P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会衆議院1982/08/27

文教委員会 第21号

発言数
227
登壇者
12
会派数
6
開催日
1982/08/27

会議録

青木正久自由民主党

○青木委員長 これより会議を開きます。  この際、理事の辞任の件についてお諮りいたします。  理事西岡武夫君及び理事湯山勇君から、それぞれ理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青木正久自由民主党

○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青木正久自由民主党

○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事に     船田  元君 及び 長谷川正三君 を指名いたします。      ————◇—————

青木正久自由民主党

○青木委員長 文教行政の基本施策に関する件、特に教科書検定にかかわる問題について調査を進めます。  これより内閣官房長官に対する質疑を行います。  なお、委員の質疑時間が限られておりますので、政府当局におかれましては答弁は簡潔明瞭にされるようあらかじめお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三塚博君。

三塚博自由民主党

○三塚委員 きょうは官房長官に御出席をいただいておりますものですから、簡明に質問させていただきます。  昨日、政府声明が発せられたわけでございますけれども、その後両国のわが国声明に対しましてどのような対応が示されておりますかどうか、このことを明らかにしていただけますれば、こう存じます。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 今朝、私まだ外務省から十分話を聞いておりませんので、ただいまの点、詳しいことがもしございましたら外務省の政府委員からお答えをしたいと思いますが、何分にもきわめてむずかしい問題でございますし、また体制の違う国々にとってわが国の仕組みというものがわかりにくい点もあろうかと存じますが、政府といたしましては、とにかく最善を尽くしたと考えておりますので、その誠意は評価してもらえないものかなということをひそかに考えておりますが、具体的な反応につきまして、ちょっと私まだ申し上げる報告を受けておりません。

三塚博自由民主党

○三塚委員 それではアジア局長が出席でございますので、同様の質問に対しまして外交ルートで相手国の感触、あるいは昨日の声明でございますから他のアジア諸国の反応等は定かでないであろうと推測できますが、外交ルートで示されました韓国、中国のその後の反応について、ただいまの時点でおわかりであります点がありましたらお知らせをいただければと存じます。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 お答え申し上げます。  韓国につきましては、いち早く本日の正午に韓国の政府のスポークスマンの談話が発表されまして、私どもこれをすでに入手いたしておりますが、ポイントは、是正していただくという言葉、そういう態度が表明されたことは非常に韓国政府あるいは韓国世論の要求を日本側で考慮されたものとして評価するという反応でございます。  さらに具体的には、この検定の繰り上げということで、その結果一九八五年度以降ということにつきましては失望をするものであるけれども、実際問題として日本政府の示された見解が反映されるという御意向が表明されたことに今後期待をかけるものであり、日韓関係をそういった方向で持っていければというのが韓国のスポークスマンの発表でございます。  外務省としましては、この談話というものをやはり評価すべきであり、今後日本政府の見解に沿って一層の努力がなされれば、日韓関係、この点につきましては、先般三塚委員も森先生と訪韓されて大変御尽力いただいたわけでございますが、その結果もすでにあらわれておるものとして今後の努力にまつべきものかと考えております。  中国に対しましては、東京におきまして須之部外務次官から王暁雲代理大使に対して、また北京におきましては鹿取大使から呉学謙外交部副部長に日本側の政府見解とその真意につきましてお伝えしたわけでございます。中国の方はこれまで非常に慎重な反応でございまして、即座に見解、感触というものはいまだ表明されておりません。目下のところ中国政府部内におきまして、いろいろ議論が行われているものと推察いたしております。

三塚博自由民主党

○三塚委員 これで終わりますが、私も韓国に参りまして強調をさしていただきました点は、わが国が決して一部報道されておりますように右傾化の道を歩んでおるわけでもない、もちろん軍国主義化などということを目指しておる国でもない、それは国是である憲法、それから戦後わが自由民主党及び内閣が目指してまいりました平和国家の理念というものは微動だにしない国是である、それは国民の多くがコンセンサスとして支えておるものでありまして、そういう御批判には、どうぞ実態を分析、見ていただくことによって正しく日本を御理解をいただきますならばということを強調さしていただいたところであります。  ともいたしますと、昨今の論調がそういうことで、日本の報道によればという、今日の端緒もそうであったように、その背景に大変シンボリックに、教科書ではございますけれども、その背景にそういうことがありましたことを痛感をいたしたわけでございます。  どうか政府におかれましても、特に外務当局におかれましては、絶えずこういう点について寧日ない御努力を今後一層わが国のために、アジアの中における日本の立場の中で御努力賜りますことをお願い申し上げまして、終わります。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ただいまアジア局長が御報告を申し上げたとおりといたしますならば、われわれとしては、決定いたしましたことを、仰せのように誠実に履行をしてまいって、両国のこれからの友好と親善のためにさらに努力をいたさなければならないと思います。  本件につきましていろいろ御助言を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

三塚博自由民主党

○三塚委員 終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 佐藤誼君。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 内閣官房長官おいででありますからお尋ねしますが、長官はきのう、中国、韓国から批判を招いた教科書を政府の責任において是正するとの政府見解を発表し、各国の理解を求めると述べております。この政府見解を発表したその内容で果たして各国の理解が得られると思っているのかどうか、得られるとするならばその程度があると思いますから、ではその程度をどのような程度と考えて把握されているか、もしその際残る問題があるとすれば何とお考えであるか、そのことをまず最初にお尋ねいたします。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 何分にもきわめてむずかしい問題でございますし、またわが国と体制の異なっております国から見ますならばわれわれの持っております制度はなおさらにわかりにくい点があろうと存じます。その中でわれわれとしては、ともかく最大の誠意と善意を尽くした決定をいたしたつもりでございまして、その誠意というものは何とか認めてもらいたいと考えておるわけでございます。困難な問題でもあり、またむずかしい仕組みでもございますから、からっとしたわかりやすい理解というものはなかなか本来的には得がたいことであるかもしれませんけれども、日本政府としては最善のことをしたということは、私は申し上げて少しも間違いでないと思っております。したがいまして、そのような誠意を酌んでほしいということを申し上げるに尽きるわけでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 誠意と努力を酌んでほしい、これは政府の態度としてはそのとおりだと思いますが、いまのところいろいろな報道機関の情報しかわかりませんが、要望に沿って教科書を直すのだからそれでいいじゃないかというような形で簡単に各国が理解するというふうには必ずしも思われない点があるわけです。それは経過の点から考えますと、先月の二十六日中国政府の正式抗議要求があってからきのうの政府の発表まで約一カ月間かかっているわけです。この間の文部省、外務省含めて政府の対応については各国はかなり不満の意を表明してきたし、不満であったと思うのですね。ですから、そういう一連の対応の経過を考えてみると、いま政府声明を発表したこの時点で政府としての対応について反省すべき点はなかったのかどうか、その点、宮澤官房長官にお尋ねします。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 御批判は甘んじて受けなければならないと存じますけれども、何分にもわが国で大事な機能を果たしてまいりました仕組み、制度でございますので、その根幹というものは維持していかなければならない、その上で海外から寄せられておる批判にどのように虚心に耳を傾けるかというそういう問題でございましたので対内面、対外面大変に複雑な要素を処理しなければならなかった。これだけの時間がかかりましたことは残念でございますし、また御批判は謙虚に受けとめなければならないと思いますけれども、私どもとしては最大の誠意を尽くして努力をいたしたつもりでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 政府内のいろいろな調整を必要とした内容ですから、その間の経緯はそれなりにわかりますが、出発から終始対応の窓口になったのは文部省だと思うのです。あの七月二十六日に中国から抗議要求があった内容、御承知のとおりです。以来中国、韓国もそうですけれども、だんだん要求の程度が強まりこそすれ姿勢としては一貫しておったと思うのですね。  七月三十日に文部大臣にも、簡単に言えばそのような政府あるいは文部省の受けとめ方は甘いのではないか、要求の内容が定かであるのですからぴしっとそれに具体的にこたえるようにしなければ対応がおくれるだけではないか、こういうことを私は鋭く皆さんに要望申し上げたわけです。その間の記録がここにありますけれども、そのときに文部大臣は「ただいま申し上げたとおりでございまして、誠意を持って説明することによって理解をしていただく、その努力を今後も続けてまいりたいと思っておるわけでございます。」、こういうことなのですね。これをずっと続けた結果いたずらに一カ月間という長い期間をかけてしまったということ。さらに加えて言うならば、検定制度の枠組みの中で事を処理する、検定制度をいかにして守るかというこのことに腐心した結果いたずらに時間がかかったし、また諸外国についてはいまだにすとんと落ちない結論になってしまったというようなことに私は考えるのですけれども、この点、調整に当たられました宮津官房長官はどのようにお考えですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この点はむしろ文部大臣からお答えがあってしかるべきかと任じますけれども、文部大臣としては、この制度が従来果たしてまいりました、またこれからも果たさなければならない役割り、きわめて大切なものでございますから、それについて御配慮なすったということは私は当然のことだと思いますので、その点と海外の批判に虚心に耳を傾けるということ、その接点をどのようにするかということがいわば調整のポイントであったわけでございますので、私は、文部大臣がそういうお考えで進んでこられたことは十分に理解できると思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 その点は、後ほど文部大臣に質問の時間を取ってありますから保留しておきます。  続きまして、きのうの政府発表等に関連して、中国なり韓国が非常に不満に思っていることは、問題の個所を即刻訂正ということを終始要求してきているわけです。これは変わっていませんね。それに対しまして具体的な訂正、是正のやり方を見ますと、問題の昭和五十八年度使用高校教科書は昭和六十年から修正する、そしてその間、五十八年、五十九年は経過措置、新聞の報ずるところによれば文部広報で対応していく、こういうやり方ですね。この点はこれからも問題になるでしょうが、中国や韓国では即刻修正ということにもかかわらず、問題として指摘したものを、言葉はなんですけれども、二年間もそのまま放置してあいまいな経過措置、文部広報で行政指導するなどということでは納得できないという形になるのではないかと私は思うのです。特に先ほどから言っているように、教科書検定の枠組みという中で幾ら説明しても、この経過措置二年間というものをそのように扱うということについては落ちないと思うのです。なぜ文部省はそんなにこだわるのか。言えば検定制度の中で改ざんし、直したのだからこの検定制度の中でもできるのじゃないか、なぜそんなにサイクルという慣行にこだわるのだという、これは幾ら諸外国に説明してもわからないし、結果的に二年間そのような扱いにするということについては、私はきわめて不満が残るだろうと思うのです。  同時に、時間もありませんからもう一つ申し上げますが、そのような形で、誤りだから六十年には直すというものをそのまま現場の教科書として使わせ、これは誤っておるのですよなどという文部広報でやっておくということ自体が現場に不信と混乱を招くのじゃないですか。私はかつて教員をやりましたけれども、ここに書いてある教科書のこの中身、つまり侵入、進出は誤りなのです、これは昭和六十年には直すのです、誤りだけれども、しかしいまのところは皆さんこの教科書で勉強してくださいと言えますか。文部省の検定という枠内でしか物を考えない、そういうことが結果として対外的にも、国内における教育の現場にもきわめて混乱を招くだろうと思うのです。この点についてまず宮澤官房長官どう考えますか、いろいろ苦心されたところだと思いますから。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この点も文部大臣からお答えがあろうかと存じますが、実は私自身もこの制度を今度初めてにわか勉強いたしたような次第でございましたので、いわば黒板の字を間違っていたら消すといったような、そういうような早い処理ができるのではないかと思っている人がきっとわが国にも少なからずおられるであろうと思いますので、いわんやよその国から言えばそういう感想を持たれるかもしれないと思います。しかし、今度私、文部大臣、文部省事務当局から何度も話を聞かせてもらいまして、とにかくあの処理が一番早い処理である、もっと短縮できないかということについては、それは事実上物理的にも不可能だという御説明を受けて、なるほどそのとおりだということを私自身も最後には納得をいたしたようなわけでございますので、それでありましたらそれに至る間のいわば経過措置というものをお願いをした、こういういきさつでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 この点の引き続いての質問は後ほど文部大臣にしたいと思います。  それでは次に進みますが、このたびの教科書是正要求に対して、きのう政府の声明発表ということで各国に理解を求めている、こういう段階です。どういう反応が出てくるか、まだ予断を許さない分野があると思いますが、今後の事態の趨勢、推移に対して考えたときに、われわれの態度として、中国なり韓国は教科書の誤りを是正することを求めているのだ、したがって、この点政府の責任で是正するということを言っている、だから、教科書の問題について一件落着したのだからいわゆる国際的、外交的な教科書問題についてはもう落着というとらえ方をするならば今後に大きな問題を残すだろうと私は思うのです。確かに中国、韓国は、教科書の誤りの部分を即刻是正ということを言っておりますけれども、それはもっと根の深いところにあるということをわれわれは考えなければならぬと思うのです。これは、この問題に対する中国なり韓国なりの大衆、国民レベルの日本帝国主義侵略の事実に対する反撃というこのこと一つとってみてもそうだと思うのですね。  第二回のはたしか八月四日でしたか、中国で抗議声明を出しました。あの中で繰り返し、文部省なり政府の対応は不満である、私たちが求めているのは、過去の日本の軍国主義に対する批判にこたえ、日本の侵略戦争に対する責任を反省し、そして共同声明に基づいて今後両国人民の子々孫々に至る平和友好のために教育にそれを生かしていただきたいのだということを言っているわけですね。このことに思いをいたした対応というものをきちっと押さえておかなければ、教科書の記述を変えたというだけですべて事終わりということにならぬのではないかというふうに私は考えます。その点、私は次のことを大変憂慮するのです。  一つは、日本のこのたびの問題についてのとらえ方を中国と対比してみたときに、八月二十三日に総理大臣は記者団に談話を発表いたしました、この中身が韓国なり中国から大変批判を招いているわけです。これはいま申し上げたような戦後の日本の戦争に対する反省、このことに対して、果たして日本を代表する総理大臣ですらこのような見解発表であるからということに対する問題の指摘だと思います。  それからもう一つの問題は、文部省が大変検定制度の枠内での是正にこだわり、そして検定制度の存続というものに執心を持たれたと思うのです。これが最後まで尾を引いた。しかし、これは先ほど言いましたように、各国ではなかなかわかりづらい。しかもある人からいえば、なぜそんなにその枠組みを残すことに執着するのだろう、これはいま外交問題になっている教科書は確かに書きかえるであろう、しかしこの検定制度という枠組みを残してさえおけば、入れ物の中身は情勢の推移によってどのようにでもできるという、言うなれば頭の上を鉄砲玉が通っていけばやがて一過性としては問題は越えるだろう、枠組みを残しておけば中身の云々ということは情勢の変化に応じていずれまた対応できる、こういう態度ではなかろうかという見方もあるのです。  時間もありませんから率直に申し上げますけれども、そういう見方からいきますと、基本的な姿勢として、総理大臣が二十三日に発表したこのことに対しては私は大変問題があると思っておりますし、検定制度に非常に執着されている文部省の考え方にも、私はいまのような批判がある中で問題があるのじゃないかというふうに思っておりますので、その点まず官房長官からお答えいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 今回はそれが教科書批判という形をとりましたが、その底流に、わが国の戦争中における行為についてこれらの国々が非常に強い批判を持っておるということ、そういう底流があるということは御指摘のとおりであろうと存じます。したがいまして、今回の問題は今回の問題として仮に処理ができるといたしましても、そのような底流があることは疑いないのでございますから、日中共同声明あるいは日韓共同コミュニケにあらわれておりますようなわれわれのそれについての心構えというものは常に持っておらなければなりませんし、また、それがよりよい形で教育の場にも反映せらるべきものであろうというふうに考えております。  なお、最後の検定制度云々の問題につきましては、これは文部大臣から後刻お答えがあろうかと存じます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 検定の問題は後ほど文部大臣にということにしまして、最後に、これは「首相の記者会見要旨」、それで、記者団の質問として、新聞報道の限りでありますけれども、「過去の戦争に対する首相の「侵略」「進出」の認識は。」という中に「わが国の行為に対する評価は後世の史家の判断に待つべきと思うが、」、ここが一つ問題なんですね。  「中国を含め国際的には「侵略」との厳しい評価、批判、認識があることも事実だ。政府として十分認識する必要がある。」、これが二番目に問題なんです。  その次に、「記述修正を行うということか。」以下云々ということについての首相の答弁は、いろいろありますけれども、「また、足元のアジア諸国から批判、反発を受けたらやっていけない。」、こういう表現ですね。この三つがいろいろ問題になっているわけです。  このことについて、たとえば諸外国の反応でありますけれども、「中・韓両国で反発、失望」という形で新聞に出ております。これで見る限り次のようなことを言っているわけです。つまり「「(侵略か進出かは)後世の史家の判断に待つ」と直接の判断を避け、さらに「国際的に侵略であるとの厳しい評価、批判、認識がある」と問題の所在を“外国の世論”にあるとして、主体的責任の所在をはぐらかしたことは、」云々、こういうようにありますね。つまり後世の史家の判断にまつということで直接首相としての侵略戦争についての判断を避けた、このことを追っていくならば、後世の史家の見方によっては侵略戦争ではないという見方だってあり得るのじゃないか、こういうものを言外に示唆している、こういう受けとめ方ですね。  それから、いま申し上げたように外国から非難されている、このことについて云々、これは外国世論に責任の主体を転嫁しているのではないか。  それから三番目に、先ほど申し上げたような国際的云々ということですが、これは「日本の国際的実利のみを理由とした“反省”」ということで非難されているわけですね。一国を代表する総理大臣の所信表明の三点について韓国や中国からいまのような厳しい非難がされているわけです。私は、そのことはきわめて今後に重要だと思うのです。  きょう総理大臣の出席要求をしておったのですが、出てきません。官房長官に聞くしかありませんけれども、私が先ほど申し上げたような根が深い、しかも侵略戦争という反省の上に立って積み上げられてきているというこのことに対して、首相はいまのような答弁をしているわけです。これは今後の日中関係、日韓の関係で私はきわめて重要だと思いますが、総理大臣おりませんので、官房長官、この点どう考えますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、後世史家の判断にまちたいということは、今日まで政府が伝統的に、歴代の総理大臣がそのようにお答えをしてこられておりまして、せんだって鈴木総理もその考え方に沿って、これは記者会見でございましたか、それを言われたわけでございます。と同時に、しかし、中国も含め国際的にはこれは侵略だという厳しい批判がある、そのことも事実でございますから、そういうことは政府としても十分認識をしておかなければならないということを申し添えましたのは、そのような批判に対してわれわれは謙虚でなければならないということを意味したわけでございます。それが今日の政府の、これはつい最近のことでございますので、この問題についての正式な考え方でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 きのうの政府発表で、教科書問題については日本国内としては一応の結論を出したということでございますが、各国の反応がこれからどうなるか、まだ予断を許さない部分があります。ただ私は、いま申し上げたように、これがすべての解決だと思ったら大変な間違いではないか。いま首相の記者会見の模様に対して官房長官からありましたけれども、ずばり言うならば、文部大臣ははっきりこの委員会の席上で言ったわけですけれども、残念ながら日中戦争は日本軍国主義の侵略戦争であった、やはりその責任と反省の上に立って国づくりをし、日中関係を改善していくのです、以下云々という日中共同声明ですね。そして、それに立脚するならば、教科書の誤りの部分は直ちに具体的に是正していくのですというふうに、なぜ明確に言ってくれなかったのかということです。この点を明らかにしないならばこれからまだまだ多くの問題を残すであろうということを私は憂慮する、このことを申し述べて、質問を終わりたいと思います。

青木正久自由民主党

○青木委員長 有島重武君。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 七月二十六日に中国政府から抗議の申し入れがあった。昨日政府の態度が官房長官の談話でもって出されたわけでございます。これに対して私ども、遅きに失したということと同時にまだまだこれから先に非常に大きな危惧が残されておる、こう言わざるを得ないと思っております。  そこで、第一番目に、どうも話が外交上の問題あるいは政府部内の問題ということに限定されがちでございますけれども、国民という立場でこの問題がどういうふうに影響をされておるかという点です。この一カ月の間に、関係諸国、中国、韓国はもとより東南アジアの諸国に対しいろいろな報道もなされ、そしてそれが結果として非常に反日感情というか反発というか、こうした現象が起こったことは事実であります。これによってわが国の国民が有形無形の損害を受けた、これも事実であります。このことについては先般文部大臣もこの文教委員会の席で、損害を受けておるということはお認めになりました。官房長官、政府を代表して国民に対してこのことについては陳謝の意を表明すべきであると私は思いますけれども、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 今回の問題は、教科書批判という形をとりましたけれども、底流にございますのはわが国の戦争中におけるいろいろな行為についての厳しい批判ということでありましたことはもう御指摘のとおりでございます。そのようなことが再びこの問題を契機に人々の記憶に強くよみがえったということであったと存じますので、まことにこの点は残念なことでございまして、われわれがこれからそういう過去の反省の上に立ってこれらの国々と友好善隣を続けていくということによってのみ、そのような記憶をだんだんに薄めてもらう、忘却のかなたにまでやがては薄めてもらいたい。そのためにはわれわれのこれからの一層の努力が必要であるということと思います。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 せっかくのお答えでございますけれども、わが国民に対してのコメント、これが必要であろうと思うのです。いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 このたびの措置は、外国から言われたから仕方なしにこうやったのだ、平たく言えばこういうことでございますか。  私たちは日本国民として、これは日中共同声明、日韓共同コミュニケ、この認識を再確認する以前に、別によその国からの指摘をまつまでもなく、日本国の政府ならば日本国憲法の趣旨に基づいてのこうした修正措置というのが当然になされるべきであろう、このように思います。官房長官、いかがでございましょうか。このたびのことは、言われたから仕方がない、だからこうしたのだ、こういうことでございますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 このたびの措置は、もとよりわが国がわが国独自の立場において、わが国の責任においていたしたことでございます。日中共同声明あるいは日韓コミュニケ等々に述べられました認識をわれわれとしては少しも変えていないつもりでございますけれども、しかし、それが十分でないという外国からの批判がありました。その批判に謙虚に耳を傾けましてわれわれの責任、日本政府の立場において処置を決定したわけでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 日中共同声明にしても日韓共同コミュニケにしても、いま申し上げているのは、その根は日本国憲法の趣旨に基づいての共同声明、コミュニケであったわけですね。ですから、このたびのことは、外国からの抗議があろうとなかろうと当然なすべき処置であったとお考えになりますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 要するにそれらの共同声明、共同コミュニケ等に掲げられております考え方をよりよく教育の場に反映することが適当である、こういうふうに考えたのがこのたびの政府の決定であると存じます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 わかりました。それでは、外国からの抗議によって仕方なしにやったのだ、そういうことに受け取ります。もし違っていたら後から言ってください。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 そうでないことは先ほど明確に御答弁いたしました。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 次に参ります。  侵略か進出かというような問題が議論されました。それで文部大臣はこの席におきまして、これは侵略である、こういうことを明言されました。旧陸軍が大陸に行った、そこでもって人道上許すべからざる残虐行為を伴ったそうした侵略行為であった、そのことを明確に言われました。官房長官は、このことを明確にこの席でもって御表明いただけますか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この点につきましての政府の公式の見解は、先ほど佐藤委員に申し上げたとおりでございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 ことさらに侵略ということを御発言なさるのが大変抵抗がおありになるのでしょうか。重ねてお聞きしておきます、宮澤官房長官は侵略とお思いになっておられるのかどうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 その点は後世史家の判断にまつべきものと考えております。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 そうすると、宮澤官房長官は必ずしも侵略とは思っておらない、そういうことでございますか。私は後世の史家のことを聞いているんじゃないのです。現在、いまの時点において政府の官房長官を務めていらっしゃる宮澤さんに聞いているのです。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 事柄の性質上後世史家の判断にまつことがよろしいと考えておるわけです。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 これは問題ですね。それじゃ侵略とは認めていらっしゃらないのだ。政府は現在のところ侵略とは判定しておらぬ、これは後世の史家に任せるべきだ、こういう御判断ですね。それでよろしいのですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたので簡単にお答えをしたわけですが、つい数日前総理大臣が記者会見で述べられましたことが政府の正式の見解とお考えくださって結構でございます。すなわち、それは最終的には後世史家の判断にまつべきものであるけれども、中国を含め多くの国が国際的にはこれを侵略であるというふうに批判をしている、そのことも事実であって、これは政府としても十分認識しておく必要がある、これ全部が政府の公式の見解でございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 簡単に一言でわかりやすく言ってください。宮澤官房長官は侵略とお認めになる、こう理解してよろしいのですね。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございますし、なお、具体的に中国あるいは韓国とのそういう関係をどう考えるかということでございますれば、これは共同声明にもコミュニケにもございますので、それが今日変わらない政府の見解である、こうお考えくださって結構でございます。

有島重武公明党・国民会議

○有島委員 時間が参りました。ですから、やめますけれども、そういったようなあいまいな態度は国民にも非常に疑惑の念を残す、あるいは外国の方々にも大きな疑惑を残すもとであろうと思います。率直に私も侵略と思います、こういうふうになぜ言わないのか、これは私たちは非常に不審に思います。  以上です。

青木正久自由民主党

○青木委員長 三浦隆君。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 官房長官にお尋ねいたします。  初めに、見解作成が大変手間取ったのですが、改めまして、その手間取った理由についてお尋ねしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 つまり検定制度という過去において非常に大きな役割りを果たし、これからもまた果たさなければならないそういう制度そのものはわれわれとして大事にしてまいらなければならない、その根幹を変えるということは適当でないという文部大臣の御判断は私はそのとおりであると存じますが、さて、そういう制度のもとでつくられておりますところの歴史教科書について、近隣の国々から御承知のような批判があって、その批判はまた批判としてわれわれは十分に耳を傾けなければならない。すなわち、日中共同声明あるいは日韓共同コミュニケに盛られておりますような考え方が十分教科書なり教育の現場で反映されなければならないというそういう二つの命題をどのように調整するかということで時間がかかりました。もっと早く処理できたのではないかという御批判は甘んじて受けなければなりませんけれども、最善と考えられます決断に達しますのについついこれだけの時間が必要になったということでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 確かに外務省と、そうした外交を考える立場の方とそれから教育の自主性ということで日本の教育を考える立場とは大変に意見の食い違うところだと思いますし、その意味ではぎりぎりの決着した見解かと思いますので、この線についてはおおむね妥当であろうというふうに思います。  むしろそれからのことなんですが、見解のところにたとえば「検定調査審議会の議を経て検定基準を改め、」というふうなせりふがあるわけですけれども、検定審議会というものに対する位置づけ、役割りについて官房長官はどのような御認識をお持ちでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これは正確にお答えしなければならないと思いますので、後刻文部大臣からひとつお聞き取りをいただきたいと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 文部大臣の方はしばしばこの文教委員会でいろいろと見解を述べているわけでして、私がお尋ねしたかったのは、もはや今回の教科書事件は一日本のことではなくて、各新聞に盛られて全世界的に大変話題になりました。そして、早くから外務省と文部省の見解が相分かれていたわけで、この衆議院の文教委員会におきましても国会は国権の最高機関である、そうした認識と、またその中でも特に教育行政については文教委員会が携わるのだ、そういうふうな気持ちを持って各党の委員がそれぞれの立場で携わって今日まで来たわけでして、その間に総理大臣がこの二つの省が大変に分かれているときにどういうふうな御見解をお持ちなんだろうか、そうした意味を踏まえまして、過去何回となく総理の出席を要請申し上げたにもかかわらず、ついに見解作成に至るまでただの一度も総理大臣もそしてまた官房長官もお見えいただくことができないままに今日の見解が発表されたということは、衆議院の文教委員会の位置づけというものがむしろ外交委員会の下に隷属したような、私はそんなような気持ちを持つのですが、官房長官、いかがお考えでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 もとより政府としてそのように考えたことはございません。文部大臣におかれましていわば文部大臣の専管事項として御質問にお答えになってこられたと考えておりまして、決して委員会に対してないがしろにするような考え方を私ども持ったことはございませんので、その点はどうぞ御了承をお願いいたしたいと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 それでは、外務省の方にお尋ねをしたいと思います。  同じような質問ですが、検定審議会というものをどのように位置づけどのような役割りを担われる、そういった認識をお持ちでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 検定審議会につきましては、このたびの問題が起きましてから文部省の御当局ともたびたび意見を交換いたしてまいったわけでございます。したがいまして、検定制度におきまして非常に重要な位置を占めておるという御説明につきましては、私どもも全くそのとおりというふうに考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 けさの新聞をごらんいただいてもわかりますように、旧来検定審議会というのは、これほどの大きな問題になりながら、この文教委員会ももとよりでございますが、どこのだれからも何も聞かれないで今日来ているわけです。まさにそういう意味では、検定審議会があるから検定制度が成り立つのだろう、いわゆる国定ではないのだろうというくらいな大きな意味を持つものでありながら、実質的には形式的なあるいは文部省の隠れみの的な存在と言われるようにも言われながら、そして今日改めて諮問すると言われても、諮問される審議会の皆さんは大変お怒りになっているのじゃないでしょうか。いままで全く門外漢に置かれていて、事ここに来てからにわかに諮問されるというふうなことでありますけれども、もし検定審議会が自主的な立場から今回の見解に全く拘束されないで独自の意見表明をされた、そしてそれがまたこの見解とは違った方向を向くというふうな場合がもしあったとしたならばどのようにお考えになるのかをそれぞれの立場から、文部大臣そして長官そして外務省の皆さんからお尋ねしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 御質疑の要旨は、昨日官房長官談話で表明されましたこの問題に対処する今後の政府の方針と反するような答申をお出しになったらどうするか、かような御質疑であろうかと理解いたしております。非常に論理的に申しますならば、さような場合は可能性の問題としてはあり得ることでございましょう。しかし問題は日中共同声明の趣旨あるいは日韓共同コミュニケの精神をよりよく教科書の上に反映しようということでございまするから、かような認識におきましては審議会の委員各位ことごとくこれを分かち持っておいでになる、私はかたく信じております。したがいまして、この方針と正面から背馳するような答申がなされるとは全く考えておらないわけでございます。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ただいまの文部大臣のお考えのとおりであると存じます。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 外務省といたしましては、ただいま文部大臣、官房長官が御答弁されたそのとおりということでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 これほどの問題がかかっている、現在私がした質問というのは、今回の見解の恐らく中心をなす課題でありまして、ここがまとまらなければ見解もつぶれてしまうくらいのものだと思うのであります。そしていまの外務省の局長のその程度の認識でもって、言うならばわれわれの意見をたださないで、その程度の認識で、中国、韓国の主張があった場合に、われわれはすぐに教科書の記述を訂正しますと、いち早く外務省は先にお答えになっている。そしてその後、むしろ文部省がその答えと合わせるか合わせないかでもっていろいろと今日までもめ続けてきたのだと思うのですが、外務省がそうした自分が独走した場合のその後の始末というか、なぜ文部省が突き切れないでいたかというくらいの認識を、なぜもっと強くお持ちにならなかったのか、私にはきわめて不思議であります。  私は、今次の戦争において中国、韓国の人を初め多くの人々の犠牲があった、本当に心から申しわけないと思っておりますが、同時に、今次の戦争においては日本国民もまた兵隊そして民間の人を含めて多くの人が犠牲になっておるわけでありまして、私たちは両方踏まえて心からの供養を申し上げ、霊を慰めなければならないと思っております。そういう意味においては、外交もきわめて大切でありますが、日本国民としての誇りもまた大切であります。戦争に対する過去の反省の中から再生を誓って今日の繁栄を築き上げてきたわけでして、そうした親の方からするならば、いわゆるその家族からすれば、亡くなった自分の夫なり子供たちの霊というものを踏まえながら、こうした教科書のあり方その他もやはり重大な関心を持ち続けていることだろう、このように思うのでありますが、そうした意味において今日の戦後の反省の中から——しかしそれはよしとして、教科書の記述の方向に左翼偏向の兆しがあるというふうなことから、これを何とか是正しようという動きがあったのも事実でありまして、それが今回の勇み足の形の中でとがめられてもいたかと思うし、これは明らかに過ちだとは思うのですけれども……。  しかしそうした一つとして象徴される家永訴訟というものがあるわけであります。私は、今度の見解によりまして家永訴訟の判決というのは恐らく文部省敗訴に近い形が出てくるのではないかというふうに思うのですが、そうしたことも考慮に入れた上で見解をおつくりになったのかどうか、官房長官あるいはさきに発言された外務省の御意見そしてまた文部省の御意見をお尋ねしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せの家永訴訟とは何ら関係がございません。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 先ほど中西委員から外務省の独走というような御指摘がございましたけれども、この重大な問題につきまして外務省が独走して事柄が処理されるわけではございませんで、私どもとしましては、職掌柄、諸外国の関心事項を文部省並びに関係の向きに十分お伝え申し上げて、文部省としてはできること、できないことと、いろいろ御事情があるわけでございまして、その両方を十分反映させまして、したがいまして今後は、外務省としましては引き続き諸外国の理解を求めるということでございます。  裁判のことにつきましては、これは裁判の問題でございまして、外務省として見解を申し述べることはいかがなものかと考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 大臣の見解を聞けば結構です。あと官房長官の御見解を。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 ちょっと補足をいたしますが、今回の官房長官談話にございます対応をどのように行うかということでございますけれども、あそこにございますように改めて教科用図書検定調査審議会におきまして御検討いただくわけでございますから、その対応の結果、教科書に関する家永訴訟にどういう影響があるかということはこれからの問題でございますので、直ちに関係がある、あるいは影響がないということは言い切れないと思いますけれども、今後の対応によって判断すべき問題だというふうに考えております。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 先ほど三浦委員の名前を間違えて申し上げました。軽率の段おわび申し上げます。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 昨日決定いたしました私の談話は関係各省の足並みがそろいましたところで決定いたしたわけでございますけれども、何分にもかなり長い時間が経過しておりましたので、そのある時点で仮に文部省とあるいは外務省当局者の間で幾らか足並みがそろわなかった、これはあるいはあったかと存じます。しかし最終的には合意をいたして足並みをそろえまして昨日の決定に至ったわけでございます。  それから、訴訟のことにつきましては先ほど文部当局からお答え申し上げたとおりと存じます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 時間なので一応ここでとめますけれども、今回の見解は家永訴訟と大変深いかかわり合いを持っているはずであります。  改めまして後ほど質問させていただきたいと思います。

青木正久自由民主党

○青木委員長 山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これだけ国際政治問題化した今回の教科書検定問題のいきさつについて原因がどこにあったかということ、また政治責任を含めてどう反省しておるかということを一言最初に官房長官に伺いたいのであります。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 今回のことは教科書批判という形をとりましたけれども、やはりわが国の戦争中における行為、行動についての厳しい批判というもの、それが底流である、そこに物事の、いわば諸外国から見ました場合の本質がある、こういうふうに考えるべきであろうと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 十五年戦争について、これが侵略戦争であったかどうかということが問われているわけでございますが、今回の見解の中にはその言葉は一言も出ておりません。これは当然入れるべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 それにつきましては、先ほどから何度かお答えを申し上げておりますけれども、日中、日韓おのおのの共同声明、コミュニケ等にわれわれの過去についての考え方、反省が述べられておりますことは御承知のとおりでございますし、今回それを確認をいたしておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 後世の史家の判断にゆだねるという言葉がしばしば出てくるわけでございますが、日本政府はいままで極東裁判におきましても、また国連憲章に賛成をした立場から見ましても、また第二十九回国連総会における侵略の定義につきましても賛成をしておられます。これは明らかに日本政府が対外的にはあの十五年戦争というものが侵略であったということを認めておられるのではありませんか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 これは先ほどから申しますように、二つの共同声明にわが国の考え方ははっきり述べられておるわけでございますし、また海外から厳しい批判があるということについても十分認識をしておかなければならない、総理大臣がつい先日述べられたばかりでございます点もあわせてひとつ御参酌を願いたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 侵略戦争であったかどうかということについては現政府の判断が求められておったのではないでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 昨日の談話にもございますとおり、日中共同宣言、日韓共同コミュニケに述べられました認識は今日といえどもいささかも変わらない、いまの政府の認識であるということでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 「深く反省している」あるいは「責任を痛感し、深く反省する」というのが共同コミュニケまた日中共同声明の中に出ております。しかし、あの戦争が侵略であった、日本政府としてそれを認めることはできないという立場を今後も貫かれようとするのでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この二つの共同声明に述べた認識は今日といえども政府の認識として変わっていない、こう申しておるところから御推察をお願いいたしたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 第二十九回国連総会における侵略の定義、何項目か出ておりますが、これに対して日本政府は賛成したわけですね。満足すべき定義であるという賛意を表明している。その一項一項があの日中戦争の侵略行為を認める内容になっておりますが、これは対外的な粉飾であって実際的には認めていないという立場を日本政府はとっておられるのですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 ただいまの侵略の定義云々ということを私ちょっとつまびらかにいたしておりませんので、また調べてまいりたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 長期にわたる苛烈な植民地支配、それから日中戦争等におけるところの南京虐殺に象徴されるようなああいう日本軍国主義の所業というものは言語に絶するものがあるわけです。もちろん、日本軍国主義によって犠牲となったのは日本国民でもあります。また、日本の兵士たちでもあります。しかし同時に、銃剣によって多年にわたって支配された国における被害というものは、これはまさに侵略を受けたということであり、侵略をしたという事実ではないのですか。その事実をもいま鈴木内閣は認めようとしていないのでございましょうか、明らかにしていただきたいのであります。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この点は日中共同声明にはっきりとわれわれの考え方、反省を述べておりますし、また鈴木総理が各国からそういう厳しい批判があるという事実は十分に認識しなければならないと言われましたのもそういうことを意味しておると思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ここが今日の事態を引き起こした最大の要因であるということを私は考えていただきたいのです。たとえば西ドイツの場合は、同じく日独伊枢軸をつくりましてあの第二次世界大戦を引き起こし、やったわけでございますけれども、教科書の中におきましてもナチスドイツのやったことに対しては厳しく糾明しています。それは大変なページ数にわたって教科書にも書かれております。イタリアにおきましても、ファシズムイタリアに対する批判を現政府が行っており、またそれは教科書にも書かれておるのですね。それから見ますと、まさに日本政府のとっておる立場というのは、率直に申しますと戦犯的性格というものを温存しかつ継承しておると言われてもしかたがない。そこにいま問題が来ておるのではないかと思うのでありますが、そういう深刻な反省はされていないのでしょうか。今度の一カ月の処置にしましてもまさに形而下における、何とか火の粉を振り払おうとする行為が行われておるだけであって、心の底からのあの戦争に対する反省という形而上の問題がほとんど論議されていない。ここに今後の問題解決のまた一番大きな隘路があると思いますが、宮津長官はその点については、率直におなかの中を聞かしていただきたいと思いますが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 このたびの談話の中で二つの共同声明、コミュニケを引用いたしましてその認識が今日といえどもいささかも変わっていないと申しましたのはそのような意味でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 時間の関係で、すれ違うわけですが……。そういう日本政府の態度が今日の検定のような事態を引き起こしましてあの侵略戦争の所業というものを薄める結果になってきて、南京大虐殺やあるいは朝鮮における三・一運動に対する記述の変更を求める要因となっていることは明らかです。所業を薄め、そしてそれを次には美化していく、そして軍国主義の礼賛にまで立ち至っていくというそのことが今日問われているのではないか。二度と再びあの誤りは犯さないという決意が政府にあるかどうかが問われているのではないでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 誤りを犯してはならないということは、これは国民的な合意でございますし、政府ももとよりそう考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私はいまの御答弁を聞きながら、仮に政府間における政治的決着がついたといたしましてもこれは近隣諸国人民を納得さすものではないと思いますし、また日本国民をも納得させ得ないだろうと思います。その点を明確に指摘をしておきたいと思うのです。  次に、今回の見解によりますと政府の責任で是正をする、こう書かれておりますが、この中身はわかりませんけれども、政府の責任で是正をするということは、今回の検定が誤りであったという認識のもとにこういう表現にされたと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 よりよいものに改めたい、こういうことでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この是正をするというのはこういう問題も含まれているのでしょうか。今度問題になりました外国からの抗議や批判に対しての部分を是正するという内容なのか、それを含めて国内問題についての長期にわたる検定の中でいろいろの変化が起こっているわけですが、それらを含めて是正をするという政府見解でしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 今回のことは、述べられておりますとおり、わが国の戦争中の行為に対して近隣諸国から寄せられた批判というものに十分耳を傾けなければならないということを中心に今回の決定をいたしておるわけでございます。国内で起こりましたことにつきまして今後どのような扱いをされるのか、これはちょっと私、自分の所管事項でございませんので、後刻文部当局からお聞き取りいただきたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 鈴木総理は、この間八月二十三日の記者会見におきまして、記者の質問に対して沖繩の問題に触れておられます。沖繩は日本における地上戦の唯一の場所であったわけでございまして、ここにおける沖繩県民の死者あるいは沖繩県民に対する日本軍隊の虐殺行為というのが出ているわけでございますが、こういう問題について教科書の記述は完全に抹殺をされておりますが、これらについては何らこの見解の中では表現されていない、内蔵されていないというふうに理解してよろしいのでしょうか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 それらのことをどう扱うかは別のことといたしまして、このたびの見解にはそのことは及んでいないと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最後に、これは私の見解でございますけれども、過去の日本軍国主義の行ったことに対して、これは侵略であると認める、誤りを率直に認めることは恥でも何でもありません。そのことによってさらに日本民族の活力が新しく生まれてくるのだ、そういう立場に立っていただきたい。それは世界平和のために貢献する日本民族の将来を指し示すものとして明白にしていただく必要があると思うのです。その点ではいま鈴木内閣が侵略という言葉をどうしても使わないというところに今後に大きな問題を残すであろうということを指摘いたしまして、私の質問を終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 河野洋平君。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 大分時間が超過して申しわけないと思いますが、ごく簡単に二、三点お尋ねをしたいと思います。  今度の問題が非常に感情的、複雑になった原因の一つに、閣議におけるはなはだ軽薄な発言が外部に伝えられたことがあるのじゃないかと私は思います。つまり、今度の教科書問題についての外国、韓国でございますとか中国でございますとかの発言が内政干渉だということで、ちょっとばさっと切って捨てたという感じが閣議でなされたという報道があって、それがこの問題を少し感情的にしてしまったのではないかと思うのです。もとよりこの問題は内政干渉と言って決めつけてしまえる問題ではないと私は思いますが、内閣において統一見解というほど大げさなものではないかもしれませんけれども、こうしたことを内政干渉だと言った発言はやはりちょっと間違いであると内閣として考えられておるのではないかと思いますが、官房長官、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 この点は総理から、当該閣僚に総理としての考え方を実は申し上げました。公にはいたしませんでしたが、そのようなことはいたしてございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 つまり、御注意があったということだろうと思います。しかしその後も二度、三度にわたって、これは閣議ではありませんけれども、地方遊説でございましょうか、地方の場で似たような発言が繰り返されたという報道がございます。これはやはりもっと事の本質を理解させる必要があるのではないか。こういう政府声明が出た後も閣僚がああした発言を続ければもっと事態としては悪くなる。この声明は文部省、外務省の両省の大変な長い間の打ち合わせでできたものであろうと思いますけれども、文部省、外務省でない役所の大臣が発言をしているわけでございますから、そうした方々とのお打ち合わせといいましょうか、そうした方々に対して事柄の本質についてきちっと理解をさせる、こういう作業はなさるべきではないかと思いますが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 総理大臣から注意をしてもらいまして、その後は十分に御注意になっておられるように私は存じております。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 官房長官がおっしゃるのですから、官房長官の御答弁を信頼したいと思いますが、事実関係だけは確かめておきたいと思います。  総理大臣の閣僚に対する御注意は、閣議における閣僚内政干渉発言の当日行われたのでしょうか、それとも後日行われたのでしょうか、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 後日でございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 先ほど同僚議員からも似たような御趣旨の御質問がございましたが、私はこの一カ月の間にこの問題の処理について文部、外務両省が非常に懸命な努力をなさったということを新聞等で承知をいたしております。またさらに、自民党の文教部会あるいは外交部会というのでしょうか、そうした政党の方々もこれにかかわっていろいろな動きがあったことも新聞を通じて知っております。しかしこの問題の解決に非常に重要な役割りを果たすのは審議会です。この検定審議会とのやりとりがこの一カ月の間に行われたのかどうなのか。この一カ月にわたって教科用図書検定調査審議会の責任者あるいは担当者、そういった方々に対してこの問題の処理について御相談があったのかどうなのか。これは文部省からお答えをいただいた方がいいと思いますが、どなたでも結構です。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 教科用図書検定調査審議会の役割りは、個々の教科書の検定につきまして検定申請のありました図書につきまして審議をするというものでございまして、すでに五十六年度検定につきましては終わっておりますので審議会を開くことはないわけでございますが、事柄の進展の状況にかんがみまして検定調査審議会の会長にはある段階で種々状況等を御説明申し上げまして御意見等も伺っているわけでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 審議会を開くということはこの一カ月間にはなかったわけですが、ごくごく早急に開くという御予定がありましょうか、日時等決まっておれば教えていただきたい。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 今回の官房長官談話によりまして政府の対応が決まったわけでございますので、検定調査審議会をできるだけ早急にお願いいたしまして、大臣から事柄の経緯について御報告をし御審議を仰ぐという機会をできるだけ早く設けたいと思いますが、いまこの談話が発表されたばかりでございますし、いろいろ状況を整理してさらに諮るということもございますので、若干の準備期間を考えますと九月に入りまして中旬ごろ、できればそのころにというふうな事務的な心づもりをしているわけでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 文部省の指導要領というものは教科書と表裏一体をなすものだと思いますが、この指導要領にもこの問題が影を落としている。中国大陸に対する説明については進出という言葉を使って指導要領にも書かれている。これは文部省で直す準備、用意、ございますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 河野先生御指摘の指導要領は、恐らく中学校学習指導要領の社会科の歴史的分野についての御指摘かと思いますが、これは「日華事変を、中国をめぐる国際情勢を背景に扱い、中国の民族運動と我が国の大陸進出に着目させる。」という部分かと思いますけれども、御承知のように学習指導要領は教育課程の大綱的な基準を決めるというものでございまして、これにつきましては教育課程審議会の議を経まして慎重な審議の結果検討をして表記をされているものでございます。短い表現の中に指導の内容を述べているものでございますので、学習に際してどのように扱うかということはさらに指導書とかいろいろな形でブレークダウンしていくものもございますけれども、その事柄については、大陸進出を指導する内容については明確に述べられておりますし、この件を契機に指導要領のこの部分の改訂等を行うということは、私どもとしては考えていないわけでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 最後に官房長官にお伺いをいたします。  今度の取りまとめで中国、韓国から理解が得られることが望ましいわけでございますが、なかなかこれはそう簡単にいかないかもしれない。先ほどのアジア局長の御説明でも、一定の部分は評価するけれども失望したという部分もあるわけでございまして、相対的に見て、輝国が評価しているのか、むしろ多少失望している部分が多いのかというのは、もうちょっと時間を見ないとわからないのだろうと思いますが、ここまでおまとめになるに際して、文部、外務両省といろいろ御討議があったと思いますが、少なくとも政府の責任において是正するというまとめになった以上、直さなければならないような教科書ができてしまったということについて、責任問題について論議する人もいるわけですね。こういう教科書をつくったことで日中関係とか日韓関係を著しく悪くしてしまったのではないか、せっかく営々として積み上げてきた両国関係というものをこうしたことで非常に悪くしてしまった、しかも、その処理に時間がかかったことでそれをさらに上塗りしてしまって、国益という点から見ると相当マイナスが多かったのではないかということを言われる方もあって、そういう角度から見れば責任問題に進んでいくのではないかという御議論がありますが、官房長官の御見解は、こういう問題は責任問題という種類のものではないとお考えになりましょうか、それとも、とにかくこういうことで政府見解をまとめたけれども、両国関係その他をいろいろ考えて見るとやはりこれは責任問題というのもあるかもわからぬというお考えでしょうか。そこだけお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

宮澤喜一自由民主党内閣官房長官

○宮澤国務大臣 問題は歴史教科書批判という形をとりましたけれども、根底にございますのは、やはりわが国の戦争中の行為についての厳しい批判ということであると考えております。その点についてのわれわれの反省は共同声明、共同コミュニケ等において述べてございますし、また、それが今日といえども変わらないわれわれの反省であるわけでございますが、やはり時間がたつにつれまして、あるいは害を加えた側の意識が害を受けた側の立場というものを時間の経過とともに忘れがちになるということ、ありそうなことで、あってはならぬことでございますけれども、そういうことについての反省を求められたのが、形は教科書批判という形をとりましたが、このたびのことではなかったかと思っております。その点は、政府としても十分反省すべきでございますし、なお、このたびの処理がおくれたことによってよけいにそのような国益を害したという御批判は、あるいはそうであろうかと存じます。これは甘んじて受けなければなりませんし、そうといたしますと、それは私が主たる責任者である、こう考えます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 以上で内閣官房長官に対する質疑は終わりました。  引き続き質疑を続行いたします。佐藤誼君。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 先ほどは主として官房長官に質問いたしましたので、これからは文部大臣ということで質問いたします。先ほど官房長官に質問したこととずいぶん関連がありますが、それを念頭に置きながらひとつ御答弁いただきたいと思います。  このたびの教科書問題について、きのう政府発表にあったように政府の責任で是正するということに政府、文部省は踏み切ったわけであります。この是正に踏み切ったのは、たとえば指摘されている侵略を進出、侵入に書きかえたことなど文部省の検定教科書の記述が誤っていたとの反省の上に立って是正するのだというふうに理解しているわけですけれども、それでよろしいですね。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 このたびの官房長官談話の趣旨に沿いまして、今後一層韓国、中国を初めといたしまするアジアの近隣諸国との友好親善の精神が教科書においてより適切に反映されるようにするために、必要な措置について速やかに審議会に諮問し、御検討をお願いすることといたしておるわけでございます。この結果を本年度の検定に生かすようにするとともに、すでに検定を経た教科書についてもその結果を踏まえてできる限り速やかに措置するつもりでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 質問に適切に答えてもらいたいと思うのですよ。私はいま答弁になったような質問はしてないのです。つまり、端的に言うと、このたび是正に踏み切ったのは、たとえば指摘されている侵略を進出、侵入に書きかえたことなど文部省の検定教科書の記述が誤っていたという反省の上に立って是正するのだというふうに私たちは理解するのですが、そのように理解してよろしいのですね、こういうことなんです。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 問題点として指摘されておりまする個々の用語につきましては文部省としてそれぞれ理由があって検定を行ったのでございます。その点につきましては今日まで当委員会においてもるる御説明を申し上げたとおりでございますが、今回のことにかんがみまして近隣諸国の国民感情に対する配慮という点においてなお足らざるところがあったに違いない、そのような反省に立脚して今回の措置をとろうとしておるのでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 どうも答弁が避けるようにしているのですがね。足らざるところなどという、いまそういう答弁をされていますが、足らざるところを補うなどという立場で今回是正じゃないのでしょう。ここで言っているのは、文部省の検定教科書の記述が誤っていたという反省なんでしょう。具体的に言うならば、侵略というそのことを進出や侵入に変えたことが誤っておったし適切でなかったという、これは日中戦争の反省、日中共同声明の趣旨からいってもそうだ、こういうことの反省に思いをいたして是正するのじゃないのですか。どうなんです。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 私は格別文部省のメンツにこだわってくどくどと強弁を申し上げるつもりはございませんが、検定はそれぞれ理由があって正しいと信じて検定をいたしたことはるる御説明を申し上げたとおりでございます。しかるところ、問題がここまで発展をいたしております。これにつきましては、それぞれ申し入れを受けておりまする国々の国民感情に対する配慮という点においてなお足らざる点があったからに違いない、かように反省をいたしておる結果でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、正しいと思って検定をやってきたのだけれども、各国の国民感情に対する配慮が足りなかったから今回是正するのですか。つまり、外からそういうことを言われて、言われてみるとなるほど各国の国民感情に対する配慮という、それだけなんですか。私は政府なり文部省が主体的にこのたび責任において是正するというのは、正しいと思って検定をやってきたのだろうが、言われているような侵略を進出、侵入に変えたということが、その検定教科書の記述に誤りや不適切があったという反省があって初めてだと思う。そういう反省がなくてなぜやるのですか、外国に対する国民的な感情の配慮だけですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 私ども日常生活におきましても、毛頭そのようなつもりがなくて結果において人様の気持ちを傷つけるということは間々あることでございます。私どもはそれぞれ理由があって検定を行ったわけでございますが、かような大変な事態に問題が発展をしたということにつきましては、反省を要する点が多々あったに違いない、かような反省に立脚して今回の措置をとろうとしているところでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 余り回りくどい言い方ではなくて、いまのことも含めて記述全体に反省すべき点があったからでしょう。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 反省すべき点があったからだということを先ほど来申し上げているつもりでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 私は、ここで文部大臣はいつか日中戦争は侵略の戦争であったという趣旨のことを表明され、率直な見解表明として深く敬意を表し評価しているものです。したがって、いまのことから言いますと、このたびの「政府の責任において是正する。」というのは、文部大臣の、いま私が述べたような発言から言うと、いわゆる日中戦争は侵略の戦争であったとの認識の上に立って是正をしていくのだ、こういう理解でいいと思うのですが、どうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 かつての戦争が侵略的な性格の戦争であったということは、今日なお私はそのように認識をいたしておりますから、御質疑に対して侵略戦争であったという答弁を申し上げているとおりでございます。今日の教科書はそのような認識に立脚して書かれておると私は考えておるわけでございますが、それにいたしましても、このような強い批判を受けておることでございますから、かような認識に立脚いたしましてこれらの諸国との友好親善を一層進めまするために共同コミュニケあるいは共同声明の趣旨がよりよく教科書に反映されるように必要な措置をとろうとしているところでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 かような認識の上に立ってとありますが、かような認識ということは、いま最後に言われましたいわゆる日中戦争は侵略戦争だ、こういう趣旨に基づいて是正するのだ、つまりそれは最後に言われました侵略戦争であったというそのことの深い反省は日中共同声明にありますから、同時にそのことは日中共同声明の趣旨に基づいて是正するのだ、こういうふうに理解していいですね。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せのとおりでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 それでは次に、中国などの教科書是正要求、つまり七月二十六日があってから昨日の政府発表まで約一カ月かかっているわけです。その間いろいろな曲折がありました。その間の文部省の対応を見た場合に、中国や韓国の要求のとらえ方、つまり文部省、政府のとらえ方が非常に甘かったのではないか、また、ひっくるめて言うならば対応の適切さにおいて欠けておったのじゃないか、いまその後を振り返ってみると、言うなれば文部省として反省すべき点があったのではないか、それは先ほどから同僚議員も言っているようないろいろな意味で影響を与えていますから、その衝に当たった方々の責任もまた避けられないのではないかというふうに思うのですが、どうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 私はしばしば申し上げましたように、中国あるいは韓国の申し入れを謙虚に受けとめて誠意を持って対応することによって一刻も早く問題を解決したい、及ばずながら努力をいたしたわけでございますが、かように長い時間を費やしておりますのは私の非力のいたすところと深く反省し、責任を痛感いたしております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 誠意を持って努力し云々というこのことは、誠意を持たないでやるということはありませんから、それはそれでいいです。しかし、客観的に経過を振り返ってみると、文部省が七月の二十六日以降とった基本的態度は、この検定制度を説明すれば理解していただける、その中身は何かというと、改善意見で自主的に民間の皆さんが変えたのだという、これを軸にしてずっと説明してきた。そして七月三十日の時点でそのようなとらえ方、対応では甘いのではないかということを私は言った。それに対して文部大臣はその時点で、先ほども言いましたけれども、「ただいま申し上げたとおりでございまして、誠意を持って説明することによって」、つまり検定制度だと思うのですが、理解をしていただくのだ、その努力を続けるのだと、これで終始押し通してきたのですね。ただ私は、その経過を振り返ってみると、例の八月五日に再度中国側から抗議を含め、しかも即刻是正を「切望」じゃなくて「要求」という形で出てきた。しかもよもやと思っておった文部大臣の訪中も御遠慮していただくというふうになってきてから、これはかなり厳しいわいというふうな受けとめ方で、それからかなりいろいろ対応が変わってきたのではないか、私はそう思うのです。したがって、そういう当初の対応なりとらえ方が甘かったというのが今回の声明に至るまでのいろんな問題点を惹起した基本的な要因であったと私は思うのですが、重ねてどうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 文部省は申すまでもなく軍国主義を復活しよう、あるいは、歴史を改ざんしようというような意図のもとに検定をいたしたわけじゃございませんし、それぞれ理由があって検定をいたしてきたわけでございます。半面、今日の教科書におきましては過去の戦争に対する厳しい反省ということを基調として、そういう基調で今日の教科書は貫かれておるわけでございますから、当方の真意を説明することによって問題を解決しよう、及ばずながらその努力を続けておったわけでございますが、そのような問題の受けとめ方、そのような認識が甘かったからかように長い時間を費やしたのであるという御批判を受けますれば、この御批判は甘んじて受けざるを得ない、こう考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 じゃあ続けて、一連の文部省の対応の中で、とらえ方が甘かった、対応が云々というこのこともありますが、もう一つその対応の中で、外国に非常にわかりづらくし、問題を長引かせたのは検定制度の問題にかかわっていると思うのです。つまり、言うなればその是正は慣行も含めて検定制度の枠内でやる、そしてこの検定制度は今後とも堅持をしていくというこのことに言うなれば執着をしたといいますか、このことがいたずらにいろんな問題を派生し、問題を複雑にし、また今回の声明もいろんな意味で諸外国にはわかりづらい問題を残していったものではないだろうかと私は思うのです。  そこでこの検定制度にかかわって、今後諸外国から見るならば、この慣行に従ってサイクル、つまり昭和五十八年度使用高校社会科教科書を六十年に改訂する、しかも五十八年、五十九年はそのままの教科書でやっていく、つまりその閥経過措置をとるというこのことは、諸外国にとっては検定制度の仕組みと同時になかなかわかりづらいし、また、欠陥と認めながらもその間の教科書はそのままでいくというのは、早期是正という立場からこの点は納得できないということになると思うのですね。したがって、その点はどうなのかということが一つ。  それからもう一つは、先ほども言いましたけれども、昭和五十八年から使う教科書は是正をするのだということを言っているわけです。六十年には是正するのだ、そして六十年には是正したものを使うのだと言う。そうすると五十八年から使う教科書は、かぎ括弧だけれども、簡単に言えば欠陥教科書ですよね。この欠陥教科書を教育の現場で使いなさいと言っているわけだ。そうすると、たとえば生徒の立場から言うと、これだけ問題になっていますから、こんな欠陥教科書をわれわれによこして、これはこの部分は直されるのだそうだ、これを使えなどということはおかしいじゃないか、無責任ではないかというようなことは、生徒の立場から出てきたときどう対応するのですか。私もかつて教員やったことがありますけれども、教師の場合から言ったって同じことだと思うのです。  加えてもう一つ申し上げますと、それを何か文部広報で指導するということを言っていますけれども、これは具体的にどういう効力というか意味を持っているのか、あわせてひとつ御説明をいただきたいと思うのです。まず基本的な点で文部大臣から。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 私は、両国の申し入れの趣旨を理解いたしまして、一刻も早くこれに対応したい、かように考えて、及ばずながら心胆を砕いて検討いたしたわけでございます。そのために検定を一年間繰り上げるということも実行するわけでございます。これを二年繰り上げますれば検定済みの教科書が使用される期間は一年間ということになるわけでございますが、二年繰り上げるということは一口に申しますれば技術的に不可能でございますので、残念ながら一年の繰り上げにとどめたわけでございます。その結果二年間、検定を終えた教科書を使用せざるを得ないわけでございます。  そこで、今後教科用図書検定調査審議会の議を経て検定基準を改定いたしました時点で文部大臣の談話を発表する、その談話の内容、どのような内容のものにするか、どのような文言を用いるかということはこれから先、鋭意検討をしなければならない問題でございますが、一言にして申しまするならば、共同声明あるいは共同コミュニケの趣旨をよりよく教科書に反映させようという趣旨でこのたび検定の物差しが改定されることになった、ついてはこの検定済みの教科書を学校において教材として使用する場合にこの事実を念頭に置いて教えてほしい、きわめて抽象的でございますが、したがって、具体的にどのような文書を用いるか今後の検討課題でございますが、かような趣旨の談話を発表するつもりでございます。  さらに補足的に初中局長から説明を申し上げさせます。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 ただいま大臣が申し上げたとおりでございまして、できるだけ五十八年四月に使用される教科書につきまして、新たな検定の方針が決まりました段階で検定の窓口を開くということは必要でございますけれども、事務的に考えまして、これは一年繰り上げるのが最大限の措置でございますので、そういう措置をとるということにいたしているわけでございます。  なお、ただいま大臣が申し上げました文部広報におきます周知の問題でございますが、これは各学校末端まで参ります文部省の公的な広報紙でございますので、これによって文部大臣が直接これまでの経緯なりお考えを開陳いたしまして呼びかけるということでございますから、そのような趣旨がよく徹底するのではないか、そういう趣旨で広報紙によりましてこのような趣旨の徹底を図るということを考えているものでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 五一九年の検定を一年間繰り上げて五十八年にし、使用は六十年からする、こういうことですね。それはいまも大臣とそれから局長からありましたが、言うなれば一年を二年に繰り上げるということは技術的に不可能だということを大臣は言われた。それから局長は最大限の措置だということを言われた。じゃ、その根拠になるのは何かというと、これは法律じゃないのですね、慣行なんですね。ここのところが外国にも国内でもわかりづらいことなんです。法律であるならばこれは法律を改正しなければならぬということになっている。文部省が慣行ということでやるならばまた慣行で直せばいいじゃないか、簡単に言えば。これが一般の感覚だと思うのです。それを、自分たちが慣行というものをつくって慣行の中で事を処理しようとし、技術的に不可能だとか最大限の措置だとか、こんなことを言ったって、国内はもちろん外国だってわかりっこないですよ。やはり即刻直してもらわなければならぬ、結果的に何もこたえてないじゃないか、それは、検定の仕組みであるとか慣行などというものはあなた方の文字どおり内政ではないか、そんなことを問うてるのではない、結論は早く画してもらうことだ、こういうことに対してどう答えるかということですね。  それからもう一つの問題は、いまの広報紙の問題でありますけれども、実際、子供から見ると、五十八年の教科書をもらった——新聞ではもう皆見ておりますからね。この「進出」というのは六十年になりますと同じ教科書が「侵略」になる、この記述は誤りだということを見ながら生徒は学ばなければならぬ。そうすると生徒の方では、これは誤っている教科書、直される教科書、言うなれば欠陥教科書、これをわれわれに与えておいて、云々などということは直せば直せるのではないか、直さないでわれわれにそういう欠陥教科群をよこして勉強させるなんということは無責任ではないか、これを徹底的に生徒諸君から言われたときに教師だって困るし、われわれだって説明のしようがないわけだ。これは、言うなれば文部省に行って聞いてくれ、大臣のところに行って聞いてくれ、これしかないじゃないかと思う。  それから、いま言われたように広報紙でやる、これは市町村あるいは学校の末端まで行っているということを言っているが、このやり方は、いま局長に聞くと、呼びかける、それから大臣は念頭に置いて教えてほしい、こういうことを言う。呼びかけて先生方は念頭に置いて教えるのだと言ったって、それは何も拘束もなければ先生方の自由だということに極論すればなるでしょう。とすれば、諸外国の皆さんから言えば、拘束もなければ、呼びかけて念頭に置いてほしいなどという程度で欠陥教科書をそのまま教えるというのはおかしいじゃないか、こういう批判が私は当然出てくる、だろうと思う、諸外国の情勢から言えばね。私は非常にわかりづらいと思うし、現場にいたずらに混乱を招くだろうし、この辺は明確にしてもらわなければ困ると思うのです。大臣、この辺はどうですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 今回の措置は、中国、韓国を初めといたしますアジア近隣諸国の批判にかんがみましてこれらの諸国との友好親善の精神が教科書により適切に反映されるように措置をしようとするものでございまして、これまでの教科書の記述について、これが誤りであったということではないのでございます。したがって、これから検定基準を変えまして、アジア近隣諸国に対する友好親善の精神から見て適切な配慮を加えるべきである、あるいは適切な配慮を加えられているか否かというような観点を仮に加えたといたしますと、先ほどからるる大臣が申し上げておりますように、より適切な表現としていろいろな表現が考えられるわけでございまして、その際、そういう基準に従って、発行者の方におきまして、問題になっておりますような記述をこうしたいというような道が開かれて初めて検定のルールに乗ってくるわけでございますから、それまでの間はこの教科書が間違いであるということではないのでございます。  その間におけるこれまでのいろいろな経緯にかんがみまして、文部大臣が広報紙を通じまして従来の経緯なりあるいは官房長官声明におきます趣旨等を十分に所見の形で発表して理解を求める努力をする、その機会は教科用図書検定調査審議会におきまして検定基準等に関します検討が加えられまして、その結果を踏まえてこれから新たな教科書の検定を行うというような機会をとらえましてその措置をとり、いろいろな疑点なり混乱というものに対応するということでございますから、そういう意味では文部広報という相当、十五万六千部でございますけれども、そういう部数を持っているこれを活用いたしまして周知を図ることが効果的であるというふうに私どもは考えているわけでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 何か知らぬけれども、あらかじめ答案用紙みたいなものを持ってきて、質問もしないようなことに長々と答えてもらったのでは困るのですよ、時間もないのに。質問していることにずばり答えてもらいたいと思うのですな。  それで、いま説明を長々と述べられましたけれども、非常に気になることは、つまり昭和五十八年から使うわけでしょう。そうですね。この教科書は政府の責任で是正する。その是正は、昭和五十八年に繰り上げて検定して六十年から使うということでしょう。そうでしょう。そうすると、いま使っている教科書は、いま政府の責任において是正するということを言っているのですから、中身も大体見当がつくわけだ。つまり、五十八年から使う教科書は六十年には必ず政府の責任で直すということを言っているわけでしょう。ところが、いまの局長の答弁によれば、そうはなっているのだが、改訂検定のときに著作者あるいは発行者の申し出があって初めてそこで直されていく。直されていって初めてそれが正当な教科書であって、前に、直っていないからといってそれは間違いではないと言う。つまり、直して初めてそれは間違いが直されるのであって、その前、直していないからといってその教科書は間違いでない、こういう答弁なんですね。私はそんなことは詭弁だと思うのです。子供からいったって、そんな答弁は成り立ちませんよ。直すことがわかっているのだから、だから申請に基づいて直したら初めてこれは間違いが訂正されるなんて、その前、直す前のものはこれは間違いではないのだなんということ、何でそんな答弁ができるのですか。どうなんですか、簡単に言ってください。こんなおかしな答弁ないですよ。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 いま問題になっております教科書をできるだけ早くこの共同声明なり共同コミュニケの精神に沿いまして、より適切に友好親善の精神が反映されるという見地から必要な措置をとるというものでございますから、その措置のとり方が、検定制度の運用によりまして三年の周期をもってやっている、そこのところをできるだけ早く検定に関する方針を決定いたしまして、これは審議会の御検討を経なければならないわけでございますが、それをできるだけ早く終えて、五十七年度の検定から適用するという方針を固め、さらに従来の三年の周期を一年繰り上げまして……(佐藤(誼)委員「その辺は新聞を見ているからわかる」と呼ぶ)そういう方針でやっているものでございまして、その措置が順次行われることによって適正な教科書になる、そういう意味で是正ということが言われているのでございまして、ただいまの五十八年度使用の教科書、五十九年度使用の教科書の個々の記述について直ちに政府が是正するということは不可能なわけでございまして、それはその間に従来のいろいろな経緯を説明することによりまして、疑点等があればそれに答えるというのが広報紙の効果であるということを申し上げているわけでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 不可能だ、こういうことで結んでいるようでありますが、これは文部省の答弁であって、私は、諸外国ではわからぬということになると思うのですね。そして、いまのような答弁がたとえば議事録として日本国じゅう現場に流れていったとすると、ますますわからなくなると思うのです。  きょうは時間がありませんから、その問題はその程度にして留保しておきますけれども、私は、いまのこの検定制度の問題にかかわって、こう思うのです。  これは文部大臣に答えてもらいたいと思うのですが、検定制度は文教政策の根幹だ、これは従来も言ってきたし、このたび特にそういう点でクローズアップされてきたわけです。しかし、これについてはあるいはこの考え方については、次のような考え方なり見方もあるわけです。これはいままでの経緯を見ると、この検定制度は、教育正常化の名において自民党文教政策を文部省の教育政策の中に組み込む隠れみのではないのか、こういう見方がある。したがって、これはそういう意味で今後とも残さなければならぬのではないか、こういう見方ですね。またこのたびは、教科書問題、外圧だ、制度の枠組みを残しておけばいずれ中身は情勢の変化によって何とかなるのではないか、こういうようなとらえ方で、いまの検定制度の枠組みあるいは検定制度は存続させる、こういうことであるとするならば、私はきわめて問題だと思うのですね。もしそうだとするならば、今回の教科書検定に対する文部省の立場はきわめて国際的な信義に反するし、そのような態度が貫かれている限り、第二、第三の教科書問題が起こる可能性を十分持っている。そして先ほど申し上げたような、言うなれば、言われているところの自民党文教政策を教育正常化という名において文部省の教育政策の中に組み入れていこうとする隠れみのではないか、こういう立場からするならば、今回のこのあり方は今後の文教政策にも大きく影響を与えるだろう、こういうようになると私は思うのです。だから、これはいろいろな見方がありますから、こういう見方について非常に私は考えられる面だと思うのです。  したがって、その辺、文部大臣は、このたびの教科書の是正について、この検定制度にかかわってどのような立場でこれに、言うなれば言葉は悪いのだけれども非常に固執されたのか。この辺の基本的な見解を聞いておきたいと思うのです。文部大臣。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 現行の検定制度は、次の時代を担う国民を健やかに育成する上において非常に重要な役割りを演じてまいりましたし、今後も演じていくに違いないと信じております。申すまでもなく、誤ったことを教えないため、教育の水準を全国的に同一に保つため、あるいは政治的あるいは宗教的に偏った内容のものにならないようにするためにぜひとも必要な制度でございますから、これを堅持していかなければならないことは当然だと信じております。  今回、この問題に特にこだわったつもりはございません。これは当然のことでございますから、問題の解決に際しては、制度の根幹は堅持すると申し上げておるだけでございまして、仰せのように何かの隠れみのにこれを使おうというような意図は全くございません。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 その点はやや見解の分かれることでありましょうし、これは先ほどの侵略戦争に対するとらえ方として後世の歴史家が判断するということでありましたけれども、これがいま文部大臣が答弁するように、何らそういう心配なくこの問題が本当に正当な形で生かされていくものであるかどうか、これはこれからの文部行政の検証にまつということにならざるを得ないのでありますけれども、いまの時点で先ほど申し上げたような二つの憂うべき検定制度に対する観点が出されました。私はそれを紹介いたしましたけれども、これは全然関連のない、火のないところに煙が出ているというような問題ではないと思うので、この点は私、この機会に強く指摘をしておきたいというふうに思うわけであります。  そこで、最後になりますけれども、指導要領の点でちょっとお聞きしますが、指導要領とそれから教科書の検定基準、これとはどのようなかかわり合いを持つのか。指導要領の持っている意味、端的にひとつ答えていただきたいと思う。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 指導要領は教育課程の大綱的基準を定めるものでございますし、教科用図書検定基準は教科書の検定に当たっての基準となるべきものでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いま局長の答弁ですと、指導要領は教科書検定の基準になるというきわめて重要な、検定に当たっては意味を持つものなんですね。先ほど河野委員からも質問がありましたけれども、いま検定された教科書が問題になっているのですけれども、いまもありましたような検定のもとになる、よりどころになる指導要領が、すでにいま指摘されているような、日中戦争で言うならば侵略が進出に変えられている。こういうことなんですね。検定の教科書を幾ら変えていったって、いま答弁あったように、もとになる基準のところを変えなければこれはどうにもならないのじゃないか、これは常識だと思うのです。現にここに、現物は持ってきておりませんがコピーを持ってきておりますけれども、御承知のとおり、いまよりどころにしている昭和五十三年の五月、中学校指導書社会科百四ページ、同じく昭和五十四年五月、高等学校社会科解説六十六ページ、ここの中に明確に日中戦争については「進出」と書いてあるのですね。この部分をどうするのかということです。これに基づいて検定をやっているのですからね。これが一つ。  これはここにコピーがありますから、参考にちょっと読みましょうか。いま言った直等学校の場合、五十四年五月ですけれども、この中に、六十六ページの「両大戦間の内外情勢と時代思潮」という中にずっとありまして、最後のくだりに「日本の大陸進出が一図強まり、日華事変からいわゆる太平洋戦争へと突入する。」と、明確に「進出」と書いてある。この部分を直さないで、これを基準にして出てきた教科書を幾ら直したってしようがないと思う。これは先ほど河野委員に対しては、私の聞き違いかどうか知らぬけれども、直さないという趣旨のことを答弁されたように思いますが、これはどうなのか。これが一つ。  それからもう一つは、実は新聞等にもいろいろありますけれども、指導要領に昭和三十年代、四十年代から日中戦争についてはすでに進出という言葉を使っておるのですね。これは具体的に申し上げますと、昭和三十三年の「学習指導要領 中学校」、この三十九ページ、それから同じく昭和四十四年、「中学校学習指導要領」四十ページ。このころはもう日中共同声明が発表される以前なんです。すでにその当時からそうなっているのですよ。これは重大な問題でありまして、いま言ったように、昭和五十三年五月の中学校社会科の指導書、これの中の百四ページに次のように書いてある。「激動する世界と日本」という最後に、「我が国の大陸進出に着目させる。」という指導の観点が出ているのです。それから昭和四十四年、この四十ページの「資本主義経済の変動と日本」という中で、ずっとありまして、最後のくだりに「政党の堕落、軍部の政治への介入がみられ、大陸進出が行なわれたことを考えさせる。」というふうにちゃんと観点が書いてある。  ですから、今日確かに日中戦争にかかわって侵略という言葉が侵入、進出になったということで外交上の大変な問題になって、今日も問題になっている。しかし、これはきのうきょう文部省がやったことじゃないのです。昭和三十年代からやっているのですよ。営々としてやってきて、いま目に余る状態になって、中国や韓国から指摘され、しかももう韓国や中国では先ほど言ったように政府レベルの問題じゃないのです。踏まれた足の痛みは踏まれた人でなければわからぬ、踏んだ人にはわからないということわざがありますが、これはわれわれは忘れてはならないし、あのような韓国なり中国の皆さんの加えられたもの、被害者の立場は忘れないという、これはやはりわれわれは大切にしなければならないと思うのです。そういうことを考えますと、昭和三十年代からずっとこのことがやられてきた、このことに対して文部大臣、いま当面の文部大臣でありますけれども、どう思いますか。根は深いと思うのです。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 ただいま問題になっておりまするのは、学校の現場で主たる教材として使われる教科書、それによって教師が授業をし、日常生徒の目に触れておる教科書の用語がただいま問題になっておるわけであります。学習指導要領はもとよりそのような文書ではございませんし、そこに記載しておりますのは、教科書の用語について指針を与えようとして書いておるわけじゃございません。しかじかの問題、しかじかの事実を教科書に記載すべきだ、こういう趣旨で述べておるわけでございます。私はそのように理解をいたしておるわけでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 しかし、それは文部大臣、ちょっと詭弁と言ったらいいか、強がりの答弁じゃないですか。この指導要領は、検定の基準であると同時に、しかも、検定に基づく教科書をつくる基準でも一面から言えばあるのですね。その指導の基準、教科書検定の基準、この中に進出ということを考えさせると、これは「大陸侵略」とはないのですよね。これは用語の問題ですか。その中にはもう、大陸侵略ではなくて進出という立場で考えさせるという思想が入っているのですよ。このことは幾ら抗弁したって、指導要領というものは教科書の用語を指導しているものじゃないというようなことで逃れることができますか。私は常識的な立場からいってそれはおかしいと思うのだな。どうです、文部大臣。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 指導要領というものは用語についての指針を与えるための文書ではない、これは繰り返して申し上げます。そのとおりだと御理解をぜひいただきとうございます。しかじかの問題について書くべしということを言っている。たとえば第二次大戦について記載すべしと言っておるのと少しも変わらない。日本が大陸に出ていった、そのことは侵略という言葉で評価するべきことであるかもしれませんが、要するにその事実について書けと言っておるわけで、その際進出という用語を使うのが適切であるというようなことを指示しておるわけじゃない、私はそのように理解しております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 まあ、それは国会の場ですから、いろいろ質問のやりとりを国民全体が判断すればいいことだけれども、私は、文部大臣のいまの答弁はどうしたって強がりであり、言い逃れで詭弁としか思えないのです。つまり、指導要領の中に進出と書けばこれは客観的事実の記載であり、侵略と書けば客観的事実の記載のものではないみたいな、そんなことが成り立つのですか。これは前から論争されていることですけれども、私は、侵略ということであるならば、侵略ということを指導するのであれば、のっとるべき指導要領の中にも侵略ということが行われたということを考えさせる、こういうふうに記載するのがあたりまえじゃないですか。どうですか、重ねて。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 大臣の御答弁で尽きていると思いますけれども、補足させていただきますと、学習指導要領の性格と教科書の性格が違うわけでございまして、指導要領と申しますものは、教育課程の大綱的な基準を定めるものでございまして、これは学習においてどのような内容を教えるかということとその指導の方法を明示しているものでございます。したがいまして、非常に簡潔な表現の中で指導の内容事項を提示しているものでございますから、客観的でかつ公正な記述となるように配慮をされているものでございまして、その意味で中学校の指導要領におきましては一貫して進出という用語を使っているものでございます。これは他の戦争等の用語につきましてもすべてそういう形で統一をしております。  反面、教科書の記述につきましては、るる申し上げておりますが、個々の記述の文脈におきましていかなる用語を使うかということが問題なのでございまして、そういう用語があるいは学校で用いられる実際の用語とは直接関連するという関係にはないわけでございますので、その二つの、指導要領と教科書との性格の違いからこのようになっておるということを申し上げたいと思います。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 あと時間になりましたからやめますけれども、先ほど指導要領は教科書検定の基準になるのだ、よりどころになるのだ、これを明確に答弁されましたね。そして、今回の場合にその教科書の繰りを政府の責任で是正すると言う。ところが、このもとになるいま指摘しました指導要領の関連する個所についてはこれは直さないのだ、こういうことを言われたときに、それじゃ韓国や中国の皆さんが、いやそれはそうでしょうなということになるかどうか。私はならぬと思うのです。常識的にわれわれもそう思いますから、検定制度の中身をよく理解できない諸外国の皆さんは、よりどころのところは変えませんと言ったら、そんなこと、本気にわれわれの求めている是正にこたえているのかという新たな問題に波及するだろうと私は思うのです。  まあ、時間になりましたから、以上、私の方から最後に意見を述べまして、私の質問を終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 教科書問題は、この一カ月間、当文教委員会ほかの委員会等でもいろいろ議論をされてまいりました。表面的にあらわれた姿は教科書問題でありますけれども、こういう形であらわれてきた中国それから韓国並びに東南アジア、これはイギリスあたりにも波及しているようでありますが、いろいろな批判が強烈に出てまいりました。特にこのアジア地域において出てきたその一審根本の原因、どういうところに原因があったのかということの認識を誤りますと、これは記述訂正はもう当然さることながら根本的な今後の解決にはならないであろうと思うわけです。そういう立場から幾つか御質問を申し上げます。  最初に外務省の方に、今回この教科書の問題が起こりまして、これまで外務省が営々として中国、韓国等で築き上げてきた信用と申しますか外交のあり方が一挙にして十年ぐらい後戻りした、そういう話がNHKでしたかの報道番組の中で、ある記者が外務高官にいろいろ取材したときにちらっと出ておったということが報道されておりましたけれども、この点についてどういう認識をしていらっしゃるのかお尋ねをいたします。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 この教科書の問題は外交問題にまで発展いたしたわけでございまして、この処理の仕方を誤れば、あるいは十年か何年かわかりませんけれども、かなり後退をするのではないかという懸念は私ども抱いたわけでございます。しかしながら昨日の発表のとおり、これは諸外国一〇〇%御満足いただけないかもしれませんけれども、それなりに誠意を尽くした結果になったわけでございまして、外交当局としましては、それを踏まえまして後戻りではなく一図の前進が図れるように努力いたさなければならない、かように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 そこで、この教科書問題について外務当局、文部当局と意見がずいぶん違ってきておったわけでございますけれども、外務当局としてはこの教科書批判が起こった原因というものをどういうふうに受け取られて考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 私ども、過去におきまして不幸な事態が展開されたわけでございます。そのことはこの委員会におきましても、大臣、長官の御答弁におきましても、日中共同声明あるいは日韓共同コミュニケということですでに御指摘になっておるわけでございます。したがいまして、それにひびが入るのではないか、その精神に疑念を抱かせるものではないか、かように中国あるいは韓国によりまして受けとめられたということにつきまして、私どもこれを深刻に受けとめまして、確かに時間はかかりましたけれども、昨日の政府見解に至ったものと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 先ほどの官房長官等の答弁の中にということがございました。官房長官の先ほどの御答弁をお聞きいたしておりまして、私はちょっと心配に思ったことが一つございますが、それは過去日本が戦争の中で中国、韓国等で残虐な行為を行った、それが底流にあってという御答弁が一貫してあったわけです。私は、この教科書問題がそこだけ、これが一番大きな原因であることは間違いないと思いますけれども、そこだけの原因にとらえて果たしていいのかどうか。たとえば、先ほどから質問がございましたように、佐藤委員の御指摘もありましたが、この侵略を進出に変えてきたということはもう過去ずいぶん前からのことなのですね。しかも、いろいろと話を聞いてみますと、韓国等では侵略の言葉のみでなくそのほか多数の項目について、教科書の記述に誤りがあるというようなことで、文部省の方にも相当申し入れがあっているやに聞いているわけです。ということは、中国は韓国以上に情報網を持っているであろう、そういう問題は過去からずっと行われてきたのをなぜいまの時期にこうやって出てきたのかというその背景、これはいろいろアングラで話が出ておりますから私どもわかりませんが、素直に受けとめてみますと、これは大変な重みでもって深刻だ深刻だと受けとめなきゃいかぬというお言葉がありましたが、深刻より以上の受けとめ方をして、根本姿勢を変えて対処しないと、私は後大変なことになるのではないかと思うのです。  これは新聞の社説等にも、きょうも一部触れられておりましたけれども、たとえば、日本は経済大国になった。私も東南アジアにずいぶん前に行ったことがございます。率直に言って、やはり、日本のいろんな製品が、自動車にしろ何にしろ、あちらで使われている。そういう中で、何となく、東南アジアの方々、中国や韓国の方々と比べて日本のわれわれはすぐれているのだという思いをしかねない。そういう錯覚、悪意でなくても、そういうものの積み重ねが、いつの間にか知らず知らずの間にこれが差別的な形を生んでおったのではないだろうか、こういうことの反省ですね。これは残虐性があったということだけではなくて、日本は、戦争と経済とは違うけれども、変わってみたら、のしかかってくるような感覚があるぞという受けとめ方を、その戦争が終わった後も、日本の姿を見る中で、そういうものを感じておったのではないかということが一つです。  さらには、巷間いろいろと言われているように、政府・自民党がいろいろな幾つかの点で右傾化、右傾化という道を走っているのではないかという疑い、疑念、こういうものの積み重ねの中で教科書問題が他国とのかかわりあるものが出てきた。さあこれは大変だ、要するに過去の何十年か前の戦争のことだけではなくて、それが根本であって、このまま放置しておくと日本は一体どういうことをやらかすかわからぬぞというものも含まった上でこういう問題が起こってきた、こういうふうに私は認識をし、その姿勢をはっきりとわれわれ持つことが最も大切だと思うのですが、この点、外務、文部両省ひとつ最高幹部の方からお答えをいただきたいと思います。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 例を韓国にとりますとしますと、日韓関係につきましては、これは単に教科書の問題ということじゃなくて、先生御指摘のとおり、きわめて複雑なものがございます。経済上の貿易のインバランスであるとかその他いろいろございますが、やはり根本的には何と申しましても相互理解に欠けるところがある。しかもそれが韓国の方々の見方をとりまするならば三十六年のいわゆる日帝支配というものを背景にした歴史を背負った、そこで相互理解が欠けておるということでございますので、単に教科書の問題ということじゃなくて、もっと深い問題として日韓関係の改善に取り組まなければならないのではないか。  そういう意味におきましては、中国との関係におきましても、先生東南アジアにも言及されましたが、何と申しましても相互理解に欠けるところはなおあり、今後一層の努力を経なければならないことはまさに御指摘のとおりかと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せには多分に御同感の点があると存じております。まあ問題は、文部省の行った検定に端を発してここまでの事態を招来したわけでございますが、たとえば世界の国々がいずれも不況とインフレ、失業、三重苦に悩んでおるさなかで、ひとりわが日本だけが依然として安定した成長の道を歩んでおる、そのほかいろいろの事実に対する反発といういろいろの要因が絡んで今度のことが出てきておる、こう理解いたしております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 外務省の対応で、十年引き返すかもわからぬところを今回こうやったので何とか行きそうだというふうな感じの御答弁だったと思うのですが、これは今後の理解をさせる努力の問題にもかかわってくると思うのです。それについて高官等の派遣も考えておるというようなお話も流れておるわけですけれども、今回の声明で十年間を後戻りすることなくきちんとやれるという自信と手はお打ちになれるということでしょうか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 この教科書の問題に限って今後たとえば高官の関係国への派遣ということは現時点では考えておりませんけれども、そういった側面も含めまして、教科群の問題に限らずあらゆる問題につきまして鍛治委員御指摘のような気持ちで対応しなければならないと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 文部省の方にお聞きしますが、戦後教育の中での一つの大きな欠点として、これからの子供の教育の中で大切なものは、一つは国際感覚豊かな人を育てなければいかぬということが文部省でも挙げられておったと思うのです。ところが今回の文部省のこの問題に対する対応を見ておりますと、よく言われるように、森の中に入って木を見て森を見てないというたぐいになっているのではないか。要するに、国内問題のこの検定制度云々を重視する余りい、わゆる国際的な感覚、判断というものが誤っておった、抜かっておった。これは大臣も何か判断が甘かったというような表現をなさっておったと記憶しておりますけれども、そういうことですね。これは、やはりいままでの文部行政の中でその一点だけとってみても大変誤りがあったのではないか。それからまた、先ほどからいろいろ、きょうの時点に限っての答弁、やりとり、各委員からのお話を聞いてみても、これは本当に深刻に反省をする中から、また、いま私が申し上げ大臣から御答弁をいただいた内容まで踏まえて、本当になって国際的な中での文部省のあり方なり、今後の教育の取り組みということについてなさるという気持ちが、どうも危惧を抱くわけでございますけれども、漠然とした質問ですが、この点についてどういうようにお考えになっているのか、お答えをいただきたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 豊かな国際感覚を身につけて外国からも信頼され尊敬されるような日本人を育てていくということは教育政策の重要な眼目だと心得ておりますので、これからもそのつもりで及ばずながら努力をしてまいります。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 時間が余りありませんので、もうちょっと議論を詰めたいわけでありますから、次に進みます。  具体的に記述の訂正ということについての方途というものはある程度いま議論されてきたわけでありますが、今後の問題として、一年繰り上げるとかなんとか事務的なレベルでのお話がございましたが、今後はこの改善意見というものはもう付さない、いままでのことに関連してのことで、付さないということになるのか。ただ侵略とか侵入、進出という言葉だけに限って言いますと、これはそれだけではないように私たちも伺っている向きがあるわけです。これはむしろ逆に改善意見を付さなければ、そういうものの記述訂正というものはやりにくいのではないかというふうなことも思うわけですが、この点についていかがですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 このたびの官房長官談話の趣旨によりまして、これからの教科書の検定に当たりましては日中、日韓の関係、アジア近隣諸国との友好親善の精神がより適切に反映されるという見地から、教科用図書検定調査審議会におきましてその観点からの検討をお願いするわけでございます。これは検定審議会のこれからの御審議にかかわることでございますけれども、仮にさらにそのような配慮が加えられるべきであるというふうなことになりますれば、従来付しておりました、たとえば侵略についての改善意見というふうなものは、そのような方針が出ますれば付さないということもあるわけでございますので、いずれにいたしましても、全体の趣旨に従いまして検定調査審議会の議を経てこれから慎重に対応していくということでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 さっき、五十八年、五十九年については文部広報をもって云々ということがありました。私たちはここの認識も、どうも文部省が本当に深刻に反省したという中からこういう形をとったのだろうかという疑念があるわけです。  具体的に通達という場合、これは事務次官通達になるのかどうかわかりませんが、通達と文部広報との重みといいますか、受ける側の教育委員会の受け取り方、重みというもの、受ける側だけではなくて、文部省自体として、これは比重にどういう違いがあるのか、ちょっとお聞きしておきたいのです。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 通達は、文部大臣が文部省設置法に与えられた権限に基づきまして所管の都道府県教育委員会等に一般的な指導をするというものでございまして、たとえば学習指導要領の改訂に際しまして、その改訂の趣旨を述べまして徹底を図るというふうな場合が通達でございます。  ただいま先生が御指摘になりましたような、教科書の個々の記述につきましてどうするかという点になりますと、一般的な文部大臣の権限に基づく通達にはなじまないわけでございまして、それよりは文部広報という広報紙を通じましてあまねく趣旨を徹底するということがよりふさわしいのではないかということを先刻からお答えしておるわけでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 こういう重大な問題を文部広報でやったという例があるのでしょうか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 事柄の重要性につきましては種々の観点があろうかと思いますけれども、文部広報におきましてはいろいろな文部行政におきます重要事項につきましてその都度、その紙面の広狭等がございますけれども、大臣談話を出すというふうなそういう異例な措置等も含めまして、いろいろな形でこの文部広報を使いましてそのような趣旨の徹底はしているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 文部広報というのは私も持ってきて読んでみたのですが、ただ、こういうことがありました、ああいうことがありましたというのを並べて載せてあるだけと私は思うのです。これは実際にこういう問題についてはこうすべきである、たとえば今回の問題をとって蓄えば、載せたからといって、じゃ今度は教えるときに、教科書を使うときに、そこはきちんとこういうふうにしてやりなさいよという拘束力といいますか、そういうものは何らない、ただ、こういう事件がありましたよ、こういうことがありましたよという報道を載せておるにすぎない、こう私は思うのです。そういう意味から、もう時間が参りましたので突っ込んだ話ができなくて残念でありますけれども、ある意味では、この通達という形の中でこれはこう考えるのですよと言わなければ、一年繰り上げてでもこの記述訂正をやろうというここまできておりながら、あの二年間の中でこういう措置でやってしまうということは、むしろ深刻な反省というものが本当にあったのだろうかな、こういう疑念を私は抱くわけです。  時間がありませんのでこれは指摘にとどめておきますが、もう一つ最後に、検定のあり方についてこの際根本的に改めていく必要があるのではないか、検討をしていい方向にやっていく必要があるのではないか。秘密的な検定制度というものも問題でございますし、それから公開の制度というものも取り入れながらこの検定制度というものに今後取り組む必要があると思いますが、ひとっこれについてのお考えを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せの点につきましては、すでに御高承のとおり、文部省は教科書につきまして中教審に諮問を申し上げておるわけでございます。教科書の編集、発行、採択、給与等の問題とあわせまして、検定のあり方についても遠からず答申をいただけることと考えておりますので、答申の趣旨を踏まえて検討をいたすつもりでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これで質問を終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 三浦隆君。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 それでは文部省にお尋ねをいたします。  先ほど来いろいろと質問が繰り返し行われておりますが、特に中国、韓国あるいは台湾、その他アジアの人々とは私たちは世界のどこの国とよりも仲よくしなければいけない、そうしたまことに近い関係にございます。そして、私たちが台湾なりあるいはまた韓国に旅行しましたときに、日本語がよく通ずるということでわれわれにとってはうれしいことでありますけれども、しかし向こうの人から見れば、戦時中に戦略教育令なり、あるいは教育令ということによって日本の教育によって無理やり日本語を強いられたというふうな思いを持つ人もいるかもしれませんので、日本語を普通に会話している相互の間でも、微妙なところで思いがけないところで食い違いというものがあろうかと思います。そういう意味では、この侵略何がしという言葉の記述それだけではなくて、こうした深い歴史的なつながりを改めて再認識しながら、心の痛みを相手の人々のそうした立場に立って私たちは考えなければいけないと改めて痛感いたします。  ただ、そうした中に、これもたびたび質問するわけでありますけれども、日本におけるアイヌの人々、いわゆるウタリの人々からも、今回再び教育においてわれわれをどうしてくれるのかという呼び声があり、あるいはまた沖繩からもありますが、そうした人々は後回しにされたようであります。中国、韓国の人々に対すると同じようにそうした国内における人々も踏まえて、私たちは戦争中に与えたその深い傷跡を改めて認識し直して、正すべきは本当に正さなければならない。すなわち、これは外国から言われたから正すのではなくて、当然自主的にわが国として正すべきものは正すという姿勢でやっていただきたいと思うのです。  ただ、これはもう本当に日本国民のだれしもが戦争を反省した上に立って今日がありますけれども、それがいつの間にかしかられるようになったというのは、やはりどこかに何かに過ちがあったのだろうかというふうに思いますと、やはり教科書検定のあり方そのものに間違いがあったのじゃないかというふうな気がいたします。すなわち、これも何回も言いましたように、戦後は命令による行政ではなくて法律による行政にならなくてはいけなかったのに、依然として教科書検定規則を初めとする、具体的にはすべて命令によってなっている、あるいは文部省告示の形によってなっているのであって、教科書にかかわるまともな法律を今日持っていないわけであります。  そうした中にあって、だれが基本的な審議会の委員であるのか、どのくらいの役割りを持つのかどうかも一般の国民は現実によくわからない。私が具体的にどういう方がメンバーなのですかと質問しましても、これは秘密だから答えるわけにはいかない、あるいはまた検定規則の十六条四号の中に何か正誤訂正でもできそうな言葉がある。しかし、それではだめだという答えだけが返ってきます。なぜだめなのかというのが一歩しっかりしてこない。何か恣意的に、あるときは直すことができ、あるときは直すことができないような、何となくそんな感じを持つことが少なくないわけであります。  これは別に十六条四号だけではなくて、たとえば離婚の法律要件にしても、配偶者が不貞行為を働いた云々といったような明確にわかる場合と、五号のように婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合とありますが、こうした大変よくわかったようでわからない言葉がある。ただし、この場合には、そうした婚姻の継続しがたいということにおいて判決を積み重ね積み重ねているうちに具体的にはこういう言葉を指すのだなということが明らかになってまいります。  ですから、十六条四号の正誤訂正でだめだともし言われるのであるならば、たとえば昨年度には何件の申請があって、この四号でよかったケース、だめなケースはこれこれしかじかございますとケースごとに書いた表をおつくりいただきたい。あるいは一昨年は同じく四号ではこれこれしかじかの件数が総数であったけれども、これは認め、これは認めなかった、そういうのを年々積み重ねていきますと共通因数的なものが出てきて、これは現行法規で言ういわゆる検定の正誤訂正になじむもの、なじまないものというのがおのずから客観的に明らかになってくるわけであります。それも私は文部省にお願いしたのですが、秘密だから一切言うことができないというふうな答えだけが戻ってくるわけでして、そこにいわゆる密室の検定というふうなことが言われてくる。そこをなぜもっと公開性を増すことができないのか。ですから、検定と言いながら実質的に国定のようにだれしもが思っているのではないか。それが今日も中国、韓国から、強く主張すればすぐにも改まるのだろうというふうな気持ちを相手の人が持つようになる。すなわち、われわれ文教委員でさえも検定というのは実質的に国定とさほど違いがないじゃないかと思っているのであるならば、外国の人がそう思ってくるのはなおしものことだと思うのでして、この際そういう誤解を一掃しなければなりません。  また同時に、政府が一方的に検定の審議会の委員を選ぶのではなくて、これもたびたび言うように、こういう人を選びたいというリストアップをされるのは結構ですが、改めて国会の場に持ってきていただいて、国会の承認を得ることによってガラス張りの人選をしていただきたい。そうでないと、いま批判された、かつての教育を正しいと信ずるような人がそうした審議会のメンバーになった事例が過去にあるわけであります。あるいはまた、その人の系列を踏むお弟子さんもなっているというふうに言われるわけであります。すなわち、私がここで質問をしてもそのメンバーを教えることができないと言っても、現実に私の手元にはどこからともなくこういう人がメンバーになっているということがわかってきているわけですから、そういう意味においても、この検定制度を基本的に改めていただきたいと改めてお願いするものであります。そうでないと、昨年の段階のときに、これも自民党なり政府の圧力か何かしりませんが、教科書会社がわずか三週間しかたたない教科書を一方的に変えると言った。今度また、来年のまだ使ってもいない教科書に対して改めてほしいという要望があって改めようとする。しかも、流れは違うようであるけれども、現行の密室的なやり方で言うこの検定の制度そのものは何にも変わっていないのであります。ということは、これはきわめて不明朗でありますので、こうしたことがたびたび指摘される以上は検定制度のあり方そのものをひとつ根本的に是正していただいて、なるほど検定というものは国定教科書よりよいものだ、あるいは自由発行制の教科書よりもよいものだということが日本の国民のだれしもが理解でき、あるいは外国の人にもわかっていただけるように、まず質問の冒頭に心からお願いを申し上げたいと思います。  そして、具体的に政府見解について初めに一、二御質問したいと思うのです。  見解の中に、「政府の責任において是正する。」、こう書いてありますが、具体的に何をどのように変えようとされるのでしょうか。その点からまずお尋ねしたいと思います。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 ただいま御指摘になりました点は第二項の後段にある文章でございますが、「このため」ということでございまして、このために第三項におきましては、今後新たに検定を行う教科書につきましては、教科用図書検定調査審議会におきまして検定の基準の問題等についての御検討をいただきまして、前記の趣旨が反映されるように措置をするということでございますので、何をということは、いまの手続を含めましてこの第三項に書いておる事柄かと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 お言葉が長い割りには余りよくわからないのですね。もう少し具体的に何をどのように、たとえば侵略と書いてある文章は、侵略という言葉をほかの言葉に直した、だからこれを侵略に戻しますというならば、そうしたようなことを具体的に言おうとするのか、いわゆる侵入なり進出と書いてあるものを侵略と直す、そうした場合には、もはやもうこれ以上修正意見なりその他は一切つけません、そのとおりストレートに認めることなんですとか、何か具体的に指す意味を持っているのでしょうか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 そういうことではございませんで、その第三項の手続を経ていろいろな、侵略ばかりではございませんけれども、韓国、中国等から指摘されているような記述についてのより適切な改善が行われる、そういう仕組みにつきまして、それを通して改善がなされるということを述べているものではないかと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 そうしますと、言葉の記述だけではなくて、ここでは検定のあり方そのものもすべて政府の責任において直していくという方向性を持っているのでしょうか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 検定のあり方ということではございませんで、指摘されました記述等に関連いたしまして、それが教科書の中でどのように記述されるべきかということについて検定基準等、その記述に関連する基準を改善することによりまして対応できるようにすべきである、そういう趣旨かと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 では、その三項のところですけれども、「教科用図書検定調査審議会の議を経て検定基準を改め、」とありますけれども、その検定基準だけをここでは意味しているのですか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 いわゆる教科用図書検定基準だけではなくて、検定に当たって考えられる一般的な方針なり物差しなり、あるいはそのあり方について検定の指針となるようなものについてそれを検定基準というふうに表現しているものかと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 見解に寄せまして宮津長官の言葉の引用が新聞にあります。一つに、問題の五十六年度検定、五十八年度使用教科書の改訂検定を一年繰り上げ、六十年度使用から記述を修正する。二、五十九年度使用からは検定基準を改めると補足説明した。そうすると、いまのお答えとはちょっと、というか大分違うように思うのです。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 それは違わないと思いますが、ただいまお読みになりましたのは、三項の「すでに検定の行われたものについては、今後すみやかに同様の趣旨が実現されるよう措置するが、」というところの説明といたしまして、五十八年度より使用される教科書につきましては検定を一年繰り上げて行うということを申し上げたものかと思います。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 教科用図書検定調査審議会令といった政令によりますと、その一条のところに、この審議会の役割り的なことが載っているわけですが、ここでは一般的に教科書、そしてそれに関連する調査ということに主眼を置いているだけなんですね。そして、その調査について必要と認める事項を文部大臣に建議するということでして、今度の役割りというのはあくまでもこの一条の範囲内のことなんでしょうか。いわゆる審議会にゆだねる事項というのはこの一条の範囲内でしょうか。一条の枠を超えることをもこの審議会に諮問しようとされるのでしょうか。そのように理解しないと、この政府見解というのは生きないのではないかと思うのですが。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 一条におきましては、文部大臣の諮問に応じて、検定申請の教科用図書を調査し、「及び教科用図書に関する重要事項を調査審議し、」と書いてございまして、検定申請の教科用図書を調査する中には、単に個々の教科書を調査するのみならず、調査するに当たっての一般的な方針なり指針なり、あるいは検定基準と申しますか、そういうものまで入っているというふうに考えられます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 時間の都合で残念、少し急ぎます。  それでは今度、「検定審議会の議を経て」とありますけれども、先ほど文部大臣のお答えでは、日中共同声明なり日韓共同コミュニケ、そうした趣旨に沿って、見解の趣旨に沿うお答えが得られるだろうというふうなお言葉があったのですけれども、しかし、どうかなと思いますのは、日中共同声明とか日韓共同コミュニケというのはもう前々からあったのでありまして、前々からあったにもかかわらずこの教科書の記述の問題その他がいま論議されているわけですね。ですから、あったにもかかわらず検定審議会というのはその教科書の記述の問題を不合格処分その他にしてきたわけです。ですから、いまさら日中共同声明、日韓共同コミュニケがあるからだけでは済まないのであって、何らかまた別な力というか何かがなければ審議会の答申、答えというのは何ら変わらないと思うのです。これは前の文教委員会でも質問しましたように、私が、侵略というふうなのを、正誤訂正であれ改訂の訂正であれ何であれ、変えるのですかと質問したときに、大臣その他のお答えでは、変える気持ちがないというふうに繰り返し一貫しておられたわけです。そして、書き直しであろうと書き加えであろうと侵略という言葉は使わない、使わせないということもこれまた一貫した答えであったわけなんです。ところが、今度の政府見解というのはそうではなくて、やはり侵略という言葉を使ってもよろしいという道を切り開くのだろうというふうに理解できるとすると、明らかにこれは前回私が国会で質問した内容とは大変大幅な食い違いが出ているということをまず一つ思います。  その次に、審議会が具体的にその文章の御期待に沿うかどうかというのは、これまたわからないのじゃなかろうか。なぜなら、検定審議会が隠れみのではなくて自主的な存在である限りは、自主的な判断をなすはずのものだからでありまして、事実、けさの新聞によりますと、検定審議会の部会長をされている大石先生が「いいなりの結論を出すとは限らない」、このようにはっきりと述べていられるわけであります。あるいはまた、ほかの先生方、増井先生という方は、またわれわれは文部省の隠れみのに使われますなあ、と語りながら、しかし「私としては審議に責任が持てない」というふうに述べている。あるいは村岡さんという先生は、「アリの一穴から堤防が崩れる、という言葉があるが、今後、この種の問題が起きるたびに、審議に規制がかかることになる」というふうな発言をされている。あるいはまた、名前を出されない委員のお一人は、「文部省が意見の範囲を決めて、押しつけてくるのは審議会を無視した越権行為だ。」、このようにも述べております。また、お名前を出していないもう一人の委員の方も、「審議に責任は持てない。辞任する委員だって出るかもしれない」、このような表現が述べられておるのを見ますと、この審議会の方たちも今回の事件では大きなショックを感じていると思うのです。いままでほとんどあるかなしかの存在にしておいて、今度にわかに、外務省と文部省の見解が合わなくなってくる、その折り合い、接点に、脚光を浴びる場に出されてきた。戸惑いを感じられているのじゃないかと思うのです。  そういう意味においては、本当に審議会の人が政府見解どおりの意見を出す保証はないのじゃないかと思いますけれども、重ねて御意見を承れればと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 これは先ほども答弁を申し上げたことでございますが、検定基準を変更——変更という言葉は適当でございますまい、改訂いたしますためには審議会の議を経なければならない、これは手続としてぜひとも必要でございます。その際、きわめて論理的に理詰めで考えますと、政府の方針に反対の御決定をなさるということは、可能性の問題としてはあり得ると申し上げなければならない。しかし、政府がこのたび、日中共同声明なり日韓共同コミュニケの精神をよりよく教科書に反映させるために検定基準の改訂をお願いする、その趣旨については、最終的には委員各位は必ず御理解いただけるに違いない、私はこのように信じておるわけでございます。そしてこのことは、必ず政府の責任でそのような結果が得られますように努力をするつもりでございます。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 外国との約束のときにはやはりはっきりと——国々によって全部違いますので、日本は日本の立場がございます。しかし、外国と約束するときには、できることはできる、できないことはできないのでして、できないこともあたかもできるかのように言ってできなくなってしまうと、またまた不信感を助長するようになってしまう。いまの審議会の場合には、まだどうなるか結論がわからない、わからないのにもう結論がわかったような感じで述べられる、あるいは文部省広報も出されるというふうになったのでは、審議会を開いて審議してくださいと言っても、審議する方も本当におもしろくないと思います。白紙で審議するのじゃなくて、もう答えが先に決まってしまってそれ以外の答えが出せないような雰囲気というのは、これは本山の審議会ではないのじゃないかというふうに私は思います。  時間のようですが、最後に、審議会の議を経て検定基準を改めるといいますが、検定基準を具体的にどのように改めようとされるのか、お尋ねしたいと思います。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 今回政府がとろうとする措置の趣旨をご理解願った上で、検定基準にどのような文言をつけ加えるかということにつきましては、審議会の御検討を煩わすことでございますから、どのような形のものになるか、ただいま明確に申し上げることはできませんけれども、たとえば隣接諸国との友好、親善関係に対して特に配意すべしというような、そのような趣旨の一項目がつけ加えられることになる、こう考えております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 最後ですが、友好、親善を深めようというのは、いまさら書かなくてもあたりまえのことなんじやないか、むしろ新規に言おうとするならば、もう少し具体性を持った何かが載ってこなければならない、抽象的な精神でしたら、それこそ憲法の前文を踏まえても、教育基本法を踏まえても同じことが述べられているのだろうと思うのですね。そうして、憲法なり教育基本法があるにもかかわらずこうした問題が起こったわけですから、ここで基準をと言う以上は、先ほどの論議なり学習指導要領を踏まえたりしながら、もう少し将来変えていく何かがあるのでしょう。二十一世紀を展望しての国際的な視野を広げて、そうした意味でのいわゆる国際文化交流その他を踏まえての国際的な問題とか、あるいは戦後の、いわゆる閉ざされた時代から、終戦直後、私たちの人権の保障というか解放感がありましたけれども、逆に、いまそのことによって混乱があるから、個人の権利の主張の反面には義務、責任の理解も必要ですよとか、人権という背後にやはり公共の福祉という概念も必要ですよとか、あるいはある程度の国としての誇りをどういうふうに持ちましょうとか、そうしたようなこととか、あるいはまた敗戦のときに、中国をかつて支配した政府、いまの台湾政府のことを言っているのですが、蒋介石総統の措置によって日本はかなり救われた事実があったとか、あるいはアメリカとの関係において、安保その他があって日本が救われて今日の発展があったとか、そんなこともあるかどうかわかりませんけれども、そうした意味を踏まえて、このアジアを中心とする理解、その中で、われわれはそうした国に生かされながら日本も同時に共存していきたいという希望を含めて、具体的な基準設定とは何かをお考えいただければありがたかったなと思います。  家永訴訟との関係が本当は本命だったのでございますが、時間がなくて触れることができませんでした。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せはきわめてごもっともだと存じます。仰せのような角度からの御検討も必ず審議会において行われることと信じております。

三浦隆民社党・国民連合

○三浦(隆)委員 どうもありがとうございました。

青木正久自由民主党

○青木委員長 山原健三郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 午後の答弁を聞いておりまして、ボタンのかけ違いといいますか、そのことによって、教育的観点から見ましても教育行政の面から見ましてもずいぶん矛盾が出てきているな、ますます矛盾の拡大じゃないかということで、これはだんだん問題が深刻になってくる可能性が出てまいりました。  それで最初に、昭和四十七年の参議院文教委員会におきまして、当時の文部大臣である稻葉さんが、「いかに戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたかについて国民はよく知る必要があると思います。そして、責任を痛感する必要があると思います。そして、深く反省する必要があると思います。そういう点について、今後、初等中等教育その他社会教育においてなすべきものが一ぱいあるということについては、」、これをやらなければならぬという、これは社会党の安永さんに対する答弁です。  もう四十七年に明確に出ているわけですね。それが今日守られていない、検定の中でゆがめられてきた、そのことがいま問題になっているわけでございまして、その背景には、先ほど宮津官房長官に私も質問しましたように、日本政府のこの問題に対する真摯な、かつ真剣ないわゆる戦争というものに対する考え方、このことがないものですから、もう目の前のことに追われて、何とか目の前を糊塗しようと、この一カ月は全くそれに終始した。そして結論が出てみると、いまお話がありましたように、幾つかの矛盾が出ておりますから、最初に、今度の政府見解、官房長官の談話について一、二触れてみたいと思います。  この見解の二に、「日中共同声明の精神は」「当然、尊重されるべきものであるが、」と書いております。ところが今日、韓国、中国等により、こうした点に関するわが国教科書の記述について批判が寄せられている。これは、「尊重されるべきものであるが、」ということは、尊重されなかったということを指摘しているわけですね。そういうふうに文部省は理解していますか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 これは従来から述べられておりますように、このような精神が学校教育なり教科書の検定に当たって当然に尊重されるべきであるということを、そのたてまえを申し述べているものであろうと思いまして、尊重されなかったかどうかということではないかと思います。たてまえを述べているものかと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 そういう読み方ではこれは問題の解決にならぬと思いますけれども、一応おいておきますが、だから問題になったわけでしょう。尊重されるべきであったのに、尊重されるべき記述を変更し、侵略を進出と書きかえるようなことをしてきた、そのことがいま批判を受けているわけですからね。正確に読むならば、残念ながら尊重されていなかったということから問題が起こったのだというこの政治責任というのは大きいですよ。文部省の責任は大きいですよ。先ほどの四十七年の稻葉文部大臣の答弁から見ましても、いっぱいあるのだ、それはやらなければならぬと言っておることと比べまして、文部省の変化といいましょうか、検定の変化といいましょうか、その責任は非常に大きいということを私は指摘をしておきます。  次に、「政府の責任において是正する。」というわけでございますが、これは近隣諸国との友好を進める上で耳を傾け、こうした点に関する是正をする、こういうふうに読めると思いますが、こうなりますと、国内問題は一切出てこないわけですね。これはまさに外圧に耐えかねて出てきた窮余の一策というふうにしか読みようがないのです。そうではないと思うのですね。検定の問題について、国内問題については、この文言から申しますならばどうなるのですか。たとえば沖繩の問題はどうなるのですか、ここで聞いておきたいと思いますが、それは文部大臣はどういうふうにお考えですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 ただいまの御質疑につきましては、官房長官から答弁がございましたように、昨日の官房長官声明は、当面、中国並びに韓国の申し入れに対していかように対応していくかということを示した声明でございます。ただいま国内問題について、たとえば沖繩についてどうするかというお尋ねでございますが、沖繩の問題につきましても、沖繩県民の感情ということにつきましては十分な配慮をして今後検定に臨むつもりでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 国内問題についても、当然執筆者の意図を無視し、そしてそれを訂正させたという事実があるわけですから、そういう問題についてはいま文部大臣の御答弁によりまして、執筆者等の要求その他があれば、それに対応するという姿勢がおありになることがわかりましたので、このことはおきます。  その次に、「審議会の議を経て検定基準を改め」、いま三浦議員からございましたけれども、審議会は審議会としての独自の見解を持っておるわけですから、これに枠をはめるわけにはいかぬのですよ。私はいま教科刑図書検定調査審議会の性格は知らぬわけではありません、全幅的に信頼をしておるわけではありません。もともとこの問題を起こす基礎に検定審議会があるわけですから、その検定審議会、この元起こしに対して諮問をするということ自体も少しおかしいのですけれども、しかしせっかく文部省が審議会をつくっているのですから、それに対しては諮問をする場合には枠をはめるということになれば、これは大変なことですね。これはいま御指摘があったとおりでございますが、ここに検定基準を持ってきています。これをどう変えるのですか。どこへ何を入れるのか、そんなことをお考えになっているのでしょうか。どこを見たってこんなもの入る余地はないという気もしますが、それは何かお考えになっているのでしょうか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 これは先ほど御答弁申し上げましたように、教科用図書検定基準そのもののほかに、検定の指針でございますとか、あるいは検定、の一般方針でございますとか、あるいは個々の記述に関する方針でございますとか、そういうようなものを含めまして検定調査審議会に御検討をお願いするという趣旨でございまして、告示でございます教科用図書検定基準のみを指しているものとは考えておりませんで、御検討をお願いする範囲としてはそのようなものを考えてまいっているわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 審議会の答申と文部省が意図しておることと違いが出てくる可能性はそれは当然あるわけですね。そういったことを脅えますと、ここにも一つの矛盾がありますが、もう一つの大きな問題として私は非常に重要視したいのですが、この六十年からいわゆる教科書そのものが現実に変わる、それまでの二年間は大臣が所見を明らかにして教育の場に十分反映をさせるという。そして先ほどの答弁を聞きますと、文部大臣の談話を発表する、それを広報に載せる、広報に載せるか何に載せるかは別にしまして、広報に載せるということでございますが、談話で教育ができるかという問題がありますね。これはできませんよ。これは実に重大なることを決めようとしているわけでございまして、かって戦争が済んだときに、教科書に墨を塗りましたね。先生が自分で夜中に家へ帰って墨を塗ったこともあるのです。生徒に一斉に墨を塗らしたこともあるのです。あれは敗戦という事態の中で、占領軍というものが参りまして、それによって行われた大改革なんです。大変な事態になった。今度は第二の墨塗りですよ。教科書には進出と書いてあるわけでしょう。それを文部大臣の談話によってこれを説明するという、教えるという。しかも、その談話は拘束力はないでしょう。拘束力がない。拘束力がなければ意味がないのです。拘束力があったらまた大変でしょう。談話によって教育に対する拘束力がいささかでもあるということになれば、いま小川文部大臣のときはそれでいかれるかもしれませんけれども、内閣がかわり大臣がかわっていく中で、談話が発表される、文部広報にそれが載せられる、それによって現場の教育が変わるということまで考えておかなかったら、こんなことできやしません。これは教育という場におきましては、言葉としては進出という言葉がある。先ほど佐藤議員から質問がありましたけれども、それを先生がいろいろな説明をする、これは本当にできることじゃありません。そして、それは教育に対する物すごい不信を買うわけでございまして、そういう意味から申しますならば、これは大変な禍根を残す。私は、これだけは文部省は慎重な態度をとってもらわなければならないと思っています。  むしろそれよりも正誤訂正をやった方がまだ教育的ですね。来年から正誤訂正をやった方がまだ教育的です。私は正誤訂正そのものについては、いろいろな拡大解釈を回ることについては反対でございますけれども、それは今日まで論議してきましたからおきますけれども、むしろそれだけの決意を持っておられ、そしてこういう政府の見解を発表されるならば、正誤訂正で変えた方がはるかに教育的でありますし、はるかに文部省の権威を失墜せずして問題は解決できるわけです。このことを私は要求したいと思いますが、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 正誤訂正によって直ちに検定済みの教科書の内容を改訂すべしという御意見につきましては、今日まで繰り返し承ってきておりますが、今回の問題は正誤訂正の制度に乗せるわけにはいかない、こういうことを文部省といたしましては繰り返し答弁申し上げてきたところでございます。  仰せのように、文部大臣の談話で教育をすることなどはできませんけれども、現場の教師が談話の趣旨を十分念頭に置いていただいて検定済みの教科書を使用する際に授業をしていただくことによって問題が解決できる、こう私は考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私はそういうやり方が非常に、正誤訂正できないということは文部省はずっとこの一カ月間、その前から言っておられるわけで、それはわからぬわけじゃありませんけれども、ここは本当に各党の議員が集まって、あっさり言えば一番いい方向を見出そうとすることで、そして各党の議員が提案もしているわけでございますから、それはやはりかたくなな姿勢でそれだけを言い張ることが結局は禍根を残す。文部大臣、初めてのことですよ。教科書について文部大臣の談話を発表して、それによって教科書の中身を談話で変えて教えなさいということは、かつてないことです。まさにこれは第二の墨塗りと言えるものです。そんなことが前例となりましては私は本当に心配しています、これは非常に大きな禍根を残すということを。その点は文部大臣、御心配になりませんでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 検定を終えた教科書が二年間は使用されなければならない、その事態にどのように対応するか、考えられる措置として、文部大臣談話の方法によるほかない、こういう結論に到達いたしたわけでございますから、ぜひひとつ御了承をいただきとうございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 それは了承できないことでしてね。私がここで了承したら大ごとなんです。私は、了承はもちろんしません。考えてください。余りかたくなな姿勢では、これは、それで何か文部省という権威を保とうというお考えになっておられるかもしれませんし、教科書検定制度は絶対に変えないのだというそのことをお考えになっておられるかもしれませんけれども、しかし、問題は教育の現場だと私は思うのです。そういう点から考えますと、これが小川文部大臣のときにこういう前例を残すということは、むしろ、もうやめていただきたい、私の方から御了解をいただきたいというふうに思うのですが、それはやはり本当に考えてください。  それからもう一つは、今度の政府見解ですね。これはやはりいまの検定に誤りがあったから、こういうものが出てきたと考えるべきだと思いますが、やはりその点、一言聞いておきたいと思う。それはどうですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 先ほど来答弁を申し上げておるところでございますが、文部省はそれぞれ理由があって検定を行っているわけでございます。これが間違っておったとは考えておりませんが、この点、いろいろおしかりを受けておりますけれども、かつて日本が戦争によって、あるいは長い間の植民地統治によって非常に大きな痛手を与えた国々の国民の気持ちに対する配慮において十分でない点があったのではないか、このような反省に立脚して、昨日公表いたしましたような方針を決定いたしたわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 余り大きな声を出したもので、いつの間にか、あと五分しかなくなってしまいましたが、私は、教科書検定の仕組みそのものはきょう触れる時間はありませんが、教科書検定調査官あるいは審議委員のあり方ですね、これはやはりもっと公正であってしかるべきだと思います、その人選に当たっても。  たとえば、今回、これは実教出版の「日本史」の場合でございますけれども、南京虐殺の問題についても、これに対してチェックをしておられる方——実教出版の「日本史」の三百十一ページです。いわゆる「軍団多数」というふうに書きかえさせるとか、あるいは「抗日戦争を闘いぬくなかで創造された木版画の挿絵」、これも記述を変更さしておりますね。それから、三百十六ページに「一九三九−四五年の間に六十万人以上の朝鮮人、約五万人の中国人が日本本土に強制的に連行され労働させられた」、これは修正意見がつきまして、当時朝鮮人は日本人であり、朝鮮人と中国人とは同列には書けない、そういうことで、結局「日本本土に連行され強制労働させられた中国人も約四万人を数えた」というふうに変えられてまいります。  また、朝鮮における土地取り上げの問題につきましても、これは「きびしい憲兵政治のもとにおかれ土地調査事業の名目で農民から土地取上げが行われた朝鮮でも」という記述が、「憲兵」は陰湿なる印象を与える、だからやめろというわけですね。「名目」はおかしいということで、この記述が変えられていく。  また、いわゆる三・一運動、これにつきましても記述を変える。沖繩についてもこの記述を変えさす。  これは、実は一人の調査官の方です。これを全部やっておられるのですね。しかも、この方が主任調査官ですね。こういう方が、言うならば調査官の中で社会科に関しては一番責任を持っておられる、こういう状態ですね。  それからさらに、審議会の方におかれましても、先ほど第二部会の社会科の部会長さんのお名前が出ましたけれども、この人はむしろ、今度の文部省の態度については、いま御説明があったように批判を持っておられます。しかし、この方も、みずから勝共連合の平和教授会のメンバーであると認められまして、私は反ソ反共改憲論者である、偏向教科書に対して審議会は右で固まらなくてはという言葉も言っておられますし、文部省はそういう人を集めているというようなことも言っておられる。  この前私が申し上げました渡辺茂さんあるいは矢野健一郎さんの場合にしましても、これはもう改憲論者であるばかりでなく、憲法はもちろん、教育基本法も変えなければならぬのだということを言っておられる方々によって構成をされているわけです。  どうしてこんなふうになったのかということを、非常に不思議に思っております。まさに公正な教科書検定というものが行われるためには、やはり人も必要だと思いますし、同時に、検定そのものに対して私たちは反対しておりますが、しかし検定が行われる限りは、それは当然公開されなければならぬ。もうここまで来たならば、これは恐らく国民の一致した見解だと思います。公然と公開された中で行われる必要があると思いますが、恐らくこの点については文部大臣もいまや痛感をされておると思いますが、この人選の問題と公開制の問題についての文部大臣の所見をお伺いしたいのであります。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 教科書の検定は、教科書の記述が客観的で公正であるべきこと、また適切な教育的配慮がなされていなければならないことを念頭に置いて中正な態度で行われるべきものでございまするから、そのような仕事に携わっていただく方として適格だと信ずる方を文部省はきわめて慎重に人選をして、お願いをしておるわけでございます。  それらの方々が個人としてどのような思想をお持ちか存じませんけれども、ただいま申し上げましたような趣旨で検定というものは行われるべきものでございまするから、個人的なお考え方とは離れて、必ず偏らない検定をなさっていただくものと信じておるわけでございます。  検定の内容を公開せよという御意見も、かねてから繰り返し出ておるわけでございますが、検定を経た教科書は、文部省が教科用図書として必要な要件を具備しているものと認定をした教科書でございます。どれも一人前の教科書であるわけでございまして、教科書もこれは一つの商品でございますから、そのような教科書として採択という競争場裏に臨むわけでございます。したがいまして、採択に際してフェアな環境をつくることが必要でございます。検定の内容を一切公表いたしますると採択に直ちに影響いたしますから、そのような意味で公表することはできませんということをかねてから申し上げておるわけでございまして、この考え方にはいまもいささかも変わりがございません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 よその国を見ても、西ドイツの場合はポーランドやその他の国との交流もやっておりますし、かなりオープンでやられているわけですから、今度の経験をもとにしまして、その辺については文部大臣は新たな観点で物を見ていただきたいということを要請しまして、私の質問を終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 河野洋平君。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 外務省、局長にお待ちいただいておりますので、先に一問だけ外務省にお尋ねをいたします。  文部省が国際的にさまざまな情報を入手するなどを一つの目的にして、在外公館にアタッシェを何人か文部省は出しているわけですね。相当数、二、三人ですかパリにも出ておりますし、その他の国に出ておりますが、私の記憶では北京にもソウルにも文部省からアタッシェが出ているはずでございますが、それは間違いありませんね。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 そのとおりでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 この文部省から出ている——文部省から出ているという表現がいいのでしょうかよくわかりませんが、少なくとも文部省から派遣をされているアタッシェ、中国、韓国の大使館にいるアタッシェの方々が、今回のこの教科書批判について文部省にあるいは外務省を通してということになりましょうか、適切な、事前にそうした問題があるということをキャッチして、あるいは事前に中国、韓国と何らかの接触がある、あるいは何らかの感触を得て外務省なり文部省なりに情報といいますかニュースといいますか、そうしたものを送ってきたという事実がありますか、ありませんか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 韓国につきましては、今般起きました教科書問題以前からいろいろ韓国側の関心表明というものがございまして、そういった情報を大使館から私ども入手いたしておるわけでございます。中国につきましては、今度が初めてでございまして、事柄のきっかけは五十六年度の検定が終わりましてこの問題が六月の末に大々的に報道されましてから中国、韓国が、韓国の場合は改めてでございますが、反応いたしてきたわけでございます。その時点におきまして、初めて大使館としては先方の関心というものを承知いたしたわけでございまして、それ以前に情報をキャッチしておったというような事態はございません。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 韓国について言えば、事前に韓国ソウルにある大使館からの連絡ですね。感触を外務省に報告してきたものを外務省としては文部省に連絡をしておられますか。文部省に対して、こういう動きがある、あるいは感触がある、これらについては相当注意深く検討すべきではないか、分析すべきではないか、そういうようなことを言って文部省にそうした連絡を回すといいますか、そういったことをなさった事実がありますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内説明員 韓国につきましての例は、昨年の場合でございますが、韓国がこういった点について関心を抱いておるということにつきましては、文部省にも御連絡を申し上げた経緯がございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 文部省は恐らく、これはどこが受けとめるのでしょうか。私は文部省にこの問題について質問通告してございませんから、担当者はおられないかもしれませんが、もし出席しておられる方でおわかりでしたら、この受け皿は学術国際局が受けたのでしょうか。それとも初中局が受けたのでしょうか。もし詳細がわかっていれば、受け取ったと、どういうふうにそれについて考えたかまでお答えいただきたい。わからなければ受け皿だけでも結構です。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 これは学術国際局の企画連絡課が窓口になっておりまして、公館との連絡等には当たっておりますし、また外務省との窓口にもなっておるわけでございます。内容につきましては詳細には……。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 私はかねてから、文部省がもっと在外公館に人を出すべきではないか、そして世界各地と教育、文化の面での交流ということもあって、もっともっと文部省は在外公館に人を派遣する必要があるのじゃないかということを考えていたわけです。私もかつてそうしたことを考えて外務省当局にもアタッシェをもう少し文部省から出すべきでないかということを申し上げたこともあるのですが、なかなかこれは定員その他の関係があってむずかしいようでございますが、しかしこれから先も文部省はもっと国際的な活動をする上でこうしたことを積極的におやりになる必要がある。と同時に、今度の場合などはもう明らかに韓国にも中国にもアタッシェが出ていたわけですから、そういう人たちの情報を余り軽々しく扱うべきでない。せっかく文部省から韓国にも中国にも人を出して、しかもその人たちが外地で非常なこういう感触がある、こういう動きがあるということを察知して外務省経由で本省にそうした連絡があったら、その連絡をさあっと見て聞き流してしまうというのでは、アタッシェを何のために出しているかわからないではないか、もっと外に人を出し、出した人の報告はもっと大事に慎重に検討をするという姿勢が必要だと私は思います。大臣一言それについて御所見をいただきたい。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 今回のことにつきましても、それぞれのアタッシェから非常に密接に連絡をしてもらっております。これをふやせという仰せでございまして、私もぜひふやしたいと思っておりますが、まず第一に外務省に承知をしてもらわなければならないという関門がございます。次いで大蔵省とも折衝になるわけです。簡単なことではないと存じますが、できる限りこれから努力をしてまいりたいと思います。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 この問題はひとつ今後の問題としてお考えをいただきたいと思います。  さてそこで文部省に少し御質問をしたいと思いますが、今回の政府見解、文部省は満足しておられますか。どなたでも結構です。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 私といたしましては、中国あるいは韓国の申し入れを謙虚に受けとめて誠意を持って対処いたしますということを繰り返して申し上げてまいりました。文部省としてはぎりぎりいっぱいのことをいたしたつもりでございます。今回の声明には、文部省がこれからとろうとする措置が盛り込まれておりまするので、満足しているかいないかというお尋ねでございますれば、満足しておりますというお答えを申し上げるわけでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 日中共同声明、日韓共同コミュニケの精神がよりよく教育に反映をされる必要がある、こういうことですから、文部省はこれから先、日韓、日中、共同コミュニケ、共同声明の精神がよりよく教育に反映されるように最善の努力をなさるということになるわけです。最善の努力をするということになりますと、私は先ほど来官房長官にも御質問申し上げましたし、同僚議員佐藤議員からも御議論がありましたが、この指導要領の問題について、日中、日韓、共同声明、共同コミュニケの精神をよりよく教育に反映しようと思えば、あの問題はかねてからの見解なのであのままでいいではないかとかたくなにお考えになるのは、この政府見解の一生懸命言っているところの共同声明、共同コミュニケの精神がわが国の学校教育に尊重され、よりよく反映されるために、いやあれはもう直さないでいいのだ、あれはあのままでいいのだと余りいこじになるのは、まじめに誠実にということにならないのじゃないでしょうか。いやそこまでしなくてもと仮に思っても、そうした方がよりよく反映されるということであれば、それについても再検討をなさるというぐらいの弾力性はお持ちになる方が適当だと思いますが、いかがですか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 ただいま直面いたしておりまするのは教科書の問題でございまするから、さしあたって検定基準の改訂を企図しておるわけでございます。しかし、仰せの点はよく理解をいたしておりますので、今後の課題として研究をいたすつもりでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 先ほど来からいろいろな議論がありまして、いまの大臣の御答弁、一応私は評価いたします。一応評価しますが、先ほど来からたとえば官房長官の御答弁を聞いても、先ほど来からの同僚議員の議論の中でも出てまいりますように、教科書批判というものの底流にはやはり第二次大戦における日本の国の行動というものがあって、侵略的行為あるいは侵略という事実が底流にあって、それが教科書批判という形に出てきているわけですから、私はそこは文部省の官僚的発想で、いやこれはもう教科書なんだから教科書だけ直せばいいので、言われてないところなんかやらなくてもいいのだ、ここだけとにかくしようがないからやればいいのだという狭い、できるだけ範囲を狭めて、できるだけメンツを失う部分は小さくしようなどという考え方ではなくて、やはり本当に、繰り返し申し上げますけれども、官房長官談話の趣旨というものを誠実にやろうとすれば、それはここまで直すべきではないか。そうしなければ、やはり誠意を疑われるということがあればまた指摘される。これは必ず指摘される。それなら、この問題で官房長官談話が出たこの時期に、文部省としてそこも手直しをいたしましょうというところまで行く必要があるのじゃないでしょうか、どうでしょうか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 今日の学習指導要領には、あるいは平和主義、あるいは戦争に対する反省ということは明記いたしております。しかし、今回のような事態にかんがみまして、なお足らざる点があるとすればこれはだんだん画していかなければならない問題である、こう心得ております。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 ぜひひとつ大臣、いまの御答弁を、私は何と言いますか期待をしたいと思いますね。本当に国際的に見て、あるいは日中関係、日韓関係を考えて、もうバナナのたたき売りみたいな、ここまで、ここまでというようなやり方ではなくて、やはり一カ月間いろいろ国内でも議論をし、眠らぬ夜を何晩かこうやって議論をして、ここまでやろうと決心をなさったからには、やはりよりよく反映される努力のために、思い切ってひとつ御決断をいただきたいということを切にお願いしたいと思います。  もう一点、これは初中局長に伺いますけれども、今度の解決を見ていて、侵略を侵入、進出にした、もう一回侵略に直せという大変な議論があって、二つ問題があったのじゃないか。いや、進出でいいのだ、侵略でいいのだ、あるいは進出でいいのだという議論が一つ、もう一つは、そんなこと言ったって、検定制度という制度がある以上、直すなら制度に沿って直さなければいけないのだから、制度というものがある以上、その制度を乗り越えて政治が介入して指図がましいことをすることはむずかしいのだという議論と、二つの議論があったのだろうというふうに私は思うのですね。  それでまず第一の侵略か進出かという議論については、日中関係、日韓関係というものも考え、あるいはよく冷静になって考えてみれば、それはやはり過去の歴史あるいは日中関係、日韓関係というものを考えれば、やはりそれは侵略だ。進出と直したのは誤解される、あるいは間違いだ、だから侵略だ、これはそういう気持ちになったかもしれませんね。まあこれはわかりませんが、私の仮説ですが。しかし、それは侵略に直そうという決心はできたけれども、一方で、そんなこと気楽にやったのでは、検定制度というのは、文部省の皆さんのおっしゃるのには、これは文部行政の根幹なんだ、その根幹がそんなことで簡単に崩れては困るのだ、だから、侵略に直すという決心はしたのだけれども、検定制度という制度を壊すわけにはいかないから、だから、検定制度という制度がある以上、その制度に沿って直さなければいけないから、したがって、政府の責任において是正するとは言ったものの、審議会にお願いをする、あるいは二年先だよ、これは、直すことは決めたけれども、制度はそのまま残したいというお気持ちがあったのだろうと私は推測するわけです。  そこで、確かに現実にそういう制度があるのですから、その制度がありながら、制度を制度として置きながら、記述を直せ記述を直せと言われても、これは官僚的体質から見れば、制度があるのにその制度に書かれてもない方法で記述を直すことはなかなかむずかしいよという官僚の皆さんの発想はあるのでしょう。私はそうは思いません。私は、十六条四号ですか、あれを使えば直るといま思っておりますけれども、しかし、お役所にはお役所的な、法律を守らなければいかぬ、制度を守らなければならぬというお気持ちがあるかもしれない。  もし、私が申し上げているように、前段の侵略でいいのだという決心を文部省がなさった、だけれども、検定という制度があるから直ちには直せないのだ、この制度が直せるような制度になれば、それは直ちに直していいのだ、だけれども、この制度はいじれないのだから直せない、速やかに直すというわけになかなかいかないのだ——私の言っていることわかりますね。もし私が言うとおりだというならば、やり方はあると思うのですけれども、文部省のいまの心境から言えば、進出を侵略に、皆さんそうおっしゃるなら、それは自分も共同声明、共同コミュニケの精神を体してそうしましょうと、それはいいです、しかし、制度そのものは守っていきたいから、制度に沿った直し方をする以外にないのですよ、だから二年待ってください、どれだけ待ってください、そういうことなんでしょうか。私の解釈、間違っていますか。

小川平二自由民主党文部大臣

○小川国務大臣 仰せのとおりでございまして、申すまでもなく法治国でございますから、最終的に法律に根拠を置く確立された制度に乗せて解決するほかないのでございます。いかに問題が深刻であるからと申しまして、超法規的な措置をとるというようなわけにはまいりかねるわけでございます。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 私は委員長にも理事会にも提案をしたいと思いますけれども、与野党間で検定制度については相当議論が対立している。検定制度をやめろという政党、そういう立場の党もあれば、手直ししろという立場もあれば、これは絶対守りたいという立場の政党もあるわけですけれども、少なくともこの部分についてだけは直そうということで各党で合意ができるなら、次の臨時国会の冒頭にこの問題だけに限定して、全く一時的に法律を改正して、改正した法律に基づいて直ちに直して、この部分の修正が終わったらその法律は時限立法で消していまの状態に戻して、そしてまた検定制度についての意見の対立は対立でまたこの時点に戻って議論をする、そういうことはできないものなんでしょうか。いま大臣が言われたように、法治国家である以上、法律で決めているものを直すのはなかなかむずかしいのだよというのは、私は、文部省的、お役人的発想からすれば理解はある程度できるのです。先ほど申し上げましたように、  私はいまのでもできると個人的には思っておりますけれども、文部省の皆さんはなかなかそう思っていらっしゃらないのだろう。しかしそれなら超党派で、多数決で決めろというのではない、超党派で全党が一致して、侵入を侵略に直すというこの問題についてだけ全く一時的に法律を改正して、時限立法でいいです、三日間の時限立法でいいじゃないですか、三日間の時限立法で法律をつくって、直して、また法律をもとに戻せばいいじゃないですか。次の臨時国会が十月にあるか、十一月にあるか、あるいは九月中にあるのか知りませんけれども、それを一回やって、直して、またもとに戻して、また検定制度についてはいまの時点に戻って与野党で議論をやり直してもいい。それを、いまと同じような状況の中でこの問題を、いままでの検定制度云々の中にひっかけてこれをやって、一カ月も二カ月も国益を損なって。私は、今度の政府声明というのですか官房長官談話で日中関係、日韓関係が直ちにクリアになるとは、期待はするけれどもなかなかむずかしいだろうとは思いますよ。そうするとまた重苦しい二月、三月、半年になるかもしらぬ。事態はだんだん悪化するかもしれない。それならば速やかに、全く一時的でいいからそれ以外の問題は全部凍結して、文教委員会の与野党の全理事が一時的に集まってこの問題だけ話し合ってもいいじゃないですか。あるいは、それができないなら各党の党首会談をやってもいい、幹事長・書記長会談をやってもいい、これは大変な国際間の問題なんだから。そこまでやって、この問題だけを法律改正をして処理をして、また直ちに法律をもとに戻してもいいです。そして、検定制度についてはまた議論を続けられたらいいというふうに私は思うのです。これは大臣に伺えば、それは立法府の問題で、立法府がそうなさればいいがなとおっしゃるかもしれません。河野さん、それなら自民党の理事さんとやってくださいとおっしゃるのかもしれません。どうでしょう、文部省はそういうことならできますよとおっしゃいますか、あるいはそんなことはとても不可能だおっしゃいますか。これはどなたでも結構です。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○鈴木説明員 問題になっている事柄が教科書の具体的な記述でございますから、それをどのようにするかということは、いまお挙げになりました侵略、進出の問題だけではなくて、かなり広く中国、韓国から指摘をされているものがございますので、いまシンボルとなっておりますようなそういう字句だけを取り上げましてどうこうするということではなくて、全体の趣旨を体して教科用図書検定調査審議会におきましてそのような今後の教科書検定に反映すべき一般的指針を検討するというのが、行政措置としては私は適切ではないかと思うわけでございます。個々の記述の内容について法律をもって律するということは、行政と立法府と申しますか政治と行政と申しますか、その辺の兼ね合いを考えますと、教育基本法十条の関連から申しましても勘考を要する点があるのではないかというふうに愚考いたします。

河野洋平新自由クラブ・民主連合

○河野委員 行政府にいまの質問は、余り適切な質問ではなかったかもしれません。しかし私は、立法府というのはそういうことを思い切って考えるべきではないのかと思うのです。いまの制度の中で変えろ、変えるな——繰り返し申し上げますが、私は変えられると思うけれども、文部省とすればこれは絶対変えられない変えられないと言って、これで平行線でいって国益だけはどんどんと損なっていってしまう。日中、日韓関係がどんどん悪くなっていく。知恵がないのか。そこで新たな知恵を出すために新たな法的措置をとるということのために、国権の最高機関たる立法府、国会があるのだというふうに私は思うので、これはいずれ改めて各党の理事さんにもお考えをいただきたいと思いますし、委員長にもひとつしかるべくお考えをいただきたいということをお願いして、質問を終わります。

青木正久自由民主党

○青木委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗