法務委員会 第19号
- 発言数
- 234 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/04/27
会議録
○羽田野委員長 これより会議を開きます。 参議院提出、沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。参議院法務委員長鈴木一弘君。 ———————————— 沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ————————————
○鈴木(一)参議院議員 沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 沖縄の復帰の際、沖縄の法令による弁護士資格者等のうち、本邦の法曹資格を取得することができなかった者については、暫定措置として、復帰の日から五年間に限り、沖縄において、弁護士の事務を行うことができるという救済措置がとられました。その後昭和五十二年に、この期間が、さらに五年延長されたことは、御承知のとおりであります。したがって、この暫定措置は、本年の五月十四日限りということであります。 現在、弁護士の事務を行っている沖縄弁護士の数は、十七人であります。この沖縄弁護士は、過去十年もの長い期間、誠心誠意その事務を行ってきており、その実績は、一般に評価されています。このような事情に加えて、その生活利益の保護という観点から、この際、この沖縄弁護士に対する救済措置が図られるべきであると考え、この法律案を提出する次第であります。 この法律案は、このような考えのもとに、沖縄の復帰の月から沖縄弁護士として引き続きその事務を行っている者について、当分の間、その者が沖縄において、引き続いて行う限り、その事務を行うことができるようにするものであります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○羽田野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○羽田野委員長 本案に対しましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 沖縄の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は付録に掲載 ————◇—————
○羽田野委員長 次に、内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬委員 外国人登録法の一部改正について若干質問をいたしたいと思うのですが、この法案につきましてはもう各委員からかなり突っ込んだ質問も行われておりますので、私は、今度の改正法律案の中で問題点と思われる重要な幾つかの点についてのみ簡潔に質問をいたしたいと思うわけであります。 まず、今度の法改正をやられた基本的立場といいますか、理念というものを伺いたいと思います。
○大鷹政府委員 現在の外国人登録法は、三十年前、昭和二十七年に制定されたのでございますけれども、その三十年間にいろいろな変化がございました。その一つは、出入国する外国人が非常にふえたということであるとか、いろいろなことがございました。その間、私どもは時代の変遷に応じて外国人登録法というものを見直してきていたわけでございますけれども、その場合に、基本的には、私どもは外国人登録法の基本的な目的の達成を確保しつつ、できるだけ外国人と、それから外国人登録の実務に当たっていらっしゃる市町村の方々の負担を減らしたい、その可能性を探ってきたわけでございます。このたび、それに関しまして成案を得たので国会に改正法案の形でお諮りしている、こういうことでございます。
○広瀬委員 そこで、わが日本国憲法は世界に冠たる基本的人権の保障ということを三大理念の一つに掲げておるわけでありますが、そういう点で、また国際人権規約等においても、内外人平等の原則というようなものもうたわれておるはずであります。そういうものに一歩近づいたというお考えのもとに、今回若干の改善の部分というものを私どももこれを認め、また評価するにやぶさかではないわけであります。 しかし、これを国際的に見まして、日本国憲法のきわめて重要な理念である基本的人権の確保が、諸外国の入管の事務の及ぼす外国人の、特に欧米諸国なり外国にわが日本人が行った場合に扱われる場合と日本における外国人についての権利義務の関係というようなものが大体バランスがとれておるか、あるいはまた、そういう憲法の精神なり国際人権規約の理想にかなり近いものになってきたというようなことが、諸外国の立法例などと比較いたしまして大体どの程度にある、こういうように評価をされておるのか、この辺のところはどうなっておりますか。
○大鷹政府委員 現行の外国人登録法の規定の中には、憲法の基本的人権に関する規定あるいは人権規約の規定に抵触するものは一つもないと私どもは考えておるわけでございます。しかし、それにしても、できるだけ外国人登録法の基本目的が達成される限り不必要な負担は外国人にかけたくない、こういうことからいろいろと軽減措置というものが可能になりまして、これをお諮りしているわけでございます。 ところで、諸外国との比較でございますけれども、これは比較そのものが非常にむずかしいわけでございます。と申しますのは、各国の事情がそれぞれ違いますし、その違った事情に基づいてつくられております外国人登録制度というものも非常にまちまちでございます。したがいまして、これを単純に比較することは非常に困難で、結局わが国の国情に合った適正な外国人登録法を持つということが基本であろうと思います。その意味におきまして、私どもといたしましては、このたびの案は、先ほど申し上げましたように外国人登録法の基本目的は達成しつつも、外国人その他の負担をできるだけ軽減するという意味におきまして最善の案であると考えておるわけでございます。
○広瀬委員 最善の案であるという立場をとられておるわけであります。法案提出者としてはそのくらいの気持ちを持って出されておるのだと思うのですが、今日、皆さんから提出された資料を見ましても、「外国人登録法違反事件調査年報」、これは五十五暦年度で出ておるわけでありますが、現在でも五千七百四件違反事件があるという数字が出ておるわけです。大体どのくらい日本にいわゆるこの法律に言う外国人がおられるかという点では、総数で七十九万二千九百四十六人という数字が出ております。そういう中で違反事件として五千七百件、これはかなり多い数字だろうと思うのです。告発件数だけで五千六百五十七件ですか、それから過料事件で三千三百三十四件というような数字が出ておるわけですが、やはりこれだけ違反事件があるということは、それだけやや厳格に過ぎる面があるのではないかという見方も、もちろんほかの見方も分析のしようによっていろいろあるでしょうけれども、なかなか守りがたいことをあえて厳格に要求し過ぎているという面がこういう問題になってきているのではないか。 これはもちろん、国内における外国人に対して管理の事務を進めなければならない、不法行為やなんかを犯すようなことのないように一定の管理というものは外国人に対して必要であろうという立場をとるにしても、少し事件が多過ぎるという考えに立つわけですけれども、この違反件数がこれだけあるということについて、私はいま少し厳格過ぎる、守りにくいものを要求しているというようなことがこういうものに結びついておるのではないかなという感じがしないでもないのですが、いかがでございますか。
○大鷹政府委員 この違反件数は、昨年で五千件を越しているわけでございますけれども、これは年々減ってきております。したがいまして、外国人登録法の制度はだんだんと年を追うに従って定着してきていると考えております。現在わが国に長期在留している外国人は、広瀬委員がお挙げになりましたとおり七十九万名おるわけでございます。その中から五千件程度の違反というものは、非常に多いか少ないかという評価は非常にむずかしいところであろうと思います。いずれにいたしましても、だんだんと違反件数は減ってきているという事情を私どもは見ておるわけでございます。
○広瀬委員 違反件数が減っているということは、傾向としてこれはいいことでございますし、そういう問題が、出入国管理法なりあるいは外国人登録法等の実施によって、法的威嚇といいますか、そういうものがあるゆえに減っているのだ、こういう見方もあるいはあるかもしれないし、そうでなくて、今日、国際化時代という状況の中で、経済の発展なり、また生活の向上なりで、在留する外国人も非常に精神的に情緒的にあるいは生活的に落ちついてきているという時の流れというものもあるのだろうと思うのです。そういう点について、外国人登録制度、出入国管理制度の法的威嚇によってそういう違反事件がだんだん少なくなっていると見られるのか、あるいはそういう大きな世界的な流れ、経済的な理由、生活の安定という問題、それぞれの環境の整備という問題と、どっちにウエートがあると思われますか。
○大鷹政府委員 だんだんと違反件数は傾向としては減ってきているというわけでございますけれども、これは一つには、外国人の方で、法の威嚇というよりは、進んで外国人登録法の規定に従おうという機運が強まってきておるというふうに私どもは見ておるわけでございます。と申しますのは、たとえば携帯義務の問題でございますけれども、常時携帯していて、そして提示を求められたときに証明得を見せることによって自分が適法に在留しているということを即座に証明することができる、そういうこともございますし、さらに、そういう規制面だけではなくて、給付行政面に絡んで外国人登録制度というものはかなり活用されております。そういう認識もだんだん高まってきて、幸いなことに違反件数が減ってきている、こう私どもは思うわけでございます。 ところで、法の威嚇ということをおっしゃいましたけれども、私どもは、実は外国人登録法のこの制度によって、法の威嚇と申しますか、抑止力と申しますか、それが一番働いているのは、実は不法入国者の面じゃないかと考えております。つまり、こういうきちんとした外国人登録法制度を持っているために、不法入国者がなかなか思い切って日本に密航を企てられない、相当思いとどまっている人がいるのじゃないかと思うのであります。現に摘発件数は減ってはきていても不法入国者の数は後を絶たないので、その点、私ども依然として頭を痛めているわけでございますけれども、しかし、もしこの外国人登録法が法の威嚇的な面を持っているとしたら、まさにこの不法入国者の密航を抑える、抑止する、そういう面で働いているのじゃないかと私どもは考えておるわけでございます。
○広瀬委員 密航者があるということは、これは国際の関係において非常にまずいことではありまするけれども、そういう者に対する威嚇はあるということでありますが、ずっと長く日本に滞在しておる外国人、これはもう外国人登録法の諸規定にもかなりなじんできているだろう、こういう御説明でありましたが、私がいまちょっと問題にしたいのは、やはり日本における外国人の中で、何といいましても圧倒的にお隣の朝鮮人が多いわけであります。韓国と北とに分かれてはおりますけれども、いずれにしても朝鮮人と総括的に言われる人たちが一番多い。六十六万七千という数字も出ておるわけですね。 朝鮮半島が三十八度線で二つに分かれて、日本は韓国を、大韓民国を承認をしている、こういう事態、そしてまた、北の朝鮮民主主義人民共和国、これは一つの権威として、オーソリティーとしては認めるけれども、今日国家としての承認を与えていない、こういうところでその両方の国籍を持っている人たちがおるわけでありますが、片方は国交がある、片方は国交がない、こういうことによってかなり差別的な扱いが少なくとも結果として出ておると思うのですが、その差別の実態はどの程度にありますか。
○大鷹政府委員 韓国人と朝鮮籍の人との間の差別というのは、恐らく広瀬委員がただいま念頭に置いていらっしゃるのは、入国管理法上の点であろうと思います。それにつきましては、大きく申し上げまして二つあるだろうと思います。 一つは、強制退去事由の点でございます。御承知のとおり、韓国とは日韓地位協定を結びまして、わが国は七年以上の実刑を受けた者でない限り退去強制の対象にはしないということを約束しているわけでございます。他方におきまして、いわゆる朝鮮籍の方々は、一般的な退去強制事由の適用を受けます。これは一年以上の実刑を受けた場合ということになっているわけでございます。したがいまして、退去強制に関しまして七年と一年という差があることは事実でございます。ただし、私どもといたしましても、朝鮮半島出身者の方々が戦前からずっといろいろな経緯をたどって、そしてずっと住んでいらっしゃるという事実は、これは重く見まして、したがって朝鮮籍の方といえども、一年以上の実刑を受けたからといって直ちに強制退去にするという運用はいたしておりません。その点はできるだけ人道的に扱う、柔軟に扱うということをやっているわけでございます。これが退去強制事由に関する点でございます。 第二の点は、再入国の許可の点であろうかと思います。これに関しましては、確かに運用におきまして若干の違いがございます。この違いは主として再入国の期間の面に関するものではないかと思うのでございます。しかし、朝鮮籍の方々につきましても、現在再入国の許可の発給につきましては運用面でだんだんと緩和してきております。しかし、やはり何と申しましても朝鮮民主主義人民共和国とわが国との間に国交がない、そういう事実からどうしてもある程度の制約があることは、これは否めないと思います。 いずれにいたしましても、こういう点、強制退去事由、それから再入国許可の点、許可の発給の仕方、この辺に若干の差異があるということは事実だろうと思います。
○広瀬委員 そういう点で差別の実態というものはあるわけでありますが、強制退去事由が発生した場合においてもかなり弾力的な措置もしておられるということでありますが、特に再入国の許可を受けて外国へ出られる、その期間が三カ月程度以上にはならない、いろんな都合で外国へ行ってかなり事業をやるというようなことがあったりする場合等において、あるいはまた、健康を害して長期に入院をされるというような場合だとか、いろいろあるわけでありますから、少なくとも現状の三カ月というようなものをさらに倍の六カ月程度までとりあえず延長するというような取り扱いなどは、あなた方のお考えの中にはいまありますか。
○大鷹政府委員 再入国許可について、大体いまどういう運用をしているかということをまず御説明いたします。 再入国許可の有効期間というものは、出入国管理及び難民認定法の第二十六条に、当該許可の日から一年を超えない範囲内において定めると規定されているわけでございますが、運用としては、一般的には在留期間の残り期間の範囲内で一年までの有効期間を与えているわけでございます。しかし、わが国と国交のない北朝鮮向けの再入国については、親族訪問、墓参等のいわゆる人道ケースのほか、学術、文化、スポーツまたは経済の交流を目的とする案件について許可する方針をとっているわけでございます。親族訪問、墓参等はもともと長期の用務ではないので、一律に三カ月の有効期間で許可しておりますが、今後再び訪問する機会の少ない高齢者のような人に対しましては、希望があれば三カ月以上の有効期間を付与することを考慮しているわけでございます。 なお、ただいま広瀬委員が御指摘になりましたたとえば再入国許可を受けて渡航した先で病気になったという場合には、当然私どもとしては再入国の有効期間の延長について弾力的に考えたいと考えております。
○広瀬委員 そういう点、さらに弾力的な運用を十分考えていただきたいということを要望いたしておきます。 さて、各委員からもずいぶん今度の法案で問題になりました指紋押捺の問題でございますが、第十四条によって指紋を押捺すべき場合がそれぞれの場合に非常に多いわけであります。それを今度写真提出義務などの軽減のほかに、指紋押捺の原紙二つを一つにするというような若干の改善が行われた。また、証明書の切りかえ交付というような場合において、十四歳未満というものを十六歳未満ということに上げられた、こういう点は一つの前進ではあると私も思うのでありますが、そういう問題について一体この十六歳という——十四歳というのはアメリカの立法例の扱いなんかにもそういうものがあったということでありますが、この間、参考人のお話にもありましたように、これはもう各国からいろんな移民が行かれて、先住移民の人たちが、あいつが来たんじゃ大変だというようなことで、ある程度の嫌がらせ的な措置として生まれたような歴史的事実もあるようであります。そういうものをいままで援用されておった。 大体、義務を負わせる、そしてその義務違反に対して罰則を適用するというような問題で、十四歳なりあるいは十六歳というようなものは、日本の立法例では余り例がないんですね。一体、少年、青年、成年というが、いわゆる成人の域に達したという三十歳以上の場合、それから十八歳から三十歳までの青年といいますか、それ以下の場合には大体少年、大きく分ければこういうことだろうと思うのですけれども、少なくとも十六歳までやられるということならば、その他の日本の立法例のように十八歳ということで区切る、あるいはまた成人、二十歳まで思い切って上げていくというようなことが私は必要だったろうと思うのです。先ほど局長が言われた精神にのっとって今度の法改正をやるとするならば、そこまでいくのが私は当然ではなかったか、こういうように思うのです。 そういう点で、十六歳というのは、十四歳よりはいいけれども、考えてみれば中学一年生、二年生がその辺のところですよ。常識的に考えて、十四歳から十六歳になったというのは一歩前進ではあるけれども、しかし、中学一年生、二年生ぐらいのところで指紋押捺の義務を課したり、あるいはまた、そういう指紋を押すということが何か頭から犯罪人扱いされているのではないかというような抵抗というのは、外国人ならずとも、日本人でもそういう考えを持つのが常識です。そういうことから考えて、やはり責任の主体として扱うのならば、それに罰則を適用しようという年齢は、やはり思い切って、内外人平等の思想によって、その権利を取得する、また権利能力、意思能力、そういうものを認められて成人という段階にもなるわけでありますから、そこらあたりまでいくのが当然ではなかったか。一歩退いて十八歳ぐらいまでせめて持っていくということならば、なるほどかなりの改善であったという受けとめ方をしてもいいと思うのですが、その辺のところは皆さんも何とかそういう頭にはなられませんか、お伺いをしたいと思います。
○大鷹政府委員 従来、外国人登録法は、広瀬委員御指摘のとおり、十四歳以上を基準として、本人の出頭義務であるとか写真の提出義務、登録証明書の常時携帯、提示義務、あるいは指紋押捺義務等各種の義務を課すこととしていたのでございますけれども、このたびの改正案で、私どもはこの年齢を十六歳以上と改めることにしたわけでございます。 なぜこの十六歳としたかということでございますが、これは在留外国人の大半がわが国の小中学校教育またはそれに相当する教育を受けているという状況等を考慮して、独立して社会生活を営む可能性の少ない十六歳未満の者については、いま申し上げましたいろいろな種類の義務を免除することとしたわけでございます。しかし、十六歳に達した場合には、就職した場合はもちろん、高等学校またはそれに相当する学校に進学した場合でございましても、独立して社会活動を営む範囲が広くなり、ある程度独立した社会生活を営む可能性は十四歳未満の者の場合と比べてはるかに大きくなるので、十六歳以上についてまで各種義務年齢を引き上げることは適当ではないと考えたわけでございます。 なお、ちなみに国際連合の専用機関でございますICAOの国際民間航空条約第九附属書修正第八版、一九八〇年七月修正は、旅券制度に関しまして、十六歳未満の者については父母の旅券に併記すべきことを勧告しております。この勧告は、国際社会においても独立して行動すると見られる年齢を十六歳とする考え方が一般であることを示しているわけでございます。 なお、国内法で十六歳を年齢の基準とするものは余りないのではないかというお話でございましたけれども、私どもが調べましたところでは、いますぐ思いつくものだけでも、たとえば労働基準法で交代制による深夜業というものは十六歳以上は許されるとか、あるいは二輪バイクの免許、それから民法上、女子の場合には十六歳以上婚姻が認められる、こういういろいろな参考規定もあるわけでございます。
○広瀬委員 私も十六歳未満というような、そういう年齢が出てくる法律をちょっと調べてみたのですが、十五歳未満なんというのもあるのですね。十四歳米満というのもある。十三歳未満というのもある。十二歳未満というのもある。これはそういう年少者の使用について行政官庁の許可を受ける義務、これは使用する側に義務が課せられる場合ですが、十二歳なんという例もあります。それから保護者の就学義務というのは、十三歳未満という法律上の年齢が出てきます。それから十四歳という場合は、毒薬または劇薬の交付の禁止というようなことで、これもやはり薬屋さんに課せられる。あなたは幾つですかと聞いてやるというような場合に、十四歳というのが出てくる。十五歳未満というのは、労働基準法関係では労働者としてそういう者を使う者に対する義務、大体そういうところで十五歳というものが一つの境になっているということなんです。それから、十六歳未満というのがずばり出てくるのは、保護者の予防接種を受けさせる義務、こういうところで十六歳まではということになっている。あとは大体いろいろなところで、労働基準法上の場合でも十八歳というのが圧倒的に多いわけですね。それから、法令上の禁止、制限に関する規定の中では、十八歳というのがやはりほとんどの法律の中では圧倒的に多い。 それから、免許、資格、能力等を付与する年齢というところでは、自衛隊の採用年齢、これは昔の幼年学校みたいなところに入れるなんという場合のあれが十五歳。これは少年の時代から軍人として鍛えようということです。海員学校入学の資格だとか、そういうようなもので十五歳以上というのがあります。それから十七歳というのも、船舶職員の受験資格なんというものがあります。しかし、免許、資格、能力等を付与する年齢なんというのも、大体十八歳のところにずっとたくさん並んでおります。二十歳からのものも相当あるわけですけれども、十六歳未満という場合は、運転免許の欠格事由、二輪、軽、小型特殊、原付というようなのがあります。それから騎手試験の受験資格の制限、それから競輪の選手の欠格事由として十六歳未満というのがあります。それから参考人の宣誓等の不適格という点で十六歳未満というのがありますが、立法例としては、やはりいろいろな場合に十八歳というのが少なくとも常識的には、しかもその義務違反に対して罰則を適用するというような場合には、せめて高校を卒業する年齢の十八歳、われわれは基本的には成人に達してからそうすべきである、こういう考えを持つのですが、一歩譲っても、やはり十八歳ぐらいまで引き上げるのが当然ではなかったかということを考えざるを得ないのですが、ここら辺のところは、大臣、どうですか。 少年法改正はいかにあるべきかというようなことで、これからの問題で議論しているところでも、やはり成人に達するまでは少年であるということは法務省でも決めておるようですね、少年法の対象として。それで、十六歳未満は少年であるということで、それ以上は青年——年少青年とか年長青年とかいうような、区別をしているようでありますが、その年長青年ぐらいになって、そして二十歳を迎えて成人になる、そういうようなことで区分もいたしておるようですけれども、そういう点でせめて十八歳くらい、少なくともいまの高校を卒業する年齢くらいまで引き上げてよろしいのじゃないか。なるほどいろいろな意味で、最近年少者の非行というような問題で、年齢がだんだん下がっているというようなことなんかもありますけれども、そういう立場をとるならば、やはり犯罪人対策、治安対策というようなことになるのであって、そういう点では十八歳としてもちっとも差し支えないのじゃないか、こういうように思うのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○大鷹政府委員 ただいまいろいろ国内法についてお話があったわけでございますけれども、私ども、外国人を登録法では対象にしているわけで、その外国人の入国のときのいろいろな状況について御説明いたします。 なぜいま十六歳にしたかということにも関連してくるわけでございますけれども、外国人が入国する場合に、十六歳以上になりますと単独で入ってきている人が多いわけです。したがいまして、そういう人は登録法の対象として把握する必要がある。さらにもう一つ、私どもが注目しておりますのは不法入国者でございますが、不法入国者について十六歳以上の数というものはかなり多いわけでございます。数字を挙げて説明させていただきますと、昭和五十三年、五十四年、五十五年、この三年間の不法入国者は全部で二千六名でございますけれども、そのうちいわゆる二十歳以下の者が三百八十二名おります。その三百八十二名のうち十六歳以上の者が二百九十六名でございます。こういうことで、十六歳というものが非常に重要な分かれ目であるというふうに私ども考えております。 なお、先ほど国際民間航空条約について申し上げましたけれども、外国の例を一、二挙げさせていただきますと、たとえば英、仏におきましては、登録であるとか滞在許可、こういうものを申請する義務を十六歳以上の者に課している、そういう事例もあるわけでございます。
○広瀬委員 いま大臣に答弁を求めたのですが、大臣お答えにならなくて、局長が答弁されたわけですが、登録証明書の常時携帯義務、これが今度は十六歳以上になって二十万円。いままでは懲役、禁錮等があったわけですが、これがなくなった。消した。これは確かに前進であることに間違いない、その点は認めるのですけれども、常時携帯義務というものが、朝鮮総連の皆さんの資料を見ますと、外国人登録法が二十七年にできてから今日まで、罰金を取られておる数が四十九万にも及ぶ。これは大変な数だと思うのです、ほとんど朝鮮人。いままでは十四歳以上であったわけですから、十四歳以上の人たちは皆一遍くらいは罰金を納めている、こういう勘定になるのではないかと思うのです。これを今度は懲役、禁錮はなくしたけれども、二十万円。二十万円という金は、額にすれば公務員の平均基本給ですか、大体月収二十万ですね。それが十六歳くらいで、日本流に言えば中学生の段階です。朝鮮人学校等でも同じようなことだろうと思うのですけれども、十六歳あるいは十七歳で二十万の罰金を不携帯ということによって科せられるということを考えれば、いかにも重いと思わざるを得ないのです。 この種のものは、外国人管理のためにいろいろ必要性はあるだろうけれども、これを罰金で対処するということでなくして、過料のような形にしていいのではないか。私どもは過料ということに罰の性格を変えたらどうか、こういうように思うのですが、それというのも罰金と過料の扱いというのはいろいろな意味で違うわけですし、執行猶予の問題なんかの関連もあるし、あるいは罰金ということになれば戸籍の中にも載るし、あるいはまたいろいろ資格制限等において罰金以上の刑に処せられた者ということが援用されている、そういうようなことでこれは大変な負担になる。それだけに取り締まり当局というか法務省としては、そういう法の抑止力と局長は言われたけれども、それを超えた一つの強制的な義務を余りにも厳しく課し過ぎるのではないか。少なくともこの点について、もっとこれを緩和するなり、そういうように罰金から過料に改めるなり、そして常時携帯義務の制限というようなものを、たとえばその居住地から外に出る場合にのみ適用するとか、そういうようなことは考えられませんか、その点をひとつ伺いたいと思います。これは大臣からひとつ答えてください。
○坂田国務大臣 これはやはり在留外国人に対して登録証明書を常時携帯させるという目的そのものが、在留外国人の公正な管理を行う上におきまして、その外国人の居住あるいは身分、そういうものを即時かつ的確に把握する必要から出たものでございまして、私は、これは存続しなければならないというふうに思います。しかしながら、この義務違反に対しましては、今回はかなり緩和したような状況でございまして、この限度が現段階としては適当ではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
○広瀬委員 将来にわたってもそういうことは考えられませんか。私がたとえばの話をしたのですが。
○坂田国務大臣 現段階といたしましてはこれをベストだと考えておるわけでございまして、そういうふうにお答えを申し上げたいと思います。
○広瀬委員 余りいい返事でないので納得いたしませんけれども……。 また、指紋の押捺、これも各委員からずいぶん指摘されたわけでありますから、くどくど申しませんけれども、指紋の押捺等も、これは永久不変である、万人不同である、こういう大原則があるわけですから、最初の新規登録のときにそれをやっておけば、ずっと台帳には残っているわけですし、それ以上は必要ないのじゃないか、それを残しておけばいい、こういうことになるんじゃないでしょうか。そういう点で、各段階で、引きかえのときも切りかえのときも再交付のときもみんな、新規登録はもちろんですけれども、指紋押捺させるという問題は、最初の登録のときにやればもうそれでこれは目的を達するのじゃないでしょうか。それをそういう各段階においてやるということはどうかと思うのですけれども、いかがですか。
○大鷹政府委員 指紋は生涯不変だから、一回押せばいいじゃないかという御意見でございますけれども、まず、指紋は登録証明書に押してもらわなければなりません。登録証明書は従来三年ごとに切りかえておりましたけれども、今後は五年ごとになります。この五年ごとに切りかえられた証明書に指紋を押してもらうのは、登録証明書の名義人と申しますか、証明書に表示されている人が所持人と同一人物であるということを最終的に確認するためでございます。 それから、同時にそのときに登録原票にも一緒に押していただくわけです。これは、この登録証明書の所持者とそれから登録原票に登録されている外国人とは同一人物であるということを、これまた最終的に確認するためでございます。 なお、そのほかに法務省で原紙を保管しておりますけれども、これは全国的な照会にこたえられるようにやっておるわけでございます。この登録原票にも同時に押してもらうわけでございます。登録証明書に押捺するとき一緒に押してもらうわけでございますけれども、それは、その年月の変わりとともに確認切りかえのたびごとに人が入れかわらないかということを確かめるため、もし仮に万一入れかわりがあった場合には、いつどの段階であったかということがわかるようにするためでございます。 こういうことで、登録証明書、それから原票、それから指紋原紙、この三つには確認申請のたびごとに押してもらわなければならない、こういうことになるわけです。 しかし、他方におきまして、私どもといたしましてはできるだけこの指紋押捺の個数と申しますか回数、これは減らしたいと考えております。そこで、確認申請の義務年齢を今度十四歳から十六歳に引き上げました。それから、確認申請期間も三年から五年に延ばします。さらに、従来は指紋原紙二つに指紋を押してもらっていたのですけれども、これは都道府県の保管している写票が廃止されたということもあって、一枚に減らします。したがって、従来は四枚、確認のたびごと押していたのですけれども、これが三枚になります。そこで、こういう前提に立って、外国人の方が七十歳まで生きられると考えて、その間に指紋の押捺個数というものはどういう減り方になるだろうかということを調べたところ……(広瀬委員「それはこの間聞きました」と呼ぶ)これが半分以下に減るということでございます。
○広瀬委員 これから議運の理事会に出なければならないものですから、向こうを待たしてあるもので、これで終わりますけれども、外国人の皆さんからいろいろ、これは当初申し述べられたそういう立場でやるのならばもっともっと改善の余地がある、もっと人権を尊重してもらいたいという気持ちが非常に強いものだけに、いろいろな問題までだんだんに各委員から指摘された問題について謙虚に耳を傾けて、さらにひとつ改善の努力をしていただきたいことを最後に申し上げて、一応終わりたいと思います。
○羽田野委員長 河上民雄君。
○河上委員 いま同僚の広瀬委員から御質問がございました外国人登録法改正法案につきまして質問いたしたいと思いますが、もうすでに多くの方からお話がございましたので若干重複する点もあろうかと思いますけれども、今回の改正によって若干の前進が見られたことは事実かと思いますけれども、しかし、残念ながら本質的な点は余り変わっていないということを指摘せざるを得ないと思っております。 まず、その登録に際しましては指紋押捺が求められること、それから常時携帯の義務、そのいずれも背いたり怠ったりした場合に大変厳しい罰則がある。いま大鷹局長がお話しになりましたが、年間五千件を超える違反件数、こういうことでございますが、これは一日にしますと大体十四件ぐらいになるのですね。ともかく日本の全人口の一%にも満たない人を対象とするものとしては、これはやはり何といっても異常に多い違反件数ということになるのじゃないかと思うのでありまして、そうした厳しい罰則が待っておる、こういうことは一日も早く改善すべきではないかというふうに基本的に考えておるわけでございます。 今回の外国人登録法改正に当たりまして、またそれ以前から折に触れて伺っておりますと、たとえば常時携帯の義務、ちょっと銭湯へ行くなんていって、いま銭湯へ行くときに一々そんな大事なものを持っていくかどうか、持っていかないケースもあるわけですが、たまたまちょっと呼びとめられて若干言葉がおかしかったりすると、すぐ調べられる。これもやはり違反件数の中に入っちゃうわけですね。入りますと、これが前科何犯ということになるわけです。交通取り締まりなどをやっておるときに運転免許証を求められる、名前を見てすぐ外国人登録証を求められる、たまたま持ってなければ、日本人ならばただ免許証を持ってなかっただけで済みますものが、ここで重大な犯罪になってしまうというようなことがよくあるように聞いておるのでございまして、これは国際人権規約を批准したわが国としては一日も早く改善すべきではないか、こんなふうに思うのでありまして、そういう立場から御質問をしたいと思うのであります。 いま委員長の許可をいただいて、私は一つの観光ポスターを持ってまいりましたけれども、大臣、よく見てもらいたいと思うのです。これは私の選挙区の神戸市のポスターでございますが、何枚もありますから、大鷹さんにもよく見てもらいたい。これは委員長にもちょっとお見せします。それを委員の方にも見えるようにちょっと見せていただきたいのですけれども、いずれもこう書いてあります。「私も、神戸っ子。」というのです。それぞれ全部モデルは外人です。いわゆる外国人です。子供は子供なりに、年長者も、私が持っているポスターのこの方はスウェーデン生まれですけれども、二歳から神戸にずっと住んでいる人でありまして、自分が神戸っ子であるということを誇りにしているわけですね。 これは神戸だけが特に外人が多いのかというと、必ずしもそうではございませんで、東京の方が外国人の人口比率が高いというふうに聞いておりますし、恐らく大阪なんかも私はそうではないかと思うのです。大阪で生まれ育った外国人は、私は浪速っ子という自覚を持っておりますし、またそういう生活をしているのじゃないかと思うのでありますが、大臣、神戸ではポートピアもありまして、千六百万人の人が集まりました。そこには外国人を含めた住民共同体、ちょっとむずかしく言えばそういうようなものが現実にあるわけです。神戸の場合は特に開放的な都市だということでこういうことがあるわけですが、これからの日本が世界の中で生きていくためには、こういう一面をやはり伸ばしていかなければいかぬのじゃないか、できるならばそういうことを法体系の中にも反映させていくべきではないかというふうに私は考えるのですが、法務大臣、いかがお考えですか。
○坂田国務大臣 ほかの委員の方にもお答えしたのでございますけれども、確かに、昭和二十七年にこの登録法ができまして以来、その当時と今日とでは非常に時代的な変化、そしてまた外国人の数も非常に多い、たとえばミッテランさんみたいな方が日本に来られる、そういうことでございまして、それがもうあたりまえみたいになってきた。それは恐らく昭和三十七、八年では考えられないことだと思うのです。 それからまた、日本人が考える以上に、外国人が日本人の今日の生活、治安あるいは犯罪率が少ない、あるいは美しい国だ、四季の変化がある、そしてまた日本人は平和を愛好する国民である、非常にやさしい一面もある、人間性豊かなんだ、こういう一面をだんだん認識されてこられた。だから、やはり日本を訪れられる方が多い。あるいは外国人でも、私の知った人たちでも、帰化したいとかあるいは定住許可をもらいたいとかいうことが非常に多くなってきておる。これに対して、やはり日本が独立国としてこれほど経済的に成長し、しかも国際的にも認識をされてきておるという段階におきましては、やはり国際社会における一員として恥ずかしくないような責任を持った国につくり上げていかなければならぬ。国民自身も外国人を迎えるにはそういうような気持ちで当たらなければならない。したがって、それに応じた制度の改正が進められるということは、河上委員御指摘のとおりだというふうに思うわけでございます。 しかしながら、この登録法それ自体が、御承知のように、健全な、本当に外国人として日本の国において迷惑をかけない、そして住みよいようにしたいと思っておられる人たちが大部分であるにもかかわらず、不法入国あるいは不法な犯罪等もこれまた消えないわけでございまして、むしろ増加傾向にあるということからいたしますると、やはりこういうような携帯義務とか、常時携帯しなければならぬとか、それにもし違反した場合には罰則を設けるとか、あるいはまたいろいろ指紋押捺ということをやらぬでいいじゃないかというふうにもちょっと考えられるわけでございますけれども、むしろ私は、そういう一般的な、健全な日本の社会に溶け込みたいというお考えの人たちを守るためにこそ不法な者があってはならないわけなんで、それに対する一つの担保だというふうに考えなければいけないので、これはそれとこれとの均衡でだんだん改善が進められている。一気に理想的な法制というものにはたどりつかないんじゃないか、お互いの努力はそういうふうに進むべきものであるというふうに思います。しかし、全般的な先生の御指摘というものは私たちもそのとおりに考えておるわけでございます。
○河上委員 いま大臣からそうした問題があるという御認識だけは伺うことができたわけでありますけれども、私は、もちろん外国人であります以上、国籍という問題がなくならない限り、外国人と日本国籍所有者の間に落手の違いがあるということは、これはある意味でやむを得ない。国籍というものの解決が済むまでは、そういうことはどうしても伴うであろうという気はいたすのでありますが、しかし同時に、一方でこのポスターが示していますように、やはり外国人を含めた、特に長期滞在者の外国人を含めた住民共同体、一つの社会をつくっておる、市民社会をつくっておる、こういう現実もあるわけでして、これを無視した法体系というのは国際的に開かれた社会ではない。極端なことを言えば、徳川時代の社会を一方に描きますと、それから余り遠くないんじゃないかという気がするわけです。 よく私どもが在日外国人の方とお話ししていて一つの矛盾だなと思うのは、よく納税は国民の義務だ、こういうふうに言うのですけれども、国民でない在日外国人も税金はちゃんと払っているのですね。別に安くなっているわけでも何でもない。全部ちゃんと払っておるのです。そうすると、それに伴って義務には当然権利もあるわけですから、それじゃ、その国の政治を決める、あるいは地方自治体の行政を決めるための選挙権は付与されているかというと、これは全く付与されていない。しかし、この点につきましては、日本人が外国へ参りまして働いた場合にも、やはり同様に税金は払うが、選挙権はない。だからこそ二重課税を防止する条約なんというものが必要になるわけでしょうけれども、そういう点はあるわけです。 しかし同時に、私どもが昭和五十四年に批准いたしました国際人権規約では、まさに内外人の差別を禁じているわけですね。この間どこに線を引くかということについて、やはり私は、昭和二十七年当時とは違った、つまり批准以前とは違った感覚というものがないといかぬのじゃないかというふうに私は思うのであります。その兼ね合いをどうするか。特に今度は改正案を出されるに当たりまして、国際人権規約批准に伴って国内法をどう調整するかということについて、そういう観点から今度の改正案を一体出されたのか、また具体的にその点からこの点を直そうと考えたのか、その点を私はぜひ伺いたいと思うのであります。その点いかがでございますか。
○大鷹政府委員 私どもは、外国人登録法は国際人権規約のどの規定にも抵触する部分はない、こう考えております。したがいまして、今度の外国人登録法の改正法案というものは、人権規約に合うために改めたとか、そういう性質のものではないわけでございます。 しかしながら、私どもといたしましては、一般的な背景にある情勢として、わが国も七八年に人権規約に署名して、それが七九年に発効した、そういう事実があったということは十分認識しております。今度私どもが改正法案で盛り込みましたのは、外国人登録法の基本目的が達成される限りはできるだけ外国人の負担を軽減したい、そういう趣旨からでございます。これは必ずしも人権規約とは関係はございません。私どもといたしましては、目的が達成される限り不必要な負担はかけるべきではないということから、できるだけ外国人の負担を減らす可能性を模索したというわけでございます。 その結果、今度御審議をいただいております改正法案の中に、指紋押捺、それから登録証の常時携帯、こういう基本的な制度は変えられませんけれども、少なくとも、たとえば指紋について言えば押捺回数を減らすとか、常時携帯について言えば義務年齢を引き上げるとか、そういうできる限りの軽減措置はとったわけでございます。
○河上委員 いま法務省のお考えでは、国際人権規約と抵触するところはないという前提で、しかし、事務の簡素化とかあるいは対象者になられる方々の負担を軽減する、こういう立場で今度の改正案を出した、こういうお話でございます。 大臣、いかがでございますか。先ほどの兼ね合いですね。国際人権規約の批准に伴って確かに国内法を福祉の関係とかそういうのをずいぶん改正しているわけです。これは過去においては抵触していたという前提で変えたのだと思うのですが、そうなりますと、福祉を受ける権利という点では、内外人の差別はやはりよくないのだということで改正したと思うのですね。 もう一つ考えなければならないのは、内外人の差別をしてはならない、戒めなければならないのは人間として扱うという側面だと私は思うのです。とかく従来は、これは明治以来のというのですか、徳川時代以来といった方がいいかもしれませんが、外国人というものは、要するに敵国人である、うろんくさいやつだという考え方で見てきたと思うのでありますけれども、それが果たして今度の外登法で完全に払拭されているかどうかといいますと、指紋の押捺の点あるいは常時携帯義務の点、どれをとりましても、先ほどそこは変えることはできないとおっしゃいましたけれども、これは非常に問題な、抵触する点ではないかと思うのであります。 大臣、国際人権規約のB規約の方の第七条にこんなふうにあります。「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。」これは正式の訳でございますが、「品位を傷つける取扱い」というのに指紋押捺は当たらないとお脅えなのかどうか。私は、これは英語の文章を見ましたら、この部分はディグレーディングトリートメントとなっているのです。これは大鷹さんは英語の大家だからよくおわかりだと思うのですけれども、まさに指紋押捺の瞬間というのはディグレーディングじゃないかと思うのですね。ディグレーディングという言葉はどういう意味内容を持っているかということをもし英語の時間に生徒に教えるとしたら、指紋押捺をした瞬間であるというふうに説明したら一番よくわかるのじゃないかと思うのですね。 私の友人の中には、アメリカへ留学した人がかなりおります。これは時期によって若干違うのですけれども、十指を押さなければならなかった人もありますし、一指だけだった方もありますけれども、ひとしく言うことは、生まれて初めて自分の人格を傷つけられたという痛切な思いがしたという。もちろん、行ってしまった後は常時携帯の義務などはなかったので、その点はあれですけれども、あれは一生涯忘れられないということをみんなひとしく言っております。 大臣は、指紋押捺を強制されたこと、おありですか。
○坂田国務大臣 強制されたことはありませんけれども、何か押してくれと言われて押したことはあります。 これの問題は、いま大鷹局長から御答弁申し上げましたように、何も国際人権規約に加入したからどうだという直接的な改正というふうにはわれわれは考えてない。しかもまた、現行法におきましても著しくこの人権規約に違反をしておるということはないのだということをお答え申し上げたわけなんですが、私は、こういうような法制というものは、法律そのものと、それからその法制に基づいてそれをどういうふうに運用していくかという過程においてずいぶん違ってくると思うのです。でございますから、私は一概に言えないと思います。 私も諸外国の外登法の法制をつまびらかにいたしませんけれども、この前からの御審議を通じて答弁なりまた御質問なりを聞いておりまして、アメリカのような成熟した民主主義社会においても押捺の制度があるということ、これも必ずしも人権に違反しているというふうには私は思わないわけなんです。事情はいろいろと違うと思います。あるいは州によってはそういうことをしてないところもあるかもしれません。それからまた、イギリスでは私は最初は押捺義務があるのだと思っておりましたら、稲葉先生の御指摘によると、大体サインが主体であって、しかしながらそれがどうしても得られないか何かの事情のときには押捺の義務をつける、こういうことでございますから、必ずしもこの一つだけを取り上げて、これは人道上違反をしておるというふうには言えないのじゃないか。 ただ、日本におきましては、戦前において治安維持法その他におきまして相当人権を侵された人たちが現におられるわけです。あるいはその思い出といいますか、あるいはつらさといいますか、人権無視のことが即これにつながっているというふうに見なくちゃいけない。しかし、新しい日本、近代化した日本、人権を国際的に守っていかなければならない日本、特に日本人はこのようにたくさんの外国人とともに生活する機会が非常に多くなった今日におきまして、やはりこの問題は念頭に置きながら法制の改善策を常に日に新たに口に新たに考えていくということは、私はもう御指摘のとおりだと思いますが、現段階におきましては、われわれは精いっぱいの努力をした、一歩前進である、こういうふうに御理解を賜りたい、かように考えておる次第でございます。
○河上委員 大臣はもう御存じだと思いますし、大鷹さんは特に専門的に御存じと思うのですけれども、日本の外登法が昭和二十七年ですか、できますまでのいろいろな経過を考えますときに、アメリカの制度というのはかなり大きな影響を与えておると思うのです、占領下のときから淵源があるわけですから。ところが、アメリカの制度というのは一九四〇年にできた法律が前提になっておるわけでして、それ以前は、アメリカもともかく移民が来て国ができる、国民が形成されるのが前提ですから、パスポートさえないような時代もあったわけで、やはり第二次世界大戦のあの異常な雰囲気の中で、日系市民さえキャンプへ送り込むというような、いま大変アメリカでも大きな反省の材料になっていますが、そういう雰囲気の中でできた一九四〇年法を下敷きにして、ちょうど戦後、在日朝鮮、韓国人あるいは台湾出身者の地位が非常に不安定なときにそれを土台にして外登法をつくったという経緯があるわけですから、私はそろそろその辺の感覚は変えていかなければいかぬと思うのです。 大臣は日々に新たに、こう言われましたけれども、その感覚でやっていただくことが必要ではないかと私は思うのであります。もちろん法務省としては、何もアメリカのをまねたんじゃない、こうおっしゃるに違いないんで、そのことを一々聞いても始まりませんけれども、やはり客観的に見たら、そういう影響はかなりあるわけであります。 そこで、指紋という問題は大変大きな問題でして、アメリカがやっているからいいというわけじゃなく、世界全体の進歩発展の経緯の中では、むしろ指紋の押捺を要求するというのは世界では少数派になりつつあるわけだし、少なくとも日本はやめていく先頭に立つべき責任がある、こう私は思うのです。 大臣は、指紋押捺を求められたことはおありだということですけれども、何のかんの言っても、指紋押捺の歴史というのは犯罪捜査の一つの新しい手段として開発されたことは事実なんです。私もこの指紋に関する本を国会図書館で数冊借りてさましたら、全部そういうことでありまして、外国人登録法のためにこういうものを開発したということは全くないわけでして、したがって、ある種の屈辱感というものを伴うのは当然であろうと私は思うのです。 ところが、その本で初めて知ったんですけれども、囚人を扱う監獄法などを見ますと、犯罪者だからといって必ずしも指紋押捺しなければならない義務はないんですね。むしろこれは、監獄所長が必要であると認めるとき指紋を採取することができる、こうなっている。断ったからといってこれに処罰を加える規定はない、こうなっているんですね。そうなりますと、外国人登録法の規定というのは、指紋押捺に関してはどうも囚人以上に厳しい制約を加えているということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○大鷹政府委員 外国人登録法で指紋押捺義務を定めているのは、外国人登録法の目的からいってどうしても必要であるということからでございます。これは具体的に申しますならば、不法入国者、不法残留者、こういう者の防止、摘発ということのためでございます。 従来、戦後の二十七年、初めて外国人登録法ができましたときには、登録証の偽造、変造、不正行使、こういうものがもう数万件もございました。そこで、何とかこれを防ぐ方法はないかということで、指紋の押捺制度が導入されたわけでございます。その結果、この偽造、変造等の不正行使、不正利用というものは激減しているわけでございます。 私どもが調査いたしましたところでは、最近偽造、変造の登録証明書を持っている不法入国者、これを当たってみましたところ、指紋押捺制度が導入された後の偽造登録証明書を持っているケースというのは非常にわずかで、しかもそのわずかなケースというのはすべて子供用の、つまり指紋押捺、写真貼付が必要でない子供用の登録証明書であった。すべて発見されたのは指紋押捺制度が導入される前のものであったということがわかっております。 そういうわけで、私どもといたしましては、不法入国、不法残留を摘発するだけじゃなくて、この制度があることによってこれが抑止力として、多数の不法入国者、不法残留者を思いとどまらせている、そういう面があるのではないかと考えているわけでございます。
○河上委員 大臣、いまの局長の御答弁をお聞きになっておられたと思うのですけれども、確かにそういうふうに効果があったとおっしゃることは、あるいは事実かもしれません。しかし、事人権に関しては、こっちの手段の方が効果があるからということでそれをジャスティファイすることはできないんでして、あくまでも人権は人権、人間の尊厳を傷つけないか傷つけるかということで制度の採否を決めるべきではないかと私は思うのです。 確かに効果があった。それはもっと徹底してやればもっと効果があるかもしれませんけれども、しかし、それは人権を守る立場上許されないことである。許されないとすれば、効果の点で多少劣っておっても人権を守る立場から別な手段をとるべきだ、そういうのが私は人権の擁護ではないか、こんなふうに思うのでありまして、いまの局長の御答弁は、その点ちょっと問題の置き方が違うんではないかというふうに私は思うのですが、大臣、犯罪者、すでに犯罪を犯した囚人についてさえ指紋押捺を拒否する自由を認めておるのに、外国人の場合、犯罪を犯していないのに指紋押捺を拒否すると、従わなければ裁判になる、こういうあり方は矛盾を感じられませんか。
○坂田国務大臣 その問題についてはちょっとこちらから答えてもらいたいと思うのですけれども、私は河上委員の御質問を聞いておりまして、何か私自身がちょっと理解できない点も実はあるわけなんですね。というのは、確かにこれはそこまでしなくたっていいんじゃないかということであるわけですけれども、しかし、今度は善良な、公正に行動しておる、日本の社会に溶け込んでそしてやっておる人たちが、自分が公正であるということを証明する手段でもあるわけですね。それは手続上はおっくうなことかもしれないけれども、その人権を主張できる基本になるわけなんです。それが、先ほど局長から答弁しましたように、偽造、変造、そういうようなものが万に一つある、そういうことはやはり許されない。諸外国において、われわれが行ってもそういうことは許されないわけなんで、その場合にたとえば旅券を出すということ、身分あるいは自分はどこへ泊まっておるというようなことがわかるということによって、身の潔白といいますか、それを正々堂々と主張できる、そういう制度が確立しておることこそ、あるいは人権を守ることにもなるんじゃないかという物の考え方も二面においてあるんじゃないか、これはひとつ御理解を賜りたいというふうに私は思います。
○大鷹政府委員 この指紋押捺制度は、わが国の外国人を公正に管理するという制度のために必要なものでございます。つまり、外国人の公正な管理の必要から来ていることでございまして、したがって、その範囲内で指紋の押捺を求めても、これは国際人権規約で言う、先生が先ほどお挙げになりましたいわゆるディグレーディングトリートメント、品位を傷つける処遇にはならない、こう解釈しているわけでございます。
○河上委員 囚人は拒否しても罰せられないが、外国人の場合は指紋押捺を拒否したら罰せられる、この点はどうですか。
○當別當説明員 ただいま御質問の点についてお答え申し上げます。 現在の監獄法施行規則の第二十条によりますと、刑務所長は必要ありと認めるときは入監者の指紋の採取をなすべしという規定になっておるわけでございまして、この規定から見て、直接的な拒否ということは、特別権力関係の中にあります刑務所長、直接には保安担当の職員ということになるわけでございますが、それと入監者という点につきましては、指紋の押捺拒否ということは実力的な拒否以外は考えられないわけでございます。
○河上委員 罰則があるかどうか。
○當別當説明員 いまの規定についての履行を担保するための罰則規定はございません。
○河上委員 そうすると、いまのは実力的にそういうことはあり得ないということで、それでも実力的に拒否する場合もあり得ると思うのですけれども、まあ無理にやってしまうということですか。ちょっといまのは、やはり答えはペンディングのままだと私は思うので、何もそういう罰則を設けろ、こう言っているわけじゃないのですが、これは法体系上バランスを欠いていると言わざるを得ないと思うのです。 もう時間がありませんから話を次に移しますが、いまのやりとりで大臣も、外登法に規定した指紋押捺というのはかなり厳しいものであるということだけは十分御理解いただけたと思うのでして、もしこれが内外人平等ということで、日本国籍の人にもこういうことが課せられるような事態というのは、まことに暗たんたる社会であると言わざるを得ないわけです。ですから、われわれは、こういうことは一日も早く撤回すべきである。大臣がさっき言われましたように日進月歩ですから、やはりそれに対応する努力というものを将来、これは政府だけではない、国民一体となってやるべきことじゃないかと私は思うのであります。 外登法による指紋押捺の原票というのですか、こういう指紋の記録は、犯罪捜査には用いられる心配はありませんか。
○大鷹政府委員 外登法上押捺してもらった指紋は、犯罪捜査には利用されておりません。
○河上委員 そうしますと、不審尋問のときに外登証所持、それが外登証所持者の本人であるかどかを確認するためには、いろいろ見たりするわけですね。しかし、外登法違反以外の犯罪捜査には指紋を用いた例はないというふうに考えてよろしいわけですか。
○大鷹政府委員 外国人賢録法上の指紋押捺というのは、身分の確認ということに使われているわけでございまして、いわゆる犯罪捜査に利用されていることはございません。
○河上委員 それでは、警察庁にお伺いいたしますけれども、金大中事件のときに、金東雲氏が犯行実行部隊の一員であるということを明らかにされましたときに、あのホテルの一室に残っておった指紋が決め手であったという報告を議会でされたのですけれども、その照合すべき指紋というのは、一体何を利用されたのですか。
○吉野説明員 私どもで現場で採取した指紋を、その他の資料と合わせまして恐らく金東雲氏のものであろうということで、正式に法務省の方に照会して確認していただいたということでございます。これは先ほど法務省でお答えになっている趣旨の犯罪捜査に利用したということではないと考えております。
○河上委員 金東雲氏は当時外交官でございましたから、日本に入ってきたときに指紋を押す必要は全くないはずでございますね。まさか韓国大使館へ行って指紋を全部採取して、その中から同じものがあったからという、そんなことは逆な意味で主権侵害になりますから、できませんね。まさか韓国政府から指紋を取り寄せたということは考えられませんね。恐らく金東雲氏が新聞記者として入国したときに採取した指紋を利用したのではないかという疑いがあるわけですけれども、その点はいかがですか。
○吉野説明員 突然のお尋ねでございますので、私も記憶は不確かでございますので、いまここではっきりしたことは申しかねるわけでございます。
○河上委員 しかし、いまのお答えはわれわれは大変不可解でございまして、金大中問題はここ数年国会であらゆる委員会でやっておりまして、そのたびごとに警察庁警備局長は、犯行が行われたと言われるホテルの一室に残された指紋が決め手で金東雲という方の名前を確定したというふうに報告をされておるのです。いかにそこに指紋が残っていようが、もう一つ照合すべきものがなければできないはずでございますね。そのことは、三井さんが警備局長や何かやっておられるころから、再三法務委員会、予算委員会、外務委員会等々で繰り返し言われたことでございまして、ちょっとその辺、これから調べさせてくれというのは大変おかしな話であるし、ある意味では議会に対する冒涜だと私は思うのでございますけれども、いかがでございますか。
○吉野説明員 金東雲の指紋から犯人を割り出したということは私も重々承知しておりますが、いかにして照合したかということにつきましては、何分私も不勉強でございまして、いま直ちにここで正確なことを申せとおっしゃられても、何分手元に用意がございませんので、御猶予を願いたいと思います。
○河上委員 御猶予願いたいというお話でございますから、次の機会でも結構でございますけれども、委員長、必ずこの法務委員会でその報告をしていただくようにお取り計らいいただけますか。 金東雲氏は治外法権で守られている外交官であります。その方ですら、私は察するのですけれども、恐らくは外登法の規定による指紋がもとで本人であることが確定されたのではないかというように思うのでありますが、無事の民の場合、そうした心配を持つのはむしろ当然のことだと私は思うのであります。現に私どものところに知らされております幾つかのケース、一九八〇年十一月二十七日に奈良県で起きました事件、在日韓国人の青年が金庫破りの犯人として逮捕されたことがありましたけれども、それは以前勤めていた商事会社の金庫にその人の指紋が付着しておったため逮捕されたということであります。幸いにして、真犯人がすぐあらわれたために、これは誤認であるということですぐ釈放されておるのですけれども、金東雲ほど権力の中枢にある人でもそうした懸念を持つとしたら、一般の市民の方が、外登法による指紋押捺が、要するに犯罪者を前提とした犯罪のおそれありということでこれを押させるのではないかというふうに考え、またそれがどこかで使われやせぬかという心配を持っても当然だと私は思うのです。 したがって、これは指紋押捺が外登法違反以外の犯罪捜査に使われないという保証は絶対必要であることは言うまでもありませんけれども、しかし、一般の方がそういうふうに見て、自分の一生のうちにこれが使われるのじゃないかというおそれを持ちながら指紋押捺に応じていくのではないか、そういう配慮は今後持っていかなければいかないのじゃないかというふうに私は思うのでありまして、いま当局側の御答弁によりますと、どうもその辺ちょっとはっきりいたしませんけれども、これはくれぐれも今後気をつけていただきたいと思うのであります。ここに外国人に対する取り扱いの日本の伝統的な一つの流れというものが、はしなくも外登法の指紋押捺と常時携帯義務にあらわれていると私は思うのです。 先ほど私は御紹介いたしましたけれども、私の友人で戦後早い時期にアメリカに留学した人が、これはそのころは十指で、指紋押捺をこちらのアメリカの外交機関の部屋でやらされたのを忘れることはできないと言っております。しかし、そのアメリカでも、向こうで生活している間は常時携帯の義務はなかったわけで、何か必要なときにはもちろんパスポートを持っていかなければいかぬということはありましたけれども、そういうことはなかったそうであります。 徳川時代からいろいろ考えてみますと、これは日本だけではなく、世界すべてそうであろうと思いますけれども、外国人の取り扱いには一つの考え方の上で幾多の変遷があって、一番古いのは、外国人というのは敵国人というふうに初めから見て、最近、近代でも戦争中は敵国人と見る。あのアメリカですら、アメリカ国民であるにもかかわらず日系市民を外国人のスパイになる可能性があるということで、十把一からげにキャンプへ送って悲惨な生活を強いたのであります。日本では、百年ぐらい前は平時でも外国人を敵国人扱いしたと思うのです。それから、外国人というのは卑しいものだという考え方もやはりかなりあったと思うのです。それから、外国人というものは排撃すべきものである、外国人は大体いること自体がおかしいんだというような感じで、排外主義をとった時代もある。いわば賤外主義、排外主義という時代。そしていまは、恐らくこれはかなり一般化していると思うのですけれども、相互主義でお互いにこの程度にしよう、向こうがそこまでやるならこっちもそこまでやるというようなことでやっておるようであります。 今回の外登法におきましても、アメリカは相互主義をとっておって、自分の国民が外国へ行ってやられた場合は、それと同じことを国内で外国人に対してやるという考え方が一つかなり強くあるようでありますが、しかし、今回わが国でも批准をいたしました国際人権規約というものは、まさに内外人平等主義に立っておるように思うのです。相互主義と平等主義は、大体いま外国人を取り扱う各国の法律体系の一つの主流ではないかと思うのですが、将来日本としてはまずその域に達し、さらには平等主義へと進む気構えというものを示さなければいかぬのじゃないかというふうに私は考えております。もちろんこれは私ひとりの考えではなく、法律専門家の間でもあるいは一般市民の間でもそういう考え方をとっているわけです。 そこで、大臣にぜひお願いしたいのでありますけれども、今回の外登法改正案は確かに若干の前進があることは事実かと思います。しかし、私どもから見ますと、国際人権規約、特にB規約を批准して、これから日本はさらに国際化社会の中で生きていくためにこうしていくんだ、そういう姿勢にちょっと欠けるような気がしてなりません。ただ事務を簡素化するとか、そういうような観点がどうも優先しているような気がしてならないのでして、どうか今後、今回の改正案提案にとらわれず、ぜひさらに進むようにしていただきたいと思うのであります。最近、日米経済摩擦というようなことで、非関税障壁なんということが非常に言われるようになりましたけれども、この非関税障壁の最たるものはこういう外登法に流れる一つの考え方、またその考え方を支える——これは政府、お役人だけが悪いということではなく、日本人全体の中に何かある一つの考え方じゃないか、これはやはり突き破っていかなければいけないというふうに私は思うのであります。 先ほど来大臣は、一部の不心得者のために大多数のよい方、その人たちがかえって不当に扱われないようにするためにこういうことが必要なんだというお考えでございますけれども、それは一つの考え方でございまして、いま私が申しました幾つかの段階で言いますと、外国人というのは良民ではなくて、何かどうも犯罪を犯しかねない集団である、もちろん大多数はいいかもしれないけれども、やはりそういう者がまじっている集団である、そういう観念に立っておられるような気がしてならないのでありまして、その辺を百八十度、コペルニクス的な転回をしていただかないとこれはいかぬのじゃないかと思うのでありまして、先ほど大臣からいただきました日々に新たに、そのことでやっていただきたいと思います。 そして、お見せしましたこのポスターですね。この坊やはまだ小さくて、恐らく常時携帯の義務はないと思うのですけれども、「私も、神戸っ子。」というこの子が大きくなるころにはそういうことは全くないように、われわれお互いの力でやらなければいかぬと思うのです。大臣、ひとつ最後にもう一度その点についてのお覚悟を示していただきたいと思います。
○坂田国務大臣 外国人登録法は他の一般行政法規と同様に、時代の変遷に応じまして時代の要請に的確に対応し得るよう常に見直しがさるべきことは当然だと私は考えます。今後ともわが国内外の政治、経済、社会、文化等の諸情勢の変遷に迅速、的確に対応すべく、今次改正法案の審議を通じまして御指摘のありました諸点をも含めまして、引き続き検討を続けてまいりたい、かように思います。 いま河上委員お話しのとおりに、わが日本というのは、地政学上日本列島が存在し、千七、八百年の歴史を振り返ってみましても、それは確かに聖徳太子のあのころ、中国、朝鮮半島とかなり交流はありました。あるいは室町のときもそうでございます。それから、明治維新において諸外国の制度を導入した、こういうことはありますけれども、大まかに言いますると、どちらかというと閉鎖社会なんですね。それであるがゆえに、諸外国の人を変わった人とあるいは敵視してきたということもあり得る。それはむしろ逆に言うならば、日本の独自性、独立あるいはそういう平和な社会を守ろうという気持ちから来た。この歴史的現実をわれわれはやはり背負っておるわけでございますから、一概に直ちに諸外国のようにというわけにはまいらない。 しかしながら、いま仰せのとおりに、特に第二次大戦後、日本は軍国主義というようなものはもう絶対にとらないというような新しい憲法をつくり、そして平和主義に徹したい。もともと日本は平和主義なのです。朝鮮出兵その他若干間違ったときもございましたけれども、千何百年の歴史を考えれば、私は大体において平和な国民であり、平和的な政策をとってきたと思うのです。そしてまた私は、平和的政策をとってきたときほど日本国民は幸福であったと信じて疑わない一人でございます。そういう意味で、第二次大戦後、新しい憲法のもとに、先生御指摘のような方向に日本を維持していかなければならない。しかも国際社会から、日本というのは本当に人権もよく行われておる、治安もいい、そして技術や経済もよろしい、しかも自然には非常に恵まれておる、そういう美しい国だ、こう思われるように諸制度を改善させていかなければならない、それがお互い与野党を通じての義務ではないか、われわれ政治家の責任ではないかというふうに思っております。 しかと先生の御主張に対しましては承って、日に新たに日に新たにひとつ考えてまいりたいと思っております。
○河上委員 それでは、いまの大臣のお言葉を生かすように、まだ時間がございますので、何とかその方向へ一歩でも進めていっていただきたいと思います。 ただ、私、最後に、ちょっと言い落としました。このポスターにちょっとこだわるようですけれども、実を言いますと、「私も、神戸っ子。」というポスターの中で、モデルが全部いわゆる白人ばかりなのです。ところが、実際に関西に多く住んでいる外国人というのは朝鮮、韓国人、それから中国人なのです。そのあたりにも一つ大きな問題があって、ただ外国人一般ということではなく、やはりこうした近隣のアジア人とのかかわり合いというものをわれわれは担っているということをひとつ大臣十分お考えいただきたい、このことをお願いして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
○羽田野委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後一時三十五分開議
○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 外国人登録法の一部を改正する法律案についての質問もいろいろ行われてまいったわけですが、その中で外国人登録証明書の携帯義務の問題とその違反の問題、それに関連する実際の運用、こういうふうなことを中心にまず最初にお伺いをいたしたいというふうに思います。 そこで、この前の参考人も言っておられたのですが、アメリカ合衆国移民国難法という法律があります。これは海外調査研究所というところで四十八年五月に出した「新アメリカ渡航法 付録」という書類ですが、その中であります第二百六十四条の「様式と手続き」の欄ですが、(e)欄に「年齢十八歳以上のすべての外国人は、d項によってその者に交付された外国人登録証明計、又は外国人登録受領書を常に本人が所持し、携行しなければならない。この項の規定を遵守することを怠った外国人は、一回の違反について有罪を宣告され、百ドル未満の罰金、又は三十日米満の禁錮、もしくはその双方を科せられる。」こういう規定があるように資料には載っておるわけですが、まず、こういう規定が現在もあるのかどうか。
○大鷹政府委員 私どもの手元にございますアメリカの移民及び国籍法の資料によりますと、そういう規定は現在も存在をいたします。
○稲葉委員 存在をしているというだけでなくて、このとおりに運用されているというふうに聞いてよろしいわけですか。存在することと運用とはまた別だというような話になってきますから、現在もそのとおり運用されていますか。
○大鷹政府委員 そのとおり運用されているはずだと思います。
○稲葉委員 そうすると、なぜアメリカの場合は十八歳以上の外国人が登録証明番の携帯を義務づけられておるかということです。その他の登録義務とかは十四歳だというふうに聞いているわけです。それと違いがあるわけですね。なぜこういう違いがそこに出てきておるわけでしょうか。
○大鷹政府委員 アメリカの制度は外国の制度でございまして、私ども、その義務年齢をどうして違えたのか、その事情については承知いたしておりません。
○稲葉委員 だから、私が前から聞いておるのは、登録証携帯義務とか指紋採取義務だとか登録義務だとか、年齢は日本の場合はみんな同じでしょう。今度は十四歳が十六歳に上がるけれども、同じだ。その同じであることに合理的理由があるかないかということを、前からくどく聞いておるでしょう。アメリカの場合はそれが違っておるわけでしょう。違っているということは三つ並ばなくたっていいということになるのじゃないですか。おのおの合理的理由があっていいはずで、何もそういうふうに並行して三つが並ばなければならぬという理由はないはずなんですよ。何回も聞いているでしょうが、これは。
○大鷹政府委員 わが国の場合には、稲葉委員御指摘のとおり、指紋押捺義務、それから登録証明一番の常時携帯義務、本人の出頭義務、こういうものは現在は十四歳、改正法案では十六歳ということになります。一つの年齢で全部共通ということになっております。それはなぜかと申しますと、登録証明書の常時携帯義務というものがまずあります。常時携帯される登録証明書には指紋を押さなければならない、その指紋を押すためには本人が出頭しなければならない、こういうつながりもあるわけでございまして、わが国といたしましては、こういう基本事項については一つの年齢をもって共通させる、こういうやり方をとっているわけでございます。アメリカはなぜ年齢を違えたか、その辺については、やはりそれぞれの国の事情があろうかと思いますので、私どもとしてはちょっとわかりません。
○稲葉委員 それは答えが違いませんか。あなたのお話は、外国人登録証明書がまずあるということを前提として、そこから別の方向に進んでいるわけですが、登録証明書の申請をして、指紋を押して、それから外国人登録証明書の携帯が出てくるわけですからね。だから、登録証明書の携帯というのは後になるわけです。第三段階になるわけですからね。いいですか。あなたのいまの説明は第一段階に説明しているんですから、話は逆じゃありませんか。あなたの説明の順序は逆、それが一つですね。 それから、私の聞いているのは、だから必ずしも三つが一緒でなければならないことはないじゃないか、アメリカは現にこれだけ違うじゃないか、それについての積極的な理由はアメリカなりにあるんだろう、とするならば、あなたの方でもこの三つが並ばなければならないという積極的理由はあるのですかないのですかと聞いているのに対して、あなたの方は積極的理由ということについては述べない。わからないというだけの話でしょう。だめよ。このことについては前から何回も質問しているのですからね。この前、川原さんが参考人としてちゃんとそこで言ったんだから、あなたの方でもそういう点については研究しておかなければいけませんよ。あなたのいまの説明は順序が逆ですよ。いいですか。それから、アメリカの方ではこういうふうに違っているのですから、日本の方が同じでなければならないという積極的理由は一体どこにあるのか、こういう疑問は当然出てくるでしょうが。 私、なぜ長く質問しているかといいますと、長く質問している間にあなた方に考えてもらいたいから、長い質問をしているのですよ。考えてもらわなくていいんなら、ぴしっと短い質問だけしますけれどもね。質問している間そちらの方でいろいろ考えるでしょう。その余裕というものを十分与えていると言うと語弊がありますけれども、それはどうですか。
○大鷹政府委員 説明の順序はいろいろあろうかと思います。いずれにいたしましても、たとえばいまの稲葉委員の御説明の趣旨に沿って申し上げますと、私どもといたしましては、まず十六歳になると確認申請の義務があるし、その段階で指紋を押す必要が出てきます。その指紋を押された登録証明書というものは十六歳以上の方については常時携帯していただく、こういうことになるわけです。したがいまして、本人の出頭、それから指紋の押捺、常時携帯、これが横並び一線の同じ年齢であっても少しもおかしくない。では、十六歳というのはどういう年かといいますと、これはこの閥からいろいろな機会に申し上げているとおり、社会的に独立の行動をとれる年齢、こういうことで考えているわけでございます。
○稲葉委員 いや、答えが私の聞いていることと違うのですよ。いまあなたが答えた順序の方が、正確ですよね。それは出頭して、指紋を押して、それから登録証明書を携帯するのですから、そういう順序になるのだし、あなたの方はいま、登録証明書の携帯から発生して、逆に説明して、横並びでなければおかしいということを言うから、順序が逆ではありませんかということを私は聞いたわけなんです。 それはいいとして、私の聞いているのは、アメリカの場合は前二者が十四歳で、携帯義務は十八歳になっているじゃないですか、これはあなたの方もわかっているはずだ、わかっているならばそれだけの何らかの理由があるはずじゃないかということをお聞きしているわけですよ。何らの理由なしに違いがあるわけはないのであって、違いがあるということはそれだけに、たとえばアメリカの場合は押す人が非常に数が多くて、携帯義務を一々やっていたのではとても大変だ、人数が多くてとても大変だからやり切れないということで人数をしぼったのかもわからないのですよ。そういうふうなことがあるのじゃないかということまで考えてもらおうと思って、長い質問しておるのです。 なぜ違うのですか。何も三つが並ばなければならぬという積極的な理由はないじゃないですか。現にアメリカは、片方の携帯義務は十八歳で片方は十四歳で、違いがあるのじゃないですかと聞いておるのです。アメリカのことはわからないと害うから、それはわからないかもわからぬけれども、あなた方の説明では、三つが並ばなければならないという理由にはならないのですよ。違ったっていいですよ、これは。違ったっていいのだけれども便宜上三つが同じ年齢に並んでおる方が仕事がしやすいから、こう言うなら話は別ですよ。どうも合理的な説明がないのですよ。
○大鷹政府委員 ただいま稲葉委員御指摘のとおり、現行法では十四歳ということでずっと統一してきたわけでございますし、今後は、改正法案では十六歳ということになるわけでございます。従来ずっとこういう一つの年齢で横並びでやってきた、そういう経緯もございますし、さらに稲葉委員御指摘のとおり、一つの年齢でやった方が行政上非常にやりやすい、また外国人にとってもわかりやすいという面があるのじゃないかと思います。
○稲葉委員 行政上やりやすいとか外国人にとってもわかりやすいなんて、そんなことは理屈になりませんよ。では、携帯義務の場合は十八歳にしたって三十歳にしたって構わないわけで、三つが同じでなければならぬというのは、では行政上どういう利便があるかということになってきますけれども、そこら辺になってくると余り合理性がないのじゃないですか。いままでずっとそういうふうにやってきているからただやっているというだけの話でしかないのじゃないでしょうかと私は思いますね。だから、あなた方が言われるように三つが並ばなければならないという合理的な理由は何もないということですよ。ただ便宜上そういうふうにやった方がいいからというだけの話だ、こういうことになるのですよと私は理解しますが、違うなら違うで反発してもらって結構なんですよ。次の質問をしますから、それと一緒に答えてください。 そこで、参考人の言ったことの中で私もちょっと疑問に思ったのは、私の質問と川原さんの答えと合わなかったのですが、アメリカでは確認義務の場合に、よくわからないですね、何か一月一日から一月三十一日までに出頭して毎年これをやってというようなことを言っているでしょう。いままで確認期間は十年だというふうに私は聞いておったのですが、これは間違いかもわかりません。それではまた聞くというと、ことしの一月一日からはそういう確認をアメリカはやめてしまった、こういうことでしょう。やめてしまった理由というのは、とにかく余り多くてかなわぬ、手続上とてもやり切れない。どういう国民が多くてやり切れないかということを言うとまたあれになるから——これはあれでしょう、スペイン語を話す人たちが非常にふえてきているわけですね、アメリカに入ってきている人が。そのために収拾つかなくなってアメリカは確認ということをやめてしまった、こういうことなんでしょうか。そこがどういうふうになっているのですか。
○大鷹政府委員 先ほどの年齢を横並びで一斉にしているという点について、すでに申し上げたのですけれども、私どもといたしましては、社会的に独立の行動をとれる年齢、これがやはりそのどれにも妥当する年齢であるということを考えておりまして、その意味で当然出頭義務あるいは指紋押捺、常時携帯義務、いずれも十六歳が妥当であると考えておるわけでございます。 次に、アメリカの制度でございますが、稲葉委員の御指摘のとおり、昨年の暮れまでは毎年一月一日から三十日以内に居住地及び付加事項の報告を要し、一時在留者の場合には三カ月ごとに居住地報告を要するという制度になっていたわけでございます。この川原参考人は、それが日本のいわゆる確認申請制度、これに見合うものではないかというような発言をされたのだろうと思います。現在これは廃止と申しますか、停止されているようでございます。その辺の詳しい事情については、私ども現在データを持っておりません。
○稲葉委員 いま局長が言われたことは、また問題になってくるんですよ。社会的に独立できるというのが条件だというんでしょう。これが今度は十六歳だというんでしょう。それじゃ、いままで社会的に独立できたのが十四歳であって、今度は十六歳に、ここ一年くらいの間に急に日本の経済情勢が変わったんですか。そんなことはないでしょう。私の言う意味がわかりますか。社会的に独立できるのが十六歳だとあなたは言うんでしょう。そうすると、いままで十四歳でやってきたわけだ、十四歳というのは社会的に独立できるんじゃない、こういう意味なんですか。あるいは社会的に独立できる年齢というのが、きのうからきょうで二年間ぐっと上がったんですか。どういうことなんです、そこは。
○大鷹政府委員 今度十四歳から十六歳にしたという意味は、従来の十四歳も社会的独立行動ができる年齢であった、それが今度社会の情勢が変わって十六歳になった、こういう意味で申し上げているわけではないのでございます。これはこの前の機会にもお答えいたしましたけれども、十四歳というのは、刑事責任能力の規定に関連するものでございます。 ただ、それではなぜそれを今度十六歳にしたのか、それは外国人登録法の目的を達成できる限り外国人の負担を軽くするという見地から十六歳まで引き上げるわけでございまして、その引き上げるのはなぜかというと、社会的独立の行動をとる年齢以上の人にそういう義務を課せば十分ではないか、こういうように考えたわけでございます。
○稲葉委員 そのことに関連して、さっき河上先生が聞かれたときには、国際人権規約とは全く関係ないような意味のことを言われましたね。そのことは考慮してないというか、関係ないのだというふうなことを言われた。しかし、法律案の提案理由を見ると、国際人権規約と関係があるように書いてあるんじゃないですか。「国際人権規約への加入等」と響いてあるじゃないですか。それも一つの条件かもわからぬけれども、いままでなかったことでしょう、これは。いままで二回提案しているけれども、それになかったのが今度の提案理由の中に入っているのですから、国際人権規約とは全く関係なしにあなたの方ではこの法案をつくったということは言えないんじゃないでしょうか。あるいは国際人権規約の精神でもいいし、規約ではB規約かもわからぬけれども、そこのところをどういうふうに理解したらいいのですか。 あなた、さっき河上委員の質問に対しては、私の聞き違いかもわからぬけれども、全く関係がないような、全く関係ないとは言わぬけれども、連関性がないという意味なのかな、そういうふうな意味のことを答弁されたものですから、これを見ると提案理由に番いてあるのだから何らかの関連性があるのだろう、こういうことですよ。どういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
○大鷹政府委員 けさの河上委員の御質問は、わが国の外国人登録制度は国際人権規約の人権尊重の面からいろいろ問題があるんじゃないだろうか、法の前の平等であるとかいろいろな人権規約の規定上、そこでそういうところは今度の改正法案で正して出してきたのか、こういう趣旨の御質問があったわけでございます。これに対しまして、私は、現行の外国人登録法というものは国際人権規約のいかなる規定にも抵触しないと考えている、したがって、人権規約にもとるところがあるからそれを改めるために今度改正を行ったという意味の直接的な関係は全くないということを申し上げたわけでございます。 他方において、昭和二十七年に外資法ができましてから三十年のいろいろな時代の変遷の中に、一つの背景としてわが国の国際人権規約加入という事実はあったわけでございます。私どもはそういうものを一応背景の事情として考えておりますが、他方におきまして、人権規約に問題とされるような外国人登録法の規定は一切ないということをもう一度確かめて、そして改正法案をお諮りした、こういう事情でございます。
○稲葉委員 前の二回の改正のときには国際人権規約のことは触れてないわけです、まだ批准してなかったかもわかりませんけれども。今度は触れているということは、この精神というものを酌んで今度の改正をしたのだというふうに理解されるのが普通ではないのですか。そういうふうに言ったのに対してさようですと答えると、じゃ、国際人権規約のどこと今度の改正案が相結びつくのか、相反するのか、そこに問題がある点ではないかというふうに、今度は次の質問に出ますね。そうでしょう。そういうふうに答えるとまた質問が出てくるから、あなたの方でもいろいろあるのであれだと思いますが、これに書かなければよかったのですよ。つい書いてしまったからこっちも聞きたくなるわけだ。あの河上さんの質問は、確かにあなたの言うとおりに、もとるところはないかと言えば、それはもとるところはない。それはそうかもわからぬけれども、これを何か酌むようになっているから、酌むということは、精神を酌むということじゃないか。精神を酌むとは書いてないけれども、それを挙げているということは酌むというふうにとれるのじゃないかというようないろいろなことがあるのですけれども、そういうことは余り論議するほどのことでもないと思います。論議する価値があるのかな、これはちょっと……。 今度はB規約との関係で、あなたは法の前の平等なんと言うが、法の前の平等なんということを国際人権規約で言ったのですか。これは憲法十四条の規定の話でしょう。河上先生はそんな質問したかな。まあそれはいいです。いいけれども、憲法の問題であって、国際人権規約の問題じゃないですよ。 そこで、私が聞きたいのは、よくわかりませんが、外国人登録証明書を持っているけれども、それを確認申請をするわけですね。する義務をみんな負うわけですね。ところが、あの中に出てきたのですけれども、たとえば政府の招聘した正式な留学生、非公式なものじゃなくて、正式な政府の留学生というものについてもやはり登録証明書は必要なのか。これは条文上は大体明らかになりますけれども、それが一点ですね。 そういう人たちも切りかえというか、その際しなければいけないわけですか。私のは、正式な政府の招聘した留学生の話ですよ。何かアメリカでは、正式な政府の留学生というものは、一遍すれば確認申請なんかしなくてもいいようにさっきの話が聞こえたのです。私は河上先生に確かめたのです。そうしたら、条文はどうなっているかわからぬけれども、実際の運用はそういうふうに行われている、こう言うのです。そういうふうにアメリカの話は言われた。どうなんですか、その点は。私の言うことがわかりますか。 さらにもう一歩先に進むと、結局政府の正式な留学生の場合には、外国人登録証明書や何かを携帯しなくてもいい者がありますね。そういう者と同じ扱いをしてもいいではないかということが最終結論的な質問になるわけですね。そこまで含めた答弁をしてください。
○當別當説明員 わが国と外国政府との間の覚書あるいは協定などに基づく留学生の問題でございますが、これは大多数の留学生が、現在出入国管理法の四条一項六号というような資格でわが国に入国されておるわけでございます。こういう人たちにつきましては、九十日以上在留する場合には登録の義務がございますし、この方が一たん登録した後、さらに切りかえ期間を超えて在留を継続される場合には、外国人登録法上の確認申請の義務がほかの外国人と同じように食わされておるということになっておるわけでございます。
○稲葉委員 じゃ、逆にお聞きしますと、外国人登録証明書を、一年以上在住していて、一年以下の場合は指紋の採取の義務というのがないわけですからね、そういうような場合でも除外をされているのは、日本の場合は何と何と何ですか。限定的に御説明をしてください。
○大鷹政府委員 これは外国人登録法に規定されているものと、それからそうじゃないものとございますけれども、外交官、これは国際法の問題として、それから国連の職員、国連の専門機関でございますね、これは条約によって免除されております。それから、日米の安保条約に絡む地位協定、これの規定による者、それから国連軍協定、それから、そのほかに領事官と公用で入国している者、領事官は外交官ではございませんけれども、国際礼譲として外交官と同じ扱いをするということで免除されております。それから公用で入っている者、これは登録法上でも除かれておりますけれども、これはいわば行政的な措置というふうに考えておるわけでございます。大体、こういうことではないかと思います。
○稲葉委員 それはそのとおりなんですが、私の質問しているのは、問題は、だから政府の正式な留学生ということを言っているわけです。だから、それの場合には外国人登録証明書の携帯義務を免除するとか、指紋押捺を免除するとか、あるいは確認を免除するとか、そういうようなことも当然考えられていいのではないだろうかということを言っているわけですね。いいですか、政府の正式なということは、二つの枠がはまっているわけですよ。ただ、何でもかんでもという意味じゃありませんよ。そういうふうなことが制度としては仮に適用になるようになっていても、具体的な運用でそこを外すとかなんとかという方法も考えられていいのではないか。 これが何かアメリカでは、政府の正式な留学生についてはその点が実際上は免除されておる、一回だけ登録すればいいというような形になっているという話を、制度としては法律の上で残っていても、実際の運用はそういうふうになっているということを聞いたものですから私は聞いているわけなんで、その点については十分考慮の余地があるのではないか、そういうふうに私は聞いているわけなんです。
○大鷹政府委員 政府が派遣した公用の留学生というものはどういうものがありますか、私はちょっとすぐにはわかりませんけれども、政府が派遣した留学生ということでございますけれども、こういう者に対して外国人登録法のいろいろな規定の適用を免除するということは、現在の外国人登録法上では想定していないと考えております。まだ、そういう外国政府の派遣の留学生という意味ですから、こういう人たちは日本に留学している期間というのは大体二、三年じゃないかと思います。今後、確認の申請期間は三年から五年に延びますし、実際問題として、こういう方々の中で確認申請の義務を負う方というのは非常に少ないのじゃないか、こういうふうにも考えるわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、たとえば法務省あるいは裁判所で、アタッシェで行っている場合は別ですよ、そうじゃなくて、向こうの大学、アメリカの大学ならアメリカの大学へ留学している場合がありますね。そういう場合はアメリカでどうしているのですか。ちゃんと外国人登録をして、ちゃんと指紋の押捺も全部やっているのですか。アメリカではどういうふうにやっているのですか。いや、わからなければ後でいいですよ。
○大鷹政府委員 その辺のことは、しかとしたお答えがちょっとできませんので、調査さしていただきます。
○稲葉委員 ここら辺は私もよくわからないのですよ。わからないから聞いているのでね。だから、それは大使館へちゃんとしたアタッシェで行っている場合は問題がないわけですけれども、あなたの方で入管からニューヨークの総領事館へ一人行っているでしょう。それから国連にも一人行っているでしょう。そういう人たちにアメリカの具体的な制度と、制度はあるけれども実際に運用がどういうふうになっているかということをよく調べてもらってくださいよ。ニューヨークの総領事館にいる入管の職員というのは、具体的には一体どういう仕事をしているわけですか、総領事館で一般の仕事をしているのでしょうけれども。そういう点なんかもよく調べてもらわないと、非常に困るわけですよ。それはよく調べてもらっていただきたいと思うのです。 そこで、携帯義務の問題に入るわけなんですが、さっき監獄法の施行規則の話が出たわけですが、それは別として、私の聞いているのは被疑者に対する指紋の押捺、これはどういう形で、どういう法律上の根拠で具体的にはやられておるわけですか。
○吉野説明員 被疑者からの指紋の採取につきましては、それぞれ捜査上必要があると認めた場合にやっておるわけでございまして、身体を拘束している被疑者につきましては、身体を拘束するわけでございますから、事柄の性格上全部必要だというふうに通常考えるわけでございまして、これは御案内と思いますけれども、刑訴法二百十八条の二項でやっております。身体を拘束していない被疑者につきましては、本人の承諾を得まして任意で採取いたしております。
○稲葉委員 外国人登録証明書不携帯罪というか、そういうようなものの具体的な運用についてお尋ねをしていきたいと思うのですが、過去幾多の例がありますけれども、一つの顕著な例として、まずこの前起きました山梨県甲府市の金という女の方が、甲府地方検察庁に、塩山警察署の人を全部で三名、守屋某外二名を公務員の職権乱用罪ということで告訴をしているわけですね。この事件について、これは昭和五十六年七月二十日のことを中心としておりますけれども、まず警察の方から、どういうことからどういうふうな調べをしたかという経過をひとつ説明をしていただきたいと思います。
○吉野説明員 この事案は、昨年の五月十四日、山梨県警の警察官が交通の取り締まりに従事中、スピード違反の車を認めましたので、停止させて職務質問をしたところ、外国人運転者が無免許であった、外登証も不携帯であった。なお、運転者のほかに二人同乗者がおりました。これは無免許でございまして、それから違反の内容も三十四キロオーバーという大変悪質なものでございましたので、あるいは同乗の人たちも、無免許行為等について教唆なり幇助なりという疑いがあったのではないか、こういう疑いを持ちましたので職務質問したところ、外国人であるということで、身分を確認するために外国人登録証の提示を求めたところ、二人とも不携帯であるということが判明いたしました。ただ、当日は何か法事の帰りで時間的に急いでいるということでありましたので、後日都合のよい日に来てもらって詳しく調べようということで、その白は三人とも帰宅してもらっています。そして、七月二十日に三人の都合を聞きまして塩山警察署に出頭を求めて、外国人登録証の不携帯事実について取り調べを行っております。 取り調べの内容は、特段これといって取り立てて申し上げることはありませんけれども、立件送致に必要な事項を聴取して供述調書に録取しております。なお、この際、捜査員の判断で本人の承諾を得て指紋等を採取いたしております。その後、八月二十四日に甲府地検へ書類を送致いたしております。
○稲葉委員 そうすると、いまの三十四キロオーバーという話がありましたね。それに対しては切符はどうしたのですか。
○吉野説明員 お尋ねの人間につきましては、無免許と速度違反で検挙、立件いたしまして、甲府区検に六月一日に送致いたしております。
○稲葉委員 あなたの方は特段の問題が取り調べでなかったと言いますけれども、まずお聞きいたしますと、顔写真の撮影をしているわけですが、これはどういう法律上の根拠によって顔写真の撮影をしているわけですか。その点については本人の同意は要らないのですか。
○吉野説明員 捜査上の必要で、本人の承諾を得て写真撮影をいたしております。
○稲葉委員 本人の同窓を得た。じゃ、どういうふうに同意を得たのです。黙って撮っちゃったのじゃないの。黙って撮っちゃって、文句言わなければ同意があった、そういうことになるのですか。本人に写真を撮ってもいいかなんて、取り調べ官が聞くわけないでしょうが。
○吉野説明員 一応本人の承諾を得て撮ったというふうに聞いております。
○稲葉委員 だから、どういうふうな承諾を得たのですかと聞いているのです。じゃ、どういう質問をして、どういう答えがあったのですか。
○吉野説明員 詳細なことは聞いておりませんが、この件につきまして私どもも詳しく調べてみましたが、常識的に承諾を得るという方法で承諾を得たというふうに聞いております。
○稲葉委員 だから、常識的に承諾を得るというのはどういう方法なんです。それを聞いているのだよ。それはどういうことなの。撮ってもいいですかということを聞いたのですか。聞く前にそれを撮っちゃったのでしょう。撮っちゃって、文句を言わなければ承諾を得た、こういうことに理解をしているのじゃないですか、あなたの方は。
○吉野説明員 私が申しますのは、詳しい文言まで取り調べ官から聞いたわけではないのでお答えを遠慮したわけでございますが、承諾を得たというからには、撮らしていただきますということで最初に発言をして撮ったというふうに私は承知いたしております。
○稲葉委員 写真撮影の際は、どうしてそんなことするの、私が人殺しでもしたんですかというふうに、涙を浮かべながら言ったというのですね。これが写真撮影の前なのか終わってからなのか、そのときの直前なのかちょっとわかりませんけれども、どうしてそんなことをするの、私が人殺しでもしたんですかというふうなことを言っているということは、拒否していることじゃないのですか。少なくとも明示な承諾ではないということははっきりしているのじゃないですか。どうなんですか。これは写真撮影するときも、不拘束の事件ですから明示の承諾が要る、こういうふうに理解するのが筋ではありませんか。
○吉野説明員 ただいまおっしゃった、人殺しでもしているのというようなことについては、承知いたしておりません。しかし、あくまで私どもの調べた限りでは、事前に明示の承諾を得たというふうに私は承知いたしております。
○稲葉委員 あなたの調べた限りというと、結局あなたの方ではだれとだれがこの女の人に対して調べをしたというふうに聞いているわけですか。
○吉野説明員 係員の名前までは伺っておりません。
○稲葉委員 係員の名前までは伺ってないって、あなた、告発が出ていることは知らないのですか。知っているの。
○吉野説明員 告訴告発が出ていることは、承知いたしておりません。
○稲葉委員 じゃ、こういうようにお聞きいたしますが、その本人の身長測定、体重測定、足形採取、こういうふうなことをやったのですか、やらないのですか。
○吉野説明員 身長と写真と足長、それと指紋、これだけ採取したというふうに承知しております。
○稲葉委員 指紋は、私の言うのは十指の問題は別として、足形の採取までやったのですか、こう聞いているのですよ。
○吉野説明員 ただいま足長と申し上げましたが、足の長さという意味でございまして、いわゆる足形ということよりも、正確には足の長さでございます。
○稲葉委員 足の長さをどうしてはかる必要があるのですか。外国人登録法違反で、不携帯でしょう。不携帯ということでどうして足の長さまではかる必要があるのですか。
○吉野説明員 被疑者になった者からは、捜査上の必要に応じて、刑訴法にありますようにいろいろな個人資料を採取いたしております。もちろん、この場合は任意でございますから、承諾がなければできないわけでございますけれども、承諾を得て必要性に基づいて採取したということでございます。
○稲葉委員 私が聞いているのは、普通の場合に、不拘束の場合、任意の場合に足長まで取っておるのですか、こう聞いているのですよ。拘束中の者でもそこまでは普通やらないのじゃないですか。どうなんですか。
○吉野説明員 それは捜査の場合場合によりけりだと思います。任意の場合も取っている場合もございます。強制の場合は取っておらない場合があるかどうか、私はここで承知しておりませんけれども、私ども承知しているのは、任意の場合でもいろいろな場合について必要があると認めた場合は取っておるというふうに承知しております。
○稲葉委員 だから、身柄拘束の場合でも足長を取らない場合があるわけですね。普通足長までは取らないのじゃないですか。普通の場合は十指は取りますけれども、足長までは取らないのじゃないでしょうか。それはどうなんですか。
○吉野説明員 山梨県の場合、ただいま問題でございますから山梨県の場合で申し上げますと、足長につきましては全県で一千六十三件取っておりまして、うち強制が拘束の場合が五百八十七件、任意の場合が、いわゆる不拘束の場合が四百七十六件でございます。
○稲葉委員 だから、本件について足長を取らなければならない必要性があなたの方はあったというのでしょう。どういう必要性があったのですか。外国人登録証明書不携帯ということですね。この女の人は自動車の後に乗っておったという。その人について足長を取らなければならない必要性があったというのでしょう。どういう必要性があったのですか、そこまでの必要件は。
○吉野説明員 先ほどもお答えしましたが、被疑者となった者からは必要に応じて個人資料を広く作成している場合がございます。この場合も、現場の捜査官の判断で必要があると認めまして採取したということでございます。
○稲葉委員 現場の捜査官が必要だと判断したのでしょうけれども、現場の捜査官はなぜ、女の人ですよ、車の後ろにいた人ですよ、登録証明書不携帯ということで、その人の足長までを必要だと判断をしたのでしょうか。これは現場の捜査官のやったことだから自分にはわからないというのかもわかりませんが、じゃ、どういうふうに現場の人が必要として判断をしたのかということを上司として推測できますかということですよ。
○吉野説明員 捜査の必要というのはその場その場で違うわけでございますが、一般的に申し上げますと、たとえば犯罪の立証とか個人の特定、これは被疑者となった者から取るわけでございますから、将来に向かっての話でございますけれども、一般論としてはそういうことが申し上げられると思います。
○稲葉委員 そうすると、登録証明書不携帯の人は将来も重罪を犯す危険性がある、一般的にあるというような理解の仕方なんですか。それで足長まで全部取ったということなんですか。そういうふうな理解の仕方ですか。
○吉野説明員 私は一般論として、たとえばということで申し上げたわけでございまして、この場合について必ずしも当てはまるかどうかについて申し上げたわけではございません。
○稲葉委員 私は一般論を聞いているのじゃないのですよ。この具体的な事実について、外国人登録証明書不携帯罪の具体的な運用の問題について聞いているわけですから、塩山の警察で行われたこの事件について聞いているわけですよ。なぜ聞いているかというと、不携帯罪というものは、今度懲役の方が削られる、罰金だけになるということになっておって、そうではあるけれども、なおかつこれは現行犯逮捕できるのですよ。八千円以上ですから、できるわけです。実際の運用は法務省がやるのならば、それはまだ話がわかるというか、あれですけれども、実際は第一線の警察官がやるわけですから、そこにはどうしたって行き過ぎが生じてくるんですよ。だから、具体的な必要性というようなものもそこで説明がなければ、一般論を聞いているのじゃないんですから。 そこで、やはりそのときも女の人は断っているんじゃないですか。女の人だから、はっきり断ったかどうかあれですけれども、断ったというふうな理解の仕方をしているのじゃないですか。これではまるで重罪犯人じゃないですかというようなことを言って断った、こういう言葉を述べていることは、断ったととっていいんじゃないでしょうか。あなたの方は強引にやってしまったということじゃないんですか。 念を押しますというと、この場合はどういう法律、どういう規則によって、身柄不拘束ですよ、不拘束の場合に指紋なり何なりを取れるということに法律的になっているのですか。どういう条項になります。
○吉野説明員 刑事訴訟法第百八十九条二項及び刑事訴訟法第百九十七条第一項でございます。
○稲葉委員 そんなことを聞いているのじゃないのですよ。それは法律でしょう。その受けた規則はどういう規則になっていますかと聞いているのだ。
○吉野説明員 受けた規則としましては、国家公安委員会規則の犯罪捜査規範第八十二条がございます。
○稲葉委員 指紋等取扱規則というのがあるんじゃないですか。そんなのありませんか。あるとすれば、いまの場合はどこに該当しているんですか。
○吉野説明員 指紋につきましては、指紋等取扱規則がございまして、この三条三項に「警察署長等は、身体の拘束を受けていない被疑者について必要があると認めるときは、その承諾を得て指紋または掌紋を採取し、」云々というのがございます。
○稲葉委員 だから、私はそれを聞いているわけですね。だから、そこにもはっきりあるように、承諾を得た場合に限りというようなことが書いてありますね。そのとおりですね。だから、あなた方の場合は、とにかく相手が、強制にしろ何にしろ応じたのだから、結果として承諾したのじゃないかという理解の仕方ですね。承諾を得たということは、明示の意思による承諾ということが中心でなければならないはずですよ。いいですか、これは明示の意思はないんじゃないですか。むしろそのときに反対の意思表示をしておる、こういうことじゃないでしょうか、そのときについては。指紋の採取といったって、何でこういうことをするのですかと言って、涙を流して承諾を拒んでおるというんですよ。そうじゃないんですか。あなたの方では指をつかんで指紋採取を行った、こういうのじゃないですか。それは事実関係はどういうようになっていますか。
○吉野説明員 私どもの聞いている限りでは、涙を流して拒んだというようなことは、全く聞いておりません。 御参考までにつけ加えますと、当日はこの人は子供さんを連れてこられたので、別の係の者が子供さんをあやして、さらにお昼になったら、担当の調べ官がポケットマネーで昼食を出して食べていただいたというようなこともありまして、そういう点からうかがえるように、お感じになっていると思うような非人道的な扱いは決してしていないわけでございます。 それから、指紋を取る際に指をつかんだというお話でございますが、これは通常指紋を取るときにはなかなかむずかしゅうございまして、指の力を抜いて自然に回転をさせて印象をするわけでございますから、自分ではできないわけでございます。したがって、どなたが取られても必ずそういう方法になるということでございます。
○稲葉委員 確かに指紋はちょっと回転しますからね、そういうところはありますけれども、それは指をつかむというつかみ方の問題ですね。ぎゅっとつかんでぐっと押しつけるというやつもあるし、それから簡単に指導するというような形でのつかみ方もあるんですね。あなた方の方では、その女の人が断ったというふうなことに対して威圧的態度で、規則だから仕方がない、こういうようなことを言ったんじゃないですか。規則だから仕方がないという言葉は、よく出る言葉ですね。そういう言葉を言ったんじゃないでしょうか。
○吉野説明員 そのようなことは伺っておりません。
○稲葉委員 あなたの方はよく調べてないと言いながら、そういうことは伺ってないと言うんですね。伺ってないという意味はどういう意味ですか。よく調べたけれどもそういう事実はないというふうな理解の仕方なんですか、あなたの方としては。どこをどういうふうに通じてこの三人を——一人は守屋という人でしょう。これははっきりしていますか。あと二人ですね。その人たちを調べたのですか。調べたというか、事情聴取をしたのですか。
○吉野説明員 こういう事案が起こった場合、通常やるわけでございますが、今般の場合も県の幹部に直接私のところに来てもらいまして、県の幹部に詳しく調べさせた後、私どもがその幹部から事情を聴取したということでございます。
○稲葉委員 掌紋の採取などというのは、本来は財産犯で再犯時の場合の残っている指紋と照合するためにやるというのが趣旨ではないでしょうか。そうじゃないですか。元来はどういう目的のために十指の指紋というの宿取っているわけですか。
○吉野説明員 私は指紋の専門家でも主管課長でもございませんので、必ずしも私の答弁が権威あるものかどうかわかりませんけれども、あえて申し上げますと、一般に指紋は、掌紋に限らず、犯人なり個人なりの特定、それから前歴の照会、それから犯罪の証明、こういうものに利用されるというふうに理解しております。
○稲葉委員 確かにこの日お昼までかかっているとは事実ですね。調べは十時から三時ごろまでかかっている。そうすると、この程度の外国人登録法違反、登録証明書の携帯義務違反でどうしてそんなに長い時間がかかるのですか。私の聞いている範囲では、十時から三時ごろまでかかっているのですね。いまあなたはお昼御飯を食べさせたと言うのだから、昼過ぎまでかかったのでしょう。この程度の事件でそんなに長くかかるわけないんじゃないですか。
○吉野説明員 特別なことと申しますか、特別な捜査は一切やってない、通常この程度の違反に伴う捜査をやった。その間、先ほど御説明しましたように昼食の休憩をとったということで、これだけかかったというふうに承知いたしております。
○稲葉委員 いや、簡単なことじゃないんですか。そのとき登録証を持ってなかったというのでしょう。持ってなかったかどうかは、あなた方に言わせれば、いまの法律は持ってなかった場合犯罪になるわけですから、それだけのことでいいんじゃないですか。それを十時から三時過ぎまでかかるというのはおかしいのではないでしょうか、こう聞いているのです。仮に昼食をとったとしても、一時間もとったわけじゃないでしょう。警察で一時間もとらせるわけないのですから、そんなに長くかかるわけないのじゃないですか。そこを聞いておるわけですよ。
○吉野説明員 稲葉委員よく御存じと思いますけれども、取り調べというのは思ったより時間のかかるものでございます。これも抗議の内容には入っておったわけでございますが、関係のない身分関係のことまで聞いたというお話もあったわけでございますけれども、これは被疑者に対する取り調べに通常伴うものでございまして、やはり情状の問題とかいろいろありますので、まず身分関係から一々伺うことになりますから、どうしてもそれぐらいの時間はかかるのじゃないかと思います。
○稲葉委員 身分関係を聞くのはあたりまえの話ですね。だれに対したって、本籍はどこだとか、住居はどこだとか、職業は何だとかということを聞きますわね。それでないと、同一性というものは確認できませんから。同一性が確認できる範囲内で聞けばいいわけでして、検察庁へ送られたときに不起訴にするかしないかということの情状というものについても、警察である程度調べなければならない必要がある場合もありますよ。これはわかりますけれども、私ども、十時から三時までかかったというふうに聞いているのです。仮に調べたとしても、一時間も調書をとればいいわけで、三時までかかる必要はないのじゃないでしょうか。そこら辺のところがちょっと長過ぎるのですね。複雑な事件ならあれですよ。実に簡単というか、単純な事件じゃないですか。 教唆罪で調べたとか調べないとか、あなたの方は、女の人は後ろに乗っていて、無免許運転をしていたのは男だったというのでしょう。この女の人は後ろの席でしょう。それを教唆罪だなんて、そんな理屈は普通の場合には立たないですよ。それは無理よ。本件の場合には、警察で何も無免許運転の教唆まで調べたわけじゃないでしょう。外登法の不携帯だけのことを調べたのでしょう。その点はどうなんですか。
○吉野説明員 そのとおりでございます。外登法違反について調べたということでございます。
○稲葉委員 ところが、あなたの最初の話は、外登法じゃなくて無免許運転の教唆のあれがあったと言われたのじゃないですか。それはどっち。
○吉野説明員 それは、最初に交通の警察官が教唆、幇助の疑いで調べて、外登証の提示を求めた、こういう順番でございまして、本署へ呼び出す前に簡単な交通の関係の調べをやっているわけです。その際に教唆、幇助を調べまして、それで疑いが晴れた、こういうことでございます。
○稲葉委員 普通、運転者が無免許で運転していたときに、後ろに乗っていたのが日本人だったときに、その乗っていた人を無免許運転の教唆や幇助で調べますか。特別な場合は別ですよ。たとえば非常に酔っぱらって運転しているとかなんとかいうよほどの場合だ。しかも、後ろに乗っていた人が非常に地位の高い人だとか、まあ地位の高低でやっちゃ悪いかもしらぬけれども、ある場合には教唆だ、幇助だということで調べる場合もなきにしもあらずだけれども、この場合は外国人だからということで調べたんじゃないですか。だから登録証明群を出せと言ったんでしょう。登録証明書を出せと言ったところに何らかの理由づけをしなければいけないから、そこで教唆だ、幇助だという理屈を考え出してきて、そこでそういうふうに証明書の提示を求めた、こういうのが普通の理解の仕方じゃないですか。 私の言うこと、わかるでしょう。普通、無免許運転していて、仮に日本人が後ろに乗っていたとしたときに、教唆や幇助で調べますかと言うんだよ。特段の場合は、それは調べないとは言わぬけれども、それはきわめて例外中の例外だと言うんですよ。あたりまえの話ですね。これは外国人だということがすぐわかったからこそ、外国人登録証を出せと言って、そこで調べる理屈に、教唆だ、幇助だということを言い出したんじゃないですか。こういうのが普通の常識的な理解じゃないですか。どうですか、これは。
○吉野説明員 私、これまた交通の専門家ではございませんので、権威あるお答えができないかと思いますけれども、私も警察生活をやった経験からいいまして、もし今度の事案のような、無免許で約三十四キロオーバーという悪質な場合にぶつかった場合は、後ろに日本人が乗っていたとしたならば、必ずそれは調べることになろう。少なくとも免許証の提示は求める、そして事情を聞くということに通常はなるのじゃないかというふうに思います。
○稲葉委員 それは傷害を負わせたとかあるいは致死になったという場合なら、そういうふうな場合はありますよ。ことに運転者が泥酔して運転していたとかなんとかいうことならば、酒を飲むことについて黙認していたということで、あるいは幇助になるか教唆になるかという関係で調べることはあり得るけれども、三十四キロで、それは悪質だと言うかもわからぬけれども、見解の相違で、二十五キロ以上オーバーすれば赤切符なんだから、悪質と言えるかもわからぬけれども、その程度のことで、普通は後ろに乗っている人を調べるということはありませんよ。けがをさせたとかあるいは致死に至らしめたというならば別ですけれどもね。形式犯と言っちゃ悪いかもわからぬけれども、道交法違反だけですからね。その場合に、普通、日本人の場合にはそんなことはしません。これは在日朝鮮人だからということで、そこで登録証明書の提示を求めた。それはあたりまえというか、常識的にそういうふうに判断されるのです。 それで、調べたのが、その当時はとにかく交通関係ですね。二カ月たって呼んだときに調べたのは、交通じゃないですね。警備でしょう。どうですか、警備の方が調べたんじゃありませんか。
○吉野説明員 通常、外国人登録法違反の取り扱いは警備係でやっておりますので、そのようにやっております。
○稲葉委員 そこで、いま話が出てきたですね。じゃ、なぜ外国人登録法の関係は警備でやるのですか。ここで外国人登録法のことで質問すると言ったらあなたは外事課長ですね。外事課長が出てこられたわけですな。なぜ警備でやるんです。普通、警備というのは、どうして普通の刑事警察でやらないで、警備警察でこれを運用するのですか。
○吉野説明員 どうして警備でやるかとお尋ねになっても、これには長いいろいろな沿革、歴史がございまして、私は必ずしもその間の事情はつまびらかにいたしませんけれども、いろいろな事案をどこでやるということにつきましては、たとえば警察署であれば、署長の指揮下において、たとえば警備の者であっても、骨内に泥棒が多ければそっちへ応援に回すということは通常行われているわけでございますし、あるいは全国交通安全運動になりますと、交通以外の者も駆り出して、場合によっては刑事も制服を着せて街頭に立たすことがよく行われているわけでございまして、これは署の段階の話でございます。本部の場合であっても、警察庁の場合であっても同じでありまして、便宜的にどこかでやるというふうに決まって、それからずっと沿革が続いている。外国人登録法の取り締まりの場合も、恐らくそういう沿革ではないかというふうに私は理解いたしております。
○稲葉委員 沿革の話が出ましたけれども、沿革というと、これは内務省の外事課当時からの沿革ではないですか。内務省がありましたときに、外事課というのがありましたね。警察には外事課というようなものがあったし、それは特高警察の中に入っていたわけですからね。そういうふうなことの沿革というものもあって警備でやるということになっているわけじゃありませんか。では、通、警備で扱うところの対象はどことどこですか。いまどういうのが警備警察の対象になっていますか。
○吉野説明員 私は警備局長ではございませんので、お答えできる立場にあるかどうか別でございますが、同僚のことをいろいろ推察して申し上げますと、たとえば極左暴力集団というようなものがあろうかと思います。
○稲葉委員 するとあなたは、大変失礼ですけれども、外事課長というのは警察庁のどこに所属しているわけですか。
○吉野説明員 警備局でございます。
○稲葉委員 警備局の外事課長をやっているんだったら、警備のことを知っているわけでしょう、あなた。だから、外事警察というのがいまなお事実上あって——言葉は違うかもわかりませんよ。外事警察という言葉はないかもわからぬけれども、実際は警備が扱っておって、外国人登録法の違反ということについては警備警察の対象になっている。いまあなたが言われた極左暴力集団、それと同じジャンルの中に入って扱われておるところに、この外国人に対して、これを敵視と言えばあなたの方はそんなことはありませんと言うかもわからぬけれども、極度の治安問題として取り扱っているところに問題があるわけですよ。 だから、これは幾ら法務省の方でこの携帯義務違反については決して行き過ぎはいたしません、こういうふうに言って答えて、いろいろな協力をして指導はしておるけれども、警備局の上の方では、それはもう無理はしないようにしろ、こう言っているかもわからぬけれども、指導したって下へいくとだめなんですよ、そんなこと聞かないんだから。ということは、最初から警備警察の人ならあるいはまだ違うかもわからぬけれども、実際は警らと言うんですか、外勤の人たちがやる場合が極端に多いんではないでしょうか。 そこで、法務省に聞くんだけれども、これは審議官かな。この外国人登録法、ことに携帯義務の違反についての捜査というか取り締まりというか、これはどういうふうにやれというようなことをあなたの方が指示するわけにいかぬかもわからぬけれども、どういうふうにやったらいいかということについて警察との間で話し合いか何かをしていることはあるんですか。それはどういうふうになっているんですか。
○當別當説明員 お答えいたします。 外国人登録法違反事件と申しましても内容は多岐にわたるわけでございますが、主として各種の申請義務違反の罪あるいは不受領とか、こういう形態の罪は、機関委任事務として取り扱っておられる市町村からの告発が通常捜査の端緒になっておるわけでございます。しかし、いま御指摘の不携帯罪というような事案は、事案の性格上一線の司法警察員からの送致事件というのが検察庁の捜査の端緒になっておるわけでございますし、過去にもいろいろ当委員会において取り扱いの円滑かつ適正を期する旨の御指摘も受けておりますので、私どもといたしましては、都道府県警察を指揮監督する立場に立っておられる警察庁と業務上、仕事の上でいろいろ打ち合わせをする機会があるわけでございますが、そういう機会に、これまで当委員会で御指摘いただきましたような事例を参照といたしまして、一線の警察活動に対する事犯取り締まりの適正化について警察庁の方での指導監督方の配慮を要望しておるというのが現状でございます。
○稲葉委員 このことについては、あした告訴をするわけですね。そういうことですから、まだ告訴状が出ていませんけれども、いずれ告訴の中ではっきり、甲府地方検察庁の方へ告訴が出るんですね。これは弁護士会の方にも人権の申し立てか何か出ていますが、地検の方に告訴が、公務員職権乱用告訴事件として甲府地検の方へ、被告訴人を塩山警察署の警察官警備主任守屋某ほか二名ということで告訴が出ますから、その中で事実関係が明らかにされるわけです。 これは後で刑事局長が来たときに、その事実関係を甲府地検において早急に明らかにするようにということを要望しますが、いまの段階では、告訴が出るのですからこれ以上ここで聞いてもあれですから、警察の方は、今後くれぐれも、この特に不携帯罪の運用については疑いを持たれないように、人権じゅうりんにわたらないように十分注意をしてもらいたい、こういうふうに思いますので、その点についての今後の運用というか捜査のやり方というか、そういうようなものについて外事課長からお答えを願って、そこで警察関係は結構です。
○吉野説明員 外国人登録法の取り扱いはいろいろな範囲にわたると思うのでございますけれども、当委員会等で主として御質問を受けるのは不携帯事案でございまして、これは主として登録証の提示を要求するのは、統計ございませんけれども、やはり職務質問に伴うものが非常に多いんじゃないかと私、思いまして、ただ、この職務質問というのは、外国人に限らず日本人であっても、正直に申し上げて質問を受けた方は不愉快でございます。しかしながら、この職務質問というのは犯罪防止なり犯罪捜査上大変な威力を上げているのは先刻御承知のとおりでございまして、誘拐犯人をこれでつかまえたとか殺人犯指名手配をつかまえたとかいろいろございますので、大変警察としては犯罪予防なり検挙のための有力な武器でございまして、その一環としてといいますか、その中の一つの枝として外国人の方にも質問の対象になってもらう場合があるということでございます。 ただ問題は、ここが大事なところでございますけれども、外国人であっても内国人であっても、質問をして成果を得るというのは、やはり市民の方の協力がないとこれはできないわけでございまして、その点は、任意の質問であるということをくれぐれも理解願って協力をいただいて、この疑いが晴れた場合は感謝の念を持ってお引き取りいただくというふうに一線を厳しく指導しているわけでございまして、決して外国人だけをねらい撃ちに差別をして調べているということはないわけでございますが、おっしゃる趣旨に従いまして、今後ともそういう趣旨で一線を指導してまいりたいというふうに考えております。
○稲葉委員 それで、問題に返るわけですが、指紋の押捺制度に関連をして、いまは四回だったものが三回になる、それで確認期間も変わる、基準年齢も上がるということで、指紋の押捺の回数というかな、それが全体として減るという話がもうさっきありましたよね。それは減るのはわかりますよね。それは三年が五年になり、十四が十六になれば減るのはわかりますが、そこの具体的なあなたの言われる数字が、どこからどういうふうに出てくるのかよくわからないのですよ。それをもう少し詳しく説明をしていただきたいんですよ。ここで詳しく説明するのはあれだというならば資料をもらいたいわけですけれども、一応とにかく説明してくださいよ、もう少しわかりやすく。
○大鷹政府委員 今度の改正で確認申請の義務は十六歳以上ということになりました。それから確認申請期間が三年から五年に延びます。それから、確認のたびごとに押す回数が、従来四回だったものが三回になります。というのは、指紋原紙、従来二枚押していたものを一枚に減らしました。 そこで、ある外国人が七十歳まで生きるという前提に立ちまして、現行法では十四歳から確認申請義務があるわけでございますから、しかもそれが確認申請期間は三年である、こうなりますと、確認申請の回数というのは七十歳までに十九回ございます。しかも、一回に先ほど申し上げましたように四個の指紋を押しますから、七十六個の指紋を生涯の間に押すわけでございます。他方におきまして、改正案では十六歳から七十歳までの間に確認申請の義務は十一回起きます。そのたびごとに三回の指紋を押すわけでございますから三十三個ということになります。現行法では七十六個、改正案では三十三個ということになりますので、これが個数の面で半分以上、六割近く減るという計算になるわけでございます。
○稲葉委員 いまの話を聞いていますと、何回何回というのは、同一の場所で一回にやるもので、三つ押すとしても幾つ押すとしても、それを私どもは一回と数えるわけですよ。あなたの方は、同一の場所でやる、こっち押す、こっち押す、こっち押すというのは三回と考える、そういう計算をするのでしょう。そこはもう話の出発点が違ってくるわけですね。僕らはそれを全部一回と見ておるから、そこじゃ減らないということになるわけだ。そういう理解の仕方をすると計算が変わってくるのですよ。 もう一つの疑問点は、あなたは七十歳までと言われたけれども、何で七十歳という数字が出てくるの。あなた、ここら辺がまたおかしいですね。平均寿命は七十歳じゃないもの。最高裁判所の判事は七十歳かもしれぬけれども、これはそれと関係ないからね。七十歳というのはどこから出てくるか、わけがわからぬけれども、それはいいです。 それと、いま言ったように、僕らの言う回数というのは、カウンターへ行く回数がどれだけ減るかという意味のことを聞いているわけですよ。同じところで押す回数が減るということではないのですよね、聞いている意味。それを聞いているわけですがね。それはどういうふうになりますか。
○大鷹政府委員 実は七十歳ととりましても八十歳とやっても、その個数としての減り方は、パーセンテージでは余り変わりません。 ただいまの御質問でございますけれども、三個であるか四個であるかは別として、確認申請義務の回数で考えてみますと、現行法では、十四歳から七十歳まででしたら、確認申請義務は十九回ございます。仮にこれを八十歳といたしますと二十三回ございます。他方におきまして、改正法案では、確認申請義務は十六歳から七十歳までの間に十一回ございますし、これを八十歳まで延ばして考えますと十三回ということになります。つまり、七十歳とすれば十九回対十一回、八十歳とすれば二十三回対十三回、こういう減り方をするわけです。
○稲葉委員 さっき午前中の質問を聞いておったときに私は感じたのですけれども、指紋を押した原票というのですか原簿というのですか、よくわかりませんが、それは法務省へ来てどうするのですか。よくわからないですな。同一性を確認するためには利用するとかしないとか言って、いわゆる犯罪捜査には利用しないという意味のことも言うし、そこら辺のところは何だかはっきりしませんね。捜査に利用しないという意味のことを言われましたね。そのときに、いわゆる犯罪捜査には利用しないとか、何か括弧書きがついていたような気がしました。そこがよくわからないのですが、そうすると、これは何に利用するのですか。
○大鷹政府委員 ただいまの稲葉委員の御質問は、指紋原紙に対する押捺のことだと思いますが、指紋原紙につきましては犯罪捜査のために利用したことがないという趣旨のことを、けさお答えしたわけでございます。
○稲葉委員 そうすると、指紋原紙でないものは犯罪捜査に利用することがあるということなのですか。指紋原紙でないものは一体何があるのですか。外国人登録に関連する指紋というのを僕らは見たことがないから、わからないのですよ。あなたはいま指紋原紙は犯罪捜査に利用したことはないと言うのだけれども、じゃ、指紋原紙でないものが何かあって、それを犯罪捜査に利用されているのですか。
○當別當説明員 外国人が新規登録の場合あるいは確認申請の場合、新たに登録証明書の交付を受ける場合には、みずから交付を受ける登録証明書、それから登録原票、それから指紋原紙に指紋を押捺してもらうわけでございます。先ほど局長が答弁いたしましたのは、従来の法律でございますと指紋原紙は二葉に押捺してもらっておったわけでございますが、今度の改正法ではこれを一葉にしたということでございます。指紋の押された当該の登録証明書は申請者自身が携帯しておるわけでございます。登録原票は市区町村が保管しておるということでございます。指紋原紙が法務省に送られて、法務省でこれを保管しておるということでございまして、指紋原紙のみについて犯罪捜査のためにこれを利用しておらないと申した趣旨ではございません。要するに、外国人登録という行政目的を達成するために押していただいておる指紋を犯罪捜査のために利用することはしていない、こういうことでございます。
○稲葉委員 そうすると、原紙にしろ原票にしろ、持っている外国人登録証明書の指紋、それは一体何に利用しているのですか。あなたは、同一性確認のために利用していると言うのでしょう。そのことによってすぐ同一性がわかるのですか。外国人登録証を持っていた、そこに押してある指紋、甲なら甲という人が持っておったその人の指紋であるかどうかということが、そこですぐわかるのですか。同一人の確認、わかると言うのでしょう。そこのところがよくわからない。すぐわかるのですか、あるいはすぐわからないのですか、どうやったらわかるのですか。
○當別當説明員 何のためにただいま御説明申し上げましたそれぞれの指紋を押してもらっておるかということでございますが、まず、当該外国人が携帯している登録証明書でございますが、これは当該外国人に交付された証明書と携帯している本人との同一性の確認のためにどうしても必要だということを申しておるわけでございます。 ただいまの委員の御質問は、直ちにその場で判別ができるかどうかということでございます。もちろん、同一性確認のために絶えず当該本人の指紋と登録証明書に押してございます指紋とを照合しておるということを申しておるわけではございません。まず、記載事項と本人の申し立てる事項とが一致するかどうか、それから写真が外見上一致するかどうかというようなことから始まるわけでございますけれども、当該登録証明書と本人との間の同一性について疑問が生じた場合には、当該外国人にとっても指紋の照合という方法をとらなければ自己の証明書と本人との同一性ということが証明できなくなるわけでございます。 仮に一つの例をとって申し上げますと、私ども退去強制手続を職務上進めております段階で、往々にして他人の外国人登録証明書を譲り受けて、それに自分の写真を張って当該他人に成り済ましてわが国に在留しておるというような事案に遭遇するわけでございます。これはもちろん刑法上の公文書偽造罪ということになるわけでございますが、こういう場合には、写真の照合という方法をとりましても登録証明書と当該本人との同一性の識別ということができませんので、指紋の照合ということによって初めて事実関係を明らかにすることができるということになるわけでございます。 市町村で保管しております登録原票でございますが、これは新規登録から、現行法でございますと三年ごと、改正法でございますと五年ごとの確認申請を経て、一貫した登録手続というものが行われておるわけでございますが、その間に人物の入れかえがないかどうか、登録原票に記載されておる当該外国人に確認申請の都度正しい登録証明書が交付されておるかどうかというようなことを確定するためには、どうしても指紋が必要だということを申しておるわけでございます。 法務省に保管してあります指紋原紙、これはどうして必要なのかということでございますが、すでに何回も御答弁申し上げておりますように、市区町村その他から同一性確認のための照会があるわけでございます。そういう照会、同一性確認のための照会回答義務のための資料。あるいは卑近な例をとらしていただきますと、市区町村の区域を異にしてある外国人が二重登録の申請をするというような事件もときたまございます。こういう場合には、当該市区町村が保管しております登録原票だけではその事実関係が把握できないわけでございます。これは全国的な見地から法務省が保管しております指紋原紙によりまして、甲という市が発行した登録証明書と乙という市が発行した登録証明書、これが同一人に対して二重に登録証明書が発行されているということが確定できることになるわけでございまして、いま申し上げたような観点からそれぞれの指紋が活用されているという現状でございます。
○稲葉委員 いまの答えを聞いていますと、指紋の照合というのは、犯罪があれば、たとえば偽造とかなんとかの疑いがあれば、検挙されたときにそこで被疑者として押されるわけですから、その指紋とそこにある外国人登録証に押してある指紋と照合してみれば、違うということはわかるのじゃないですか。あなたの言う例ならば、法務省でなくたっていいのじゃありませんか。そういうことになりませんか。いまの質問に対してこういう答えでしょう。もう一つ前の逮捕などする段階でそれが必要だということでしょう。それはそういうわけだな。 そこで、いま言ったように指紋の照合というのは、法務省では、具体的には台帳ですか、原紙というのですか、それはどういうふうにして保存してあるのですか。どういうふうに分けてどういうふうに分類して、場所はどこにあるの。たくさんあるでしょう。百万ぐらいあるのじゃないですか。いままでの人のもあるし、どこかへいなくなっちゃった人のは廃棄しちゃうのかどうかわかりませんが、百万ぐらいあると思いますが、もっとあるかもしれませんね。そういう人に対してはどうやって、原票というか原紙というのか、どういう区分けをして保存してあるのですか。
○亀井説明員 法務省に保管してあります原紙は、登録番号順に整理して保管するということで、要するに指紋を分類して保管するというやり方ではございませんので、したがって、登録番号というものをまず見つけないと、指紋から見つけようとしますと百五十万枚を全部当たるということで、指紋から照合することはほとんど不可能な状況になっております。
○稲葉委員 それなら、外国人登録証明書の番号を直しちゃえばいいじゃないかな。直しちゃえばいいと言えばまずいけれども、削っちゃっていてわからなければ、それはわからないじゃないですか。削っちゃって、ないときにどうやって照合するのですか。わかるのですか。あるいは番号が変わっている場合にどうするのですか。
○亀井説明員 外国人登録の指紋の利用は、あくまでも現在そこに存在している登録証明書、これは偽造の場合は偽造のものが来れば指紋が合わないとかいうことになりますから、要するに登録証明書が現存しておりまして、そのナンバーが合って、そういう人たちについて同一性を確認するということでしか作動しないと申しますか、指紋が独立して動かし得ない現存の状況である。それは金をかけまして分類すればできる可能性はございますけれども、目下保管している状況のもとでは、そういうふうに登録ナンバーを当たっていきますと名前が出ますので、要するに追及の仕方というのは、登録の中ではいろいろな手があるわけでございますけれども、要するに指紋に到達する場合は、指紋はナンバー順に保管されていますから、とにかくまずナンバーを発見しなければならぬ、こういう保管の状況であり、それに沿った利用の仕方しかできないということでございます。
○稲葉委員 ナンバーが変わっちゃえば、わからなくなっちゃうのじゃないですか。いまの答弁もそういうことになるのじゃないの。ナンバーが変わっちゃったら、発見できないじゃないですか。そんなものをたくさんの金をかけてつくっておく必要ないじゃないですか。それはどうなんですか。
○亀井説明員 登録のナンバーについてちょっと申し上げなければならぬかと思います。登録のナンバーは全国一連であるということは、この前先生からの御質問に申し上げましたが、切りかえごとにAならAという人のナンバーが変わるわけです。その変わったナンバーは、Aという人につきまして累年化しまして、違ったナンバーだけれども、Aという人のナンバーが十個あれば十個は連続して保管されておると申しますか、そのナンバーをつなげることはうちの方の保管ではできるようになっているわけです。したがいまして、ナンバーが変わってという点は、ナンバーに相当する名前が出てきますので、それはナンバーだけ変えたからといって、わからなくなるというふうにはなっていないのです。御説明申し上げればそういうことになろうかと思います。
○稲葉委員 そうすると、切りかえというか、確認というのは、あなた方から言わせれば、具体的にはどういうメリットを発揮しているわけですか。
○亀井説明員 確認と申しますのは、三年の間に住所であるとか身分関係であるとか、いろいろな面で変更がございます。これを現存は三年後、今後は五年後になろうかと思いますが、その間の変更事項をそこで一斉に整理してもらうというのが一つの大きなメリットであろうと考えております。
○稲葉委員 だから、変更事項を整理してもらえれば、あなたの方にはどういう利便があるのですかと聞いているのです。
○亀井説明員 これは確認のときに一斉に整理するという点は、いま私が申し上げました変更事項もあります。しかし、これは先生御存じのとおり、変更申請がございます。そのほかに、普通の場合は指紋原紙の照合というのが行われるわけです。それでさらに整理をするということで、とにかく三年ごと、今度の五年ごとの切りかえのときに、登録における不正も含めまして一斉に整理をするというところに大きなメリットがあるのだということを申し上げることになろうかと思います。
○稲葉委員 だから、いま言われたように不正を含めて発見することにメリットがあるということなんでしょう。結局は外国人の管理というものにその必要性がある。そのために必要性があるということになるのじゃないでしょうか。あたりまえの話じゃないですか、あなた方に言わせれば。そういうことになるのじゃないですか。 そこで、まだ刑事局長来られないのであれですが、わかっていればお答え願いたいのは、登録証明書の携帯義務違反の従来の扱いというか実際の扱い、たとえばどの程度が罰金になっていて、どの程度が起訴猶予になっているとか、どの程度が体刑請求をしているとか、そういうふうなことについては一体どういうふうになっておりますか。あるいは最初の場合はこの程度にするとか、二回目からはこうだとか、いろいろありますね。そういう点は具体的にはどういうふうに入管としてあるいは警察庁として運用しているのか、そこはちょっとよくわかりませんけれども、どういうふうになっているわけですか。
○當別當説明員 携帯義務違反の事案でございますが、先般も稲葉委員の御質問にお答え申し上げたところでございますが、私どもといたしましては、一線の警察活動で携帯義務違反の事案が発覚したという場合に、この事案すべてが立作されて検察庁に送致されておるというふうには理解しておりません。先般も警察庁の外事課長が申しておりましたとおり、事案によっては始末書を徴するとかあるいは厳粛注意をするとかということで、いわゆる説諭処分というようなことで、刑事事件としては取り上げないという取り扱いが行われているというふうに承知しておるわけでございます。したがって、一線の警察活動で探知された不携帯の事案がすべて検察庁に立件送致されるというふうには承知しておらないわけでございます。 ところで、先般も稲葉委員の御質問に対する刑事局長の答弁にもございましたように、外国人登録法違反と申しましてもいろいろの罰則があるわけでございますが、その罰則別の統計を私どもはとっておりません。しかし、今回の改正法案を検討いたします過程で、われわれ入国管理局といたしまして、東京地方検察庁が受理し、処理した不携帯のみの事案についての処理区分というものを調査させていただきました。他の罪名と併合罪の関係で送致されたというようなことになりますと的確な判断ができませんので、不携帯の事案のみで検察庁に送致された事案がどのように処理されておるかということを一応調査してみたわけでございます。 その結果でございますが、昭和五十一年から五十五年の間における東京地方検察庁における不携帯罪のみの送致事件についての処理結果でございますが、昭和五十一年について言いますと、百八十八件の処理がなされておりますが、略式命令請求が三十五件、起訴猶予を含めました不起訴処分が百一件というふうになっております。五十三年について見ますと、処理は百六十二件、略式命令請求が十四件、不起訴処分が九十六件。五十五年をとってみますと、処理は百十六件、略式命令請求が二十七件、不起訴処分が八十八件というふうな結果が出ておるわけでございます。 個々の内容を逐一検討しておるわけではございませんが、検察庁といたしましては、警察から立件送致された事件について当核不携帯事案の違反の態様、これは先般来問題になっております犯意の有無というような点も含めまして違反の態様、違反に至った経緯あるいは犯情、それから個人的な情状というようなものを総合考慮いたしまして、適正妥当な処理を遂げておられるものというふうに理解しておるわけでございます。
○稲葉委員 略式命令は、まだ三万円以下の罰金ですね。それはこの一番新しいものでも略式はどの程度の金額になっているのですか。不携帯罪だけのものについての略式の金額ですね。これはどういうふうに分けられますか、わかっている範囲で結構ですが。
○當別當説明員 略式命令における罰金額の統計的な調査というものはいたしておりません。したがって、正確な御答弁は申し上げかねるわけでございますが、私の経験から申し上げさせていただきますと、一万円の罰金から、あるいは同種の前科がすでにあるというような事案につきましては現行の最高金額でございます罰金三万円というふうな略式命令の請求がなされておる事案もあるというように申し上げさせていただきます。
○稲葉委員 今度罰金が二十万円以下になるという案ですね。これは旅券の場合は一万円が十万円にすでになっておるのでしたっけね。そういうようなこととの比例で二十万円にするということなんですが、これはしかし、あなたの方に運用のことについて聞いても、刑事局の方でないとぐあいが悪いのかどうか、ちょっとわかりませんが、二十万円以下になると、実際には普通の場合二十万円までいくのじゃないか。普通でも二十万円にいくのではないかというふうにだれでもぴんとくるのですね。だから、具体的な運用というものはどういうふうにしたいというふうに考えているのか、こういうことを私どもは聞きたいわけですね。あなた方の方で答えるべき筋合いなのか、刑事局で答えるのが筋合いなのか、ちょっと僕にはわかりませんが、そこはどういうふうに考えたらいいのでしょう。だから、二十万となればどんどん二十万円取るのじゃないかという心配があるから、そこで聞くわけですよ。
○當別當説明員 不携帯非の事件について最終的な処分を決しております検察庁の具体的な運用方針ということについてのお尋ねでございますので、私がお答えできる範囲内で申し上げたいと思います。 今岡の改正法案におきまして、現行の三万円以下の罰金、これを二十万円以下というふうに法定刑を引き上げさせていただいておるわけでございますが、この点はすでに申し上げておりますように、三十年余り罰則の改正が行われておらなかったとか、あるいはいま先生御指摘の入管法二十三条の旅券の携帯義務違反の法定刑との関係というようなことを比較検討させていただいたわけでございます。 しかし、私どもといたしましては、二十万円というのはあくまでも法定刑の最高限度を決めた既定であるということは当然でございますので、この法定刑の範囲内において、それぞれの事案の態様あるいは情状、こういうものを総合勘案されて検察庁が事案に応じた厳正公平な、適正な運用を図っていかれるものだというふうに考えております。 なお、ここで一言つけ加えさせていただきますと、われわれが調査させていただきました段階で、ごくわずかな例ではございますが、不携帯の事実のみで公判請求され、裁判所が懲役刑の選択をして刑の言い渡しをしたという事案もございます。こういういわば不携帯罪の中の悪質な事案につきましても、今後は罰金刑一本で対処していかなければいけないということになりますので、罰金刑の最高額二十万円という点は、その範囲内において事案に応じて適正、妥当な処理が図られるというふうに希望しておるわけでございます。
○稲葉委員 その不携帯罪の悪質事犯というのがよくわからないのです。不携帯罪に悪質とか悪質でないとか、それはいろいろ過失のものもありますでしょうし、累犯関係にあって何回も何回もやっているという場合はあるいはそれがあるかもわからぬですが、だから、何か別の事情を加味してそいつは悪質だと見られたんじゃかなわないですな。そういう意味じゃないでしょうね。具体的にどういうことですか。
○當別當説明員 ただいまお答え申し上げました趣旨は、不携帯罪の中で、起訴猶予になる事案から、ごくわずかな例ではございますが、裁判所において自由刑の言い渡しがなされた事案まであるわけでございまして、起訴猶予になる事案から見れば、そういう裁判所で自由刑の言い渡しをなされた事案というのは、不携帯非として好ましくない事案だというふうに判断されたものと考えておるということを申し上げたかったわけでございます。
○稲葉委員 これを見ると、実際には立件されたものの半分以上かな、そういうものがほとんど起訴猶予になっているのではないでしょうか。東京地検の例だけを見た場合にどうでしょうか。
○當別當説明員 先日の当委員会におきまして、全国的な調査結果は、昨年の一月一日から十月三十一日までの調査結果ということで刑事局長から答弁させていただいたとおりでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、東京地検における最近における調査結果という点にしぼって申し上げますならば、起訴した事案の方が不起訴事案よりも少ないという結果になっております。
○稲葉委員 だから、問題は検察庁のところに来るまでの間なんですよ。もうさっき塩山のことを例に挙げましたが、あれなんかでも、あなたのいまの説明を聞けば、恐らく普通なら説諭処分か何かで済む事件だと思うのですよ。それを二カ月後に連れてきた。そのときには何かどこかへ急いでおったので、後で来てくれと言ったのかもわかりませんけれども、そこでいろいろな問題を起こしているわけですね。それで告訴もあした出るということになっているわけです。だから、警察の方の扱い方、それがことにアジア人に対して極端に偏見を持っているとしか考えられないようなものが多いのですね。この前の門司の水上警察の例なんかは、土下座をさせてひどいことを言ったらしいのですよ、それで免職になっていますからね。 検察庁に来てから、恐らく普通は身柄つきで来ることはありませんから、起訴猶予が多いわけですから、だからそれほどのことはないし、検察庁だって不携帯の事案について重点をもって調べているわけじゃないと思うのですよ。恐らく副検事が調べているか、あるいは検事事務取扱の事務官が調べているかぐらいのことじゃないかと思いますよ、普通の場合。これは本検事が一生懸命になって調べるものじゃないと思います。実際、第一線の警察官の取り調べはそうはいかないのですよ。そこに問題があるので、そこに一つの大きなギャップがあるということを再三私どもの方で申し上げておるわけです。 そうすると、旅券法の場合はどうなっていますか。一万円が十万円になりましたね。旅券法違反というので取り調べを受けるとか立件されるということはほとんどないんじゃないですか。特別の場合は別ですよ。赤軍が旅券を持って出なかったとかあるいは来た人があれだとか、そういう特別な事件は別として、普通の場合は、資料がなければいいですが、あればあれですが、旅券法違反であれされることはもうないんじゃないでしょうか。あるとすれば、それは特殊な極左集団とかなんとか、そういうものに限って行われておるだけであるというふうになってくるんじゃないでしょうか。
○當別當説明員 委員御指摘のとおり、外国人登録証明書の不携帯事案に比べますと、旅券の不携帯の事案は非常に少ないことは事実でございます。昭和五十五年一年間に東京地検が受理いたしました旅券不携帯事案は五件で、起訴猶予処分になっておるという結果が出ております。
○稲葉委員 そこにまた問題があるのですよ。だから、旅券の場合は非常に軽いというか、ほとんど処分をされない。特別な例は別ですよ。そうでないものについてはそういうやり方をしながら、外国人登録証の場合は不携帯だけで処罰をされてくる。起訴猶予もありますけれども、処罰をされてくる。しかも外国人登録法で処罰される者は、ほとんどアジア人だということじゃないですか。国別の統計があるかないか知りませんが、ほとんどがアジア人だ。その中でほとんどが在日朝鮮人だ。こういうふうになってくるからこそ、この外国人登録法というものは非常に大きな問題を内包している、こういうようなことになってくるわけですよ。 では、アメリカ人ならアメリカ人に対して、あなたは外国人登録証を持っていますかと言って職務質問したり、それを摘発した、普通のアメリカ人ですよ、そういうようなことをやった例がありますか。特別な、アメリカ人でもギャングみたいな人とかなんとか、そういうのは別ですが、普通のホワイトカラーに対してはそういうことをやらないのですけれども、非白人ということになるとそれをやるところに問題があるのですよ。さっき大臣は、何か日本人が閉鎖社会であって、単一民族とかなんとか言われたわけですが、それでアメリカは成熟した民主主義社会だなんという話がありましたけれども、成熟した民主主義社会というよりも、むしろ成熟し過ぎた民主主義社会なんだな。成熟し過ぎて、民主主義がいま破壊されようとしているのがアメリカの社会なんですね。これは理解の仕方が違うんです。それは意見の相違かもわからぬから別として。だから、外国人登録法の中でほとんどがノンホワイトじゃないですか。そこに問題があるのです。そこまで統計がありますか、ありませんか、どういうふうになっていますか。
○當別當説明員 外国人登録法の構成要件別の、しかも国籍別の統計は手元にございませんので、的確な御答弁ができないのが残念でございますが、一般的に申し上げますならば、委員御承知のとおり、昨年十二月三十一日現在で、わが国に在属する登録外国人の総数が七十九万二千名余りでございます。そのうち国籍を韓国あるいは朝鮮とする方々は六十七万名ぐらいの数でございまして、八五%ぐらいの数字を示しておりますので、違反もこの比率に応じて数が多いのではないかと考えられるわけでございます。 委員のお手元にもございます今回の改正法案の関係資料の中に、外国人資録法違反事件の告発の事件だけでございますが、これの国籍別の内訳というのがございます。昨年一年間に全国の市区町村から告発された事件は総計五千七百件ぐらいでございますが、そのうち国籍を韓国及び朝鮮とする方々の告発事件というのが四千三百件余りということになっております。しかし、国籍をアメリカとする方々の告発事件も三百件余りということになっておるわけでございまして、一般的な朝鮮半島出身の方々の占める比率がその大きな理由ではないかというふうに考えております。
○稲葉委員 全体の中で、いま言われたように資料的にはそういう数字になってくるのは、それはもう日本の現状からして当然のことであるわけですね。ただ、そのアメリカ人と言われた中でも、私の言うのはほとんどがノンホワイトじゃないかと言っているんですよ。だから、ホワイトのアメリカ人ならアメリカ人あるいはヨーロッパ人に対して、あなたは外国人登録証を持っていますか、あるいは旅券を持っていますかということを聞くことは日本人はしないですよ。恐らく日本の警察官や何かはしませんよ。だから、そこに日本のいわゆるアジアべっ視と言うと語弊があるかもしれませんが、アジアとホワイトとを区別するという非常に間違った考え方があるんですよね。そこに問題があるということをわれわれは考えておるわけなんですね。この点は十分注意をしてもらいたいというふうに思うのですが、大臣がいらっしゃいましたので、大臣にいろいろお聞きをしてきょうの質問を終わりたいというふうに思うわけです。 大臣は、東京入管の品川の方も、それから池袋のサンシャインの六階にあるのも視察をされたという話をお聞きをいたしました。それで、池袋のサンシャインの六階にある東京入管は、どのくらいのお金で借りておるか御存じですか。——いやいや、ちょっと待って、大臣に聞いているんだから。
○坂田国務大臣 向こうへ行きましたときに聞かされたわけですが、正確な金額は忘れたのですが、相当なお金を出している、借り料を出しているという話を聞かされました。 しかし、あれはなかなかいいところで、しかも三越でございますか、デパートがありますし、あそこでいろいろ手続をとる人は、非常に日本という国の印象がいいのじゃないかという気がしますし、それからまた、そういう建物もよし、環境もよければ、結局親切になりますし、いらいらさせないことになって、受け取る方も気持ちがよくいろいろ手続を済ますということになるかと思うのです。でき得べくんば、ああいうふうにこちらの港区の方もしたいものだと考えた次第でございます。 〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
○稲葉委員 これは一日十万円なんですよ。そうすると、月に三百万円でしょう。それだけの高い賃料を払っているわけですね。あれは元国鉄総裁の機崎さんのあれやったところですね。それはいいのですが、あそこは確かに広いし、きれいですが、あそこと品川の東京入管と、どういう層の人がサンシャインの方へ行き、どういう人が東京入管の方へ行くという区分けですね、それはどういうふうに行われているというふうに行かれてお聞きになりましたか。
○大鷹政府委員 品川の東京入管に行くか、あるいは池袋のサンシャインに行くかということは、その外国人の自由に任されているわけでございます。したがいまして、特にそういう目立った区分けがあるということは聞いておりません。
○稲葉委員 それはそんなことないでしょう。複雑な問題点のあるものは、池袋のサンシャインで受け付けないんじゃないですか。品川の東京入管へ行ってくださいと言っているんでしょうが。だめですよ、そんなこと言ったんじゃ。
○大鷹政府委員 池袋のサンシャインは不正規業務をやっていない。警備関係であるとか、そういう不正規業務はやっていない。そういう意味で、東京入管と池袋で取り扱っている事案の中身が若干違うようでございます。その結果、あそこに来る外国人の、何と申しますか、区分けと申しますか、そういう特色というものが出てくるかもしれません。
○稲葉委員 確かに警備関係の仕事はやっていないですね。それは収容所だって、収容の部屋かなんかだって、品川の東京入管にあるわけですからね。上の方にありますね。 そこで大臣、いまちょっと言われましたけれども、確かに片方は非常にサービスもいいし、気持ちもいいわけですね。片方は、まず第一に場所がよくわからないのですよ。普通の人は車で行っても、運転手が知らぬところがあるんですよ。まず、品川の駅を東京駅の方からいって左側へおりていかなければいけない、地下道をね。あれをおりていかないと、右の方へ出ちゃったらわからなくなってしまうんですよ。ホテルの方へ出たら、あれはわからなくなるんですよ。非常に迷うんですよ。ちょっと小さく駅の中に書いてありますけれども、あれだけではわかりませんし、それから普通の車で行ってもわからないですね。品川の駅で地下道を通って出れば、あそこでタクシーが待っているからわかるのですが、行ってみましても余りきれいじゃありませんね。職員の人も気の毒ですよ。五時過ぎても帰れないですよ、いろいろな受付や何か五時ですぐ締め切るわけにいかないから。 そこで、費用の問題とかいろいろあるかもわかりませんけれども、やはり第一印象というものが大事なんで、東京入管を何とかもっときれいにして、あるいはもっといいところへ、できればどこかへ持ってくるというようなことができないんでしょうかね。その点についてはどういうふうにお考えですか。あるいはどういう計画があるというか、どうでしょうか、その点は。
○大鷹政府委員 私どもも稲葉委員の御意見と全く同感でございまして、何とかもう少しいい場所に移したいと考えております。それが予算の関係ですぐにできるかどうかは別として、私どもは内部に検討委員会までも設置して、具体的にどこにいつごろ行けるかということを勉強しているところでございます。
○稲葉委員 そこへ来る外国人の人も、あれでは気分を悪くしますね。それから、中にいる職員も気の毒ですよ、狭いところにいっぱいいてね。それで、何か警備なんか調べていますけれども、隣ですぐ聞こえちゃってね。あれでは落ちつかないし、調べられる人だって落ちつきませんね。そういういろいろな問題がありますけれども、いま局長が言われましたが、もっと感じのいいものに、それからぜひ便利なところにするように骨折っていただきたい、こう思うのです。 そこで、外国人登録法の改正案については、長い間というか、いろいろ質問をしてきたわけで、最終的にその質問をずっと聞いておられまして、大臣、全部聞いておられたわけじゃないでしょうけれども、聞いておられたというふうなことの中で、一体——それは最後の結論よ。締めくくりよ。まだそこまでは早いんだ。それで一体どういう点がまず問題だ、こういうふうにお考えになりましたか。これは問題はいろいろあると思うのです。最初から結論を聞いてしまうとあれだから、どういう点がまず問題点としてあるというふうに大臣としてはお感じになったかという点から、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○坂田国務大臣 まず、登録証明書というものを常時携帯しなくちゃならない、そうすると、もしそれを持っていなかったという場合は必ずとがめられ、そしてまた、場合によっては罰則を適用されるということが一つございますね。それから、ここで議論がございましたように、指紋押捺というのはどうも人の人格の品位を傷つけることになるんじゃないだろうかというようなお話等々ございますけれども、先ほど河上民雄さんにもお答えをいたしましたように、この外人登録法というものがある以上は、やはりこれは基本的には不可欠な要素のような気がしてならないわけなんです。と申しますのは、やはりそれをちゃんと所持することによって、自分を証明する、自分が潔白であるというかあるいは外国人として自由に日本国内に居住できるんだという、むしろ自由を獲得するための一つの保証になるんじゃないか。物は考えようなんで、ただし、ほんの一部の人たちのためにそれはなくてもいいんじゃないかという御議論、これは私どもといたしましてはどうしても承服ができない。 それからまた、日本人と同じように、もう特に朝鮮半島の方々は歴史的な経緯もあるし、しかも一番大人数でございますから、この人たちに対しましてはできるだけ最大限の、何といいますか、日本人と変わらないような処遇をしなくちゃならないということも当然だと私は考えるのですけれども、しかし、そこは日本人であるかあるいはそうじゃないかという国籍法上の問題があるわけで、それがついている以上は何らかの相違、違いというものはあってしかるべきものである。しかし、あってしかるべきものであるけれども、そのことについてはまた国際人権の立場から考えて、それに著しく違反をするようなあるいはそれに余りにもほど遠いような、人道上の取り扱いがなされておらないということであってはならない、こういうふうに私は思うわけなんです。 諸外国をずっと回っておりましても、パスポートにしましてもかなり厳重だし、そしてホテルから一歩出るときには、大丈夫な国もありますけれども、むしろそれを持って歩いた方がいざというときに自分の安心感がある。ことに社会主義国なんかではかなりこれはひどい、厳しいと私は思うのです。これはその国として、独立国として当然なことだというふうに思うわけで、われわれが外国へ行った場合はその外国の定めといいますか、おきてといいますか、直ちに日本のおきてとは違いましても、一応その国で決められたことには遵守すべきが当然だというふうに私は考えるわけでございます。
○稲葉委員 外国へ行ったときに外国の法律に従わなければならないということは、断然のことだと私も思います。日本は主権国家なんですから、これはまたあたりまえのことなんですが、いま大臣の挙げられた例は、旅券の問題が非常に多いわけですね。確かに旅券は常時携帯です。携帯しておった方が安全ですし、それから携帯していない場合いろいろな問題を起こす場合もありますが、いま聞きますと、旅券法違反、旅券の不所持ということで東京地検で調べられたのは去年で五件、全部不起訴ですという話ですね。ところが、外国人登録証明書の不携帯というのはそうではないのですが、東京地検の扱いでは半分以上が不起訴になっておる、実際にはこういう状況なわけですね。それは運用はそうなんです。 そこで、いま私も質問をしておったのですが、今度は自由刑がなくなって、罰金が二十万以下になるというのでしょう。二十万以下になるというので一番心配しているのは、そこが最大限決まってしまうとそこまでストレートにいってしまうのじゃないかという心配があるわけなんで、いままでの例との比較その他から考えてその運用についてはむちゃなことはしない、きわめて常識的な運用をしていく、こういうふうなことについての大臣のお考えはいかがですか。
○坂田国務大臣 その点は私も先生と同感なんです。でございますから、法のたてまえはたてまえとしまして、その運用にはいろいろな幅がございます。したがいまして、その点は人道上あるいは国際人権規約等のことを踏まえまして、あるいはまた日本の現状に照らして運用を進めていく。そして、それが今度定着すればまた一歩前進ということもあり得る。しかしながら、それをやったがためにかえって異常な不祥事が出てきたとかなんとかということになりますれば、しばらくの間はそれは必然的に多少厳しい運用にならざるを得ないということじゃないかと思います。そこは実際上の均衡上の問題、法といたしましてはいま一歩前進ということなんで、これはひとつ理解していただきたいというふうに思うわけでございます。
○稲葉委員 一歩前進という点については私どもも評価をしているわけですが、一歩前進でとまってしまったのでは、これはしようがないわけですね。この提案説明にもありますが、諸情勢が著しく変化をしておるというようなことになってくると、その変化がまた変わってくるということも考えられるし、客観的に変わってくるということと、主観的に変わるような努力もしなければならぬということをあわせて変わってくるということになれば、一歩前進からさらに進めていくということも考えなければならないというふうに私は思うのです。 ということは、やはり国際人権規約の関係、日本の置かれておる立場がちょっと外国と違う場合がありますね。何回も申し上げているように、自分の意思によらないで日本人になり、自分の意思によらないで外国人にされてしまった、それにはオプションも与えられなかったというふうなこともあります。そういう人が多いわけですから、そういうことを含めて一歩前進ということでとどまらないで、情勢がよくなってくるというか、みんな努力しなければいけませんけれども、そういう形の中ではさらに前進をしていくということも十分考えていいのではないか、こう思いますので、結論的な大臣のお考えをお聞かせを願って、私の質問を終わりたい、こういうふうに思う次第です。
○坂田国務大臣 やはりこの外国人登録法というものは、他の一般行政法規と同様に、時代の変遷に応じまして的確に対応し得るように常に見直すべきものである、私は日に新たに日に新たにという考えを持っておるわけでございます。当面といたしましては、これを一応一歩前進のものとして、最上のものとしてひとつ御理解を賜りたいと思いますけれども、今後とも国の内外の政治、社会あるいは経済、文化、そのいろいろの諸条件あるいは変遷に迅速、的確に対応いたしまして、そして国民の期待並びに日本に住む諸外国人の方々の期待にこたえていかなければならない、こういうふうに考える次第でございます。
○稲葉委員 以上をもちまして、外国人登録法の一部を改正する法律案に対する質疑を終わらしていただきます。 相当長い時間といいますか、何回にもわたって、参考人も呼んでいただいて質疑を続けることができまして、問題点もよくわかってまいりましたし、今後の対処の仕方というものもいま大臣の言われたとおりですから、ぜひそれをしっかり守って前向きに前進される、こういうことを最後に要望いたしまして、質疑を終わります。
○中川(秀)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○中川(秀)委員長代理 お諮りいたします。 本日、最高裁判所梅田総務局長、大西人事局長及び川嵜民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中川(秀)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○中川(秀)委員長代理 内閣提出、裁判所法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。熊川次男君。
○熊川委員 簡易裁判所の性格、使命に関しては、見方によれば二つの構想があるようにも思われます。すなわち、訴訟の政策的な観点からするならば、最下級の裁判所である簡易裁判所、この裁判所こそ裁判制度の頂点に立つ最も重要な裁判所であらねばならないと思います。これは発足当初に予定され、立法当局者も誇らかにうたい上げていた民衆裁判所あるいは庶民裁判所としての独特な色彩を持たせべきだという構想かと思われます。またもう一つは、地方裁判所の小型化、その性格あるいは裁判の担当する内容、手続というようなものも、いずれも戦前の区裁判所的性格を持たせるものにあるべきだという構想、この二つがあろうかと思いますけれども、今回の改正に当たってはそのどちらの構想に立たれているものか、お伺いいたしたいと存じます。
○梅田最高裁判所長官代理者 簡易裁判所が戦後発足いたしますに当たりましては、諸外国にございます少額裁判所あるいは治安判事といったような点が参考にされたようでございます。戦前の違警罪が廃止されまして、そのような事件を簡易に取り扱うという趣旨で、全国に五百以上もの簡易裁判所が設立されたわけではございますが、しかも立案の当初に当たりましてはいろいろな構想があったようでございますけれども、終局的に裁判所法の中で規定されました簡易裁判所は、アメリカの少額裁判所あるいはイギリスの治安判事といったものとは相当趣を異にいたしました、しかも戦前の区裁判所とはまた違いました、地方裁判所と簡易裁判所とでそれぞれ一審を分担し合う、比較的少額、軽微な事件を簡易な手続で迅速に取り扱う第一審の制限管轄権を持つ裁判所として発足したものだと存じます。 その後、経済事情の変動等によりまして、民事訴訟事件の事物管轄につきましては、発足当時の五千円以下の訴訟が経済変動に応じまして次第に上げられてまいりまして、今回の前の改正であります昭和四十五年の改正におきまして三十万円に引き上げられたわけでございます。その後十二年ほどたちますが、昭和五十五年現在の経済変動を昭和四十五年と比べてみましても、いろいろな経済的な指数が相当上がってまいりまして、したがいまして、昭和四十五年当時簡易裁判所で取り扱われました事件が次第に地方裁判所に参るというような状況に相なってまいりました。このことは、裁判所を利用いたします国民の側から見ますと、簡易裁判所が利用しにくくなっている。反面、裁判所側にとりましては、昭和四十五年当時簡裁が取り扱っておりました事件が地裁に参るというようなことになりまして、地裁の方の負担が重くなってきた。これら経済変動に見合う今回の改正をお願いいたしたいというのが基本的な視野でございますので、発足当時の簡易裁判所の性格を崩すものではないというふうに存じております。
○熊川委員 簡易裁判所も地方裁判所もいずれも第一審としての共有性格を持っているということである点はわかりした。だからこそ、刑事に関しては簡易裁判所の控訴審は高等裁判所であるのは、なるほどわかりました。民事に関する控訴審についてはその辺が若干異なっているようでありますが、先ほどの地裁、簡易、いずれも第一審ということと、民事手続の現実とはどのように整合を持たすべきものでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 控訴審が、刑事の場合ですと高等裁判所、民事の場合ですと地方裁判所という点での相違がございますことは委員御指摘のとおりでございますが、この辺、私もつまびらかではございませんけれども、民事の控訴審の構造とあるいは刑事の控訴審の構造とが異なっております点も考慮に入っておるかと思いますが、どこを控訴審とするかということは立法政策の問題でございましょうから、その辺のところで差異が出てきたのかというふうに存じます。
○熊川委員 簡裁も地裁もいずれも第一審だというところに、どうでしょうか、ちょっと矛盾というか、言い過ぎではございませんでしょうか。民事に関する簡裁は、地裁との関係ではいわば同列、一審ではなしにむしろもうちょっと民衆的なものあるいは庶民的な身近なもの、こういう性格を民事事件には持たせようとしていた配慮はうかがえないのでしょうか、その辺、いかがでしょうか。 〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
○梅田最高裁判所長官代理者 同じ第一審と申しましても、簡易裁判所は比較的少額、軽徴な事件を身近なところでやってもらうということの趣旨が設立当初からあったことは事実でございまして、それだけに大変数多くの裁判所が設立されたわけでございます。戦前の区裁判所は、区裁判所でないと取り扱うことができない種類の事件、土地の境界確定訴訟ですとか占有訴訟は区裁判所の専属管轄とされておりましたが、戦後の簡易裁判所は少額、軽徴な事件ということで、事民事訴訟事件につきましては金額でふるい分けをいたして、少額、軽徴な事件をなるべく庶民の身近なところで裁判をするという制度として発足したものだと思っております。
○熊川委員 余り細かいことはやめますけれども、事民事に関しては、簡裁も地裁もいずれも第一審と見ることについては、これはちょっと訂正すべきじゃないのでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたように、きわめてと申しますか、比較的少額、軽微な事件で地裁と簡裁にふるい分けたわけでございますけれども、簡易裁判所はそのほか、民事関係で申しますと調停事件の多くを扱う、即決和解をするといったようなところから見ますと、もちろん地方裁判所と簡易裁判所とはおのずから性格は違っておるというふうに存じております。
○熊川委員 民事に関しては、どちらかというと、一審は簡裁で二審は地裁という質の変わったものであると同時に、また、だからこそ続審的なものでやるべきじゃなかったか、こんなふうに考えますけれども、その根底には、やはり何といっても簡易裁判所をもう少し国民に身近なところで、そして余り厳格な手続でなしに紛争、権利関係の裁断は裁判所にやらすべきだという司法権の優越、あるいは民主主義の具体化をあまねくする一番の重要なところを簡易裁判所に位置づけようとしたというところが、まだ現実の制度にも残っておるし、また残すべきではないかという気もあるのですが、いかがでしょうか。
○梅田最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、簡易裁判所は第一線中の第一線の裁判所と申してもよろしいかと思います。国民の多くの人が身近なところで裁判を受けられるということが、簡易裁判所の非常に大きな特色のように存じます。同じ一審を受け持ちます地方裁判所が控訴審となっているのも、あるいはそういったところにあるのかもしれませんが、この辺は先ほども申し上げましたように、確たる自信があるわけではございません。
○熊川委員 そこで、簡易裁判所の裁判官がその使命を全うするにおいては、特に裁判官のような方は、「武士は食わねど高楊枝」じゃございませんけれども、非常に簡潔な、そして中立というか非常に公平な方々というような、精神的な面にウエートのある方も相当おるし、また望ましいことだと私は思っておるのですが、そういう裁判官が自信と責任と情熱を持って、しかも経験豊かな裁判官が民間の紛争、トラブル、悩みに適切なアドバイスあるいは裁断を下すということで、その働きに比例する、相呼応するような名称も私は重要ではないかと思います。 そうした場合に、簡易裁判所の簡易というのは、ややもすればその苦労と能力とあるいは豊富な知識、経験を用いての活動とは若干マッチしない嫌いがなくはないだろうか。かつて木村篤太郎法務大臣は、この種の質問に対し「かような名称に結局落ちついたのではありますが、その簡易裁判所の本質につきましては、いまお話しになったことはごもっともでありますから、そのことにつきましては来るべき民事訴訟法改正の際において、十分その御趣旨をもっていきたい」云々、大体こういう趣旨のことが書いてあります。これについて、簡易の名称について御意見があったらお伺いいたしたいのです。
○千種政府委員 簡易裁判所の名称につきましては、その制度の発足のときからいろいろと意見があったようでございまして、ただいま先生も御指摘になりましたように、簡易というのは何か事件が簡易迅速に処理されるということの方に力点があって、もう少し別な観点からいい名称はないかということも議論されたようでございます。発足の当初におきましては、民衆に親しめるというような意味から、民衆裁判所であるとか国民裁判所であるというような名称もありましたと尚時に、アメリカの裁判所の翻訳でございましょうか、治安裁判所であるとか平和裁判所であるとかいう名前もあったようでございます。いずれにしましても、私どもの社会に何かなじまないというようなこともございまして、一般国民が親しめる、簡易迅速に少額な事件が処理できるというような意味から、簡易裁判所という名称が最後に残ったようでございます。 確かに、その後も国会におきまして、またそういう機会があって議論になったようでございますが、その簡易裁判所がずっと今日まで使われてまいりました経緯にかんがみまして、これがかなり定着をしたといいますか、これにかわるいい名称がなかなか浮かばないと言った方が正確かもしれませんが、そういう事情もございまして、簡易裁判所という名称が今日までなお残っているわけでございます。 これを何かに変えるということになります場合に、先ほど来お話に出ておりますように、それでは簡易裁判所というものを一体どういうふうなものとして位置づけるか、その性格といいますか本質というものに関連いたしまして何かいい名称が考えられる場合には、これもまた変えていく必要があろうかと思いますが、いま現在におきましてはそれほど根本的な制度の改革ということに手をつける余裕がないと申しますか、時期でないものでございますから、とりあえずこの名称を使っている次第でございます。
○熊川委員 わかりました。しかし、私のところに全国から何通か、どういういきさつか知りませんけれども、たまたま手紙が来ております。そういう簡裁の裁判官の方々によりますと、「簡易なる名称は、国民のみならず裁判所全体の軽視を招き、該裁判所職員の意気を失わせている」云々というような、名刺を出したいにしても、地方裁判所判事云々のときは遠慮なく名刺が出せたけれども、都会なんかで人と会うときでも、やはり簡裁に行ってからは名刺は出せない、現に出していない、こういうことを私は都会のある会合で数人から聞いたことがあるわけなんで、ここまで考えているのかということで、申しわけないというか、地裁で長年経験して簡裁に行って一層豊かな知識、経験をふるおう、それこそ円満ないい紛争解決者になろうと言っているけれども、日本では一極独特の自分のカードを出すことが社会のエチケットとされているけれども、それが出せないという第一線の裁判官がいるということもひとつ頭に置いていただけたら、しかるべきときに十分御配慮いただけたら、こんなふうに思います。 それは職員にしても同じじゃないか、こんなふうに考えますので、現在の簡易よりは民衆がいいかどうかわかりませんけれども、もうちょっとアンケートをとるなり、特に地裁を終わられて簡裁に行かれた裁判官などの意見は高く広く集めていただけたら、御参考に供していただけたらありがたいな、こんなふうに思います。 私たち、法律がどうこう言っても、最後のよりどころは裁判所であり、その裁判官が自信と責任と情熱を持って紛争解決に当たってくださる、この姿こそ法を民衆に溶け込ませ、そして司法権の優越を実現する、民主主義の実現に最も近道ではないか、こんなふうに思いますので、特段の御配慮を仰ぎたいと思います。 それから、今回の法改正に至った背景と根拠、これをごく手短にお願いします。
○千種政府委員 簡易裁判所の民事に関する事物管轄は金額によって決められているものでございますが、経済変動によりましてその価値が変わってまいりますと、簡易裁判所に参ります事件もまた変動がございます。そういうようなことから、従来簡易裁判所で訴訟ができたものが地方裁判所へ行かなければならなくなってくるというような事態も起こってまいりました。 先回の改正以来十年を経過いたしましたものですから、そのひずみがかなり顕著になってきたということから、裁判所におかれましても、五十四年の秋でございますか、三者協議会、法曹三者の間でできております協議会がございますが、ここにこの議題を提案することをいたしたわけでございます。 この問題につきましては、先回、四十六年の改正の際に弁護士会におきましてもいろいろな意見がございまして、法案提出された後にも反対の意見が強かったものでございますから、そこで附帯決議もつきましたし、それを契機として三者協議会ができたという経緯もあるものでございますから、この三者協議会におきまして簡易裁判所の問題についてかなりの議論をいたしました。具体的には昨年の七月ごろからだと思いますが、この議題を取り上げることについて弁護士会の中でもいろいろな検討をなさいまして、去年の九月からこの問題を取り上げて、ことしの三月十八日に至るまでの間十回の会議を続けてまいりました。そういう経緯からこういう改正の要綱がまとまった次第でございます。
○熊川委員 今回提出されております新設の民事訴訟法第三十一条ノ三によるところの第一項の必要的移送、この時期が必ずしも明確でないために、あるいは若干の円滑さを欠き、場合によっては簡易裁判所判事への不信を招くおそれがないかどうか、この点を簡潔にお願いいたします。
○千種政府委員 御指摘の条文は、当事者双方が同意した場合の必要的移送の規定でございますが、これについては特に時期的な制限を設けておりません。ただし、ただし書きがございまして、著しく訴訟手続を遅延させるときにはこの限りではないという制限を設けました。時間的制限を設けておりませんので、形式的にはいつでもできるという意味で、不明確ということはないのでございますが、このただし書きの適用に当たってどういう場合があるかということが問題になろうかと思います。この文書は訴えの変更のときの文言をそのまま使っておるわけでございまして、意味がそれほど不明確なものとは思われません。これは実際の運用に当たって出てきた経験からそう申せることと思います。 もう一つは、当事者双方が同意するということは、訴訟でございますから、必ず両当事者のいずれかが利益であり不利益であるということが訴訟の過程でわかってまいります。その場合に、利益な方があえて同意をしてまで移送を申し立てることは実際には起こり得ないということ、これは弁護士の経験のある委員の方からも審議会で唱えられておりましたが、そういうことからそれほどトラブルが起こらないのではないか。また、実際には裁量移送という規定もあるわけでございますから、ここでそういうケースは余り問題にならないのではないかと考えております。
○熊川委員 同じその新設の条文の二項でしょうか、「不動産ニ関スル訴訟」というのはどういう内容の事件を意味するのか。この辺、明確を欠きますと、当事者やあるいは裁判所の受付担当官などに戸惑いが起きやしないかどうか。さらにまた、不動産に関するところの訴訟の移送について、被告の申し立て時期を本案の弁論以前でなければいかぬという形に制限したその辺の理由。あるいは、不動産に関するところの訴訟がかなり複雑であるし、一般に審理も困難を重ねることがある、こういうことが言えるならば、地裁、簡裁の競合管轄にせずに地裁にという意見もあるいはあろうかと思いますが、この辺はいかがでありましょうか。
○千種政府委員 あるいは御質問の順序と異なるかもしれませんが、不動産に関する訴訟につきまして今回特別の措置をとった制度の趣旨を申し上げますと、不動産につきましては、いままでの経験からいたしまして証人尋問をする場合が多いとか抗弁が出るとか、そういった訴訟手続上困難な場合が類型的に見られるわけでございます。そういう意味から、これを地方裁判所に移すという意見もございましたけれども、簡易裁判所というのが地理的に地方裁判所よりも数も相当多い。そういうことは、手近の裁判所を利用するという機会がそれだけ与えられているわけでございますから、すべてを地方裁判所に移すということになりますと、そういう場所的利益が損なわれるということもございます。そういうこともありまして、そこは当事者のそれぞれの条件に任せて、地方裁判所でもでき、簡易裁判所でもできるようにしたらどうかということから、競合管轄という制度が取り入れられたわけでございます。 競合管轄にいたしますと、原告がまず簡易裁判所か地方裁判所かを決める。そうしますと、被告の方にもやはり何か選択権があっていいのじゃないか。そういうことから、バランス上、原告が決めるのはまず自分が訴状を出す段階での知識によって決める、それならば被告の方も答弁を出す段階において決めればいいので、一方的移送はその段階にとどめてはいかがかというようなことから、本案について答弁をする前に限って被告の一方的申し立てによる移送を認めたというわけでございます。それ以後は、同意による移送はいつでもできるわけでございますから、そちらに譲ったらどうか、こういうことでございます。 それが時期的なことと、それから地裁に移さなかった理由でございます。 あと、「不動産ニ関スル訴訟」という意味いかんということでございますが、現在の民事訴訟法の十七条には、これは土地管轄に関する規定でございますが、「不動産ニ関スル訴」という文書がございまして、この文言は今回の文言とほぼ同じでございますので、そこに解釈がそれほど食い違い、混乱を生ずることはないと思われます。 実際問題といたしましては、裁判所におかれて、この法律が施行されますときには具体的な例示をして、窓口の混乱のないようにすることを検討しておられるようでございます。また、裁量移送とか要請受理という現在の制度がございまして、仮に受付において少し範囲が違っても、それは制度を活用することの促進剤にこそなれ、支障にはならないのではないかと判断しております。
○熊川委員 時間ですが、最後にもう一つ、簡潔によろしいでしょうかね。 この法案が成立した場合に、いわゆる簡裁の受け入れ体制というものは十分なのか、どうなのか。特に判事の常置されていない簡裁の数、あるいは簡裁判事の任用比較別の現在員の実情なども心配がないようになっているかどうか、ちょっと教えていただいて、最後の質問にさせていただきます。
○梅田最高裁判所長官代理者 受け入れ体制の問題でございますけれども、法案の資料の三十八ページに記載されておりますように、このたびの改正によりますと、約二万件の事件が地裁から簡裁に移動するのではないかと一応推測いたしております。ただ、今回初めて不動産事件につきまして競合管轄という制度を取り入れましたので、果たしてどれだけの事件が地裁に提起されるかという不確定な要素がございますけれども、代理人選任率から推測いたしまして、約二万件の事件が簡裁に行くであろう。 一方、簡易裁判所の数は全国で五百以上ございまして、この二万件の事件が分散されることになりますと、現在非常駐庁は約百五十庁ございまして、これはここ十年数の点では変動がほとんどございませんけれども、それらの非常駐庁の現在の民事訴訟事件は、少ないところでは年間一件もない、十件から十数件程度のところが多うございまして、今回の改正によりましてもさほど事件がふえるということには相なりませんので、十分やっていけると思っております。ただ、大都会の簡裁あるいは周辺の簡裁につきましては相当程度の事件が行くことと思われますので、事件の推移を見つつ人的な手当ては講じてまいりたいというふうに考えております。
○熊川委員 ありがとうございます。これをもって終わらせていただきます。
○羽田野委員長 次回は、来る五月七日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十一分散会 ————◇—————