法務委員会 第4号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/03/19
会議録
○羽田野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商業登記法の一部を改正する法律案及び船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を求めます。坂田法務大臣。 ————————————— 商業登記法の一部を改正する法律案 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○坂田国務大臣 商業登記法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 現行の商業登記法によれば、会社がその本店を移転しようとするときは、移転すべき地を管轄する登記所に商号の仮登記を申請することができるものとしております。この商号の仮登記の制度の趣旨は、会社が本店を他の市町村に移転しようとする場合に、あらかじめそのことを察知した者が移転予定地にその会社と同一または類似の商号を登記して、その会社の本店移転を妨害することを防止する点にあります。 ところで、商号の保全を図る必要性は、会社の本店移転の場合のみでなく、会社の商号または目的の変更の場合、さらには会社の設立の場合にも存するのであります。特に、最近においては、商号専用権を悪用して、会社から不当の利得を得ようとする一部の者の動きもあるやき承知しております。 この法律案は、このような社会経済情勢に対応して、商号の仮登記をすることができる場合を拡大しようとするものであります。 この法律案の要点は、次のとおりであります。 第一に、会社は、その商号または目的を変更しようとするときは、本店の所在地を管轄する登記所に商号の仮登記を申請することができるようにいたしております。 第二に、株式会社または有限会社を設立しようとするときは、発起人または社員は、本店の所在地を管轄する登記所に商号の仮登記を申請することができるようにいたしております。 第三に、今回の改正による商号の仮登記の予定期間は、一年を超えることができないことにいたしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 次に、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 現行の船舶の所有者等の責任の制限に関する法律は、千九百五十七年の海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約に準拠して制定されたものでありますが、この条約は、成立後すでに二十年以上経過し、現在では必ずしも社会経済の実態にそぐわなくなる等の問題が生じております。そのため、国際的にも、船舶の所有者等の責任限度額を引き上げ、かつ、これを定める単位を国際通貨基金の定める特別引き出し権によることとする等を内容とする千九百七十六年の海事債権について責任の制限に関する条約が成立を見るに至り、すでに英、仏等主要海運国がこの条約を批准しております。 そこで、政府におきましては、前述の千九百五十七年条約を廃棄して、この千九百七十六年条約に加入するため、今国会においてその承認方を求めているところであります。 この法律案は、千九百七十六年条約への加入に伴い、船舶の所有者等の責任の制限に関して所要の規定を整備する必要がありますので、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正しようとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、 第一に、船舶の所有者等の責任限度額を引き上げるとともに、責任限度額の算定の基礎となる船舶のトン数を国際的に統一された基準によって算定することとしております。また、責任限度額の単位は、国際通貨基金の定める特別引き出し権によることとし、従来の金価値による定めを改めております。 第二に、責任の制限主体として、新たに救助者及び被用者等を追加することとしております。 第三に、制限債権を人の損害に関する債権、物の損害に関する債券及び旅客の損害に関する債権に分けて、責任制限の効力の及ぶ範囲及び責任限度額を定めるとともに、責任を制限することのできない債権の範囲の合理化等のため所要の改正を行うこととしております。 なお、責任制限手続についても、条約への加入等に伴い所要の改正をすることとしております。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○羽田野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○羽田野委員長 商業登記法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊川次男君。
○熊川委員 ただいま提出されました法律案について、いま大臣の御説明を拝聴いたしますと、商号専用権を悪用して会社から不当な利益を得ようとする一部の者の動きがあり、それら社会経済情勢に対応して本改正案を出したという御説明でございますけれども、その社会情勢、すなわちこの商業登記法が昭和三十八年に成立しておりますけれども、そのときには今回のような問題が提起されなかったのであるかどうか、されなかったのに、社会経済情勢の変転というか、必要性に対応してできたというか、その社会情勢の具体的な変遷状況というか、特に本案を出すような特段の事情を御説明いただけたらありがたいと思います。
○中島政府委員 現行の商号の仮登記の制度が制定されましたのは、ただいま御質問にもありましたように昭和三十九年のことでございますが、その際に新設が強く要望されておりましたのは、本店移転の場合の商号の仮登記の制度であったわけでございます。それは、その直前にいわゆる東京瓦斯の事件というようなものがございまして、世間に有名であったというようなことにもよろうかと思うわけでありますが、私ども考えましても、やはり商号の仮登記の制度が一番必要なのは、まず本店移転の場合であろうかというふうに考えるわけであります。今回改正で新設を予定しております商号もしくは目的の変更に係る商号の仮登記または会社の設立に係る商号の仮登記の制度につきましては、その要望がそれほど強くなかったために商業登記法中には盛り込まなかったというわけでありますが、その際、商号等の変更に係る商号の仮登記及び会社の設立に係る商号の仮登記の制度を設けるかどうかは、将来の検討課題として残されたという次第でございます。 ところが、その後実情を聞いておりますと、こういう問題でありますから、事柄の性質上なかなかその具体的な実態というものが表に出ることは困難でありますけれども、いろいろ耳にいたしますケースといたしましては、こういう仮登記の必要を求める声が実際界に強くございます。具体的な事件を取り上げて、こういうものがあった、ああいうものがあったということではございませんにしましても、こういうことらしい、ああいう問題もあったらしいというようなことでわれわれの耳に入ってくるわけであります。それに加えまして、昨年の六月九日に公布になりました改正商法によりましては、いわゆる総会屋というものに対して規制を強化いたしております。そのために総会屋がこの商号に関連をしていろいろと利益を求めるというような動きもあるというようなことも耳にするわけでありますので、そういう可能性のある分野において今回商号の仮登記の制度を拡大して手当てをしたいというようなことを考えたわけでございます。
○熊川委員 こう伺ってよろしいのでしょうか。今回の改正に当たっては、いま話に出ましたような暴力団系統、少なくとも不穏当な手段でもって不当な利益を得ている事例は余りない、こう聞いてよろしいのでしょうか、現時点においては。
○中島政府委員 先ほども申しましたように、このような事例は表面にあらわれないものでありまして、その数とか具体的な事例を把握するということは大変困難でございます。たとえば、私ども承知しておりますのは、数年前の事例でありますけれども、東北のある地方の開発を目的とするかなり大規模な会社を設立しようとして設立の登記を申請しましたところ、その直前に、同一目的で全く同一の商号の会社の設立登記がされていましたために、やむを得ず本店を他の市町村へ持っていって設立登記をしたというような例を聞いておるわけでありまして、こういうものはいわば氷山の一角とも言うべきものであろうかというふうに考えておるわけでございます。
○熊川委員 わかりました。そうしてみると、いまのような予定していたところに本店の登記ができずに非常に苦い思いをしたというような犠牲を避けるために一般にはどのような手法が現実的にはとられていたか、もしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
○中島政府委員 商号変更の場合あるいは目的変更または会社設立等の場合に、商号の仮登記の制度が現在は設けられておりませんので、このような場合にあらかじめ商号を確実に確保するという的確な方法はございません。実際界では、やむを得ませんので、商号の登記という制度を利用して個人の商号として登記をしておくというような方法をとっておるというようなことを聞いております。それから、いわゆる実体のないペーパーカンパニーをつくって、その登記をすることによって商号を確保するというような方法をとっているようであります。いずれの方法も、これによって商号の確保を図るということには十分ではないわけでございます。
○熊川委員 個人の商号の活用ということのようですけれども、登記所などを通じてある程度その辺の活用といいましょうか、状況がわかったら計数をちょっと教えていただけますか。
○筧説明員 若干細かい数字のことでございますので、私から御説明させていただきます。 ただいま局長の方から申し上げましたように、個人商号というものを利用することによって会社がその商号の専用権の確保を図っておるという事例があるということは、私どもが現場の登記官からよく耳にするところでございます。それがどの程度の数になっているかということにつきましてのおよその推定をいたすために、かなり大規模な東京都内の登記所でございますが、そこで商号の閉鎖、これはもう要らなくなったということで閉鎖の登記をしたというような事例をもとに調査をいたしたことがございます。 そういたしますと、ある個人商人の商号の廃止がなされるのと同時に、同一の商号について会社の設立の登記あるいはまた会社の商号の変更の登記が全く同一の機会に行われるというような事例がたくさん見受けられたわけでございます。その数は、ある年の閉鎖の事件数七十七件中五十件に及んでおりまして、これはその年にその登記所で個人商人の商号の登記数として受理いたしました件数百十三件中の約四〇%にも及んでおるというような計数を把握しておりますので、個人商号の利用者の中のかなりの数が、仮登記の制度が不備なために、こういう形でいわば脱法的に利用されておると推定しておるわけでございます。
○熊川委員 ただいま脱法的というお話がありましたけれども、ある意味においては合法的というか、少なくとも違法ではない手段でやっていたのだと思いますが、そういうことがある程度わかって、あるいは予測できたにもかかわらず商業登記法制定と同時にできなかったのは、今回の改正案のようなものをつくると逆にそれこそ悪用というか乱用されるようなおそれがあることを懸念せられたのではないかと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
○中島政府委員 商業登記法制定当時のことでありますので詳細は承知いたしておりませんけれども、何分にも商号の仮登記というのは初めて新設される制度でございます。特にその必要が痛感されましたのは、先ほども申し上げましたように、いわゆる東京瓦斯の事件を契機として本店移転の場合の商号の仮登記ということが強く要望されたわけでありまして、とりあえずその商号の仮登記を新設して、そして残余の部分の商号の仮登記については今後の検討課題にしたいということであった、それがその後の情勢の変化あるいは実績の積み重ね等によって改正の機が熟してきた、こういうふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○熊川委員 しかし、考え方によるといかがでしょうか。商号についての創設、会社設立の場合と本店移転、変更の場合、これは本来パラレルというか並行に考えられるような重要な問題ではないかと思うのです。ところが、移転のときだけ優先して、創設のときにちゅうちょしたのは、乱用される危険性も相当懸念されたのではないかと思うのです。移転の場合は、すでに会社があって、それを移転というのはかなり顕著というか、相当の動きが具体化するのはつかみやすいと思うのです。ところが、創設の場合なかなかつかみにくいというようなことがあろうかと思いますけれども、本当からいうと、創設のときの方がむしろ重要じゃないかなという気がする。 私が幾つか相談を受けたケースも、会社を創設しようとして準備をしていた。そこにほかのある芳しくない人が先に登記をした。しかし、その場合においても、一坪でも三坪でも小さな店をつくって実体をつくって本登記をして、大きな会社やちょっとゆっくりしていた会社が、いよいよ株式のあらゆる手続も済んで、目論見書から不動産の登記から建物の登記までして株式募集までしたところが、内容証明が来て、これは私に商号専用権があるのだと言ってとめられた。それで、月々膨大ないわば落とし前と言うにもふさわしいような金、うっかり料と言えばうっかり料で済むかもしれませんけれども、そういうものを取られたケースで幾つか相談を受けたのですが、こういうことは法務省でもかなりおわかりだったと思うのです。 そういう状況があるにもかかわらず、やはり昭和三十九年のときには創設を盛れなかった理由が若干あったのではないかと私は推測するのですが、その辺いかがでしょうか。
○中島政府委員 確かに、ただいまおっしゃるように、創立の場合の商号の仮登記の必要性というものは、かなり大きなものがあるだろうと思っております。しかし、本店移転の場合を取り上げてみますと、本店移転の場合は、多くの場合に新社屋を建設するというようなこともございます。そういう動きが外にあらわれるということもございますし、新社屋の建設にはかなりの日数を必要とするというようなことがありますので、第三者に察知される可能性が強い。したがってその妨害を受ける可能性も強い。現に、繰り返すようですけれども、当時問題になっておりました東京瓦斯事件というものが具体的に非常に大きな問題となっておったというようなこともありまして、まず本店移転の場合の商号の仮登記を新設したということであろうかと思います。 会社設立の場合の商号の仮登記につきましては、その重要性は十分に認められるわけでありますけれども、あるいは先ほど申し上げましたような個人商号の登記というような方法で、実際上は確保とは言えませんけれども、若干その辺の手当てもしておる。実際界は必要に迫られてそういう方法もとっておるというようなことが考慮されたのかもしれませんけれども、後日の問題として残されたというように考えております。 〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○熊川委員 今度の法案、結局私は、そういう創設の場合にも温かい手を伸ばしていただいたという形で非常にありがたいと結論は思うのですが、ただ、こういうことが心配されないかなという懸念を持っております。 いままでは、本当に形だけにしろ実体をつくって、そしてA会社がある土地に出ようとするときは、それをあらかじめ半年なり一年なり二年なり前に聞知したら、その実体もつくって本登記をしていて、いざ、目指すといいますか、その相手の会社が正当な登記をしようとした段階において、商号専用権を主張して高く譲渡するとか、名目のいかんを問わず月々落とし前を取る、こういう形で、実体がある程度必要で、かつ本登記が必要だったのですけれども、今回の改正によれば、そういう実体も持たずに、しかも仮登記で簡単に先制攻撃ができるという形になりはしないかな、こういう心配があるのですが、この辺いかがでございましょうか。
○中島政府委員 確かに、おっしゃるような面からの配慮と申しましょうか、検討も必要であろうかというふうに考えております。第三者がと申しましょうか、正当ならざる方法でこの商号の仮登記を利用する者がどういう形で悪用するだろうかということを考えるわけでありますけれども、まず、仮登記だからということで、全国広く各市町村の登記所に商号の仮登記をしておくということも考えられるわけでありますけれども、これは余りにも数も多うございますし、費用もかかりますということで、事実上は余り心配しなくてもいいのじゃないかというように思います。 その次に考えられますのは、具体的に会社設立の動きがあるということを察知して、その先回りをして他の者が商号の仮登記をする、妨害をするという可能性はないかということを考えるわけでありますが、その会社設立の動きを一番よく知っているのは本人でありますから、その本人が第三者に先んじてこの商号の仮登記を利用してもらうならば、第三者がこの仮登記を悪用するというケースは防げるのじゃないか。そのためにはこの制度の新設というものを十分にPRもいたします。あるいは、この仮登記については供託金を納めるということになりますが、この供託金を適正な額にすることによって悪用を防止することができるというふうに考えております。
○熊川委員 事実上心配は少ないのではないかということで、私もそれを聞いて安心はしておりますが、しかしまた他面、考え方によると、商号とか、個人でも自然人でも氏名というようなものは、わりあい意味があって快い響きを持つものに集中する可能性があるので、いま小学校へ行って「まゆみさん」と言えば少なくとも三人から四人は立つというくらいで、地方へ行って、ある程度の業種が狭まり、そしてこれからすでにある商号を除いてつくろうということになってくると、かなり狭まるのじゃないかというようなことが一つ。 美智子さんが御成婚のときも、ミッチーせんべい、ミッチーまんじゅう、ミッチー帽子から、ミッチーのついたものはほとんど登録した人もおって、それだけで本当に何もしないで裕福に食べている人を私は知っているのですけれども、一面においては本当に腹が立つやら、商品の実体も会社の実力もさることながら、商号、商標というものに似ていますが、こういうものを保護すること、一般人にはそういうものによって相当信用の判断の基準の一助になると思うのです。 考え方によると相当の財産的価値がある、あるいは財産的価値を潜在的に持っているものだと私は思うのです。してみると、そう全国にできないだろうと言うけれども、ムードあるいは状況、経済の動き、会社の状況を聞けば案外狭められるのじゃないかなという気がしますので、この辺を、本当に会社を設立する意思がないというのを認定するのは困難でしょうけれども、会社を設立する意思が余りなくて悪用する意思があって仮登記をする人を排除するような方法が何かできれば、私はまさに百二十点かなというような感じがするのが第一点。 それから、いま供託金の話が出ましたが、供託金は具体的に幾らくらいをどういう期間で納付させるのか、ちょっと教えていただきたいと思うのです。
○中島政府委員 最初の点でございますけれども、会社設立の意思もないのに商号の仮登記をするというケースがあるのじゃないかという御質問でございますけれども、これは商業登記法三十五条の二によりましても、発起人あるいは社員が会社を設立しようとするときは、こういうふうになっておりまして、会社を設立する場合でなければ商号の仮登記はできないということは申すまでもないわけでございます。ただ、登記官の審査権の範囲ということからいたしまして、登記官としては、会社を設立しようとするものだとして添付書類をつけて申請があれば、その書類から設立の意思がないということが認められない限りは申請を受理せざるを得ないということで、ただいま御質問のようなケースも理論的には起こり得るということでございます。 ただ、われわれといたしましても、できる限りそういった事例を防止するという意味におきまして、一つには、会社設立の商号の仮登記の場合には、定款、それも公証人の認証ある定款を添付書類として提出させるということで、全くの泡沫とでも申しましょうか、そういう商号の登記をチェックするというようなことをいたしております。それから、ただいま御質問にもございました供託金を適正な額にするということも、一つのチェックになろうかというふうに考えております。 供託金の額でございますけれども、現在の制度で申し上げますと、現在は、御承知のように、本店移転の場合の商号の仮登記のみでございます。その場合は、仮登記の予定期間は三年を超えることができないということになっておりまして、共託金は政令で現在定められておりますが、最初の六カ月間は五万円でございます。それから六カ月またはその端数ごとに二万円ということになりますので、三年で十五万円ということになるわけでございます。
○熊川委員 正常に、すなわち正当に予定どおり会社をつくろうという人であるならば、またその予定期間内につくればこれは国家に没収されるわけではないのですね。そういうことになると、供託金の額は、どちらかといえばむしろ悪用者防止のために必要な額であって、正当に会社をつくろうという方々に不当に重荷にならない額ということになってこようかと思います。正当につくれば返ってくる金で、仮に一年とすれば、見方によっては、言葉は適切ではないかもしれませんが、ある程度高くてもその間の利息を損するということですから、どちらかといえば悪用者に重点を置いた額、比較的高い額というか、余り低過ぎないように、むしろ高過ぎると言われるくらいにしたらいかがかな、こんなふうに思うので、いまお話のありました当初の五万円というのは、私の考えではいささか低くはないかという感じを持つのですが、いかがでしょうか。
○中島政府委員 ただいま申し上げましたのは、本店移転の場合の商号の仮登記についての金額でございまして、これは昭和三十九年にこの制度が発足いたしましたときに、定められた金額でございます。その後の物価の上昇などを考えますと、現在ではやや低過ぎるのではないかと、ただいまの御指摘のように私も考えるわけでありまして、今回新設いたします商号の仮登記につきましては、適正な額、ただいま御質問にございましたように悪用者にとってはやや重荷になるような金額というようなことを考えて、適正な額を検討したいと思っております。
○熊川委員 改正案の三十五条についてちょっとお尋ねしたいのですが、この案文は当初から包括してずっと一項であったのでしょうか。あるいは考え方によれば、二項ないしは三項に分かれていた案はないでしょうかとお聞きしたいのです。 といいますのは、専門家ではもちろんわかりがいいのですが、この案文を読んでいきますと、第三十五条「会社は、その本店を移転しようとするときは移転すべき地を管轄する登記所に、その商号、目的又は商号」云々と、こうあるので、読んでいくと、本店を移転しようとするときは移転すべき地を管轄する登記所にその商号云々を何々せよということを規定しているのかなと思うと、そうじゃないのですね。ここで「移転すべき地を管轄する登記所に、」でぱちっと切れてしまって、その次は「その商号、目的又は商号及び目的を変更しようとするときは本店の所在地を管轄する登記所に、」といって、前の「登記所に、」とここの「登記所に、」が二つかかって、結論は「商号の仮登記を申請することができる。」こういうふうになっているようですね。 これは専門家にはわかりやすいかもしれませんけれども、素人の人が読むと、すらすらといくとどうしても一回では意味がわからない。二回も三回も読まないとわからないように思うのですが、御感想いかがでしょうか。
○中島政府委員 改正案の三十五条は、本店の移転に係る商号の仮登記、それと商号、目的または商号及び目的の変更に係る商号の仮登記、これをまとめてその登記すべき事項等を定めておるわけであります。これは、この両者がいずれもすでに成立をしておる会社がする商号の仮登記であって、その性質も同一のものというふうに考えられるところから、同じ項にまとめて定めたものでございます。 〔太田委員長代理退席、中川(秀)委員長代理着席〕 これを二項に分けて定めるということも一応は検討したわけでありますが、それでは表現がやや冗長となるというようなことでありますとか、あるいはその後の方の条文に出てまいります添付書面等の申請手続に関する規定との関連性なども考慮いたしまして、改正案のような表現に落ちついた次第でございます。
○熊川委員 わかりますが、これは本店の移転のときとそれから会社設立の商号創設のときとがもともと別個に考えられているがゆえに、ここに無理が生じたのかなというふうに、取り越し苦労かもしれませんが、思うわけです。 〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕 もともと本店の移転をベースにした法律ができていたところに今度は創設の方をぶり込むから、こういう無理がくるのじゃないか。したがって、全く別のというか、創設と移転は別なのですから、これを二項にした案文をつくる説もおありじゃないか、私はこう思います。 この辺は、ある意味においては冗長になる、あるいは申請書の後の条文の関係も考慮してとおっしゃいますけれども、法的知識の乏しい方にもわかるようにしないと、今度は中小企業に従前以上に周知徹底を図りたいという御指摘と若干矛盾をしないだろうか、むしろ、悪用されて暴力団なんかに落とし前を取られるのはそういった法的知識のない方ですから、読んで頭にすらすらと入るものになれるように御一考願えるかどうか、この辺も含めまして、特に商法なんというのは、中小企業の経営者にも関係ありますので、大臣、今回の改正が特に専門家の、このルールが裁判規範でなしに、指導の手本となるようなわかりいいものにするということになると、やはり中小企業の経営者の行動規範でなければならないと思うのですが、この辺についての、そしてまた、仮登記の今回の制度の悪用防止についての大臣の御意見を拝聴したいと思います。
○坂田国務大臣 御指摘のように、商号の仮登記の悪用につきましては、先生御指摘ございましたように、悪用者にはむしろ重荷になるというように供託金の額を定めるなどいたしまして、この供託金の制度及び予定期間の制度を設けまして、その悪用防止に配慮いたしているところではございますけれども、さらに、そういうような状態が発生いたしませんように、各法務局あるいは司法書士会等の関係団体を通じまして、このたびの制度の意義、そしてその利用方法等を本当によくわかるように周知させる、そうしてこれが本当に国民のものとなるというふうに適正な、妥当な運用を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○熊川委員 終わります。どうもありがとうございました。
○羽田野委員長 横山利秋君。
○横山委員 商号を何で保護するのですか。
○中島政府委員 企業の主体は名称によって特定をされて個別化されるわけでありまして、そのために名称が必要であって、その名称が商号であるというふうに私どもは考えております。そういたしますと、商号は企業をあらわすものということになりますので、企業の信用もまた商号によってあらわされる。企業の信用ということになりますと、第三者の企業に対する信頼、それからその反面といたしまして、企業がこれによって受ける利益、そういうものを保護するために、商号について規制し、かつ、これを保護することが要請されることになるのであろうというふうに思います。商法が規定する商号の制度というものは、このような要請に基づくものであるというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 それなら、何で協同組合は保護されぬのですか。何で相互保険会社は保護されぬ。何で個人商店は保護されぬ。
○中島政府委員 あるいは御質問の趣旨を正しく理解していないかもわかりませんけれども、ただいま申し上げましたことは、個人商店につきましてもあるいは協同組合につきましても、一般論としては妥当することであろうかと思います。 その中で、特に協同組合でありますとかあるいは金融機関でありますとか、そういう特殊の企業につきましては、また特別の意味を持って国家の規制等が行われておるわけでありますから、それ以外のものが協同組合を名のるあるいは金融機関の名称を名のるということについては、また別個の規制が行われておるということではなかろうかと思います。
○横山委員 ちょっとよくわからないですな。 商号は、あなたが言うように、登録は企業に限定されているでしょう。何で協同組合も一緒にやっておらぬか、何で相互保険会社も一緒にやっておらぬか、何で個人も商号として同一法律の中で保護してやれぬのか。
○中島政府委員 個人の商号もやはり商法及び商業登記法によって保護されておる。私、先ほど申しました企業というのは、これは法人及び個人を含むというような意味で申し上げたわけでございます。
○横山委員 商業登記としても同じですか。
○中島政府委員 法人の場合は、これは名称がない法人ということは考えられませんので、特に会社につきましては、商号は必要的な登記事項ということになります。 個人の商人につきましては、これは商号をつけるもつけないも、あるいはそれを登記するもしないも、それは本人の自由でございます。しかし、商号というものをつけ、あるいはそれを登記をいたしますと、その保護については、商法及び商業登記法によって法人、個人差別なく保護されておるというのが現在の制度でございます。
○横山委員 協同組合及び相互保険会社も、商業登記を一般企業と同じように規定されておりますか。間違いないですか。
○中島政府委員 協同組合法に商法の準用規定があるという関係がございますので、実質の保護としては同じと申し上げてよろしいかと思います。
○横山委員 実質とおっしゃいますが、この商業登記法による各規定その他は、協同組合の商号登記並びに相互保険会社の商号登記、個人商店の商号登記も、全部同一とみなしてよろしいのですか。
○中島政府委員 協同組合、いろいろあろうかと思いますけれども、中小企業協同組合法には商法の準用規定がございます。農業協同組合法はどうなっておりましたか、ちょっと調べておりませんが、必要に応じて商法の規定が準用されておる。ただいま御質問にありましたような特殊なものについても、商法の規定が準用されておるというふうに記憶しております。
○横山委員 後に譲りますが、商号と商標との法律的な相違点、商業登記法による保護と特許法による商標権の保護と、どう違いますか。
○姫野政府委員 お答えいたします。 商標というのは、商品の標識であり、商品を表彰するものであるという意味におきまして、営業について自己を表示する名称である商号と異なっておるわけでございます。 商標につきましては、先生から御指摘ございましたように、工業所有権の一つでございまして、これは商標法という法律がございまして、商標法に登録の要件とかそれからその登録の効力等々について決められております。商号につきましては、先ほど来民事局長からるる御説明ございますように、商法とかそれから商業登記法等々に規定されて保護されておるわけでございます。 商標につきましては、商号と違いまして、特許庁に出願され登録されますと、その効力は日本全体に及ぶことになっております。その点、商号の場合は市町村の登記所に登録され、その効力は当該市町村に限られるというふうに私は理解いたしております。 また、商標は、自己の業務に係る商品につきまして使用する意思があれば、当該商標を出願し登録することができることになっております。したがいまして、現に使用していない、将来使用を予定しておる商標につきましても、本登録ができるというようなことになっておりますので、商号と異なりまして仮登録といったような制度を有していないというような点でも、商号と異なっていようかと思います。 若干の相違点はこういったことでございます。
○横山委員 特許庁には先にお帰り願う関係もありますから、具体的事案について御意見を伺いたいと思います。 三菱商事に関連をする問題であります。概要を時間の関係上作文を読み上げますが、商標権の真実の所有者に返還すべきであるという問題であります。商標の不正使用に関する問題であります。 タイホン印の商標は、元来台湾合同パイン、正式には台湾鳳梨股ふん有限公司が創設した商標で、戦前は「合同」、戦後は「タイホン」とし、わが国にタイホン缶等を輸出し、長くなれ親しんだ周知の商標あるいは著名商標と言っても過言ではないほど有名な商標であります。したがって、この商標の真実唯一の所有者が台湾合同パインであるという事実は、広く一般需要者に流布、認識されておりました。 しかるに、合同パインが日本において登録をまだしていないことを奇貨として、昭和三十年ころからひそかに万光産業が登録を済ませ、その種類も手を変え品を変えて十数種類にも及び、後日これに気がついた合同パインが手も足も出ないように、多面的に連合商標として登録を積み重ねてまいりました。 かかる不必要なまでの他人の業務に係る商標を商標所有者の許可なく登録することは、ひとり商標法第四条第一項第十号に違反するのみではなく、不正競争防止法の精神にも反するものであり、とうてい許されないと思います。万光産業は、明らかに後日台湾合同パインに対して不当な経済的利益を要求するため、あらかじめ意図的にかかる登録を重ねてきたものと見て差し支えありません。現に万光産業の元社員が、将来合同パインに対しこの登録をネタに総代理店を認めさせるのだと申しております。 この不法登録に気がついた合同パインは、別紙のような確認書を三菱商事との間に交わし、商標権の返還を求めてまいりましたが、万光産業との債権が消滅した今日になっても、いまだ三菱は返却してくれません。のみならず、万光の潜称商標権と三菱の質権とをそのまま温存しつつ、新たにタイ国にある三菱の工場の製品にこのタイホン印を張って輸出することをたくらんでいるのです。これは優良な台湾合同パインの外装を借りて粗悪な三菱のパインの品質を偽るもので、善意の需要家、消費者の損害は実に甚大と言わざるを得ません。かくのごとく大手商社の優越的地位を利用して権利を侵害し、義務を履行しない態度は厳に糾弾さるべきであります。 いま出てまいりましたこの万光産業と合同パイン並びに三菱商事との関係を律するものとして、ここに確認書がございます。確認書を読み上げますと、「TPC買取りC/Qの件 (A)吾社保有C/Q全体比一八・六%のうち三一・〇五五五一%相当をTPC宛紐付けする。」等と書いてありまして、最後に、「タイホン商標権の件 当該商標権は万光産業に対する吾社」、これは三菱商事でありますが、「吾社債権整理完了の際吾社よりTPC宛返却するものとし、その間吾社にて保管する。」これは三菱商事株式会社食品マーケティング部の捺印がされております。 要するに、三菱商事はこの万光産業がつぶれかけのときに、この万光産業の持っている商標権を買い取ったのであります。合法的に行われているにいたしましても、結局はつぶれると思ったら脱兎のごとく商標権を取り上げて、つぶれた場合には一般債権者があっというようなことなんであります。そして取り上げたものは、もし万光産業に対する債権が整理完了の際には商標権を返すと言いながら、債権が整理完了したにかかわらず三菱商事が返さない、こういうことが一点ありますし、万光産業がやりました台湾のこの会社、タイホンですか、タイホンが日本に登録をしないように、したとしても防止するために、ここにございますけれども、十二項目の同じ品物のようなものであるにかかわらず、商標を十数種類特許庁に登録をして、もうこれ以上タイホン印の商標の申請は類似になるからとても特許庁が受け付けないというほどのやり方で、これは登録で見ますとこれだけの商標を設置をする、こういうきわめて陰険悪質なものなんでありますが、この種の事案について特許庁としてはどういうふうにお考えでございましょう。
○姫野政府委員 先生御指摘の事案でございますが、早速調べてみましたところ、万光産業株式会社が昭和三十年の十二月六日にタイホンという商標を登録しております。それからまた、ただいま御指摘になりましたように十種類以上の連合商標というようなものも登録をいたしております。 ただ、こういった一つの大もとの商標をとりまして、それでそれに類似した連合商標をとるというのは、これは決してこのタイホンだけに限られたことではなくて、どうも聞くところによりますと、商標というのは時代が変わってまいりますと少しずつ変更しながら使うというようなこともありまして、そういった周辺の類似した商標をとるというような慣行ができておるように聞いております。 ただ、先生御指摘のような関係、台湾で非常に著名であったというようなことがあったのかとは思いますが、何しろ昭和三十年ということになりますと、すでにもう二十六年以上経過しておりまして、登録後五年以内でございますと、無効審判請求というようなことも可能なわけでございますが、現在としてはそういったこともできないというような状況にあるわけでございます。 それから、三菱商事とのかかわり合いでございますが、万光産業が三十年の十二月に登録した後、受け付け年月日が昭和四十五年十二月十日付で、三菱商事株式会社の根質権が設定されております。 これが事実関係でございますが、一般論として申し上げますと、確かに外国の著名商標をその所有者に無断でわが国で登録するというような行為は、決して望ましいことではないというように私ども考えております。
○横山委員 私が申し上げた確認書が四十七年なんでありますが、四十七年に妥協をしたものですから、それでいまあなたのおっしゃるような不服の申し立てとかあるいは裁判で争うことがなかったのであります。四十七年に確認書を取り交わして、そして、これはひとつ債権が整理完了したらタイホンへ返しましょうということを言うておいて、それを実行しない。だから、それを待っておったために時間が遷延をされたということなんであります。 私は、このケースを顧みて、三菱商事というやつはけしからぬやつだと思うわけですね。合法的ではあるらしい。万光から商標権を買ったときも、合法的ではあろうけれども、つぶれそうな、つぶれるとわかっておるやつを急遽買って、本来ならば、つぶれたときにその商標権なり何なりというものは一般債権者の中で配分をされるべきものを、三菱商事がばっと買っちゃった。そしてつぶれたときには、あっというような債権者の顔があった。そして今度は、文句を言うなら、ひとつ銭を返してくれたら商標権を返しましょうという確認書を交わしておきながら、それをいっかな実行しないという、商標権をめぐる狡知なやり方がある。 私は、いま特許庁が別にどうと言うわけじゃないのですけれども、そういう狡知なやり方について何も手は打てないものか。もちろん、特許庁が打てなければ、本人が確認書の履行を求める裁判を提起すればいいようなものだけれども、いずれにしても相手は台湾ですからね。だから、三菱商事と言えば天下の三菱商事だから、泣き寝入りになる可能性がきわめて強いと思うわけであります。おっしゃるとおり時間もずいぶんだっている。しかし、かわいそうなもんだなという気がしますが、何かいい知恵はありませんかね。
○姫野政府委員 非常に遺憾ではございますけれども、特許庁という役所は、出願の申請がございますと、それが登録要件に合致しているかどうかという審査をいたしまして、登録要件に合致しておれば登録する、それからまた、それについて不服の申し出があれば審判でさらに審査をするというのが特許庁がやっておることでございまして、まことに遺憾ではございますが、特許庁といたしましてはそういったようなことでございます。
○横山委員 本当にこれは気の毒な状況でございますから、本人が確認書不実行の訴えを起こすということになるのか、あるいは特許庁がそんなことは別としても、通産省あたりで三菱商事に善処を促すということか、裁判になれば特許庁も参考人として出ていただくことになりますか、いずれにしても今後に待ちたいと思います。 いまの類似商標に関連して類似商号なんですが、類似商号を勝手にやっておったら五万円の罰金ですね。ちょっと安くないですか。五万円ぐらいなら、そんなものやっちまう。
○中島政府委員 類似商号につきましては、商法の二十二条でありましたか、過料の制裁があったかと思いますが、その過料は五万円ということでありましたけれども、改正をされまして、現在二十万円ということになっております。
○横山委員 二十万円払えば、適当に類似商号を使っても、別に監獄へ行くわけじゃないのですね。
○中島政府委員 過料あるいは刑事罰による制裁としてはそういうことでありまして、現在の法律のたてまえとしては、それは当事者間の民事上の問題として解決させるということを考えておるのだと思います。
○横山委員 何か東京瓦斯がこれで問題があったというのですが、どういう事案ですか。類似商号。
○中島政府委員 東京瓦斯株式会社でございますが、昭和二十七年ごろの話でございますけれども、本店を港区に置いておったわけでございます。それを中央区に移転するということを計画をいたしまして、昭和二十九年ごろまでに中央区内に新社屋を建設をいたしました。ところが、中央区内で電気工事会社を営んでおりました某が、東京瓦斯の本店移転計画を察知いたしまして、商法十九条の規定を利用して東京瓦斯の本店移転登記を妨害をする、示談金を取得しようという目的で、そのころ自分の会社の商号を東京瓦斯というふうに変更いたしまして、営業目的も、当時ガス関係の営業を行っていなかったにもかかわらず、石炭ガスの製造販売というように、東京瓦斯と同一のものに変更して登記をいたしました。そのために東京瓦斯は本店移転の登記をすることができなくなったというわけでございます。 そこで東京瓦斯は、この某を相手取りまして、商法二十一条による商号の使用の差止め及び商号の登記の抹消請求の訴訟を起こしまして、結局、昭和三十六年の最高裁判所の判決でようやく勝訴をして、本店を中央区に移転をしたというのがいわゆる東京瓦斯事件というものでございます。
○横山委員 たとえば愛知県互助会とか名古屋市何やら会とか、そういう県や市の名称を使うことについては、どう思いますか。あたかも県、市が関係しておるか、やっておるかのような印象を与える問題ですね。
○中島政府委員 公共団体の名称につきましては、各種の法律によりまして公共団体等の文字の使用が禁止されておる場合がございます。たとえばアジア経済研究所。アジア経済研究所法という法律がございまして、それにはアジア経済研究所という名称を使用禁止にしております。奄美群島振興開発特別措置法という法律がございまして、奄美群島振興開発基金という名前は使用禁止にいたしております。あるいは医療法という法律で、病院、病院分院、産院、療養所、診療所、医院その他紛らわしい名称の使用を禁止いたしております。また、軽犯罪法によりましては、官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号もしくは外国におけるこれらに準ずるものの使用を禁止しておる。それぞれ個別的な法律によって使用を禁止されておるものがございまして、これはいわゆる商号についての選択自由の原則に対する例外でございます。
○横山委員 私が言っておりますのとはちょっとベースが違うのですが、地方自治体、県、市ですね、たとえば愛知県酒類販売協同組合、これはわかるのです。しかし、愛知県という名前を使って商売をやる、営業行為をやる、純然たる営業行為だというものはどうなんだろうかということなんです。
○中島政府委員 公共団体と誤認あるいは混同をさせるような商号、特にその結果私人に損害を与えるおそれがあるようなものにつきましては、先ほど申しましたような個別法令による明文の規定がございませんでも、公序良俗に反するという見地から禁止されるというふうに取り扱っております。よくわれわれ言うことでありますけれども、たとえば興信所を営もうとする人が、公安調査局とかあるいは警視庁というような紛らわしいような名称をつけるというようなことは、これは禁止されるべきものであるというふうな理解でございます。
○横山委員 登記がされていない商号の保護及び性格はどう考えておられましょう。
○中島政府委員 登記されていない商号を使用する者は、他人が自分と同一の営業であると誤認させるような商号を不正の目的をもって使用する場合には、その使用の禁止を求めることができるというのが商法の二十一条の二項の規定でございます。 それから、不正競争防止法におきましても、同法施行の地域内において広く認識された他人の氏名、商号などと同一または類似のものを使用して、他人の商品、営業上の施設または活動と混同、誤認を生ぜしめる行為を禁止いたしております。 このように、登記されていない商号も、商号の専用権、不正目的で使用する者への差止権というものを有しておるわけでございます。
○横山委員 一体、登記をされる前と登記をした後と、商号の性格は法律上どう違いますか。
○中島政府委員 ただいま申しましたような商号の専用権というものが認められておるという意味におきましては、登記をする前と登記をする後とで差別はございません。ただ、登記をされますと、その後は登記された商号の独占力というものが出てまいります。これは商法の十九条によりまして、登記された商号がございますと、同市町村内におきましては同一営業を目的として類似の商号の登記ができないという、門前払いをされるという効果がございます。 それから、登記された商号の推定力というものが商法の二十条の二項に規定されておりますが、登記された商号と同一の商号を使用する者は不正の目的をもって使用する者と推定するという、推定規定がございます。 そういったところが主たる相違であろうかと考えております。
○横山委員 私のような素人にはよくわからないのですが、一説によると、登記前は人格権であり、登記後は財産権であるという説があります。それを聞きまして、そんな人格権と財産権と区別していいものかな。登記前は人格権で、財産権がない。まあ人格権で争うこともできるけれども、いまあなたのお話を聞きましても、登記前といえども財産権があるような御説明ですが、どうなんですか。
○中島政府委員 不正の目的をもって使用する者に対して差止めを求めることができる、損害賠償の請求をすることができるということは同じでございますので、人格権あるいは財産権というような違いは、私どもは考えておりません。
○横山委員 次は、名板貸しという妙な名前なんですが、通俗的に言う名義貸しのような気がするのですが、なぜ名板貸しと言うのですか。
○中島政府委員 名板貸しあるいは看板貸しというふうに呼ばれておるように私どもも承知をいたしておりますが、名前の由来は、よく承知いたしておりません。
○横山委員 この名板貸しで、それじゃ自分のところの商号を使ってもよろしいと言うてその商号を使わした場合の責任、貸した方の責任というものは、すべてですか、条件があるのですか。法律上はどういう区分をしておるんですか。
○中島政府委員 これを誤認をしてその名義を借りて営業した者と取引関係に立った者に対して、本人と連帯をして責めに任ずるということになっておるわけでありまして、無条件かということになりますと、まずそれは取引関係に限られるということで、一つ制限がございます。でありますから、その名板借りをした者が不法行為等によって第三者に損害を与えたという場合には、名板貸し人は責任を負わないということになります。それから、誤認をした者が善意である場合は、もちろん名板貸し人は責任を負うわけでありますが、重大な過失によって誤認をした場合には名板貸し人は責任を負わない、こういうふうに言われております。
○横山委員 こういう名板貸しで紛争が起こった事例はありますか。
○中島政府委員 具体的に準備してきておりませんけれども、私、裁判所で事件を処理しておりました場合にも、しばしば商法二十三条ということが問題になった記憶がございます。
○横山委員 個人商店が仮登記をできないという理由は何ですか。
○中島政府委員 個人商店の場合は、始めるにいたしましても移転をするにいたしましても、あるいは目的を変更するにいたしましても、それほど手続が複雑でない、あるいはその手続が外部にあらわれる危険性がないわけでありまして、その点は、会社、特に株式会社や有限会社というようなオープンの会社とは違うわけでありまして、供託金を積みさえすれば個人商人としては商号の登記ができるわけでありますから、商号の仮登記という特別の制度を設ける必要まではないという考え方でございます。
○横山委員 休眠法人について、これは四十八年の法律改正のときに、「休眠会社の整理に当っては、事前に十分なPRを行なう等、慎重に措置すること。」という附帯決議を付しておきましたが、休眠法人の法律が通った後の実績はどんなものでしょうか。
○中島政府委員 昭和四十九年にまず第一回の休眠株式会社の整理を行いました。これは改正附則の十三条によりまして十年間休眠の会社について行ったわけでありますが、その結果、二十四万五千件の休眠株式会社について整理をいたしたわけでございます。その後、昭和五十四年に、これは五年たちましたので、再び休眠株式会社の整理を行いまして、このときには約七万件の株式会社を整理をいたしております。
○横山委員 この整理はどういう方法で行われるのですか。
○中島政府委員 手続といたしましては、法務大臣が会社を指定いたしまして官報に公告をいたします。さらにその会社に通知をいたしまして何らかの申し出を促すわけでありますが、申し出がない場合には解散の登記をするということになっております。
○横山委員 法務大臣が官報に公告し、法務局が会社に通知する材料はどうやって調べるのですか。
○中島政府委員 会社側がすべき登記をしないようになって五年以上経過したという場合に、その会社を対象にして休眠会社ということにしております。
○横山委員 そうすると、日本じゅうの会社を全部見て、五年間何の登記もしていないというものを全部チェックするわけですか。
○中島政府委員 株式会社についてでございますけれども、ただいまおっしゃったとおりでございます。
○横山委員 たとえば、五十四年十二月には九十四万六百六十二の会社がある。約百万ですね。百万を全部法務局で、次から次へと、五年前から何もやってないかやっているかと、会社を全部抜き出してやるのですか。
○中島政府委員 さようでございます。
○横山委員 そして、チェックしたもので返事が来ないものは全部、おまえのところはさよならだ。自動的にですか、それとも、返事が来たもので、ごまかしの返事が来たものもチェックをするわけですか。
○中島政府委員 何らの応答がない場合には、すべて解散の登記をするということになります。応答のあったものに対しては、登記を促します。これは、株式会社については取締役もあり、監査役もあるわけでありますから、それが任期満了した場合にはその退任の登記あるいは選任の登記というものが必要になるわけでありまして、その登記がされるということになれば、これは会社として存続していくということになります。
○横山委員 何万件公告なり通知をして、その中の何%ぐらいが休眠になるわけですか。
○中島政府委員 ちょっといま数字をはっきり把握いたしておりませんので、後ほど調べてみます。
○横山委員 次は公共嘱託の問題なんでありますが、先般本委員会で、私があなたの方へ、公共嘱託法人を歴年つくれつくれと言っているんだがどうしたのだと言って聞きましたら、日司連や土地家屋調査士会の法人化に関する意見がまとまらぬという話でありましたので、別々に公共嘱託法人をつくらせて、そして連合して受託したらどうかという提議をしておきましたが、その後どうなりました。
○中島政府委員 公共嘱託登記につきましては、公共嘱託登記委員会、中央には公共嘱託登記連合委員会というものがございますが、それを法人化しようということで、私どもも方向においてそれに賛成をして御協力をしてきておるわけでございますが、その実現のためには、まず会員相互間においてどういう法人をつくるのかということのコンセンサスづくりが重要であるということは、前回この委員会でも申し上げたかと思っております。そういう趣旨で私どもこの委員会と接触をしてきたわけでありますが、来る来週の二十四日に全国のこの公共嘱託登記委員会の委員長、副委員長が東京で全国会同を開かれる、その席で執行部が公共嘱託登記受託組織の法人化の基本構想というものを示されて、そしてそこで討議をされる予定になっておるというふうに伺っております。この法人化の基本構想というものは私どもも拝見をしておりますが、これに基づいて討議が行われるということで、また一歩この方向で前進するのではなかろうかというふうに私ども期待しているわけでございます。
○横山委員 ちょっと役所の責任かあるいはその両団体の責任かわかりませんが、私の長年の気持ちからすれば、何をいつまでのろのろやっておるかという気がするわけですが、それがもしできてまとまれば、法改正を次期国会に提出ができますか。
○中島政府委員 業界においてコンセンサスが得られましてそれを実現するということになりますれば、いずれにしても法律の改正なりあるいは新法の制定なりということが必要になろうかと考えております。私どもとしてはできるだけ早い機会にそういうふうに持ってまいりたいと考えております。
○横山委員 これは長年の懸案でございますから、ひとつぜひ、遅くも次期通常国会には提出の準備をしておいてもらいたいと思います。 建設省、おいで願いましたが、公共嘱託報酬のガイドラインのあれをおととしでしたか、つくって全国的に指示をされましたが、その実績はどうですか。
○氏家説明員 お答えいたします。 最近、実態を調査したわけでございますけれども、実はガイドラインをつくりました際に、それをある程度強制できるようなものにならないか、みんなそれを守るというようなことにならないかということがございましたが、実態が非常にばらばらで、守るということになるといろいろ問題がある。そこでガイドラインという形で五十五年に出したわけでございますが、実態は依然として非常にばらつきがございまして、いまの状態ではなかなか一本に収斂してこない、こういう実態でございます。
○横山委員 何でばらばらになるのでしょうかね。要するに、安過ぎるのか高過ぎるのか、それとも団結して守る精神がないのが、どこに問題があるんでしょう。
○氏家説明員 はっきり申し上げられるほどにはつかんでおりませんけれども、実は士会の皆さんで個人的におやりになっていらっしゃる方もおられますし、それから書士会、士会でおとりになるところもある、いろいろな方がいらっしゃるわけでございます。それと国の仕組みでございますが、国の契約の仕組みというのが、原則としてたくさんの人の中から選ぶ、こういう仕組みで、そこに競争が働いている、こういうことで、仕事をとろうとすると人よりもいい仕事を安くする、こういうことがあってなかなか競争が激しいんではないか、そういうふうに考えております。
○横山委員 実績としては、ガイドラインよりも安くやっているのですか、高くやっているのですか。
○氏家説明員 高いものもあれば安いものもあれば、本当にばらばらなんです。
○横山委員 せっかく苦労してつくったガイドラインが実効がなかなか担保できないという原因の一つに、もう少しガイドラインから一歩進んだ多少拘束力のある方法が考えられぬでしょうかね。先般のガイドラインをおつくりになったときに、実績を見て覚書にするということになったというふうに聞いておるんですけれども、覚書という意味は、拘束力を持たせるという意味なのか、それとも、ガイドではあるけれども公定相場として世間周知のことにするというのか。一歩進んだやり方は考えられませんか。
○氏家説明員 実は私どもといたしましても、そういうふうにばらばらでない方が都合もいいという面もあるわけでございます。ところが、収斂させる場合に、いま申し上げましたように高いものもあれば安いものもある、こういう状態なものですから、高い方から下がってくる方は余り賛成なさらない。それから、低い方から上がっていく方は、今度は発注者側として予算措置その他でいろいろ問題が出てくるとか、そういう実態に即しての利害が必ずしも一致していない。これは発注者側、受注者側両方にそういう問題があるのではないか。そのことが、申し上げましたようにばらつきが上下に非常に大きいというところで収斂しにくい、こういうふうに考えております。
○横山委員 報酬が二月に一五%アップしたそうですね。このガイドラインをつくっても何にもならぬと言ってはなにですけれども、実効がなかなか担保できないという点について、報酬が上がったけれどもガイドラインはそのままになっておるという点はちょっと考えなければならぬところだと思いますが、その点はどうでしょう。報酬のアップに比較したガイドラインの設定ということ。
○氏家説明員 ただいま先生からお話がございましたようなことを士会の方からも私の方に申し出がございまして、そのときお話ししたことでございますが、現在のガイドラインというものがあって、それに基づいて、できるだけそのガイドラインをもう少し拘束力のあるといいますか、そういうものにしていきたい、こういう気持ちがあるわけでございます。一方、ここのところ国の財政事情が非常に厳しい、そういう状態の中でアップをしていこうということになりますと、中にはできるだけガイドラインに沿っていきたい、こういうふうに思っている人たちが、今度はなかなか出しにくくなる。ですから、個々の仕事をお受けになる方の報酬がアップするということと仕事がもっとどんどん士会の受託団の方に出ていくということの兼ね合いが非常にむずかしいですね、こういうお話をいたしまして、現在のところはそういう状態になっております。
○横山委員 困ったことだと思いますね。せっかく中央地方の公共用地の組織をつくってもらって、ガイドラインをつくってもらって、そして司法書士なり土地家屋調査士というものが健全に仕事ができるように、登記所の仕事を助けるようにというような工夫をしたものがなかなかうまくいかないという点について、民事局長、何かいい知恵はありませんか。
○中島政府委員 やはりこの問題は、土地家屋調査士なりの日々の業務に直接関係をしておるというところに、いろいろと問題のむずかしさがあるのではなかろうかというふうに考えております。先ほど私が申し上げました基本構想というようなものも、拝見いたしておりますけれども、そこにもそういった問題のむずかしさというものが随所に出てきておるわけでありますが、私どもといたしましては、そういった問題点を一つ一つ取り上げまして、それを関係者の間で御協議をいただく、そして一つ一つ解決をいたしまして、この公共嘱託登記委員会あるいは連合委員会というものを強化し充実して、その機能を高めることによって受託の適正、充実を図っていくことに努力をしたいと考えておるわけでございます。
○横山委員 建設省、どうぞお帰りください。 この間、名古屋の法務局へ行きまして、ずかずか案内をしてもらわずに職場を見てきたのでありますが、ちょうどお客がたくさん来ておるときです。そういう時間ですという説明は、そばの人に何でこんなにたくさん並んでいるのですかと聞いたのですが、そういう返事ではありました。それにしても十七、八人並んでおって、そしてテレビを見ながら待っておる人が二、三十人おるわけですね。もうちょっと能率的にやれぬものだろうかと思いました。 それから、私も法務委員をやっておるものですから、ときに頼まれれば、九州であろうがどこであろうが、ちょっと急いでいるそうだが、順番を狂わしてくれとは言わぬけれども、早くやっておってくれぬかと言って頼むときがあるわけです。登記所によって繁閑の相違はあるにしても、もう少し早くやれる工夫をどう考えているのですか。
○中島政府委員 法務局の主として登記事務の御指摘かと思いますけれども、登記事務のみならずその他の事務につきましても、事務の処理が遅滞をしあるいは事務の処理が若干粗雑化しというようなことで、国民の皆様にも大変御迷惑をかけておるわけであります。 これは根本的には事件増に人員の増、職員の増が追いつかなかったということがあるわけでございますので、やはり抜本的な解決としては増員以外にないということで、私ども増員要求を最重点目標の一つとして努力をいたしておりますけれども、何分にもこういう財政事情のもとでありますから、増員と申しましても思うだけの増員が認めてもらえるのは、これは無理な話でありますので、そのほかに事務の合理化でありますとか、あるいは機械化でありますとかいうことで、できるだけ効率よく事務を処理するようにということで努力をいたしておりますが、今後とも一層の努力をしなければならないと考えております。
○横山委員 それは行政改革のときでもあるし、定員縮減が政治的な課題になっておるわけではありますが、それにしても、これは目に余るものがありますよ。大臣も就任されてから登記所をお回りになったこともあろうかと思うのですが、ちょっと目に余りますね。待っておればぶつぶつ言う人もある。立って並んでいる人が十何人も、自分の番になる前に、いつかいつかと思って、登記所の職員の状況をみんな見ておるのですよ。なれっこになってしまえば、そういうものだと言われるかもしれませんけれども、職員は衆人環視の中で、たばこ一服もなかなか吸っておれぬ、あいつたばこ吸ってやがるというような顔して、みんな見ておりますからね。 先般もここで言ったのですけれども、行政管理庁が役所のサービス度というものを調査したことがあるのですね。サービス度が一番悪いのが登記所だという思いがけない統計が出ている。案外と思ったのは税務署です。税務署のサービスがいい。こういうサービス度、どこまで信憑性があるか、私もわからぬと思うのですが、やはりそれは、並ばせておけば、待たせておけば、そういうことになろうかと思うのですよ。サービス度が悪い。そして、お昼休みなら飯を食うのはあたりまえ、お昼休みなら外へ行くのはあたりまえ、食堂へ行くのがあたりまえですよ。おれのやつが目の前にあるのに飯食いに行きやがった、こういう気持ちにもなりますわな。どうしたってなりますよ。 もちろん、登記所も機械化しなければならぬけれども、しかし、どうしたってあれを見ておりますと、労働力が、あそこから出してきて、それを見てコピーして、そして金を受け取って、そして出す。機械化にもやはり限度がありますよ。だから、法務省の中にもそれはほかにも人員増の要求があるところがあるかもしれぬけれども、いまどうしても登記所の画期的な増員がなければならぬ。 それから、名古屋ばかり言って恐縮なんですけれども、この間ずっと見回ってみて、あれは狭いですよ。建ったのはもう十年くらい前かな。何でもうちょっと大きくしなかったのかと言ったのですけれども、隣にあります検察庁やなんかの建物がゆったり建っておるのにかかわらず、法務局、それからもう一つ何かあったな、合同になっているのですが、あそこも狭いですね。狭いから、並んでおれば、ちょっとごめんなさいと言って行かねばならぬ、座るところもない、テレビがあるのがせいぜいサービスでしょうか。普通だったら、税務署よりも一人当たりの売り上げが高いのですから国家の収入度というものが高いのですから、そこのところをもうちょっとがんばって、お客さんにもっとゆっくりしてくださいという雰囲気でもつくることに、法務大臣としてもうちょっと考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○坂田国務大臣 御指摘の点は、私も視察をしてみまして、本当に痛感をいたしております。日本の経済が非常に発展をいたしまして、公共事業等もぐっと伸びてきた、それに事務量がずっとふえてきたわけで、統計を見ましても、昭和四十五年から五十五年が一・一七倍、これは登記甲号についてでございます。また登記乙号につきましては一・九八倍、それに対しまして職員の伸びは一・一四倍にしかすぎない。五十六年で、これは推定でございますけれども、甲号について一・二一倍、そして乙号につきましては二・二七倍、人員は一・一五ということでございます。そういう実態で、しかも私、板橋あたりに行ってみましても、いま先生がおっしゃったとおりでございます。 私の熊本に帰りました際にも法務局を見てまいりましたが、ほかの官庁に比べますと非常に狭隘、そして人は多い、集中する。そして最近ではやはり車を使います。ところが、なかなかパーキングするところがないということで、こういう状況ではかなり職員がいらいらするのも無理からぬ。それがまたサービスの低下、よその官庁に比べてあるいは税務署等に比べて悪い印象を国民に与えているのじゃないだろうかと思うわけでございます。 私は、これは一面におきまして行政の改革は基本的にやらなければならない。やらなければならないけれども、わが法務省については、こういうところは余りにもおくれてしまっておる。社会の変化が非常に急速に高まっておるのに、法務局だけは非常におくれてしまっておる。これはもう少し抜本的な態度で予算要求あるいは人員の増加をいたさなければ、責任がとれないのじゃないだろうか。二面においてはサービスをよくしろと言いながら、そういうことができない状況になっておる。したがいまして、職員の方々にお話を聞きましても、当然普通の公務員としてとるべき休日すらもとれないような状況になっておる。これはもうデータで明らかになっておるわけです。それだけやはり労働が過重になっておるというふうに私は思いました。 それで、一体これをどうしたならいいか。ことしなったばかりでございましたから、基本的に概算要求段階から私タッチいたしておりませんので、十分定員の確保を実現できなかったと私は自分なりに反省をいたしております。削減が百三十三で増員要求が二百二十八、結果としてプラス三十七。法務局全体といたしまするとわずか三十七名でございますけれども、これは多い方だ。多い方だけれども、法務局だけを考えた場合、三十七名の増加で一体これにこたえられるだろうか、ちょっと私は無理なような気がいたしておるわけでございます。予算をいま御審議を煩わしておるこの段階でこういうようなことはどうかと思いますけれども、しかし、来年度以降におきまして、やはり抜本的に長期的な考え方を出さなければいけないのじゃないだろうか。 よく話を聞いてみますると、総合計画というものを昭和五十三年一月に策定をいたしておる。先生はむしろ御存じだと思うのでございますが、さらに検討委員会というものを設けまして、民事、訟務、人権擁護、この三つを含めまして、そうして民事関係が主管いたしまして、この検討委員会を発足させ、やっておるようであります。同時に、近代化あるいはコンピューターその他の導入ができないものかということでやっておるようでございますけれども、私も、ひとつ予算が終わりました暁には、この問題とは少しじっくり取り組んでみたい、首を突っ込んでみたい、またそれが法務大臣としての責務だ、かように考えておるわけでございまして、ひとつ皆さん方の御協力をむしろお願いをいたしたいと思っております。
○横山委員 人も少ないせいもありますが、法務局のいまの仕事は形式的審査主義ですね。昨年来私が不動産登記法の問題で見に行ったかと言ったら、見に行った、申請地を見に行った。本当に見に行ったか、見に行った。全部見に行ったかと言ったら、手がないのでそうは行けない。 それから、例は余りよくないのですけれども、いま不幸にして落選しておられる自民党の代議士さんで、独身なのにいつの間にやら奥さんができておった、結婚届が出されて登記されていた。それから、賀陽宮殿下もいつの間にやら奥さんが戸籍に入っておった。 これは戸籍の問題ですけれども、人間も少ないせいもあるが、書類ができておってきちっとなっておれば登記をする。犯しても、そんなものは私ども審査するところではありませんと言う。実質的審査主義へ非常に憶病ですね。おかしいと思ってもやらぬのではないですか。実質的審査主義への前進ということについては、民事局長はどうお考えですか。
○中島政府委員 登記のことに限って申し上げたいと思いますが、権利の登記につきましては、登記制度のあり方から申しましても、また仕事の処理の範囲の問題から申しましても、やはり形式的審査ということでいいのではないかというふうに考えております。 ただ、新しくできました表示の登記という点につきましては、これは本来形式審査ではなくて実質審査のものでありまして、その地目が何であるかという点につきましては、これはまさに実質そのものでありますから、登記官は権利の登記をやっておるときとは頭を切りかえて仕事をしなければならないということで、常々そういう指導もいたしておるわけでありますけれども、何分にも権利の登記というものが仕事の大部分を占め、しかも長年それになれ親しんできた登記所の職員といたしましては、なかなか頭の切りかえができないというような点もあろうかと思っております。その点をさらに徹底させる必要があろうかというふうに考えます。
○横山委員 先般、私のところへきちんとした投書が来ました。商法の問題なのでありますが、「一監査役」という匿名であります。 商法を実効あらしめる重要な支柱である法務省令案は、二月三日の法制審議会で、最も問題となる附属明細書による「無償供与の開示」の問題で、経済界委員は権限が強化された監査役の記載があれば十分ではないかと省令原案に強硬に反対し、学界委員からは、取締役にも責任を分担させる意味で、少くとも「問題点」に示された程度の附属明細書による開示は必要だとの意見が述べられ、強行採決はまずいとの中で部会長の一任の形となり、さらに詰めが進められると伝えられております。 これにつき甚だ失礼ではございますが、一監査役の苦ちゅうを述べさせていただきます。 たしかに四十九年の商法改正以来、監査役の地位が向上し、大物監査役、理想的な監査役も以前よりは増えましたが、まだまだ地位が弱い監査役が多いのも事実でございます。(法律上の立場は立場として、日本の現実では社長の考え方或いは監査役個人の前歴等により、努力はしても、実際上は壁の厚いことを痛感します) 今回の商法改正の趣旨を生かすためには、取締役サイドにこれに相応した責任(開示義務の懈怠につき、直接取締役の責任が生ずる)、無償供与の明細のディスクロージャーの義務を負わせ、これと併行して、監査役は監査役としての最善をつくすという形でなければ無償供与の正確な把握は不可能に近いと思われます。(総会屋関係についての罰則規定は大きな力となりますが)監査報告書による報告のみとなり「無償供与についての責任判定は監査役に」という態度を取締役以下のラインにとられますと、監査役は実態としては負担を負い切れず、余りにも苛酷であると思います。 現在の「問題点」でも開示は一般管理費のみで、他の費目によるものは監査役が責任を負います。「開示」あっての「監査」が監査の典型であり、できるだけ立法によりその場を作っていただきたいと思います。特にラインが隠したがるものを監査役が裸かで追いかけるには限界があると思います。法務当局がご苦心の結果「問題点」に示された開示及び監査報告書の内容が現実的にも理論的にも監査役の責任の限界と考えます。 監査役個人は企業内にあるため企業を代表する経団連と相反する独自の意見を言いづらく、今少し強力なるべき日本監査役協会の声も参院法務委員会における中野拙三前会長の発言を除いては実に小さいものがあります。我々は歩一歩地位の向上に努力したいと思いますが、現状では「問題点」のレベルを遂行するのが精一杯です。 真偽の程は存じませんが、省令は国会の了承が事実上必要だとの話を聞いた事があります。何卒ぞ国会決議の「営業報告書」「附属明細書」の社会的責任の線に沿い、政治的圧力との妥協として弱い監査役にしわよせする事によって問題を処理することがないよう、即ち「問題点」のレベルで省令を作っていただきたいと願っております。 強大な取締役と株主の板バサミになった監査役が「ノイローゼ」「廃人」「自殺」に追いこまれないよう、あるべき筋を通していただきたく、ご賢察の程、伏してお願い申し上げます。非礼の段、重ねてお詫び申し上げます。こういう非常に痛切な要望があるのですが、現状はどういう状況ですか。
○中島政府委員 確かに、ただいま御指摘ございましたように、監査役の監査報告書、監査結果というものにすべてをゆだねるということでは不十分であるという御意見があるわけでありまして、私どもも、それはおっしゃるところは理解できるというふうに考えておるわけであります。監査を充実いたしますためには、一つには監査役の地位を高める、監査役の独立性を強化するということが必要であろうと思うわけでありまして、そのための若干の手当ても今回の改正法でしたわけでございます。 もう一点は、監査の前提になる開示ということが必要であろうというふうに考えておるわけでありまして、その開示というものも、監査役の監査がやりやすいように、監査役の監査を実効あらしめるにふさわしいものであるような、その程度のことは少なくとも必要であろうということを考えておるわけでありまして、その具体的な内容について現在調整中というところでございます。
○横山委員 いつごろできますか。
○中島政府委員 三月いっぱいということを目途に作業を進めてきておりますが、若干四月にずれ込むというようなことがありましても、そう四月の末とか五月とかということにならないようにしたいと思っております。
○横山委員 最後に、商法改正をいたしましてから各地で座談会なりあるいはまた国会の状況についての意見も聞かれるのですが、その中で注目に値するのが総会屋の問題であります。 最近、総会屋が非常にいろいろな商法改正対策を検討しておるということだそうでありますし、大手企業も法務省から人を呼んで、総会屋対策に商法の改正についてどういう点を注意すればよろしいかということを、あなた方が行って教育しているそうであります。何か聞くところによりますと、総会屋としては何とか合法の線で自分のところの仕事をする、たとえば業界紙を発行する、たとえば株主になる、たとえばたとえばというふうで、合法的な線すれすれのところをやる。会社の方は会社の方で、総会屋のつき合いを断るわけにいかないので、どうやったら商法に触れないか、事実上はいままでどおりにして、法に触れない方法はどういう方法ですかということで、大企業はそちらの方に頭が行っておる、こういうことなんだそうであります。 こんなことでは何にもならぬのであります。業界紙にしても健全な業界紙があり、それからページわずか数枚ぐらいで、場合によっては二枚刷りの機関紙を出して、その購読料だというふうにやれば、これはあれじゃないか。だから、従来から健全な業界紙で広告を取ってやっておったものが本法に触れるのではないか、総会屋のなだれ込みが業界紙の中へ来るのではないか、なだれ込みが来ないにしても、自分のところは健全な業界紙であって、広告をもらってやっておったやつが商法に触れるおそれがあるのではないかということなのであります。 私は、業界紙の諸君に言うておるわけでありますけれども、あなた方、それならまじめな業界紙がちゃんと組織をつくって総会屋のなだれ込みを防げばいいじゃないか、あなた方も社会的責任を感じてめちゃくちゃな広告取りはやめたらどうか、そうして、会社にわれわれの組織は健全なものであるから従来どおりおつき合いを願いたい、悪いことは一切いたしませんというふうに自分たちでもやればいいではないかと言ったわけでありますが、物事はそう簡単ではないというわけだそうであります。 この点について改正法の実行状況、特に総会屋対策についてどういう手を打っていますか。
○中島政府委員 改正商法が規制の対象といたしましたのは、あくまでも株主権の行使に関して金品の供与が行われるということを規制しようということであったわけでございます。そうなりますと、ただいま御質問にもございましたように、あるいは業界紙を発行してその購読料名義に金品をもらう、あるいは広告を載せるということで広告料名義のもとに金品を取るというようなことがないだろうかということが当時から懸念されたわけでございますけれども、私どもは、やはりそれは購読料という名前であり広告料という名前を使いましても、それが果たして実質購読料であり広告料であるのか、あるいはそれは名前だけのことで、実質は株主権の行使に関しての金品の供与であるのかということは、これはおのずから明らかな差があるのだということで申し上げてきたわけでありまして、そのことは、その後の動きを見てみますと、確かに一面において、いわゆる総会屋が業界紙の発行の仕事に手をつける、一方において、業界紙を従来から発行してこられた方々が会社から購読料の支払いを拒まれるというようなケースもあるというふうに聞いておるわけであります。 その限界のケースはいろいろあろうかと思いますけれども、私は、やはりその制度の本来の趣旨からいたしまして、業界紙の発行と、総会屋が株主権の行使に関して金品の供与を受けることとは全く別物である、だから、そこのところは会社においても、あるいは株主におきましても、あるいは警察の取り締まりにおきましても、区別をしてやっていただきたいということを申し上げておるわけでございます。
○横山委員 何人も株主権の行使に関しというところに実は問題があるような気がするのです。何人もということは、総会屋ばかりではありませんね。それから、株主権の行使に関しという意味は、株主であろうとあるまいと関係なくという意味ですか。
○中島政府委員 そのとおりでございます。当時問題になったわけでありますけれども、それは業界紙の人でありましても、それがたまたま株主権の行使に関して会社と接触をして金品を取るという場合には、規制の対象になるということでございます。
○横山委員 終わります。
○羽田野委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十六分開議
○羽田野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鍛治清君。
○鍛治委員 商業登記法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げたいと思います。 基本的なことからお尋ねをしてまいりたいと思いますが、まず最初に、商号の仮登記の制度、これはいつごろ設けられたのか、この点からお聞きをいたしたいと思います。
○中島政府委員 現在の商号の仮登記の制度は、本店移転に係る商号の仮登記のみでございますが、この制度が設けられましたのは、昭和三十八年に現在の商業登記法ができましたときに新設されたものでございます。この法律は昭和三十九年四月から施行されております。
○鍛治委員 この商号の仮登記につきましてはどういう効力があるのか、この点もお聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 商号の仮登記につきましては、類似商号の登記を妨げる効力については商号の登記と同じに扱うことになっておりますので、商号の仮登記をしておきますと、それと同市町村内におきましては類似の登記は同一営業に関してはできないことになります。
○鍛治委員 商号の登記と同じ効力が類似商号の問題についてはあるというお答えでございましたが、別な面からちょっと考えまして、商号の登記の効力というものが同一市町村に限られているということについては、現在日本における企業の経済活動の実態、こういうものから見て大変問題があるのではないか、こういうふうに思いますが、この点についてはいかがでしょう。
○中島政府委員 商法十九条によりますと、「他人ガ登記シタル商号ハ同市町村内ニ於テ同一ノ営業ノ為ニ之ヲ登記スルコトヲ得ズ」と規定されておるわけでございます。この条文は、登記商号の排他的効力の地域的範囲を同市町村内に限っておるわけでありまして、その結果、同一市町村内における登記商号と同一、類似商号の申請は却下されることになるわけであります。 登記商号の排他的な効力、これをどのような地域的範囲に限るかということにつきましては、これは一つの問題であろうかというふうに考えるわけであります。一面におきまして、商号につきましては商号選定の自由原則というのが認められておりますので、この原則から考えますと、登記商号の排他的効力の地域的範囲は狭い方がよいということになります。他方、商号が商人の営業の同一性を示すものであるという本来的性質から考えますと、その商人の営業が及ぶ限りにおいて広く登記商号の排他的効力を認めるべきであるという意見になってくるわけであります。さらには、登記商号の排他的効力に反する類似商号の登記申請をチェックする登記所の事務処理体制ということから考えてみる必要もあるわけでありまして、そうなりますと、登記商号の排他的効力の地域的範囲が余りにも広くなり過ぎるということは、類似商号のチェックが事実上実施不可能になるということになるわけであります。 以上、申しましたような諸点を総合的に判断をいたしまして、商人一般の通常の平均的な営業範囲、登記所の配置状況などをもあわせ考えますと、登記商号の排他的効力の地域的範囲を同一市町村内に限ることは、なお合理性があるのではないかと考えております。
○鍛治委員 現時点においてこういう商号の仮登記制度拡大ということになっているわけでありますが、その理由をまず最初にお聞きします。
○中島政府委員 先ほども申しましたように、現在の商号の仮登記は本店移転の場合にのみ認められることになっておるわけでありますが、この商号の仮登記によって商号をあらかじめ確保しておかなければならない必要性というものは、本店移転の場合に限りませんで、今回改正法案として準備しておりますように、あるいは株式会社、有限会社を創立しようとする場合、あるいはすでに成立をいたしております会社が商号を変更しようとする場合、さらには目的を変更しようとする場合にも必要であると言わざるを得ないわけであります。 昭和三十九年に現在の商号の仮登記の制度が新設されましたときには、その中でも特に必要性が強いと思われ、かつ実際界からも要望が強かった本店移転に係る商号の仮登記をまず新設いたしまして、そしてその他の商号の仮登記については将来の研究課題として残したわけでありますが、その後の経済界の実態あるいは実績の積み重ね等によって、今回、その他の商号の仮登記を設ける必要があるという判断に達したわけでございます。
○鍛治委員 この点については、いわゆる総会屋対策の一環としてというふうにも言われておりますが、この点についてはいかがでしょう。
○中島政府委員 総会屋対策ということになりますと、その一番のポイントは、前通常国会で御審議をいただきました改正商法における株主権の行使に関する金品の供与の禁止、いわゆる商法二百九十四条ノ二の改正が中心になろうかと思うわけでありまして、今回の商号の仮登記制度の拡大の問題は、その一環といえば一環ということになるかというふうに考えております。
○鍛治委員 現在までの商号の仮登記制度の利用状況、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 商号の仮登記、これはもちろん本店移転に係る商号の仮登記の利用状況でございますけれども、件数を申し上げます。 昭和五十五年におきましては百二十六件でございます。五十四年は五十一件、五十三年は六十六件、五十二年は八十六件、五十一年は五十三件というような数字になっております。
○鍛治委員 これまでに会社の商号の変更、目的の変更または設立のときに商号の仮登記が認められていなかったわけでありますが、このことによっていわゆる総会屋なる者から金銭の供与を求められたというふうな事例があったのかどうか、この点、おわかりでしたらお聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 会社の商号変更、目的の変更または会社の設立の場合に、それを妨害をされまして金銭の供与を求められるというような事態があり得るわけでありますから、その事態を避けるために会社は、やや脱法的な手段でありますけれども、個人商号の登記をするなどの方法によりまして商号の専用権の確保を図っておるというのが実態でございます。このことは、とりもなおさず、このような形で商号の専用権の確保を図っておきませんと金銭の供与を求められるというような場合があるということを推測させるわけでありますけれども、それじゃ、果たして実際に金銭の供与を求められた、そういう事例、実態があるのか、どうなっておるのかということになりますと、その実態を把握することはきわめて困難でありまして、具体的な事例ということになりますと、私ども的確には把握していないということでございます。
○鍛治委員 具体的に把握していないけれども、そういうものはどうもあったと思われる、そういうようなことからの必要性があって今回本制度を拡大しようということになったのだと思いますが、そういうことになるわけですか。
○中島政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○鍛治委員 供託金についてお尋ねをしたいのですが、これは没収される例が過去にもあったと思うのですけれども、どの程度あったのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 供託金のうち没収された件数、金額等につきましては、全国的な数字は把握しておらないわけでありますけれども、参考として、大規模庁であります東京法務局の供託課及び大阪法務局の供託課において調査をいたした数字がございます。東京法務局供託課の調査の結果によりますと、五十四年度におきまして十七件、金額にいたしまして百七十三万円ということになっております。五十五年度は十二件、百三十万円でございます。大阪法務局供託課における調査の結果では、五十四年度も五十五年度も、いずれもゼロ件ということになっております。
○鍛治委員 本店の移転と同時に商号の変更、目的の変更をする場合に、本店の移転すべき市町村におきまして新たな商号、それから目的で商号の仮登記をするということができるのかどうか、この点をお尋ねをいたします。
○中島政府委員 今回準備しております改正法案におきましては、本店移転と同時に商号または目的を変更する場合、本店を移転すべき地に商号の仮登記をすることはできないということになります。
○鍛治委員 できない理由というのは、どういうことにあるのでしょうか。
○中島政府委員 現行法におきましては、現在たとえば港区で登記しておる甲という会社の本店を将来中央区に移転したいので、中央区でその権利を確保しておきたい、そういう商号の仮登記が認められておるわけであります。それを今回の改正におきましては、港区で登記しておる甲という商号を将来乙というように変更したいので、港区でその仮登記をするという点までは広げるわけでありますけれども、現在港区で登記しておる甲という商号の会社を将来中央区に移転をして、しかもその商号を甲から乙へ変更したいので、中央区で乙という商号の権利を確保しておきたい、こういうケースであろうかと思うわけであります。 理論的に考えますと、確かに御指摘のような本店移転と同時に商号または目的を変更する場合の商号の仮登記というものも認めることは可能であろうかというふうに考えます。しかし、そういった事例は非常に少ないのじゃなかろうかということを思うわけであります。反面、そういった商号の仮登記を認めますと、その手続なり登記なりが少し複雑になり過ぎるのではないかというようなことを考えまして、今回の改正には取り入れなかったわけでございます。
○鍛治委員 先ほどのお答えにもありましたように、本制度拡大については総会屋対策ということもその一環としてあるのだ、御答弁があったわけです。これは総会屋対策という目的をはっきりさせるため万全を期するためには、いまのような場合でも、いろいろ難点はあるようですが、商号の仮登記を認めた方がいいというふうに思うのですが、その点についてどういうお考えか、再度お答えいただきたいと思います。
○中島政府委員 ただいま申しましたように、理論的には考えられる制度でありまして、そこまでやる必要があるかどうか、相当かどうかという問題でありますので、将来の検討課題にさせていただきたいと思います。
○鍛治委員 現行の仮登記の運用状況から見まして、この制度が乱用されるといいますか、可能性、逆に言えばこの実効性というものは本法が施行されたときにどの程度あるのかなというふうにも思うのですが、この点についてのお考えをお聞かせください。
○中島政府委員 先ほども申しましたように、五十五年におきましては本店移転に係る商号の仮登記というものが百二十六件ということになっておるわけでありまして、本店移転の申請が年間約二千件ぐらいあるということを考えますと、その約六%ぐらいのものについて商号の仮登記があらかじめされるということになるわけであります。 今回新設を考えております商号の仮登記がどのくらい利用されるかということでありますけれども、同じように約六%ぐらいのものが商号の仮登記をされるということになりますれば、大体二千件から三千件、あるいは三千件から四千件ぐらいの商号の仮登記が申請されるのではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、それと従来、制度がありませんために個人商号の登記あるいはペーパーカンパニーの登記によって商号を確保しておる事例がかなりの数に及んでおるということを考えますと、今回の新制度によってかなり実際にも役立つ申請がされるのではなかろうかというふうに考えております。
○鍛治委員 いわゆる総会屋の商号専用権の乱用ということについては、商号の仮登記制度の拡大によらずして他の方法といいますか、たとえば商法第二十一条、不正競争防止法第一条第一項、第二項等で対処するというようなことはできないのかなというふうにも思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
○中島政府委員 確かに商法二十一条というような規定もございますし、あるいは不正競争防止法というような法律もあるわけでありますけれども、これらの条項によって商号の専用権の乱用の防止を図るという方法といたしましては、訴えを提起しなければならないわけであります。終局的には訴訟を提起して裁判によらなければならない、そういう事後的な対応措置ということになるわけであります。その目的を達成するまでには相当の時間と手数を必要とする。いわゆる総会屋等の事件屋に対する適切な対応策とは必ずしもなり得ないのではないかとおそれるわけであります。 それに対比いたしまして、商号の仮登記の制度は非常に簡単な手続によりまして事前に商号を保全することができるわけでありまして、商法二十一条あるいは不正競争防止法一条一項などの規定よりもはるかに直截的に権利の保全が図られることになるわけであります。
○鍛治委員 現行の商号の仮登記の予定期間というものは何年になっているのか。 それからまた、新設の商号の仮登記において商号変更等までの予定期間を一年、こういうふうにしているわけですが、その理由、これをお聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 現行の商号の仮登記は、先ほども申し上げましたように、本店移転の場合の商号の仮登記でございます。その予定期間は三年を超えないものとされております。これは一般に、本店の移転の際には新社屋を建設する場合が多いわけでありまして、その建設期間等を考慮して定めたものであります。 今回新設を準備いたしております商号の仮登記につきましては、これは予定期間は一年を超えることができないものというふうにしたいと考えております。それを一年にいたしました理由は、会社の商号あるいは目的を変更するためには、株式会社にありましては株主総会、有限会社にありましては社員総会の決議が必要でありますが、この株主総会とかあるいは社員総会などは一般に毎年一回開かれるのが通常であるというようなことを考えますと、やはり予定期間としては一年ぐらいは見ておかなければならないのじゃなかろうかというようなことであります。また、会社の設立に要する準備期間ということになりますと、一年も見ておけばいいのじゃなかろうか、そういうことから予定期間を一年としたわけでございます。
○鍛治委員 登記実務の方からちょっとお伺いしたいのですが、類似商号の判断というものは各登記所の登記官に任せられているという実情があるようでありますけれども、これは登記所によって判断がまちまちと言うとちょっと言い過ぎかもわかりませんが、区々に分かれることがあるというふうにもよく聞くことがあるわけです。これらについて、類似商号の判断基準をはっきりさせる必要があるというふうにも思うわけですけれども、こういうことに対する基準等があれば、お聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 類似商号の判断は、専門的な見地からではなくて、一般取引上の見地からしなければならないということになっておるわけでありまして、通常は、二つの商号の間に文字上の類似があるかどうか、あるいは発音上の類似があるかどうか、観念上の類似があるかどうかというような三つの要素を中心に、類似か否かの判断をしておるわけでありまして、その判断が登記官によって異なるということは、本来ないというふうに思っております。 登記官がその判断をするに当たっては、地域性というようなものも考慮しなければならない場合もあるわけでありまして、ただいまおっしゃいましたように、登記官の個別の判断にゆだねられておるわけであります。事実上、若干の不統一は避けられない点があろうかとは思いますけれども、登記官といたしましては、過去の行政先例を比較検討いたします、なお疑義がある場合には本省等にも照会をして指示を求めておるわけでありますから、その判断に不統一がないというふうに考えております。 なお、判断基準ということでありますけれども、これは数多くの処理例が積み重ねられておりますので、その間におのずから一つの基準というようなものができ上がっておる、これをはっきりした形であらわすことは困難な面があろうかと思いますけれども、関係者の間にはおのずから一つの基準ができ上がっておるというふうに考えております。
○鍛治委員 会社設立の際の商号の仮登記でありますが、これを株式会社と有限会社に限って認めた理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
○中島政府委員 それ以外の会社ということになりますと、合名会社あるいは合資会社ということになるのでありましょうけれども、これらはいずれも個人的な会社であります。その設立の手続も簡単でございますし、その設立が外部に知れるという可能性も少ないわけであります。その点、株式会社あるいは有限会社はこれと異なりまして、関係者も多い、手続も定款の作成から創立総会というようなことになるわけでありますから、その設立の気配というものが外部の人に察知される機会も多いわけでありますので、その場合に限って商号の仮登記を認めることにしたわけでございます。
○鍛治委員 先ほど局長からお答えいただいた中にも若干触れられておりましたので、重ねての御質問のような形になるかもわかりませんが、本制度が仮に実施された場合に、総会屋対策という立場からして本制度が利用されてくるということも考えられるわけですけれども、その利用の見通しということについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○中島政府委員 いわゆる総会屋対策ということになりますと、先ほど申し上げたわけでありますけれども、企業自身の姿勢に関係するわけでございます。これに対する法律上の直接的な対策といたしましては、利益供与の禁止の規定があるわけでありまして、この今回の改正は総会屋を含むいわゆる事件屋等に対する対策の中心と申しましょうか、決め手となるものではないわけでありますけれども、これらのものの入り込む余地を少しでも少なくしようとする意味におきまして、総会屋対策の一部とはなり得るのではないかというふうに考えております。
○鍛治委員 私も、総会屋総会屋と大変こだわっているわけでありますが、やはり企業から総会屋に流れておる金というのは、いわゆる水面下のブラックマネーということにもなるのではないかという気もいたしますし、さらにはそういう収入も確定しにくいということになりますと、果たして税金を納めているのやらどうやら、私は恐らく税金も納めていないのではないかという気もいたしますし、そういうアングラのお金というものは絶滅して、明るいところへ出しながら効果的に運用すべきであろうという考え方もございますので、総会屋総会屋ということでお尋ねしたわけですが、本法案に関連して、総会屋という立場からちょっと具体的に何点かお聞きしてみたいと思うのです。 最初に、警察庁からもおいでいただいておると思いますのでお尋ねいたしますが、改正商法が昨年国会を通過して本年十月から実施されるわけであります。この実施を前にして、総会屋の動きとかそれに対応する企業の動きとかいうものがいろいろと大変なことになっておる。微妙でもあるし、非常な目まぐるしい動きもあるように聞いておりますが、この最近の動向について、警察庁の方でおわかりの範囲でお聞かせいただきたいと思います。
○関口説明員 お答えいたします。 お尋ねの点につきましては、総会屋取り締まりに当たっております警察といたしましてきわめて強い関心を持ちまして、現在第一線の警察におきまして鋭意その実態把握に努めているところでございます。 まず、お尋ねの総会屋の最近の動向でございますけれども、総会屋は、改正商法が施行後は株主権を盾に活動いたしますれば検挙されるということから、総会屋を廃業しようという動きが出てきておりまして、まことに好ましい傾向かと思います。ただ反面、悪知恵を使いまして脱法的に生き延びようというふうな動きも見られるわけでございます。たとえて申し上げれば、一つには出版業者と申しますか、ブラックジャーナルの方へ移行をいたす、そして出版物をメーンにいたしまして企業から購読料なりあるいは広告料という形で収入を確保しようという動きが一つ見られますし、また一方におきましては、政治団体等を標榜する団体と申しますか、そうしたものに移行する、そして企業から政治献金を名目にいたしまして金銭を得ようというふうな傾向も見られます。さらにはまた、総会屋を表面上廃業し、あるいは副業というふうな形でさまざまな業態によりまして、従来の企業とのつながりをてこにいたしまして企業をお得意にするというふうな形で収入を確保しようという動きも見られているところでございます。 それから、企業側の問題でございますけれども、全国の企業防衛組織を中心にいたしまして、多くの企業では現在きわめて真摯に総会屋排除に取り組み始めている。 私ども、まことに総体的な感じでございますけれども、そんな見方をしているところでございます。
○鍛治委員 こういう動きの中で、過去になるとは思いますが、ないしはこの改正商法施行までのことになるかもわかりませんが、ここらあたりで企業からそういう総会屋等に動いておった金、推定で年間どのくらい動いておったと考えられるのでしょうか。もしおわかりでしたら、警察庁の方からお答えいただければと思います。
○関口説明員 お答えいたします。 若干古い数字で、またあくまでも推計したものでございますけれども、私ども五十四年の当時に、警察部外の有識者なりあるいは科学警察研究所の協力を得まして、暴力団がどの程度の収入を得ているのかというふうな推計をしたことがございますが、その中での総会屋の収入というふうなものを見てみますと、当時で年間約四百億ぐらいというふうなことであったと思います。
○鍛治委員 先ほど動向のことについてお答えいただいた中で、総会屋が雑誌社に転向し、雑誌広告等について掲載料を取るというふうな動きが出ているということでございます。これは取り締まる立場から、法律論、実際論というものが出てくるんだろうと思います。ちょっと具体的な問題になりますけれども、こういう雑誌広告について利益供与とならない広告料ということについて、そういう基準といいますか、どの程度考えられるのか、さらには、これをだれがどういうふうにどこで判断するのか、こういった点についてお聞きをしたいと思うのです。これはいま申し上げたように法律論、実際論、取り締まる側の方からいった立場というのがあると思うのですけれども、法務当局と警察当局の御見解をそれぞれひとつお伺いいたしたいと思います。
○中島政府委員 商法二百九十四条ノ二の問題として私から申し上げたいと思います。 広告料の名のもとに金品が供与された、こういうことでありますけれども、その実体も広告料であるということであるならば、これは商法二百九十四条ノ二の問題ではなくなります。しかし、名前だけがそういうことであって実体は広告料ではないということになりますと、受け取る人が総会屋ということでありますと、株主権の行使に関しての授受であるという認定、これはあくまでも個別の事案事案における事実認定の問題でございますけれども、株主権の行使に関しての金品の供与であるという認定になるケースが多いかと思うわけであります。そうなりますと、これは二百九十四条ノ二の規制するところであるということになります。 それをだれが判断するのかということでありますが、まず第一には、供与する会社側の取締役なり会社の社員なりが判断をするということになります。事後においてそれを監査役がさらに判断をするということになります。争いがありますれば、株主がその返還訴訟を起こすというような制度も認められておりますから、それは訴訟を起こす株主が判断するということになるわけでありまして、最終的な決着は民事訴訟の場でつけられる、こういうことになろうかと思います。
○関口説明員 お答えいたします。 改正商法の四百九十七条が禁止しております行為といいますのは、株主権の行使に関しまして財産上の利益を供与あるいは受供与するということでありますので、いかなる名目であれ、その供与や受供与が株主権の行使に関してなされるものである限り、法に触れるということかと存じます。 それでは、具体的にどういう行為があるいはどの程度の範囲がというお尋ねでございますけれども、それは個々具体的なケースで判断いたすことになろうかと思います。 いずれにいたしましても、私ども取り締まりの立場からいいますと、法に照らしまして厳正な対処、措置を講じてまいりたい、かように考えているところでございます。
○鍛治委員 私は、いろいろな人と話し合っているときに、抜け穴的にいろいろ考えられていくのではないかという中で、そういうことがないようにきちっと取り締まりをしていただきたいし、法の運用もしていただきたいという意味で、ちょっと立ち入った細かいことでお尋ねをしているわけです。 もう一点お尋ねをしたいと思うのですけれども、経済雑誌等に暴露、中傷記事を会社が仮に書かれるというようなことがありますと、このことについてはその会社の総会の議事には影響はない、しかし会社のイメージダウンには完全につながってくる、こういうような事例があった場合に、会社がこれを防止するために、やむを得ずといいますか無償に近い供与を行うというおそれもあるのではないか、ここらあたりも抜け穴の一つになるのではないかというような心配をするわけでありますが、こういう事例が仮にあった場合、これは株主権の行使につながらない、また利益供与の禁止に当てはまらない、こういうふうに考えられ得ると思うのですが、こういう点についての御見解をお伺いいたしたいと思います。
○中島政府委員 商法二百九十四条ノ二の問題でございますけれども、二百九十四条ノ二が規制の対象にしておりますのは、あくまでも株主権の行使に関しての金品の供与ということになるわけであります。 ただいまの御質問は、雑誌等に暴露記事を書かれるということでありますから、そのことは株主権の行使には直接の関係はない。これが株主総会で株主権の行使として、株主としてスキャンダルでも暴露して株主総会を混乱させるぞというようなことになりますと、株主権の行使に関するということになるのでありましょうが、雑誌等に書くということでありますと、直接の関係はない。でありますから、それは二百九十四条ノ二の問題ではないというふうに申し上げざるを得ないかと思います。
○鍛治委員 それから、これから後改正商法が施行されましてから総会の運営というのが、私がいろいろとお話を聞いていると、大分問題になるということで心配されている向きがあるようであります。これまでだと、総会屋も与党的な人がいて、攻撃的な株主等についてその動きを封ずるというようなこともあったようでありますけれども、今後はこういうことができなくなるので困るというような、変なことを心配している向きもあるようです。また、事実こういう総会が荒れてしまうというようなこともあり得るかもわからない。 こういうようなことに対して、これに対応するには議長の権限等もあるわけでありますけれども、法的に見て対応する方途というものはどういう形のものができるのだろうか、また、取り締まり当局の対応は、こういうことが起こった場合にはどういう態勢で取り組まれるのだろうかと思うわけですが、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○中島政府委員 ただいま御質問にも出てまいりましたように、議長の権限といたしまして、改正商法で二百三十七条ノ四の二項、三項という規定を新設いたしたわけでございます。二項によりますと、「議長ハ総会ノ秩序ヲ維持シ議事ヲ整理ス」とありまして、三項によりますと、「議長ハ其ノ命ニ従ハザル者其ノ他ノ総会ノ秩序ヲ乱ス者ヲ退場セシムルコトヲ得」ということになっておるわけであります。 これらの規定は、改正前こういった明文の規定がない時代におきましても、会議体の議長の権限として当然に認められておったものであるというふうに私どもは理解しておりますけれども、明文の規定がございませんでしたために、議長としてはその権限の行使にちゅうちょするというようなこともあったかと思うわけであります。この改正法におきましてはこういう規定を明確にいたしたわけでありまして、今後は、議長としてはこういった明文の規定を活用して、適切に総会の秩序を維持し、議事を整理することができるというふうに考えております。
○関口説明員 ただいま法務省当局から御答弁あったところでございますが、私ども警察の立場から申し上げましても、御指摘のようないわゆる総会荒らしというふうな事態、そうしたものに対しましては、当該企業と緊密な連絡をとりながら、あらゆる法令を活用いたしまして違法行為の取り締まりを徹底してまいりたい。それとともに、被害企業の保護に万全を期してまいりたいと考えております。
○鍛治委員 では、若干時間が早いのですが、最後に御質問を申し上げて終わりたいと思います。 これは大臣に、本筋にちょっと戻りまして商号の仮登記のための供託金、先ほどちょっと没収のことについて御質問申し上げましたけれども、この供託金自体が低過ぎるということはないのだろうか。これは総会屋が商号の仮登記制度を悪用するということを防ぐためにも供託金の額を引き上げるべきではないか、この点について。さらに、私がえらい細かい問題まで踏み込んで御質問もきょう申し上げたのですが、総会屋というような悪は断じてなくしていかなければならない、こういうような立場から御質問申し上げたわけでございますが、総会屋に対する対処すべきお考え、こういうことについて最後に大臣のお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○坂田国務大臣 政令で定める供託金額は、御指摘のとおりに商業登記法が施行された昭和三十九年に定められたものでございまして、その後の物価の変動、上昇等を考慮いたしますと、現時点では若干低過ぎるというふうに思われますので、商号の仮登記の制度の乱用の防止の上から申し上げましても、国会の皆様方の御議論を踏まえました上、政令に定める供託金の額を適正な額に改めるよう検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。 また、総会屋等の問題につきましては、種々御指摘がございました。私も同感でございまして、このようなことが起こらないように万全の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○鍛治委員 これで質問を終わります。大変ありがとうございました。
○羽田野委員長 次回は、来る二十三日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十三分散会