法務委員会 第21号
- 発言数
- 290 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/07/06
会議録
○羽田野委員長 これより会議を開きます。 この際、御報告申し上げます。 去る七月二日の理事会におきまして、福田衆議院議長並びに内海衆議院議院運営委員長に対し、議院証言法改正に関する申し入れの要望の合意がありました。 その内容は、昭和五十五年四月四日、法務委員長から議院運営委員長に対し提出した証人及び証言等に関する法務委員会における調査報告書について、その経緯並びに結果にかんがみ、十分尊重し、かつ実現されるよう申し入れるという趣旨でございます。 本委員長は、二日午後一時十分、内海議院運営委員長に対し、この趣旨の申し入れをいたしました。委員長は、現在まで法務委員会の調査報告書を尊重して議論を進めてきた、今後も尊重してまいるという御返事でございました。 議長は、議院証言法の改正に関する法務委員会の委員をアメリカに派遣し調査を始めた際の法務大臣でありまして、特に関心の強い方でございました。法務委員長のこの申し入れは適切な当然なものである、議長からも内海議院運営委員長に対してこの旨伝達するという御回答がありました。 右、御報告いたします。 ————◇—————
○羽田野委員長 お諮りいたします。 本日、最高裁判所梅田総務局長、大西人事局長、原田経理局長、川嵜民事局長、小野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○羽田野委員長 内閣提出、裁判所法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 裁判所法を審議する本委員会に、先般来IBMの問題が突如として国の内外に大きな聳動を呼び起こしたことはお互いによく承知いたしておるところであります。先ほど理事会で、明日集中質問をするということになりましたので、きょうは私は、このIBM問題について質問の重心をあしたに移しますけれども、あしたの審議に際して前提問題としての状況把握の意味におきまして、二、三伺っておきたいと存じます。 まず第一に、六月二十三日に鈴木総理大臣が、身柄引き渡し要求があっても応じないという趣旨が新聞報道をされましたが、政府はそのようにお考えでありますか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのような総理のお答えがあったかどうか、ちょっとつまびらかにいたしませんけれども、私の理解しておりますのは、引き渡し要求はまだ来ていないわけでございますけれども、仮にあった場合には慎重に検討するということであって、応じないとか応ずるとかいうような結論めいたことにはなっていないように理解しているわけでございます。
○横山委員 外務省にお伺いをいたしますが、米国政府ないしは法務省、何らかの外交手段をもって、日本政府に対してIBM問題についての要望、折衝、調査等はございましたか。
○松田政府委員 お答え申し上げます。 現在までの時点で、米国政府から正式な申し入れは一切ございませんが、この間、たとえば国務省が本件を一司法事件として冷静に対処するというような意図を表明していたり、私どももそれに応じたり、あるいは在留邦人保護の観点から在サンフランシスコ総領事館館員が官憲に会ったり、あるいは被告に保釈後面接したりというようなことはございますが、冒頭申し上げましたとおり、お尋ねのような公式な接触は一切ございません。
○横山委員 通産省にお伺いいたします。 同様な趣旨でございますが、産業の問題が根幹になっておりますが、アメリカ側から企業的に何らかの調査依頼があったか、あるいは通産省としてこの問題について状況把握のために国内外についてどういう手段をとっておみえになりますか。
○関説明員 本件の事実が公表されました後、私どもとしては、通産行政の立場から、日米関係等への影響はどうなるかというような角度で、両社から一時、両社と申しますのは日立、三菱の両社でございますが、事情聴取をした事実はございます。 なお、アメリカ等とのコンタクトは一切ございません。
○横山委員 外務省に重ねてお伺いいたします。 これは法務省から答弁あっても結構でございますが、伝えられるところによりますと、日本にいま帰っておる日立の職員につきまして、自発的に出頭しても、入国したところで逮捕状を執行され拘束を受ける旨、サンフランシスコの連邦検事局ジョン・ギボンズ検事が語っておると報道をされております。要するに、自発的に出頭をするように暗に米国の法務省が望んでおる、その望んでおるということを、日本政府としてその意を、直接受けなくても間接的に受け、そして自発的な出頭を望むという気持ちが一体日本政府の中にあるのか。また、あったとして、ギボンズ氏の言うように、自発的に出頭しても拘束はするよ、逮捕状を執行するよということを言うておるのでありますが、それは一体事実であろうか。事実であったとして、なおかつ日本政府の中に自発的にアメリカへ行くように望む気持ちが一体あるのであるか、伺いたいと思います。
○松田政府委員 お尋ねの、米側の在日関係者九人の起訴を受けている人たちに対する召喚の問題につきましては、公式には私ども米国政府から何ら聞いておりません。したがいまして、七月一日のウォード検事補が記者会見を行いました際に、逮捕状を取り下げて召喚状だけであると、そういうふうにしておるという趣旨の発言をしたことは報道を通じて私どもも聞いておりますけれども、申し上げましたとおり、公式に確認しておるものではございません。 いずれにいたしましても、この九人の方々、あるいは日立本社が自発的に出頭するか否かは、当該個人の意思の問題でございまして、政府としてはこれに関与すべき立場にございません。
○横山委員 法務省にお伺いしますが、これも新聞報道ではありますが、国民が非常に注目をしておることでございますから伺いたいと思います。 七月一日、法務省の見解として、贓物故買とは認めがたい、共謀罪は日本の刑法にない、共助法による国内捜査に応じがたい、要求しないだろう、こういう報道がなされておりますが、それは法務省の見解として承ってよろしいのですか。
○前田(宏)政府委員 私ども、この問題につきましては、事実関係もはっきりいたしませんので、公式に、法律問題の形にいたしましても、新聞等に意見を述べたということはないわけでございます。 いま、一日でございましたかの報道についてお尋ねを受けているわけでございますが、贓物故買になるかどうかという問題も一つございます。それから、いま起訴されている事実というのは、どうも盗品等の国外への移送の共謀という日本では犯罪にならないような形のように見える事実ということで起訴されているように承知しておるわけでございますが、それもその程度のことでございます。 したがいまして、国際捜査共助法にこれは一般論として乗るか乗らないかということになるわけでございますが、それはあくまでもその前提となる事実、いまの問題に即して言えば、日本で処罰し得る行為かどうかということが前提になるわけでございまして、その前提がはっきりしない以上、応じがたいとか応じるとか、また、要求するだろうとかしないだろうとかいうような判断はできないわけでございます。
○横山委員 きょうは、事実関係については明日に延ばしますが、少なくとも日本国民が本件について非常に注目をいたしておる。そして、一体アメリカ政府の真意がどういうことなんだろうかという心配をしておる。政府は日米関係に悪影響をもたらさないというのが基本方針のようでありますが、そのためには、いまお話がございました事実関係は一体どういうことなのか、あるいは日本とアメリカとの間における法律の相違点というものが何であるか、それは日米両国政府、関係者がその法律の違いというものをよく承知して、お互いに議論が整理されておるのであろうか、あるいは裁判のあり方についても、やり方についても日米の間に非常に違いがあるということについての理解が十分に双方されておるのであろうかどうか、そのような問題につきまして、まず私どもとしては法務委員会として基本的な質疑をし、政府にただすべきことをただしたいと考えておるところでございまして、いま状況の判断だけ、状況の説明だけお伺いした次第でございます。これは明日、引き続きいたすことにいたします。 それでは、IBM関係の関係者、どうぞお引き取り願って結構でございます。 次に、最高裁にお伺いをいたしますが、やはり同様、この法律案の審議の際にまことに遺憾千万な問題が惹起をいたしました。千葉判事補の問題であります。 何はともあれ、最高裁としても千葉判事補の問題について御調査を願ったと思いますから、その事実関係、また経過の御説明をまずお願いします。
○大西最高裁判所長官代理者 大分地方裁判所の千葉判事補の問題でございますが、最近裁判所の中にいろいろ不祥事が起こっております後を受けまして、またまたこういう問題が発生いたしましたことにつきましては、私どもとしてはまことに遺憾であり、申しわけないことと考えておる次第でございます。 お尋ねの千葉判事補問題の概要ということでございますが、かいつまんで申し上げたいと思います。 事柄の起こりは、六月の二十四日に、千葉判事補のところへ、その母親、お兄さん、それからもう一人直接関係はない男の方が大分の裁判所へ見えまして、どうも千葉君に面会を求めたらしいのであります。その後でまた大分の家庭裁判所へ参りまして、家事相談ということで相談があったということが発端でございまして、その報告を所長が受けまして、六月二十四日の夕刻に千葉君から事情聴取をいたしまして、わかった事実が以下申し上げるようなことでございます。 千葉君は別府から大分へ通勤しておりますけれども、ことしの二月上旬ごろのある朝に、別府駅の待合室で少女を発見いたしまして、どうして待合室でじっとしているのかと尋ねましたところ、少女は、学校へ行くのも家へ帰るのも嫌だというふうなことで、それで時間をつぶしているのだということでございましたので、千葉君が家に帰るように勧めたということがあったようでございますが、それが最初のかかわり合いということになるわけでございます。その後六月になりましてから、またたまたま、これも待合室のようでございますけれども、この少女と会いまして、その後、少女と一緒に食事をしたり、あるいは少女が家出をしてきておりまして、その働き口を探してやろうとしたり、あるいは泊まる場所を提供するというふうなつき合いをしたということでございます。 で、先ほど申し上げました六月二十四日に所長が千葉判事補から事情聴取をいたしました際に、いま申し上げましたようなことを千葉判事補が申しまして、やはり考えてみると裁判官としては思慮を欠いたことであるということで反省して、早急に退官したいという申し出がございました。そこで、その翌日に千葉判事補から退官願が出まして、これは最高裁判所へ参りまして裁判官会議の決議をいただいた上、これを内閣に進達いたしまして、それで退官ということに相なった。 およその経過は以上のようなことでございます。
○横山委員 その六月二十四日に母親が千葉判事補に会い、かつ家庭裁判所の所長に会いに来たという趣旨、要求といいますか、それは何のためでありましたか。
○大西最高裁判所長官代理者 最初に千葉判事補に会いに来たときはどういうことであったかということは、必ずしもつまびらかでない点はございますが、少なくとも千葉判事補としては、何と申しますか、因縁をつけられたと申しますか、少し脅迫的であったように千葉君の方としては感じたようでございます。そこで、応対がやや適切を欠くといいますか、たとえば帰ってくれというふうな言い方をしたのではないかというふうに想像されるわけでございますが、そこで帰りに、先ほど申し上げました四人が家庭裁判所へ寄りまして、そのときは相談ということで、たまたま次席の家裁調査官が担当であったようでございますけれども、そのときの話としては、裁判官が娘が家出をしていることを知っておりながらそれをかくまったと申しますか、どういう表現を使ったかわかりませんが、そういうことでけしからぬではないかというふうな話があったというふうに聞いております。
○横山委員 そこのところが釈然としませんけれども、裁判官ともあろう者が家出娘をかくまっておるとはけしからぬということを言いに来るということは、何らかの要求があったのではあるまいか。そして、それに関連をするかどうかわかりませんが、裁判長の扱いが必ずしも穏当でなかったのではなかろうか。 報道するところによりますと、記者会見をして、そしてそれがどうも適当でないというので、夕方二度目の記者会見をした。私が新聞で承知するところによりますと、最初、もう調査するつもりはない、これはこれで終わりだというような裁判長のやや高圧的な記者会見、それから千葉判事補に、お菓子でも持っていったらどうだ、あるいはまた、少しお金を出したらどうだということを勧めたという話でありますが、そうだとすれば、要求があって、それに対してこたえなければなるまいという気持ちがあったのではありますまいか。
○大西最高裁判所長官代理者 二十四日に、先ほど申し上げました四人が千葉君のところへ参りましたときに、千葉君が、具体的に何らかの要求があったということではございませんけれども、そういうことを要求されているのではないかというふうな誤解と申しますか、印象を受けたということは、どうも千葉君から最初に所長が事情聴取をされたときにそういう話があったようでございますが、ただ、後になっていろいろ聞いてみますと、実際は、そういう具体的な要求があったというふうなことを言っておる人はないわけでございまして、そういう意味では要求はなかったと認めざるを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。 所長が菓子折りでも持っていこう、金を包んで持っていったらどうかというふうなことを言ったという新聞記事があるわけでございますが、この事情を若干申し上げますと、二十四日の夕方にそういうことで四人の方が見えました後事情聴取をした後、翌日の午前中に所長と千葉判事補その他の裁判所側の者が、やはり裁判官として適切ではなかったということで、御本人の方からも所長も来てくれというようなことで、何か本人のお兄さんのところへですか行って、向こうの四人の方と会っていわば謝罪をした。千葉判事補のやり方は適切ではなかったということを申しまして、千葉判事補もやめると言っておるというようなことも申しました。それで帰ってまいりまして辞表を受け取った後に、やはり家出をしてお母さんの心労も大きかったし、あちこち捜し歩いて出費もあっただろうから、もう一度ごあいさつに菓子折り等を持っていっておいたらどうかというふうなことを坂本所長は助言をしたということで、具体的な要求があり、その要求に応ずるという意味でそういうことを言ったのではないというふうに所長からは聞いておるわけでございます。 それで、所長が二度記者会見をして、所長の扱いが適切でなかったのではないかというお話もございましたが、このいきさつは、むしろいまの所長の助言に関しまして、所長がそういうことをして事件のもみ消しを図ったのではないかと受け取れかねないような新聞記事が出たということで、所長は前の晩に説明してあるのにかかわらずということのようでございますけれども、そのこととの関係で、所長は、そんなことはないのだということを第一回目の記者会見でいわば所信を述べられた。その後もう少し詳しく事情を言えというようなことで記者との間に若干のあれがありまして、それでもう一度その点を説明するために記者会見をやって、そうではない、もみ消しを図ったのではないのだという説明をしたというふうに聞いておる次第でございます。
○横山委員 問題になりますことは、第一に、駅で会って、そして家出した子供であることがわかっておる、それを自分のアパートへ泊めた。それから、アパートのかぎを渡したと言われておりますが、それが本当に事実なれば、どういうつもりでアパートのかぎを渡すのか、あるいは十万円相当のバイクを買い与えたというのでありますが、なぜそういうバイクを買い与えるような条件下にあったのか。これ以上はどうも聞きづらい点が一つあるわけでありますが、裁判長が事実関係は余り調べる必要がないと言うことの中に、何か私ども釈然としない問題が一つ残っておるような気がするわけであります。 最高裁も、裁判官として思慮を欠くあるいは妥当を欠くという判断をされたのでありますが、その思慮を欠く、妥当を欠くということは、どういうことが妥当を欠き、思慮を欠いたというふうに判断されているのでありますか。
○大西最高裁判所長官代理者 まず、最初のお尋ねの泊めたかどうかという点も、これは千葉君の方から聞いておることで、女性の方はむしろ泊まってないと言っておるというふうな報道もあるわけでございますけれども、千葉君が友人のうちへ泊まって帰ってきたときに、家出をした日のことで、どうも朝方から来たようなことでございますが、アパートに寝ていたという事実が一つある。もう一つは、友人の世話で泊まる場所を探してやろうとしたところが、ないので、これも夜中に帰って、泊めたということにはなるだろうと思いますが、しかし寝たというふうな状況ではないようで、ただ朝までいたということは間違いないようでございますが、そういう事実があったということが泊めたということで、これも新聞によっては泊めたのか泊めてないのかはっきりわからないような報道になっておるのは、こういう事情があるからでございます。ただ、おっしゃいますようにかぎがどうなっておったかというようなこともあるわけでございますけれども、かぎがどうして彼女の手に渡ったのか、あるいはかぎがなくて入れたのか、そこら辺の事情はわかりませんが、少なくとも留守に入れたという以上は、彼女に入り得るような状況にしたということは間違いないわけでございます。 バイクの問題は、彼女が前にバイクに乗っておって、いろいろつき合っている間にそのバイクが壊れて、バイクが欲しいというようなことを言っておったので、自分がもう前からたまたま注文してあったもののようでございますけれども、その新品のバイクをいわば貸し、結局は与えたようなかっこうになるわけでございますが、そういう事情のようでございます。 この問題は、相手方が何と申しましても女子高校生で未成年のことでもございますし、相手方の高校生の将来ということも考えますと、裁判所といたしましては、本人がそういう辞表も出し、相手方もその時点においてはいわばこの問題は水に流してほしいというようなことも言っておったようでございまして、それ以上女性についていろいろ追及して調べるということは、相手方が特に未成年であるということとの関係からも、なかなかできがたい事情にあったようでございます。 結局、私ども、この千葉判事補の行為が思慮を欠く、妥当を欠く、妥当でないというふうに判断いたしました一番の問題点は、その高校生が家出をしてきたということを千葉判事補が知っておれば、直ちに警察に通報するとか、あるいは家族に連絡するとかするべきであった。もっとも千葉判事補の方は、そういうことをしたら自殺するとその女の子が泣いて言ったという弁解はしておりますけれども、そんなことがあろうと、特に裁判官である以上は警察その他への通報をすぐにするべきであった、そういう意味で非常に思慮を欠くものではないかというふうに判断をしたわけでございます。
○横山委員 二年に一回か三年に一回、裁判官の中できわめて遺憾な事件が生じております。そのたびに法務委員会におきまして、裁判官も人間であるという立場にわれわれも立ちながら、なおかつ裁判官に望む裁判官にあってほしいありようについてしばしば忠言をいたしてきたところでありますが、まことに残念至極であります。千葉判事補はどういう経歴で判事補になられた方でありますか。年齢は幾つくらいで、どういう経歴でありますか。
○大西最高裁判所長官代理者 千葉判事補は昭和二十六年の一月生まれであったという記憶でございますが、北海道の出身でございまして、昭和五十年に大学を卒業いたしまして、昭和五十二年度の司法試験に通りまして、五十三年から五十五年まで修習をいたし、五十五年に、大分地方裁判所が初任地でございますけれども、現在の大分に赴任した、そういう経歴の方でございます。
○横山委員 まだ若く、しかも大学を卒業して二年で司法修習生の試験に合格をし、そして将来が期待される客観的条件にある、そういう若い裁判官がなぜ一体こういうような裁判官としての常識にもとるようなことになるのか、それは千葉裁判官一人の問題であろうか、それとも千葉裁判官を生み出すような条件というものがまだ裁判官の中に何かあるのではないのか、この種の問題がまだ将来起こり得るのではないかという不安を持たざるを得ないのであります。 この千葉判事補事件について最高裁としては一般論としてどういう考えを持ち、どういう措置をなさいましたか。
○大西最高裁判所長官代理者 千葉判事補の問題は、先ほど来御説明申し上げているような事実関係でございますけれども、私どもといたしましては、一体これが裁判官だけあるいはそれ以外の一般的風潮かどうかということにつきましては、とても私ども判断し得る限りでございませんけれども、こういう若い判事補の中に、いわば裁判官としてというよりは、本当の一般の常識というものに欠けておる面があるのではないか、そのよって来る原因が一体何であるかということにつきましては、先般来のいろいろな不祥事とも関連することでございますが、実は本当にわかりかねる、理解しかねるという一語に尽きるわけでございまして、前々から申し上げておりますように、裁判官の、特に新任の判事補の研修というようなものもいろいろ工夫してやってまいり、今後もやっていかなければいかぬと思っておりますけれども、そういう研さんのみによって果たしてこういう千葉判事補のような方が出ないようにできるかどうかということになりますと、やや首をかしげざるを得ない面もないわけではございませんで、むしろそういう裁判官ないしそういう方が来ないようにすると言うと非常に語弊がありますけれども、そういうことも含めた施策というものを考えていかなければいけないのではないか。 これはもっと広く言いますと、法曹養成全般にかかわること、大きく言えばそういうことになるのかもしれませんが、具体的にどうすればこういうものが防げるのかということについてはまことに苦慮しておるというのが現状でございまして、横山委員の御指摘でございますけれども、こうすればいいという良策がいますぐになかなか申し上げられないという、そういうふうな苦慮しておる状況にあるというのが偽らざるところでございます。
○横山委員 十分御検討、御留意を願って、かかることが二度と起こらないように最善の配慮を望んでおきたいと存じます。 その次に、ちょっと話題からそれるわけでありますが、私、いまここに再審のいろいろな問題を持っておるわけでありますが、去年の夏現在で死刑を宣告されて再審を求めておる島田事件の赤堀政夫でありますが、これは死刑、松山事件も死刑、両方とも宮城におるようでございます。帝銀事件の平沢貞通、これも宮城におります。牟礼事件の佐藤誠、これも死刑で宮城におるわけであります。 この死刑を宣告されて再三再審を求めておる諸君について、私どもとしては、たびたび本委員会におきましても、死刑囚の扱い、それからその執行、ともに慎重であれと望んでおるわけであります。政府としては監獄法の改正を提起されておるわけでありますが、その内容における死刑囚の扱いについて、私どもこれからそれが正式に審議となりました際に十分議論を尽くしたいと思いますが、その中で宮城におりますこの赤堀政夫、またいつも話題となっております平沢貞通、この両名については条件が多少違いますから、まず赤堀政夫についてお伺いをいたします。 抗告をしておるようでありますが、いま法務省、法務大臣として、この死刑囚に対する執行についてどういうお考えでありますか。かつて法務大臣が、あなたの前任者でありましたか、再審審理中、抗告をしておる間は死刑執行をしない、こういうことをおっしゃいましたが、あなたも同様にお考えでありますか。
○坂田国務大臣 死刑囚の問題につきましては、私もどこかの委員会でも申し上げたことがございますけれども、何と申しましても、執行ということになれば命を絶つということでございます。したがいまして、このことにつきましては慎重の上にも慎重を期さなければならないと私も考えておりまして、その点については前任者と同様でございます。
○横山委員 赤堀の場合は、東京高裁第三部が本年裁判長がかわりましたが、赤堀氏の即時抗告もすでに五年を経過しておるわけでありますが、一向審理が進展をいたしておりません。また先般、私がパネルヒーターの問題を数年前取り上げたことがございますが、獄中の処遇について、医療、食事、保温について訴えが私どもに届いておるわけであります。 また、平沢貞通につきましては、きわめて高齢であること、それから事件そのものは、だれかがやったに違いないにしても、平沢貞通ではないという主張がずいぶんある。無実を訴えながら恩赦を求めるということは多少矛盾をしておるようではありますけれども、それは人道的な立場で、矛盾があってもなおかつ諸般の状況からいろいろな要望が出ておるわけでありますが、突然の質問でなにでございますが、矯正局長、この二人の状況について今日御存じでありますか。
○鈴木(義)政府委員 島田事件の赤堀政夫は現在のところ健康でありまして、本人からも特段の不調等の訴えはございません。ですから、この赤堀政夫だけではございませんが、宮城刑務所における死刑確定者につきましては、施設の、刑務所の医師が常時診断等健康状態を検査いたしておりますが、それ以外に外部の病院に依頼して、これは東北大学の附属病院でございますが、一カ月あるいは二カ月ごとに定期的に健康状態を診査してもらっております。その点でも、現在赤堀政夫には特段の病識というものはございません。
○横山委員 別途、具体的な問題につきましては後日矯正局長に少し意見を申し上げたいことがございますが、きょうは省略をいたします。刑事局長、矯正局長、お帰りになって結構です。 さて、法案の内容について触れてみたいと思います。 私、国会がこういうことになります前に、名古屋におきまして簡裁やらいろいろなところを訪問をいたしまして、その仕事ぶりを聞いてみました。簡裁の繁閑の差が非常にはなはだしい、そういうことがきわめてこもごも訴えられたところであります。 今回の改正によって、業務量の激増する簡裁あるいはそんなに影響も必ずしもないだろうと思われる簡裁、こういうことが指摘がされると思うのであります。吹田だとか、東京では墨田、新宿、名古屋の中村、こういうところの簡裁ではもう仕事がパンクしそうだ、こう訴えられておるのでありますが、全国の簡裁の業務量の繁閑の状況について法務省はどうお考えでありますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、簡易裁判所は全国に五百カ所以上も設置されておりますために、独立簡裁と言われます田舎の方の小さい庁と大都市の簡易裁判所とを比べますと、事件数の差はきわめて大きいものがございます。たとえば、東京簡易裁判所でございますと、年間四千件以上もの民事訴訟事件を取り扱っておりますが、きわめて事務量の少ないところになりますと、年間一件あるなしというところまでございます。 いずれも新受事件あるいは未済事件等を見まして、それぞれの簡易裁判所に必要と思われます人員を配置するわけでございますが、中には、御承知のとおり、きわめて事務量が少ないために簡易裁判所判事を配置しておらない庁もあるわけでございます。私どもといたしましては、簡易裁判所が設置されました趣旨が生かされますよう、人員の配置につきましては、事件の繁閑を見きわめながら、毎年妥当な手当てをしていっておるところでございます。
○横山委員 ここに東京地方裁判所の簡裁の四十四年から五十六年までの統計がございますが、四十四年で六千三百七十七件、これは民事一審でありますが、これが五十六年で一万二千百十六件、そして調停では四十四年五千二百四十一件が四千百三十二件、減少ですね。督促では一万四千八百三十七件が五十六年で二万九千百三十五件。調停の減少というもの、一審と督促の増加というもの、これが一体東京だけかと思いまして名古屋の簡裁をずっと調べてきましたところ、やはり同様、新受事件でいきますと、四十七年一万五千六百三十七件が三万二千六百五十七件、やはり督促が四十七年で三千六百二十二件が一万三千五百四十五件、訴訟、調停、保全はそんなに傾向はふえておりませんけれども、督促がきわめて激増をしておることがこれで明瞭なのであります。 こういうような事件の内容の変化というものがかなりあるわけでありますが、事件内容の変化について、あるいは個所別の増加状況について、あるいは減少、停滞状況について、約十年間にかくも変化があるのにかかわらず、一体それが適切に人員の増加なり、役所なり何なりというものが本当に具体的に行われておるかどうかという点について疑問を生ずるわけであります。 ここにアンケートが、これは恐らく全司法が行ったアンケートだと思うのでありますが、昭和五十六年はここ五年間と比べてみて、本庁・甲号支部併設庁の段階では、通常訴訟が著しく増加したと思われるのが四二・三%、手形訴訟では横ばいと見る数が多く、督促では著しく増加したと思われるのが五一%訴えておるわけであります。乙号支部では大体横ばいとみんな考えておるようであります。 それならば数年間職員の増減はどうかといいますと、本庁・甲号支部併設庁では減ったという訴えが二十八、同じだというのが三十八、ふえたというのが八、乙号支部では減ったというのが三十八、同じが五十、ふえたが三、独立簡裁では減ったというのが五十、同じ九十一、ふえたが二。 九十万円に拡張されたらどうかというアンケートに対して、本庁・甲号支部併設庁では処理できないという訴えが三十五件、乙号支部併設庁では無理すれば何とかというのが二十五件、独立簡裁では残業しなければできないというのが四十六。 増員を必要と思うかというアンケートに対して、本庁・甲号支部では九二%が増員を必要と思う、それから乙号支部では七五・八%が増員を訴え、独立簡裁では七五・五%が増員を必要とすると訴えておるわけであります。 私は、このアンケートが大体の傾向を物語っているのではないかと思います。九十万円に拡張されたらこのままでは済まない、何かかんか人員の増加なりいろいろな手当てが必要だと思われるのでありますが、どういう措置をとっておみえになりますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、ここ十年ほどの簡易裁判所におきます事件の動向を見ますと、昭和四十五年の裁判所法の改正後訴訟が地方裁判所から簡易裁判所の方に移行いたしました結果、四十六年には、四十五年と比べますと訴訟の件数がふえましたが、その後減少傾向をたどってまいりました。昭和五十三年ごろから、御承知と存じますが、クレジット関係の訴訟がふえましたために逐年増加傾向にはございますが、昭和五十五年をとってみましても、昭和四十六年の訴訟事件数の約九〇%でございます。督促、調停が増加いたしておる点は御指摘のとおりでございます。そのほかの民事事件につきましては減少の傾向にございます。また、刑事事件についてみますと、昭和四十六年を一〇〇といたしますと、刑事訴訟事件では昭和五十五年は約七〇%程度に減少になっております。 他方、地方裁判所についてみますと、民事訴訟事件は、昭和四十六年度を一〇〇といたしますと昭和五十五年度は一三八、刑事訴訟事件につきましても、昭和四十六年を一〇〇といたしますと、昭和五十五年は一一六という数字を示しております。 ただいま簡易裁判所あるいは地方裁判所等につきまして人員の増減があるというお話もございました。確かに昭和四十五年の改定におきまして民事訴訟事件が簡易裁判所にふえましたところは、つまびらかではございませんが、必要なところはそれなりの手当てがされたことと考えております。裁判所全体、特に第一審の訴訟を地方裁判所と簡易裁判所とで訴訟物の価額によって分担いたしておりますので、簡易裁判所にふえた分地方裁判所の方では減るという状況にございますので、人員の手当ては必要に応じてされてまいったと思います。ところが、漸次簡易裁判所の民事訴訟事件が減り、地方裁判所の民事訴訟事件がふえ、また、地方裁判所の訴訟事件は近年きわめて複雑化してまいっておりますために、そちらの方へ人が多少向けられていくという傾向にもあったことは事実であろうと存じます。 今回改定がされますと、地方裁判所から簡易裁判所に約二万件程度の事件が移動するものと考えております。ただ、これは推計でございまして、今回お願いいたしております法案には、不動産訴訟の競合管轄あるいは双方が希望する場合の必要的移送といった制度が盛り込まれておりますので、確定的な移動の数字は把握しにくい面がございます。 先ほども申し上げましたように、簡易裁判所には非常に大きい庁から訴訟事件ゼロあるいは一けたという裁判所までございます。非常に小さいところでは、今回の改定によりましてもふえる件数が微々たるものでございます。中規模庁で考えてみましても、それほど負担にたえないほどのふえ方はしないと私どもは考えております。ただ、大都市の簡易裁判所あるいは大都市周辺の簡易裁判所におきましては、相当程度の民事訴訟事件の増が見込まれるわけでございます。したがいまして、事件数がどのように動くかということを見きわめながら、ある程度の前もっての予測も可能ではございますけれども、施行後必要があれば所要の人的な手当てをしてまいりたいというふうに考えております。
○横山委員 いろいろ御説明がありましたが、まさにこの事物管轄の改正に伴う新受件数の変動をどう見るかということが、本法案の実効性を担保する重要な判断の問題だと私も思います。いまお話によりますと、最高裁としては、三十万円を超えて九十万円以下の民事第一審訴訟事件のうち九〇%が地裁から簡裁へ移動するものとして計算されているようであり、不動産に関する訴訟については、地裁、簡裁の競合管轄とすることによって地裁の三十万円を超えて九十万円以下の不動産に関する訴訟のうち二〇%が簡裁へ移動、簡裁の三十万円以下の不動産に関する訴訟のうち八〇%が地裁へ移動するものとして計算されたように私は資料から判断をしておるわけであります。 そういうことはどういうことなんでしょうかね。三十万円以下の不動産に関する訴訟のうち八〇%が地裁へ移動するということは、ありていに言えば、不動産訴訟で弁護士さんがつく、弁護士が、簡裁でやるよりも地裁でやりましょう、簡裁の判事さん余り詳しく知っておりませんぜ、わしは地裁の方が堂々たる勝負ができるという心理、つまり弁護士さんが簡裁というものを余り評価していない。だから、不動産はどっちでもええと言ったら、弁護士さんが誘導してみんな地裁へ持っていっちゃうよという判断が基礎になっているように思われてならないのであります。 いまお話しのように、事物管轄の改正によって増減は、二万件ぐらいが簡裁にふえて地裁から減る。だから分担割合は、地裁が五二・四、簡裁が四七・六、大体半々というふうにごらんになっておるようでありますが、そういうことなんですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 まず、お手元の法律案関係資料の三十八ページをごらんいただきたいのでありますが、ここに変動試算が出してございます。御指摘のように、二万五十五件地裁から簡裁に移るであろうという見込みでありました。この試算の根拠に、一般の事件三十万円を超え九十万円以下の事件が九割簡裁へ行くだろうという見込みであります。と申しますのは、合意管轄あるいは応訴管轄によって一割くらいは地裁に残るだろうという見込みだからでございます。これは従前からの法律改正のときにとってまいりました試算方法でございまして、大体この予測は現実に当たっております。若干の誤差はございますけれども、大体この計算方法で改正後の数字とそんな大幅な開きがないという結果が出ております。 さらに、不動産事件につきましては、簡単に申しますと八割が地裁に行き、二割が簡裁に行くであろうという推測をもとにしたものでございます。それは、ただいまの資料の三十七ページに「不動産事件の審理の実情」という表がございます。この中に「代理人選任率」という欄がございまして、その総数を見てまいりますと、地方裁判所における不動産事件の代理人選任率は八九・六%、簡易裁判所のそれは七六・三%というふうになっております。これの平均値が八三%ということになりますが、大体この数字をもとにして推測したものでございます。 その推測が正しく当たるかどうかということになりますと、これは正直申しまして、初めてのことでありますので自信があるわけではありませんけれども、弁護士がつく事件というものはかなりむずかしい事件であろう、ということになりますと、簡易裁判所は簡易な事件を取り扱うというたてまえでありますから、むしろ地裁で処理される方が適当であるという事件になってくるのではないかということから、こういうふうな見通しを立てたわけであります。 さらに、弁護士さんがつかれますと、やはり地理的な関係がございまして、その弁護士事務所の所在地の近くの地裁の方に訴えを提起するというケースが多くなるのではないかということも、この推測の一つの根拠というふうに見ているわけでございます。
○横山委員 まあ御推測ですね。どっちかと言えば、それは簡裁軽視につながっておると私は思われてならないのであります。不動産はむずかしいから簡裁じゃだめだ、おまけに弁護士の御都合で動くものだから、これは簡裁から三十万円以下の不動産に関する訴訟の八〇%が地裁へ行ってしまうよということは、とりもなおさず簡裁の仕事、簡裁の判事、簡裁の事務、そういうものに対する軽視のあらわれではないかと思われる。従来の経験からとおっしゃるんだけれども、水の流れるようにそれでいいということなのか、それとも、まあ簡裁でやれるものはできるだけ簡裁の趣旨からいって迅速に軽易に処理をさせたいからという気持ちが働かぬのであろうかどうか。 私は、この簡裁が二万件ふえて地裁が二万件減るという判断が、少し試算が間違っているんではないか、簡裁がもっと仕事がふえるのではないか、まあ六〇%ぐらいが簡裁の仕事になるんではないか、そう思われてならないんでありますが、あなたの方が変動試算をなさるときに、そういう判断は全然なかったのでありますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 先ほどちょっと申し上げましたけれども、四十五年の改正のときにも、不動産に関する変動試算は別でありますが、同じ方法で試算をいたしました。その試算と現実昭和四十六年度の実数における分担割合とを比べてみますと、試算と実数との間に三・二%ばかりの誤差が生じました。三・二%分が地裁に多く移ったのであります。簡裁が見込みより少なくなったわけであります。今回もこの関係におきます限りは、簡裁へ行く数字は試算よりも少なくなるだろうというふうに予測しております。これは割合においてそういうことになるだろうというふうに推測しております。 不動産関係につきましては、先ほども申し上げましたとおり、八割、二割という分かれ方が果たしてそのとおりになるかということにつきましては、それほど自信のあるものではございませんけれども、そう大きく違いは出てこないであろうというふうに思っております。それは確たる根拠があるわけではありませんけれども、大体弁護士さんとの話し合いの中で出てくるいろいろな不動産訴訟についての見方等を考えますと、それほど大きい差が出てくるとは考えておらないわけであります。 なお、先ほどの資料の三十八ページに増減数が二万五十五件と出ておりますが、この内訳を申し上げますと、不動産以外の訴訟が二万六千六百三十七件簡裁におきまして増加する、その反面、不動産訴訟が六千五百八十二件減るという推算で、その結果二万五十五件増ということになっております。したがいまして、不動産訴訟はその他の訴訟とその重みにおいてどの程度かということになりますと、それは不動産訴訟の方が重いということになるわけでありますので、この数字は数字よりもさらに少ない数が簡裁に行くと見てよいのではないかというふうに見ておるわけでございます。
○横山委員 これは、変動予測はあなたとやり合っておっても意見の違いということになりそうですが、私は、簡裁への増加が二万件にとどまらないのではないか、かなりの増加になるのではないかという予測をしておるわけでありますから、それに、増減に応じて人員の配置に遺憾のないようにひとつお願いをいたしたいと思います。 四十五年に衆参両院の法務委員会において附帯決議をつけました。その中で、衆議院では五項目、参議院では四項目の附帯決議をつけておるわけであります。 いまつくづくとこれを眺めておりますが、先般私が名古屋で、地裁から簡裁からあるいは弁護士から執行官から、いろいろの方々に会っていろいろ意見を聞きました中で、たとえばこの第二項目、「裁判所は、民事訴訟法第二編第四章「簡易裁判所の訴訟手続に関する特則」の活用に努め、簡易裁判所本来の機能を発揮しうるよう努めること。」これは参議院の二項目でも同様の趣旨がございますが、特則があるのだからもっとどんどんやればいいのじゃないかと言うたら、いや先生、それはまあ特則——私ども二つ勉強しなければならぬ、特則を見て本則を見て、そして両方あんばいようやらなければいかぬという意見が強く出されました。特則というよりももっと具体的に単独立法、簡易裁判所の訴訟手続に関する法律という、それだけ見れば簡易裁判所の仕事ができるというようなことにならないかというのが一つの意見として提示をされたわけであります。 特則を見てみますと原則的なことや具体的なことが出ておりますけれども、必ずしも特則すべてで簡易裁判所の本来的な目的を達することができません。この特則の活用もさることながら、特則を基本的に法律化する必要がないのでありましょうか。
○千種政府委員 ただいま先生が御指摘になりました簡裁の手続ということにつきまして、特に立法する必要があるのではないか、こういう話は実はないわけではございませんで、私どもいろいろ考えているところでございます。たとえば法制審議会に民事訴訟法部会というのがございまして、ここで先日いろいろなテーマを出し合ったときに、ある学者の先生がそういう問題をひとつ検討してみてはどうかというようなことも言っておられました。 ところが、そういうことになりますと、これは簡易裁判所の性格というものをかなり変更する問題に関係してまいりますので、裁判所制度を全部見直すという根本問題になってまいります。そういうことはぜひ必要であろうと思いますが、なかなか急にできることではないということは考えられます。と申しますのは、簡易裁判所でやっておる民事訴訟も地裁でやっております民事訴訟も、第一審の訴訟という点では実は共通なものでございますから、その判決に対しては控訴ができる、上告ができるという共通したものがあるわけでございます。その共通したものをどこまで変更するかということにかかわってくるので、そこにむずかしさがあるわけでございますが、そういう意味からいたしまして、特則というのは簡易裁判所の特則ということでいま位置づけられているわけでございます。 それが非常に読みにくいとか運用しにくいとかいうことでございますと、この運用の面でどうするかということがまず先決であろうと思います。そういうような状況でございますので、いま現在におきましては、裁判所においてその特則の運用ということに力を入れて研究しておられると理解しておるわけでございます。
○横山委員 こういう法律を改正するに際して、簡易裁判所というものはどういう位置づけをしてきたか、そしてその位置づけに適当な、適切な運営がなされておるかどうかという原点に返る必要があるのではなかろうか。発足当時、簡易裁判所の理念は、少額、軽微な紛争、事件を簡易、低廉、迅速に処理解決する裁判所、庶民の人権の擁護、権利の実現を目的として、地域住民が気軽に、簡便に、安心して利用できる民主的な裁判所、そういう気持ちでできてきたのではあるけれども、いま何となくそれが特色を発揮していないのではないか、それなるがゆえに人材がそこへ行かないのではないか、何か中途半端な感じというものがそこにあるのではあるまいか。 単独法をつくるということが冒険であるとするならば、特則の幅を広げ、解釈を広げ、そしてその運用の全きを得るというような方法について改めて検討すべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 民事訴訟法に定められております簡易裁判所の特則は数カ条ございますけれども、この中には、裁判所の手数を省くという意味の特則と、当事者に負担をかけないという意味の特則と、二つの類型があると思われます。当事者に負担をかけないという意味の特則の最たるものが、口頭による訴えの提起でございます。 この口頭による訴え提起の制度というものが、これは古くからあったわけでございますけれども、これが実際には動いていなかった。ところが、四十五年の改正のときにいろいろな御意見、御指摘がございまして、この特則を活用するという方針を打ち出しまして、各簡易裁判所にその旨を指示したわけであります。その結果、口頭起訴あるいは裁判所側が用意しております定型的な訴状というものを利用して訴えを提起するという数が年々ふえてまいりました。四十六年度におきましては一%、件数にして八百六十九件程度でありましたけれども、五十五年度になりますと一万一千七件、全事件の一四・二八%、こういうふうに伸びてきております。こういうような施策をとることによりまして、簡易裁判所が少額、軽微な事件を簡易迅速に処理するという一助になっているというふうに思っております。私どもといたしましては、この施策をさらに推進していきたいというふうに考えているわけであります。 なお、調停事件につきましても口頭による申し立てという制度がございまして、これを推進しておりますが、これはもう半数以上が口頭受理ということで事件が受け付けられているという実情にございます。
○横山委員 くどくは申しませんが、要するに簡裁手続法とでも申しましょうか、単独法というものが少し大げさ過ぎるとするならば、特則条項について改めて見直して、簡裁手続法とでも申しますか、そういうものを検討さるべきである、そういうふうに私は強く意見を表明しておきたいと思います。 それから、書記官の問題であります。 私の調査したところによりますと、いま六千二百十八名書記官がおるわけでありますが、そのうち三千六百三十九名が十年後には全部定年で退職をする。まさに五八・六%が十年間に退職するという計算になります。 愛知県で調べてみますと、書記官三百二十八名のうち百九十二名が八、九年に集中して退職をしていくわけであります。やはり五八・五%。この十年以内に約六〇%が退職をするという計算になります。 〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 書記官の研修は、大学出は一年、その他は二年、場合によっては簡単な、簡便な方法の研修をなさるようではありますが、この統計から見ますと、これはよほど今後十年間の書記官の増減見込みというものに対処していかなければ、増員も余りいま行われておりませんし、十年たったら全く新米の人ばかりということになるという点で、非常に私はいまから準備の必要があると思います。 書記官も、この数字で見られますように、非常に高齢化しているわけですね。だから、それに後続部隊がうまく続いていかない、こういう状況は司法行政の中においてきわめて重要ないまから準備をすべきことだと思いますが、どうお考えになっていますか。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所におきます裁判官以外の職員、特に書記官につきまして、ただいま横山委員御指摘のように、非常にその年齢構成の偏りがございまして、今後十年を予想いたしますと、相当数の欠員ができる。特に六十年から定年法がございまして、六十歳になりますと順次退職していくということになりますと、非常にたくさんの欠員が生じるだろう。特に退職者が多いのが昭和六十二年から六十五年あたりのところにピークがございまして、私どもといたしましては、この事態は十分予測しておりまして、かねがねいろいろと検討を続けておるところでございます。 現在、横山委員御指摘のように、書記官研修所での養成、それからいわゆる任用試験というのをやっておりまして、そういう試験による任用、あわせまして書記官の補充を図っておるわけでございますけれども、従前のような人数の補充では今後のいわゆる大量退職時代に処していくことはできないわけでございまして、いまいろいろと検討しておりますけれども、要するに書記官、いま申しました書研における養成、書記官任用試験という、そういう二つのものの拡大活用ということが一番中心になるわけでございますが、ただ単にそれにとどまりませんで、それをも含めましたいろいろな施策というものをいま鋭意検討しておるところでございます。
○横山委員 鋭意検討しておるというのは、あなたのところだけでやっておっても、実際問題としてよほど声を立てて落差のある計画を立てなければ、いまの行政改革の時代で、さあ集めようたって集まるはずがない。予算的な制約があるということで、十年間に六〇%の人がやめてしまってあと補充がつかぬというようなことでは、これは机上の空論ではないのですか、あなたの言っているのは。具体的に年度別の書記官の補充対策というものが実現可能性のある計画なんでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま検討しておりますのは、まさにそういう実現可能性のある計画というものを立てなければいけないわけでございまして、机上の空論だけではだめでございまして、そういう意味でいろんなことを総合的に勘案いたしながら一生懸命検討しておるわけでございまして、そういう大量退職になったときにあわてるということのないよう、いまから十分準備を整えておきたいということで検討しておるということでございます。
○横山委員 これからもたびたび私は、この問題の実現性というものが裁判所の仕事の中で重要な将来への問題であるということを強く指摘していきたいと思います。 ちょっと細かいところへ入りますけれども、いろいろ話を聞いておりますと、廷吏と法廷警備員ですね、廷吏は構成員でありますが、法廷警備員は法律上の名称ではないようでありますね。 廷吏という言葉もずいぶん古い言葉なんで、余り感心した言葉ではないと思うのですが、廷吏と法廷警備員と、身分、資格等どう違いがありますか、また、これを一緒にしてはいかぬのでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘ございましたように、廷吏は裁判所法に規定しております官職でございまして、旧裁判所構成法当時は廷丁というふうな呼び方をしておりましたが、新しい法律になりましてから廷吏ということになっておるわけでございます。 廷吏は、申し上げるまでもないことでございますが、法律に「法廷において裁判官の命ずる事務その他最高裁判所の定める事務を扱う。」というふうに規定しておるわけでございますが、その職務の中心は何かと申しますと、具体的には、法廷に裁判官その他多数の人が参るわけでございますが、そういう法廷の環境の整備でございますとか、裁判手続進行中、法廷で書類を授受するとか証拠物を運搬するとか、裁判長の指揮のもとにいろいろ仕事がございますので、そういうことを専門的に行うわけでございます。そういうことで、廷吏は法廷そのものと非常にかかわりのある官職ということになりまして、全国の裁判所に配置する必要があるということで、現実にも末端の簡易裁判所にまで配置されておるものでございます。 一方、法廷警備員の方は、裁判所法等にそういう官職として書いてあるものではございませんが、この法廷警備員の職務は、大きく言いますと法廷等の警備をやるという、そういう職務を持っておるわけでございますが、もう少し具体的に申し上げますと、裁判所法に書いてあります裁判長等が行います法廷等における秩序維持のための処置、あるいは法廷秩序維持法による拘束処分を現実に執行するといったような法廷の警備に関する事務を職務内容としておるわけでございまして、法廷警備員の方は身体的な危険を伴うものでもございます。 そういうようなことでございますが、法廷警備員の方が、法廷警備員が現実に必要になってまいります要警備事件、つまり警備を要する事件といいますものは全事件から見ますと非常にわずかでございます。で、配置の必要性もない、薄いわけでございまして、廷吏が各裁判所に置かれているのと違いまして、まあ不特定の大きなところの裁判所に置いておるというふうなことがございます。 いま申しましたような廷吏と法廷警備員との職務内容の差から申しまして、実際に職員を採用いたします場合にも、この任用条件につきましては、廷吏と法廷警備員とではかなり違った任用条件になっておるわけでございます。そういうことでございまして、一応官職、職務内容としてはかなり違うというふうに私ども考えておりますので、現時点でこれを直ちに一本化するということは困難ではございます。 ただ、そうは申しましても、法廷で同じように仕事をする、で、重複した面が具体的に全くないかというと、そういうわけでもないという面もございますので、横山委員の御指摘は一つの課題として、将来の検討の課題というふうにさせていただきたいと思います。
○横山委員 身分上、給料上、若干の違いを持っておるようではありますが、私ども法廷を見ておりまして、何でその廷吏と法廷警備員とをわざわざ区別をしなければならぬか。相協力して法廷の秩序維持なりあるいは進行なりを裁判長の指揮を受けてやるならば、一本化して何でいかぬのか。わざわざ自分で区別をしてしまっておることについて、まあ、しきたりとか過去のことにとらわれ過ぎているのではないかという気がしてならないことを指摘しておきます。 それから、私がこの委員会に立つたびに、裁判所の永年勤続について何回も指摘をしておるところなんでありますが、あれは先年私どもが法務委員の国政調査で現地を視察いたしました際、裁判所の永年勤続は、地裁は二十年、高裁は二十五年、最高裁は三十年、地裁と高裁は年限がたったらある意味では自動的に永年表彰されるんだけれども、最高裁の三十年は資格があっても表彰はなかなかされぬ。銭がないのかと言うたら、銭もないけれども、いわば総理大臣表彰に匹敵する最高裁長官だから重みを持たせたい、こういう話が事実上あったようであります。何でそうもったいづけるのか。 裁判所で三十年働いて、瑕瑾もなく、そして一定の年齢に達しておる人に、ほかの役所だったら、三十年だったら瑕瑾がなければ全く自動的になるものを、どうやっているんだと言ったら、その間の選別をして、先任順位からあるいは業務成績から判断をして決めます、こういうわけです。三十年同じ仕事をやっている人の甲と乙とを優劣をつける。それは地域も違うところもあるだろうし、離れたところの裁判所で、あのAさんはまじめで、Bさんは普通だと、どうやって点数がつけられるのだ。 そんなものは予算の問題ではない、最高裁長官なんてもったいつけなくてもよろしい、これは三十年たったら自動的に表彰されるようにしろと何回口を酸っぱくして言っているか知れないのでありますが、一向私の言うことを尊重してくれないのでありますが、もうぼつぼつ、横山委員の言うのはもっともだ、それじゃひとつこれからは予算をもらって、全部三十年たったら、よほどのことがない限り自動的に表彰しますという答弁をいいかげんにもらいたいものだと思うのでありますが、いかがですか。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所の表彰制度につきましては横山委員よく御承知のところでございまして、いま御指摘があったとおり、三つの段階に分けてやっております。いわゆる所長表彰、高裁長官表彰は、時期的な差はございましてもほぼ全員にいくようになっておりますが、最高裁長官表彰についてはそうではないというのが現状でございます。ただ、もう少しさかのぼりますと、そういう高裁長官、地裁所長の表彰につきましても、いまはほぼ全員でございますが、かつてはそうでなかったのが順次そういうふうにしてきたというふうな事情があるわけでございます。 この前、前人事局長当時にも横山委員から御指摘がございまして、各省庁のこともよく調べてということを申し上げておりますが、調べましたところ、私どもの方は三つの段階に分けておりますが、二つの段階に分けておられるところが大部分でございまして、三つもやることがどうかということも一つの問題であるのかもしれません。そういうことで、私どもとしては、いままでの表彰制度を、長年勤められたということに重点を置くものと、それ以外のことをも勘案してやっていくものを段階をつけてやっておるわけでございますが、そういう三つに分けることがどうかということも含めまして、さらに検討させていただきたいと思います。 横山委員、検討ばかりでなかなか色よい返事がないではないかというおしかりは甘んじて受けますが、もう少し検討の余裕を与えていただきたい。しかし、全然先生の御指摘を頭に置いていないわけではございませんで、十分頭に置きまして検討は続けております。 以上でございます。
○横山委員 少しは色よい返事をしたらどうですかね。ほかの役所で三十年たった人と裁判所で三十年を勤めた人との違いが、三回やっているからと言うけれども、ほかの役所でも、二十年、二十五年、三十年とやっているところがないわけでもないし、銭がないという理屈は私は成り立たぬと思うのですよ。だから、口先だけで私にかっこうをつけるのでなくて、実質的に三十年たったら最高裁判所の長官の表彰があるということをもういいかげんに割り切って、それに努力をしてもらうように期待を強くしておきたいと思います。 簡裁の判事と話し合った感じからいいまして、私もずけずけいろんなことを聞いたわけでありますが、わりあいに庶民的な人が多い、非常に老練な人が多いとは思います。人間的にもきわめて庶民的だと思いますが、衆議院の附帯決議で「簡易裁判所判事の任用に関し、可及的に法曹有資格者をもつてこれに充てる等、簡易裁判所判事の充実強化に努めること。」という項目がございます。一体、簡裁判事の推薦基準というのはどういうことになっておるのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 簡裁判事の推薦の基準でございますけれども、御承知のように、簡易裁判所判事は各地方裁判所に置かれております簡裁判事推薦委員会が推薦いたしまして、それを最高裁判所に置かれております選考委員会で、その推薦された者の中からいろいろな試験をして任命するということでございますが、その推薦基準ということで、年齢が四十歳以上、それから在官年数が十八年以上というのを現在は推薦基準ということにしております。 これはなおつけ加えて申し上げますと、少し前にはこれが三十五歳と十三年ということでございましたのが、比較的最近にこれを五年延ばしまして、少し年配の方へ持っていきまして推薦基準を少し上げた、そういう経緯があるわけでありますが、現在としてはそういう基準になっております。
○横山委員 年齢と勤続年数を上げたことによって比較的老練な人ということだとは思いますけれども、人材を簡裁の方へ向けるという気持ちが少し足りないのではないか。先ほどやや嫌みで言いましたが、弁護士が簡裁を見る目というものについて、やはりそれなりの重量級の人が簡裁の中にあって実力を発揮するということでなければいけないのではないか。裁判所に働く職員も、簡裁に行くことについて、地裁と比べて簡裁の方を軽く見る、転勤について軽く見るという傾向があるように思われてならないのであります。 そういう人事といいあるいは待遇といい、いろいろな面で簡裁が、地裁、高裁に比べますと裁判所内部におきましてもやや軽く見られる傾向というものがどうしても除去できない。こういう傾向が続く限りは簡裁の真価を発揮させることができないのではないか。簡裁が簡裁の特色を発揮するためには、身分、待遇、人事、そういうものについてもう少し力を注がなければ、簡裁の本来の目的を達しないのではないかということを私は心配しておるわけでありますが、基本的にどうお考えでありますか。
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所判事を含めまして簡易裁判所に働いておられる職員について、世間がどういうふうに思っておるかということはともかくといたしまして、私どもといたしましては、地方裁判所、家庭裁判所、高等裁判所等と比べて簡易裁判所の職員の方を軽く見ておるとかいうことは毛頭ございませんで、特に簡易裁判所の場合には、地方裁判所、家庭裁判所等と違いましてかなり僻陬の地にも行っていただくとか、いろいろな条件の悪い点があるわけでございまして、そういうことも勘案いたしまして、私どもとしては簡易裁判所の職員の方の待遇をも含めた処遇につきましては、決してこれを軽視するつもりはございませんで、いままでもそうでございますけれども、今後ともそういう処遇の改善向上につきましては十分に配慮してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○横山委員 調停委員と司法委員についていろいろ意見を聞いてみたのですが、私どもでも調停委員はよく知っておるのですけれども、司法委員というのは余りなじみがない。何をしておるのですかと言って聞いたら、裁判官の質問に意見を述べる、立ち会いであるということなんですが、司法委員というものの現状なり必要性なり、そういうものは現に存しているのですか。調停委員と司法委員とがなぜ一緒ではいけないのですか。調停委員にそういう仕事も兼ね備えるようなことはどうなんでしょうか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 司法委員の制度は、先ほどもちょっと申し上げましたように簡易裁判所の特則として規定されておるものでありまして、戦後つくられた制度でございます。 司法委員でありますが、この司法委員は法律によりまして二つの仕事をやるということになっております。その一つは審理に立ち会って意見を述べるということでありますし、いま一つは和解の補助をするということであります。 この司法委員の制度が実は余り活用をされているとは言えないような実情にございます。五十五年の統計で見ますと、司法委員が関与した件数は六百件余りであります。調停と比べますと、調停は六万件以上ございますけれども、非常に活用度が少ないという実情にあります。 この新しい戦後できました制度がどうしてこのように活用されないのか、いろいろ原因があろうかと思いますけれども、和解の補助という一つの職務は、これは調停に回せば同じような目的が達せられるということもありますし、審理に関して意見を述べるというのは陪審に似たような制度でございますけれども、これが余りなじみにくいというようなことから、この制度の活用が余りされていないというように思われるわけであります。 しかし、国民の司法参加という一つの民事の手続におきます唯一の制度でありますので、適当な事件、たとえば土地によっていろいろな風俗、習慣がございますけれども、これが裁判にどうしても必要な場合、司法委員を関与させるというようなことも十分考えられますので、この制度の活用につきましては、さらに検討を進めるべきではないかというふうに考えております。 なお、司法委員は全国で五千人余り選任されておりますけれども、このうち調停委員との兼任者が三千六百人ばかりございまして、多くの方は調停委員と兼務していただいているというような実情でございます。
○横山委員 五千人おって年間六百件しか司法委員の活用がない、そして三千六百人は調停委員との兼務であるということは、大変むだなことだ。司法委員にどういう手当、どういう予算か知りませんけれども、私は、そういう実情であれば、調停委員が司法委員の仕事を兼務、事実上法律上兼務をすることで、もう司法委員をなくしてもいいんじゃないか、そういう感じを持っておるようなわけであります。 〔太田委員長代理退席、委員長着席〕 さて、時間になってまいりましたが、法務省にちょっと聞きますけれども、司法書士なり土地家屋調査士のところへ参りますと、例の行革の問題で、何業種でしたかな、士職、士資格について行革が議論をしておるというわけであります。先般行政改革の法案が出ましたときに、内閣委員会で行政管理庁に聞きましたら、まだその議論は尽くしておりませんと言っておりましたが、行革がやはりいろんな床屋さんだとか司法書士なんかの調査はしておられるようでありますから、そんなようなことから、一部に、司法書士並びに土地家屋調査士の法律上の資格制度を取って、だれでもやれるようにしたらどうだという意見があるかのごとき風聞があり、それで司法書士会等も大変心配をしておるわけでありますが、法務省として、この司法書士や土地家屋調査士制度について、行革がどう言うかはわかりませんけれども、どういう基本的なお考えをお持ちでございますか。
○千種政府委員 ただいまのお話、実は私ども所管でないために十分聞いておりませんでしたが、司法書士、土地家屋調査士につきましては、民事局が所管でございますため、私、ここではっきりしたことを申し上げる立場にはございませんが、行革との関係につきまして特に変わったことを聞いておりませんので、ただいまの御指摘について、心配することはないと考えております。
○横山委員 あなたは司法法制調査部長なら、何でも知っておるわけではないのかね。怠慢だわ。 では、法務大臣、法務大臣なら何でも知っているんでしょう。
○坂田国務大臣 司法書士及び土地家屋関係の方々のいまの役割りというものは、私は非常に大事な制度であると思うので、これを維持したいと考えております。
○横山委員 さて、二時間近く本法案についていろいろと政府の意見を聞き、私の意見を申し上げました。 整理して申し上げますと、要するに、この法案に関連をいたしまして、私は、政府側が変動予測について誤っているんではないか、もう少し簡裁に仕事がふえるのではないかということを指摘をいたしました。 それから、簡裁に関する両院の附帯決議というものについて一部を取り上げたわけでありますが、附帯決議をどうも十分に政府側が尊重されていない。これは日弁連からも要望書が出ておるわけでありますが、その根幹となります問題の中で特則の問題を提起をいたしました。私は、簡裁手続法というものを考えたらどうかと言うのでありますけれども、少なくとも現在の特則を再検討をして、そして簡裁の独自な、ユニークな存在というものをもう少し浮き彫りにされるべきではないかということを指摘をいたしました。 それから、書記官の今後十年間変動、まあ十年間に約六〇%の人がやめる。そのやめることについて、いまから実現可能なそれに対する対応手段が欠けているのではないかということを指摘をいたしました。 そのほか、細かい点では、廷吏と法廷警備員、あるいは永年勤続表彰、あるいは調停委員と司法委員等々の問題を提起をいたしました。 必ずしも裁判所並びに政府側の御答弁が満足すべきものではないとは思いますけれども、私の指摘が将来もし私の指摘どおりであるとするならば、あるいはまた、あなたが御検討をするとお約束なさったこと等につきまして、ぜひひとつ積極的な努力をお願いをいたしたい。 そう希望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
○羽田野委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 きょうは裁判所法等の一部を改正する法律案に対しての質問でございますので、法案に沿った質問を続けてまいりたいというふうに思います。 最初にお聞きをいたしたいのは、裁判所法というものと裁判所構成法とは、具体的に一体どこが内容的に違うかということですね。
○千種政府委員 不勉強で、細かいことを一々申し上げるには時間がかかりますのですが、基本といたしまして裁判所の機構に関して定めているという点においては共通でございますが、定めている中身は、戦前は大審院以下の区裁判所までの裁判所でございまして、これに対しまして、戦後は最高裁判所を頂点とする裁判所、新たな機構について定めておるという点が違うと思います。
○稲葉委員 私の言うのは、具体的内容について言っているのです。それは一般論ですね。具体的内容で今度の簡易裁判所の管轄というか、そういうふうなものとも関連をしてくる。ことに不動産に関連して出てくるところがあるでしょう。だから、裁判所構成法のときには境界確定の訴えというものの規定があったでしょう。ところが今度なくなったでしょう。それを聞いているのですが、そういうふうに聞いてしまうと興味がなくなると言うと語弊があるのですが、それで聞いているわけですね。それはどういうわけでしょうか。
○千種政府委員 ただいま御指摘の境界確定の訴えという点につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、戦前の区裁判所の性格というものが前提になってそういう特別なものを区裁判所の管轄と定めたのだと思いますけれども、終戦後は特にそういうことを、特定の問題をどこの裁判所というような規定の仕方を変えまして、民事裁判につきましては民事訴訟法に一般に定め、裁判所法においては事物管轄というような形で包括的に定めるようになったと思います。
○稲葉委員 しかし、その境界確定の訴えというのは、裁判所法というか、管轄なりあるいは民訴法の規定にもありませんわね。そういうことからいって、前にはあった、構成法のときにはあった、それがなくなったからということで、境界確定の訴えというものは認められないんだという学説を言っている方が、裁判官の中にもいらっしゃいますわね。たとえば宮崎福二さんなんかはそういう説ですね。だからよくわからないのです。 では、境界確定の訴えというのはどういうようになるのですか。現在でも認められるというのですか。認められないというのですか。一体それは不動産確認の訴訟とどういう関係になるのかということがはっきりしていないのじゃないですか。境界確定の訴えが非訟事件であるか、形成の訴えであるかあるいは確認訴訟であるかというところがこんがらがっているから、結局簡易裁判所の中では、俗な言葉で言えばもてあましてしまっておる、こういう結果が出ておるのではないかと思うのです。 だから、境界確定の訴えというものを、一体あなた方の方では簡易裁判所で取り扱わせるときに非訟事件というふうに見るのか、形成の訴えと見るのか。大体不動産の確認訴訟が多いのでしょうけれども、そこら辺が当事者そのものも混乱しているわけですけれども、どういうふうに理解をしたらいいのかというところを、ひとつ御説明を願いたいというふうに僕は思うわけですね。
○川嵜最高裁判所長官代理者 御指摘のように、境界確定訴訟の性格につきましてはいろいろの学説がございますし、確認訴訟だ、だから境界確定訴訟という固有のそういう訴訟はないのだという考え方もございます。しかし、現在の実務におきましては、実質非訟事件であるけれども、訴訟の形によって決着をつけるのが相当だという考え方から、形式的形成訴訟説というものが通説でもあり、実務の大勢であるというふうに理解しております。最高裁の判例の中にも、取得時効の成否は境界確定の訴えにおける境界確定とは関係がないとか、あるいは境界確定訴訟の控訴審において不利益変更禁止の原則というものはないのだというような判示をしている最高裁判示が出ておりますけれども、これらの判例から見ますと、これは確認訴訟説をとっているのではなくて、形成訴訟説をとっているものというふうに理解できると思うのであります。 こういう点で、実務の場におきまして法的性格が問題だから審理が遅くなっている、あるいは簡裁でもてあましているというような実情はないのではないかと思うのであります。問題は、こういう訴訟における事実認定、古い時代からの事実関係を積み上げていって境界を確定しなければならない、そういう点にむしろ時間がかかるということであろうかと思います。先日、東京高裁で、これは純然たる民事訴訟ではございませんけれども、筑波町と真壁町の境界確定訴訟の判決がございましたが、これは地裁から始まっておるわけでありますけれども、二十五年ぐらいかかっておりますが、こういうふうに境界確定訴訟というのは非常に事実認定がむずかしいという点に問題があるのだろうというふうに理解しております。
○稲葉委員 そうすると、形成訴訟なら、そこで裁判所が和解を勧めるというのはおかしいのじゃないですか。どういうふうに理解したらいいのですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 確かに、境界確定訴訟は五十五年度、簡易裁判所において四百件余り、地方裁判所が三百件余りだったと思いますが、その程度係属しておりまして、これがすべて判決で終わっておるわけではございませんで、和解で終わっているケースがかなりあると思われます。この点につきましては従来から実務で問題になっているところでありますけれども、この境界確定訴訟を和解で終わらせるときには、所有権の及ぶ範囲がどこまでかという私法上の権利の処分という形で和解をしているというのが実情でありまして、それでいいのだという考え方が実務の一般的な考え方だろうと思います。
○稲葉委員 これはなかなかむずかしいですね。むずかしいと言うのは私自身がよくわからないので、いまの取得時効の場合の判例についても、たとえば兼子一さんの言っているいろいろな議論なんかもありますし、その兼子さんの言っていることの理解の仕方がまたいろいろ分かれてくるとか、いろいろなあれが出てくるわけですが、一部に言われているのは、ドイツ民法の九百二十条のような規定があればこの問題は解決するのだから、ドイツ民法の九百二十条のような規定を設ければいいんじゃないかという議論がありますね。これは具体的にはどういうことなんでしょうか、私もよくわからないのですが。
○川嵜最高裁判所長官代理者 ただいまドイツ民法の条文を持ち合わせておりませんので、正確にお答えできませんけれども、形成訴訟という場合には、形成原因というものがあって初めて形成訴訟というものがあるんだという理解が一般だろうと思います。わが国の境界確定訴訟におきましては、形成原因なるものが実体法上定めがありません。でありますので、その法的性格が問題になるということになっておると思います。でありますので、その形成原因というものが考えられるとすれば、その法的性格というものははっきりしてくるわけでありますけれども、これがないためにいろんな説があるというふうに理解しております。
○稲葉委員 これはいますぐでなくていいと思いますけれども、私もよくわからないのですよ。ドイツ民法が九百二十条ですか、それの規定があるから、そういう規定を立法的に日本でも設けたらいいじゃないかという意見を言う人もいるわけですね。たとえば村松さんなんかそういう意見のようですね。だから、どういう点でそういうふうな意見が出てくるのかということを私は聞いているわけですね。それはいまでなくてもいいです。村松さんはなかなか辛らつな人ですから、とにかくあの人の釈明を受けたらみんな立ち往生しちゃっているくらいな人ですが。 そこで、そうなってくるとよくわからないのは、たとえば境界確定の訴えだと、一体訴額はどういうふうになるわけですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 境界確定訴訟におきましては、先ほども申しましたような観点から、原告側がどの線が境界だという申し立てはしなくてもよろしいということになっておるわけであります。それをそういう純然たる形でいきますと、一体どの部分が係争部分かはっきりしないことになりますけれども、実際の訴訟におきましては、原告側はA線である、被告側はB線である、こういう主張がすべて例外なく主張されてまいります。そういたしますと、そのA線とB線との間の係争部分というものの土地の価額、これが訴額ということになりまして、それを基準に手数料を払ってもらう、こういうことになろうかと思います。
○稲葉委員 いま民事局長が言われるのは、それは確認訴訟じゃないですか。そういうふうになってくるので、だからわからないのですよ、率直の話。どっかが不備なんですね。どっかが不備というか、あるいは非訟事件なら非訟事件という形で取り扱うという行き方がいいのか、私もよくわかりません、率直な話。鈴木忠一さんの非訟事件の定義のいろんな論文なんかありますけれども、とにかくむずかしくてよくわからないし、いろんなあれがあります。 そうなってくると、ここで一つわからないのは、今度の事物管轄の問題にも関連をいたしまして、不動産に関する訴訟というのがありますね。ここに書いてありますね。不動産に関する訴訟というのと不動産を目的とする訴訟というのは、具体的にどういうふうに違って、どちらが広いのか。それで、不動産に関する訴訟には入っていなくても、不動産を目的とする訴訟には入っているとかあるいは逆なものとか、そういう点があればひとつ御説明を願いたいと思います。
○千種政府委員 不動産を目的とする訴訟という言葉がどういうときに使われているかということを、実は細かく調べたわけではございませんけれども、たとえば司法統計などの項目の中にはそういう言葉も使われております。また、一般の物の言い方としまして、関する訴訟と言うよりは、目的とする訴訟というような言い方で実は同じようなことを表現している場合もあるかと思います。 そこで、言葉それ自体の違いということを一概に申し上げても意味がないのでございますけれども、今回の改正につきまして不動産に関する訴訟という文言が使われましたその経緯を申し上げますと、若干なりとも御参考になるかと存じます。 これは現在、土地管轄に関する民事訴訟法の第十七条にそういう言葉が使われております。で、これと違う言葉を使うかどうかということが一つ問題になりまして、これは不動産に係るとかあるいは目的とするとか目的とする権利に係るとか、いろいろな言葉が考えられるわけでございますけれども、ここで特に不動産に関する訴訟という文言が使われましたゆえんは、民事訴訟法の中でいろいろな表現が使われることは解釈上いろいろ混乱して実務上好ましくない、できることなら同じ表現をもってなるたけ同じ解釈でいった方がよろしい、そういう意見が強うございまして、その結果、民事訴訟法十七条の同じ文言が使われるようになったわけでございます。 目的とすると言った場合と関すると言った場合との違いを強いて探してみますと、もちろんこれは同じ意味に使えば同じでございますけれども、普通に言った場合の違いがどこかにあるかということで考えてみますと、たとえば不動産を目的とすると申しますと、不動産そのものを何か対象とする請求のように見えますので、登記でございますとか立入禁止の差止めでございますとか、そういったものが果たして入るだろうかという疑義が一層強くなるのではないか。こういうものはぜひ含めていきたい。また、民訴の十七条の管轄の規定でございますけれども、その中にも従来含めて解釈されてきております。そういうことから、目的というふうに言った場合の方が少し狭いのではないかというような感じがいたしまして、関するという用語が使われた次第でございます。
○稲葉委員 そうすると、地代の確定訴訟はこの中に入るのですか。どういうふうになっているわけですか。
○千種政府委員 不動産に関しましては、いろいろな金銭的な請求が発生する場合がございます。御指摘のような地代もございますし、賃料、それから損害賠償ということも起こり得ると思いますが、金銭債権については一応入らないと解釈しております。
○稲葉委員 そうすると、地代の改定なり何なりの請求というのはこれに入らないということになると、元来、改定といってもそこで意思表示の到達によって適正価格に一応なるわけですね。その適正価格をどうするかということは、後でいずれにしても決まるわけですね。そして本来ならば、その差額なり何なりというものを返せという形、給付しろという訴えになるのが筋なんであって、単なる確認訴訟というものは、給付の訴えの中に本来包含されるべきものだ。こうなれば確認訴訟というものは認められないという形なんですか。どういう理解の仕方なんですか。地代の確認は確認でいいのだ、給付は給付でまたやるのだ、こういうふうな理解の仕方でいいわけですか。そこら辺のところはいろいろな学説なんかもあるように思うのですけれども、そこはどういうふうに理解するのですか。
○千種政府委員 ただいまの御質問は、この管轄の新しい規定に関する御質問であるのか、一般的な問題であるのか、ちょっと私も理解いたしませんでしたのですが、一般的に考えますと、確認によって紛争が解決されるのであれば、あえて給付の履行を求めない、確認だけの訴訟もこれは成り立ち得ると思いますし、さらにその履行を求める給付の訴えもまた認められる。両方認められると思います。
○稲葉委員 いまの点は訴訟経済の上からどちらでもいいし、片っ方だけやって、それで任意に履行があればいいということになりますから、どうということないと思いますけれども、そこでやはり簡裁に起きているので、地代の確定の訴訟なんか相当起きるわけですね。この訴訟物の価額はどういうふうになるわけですか。給付ならわかりますよ。
○川嵜最高裁判所長官代理者 たとえば賃料増額請求のような場合に、一カ月一万円増額を求めるというようなケースを想定いたしますと、これは訴額として一定の方式によってだれが計算しても同じだという算式があるわけではございませんので、必ずしも裁判所によって一様でないというような状況にあるのではないかと思いますけれども、基本的な考え方といたしましては、その訴訟が係属するであろう期間、たとえば二十カ月なら二十カ月を想定いたしました場合には、一万円掛ける二十ということで、二十万円というような考え方で計算するということになろうかと思います。
○稲葉委員 それは理論的じゃないですね。全体の中のたとえば百坪なら百坪が現実に問題になったとしても、一坪の一カ月分だけの確認を求めればいいわけでしょう。そういう場合もあり得るわけじゃないですか。ただ、それをほかへそのまま類推するかどうかはわからぬけれども、そうなれば一万円なら一万円の訴額でいいということになるんじゃないですか。普通よく二十倍していますね。その理論的な根拠はどこにあるわけですか。それはよくわからないですね。
○川嵜最高裁判所長官代理者 増額請求訴訟におきましては、確かに御指摘のように、一坪の単価が千円から二千円に上がるというようなことで争いが片づくということにもなろうかと思いますけれども、実務におきましては、当該百坪なら百坪の土地についての地代総額、一万円を二万円に増額するという形で出てまいりますので、先ほど申し上げたようなことで訴額を算定することになろうかということでございます。
○稲葉委員 私の聞いているのは、三十万が今度九十万になるというのでしょう。そうすると、二十カ月という意味がちょっとよくわからないのですよ。わかりませんけれども、これはいいでしょう。ここで争うというか、あれすることでもないと思いますので、いいと思うのです。 そこで、簡裁で一番困っているのは、いま言った境界訴訟と地代の確定の訴訟なんかが非常に困るわけですね。現実に困っているのですが、これは法廷外で鑑定した方が地主側としては高い鑑定が出るわけでしょう、大体結論的には。裁判所の中で鑑定人を申請して宣誓して鑑定させると、わりあい法廷外の鑑定よりも低い鑑定の地代が出てくるので、地主側はそれを好まないために法廷外で鑑定して、その鑑定書を証拠として差し出すという形がこのごろふえているように思うのですね。必ずしもそうばかりとは言えませんが、そういう行き方をとる人もあるということですね。 そこで、じゃ簡裁に対して、あなた方と言っては語弊があるけれども、最高裁としては、裁判の独立だから指導するわけにはいかないのでしょうけれども、協議会とか会同とか講習とか、いろいろな形の中で地代の確定については一体どういうようにやれと教えているわけですか。ここがまたよくわからないのですよ。教えていると言うと言葉が悪いな、協議しているというか。だから、その鑑定の一割引きか二割引きにしろというふうに教えているのですか。普通は大体一割引きだ。鑑定が出てくると一割引きにしておっつけちゃうわけですよ。和解を勧めるのは大体一割か二割引きでしょう。それから判決にしても、内容を批判するのはいけませんけれども、そういう意味じゃなくて、余り詳しく説明していないですね。それで大体鑑定の一割引きぐらいの判決をしているわけですね。 ここに非常に詳しい判決があるのですよ。これはもうあるいは御案内かと思いますが、東京高裁の四部ですね。昭和四十九年十月二十九日に判決した。これは古川判事が、あの人が電卓か何かはじいて出した計算方法ですね。この判例が出たために私どもはこれをよりどころにするのですが、この裁判長はいまやめていますが、裁判長に会っていろいろ聞いたら、この判決が出たために非常に恨まれているというのですね。こんな詳しい判決を出されて裁判所は非常に迷惑している、こういう判決をしてくれと言われるので裁判所は弱っておるなんという話もしておったんですが、これなんか見てみると非常に詳しくいろんな方法をあれしていますよ。 四種類あるわけでしょう。積算式の評価法があり、賃料事例比較法があり、収益分析法、それからスライド式評価法の四種がある、こう言っていますね。借地法十二条の場合は、物価や税金やそれから比隣の価格なんかを挙げているわけですけれども、こういう四つの分け方があると言っていて、そしてそれがただばらばらではなくて、いろいろ入りまじってくるんだとは思うのですけれども、この点についてみんなは非常に不満を持つわけですね。これだけ詳しい、非常にいい判決です。自分でも細かい数字をはじいて、四つの事例に即して地代を算出している判決ですよ。古川さんがやった。 ところが、いまは簡裁では、そう言っちゃ悪いけれども、いま言ったようなやり方をしていますからね。だから、ここら辺のところは、裁判独立ではあるけれども、地代の算定の場合、最高裁、ことに民事局としてはどういうふうに協議なり何なり会同でされておるのか、こういう点をお聞かせ願いたい、こう思うのです。
○川嵜最高裁判所長官代理者 地代増額請求訴訟におきましては、確かに当事者側が裁判外で鑑定を依頼して、その結果を書証として出す場合もございますし、裁判の手続の中で裁判所の鑑定を求めるという場合もございます。争いが深刻になってまいりますと、原告側申請の鑑定が出、被告側申請の鑑定が出るというケースもそう珍しくはないところであります。そういう場合に、先ほどおっしゃいましたいろんな地代の算定方式があるわけでありますけれども、どの方式が絶対的に正しいとかということではないようでありまして、鑑定人によってどの算式をとるか、必ずしも一様ではないというような状況が出てまいります。そうした場合に裁判所は一体どの鑑定をとるのかということになるわけでありますが、これはいろいろ考え方がありまして、裁判官の中にも、どの算定がより合理的だというようなことで、ばらつきがあるのが実情であろうと思います。 そういう実情のもとにおきまして、簡裁の裁判官は増額請求訴訟の処理について一体どのような勉強をしているかということでございますけれども、簡裁において増額請求事件がそれほど多くもないというようなこともありまして、特にとりたててその問題だけを研究するというような機会はないと思いますけれども、簡裁判事につきましては、会同、協議会あるいは研修といったようないろいろな機会がございます。そういうところで手持ちのむずかしい問題なんかを出し合って研究しておるのが実情でございますので、そういう中でこういう問題も取り上げられているというのが実情だと思います。
○稲葉委員 私は裁判の独立を尊重しますから、各人の裁判官が自分の考え方に従ってやるのは当然のことであって、それを立法府があれこれ干渉すべき筋合いでないということはわかっておりますから、その限界をわきまえながら聞いておるわけなんです。 だけれども、率直な話、鑑定というのは一つの参考のはずですね。それを実際には、鑑定を持ってきて割り引きしてというのが大体多いんですよ。鑑定どおりだとまた当事者が満足しないというので、鑑定よりふやすわけにいかぬけれども、鑑定どおりだとおかしいというので、大体一割引きだな。 刑事事件の場合は、たとえば一年六カ月求刑して一年にすれば、被告人にとっては、検事はあれだけれども、裁判官というのは非常に温情あふれる人であって、そして自分の立場をよく認めてくれたというので、矯正的な非常な効果があるのです。割引判事というのですか、これはちょっと言葉が悪いな。 だから、もっとそういう点について、余り鑑定に頼らないで、こういう四つの方法があるのだから、こういう方法によればこうなんだ、こういう方法によればこうなんだという形ぐらいのことをよくできるようにというふうに、あなた方の方でも会同などでぜひお願いしたいというふうに思いますが、これは裁判独立ですから、これ以上のことは私も申し上げるのは失礼と思いますので、申し上げないことにいたします。 そこで、別のことになるのですが、いま言った簡裁で一番困っているのは、私はやはり境界確定訴訟、それからいまのこの地代の確定が普通訴訟の場合には主だと思うのですが、刑事事件は減っていますからね。窃盗と贓物罪と横領だけでしょう。業務上横領は入らないし、ほとんど減っていますしね。そこでふえているのが、私もこれはよくわからないのですが、ある裁判所へ行ったら、簡裁の事件が非常にふえておる。何がふえておるのか、私は訴訟はちっともふえてないじゃないかと言ったら、刑事はふえてないし——刑事は全体に減っていますから、民事もそんなにふえているわけじゃないじゃないかと言ったら、支払い命令が、督促事件ですね、非常にふえておるわけですね。これはどういうわけかということをあるところで言ったらば、三、四年前までと比べると三倍以上にふえておる、こう言うんですね。そこで一生懸命電卓をはじいて何か計算をしておるから、何を計算しているんだと僕は聞いたわけです。そしたら、支払い命令を出すのに、計算が間違っているか間違っていないか、利息の計算や何かを計算しているんだと言うのですね。 そこで、私の持っている疑問というのがいろいろ出てくるわけですが、一つは、たとえば調べた中で、私も宇都宮とそれから浦和、これは本庁所在地のあれですが、独立簡裁としての東京の渋谷の督促事件の数を調べていただいたわけですが、そういうふうな中で立てかえ金というのが非常にふえておるわけですね。ことに渋谷の簡裁なんかは非常にふえておりますね。五十四年度から比べると、約倍になっておるというんですね。その他というのがありますが、ちょっとよくわかりませんが、私はサラ金関係がもっともっとふえておるかと思ったんです。そしたら、サラ金関係は裁判を起こしたら損ですから、例の最高裁の判例が二つありますから、あれでやられたらサラ金業者はマイナスになりますから、これは訴えを起こさないですね。訴えを起こしたら損だからというので、別な形で取る。これはまた問題がありますが、立てかえ金というのがふえておる。これは一体どういうものなのか、ここら辺のところを、またなぜこういうふうにふえてきておるのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
○川嵜最高裁判所長官代理者 支払い命令事件につきましては、ただいま御指摘の渋谷、浦和、宇都宮の三庁につきまして内訳、立てかえ金がどれくらいあるかを特に調べたわけでありまして、司法統計上これが出てまいりませんものですから、全国的な傾向がわかりかねるのであります。ただ、この三つの簡裁の結果を見ましても、特に宇都宮簡裁におきましては、支払い命令事件の六割近くが立てかえ金だというような状況になっております。これは実は訴訟の方では大体の傾向がわかるので、訴訟の方で申し上げてみたいと思います。 私どもの司法統計の中で新受事件をいろいろな訴訟の形態によって分けて集計しておりますけれども、その中に、金銭を目的とする訴えのその他という欄がございます。この金銭を目的とする訴えのその他というのは、実は実態的に中身を調べてみますと、立てかえ金がほとんどなのであります。これは原告がクレジット会社であるということになるわけであります。このその他事件というものが、四十六年から五十五年までの間に実数にいたしまして、これは簡裁の全国総数でありますが一万三千二百三十件から三万五千四百二十八件というふうに伸びを示しております。この伸び率は二・六八倍くらいに当たります。このいまの三万五千四百二十八件というのは昭和五十五年の数字でございますが、昭和五十五年における通常訴訟事件の中の四六・九%を占める、半分近くがいわば立てかえ金訴訟である、こういう実態になっております。したがいまして、恐らくは支払い命令事件の中におきましてもこのような傾向があらわれてきて、先ほどの三つの簡裁のような数字が出ているのだろうというふうに推測できるわけでございます。
○稲葉委員 私の言うのは、貸し金はわかります。貸し金は、貸したやつを返せというのだからわかります。売掛金もわかるのですが、立てかえ金というのは、どういう意味で立てかえ金ということになるのですか。その経過、プロセスがよくわからないのですよ。
○川嵜最高裁判所長官代理者 いろいろな態様があろうかと思いますけれども、きわめて一般的に申し上げますならば、一般消費者が店頭で商品を買う、そのときにその商品代金をクレジット会社が立てかえて払う、そして消費者はその立てかえてもらった代金をクレジット会社に月賦なり何なりの形で支払っていく、こういう形だろうと思います。
○稲葉委員 そうすると、これは千種さんでもいいし、川嵜さんでもいいんですけれども、このクレジット会社というのはどういうところなんです。代表的なのはどういうのがあります。庶民生活にどこまで理解があるかということをお聞きしているわけなんで……。
○川嵜最高裁判所長官代理者 東京の場合、件数としてかなり多い会社は、オリエントファイナンスとかライフというものが多いように思っております。
○稲葉委員 オリエントファイナンスとセントラルファイナンスが多いですね。ライフもありますけれども、大体二つが圧倒的に多い。あと二つ、全部で四つが代表的ですね。それは僕の方が詳しいですね。 それで、私がわからないのは、裁判所の事務官が一生懸命電卓をはじいて計算しているんですよ。支払い命令の申し立てがあったときに、一体内容の審査権というものが裁判所にあるのですか、ないのですか。そこですよ、問題は。そこがよくわからない。聞いてみると、利息を支払ったというふうに支払い命令の申し立て書に書いてあるので、あれを引いて計算し直すということになるのじゃないですか。そういう内容の審査権が一体裁判所にあるんですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、裁判所の窓口に申し立て関係の書類が提出されました場合に、職員がこれを形式的な面から点検する体制をとっているわけでございます。具体的には、書類を読みまして、あて名ですとか作成年月日、あるいは作成名義人の表示ですとか押印なり何なりがあるかどうか、印紙がきちんと張ってあるかといったようなことを点検するわけでございます。督促事件に限らず、一般的に申しますならば、誤りのある申請書類がそのまま受け付けられますと、その誤りの程度に応じて、申し立てが却下されたりあるいは補正命令が発せられるということになろうかと思います。 そこで、一たん受け付けた後にこうした事態が生ずることがないよう窓口において、誤りを窓口の段階で補正しておくことの方が当事者にとっても有利でございますし、裁判所にとりましても事務が能率的に処理されるということからこのような取り扱いをしているわけで、補正を窓口の係官が権限を持って命ずるというものではなくて、誤りを指摘して自発的に直してもらうということでございます。
○稲葉委員 いまおっしゃっているのは形式的審査権の問題でしょう。登記の場合の審査権とかなんとかという意味ではなくて、形式的な不備なり誤りがあるということはわかっているのです。そうじゃなくて、たとえば金利で払っているという形で、そして支払い命令の金額が出てくる、そういう申し立て書があるというと、裁判所としては金利の関係、それから計算関係が妥当であるか妥当でないか、誤りがあるかどうかまで調べるのですか。そこまでの権限が裁判所にあるのですか。実際問題としてどういうふうになっていますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 支払い命令の申し立て書におきまして表示されました債権の中に利息制限法を超える債権が含まれているという場合には、その部分はそのままでありますと支払い命令自体において一部却下、一部認容ということになるはずであります。それがわからない場合にはそこまではできませんけれども、申し立て書の理由の記載から明らかに利息制限法違反の債権を求めている、それが含まれているということがわかる場合には除外するということにならざるを得ないわけであります。これは究極的には裁判官の権限でありますけれども、その受け付けの段階でそれがはっきりしておれば、その点を指摘して、利息制限法の枠内におさめるという指導をするということも、これはあり得ることだろうというふうに思うわけでございます。
○稲葉委員 利息制限法を超えている金利の支払いがそこに書いてあったというふうな場合に、じゃ利息制限法の中に直せ、直さない場合には却下するという法律上の根拠はどこにありますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 民訴の四百三十三条に「支払命令ノ申立カ第四百三十条若ハ管轄ニ関スル規定ニ違背スルトキ又ハ申立ノ趣旨ニ依リ請求ノ理由ナキコト明ナルトキハ其ノ申立ハ之ヲ却下スルコトヲ要ス」という規定がございますが、私が申し上げたのはこれに該当するという考えでございます。
○稲葉委員 じゃ、支払い命令じゃなくて、訴えを起こした場合でも全部そういうふうにやっているのですか。そんなことはないのじゃないですか。訴状はそのままで内容を審査しないで、当事者の表示があれだとか住所があれだとかいうようなことは別として、訴状の場合には、仮に中に金利の支払いということが入っておっても、そのまま相手に送っているのじゃないですか。督促事件だけ別扱いするというのはおかしいのじゃないですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 確かに、訴えの場合にそこまでやらないということは御指摘のとおりだと考えております。支払い命令におきましては、主文で申し立てどおり認容するというのが普通の扱いでありますし、百件中九十九件までは認容した命令が出されるということでありますので、いま申しましたような扱いが慣行的に行われているというふうに理解しておるわけであります。
○稲葉委員 そうすると、立てかえ金の場合の金利というのは、普通最高どのくらいになっているのですか。それを超えたときには、いまあなたが言われたように、補正をしたり何かして直すというのでしょう。クレジットの場合の金利はどのくらいになっていますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 クレジット会社が採用しております金利計算というのは、一様ではないと思います。しかも、単純なる普通の貸し金の場合の年六分とか七分とかいうような形ではありませんで、アドオン方式というのをとっているのが普通でありますので、ちょっとその利率がどれぐらいかということは、必ずしも十分わかっておらないのでありますけれども、一〇から二〇ぐらいのパーセンテージになるだろうというふうに思っております。
○稲葉委員 大体上限が二五・九%じゃないですか。ここら辺のところは、よく簡裁へ行って実際の事務のことを内容についてお調べ願いたいと思うのです。 そこで、私の質問はこういうことです。たとえば事件簿がありますね。最高裁から民事の事件簿を簡裁や各裁判所に送りますね。わかりますね、民事の事件簿。受付簿というのかな。あれはどういう基準でやって送っているのですか。——こういうことですよ。それは多くの簡裁では、最高裁から送られた事件簿では間に合わないのですよ。足りなくて、自分のところでリコピーして事件簿をつくっているんですよ。いいですか。最高裁から送られたのはわりあいに厚い紙だけれども、そうでなく薄いので、自分のところでリコピーしてつくっているんですよ。そのくらいこれはふえているんです。実態を一遍よく調べてくださいよ、これは。僕は見てきたのですけれども、紙の質が違う。最高裁から送ったのはいい。向こうでつくったのは薄いのです。 そこで私の一つの疑問は、いま言ったのは電卓でみんなはじいて計算しているのです。これは事務官がやるのでしょう。書記官がやるのじゃないでしょう。事務官がやっているようですが、それはもちろん決まり文句で字を書き入れるのでしょうけれども、それがこれだけふえていて、それに伴って一体どれだけの負担がふえるのだろうかということなんです。立てかえ金やクレジットの検査がどんどんこれだけふえている。しかも、いま言ったような形で金利の支払いなどについて、それを直したり計算したり何かして支払い命令を出しているということになれば、裁判官がやっているわけじゃないでしょう、だから実際の事務を扱っている人たちの負担というのはどういうふうにふえているのだろうか。それに伴って事務官なり人員の増というのはどういうふうに最高裁としては考えているのだろうか、こういうことです。
○梅田最高裁判所長官代理者 ただいまの窓口におきます点検等の事務は、その中身、内容からいたしまして、相当程度の経験を積んだ職員が担当することが望ましいわけでございまして、各裁判所は相当のベテランの書記官を配置して受け付け事務を担当させているのが通常でございます。 受け付けに伴いまして生じます事務といたしましては、そのほかにも先ほど申しましたような受付印の押印ですとか事件関係の帳簿への記入ですとか、形式的な事務もございますけれども、実質的な点検事務というものの量も決して少なくないものがあると思います。しかし、それ自体一体どのくらいに事務量を評価するかということになりますと大変むずかしいところでありまして、やはり受け付けます事件数と現実にそれにタッチします職員の数等によっておのずから評価されることになるというふうに思います。 たとえば宇都宮の簡易裁判所程度の規模の庁を例にとってみますと、昭和五十五年の全民事の新受事件数が三千八百二十五件ございまして、職員一、二名で一日平均十数件の申し立てを受けているのが実情のようでございます。この程度でございますならば、一般的に言いますと、さほど負担が多いとまでは言えないように思われますし、事件は時として集中して出てまいることがございますが、そのようなときにはやはり各庁それぞれ臨機の態勢をおとりになっていることと思います。 私ども、各庁に対します人員の配分は、新受事件の数等を中心にして、全国的に見てばらつきのないように、毎年事件の動向等を眺めながら全国的に配置のひずみがないように心がけてまいっておるつもりではございます。
○稲葉委員 いまおっしゃった中で、たとえばクレジットの関係の立てかえ金の支払い命令を、何か熟練の書記官がやっておられるようなお話をしていられたけれども、実際はそうじゃないんじゃないですか。若い事務官、まだ書記官までいってない人が電卓をはじいて計算してやっているんじゃないですか。普通の場合に、書記官は簡裁にはそうたくさんいないはずですよ。それは、最後のところは書記官に行くかもわからぬけれども、そこへ行く段階は全部事務官の人がやっておるのではないですか。普通はそうですよ。
○梅田最高裁判所長官代理者 通常は、受け付けの事務は大変重要な事務でございますから、多くは書記官がやっていると思います。事務官に補助させている庁もあるように思います。
○稲葉委員 受け付は書記官がやるのですよね。それは、老練な書記官がいるのはそのとおりですが、それを受け付けた後の整理というか、いま言ったような支払い命令を発するまでのいろいろな計算のし直しや何かは事務官がやっているのが多いと思いますよ。それはよく実態を調べていただきたい、こう思います。 だから、いま言ったような電卓をはじいて計算し直したりなんかしているものだから、大変なんですね。そういうようなことから見て、じゃ人員はどうなっているかといったときに、これは宇都宮や浦和ではわからないわけですよ。なぜわからないかというと、みんな兼務になっていますからね。そうでしょう。本庁所在地のところの簡裁は兼務になっているから、じゃ具体的に簡裁に何人の事務官がおり、書記官が現実におるかということは、全国的に見てあなたの方でもわからないというのでしょう。どうなんですか。わかっているのですか、わからないのですか。そこがどうもはっきりしないですね。どうなっているのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 地方裁判所、簡易裁判所それぞれに何人ぐらいの職員がいるかということ、たとえば辞令面での本務ということに着眼してみました場合には全然わからないわけのものではございませんが、独立簡易裁判所の場合はともかく、地方裁判所の本庁でございますとか支部でございますとか、稲葉委員御承知のように、特に乙号支部、甲号支部の小さいところあたりになりますと一緒になって仕事をしておるというような面、現実にはそういう面がございますので、地方裁判所本務で簡易裁判所兼務、簡易裁判所本務で地方裁判所兼務というふうな職員がおりまして、それぞれそのときそのときの仕事の繁閑に応じまして応援のし合いをしておるというふうなことがございますので、そういう意味では、実際に何人が簡易裁判所、何人が地方裁判所という、つまり事務の実態から見まして何人がやっておるかというふうな御質問といたしますと、なかなかその把握がむずかしいという状況にあるわけでございます。
○稲葉委員 把握がむずかしいといっても、甲号支部にしろ乙号支部にしろ、これは机から何から全部別になっていますよ。簡裁は簡裁のテーブルといいますか、そういうことになっておりますし、支部は支部の方のあれになっていますから、そうわからないわけはないのです。わかろうと思えばわかると思うのです。 では、この例で言えば、たとえば渋谷の場合は独立簡裁ですね。これはあたりまえの話です、東京ですからね。そうすると、立てかえ金は五十四年度が七百九十一、五十五年が九百六十一、五十六年が千五百四ですか、そういうふうにふえておりますね。そういうふうなことになってくると、一体渋谷の簡裁の人員というものは、五十四、五十五、五十六年と、この間に書記官は何名あるいは事務官は何名、行(二)の人もいるわけですか、そういう人たちがどういうふうにふえていることになっておりますか。わかっていればでいいです。
○梅田最高裁判所長官代理者 渋谷簡裁でございますが、昭和五十年以降、一般職につきましては変化はございません。
○稲葉委員 だけど、これを見ると、立てかえ金なんか約、倍とは言いませんけれども、倍近くふえているわけですから、当然職員もふやしていいはずじゃないのですか。どこか、書記官が何名いて事務官が何名いて、内容はわかりますか。そこまで詳しい調べは、わからなければ後でいいですけれども。
○梅田最高裁判所長官代理者 渋谷簡裁の一般職の職員のうち書記官は、あるいは事件数の変動に応じて——昭和五十年以降見てみますと、昭和五十年十五名、五十一年十五名、五十二年十六、五十三年十七、五十四年以降十五となっております。 一方、事件数でございますが、民事訴訟事件は、五十年以降多少増加してまいりましたけれども、五十五年には減ってまいっております。督促事件は、昭和五十年と五十五年とを比較いたしますと、三百件程度ふえております。和解あたりを見ますと、即決和解でございますが、これはほとんど変動がございません。調停が多少伸びております。他面、刑事事件について見ますと、減ってまいっております。
○稲葉委員 いまおっしゃった中で即決和解が出ました。即決和解はほとんどこのごろは減っているのじゃないですか。もとは即決和解は、両方が行ってそこで和解する。非常に弊害がありましたね、説明しませんけれども。いまはちゃんと送達をして出てくることになっておるわけですから、これはほとんど減っていると思うのです。 しかし、この督促事件を調べると、五十四年度が全部で二千三百二十三ですか、五十五年度は二千六百九十七、五十六年度が三千四百三十五とふえているわけですから、いまあなたのおっしゃった督促事件が三百件ぐらいしかふえていないというのはちょっとよくわからないのですが、どういう数字ですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 督促事件につきましては、全国的に見てみますと、四十六年を基準といたしまして、五十五年は一六二・五ということでございます。六二・五%増というのが全国平均であります。ところが、渋谷について見ますと、督促事件は、四十六年を一〇〇といたしますと、五十五年は一六〇・二でありまして、ほぼ全国平均並みということになっております。 いずれも四十六年を一〇〇といたしまして、訴訟は九一・一で減っております。過料事件も五五・四で大分減っております。即決和解も八四・五で減っております。調停は一〇一・四で横ばい、こういうような状況が渋谷の事件でございます。
○稲葉委員 だから私の言うのは、督促事件がこういうふうに六割以上ふえていて、そのウエートというものが訴訟の場合と比べてどの程度のウエートに換算できるのか、こういうことをもう少し科学的にと言うと語弊があるかもわからぬけれども、ある程度のことはわかってもらわないと困るのではないか、こう言っているんですよ。ということは、たとえば法務局の場合は、甲号と乙号の場合の換算なんかはある程度の数字が出てきているわけですね。その数字が妥当かどうかはちょっと問題がありますけれども、大体七対一ぐらいに見ているのかな。いろいろ謄本の交付の場合とそうでない場合とのあれなんかで区別していますから。それから見ても、督促事件の割合というものがこれだけふえているのに伴って、特に事務官の増というものを当然考えていかなければいけないではないかというのが私の考え方なんですね。 あなた方に言わせると、本庁、支部や何か、あとは率直に言うとわからないんですよ。あなた方の方ではよく実態をつかんでないと言うから、わからぬから、じゃ独立簡裁はどうなのかと言えば、独立簡裁はいま言ったような形でふえておる、こういうことになれば、当然それに伴う人員の配置というようなことについては考える必要があるのではないか、こう言っているわけですね、私の言うのは。ただ現実問題として、これは余り言いたくないことだけれども、簡裁へ行くのを余り喜ばないというか、嫌がるという風潮が現実になきにしもあらずですね。そういう点があるからなかなかむずかしいとは思うのですけれども、その点についても十分考えていただきたいということが私の言いたいところなんです。 ただ、私の聞いたのでは、たとえば数字が違うんだな。私の聞いたのでは、宇都宮の簡裁なんかは督促事件が三倍以上にふえていると言うんですよ。三倍というのはいつを基準として三倍になったのか、ちょっとこれは私もあれしなかったのですが、実際にやっている人はそういうようなことを言うのです。そうなれば当然人員というものもある程度ふえていなければいけないわけなんですけれども、その点がどうもあなた方の統計から出てくるものと違うように思われるんですね。 それで私は、ちょっとくどいようですけれども、簡裁の、ことに事務官が実際やっているのではないですか。その人員増ということについて適切に考えなければいけないではないかということを言っているわけなんですね。この点はどうでしょうか、お考えは。
○梅田最高裁判所長官代理者 人員の配置につきましては、新受事件を中心といたしまして、全国的に事件の伸びの大きいところにはそれなりの人員を配置するようにこれまでもやってまいりましたし、今後もその点は十分注意してやってまいりたいと思います。 ただ、先ほど委員も仰せのとおり、人員の異動をいたしますとなりますと、なかなか場合によっては動きにくいといったような事情もございまして、全国的に見ました場合に一点の狂いもなく厳正に配置されているかと言われますと、いろいろな事情でそうもまいらない面もありますけれども、可能な限りは適正な配置に努めてまいりたいと思っております。
○稲葉委員 今度のこの法案が通って事物管轄が変わったということを前提として考えたときに、これもまたよくわからないのは、簡裁の事務量が減ってしまうという見方と、いやそんなことはない、簡裁の事務量は減らない、ふえるという見方と両方あるわけですけれども、それは立っているところが違うのですね。簡裁の事務量が減らない、ふえるというのは、いま言ったように督促事件や何かはどんどんふえていくだろう、しかし、これは今度の事物管轄の法案には関係ないわけです。督促事件ですから、これは相手方の所在地ということで簡裁になりますから関係ありませんけれども。 この事物管轄がふえてきていることによっても、さっき話を聞きますと、不動産に関する訴訟というのが八〇%が地裁に行き、二〇%が簡裁に行く、これはやってみなければ率直な話はよくわかりませんけれども、確かにそういう面はあるかとは思います。それは、高等裁判所が非常に近い場合のところならば、わりあいに地裁へ行ってすぐ高裁ということもあるかもわからぬけれども、非常に遠いところの場合だとなかなかそれは、やはり簡裁から地裁へ行って、地裁で控訴で解決をしたい、こういうふうなのもふえてくるということも考えられるので、なかなかむずかしいし、一概に言えないのではないかと私はちょっと考えるのです。あなた方の方では、この事物管轄の問題が通ったときに、そしてことに不動産に関する訴訟が通ったときに、八割が地裁に行き、二割が簡裁に残るだろうということの説明がさっきあったので、私も聞いておりましたから、同じことを聞いてもあれですから聞きませんけれども、やってみないとわからぬと思うのですね、実際問題として。 たとえば借地非訟事件というのがありますね。なぜ借地非訟事件を地裁で扱うのですか。どうして簡裁で扱わないのですか。あの法律ができたときには、うんとふえるような話があったのじゃないですか。うんとふえるような話があったところが、あれがちっともふえないですね。まず借地非訟事件はどうして簡裁で扱わないのかということが一つと、もっともっとふえると思ったのがなぜふえないのか、そこら辺のところをどういうふうに理解されていますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 立法の詳しい経過を私、承知しておりませんので、的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、借地非訟事件につきましては必ず鑑定委員会を構成し、鑑定委員会の意見を聞いて裁判をするということになっておりますが、この鑑定委員会というものを構成するためには、弁護士——鑑定委員という人たちを集めなければだめだ、各簡易裁判所でその構成をつくろうということはかなりむずかしいことだろうと思います。ということでありますので、原則として地方裁判所、合意があれば簡裁でもよろしいというようなたてまえになったのではなかろうかと一応推測しておるわけであります。 事件が予測よりも少なかったのはなぜかということになりますと、これも推測のほかはないわけでありますけれども、ああいう制度ができて一つの相場というものが借地非訟の裁判で形成されてきて、たとえば名義書きかえのときには裁判所へ行くとどれくらいかということが裁判によって積み重ねられて一つの指標というものがつくられてきて、それに従って不動産取引界が動いている、動くことによって事件になるまでもなく解決されるということもあろうかと思います。 いま一つ考えられますのは、国民性といいますか、とことんまで行ったらしようがない、裁判所へ行くけれども、事前の予防法学の段階において裁判所まで出てくるということはどうか、ややちゅうちょを感ずるというようなところがあるのではないか、私は、個人的な見方でありますけれども、そういうようなことも相まって予測よりも少ないのではないかと見ております。
○稲葉委員 本来、借地非訟事件でやるべきものが簡裁の調停事件で扱われているというのは、どの程度あるというふうに理解をされていますか。なかなか細かい数字はむずかしいけれども、なぜだというふうに理解されていますか、それはなぜだろうかと。 それは、借地非訟事件の申し立ての手続が物すごくむずかしいのです。大変なんですよ、手続が、書類をつくるのが。これはえらい書類をつくらなければならぬのです。設計図から図面からいろいろな見積書から、全部つけなければならぬというのは、とてもとても普通ではやれるものじゃないです。非訟事件の手続が余りに複雑過ぎるものだから、それでとにかく一応調停でやってみようということで、調停がまとまればいいわけですからね、それで調停でやってみようというのが相当多いわけでしょう。 だから、そういう関係もあって、借地非訟事件というのは予想に反して非常に少ないということになっているのだ、こういうふうに理解した方がいいのじゃないでしょうか。だから、本来ならば借地非訟事件でやるべき、たとえば増改築の承諾の申し立てとかいろいろありますね、そういうようなものについても調停で出ているのがほとんど多いわけでしょう。本来ならば借地非訟事件でやらなければならないということになってきているわけじゃないですか。 そこで、またよくわからないのは、たとえば借地非訟事件ができた、すると増改築禁止の特約がある、これは例文だ、市販されたものだ、こういうものであるときに、最高裁の判例では増改築禁止の特約というのは例文なんだ、こういうふうになってきているものであっても、借地非訟事件の手続法ができてからは、まずもって借地非訟事件の手続を経てからそこで承諾を得るのだというふうな理解の仕方なんですか。それをやらない場合には、その増改築禁止の特約に違反しているという理解の仕方をしているわけですか。そういう点は徹底していないのじゃないですか。それはどういうふうになっているのですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 まあ法律の解釈の問題になろうかとも思いますので、詳しくは申し上げませんけれども、あの制度ができる前は確かに増改築禁止の特約をその例文といった形で無効にして、借地人保護の方向へ行こうということになっていたと思いますけれども、新しく増改築禁止の特約があった場合には借地非訟の例の上に乗せられるのだということになりました関係から、その増改築禁止の特約の効力というものが、その制度ができる前と後とで、その見方といいますか評価というものがやや変わってきているということはまあ間違いないところだろう、この程度で御勘弁をいただきたいと思います。
○稲葉委員 いまの現実の裁判の中のいろいろな問題に影響しますから、これ以上は聞きませんけれども、しかし、そういうふうなことはその借地非訟事件のときの立法のときにはそこまでの説明は、質問しなかったのが悪かったかもしらぬけれども、説明はなかったようなんです。それも一つの混乱になっておるもとですけれども、まあ法律解釈の問題で、ほかにいろいろな現実の事件なんかに影響を及ぼすということは避けたいと思いますから、これ以上聞かないわけです。 私がもっとお聞きしたいということは、たとえば、もうさっきも話に出ておりました廷吏というのですか、あるいは廷吏と言わないで裁判所事務官ですね、官としては裁判所事務官ですか、それが書記官研修所に入るまでの過程、これは大学の法学部を出た人は一年間ですか、そうでない人は二年間、書記官研修所に入るわけですが、そのもう一つ前の段階で、いろいろな希望者がいるのを、書記官研修所へ入れるか入れないかというのは、だれがどこで審査して決めているわけですか。どうも所長のところや何かへ願書を出して、所長のところで決めているようなこともあるのですが、どうやって実際やっているのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 書記官研修所の養成部は、御承知のように大学法学部を出た者については一部で一年、それからそれ以外の者については二部ということで二年の修習年限ということでございますが、その入所に当たりましては、いま仰せになりましたようなことではございませんで、入所試験というものをやっておりますので、その入所試験の願書を出しまして試験を受けて、試験に合格した者が入所するというのが原則でございます。 もっとも、若干の推薦というのがございますが、その推薦人員は、二部の方で若干名の推薦というのがございますが、その推薦するかどうかということは、それぞれの裁判所で決めて書記官研修所の方へ推薦してくるということはございますが、原則的にはあれは競争試験によって入所する、そういう制度になっておるわけでございます。
○稲葉委員 いきなり本人たちが書記官研修所へ願書を出すのですか。そうじゃなくて、所長のところで願書を出すか出さないかを選考するのじゃないのですか、一部も二部も。そこがどうもよくわかりませんね。
○大西最高裁判所長官代理者 願書自体は直送するということではございませんで、所属の裁判所へ出して、それを取り次いでということになるわけでございますが、その取り次ぐ段階で、受けさせるとか受けさせないとかということを決めるわけではございませんで、いわば経由して出すということになるわけでございます。
○稲葉委員 私は何か所内試験があるようなことを聞いたのですが、所内で試験をやって、そして選ぶのだということ、それは二部の場合の話ですか。
○大西最高裁判所長官代理者 そういうことは全然ございません。
○稲葉委員 では、私の聞き違いですかな。どうもそういうような話を廷吏さんは言っておりましたが、では、所内試験じゃないのかな。 そうすると、いまの二部の方の推薦ですか、二部の方の推薦の場合は所内試験をやるということなんですか、試験かどうかは別として。
○大西最高裁判所長官代理者 二部にあります推薦人員は非常にわずかでございまして、その推薦につきましては、先ほど申し上げましたように、大体かなりの年配の方が多いわけで、いままでの経歴に徴しまして試験を受ける機会がなかったというような方を救済するといいますか、そういう趣旨での推薦があるわけでございますが、その推薦するに当たっては、それぞれの裁判所で推薦してほしいという希望者が何人もおる中でこの人を推薦しよう、そういうことはあるだろうと思いますが、一般的には、推薦以外の者については、何度も申し上げますけれども、願書をそれぞれの裁判所を経由して出し、入所試験を受けて合格者が入る、そういうシステムになっておるわけでございます。
○稲葉委員 その書記官とそれから事務官との待遇が、私は非常に違うように思うのですね。それはあなた方から言わせれば無理もないということかもわかりませんけれども、非常に違う。ほかに影響があって削られたりなんかしても困りますから、余り詳しくは言いませんけれども、片方は調整手当がつくわけですね。片方はつかないわけでしょう。だから、そこに非常に差がある。そして主任がいる、あるいは次席がいる、上席がいるというような形がいろいろありますわね。それらの人々の中で事務官というものとの差が余りにあり過ぎるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、事務官とそれから書記官との差がどうしてそんなにあるのかということが第一ですね。 それからもう一つは、いわゆる裁判所の事務官の内容というものはどういうのがあるのかということ、それは一般の国家公務員と比しては待遇はどうなんですか。
○大西最高裁判所長官代理者 書記官と事務官との待遇の差につきましては、ただいま稲葉委員御指摘のような書記官には特別の手当がついておるということがございますけれども、それ以外の点におきまして書記官のみを優遇して、事務官の待遇を書記官に比べて落としておるというようなことをやっておるわけではございませんで、事務官は事務官、書記官は書記官、それぞれに待遇の改善を図らなければいかぬということで努力してきておるわけでございますけれども、根本は書記官の特別の権限、職務に応じました手当というものがついているということに相違があるというふうに言えるだろうと思います。 それから、裁判所事務官とたとえば他の行政官庁等の事務官との比較ということでまいりますと、これはそれぞれの仕事の内容が完全に一致しておりませんために、ストレートな比較というのは非常にむずかしい面があるわけでございますけれども、非常に抽象的なお答えになりますけれども、裁判所事務官がほかの官庁に比べてそれほど劣っているのだというふうには、私どもとしては認識していないわけでございます。
○稲葉委員 そこで、私どもが聞く範囲では、たとえば書記官の人が簡裁の庶務課長になりますね。その場合はどういうふうになるのですか。書記官兼務で行くのですか、あるいは事務官になって庶務課長になるのですか。その場合に減額されることがあるのですか、ないのですか、実際の収入として。
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の庶務課長につきましては、その庁の規模によりましてやや取り扱いが異なっておる面がございまして、たとえば小さい独立簡裁の庶務課長でございますと、書記官本務ということで、書記官で庶務課長というのがございますが、少し大きい支部等になりますと、庶務課長としては事務官の庶務課長ということになるようでございまして、書記官の場合は調整は完全につくわけでございますが、事務官の場合には書記官有資格者の事務官ということで、若干調整が減るというふうな状況になっておるわけでございますが、全体としての待遇のバランスがとれるような配慮はしておるわけでございます。
○稲葉委員 だから、具体的に調整が減るわけでしょう。調整が八%になるのかな、ちょっとよく知りませんが。そして、そのほかに管理職手当がつくということになると、結局同じになるのですか、どうなんですか。管理職手当の場合は本俸やボーナスの基準にならないでしょう。だから、そこでまた違いが出てくるのじゃないですか。そこは現実問題としてはどうなんですか。書記官兼務の場合はわかりました。そうでない場合ね。
○大西最高裁判所長官代理者 それぞれのポスト、いろいろな形のものがございますので、ちょっといま手元に資料がございませんので正確にはお答えできないのが残念でございますけれども、先ほど稲葉委員御自身もおっしゃいましたように、調整が若干落ちた場合の管理職手当の問題等もございまして、私どもとしては、非常に抽象的なお答えで恐縮でございますけれども、全体としては待遇上のバランスがとれるようにやっておるつもりでございます。
○稲葉委員 私の言うのは、調整が落ちるのでしょう。調整というのは本俸にも加算されて、ボーナスの基準にもなるし、退職金の基準にもなるわけでしょう。ところが、管理職手当の場合では、それはならないわけですから、そこで違いが出てくるのではないか。その時点で出てくるし、また同時に、長い目で見たときに相当大きな違いが出てくるのではないか、そういうことを聞いているわけですよ。
○大西最高裁判所長官代理者 簡裁の庶務課長は原則として管理職手当が一〇%つくようでございますが、退職手当等のはね返りの問題は稲葉委員御指摘のとおりと思いますけれども、私どもの方として計算いたします場合には、退職手当はともかくといたしまして、ボーナス等を含めました年間給与のトータルというものを考えまして計算いたしまして、それとの比率でやっておりますので、事務官で課長になった人が書記官の課長に比べてそんなに不利益にならないような配慮はしておるつもりでございます。
○稲葉委員 よく実態を調べてください。 そうすると、書記官ではない簡裁の庶務課長が今度また書記官に返るときはあるでしょうけれども、その間、間があいていますね。また、地裁なり何なりの書記官に返る場合に、間があいているわけですね。そのときは調整手当が減っているわけですから、その間の退職金の計算などはどういうふうになるのですか。もとへ戻して計算するのですか。それは同じことなんですか。
○大西最高裁判所長官代理者 退職手当の計算につきましては、退職時の官職を基準として行いますので、退職時に書記官であるかどうかということによって決まってくるということになります。
○稲葉委員 問題があちこち行ってあれですが、そこで、私がいま話した中で一つ問題になってくるのは、各裁判所へ行きますと、廷吏の人が非常に若くて優秀な人がどんどん入ってきているのですね。これは非常にいい傾向だと思うのですね。そういう人がどんどん試験を受けて書記官になるのはいいのですが、同時に、事務官のままでずっと長くいる人もいるのですね。こういう人たちの処遇ということについては、裁判所としては、どんどん差が開きますわね、どういうふうに考えておるのですか、それをお聞きしたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所も各種の試験をいたしまして事務官を採用する。若い優秀な人、廷吏になっておる人も含めてでございますが、そういう人は書記官研修所入所試験を通って書研へ入って書記官に任官する。それ以外にも書記官任用試験というのがございまして、書記官任用試験に受かって書記官になっていくという者もございますし、そういうチャンスに恵まれませんで事務官のまま残っておるという方もあるわけでございます。 先ほど来申し上げておりますように、書記官と事務官との待遇の差というものは職務権限の差からしますものがあることは、これは否めないわけでございますけれども、それを別といたしまして、書記官と事務官との待遇に差をつくろうというふうなことを考えておるわけではございませんで、事務官は事務官なりの処遇を考えていかざるを得ないわけでございます。事務官で書記官資格のない事務官という者がいまでもおるわけでございますが、それはそれなりに事務局の課長、次長等になっておる方も相当数おるわけでございまして、そういうコースでのいわば昇進と申しますか、待遇がそれで上がっていくということによっていまは処理しておるわけでございまして、そういう意味での処遇ということに相なろうかと思います。
○稲葉委員 この法案の中の一つのポイントは、簡易裁判所の判事というか、裁判所全体がどういうようにあってほしいかというふうなことが一つのまた大きな問題だ、こう思うのです。庶民のためのというか、国民のための簡裁と言われておるのですが、ところが、実際には簡易裁判所という看板は掲げておるけれども、裁判官のいない簡易裁判所、一つの簡易裁判所の裁判官が二つぐらいの簡易裁判所を兼務しておる、こういうのが相当あるんではないですか。そういう具体的な統計というものはあなたの方でははっきり出せるわけですか。 それから、官報にはあるけれども実体がないというのがまだ残っておるのですか。昔、大阪にありましたね。都島の簡易裁判所とかなんとか三つ四つありましたね。官報には載っているけれども、あるいは裁判所法の別表に載っているけれども、もう実体は何もないのだというふうなところもまだあるのですか、どういうふうになっておるのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 法律上の簡易裁判所の数は五百七十五庁でございます。裁判所法施行当初から開設されなかった庁が現在八庁ございます。開設後事務移転をいたしました庁が十二庁ございますので、現実に裁判事務をとっております庁は五百五十五庁となっております。
○稲葉委員 私のお聞きしているのは、そうすると、八庁が、裁判所法の何か表がありますね、あれに載っているけれども、実際にはそのまま何もされてないというわけでしょう。それは法律から省いたのですか、直したのですか、直さないでそのままになっておるのですか、どういうふうになっておるのですか。直さないとすれば、裁判所としてもこれは余り法律を守らないということになるかな。どういうふうになっているのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 最初から開設されておらないのが八庁でございますので、それもその後事務移転をしました庁十二庁と合わせまして二十庁、それがまとめて事務移転をされた庁として別表には載っておりますけれども、事務をとっていない庁でございます。
○稲葉委員 だから、後から移転したというなら話はわかるけれども、初めから何もしないところをどうして——その別表というのも裁判所法の中の一部と見ていいのですか。そういうのも当然それは改正しなくちゃいけないんじゃないですか。どうしてそのままにしてあるわけですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 開設されませんでした八庁につきましては、裁判所の敷地を得ることができなかった、適当な庁舎を得ることができなかったといったような状況で開設しないままになっておりまして、なお今日その状況が変わっておりません。したがって、開設できないで今日まで推移しておるわけでございまして、たしか衆議院の法務委員会におきましても、昭和三十年代でございましたか、そのような簡易裁判所については、当面開設を不要とするならば、法律上も廃庁にしてはどうかというような御意見もあったところでございます。私どもとしましては、なおその辺の問題については今後も検討をさせていただきたいと思って今日まで推移してまいっておるようなわけでございます。
○稲葉委員 別表は、私は見ていないので申しわけありませんが、たとえば大阪の都島簡易裁判所も入っていたように思いましたけれども、違いますか。それはちゃんと住所は書いてあるのですか、この別表には。ただ名前だけですか。何か大阪方面に多いように思いましたね。まあそれはいいですが。 それと、いま言ったように、一人の裁判官が、簡裁の裁判官が二つを持っておられるところが相当あると私は思っているのですが、いまお答えにならなかったですね。それはどのくらいあるわけですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 簡易裁判所で簡易裁判所判事が現に配置されておりません庁、百四十九庁現在ございます。
○稲葉委員 そうすると、百四十九庁の中で——だから、みんな兼務になっているのじゃないですか。一人の裁判官が二つ持っているのが相当あるんじゃないですか。それが百四十九あるという意味にもとれるのですが、どういうふうになっているのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 兼務をしております庁と、兼務の形ではなくて他庁から填補していただいている庁と、合わせますと百四十九庁に相なるわけでございます。兼務しておりますところも何十庁かございます。
○稲葉委員 兼務か填補かどうもはっきりしないところがありますけれども、非常に一般の人は困るんですね。裁判なんかやりましても、調停なんかやっても、日が入らないのですよ。別の裁判所にきょうは行く日だとかなんとか言って、入らない。調停なら調停は、裁判官は普通出てこないんですよ。出てこないんだけれども、やはり裁判官のいる日でないと困るというわけですね。それはまあ、まとまった場合には裁判官がいないと困るから、無理もないかもわかりませんけれども、たとえば本庁所在地なんか、簡易裁判所裁判官が二人も三人もいるわけですから、だからそれはその裁判官がいなくても調停の日なんかいいと思うのですけれども、そういうところでも、調停の日が、その裁判官、甲なら甲という裁判官がその日はだめだとなると、曜日が決まっていてなかなか入らないんですね。 だから何も、裁判官が出てくるんなら話はわかるけれども、出てこないのだから別の日でもいいじゃないかと言うと、それじゃだめだと言うのですね。困ると言う。なぜ困るのかと言うと、いや裁判官のところへ行ってそういうことは言いにくいからと言っているのですね。そのために調停や何かどんどんおくれるのですよ。そういうのが非常に多いことが一つ。非常にと言うと語弊があるかもわからないけれども、多いことが事実。それが一つ。 それからもう一つは、いま言ったような兼務のために、きょうそこにいるかと思うと、いやほかの裁判所に行っているということで、日が変更になったり、あるいはなかなか日が入らなかったりしておる。おくれるというふうなことが、これは非常に多いですね。 それから、もう一つ多いのは研修ですね。簡易裁判所の裁判官の研修というのがぽかんぽかんと入ってくるんですよ。証拠調べなんかしておるところの日にちが、後から、簡裁の裁判官の研修で最高裁とか東京高裁へ行きますからというので、職権で変更だということになるんですね。こういうのは、簡裁の裁判官の研修が必要なことはわかりますけれども、それはやはりもっと計画的にやってもらわないと、一般の人は非常に困るんじゃないかと私は思うのですがね。 いま言ったようなことはどういうふうにお考えでしょうか。三つの点かな。
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所判事の研修のことについて私から申し上げたいと思いますが、簡裁判事の研修につきましては、御承知のように最初に任命されました時期にはかなり長期にわたって研修をするわけでございますが、研修を終わりましてその後につきましては、たとえば二年目でございますとか五年目でございますとか、そういう一定の時期が過ぎました時点で行います研修、これは東京に集めて行うわけでございますが、それ以外にも高等裁判所の管内で簡易裁判所判事の研修をやるということがございます。これは非常に短い期間のことでございます。 このような研修を行うに当たりましては、できるだけ関係者に迷惑をかけないようにということで、できるだけ早目にその時期を決める、その時期も、できるだけ当事者に御迷惑のかからないような時期に設定するようにしてはおりますけれども、しかし、やはり何日かはどうしても年間休むといいますか、研修のために出てくるという日がございまして、そういう日にたまたますでに期日が入っておるというようなことになりますと、職権変更ということで当事者に御迷惑をかけるということがあるわけでございます。稲葉委員御指摘いただいておりますように、簡易裁判所判事の研修、特に不祥事等も起こりまして、研修自体はやはりやっていかなければならないわけでございますが、今後ともそういう関係人の方々に御迷惑をかけないような時期、期間の設定等をするようにいままで以上に配慮するようにいたしたい、このように考えております。
○梅田最高裁判所長官代理者 先ほどのお尋ねのうち、裁判官の常駐しておりません庁の問題についてお答えを申し上げます。 兼務庁を先ほど数十庁と申し上げましたが、より正確には、非常駐庁のうち兼務庁の方が多うございまして、百三十六庁となっております。そのほかが他庁からの填補によって賄っております。 これら非常駐庁につきましては、事務量が非常に少ないところが多うございまして、やはり人員の効率的な配置という面から見ますと、どうしても兼務なり填補なりをしていただくほかないわけでございます。通常の場合には、填補の回数は週に一回から二回というのが普通でございます。事務量の少ない簡裁の中でもまた非常に事務量の少ないところになりますと、月に二回程度という場合もあるようでございますが、非常駐庁でもわりに事務量のありますところは、週に三回行っているところもございます。したがいまして、事務量との兼ね合いで申しますならば、それほど当事者の方々には迷惑はかけていないと考えております。 一般の事務につきましては、週一、二回あるいは三回の裁判官が参ります日に事件を入れる。緊急を要しますものにつきましては、兼務庁、被填補庁との間におきまして、どのようにして事務を取り扱うかという緊急体制についても事務の取り扱いの話し合いができておりますので、万全を期しているものというふうに考えております。
○稲葉委員 たとえば刑事事件で、簡易裁判所で裁判官も検事も弁護士も、それから被告人ですね、勾留されている被告人の場合、それもたとえば本庁から行くというのは一体どのぐらいあるというふうに理解されていますか。全部こっちから行く、そこの簡裁のところにだれもいない。そういうのは、どうしてそういう簡裁で刑事をやるわけですか。えらい大変な手数ですね。それは国選が多いのかもわかりませんけれどもね。そういうところの場合は、むしろあれじゃないですか。拘置所は本庁のところにあるわけですからね。拘置所は本庁のところにあるわけでしょう。裁判官もその刑事のためにそっちの方へ行くんですね。そのほかの用件があって行く場合もある。検事もこっちから行くわけですね。身柄も行くわけでしょう。弁護士もこっちから行く。そっちにいないから行く。こういうのが全国的に見るとどのぐらいあるというふうに理解されていますか。細かいことはいいですけれども、これは相当ありますよ。
○梅田最高裁判所長官代理者 まことに申しわけございませんが、どのぐらいあるという実態については十分把握しておりませんけれども、中にはそういったことがあるかもしれません。
○稲葉委員 あるかもしれませんじゃなくて、あなた、それは現実にありますよ、具体的に指示しませんけれども。宇都宮の管内でもありますよ。二つぐらいありますよ。今市というのがそうです。烏山というところもそうですよ。みんな全部こっちから行くんですからね。ことに今市なんか、全部こっちから行くんですからね。拘置所からね。在宅事件の場合は別で、それからあるいは代監で警察へ入っている場合は別かもわかりませんけれども、そういうようなところの場合のこともよく考えてほしいのです。 ただ、私の言っていることは、いま言った未開設のあれがあるとかそういうようなことで、それを廃止しろとかなんとかということじゃなくて、もっともっとふやすんならちゃんと内容を充実したものにしてやっていかなきゃいけないんじゃないかというようなことを特にいま申し上げておるわけですから、誤解をされないようにお願いをいたしたいというふうに思うのです。 そこで、率直に言ってよくわからないのは、よく出るんですが、簡裁の裁判官をどういうふうにして任命をしていくのか。これは、もちろん任命は内閣が任命するとかなんとかそういうことじゃなくて、選び方の問題なんですね。どうやって簡裁の裁判官を、何といいますか、募集と言うと言葉は悪いのですが、あれしてやっていくのか、ここら辺がどうもはっきりしませんね、これは。内部的にある時期に公募するとかなんとかしているわけでも何でもないわけでしょう。どういうふうにしてこれをやっているのか。内部試験だといったって、だれも一般の人は知らないような形でやっているとかなんとかという形でやっているのですか。これは具体的にどういうふうになっているのですか。どうもよくわからないですね。
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所判事それぞれの任命の資格によりまして異なりますけれども、いまの御指摘はいわゆる特任簡易裁判所判事についての御指摘であろうと思いますが、いわゆる特任簡易裁判所判事につきましては、各地方裁判所にございます簡易裁判所判事推薦委員会というところがその推薦をいたすわけでございます。最高裁判所に簡易裁判所判事選考委員会というのがございます。推薦委員会の方もそれから選考委員会の方も、それぞれ裁判官、検察官、弁護士各層から入っていただいておるものでございますが、そういう推薦委員会から選考委員会に推薦され、選考委員会の方で筆記試験——一部筆記試験を免除する者もございますが、全員について法律の口述試験も行うわけでございますが、そういうことで選考をしておるわけでございます。 その推薦段階のことを恐らくお聞きになっていらっしゃるのかと存じますけれども、確かに、たとえば街角にポスターを張りまして募集というふうな、そういう形での公募と申しますか、そういうことももちろんやっておりません。けれども、何と申しましても簡易裁判所判事になっていただく上においては最小限度の法律知識というものがやはり必要でございまして、そういう意味での応募者といいますものはある程度限られてくるわけでございます。昭和二十何年からもう長年の間、簡易裁判所判事のその選考ということをやってきておりますので、いやしくも簡裁判事になろうかと思われるような方については、これは私どものあれかもしれませんが、ある程度知られているのではないかというふうに考えております。そういう意味で、応募者につきましても、必ずしも部内だけではなくて、かなりの数の部外の方も応募しておられるわけでございますし、毎年その中から何人かもやはり入っておられるという状況でございまして、そういう意味で、現在の選考そのものは、一応滞りなくといいますか、選考が行われているのではないかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
○稲葉委員 そうすると、簡易裁判所の判事の人が、今度の法案が通るというと事物管轄がふえるわけですね。九十万ということになるわけですね。そうすると、督促事件は、これは直接やるわけじゃありませんから事物管轄には関係ないわけですね。そうすると、これに伴って、どうなんですか、どういうふうに簡裁としては、刑事は別ですよ、民事事件が雑件も含めてふえていくというふうに理解されているのか、あるいは減っていくということなんですか、どっちなんですか。人によって非常に違うんですよ。これは、法案が通ったら簡裁は仕事がうんと減っちゃうんだということを言う裁判官の人もいるわけですね。必ずしもそこまではっきり言わない人もいるし、あなた方の見通しは一体どういう見通しをされているわけですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 お手元の法律案関係資料の一番最後の三十八ページに変動試算表が出ておりますが、結論から申し上げますと、五十五年度の新受事件、これを基礎にいたしまして推算をしたものがこの表でございまして、二万五十五件地裁から簡裁に移るであろうという見通しであります。 この見通しは、先ほどもお話しいたしましたところでありますが、不動産事件について、九十万円以下の不動産事件について八割が地裁、二割が簡裁、こういう一応の見通しでありますために、この見通しが狂って簡裁の方へより多く行きますと、この二万五十五件に若干の件数がプラスされてくるということになるわけであります。ただ、これは五十五年新受事件基準の試算であります。でありますから、その結果が、この表にも出ておりますとおり、地裁の方がこの改正によって十万七千七百十九件、簡裁が九万七千七百八十四件になるだろう、こういう見通しでありますけれども、これはその後、五十六年、五十七年度に向かって地簡裁とも新受事件がふえてきております。したがいまして、この絶対数が、簡裁は九万七千七百八十四件と見込んでおりますけれども、この数がふえるということはそういう意味であるだろうと思われますが、この分担割合、地裁五二・四対簡裁四七・六というこの数字には、それほど大きい見込み違いというものはないだろうというのが私どもの見通しでございます。
○稲葉委員 いまおっしゃった、この分担割合というものがそう大きく狂わないだろうというのは、これだけの事件がふえている中で狂わないという理屈はどこから出てくるのですか、ちょっとよくわかりませんけれども、結局それに伴ってあなた方の方としては、簡裁の方に、これは事物管轄のあれですから訴訟事件だけの問題ですが、それに伴って人員の配置なり物的というか何というか、そういうふうなものは最高裁としてはどういうふうにお考えなんですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 先ほど民事局長から御説明申し上げましたように、このたび裁判所法が改正されますと、約二万件の事件が地方裁判所から簡易裁判所に移るわけでございます。これは一庁当たりで平均的にとってみますと、三十六件程度の増加に相なります。前回改正されましたときは、一庁当たり約六十件程度の増加があったわけでございます。ただ、不動産訴訟につきましての競合管轄あるいは当事者双方希望します場合の必要的移送といった制度が盛り込まれておりますのでなお浮動的な要素はございますけれども、一応三十六件程度一庁当たりの増があるという見込みでございます。 しかし、この増加率も、大きい簡易裁判所から非常に事務量の少ない簡易裁判所までばらつきが大きゅうございますので、果たしてどのようなところに、事件が具体的にどの簡裁に何件くらい行くであろうかということになりますと、なかなか見込みが立てにくいわけではございますが、大都市あるいは大都市周辺における簡易裁判所には相当程度の事件が移動するであろうというふうに思っております。 中規模庁以下の簡易裁判所になりますと、たとえば簡易裁判所判事一人当たりで見ましても、七、八十件から数十件、書記官について見ますと一人当たり六、七件から二、三十件程度の増でございまして、もともとそれほど事務量の多い裁判所ではございませんから、まあまあ人の手当てはしなくても済むであろう。 ただ、大規模の簡易裁判所になりますと相当程度の事件の移動がございますので、その分地方裁判所の負担が減るというようなこともございますので、事件の移動の推移を見守りつつ十分人の手当てをしてまいりたいと考えております。
○稲葉委員 いまおっしゃった一庁当たり六十件というのは、この前の改正のときの現実の結果としてこういうふうになったという意味ですか。では、そのときどういう説明をされたわけですか、どのくらいふえるだろうと説明されたわけですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 昭和四十五年当時どのような説明があったかということは、申しわけございませんがつまびらかではございませんが、私が先ほど申し上げました六十件というのは、当時の推定に基づく移動の件数が一庁当たり平均六十という趣旨でございます。
○稲葉委員 余り細かいことはあれですが、いずれにしても、これはある程度やってみなければわからないことであって、それほどのことでもないのですが、率直に言って簡裁の民事事件というのは、わりあいに、いま言った地代の問題、境界確定の問題がありますけれども、それ以外は、貸し金の問題にしてもそれほどむずかしいという問題でもないし、クレジットの問題にしても、保証人になったとかならないとかという程度のことはあるかもわかりませんけれども、それほどのことではないのです。 結局、督促事件を中心として事件がどんどんふえていくという形がふえていく傾向になってくるのじゃないかと思うのです。支払い命令ですから、異議が出た場合でも——これは異議が出ればこれを取り下げてしまいますね、管轄が違いますから。支払い命令だったら、管轄が相手方の所在地だけれども、ということでわざわざそこへ行くのが大変だというので取り下げてしまうというのも相当出てくるし、自分の方の、債権者所在地へ訴えを起こすという形になってくる場合も相当ありますから、いろいろ流動的に変化があるから数字的なことは一概に言えませんけれども、少なくとも督促事件そのものがどんどんふえていくのじゃないですか、クレジットの関係なんかは。これは率直に言うと、金を払わないでどこかへ行ってしまうのがいっぱいいるらしいですね。それで困っているらしいですね、送達ができなかったり。それから、人の名前を借りて物を買ったりなんかするのもいるというようなこともあって、非常に困っている。 これはどんどんふえてくる可能性があるということになってくると、さっきお話ししたような、窓口は書記官かもわからぬけれども、事務官が実際に計算して支払い命令を書いているわけですから、その負担量が相当ふえるのじゃないかと私は思うのです。その辺のところの実態をよく見てもらいたいと思うのです。渋谷ばかりでなくて、東京の独立簡裁の中では豊島簡裁かな、ここら辺はずいぶんふえているようですよ。調べるのをお願いしておきませんでしたが、そういうふうなところのものを十分お調べを、実態把握をぜひしていただきたいと思います。 それから、さっき言ったように刑事事件なんか、こっちから行くのが相当あるはずですね。これはそこの刑事をやめろと言うこともできないけれども、それは弁護士会や警察庁なんかの意見もよく聞いてみて、やってみてもいいのじゃないでしょうか。刑事事件で相談に行く人というのは簡裁にあるわけじゃありませんし、民衆の裁判所ではあるけれども、刑事事件に関連しては考え方がちょっと違いますから、それはあれだと思いますがね。 そこで、私がよくわかりませんのは、裁判官の研修というふうなことを盛んに言われていますね。今度あれがあったというので、裁判官の研修所で、どなたですか高裁から行かれて、専任の方になられるというお話をずいぶん前に聞いた。一部の人に聞いてみたら、さあ、行くのはいいが、一体何をやるのだかさっぱりわからない、研修研修とあのときの勢いで研修というのを決めたけれども、具体的に何をやっていいのやらということでさっぱり進んでいないという話も聞くのです。これはどなたかな、沖永さんかな、どなただか忘れましたが、そういうふうなことも、一体どういうふうになっているのですか、裁判官の研修は。中堅裁判官もあるし、判事補もあるし、いろいろあると思いますね。いま具体的にどういうふうになっているのですか。今後、研修といっても何をしようというのですか。そこのところがよくわからないのですね。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判官の研修につきましては、昨年の東京地裁の民事二十部の事件が直接の契機になりまして、これのみというわけではございませんが、これが直接の契機になりまして、今年の春から司法研修所におきます裁判官の研修を充実していこうということで、昨年の秋あたりからそろそろ準備を始めたわけでございます。稲葉委員から御質問がございましたのもそのころでございまして、そのころはとりあえず東京高裁から所長経験のある裁判官に一人まず準備のために来てもらいまして、ことしの春にはさらにもう二人のベテランの裁判官を裁判官研修の専属の教官として配置いたしまして、いま人的な機構としてはその三人が中心になりまして、裁判官研修を、いままでのように司法修習生の養成の片手間ということではございませんで、その方々が中心になって専門的にやろうという体制づくりをやったわけでございます。 その体制によってできますことといたしましては、これは前に申し上げたかと思いますけれども、従前はいわば修習生の養成の片手間で、修習生が研修所におりません秋の三、四カ月の間だけしかできなかったわけでございますけれども、これを年間を通じてやるということで、ことしの春からぼつぼついろいろやっておるわけでございます。 全体の研修の細かいカリキュラムまで決まっておるというものではございませんけれども、大まかに申しまして、まず新任の判事補につきましては、従前は判事補の新任は全国の裁判所にばらまきまして、それを四カ月ずつ三班に分けて東京へ来てもらって、そこで研さんをするということをやっておったわけでございますが、ことしはとりあえず十二の大きな裁判所へ配置いたしまして、そこでやっていただくということにしたわけでございますが、それをするについてのそういう新任判事補の受け入れ庁の体制、所長とか裁判長の実務研究会というものをすでにやっておりますし、なお新任判事補の研修につきましては、ことしの年末近くぐらいにはもう一度、いま各庁で研さんをやっておりますけれども、全部を二班ぐらいに分けまして東京へ集めて実務研究ということでやりたいと思っておりますが、それは新任判事補についての一つの新たな研修と申しますか、そういうふうに申し上げられるかと思います。 それから、いわゆる中堅の裁判官の研修につきましては、これは高裁、地家裁、とりあえずは高裁よりは地家裁でございます。地方裁判所それから家庭裁判所の総括クラスの裁判官を集めまして、家裁についてはもうやりましたし、地裁についてはまだこれからというところでございますけれども、たとえば家裁の裁判官の研修につきましても、いままでの研修といいますと、どちらかといいますと法律問題の研究というようなことが中心でございましたけれども、そういうことではなくて、家裁について言いますと、家事審判とか少年審判制度の運用そのものについての共同研究をやろうというようなことでやっておりますし、地方裁判所の裁判長の研究会につきましても、やはり法律問題にとらわれないで、陪席裁判官の養成をどういうふうにしていけばいいか、その他部の運営というものはどういうふうにしていったらいいかというようなことを共同研究しよう、たとえばそういうふうなことを考えておるわけでございます。 そういうことでございますとか、さらに予定しておりますものといたしましては、専門の領域のいろいろな問題の研究をしよう。これも法律問題ではなくて、たとえば仮に医療過誤なら医療過誤というふうに仮定してみますと、医療過誤についての事件をやっていくための法律問題ということではなくて、むしろ周辺のいろいろな問題、そういうものについての研究をやっていこう、そういうようなことをいま計画——これなんかはこれからの問題でございますけれども、そういうことも考えております。 それから、国内特別研究と申しまして、これも前に事務総長が御説明したことがあるかと思いますけれども、中堅判事に、一定期間裁判実務から離れて、余裕を持って特定の問題について何か勉強してもらおう。これもまだいまやりつつあるところでございます。秋ぐらいからでも始められたらということで、いま準備中で、固まっておるとは申し上げられませんけれども、そういうようなことをやろうということでいろいろやっておるわけでございます。 要するに、大きく分けますと、新任判事補の養成、それから中堅判事についてのいろいろの研究会のようなものというふうなものを、先ほど申しました専属の教官を置きまして、そういう体制をもってやっていこうというのが、いまのところ申し上げられるそういう研修の内容ということになるわけでございます。
○稲葉委員 お話を聞いていますと、いまおっしゃった中で、いままでもちょっとやっていたことがあるのじゃないですか。新しいことですか。たとえば国内の特別研修とかテーマを与えて勉強するなんということは、司法研究とか、半年くらいのあれをもらったり、選ばれたりしてみんなやっていたのじゃないですか。そういうのも入っているし、いろいろ入っていると思うのですけれども、結局こういう声をよく聞くのです。実際、研修をするということは約束しちゃったけれども、率直な話、十分な根回しというか十分なコンセンサスを得ないままに、とにかくああいう事件が起きちゃったので、そのときの空気に押されて何とかしょうということで計画を練っちゃったのだというようなことを言う人がいるのですね。 いまおっしゃったのは、どうもさっぱり進まないわけです。具体的な緻密な計画を立てておるならば、高裁の裁判官がおいでになったのは去年の秋ですから、どんどん進んでいるはずだけれども、何か世論の方にわあっといかれて、それで何かいっちゃったというようなことで、具体的な緻密性というものが何かはっきりしませんね。技術的なことばかりが中心になって考えられているようです。といって、まさか裁判官を集めて倫理学の研究会をやるわけにもいかぬでしょうし、だからなかなかむずかしいところだと思いますけれども、そこのところがどうも十分な計画性がなしに話が始まったように考えられるので、ここら辺のところをちゃんとしたものを立ててひとつ御研究願いたい、こういうふうに思うわけです。 それに関連するのですが、さっき大分の事件の話が出ましたね。私、常々思っているのですが、わからないのは、裁判所の所長というのは一体何をするのだろうか、これがわからないですよ。合議体の裁判長ならば多少ありますけれども、これは別として、そのほかは——事書記官や事務官の人事異動や何か、それはわかりますよ。そのほかの裁判官に関することでは、一体所長というのは何をやるのかよくわからないですね。ちょっとわからないから説明していただきたいと思うのです。
○大西最高裁判所長官代理者 たてまえ論のようなことをまず申し上げて恐縮でございますけれども、たとえば地方裁判所について申しますと、裁判官会議というものがございまして、司法行政は裁判官会議がやる、その会議を総括するのは所長であるというように法律には書いてあるわけでございます。 それでは、具体的に何をするのかということになりますと、これは率直に申しまして、東京地方裁判所のようなああいう大きな裁判所の場合と、裁判官が五、六人しかおりませんようなところの場合と、具体的な毎日朝から晩まで何をやっているかということに着眼します場合には、かなり違った面があるだろうと思います。ただ、そうは申しましても、要するに司法行政の責任者、簡単に申しますとその地方裁判所ならその地方裁判所におきます司法行政の責任者でございますから、司法行政万般について——裁判官会議というものはもちろんあるわけでございますけれども、それが円滑に行われて、つまり裁判事務に差し支えないように、裁判事務が円滑、適正に行われるように持っていくというのが所長の責任ではなかろうか。非常にたてまえ論のようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、一応お答え申し上げますと、そういうことになろうかと思います。
○稲葉委員 いまおっしゃった中で、裁判官会議という話がありましたね。それを年がら年じゅうやっているわけじゃないでしょう。どの程度やるのか知りませんが、内部のことを余り干渉するのはあれですから聞きませんけれども。 それと、司法行政司法行政と言うのだけれども、何が司法行政なのか。恐らく裁判官会議で問題になるのは、事務の配転の問題か何かじゃないのですか。この人を民事にやるとか、この人を刑事にやるとか、それからどういうふうにやるとか、繁閑の差に応じて割合を決めるとか、そういうようなことは一つの問題になるのだと思うのです。司法行政の問題としてそれはそうだと思うのです。 ただ、私がお聞きしたいのは、たとえば大分の事件でも、坂本所長さんの談話が出たが、各新聞皆違うのですね。だからこれはよくわかりませんよ。しかし、その中で私が気づいたことは、そういうふうに言ったのか言わないのか、よくわかりませんけれども、裁判官の日常の生活にもよく注意をするとかなんとかいう意味のことが、はっきりそういう言葉かどうかは別として、そういう意味のことが出ているように思うのですね。裁判官の私生活にまで裁判所長が関心を持ち、それを注意するということだとするならば、一体そういうことは許されていいことなんですかね。そんなことが司法行政の中に入るのですか。入るとすれば、一体何がどの程度まで入るのですか。ちょっと私は、どうも所長の権限というか、仕事の内容というものがよくわからぬ。そういう意味の談話がちょっと載ったのですよ。だからお聞きするわけなんですがね。 だから、裁判所長と裁判官との関係ですよ。もちろん司法権は独立だから、裁判のことに対してかれこれ言う筋合いのものではない。それはあたりまえの話なんですけれども、日常生活とかなんとか、裁判官のモラルの問題とかそういう問題にまで、ある程度まで、干渉とは言わぬけれども、関心を持ち過ぎるというようなこと、これも私はおかしいのじゃないか、こう思うのですがね。どういう話があったのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 千葉判事補の問題につきまして、記者クラブの方から希望がありまして、記者会見をやられたようでございます。稲葉委員御指摘のように、新聞を見ますといろいろなことが書いてございますけれども、かなりの時間おやりになったようで、逐一どういう話があったかということは、私ども知る由もないわけでございます。ただ、談話のように書いてありますけれども、決して談話ではなかったようでございます。記者会見のときにいろいろの質問があり、いろいろ答えた中から、ある新聞はこちら、ある新聞はこちらというふうな、どうもそういうことではなかろうか、ある程度私の推測もまじっておりますが、そういうことではなかろうかというふうに思います。 坂本所長の真意とされるところは、もちろん裁判官の私行に対する監視なんということを言っておられるわけではないわけでございますけれども、所長としても、その毎日の職務の遂行に影響のあるような、つまり職務の延長と言えるようなそういうことについてはもう少し注意を払うべきであったかなという、むしろ自分がもう少し至らなかったということを表現される、そういう前言葉がありまして、したかもしれないけれども、そうはいっても私生活全般について立ち入るわけにはいかない、これはもうプライバシーとの関係でも問題がある、所長の監督といってもなかなかむずかしいのだということを要するに言われたようでございますけれども、その前の方の段階で、あるいは職務に影響を及ぼす範囲で注意をすべきであったかもしれないなあというようなことはあるいは言ったかもしれないというふうなところで、どうもああいう新聞記事になったのではなかろうか。 これはやや私の推測もまじっておるわけでございますけれども、要するに、談話ということではなくて、記者会見のときのいろいろなやりとりが各新聞によってああいうふうに載せられたということにあるようでございます。
○稲葉委員 だから、私の言うのは、いまあなたがちょっと話をされた、所長の監督という言葉が出てきましたね。所長の監督というのは、一体それは何なんですか、所長と裁判官との関係で。その辺がどうも私はよくわからないのですよ。 では、率直な話、こういうことを聞けばいいですね。所長は最高裁なり高裁に対してどういう報告をいつもするんですか。どんな報告をするのですか、一体。これを調べてみればはっきりわかるでしょう。どういう報告をするんですか、所長は。いまあなたが所長の監督という言葉を言われたから私は聞くわけですが、それをよく御説明願いたいのが一つ。 それから、たとえば民事事件なら民事事件、刑事でもそうですけれども、新受があって一月の間に何件の事件がいわゆる判決したか、あるいは和解なら和解で、俗に落ちたという言葉を使いますけれども、そういうふうになったかという、そういうようなことまで所長の名前で高裁なり最高裁に報告するのですか。そこがよくわからないのですね。所長は一体何を最高裁あてに、いつもというか、月には月例なら月例、あるいは臨時でもいいけれども、報告をするわけですか。所長の監督というのはよくわからぬですよ。
○大西最高裁判所長官代理者 私の表現がちょっと悪かったのかもしれませんが、監督できるものではないという、むしろそういう趣旨でございますが、これも申し上げますと、各裁判所は裁判官も含むその所属の職員を監督するのだということは、裁判所法にもちゃんと明文で書いてあるわけでございまして、そういう意味でのその監督が何を指すかということは非常にむずかしいわけでございますけれども、それはちょっとここで簡単になかなか申し上げにくい、裁判所法八十条の解釈問題ということになるわけでございますが、少なくともいわゆる裁判官の独立に影響するような監督ではないということだけは申し上げられるかと思います。 なお、どういう報告が来ているかということのお尋ねでございますけれども、これもこの委員会でもたびたびお答えしていることでございますけれども、たとえば民事、刑事等の事件の報告というものを所長の名前で最高裁判所に送ってくるというふうなこともございますし、それから、各庁でそれぞれの部で事件の新受、既済、未済というようなもののデータをとりますのが集まってそういう報告が来るわけでございますから、所長はあるいはそういうことは知っておられるかもしれませんが、少なくとも最高裁判所に対しまして各裁判官の新受、既済、未済がどういう状況になっておるかというふうな報告が来ておるというものではございませんけれども、所長としては、恐らくそういうことの累積がありませんことには報告が来ないわけでございますから、そういうことも御存じであろうというふうに思いますけれども、それはそれで、そういうことによる監督ということではないのではないか。つまり、それによって裁判の中身に関与するわけではございませんけれども、いわば裁判官のしりをたたくとか、そういうような意味での監督ということは行われていないというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉委員 裁判所の所長が司法権の独立を害するようなことをやったら大変なこと、これはあたりまえの話で、そんなことはあり得ないですけれども、いまおっしゃったように、各裁判官ごとの事件の俗に言う落とし方といいますか、それを累積しなければ最高裁に報告できないわけですからね。だから、各裁判官ごとのものが所長のところに行っているわけですよ。そこで所長はそれに基づいた報告というふうなものをするのではないですか。それは全部まとめた報告で、どの裁判官がどうだということでない、別な報告がある段階か何かに出てくるということも考えられてくるのではないですか、と私は思うのですけれども。 それから、たとえば高裁へ行って事件が破棄になる、差し戻しになる、そういうようなことに関連して、そればかりでありませんけれども、控訴された事件については結果を全部最高裁の方から——高裁の方からかな、各裁判所に一覧表にして知らせていますね。裁判官の名前は直接は出ていないけれども、それは見ればわかるわけで、そういうふうに知らせていますね。なぜこんなことをする必要があるのですか、これは一種の参考だと言われるかもわからぬけれども。だから、高裁で差し戻しなりあるいは破棄なりにしたとかいろいろなのがありますね。そういうふうなことを、なぜわざわざ高裁管内でまとめて一つの裁判所へ報告しなければならないのですか。これもよくわからないですね。 また、刑事事件の場合だって、それは控訴したって、一審の場合にたとえば示談がついてなかったのが、控訴の段階に示談がついたというので、それで量刑不当が通ったという場合もあるし、それから民事の場合だって、出すべき証拠を出さなかったので結果が変わってきたという場合もありますから、一概にそれをそのまま平面的に受け入れるわけにいかないと思うのですが、なぜそういうふうなものを表にして内容まで説明をして、そして高裁でまとめて裁判所へ参考資料としておろしているわけですか。
○大西最高裁判所長官代理者 統計資料をつくりますためのいわゆる事件報告につきまして、所長も知っているだろうというふうに申し上げましたけれども、これはすべての所長が知っているかどうか、私、確認しているわけではむしろございませんで、これはかなり事務的に訟廷事務室等を通じて集まってきて、最終の決裁のときにしかごらんにならないという所長もあるいはあるかと思います。ごらんになっている方もあるかと思います。そういう意味でのそういう事件の落ち方とかそういうふうなことを、いわば制度的に所長が知ってどうこうするというふうな形にはなっていないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。 もう一つは、控訴、上告等のいわゆる上訴事件の結果でございますが、これも上訴事件の結果をその中身についてまで書いて、どういう理由で破棄になったかとかいうふうなことをやっているところもあるかと思いますけれども、これも制度としてそういうふうにしなければいけない———たとえば、申しますと、裁判官の考課のためにそういうことをしなければいけないというふうな制度として設けられているものではございませんで、むしろ当該裁判官の参考のためということでやっておる高裁もあるかと思いますけれども、いま申しましたようなことで、その考課と関連づけてそういうものを制度的にやっているものではないということをひとつ御理解いただきたいと思います。
○稲葉委員 そのやっているところもあるかもしれないというのは、全部それはやっているのじゃないですか。東京高裁はやっていますよ。それはまとめてやっていますから、一月ごとでありませんけれども、まとめてやっていますね。参考というのは、裁判官がそれを全部見るわけですよ。裁判官はどういう参考になるのですか。それは自分の判決がどういうふうになったかということについて、判決に関心を持つのはあたりまえかもわかりませんけれども。 ちょうどいま言われたのですが、考課の話が出ましたね。あなたのおっしゃる考課というのは、具体的にどういうことなんですか。その考課に裁判所の所長はどういうふうにかかわりを持つのですか。私が言う意味、おわかりと思うのですが、よく若い判事補の人に会っていろいろ雑談なんかしていますと、これはどうも判事補の方の誤解かもわからないのですが、いわゆる二号カードの問題がよく出てくるのですよ。二号カードでいろいろなことが書いてあると盛んに言うのだけれども、あなたの方に聞くと、いや、二号カードはそんなことは書いてない、本人のいろいろな身分関係とか転勤の希望とか、そういうことしか書いてないんだ、こう言うし、だから二号カードというものと、それからいわゆる考課表というものがあるでしょう。考課と言われるのだから、考課表というものとは全然別個なものなんですか。そこのところはどういうふうになっているのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 いわゆる裁判官第二カードというものをおっしゃっているのだろうと思います。これももう稲葉委員よく御承知でお聞きになっていらっしゃるのだと思うのですけれども、第二カードにつきましては、いままでの経歴でございますとか、経歴と申しますと、どういうふうな事件、民事を何%やってきたとか刑事を何%、何年やってきたとか、それから趣味でございますとか交友関係でございますとか、将来の任地希望、とりあえずの任地希望というようなものが書いてあるわけでございまして、それ以外のものではございません。
○稲葉委員 じゃ、考課というのはどうやって考課するの。考課というのはどういう意味なんですか。まず、どうやって考課するのです。
○大西最高裁判所長官代理者 これも前から申し上げていることでございますけれども、たとえば裁判官の異動等を考えます際に、その裁判官の特徴と申しますか、そういうことを全然知らないではできるわけのものではございません。これはいろんな機会に、もちろんその所長、長官というコースを通じて来ることもございますし、事件の処理との関係で最高裁判所でわかっておるというようなこともございますし、そういう意味でのそれぞれの裁判官に対するそういう評価というものがおのずからいろいろな形で最高裁判所に上がってくるということはございまして、そういう意味での考課というものはあるわけでございます。
○稲葉委員 いまあなたは裁判官の特徴ということを言われましたね。特徴というのは具体的にどういうことを言われるわけですか。背が高いとか体が太っているとか、そんなことは特徴かもわからぬけれども、そんなことじゃないでしょう。その人は事件処理が速いとか、事件の処理が粗雑であるとか非常に緻密だとか、結審してから判決を書くのが非常に遅いとか、いろんなそういうようなものが入ったのが裁判官の特徴ということになるのじゃないですか。だから考課という言葉が出てくるんじゃないですか。司法権の独立のところと、率直に言うとすれすれなんですよ。 すれすれな問題だから、あなたの方としても答えにくいし、私の方としても余り聞きたくないのですけれども、そういうようなことを非常に厳密に最高裁の方から——だから私の聞いているのは、所長なら所長が高裁にどういう報告をするのか、あるいは高裁が最高裁にどういう報告をするか、こういうことを知りたいのだけれども、それがなかなかよくわからないのですね。余り立ち入ったことを私が聞くのもあれですけれども、いま特徴特徴と言うんだけれども、特徴といったって身体的特徴じゃないでしょうから、いま私の言った事件の処理の方法とかなんとか、そういうようなことも入った特徴ということになるのじゃないですか。そういうようなものを含めて、そうなってくると司法権の独立との関係でこれは非常に微妙な関係に立ってくるのではなかろうかと私は思うのです。この辺にしておきますが、いろいろ余り内部のことについては、私の聞いているのが間違いかもわかりませんし、当たっているかわかりませんから、これ以上聞きません。 そこで、この裁判所法等の一部を改正する法律案のことに戻りますと、私、気になるのですよ。提案理由の説明のどういうことが気になるかというと、まず第一は、よくわからないのですね。「この法律案」云々と言って、「複雑困難な一定の訴訟を地方裁判所において処理する」、こういうことが書いてありますね。そうすると、簡易裁判所というのは複雑困難な訴訟というのを処理する能力がまるでないような提案理由の書き方ですね。これはだれが書いたか知らぬけれども、法務省でしょうかな、必ずしもそうでもないでしょうけれども、そういうような意味にとれるような書き方なんだね。これはどうしてこういう書き方をするんだ。簡易裁判所をいかにも一段とレベルが低いような見方をしているんじゃないですか。これは何でこういう書き方をしたのですか。
○千種政府委員 簡易裁判所を低く見るのではないか、そういう心配があるということになりますと、これまた私どもも心配しなければならないのでございますが、簡易裁判所が複雑困難な事件を取り扱うのか、こう言われますと、そういうのも困るということになるわけでございまして、現に、現在ございます制度の中で要請受理でございますとか裁量移送の規定があるように、複雑困難な事件は余り簡易裁判所でやらせない方がいいというのが、現在の法制のたてまえであろうと思います。その運用の実態を見てまいりまして、それがなかなかうまく機能しない、したがって、もう少し自由に地方裁判所の方へ移せないかというような要望が強くございまして、それを酌みまして今度の改正もできておるという経緯がございまして、そのことをそこに表現したのでございまして、それが簡易裁判所を軽視するとかおもしろくないとかいうような感情に結びつきますのは、実は私どもとしても意に反するところでございます。
○稲葉委員 何も簡易裁判所がおもしろくないなんて言ってないんで、それはあなたの方の作文だよ。付加部分だからね。 それはそうですけれども、率直に言って、簡易裁判所の裁判官が自分の方の裁量で地裁の方に移送するということを嫌がりますね。嫌がる人と、その点については恬淡とした人と、二種類あるわけですよ、人間だから。自分のところでどうしてもやりたいという方もあるし、いろいろあるわけです。 そこで、今後考えられるのは、これは裁判所の方に十分考えていただきたいんだけれども、一体理想とする簡易裁判所の姿、理想とする簡易裁判所の裁判官というのはどういうふうなものなのかということですね。それと、現在あるものがどういうところまでいっているか、こういうことですね。いってないとするならばどういうふうにするのか、こういう問題について最終的にお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
○梅田最高裁判所長官代理者 戦後簡易裁判所が設立されましたのは、比較的少額、軽微な事件を処理する第一審の裁判所として数多く設立し、また、資格もこれまでの裁判官とは違った資格の方に国民に密着した形でやっていただく、そういった趣旨で設立され、また、取り扱う事件の種類も、調停ですとか督促ですとか、刑事で言えば略式ですとか令状関係、そういった簡易裁判所にふさわしい事件を取り扱うということで設立されまして、今日までそれなりの機能を果たしてまいっていると思います。 事第一審の民事の訴訟事件につきましては、訴訟物の価額に応じて簡易裁判所と地方裁判所が分担するということになっておりまして、その後、物価等の変動によりまして次第に金額も上限が増額されてまいってはおりますけれども、設立当初の趣旨は今日まで生かされ、また、今回の改正法が実現いたしますならば、より簡易裁判所らしいものとなっていくと思っております。 私どもは、設立当初の趣旨が一貫して変わらず今日までまいっておると思っておりますので、今後もそういった簡易裁判所の充実に努力してまいりたいというふうに考えております。
○稲葉委員 質問をこれで終わるわけですが、私が聞いているのは、簡易裁判所と簡易裁判所の裁判官と分けて聞いているわけです。それの一つの理想というかあるべき姿というものをどういうふうに理解するか、分けるわけですよ。密接ではありますけれども、分けて聞いて、それが現在どうなっているかというと、そこに乖離があるならばその乖離をどうやって埋めていかなければならないだろうかというふうなことをお聞きいたしているわけです。 これは率直に言いますと、各国いろいろ制度が違います。治安判事の場合など、選挙で簡易裁判所の裁判官をやっているところもあるし、あるいはカナダの家庭裁判所の判事なんか、選挙でやっているところもあるようですね。この前、雑誌に出ていましたけれども、いろいろあるわけですけれども、いずれにいたしましても、簡易裁判所が本当に国民のための裁判所としての役割りを今後果たすように最高裁としても十分考慮のほどを願いたいということを要望し、ことに附帯決議がありますから、附帯決議の趣旨も十分生かして今後進んでいただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
○羽田野委員長 安藤巖君。
○安藤委員 裁判所法の質問に入る前に、IBMの問題につきまして、法務省に二点だけお尋ねをしておきたいと思います。 アメリカの司法当局が、現在日本にいる起訴された人たちに対する引き渡しの要求をしてきたときに、どうするかということをお尋ねしたいのです。これは全く応ずる必要がないのか、そういうようなときには考えなくちゃならぬと考えているのか、どちらかということをまず一点お尋ねします。
○前田(宏)政府委員 その点につきましては、午前中にも申し上げたかと思いますけれども、現段階でどうするというような結論を出しているわけではございません。と申しますのは、その前提としての要求自体がまだないわけでございますので、要求が来た段階であらゆる角度から慎重に検討したいということでございます。
○安藤委員 もう一点は、日本でいま法務省当局、検察庁当局ということになろうかと思うのですが、この問題について調査に入っておられるのか。それと関連をして、そういう調査とか捜査というようなことは全く考える余地がない問題と受けとめておられるのかどうか、この点いかがですか。
○前田(宏)政府委員 今回の事件につきましては、アメリカで、新聞等にも報道されておりますような形で起訴がなされておることは承知しておるわけでございますけれども、その起訴状と申しますか、それによって見る限りでは、アメリカの罰則に触れる行為であるということは間違いないのだろうと思いますけれども、直ちに日本の刑罰法規に触れるかどうかということになりますと、非常にはっきりしないわけでございます。したがいまして、いまの御質問に即して言えば、特段具体的に調査ということはしておりませんけれども、どういう内容のものであるかということは、おいおいアメリカでの裁判の進行につれて判明してくる点もあろうかと思いますし、また、アメリカ側がどういうことを日本側に要請してくるかによっても変わってくるかと思いますので、そういうような状況の推移といいますか、そういうものは見守っているわけでございます。
○安藤委員 法務省刑事局長さん、どうも御苦労さまでした。きょうはこれで、あしたやりますから。 それでは、本案に入ります。 まず、簡易裁判所の実態についてお尋ねをしたいのですが、これはすでにいろいろ質問がなされておりますので、できるだけ重複を避けたいと思うのです。簡易裁判所の未開設庁が八庁ある。それは先ほど理由をおっしゃってみえておったのですが、これを簡易裁判所設立の趣旨にのっとって何とか開設をしようというような努力をされたことはあるのですか。そして、先ほどのお話ですと、土地建物が入手困難だとおっしゃるのですが、入手困難だからしようがないのだということでほっぽり出されておるような感じもせぬでもないのですが、その点はどうですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 未開庁八庁につきましては、開設できませんでした事情が今日も変わっていないというふうに認識しております。私どもといたしましては、未開庁八庁につきましては、幸いにして近隣に簡易裁判所がございますところがほとんどでございますので、現在すでに開庁して現に事務をとっております簡易裁判所の方の充実に力を注いで、未開庁については、現在のところでは開庁する考えは持っておりません。
○安藤委員 そうしますと、未開設庁については、別表に載っておるわけですが、それについては検討してまいりたいという御答弁が先ほどあったのを伺っておったのですが、いまのお話からすると、これは別表からも削除していく、もう廃庁にしてしまうというような方向でお考えになっていると伺ってよろしいですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 先ほどお答え申し上げましたのは、国会の委員会でも、附帯決議によりまして、開設していない庁についてはその必要の有無を検討して、開設すべきは開設し、当面開設しない庁については法律上もきちんとしてはどうかという附帯決議の趣旨にのっとって、今日に至るまでいろいろ検討を重ねてまいったということを申し上げたわけでございまして、いま直ちにそれを法律の別表から削るということになりますと、結局それは法律上も廃止することに相なりますので、その点はやはり慎重に考えてまいらなければならない問題でございますから、今日まで検討は続けてまいったという趣旨でございます。
○安藤委員 全部事務移転庁が十二庁ありますが、この中で、たとえば名古屋地裁管内の愛知横須賀簡易裁判所というのがありますね。これは火事で焼けてしまったということは知っておりますけれども、それ以後復旧のために新築するというようなことは全くお考えにならなかったのか。そうだとすれば、その理由はどういうことですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 開設後全部事務移転をしました十二庁でございますけれども、これは庁舎が老朽化したり、あるいはただいま委員御指摘のように、火災によって焼失したが、その後適当な代替の庁舎が得られなかったといったような事情があって、今日に至ったわけでございます。 庁舎新営等につきましては、やはり重点的に計画的に整備をしてまいるという面がございますので、残念ながら、これらの庁につきましてはまだ整備がなされていないで、今日に至っているということでございます。
○安藤委員 ほかにもいろいろお尋ねしたいのがあるのですが、たとえばいまの愛知横須賀簡易裁判所は、近い将来にでも新営をして移転庁を解除する、そういうような計画は全くないのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 事務移転を行いますのは、御承知のように、裁判所法の規定に基づいて各地方裁判所がやるわけでございます。事務移転の解除につきましても同様でございます。したがいまして、まず各地方裁判所の意向というものが私どもの方に伝わってまいるかということでございますけれども、私ども、これまでのところ、委員のおっしゃいました愛知横須賀簡易裁判所につきましては、何ら地元の方の動きは聞いておりません。
○安藤委員 地方裁判所の意向が先だからわしは聞いておらぬというのは、無責任な感じがするのです。大体、最高裁判所が全体の裁判所の配置状況、国民の需要といってはなんですが、需要状況等をきちっと把握して、しかるべくおやりになるのが筋じゃないかと思うのです。地方裁判所から何も言ってこないからわしは知らぬみたいないまのお話ですと、無責任な感じがするのです。そういうお話ですと、これからお尋ねしておっても、それは当該管轄の地方裁判所から何も言ってこないからわしは知らぬ、こういう御答弁が予想されるような気がしてしようがないのです。 具体的にお尋ねしたいと思うのですが、たとえば五日市簡易裁判所というのが全部事務移転庁になっておりますね。これはもちろん東京地裁で、八王子の簡裁が事務を扱っているということになっておるのですが、ここはどういう理由で事務移転庁になってしまったのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 庁舎の老朽化が原因だと承知いたしております。
○安藤委員 そうしますと、先ほどの火災の関係ともよく似た話なんですが、老朽化したので、建てかえる間はしばらく事務移転庁というならわかるのですけれども、それを復活する、いわゆる事務移転庁の解除をするというようなこと、第一、全部事務移転庁になったのはかつて一度も解除されたことがないというふうにお聞きしておるのですけれども、この五日市簡易裁判所に対する地域住民の人たちの要求がどういうふうになっておるのかというようなことは、お調べになったことはないのでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 事務移転がされました当時、事務移転に相当反対の声があったということは承知しておりますが、その後、事務移転の解除につきまして地元の方々の動きにつきましては、直接は私、承知いたしてはおりません。
○安藤委員 移転するときにいろいろ反対の声があった、それ以後聞いていないとおっしゃるのですが、引き続きそういうような要望があるというふうに私も聞いておるのです。 具体的に数字を挙げますと、人口ですよ、昭和五十三年十月十六日に移転になっているのですが、もともと五日市簡裁の管轄区域というのは、秋多町、日の出村、五日市町、檜原村——秋多町というのは現在秋川市、日の出村というのは日の出町ということになっているのですが、秋川市をとってみますと、これはもっと前の昭和四十七年当時から見ると、その当時三万二千三百五十五人の人口が、いま四万三千九十人、事務移転になった昭和五十三年当時が四万一千三十九人だったのが、いま言いましたように四万三千とふえているわけですね。それから日の出町の方も、事務移転になった年が一万二千百四十八人、それが今度は一万四千人を超えています。それから五日市町、ここは事務移転になった年が一万九千何ぼだったのが、二万二百何ぼというふうにこれもふえているわけですよ。こういうふうに人口がまずふえているということですね。 それから、これは八王子簡裁にいま事務が移転されておるのですが、私の方で調査しますと、八王子簡裁で担当している事件のうち、いまの管轄区域との関係で、これは五日市簡裁の分だというふうに計算できるのは、督促事件で言いますと、五十四年度五十五件だったのが五十六年度は八十五件、こういうふうにふえている。それから、略式事件でも五十四年度二百二十八件、五十六年度が二百六十四件、こういうふうに事件数もふえているという状況にあるのですね。 だから、そういうことからすると、移転するときの反対の意見もあったということからしますと、これはできるだけ近いうちに庁舎をちゃんと新設して、事務移転を解除すべきじゃないかと思うのですが、そういうような方向で考える余地はないのでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 五日市簡易裁判所管内の人口の動向につきましては、事務移転当時と現在とを比べますと、増加の傾向にあるようでございます。この五日市簡易裁判所の管轄に属する事件数の動向につきましては、手元に資料がございませんけれども、あるいは委員の御指摘のような数字になるのかとも存じますが、裁判所法の三十八条に基づきます事務移転は、管内の人口あるいは事件の多寡というものとは一応切り離した形で行われておりますので、庁舎の具体的な建築ということがございませんことには、解除にならないことになるわけでございます。 その辺は先ほど申しましたように、まず地裁でお考えになることではありますけれども、庁舎の新営等につきましては、地裁と最高裁とやはり協議をするようなこともございましょうし、その点は意思は十分通ずるわけではございますが、簡易裁判所の庁舎の建設等につきましては、やはり重点的な順位もあるように聞いておりますので、現在のところ、庁舎の建築が具体的な話にはなっていないようでございます。
○安藤委員 庁舎の建築が先だみたいな話ですが、それは庁舎ができなければ、裁判所の裁判事務処理はできないことはもちろんですけれども、だからこそ事件数の増加、人口の増加等からすれば、最高裁としては、簡易裁判所設置の趣旨を生かすためには、事務移転を解除するために建物をつくってというような努力をやはり早急にやっていただきたいと思うのです。 もう一つ申し上げますと、埼玉県の浦和地裁管内の小川簡易裁判所、事務移転庁になっておりますが、これは昭和五十六年の八月一日ですね。このときは所長さんが住民に対してうまいこと言いくるめて——所長さんというのは地裁の所長さんですよ、何かペテンにかけたみたいなかっこうで、言葉は悪いかもわかりませんが、そういうかっこうで事務移転してしまったというようないきさつがあるように聞いておるのですよ。 これは、地裁の所長さんが町長さんのところに行きまして、しばらくの間小川簡裁を休みたい、了承してほしいということを言うていたという話です。それで町長さんも、しばらくの間ならまあまあということで了承したということですが、その話は、もう少し具体的に言いますと、三年ぐらいというようなことも言っておられるらしいのです。そうしますと、これは五十六年ですからまだ昨年ですけれども、三年ぐらいで事務移転を解除される御予定がおありなんでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 浦和の地方裁判所からは、具体的にいつごろ解除したいという話は聞いておりません。
○安藤委員 また地方裁判所の話が出てまいりましたけれども、一遍その辺のところも確かめていただきたい。そうでないと、これは裁判所が住民の人たちにうそを言ったことになるのですよ。三年ぐらい、しばらく休みたいので了承してほしい、それだけの間ならまあ何とかがまんしましょう、こういうことになっておるのが、三年後にその移転を解除しようという計画も全くないということになったら、これは重大問題だと思いますので、問い合わせをしていただいて、そしてその公約はぜひとも守っていただくようにしていただきたいと思うのです。念のために、これは東松山市というのが近くにあって、ここはベッドタウン化して人口急増の著しいところなんです。ですから、その辺のところも十分御配慮いただきたいということを御要望しておきます。 そこで、一つお尋ねしたいのですが、皆さんにお尋ねするわけにいかぬのですが、梅田さん、それから川嵜さん、千種さん、簡易裁判所の裁判官をおやりになったことがありますか。どちらの順番でも結構です。
○千種政府委員 大分昔でございますが、一年間専任でやりました。
○梅田最高裁判所長官代理者 兼務の発令を得たことはございますが、具体的な事務としては取り扱ったことはございません。
○川嵜最高裁判所長官代理者 私も総務局長と同様でございます。
○安藤委員 千種さんは一年ほど、これは判事補の新任の三年間たったときだけですね。ですから、いわゆる簡裁判事ということでおやりになった御経験ではないわけですね。それはその当時も簡裁判事だったですが、期間は短いし、特別扱いみたいなことですな。昇任試験を受けて簡裁判事になってというようなことではないわけですね。
○千種政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○安藤委員 やっぱりそういう御答弁の内容なものですから、簡易裁判所がいかにその地域の住民の人たちに対する法律上のサービスということで役割りを果たしているのかということは、十分骨にしみてわかっておられないのではないかという疑念を差し挟まざるを得ぬですな。それで先ほどのように、地方裁判所から何も言ってこないからわしは知らぬみたいな御答弁をなさることにもつながってくるのではないかというふうに思えてなりません。これはいろいろな制度の問題ですから、何もお三人の責任というわけじゃございませんけれども、その辺のところが、簡易裁判所のいまの事務移転庁の解除を早くどことどことどこは考えなくちゃならぬというような発想が出てこない理由になっているのではないかということを私は思わざるを得ぬということを、一言つけ加えさせていただきます。 そこで、民事の事務移転庁というのも三十一庁ありますが、これはこの前の御答弁で五庁解除したというようなことですが、そのほかに、近いうちにどことどこを解除するというような御計画でもありましたら教えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 民訴事務の移転庁は現在三十八庁、そのうち七庁はその後全部事務移転されましたので、委員御指摘のとおり三十一庁でございます。昭和二十九年に民訴の事務移転が最初にされましたときは四十三庁でございましたから、御指摘のとおり五庁については指定が解除されたわけでございます。その指定の解除の理由は、やはりその簡易裁判所が人的にも物的にも整備されてきたという事情があるわけでございます。なお、管内の事件数も相当ふえてきたというようなこともあったようでございます。 現在民訴事務が移転されております三十一庁について見ますと、そこに提起されるとすれば当該簡易裁判所が取り扱うこととなる民事訴訟事務の件数が、非常に少ないところがほとんどでございます。しかしながら、中には相当事件数が伸びてまいっているところがございまして、そのようなところにつきましては、物的な施設を充実し、人的にも整備して、解除の方向も考えてまいらなければならないというふうに思っております。
○安藤委員 いま解除の方向を考えていかなければならぬと思っておられるのが具体的にどことどこというふうにお考えになっておられるところがあれば、お聞かせいただきたいと思ってお尋ねしたのですが、あれば後でもお答えいただきたいと思うのです。 それから、裁判官不在庁というのが約百五十庁あるというふうに聞いておるのですが、先ほども話が出ましたけれども、裁判官不在庁で、たとえば九州の方の話を聞いたのですが、調停の日を入れるのに、次はもう五十日先だというようなことがよくあるらしいです。そうなりますと、裁判所でせっかく話をまとめようと思ったのだが、こういう調子ではもう裁判所を頼るわけにいかぬというので、結局は裁判所外で話をつけてしまう。そうなると、よくある例が暴力団に頼むということになるのですね。これは本当に遺憾なことだと思います。そういうようなことにも、間接的ですが、裁判所が手をかすみたいなことになっておってはとんでもないことだと思いますので、やはり裁判官不在庁、もとはやはり人と設備をふやせということになるわけですが、これをなくしていくという努力、これをどうしてもやっていただきたいと思うのです。 ついでに、裁判官以外のいわゆる二人庁、三人庁というところがありますね。二人庁が四十五庁あって、三人庁が百六庁もあるというふうにも伺っています。これは私の方が申し上げるまでもないと思うのですが、簡易裁判所の御経験が全くないかあるいはごく短期間の方がおられるので、あえて言わなくてはならぬのではないかというふうに思うのですけれども、たとえば二人庁の場合ですと、書記官、廷吏、各一、一。法廷を開いておるときは、書記官は入らなくちゃいかぬでしょう。廷吏も入らなくちゃいかぬですが、廷吏の人は、書類の送達とか何かの仕事をやらなくちゃいかぬ。だから、廷吏なしで法廷を開くということだって間々あるというのですよ。そうなりますと、だれとだれが出廷してきたのか、きちっと把握することもできない。これは記録上大事なことですからね。そういうようなことまで起こっているというような実態まで聞いておるのです。これは大問題だと思いますよ。 だから、そういう意味でどうしてもこれは最低四人、四人庁、裁判官を入れて五人庁が一番いいと思うのですがね。ですから、裁判官抜きで四人庁、最低限、庶務課長、書記官、事務官、廷吏、そして裁判官を入れれば五人、これがどうしても必要だと思うのですが、その必要性を感じておられるかどうか。そして、そうだとすれば、やはりそのために相当な御努力をしていただく必要があると思うのですけれども、これは法務大臣もよく聞いていてくださいよ、予算の要求にも関係があるものですから。どういうようなことを考えておられるのか、こういうような実態であるということを知っておられるのかどうかをお尋ねしたいと思います。
○梅田最高裁判所長官代理者 独立簡易裁判所の一般職の職員が二人あるいは三人であります二人庁、三人庁は、その年その年によって若干の変動がございますけれども、最近では二人庁が四十庁前後、三人庁が百八あるいは百七庁という数字に相なっております。 私ども、一般職の職員を裁判所としての機構を維持します上には、委員は一般職について四人と仰せでございますけれども、まあ最低限三人はぜひ置きたいというふうには思っているところではございますが、限られた裁判所職員を全国数多くの裁判所に効率的に配置いたしますためには、どうしても事務量のきわめて少ないところには二人しか配置できないという二人庁が出てまいるわけでございます。決していいと思っているわけではございません。また、事件数が少ないだけに、地元といたしましても、職員をそちらの方に振り向けようといたしましても、なかなかへんぴなところでもあるということもございまして、行きたがらないというような面もございまして、やむなく二人庁というものがある程度の数あるわけでございます。 ただ、これらの庁につきまして、確かに法廷を開くといったようなときに新しい事件が来たらどうなるかというようなこと、これはないとは決して私も思いませんけれども、一般的なならした事務量という点から考えてみますと、やむを得ずこういった庁が出てまいっておる。なるべく減らす方向では努力してまいりたいというふうには思いますけれども、ある程度の数は現在やむを得ないというふうに考えておるところでございます。
○安藤委員 大分その点もいろいろ配慮をされておるということもよくわかりますけれども、それはもともとの人員の枠がこうなっているからということになってしまうと、苦しい中のやりくり算段ということだけになってしまうものですから、やはりそういうような実態は踏まえていただいて、それをなくしていく。だからといって、簡易裁判所の数を減らして頭数だけそろえるというようなことでは、先ほど来申し上げておるようにまた逆の方向になりますので、その辺のところも考えていただきたいと思うわけです。 そこで、今度のこの法案によって最高裁が考えておられるのは、先ほどからもいろいろお話がありましたが、約二万件の事件が地裁から簡裁へ新受件で移動するというふうに考えておられるということですが、どうも裁判所全体の機構、組織があって、最高裁、高裁、地裁、簡裁とあって、新受件数が地裁へ来ないで今度は簡裁の方へ約二万件移動するということになると、人員、設備の関係で枠が決められておる、その中で事件数だけを地裁から簡裁へ移動するだけのことであって、簡裁の方に二万件移動するのであれば、簡裁の方にそれだけの手当てをしっかりやらなかったら、これは何の意味もないではないか。 先ほど来お尋ねしておりますような簡裁の実態、五百七十五庁ですかからいいますと、さっきの裁判官不在庁約百五十庁、それから民事事務移転庁三十一庁、全部事務移転庁十二庁となると、約百九十三庁が完全な機能を発揮してないということになると、約三分の一機能を発揮してないのですよ。そういうところへもってきて二万件ばっとふえるということになったら、これはよほどの手当てをしなければいかぬのじゃないかと思うのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 全体で約二万件——現在五百五十五庁が簡易裁判所として事務をとっております。うち三十一庁は仰せのとおり民事訴訟事務は取り扱っておりませんので、そのほかの簡易裁判所に二万件の事件が大小それぞれに応じて係属することになるわけでございます。 一庁当たりの平均にいたしますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、今回の場合は約三十六件程度が動くであろうという推測でございますが、御承知のように、簡易裁判所は、民事訴訟事件を取り扱っているのにかかわらず年間一件もない、あるいは年間一けた台の民事訴訟事件の新受件数であるといったような小規模な簡易裁判所から、中程度のところ、年間数十件、月にしますと十件に満たない五、六件といったような中規模な——五、六件はちょっと中規模とは申せませんけれども、年間百件程度のところ、大都市あるいはその周辺の大きいところでは年間四千件もの民事訴訟事件を取り扱っている簡易裁判所、こういったように非常にまちまちでございます。 私どもの現在までのところの考えでは、中規模以下の簡易裁判所につきましては、今回の事物管轄の改正によりましてある程度の民事訴訟事件が簡易裁判所の方に移るといたしましても、それは簡易裁判所が取り扱う全体の事件数の中に占めます比重はきわめて大きくございませんで、まあ人的な手当てをしないで済むであろう。大都市あるいはその周辺の相当数の簡易裁判所につきましては、相当の事件が移動することとなりましょうから、そういった簡易裁判所につきましては、必要があれば十分人の手当てをしてまいりたいというふうに考えております。
○安藤委員 どうも見通しが甘いような気がするんですね。ですから私は、いまおっしゃったようなことをお考えになっておられるということがわかったのですが、やはり地方裁判所をもっと充実強化するということの方が先決ではないかと思うのです。そういうようなことはお考えにならなかったのでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、地方裁判所も高等裁判所も簡易裁判所も、すべて充実していくべきだというふうに思っております。 ただ、今回こういった改正法案が提出されましたゆえんのものは、昭和四十五年以降十二年も簡裁の民事事物管轄の改定がされておりませんために、一方では、当時であれば近くの簡易裁判所で審理を受け得ましたものが、今日ではすべて地方裁判所に来なければ審理が受けられないような実態になってきておるという点、それはとりもなおさず、国民の身近なところで裁判が受けられるという簡易裁判所の本来的な機能が阻害されてきている。これを違った面で見ますと、それだけ地方裁判所の方の負担が重くなってきているというような点から、もとに戻すという形での改正だと考えておりますので、今度の法律の改正が実現いたしますならば、簡易裁判所の機能はより発揮されるでありましょうし、それとはまた別個の観点から、私どもとしては地方裁判所も高等裁判所も充実してまいらなければならないというふうに思っておるわけでございます。
○安藤委員 いろいろおっしゃるのですが、ねらいは、地方裁判所が抱えている事件数が多い。いまおっしゃった身近な低額な簡易な事件は簡易裁判所ということにしておるけれども、訴額三十万円を超すと地裁の管轄、だから、訴額三十万円を超してももっと身近な簡易裁判所で処理すべきが本来の姿である状態にまでなってきておる、それを直すのだというふうにおっしゃるのですけれども、やはりねらいは、二つ目におっしゃった地方裁判所が抱えておる件数が多い、だからその事件の山を簡裁の方へちょっと流して平準化するというのが、どうも基本的な考え方であるような気がしてしようがないわけなんです。 だから、いろいろ議論がありましたから多くを言いませんけれども、どうも簡裁と地裁というのを同質の事件を扱う裁判所というふうに見て、何か簡裁が地裁の下請機関みたいなふうに見ている、そういうようなところがあるのではないか。簡裁の民衆裁判所、駆け込み裁判所的なそういう身近な国民に対する法律上のサービスをする機関だ、そこを充実するという観点がどうも欠落しているのではないかという気がしてしようがないのです。だから、どうしても事件の山をこうやって平準化するだけだというふうに思えてしようがないのです。 そこで、最高裁としては、この法案が仮に成立するとすると、これは聞くところによるとの話ですが、九月一日から実施に移したいというようなお考えと伺っておるのですが、そうだとすると、これはやってみなければわからぬというようなお考えなんですか。一遍やってみて、いまの都市部分で簡裁の方がとんでもないことになったというときは人の配分などを考えるということなんですが、とてもじゃないが、そんな状況じゃないというふうに私は思うのです。 先ほど言いましたような簡裁の実態ですよ。だから、それに対して簡易裁判所をもっと充実強化するというような方向での視点ですね。これは成立したあげくということになればの話ですよ。いまの移転庁とかいうことも含めて簡易裁判所をさらに充実強化するということを考えなければならぬと思うのですが、そういうようなことは考えておられますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 今回の改正によりまして約二万件の事件が簡易裁判所の方に移るであろうという試算をいたしておりますその根底には、個々の簡易裁判所について大体どのくらい行くであろうということを積み上げたわけでございまして、相当大きい簡易裁判所につきましては相当程度の事件の移動があるということは、九月一日の施行に至ります前におきましても一応の予測としてはつき得るわけでございまして、施行までの間にそれらの試算に基づきまして人の手当てがもう明らかに必要であるところ、まあ多少事件の具体的な推移を見てみないとわからないところ、いろいろ出てまいろうかと思います。したがいまして、施行前におきましても必要となりますところにつきましては、十分考えてまいりたいというふうに思っております。
○安藤委員 当然十分考えていただかなければならぬと思うのですが、これは裁判官のみならず、書記官、それから事務官、廷吏、それから庶務課長さんも事務官ですが、そういう人たちの労働条件に大きく影響する問題だと思うのですよ。 だから、そういう関係で、前からも私は申し上げておるのですが、全司法労働組合という労働組合があるのですが、この労働組合の方とも、労働条件についてこういうような変化が予想される、それに対してはこういう手は打ちますとか、これについて労働組合の方の意見はどうだ、実態を踏まえての話ですが、そういうような機会をおつくりになる必要があると思うのですが、そういう機会はこの法案を提出されるに当たっておつくりになったことがあるか、あるいはこれからそういう問題についてそういう機会をおつくりになる意思はおありなのかということをお尋ねいたします。
○梅田最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の民事事物管轄の問題を含めまして、簡易裁判所がいかにあるべきかという点につきましては、かねて全司法労働組合においてもいろいろ意見を発表され、あるいは実情を調査したものを発表したものがございまして、私どももそれを拝見いたしております。今回の改正問題につきましては、昨年三者協議におきます検討が開始されまして以来、職員組合担当の人事局の課長が全司法本部の役員からいろいろ御意見を伺うなどした結果、これも私どももお聞きしておりますし、今回の法案につきましていわば直接の担当局であります私自身あるいは担当の課長が、直接全司法本部の委員長、書記長、ほかの役員の方々、あるいは在京の組合員である職員の方から、組合側の意見、今後の受け入れ体制等についての意見、要望等についてもお聞きいたしたところでございます。
○安藤委員 そういうような機会には、恐らく組合の方から生々しい実態が出されたと思うのですが、先ほど同僚議員の方から、いろいろ組合の方が実態についてのアンケートをとった結果については質問の中で説明をしておられましたので、私は省略しますけれども、そういう意見を聞いておられたのなら、こういうような法案は出てこぬはずだと思うのだけれどもね。 具体的に、先ほどの二万件は行くというような計算をされたということなんですが、私も具体的に聞いてきたことがありますので、その関係でお尋ねしたいのですが、たとえば名古屋地裁管内でこれまで昨年一年で訴額三十万円以上、ですからこれは合意管轄になりますが、これが名古屋簡易裁判所で百八十八件、これは全体の訴訟事件の一二%近く、中村簡裁九十五件で三〇%近く、それから一宮簡裁で八十五件あって、これは全体の訴訟事件の五〇%近く、岡崎簡裁五十九件、五〇%以上、こういうふうにもうすでに合意管轄で三十万円以上のものが来ているわけだというのですが、そこで相当忙しい。これは平均してならしますと、名古屋地裁管内で三分の一というようなことになっているのですが、そういうような状態かどうか、御存じでしょうか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 まず、五十五年度の数字をもとにして全国と名古屋地裁管内の簡裁分を見てみますと、通常訴訟について申し上げるわけでありますが、全国総数七万五千五百十二件、うち三十万を超えるもの四千八件、九十万を超えるもの二千三百八十八件、結局三十万を超えるものはパーセンテージで申し上げますと八・五%でございます。名古屋地裁管内の簡裁分は総数二千八百三十件、三十万を超えるもの二百六十五件、九十万を超えるもの百八十件、結局三十万を超えるものが一五・八%ということでありまして、全国の数字と比べますと名古屋は格段に高い、三十万を超えるものが簡裁に来ている率が高いという結果に相なっております。で、この部分が応訴管轄ということもありましょうし、多くは合意管轄ということで簡裁に来ているということになっていようかと思います。
○安藤委員 私の数字とちょっと違うのですが、それは別にして、今度九十万円以上になったときに、じゃ、どういうふうになるのだろうかということを非常に気にしておられるわけです。やはり先ほどの私が言いました平均約三分の一が合意管轄で来ている、九十万円になったって、やはり九十万円以上の合意管轄は来るんじゃないか、三分の一ぐらいは。そういうことになると、それはちゃんと来ておって、そのほかに全体として二万件ですが、名古屋地裁管内で九十万円になったらどのくらいになるかということを大体計算したのがあるようなんですが、千九百件から二千件近く来るんじゃないか。そのほかにやはり三分の一ぐらいの合意管轄というのは九十万円以上で来るだろう。となると、最高裁が予想しておられる数よりも、その分だけもう一つふえてくるんじゃないかということを気にしておられるのです。現在もその三分の一ぐらいの合意管轄でわりと忙しいんだ、そこへいまおっしゃった計算のようなのが入ってきたら、これは大変なことになるという心配がもう出ているんですね。 それから、時間がありませんからあれですが、もう一つ中村簡裁の場合で、そうあちこち全部聞いて回るわけにいきませんでしたが、昭和五十六年で督促手続千五百二十七件あるのですが、これもやはり全国平均からすると多い方じゃないかと思うのですが、そのうち異議申し立てが九十二件あって、三十万円以上ですから地裁へ移送になるわけですね。これが四十二件で約五〇%近く。これが九十万円になると、移送になるのは二〇%から三〇%に当然減るわけですな。だから、移送するのが減った分だけ抱え込まなくちゃならぬということになる。これは異議申し立てによって通常訴訟に移行するのが簡裁でふえることになるわけですが、こういうのは簡裁へ事件が行くと予想されている二万件の中に入っておるのですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの答弁でちょっと数字が間違っておりましたので、訂正させていただきます。三十万円を超える数字、これは正しいのでありますが、九十万円を超える数字、これも正しいんでありますが、九十万円を超える数字は三十万円を超える数字の内数でございました。内数ということで御承知いただきたいのであります。したがいまして、三十万円を超えるもののパーセンテージを、たしか全国は八・五%と申し上げましたけれども、これは間違いでございまして、五・三%でございます。それから名古屋の分で、同じく三十万円を超えるものは九・四%でございます。先ほど申し上げました数字がややこれを上回っておりますので、訂正させていただきたいと思います。 ところで、ただいまのお話しになりました変動試算でありますが、名古屋地裁管内の変動分の私どもの見込みは、五十五年度の事件数を基準にして算定いたしまして六百十三件ということでございます。これは全国で言いますと二万件でありますが、二万件のうち六百十三件が名古屋地裁管内で動くという推定でございます。全国的に見まして、地簡裁を合わせた新受事件で三十万円までの事件数は、ここ十年のうちに漸次減少をしてきておりまして、四十六年と五十五年を対比してみますと、一万六千九百件余り減ってきております。これは三十万までの事件が訴訟に引き合わないということで減ってきておるわけであります。一方、九十万円を超える事件は、四十六年と比べまして八九%の増ということになっておりまして、このことから、簡裁の事物管轄の上限を上げて簡裁の窓口を広げないと、簡裁が利用できなくなっている状況にあるということが言えると思うのであります。 先ほど御質問の中に、支払い命令に対する異議申し立てにより訴訟に移行する事件を算入済みかどうかというお尋ねがございましたが、これはもちろん、異議申し立てにより三十万円を超えるものは地裁へ行きますし、三十万円以下は簡裁へ係属することになるわけであります。それは完全なる訴えの提起と同じように計算をしてありますので、この分は二万件の計算の中に織り込み済みというふうに御理解いただいてよろしいかと思うのであります。
○安藤委員 それも私は、やってみないとわからぬじゃないかという気がしますね。その訴訟の難易の問題で、弁護士が代理人としてついているかどうかということを一つの基準にしておられるわけですから、そういう場合も多かろうと思いますけれども、果たしてそうなるかどうか、現場では相当不安な感じを持っておられるのです。 それから、先ほど私が申し上げました中村、一宮、岡崎というのは、名簡はもちろん名古屋市内だし、一宮は一宮市、岡崎は岡崎市ですからね。大都市、中都市というところの簡裁ですから、先ほどのお話のパーセンテージよりも高くなっているということは否めないと思うのです。だから、そういうような心配が出てくるということです。 それからもう一つ、中村簡裁の場合でもう一つ言いますと、これはそういうようなところも多いのじゃないかと思うのですけれども、不動産の事件で建物の事件というのは、古い建物がずっとあるところは、評価額でくるものですから、九十万円というとほとんどカバーされてしまって、ほとんど全部簡裁へ来るんじゃないかということで心配している向きがあるのですが、その点はどうなんですか。これはやはり二万件の中に織り込み済みじゃないのじゃないかと思うのですが。
○川嵜最高裁判所長官代理者 私どもが試算いたしました二万件という数字は、不動産訴訟、これは土地訴訟と建物訴訟を含みますが、この不動産訴訟が八割は九十万円以下の事件でありまして、八割は地裁へ行くだろう、二割は簡裁、これは今度新しくこの法案にあります競合管轄という制度によって、そのような振り分けになるのではないかということでございます。したがいまして、建物も計算の中に織り込み済みでございますが、その八割、二割の振り分けにつきましては、過去にこういう経験がございませんために、どのように分かれるかということは予測がかなりむずかしゅうございます。 私どもといたしましては、弁護士さんがついた率を基準にしてそういう推測を立てたわけでありますけれども、これが予測どおりいくかどうかはわからない。その場合予測が外れるというのは、恐らくは簡裁の割合がふえるという方向へ外れるという可能性はかなりあるわけでありまして、その場合、たとえば見込みは簡裁に二割しか行かないということだったのが三割行ったということになりますと、千件ないし二千件くらいが簡裁へ行くということにはなろうかと思いますが、建物訴訟につきましても計算の中で織り込み済みであるということでございます。
○安藤委員 時間が参りましたので、最後に提案庁の主務大臣であられる法務大臣に一言お尋ねをして終わりたいと思うのです。 いろいろいまお聞きいただきまして、どうも事件を地裁から簡裁へ移動させる。その大都市あるいは中都市の簡裁で事件が多くなるというようなところもあるかもしれぬだろう。私は相当数多くなるのじゃないかと思うのです。そういうときには何かの手当てをするということをおっしゃってみえておるのですが、やはり基本的には裁判所、もちろん簡易裁判所を含めて、全部事務移転庁なんというところが相当あるのです。それから民事移転庁、それから二人庁、三人庁、それはやはり簡易裁判所の設立の趣旨にも十分こたえてないと思うのですね。だから、これはどうしても人的、物的に充実をするようなことを根本的に考えなくてはいかぬと思うのですが、その辺について法務大臣の方からも、もちろん最高裁とは違いますけれども、一層閣内にあっての御協力をいただきたいと思うのです。このことをひとつお尋ねいたしまして、終わりたいと思います。
○坂田国務大臣 いまるるお話を承っておるわけでございますけれども、裁判所の任務といいますか責務といいますか、これは国民の一人一人の権利につながるものでございます。したがいまして、この裁判所の機能がそれぞれの段階で実効が上がるということが非常に大切だというふうに私は思いますので、物的、人的充実のためにさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○安藤委員 どうもありがとうございました。終わります。
○羽田野委員長 林百郎君。
○林(百)委員 最初にお聞きしたいのですが、区裁判所というのが昔ありましたね、われわれは戦前派ですから。区裁判所と簡易裁判所の違いというのはどういうところが違うのですか。
○千種政府委員 裁判所の中で一番審級の低い、また数の多い裁判所であるという大まかな点ではかなり共通しているかと思いますけれども、簡易裁判所の場合には、区裁判所に比べましても数が倍以上ございます。また、やっている仕事が、区裁判所当時からやっている仕事もそのまま引き継いでおりますが、刑事の面でいきますと、令状の発付でございますとか、また訴訟手続につきましてもさらに簡易な手続の特則ができております。そういう面から、全体的に考えますときには、区裁判所よりもより国民に密着した裁判所であろうと考えております。
○林(百)委員 何か御答弁が、事物管轄的な観点からの答弁のようですが、帝国議会の第九十二回で簡易裁判所を創設する法案の提案理由説明を木村篤太郎氏がやっているのですが、これを見ますと、「簡易裁判所、これは直接民衆に接触する第一線に立っていく裁判所であります。本法の実施後には五、六百の簡易裁判所ができるのですが、裁判の民主化がほんとうに実現できるかできないかということは、この運用いかんによっておると思うのであります。これらの判事になる人によろしきを得まして、そうしてこの制度の完璧を期したいと考えておる次第であります。」要するに、この簡易裁判所が充実するかどうかは裁判の民主化が本当に実現できるかどうかにかかっているのだ、こう言っているのです。 何かあなたの答弁を聞いていると、それほど重要でもないような答弁なのですが、この点はどういうようにお考えですか。
○千種政府委員 言葉が不十分であったかと思いますが、ただいまのことと違ったことを言っているつもりは実はなかったのでございます。簡易裁判所を初めて創設するときの提案理由というのは、やはりそのときの時代の表現がございますので、いまと若干ニュアンスは違うかと思いますけれども、先ほど申しましたように、区裁判所に比べまして簡易裁判所は数の上でも倍以上ございます。やっている仕事も、また手続もより素人の一般の国民にやりやすいようになっておるということからいたしますと、ただいまお読みになりましたことと同じことになるかと思います。
○林(百)委員 さらに、参考になると思いますが、これももう十分御承知かと思いますが、臨時法制審議会の第二回総会における第三部会長の有馬委員の説明です。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕 簡易裁判所について、「下級裁判所での中で最も多く論議されたのは簡易裁判所でございました。」これで扱う「此の種の事件も総て裁判に依らせることと致し、これが為に全国各地に多くの裁判所を設置することが先ず必要となるのでありますが、それと共に国民一般にとって最も身近な、親しみ易い、而も十分に信頼し得る裁判所を設けて、之に比較的軽微な事件を扱わせることにする為に色々な構想を練ったのであります。即ち裁判官も法曹の外に学識経験者を一定の条件の下に任用する途を拓き、」云々、要するに「国民一般にとって最も身近な、親しみ易い、而も十分に信頼し得る裁判所」、こういう規定がしてあるわけですね。 そこで、現在の簡易裁判所の物的、人的な実情からいって、それにこたえているかどうかということが非常に重要な問題だと思うのです。 それで、端的にお聞きしますが、簡易裁判所の予算というのはあるのですか。わかりますか、全国の簡易裁判所の予算は幾らか。それが五十六年度と五十七年度と比較してどのくらいの伸びですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 簡易裁判所につきましては、私、担当でございませんので詳しく承知はいたしておりませんが、たしか、機構としては地方裁判所と一緒になって計上されていると思っております。
○林(百)委員 五十六年度、五十七年度比較して、どのくらいの伸びですか。まあ下級裁判所というカテゴリーの中に、あなたの言うように簡易裁判所は別にしてありませんようですがね。どのくらいの伸びですか。わからなければいいですよ。
○梅田最高裁判所長官代理者 下級裁判所の予算の伸びが昨年と比較いたしまして今年どの程度かということは、私、ちょっとつまびらかにはいたしておりません。
○林(百)委員 そこで私も、この法案が提案されまして簡易裁判所の一、二、私の近くのところを訪ねてみたのですが、裁判官不在もしくは常駐しておらない裁判所は百五十庁という数字が出ておるわけですが、職員の方は、少なくとも私が見ているところで、書記官で庶務課長、それから実際裁判に立ち会ったりあるいはいろいろ記録をとる書記官、それから事務をやる事務官、それから廷吏が一人、できたらそれにタイピストか庶務の人がいればいいんですが、少なくともこの庶務課長、書記官、事務官、廷吏、それと裁判官が必要なんですけれども、裁判官はさっき言った百五十庁が不在あるいは常駐でないのですが、この四人の人員のそろっている簡易裁判所というのは何庁ぐらいあるのでしょう、職員の方で。
○梅田最高裁判所長官代理者 一般職の職員四人以上おります簡易裁判所は、約四百十庁ほどでございます。
○林(百)委員 そして、四人そろっておらない、たとえば事務官が廷吏を兼ねるとか、庶務課長の書記官が通常の書記官も兼ねるというような簡易裁判所は、約百五十ぐらいあるということになりますか。
○梅田最高裁判所長官代理者 いま委員仰せの簡易裁判所が、いわゆる二人庁、三人庁と言われるところでございますが、委員仰せのとおり百四十九庁ほどございます。
○林(百)委員 法務大臣、あなた閣僚の一人ですが、最高裁としても、予算の折衝が、非常に紳士ばかりそろっていますから、なかなか腰を据えて折衝できない、非常に遠慮して折衝しているんじゃないかと思いますが、いま私たちが実情を調べてみますと、地方裁判所もそうですが、簡易裁判所、いまのように事務官が廷吏まで兼ねなければいけない二人庁、三人庁、それから庶務の仕事をすると同時に書記官も兼ねなければならない。それは事件数にもよりますがね。そういうところは、今度のこの約二万件が地裁から簡裁に移るというこの機会にやはり充実していただかねば、設立の趣旨である国民に最も親しまれ、そして駆け込み裁判所的な簡易裁判所の機能が発揮できないと思うのですよ。 それで、予算要求が出た場合に、これは最高裁でやるのでしょうが、閣僚として、あなた、これに強力に協力をなさる意思を、当然だと思いますが、ここで表明して、記録にとどめておきたいのですよ。その点をひとつはっきり言ってください。
○坂田国務大臣 これは当然なことでございまして、私といたしましては、裁判所の人員及び物的な充実のためには努力をいたしたいと考えております。
○林(百)委員 それでは、続けてお尋ねしますが、最高裁判所の御答弁ですと、都会の方へ事件が非常に集中している、そちらの方から事件が余りない方へ人を移すことによって、この事物管轄を三倍にしても大体人的には補えるのではないか、そういう御答弁なんですが、そのようにして、これによって人員を増員する、書記官や事務官、あるいは不在庁の簡易裁判所の裁判官、そういうような構想はいまのところお持ちでないですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 いま委員の御質問の中に、大都市の簡易裁判所から小都市あるいは田舎の方の簡易裁判所へ人を移すという……(林(百)委員「そうじゃない、大都市の方へ移す。逆です」と呼ぶ)わかりました。 私ども、今回の事物管轄の改定に伴います簡易裁判所における事件増につきましては、委員仰せのとおり、大都市あるいはその周辺の大きい簡易裁判所については、相当件数が移動いたしますので、人の手当てが必要になってまいろうかと思います。その場合にはそれをいたさなければならないと思っております。ただ、その場合に、田舎の簡易裁判所から移すということではございませんで、今回の改定によって相当数の事件が移動いたしますとするならば、その分、地方裁判所における事件の件数の減少を見るわけでございまして、その辺で手当てを考えてまいりたいと思うわけでございます。 なお、一般的に、今回の法律改正とは別に、今後も地方裁判所、事件がますます複雑化してまいりますので、それらの対応のための増員の要求が必要となりましょうし、このことは、簡易裁判所についても事件の増加に伴いまして増員の必要も出てまいると思います。したがいまして、これらの点につきましては、今回の法律改正とはまた別個の立場から、従前続けてまいりました努力を今後とも続けてまいるという所存でございます。
○林(百)委員 先ほど最高裁では、全司法の諸君の調査も十分聴取し、参考にしておるというのですが、私の手元にあるのを見ますと、事物管轄を九十万に拡張された場合に、本庁・甲号支部併設庁で、残業をしなければこなせないというのが四二・三%、とても処理できないというのが四四・九%、合わせて八七%が残業かあるいは処理できない。乙号支部併設庁での調査ですと、残業しなければ処理できないが三三%、とても処理できないが二二%、五五%。独立簡裁を見ますと、残業しなければ処理できないが三二・二%、処理できないが二六・六%。これは、事物管轄が拡張されたらとても処理できないあるいは残業しなければできないというのがもう圧倒的なんですが、こういう数字はおつかみになっているでしょうか。また、おつかみになったとすれば、これに対してどういう処理をお考えになっているのでしょうか。 と同時に、現状での増員要求は、本庁・甲号支部で六六%が要望しておりますね。乙号支部の併設庁で六二・六%、それから独立簡裁で四六・九%、まあ五〇%。要するに現状での増員要求がこうで、そしてさらに、事物管轄が三倍になりますれば残業かあるいはもうとても処理できないというのが五〇%から八〇%になっておりまして、ことに簡裁の裁判官もそうですけれども、これはどうしても職員を充実させなければ、先ほど皆さんがお答えになっているような地方裁判所も簡易裁判所も充実するということはとうてい不可能だと思うのです。ここの答弁としてはそういうきれいな言葉が出てきても、実情としては職員がたえられない状態になっていると思うのですね。その点はどうなんでしょうか。 〔熊川委員長代理退席、太田委員長代理着席〕
○梅田最高裁判所長官代理者 ただいま御紹介いただきました数字は、今回全司法労働組合が調査されたところであろうと存じます。私ども具体的な数字についてはまだ承知はいたしておりません。ただ、いま委員からお読みいただきましたところによりますと、相当程度の簡易裁判所がすでにもう仕事が手いっぱいの状態であるというふうな面が強く出ておりますけれども、私どもとは必ずしも認識を一にしてはおりません。確かに、今回の改正が行われますと、ならしますと各庁当たり三十六件程度の事件の移動がございまして、大きい庁では相当数の移動があることは承知しておりますが、中規模以下の庁におきましては、現在においてもさほど事件数があると思われませんので、今回の改正の結果、もうどうにもならないほどの仕事量になるというふうには考えておらないところでございます。
○林(百)委員 実際仕事をしている職員の諸君から言えば、残業しなければそれはどうにもならないんで、残業でもすればできるかもしれませんけれども、しかし、裁判官と同じように職員が書類を家へ持っていってまで仕事をするのを強いるということは許されないことだと思うのです。先ほど安藤同僚議員も聞きましたが、皆さんは簡易裁判所の判事の経験がほとんどないわけですね。それでありながら、職員のこういう実情がどうしておわかりなんでしょうかね。私は、それは最高裁の司法行政に携わっている方々の主観的な、希望的な観測だと思うのですよ。実際職員がどんなに苦労をしているかということをやはりもっと謙虚におつかみにならなければ、司法の充実ということはできないと私は思うのですよ。 そこで、法務大臣にお聞きしますが、これから昭和六十年ごろになりますと、裁判所の書記官も、定年に達する人たちが非常に多くなって、減ってきまして、これも補充しなければいけない事態に直面しているわけですよ。裁判所の職員を増員するということは、臨調であるとか行政改革で何か規制を受けるのですか。これは行政改革ですから、行政の改革だと思うのです。司法裁判所は憲法で保障されている三権分立の一つの柱ですから、ここへまで行政改革の何か理念を持ってきて、人員を整理するんだ、仕事はもっとやれというようなことを押しつけてくることは容易ならぬ事態を招くことになると思いますが、これは閣僚として、あなた、どうお考えになりますか。ことに司法関係に携わっている法務大臣としてはどういうようにお考えですか。 〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
○坂田国務大臣 司法の独立というのは、民主主義社会における基本だと思うわけでございます。そのために、その機能が十分に発揮されるというために人的、物的な予算が必要であるということは当然なことなのでございます。しかしながら、また国の全体の予算というもの、これが経済が非常にうまくいっていた時期と今日安定的経済へ変わってきたこの時期とにおきましては、司法の独立とはいいながら、それなりの制約はあるものだというふうに私は心得ております。しかし、その担当所管にかかわっておる者といたしましては、最善の努力をいたしていくということが私に与えられた務めではなかろうかというふうに考えております。
○林(百)委員 私の先ほど挙げた数字は一部の数字ですが、これ以上任務が重くなればもう職員がその任にたえないというアンケートの回答も出ています。もちろん、このアンケートは司法の職員の方々のアンケートですから、私はそれをそのまま押しつけるつもりはありませんが、そういう重大な事態になっているときに、なお人員を増加することを規制するとかあるいは当然の予算の伸びを規制するとかそういうことは、いかに臨調や行革がいま公務員に対してもいろいろな方針を出しておるとはいえ、そういう点については、司法に対する国民の信頼にこたえるだけの内容を備えるという点での予算と人員は、司法に関係している法務大臣としては努力するべきだと思うのですよ。それは国全体のこともいろいろ意見はあります。たとえば軍事費だけ何%、一〇%近くもだあっと伸びていくのですから、われわれは意見はありますけれども、そういう意見をあなたと私でここで闘わしたところで、とうていコンセンサスは得られません。しかし、司法の人的、物的な麻痺状態に近いような状態が来るとすれば、それに対しては国民の信頼にこたえるだけの措置をしなければいかぬと思うのですよ。その点はどうお考えになりますか。
○坂田国務大臣 先ほどお答えをいたしましたようなことなんですが、わが法務省の方の予算につきましても同様でございまして、たとえば登記関係は、昭和二十五年から今日まで、人的には一・五倍くらいしか伸びてない。ところが、乙号の事件につきましては百九十五ですか、二百倍近い状況、こういうことは大蔵当局も認めてもらわなければやっていけない。そうして一面においては、サービスが悪いワーストツーの中の一つと言われておるわけです。でございますから、私といたしましては、法務大臣の任務を全うするためにはサービスをよくしたいと考えておる、そのためにはある程度の予算をつけてもらいたい、それでなければ国民に対するサービスもできない、笑顔をもって当たるためにもそうしたいと私は強く財政当局にも要望をいたしておるというわけでございます。 たとえば刑務所につきましても私はそうなんで、これ以上食料費を落とすとかなんとかいうことはできない。あるいはまた仮釈放、たとえば五%削減するとなれば五千人釈放せざるを得ない。そうすると来年度は、たしか従来のあれからいいますと一万七千というふうになる。そうなったときに、国際的に見るならばせっかく秩序のいい、治安の維持のいい、犯罪検挙率の高い国というふうに称賛されている日本が、あるいはそうではないアメリカやイタリーみたいになってしまうおそれなしとしないと私は思うのです。 その意味合いにおきまして、私はある程度財政当局にもわれわれの主張を申し上げ、最善の努力をしたいというふうに考えておるわけなんで、同様に裁判所におきましても、非常に皆さん方紳士であります、私の法務省の人たちも紳士ですけれども、やはり紳士は紳士なりに真摯に最善の努力をして、国民のためにがんばらなければいかぬというふうに私は思っておるわけです。野党の皆さん方もひとつある程度御協力を願いたいというふうに思っております。
○梅田最高裁判所長官代理者 行政改革につきましては、行政部門が対象とされておりまして、独立しております裁判所につきましては、直接規制されるものではございません。これまでも私ども、たとえば定員削減計画等につきまして、司法行政部門に限って自主的に協力申し上げてきたところでございまして、この点は私どもも、国の財政等の面から協力できる範囲のことは今後とも協力すべきであるとは考えておりますが、事適正迅速な裁判を直接担当いたします裁判部門につきましては、毎年幾らかずつではございますけれども、増員を要求し、その実現を見てきたところでございまして、こういった姿勢は今後も堅持してまいりたいというふうに考えております。
○林(百)委員 都市近郊でないような簡易裁判所あるいはある地域の簡易裁判所は、事物管轄の変動で事件数が減るのじゃないかという御意見もあるのですが、私、総計を見ますと、簡裁の調停の数が異常にふえているのですね。これはおたくの方から出ている資料だと思いますが、五十六年度の調停数を見ますと、地裁が五十六年度二千百四件ですか、簡裁が七万一千四件、こういう数字が出ておるのですけれども、これはこういう数字でしょうか、ちょっとここのところ、かけ離れているように思うのですけれども。
○川嵜最高裁判所長官代理者 事件数は御指摘のとおりのようでございます。これは、民事に関する調停事件の原則的な管轄裁判所は簡易裁判所でございますので、地方裁判所へ申し立てられる調停事件というのはきわめて範囲が限られておりますために、そういう数字が出ておるわけでございます。
○林(百)委員 わかりました。では、この数字はこのとおりに受けとめます。そういう側面も簡易裁判所は持っているということも考慮する必要があると思うのです。 それから、民衆のための簡易裁判所ということで、窓口調停の受理をしているわけなんですけれども、これはどのくらいの件数がありますか。いま言ったような書記官や事務官の数が少ないので、私もこの「調停申立書」を秘書に取り寄せさせて見たのですが、一々口頭で申し立てるのを記載するというのは容易ならぬことだと思うのです。窓口で調停の受理をした件数というのはわかりますか。五十六年度の七万件のうちの窓口受理というのは、どのくらいあるのでしょうか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 口頭で受け付けるという制度が調停法にあるわけでありますけれども、純然たる口頭受理と、私ども定型書面による受理というふうに言っておるのでありますが、この定型書面による受理というのは、裁判所の方で御指摘のようないろいろな類型の調停申し立てに利用できる数種類の用紙を窓口に用意しております。これに適宜に書き込めばよろしいというものでありますが、この定型書面による受理、この二つを合わせて口頭受理と言っておるのでありますが、その数字を申し上げますと、五十六年度におきましては四万五千六百五十二件、大体六五%ぐらいが口頭受理ということで処理されております。 その内訳をさらに申し上げておきますと、純然たる口頭受理が一万五千五百件ばかり、定型書面受理というのが三万件ばかり、こういうことになっております。
○林(百)委員 そうすると、いずれにしても事務官なり書記官なりがみずから手を下して、口頭なら口頭でもそれは書類にしなければいけませんので手を下して、要するに当事者が「調停申立書」を裁判所へ提出するのではなくして、書記官なり事務官なりが——事務官がそういう資格があるかどうか、便宜やることもあるでしょうけれども、いずれにしても書記官の手を経て書類をつくる、あるいは定型書類に書き込むということになるわけですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げました純然たる口頭受理一万五千五百件ばかりにつきましては、これは当事者の方が出頭しまして、書記官の面前で事情を述べる、これを書記官の方が聞いて口頭受理調書をつくるということであります。 定型書面受理による三万件ばかりにつきましては、窓口に定型用紙を備えつけてあります。それから「調停申立書の書き方」というパンフレットも窓口に備えつけてあります。で、適宜指導はすると思いますけれども、大体当事者に書き込んでもらうということで処理しているものであろうと思います。その中には、いやどうしても書けないから書いてくれということで、書記官あるいは事務官が手をかしているのもないということは言えないと思いますけれども、定型書面による受理と申しますのは、原則として当事者、申し立て人が記載をして裁判所に差し出しているというものであるというふうに理解しております。
○林(百)委員 一応そういうように御理解になっているかもしれません。これを見ますと、「申立ての趣旨」だとか「紛争の要点」だとか、それから「右のとおり調停を求めます。」「右のとおり申立人の申述を聴取した。」「簡易裁判所」「裁判所書記官」、名前を書いて判を押すようになっているのですよ。だから、それは当事者が出すのではなくて、書記官が窓口へ来た当事者の言い分を聞いて、そして書類にするというのもあるわけですね、この「調停申立書」には。だから、あなたのおっしゃるとおりばかりじゃないのじゃないですか。ここに定型がありますから、見てください。
○川嵜最高裁判所長官代理者 いまお示しの定型書面は、書記官が口頭受理をいたします場合にも使い、当事者が定型用紙を使って自分で書き込んで申し立て書をつくる場合、これにも使う、両方に使うということを予定しておりますので、「調停申立書」「調停申立調書」、こう二つ、どちらでも使えるような不動文字にしてあるわけでございます。
○林(百)委員 それから私も、事物管轄が三十万が九十万になることによって、事件がどういうところへはたくさん集まるから、少ない方から書記官や何かを移すというので、長野県は一体その移される方か、移す方か、どっちに入るかと思いまして私の選挙区を調べてみたのですが、まず飯田簡易裁判所は、主任書記官なし、書記官一人、事務官一人、庁務員が一人ですか、これで「管轄が三十万円から九十万円に拡張されたら、職場はどうなるか」「残業しなければ処理できなくなる」。「拡張されたら増員が必要と思うか」「思う」。これは飯田という私の選挙区ではやや田舎の方に属するところです。 それから、県庁所在地の長野を調べてみましたら、管轄が三十万から九十万に拡張されたらどうなるか、残業しなければ処理できなくなる。拡張されたら増員が必要と思う。 それから、伊那の簡易裁判所、これは書記官一名、事務官一名、裁判官は一人、これは乙号支部ですから兼任していますが、要するに二人庁ですね。これは三十万から九十万になったら処理できない、そういう事物管轄が大きくなれば。拡張されたら増員が必要と思う。 それから私の地元の諏訪を調べてみたのですけれども、諏訪の簡易裁判所、これは甲号支部の簡易裁判所で、裁判官が一人ということになっている。主任書記官が一人、書記官がそのほかにこれは甲号支部ですから三名いて、事務官が一人。事物管轄が大きくなった場合には残業しなければ処理できなくなる。拡張されたら増員が必要と思う。 私の長野県のいわゆる伊那谷沿いの裁判所、ずっと調べてみたのですが、大体三十万が九十万になれば、何としても増員してもらわなければならないという答えが圧倒的なんですが、長野県というのは一体ふやしてもらえる方へ入るのですか、それともそっちの方へ出す方になるのですか、どうなるのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 実は先ほどもお答え申し上げたのでございますが、今回の簡易裁判所の事物管轄の改定によりまして、非常に事件の多くふえる簡易裁判所に人の手当てをするに当たりましては、よその簡易裁判所から持ってこようという考えは毛頭ございません。それだけ地方裁判所の負担が減るわけでございますから、その辺から手当てをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。 ただいま長野地裁管内の二、三の簡易裁判所について職員の意向等御紹介がございましたが、長野簡易裁判所につきましては、やはり相当の事件数の移動が見込まれますので、人の手当ても必要になってこようかと存じますが、たとえば委員が例に挙げられました伊那簡裁につきましては、私どもの試算では、年間二十一件の民事事件が二十八件にふえる、一年間に七件ふえるという程度でございますし、諏訪簡易裁判所につきましては、昭和五十五年年間四十五件の民事訴訟事件が年間六十件、月一件程度の増加が見込まれるであろうという試算でございますので、この試算どおりに推移いたしますとすれば、私どもとしては、人の手当てはこのようなところについては必要ないというふうに考えておるわけでございます。
○林(百)委員 先ほど稲葉委員も質問されていましたが、不動産に関する訴訟の訴訟価額の認定なんですが、この訴訟価額、これはどういうように認定されるのでしょうか。たとえば固定資産税の課税標準を中心にするようなことになるのでしょうか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでありまして、昭和三十一年十二月十二日付の最高裁の民事局長通知というもので、訴額の算定基準というものをつくって送ってあります。この算定基準によりますと、一応固定資産税の評価額を基準にして訴額を決めるというふうになっておるわけであります。 ただ、この基準は拘束力があるものではもちろんありませんので、受訴裁判所が別な考え方から訴額を認定するということはあり得るわけでありますけれども、窓口の受け付け事務は大体この算定基準によって処理されているというふうに理解しております。
○林(百)委員 時間がありませんので問題点だけ指摘しておきますが、そうなりますと、固定資産税の評価というのは実際の価額より非常に低くございますので、固定資産税の評価、課税標準で提訴されますと、実際の内容はたとえば数百万、場合によっては数千万にもなるような場合もあり得ると思うので、だから不動産事件、これは相当困難な事件を、三十万が九十万になるということになりますと簡易裁判所に負担をかけることになるのじゃないか。たとえば所有権の確認は全額、引き渡し請求は二分の一、占有関係は三分の一というようになっているというように私、聞いておりますけれども、相当の負担がかかるようになると思いますが、その点は考慮なさっているのでしょうか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点は、四十五年の改正のときにもずいぶん論議された点でございます。確かに、固定資産税の評価額と実際の取引価額との差が大きいのは、特に土地についてそうでありますが、このようなこともありますために、今回の改正法案の中に、当事者が地方裁判所で審理を求めることもできるという競合管轄の制度が設けられた、こういうことでございます。
○林(百)委員 はい、わかりました。 次は、簡裁の判事さんの質についての問題と、簡裁の司法行政の問題についてお聞きしたいと思います。 簡裁の判事さんの中に、行政職をした方や警察官をした方、自衛隊出身者等もあるというようなことが、私たちの調査の結果出てきておるのです。要するに、憲法感覚、人権感覚、社会的良識、庶民生活の感覚を持つ、人格、識見のすぐれた徳望のある人、いわゆる素人でもいいから、そういう裁判官を登用するような道が開ければいいと思うのですが、一定の資格の要件がありますのでそうもいかないと思いますが、警察官出身、自衛隊出身の簡易裁判所の判事さんというのはありますか。
○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所判事の中には、林委員御承知のように、いわゆる特任簡易裁判所判事というふうに申しておりますが、裁判所法四十五条によりまして、推薦委員会から推薦された者を選考委員会で選考して採用する。これは、推薦委員会も選考委員会も、判検事、弁護士、いろいろな方面から入っていただいておりますけれども、そういうところで選考したいわゆる特任簡裁判事というのがあるわけでございます。その中に、ただいま仰せになりました自衛隊出身の方、警察出身の方もまじっておると思います。 裁判所といたしましては、これは部内、たとえば書記官等を長くやってきた方が受けることが多うございますけれども、部外の方にも門戸を開放しておりまして、真に簡易裁判所判事として適当な方があれば、これは単に法律知識だけで申しておるわけではございませんで、人格、識見等も含めまして適当な方があれば、どなたでも来ていただきたいということで、選考委員会で厳正な選考をしていただいて採用しておるわけでございます。そういう中で、試験を通って選考に合格してきた方の中に、自衛隊出身の方、警察の方、そう多い数字ではございませんけれども、そういう方もまじっておるという状況でございます。
○林(百)委員 簡易裁判所が庶民の最も親しみやすい、しかも民主主義の最も身近な裁判所ということで、信頼をかち得る裁判所の性格を持っているということでございますので、その裁判官には、主権者である国民が司法に協力するという意味で、ぜひひとつ民間からも、人格、識見がすぐれて、徳望のある人、試験はやむを得ない条件だと思いますが、こういう人をなるべく採用するような観点を貫いてもらいたい、こういうように思うわけです。 同時に一方で、司法行政の問題ですが、簡裁の判事は裁判官会議の構成員ではないように聞いておりますが、そうでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 構成員ではございません。
○林(百)委員 そうすると、簡易裁判所の判事さんたちは判事さんで、簡易裁判所の判事としてのいろいろの要望があると思いますが、地裁の本庁管内を単位にして、たとえば甲号支部なら甲号支部、そこの簡易裁判所の判事によって簡易裁判所の裁判官の会議を持つとか、あるいは裁判官会議にオブザーバーかあるいは構成員として参加させるとか、あるいは簡易裁判所だけの判事によって会議をつくるような制度を設けるとか、そういうふうに簡易裁判所の判事を司法行政にも参加させるような道は考えておらないのでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 地方裁判所が裁判官会議を行うに当たりましては、簡易裁判所に司法行政掌理裁判官というのがございますが、もし簡易裁判所の判事が一人であれば当然その方が司法行政掌理裁判官になられ、二人以上でありますと、指名によって一人の方が司法行政掌理裁判官になられるわけでございまして、地方裁判所の裁判官会議には通常その方が出席して、必要に応じて意見も述べ得るのが通常の状態だと思いますので、そういった意味での関与はできておると思いますし、当該簡易裁判所の一般職員等の監督等は、その方が行っているわけでございます。
○林(百)委員 その場合、出席する簡易裁判所の裁判官の資格というのは、やはりオブザーバーという意味ですか。会議の本当の構成員として出席できるのですか。
○梅田最高裁判所長官代理者 構成員ではございませんので、職権特例のつかない判事補と同様、おっしゃるオブザーバーという形になろうかと思います。
○林(百)委員 やはり簡裁の判事は、判事だけのいろいろな苦労もあるでしょうし、要望もあるでしょうから、将来は制度的にどう改善していくかお考え願うとして、出席した場合に、おれはオブザーバーだから物が言えないというようなことにならないように、私も法務委員会の理事会にときどきオブザーバーで出ますけれども、私は、オブザーバーで出ても物は言いますけれども、何となく遠慮しなければいけないような気があるわけですよね。(「そうでもないぞ」と呼ぶ者あり)私は別ですよ。遠慮しないという声がありますが、遠慮しないような空気をぜひひとつつくっていただきたいと思うわけです。 それから、主任書記官の持っている感覚ですけれども、どうも主任書記官というのは、管理職として昇任するに当たって、広域の配転や玉突きの配転等によって遠方の簡易裁判所に二年か三年ぐらいずつ行って、再び転勤して前のところへ戻ってきて、最終的な地裁などに戻ってきて、そしてそこに落ちつくというようなパターンが繰り返されている。これは司法制度の、裁判官だってそう言えばそうではないとは言えないわけですけれども、やはり腰を据えて仕事をやってもらう意味で、簡易裁判所の主任書記官などは、あるいは書記官であっても、そこへじっくりと腰を据えてその仕事に取り組むような指導をしていただきたい。要するに、将来の昇任のための配転というような便宜的な人事政策でないようにする必要があるのではないかということが職員の方から出ておりますので、そういう点をぜひひとつ心にとめていただきたいと思いますが、この点はどうでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 書記官をも含みます裁判官以外の職員は、だれでも、どの場合でも同じことでございますけれども、当該職員をいかに適材適所のところに当てはめていくかということが、いわば人事の要諦でございます。主任書記官の場合に、ある程度の異動がございますのは御指摘のとおりでございますが、特に簡易裁判所の場合は、もうこれは申し上げるまでもないことでございますが、五百何十カ所ございまして、率直に申しましてなかなか僻地には行っていただくことがむずかしい、僻地に長い期間とどめ置くことが非常にむずかしいということが、特に簡易裁判所の職員の人事について一番むずかしいところでございます。 そういうことで、僻地へ行った方には、ある一定の年限がたちますと帰っていただかなければいかぬというふうなことから、やむを得ずある程度の交代ということが行われるわけでございまして、そういう面でのやむを得ない面はございますけれども、ただいまも仰せになりましたように、いわば人事のための人事、昇任のための人事というようなことは避けなければいけないことは、まことにおっしゃるとおりでございまして、そういうことはよく今後も心がけるようにいたしたいというふうに考えます。
○林(百)委員 時間ですから、事物管轄を三十万を九十万にする、貨幣の価値あるいは社会的な生活環境の変遷から裁判所の方ではそういう措置をとるという方針だということは、法案の審議の過程でお聞きしているわけですけれども、そのことによって、一方では職員の仕事の量あるいは簡易裁判所の裁判官の素質あるいは簡易裁判所の物的、さらには人的な充実、こういうようなことも同時に配慮していきませんと、このことのために簡易裁判所の機能が、いまですら十分まだ庶民の信頼をかち得るだけの能力を発揮していない事態ですから、その点をぜひ十分に考慮していってもらいたい。そうでなければこういう事態は無理ではないかというように思うわけです。 ひとつ最後に、これは法務大臣にお聞きしますが、こういう法案、私たちの党はいまにわかにこれをこのまま広げることについては賛成できかねますけれども、もしこういう事態になりましても、これがために簡易裁判所の持っている駆け込み裁判所的なあるいは庶民の信頼をかち得る簡易的な司法制度としての機能が損なわれないような、人的にも物的にも十分充実されることのできるようなことを、最高裁判所とともに法務大臣もまた閣僚の一員としてぜひ御協力願いたい、その点を希望し、最後にあなたの所信を再びお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○坂田国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたとおりに、やはり最高裁の役割りを十分に果たすためには、人的、物的充実ということが必要であるというふうに思いますので、閣僚の一人として努力をいたしたいと考えております。
○林(百)委員 終わります。
○羽田野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○羽田野委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。安藤巖君。
○安藤委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております裁判所法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 第一に、今回の改正は、物価上昇などを理由に、簡易裁判所が取り扱う民事訴訟の目的の価額の上限を三十万円から九十万円に引き上げようとするものであります。 最高裁は、これによって約二万件の事件を地方裁判所から簡易裁判所の管轄に移せるとしています。これは、政府並びに最高裁が従来からとってきました簡裁を地裁の下請化させる政策の推進であり、簡易裁判所の本来の役割りを弱めるものであって、賛成できません。 戦後、新憲法のもとで制定された簡易裁判所は、その創設の理念を、少額、軽微な紛争、事件を簡易、低廉、迅速に処理解決する裁判所で、地裁もしくは戦前の区裁判所とは全く異質な裁判所としており、当時の木村司法大臣も、「司法の民衆化に貢献する」あるいは、「裁判の民主化がほんとうに実現できるかできないかということは、この」全国五、六百の簡裁の「運用いかんによっておる」と国会で説明しているのであります。ところが、自民党政府並びに最高裁は、その後一貫して、一九六四年の臨司意見書で述べられている「簡裁を区裁判所に改称し、整理統合、事務移転を推進し、民事、刑事の事物管轄を拡張すべきである」との方針のもとに、簡裁創設の理念に反して、簡裁の小型地裁化、区裁判所化を推し進めてきました。 わが党は、従来から簡易裁判所を国民の民衆裁判所、駆け込み裁判所として拡充するとの政策を掲げ、その実現のために努力してまいりましたが、今回の改正案はこれに逆行し、裁判所に対する政府、最高裁の反動的再編政策の一環であると言わざるを得ないのであります。 第二に、本改正案は、自民党政府の臨調・行革路線に追随した最高裁の反動的合理化案であるという点であります。 最高裁は、裁判の遅延を理由に、弁護人抜き裁判法の策動に見られたように強引な訴訟指揮をますます助長する一方で、裁判官、職員の増員要求に真剣に取り組んでいるとは言えません。今回の改正についての説明でも、簡裁で扱う事件数が二割以上も増加すると予測しながら、増員は考えていない、施行後の推移を見て地裁との調整を図ると強弁しています。地裁の事件数が増加したのなら、簡裁に下請させるのでなく、地裁での適切な増員を図るべきであり、簡裁や職員に犠牲を転嫁するのは本末転倒であると言わなければなりません。 これでは、簡裁本来の調停手続や窓口事務などの機能を圧迫し、ますます国民の裁判所離れを助長することになります。 一方で最高裁は、裁判所の行革は簡裁の統廃合だと公言しつつ、国民のための民衆裁判所を、扱い件数の減少を理由に、法律に違反して事実上廃止してきています。法律上の設置数五百七十五庁に対し、未開庁、事務移転庁は五十数庁に及び、さらに裁判官不在庁は百五十四庁もあり、三分の一を超す簡易裁判所は、国民が利用しようにも利用しにくい状態に置かれています。国民が利用しづらくしておいて、そのあげくに、国民の利用が少ないので統合整理をするなどという、裁判所の反動的合理化につながる本改正案に対し、わが党が賛成できないのは当然であります。 第三は、訴訟費用の問題であります。 簡裁の事物管轄が拡大されることに伴い、訴訟や調停の目的の価額が算定できないとき並びに非財産権関係の訴えについて、訴訟費用が約二・五倍の値上げとなっています。このように国民に多大な負担を強いる本改正案には賛成できません。 以上述べましたように、本改正案は、簡裁創設の理念に反し、裁判の民主化に反する改悪案であるので、わが党は反対であります。 以上で討論を終わります。
○羽田野委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○羽田野委員長 裁判所法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○羽田野委員長 次回は、明七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十分散会