%とする、何にもしない株木建設の利益が最も大きいのは、同社が周辺の改修工事で先行していたためと見られておる。  こういう内容に対して、まず第一に、利益率がこの種の河川工事で四〇%を超えるべらぼうなもうけというもの、本当に一体どうなっているんだ。これは県の河川工事ではありますけれども、補助金も出ておるだろうが、一体建設省は何をしておったんだろうかという疑問が一つ。それから、この答弁の中で、もし調査の結果いろいろな問題が出てきたならば建設業法に照らして厳重な措置をするという趣旨、処分の問題、そういう幾つかの点につきまして建設省は十分調査をする旨、厳正に対処する旨答えておりますが、今日どういう状況でありますか。

玉光弘明建設省河川局治水課長

○玉光説明員 お答えいたします。  先生いま御指摘の件は、五十三年度の牛久沼のしゅんせつ工事と思います。これにつきましては、まず積算でございますが、茨城県の方で積算するわけでございますが、同県には茨城県標準設計歩掛かりというものがございまして、これによって積算しております。この歩掛かりのうちしゅんせつ工事にかかわる部分につきましては、国で定めております積算基準に準拠してつくられたもので、積算内容は適正だと考えます。また、当時、その後茨城県が直接業者から本当の仕事の内容はどうかということを調査したわけでございますが、その結果によりますと、純利益としては、通常の利益は積算で三%見込んでおりますが、そのほかに七%程度あっただろう、したがいまして、合わせて一〇%程度純利益があったという報告を受けております。また、これらにつきましては、建設省におきましては、都道府県や政令都市に対しまして、建設省の直轄の工事費の積算基準と同一のものを積算するように指導してまいっているところでございます。

藤原良一建設省計画局建設業課長

○藤原説明員 処分関係についてお答えいたします。  いま御質問の対象になった工事は五十三年の工事ではないかと思います。この牛久沼しゅんせつ工事に係る事業は五十四年度の事業も問題になっておりまして、五十四年度事業が刑法に触れるとして起訴されたものでございますが、まず五十三年の処分からお答えしたいと思います。  五十三年の工事につきましては茨城県の知事から報告を受けまして、かつまたわれわれの方でも建設業法に基づきまして関係者から聴聞したわけでございます。その結果、業法で禁じられております一括下請あるいは請負契約に関して不誠実な事実が明らかになりましたので、関係業者であります常総開発株式会社、株木建設株式会社及び大都工業株式会社の三社を、建設業法違反といたしまして今年一月六日から三日間、営業停止処分としたところでございます。また、発注官庁の立場といたしましても、建設省の内規として定めております指名回避要領に基づきまして、関東地方建設局におきまして一月六日から一カ月間、指名回避を行ったところでございます。  また、五十四年の起訴に係る事件につきましては、われわれといたしましては、工事契約に関しこれは一括下請でないと関係者は言っておりますし、調査の結果もそのように考えられますが、非常に世間の疑惑を招き、われわれとしても遺憾としておりますので、工事契約に関して不正または不誠実な行為があったということで、七月十四日から指名回避の措置を講じたところでございます。  なお、業法関係の措置につきましては、事業者から事情を聴取しておりますが、現在、談合罪に該当する事実につきましては公判廷で争うと言っておりますので、訴訟事案が終結いたしまして有罪となった場合においては、当然業法に照らししかるべき処分を行うことを申し渡しますとともに、当面の措置といたしまして、関係法令の遵守につき関係業者に勧告を行ったところでございます。  以上でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 三日間の営業停止というのはどういう意味があるのか、私にはよくわからないのですけれども、ずいぶん穏便な措置という感じがしますね。  国税庁にお伺いしますが、この種の談合金、去年の十一月でしたか、建設業者等が工事の入札等に際して支出するいわゆる談合金その他これに類する費用は、原価に算入された交際費等の項目に改正をされたようであります。談合金というものを税務署へ申告するときに、A建設からB建設に談合金を出しましたということを言うはずがない。したがって、調べに行って、使途不明金なんで相手先は言えません、しかし、言え、実はこれは談合金でございます、談合金なら談合金のように交際費に繰り入れてやるという恩恵を逆に調査の結果行うというのが通常ではないか、そういう感じがいたしますが、この基本通達の実際の運用はどうなっていますか。

谷川英夫国税庁直税部法人税課長

○谷川説明員 お答えいたします。  昭和五十五年十二月の通達改正におきまして、いわゆる談合金につきましてはこれを交際費として取り扱う、そういうことにいたしているわけでございます。  その趣旨について申し上げますと、このような談合金の性格にかんがみまして、税務上これを厳しく取り扱う、そういうことを明らかにしているわけでございます。先生御案内のように、交際費につきましては、中小法人の場合には一定の損金算入額がございますけれども、そのほかにつきましては、これを損金とは認めないという厳しい取り扱いになっておるわけでございます。したがいまして、会社がこのような談合金について、これをたとえば工事原価というような形で処理しているような場合には、損金とは認めないで交際費として課税する、そういう取り扱いになるわけでございます。  また、御指摘のように、談合金等につきましてはいわゆる使途不明金という形になっているものが多いということでございますけれども、これを使途不明金として税務処理をいたしますと、その談合金をもらった会社、それについての課税ができない、そういう問題があるわけでございます。そこで、税務調査に当たりましては、この使途不明金の実態解明ということに努力しているところでございます。調査の結果、談合金であるということがはっきりいたしました場合には、談合金を出しました会社についてはこれを交際費課税とする、受け取った会社についてはこれを収入とみなしましてこれにも課税する、そういう扱いになるわけでございます。単に使途不明金として処理する場合に比べまして、厳しい取り扱いということになるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 談合金を受け取った方は、その措置によって利益として計上する、そういう点のメリットはあるけれども、談合金を出した方だけ考えますと、談合自身は違法行為である、いわんや談合金を出すと、談合が行われてその不正な価格形成になったわけであるから、こんなものは違法な支出である。それを談合金を出したら、それじゃ交際費に充ててやるからという恩恵をむしろ与える、結果として。初めから談合金として計上してない、調査に行ってそうなる、それは救済するというかっこうになる。もちろん、税はどろぼうやっても収入があったらそれは課税する、ばくちやっても課税するという論理から言えば、それはなるほどと思われないわけではないけれども、結局、最初が使途不明金であるものを、談合と言ったらそれでまけてもらえるということを税務署が、自分たちが教えるということについて釈然としない。もしそういうことでやるならば、どろぼうやっても七つ道具の経費が要る、ばくちやってもテラ銭が経費であるという論理になるのではないか、そういう感じがするのですけれども、この交際費になった談合金の実際の運用については経験はありませんか、どんな運用がされておるか。

谷川英夫国税庁直税部法人税課長

○谷川説明員 実態につきましては詳しくは把握しておりませんけれども、談合金として出しましたものを、やはり会社としましては工事費とかあるいは外注費という形で経理をしている場合が非常に多いようでございます。そういうものについてはこれを損金算入に認めず、交際費として課税する、そういうのが実際の取り扱いとして多いと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 御経験の事実がないようでありますが、この運用については、実際は空文になってしまうんじゃないか。調査に行った、相手先の名前を言えない、事実は談合金でございますと言う、相手先の名前を言えなければ談合金を交際費の扱いにしない、こういうことになると思うのであります。相手先の名前を言わないのに談合金を交際費の扱いにすることはしないでしょうね。そうでしょうね。あたりまえのことであります。相手先の名前を言わない、それなら交際費の扱いをしない、当然の論理でございます。にもかかわらずこの基本通達を変えて、談合金という忌まわしい違法性のある名称を、わざわざ談合金またはそれに類する費用は交際費にするということを書いた趣旨、それが私にはわからないのであります。それなら基本通達の中へ、泥棒やった利益は課税するとかあるいはばくちやった利益は課税するとか、そういうものが当然出てこなければならぬ。そんなのはどこにもありはせぬ。  なぜ一体基本通達の中に、忌まわしい談合金その他これに類するものは交際費扱いをする、どうしてそんなことが書かれなければならないのか。その積極的な必要性は一体どこにあったのか。どこかでこれに類するような事実があって、恐らく国税庁としても大蔵省としてもこの問題をずいぶん議論した結果、何かの救済措置をそこで働かしたのではないかということを私は邪推せざるを得ないのであります。なぜこの談合金またはその他類する金を交際費扱いにしなければならなかったのか、基本通達に違法性のあるものを書かなければならなかったのか、それが私にはわからない。

谷川英夫国税庁直税部法人税課長

○谷川説明員 談合金につきましては、従来から交際費として扱うという扱いをしていたわけでございますけれども、会社によりましては、こういう談合金というものもいわゆる工事の原価である、そのような主張をする向きも非常に多かったわけでございまして、いや、そういう工事の原価ではない、原価として損金算入するのはいけない、その辺のところをはっきりいたしますためにこのような改正をしたということでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わからないね。私の言うことがよくわかっていないようですね。どこの法律に違法性のあるものが堂々とこの通達に載るのか。こういうところへ違法性のある談合金という言葉が出てくること自身がおかしいではないか。これはもう庶民が納得しないんではないか。刑法の解釈は解釈として、独禁法上は談合そのものを悪として、談合はいけないということになっておるのに、なっておる談合金は交際費にするということの論理が、国民の中に説得力がきわめてないというのが私の言い分なんですね。わかりますか。御答弁ありますか。なければもういいです。

谷川英夫国税庁直税部法人税課長

○谷川説明員 法人税におきまして、法人が事業遂行のために支出をいたしました場合、法律に明文の規定のあるものにつきましては、法律上こういうものは損金には算入しない、そのような明文の規定のないものにつきましては損金扱い、どういう費目でやるかという解釈の問題になるわけでございます。したがいまして、現在の法律におきましては、こういう談合金等につきましては特別の定めがございません。したがいまして、どの費目になるのかという形になるわけでございまして、その際に、このような金について経費として損金算入を認めるのはおかしいということで、むしろ交際費の方が支出の趣旨に合う、そのようなことで交際費課税と厳しい扱いにしている、そういうことでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 交際費課税は厳しい扱いとは言えないと私は言っているんです。使途不明金として全部損金に認めないという立場から、交際費によって一部を損金にするという措置に変わったではないか。また、談合そのものがいけないことだとなっておるこれだけの世論の中で、なぜ談合金ないしはそれに類するものを交際費扱いにするということを明文にしなければならないのか、こういう点について一向あなたは説得力のある答弁ができていないのであります。  その談合について公正取引委員会が、静岡県の清水建設業協会その他につきまして勧告書を本年出しました。この公取の勧告の結果、今月の二十七日ごろまでに業者がこれに対して対応を決めなければならないということになっておるわけでありますが、この勧告について建設省はどういう対処をなさっておられるのか、また、業者に対してどういう行政指導をされておられるのか、伺います。

藤原良一建設省計画局建設業課長

○藤原説明員 八月六日、静岡の独占禁止法違反容疑事件について、公正取引委員会より、御指摘のとおり関係建設業界に対しまして独占禁止法八条一項一号に違反する事実と認定いたしまして、その排除等を命ずる勧告がなされたわけでございます。  この勧告につきましては、現在関係協会においてその内容を検討して、応諾するか否かを決定することとなるわけでございますので、現時点でのコメントは差し控えさしていただきたいと思いますが、昨年来指摘されました本件を含む幾つかの疑惑が建設業界に対する国民の信頼を大きく損なう結果となっておりますので、われわれとしてはまことに遺憾と考えておるところでございます。  今回の事件は、もちろん業界に対しても大きな影響を与えることとなるものと考えておりますが、私どもとしましては、今回の勧告を契機に、関係者が協力しまして諸制度の点検、合理化等を推進して、国民の信頼を一刻も早く回復する必要があると考えておる次第です。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この建設業協会及び清風会等に対する勧告は、ひとりこの二つの組織に対する勧告ばかりでなくて、建設業界全般に大きな影響をもたらしたことは言うまでもありませんし、いい談合と悪い談合というふうに区別さるべきではなくて、談合そのものがすべていけないんだという立場をとっておることも画期的だと私は思うわけであります。  由来、その建設業の内部におきまして、この大津判決を引用いたしまして、談合でも仕事の振り当てをするだけなら、談合金を出さなかったならば、あるいはまた不当な価格の形成に相談をしなかったならば、もうこの談合によって中小企業も救われておるはずだ、大企業の進出をこれである程度食いとめておるはずだ、したがって談合そのものを悪とするのはいかがなものかという雰囲気が、建設業界はもちろんでありますけれども、建設省内部の少なからぬ高級官僚の中にも、口を開けばそういうことを言う人が事実あるわけであります。そういう建設省内部の雰囲気が業界にも反映し、あるいは業界のPRにも反映しておるところへ、この二つの勧告はまさに頂門の一針と言うことができると思います。  この公取の勧告に対して、いま一応おざなりの御答弁がございましたけれども、建設省自身が姿勢を正すべきではないか。幾つも社説がございますけれども、「第一は公共工事の入札制度の改善である。建設相の諮問機関である中央建設業審議会で具体策を検討しているが、まだみるべき成果はあがっていない。」と、はなはだしく批判をいたしておるわけであります。私の手元に建設省が本年三月いろいろなところへあてた文書その他がございますけれども、この以後、建設省の審議会あるいは専門委員会は一体どういう結果、どういう審議状況でありますか。

藤原良一建設省計画局建設業課長

○藤原説明員 入札制度の合理化対策につきましては、御案内のとおり、建設大臣から中央建設業審議会に対して調査、審議をお願いしておるわけでございますが、同審議会で、三月三十日の総会におきまして、入札結果等の公表について関係各庁あて建議が行われまして、建設省におきましてもこの建議を受けまして、ことしの六月一日より、指名業者名、入札経緯及び入札結果について公表を行っておるところでございます。  この中央建設業審議会におきましては、なお入札方式とか入札手続、業者選定事務その他これから検討される項目がたくさん残されております。現在非常に積極的、意欲的に審議を進めていただいております。結論が得られたものから逐次建議がなされることと考えておりますが、建設省としましては、審議会における結論が得られ次第、その実施に努める所存でございます。  なお、公共事業の発注官庁としての建設省としましては、直轄工事につきまして、競争参加者の指名数を、とりあえず五十七事業年度から二十名とするということで、次官名をもって通達したところでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いま御報告をされたことは、三月の二十六日の建設大臣から各方面に出されました内容とほぼ同じようなことでありまして、その後の進捗状況は、熱心にやっておられるとおっしゃるのだけれども、必ずしも要を得ていないというふうに私は感じられてなりません。  建設省、国税庁並びに法務省に要望をいたしますけれども、談合について建設省と法務省とやはり感覚が違うのではないか、あるいはまた解釈についてもいろいろと解釈があるのではないか。これは公取の判断が出た機会に、やはり両省が談合及び談合に絡まる諸問題についての意思統一をなさるべきではないかということを私は考えるのであります。  法務大臣、お聞きのとおりでありますが、この談合問題についてあなたはどういうふうにお考えでございますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 談合の問題につきましては、今度の国会におきまして非常な批判も受けておるわけでございますが、われわれといたしましては、あくまでも法の厳正公正な適用ということを考えていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務省とそれから建設省と比較してみまして、刑法と独禁法の運用の違いがある。それからまた、建設省内部でも、この談合問題について毅然とした態度がない。それがどうしても業界に反映をする。そこへ公取から手厳しい話がある、あるいはまた水戸地検を初め法務省の措置があるということで、建設省としては出処進退に毅然たる態度が足らないのではないか。いつまでたっても業界は、まあまあこのくらいのことは建設省も大目に見てくれるとか、高官の顔色を見ておればまあまあという顔をしているとか、そういうことがあって、建設省の立場というものに毅然たる態度がないことが、談合というものについての明白な結論、明白な粛正をいつまでたっても不可能にしているのではないかということを私は考えるのでありますが、建設省はどうお考えですか。

藤原良一建設省計画局建設業課長

○藤原説明員 業界の一部におきまして、先生御質問の趣旨のような、いい談合と悪い談合とがあるのじゃないかというふうな議論がなされておることは、私どもも承知しておるわけです。しかし、さりとて法に触れるような行為が是認されるわけは断じてないというふうに考えております。私どもとしましても、現在審議会に各界各層の人が参加していただきまして、幅広く議論を願っておるわけでございますので、審議会の結果によりまして、われわれ厳正な態度で所要の措置等を講ずる考えでおります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 せっかくひとつ厳重に建設省で内部の意思統一をされんことを望みます。  法務大臣また刑事局長に少し嫌みになりますけれども、あっと言う問題がこの間新聞に載りました。「現職検事が結婚相談所で 未婚と偽り十数人と 中には交際、家庭騒動」、地検が事情を聴取しておるということであります。「広島地検の現職検事が、妻のいる身でありながら初婚と偽って結婚相談所に登録、十数回も見合いをしたうえ、婚約寸前の女性までいることが十七日、明らかになった。“婚約予定者”の出現がきっかけとなった離婚話のもつれから夫の検事に乱暴されてけがをした奥さんは、広島市内のお寺に駆け込み、閉じこもったまま。」こういうことでございますね。一体どういうことだろう。コメントを披露いたしますと、評論家は「点数主義教育が影響」、それから広島の検事正は「近く処分を考えたい」、法務省の人事課長は「法に触れるなら対応」とやや慎重な言い方ではありますが、法に触れるか触れないかももちろんさることでありますけれども、どうかしておりはせぬかという感じがするわけです。御報告は受けておみえになりますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘のようなことがございまして新聞等にも大きく報道されましたことは、大変遺憾なことであるというふうに存じているわけでございます。この点につきましては、現在官房の人事課の方で、現地とも連絡をとりながら、事実関係と申しますか事情を調査中でございまして、その調査を早急にやりまして、その上で適切な対処をすべきものというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ロッキードの問題以来、検察陣のありようについては国民の非常な信頼を集めておるところなのであります。かつて当委員会で、裁判官の問題もあるいは弁護士の問題もあるいは司法関係に関する各業種の問題も、いろいろ非違行為も取り上げました。けれども、検事に関する問題はほとんど取り上げたことがないと私は記憶をいたしておりますが、今回、これが法に触れるか触れないかということは多少問題はある、事実がもう少し明らかにならなければわかりませんが、少なくともこの新聞報道で、初婚と偽った、何回も見合いをしている、奥さんがまだある、そして結婚相談所で紹介された女性と十数回のデートもしておるということは、いかにもどうも非常識ではないかというふうに考えられてならないのでありますが、法務大臣はどうお考えでございましょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 この問題につきましては、まだ詳細には報告を受けておりません。しかしながら、このような事件はあってはならないことでございまして、今後やはり検事の採用あるいは試験等におきまして、広い教養ある人が検事にならなければいけないなということを私は痛感いたしておるわけでございます。まことに遺憾なことであるというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この種の問題は、調査しなければわからないという問題ではないのですよ。恐らくこの新聞に載っておることだろうと私も思います。ここは一体どうだったんだとか、実際はどうだったんだとかということを調査しなければ事実が判断できないという問題ではないと思います。ですから、どうもこの種の問題は、国会で質問すると、まだ調査中でございます、調査中でございますと、またほとぼりの冷めるのを待って、まあまあ適当にというような感覚がときに働くのでありますけれども、そんなに調査しなければわからないような問題ではないと思います。全国の検察陣に対する不名誉きわまることでございますから、こういうことは早いこと処置をして、しかるべき社会の信用を回復することが先決だと私は思います。  ロッキードの話が出ましたので、あと若干ロッキードの今後の裁判の問題について伺いますが、伝え聞くところによりますと、検事側の論告求刑が、裁判の進行度合いからいって本年の末ごろには行われるのではないか、そういう作業の進行状況ではないかと言われておりますが、いかがでございましょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 いわゆるロッキード事件のうちの丸紅ルートについてのお尋ねであろうと思いますけれども、ただいま仰せになりましたように、公判がまだ進行中でございまして、現在のところ弁護側によります反証活動が続いておるわけでございます。新聞報道等におきまして、来月上旬には一応終わるのじゃないかというようなことも言われておりますけれども、そこまで確定したわけではございませんで、一応いままでの予定のところが九月の八日に次回が入っておって、そこでの証人調べが予定されているということでございまして、その後のことはまたそれから先になるわけでございます。  毎々申し上げていることでございますが、弁護人側の反証というものでございますから、検察官側といたしましてそれを採用するというわけにもいかない事柄でございます。したがいまして、九月上旬になりましてまたさらにどういう反証活動が行われるかどうか、もとよりそれが客観的に見て不必要なものであるとかあるいは関連性がないとかいうことでございますと、それなりの意見はもちろん検察官としても述べるわけでございますし、最終的には裁判所の御判断ということになるわけでございますが、そういう意味で流動的なことでございますから、そういう反証活動がなお続くかどうかという問題もございます。また、被告人の一人が病気で療養中であるというような状態でもございますので、いつごろに事実関係の調べが終わるかどうかということは、現在のところはっきりいたしていないというわけでございまして、したがいまして、検察官の論告も、仰せになったように本年じゅうに行われるかどうかということにつきまして、明確なことは現段階では申し上げかねるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 反証活動が行われて、裁判官が判断をしてそれを認めるというならば、一般的に予測されております、ことしの夏ごろには大体終わるだろうと言われておりますことが、あるいはさらに延びるかもしれないというお話ですね。それが終わりましたら、一般論からいって、検事の論告求刑には大体どのくらいの月数が必要なんでありましょうか。あるいはまた、あなたにお伺いしてはおかしな話でありますが、論告求刑が済んでから判決に至るまで、一般論としてでも結構でございますが、何月ぐらい、どのくらいの日数が必要で判決があるのが普通でございましょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 証拠調べが一応といいますか終わりましてから論告までのことでございますが、検察官側といたしましては、この事件に限らないことでございますけれども、迅速な裁判ということは当然なことでございますので、証拠調べが終わりましてから論告までに長時間を要するというようなことは、もちろん避けなければならないわけでございます。したがいまして、証拠調べ等が終わりました後に、できる限り速やかに論告ができるように準備をするというのがたてまえでございますが、論告の中では弁護人側の反証活動に対する意見、反論というものもまた盛り込まなければならないわけでございますので、それには若干の準備が要るかと思いますが、何カ月も間を置くというようなことは考えていないというふうに承知いたしております。  また、論告から判決までのことになりますと、これも一般論としてもなかなかむずかしいことでございまして、特にその間に弁護人側の弁論というものがございますわけで、それについて弁護人側で準備が要る、これも合理的なことでなければならぬと思いますけれども、それなりの期間が要るということでございます。そして、その両方の主張あるいは反論というものを裁判所が御判断になって判決になる、こういうことでございますから、何年もかかるということはもちろんないわけであると思いますけれども、三カ月であるとかあるいは五カ月であるとか、そういうふうに明確にこの事件がどうなるかという予測は、なかなか申し上げかねるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣にお伺いしますが、お互い政治家として、田中角榮裁判が、ロッキード裁判がいつどういう結果になるかということについては、きわめて政治的な意味から注目がされておるところなんであります。要するに、だんだん延びる可能性が出ておるけれども、一般論としてことしじゅうには論告求刑があるのではないか、来年の夏ごろまでには判決が出るのではないか、そういう予測が、多少おくれるにしても、そんなに大きな、二年も三年も間隔が違うことはもはやあり得ないということになっています。  そこで、この判決が来年じゅうにもあるのではないかということは、同時に政治的に見て、われわれの任期とも考えて一体解散がいつごろあるだろうか、政府・与党としては、総理大臣としては、解散の時期というものは、この判決の時期とどういう関連を持たせたらいいだろうかとお考えになるのはけだし当然でありまして、私どももまたそれに最大の関心を持つことも、またお互い政治家であれば当然だと思うのであります。  法務大臣が本件についてとやこうできる立場ではない。もちろんわかっています。しかし、政治家としてあなたも私もそれに最大の関心を持っていることも、また同様だろうと思うわけであります。先ほど同僚委員があなたに二階堂さんの問題について聞いておりました。あなたは答弁をなるべく差し控えるようにしておられたわけであります。しかし、この際あなたに聞いておきたいと思いますことは、よもやかつての指揮権を発動をされることはあるまいと思う、指揮権を発動されることはよもやロッキード裁判についてあり得ざることであろうと思いますが、いかがでございますかというのが一つでございます。  それから同様に、歴史的に見るこのロッキード裁判で検察陣がとにかくあらゆる努力をこの一点に集中して、検察陣の威信にかけて起訴し、法廷で立証をしておることについて、あなたは検察陣を信頼するということを先ほどもおっしゃったわけであります。しかし、信頼するということは、同時にそれは田中角榮有罪に通ずるということは、理論上当然のことだと私は思うのであります。検察陣を信頼する、しかし、その結果については自分の判断は差し控える、それはあたりまえのことであります。あたりまえのことでございますけれども、検察陣を信頼するということは、同時に田中角榮に有罪判決が出るということを自分としては確信をするということに通じなければ、ちょっと理論上も筋が通らないと思いますが、いかがでございますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 ロッキード事件の裁判につきましては、私、重大な関心を持っております。この進行状況につきましてはただいま刑事局長から御答弁を申し上げましたとおりでございます。これについて指揮権を発動するかというようなことでございますが、私はそのようなことは考えておりません。  それからまた、現在進行中の問題でございますので、私のお答えといたしましては、先ほど稲葉委員にもお答えをいたしましたとおりに、検察を十分に信頼をしておる、そういうことでひとつ御了承を願いたいというふうに思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もう少し言いにくいことを聞きますけれども、確かに裁判は独立しており、検察陣は全力を投入しておる、それを認めるにやぶさかではありません。しかし一方、われわれの国会におきまして、また政界におきまして、いわゆる目白の影響力というものはここ数年来非常な大きな力を持っておることも、お互いにはだえに感じてわかっておるわけであります。刑事被告である人があらゆる公式の会合に出る。そして、一時はその人に会うことをためらった総理大臣初め各閣僚も公式の会合で握手し、そしてまた、何か重大な問題があれば行政管理庁長官も会いにいくというような状況になっておることも御存じのとおりであります。  国民としては奇異に感ずる。裁判で懸命になって検察陣が追及しておる人たち、そのグループの政治力がここ数年の間に国会を揺り動かすまでに至っておる。それは一体裁判にどういう影響をもたらすのか。その真ん中に立っておる法務大臣は政治家としてそのことがわからないはずはない。一体、法務大臣はその政治力の防波堤に本当に立っておるのであろうか。無色透明、厳正中立と言っておるけれども、しかし一体、事このロッキード問題について、たえとば証言法の改正にしましても、倫理委員会の問題にいたしましても、国会はなすところなく結局いま終わろうとしておる。それは一体本当に関係のないことであろうか、ロッキードの裁判に関係のないことだろうか。国会は政治浄化の機能をいまや着実に失いつつあるのではないか、そういう感覚は国民の中にきわめて強いのであります。私ども、野党の一人としてまことに残念であると同時に、むなしさを感ずると同時に、非力を感ずると同時に、これからの進展について多大の危惧を持たざるを得ないのであります。  あなたのそういう点における地位というもの、あなたの今後の検察陣を指揮してやっていく立場というものは、そういうきわめてむずかしい立場に立っておるという感触をあなたはお持ちであるかどうか。単に裁判に任しておけばいいという問題ではない。いま一つ一つ外堀が埋められつつあるのではないか、そういう感覚を国民ひとしく持っておると思いませんか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 国民がこのロッキード裁判の行く末につきまして非常な関心を持っておるということは、私もよくわかるわけであります。それだけに、検察とそれから裁判というものが公正に行われて国民の信頼を得るということが一番大事である。でございますから、私がいまそういうただ中にあって、私をも国民の方々が注目をしておるということは十分承知をいたして、その上に立って厳正公正に行動で示さなければいけないというふうに私は思っておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 くどいようではありますけれども、ロッキード裁判が、あの問題が惹起して裁判が始まるまでは、全く国民的支援、ある意味では超党派的支援が検察陣に集められたのであります。ところが、いま条件が変わっているわけであります。国会に目白の影響というものがきわめて浸透しておる。そして、検察陣はたびたび後ろを振り向きながら、後ろをちらっと見ながら仕事をしているのではないかという疑問を、危惧を私は感じておるわけです。あなたの顔を見ながら仕事をしているのではないかという気がしておるわけであります。私どももまた野党として、証言法一つ、倫理委員会一つ、証人喚問一つ、この史上最大の国会の延長の中でそれを実現することができない政治情勢というものが、如実にそれを物語っていると私は思うのであります。  だから、こういう中であればあるほど検察陣が健闘をしなければならないし、法務大臣も毅然たる態度をしなければならぬ。そういう中で現職検事が結婚相談所でおかしなことをやっておるということはまことに残念至極。今回私がちょっと取り上げたぐらいでなんですけれども、何かあれば怒濤のごとく、検察陣の非違行為について何か思いをこらしている人たちが、検察陣横暴、検察陣独善ということに切り返しが来る可能性が決してなしとしないと私は思います。ですから、法務大臣以下検察陣がそういうことをも考慮しなければならない事態がいま来ているのではないか。だから、よけいに身辺なり検察陣の士気なり、そういうものについて十全の配慮と十全の努力もしてもらいたいし、いかなる政治情勢の変化があるといえども、また法務大臣がたびたび変わることがあっても、何らこの問題についての変化はないという立場をとることと、またあなたが閣議の中における政治の倫理の問題、直接関連しなくてもここに影響するような可能性のある問題については、断固として先制防御、先制攻撃、そういう態度に出てもらわなければ、一つ堤が崩され、一つ外堀が埋められる。  一体、このロッキード裁判は、終局的に地裁から高裁から最高裁に至りますまで何年かかるであろうか。その何年か、十年かかかったうちに政治情勢は一変しておる。私どもはもう一度あの当時の状況にしたいと思っておるわけでありますが、一変する可能性もある。長い将来をも考えて、あなたの時代、あなたから後に受け継ぐ時代、そういう点についても最善の配慮をしてもらいたいと思います。  御答弁を伺って、私の質問を終わることにいたします。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 横山さんからのるるの御指摘は、実は私も全く同感するところでございまして、この検察を預かる法務大臣といたしましては終始一貫相努めますと同時に、これが末長く、私がやめました後におきましてもこの厳正公正な立場というものを貫き通してもらいたいというふうに私は思っております。そのことが一番いま大事なことではなかろうかというふうに私は思っております。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 沖本泰幸君。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 まず、大臣に伺いますが、けさほど稲葉さんもお伺いしておったわけですけれども、新聞によりますと、法務大臣が来月、九月十八日から十月二日まで、法務省刑事局の担当の方々四人と、「西独、スイス、スウェーデン、フランスの四カ国を回る。西独など三カ国では、保安処分施設や、制度の効果などを調べるとともに、フランスでは制度新設の検討を始めた背景や世論の動向をつかむ狙いだ。今回の視察は、処分内容を最終的に煮詰めるため、法相自身が判断材料を得ることに主眼を置いている。同時に歴代法相の中で初めて保安処分問題の海外視察をすることによって、制度新設への意欲を印象付ける意味合いも込めている。」「法務省は、保安処分施設や医師の確保の目六体策を立てるため、厚生省と連絡会議を設け、十月までに結論を出す方針だ。」「日弁連との意見交換会が九月になれば十回目となり、論点はほぼ出尽くしてきた、と判断している。そして十月以降は意見交換を継続する中で、次期通常国会への法案提出をめざして保安処分案の最終的検討に入ることができるとしている。」法務大臣のヨーロッパ訪問は「こうした一連の日程に先立って設定されたものだ。」こういう記事があります。  また同時に、日弁連の方でも時期を同じくして、「刑法「改正」阻止実行委員会のメンバー四人が、」数も同じですね。九月十九日から十月三日まで、一日おくれで同じ日程で、「イギリス、フランス、西独、オランダを回る。保安処分施設視察も日程に組み入れているが、重点は、精神科医、精神障害者や家族、学者らとの懇談に置き、医療の面から保安処分に含まれる問題点を探ろうとしている。」こういうことで、「日弁連では法務省が「日弁連の主張には具体策がない」と批判し、法相訪欧の成果をテコに保安処分導入を推進してくることを強く警戒。」こういう記事が出ておりますが、このとおりなんでございましょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 その記事は私も読みましたが、大体においてそのとおりというふうに受け取っていただきたいと思います。でございますから、先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、先般四月に西ドイツの法務大臣シュムーデさんがやってまいりまして、ぜひ坂田法務大臣もわが国の状況を視察してもらいたいというようなお話もございましたし、保安処分が主でございますけれども、その他の問題につきましてもいろいろ諸外国の事情をこの目で見てきたい、こう思っておるわけでございます。  まず、今度の視察に当たりましては、第一には、精神障害または薬物中毒等による犯罪を犯した者に対する保安処分の制度の内容及び運用の実情など、制度全体につきまして向こう側にいろいろと質問をしたりあるいは説明を受けたりすることが第一点であります。  第二点は、このような保安処分を言い渡されました者を収容する治療施設、禁絶施設、これも恐らく精神病院系統の、日本で言いますと厚生省所管というようなところでもあるのかもしれませんが、そこでどういうふうに市民防衛の立場からなされておるのかというようなこと。あるいはまた、国によりましてはそうじゃなくて、刑事施設の中にそういうような人たちを収容している、しかし、収容はしておるけれどもやはり治療も行っておる、あるいは社会復帰を目指しておる、最近におきましては開放的な制度をも導入しておる、それと市民の防衛、社会防衛を一体どう考えたらいいのか、あるいは運用はどうなっているのか、そういうような施設、治療の状況をよくこの目で見てきたい、また資料も十分いただいてきたい。  そういうものを精査をした後において、来年度どのようにこの治療処分を考えていくかという重要な参考資料にするという目的を持った視察でございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 そうしますと、やはり記事に出ておりますとおり、大臣の最終的な目的は保安処分、刑法全面改正を次の通常国会に出すという次元でお越しになる、だから次の通常国会にはその刑法全面改正法案が出てくる、こう考えてよろしいのでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 実は、ことしの国会にでき得べくんば刑法改正をもあわせまして出そうかと思っておったわけでございますけれども、しかし、私が就任いたしましていろいろ内部的に話を聞いたりいたしますと、まだ条件が整ってないように思いました。日弁連との関係、それからその交渉の回数におきましてもまだ非常に少ない。少ないのみならず、内容的には余り入っていないというようなこともございました。しかし、その後ずっと日弁連との会合も進めまして、たしか十回程度やっているのじゃなかろうかというふうに思います。それからまた、厚生省との関係、これもいままでは非公式にはやっておりましたけれども、公式にはやっておりませんでした。これも公式に協議に入るということを両省で確認をいたしておりますし、現実に動きつつあるわけでございます。  そういうこともございますのでことしは断念いたしましたけれども、来年度はひとつ何とか成案を得まして所要の手続を進めまして、そして来年度の国会に上程したいという一つの目標を持ちまして進んでおるわけでございまして、その一環として治療処分を考える会というようなものもやりまして、一応メンバーの個々の人方の御意見も十分実は聞いたわけであります。また、この方々との一般のディスカッションをする機会をもう一回か二回開きたいと思っておりますし、また言論界のこの方面のエキスパートの方々にも来ていただいて御意見を承る、そういうようなことをして最後の決断を得たいと思っております。一応は来年度出すという目的のもとにスケジュールを組んで進んでおるというふうに御理解を賜りたいと思います。またよろしくお願いを申し上げます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 午前中の稲葉さんとのやりとりの中で、私の聞き違いかわかりませんが、大臣は、被害者の立場から何らかの救済措置的なものを行ったとき見てくる。まあそういう団体等の場合も行って見てくる。これは稲葉さんは、イギリスに寄ってあれこれと、いろいろなことをアドバイスをなさっていらっしゃったわけですが、この被害者という立場は、犯罪被害者補償制度が、いろいろ議論してきまして、結果的には警察庁の方の被害者の給付支給制度という形に変わって、警察庁の方の仕事として残ったわけです。これはこれでいっておるわけですが、最初当委員会で検討し、いろいろ法務省と一緒になって考えた点とは大分中身が違ってきておるわけです。その犯罪被害者という立場からいきますと、精神障害者の人の起こす事件から起こってくる問題ということが一番大きくクローズアップされてきた中で起こってきたわけです。どっちかというとそっちの方へ問題は偏ってしまったという形はなきにしもあらずなんです。  われわれが目指したものは、あらゆる犯罪被害によって起こる問題というところからきたわけですから、通り魔だって、麻薬とか覚せい剤とかそういうことの精神錯乱、精神障害から起こってくる犯罪と、あるいは普通の何でもない人が通り魔的に発作的にやるいろいろな事件があるわけです。そういう意味合いの中の犯罪被害という点を考えたわけですけれども、大臣がおっしゃっておったのは、結局保安処分の内容を含めてヨーロッパを視察なさるという目的の、保安処分という形の中から入っていく被害者、こういう考えでのけさほどの御発言だったのでしょうか、どうでしょうか。あるいはいまやっている被害者の給付制度の問題を含めて、やはり大臣としてもっと重要なことをお考えになって、新しい法律づくりであるとか新しい制度のお考えを持ってこういう面を御検討になっていらっしゃるのかどうか、その辺をお伺いしたいのです。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 けさほど稲葉先生に申し上げたので少し誤っているところがございます。それは八月二十九日と申し上げましたが、実は八月三十日だったと思います。八月三十日に、非常に権威のある学会ですね、被害者の立場に立ったいろいろな問題を学問的に追求しようという機運が出てきて、しかも、これは何回目でございますか、まだそんなに回数は多くはないわけですが、それを日本でやろうということ、これは私、画期的なことだと思いますし、法務省の内部からそういうお話がございましたから、私もそれはひとつ出席してごあいさつを申し上げたいというふうに申し上げておるわけです。  これはそういう意味においてまだ非常に幅の広い問題でございまして、先生方がおつくりいただきました給付の問題も、もちろんその中に含んでくると思います。あるいはわれわれが考えております治療処分の問題もその中に含まれるかと思いますが、いずれにいたしましても、一般的に考えまして、被害者というものに対する立場から物事を考えていく、あるいは犯罪を考えていくということが、従来、これは何も日本だけではなくて、各国とも欠落しておったのではないか、むしろこういう視点から問い直してみる必要があるんだという学問的な一つの方向というものをわれわれはちゃんと把握しながら、その一環として日本ではどういうふうにいろんな問題をそしゃくしていくかということであろうか、私、素人でございますからなんでございますけれども、そのように考えておるわけでございます。  もちろん、今度参ります視察は、主といたしまして治療処分の制度が各国においてどのように行われておるのか、日本でいろいろ厚生省で措置入院制度をやっているけれども、ああいうようなことがうまくいっているところはどこなんだろうか、あるいはどうしてもそれがいけないというところがあるのかどうなのか、あるいは刑事施設でそれをやっておる、それは非常に困るところがあるんじゃないだろうか、あるいは治療が完全にいかないんじゃないだろうか、その辺は運用はどうなっているんだろう、ひとついろんなことを調べてきたい。限られた時間でございますから十分とは言えませんが、その限られた時間の中でも十分な視察をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 もともと当委員会で検討されてきた犯罪被害者補償法の制度につきましては、イギリスの現在ある制度、あるいはオーストリア、ニュージーランドの制度とかというところの制度が参考になって、イギリスと日本が一番よく似ておる、人口とかいろんな内容のことから参考制度的な考え方を持ったわけです。そういうことでございますから、せっかくお越しでございますから、その辺も十分御視察いただいて、いまの日本にあるもの等の、できたものとの違い、あるいはどういう点を充実したらいいかというようなものも検討してきていただきたいと考えるわけです。  それから、ついでと言っては悪いのですけれども、極端によく見て違っているものは法律扶助の制度の関係なんですが、これは後で触れるつもりできたわけです。大臣が行かれるついでに、イギリスは年間約二十万件あるということであり、これに対する費用が——日本では年間二千件しか法律扶助協会はやっていないわけですけれども、イギリスでは二十万件あるわけですね。そしてお金の方も、イギリスでは法律扶助法というのをつくって百十億。日本では、大臣御存じのとおり、政府が補助しているのは八千万円ですから、全然けた違いということでございます。大臣がお越しでございますから、この点もひとつ見てきていただいてお教えいただきたい、こういうふうに考えるわけです。この点はいかがでしょう。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、今回は期間の制限がございますものですから、イギリスも行きたかったのでございますけれども、イギリスは私自身は割愛せざるを得ません。しかし、古田君はイギリスにもやることにいたしておりますので、その点も十分検討させて、資料等も持ち帰ってもらいたいと思っておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 それで、ついでに保安処分の問題等が話題でございますから厚生省の方へお伺いしたいわけですけれども、十七日の新聞によりますと、   厚生省は、激増する精神障害者犯罪に対処するため、精神医療体制を本格的に充実させる方針を決め、十六日までに、重点対策案をまとめた。主な内容は1精神科救急医療機関、都道府県立精神病院の整備、増設2入退院時のチェック体制の強化3精神衛生鑑定医の質の向上——の三点。精神障害者が他県の精神病院に転院する場合は、診察内容を転院先の知事に報告することを、診療病院の所在する都道府県の知事に義務付けるなど自治体の責任を強く打ち出しているほか、県立精神科病院の未設置県である千葉、埼玉など八県に対し、建設促進を要請、全国的に精神医療体制の整備を図ることになった。 こうあるわけですが、この点についてもう少し具体的にお教えいただきたいと思うのです。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 先月の三十日に、全国の精神衛生の主管課長会議を緊急に開きました。その際に、いま先生の御指摘のようなことについても、私どもといたしまして指示いたしたわけでございます。これは精神衛生対策の直接の目的が、精神障害者による犯罪の防止ではないにいたしましても、精神衛生行政を遂行していく上でその不備が指摘されることのないように指示をいたしたわけでございます。いま申されました三点のほかにも、いろいろ啓発普及のことでございますとか、薬物中毒、アルコール中毒等についても指示を行ったわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 これは法務省の方の保安処分との関連からこういう形になったのではなしに、厚生省が独自に激増する現代の精神異常問題に対して根本対策を立てたということを聞いたわけですけれども、私たちとしては全く同じ時点になるわけですから、同じ観点で考えねばならない問題です。精神障害者が非常にふえておるわけですし、それに関する事件の増加なり、あるいは凶悪犯の存在なりというものは憂慮にたえないような事態になっておるわけでございますから、これはこれなりにどんどん進めていただきたいわけです。  そこで、この記事から取り上げてお伺いするわけですが、重点対策に盛られた精神科救急の整備は、精神衛生の専門家がかねて指摘したものであるということと、それから東京方式を参考にするということで、全国的に東京くらいがこの点がある程度整備されているところで、この精神科の救急医療体制は全国的に非常に立ちおくれてしまっているという点なんですが、この中で指摘された点と救急医療施設との関連はどうなんですか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 精神科救急医療体制の整備につきましては、精神障害の早期発見、早期治療によりまして障害の程度を減少させる、そして社会復帰の促進を図る上できわめて重要な課題であるという認識を持っておるところでございます。この問題につきましては、かねてから公衆衛生審議会の精神衛生部会におきまして鋭意検討を続けていただいておるところでございますので、私どもといたしましても、これらの結果を踏まえて今後積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  東京都の例でございますが、これにつきましては、当日、会議のときに東京都の方から一つ提案されたものでございまして、精神科の夜間休日救急診療体制、これにつきましては一つのモデルとして私どもは評価しておるところでございまして、他府県におきましてはそれぞれの地理的条件でありますとか条件が異なりますが、各県の地方精神衛生審議会等においても地域の実情に合った救急体制のあり方について検討するように指導いたしたところでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 そこで、「精神障害者が他県の精神病院に転院する場合は、診察内容を転院先の知事に報告することを、診療病院の所在する都道府県の知事に義務付けるなど自治体の責任を強く打ち出している」と。そうすると、いままで義務づけされていなかったのを義務づけるということに当たるのでしょうか。いままで義務づけられていることを、さらに義務づけるということになるのでしょうか。  このチェック体制の強化は、「佐賀県武雄市で起きた五人殺傷事件を教訓に打ち出された。」ということで、「厚生省の追跡調査では、広島市内での診察内容は、佐賀市内の精神病院には報告されておらず、地方自治体、病院の連携のまずさが、惨事を引き起こす一因となっていることが判明した。」ということで、この事件を起こした犯人は、「昨年三月まで広島市内の精神病院に入院。精神分裂病と診断されたが、その後、実家のある佐賀県に戻り、佐賀市内の精神病院などに通院していた。」ということになっておりますが、この点はいままで在来のものはどうなっておったのか、どういうふうにきたのかという点をお答えいただきたいのです。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 精神衛生法によりまして、措置入院患者が退院して、なお訪問指導等を要するという場合には、これを保健所が行うというような義務が行われておるところでございます。  今回の場合、特に他県に帰住先がある場合につきましては、必ずしも都道府県間の連携というものがよくない点もありましたので、これらは事務的な指導でできるということでございましたので、措置時の状態とか訪問指導を要するかどうかということについて、帰住先の都道府県に連絡をするということを指示いたしました。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 そうすると、各都道府県自治体は、患者の状況というものを自治体自体が握って、そしてその病院と連携をとりながら、治療を要する入院、通院の患者で他人に危害を及ぼすおそれのある者を両方がちゃんとチェックしておって、そして移動したときには直ちに連絡できるという形にしておるのでしょうか。しておるのができていなくて、それを完全にするようにしたのでしょうか。それはどっちなんですか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 従来は、都府県の中の場合には非常に緊密な連携がとれていたわけでございますが、都道府県にまたがる場合にはそれが必ずしもうまくいっていなかったという面もありましたので、それらにつきまして、症状ということではなくて、訪問指導を要するかどうか、それから、措置解除をされた時点では当然そういう自傷他害の行動がなくなっておるわけでございますが、再発防止という観点からも訪問指導が必要であるかどうかという点について、帰住先の保健所の方に連絡をするということを改めて指示したものでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 これは人権にかかわる問題でもあるわけなんですけれども、結局、患者を持っておる家族としては、できるだけ世間に知られたくない家族の症状でもあるわけですし、しかし、知られたくないけれども、仮に精神障害者であるということと、いつ何どき爆発的な事件を起こすかわからない患者を抱えておるという点では、ずいぶん違うと思うのですね。法務省の方の保安処分の中でも、初めて起こすのはわからないけれども、初めて起こしてから二度起こすのを何とかしなければならぬというのがこの法律の趣旨になるわけですから、その点の扱い方は厚生省と法務省とこれからいろいろ打ち合わせをおやりになるわけでしょうけれども、そこで弁護士会等が言っておるのは、医療制度の問題をもっと充実していけば法務省が心配なさるような事態をもっと防げるのじゃないかということで、それが議論の大きな山場になっているわけです。  そうすると、いまおっしゃったような制度的な問題、内容を充実していくというような問題は、これから非常に重要な役割りということになるわけです。いまの課長さんのお話は、在来こういうことだったのだけれども、それをもう少し深めていったのだというように受け取れるのですが、厚生省としてはこういう問題をどの程度に受けとめていらっしゃるのか、その辺はどうなのですか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 いま御指摘の病状と人権問題につきましては非常にむずかしい問題でありますけれども、患者さんの医療、保護ということを守るためには、患者さんの利益にもなることでございますので、当然都道府県行政としてこれを知っておく。当然のことでございますが、これらの情報が他の目的に使用されるということは困るわけでございますので、これは法律上も守られておるということで十分注意するような指導をいたしておるところでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 それから、   都道府県による精神病院の設置は、精神衛生法第四条で義務付けられており、現在、三十九都道府県が六十八病院を設置しているが、秋田、埼玉、千葉、滋賀、鳥取、愛媛、佐賀、大分の八県では財源難や地域住民との話し合いがつかないことなどから、未設置のまま。しかし、厚生省では、重症の措置患者は国立(七十九病院)、公立病院に入院させ、治療を受けさせるとしても、精神科救急の拠点病院として活用するためには、公立病院は各県に不可欠として、八県に対し、設置を求めることになった。 こういう記事になっておるのです。  そうすると、精神衛生法第四条で義務づけられているから病院をつくっていなければならないけれども、財政難とかいろいろな問題で八つの県ではできていない、義務づけられているものができていない、それに対して設置を求めることになった。設置を求めるということと義務づけられたものをどうしても完全に実施させる、これは当然お金の問題が伴い、病院の設置場所である住民との関係なり間にはざかる問題はたくさんあるわけですけれども、患者がどんどん出てきて事件が起きておるということを防ぐためには、どうしても受け皿をつくらなければならないということになりますから、いまの財政難のこのときですけれども、どうしてもそれをやらせようとなさるのか。求めるということと義務づけという問題とは違うわけですから、その辺の関連はどうなのですか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 御指摘の八県につきましては、現在都道府県立病院がございませんが、国立病院等が置かれております。そして法律上の義務づけも、国立病院または都道府県立病院、それがないところにはいわゆる民間病院を指定する指定病院という義務づけになっております。それで業務上支障はないわけでございますが、都道府県本来の責任としましても、都道府県立病院があった方がベターであるという趣旨からの指導でございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 先ほど大臣のお話では、いままでは状況に応じて厚生省と話し合いをやっておったけれども、これから正式に話し合いをして詰めていくということですが、これは法律ができる、できない、どちらにいたしましても、内容の方は厚生省がやるにしても何にしても、受け皿はどうしてもつくっていかなければならないし、充実していかなければならない、こういうことになるわけですから、その点は全力を挙げて対応していただきたいわけなんです。  それから厚生省の方、先ほどの記事で精神鑑定医の問題が最後の方に出ておりましたけれども、この精神鑑定医が三年以上の経験ということになっているのは足らぬというお話もある、それから数が足らぬという問題もあるわけです。これは先ほども言った人権にかかわるいろいろな問題が絡まってくるわけですが、この鑑定医の問題を今後どういうふうにおやりになるおつもりなのですか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 精神衛生鑑定医は、法律で実務経験三年以上ということでございまして、厚生大臣が指定をして都道府県知事が業務を委託するという制度でございますが、三年以上という内容につきまして、医学も進歩してまいりましたので、上申に当たってその点のことをもう少し実のある形というようなことも含めまして精神衛生鑑定医の資質の向上と、また、都道府県に約三千五百名置かれておりますので数的にはこれで十分だと私どもは理解しておりますが、地理的な偏在の問題でありますとか老齢化の問題等いろいろありますので、その点について各都道府県が鑑定医の間の連携をよくするようにというような指導もいたしております。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 この問題は今後に係る問題ですから、後でもっとお伺いもしていきたいと思いますが、ぜひともこの内容を充実させていただきたいというふうにお願いしたいと思います。  ばらばらになりますが、警察庁の方、裁判所の方大分お待たせしましたけれども、最後に扶助協会なんです。  その前に、京都の地裁の中で競売に関係して暴力団が暴行を働いたということなのですが、すでに横浜の地裁の問題とか競売に係るいろいろな事件が最近たくさん出ておって、裁判所という国民が一番信頼する場所においてこういうふうな事件が起こってくると、裁判所の枠内ということと暴力事件、暴力団ということで非常に忌まわしい感じを受けるわけです。そういうことで期間入札というような新しい制度も設けられたわけですが、この事件はその以前の競売に係る問題だということになっておりますけれども、少なくとも裁判所の中で暴力団と称する者が落札をした人あるいは競売にかかわる人たちを囲んで強引に車の中に連れ去ろうとしたり、あるいは殴る、けるの暴行を働くというのは言語道断でありまして、今後かかる事件があってはならぬと思いますし、全く不明朗きわまりないと思うのです。この点について、検察庁の方にはまだ上がらずに捜査当局の間でいまお調べになっているところだというふうにお伺いしたのですが、捜査の段階で現在どういう内容が明らかになったのか、御報告いただきたいと思うのです。

関口祐弘警察庁刑事局暴力団対策官

○関口説明員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの京都地方裁判所における事案でございますけれども、この八月十二日に、京都府警察本部の方へ、京都地方裁判所不動産入札競売室で傷害事件が発生したというふうな一一〇番通報がございまして、これを認知いたしました京都府警察では、即刻警察官を現場へ派遣をいたしたわけでございます。現場には関係者はすでにおりませんでしたけれども、血痕等が見つけられたということから、傷害事件等何らかの犯罪があったものではないかということで捜査を始めたわけでございます。その後、被害者と思われる方が京都府警察本部の方に訪ねてみえられまして、京都地裁の競売場で暴力団らしい者に競落のことで脅迫をされたというふうな親告もございました。御事情をお聞きいたしますと、先に申し上げた一一〇番通報のあった件とは別の事件というものの発生も認知されたところでございまして、これらの事案を含めまして、現在、京都府警察におきまして、関係者からの事情聴取、被疑者の割り出し等事案の真相解明のために鋭意捜査を進めているところでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 そうすると、この事件にかかわり合った暴力団と称する人たちの実態あるいは暴行事件なり傷害事件を起こしたということについては、まだ捜査中であるということなんでしょうが、ほぼ概略つかみ得たということで、大体新聞で報道されているようなことがある程度確認できるのか、私たちは新聞報道で、その内容は大体そのぐらいのものだと認識していいのでしょうか、どうなんでしょうか。

関口祐弘警察庁刑事局暴力団対策官

○関口説明員 ただいまお答えをいたしたところでございまして、いま現在捜査中のところでございます。いまだ被疑者検挙に至っておりませんけれども、速やかに被疑者の割り出し等に当たってまいりたい、かように考えております。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 警察庁の方はどうもありがとうございました。  では、最高裁の方へお伺いいたしますが、新聞記事からいきますと、   十二日午前十時から、京都地裁本館二階の競売室で、三十八件の物件が競売にかけられた。その際、宇治市槙島町の材木会社の跡地約五千五百平方メートルを落札しようとした京都市伏見区周防町の浜田開発会社の浜田辰彦社長と弁護士ら三人を、山口組系の暴力団員と名乗る十数人の男が取り囲んで「わしらは山口の直系で、その物件を五年間手がけてきた。表へ出ろ」などと脅迫し、足をけるなど暴行した。   材木会社の跡地は、浜田社長が二億四千三灯万円で落札、二千四百三十万円の供託金を払い、同十一時十分すぎに競売室を出て裁判所の西側にある駐車場に向かった。途中で、男たちは浜田社長を両わきから抱えるようにして自分たちの車に押し込もうとした。浜田社長が抵抗し、裁判所職員が「一一〇番」したため、男たちはそのまま引き揚げたという。   競売室に男たちが乱入した際、競売室にいた約四十人ともみ合いとなった。弁護士や一般の人ら数人が殴られるなど暴行を受け、一人が頭を打って負傷した。 こういう記事になっているわけなんですが、最高裁の方ではこの点の報告はどういうふうに受けていらっしゃるか。

川嵜義徳最高裁判所事務総局民事局長

○川嵜最高裁判所長官代理者 現段階でわかっている事件の概要を申し上げますが、八月十二日の午前十時、入札の期日が入っておりまして、当日売りに出された件数は三十九件であったようであります。その中に問題になっておる最低競売価格二億一千四百万円くらいの土地建物、これは宇治市所在の物件のようでありますが、これも含まれていたということであります。  それで、十時五分から執行官が入札の催告をいたしまして、十一時十分に入札を締め切った。そして同時に開札を始めまして、十一時四十五分に開札が終了したわけであります。このとき、執行官のほかに民事首席書記官、執行部の主任書記官と書記官、三名が臨場いたしまして執行官の秩序維持を補佐していたということであります。  いま申し上げました入札の手続の初めから終わりまでの間、喧騒にわたるとかあるいは入札を妨害するというような状況は、執行官初め裁判所職員はいずれも現認はしていなかったようであります。ただ、この開札手続が終了いたしました直後に、先ほど申し上げました二億円余の物件を落札いたしました浜田開発株式会社の代表者に対しましてやくざ風の男が引っ張りに来たということで、執行官はそれを認めて、やめなさいというふうに注意したところ、その男は引っ込んだ。その直後、競売場出入り口付込で大きな音がして人が倒れ、そして血を流しているということを現認した。そこで執行官は、執行官の事務員に命じましてすぐ一一〇番連絡をした。間もなく警察官が来て捜査を始めたわけでありますけれども、加害者も被害者もその場にはもういなくて、どこかへ行ってわからなくなっていた、こういうような経過であったというふうに報告を受けております。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 あと余り時間がありませんので、これはこれぐらいにしておきたいと思うのですが、当委員会でしばしばこの問題が指摘されてきて、不明朗な談合入札の問題等々あるわけですから、少なくとも裁判所とほとんどイメージの違う内容ということになるわけで、その点が私たち非常に異様に感じるわけなんです。そういう点をぜひとも今後少なくしていただく、あるいは根絶していただくために制度なり何なりの措置を講ぜられるような方法、直ちにその場で事件を調べられるような形の人に当分の間いてもらうとかいうふうにしていただけたらと思うのですが、その辺はどうなんですか。

川嵜義徳最高裁判所事務総局民事局長

○川嵜最高裁判所長官代理者 しばしばいまのような御指摘を受けておるわけでありまして、私ども非常に恐縮すると同時に、こういう事態が続発してくることを残念に思っております。  御承知のように、競売の手続にはだれでも参加できるわけでありまして、ただ暴力団であるということだけで入場させないというわけにもまいらないのが制度上のたてまえであります。ただ、競売場の中で入札妨害のような行動があれば、これは執行官が秩序維持権に基づいて排除することができます。こういう権能を十分に発揮して秩序維持に努めなければならないというふうに思っております。御承知の新しい制度の期間入札も徐々に全国に広まってきております。この制度をさらに行き渡らせることによって、このような民事への暴力介入の案件が根絶できるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 それでは、もう時間がなくなりますので、法律扶助制度についてお伺いいたします。   私たちの身回りには法律によらなければ解決できない多くの事件や紛争が起きている。だが、「裁判にはお金がかかる」「手続きが面倒」などと、所定の手続きさえしておれば当然受けとれる正当な権利を放棄したり、あきらめてしまいがちである。こうしたときのために、憲法に保障された「国民の裁判を受ける権利」を確保する目的で、裁判の費用を立て替えたりする「法律扶助制度」が設けられている。  「法律扶助」とは、全ての国民が平等に法律上の救済を受けられるようにするため、経済的な理由で裁判の費用が出せない人たちに法律相談や裁判の費用を援助していく制度である。 こういうことになっておって、昭和二十七年に弁護士さんの浄財から始まったのが、だんだん国の補助が出るようになってきたわけです。  元来、一番大事ないわゆる情報の提供など弁護士業務を越えるものを含めてフォローできるような措置がとられて初めて扶助制度は真に生きてくることになるわけなんですけれども、現在の日本のやり方は、単に裁判費用の立てかえ、こういうことだけに終わっておるわけであります。だから日弁連の方は、本来は国が責任を負うべき事業であるから、運営費を含めて財源はすべて国が負担すべきである、こういうふうに主張しておるわけであります。  それから、こういう財源難のために、せっかく扶助が決定しておりながら、五十四年度で全国で推計すると、扶助決定件数と同程度の二千二百三十九件も断っている。だから成立したのが二千数百件であるということになりますが、同じようなものをヨーロッパやアメリカで見てみますと、先ほど大臣にもお話ししましたとおり、イギリスでは二十万余件、アメリカでは百二十万作、こういうけた違いで、日本では、扶助してほしいと言っていった人が、二千二百件の倍ということですから五千件ぐらいになってくる。もっとふえるわけですね。扶助してほしいと言ってきて、それから審査して、扶助してあげたい、あげなければならぬ、こういうふうに決まったけれども、お金の面で扶助ができなくなって、実際に扶助を決定したのは二千二百件であるということになるわけですから、結局はお金の問題であるわけです。  それで、扶助決定審査における適用基準は、どの程度の人かというと、四人世帯で月収が十八万五千円以下、こういうふうに決められておる。ですから、同世帯の生活保護最低生活保障水準の十五万六千四百円の少し上でしかない。だから、わが国の法律扶助は救貧事業であるということも言えるのではないか、こういうことになります。こういう状態で、イギリスと日本とは人口は余り違わないわけですから、イギリスが二十万件取り扱いがあったということなら、日本も同じように二十万件近くはなければならないということになるわけで、それが結局は二千件ぐらいであった。  その一番大事な大きな問題は何かというと、アメリカやイギリスは法律でちゃんと決められている。日本は民間の事業で、政府の補助が先ほど言いましたとおり八千万円程度、その他は寄附なり民間のいろいろな形での浄財の中から賄われてきているということになりますと、憲法で定められておるすべての人が裁判を受ける権利というものが、日本はきわめて少なくなっている。だから、泣き寝入りしている人がたくさんあるということになるわけです。同時に、裁判所の方も、事物管轄の点で三十万円を九十万円に上げていく、これは理由は何かというと、経済情勢が日本の中でいろいろ変わってきたから取り扱いの額も上げるんだ、こういうことと比べていきますと、だんだん法律扶助という問題が落ち込んでしまっているというふうに考えるわけです。  この現状では、法律をつくって、イギリスのように百億も、あるいはアメリカのように六百億も出すということは恐らく考えられないと思いますけれども、少なくともこの方向にうんと近づけてもらいたい。でなければ、国民が真に裁判を受けたり、簡易裁判所へ駆け込んで事件を処理してもらうというのがだんだんなくなってしまう、こういうことになるんじゃないかと考えるわけですが、この点について大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 この点につきましては、沖本さんと私は全く同じような気持ちを実は持っておるわけでございます。しかし現状は、いまお述べになりましたように、各国と比べるとまさに零細なものであります。しかし、これは裁判を受ける権利ということから考えますと、非常に大事なお金である、またその働きをしておるというふうに思うわけでございまして、五十八年度の予算編成も間近でございますけれども、ひとつ格別の努力をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 この財政難のときであり、行政改革、財政の問題が国の一番大きな問題として扱われている現在に、より銭を出してくださいというやり方は違った方向になるわけですけれども、しかし、このままほっておいたということからここに至っているし、こういう制度ができたからそれに甘んじてきた、事なかれ的に、これで済まされればそれでいいということになるのですけれども、これは結局は、お金のない人は裁判を受ける自分の権利も守れないという悲しい状態であり、大臣が一番よくおっしゃっている、文化国家なんだ、だから文化をうんと享受する権利は国民にあるし、そういう方向で法務行政も進めてきておる、こういう点は大臣の所見の中で十分お述べになっておったところでもあるわけです。  私は、いますぐアメリカやイギリスのとおりにしてほしいということは望みませんけれども、何かの形で制度をもっと国に責任の中心があるような制度に変えていただいて、全然違う形の法律扶助ができるように——言うなれば、法律扶助の中では職員が全然いないというのですね。それから、担当する弁護士さんの報酬が全然額違いであって、そういう面でも余り弁護士さんは喜ばない。ヨーロッパの方では、普通いろいろな裁判で弁護士さんが受ける報酬と同じような報酬を法律扶助の制度で受けられるし、そのためにいろいろな角度からアドバイスなり資料を出したりして、国民の裁判を受ける問題を助けておるということになりますから、こういう問題は大変落ち込んだことであると私は考えるわけですけれども、将来に向かって何か検討機関なり制度を変えるための機関を法務省の方でおつくりになって検討し、徐徐にそういう方向に近づける、こういうお考えはありませんでしょうか。また、わが坂田法務大臣のときにこういうものをつくって後へ残していただきたい、こう考えるわけですけれども、その点、いかがでしょうか。

鈴木弘法務省人権擁護局長

○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。  先生のおっしゃいます御趣旨はよくわかったわけでございますが、私ども、いま申されたことにつきましては、一部では、国の責任だというようなことから、国が主導的にたとえば公団方式をとるというようなことも考えておられる方がいらっしゃるというようなことを漏れ聞いておるわけでございますが、そういうものはただいま申しましたように国主導というようなことになります。現在の法律扶助制度と申しますのは、日弁連が主になって民間主導ということで行われてきたものでありまして、すでに三十年の実績を持っておるわけでございます。それなりに実績も上がっておるわけでございまして、ただ人手不足とかあるいは資金不足というような問題はございますが、こういうものは運用面で大いに今後改善検討を図っていきたいと思っておるわけでございまして、公団方式というような別個の制度というものは果たして妥当なのかどうか問題だ、疑問を持っておるところでございますが、これからもいろいろ考えていきたい、かように思っておるわけでございます。

沖本泰幸公明党・国民会議

○沖本委員 もう時間が済んでいるわけなんですけれども、いまのお答えは、大臣がさっきお答えになったのと大分違うのですね。それで、ヨーロッパへ行くついでに、私は行けないけれども担当者が行って実情をよく調べさせるということもおっしゃっておるわけです。だから、運用面でというようなこそくな考えでは、これはもう解決しないと思います。この制度が変わるまで、いつでも毎年ずっと言い続けていきますけれども、大臣の方もひとつ、さっき申し上げたとおり、いま確かに大臣は担当者をイギリスへやって勉強させてくるともおっしゃられましたから、ぜひともその方向で検討されて、新しい制度を生み出す努力をしていただきたい、こう考えます。  以上で終わります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私は、三点ほどの質問があるのですが、第一は靖国神社の参拝の問題で、マスコミなども非常にいろいろ取り上げているわけなんですが、最初に文化庁の宗務課長にお聞きしますが、靖国神社というのはどういう性格の神社なんですか。そしてそれは文化庁の行政的な監督は受けているのですか、いないのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 お答えいたします。  靖国神社は、東京都知事所轄の宗教法人でございます。宗教法人「靖国神社」規則によれば、「本法人は、明治天皇の宣らせ給うた「安国」の聖旨に基き、国事に殉ぜられた人々を奉斎し、神道の祭祀を行なひ、その神徳をひろめ、本神社を信奉する祭神の遺族その他の崇敬者を教化育成し、社会の福祉に寄与しその他本神社の目的を達成するための業務を行なうことを目的とする。」こうございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 「明治天皇の宣らせ給うた「安国」の聖旨」というのはどういうことですか。どう解釈していますか。「明治天皇の宣らせ給うた「安国」の聖旨」と書いてあるのですが、要するにこれは明治天皇の発意に基づいてつくられたのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 「安国」(あんこく)というのは「安国」(やすくに)、こう書くわけでございます。規則第三条によりますとそういうふうに書いてございますが、詳細はちょっと承知しておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは宗教法人なんですが、文部省の宗務行政とはどういう関係があるのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 宗教法人靖国神社も、宗教法人の事務を文部省、文化庁が所轄しておる関係から、所轄しておるということが言えるかと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 一応各地方の神社は宗務課が掌握している。宗教ですから、国がいろいろ監督するとかなんとかいうことはないでしょうけれども、一応おたくの方の掌握になるのですか、これは東京都の掌握になるのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 東京都でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 都の掌握になるのですか。そうすると、文部省としては関係ないわけですね。文部省の宗務課としては何の関係もないのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 何の関係もないということはございませんが、直接には東京都知事所轄の宗教法人でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 東京都の掌握している宗教法人ということは、どういうことを掌握しているのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 お答えいたします。  宗教法人法の第五条に基づきまして、「主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。  他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人にあっては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部大臣とする。」こういうように宗教法人法の五条にございますが、東京都知事を通じまして規則の認証というものその他について、あるいは宗教法人の設立登記の報告を受けるといったことについて所轄しているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたが先ほど読まれた宗教法人「靖国神社」規則の第三条の、「本神社を信奉する祭神の遺族その他の崇敬者を教化育成」する。「本神社を信奉する祭神の遺族」、「祭神」、祭る神というのは、これはどういうものを指すのですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 宗教法人靖国神社がどのような祭神を祭るかということにつきましては宗教上の事柄でございますが、国立国会図書館調査立法考査局が昭和五十一年五月に発行せられました「靖国神社問題資料集」というものによりますと、合祀対象として軍人軍属、準軍属及びその他が挙げられてございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、ここの神様というのは、神様と言うのは何ですけれども、祭神というのは、ここに祭られている軍人軍属、準軍属が神になっているわけですか。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 合祀の対象となってございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、戦犯で国際的に、東条英機を初めとして、刑を受けましたね。この人たちもこの祭神の中に入っているのですか、神様の中に。

大家重夫文化庁文化部宗務課長

○大家説明員 靖国神社の祭神につきましては先ほど述べましたとおりですが、同じ先ほど引用いたしました国立国会図書館の編しました「靖国神社問題資料集」によりますと、いわゆる戦争裁判受刑者も合祀対象に含まれているとされております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そこで、政府の法制局の方、見えていますね。  法制局は昭和五十五年の五月に国会の議院運営委員会で統一見解を発表されておりますね。中身は、説明を聞きましょう。どういう統一見解を出されたのですか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 五十五年五月とおっしゃいましたように聞こえましたが、昭和五十五年の十一月十七日に、宮澤官房長官が衆議院の議院運営委員会の理事会におきまして、国務大臣の靖国神社参拝につきまして政府の統一見解を述べておられます。その要旨は、要するに、内閣総理大臣その他の国務大臣が国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することにつきましては、憲法第二十条との関係で問題があるので、政府としては慎重な立場をとっているということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは法制局にお聞きした方がいいと思いますが、そこで、昭和五十年に、三木総理は、当時の政府の統一見解として、あなたがいま言われた趣旨に基づいて、公式参拝は憲法二十条違反の疑いを否定できない、こういう統一見解を出して、したがって公式参拝とならないためには次の四つの条件が必要だ、第一には肩書きは記帳しない、公用車は用いない、随員は同行しない、玉ぐし料は公費から出さない、こういうことを三木首相当時、政府の統一見解として発表しているのですが、これは当時の宮澤官房長官が出したのですか、それとも三木総理の考えが述べられているのですか、その点は正確に言うとどうだったのですか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 実は、先ほど先生のおっしゃいました四条件、これがあたかも政府が述べたように巷間伝えられているようでございますが、そのようなことを政府が述べた事実はございません。そのことは、昭和五十三年の八月十七日に、当時の内閣法制局長官の真田長官が、これは内閣委員会でございます、閉会後でございますが、「私の方は、いまだかつてその四つの点を、私的であるための要件という意味で四つの点を挙げたというようなことはございません。」ということを明確におっしゃっておりまして、そのように四つの条件を私的参拝の要件としたということはございません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、四つの条件は述べなかったとしても、三木総理としてはこれを述べているはずですが、あなた、記録ごらんになりましたか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 実は私も、先生から御質問があるということを伺いましたときに、昭和五十年ごろの政府の見解であるというふうに承りましたので、その点を調べてみましたが、そのような御発言はございませんでした。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、法制局の解釈である閣僚が閣僚として参拝することは憲法二十条違反の疑いを否定することはできない、こういう見解を当時法制局が出したと言いますね。そうすると、この閣僚が閣僚として参拝するというのはどういうことですか、ここで条件を言ってください。それと同時に、法制局はこの見解を変えたのですか、変えないのですか、昭和五十五年の、あなたの言う十一月のこの法制局の統一見解というのは。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 昭和五十五年の私が先ほど申し上げました見解は、宮澤官房長官がお述べになりましたものでございまして、これは政府の見解でございます。法制局としてもその見解にもちろん服している次第でございまして、その見解が変わっているというようなことは承知しておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そこで、この法制局の統一見解と当時の宮澤官房長官が発表した、閣僚として靖国神社に参拝することは憲法二十条の三項に違反する疑いがあるということ。で、閣僚として参拝するということは、閣僚であるのとないのとのその差異はどういうところでつけることになるわけですか、法制局の見解を知らせてください。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 靖国神社の公式参拝につきましては憲法上疑義があるというふうに言っているわけでございまして、公式参拝というのは、公務員が公的な資格において参拝することであるというように私どもは考えているわけでございます。したがいまして、国務大臣の例をお挙げになりましたが、国務大臣について申し上げますれば、国務大臣が国務大臣としての資格において参拝される、これを国務大臣の公的参拝と言うのであろうと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 では、国務大臣が国務大臣の資格として参拝するということは、具体的にはどういうことなんですか。たとえば記帳だとか、それから公用車の問題もあるだろうし、玉ぐしの問題もあるだろうし、私はいまの四つの見解が、これは閣僚が公式参拝として参拝する場合の最小限度の条件だと考えて、あなたの方は言った覚えはないと言うし、私の方はこういうことがちゃんと言われているということで質問しているのですが、閣僚が閣僚としての公式参拝をする、具体的にはどういうことなんですか。どうすればそうなるのですか。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 この問題につきましては、やはり政府の統一見解がございまして、これは昭和五十三年の十月十七日に、当時の安倍官房長官が参議院の内閣委員会において述べられたものでございます。これによりますと、閣僚の地位にある者が特に政府の行事として参拝を実施することが決定されるとか、あるいは玉ぐし料等の経費を公費で支出する、こういうことになりますというと、それは公的参拝というようなことになるだろう。しかし、公用車を使用するとかあるいは肩書きをつけるといったからといって、私人の立場を離れた、公人として参拝したんだということには当然にならないという趣旨のことを申し上げているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうしますと、自分の名前の上に肩書きが、何々大臣だとかあるいは総理大臣だとか、そういうことが書かれている場合は、それは公式参拝として一応推定できますか。あなたは玉ぐし料と政府の行事ということだけ言っていますけれども、それじゃ、肩書きの有無は問題でないのですか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 肩書きにつきましても、ただいま申し上げました安倍官房長官の見解が示されておりまして、もちろんこれは法制局も全く同意見でございます。記帳に当たってその地位を示す肩書きをつけることも、その地位にある個人をあらわす場合に、慣例としてしばしば用いられているのだから、肩書きをつけたからといって私人の立場を離れたものじゃないんだ、こういうふうに述べられているわけでございまして、私もそのとおりだというふうに考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、何々大臣とか、そういうことを書いてもそれは公式じゃないと言うのですか。記帳に記載するのに、私人として、何々大臣私人ということがあるのですか。これはあなたの方の統一見解で、肩書きを記帳しないようにする、それから公用車は使わない、随員は同行させない、玉ぐし料は公費を使わない、こういうことは公式参拝の具体的な事例になるからしないということを政府が言っているはずですよ。それを変えたのですか。肩書きを書いてもいいのですか。それが法制局の見解ですか。統一見解なら統一見解とここで言ってください。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 私は、法制局といたしまして、法律的な見地からそのような肩書きをつけることが公的参拝になるということになるかどうかということから申し上げているわけでございますが、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、肩書きを記帳の際につけたからといって、直ちにそのために公的参拝になるといういことではないのだ。これはやはり、再三引用して恐縮なんですが、前の真田内閣法制局長官も、たとえば年賀状に公務の肩書きをつけるといたしましても、それが直ちに公的な資格で年賀状を出されたということになるわけではないというようなことを申されているわけでございますが、そのような意味におきまして、国務大臣の肩書きを記帳の際につけたからといいまして、直ちにそのために公的資格において行動したんだということにはならない、このように考えている次第でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、あなたの言う政府の催しとして公式参拝したという場合はどういう事例ですか。どういう場合ですか。具体的なことを説明してください。  だれが考えたって、内閣総理大臣鈴木善幸と書いて、これは個人ですなんて言うのはあなただけですよ。私は、法制局がそんな見解を述べるとは、いままで思わなかったのです。たとえば法務大臣坂田道太と書いて、これは個人のあれですよ、決してこれは私の公人としての立場じゃありません。法制局長官何々と書いて、これは役所の公的な立場じゃありません、私個人です。そんなの通りますか。国民がそんなこと、承知できますか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 これは私だけの見解ではございませんで、前から内閣法制局のとっている見解でございます。世の中では、個人としての資格でいろいろ仕事をいたします。いろいろな行事に参加する。たとえば結婚式に参加するというようなときにも、その際にその人の肩書きを呼んで紹介をするというようなこともあるわけでございまして、そのような肩書きを、何といいますか、自分のついている地位を示すということは、公私を問わずしょっちゅう行われているわけでございます。そういう意味で、単に肩書きをつけたからといって、それだけで公的な資格で行動をしているということにはならないという考えでございます。これは従前からそのように考えておるわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 だから、私は肩書きだけと言っているのではない。肩書きを記帳し、公用車を用い、随員を同行し、玉ぐし料を公費でささげる、こういうような四つの条件があれば、それは公式参拝になる。だからこういうことは慎めということになっているわけです。  それでは、あなたの言う政府の催しとして公式参拝をしたということになると、どうすればそうなるのですか。その場合を聞かせてください。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 ただいままで、政府といたしまして公式参拝をするということになる場合はどんな場合かということ、いろいろ御質問があるわけでございますが、そのときに私どもがお答えいたしておりますのは、たとえば、靖国神社に参拝しよう、全閣僚そろって参拝しようというようなことを閣議で決定して、そこで参拝するということになりますれば、これは公式参拝であろうというように申し上げております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、閣議で決定して公式参拝した場合の具体的な肩書き、公用車、随員、玉ぐしというのはどうなるのですか。あなたはどうなると考えられますか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 これは例がございませんので、ちょっと何とも申し上げかねるわけでございますが、一般の公的な行事と同じようなことになるのであろうと思います。しかし政府としては、先ほど申し上げましたように慎重な立場をとっておるということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、法務大臣と法制局にお聞きしますが、鈴木総理は昨年の一月二十九日の参議院の本会議で、政府としては、憲法二十条三項との関係で問題があるので、国務大臣の資格で参拝することは差し控えてきた、今後もこの方式を変えることは考えていない旨のこういう答弁を参議院でしているわけなんですが、これはそのまま続いているのですか。  それから、では法制局長官は、鈴木総理は要らざる心配をしているということになるのですか。鈴木総理は、このときの答弁では、国務大臣の資格で参拝するということは差し控えてきた、こう言っているのですよ。それでは国務大臣として参拝したという最も有力な推定の材料は、国務大臣の肩書きを持って、そして国務大臣の公用車を使って参拝するのは一番国務大臣としての資格で参拝したことになるのじゃないですか。今後もそういうことはしない、差し控えてきたけれども今後もしないと言っているが、あなたはそれでは要らざる心配をしているのだ、そんなことは心配しなくともいいということですか。  それから坂田さんは、こういう鈴木総理の昨年の一月の参議院の本会議でのこの答弁は、そのまま変わっておらないというようにお考えになるのですか。  二つ答えてください。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 鈴木総理がその席でおっしゃいましたことは、国務大臣としての参拝はいままでしなかった、していないということをおっしゃっているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、何が国務大臣としての参拝になるかと言えば、それは私が先ほど御説明申し上げましたような、公務員が公的な資格において参拝するということを国務大臣の立場に置きかえておっしゃったのだろうと思います。そういたしますと、先ほど申し上げましたが、たとえば記帳の際に肩書きをお書きになるとかあるいは公用車を用いられるということは、それをしたからといって公的参拝になるものでないということは先ほどから申し上げているとおりでございまして、そのようなことをしないということを鈴木総理がおっしゃった、つまり、公用車を使わないとか肩書きを記帳の際につけないとか、そういうことを鈴木総理がおっしゃったとは受けとめておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 法制局としては、あなたは一体どういう方だか知らぬけれども、第一部長ですか、妙なことを言うので、それでは、閣僚が例外を除いて全員がそろって靖国神社へ参拝している、これは別に閣議で相談してやったのではない、偶然みんな一緒になって参拝したんだ、肩書きが書いてあろうとそれは公式参拝にはならぬ、そういう見解だとして、統一見解としてここで聞いておいて、記録にとどめておいていいですか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和五十三年十月十七日に安倍官房長官の統一見解がございまして、私の申し上げていることは、この安倍官房長官の述べられた見解と全く同じことを申し上げているわけでございます。したがいまして、私が申し上げているのは、政府の統一見解の枠を超えているわけでは決してございません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それじゃ、坂田さんどうですか。鈴木総理はこういうことを言っているのですけれども、この方針はその後変わったんですか、変わらないのですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 ただいま法制局から申し上げたとおりだというふうに考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは今度改めて、ことしの七月十五日に宮澤官房長官が記者会見で、私人でもなく公人でもない、答えないことにしている、これが鈴木総理の方針として決まったんだ、こう言っていますが、これはどういう意味ですか。これは閣僚であるあなたに、坂田さんにお聞きしたいのです。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 それは新聞で読んだんですけれども、私は私の判断で、先ほどお答えしましたように、坂田道太ということを記帳し、そして九段宿舎から歩いて参拝をし、祭染料はポケットマネーから出したということであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると鈴木総理は、こういう方針を決めたということを、閣議でそういう方針を述べられたわけですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 いや、閣議では聞いておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 閣議では聞いておらない。そうすると、あなたは肩書きを書かなかったそうですけれども、それはどういう意味で書かなかったのですか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 靖国神社に参るのは、私は参らずにはおられないような気持ちで、自然な気持ちで参ったわけです。したがいまして、その気持ちをあらわすのは坂田道太と書いた方が一番自然だと思ったからでございます。私が閣僚であろうがなかろうが、機会あればいつでもあそこへお参りする、私はそうやってまいりました。そのとおりを実行しているだけにしかすぎません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、宮澤官房長官が記者会見で、ことしは、今度は私人でもなく公人でもない、答えないということにした、これが鈴木総理の方針だということを述べたということは、あなた知っておられますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 それは新聞で承知しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、新聞で聞いただけで、別に閣議でこういうことは決まったというわけではないということですね。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 そのとおりでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 法制局の第一部長、先ほども言ったように、靖国神社というのは明治天皇の言葉から出たということで、祭られているのは軍人だということで、戦前のわれわれならよくわかっておりますけれども、そういう軍国主義、侵略的な戦争の精神的な支えというか、思想的な支えに使われていたことは、あなたも御年輩を見ると戦前の方だからよくわかりますが、そういうところへ大臣が肩書きを持って、それで公用車で行っても、それは公式参拝にはなりません、鈴木総理でさえ憲法二十条の三項の疑いがあると言っているのに、そういうことは疑いを持たれる危険性がないとお考えですか。そういうことは、肩書きを持ち、それから公用車を用い、場合によっては随員も連れていき、そうすると、あなたの言うように、私人なら玉ぐし料を政府の金から出しても、これは私がとりあえず出しておいたんですということでいいのですか。最も憲法を厳格に解釈すべき法制局がそういう解釈でいいのですか。  ことに明治天皇の言葉から出たというのでしょう。いま主権は国民にあるんですからね。主権が国民にあるときに、明治天皇から出た言葉で、しかもいま侵略戦争が批判されているときに、侵略戦争の精神的な支えとしての神社であるというときに、そういうところへ憲法を遵守すべき閣僚が肩書きをつけて参拝するということは、これは公式に大臣が参拝したことになる疑いがある、憲法二十条三項に違反する疑いがある、そういうことは十分慎重にされた方がいいということには、法制局としては考えないですか。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 私ども法制局の立場といたしましては、憲法二十条の第三項で国またはその機関は宗教的活動をしてはならない、その条項に違反するようなことは、これは絶対にすべきでないというように考えているわけでございます。したがいまして、靖国神社の公式参拝につきましては、積極説、消極説と申しますか、いろいろ説があるわけでございますが、一番、何と申しますか、憲法二十条の解釈上、先例として、判例といたしまして権威のありますもの、最高裁判所のいわゆる地鎮祭訴訟についての判決でございます。その判旨に照らしまして考えてみました場合に、靖国神社への公式参拝というものは、現在のところ合憲であるとも違憲であるともなかなか断定できない、しかし、憲法二十条の上で問題があるというふうに考えているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、中川技術庁長官はこう言っているのですよ。私は公式参拝をした、国務大臣科学技術庁長官として来た、公人として来た、こう言っていますが、これはどうなんですか。あなたが言うように、閣議で決まらなければ、中川技術庁長官がこう言っても、公式参拝にならないというのですか。自分で公式参拝と言っているのですよ。これはどうなんですか。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 中川長官がどのようにおっしゃったか、私ども存じませんし、また、それにつきまして申し上げる立場にはないかと存じます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 申し上げる立場にないと言っても、中川長官が、私は公式参拝したんだ、公人として来ましたよ、国務大臣科学技術庁長官として来ましたよ、こう言っているのですよ。閣僚の中で私は公式参拝だと言っているのに、法制局は、いや、それは公式参拝じゃありませんと言うのですか。ここで言うなら言ってください。中川長官がそう言ったって私はそう思いませんなら思いません、こう言ってください、記録にちゃんととどめておきますから。大臣が自分でそう言っているのです。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 私といたしましては、中川長官がどのようにおっしゃったのか、それを新聞でしか見ておりませんし、中川長官がどのような御趣旨でそのようなことをおっしゃっているのかも存じませんので、その問題について申し上げる立場にないかと存じます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは問答を続けても仕方ありませんけれども、少なくとも法制局ともあろうものが、こういうことまで言っている大臣がいるのに、いや、それは肩書きを書こうと自分で公式参拝だと言おうと、公式参拝ではありませんというような解釈をここでするということは、まことに意外ですよ。しかも、再び戦争を起こさないことは国の最高の理念だ、主権は国民にあるんだということが憲法の前文に書かれている。それにもかかわらず、明治天皇から出た、侵略戦争の犠牲になった人たちを神様として祭っておる、さらにそれを関原がそろって参拝をするということは、これは明らかに軍国主義をあおることになるんじゃないですか。厳格にも厳格に憲法を解釈し、いやしくもそれの疑いのあるものを排除していくのが法制局の務めじゃないですか。私は、味村第一部長が法制局の第一部長であることに対して非常な遺憾の意を表しておきます。  あなたもよく考えておいてください。戦前、戦争のときに靖国神社がどう使われていたかということを再び思い出してください。そのために二百何方の日本の国民が命を失い、二千万近くのアジアの人民が命を失っているのですよ。その思想的なバックアップを明治天皇がのたまわれたと称する靖国神社が務めてきた。そのことを考えてみるならば、いやしくも憲法に違反する疑いのあるようことはしないのが好ましいということをなぜ法制局で言えないのですか。あなたを幾らしかったって、あなたは効き目のありそうな顔もしていないからもうこれでやめますけれども、非常に遺憾です。あなた、この問題で笑っているなんということは第一不謹慎ですよ。よく考えてごらんなさいな。

味村治内閣法制局第一部長

○味村政府委員 私どもは、憲法二十条の適用上問題となるような行為は政府としてすべきでないというように考えているわけでございまして、そのように申し上げているわけでございます。  先生のおっしゃいますのは、公式参拝と見られる徴憑があるような行為はすべきじゃないんだということをおっしゃっているわけであろうかと思います。つまり、公式参拝そのものをすべきでないというより、もう一歩踏み込まれまして、公式参拝となるような、見られるようなそういうことはすべきでないというようにおっしゃっているように思われます。  しかし、先ほど申し上げましたように、公用車を使う、こう申しましても、たとえば国務大臣でございますればいろいろ国務上必要がございますし、連絡等の都合もございますので、公用車を使わざるを得ないというような事情もございます。肩書きにつきましては先ほど申し上げたとおりでございます。随員をつけているじゃないかということでもございますが、やはり国務大臣となりますれば、いろいろな連絡、事務上の都合もございまして、一瞬たりとも随員が離れるということは困る場合があるということも認めざるを得ないんじゃないか。  そういうようなことをいろいろ考えてみますと、肩書きとして国務大臣というふうに記帳するとか、あるいは公用車を使うとか、随員が来るというようなことがあるからすぐ公式参拝であって憲法上問題だ、そうは言えないということを私は申し上げているわけでございまして、決して公式参拝をいいんだというようなことを申し上げているのではございません。そのような意味で、私は憲法を守るという精神においては人後に落ちないつもりでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなた、結婚式へ大臣が行くこともあるとか、それから何か私用がある場合に公用車を使う場合があるとか、そんなこととは質的に違うんですよ。靖国神社へ大臣として参拝しているんですよ。それは憲法違反の疑いがあるんじゃないか。だから、従来三木総理も私人として行くようにしなさいとまで言っているんですよ。大臣だって結婚式へ行ってお仲人やるのだから、何が靖国神社へ大臣の資格で記帳して悪いんだ、そんなことは質的に違う例をあなたは引っ張ってきているのですよ。だから、あなたの憲法遵守の精神が全然外れているのですよ。そこのところを私はあなたに注意しているのです。よく考えてごらんなさい、そういうごまかしの答弁をここでして国民が納得するかどうか。ことに法制局の部長ともあろうものが、結婚式にだって大臣は行きますよ、靖国神社へ大臣が肩書きで行って何が悪いのですか、そんなことを言って通るかどうか、よく考えてごらんなさい。もういいですよ。  それから次に、警察にお聞きしますが、わが党の議員が教科書問題をやるたびに脅迫状じみたものが来るのです。ここへは松本善明さん、東中光雄さん、それから中路雅弘さん、参議院議員の佐藤さんに来ているのです。これについて、警察庁ではこういう事実を知っておりますか。  ちょっと内容を読んでみますと、    緊急特別勧告   我が大日本帝国は、神代このかた一度たりと侵略戦争を起こした事はない。日清、日露の役、上海事変、満州事変、支那事変、大東亜戦争これみな自衛の戦いであり、亜細亜解放の戦いであり、聖戦である事は、紛れもない事実である。従って教科書問題で中共などから内政干渉されたりするのは、全く筋違いであり、我が大日本帝国は、中共などの野望を断固粉砕しなければならないのである。ところで貴下は、国会などで中共の手先の如く教科書にケチをつけて居るが、貴下の行為は、日本国民として完全に失格である。よって我等は、貴下に対し左の勧告をするものである。  一、即刻、国会議員を辞職すべし  一、即刻、過ちを天下に謝罪すべし  一、即刻、ソ連にでも移住すべし(以上)  昭和五十七年七月三十一日     大日本殉皇会守備隊     全国浄化連合神奈川県浄化連合有志  松本善明殿  (付記)  1此の件は、軽視出来ぬものである。   貴下の責任は極わめて重大である。  2かつて教科書執筆にたずさわった和歌森太郎(故人)も、自己の過ちを反省し当方に謝罪書を送ってきた。当方に証拠あり。その他多くの謝罪者、反省者あり。  3近く伺い度い。日曜日か平日の夕方には在宅の事と思うので共の時分に訪問する積りですのでよろしく。 こういうようなものがあって、そのほかここにこういう謝罪文に署名、捺印しろ。「宣誓書 私は過去の過ちをすべて反省し、今後、一切の反日売国行為を中止し真の日本人に生れ変わる事を堅く誓います。」  こういうようなものが次から次へ来ているのですが、警察はこういうことを知っていますか。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 お尋ねの文書を発信しておりますのは大日本殉皇会という団体でございまして、ただいまお読み上げになったような内容の文書をいろいろな方々に発送しているという事実はございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 事実は知っている。どこから出ているか知っていますか。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 大日本殉皇会は神奈川県下に所在します右翼団体でございますので、本人がいろいろな名前を使っておりますけれども、小早川貞夫という者が発信しておるという事実は知っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それで、そこの住所もわかっているのですか。それで、こういう封筒が次から次へと来ているわけですね。警察からこういうことについて一応治安上注意をなさったことはあるのですか。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 この男につきましては、警察は、松本議員の方にそのような手紙を出されたということを知りまして、以後直ちにこの人間にも事実調査をいたしております。これは申し上げますと、本人は、これは確かに出しました。私は、自分の主義主張を広く訴えて、そうして出しておる方の意見がどういう意見であるかということも聞きたいというのも事実であります。しかし、危害を加えるとか云々というようなものはございません。こういうようなことは申しておるわけであります。  しかし、警察といたしましては、彼がこのような手紙を出しておるということについては、行き過ぎではないか、このようなことを続けるならば違法行為にわたるというようなことを彼には厳重に警告しておるところであります。  ちなみに、この男は大日本殉皇会という右翼団体の責任者でありますけれども、その日常活動は、そのときどきの時局問題をとらえて宣伝活動をいたしておりますけれども、しかし、そのときどきの時事問題をとらえて、いわゆる政党の関係者あるいは官公庁あるいは団体あるいは文化人というような方々に、いろいろな勧告文であるとか抗議文であるとか、さまざまな名称をつけて投書している一種の投書癖のある男であります。これはただいま共産党の議員の方々を挙げられましたけれども、もりと広い範囲の方々に対してもこういうようなことを出しておる、従来からもこういうような形跡のあるという男でございまして、この点につきましては、今回も厳重に注意しておるということであるわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そういうことを言っていますが、しかし、こういう大日本殉皇会守備隊というような名前で「近く伺い度い。日曜日か平日の夕方には在宅の事と思うので其の時分に訪問する積りです」というようなことは、受け取る者の身になり、また家族の身になれば、明らかに脅迫と受け取られるわけですよ。それが単に投書魔だというようなことだけで、厳重な注意だけで済むかどうか。厳重な注意をあなたもされているということですが、絶対こういうことをしないように、国会議員の国会における審議に、こういう近く伺うつもりだというようなことまで次から次へ出すようなことを許しておくことは、これは警察が甘やかしていることにも通ずるわけですよ、このまま続いていたら。もうわが方の議員には四通も来ているわけですからね。そういうことは厳重に注意して、絶対に今後は出させないように注意をしてもらいたい。  これは受け取る者の身になってみれば、近く訪問します、挺身隊なんというのに訪問されたら、家族の身になってみれば、脅迫かあるいは危害を加えられる心配を持つということはあたりまえだと思うのですよ。主人の国会における活動に対して挺身隊がうちまで訪ねてくるというのですから。そうあなたお考えになりませんか。厳重に注意して、二度とこういうことのないようにしてもらいたいというふうに思うのです。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 ただいま御指摘もございましたけれども、この件につきましては、あて名人としての東京都内に居住する方々あるいは発信人が神奈川県でありますから、警視庁と神奈川県警察は十分連絡をとって、今後この団体に対する視察、取り締まりということは徹底して強めていこうということで、内々指示しておるわけであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 念のために申しますが、新入会者の横顔として、星野亨斉というのが新入会した。これは昭和十四年生まれで、藤沢市下土棚六百四十、郵便番号二五二、ここまで書いてあるのですよ。ここへ行けば、これは隊員だからすぐわかるわけですから、あなた、これわかっていませんか。わかっていなかったらいま申しますから、よく覚えておいてください。藤沢の下土棚六百四十番地です。郵便番号二五二です。これが最近隊へ入った。衆議院議員戸沢政方の私設秘書だとまで書いてあるわけですね。それから、前に予算委員長をやった尾崎末吉さんもこの会に入っているというようなことまで書いてありますからね。よくこういうところを調べれば、所在も突きとめることは明らかにできますから、十分の注意をしてもらいたい。  それから、これに関連して右翼の最近の跳梁なんですが、最近主だったものだけ申し上げますと、六月十六日には広島の右翼暴力団のメンバーが白昼、東京神田の日教組本部を襲撃して、男性の書記にピストルを撃ちつけた。六月二十八日から七月一日までの四日間では、長崎県の島原で日教組大会が行われた。このときは全国百十九団体、八百九十人、装甲した宣伝車が百七十台、警察が取り締まるような取り締まれないようなやり方だものですから、暴力、騒音、暴言の限りを尽くしている。  それから、わが党の議員では、ことしの五月一日、小笠原議員が札幌で国防挺身隊というものから暴力を受けている。さらに五月の二十七日には、榊議員が街頭演説をやっておるところを、優政会が装甲車まがいの宣伝カーから榊さんの車へ飛びおりてきて、そして榊さんの腕をねじ上げている。こういうことが行われているわけですね。  それから、八月九日の反ソデーでは、右翼団体装甲車がボリュームを上げて右側通行をしてソ連大使館へ押しかけていって、ここでは検挙者が出た。共産党本部も襲っていくと言って勝手気ままに振る舞っている。ついにたまりかねて代々木の商店街の皆さんが、どうかこういう右翼のボリュームを上げた宣伝車を入れないでくれと、代々木駅前通り明店街と書いてあるのですが、こういう要請書を原宿警察へ出しているのですが、こういう事実を知っていますか。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 ただいまお話のありました、七月二十六日に原宿署に右翼取り締まりの要望についての申し入れがあったということについては、承知いたしております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それから、三月十五日に、日本青年社と称する暴力団が五名ほど共産党の本部の勤務員に襲いかかってきて、鉄棒をふるって五名の負傷者まで出している。この日本青年社というのは、私の方で調べた範囲では、暴力団の住吉連合会系の小林会という会の会長である小林楠男という男が、これが小林会の会長でもあり、日本青年社の会長でもある。ここの社員の中村衛というのが仲間四、五人を連れて共産党の本部へ襲いかかってきている。これはテレビでもちゃんと撮って、証拠も残っているわけですけれども、この日本青年社というのは、暴力団住吉連合会系の小林会の会長の小林楠男というのは同時に日本青年社の会長もしており、暴力団の結社であるということは警察庁では認められておるのですか。それで取り調べをしていますか。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 ただいまの御指摘のお話は、つまり三月十五日に日青社の団体が日本共産党本部に出かけていって行った事件について知っておるか、こういう意味でお尋ね……。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ちょっと補足しますが、日本青年社というのは、暴力団住吉連合会系統の小林会の会長が同時に会長をしているという事実も知っているかどうか。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 それではまず、三月十五日に起きました事件の概要と、その捜査の経過について申し上げますと、確かに三月十五日の午後四時ごろ、日本青年社の三多摩支部員らが、街宣車に乗って都内街宣から帰る途中に代々木の日本共産党前を通りかかって、同本部の正門前においてスピーカーで音楽を鳴らす、こういうようなことが発端になりまして党本部の人々との間に激しい口論があり、もみ合いとなった、こういう事件でございます。  当時、一一〇番がございまして、原宿署から警察官が二十人駆けつけたわけでありますけれども、トラブルの内容が、時間帯は大体二、三分程度のことであったようにも記憶しておりますけれども、このことにつきましては、直ちにその場におった日本青年社員ら六名を原宿署に同行したわけであります。同行して調べてみましたところ、本人らはけがもしておる、それからその申し立てを見ますと、われわれは殴られたんだ、こういうような主張もしておるわけです。それで調書をとりまして、後日再調べということで、その晩は帰しておるわけであります。  その後、関係者の出頭などを求めましてこの捜査を進めておるわけでありますけれども、日本共産党の方からも傷害暴力行為で告訴状が出されておりますし、また日本青年社の側からも、六人の者が診断書を添えて、二十人の者が自分たちを殴った、こういうことを言って、傷害暴力行為の告訴状が出されておるわけであります。このような、つまり双方が告訴、告発を行っておる事件でありまして、双方ともに被害者である、こういう主張をしておるわけでございます。したがって、事件の内容としてはさらに慎重に捜査を進めなければならぬという状況で、現在まだ捜査をしておる段階でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 簑輪さんの時間を十分ほどいただきます、そういうように後で話しますから。  私の聞いているのは、あなた、それじゃ何で共産党の本部の前へ日本青年社が来るんですか。それは明らかに日本共産党を襲撃したと見るよりほか仕方ないじゃないですか。それをあなた、両方殴られたから両方けんか両成敗であるという考え方、おかしいじゃないですか。被害者が告訴しているんだから、被害者の方のことをまず調べて確かめる必要がある。しかも、鉄棒までふるっておるのですよ。私はビデオでちゃんと見ておるんですよ。共産党の本部へ日本青年社なんというのが何で来るんですか。それで殴られたから、こっちも告訴しこっちも告訴しているから両方公平に調べます、そんなことで警察が成り立ちますか。  それと、日本青年社というのは要するに暴力団まがいの組織であるかどうか、これを聞いておるんですよ。あなた、静ひつに仕事をしておる政党の本部へ、しかも右側通行で自動車がざあっと乗り込んできて、そこで防衛している党員を引っ張り出してきて、最後には鉄棒まで持って殴ってきておるのに、それは正当防衛だってしなければいけませんよ。それなのに、一方も傷を負っているからけんか両成敗で、両方をいま公正に調べています、そんなことで警察の任務が果たされますか。  だから、何で共産党の本部へ来るのですか。何で左側通行すべきものを右側の共産党の本部の方へその自動車を寄せるのですか。何で本部に勤務している勤務員を道の真ん中へ引っ張り出してきて殴るのですか。何で鉄の棒まで引っ張り出してくるんですか。もっと公正な取り調べをしてもらわなければ困ると思うのですよ。この日本青年社というのはどういう組織だか、それもあなた、よく調べてください。そんなことを言われていたら、政党の本部なんというものは不安でたまらないですよ、両方とも両方だなんて言われていたら。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 まず、日本青年社の会長は、暴力団住吉連合会の幹部ではありますが、最近は主として日本青年社を名のって、北方領土の返還運動やそのときどきの時事問題などを訴えて、街頭において右翼活動を行っておる団体でございます。  この日青社につきましては、右翼活動を中心に行っておりますけれども、ただいま申し上げましたように、その構成員の中には暴力団もおりますので、警察といたしましては、右翼活動取り締まりの面とあわせまして、暴力団取り締まりの観点からも取り締まりをしておるという実態でございます。  それから次に、ただいまお話のありましたように、この日青社は日常街宣活動をやっておりますから、その街宣活動の帰る途中において日本共産党前を通過したというのも、これは事実でございます。しかし、いまお話しのように、日本共産党本部前において音楽を高らかに鳴らすというようなことは、言うならば、いわゆるその発端においてはやはり日青社側に非があるんではなかろうかというのは、これは警察もそのとおりだと思うわけであります。そこで、その事態の収拾に当たった警察官も、日青社の者全員六名を原宿署に同行したわけでありますから、そういう意味においては確かにそのとおりであります。  しかし、いろいろ現場におりました一般の人の話、あるいは本人のけがの状況その他から見ますと、発端は悪いけれども、途中においては六対二十みたいな状態で殴られておった、ひっくり返されてもおった、こういうような話、あるいはけがもしておるのも事実、こういうことになりますと、やはりその発端は言うならば挑発行為があったとしても、その内容においてはやはり公正にもう少し慎重に調べてみなければ、本当の事実、つまり言うならば、右翼は再三にわたって調べておる、調べておるけれども、依然として彼らはわれわれは被害者であるという主張を繰り返して申しておるわけであります。やはり当時の共産党の方方にもおいで願って、それを否定するならばそういう主張も聞かしていただきたい、こういうのが現状でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それではこれで終わりますが、鉄棒を振り回されているとき黙って——初めは右翼が挑発したけれども途中から殴り合いを始めたというのは、それでは鉄棒で殴られていればいいんですか。命にかかわる問題である限りは、命がけで自分の身を守るのはあたりまえじゃないですか。そのために鉄棒をふるってきた右翼がけがしたかどうか知りませんが、これは正当防衛ですよ。過剰防衛でも何でもないですよ。何なら一度ビデオをあなたの方にお見せしますから、よく見ればわかりますよ。何もしてない党本部の防衛の任務に従っている者を引っぱり出してきて殴って、しまいには、そばでいまビルディングの工事をしていますから、そこから鉄棒を持ってきて殴りかかれば、だれだって守るのはあたりまえですよ。それはそれで、後でまた証拠を出しますから。では簡単に答えてください、まだもう一つ質問がありますから。

西村勝警察庁警備局公安第二課長

○西村説明員 ただいまのような御主張があるならば、私は、共産党の関係者の方々が、原宿署では呼び出しをしておるわけでありますから、出頭していただきたいということをお願いしておるわけでありますから、それならそれでそういう事実を主張するためにも御出頭願いたい、こういうふうに思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 出頭しておりますよ、ちゃんと。  最後に坂田さん、とにかく暴力団が最近もうわが物顔で、たとえば国会だって、ボリュームを上げて大きな音で軍歌なんかやられたら、会館にいたって仕事できないですよ。これは警察が甘やかしていると言わざるを得ないわけですよ。  それで問題は、自民党の代議士たちが右翼をバックアップしているという事実がありますので、これは自民党のあなたも議員ですから、十分注意をしていただきたいと思うのですが、そういう自民党の議員とのつながりがあるからということで、彼らがいい気になって、もう国会の周囲なんかわが物顔でやっているのですから、たまったものじゃないですよ。  たとえば改憲を目指す組織の日本を守る国民会議、これは八一年十月二十七日にしたんですけれども、櫻内義雄氏を初めとして二十四人の国会議員、国会議員の秘書を入れると四十七名がこの会に出席している。それから、右翼の共闘会議を開いたんですが、ここの席上、瀬戸山さんが、世論の盛り上がりの熟成をつくりあげることに努めてほしい、中曽根さんは、できる限り協力は惜しまない、中山正暉さんは、われわれの手で改憲の輪を広げていきます一実際の集会には、島村宜伸氏ら初め二十四人の自民党の議員が紹介議員となって憲法、われわれから言えば改悪なんですけれども、この紹介議員もやっているとか、あるいはホテル・ニュージャパンの争議団に介入しているアジア民族同盟の結成会に当たっては、福田赳夫さん、中川一郎氏、石原慎太郎氏、園田直氏、瀬戸山三男氏等三十三名の自民党国会議員が賛同者として名を連ねているわけですよ。  これは賛同した人の気持ちはどうか知りませんが、右翼はこれを最大限に利用しているということから、やはり自民党の議員の皆さんはこの右翼との関係について慎重な態度をとってもらいたいということを私から坂田法務大臣に要望があったということを適当な機会に伝えてもらいたいというように思うわけですが、最後に法務大臣のこれに対する見解を聞いて、私の質問を終わります。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 右翼であれ左翼であれ、暴力をふるうということは、これは民主主義社会においてはよろしくないことは、もうそのとおりでございます。法律を守らなければならぬわれわれといたしましては、その立場で厳正に対処をしてまいりたいというふうに思っておりますし、またわれわれ自由民主党におきましても、そのようなことにつきまして十分気をつけるように何らかの機会に申し上げたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 終わります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 簑輪幸代君。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 私は、婦人の人権にかかわる重大な問題ということで、優生保護法改正の動きに絡んで幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。  最初に、妊娠中絶について、刑法と優生保護法の適用関係について法務省の方からお答えいただきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 刑法の面におきましては、御案内のとおり、堕胎の罪というものが現に規定されておるわけでございまして、その規定に該当するものにつきましては犯罪を成立する、こういうたてまえになっております。一方、これも私から申し上げるまでもないと思いますけれども、優生保護法がございまして、いろいろな要件が定めてあるわけでございますが、その要件を満たすものについては、これはいわば合法的な妊娠中絶だというふうに理解されているところでございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 いまお答えいただきましたように、優生保護法の第十四条に基づく医師の認定による人工中絶の場合については、刑法の堕胎罪の適用がない、合法的なものであるということになるわけですけれども、この中絶に関連して、最近新聞、週刊誌等で、優生保護法の見直しをめぐっての論議というのが活発になってきているように思います。厚生省の認可団体であり、受胎調節の実地指導に携わっているという社団法人日本家族計画連盟というところからことしの八月二日付で、優生保護法の一部改正に反対する声明番というのを私のところにもらっているわけです。  これに関連して厚生省の方に伺いたいと思いますけれども、こういう優生保護法改正の動きに関連して、改正案提出というようなことを検討しておられるのかどうか。そしてそうだとすれば、その検討内容はどういったものか、それから国会提出の予定などについてお答えをいただきたいと思います。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 現行の優生保護法におきます人工妊娠中絶制度については、必ずしも時代に適応しなくなってきている点もあるものというふうに考えております。したがいまして、優生保護法の中でも特に人工妊娠中絶制度のあり方につきましては、現在中央優生保護審査会におきまして検討がされておるところでございますが、その審議の推移も踏まえつつ検討をいたしたいというふうに考えております。いま御指摘のようにコンセンサスが得られない状態では困りますので、その点も踏まえつつ検討してまいりたいということで事務を進めております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 優生保護審査会の方で論議がされているというような御答弁でございますけれども、これは厚生大臣の方から諮問されたとか、正式な手続がとられてそういう動きになっているのかどうか。それから、現在優生保護審査会での取り組みの具体的な状況について、論議の内容も含めて御答弁いただきたいと思います。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 中央優生保護審査会は、御案内のように優生手術に関する適否の再審査を行うほか、この法律で定めております必要な事項について処理するための機関でございます。この人工妊娠中絶に関する諸問題につきまして従来指摘されているところでもありまして、審査会としてこれらについて一層の検討を要するという観点から、専門委員会を設けて現在審議を行っておるところでございます。審議の内容につきましては、現在審議の途中でございますので差し控えさせていただきたいと思いますが、主に医学的な観点から審議が進められております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 専門委員会はどういうきっかけによって、いつから、どんなペースで進められているのか、お答えいただきたいと思います。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 中央優生保護審査会は三月二十七日に総会を行いまして、その際、十代の妊娠中絶等の問題が取り上げられまして、これらについて人工妊娠中絶のあり方について専門的に審議するということで、委員の中から専門委員が選出されまして、現在まで七回審議が行われております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 この専門委員会の構成について、女性の内訳についても教えてください。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 中央優生保護審査会は十六名の委員で、これは法律でその構成が指定をされております。専門委員につきましては、その中から医学的な見地からの学識経験者等を中心といたしまして、また民生委員の方も含めまして六名の方で組織されております。(簑輪委員「うち女性は」と呼ぶ)一名、民生委員の方が女性でございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 この専門委員会で論議されております優生保護法改正に絡んで影響を受けるのは、特に女性であります。女性の体と心、健康や人生を左右する重大な問題であるのに、この専門委員会にはたった一人の婦人しか委員として参加していないということは、大変な問題だと思います。国際婦人年の行動計画の中でも、政策決定に婦人がもっと参加するようにということが出されておりますけれども、ことにこの専門委員会に関しては、婦人に重大なかかわり合いを持つだけに、わずか一人ということではきわめて不十分であって、少なくとも半数以上婦人の委員を参加させて行うというふうにしなければ片手落ちになる、十分な審議ができない、結果が間違って出てくるという心配がされるわけです。ぜひそういう特別な手だてをとって、婦人の参加を促進するような委員の構成について今後改める方向をとっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 先ほど御説明いたしましたように、その構成につきましては法律事項になっております。また、いま御指摘の専門委員につきまして、当然その中では専門の範囲が限られるということで、参考人の方々をいろいろお招きして御意見は聞いております。  それから、先ほど少し答弁漏れになりましたが、これは大臣から特に諮問したということではございませんで、自主的に審査会の方が御検討いただいているということでございます。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 もちろん参考人の意見も十分聴取すべきでありますけれども、その専門委員会の結論を出すに当たり決定権を持つ委員の中に婦人が多数いなければ、適切な結論にならないというふうに思うわけです。したがって、重ねてその点を強く要望しておきたいというふうに思います。  先ほどの御答弁では、優生保護法が時代に適応しなくなってきているというような言い回しでおっしゃいましたし、今度の優生保護審査会においての検討の中心は医学的な見地であるというような御答弁をいただいたわけですけれども、日本家族計画連盟の反対声明というのを見ますと、優生保護法十四条一項四号の経済的理由の削除というのが法改正の中心というふうに指摘されているわけです。  この問題については、すでに昭和四十七年、四十九年、二度にわたって国会で審議未了、廃案となっているわけで、もしこの経済的理由の削除ということであれば、これはもう全く同一の問題になってくるわけですから、その当時もすでに問題になっておりまして、医師会とか、日本母性保護医協会とか、身障者団体とか、またたくさんの婦人団体の手厳しい批判があったわけです。そういう中で廃案にならざるを得なかったという実態を持っているものと私は承知しているわけです。また同じような内容でこういう改正案が出てくるということになれば、これはまた当然重大な問題だということでこれらの方々の大きな反対が起こってくることは目に見えているわけです。  四十七年当時からも、その経済的理由を削除するというような論拠についてはいろいろなマスコミが論評しておりますけれども、一斉に参議院選が近づくと生長の家系の議員が宗教団体の票田を意識してこの問題を取り上げるというような指摘もされているわけです。そうして見ますと、来年は参議院選挙、今回もまた同じパターンで、生長の家系統の村上議員が、ことしの三月十五日、参議院の予算委員会でこの問題を取り上げていることと符合してくるわけです。この村上議員の質問の趣旨は、まさに経済的理由を削除せよということに重点がありまして、森下厚生大臣は、個人的には村上氏と同じような考え方を持っており、厚生省としても前向きに検討するというような答弁をしているわけです。  こういうふうな状況を見てみますときに、厚生省の方として、先ほどの御答弁、時代に適応しなくなってきているというような言い回しでおっしゃいましたけれども、真の理由はこの経済的理由の削除ということにあるのではありませんか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 経済的事由でございますが、経済的事由により母体の健康が損われる場合ということでございまして、四十七年、いま御指摘の政府提案をいたしました時点におきまして、衆議院で修正可決した後、四十九年に審議未了で廃案になったということでございますが、経済的事由により母体の健康が損われるということが現在では少なくなっているのではないかという点も含めて検討しております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 現在では少なくなってきている、その論拠はどこにあるのでしょうか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 いま申し上げましたように、経済的事由ということではなくて、経済的事由によりまして母体の健康が損われるということが中絶の要件でございます。そこで、最近の国民の経済状況の向上とか、また経済的困窮者に対します福祉施策の充実というようなものにかんがみますと、妊娠の継続または分娩が母体の健康を著しく害するほど極端な経済状態にある妊婦はほとんどないという御意見も私どもは多々聞いておりますので、こういう点も十分踏まえた上で検討を進めております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 国民の経済状態、生活状態というような言い回しをされましたけれども、ほかの論議では、GNPが世界第二位であるというようなことで、あるいは国民所得が非常に伸びている、豊かな日本になったというような言い回しで、この経済的理由というのはすでに論拠がなくなってきているのではないかというふうな言い方がされているのを私は承知しているわけですけれども、これは全くとんでもない議論だというふうに思わざるを得ません。日本の国全体としての国民総生産や国民所得が伸びてきたということと、一人一人の国民の生の生活が楽になったということとは必ずしも一致しないわけで、そういういいかげんと言うと変ですけれども、大ざっぱな理屈でこの経済的理由に該当しないというふうに言うのは間違っていると言わなければなりません。この際、どうしてもその生活実態というのをつぶさに認識しなければならない。少し申し上げたいと思いますので、お聞きいただきます。  家族全体での収入あるいは社会保障制度の充実、そのほかあらゆる婦人を囲む環境全体の中で子供を養育できるかどうかというような力が決まってくるのだというふうに私は思うわけです。ですから、その婦人を取り巻く環境の中でその範囲を超えて出産を強制されるというようなことになれば、生活のめどが立たなくなって、ひいては心身に重大な影響、負担がかかってくるというのは当然のことだというふうに思うのです。  最近の状況を見ましても、働く婦人はどんどんふえておりまして、特にパート労働を初め働く理由などを調査した全労働のパート実態調査などによれば、その理由は、生活費の補助というのが六四%を占めている、教育費が一〇%、いずれも経済的理由ということになるわけです。就業状況を見てみましても、家内労働で働く婦人は百十七万人、一日六・二時間、月二十・八日働いて、月収は平均三万六千円、これが五十六年度末調査の結果になっているわけです。パートタイマーが二百五十六万人、一日六時間から八時間、月十九・五日働いて、時給の平均賃金は四百八十円。低賃金の上に、行管庁の勧告でも八三%が労基法違反で十分な待遇もされていないというふうに明らかになっているのが実態です。  一方、男性の側はどうかといいますと、諸外国からは働きバチという批判を受けて、残業は青天井になっていますし、通勤時間も一時間から二時間というのはざらです。  夫婦共働きで一日じゅうくたくたになるまで働いても、少しも生活は楽ではないという実感があちらこちらで訴えられているのは、皆さんも御存じのとおりだと思うのです。総理府統計局が発表した五十六年度の家計調査によると、サラリーマンの実質可処分所得は二年連続マイナスになっている。平均消費性向、これも七九・四%にも達して、これ以上生活を切り詰められないというところまで追い詰められているのを示していると思います。  また、子供の問題で言えば、教育費というのを抜きには考えられません。子供の教育費というのがどんどんとかさんできておりまして、八二年五月二十六日東京都の調査によれば、学齢期の子供二人の場合、月に五万六千円にもなっている。家計にどういう影響を与えているか。それについては、大変重いと考えている人が三五%、重いと答えた人が四二%、合わせて七七%もこの教育費の負担にあえいでいるわけです。  この実態を見ても、大変生活が厳しくなってきているというのは否定できない事実だと思います。さらに、諸外国からはウサギ小屋とも言われているような住宅ですし、ローンに追われて、物価高もあるし、その上に、減税もされない。酷税に苦しめられている。単身赴任で二重生活を強いられているような実態もあるし、とてもとても大変厳しい。昨年十月の国民生活センターの調査でも、生活は八方ふさがりになっているという指摘すらされているわけです。経済大国だとか豊かになったとかいうふうに言われるのは、GNP等の統計の数字ではあるかもしれませんが、一人一人の国民生活、勤労者の実態というものはなまやさしいものではないわけです。  追い打ちをかけるように、日本の雇用情勢は大変悪化の一途をたどっております。総理府統計局の労働力調査によれば、六月の完全失業率は二・四八%に急上昇していますし、百三十七万人に達したという報告です。しかし一方、労働経済学者として世界的に権威のあるイリノイ大学教授の平さんという人は、米国の概念でこれを調整し直してみると、日本の失業率は四%をかなり超えるというふうにも言われているわけです。大変厳しい。その徴候は一層悪化の一途をたどっているということがこれでもわかると思います。  さらに、保育所の問題を見てみますと、産休明けゼロ歳保育は非常に不十分で、ベビーホテルが昨年来国会でも大問題になったことは御承知のとおりです。また、保育料についても毎年毎年上がって、一体どこまで上がり続けるのだろうと、働く婦人にとっては、共働きの家庭にとっては重大な脅威になっています。ちょっと調べてみましたところ、特甲地の通常四十五人の規模の保育所では、三歳未満児保育料が保育単価に等しいとされておりますので六万四千四百八十円、さらに小さな小規模保育所では三歳未満児七万一千五百十円、最高がこんな数字になっているわけです。こうした数字というものは、まさにパート労働の月収と比較してみましても異常な事態になっていることは明らかではありませんか。そしてさらに、民間には育児休業さえ保障されておりません。このため、妊娠、出産により退職に追い込まれる婦人もいまなお数多いのが現状です。  こういうような実態を見るにつけて、経済的理由というものを削除するのは、結局のところ生活の困難に追い打ちをかけ、妊婦の健康に重大な負担と打撃を与えるということは絶対に否定できない。厚生省の先ほどの答弁のように、そういう理由はだんだんなくなってきているなどというようなあいまいな、抽象的な答弁では、毎日毎日必死になって働いている婦人は絶対に納得することができないと思います。婦人を初めすべての国民の猛反撃を受けるだろうということを、この際強く警告しておかなければなりません。  それでは、経済的理由というものを削除すると一体どのような変化が生まれてくるものなんでしょうか。厚生省の方としてはこの経済的理由を削除するというふうなことはすでに過去にも改正案として提出されたこともあり、経済的理由を削除するとどんな変化が生まれるのだろうかということは当然考えて提案されたということもあるはずですから、ぜひ、この経済的理由を削除すると一体どんな変化が生まれるのかというようなことをお答えいただきたいと思います。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 人工妊娠中絶制度のあり方については、社会的な価値観の相違によりましてさまざまな議論もありますし、また世界各国の立法例を見ましても種々なものになっているということにつきましては承知をいたしておるわけでございます。四十七年から九年に、当時国会に提案されました優生保護法改正案に対する賛成、反対の論議につきましては、これらの価値観の相違を物語っておるというふうに認識しておりますし、今後の検討を進めるに当たりましても、国民的コンセンサスが得られる形にしなければならないというふうに考えております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 私が質問したことに答えていただいていないわけです。経済的理由を削除するとどういうことになるのかということについて余り考えられていないとすれば、私の方から申し上げたいと思います。  経済的理由を削除するということになるとどういうふうになるかということがよくわかる例として、たとえばルーマニアです。ルーマニアは人口千人に対して一五%前後だった出生率を高めようということで、一九六六年の十月に中絶の法規制を厳しくして、原則として非合法としたわけです。そうしますと、翌年六七年は出生率が四〇%にまで伸びたけれども、六八年からは下がって二〇%前後に落ちて、そしてその後出生率は依然減少したままになってきている。一方、非合法の中絶、いわゆるやみ堕胎による妊婦の死亡率は急激に増加してきているというのが報告されている例です。ここにルーマニアの実態を明らかにした図があるわけですけれども、顕著に中絶は減ります。しかし、出生率は一時期上がって直ちに下がる、一方、やみ堕胎による妊婦の死亡はまた顕著にふえている、そういう事実が明らかになっています。  そういうルーマニアの例を見てみましても、出産がふえるというようなことは言えないわけで、結論において、国立病院医療センターの我妻先生という方は、「民衆が子どもを少なくうむことを望んでいる場合にはどんなに法律を変えたり厳しくしても、結局は非合法の中絶や受胎調節によって出生の抑制がおこり、国民の思うとおりになる」というふうに指摘されているわけです。望まない妊娠というようなものはどんなに法律で取り締まっても、結局はやみ堕胎に走ってしまうというようなことを指摘されているわけです。このやみ堕胎がふえるということは大変恐ろしいことだと思います。  経済的理由を削除した場合にそういう懸念がある、大変大きな心配があるということはかねてから識者から指摘されているところでもございます。大臣にもよく聞いておいていただきたいのですけれども、一体やみ堕胎というのはどうやってやるのか。この我妻先生という方の御報告を見ますと、中絶が合法化されていない時代のイギリスで、   どうしても合法的に中絶してほしければ、その女性は窓から一ぺん飛び降りて、「この人は計画外の妊娠によって頭がおかしくなって自殺の危険がある。現に自殺未遂であった」という医師の証明書を書いてもらえは、中絶してくれる医師があるかもしれないというような状態であった。そのように法律で厳重に禁止すると、どういうことがおこり得るかというと、いわゆるバック・ストリート・サージェリーという堕胎屋が横行することになる。この堕胎屋には二種類あって、有名なハーレー・ストリートで開業をしている医師のところへ行き、当時の金で五〇ポンド、約五万円ぐらい払うと中絶をやってもらえる。ただし麻酔なしでかなり乱暴にやるようである。一方金の払えない人達は資格のない素人の堕胎屋へ行かねばならない。彼等は導尿に用いる細いゴム管(カテーテル)を子宮の中へ入れて、それを通して薬を注入する。薬といっても台所で使う洗剤とか、あるいはコールタールなどを注入して流産が始まるのを待ったり、あるいは出血が始まっておかしくなったときに病院に担ぎ込む。このように危険な操作によって、重症の感染をおこしたり、子宮が薬品に侵されて穴があいたり、その結果として不幸にして死亡する例が多かったのである。 これがイギリスの例です。  また一方、一九六五年から六七年という非合法時代のアメリカに滞在したときの状況については、   上述のごとき方法のほかにコート・ハンガー・アボーションというのがある。針金一本でできているコート・ハンガーをのばしてそれを自分で膣から頸管の中へ入れて堕胎を試みるのである。しばしば針金が抜けなくなって、股の間から洋服掛けの針金をぶら下げたままで病院に担ぎ込まれてくる女性が珍しくない。当時のアメリカでは経済的に貧しくて、どうしてもそれ以上は子どもをうめない人の非合法中絶というものが多く、その数は年々増える一方であったし、それらの危険な方法による合併症患者や死亡者の数も増加傾向を示していた。一方アメリカでも経済的に余裕のある人は何とかかかりつけのドクターに話をつけて、こっそりと安全に医師にやってもらうことができた。 というような指摘がされています。  そして、   ヨーロッパその他の国々では次第に解決されつつあるが、東南アジアや南米では、非合法中絶の危険はまだ存在する。フィリピンや、タイなどにおける非合法中絶には極めて危険なものがあり、中には数人の女性が妊婦のおなかの上に乗っかって踏んづけるという方法も行われており、合併症や死亡者も多数に及ぶ。 こういう指摘がされているわけです。  やみ堕胎というのがいかに婦人の健康、ひいては命まで脅かすものであるか、このことを我妻先先は強く指摘しておられるわけです。こういう実態、懸念、いろいろ考えてみるときに、経済的理由の削除ということが、果たして日本の婦人の実態に照らして正しいかどうかということを強く強く考え直してみなければならないと思うわけです。  一方、合法化した場合はどうなるかということです。アメリカの例では、非合法の州の多かった一九七〇年の母体死亡は百二十八件に上り、合法化して三年後の七三年には四十七件に減少している。イギリスにおいては、非合法の一九六七年には六十件だった死亡数が、合法化して七年後の七四年には十一件と激減している。これを見れば、妊産婦死亡の大部分は、妊娠、出産の死亡というよりは、非合法中絶による死亡だったということをはっきり意味していると言わなければなりません。  いまいろいろ申し上げましたけれども、こうした中で一方、先ほど世界の立法はさまざまであるという答弁がされました。さまざまな立法であることはそのとおりでしょう。しかし、世界の流れは一定の方向に向かっていると言わなければならないと思います。厚生省としては、世界的な傾向が中絶を自由化する方向に進んでいるのか、それとも中絶を絶対禁止する方向に向かって進んでいるのか、どのように把握しておられるでしょうか。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 世界各国それぞれの事情があると思いますが、いま御指摘のように非常に自由な立場と、またいかなる場合も非合法というような両極端から、その中間という形をとっているように私ども理解いたしております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 いろいろあることはわかっているのです。わかっているけれども、いろいろな立法の流れを見ながら、どういった方向に進んでいるのかをお答えいただきたいのです。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 非常に一時自由化が進んだ時期と、また現在のアメリカ合衆国のようにさらに規制を強めるという方向もあるわけでございまして、その国の社会的状態によってときにそれが変わってくるというような理解をいたしております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 そういう理解では全然正しくないと私は思います。人工妊娠中絶に関しての各国の立法の例というのをずっと見てみますときに、世界的には自由化に進んでいることは紛れもない事実なわけです。特にヨーロッパ諸国などは、中絶をずっと長く禁じていた。それはカトリックという宗教の影響もございましたし、いろいろな理由によってあるかもしれませんけれども、そのヨーロッパ諸国がどんどんと自由化の方向に進んできているわけです。イタリアなどはかなり後々までこの自由化に踏み切らなかったわけですけれども、とうとうこのイタリアも中絶の自由化ということになったわけです。しかしもちろん、中絶が自由化になったことに反対する勢力もございまして、そして昨年の五月、イタリアでは中絶法の廃止という問題について国民投票が行われておりまして、その結果は紛れもなく、中絶法は必要だとする人が六七・八%、中絶法を廃止すべきだという人は三二・二%で、圧倒的な国民の支持を得て、この中絶法は引き続きイタリアで機能していくということになったわけです。  これに関連するイタリアの報道などを見てみますと、この国民投票の終盤戦には法王の襲撃事件なんかもあったわけですから、その人気のあるパウロ二世への同情から中絶法廃止賛成になだれ現象が起きるのではないかというような懸念もあったようですけれども、結局、市民的常識にのっとって中絶法存続ということになった。これを報道した新聞の論評は、今回の投票の結果はイタリア国民が宗教の政治介入を拒否する市民的成熟を示したものと評価されているというふうに述べています。  私どもは、この諸外国の中絶に関する立法の流れ、変化、こういうものを見るときに、紛れもなく中絶自由化の方向に進んでいる、それを認めていかない限り、時代の流れに逆行し、世界の流れに逆行し、日本の婦人の実態にマッチしないということを言わなければならないと思います。厚生省はあくまでいろいろあるんだというような、そんな認識でこの問題を取り扱っていかれるおつもりですか、重ねて御答弁ください。

野崎貞彦厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○野崎説明員 自由化と申しましても、いわゆる完全なフリーという国はきわめて少ないわけでございまして、いろいろな条件が付せられておるわけでございます。医学的適応でありますとか胎児的な条件、もしくは暴力等による妊娠、もしくは社会的経済的な問題、その中でどこに線を引くかという問題であると思いますので、単に完全にいけないとか自由化という問題ではなくて、その途中のどこで線を引くかということではないかというふうに考えております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 私もいろいろ調べましたので、その点についてはいろいろあることは承知しております。全く野放しに、いつでも、どこでも、好きなときに中絶ができる、それを中絶の自由化と言っているのではありません。もちろん一定の条件のもとに、たとえばイタリアで言うなら、妊娠初期の九十日以内は妊婦の自由意思で中絶を行う、あるいはまた他の国では、指定された医療機関において中絶を行うとか、そんなことは当然のことではありませんか。承知の上で聞いているのですよ。だから、そういうことがあるのはもう当然の前提として、しかし、その基本的な流れが中絶の自由化の方向にあるんだということを認めて、正しく理解して進めていかないととんでもないことになると、私は強く指摘せざるを得ません。  厚生省がどのように答弁されようとも、世界の実態は変えるわけにはいきませんから、現にどんどんと自由化の方向に進んでいるわけです。その背景というのは、やはり基本的には、女性が子供を産むというのは、あるいは産まないというのは女性の権利であるというような、国際婦人年を契機としまして一層前推してきた婦人の自覚、あるいは最近においては差別撤廃条約などもこれらにも触れておりますし、どんどんと世界の婦人も賢く、たくましくなってきているわけです。また、もう一つの背景は、先ほど申し上げましたように、非合法中絶の危険、特に生命にまで重大な危険が及ぶような、そういう危険から母体を保護しよう、そういう背景があって、この中絶自由化の方向というのは進んできているわけです。  そこで、いままでいろいろ申し上げましたのは、法務大臣は厚生大臣もなさったことがあるということでございますから、十分御承知のことと思いますけれども、特にいまは法務大臣として人権を守るという立場で、婦人の人権という関係から世界の流れが中絶自由化の方向に進んでいる、中絶を禁止していくというような道は婦人の基本的人権を踏みにじるものであるという観点とか、あるいはまた、やみ堕胎によって障害とか死に至るという、そういう重大な危険をもたらすものである、いままでるる申し上げましたことを十分御理解いただけるというふうに私は思います。  そこで、この日本の中絶、堕胎の歴史というようなものもいろいろ研究されておるわけです。江戸時代などにおいては、間引きという形で嬰児殺しも行われましたし、また、やみ堕胎も横行いたしました。そして明治時代になって、富国強兵策と相まって、さらに産めよふやせよというようなことで堕胎罪が設けられ、出産が強制され、聞くところによると、産めよふやせよ、そして最後には、いまからでも遅くはないなんというスローガンでもって婦人に出産をあおってきたという歴史もあるわけです。そうした中で、どれだけたくさんの婦人が傷つき、悲しみ、被害を受けてきたことでしょう。戦後そうした反省のもとに立って、基本的人権、憲法に従って婦人の基本的人権を守るという立場も含めながらこの中絶問題というのは考えられてきているはずです。  婦人の人権を守るという立場で、大臣は私がいままでるる申し述べましたことについていかなる御見解をお持ちか、中絶に関して御見解をお聞かせいただきたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 簑輪さんからずいぶん該博な知識を駆使してお話しいただきましたので、それを拝聴しておったわけでございます。  私たち法務省といたしましては、この堕胎を犯罪として処罰すべきかどうかにつきまして種々意見があるというふうに承知しております。御指摘のとおりに、母親の母体の保護のみならず、胎児もまた生命を持つものとして保護する必要があるというのは申すまでもございませんし、また、これを軽んじますことは、ひいては人命の軽視あるいは性道徳の乱れということにもつながりかねないわけでございます。また、国民の意識といたしましても、堕胎を一般的に是認するに至っていない状態にあると思われますので、他方、やむを得ない場合には優生保護法による人工妊娠中絶が認められておるのでございますから、やはり堕胎罪を廃止をするということは相当ではないというふうに考えるわけであります。  また、優生保護法十四条一項四号の経済的な理由による人工妊娠中絶の廃止の可否につきましては、ただいま厚生省の方からお述べになりましたように、厚生当局において慎重に検討中というふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、現時点においてこの可否について私から意見を申し上げることは差し控えたいというふうに考えております。  私も実は四人子供を持っておるわけです。女、女、男、男なんです。普通のいまの核世帯の子供の数からいうと、わりあいに多い方だと思うのです。戦前は四人、五人はよくございました。私も五人兄弟です。それで実は、教育費が非常にかかりますし、私の給料でもなかなか四人を養うというのは大変なことだったのです。でございますから、経済的な理由で、たくさんの子持ちというのはなかなかむずかしい。戦前、やはりそういうふうなこともわれわれは聞いておるわけなんで、たしか優生保護法を主導してつくられたのは、私の郷里の熊本県出身の先生が参議院に出られまして、そしてやられたと記憶しているわけなんです。  私は、二人女の子が産まれまして、一人どうしても男が欲しかったわけです。家内だけじゃなくて、私も欲しかったわけです。それで産まれまして非常に喜んだわけですが、しかし、家内はもう一人どうしても産むと言ってきかないわけです。私は、三人までは何とか責任持って養えると思うけれども、四人というのはとってもむずかしいよと言ったわけです。ところが、いや、どうしても四人産むと言ってきかないわけですね。それで困ったなと思ったのですけれども、そこでまた私、欲が出まして、今度の四番目の子供は男ならいいがなと言ったわけです。そうしたら、いや、男だと確信しますと家内は言うわけです。あなたが確信したって、神様がお授けになるので、どちらが産まれるかわからない。いや、絶対に男です。そういうことで産まれました。ちょうど選挙中でした。いまでも覚えております。二月十八日に生まれたのです。四人、ところがもう結婚しまして、長男の方は子供ができないのですけれども、二番目の方は一人産まれて、いま一人半なんですよ。ずいぶん苦労していると思います。  そういうわけでございまして、これはなかなか大変な問題でございまして、私自身、教育関係等長い間やっておって、どうも一人息子というのはわがままになったりしますし、二人、三人——経済的に、あるいは母親の母体が健康であるならば二人、三人、そうすると家庭の中で一つの社会性というものを身につけるわけですね。一人では社会性を身につけようといっても身につきませんよ。そういうことから考えると、昔からわれわれ田舎では芋洗い教育と言ったのですが、兄が弟を教育する、姉さんが妹を教育する、そういう形で、世の中というものはどういうふうに成り立っておるか、自分だけの考えだけではほかの人は納得しないということを、二人、三人、四人おりますとわかってくるのですね。うちの子供も大分親に迷惑かけて、不良になる——なっておったのかもしれませんが、そういうことをずいぶん心配をかけましたけれども、しかし、片方がずっこけておるときはほかの三人が何とか協力し合って助ける、そういう助けておるものだから、その人がそんなことをしないかと思うと、これはそっちがよくなると今度はこっちがまた悪くなる。ところがそうなると、前に悪かった者があとのきょうだいと一緒になって悪くなったのを助けるということでして、四人おりますと、一つの家庭の中でも社会性がある。だから、そういうことが核家族ではなかなかできにくくなっておるのじゃないだろうかというようなことも考えるので、この問題は非常に大きい問題簡単に経済的なといいますか、唯物的な物の考え方だけで貫いてもいけないのじゃないかなというのが私の感想です。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 大変個人的な事情にわたってまで長長と御答弁いただきましたので、いろいろ申し上げたいこともありますけれども、特に胎児も生命を持つというようなことをおっしゃいました。私も自分で妊娠をし、出産をしておりますので、その辺の、胎児が胎内で、母胎の中で動き始める、そのほか感動的な出来事は自分でも体験しておるわけですし、当然のことながら、中絶したいなんて願う人はだれもいないわけです。中絶が非常に結構だという人もだれもいません。しかし、中絶しなければならない条件というのがどうしても生まれてくるというところをしっかりと見届けなければならないということです。いろいろと受胎調節をしたり、あるいはやむなく中絶したりという人の中でも、よくよく聞いてみますと、確かに大臣の奥さんがおっしゃったように、もう一人産みたいとか、がんばってみたいというような人は幾らでもいるわけです。もうちょっと生活が楽なら、住宅環境がよければ、あるいは仕事をやめなくても育児が続けられるなら、何としても産みたいという女性はたくさんいるわけです。そういう実態をしっかり見つめていかなければならないだろうというふうに思います。  また、御答弁の中で、男ならいいななんというふうにおっしゃいましたけれども、それは大臣の個人的な感情ですからとやかくは申しませんけれども、子供が産まれるに当たって、男でも女でも祝福されて産まれてくることが肝心なことだと私は思うわけですね。大臣自身がこれから法務大臣として男女差別撤廃のあれをやっていただかなければならないのに、結果的に二対二になっているようですけれども、男ならいいなという発想で今後物を考えていただくというのは非常にぐあいが悪いと私は思うのです。個人的な感情はそれとしまして、男も女も同じように歓迎して、次代を担う子供を大切に育てていただくという物の考え方で進めていただきたい。  大臣はいみじくも、四人もその給料で育てるのは厳しいというふうにおっしゃいました。大臣の給料が当時幾らだったか存じませんけれども、それにしても生活保護というようなことでもありませんし、大変御苦労されたにしたって、比較的恵まれた環境の中でがんばって四人お育てになったというふうに思います。私は、やはりいろいろな状況がありますので、ここの中でどうしても強調しておきたいことを、もう時間がなくなりましたので述べさせていただきたいと思います。  労働省からも来ていただいておりますので、あと一点だけお答えいただく時間をいただきたいと思います。  今度の論議の中で、先ほども十代の中絶について問題が出てきておる。確かに全体としての中絶は減っておるのに、十代の中絶がふえておるという問題が起こっております。こういう場合、特に経済的理由を削除した場合には、厳格に運用しますと、十代の未婚の中学生や高校生の場合も、体が健康でさえあれば中絶できなくなる、大変なことになるんじゃないか、中絶したら堕胎罪になるんじゃないかという不安が出てくるわけで、堕胎罪になるのだよということで強制してみて、十代の妊娠が果たしてなくなるものだろうかということを考えてみなければなりません。  最近の青少年の置かれている社会的な環境はそれほど簡単なものではありません。いろいろ統計もとられておりますけれども、社会の進歩の中で、発展の中でいろいろな条件が進んできております。中絶は好ましくない、特に十代の初めての妊娠を中絶するというのは本当に好ましくないとだれでも思います。もちろん身も心も傷つくのは女性ですから、できるだけ中絶したくないのはもっともなことです。それにはどうしたらいいかということから考えなければなりません。まず何より、望まない妊娠をなくすことだというふうに思います。そのためには、十代の妊娠中絶をなくすというためには、何はともあれ正しい性教育をすることが肝心だろう。これは文部省の所管になるかと思いますけれども、ここで指摘しておきたいと思うのです。  思春期の性教育というものを、いつが思春期の始まりでいつが適切かということは時代の進歩に従って変わると思いますけれども、適時適切に、保健という観点だけではなく、特にこれから家庭科の男女共修という問題が起こってまいりますので、その中で暮らしのあり方、家族計画の問題などをしっかりと学んで、人間の心と体についての知識と判断力を、女性だけじゃなく、男女ともに正しく学び養うということがどうしても必要であろうと思うわけです。と同時に、やはり無知による避妊というのをなくしていくために、正しい避妊教育、これをやらなければならないというふうに思います。これは諸外国などでもすでに進んでいるいろんな事態がありますので、学んで日本に生かしていくことが必要であろうと指摘しておきたいと思います。  それから、中絶をなくすという目的のためには、何といってもまず第一に、望まない妊娠をなくす。その基本的な手段として、家族計画、受胎調節というようなことがありますけれども、肝心なことはもう一つ、産みたいという婦人に安心して産んでもらえるような、産み育てられるような社会的な環境や条件整備をするということが何よりも肝心ではないかと私は思います。先ほども申し上げましたように、産みたい、産みたいけれども条件が許さないというようなことをなくしていく。  そのために、たとえばいろいろ先ほど申し上げました低賃金とか、物価高とか、労働条件とかありますけれども、特に保育の問題について言うならば、産休明けゼロ歳児保育というのが非常に不十分なために、措置されている子供というのは、全体の措置人口の中でゼロ歳児はわずか一%にしかなっていないという状況です。ですから、やはり公的保育の充実と、そのための予算措置というのをきちんととる必要があると思います。保母さんの十分な育成とか採用とか、また年度途中の入所とか、定員枠の拡大とか、公的保育の充実のために行政がしなければならないことはもう山ほどあるわけです。ところが、先ほどの厚生省の答弁では、だんだん社会福祉も充実してまいりましたしなんと言っておられますけれども、需要に見合うだけの十分な公的保育というものがなされていないという生の実態を直視して、改善をぜひ図っていただきたい。臨調、行革ということで福祉教育が削られるということがないように、この問題についても強く指摘しておきたいと思います。  それから、子供を産み育てながら働き続けるという観点から見て、育児休業制度というものがもっともっと全産業、全労働者に広がる必要があるというふうに思います。この点について、現在すでに行われております育児休業法による取得率というのは昭和五十四年で五八%ということで、非常に大きくふえておりますので、一層この育児休業制度の全産業への普及ということが強く求められており、その立法化が一日も早く行われるべきだということで労働者の要求も強いわけですけれども、これに関連しての労働省の御見解をお伺いしておきたいと思います。

佐藤ギン子労働省婦人少年局婦人労働課長

○佐藤説明員 先生おっしゃいましたとおり、最近は勤労婦人で子供を産み育てながら働いていくという方が大変ふえているわけでございます。私どもも、勤労婦人が仕事を続けていくことができるようにいろいろな措置をとっていくということが非常に重要でございますし、いまおっしゃいましたように、育児休業をとれるようにするということが、働いている御本人の幸せということだけでなくて、次の世代の国民を健全に育てていくという点でも重要なことだというふうに考えておりまして、現在、勤労婦人福祉法で、使用者に努力義務ということで育児休業制度を導入するように奨励いたしておりまして、このために育児休業の奨励金等の制度もつくりまして、こうしたものを活用して普及を図っているところでございます。  先生おっしゃいますように、全産業、全職種にすべての婦人がとれるようにということで、法制化という御要望が出てくるわけでございますが、現在この問題につきましては、労働大臣の諮問機関でございます婦人少年問題審議会で御検討をいただいているところでございますので、私どもとしては、この御検討結果を待って対処していきたいというふうに考えております。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 ぜひその早期の実現を強くお願いしておきたいと思います。  時間も終わってしまいましたので、まだ申し上げたいことがたくさんありますけれども、最後に、子供を産むということは、ただ産むというだけではなく、産み育てる、産まれてきた命に責任を持つということが伴わなければならないというふうに思います。その意味で、子供が平和で豊かな環境のもとに大切に育てられるという条件を一層整えるために、今後も大臣の一層の御奮闘をお願いし、最後に一言お伺いして、終わりたいと思います。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 最後のお話は、私も全く賛成でございます。大いに努力をいたしたいと思います。

簑輪幸代日本共産党

○簑輪委員 終わります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 これにて散会いたします。     午後五時二十七分散会

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