法務委員会 第11号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/04/07
会議録
○熊川委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所矢口事務総長、川嵜民事局長、小野刑事局長及び栗原家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○熊川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○熊川委員長代理 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉委員 最初に、国鉄関係の方にお伺いをしたいと思うのですが、国鉄の山陰線の複線化と奈良線の電化、これはどういうものであって、現在どういうふうになっておるか、こういうことについてちょっと御説明願いたいと思います。
○内田説明員 山陰線の京都−園部間で現在複線化の工事を行っておりますが、その現況と今後の見通しにつきましてお答えしたいと思います。 山陰線の京都−園部間の複線化工事につきましては、現在、全体工事のうち工程を大きく左右いたします用地買収並びに最も工期のかかります嵯峨−馬堀間のトンネルを中心に鋭意工事を進めております。用地買収につきましては、全所要面積の約四〇%の用地の買収を済ませております。それから、トンネルの工事につきましては、嵯峨−馬堀間の六カ所のトンネルのうち工期の長いものから順次着工いたしまして、この夏には全面的に着工いたしたいというふうに考えておりまして、今後の資金事情にもよりますが、当初計画どおり完成するよう努力いたしております。 以上でございます。
○戸石説明員 奈良線の電化について御説明させていただきます。 奈良線の周辺は、関西線の湊町と奈良、あるいは桜井線、和歌山線ということで、すでに電化されておりまして、ほとんどの線区がその辺が電化されておるということを踏まえまして、現在、奈良線、関西線の木津−奈良間と、それから奈良線の京都−木津間という区間、それから和歌山線の五条から和歌山、和歌山から和歌山市という線区をつかまえまして、これを電化することによりまして車両の運用の効率が上がるということ、それから動力費がディーゼルと電力料金との差が出る、あるいは修繕費が下がるというような効果を取り込むために勉強を昨年からやってまいったわけでございますが、四月五日に国鉄の中で投資をすることを決めまして、昨日運輸省の方に認可申請をいたしております。所定の手順を得まして認可いただけるものと思っております。 われわれといたしましては、この経営改善の効果が非常に出るということで、できるだけ早く工事にかかれるようにいま考えておりまして、この効果を再建期間中に取り込みたいということで考えておりまして、五十九年度に完成できるようにいまお願いをしているわけでございます。
○稲葉委員 建設省の方に、近畿自動車道舞鶴線の完成ということについては現在どういうふうになっておって、これは本来どういうものなんですか。
○鈴木説明員 近畿自動車道舞鶴線につきましては、吉川から舞鶴間の七十七キロにつきましては全区間整備計画が決定しておりまして、現在道路公団において事業が進められております。このうち吉川と福知山間の五十四キロにつきましては、用地買収を進めるとともに、一部区間の工事にすでに着手しておりまして、その促進を図っているところでございます。それから、残りの福知山−舞鶴間二十三キロメートルにつきましては、本年三月に路線発表を終了いたしまして、地区単位に地元の協議を進めているところでございまして、協議のまとまった区間から逐次用地買収にかかろうという考えでおります。 今後とも鋭意事業の促進を図るつもりでございますが、吉川と福知山間につきましては昭和六十年代の前半には供用開始ができるという見込みでございます。なお、残りの福知山−舞鶴間につきましては、まだ路線発表したばかりでございますので、いつ供用かというのはちょっと未定でございます。
○稲葉委員 法務省の刑事局長にお伺いをいたしたいわけですが、公職選挙法の二百二十一条の一項二号の利益誘導、利害誘導と言っておりますが、害の方は抜きにして利益誘導、これは非常に細かいことを決めてありますね。ですけれども、これは一番わかりやすく言うと、どういうふうな場合に適用されるわけですか。
○前田(宏)政府委員 御指摘の公職選挙法の二百二十一条一項二号は、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。」こういうことになっておりまして、いろいろと社寺、学校等の例示といいますか、そういうものがあるわけでございますが、反面、「特殊の直接利害関係」という若干わかりにくい要件があるわけでございます。したがいまして、これに当たるか当たらないかということが、実際の行為を具体的に見ませんとなかなかはっきりしないわけでございまして、端的に言いますと、候補者なら候補者が、自分に投票してくれればあなたにここに書いてあるような関係で大変プラスになるというようなことで、自分に投票するようにというふうに働きかけるということが想定されているわけでございます。
○稲葉委員 自分にと言うけれども、必ずしも自分でなくてもいいわけでしょう。第三者が、この人に投票してくれという意味のことでもいいわけでしょう。これはあたりまえの話ですね。 そこで、いまの話を聞いていますと、私が挙げた三つのことはいずれも京都に関係していますね。これは説明のとおりですね。そこで、京都の知事選挙でこのことに当てはめると、これを有利にしていく、ある特定の推している人が当選をするならば、これのことについて、いまの三つのことについて骨を折るあるいは推進をさせるということになってくると、これはいま言った特殊の直接の利害関係を利用するというふうになるのじゃないですか。逆に言えば、この人に入れなければそのことについてはある限度においてマイナス要因になるという意味にとれるということになれば、この公選法のこれに該当してくるのじゃないでしょうか。どういうふうになりますか。
○前田(宏)政府委員 先ほども申しましたように、この要件は一応いろいろなことを書いてあるわけでございますが、一番困難な要件といたしましては、この「特殊の直接利害関係」、こういうことになるわけでございます。いまお尋ねも、だれがどういう場合にどういうふうな内容の言い方をしたかということについての具体的なお示しがないので、直ちになるとかならぬとかいうことは申しかねるわけでございます。 〔熊川委員長代理退席、太田委員長代理着席〕
○稲葉委員 いまの国鉄山陰線の複線化の問題については、用地の買収で資金需要によるけれども、今後進んでいく。奈良線の電化というものは、一部行われておって、それを踏まえていま申請をしておる。四月五日に決めて認可の申請をした。近畿自動車道の舞鶴線の完成についても、七十七キロは決定して、公団で今後協議をしていって鋭意進めていく。これは建設省が監督をする、片っ方は運輸省が監督するというような形になってくるわけですね。 そうすると、これはいま言ったのは、たとえば奈良線の場合は四月五日に認可の申請をしたというのですが、四月四日に京都の知事選挙に応援のために入った鈴木総理大臣が、一般的な京都の文化を尊重するとかなんとかということならば、これは一般論であって、あたりまえな話でどうということはありませんが、一般的に国全体の政策に関連することを言うなら、これもまたあたりまえな話でどうということはありません。ですが、この問題に関連をして国鉄山陰線の複線化、奈良線の電化、近畿自動車道舞鶴線の完成などを柱とする計画を評価しておる。これも評価すると言うことは問題はないと私は思いますが、そこで自民党と鈴木内閣はこれを全面的に応援、協力すると言ってやったということが報ぜられているわけですね。そういうことは、いま言ったような形になると、この条文の中の「特殊の直接利害関係」、監督権があるわけですから直接の利害関係を有するということになってきて、この条項にひっかかるおそれがあるのではないですか。これはどういうふうにお考えですか。 ただ評価すると言うだけならば、ちょっとそこは疑問がありますけれども、自民党と鈴木内閣がこれを全面的に応援、協力するというふうに具体的に三つのものを挙げて言っているとするならば、これは選挙の中でそういう地域的な利害や何かを挙げて言ってはいかぬことになっていますから、利益誘導に該当するということになるのではないですか。どうです、その点は。
○前田(宏)政府委員 具体的にどういうことをだれが言われたか、正確に把握しておりませんので、明確なお答えもしがたいわけでございますが、ただいまのお尋ねに即して言いますと、業績を評価する、また党、内閣として応援する、協力するということにとどまっているようで、何か誘導的な表現の言葉があったようにも思えないように感ずるわけでございます。
○稲葉委員 評価すると言うのはいいですよ。評価するだけならいい。ただし、それを具体的なものを挙げて、その地域に特殊な関係のある地域的な問題三つを特に取り上げて、いま問題となっておるところでしょう、それを自民党、鈴木内閣としては応援、協力するということを言うことは、そうでない人が当選したというときには、それについてはマイナスというか、少なくともそのウエートは下がってくるということを逆に意味しておるというふうにだれでも理解できるのじゃないでしょうか。だからこれはこの条文にひっかかる可能性があるのじゃないか、私はこう思うのですよ。だから問題になってくるんじゃないですか。そういうところはどうですか。そういうことを一面において言うということは、知事選挙の中でその人が当選すればこういうふうになるけれども、そうでない場合にはそうでないぞということを言外に含んでいるというふうに理解できるのじゃないですか。これは大臣、どうです。どういうふうに考えます。
○坂田国務大臣 なかなか微妙な問題でございまして、特にいま選挙が行われておるわけでございます。でございますから、余りこれに触れない方がいいのではないかというふうに思うのですけれども、しかし、総理大臣として、たとえばその地方のあるいは京都の地域の振興を図るということに一生懸命やりたいんだということをお述べになることは差し支えないんじゃないかというふうに思います。
○稲葉委員 これは京都の地域の振興、文化の発展というようなことを言っただけでは、聴衆が全然拍手も何もなかったわけですね。だから具体的なものを挙げてこれをやるということを言ったというふうに報ぜられておるわけですよ。そうなってくると、逆な意味では、そうでない人が当選したときには、それはその点についての熱度は冷めてくるぞ、ウエートは低くなるぞということを意味してなければならないわけですね、選挙の場合ですから。当然そういう意味が含まれていると思って、私はこの条文に触れるおそれが非常にあるというふうに思うわけですし、また、こういうふうなことを、総理大臣として自分の直接権限ですからね、これは運輸省を通じてできるし、片っ方は建設省のあれですから、いまも認可の申請も出ておるところもあるわけですから、こういうようなことを言うべき筋合いのものではないと私は思うのですね。 微妙な問題だということをあなたは言われたけれども、どういう点が微妙なんでしょうか、それは。大臣が微妙だと言ったでしょう。だから、どういう点が微妙なんですかと聞いているのです。
○坂田国務大臣 私がここで申し上げることがやはり選挙に影響をするというようなことはむしろ差し控えた方がいい、その意味において微妙であるというふうに申し上げたわけであります。
○稲葉委員 こういう言い方はよくやりますね。選挙のときよくやるのです。野党の場合はそれは余りありませんからね。そうできない。できないと言っちゃいけないけれども、与党の場合よくやるわけだよ。ことに選挙の場合に、これは一般的な衆議院選挙とかなんとかの場合だったら、ちょっと違うかもわからぬけれども、知事選挙になるとどうしてもそういうふうになるのですが、そこにおける地域の特定な問題、しかも国とつながる問題については、そんなことを言うべきではないですよ。これはよくないというふうに私は思うのですが、いま選挙をやっている最中で、あなたの方もこれ以上答えないということならば、私もこれ以上質問はあれしておきましょう。いま聞いていると、この三つ挙げていること全部国につながっていることですね。よくやるのですよ、みんな。ことに大臣なんか行くと必ずやるのですね。これは十分注意しなければいかぬというふうに私は思っておる。もっとこういう点については厳格な運用が必要だというふうに思います。 そこで、いまの国鉄と建設省は結構です。 私は、常々から疑問に思っておりますことについてお尋ねをしていきたいと思うのです。それは、不法行為による生命損害の場合におきますところの十八歳未満、ことに子供の場合の損害額が日本の場合は非常に低いですね、これが問題だ、こういうふうに私は思っておるわけです。 そこで、運輸省にまずお尋ねをいたしたいのですが、自賠責の関係で、幼児が亡くなった場合にいまの標準は、私の実際に体験したところでは大体千七百万から千八百万ぐらいだと思っておるわけです。これは事実かどうかということが一つ。 それからもう一点は、男女の間で差があるということです。男の方が損害額が大きい、女子の方が損害額が少ない、逸失利益の算定、これは給与の標準のとり方にもよるのでしょうけれども、そういうことが一体事実かどうか、現況はどういうふうになっているかということをひとつ運輸省関係から御説明願いたいと思います。
○黒野説明員 お答えいたします。 自賠責の死亡の場合の補償金といいましょうか、保険金の支払いは、大きく分けまして内訳が三つに分かれております。 これは先生御承知のとおりと思いますが、一つは慰謝料でございます。二番目がいま御指摘のございました逸失利益、三番目が、若干言葉は悪いですが葬儀費、この三つから成っておりまして、このうち慰謝料と葬儀費につきましては、年齢あるいは男女差は一切ございません。 問題は逸失利益でございまして、これにつきましては、実際に収入のある方はその収入を基準にして払いますから問題はないわけでございますが、いま御指摘の幼児の場合は収入がございません。したがって、これをどのような方法で推計するかというきわめてむずかしいというか、あるいは命を金額に換算する厳粛なといいましょうか、こういう手続が要るわけでございます。 私どもは、現在労働省の賃金センサスをもとにいたしました年齢別、性別の平均給与額をベースにいたしまして、これをもとに生活費を差し引いて新ホフマン係数を乗ずるという方式で計算いたしております。その結果、先ほど先生の御指摘がございました幼児の場合の補償額でございますが、仮に被害者側に過失がない、かつ遺族の方が御両親二人だけという前提で計算いたしてみますと、男子でゼロ歳の場合が約千八百九十五万円ほどになります。一方、女子の場合にはこれが千七百七十四万円でございまして、ここに百万余の差があることは事実でございます。 なお、平均的にゼロ歳から五歳まででどのくらい払われているか、これは過失だとかいろいろなものを相殺した上の話でございますが、統計的に見ますと大体千六百万円強の数字になっております。 以上でございます。
○稲葉委員 いまあなたの場合、過失のことを言われましたけれども、自賠責の場合は、特別の場合以外はまず過失を考えないというのが普通ですね。それはそうなんです。それからいま言った中で、これは労働省の賃金センサスを使っているという話ですね。これは大体二年ごとに改定をしておるわけです。 そこで、これは最高裁の民事局長にお伺いをいたしたいわけですが、これは裁判になりますといま言ったゼロ歳から五歳の場合、普通の状態では、私の体験しておる範囲では大体二千三百万程度ですが、これがいいって言うんじゃないですよ、大体二千二百、二千三百、二千四百万かそこら辺のところの判決が出ておるというふうに私は体験しておるわけですが、実際にはどういうふうになっていますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 逸失利益の計算につきましては、大きく分けまして、実務では二つございます。 一つは、先ほどお話に出ました賃金センサスによる男女別全労働者の平均給与額を基礎にいたしまして、稼働年齢は十八歳から六十七歳まで四十九年、そして中間利息の控除方式を複式ライプニッツ方式による、生活費の控除を五〇%とする、こういうやり方であります。 いま一つは、賃金センサスによる男女別全労働者の十八歳から十九歳時の平均給与額、これは初任給とお考えいただいて結構なんですが、これを基準にする、稼働年数は同じ、中間利息の控除を複式ホフマン式による、それから生活費の控除は同じく五〇%。大きく分けますとこういう方式がございます。大体判決例を見ますと、このいずれかの方式によっているように思われます。 したがいまして、まず前者の方式で四歳の幼児について計算してみますと、逸失利益は男子の場合千五百六十万余ということになります。女子の場合は八百四十万余ということになります。大体これも大ざっぱなところでございますけれども、これに慰謝料一千万前後がプラスされるということになりますから、男子の場合二千五百六十万前後、女子の場合は千八百四十万前後ということになるわけでございます。 いま一つの方式によりますと、男子の場合、逸失利益が千三百万余プラス一千万の慰謝料で二千三百万余ということになります。女子の場合は逸失利益が一千百六十万くらいになりまして、プラス慰謝料一千万前後で二千百六十万前後、こういうことに相なるわけでありまして、裁判例はいろいろ過失相殺その他がございますので、金額ははっきりいたしません。
○稲葉委員 幼児の場合ですから、よく飛び出したりなんかする場合がありますから、過失の場合がありますが、それは抜きにしての計算なんです。 そこで、私が常々疑問に思っておりますことは、まず一つは、幼児の場合の全体の損害額が非常に少ないということが一つですね。それと、男女の差があるということはおかしいではないかということが一つなんです。 それで、東京高裁の倉田さんが出した判決がありますが、あれは幼児の場合ではないと思いましたが、あの判決は確定しておるわけですね。そうすると、あの中では、男女のこういうふうな差があるのはおかしいということで同じに扱っておると思います。これはどういう判決で、その及ぼす影響というのはどういうふうに理解したらよろしいんですか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の判決は、東京高裁五十五年十一月二十五日言い渡しの判決のようでございます。被害者は八歳の女の子であったようであります。これの第一審は総額千二百八十一万円を認めた。ところが、二審にまいりまして、実は一審は家事労働分年額幾らというものは認められてなかったわけでありますが、これを年額六十万円というものを認めた。さらに慰謝料の額を一審より二百万円加算いたしました。このようなことがありましたために、二審判決の認容額は千五百八十九万円ということになります。その差は約三百万増ということになったわけであります。その慰謝料額の二百万円を増加させる理由の中で、逸失利益の認められない分を慰謝料に転換して慰謝料を請求額以上に認めても、請求額を超えなければよいというような考え方をとって、いわば慰謝料の補完作用というようなものを肯定したものだというふうに見られておるわけでございます。
○稲葉委員 慰謝料というものについては相当幅があるわけですね。それで、いまあなたも言われたように、慰謝料の補完性ということで、逸失利益などの少ない場合についてそれを補完するという役割りを慰謝料の認定の中でとっておるわけですね。 ただ、私どもが聞いておりますことは、いま言った東京高裁の判決、これは確定した判決ですが、この中では男女の賃金の差というものを、賃金なり逸失利益なりあるいは慰謝料なりそういうものが、男の子が亡くなった場合には全体として非常に高いものになってくるが、女の子の場合にはそれより低いというのはおかしいではないかということを指摘しておるというふうに当時私は理解しておったのですが、確かにその中にあって、それで慰謝料の補完性という理論を持ち出したのじゃないかと思うのですが、これは裁判のことですから、私どもがかれこれここで言うべき筋合いのものではありませんけれども、実際に日本の場合は、幼児の死亡の場合の金額がいま言ったように非常に少ないのです。それから男女で差があるのですよ。これもおかしいのです。 そこで、私が言うのは、男女同一賃金ということが原則になっているわけでしょう。憲法では男女も同権だし、みんな平等だし、男女同一賃金ということが一つの原則になっているわけですから、女子の場合に男子よりも低い賃金でこうやって計算を査定していくということは本来的におかしいのではないか、私の持っているのはこういう疑問なのです。 それについては、これは裁判のことに対して私どもは関与すべきものではありませんが、運輸省のこの認定のやり方が、いま二千万でしょう、だから一般の人は二千万までもらえるとみんな思っているわけですね。思うことがいいか悪いかは別として、普通思っておる。こうなってくるときに、しかもそれより金額がずっと低い。低い中においてなおかつ男女の差がある、これは本当におかしい。男女の平等、男女の同一賃金ということを考えていけば、この自賠責における男の子と女の子との差をなくしていくということが、当然今後考えられていくべき筋合いではないだろうか、こういうふうなことを私は考えておりますので、このことについて運輸省の方からお考えをお聞きをしたい、こういうふうに考えます。
○黒野説明員 御指摘の趣旨は私なりに理解できるところでございますけれども、私どもがやっておりますのは損害賠償保険でございまして、いわば加害者と被害者の間の民事上の損害賠償関係の確定を待って、それに対する補てんをどうするかというシステムでございます。実際は確定まで待てませんものですから、大体の世の中の推移を背景にいたしまして査定するという仕事をやっておるわけでございます。したがって、世の中の動きに先んじて私どもで独断的なことがなかなかしづらいという状況にはございまして、今後判例の動き等々から男女差をなくすという方向になれば、それに対応して迅速な措置はとりたいと思いますが、現在のところ、私どもといたしましては世の中の動きを常に鋭敏に反映するように努力するという姿勢でまいりたいと考えております。
○稲葉委員 自賠責の場合は、いまのお話だと確定してから払うのだと言うが、確定するといったって、それはあなた、裁判でもいつ確定するかわからないわけですね。それは現実の自賠責の制度からいって筋が違うということになると私、思うのです。 いま言ったように、判決の中では第一のやり方、第二のやり方、いろいろありますけれども、いずれにいたしましても、この自賠責よりもずっと高い数字が平均的に出ているのですよ。また、これは普通二千万を超えているのですよ。だから結局、そうなれば、自賠責の方の金額も二千万までは、満額までは出すということが当然考えられていいというふうにいま私は思うわけですね。これはあたりまえの話ですよ。 これはあなたとここであれしてもあれですから、本当は予算委員会でやるつもりだったのですが、何か時間のあれでできなかったのですが、いずれにしても、これは私どもの方もよく研究しますけれども、おかしいですよ。金額が、裁判をやればよけいに取れる、裁判をやらなければ千八百万ぐらいで終わってしまう。そこで実際には四、五百万の差があるというのは、これはおかしなやり方、制度ですよ。しかも男女の間に違いがあるということは、男女の同一賃金制というものが原則として確立しておるのに、古いというか、単なる労働省のセンサスに準拠して、あれは二年ごとに変えているようですけれども、そういうような形でやってきていることはおかしいというふうに私は思いますよ。 さらにおかしいのは、これはあなたの方で新ホフマン方式をとっていると言うのでしょう。けれども、これはホフマンのとり方はいろいろあるわけですよ。それからライプニッツというとり方もあるし、どっちが被害者に有利かということになってくると、これはホフマンの方が有利なことは有利なんですね。ライプニッツは被害者に不利なわけです。そのために、しようがないものですから、ライプニッツをとるときには慰謝料をうんとふやしておるというようなやり方をとっているわけですね。裁判所の方も、これはホフマンでも新ホフマンもあるし、いろいろなホフマンがありますね。月別のものもあるし、複式のものもあるし、単式のものもある、いろいろなやり方があるわけですが、そこは非常にばらばらなわけです。けれども、それは裁判官の独立の問題であって、最高裁の方でこれは決まったものが出ているわけじゃありませんから、裁判の内容について私の方からかれこれ言いませんけれども、これは非常にばらばらしていておかしいですね。 くどいようですけれども、私としては問題点として指摘されるのは、裁判をやればそれだけ高い、二千万以上、二千二、三百万が出て、自賠責だけでは千八百万ぐらいしか出ない。これは非常におかしいということが第一点ですね。第二点は、男女の間でこんなに違いがあるのは、男女の同権というような原則から照らしても非常におかしいではないか、こういう疑問点を私はここで投げておきます。 これは大臣、法務省には直接関係がないと言えばないかもわかりませんが、特に女の子の人権の問題ということから考えると、これはおかしいのですよ。これはよく研究しておいてください。これは本当におかしい。ただ、自賠責の方から言わせれば過失の問題を余り見ないのだ、裁判になれば過失を見るから、だからというようなことが出てくるかもわかりませんね。 さらにおかしいのは、子供が亡くなった場合、十八歳未満のときには生活費をずっと五〇%と見るのですよ。初めに生活費を五〇%と見るのなら、それはわかりますよ。これは結婚してがらも全部通じて——結婚すれば、いま裁判などでも生活費は普通は大体三〇%と見ているでしょう。子供がいる場合も生活費は三〇%ぐらいでしょう。そうすると、十八歳未満のときに亡くなっちゃうと、六十幾つまでの稼働年齢を見ておりながら、生活費は五〇%の控除で最後までずっといくわけです。だからうんと金額が少なくなるのですよ。ここのところはどうもわからぬですね。おかしいですね。この前、ある裁判官に聞いたけれども、裁判官もわからないのだ。はっきりしない。みんなこういうふうにやっているからというので、よくわからぬというわけで、これは私、疑問に思っているのですよ。 初めはこれでいいですよ。初めはいいといったって、これもおかしいんだな。この五〇%というのがどこから出てくるのかよくわからぬのだ。これはきょう——聞いてみましょうか。この五〇%というのはどこから出てくるの、三〇%というのはどこから出てくるの、おかしいじゃないの、これは。それが大きくなって結婚するわけでしょう。十八歳未満で亡くなったときには五〇%でそのままいってしまうわけですから、これはどうもおかしいですよ。どこからこういう議論が出てくるのかな。まあ、きょうでなくてもいいですが、ゆっくりと研究しておいてください。これは法務省の方だな。裁判所に聞くのもおかしな話だから、法務省の方に後で別の機会にゆっくり聞きますが、これはおかしいですよ。私はこの点は疑問に思っております。しかし、きょうはこの程度にしておきましょう。よく研究しておいてください。法務省も、大臣も研究しておいてください。問題なんですよ。 それから外国との関係で、外国人と比べた場合日本人の生命というのは非常に低いのです。たとえば飛行機の事故なんかに遭ったときのあれを比べてみると、物すごく低いです。これは逸失利益の認定だけではないのですけれども、非常に低いというようなことも出てくるということを言っておきたいと思います。 そこで、この前も問題になっておってあれなんですが、法廷で、東京地裁での隠し撮りというか、それがあったということで問題になりましたね。報道の自由か被告の人権尊重かというようなことで問題になっておったわけですが、何か謝って解決したとかしないとか出ていますが、この事件はこの事件として、それはわかりませんが、最初にこの事件の経過をお話し願いたいというふうに思います。
○小野最高裁判所長官代理者 東京地裁では、四月二日金曜日の午後でございますが、同日発売の新潮社発行の週刊グラフ雑誌「フォーカス」の四月九日号の四ページに、いわゆるロッキード事件丸紅ルート公判の法廷写真が掲載されているということを承知したようでございます。そこで、この事件を担当しております同地裁刑事第一部の方から所長に対して、司法行政上の措置をとってほしいという要請がございまして、所長は同日、新潮社に対しまして係員を派遣して口頭による抗議をし、また、翌三日土曜日でございますが、書面による抗議をしたわけでございます。その結果、新潮社側はこの「フォーカス」の編集長並びに撮影したと言われる福田という人が、この撮影の経過及び陳謝の意を書面で表明いたしました。 また、刑事第一部におきましても撮影者福田文昭から事情聴取を行ったようでございます。その結果によりますと、この福田文昭という人はフリーのカメラマンでございまして、雑誌「フォーカース」の創刊、これは昭和五十六年十月のようでございますが、その創刊に際しまして「フォーカス」編集部と専属契約を結んで、以後その編集部員に準ずる形で取材活動を行っていたということのようでございます。 本年の三月二十四日、東京地裁刑事第一部が刑事第七〇一号法廷で開廷した、いわゆるロッキード事件丸紅ルートの公判を傍聴した際に、同日午前十一時二十三分ごろでございますが、その閉廷に際しまして、この法廷の傍聴席の最前列の、裁判長席に向かって右側の中央通路の角に当たる席で撮影した、こういうことのようでございます。
○稲葉委員 だから、撮影をしたということが一体どうして悪いのか。法律はどこに違反するわけですか。規則の話は後で聞きますから、まず、法律でいくとどこに違反するのですか。
○小野最高裁判所長官代理者 法律上は、この点については何も規定はございません。
○稲葉委員 そうすると、問題は規則にあるわけですね。刑事訴訟規則の二百十五条ですか、「公判廷における写真の撮影、録音又は放送は、裁判所の許可を得なければ、これをすることができない。」こういうふうなことですね。そうすると、この規則は法律に根拠はないわけですね。ないのになぜこの規則はできたわけですか。この規則は刑事訴訟法のどこに根拠があるわけですか。規則だからどこかに関係するわけでしょう。どこに関係しているわけですか。
○小野最高裁判所長官代理者 これはもっぱら法廷内の手続に関することでございますので、法律は特別どこというものは何もございませんけれども、法廷の訴訟関係人に関する手続のことでございますので、これは裁判所規則で定められることだと思います。
○稲葉委員 これはちょっと興味本位になって恐縮なんですけれども、隠し撮りというのは一体どういうふうにやって撮ったということなんですか。
○小野最高裁判所長官代理者 本件の事情調査の際も、その方法については明確になっておりません。
○稲葉委員 余り興味本位な質問するのもあれですので、やめます。 そこで、私が疑問に思っておりますことは、いまでも法廷の始まる前には写真撮影というものを許してますね。許すところもありますね。これは被告人がいない場所で許すと思いましたが、被告人が入る前ですか、入ってから許しているのですか。いまどういうふうになっておるのですか。それが一つ。 それから、東京高裁の管内は特にそれが厳しくて、開廷前でも写真撮影を許さないというふうになっているということを言う人もいるのですが、そこの点はどうですか。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように、実際の扱いとしては二つあるわけでございます。 裁判所の裁量に係る問題でございますが、この撮影の許否を判断するに当たりましては、訴訟関係人、特に被告人あるいは証人が心的圧迫を受けて審理に集中できなくなるおそれがあるんじゃないかとか、あるいは法廷の秩序が乱れるというようなこと、その影響あるいは被告人の人権というようなことをいろいろ考えて決めているわけでございます。 開廷前に限り許可するということは、裁判所が相当と認めて、かつ被告人に異議がない場合に限るということでございますので、実際の運用に当たりましては、被告人側の意向を確かめて、いいかどうかということで、嫌だと言ったらお断りする、いいと言って、裁判所が相当であるという場合には、認めるという場合でございますが、そういうことになっておりますが、身柄拘束中の被告人につきましては、手錠とか捕縄を外して、身体の拘束を受けてない状態に置いて撮影させる、こういうふうにしているわけでございます。
○稲葉委員 それに関連する質問は後からしますが、いまの話を聞きますと、被告人が入る前にやっているのじゃないのですか。入ってからやってますか。普通どういうふうにしていますか。被告人が入る前に撮影するときには、被告人の同意を得ないでやっているのじゃないですか。入ってからの場合に、被告人の同意を得て撮影をしているというふうなのが実情ですか。どっちがどうなっているのですか。
○小野最高裁判所長官代理者 多くの場合は、被告人の方に異議があるかどうかを確かめまして、異議がないという場合に限ってただいま申し上げましたような方法でやっているということだと思いますが、あるいは場合によっては被告人のいない法廷だけを写させるというようなことをやっているところもあると思います。
○稲葉委員 被告人のいるところで写せば、被告人は写りますね。被告人が同意して、そしてあれは後ろから写すのでしょうけれども、だから被告人の後ろ姿が写るのだろうと思いますが、そういうふうなのは、被告人が在廷しているところで、開廷を宣してからかな、宣しない前だろうと思いますが、そういうふうなことを実際やっているのですか。
○小野最高裁判所長官代理者 被告人が同意いたします場合には、後ろからでございますが、先ほど申しました手錠とかそういう身体の拘束がない状態で後ろから写すというようなことをやっておりますが、ただ、被告人の方で同意をするというケースは非常に少のうございますので、そういうケースは現実の問題としては少ないというふうに思われます。
○稲葉委員 だけれども、公開ですね、法廷は。公開の法廷ですからだれでも入れるわけですね。入って、そして一般の人はメモをとってはいけない、こうなっていますが、これも法廷指揮権の問題ですね。法律にはそんな規定はないと思いますが、そうすると、新聞社の人は記者席があってそこで全部とっているわけですね、普通は。それならば本人たちが、被告人なりあるいは証人が同意すれば写真を撮らしたっていいんじゃないですか。そのことによって何も法廷の秩序が乱れるということはないんじゃないですか。いま言われたのが証人なり被告人が圧迫を受ける、人権が阻害をされるということなら、本人たちがそれでもいいと言うならば、それは撮らしたっていいんじゃないですか。そうすれば別にあなた、何も法廷の秩序が乱れるというようなことはないんじゃないですか。どういうことになりますか。
○小野最高裁判所長官代理者 いま申し上げましたことは、これは開廷前のことでございますが、開廷中のことにつきましては、これは被告人、証人はもとよりでございますけれども、それ以外の裁判官あるいは弁護人、検察官を含めましてみんなそれを非常に意識する、それで審理に集中できなくなるというようなことから、ただいまのところ、開廷中は許すという扱いは一切行われておりません。
○稲葉委員 それは初めから終わりまで写真を撮っているときには、審理が阻害されることもあるかもわからないですよ。だからそれは、ある時期において訴訟関係人が同意すれば、写真を撮らしたって別にどうってことないじゃないですか、そのときだけだから。たとえば証人の調べが始まる前とか、被告人が着席して被告人質問が始まる前とか、そういうときに撮るのだったら別にどうってことないんじゃないですか。初めから終わりまでテレビ中継しろということを言っているのじゃないですから、私は。それは後の議論でまた出てくるかもわかりませんけれども、そのことはそんなにかたくなになることはないじゃないですか。訴訟関係人が同意をすればいんじゃないですか。ある時点において時間を限れば、別にそのことが法廷の秩序を乱すということに何もならないんじゃないですか。そこに入って記事を全部書いているわけですよ。公開の法廷で記事を書けるのなら、写真を撮らすということ自身も、同意をすればいいんじゃないですか。別にこだわる必要はないんじゃないですか。
○小野最高裁判所長官代理者 現実に同意するケースがあるかどうかということは別でございますけれども、やはり被告人が法廷の場、裁きの場に置かれているというようなこと、それが新聞記事で出るのと、写真でそういう場に置かれているということが世間に出るというようなことが果たしてよろしいのかどうか、被告人は法廷には出なければなりませんけれども、そのためにそういう好まないような姿が法廷外に出るということがいいのかどうか、裁判所としてはそれはやはり被告人の人権上保護してやるべきではないか、こう考えてそのようにしているわけでございます。
○稲葉委員 被告人の人権というのはわかっているのです。それは守らなければいけませんよ。あたりまえの話ですね。だから、被告人がいいと言えばいいんじゃないですか。それを言っているのですよ。被告人がいいと言うかどうかということを聞きもしないでいて、そしてあなた方の論議は始まっているわけでしょう。被告人たちに聞いて、いいと言うなら撮らしたらいいんじゃないですか。お話を聞いていると、結論的にはそういうふうに聞こえるのですがね。だから、あなたの方の場合は、被告人にいいかどうかも確かめないわけでしょう。確かめる以前から、だめだといって全面的にシャットアウトしているわけでしょう。 それが一つと、何か非常に大きな影響を与えるというのは、初めから終わりまで写真を撮っているというかテレビ中継をしているということは、大きな影響を与えるかもしれませんよね。そのこととはジャンルが別のことじゃないですか。だから、本人が同意をするならば、ある時期において時間を限って開廷中であっても撮らしたところで、被告人が人権というものを、みずから保護されるべきをいいと言っているのですから、放棄しているわけですから、それでいいんじゃないですか。別にそのことによって法廷の秩序が乱れるということは何にもないんじゃないか、こう思いますがね。そうかたくなな態度をとる必要はないんじゃないですか。そこはどうなんですか。
○小野最高裁判所長官代理者 いままでの経験に徴しますと、被告人にどうかと尋ねますと、大多数の者は嫌だということでございますので、これを好む方は少ないだろう、そういうふうに考えているわけでございますが、また、写してほしいという人につきましては、これはその法廷を宣伝の場に使おうというような意図が見られる場合もございまして、むしろこれは写すことは裁判所の方で相当でないというような場合がございまして、ただいま申し上げたようなことになっているわけでございます。
○稲葉委員 いや、それは写してもいいと言ったところで、写す写さないは写す人の方の自由ですから、そういう宣伝の場に使われると思えば写さなければいいんで、別にそのこととは関係ないんじゃないですか。本人が写してもいいということになれば、それがことに社会的な耳目を集めていることで、それが報道の自由ということと関連をしてくるということになれば、認めることに私はやぶさかではないと思うので、その点についてそうこだわる必要はないんだ。ことに憲法は公開の原則を掲げているわけですからね。そして、いま言ったように刑事訴訟規則二百十五条というのは規則ですから、法律ではないわけですから、そういうふうに余りやかましく言う必要はないというふうに考えるわけです。 それで、何か東京高裁管内の裁判所だけは一切の撮影を許可しない厳しい姿勢をとり続けてきておるということは事実ですか。ほかの裁判所では開廷前に大体三分ぐらいですね、二分か三分撮らしているのが多いんですね。あれは開廷前だから、本人がいないときだと思いますよ。東京高裁管内は特別扱いにして、開廷前でも撮らせないということになっているのですか。どうなっているのですか。
○小野最高裁判所長官代理者 東京高裁では絶対させないというのは、事実上そうなっているということのようでございます。これはただいま申し上げましたように、開廷前でありましても被告人が好まないというような場合が非常に多い。許しているところでは、そういう場合は比較的弊害が少ないということで認めているわけでございますが、そういう場合でも弊害がないとは言えないということで、実際運用として許していないということのようでございます。
○稲葉委員 最高裁に対して日本新聞協会では、このことに関して刑事訴訟規則の二百十五条、これは昭和二十四年にできたのですか、裁判の公開、報道の自由、国民の知る権利を理由として再三にわたり写真取材を認めるよう要望してきた、その場合に被告の顔、表情がうかがえないようなアングルを配慮するというような譲歩案も提示したということが伝えられているのですが、新聞協会からそういうふうな申し出というか要望というものは具体的にあったのですか。あったとすれば、いつごろどういうふうなことがあって、それに対してだれが会って、どういうお答えをしてきたわけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 五十五年の春であったかと思いますが、新聞協会の代表の方が数名お見えになりまして、この問題について御要望がございました。私が直接お会いをいたしたわけでございますが、ただ、その場合は実は新聞記者が法廷でメモをとるということについてトラブルが地方裁判所でございまして、それが主な問題でございましたが、なお写真のことにも触れて、何とか考えていただきたいという御要望はございましたが、その点については直接メーンの問題ではございませんでしたので、それ以上の討論と申しますか、議論はございませんでした。
○稲葉委員 いまお話の中で新聞記者が法廷でメモをとるというのは、新聞記者の席が普通はあるわけですから、新聞記者の場合メモをとっていいことになっているのじゃないですか。そこでトラブルが起きるというのはちょっと考えられないのですが、それは具体的には何かあったのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 これは大分の地方裁判所であったかと思いますが、現実には裁判官がその点について御自分の考えでメモの禁止をしたようでございますが、後で自分も十分その辺のところの配慮を欠いたということで円満に解決をいたした、こういうことでございます。
○稲葉委員 そうすると、いまの日本新聞協会が来たというのは、何かいまの写真撮影の問題、メーンでないというお話があったのですが、一回だけですか。何か再三にわたって最高裁側に申し入れをしておるというふうなことも言われておるのですが、それは違うわけですか。櫻井文夫最高裁広報課長、いまは櫻井氏は広報課長かな、その人も会ったりなんかしているようなんですが、それは一回だけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 前事務総長の場合にもお見えになったというふうに聞いております。私が事務総長になりまして、そういう意味で公式においでになったのはいま申し上げた一回でございますが、一般的な問題といたしましては常にこの点を問題にしておられることがございますので、いわゆる事務連絡と申しますか、そういった点では広報課長とあるいは広報課の職員等について適当な機会にお話があったかもしれませんが、私、その辺の詳細は承知いたしておりません。
○稲葉委員 結局、いま言われたことを要約すると、被告人というかそういう人たちの人権擁護ということですね、それが中心だというふうに理解できるわけですね。いまお話があったように、逆にそれを宣伝に利用しようとする人がいないとは言いません。それは確かにあります。そういう場合は撮影しなければいいわけですから、これはこっちの裁量ですから。だから、本人がいいと言い、しかもそれを撮影する方もそれを撮ることが報道の自由として、あるいは国民の関心事であって必要である、宣伝に利用されることではないのだというふうなことなら、これは最高裁が別にそうかたくなな態度をとる必要はないのではないかというふうに私は思うのです。この点についてのお答えは、次に質問しますから一緒に願いたいと思います。 そこで、これについての各国のいろいろな実際のやり方ですね。これは私の聞く範囲では、たとえばイギリスなりフランスは非常に厳しいということが言われていますね。ところが、アメリカはその点は緩やかで、大分情勢が変わってきて、開廷中でも写真撮影を認めるようになってきたというように聞いているのですが、その間の事情を先に御説明願って、前の質問は後の方でお答え願いたいと思います。
○小野最高裁判所長官代理者 ただいまお話がございましたように、イギリスは非常に厳しいようでございまして、法廷内はもとより、裁判所構内、その周辺全般写真撮影はいけないし、また、肖像画あるいはスケッチのようなものもいけない、こういうようになっているようでございます。 アメリカでございますが、十年ぐらい前までは、アメリカの法曹協会などでも写真撮影は反対というようなことであったようですが、それがだんだんある一定の条件で認めることもいいのじゃないか、それはこういう条件のもとでは許可することができるというふうに変わってきているようでございます。アメリカの連邦裁判所は現在も許してないということのようでございますが、州の中で、これは手元にあります資料では、一九七九年の六月ごろの段階のようでございますが、テレビ放送等を含めて裁判所の裁量、これはいろいろな条件があるようです。たとえば証人その他関係人の異議がないとき、同意があったときとか、いろいろな要件があるようでございますが、その場合に裁量で認めるという州が七州のようでございます。それから、一年とかあるいは七カ月、二年と、いろいろ期間はございますが、実験段階として、これは最高裁判所に限るとかあるいは事実審に限るとか、特定の裁判所というようなことで実験的に暫定的にできるとしている州が十四州あるようでございます。また、その段階で実験に踏み切るかどうかということを考慮している州が六州あるというふうに聞いておりまして、アメリカでも全面的に許しているということではないようでございます。
○稲葉委員 アメリカで全面的に許しているということを私は聞いているわけではありません。ただ、いま言うようにイギリスの場合とアメリカの場合とは非常に違う歴史的な背景がありますが、それは別として、アメリカの場合は特に陪審の問題があるからかもわかりませんが、そこは私もよくわかりません。 いまあなたの方の資料はちょっと古いですね。だから、広報課というのがあるのだから、最高裁で集めるのが、あなたの方だってそんな忙しいわけではない、と言っては悪いけれども、最高裁というのはそんな忙しいわけがない。大変失礼な言い方をして恐縮です。法廷の方は別ですよ。それは余り言うと悪いから言わぬですが、だからもっと新しい資料を集めてください。裁量によって許可するというのは、どういう条件のときに、時間的にどういうときにどういう条件をつけて許可しておるのか。その七州というふうなものは具体的にどういうふうに運用されておるのか、こういうふうなことです。その結果としての反応はどういうふうになってきているのか、こういうふうなことももっとよく調べていただきたい、こういうふうに思います。ちょっと資料古い、もっと新しいものはないわけですか。それはいいけれども、その点もう少し詳しく説明してくれませんか。七州の場合はどういうふうになっているのか。
○小野最高裁判所長官代理者 いろいろでございますが、たとえばテキサスとかフロリダというところでは、審理関与者の同意というようなものは要らないで、これはもっぱら裁判所の裁量にゆだねるというようなことでございますが、コロラドですと被告人の同意が要る。それから、異議を述べた証人とか陪審員は撮影しないとか、あるいはアラバマでは当事者の同意が要る。民事では訴訟代理人の同意も必要である。証人、陪審員、当事者、訴訟代理人の異議により撮影を中止する。ワシントン州では異議を述べた証人、陪審員、当事者の撮影はいけない。ジョージア州では、当事者、訴訟代理人の同意は要る。同意を拒んだ証人、陪審員の撮影はいけない。ニューハンプシャーでは、裁判官は裁量に当たってリーズナブルな異議を考慮に入れなければならない、こういう規定があるとか、いろいろのようでございます。
○稲葉委員 そこで、事務総長に最終的にこの問題に対する考え方をお聞きいたしたいわけですが、いまのいろいろな話を聞いていましたときに、これは被告人の人権ということ、あるいはその証人が圧迫を受けるとかいろいろなことですから、それは宣伝に使われてはいけませんけれども、宣伝に使われない範囲でその同意があれば、ある時期に限って開廷中でも写真撮影を許すというふうなことがあったところで、別に秩序——秩序というのはよくわかりませんが、秩序をどうこうするということにはならないというふうに思うのです。だから、そういう点についてはもう少し緩やかな態度をとってもいいのではないかというふうに私は考えるのです。いまアメリカの例なんかも出ましたけれども、そういう点について最終的というか、まとめた最高裁事務総長の意見をお伺いをいたしたい、こういうふうに考えます。
○矢口最高裁判所長官代理者 先ほど来刑事局長御説明いたしておりますように、法廷における写真撮影の問題は、最終的には各法廷の専権にゆだねられておるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、現状は先ほど来御説明をいたしておるとおりでございます。個々の裁判所、結局審理の公正さの担保と、主として被告人でございますが、訴訟関係人の人権の擁護ということを当然の前提といたしまして、それが満たされております限り、一定の枠内における写真撮影を認めておるというのが、一般のコンセンサスではなかろうかというふうに考えております。もう少しはっきり申し上げますれば、そのコンセンサスというのは、現在のところは開廷前に限り認めるというのがコンセンサスでございます。 世界各国の事情というものから決して孤立できるわけではございませんので、私ども、いま御指摘のアメリカの各州におけるここ十年ぐらいの大きな動きというものも十分検討をいたしておりますし、一方、ヨーロッパ諸国における伝統を守った写真撮影あるいは肖像画も認めないという厳格なやり方、そういったものもこれは十分やはり考慮に入れなければいけない問題でございまして、いま申し上げましたコンセンサスというものにつきましては、かなり以前に得たコンセンサスではございますが、引き続きその点についての検討は怠っていないつもりでございますし、今後も検討は続けていきたいというふうに考えております。ただ、諸般の事情から申し上げまして、あるいは稲葉委員の意に沿い得ないかもしれませんが、このコンセンサスを広げるということは、現在のところ非常に困難な見通しであるということを申し上げざるを得ないかと思っております。
○稲葉委員 国会で証人の証言等の法律がありますけれども、証人呼んでやりますね。そのときには、自由にというか、本人の承諾を得ないで中継しているわけですから、あれと比べることが妥当かどうかは、これはちょっと議論があると思いますよ。あるけれども、一方においてあそこまで公開をしてやっているわけですから、それで今度はその改正の問題なんかもありますけれども、その場合でもそれについては改正の問題になっていないし、なったとしても、本人が同意をすればいいということになるかもしれません。それとの対比から考えても、そんなに最高裁がかたくなな態度をとる必要はないのではないかというふうに思いますので、アメリカの例等がありますけれども、これは実際どういうふうに運用されているのかということをよく調べていただきたいというふうに思います。 そこで、あと最高裁の関係では、これはやはり民事局長の関係になりますが、前々から問題になっておったのは、民事執行の場合の競売ですね。これは特に横浜がいろんな問題を起こしているわけですね。これはあそこは金曜日十時からでしょう。私は黙って一遍行ってみようと思っているんですよ。前もって連絡するといろんな準備をしてしまうからだめだと思って、黙って一遍行ってみようと思っていますが、前から問題を起こしていますね。今度もまた問題を起こしている。暴力団関係などについても、ほとんどこれに入って、今度は人をおどかしたとかなんとかいって事件になったりなんかしているわけですが、横浜地裁における競売の実際のやり方はどういうふうになっておって、どういうふうに改正をしておるのか、今後どういうふうにしていくのか、こういうことについてひとつ御説明を願いたいと思います。
○川嵜最高裁判所長官代理者 横浜地裁の不動産の競売関係で、実は御承知と存じますけれども、去年の十二月十八日の新聞で、暴力団が介入しているということが大きく取り上げられました。ただいま御指摘のとおり、四月三日の新聞にも同じく、これは暴力団が競売に参加しようとする人をおどしたということが報道されております。それで、横浜になぜこういう事件が多いのかということは、ちょっとその実情はわかりかねますけれども、やはり庁舎の警備関係等も関係があろうかと思います。 十二月に新聞で取り上げられたことを契機にいたしまして、横浜地裁では、競売場の周辺の職員による巡視あるいは警察官のパトロール依頼、さらには新民事執行法によって取り入れられました期間入札、これが暴力団介入の防止のための切り札というふうに考えられておりますが、この期間入札制度の採用ということを検討いたしまして、この期間入札制度の採用は今月から行うということにしておるような実情でございます。
○稲葉委員 競売事件は、横浜だけでなくて、各地で非常にふえているわけでしょう。ふえておって、そしていろいろな問題を起こしておるのです。これは専門に買っている人がいるわけですね。専門に買って、落として、そしてそれをまた高く売りつけるのですよ。これは商売をやっている人はいっぱいいますから、私もよく知っています。よく知っているというのは、そういう人がいることを知っているという意味ですが、横浜だけの問題ではないですね。むずかしいと言えばむずかしいですね。だからといって、そういう商売人を排除するというわけにもいかぬでしょうし、その点はむずかしいと思うのですが、いずれにしても、競売がもっと明朗に行われるようにしないといけないと思います。 横浜地裁の場合はどこでやっているのですか。一階の奥の方でやっているのですか。どこでやっているのです。まあ、それはいいや。 それと、どこでも執行官になり手がないですね。なり手ないでしょう、なり手がないと言うと語弊があるけれども。そのために執行が物すごくおくれますね。執行の場合はおくれた方がいい場合もありますから、余りやかましく言えないのでね。だから、執行官が非常に人数が足りないというようなこと。それから執行官というのは、精神的な一つの疲労を覚えますから、病気になる人が非常に多いですね。そういうような点を考えて、これをどういうふうにしてやっていくのか。普通はこれは裁判所の民事部の書記官が執行官になるのが多いのですか。そこら辺のところも今後の課題としてよく研究していっていただきたいというふうに思います。 これは非常におくれるのですが、おくれていい場合もあるものだから、家の明け渡しなんかの場合できるだけおくれた方がいい場合もあるから、余りやかましく言えないのでこれはちょっと困っちゃうのですけれども、ずいぶんおくれる。執行官の人数が足りないのですね。いまでも欠員が相当あるんじゃないか、そう思いますが、全体的にはどういうふうな状況になっていますか。
○川嵜最高裁判所長官代理者 実は執行官、御承知のとおり手数料制の公務員でございますので、定員というのはございません。最近五年間で見てみますと、退職者が百五十五名、新たに任命された者が百八十九名でありまして、五年前と比べますと三十四人ばかりふえておりまして、現在三百六十三名おります。これはやはり手数料収入との関係がございますので、数をふやせばいいということにもならないわけでありますが、大体三百六十名前後で順調に事件は処理していけるという見通しでございます。 なり手がどうかというお話がございましたけれども、執達吏、執行吏、執行官と名前が変わるたびに執行官のイメージアップということが図られてまいりまして、最近におきましては、中小都市には若干例外もあるようでございますけれども、執行官のなり手を探すのに困るというような状況ではございませんで、むしろ大きいところではなり手の方が多い、希望する人が多いというような状況になってまいっております。 なお、休職者も現在全国的に見まして二名おりますけれども、この点は御迷惑がかからないように手当てがなされておるはずであります。しかし、穴があいているところがないとは断言できませんので、さらにきめ細かい配慮をしていかなければならないと考えております。
○稲葉委員 お話ありましたけれども、本庁所在地は多いのですよ。ところが支部にいないわけですから、支部も本庁にいる執行官が全部やっている場合が相当ありますね。そうすると、仮処分やなんかの場合、非常に困るのですよ。現場へ行く仮処分の場合、立て札を立てる場合の仮処分なんか非常に困ってしまうのですね。そっちの方を急ぐからほかの方がおくれるのかもわかりませんけれども、非常にそういう点が困りますから、これはまた私も執行官の話をよく聞いてみますからね。この前も、執行官の人もいろいろ話をしたとき言っておりましたが、別にまたよく実情を調べてお聞きしたいと思っております。 法務省の民事局長、せっかくおいで願ってあれですが、商法の改正の問題に絡んでの省令の問題ですね。これをゆっくり具体的にお聞きしたいわけなんですよ。これは三月中に結論が出ることになっていましたね。書いたものを見るとそういうふうになっているわけですね。これはおくれていますね。おくれていることについて、どういう事情でおくれているのかということを御説明願って、具体的な内容については、ちょっときょうはあれですから、別な機会にゆっくりお聞きしましょう。どういう点が問題でおくれているわけですか。
○中島政府委員 改正商法の施行が本年の十月一日でございますので、その六カ月ぐらい前には省令の改正をしなきゃならぬだろうということで、三月いっぱいをめどに省令改正の検討を進めてまいったわけでございますけれども、これについては法制審議会商法部会の意見をよく聞いて作業を進めるということが、たしか本委員会の附帯決議にもついておったと記憶いたしております。(稲葉委員「たしかじゃだめだよ、よく覚えておかなければ」と呼ぶ)失礼しました。 二月三日に商法部会が開かれまして、その際にまとまった結論が出ますれば、それによって条文化の作業を進めまして、三月いっぱいに仕上げをするという予定をいたしておりましたところが、二月三日の商法部会におきましてはいろいろな御意見が出まして、商法部会の御意見として一本の結論が出なかったわけでございます。非常に幅のある結論であったというふうに申し上げてもいいかと思うわけでありまして、その後私どもの方で、その幅をできるだけ縮めるように、できるならば一本の線にまとめるようにということで、そういう作業を進めてまいりました。そのために結論が出るのがおくれたわけでありますけれども、ようやく実質的な結論というものが出ましたので、いま鋭意その条文化の作業を行っておるわけでございます。
○稲葉委員 いまお話がありましたけれども、非常におくれたわけですね。おくれたのですけれども、国会の附帯決議がありますから、それを十分尊重した省令というものをつくってもらいたいというふうに思います。 それからもう一つは、恐らく一番大きな問題は営業報告書の記載の問題ディスクロージャーの問題だと思いますね。そればかりじゃありませんけれども、それが一つ。それから、負債性引当金の問題をどう取り扱うかというような問題なども出てきて、意見が分かれているようですね。そういう点について、商法の改正をやったはいいけれども、それを骨抜きにしようという動きが企業側から非常に出てきますね。そういうような問題に対しては、しっかりした態度をもって進んでいただきたいというふうに思いますよ。これはまた別な機会に質問したいと思いますが、省令だから、もちろんわれわれが、立法府が口を挟むべき筋合いじゃないかもわかりませんけれども、ディスクロージャーというもの、そのために商法の改正が行われたわけですから、その幅を狭めてしまったのでは全く意味がなくなりますから、その点については十分配慮して事に処していただきたい、こういうふうに考えております。 最後に、時間が多少——多少というか少なくなりましたが、私が疑問に思います一つは、少年審判の問題をいつも考えておるわけです、実際にあれしてみて。そうしたら、「ジュリスト」に野田愛子さんが「少年審判雑感」という、これはエッセーですから短いのですが、書かれておるのを拝見したわけです。そこで「家庭裁判所で不開始・不処分で終った少年に対し、少年係警察官が児童委員の協力も得て継続的補導を行いたいという問題提起がなされたと聞く。」というふうに述べておられるわけですね。これは一体どういうことを言っておるんでしょうかね。最高裁の家庭局長としてはこういう行き方に対してどういうふうな意見を持っておられますか。
○栗原最高裁判所長官代理者 ただいま委員御指摘の随想は、野田さんが個人のお考えをそこにおまとめになったものだと思いますが、恐らくその根拠になっておりますものは、昨年の八月、ある二、三の新聞に、警察庁の方で今年四月から少年警察協助員制度というものを発足させたいというような記事が載っておりましたので、それをもとにしてそのような随想を物にされたのではなかろうかというように理解するわけでございます。 しかし、現実には、その後私どもの所管課も、その新聞で報道されております記事内容等について若干の問題点があるのではなかろうかということで、警察庁の関係の方々と意見を交換いたしたことがございます。その結果かどうかわかりませんが、現実にこの四月から発足いたします新しい制度の対象といたしましては、いま委員御指摘の家庭裁判所で審判不開始あるいは不処分になりました少年について、当該非行を理由にその後継続的に補導を行うというようなことはやらないというように伺っておりますので、野田さんが懸念されましたような問題は現実には解消しておるのではないか、このように考えておるわけでございます。
○稲葉委員 警察庁からおいでになっておられますが、いま最高裁の家庭局長が述べたとおり、このことはやらないということになったんですか、どうなんですか。
○石瀬説明員 結論から言いますと、そのようなことは行わないということで当初から考えております。 この制度は、いまほどもお答えがございましたように、本年度予算で少年警察協助員というのが全国の警察署に一人ずつ配置される、三カ年計画で配置されるということで、大蔵省が容認し、国会でも御承認いただいたわけでございます。 その趣旨といたしますのは、窃盗集団とか粗暴集団とか暴走族集団に加入している少年たちに対しまして、できるだけその集団からの離脱を図るために、警察の意向も体しながら少年警察協助員の方が暴走族集団とか窃盗集団に所属しております少年の家庭を訪問いたしまして、そこからの離脱のための力添えをするということでございまして、決して審判不開始、不処分になった少年を対象に、当該非行を理由にして継続補導するというようなものでは全くございません。
○稲葉委員 ほかに、いまの問題に関連して、保護司制度のあり方その他について、保護司と児童委員の関係、その他いろいろの委員がありますが、その委員との関連その他についてもお聞きしたかったわけですが、時間が来ましたので別の機会にお伺いをさせていただきたい、こういうふうに思いまして、きょうの質問はこれで終わります。
○太田委員長代理 午後零時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時四十一分休憩 ————◇————— 午後零時三十六分開議
○太田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行します。沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、きょうは法務局の問題、特に登記所に関しまして主として御質問をしていきたいと思います。 全法務の労働組合から私たちあてに、昨年は法務局の増員に関する要請、ことしは請願、こういう形で来ております。 請願の方の内容を読みますと、 法務局の登記、戸籍、国籍、供託、行政訴訟業務、及び人権擁護事務は、適正、迅速になされてこそ、国民の財産と権利を守ることになりますが、業務量の増大に対して従業職員が全く不足し、業務の停滞、過誤、サービスの低下、職員の健康破壊など危機的状況に直面しています。 更正保護業務については、犯罪の多様化、特に少年犯罪の深刻化によって保護観察官の業務も複雑、高度化し、特に従来裁判所において取り扱われていた短期交通保護事件が昭和五十二年四月より法務省に移されてからは業務の増大が著るしいものがあります。 また、出入国管理業務も、国際交流の活発化、航空機、船舶の大型化によって出入国者が増大し、特に成田空港の開設にともなって、入管業務も著るしく繁忙を極めています。 わたしたち全法務労働組合及び、勤労国民は、このような現状と、問題点を直視し、その改善策を探究するとき、法務省の業務は、人的確保によること以外にはなく、定員職員に関して次の事項を憲法第十六条の趣旨に沿って請願します。 こういうことで、「法務局、更生保護官署、入国管理官署の定員職員を大幅に増員すること。」こういうことになり、この中の文の中にも細かくそういう問題が出ております。 “絶えない不動産をめぐるトラブル” 登記所の要員不足が大きな要因 「他人の土地で大儲け、権利証を偽造……」マイホーム時代の今日、不動産をめぐる紛争があとを絶ちません。 法務局、いわゆる登記所の業務量は、毎年急激に増えています。たとえば、最近十年間に、登記事件数は二億二千万件から四億九百二十七万件へと約二倍になっています。これに対して、職員の数はわずか一三%増にとどまっています。 もし、登記所の要員不足が充分に改善されていたならば、不動産をめぐるトラブルの多くは防げる問題です。 こういう指摘もございます。 そこで、去年もらった要請につきましても、 特に登記業務においては、一九六〇年代の高度経済成長のなかで急増した後、現低成長下にあっても総合不況対策としての大型公共投資、地域開発、住宅建設などにより、その伸びはおとろえようとしていません。最近一〇年間においても業務量は約二倍になっているにもかかわらず定員の増はわずか一五%にとどまっています。 また、わずかばかりの増員が、登記部門に吸収されざるを得ないため他の部門への増員は皆無の状況で、同和・公害問題など国民生活に重大なかかわりを持つ人権擁護業務を始め、市・区・町・村の戸籍事務を監督する立場にある戸籍事務などは、その機能を充分にはたし得ない実情にあります。 このような厳しい状況の下でも私どもは、法務行政に対する国民の期待に応えるため、なかには過労による中年職員の急死や、職業病の惹起をも返り見ず総力をあげて事務処理にあたっていますが、職員の絶対数が不足しているため一部地域では業務の遅滞に抜本的対策がとれず、また、地方公共団体・公社・公団の職員、司法書士、土地家屋調査士など年間約七〇万人以上の部外の人に半ば強制的な応援を受けて、何とか業務を処理しているという変則的な状態に落ち入っています。 こういうことで、大幅の増員をやってもらいたいということでございます。 そこで、この面につきまして弁護士会の方でも、これはずいぶん前で一九七四年の「自由と正義」の十月号の中にあるわけですけれども、大分前の辺から読んでみますが、 総論的に言うならば、法務局の形体、姿勢が官一方的で国民の立場を考えた施策がとられていないということを痛感する。 飛びまして、 政府は中央官庁街と地方官庁街を区別し、地方官庁街を前記大手町に集結しようとしたが、東京法務局が、これらの合同庁舎に移転する計画があることは一切知らされず、一番利用度の多い弁護士会が、この計画案を知ったのは、合同庁舎が八分通り完成した頃であった。あわてて裁判所、法務省に陳情を繰返し、弁護士会内に「三会合同供託課移転対策委員会」を設置して交渉を開始した こういうところで、 遂に東京地方裁判所刑事庁舎内の弁護士控室の一部を割愛することとはなったが、保証供託受入業務の一部を残置し、東京法務局から職員二名を派遣してくれることとなり、一応の問題解決となったことがあった。 東京法務局が、それまで本来の庁舎がなく、不便な間借り生活を続けていたことには同情の意を禁じ得ないが、庁舎の建設、移転、統合という重大事項について、国民を代弁する弁護士会の意見をも徴さず、ご自分達のご都合だけで納得し、決行しようとしたことについては多大の抵抗を感ずるのであり、官の独善と言われても止むを得ないであろう。 こういう点もあるのですが、最近でも大阪の登記所で、中野の登記所あるいは東区の登記所についても知らされていなかったという点、これは以前にも御指摘いたしました点があるわけですけれども、そういうことと統合されてしまうということ、これはまた後で触れますが、同じようなことが指摘されているわけです。 そして同じように、登記業務内容につきましても、 「登記・供託」 まず、第一に眼につくことは、人員配置の拙さである。 東京法務局管内で一五人庁以上が二一もあり乍ら、一〇人庁以下の庁舎が一〇もあることであり、二人庁、三、一人庁、三(特に一人庁は島部に多い)を数えるのである。横浜法務局管内では一五人庁以上二三、一〇人庁以下は九(三人庁、二、二人庁、二)、浦和法務局管内は一五人庁以上五、一〇人庁以下二四(三人庁、三、二人庁、二、一人庁、二)を数え、大都市集中がみられる。 関東周辺がこの通りであるのでは、他は推して知るべしである。これは法務局の定員不足ということも考えられるが、それにしては「雇」を置いている庁舎もある。 国土開発等により都市部よりも郡部の方が仕事が多いであろうと想像されるのだが、意外の感が深いし、最少限一人庁ではなく三人庁程度の適正な人員配置が望ましい。しかし、都市部の職員は良く勉強もしている。一例を挙げれば、先般の新抵当権法が、とり沙汰される頃からグループに別れて勉強していたが一般的に言って、都市部の職員に、国民に接する態度が傲岸であり、郡部の方の職員が親切なのは何故だろうか。 次に、申請様式の定型化されたことである。 これは少ない人員で事務の迅速処理のためには誠に良いことであり、国民にも必要記載事項が明瞭となって、大いに助かることである。しかし、不動産登記申請は従来通り、右縦書きで、供託及び商業登記は左横書きとは、また、どうしたことであろう。 商業登記申請に右縦書きで持参しても、窓口氏は通達訓令を口実に、絶対に受付けてくれない。どうせ定型化するなら、全部統一したらどんなものであろう。ただ、われわれ弁護士に言わせると裁判所の記録点綴が右縦書きであるので、前記申請書等を証拠として提出する場合、左横書きは、裏から読まなければならない不便がある。定型化する場合、ただ単に、時代の先取りをすれば良いというものではなく、こういうことも他官庁と連絡の上、配慮し、処置決定されるようにされたい。 更には、通達訓令の法律化である。 元来、通達訓令は法務局部内の事務統制のためのものであり、国民を拘束するいわれはないのである。国民を拘束するのは法律・条例等であるべき筈のところ、何んと、この通達訓令が、実際には法律以上の力をもって国民を拘束するのである。ということは、いくら国民が法律違反でないことを強調しても、法務局の職員が聞く耳をもたないからである。前記の商業登記申請の左横書きなどは好個の例であり、結局、長いものには巻かれろと書き直してくる結果となるのである。 また、このように法律、条例、通達、訓令などに忠実かと思えば、他面、非常に投げやりな面も眼につく。例えば、登記事務には形式審査権のみで実質審査権はないとされているが、建物滅失の登記などは、現実に存在しないことを確認されれば滅失登記を職権で受理することも差支えないこととなっている。ところが仮りに申請があっても勇気をもって、これをしようとしたことはないようである。これは左横書き以外の商業登記申請を受付けないのと同様、自己の責任回避である。若し、抜かない宝刀なら返上仕ったらどうであろうか。更には、商業登記簿にも休眠会社や、絶滅会社が多々あり、いたづらに法務局職員の事務量をふやしており、逆に、一般会社では、このような形式のみの会社の売買が行われているやに聞いている。 このようなものの整理ができてくれば、どんなにかスッキリするだろうか。しかし、このような会社設立が行われたのは二〇年程前から、会社にしさえすれば大概のことは経費と認められるとの風潮があったからであり、税務署、国税庁の方針にも一片の責任はある筈であるので、東京でいえば法務局と国税庁は隣合わせなので研究会でも、もってみたらどうだろうか。 それから、裁判資料としての諸登記簿謄本が不分明なことである。 これは原本が悪いのか、謄写機械が悪いのか、よく判らないが、裁判官のなかには高令の方も多いし、読みづらいことだけは事実であり、従って内容の把握が困難である。機械が悪ければケチケチせずに交換したら良いし、原本が上手な筆記ならば暇な時期に徐々にタイプにでも印書して明瞭にしたらどうかと思うのである。 また、次に小さな問題ではあるが、登記申請関係に、あえて補正日というのを設けているが、これは必要なのだろうかとの疑問を持っている。私は、若し、受付にベテランを配置して、その場で補正・訂正を厳格にすればどうなのだろうか。無駄な一日を空費しなくて済むものと思われる。 こういうふうな内容なんです。 これはずいぶん前で七四年のことですか、八年も前の内容で、これからは変わっているとは思いますけれども、これと同じように、今度は去年の三月十六日の新聞ですけれども、「核家族登記所走らす」「マイホームを建てると住宅取得控除が認められるが、申請に必要な登記簿謄抄本を交付したり、土地、建物などの登記を行う登記所がパンク寸前の状態に陥っている。このため、銀行の住宅ローン実行に必要な登記簿謄本を待っていたのでは二カ月近くもかかり、登記申請受領書で間に合わすのは常識、といった登記所も。公務員定数削減のあおりで人員も増えず、東京ではパンク寸前の渋谷、板橋などの登記所が分割されることになった。」こういう記事なんですね。それで中身ですが、 全国で最も多くのマンションを管内(渋谷、目黒両区)に抱える東京法務局渋谷出張所。一日平均千数百人が訪れ、登記、謄本などの申請件数は年間二百八十七万件(五十四年)。現庁舎が完成した直後の四十年(同六十六万四千件)に比べるとざっと四・三倍。登記その他の申請書類は十年間保存することになっているが、置き場所がなく所外に分散している有様。職員はこの間三十六人から三十九人へと三人しか増えていないため、病人も続出している。 悩みは首都圏各登記所とも同じ。昨年千葉県下で最も申請件数の多かった千葉地方法務局市川出張所の登記件数は十万三千件と十年前の約二倍。謄本、閲覧などの申請件数は百四十万六千件と五年間で二倍以上の急増ぶり。同出張所は市川、鎌ケ谷両市と、東葛飾郡浦安町の三地区を管轄。浦安や市川市行徳地区などの埋め立て地では日本住宅公団や民間マンションの建設が目白押しで、職員二十九人では対応できずパートの主婦など十一人を書類整理などに使っているほど。大型マンションになると「一月申請分の登記が今ごろようやく終わる」 これは去年の三月十六日の記事ですから、「今ごろようやく終わる」というのは、一月申請分が「今ごろようやく終わる」。これは (千葉地方法務局)状態で、金融機関のローン実行は登記完了を待てず、窓口で受け取る登記申請受領書をもとに行われるケースも多いという。 こうした原因の第一は何といっても核家族化によるマンション急増。数十戸から千戸前後まであるマンションが一棟建つとこれに必ずローンがからみ所有権、抵当権設定などの登記簿はたちまち数倍にふくれあがる。マンションの土地部分は各戸の共有である上、一室を夫婦など数人で共有する場合もあるため、一人当たりの敷地の持ち分表記は複雑怪奇。都心部では二−三年で転売する傾向も強く、転売、相続を重ねるうちに目黒区下目黒のあるマンション(四十五年建設)のように「壱壱弐九七七壱八八壱〇分の五七五四九弐六壱」、つまり「百十二億九千七百七十一万八千八百十分の五千七百五十四万九千二百六十一」という持ち分表記も。この記入、計算だけでも大仕事だ。「所有者すべて足せば原理的には一になるはずですが……」と職員は苦笑い。 こうした“核不動産化”が進む一方、土地・建物などいわゆる不動産が最近は担保などの形で企業金融の一翼を担い、動産並みにめまぐるしく流通し始めたことも大きい。また、所得税の住宅取得控除、マイカーの車庫証明など登記簿謄抄本が必要な証明類も増える一方。 このため、法務省ではパンク寸前の渋谷出張所管内から目黒区分を独立させ新たに今秋にも目黒出張所を作るほか、高島平などを抱える板橋出張所(板橋、豊島両区)も五十七年度までに分割する方針だ。 これが記事なんですけれども、ここでさっきの大阪の登記所に触れますが、大阪の場合は分割じゃなくて統合になっているのですね。同じように大阪の中心なんですけれども、その辺は言っただけでは——実際に具体的な問題、聞いてはおったのですけれども、もう去年のことで忘れてしまいましたので、先ほど思い出してこのことを加えたわけです。ですから、同じように表面だけで比べてみますと、東京は複雑になってきて分割しなければならない。大阪の場合は整理統合という形をとっているわけですね。 ついでに申し上げておきますけれども、大阪の場合は、登記所でいわゆる司法書士であるとか必要業務をやっておる人が、その登記所の周辺の仕事をやっているわけですね。そこで食っているわけです。仕事をやっているわけですね。それを統合されてしまってよそへやられると、こっちは食えなくなってくる、そういう事態が起こっているわけですね。その意味の反対もありますし、それから駐車場が少ないと車が置けないという意見もありますし、そういうことで非常に不満であるということ。それから、同じような統合していく大阪の登記所の面では、法務省の職員の皆さんの中からも、登記所の職員の方からも不満を伺っておるわけなんで、あわせてついでに申し上げたのですけれども、いま一応申し上げたことに対してお答えいただきたいのです。
○中島政府委員 何点かございましたので、後にもう一度触れるとおっしゃった点を除きまして、一通りの御答弁を申し上げたいと思います。 最初に、請願についてのお尋ねがございましたが、その中には法務省の保護局あるいは入国管理局関係の分もございましたようですが、私は、法務局関係の分について申し上げたいと思います。 法務局の事件処理の実情は、先ほどおっしゃいましたことにかなりよくあらわされておる面があろうかと思うわけでありまして、事件増が著しいにもかかわらず、増員がそれに伴っていない。したがって人員が不足しておる。法務局の職員が一生懸命になりまして事件を処理いたしておりますので、何とか事件は片づけておりますけれども、いろいろと弊害が起こっておる、あるいは事件の処理の遅延ということになってあらわれておりますし、あるいは事件の処理の粗雑化というようなことにもなるわけでありまして、先ほどもおっしゃいましたように、部外応援というものをかなり大きな範囲にわたってお願いをしておるというようなこともございます。先ほど年間約七十万人というふうにおっしゃいましたけれども、私どものある時期における調査によりますと、大体年間延べ四十万人ぐらいではなかろうかというような数字でございます。 そういう実情でございますから、私ども国民の皆さんに御迷惑をかけないように、また、法務局の職員の処遇、健康管理というようなことも考えまして、その解消には全力を挙げて努力をしておるわけでございまして、基本的には増員によって解決をするより仕方がないということでありますけれども、何と申しましても現在の国家財政の状況でございますから、増員によってわれわれの考えております人数を確保するということは、実際問題として非常に困難であろうかと思うわけであります。したがいまして、増員とあわせて、あるいは事務の合理化、機械化あるいは事務の一部を下請に出すというようなことを拡大することもあわせて、引き続きこの解消のために全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 それからその次に、東京法務局の新庁舎の問題と大阪の出張所の問題をおっしゃいましたが、これはまた後に触れるとおっしゃいましたので、後回しにいたします。 それから、東京の弁護士さんが書かれた論文というのでしょうか、これについての御質問が幾つかございました。 まず、書式の定型化あるいは左横書きとか右縦書きとかというような問題が出たのですけれども、登記所の業務は、不動産登記にいたしましても商業登記にいたしましても、大量の事件を定型的に処理するということでありますから、その処理のためにあるいは申請書の形式その他を通達、訓令などで定めておるものがあるわけでありまして、大量的な処理でありますから、できるだけこれに協力をしてこの定型によって申請をしていただく、それが法務局にとっても事件を迅速に処理するということで便宜でありますし、ひいては国民の皆さんのためにも便宜であろうということでありますので、できるだけこれに御協力を願いたいわけであります。 それから、登記に関する形式審査、実質審査という点が出てまいりましたが、形式審査というのは権利の登記についての主義でありまして、後で出てまいります表示の登記については実質審査になるわけでありまして、権利の登記と表示の登記については、処理についての登記官の権限というものが全く違うということに基づくものであります。 それから、その次に出ましたのは休眠会社の問題であります。休眠会社や絶滅会社が多々あり、いたずらに法務局職員の事務量をふやしているんじゃないかという御指摘でございますが、この点につきましては、商業登記法を改正いたしまして、休眠会社の整理を行っております。この論文による御指摘と時期がどちらが早かったのかちょっとわかりませんけれども、現在では、五年以上何らの申請もない会社につきましては、休眠会社として一定の手続を経てその登記を抹消するという方法をとっております。 それからその次に、謄抄本の印刷と申しましょうか謄写が非常に見にくいということをおっしゃいましたが、これも後ほど触れるとおっしゃったと思いますので、後回しにさせていただきます。 それから最後に、新聞記事を引いて御質問がございましたのですが、マンションの登記申請というものが非常にふえておりまして、これが登記所の仕事に大きな影響を与えておるということは御指摘のとおりであります。これは法律問題としては、ひとつこの登記手続そのものを見直す必要があるんじゃないかということで、区分所有法の改正ということを考えまして、もうその改正を具体的な問題として検討しておるわけであります。 それとともに、事件増の著しい出張所につきましては、これを分割して適正規模のものにするということで、先ほども御指摘になりましたように、渋谷出張所から目黒出張所を分離する、板橋の出張所から豊島出張所を独立させるということをやっておるわけでありまして、目黒出張所はすでに独立をいたしまして、豊島出張所もこの四月から独立ということになっておるわけでございます。 その他にも、あるいは車庫証明の問題あるいは税金の問題について謄抄本の請求が著しくふえておるというお話がございましたが、そういうものにつきましても実情を十分把握して、適切な対処をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 さっきの弁護士さんの御意見の中であるように、これは大臣に聞いておいていただいて、大臣からおっしゃっていただいた方がいいんじゃないかと思いますが、 元来、通達訓令は法務局部内の事務統制のためのものであり、国民を拘束するいわれはないのである。国民を拘束するのは法律・条例等であるべき筈のところ、何んと、この通達訓令が、実際には法律以上の力をもって国民を拘束するのである。ということは、いくら国民が法律違反でないことを強調しても、法務局の職員が聞く耳をもたないからである。前記の商業登記申請の左横書きなどは好個の例であり、結局、長いものには巻かれろと書き直してくる結果となるのである。 この辺、どうなんですか。
○中島政府委員 国民を拘束するのは法律あるいは条例である、全くそのとおりでありまして、まず法律あるいは条例が優先する。しかし、法律なり条例なりに規定がない場合には、それではどんなことでも許されるかということになりますと、その規定のない部分、法律なり条例なりに違反しない限りでいろいろと通達その他によって事務の定型化を図る、あるいは具体的な事件についての解決を指示するということは、これは許されることであろうかと思うわけでありまして、それに基づいて処理をする。それに不服であるということであれば、行政処分でありますから不服の申し立ても許されるということであろうかと思います。
○沖本委員 その辺が、複雑繁多な窓口へ行ってやっているわけですから、いわゆる丁寧に応対してあげる暇もないというようなこともあるだろうし、いろんなことから誤解とか説明不足とか、そういうことが起こっているんで、人手が十分賄えば、よく窓口の人を訓練していけば、そういう判断の問題なり説明なりということで補えるんじゃないとかと思うのです。国民と接触する窓口ですから、その辺はもう少し具体的に処理できるような教育なり指導なりはやはりしていただいて、一番よく国民に喜んでもらえるような方向で行政サービスをしていただきたい、こういうことになるわけですから、ただ反論ということでなしに、局長の方も、わかった、その辺よくわきまえてやっていこう、こういうところでやっていただきたいと思うのです。これはもう八年も前の話ですから変わっているかもしれませんけれども、その辺をひとつ参考にしていただきたいと思うわけです。 それから、同じ混雑するということになるわけですけれども、これも説明のためにお書きになっているので、この「登記所繁忙記」、これはおもしろいですよ、大臣、読んでみてください。いろいろなことがよくわかるのですがね。この中に書いているのを抜き書きで読みますが、 建物が建てば、必ず登記の手続きを経由するシステムになっているにもかかわらず、政府は公庫融資などの金融面的な対策ばかりに目を向けて、最後の詰めである登記行政に対してはその対策を軽んじている。全国どこの登記所へ行っても、地利が不便、庁舎が狭隘、職員不足という状態は、慢性的に放置されたままである。そのシワ寄せば、最終的には登記事件の長期遅滞となって、国民にツケがはねかえってしまっている。 それで、先ほどの新聞の記事にもありましたような、同じことの内容に触れていくわけですけれども、 住宅ラッシュに追われて 政府の住宅政策は、住宅の質よりも戸数の増加を主として進められてきた。現在の第三期住宅建設五カ年計画(一九七六−八〇年度)では、公的資金住宅、民間自力建設あわせて八六〇万戸の住宅が建設予定とされている。最近五カ年の住宅建設状況をみると、七六年一六四万戸、七七年一六一万戸、七八年一五九万戸、七七年(推定)一四七万戸、八〇年(推定)一四〇万戸と建設省ではみている。 一方、登記事件数(一九六六年を起点として)をみると、表示登記や保存登記などの甲号事件数は一九六六年は一四〇四万件であり、その後七三年まで伸び続け、七四年に少し落ち込んだものの、すぐ騰勢に転じ、七九年には二一七五万件に達した。この一四年間で五四%の増加となる。謄抄本や閲覧の乙号事件数は一貫して大幅に伸び続け、同じ期間に、一億一八〇九万件から三億九八一八万件へと、三・三七倍にもなった。これに関連して、登録免許税および手数料金額は、六六年の五六五億円から七九年の四五六六億円へと、八倍以上に増加した。このような登記事件数の激増に対して、職員数は、同じ一四年間で七八九三人から九五四六人へと一六五三人の増加にとどまり、二〇%しか増加していないのである。 私の職場でも、一日に訪れる人は一〇〇〇人以上いる。事件数は、甲号乙号あわせて、一九七〇年度は約一一五万件だったのが、七九年度は二八七万件になり、この一〇年間で三倍近くに増加した。この間、職員数は三五人から三七人へと二人増えただけである。 このような状況であるので、部外者からの応援を得ながらも、事務の遅滞や登記所に訪れる人へのサービスの低下を招いているのが実情である。 一戸建住宅における最近の傾向は、古い建物をとりこわし、そこに新築するいわゆる建替え住宅が増加している。とくに土地事情が極端に悪い東京都内の住宅は、じつに六一%強が建替え住宅だといわれている。この建替え住宅は、登記の面からみると、まず既存の建物の滅失登記をし、その後に新築した建物の表示登記をすることになるので、二つの登記事件となる。なかでも、滅失した(とりこわした)建物に抵当権などの第三者の権利がついていると、その滅失と同時に担保が消滅してしまうので、滅失が事実であるかどうかを確認するために、登記官が現場へ行かなければ正確な事務処理ができない。 こういう面ですね。 これは数字の面ですごいことを書いているわけです。さっき読んだところにもあるわけですけれども、 天文学的数字の持分 マンションは、敷地である土地利用権を建物の専有持分に応じて共有(所有権の共有持分、あるいは地上権の準共有持分)するので、土地の登記簿は複雑化する。マンションの敷地は、一筆の土地とは限らず数筆ある場合もあるが、一筆ごとに何千人という共有持分の登記をすることになるのである。目黒区下目黒にあるマンションは、土地登記簿に記載されている所有者の持分がケタはずれで、「壱五参七壱〇四六〇〇分の壱六七八四九四六」などの記入がずらりとならんでいる。これは、「一五億三七一〇万四六〇〇分の一六七八万四九四六」の意味である。 こういうことで、「マンション登記簿は、一般の人がみてもよくわからないという声が出はじめている。」という点ですね。これは飛ばしますけれども、「マンションでない普通の登記簿であればものの一分で閲覧が済むものを、ベテランの職員でも二〇分も三〇分もかかってしまう。」ということと、それから、やはりここで問題点のあるところは「下請化の実態」ですね。 今日、登記業務にあって最大の「合理化」は、認証事務の下請化(下請の受託機関は民事法務協会)である。政府の総定員法を中心とした増員抑制と行政の切りすて政策の結果として、一九七一年、下請化が職場に導入された。 全法務は、いち早くその不当性を指摘し—— (1)増員の足を引張る、(2)登記制度本来の趣旨に反する、(3)業務執行に問題がある、(4)職員の管理が困難である——、その排除を要求した。これに対し当局は、下請化はよいとは思っていないが、増員がえられない現状では、過渡的な施策であるとして導入したが、組合は、七五年七月一六日、下請導入庁四〇庁ということで、認証事務の抜本的改善策を含む総合計画を策定する覚書をとりかわした。 その後、きびしい情勢の変化を受けて七八年に八〇庁を限度とし、以降縮小の方策について協議する覚書をとりかわし、組合の第三五回全国大会で今後の方針が決定された。この決定は、全体の情勢をふまえたもので、総合計画をさらに推進させ、認証事務の抜本的な改革を確立させるためのものである。 こうした問題をもつなかで、甲府局においては、増員が望めない状況のもとで、一般業務はもちろんのこと認証事務にあっても、なおさら窓口利用者等の要望にも応えられない、ひいては県下各職場への賃金予算等も適切に執行させることができないことなどを考えあわせて種々討議を重ね、「下請」がもつ問題点をしっかり把握したうえで全法務の方針に従い、八〇庁を限度とする枠のなかで導入することもやむをえないことを当局と労働組合間で確認し、八〇年一〇月本局登記課へ導入をみることになった。 一方、東京法務局調布出張所では、認証事務の下請化に伴い、民事法務協会職員が五人配置されたことから、謄抄本の交付時間が短縮されるようになり、窓口利用者の不便度は改善されている。 導入前後にみられた職員の問題意識では、一面では労働の軽減になってはいるが、全体としては正規の職員を配置してほしいというものであった。下請導入の問題点としては次のようなことがある。 (1) 協会職員の管理が困難であること 協会職員については、当局に任命権限がないため、職員管理はできず、直接協会側が協会の主任を通じて出退勤などを管理し、業務を処理していること。 (2) 業務区分の明確化から起きてくる問題 認証事務の工程の中で、登記簿の出し入れ、登記用紙のコピー、謄抄本の作成・点検、認証・統計などの業務があるが、出来高払いの請負い契約であるので、協会職員の業務内容は、登記用紙をコピーすることと、それに付随した仕事をすることに限定されている。このことは、登記所という一つの機構でみた場合、定員内職員の配置と異なって、協会職員の能力を業務全般に及ぼすことができず、そういう意味でのムダが生じている。 一方、登記所の利用者が窓口から見たときは、カウンターの内側にいる人間はすべて公務員だとみられるので、協会職員の勤務の態様について批判をうけること——たとえば窓口にいたので相談をしようとしたが何の説明もなくひきさがった——もあり、登記所や職員に対する不審をひきおこすこともある。 それから、登記制度本来の趣旨に反している。こういうことなのです。 今度はやはり「協会派遣職員の声」の中にもいろいろ問題点を言っている点があるわけですね。そういうところで組合の方に要求している面では、 結婚する前、公務員的な仕事に携わっていたとき、官民格差の少しでも少ない職員ではないかと思い応募しましたが、職場に対する見識不足で、閉鎖的職場でアンモニアの刺激に耐え複写業務に携わっています。 国会質問の中でもアンモニア問題を取り上げている時期。私たちの職場で妊娠している人が協会事務局の方に、「害があるのではないか」とお聞きしたところ、「今のところ奇形児は生まれていない」と答えたそうです。職場の衛生管理一つ取ったところで、この様なおそまつな答。この仕事に、「一人雇うのに八〇人の応募者」という。待遇云々は聞かずとも! という点を指摘しております。 それで、時間も余りなくなってきましたのではしょりますけれども、アンモニアの複写機の問題はこの前も問題視されていろいろ改善方をお約束になったわけですけれども、いまはアンモニアでなしに、ほとんど白焼きの方に変わっているわけですからね。この機械を導入したらどうなんでしょうか。いまでもやはりアンモニアのこれを使っているのでしょうか。その辺の比率なり対策なり、予算も要ることであるわけですけれども、この辺は相当問題視されてきておりますから、この点をあわせてお答えいただきたいのです。
○中島政府委員 まず、最初にお触れになりました住宅ラッシュが登記事件数の激増を招き、その登記事件数の激増が登記所の仕事に大きな影響を与えておる、人員不足なり庁舎の狭隘なりいろいろな影響を与えているという点は御指摘のとおりでありまして、その解消については全力を挙げて取り組んでまいりたい。先ほど申し上げたとおりでございます。 その次に、下請の問題にお触れになったわけでありますが、下請につきましては、乙号事務の一部下請の問題につきましては全く問題がないということを私どもも承知をしておるわけでございます。できることならば増員を認めてもらってそれで乙号事件を処理したいというふうに考えておるわけでありますけれども、現実の問題といたしましてはそれも非常に困難であります。でありますから、乙号事件の処理工程の一部を民間の業者に請け負わせるということによりまして、登記事件の増加に伴う人員不足を緩和し、あるいは事務処理の粗雑化、遅滞化を除くということを考えておるわけでありまして、これについてはそれなりの効果が上がっておるというふうに考えておるわけでございます。幸いなことに、現在までのところ、先ほどお触れになりました職場におけるいろいろな下請業者と法務局職員との間のトラブルでありますとかその他のトラブルは起こっておりませんので、私どもとしては、これで満足しておるわけではありませんけれども、やむを得ない措置としてやっておるわけでございます。 それに関連をいたしまして、謄写の機械、アンモニアの問題が出たわけでありますが、アンモニアを使用したいわゆる青焼き機につきましては、先ほどの弁護士さんの書かれた論文にも御指摘になっておりましたように、性能が悪いと言いましましょうか、読みづらいというような面もございますし、これを取り扱っております職員の健康管理の上からも問題があるということで、一日も早く白焼き機に切りかえるということで計画をし、計画を実行に移してきたわけでありますが、昭和五十四年度からはアンモニアを使用した青焼き謄本作成機にかえて白焼きの謄本作成機を導入することにいたしまして、今後は更新機はすべてこの白焼き機を入れるということにしておるわけでございます。
○沖本委員 全部が白焼きにかわる時点はどの辺の時点ですか。
○中島政府委員 これは年次計画を立てて更新を行っておるわけでありますが、私どもの希望といたしましては、数年の間に更新したいというふうに考えております。
○沖本委員 前にも御指摘したわけですけれども、私が見にいったところでも、庁舎を借りて、いわゆる間借りをして仕事しているところに扇風機で風を送って、紙は散らばる、暑い、そこへいわゆるアンモニアのあれですと、猛烈な暑さになってくるわけですね。だから、地獄の苦しみをしているのが現状だというわけです。その辺から解放する意味合いですね。そういう人と新しい合同庁舎の冷暖房完備したところでやっている人とは、肉体的な条件が全然違うわけです。そうすると、そこで賃金が皆同じということになると、労働条件だけが全然違うということになります。これは全く嫌がるのがあたりまえでして、そういう苦労をさしているのだから何らかのハンディをつけていろいろ見てあげるとか、当分の間そういうことをしていかなければならないというふうな配慮があってしかるべきじゃないかと私は思うのです。そうでなければ、これでは労働条件が違いますよ。そういう面、どうなんですか。
○中島政府委員 建物を新営することばかりでなくて、既存の建物につきましても、その内部の環境等をできるだけ改善するということにも努めておるわけでありまして、根本的にはそれによって解決をするということになりますが、それが解決されるまでの暫定的な扱いといたしましては、特別の処遇をするというわけにもまいりません。私が知っております東京の実例といたしましては、東京でも本局その他環境のわりあいいい庁舎とそうでない庁舎がありますので、二年なり三年なり一定の期間ごとに異動をする、その際には本局その他環境のいいところにおった者は出張所へ行ってやってもらう、いままで出張所その他余り環境のよくないところにおった者は、その転任先を考えるというようなことは配慮しておったことがございます。
○沖本委員 それは職員の場合ですけれども、これが住民の立場からいくと、サービスの点からてんでめちゃめちゃという状態が起こるわけですから、そういうところで閲覧している人なんか大変なことになっていきますし、大分景気が落ち込んだといってもそんなに下がっているとは言えないわけですから、これから先もますます必要が起きてくるわけで、その辺はもっと十分な検討を加えていただきたいと思うのです。 それからもう一つは、 登録免許税は、登記の申請の際に法務局を通じて国庫に納入されることになっている。 この登記の申請人は、相続による登記のように単独申請の場合もあるが、多くは登記権利者と登記義務者による双方申請であって、登録免許税はどちらか一方が負担している。不動産の売買による所有権移転の登記をはじめ、抵当権設定の抹消の登記などでは登記権利者が負担しているところから、手続き的、理論的にはもちろんのこと、一般的に登録免許税は、登記権利者が負担するという商慣習が成立しており、登録免許税法が国や地方公共団体、公的機関(日本住宅公団、住宅金融公庫、中小企業金融公庫など)が所有権を取得し、または抵当権者となったときに登記権利者として登記をする場合には非課税と定めている(税法第五条、別表第二)ことからみても、いちおう法的にも登記権利者を納税義務者と想定しているものといえる。 ところが、個人や企業が市中金融機関から資金を借り受けて抵当権設定登記をする場合には、銀行などは登録免許税を負担していない。抵当権、根抵当権設定の登記や金融にかかわってする賃借権の仮登記や所有権移転の仮登記などによって担保されている権利は、当然のことながら貸付けられた金融債権であって債権者が登記権利者として登記の利益を受けるにもかかわらず、債務者側、すなわち登記義務者が登録免許税を負担する実態になっている。 抵当権、根抵当権設定による年間の登録免許税額は一九七八年度だけでも八六九億円、過去五年間の合計では三三九四億に達していることから、銀行などの金融資本が同額の税負担を免れ、個人や中小企業者がこの間三〇〇〇億円を超える金額を肩替りしたことになっている。 なぜこのようなことが生ずるのだろうか。それは、登録免許税法第三条が「登記等を受ける者が二人以上あるときは、これらの者は連帯して登録免許税を納付する義務を負う」と規定するだけで、抵当権設定のように登記権利者と登記義務者が共同して申請する場合でも納税義務者を連帯責任と定め、一方に特定していないことに起因しているものと思われる。 とくに、金を貸す立場と借りる立場のように、経済的強者と弱者が顕著な関係のもとでは、法律が納税義務者を特定しないことは、結果として、強者の論理がまかり通って、税負担の不公正が生じることになっているのではないだろうか。 こういう点についてどういうお考えですか。
○中島政府委員 登記所といたしましては、申請書に登録免許税が張ってある、あるいは登録免許税の納付があったということであれば登記を受理する、こういうことになろうかと思うわけでありまして、それを連帯して負担させるかどうかということは税法上の問題であるというふうに思いますけれども、御指摘の点がございましたので、なお検討してみたいと思っております。
○沖本委員 この点はどう思っても、現実に行われているわけですからね、もう徹底してこれをお調べになって、大蔵省の方と検討していただきたいと思うのです。 それから、最後に大臣に、大臣の所信表明の中で、 一般民事行政事務は、登記事務を初めとして量的に逐年増大し、また、質的にも複雑多様化の傾向にあります。これに対処するため、かねてから種々の方策を講じてきたところでありますが、今後とも人的物的両面における整備充実に努めるとともに、組織・機構の合理化、事務処理の能率化・省力化等に意を注ぎ、適正迅速な事務処理体制の確立を図り、国民の権利保全と行政サービスの向上に努めてまいる所存であります。 ところが、いま申し上げたのは、全然逆のことを私、申し上げているわけです。迅速でも何でもない、おくれるばかりであり、サービスは最低のサービス、こういうところにあるわけです。 最初に大臣が御就任のときにも、問題があれば大蔵省へ殴り込みをかけてもおれは予算をとってくるというようなお考えが載っておりましたけれども、こういうふうに現実に大変な問題を抱え込んでいるわけですけれども、要は人員をふやすということにあるわけで、大蔵大臣から言わせたら総論賛成、各論反対だという御意見になるわけですけれども、どうしてもそうしなければならないところは、やはり人員を増加していかなければ問題は解決しないことになるわけですから、その点はそういう意味合いでずっと読んでいったわけなんで、上っ面だけ走ったことになりますけれども、その辺のお考え、これからの大臣の所見なりをお述べいただきたいのです。
○坂田国務大臣 先ほどから沖本委員の御提示になりました問題は、私もきわめて深刻に受けとめておるわけでございまして、実際事務量がこの十年間約二倍、それに従事します職員数は一四%から一五%にしかすぎない。しかも私、二、三の法務局を見まして、非常に狭隘である、あるいはパーキングする余地もない、したがってサービスが非常に行き届かないということで、また勤めておられますわれわれの職員も、ほかの局よりもかなり労働が過重になっておる、したがってまた年間の必要な休日をとる日数も少ないという実態を実は見てまいっておるわけで、要はやはり人員をもう少し増員する以外に解決の道はない。また一方において近代化も進めていかなければいけないんじゃないだろうかと思っておるわけでございます。 そういうわけでございまして、五十七年度におきましては、削減が百三十三名、増員要求が二百二十八名、実際査定がプラス三十七名、これは実際の増でございまして、言うなら、これで解消できるかといったら、とうてい解消できることではないんじゃないか。そこで、予算も終わりましたので、私、少しこの問題と取り組んでみたいというふうに思っております。そして所要の要求はやるべきだというふうに私は考えております。大蔵当局にどういう説得をするか、あるいはまた行管庁にどういう主張をするか、少し私自身考えてみたい、かように考えておるわけです。 法務省におきましてもこのことはよく承知しておりまして、昭和五十三年の一月に一応の総合計画というものを立てたようでございます。それからまた、最近におきましても、検討委員会というものを新たに設けまして、訟務、人権擁護、それから民事、この三つの部門が一緒になりまして検討委員会を設けておるようですが、まだこの詳しい報告を私は受けておらないわけです。 〔太田委員長代理退席、中川(秀)委員長代理着席〕 これを私自身が聞きまして、私自身の頭でひとつ考えて、来年度にどう対処するか。とてもこういうプラス三十七名ぐらいのことでは、沖本委員のおっしゃるようなことを解消することはできない。ここは行財政の重要な時期であるけれども、必要最小限度のことはやはり確保しなければ、この法務の役目は全うできないんじゃないかというふうに思うので、たとえば法務局の増員に関する要請につきまして、全法務労働組合からのパンフレットも私、読ましていただいておるのですが、これは私も大体同感なんです。これをどうするか。これはやはり政治の課題だというふうに思っておりますので、しばらく時間の猶予をお願いいたしたい、こう思っております。
○沖本委員 もう時間が来ましたので、この程度で終わりますけれども、先ほどちょっとお伺いした大阪の中野の件と東区の件、東京の目黒と板橋のこれと表面的には逆になりますが、内部の事情いろいろあると思いますけれども、その辺非常に現地でも不満を持っておりますし、いろいろ意見があったわけでございますので、その辺のお答えと今後の対策をお聞かせいただきたい。
○中島政府委員 御質問の点は大阪の今宮出張所と天王寺出張所に関する問題かと思うわけでありますが、実はこの今宮出張所と天王寺出張所を統合しようという話ではなくて、両出張所につきましては、その建築年度あるいは床面積などを考えますと、それと事件増を考え合わせますと早晩改築をしなければならない、そうでなければ庁舎がパンクしてしまうということから、移転先を探しておりましたところが、大阪第四行政合同庁舎というものの新築計画があるということでありまして、地理的には若干離れておりますけれども、もうここ以外にないということで、実はここへ今宮出張所と天王寺出張所を入れたい、入りたいということで建設省の方に申し入れをしておるという段階でございます。 ただ、こういう財政状態でもありますから、この大阪第四行政合同庁舎が実現するのかしないのか、するとしてもそれはいつになるのかということは、具体的にはわからないわけでありますけれども、しかし、そこへ入りますというためにはいろいろと具体的な解決しなければならない問題があろうかと思います。その中の重要なものとして、現地の関係者の御了解を得なければならない、業者その他の御了解を得なければならないというような問題があるわけでありまして、そういう点についても十分配意しながら手続を進めてまいりたい、こういうように考えております。
○沖本委員 終わります。
○中川(秀)委員長代理 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 ただいまから私は、朝鮮国籍の二世であります向こう名で読みますとチャン・ミョン・スさん、漢字で書きますと張明秀さんでありますが、当年とって三十二歳の方の強制送還をめぐる問題について質問をさせていただきます。 この人は、昭和二十四年の四月十九日に広島市で生まれた人でありますが、お父さんは、二十歳のころに戦前徴用といたしまして強制的に日本に連れてこられた人でございます。昭和二十七年、御承知のとおりサンフランシスコ講和条約の締結によりまして日本の国籍を離脱いたしまして、法律第百二十六号の二条六項によりまして朝鮮籍を取得をした方でございます。この人の子供に生まれたのでありますが、本人は小学校を三回も転校いたしておりまして、横浜の青木小学校朝鮮人分校を卒業し、その後中学校でも三回も転校をいたしております。これは両親がそのとき非常に不和であったということと、生活が非常に貧困であったという問題、それから御承知のとおり社会におきますところの差別待遇というようなもの等が原因でありまして、そういう不幸な少年時代を送っております。 昭和三十九年、十五歳のときでありますが、恐喝事件を起こしまして、このときには親に説得をされまして自首いたしまして、少年院に入っております。 昭和四十一年、本人が十七歳になりましたときに、三人の日本人と本人を含めた二人の朝鮮人という五人のグループでいろいろと犯罪を犯しておりまして、一人は逃げまして四人がつかまったわけでございますが、他の三人は経済的な余裕がありまして私選の弁護人というものをつけることができましたが、御本人はこういう貧困な家庭でありますので、国選弁護人がついただけでございます。そういう関係から、本人が多少親分肌的な面もありましたので、ずいぶん罪をひっかぶったという形があるのではないかと弁護団の皆さんは言っております。この張さんは強盗致傷ということで、結果的には懲役十年の刑に処せられたわけでございます。 松本の少年刑務所に入りまして、服務中におきましては大変態度がよろしく、更生の意志も強く、珠算の三級、それから工業簿記あるいは簿記実務等の一級を取り、自動車整備運転科を卒業し、乙類の消防設備士等にも合格いたしまして、このように数々の国家試験にも優秀な成績で合格をし、刑務所内における服務態度もまことに優秀、再犯のおそれはないという折り紙をつけられまして、刑期を二年四カ月残して仮出獄をいたしましたのが昭和四十九年の十月、本人二十五歳の年でございます。と同時に、刑務所の方から入管の方に連絡が行ったものですから、東京入管の方に直ちに収容されまして、大村収容所の方に送られたのでございます。 昭和五十一年二月、仮放免となりまして両親のもと、これは静岡市でございますが、そこに帰りました。帰りましたが、わずか一カ月たつかたたぬかの間に、お父さんが、オガライトと言いまして、のこくずを固めましてふろなんかのたきつけの燃料にいたしますオガライトの工場を経営しておりましたが、その仕事中に大やけどを負いまして、それがもとで死亡してしまいました。その半年後に、お母さんがやはり同じ仕事をしておりまして、頭蓋骨の骨折というような大けがをいたしまして入院、現在でもその後遺症が残っておりましてずっと通院中であり、本年五十三歳になっておられるわけであります。 昭和五十三年七月、どういうものか、指定期日に出頭せよというので出頭いたしましたのに仮放免の許可が打ち切られてしまいまして、直ちに収容されました。そして、昨年の十二月四日まで大村の収容所に入れられておりまして、十二月四日に仮放免になって今日に至っておるわけです。仮放免になりましたのが去年の年末、そしてことしの一月に二十八歳の奥様をめとられました。 こういう経過を経ておるわけでございますが、わずか二年五カ月間しかしゃばにおらなかったわけですね。その二年五カ月の間、一カ月目にはお父さんが亡くなってしまう、半年後には頭蓋骨骨折でお母さんが大けがをして入院をする、工場の経営は非常に困難になる、それを一人で背負いまして借金の返済にきりきり舞いをしておったというのが、この二年五カ月間の彼のいわゆる生活の態度でございます。 そこで、少年である十七歳のときの罪で刑務所で七年五カ月間、収容所におきまして通算二回、四年九カ月間、合わせまして合計十二年二カ月間も拘束をされた人でありまして、言うならば十七歳から三十二歳までの間で、しゃばにおったというのはわずかに二年五カ月間という状態でございます。これだけの長い間、二度にわたりましてお勤めをしたわけでございますが、私も、少年といえども犯した罪は罪、その償いはしなくちゃならぬということは当然だと思っております。しかしながら、刑務所と収容所で二度にわたって償いは済ましておるはずであります。現在はその病気のお母さんと新妻を抱えまして、さらにいつ強制送還になるかもわからぬという三重苦を負わされておるというような人であります。 大体この事件の全貌を冒頭に御説明申し上げたのでございますが、さて本件につきまして大臣にいろいろお尋ねをいたします前に、まず大臣のお考えを聞いておきたいことがあるのであります。 それはまず第一に、死刑囚というのがあるわけでありますが、この死刑囚に対して執行をさせるかさせないかは、大臣の判こ一つにかかっておるわけです。そこで、恐らく事務引き継ぎがあったと思いますので、現在わが日本における死刑囚は何人収監されておるか、お答えいただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 現在、死刑の裁判が確定いたしましてまだ執行に至っていない者が、二十六名ございます。
○岡田(正)委員 それでは次にお尋ねしますが、今日までの間、二十六名の方がいらっしゃるということでありますが、歴代の大臣が御就任になっておりますけれども、死刑の執行の判を押した、そのために死刑が行われたというのは何人くらいありますか。
○前田(宏)政府委員 戦後の数でございますと、累計いたしますとわりに多い数になりますが、二十年八月以降五百人余りの死刑執行がなされておるわけでございますが、いまお尋ねの大臣が何人いるかという数でございますけれども、むしろお尋ねの趣旨からいたしますと、少ないんじゃないかというような御趣旨のお尋ねではないかと思いますけれども、ごく短期間しか御在任にならなかったために死刑執行の事務手続がそこに至らなかったというような例外的なものを除きますと、むしろ各大臣とも死刑執行の命令を何件かずつはされておるというのが実態でございます。
○岡田(正)委員 つい最近の二、三代くらい前までの大臣で、判を押しておられない方が何名くらいありますか。
○前田(宏)政府委員 余り範囲を狭めますとだんだん特定するようなことになりまして、それ自体は決して隠すようなことではないわけでございますけれども、どの大臣が押された押されないというようなことになりまして、それが何か興味本位といいますか、そういう誤解をされるような扱いをされると困るということで、特定の大臣のお名前を申し上げるのは差し控えさせていただいておるわけでございますが、たとえば最近の十人くらいの中でしておられない方は、一名くらいしかおりません。
○岡田(正)委員 これは大臣がお答えになるかどうかわかりませんが、自由を保留してください。大臣は大変名声を博した方でございますが、死刑に対して反対論を持っておられる方もおりますね。大臣がその方かどうかわかりませんが、大臣は事務的に判を押さなければならぬ状態が来れば、押す覚悟でございますか。
○坂田国務大臣 何と申しましても、死刑というのはその言い渡しを受けられました方の生命を断つ極刑でございます。したがいまして、これが一度執行されるということになりますと、これは回復しがたいことになるものでございますから、その執行に際しましては慎重の上にも慎重でなければならないというふうに考えておるわけでございます。私といたしましては、法務大臣としての職責とあらば非情なこともあり得るというふうにお答え申し上げておきます。
○岡田(正)委員 そこで、質問を変えますが、今日までの間に、韓国あるいは略称で北鮮と言いますが、韓国、北鮮に対して強制送還をされました、いわゆる強制退去を実行した人数というのは何人でしょうか。
○大鷹政府委員 過去三年間におきまして退去強制令書によって朝鮮半島に送還した朝鮮人、韓国人の人数は、昭和五十四年に七百八十名、五十五年に六百七十名、五十六年に五百七十五名、合計二千二十五名でございます。そのうち北朝鮮向け送還されましたのが五名、韓国向け送還は残りの二千二十名でございます。
○岡田(正)委員 ただいま発表のありましたものは、これはどう言ったらいいのでしょうか、刑余者の方ですね。いわゆる刑の執行を終えた方で、たとえば七年以上とか、そういう方がどのくらい入っていますか。
○大鷹政府委員 いわゆる戦前からわが国に在留している朝鮮半島出身者で、刑罰法令違反者はそのうち何名かということでございますけれども、非常に少数でございます。毎年十名内外と御承知いただきたいと思います。
○岡田(正)委員 それでは、本人の問題に入らしていただきますが、この張さんの場合は、日本の徴用によりまして強制的に連れてこられた人の子供さんでありますから、昭和二十四年四月十九日生まれでございますので、法律第百二十六号の該当者であることには間違いありませんね。そこで、この種の方たちにつきましては国としての道義的な責任、こういう点から考えても、本人の意思に反して在留資格を剥奪し、しかもこの方は朝鮮籍ですね、朝鮮籍の人を韓国に家族から隔離をして、お母さんを離して強制送還をするということはどだい無理があるのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○大鷹政府委員 戦前からずっとわが国に住んでいる朝鮮半島出身者の場合でも、わが国の利益に一致しないという場合には、わが国から退去を命ぜられるわけでございます。もちろん、こういう方々の在留に至りました歴史的な経緯とかそういうものを勘案しまして、私どもといたしましては、そういう決定を行います場合にはできるだけ人道的な配慮をいたしております。しかし、その人道的配慮をしてもなおかつ退去をされるべきものであるというケースはあるわけでございます。 問題の人物が北鮮の出身である、この人を退去させる場合に韓国に退去させるのは不都合ではないか、こういう御趣旨の御発言がございましたけれども、私どもといたしましては、その場合、もし北鮮への送還を希望するものであればできるだけその希望に沿って措置する、そういうふうにやってきております。
○岡田(正)委員 北鮮へ強制退去させられた者は、何名ありますか。
○大鷹政府委員 昭和五十四年から五十六年までの強制退去の数について先ほどお話しいたしましたけれども、このうち北鮮への送還者の数を申し上げます。 五十四年には三名、五十五年に一名、五十六年に一名ございました。
○岡田(正)委員 また、別な観点から質問をいたしますが、大体、入管令とか外登法というものは、旅券を持っておる人が入国をしてくる、いわゆる外国人、そもそもこういう人を対象とする法律でございまして、旅券を持つ一般の外国人と、もともと戦前から日本におりまして、旅券など持っていない在日朝鮮人の方とを同一に扱っていくということには問題があり過ぎはしないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○大鷹政府委員 戦前からわが国にずっと在留しておられます朝鮮半島出身者の方、こういう方々は大部分旅券を所持しておられないのでございますけれども、これと旅券を所持している外国人とを同一に扱うのは不当ではないかという御意見でございますが、私どもといたしましては、入管法、外国人登録法のいずれの立場からも、朝鮮半島出身者の方であろうと旅券を所持しておられる普通の外国人であろうと、やはり外国人には変わりがない、したがって、これは同じように外国人として扱わなければならない、こう考えております。
○岡田(正)委員 次に、この張さんは、犯罪の件数などは確かに多いのでありますけれども、犯した罪というのは、少年時代、十七歳のときのものでございますね。それで、少年に対しては刑罰思想よりも教育刑思想の理念で臨むべきではないかと思っておるのでありますが、いかがでありますか。
○前田(宏)政府委員 少年でございましょうと成人でございましょうと、単なる応報的な刑罰ということは適当でないわけでございまして、もちろん、本人の改善を求めるという意味におきまして厳しいものも必要でございますけれども、反面、教育改善ということも必要なわけでございます。したがいまして、少年だからどうこうということはないわけでございますけれども、少年の場合にはより一層そういう考え方は含まれているというふうに申し上げていいと思います。
○岡田(正)委員 これはいまおわかりになるかどうかわかりませんが、この張さんに対する判決というのは、強盗致傷ということで懲役十年でありますが、十七歳の少年時代における十年というものは、大人のいわゆる終身刑、無期に相当するぐらい長いものだと思いますね。出たころはもう青春は去ってしまっておるわけでございまして、相当の手ひどい量刑でありますが、この量刑も、私どもが伺いますと、弁護士の皆さんの御意見によりますと、仲間の罪までひっかぶってしまった結果ではないか、余りにもこの刑は重過ぎるという意見が多いのでありますが、どのように判断されますか。
○前田(宏)政府委員 具体的にお尋ねを受けるということを承知しておりませんでしたので、内容を調べておりませんので、実は何とも申し上げられないわけでございますが、一般論を申しまして、あるいは仲間の罰をかぶったというような言い方もあるかもしれませんけれども、裁判でございますからそういうことは本来ないわけでございまして、それなりな適正な判断がなされているというふうにしか申し上げられないわけでございます。確かに重いと言えば重い感じもいたしますけれども、やはり強盗傷人ということでございまして、裁判所の御判断でそれなりの量刑になったとしか申し上げられないわけでございます。
○岡田(正)委員 この本人は、先ほども全体を御紹介するときにちょっと申し上げましたが、刑期中に更生を誓いまして、出所後の生活の安定ということも考えまして、獄中で薄記の一級の資格など数々の国家試験に合格をして資格を取得しておる感心な人であります。少年刑務所からも、実に優秀であって再犯のおそれはありませんという折り紙をつけられて、十年の刑期を二年四カ月余り残して仮釈放されたほどの模範囚でございます。現在は、先ほども申し上げましたように、五十三歳の頭蓋骨骨折をしたような病弱のお母さん、さらに、ことしの一月に結婚いたしました二十八歳の新妻を抱え、養豚業の手伝いをして、正業について更生の道を歩んでおる人であります。 これを家族を離散させて強制退去させるなんということは、前国会でわれわれが認めましたところの国際人権規約、ああいうものから考えましても、国際人権規約には家族の離散ということを禁じてあるわけですね、そういう点から考えて、また更生という点から考えても、日本で生まれて日本で育って、日本語以外には知らぬのですから、日本のことしか知らぬのですから、それを家族から隔離をして、そして韓国なら韓国へ本人を行かせるということは、全く生活の基盤もないところでございますね、こういうところへ送還するというのは、人権上からも問題がありはしませんか。その点についてお答え願います。
○大鷹政府委員 この張明秀という人物は、一連の非常に重い罪を犯しているわけです。強盗致傷だけではなく、強盗強姦その他の罪を犯しております。十年の刑を言い渡されたのでございますけれども、もともと、十八歳以上であれば当然無期懲役の刑を言い渡されるべき立場の人だったわけでございます。たまたま十七歳だったので、懲役十年ということになりました。いずれにいたしましても、大変重い罪を犯した、そういう人物でございますので、私どもといたしましては、日本にとどまらせるのは望ましくないと考えておりまして、強制退去をさせる方針にしております。 それでは、そういうことをするのは——人権規約のA規約の第十条、それからB規約の第二十三条、ここには確かに家族の生活を守る趣旨のことが書いてございます。しかし、この規定はどこまでも通常の社会生活を営んでいる家族に当てはまることでございまして、問題になっております張明秀のように非常に重大な犯罪を犯した者を強制退去にすることを禁じたものではないと解釈しております。
○岡田(正)委員 大臣、お尋ねしますが、犯罪を犯した者はその罪の償いをしなければならぬことは当然であります。その罪の償いというのはどこまでが罪の償いであるか、教えてください。
○前田(宏)政府委員 お尋ねに適切にお答えできるかどうかと思いますけれども、私どもの立場からいいますと、やはり犯罪を犯した、その場合に、それに相応する処罰を受けて、本人ができるものならば改心をしてくれまして、そして社会に復帰するという道をたどっていただくということでございまして、裁判所で決められた刑に服する、また、刑務所内では決められたとおりの作業等を十分やって成果を上げると申しますか、そういうことによっていまおっしゃいました罪の償いということをしていただくということになるわけでございます。
○岡田(正)委員 そこで、入管局長はこういう場所で言いにくいことをはっきりと言われたが、私は、この質問通告をいたしますときに、本人が犯した罪はこれとこれとこれといって、全部そちらへ通報したはずであります。それを何の意図があっておっしゃったのか知らぬが、数多くの重大な犯罪を犯しておる、しかもその中身についてまでおっしゃいましたね。どういう効果をねらって言われたのか知らぬが、私は不愉快です。そしてしかも、これだけの重大な犯罪を犯しておるのであるからして、十八歳以上の男であったならば当然無期刑に処せられるべき人間である、十七歳だったから懲役十年で済んだのだ、ありがたく思えというような、そういう態度は私は承知できませんよ。しかも、いま刑事局長のお答えはいかがですか。犯した罪は確かに悪い、だからその犯した罪を償うことは当然である。当然であるけれども、その当然のことをこの人はしたのですか、せぬのですか。当然のことを、罪の償いをしたかせぬか、答えてください。
○大鷹政府委員 こういう朝鮮半島出身者である長期在留者につきましては、できるだけ人道的な配慮をする、強制退去の決定をする場合にもそういう配慮をするということを申し上げました。しかし、そういう人道的配慮をもってしても在留を認めるべきでないと考えられるケースについては、退去強制ということになるわけでございます。ところで、この問題になっている人物は、私どもの考えでは非常に重い罪を犯しております。その例として先ほどそういう具体的な中身にやや触れるお話をいたしました。こういう場合にはいかに人道的な配慮をしてもその限界を超えるものであると私どもは考えておる、それを御説明したくてああいう話をしたわけでございます。 それでは、その罪を十分償っているかということでございますけれども、その罪は刑に服することによって償われていると思います。しかしながら、強制退去の手続は刑罰とは関係のない行政措置でございます。したがいまして、罪の償いと強制退去とは直接何の関係もない措置というふうに考えておるわけでございます。
○岡田(正)委員 いよいよ聞き捨てならぬことを言いますね。重い罪を犯しておるから強制退去に値する、そういう行政処分をするのだというのでしょう。重い罪と行政処分とは切り離しているのじゃないでしょう。罪の償いは済んでおるじゃありませんか。罪の償いが済んでおる者に対して——いまさっき私がわざわざ大臣に、死刑囚というのがいまどのくらい収監されておるか、終戦後いままでにどのくらいの人数が死刑になったか、最近の大臣はどのくらい死刑執行の判を押したか、何のために私が聞いたと思います。それでは、あなたの思想からいったら、裁判で死刑の判決があったら、大臣の判があろうとなかろうと、そんなものは死刑の執行をすぐやるのがあたりまえじゃないですか。 私が言いたいのは、なるほど少年にしては重たい罪を犯しております。人の罪をかぶっておろうがかぶっておるまいが、判決があった以上はそれに服した。もちろん控訴もしてない。潔く服務しております。そして刑務所の中の態度も非常によろしい。そして数々の国家試験も取っている。そして出てきたわずか二年四カ月のしゃばの生活でも、近所の人が何という親孝行な息子だろうかといってみんなが褒めている。だからこそ、一万人近い助命嘆願の署名が集まっているのでしょう。それに対して、過去にこういう重大な犯罪を犯したからあかんのや。在日の朝鮮人、韓国人の人に対しては歴史的な因縁からも人道的な配慮を十分に加えておる、だけれども、この人は重大な犯罪を犯しておるから。それでは前科者じゃないですか。あなたは、一たん罪を犯した人間というのは前科者である、その前科者というのは社会に入れるべきではない、そういう思想ですか。
○大鷹政府委員 そういうことを申し上げているわけでは毛頭ございません。前科者の場合でも在留が認められるケースがございます。しかしながら、人道的配慮の限界を超えた者については退去強制せざるを得ない。この退去強制措置をとるということは刑罰を科すことではない。これを先ほどから申し上げておるわけでございます。
○岡田(正)委員 人道的配慮を超える者については、これを容認することはできない、強制退去に処する、行政処分だ、こうあなたはおっしゃる。人道的配慮をどこが超えておるのですか。その理由を言ってください。この張さんに対して人道的な配慮を加えようと思っても加えられないという理由をはっきり言ってください。
○大鷹政府委員 わが国に在留いたします外国人は、一年以上の刑を言い渡された場合には、強制退去の対象になり得ることとなっております。これは入管令で定められておるところでございます。 ただ、先ほどから申し上げておりますように、朝鮮半島出身者でわが国で生まれ、わが国で育った、そういう方、それからそういう方の御子孫、こういう方につきましては、画一的にそういうことで強制退去にするということはしておりません。できるだけ人道的な配慮をして、そしてやっているわけでございます。しかしながら、十年の刑を受けた人につきましては、私どもとしてはその限界を超えていると考えているわけでございます。
○岡田(正)委員 それでは、次に関連がありますから進ませていただきますが、いま局長が言いました人道的な配慮を行っておる一部の例があります。在日朝鮮人の刑余者の残留資格、この許可基準、この見直しにつきまして法務省は昨年の十一月の下旬、緩和措置を発表しております。このことは新聞にも出ておりますが、その基準というものは一体どういうものなんでしょうか。これをひとつ教えてもらいたい。そしてまた、その見直しの処置で許可とならなかった人の数が幾らか、その理由はどういう理由なのか、それを教えていただきたいと思います。さらに、いまおっしゃるその張さんはこの見直しの基準に合致していると私は思っておるのでありますが、当局はどう思いますか。
○大鷹政府委員 強制退去令書を発付されました法一二六−二−六系統の者は、昨年の九月末現在で七十六名が残っておりました。それで見直しの結果、このうち今日まで十四名に対しましては在留特別許可を与えました。全体として七十六名のうちの約半数に当たる者は、特別在留許可に結びつけることができると現在私どもは判断しております。 この見直しに当たっては、諸般の事情を考慮して、比較的情状のよい者からケース・バイ・ケースで許可しているのでございますけれども、特段の画一的な基準とかあるいは認定の標準と申しますか、そういうものを設けるのは、これはできないことでございます。したがいまして、いろいろな事情を総合的に判断して決めているというふうに御承知いただきたいのでございます。 現在問題になっております人物につきましては、私どもといたしましては、ことしの二月の二十二日に再審査情願が出ましたので、現在検討中でございますけれども、率直に申し上げて、見通しとしては特別在留許可を与えるのはきわめて困難ではないかと考えているわけでございます。
○岡田(正)委員 大臣、いまお聞きになったとおりでございますが、現在この救援組織というものができました。二年四カ月しゃばにおりました間の本人の生活態度が非常にいい、非常に親孝行だということが影響いたしまして、地元の静岡とかあるいは東京、川崎などでこの救援組織が結成されまして、嘆願書等の署名ももうはや一万人近く集まっておると聞いておるのであります。 これはあくまでも法の運用の問題であります。そこで、法の適正運用と人道的な配慮ということで救う道はないものかということをお尋ねしたいのでありますが、いかがでありますか。
○大鷹政府委員 先ほどから申し上げておることの繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、一応強制退去されるべき人物であっても、こういう特別な歴史的な経緯とかそういうもののまつわる方々につきましては、できるだけ人道的な配慮をして、特別在留許可の対象にならないかどうかを検討いたします。もし人道的な配慮の範囲を超えるものである場合には、強制退去やむを得ないと考えております。
○岡田(正)委員 それでは、ちょっと質問の観点をずらしますが、張さんの仮放免の許可出頭というのは、従来はほぼ三十日間ごとという状態でありまして、昨年の十二月の二十五日、さらにことしの一月二十五日、さらに二月二十五日でありましたが、三月に入ると三月五日ということになりまして、八日間の期間しか与えなかったのはなぜですか。
○大鷹政府委員 その時期にちょうどこの問題になっている人を送還手続が済む手はずになっておりましたので、したがって出頭を求めたのでございます。しかし、そのころ、ちょうど二月の二十五日でございますか、再審査情願が出ているので、現在これを検討しているということで、送還には至っておりません。 なお、現在のところ、その後は約一カ月ごとに出頭するということでやっておるわけでございます。
○岡田(正)委員 それはよくわかりました。といたしますと、出頭の費用ということも、静岡から名古屋の入管まで出向かなければなりませんので、こういう貧困な生活をしておる人にとっては旅費もばかになりませんね。そこで、その都度仕事も休まなければならぬというようなことになりますから、出頭の期間を一カ月ごとというのを、たとえば三カ月ごとに延長するというようなことができませんか。そして、本人には弁護士や大学の教授などというようなれっきとした人が身元保証人になりますと言っているのですから、そのことを配慮の中に入れて、そういうことにできませんか。
○大鷹政府委員 現在、仮放免につきましては、期間は原則として一カ月以内とするということに定められております。したがいまして、本人につきましては、この一カ月ということで現在運用しているわけでございます。
○岡田(正)委員 念のためにお伺いしておきますが、原則が一カ月であるから一カ月以上ということはもう絶対に適用しない、だれであっても、張さん以外の者であってもだれにでも特例はない、こういうことですか。
○大鷹政府委員 特例はないことはございません。一カ月以上認めているケースもございます。
○岡田(正)委員 ということになると、またお尋ねしたくなるのですが、どうして張さんはその特例の中に入れてやることができませんか。
○大鷹政府委員 一カ月より長い期間を認めておりますのは、きわめて例外的なケースに限られております。私どもといたしましては、現在問題になっておりますこの人物につきましては、その例外的な取り扱いをすべき人物とは考えていないということでございます。
○岡田(正)委員 数々聞いてまいりますと、どうにもやはり気になるところがある。先ほど大きな声を出して失礼をいたしましたけれども、できるだけ人道的な配慮をする。だけれども、その人道的な配慮を超える者については強制退去を命ずる、こういうことでしたね。間違いありませんね。その人道的配慮を張さんが超えるのはどういう意味なんですか。その意味を教えてください。何が超えるのですか。 張さんに対して人道的な配慮をしたいと思っても、その人道的な配慮を超えるからだめだ、こうおっしゃるのでしょう。基準というのは具体的にはない。そんなめんどうくさいことはしておらぬ。とにかくわしらがにらんでみて、よしこれならいける、それならこれは贖罪、許そう、これはだめだ、許可せぬ、こういうふうにだれかが決めておるわけですな。だれか人間が決めておるのでしょう。基準も何もなしに人間が決めておるのでしょう。いま基準らしいことをおっしゃったのは、二回、三回にわたって発言をなさいましたできるだけ人道的な配慮はする、しかしながら、人道的な配慮を超えるものについてはやむを得ず行政処分をせざるを得ない、こういうお話。何回聞いても同じことをおっしゃっていますね。そこの人道的な配慮を超えるというたった一つ基準らしきものをおっしゃっていますので、大変気になりますから教えてください。
○大鷹政府委員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、そういう具体的なはっきりした基準というものはないわけでございます。ただしかし、これも繰り返しになりますけれども、十年の刑を受けたということは、それなりに重い罪を犯していることを意味いたします。非常に重い罪を犯した人につきましては、私どもといたしましては在留を認める理由がないということで強制退去の手続に入らざるを得ないわけでございます。
○岡田(正)委員 私は、規則のことを言っておるのではありません。この十年というきわめて重い罪を犯しておるからということが、どうも一番ひっかかっておるようですね。そこで私は刑事局長さんにお尋ねをしたのは、いわゆる犯した罪は償わなければいかぬ、その償うのにはどうするのですか。それは刑務所へ入ってもらわなければいかぬ。入ってもらって一生懸命がんばってもらう。作業にも成果を挙げてもらう。そして更生を誓ってもらう。そして改心をしてもらう。出てくればりっぱなあたりまえの普通の人間だ、こういうことでしょう。その重い罪を犯したからということに、それにこだわるということは、これは前科者扱いじゃないのですか。どういう思想ですか、それは。
○大鷹政府委員 先ほど申し上げましたけれども、前科者といえども、私どもといたしましては在留を認めることがあるわけでございます。他方におきまして、私どもの方で国の利益に合致しないと考えるときには、そういう前科のある人について退去強制をいたします。 そこで、この具体的なケースでございますけれども、私どもといたしましては、在留を認めることができるかどうか、人道的な配慮も加えてその可能性も考えてみました。しかしながら、刑罰は終えましたけれども、わが国に在留を認めることが望ましいかどうかという別の問題、別の視点からの判断におきましては、強制退去やむを得ずという結論になったわけでございます。したがって、これは強制退去と申しますのは刑罰ではなくて、行政的処分であるということでございます。
○岡田(正)委員 そうすると、またもとへ返らなければならぬのですがね。罪の償いとしては刑務所へ入った。十年の刑を受けて、そこで刑期を二年半ばかり残して、成績まことに優秀、再犯のおそれはないという折り紙つきで数々の国家免許を取って出てこられた。世間に出ても二年わずか半年ほどの間でありますが、なかなか大変な親孝行者だというので評判がよかった。これだけの人を何でまた収容所へ引っ張っていって、四年九カ月にわたって延々と引っ張っておく必要があったのでしょうかね。これはどういう理由で収容所へ連れていったのですか。 考えてみたら、十七歳のときに刑務所に入って去年十二月四日、三十二歳でしゃばへ出てくるまでの間に、世の中に出ておったのは二年五カ月しかありませんよ。物すごい刑罰じゃありませんか。刑務所で一遍罪を償い、そしてさらに収容所に引っ張られて、そこで四年九月も引っ張られ、それで合わせて十二年二カ月も長い間自由を拘束されたという、これはもうその罪をこらしめるだけこらしめておるのじゃありませんか。どう思います。
○大鷹政府委員 この話題の人物は、相当長期にわたって大村の収容所に入られておりました。私どもといたしましては、送還を実現しようということで、その準備段階として収容所に入れたのでございますけれども、本人から累次にわたって行政訴訟が提起されました。そのたびごとに送還を延期せざるを得なかったのでございます。その関係で大村の収容所への滞留というものが非常に長期にわたったということでございます。しかしながら、余りに長期にわたるのもどうかということで、現在仮放免されているわけでございます。 この大村収容所における生活は、あたかも懲罰であるかのように岡田委員はお考えのようでございますけれども、私どもとしてはそうは考えておりません。刑務所における生活と大村の収容所における生活とは全く違います。自由は拘束されておりますけれども、いわゆる刑罰を受ける生活をやっているわけじゃございません。
○岡田(正)委員 そこで、いま一つお伺いしたいと思いますが、収容所の中におきまして、本人に対して北鮮籍から韓国籍に移れというような勧誘をしたことはありませんか。
○大鷹政府委員 そういうことは一切承知しておりません。
○岡田(正)委員 いまの北鮮籍というのは朝鮮籍と言った方がいいようでありますので、そういうふうに訂正をしておきます。 そこで、これはどうなりますか。昭和二十七年法律第百二十六号の第二条第六項におきまして、「日本国との平和条約の規定に基づき同条約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者で、昭和二十年九月二日以前からこの法律施行の日まで引き続き本邦に在留するもの(昭和二十年九月三日からこの法律施行の日までに本邦で出生したその子を含む。)」という部分ですね、張さんはこの中にどんぴしゃりはまると思いますが、いかがですか。
○大鷹政府委員 ただいま岡田委員が引用されたのは、昨年の入管令の改正で実現いたしました特例永住の問題だろうと思います。法一二六−二−六の該当者及びその子孫につきましては、永住申請を行った場合には無条件でこれを認めるという制度を導入いたしまして、ことしの一月一日から実行に移されております。 それじゃ、張明秀がその特例永住の有資格者であるかどうかということでございますが、確かに彼は日本で生まれて育った人物でございますけれども、この特例永住の条件としては、適法に引き続き在留している場合に限られております。張明秀の場合には、すでに強制退去の令書が発付されて、適法な在留というものがそこで切れております。したがいまして、いわゆる特例永住を受ける資格はない人でございます。
○岡田(正)委員 この問題で特例永住を認められました人については、過去に十年あるいは二十年という刑を犯しておっても、これは特例永住を受けているでしょう。そういう事実があるでしょう。
○大鷹政府委員 過去において刑罰法令の違反者であったという場合でも、その後法務大臣から特別在留許可を与えられている者につきましては、適法に引き続き在留している者ということで、そういう人々は資格があるわけでございます。
○岡田(正)委員 というような、大臣、お聞きのとおりの事柄もございます。そこで大臣にお伺いしたいのでありますが、昔からの言葉に、罪を憎んで人を憎まずという言葉がございますけれども、大臣はこのことについてどのような感じをお持ちでございますか。
○坂田国務大臣 それはやはりそのとおりだと考えております。
○岡田(正)委員 そこで、これは大臣にぜひお答えをいただきたいと思うのでありますが、いま問題になっておるその張さんという人は、なるほど少年期十七歳のときに非常に重大な犯罪を犯しました。それはまことに憎むべきものであります。だがしかし、それは法の裁きを受けて、そしてきちっと刑期を終えて、二年半も余して出てきておるわけですね。だから私は、罪の償いは一応できておると考えておるのであります。そこへもっていって、七年以上の刑を犯しておるからということの理由によりまして、ともかく朝鮮半島に帰さなければいかぬというので四年九カ月にわたって収容して、そして向こうへ帰そうといわゆる強制退去令を出して、いま当局はがんばっておるわけでございますが、それに対して、日本の国内における近所の人たちというのは、ひどいことをするじゃないか、これだけりっぱなまじめな人間になっておるのに、しかも正業についておるのに、しかも少年期の犯罪であるのに、何でひどいことをせなければいかぬのかという素朴な疑いがあるのですね。ですから、みんな素直に、一万人からの署名というのがこの短期間に集まったのではないかと思うのです。それで大臣の手元へ行っているのじゃありませんか。 それで、いまの上申書、あるいは要望書、あるいは陳情書というものは大臣のお目にとまっておるはずと思うのでありますが、届いておりますか。
○坂田国務大臣 私は、まだ見ておりません。
○岡田(正)委員 なぜでしょうかね。法務大臣に対する要望書というものが出ておるのに、それはどこかで握りつぶされるのですか。
○大鷹政府委員 現在、事務当局で予備的に検討いたしておりますけれども、当然法務大臣のところに報告する予定でございます。
○岡田(正)委員 それはいつ出ましたか。
○大鷹政府委員 先ほども申し上げましたとおり、二月二十二日に名古屋の入国管理局に提出されました。
○岡田(正)委員 いままでちょうど一時間かかりましたが、大臣はこの張さんのことについておわかりいただけたと思うのであります。ただ、私が非常に残念に思いますことは、戦前から日本へ、自分の都合ではなくて日本の国策によって連れてきて、そして日本の戦力培養のために日本でさんざん使った人、そういう人たちが現在そのまま残っておる。そういう人たちがいま子供さんたちを入れて大体六十二、三万いらっしゃるのだろうと思いますが、そういう人がいらっしゃる。この戦前からおった者については、先ほど説明しましたように、一二六の扱いでその子孫についても特例永住も認めましょう、そして戦前からおられた人については協定永住をやりましょうという韓国との間の手続もあったというような状態で、ずいぶんその点では配慮をしておるけれども、その配慮は何のためにしておるかということです。何のために一般外国人と違う配慮をしなければならなかったかということは、これはいわゆる朝鮮半島の併合以来三十六年間にわたる日本の植民地化政策というものに対して、済まなかったなという気持ちがあらわれておるからじゃないんですか。そうでしょう。 それで、いまの張さんにいたしましても、お父さんがわずか二十歳のときにわけもわからぬのに日本へ連れてこられて、そして非常に苦労して、とうとう五十六歳で亡くなったのです、大やけどを負って。そしていま五十三歳のお母さんが残っておるのでありますけれども、頭は割れているのですよ。健全なお母さんじゃありませんよ。そういう状態の中にありまして、そして本人は国家の検定試験もたくさん取って、近所の人からもまじめな人だと言われておる。そこまでまじめに更生した。罪の償いは済ました。そして更生している。これは弁護士の人や大学の教授、身元保証人になってやろうと進んでおっしゃっておる人たち、みんなが口をそろえて褒めておることであります。 犯した罪はなるほど悪い。悪いけれども、その罪の償いが済んだら、もう前科者の扱いはやめてくださいよ。これは張さんだけじゃない。日本人であってもみんな一緒です。前科があるからということがいつまでもいつまでも死ぬまでもついて歩いたら、そんなことをやっておって人間の更生なんということができますか。できるはずもないじゃないですか。口の上で言っているだけであって、腹の底ではその人をあくまでも前科者としてしか見てない。罪の償いをあの牢獄の中で七年半にわたってやってきたら、後はきれいに見てやるべきだと私は思う。 しかも、それが少年期の犯行であるということも考えてやるべきではないでしょうか。十七歳ですよ。人におだてられたり、群集心理に乗せられたりして、悪いことをすることもあるものですよ。いいことじゃありません。だから犯した罪は償いなさい。償ったのでしょう。七年半にわたって償って、その上四年九カ月も収容所へ入れて、十七歳から三十二歳の今日まで、たった二年四カ月しか外に出てない。こんな残酷な話はありませんよ。 その上にもってきて、病身のお母さんともらったばかりの妻を残して、どこへ出ていけと言うのです。自分が好んで日本へ来たのじゃない。親が来て、そこで日本で生まれた。日本で生まれて、日本で育って、日本語しか知らない、そういう人、いま償いがきれいに済んだ人を、入管令の関係からいってどうもあかんな、人道的な配慮を超えるなというようなことの理由だけで、この三十二歳の男を親からも妻からも離して、病気のお母さんもほったらかして、外へほうり出すことができるのですか。そんなことをやったら、まるで江戸時代の島流しと一緒ですよ。生活の基盤も何も持っちゃおらぬ。これはまさに死刑を宣するのと一緒じゃないですか。社会的な死を意味しておると思うのですよ。 私は、経済大国で世界第二位になっておるだけの日本じゃだめだと思う。もっと人道的な配慮を加えてあげることができませんか、大臣。私は、ただ単に豊かになった、金持ちになったというだけで、日本が必ずしも世界の指導的な立場に立てるとは思っておりません。難民問題にしてもしかり。この張さん一人の問題をとってみても、やはり話をなさっていらっしゃる皆さん方のその中には、全部とは申しません、だがしかし、前科者よという考え方が心の隅に固まっているのじゃありませんか。償いを済ましたら、もうきれいな人間じゃないかという気持ちにどうして立って考えてやることができないのでしょうか。 この問題については、大ぜいの人が、大臣がどういう裁決を下すかということを注目して見ておりますので、質問ではありましたけれども、最後には、人道的なさすがは坂田法務大臣だと言われるような裁決を下していただきますように心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりますが、大臣のお気持ちだけ最後に聞かしていただきたいと思います。
○坂田国務大臣 岡田さんの一時間にわたるお話を承りまして、大体理解ができたと思います。いままで入管局長が御答弁も申しましたわけでございますけれども、さらにきょうのお話も承りました上、また本人からの要望等もよくつぶさに聞きまして、総合的に公正なる判断をいたしたい、かように思っております。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。 局長にもずいぶん失礼なことを言いましたが、しかし、やはり人間一人の命がかかった問題です。そして張さん一人じゃありません。その後ろには病気のお母さんがおります。張さんに万が一のことがあれば、頭の骨を折っておるお母さんは恐らく生きちゃおらぬでしょう。こういうことも十分にお考えをいただきまして、それだけに私の気分も高まっておるので失礼なことを申し上げましたが、大臣のいまの温かいお言葉もあります。どうぞ間違いのない、やはりさすがに日本は人道的な国だと評価されるような決定が下ることを重ねてお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○中川(秀)委員長代理 安藤巖君。
○安藤委員 最初に、文部省にお答えをいただきたいと思います。 いま行われております横浜の市長選挙、この市長選挙で児童生徒を選挙に駆り出す、こういう文書が配布されているのを知っておりますか。
○横瀬説明員 お答えいたします。 そのことにつきまして報道がございまして、それで私ども、横浜市においてそういう文書が流れているということを知ったわけでございまして、これは横浜市教育委員会にも現在早速照会をいたしまして、そういう文書が流れているということは知ったわけでございます。
○安藤委員 いま横浜市の教育委員会にも照会をしたということですと、文書の内容も知っておられると思いますが、まず、この差出人はだれで、だれあてになっておって、いつの日付になっておるわけですか。
○横瀬説明員 横浜市の教育委員会から報告を受けました文書の名義は、横浜市管理職組合執行委員長が発信人でございまして、あて名は学校長、副校長というあて名になっております。
○安藤委員 横浜市管理職組合というのは、どういう人たちが構成メンバーになっておりますか。
○横瀬説明員 横浜市管理職組合でございますが、これは校長及び副校長が構成員になっている組合でございます。
○安藤委員 その文書を取り寄せてごらんになって、そしてそれがどういうようなルートで配布をされているか、お調べになりましたか。
○横瀬説明員 これはとりあえず電話で聞いたという程度のことでございますので、詳細についてはわかりませんが、聞いたところでは、四月の五日ごろ、横浜市の教育委員会の各学校への連絡網があるわけでございますが、その連絡網を通じて連絡の箱の中にこういう文書が投入されていたということでございます。横浜市の管理職組合が、その一部が学校に流れたところでこれを知りまして、そういうものは全く組合の関知しない文書であるという旨の連絡を学校に対してしたということでございます。
○安藤委員 どの程度この文書が流れたというふうに把握しておりますか。
○横瀬説明員 これは詳細がわかりませんので、全体のことを申し上げかねるわけでございます。連絡によりますと、横浜市管理職組合がそういう文書があることを知りまして、まだ残っている文書は回収したということでございます。回収したのは百部程度ということでございますが、全体の学校数は四百でございます。こんな状態であったようでございます。
○安藤委員 この文書の写しを持っておられるようですが、いま持っておられますか。
○横瀬説明員 これは写しではございませんで、電話でその内容を聞き取ったものでございます。
○安藤委員 私はそれを持っておるのです。これは現物をコピーしたものですが、もともとは手書きをコピーをして配布したものと思われるわけです。 短いものですから一遍読み上げてみますけれども、「市長選挙についてのお願い」、差出人は先ほど答弁があったとおり。あて名もそのとおりです。 最初に新年度のあいさつが一行あって、 さて四月十一日はご承知のように横浜の市長 選挙の投票日です。 浜管組 管理職組合のことですね。 浜管組は細郷現市長を積極的に応援し再選を期することによって今までの市長部局との関係を継続させたいと考え、さきの代議員会において皆さんのご賛同を得ました。しかし選挙戦は中々むずかしく、特に六党相乗りということからシラケムードが大きく投票率の低下が予想されます。低投票率では、確実な組織票をもつ対立候補の逆転もあり得るといわれ細郷陣営を憂慮させております。 そこで四月二日役員部長会をひらきこれが対応を種々協議し下記のように決定いたしました。 ご協力頂けますようご連絡いたします。 そして「記」として、 四月七日−八日に執行委員長名で棄権防止の連絡電話を各学校宛て発信いたします。 それをうけて各学校では棄権防止と細郷支持のための次の措置をとるようお願いします。 (一)四月九日(土)に全校放送を通じ父母ならびに有権者が棄権をせず投票に行くよう児童生徒によく話すこと。 (二)組合員各自五人以上の知人宛電話をもって細郷支持を強力によびかけること。 以上よろしくお願いいたします。 こういうような内容だという連絡を受けましたね。
○横瀬説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 こういう内容の文書がまかれているということに対して、これは公職選挙法上、法に触れる行為であることは明らかなんですが、いまどういうふうに考えておりますか。
○横瀬説明員 先ほど少し申し上げましたが、横浜市教育委員会におきまして事実関係を調査中でございます。ですから詳細のことはわかりませんが、現在までの市教委の調査では、横浜市管理職組合としてはこの文書については全く関知しないものであると述べているという報告は受けております。したがいまして、これは管理職組合が作成し、配布した文書ではないと当組合では述べているわけでございますから、このところは十分に調査しないとわからないわけでございますが、私どもとしては、申すまでもなく教育公務員の政治的活動、いま先生がお触れになりましたそういうことについて、法令の規定に抵触したり、学校の中立性を疑わしめたりするような行為を行うことのないように厳しく指導をしているわけでございまして、横浜市教育委員会も、今回の市長選挙に当たりましてそういう厳しい指導をしているというふうに報告を受けております。そういうことでございますので、このことが事実であればきわめて遺憾なことは申すまでもないことでございます。しかし、事実関係がはっきりしておりませんので、そこはしっかり調べまして、横浜市からも至急に十分事情聴取をしたいと考えております。
○安藤委員 管理職組合の方では関知しないということを教育委員会の方に言うておるというお話ですが、現実にこういう文書が、先ほどのお話によると四百のうち三百は配布されているということがはっきりしておるわけですね。そうしますと、だれかがこの管理職組合をおとしめる目的をもってわざとつくったのかどうかというようなことも考えられることになってしまうわけです。だから、いまのところ鋭意調査中ということを伺っておくわけですが、これが明らかに管理職組合委員長名義で出されたものであるのかないのか、この点はまだ文部省としてははっきり把握していない、だから現在それを調査中だ、こういうふうに承っていいわけですか。
○横瀬説明員 これは現在の時点では、まさに横浜市教育委員会から第一報を受けたような関係でございます。ですから、さらにその事実関係を十分に調査、把握したいというふうに考えております。
○安藤委員 先ほど自治省の方が答弁をしようというふうに積極的に手をお挙げになったのですが、自治省の方はこういう文書が出回っていることは知っておりますか。
○岩田説明員 お答え申し上げます。 けさほどの新聞報道で承知しただけでございます。
○安藤委員 報道で承知をして、実際に配布されているのか、どのくらい配布されているのか、そしてどういうような経過でこれがつくられたのかどうとかというような調査は何にもしておられないのですか。
○岩田説明員 第一次的にはこれは横浜市選挙管理委員会が管理、執行する選挙でありますし、かつ、それは選挙運動の内容にかかわることで、立候補の届け出とか管理面に直接関係があることでもありませんので、私どもの方で枚数を調べるとか、そういう動きはいまのところしておりません。
○安藤委員 しかし、先ほど文部省の方からも答弁がありましたように、教育公務員の選挙活動問題ということで法に触れる、これは遺憾なことだというお話もあったのですが、そういう関係では自治省としては大いに関心を持って、早速いろいろ調査をなさってしかるべき事案ではないかと思うのですが、これからどういうふうにされるつもりなんですか。
○岩田説明員 私どもの方で関係者から事情を聞くといったようなことはする考えはございません。こういう選挙の中である行動があって、それが法に触れるのではないかということが問題になったケースでございますから、それが法律に違反するということがあれば、それはしかるべき措置がとられるものと思っております。
○安藤委員 先ほど私が読み上げました内容が、おっしゃるようにけさの新聞に大体そのまま載っておりますね。それと私が先ほど読み上げました内容とあわせて、自治省としてはこれは公職選挙法上どういうような問題に触れる行為であるというふうに考えておりますか。
○岩田説明員 御承知のとおり、選挙運動のために頒布することのできる文書というのは、例の選挙運動用のはがきだけでございます。したがって、この場合、選挙運動用の文書の規定に触れるのかということが一番の問題になってこようと思いますけれども、これは一体どなたが配布をしたものであるかとか、どなたがつくったものであるかとか、それから枚数がどの程度であったとかといった頒布の形にも係ってくることでございます。ただいま御指摘のありましたけさほどの報道の中でも、どなたが配布をしたかということについてはいろいろ異なった報道といいますか、異なった主張が報道されておりましたし、そういったことが明らかにならなければにわかに判定できない問題ではないかというように思っております。
○安藤委員 文部省の方からは教育公務員の問題、それからいま文書図画の配布禁止の問題、これが公職選挙法上の問題として出されたわけですが、そこで警察庁にお尋ねしたいのですけれども、神奈川県警の方ではこういうような事実はもちろん把握しておられると思うのですが、配布されているという事実ですね、そして私が先ほど読み上げました文書が出回っているということを確認しておられると思うのですが、それに対してどういうような手をいま打っておられるわけですか。
○森広説明員 いま話題になっておるその事案が発生していることは承知をいたしております。しかし、神奈川県のいま御指摘の選挙はいまいわゆる選挙運動期間中にございまして、警察がどのような容疑事案を察知をし、そしてどういうような仕事をするか、しておるかというようなことを個々の具体的事案について申し上げるということは、選挙期間中でもございますので、はばかりがありますので、差し控えたいと思います。
○安藤委員 新聞の報道によると、調査を開始したというふうに報道されておるのですが、これは間違いないのですか。
○森広説明員 警察が具体的な事案について調査を開始したかどうかということ、これにつきましては、いま御答弁申し上げましたように、特定の問題をとらえて現に調査を始めておるかどうかというようなことにつきましては、いろいろ問題もございますので差し控えさしていただきたいと思います。
○安藤委員 新聞にそういう報道がされておるが、それは事実と違うということになりますか。
○森広説明員 いま事実と違う報道かという御質問でございますが、つまるところ、それにお答えいたしますと、調査をしておるかしていないかをお答えするのに似たことになりますので、具体的事案をいま警察が捜査をしているとかしていないとか、そういうことを御答弁するのと同様のことになりますので、同じく差し控えをさしていただきます。
○安藤委員 そうしますと、警察はいまおっしゃったような理由でどういう行動をしておるかということは言えないということですね。しかし、そういうことだから関心も何も持っていない、知らぬ顔をしているというわけじゃないと思うのですが、どうですか。
○森広説明員 報道されておることは承知しておりますし、このこと自体に警察が大変関心を持っているなんと言うのはどうも誤解を招くおそれがありますけれども、一般論で申し上げますれば、警察は公職選挙法違反の取り締まりに従事しておるわけでございますから、もし違反になる事案を察知したときには、当然関心を持つということでございます。
○安藤委員 どうも具体的な事案について警察がどうこう動いているかというようなことは言えないのだというお話ですが、この前にもそういう答弁をしっかり繰り返しをなさったのですが、これだけ新聞に大きく報道をされまして、そしてこれは大変なことなんだ、一体どういうことだという非常に大きな関心を有権者の人たちは持っていると思うのです。それに対して警察の方は黙りを決め込んでおるというようなことであっては、それこそ警察は一体何をやっているんだ、こういう非難を受けると思うのですね。だから、黙りを決め込んでいるのではないんだということを何か国民に、有権者に対して言わないと、警察の方が一体何だということになりますよ。だから、調査を開始したあるいは捜査に入った、おかしくないと思うのですよ。どうしてそんなことを言えないのですか。不正が行われておる、これは明らかに違反だ、あるいは少なくともその疑いがある、だから当然これは調査するなり捜査に入るなりしてあたりまえのことだと思うのですが、それも言えないというのなら、警察に対する国民の批判というのが一層強まるばかりじゃないですか。どうです。
○森広説明員 いまおっしゃるような御理解をされては大変困るのでありますが、私どもは決して、もしそこに犯罪がある場合にも捜査をしないというようなことを申し上げておるのではなくて、犯罪があれば当然捜査をいたしますが、現在選挙の期間中でもございますので、特定の事件につきまして捜査を開始したとか捜査を開始しようとしているとか、そういうことを言えない立場にある、こういうことを申し上げておるのでございまして、御理解をいただきたいと思います。
○安藤委員 そうしますと、先ほどからの繰り返しが一部入るわけですが、新聞に報道されているこの事実について警察は別に黙っておるわけではない、行動については言えない立場にある、けれども重大なる関心は持っておるとかなんどかという何か言わなくちゃ、私が言いましたようにそういうふうに誤解されて困るという結果になると思うのですよ。やはり何か言うべきだと思うのですよ。この段になってもまだ警察は何にも言えません、何にもやっちゃいかぬことになっております、これじゃ有権者は黙っておりませんよ。どうです。
○森広説明員 その報道は承知をしておると申し上げておりますし、また、警察の責務は十分承知をしておる旨のことをお答え申し上げておるのでありまして、警察は犯罪を知りながらみすみす放置をするというようなことは決してございません。もし犯罪があるのであれば、当然その責務を果たしていく。しかし、具体的な発生した事案というものをとらえまして、これを捜査を現にしているかとか、これからするつもりがあるかというような答弁はできない、こういう意味で申し上げているわけでございまして、警察の責務を忘れておるとか果たさないとか、こういう趣旨ではないということははっきり申し上げておきます。
○安藤委員 刑事局長にもお尋ねをしたいんですが、刑事局としては、この新聞に報道された横浜市長選に対する児童生徒を駆り出す文書が配布されたという問題については、どのようにいま考えておりますか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来文部省あるいは自治省、警察庁等から御答弁があったところでございますが、新聞報道がありましたことはもちろん承知をしておるわけでございますが、そのような事実があったかどうかということ自体非常に不明確な点もあるようでございます。したがいまして、それぞれの所管の省庁におきましてそれなりの措置をとられるものというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましても、これもまた一般論のようなことになるわけでございますが、犯罪の疑いがあるということになりますれば、警察当局とも十分御連絡を申し上げて適切に対処する所存でございます。
○安藤委員 先ほど文部省あるいは自治省の方からは、公選法上の教職にある公務員の選挙に関する禁止の条項、そして文書図画の領布禁止の条項に触れるものだという、そういう疑いがあるという答弁があったわけです。何もそれをそのとおり、警察庁あるいは検察当局の方でそのまま受け入れるというわけじゃありませんが、一つのそういう見解がいまこの場で答弁として出てきているわけです。疑いがあれば調査する、疑いがなければしない、そんなものはあたりまえの話で、もう疑いが出てきておるわけですね。だから、その上に立って私がお尋ねしておるわけですから、それについていま刑事局としてはどう考えておるかということをお尋ねしておるわけです。
○前田(宏)政府委員 先ほど文部省なり自治省からのお答えも、具体的な事実関係がはっきりしているという前提でそれが何になるという趣旨での見解といいますか、そういうものを述べられたわけではなくて、まずその前提となる事実関係がはっきりしないということをむしろ申し上げておって、ただ、問題として考えられることは、先ほどのような選挙法違反の問題としては問題が考えられる、こういう趣旨であったというふうに理解をしているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、そういう段階でございますから、それ以上検察当局がどうすべきであるとか、どういうふうに対処しなければならないとかいう具体的なことを申し上げる段階ではないというふうに考えるわけでございます。
○安藤委員 くどいようですが、先ほど私は、現実に教育委員会のルートを通じて配布された文書を持っておりまして、そしてこれを読み上げて、この文書の中身について文部省と自治省にお尋ねしておるわけです。だから、私がお尋ねしているのはすぐれて具体的な話、こういうりっぱな証拠があるということを提示してお尋ねした結果の答弁なんですね。だから、いま刑事局長がおっしゃったように、前提がはっきりしていないというわけではないのですよ。そういう前提に立ってお尋ねしておるのですから、やはりその前提を踏まえて答弁をしていただきたいと思うのです。刑事局としては、これはほかの省庁がいろいろ考えてやることであって、何もわれ関せずえんという態度なのかどうかということをお尋ねしておるわけです。
○前田(宏)政府委員 安藤委員がお読み上げになりました文書の内容は恐らくそのとおりであろうと思いますけれども、先ほど来御答弁がありましたのは、たとえばだれが出したのか、相手方は本当にだれであるのかというような、いわば発信人あるいは相手先といいますか配布先といいますか、そういうものもはっきりしないというようなことでございます。そういう要素が公選法なら公選法の文書違反になるかどうかという成否の一つの大きな条件といいますか、要件であるわけでございまして、文書の内容だけで直ちになるとかならぬとか言うわけにもまいらないという趣旨で申し上げたわけでございます。
○安藤委員 その問題はこれくらいで打ち切りにしておきます。 続いて、これは先回もちょっとお尋ねをしたいわゆる現職総理大臣を含めて八人の閣僚、四十七人の国会議員の公職選挙法百九十九条、二百条違反の問題についてお尋ねをします。 そこで、この前も簡単に触れたのですが、ひとつ自治省、警察庁、刑事局に確認をしておきたいと思うのですが、いわゆる選挙に関し寄附を受け取ったかどうかという問題ですね。選挙に関するかどうかの問題で、選挙期間中に当該選挙における公職の候補者に対して寄附がなされた、こういう場合は選挙に関しということが言えるのかどうかということはどうでしょう。これをまず自治省にお尋ねいたします。
○岩田説明員 御指摘の選挙に関しというのは、これも繰り返して申し上げておりますから御承知のとおり、選挙に際して選挙に関することを動機としてというように言われております。したがいまして、選挙期間中に行われたということだけで一〇〇%それが直ちに選挙に関する寄附に当たるのか、選挙に関する寄附というのは、選挙運動期間中の寄附即イコールなのかと言うわけにはまいるまいかと思っております。
○安藤委員 もう一つ、いわゆる陣中見舞いというのがありますね。この陣中見舞いというのは、選挙に関しというふうに言うことができるのかどうかという点はどうですか。
○岩田説明員 いわゆる陣中見舞いというのは、まさにいわゆる陣中見舞いでございまして、法律上かくかくというものがあるわけではございませんし、陣中見舞いと書いてあるから即そうかと言われて、すぐに即そうだとも言いかねるのでありますが、言葉をかえて言えば、これは選挙運動のために使ってください、あなたの運動費用に使ってくださいと言って持っていけば、これは選挙に察し選挙に関して行われた寄附であろうと思いますけれども、陣中見舞いという定義を使って御返事することは、ちょっとできないかと思います。
○安藤委員 この前も言うたと思うのですが、これは自治省選挙部の編さん「公職選挙法実例判例集」というのがあるのですが、この中に「陣中見舞」として「問 陣中見舞は、寄附として会計帳簿に記載の要があるか。」「答 寄附として会計帳簿に記載しなければならない。」これは公職選挙法第百七十九条、選挙運動に関する収入、寄附及び支出の定義のところの一問一答であるのですね。 だから、これからすると、普通、選挙のときには、私もいただくことがあるわけですが、どなたでもそうだろうと思うのですが、陣中見舞いと言って——大臣もあれですから笑ってみえるのですが、陣中見舞いとちゃんと書いてあるのですよ。そして、これは特に選挙のために使ってくださいなんということを言わないで持っておみえになるのです。だから、そのときに、ただ陣中見舞いと書いてあるだけではわからぬ、これは選挙のための運動資金として使ってくださいということを添え書きするか、あるいは口頭でそういうことを特に言うか何かしなければならぬなんて、そんなおかしなことはないと思うのですね。いま私が言うているように、この「実例判例集」では、やはりこれは寄附として、選挙運動に関する収入として会計帳簿に記載しなければならぬとちゃんとあるわけですから。これは陣中見舞いとなれば、いわゆる陣中見舞いという、いわゆるがつくのですが、先ほどあなたがおっしゃったように、そういう断り書きがなかったら選挙に関しということにはならぬみたいな話ではやはりおかしいじゃないかと思うのですが、どうですか。
○岩田説明員 物のたとえでございまして、断り書きがなければいかぬというつもりはございませんけれども、そういう認定が具体に行われなければならないのだろうと思っております。「実例判例集」その他につきましては、やはりそういったことを前提にして答えたものが登載されているのだろうと考えております。
○安藤委員 選挙期間中に寄附を持ってみえる場合は、先ほど答弁もありましたし、前にも私が言いましたように、これも自治省選挙部編の「逐条解説公職選挙法」ですが、「いかなる名目であろうと、選挙期間中当該選挙における公職の候補者に対して寄附がなされるときは、客観的に明らかに選挙に関するものでないことが認められない限り、本条違反として処罰されるものと考えられる。」これは法の第二百条二項のあれであるわけですね。こういうようなことでいけば、陣中見舞いもまさに選挙の事前に選挙事務所を開設したときからあろうかと思うのですが、選挙期間中に選挙事務所へ持ってみえる場合がほとんど、まあ全部そうだろうというふうに思うのですね。だから、私が先ほど紹介しましたように、陣中見舞いは寄附として帳簿に記載しなければならぬ、こういうふうにきちっとなっていると思うのです。 そういう前提でお尋ねをしたいのですが、鈴木総理、選挙の当時は候補者鈴木善幸、こうなるわけですが、この人に対する東北ブルドーザーからの五十万円の寄附の問題については、訂正の申し立てがあったということをこの前おっしゃってみえておったですね。これはどういうような理由で訂正をするということになってきておるのですか。
○岩田説明員 御指摘の寄附につきましては、政治団体に対する寄附が誤って選挙運動の収入報告書の中に記載されたものであるという説明があったと承知しております。
○安藤委員 そこで、これは岩手県の選挙管理委員会のことになるわけですが、自治省としては、なぜそういう間違いの記帳の仕方をしたのかということを全く尋ねなかったのかという点については、問い合わせはしていないのですか。
○岩田説明員 逐一問い合わせはしておりません。
○安藤委員 先ほどの話からすると、鈴木善幸さんに対する寄附は昭和五十四年九月二十四日になされている、これは間違いないですね。
○岩田説明員 ちょっと確認をしたいと思いますけれども、御指摘のとおりだろうと思います。
○安藤委員 そのときの選挙は、九月十七日告示、十月七日が投票日、これは公知の事実であります。だから九月二十四日というのは、まさに選挙の真っ最中ということになります。 そこで、警察庁にお尋ねしたいのですが、いまお話がありましたように、政治団体に対する寄附を、候補者に対するいわゆる選挙活動資金として受け取ったかのごとく記帳の間違いをしたんだという訂正の申し立てをしておられるということですが、そういうふうに訂正をされればもう二百条違反ということにはならない、こういうふうになってしまうわけですか。
○森広説明員 具体的事案の捜査という意味でお答えするわけにはまいりませんが、一般的な論議としていまお答えをするとすれば、そういった収支報告書の訂正ということは、そういった判断をするための一つの材料ではございますが、それのみをもって違反の成立が左右をされるということはないと存じます。
○安藤委員 これはこれから質問をいたしますほかの大臣の関係でも出てくるのですが、選挙運動資金として記入したのが間違いであったとなると、政治団体への寄附の方が記載漏れになっておった、こういうことになるわけですね。だから、訂正は双方一緒にやられなければならぬことになると思うのです。 それで、現実に私もこの岩手県報というのを見ましたけれども、これは土木建設会社からの寄附は全部危ないと思われたのかどうか知らぬけれども、東北ブルドーザー以外の五つも一緒に間違っておったということで、全部で六つ訂正をして、三百万円をとにかく減らしておられるわけです。そして今度は、盛岡鈴木善幸後援会からまた訂正の申し立てがあって、三百万円入れておるわけです。となると、これは政治団体の会計責任者も収支報告を出して、そしてこれは間違いありませんというふうに、同じように宣誓書まで出しているわけですが、こちらの方も間違っておったことになるわけです。虚偽の記載をしておったと疑われてもしようがないことになると思うのですよ。こちらにもちゃんと罰則がついております。こちらの方が重いのですよ。これは五年以下の禁錮、三十万円以下の罰金。 そうしますと、今度は警察庁にお尋ねするのですが、政治団体の会計責任者のうその記入をしたという疑い、この関係が出てくるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○森広説明員 何遍も申してくどいようですが、具体的事案に即しての答弁は差し控えますが、一般論として、訂正がなされたからといって、前の収支報告がいわゆる故意に虚偽の報告をしたという断定をすることは困難であろうかと存じます。
○安藤委員 ほかにもありますから、その点はそれぐらいにしておいて、櫻内外務大臣の関係でお尋ねをしたいのです。 これは自治省、どうですか。櫻内外務大臣がわが党の東中議員の質問に対して、千歳電気工業からの寄附は沢田という人から個人的にもらったんだというようなことを言ってみえておるようですが、この場合、櫻内外務大臣、その当時候補者櫻内義雄は、六月二日に二十万円を受け取っておるのではありませんか。
○岩田説明員 先ほども御指摘がございましたように、衆議院議員選挙に関することで、報告書も全部当該都道府県に出ますものでございますから、日付の内容までは実は確認いたしておりません。
○安藤委員 もうこの問題は、二月八日から予算委員会で指摘している問題なんです。 そこで、先ほどから私が言っておりますように、選挙期間中というのは、後はともかくとして、前の、事前の運動期間中も含めての陣中見舞い、これが一つのポイントになるのではないかと私ども思っておるわけです。選挙に関するかどうかですよ。となると、やはりこれは受け取った日が選挙期間中なのかどうかということ、これは大きな関心を持って調べておいていただくべき問題ではないかと思うのです。 これは私どもがちゃんと櫻内外務大臣の件につきましては島根県の選管に問い合わせましたところ、六月二日、これはまさに告示の日です。告示の日に受け取っているということがはっきりしているわけです。こうなると、先ほど来の話のように、まさに告示の日、いざ出陣式というようなときに、大ぜいの支援の人が選挙事務所へお出かけになって、陣中見舞いを持ってくるわけですよ。そういうような形でこれは受け取られたことがはっきりしておるわけですね。だから、その辺のところは十分調べていただく必要があると思うのですね。私の方が調べたもので、これは間違いないのです。 それから田澤農林水産大臣、この人の場合は、間組からの寄附二十万円、これは昭和五十四年の秋の選挙のとき、九月十七日から十月七日までの間ですね、先ほどと一緒ですが、その間の十月二日に受け取っているわけです。これもどうせ調べておられないわけでしょう。これも間違いないですよ。だから、その辺のところをしっかり把握していただきたい。 始関建設大臣の場合は、六月九日、これも六月二日から二十二日の間のまさに真っ最中、選挙運動期間中です。 そして、中曽根行政管理庁長官の場合で言いますと、これも私どもがちゃんと調べたことですから間違いないのですが、自治省の方は御存じないと思いますから言いますが、東急から五十万円、これは五月二十一日ですから直前。富士通百万円、これも五月三十一日ですから、六月二日の直前。佐田建設百万円、これもまさに六月二日の告示日。そして三井建設、これは六月六日。日本製鋼所、これも六月六日、こういう状態なんですよ。 ついでに言いますと、松野国土庁長官、大日本土木から五十万円、これも六月二日の告示日。そして安倍通産大臣、末延組、これは九月二十九日、まさに選挙の真っ最中。伊藤防衛庁長官、飛島建設、二十万円、六月十二日、これも選挙の真っ最中、選挙運動期間中です。 だから、こうなりますと、最初に確認しましたように、一〇〇%ではないというふうにおっしゃるけれども、やはりこれは選挙に関するものではないという特別な事情がない限り、いままでお金を借りておって、その金を返しに来ましたとか、あるいは子供さんかだれかがおめでたいことがあって、そのお祝いに持ってきましたとか、何か特別なものでない限りは、これは選挙に関してだということになるわけなんですから、選挙の期間中に受け取ったということが選挙に関しということになろうかと思うのですが、これは警察庁、どうですか。いま私は、現職の大臣を一応ずらっと並べて、受け取った日がまさに選挙の期間中だというふうに言ったわけですが、具体的な事案についてはああこうとまたどうせおっしゃるに決まっているから、そういう質問をいたしませんが、いま私が言いましたように、まさに選挙の期間中にこれは受け取っているんだ、こういうような事実関係、選挙の期間中に受け取っているのかどうかという事実関係は、警察庁の方は把握しておりますか。 〔中川(秀)委員長代理退席、太田委員長代理着席〕
○森広説明員 個々の事実関係を私が直接把握しておるわけではございませんが、国会で問題になりましたから、警察庁の刑事局長が答弁したところにより、全国の関係都道府県警察に調査を下命しておりますので、当該都道府県警察においてはそれぞれ調査をやって、掌握しておることと存じます。
○安藤委員 と思いますはいいのですが、いま私が言いましたように、受け取った日もはっきりしているわけですから、それもきちっと特定をして調査すべきだと思うのですが、警察庁も、いつ受け取ったかということは明確に把握しているのかどうか、わからぬのですか。
○森広説明員 先ほど申し上げましたように、関係都道府県警察に調査を指示しておりますので、府県警察段階ではそういったことも含めていろいろいま実態を掌握していると思います。しかし、まだ全体の報告も受けておりませんし、現時点では、私どもが個々のそういったケースごとの実態を掌握しておるという段階ではございません。
○安藤委員 いま私は、閣僚の関係だけ質問したのですが、最初にも言いましたように、含めて四十七人だからまだ三十九人の国会議員が残っておるわけです、私のいまの質問の中からは。この三十九人の人たちについても、警察庁としては各都道府県警がいろいろ調査をしておられるわけですか。
○森広説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そこで、この調査は一体いつごろになったら結論が出てくる見通しなんですか。
○森広説明員 一般論として、これはいつまでということはわかりません。それぞれの都道府県警察におきまして所要の調査を終わるまでということでございまして、一概に、いつまでということをここで申し上げることはできないわけでございます。
○安藤委員 刑事局長にお尋ねしたいのですが、公職選挙法二百条二項の関係の公訴時効は何年になりますか。
○前田(宏)政府委員 三年ということに相なろうと思います。
○安藤委員 そうしますと、五十四年の選挙のことに関しては、九月十七日から十月七日が選挙期間だったわけですね。そして、五十五年の選挙は先ほど来言っておるとおりですが、三年といいますと五十七年、ことしの九月か十月に公訴時効は完成するわけです。だから私は、いつまでに結論を出すのかということを大いに気にしてお尋ねしておるわけです。 まず、警察庁にお尋ねしたいのですが、結論を出すのに間に合うのですか、間に合わぬのですか。
○森広説明員 間に合う、間に合わぬといいますより、公訴の時効ということは十分認識して考えながら捜査を進めていく、調査を進めていく、こういうことになろうかと思います。
○安藤委員 刑事局としてはどうなんですか。これまで、いまの段階で検察当局が乗り出してあれこれするのはどうかというようなことを言っておられて、警察庁の調査といいますか調べ、これが動いていくのを見守るみたいな話をしておられたんですが、ずっと見守っておられて、そして検察庁に対する送検が行われて、それから初めて事件に着手するというようなことでは間に合うのかという気がやはりするのですが、この公訴時効との関係で検察当局はどういうふうに考えておりますか。
○前田(宏)政府委員 前回も申したかと思いますけれども、先ほど来警察庁の方からもお答えございましたように、関係都道府県警察において事実の把握に努めておられるということでございますから、同じことについて警察のほかに検察庁が調査をするということも適当でないというふうに思っているわけでございます。そのことは現段階では依然として同様に考えておるわけでございますが、仮に犯罪の疑いがあるということになりますれば、時効という問題も当然あるわけでございまして、いま安藤委員の御心配のようなことも、もちろん頭にないわけではございません。
○安藤委員 もちろん公訴時効というものは頭に置いてやっておるというお話ですが、いろいろ調べておったところが、なかなか結論が出なくてとうとう公訴時効完成した、いわゆる時効になってしまいましたというようなことでは、これは一般の国民は許さぬと思いますよ。だから、その辺についての覚悟はちゃんと決めておいていただいて、間に合うようにやっていただかなくちゃならぬと思うのですが、改めてその辺について、警察庁と刑事局長の答弁をお願いします。
○森広説明員 犯罪の要因があるということになれば、公訴の時効を考えて捜査をするのはこれは当然でございますので、当然のことながら、念頭に置いてやっていくことはもとよりでございます。
○前田(宏)政府委員 警察庁と同様に考えております。
○安藤委員 そこで、その関係について大臣にお尋ねしたいのです。大臣、いま聞いておっていただけたと思いますけれども、この大きな問題になっているこれが、結局は最終的には公訴時効が完成してしまったというようなことであってはならぬと思うのですよ。しかも、ことしの九月か十月ですから、その期間中に受け取っておるのですから、そして五十五年の同時選挙の場合だって、来年の六月ごろ時効になっちゃうんですよ。だから、時効完成というようなことになってはならない、時効完成で灰色だというようなことになってはならぬと思うのです。だから、その前に明解な、公正妥当な結論を出していただきたいと思うのですが、その点についての大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○坂田国務大臣 刑事局を信頼しておりますので、適正に対処するものと思います。
○安藤委員 終わります。
○太田委員長代理 林百郎君。
○林(百)委員 私は、最近の有力な新聞社の週刊誌に室町産業の問題が取り上げられておりまして、田中角榮の身辺についての納税の問題、あるいは室町産業の宅建業法の免許を取る問題等についていろいろの疑問点を提起して、そしてこういうような重要な問題、かつて総理大臣までした者のこういう重要な疑惑に対しては、国税庁も司法当局も国会も地方議会等もこの問題について疑惑の解明に取り組んでいただきたいという意見があるわけなんで、私は、やはりマスコミは国民を代表したものの意見でありますから、これはやはり国民の大きな疑惑を代表して出されている問題だと思いますので、この点について御質問をしたいと思うわけです。また、政府当局におきましても、こういう率直な疑惑についてはひとつ誠意を持って答弁をしていただきたい。木で鼻をくくったような答弁にならないようにしていただきたいというように思うわけです。 そこで、最初にこの室町産業でございますけれども、これが五十四年に約八億であの信濃川河川敷を長岡に売却したこともあったのですけれども、一体この会社に課税をした——課税の内容やいろいろはそれぞれ答弁に限界があると思いますからさておいても、課税をしたことは何回あるのですか。
○草野説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のような報道があったことは十分承知しておるところでございます。お尋ねの件につきましては、個別の法人にわたる事柄でございますので、具体的なお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。 一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、法人から提出された申告書等に基づきまして、税務内部の蓄積されました資料や国会で議論された事柄はもとより、あるいは新聞雑誌等の情報など各種の資料、情報を総合いたしまして、課税上問題があるかどうかを判断し、税務上措置すべき事項がございますれば、適正に処理をしてまいっているところでございます。
○林(百)委員 そういう抽象的な答弁ではわからないので、これによりますと、税務当局も相当なめられている、こうまで書かれているわけなんですね。それで、四十九年から五十年にかけて一億六千万円前後の追徴課税をしておる、こういうように言われておるのですが、これは公に出ていることですから、それを国会で言ったって、何も私企業のプライバシーに関することじゃないのですが、それ以外に、あるいはその後に課税をしたことがあるかどうかということ。私は何も金額だとかなんとかということは聞きません。課税したことがあるかどうかということを聞いているんですよ。
○草野説明員 お答え申し上げます。 重ねての御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、個別の法人にわたる事柄でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○林(百)委員 この報道によりますと、田中角榮が私的に使用している使用人約十人、それから自動車料金等もありますが、そういうものを室町産業の費用から出したことにして、室町産業の必要経費を膨大にして、そして課税を免れている。そのほか、土地ころがしだとか株の売り買い等もあって、大体課税がかからないような処置をしているというようなことが書かれておるわけなんですが、国税庁の方ではこの室町産業という会社を現地へ行って調べたことがございますか。
○草野説明員 お答え申し上げます。 ただいまの件でございますが、先ほど来繰り返し申し上げてございますように、個別の事柄については御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。 ただいま先生のおっしゃったような事柄につきましては、やはり私ども税務の立場上、非常に貴重な資料、情報として認識しておりますということで、御勘弁を願いたいと存じます。
○林(百)委員 何も私が御勘弁するかしないかで決まるわけじゃないので、もっと徴税の公正を期したいということから私、言っているわけで、それからマスコミも大きく取り上げて世論を代表してやっているわけなんですが、この室町産業の損益計算書を見ますと、たとえば報酬給料というのが五十年度には六千万円だったのが七千万円になり、交通通信費が二百万が五百万となり、それから新聞図書費が十七万が五十八万にもふくれ上がり、事務費が百万前後が百十一万にもなり、光熱水費が五十年度には五十五万円だったのが二百三十五万円にもなる。 こういう報酬給料、交通通信費、新聞図書費、事務費、光熱水費等が実に二十倍にもふくれ上がっているようなことになっているわけですが、私の方の調査によれば、室町産業というところには人が一人もいないのですよ。税務署、よく聞いておいてください。電話をかけたって電話には出ないのですよ。かぎがかかっているのですよ。そういうところの室町産業の事務費が何でこんなにふえていくのですか。そういうことを調査したことがありますか。そういう意味で私は、一度でも富町産業の現場へ行ったことがあるか、足を運んだことがあるかと聞いているのですよ。 人のいない会社で、何でこんなに必要経費がどんどんふえていくのですか。そして、これを経費として利益から差っ引いて、そして税金は納めません。実際のことを言って、五十四年に一度追徴金をやった以外、室町産業は資本金十億ですよ、一度も税務署は税金をかけたことがないじゃないですか。田中角榮のファミリーだといって、そんなにあなた方が恐れていたら、国民はだれも税金を納める人はありませんよ。何でこんなに会社の必要経費がふえたのか。会社では一体何人、人がいるのか。あるいはその経費がどうしてこんなにふくらんでいくのか、五十年に比べて五十五年が二十倍にも。そういうことを国税庁は調べたことがありますか。私は憤激にたえないですよ。 肩書きがある者に対しては何の手も出ない。しかし、その肩書きのある人は、いま刑事被告人になって裁判にかけられている人ですよ。こんなことをやっていたら、国民は国税庁の言うことをだれも聞かなくなりますよ。行って調べたことがあるのですか。使用人が何人いたのですか、そのときには。電話をかけてみて、電話に出ますか。一度でも電話をかけてみたことがありますか。答えてください。
○草野説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘になったような事柄は、貴重な情報として非常に深い関心を持っておるところでございます。お話ございましたように、元肩書き云々といいましても、税務の立場から見ますと一納税者ということでございますので、一般納税者と同じように、申告書等に基づきまして、内外の資料、情報も総合し、課税上の問題があるかどうかを判断し、税務上措置すべき事項があれば適正に処理するように努力してまいりたいと存じます。
○林(百)委員 だから私の言うのは、貴重な資料を御提供くださってと、いまごろそんなことを言われたって、ちっとも私がうれしいわけでもないので、一度ぐらい電話をかけてその会社の電話が出る電話かどうか、一度ぐらいそこへだれか税務署員をやって、本当に人が十人もいるのかいないのか、そして、そこには車庫があって動いている自動車がいるかどうかぐらい、調べたっていいじゃないですか。そして、田中角榮の個人の使用人や個人の費用、光熱費だとかあるいは交通費だとか、個人で使っている者の報酬を会社から出させているなんて、これはとんでもない話ですよ。 だから、そういうことを調べる意味で、一体この貸借対照表にあるような、そういう経常費を計上しなければならないような内容の事務をしているのかどうか、私がきょうここで、国会で言いましたから、重要な資料はあなたに提供しましたから、今後調べてみますかどうですか、それだけ答えてください。電話をかけたり、一人、人が行くぐらい、簡単にできることでしょう。
○草野説明員 お答え申し上げます。 先ほど来申し上げておりますように、一般的に国税当局といたしましては、法人の申告書等に基づいて内外の資料、情報を総合し、課税上問題があるかどうかを判断し、税務上措置すべき事項があれば適正に処理してまいりたい、このように存じております。
○林(百)委員 だから、適正な課税を徴収するためには、田中角榮が個人で使っている使用人に対して室町産業の会社の経費として交通費や光熱費やあるいは図書費を支出している、そういうことが権威のある週刊誌にも書かれ、しかも「税務当局はナメられている」とまで、大きな見出しで書かれているのだから、今後十分調査をされるかどうか、そのことだけ、ここで答えてください。 その結果を、国会のこういうところで仮にあなたが説明しにくいなら、私が個人で説明を受けるかどうかは別としても、いずれにしても調査をすべきだと思うのです。これだけの材料が出されているのだから、しかも国会議員までがこの問題を徹底的に究明すべきであるとまで書かれている以上、われわれも責任を感じますよ。だから、調査をするかどうかだけ、ここであなた答えてください。
○草野説明員 重ねてのお尋ねでございますが、先ほど来申し上げてございますように、一般の納税者と同じように、申告書等に基づき、内外の情報を総合して、課税上措置すべき事項があれば適正に処理するということで、ただいま御指摘の案件も、いま申し上げたような事項に該当すれば当然対応措置をとる、このように考えております。
○林(百)委員 対応処置をとるということは結構だと思いますが、事実の調査をも含めて、普通の納税者ならば裏調査がすぐされるわけですから、調査をも含めて十分適切な対応をしていく、こう答弁を聞き取っておいていいですね。私は実情を把握してもらいたい。実情把握は、普通の納税者と同じように決して税務署は前歴がどうであるからといって手を抜くようなことはありません、実情は十分調査をいたしますということを、ここで言ってもらえばいいんですよ。
○草野説明員 お答え申し上げます。 元云々という肩書きといいましても、先ほど来御答弁申し上げておりますように、税務の立場からは一納税者でございますから、一般の納税者と同じように処理をするということでございます。
○林(百)委員 まあ大分苦しいようですから、この問題はこのくらいにしておきます。 建設省にお聞きしますが、専任取引主任者というものは、宅建業をやっている業者としては置かなければならないものであることは間違いないでしょうね。
○末吉説明員 お答えします。 宅建業を営む場合には、専任の取引主任者は最低一名は置かなければならないというたてまえになっております。
○林(百)委員 室町産業では置いてあるかどうか、御存じですか。
○末吉説明員 室町産業の免許は東京都知事免許でございます。御存じのように、州県以内に業を営む場合にはその都道府県知事の免許、二県以上が大臣免許という区別になっておりますが、室町産業の場合は東京都知事の免許を受けております。東京都からの報告によりますと、専任の取引主任者は一名おるという報告を受けております。
○林(百)委員 うちの上田参議院議員もそういう質問をして、調査をすると言ったんですが、一名というのは男性ですか、女性ですか。その性別だけ聞かしておいてください。
○末吉説明員 報告を受けたところによりますと、女性ということと聞いております。
○林(百)委員 その女性が問題なんでして、私はこの人の個人的なプライバシーも守らなければならないし、この週刊誌にもM子さんというように出ていますが、あなたの言われたと思われる女性がこう言っているんですね。その女性に対して記者の方が、 ——室町産業の書類にあなたが取引主任者として出てるが? 「なんですか、それ。私、してません」 ——でも、あなたの顔写真までついて、あなたの名前が…… 「いやらしい……」 ——あなたは去年の五月に室町産業に就職したことになってる。 「わかんないなあ」 ——取引主任の資格は持ってますか。 「持ってますよ。合格証もあります」 ——それを誰かに貸した? 「そんなことしてないです」 ——不動産関係の会社につとめてないですか。 「ないです」 ——まちがいないですね。 「はい」 ——市谷本村町のマンションへ行ったことないですか。 「行ったことない。見たこともない。市谷なんてもう何十年もいっていない」 ——入内島金一という人知りませんか。 「知らない。聞いたことない」 ——風祭さんは。 「カザマツリ? 知らないよ」 あといろいろありまして、「私に関係ないことだから、もうやめてください。M化粧品で細々と食べてる生活をこわさないでください」。M化粧品というのは神奈川にあるんですが、女性だというと、この人に該当しそうなんです。 これはあなたに聞くというのは、私も許可を与えるのは東京都知事だということは知っていますが、参議院で上田議員が質問したときに、東京都とも連絡してよく調べておきます、こう言っているんですよ。その専任取引主任者が常時その会社にいるという回答ですか。
○末吉説明員 室町産業は、先ほども申し上げました都知事免許でございます。監督も東京都知事、御存じのとおりでございます。 そこで、先日、四月一日に参議院の予算委員会でそういう質疑がございました。それを受けまして東京都の方も調査に着手するという報告は受けております。調査の進捗の状況、その度合いその他については、まだ報告を受けておりません。
○林(百)委員 何ですか、調査の結果は聞いてないということですか。これは女性の個人にも関係することですから、宅建業が東京都知事のもとで適正に行われているかどうかということは、同時に国会の問題でもありますから、その人は何という人なんだ、その人は常時この室町産業へ行っておられるのかどうか、国会でそういうことの質疑があったからもう少し詳しく知らしてもらいたいということを聞いて、どういう方法であなたに私がお聞きするかは別として、もう少し詳しく確かめてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○末吉説明員 私どもも、宅建業法、全国十万七千人業者がおるわけでございまして、それらを都道府県知事免許の業者に対しましては都道府県知事を通じまして行政指導しておるというたてまえでございます。 今回、こういう先日の四月一日以降のを受けまして、当然東京都の方も調査に着手をしておるという報告も受けておるわけでございますので、その辺の実態を調査するのは法律上は東京都知事の専権でございますので、そちらの調査結果を私の方に、調査結果が出ますと当然報告があるのであろうと期待をしております。報告がなければ、私の方からも報告を求めることも、場合によってあろうかと思います。
○林(百)委員 それでは、何かあなたの話じゃ調査がもう始まっているように聞いたんですが、まだ調査は完了しておらない、それで調査の結果の報告もまだあなたにない、もしその結果の報告があればそれはまた私の方でも十分熟知して、そういう段階で私の方も適当な方法であなたに確かめたいと思うのですよ。これはマスコミで、とんでもない全然関係のない女性が専任取引主任になっておるということを言われておりますから、われわれ国会議員としてもそれをはっきり確かめたいと思いますから、東京都知事からあなたのところへ、調査が完了しました、その専任取引主任はこういう人でしたということがはっきりわかったら、私の方からまたあなたの方へ、どういう形にして知らしてもらえるか、あるいはいろいろお打ち合わせをしますから知らしてもらいたい、そういうように思うわけです。あなたが知ったことをですよ。
○末吉説明員 先日来の経緯を経まして、東京都から調査に着手をするということの報告は私ども伺っております。再三申し上げるとおりでございます。その調査結果、内容あるいは調査の報告について私どもに報告があるか、そういうことまでは実は念を押しておらないのでございます。と申しますのは、東京都知事の方でまず第一に調査をして、法律に照らして適正な判断が行われるものと、こういうふうに考えているからでございますが、国会のこういう議論になった経緯もございますので、東京都の方からも当然そういう報告があるものと、そういうふうにいまのところは考えております。こういうふうに申し上げたわけでございます。したがいまして、報告がございますれば、私どもも当然知り得たことになりますれば、御質問等がありますればお答えする、こういうことになろうかと思います。
○林(百)委員 そうすると、いまあなたは東京都知事から調査に着手したということだけ聞いておる、いまの段階では、その内容だとかあるいはその結果だとかはまだあなたのところへは報告が来ない、もし報告が来て私が知り得るようになったならば、こういうところで質疑という形でやるか、あるいは個人のプライバシーに関することならば、私は国会議員としてあなたと特に二人でお聞きしても結構ですが、その報告は適切な方法でしてくれるわけですね。いまのところは着手したということを聞いているだけだ、こういうことと聞いておいていいですか。
○末吉説明員 着手をしたという報告は受けていることは事実でございます。その後のもので、プライバシーにかかわるから先生と二人でとか、その辺のところはもう委員会にお任せするところで、御質問があれば知り得る限り、あるいは東京都からの報告内容に照らして御報告は申し上げたいと思います。
○林(百)委員 建設省に同じくお聞きしますが、この室町産業が宅地建物取引業法の認可申請をして、そして認可を取ったのは何年ですか。
○末吉説明員 室町産業が五十四年の三月十六日に東京都知事の免許を受け、それで、五十七年三月十六日に更新を得ております。
○林(百)委員 この免許の申請をするに当たっては、「禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者」、改正されまして五年になりましたが、当時は三年を経過しない者、免許の申請者に対する免許を与える基準はこういうことになっていることは御承知ですね。
○末吉説明員 宅建業法によりまして、免許の要件としまして、第五条に掲げてある要件を充足すれば免許するということになっておる、そのとおりでございます。
○林(百)委員 そこで、法務省にお聞きしますが、その刑を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から、いまは五年で当時三年ですな、それを経過しない者は免許してはならないことになっておるのですが、「刑の執行を受けることがなくなった日から」ということですが、執行猶予がついている場合は、執行猶予の期限が過ぎてからこの三年なら三年を経過することが必要、こういうことになるのですか。条文によりますと、「その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から」、いまは五年ですが、三年を経過しない者はだめだということで、だから執行猶予がついておれば、二年なら二年の執行猶予の期限が切れてから三年ということになるわけですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの宅建業法のいわゆる欠格事由と申しますか、免許の基準に関する規定でございまして、それ自体はむしろ建設省所管の法律でございまして、私どもがこの欠格事由そのものの解釈権を持っているというわけでもないわけでございますので、私からお答えするのは適当でないかと思いますけれども、執行猶予とかいうような問題が関係いたしますので私なりの理解を申し上げますと、執行猶予の場合は、刑法の規定といいますか考え方によりまして、執行猶予期間が切れますと刑の言い渡しを受けなかったと同様な扱いをされるわけでございますから、刑の執行猶予の場合には、執行猶予期間が終わったという段階で欠格事由がなくなるという理解だと思います。
○林(百)委員 普通は、こういう場合は執行猶予の期間が過ぎてから、要するに「執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から」ですから、執行猶予の期間が切れれば「刑の執行を受けることがなくなった日」になるのだから、それから三年というのが通常の解釈じゃありませんか。たとえば弁護士法なんかも、何々の刑を受けた者は弁護士になれない。執行猶予がついておる者は、執行猶予の期限が切れてそれから何年たった者、こういう規定があれば、執行猶予の期限が切れてから何年たってから弁護士になれるとか、司法試験を受けられるとかというのは、執行猶予の期限が切れてから何年、そこから数えるのが普通じゃないでしょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほどもお答えしておりますように、いわゆる業法の欠格事由に関することでございますので、むしろ所管省の方からお答えをさせていただいた方がいいと思うのでございますけれども、一見、見ますと、林委員の仰せのような理解もできないわけではございません。ただし、実質的に考えますと、林委員も刑法に関しては十分御案内のとおりでございますが、刑の執行猶予というものは、執行猶予期間が取り消されることなく執行猶予期間が経過いたしますと、刑の言い渡しを受けなかったという扱いになるわけでございますから、文理だけでは正しい結論が出ないわけでございまして、そういう執行猶予制度の本質というものをあわせ考えて解釈すべきものというふうに考えるわけでございます。
○林(百)委員 刑の執行を受けることがなくなった日からですからね。「刑の執行を受けることがなくなった日」だから、執行猶予がついていたとすれば、仮に執行猶予が二年ついていたとすれば、二年たてばそこで刑の執行は、あなたの言うように判決の言い渡しは効力を失うから刑の執行を受けなくなるんだから、それから三年とこの条文には書いてあるんですよ。あなたは専門家で、そんな解釈しているんですか。そうすると、公務員の資格だとか公務員の試験を受ける資格だとか弁護士資格だとか、そういうものはみんな、刑の執行を受けることがなくなったときから何年という場合は、執行猶予がついていれば執行猶予の期限が切れてから何年、全部そういう解釈でやっているんじゃないですか。宅建業法だけそれは別でもいいんですか。
○前田(宏)政府委員 何回も同じお答えで恐縮でございますが、こういう業法的なものは宅建業法だけでございませんで、いろいろな業法がございます。先ほどもお答えをしているところでございますけれども、こういう一般のいわゆる免許基準あるいは欠格事由というようなものについての解釈はそれぞれの省庁が行われるべきことでございますが、あえて申しますと先ほどのようなことになるんじゃないかということでございますし、たとえば内閣法制局におきましても、類似の法律の規定につきまして先ほど私が申し上げたと同様の解釈を持っているというふうに承知しているわけでございます。
○林(百)委員 それはどうもおかしいですよ。あなたらしくない答弁だと思うのですがね。 刑の執行を受けることがなくなった日から何年とある日は、執行猶予がついておったら、執行猶予で刑の言い渡しがなかった日から三年なら三年、これが常識的な解釈じゃないですか。あなたの言うのは、あなたを救済するとすれば、取引業法という特別な業法であるから、その解釈としては私の言うような解釈が成り立つのはわかりますけれども、一般的な刑法の解釈としては、刑の執行を受けることがなくなってから三年なら三年という場合は、執行猶予の期限が切れてから三年というのが普通の刑法上の——それじゃ、刑法上の解釈を聞きましょうか。刑法上の解釈になっているんじゃないですか、たとえば公務員の資格だとか弁護士になる資格だとか公務員試験を受ける資格の獲得だとか、そういう場合は。
○前田(宏)政府委員 これまた欠格事由でございまして、国家公務員法の解釈になりますので、本来私の責任を持った御答弁ができないことであろうかと思いますが、たとえば国家公務員法におきましては、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」ということで、それから何年というようなものではないわけでございます。
○林(百)委員 だから、何年とあればどうなるかと言うのですよ。それは刑の執行を受けることがなくなればいいというんだから、執行猶予の期限が切れれば、刑の言い渡しがなくなればいいけれども、刑の執行を受けることがなくなってから三年たたなければならない、そう書いてある場合は、執行猶予の期限が切れてから三年というのが普通の解釈じゃありませんか。あなたと幾ら論争してもいかぬけれども、そういう解釈もあるということをあなたは知っていますか。そして、現にそういう適用をしている分野もあることは知っていますか。
○前田(宏)政府委員 先ほども御答弁の中で申しましたように、一応文理的には林委員のような読み方のように見えるけれども、刑の執行猶予ということの本質というものを考えますと、それをあわせ考えた結論を出さなければならないでございましょうということで、たとえば先ほどちょっと申しましたように、内閣法制局の解釈等を見ましも、一つの例をもって説明をしているわけでございますが、たとえば懲役一年という実刑の場合と懲役一年で三年間執行猶予の場合とを比べた場合に、実刑の場合には直ちに服役をして一年たてば、それから資格の制限を受けるべき期間が起算される。ところが執行猶予の場合は、執行猶予期間経過後ということになれば逆に非常に均衡を失するということでもあり、執行猶予制度という本質にも合わないというような実質的な理由を掲げておりまして、そういうことから見て、先ほど来私が申し上げておるように一応理解されるということになっているわけでございます。 それから、刑法とかそういうものでそういう問題が直接起こっておりませんし、ほかの先ほど御指摘の国家公務員法におきましてもまた要件が違っているわけでございますから、林委員のおっしゃるようなふうに運用されているかどうか、それは私、詳細に存じませんけれども、むしろそういうことではないんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
○林(百)委員 あなたは執行猶予なんか受けたことがないからわからないかもしれませんが、それではこういうことになりますか。一年の刑を言い渡されて、そして五年を経過した者ということになると、一年の刑を勤めて、そして五年たたなければいけませんね。ところが、二年の言い渡しを受けて執行猶予が二年つけば、刑は二年の方が重いけれども、一年の者よりそういう資格の方は早く取れるのですか、そういう解釈になるのですか。
○前田(宏)政府委員 何回も同じようなことで恐縮でございますけれども、やはり欠格事由ということと執行猶予制度というか、それの本質といいますか、そういうこととをあわせ考えた結論から言えば、先ほど申し上げておりますように、刑の執行猶予期間が無事に過ぎまして、そして言い渡しがなくなったものという状態になった者を欠格者として扱うのは適当でないという解釈の方が非常に実質的であろうというふうに考えておりますし、そういう運用が、ほかのそれぞれの省庁でもそういう解釈で行われているというふうに理解しているということを申し上げたわけでございまして、私がこうあるべきだということを申し上げているわけではございません。
○林(百)委員 あなたがどこまでもそういうようにがんばるとすれば、それは私は、刑法の専門を扱っている刑事局長としてはおかしな解釈だと思うのですよ。短い刑を受けて、そして猶行猶予のつかない者の方が欠格事由が長くなっちゃって、重いその倍もの刑を受けても執行猶予がついた方が早く欠格事由がとれてしまう、そんな不均衡な解釈はあり得ないと思うのですよ。 それじゃ、私の言うような解釈も、あなた先ほどそういう解釈をする人もあると言ったけれども、そういうことは認められるわけですか。たとえばここにもありますけれども、東大の小早川光郎教授は「「刑の執行を受けることがなくなった日」とは、執行猶予満了の日と解釈している」。要するに東大の小早川さんは、刑の執行を受けることがなくなった日から三年というのは、それは執行猶予満了の日から三年という意味に解釈します、こう言ってますね。あなたは、やはりそれは間違っていると言うのですか。
○前田(宏)政府委員 週刊誌にそういう報道が出ていることは承知しておりますけれども、じかに伺ったわけではございませんので、それがいいとか悪いとか申し上げる立場にございません。
○林(百)委員 何も週刊誌にある、ないというので法理論をあなたと争っているわけじゃありません。 それじゃ、あなたの見解が正しいかどうか、一度確かめてみてもらいたいと思う。学者やそれから実際の実務家の人たちにどう扱っているかということを、公務員の資格だとかあるいは公務員の試験を受ける資格だとかあるいは弁護士資格だとか、そういうような場合どう扱っているか、欠格事由の場合で何年というようなものがついた場合、ひとつ確かめてもらいたいと思うのです。 そこで、大分長くなりましたけれども、建設省にお聞きしますが、この誓約書の中に山田泰司という人がいるわけですが、この人は昭和五十四年ですか、室町産業の宅地建物取引業の免許を申請した場合に誓約書を出していることは間違いありませんか。
○末吉説明員 お答えします。 御存じの東京都知事の免許でございますので、免許申請書そのものを実は見たことございませんので、そこのところはまだ確認をしておりません。
○林(百)委員 それじゃ、この誓約書に「私は、宅地建物取引業法第五条第一項各号に該当しない者であることを誓約します。」こういうように書いて、それから山田泰司氏の名前が書いてあるということも、あなた御存じないですね。
○末吉説明員 宅地建物取引業の免許に当たりましては、省令によって書式を決めております。その様式の中にはそういう誓約書を取ることになっておりますので、免許がされてそこの中にその方がおられたとすれば、当然その様式としては加わっているものと思っております。先ほど申しましたのは、私の目で確認したということがございませんので、そういうお答えをさせていただきました。
○林(百)委員 そこで、もし私や東大の教授のように刑の執行を受けることがなくなってから後三年、当時ですから三年ということになりますと、これは免許を受けたのが五十四年三月十六日なんですが、この記事によりますと、この人は新星企業の事件で懲役一年六カ月、執行猶予二年を五十年十二月に受けておりますので、もしわれわれの解釈から言えば、この人は五十五年十二月で執行猶予満了から三年ということになりますから、この人の名前が出ているということは、刑の言い渡しを受けておる者はそういう許可の申請をすることができないということに触れてくると思いますけれども、この人が新星企業事件で懲役一年六カ月、執行猶予二年の判決を受けた人であるということは御存じですか。
○末吉説明員 存じております。
○林(百)委員 それでは、いまあなたは私と刑事局長とのやりとりをお聞きになったと思いますから、これが誓約書という形になっておりますが、適正な五条の免許を受ける資格のある人であるかどうかということをもう一度あなたの方も研究をしていただきたい、こういうように思うわけです。 前田刑事局長、きょうは何か大分こだわっているような感じがします。いつもならもう少し率直に答えるはずで、それは先生のおっしゃるような意見もございますが、これは宅建業法ですからこういう解釈じゃないですかぐらいなことをせめて言うかと思ったら、ばかにかたくななことを言って、あらかじめ打ち合わせしているんじゃないかとも思われますし、あるいは週刊誌を読んだから、林さんがその質問をするとすればこう答弁するよりほかない、そうでなければ免許を取り消さなければいけないから、そういう配慮もあるか、まあこれは予測ですが、あなたに似合わない答弁をきょうはしているような気がしてしようがない。 そこで、何か言うことがあったら後で聞きますけれども、末吉さんにもその点を研究されて、もし手続に違法があってはいけませんから、研究されて確かめておいて、これは免許の許可ですから、場合によっては取り消さなければならない場合もありますから、研究しておいてもらいたいと思います。まあ二人——局長、何か答えることがありますか。私は期待していませんよ。
○前田(宏)政府委員 先ほども何回か申し上げましたように、たとえばこういう問題が起こってそういう解釈ができたのではなくて、法制局の昭和二十五年当時の解釈でも先ほど申し上げたようなことがあるということを御紹介したわけでございます。
○末吉説明員 林先生の御指摘により研究することにはやぶさかではございませんけれども、私の方では、先ほども、刑の執行猶予の言い渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した場合には、刑の言い渡しそのものが効力を失うということで、その時点で刑に処せられた者に該当しないこととなりまして、宅建業法の五条の免許の欠格事由には当たらない、こういうことで、実は宅地建物取引業法制定以来私どもこういうことで運用してまいったところでございます。そこで、室町産業につきましても、東京都の場合もこの見解に従って許可をしたものと思っておりますが、せっかくの御提案でございますので、各方面の意見を聞いてみることにはいたしたいと思いますが、私どもはそういうことでやってまいりました。
○林(百)委員 くどいようですが、前田局長、末吉さんも、せっかくの先生の御意見だから各方面の意見を聞くと言いますが、すべてあなたの言う解釈で、刑の執行を受けることがなくなってから何年という場合に、執行猶予を受けた者は執行猶予の期限さえ切れればそれでもう刑の言い渡しはなくなったからそこでいいんだ、そういうようになっていますか。これを少しあなたにいろいろの場合を当たってもらいたいと思うのですよ。専門でない建設省の末吉さんの方が弾力性のある答弁をして、いろいろ当たって調べてみましょう、私の解釈はこうだが。しかし、あなたがそうこだわることはおかしいと私は思うのですよ。だから少し調べてもらって——それは二十五年のそういうものはあるでしょう。しかし、実際あなたの言うとおりにばかり適用されてない事例もあると私は思うのです。
○前田(宏)政府委員 そうでございますから、先ほども何回かお答えをしておりますように、刑法の解釈でございましたら私が責任を持ってお答えいたしますけれども、各業法の解釈でございますからそういう解釈が行われている、内閣法制局の見解もそういうことがあるということを申し上げたにとどまっておるということを、何回も申し上げておるわけでございます。
○林(百)委員 何だかわからないような答弁ですが、とにかくいろいろあなたの方もひとつ見解を広めてもらいたいと思うのです。この問題はそれで終わります。 実は、最近有力なマスコミにこういう記事がございまして、それで若干トラブルが起きているようでございますので、これも建設省の方でひとつ事情を調査して、事態にトラブルが起きないようにしていただきたいと思うのですが、「資金ゼロにしてアパートが建つ! 土地さえお持ちなら資金づくりのご心配は無用です。一〇〇%のアパートローンで、建築費はラクに調達。しかも、ローンを返済しながらも毎月の利益は確実です。一〇〇%アパートローンで、いますぐにアパート経営をお始めください。」という記事や、「あなたは土地を提供するだけ。資金づくりの心配は、まったく無用です。しかも、企画、建設、販売、管理にいたるまで、」何々「建設グループの豊かなノウハウを活用。」云々というような記事が方々に出ております。 これを見ますと、何か土地さえ持っておれば、すぐそこにアパートや別荘やあるいはマンションが建たるような、素人が見ればそういうような記事がございまして、これが金融機関と結びついて、金融機関にローンを払い、そしてこの建設業者が保証人になるということから、建設業者と金融業者とそれから契約者との間でトラブルがあることを私、大分耳にしておりますが、この事案については御存じでしょうか。また、どういうようなシステムでこういうことが行われているか、ちょっと聞かせてもらいたいと思います。
○北村説明員 ただいま先生お尋ねのような件につきましては、実は不動産業とそれから私ども建設業双方に関係する問題かと思うわけでございます。 実は、私どものところにも、それに関しまして過去に問題ありとして苦情をお申し出になった例があるわけでございますが、いろいろ実情を調べてみますと、一概にそれがたとえば違法であるとかまた不当であるとか言えないというような事例もありまして、やはり具体的、個々的に御判断しなければならぬというふうに考えているわけでございます。したがいまして、私ども建設業を所管する立場といたしましては、具体的な事案について御相談があった場合、その事案について調査の上、建設業者を指導すべき事案があれば指導してまいる、かようなことで対処してまいっておるわけでございます。
○林(百)委員 私のところへも二、三いろいろトラブルを耳にしておりますので、適正な——何か新聞の広告だけ見ますと、土地さえあればすぐマンションが建たって、それでもうけることができるようなことになっておりますので、ちょっと広告が甘い広告ではないかと思うのですが、そこでひっかかる人もいるんだと思うのです。 たとえばローンの契約を見ますと、次のようにあるのです。銀行とローン契約をする人との間の契約で、「私が」、これは契約者ですが、「私が次の各号の一つにでも該当した場合は、貴行から通知催告等がなくてもこの契約による一切の債務について当然期限の利益を失い、直ちに債務を弁済します。」「貴行に対する債務の一つでも期限に弁済しなかったとき。」要するに、ローンを一回でも怠ったら催告もなくして直ちに全債務の弁済の義務が発生する。それで、もし保証人である建設会社がこのローンを立てかえて建設費を銀行へ払いますと、建設業者の方は銀行が持っておる抵当権の設定権だとかあるいは裁判所への仮処分の申し立ての権限だとか、そういうものを一切銀行から受けるわけですね。それで、それでもって仮処分をするとかあるいは建物撤去の仮処分をするとかいうようになると、金が払えなければ土地がまるまる建設業者のところへ行ってしまう、こういう結果も生じて泣いている人たちもおりますので、こういうことは御存じでしょうか。
○北村説明員 ただいまのローン契約というのは、金融機関からする金銭消費貸借等でございまして、契約には、先生御案内のとおり、いろいろ例文といたしまして、必ずしもその約款が実際の、たとえば裁判等になりました場合に強行できるかどうか疑問のあるような規定も入っているのが例でございます。たとえばよくございますような借家契約または貸付契約等においても、間々見られる例があるわけでございます。したがいまして、私ども御相談を受けた場合には、実は金銭消費貸借まで私ども立ち入ってあれこれするというぐあいには直ちにはまいらぬわけでございますが、建設業者がそれに絡んでおります場合には、広くその辺の諸般の状況も勘案いたしまして、指導すべき点があれば建設業者を適正に指導してまいりたい、かような姿勢で行政に臨んでおるところでございます。
○林(百)委員 ちょっと写真を北村さんにお示ししますが、もしその建設業者がこういうような欠陥、これは別荘のようですが、こういうものをつくって、そしてこれは引き取るわけにいきません、代金を支払うわけにいきません、そう言った場合に、銀行との約款がございまして差し押さえでも受けてしまえばこれは大変なことになるわけですが、そういう場合にはどういうふうな御指導をしますか。ちょっと写真を見てください。余りひどいので……(北村説明員「委員長のお許しがあれば」と呼ぶ)途中の鉄筋は露出していますし、それからふろは、これがタイルを張れなくてここだけが違う塗り物にしているとか、それからこれはこんなに離れているとか、こういう欠陥。ここはこう覆うべきものを中へはめたきり中が露出しているとか、こういう建物を建てているわけですの。
○北村説明員 ただいま委員長のお許しを得て書面を拝見させていただいたわけでございますが、この写真のとおりでございますと、私ども、完成された建築物とはちょっと認めがたいと思うわけでございます。しかし、その原因が那辺にあるか、または責任が那辺にあるか、具体的な事情に応じまして双方の御意見を拝聴した上で、私ども判断してまいりたいと思います。
○林(百)委員 わかりました。しかし、ローンの契約者が、自分がこれを利用して別荘なりマンションなりあるいはアパートなりをやる者が、こんなに洗面所が壁から離れていたり、タイルが張れなくて何か違うものが塗ってあったり、壁の中へ埋めたものがそのまま露出したりなんということをするはずがないので、これは業者の責任だと思うのですよ。ところが、業者が引き渡しをした、受け取らない、あるいはこれじゃ約束が違うからといってローンの支払いを仮に滞ったとする、すると銀行の方は銀行の方で、ローンを滞ったからということで、さっきお読みしたような銀行と契約者との間の裁判上の強制執行なり仮処分なりを受けてくるということになると、これは大変なことになりますが、そういう三者の関係を、こういう欠陥建物を建てた場合にはどういうような御指導をしていくつもりですか。これは当事者の関係もありますから、建設省が指導ばかりということは私は言いませんけれども、しかし、何とか指導してやらなければならない場合があると思いますがね。
○北村説明員 私ども、具体のケースについて御相談があれば、その金銭消費貸借の分も含めまして、実情を承った上で建設業者に対して指導すべき点があれば適正に指導してまいりたい、かように考えております。
○林(百)委員 それでは、念のために申しますと、昭和五十五年一月三十日の大阪の地裁の判決では、寸足らずの工事であることに気づきながら注文主に隠して工事を続け、代金を受け取るようなことがあれば詐欺罪に当たる、こういう判断が示されているわけですね。ローンの方へ金を契約者は払っておりますから、銀行の方ではあるいはその一部を建設業者に払っているかもしれませんですね。それでいてこういう寸足らずの工事をしたとすれば、これは一種の詐欺罪にも該当することになりますので、あなたも業者には十分注意をすると言われましたので、その点をひとつ配慮されまして、最近特にアパートを建てたりマンションをつくったり別荘をつくったりして老後の生活の保障を得ようというようなことで、新聞広告だけを見ますと、土地さえあれば金は一文も要りませんというような広告がありますから、そういうような事案が出た場合にはどうかひとつ適切な指導をしてもらいたいし、それは銀行とローンを結んでいる人も、老後の保障やいろいろで大変気の毒な人たちもいると思いますので、そういう点を十分に御指導を願いたい、こういうように私の相談を受けている事案をも含めて建設省に申し上げて、答弁を求めて私の質問を終わりたいと思います。
○北村説明員 今後とも、消費者保護の立場を旨といたしまして建設業者の指導に当たってまいりたいと存じます。
○林(百)委員 もう一つ、これで終わります。 法務大臣、いままで待たしておいて一つも質問しないで、あなた、お気の毒ですから、一つだけ聞きます。 最初に室町産業のことを質問しましたね。これはもちろん田中角榮のファミリーの企業に関する問題ですが、そういう前歴があり、あるいは党内でどういう勢力をお持ちになるか知りませんけれども、少なくとも国民から指弾を受けるようなことや、あるいは納税上指弾を受けるようなことがあれば、十分権限を行使して、前歴にこだわることなく適正な行政を執行してもらいたい、こういうように思いますが、大臣、言いにくいですか、言えますか。
○坂田国務大臣 不偏不党、厳正公正に対処いたします。
○林(百)委員 結構です。
○太田委員長代理 次回は、明後九日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十七分散会