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96回国会衆議院1982/04/13

法務委員会 第13号

発言数
238
登壇者
7
会派数
2
開催日
1982/04/13

会議録

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 外国人登録法の一部を改正する法律案が出ているわけです。この質疑に入りますが、これは非常に重要な法律であって、大臣に聞いていていただきたいわけですが、日本における外国人の問題ですね、これがどういうふうに処遇をされているかということによって日本の民主主義の度合いなり何なりというふうなものが試されるというか、私はそういうふうな重要な点をたくさん含んでいるというふうに思いますので、きょうは全体の中の一部分ですが、基本的な問題を中心として最初にお尋ねをしたいというふうに思うわけです。  そこで、第一の問題点は、外国人登録法は、御案内のとおり外国人登録令というものがあって、それが昭和二十一年四月二日に連合国の最高司令官からメモランダムが出たわけですね。「日本人以外の国民の入国及び登録の件」というメモランダムが出て、それから日本政府に対する要請があったわけですね。「非日本人の入国を抑制するとともに、入国を許可された外国人に対する登録を実施すべきこと」、こういうふうな要請が出てこの法案ができてきた。外国人登録令ですね。すぐはできなかったわけですが、約一年たって昭和二十二年四月二十八日の閣議決定で、五月二日にポツダム勅令として昭和二十二年勅令第二百七号外国人登録令が公布されて、即日施行された、経過はこういうことになっておるわけですね。それが外国人登録法になり、その後、法が数回改正をされておりますが、もちろんその法の改正の中にはきわめて技術的な解決も含まれておりますので、大きな改正はほぼ二回ぐらいだというふうに思われているわけです。  そこで、最初にお尋ねをいたしたいのはこういうことなんです。外国人登録令ができたときの事情ですね、政治的、経済的、治安の状況等、それは昭和二十二年ごろですよ、日本人以外の国民に対する政治的、経済的、治安に関する情勢というものと今日における情勢というものとはどういうふうに変わっているのか、あるいは変わっていないのか、この辺のところの最初の御認識を、これは大臣から承りたい、こう思うわけです。  これはこの法案の出発点なんです。太田さんの質問にもその点出たかな。(太田委員「出てない」と呼ぶ)出てない。一番大事なところですね、これは。出発点ですから。だから、外国人登録令の当時にはそういう必要があったかもわからないのですね。それは立法理由を免ればわかるのです。勅令ですから、出ているはずですから。いまの情勢と日本における外国人に対する政治、経済、治安――治安を含めますよ――の問題との関連においてそのころとどう違うかということです。それは大臣の基本的認識の問題だから、大臣からお答え願った方がいいんじゃないですか。――わからない。わからなくないよ。むずかしくない。そんなにむずかしく考えるからむずかしいので、あたりまえのことじゃないですか。昭和二十二年の終戦直後の混乱時代といまとどういうふうに違うかということですよ。外国人の動向というものはどう違うかということは、それはあたりまえの話で、簡単じゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 戦争直後の昭和二十年の初め、それからことし昭和五十七年、この間に三十年以上の時間が経過しているわけでございます。その間どういう変化があったかということでございますけれども、終戦直後の混乱期は混乱期であったというふうに一般にとらえられております。その後三十年以上を経まして、今日、社会情勢その他が非常に落ちついたということが言えようかと思います。  なお、その間わが国に入国在留する外国人の数自身も非常にふえております。それから、わが国の経済社会の拡大発展に伴いまして、在留外国人の居住地の移転とか職業変更等が活発になったとか、そういういろいろな事情がございます。  いずれにいたしましても、こういう一般的な情勢の変化に対応するために、今度外国人登録法の一部改正法案を提出したということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私は、その間の経過を聞いているんじゃないですよ。そんな三十五、六年のことを聞いたって始まらない。そうじゃなくて、この外国人登録令が出たときのメモランダムがあるでしょう。メモランダムというのは、その当時、日本の治安機関というものも機能を発揮するに至らずして、治安及び経済面においても全くの無法律状態を現出したんだ、それで社会混乱でいろいろなことがあった。古いことを言ったって始まりませんけれども、いろいろなことがあった。だからこの外国人登録令というものができたわけでしょう。これはメモランダムでしょう。メモランダムで、それによってできたわけでしょう。  だから、その時代と、いまの日本における外国人が無法律状態を現出しているのですか。治安機関もその機能を発揮するに至らない状況にいまなっているのですか。これは基本的認識の問題なんですよ。その当時できた外国人登録令というものがその後法になって――法になったときのことは後で聞きます、それは昭和二十七年ですから。そのときの状態というものもまたいまと全く違うのですよ。それをそのまま踏襲しているような――基本としては踏襲しているのです。技術的には多少いじっているところはあったとしても、基本としては踏襲しているというところにこの法案は問題があるのですよ。だから、そういう点についてはきちんとした認識をしないといけませんよ。  だから、この二十二年当時あるいは昭和二十七年、後で外国人登録法ができたときのことを聞きますが、この当時は日本はある種の混乱状態にあったときなんですよ。ことに日本における在日外国人というものが、いわば前の二十二年当時は無法律状態であったかもわからぬし、二十七年当時は朝鮮動乱や何かがあって在日外国人に対する治安の必要性があったかないかわからぬけれども、あるいはあったかもわからぬという時代なんですね。そのときといまとは全く情勢が違うのですよ。その点の認識というものがこの法案の基本になければならないのですよ。それがこの法案については、技術的にいじっていますよ、いじってはいるけれども、その基本的な認識というものがないのですよ。ないとは言わぬけれども、あるかもわからぬけれども、いずれにしても問題点が非常にあるということですね。この点については当然考えてもらわなければ困るわけですよ。大臣、その点についてはどうでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 私も昭和二十一年に国会に出てまいりまして、そのときのことを振り返ってみますると、私、九州熊本でございますけれども、熊本から東京へ出てくるにも汽車で二日かかったというような状況、それから食糧は御承知のように全く国民全体が食えないような状況、食糧がないということは治安維持が非常に困難だ。また、一面において戦争に負けた、そういうことにおきまして国民全体がどうしていいかわからないというような無秩序な心理的な状況にあったということは経験としてわかるわけでございまして、その後の昭和三十六年以降、非常に経済が発展して今日のような豊かな社会になっていろいろな問題を起こしておる状況と、その戦後の、戦争に負けた、そして廃墟になった、あるいはまた引き揚げ者が帰ってきた、あるいはいろいろのやみ商人、やみが行われるというようなことで、心、精神的動揺はもちろん、それからまた食糧それ自体もそうでございますし、あるいは住宅も欠乏しておるということで、衣食住が生活の基本というか、生きることそれ自体がなかなか困難な状況でございますから、治安がどうしても無秩序の状況にあった。外国人からするならば、そういうような非常に不安定な無秩序な中に置かれておったということについて、外国人にとってみれば非常に不安な状況であったということは推察できるというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その外国人という意味が今度は後で問題になってくるのですよ、これはおわかりだと思いますが。外国人登録令の中で、これはその後外国人登録法に改正になりましたね、そうすると、外国人登録令になくて外国人登録法にあるもの、さあ、これは何ですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 登録令の時代には、今日の外国人登録制度のほかに、入国管理に関する規定も一本になっていたわけでございます。それが外国人登録法に変わるとともに、入国管理に関する部分は切り離されて、別の法令にゆだねられたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そんなことを言っているのじゃないのです。そんなことはあたりまえの話で、そんなことは外国人登録令に書いてあるのです。令のときは一本だったわけですよ。それが後から二本に分かれてきたのでしょう。私が聞いているのは、外国人登録令になくて外国人登録法、昭和二十七年ですか、できたときに加わったものは何ですかと聞いているのですよ。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 それは、指紋押捺制度が導入されたという点でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 指紋押捺制度だけではないでしょう。その他のものもありますね。ほかにもあるけれども、それはわりあいに技術的なことですね。市町村の吏員の調査権の拡張とか、いろいろありますね。不要となったものをどうするとか、登録証明書の有効期間を今度三年を二年にしたとか、いろいろありますね。あるけれども、一番大きな問題は、いま言った指紋押捺制度が外国人登録法で導入されましたね。登録令の中になかったのですよ。なくて、登録法に制定された一番大きなものは、指紋押捺制度が新たに設けられたということですね。これについては、なぜそういう必要があったかないかということについては、これはまた別に私の方で質問をしたいというふうに思っております。指紋押捺制度の問題については、独立に別個の日にちにゆっくり質問をしていきたいというふうに思うわけです。  そこで、私は資料として法務省当局からもらいたいのは、現在指紋押捺制度というものが設けられておる国と、それから設けられてない国と、それから中間的にというか、本来ならばサインでやるんだ、サインでやるんだけれども、サインができない場合には指紋押捺制度を設けておるという国と、三段階に分かれるわけですね。これはわかるでしょう。そして、それは変化をしているわけですね。前のときには指紋押捺制度がなかったけれども、新たに指紋押捺制度というものが導入せられたという国もありますね。たとえば韓国ですね。それはきょうでなくていいですから、よく調べておいていただいて、別の機会にこれは聞きますから。だから、私が聞くのは、なぜそういう制度が導入されるに至ったかということを中心として、そしてそこで、前にはなかったけれども、後からあった国、これはあなたの方で言いたいところでしょう。言いたいところですよ、それは韓国の場合そうですから。それはそれで事情を聞く。  それから、これは資料が非常に不正確なんです。これは外務省の出した資料も不正確だし、それから決算委員会の調査室かなんかで出した資料も不正確だということは、たとえばイギリスの場合なんかも指紋の押捺制度がある国という中に入っているわけですよ。しかし、これはサインが中心であって、サインをできない人に対しては指紋の押捺を認めるという制度ですからね。これも指紋の押捺制度の方の中にイギリスを入れてはいけませんよ。あなた方はそういうふうに必ずやるからね。自分の方に有利な方にというと、有利な方に資料をつくってくるから、前もって注意しておきますが、これは三つの段階に分けないといけませんよ。分けた資料を正式に出していただいて、いつ、どのような理由から指紋の押捺制度が採用されたか。これは全部の国を調べろといったって、あなたの方では無理でしょう。だから、あなた方に一番有利なのは、恐らく韓国だと思うんだ。だから、韓国が最初にはなかった、なかったけれども、それが後から設けられるに至った経過については、あなたの方で後から資料として出していただいて、それに基づいて私の方は改めてこの問題だけを中心として質問をいたします。  これは問題なんですよ。大臣、よく聞いておいてくださいね。なるほどあなた方の場合は、指紋ばかりではないのですけれども、この外国人登録法のことに関連をして質問しますと、アメリカではこうなってますと必ず来るんだ。アメリカの場合は、移民国籍法というのか、移民法というのか。どっちが正しいのか、どうでもいいですが、その法律を持ってきて、そしてアメリカではこうなっているじゃないかと必ず来るんです。ところが、アメリカというのは、御案内のとおり日本と国が違うのだ。単一民族ではないわけですよ。いわゆる人種のるつぼと言われる国であって、近来特に、国は名前は申し上げませんけれども、いわゆるスペイン系の、スペイン語を話す国民というものが非常にふえてきている。そしてそれが非常に犯罪を犯していると言っては言い過ぎになるかもわからぬけれども、いずれにしても、そういうふうな治安の問題がスペイン語を話す国民から出ておるというところの国柄です、アメリカの国は。だから、アメリカの移民法というものは、当初から非常に厳しいものであったということは考えられるわけですね。必ずそれを持ってくるのです。アメリカではこうなっています、アメリカではこうなっていますと必ず出てくるんです。アメリカでこうなっているから日本でやるのはあたりまえですということを言う。  さらに、答えを予期して言えば、アメリカの指紋の押捺制度にしても、ある州では一たんやめた、やめたところが、それで偽造がうんと出てきたからまたやるようになりましたと必ず来るんですね。ところが、アメリカの指紋制度でも、いま言ったイギリスの方と同じように、アメリカの場合サインができない連中が多いわけですよ。同時に、治安の対象というものが日本とアメリカでは違うのです。アメリカの連邦移民法には治安の目的だということがはっきり書いてあるでしょう。アメリカの移民法の第一条にそのことがちゃんとはっきり書いてあるんじゃないですか。どうですか、アメリカの移民法では。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいまの御質問にはちょっとすぐお答えしかねますので、後日、調査した上お知らせします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の方が、詳しいことはあなたの方に言っていませんからね。あなたの方で、私の質問内容をいろいろ聞きたかったらしいんだけれども、全部しゃべるわけにいかぬしね。こっちも守秘義務があるんだ。しゃべってしまっては、興味がないと言うと語弊があるけれども、エキサイトしないから、おもしろくない。  これはあなた、外務省の領事移住部の査証室で出した資料があるでしょう。あなたの方にあるんじゃないですか。「各国における査証手続及び在留管理の実情調査」、ちょっと古いけれども、これはあなたの方からもらったんですよ。ちゃんとこれに書いてあるじゃないか。「主要国における外国人登録制度・指紋押捺制度」と書いてあって、アメリカの場合には、「外国人登録制度の有無」があって、「指紋押捺制度の有無」とあって、「指紋押捺の根拠又は理由」「米国の治安及び国内行政上の理由による。」云々と書いてあるんで、これが条文に出ているかどうかは私も知らないわけですよ。知らないけれども、あなたの方で知っているか知らないかわからないから聞いたわけだ。これはこの外務省で出しているものに書いてあるじゃないですか。指紋押捺の根拠というのが外国人登録の中の大きなポイントであることは間違いがないわけです、アメリカでは。アメリカの治安の状況からいって、アメリカでは指紋押捺制度が必要だと書いてあるんだ。外務省の出したものの中で説明しているわけだ。それが法律の中に条文としてあるかないかは私は知らない、知らないから聞いている、こういうことになるわけです。  そこで、いろいろな問題が出てくるのですが、では、こういうふうに聞きましょうか。  最初、外国人登録法が出てきましたね。これはいろいろ政令の時代にも改正があったわけですね。そして罰則の方の強化は政令の中で行われたと考えられるわけですが、そうすると、外国人登録令の中の二十四年の政令第三百八十一号によって改正になりましたね。これは間違いないでしょう。そのときに、違反者に対する罰則を強化した。これも間違いないと思うのです。そうすると、罰則は、外国人登録令のときの当初と、その後の、二十四年の政令第三百八十一号のときと、外国人登録法のときと違うんですか。違わないのですか。いまのような罰則は、一体いつできたのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 昭和二十二年の登録令の時代、昭和二十四年の政令の時代、それから昭和二十七年に登録法になったとき、この間に罰則がどう変遷したかについてお答えします。  まず、昭和二十二年五月二日の勅令二百七号十二条の時代の罰則は、「六箇月以下の懲役若しくは禁錮、千円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ということでございました。昭和二十四年十二月三日の政令三百八十一号、改正後の十二条、このもとでは「一年以下の懲役若しくは禁こ又は一万円以下の罰金」でございました。昭和二十七年四月二十八日法律百二十五号の第十八条では、「一年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は三万円以下の罰金」「懲役又は禁錮(こ)及び罰金を併科することができる。」こういう制度で今日に至っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは刑が変わったということでしょう。内容はどうなっているんですか。内容は初めから同じですか。どういうふうになっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 内容についても、この三つの法令の間では差異がございます。たとえば昭和二十二年五月二日の勅令二百七号十二条、このときには不申請、虚偽申請罪。新規登録不申請罪、それから居住地変更登録不申請罪、登録事項に変更を生じた場合の変更登録不申請罪、この各条項に対する虚偽申請罪、こういうものがございましたし、それから、申請妨害罪としていろいろと列記されております。さらに、二重申請罪につきましては、二つ以上の市町村の長に対する新規登録申請、二つ以上の市町村の長に対する居住地変更登録申請、こういうものに対する二重申請罪が設けられておりましたし、不返還罪もございました。さらに呈示拒否罪、これは登録証明書の呈示拒否、旅券、国籍を証明する文書その他登録証明書の正当な所持人であること、または登録証明書に記載された事項の真実であることを証明するに足る文書の呈示拒否、こういう罪も設けられておりました。それから、登録証明書の交付、再交付、不正行使罪、これは行使の目的をもって登録証明書を他人に交付する行為でございますが、交付する行為、それから、行使の目的をもって他人名義の登録証明書の交付を受ける行為、この二つが設けられておりました。その他登録証明書の偽変造罪、偽変造登録証明書行使罪等が、これは刑法の規定でございますけれども、適用されていたわけでございます。  昭和二十四年十二月三日の政令三百八十一号、改正後の十二条におきましては、不申請、虚偽申請罪は従前のとおりでございましたけれども、有効期間満了の場合の登録証明番の交付不申請罪、これが設けられております。それから不携帯、呈示拒否罪につきましては、登録証明書の常時携帯義務違反等々のあれが設けられております。しかし、大体においてこの昭和二十四年十二月三日のときにおける罰則は、昭和二十二年の勅令二百七号の場合に比べて大きな変化はございませんでした。  昭和二十七年四月二十八日の法律百二十五号の十八条に至りまして罰則が整備されまして、今日の形になっているわけでございますが、不申請罪、新規登録不申請等ほぼ現在の罰則に見合うものが設けられたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 じゃ、ちょっと前に戻って恐縮ですけれども、聞きますが、たとえば外国人登録令があるでしょう。登録令の第十一条に、「台湾人のうち内務大臣の定めるもの」については「当分の間、これを外国人とみなす。」という規定があるでしょう。「台湾人のうち内務大臣の定めるもの」というのはどういう意味なんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 その点については、すぐにはちょっとお答えできません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 すぐにはお答えできませんはいいですが、外国人登録令の第十一条に、「台湾人のうち内務大臣の定めるもの及び朝鮮人は、この勅令の適用については、当分の間、これを外国人とみなす。」こういう規定があったことは間違いありませんか。規定があったこと自身。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 そういう規定があったことは事実でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私もよくわからぬのです。「台湾人のうち内務大臣の定めるもの」という規定の意味がわからぬから聞いておるわけですが、これはよく勉強しておいてくださいよ。この前の法案のときに改正があったでしょう。そのときに衆議院の法務委員会の調査室から出た資料があるのですよ。あなたの方へ行っているわけですから、よく勉強しておいてください。これはなかなかいい資料ですよ。調査室でつくったいままでの中で一番いいんじゃないかな。よくできている。これをよく読んでおいてくれと話したわけだけれども、よく読んでないようなんですね。  そこで、それじゃ問題になってくるのは、いま言ったように外国人登録令が政令第三百八十一号になったときに、いま部分的に説明があったけれども、このときに違反者に対する罰則が強化されたということに対する事情が何かあったんでしょう。幽霊登録がうんとふえたんですよ。そうでしょう。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 当時、戦後の混乱期で幽霊登録が非常に多かったということ、偽変造、不正行使等々のケースが非常にたくさん多発したという事情がございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、本論にだんだん入っていくわけですけれども、外国人登録法が第十三回国会でできたわけですが、その当時は外国人登録は外務省が取り扱っていたわけですね。入国管理局というのはまだ法務省になかったわけです。あの当時は法務省とは言わなかったんでしたね。たしか名前は法務省と言わなかったはずだね。最初は法務省でなかった。法務府ね。たしか鈴木義男さんが法務府総裁のときだ。そうですね。だからその当時は外務省に出たわけです。外務省関係で外務委員会になったわけです。そこで法務と連合審査を何回もやっているわけです。衆議院外務委員会では昭和二十七年の三月二十日、三月二十五日、三月二十七日、三月二十八日、三月二十九日に質疑が行われているわけです。外務委員会と法務委員会の連合審査が昭和二十七年三月二十六日に行われている。こういうわけですね。参議院の方は省略します。そういうことで、外国人登録法制定当時に一体どういう議論が国会の中で行われたんですか。そのことがいまの外国人登録法の中にどういうふうに生かされておるんですか。それはどういうふうになっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま稲葉委員が御指摘になりました当時の外務委員会の質疑の状況を必ずしもつまびらかにいたしておりませんけれども、この登録法が成立いたしましたときに現任の登録法の根幹が形成されたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはそうですよ。それ以外のあれはない。私の言うのは、そこで議論が行われて、連合審査も行われているわけですよ、法務委員会と外務委員会で。そこで一体どういう点が問題となっているのかということが一つです。それが現在、その後どういうふうになってきているか。改正がありましたから、改正があった中で生かされておるか。なおかつ現在残っている問題というのはどういう問題かということについては、よくあなたの方でもこの委員会の議事録を――実は私もきのうもらったわけですよ。とにかくたくさんあるもので、そこへ印はつけましたけれども、とてもまだ読んでいないわけですから、よく読んで、どういう点が問題となっているかということをはっきり確かめてください。そして現在それがどういうふうに解決されているのか。未解決の部分はどこなのか。仮に未解決の部分があれば、どういうふうにしたらいいのかということをはっきりさせなければいけませんよ。ここら辺のところをもっとちゃんと答えてもらわないと、この質疑は進みませんよ。それはこの次にまた私が質問しますから、あなたの方で問題点をよく整理しておいてください。それはできますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま御指摘になりました当時の外務委員会における討議の模様をよく検討いたしまして、それが現在の登録法、それから今度の改正法案にどういうふうに生かされているかということについてお答えしたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 率直な話、相当意地の悪い質問が続きましたから、少しこの辺でトーンを変えますが、私は、いま言ったような点でいろいろ問題点があると思うのです。  これは持っているでしょう、あなたの方の飯塚五郎氏と小島恭次氏が書いた本がありますね。この本は売っている本ですが、わかりやすい、いい本です。この中にもいろいろなことが出ているのですが、私がまず疑問に思いますことは、なぜ外国人登録というものを、法務大臣、実際の事務は市町村でやっているわけですよ。市町村でやっていて、それを法務省が管理――「管理」という言葉を条文の第一条で使っていますね。なぜこれを法務省がいわゆる管理しなければいけないかということです。実際は市町村がやっているんですよ。だから、これは事務当局でいいですけれども、国と県と市町村、この関係が現在どうなっているかということと、なぜ国が、そして特に法務省がそれを管理しなければいけないのかということの理由、これは大臣の方からお答えを願いたいと思うのです。最初の質問は技術的な問題がありますから、これは事務当局でいいです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 登録制度の運用に責任を負っているのは国でございますけれども、なぜかということでございます。それは、この外国人登録制度を統一的に運用する必要がある、このためには国がその責めに当たる必要があるわけでございます。ただ、実際の実務は市町村に機関委任することにしております。そこで、市町村の窓口がこの外国人登録制度の実際の仕事をやっておられるわけでございますけれども、これを監督する立場にあるのは都道府県でございます。したがいまして、いわば都道府県は国と市町村の間の中間的監督者の立場にあるということが言えようかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは答えになってないですよ。前の答えはいいんだけれども、後の方は答えになっていない。なぜ国が統一的に管理しなければならないのか。一体管理とは何なのかということです。大臣、どうです。管理というのは一体何なんですか。管理というのはよく意味がわからぬけれども、外国人をどうして管理しなければならないのですか。日本の政府は日本人を管理しているんですか。戸籍法なり住民基本台帳法で日本人を管理しているのですか。外国人をどうして管理しなければいけないんです。一体、管理とはどういう意味なんでしょうかね。どうなんです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人の在留管理という場合、その管理ということには二つの意味があるわけでございます。一つは、たとえば不法入国者あるいは資格外活動者を取り締まるというような意味での規制面でございます。それは出入国の管理でございます。それからもう一つは、給付行政と申しますか、行政サービスと申しますか、出入国管理の上で言いますと、在留期間の更新であるとか再入国許可書の発給であるとか、そういう具体的な手続がございます。この出入国管理の公正な運用に資するために外国人登録制度はあるわけでございます。  つまり、外国人登録制度に書いてありますことは、外国人の身分関係、居住関係を明らかにすることによって在留外国人の公正な管理に資するということでございますが、いま申し上げましたように、出入国に関する点につきましては、その管理という意味は二つの側面があって、それにこの外国人登録制度は生かされているわけでございます。ところで、こういう外国人の管理は全国で統一的に行わなければならない。したがって、これは当然国がその責めに当たらなければならないということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 お話を聞いていると、答えは抽象論ですね。私が管理という言葉は何かということを聞いたら、あなたの方で答えているのは、出入国管理の管理のことを答えているんでしょう。私の聞いているのは外国人登録法のことを聞いているので、統一的に管理をしなければならないという、その理由の説明が何もないわけですよ。ただ統一的に管理をしなければならぬ、公正に管理をしなければならぬ、そのことと国がやらなければならないということとは関係ないじゃないですか。あなた方の説明では、説明にならないじゃないですか。真ん中が抜けちゃってるじゃないですか。それでは答えになりませんよ。そう思いませんか。あなたの方が意識的にその点を省いちゃってるじゃないですか。それは答えにならない。だめですよ。もう一遍よく説明してくださいよ、そこのところを。なぜそういうことが必要なのかということを。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ただいまの御質問、なぜ機関委任事務とされておる外国人登録事務の運営を国の事務としなければいけないのかという点でございますが、この点について簡単に御説明いたします。  現在、外国人の出入国の審査、在留外国人の在留資格の審査あるいは不良外国人に対します退去強制手続、不良外国人だけじゃございません、密入国者ももちろん入っておるわけでございますが、こういう一連の事務が国の事務であることは先生御承知のとおりでございます。  ところで、外国人登録法は、御案内のとおり、外国人の居住関係、身分関係を明確に把握して、この資料、情報を提供し、これによって出入国管理あるいは在留外国人の管理が行われるという相互依存の関係に立っておるわけでございます。  一つの例を挙げて御説明を申し上げますと、外国人登録証明書の常時携帯が登録外国人に義務づけられておるわけでございますが、こういう常時携帯というのは、不法入国者あるいは不法残留者の取り締まり対策を容易ならしめるということにもなりますし、一方、正規業務の関係について申し上げますと、在留資格の変更とかあるいは在留期間の更新というような在留資格審査関係の諸申請がなされる場合に、申請者は外国人登録証明書を地方入国管理官署の窓口に提出して、その居住関係あるいは身分関係を明らかにするという関係に立っておるわけでございます。  こういうふうに、国の事務でございます出入国審査、在留資格審査関係の事務に居住関係、身分関係を明らかにした外国人登録制度がもろもろの資料、情報を提供するという相互依存の関係にございますので、統一的に国がこれを把握するということにしておるわけでございます。ただ、国の機関というのは、御案内のとおり市区町村の末端にまで配置されておるわけではございませんので、事務そのものは市区町村に機関委任をしておる、こういう関係になっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの審議官の答弁を聞いていて大臣もわかると思うのですが、いいですか、取り締まりという言葉が盛んに出てきますね。それから、治安という言葉が出てきたかどうかは別として、出入国管理法と相関関係というか、きわめて連関な関係にあるということが出てきますね。それから、不法入国の問題、密入国の問題が出てきますが、そのことと外国人登録とは、無関係だとは言わぬけれども、直接の関係はないのではないですか。それは出入国管理の問題なんで、外国人登録法を出入国管理の網の目の中に張りめぐらせて入れてしまって、外国人を治安対策の面から考えておるというのが外国人登録法の本質じゃないですか。それを国がやるのだということになってくるのじゃないですか。そういうふうになるじゃないですか。  だから、公正な管理、公正な管理と言うけれども、これはどんな名前でもつけられますよ。治安対策の上からこれは国が握っていなければ困る、市町村に任せておったのでは困る、簡単に言えばそういうことなんじゃないですか。それならそういうふうに言ってくださいよ。それならば、私どももかえって話がわかりいい。余りわかったようなわからぬようなことを言うからおかしくなってしまうので、治安対策というのは国が責任を持っているのだ、だから治安対策上この外国人登録法というものは出入国法と一緒になって国の事務でなければならぬというところに、ことにそれを法務省が所管をするというところに理由があるのだ、こういうふうに承っていいならば承っていいのですが、それならそうとはっきり答えてくださいよ。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人登録制度というものは、外国人の取り締まりであるとかあるいは治安対策のために設けられているわけではないのでございます。ただいま當別當審議官からお答えしましたとおり、外国人登録法の目的は、在留外国人の身分関係及び居住関係を明確にすることによって、その在留外国人の公正な管理に資するということになっておるわけでございます。その場合の公正な管理は、出入国管理にかかわってくる面もございます。その点はすでに當別當審議官からお答えしたところでございます。そのほかに、外国人の公正な管理といいます場合に、出入国管理だけではなくて、もろもろの国内法規との関連もいろいろ出てきます。たとえば徴税でございますとかあるいは労働行政であるとか、いろいろな面でかかわってくるわけでございます。こういうことで、外国人登録制度というものは国が統一的にやるべき性質のものである、こういうことになっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 どうも私にはよくわかりませんね。では日本における外国人に対して一体どういう制限があるのですか。それをちゃんと区別してわかりやすく、いまでなくてもいいのですが、よく整理してごらんなさい。選挙権の問題はもちろん別として、財産しの問題とか身分上の問題――身分上の問題、あるかな。いろいろな問題があるわけですね。日本における外国人の権利の制限というものはいろいろありますね。外国人土地法もあるし、土地の所有権の問題もある、いろいろありますね。あるけれども、その問題がいま具体的にどういうふうに制限をされておるのか、それが改廃をされたものが一体あるのかないのかとか、今後どういうふうに改廃されていくのかということ、これについてはいまここでというわけにはいかないと思いますが、あなたの方でよく整理をして、資料といいますか、出していただきたいと思います。いまわかっておればわかっておる範囲でお答え願っても結構ですが、これはそんなにむずかしくないでしょう。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 これはもう大変広い範囲の事柄にかかわってきますけれども、後日整理してお答えしたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だって、これは飯塚君の書いている「外国人登録法と実務」に書いてあるじゃないですか。制限もちゃんと列挙して、区分けして書いてある、これが全部正しいかどうかは別として。  じゃ、なぜこういうふうな制限があるのか、その一つ一つの理由をちゃんと整理してください。それでなくちゃわからないですよ。たとえば鉱業権の問題なんかもいろいろあるでしょう。それから水先案内人の問題もあるでしょう。いろいろあるけれども、そういうものが果たして外国人に対する権利の制限として妥当であるか妥当でないかということについては、検討を要する問題があるのです。だから、いま権利が制限されているものを、ある項目別に分けて、ちゃんと整理をしてください。そして、その存在理由に対しても説明してください。いまでなくていいですよ。あなたの方で説明をしてください。これはあなたの方だけの管轄ではないから、ほかの省庁との連絡なんかもしなくちゃいけないと思いますが、それを私が次回に質問するまでに出していただきたい、こう思いますが、どうですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 関係部局とも協議いたしまして、できる範囲内での資料を整備したいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 民社党の青山代議士から、在留韓国人に対する行政制限ですか、ちょっと題名は忘れましたが、に対する質問主意書が出ていますね。答えはいまここでなくていいのですよ。これに関連する答弁は延期になっているのかどうか、ちょっと忘れましたが、これは各方面にわたりますから、規定は一週間ですが、一週間以内というのはちょっと無理かと思いますが、いつごろそれが出るわけですか。いまどうなっているんです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 青山議員の質問主意書につきましては、一週間の期間内にということでございましたけれども、これは無理なので、延期をお願いいたしまして、現在のところ二十日の閣議で答弁書を決めていただくことになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私、その質問主意書を探したんですが、ちょっと見つからなかったものですから。二十日の閣議で答弁書が出てくれば、それに基づいて恐らく岡田委員からも質問が詳細にあると思いますが、私もそれに関連をして質問したいというふうに思っておりますので、それを受けたいというふうに思います。  そこで大臣、今度ミッテラン大統領が来ますね。フランスには外国人費録制度というものがないのですよね。ただ、別の制度はあるのですよ。別の制度はあるけれども、それが外国人登録制度と言えるかどうかということについては詳細な議論が必要でしょう。よく検討しなければいけませんけれども、少なくともフランスにおいては外国人登録制度はないというふうに私は聞いておるわけですが、その点はどうなんですか。そして、フランスにおける制度、滞在許可の制度がありますが、それは日本の外国人登録制度とはどういうふうに違うわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 フランスには滞在許可制度、フランス語で言いますとペルミ・ド・セジュールという制度がございます。これは、三カ月を超えてフランスに滞在する外国人は、滞在許可書を所持しなければならないことになっております。また、外国人は、権限を有する公務員の要求がある場合には、滞在を許可されていることを証明する文書を提示しなければならないことになっております。また、この滞在許可書には三種類のものがございまして、観光客、学生、季節労働者等フランスに通常の住所を設ける意思のない者等に対しては一時滞在許可誰が交付され、フランスに住所を設定しようとする者に対しては通常滞在許可書が交付されます。また、フランスに引き続き三年以上居住する者等一定の者に対しては特恵滞在許可書が交付されます。それぞれの許可書の有効期間は、一時許可書にあっては一年を超えない期間、通常滞在許可書にあっては三年、さらに特恵滞在許可書にあっては十年とされ、いずれの場合にも更新することができるものとされております。  こういうフランスの滞在許可書制度をわが国の外国人登録証明書制度と比較してみます場合、制度そのものが違いますため単純に比較することは困難でございますが、強いて申すならば、フランスの滞在許可書制度はわが国の登録証明書制度の機能とともに、わが国における旅券への証印または在留資格証明書に該当するものとしての機能をも有しているものではないかと推察いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 フランスでは外国人登録法という法律はないわけですね、これは外務省で出した書類にそう出ているわけですから。なぜそういうふうなものはないのでしょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 フランスでは、わが国の外国人登録制度に当たるものはございません。しかし、いろいろな方法によりまして在留外国人の動静の把握はできることになっております。たとえばフランスで就職している外国人の労働者につきましては、雇用主がそのいろいろな事項について政府に報告する義務を負わされておりますし、さらに旅行者につきましては、ホテルであるとかそういうところから報告する義務があるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 外国のことばかりやっても切りがありませんから、日本のことに入ります。  そうすると、いま言ったような形で、いろいろの制度はもちろん違うわけですが、それで一つの問題は、たとえば昭和四十九年の十一月六日に「許認可等に関する改善方策についての答申」というのを行政監理委員会が行政管理庁に提出しています。それで、外国人登録法に関連していろいろ指摘をしているわけですね。その指摘をされているものの中で、法律なりあるいは施行規則なり何なりに生かされていないものがありますね。これは何と何が生かされていないのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 四十九年の行政監理委員会の勧告事項で生かされていないのは一つございます。それは、勤務先及び職業について変更があった場合には十四日以内に届け出なければならないことになっておりますが、行政監理委員会の勧告では、これを旅券の発行日であるとかあるいは世帯主の名前であるとか世帯主との続き柄、こういうものと同じように、次のたとえば確認申請あるいは再交付の申請であるとか引きかえ交付申請、こういうときに一緒に行えばいいじゃないかということでございました。この点が実現していないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま職業と勤務先の点が一番大きいというか、それがほとんどですね。問題は、その当時の行政監理委員会が答印しているものについて、この前もそうなんですが、あなたの方としてはなぜそれを法案の中に盛ろうとしないのですか。どういうわけですか。  それは答えは簡単でしょう。職業が変わった、勤務先が変わった、そういうことによってそれを把握しておいて、取り締まりの対象にして、そして罰則を適用しよう、こういうことでしょう。そのために職業と勤務先というようなものについても、これを変えるということについてはあなた方は反対だ、こういうことでしょう。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 職業とか勤務先は非常に重要な身分関係に関する事項であると私どもは考えております。なぜかと申しますと、具体的に言えば、現在いわゆる資格外活動者というものが非常に増加しつつあるわけでございますけれども、こういうものを取り締まるあるいは規制するためには非常に重要な手がかりを与えるものである。それからさらに、税務行政との関連もございます。したがいまして、職業あるいは勤務先の変更については従前どおり、変更があって十四日以内に登録すべきものと考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 では、日本人も職業や勤務先が変わったら、一々役場へ届けるのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 日本人の場合、そういうことはございませんけれども、日本人については、外国人の公正な管理という、そういう必要がないからでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、日本人に対しては公正な管理は必要ない、外国人に対しては公正な管理が必要だというその区分けが、それはまたもとへ戻っちゃうけれども、はっきりしないのですよ。わからないのですよ。なぜ外国人に対してはそういうふうな公正な管理が必要で、日本人に対しては公正な管理が必要でないのですか。それはあなたは在日外国人というものを犯罪者視しているとは言わぬけれども、潜在的な犯罪者的な考え方、取り締まりの対象だということが基本にあるからじゃないですか。それはあなた方としてはあたりまえかもわからぬけれども、そこにあるのじゃないですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 お答えいたします。  稲葉委員御案内のとおり、外国人の入国を認めるかどうか、あるいは入国を認めた外国人をどういう在留資路でどの程度の在留期間在留を認めるかということは、国際法的に見ましても主権国家の権限事項とされておるところでございます。  わが国に在留する外国人は、現在の出入国管理法第四条一項各号に掲げる在留資格と在留期間に基づきましてわが国に在別しておるわけでございますが、これは外国人の従事する職業と密接不可分の関係にございます。たとえば四-一-九と言われております公開興業に従事する芸能人、あるいは四-一-十三に従事しております熟練労働者というような、そのほかにもあるわけでございますが、もろもろの在留資格は職業と密接不可分の関係にあるわけでございまして、そういう関係で、先ほど御説明申し上げましたような在留資格の変更だとかあるいは在留期間の更新だとかというような申請が在留外国人から地方入国管理局の窓口に出されました場合には、当該申請者の外国人登録証明書を提示するということによって職業あるいは勤務所の名称あるいは所在地を把握して外国人の在留資格関係の審査に資するということで、これは一面においては、稲葉委員御指摘のとおり、資格外活動というような取り締まり目的に奉仕するという面もありますけれども、また他面、在留外国人の利便の増進ということのために利用されておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまのお話を聞きますと、入国を認めるかどうか、これは主権国家ですからあたりまえの話です。それから、在留許可を与えるか与えないか、これも主権国家ですから、日本の国の裁量権の範囲に入るということ、これはあたりまえの話です。  しかし、それは濃淡の差はあるけれども、日本における在日外国人の中で、戦前から日本にいて、自分の意思によらずにと言っていいでしょう、日本人にされて、そうして自分の意思によらずに日本人でなくなった人たちがいるわけですね。日本においてはほとんど八割から九割はそれだと見ていいでしょう。そうなってくると、それに対する一つの特殊性というか、そういうようなものを理解しないで、ただ入国の許可はどうだ、在留許可がどうだと言うことは、これは一般の新しく入ってくる外国人に対する対策としては妥当かもしれないとしても、いま私の申し上げた者に対しては、それをそのままの形で使うということはおかしいんじゃないか。これはあたりまえの話ですよ。これが日本の抱えておる外国人登録法の一番大きな問題なわけです。それがなければ、この問題はそんなに大きな関心というか、あれにはならないわけですね、日本の場合は。そういう特殊性が日本にあるということについてはもう大臣もおわかりでしょう。これはあたりまえの話ですね。  だから、一般の外国人とそういうふうな戦前からいる人たちとの間の、区別をすると言うと語弊があるのだけれども、実際においては取り扱い処務の中で違いがあるということは当然過ぎるくらい当然だ、こういう点については大臣はどうお考えでしょうか。

坂田道太自由民主党法務大臣

○坂田国務大臣 その点は、考え方としては稲葉委員の御主張と同感するところが私は多いわけでございます。ただ、これをどう処理するかということにつきまして、わが方でもう少し考えさせていただきたいというふうに思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、きょうの質問いろいろあるわけですが、指紋の問題は別の人が質問しますから、私も後でやりますけれども、別な方が中心になってやられますから、そこで出ると思うのですが、これは昭和五十五年四月二十二日に私が質問した中で、当時は小杉さんが入管局長でしたね。いまケニア大使かな。その中で私はこういう質問をしているわけですが、それに対する小杉さんの答えです。   さらに、この指紋制度なるものが確かに犯罪  捜査との関連においてしばしば問題になる。し  たがって、外国人登録の際に指紋を押すことは  犯罪人扱いをされるのだという考え方もおあり  のようでありますけれども、これは国によって  それぞれ考え方もいろいろ違うようでございま  す。同じ中国の例を見ましても、私ども経験し  ております限りでは、台湾の方の場合に若干指  紋押捺と犯罪の絡みというものを強調される面  があるようでございますが、中国本土の方から  はたとえば留学生等いろいろ来ておられます  が、いまだかつて一度も指紋の問題について苦  情を受けた記憶がございません。という答えが小杉さんから出ているわけですね。  これはいまここで聞くわけじゃないけれども、ここで台湾の方の場合に犯罪との絡みがあるというようなことが出てますから、これは具体的にどういう意味かということをあなたの方でよく研究しておいてください。具体的にどういうことが問題になったかということを、これは局長の答弁があるから私は聞くのですが、よく研究しておいてください。  では、罰則の方に入りたいと思うわけですが、これもやはり私の質問で、昭和五十五年四月二十二日の法務委員会でこういう答えが小杉さんから出ているのですね。私の質問は「外国人登録証明書を持っていないということで懲役一年で逮捕するなんて、」というような話をしているわけです。懲役一年というのは、最高刑が懲役一年だったわけです。今度それは三つに分けて変えているようですが、それに対して小杉政府委員、入管局長はこういう答えをしているわけですね。   ただいまの刑罰が一律に違反に対して一年以  下の懲役または禁錮もしくは三万円以下の罰金  ということになっております、これが余りにも  画一的であるという議論につきましては、私ど  ももなるほどと思わせられる点がございますの  で、将来の外登法の抜本的改正の際に、やはり  実質的な現行の外国人登録制度を最も担保する  ために必要な事項にかかわる罪としからざるも  のとの間に格差を設けるという方向での検討を  進めてみたいと考えております。その後答弁が続いているわけです。  そこで私のお聞きいたしますのは、まず、「将来の外登法の抜本的改正」ということは一体何を意味しているのですか、そういうふうに小杉さん言っているから。それと今回提出になっておる外国人登録法の一部改正、今度のいま審議しているものとの関連はどういうふうになっているのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 五十五年の四月に当時の小杉局長が触れました外国人登録法の抜本的改正、それはその後慎重な検討を経ましてこのたび私どもがお諮りいたしております外国人登録法の一部改正法案の中に実現されたわけでございます。私どもは、この改正法律案を出しますに際しましては、外国人登録制度の基本問題についても十分慎重な検討を加えた結果、現在国会に提出して御審議いただいております改正法律案という形になったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 基本問題についていろいろと協議をした、こういうことですね。それなら法制審議会の方はどうなったのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 私がただいま申し上げましたのは、今度の外国人登録法の一部改正法律案を出すに当たりましては登録制度の基本問題等について十分検討を加えまして、その結果現在御審議になっているような案になったわけでございます。法制審議会には御相談いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはおかしいじゃないのですか。あらゆる法律の基本問題に関連しては法制審議会に諮問するというのが法務省の姿勢ではないのですか。そうなってますよ。これはあなた方の方の逃げ道はあるのですよ。それは教えないけれども、答弁の逃げ道はあるのですよ。官房長、いないかな。それは官房長に聞けば一番いいかもわからないけれども、基本法の基本問題については、基本法というのかその基本問題というのか、基本法の基本問題というふうにひっかかるのかあるいは基本法を抜いてただ基本問題というだけにかかるのか知らぬですが、それではどういう場合に法制審議会にかけるのですか。  この法案はおかしいですよ。この法案をあなた方が抜本的改正だと言うのならば、法制審議会にかからなければいけませんよ。あなた方はこれを法制審議会にかけるのを嫌がるのでしょう。学者の間でいろいろな議論が出てくるから、それを嫌がるから恐らく法制審議会にかけないのじゃないかと思うのですが、法制審議会にかけなかった理由については納得できませんから、法制審議会というのはどういうものであって、どういうときにかけるのか、法務省ではどういうふうな規定の仕方になっているのか、官房長から説明してもらいたい。

筧榮一法務大臣官房長

○筧政府委員 突然のお尋ねでございますが、いま入管局長が申されましたのは、外国人登録法の基本問題について検討をしたということでございまして、基本的には刑事、民事等に関する基本的な法令は法制審議会にかける、しかし、その法律が民事、刑事等の基本の法律であるかどうかという点で、法制審議会にお諮りしたりしなかったりという判断でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、私は基本法の基本問題というふうに意識して言ったわけですね、恐らくあなたの方はこれは基本法でないとくるに違いないのだから。基本法というのは民事、刑事とくるので、恐らく六法を中心に言うのでしょう。これはそのうちに入らないと、こうくるに違いないと思ったから意識的にそういう質問をしたわけですが、おかしいんじゃないですか。では、民事、刑事というと、これは民事に入るのですか、刑事に入るのですか、この法律はどちらに入るのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 公法関係の法律ということで、先先御指摘の民事とか刑事とかという分類には入らないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、法務省で扱う公法関係の法律というのは一体何なんですか、どういう法律がありますか、官房長。

筧榮一法務大臣官房長

○筧政府委員 いまちょっと思いつきませんが、たとえば現在法制審議会にかけております国籍法、これも民事ともつかず、むしろ公法的なものではなかろうかというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 公法的なものと言えば、たとえば行政事件特例法などは公法的なものでしょう。これは法制審議会にかかったのですか。かからなかったのですか。まあ、いまここで答えなくてもいいです。いますぐというわけにはいかぬけれども、こういう重要な法案なんですからね。抜本的改正だというふうにあなたの方は言われるわけでしょう。まだまだ基本的な問題がいっぱい残っているのですから、僕は抜本的な改正だと思わないのですが、そうなってくるならば、これは当然法制審議会にかけて十分な審議をしてから出すべきなんですよ、たくさんの問題が残っているのですから。それを全部なおざりにしてしまって、適当なところだけ三年を五年にするとか、十四歳を十六歳にするとか、あるいは罰則を分けた、それだからいいじゃないかと言うのですが、これはそう簡単にいかないですよ。なぜ法制審議会にかけなかったのかということについての理解が私にはできません。これはちゃんとかけなければいけませんよ。そして慎重に討議をしなければいかぬと私は思いますよ。  民事、刑事と言うのだけれども、そうすると、公法関係は法制審議会にかけないのですか。そんなことはないでしょう。国籍法を公法と言うのか、むずかしいところだからちょっとわからぬですが、これは国際私法の問題であるし、それを公法と言うのか民事と言うのか、まあ国籍法の場合は民事と言っていいんじゃないかと思いますが、これも民事か刑事かという分け方に入るか入らないか、まあ入らないと見た方がいいでしょうけれども、これは刑事の方が中心になっている法律ですよ、前の方は民事関係ですけれどもね。いずれにしても、法制審議会にかけなかったということについては私には理解ができない、こういうふうな考え方をしております。しかし、それはここで議論しても、かけないでこうやって出てきているわけですからあれですがね。  そこで、私はさらに質問を続けるわけですが、この意味がわからないのだ。「実質的な現行の外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪としからざるものとの間に格差を設けるという方向での検討を進めてみたいと考えております。」こう言っているでしょう、小杉さんは。これは一体どういう意味なんですか。まず、「実質的な現行の外国人登録制度」というのは何なんですか。これはさっきからお話があったことだと思いますけれども、まずそれが何かということ、それから、「最も担保するために必要な事項」というのはどういう意味なんですか、そしてそれが今度の改正法の中にどういうふうに生かされているのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 お答えいたします。  現行の外国人登録法が制定されたのは昭和二十七年でありますから、もう三十年余りを経ておるわけでございますが、その間、罰則についての基本的な改正がなされなかったことは御案内のとおりでございます。ただいまの小杉前局長の当委員会における昭和五十五年四月二十二日の答弁を基礎にして御質問の点でございますが、外国人登録法の現行の罰則は、すべての構成要件について一年以下の懲役、禁錮または三万円以下の罰金、あるいは情状により併科することができるという一本の法定刑が規定されておるわけでございます。これが画一的過ぎるかどうかということについていろいろ議論のあるところは、先生御承知のとおりでございます。かつて法務委員会におきまして刑事局長が、法定刑が一年以下というような比較的軽い法定刑であるのでさらに細分化するということをしなかったのだと思う、これはこれで理由があることだというふうに答弁しておるところでございまして、そういう考え方も十分あり得ることでございます。  ただ、小杉前局長が答弁いたしました画一的に過ぎる、あるいは制度の基本を担保するための重要性についての比較判断をして軽重をつけたいというような点でございますが、これはちょっと抽象的に御説明しにくい点でございますので、一つの例を取り上げて説明させていただきますと、わが国に入国した外国人が九十日を超えても全く登録をしなかったという三条一項違反の事件、それと、たとえば旅券の番号あるいは旅券の発行年月日が変更を生じたが、それについて変更登録申請をしなかったというような事案、まあ対照して申し上げるのが必ずしも適当かどうかわかりませんが、そういう外国人登録制度にもともとのってこない、登録すらしないという外国人の場合と、登録した上で旅券発行年月日とか旅券番号が変更になった場合の登録申請を法定期限までに行わなかったというような点について同じ法定刑でいいだろうか、これについてはもう少しきめの細かい判断がなされるべきではないかというようなことが、具体例を取り上げて申し上げますと基本にあったと考えるわけでございます。  そこで、われわれといたしましても、今回の外国人登録法の改正法案を提出するに当たりましてそういう点いろいろ検討いたしました結果、御案内のとおり、懲役刑と罰金刑の一つのカテゴリーと、罰金刑のみのカテゴリーと、それから二つについては罰則を廃止しておるわけでございますが、一つ罰則を新設したという点もございます。そういうふうな比較、軽重の観点から、この画一的過ぎるという批判にはこれで十分おこたえできるというふうに考えて、検討を遂げたつもりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはわかっているのですが、私はこういうことを聞いているのですよ。今度三つに分けたのでしょう。三つに分けたというか、行政罰の方は前からあったとするならば、二つに分けたと言う方が適当かもわかりませんし、あるいは三つに分けたと言う方が適当かもわからぬけれども、私が聞いているのは、ここに言うところの「実質的な現行の外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」とそうでないものとに分けると小杉さんは言っているのでしょう。言っているのだから、それでは「外国人登録制度を最も担保するために必要な事項」というのは一体何と何と何なんですか、その理由は一体どこにあるのですかということを聞いているわけですよ。それが今度の改正の中にどういうふうに生かされてきたかということでしょう。これは午後にしましょう。  その前に私が聞くのは、一体この罰則の改正について、どことどことどことあなた方は相談したのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ただいま委員御質問の相談という意味は、協議を遂げたかということでございましょうか。そういうことでございますれば、各省庁にすべて協議はしております。しかし、罰則の運用に当たる機関は、一般司法警察職員を抱える警察庁、それから特別司法警察職員を抱える海上保安庁、運輸省でございますが、こういう罰則の運用に現に当たっておる機関と主として協議をいたしたわけでございます。法務省の部内でございますが、もちろん検察庁とも協議を遂げておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 法務省が検察庁と協議を遂げる、そんなことはおかしいですよ。刑事局じゃないですか。直接検察庁と協議するのですか、法務省が。それはおかしいぞ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 もちろん刑事局でございますが、刑事局を通じて検察庁の意向も十分参酌しておる、こういう趣旨でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはもちろん刑事局があるのだから、罰則は全部刑事局の意見を聞くわけですから、そこでまとめて統一的ないろいろな判断をしているわけでしょう。それはわかりますが、直接検察庁と協議するというのは、筋としてはおかしいよ。  一番大きなポイントは、やはり警察との間の意見の調整というか、協議というか、それが一番大きなポイントだったのじゃないですか、この罰則の改正に関連しては。それは常識的にそういうふうに考えられるのですから、それならそれでいいのじゃないですか。別にそれをかれこれ隠す必要も何もないので、これはそういうことでしょう。その点はどうなんです。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 罰則の協議に当たって中心的な重要性を持ったというのは、もちろん警察庁でございます。しかし、警察庁だけじゃありません。もちろん特別司法警察職員を抱える他の省庁とも協議は遂げております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、特別司法警察職員といったって、一体それはどこがあるのです。海上保安庁がちょっと考えられる程度でしょう。あとは鉄道公安官とか森林警察もあるけれども、それはこの場合は問題ないですよ。  海上保安庁だけれども、海上保宏庁は違うのじゃないですか。出入国管理に関連しては海上保安庁が関与する可能性はあるけれども、外国人登録に関連して海上保安庁がどうして関与するのですか。どうしてそこで相談しなければならないのですか。おかしいじゃないですか。出入国管理ならわかりますよ。密入国の取り締まりや何かでわかるけれども、外国人登録に関連して何も海上保安庁と協議する必要はないのじゃないですか。どういう理由ですか、これは。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 海上保安庁を例にとりますと、海上保安官が外国人登録法の罰則の運用に当たっておるということは事実でございます。海上保安官から送致される外国人登録法違反という事件もございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 海上保安官から送致をされる事件がないとは言いません。それはあるでしょう。だって司法警察職員ですから、それはあると思うのです。では、それは具体的にはどういうときに当たるかということですが、まあ、それは余り問題とするに当たりませんから、その点はいいでしょう。  私の聞いているのは、ここに書いてある「やはり実質的な現行の外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」というのは一体何と何と何ですかということを聞いているのですよ。今度のこの外国人登録法の一部改正の中で、それは一体どこにあらわれているのですかということを聞いているのですよ。そうでない罪というのを分けると言っているのだから、まず最初のものを聞いている、こういうことですよ。私の質問の意味おわかりでしょう。別にどうということはないのじゃないですか。それを聞いているわけですよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 外国人登録法の目的が、在留外国人の居住関係、身分関係を明らかにして、在留外国人の公正な管理に資するということでございますので、この法の目的を達成するための基本的な事項ということでございます。  具体的に申し上げますと、外国人の新規登録申請を担保するための不申請についての罰則、それから、外国人登録制度の基本にかかわる証明力を減殺するような登録、これは虚偽申請でございますが、これを防遏するための虚偽申請罪の罰則、あるいは居住関係の把握ということが一つの大きな目的でございますので、居住地の変更登録申請を履行させるための、この不申請罪に対する罰則、あるいは他人名義の旅券が流通するというようなことになりますと、これまた制度の根幹を揺るがすことになりますので、他人名義の登録証明書の譲渡だとかこれの譲り受け、だとかあるいは他人名義の外国人登録証明書の行使とか、こういう点が最も登録法上基本的な制度の維持を適正に担保するための罰則というふうに理解しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の聞いているのは、この改正法をあなたの方が出しているのでしょう。改正法を出しているの、だから、この条文に即して説明をしてくださいと言っているのですよ。結局言えば、十八条との関係でしょう。十八条との関係のどこが外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪なのか、これに即して説明してくださいと言っているのですよ。それじゃなければ、あなたは理解できないのじゃないですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 現在御提案申し上げております外国人登録法の条文に即して御説明申し上げますと、第十八条の各号、これが最も基本的なものというふうに考えておるわけでございます。十八条の二ではございません。十八条の各号でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それを聞いているのですからね。だからそういうふうに答えてくれれば、話は簡単なんですよ。いいですか。  そうすると、担保をするという意味がまたよくわからぬ。担保をするという意味はどういう意味なんです。担保をすると書いてあるでしょう。いま言っているでしょう。「外国人登録制度を最も担保するために必要な事項」、この担保するという意味はどういう意味なんですか。どうも意味がわからない。いや、あなたが言っているのじゃない、小杉さんがそういうふうに答弁の中で言っているから。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 制度の履行を確保するための手段というふうな趣旨ではないかと思います。この担保という言葉は、いろいろ裁判例などにも使われておるわけでございますが、たとえば外国人登録証明書の携帯義務、これになぜ罰則を科する必要があるのかというような点についての裁判例は、その義務の遵守を確保するために必要だとか、あるいはその義務の履行を担保するために罰則が必要なんだという言い方をしておるわけでございますが、それと同じような趣旨で小杉前局長が答弁されたものと理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 法案の趣旨説明の中で言った言葉でもないし、法案に書いてある言葉でもありませんから、それは言葉ですから、そう私どもの方はああだこうだ言うつもりはないのですが、私の聞いているのは、いまあなたの答弁の中で、十八条だ、十八条の二ではないということが出てきましたね。これは午後の質問にそこが関連してくるわけですね。これはおわかりでしょう。そうすると、十八条のところで、十八条の書いてある罰則一つ一つがどのように外国人登録制度を担保するために――「最も」と書いてありますから、担保するために必要な事項なのかということ、そのことについては午後から一つ一つ聞くわけですから、あなたの方でも準備をしていていただきたい。こういうふうに私は考えておるのですね。  そこで、これもはっきりわからないのですが、最初に全部一律にしましたね。それは最初は六カ月だったものが上がってきて、一年になりましたね。そうでしょう。罰則が、法定刑が上がりましたね。それは具体的にどういう理由から上がったのですか。それは当時は日本の政府の自主的な判断だったのですか。あるいは当時はまだ占領中であって、占領が終わった段階かな。向こうからのサゼスチョンがあったとかなんとかということがあったのかもわかりませんが、いずれにしても、それは率直に言うと、六カ月の刑が一年に上がったということですね。それは在日朝鮮人というか、いわば朝鮮動乱のときに関連をして、そしてこの刑を引き上げるという話が出てきたのではないですか。どういう経過でこの六月から一年に刑の引き上げが行われてきたのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ただいま御質問の六カ月以下の懲役、禁錮、これを一年以下の懲役、禁錮、もちろん罰金刑も上げたわけでございますが、これのいきさつ、必ずしも明確にはなりませんが、その在日朝鮮人、韓国人の取り締まりの目的というふうには理解しておりません。これはあくまでも当時の外国人登録制度の運用上、幽霊登録が非常に横行しておったとか、あるいは他人名義の登録証明書に写真を張りかえて、いわば偽造をした登録証明書とか流通があたとか、あるいは二重申請とかあるいは虚偽申請が横行したとかという、外国人登録制度の基盤が十分定着しない間のこの種の違反形態の増加に伴う法定刑の引き上げであったというふうに理解しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私、いまちょっと間違えました。朝鮮動乱というのはずっと後ですから、これは二十四年の改正ですから。私、ちょっと勘違いしておりました。間違えました。  それは確かに幽霊登録、二重登録などがふえて、一斉切りかえをこのときやったのでしょう。やった結果として、実質的に登録人員が約五万人減ったとかなんとか言われているわけですね。そのことと罰則を引き上げたということと一体どういう関係があるのですか。これは占領中ですね。だから、アメリカの一つの向こうの指令なりあるいはサゼスチョンなり何なりによって刑が引き上げられたということじゃないですか。それは占領中だから、あたりまえな話じゃないですか。  そして結局、それは虚無人登録とそれから二重登録が非常にふえた、その当時不法入国者がふえてきた、そのことに関連をして外国人登録令の根本的な改正や登録証明書の一斉切りかえが必要になった、こういうことでしょう。昭和二十五年一月十六日から三十一日までの間に登録証明書の一斉切りかえを実施したわけですね。約二週間、十五日ぐらいでやったわけでしょう。  そういうふうな特殊な事情があって刑が引き上げられた、こういうことなんですね。いまそういう事情ではないわけですからね。だから、これはもとへ戻らなければいかぬ、こういうことになってくるのじゃないですか。もとに戻らないといかぬというか、むしろ根本的に再検討して、廃止すべきものは廃止をするというふうなことにしなければいかぬということになるのじゃないでしょうかと私は理解するのですよ。  だから、結局何かあったから刑を重くしたということ、しかもそれはアメリカ側の政策で重くしたということ、その当時における在日の外国人といえば、それは主として在日朝鮮人だったあるいは台湾人だったとかということに対する一つの取り締まり法規としての外国人登録令が意義を持っておったんだ、アメリカとしてはこういうことじゃないですか。  さらに、アメリカから言わせれば、これはアメリカが在日朝鮮人に対して国籍選択の自由を与えなかった。それはそれなりの一つの理由があった。これは私、ここで申し上げませんけれども、彼らは彼らなりに考えて、そういうふうな理由のもとにその国籍選択というものを、古くからいるというか日本にいた人で講和条約の結果分離される者について国籍選択の自由を与えなかったということは、アメリカ側に言わせれば一つの理由があった、こういうことになってきて、それがいまなお尾を引いてこの外国人登録法の中に息づいておる、こういう結論がここで出てくるのではないか、私はそういうふうに理解をする。  となってくれば、外国人登録法の根本的性格というものが明らかになってくる、私はそういうふうに思っているわけですよ。あたりまえというか、普通の人はみんなそういうふうに思っているんじゃないですか。あなた方もそうなんだけれども、それはあからさまに言うわけにいかぬというので、公正な管理管理という言葉を使っておる、こういうことだと思うわけです。  午前中の質問はこれで終わって、午後はいまの十八条の関係、それから十八条の二の関係、それから行政罰の関係とありますね。この三つばかりではありませんけれども、それを中心として午後は質問をいたしたい、こういうふうに考えて、午前中はこれで終わります。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十二分開議

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 午前中質問したことを多少補足してお聞きをして、それから十八条の罰則関係に入りたいと思います。  この外国人登録令が出る前にメモランダムがあって、メモランダムの前ですか、後ですかに法務省なり厚生省なりの共同の一つの何か出ていますね。これはどういうふうなものなんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 当時、本邦におりました朝鮮半島出身者が本国に引き揚げたかどうかを確認するために、いわゆる非日本人の登録ということを実施したことがございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これもまたよくわからぬ。朝鮮人、本島人と雷いてありますね。本島人とは何です、これは。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 その本島人というのは、台湾出身者を指すものと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 台湾出身者がどうして本島なの。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 当時、俗に台湾人のことを本島人と呼んでいたのではないかと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 どうしてこれが厚生省、内務省、司法省の共同令という形で出たわけですか。当時司法省はあったのかな。どうなっています。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 当時、いまお挙げになった三つの省がどうして協力してそういう制度を実施したか、その辺の事実は承知いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうじゃなくて、そのときに司法省というのはあったのですかと聞いているのです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 当時、司法省はございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 その司法省というのは、戦争前からあった司法省という意味ですか。これは法務府になったのでしょう。解体してなかったの、司法省というのは。それはどういうわけなの。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 法務府に改組されましたのは新憲法発布後でございまして、昭和二十三年でございます。したがって、当時はまだ司法省というものは存在したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、法務大臣、前は司法省と言ったのですよ。司法大臣と言ったのですが、いま法務省と言って法務大臣と言うのは、これはどういうわけなんだろう。官房長、いないかな。長だな、その答えは。どういうわけですか。まあ、そんなことはいいです。ちょっと疑問を持つんですね。司法省と言っていたのが法務省になったでしょう。ところが、司法試験と言うんだよね。試験は法務試験とは言わない。司法試験と言うのでしょう。よくわからないのですが、だから特別な意味があるのかなとは思うのです、司法省から法務省になったという意味について。司法という意味と法務という意味とはどう違うのか。司法と法務では司法の方が範囲が広い、こういう意味ですか。あるいは裁判所との関係が何かあったのかなと思いますが、どうでしょうか、わかっている範囲で。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 私の理解しておりますところでは、現在の憲法の制定に伴いまして、御案内のとおり、裁判所が最高裁判所を頂点とする機構に分離独立いたしましたので、その関係で司法省が法務省という形になったというふうに理解しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 しかし、これは英語としては同じ言葉じゃないですか。と思いますがね。そんなことは余り関係ありませんからいいですが。  そこでお聞きをいたしたいのは、憲法との関連において、憲法の一条から最後まで、その中で外国人に関連をして、日本人と外国人とが区別をされているというか、差別というと言葉が悪いですね、違いが残っているというふうなものは一体あるのですか、ないのですか。これは書き方がいろいろあるのですよ。「すべて國民は」と書いてある書き方もあるし、「國民は」という言葉が抜けているところもあるわけでしょう。だから、それは一体どういうふうに考えるのかということですね。恐らく人権問題に関するところが中心ですけれども、それは書き方がいろいろありますね。あるでしょう。職業選択の自由の場合とか居住、移転の自由とか、書き方が違いますね。日本における外国人の権利というものと日本人の権利というものとが憲法の規定の中でどこがどう違うのか、あるいは違わないのか、こういうことですね。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 憲法で定めております基本的な人権こういう関係の規定につきましては、日本人に留保されている種類のそういう権利を除いては外国人にも適用されるということになっているわけでございます。それでは、何が日本人に留保されているかと申しますと、それは参政権であると解釈しております。これはそういう判例もあるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、参政権がないというのはわかりましたよ。参政権を除いては、では日本にいる外国人も日本人も同じ待遇だということになるのですか。そうなってくれば、最初にもお話ししたようにいろいろ外国人の権利を制限しているということは、これは憲法違反という議論になってくるんじゃないですか。おかしくなってきませんか。憲法の書き方を見てごらんなさい。「國民は」と書いてあるのと「國民は」と番いてないのとあるでしょう。そこは意味は違うのですか、違わないのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 「國民は」と書いてあるものにつきましても、外国人に適用できるものもあるわけでござい産す。いずれにいたしましても、外国人に適用されない権利というのは、わが国が主権の行使の範囲内にございますたとえば外国人の入国管理であるとか、そういうものについて制限がございますけれども、これはそういう意味の基本的な権利を制限する合理的な必要があるということで認められているわけでございます。入国管理の例を挙げましたけれども、そのほかにも、財産権であるとかその他いろいろと外国人については権利が制限されているものがございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 登録法の罰則のことに入るわけですけれども、そうすると、結局在日朝鮮人ばかりでなくて、いわゆる本島人というのか台湾人というのか、言葉はあれですが、登録制度が設けられたというのは、これは昭和で言うと二十一年ですか、いわゆる厚生省と内務省と司法省の共同令第一号によって設けられたわけですね。これはそのとおりですね。その当時は占領中ですから、そこでその目的というのは、「朝鮮人ノ帰還希望ノ有無ヲ調査スルタメ登録ヲ実施スル」ということが共同令の目的になっているわけですね。これはもうそのとおりですよ。そうなってくれば、それに対して罰則をつけるということはおかしいのじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま稲葉委員が御指摘になっております三省でやりました登録制度、これは、その後の今日まで至っておりますいわゆる外国人登録制度とは、質が違うものだと私は考えております。現在の外国人登録制度の変遷を考えます場合に、その起点になったのは、昭和二十二年五月二日の勅令二百七号による外国人登録令でございます。それが御案内のとおり、昭和二十七年に外国人登録法に変わりまして、そして今日に至っているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私が聞いているのは、あるいは私の方に誤解があるのかもしれないのですが、その共同令のときには何か目的があったのですか。どういう目的でやられたのですか。そのときには、それに関連をして罰則はついていなかったわけですか。それはどうなっているのですか。罰則は、外国人登録令のときに初めてついたのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 この三省で実施いたしました登録は、目的は先ほど申し上げましたとおり、朝鮮半島出身者が果たしてどれだけ本国に引き揚げたのかということを確認するための、非常に限られた目的の措置でございます。したがいまして、これに対しては罰則が設けられていなかったと承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 しかし、それを受けて外国人登録令というものができたんではないのですか。それとはどういう関係になるのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 三省で行いましたものは、先ほど申し上げましたとおり、朝鮮半島出身者の引き揚げの有無、引き揚げたかどうかを確認するだけの目的の登録でございました。他方におきまして、登録令以降は、外国人の登録、外国人の在留管理と申しますか、そういうことを目的とした登録でございます。したがいまして、目的がずっと広いと考えているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 余り細かいことを聞くのも昔のことですから。  それならば、三省の共同令の中に本島人というのが入っているのもおかしな話なんですね。朝鮮の帰還者だけのことならば、本島人が入っていることもおかしな話なんですよね。これを受けて令の罰則というものが整備されて、いずれにしても、両方とも覚書によってでき上がっているということになれば、アメリカの占領政策の一環としてこの外国人登録令ができたということは明らかなことだ。それを受けて外国人登録法ができた。このことも明らかなんじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 三省が実施いたしました登録は、これは朝鮮半島出身者と申し上げましたけれども、そのほかに台湾出身者も含めて、こういう人たちの引き揚げがどのくらい行われたかということを確かめるための、そういう狭い措置でございました。  ただ、これは占領時代に実施されたわけでございまして、それからその後に実施されました登録令でございますか、これは占領時代に行われたという、その意味では、時期としては占領時代という共通の面がございますけれども、しかし、登録制度としては全くこの両者は質的に違うと私どもは考えております。したがって、現在の登録制度の歴史を顧みますときに、この三省が行いました登録というものは、現在の登録制度に連なるものとは考えていないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはそのとおりですね。  ただ、私の聞いているのは、後半の方に意義があるということですね。占領政策の一環として外国人登録令ができた、これは間違いない、時期からいっても間違いないわけですね。メモランダムがあるわけですし、時期がそうですから、間違いない。だから、それをもとにして外国人登録法ができた、このことも間違いないということでしょう。それはまず間違いないですね。その点をお聞きしましょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 占領時代は多かれ少なかれ司令部の影響というものがあったと思います。したがいまして、特に登録令の場合には、司令部の強い指導があったというふうに私どもも承知しております。登録法は、それを受けて、そして改正をしたわけでございまして、それにどれだけマッカーサー司令部の影響があったかどうかは必ずしも明らかではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私が聞いているのは、外国人登録令というものが司令部の強いあれがあったということでしょう。これは認める。あたりまえの話、当時の状況からいって。しかし、それを受けてという言葉が悪ければ、結局内容としては、外国人登録令と外国人登録法とは少しも変わっていないんではないですか、こういうことになりますね。変わってませんね。そういうことでしょう。内容が変わっていますか。変わってないでしょうが、それは。多少事務的には変わっているところはあるけれども、基本としては、大筋としてはちっとも変わっていないんではないですか、こう聞いているわけですよ。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人登録法になりまして、御承知のとおり、出入国管理の面と登録面とが分かれたわけでございますけれども、登録の面だけに焦点を当ててみますと、手直しは行われておりますけれども、基本的に非常に大きな違いがあるとは考えておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、大臣、お聞きのとおり、これはもう占領政策をそのまま引き継いでいるのですよ。いいですか、占領政策がそのまま引き継がれておる。当時の、昭和二十二年あるいは二十四年あるいは二十七年、そのころにおける日本における外国人、これは後で聞きますけれども、その日本における外国人の中で、一体何人が何%占めているかという統計をお聞きしますから、準備しておいてください。そんなのはすぐわかることですから。  それは在日朝鮮人が、韓国人というか、とにかく両方を含めたそれが一番多かった。八割から九割でしょう。九割を超えている場合もあるのですからね。それに対するための法案という形に現実になっているわけですね。これはだれが見てもあたりまえの話というか筋なので、そのことは否定することはできないというふうに私は思っておるのです。そうすると、いま在日外国人というのがいる。どのくらいいるかお聞きしますが、そのうちのいわゆる在日朝鮮人というか、在日韓国人というか、この青山代議士のは在日韓国人になっていますけれども、普通には在日朝鮮人と呼ぶ場合が多いと思いますが、それはどちらでもいいのですが、それが全体の中のどの程度を占めていますか。日本における在日外国人の内訳ですね、それはどうなっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 現在在留しております外国人のうち、朝鮮半島出身者は約八四%を占めております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 一番多いときは九十何%になっていたでしょう。それが帰還した人や何かがいていま減っているけれども、一番多いときはどのくらいでした。その数字はこの資料の中に入っているのかな。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 登録制度が始まりました初期におきましては、恐らく朝鮮半島出身者が外国人の中で占める比率というものは、もっと高かったかもしれません。と申しますのは、当時その他の外国人というのは余り数がなかったわけでございます。ただ、その後だんだんと一般外国人と申しますか、その他の地域の出身の外国人がふえてきて、そして相対的に朝鮮半島出身者の比率が当時に比べて減っているという事情があろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、この政府の提出した関係資料の中に、五十六年十二月末日現在の「外国人登録国籍別人員調査表」というのが出ていますね。これは登録課から出ているのですが、これを見るというと、総数が七十九万二千九百四十六人ですか、そのうち朝鮮及び韓国が六十六万七千三百二十五人、中国が五万五千六百十六人、こういうふうになっておりますね。だから圧倒的に、どのぐらいになるのかな、八割以上ですね。八割以上の者が、あなた方の資料によれば在日朝鮮人あるいは韓国人、こういうことになる。これは数字の上で明らかですね。そういうふうになってくると、いいとか悪いとかということじゃないですよ、好むとか好まないとかということは抜きにして、この法案が現実に対象とされておるのは、結局において八割以上というふうなものが在日朝鮮人なり在日韓国人に対してこの法案が適用される、こういうことは客観的な事実として認めざるを得ない、こういうことになりますね。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 この外国人登録制度によって登録義務を伝う外国人、その外国人のトータルの中で朝鮮半島出身者が八四%以上を超えているわけでございます。これは五十六年十二月末現在の統計でございますが、したがいまして、登録義務を食う外国人の八四%以上が朝鮮半島出身者であるということ、これも事実でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、中国となっていますね、この資料には。これを含めると、全部でどれぐらいになりますか。ほとんど九割近くになりますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 五十六年十二月末現在で、韓国人及び北朝鮮人の比率が八四・一六%でございます。他方、中国人、これが七・〇一%でございますから、両者を合わせますと九一%を超えるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 北朝鮮人というのは変な言葉ですね。あなたの方としてそういう言葉を使っているのかどうかは別ですが、これは後で、場合によっては訂正になる可能性ありますよ、いまの言葉は。おわかりでしょう。これはちょっといまのところは何か訂正した方がいいんじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 先ほどそういう北朝鮮人という言葉を使ったのは不注意でございました。朝鮮半島出身者ということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、いま私が言ったところの質問ですが、前に質問したものですね。五十五年四月二十二日、今度の登録法の改正の十八条に関連をしてくるのですが、そうすると、その十八条の中にいま言ったように、これは小杉さんのあれをそのままとるわけではありませんけれども、これは答弁ですから、必ずしも舌足らずな点もあるかもわかりませんが、十八条の二じゃない方のものは、「一年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は二十万円以下の罰金に処する。」こういうわけですね、十八条。わかりますか。それとこの小杉さんの言っているところの「外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」というのは同じなんですか、違うんですか。どっちなんですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 現在御提案申し上げております外国人登録法の一部を改正する法律案の第十八条に記載されております各種の義務の履行、これを担保するための罰則でございますが、これは御案内のとおり、わが国に九十日以上にわたって長期に在留する外国人に等しく適用されるものでございますので、委員御指摘のとおり八四%以上が朝鮮半島出身者だということで、適用範囲の中には朝鮮半島出身者が八四%以上占めるわけでございますが、別に朝鮮半島出身者だけを対象にした罰則でも何でもございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 質問の意味を取り違えておられるのだよ。そんなことを聞いているんじゃない。私が聞いているのは、小杉政府委員、前の入管局長が答えたのは、「現行の外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」というのと「しからざるものとの間に格差を設けるという方向での検討を進めてみたいと考えております。」とここで言っていますね。だから、前の「外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」というのは、この改正案の中の十八条――十八条の二じゃないですよ。十八条と全く同じなんですか、違うんですか、あるいはそのカバーする範囲が違うんですか、そういうことをお聞きしているわけです。在日朝鮮人のことを聞いているわけじゃないのですよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 お答えいたします。  一昨年の本委員会におきまして小杉前局長が答弁いたしました趣旨は、罰則の再検討に当たって検討すべき一つの方向を示されたわけでございますが、その方向に基づいて検討を行った結果が、現在の御提案申し上げております罰則の改正案ということになっておるわけでございます。したがって、外国人登録法の目的、外国人登録制度運用の基盤、これのうち最も重要なものを担保する罰則というのが、現在の改正案の十八条というふうに私どもは考えておるわけでございます。要するに、懲役と罰金との両方の法定刑を定めたのが、この十八条の一連の罰則でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 結局、十八条というものと十八条の二との間には差がある、これはあたりまえですね、刑が違うのですから。そうすると、小杉さんの言っている「登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」というのは十八条というふうにお聞きをしてよろしいんですか、こう聞いているわけですよ。どうもそういうものでいいようにも聞こえるし、必ずしもよくないようにも聞こえるから、どうもはっきりしないから、念を押しているわけです。そういうことなんでしょう。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 小杉前局長の答弁というのは、罰則を再検討する際の一つの重要な指針を示されたものと考えております。したがって、十八条は、委員御指摘のような観点から整理したものに間違いございません。しかし、それだけではないというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。要するに、小杉前局長の示された指針というのは、罰則の再検討に当たっての一つの重要な検討方針というものを示されたわけでございますが、それですべてが言い尽くされておるわけではないと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そういう答えをすると、また問題が出てくるんですよ。そうすると、「外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪」というのが、十八条以外にもあるというのですか。じゃ、あるとすればどれなんですか。だめだよ、いまの答えは。答えをよく整理しなさいよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 そういう趣旨ではございません。第十八条というのが、担保をするために最も重要な罰則であるという観点からだけ十八条の一連の罰則を定めたものではない。それが非常に重要な要素であることは間違いございません。しかし、それ以外に、どの形態の犯罪が多発しておるかというようなこと、それから社会情勢その他経済情勢の変化に伴って犯罪動向がどういう傾向を示しておるかというような点も、われわれは十分勘案したつもりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 将来の犯罪動向とかなんとか、そういうことを聞いているのではなくて、私が聞いているのは、「必要な事項にかかわる罪」というのは十八条と同じかどうか聞いているんですよ。そうすると、いまのお答えだと、「最も担保するために必要な事項にかかわる罪」が十八条以外にもあるように聞こえるから、だからそれは、これを受ければ十八条ということになるんじゃないですか。罰則だけの答弁なんですよ、小杉さんの答弁は。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 要するに、「一年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は二十万円以下の罰金」で制度の維持を担保しなければならないというふうに考えたのが、十八条でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはあなたの改正案にそういうふうに出ているのだから。だって、小杉さんはそういうものとそうでないものと分けているでしょう、この答えは。だから、じゃ、しかるものとしからざるものとの間には格差を設ける、しからざるものというのは十八条の二及び十九条を言うのですか、こういうふうな聞き方をしましょうか。それはどういうふうになりますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 最も制度の履行を担保するために重要だと考えられた規定の罰則、これが十八条。それからもう一つのカテゴリーが、先ほども御答弁申し上げましたように、二十万円以下の罰金という法定刑のみをもって担保する罰則でございます。それからもう一つは、二つの構成要件について現段階においては罰則で制度の履行を担保する必要性は乏しいと考えて、罰則そのものを廃止したいと御提案申し上げております。この三点でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、罰則に関連をしては十八条と十八条の二と、それから廃止しようとするものというふうに罰則としては考えられるわけですが、十九条はどういうふうに考えるのですか。これは行政罰ですけれども、行政罰の場合にこれをどういうふうに理解をするんですか。罰則と理解をするんですか、あるいは罰則とは行政罰の場合には関係ないというふうに理解をするんですか。十九条をどういうふうに理解をするんですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 過料ももちろん広い意味では罰則でございますが、先生御指摘のとおり、秩序罰と申しますか、行政罰でございますので、刑事罰ではございません。要するに、十九条に規定されておりますもろもろの代理人による不申請その他の行為につきましては、刑事罰をもって制度の運用を担保する必要性まではないということで、秩序罰でその適正な履行を担保しておるということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、まず問題となってまいりますのは、十八条の中の一項一号になりますか、これがなぜ「一年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は二十万円以下の罰金に処する。」ということに必要性というか、妥当性があるわけですか。一つ一つこれを説明してください。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 十八条第一項第一号の御質問でございますが、これは一言で申し上げますならば、外国人登録法に定める各種の申請義務者による申請義務のうち、制度の目的を達成するための基本的な申請事項に対する罰則だというふうに解釈しております。  三条一項は新規登録でございますし、七条一項は紛失あるいは盗難などの場合に係る再交付の申請でございますし、八条一項、二項は居住地の変更登録の申請でございます。それから、九条一項は登録事項二十項目中、十五項目にわたる居住地以外の変更登録申請に係る事項でございますし、十一条一項、二項は、御案内のとおり確認申請、切りかえとも呼んでおりますが、この確認申請に係る罰則でございます。要するに、外国人登録制度を維持していく上に最も基本的な登録事項に係る適正な履行を担保するための罰則と考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまのお話は、抽象的にはそれはそのとおりです。答えはそうですね。具体的に、実質的に、なぜそれらのものが、三条一項なり、七条一項なり、八条一項もしくは二項、九条一項、このようなものがなぜ懲役をもって和しなければならないかということに対する説得力のある説明にはならないんじゃないですか。それは外国人登録法の基本的なあれだというだけの話で、それはただそれだけの話でしょう。それは条文としては番いてあるから言っているだけの話で、それがなぜ具体的に懲役刑をもってまでやらなければならないかということの説明には私はならないと思いますよ。だけれども、あなたの方としてもそれ以外に説明の仕方がないんだろうな、具体的に言えば。  それと、九条一項と九条二項とに分かれましたね。分かれたのはどういうわけですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 御案内のとおり、一昨年の通常国会におきまして外国人登録法の一部を改正する法律が成立いたしたわけでございますが、その改正によりまして、登録事項二十項目中、国籍の属する国における住所または居所ほか四つの登録事項については、変更を生じてから十四日以内に変更登録の申請をしなければならないという規定を、その後の再交付申請とかあるいは確認申請とか、そういう機会にあわせてすればいいという改正がなされたわけでございます。  これを平たく申し上げますと、二十項目の登録事項のうち、この九条二項に係る登録事項というものは、他の登録事項に比べて、外国人登録法の目的を達する上でのウエートが、強いて言いますならば低いというふうな考え方に立ってこの改正が行われた、それだけではございませんが、主としてそういう理由で行われたということで、この罰則の検討に当たりましても、この九条二項の申請に係る不申請罪ということについては、制度の履行を罰金刑のみで担保すれば足りるというふうに考えたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは強いて言おうが言うまいが、あなたの方の提案でこれは九条の一項と二項が分かれているんですからね。だから、二項は罰金刑だけになっているんですから、それを軽いものだというふうに考えたのは、これはあたりまえの話で、強いて言うも言わないもない。あなたの方としてはあたりまえの話だ。  よく聞いてください。そうすると、不携帯の場合を含めて第十八条の二のものは二十万以下の罰金になりましたね。これはどういうものが含まれていますか。この十八条の二を説明していただきたいわけです。一項の一号。第七条七項でしょう。第十一条第五項もしくは第八項、ずっとありますね。一号、二号、三号、四号、どういうものですか。それで、なぜこれが罰金刑だけになったわけですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 十八条の二の各号で掲げる構成要件の中身でございますが、九条二項所定の事項に関する不申請罪それから虚為申請罪、それから登録証明書の不携帯罪それから不返納罪、こういうものでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それが従来なぜ、当時は懲役一年と三万円だっけな、罰金ということになっていて、それがずっと続いておったんですか。いまこういうふうにここで十八条の二で罰金だけにするならば、当然もっと早くこれはできていいことではなかったんですか。そんなむずかしいことではないんじゃないですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 午前中の御質問に対してもお答え申し上げたところでございましたが、外国人登録法の罰則につきましては、従来一律に一年以下、三万円以下ということになっておったわけでございますが、これについては法定刑自体がいわば軽い法定刑なので、その中身について細かく細分するまでの必要性は乏しいんじゃないかという考え方もあったわけでございます。しかし今回、先ほど来御指摘の小杉前局長の答弁にもございましたとおり、従来とかく各罰則が画一的に過ぎる、もう少し各構成要件ごとに中身を細かく検討して罰則の法定刑に区分けをした方がいいんじゃないだろうかというような御意見がございましたので、そういう点も含めて、いまの三通りの整理をしたということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、三通りの整理というか、十九条を入れれば、これは別個に考えて三通りの整理というんでしょうけれども、私の聞いているのは、小杉さんがどう答えたかという以前に、いまの懲役一年またはというか三万円以下の罰金ということでずっと全部一緒にきたでしょう。そのこと自身がおかしいということは前から言われておるんですから、いまここでこういうふうに分けてきたんならば、もっと早く当然分けられたのではないですか、こういうことを言っておるわけですよ。それがなぜ分けることができなかったんですか。どこかから反対でもあったんですか。こういうことですよ、これは。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 この点につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、罰則そのものが必ずしも法定刑の高い罰則じゃないので、現行のままでもいいんではないかという意見も一方にございます。また、余りにも画一的過ぎるんで、中身をもう少し細かく検討した方がいいんではないかという意見もあります。そういういろいろな意見を踏まえまして、他の外国人登録制度の問題とも絡めて、今回の検討の結果を改正案として御提出申し上げておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 同じことを同じように質問してみても、意味がありませんから。  私は前々から、これはこのときなったんじゃない、最初から問題になっているんですよ。だから、十把一からげに同じ量刑で全部やっていたでしょう、罰則を。いや、法定刑としてはですよ。実際の運用は別ですよ。実際の運用は別として、法定刑としては全部一緒だったのですよ。それはいかにもおかしいじゃないかということを前から言っているので、これはあれじゃないですか。何か司令部のあれで早急にこの罰則をつくって、中を区分けするまでの準備ができなかったというんじゃないですか。そこまでの準備ができないで、とにかくみんな同じようにしておこうということで、同じ罰則にしたんじゃないですか。そういうふうに私は聞いていますがね。そういうことじゃないですか、これ。何か急ごしらえの法律じゃなかったの、前の令のときからずっと。まあ、それはいいです、いまこうやって一応あなたの方では直そうとしているわけですから。  ただ、この直し方がまた問題なんですよ、率直に言うと。そこで、私はお聞きをいたしたいのは、まず一つは、最高裁の判例は確かにあるけれども、不携帯の場合に過失を処罰していますね。いいですか。最高裁の判例はあるけれども、それは抜きにして、これは本来、過失を処罰する場合には、過失についての立法がなければいけないんじゃないですか。これが本筋じゃないですか。そうでなければ罪刑法定主義に反するんじゃないですか。そういうふうに理解できませんか。そうすると、取り締まり法規の場合はそれは要らないということですか。一般の刑法犯の場合は過失がなければ処罰できない。これはあたりまえの話。明文がなければできませんね。それは罪刑法定主義からいって当然ですな。取り締まり法規の場合は、法務省当局は全然と言っていいくらい過失で処罰するとかなんとかということは関係ないということですか。そういうふうに理解しているんですか。どうなんですか。そういう明文がなくとも全部過失で、あれの場合にはこういう法規は全部処罰できるんだという理解の仕方ですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 御指摘のとおり、刑法に過失を処罰する場合には明文の規定を置く必要があるという規定が設けられておることは御承知のとおりでございます。今回の外国人登録法の改正に当たりましても、いま御指摘の不携帯罪、この不携帯罪が、過失によって不携帯という行為が行われるという範疇が比較的事例として多い現状にかんがみまして、この過失犯を処罰する明文の規定を置く必要があるかどうかということも検討したことは事実でございます。  しかし、私どもの考え方といたしましては、故意によるものであれ過失によるものであれ、登録行政の目的達成を阻害するものであるという点では差異がないわけでございますし、したがって、外国人登録法の十三条が在留外国人に対して携帯義務を課して、その不携帯に対して罰則を科するのは、故意によるもののみならず過失によるものも含むという先ほど先生御指摘の各種の裁判例、これももちろん十分内容を検討しておるわけでございますが、こういう考え方が一つと、それから、不携帯の罰則を一律に今回は二十万円以下の罰金ということにして御提案申し上げておるわけでございますが、仮に過失による不携帯といいましても、その態様にはさまざまなものがあるわけでございます。また、故意による不携帯が過失によるそれに比して常に重い罰則をもって処する必要があるということも必ずしも言えないのではないか。多様な不携帯の態様に応じて、上限二十万円の罰金刑をさらに細分化して類型化する必要性は乏しいのではないかというようないろいろな観点から検討いたしました結果、過失犯を含む不携帯について罰金二十万円以下の法定刑で対処するのが相当ではないかというふうに考えたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、あなたのお話を聞いていると、過失犯を含むというようなことはこの中に入っているというんでしょう。それは日本の法律では明文がなければいけないんじゃないですか。あなたは罪刑法定主義で――じゃ、刑法で過失傷害というのは要らないじゃないですか。傷害罪一本でいいんじゃないですか、どうなんです、傷害罪というのは過失であろうと何であろうと。過失傷害という罪がありますね、刑法に、各則に。そんなのは必要ないんじゃないですか。傷害罪二百四条一本でいいんじゃないですか。それはどういうことになりますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 過失傷害とかそういう刑法の規定じゃございませんで、行政取り締まり法規につきましては、法制度の目的を達成するために必要がある場合、あるいは法の規定の解釈から、過失犯も含むというのは数多くの学説も認めておるところでございますし、また判例もそういう考え方をとっておるわけでございまして、なるほど先生御指摘のような立場もあるということは承知しておるわけでございますが、私どもとしては、行政取り締まり目的達成のための、たとえばこの不携帯罪につきましては、明文の規定を置かなくても過失犯を処罰するということが法の規定から酌み取れるというふうに、判例と同じ考え方をとっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 行政目的のためにそれを優先させて、故意、過失を論じないで過失までを含むということは、これは確かに取り締決りの便宜から言えばそうなんですよ。本人が故意でやったか過失で持っていなかったかどうかということについては、率直に言って、これはなかなかわかりませんよ。わかりませんから、そういうことを言われれば逃れられる道が相当できてきて、目的を達しないということになってくる可能性は確かにあることはある、法律的にあることはあるけれども、そのことと過失を含むという明文を持たなくていいということとは、ジャンルが違うというふうに私は思うわけですよ。これは違法の認識等の問題もあるし、違法の認識の場合だって、違法の認識が必要だと言ったならば、それはずるいのはみんな逃げてしまいますから、だからそれは違法の認識は必要ないんだという形になって、その取り締まりの便宜上からもそういう法律構成になって、実際の取り扱いになってきているわけですよね。  それはおかしいんで、じゃ、西ドイツの外国人登録法はどうなっていますか。明文を置いているじゃないですか。どういうふうになっていますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 私どもの申し上げておりますのは、この不携帯罪について申し上げますならば、二十万円以下の罰金というのは、過失をも含む不携帯についての不携帯行為を一律にこの二十万円以下の罰金で対処したいという考え方でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはわかりましたよ。だけれども、西ドイツの例ではどういうふうになっていますか。過失犯についてはちゃんと明文があるんじゃないですか。これは懲役も含むとなっているけれども、西ドイツの外国人登録法では、過失犯のことについての明文があるんじゃないですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ちょっと四ドイツの外国人登録制度の不携帯につきましては、資料を見まして後ほどお答えさせていただきたいと思います。  なお、付言して申し上げさせていただきますならば、たとえば似たような制度といたしましては、道路交通法に定める運転免許証の不携帯につきましても、同じように判例も故意、過失を含めて処罰される趣旨だというふうに言っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは取り締まりの便宜のためなんですよ。だから、いいですか、聞いていてください。そうすると、行政法規の場合には、明文がなくてもあらゆる場合に過失を含むというふうに理解をしていいんですか、こう聞いているわけですよ。それはどうなんですか。そういう理解の仕方でいいですか。いや、そこまでは私どもの領分ではございませんという答えならば、これはそれでしょうがないわな。いや、そこまでもそうだ、こういうんならば、そうだという答えをしてください。どっちでもいいですよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 私が申し上げておりますのは、あくまでもこの外国人賢録法の不携帯についての御質問でございますので、それについてお答え申し上げておるわけでございますが、どの範囲で行政取り締まり法規について過失犯を処罰することが可能かという点につきましては、学説も申しておりますとおり、あくまでも立法の目的、立法趣旨、法定刑その他を総合して解釈しなければならない問題であるというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、この不携帯を、なぜ過失を含んでいるという、これは最高裁の判例もありますから、もうこれ以上聞いてもあれと思いますが、それをなぜ罰金にしなければならないのかということですよ。私の言っている意味はわかりますか。なぜ刑事罰にしなければならないのかということです。その理論的な合理的な理由というものは一体どこにあるんですかということです。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ちょっと前後逆になって恐縮でございますが、西ドイツの法令について御質問でございましたので、よろしゅうございましょうか、いまここでお答えさせていただきたいと思います。  西ドイツの外国人法の四十八条の第二項でございますが、「本法の適用区域に入国の際に必要な滞在許可証を故意または過失により携帯しない者」というふうな規定がなされております。  それでは引き続きまして、不携帯になぜ罰則を設けなければならないか。(稲葉委員「刑事罰ということです」と呼ぶ)刑事罰でございますが、この点についてお答え申し上げたいと思います。  当然のことながら、なぜ九十日以上の在留外国人に対しては登録を義務づけ、そして登録証明書の常時携帯を義務づけておるのかということになるわけでございますが、これは外国人の公正な管理を行う上で、居住関係、身分関係を即応的に的確に把握する必要があるからでございます。登録証明書の携帯義務違反について罰則を科しておりますのも、当核携帯義務の履行を担保するために、確保するために必要であるという考え方から、刑事罰を設けておるわけでございます。  この際に付言いたしますと、この問題につきましては、御案内のとおり、いろいろ裁判所の判例も出ておるわけでございますが、裁判例におきましても、在留外国人の公正な管理のために登録の申請を義務づけ、かつその登録の事実を確認する必要上携帯あるいは提示を義務づける、そしてそのことによって義務の遵守を確保することは必要なところだ、憲法違反だとかあるいは不当だとかという批判は当たらないというような裁判例も数多く出されておるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 憲法違反だというのはそういうふうなあれではなくて、密入国してきた人が外国人登録をしなければならないというのは、自己に不利益な事実を陳述しなければならないということになってくるではないか、そういうことから、密入国者が外国人登録を申請しなければならない義務がある、それをしなかった場合処罰するというのは、あれは憲法の三十八条でしたかね、自己に不利益な陳述を強制されないというところにひっかかってくるということでの憲法違反という議論が中心ではないですか。  いまあなたの言われたように、この不携帯のことが憲法違反だというような議論があったんですか、ちょっとよくわからないけれども。私の言ったのは、密入国の場合登録の申請を強制するのは憲法違反だという議論はありましたよ。それは判例があって、最高裁まで行ったのかな。だけれども、いまの不携帯が憲法違反だという説があったんですか。ちょっとよくわかりませんが、あったとすれば、どういう理由でどうなって、結論的にどこの裁判所がどういう結論を出したのかというふうに説明してください。最高裁まで行っていないと思いますがね。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 幾つかの裁判例があるわけでございますが、ただいま御説明申し上げましたのは、昭和四十年一月二十九日の東京高等裁判所の判決でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたのお話を聞いていても、この外国人の登録証明書を携帯しなかったという場合に、それがなぜ刑事罰でやらなければならないのかということの説明はよくわかりませんね。抽象的ですね。即時的に的確に把握をしなければならないと言うのだけれども、それじゃ、把握をして一体どうするのですか。それは国が把握してどうするのですか。外国人がどこにいて、どういうふうにしているかということを把握して、国は何をするのですか。どうするのですか。あなたの方は、把握しなくてはいかぬと言うのでしょう。それじゃ、把握してあなたの方ではどうするのですか。どういうふうに活用するのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 外国人登録法は、その目的として、外国人の身分関係、居住関係を的確にして「在留外国人の公正な管理に資する」ということになっているわけでございます。  ところで、いまのお尋ねの件でございますけれども、特に具体的には不法入国者あるいは資格外活動者、こういう者の規制に関連するわけでございます。たとえば、ある外国人が果たして登録証を携帯しているかどうかをその場で即座に把握しないと、その相手の人が不法入国者であるかその他の者であるか、わからないわけでございます。したがいまして、登録証を常時携帯させて、そしていつでもその人の生活の場でその人が登録証を持っているかどうかを点検できるという体制にしておかなくてはいかぬ、こういう背景があるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは結局はあれじゃないですか、布日外国人を犯罪者扱いしているということじゃないですか、あるいは犯罪の嫌疑がある者だというふうに扱っているということじゃないですか。率直に言うと、そういうことになるんじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 そういうことには全くならないと思います。その外国人の場合には、正規の外国人登録証明書を携帯しておるわけでございますから、直ちにそれを提示できるわけです。したがって、その人はいわゆる不法入国者あるいは残留者ではないということを、即座にその場で証明できるわけです。私どもといたしましては、外国人を罪人扱いしているという、そういう意識は全くございません。不法入国者あるいは資格外活動者、こういう者をどうして防止し、発見するかということに非常な重点を置いているわけでございます。したがいまして、登録証明書の常時携帯義務というのは、その関連において非常に大事な点でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから結局、登録証を常時携帯させるということは、不法入国者なり資格外活動をしている者を発見するために必要だ、こういうことに結論はなるわけですね。というと、ニュアンスが違ってくるということなんですか。それはどういうことなんですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 外国人登録法の目的の一端が、わが国へ不法入国する外国人の防止のため、あるいは不法残留し、資格外活動をする外国人の取り締まりにあるということは間違いございません。しかし、それがすべてではないということでございます。この登録法の目的の一端が、いま言いましたような不法入国者とか不法残留者の発見あるいは取り締まりのためにあるということは間違いない事実でございます。  それじゃ、なぜそのために登録証明書を携帯させるのかという御質問だと思うのでございますが、その外国人登録証明群に記載されております登録事項、その中には国籍とか氏名とか、通常この種の事項を証明する文書を携行させるという制度がなければ特定できない事項が数多く含まれておるわけでございます。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 漸減傾向にあるとはいえ、依然としてわが国への不法入国者が相当数あるということは疑いない事実でございますし、また最近の情勢によりまして、不法残留とか資格外活動というものは相当の数ふえておるわけでございます。したがいまして、すべての外国人に対してこの種の身分関係、居住関係を証明する文書を携帯させて、多数の在留外国人の中からこういう違反者を発見、取り締まるという行政目的に資するということは間違いございません。諸外国においても、御案内のとおりいろいろ登録証明書とか滞在許可証とか居留申告証とか、名前は違いますけれども、この種の文書を在留外国人に携帯を義務づけておる国が多いわけでございますが、これも同じような目的に資するからであろうというふうに考えております。  それから、もう一点ここで申し上げておきたいと思いますのは、現在の外国人登録制度というものは、非常に多目的にこれが活用されるという現状になっております。外国人登録法の十三条の規定によりますと、登録証明書の提示要求をできる職員の中に、職業安定法に規定する公共職業安定所の職員だとかその他の地方公務員も含めておるわけでございますが、外国人に対する各種の生活保護とかあるいは雇用保険とか、そういう社会福祉的な措置を適用するに当たりましても、この種の権限を持っております職員が当該外国人に対して登録証明書の提示を求めた際に、その外国人がどういう職業でどこに勤めておるか、あるいは身分事項はどういうことか、どういう在留資格でどの程度の在留期間が許可されてわが国に在留しておるのかというようなことが即時的に把握できるという制度がとられておりませんと、制度の適正な運営が期せられないという点もございます。そのほか徴税の目的の資料にも使われるというような点もあるわけでございますが、そういう外国人登録制度というものの多目的な活用の実態ということから考えましても、こういう外国人登録証明書の常時携帯という制度は必要不可欠な制度であるというふうに考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまのお話は、十三条に関連する問題ですね。  そうすると、日本人も何かを常時携帯していなければいかぬのですか。住民登録証か何か知らぬけれども、何か持ってなくちゃいけないの。日本人は持ってなくていいわけでしょう。それで、外国人だけ持っていなければならぬという理由はどこにあるのですか。さっきのあなた方の話では、職業選択の自由から、居住、移転の自由から、全部憲法適用になるというのでしょう、人権問題と関連しては。それならば、日本人の場合は持ってなくていいのだ、外国人は持っていなければならぬという理由はどこにあるのですか。どうしてそういう区別がつくのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 午前中にもお答えいたしましたとおり、外国人のわが国への入国とか在留資格、在留期間、これはわが国が裁量的に決定し得る事柄でございます。そういうことでございますので、わが国に在留する外国人というものはいずれかの在留資格に属し、その在留資格に属する活動が許されてわが国への居住が認められておるということでございますし、その在留目的に従う活動というものも定められて、在留期間の範囲内において行えるという制度がとられておるわけでございます。したがいまして、日本人の場合と根本的な相違があるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 根本的に相違があるという考え方がすでにおかしいのですよ。だって、日本における外国人というものを大きく分けて、私はくどく言っているように、日本に戦前からいて自分の意思でなく日本人にされて、そして本人の意思によらずに国籍を離脱させられた、選択の自由も与えられなかった、これはGHQの指令ですよね、その間の事情はよく知っていますけれども、GHQの指令でそうさせられた、そういうふうな者とそうでない新たに入ってきた人とを全部一緒にしてしまって、外国人という客前のもとにやって、そこで違いがあることは間違いないですね。違いがあることは主権の作用だ、こう言うのでしょう。なるほど主権の作用で違いがあるかもわからぬ。しかし、それだけの違いをわざわざ設ける必要はないのではないか、私はこういうふうに考えるのです。  そうすると、いま言ったように、外国人登録証の不携帯、即時に何か発見できるようにしていかないと困るというんですね。日本人の場合はそういうふうなものを持っていなくてもいいという理由は一体どこにあるのです。即時に何かやっていることを発見しなくてもいいということなんでしょう。必要ないというのでしょう。外国人の管理ができるということは、即時にそういうようなことから、単に密入国だとかなんとかということだけでなくて、一般的にいろいろな意味での犯罪というか、そういうふうなものを発見できるような状況に置けるようにしておこう、こういうことなんじゃないですか。だから、そこに大きな問題が私はあるのではないかと思うのです。  なるほど、いまあなたの言われたように、資格外活動が多いのは事実です。これは私どもも、率直に言って、苦々しく思っていますよ。よくあそこら辺の温泉地でいろいろなことをやっていますね。ああいうものなどがありますから、そういうものは取り締まるべきものは取り締まらなければならないとしても、そのこととこの不携帯を罰金で処罰しなければならないという理由とは、全然私は別のジャンルだというふうに思うのです。私は、その必要性はないと思うのです。  あるいはその中で、あなた方の方に言わせれば、いや、それは日本にいる在日外国人を、そういうふうに戦争前から日本にいる人とそうでない人に分けるというのは非常に繁雑だ、とても事務的、技術的にできないんだ、こういうふうに言われるかもしれませんけれども、その点は大きく分けて考えなければいけないのではないか、これは私の考え方なんですが。  そこで、十九条は過料ですね。外国人の場合にどうしてこれは過料ということに十九条でなっているわけですか。これは多少違いますね。金額は別として、改正が多少違うのは十一条の二項が入っただけですか、そういうふうに違いますけれども、まず、十九条というようなものはなぜ過料で済んでいるのか、この理由はどういうところにあるのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 過料をもって制度の運用を担保しておりますこの十九条、この中身は、外国人登録法十五条の第二項が、申請義務者が病気であるとかその他の事由でみずから申請ができないというような場合に、十正条二項の定める順位に従って、本来登録義務者でない代理人が外国人登録法上定められた申請等の義務を履行するよう定めておるわけでございますが、この代理による不申請とか、あるいは登録証明書の不受領とか、そういう行為につきましては申請義務者の場合と区別して過料をもって臨むことで足りるということで、従来からこの過料が制度の適正な運用を担保するための秩序罰として設けられておるというふうに理解しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、十三条一項の規定に違反して登録証明書を携帯しなかった者というのは、いままで具体的にどのように運用されておるわけですか。それが第一点。わかりますか。具体的にどのように運用されているかという意味は、どういうふうな場合に登録証の携帯をしなかったということが発見をされておって、どういう経路を経て処罰されておるのか、こういうことですね。私の言う意味、おわかりですか。それは自分たちの所管ではないんだ、これは警察がやっているんだから私の方は知らぬ、こう言うなら、それはそれで別な機会に警察を呼んで聞きますけれども、実際どういうふうに十三条の一項が運用されておりますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 私ども入国管理当局において直接この罰則の運用をいたしておるわけじゃございません。主として第一線の取り締まりは、御承知のとおり警察官が当たっておるわけでございますが、私どもは警察庁との間に常時意思の疎通を図りまして、制度の適正な運用が担保されるような協議を遂げておるところでございますが、私どもの承知しておりますところでは、警察におきましては一線の警察官に対します教養訓練を徹底して、必要な場合に外国人登録証明書の提示を求める、そして、できるだけ強制捜査権というようなことは差し控えて、統計で見ましても、大部分の事件が任意捜査という形で行われておるというふうに理解しておるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 あなたのお答えの中でだんだん重要な点がわかってきますね。なぜ警察とそれについて協力して意思の疎通を図る必要があるのですか。どういうわけですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 本委員会におきましても、従来、外国人登録法の改正法案の審議の都度、一線の警察における罰則の運用、主として不携帯罪の取り締まりが厳し過ぎるのではないかとか、あるいは法の目的に従った正当な運用がなされておらないのじゃないだろうかというようなことが質問として取り上げられておるわけでございまして、何回も警察側の担当者からもその点についての答弁がなされておることは御承知のとおりでございます。そういう委員の方々の御指摘もございますので、外国人登録法を主管する入国管理局といたしましても、制度の適正な運用を図る一環といたしまして、機会を見て警察側との意思の疎通を図っておるというのが実情でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 実際にこの不携帯罪で処罰されておるという場合が、毎年どのくらいあるのですか。起訴猶予もありますから、全体としてどのくらいあって、どのくらいが略式になっておるかとか、そういうようなことで、そのうち在日朝鮮人というか、そういう人がほとんどだと思いますが、どのようにそれが行われていますか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 ちょっと御理解を得たいと思います点は、裁判所の統計におきましても法務省の統計におきましても、刑法犯につきましては各罪名ごとの統計が出ておるわけでございますが、この種の特別法につきましては、外国人登録法違反ということで統計の数字が出ておりますので、違反態様別の詳しい資料は必ずしも明確ではないわけでございます。  そこで、私どもの方で、昨年一月一日から十月三十一日までの間、十カ月間でございますが、この十カ月間におきます外国人登録法の違反態様別にどの程度の数が検察庁において受理されておるか、どの程度の数がどういう区分によって処理されておるかということを調査いたしたわけでございますが、この十カ月間、登録証明書の不携帯罪で全国の検察庁が通常受理いたしました件数は、一千七十八件という数になっております。この期間、全国の検察庁が処理いたしました件数は、起訴が千九百七十六件、内訳は、公判請求が三十一件、略式命令請求が千九百四十五件でございます。そのほか、起訴猶予その他の不起訴処分に付されたのが五百九十三件ということになっております。  ただ、ここで申し上げておきたいと思いますのは、外国人登録証明書の不携帯という犯罪事実だけで起訴された事案だけをいま申し上げたわけではございませんで、他に併合罪の関係に立つその他の犯罪が付加されておるというような事案も、もちろん入っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 全体の外国人登録法違反の事件の中で、不携帯というものが一番多いということは、これはもうそのとおり間違いありませんね。いいですか。そして、それは全体の中の何割ぐらいになっているのですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 先ほど申し上げました十カ月の期間中における全国検察庁の受理人員は、登録証明書の不携帯が一八・八%ということになっております。最も多いのは登録証明書の確認不申請でございまして、これが三二%というような数になっておりますが、この点は調査する年度によって変動があると思います。と申しますのは、今度改正法案をお諮りしておりますのは、確認申請の期間を五年に伸長させていただきたいということを提案申し上げておるわけでございますが、現行法では三年でございますが、三年に一遍大量切りかえがございますので、この期間は確認不申請の受理件数が多くなるということだろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 では、少し問題を変えたいと思いますが、いま言ったように、確認申請の問題を三年、五年だとかいろいろありますね。そうすると、この法案が通るとなると、市町村なり何なりの国の経費や何かはどの程度削減をされるということになるのですか、おおよそのことは。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 この法律が通りますと、五十七年度予算で約四千五百万円の予算が節約できることになります。これは五十七年度じゅうに見込まれている十二万件の確認申請が、この法律が十月一日以降施行せられます関係上、半分に減るわけでございます。そのことによりまして、ただいま申し上げました約四千五百万円の費用の節約が可能となるというふうに見込んでおります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、現実にその登録の事務を受けておるところは、市町村ですね。  これは、去年の二月十日に法務省第一別館大会議室で、外国人登録事務協議会全国連合会昭和五十六年度定時総会というのが行われたというわけですね。これは来賓として顧問大鷹弘というふうに書いてありますが、あなたも出席しておられたのですね。会長日比寛道というのですか、これは豊島区長ですか、この人からあいさつがあったのでしょうけれども、それから経過報告などがあって、いろいろあって、そこで要請書が出ているわけですね。これは私は、きょうは罰則の問題でずっといくつもりだったのですが、ちょっといろいろな関係で変えますが、それが出ておる。その中で、要望事項としていろいろなものがありますね。この第一に、「法第四条の原票登録事項のうち、職業及び勤務所又は事務所の名称及び所在地については、登録の実情等にてらして削除されたい。」こういうのが要望として出ていますね。これは私がさっき話した行政監理委員会の勧告というか、その案の中にも出ているものですね。  これは、私も参考人を呼んでお聞きしたいということになれば、理事会にお諮りをして、外国人登録事務協議会の方からどなたか来ていただきたいと考えておるわけですが、この一番最初に、いま言った「法第四条の原票登録事項のうち、職業及び勤務所又は事務所の名称及び所在地については、登録の実情等にてらして削除されたい。」というのがありますね。これはさっき聞いたのですけれども、答えはお聞きしましたが、この各地の市町村の登録事務協議会の方は、第一にこれの削除を申請しているのですね。申請というか、要望しているわけですね。ここにある問題の中で、あなた方の説明は午前中聞いたのですが、「登録の実情等にてらして」と、こういうふうにありますね。「登録の実情等にてらして」という意味は、一体どういうふうな意味なんでしょうか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ここの要望事項の中に、「職業及び勤務所又は事務所の名称及び所在地については、登録の実情等にてらして削除されたい。」ということが出ておりますが、その「登録の実情等にてらし」というのはどういう意味かというのがお尋ねの趣旨だと思います。  私どもが解しているのは、こういう記載事項に関する登録が非常に多い。ことに変更登録も多いというようなことから、市町村では相当な事務負担になっている、したがって、その点考えてほしい、こういう趣旨と解釈しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、行政監理委員会の、これは勧告というのか答申というのか、それにあるように、この要望事項の一、これを削除すれば市町村というものも大変助かるのじゃないですか。資金的には大して影響はないかもわからぬけれども、事務的にはずいぶん助かるということになるのじゃないですか。こういうような要望が出ているのに、なおかつこれを拒否してこれらのものを残さなければならないという理由は午前中お聞きしましたけれども、行政監理委員会の意見というか答申というか、あれから見ても、これはこのとおりやったらいいんじゃないでしょうか。登録の実情というのを一番よく知っている人からこれはやめてくれというのですから、これはやめたらいいんじゃないでしょうか。これは法律、必要なんですか。記載事項があるから、必要ということになりますか。これは省いたらいいんじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 四十九年の行政監理委員会の勧告の中にもこの点が触れられておりましたし、それからまた、この全国担当者会議の要望事項の中にもこの点が出てきているということは、私ども重々承知しているところでございます。しかし、すでに午前中のあれで御説明しましたとおり、私どもといたしましては、外国人の公正な在留管理のためには、職業及び勤務先を把握することがきわめて大事であると考えております。したがいまして、この点について法改正を行う考えを持っておりません。この点、実務をやっている市町村の立場と在留管理の責任を負っている国の立場とはやや食い違いがあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、その市町村の要望にもかかわらず、この記載事項をいまのまま残すことは非常に大事だと考えておりますので、削除することは全く考えていないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは午前中もお聞きしたところですね。ところが、実際に事務をやっている人は、市町村はこれを削除してくれと言っているのですよ。これは立場が違うと言えば違うけれども、そこで出てくるのは国の立場ということですね。国の管理ということでしょう。ということは、それを全部管理をして、あなた方が言ういわゆる公正な管理にしたいということなんでしょう。たとえば、市町村の番号だったものを国の一連番号にしましたね、この前。この前というか、大分前ですね。市町村の番号だったものを国の一連番号にしなければならないだけの理由があった、いまでもそれはあるというふうにお考えなんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 これは一連番号になっていないと、不正登録とかそういうものの発見がきわめて困難になるからでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 登録条項の中に出生年月日とか男女別もあるわけでしょう。登録の変更のときにそれもまた変更登録するのですか。どうなっているのですか、その点は。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 登録の二十の記載項目の中には、不可変事項と可変事項とがございます。ただいま稲葉委員のお挙げになりました男女の性別であるとかあるいは生年月日、こういうものは、私どもといたしましては不可変事項と考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 不可変事項なら、一遍登録すればいいんでしょう。どういうふうになっているの。後また二回目、三回目と、同じことをやるのですか。どうなっているんですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 これはもちろん変わらないわけですから、変更登録ということはちょっと考えられないのでございますけれども、たとえば登録の訂正とか、そういうことはあり得るわけです。生年月日がいついつであったと登録していたものが実は間違いであったというような場合もあるわけでございます。しかし、普通、男女の性別であるとか生年月日であるとか、そういうものは変更登録の対象には余りならないのじゃないかと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 余りならないのだけれども、実際には法律のたてまえの上ではなっているんじゃないですか、実際には適用にならないのだけれども。カルーセル麻紀もいるからわからぬよ、それは。  そこで、余り話があっちこっち行ってはまずいので、もとへ戻しますが、この登録事務協議会の中でいろいろな問題が出てくるわけですね。たとえば第二に、「疾病その他身体の故障等に対する代理申請は認められているが、高年齢者は体力的にも社会的にも身分関係等の変勅が稼働年齢層に比較し、一般的に少ないので、七十歳以上の者の登録確認申請義務の緩和(免除)措置をはかられたい。」というのがありますね。これはどういうふうになっているのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 七十歳以上の方であっても、健康な方もいらっしゃるわけでございます。健康に障害のある方については、代理申請ができるようになっているわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、七十歳以上の者の場合は代理申請をしてもいいわけですか。それだけではできないの。あるいは疾病があるとかなんとかの認定は、それじゃだれがするのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 七十歳以上だからということで代理申請を常に認めるというわけにはいかないと思います。ただ、その老人の方がたまたま病気でいらっしゃるというときには、代理申請が認められるわけです。病気であるかどうかは医師の健康診断、そういうものをもとに私どもといたしましては判断いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そんなやかましいこと言わなくたっていいんじゃないですか。七十歳以上なら代理申請させたっていいんで、そんなことまであなた方の方で細かく言うから、だからこの法律は治安立法だ、名前は公正な管理だけれども、一連番号で法務省で把握していて、すぐそれを発見できるようにしたいというところに問題が出てくるんじゃないですか。これはそんなにまでする必要はないんじゃないかと思うのです。  問題は、この三ですね。三の点についてはいずれ日を改めてほかの委員からも、それから私からも具体的な事例、たとえば小倉の事例、おわかりでしょう、それから門司の事例、それから倉敷の事例、あなたの方でわかりますね、そういうような事例でお聞きをするんですが、三の「登録証明書携帯、指紋押なつ義務等の年齢が現行十四歳以上となっているが、十四歳といえば、義務教育年齢にあり社会的にも親・学校等の監督下にあり、また、若年者に出頭を求め指紋押なつ義務を課する等は、窓口での市民感情としても一定の抵抗があるようであります。したがって、この義務年齢を十八歳若しくは二十歳程度まで引き上げるよう検討されたい。」それから四は、「指紋の押なつについては、これが廃止を望む声が依然として強いが、当面の問題として指紋押なつの回数を最小限に軽減するよう検討されたい。」  この三と四とがあるわけですが、今度の法案の中に一方は含まれていますし、一方は含まれてない、こういうことですね。十四歳が十六歳になったのは含まれているけれども、指紋押捺義務の点については含まれてないわけです。これについては一番重要なポイントですから、ゆっくりお聞きをするわけです。  そこで、前の方の十四歳から十六歳に引き上げるということに関連をしていろいろお聞きをいたしたいのは、日本の法律は年齢的に十四歳にしている場合があり、十六歳にしている場合があり、十八歳にしている場合があり、二十歳にしておる場合がある。男と女で結婚年齢なんか、片っ方は十八、片っ方は十六、違いますね。こういうようなことで、いま具体的には年齢についてはどういうふうに変わっていますか。この外国人登録だけじゃなくて、ほかのいろいろなものの年齢は、現実にどういうふうになっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいまお尋ねの趣旨は、わが国のいろいろな国内法において十四歳とか十六歳とか十八歳あるいは二十歳、こういう年齢についてどういうふうに定められているかということと解します。  私どもの手元にございます資料によって御説明しますと、まず第一に十四歳を基準とするもの、これは児童福祉法がございます。罪を犯した満十四歳以上の児童については家庭裁判所に通告しなければならないということになっています。それから、少年法でございますが、少年法の場合に、「十四歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。」ということで、十四歳ということを境目に定めているわけでございます。それから少年院法、これは「心身に著しい故障のない、十四歳以上おおむね十六歳未満の者を収容する。」ということになっておりますし、また医療少年院についても同様でございます。また、結核予防法施行令を見ますと、この実施は「十四歳に達する日の属する年度」ということになっております。それから銃砲刀剣類所持等取締法、これによりますと、空気銃につきましては、所持の許可を受けようとする者の年齢制限は、十四歳以上でなければ許可を受けることができないというふうになっております。また、薬事法におきましては、「毒薬又は劇薬は、十四歳未満の者その他安全な取扱いをすることについて不安があると認められる者には、交付してはならない。」ということで、十四歳ということが境目になっておるわけです。また、刑法につきましては、第四十一条で、十四歳に満たない者の行為はこれを罰せずということで、刑事責任能力が十四歳以上ということに定められております。  次に、十六歳を基準としているものでございます。  労働基準法で、深夜業に関しまして、満十六歳以上の男子については深夜業を認めるということになっております。それから、予防接種法でございますけれども、十六歳未満の者はその保護者において予防接種を受けさせるため必要な措置を講じなければならないというふうに定められております。それから、少年法でございますけれども、十六歳に満たない少年の事件については、これを送検することができないと定められております。少年院法におきましては、「中等少年院は、心身に著しい故障のない、おおむね十六歳以上二十歳未満の者を収容する。」と定められておりまして、特別少年院の場合には、「十六歳以上二十三歳未満の者を収容する。」となっております。結核予防法でございますが、保護者の義務として、十六歳未満の者はその保護者において健康診断、ツベルクリン反応検査、予防接種を受けさせるために必要な措置を講じなければならないとなっているわけでございます。また、結核予防法施行令でも、「十六歳に達する日の属する年度以降において毎年度」健康診断を定期的に受けなければならないと定めております。船舶職員法では、第六条で、四級小型船舶操縦士については十六歳の年齢制限を置いております。道路交通法では、二輪免許、小型特殊免許及び原動機つき免許にあっては十六歳に満たない者はこれを受けることができないと定めております。民法においては、女子の場合「満十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。」というふうに定められております。  次に、十八歳を基準とするものでございます。  少年法で、「罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもって処断すべきときは、無期刑を科し、無期刑をもって処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する。」こうなっております。労働基準法では、年少者の労働時間及び休日につきまして、満十八歳に満たない者については第三十二条の規定を適用しないというふうに言っております。また、深夜業につきまして、満十八歳に満たない者または女子を深夜使用してはならないとなっております。それから、風俗常業等取締法でございますが、年少者に関する禁止行為を定めている第四条におきまして、「十八歳未満の者に客の接待をさせ、又は客の相手となってダンスをさせること。」「十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること。」こういうことは禁止されております。道路交通法でございますが、第八十八条で大型特殊免許及び牽引免許にあっては十八歳ということを境目とすると定めております。民法でございますが、先ほど女子の場合について触れましたけれども、男子については満十八歳にならなければ婚姻をすることができないというふうに定められております。  最後に、二十歳を基準とするものでございます。  民法で満二十歳をもって成年とするということが定められておりますし、また少年法で、「この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。」というふうに定めております。なお、公職選挙法で「日本国民で年齢満二十年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。」ということが定められております。  こういう事例がございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまいろいろ言われましたけれども、二十歳の場合についてはあなたの方で、意識的かどうかは別として、ずいぶん省略されておりますね。自分の方に都合のいいことをみんな言うから、低い年齢の方のものだけいっぱい並べておいて、上のものは省略したようにちょっと聞こえるわけですね。まだほかに二十歳以上のものはいっぱいありますよ。国籍法の帰化の要件だって二十歳でしょう。未成年者の届け出だって二十歳だとか、訴訟能力の場合も二十歳であるとか、母子福祉法の児童は二十歳までだとか、大型免許の欠格事由、これは道路交通法八十八条とか、風俗営業法の酒類の提供禁止も二十歳とか、いろいろありますけれども、こんなものは調べればわかることなんだ。  そこで、よくわからないのは、小杉さんが「基準年齢について」ということで昭和五十五年四月二十二日に私の質問に対して言っておる意味ですね。それに対する答えですね。私の聞いているのは、日本の刑事未成年ということと連関をさせて十四歳ということに一応したのだろうという意味のことですね。それに対していろいろ答えがあるのですが、政府委員の小杉さんはこういうふうに誓えておる。「外登法ができました当時なぜ十四歳という年齢が選ばれたかについて、必ずしも私ども明確な資料がないのでございますけれども、外国人登録制度の上では、たとえば日本の戸籍であるとか住民基本台帳の制度とは目的が違うわけでございまして、未成年者であっても単独で不法入国してくるとかあるいはそのまま滞在してしまうというような事例も少なくないわけでございますから、未成年者全部について登録証明書の常時携帯義務を免除するということには、あるいはまだ問題があるのではないかという気がいたします。しかしながら、」云々ということで、「ただ、現行の十四歳という年齢をどの程度まで引き上げるのが相当であるかということにつきましては今後検討させていただきたいと思います。」こういうふうな答弁をされておるわけですね。これから見ますと、あなた方の方としては、その答弁を受けて今度これを十六歳ということにした改正法案を出しておるのだ、こういうふうに理解をするわけですね。  そこで、またよくわかりませんのは、「なぜ十四歳という年齢が選ばれたかについて、必ずしも私ども明確な資料がない」、こういうふうに言っていますね。その「明確な資料がない」というのはどういう意味ですか。明確な資料がないと言えば、明確な資料がないのでしょうけれども。それはあなた方の方ではある程度説明しておるのじゃないですか。どういうふうな根拠か、説明していますよ、それは意思能力の問題で説明しておるのだから。どういう説明をしておるのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 現行法で年齢基準を十四歳に置いているのは、稲葉委員の御指摘のとおり、わが国における刑事責任能力が十四歳を基準としておるということによると私どもは考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、それはあなたがいま初めて言い出したことだ。私がそういう質問をしていることに対して、当時の小杉さんはそういうふうに答えないのですよ。その点適当に、適当と言うと語弊があるけれども、ごまかしておるわけだ。まあ、ごまかしておるわけでもないでしょうけれども、答えていないわけですね。それはいまあなたがそういうふうに言われた。私もそう思っていたわけです。それはだから、十四歳ということについてはあなた方の方としては一つのあれがあるのじゃないですか。刑事能力の問題ではあるけれども、同時に、何かそこら辺のところで立法当時いろいろなことを言っておるのじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 十四歳の年齢基準を置いていることにつきましては、やはり刑事責任能力ということを念頭に置いておりまして、それ以外のことはいますぐに御説明する資料が私の方としてはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私は、十四歳は刑事責任能力との関連だというふうに思っていたのですよ。そういう質問をここでしていますからね。それに対して小杉さんは答えていない。それ以上私も追及しなかったのですが、十四歳は常識的に考えてそうですよ。あなたの方の飯塚五郎さんと小島さんの書いた本の中に、はっきりは出てないけれども、そういうのかよくわからぬけれども、「外人登録」という雑誌があるでしょう。その創刊号の十ページに書いてある。そのことを引いて説明しているのじゃないですか。書いているじゃないですか。私の方もきょうは罰則中心に質問する関係で、そこまでのことをあなたの方に説明しておかなかったからかもわかりませんが、ここに書いてあるよ。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 確かに飯塚課長の著書の中に、先生の御指摘のような記載個所があるようでございます。ただ、どこまでもこの本は飯塚氏の個人の著作でございまして、政府、法務省当局の見解を代表するものではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはそうですよね。だれもその点が法務省のあれを代表するものだとは言っていません。それは出版がどこかわかりませんが、法務省の準機関みたいなところから出版されているのじゃないの。本屋さんはどこです、この出版先は。あなたの方の機関誌みたいなものじゃないの。違うのかな。あなた方は機関誌みたいなことをやって、よく書くからね。池上君はよく書いているけれども、入管は余り書かないかな。民事局はよく書くね。  そこで、話はあれですが、これはおかしいですね。十四歳というのは、いま責任能力の限界だとわかりました。けれども、これを見ると、いろいろな意味での児童というものを十八歳と見ているのが一番多いですね。二十歳と見ているのもありますけれども、これは法律的な未成年者ですね。それから、少年法もいま二十歳ですし、訴訟能力も二十歳、母子福祉法も二十歳ということになっていますが、十八歳というのが一番多いですね。民法七百三十一条で、婚姻年齢は男が十八、女が十六ですね。労働基準法の五十七条、六十条の「年少者」、児童福祉法四条の「児童」、児童扶養手当法の三条の「児童」、児童手当法第三条の「児童」、国民年金法第三十七条の「母子年金の支給要件」、道路交通法八十八条の普通免許等の欠格事由、銃砲刀剣類所持等取締法第五条の空気銃以外の銃砲刀剣類の所持の許可、風俗営業等取締法第四条の三、客の接待等の禁止、これは基準が十八ですね。  そうすると、よくわかりませんね。いまの説明で、なぜ十四歳にしたかというのはわかった。では、これをなぜ二十にしないのか、なぜ十八にしないのか、こういうことの説明が合理的にはつかないのですね。どうでしょうか、これは一体つくのですか。十四歳にしたこと自身も刑事責任との関係だというのを、あなた方はいまここで初めて言ったのですね。そんなことはいままで言っていませんからね。私がそういうことを言ったって、小杉さんはわからないと言うのだから。「なぜ十四歳という年齢が選ばれたかについて、必ずしも私ども明確な資料がないのでございます」というようなことを言って、それは戸籍や住民台帳と違うからというようなことで、十四歳という年齢がどういうふうに選ばれたかというのはわからないと言っているのですよ。そして、いまになってわかってきた。  では、二十でなければならない、十八でなければならない、あるいはあってはならないというか、そういう合理的な理由の説明は、一体あるのですか、ないのですか。ないけれども、ここら辺だろうということなんですか。あるいは十六を十八にすることによってどういう支障があるのですか。私の方としては、まずそこら辺のところをお尋ねをしたいというふうに思うわけです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 本人の出頭義務であるとか、あるいは登録証の常時携帯義務、あるいは指紋の押捺義務、こういうものの年齢基準を何歳に置くか、十四歳から何歳に引き上げることができるかということにつきましては、私どもといたしましては、十六歳、十八歳、二十歳、いろいろな可能性を慎重に検討いたしました。その結果、十六歳にすべきだということになったわけでございますけれども、その理由について御説明いたします。  外国人登録法が在留外国人に対しまして登録証明書の携帯、提示義務等を課しているのは、その外国人の居住関係及び身分関係を即時かつ的確に把握する必要があるためでございますけれども、携帯、提示を要求する必要性の観点からこの義務を課すべき者の範囲について見ますと、まだ親権者であるとかそういう保護者の監督、保護のもとに生活しているような幼少の者は、独立して行動することもまれでございます。したがって、登録証明書の携帯、提示義務等を課す実際上の必要性に乏しいと言えようかと思うのであります。今回の改正による年齢の引き上げは、こういう見地から、通常独立して社会生活を営むことのない十六歳未満の者に対しては、登録法上の各種義務を緩和することとしたのでございます。  ここで十六歳という年齢を基準として採用したのは、外国人であっても、特に本邦に長期間滞在し、一定の定着性を有する者の場合は、ほとんどの場合が最低限わが国の義務教育、すなわち小中学校教育またはそれに相当する教育を受けているという実情から、十六歳未満の者は通常保護者の監督下にあり、独立して社会生活を営むことはまれであると考えられること。また、十六歳に達すれば、交代制の深夜業に従事することができるようになる。これは労働基準法第六十二条でございます。また、二輪免許等一定の運転免許を取得することができる。これは道路交通法の八十八条第一項。また、女性の場合には婚姻をすることが可能になる。これは民法第七百三十一条。その結果、民事上は完全な行為能力を有するに至ること。これは民法の七百五十三条でございますが、こういう点を考慮したものでございます。  また、主要先進国の立法例を見ましても、フランスは十六歳を基準にして、それぞれ登録義務、滞在許可書所持義務を発生せしめておりますし、西ドイツにおきましても、十六歳以上の者に対して氏名、住所、身体的特徴等が記載され、写真が貼付された身分証明書が交付されております。さらに、国際民間航空条約、IATAの第九附属書修正第八版、一九八〇年七月に修正されましたけれども、ここにおいては、旅券制度に関連して、十六歳未満の者については父母の旅券に併記することを勧告しております。これらの事実は、国際社会においても、独立して社会生活を営む者の年齢が十六歳を基準としていることを示すものでございまして、この年齢基準の改正は、こういう国際社会における一般通念にも合致するものでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまのお話はおかしいですよ。いいですか、日本の場合、結婚できるのは、男の人が十八歳、女の人が十六歳ですね。いまのあなたの説明は、女のその場合だけその中に挙げていますね。それならば、男は十八歳なんですから、十八歳の場合を採用する場合には、一体どうするんです。十八歳の場合を採用しても決しておかしくないという議論になってくるんじゃないですか。女は十六歳だけれども、男は十八歳なんだから、それなら十八歳を採用したらいいじゃないかという議論になってきますよ、その議論は。何でもかんでもみんな引っ張っちゃうから、そういうふうになっちゃうんだ。まあ、それはそれでいいんですけれどもね。  だから、あなたの説明はなるほどわかりますが、まず疑問に思いますのは、常時携帯義務とその申請義務、指紋の押捺義務が同じ年齢でなければならぬということは、一体どこから出てくるのですか。いまあなた、三つ挙げましたね。どうして三つのものが同じ年齢でなければいけないのですか。おかしいじゃないですか。何も一緒でなくたっていいんじゃないですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 本人の出頭義務、それから常時携帯義務、指紋の押捺義務、これはいずれも登録法上きわめて重要な規定でございます。これに関連しましては、現行法でも十四歳ということで一貫した取り扱いをやっているわけでございますけれども、改正案におきましても、十六歳に引き上げはいたしますが、従来の線を踏襲して、一貫して同じ年齢を適用するということにしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはわかりました。だから、三つのものが同じ年齢でなければならぬという理由は一体どこにあるのですか。ただ一貫して一貫してと言うから、一貫したというのは結果の話でしょう。理由にはならないでしょう。三つのものが一緒でなければいけないのですか。その合理的な理由があるのですかと言うのです。それはあなたの方としてはいろいろ便利だからと言うかもわかりませんが、そこのところはどうなんですか。三つのものが一貫して同じ年齢でなければならぬという合理的な理由は何もないんじゃないですか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 外国人登録法上に定められた各種義務履行の年齢を十六歳に統一する必要があるかどうかという問題でございますが、これは先ほど来政府委員の方から答弁がございましたように、独立して社会生活を営む年齢というのをわれわれは十六歳を基準にするのが一番合理的だ、あるいは諸外国の法制との間の整合性もある、あるいは国連の専門機関の旅券についての勧告の趣旨にも一致するのじゃないかというような観点からこれを取り入れたわけでございます。  そういたしますと、外国人登録制度というものは、十六歳の段階でみずから本人の出頭を求めて、もちろんこれは原則としてでございますが、新規登録を行う。それで新規登録の際に指紋の押捺を求める。そして登録証明書を交付することによって、独立の生活を営める人たちがその社会生活上常時この交付された登録証明書を携帯していただく。こういう外国人登録制度というものが、登録から発給された登録証明書の携帯あるいはそれの確認申請というような一貫した流れで把握されておるものでございますので、この十六歳という年齢を各制度の義務年齢に共通した年齢として把握するのが、制度の合理的な運用の上で一番望ましいのじゃないかというふうに考えたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは理屈のつけ方ですね。そういう理屈もあるでしょう。  それじゃ、今度は法律が変わりまして、児童手当や国民年金がもらえるようになりましたね。そうすると、外国人に対してはそれは十六歳にするのですか。どういうふうにするのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま十六歳の年齢基準を御説明いたしましたけれども、これはどこまでも外国人登録法の目的上のことでございます。そのほかのいろいろな国内法がございますけれども、その国内法にそれぞれの目的があるだろうと思います。したがいまして、年齢基準ということになりますと、やはりその法律法律によって違うということが大いにあり得るわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 もちろん国内法で法律がありますから、その法律の目的によって違うかもわかりません。だけれども、今度難民認定法や何かに関連して法律が変わったでしょう。そして出てきたのは児童手当の問題でしょう。それは外国人でももらえることになったのでしょう。それは十八歳ですね。そうなってくれば、そこまで引き上げたらいいわけなんです。外国人だって十八歳までが児童手当をもらっているということは、十八歳までは独立の生計を営んでおらないということの前提じゃないんですか。そういうふうに考えられるんじゃないですか。十八歳までが普通はいま言われたような独立の生計を営んでおらないというのならば、大体常識的にそこまではその年齢基準でいくというのが筋ではないですか。そういうふうになるのじゃないですか。だから、これは十八歳にしたらいいんじゃないですか。別にこだわることないじゃないですか。  何か十八歳にすると特別に困ることがあるのですか。困ることがあるというのならいいですよ。こういう困ることがあるんだ、それによって日本の国益がこれだけ害されるということの説明がつくのならば、私どももよくお聞きしますから、それはそれでしょうがないけれども、それはどういうわけですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 すでに申し上げたことの繰り返しになって恐縮ですけれども、私どもといたしましては、外国人登録法の適用上、独立した社会生活を営む十六歳以上の者についてはいろいろな義務を課することが必要である、こう考えておるわけでございます。  なお、独立した生活を営むこの十六歳という年齢は、わが国の場合、義務教育年齢を終えた年齢に相当するということも先ほど申し上げたとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そういう理屈を言うからいけないのですよ。独立した社会生活を営むのは義務教育を終えた十六歳だと言う。じゃ、日本の場合は、高校教育を受けている人は、全体の国民の中でいま何%くらいあるのですか。準義務教育として実際は高校教育を受けているのが、全体の中ではどのくらいありますか。中学を終えて就職する人とそれから同校と、大ざっぱに言うとどういうふうになっているのですか。ここは文教委員会じゃないからそこまでの細かいことは別として、それは理屈になりませんよ。  理屈のつけ方は幾らでも考えられるのであって、あなたの方は十六歳に固執するから、それに都合のいいようなことを言い出すのです。だって、いまの日本で、独立した社会生活を十六歳で一体営めますか。日本人の中でどれだけいるのですか、大ざっぱに言って。高校を卒業してやっとこさ就職してやっていけるというのが普通の状態じゃないですか。しかもそれは準義務教育化しているというふうに見るのが常識ではないのでしょうか。だから、私は十六歳に固執をするという理由はどうもよくないように思う。  基準年齢を十八歳ということに引き上げたならば、外国人登録法上一体どこが困るのですか。どういうふうになるのですか、それは。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 十六歳以上というわが方の提案に対しまして、十八歳ならいかがかという御質問でございますが、これはわれわれの提案の根拠は、ただいまも政府委員の説明いたしましたとおりでございます。そのほか、先ほども申し上げましたように、国連の専門機関が旅券の併記、大人の旅券に子供を併記するわけでございます、独自の旅券を発給しないということでございますが、これは国連の専門機関でございます国際民間航空機関の旅券制度についての勧告で、十六歳以上については独立の旅券を発給する、それ以下につきましては親の旅券に併記するという勧告がなされておりますので、これはただいまわが方の提案いたしております外国人登録法上の各種の義務年齢に相応する考え方をとっておるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  それと、たとえば外国人登録証明書の携帯ということについて見ますと、御承知のとおり、今度十六歳以上ということにわれわれは改正案を提案申し上げておるわけでございますが、それはどう違うか。これは御承知のとおり、十六歳以上になりますと、写真も張られておる、また指紋も押捺されておる、そういう外国人登録証明書を常時携帯してもらわなければならないということでございますが、それ未満ということになりますと、指紋もない、写真もない、平たい言葉で申し上げますならば子供用の外国人登録証明書を発給するだけということになっておるわけでございます。したがって、先ほど来の国際的ないわば共通認識に立った一つの勧告あるいは独立の社会生活を営む年齢ということにかんがみますれば、先ほど来申し上げておりますとおり、十六歳以上とするのが最も制度の妥当な運営につながるのじゃないか、こういう考え方でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 よくわかりませんね。旅券に併記するということだと、併記するからどうだというのですか。そうすると、それは旅券に併記するということは、旅券は要らないということなんですか。そうですね。それが十六歳だということと、それから外国人登録法の携帯義務と一体どういう連関性があるのですか。何にも連関性なんかないじゃないですか。旅券と外国人登録と関係ないというのでしょう、あなた方の考え方は。そういうことでしょう。どうしてそれが連関するのですか。そんなことは理由にならないんじゃないですか。それはおかしいです。これは外国人登録法を十八歳以上にしたところで、何も十八歳から十六歳の間の者は旅券に併記すればいいんだというふうにはならないわけですからね。そんなことは関係ないじゃないですか。旅券のことなんか引っ張ってくるからおかしくなってくるので、そんなものは理由にならないですよ。  十六歳から十八歳までの間で独立して密入国してくる者が多いのですか。その間は不携帯か何かで処罰されるのが実際に多いのですか。どうなんですか、これは。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 先ほどの御説明でございますが、旅券と外国人登録証明書とが同じだというようなことを言っておるわけじゃございません。この勧告が十六歳未満の者については父母の旅券に併記すれば足りるということを勧告しておることは、国際社会においても独立して社会生活を営む者の年齢が十六歳を基準として考えられておるんじゃないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。  十六歳から十八歳の間の年齢層が密入国が多いとか、そういうことを前提にしておるわけではございません。特にそういうことはないと思います。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま言ったように、国連が何か旅券のことで勧告しているとかというんでしょう。それが一体外国人登録法とどういう関連があるのか。突然としてそういう話をし出すから、よくわからなくなってくるのですよ。私は、どうもそういう点は連関性がないんじゃないかということを言っているのです。  では、ブラジルでは十八歳になっているでしょう。これはどういうようになっていますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 携帯義務に関しまして各国がいかなる年齢基準を設けているかということについて御説明したいと思います。  まず、ブラジルでございますけれども、まさに先生おっしゃったとおり、十八歳になっております。しかし、これは非常に例外的な場合でございまして、大多数の国はこれよりは低い年齢を採用しております。たとえば香港、フィンランド、こういう国では十二歳を採用しておりますし、韓国、フィリピンは十四歳、ルクセンブルグとオランダは十五歳、それからデンマークとアルゼンチンは十六歳を採用しておるわけでございます。なお、中国も十六歳でございます。このほかに、携帯義務は生まれたときから課せられるという非常に厳しい制度を持っておるのはオーストリア、インドネシア等でございます。  いずれにいたしましても、私どもが調査がつきました国のやり方を見ておりますと、十八歳というのはブラジルとそれからもう一カ国スイスがございます。スイスの場合には通常は十八歳で、単独で入ってくる場合は十六歳以上、つまり十六歳の人が単独で入ってくる場合にはその人にも携帯義務があるとされておりますが、この二カ国だけでございまして、そのほかは十六歳以下になっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ほかの国がどういうふうになっているかということを幾ら議論したところで、それはその国によって違うわけですよ。低年齢なところは非常に早熟な国ですよ。インドなんか九歳ぐらいで結婚するのでしょう。シンガポールでも何でも、そういうところはそうとは言わぬけれども、とにかく全然違うところですからね。いまあなたはブラジルとスイスを挙げたけれども、チリもそうでしょう。チリもそういうふうになっているでしょう、これは古い資料かもわからぬけれども。その年齢のところをかれこれ言ったところで始まらぬし、外国での例がどうだということをここで議論しても始まらぬけれども、十六歳以上にしなきゃならぬ理由、それから十八歳以上にしなきゃならないというそれぞれの積極的理由というのは、幾らでも後から理屈はくっつくのですよ。みんな先に結論が出てきて、後から理屈をくっつけるのですから、だからできるわけであって、十六歳にしなきゃならないという積極的理由というものはどこにもない。  ただ独立の生計を営むとかなんとか言っているわけですけれども、それじゃ、独立の生計を営むとなれば、日本でも普通十八歳以上ではないでしょうか、こういうわけですよ。それはあたりまえじゃないですか。だって、給与の統計、それから労働賃金の労働省のセンサスだって、みんな十八歳じゃないですか。それ以下の者は労働省の賃金センサスは統計をとってないわけでしょう、ちょっと持ってこなかったけれども。だから、独立の生計を営むとかなんとか言い出せば、十八歳以上というのが普通の常識ではないかと言うのですよ。しかも高校教育は義務教育化している、こういうことになっている。  元来、「外人登録」という雑誌の創刊号に出ていたのは、十四歳にしたときの理由なんか、これはあなたの方の登録の専門家が言っているのだけれども、率直に言うと、わかったようなわからないような理屈をくっつけていますよ。だから、理屈なんかあるようなないようなものなんですよ。しようと思えばできるし、しないと思えばしない方の理屈をくっつけられる。これだけの話なんですよ。十八歳以上にしたってちっとも悪くない。だから、十八歳以上にしたのでは何か特別な支障があるのですかと聞いている。別に支障はないわけでしょう。どこかから十八歳以上にすると困るというあれがあるのですか。十六歳から十八歳の間で犯罪が非常に多いとか密入国が多いとか、あるいは不携帯が多いとか、いろいろなことがあるという意味ならこれまた別な角度から考えなきゃならぬかもわからぬけれども、それは別にないというならば、十八歳にしたっていいじゃないですか。そんなことに何もこだわる必要はないじゃないですか。  アメリカは十四歳かな。アメリカはまだずっと十四歳でやっているの。そうですね。アメリカは特別なんです。アメリカの例は、外国人登録の場合はそのまま準用になりませんよ。外国人に対する考え方は、アメリカは世界の中で一番厳しい国ですからね。いまさっき言ったように特別なところなんです。スペイン語を話す国民が非常にふえているところですから。だから、同じ話を何回もしてもしようがないけれども、あなた方の言うことには私は納得ができない、こういうふうな考えなんですね。  また小杉さんの答弁になっちゃって恐縮なんですけれども、小杉さんもどうも要領を得ない答えですな。五十五年四月二十二日の私の質問に対する答えで、小杉政府委員は、「未成年者全部について登録証明書の常時携帯義務を免除するということには、あるいはまだ問題があるのではないかという気がいたします。」ということを言っている。そういう答弁あるでしょう。だから、「あるいはまだ問題がある」ということは、未成年者全部について登録証明書の常時携帯義務を免除する――このときは常時携帯義務だけの質問でしたから、ほかの指紋押捺と出頭の問題についての質問、三つが一緒であるかどうかということについての質問はしてませんけれども、そこでも「未成年者全部について登録証明書の常時携帯義務を免除するということには、あるいはまだ問題があるのではないかという気がいたします。」と、こう言っているのですね。これはリップサービスなんですか、どういう意味ですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 ただいま先生が御引用になりました小杉前局長の発言の中で、これを二十歳に引き上げるという可能性も検討しているようなことを同局長は発言しているわけでございます。私どもといたしましても、年齢基準を何歳にするかについてはあらゆる角度から検討いたしました。その中には当然二十歳、十八歳の場合も入っております。しかしながら、結局私どもといたしましては、繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、独立した社会生活を営む年齢、これを基準にすべきであるという結論に達したわけでございます。この独立した社会生活という意味は、独立して社会的に行動をするという意味でございまして、必ずしも独立した生計を営むという意味にはとっておりません。  なお、不法入国者につきましては、十六歳から十八歳までの年齢層の不法入国者が多いとかあるいは少ないとか、そういう統計は持っておりませんけれども、独立した社会生活を営む以上、不法入国の可能性もその年齢以上はあり得ると私どもはもちろん考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 お話の中で独立した社会生活を営むというのがありましたね。たしかそういう答弁でした。独立した社会生活を営むという意味は、一体どういう意味なんですか。独立した生計を営むということとは関係ないという意味ですか。そこのところがよくわかりませんね。独立した社会生活を営むという意味がよくわかりませんね。それがなぜ十六歳になれば営めるのであるかということですね。義務教育だけですか。義務教育を終えれば営めるという意味にあなた方は理解されておるわけですね。どうもそうらしいですね。  そうすると、十八歳になった場合にはどうだとか、そういうふうなことの具体的な検討をしたといま言いましたね。十八歳以上にした場合にはどういう点にデメリットがある、こういう理解の仕方ですか。メリットもあるだろうし、デメリットもあるだろうという理解を当然しているはずですね、論議ですから。そうすると、十八歳以上になった場合、どういうメリットがあり、デメリットがあるのか、あなた方の立場から見た話をしていただきたいと思うのです。恐らくあなた方としてはメリットの話はしたくないでしょう。だから、本人の方から見ればデメリットですね、そこら辺のところをどういうふうに理解をしたらいいのですか。そこでどういう議論があったのですか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 その検討の詳しいあれについては、ここでお答えするのは差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、独立した社会生活あるいは独立した行動を社会でとれる、そういう年齢は一体何歳だろうかということを考えたわけでございます。その具体的に意味するところは、保護者、多くの場合は両親でございますけれども、たとえば親の保護監督を離れて社会的に行動する年齢は何歳だろうかということをいろいろと検討してみたわけでございまして、その結果、十六歳がまさにその年齢であるという結論に達しました。そういう裏づけとなることについては、先ほどから具体的に申し上げているとおりでございまして、わが国におけるいろいろな法制、それから国際的な慣行その他を十分考慮の中に入れたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 わが国の法制といったって、わが国の法制は十八歳が一番多いんじゃないですか。いま私が説明したとおり、飯塚君の本に書いてあるけれども、あなた方は十八歳以上のところを余り読まないわけです。省略しちゃっているわけですね。そういうようなことを考えたって、わが国の法制から言えば十八歳というのが普通の状態だろう、こういうふうに理解できるのですね。二十歳の場合もあるけれども、それはもちろん十六歳もありますよ。十八歳が普通である。  ただ、独立した社会性活を営むというのだから、独立した社会生活というのは十六歳になったら営めるのかどうか、これは常識の範囲の問題じゃないでしょうか。十六で独立した社会生活を営めるわけがないでしょうが。そんなことあたりまえの話じゃないですか。高校を出なければ、高校というのは十八歳として、そこを出なければ営めないというのは常識の考え方ではないか。そんなことあたりまえじゃないですか。そんなにあなた方の方でこだわるのは、私にはどうも納得いかぬのです。  だから、いろんな相談をしたと言いましたね。相談したって言うけれども、その年齢の引き上げについていろいろ相談した、その内容については言えないというわけですね。これは法制審議会に第一かけてないからですよ。これだけいろいろな大きな問題を抱えておる、これは全面的な改正にも近い法案ですよ。それを法制審議会にかけないから、それで結論的な議事録なんか何もないわけですよ。相談したって、どこと相談したのか。警察でしょうが、一番大きく相談したのは。そうでしょう、どこと相談したのですか。警察と一番相談したんでしょう。そんなことは目に見えているでしょう、この法案は。そうじゃありませんか。相談という言葉が悪いのなら協議だ。何でもいいですね。言葉はどうでもいいですけれども、それはどういうことです。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 協議した相手につきましては午前中すでにお答えしておりますが、その中に警察庁が入っていることは事実でございます。  ところで、わが国の法制上十八歳が基準になっている例が非常に多いということを御指摘でございますけれども、十八歳につきましては、この年齢では独立した社会行動をとることができると私ども考えております。しかし、これが果たして限界であるかということになりますと、十六歳の場合もあり得るわけでございます。したがいまして、十六歳以上ということに私どもとしては結論をせざるを得なかった次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、あなたの話は一般論ですよ。十六歳以上にしたということについては、取り締まりの関係上警察がそれを強力に主張したんじゃないですか。年少者の犯罪がふえているということも含めて警察の方でそれを強固に主張して、結局この問題については警察の方の意見も入って十六歳以上ということになったんじゃないですか。一般的な話はあなた方はされましたよ。それで各方面とみんな相談したと言うんだから、恐らく考えられるのは、厚生省もあるし、総理府もあるでしょう、外務省もあるでしょう。あるけれども、罰則の関係、取り締まりの関係、特にそれに関連をしてくる基準年齢の問題については警察と一番相談――相談という言葉が悪ければ協議した、こういうふうに考えるのは当たりまえの話じゃないですか。だから、この基準年齢については一体どこと相談をしたかということを僕は聞いているのですよ。相談という言葉が悪ければ、協議でいいですよ。ネゴシエーションというか、ネゴシエーションという言葉もおかしいかな。とにかく、だからこの基準年齢の問題については警察と協議をしたということは間違いないでしょう。  じゃ、こういうふうにお聞きしましょうか。警察はそれに対してどういう意見でしたか。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 もちろん警察とも、外国人登録事務を所管しております市区町村、これをさらに所管しております自治省でございますね、こういうところと十分協議を遂げておるわけでございますが、警察は罰則の協議がもちろん事柄の性質上中心になって行われたわけでございまして、その際にわが方の十八歳の意見を警察側の意見で十六歳以上に引き下げたとか、そういうことはございません。私どもの検討の結果、各省庁と協議いたしまして、十六歳以上という線を各省庁との協議の結果了承を得た、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの答えは、私の質問を意識的にそうしていますね。第一に、外国人登録を取り扱うのは第一線が市町村ですから、だから自治省と相談をするのはあたりまえの話ですね。自治省はその年齢がどうなるかということについて非常に大きな関係を持っていますね。市町村役場がそれによって非常に件数がふえたり、それから費用もかかってきたりなんかしますから、それはあたりまえの話ですね。  あなたは警察とも基準年齢の問題について相談というか、協議したと言うのでしょう。じゃ、基準年齢の問題についてはなぜ警察と協議をする必要があるのですかということですよ。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 御承知のとおり、法案を提出させていただくということになりますと、事務次官会議を経て閣議決定を経なければいけないということでございますので、各省庁と協議するわけでございまして、特にこの十六歳以上という年齢について、これを何歳にするかというようなことだけにしぼって警察と密接な協議をしたというようなことはございません。これは改正法案全体の中身について各省庁と協議を遂げた、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 各省庁と協議を遂げたということは、それは前から言われている。そんなことを言えば、あらゆる法案全部各省庁と協議を遂げるのでしょうが。閣議にかけるということは、次官会議にかけて閣議にかけるんだろうから、それならあらゆる法案が全部各省庁と協議したということになるでしょうが。そうでしょう。あたりまえの話です。  そんなことを聞いているのじゃなくて、あなたの方のいま例として挙げたこの基準年齢のことについて自治省と協議したということと警察と協議したということを、私が質問したからかもわからぬけれども、あなたの方で言われたから、自治省と協議するのはわかる、市町村の役場の窓口でやるのですからわかるけれども、この基準年齢の問題について警察と協議をする必要が一体どこであるのですかというふうに私は聞いているわけですよ。  それに対してあなたの方は、各省庁全部と協議した協議したと言って、私の質問に対しては答えてないし、私は何も警察と協議して十八歳を十六歳にしたということを質問していませんよ。そんなこと聞いていませんよ。私はそんなことを断定していませんよ。とにかく警察と協議したということが基準年齢についてあるならば、それはなぜですか、こう聞いているわけですよ。それは全部の各省庁と協議したということでは答えにならない。それはあたりまえの話じゃないですか。十八歳を十六歳にするということを、警察との間で、一たん十八歳ということであなたが主張したのを十六歳までにしたなどという、そんなことを聞いていませんよ。そんなことじゃありませんからね。

當別當季正法務大臣官房審議官

○當別當説明員 改正法案の中身全体について協議するわけでございます。その中に、この十六歳以上という各種義務年齢の引き上げ、これも今回の改正法案を提出させていただきました中身の重要な点でございますので、これも当然入っておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、各省庁と協議したという中で、今回の改正の重要な目玉は三つでしょう。十四歳から十六歳と、それから三年を五年にするのと、罰則の整備、この三つですね。だから、それを各省庁と協議するというのは、これはあたりまえの話で、いいのですよ。いいのですけれども、そのことよりも、私どもは、なぜこういうふうにしなければならないか、十六歳までにしたかということについて、率直な話、よくわからないのですよ。警察と協議したというのは、これは警察庁と全部のことについて協議したというのだから、このことについても協議したのでしょう。取り上げてこのことを協議したというふうに私が質問するから、あなたの方は取り上げて協議したわけではない、全体を協議したのだという答えなんでしょう。その点について幾ら言ったって同じことなんでしょう。  外国人登録事務協議会全国連合会の定時総会で、入管局長が来賓として出席していますね、最後までいたのかいないのか、ちょっとわかりませんけれども。その中でそれを言っているのでしょう。「義務年齢を十八歳若しくは二十歳程度まで引き上げるよう検討されたい。」と言っているじゃないですか。これは十四歳ということが「義務教育年齢にあり社会的にも親・学校等の監督下にあり、また、若年者に出頭を求め指紋押なつ義務を課する等は、窓口での市民感情としても一定の抵抗があるようであります。したがって、この義務年齢を十八歳若しくは二十歳程度まで引き上げるよう検討されたい。」と言っているわけですね。  これは十六歳という言葉は出てこないわけです。出てこないし、これは十四歳ということが非常にそういうふうないろいろな市民感情ですか、それに抵抗があるからということでこの現場の実務者の人は言っておられるようですね。この人たちの要望というのは「十八歳若しくは二十歳程度まで引き上げるよう検討されたい。」ということなんですからね。これは実際にその事務をやっている人の率直な意見なんですよ。これは要請文でしょう。これはそこに出てきているわけですね。だから、やはりこれを尊重しなければならないので、あなた方の方は十六歳、十六歳ということでそんなに固執をされなければならないあれはないのだと私は思うのですが、どうもあなたの方はやけにそれに固執をされるということになってくると、一たん法案を出したのだから、それに固執をしたいというのはあたりまえの話なんですが、いまここでそれを考えてみますということを言えば問題になりますから、あなたの方で言わないのでしょうけれども。  それで、ここに出ていますが、全国の市町村の登録事務協議会の人たちが、なぜ第三項で「義務年齢を十八歳若しくは二十歳程度まで引き上げるよう検討されたい。」ということを言っているのでしょうか。これはどういうふうに理解されますか。この言っていることについては、どういうことからしてこういうふうな結論というか要請になってきたのか、あなた方の方ではどのように理解をされますか。

大鷹弘法務省入国管理局長

○大鷹政府委員 稲葉委員もあるいは御承知かもしれませんけれども、市町村、都道府県の機関委任を受けて登録の実務をやっておりますところでは、いわゆる委託費が十分支給されていないということを言っておられるわけです。これはいわゆる超過負担の問題というわけです。この要望事項を出されてきた背景には、やはりそういう事情があるのじゃないかと私どもは考えているわけです。十八歳、二十歳になりますと、当然それだけ窓口における実務が減ります。事務が簡素化されるという面がございます。この点を非常に考慮に入れた御提案じゃないかと考えているわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま局長の言われたことも、確かに一理ありますね。それは確かにそうでしょう。これは経費が過重負担になって、前々から市町村から過重負担を軽減してくれ、解消してくれということが、何回となく国会にもいろいろな形で出ておりますね。それは確かにそのとおりですね。だから、いまあなたの言われたことは一理あるということは、私も認めます。  同時に、子供たちがやってきて指紋の問題、この市民感情からいってということは、実際には主として指紋の押捺の問題だと思いますね。実際にどういうふうに指紋押捺がやられておるというふうにあなた方は御案内なんですか。どういうふうに市町村の窓口で指紋押捺がやられていますか。

亀井靖嘉法務省入国管理局登録課長

○亀井説明員 市町村における指紋押捺は、市町村によりまして個々に多少の差はございますけれども、普通は奥の部屋であるとかカーテンで仕切るとかということで、目に立たないところで指紋押捺をするというのが、私ども視察したときの状況でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 確かに、いま登録課長が言われたように、そういうふうに目に立たないところでやっているところもあります。そういうふうにやっているところもありますし、窓口で押させているところもありますね。みんなの見ている前で指紋の押捺をやらせるのですよ。だから、見ている人は、ほかの人がいっぱいいるところですから、非常におかしく思うのですね。何だ、変だというふうに思うのじゃないですか。なるほど、いまあなたが言われたように、別の部屋に行って、別の部屋で、見えないところでやっているのもあります。そういうところも確かにあります。しかし、それはつい立て一つでほかから見えるところもあるし、そういうようないろいろな事情がありますね。確かに、いまここで言われたように、それらの人々は、経費の負担の問題で非常に市町村は困っていますから、それを減らしてもらいたいという意味で言っていることもわかりますけれども、みんなの見えるところでやられたり何かして、指紋の押捺のやり方が非常に人権感覚を逆なでするようなやり方で現実に行われているところに問題があるのですよ。  各市町村でどういうふうに指紋の押捺が現実に行われているかということについて、あなたの方ではもっと調べなければいけませんよ。これはぼくが質問をしたら、いまの話を局長は全然知らないじゃないか。だめだよそんなことでは、あなたが大事な責任者なんだから。これは一番大きなポイントなんですよ。  私は、きょうはこれで終わりますけれども、指紋押捺の問題については、具体的にさっき私が挙げましたね。門司の例が二つある。小倉の例がある。倉敷の例がある。倉敷は川崎から行った人でしょう。それから現実に裁判をやっている人もあるし、裁判をやるところまでいっていないところもありますね。あなたの方は、指紋押捺を拒否したということに対して告発しろというようなことを奨励しているのですか。まあ奨励という言葉がいいかどうかよくわからぬけれども、そういうようなところもあるようですね。いろいろそういうような実情があるので、この指紋の問題というのは非常に大きな問題なんですよ。  さっき私が言った中でも、指紋の制度をとっていない国がありますね。中国はとっていないでしょう。それからまた小杉さんの答弁、小杉さんの答弁ばかり言うと、これは前の人が勝手に言ったので私らは知りませんというようなことを言うかもわからぬけれども、「台湾の方の場合に若干指紋押捺と犯罪との絡みというものを強調される」というようなことを言っておられますね。ここら辺はどういう意味なのかよくわかりませんけれども、いろいろなことがありますね。そこで、指紋の問題については、これは日を改めて、これだけで私どもの方では恐らく一日というか、やることになると思いますよ。  それから、私、ちょっと政府委員の人にお話ししておきましたけれども、羽仁五郎さんが参議院に出たときに、法務委員会でこの問題、詳細な質問をしていますね。私もあの質問を前に読みまして、非常に感心した質問ですが、そういうようなこともあるし、現行の制度の中でどういう点が問題になっているか。もうさっき言ったように、いままでの出してきた例では、サインでやっていてサインができない者に対して指紋を押捺をさせておるという国、たとえばイギリス、そういうようなものまで指紋制度が行われているという国の中に入れてあなた方は発表するから、これはいけませんよ。さっき分けたようにちゃんと三つに分けなさいよ。やっている国と、やっていない国と、サインでやってサインがだめな場合にそれをかわりに例外的に認めている国と、三つあるわけですから、そのようにちゃんと分けて説明をしないといけませんね。  それから、いま言った台湾の場合、どういう意味で小杉さんがこういうふうな答弁をしているかというようなこととか、それから指紋制度が実際にどういうふうに現場で行われておるかということですね。そういうふうな実情なんかもちゃんと把握をして、そして臨まないといけないというふうに私は思っておるわけです。  それから、いま問題になっておりますのは、実際に拒否している方がいますね。それはどういう理由でなぜ拒否しているのか。それに対してあなた方はどういう態度で今後臨むのかとか、そういうふうないろいろな問題点をよくあなた方の方でも研究していてもらいたい、こういうふうに思うのです。それはきょうは時間が来ましたので、ここら辺のところで質問は終わりますけれども、本来、基本的な疑問は、サインでやるのが筋なんで、サインができない人が初めて指紋をやるというのが、仮に指紋が認められるとすれば、それが筋じゃないかというふうに思うのですね。  それから、指紋の回数を減らすということについて、これは行政監理委員会かどこかの勧告にもそれが書いてありますね。それはその後減らしたのだと思いますけれども、指紋というのは永久不変だということなら一回やればいいわけで、いまは一回やるということだけになっているかどうかというような点と、それから指紋を押した原票なり何なりを、一体法務省でどこに保管してあるのですか。なぜ法務省で保管しなければならない理由があるのか。どこに保管してあって、なぜ保管しなければならない理由があるのか。どこでどういうふうに保管をして、どういう整理をしているのか。それをどういうときにどういうふうに活用をしているのか、こういうことですね。そういうようなことは当然今後の質問の大きな課題になってくるわけですから、そこら辺のところはあなたの方でも十分研究していていただきたいというふうに考えます。その点に関連しては、別な機会に私なりあるいはほかの同僚委員なり何なりから聞かれますので、十分準備をしていていただきたい。  それから、きょう私が質問した中で、ちょっと率直に言うと無理な質問もあったわけですね。ちょっと無理な質問もあってあれだと思いますが、あなたの方で整理をするというか、あれするということを言ったことについては、この次の私の質問までの間に十分整理をして出せるようにしていていただきたい、こういうふうに考えております。  きょうは第一回の質問ですから、大変短くてあれでしたけれども、第一回の質問なんで、きょうはこれで終わらしていただきます。

羽田野忠文自由民主党

○羽田野委員長 次回は、明十四日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会

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