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96回国会衆議院1982/04/16

法務委員会 第15号

発言数
143
登壇者
14
会派数
3
開催日
1982/04/16

会議録

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 外国人登録法、本委員会は前回もやったわけでありますが、この法律の審議に際して基本的に、戦後外国人の諸問題について幾変遷を遂げておるわけでありますから、一回戦後の見直しということも考えつつ、入管行政について御意見を伺いたいと思っておるわけであります。  おととしでしたかな、入管三十年か何かやりましたね。一体どうして入管だけ三十年をやって、ほかの局はやらないのですか。なぜそういうことを入管だけ特別にやったのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 特に申し上げる理由があるわけじゃございません。別にほかの局でやるやらないにかかわらず、ちょうど三十年になったということで、おととしでございますが、入管局ではそういう行事を催しました。

横山利秋日本社会党

○横山委員 では、ほかの局でやりもせぬのに入管局でやったというのは、またそれだけ入管業務というものが対外的にも非常に影響があり、幾変遷が入管行政及びそれを取り巻く諸条件で非常に多岐にわたったということがあるから、お金も要ったと思うのですけれども、特別におやりになったんだなと思う。最初奇異に感じたのですけれども、行って話を聞いてみ、あるいはまたこういう回顧、展望も拝見して、なるほどそれはそれだけの意味があるなと私は感じたのですよ。別に、ほかの局がやらぬのに何でやったという意味ではないのですよ。そういう点で、入管行政三十年をどういうふうにとらえておられるのかという感想を聞きたかったわけです。あなたが三十年をやったわけではないのだけれども、その点について御意見を伺いたい。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 入管にとりましては、三十年というのは確かに一つの区切りでございました。この三十年の間に、横山委員が御指摘のとおり、いろいろな変遷もございました。その間在留外国人の数もふえ、それからわが国に短期の訪問のために来る外国人を含めて出入国者の数は非常にふえておるわけでございます。  そこで、その間いろいろと入管行政につきましても変遷があったばかりでなく、いろいろな方々との接触もふえたわけでございます。早い話が、たとえば運送業者の方とかいろいろなそういう方、あるいはここに来ている各国の公館の方であるとか、いろいろと接触も広がってきたわけでございます。そこで、三十年の機会にそういう方々がみんな集まる、三十年の行政の進歩にかんがみ一堂に集まるという機会を設けるのは有意議なことと考えた次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣、私の感想は、戦後のいわゆる入国管理局、入国を管理する局という監視、監督、管理、制限、そういう性格からいまの仕事はずいぶん変わっているんじゃないかと思うのですよ。たとえばいま言葉少なく局長が言いましたけれども、外国人という観念が変わっているんじゃないか。数がべらぼうにふえているのではないか。それから、南北両朝鮮人の日本社会における溶け込み、安定感、独立性、そういうことも定着してきているんではないか。あるいはいま日本人の出入国はどのくらいですか、八百万ぐらいですか。外国人百八十万ぐらいじゃないですか。それだけの飛躍的な出入国というものが、昔私どもが初めて外国へ行くときには羽田の飛行場で万歳万歳をやってもらったものだ、いまはたわけらしくてだれも見送りに行く人おれへんわね。それだけ出入国に対する物の考え方が違ってきたではないか。それから、あの当時は船が圧倒的だったけれども、いまはほとんど飛行機という時代になったではないか。  こういう変遷というものは、出入国管理局という名前は適当ではないんではないか。何も名前だけにこだわるつもりはないのですけれども、どっちかと言えば入国管理局というのは、世間の印象が、何か抑制する、規制する、監督する、監視するという感覚で出発してきたんだが、いまは出入国行政局とでも言うか、サービス面というものが重要視されてきているのではないか。そういう戦後三十何年の出入国の実態、国内におります外国人の状況というものが非常に変わってきているのではないか。そういう問題意識というものが、十分にまだ出入国管理行政の中で生きていないのではないかと私は思うのですよ。法務大臣、どうお考えになりますか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 確かに、委員が御指摘のように世の中変わってまいりましたし、外国人の数も非常に多くなってきたということで、単に密入国を取り締まる、そういうことだけじゃなくて、入ってこられた外国人が、実に日本というところは平和で、しかも治安の状況もよろしい、本当にいいところだというふうに考えられるような行政をやっていかなければならぬ、そういうサービス面を充実していくというのが今後の入管局としての方向だというふうに私は思うのです。  ただ、言葉を管理局、これを何か行政局にしたらどうか、これは……(横山委員「入国だけじゃなくて出入国」と呼ぶ)出入国行政局、それも一つの見解だろうと思うのですけれども、しかし、また一面におきましては、管理的側面が全然なくなったかといったらそうではないわけなので、諸外国もこういうことはきちんとやっているというふうに私は思うので、あえて名前は、何もここで変更する必要はないのじゃないか。しかしながら、その実態は非常に変わってきているということは、お説のとおりに私は考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 入国管理ですよ、出入国じゃないんです。管理ということはサービス面を余り含んでおらぬですよ。それは監視、規制とサービス、両方あるけれども、日本へ来た外国人が一番初めに日本を意識するのは、やはり税関あるいは旅券検査等ですね。そこでまず日本を認識するということなんです、これはどこへ行ってもそうでありますけれども。サービス面というものが行政上非常に重視をされておる中でいつまでたっても、名前が変わるということは意識が変わるということを相またなければならぬのですから、入国管理局というのはふさわしくないと私は思うのですが、局長はどうお考えになっているか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 入国管理と申します場合、この管理という日本語自体に二つの意味があるのじゃないかと思います。一つはいわゆる取り締まり、規制面、それからもう一つは行政サービス面であろうかと思います。  取り締まりあるいは規制の面に関しまして私どもが中心的な課題として考えておりますのは、何と申しましても不法入国の防止、摘発でございます。この面は、ただいま坂田大臣からもお答えになりましたように、やはり非常に重要な側面としてあるわけでございます。  他方におきまして、入国管理における行政サービス面、この点は、たとえば在留期間の更新でありますとか再入国の許可でありますとか、いろいろな面があろうかと思いますけれども、こういう面につきましても、私どもは管理の一側面として担当しておるわけでございます。  そこで、こういうものを網羅して使う名前、言葉としては、やはり入国管理ということに落ちつかざるを得ないのじゃないかと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは法務省の民事局だってそうだし、入管だってそうだと思うのですけれども、ひとつ一回思い切って見直しをするという意味においては、まず名前から考え始めて実態に合わせていく、情勢の激動に対して即応していくという気持ちがなければ、小手先のことをちょこちょこ行政の簡素化をやったところでだめだと私は思うのです。本当にいまの入管が、いまの人員なりあるいは機構なりで、これから激動していくさまざまな情勢の変化に対応し切れるのであろうかという疑問を持っておるわけです。  入国手続の合理化、後で話をしますけれども、たとえばコンピューター化というものが一体本当に人員の増加に対応し切っておるであろうかどうか、あるいは登録手続なんかも今回の外人登録法のことで十分であろうか、あるいは機構は十分であろうか、人員は十分であろうか、査証の問題はもっと簡便にする必要がないのであろうか、旅券の手続についても、旅券そのものについても方法はないであろうかどうか、山積する問題があるとは思うのですね。それをひとつこれだけやってみよう、これだけやってみようでなくして、出入国の行政を一遍総合的に見直してみる必要があると私は思っておるから強く言っておるわけです。  だから、そういう中心になりますものはまず名前を変えてみる。出入国行政局、これは私がたたき台として物を言うのですけれども、そういう立場で、これから一体出入国管理というものをどうしたらいいだろうかという点について、戦後、外人登録法でも何回くらいですか、二十回ぐらい直しているのじゃないですか。そんなめんどうなことを——今回もそうですよ。去年かおととし直したのですね。何で国会ごとにそんな大したことでないことをやるか。今回はかなりのことだとは思いますけれども、それにしても目先のことだけやっているのではないかという気持ちがどうしてもぬぐい切れぬと思うのです。どうなんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 私どもは今日まで、時代の変遷に応じて入国管理、それから外人登録、この両方の制度に対する見直し、必要な改正をやってきておるわけでございます。  入国管理につきましては、ごく最近、昨年、かなり大幅な改正を認めていただいたことは横山委員も御承知のとおりでございます。  外国人登録法につきましては、いままで何度か改正を重ねてまいりましたけれども、今回のはかなり大幅な、基本的な問題を含めてあらゆる角度から検討した、そういう結果の案でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大体、外国の出入国の状況、それからその国におります外国人と日本の状況とは、やはり基本的に変わっていることは変わっていると思いますよ。ヨーロッパでは国境という意識が日本ほど強くないですね。一時間もあれば外国へ行ってしまう。国境へ行ったって厳重な関所がそうあるわけではない。ところが、日本は周囲を海に取り囲まれておる、単一民族であるということがありまして、戦後、占領政策もありまして、日本に出入国する外国人及び日本に滞在をする外国人については、諸外国と違って非常にシビアな考え方を持って、それによって出入国管理なりあるいは在日外国人のありようというものを決めてきた、そういう歴史があると私は思うのです。  そのこと、その地形上の関係というのはいまでも変わりはしません。しかし、日本がいま国際的に非常に地位が向上していわゆる経済摩擦を生じておるような状況なのでありますし、それから、先ほど日本人で外国へ行く数を八百万と言いましたが、四百万かな、四百万の日本人が日ごと夜ごと日本を出ていったり帰ってきたりする、そういう状況のもとでは、地形上の問題はいまやこの入管行政から意識を離れなければならぬ時代になったのではないか、ヨーロッパ的なあるいはアメリカ的な出入国管理ということについて思い切って感覚を変えたらどうか、こういう感じを私は持っている。いつまでたっても戦後の一つの大きな外国人出入国に対する考え方が残っておったのではだめではないか、こういう気が私はするわけなんですよ。  もちろん、規制なりあるいは密入国なり、そういうことをとやかく言おうとは思わないけれども、一般的な出入国なり外国人の登録の問題についてはもう少し感覚を変えたらどうか。特に外国人登録などは法務省が実際やっているわけじゃないんですね。市町村がやっているわけですね。その市町村がやっておることについて、法律なりあるいは一番中心地帯だけは法務省が持っておって、市町村のやっておることについて十分簡素化をするとか何かという意識が働かないという点について、市町村では不満があるわけです。そういうことを私は言っておるのですが、重ねて御意見を伺いたい。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 現在、わが国の国民の出入国、昨年の統計では年間四百万人、往復、出入国合わせまして八百万ということになります。それから、外国人の出入国数でございますけれども、百五十五万ということで、去年あたりかなりふえております。そこで、こういう出入国行政、サービス面の改善ということについては、私どもも常日ごろ心がけているところでございます。  他面におきまして、こういう正規の出入国以外に不正規の出入国ということもあるわけでございます。その中で私ども一番気にしておりますのは不法入国でございますが、そのほかに不法残留、さらに、最近非常にふえてきておりますのがいわゆる資格外活動でございます。東南アジアあたりから観光ビザで入ってきて、そしてバーのホステスとかそういう風俗営業にまつわる仕事に従事する人たちが非常にふえてきております。そこで、こういう不正規に入ってくる人たちの出入国を規制するという必要があるわけでございますので、そういう面も十分勘案しながら私どもの行政を進めなければならないというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 原則的なお話なんでありますから、これは具体的な問題を議論いたします際に、この在日外国人及び出入国外国人、出入国をする日本人の問題を処理するに当たって、ひとつ問題意識として原則的にお考えをいただきたい、こういうことであります。  外務省、おいでになっていますね。南北両朝鮮人の問題でありまして、大体においては南北両朝鮮人の事実上の処遇については私どもの主張がかなり入れられる時期になっておるわけでありますが、どうしてもやはり何かというと南北両朝鮮人の問題の扱いの違いというものが根っこに存在をしておると思われるわけであります。韓国と朝鮮民主主義人民共和国とに対する外交上の扱いというものがどうしても法務行政に反映をしておる、実際問題としてそういうことだろうと思うのでありますが、きょうは小倉課長でありますから、失礼ながら基本的なお話を聞くことはなかなか——外務大臣がおいでくださる機会があれば承りたいと思うのですが、基本的に、外務省が韓国と朝鮮民主主義人民共和国に対して対応している基本姿勢というものはどういうものでありますか、まず伺いたいと思います。

小倉和夫外務省アジア局北東アジア課長

○小倉説明員 お答え申し上げます。私がお答えいたしますのも僣越でございますが、率直なところを申し上げます。  先生も御承知のとおり、韓国との関係は、一九六五年の国交正常化以来、国と国との外交上の関係ということがございますし、また、経済的な関係、貿易上の関係、世界的に見まして日本のほとんど五本の指に入る経済関係を持っておる国でございますので、そういった国といたしまして日韓の友好関係の維持発展を図るというのを私どもの外交政策の基本にしております。  他方、いわゆる北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国につきましては、私どもとしましては、現在国交がないという事態を踏まえまして、人の交流あるいは文化交流、経済交流といった面については徐々にそういったものを積み上げて交流は維持していきたいと考えております。  ただ、先生も御承知のとおり、朝鮮半島政策の問題は、単に両国と日本の関係というだけではなく、やはり広い日本のアジア政策、対世界的な政策、日米関係、そういったすべての面を踏まえての関係だと思いますので、そういった要素も踏まえてやっていかなければいけない、こういうふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 最近、韓国並びに共和国双方とも、自主的、平和的統一ということについてそれぞれ提案をしています。その提案について外務省はどうお考えになっているのですか。

小倉和夫外務省アジア局北東アジア課長

○小倉説明員 南北朝鮮の統一問題につきましては、私どもはこれは基本的に南北両当事者の話し合いによって実現されるべき問題である、このように考えております。したがいまして、そのような対話を促進していく環境をつくっていくということであれば、また誠意ある提案であれば、これは南北いすれがした提案であっても、本来私どもはそれを否定したりすべきものではなく、そういった南北対話の実現のために資するものであれば、日本としてもそれを温かく見守っていくということではないか、そのように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 口ではそう言いながら、いま両国に対する対応が違うということを率直に言われたわけでありますが、両国の平和的、自主的統一が望ましく、かつ、それに行く道については歓迎するというのであるならば、現実的な韓国に対する非常なてこ入れ、そういうものが軍事的にもあるいは準軍事的にもこれをてこ入れする結果になったり、あるいは日本と韓国とのさまざまな関係が共和国の方を刺激するということを考えないのであろうか。あるいはまた、韓国に気がねして共和国に対する貿易とかあるいは在日朝鮮人の共和国への再入国とか、あるいは日本人の共和国行きとか、そういう点について差別扱いをするという批判についてはどうお考えになりますか。

小倉和夫外務省アジア局北東アジア課長

○小倉説明員 率直に申し上げまして、韓国と日本が外交関係がある、北朝鮮ないし朝鮮民主主義人民共和国とは国交がないという状態、また、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間には実際上貿易、文化、人的交流等いろいろございますが、社会主義圏でございますソ連や中国と韓国との間にはほとんど交流がない、そういう国際情勢のもとにおきましては、先生御指摘のようにそれを差別という表現をすることが適当であるかどうかということはあるかと思いますが、実際上そこに違いが出てくるということはやむを得ないことかというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 やむを得ないでは済まされぬと私は思うのであります。しかし、十年前と今日と比べますと、共和国に対する貿易制限あるいは在日朝鮮人の共和国に対する再入国申請、日本人の共和国訪問等については弾力的な状況になっておるわけでありますが、なおかつ、まだ外務省、法務省の態度に、共和国に対する出入国というようなことや輸銀の問題や、そういういろいろな点について差別がある。本当に自主的統一を求めるなら、それに呼応するような政策に一歩一歩順次進むべきではないか、私はこう思います。  そういう点では、法務省はいつも外務省の外交方針に追随をしておるのか。法務省は独自の物の考え方があって、人道的だとかあるいは政治的だから外務省の顔ばかりうかがって決断をようしないとか、そういう批判があるのですが、どうですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 入管行政につきましては、いろいろなことを私どもは考慮に入れなければならないわけでございます。その中の一つとしてわが国の外交上の利益というものもございます。その点に関しましては、私どもとしては当然密接に外務省と協議しなければなりません。したがって、その面では、外務省と協議した結果が私どもの入管行政の上に反映するのは当然のことだと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 協議でなくて、御意見を拝聴しているのではないか。  法務大臣、いま思わずつぶやいたわけでありますが、外務省に御意見拝聴して、外務省がそうおっしゃるなら仕方がないといって、何かにつけて外務省の後追いをしておるという批判があるという点についてはどうなのですか。法務大臣、そう思いませんか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 しかし、それは日本の国としての外交政策というものがきちんとしていなければならないわけなのです。それに追随とおっしゃいますけれども、その方針に従って入国管理等も考えていくということは、私はむしろその方が自然じゃないかというふうに思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 まことに残念なお話なのでありまして、あなたも閣僚の一人なのでありますから、外務省の一つ一つの判断が間違っておることもあるだろうし、あるいはまた、そんなこと言っておったらだめだ、在日外国人を預っておる法務大臣としても人道上あるいはまた政治上こうすべきではないかという点がないわけではないと私は思うのです。そういう点では、私は頂門の一針を出しておるわけでありますから、この点はひとつ具体的事案がある場合においては判断を十分にしてもらいたい、このように希望しておきたいと思います。  次に、民事局長が御返事をなさるのかあるいは外務省が御返事なさるのか知りませんけれども、かねて問題になっております樺太の朝鮮人の問題なんであります。戦後四万三千人と言われるわけでありますが、戦争が終結をいたします際に日本政府が樺太へ強制連行していろんな仕事をさせておった朝鮮人の諸君がそのままになりました。そして日本国籍であった朝鮮人は、多くはソ連国籍あるいは北朝鮮国籍になりました。ところが、それを承知しない人たちで故国帰還を望んで無国籍のままになっておる人が約五%あるという話であります。これは日弁連へも救済の申請をしまして、いま東京地裁にかかっておるのであります。一体、この人たちは、国籍継続の原則というものから言えば日本政府に責任があるのではないか。この問題の処理はもうおれの方は関係ないということなんですか。理論上私は日本政府にもその問題について、最終全面的な責任とは言いませんけれども、あると思うが、この問題について政府はどうお考えになっておりますか。

小倉和夫外務省アジア局北東アジア課長

○小倉説明員 御説明申し上げます。  先生御承知のとおり、この問題には法律的な側面とそうでない側面といろいろございまして、法律的な側面につきましては必ずしも外務省から御説明すべき問題でもないと思いますし、また先生もよく御承知のとおり、過去の平和条約その他いろいろな関係から法律的な関係が出てきておりますので、法律的に申し上げた場合のこの問題の見方というものはおのずから一つあろうかと思いますが、私どもは現実に、ではこの問題をどう見ているかということでございますれば、単にそういった法律的な問題としてだけこの問題を見ることは必ずしも適当ではない。その点は、先生の御趣旨あるいは拝察しますところのお考えは、私は政府としてもよく踏まえてやっておるつもりでございまして、言ってみれば、この問題は一つの人道問題である、そういった観点からこの問題に取り組まなくてはいけない、こういうふうに思っております。  現実には、この問題はやはりソ連政府との話し合いを必要といたしますので、私ども外務省といたしましても、何遍も、大臣レベルで少なくとも四回、総理レベルで一回、事務当局レベルでは数回にわたりましてこの問題を公式、非公式に取り上げております。一番最近では、本年一月にフィリュービン外務次官が日本に参りましたときに、外務省の柳谷外務審議官と日ソ事務レベル協議を行いましたときにもこの問題を取り上げております。しかしながら、他方、この問題を真っ向から日ソ間の外交問題として取り上げた場合には、やはりソ連にはソ連のメンツがあるという面もございますので、片方でそうした外交努力を積み重ねながら、私どもといたしましてはその他の面も合わせて人道問題としての解決を何とか図りたい、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それで、外務省としては人道問題としてどういうふうにしてくれと言っているのですか。

小倉和夫外務省アジア局北東アジア課長

○小倉説明員 お答え申し上げます。  これは、いろいろな段階におきまして私どもがソ連に言っておることは、必ずしも全く同じことの繰り返しを言っているわけではございませんが、基本的には日本政府が、入国許可申請を行った者、すなわち現在までに帰還を希望して入国許可申請を行って、私どもの方から結構であろうということをわが方の在外公館に伝達した人々、四百数名に上りますが、そうした人々についてはとにかく出国を許し、日本ないしは韓国に帰れるようにしてもらいたい、こういう要請を基本的な要請としてソ連に伝えて、また話し合っているところでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 民事局長、いま国内ではこの問題はどうなっているんでしょうかね。そのまま向こうで戦後ソ連または北朝鮮の国籍を取得した者の内容はわからぬということなのか、二重国籍になっているのか、あるいは全部日本国籍のままになっておるのでしょうか、戸籍上は。

中島一郎法務省民事局長

○中島政府委員 平和条約の問題といたしまして、基本的な立場は、朝鮮の併合がなかったならば朝鮮国籍を保有しておるであろう人たちは、日本国籍を失って朝鮮国籍を取得したという解釈をとっておるわけでございますので、現在におきましては、その所在のいかんを問わず日本国籍を失っておるという扱いになっておるわけでございます。戸籍の記載といたしましては、記載のあった者もあるわけでございますけれども、それは本来の戸籍としての効力は持っていないという解釈でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 外務省、お帰りになって結構です。  この間、私は名古屋の区役所へ行きまして、外人登録の状況について担当者、区長を交えていろいろと懇談をいたしました。ここに居住地変更登録申請書、登録事項訂正申立書、再交付申請書、切替申請書、登録証明書交付申請書を持ってきているわけです。窓口では外国人がその項目に応じてこれに記入をするわけですが、結局は担当者が全部書いて、署名、指紋だけさせておる。本人が自筆することはない。なぜないかといったら、結局カーボンで二通つくってその一通を法務省へ送ることになるのだから、きちんと書いてもらわなきゃいかぬ。だから、担当者がきちんとカーボン紙で書いてやらぬと、書類として間違いが多いかもしれぬ、こう言っておるわけですが、そういう実態は御承知でございますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 そういう申請書への書き込みは、当然申請者が自分で行うのがたてまえでございます。しかし、地方の市町村の一部では、市町村の担当者がかわってやってあげているという事実があることは、私ども聞いております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これが区役所に置きます原票です。これが法務省へ送るものです。これは大きさも違うし、中身も違うわけですね。区役所に置いておくものと法務省へ送る外国人登録写票とが内容が違うということは、どういうことなんですか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 本来、原票と写票は全く同じように扱いたいという考えであったわけでございますが、写票につきましては、最近におきまして一部記載事項を削減したということがございまして、いま先生御指摘のように変わったわけでございます。これはうちの方でそこを削減したのは、当時の考え方を聞きましたところ、市町村におけるそういう作成業務の負担を軽減させたいというところにあると聞いております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 区役所ではたんと十分書け、本省へ送ってくるのはこういう簡単なものでいい、簡単とは言わぬけれども。そうすると、区役所は本省に送ってこない問題がどうしても必要なのか。法務省で登録写票でわからぬことは区役所に聞けばいいわ、市町村に聞けばいいわというわけで、これに照会することなんてそんなにありゃしません。これとこれと何で一緒のものにならぬのか。区役所だけ、おれのところに報告しなくてもいいものはおまえのところでちゃんと書いておかなければいかぬぞというのは、おかしいじゃないですか。  それから、たとえば登録事項訂正申立書を区役所の人間が書いて、一部本省、法務省へ送りますね。この種のものは法務省に年に何枚くらい集まるんですか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 報告書と申しますのは、うちの補正件数——補正件数というのは、送ってきたものを、保管している写票の事項を訂正する件数ということです。いまことしの数字がないのですが、約百万というふうになっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 百万通の訂正書、申請書、いろいろなものを送ってくる。その百万通のものを法務省で写票を全部一々訂正するんですか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 そういう作業をやっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣、百万通ですよ。百万通送ってきたこういうものを、法務省の中で毎日毎日各件に応じて訂正するということが本当に行われているんでしょうか。恐らく積んでいくんじゃないかね。たとえば横山利秋の写票のところへとして、こうやって積んでいって、そうして写票についておるから、これはこっちを見ればいいということじゃないですか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 登録写票の補正と申しますのは、登録記録の正確性というのをどうしても維持したいということで、百万という数でございますけれども、居住地の変更であるとか、それ以外の変更登録の記載変更をその都度明らかにする、それをもって正確な登録というものが維持できる。これを維持しますのは、先生からいま百万も一体不必要なことではないだろうかというふうにおっしゃられましたけれども、また片方で、私の方に照会件数というのが年四万件ぐらいございます。その四万件の中で、入国管理局の違反調査という中で不法入国とか不法残留というのがございますが、そういうものの調査のためになされる照会というものもございますけれども、その中にはやはり在日外国人というか、そういう人たちの市町村に対する要請として、たとえば不動産登記をする場合の証明というような、そういう照会もかなり含まれておりまして、もし正確な記録というものが保管されていないと、そういう権利義務に関する事項について誤った回答、あるいはそういう回答ができませんということにもなるということで、私の方は、その百万というのは膨大な数で、この処理にはまことにわれわれも頭を悩ましておりますけれども……(横山委員「何人でやっておるのか」と呼ぶ)いま約三十人でやっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 三十人で百万あると、日に何件やるのか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 ちょっといま計算できませんけれども、いまはちょうど電算移行に入っておりまして、この写票の補正は非常に大変な作業であるということで、これを一たん電算に入力しまして、それを照会回答に使うという方法に切りかえておりますので、私、いま約三十名おりますと申し上げましたけれども、その三十名は目下、現在は写票の補正というのは中止しまして、電算移行の作業、要するにデータシートの作成というふうに作業の内容は変わっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 たとえば名古屋の中村区役所の例をとりますと、外国人総数三千七百七十二人、月間にこの種の案件が約三百件ぐらい、担当者は三人、電算機なし、だから、補正が出ると一生懸命書いておるわけですね。あなたの方は電算機でこれからやるからいいようなものの、三人で一生懸命これを書いておる。しかも、書いて本省へ送ったって、これは書いたものがすべて本省のためになるわけじゃないのですよ。本省は、おれのところはまあめんどうくさいからこれぐらいでいいわ、おまえのところだけはきちんと書いておけよと、ずうずうしくもそういうことなんですね。そんなことではいかぬと私は思うのですよ。  本省は電算機全部完成してないと私はにらんでいるのです。三十人で百万件を処理して、年間四万件の照会があるとは言うけれども、本省の写票だけでわからぬで、区役所に照会することはそんなにあるのですか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 市町村に対する原票照会というのは、まず各機関が行っているもので、うちの方から逆に市町村に聞くという例は余りないのです。  ただ、ここで先生に御理解を得ていただくためにちょっと申し上げたいのですけれども、先生がいま原票の大きさと写票の大きさを示されまして、どういうわけで違うかと、これは非常に基本的な問題でございまして、要するに、大きさが違うということは国の事務と市町村の事務の配分の問題でございまして、いま臨調でも問題になっておりますけれども、一体どちらがどの程度分担するか、物の考え方によりまして、市町村にそういう大きなしっかりした原票を持っておってもらって、もともと写票は県にもありましたのですが、そういうところは幾らか負担を軽くするというふうな考え方も一方にはあるわけです。しかし、そういたしますと、いま先生がおっしゃられましたように、市町村に負担がかかっていく。それは好ましくないのではないか。昨年、都道府県の写票の作成というのは一部廃止した。これは国と地方の事務の配分としては国の方で負担していきたいということで、原票の大きさと写票の大きさというのは一目でございますけれども、かなり大きな基本的な問題を抱えているものだと私は思います。  私も、この事務の配分につきましては、今後どういうふうに考えるべきかという問題はあろうかと思いますけれども、原票をそういうふうに作成しておいてもらうということは、現在の登録制度、これは国側の事務としては非常に大事なところでございまして、どうしても作成してもらわなければならぬと考えているわけです。ただ、市町村側から見ますと、その原票に書いてある記載では、市町村で利用される項目というのはまたおのずから限定される。要するに、市町村が行っている原票作成というのは、その中でもかなりの項目は、たとえば課税であるとか住民行政で使っている項目があるわけでございますが、それは市町村の立場から見ますと、非常に活用される事項でございます。しかし、それ以外の部分は国の事務でございまして……(横山委員「そんなことは書いてあらへんよ」と呼ぶ)いや、その身分的な事項を利用してという意味でございますけれども、そういう関係になっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは法務大臣、一遍見てきなさいよ。写真が七カ所ある。二十一年です。二十一年もてるんですね。指紋が八回押せるわけです。指紋なんというものは、それはほかの人が行って指紋を押すということもないとは言わぬけれども、それにしても指紋が八カ所。写真が七カ所、三年ごとだと二十一年。それは三年たったら顔は変わると言うかもしれないけれども、これは余りにもむだなことだと私は思いますよ。  それから、どのくらいの予算が来ておるかといいましたら、自治省、あなたの方は直接集約されておるかどうか知りませんけれども、中村区役所を例にとりますと、三千七百七十二人を管轄しているわけですね。それで、外人登録事務費が九百五万円、名古屋市十六区に出るわけです。だから、九百五万円を十六で割る。そして市全体でまた二千三百五十七万円の国からの負担金がある。それを整理して、中村区は多い方だから、かれこれどのくらい来るのと言ったら、これは割り掛けにしたところで全く大したことはない。外人登録事務費で大体六十万円ですね。六十万円ぐらい中村区役所に来ます。そしてそのうち登録事務費は、アルバイト料が十万二千二百円、旅費が二万六千三百円、消耗品が五万六千六百円、食糧費が七千六百円、役務費中通信料が七万二千五百円、ほかに一般的な超過勤務手当、結局二十八万円ぐらいの外人登録事務費が来る。そして三人でやっておる。おまえさん方三人で給料年間総収入どのくらいかといいましたら、まあ一千万円ぐらいでしょうね。人件費だけですよ。一千万円で区役所が外人登録やっておって、そして法務省からの負担金は、まあそんなことで一体どうなるの、全くその点はどうかと思うなということで、私もうたた感慨の念で帰ってきたのですが、自治省はそういうことについて、外人登録事務費の問題についてどうお考えですか。

持永堯民自治省財政局財政課長

○持永説明員 外国人登録事務につきましては、御案内のとおり国からの委託事務でございますので、市町村がこの事務を行いますのに必要かつ十分な経費は国で負担していただくというのがたてまえであろうと思います。  そういった考え方を持っておりますが、いわゆる超過負担の問題ということに相なろうかと思います。外人登録事務については、かつて実態調査をいたしまして五十三年度に是正をしたことがございますけれども、それ以後調査いたしておりません。いま御指摘もございましたので、再度私どもの方としては幾つかの市町村に当たってみまして、必要があれば、これは超過負担解消の場合は、大蔵省、自治省、それから所管省三省で共同実態調査を行いました上で是正するということにいたしておりますので、必要があればそういった手続もとっていかなければならないというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 担当者の苦情のもう一つの問題は、本人確認の問題であります。  現行法では、とにかく子供が生まれた、住所変更した、何かかんかというときに全部本人が来なければいかぬ、切りかえのときにも全部本人が来なければいかぬ。そうすると、お父さんからおじいさんからおばあさんから孫まで、全部ぞろぞろ来なければいかぬということですね。いいかげんにしてもらいたいと言っておるんです。おまえさんは本当に本人確認やっておるんかと言ったら、いや、やっておりますよ、けれどもちょっとと言うんですね。法務省は、旅券のときには代理申請を認めるとかなんとかという話があるんだけれども、これは家族一同ぞろぞろ来いというのはいいかげんにしてもらいたい、こう言っておりますが、どうですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人登録法は、各種の申請に際しまして、登録の正確性を維持し、外国人登録制度の確立を期すために、本人出頭を原則としているわけでございます。つまり、新規登録及び確認申請等に際しまして、提示する旅券と本人を対照して各種登録事項の正確性を期し、登録証明書の交付を伴う申請に際しましては、その外国人から提出されます写真と本人の同一人性を確認し、確認等その他の申請の場合には、出頭した外国人が本人であるかどうかについて登録原票に貼付されている写真と本人とを対照する等の手段により、登録の継続性と正確性を維持しようというわけでございます。したがって、写真を貼付することや指紋押捺を定めた外国人登録制度におきましては、委託申請や郵送申請を認めることはできないのでございます。  なお、登録事務上も、申請人が十四歳に満たない場合、今度の改正ではこれが十六歳に引き上げられますけれども、及び病気その他身体の故障によりみずから申請できない場合等法定の事由がある場合には、その申請人と同居する者がその申請人にかわって申請できる、こういうことになっております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ところが、かたいことばかりおっしゃっているんだが、外務省では旅券申請の場合でも緩和しましたね。そっちの方はあれだけれども、外人登録だけは絶対本人申請でなければいかぬということはいかがなものかと私は思いますよ。家族一同全部そろってぞろぞろ来なければだめだ、そんなことをそうやかましく言わなくても、いまの病気だとか、どうしてもやむを得ない場合とか、もう少し緩和したらどうですか。  それからもう一つは、職業をかわっても、職業かわったからといって申請しろ、こういうわけでしょう。日本に居住しておって、中国料理屋が今度は日本料理屋にかわった、それはまあ料理屋だから同じようなものだけれども、ちょっと商売かわったってそれを訂正申請しなければ処分ですね。日本におって職業をかわるということがどうしても訂正申請しなければならぬ必須の義務ですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 職業でありますとか勤務先でありますとか、これは身分事項に関します非常に重要な登録記載事項でございます。私どもはなぜこういう登録事項が必要であるかと申しますと、たとえば最近一つ具体的な例を申し上げますけれども、いわゆる資格外活動というものが非常にふえております。そういうものを摘発するための手がかりにするという面もございますし、それからその他労働行政等の実施のための必要な資料を提供する、そういう任務も持っているわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 観光で来てキャバレーで働いておるというのを例にしてはだめですよ。外人登録証を持っている人の話ですよ。それが日本におって、外人登録証を持っておって仕事をしておる。それを一々商売かわったら届け出ろ、その区がかわったら届け出ろ、そんなことまでやらなければならぬ理由がどこにあるだろうか。それがかわって、いまの話じゃないけれども、登録課へかわってきた、かわってきたから、ほいこれはけしからぬというてあなたの方はどこかへ通報しますか。一々やっておるんですか。やっておらぬでしょうが。百万人も、キーパンチャーでまだ完成していないけれども一生懸命やるだけが精いっぱいで、これを見つけて、あっ、これは職業かわった、ほいどこかへ、警察へ知らせろ、そんなことをやっておるんですか。やっていないでしょうが。何にもならぬです、そんなこと。  言うばかりであって実際効果のないことを、そんなことをやらなくたっていいですよ。外人登録をして、うちをかわった、職業を今度かわったということによって、そういう申請があって、それでチェックしてすぐどこかへ通報するシステムになっておるんならともかく、そうなっておらぬです。何かのときに、おい写票はどうなっておるといって聞くことはあっても、写票の方から通告なんかしておりゃせぬですよ。そうでしょうが。だから私は、そういうことについては実効のないことをするな、手数をかけて。実効があるならいいけれども、実効のないことを、百万通の中で、住所かわった、何かわった。そんならそれを、住所かわったのに届け出ない者に対して告発を区役所がしておるかというのです。本当に告発した事例があるのですか。だれか知りませんか。私は区役所に聞いてみたんだ。そういうことで間違っておるで告発したか。はい先生、告発せんならぬけれども、一々告発しておったらえらいことだ。しておりゃせぬ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 先ほど亀井登録課長の方から、年間非常に多数に上る写票の訂正の業務量があるということを申したわけでございますが、もちろんこの中には、法定の変更登録申請期間内に出されたものが多いわけでございます。しかし、ただいま御質問のとおり、法定の申請期間、たとえば居住地の変更でございますと、変更の事実があった日から十四日以内ということになっておるわけでございますが、この期間内に変更登録の申請がなされなかったという違反の場合は罰則の適用ということになるわけでございます。  いまの告発の事実があるかどうかということでございますが、たとえば居住地変更登録について見ますと、昭和五十五年一年間で約五百件くらいの告発が全国の市区町村から所轄の警察に対してなされておる。外国人登録法にはいろいろな罰則が設けられておるわけでございますが、そういう関係での市区町村からの告発は、昨年一年間で約五千七百件ということになっております。もちろん、この告発の態様は、一日おくれたからそれだけで直ちに告発しておるかということになりますと、これはやはりそれぞれの市区町村の実情に応じて、行き過ぎのないような配慮もなされておるというふうに承知しておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そんなつまらぬことで一々告発するようなことはやめなさいよ。事実それは数はそういうことかもしれぬけれども、そんなことは告発をすべきこと、処分をすべきことではないです、家をかわった、職業をかわったぐらいのことで、一々。  そういうことで、私は一番冒頭に、原則的に考え方を変えたらどうだと言った。法務省は外人登録については号令をかけるだけで自分の手足を動かしておらぬ。だから、外人登録の全国の協議会でああいういろいろな要請書が出るということなんですから、自分の手足、法務局なり何かでやらせておるなら私はそうは言わぬけれども、市町村にやらせておるのですからね、少しは遠慮しなさいよ。銭も払わずに、負担もせずに、必要でもないことを調査させて、そして何か間違ったら告発しろということがそんなに必要性があるのか。そして、年間百万件も来るようなものを、電算機に入力しない前は、法務省の大学出やまじめな若い職員が、毎日毎日全国から集まってくるものを写票の書き写しをやっている。そんなもったいないことは人材のむだだ、そう思う。  これは途中で悪いけれども、これからもうちょっと声を大きくしようとした瞬間に委員長から目で合図されたので、また後で継続します。      ————◇—————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 次に、内閣提出、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る九日、質疑を終了いたしております。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。安藤巖君。

安藤巖日本共産党

○安藤委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。  まず最初に、一九七五年の本法制定に当たり、ひとりわが日本共産党のみが反対したのでありますが、本法施行以来今日まで本法の適用により数多くの被害者が十分な補償が得られず泣き寝入りさせられている実例を見るに、わが党が反対の態度をとったことの先見性、正確な判断が実証された点を指摘したいのであります。  当時、商法海商編の委付による責任制限制度から本法の金額責任制限制度への転換に当たって、わが党が反対した主要な理由は以下のとおりであります。  第一に、委付制度は、一見被害者の保護が図られないかに考えられますが、一、船価が高くなり、全損の場合を除けば船主は委付すればかえって損をする、二、全損の場合でも、世論の批判もあり、加害船主が補償しないことはあり得ない、三、保険制度の発達により船主は予想され得る事故の補償は十分賄えるなどの諸情勢の変化により、現実に委付された事例はほとんどなく、被害者の補償は十分保障されていたのであります。これが本法制定により、補償額が低く抑えられ、限度額以上のものについては賠償を求める道が事実上断たれる結果となったのであります。その典型例が、わが党が質疑の中で明らかにしました漁船第七金宝丸事件であります。被害漁船の乗組員を含む実損害額は四億六千四百万円でしたが、加害船側が責任制限手続をとり、被害者の遺族は実損害額の五分の一にも満たない補償金に泣いたのであります。ところで、加害船側は何と五百億円のPI保険に加入していたのであります。本法が存在しなければ、被害者の損害は十分に補償されたはずであったのです。  その第二の理由は、本法によって保険会社が支払う保険金が、事実上責任限度額に限定されてしまうという点でありました。この点について当時わが党が指摘したのに対し、政府は、「被害者の実損が限度額を上回っており、限度額で抑えられれば社会的に見てきわめて妥当性を欠くものについては被害者の方の迷惑にならないように行政指導する」と答弁したのでありますが、現実はPI、日本船主責任相互保険組合がいち早く定款を改正し、「組合員が制限手続をしない場合も、組合のてん補額はこの制限額又は保険金額のいずれか少ない額とする」とし、加害者が保険金で被害者の補償を行う道を閉ざしてしまったのであります。  今回の改正案は、以上に述べた不当、不合理な側面を改善するものになっていないのであります。  確かに、責任限度額を引き上げ、旅客について別枠の限度額を設けるなどの措置は一応一定の改良と言えましょう。しかし、その金額は、政府自身も条約の交渉で不満を表明されたように依然として不十分であり、次のような根本的な改悪部分を含んでいるのであります。  それは、船主等が責任制限できない場合について、現行法で「故意又は過失」によるときとなっているのを「故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為」によるときと改め、過失を責任制限できない場合から除外して、責任制限できない範囲を狭めてしまった点であります。このため、本改正によって被害者の泣き寝入りのケースが飛躍的に増加することが危惧されるのであります。ちなみに、過去五年間に裁判所が受理した責任制限事件数は計三十五件、年間平均七件であります。一方、海難船舶隻数は年間一万五千五百余隻から一万九千四百隻弱もあり、このうち故意によるものは二、三件しかありません。このことによって、私のこの危惧は現実のものとなることが明らかであります。  さらに、本改正案中の保険会社にも制限主体となることを認める条文の新設も、本法制定当時の前述の政府答弁をほごにするばかりか、現在のあしき実態を追認、法文化しようとするものであり、とうてい認めるわけにいかないのであります。  最後に、企業や船主等の利益を守り、零細な漁民や船客などの被害者となる者の保護をおろそかにする本制度は、時代の要請に逆行するものであり、廃止すべきであるとの意見を表明して、日本共産党を代表しての反対討論といたします。  終わります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 この外国人登録法の一部を改正する法律案の提案理由の説明でこういうふうなことを言っておられるわけですね。「外国人登録法は、」云々とありまして、「また、わが国の国際的地位の向上、国際人権規約への加入等外国人登録行政を取り巻く諸情勢も著しく変化しており、」云々というふうなことが提案理由の説明の中にありますね。それから、昭和五十五年十一月十二日の当委員会で当時の法務大臣奥野さんは、「世界人権規約に基づいた対応というのが必要だと思うのですが、」という質問に対する答えとして、「おっしゃっているとおりでございまして、在日韓国人、朝鮮人の問題は、一たびは日本の選挙権まで与えた時代があったわけでございます。でございますゆえに、国際人権規約にのっとった処遇が早くしたいものだなと思います。」云々、こういうふうに言っておられるわけです。  まず、国際人権規約のことからお尋ねをするわけですが、これが国連で採択というのですか、正式には何というのですか、決められて、そしてそれが発効をいたしましてから日本で効力を発生するまでに、法案ができ上がるまでに、それに基づく承認ですか、大分時間がかかったわけですね。だからまず、いま言った提案理由と議事録のことに関連する前に、これが国連でいつどういうふうになったか、それから効力はいつ発生したか、発生してから日本の対応というものはどういうふうなものであったか、こういうふうな点をひとつ御説明を願いたい。その後に出てくる質問は、もう御承知だと思いますが、それに対して法務省当局がどう対応したかという問題、それが第二の質問として出てきますが、その点についてまず概略お答えを願いたいというふうに思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 国際人権規約が成立いたしましたいきさつでございますが、四五年にできました国連憲章は、「人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること」を掲げておるわけでございます。そこで、一九四六年二月に開かれました第一回の経済社会理事会は、その決議によりまして人権委員会を設置し、同委員会は国際権利章典の草案を起草するよう指示されました。  人権委員会は、この国際権利章典を人権宣言、人権に関する国際条約及び実施措置の三部作により構成することとし、まず、人権宣言の起草作業を行いました。その結果、一九四八年十二月十日第三回国連総会において、人権及び基本的自由の尊重を促進し確保するためにすべての人民とすべての国が達成すべき共通の基準を掲げた世界人権宣言が採択されました。  これに引き続きまして人権委員会は、一九四九年、第五回会期から法的拘束力を有する国際条約草案の作成を進め、一九五四年、第十回会期におきまして経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約案並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約案を採択いたしました。  人権委員会で採決されたこれらの国際人権規約案に対する国連総会の審議は、一九五四年の第九回総会から始まりまして、その後毎年第三委員会において逐条の審議が行われました。その結果一九六六年十二月十六日、第二十一回総会において、両規約並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書が採択されました。  経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、A規約と通称されておるようでございますが、これは一九七六年一月三日に、それから市民的及び政治的権利に関する国際規約、これは通常B規約と称せられておるようでございますが、及び同規約の選択議定書は一九七六年三月二十三日にそれぞれ発効いたしました。  締約国数でございますが、最初のA規約は一九七八年十二月八日現在五十五カ国でございまして、B規約は一九七八年九月十五日現在五十二カ国でございました。  わが国もこの人権規約に加入すべく慎重に準備を進めまして、七九年にこの規約は双方ともわが国について発効いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 まず、発効するまで三年かかりましたね。それから国内法をつくるのですか、国内法との関係はどういうふうになったのですか。時期的にはどういうふうになりました。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 人権規約加入に伴う国内法の特別な制定ということは、私、承知いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま言ったところでも一九七六年でしょう。発効したのは七九年。三年以上かかったわけですね。その間法務省当局がこれに対してどういう態度をとったのですか。延びた理由の一つ——あなたはいま慎重にというようなことを言われた。言葉じりをつかまえるわけではありませんけれども、慎重にということは、法務省はこの人権規約の発効についてきわめて消極的であった、いや、むしろ反対的な立場をとったということが一つの理由になって、この規約の発効がおくれたのではないですか。その間に法務省当局がとった態度というものを説明していただきたいというふうに思います。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 私は、法務省当局がこの人権規約加入に消極的な態度をとったということは聞いておりません。私どもは、入管関係についてだけ申し上げますと、入国管理法、それから外国人登録法、こういうものが人権規約の精神あるいは規約自身に一致しない、抵触するというような個所があるかどうかについて慎重に検討いたしました。その結果、そういうところが全く存しないという結論に達しました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の聞いているのは、三年間もたったでしょうというのです。その間にあなたの方は慎重に検討したというのだけれども、このA規約とB規約とある、恐らくB規約のことだと思いますが、市民的自由の方だから、B規約のことについて慎重に検討した、こういう意味でしょう。まあA規約かもわかりませんけれども、普通はB規約の方を言っているのじゃないですか。B規約の十二条の一項以下を言っているのだと思うのですけれども、検討したというその規約は、A規約なりB規約の中のどういうところをそれでは検討したということになります。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 たとえばB規約の十二条移動の自由と居住地変更登録申請義務の関係がどうなるであろうかとか、あるいは不法入国者の登録申請義務と不利益供述強要、B規約の十四条三項とどういう関係に立つだろうかという点でありますとか、それから外国人登録法上の指紋押捺、それから登録証明書の携帯義務、こういうものが法律の前の平等をうたっているB規約の二十六条、これとどういう関係に立つだろうかとか、こういうもろもろの点について十分検討したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その十分検討したということと、この法律案の提案理由に書いてあります国際人権規約への加入等それに対応するためというのですか、そういうふうなことと、奥野さんが「国際人権規約にのっとった処遇が早くしたいものだなと思います。」こういうふうに言っておられるわけですね。それと今度の法案はどういうふうな関係に立つわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 提案理由説明で述べてございます趣旨は、今回の改正法案策定に当たって、昭和五十四年、一九七九年わが国について効力が生じました国際人権規約が存在することを十分認識したということでございまして、そのような状況に沿ったものであるかどうかを確認したというふうに御理解いただきたいと思います。  なお、稲葉委員は昭和五十五年十一月十二日衆議院法務委員会における奥野前大臣の答弁にお触れになりましたけれども、奥野前大臣の御答弁の趣旨は、朝鮮半島出身者に協定永住の対象となる者とそうでない者がいるなど、朝鮮半島におけるいわゆる南北分離、対立の状態が続いていて、これが好むと好まざるとにかかわらずわが国における朝鮮半島出身者の処遇に影を投げかけていることを遺憾としながら、人権規約の精神にのっとりひとしくこれらの人たちの処遇の向上を図っていきたいということを表明されたものと解されるところでございまして、具体的には、難民条約の発効に伴い、国民年金等の支給に関し国籍要件の撤廃、特例永住制度の制定実施等によって、大臣の御意向に沿った施策が進められていると考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、この前の法案のとき、外国人登録法の改正がありましたけれども、そのときは提案理由の中で国際人権規約への加入については触れているのですか、触れてないのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 人権規約そのものに言及はしておりませんけれども、諸情勢の動向ということで、その中に織り込んで考えているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だって、国際人権規約というのは非常に大事だと言うのでしょう。それはわかりました。そして今度の法律案の提案理由の中に入っておって、この前は入ってないわけですから、五十六年の改正ですか。入ってないというのはこのときにも、これは最初の改正のときかな、後の改正のときですか、五十五年十一月十二日、ちょっとはっきりしませんが、それは入っているんじゃないですか。改正が二回あったでしょう。その点はまだ日にちがありますから、またゆっくりお聞きいたします。  いま私がお聞きいたしたいのは、この奥野さんの言われたことは、一たび日本の選挙権まで与えた時代があったわけだというようなことを言っておられるのが、朝鮮半島出身者の日本における特殊性というふうなものを非常に強く打ち出されておるようにもとれるわけです。だから私の言うのは、前に二回あった外国人登録法の改正の中で、この国際人権規約との関係、それがどういうふうに提案理由の中にあったかということについては、それは言葉がなくてもあったというふうにとれるんだという理解の仕方もあるし、それからはっきり書いてある場合もあるし、いろいろあると思うのですが、それはそれほど大きな問題ではありませんが、いま言われたB規約十二条一項の解釈として、「合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者」、これは日本でありますと日本における外国人を指す、こういうことに理解してよろしいですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 B規約の第十二条に言います「合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者」の中には、当然外国人も含まれるものと解釈しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 当然じゃなくて、これは外国人に対して言っておるのじゃないですか。「合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者」というのは、何も日本人のことなら日本の憲法で決めればいいので、その国にいる外国人のことを指している規定ではありませんか。それはそういうふうにとれますね。  そこで、「当該領域内において、移動の自由及び居住の自由についての権利を有する。」そして第三項で、この権利は「いかなる制限も受けない。」こういうふうになっていますね。だから結局、常時携帯を意味しているというふうなことは直接このものとは関係がないかもしれませんけれども、少なくとも永住、協定永住にしろ一般永住にしろあるいは特例永住にしろ、永住権を持っているという人については、移動の自由及び居住の自由についての権利を有しておって、この権利はいかなる制限も受けないということが三項に記載をされておるわけですから、少なくとも常時携帯義務というふうなものは、いまのこの規約からいうと、刑罰をもって処しておることについてはこれは少し過当ではないか、過剰ではないかというふうな議論が当然生まれてくるのではないですか。そう理解するのが当然じゃないでしょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 国際法上外国人の入国、在留、それを許すか、許す場合にいかなる条件で許すかということに関連する国内立法上の自由は各国の主権の範囲内であると解されておるわけでございます。したがいまして、合理的な必要がある場合には法律によって必要な措置をとることができるわけでございまして、それは少しも人権規約には違反しない、こういうふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それでは、人権規約がある前と、日本がこれに加入してそして効力を発生する前と、これが効力を発生した後とにおいて、外国人登録法の常時携帯義務、これは変わりがあるのですか。精神において、運用において変わりがあるのですか、ないのですか。全く同じなのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 入国管理法、それから外国人登録法に掲げておりますすべての規定は、人権規約A及びいずれにも違反しないと私どもは考えております。したがいまして、登録証明書の常時携帯義務を含む現行の体制というものは、人権規約と少しも抵触しないというふうに考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、抵触するしないを聞いているのではなくて、人権規約にちゃんとこういうふうに書いてあるでしょう。書いてあることは間違いないわけですから、書いてあって、それに加入して効力を発生しておるならば、日本にいる外国人に対する処遇というものが、この効力発生前のものと後のものとで、規定は同じであっても、その運用の仕方、その精神、そういうふうなものに差異があって当然ではないのですか。この奥野さんの言うのもそういう意味のことを言っておられるのではないですか。「国際人権規約にのっとった処遇が早くしたいものだなと思います。」こう言っているんでしょう。  ということは、現在の処遇が少なくとも、これは発効後になるわけかもわかりませんが、いずれにしても国際人権規約に十分のっとってない、処遇がされてないということを前提とした答弁じゃないですか。そういうふうに言っておられるのではないですか。「国際人権規約にのっとった処遇が早くしたいものだなと思います。」ということは、現在それがされてないからこそ、早くしたいものだなと思うという答えになってくるのでしょう。それがされているなら、されているから問題ありませんという答えになってこなければおかしいんじゃないですか。理論上そうでしょう、これは。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 いずれにいたしましても、入国管理法、それから外国人登録法、これが人権規約に少しも違反しないので、したがって、わが国の加入の前と後では私どもの法律の体制、運用を含めて何ら変更する必要はないと考えているわけでございます。  なお、奥野前大臣がおっしゃっておりますのは、恐らく人権規約の精神を非常に広くおとりになったところでございまして、現在の登録法の基盤と申しますか、基本的な体制あるいはその運用についてお触れになったものでは全くないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ちょっとよくわかりませんが、広く解釈している。だって、それはあなた、大臣が責任を持ってここで答弁しているんですよ。そうすると、当時の奥野さんは国際人権規約に関連をして広く解釈をしている、ということはこの規約を非常に重く見る方向で解釈しておったけれども、いま言う事務当局は、それについては狭く解釈しておる、こういうふうな理解の仕方でよろしいですか。それならそれでいいんですよ。それならそれできちっとはっきり言ってください、それはこっちも対応の仕方があるから。そこのところをごまかさないでくださいよ。ちゃんと奥野さんはこういうふうに言っているんだから。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 私が申し上げているのは、奥野前大臣が人権規約のことにお触れになりましたときには、人権規約の精神ということでお考えになったのだろうと思うのであります。主として奥野大臣がお考えになっていたのは、朝鮮半島出身者の中でも韓国人と朝鮮籍の人との間の処遇の違いというものを念頭に置かれていたのではないかと思われるのでございます。  そこで、先ほど申し上げましたとおり、たとえば私どもは特例永住制度というものを昨年の春の入管令の改正で御提案して御承認いただいたのでございますけれども、そういう措置は当然奥野前大臣のお考えになった御趣旨に沿うものであると考えております。それから、これもすでに実現したことでございますけれども、そのときに、わが国は難民条約に加入することになったわけでございますけれども、それに関連して、国民年金でございますとか、そういう社会保障上の外国人であるという要件を撤廃したわけでございます。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕 したがいまして、そういう意味でだんだんとわが国における朝鮮半島出身者の処遇が改善してきているということが言えると思います。これが恐らく奥野前大臣が念頭に置いておられたことではないかと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、いまあなたの言われた特例永住にしろ、これは一二六が当分の間とあったわけですから、その子供や孫の問題でしょう。それから、いま言った年金だとかいろいろありますね。それは人権規約のA規約あるいはB規約のどこに該当しているわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま申し上げましたことは、B規約の二十六条の精神に関係するものと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 B規約の二十六条の精神に合致するのか、あるいは合致という言葉は使わなかったけれども、それならばB規約の十二条一項というふうなものがはっきりここで書いてあって、三項にも「いかなる制限も受けない。」ということが書いてあるんだから、それはなるほど国内法は主権の範囲内のことで国家が決めることですよ、あたりまえの話だけれども、これは条約というか、規約というか、それの方が一応優先をすると考えるのが普通の、条約優先主義を極端にとるわけじゃありませんけれども、そういうふうなのが国際的な一つの礼譲というか、そういうものから見て、私は当然のことだと思うのです。  あなたの方としては、常時携帯義務の問題についても、これを何とかして崩したくないという考え方が強いから、そこに答えがいくわけですね。それじゃ、私はお尋ねしましょうか。外国人登録証の常時携帯義務を課している国は一体どことどこですか。課してない国もあるんですか。それはどうなっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人登録証明書、それから旅券の携帯、提示義務制度でございますけれども、これを設けている国の名前を申し上げます。  まず中国、インドネシア、韓国、フィリピン、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、オランダ、メキシコ、ルクセンブルグ等でございます。  それから、提示義務がございますけれども、提示拒否に対する罰則がないというのがアメリカ、アルゼンチン等でございます。なお、罰則はないけれども旅券とかそれにかわる証明書の携帯義務を課している国として、アメリカ、アルゼンチンのほかにスウェーデン、ノルウェー、それから西ドイツ、こういう国がございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の聞いているのは、外国人登録証明書でしてね。外国人登録証明書が要らない期間がありますね。日にちなんかの関係であるわけでしょう。そういうふうな場合に、携帯義務を課しているところがあるわけですか。外国人登録証明書はある一定期間たってから必要ですね。そうすると、その場合には、携帯義務を課している国というのは、私の聞いている範囲ではきわめて少数だというふうに聞いておったのですが、いまあなたのおっしゃるところだと大分——中国なんかはちょっと私の聞いているのとも違いますが、じゃ、お聞きいたしますと、まずいま言われたように、アメリカの場合は何ですって、ちょっとよくわからなかったな、よくわからなかったのが一つと、それから、俗に言う切りかえ、確認期間ですね、アメリカの場合は確認期間は十年になっていると書物の中に出ていますが、それはどうですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人登録制度というのは、国際的に見ましても各国の制度が非常にまちまちでございまして、これを比較することは非常に困難なのでございます。そういう前提といたしまして先ほどお答えしたわけでございます。  ところで、それじゃアメリカについてどうだということでございますけれども、アメリカの場合には外国人登録証に当たるもの、エーリアン・レジストレーション・カードと言っておるようでございますけれども、これは一応携帯しなければならないこととなっておりますけれども、提示拒否に対する罰則がないというふうに言われております。  それから、この確認申請、切りかえの期間でございますけれども、アメリカの場合は法制をしょっちゅう改めまして、事実上非常に頻繁に切りかえを実施しているという実態がございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 アメリカの場合は州によって法律が違う場合もあるけれども、この場合はどういうふうになっているのか、私もよく知りませんけれども、私どもが聞いているのは、アメリカは確認期間は十年だというふうに聞いているのですが、どういうふうになっているのですか。十年というのは基本であって、それが非常に細かく変わってきたのですか、実際はどうなっているのですか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 アメリカの登録証明書に相当するものの切りかえでございますけれども、それを私どもの方で調べてみましたけれども、有効期間というふうなものの記載がその様式の中に出てこないわけで、どのくらいの期間でもってこれを有効としているか、いま先生は十年とおっしゃいましたけれども、そういう事実がよくわからない。ただ、いま入国管理局長が頻繁に切りかえを行っているということを申し上げましたのは、私どもの方で入手しました資料によりますれば、アメリカは過去三十二年の間に十七回、この登録証明書の様式を改正しておるということがございまして、その年数を切りかえ回数で割りますと、二年に一回の切りかえということになるわけです。  ただし、これはわかりませんと申し上げたのは、これは偽造、変造を防止するということで改正をしたわけでございますが、改正をしたけれども、その改正された新様式の証明書をそれでは一斉に切りかえたかということになりますと、そうではない。要するに、古い証明書を持っている人はそのままだけれども、わが国で言う再交付申請のような場合は新しい証明書をもらいますし、新しく入国する人は新しく証明書をもらう、その様式が変わる。これを二年ごとにやっているということでございまして、いま先生のおっしゃった有効期間とか、わが国の切りかえに相当する期間というのは、どうもアメリカの場合にはよくわからない。  ただ、最後に一つつけ加えますと、そういうやり方でもってアメリカは、私どもアメリカの事情をちょっと調べて、必ずしも成功はしていないというふうに判断するわけでございます。と申しますのは、もうすでに先生も御承知かと思いますが、アメリカの不法入国、不法残留者の数というのは数百万に達している。それでアメリカは、登録証明書の、要するにわが国で言う一斉切りかえを五年間かけてやっているということは書物で読んでいるわけでございまして、アメリカもそういう不法滞在者、不法入国者というものに頭を悩ましまして、わが国の一斉切りかえというのをいまやっている。そういうことからしますと、わが国の切りかえ、これは三年でございまして今回の改正で五年になるわけでございますが、この切りかえの意味というものを私たちは改めて確認したというふうな状況でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 よくわかりませんけれども、あなたの方はニューヨークの総領事館にも、ちゃんとあなたの方からの入管の職員が行っているわけですね。プロパーの職員でしょう。それから、国連にも入管の職員が行っているわけです、どういう形で行っているかは別としまして。私も去年ニューヨークに行ってお二人に会ってきたのですから、これは専門的に研究しているのですから。だから、アメリカの移民法というか移民国籍法というか、それをほとんど翻訳のような形でこの法案をつくったのでしょう、つくるときには。だから、そういう点についてはもっとちゃんと勉強しておいてもらわないと困りますよ。わざわざ入管の職員がニューヨークに常駐しているのですから、それはもうわかってなくちゃいけませんが、そういうふうな専門的な勉強をしているはずだ、こういうふうに私は思うのです。  一人の人は今度帰ってきますね。何か国連に行っている人が帰ってくるという話ですが、いろいろなことをよく聞いて調べてごらんなさい私が書物で見たのは、アメリカの切りかえ、日本の言う切りかえというのは正式的には確認ですか、十年だというふうに書物に出ていたのです。それが具体的にどういうふうに運用されているかということは私もよくはっきりしませんが、あなたの方はそれだけ専門家が行っているわけですから、調べておいていただきたい、こう思うのです。  そこで、携帯義務違反を過料にした場合と、今度の改正は二十万円以下の罰金ですが、そうした場合で、いろいろな面での処遇というふうなものは、政府当局というか行政当局の対応の仕方、できる権限といいますか、どういうふうに違ってきますか。ちょっと質問の意味がわかりにくいでしょうけれども、こっちで聞こうとしていることはわかるでしょう。何を聞こうとしているかわかるでしょう、僕の言っていることは。余りストレートに言っちゃってはあれだから、多少あれしているけれども。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 現行の外国人登録法も現在御提案申し上げております一部を改正する法律案も、十九条の規定におきまして一定の違反類型に対して過料、行政罰といいますか秩序罰といいますか、この制度を設けているわけでございますが、これは先般も御説明申し上げましたように、法第十五条の規定しております本来の申請義務者にかわって代理人が申請を行う場合の各種の違反行為を過料でもって担保するということに意味があるわけでございます。  それとかわりまして、本来の外国人登録法上の義務者につきましては、この義務の履行を担保するために刑事罰を科する必要があるということで現在の外国人登録法ができておるわけでございますが、私どもといたしましては、この基本的な立場というものは必要だということで、これを堅持することを前提としつつ、今回の改正案におきましては懲役刑と罰金刑を科する類型、罰金刑のみで対処する類型、それから一部罰則を廃止する類型というような検討をいたしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、私はそんなことを聞いているのじゃないのです、そんなことはこの法案に書いてあることですから。私の言っている意味、わかりませんか。わかるんじゃないですか。  では、こういうふうに聞き直しましょうか。まず、登録証の携帯義務が行政罰になったときに、ここにいろいろ書いてありますが、官憲が提示を求める権限ができて、相手方がそれを提示しなければならない義務ができますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 提示要求の御質問であるというふうに理解いたすわけでございますが、外国人登録法上定められております提示の要求のできる官職にいる職員、これが必要な場合にこの提示を拒否したという場合の、その履行を確保するための制裁というのは刑事罰で担保する必要があると思うわけでございます。過料でこの提示要求の義務の履行を担保するということは、いまの法体系全体の中ではむずかしかろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、そんなことを聞いてないですよ。そうじゃなくて、登録証の携帯義務違反が過料であるときに、一体提示を求める権限が官憲にあるのですかないのですかと聞いているのです。裏を返せば、外国人登録証を持っている人が提示をしなければならない義務が発生するのですかしないのですかと聞いているんですよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 刑事罰を科するために提示を求める、あるいは過料を科するために提示を求めるという直接の関係にはならないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そんなことを聞いてないよ。じゃ、山本君、答えろよ。違うよ、答えが。私の聞いているのは、いまのような法体系、いまは一年以下の懲役または三万円でしょう。それはいまのやつで、今度はそれを二十万円以下の罰金にしようというのでしょう。それはわかった。それはそれでいいし、あなたの場合は、私がそれを過料にしろ、十九条の方に入れろということに対して、反対だ反対だという頭があるからそればかり答えちゃっているので、私はそれを聞いているんじゃないですよ。そうじゃなくて、それが行政罰の場合に、それらの外国人登録証を持っている人に対して、たとえば警備官でもいいや、警察官でもいいや、あるいは審査官でもいいですね、それが法律的にそれを提示を求める権限というのがあるのですかないのですかと聞いているのですよ。これはどうなんですか。結果のことを聞いているのじゃないのですよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 職務の執行に当たり必要と認める場合には、提示を求める権限を法定しても差し支えないと思います。それと制裁の方とは関係ないと考えるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 過料ですよ。いいですか。過料だけの場合でも提示を求める権限があって、それじゃそれに拒否した場合にはどうなんです。行政罰ですか、過料の場合にはなるわけです。それはあなたの考え方では変わりはない、提示する権限もあるし、その提示に応じなければならない義務もあるというふうに理解してよろしいのですか。それはそれでいいのですか。局長、どうなの、ちょっと補足しないといまのはまずいぞ。

山本達雄法務大臣官房参事官

○山本説明員 まず問題は、外国人登録証明書の提示義務を制度として設けるかどうかということ、いま一つは、その違反に対して罰則を科するかどうかということだと思うのですが、まず罰則を科するかどうかということと、提示義務を課するかどうかということは一応切り離して考えられるものであります。われわれは、当然この提示義務は必要であると考えておるわけです。しからば、その違反に対して義務履行を担保するためにいかなる罰則を科する必要があるか、これについてはもちろん何ら罰則を科さないという道もありましょうし、行政罰を科するという方法もあり得るわけでございますが、この提示義務を担保するためには刑事罰を科する必要がある、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはあなたの方の主張ですから、主張というか、それはよくわかっているのです。これはあなた方はそういうふうな形でずっときているわけですから、それは私はわかるのです。  では、逆にこういうふうな聞き方をしましょうか。これが十八条の二以下、いま二十万円の罰金でしょう。それが十九条に入ってきたら、過料に入ったときに、提示を求めた、それで提示しなかった。そこで、提示の拒否だとか、あるいは持っているか持っていないか聞いたときに、持っていなかったというときは逮捕できますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 過料というのは秩序罰でございますから、刑事手続でございませんので、逮捕できないことはもちろんでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうですね。もちろん過料で逮捕なんかしたら大変な騒ぎになっちゃうから、これはできないわけですね。では、罰金が幾らまでだったら現行犯逮捕できるのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 刑事訴訟法の規定によりまして、八千円以上の罰金が法定刑とされておる場合、これについては現行犯逮捕できる。それ以下の法定刑の場合は、一切現行犯逮捕できないというわけではございませんが、御承知のとおり厳重な要件が課されておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、あなた方はこれを過料にするということに対しては極力反対をされる、そうしてこれは何とかして現行犯逮捕できる状況に置いておきたい、こういうふうな考え方が非常に強いんじゃないですか。  そこで私は、具体的な事例に即して警察の方にお聞きをするわけなんですが、とにかく登録証の不携帯ということでいままで処罰された、登録証不携帯だけでなくてもいいかもわかりませんが、処罰されたというのはどの程度あるのですか。登録証の不携帯あるいはその他提示義務違反とか、いろいろありますけれども、それで処罰されたという例は全体の中でどの程度あるのですか。刑は大体どういうふうになっていますか。起訴猶予がどのくらいであるとかいろいろありますね。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 先般もお答え申し上げたところでございますが、昨年の一月一日から十月三十一日までの十カ月間、全国の検察庁の処理事例について調査した資料がございますので、それに基づいてお答えいたしますと、外国人登録証明書の不携帯ということで処理された事案の合計が二千八百件余りあるわけでございますが、そのうちの千九百件余りが起訴処分、それから六百件程度が不起訴処分、あと少年の場合でありますと家庭裁判所に送致するというような数になっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはこの前お聞きしたのですけれども、去年の一月から十月までですね。それは警察で調べたというか、検挙という言葉が法律的にどういう意味なのかよくわからないが、新聞によく検挙検挙と出るのです。警察でいろいろな形で調べて検察庁へ送らない場合もこういうふうな事案では相当あるんじゃないですか。その点は、きょう警察の方来ているけれども、まだ調べてないかとも思いますが、わかればお答え願いたいし、きょうそこまで私の方も通告しませんでしたから、わからなければわからないでもいいのです。後でもいいのですけれども、だから、これは検察庁へ来るのは全部ではないですよ。その中でどの程度の割合か知りませんけれども、ある程度の割合のものが来るだけじゃないんですか。そうじゃありませんか。実際はどうなっていますか。それは告発の場合でも、区役所なんかで告発義務がありますね。あったところで全部——告発義務があれば検察庁へ全部来るでしょうけれども、そこはどういうふうになっておりますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 御質問の点は正確に把握しておるわけじゃございません。大体の感触という程度でお聞きいただきたいと思うわけでございますが、外国人登録事務を取り扱っております市区町村から告発がありました場合、これは御承知のとおり刑事訴訟法で検察庁に送付する義務があるわけでございます。また、外国人登録証明書の不携帯という事案は、事案の性格上、市区町村からの告発という形態をとらないで、大多数の事件が司法警察に送致という形をとっておるわけでございます。現行犯逮捕であれ、通常逮捕であれ、強制捜査をした事件は必ず検察庁に送致しなければならないということになっておることは御承知のとおりでございます。  ただ、この外国人登録証明書不携帯という犯罪で在宅捜査をした場合に、これが全件検察庁に送致されておるかという点につきましては、事案の内容によっては、警察限りで始末書を徴するなりあるいは厳重に注意するなりということで、送致しない事例もあるというふうに承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 具体的にこの登録証の不携帯はどのように運用されておるかということについて、あなたの方ではどの程度把握をされておられるのですか。  私はお聞きしますけれども、これに関連して、五十四年三月二十日に社労委員会であなたの方にもとおられた方がこういうふうに答えているのです。「入国管理局の立場といたしましては、さようなしゃくし定規な運用のないように、当局に良識ある運用をしてほしいものだとかねがね思っておりますし、機会あるごとにさような指導をしておるわけでございます。」こういうふうに言っているわけなんですが、入管が指導しているのか、警察庁が指導しておるのか。入管が指導しているのでしょうけれども、この不携帯なら不携帯の常時携帯義務の違反に関連をしてどこにどういうような指導をしておられるわけですか。指導する権限があるかないか、ちょっと問題だと思いますがね。  これは「指導」という言葉がここに入っているのだけれども、どうなのかな。指導の権限があるかどうかがまず第一なのですが、それは別として、機会あるごとにこういうふうに言っているのだから、「しゃくし定規な運用のないように、当局に良識ある運用をしてほしい」というように思っておって、そういう指導をしていると言っておるのですが、どういうふうなことをやっておられますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 入国管理局といたしましては、われわれの組織の中に入国審査官あるいは入国警備官という官職の職員を総計千三百名程度抱えておることは御承知のとおりでございます。こういう職員の指導の権限は私どもでございますので、まずそういう職員に対しては、常日ごろあらゆる機会を通じて十分法の精神に沿った適正な運用ということを指導しておるわけでございます。  ただいま先生御指摘の点は、主として罰則の運用に当たっておる一線の現場と申しますと、これは警察職員でございます。先日の御質問の際にもお答えしたわけでございますが、私どもといたしましては、外国人登録法を所管する責任のある局でございますので、その罰則の運用に当たっておられます一線の警察官の方々を直接指導監督する権限のある警察庁の方々と機会あるごとに意思の疎通を図って、法の精神に従った運用についてのお互いの意思の疎通を図っておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまあなたが法の精神、法の精神と言うのですけれども、法の精神というのは、モンテスキューのあれが法の精神ですけれども、それは別として、いまあなたの言われた法の精神に沿ってと言ったって、だって、この常時携帯義務というのは、法の精神はどういうふうな精神なんです。ちょっとよくわからないんですね。どういう精神なの、これに関連する法の精神というのは。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 御承知のとおり、最高裁判所の判決が、外国人登録証明書の携帯という概念について、権限のある職員から提示を求められた際には直ちに提示し得るような状況で所持すること、これが携帯の概念だというふうに判示しておるところでございます。こういう点から考えまして、従来のこの法務委員会におきましても、たとえばふろ屋に行く途中に家に登録証明書を置いておった場合には、それが不携帯罪になるのか、不携帯で検挙されるような運用は行き過ぎじゃないかというような、いろいろ具体的な事例を挙げて質問がなされていることは先生御承知のとおりだと思います。いま申し上げましたような最高裁判所の判例の趣旨から見て、その携帯の程度あるいは携帯義務を要求しておる法の趣旨というものが酌み取れますので、そういう点を十分勘案した上での事案に即した適正妥当な運用、こういうことになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、そのふろ屋へ行くのはわかったですよ。ふろ屋へ行く途中につかまったのはずいぶんあるのでしょう。相当ありますよ、これも調べてみたら。  それから、夏暑いからというので上着を脱いで置いてきてしまったら、それを持ってない場合、そういう場合につかまったのがありますよ。学校で女の先生が、夏暑いからといって教員室へ上着を置いていた。そこへ外国人登録証を入れておいた。教室で講義していたのでしょうが、夏は暑いからというので教室へ持っていかない。そうしたら、そこへ入っていってやられた例もありますよ。これは御存じでしょう。  それから、尼崎の例なんか、勤め先と住所と二つあって、それで届け出は住所として届けてあるわけですね。ところが、店に泊まっていたというわけでしょう。店に泊まっているのだったら、住所と違うところに泊まっていたのに届けなかったということで、そこで逮捕されたりなんかしたことがありますよ。  これは多少古い例かもしれぬけれども、そういうものは、新しい例でも同じようなのはいっぱいありますよ。直ちにというのははっきりわからぬけれども、そういう例は相当ありますから。あなたの方で直接指導権があるというのは警備官と審査官、これはもちろんあたりまえの話ですね。その他の警察に対するあれは問題だと思いますが。  そこで、警察の方においで願って、一つの例をお伺いしたい。このことが事実かどうかということは、私、これからお聞きいたしますが、昭和五十三年、ちょっと古くなりますが、北九州市に門司区というのがありますね。これは門司水上署ですか、警官と飲食店を経営する韓国人、夜中に両方が酔っぱらってけんかをした。そうしてけがをした。何かそのときに、酔っぱらってけんかをしたその韓国人に対して、登録証を持っているかと聞いた。これはけんかしてからですよ。持ってないと言ったら、それじゃ来いと言って警察に連れていった。それで、ああだこうだがあったというようなことが言われておるのですが、その事件の一つの事実上の経過、これをまず最初にお話しを願いたいというふうに思います。これは警察の方ですね。

吉野準警察庁警備局外事課長

○吉野説明員 おっしゃる事案は次のことであろうと思いますが、昭和五十三年十一月八日、福岡県の門司水上署のある警部補でございますが、午前二時ごろでございますけれども、仕事の帰りに酒を飲んで酩酊の上道路を歩いておりましたところ、向こうから来た男の人とぶつかりまして、ささいなことで口論になったようであります。その際に言い合いになりまして、警部補の方から、外国人だな、登録証を持っているかということを聞いたようであります。そういうこともありまして、けんかになりまして、双方殴り合いになって、お互いに一週間ほどけがをしたという事実がございます  それから、どちらから言ったか、双方泥酔いたしておりますので、はっきりいたしませんけれども、警察で話をつけようということになりまして、門司署、約四、五百メートル離れておりますけれども、門司署に行って、署に到着後再び口論になった。当直員が制止いたしましたので、二人とも表に出たわけでありますけれども、続いて今度は門司水上署、これは本人が勤務している署でありますが、ここへ行こうということになりまして、車でもってその署に行って、またこの門司水上署においても口論になって当直員に制止をされている。だんだん時間がたちまして午前六時ごろになりましたので、双方和解して、この外国人の方を車で自宅に送り届けたというのが事案の概要でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、その結果はどうなったんですか、結果は。伝えるところによると、その警察官はやめたんですか。どういうことになっているんですか。

吉野準警察庁警備局外事課長

○吉野説明員 大変遺憾な事案でございました。その結果、本人は十一月二十一日付をもって諭旨免職になっております。なお、刑事事件的には、十二月二十六日、両名を傷害罪で送致いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 大変遺憾な事件だと言うが、あなたの説明を聞いていると、大して遺憾でないと言うとおかしいかもわからぬけれども、酔っぱらってけんかして、相手が外国人だとわかったら登録証明書を出せと言って、持ってないということで、夏ですね——十一月ですか、夏じゃない。夜中ですね。そして警察へ来いと言ったのですか、そこのところがはっきりしないけれども、警察へ来いと言って、非常に侮辱的な言葉を土下座させて言ったとかいうことがありますね。これは両方の言い分がちょっと食い違っているようですが、こういうふうなことがあるわけです。その程度の、あなたのいまおっしゃるようなことだったら、何も諭旨免職にする必要はないのじゃないですか。それはどうなんです。

吉野準警察庁警備局外事課長

○吉野説明員 私どもが聞いているところによりますと、警察へ来いというのじゃなくて、すでに道路上で、先ほど御説明しましたように殴り合いになってけがをしているわけでございまして、話をつけようということで警察署へ参ったというふうに聞いております。  この程度で諭旨免職にならぬではないかというお尋ねでございますが、やはり警察の規律という面から見まして、幹部の職にある者が、泥酔したとはいえ相手に傷を負わせた、それから侮辱的な言葉を吐いたということは、規律違反の中でも重い方に当たるというふうに判断して、処分いたしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、一体どうして外国人登録証を見せろということになったのですか。お互いにけんかしたのですよ。どっちが先に殴ったのか、ちょっとわからぬけれども、何かすれ違ったようですね、どちらかが先に殴った。これがどうしてそこで外国人登録証を見せろということになるのですか。けんかと外国人登録証を見せろということとどうやって結びつくのですか。どうもよくわかりませんね。

吉野準警察庁警備局外事課長

○吉野説明員 先ほど来申し上げておりますように、泥酔状態でございまして、その後も厳しく調べたのでございますが、本人もよく覚えていないということでございます。なぜそういうことを発言したのか、私どももわからないということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまちょっとあなたの言葉からも、侮辱的な言葉が出たというようなことがありました。私はその点は詳しく聞きませんけれども、やはりわれわれの気持ちというか、ことに官憲の気持ちの中にはそういう考え方がまだ残っていますね。相当強く残っているのじゃないかというふうに考えて、私ははなはだ遺憾なんです。だから、登録証の不携帯とけんかとは関係ないのですよ、けんかが先なんですから。そこで登録証の不携帯が出てきて、来いと言ったのか、行くと言ったのか知らぬけれども、そういうふうな事件になってきておる。一つの運用の誤りというか、実際にこういうふうに盛んに行われているのですね。  最初のときには、あなたの警察の方は、自分の方は全然手落ちがないのだと言ってがんばっていたのじゃないですか。後になってから諭旨免職にした、こういうことなんじゃないですか。これはどうなんです。

吉野準警察庁警備局外事課長

○吉野説明員 当時の記録もいろいろ調べましたが、必ずしも詳しいものは残っていないのでありますけれども、やはり調べるのに相当時間がかかったようでございます。その間、恐らく抗議等がございましたけれども、しばらくお待ちいただいたということだろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 しばらくお待ちいただいたって、午前二時の事件で、事件が解決したのは六時か六時三十分かは別として、そのころですからね。  これは一つの例なんですよ。例なんですけれども、そうじゃなくて、朝鮮人学校の場合に、帰りを待ち受けていて、そこで登録証を持っているか持っていないかと聞いて、持っていないと言うと、逮捕はしないでしょうけれども、来てくれと言うとか、いろいろな事例があるのですよ。それはもうきょうここで一々やりませんけれども、非常に多いんでね。だから、これは入管の方でも、警察当局に対して、いま一つの例から見ても諭旨免職になっていることですし、余り芳しくないので、あなたの方に指導権があるわけじゃないけれども、今後こういうことのないように十分な話し合いをしてもらいたいと思いますね。それは一つ入管に対する質問です。警察の方は、今後再びこういうことのないように、しかも侮辱的な言葉を吐いたりなんか絶対しないようにしっかり指導をしてもらいたい、こういうふうに思いますので、この点に関連をしては両方から説明を願って、警察の方は帰っていただいて結構です。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 私どもは、警察当局とは機会あるごとに接触をして意思疎通を図っているわけでございますけれども、今後ともこういう機会はできるだけつくって、警察当局ともよく意見、情報の交換をしたいと思っております。  なお、一般的なそういうことだけじゃなくて、具体的な案件が出た場合には、私どもとしてもその都度警察当局からいろいろとお話は伺いたい、こう思っております。

吉野準警察庁警備局外事課長

○吉野説明員 この事件は大変遺憾な事件でございましたが、一言申し上げたいのは、大多数の警察官は真摯に日夜職務に精励しておるということでございまして、本当に残念な例でございますが、例外的な事件というふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。  なお、外国人に対する職務執行に当たりましては、私どもかねがね、言語、風俗、習慣等を異にするわけでございますから、無用の誤解、摩擦を招かないように、日ごろから指導しているところでございます。今後ともそのような方針でやってまいりたいと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまのはたった一つの例だと言いますけれども、これは表にはっきりあらわれた場合で、あらわれないのはいっぱいあるのですよ。同じようなことが、いろいろな面で大変な苦労に遭っておるわけですね。  そこで、いま言った五十四年三月二十日の社労委員会の中で、最終的にこういうことが言われているんですね。これは登録法違反の告発関係に関連をしてのことなんですが、「その辺につきましては、全国の市区町村に登録事務をお願いしておる、委任をしておりますところの法務省といたしましても、一方に法律上の告発義務があるわけでございますから、それを無視するような指導はできませんけれども、血の通った運用をするように日常指導をいたしておるわけでございますので、今後ともそのように進めてまいりたい、かように考えております。」こう言っているのですね。で、質問者は、「ぜひ血の通った運用ができるように、御指導方をお願い申し上げたいと思います。」こう言っているのですね。このことはいいんですが、「血の通った運用をするように日常指導」しているということは、入管当局としては具体的にどういうことを指して言っているわけですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ただいま御質問の中にもございましたように、外国人登録事務に従事しておる職員が、その職務の執行に当たって外国人登録法違反の事実を知った場合には、法律上告発しなければならないという義務のあることは御指摘のとおりでございます。  たとえば、抽象的な話を避けまして具体例で御説明いたしますと、居住地を変更したといたしますと、変更の日から十四日以内に所轄の市区町村長に対して変更登録の申請をしなければならないことになっておることは御承知のとおりでございます。これに違反した場合には、外国人登録法の十八条で罰則が規定されておるということになるわけでございますが、いま申し上げましたような事例の告発義務を負う市区町村の立場につきましては、私どもとしては法律に規定されております告発義務を履行することは当然だというふうに考えておるわけでございますけれども、たとえばよんどころない事情によって一日おくれたあるいは病気のために二日おくれたというような情状やむを得ないような事情が認められたような場合には、これを画一的に告発というような形で処理しないで、運用の妙味を発揮する面もあってもいいんじゃないかということで、事案がケース・バイ・ケースでございますので、個々の事案ごとに犯情あるいは個人的な事情というものにももろもろの差がございますので、そこで線を引いて何日以上は告発しなさい、何日以下は告発を留保しても差し支えないというようなことは性質上指導し得ない事柄でございますけれども、事案事案に応じて過酷な取り扱いにならないように、法の精神に従った告発義務がなされるようにというような指導をしておる、こういう趣旨でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは、単純に形式的に、おくれたからといってすぐ告発しろ、官吏告発の義務というのはまだ残っていますけれども、それは一つの訓示規定であって、何でもかんでも告発しなければならないということにはならない、これはあたりまえの話ですね。ただ、血の通ったというふうなことですから、それらの人たちがことにどういう状況のもとに日本に来たかというか、連れてこられたか、そういうふうな状況、そういうふうなことも十分考える必要があると私は思うわけですね。といって、それらの人たちが、いや、おれたちは当然いろいろな権利の主張ができるんだということを自分の方から言うということも、率直に言うと抵抗というか、私はそういうふうに感じますけれどもね。それはわれわれの方から、そういうふうな従来の経過や何かを十分考えて、そして法なり行政の運用なり何なりで処置していかなければいけないんだ、私はそういうふうに思っておるんですね。  そこで、前々からいろいろな話が出ている中で、たとえばいま言ったどうもよくわかりませんことは、いまの外国人登録法の十三条の二項ですね。外国人に対して提示を求めることができるというふうになって、提示しなければなりませんね。そのことに関連しては、提示を求める理由の説明は一体どうなんですか。必要なんですか、必要じゃないんですか。どうなんですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 外国人登録法は、十三条の二項におきまして、職務の執行に当たり登録証明書の提示を求めた場合、常にその身分を示す証票を携帯して、相手方から請求があればこれを提示しなければならない。職務の執行に当たって外国人に対してその携帯している登録証明書の提示を求める際に、相手方から請求があれば、たとえばこれが警察官でございますと、その身分を示す都道府県警察の証明書、これを相手方に提示しなければならないということを規定しておるわけでございますが、どういう理由で相手方に対して提示を要求するか、その理由の明示までは法は要求しておらないわけでございます。  そういう意味で、ただいま先生御質問の点については、具体的な案件ごとに当該職員、官職にある人たちが相手方に対して提示を求めるその理由を相手方に対して明示しなければならないということは、法上必要ないと考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、こちらの方からあなたはどなたですか、どういう権限を持っている人だ、どういう身分を持っている人だということを聞かなければ、向こうは説明しなくていいんですか。そういうふうになっていますか。自分の方から説明しなくちゃいけないんじゃないですか。どうなっているんです、普通の場合は。普通の場合はどうなんです。普通の職務質問の場合、どうなっているんですか。警察官の職務質問の場合だって、自分は警察官だということを先に説明するんじゃないですか。要求があろうとなかろうと、しなくちゃいけないんじゃないですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 法律は、あくまでも職務執行に伴って必要があるときに相手方に対して携帯しておる登録証明書の提示を求めることができるということでございますから、したがって、自己がどういう身分の者であって、現に職務執行中である、その職務執行に当たって必要があるんだということは、相手方にわからせる必要があると思うわけでございます。  具体的な運用といたしますと、私どもの管轄下にございます地方入国管理局に配置されております入国審査官あるいは入国警備官、こういう人たちには、それぞれ証票を常時携帯させることにしておるわけでございますが、この入国審査官や入国警備官が相手方に対して登録証明書の提示を求める際には、その証票を示して身分関係を明らかにして、具体的に現に職務執行中であるということも理解させて提示を求めるようにというふうに指導しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたの前の答えと違いませんか。前の答えは、客体の方から要求があったときに初めて自分の身分や何かを明らかにすればいいんだというふうな答えではなかったですか。それから、いまの答えになるというと、今度は自分の身分を明らかにすることはそういうふうに指導しているということで、それはまるで訓示規定のような話ですね。そういうことですか。自分の身分を示すのが法律上当然なことではないんですか、それは。ちょっとその点、前の答弁といまの答弁と何か違っているように私は感じましたがね。それから、いまのまた訓示規定のような話もあるし、どうもちょっとよくわからないですな。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 最初の答弁は、法律上どう規定されておるかということを御説明申し上げたわけでございます。外国人登録法の十三条第三項は、法律に規定された職員がその職員の所属する職場以外の場所で登録証明書の提示を求める場合には、その身分を示す証票を携帯し、請求があるときは、これを提示しなければならないという規定になっておるということを御説明申し上げたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そのこともおかしいですね、その条文も。  警察官職務執行法にはどうなっていますか。身分を明らかにすることは必要じゃないですか。執行法どうなっていましたっけ。——後でいいです。私の聞きたいのは、警察官が日本人に対する場合と外国人に対する場合、職務執行においてその外形的行使あるいは内容的といいますか、言葉はちょっとむずかしいのですが、違いがあるのかないのかということを条文に即して聞きたいわけです。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 「登録法精義」を書れた飛鋪さんが書かれた字義から、その職務執行に当たってという運用は、先生が言われた内外人に対して同じであるというような解釈がなされて、今日まで来ております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そういう解釈がなされてと言ったって、飛鋪さんのものは、あなたの方は、一部の人は個人の見解だからだめだと言っているし、いまになってくると飛鋪さんはそういうふうに言っているというのは、どういう意味なんだかわからないな。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 先輩のそういう解釈を一つの指針として現在もわれわれは考えております、こういう趣旨でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私が聞いているのは、飛鋪さんがどう言ったかということではなくて、法律的に違いがあるのかないのかということです。僕も初めて気がついたのですが、条文的にいろいろな面で違いがあるような感じを受ける。だから聞いておるのです。私もむずかしくてよくわかりませんから、研究しておいてください。いまの話を聞いていると、そういうふうにありたいものだというふうに指導しているというか、それだけの話で、法律的な制度となるとまた別個のような感じも受けますから、法律的にどうかということ。官憲が日本人に対する場合と外国人に対する場合に、いろいろな面で客体によって職務執行上の差があるのかどうかということです。それはなかなか細かい問題になるかもわかりませんが、ゆっくりこの次までに研究しておいてください。  そこで、もう一つお聞きいたしますが、またわからないのは、一時滞在の外国人の場合と日本にいる外国人、特に協定永住権者との場合ではどうなのですか。協定永住でも特例永住でも一般永住でもいいのですが、そういう人たちは外国人登録証明書を常に携帯しなければいかぬわけでしょう。提示義務があるわけです。ところが、一時滞在の外国人は、一時滞在だからということで携帯もしなくていいし、提示もしなくていいということになりますね。それは外国人登録証明書の制度がないということになるかわかりませんが、その点どうなのかということです。  一時滞在の外国人と違って、協定永住なり一般永住なり特例永住なりの者が外国人登録証明書の携帯あるいは提示をしなければならない義務があるということは、そういう比べ方が理論的におかしいかどうかという問題が一つあります。仮にそれがおかしくない、理論的に対比して考えることも可能だということになれば、日本に長くいてロイアルティーを誓っていると考えていい、そういう人の方が、重い処罰と言うと語弊がありますけれども、行政上の義務を負って、その義務に違反すると処罰されるわけですね。一時的な者についてはそういうふうな義務を負わないのはおかしいではないか、こういう議論もまた出てきているわけです。そこのところはどういうふうに理解したらいいのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 短期滞在の方というのは、通常九十日以内の在留期間を持った外国人の方々でございます。こういう方々につきましては、事実上外国人登録法の適用はないわけです。なぜかと申しますと、外国人登録法では、登録申請期間として九十日を設けております。したがって、九十日以内の方は登録を実際上申請されないでございましょうから、そういう方には適用がない、こういう方々は旅券の携帯が義務づけられているわけでございます。他方におきまして、九十日以上、つまり長期在留する方々につきましては、登録の義務が生じます。そういう方々につきましては、登録証の常時携帯が義務づけられているわけでございます。  なぜそういう差ができているのかということでございますけれども、短期滞在の人は間もなくわが国を去っていく人たちである、したがって、わが国とのかかわり合いがそれほど深くない、他方において長期在留の方々は、日本社会にずっと定着しておられて、それだけ広く深く日本の社会とかかわりを持っておられる、したがって、そういう方々につきましては当然登録法によって登録していただいて身分関係、居住関係を明らかにして公正な在留管理に資する必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その差があるというのは、携帯義務と提示義務との関係と九十日以上の長期在留者、そういうふうな人との間には具体的にはどういう差があるわけですか。罰条や何かによって差があるのですか。むしろ考え方によっては、短期滞在者よりも、長く日本に、しかも協定永住とかその他の形で日本に永住が認められておる人の方を管理するというふうな形ではなくて、日本に永住するということになっているのだから、その人は日本人と同じような取り扱いをしてもいいではないか、九十日旅行して帰ってしまう人よりも軽い処遇をするのが当然ではないか、こういう理解の仕方の方が通常ではないかと私は思うのです。しかし、それは理論の争いになりますから、いま言った旅券なら旅券を持っている人の携帯義務なり提示義務という場合とそうでない外国人登録の場合とでは、いろいろな罰則なり何なりの点で具体的にどう違いますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 入管法二十三条には、旅券の携帯義務並びに提示義務、それぞれ規定があるわけでございますが、昨年の通常国会で御審議いただきましてことしの一月一日から施行されております改正法によりまして、この履行を担保するための罰金刑は十万円以下ということにされておるわけでございます。片方の外国人登録証明書の携帯義務の方は、今度ここで御審議いただいております法案のとおり二十万円以下の罰金、提示義務の方は現行法どおりというふうな考え方をとっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 じゃ、調べてきていただきたいのですが、旅券法の携帯義務なり提示義務違反で処罰された例が、日本の中でどれだけありますか。それは外務省関係に聞かないとわからぬかもわからぬけれども、ほとんどないですよ。形の上ではそうなっているけれども、それは旅券法の罰則を上げるときにも問題になったのですよ。具体的にはほとんどないのじゃないかと思う。特別な場合はあるかもわかりませんが、ふだんはないのじゃないかと思います。それはきょうでなくていいです。  きょうは一応これで終わります。

熊川次男自由民主党

○熊川委員長代理 次回は、来る二十日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十九分散会

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