法務委員会 第14号
- 発言数
- 215 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/04/14
会議録
○羽田野委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所川嵜民事局長及び小野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○羽田野委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 本日は、二つの問題にしぼって政府の見解をただしたいと思います。 一つは、再審の問題であります。再審について本委員会もしばしば問題に取り上げ、かつはまた私ども社会党からも、昭和五十五年暮れに、刑事訴訟法の一部を改正する法律案を提案いたしたところでございます。その後も、再審に関する現実的な事案が高等裁判所、最高裁判所におきましても出ておりまして、日弁連からもこの再審に関する問題提起、具体案の提起がございました機会に、一度再審について基本的に少し過去の事実も見直して、われわれとしては整理をしたいと思っているわけであります。 そこで、最初に数字の問題でございますけれども、戦後、再審請求した数、再審決定した数、その統計的な状況をまず御報告願いたいと思います。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいま戦後と仰せられましたが、実は私どもの統計で、昭和三十三年以前の分につきましては、統計の計数のとり方がその後と変わっておりまして、累計を申し上げますとかえって不正確になりますので、正確であります昭和三十四年から昭和五十五年までの二十二年間について申し上げたいと思います。 この間に再審請求がありました件数は千八百五十二件でございます。二十二年間でございますので、年に平均いたしますと大体八十四件ということになります。このうち再審開始決定のありました件数は四百四十九件、年に平均しますと約二十件ということに相なります。
○横山委員 年八十四件平均で、年二十件平均が再審を決定しておるということであります。 私どもは、日本における裁判の安定ということを期待いたしております上からいいますと、再審制度というものは、決して四審制になることを期待しているわけではありません。しかし、最高裁判所における判決というものが確定的なものであるということにして、なおかつ人間のやることであるから間違いがあるかもしれないということで再審制度を理解をしておるわけでありますが、それにしても、この請求がきわめて多く、そしてまた案外再審決定が多いということは一体どう考えたらいいのであろうか。しかも、再審はあかずの扉と俗に言われておりまして、きわめて厳しい条件下にある、この厳しい条件下でなおかつ再審開始決定がされるということが年二十件あるということについて、一体何を考えればいいのであろうかということを自問自答をするわけでありますが、最高裁なり政府側はこの状況についてどうお考えになっておられるでしょうか。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいま二十二年間に再審開始決定があったものが四百四十九件と申し上げましたが、昭和二十七年から昭和五十五年までの二十九年間に、再審開始決定がありまして再審によって無罪となりましたもので私どもの方に報告のありました事件は、全部で四百六十四件ございます。 その無罪の理由の内訳を見ますと、他人の身がわりになったというものが三百十一件でございまして、全体の六七・〇二%に当たります。それから、他人の氏名を冒用したということで、これは交通関係の事件に多いわけでございますが、そういうものが二十三件、全体の四・九五%、それから、免許証等の記載に過誤がありましたために、無免許運転であったというようなことで有罪になった、これも大体罰金であろうと思いますが、そういうものが二十一件で全体の四・五二%、それから、保険金などを目当てにいたしまして、二人で通謀いたしまして、一人が被害者となって一人が被告人となるというような仮装をいたしまして、有罪となった後それがわかったというものが三十五件で七・五四%、そういうふうになっておりまして、その他というのが七十四件で一五・九四%、年間に平均してみますと大体二件半ぐらいになるかと思います。 このその他と申しますのが、事実誤認などを理由とするものが全部含まれるわけでございまして、その中には、真犯人が発見された場合とか、あるいは後に犯罪の証明がないとされたもの、あるいは犯行時に心神喪失であるというふうにされたもの、それから、いわゆる当たり屋というのがございまして、交通事故なんかの場合にみずから被害者を装う、そのためにドライバーが加害者として処罰された、こういうようなものを全部含めまして七十四件ということでございます。 ただいま申し上げましたように、誤判に至った原因としては、いわゆる身がわりでありますとか、他人の氏名を冒用したとか、保険金目的の事件でございますとか、そういう事件につきましては、これはむしろ被告人の側に問題があったという事件でございまして、これがかなりの数を占めているわけでございます。 裁判官の事実誤認があったとされた事件の中にありましても、たとえば鑑定は当時の科学的水準に照らしますとそれは正しいとされていたものが、その後の科学の進歩によって誤りであるというようなことになりまして、その事実認定の基盤が失われて、その結果無罪になったというような事案もあるわけでございます。しかし、数は少ないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、被告人の自白あるいは共犯者の供述、共同被告人の供述というようなものを偏重したとか、あるいはその他証拠判断の誤りが指摘されたというような事案もあるわけでございまして、数はともあれ、とにかくそういうことが指摘された事案があるということは、これは裁判官といたしまして無事を罰してはいけないというのは、もう刑事裁判の鉄則でございます。そういうことがあってはまことに国民の皆様にも相済まないわけでございますし、そういうことがないように裁判官といたしましては一層自戒して、日々研さんして国民の負託にこたえたい、さように考えております。
○横山委員 ここに日弁連の二十四回人権擁護大会シンポジウムの第一分科会が整理をいたしました「再審六事件の概要と問題点」というものがございます。免田事件、弘前事件、財田川事件、米谷事件、徳島事件、松山事件の六事件を整理をしておりまして、そこで問題にいたしておりますのは、「身柄拘束上の問題点」「捜査上の問題点」「自白の変遷」「取調方法の問題点」全部簡潔に整理をいたしておりますが、終局的に「再審開始理由」として整理をいたしておりますものが、私はきわめて注目に値すると思うわけであります。 免田事件では、福岡高裁、五十四年でありますが、自白の信用性を否定したこと、船尾鑑定(血痕)によって旧鑑定の否定をしたこと。弘前事件では、真犯人が出現したこと、古畑等の鑑定を否定したこと、目撃供述を否定したこと。それから財田川事件では、自白の信用性を否定したこと、それから船尾鑑定(血痕)により旧鑑定を否定したこと。米谷事件では、真犯人の出現、任意性の疑問、信用性の否定、旧鑑定否定(血液型)。徳島事件では、自白の任意性、信用性を否定、目撃供述を否定、外部犯人の証拠あり。松山事件では、任意性疑問、信用性否定、木村鑑定、須山鑑定(血痕)などにより旧鑑定否定。 この整理が大体において的を射た整理だと私は思うわけでありますが、わりあいに共通いたしております点は、まず第一に自白の信用性の否定が各所で出てまいります。その次には鑑定の否定が数カ所で出てまいるわけであります。いま最高裁から、当時においてはいたし方がないが、その後の科学の発展によってとおっしゃるけれども、こういうようにその当時における鑑定が否定をされるということは、どうも鑑定人の選出なりあるいは鑑定の慎重性というものに欠くるものではないかと思われるし、それから特に自白の信用性という問題について共通した部面がございます。これについては身柄拘束上の問題、捜査上の問題として幾つか整理がされております。 身柄拘束上の問題としては、免田事件では、「逮捕と同視すべき任意同行」「被害届のみで別件、緊急逮捕により本件の取調べ」「別件で釈放後、一時間で本件の緊急逮捕(但し物証なし)」。弘前事件では、「虚偽の資料で逮捕状請求、通常逮捕後途中で身柄拘束のため別件逮捕」「根拠もないのに一ケ月間鑑定留置」。全部を引用するのはなんでございますが、警察段階における代用監獄においての取り調べの問題、また捜査上の問題につきましても、これは検事局に移ってからの問題がございますけれども、かなり捜査上において、なるほど翻って考えてみればこれは無理があったなということが感じられる点が多いわけであります。こういう点では、一審、二審ないしは最高裁もそうでございましたけれども、裁判所における判決の基礎となります自白資料なりあるいは捜査上の状況というものが、どうしても警察、検察段階における調査、そういうものに依拠して客観性を失っているのではないかと思われてなりません。 たとえば、これはどこの事件でございますか、ある現住建物放火の事案では、「七三才の老人に対し、午前八時五〇分頃から午後一二時三〇分頃までの取調べが行われ、遂に精神、肉体の限界に達し、頭痛に耐えられず、「どうなとせえ」と叫んで気絶してしまったが、その間取調官が「刑事三名が連名の嘆願書を添付して検察庁に送れば、七〇才以上の人は罪に絶対にならない。おっさん一人犠牲になって、われわれを助けてくれ」と半ば意識を失いかけた老人の肩を何回もゆさぶり、翌日から自白が行われたのである。このような事実の存在にもかかわらず、第一審は自白の任意性、信用性の何れも肯定した。控訴審判決は信用性のみ否定して老人に無罪判決を言いわたしたのである。」これは再審の問題ではないのですが、実態調査における身柄拘束上における問題点として提起をされておるわけであります。 法務省にお伺いをしたいのですけれども、こういうような事例から考えてみて、私は、再審というものが大体少なくなっていくというふうに期待しておるし、そうでなければならないと思うのですけれども、こういう裁判制度のもとで厳格にやっておきながら、なおかつ再審の必要性、そして再審開始の決定というものが常に存在をするという理由の中に、警察、検察段階における取り調べの方法なり、予断というか、そういう問題が常に介在をするということについてどうお考えでありましょうか。
○前田(宏)政府委員 ただいまのお尋ねにお答えをいたします前に、一言お許しを得て申し上げたいことがございますが、それは先般の証人等の被害についての給付に関する法律の御審議の際に、私の答弁が必ずしも十分でなかった点がありますので、その点を申し上げたいわけでございます。 それは横山委員が、証人等の被害についての給付に関する法律の二条の二項にございます「自己の実験した事実」ということにつきまして、「実験」とはどういう意味かというお尋ねがございまして、横山委員は、この「実験」というのは、いわば実際に試みる実地の試験というような趣旨ではないかということでございました。そのとき、それ以外にも意味があるということを私は申し上げたつもりでございますけれども、帰りまして調べますと、辞書にも、二つの意味があるということでございまして、一つは実際に試みる、あるいは実地の試験という意味でございますし、もう一つは実地の経験ということを意味しているということでございます。私は、そういう第二の意味でそういう「実験」という言葉が使えるということを申したかったわけでございますので、その点を補足させていただきたいわけでございます。 それから、いまの再審問題についてでございますが、先ほど最高裁の方からもお答えがございましたような実情でございますが、それにつきましても一言つけ加えさせていただきますと、大体の事件数は先ほどのとおりでございますが、たとえば私どもの把握しております昭和五十一年から五十五年までの五年間に再審開始決定のあった事件について見ますと、総数が百五十七件でございまして、そのうち九五・五%に当たります百五十件につきましては、むしろ検察官の方から請求をしている、こういうことでございます。 それは先ほど申しましたように、無罪となりました事件のうち、特に交通関係事犯等におきまして、いわゆる身がわりである、あるいは氏名冒用であるというようなことで、これも最終的に言えば、それを見破れなかったという手落ちもあるのかもしれませんけれども、むしろ本人側の方がそういう身がわりを立てて捜査官をだましたと申しますか、そういうようなことでございますが、それが後にわかりまして、やはり事実は事実であるということで、身がわりに立てられた人は無罪でございますから、そういうことでそちらの方は再審の請求をする。逆に身がわりを立てた方はより悪いわけでございますから、それは本来の違反と、たとえば犯人隠避罪というものをあわせて起訴をして処罰する、こういう処理をしておるわけでございます。 たとえば、先ほど話のございましたいわゆる当たり屋と申しますか、保険金を取るために自分の方からぶつかっていって、実際に相手方の方はそういう意図がわかりませんから、過失致死傷というようなことで処分されるというような事例もあるわけでございまして、そういう実態に沿わない、しかもその内容におきまして本人側の方がむしろ悪いという事案もあるわけでございますが、やはり真実は真実ということで、それを真実に合わせる手続、処理をしているわけでございます。 そういうことで、そういう面につきましてもなお一層捜査当局、検察当局といたしましては注意をいたしまして、事実に反する裁判が行われないように気をつけるわけでございますが、先ほど御指摘のように、それ以外の問題、つまりいろいろな具体的な事例におきまして、自白の信用性の問題であるとか、あるいは身柄の拘束における問題であるとか、あるいは鑑定に関する問題であるとか、いろいろの御指摘を受けておるわけでございます。それぞれの事案におきますそれぞれの問題につきましては、細かく申しますと、検察官側からいたしますと、いろいろな言い分的なものも全くないわけではございませんけれども、確かにそういう御指摘を受けていることは事実でございますし、結果的に再審開始決定になり、あるいはその結果無罪になった例もあるわけでございまして、そういう事例が、横山委員の仰せになりますようにぜひ少なくなるように、私どもといたしましても十分配慮をいたさなければならないと考えておるわけでございます。 そういう具体的ないろいろな事例につきましては、なぜそういうことになったのかという点につきまして、私どもといたしましてもあらゆる点から検討をいたしまして、そういう事態を防止するための措置あるいはそういうことにならないようにする配慮というようなものの資料と申しますか、教訓と申しますか、そういうことにして、そういう事態のなくなりますように努力もしておるところでございますし、今後とも一層努力をしなければならない、かように考えております。
○横山委員 法務省、最高裁とも、数字の圧倒的多数は被告人の故意によるものが多くて、そして法務省は、むしろ検察官から再審を提起したものが多い。それも事実でありましょう。しかし、きょう問題にしようとしておりますのは、そういうものはもちろんそれは被告人に問題があるのであるけれども、一番問題にしようとしておるのは、数は少ないけれども、なおかつ捜査段階及び検察段階における問題点、それから裁判所段階における判断の誤り、事実誤認の問題、そういう点が、数は少ないけれども、人間の生命に関する問題である、こういうことに問題をしぼっておるわけでありますから、ひとつそのつもりで御返事を願いたいと思うのであります。 たとえば財田川事件は、昭和二十五年でありますからまだ戦後の混乱期の中ではありますけれども、「取調べ中手錠をはめ、両足をロープで縛り、正座させ、長時間、繰り返し、夜間睡眠時間を与えず入れかわり立ちかわり取調べをおこなうなどした。」という問題や、あるいはまたそのほか、この六事案だけ整理をしてみましても、きわめて見込み捜査的なものが強いのであります。 ここにこういう文章があります。 六事件に共通する問題点は見込み捜査である。捜査は、「証拠あり、人を求む」という方法と、「人あり、証拠を求む」という方法とがあるといわれている。見込み捜査は、後者の方法であって、確証がないにもかかわらず、特定の者を犯人と想定し、この者に対する有罪証拠を収集、作成していく捜査方法である。 免田、財田川、松山の各事件は、別件によって逮捕、勾留した。本件について、証拠を欠除しているため、別件によったことはいうまでもない。別件逮捕は証拠薄弱の徴表である。 また、弘前、米谷の各事件は、本件で逮捕しているが、いずれも、逮捕、勾留の疎明資料は、根拠のないもので、当時すでに有罪証拠になりえないことがあきらかなものであった。 また徳島事件は、前記、開始決定指摘のとおりの見込み捜査であり、実質的に、別件逮捕、勾留事件でもある。 いずれにしても、六事件では風評、噂、予断による想定など、確たる証拠がないにもかかわらず、犯人と想定して、強制捜査によって証拠を収集しようとした見込み捜査の典型例である。 こういう共通点が指摘をされておるわけであります。 私は、いまは警察も科学的にやるようになったし、裁判も国民の信頼を受けてやっておるのであるから、まあ、こういうことは最近は少ないであろうと思いたいのでありますが、実情はなかなかそうはいっていないわけであります。 やはり同様シンポジウムで、刑事裁判と誤判原因の資料集が実に膨大にありまして、私はもう一驚を喫したわけであります。起訴されて、無罪になった者がこんなにたくさんあるんだろうか。これは昭和五十年から五十五年までの主な無罪判決の事例一覧表を整理されたものでありますが、実に多い。これは再審とは関係がもちろんございません。ございませんけれども、それにしても、裁判で起訴されて新聞に出た瞬間に、横山利秋氏でなくて横山利秋被疑者と、こうして社会的に村八分のような雰囲気に取り囲まれて、商売もできぬ、公職もやめなければならぬ、こういう状況になり、そして長年かかって裁判で無罪になった。そのことについて何の社会的信用回復の措置もとられないし、その間の営業上の損失や、あるいはまた公職を辞し、官公吏を辞し、あるいは懲戒免職になるというようなことについての救済の措置は何にもないわけです。そういう点では、私は検察、警察あるいは裁判所のありようについて、慎重な上にも慎重でいてもらわなきゃならぬと思うのですが、そういう意味合いでは、一番頂門の一針として再審制度についてもう少し考える、その再審制度というもののありようというものがそれらに対して非常な頂門の一針としての役割りを果たすのではないか、こう考えられるわけであります。 そこで、私どもの社会党から提起をいたしましたもの、あるいは日弁連が再審法の改正を訴えるという意味において提起をいたしたものにつきまして、その後この法務委員会の継続審議になっておるわけでありますが、この点について政府側の意見を伺いたいのであります。 ポイントになりますことは、何といっても現行法、刑訴法四百三十五条の六号の改正に尽きると思います。この点については、白鳥事件の判決がとにかく最近の非常な重要な指針ともなり、その後の再審開始の決定の判決の中にもいろいろ整理をされておるわけでありますが、少なくとも現行法の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」という条文を、「原判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があると疑うに足りる証拠をあらたに発見したとき」、こういうふうに改正をすべき時期ではないか。私どもが提起をしておるのでありますが、政府はどうお考えでありましょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、仮にも無実の方が有罪として処罰されるというようなことがあってはならないことは言うまでもないところでございまして、そのためには捜査当局、裁判所も含めてということになるかもしれませんが、捜査当局といたしまして、十分いわば反省もし、検討もし、それ自体を少なくし、なくすようにという努力をしなければならないというふうに考えておるわけでございますが、いろいろ再審以外にも無罪が多いではないかというお話が冒頭にございました。 それも別に反論する趣旨ではございませんけれども、わが国の刑事裁判におきましての無罪率というのは非常に低いということは統計的にも明らかでございまして、むしろ諸外国に例のないぐらい低い無罪率であるわけでございます。その点につきましては、むしろある程度疑いがある場合には裁判所の判断を求める方がいいんじゃないかというような御意見も一部には逆にあるようなことでございますが、先ほど横山委員の御指摘のございましたような現在の日本における国民感情と申しますか、社会的な取り扱いと申しますか、そういうこともあるわけでございまして、検察官といたしましては、有罪の確信のない者を裁判所の判断を求めるというだけで起訴するということは、いろいろな弊害と申しますか、マイナス面もあるわけでございますので、そういう点につきましてはむしろ慎重過ぎるぐらいに考えていることは考えているわけでございます。 なお、いま再審の問題についてでございますが、御指摘のように、いわゆる白鳥事件あるいは財田川事件等につきまして最高裁の判断も示されておるわけでございますが、その裁判所の判断の理解につきましては、またいろいろと見方もあるわけでございます。問題の刑訴の四百三十五条の六号につきまして、あそこに定めておる要件の中の特にいわゆる明白性の要件でございますが、その要件がなくてもいいというようなふうに見る見方はないと思いますし、また、この裁判の判旨がその明白性の要件を特に緩めたというふうに解し得るかどうかということにつきましても、いろいろな学者等の検討結果を見ましても、直ちにそういうふうに言えるかどうか疑問であるというようなことになっておるわけでございます。 具体的に、先ほどのたとえば日弁連の御提案のように、この四百三十五条の六号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」というところを、「原判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があると疑うに足りる証拠をあらたに発見したとき」というふうにしたらどうか、こういう御提案でございますが、確かにそういう事実誤認についていろいろな問題があるということはあり得るわけでございますけれども、たとえばいまの提案のように改めるといたしますと、むしろさっき横山委員も仰せになりましたように、いわゆる四審制そのものになるような感じがするわけでございます。しかもその四審、五審ということで、申し立て期間にも制限のない、何回も上訴ができるというような実態にもなりかねないわけでございます。 現在、これも御案内のように、上告審における原判決破棄事由といたしまして、「判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認がある」というだけでは足りなくて、事実誤認の場合には、「原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認める」という非常に限られた要件が定められておるわけでございまして、それと比べますと、日弁連のような御提案はそれよりもむしろ広い、つまり現在の上告理由よりも、また上告審における破棄理由よりもさらに広い再審理由を認めるというようなことになるのではないかというふうに考えられますので、そういうふうに広げるのは少し行き過ぎではないかというふうに考える次第でございます。
○横山委員 改正の方法にはいろいろあるわけでありまして、私ども社会党としては、法文中の「明らかな証拠をあらたに」とありますのを、「事実の誤認があると疑うに足りる証拠を新たに」と、こういうふうに勘案をしているわけでありまして、決して四審制になるおそれがあるとは私どもは考えてはおらないのであります。 それからまた、白鳥事件の判決の範疇の中に日弁連の提案が含まれると解釈できますし、私の方ももちろん含まれておる。また、その含まれないという解釈があり得るというあなたの論理についても、それは肯定するにやぶさかではないわけであります。けれども、白鳥判決の解釈の中に含まれるという解釈もあり得るということはあなたもおっしゃっておるのですから、そのあり得るけれどもそういう解釈をしたら四審制になるという判断は、私は賛成できません。そういうことにはならないようにという前提を置いてやっておるのでありますから、この両改正案というものがそういうおそれがあるからいけないという線については、私どもは納得できないわけであります。 第二番目の問題は、再審請求人の手続面における権利保障の明確化及び前審関与の裁判官を除斥しようという問題でありますが、この点については、再審手続が、再審になってから、開始がされてからの問題よりも、それになる前に獄中において一生懸命に再審手続をしようとしておるその努力というもの、吉田巌窟王は再審まで五十年かかっておるわけでありますが、その獄中においての努力というものについて救済の手を差し伸べなければならないという意味において、現行法ではその手続がすべて裁判所の職権にゆだねられておるけれども、これを改めて、再審請求段階の国選弁護人制度、弁護人の秘密交通権、記録閲覧権・謄写権、記録及び証拠物の保存、審理の公開、請求人、弁護人の再審請求理由を陳述する権利、事実取り調べ請求権の保障、そういうものがなければ、いかに再審制度があるから本当に間違いだったら救済の手はあると言いながら、そこへ獄中から手が届く方法、それを救済する方法について緩和すべきなのは、これは理の当然ではないかと思いますが、いかがでしょう。
○前田(宏)政府委員 ただいまいろいろな事項の御指摘を受けたわけでございますが、まず、たとえば確定判決に関与した裁判官が除斥されるべきではないかという御提案もございます。この点はいろいろまた議論もあり得るわけでございますが、再審請求人の立場にいたしますと、何か先入観を持って事件を処理されるのではないかというような気持ちを持つということは、全くあり得ないことではないというふうにも思われるわけでございまして、そういう点につきましては検討に値する問題であろうというふうに考えておるわけでございます。 その他、いろいろと再審請求段階における権利と申しますか、いろいろな手続と申しますか、そういうことについて御指摘がございました。その点につきましては、再審請求段階における請求人の立場と申しますか、それをどのように理解するかという基本に立ち返って考えなければならないわけでございまして、そういう面から、一部のものにつきましては検討に値する点もあると思いますが、また他の一部につきましては、その性質上、そういうような権利を認めるといいますか、制度を設けるということにつきましては、いろいろな理論的あるいは実際上の問題があるという事項もあるように思うわけでございまして、私どもといたしましては広く検討はいたしておるということでございます。
○横山委員 法務大臣にお願いしておきたいのですけれども、第一段階、つまり獄中から再審を訴える人々が弁護士にも全く会えない、手紙も十分出せない。それから、出しても裁判所が専決権限で、これはいい、これは悪いとうっちゃって、自分の主張というものが十分に訴えられない。弁護人に頼んで再審の手続をやってくれと言っても、弁護人は再審請求理由を述べる機会がない。そういうことでは、本当に再審の無事の人たちが、おれは罪を犯しておらないということが、もう本当に狭い門をくぐりにくぐってようやく到達をするということでありますから、いま刑事局長は、いま私が列挙いたしました問題、国選弁護人、弁護人の秘密交通権、記録閲覧権・謄写権、記録及び証拠物の保存、審理の公開、請求人、弁護人の陳述権利等は、もっともな点もあるし、残念ながらという点もあるということ、どこがもっともであり、どこがいけないかについては十分説明をしなかったのですけれども、これは一回法律改正の必要もある問題もあり、それから、事実上刑務所なり検察庁なりあるいは法廷で、裁判所でできる方法もあると思うのでありますが、ひとつ十分検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○坂田国務大臣 ただいま刑事局長から御答弁申し上げましたように、理論的にもあるいはまた実際的にも、やはり法務省といたしましては問題点もあるように考えておるようでございます。しかしながら、社会党からのその再審制度についての根本的な改革案も出ておることでございますから、そういうことを含めまして、制度は制度といたしましても、獄中におる者の再審制度を容易にする、あるいは充実をするという意味においてのいろいろの検討は、やはりいろいろの角度から検討はしてみなければならない課題ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
○横山委員 私どもの提案のその次の問題は、訴訟費用の問題であります。 これはかねて私どもここで主張しておるわけですが、再審で無罪が確定した場合、再審開始後の公判に要する費用のみを補償されておる。最も困難な再審請求段階の費用補償は全く認められない。しかも再審開始後の費用でも所要経費の一部しか認められていない。それでは、私どもが一番重点を置いておる、獄中から一生懸命手を差し伸べてやってようやく再審開始になったというところまでの苦労というものが、最も苦労を要する問題でありますが、その訴訟費用の問題、まず、その点について、ひとつ御意見を伺いたい。 —————————————
○羽田野委員長 議事の途中でありますが、ただいまドイツ連邦共和国ユルゲン・シュムーデ連邦法務大臣御一行が本委員会の傍聴にお見えになりました。御紹介いたします。 〔拍手〕 —————————————
○羽田野委員長 前田刑事局長。
○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘の点も、広い意味での検討事項の一つになるわけでございますが、これも横山委員御案内のように、再審請求段階はいわば公判のような形をとっておりませんので、そういう費用をどのような形でとらえるかというような技術的な問題も含めて、検討しなければならぬ点が多々あると思います。
○横山委員 この再審に関連をいたしまして、帝銀事件、平沢貞通問題についての二、三の質問をいたします。 御存じのように、昭和二十三年、帝銀椎名町支店において青酸カリを飲まして十二名を殺害、四名を重症に陥らせた上、現金十六万円を強取した犯人として平沢貞通が強盗殺人、未遂事件にかかっております。昭和二十三年に事件が発生して以来、最高裁で昭和三十年五月七日上告棄却、確定をいたしましてから、平沢が再審を請求いたしました請求は、まさに十七件に上っております。東京高裁から最高裁、東京地裁、東京高裁とまさに十七回にわたって、三十年から五十六年まで二十六年間にわたって請求をしておるわけであります。 この平沢はいま獄中にあるわけでありますが、同時に恩赦の請求と再審請求と両方いたしておるわけであります。本件について、なぜ無罪だとして再審請求する者が恩赦の請求をするかという点について、法務省側では一つの疑念があるやに聞いております。しかしながら、実に高齢の平沢被告であり、身体もきわめて心配をされる状況になっておるわけであります。この平沢被告についての刑の執行状況、病状について、一体どういう現状でありますか、まず御報告を受けたいと思います。
○鈴木(義)政府委員 この平沢貞通の状況でございますが、御承知のように現在九十歳という高齢でありますために、全般的に見て一種の老化現象というものは見られますけれども、食欲は十分ありますし、施設で給与しております主食、おかゆが中心でございますが、これもかなり食べております。また、副食としては、給与されたもの以外に、自分の費用でコンビーフであるとかチーズであるとか、あるいはアスパラガス等を食べております。体重は現在三十七キログラムを大体維持いたしておりますし、先ほど申しましたように老化現象が多少見られますほかは、健康状態に特別の異常はございません。 毎日の生活でございますが、これは毎日ではありませんが、午前中に絵をかく時間、それから午後の安静時間等を設けて、それに従って生活しております。その他、外部への手紙を書く、あるいは外部から受けるということでございますが、先ほど申しましたような健康状態を考慮いたしまして、冬場等にはなるべく暖かいようにということで、パネルヒーター等を使いまして室温を一定に保つということなどの配慮をいたしております。
○横山委員 法務大臣にお伺いをいたしますが、あなたはいま、死刑の宣告を受けた平沢被告に対して、執行をするかしないかという状況にございます。一方では、恩赦の請求が出ておる。一方では、再審の請求が出ておる。この三つは、終局的にはあなたの判断がすべてではございますまいけれども、きわめて重要な段階にあると思います。本件についての御見解を伺いたいと思います。
○坂田国務大臣 平沢貞通の再審請求は、五十六年の一月に行われておるわけでございます。また、恩赦につきましては、御承知のとおりに昭和五十五年十二月十六日、中央更生保護審査会におきましていろいろの事情を考慮いたしました結果、恩赦に相当すべき理由は見出されなかった、そういうわけで恩赦不相当の議決が行われたわけでございますけれども、現在また平沢から第四回目の恩赦の出願がなされております。これにつきましては、中更審におきましていろいろと調査をしておる、審議をしておるわけでございまして、その判断を私は見守ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○横山委員 その判断を見守っておるとおっしゃるわけですから、その判断が出るまでは、当然のことではあるけれども、刑の執行はなされない、こうお伺いしてよろしゅうございますか。
○坂田国務大臣 そのようにお考えいただきたいと思います。
○横山委員 総じてわが国の再審の制度については、ドイツの再審制度、それからフランスの再審制度に戦後やや影響を受けておる向きがあると私は思います。ドイツにおいては原裁判所が再審を管轄する、フランスは上級審の裁判所が管轄をする。その違いのうち、日本は原裁判所が管轄するという立場をとり、また、被告人の利益のためにのみ再審が認められるという点においてはフランスと共通の点があると思われるわけであります。 いずれにいたしましても、この再審制度、先ほどからいろんな事例を挙げて検討をお願いをしておるわけでありますが、最終的に法務大臣にお伺いしたいのであります。再審制度のあかずの扉を広げるということについては、わが国の裁判制度の根幹を揺すぶる四審制度になるからという否定的な意見が抵抗力があるわけでありますけれども、この再審の数々の判決の理由、それから私が申しましたいろいろな事例から考えてみて、できる限りあかずの扉を広げてやる、そしてまた第一段階における被告人の差し伸べた手を救済することを考えるという点について、法務大臣の終局的な御意見を伺いたいと思います。
○坂田国務大臣 現行法におきます再審の理由は、諸外国のそれと比較いたしましても決して狭きに過ぎるというふうには考えておりません。したがいまして、現行法の適正な運用によりまして、真に救済すべき者は救済されておるというふうに考えられますので、いまにわかに現行制度を根本的に変えるというふうには考えておりません。 しかしながら、先ほどお答えを申し上げましたように、現制度は維持するにいたしましても、むしろその再審制度を充実するといいますか、あるいは獄中からの先ほど委員から御指摘ございましたようないろいろな手続上の問題等について、もし改正する必要があるとするならば、その点についてはもう少し検討の余地があるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 ここに、巌窟王吉田老人に対する無罪判決の理由の、有名な裁判長の末尾の言葉がありますから読み上げます。 ちなみに当裁判所は被告人否ここでは被告人と云ふに忍びす吉田翁と呼ぼう、吾々の先輩が翁に対して冒した過誤を只管陳謝すると共に実に半世紀の久しきに亘り克くあらゆる迫害に堪え自己の無実を叫び続けて来たその崇高なる態度、その不撓不屈の正に驚嘆すべき類なき精神力、生命力に対し深甚なる敬意を表しつつ翁の余生に幸多からんことを祈念する次第である。 全く感銘に値する結語でございます。 しかるに、この吉田翁は、判決があった直後、わずかの歳月のうちに亡くなられました。このことを考えますと、この巌窟王五十年の苦しみに対して、私は報いるところがなくてはならぬと思うのであります。 いま大臣が、再審制度の根本的なものは考えないけれどもとおっしゃったが、私は、再審制度を根本的に改めよと言っているわけではないのであります。法改正を含めた現実運用のあり方について善処を求めておるわけでありますから、その点は十分お考え願いたいと思います。 次に、集団訴訟について伺いたいと思います。 最近、集団訴訟として、イタイイタイ病では五百五十二名、新潟水俣病では七十七名、熊本水俣病では百十二名、四日市公害で九名、大阪空港で最高裁二百七十二名、大阪地裁で三千六百七十一名、カネミ油症で四十四名、同じく小倉の支部で七百二十九名、スモン病では東京地裁で二千三百四十七名、また第二、第三回の地裁、高裁の第一次で四千五百名、その他私の知る地元の新幹線訴訟から長良川訴訟に至りますまで、集団訴訟の実例は、最近の近代社会ではきわめて多いわけであります。 一体、なぜ集団訴訟がかくも広範囲に行われておるか、なぜ住民がこの方法に出てくるのか、こういうことを考えますと、集団訴訟についての裁判所の対応ということについて何か考えるべき点はないのか。みんな一人一人が原告で、一人一人が全部同じような手続をしなければいかぬ、費用も一人一人同様にやれというような今日の事情について考えるべき点はないのか、こういうことをまず質問したいと思います。
○川嵜最高裁判所長官代理者 ただいま横山委員御指摘のいろいろな大型の訴訟におきまして、原告数が千を超える訴訟がかなりたくさん係属しております。これらの訴訟につきましては、当事者が多いということから非常な苦労がいろいろな方面であったわけであります。四大公害事件と言われます四日市事件、水俣水銀、阿賀野川水銀、イタイイタイ病、この四大公害事件があるいは先駆をなすものかもしれませんが、これらの事件におきましては多数の被害者が原告弁護団のアドバイスによって原告団を形成し、それで弁護士代理訴訟の形で訴訟を提起して、訴訟を追行してきたわけであります。この形は、四大公害訴訟に続くその他の公害訴訟あるいは環境行政訴訟等におきまして定着をしているように思われます。そして、この当事者が多数であるということによって訴訟上非常に不都合が生じているというふうなことは、裁判所側としては承知はしていないというような実情でございます。
○横山委員 裁判所側では不都合がないけれども、原告側としてはその裁判上の費用について、たとえば商品販売によって被害を受けた人々、あるいは風水害によって国の責任を問うてみんなで一緒にやる人たちが分担する費用、そして会合の都度全員集まらなければならないようなこと等を考えますと、裁判所は別に不都合じゃないからということでは済まされない問題があります。 ここに「ジュリスト」に「クラス・アクション」ということで、アメリカや諸外国の状況が整理されておりますが、同時に「代表当事者訴訟法試案」があります。これは裁判所も、この集団訴訟についていまのままでいいとは必ずしも思っておらないだろうと私は思うのです。近代的な集団訴訟がある状況の中で、それに対応する裁判制度というものが当然考えられてしかるべきではないかということを私どもは言いたいのであります。 そういう点では法務省は、裁判所が別に困っておらぬからいいじゃないかというのでなくて、国民の権利を守るためにも、この問題は、訴訟の迅速性、裁判での統一性、それから裁判上の費用、こういう点について——大量、少額なんです。大量の人と少額の請求、あるいは金銭を伴わない消費者被害、あるいはその賠償もあるかもしれませんが、あるいは工事の差止め——工事の差止めなんかは原告側は一銭ももらわないのです。もらわないけれども、裁判費用は出さなければならぬ、こういう状況で、それも普通のとおりに数百人、数千人が全部出せ、こういうわけでありますから、集団訴訟を行うについては国民側、原告側にとってはきわめて困難な状況がある。そういう点について対応を考えるべきではないかと思うのですが、法務大臣はどうお考えになりますか。
○中島政府委員 まず、私からお答えさせていただきます。 先ほどから御指摘になりましたイタイイタイ病にいたしましても、カネミ油症の事件にいたしましても、あるいはスモン病の事件にいたしましても、これは一人一人の請求がかなりまとまった金額の請求になるいわば大きな訴訟であります。本来ならば日本の現在の民事訴訟というものは、個人から個人に対するといいますと法人を含まないか、こういうことになりますので、個から個に対する訴訟を原則としておるわけでありますけれども、それはいろいろな要件のもとで、あるいは併合訴訟というようなものが認められております。選定当事者ということで当事者を選定して訴訟をする共同の利益を有する多数者の場合でありますとかあるいは共同訴訟の場合には、「訴訟ノ目的タル権利又ハ義務カ数人ニ付共通ナルトキ又ハ同一ノ事実上及法律上ノ原因ニ基クトキハ」ということで、共同して訴訟を起こすということになっておるわけでありまして、これによって当事者側も費用なり手数なりを節約できる、裁判所側も共通点のある多くの事件を一括して処理することによって手数を節約できるということで、こういう共同訴訟の制度が設けられておるわけであります。 ただいま御質問にありましたいわゆる集団代表訴訟というものはそういった訴訟とは若干異なりまして、いわゆる消費者の訴訟、あるいは欠陥商品を買わされたために損害をこうむったとか、あるいはやみカルテルによってもっと安く買える商品を高く買わされたというようなことによって損害をこうむったというようなことが典型的であると言われておりますけれども、そういう訴訟につきまして、原告を一人一人名のらないで、範囲だけは決まるわけでありますが、たとえばどのメーカーの何年から何年までに製造された何型のテレビを買った人とか、あるいはどのメーカーの何年から何年までにつくった飲料を買った人というような、そういう範囲を限定はするわけでありますが、原告の一人一人を名のらないで訴訟を起こす、そういう若干特殊な訴訟であります。 アメリカで認められてきたいわゆるクラスアクション的な考え方ということになりますと、従来の日本の民事訴訟にそれをどういうふうにして持ってくるのか、日本の従来の民訴の理論とどういうふうにしてつなげていくのかというような、いろいろむずかしい問題があるわけでありまして、私どももそういった問題について深い関心を持ってはおりますけれども、いろいろと問題点もあり、解決困難な点もあるということで、それを具体的な問題として取り上げるというにはまだ時期が熟していないんじゃないかというようなことを考えておる次第でございます。 —————————————
○羽田野委員長 議事の途中でありますが、ただいまユルゲン・シュムーデ連邦法務大臣御一行が退席になります。拍手でお送りください。 〔拍手〕 —————————————
○羽田野委員長 横山君。
○横山委員 おっしゃるとおり、このアメリカのクラスアクションにやや類似性がございますが、私も検討いたしました。アメリカのクラスアクションとこの代表当事者訴訟法案というものとの比較をしてみましたところ、そのアメリカの方式について類似性はあるけれども、日本的なものに、なるべく日本の土壌の上に集団訴訟というものが成立しないかという努力の点がありありと見えるわけであります。 それで、いまお話しのように、この集団訴訟というものについて、代表当事者訴訟の許可、代表当事者訴訟における手続面の規律、代表当事者訴訟における実体面の規律、分配手続というふうにかなり、何といいますか、私どもが見ましても厳しく、そこまで問題点を整理したのかと思われるほど、この日本の土壌の上で問題がなるべく整理されるように、かなり苦心の跡が見えると私は思うのです。しかし、そうではあっても、その苦心をしながらも、たとえば代表当事者訴訟の許可の部面では、いろいろと総員の範囲とか公告の方法、不許可の裁判、許可の要件、訴えの方式等について、かなり専門家が集まって長い時間をかけて整理をしたと思われるわけであります。 特に許可の要件につきましては、 裁判所は、本法による訴えが左の要件を備えている場合に限り、代表原告に対し、代表当事 者訴訟の追行を許可することができる。 一 総員の請求が主要な争点を共通にすること 二 代表原告が総員の利益を適切に代表すること 三 代表当事者訴訟によらなければ総員の権利の実現が困難であること 前項により許可すべき場合においても、裁判所は、職権で、総員の範囲の縮減、請求の種類の限定その他代表当事者訴訟の追行のため相当と認める事項を定めることができる。 として、第六条で、 裁判所は、代表当事者訴訟の追行を許可する裁判においては、左の事項を定めなければならない。 一 代表原告が代表すべき総員の範囲 二 総員に属する者が、第一二条に基づいて総員からの除外を申し出ることができる期間 等々、きわめて許可の要件もしぼっておる。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕 こういう具体的なしぼりをかけて、訴訟が円滑にできるようにしておる、裁判所の権限もかなり広範に与えておる問題については、これは実に検討に値するのではないか、こう思われてならないのでありますが、どうでありましょう。
○中島政府委員 この問題は、四十年代ごろからいわゆる集団代表訴訟の制度を設けるべきであるという御意見が出てまいりまして、一番最初法案あるいは法案試案という形で発表になりましたのは、五十年の四月でありましたか、公明党が集団代表訴訟に関する法律案というものを発表になったわけでございます。それからその次に、学者グループと申しましょうか、クラス・アクション研究会というグループが研究になりまして、一つの試案を発表になっておられます。最近は、一弁の公害対策委員会消費者保護特別部会というところでまた一つの試案をお出しになっておるわけでありまして、私どもこういった問題に深い関心を持っております立場から申しますと、いずれも非常に貴重な資料であるということになるわけでありまして、私どももその内容については一応の検討は怠っていないつもりでございますけれども、先ほども申し上げましたように、いろいろとむずかしい問題点もある。 たとえば私どもが一番問題にしておりますのは、代表者というものがまず手を挙げて、そして訴訟を起こすわけでありまして、起こすには、これは先ほどからおっしゃっておりますように、裁判所の許可ということが必要であります。許可がなければ訴訟を提起するということはできないわけでありますけれども、一定の要件のもとに裁判所が許可をいたします。代表者が訴訟提起をいたしますと、それによって他人の権利をも代行するという形になるわけであります。 それで、現在のわれわれの基本的な考え方といたしましては、権利のある者はみずからその権利を行使することができるんだ、その権利についてみずから訴訟を提起して裁判を受ける権利があるという憲法上の権利が認められておるということが基本になるわけでありますが、それを他人によって本人が知らない間に訴訟を起こされてしまうということがございます。 もっとも、それに対する手当てといたしまして、先ほどから申し上げておりますようないろいろな試案は、いわゆる除外の申し立てという制度を準備しております。裁判所は訴訟が起こされますと、その内容を日刊新聞紙上等に公告をいたします。それによって訴訟が提起されておる、自分の権利が行使されておるということを知った他人は、自分はその訴訟から除いてもらいたいという申し立てをすることができるわけでありますけれども、日刊新聞紙上における公告等でありますと、必ずしもその公告によってすべての権利者が訴訟の提起を知るとは限らないわけでありますから、本人不知の間に訴訟が起こされてしまうということがあるわけであります。もしその訴訟が敗訴に終わるということになりますれば、その本人は権利を失ってしまうということになるわけであります。 でありますから、この一弁の公害対策委員会の案では少額の債権に限るんだ、そういうことで権利を失わされるおそれもないではないから、この訴訟で賄えるのは少額の債権に限るんだ、こういうことをおっしゃっておるわけでありますが、たとえばその少額というのはどの程度のものをお考えになっておるのかというようなことを思いますときに、先ほどから申し上げておりますように根本的な解決をしなければならない問題もあるというのが、この制度に対する私どもの基本的な考え方であるということでございます。
○横山委員 先ほど最高裁は、裁判に支障がないから私の方はまあまあだという顔をしておみえになりましたが、あなたの方はそういう無責任な言い方をしていいのでしょうか。実際面を一番把握しておられるはずなので、集団訴訟も数多く全国で体験をしておるのでありますから、その裁判上の実態というものが一体どういうものであるか、その改善の余地は一体ないのか、各方面から出ているこの種の試案についての検討及び意見はどういうふうに取りまとめておるのか、その点を御報告を願いたい。
○川嵜最高裁判所長官代理者 先ほどいろいろの大型訴訟のケースを御説明いたしましたけれども、あの大型訴訟はいずれも原告一人当たりの請求金額というものはかなり高額なものでありますし、また、差止めを含むというようなものでございます。 ただいま御議論になっていますいわゆるクラスアクションというもの、これはわが国の例で言いますと、灯油裁判が山形地裁鶴岡支部でございまして、現在仙台高裁秋田支部に係属しておりますし、東京高裁でも同種の裁判がありまして、いま最高裁に係属しておりますが、ああいう訴訟がいわばこれに該当してくるのではなかろうかというふうに思っております。 いま申し上げました灯油裁判、二つのケースはいずれも現行民訴法の四十七条にあります選定当事者制度を使って行われておりまして、先ほどの仙台高裁秋田支部に係属しております灯油裁判におきましては、選定当事者が十七人でありまして、選定者が千六百三十七人であります。東京高裁が一審で、現在最高裁に係属しております灯油裁判は、選定当事者が十名で、選定者が八十五名、こういうことになっております。現行制度におきましては、利用するとすればこの選定当事者の制度であろうと思いますし、それに従って手続はまずスムーズに進んでおるのだろうと思います。 問題のクラスアクションでございますけれども、これはアメリカにおきましてかなり成功をしている制度だと聞いておりますが、先ほど御紹介がありました各案は、いずれもこのアメリカ型のクラスアクションをモデルにしているものだろうというふうに理解しております。 この訴訟形式が、先ほど法務省の民事局長から御説明ありましたように、わが国の国民性に合うかどうかという点がかなり問題があろう、自分が関与しない訴訟において自分の権利がなくなる、敗訴の判決に既判力がありますのでなくなってしまうというようなことが果たして納得される制度として定着するものだろうかどうだろうかという点は、かなりなお研究をする必要があろうかと思います。 裁判所としてももちろん無関心ではありません。現在訴訟手続はうまくいっているのではないかということを申し上げたのでありますけれども、費用の面等についてさらに改善の余地があるかどうかということはもちろん考えなければならないわけでありまして、私どもも無関心であるわけではございませんが、いま申し上げましたようなかなりむずかしい問題、単なる法律のテクニックの問題でない点に問題があろうかとも思いますので、いろいろな専門家、学者等の英知が集められてわが国に適したような訴訟形態ができればというふうに考えております。 以上でございます。
○横山委員 民事局長にお伺いしたいし、最高裁にもお伺いしたいのですが、一番あなた方がおっしゃる、自分が法律的に関与しない、関与されたことになっているけれども、自分は新聞を見たぐらいでは、新聞も見ないかもしれぬでいつの間にやら関与されたことになっておる、そういうものが敗訴した、それによって自分は裁判で争う権利が失われる、そういうことが解決をしたら、それならいいのかという問題、つまり、裁判をすることについての同意書でもきちんと出ておれば、それでいいのかという問題。 それから、現実的に一番頭にくることは、二千名なり三千名の人に裁判費用をみんな出せ、ほかの一人が裁判で使う金と同じように積算されるものを皆出せということが、地域社会においては一番問題になるのですけれども、その問題については、いまの裁判制度のもとで、集団なら裁判手数料を安くするというか、そういう方途はあり得るのですか、あり得ないのですか、あるいは改善する余地があるのですか。
○中島政府委員 まず、最初の点でございますけれども、訴訟を起こす者がそれぞれ同意書を出すというところまでいきますれば、これはもう選定書を書いて選定当事者を選定して、その選定当事者が選定者の意思に基づいて訴訟をやる、こういうことになるわけでありますが、いま問題になっておりますクラスアクション、いわゆる集団代表訴訟の試案の考え方というものはそうではございませんで、たとえば先ほど最高裁からお挙げになった例で申しますと、灯油裁判、高い灯油を買わされた消費者が恐らく三千人なり五千人なりいるはずだ。これは業者の帳簿を見れば、三千人に売ったとか五千人に売ったとかという記載があるわけでありますから、その五千人分の損害賠償を請求する。しかし、その五千人はどこの何がしであるのかということはわからないわけであります。でありますから、そういう委任状なり選定書なり同意書なりというものを集めようがない。だから、そこにこの集団代表訴訟の機能と申しましょうか、意味があるのだ、こういうことでありますが、どうもわれわれの感覚としては、そういう訴訟というものは余りにも大まか過ぎて、こういう訴訟が果たして取り入れられるだろうかという疑問があるわけであります。 それから、費用の点でありますが、これは現行法のもとにおきましても、少額の訴訟ほど費用は割り高になるということになっております。訴訟の訴状に張る印紙にいたしましても、少額のものほど割り高であります。これが十人なり二十人なりあるいは百人なり二百人なり集まって共同訴訟なりあるいは選定当事者という形で訴訟をいたしますれば、これは印紙の額は低減されることになりますから割り安になります。訴訟費用にいたしましても、一人が訴訟を起こす場合でも代理人に頼まなければならないといたしますと、それが十人なり二十人の原告が一人の代理人に頼むあるいは数人の代理人に頼むということになれば、その手数等は分担をするということになりますから割り安になります。証拠調べの費用にいたしましても同じであります。何百人のために一人の証人を調べるということになりますれば、それは非常に訴訟経済にも合うわけであります。そういうことから、先ほど申しましたように共同訴訟とかあるいは選定当事者という制度が認められておるわけであります。 このいわゆるクラスアクション的な制度を導入するということは、その費用の節減というところに意味があるのではなくて、先ほど申しました特定多数の、特定というのは、何番地の何某という特定ではなくて、この業者から何月何日から何月何日までの間に灯油を買った人、こういう人をグループとしてとらえて、そのグループを代表して代表者が訴訟を起こすことができる、ここに意味があるんだろうということでありますが、私どもは、そこにまたこの制度のむずかしい問題がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 まさにそういうことなんです。そういうことだから、この試案は代表原告が代表すべき総員の範囲については裁判所で終局的に決める、こういうことになっておって、勝手に原告が言うとおりに許さるべきではないということで裁判所が総員の範囲を決めて、それでよろしかったらそれでいこうということになるわけでありますから、自由気ままにこの代表原告が勝手に決めるわけではない。もちろん訴状においては希望は述べるにしても、裁判所が決めるということになっており、しかもまた、もう一つの基本となります分配手続ですね、分配手続についてもかなり精密に、いわゆる管財人的なもの、それがなければ代表原告が分配をするのであるけれども、国が介入をして分配手続についてもきわめて詳細に整理をしておることでありますから、そう心配をなさることではないんではないか。 確かに特定多数ではあるけれども、その特定多数の範囲の決め方についてもかなり調査と審理が相まって行われるならば、それが仮に敗訴になったからといったところで、なるほど法律上はその枠の中におる人の権限が阻害されるかもしれないけれども、それだけある意味では自分にかわってやってもらったという理解と納得があり得るんではないか。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 これが近代社会における特徴なんだから、その特徴に合わせて問題を処理すればいいんではないか、こう思われるのですが、重ねて御意見をお伺いします。
○中島政府委員 まず、敗訴の場合をお触れになったのですが、敗訴になりますと、債権者側が重ねて訴訟をすることができないという問題があるばかりでなしに、被告になりました側が救済が十分であろうかという問題があるわけであります。大きな訴訟でありますから、全体としては非常に高額の訴訟になるわけでありますから、訴訟費用も莫大になる。被告もまたこれに対して相当高額な訴訟費用を使って応訴するということになるわけであります。現在の民事訴訟法のたてまえでは、訴訟費用は敗訴の当事者の負担とするということになっておりますから、それを被告が請求しようと思えば、原告側から取ることができるわけであります。 しかし、このクラスアクション的な訴訟ということになりますと、原告は代表者一名あるいは数名ということになりまして、その背後には何千人、何万人という原告がいるはずでありますけれども、そういう者は訴訟にあらわれてこない。でありますから、その莫大な被告の訴訟費用というものを被告は原告から取ることができなくなるじゃないかということであります。そういう点の問題を解消するために、原告側が勝訴したときにだけ既判力が及ぶことにして、敗訴したときには既判力は及ばないということにしたらどうだという御意見もあるようでありますけれども、これは原被告間の公平ということから考えて、どうもとりにくい考え方ではないかということになるわけであります。 その次に、分配の問題をお触れになりましたけれども、この分配がまた大問題ではないかというふうに考えるわけであります。原告側のいわゆる代表者が訴訟を起こしまして勝訴の判決を得た、債務名義を得てそれによって取り立てをした、そこで何千万、何億という金が一応準備できたわけであります。これを分配するためには、その原告となるべきであった特定多数の人が債権の届け出をするわけであります。その債権の届け出をしてきたその債権が果たして実在のものであるのかそうでないのか、虚無のものであるのか、あるいは本来救済を受ける必要のない債権であるのかということの審理は、このクラスアクションの審理の手続では全くなされていないわけであります。原告側、それは何千人、何万人という場合も多かろうと思いますが、何千人分で幾らという、そういう判断はされるわけでありますけれども、そのうちのだれが幾らを取り、だれが幾らを取るという判断は全くされておらないわけでありますから、そこでまた大きな問題が起こってくる。 で、こういった試案は、そういう債権確認委員というものを選任して、その債権確認委員会というものが債権の確認をするんだということでありますけれども、これはそう簡単な事柄ではないんではないか。結局、争いは今度は被害者側といいましょうか、債権者側の間にまた持ち込まれることになるわけでありますから、果たしてどういうメリットがあるのか、あるいはデメリットになるのかというような点につきまして、まだ十分な実証なり議論なりがされていないというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
○横山委員 そういう問題を提起された内容は私も承知をしておるのですが、それにもかかわらずアメリカにおけるクラスアクションの運用状況をつぶさに読んでみました。この人たちが調査をしたわけでありますが、その調査の状況を見ますと、たとえば公民権に関するものと消費者に関するものと労働に関するもの、公民権に関するものが一番多くて、次いで消費者、労働に関するものになっていくわけでありますが、やや減少の傾向にはあるものの、わりあいに円滑にいっておるわけであります。 そして危惧されております点、いまのあなたのお話のような内容でなくて、これがゆすりの手段になっているんではないか、弁護士料が割り高になっているんではないか、あるいは原告側弁護士が訴訟勧誘をするんではないかということが実はアメリカで問題になっておる。そしてそれを調べたところが、いずれもそういうことは理論上の問題であって、余り実際上の問題ではないという結論が出ておるわけであります。 私もこの集団訴訟について前にも一回御質問したことがあるわけでありますが、いずれにしても、私も地元の長良川訴訟の問題を関係者からいろいろ意見も聞きまして、裁判所側はまあまあだと言っておっても、集団して訴訟をやる側にとってみれば、国民のためにそういう場合に十分な対応なり、手続、金その他の問題について対応してくれないという希望が、わんさと私のところへ寄せられておるわけであります。民事局長の言うように、これは多ければ割り安になるはずだ、そういう制度はあるのだ、そうおっしゃるけれども、実体論としては本当に、それは多額の損害賠償の公害病の問題なんか、あるいは空港の問題もありますけれども、全国にたくさんあるものの中から市民的なものを拾ってみますと、集団訴訟の手続その他に対する不満というものはかなり多いわけであります。ですから、これは早急にとは言いませんけれども、委員長にちょっとお願いをしたいと思うのであります。 きょうは短い時間でございますので、いま民事局長が提起した、疑問とした問題ですね、そういう問題についてやり合う時間がございません。できるならば適当な機会に、この学者、弁護士等で立案をされました集団訴訟の立案者、権威者に一遍おいでを願って、非常に熱意を込めて長年にわたって検討されておる問題でございますから、現行法の改正がどうしても必要なゆえん、それから現状についてどうしても不満のあるゆえん、そういうものを聞く機会をひとつ考えてもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。
○羽田野委員長 後刻理事会でお諮りをいたしまして、協議をいたします。
○横山委員 それでは、ちょっと時間が残りましたけれども、お昼でございますので、私の質問は終わります。
○羽田野委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 きょう、午前中にドイツの法務大臣が来られましたし、いまも来ておられますので、ドイツ刑法というか刑事法の問題で、最初の問題は通告しておりませんから、答えなくて結構です。お聞き願っておけばいいと思うのです。 これは前々から問題となっておるのですが、再審の問題が出まして、裁判所が再審の開始決定をしますね。そうした場合に、ドイツでは検察官がそれに対して抗告ができないようになっておるわけです。これは政府の提案ではなくて、政府の提案はいろいろな細かい点などを含めて六回ぐらい訂正といいますか、変わっているわけなんですが、最終的に国会がその点を修正をいたしまして、再審決定があった場合には検察官は抗告ができないという規定が加えられたわけですね。これは刑事局長も矯正局長も御案内のとおりですが、その理由は必ずしも明らかではないですね。国会の修正なものですからいろいろあると思いますが、いずれにいたしましても、その点は抗告できなくなっておりますから、これは間違いないわけですが、この点がなぜこういうふうになってきたかということについては、よく研究をしておいていただきたいというふうに思います。これは日本でも参考になることだ、こういうふうに思います。 そこで、いまドイツの刑法の問題で一番大きなものは、たとえば六十三条が精神病質ですかの問題であって、六十四条がアルコール中毒の禁絶処分です。問題は、六十五条に、直訳すると社会治療処分といいますか、そういう処分の制度があるわけです。これが二回ほど延期になりまして、一九八四年十二月三十一日までですか、施行されないことになっておるのですが、その間の事情、どういう理由で延期になっておるかということをひとつ御説明願いたいのです。御案内と思いますが、これはいわゆる保安処分というか、刑事治療処分といいますか、そういう問題に非常に大きく関係してくるところなので、その経過、理由についてお尋ねをしたいというふうに思います。
○前田(宏)政府委員 ただいまの点につきましては、前にもお尋ねを受けたことがあるように思っております。稲葉委員も御案内でございますから、詳しく申し上げるまでもないと思いますが、念のために申し上げますと、いまおっしゃいましたように、ドイツでは広い意味のいわゆる保安処分として、一応四つの類型の処分があるようでございます。第一が、精神病院に収容するという関係でございまして、これが六十三条。それから、禁絶施設に収容するという処分、これが六十四条。三番目が、六十五条の社会治療処分というふうに呼ばれている処分。最後に、六十六条で規定されております保安監置というふうに称せられる処分、こういうふうになっているようでございます。 私どもが考えております保安処分は、ドイツのいまの四つの類型に当てはめてみますと、第一と第二、つまり精神病院収容と禁絶施設収容、条文で言えば六十三条と六十四条に該当するものというふうに考えておるわけでございます。わが方の改正草案ではまさしくこの二種類のものを考えておるわけでございますが、私どもその後いろいろと検討いたしまして、さらにその二種類のものをある意味では統合したような形で考えてはどうかということも考えているわけでございます。このドイツの六十三条及び六十四条による処分は現に運用されておりまして、実績もあるというふうに承知しておるわけでございます。 第三の社会治療処分、これが実際には施行が延期になっているということでございますので、確かに関連はございますけれども、私どもが考えております保安処分あるいは治療処分というものとは、大分内容といいますか、性質も違う処分でございますので、そういう意味では直接の関係がないことではなかろうかというふうにまず思うわけでございます。 実績について御参考までに申し上げますと、第一の精神病院収容処分につきましては、若干古い統計になりますけれども、一九七八年では三百五十六件、七九年には三百四十三件、これは成人だけの統計のようでございますが、そういう処分の言い渡しの数も出ておるわけでございます。 当面、六十五条によります社会治療処分、これは稲葉委員もおっしゃいましたように、また私もいま申しましたように、実際に実施されていないということでございます。その理由につきましてはいろいろとあろうかと思いますし、その全部について承知しているわけではございませんけれども、私どもが実際に聞いたり、あるいは学者の報告等によりますと、ドイツにおきましては、制度としては連邦法で定められておりますけれども、実施をするのは各州でございます。そういうことがもとになりまして、各州において、施設の面あるいは職員の面という人的、物的な面で実施するのにいろいろな困難があるということが一つの理由だというふうに言われておりますし、また内容的にも、この社会治療処分の対象者はいわゆる精神障害者ではございませんで、重度の人格変異者と申しますか、俗に言う精神病質者というものが主たる対象になっておるわけでございますから、責任能力の面で言えば、責任能力ある者に対する処分ということになるわけでございます。そういうことから、そういう責任能力が十分ある者に対してこのような治療をすることの当否といいますか、そういう実質的なものについてもなおいろいろな異論といいますか議論等があって、そういうようなことから実施が一応延ばされているというふうに聞いておるわけでございます。 ただ、そういうこともある関係かと思いますけれども、いわゆる実験的な試みがなされておるようでございまして、施設としても、いわゆる実験施設というようなものが設けられて、これは対象は受刑者になるわけでございますが、そういう受刑者について、この六十五条で考えているような社会治療処分の内容の治療といいますか、そういうものが一種の実験的な試みとして実施されているというふうに承知しているわけでございます。
○稲葉委員 きょうの主題ではありませんから、これ以上いまの点聞きませんけれども、その刑法六十五条の社会治療処分というものが、とにかくいろいろな内容のものがドイツの場合には含まれているわけですね。一概に六十三、六十四との関連においてぴしっとしたものではないわけですよ。いろいろなものが入っておって、それをあなたの方の局付の人たちがもう行っていろいろ調べて、雑誌にいろいろ書いていますからね。その中にこの六十五条の問題についても触れているわけですよ。あなた方の考えている問題と違うというなら触れる必要はないんで、詳細に触れているわけなんですから。 一番大きな原因は、大臣、財政上の理由なんですよ。ドイツはああいう財政再建の時代に入っていますね。財政再建上の理由が一番大きな理由。それから、いま言われた物心両方で医師が集まらないんですよ、現実問題としてそれを治療する医師が。それが一つと、それから、メリットがこういうふうにやっても余りないんですよ、効果が。そういう点がありますから、これは十分各方面から、いまドイツの大臣も来ていますし、大臣のほかに専門家も来ているのかどうか、ちょっと私、知りませんけれども、いろいろな点からこの六十三、六十四、六十五、それからいま言ったもう一つの条文、これはどういう条文であって実際にどう運用されているかというのは、いまのドイツの人が来ておるところでよく聞いていただきたいというふうに思っております。 いま局長の答弁したのは、私の聞いた範囲ではいままでの答弁と違うような印象を受けたのですが、あるいは私の聞き違いかもわかりませんが、だって、保安処分の問題についていろいろ質問したときにも、必ずこの社会治療処分の問題が出てきたんじゃないですか。ドイツではこういうような関係のあれがあるといって出てきたように私は思うのですが、それはいまの問題ではありませんから。これは、いずれにしても四月十六日にありますね。あって、それに関連をして恐らくそこでいろいろな問題が、いろいろな問題というか、どういうふうになるのか、ちょっとここで私も言いづらいからこれ以上言いませんけれども、その結果を待ってと思いますが、ゆっくり研究をしていただきたい、実態をよく研究していただきたい、こういうふうに思っております。結局、財政上の理由が一番大きいですね、いま言ったような。それと医師が集まらないというようなこと、メリットが少ない、いろいろ比べてみたときにメリットが非常に少ないということになってくるというふうに思っておるわけです。 次の問題に移るわけですが、これはいま東京地検の特捜部がいわゆるナミレイと言うんですか、これは強要罪や何かの事件を捜査をしておるということになるわけですが、この事件の現在までの状況について、ひとまずこれは刑事局長ですか、説明を願いたいというふうに思います。
○前田(宏)政府委員 まだ現に捜査が進行中でございますので、内容的には余り詳しいことは申しかねるわけでございますが、まず、本年の三月十一日に前ナミレイ株式会社代表取締役ほか四名を高砂熱学工業株式会社役員らに対する強要と同未遂、つまり強要未遂の罪で逮捕をいたしまして、その後、同じ容疑でナミレイ株式会社の代表取締役等を順次逮捕して捜査をし、そして三月三十一日と四月七日に分けまして、合計五名の被疑者をいまの事実について起訴をしているわけでございます。 さらに、いま申しました高砂熱学関係の恐喝未遂、それから殖産住宅相互株式会社関係の恐喝等の容疑で関係者を逮捕して捜査をしているという状況にございます。
○稲葉委員 そこでお聞きをしたいのは、これはいろいろなことが言われておるのでよくわかりませんが、まず、この三月三十一日にこれは恐喝未遂と傷害容疑で再逮捕をしたのですか。ちょっといま逮捕の関係ありましたけれども、再逮捕かどうかということがありませんが、そうすると、その傷害というのは、これは具体的に言いますと、その前にこれは警察の方にお伺いをいたしたいのですが、警察で、神田署ですか、そこに傷害事件が告訴か何かされたようですね。その告訴された事件が一体どうなったんですか。そこでいろいろなことが言われておるのですが、そしてそれは結局どういうふうになったのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
○関口説明員 お答えいたします。 ただいまお尋ねの告訴事件等の問題でございますが、五十五年の三月に、サウナを経営する会社の代表取締役をしている人から、ナミレイの代表取締役をしている人物ほか一名につきまして、傷害罪、それから窃盗、器物毀棄ということで警視庁の神田警察署に告訴があったわけでございます。告訴の概要は、一つは五十五年の一月でございますが、被告訴人の事務所におきましてその被告訴人が告訴人の胸ぐらをつかんだりあるいは手で顔面を殴ったりということで一週間程度の傷害を負わせたという事案でございますし、それからもう一つございまして、同じく昭和五十五年の一月でございますけれども、被告訴人二名が告訴人の事務所におきまして、何か金庫のかぎを壊しまして、金庫の中にありました告訴人管理にかかわるものを窃取をしたというふうな告訴があったわけでございます。 これにつきましては、神田警察署におきまして告訴人から事情を聞き、そして被告訴人の取り調べを行うというふうな捜査をいたしたわけでございます。被告訴人は、傷害罪の方につきましては、傷害事実についてはほぼ認める供述が得られたわけでございますが、窃盗と器物毀棄につきましては、金庫のかぎと申しますか、そうしたものがむしろその被告訴人が管理したものというふうなことでございまして、金庫内の書類を持ち出したということも、通常の日常業務としてやったんだというふうな供述をしていたようでございます。そんなことで、神田警察署におきましては、そのかぎの保管をしていたと思われる告訴人の会社の担当者から事情を聞こうということで、そうした関係者にも当たろうといたしたわけでございますが、当時また、その所在がわからないというふうな事情もあったようでございます。 そのような捜査をしているときに、五十五年の六月でございますけれども、今度は逆にただいま申し上げました被告訴人の方から最初の事案の告訴人に対しまして、こうした告訴は証告であるというふうな告訴が、逆告訴と申しますか、そうしたものが出されたというふうな状況で、やや事案が複雑になってまいったわけでございます。 引き続き神田署におきましては、こうした一連の事件というものにつきまして捜査をいたしてきているわけでございますけれども、さきに申し上げました窃盗、器物毀棄の告訴あるいはまたこれをめぐる逆告訴という事案につきまして、金庫の保管状況なり何なりが必ずしも明確ではないということで、これらの点につきましてさらに関係者の事情聴取をするということで進めてきたわけでございます。 そうした捜査を進めていたところでありますけれども、本年四月に入ってからでございましょうか、東京地検の方で傷害罪につきまして捜査をされるということで、いわば捜査が競合するというふうな事態に至りました。そこで、東京地検の方と協議をさせていただきまして、四月五日でございますけれども、一連の告訴事件を送付した、以上のような状況でございます。
○稲葉委員 いまの話を聞いていまして、なぜこの事件が暴力団対策官の担当になって、あなたが出てきたのですか。
○関口説明員 ただいま申し上げました神田署の受理をいたしました告訴事件の冒頭の被告訴人が、当時の状況におきまして暴力団構成員との関係もあるというふうな情報がございまして、神田署の方が警視庁の暴力団担当課の方と相談をしながら捜査を進めてきたというふうな状況がございます。そんなことで、私ども暴力団担当の者が警察庁の方におきましてやっているということでございます。
○稲葉委員 法務省の刑事局長に聞くわけですが、いま三月三十一日に再逮捕したと言いましたね。それは神田警察へ告訴をされた傷害事件を含んでいるわけですか。
○前田(宏)政府委員 三月三十一日に二度目の逮捕をしておりますが、その逮捕事実は恐喝未遂といま御指摘の傷害、この両者を含んでいるわけでございます。
○稲葉委員 だって、傷害は警察でやっておって、そして事実を認めておるので何も逮捕する必要はないのじゃないかと思いますが、普通、傷害関係、恐喝未遂でも、その程度のことでは特捜部が逮捕してそれに着手するということはないのじゃないですか。どういうわけで特捜部がやったのですか。この事件の捜査の端緒はどうなのですか。普通、刑事部でやればいいのではないですか。
○前田(宏)政府委員 東京地検の特捜部では、いわゆる汚職とか会社犯罪の事件ばかりでなくて、一般の直告事件を扱っているわけでございます。東京地検特捜部といいますと、汚職事件とか会社犯罪だけやっているような印象があるかもしれませんけれども、むしろ特捜部の事件数からいいますと、一般の直告事件が結構多いわけでございまして、それを担当しているということになりまして、その中の一つとして、被害者の方から地検の方に告訴があって、そしていま申しましたようなむしろ通常の担当事務として扱っておる、こういうことでございます。
○稲葉委員 そうすると、地検に告訴があったというのは、いま警察の方に告訴があった傷害も含まれているわけですか。
○前田(宏)政府委員 告訴自体には、傷害の事実は含まれていなかったようでございます。なぜそのことがその中間で出てきたかということになりますと、詳しくは聞いておりませんけれども、当初の強要あるいは同未遂ということで捜査をしている間に、関連する事実としてそういうことがあるということがわかってきたので、あわせて捜査をするのが適当であろうということに相なったわけでございます。
○稲葉委員 警察の方にお尋ねするわけですが、これは告訴をされてから、ことしの四月五日に送致したわけですね。送付と言われたけれども、送検でしょうけれども、どっちでもいいですが、二年三カ月以上かかっておるわけですね。この間いろいろなことがちまたで言われておるのは、あなたの方でも御存じだろうと思うわけですが、この傷害事件の被告訴人が告訴されたときに、何か警察と親しい国会議員の名前を出してああだとかかんだとか言っておったとか、そういうふうな話があった、だから結局どうということはないというふうな意味の話があったとかないとかいう話が伝えられているのですが、この点については、警察の方でもある程度のことは知っているわけですか。
○関口説明員 お答えいたします。 ただいまの告訴事件の捜査状況は、申し上げたとおりでございます。 先生お尋ねの件でございますけれども、警察はいかなる捜査におきましても常に厳正公平に対処しているところでございます。お尋ねの告訴事件の捜査に当たりまして、一部の報道にもみ消しとか圧力とかいうことが書かれておりますけれども、私ども調査した範囲では、かような事実は一切なかったものという報告を受けております。
○稲葉委員 私ども調査した範囲というのは、一体どういうふうに何を調査したのですか。
○関口説明員 お答えいたします。 この事案は神田警察署が捜査に当たったわけでございまして、そうした捜査の過程で、マスコミ等に言われているような事実があったかなかったかということを調査いたしたわけでございます。
○稲葉委員 それはわかるのだ。だから、どこでだれとどういうふうにして調査したのかということなのですよ。ただ調査をしたというだけじゃわからないから、その調査をしたと言うならば、どういうふうにして調査をしたのかという内容を説明願いたいということですよ。 それでないと、第一、非常に不思議に思われますのは、仮に重要な事件とすれば、事件として警視庁でとるわけですね。神田署、所轄に任せておくわけはないでしょう、警視庁でとるわけですからね。これは傷害だけなら逮捕というのは無理かもわかりませんから、それほどの事件でないかもわかりませんけれども、この事件はいろいろなことが言われているわけです。 あなたの方に告訴されていながら東京地検が、特捜部がとったということは、警視庁からいうと余り名誉なことではないのだ、率直に言うと余りいい気持ちじゃないわけですよ。だから、あなたの方としても、いろいろな人が出てきたとかこないとか、逆告訴があったとかなかったとかいうことがありますけれども、なぜ二年三カ月もかかったかということについての説明がないと、どうしても世間では、何かおかしいじゃないか、警察出身の人がどうとかかんとか、こういうことが出てきます。 そこで私は聞くわけなのです。長くかかり過ぎるのじゃないですか。それから、告訴事件というのは速やかに送検すべしということになっているわけでしょう。御案内のとおり、長く持っているものじゃないのですよ。警察だけで処分もできないのですから、どんどん送検しなければいけない。それがあなたの方に聞くことです。 それから、法務省に聞くことは、これは告訴があったからやったのかもわからぬけれども、警察と協議をしたというのは結局どういうことなの。警察ではもうらちが明かぬ、結局しようがないから地検でやってくれ、特捜部でやってくれ、こういうような話があった、ざっくばらんに言うとこういうことなんでしょう。そうもあからさまに答えられないか、その辺。だけれども、実際そうだな、特捜部に持ってくるということはそうなんだ。 まあ警察の方、先にお答えください。終わったら帰ってくださって結構です、あなたがいると法務省の方も話しにくいだろうから。
○関口説明員 お答えいたします。 告訴受理から送付に至るまでの期間が二年余にわたったということでございますが、その間の事情につきましては、先ほど申し上げましたように、関係の参考人等からの事情聴取等がなかなか進まなかったことなり、あるいはまた逆告訴というふうな事態になりまして、かぎの保管関係とかそうしたことで慎重な捜査を要するというふうなことで、やや時間を要したわけでございます。全くそれは純粋に捜査上の理由によるものでございまして、政治家からの圧力云々ということは全くないということでございます。 いずれにいたしましても、刑訴法のたてまえと申しますか、明文に「速やかに」というふうなことが明定されているところでございまして、今後とも私どもといたしましては、この種の告訴、告発事案というものの処理に当たりましては最大限の努力をいたしまして、できるだけ早い時期に事件を処理するという方向で指導をしてまいりたい、かように考えます。
○稲葉委員 警察の方はもう結構ですけれども、結論的に言うと、結局警察へ告訴した場合は率直に言ってめんどうくさいからやらない、それで机の下にしまっちゃうというのが多いのですよ。大体半年ぐらいしまっておくのじゃないかな。現実には身柄がどんどん来ますから、そっちを優先しますから。告訴の事件というのは、どうせ財産上のあれだとか、民事裁判でやるのは長くなって金がかかるから警察を利用してやるのだというようなのが多いから、そういう考え方がありますからね。現実にそういうのもありますから、大体半年ぐらいはやらないで置いておくというのが多いのじゃないか、こう思いますが、いま言ったようなことで非常に疑われますからね。だから、「速やかに」と書いてあるのですから、そういうふうにやるように今後努力していただきたい、こう思うのです。これは事件の発展に従ってまたいろいろな問題が出てくるかと思いますので、そのときは別な角度からお聞きすることと思いますが、一応結構です。 大臣、いま東京地検特捜部の話が出たわけですけれども、御案内かと思いますが、これはこういうことなんです。あなたが直接東京地検のことをあれするわけにはいかないと思いますが、法律の許す範囲内で検事総長から恐らくいろいろなことをお聞きになられる機会がある、こう思うのですが、いま公安関係の事件というのは本当に減っているのですよ。東京地検ばかりじゃなくて、ほかの方でも公安部がありますけれども、うんと減っていて、そこでむしろこういう知能犯的な会社犯罪、それから涜職といいますか、そういうふうなものを中心として特捜部を充実強化することが必要だというふうに考えられるのです。ただ、これは検察ファッショになってはいけませんよ。 いま特捜部があるのは、東京と大阪と名古屋だけですね。ほかはない。いまはありますか、特捜部という形、三つだけだといままでは聞いていたけれども、いまはもっとふえたかな。各地方へ行きますと、大体検事正、次席でしょう。その次は公安関係の人が、必ずしも三席になっているという意味じゃありませんけれども、中心になっているのですね。公安関係がいま暇ですから、暇と言うと語弊がありますが、事件が減っていますから、そういう検事がやる特捜関係の仕事に重点を移しかえるように編成がえをする必要があるというふうに私は思うのです。 検事が警察が送ってきた事件を同じ調書をとっているのですよ。いま刑事訴訟法のたてまえがそうだと言われればそうなんで、刑事訴訟法を変えなければいけないかどうかはありますけれども、同じことをやっているのです。そういうのは副検事に任しておけばいいのです。本当の検事はそんなことをやる必要はないので、本来のそういう仕事に取り組まなければいけないのです。警察から送ってきた事件をやっているのは壁塗り検事と言うのです。同じことをやっている。上に壁を塗っているだけなんだ。これは壁塗りと言うんだ。刑事局長、知っている、壁塗りというのを。こんなのは検事はやっていたっておもしろくないのです。こんなことはつまらぬのだ。そんなのは副検事に任しておけばいいので、そういう特捜本来の仕事に取り組むようにしなければいけないと私は思うのですが、こういうことは部下から聞かないでしょう。聞かないから僕は説明するわけですが、みんなあなたに報告するんだって、なかなか本当のことを言わないんだから。そうでもないかな。 それは別として、この事件に関連をして私がお聞きをいたしたいことは、率直な話、税理士も逮捕されているわけですか。入っていますね。それから、名前は言わぬけれども、弁護士も事情聴取を受けているのですか、その点はどうですか。
○前田(宏)政府委員 逮捕者の中に税理士の資格を持っている人が含まれているということは承知しております。あとどういう人を関係者として調べているかということになりますと、これはまだ現に捜査中でございますので、その点は御容赦いただきたいと思うわけでございます。
○稲葉委員 捜査中の事件ですし、いろいろな政治家の名前が出てくるわけですね。政治家の名前が出てきたから政治家がどうということじゃないので、それをそのままあれするわけにいきませんけれども、いずれにいたしましてもきちんとした捜査をして、そして問題の所在をはっきりさせていくということを考えていただきたいと思っております。現に捜査中の事件ですから、そのことを余りかれこれ言うのもあれですからこのくらいにしますけれども、これはいろいろなところに発展する一つの可能性があるかもわからぬ事件ですから、しっかりやってもらいたいと思っております。 それから、これは最後の問題になるのですが、八王子の医療刑務所というのがあるのですね。実は私も去年の十二月か、別のことで八王子へ行ったものですから、そこへ寄ってきたわけです。駅からすぐそばですから、非常に場所がいいところにあるわけです。そこで、これは恐らく内部告発だと思うのですが、いろいろなことが紙上で伝えられておるわけですね。そのことはそのこととして問題だと私は思うのですが、同時に、全体として、刑務所なり少年院、鑑別所、婦人補導院、いろいろありますけれども、そういうようなところで常勤の医師がどういうふうに現在配置されて、どういうふうに不在になっているか、そのことのためにどういう不備、問題が起きているかということが最も大事だと私は思うのです。 順序として矯正局長から、八王子の医療刑務所の医師のいろいろな問題がありましたが、伝えられていることについてあなたの方でも調べられたと思いますから、調べてみた結果を御報告願いたいと思います。
○鈴木(義)政府委員 八王子の医療刑務所につきまして朝日新聞に報道された点につきましては、取り急ぎ調査いたしましたので、その結果を御報告申し上げます。 まず、週三勤四休という制度をとっておるかのごとき報道になっておりますので、この点から御説明申し上げたいと思います。 刑務所におきましては、収容者の健康、それから衛生を図るという点からお医者さんは絶対に必要な職種でございますが、この刑務所における医師の仕事ということになりますと、一つには、刑務所等の中で診療業務に当たるというだけでは、ほかの医療機関の場合と違いまして、かなり病人の症状等も限られてまいります。それから、施設の医療設備も多少他の医療機関に比べて十分でないというような点もございますが、医学というのは日進月歩の状況でございまして、そういうものに刑務所の中だけで医療に当たっていては十分ついていけないというようなことがございますので、大学あるいは国立病院等においてそういう新しい知識を吸収していただくということがぜひとも必要になってくるわけでございます。八王子医療刑務所におきましても、あるいは他の施設等におきましてもそうでございますが、そういう意味で最新の技術を身につけるという趣旨で、大学あるいは国立病院等へ手のすいたときに通うということを認め、むしろ奨励しておるわけでございます。 それで、八王子医療刑務所で三勤四休というような言葉が使われるようになりましたもとは、八王子には十三人の医師が現在働いておりますが、その十三人の多くの人がある特定の日にみんな大学等へ研究に出かけるということがあっては大変困りますので、少なくともこの日とこの日とこの日は出ていただきたい、その日以外に大学等へ研究に出てもらいたいという趣旨で、週三日程度を最低限施設にいてもらうということを内部で決めまして、各医師に連絡をいたしたわけでございます。したがいまして、三日働いてあと四日は休んでよろしい、こういう趣旨ではございませんので、御理解いただきたいと思います。 なお、新聞記事の中に、医師がいなくて患者の診療にも当たれなかったというような記事がございますけれども、そういうことはございませんので、申し添えたいと思います。 もう一つの点は、同所の医師の中の二人が別途開業していたということでございます。この点は、調査いたしましたところそのとおりでございまして、国家公務員法等に抵触するという問題もあって、大変遺憾に存じているところでございます。この二人の医師は、かねてから開業の方を専業にしたいという意向を出しておるわけでございますが、この二人のお医者さんがいませんと、やめられますと後任の補充が大変むずかしいということでございまして、慰留しながら適任の後任の方が得られるのを待っておるという状況でございます。
○稲葉委員 一応矯正局長から、いまの矯正施設における医師の定員と現員、欠員ですね、それをいろいろ分けて御説明を願って、一番新しい資料でいいでしょう、説明を願って、そしてそれに関連をして一体これをどうするのか。このままでは、これはもし問題が起きたとき大変なことになりますよ。だから、具体的にどうやって医師を補充していくのかというようなことについては大臣の方からお答えを願いたい、こういうふうに考えております。
○鈴木(義)政府委員 矯正関係の全施設で申しますと、現在医師の定員が三百三十二名、本年二月一日現在の現在員がちょうど三百名でございまして、三十二名の欠員、すなわち約一割の欠員ということになっております。 それから、区別して申しますと、刑務所では定員百七十六名のところ十五名の欠員、拘置所におきましては三十九名のところ三名の欠員、少年刑務所は十一名定員で全員配置されております。それから少年院につきましては、七十五名のところ六十四名で十一名の欠員、少年鑑別所におきましては、三十名の定員のところ二十七名で三名の欠員、それから婦人補導院につきましては、一名の定員で一名が現員でございます。
○坂田国務大臣 実はこの月曜日、十二日に八王子医療刑務所に私、視察をいたしました。十年がかりで改築いたしましただけに、建物等はかなり整備されており、設備もかなり充実をしているというふうに見受けられたわけでございます。 ところが、いま矯正局長からお話し申し上げましたとおりでございまして、専念義務のある公務員が他の職業を兼ねておるということ、これには問題があるというふうに思います。しかし、いまお話がございましたように、矯正施設におきます医療というのは、普通の医療と違いまして対象が被収容者である。したがいまして、職員であります医者と患者との信頼関係というものが普通の場合よりも非常にむずかしい、そういうことがある。また、矯正施設におきましては、高度なそしてまた専門的な臨床経験を得る機会が少ないために、医師としての手腕を伸ばしにくいというようなこともございまして、なかなか矯正施設への採用希望というものが少なく、そしてその確保に苦労をいたしておるわけでございます。 先生御指摘の医師確保の方策といたしまして、大学医局に対しましては医師の円滑な派遣を要請いたしますとともに、医師の勤務条件改善のため、あるいは人的面におきましては医師の診療の補助に当たる看護婦あるいは看護士等の職員の増員を図ることに努めております。先生もごらんいただいたと思いますけれども、あそこには全国の看護士養成機関、これはきわめてユニークなことではないだろうかというふうに見てまいった次第でございます。また、物的な面におきましては、医療機器をさらに整備をする、あるいは医療費を増額をするとか、とにかく医者がそこに勤めてやりがいのあるというような、そういう環境の改善ということには最大の努力をしておるわけでございますけれども、ただいま申しましたようになかなか医師の確保が困難だ。しかし、そういうことばかり言ってもおられませんので、さらに矯正医療の場を医者にとっても魅力のあるものにするように今後やってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○稲葉委員 いまの大臣の話はわかるのです。だからどうするのだということです、問題は。なかなか簡単に解決つかないのは私もわかりますよ。いまのお話をお聞きした中で出てきますのは、医師の年齢構成がいまの説明の中でありませんが、比較的若い人は、勤めても四、五年たつとやめてしまって、開業してしまうのです。だから、老齢の医師が相当多いんじゃないですか、年齢構成調べてみるとわかりますが。それから、待遇が大体平均四十万くらいかな。四十万までいくかいかないか、いろいろありますから違いますけれども、医療職ですけれども、四十万くらいでしょう。開業すれば平均して百万くらいになりますからね。八王子の医療刑務所でも、医療機器や何かの設備は、私も見ましたが、よく整っているように思いましたよ、私素人ですけれども。なかなか医師が居つかない。特にああいう場所が場所ですから、開業した方が有利になるということもあってかと思いますが。ですけれども、今後医師をどうやって集めていくかということになると、医師が過剰な時代がだんだん来つつありますから、そのときには開業するより勤めた方がいいということになるかもわからぬから、そのときは余ってしまうかもわからぬけれども、そこまで待っているというわけには——もし事件が起きたときに大変なことになるのですよ。 これは矯正局長も御存じだと思いますが、たとえば刑務所の中で危なくなると、死にそうになってくるとあわてて外に出してしまう。もしあの中で死亡したら大変なことになるでしょう。あなた方の責任は物すごく追及されるものだから、あわてて出してしまうのでしょう。夜中でも何でも出してしまうわけだ。いま現実にどういうふうになっているのか。このごろそういう例はないかもわからぬけれども、実際問題としてはあの中で亡くなるという方はほとんどいないので、いまどうしていますか。危なくなってくると執行停止して出してしまうというか、民間の医療機関にお願いするというのは相当ふえていると思うのですね。民間の方の医療機関もなかなか引き受けない場合もあるかもわからぬけれども、その実情はどういうふうになって、それはどういう連絡をとっておるわけですか。
○鈴木(義)政府委員 刑務所あるいはその他の矯正施設の中での医療にはおのずから限界がございますので、中でできないような場合については、外部の病院にお願いするというケースもございます。ただ、大きい施設、それから八王子の医療刑務所のような専門の施設におきましては相当のことができますので、できる限りそこで治療いたしておりますが、どうしても施設の中の医療体制だけでは不十分であるという場合には、監獄法の施行規則だったと思いますが、それに規定がございますけれども、外部の病院に移送してそこで治療を受けさせるという手だてをとっております。 これは先ほどおっしゃいました執行停止にして出してしまう、こういうことではございませんで、そういう場合には施設の職員が同行いたしまして、まだ刑務所等の中にいるという扱いでやっておるわけでございます。 危ないから、あるいは死にそうになったから出すというようなことではございませんで、病状等によって必要な場合には外部の病院にお願いする、こういうことでございます。
○坂田国務大臣 私、十二日に八王子刑務所の所長さんから聞きました話では、むしろ普通ならばあそこである一定の治療をやったらもとの刑務所に帰すというたてまえになっておる。ところが、あそこの医療刑務所が非常に設備もよくて被収容者にとりましてはかなりよくやってもらっておるという感じがあるのです。したがいまして、なかなか向こうへ行きたがらないということ、それからあそこで亡くなられる方もあるのだそうでございます。そういう事情でございます。
○稲葉委員 いま最後に大臣がお話しになりましたように、あそこの医療刑務所は非常に設備は整っているのですよ。ですから、あそこにいる人はほかへ帰されるのを非常に嫌がる傾向があるのです。それは私もそういうふうに聞きました、本当かどうかは別として。ちょうど中庭で日当たりのいいところでみんなひなたぼっこなんかしていて、あそこにいれば安心だ、もとへ帰されるのは嫌なんで、そういう時期が来ると非常に不安定になって、かえっていろいろな影響があってよくないんだというようなことを言っておったのですが、それはそれとして、問題はいまの医師の不足関係、これを具体的にどうするかということなんですよ。 それは大臣だけのあれじゃなくて、全体のいろいろな問題があると思いますが、これはやはり特定の大学とみんな連携をとっていますね。だから、それでないとそこから後の先生が来ない状況ですね。それをやることがいいか悪いか、なかなか議論があるところだと思うのですが、ある特定の大学、たとえば二つ三つなら二つ三つと連絡をとっていかないと来ないですよ、変な閥がありまして、大学のあれが決まっているのだから。だから、そこら辺のところをもっとちゃんとしないといけないんじゃないかというふうな感じを私は持っているのですが、いずれにいたしましても医師の不足、もし中でいろいろなことがあって、病気で仮に亡くなったとなると問題を起こす場合が出てくるから、それについては十分考えていただきたいというふうに私は思いますね。 その他いろいろ聞きたいことがあるのですが、もう一つ、矯正局長いますから、きょうここで質問するわけじゃありませんけれども、大臣にも考えておいてもらいたいのです。 実は、私この前、ちょうど寒いときでしたけれども、久里浜の少年院に行きまして、あの構内にアメリカの軍人を入れた横須賀刑務所というのがあるわけですね。久里浜の少年院と横須賀刑務所というのは近いですから、同じ敷地内ですから、あれはぜひ見られるといいのですが、そこへ行って驚くことは、アメリカの軍人の受刑者に対する待遇が日本人の受刑者に対する待遇と物すごく違うのですよ。物すごくと言うと語弊があるかもわからぬが、とにかく違いますね。 まず第一に食費が違うわけだ。いま日本の刑務所の食費は一日に大体三百二、三十円ですね。アメリカの場合は、アメリカとは限りませんが、あの軍人は食費が六百何円ですよ。倍以上ですね。それから、もちろん食事も違うし、あれは全部個室ですね。個室の理由はちょっとここで言えませんけれども、別の理由から個室にしているわけですが、いろいろありまして、待遇が非常に違うのですね。 日本の場合は窃盗が多いでしょう。ところが、あそこに入っている窃盗は僕が行ったときは一人しかいない。あとはほとんど強盗ですね。だから、日本の窃盗というのはアメリカでは強盗に匹敵すると言うと語弊があるんだけれども、匹敵するのですね。覚せい剤というのはいないわけですね。アメリカでは覚せい剤というのはない。大麻取締法と——これは大麻を取り締まることが必要かどうかということはいろいろ議論があるのですね。終戦直後のあの問題が起きたときと、いまその必要があるかどうかという点は非常に問題があるのですが、それと麻薬ですね。 日本でなぜ覚せい剤取締法のが多くてアメリカに覚せい剤のあれがないかということをあちこちに聞くんだが、どうもよくわからないのですね。どうも日本人は夜働き過ぎるから結局覚せい剤を打つようになったなんて説が、これは珍説ですが、あるのですが、これは冗談話として、だから、いまの横須賀刑務所と一般の刑務所とのいろいろな面での待遇が非常に違いますよ。これはいけませんね。 それで、向こうは権利意識が非常に強いですから、非常にいろいろなことを言うのですね。そのかわり納得すればわかってよく働くそうですけれども、いずれにしても待遇は、横須賀の刑務所にいるアメリカの、アメリカばかりじゃありませんが、ほとんどアメリカですね、アメリカの軍人とそれから日本の刑務所にいる受刑者との間のいろいろな面での待遇を一遍比較してみてください、これは違いますから。ちょっと話が余談になるかもしれませんけれども、ちょっとおかしいですね。違い過ぎます。この辺のところを十分検討する必要があると思いますね。 きょうは終わります。
○羽田野委員長 林百郎君。
○林(百)委員 最初に、大臣にお聞きしますが、鈴木総理も、いま行革、それから臨調もあるわけですが、チープガバメント、そのために政治生命をかけてやると言っておられるところなんです。ところが、各官庁の内部を見ますと、先日もありましたように、厚生省の舘山前審議官でございますね、選挙の事前運動に夢中になっているというような状態があるわけなんですが、これは何も厚生省だけにとどまっておらないわけですね。各官庁は、ことに来年の参院選を控えて、自分の省庁出身の議員を議会へ送り込もうということで非常に精力を割いているわけなんですね。 公務員というのはすべて、国民から課せられたおのれの義務の遂行のために職務にのみ従事しなければならないと国家公務員法にはありますが、来年の参院選を控えて、各省庁内で地位を利用したような選挙運動が行われているという事態があるとすれば、これは行管庁長官にでも聞けばいいわけですが、忙しいので、ちょうど閣僚のあなたがおいでになりますから、こういうことについてはあなたはどういうようにお考えになりますか。舘山前審議官の事前運動とも絡んで、こういう事態が起きている。これは何も厚生省だけでなくて、各省庁にある。具体的な例をきょう私は申しますけれども、たとえば郵政省の中にもある。そういうようなことだとすれば、鈴木内閣の閣僚としてあなたはどういうようにお考えになりますか。
○坂田国務大臣 公務員はやはり全体の奉仕者であります。したがいまして、公務員としてもとるようなことがあってはならない、これはもう当然なことだというふうに思います。 個々の具体的な問題については、事実関係が明らかでございませんので、私からかれこれ申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、一般的に申しまして、公務員はやはり国民の奉仕者としての職務を遂行してもらわなければならない、そういう責任があるというふうに思っております。
○林(百)委員 それが筋だと思うのですね。 そこで、自治省の選挙課長にお尋ねします。 公職選挙法の百三十六条の二、公務員の地位利用による選挙運動の禁止の条項がございますね、これはどういう趣旨で設けられたのですか。
○岩田説明員 お答えを申し上げます。 御指摘のありました百三十六条の二というのは、一項と二項がありまして、一項では一般的に公務員がその利位を利用して選挙運動をすることを禁止している規定でございまして、これも御承知のとおり、公務員の社会的な地位、その帯びておる任務といったようなことから、公務員、厳密に申しますと公務員等でありますけれども、そういった公務員等がその職務上の地位を利用して選挙運動をすることがあってはならないという趣旨の規定でございます。同じく二項は、それをやや敷衍いたしまして、それに類似した行為についても、同じような趣旨からの禁止規定を設けているものでございます。
○林(百)委員 公務員を特に地位利用の禁止規定の中に入れたのは、どういう趣旨だとお考えになりますか。
○岩田説明員 申すまでもなく、公務員は公正に自分の職務を執行しなければならない立場にあるわけでありますし、かつまた、その遂行しております仕事は、国の仕事、地方の仕事を問わず公務でございますので、そういった地位にある者が、その職務に関連して選挙運動を行うことを禁止したものでありまして、いわばその職務の性格と、それから公務員等の影響力の大きさといったようなものに着目したものだというように考えております。
○林(百)委員 そこで、郵政省にお尋ねしますが、私のところへ実は郵政省の内部から投書がございまして、最後の欄に、「この筆跡は郵政省幹部には絶対見せないようにお願いします。場合によって報復されては困りますので、よろしくお願いします。」こう書いてあります。その内容をいま御紹介しまして、郵政省として適切な措置をとるべきである、さらに、場合によっては警察権の発動も求めなければならないのではないかというような事態が記録されておりますので、内部の者が現実に自分が体験していることを述べておりますので、これをちょっと郵政省の方に申し上げたいと思うわけです。 封筒は二月二十八日に私のところに来ていますが、これはこちらに置いておきまして、こう書いてあるのですね。「公務員の綱紀粛正について通達を出している上部の機関である信越郵政局の幹部が、五十八年の参議院選挙に対して、職制を通じていまから選挙活動を強制していますが、断じて許されない行為ではないかと思います。国会において郵政省にその責任を追及して、このような違法行為を絶対行わないように確約をさせてください。特に、印刷物とか文書は証拠となるため、すべて口頭で指示は行われております。公務員は政治的には中立で、政治活動は禁止されていると職員をいままで指導してきた管理職の立場にある者が、組織ぐるみで裏側では職制による政治活動を命令し、思想信条の自由まで侵害して一方的に違法行為がまかり通っていることはきわめて悪質なことだと思います。上司の話によれば」といいますから、これはこの上にさらに上司、局長、課長がいて、課長に準ずる立場にいる人ですが、だから、職制、非適職員なんですね。「上司の話によれば、過去の参議院選挙でも、これは信越郵政局の文書課長が現場の管理者に会議の都度指示して票数まで割り当て、人事考課までちらつかせて局長に強要し、局長は自己保身のためわれわれ非適職員や管理職に押しつけているようです。最近は特にいままで以上に悪質で、強制的だと言ってもよろしいわけであります。それで、最近の状況を次に述べます。」こうあるわけですね。 そこで、これは全国区から出る人なんですが、私にこの投書をよこした人は信越郵政局の管内の人なんですが、この信越郵政局の文書課長がセンターになっている、こういうように書いてあるわけであります。 郵政省の組織規程によりますと、各課長、部長がありますが、文書課長というのはどういう地位にあるわけですか。普通の課長よりも上位にあるというのはなんですけれども、秘書課長、文書課長というのは、普通の課長よりは上位にあるというか、あるいは職務権限が強いといいますか、そういう立場にあるのですか。どうですか。念のために申し上げますが、郵政省の組織規程の十六条によりますと、最初に次の部と課があるという中で、書いてある順序が秘書課の次が文書課になっていますね。お聞きしておきます。
○白井説明員 お答え申し上げます。 本省段階には御存じのように大臣官房というのがございまして、その中に秘書課あるいは文書課等が各省同じようなかっこうでございますけれども、かつては郵政局の組織も局長官房秘書課長あるいは局長官房文書課長というような呼び名で呼ばれておったことがございますが、それでもわかりますように、あくまで課長は課長でございますが、課長の上の上司ということになると郵政局長となるということでございまして、たとえば部に所属いたします課長とかいうような組織の図にはなっていないということでございます。
○林(百)委員 そうすると、役所の内部の組織はちょっとわれわれ急に聞いてもわかりませんが、課の中では相当権威のある、そしていろいろの指示のできる、ここに内容もございますけれども、そういう権限を持った課、そう聞いておいていいのですか。あなたの言っていることはどういう意味ですか。普通の課とは少し性格が違っている、こう聞いておいていいのですか。
○白井説明員 お答え申し上げます。 課長の権限といたしまして、どちらの課長の権限が強いかというようなことは、ちょっと一概には申し上げにくいかと思います。したがいまして、それぞれの課の所掌事務についての責任者であるということにおいては部に属します課長も同じであろうかと思っております。
○林(百)委員 それでは、部に所属してない課、独立している課である、これはそう聞いておいていいですか。
○白井説明員 郵政局にあります秘書課長、文書課長については、先生のお話のとおりでございます。
○林(百)委員 そこで、信越郵政局の行政管轄は、信越というのですから、長野県と新潟県になるわけですか。
○白井説明員 郵政省設置法によりまして、信越郵政局の管轄区域は長野県と新潟県の二県になっております。
○林(百)委員 そこで、今度は岡野裕、これは私の方の国会の資料、昭和五十六年二月の「官公庁職員抄録」によりますと、本省の人事局の局長をやっておりましたね。この岡野裕という人が本省の人事局長をやっていたことは間違いないのか。それで、いまはどういう地位にあるのか。
○白井説明員 岡野裕さんは昨年の七月まで郵政省の職員でございまして、昨年の七月に人事局長を最後に退官をされております。現在は全国特定郵便局長会の顧問という仕事をなさっているというふうに伺っております。
○林(百)委員 この岡野裕氏が来年の参議院選に出馬するというようなことは、あなた方は聞いておりませんか。
○白井説明員 そのようなことを書いた雑誌みたいなものを読んだような記憶もございますが、特に選挙に出られるとかどうとかということを直接伺ったことはございません。
○林(百)委員 雑誌に書いたことはごらんになったわけですね。 そこで、私への内部からの投書によりますと、「五十六年七月郵政省を退官した岡野元人事局長が、五十八年の参議院選に全国区で自民党から出馬するために全国を回っているようですが、信越郵政局も文書課長が主体となって、局長たちに具体的な指示を行っており、私たちに対して局長はたてまえは自由と言いながら、本音は強制的に資金の拠出から行動まで強要しております。」 これは後で詳しく申しますが、要するに信越郵政局の文書課長というのはそれぞれの特定局なりあるいは普通郵便局なりの局長に対する行政的な指導の責務というか、そういう権限を持っていることは持っているわけですか。
○白井説明員 各郵便局長に対しましての文書課長の権限ということになりますと、ちょっと手元に正確な資料を持っておりませんので正確な申し上げ方ができませんが、文書課長の権限として所掌がはっきりしております事項につきましては、各郵便局長等を指揮したり指導したりする権限があるということは当然でございます。
○林(百)委員 ここに、郵政省の組織規程の第十七条の二に文書課においての権限がありますが、「地方郵政局及び郵便局の組織に関すること。」こういう権限を持っているとちゃんと書いてあるわけです。だから、郵便局、これは普通郵便局、特定郵便局、別に書いてありませんから、郵便局の組織等に関する事務を処理している、そういう権限を処理している、こういうように十七条の二にありますけれども、これは間違いないですね。
○白井説明員 文書課長につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたような仕事を文書課長の仕事として文書課長にさせておるということでございまして、それぞれの部に所属いたします課長さんにつきましては、またそれぞれその課に所属する事項につきまして課長としての権限を有しているということになろうかと思います。
○林(百)委員 それは当然なんですが、文書課長として、その自分の管内の普通郵便局あるいは特定郵便局に対して文書課長としての指示なりあるいは指導なりが、そういう権限を持っているかどうかということなんです。自分の管内の普通局なりあるいは特定局なりに対して郵政局の文書課長は。
○白井説明員 郵政局の文書課長の所掌に属します事項につきましては、郵政局長等にかわりましてたとえば通達等を発する等の権限はございます。
○林(百)委員 そこで、その文書課長について、文書課長が資金の拠出を各管内の局長に指示しているということが、ここに書かれているわけです。 いまの信越郵政局の文書課長は、たしか西村勇君だと思いますが、それは間違いありませんか。
○白井説明員 ちょっと具体的な氏名につきましては、私いま名簿を持ち合わせておりませんので存じておりませんが、一緒に来ておる者に確めてみたいと思います。
○林(百)委員 それでは具体的な名前は……。 「文書課長から指示ということで、あくまで自主的との説明があったけれど、もしその資金の割り当てを拠出しなければ、将来人事等で不利益を受けるとばからしいから、不満でも出しておいた方がうるさくないよと周囲の人たちに話をされて、自分一人が出さないということもできず、これに従った。」職制を通じた一方的な強制の割り当て、金額の割り当てなんですね「納得がいきません。割り当てられた金額は次のとおりです。局長二万円、課長一万二千円、副課長一万円、課長代理・主事五千円。集めた金は局長から文書課長に渡しております。」こういうことが書いてありますが、こういうことを御存じですか。
○白井説明員 承知いたしておりません。
○林(百)委員 そうすると、もしこういうことが行われているとすればどうしますか。国会で問題になったからということで、調査はしてみますか。
○白井説明員 お話のございましたような事実はないものと信じております。
○林(百)委員 ないものと信じても、これに出した方がいいよ、もし出さなければ将来の人事にも影響してくるからと言われて出しました、こう言っておりますので、あなた、調べることはいいでしょう。ないと信じますと言ったって、あなたが幾ら信じたって、現実に行われていれば大変なことですから、国会で問題になったから事実どうだということで、一応調査はされますか。
○白井説明員 個人個人の行為、あらゆる私的な行為につきまして役所が調べるというのもいかがかというふうにも思いますので、具体的にたとえば法律に違反するような事実があるのではないかというようなことになりましたときには、郵政省といたしましても必要な調査等を行うということは当然考えなければならないかと思いますけれども、個人的ないろいろな行為につきましてすべて郵政省が調査をするというようなことになるというのもいかがかというふうに思っております。
○林(百)委員 あなた、何を言っているのですか。割り当てが局長には二万円、課長には一万二千円、副課長には一万円、課長代理・主事が五千円と、具体的な金額が書いてあるのですよ。これを拠出するようにと文書課長から割り当てられた。自分は気が進まなかったけれども、周囲の者が、拠出しなければ将来人事等で不利益を受けるとばからしいから、不満でも出した方がいいだろうと言っているというのですよ。——あなた、裏からメモをやたらに持ってきていろいろ知恵つけちゃだめですよ。具体的にこういう金額の割り当てまで出ている。私は気が進まなかったけれどもやりました、こういう手紙が来ているのに、調べもしないのですか。これは個人的な問題じゃないじゃないですか。 それじゃ、お聞きしますが、全国に特定局幾つありますか。
○白井説明員 正確な数字は記憶いたしておりませんが、一万七千五百局を超しているのじゃないかと思います。 それからなお、ついでで恐縮でございますが、先ほど先生お話しございました信越郵政局の文書課長は、先生おっしゃいましたように西村という方でございます。
○林(百)委員 あなたより私の方が詳しい事情を知っているのだから、あなた、調べるのはあたりまえでしょう。あなた、課長の名前も知らないじゃないですか。全国で一万八千七百八十七局、信越郵政局では九百六十二局。もしいま言った課長、副課長、課長代理・主事等除いて、局長だけが割り当ての二万円を出せば、信越郵政局管内では千九百二十四万円、全国では一万八千七百八十七局がありますから、これに二万円掛けると三億七千五百七十四万円。もう選挙費用は楽々出てくるのですよ。しかもこれは局長だけで、さらに割り当毎課長、副課長、課長代理に約二万七千円来ていますから、三億七千五百七十四万円の倍だというと七億五千万の金が割り当てられているということになるのですよ。 これを個人的な行為だから調べもしませんなんて、あなた、そんなこと言っていられますか。地位を利用して七億近くの金をいま岡野裕に集めようとしておるときに、そういう膨大な金額がもし部内で行われているとすれば、大変でしょう。だから、少なくとも信越郵政局の方へ、国会でこういうことが問題になったけれども、事実はどうなんだということを調べるくらい、いいじゃないですか。もしこれが事実だとすれば、あなた、どうするのですか。
○白井説明員 郵政省が省としての立場でそのようなことをやったというふうには、とても私、信じられないわけでございます。せっかく先生のお話でございますので、郵政局にそのようなことがあったのかどうかということを聞いてみたいと思います。
○林(百)委員 事は重要ですからね。調べて、もし事実でないなら、ないでいいじゃないですか。もし事実だとすれば、直ちにこういうことをやめさせなければいけないし、場合によっては刑事責任を負わなければならないことになりますからね。地位利用の選挙運動になりますから、ことに金を割り当てて出させるなんということは。 そこで次に、「昨年、局長会議を行ってその報告があったけれども、文書課長から、岡野氏を国会に推薦する理由は次のとおりだ。大蔵省、通産省出身の国会議員は二十数名もいるが、郵政省出身者は少ないので、郵政省の政治的力量を高めるために、管理者が一体となって努力してほしい。そのために当面次の行動を起こすような指示がなされました。」こうなっているのですよ。実際になければ、こんなことをあなた、局長の下にいる、しかも課長の補佐程度の者がこんなことを言えるはずないですよ。大蔵省、通産省出身の国会議員は二十数名いるが、郵政省出身は少ないから、どうしても郵政省出身の議員を出さなければいけないのだ、そのために岡野裕のために力をかせよ、こう文書課長が局長会議で言ったというのですよ。だから、私の言うことが真実味を帯びているか、あなたが知らないということが真実味を帯びているか、これは聞いている人はわかると思うのですよ。こんなこと、ないことが書けるはずないですよ。 では次に、具体的な事態を申しますと、「そのためにはまず第一に岡野氏のイメージアップを図るようにする。管理者たちの自主的な組織をつくって、早く確立して活動を始める。退職したOB対策に取り組んで組織をつくり活動してもらう。特にOB対策には相当の公金が流れているということもあるから、OB対策については十分取り組んで組織づくりを早くするようにしろ、」こういうように書いてあるわけですね。もっとも公金が流れているというのは、本人は自分がその公金を扱ったわけじゃありませんから、「公金が流れているとのうわさを耳にしています。」これはそう書いてあります。ただし、特にOB対策には相当の公金が流れているとのうわさを耳にしている、こんなうわさが部内で広がっているということになると、これは重大な問題なんで、これもあわせて、文書課長が昨年の局長会議でこういうことを言ったかどうかを国会で問われたが、事実はどうかということをぜひ調査してもらいたいと思うのですね。どうですか。
○白井説明員 局長会議で文書課長がそのようなお話をしたということでございますけれども、ちょっと私、そういうことが果たしてあるのか、いまだに信じられないわけでございますけれども、きょうの先生の御質疑を全体といたしまして信越郵政局の方に、こういう御質疑があったということを伝えたいと思っております。
○林(百)委員 ただ伝えるだけじゃ……。あったかどうか。もしあるとすればその責任を追及し、そういう事態を早く差しとめるように、場合によっては選挙違反で捜査の手が伸びるということも考えられますからね。 それから、こういうことを言っているというのですね。さらに文書課長は、岡野氏のために「ことしの一月の局長会議では、文書課長から次のことが指示されたという報告が局長からありました。一、選挙法の改正はないので従来どおりの取り組みを行うように。五十八年度の岡野対策は新人だけにきわめて苦しいから、いまからがんばるように。五十五年のときは」、これはあなた知っていますか、だれが出たか。何票取ったか、郵政省出身の官僚で。
○白井説明員 いま参議院に所属しておられる先生が選挙に立候補されておったと思います。
○林(百)委員 現在参議院に当選している郵政省出身の官僚で、昭和五十五年に立候補した人の名前を知っているかというのですよ。
○白井説明員 存じております。
○林(百)委員 何という名前の人で、どういう役をしていたのですか。
○白井説明員 具体的な氏名をここで申し上げるのは適当かどうかと思いまして、先ほどのような言い方をさしていただきましたけれども、どういう仕事をなさっていたかというお尋ねでございますが、その前も参議院議員でおられた方だと思います。
○林(百)委員 あなた、そんなとぼけちゃだめですよ。郵政省の事務次官やった人ですよ。長田裕二君て知っているでしょう、あなた。あなた、こんなことも知らなくて私の質問に答える資格ないですよ。私はこの人の票も計算してきたし、信越郵政局の文書課長は票の割り当てまでしておりますから、それを各特定局へ割り当てれば何票出るかという計算を私の方でしているのですよ。私の方が十分に調査しているのに、あなたは、前に郵政省から出ていま参議院議員になっている人、その人の名前も言えないとか、あるいはその人がどういう職にあったかも言えないのですか、知らないのですか、どっちですか。あなた、長田裕二という人の名前は知っておりますか、先輩として。
○白井説明員 存じております。
○林(百)委員 存じておるなら、その人はやめるとき、最後にはどういう役職についてやめたのですか。
○白井説明員 郵政事務次官を最後に退官されました。
○林(百)委員 あなた、私が言うと後ついてだんだん出してくるんじゃだめですよ。あなた、自分の省のことですからね。 それで、「ことしの一月の局長会議で文書課長から次のような指示が出されている。第一に、」さっき言ったように、「選挙法の改正がないので従来どおりの取り組みを行うように。五十八年の対策は岡野君が新人であるからきわめて苦しいからいまからがんばるように。五十五年のときは信越が全国で六位の成績だったから前回以上に努力してほしい。第二は、OB対策を徹底するように。特に普通局管理者は特定局長と連携をよくとって万全の態勢をつくること。三は、現在水面下で活動している後援会活動は三月を目途に表面へ出ろ。前回は一人二十五票の目標であったけれども、五十八年は厳しいので下限を三十票でスタートするように。」こういう指示をことしの一月の局長会議で西村文書課長が指示した。ことしの一月の局長会議に文書課長はこういう指示をしたかどうか。票の割り当てまでしているのですね。この前は一人二十五票だったが、今度は新人で苦しいから最低限度三十票にしろ、こういうことを言っているのです。これもここであなた、そういうことがありましたとはまさか、言えるかどうか知りませんけれども、これもついでに調査する必要があると思うのですよ。こういうことを内部で言っているのですから、これは間違いないと思う。二十五票、三十票というのは、聞かない者がこんな数字が出てくるはずがないのですよ。どうお考えになります。
○白井説明員 先ほどお答え申し上げましたように、本日の当委員会で先生のいろいろ御指摘がございましたことにつきましては、全体として郵政局の方に伝えまして、そのような事実があったかどうかを聞いてみたいとは思っておりますが、局長会議の席で文書課長からそういう話があったというふうには、私どもとても信じられないというような状況でございます。
○林(百)委員 信じられないことが行われているから、だから内部からこういう告発が私のところに来るわけですよ。 しかも、この「岡野裕氏は五十六年」、これは多分本省の人事局長をやめてからだと思いますが、「長野県下に来て各地で激励会が開かれ、会の主催は特定局長会ということになっていたが、郵政局の幹部も出席し、われわれも動員されて、さながら選挙運動でした、」こういうことになっているわけですね。だから、あなたは先ほど岡野氏は現在全国特定郵便局長会の顧問だと言っておりますが、これは十分考えられることであって、「昨年長野県に来たときに各地で激励会を開いた、主催は特定局長会がやった、郵政局幹部も出席し、われわれも動員され、さながら選挙運動の演説会のようだった、」こう書いてあるのです。 そこで聞きますが、特定郵便局長ならあるいは特定郵便局長会ならこういうことができるのですか。特定の人の選挙運動ができますか。
○金光説明員 特定郵便局長も一般職の国家公務員ということでございますので、国家公務員法百二条あるいは人事院規則一四−七に定められておりますいわゆる政治的行為というようなことは禁止をされているわけでございます。
○林(百)委員 「特定局長会に歩調を合わせて各地に普通局の管理者たちの自主的な会を組織しろ」ということで、普通局の管理職も、後援会ですか、自主的な会を岡野氏のために組織して、これから選挙運動をそこを通じてやっていくのだというようになっておる。それから、「文書課長からのその後の指示は、普通局、特定局を通じて局長に、管理職は三月中に自宅へ帰って、自宅でなくてよそで局長の任務に従っている者もありますから、必ず三月中には一度自宅へ帰って後援者の住所、氏名、電話番号などを整理して提出するよう指示してきた、こういうことを私は自分の局の局長から聞きました、」こういうことも言っておるわけですね。だから、もう具体的に票読みをしろ。特定局長は恐らくその土地の人がなっておると思いますが、普通局の局長はやはり転勤だとかいろいろありますから、家族を置いてよそへ行っているということはあると思うのです。そういう人は、自分の家族のいるところへ帰って、そして後援者の住所、氏名、電話番号などを整理して提出するようにという指示があった。「いろいろの印刷物や新聞が配布されておりますが、近いうちに後援会加入者カードが強制的に配布され、強制割り当てによる後援者の加入活動が強要されると聞いております。」いろいろの岡野氏に関する印刷物や新聞が配布されている、こう書いてありますが、あなた方はこれを見たことがありますか。
○白井説明員 私は見たことはございません。
○林(百)委員 では、ちょっと現物を見せたいと思います。いいですか。
○羽田野委員長 はい。
○林(百)委員 では現物を見せます。 ここに「逓信新報」というのがありまして、十一月一日号で、半面全部を新珠三千代さんと岡野裕さんとの対談にして、岡野さんの方は全国特定郵便局長会顧問、元郵政省人事局長という名で、写真入りでこういうものを刷って、これは「逓信新報」で配っているわけなんです。配らなければ、こんなものは手に入るはずがありません。あなた、見てください。だから、今度は調べるとき、こういうものが配られているそうだがどうかと言って——この新聞は御存じですか。
○白井説明員 新聞の名前は存じておりますが、この紙面は初めて拝見いたします。
○林(百)委員 それじゃ、あなたに聞きますが、この「逓信新報」というのはどういう新聞ですか。
○白井説明員 どういう新聞かと、ちょっと正確な表現が思い当たりませんが、俗に業界紙と言われているもののうちの一つに入ろうかと思います。
○林(百)委員 わかりました。 こういう新珠三千代さんと岡野氏との談話が半面全部に書いて、これがずっと配られている。 それから「“小さな巨人”岡野裕」ということで、「訓練生・OB」とありますが、これは長野県の郵政局人事部管理課長を昭和三十六年から三十八年までやりましたが、当時の労務管理訓練生に思い出を語らせて、これを写真入りで長野県版として長野県に配っていますが、これもちょっと見てください。とにかくこういうパンフレットが長野県の特定郵便局長あるいは普通郵便局の局長、管理職に配られているということがこの内部告発にありますので、あなたがお調べになるならば、これも何なら私の方でリコピーしてあなたにあげますから、参考にこのことも聞いてください。 それから、ここにもう一つ、今度は全国版です。いまのは長野版ですが、今度は全国版で、九州の郵政局長をしている時代あるいは本省の人事局長をしている時代に各機関誌や雑誌等に寄稿した随筆集があるのです。「「ふみ」の周辺——若き日の書簡から——」「随想 むそじの花嫁とはたちの仲人 岡野裕」、これは全部配られているのです。これも見てください。
○白井説明員 このうちの一部につきましては、何かの雑誌に岡野さんが寄稿されて、雑誌に載ったことがあったような記憶がございますが、全部覚えているというわけじゃございません。
○林(百)委員 私の言おうとするところは、ここに人事局長名で書かれた記事、それから九州郵政局長名で書かれたこんな大きな写真入りのが、これは配らなくてこんなものが管理職の手に入るはずがないですよ。あなたはさっきから、そんなことをやっているとは信じられないと言いますが、信越郵政局では、文書課長を通じて局長や特定局長あるいは局長に準ずる課長や課長補佐にこういうものが配られているのですよ。だから、これ手に入っているのです。ところが、あなたは知らないと言っている。あなたのところへは来なかったかもしれませんが、これも、これも、この新聞も。だから、私の言うことが、ありそうだ、真実味があると思うか、あるいはそんなことが郵政省内では行われないと思いますとあなたが言うことに真実味があるか、これだけ私が申し上げればおわかりだと思うのですよ。だから、これは十分調査をなさる必要があるのじゃないかと思うわけです。 そこで、割り当て三十票とあるので私の方で念のために調べてみましたら、前の長田裕二さん、あなたの言う事務次官が当選したときが百三万票です。いまこの三十票の割り当て、それぞれの特定郵便局長あるいは普通郵便局長が後援会をつくって、三十票の割り当てをしろ。郵便局の局長だけでも三十票割り当てすれば五十六万になるんですね。この倍になればこの前の当選票になるわけですよ。だからこういう票を割り当ててきている。これもこの前の長田さんの票と比べてみれば、自分のほかに自分の奥さんが一票入れれば、郵便局の数が一万八千七百八十七局ですか、それに三十票掛ければ約五十六万になる、それに奥さんの票を入れればもう百三万票になるんですよ。だからどうしても郵政省の内部を固めて、そこで一票ずつ取れば、資金もそこでみんなから出せば、これは岡野氏の当選は間違いないということを踏んで選挙運動がいまから行われているということは、これは間違いないというように思うわけです。 そこで、さらに進めていきますけれども、この内部告発をした人の言うには、さっきあなたも答弁されましたが、「特定局長も公務員でありながら各会議のたびに選挙対策の協議を行っています。」これも詳しく言えば、特定郵便局長業務推進連絡会規程というものがあって、業務のための推進連絡会を開くことは、これは組織規程にあるわけです。しかし、これが選挙運動を始めちゃったんじゃ、これは本来の推進会にならないわけですね。ところが、そういう運用がされている。何かこれはおたくの方の特定郵便局長業務推進連絡会規程に基づく連絡会なのか。あるいはもうそれが開かれるたびに選挙のことが出ちゃって、選挙とミックスした会議だかわからないような状態になっている。特定局長会議がけじめがなくなっている。そういうことを本人が言っているわけですよ。 あなたは信越郵政局管内の特定局長会議に出たことがありますか。
○白井説明員 他の郵政局管内の特定郵便局長会議などには出席したことがございますが、信越管内の会議に出席した経験はございません。
○林(百)委員 「信越郵政局の管内の特定局長会議では、特定局長も公務員でありながら各会議のたびに選挙対策の協議を行っています。文書課長が選挙の責任者となって特定局長のみでなく、普通局管理者まで含めた企業ぐるみの選挙活動を指示していることに私は強い憤りを覚えます。行政改革が叫ばれているこの重大なときに禁じられている政治活動を公然とやらされる弱い管理者、従わなければ身分を守ることができないといって追従している意気地のない私ですが、どうかこんな違法行為は根絶するよう国会で確約をさせてください。」こう書いてあるわけです。 公務員の、ことに管理職の下の方にいる人のことを考えると、自分の家族もありますしいろいろありますから、あれやこれや考えて、いかにも無理なことを言ってくるではないかと思っても、資金の割り当てがあればその資金を出すとか、あるいは配布しろと言われれば文書を配布するとか、岡野氏へ投票する投票者のカードを出すと言えばそれはやらざるを得ない、あなた方みたいなエリート、上部にいる方々はどうか知りませんが、下の公務員というのはそういう気持ちだと私は思うのです。 そこへつけ込んで信越郵政局の文書課長あたりがいろいろの指示をするということは、先ほど自治省の選挙課長も言われましたように、そういう巨大な組織を持って、その組織の地位を利用して、これは法務大臣も答えられましたけれども、本来国民に奉仕すべき公務員も部内のそういう圧力に屈していってしまう、主権者が国民であるというための公正な選挙が行われなくなる、だから罰則までつけて公務員の地位利用の禁止の規定ができていると私は思いますので、郵政省のためにもぜひこれをはっきりさせて、ここで私が言ったからそれはそのとおりでございますとまた言えるような性格のことでもありませんしするから、調べられると言いましたから十分調べて、いやしくもそういう非難を受けるような、あるいは下級な公務員が自分の本意でもなくして金を出したり、カードに投票してくれる人の名前を書かなければならないような人間性を抹殺するようなことが部内で行れないような、明るい郵政省にどうしてもしなければいけないと思いますので、ぜひ全力を尽くして、あなた、課長ですから、どういう権限があるか知りませんが、調べていただきたいと思います。 そこで、自治省の岩田さんにお聞きしますが、郵政省では調べると言っていますが、もし私が質問したようなことが行われているとすれば、百三十六条の二の地位利用の違反になるわけでありますか。
○岩田説明員 いろいろの事実関係をお示しになったわけでございますけれども、私どもの立場からしますと、そういったものがどういう形でその方のどういう職務権限に結びついておったかとか、どういう方がつくってどのような形で配布されたかといったような要件もございますので、軽々には御返事をいたしかねる次第でございます。御承知のとおり、自治省の場合、そういった違反行為の内容の一々について知る立場にありませんし、ただいま郵政省の方からもいろいろお話のあったことでございますので、仮定でそうしたらという御返事をいたしかねますので、その点はお許しいただきたいと存じます。
○林(百)委員 実際郵政省に勤めている人が私のところへ、こういう文書が配布されてきました、資金はこういうように割り当てになってきております、こう言っているわけです。だから、仮にこういう事実があったとしても、ここですぐ確定的な回答をしろとはあなたに言いませんけれども、私の言ったような事実があったとすれば、これはどうなるのですか。地位利用になりませんか。選挙課長にお尋ねします。
○岩田説明員 重ねてお答えすることになりますけれども、いまのお話の中でも、たとえばだれがつくった文書であるとか、ある公務員がある指示をした場合に、それがその方の持っているその権限に結びついてなされたかどうかといったようなことが地位利用のときには問題になろうと思います。それから、いまお挙げになりました資金という点になると、百三十六条の二各号列記の問題ではなくて、もし拠金をしたことについての問題があるとするならば、それはむしろ公務員法か何かの問題になるのではないかというような気もいたしますし、ただいまお挙げになっただけで仮定して御返事をすることはむずかしいように思います。
○林(百)委員 信越郵政局の文書課長から特定郵便局の局長あるいは普通郵便局の局長あるいは職制を通じてこういうものが流れてきております、それを私が手に入れたものですと言っているのです。これは事実調べてみなければならないと思います。私もあなたにここですぐ確定的な返事をしろとは言いませんが、そうだとすればどうなるのですか。その信越郵政局の文書課長の行為は地位利用になりませんか。
○岩田説明員 重ねてお答えを申し上げますが、先ほどからの御質問を伺いました範囲内で、ある郵政局の課長が管下の郵便局、特定局に対してある範囲での権限を持っているということのお話はあったわけでございますけれども、その権限が挙げられたようなタイプの行為の行使に結びついて行われたかどうかという問題もあるわけでございまして、ちょっとお答えいたしかねます。いずれにせよ、このことは、お名前をもお挙げになりました特定の人の行動に関することであり、さらに、当該官庁であります郵政省におかれましてもあったとは信じられないと言っておられるお話でございますので、そのことを前提にして仮定でお話し申し上げるのはいかがかと思いますので、その点はお許しいただきとう存じます。
○林(百)委員 そうすると、資金の割り当てを上の方から言う、あるいは文書の配布をする、あるいは票読みをしろというようなことが、信越郵政局のトップクラスの官僚からどういう形で行われたとすれば地位利用になりますか。
○岩田説明員 まず、信越郵政局という部分は除いていただきまして、前段御指摘がありましたように公職選挙法百三十六条の二に当たるかという場合、特にその二項だろうと思いますけれども、その場合には、まず二項各号に列記してあります事項、たとえば投票の周旋勧誘であるとか、そういった事項に当たることが必要だと思います。そういったような行為がその人の持っている地位、権限に直接関連して行われましたとき、たとえば許認可の権限を有する者が許認可の権限に関して第三者に対しましてそういう指示をした場合というような場合には、この百三十六条の二の二項の問題が出てこようかと思います。
○林(百)委員 警察庁にお尋ねしますが、私の申し上げたようなことが、一方ではこういう内部告発があって出てきておりますし、それで金員にしても約七億円近くの金が集まることになりますし、それから票にしても約五十六万票の票が本人だけでも集まるというような、こういう事前運動がいま行われているというような嫌疑があるわけですね。これは本人の内部告発ですから、これが確定的だとは私も言いません。しかし、内部からこういうものが出されてきているということは、そういうことが行われておる疑いを持たれることもあると思いますので、一応関心を持たれて、そして調査をなさるなら調査をなさる、それで郵政省に勧告すべきことがあれば勧告をする、そういうことを私は警察庁に望みたいと思いますが、どうでしょうか。
○森広説明員 お答えします。 ただいまのお話、初めて伺っておるわけでございますが、お伺いしたところによりますと、いま先生のお話の根拠というのは一応投書であるということでございます。したがって、私が、これが犯罪になるかどうかは、必ずしもその投書の内容の真偽がわからないわけでございますので言えないわけですけれども、警察としては犯罪の容疑がある場合には捜査をいたします。しかしながら、いまのような選挙違反に関する投書というか、情報と申しますか、そういうものはいろいろあるわけでございまして、そういうものとともに私どもの関心の一つであることはございます。したがいまして、そういう私どもの行っております選挙取り締まりの仕事の一つの参考にさせていただきたい、かように思います。
○林(百)委員 時間が参りましたので、参考にして、一応きょうここで問答がありましたようなことについては関心を持って、まあ私は犯罪の嫌疑を持って捜査しろとまではここで言いません。それはお互いに、内部からこういう告発があり、それで郵政省の方はまだ聞いておりません、調べはいたしますということです。しかし、警察としても関心を持って、それで捜査とまではいかないにしても、いろいろと取り調べられる、あるいは調査をするということはおやりになりますか。
○森広説明員 投書があったからといって、すぐ対象に取り上げられている人物を取り調べるというようなことは考えておりません。しかしながら、先ほどもお答えいたしましたように、いろいろな情報の中の一つとして関心を持つということだけはお答えを申し上げます。
○林(百)委員 それじゃ、これで終わりますが、大臣、いま申しましたようなこういう内部告発があり、これだけの分量の資料もあり、そして本人がそういう指示を受けなければ言えないようなことが言われておる。しかももうこれと同じタイプのことが厚生省の舘山前審議官の運動でも行われて、それでこれは厚生省では次官ら四人を行政処分もしているわけなんですが、こういうことが各官庁で行われ、そして各官庁が議員を参議院に送り込んで、政治と役所とが結びついて、そしてお互いに役所の権限を国会で擁護するというような事態が起きれば、これは行政改革など木によって魚を求むるようなことになるわけでございますので、どうか閣議があった際には中曽根君とも話をして、こういう各官庁の来年の参議院選に沿ってすでに事前運動が行われておるようなことが国会の審議でも、法務委員会の審議でも行われたということを言っていただいて、そして公務員の規律を厳正にするようにということを、舘山君のこともありますので、そういうことをひとつ閣議の際にあなたからも言っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○坂田国務大臣 鈴木総理大臣も常に閣議におきまして、公務員の綱紀の粛正ということはかねがね言っておられるわけでございます。私といたしまして、法秩序を維持するという立場から申すならば、その総理の考え方も私の考えと同じでございます。いろいろどういうふうにして言うか言わぬか、これはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○林(百)委員 それじゃ大臣、こういう問題があったということを意にとめておいて、そして適当なときには、改めてこういうことについての論議が交わされているということについて適切な方法で、閣僚がそれぞれ心してもらうようなそういう方法を講じてもらいたい、閣議であなたが発言するしないは別としても、そういう方法を講じてもらいたいと思いますが、それはどうでしょうか。
○坂田国務大臣 その点は私にお任せをいただきたいと思います。
○林(百)委員 それじゃ、終わります。
○羽田野委員長 安藤巖君。
○安藤委員 まず最初に、法務省にお尋ねしたいのですが、いまここに私が持ってきておりますのが、ことしの二月二十六日、最高裁判所で上告棄却の決定が出た薬事法違反被告事件、その決定文です。これは一審が山口地方裁判所徳山支部、二審が広島高等裁判所第一部で、それぞれ被告人に対して薬事法違反被告事件で有罪の判決が出て、これで有罪が確定したわけですが、被告人の氏名は塚原利昌、そして住居が福岡市東区郷口町十四の九、株式会社世界のしあわせ九州箱崎寮、こういうふうになっているのですが、この事件の内容というのはどういうようなものだったのでしょうか。
○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘の事件でございますが、塚原という人が五十三年の二月から七月までの間におきまして、山口県の徳山市内で高麗ニンジン濃縮液の瓶入りのものを販売した、こういう事案でございまして、それが薬事法の二条一項に言う医薬品に当たるということで、同法違反ということで、ただいま御引用がありましたような経過で最高裁で有罪の判決が確定しているというふうに承知しております。
○安藤委員 簡単明瞭に説明をされたんですが、中身は高麗ニンジン濃縮液を高血圧、神経痛、肝臓、便秘等に効くというふうに説明をして売ったというのが薬事法に違反する、判決文を見ますとこういう内容になっておるわけです。いま私が言うた内容の高麗ニンジン濃縮液をいま言ったような、ほかにもいろいろ言うておるのかもしれませんが、そのようなことを言うて薬効があるというふうに言って説明をして売ったというようなことについて、薬事法違反でほかにも捜査をしておられる事件があるのかどうか、これは警察の方へお尋ねしたいんです。 そして、起訴になって公判中の事案があるかどうか、これもお尋ねしたいと思います。これは法務省にお尋ねいたします。
○中島説明員 お答えを申し上げます。 警察庁におきまして五十六年中に薬事法の違反として検挙したものが三百九十六件、四百十三名ございます。この中に医薬品の無許可販売に係る事件が百六十七件、百七十六名あるわけでございますが、そのどういう品物について薬事法違反として検挙したかという内容については統計をとっておりませんので、ちょっとわかりかねます。また、現在報告を受けておる事件はございません。
○前田(宏)政府委員 私の方でもいわゆる薬事法違反事件の詳しい報告を実はとっておりませんので、ただいまの警察庁のお答えと同じようなことになるわけでございまして、いま警察の方から検挙数の御報告がございましたから、その数だけの事件は当然検察庁に送られていると思うわけでございますけれども、内容的にもよく存じておりませんし、処分結果等もそういう報告を特にとっておりませんので、現在は把握していないわけでございます。 なお、若干いままでに似たようなケースで起訴されて有罪になった事例があるということは聞いておりますが、それも全体的に把握しているわけではございません。
○安藤委員 ところで、この被告人の住所、先ほど私が読み上げましたけれども、株式会社世界のしあわせ九州箱崎寮とあるのですが、この世界のしあわせというのはどういうような団体かということは、警察の方で把握しておりますか。
○中島説明員 私の所管している限りにおきましては、この問題について承知いたしておりません。
○安藤委員 法務省。
○前田(宏)政府委員 率直に申しまして、存じておりません。
○安藤委員 こういうところは関心がないのかね。恐らくこれは警察の方でも刑事局の方でも把握しておられるんじゃないかと思いますし、把握しておられなかったらおかしいんじゃないかと思うのです。 それでは、私の方から言いますが、この株式会社世界のしあわせというのが東京都渋谷区神南一丁目十九番地の十号、この被告人の住所は、その世界のしあわせの九州箱崎寮ということなんですが、この世界のしあわせというのは、前は商号を幸世商事株式会社と言っておったわけです。そして現在は、この世界のしあわせというのもまた商号を変更して株式会社ハッピーワールド、こういうふうに変更しております。これは私がいまここに会社の登記簿謄本を持ってきておって、一目瞭然なんです。 もう一つ私がいまここに持ってきておりますのは、原理運動を憂慮する会、ここが編さんをした小冊子ですが、この原理運動を憂慮する会の代表世話人は村井資長さんとおっしゃって、東京都教育委員長、早稲田大学の前総長ですね。それから岸千年という人は日本聖書協会理事長、ルーテル神学大学元学長、それから評論家の青地農さん、この人が代表世話人になっている会ですが、この「原理運動を憂慮する」という題の小冊子には、「幸世商事(「世界のしあわせ」)」これが「原理・統一協会・勝共連合をとり巻く組織」というふうに指摘されておるわけです。 そして、この登記簿謄本によりますと、代表取締役が古田元男というのです。この人は週刊文春だったかな、雑誌にも出ておりますし、有名な人らしいのですが、いわゆる統一協会が過去に行いました集団結婚、あれで結婚をしたという幹部の一人ですね。だからこうなると、この被告人の住所というのは、まさに統一協会の関連企業の九州にある箱崎寮だ、こういうことになるわけなんですね。 そうしますと、この薬事法違反事件を起こした被告人は、もう明らかに統一協会の会員であるということがはっきりしてくると思うのですが、その辺のところはちっとも関心も持ちもしないし、調べもしなかったというのですか。これはやはり警察と刑事局、両方にお尋ねします。
○中島説明員 この事件は五十三年に起こった事件でございまして、その当時はファミリー商事の社員ということで事件を処理いたしておるようでございます。背景に統一協会ということがございまして、組織的な事件だという観点から、わりかた重点的に事件の捜査はしたと聞いておりますが、その後の詳細の問題については、いまのところ私、はっきり承知いたしておりません。
○前田(宏)政府委員 詳細には存じておりませんけれども、捜査の過程で御指摘のようないわゆる統一協会の関係者ではないかということも一応問題にされたようでございますけれども、その点は最終的には明確にならなかったというふうに承知しております。
○安藤委員 ファミリー商事の委託販売員として云々ということに、罪となるべき事実に記載されていることはそのとおりです。ところが、一審当時からもうすでに、住所は先ほど私が言うたところになっておるわけですね。そうしますと、警察庁の方は、背後に何か組織的なあれだというところまでは思ったけれども、それ以外は手をつけなかったということなんですが、法務省刑事局の方は統一協会云々というところまでいまおっしゃったのですが、それ以上さらに追及するというようなことがどうもなされなかった。 なぜ私がこれを問題にするかといいますと、これからそのことをいろいろお尋ねしようと思うのですが、全く組織的に、薬事法違反はもちろんのこと、おどしの商法、占い商法等々で、詐欺、恐喝もしくは訪問販売法違反とか、いろいろな違法行為に該当するのではないかと思われるようなことをやっておるわけです。だから、この一つの事件でそこまできちっと調査もしくは捜査もして、組織的な問題を根っこを断ち切るところまでやってほしかったと思うし、これからやってほしいというふうに強く希望いたしますので、そういうことをお尋ねするわけなんです。 そこで、いま私が言いましたおどしの商法について、これから具体的にいろいろお尋ねをしようと思うのです。これは昨年の九月二日の読売新聞ですが、「占いブームに便乗して数百万円の高価なツボや印鑑を売りつける怪しげな商法が、首都圏を中心に横行している。」ということで、相当大きな記事になっておりますね。 こういう手口なんです。東京都杉並区の主婦A子さんのところへセールスマンが五月の末に来た。二十二、三歳の女性が印鑑の販売だと訪ねてきて、奥さん、ちょっと手相を見せてくださいと切り出した。そして、あら、胃腸が悪いでしょ、こういう言い方をする。それからすぐ、話をしているうちにもう一人男性が入ってきて、ともども座敷に上がり込んで、お宅はがんの家系だね、このままじゃ息子さんは一生うだつが上がらない、お嬢ちゃん、お嫁に行くのが遅くなりますなと、延々と二時間も悪い御託宣をやって、とうとうA子さんに三個十六万五千四百円で印鑑を買わしてしまった、こういう事実があるのです。 もう一つは、埼玉県川口市のB子さんの場合、女性セールスマン二人。それで、B子さんはちょうど妊娠中。やはり手相を見て、御主人が近く交通事故で亡くなる、生まれてくるお子さんの運勢もよくない、こういうことを言って、結局不安になったB子さんは、四十万の象牙の印鑑を買うことになってしまった。現金の持ち合わせばなかったが、セールスマンは言葉巧みにB子さんから預金通帳を借りると銀行へおろしに行って、この四十万円をお預かりしますというふうに買わしてしまった。 ここでも、この占い商法はセールスマンの独走ではなく、組織ぐるみの疑いが強いというふうに指摘されているのですが、こういうようなことが行われているということは警察庁は知っておりますか。
○本多説明員 新聞等で御指摘のような事実の報道がございまして、先ほど御指摘になりました九月二日の新聞記事でございますけれども、この事実につきましては確認するに至っておりませんが、新聞報道がされた当時に、関係県におきましてそういう事実の有無について調査したことがございます。
○安藤委員 確認されていないというのですが、これはその気になったら幾らでも確認できるのじゃないかと思うのです。これは刑法上何か犯罪に該当するというようなことはないのでしょうか。
○本多説明員 先ほど申し上げましたように、関係県で調査いたしましたときに、こういう事案がある種の犯罪に該当するのではないか、たとえば詐欺等でございますが、ということにつきまして検討いたしました。この新聞に出ておりますものに該当する事実であるかどうかはわかりませんけれども、何件かのそういう相談もございまして、それにつきまして調査いたしましたところ、直ちに詐欺罪に該当するというふうに認めがたい状況でございました。また、訪問販売につきましても、書面交付の義務等を履行されておるという事実もございまして、犯罪に該当するという認定をするには至っておらない状況でございます。
○安藤委員 いまおっしゃったのは、私がいま言うたこの二つの具体的な事案について、詐欺に該当しないということでそのままにしてある、こういうことなんですか。
○本多説明員 この二つの事案であるかどうかという確認はとれませんでしたけれども、数件につきまして調べましたところ、その数件につきましてはいま申し上げましたような状態でございました。
○安藤委員 たとえば私がいま言うた二つ目のことで、これは新聞の記事ですが、これが事実だとすると、詐欺も詐欺だろうと思うし、恐喝にもなるのじゃないかと思うのです。御主人が近く交通事故で亡くなると言うのですよ。あなたのだんなさんは近いうちに交通事故で死にますよと言っているのですよ。そして高い印鑑を売りつけてもうけている。これはまさに、人を脅迫して不当に財産の利得を得たということになるのじゃないですか。いま私が言うた事実関係からして、こういうような場合、そういうふうには考えられないのでしょうか。
○本多説明員 犯罪構成要件の適用につきましては、具体的な事実について当てはめまして、微妙な問題もございますので、個々具体的に判断をしなければ、御想定の問題につきましてここで右、左の断定はいたしかねると思います。
○安藤委員 時間がないから事例一つ一つについてはお尋ねしませんが、こういうような事例がまだ幾つもあるのです。そのうちからピックアップしてここで説明をさせていただいて、刑事局あるいは警察の方がどういう考えを持っているのか、その結果についてはどうだったかということをお尋ねしたいと思うのです。 もう一つは石川県で行われたのですが、これも読売新聞の石川版に載っているのです。 悪運を払うなどと言って、高価なつぼを売りつける怪しげな商法が首都圏で横行しているが、石川県内でも同じようなことが行われているというようなことで、これは金沢市内のデパート店員のA子さんのところへ二十四、五歳の女性が——これは女性が多いのですが、訪ねてきて、姓名判断をやって高麗ニンジン茶のエキスを売ろうとしたが、断られた。それから一週間後に訪ねてきて、とうとう売りつけた。それは分割払いだった。分割払い金の集金がてらに訪れてきて、印鑑とつぼは幸運を呼ぶからと言って七万円余の印鑑を買わせた。それから、そのA子さんの弟のBさんのところへも出入りして、印鑑をつくらないと元気なA子さんやBさんにも不幸が降りかかるような兆しがあるとおどし文句を並べて、結局この弟のBさんにも十万五千円の印鑑を購入させた、こういう事例ですね。 それから、これは一昨年の話ですが、鳥取県でも、同じようにまずニンジン茶を売って、効かないようだというふうに後日答えると、健康にもっと効果のあるつぼを売っていると言って、そのつぼを売っている展示会へ連れていって、そこで、あなたのところは家相が悪い、手相も悪い、このままでは長男が不幸になるというようなことを言って、百二十万円で大理石のつぼを買わせた。しかも、そのつぼの値段は、専門家の鑑定では数万円程度だったというような事実があるわけです。 それから、これも一昨年の十月のことですが、これは鳥取県の東伯郡の三朝町です。販売員に車であるところへ連れていかれて、スライドを見せられて姓名判断をされて、人生の転換期にある、用心しなければならない、夫が酒でしくじる相が出ていると言って七時間も軟禁状態で帰さずにおいて、そして最終的に八十万円のつぼを契約して売った、こういったようなことです。これがしきりに行われているのです。 まず、通産省にお尋ねしますけれども、これはごく一部です。本当に氷山の一角だと思うのですが、こういうような訪問販売の仕方、これは何とかチェックしてやめさせるということは、通産省の方では何か対応しておられるのでしょうか。
○牧野説明員 私どもに消費者相談室というのがございまして、ここに訪問販売に絡まるトラブルがいろいろ寄せられております。御指摘の件は私ども承知しておりませんが、いまありましたような、つぼ、印鑑その他の問題についても、これは大して多くはありませんが、相談を寄せらる方がございます。その場合には、訪問販売法違反かどうかということは別といたしまして、一応消費者の相談に応じているということでございます。
○安藤委員 相談に応じているというのはいいのですが、東京都の消費生活センターなんかにも相当たくさんの、一年に三けたの相談が来ているというようなことです。全くキャッチしていないというのもおかしいと思うのですが、こういうような訪問販売の仕方というのは黙って見ているわけにいかぬと思うのです。だから、何とかこれを食いとめる。もちろん消費者の方にもそういう被害にかからないようにというような宣伝あるいは啓蒙ということも必要だろうと思うのですが、訪問販売する方の組織、協会とか何かというのがあろうかと思うのです。もちろんこの人たちが入っているのかどうかもわかりませんが、そういうところを通じてでも、そういう売り込みに乗せられないようにというような手段方法を何かとっておられるということはないのですか。
○牧野説明員 いま御指摘のとおり、訪問販売協会という社団法人がございます。私どもといたしましては、訪問販売をできるだけスムーズに進めるように、消費者トラブルをできるだけ少なくするようにするために、たとえば訪問販売員に対しましては登録制度を、これは協会が、民間が自主的にやっておるわけでございますが、こういった登録制度を実施する。あるいは私ども自体といたしましても、広報、啓蒙、啓発、これは昨年度はやはり百五十万枚ぐらいのチラシを刷りまして各都道府県の消費センター等にこれを配布いたしまして、啓発活動に努めたところでございます。
○安藤委員 具体的にいろいろ申し出があったときは相談に応じて処理しているというお話ですが、先ほど来私が申し上げているような、軟禁状態にしておったとか、まさに詐欺まがいのことをやって売りつけるとか、あるいは恐喝まがいのことをやって売りつけるとかというような場合は、どういうふうにしておられるのですか。
○牧野説明員 私どもといたしましては、問題が持ち込まれた場合、悪質というか、非常に深刻な問題であるというような場合には、当該企業を個別に指導あるいは改善方を勧告するというようなことも、これはケース・バイ・ケースではありますけれども、検討いたしたいと思っております。
○安藤委員 そういうような事例をキャッチしたときには、もちろん事案の内容にもよりますけれども、警察の方へ通報して取り締まりを依頼するとか、そういうようなことは考えないわけですか。
○牧野説明員 もちろん、問題によりましてはそういうこともあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、具体的な事案によりまして、従来からも警察当局とはいろいろ連絡はいたしております。
○安藤委員 いま私は、高麗ニンジン濃縮液、印鑑、大理石、これの販売の問題についていろいろ事例を挙げたのですが、こういうふうに品目を限って、この品物についてはこういうような売り込みの仕方が行われているからといって啓発をするなり、業界に対して指導監督といいますか、そういうことをするとか、そういうようなことは考えられたことはないのですか。
○牧野説明員 率直に申しまして、私どもの受けております相談、昨年度をとりましても、御指摘の高麗ニンジンでございますとか印鑑でございますとかいうクレームは、比率としては非常に少のうございます。具体的な問題がある業種につきまして、精力的にそれを取り上げるかどうかという御質問かと思いますが、これは問題ごとに検討いたしたいと思います。
○安藤委員 いままで具体的な事例についていろいろお尋ねをしてきたのですが、どうも警察あるいは刑事局の方も、まあ、もちろん個々のケース・バイ・ケースだと言ってはっきりしたことは言われないのですが、基本的なこういう統一協会の強引な売り込みに対して強く警戒心を持っていただく、そして厳しく臨んでいただきたいという趣旨で、いま私が具体例を紹介したようなことをやって、これは売り込むためのテキストがあるのですよ。そのテキストを全部紹介する時間がありませんが、紹介をして、厳しく臨んでいただきたいということを申し上げたいと思うのです。 まずここに、「天運吉相印鑑」こう書いたパンフレットがあります。これに寺島貴美子というふうに、これは手で書いてあるのですが、この人は統一協会の会員であるということは、私どもの調査ではっきりしておるのですが、後からもこれは出てくるのです。この二ページ目というのですか、天運吉相印鑑、結局幸運の方の印鑑と凶運凶相印鑑、その二つが並べてあって、こっちは幸運を招くけれども、こっちは凶運を招く、引き起こすというような書き方がしてあるのです。これが一つの種本です。 それから「印鑑のトーク」、トークというのはこれは話というのですか、トーキングのトーク。これは元統一協会員であった人、この人はいまそれと関係を断ち切っておりますが、その人から手に入れたものですが、「アプローチ」というのが最初にあって、後からずっと言いますけれども、こういうふうにちゃんとテキストがあるのです。まず、「ごめん下さい。お早ようございます。」これはいいですね。それから、途中は省略しますけれども、「とにかく最初はほめる」ということがちゃんと書いてあって、「奥さん随分いい骨相をしておられますネ。」こういうことを言うわけです。それから次に「一つ気になるところをえんきょくに言う。」「でも四十代に入ったら少しお体の方、お気をつけになったらいいですね。」と、こういう調子で言葉まで書いてあるのですよ。 それから「手相に入る。」「もしかしたら健康線が弱いんじゃないですか。ちょっと右手を見せていただけますか。」こういう調子ですね。こういう手口でいままで挙げた事例が成功されていると思うのです。そこで手相を見て、「ここでもまずほめる。」「ずいぶんいい手相をしていらっしゃいますね。」ということを言って、「また少し心配な点を指摘する。」「ただ、ここのところだけは注意したらいいですね。三十七、八歳くらいですかね、多分病気かケガを意味していますね。」と手相で言うわけですね。 それから「姓名判断に入る。」「奥さん、この健康線と家庭線のところ、もしかしたら名前が悪いんじゃないですか。」という言い方で、「御自分の名前が何画か数えたことがありますか。」というようなことを言って姓名判断をして、「一番力を入れてやる。」ということで、「過去のコトをあてるのは三つか四つ位でいい。未来のコトに重点をおけばはずれない。」ということまで書いてあるのです。それはそうだろうと思うのですね。 それから「結論として」、「そうですね。大分お名前で損しておられますね。やっぱり斜同格」、これは手相の中にあるのでしょうか、「斜同格や何かが出ていますからお世辞にも良いと言えないですね。」ということを言って、「少し開運をされたらどうですか?ちょっとこれからがむしろ心配ですね。」「特にいいづらいんですが、はっきり言って後家相が強く出ておりますね。」だんなさんに死に別れると、こういう言い方ですね。それから、「奥さん自身もそうですが、むしろお子様にもっと強くでるんじゃないかと心配ですね。」まさに新聞に書いてあるのと同じようなことでしょう。こういうふうなんですわ。 それで、奥さんがこういうことを言うと想定してのこと、想定問答まで書いてある。「奥さん「でも名前は変えられないでしょ!!」」こう来たら二番「デモンストレーション」とありまして、さっきは「アプローチ」、今度は「デモンストレーション」で、「「白紙に」改名、信心、開運」とこういうふうに書いて、改名の方はなかなか変えられない。信心も慎重に選ぶ必要があるからすぐには無理でしょう。開運の方、これは「印相」と「表札」と「家相」と「墓相」と「その他」がある。そのうちの印相、これが「もっともカンタンで効果がありますよ。」こう来るわけです。それで「「改印による開運の方法」、判こを変えることによって運を開く方法を説く。」こうなるわけです。 結局、名前はそのままにしておいて印鑑を彫るときにその字の画を変える、多くしたり少なくするように字をつくるというところへ持っていこうというねらいですね。だから、「とにかくお宅の印鑑を一遍見せてください。」と、こういうふうに「印鑑を見せてもらう。」というのもあるのです。そして「その印相鑑定をする。」ここで先ほど言いました「凶相印の一らん表を見せ」て、「お宅の方はまさにこれにはまっております。」と、こう言うわけですね。そして、「奥さん、一本位吉相の印があるかなと思ったケド、みんなコレは凶相印ですよ。」というふうに言って、「一日も早く造りかえたらいいですね。」こういうふうに落とすわけです。 そして、「一生に一回つくればよいものですから、出来るだけよいものを持たれたらいいですね。」「「印を変えたからって運がよくなるかしら?」という質問があったら、「印だけでなく全ての持物に相があり、それから人間の生活に影響を与えるのですよ。」というふうに説得をしろ。「じゃ——、作ろうかしら。」「でも高いんでしょう?」というふうな質問があれば、「ねだんについては色々ありますから大丈夫です。」と初めは言っておくのもよい。」大臣、笑っていてはだめですよ、こういう調子でやられているのですから。 そして、「霊界の話」をしたり家相の話などを入れたりして引きずり込んでいくわけです。「お宅の玄関へ入ったときは明るい感じがして、いいなと思ったけれども、」「デモ何かちょっと淋しそうな感じの人がきているように思えるんですが、」というのは、亡くなった人が来ているということを言うのですね。「ご親戚などでどなたか早くなくなられた方でもいませんか?」と言って、少ししんみり引きずり込んで、少しおどかしかかって、「霊界が存在する事」だとか「祖先が生きている事」だとか「先祖供養が必要である事」とか「因縁が及ぶ事」だとか。それで、これは「印鑑のトーク」ですが、大理石のつぼ。「壼のトークの一部をここに導入」をして話すのもいい。こういうようなことまであるのですよ。それから、「印鑑をつくる事は即ち先祖の供養にもなるのですよ。」こういうふうに引っ張り込んでおって、「充分心情を交流し、相手の話も聞いてやる。」そうするといろいろあれこれ出てくるから、聞いた上で、「印鑑のケースを出し、具体的な説明に入る。」こういう説明のあれがありますけれども、これは省略しますよ。 そして結論、「クロージング」「家族全員に必要である事を説明」、たくさん売らなければなりませんからね。そして「値段は出来るだけ最後に言う。」「アプローチブックを上手に使う。」「高いものから説明する。」「一個百五十万円ぐらいから」というふうに、こういうことまで書いてあるのです。そして「絶対的確信をもって相手を主管する。」管理下におさめる。「途中で印鑑の扱い方、供養の仕方など話す。」「それがさも、最も重要かの如く話す。」「必ず良くなりますから私の言う通りにしてください!!」と言って、完全に管理下に置いてしまうんだ。そして「完全に主管できれば値段は問題にならない。」「今日はどなたかの命日にきっとなっていると思います。」「先祖が開運を切に願っています。」ですから「出来るだけきょうお決めになった方がいいですよ」と言って、早速契約書に判こを押させる。こういう手ですね。そして「「人に相談しなければ」というふうに言ったら、「奥さんが御家庭ではメシア的な存在であるのですよ。奥さんでなければこの家の因縁を解放出来ません。ご主人は神仏に疎く、霊界も信じないタイプの人でしょう?奥さんを通して以外にこの家に開運のものが入る道がありません」と、「奥さんの使命を強調してみる。」というようなことで、先ほど事例を挙げたようなことで結局ころりといかせてしまうというやり口なんですよ。 私もこれを見て本当にびっくりしました。私自身も相当腹に力を入れて聞いてないとという感じがします。こういうようなのが統一協会によってやられているわけです。 前に私が、昭和五十三年の五月十二日でしたか、衆議院の決算委員会で当時の福田総理大臣に対して、この文鮮明を教祖とする統一神霊協会は邪教だということをきちっと言って質問をしたこともございましたけれども、こういうようなことをやっておるわけです。 もう二つ、新聞に載ってない具体的な事実をお話ししたいと思うのです。これは通産省もそうですが、警察、検察側においてもしっかり厳しく対処していただきたい、こういう意味でお話をするのです。 新しい話です。これは杉並におる方ですが、約四千二百万円、いま言ったような手口でいかれちゃっているのです。これは関西に本社のあるある大会社に御主人が勤務しておられるのです。統一協会だと思うのですが、第四教会の佐藤という女性のセールスマン、なかなかのベテランらしい人ですが、去年の十月に先ほどのような手口で奥さんに印鑑を二百七十一万円売った。そして翌月の十一月にはつぼ七百二十万円、そしてことしの一月ニンジン茶一ダース九十六万円、そして二月になったら、今度は三十三ダース、二百七十年分あるんだそうですよ、金額にして三千二百万円。奥さんは相当お金のある人なんですかね。そして、さすがに三千二百万円になったら、手持ちのお金もないし、預金をおろしてくるわけにもいかぬというので、国債を売ろうとして御主人にばれたわけなんです。そこでいろいろいま問題になっているのです。これはまさにさっき言ったような調子でやられているわけですよ。これを見逃しにはできません。こういう手なんですからね。 それからもう一つの事例は、これも去年の七月ごろ、被害者は横浜市鶴見区に住む人たちです。松永藤子、天宝堂と名のってこの女性が訪ねてきて、これはあらかじめ調べたのかどうか知りませんが、病気がちの父親のことなどを引き合いに出して、そして名前が悪いというふうに話して、印鑑三本セットを四十二万円で買わせて、そしてその後、印鑑だけではよくならない、もっといいものがあると言って集会所へ連れていかれて、百七十五万円の大理石のつぼを今度はまた買わされる。さらに、これを飲めばもっとよくなるというので高麗濃縮ニンジン液を買わされたというのです。このニンジン液の値段九十六万円。本人は家族にもないしょでお金を出しておったのですけれども、濃縮液の分はついに払い切れずに、いろいろ催促を受ける羽目になって家族に知られた。そこで地域の生活と健康を守る会の人に相談をしてこの事実がわかったわけですね。被害総計三百十三万円。これは所がはっきりしているんですよ。印鑑の方は天宝堂、渋谷区桜丘二十九の二十五の五〇二、電話は四九四−四三四四。大理石のつぼの方と濃縮ニンジン液は八雲商事、品川区西五反田一の十一の九、司ビル五階、四九〇−五〇五六です。 ですからこうなりますと、最初に判決を持ち出しましたけれども、いま私が新聞に載っていない事例を言いましたが、これは二つともニンジン茶が、一つは三千二百万円という大口に入っていますね。それから二つ目の場合もニンジン茶が入っているわけです。だから、これはいまの判決の事例からしても、明らかに薬事法違反であるということははっきりしている。そのほかに、いま私が言いましたような種本に従ってやったということは、ほかにも挙げた事例からしても明らかだ。しかも行ったのは統一協会の悪徳商法、おどしの商法、占いの商法以外の何物でもないと思うんですよ。だから、そういうような関係で、これは警察の方でどうしても厳しく対処していただく必要があると思うのですが、どうでしょうか。
○本多説明員 御指摘の事実につきましては現在把握はいたしておりませんが、違法な行為があることが確認できました場合には適確に対処してまいりたいと思います。
○安藤委員 刑事局、どうですか。
○前田(宏)政府委員 いろいろと具体的なケースといいますか、例をお引きになってのお尋ねでございますが、確かに、世の中に手相だとか人相だとか姓名判断だとかいうようなことがいろいろあるわけでございまして、そういうことを信用しない人から見ますと、とても考えられないようなこともあるわけでございましょうけれども、反面、そういうことを信用する人もまたかなりあるというのは事実であろうと思うわけでございます。さらに、それがだんだん広がりますと、一種の信仰のような分野にも入ってくるのかもしれないわけでございまして、そうなりますと、一概に、一方の立場から見てそれがおかしいとか、けしからぬとかいうふうにも決めつけかねる面も一面にはあるのではないかという気もするわけでございます。いま申しましたように、そういうことを信じない人から見れば大変おかしい、あるいはけしからぬということになるのだろうと思いますけれども、そうも言えない面も場合によってはあるのではないかというふうな印象を持つわけでございます。 ただ、いま警察からもお話もございましたように、私ども捜査当局といたしましては、違法行為、犯罪になる行為というふうなものがありました場合には、それに対して適切に対処するのは当然でございます。
○安藤委員 いま私が具体的に挙げましたその種本ですね。こういうやり方でもって、前に具体的に挙げました事例の脅迫、ごまかしというようなことは、どうしても詐欺あるいは恐喝に該当する疑いが濃厚だと思うのです。そういうようなことはそれから調べてみなければわからぬとおっしゃればそのとおりですが、とにかく調べてみぬことには、こういう被害が新聞に載っておる以外にも、ごく最近私が聞いたばかりの話ですよ、具体的に売り込みに来た人の所まで私はいま挙げたわけです。これはやはり厳しく対処をするという方向で考えていただく必要がどうしてもあるんです。そして、その結果罪になるならぬは一応またそのときの判断ですから、それはやむを得ぬと思うのですが、その辺のところはどうなんですか。そういう意図も何にも、いま私が挙げたんですが、厳しく対処しなければいかぬなという気持ちも全くないんですか。捜査あるいは調査する、しなければいかぬのじゃないかという意図、意思、そういうようなものもお持ちにならないのかどうかをお尋ねしたいと思います。
○本多説明員 先ほども申しましたように、違法行為があれば厳正に対処するのは当然のことでございますが、先生が御指摘になりました幾つかの事例の中でも、関係警察が把握しておるものもございました。そして、関係警察がそれにつきまして事実関係を調査といいますか、事実関係の把握に努めてまいっております。結果、犯罪に該当するに至らないということになったものもございます。したがいまして、全然放置するという意図ではございません。事実関係を把握しまして、具体的に犯罪に該当するというものがあれば厳正に対処していくということでございます。
○安藤委員 その参考と言うとあれですが、もう一つ言いますと、この印鑑の日本における元締めは株式会社オール・ジャパン・シグネット、登記簿謄本を持ってきておりますが、これであることは間違いないんですが、あの統一協会系の有名な会社、世一観光株式会社というのがあるんですね。これはかつて法務委員会で私どもの正森議員がいろいろお尋ねをして追及したことがあるんですが、アメリカへ統一協会員の若い学生を観光ビザで入国させて伝道、布教活動をさせた、だから不法滞在ということで強制退去を命ぜられた、そのもとをつくったのがこの世一観光なんですね。先ほどの憂慮する会の方でもこの世一観光というのがちゃんと載っておるんです。「原理・統一協会・勝共連合を取り巻く組織」の中に「世一観光」。先ほど言いました印鑑の総元締めのオール・ジャパン・シグネットの役員と世一観光の役員と比べますと、取締役奈田直宏、これは両方とも一緒、それからもう一人の取締役が北中忠男、これも両方一緒、そして代表取締役が奈田直宏というのも全く一緒なんです。だから、これから見ても、これが統一協会に所属している人たちによる手口だということがはっきりしていると思います。 そこで、もう一つ事例を挙げて、これはまず最初に通産省にお尋ねしたいのですが、これは毎日新聞の五十六年九月十二日付の記事に載っておるのですけれども、いわゆる訪問販売法で、解約の告知をした日から四日間は解約できるクーリングオフの規定があるわけですが、契約をするときにこの解約条項が契約書にうたってないという事例、それから、そういうのが契約書に印刷されておるのだけれども、そのところをバッテンで抹消して、ここへ判こを押してくださいということで、結局抹消してしまう、そしてお金を払わせる、こういう手口が行われておるのです。これも相当大きく報道されている事実です。こういうようなときは、法律的にそのクーリングオフの関係はどういうような契約内容になるでしょうか。
○牧野説明員 ただいま御指摘のように、クーリングオフにつきましては、告知されてから四日間でございます。あくまでも一般論で、具体的なケースについては承知しておりませんが、四日間。具体的に告知がなされてない場合は、契約の履行が終了するまでクーリングオフがいつでもできる、こういう解釈をしております。抹消したという場合には、私どもといたしましては、一般論として、あくまでもこれは告知がなかった、したがいまして、契約の終了があるまでクーリングオフはいつでもできるというふうに考えられると思います。
○安藤委員 ところが、そういうような手口で契約をさせて、四日間ぐらいの間にお金を払わさせてしまう、あるいは、これは人に言ってはいけませんよ、ないしょにしておきなさいよと言って、四日間のクーリングオフの期間を完全に徒過させてしまう、こういう手口でやっているようなんです。「訪問販売法を逆用」、こういうのはどうなんですか。いま私は、クーリングオフ関係の契約の成立の内容についてお尋ねしたのですが、通産省の方としては、この関係についてこういうことを防止するというようなことは考えておられますか。
○牧野説明員 私どもといたしましては、法律にそううたわれておるわけでございますので、なるべく消費者にクーリングオフというものを十分に承知していただくために、極力啓発に努めたいということで対処したいと思います。
○安藤委員 どうも話が具体的でないのであれですが、具体的にこうこうこうやって啓発をしていくのだというような計画はないのですか。
○牧野説明員 先ほども申し上げましたが、毎年私どもで予算を組みましてチラシをつくりまして、全国の消費者センターその他に配布しております。訪問販売につきましては最近いろいろ問題もありますので、特に訪問販売を中心に啓発に努めているところでございます。
○安藤委員 後で林委員が私に関連して一言質問したいと言っておりまして、お許しをいただきたいと思います。 私の最後の質問ですが、いままで訪問販売の関係で、大臣、いろいろな手口も具体的に示しまして、厳しく対処してほしいということを強く要望してまいったのですが、そのほかにもこの統一協会の関係は、これはもうおととしになるんですか、いわゆるインチキ募金というのがよく行われて、大きく新聞に出ておるのです。これはほかの新聞ですが、たとえば毎日新聞と朝日新聞の姫路版に、インチキ募金をやっていた人たちの事務所から押収した資料に、韓国の文鮮明師を教祖とする世界基督教統一神霊協会、いわゆる統一協会関係の書類を見つけた、こういうのが載っておるわけです。だから、これはインチキ募金はやるわ、訪問販売法違反はやるわ、脅迫商法はやるわ、占い商法はやるわ、おどしの商法はやるわというので、とんでもない悪事の限りを尽くしているわけです。だから、どうしてもこれは厳正に対処していただきたいと私は思うのですが、最後に大臣にその辺のところをお伺いをして、私の質問は終わりたいと思います。
○坂田国務大臣 刑事局長から御答弁申し上げましたとおりでございまして、法に照らしまして厳正公正に対処をいたしたいと思います。
○安藤委員 では、私はこれで終わります。
○羽田野委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
○林(百)委員 前田刑事局長にお尋ねしたいのですが、先ほどの私の質問で、例の公務員の地位利用による選挙違反の問題、信越郵政局の文書課長の問題がいろいろ出ました。私、事実をそう正確に把握しておりませんけれども、仮定として、もしこの候補者の岡野氏が、ぜひこうしてくれないかということを依頼したとすれば、教唆犯が成立する可能性があるのかどうか。要するに、候補者と実際やっている人との関係なんですがね。この候補者の人は、いまはもう郵政省の人事局長はやめておるわけなんです。しかし、郵政省の中にいる幹部に、ひとつ私のことについて、こういうように票を割り当てたり、資金を出したり、あるいはこういう文書を配布してくれないかというようなことを依頼して、そうさせたとすれば、教唆が成立する可能性というものはありますか。私、具体的にそれを持っているわけじゃないので、一般論で結構です。
○前田(宏)政府委員 一般論というお尋ねでありながら、中身がどうも具体的な内容のお尋ねでございますので、どういうふうにお答えしていいかわからないわけでございますが、先ほども自治省等からお話がございましたように、具体的な案件ということになりますと、やはり条文の相当細かい要件が定められておるわけでございますし、それを事実にどう当てはめていくかという問題を経ませんと、結論が出ないわけでございます。特に、違反になるんじゃないかという御趣旨で具体的な案件を御議論されるわけでございますので、そういう時点で、それが違反になるとかならないとかいうことを申し上げますと、あるいはそれが違反になる、場合によっては捜査の対象になるということも考えられるわけでございますので、そういうことに対する影響もございます。 そういう観点からいたしまして、私の立場から一般論という形でも、お話がどうも具体的な事案が前提でございますので、お答えは差し控えさせていただいた方がよろしいのじゃないかというふうに思います。
○林(百)委員 あなたがそう言うのは無理ないと思うのですけれども、そうすると、地位利用の選挙違反事件について、これは一般の刑法理論で結構ですが、教唆犯が成立する可能性というものはあるわけでしょう。ある犯罪がある以上、教唆が成立しないということはないわけなんですから。それは一般論でいいです。さっきの私の質問と関連なくして。
○前田(宏)政府委員 林委員も法律の専門家でございますから、いま林委員のおっしゃったことを否定する趣旨ではございません。
○林(百)委員 もう一つ。これで終わりますから……。
○羽田野委員長 時間が参りましたから、もうこれで終わってください。 ————◇—————
○羽田野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出頭の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明後十六日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十一分散会